幼なじみと再会したけどその先輩に気に入られた話。 (あきこま)
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1話
初めましてこんばんは。あきこまなるものです。
別作品でお会いしてる方々、お久しぶりです。既に世に出てる作品は更新お待ち頂け…てるのか?もはや私の更新の遅さに呆れて待ってないのもしれないですが近いうちに出します。ご容赦願います。
今回のメインは栞子、彼方です。元々ラブライブ自体は触れてはいるもののどうしても絶対好き!となってる訳では無いのです作者の中では。
それが友人に連れて行かれた初ラブライブのライブ(座布団ください)でニジガクのライブええなぁとなり 珍しく誰に対してもアンチにならない作品だなぁと思ってた所急に彼方さんが頭から離れなくなり書きました。そんな作品です。
幼なじみ、それは様々な進級進学の際にとても心強い存在となりうる。
学年が変わりクラス替えをすれば教室に知り合いなんぞ居なくても幼なじみの所に行けば気が救われ、進学の際に別々の所に行ったとしてもメールや電話をすれば何時でもその有り難い存在に縋る事が出来てしまう。陽乃さんから言わせればそれも共依存のひとつになってしまうのだろうが俺にとっては……。
俺にもいました。幼なじみ。
だが進学前に転校し、連絡は一切取れず仕舞いに終わってる。
全然心強く無いじゃん……幼なじみ。そもそも俺の場合は学年も違ったわ。
プロムを終えて、奉仕部が小町部長に成り代わった今春の奉仕部室には、陽気な風が吹き込んでいる。そんな中、部長の冷酷な一言によって陽気な風の終わりが告げられていた。
「お兄ちゃんのご飯が食べたい」
別にこれだけなら冷酷では無い、むしろご褒美なのだがこの言葉には続きがあった。
「あ! 私もヒッキーのご飯食べてみたい……かも」
「そうね、少々興味があるわ」
「先輩ってご飯作れるんですか? 是非ともご相伴に預かりたいですね♪」
余計な
勿論今の俺にそんな技術はなく、昨年の嫁度対決で平塚先生が披露していた肉ともやしを炒めて焼肉のタレをぶっかけただけの料理ですら感動を覚えるレベルだ。
「俺に何を作れって言うんですかね……」
「「「「お兄ちゃん(ヒッキー)(比企谷くん)(先輩)のお任せで」」」」
「君たち仲良いですね……」
NOと言う言葉が無いあの空間で、午前授業で終わった後のこの時間で俺は全力でスーパーに行くはめになった。
とは言え、前述の通り俺の料理スキルはほぼ皆無なのだ。そんな俺に何を作れと……。
ひとまずオムライスでも作ってケチャップでなにか落書きすれば許されないだろうか……それが許されるのは小町だけかなぁ……と思いつつ具材を探す事に。
「……もしかして、八幡ですか?」
「……?」
ピンポイントで俺と同じ名前の八幡という人が居るとは思えず、声のあった先に振り向くとそこに居たのは。
「……し、三船か?」
「お久しぶりです! 私が転校して以来でしょうか……随分と雰囲気変わりましたね。……もう名前では呼んでくれないのですか?」
声の正体は
「そういう訳ではないけど……姉さんは元気か」
「ではあの時のように名前で呼んでください。姉も私も変わりありませんよ。
……この場にいるという事は、八幡はもしかしてご飯でも作るのですか?」
「そのもしかしてなんだよなぁ」
栞子に事情を説明し、俺がスーパーにいる理由を理解してもらった。
「なるほど……中々大変な事になってますね。小町を含めて今回の食べる側が皆さん女性と言うのも難しい点ですね……」
しばらく考えて、ウンウン唸っている栞子を見ながら考え終わるのを待ち続ける。相手が材木座ならノータイムで身体を反転させて帰る所なのだが、久々に遭遇した幼なじみでしかも俺の為に色々考えてくれている事を考えると待つのは必然という事だろう。
二分くらい経った所で、栞子は携帯で誰かに連絡をし始めた。
「……栞子さん?」
「安心してください八幡。今日の夜ご飯、何とかなるかもしれません」
少し微笑んだかと思うと再び携帯に視線を落とし、買うものをカゴに入れていく。
よく分からないけど俺がこのまま進めるよりかはマシだと思うので従う事にした。
とりあえず栞子の言う物をカゴに入れレジを済ませる。
「これ使って何作るんでせう?」
