愉悦と曇らせに狂ったTS転生魔法少女の話 (あきつの雲)
しおりを挟む

~初めまして~

前書きでも書きましたが私の稚拙な文章力で原作キャラの魅力を出せる気がしなかったので設定をごちゃまぜにしてオリ主化しています。



原作を見たことのある方は完全に別物として読んでください。
性格から何からほとんど違いますので。

見たことの無い方は一度見てみることをお勧めします。

めっちゃ可愛いしカッコいいので。

最後に、作者は大好きなキャラは泣いて苦しんでいて欲しいという
歪んだ愛を持っていますのでそれを前提にして読んでいただけると助かります。

アッ、ごめんなさいあと一つありました。
最初の方は少佐コピペなので無関心な方は拡大文字のあたりまで読み飛ばしていただいても本編に何も支障はないです。




<0章 始まり>

 

『カチカチッ』

 

煌々と明かりがともった部屋にクリック音が響く。

 

ふぅ。エンディングさえ素晴らしいな。

飛ばすのが惜しくなってしまうほどだ

 

 

今回も君たちが居なければ最後まで見ていたかったのだがね、待たせるのも悪いとスキップしたのだよ。

 

さて・・・・・少し長くなるが聞いて欲しい。

時間が無いようなら流し読みしていただいても構わないよ?ただの少佐コピペだからね。

 

・・・・・付き合ってくれる優しい方はどうぞご清聴ください!

パフォーマンスを始めましょうか。

諸君 私は曇らせが大好きだ!

 

この世界で作り出されるありとあらゆる曇らせ作品が大好きだ!

 

傷だらけになって大切な人を守り続ける一途な愛が好きだ。

それに気づかずに居た弱者が絶望に満ちた悲鳴を上げるときなど心が踊る!

 

嫌われるように他人から仕組まれるのが好きだ。

手遅れになってから真実を知ったモノが後悔に沈むときなど胸がすくような気持だった!

 

勘違いものが好きだ。

本人の知らぬまま周りが恐慌に陥るさまなど感動すら覚える!

 

緻密に計算された計画が花開いたときなどはもうたまらない。

 

泣き叫ぶ者たちが連続する曇らせを前に呆然自失とする様子など最高だ。

 

哀れな被害者がなけなしの希望を抱え立ち上がった時に心を木っ端みじんにした時など絶頂すら覚える!

 

 

知らない男にめちゃくちゃにされて泣き叫ぶ主人公が好きだ。

必死に守るべき仲間がその手を零れ死んでいく様はとてもとても悲しいものだ。

圧倒的な物量に押しつぶされて絶望に染まる魔法少女が好きだ。

四肢を失い自分の血に溺れながらも害虫のように這いまわり逃げようとするのは屈辱の極みだ!

 

諸君。そんなゲームを私は望んでいる。

いや、望んでいたといった方がいいか。今それは達成されたのだから。

 

諸君。私の事を見守る愉悦部同士諸君!

諸君は何を望む?

 

一周だけで満足か?

そんなわけがない!

試さなかった無数の構成。選択肢。バッドエンドスチル。

まだまだ先はある。

 

さらなる周回か?

弱者として押しつぶされた結果の曇らせを望むか?

強者としてすべてを裏から操るような計算された曇らせを望むか?

 

よろしい!ならば周回だ!

 

私は今4徹を迎え今まさに倒れようとする弱きものだ!

だからただの曇らせではもはや足りない!

 

最上級の曇らせを!!!

一心不乱に求めよう!!

 

 

「リスタートだ!諸君!」

 

 

あははははっはああ!!!!

 

さぁ、構成を決めよう。

身体欠損もいいがあえて付けないというのはどうだろうか?

