HUNTER×HUNTER〜時の歯車編〜 (神崎 吹雪)
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リクスジョン当日
×1 サイカイ×ト×ココロマチ


主な登場キャラクター

・ゴン=フリークス(主人公&目線)

・キルア=ゾルディック

・クラピカ

・レオリオ

・ビスケ

・リナキ=レスナンド(オリジナル)

・ライト(オリジナル)


詳しいキャラクター詳細は「HUNTER×HUNTER」の漫画などを読んでください。

オリジナルキャラの説明は小説内でしていきます。

もっとキャラクター出てきます。重要なキャラは出次第載せていきます。



 

 

 

「ハンターリクスジョン?」

「ええ」

「何の為にまたこんな……。」

「お前今の計画わかってんだろ?」

「それは勿論わかっていますが……。」

「遊びたいんだよここで俺は」

「その為だけに開催したんですか?ウェルトーゼ……。」

「ああ当然だ、お前もワクワクするだろう?エリリ。」

「でも私お祭りとかは別に……。」

「は?祭りなんか俺は楽しみにしちゃいねえ。」

「え?」

「ここにはプロハンターが集まるんだ。」

「……?ええ。」

「実行してみるんじゃないか。わからないか?」

「……御意、なるほど。そう言うことでありましたか。」

「相変わらず変な返事だな。まあいい。作戦は後日伝える。」

「御意。」

「あいつ……使えればいいんだが……。」

「もう実験は行なったじゃないですか?」

「それもそうか。にしても妹を逃がしたのは想定外だったな。」

「まあ今更過去の過ちを反省していたところで何も起きませんよ。」

「それもそうだな。じゃあまた。」

「ええ。では。」

 

 

 

1

 

 

「っっっゴン!!見えた!!」

「へっ?!」

キルアがあまりに大声を出したので俺は驚いて目を見開いた。

どうやら居眠りをしていたらしい。

「ゴン!あそこ!ほら!」

キルアは興奮しながら飛行船の窓の外に映る街を指差す。

 

「……うわぁ……凄いや!!」

俺は窓にべったりと張り付いて海の中の一つの島、「カルセーロ」という街並みを天空から見下ろした。

「やっと到着だよ……キルア!!」

「ああ、ゴン!!」

「……あのーお客様……。」

俺達が歓喜に満ちていると、周りの乗員さんや添乗員の方々がこちらを見ていた。

注目の的を作ってしまったようだ。

 

俺とキルアは苦笑して二人がけのシートに座り直した。

通路側のキルアはいつまでも見ていた乗員をキッと睨みつけて威嚇する。

「ちょっ……やめなよキルア……。」

さっきから何度注意を受けたことか……。

飛行機に乗った時から俺とキルアははしゃぎっぱなしで困った物であった。

 

でも誰だって絶対楽しみではしゃぎたくなることが俺達には待ち受けているんだ……!!

「ハンターリクスジョン……。」

俺は思わず呟く。

飛行船に乗ってから何度呟いただろうか。

「楽しみだな……思いっきり、楽しもうぜ。」

キルアは窓の外を見つめ直した。

そして何処か懐かしそうな、寂しそうな雰囲気を醸し出す。

「どうしたの?」

俺の問いにはっとしたキルアは、

「うっ……うっせーな!ゴンは黙って驚けばいいんだよ!」

「驚くってどういうこと?!」

「いや、別に?」

キルアはしまったとでも言うように自分の口を手で覆う。

「えーそれ酷いよ!なにか隠し事してるでしょキルアー!!」

「後で教えてやるから黙ってろ!!」

「お客様……。」

先程の優しい添乗員さんの声は何処にもなかった。

 

「少しは静かにしなさーーい!!!」

 

何処かでこんなことあったような……。

 

 

 

 

「すっかり嫌われちまったな。俺達。というか完全にマークされた気がする。帰りの飛行船もこれなのに……。」

「キルアのせいでしょ?毎回キルアが大きな声出し始めたんじゃん!」

「なんだって?!」

「あんた達ほんっとうっさいわね……。」

俺達が飛行船を降車していろいろ済ませ、出口へ向かっている時後ろから懐かしい声が聞こえてきた。

 