「お鍋の予定です。冬なので温まるのに丁度いいですし、具材と味付け次第で女性向けの物もできます。 ……と言っても受け売りなんですが」
スーパーから家まではそこまで距離は長く無い。歩いて数分ではあるものの我が家がもうすぐ見えるかなと言う辺りまで来た。
「実は、助っ人を呼んだんです」
「助っ人?」
「はい、私に先程のレシピを教えてくれた人です。私が通ってる学校の卒業生です」
「助っ人さん……そもそもこの辺の地理わかるのか?」
「大学に進学する事を機に引越しをして今はこの辺で一人暮らしをしているそうです。大雑把な住所伝えたら理解してくれたようなので八幡のお家辺りに来てもらう事にしました」
「中学から……正確には俺が中学入った頃だから小学六年から東京に引っ越したんだよな」
「はい。そこからずっと東京で、今は虹ヶ咲学園に通っています」
「去年辺り凄い文化祭賑わった所だったか? スクール……なんたらがいっぱい集まっての」
「スクールアイドルです。合同文化祭の時は私も実行委員で忙しかったのを覚えています。その後から私も……あ、着きましたね」
自宅付近に着くと、家の前を見なれない女性がウロウロと歩いていた。恐らくは同年代の人だろうか、あの人が栞子の言う助っ人さんだろう。
栞子は微笑みながら「彼方さん!」と珍しく大きい声を上げて小走りで向かった。当のその彼方さん? は栞子の姿を確認したと同時に「おー栞子ちゃーん」と間の抜けたのんびり声で応答している。
「八幡、こちら本日の助っ人でメニューを考えてくださった近江彼方さんです」
「ご紹介に預かりました彼方ちゃんでーす、よろしくねー」
「ひ、比企谷八幡でしゅ」
そんなに固くならなくて大丈夫なのにぃとゆったりとした声でフォローしてくれたこの人はさっきの栞子の話を聞く分には大学一年生なのだろう。
「栞子ちゃんの話だと……食べに来るのは同級生なんだよね?」
「同級生と後輩……あと妹ですね」
「となると、妹さんはもしかしたら「こんなのお兄さんが作った味じゃなーい!」とか言うかもねぇ」
「それに関しては私に考えがあります」
「お、言ってみ言ってみ?」
「彼方さんは料理が得意な方なので、不得意な私が適度に加わって慣れていない感じを醸し出すのはいかがでしょう?」
「もうそれ俺が作るで良くね……?」
「だねー。 それなら間をとって私が指揮全般を受け持つ事にして、調理は二人でやってみよっか」
彼方さんは普段から、と言うのも実家にいた時から料理をしておりそれに加えて虹ヶ咲学園ではライフデザイン学科、フードデザイン専攻なる世間的にはあまり聞かないがいかにも料理やスイーツ作り等に活かされそうな名前の学科に所属してた為か、かなり手際が良かった。 学科ですらあるかどうかなのにそこに専攻って付くのが高校の時点であるなんて虹ヶ咲学園すげぇな……。
最初は指揮全般に徹しており、指示された通り俺と栞子が作業を行っていたのだが……思いのほか栞子がポンコツだった事が判明し「栞子ちゃんは私と一緒にやろっかぁ」
と指揮に加えて料理作業までしだした。……この人すごいな。
ポンコツな栞子……通称しおぽんにはお米とぎや鍋の出汁調整等を受け持ってもらい、包丁系統は俺が受け持った。しばらくしてから様子を見るとしおぽんは洗い物に専念してた……今度一緒に教わろうな……。
「比企谷くん、味見してみて?」
「あ、はい……っ! 美味いっすね」
「むふふ、彼方ちゃん自慢の味だよぉ」
近江先輩の家ではこんな味の料理が毎日出るのか…… いや小町には勝てんぞ。
準備が整った所で17時を回る所であった。
「いやぁ完成したねぇ」
「彼方さんのおかげですね」
「いや、栞子もだろ」
「私はどちらかと言うと足を引っ張った方かと……」
「比企谷くんも栞子ちゃんも頑張ってたよー」
不思議と、二人がにこやかに笑ってる所を見て俺も釣られて笑ってしまった。
「ミッションも達成したし、そろそろお暇しようかな」
「いや、近江先輩にはお世話になったのでぜひ夜ご飯を奢らせてください」
「そんな気にしなくていいのにぃ。それにご飯は四人分だよ?」
「とっておきのラーメン屋がありますのでそこに!」
「おおぉ、たまには行きたいねラーメン屋さん」
「もちろん栞子も」
「私も行っていいんですか?」
「当たり前だ、お前がいなかったら今頃てんてこ舞いだったぞ」