 

呪いにこそすべてをかける!それもまた一つのキレイな花になるだろう。

見た目で分からないところに潜む大きな欠陥というのはある一種の芸術性だからね。

 

おっと失礼。説明が足りていなかったね。

 

呪いというのはデメリットを対価に莫大なメリットを得るこのゲームのシステムの事さ。

大好きだろう?何かを失い何かを得る。というのは

 

まぁ、器に合わぬ量を望めば呑まれ魔女になる。というのは問題ではあるが。

 

・・・・そもそものゲームの全容すらわかっていないのに全部すっ飛ばして進んでいくな!だって?

 

うん、それはそう。

少佐コピペとかやったせいで完全に性格引っ張られたよね。

本来の俺こんな丁寧口調で喋らないし、狂ったように笑ったりしないよ常識人だもん。

 

ということで意識をしっかり保って説明しましょう!

さっき言った通り4徹目なので下手したら途中で寝落ちするかもしれんけど許してね?

 

 

まず、今やっていたのはR-18G ジャンルは魔法少女もののPC専用ゲーム

名前は{変わる世界ト呪いノ天秤}

 

年齢制限あるけど!?って思うかもしれないが安心してくださいもちろん俺は対象年齢をクリアして・・・・

 

居ません!ハイ!現状まだ12歳です!

ネットショッピングで買えちゃうのが悪いよね!

 

そもそもだよ!

原作は普通にゴールデンタイムに放送してたんだよ?

それで幼いころの僕の性癖を破壊し尽くしていったくせに、ゲームを待ち続けて2年たちやっと発売された!と思ったら買えなかった俺の気持ちわかりますか?

 

 <うん、分かるは分かるよ...>

!?珍しいことに今回は反応があるんですね。ならそれに合わせなければ...

ですよね!だから仕方がないことなんです!こうやって我慢できずにプレイするのに何の問題もありません!

 

 

 <だけど、それは常識人とは言えなくない?>

 

ッスぅ。この話題やめにしませんか?みんなゲーム内容の方が聞きたいはずだよね!

 

 <あまりにもよわい...>

 

 

うるさいやい!そんなことどうでもいいし?もう勝手に説明しちゃうもんね!

 

このゲームは、逆行転生魔法少女モノがベースの性癖ごった煮状態!

 

開幕の時点での性別設定で主人公の性別を男にすればTSだし、さっき説明した呪いで異形化とかいれればケモ耳つけれるし、欠損でボロボロにすればそりゃ曇らせできるし、あえて魔女化させたり、限界ぎりぎりまで呪い詰め込めば悲惨な境遇は演出できる。

 

 

あらすじは・・・・

 

あなたは魔法少女を指揮する司令官として戦ってきました。しかし、すべてが手探り状態で。何人もの魔法少女が犠牲になりました。

 

その未来を変えるため魔法少女として過去に戻り相棒の妖精リラとともに彼女たちを救いましょう!

 

という何とも普通で興味をそそるとは言えないもの。

 

だけどそれだけで切らないで欲しい!

というかあらすじがそれしか書けないのはその先が不確定だからなのだ。

 

アニメでは固有能力として味方のダメージを肩代わりする能力を得た。

 

だけどこのゲームはそこもキャラクリ次第。

 

例えば攻撃されるたび判定して成功してもダメージは1/2失敗すれば攻撃されず、攻撃するためには毎ターン初めに再判定を行い成功したとしてもダメージは1/4(判定成功率は50%)とか言うクッソ複雑などこぞの旧支配者みたいな能力もあれば、魔法攻撃の威力を上昇させる。なんていう単純な能力もある。

 

そしてその能力に沿ったストーリー展開が行われるのだ。

 

そこから選択肢による分岐をしていってBAD ENDもあり、セーブ&リスタートでいろいろ試せるからこのルートではわからなかったことがこっちでは分かるよ!みたいなものも!

 

スチルの数も半端じゃなくてルートはほぼ無限。明らかにこの時代のゲームじゃなくて100年は先取りしてる。なんて言われてた。

 

はい!説明終わり!

面白そうだろ?また最初からやるから見てて欲しいんだ!

 

一緒に構成も考えてくれる?