「ビスケ!!」

「ババア!!「なんですって?」いやなにも。」

 

「あんたらさあ……少しは自重して黙ったらどうなのよ。嬉しい気持ちもわかるけどここは社会!臨機応変な態度を心がけること!」

「なんでこんなところでまでババアの……「なに?」ビスケの説教受けなきゃいけねーんだよ……。」

「あんた達が煩いからでしょうが!」

「はいはい二人とも落ち着いてって……。」

俺は今にも喧嘩を始めそうな二人を一応止めに入った。

「まあそうねん。こんなところでまであんたらの説教してる場合じゃないわ。」

ビスケは思い出したように手に持っていた鞄を背負った。

 

「勿論ハンターリクスジョンを楽しみに来たのよね?」

ビスケの質問に俺とキルアは当然!と言うように頷いて見せた。

「うん。いい顔してる。しっかりやりなさいな。こっちはイケメン探しでもしてこようかね。オホホホ。」

ビスケのジョークに俺達は笑って顔を見合わせた。

「ってあれ?ビスケは俺達とは来ないの?」

俺はキルアと二人でもよかったが、大人数なのもいいなあと思って誘ってみる目的でそうビスケに言ってみた。

「悪いけどこっちもこっちで事情があるだわさ、それにそっち、大人数で回るみたいじゃないの?」

「あ、それまだ言うな!」

ビスケの謎の発言をキルアが慌てて誤魔化す。

「大人数?」

俺の問いにはビスケがニヤニヤしながら答えた。

「あ……べっつにー?キルアと二人で楽しみなさいよ。」

ビスケは名残惜しそうに俺達の方をチラチラと振り返りながら進み出した。

「え?うん!またね!ビスケ!」

 

「久しぶりなんじゃないの?」

 

ビスケは最後にそう言って、振り返らなくなった。

それを聞いたキルアは微笑を浮かべる。

「ああ……。」

「ねえ、さっきからなんなの?キルア。」

俺は不満げにキルアの背中を押して空港の出口を通り過ぎた。

「あ、待ってゴン。」

キルアは俺の方に向き直った。

「なに?」

「サプライズプレゼント。ここで待ってろよ。」

キルアは唐突によくわからないことを言い始めた。

「え?」

 

「十時ピッタリカルセーロ空港出入り口。」

 

「え?」

ふと出入り口のすぐの噴水の上に取り付いている時計を見ると十時五分前を指していた。

 

 

 

「俺からのサプライズ!」

 

 

 

「ゴンー!キルアー!」

「二人とも!」

 

 

俺の耳には懐かしい声が飛び込んできた。

 

 

 

「レオリオ……クラピカ?!」

俺は驚いて後ろを振り返った。

すると相変わらずクルタ族の民族衣装を着たクラピカと、スーツ姿のレオリオがこちらへ歩いて来ていた。

「よう来てくれたか。おーっす。」

キルアはまるで来ることがわかっていたかのように二人と挨拶を交わした。

 

「?キルア?」

「驚いただろ。俺が二人を呼んでやったんだぜ!会いたがってたからさ……こんな機会があったから呼んでみたんだ。」

 

……キルア。

「優しいね、キルア。」

俺が正直な意見を述べたところ、

「は?!べっ……別に俺も会いたかったからだ!勘違いするなよな!」

「へーえ?サプライズって言ってたのにね。」

俺がクスクス笑始めると、吊られてクラピカとレオリオが笑い始める。

「二人は全く変わってないんだな。」

「やっぱこいつらといる時は本当に楽しいな!なあクラピカ!」

レオリオはクラピカの背中を軽く叩く。

「うわっ……やめろレオリオ。」

 

「二人も変わってないね。沢山話聞かせてよ!改めて、久しぶり!クラピカ!レオリオ!」

 

俺が笑いながら言うと、二人とも微笑を浮かべた。

 

「「ただいま。ゴン。」」

 

 

 

2

 

 

「……だからな!この数日間は勉強休憩して、このハンターリクスジョンをエンジョイしようと思ってだなー。これを結構楽しみにしてて……キルアに誘われたから来たんだよなー。」

「そっかーレオリオ!」

 

今俺達はこの街、カルセーロのホテルに向かっていた。

その間に聞く二人の話は面白くて!!