「ある意味今日一の功労者かもねぇ」
「じ、じゃあご一緒致します!」
「なら、比企谷くんの部屋で待ってよっかぁ」
雪ノ下や小町達がいる間は俺の部屋で時間を潰す事に決まったようだ。
……俺の部屋暇潰せるものなんかあったか? まぁいいか。
部屋の案内は覚えてるだろう栞子に任せて俺はそろそろやってくる刺客たちに備えにゃならん。
間違えなくどこか誤字ってます。ご親切な方いたらご指摘ください。
あと、作者の妄想って点をご理解ご容赦願います。
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2話
こんばんわ、あきこまです。
私が書いてる他の作品は割と1話長めでお送りしているのですが、この作品は効率上げるために結構小分けで行こうかなと考えています。
というわけで2話です、よろしくお願いします…スヤァ。
ただいまー! と元気な声が反響する中、お邪魔しまーす! とか、お邪魔しますとか、お邪魔でーす! とか色んな声がする。誰が誰とか解るからそれなりに付き合いはあるんだろうなと思ってしまう。
小町・由比ヶ浜・雪ノ下・一色の順にリビングに姿を現し、まず小町がテーブルを見て固まる。
「これ、本当に比企谷くんが?」
「まぁ……一応」
「あの短時間でお米の準備から鍋の完成まで……これが本当なら先輩相当料理できますよ……」
「凄いねヒッキー!」
3人の反応はそこそこ、だが一名確実に俺だけでやったという事実に納得していない人物がいるのも確か。
リビングに入ってからというのも一言も発していない小町ちゃんはなにかに気付いてそうだ。
ご飯をよそったりと頂く準備が整ったところでようやく小町先生が言葉を発する。
「お兄ちゃんお茶がでてないよ。小町も手伝うから」
「お、おう悪い」
キッチンに追い込まれたところで3人に見えないようにこちらに話し始める。
「で? 誰が協力したの? あの三人はここに来るまでの間携帯すら触ってないし、沙希さんに戸塚さんは予定あるはずだよ?」
「なんで余計に二人分予定把握してるかはさて置き……後でもいいか? すぐに説明できる気がしない」
「おぉ、お兄ちゃんが珍しく隠さないなんて」
「隠したところでいずれバレるし、早い方がいいだろ」
「その開き直り方は小町的にどうかと……まぁいいや! 今日ご飯食べたら雪乃さん家でパジャマパーティー行ってくるね」
「おう」
近江彼方直伝の「女性に嬉しい、リコピン・ビタミンたっぷり鍋」を〆のご飯まで頂いた四人は嵐のように去っていった。と言うか小町が引っ張って行った。
雪ノ下はその場で「意外とやるのね」と挑戦的な笑みを残し、由比ヶ浜は笑顔で「ヒッキー凄いよ! すっごい美味しかった!」としっぽがあったらはち切れんばかりの勢いでブンブン動いてるのがわかる興奮具合。
一色はと言うと。
「先輩のご飯美味しかったです♪ これはもう私も対抗して先輩に夜ご飯をご馳走する機会が必要ですね! 今度我が家の食卓にご招待しますのでその時はよろしくです! あ、勿論先輩方にはナイショですよ?」
先輩方というのは……恐らく雪ノ下と由比ヶ浜のことを指してるんだろうが、なぜ隠す必要が……というかなぜメール。
もう7時近くになってしまっているが女性としてはこんな時間に夜ご飯はまずいのだろうか。平塚先生なんて何時でも食べてそうな気がするけど。
ともかく、突然やってきた恐怖のイベントは去ったので俺はその功労者の二人を労わないとバチが当たると思う。
部屋へ呼びに行こうと、階段をのぼり自分の部屋に入るとそこには異様な光景があった。と言うよりいくら自分の部屋と言えど女性がいるのだからノックくらいするべきだったのだ。
片や俺のベッドでめちゃ寝てる近江彼方先輩。そこ……思春期男子のベッドなんですが……この際それは置いておく、問題はもう一人の方だ。
「何してるんです? そこのシオッティさんや」
「待ってる間に本を借りてたのですが、本棚に戻したあとここに戻る時躓いてしまって……というよりそのシオッティって私の事ですか? 愛さんみたいな呼び方を……」
と言う栞子さんは床という名のクッションに寝そべっており、顔はベッドの下を向いている状態。呼び方云々よりもそこにしか目がいかない状態である。
「……随分と綺麗に転ばれたのですね? シオ子さん」