一人でやるよりみんなで考えた方がより曇らせも素晴らしいものになるだろうからね!

 

 

ま・・・ずあ構成を・・・・・・・

あ、すまん寝かけてたどこまでやったっけ?

 

え~っと・・・・・・・・・・・・スゥ...スゥ...

 

 <一緒にやろうぜとか言っといて寝落ち?!>

導入はこんなものでよろしいでしょう。次に行きましょう

──────────────────────────────────────

 

いつの間にか目を閉じていたらしい。

暗い視界の中で鋭敏化した感覚に部屋の中で感じることの無いはずの生ぬるい風と都会の喧騒を感じる。

 

ん?おかしくね?

ここ何処だよ!?

この感覚は間違いなく外なんだよね!絶対夢じゃない。

 

だけど俺はさっきまで確実に家の中にいたはず。

 

つまりは俺は家の中でゲームをしていたと思ったらいつの間にか外にいたということ!

 

な...何を言ってるのか わからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった...

 

催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねぇ!

 

もっと愉しいものの気配を感じるぜ!

 

[何を呆けておる]

 

えぇ?ここまでポルナレフコピペしてるのにそこでDIOになってくれないとかノリ悪くない?

 

そんなひでェ事する奴がいるなんて許せねぇよなぁ!!

どんな顔してんのか拝ませてもらうぜ!

 

声が聞こえてきた方をスタイリッシュに振り返り目を開ける。

 

そうだ君もDIOになろう。

恐れることはない。悪のカリスマを身に着けるんだぁ(ネットリvoice)

 

・・・・・ぁえ?

 

[なんじゃ、そんなに見つめて]

 

お↑ほぉう↓

すまんねビックリしすぎて凝視しちゃったわ。

 

まぁそれも仕方ないよね!

視線の先に宙に浮くたれ耳の兎なんてクッソほどファンタジーなもんが居るんだから!

 

 

まぁそこだけにビックリしたわけじゃなくて、むしろその姿がさっきまでプレイしていたゲームの主要キャラと同じだったからびっくりしているんだけど。

 

そう、あいつこそはリラ!

マスコット枠のリラ様!リラ様じゃないか! 

 

というか実際に目の前に存在しているということは俺もしかして転生したの!?

 

大好きな作品の世界に転生するとか最高すぎるでしょ!

しかも状況的に主人公憑依転生じゃね?

 

はぁあああ。素晴らしい。

もうハンズアップからの発狂ダッシュしたい気分だよ!

完全に不審者だからやらないけど。

 

<あれ?でもアニメ版とゲーム版があるんじゃ?>

 

うん、現段階でどっちか判断することはできないし

アニメ版かゲーム版なのかは俺も気になってる。

だけどどっちでも素晴らしいことに変わりはないからな!正直どっちでもいいかな。

 

まぁ、素直に話を聞いてればそれもすぐにわかることだし判断できるところに差し掛かるまで聞き流しながら、アニメ版の説明もしましょうか!

 

というか話させてください!このアニメ、オレが曇らせの道に踏み込む原因となりましたからね!

布教したくてたまらない訳です!。

 

<お、おう。どうぞ。>

 

では布教したいオタクの話にお付き合いください!

 

アニメ版はですね先ほどサラッと話したダメージ肩代わり能力を持つ魔法少女の話です。

 

ただその能力以外は攻撃力も防御力も普通の主人公。

一人ではすべてを救うことはできませんから過去の世界の司令官と協力して本来の歴史では死んでしまった魔法少女を助けていきます。

 

当然、その過程で能力をバンバン使ってボロボロになっていくわけですよ!

その描写がまあまあまあまあ!最高なんですわ。

 

そして助けられた魔法少女たちは曇ります。司令官も曇ります。

ドアップで曇らせ描写をするあたり完全に制作陣は理解(分かって)ましたね!

 

過去の世界の司令官=主人公じゃないですからね。幼い少女が自分の身体を犠牲にして誰かを助けているように見えるわけです。

 

最高に滾るシチュエーションですよね!!