「なんかさ、やっぱハンター多いよな。」

キルアは先程から辺りを見回していると思っているとそう呟く。するとレオリオが言った。

「あれだろ?ハンターリクスジョンはハンター限定のイベント!俺達はゴンとキルアの一つ先の飛行船で来てたが、ハンター多かったぞ。……い、嫌な奴にも会ったしな。」

レオリオはブルっと震えるように自分の身体を抱く。

 

「え。それってまさか……。」

「ヒソカだ。」

俺が言う前にクラピカが溜息交じりに呟いた。

「えっとだな……先程私達が乗車した時だったんだが……

 

 

『……あれ?クラピカじゃん!!この飛行船で?もしかしてハンターリクスジョン?』

 

『レ……レオリオ!お前もなのか?』

 

『まーまー隣座れよ!キルアに誘われてさ!』

 

『ってことはゴンも来るのかい?♧』

 

『うぎゃー!!ヒソカ!!』

 

……とかいうことになってな。あれは私も驚いた。」

 

俺達は失笑する。

「ヒソカ来るとか……ロクなことにならなそうだ。」

キルアが溜息をついてみせた。

 

「まあそれはいいんだが……悪い、私はイマイチハンターリクスジョンという物がわからないんだ。どういうものなのだ?」

クラピカは申し訳なさそうに頭をかいた。

 

「えっとねクラピカ!結構長期間やるハンターのイベントなんだけど、まずはやっぱり店とかが並ぶんだよね!個人の店だからなにが売られてるとか、行って見ないとわからないかな。あとはやっぱりあれだよね!俺達が行ってみたいのはあれ、闘技大会!!」

「闘技大会?」

「そう!ハンター同士の戦いなんだけどでもあくまでイベントだから本気では戦わず、なんかポイント制?とか奪い合い?とか詳しいことはわからないけど……トーナメント形式のバトルなんだって!」

「へえ……面白そうだな。」

クラピカも乗り気だ。

「それとか、他にもねー……」

「危ない!!」

キルアの叫びも虚しく、

 

「うわっ!!」

「きゃあ!!」

 

ホテル間近の曲がり角でよそ見をしていた俺は誰かとぶつかってしまった。

 

「あっ!ごめんなさい!」

「大丈夫かーゴン。」

俺が咄嗟に謝る。レオリオも心配して声をかけてくれた。

「そっちもー……大丈夫か?」

「っあー、は、はい!ごめんなさい急いでて……」

ぶつかったのは俺と同じくらいの女の人だった。

くるくる巻かれた髪の毛は焦っているからなのか乱れ、服もとても汚れていた。

「そっちこそ大丈夫?」

俺が立たせてあげると彼女はペコペコお辞儀をした。

「それではっ!!」

 

彼女は慌ただしく駆けて行くが……

「おいお前!マフラー忘れてんぞ!」

キルアが落とした衝撃で落下した長いマフラーを持ち上げて叫んだ。

「あっ!」

彼女はこちらを振り返るが、振り返った先、俺達の後ろを見ると絶句した。

 

「あ、あ、あ……!」

「「「「?!」」」」

俺達が振り返ると、

「いたぞ!急げ!!」

強そうなスーツ、サングラスの男五人が駆け寄って来た。

「逃げて!来て!」

女の子はそう言ってまた前を向き全力で走り始める。

「い……行くぞ!」

クラピカの指示で、よく現状が理解できぬまま俺達は駆け出した。

 

ただ無我夢中に彼女の後を追い掛ける。

 

追っ手……?