「今度はかすみさんみたいな……い、いや違うんです! 偶然です! 本当です」
「えー本当にござるかー?」
「と、とにかくわざとじゃ無いです! 本当です!」
慌てた様子で栞子は正座に座り直して反論する。まぁ、正直そこ見られても平気なように対策はしてあるんだが……時代はインターネットだ。
「で、栞子さんや。この人起きてくれないの?」
「私の呼び方に統一性無さすぎでは無いですか? ……彼方さん、一回寝ると中々起きないんですよ」
それがわかってるなら頑張って起こしててくれてもいいじゃないですかね栞子さんやい。と思ったがそこまでにする。
この先輩を起こす為には……。
・一緒の布団に入って何をしてでも起こす。
・甘い一言を囁いて起こす。
・栞子と協力して起こす。
突如脳内に某サバイバルホラーゲームの三部作目みたいに選択肢が出てきた。
……なんか二番目の選択肢強調されてる気がするけど気にせず俺は無難な三番目を選ぶ事にした。
「栞子、少し協力してもらっていいか?」
「はい、彼方さんに早く起きて頂いてラーメン食べに行きましょう!」
意外と君も食べたかったのね? ラーメン。それもそうか、国民食だものね。
二人で肩を叩いたり、体全体を揺さぶってみたり、呼びかけてみたりした。
「スヤピzzZ」
「やはり起きませんね」
俺の気のせいではないなら今のスヤピは起きてるにカウントしていい気がするんだが、栞子からダメ判定が出たので継続する事に。
・一緒の布団に入って何をしてでも起こす。
・甘い一言を囁いて起こせ!
……さっきの二番目めっちゃ強調されてきてない? なんなら命令形になってるし、しかも一番目圧されてるじゃん。
それでも屈しない俺は一番目を選ぶ事にし、この布団に寝てるのは小町と念仏を心の中で唱えながらモゾモゾと布団に入ろうとしたのだが。
「な、何をしているんですか八幡!」
と、呼ぶ声が入った為中断。
「いや、ほら選択肢がね?」
「なんの話しをしているんですか! 女の子の布団に躊躇いなく入ろうだなんて……」
これ……俺の布団なんだよなぁとツッコミそうになるのを全力で抑えて考える。
となると選択肢が一つしかないわけだが……ほんとにやるの?
恥ずかしいなぁ……いい匂いだなぁと思考が色々変な方に占拠されつつある脳内をさておき、未だにスヤピ? してる彼方さんの耳元に顔を寄せる。さっきは何とか念を唱えて作業化できたけどこればっかしはシャンプーの匂いとか女の子独特の良い匂い等色々混ざって八幡的にはメンタルやばいんだけど。
おいそこ、布団に入るのも変わらねぇだろとか言うな、背中合わせで逃げるつもりだったのがバレちゃうでしょ。
顔を近づける直前、ふと栞子の方を見た時は固唾を飲んでこちらをみていた。そういう顔できたのね君。
「あ、あのー近江先輩? 起きてくれませんかね? ご飯行けないんですけど」
「スヤァ」
「起きてくれたら……ひ、膝枕をするんだけどなぁ」
「……ス、スヤァ」
「間がありました! 八幡! あと一押ししてください!」
「もうひと段階上か……」
間がある時点で俺の中では起きてるんじゃないかと思うんだけど違う? 起きてないのん? 既に俺の顔が茹でダコのように真っ赤なのに……。
「今度一日家政婦を(栞子が)やろうかなぁ」
「え」
「スヤァ」
「……ダメか」
「(気の所為ですか? 私がコケにされている気が……)
彼方さん! 家政婦サービスですよ(八幡の)すごく楽できますよ!」
「仕方ないなぁー」
「やっぱり起きてやがったこの人……」
「じゃあ八幡くん、今度よろしくねー」
「え? 俺じゃなくてそれは」
「八幡が言った時は渋ってました(不本意ながら私は家事がダメダメなので)
でも私が言った時は起きました(八幡はそれなりに器用にこなすので)
つまり、八幡ですよね?」
なんだろう、言外に栞子から圧を感じている気がする。
「そういうわけで、今度よろしくねー」
「私には膝枕をお願いしますね」
「おいちょっと待てそれは……」
「違うとは言わせませんよ? 二つ出した提案のうち八幡の案は一つしか通らずですし、私は遠回しに傷物にされましたので」
「いや言い方おい」
「なので、私には膝枕です。あと反省文を提出してもらいます」
「え」
「冗談です」
「……とりあえず飯食いに行かない?」
「……そうですね、また後でにしましょうか」
「おー」
バターン!!