 

 

勿論曇らせだけじゃないですよ?

アニメ版一章の最終話はマジでアツアツすぎてもう大興奮でした!

 

魔物氾濫(スタンピード)が起こって圧倒的な物量に潰されそうになり諦めかける主人公そこに寄り添う魔法少女たち。『あなたが助けてくれたおかげで今がある!』その言葉とともに放った魔法が重なり合い増幅し魔物達を殲滅していくんです。

 

本来ありえなかった未来を創る。

その展開は王道だとはわかっていても最高でしたね!

 

次に2章です。

2章は・・・・・

 

 

[ふむ、そうじゃなおぬしに良い罰は・・・]

 

そういいながら取り出したタブレットを耳で操作するリラ。

おっと、もうそろそろですかね。もっと話したかったんだけど続きはまたの機会に!

 

・・・・・・・もうちょっと時間ありそうかな?

なんかタブレット操作に時間かかってるっぽい。

 

 

<耳で操作ってどういうこと?よくわからないんだけど...>

 

ん?あぁそうか。魔法少女じゃないと本来妖精って見えないんだもんね

ごめんごめん忘れてた。

 

このマスコット。どうも制作陣にコアなケモナーがいたらしく4足歩行と2足歩行、両方があるタイプの動物に近いマスコットなんだよね。

その結果、耳でタブレット等いろいろ操作するという設定が追加されたらしくて...

 

なお、そのケモケモしさも一層俺の性癖にダイレクトヒットしていたことは秘密だよ!

 

 

[お主も魔法少女として死力を尽くして最前線で戦うなんてのはどうかの?]

 

 

おぉ、説明が終わったところでちょうどよかった。

ここが一番大事なところだったんだけどこのセリフでゲーム版なのが確定しました。

ここでアニメ版なら戦え! と言われて即座に過去に逆行させられるんですね。

 

 

ということでリラの持ってるタブレットを奪い取りましょう!

 

<どういうこと?いきなり奪い取るのは蛮族過ぎない!?>

 

実はですね、ここでタブレットを奪ってキャラクリをするのが正規ルートなんですね。

 

普通は貸りればいいと思いますよね?

ですが先ほど言っていた通り逆行魔法少女化自体が司令官への罰なのです!

そんな中でタブレットを貸してくれとか通るわけがありません。

 

そもそもゲーム内ですらここで選択肢なしに奪い取りますからね。必然の事なのです。

 

じゃあ、お預かりしちゃいましょうねぇ!! 

 

[何をする!!!]

 

奪い取られたリラがキレてるけど無視、無視!

さっさと操作しちゃいましょ。

 

ということでぇ

皆様のためにぃ、(ほのぼのしてそうな神社の曲♪)

曇らせチャートで進めていきましょう

 

<おいバカやめろ!>

 

えぇ?そうはいってもお好きなんでしょ?

命は投げ捨てるためにあるって偉い人も言ってたし、ここでやらない方が拍子抜けというものでは?

 

ということで限界ぎりぎりまで呪いを積んでいきますね!

 

人格分裂(3)でしょ? 

で、呪い人で自由にバッドステータスを追加できるようにして

縁切りで友達や親族関係の拘束をなくすでしょ~

後は精神保護はいらないし

自動防御も削除。 

逃げるな! も追加して戦闘からの逃走不可もいれてー

変身解除不可もだな! これが一番大事! 

本来つかないはずの魔力回復が割合で常時つく時点で最強! 

 

あとは~

 

[返すのじゃ!]

 

あっ! ちょ! まだ設定が終わってな! 

 

『ポチッ』『過去への転送を開始します』

 

もみ合ううちに手が画面に当たり不幸にも決定ボタンが押されてしまう。

 

「[あっ]」

 

嘘だろ? 

まだ基本的なのしか入れてないんだけど?! 

俺の理想の構成どこ? ここ? 