 

曲がり角を曲がっていくうちに追っ手の男達の姿も、足音も消えていった。

すっかり路地裏に入り、人通りの少ない建物の間に彼女はいた。

 

「はー……はー……はー……。」

女の子は肩を激しく上下させて荒い息遣いを治そうと地面に座り込んでいた。

俺達も頑張って走って追い掛けていた為に息を荒くしていた。

 

「お、お前ら全員……大丈夫か。」

レオリオが言うと全員揃って頷いた。

 

「あ、あの……走らせてしまってすみません。マフラー有難うございます!」

彼女はペコペコお辞儀をまた繰り返した。

「あ、ああ……別に。」

キルアは素っ気なく女の子にマフラーを返した。

「じゃあその、有難うございます。私取り敢えず逃げてるので、行きますね!」

彼女は建物の隙間のほぼ人通りが皆無な場所から抜け出そうとした。が、キルアがその腕を掴んだ。

「……え?」

「あのさ?逃げてるようならここに隠れてるのが一先ず得策だと思うけど。あとなんであんな連中に追い掛け回されてんの?」

キルアは彼女を睨みつける。

「あ、えーとその……。そうですね、取り敢えずここで隠れます。紹介が遅れました、リナキ=レスナンドです。「時の歯車」の関係で追い回されてます。今回のハンターリクスジョンご存知ですか?

 

 

……用心してください。荒れますよ。」

 

 

俺は彼女、リナキの言うことが理解できなかった。

 

 

 

ーサイカイ×ト×ココロマチENDー




あとがきと予告


こんにちは。初めましてまたはお久しぶりりです。神崎吹雪です。

久々の小説投稿です。今回は大好きなハンターハンターの二次創作をさせてもらいました。
温かい目でみていただけましたか?←
ここまで読んでくださり有難うございます。

さて次回からのお話を早速。

リナキの正体ですかね。最後に呟いた彼女のセリフを明かしていくplus戦闘も入っていきます。少し盛り上がって行くかと。

次回も宜しければ、少しでも興味を持っていただけた方は是非読んでください。

誤字脱字、評価コメントなどなんでも受け付けてます。お気軽にどんどんお願いします。

ではまたお会いしましょう。

(HUNTER×HUNTER〜時の歯車編〜pixivで並行投稿しています。)http://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=4114175


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×2 シンジツ×ノ×キョウイ

主な登場キャラクター

・ゴン=フリークス(主人公&目線)

・キルア=ゾルディック

・クラピカ

・レオリオ

・リナキ=レスナンド(オリジナル)

・ライト(オリジナル)

・ビスケット=クルーガー

・ウェルトーゼ=イルシルム(オリジナル)

・エリリ(オリジナル)


詳しいキャラクター詳細は「HUNTER×HUNTER」の漫画などを読んでください。

オリジナルキャラの説明は小説内でしていきます。

もっとキャラクター出てきます。重要なキャラは出次第載せていきます。


 

 

1

 

 

「荒れますよ。」

 

───俺達は息を飲んだ。

 

……けど俺は意味がよくわからなかった。

「り、リナキ……さん。ど、どういうこと?」

俺は恐る恐る聞いてみるがどうやら分からなかったのは俺だけではなかったようだ。三人も頷きながらリナキの方を見る。

 

「今回はハンターのイベントとしてここに集まりましたよね?ハンターリクスジョンで。そのハンターリクスジョンを開催したハンター協会と縁のある会社の社長がやっ……行なっています。その社長に問題があってね、ですね……。」

彼女はややカミカミの敬語を使いながら話しているので、

「リナキさん、無理しないで……。普通に話していいよ!」

と緊張を解してもらおうと言ってみたが、逆効果だったのかリナキはぶるっと方を震わせて退いてしまった。

あ、あれ……?俺悪いこと言ったかな……?

 

「うっ……。」

「何奴だ!!」

リナキが俺達の後ろを指差すと同時にいち早くクラピカが振り返り戦う姿勢を見せた。

「?!」

慌てて俺達も振り返る。

どうして気づけなかったんだ……。

 

「オイてめえら……彼女になにしてんだ……。」

先程のスーツの男達の四人がそこにいた。

その中のボスであろう真ん中の男が近づいてきた。

「違えだろ!!お前らが何かしようとしてんじゃねえのか?!」

堪らずレオリオがナイフを構えながら言った。

 

「彼女を大人しく引き渡せばお前らに気概は加えない。金もやる。早くどけ。」

「やーだね。だってコイツ怯えてんじゃん?」

キルアは両手にヨーヨーを構えた。

 

「てっ……めえら!!」

男が動き出した!