「お兄ちゃん雪乃さんに渡すはずだったお土産何処にあったっけ!! ……ん?」
「こ、小町ちゃん? ドア壊れるでしょ? もう少し静かに開けなさい?」
「久しぶりですね小町!」
「おー噂の妹さんだぁ」
「え、これどういう状況……?」
声が小さいよ急に……。
今回出した料理は、名前全然違いますけどニジガクの料理三人衆チームが作る料理を参考にさせて頂きました。ファンブックにレシピが載ってます。(アニメイトやゲマ等で入手できます。)気になった人はぜひぜひ。
私はちょっと心折れそうになってますがいずれやりたいです。
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3話
おはようございます、あきこまです。
本日はべーすぼーるの予定が消えたので急に食べたくなった行列のラーメン屋に来ています。
第3話になります、よろしくお願いします。
「とりあえず状況はわかったような……わからないような」
唐突に乱入してきた小町は状況が状況だけに、本当なら栞子との再会も嬉しいだろうに手放しで喜ぶという事もできていない。
「えーっと……栞子ちゃんは久々に再会……?」
「そうですね、私が転校して以来の再会です」
「すげぇデジャブ……」
「お兄ちゃんちょっとシャラップ」
「解せぬ……」
「で、えっと近江先輩? さん?」
「どっちでもいいよ〜」
「近江さんはお兄ちゃんの彼女?」
「なんでだよ」
「大胆発言だねぇ〜」
「か、彼方さんと八幡がこ、ここここ恋人ですか!?」
「君一連の流れ知ってるはずなのになんでそんな反応できんの?」
とりあえず落ち着いたらしい小町は雪ノ下に行くのが少し遅れる旨を連絡した。したのだが……その内容が「なんか小町のお義姉ちゃんができそうなので少し遅れます!」と連絡したようで、先程から恐らく雪ノ下の隣に居るであろう由比ヶ浜と一色からひっきりなしにメールが来る。曰く、「ゆきのんが怖いからどうにかして!」とか「先輩のせいで雪乃先輩が怖いんですけど! どうにかしてください!」だとか……知らん。
小町は少し話した後に栞子と連絡先の交換をし次回会う日を決めていた。え? 雪ノ下を氷の女王化させる必要なかったじゃん。我が妹ながら何してくれてんだこいつ。
近江先輩とも何か話してたみたいだが気にしすぎたら怒られてしまうので今は聞かない。
小町が去っていき、近江先輩もようやく起き上がったので本題のラーメンを食べに行く事に。
「小町はあの頃から変わらずですね」
「昔の方が可愛げあったよ? いや、今も充分可愛いんだけどさ。むしろ俺をダメにしてくれる分今は妹と言うよりもうママ」
「妹にお世話されてる自覚はあったのですね……」
「わかるよ〜うちの遥ちゃんも成長していくにつれ凄い私を甘やかしてくるんだよねぇ」
「わかってしまったらまずいと思うのですが……」
「わかる、妹最高」
「八幡は少し静かにしてください」
「栞子ちゃんみたいな妹もいいよねぇ〜」
「わかる、栞子みたいな妹もいい」
「ふ、二人ともその辺で静かにしてください!」
ここが道端ということも忘れて盛大に叫ぶ栞子。そして妹好きという大変重要な共通点をお互いに認識してしまったこの時だろうか、近江彼方がこれからかなりの頻度で会話をしたり買い物に付き合わせたりと八幡を大層気に入ってしまっている事にまだこの時は誰も気づいていない。
普段よく食べるラーメンと言えば間違いなくギタギタが名物なあのラーメンではあるが、あの店は千葉店がなくなってしまった故ここから1番近いのは津田沼になってしまう。事実上千葉店は幕張店に移籍したような感じだがあそこはもはや車がないと行けない、最寄り駅から距離が遠すぎる。その為通う頻度はかなり減ってしまったのがとても悲しい俺のラーメン遍歴。
行きたいと思っていたがまさかこんなに遅くなるとは思ってなかったので、俺は最近地元で気軽に行けそうなラーメン屋を開拓していた。
「ここですか?」
「あぁ、ここだ」
「雰囲気あるねぇ〜」
記憶の中には昔からあるこのラーメン屋、少なくとも俺が小学校の時からはあった。
だが実際入ったのはつい数ヶ月前が初めてだったこのお店、SNSやテレビ等が普及しだしたこの日本においてとても最近は注目が多いようだ。
「と、言っても閉店間際を狙えばそんなに混んでいない」
「誰に説明しているのですか……しかもお店が閉店間際に空いてるのは当然かと」
「いや、なんか説明しないといけない気に駆られて……」
暖簾をくぐると、昔ながらのラーメン屋によくあるようなコの字型のカウンター。
店長は最近俺の事を覚えてくれたらしく、余裕がある時は話しかけてくれるくらいには仲良くなった。
それぞれ、
「なんだ八幡君、隅に置けないじゃないかぁ二人も女の子連れてしまって」
普通に吹き出しそうになった、俺今食べてる途中なんだけどこの人狙ってないよね?