 

[何をしていたのじゃ! これはおぬしへの罰なのじゃぞ! 勝手なことをされては困る!]

 

あっ、あっチャート壊れちゃった。

ここいらで落としたチャート誰かみませんでした? 

・・・知らない? そうですか...

 

[まったく、罰を減らそうなど!]

 

 

絶望して取り落としたタブレットを

リラが拾い上げ何か画面を操作する音が聞こえる。

 

いまさら何を操作しているのであろうか? もうキャラクリはできないのに。

RTAなら完全に再走案件である。というか現実じゃなければ即リセしていた。

 

曇らせに妥協は許されないのだ!

 

愉悦部諸君もそう思うだろ?

 

というかいっそ殺してくれ。

あんだけ大見得を張ってチャート通りにできませんでしたぁ!とか許されなくないか?

うんそれがいい...

 

 

[お主・・・何をしたのかわかってるおるのか?]

 

絶望している最中に問いかけられる。

どうやら設定途中だったものを見たらしい。

確かにアニメ版では逆行と魔法少女化だけだからね。多いのかもしれない。

でもね! 

 

・・・うん、でも(足りないんだよなぁ)彼女達(俺の理想の構成達)は・・・こんなんじゃ

 

 

その言葉とともに膝から崩れ落ちる

 

そう全然足りないのだ。追加すればするほど魔力総量が伸びそれとともに変身解除不可による秒間回復量も増えるその性質上大量に積んでおきたかった。orz

 

 

<呪い人があるんじゃないの?>

 

ある...

あるんだけど

あれは魔法少女としての制限をかけるためのもので

属性の制限や能力の選定はできるんだけど、全ての呪いが入っているわけではないのだ。

 

それどころかランダムで候補が選出されてその中から選べるだけなんだ...

 

後々に人格分裂で増えた分の変身先とそれの呪いやキャラクリ関係で使う予定だったのだ。

身体欠損などの大きなものも当然入っていないのである。

悲しすぎてもう変なうめき声しか出せないわ...

 

うぐぅあぁ...

さて、私の役目はココまでです。あとは任せました。

 ──────────────────────────────────────

 

[そこまで気に病んでおったのか...]

 

少し時間が経ったがそれでも立ち上がれない俺が懺悔するような体制のままいると

上から声が降ってくる。

 

絶望している状態でも話を聞いていた俺はその言葉に違和感を抱く。

 

この時点では主人公が何人も犠牲にしたことに対して妖精たちが怒っているから代表としてリラが来ているのである。

 

そんな状態であるから、当然どんなにバッドステータスを積んでも何も言ってこない

 

そればかりかむしろ罪を償う気になったか! とばかりの顔をするのである。

明らかに変だ。

 

不思議に思った俺はそこで初めて顔を上げる。

 

その先には俺の大好物の曇らせがあった。

ゆがんだ口元と下がった目じり。

コチラを心配するような雰囲気を醸し出すその姿。

 

 

無意識に口角が上がる。

なるほど俺の曇らせはまだ足りていなかった。

マスコット曇らせ。そういうものもあるのか

やはりこの作品は最高だ!まさか自分に足りないものをこうやって教えてくれるとは!

 

 

[何を微笑んでいる!笑いごとではないのだぞ!]

 

バチッ!

恍惚に浸っている俺は無防備にリラの掌で叩かれる。

 

完全に意識が飛んでいた俺にクリティカルヒットしたそれは確かな痛みを与え・・・

 

 

おれはしょうきにもどった!

 

 

 

よく考えたら先輩愉悦部もガバってよくチャート崩壊しているのだ。

 

というかそもそもチャートなんかねぇよ!うるせぇよ!

みたいな行き当たりばったりなパターンさえあるのだ。

必要なものはただ相手を曇らせる()()()意志だけだったのだ。

 

さて、ならばできることはまだある

 

こんなところで絶望している暇はないだろう! 

頭を回せ! 手を止めるな! 