 

キルアの挑発に乗ったのか、一番のボスはキルアの方へと真っ直ぐ進んでいく。

「貴様の相手は私だ!」

「おらてめえ!こっち来やがれ!」

クラピカとレオリオも敵を引き連れて戦闘を開始する。

 

もう一人は……!

「こっちだ!!」

俺が叫ぶと、もう一人の男は俺の方を一度見るが真っ直ぐ……

「リナキ!!退がって!!」

「え?!」

俺はリナキの方に向かう奴に向かって……

「最初は……グー!!」

手に力を込めると、念の力が急激に手に集中していく。

オレンジ色のエネルギーを……

「じゃんけん……チョキ!!」

俺は奴に向かって飛び上がり、両手を鋭利な刃で切るように斜めに手を動かした。

「うっ……うわっ!!」

だいぶ手加減したので男はその場に崩れこむ。

素早く上に乗って手を押さえ込んだ。

「リナキ大丈夫?当たってないよね?」

「あっ!!」

リナキが突然俺の後ろを指差した。

 

「ゴン!!」

奴等の狙いはリナキだということを忘れていた。

レオリオが作った一瞬の隙、敵の男はその隙を見計らいリナキを狙ったのだ。

 

「大人しくしやがれ!!」

「え!!」

奴はゴンの元、否リナキの元に走りながら、戦闘で使っていたナイフを振り下ろした。

「危ない!!」

「ゴン!!」

俺の叫びとキルアの叫びは同時だった。

 

 

背中に熱いものを感じた。

 

 

咄嗟に動いた身体。

目の前には庇ったリナキの姿が居た。

背中を走る鋭い感覚。

服の裂ける音。

 

「えっ……嘘!!」

「っか……はっ……。」

口から血が飛び出す。

 

「……殺す。」

 

キルアの殺気立った低い声が微かに聞こえた気がした。

その瞬間真後ろで悲痛な叫びと血飛沫の上がる音が聞こえたのを最後に俺は意識を手放した。

 

 

 

2

 

 

ウェルトーゼはデスクから立ち上がり、ポケットから煙草を取り出した。

「何処へ行かれるんですか?」

「挨拶に行ってくるよ。エリリ。奴にな。」

「「レオキ」ですか?」

「ああ。明日から仕事だからな。にしてもあいつは馬鹿だな。妹を庇って自分が捕虜になるとは。妹の方が使えないから妹の方が捕まっても問題なかったのにな。自分が爆弾だとも知らずに。」

「本当ですね。世界的に見ればレオキが捕獲された方が打撃だというのに。」

「まあどちらにしろ構わない。行くぞ。」

ウェルトーゼは社長室のクローゼットを横にスライドさせ、奥に潜む扉に手をかけた。

 

指紋検証にカードなどの厳重ロックを越えて中へと入る。

「よおレオキ。元気か?」

奥には檻に篭り手足を鎖で繋がれたレオキという青年がいた。

茶色く巻いた髪が妹によく似ている。

鋭い目付きで俺を驚愕させる。

「まあそう怒るな。妹を救えたヒーロー気取りのレオキよ。」

「……目的は何だ。」

 

「わかっているだろう。「時の歯車」使いの念能力者、アサギの息子よ。」

「母さんの名前を出すな。てめえらが殺したのは知ってる。」

「嫌だなあ誤解しちゃあ。今回の作戦でお前らが暴れなければアサギに協力してもらおうと思っていたんだ。君はアサギの代わりだよ。」

「目的はなんだと聞いている。」

ウェルトーゼは煙草に火をつけた。

 

 

 

「決まっているだろう。時の歯車の利用と実験のハンターご……」

 

 

 

3

 

 

「時の歯車。」

 

俺が目を開けるとそんな言葉が投げかけられた。

 