栞子も
近江先輩はすげぇ涼しい顔で食べていた。
「いや、片方幼なじみだしもう片方は今日知り合ったばかりだし」
「おぉそりゃ失敬! 俺としてはお客さん増えて何よりだがね」
なんて言葉を残して、駆け込みでやってきた他のお客さんの対応に行ってしまった。
「いやぁたまには悪くないねぇ誰かの作ってくれたご飯も」
「飯というか……麺?」
「今度遥ちゃんでも連れてこようかな」
「ならば対抗してこちらも小町を」
「しなくていいですからそんな対抗……」
「いやぁそこはほら、栞子も薫子さん連れてくるとか」
「私だけ妹ではなく姉連れて来るんですか?!」
また来いよー! なんて言葉を背に俺達は家に向けて歩を進めた。
というか、今歩いてる方向もれなく家なんですけど。この二人ついてくる気かしら。
飯も食ったし解散でいいのでは無いかと思うが今日二人に助けられてるのは事実なのでとても言いずらい。と思っていたのがバレたのか、栞子からこんな言葉が。
「今日は私親戚の家に戻りますよ?」
「まるで本当は泊まる気でしたと言わんばかりだな」
「泊まり用具を持っていませんし、そもそもご飯はなくても平気としか伝えていませんので膝枕はまたの機会にしておきます」
え? それ冗談じゃなかったのん? 本気でやる気だったのこの子。小町じゃダメ? 俺なんかより全然柔らかいと思うけど……ダメですねはい。
「私は泊まりでもいいけど、うちの遥ちゃんの可愛さを説き伏せる必要がありそうだし〜」
「妹の為とあっちゃ負ける訳には行かないですね、こちらも小町の最強カードを準備しようじゃないですか」
「落ち着いてください八幡! 普段の貴方なら確実にお断りしてるはずです!」
「最近の俺知らなかったでしょ君……」
「冗談だから平気だよぉ栞子ちゃん」
「そ、そうですか……ならいいのですが」
「泊まるのは明日にするよ〜」
「全然平気じゃない?!」
「明日なら多分小町もいるし倫理的に問題は無い、というより俺のカードが揃う」
「誰かこの妹バカ達をどうにかして!」
栞子が壊れたのか、とうとう丁寧な言葉遣いが消えた。
結局、明日は栞子も泊まりに来ると言うことで二人が泊まるなんて言うとんでも事態に発展してしまったがそもそも明日学校あると思うんだけど平気なのかしらこの人達。
ひとまずこの場を解散した俺達、明日の事は明日の俺が何とかしてくれると信じて今日の俺は夢の世界に旅立つ事にした。
個人的にですが最近の彼方ちゃんは見ててニコニコしてしまいますね。
スクスタ終了まであと20日切りました…切ないですね。
コメント感想お待ちしております!