さぁ。まずはオマエの目の前にある()()を毒牙に掛けろ! 

 

 

そうだね、私が間違ってたよ

 

演じろ! 相手の思う姿を。

忠告を聞きいれた風に見せろ! 

感情の乱高下が曇らせの最高のスパイスになるのだ! 

 

[そうか、本当のところはオマエの指示が最適だったのは分かって・・・]

 

相手を油断させて・・・・

堕とす! 

 

こんなんじゃ……足りないよね

 

 

その言葉に釘を刺されたかのように目の前の兎は止まる。

 

ハハハ! 素晴らしい。愉悦部の同士諸君見ていてくれたまえ! 

ここから最高のショーをお見せしよう! 

 

 

呪い人の効果を起動する。

目の前に浮かんだのはさっきいじっていたのと同じ画面

だけれど違いもありコチラはただのホログラム。

リラに触れることはできず俺だけにしか触れない

 

 

 

だ か ら

 

見せつけるようにゆっくりと操作をしていく。

 

 

 

 

まずは1人目……コンセプトは空間系

 

武器は杖

使える属性を時空属性のみに制限

固有能力は純粋に魔法能力の強化だな!

 

 

これで他属性から受けるダメージは常に4倍だ。

これはゲームの仕様。使える属性から相性が出る (*1)

全属性使えれば基本の属性のダメージは4倍だし受けるダメージは1/4だ。

当然味方も敵もである。

 

その属性相性の外にあるのがこの時空属性! 

 

他へのダメージも4倍だが自分が受けるダメージも4倍の攻撃特化仕様

攻撃をくらえば一瞬でHPは溶ける。それは自分も相手も。

だから、普通は他属性、例えば光と闇を取って全属性等倍で受けれるようにするし、いくら特化してもそのどちらかは取って相性が悪い時は戦わなかったりする

 

そんな安全マージンいらないよなぁ! 

 

良いじゃないか! 

死と隣り合わせの最強攻撃力! 属性を特化すればその分だけ上がる攻撃力により他属性分の7倍を掛けて常に元のダメージの28倍を出し続ける殲滅者!

 

そんな脆い魔法少女に体を賭して助けられたら……

その事実を知ったらどう思うんだろうなぁ? 

 

あぁ、先を考えるだけで体が震えてくる。

 

 

そうだラッキーなことに候補にあった異形系も追加してしまおう。

どうせこの辺はただのファッションアクセサリーみたいなもんでケモ耳や尻尾が生える程度で大したマイナスの影響はない

 

[何を……やっておる……]

 

[やめるのじゃ! そんなことをすれば魔女どころかただ死ぬだけじゃぞ!]

 

呆然としていた状態から復帰したのか目の前にあるホログラムを錯乱したかのように操作しようとするリラ

 

あぁなるほど。呪いを入れすぎると魔女になるどころか即死するかもしれないんだったね。

なら、なおさら制限する必要なくね?

元から大量に入ってるんだから入れるだけ得でしょ?

 

そうだよ、安全マージンを取らないとか豪語しときながらこんな体たらく愉悦部の先輩方に顔向けできない!!

 

ということで。お詫びとして!限界まで詰め込まさせていただきま~す!

 

 

俺の生きざま、ご照覧あれぇ!!!!

 

ホログラムを触れないことに気づいたリラがこちらの腕を無理やり動かそうとする。

その動きに抵抗して腕に力を籠める。  

 

 

それにしても鬱陶しいな、無駄なんだから早く辞めればいいのに。

そんな思いで振り払おうとして・・・・・それすらも一つのネタになることに気づいた。

 

あは♡いいこと思いついちゃった。

 

 

まずは画面から手を離して必死に抵抗する……風にしておく

そんな風に見せればよりリアリティが出るから。

 

それに気づかずに無茶苦茶に振り回してくれちゃって。

道化みたいでかわいいよ?俺の兎ちゃん?