「っていう、あの……時が操れるなんていうあり得ないものが存在するんです。それの実験を行う為にハンターを集めて……。

「そうか……だとすると目的がわからないと……ゴン!」

レオリオが俺が起き上がったのをいち早く気がついたようだ。

「ここは何処?」

「っゴン!!」

「目覚めたか!」

キルアとクラピカも俺の寝ていたベッドに駆け寄って来た。

すると恐る恐るリナキも近づいてくる。

「良かったー……気絶した時死んだかと思った……心配したんだぞ。馬鹿野郎!」

キルアは温かい目で俺を見た。するとレオリオが俺の問いに返答してくれた。

「ここは病院だ。カルセーロの唯一の病院。因みに今いるのは個室だ。」

確かに全体的に白い印象で病院らしさが感じられる。匂いを嗅ぐと薄く薬のような匂いがした。

「なんで俺はここに?」

「……ご、ごめんなさい。私のせいです。」

漸くリナキが口を開いたかと思うとそんな言葉を口にした。

 

それで俺が気絶するまでの全貌を思い出す。

「全然気にしてないよ!あ……逃げ切れたの?」

「一人殺しちまったけど……。」

キルアが俯いた。

「他は気絶させて隙を見て逃げて来た。」

クラピカが補うように呟く。

「そっか……。」

俺は複雑な気持ちで傷口を触ってみた。

「ああ安心しろ。傷は浅かった。どうやらナイフは掠っただけだったみてえだからな。」

確かにもう殆ど痛くない。

気絶したのはオーラを使って防御が甘かったのかもしれない。

「皆心配かけてごめんね?もう大丈夫!」

俺は立ち上がってくるっと回って見せた。

「で、ハンターリクスジョンはいつからなの?」

「そのハンターリクスジョンなんだけど……。」

リナキが呟くと、

 

「ゴンさーん。」

扉のノック音が聞こえると、看護婦さんが入ってきた。

「調子はどうかしら?」

「あ、もう大丈夫です!」

「じゃあ念の為今日いっぱいは入院……」

「いえ、今すぐ退院します!」

俺はハンターリクスジョンが楽しみだったので、看護婦さんの言ったことを無視して言ってみた。

「え?」

「まあそういうことなんで。コイツ本当にピンピンしてるからもう行くぜ?」

キルアがそう言うと、看護婦さんは困った様子でたじろいだ。

「え?だ……駄目です!」

突然誰かに担がれる感じがした。

「行くぞゴン!!」

「え?!」

「リナキはどうする?」

「俺が担いでやろうか!なんちって。」

「大丈夫!私タフだから!」

え?え?え?

 

俺はぐるっと視界が回って前が見えなかったが、窓から飛び降りたのはわかった。

 

「うわっ?!」

担がれたことで体位が安定せず、不思議な浮遊感に襲われた。

地面に着地する衝撃に耐えると、後から三人の着地する音が耳に入った。

「キルア……無茶しすぎ。俺大丈夫だよ。」

起き上がって上を見ると、四階の窓から看護婦さんが顔を出していた。

「こらー!!」

四階……。

 

「逃げるぜ!!」

「「「「おー!!」」」」

俺達は病院から抜け出して道路を駆け抜ける。

「時間がないんだ。無茶して悪いな!」

「看護婦さんに申し訳ないことしちゃったかなあ。」

俺は苦笑した。

「取り敢えずホテルに場所を移そう!レオリオ!」

クラピカの声に、ああ。とレオリオがマップを取り出した。

「走りながらでブレるな……。その角曲がって直ぐだ!急げ!」

俺達は言われた通り角を曲がって直ぐに顔を出した「ホテルカルセーロウェイ」に突入した。

 

息を切らした俺達に従業員さんはやや引いていた気もするけど取り敢えず部屋を一つ取ることが出来た。

 

 

 

 

「今日の夜八時からカルセーロホールにて開催式。ドーム周辺は歩行者天国で一般人も入れるショーとか屋台が並ぶみてえだな。その奥にはハンター限定の屋台とか。そしてドームの中は明日の午前十時から始まる闘技大会……と。闘技大会の申し込みは今日のうちに済ませないといけないらしい。わかったか?」