他作品も何とか更新しますのでそちらもよろしくお願いします。
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4話
一ヶ月近く間隔あきましたすみません。おはようございます、あきこまです。
オリジナルで話を作るって結構苦労するんですね…。もうひとつ並行で書いてるやつも今原作から外れてオリジナルの展開にいるもんだから尚更…なるべく早くします。
よろしくお願いします。
珍しく、目覚めが良かった。
だいたいいつも二度寝をしたり、まだ起きたくないと思ったりと惰眠を貪りたい日々なのだが今日はスッキリとしている。
「たまにはいいか、こういう目覚めがあっても」
「スヤァ」
「たまには……いいよな、こういう目覚めがあっても……」
「スヤァ」
「たまには……見たフリできるか! 」
「スヤァ」
スヤァじゃないんだよなんで朝から俺の布団にいるんだよ……学校ねぇのか大学生。
ひとまず小町に抗議しようとリビングに行ったらテーブルに三人分の朝食を並べてる栞子が居た。
「起きましたか八幡。おはようございます」
「……おはようさん」
そうだった、小町は今日雪ノ下の家に居るんでした。
「お前学校は?」
「虹ヶ咲は創立記念日休日です。……そもそも、翌日学校があるのに千葉に来ませんよ」
「いや、高校生だし電車通学できるだろ」
「朝の電車は……ちょっとイメージ良くなくて」
まぁ、確かに。それで通勤電車内で満員電車を利用て痴態を晒す輩が居ようものなら俺が平塚先生バリの鉄拳制裁加えちゃうかもしれないし……ないなうん。
「そういえば、彼方さんはどうしました? 朝ごはん作り終わったから八幡を起こすと言って部屋に向かったはずですが……」
「スヤピしてる」
「はい?」
「スヤピしてる」
「なんと?」
「だから、スヤァしてるって」
「スヤピで通して下さいよ……って! 八幡の布団でですか?!」
「他にどこがあるんだよ……」
顔が真っ赤になりながら栞子はリビングを出ていき、恐らく走ったのだろうかすごいドタバタと音が聞こえる。
食卓の準備中だった現状を引き継ぎ、あの二人が降りてくるのを待った。
どうやら、二人とも朝ごはんの為だけに家に来たらしく俺が学校に行ってる間は一旦帰ると。
まさかの俺のご飯の為だけに来てくれたのあのお二方……とお涙頂戴になってた所に栞子からの一撃。
「小町に鍵を預かりました、「兄ひとりだと朝ご飯云々以前にそもそも学校もバックレそうなので」と」
小町ぇ……高々そんなことの為に安易に自分家の鍵渡しちゃダメよォ……栞子だからかもしんないけどさぁ。俺の涙を返して欲しい。
「で、起こすのは私でもできると思ったのですがご飯となると戦力外なので」
「近江先輩を呼んだと……」
「まるで通い妻だねぇ」
「どっから出てきたそんなワード……」
「か、通い……」
「お前も余計な事考えんな」
二人が帰宅し俺も学校に行くべく登校する途中、雪ノ下に由比ヶ浜、一色に小町と昨日お泊りをした組に遭遇しそうになってダッシュで回避をした。急いで自分の教室に入り寝たフリを敢行する。
幸い、腐海のプリンセスと葉山からのたまにあるお話攻めは無かったので授業に入る。
授業にさえ入ってしまえばこちらのもの、違うクラスの由比ヶ浜や一色辺りが葉山に用がとかで来たりするかもしれないが雪ノ下と小町はまずないと思っていい。
そんなこんなで昼休みまで過ごしたがさすがにお昼ご飯を買わない訳には行かないので購買に行こうと財布に手を伸ばした。すると紫色の巾着袋が入っている事に気づく。
そういえばカバンの中身見ないで持ってきたなぁと教材の置き勉にささやかな感謝をし中身を拝見。1枚の手紙と小さいお弁当箱が入っていた。
「朝ごはんのついでにお昼ご飯も作っちゃいましたー、良かったら食べてね」
近江先輩……。
あの人もしかしたら人間をダメにする天才かもしれない。幸せって言うのはこういうことを言うのかしら。でもそんな近江先輩と今夜は戦争をしなくてはならない……。
まさか、兵糧攻めか?! おのれ小癪な……そんなものに屈指はしないぞ! ……頂くけど。
「お兄ちゃん、百面相してないで早く行くよ」
「は? 小町?」
「さっきから声かけてるのに全然反応してくれないんだもん」
