ウマ娘 ーひとりのトレーナーの歩みー (サンタ)
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1話

頑張ります。


『おーい!母さん!こっち来てみろよ。』

『はーい。今行きますよ。』

そう言いながら赤子を抱いた清楚なウマ娘は赤子と共に声の主の所に向う。

『ほら!あの時みたいに夜空がキレイだろ。』

『全く貴男は。そんな事で呼んだのですか?』

『そんな事って、、、』

肩を落とし項垂れる声の主。

それを横目にしながら赤子をあやす清楚なウマ娘。

『貴方はこんな人にならないでね。』

『しかし、良く眠るな。コイツは。』

『仕事をサボって眠っていた貴男の顔にそっくりね!』

『それを言うなよ。シンザン。』

『あら、昔の呼び方に戻ってますわよ。トレーナー』

『そういうお前もな。しかし、ウマ娘から生まれるのはウマ娘だとばかり思ってたのにまさか普通の人、しかも息子が生まれとはな、ビックリだったよ。』

『それは私も同じですわ。』

『まあ、何にせよコイツも俺と同じようにトレーナーになるとか言うのかな〜』

『それは分かりませんね。もしなるのであれば貴男に似ないで欲しい部分はありますが、きっと貴男以上になるかもしれませんね。』

『もしそう成ればお前も超えるウマ娘が生まれる事になるぜ。』

『それは私も見たい、もとい、走りたいですね。』

『俺もだよ。もっともまだ先の未来だがな。』

『そうですね。』

『なんにせよ、二人で見守ろうな?』

『はい!そうですね。』

夜空に響く二人の会話。これからこの子がどう育つかを見守りながら・・・

 

 

時は流れ、その時の赤子は成人になり、これから働く場所に立っていた。

男の名は神風星夜。

新人トレーナーとして、かつて自身の父親や母親が在席した〔トレセン学園〕に就職したのだ。

「此処が親父達が居た場所か〜」

「先ずは理事長に挨拶かな?ただ広すぎて場所が分からん。」

そこへ自身に向かって近寄る影が一人。

「あのー、貴方は神風さんですか。」

と声をかけらた。

「はい。駿川そうですが、貴方は?」

「はい。たづなと申します。これから宜しくお願いしますね。処でどうされたのですか?」

「お恥ずかしながら、理事長に挨拶したいのですが、場所が分からなくて困ってまして。」

「そうでしたか。でしたら私が案内致しますよ。」

「本当ですか。では、お言葉に甘えてお願いします。」

 

移動中

 

理事長室に到着し扉をノックし入室する。

そこには10数名の人が緊張しながら座っていた。

たづなさんに席に誘導され指定された席に座る。

たづなさんは理事長を呼びに部屋から退出する。

誰と会話することなく席で待つ事、数分。たづなさんが扇子を持った幼子を連れてくる。その幼子が皆に向けて話し始める。

「歓迎!ようこそ中央トレセン学園へ!理事長の秋山やよいである。これから各人トレーナーとして頑張ってほしい!説明はたづなに任せる!」

「これから貴方は、トレーナーとして彼女達(ウマ娘)と契約していきます。最低でも1人以上と契約してください。2人以上になる場合はチームとして下さい。但し、5年目以上のトレーナー経験が無い場合は5人迄となります。また5年以上でも最大12人までになります。契約後にこちらからトレーナー室を宛てがいます。また今から3ヶ月以内に契約が出来ない場合は、ベテラントレーナーのサブトレーナー又は教官として1年半の経験を積んで頂きます。また契約の有無に問わず3ヶ月は教官室が業務場所となります。その後は場所が異なりますので注意してください。今から資料及び書類を配布します。頑張って下さい。」

たづなさんから書類と資料が配布される。

「紹介!皆も気になっているであろうから自己紹介をしよう」

「それでは右の方から順番にどうぞ!」

「黒川です。宜しくお願いします。」

「宇山です。宜しくっす!」

「沖野です。宜しく!」

「東条です。宜しくお願いします。」

「神風です。宜しくお願いします。」

と順番に自己紹介が続き、全員の自己紹介が終了した。

理事長が最後に

「皆の今後の活躍に期待する!」

とのお言葉で説明会は幕を閉じた。

 



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2話

宜しくお願いします


説明会の終了後、理事長室を出た。

皆緊張から強張った身体を解し始める。

沖野「終った。」

神風「さて、コースに行って見ようかな?」

沖野「いいね!一緒していいか?」

東条「私も一緒していいかしら?」

沖野「何なら新人同士皆で行かないか?」

神風「俺は構わないよ」

宇川「了解ッス!」

黒川「…」

沖野「黒川さんは行かないの?」

黒川「…了解」

沖野「ほんじゃあ、行きますか!」

神風「元気なやつだな~」

 

〜 コース場へ移動中 〜

 

沖野「やっぱり広いな〜」

宇川「そうっすね~」

宇川「お、丁度レースやってますね!」

沖野「どれどれ?」

東条「それにベテランの方も多いわね」

神風「模擬レースかな?」

黒川「…春だから新入生の勧誘だろう」

東条「毎年この時期はこういう熱気なのかしら?」

神風「俺等も新人だから分からないけどな。それに周りからは彼女らと同じ様に観られてるわけだ」

東条「そうね。視線がちょっと怖いわね」

黒川「…同感だな」

宇川「皆さん、いい場所確保したっすよ!早くしないと始まるっすよ!」

沖野「そうだぞ。早く来いよ!」

神風「あいつらは何で平気何だろな?」

東条「鈍感なんじゃないかしら?」

黒川「…そうだな」

宇川と沖野の居る場所へ移動する。

そしてタイミング良くゲートが開き、皆の視線が走っている方へ向けられる。

黒川「…」

宇川「…」

東条「…」

沖野「…」

神風「…」

先程迄とは打って変わっての様子に一部のベテラントレーナーからは、新しい時代の幕開けと思わせる異様な光景だと思わせる何かを感じようだった。それは間違えではなく、後にこの5人が始めて導くウマ娘がG1の舞台で争う事となる。

これは一部のウマ娘にも飛び火し、気付いた者たちはより一層の集中力が増し、レースは例年以上に静かな盛り上がりを見せる異様な光景となった。

やがてレースが終わりトレーナー達のスカウトやウマ娘からの逆指名が始まりだした。

神風「毎年こんな感じなのかな?」

東条「分からないわ。新人だもの」

神風「そうだよな~」

宇川「しかしスカウト成功するっすかね?」

沖野「何とかなるでしょ」

東条「呆れた。何も考えて無かったの?」

黒川「…」

神風「まあ、向こうの気持ちもあるしわかないですよ」

黒川「…新人だし、一人と契約出来れば良い方だろう」

宇川「各々頑張りましょう!」

神風「ここから先は同期でありライバルだからな!」

黒川「…ああ、そうだな」

沖野「まあまあ、堅い事は言わず頑張ろうや」

東条「そうね」

宇川「同感っす!」

神風「初めてスカウトするのが被らなきゃ良いな」

沖野「そうだな」

そして各々スカウトしたいウマ娘の下へ向かい出した。

 

 



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