レオリオは必死にパンフレットを目で追いながら話した。

「大丈夫!わかったよ!」

俺はなんとなく理解出来たのでそういった。

「っで、時の歯車ってのはどうなってんだ?」

キルアは椅子の上で足を組みながらリナキに疑問を投げ掛ける。

「あ、そうだ。俺も聞いてないや。病院で話してたのなんだったの?」

俺も気になっていたので聞いてみることにした。

 

「私も、本当に詳しくはわからないんだけど……お母さんが、特別な操作系能力者の遺伝の持ち主だったの。でも、死んだんだ。奴らに殺されたの。」

「奴等?とは一体……?」

クラピカがすかさず聞く。

「ハンターリクスジョン主催者のウェルトーゼっていう男。」

「ほう。それで?」

「死んだお母さんしかそれを使える人が存在しないと思っていたから奴等は一時的に活動を休止してたの。でも最近私と、兄の、存在がバレてね……お兄ちゃんが捕まっちゃって……。」

「それで、その時の歯車とはなんなんだ?」

すっかりクラピカが質問係となっている。俺はそろそろ頭が着いていけなくなってきていた。

「その名の通り、時を操る歯車が存在しててね、なんであるのかはわからないけど。で……あ、あんまり口外出来ないなあ。」

彼女は申し訳なさそうに俯く。

「心配しないで。大丈夫!俺達この問題が解決するまで協力するから!誰かに言うような真似は絶対にしないし、味方だよ!」

俺はリナキに言ってみせた。

「確かに、ここまで踏み込んで引くのも気が引けるっつーか……。顔も見られてるしもう俺達は奴等に追われる身かもしれない。」

キルアも笑って同意してくれた。

「私も協力したいと思っている。ハンターに危害が加えられる心配があるようだしな。」

「俺もだ!その兄さんとやらを救って見せるからな!」

「皆さん、ありがとうございます……。私も私だけじゃ解決出来ないし、ハンターが四人も付いてくれて心強いなあ。」

リナキは四人の言葉を聞いてホッとしたように胸を撫で下ろした。

「あれ?俺達ハンターって言ったっけ?」

「あ……いや!そうだと思っただけ!それより名前聞かせてください!」

「そう?えっとね、俺はゴン=フリークス!宜しくね!」

「キルア=ゾルディック。元殺し屋だけど今はただのハンターかな。」

「クラピカだ。今は休業中だがボディーガードの仕事を努めている。」

「俺はレオリオだ。医者目指して日々勉強中!」

「宜しく。私はリナキ=レスナンドっていいます。好きな事はシャボン玉です。」

俺達は改めて挨拶を交わし合った。

 

「取り敢えずハンターリクスジョンを楽しもうぜ!」

レオリオの案に俺達は頷いたが、

 

「大丈夫だとは思うんだけど……今回のハンターリクスジョンで何か実験をするらしくて。大丈夫かな?それに私バレたらヤバイから……。」

「そうだ!リナキ!変装でもしようぜ!ある程度分からなくなるもんだ!」

レオリオがそんな案を叩き出した。

「いいね!じゃあ皆で出掛けようよ!」

俺が立ち上がって提案すると、皆も吊られて立ち上がった。

 

 

───この時の俺達はこの実験の恐ろしさをまだ知らなかった。

 

 

 

ーシンジツ×ノ×キョウイENDー

 




あとがきと予告



こんにちは。初めましてまたはお久しぶりりです。神崎吹雪です。

二話目を案外早く書き上げてしまった。
かなり不定期投稿になるかと思います。是非次回も読んで頂ければなあ思います。

では次回の予告。

次回は遂にハンターリクスジョン開催ですね。そこで実験の恐しさがゴンたちを襲います。さて、本当の意味とはなんなのか…。

次回も宜しければ、少しでも興味を持っていただけた方は是非読んでください。

誤字脱字、コメントなどなんでも受け付けてます。どんどんお願いします。

ではまたお会いしましょう。

(HUNTER×HUNTER〜時の歯車編〜pixivで並行投稿しています。)http://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=4120876


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