周りを見ると、葉山が笑いをこらえきれずにクスクスと。よしお前後で覚えとけよ何もしないけど。
「という事で奉仕部連行」
「え? やだよ……俺は戸塚を眺めながらご飯を食べるという用事があるんだから」
「僕がどうかした?」
俺の背後から丁度通りかかったのだろうか、戸塚がヒョコっと顔を出す。何それ可愛い。
「おう戸塚、練習は大丈夫なのか?」
「今日のお昼練はお休みなんだ」
「お兄ちゃん? チェックメイトだよ?」
「クッ」
戸塚が笑顔で「またね! 八幡!」なんて手を振りながら言うもんだから俺は逃げ道がなくなってしまった。クラスが別々になってしまってから戸塚とまともに話せていない気がする……。今度遊びに誘ってみるか。
なんて現実逃避をしている間に奉仕部室に到着し、扉を開けると既に皆さんお揃いで各々(小町に)挨拶を交わす。俺は俺とていつもの席に座ろうとした……のだが。
「あのー、一色さん?」
「なんです?」
「そこ俺の席……」
「あーそうでしたね、でも今日は私の席です」
「ヒッキー、そこ座って?」
由比ヶ浜は一色と雪ノ下の間に陣取り目の前にある依頼人席を指さす。
「聞かなきゃいけないことがあるのよ、少し付き合ってもらえるかしら?」
雪ノ下の冷静な一言を聞き俺は観念して座る事に。
「とりあえず一つ聞くわ、その巾着袋は?」
「もしかして! 愛妻弁……「小町さん?」ヒッ?!」
雪ノ下の氷の目線が小町を射抜き、小町も何も言えなくなってしまう。
「……お弁当だ」
「小町さんじゃないわよね? それ作ったの」
「……近所の大学生です」
「近所の大学生……」
「小町さん? その人は知ってる人?」
「小町も昨日知り合った人です……いい人でした」
「……通い妻?」
「なんでその思考? 万国共通なのん?」
雪ノ下の射抜き目線がさらにきつくなった後で比企谷兄妹が何も言えなくなる。
雪ノ下の追求をのらりくらりと交わしながら昼休みを終える。鍵を返す旨を伝えて全員が部室を出てから去る。職員室に行くとしっかり平塚先生が待ち構えていた。
「珍しいな、君が返却しに来るとは」
「ちょっと雪ノ下から逃げてまして……」
「一体何をやらかしたんだね……」
「俺がやらかす前提かよ……合ってるけど。お昼ご飯に持ってきてた弁当は誰が作ったのかと追及を受けまして」
「で? 小町くんではないと」
「ひとつ上の近所のお姉さんが作ってくれたやつです……」
「君に……弁当を……作ってくれる彼女が……嬉しいやら先を越された悲しみやら……」
「なんでみんなして=で彼女にしてくれてんだよんなわけねぇだろ」
「まぁ……君だもんな。安心しろ比企谷。彼女かどうかはこの際どうでもよく……はないが置いておこう」
「別に置いてないで終わってくれていいんだけどなぁ……」
「まぁ聞け、君がこうして色んな人と関わりを持っている事に私は焦点を置いたんだ……成長かね?」
「それに答え合わせる言葉は持ち合わせてないんですが」
「いずれ聞けることを楽しみにしてるさ」
あんたその前にこの学校から去るじゃねぇかよ……なんて野暮ったいことは言えるはずも無く、鍵を返却し帰路に着く。
校門までたどり着いた所で見覚えのある姿を確認した。
「やぁ、今朝ぶりだねぇ」
「近江先輩……?」
今朝確かに俺の布団の中でスヤァしてた近江彼方その人が何故かウチの高校の校門で待っていやがった……いや本当になんで?
「夜ご飯の買い出ししてたら小町ちゃんから聞いてた君の高校が近くってわかってね、こうして待ってみたのさ」
「いや、俺がこの時間にいる保証なんて無かったでしょうに……」
「それはほら、偶然と夏の魔法とやらの力だよー」
「まだ夏どころか桜の季節なんだけどなぁ……」
「良いでは無いかぁ結果会えたんだから。君との討論合戦の為に英気を養う必要があるんだから早く帰ってご飯の準備しちゃうよぉ。手伝ってくれる?」
「……役に立つなら」
「よく言った少年♫道案内を頼むよー」
「わかってなかったのかよ……」
二人は気付いているのだろうか、このやり取りを影から見てる四人組の存在に……
スヤァのスヤァによるスヤァの為の泊まり回(討論会)、幼なじみしおってぃーは出ますね。お楽しみに。
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