 

本当は軽く抵抗できるのにねw

 

 

そうしてタイミングを見計らって・・・

下に下そうとした瞬間に画面に触れる。

そうすればずらっと画面下まですべての呪いが選ばれ決定ボタンに指が当たる。

 

あ~あ、やっちゃったねぇ

もう取り返しつかないね? 

そんな内心を隠しながら縮こまる目の前の兎に声をかける(とどめをさす)

 

ありがとう。選ぶ手間が省けた

 

 

 [う、嘘じゃオレがオマエの事を……]

 

そうすれば目の前のネザーランドドワーフはただ嘘じゃとつぶやくだけの置物と化す。

 

あぁ、素晴らしいよリラ、その絶望した顔は! 

だけれどまだ足りない。

快感に震える体で操作を続ける。

 

2人目は木属性特化の身体強化と回復で

自壊しながら戦う脳筋バーサーカー構成にする

固有能力はHPを消費してダメージを上昇する諸刃の剣型。

 

 

結局物理攻撃が強いんだよなぁ! 属性載せなきゃ全部等倍で通るわけだしね

ちなみに武器はなし。

異形系の呪いで手足がケモケモしくなる以上血まみれになりながら戦う方がカッコいいよね? 

素手で内臓ぶち抜きとかさ

固有能力から何から何まで完全に俺の性癖ぶち込んだ形態ですハイ。

 

そうして当然のように呪いはよく見ずに全部のせだ!

 

勿論アレの目の前でやることも忘れてはいない。

そうすればついには

 

[やめてくれ、オレが悪かったのじゃ]

 

顔を手で隠しながらそう言いだすもんだから

 

わかった。もう終わり

 

安心させるように、優しく言いながら3人目の操作を手早く終わらせる

 

コンセプトは全属性使える対人用

 

武器は銃。その全般

固有能力は武器の形状変更かなぁ

 

戦闘中以外は武器はどこかにしまわれるのが魔法少女達のデフォとはいえわざわざ何度も取り出してはまたしまうのメンドクサイ

 

そして何より武器の形状変更はカッコいいからな。

手の中でクルンって回転させて武器の形状変えるのとかね。

 

 

この形態がある理由?

 

ゲーム内で魔法少女を洗脳しようとしたり、改造しようとする敵が出てくるからですね! 

そういうタイプは魔法少女なら、容易く壊滅させられます。躊躇しなければ・・・ね? 

 

あぁ、嫌なこと、見たくないことを押し付けられた少女が狂っていく様はさぞかし綺麗だろうねぇ

 

 

だから、これで満足! 宣言通り呪いはつけない……

 

 

わけないよね♡

 

 

当然関係ないのは全部乗せしますよ。

 

油断してこちらを手の隙間から見つめるリラの前で決定ボタンに触れようとした手を素早く動かし変更する

 

[あ……あぁ……あ]

 

半端に開けた口とまん丸に開いた目からこぼれる涙。

顔を隠していた手は力なく床に落ち、座り込んだその姿からは自分の意志がほとんど感じられない。

 

 

そんな状態でも片手は俺を止めようとしているんだからカワイイよなぁ

 

 

ふひっ……」

 

そんな汚らしい笑みがこぼれる

 

あぁ、最高だよリラ。

そうやって油断するところも最後の最後まで壊れないで見届けるところも

 

だけどまだ取り返しはついてしまうんだ

決定ボタンは押されていないからね

 

だから長々とその状態を観察するわけにはいかない

 

そのことに気づいたのか先ほどよりも希望を持ったようにリラもこちらに向けて手を伸ばしてきているしね。

 

 

まぁ、その希望も今から潰えるんだが。

 

ほい、最後の一撃は切ないね。

 

『ポチッ』

 

ボタンを押す。  

 

 

「[あぁあああああああ”!!!!]」

 

絶叫しているのは誰だっただろうか? 

大量の呪いは俺を蝕み、根本から変えていく

ねじれ、侵し、統合し、昇華し。本来あるはずのない姿にその形を変えながら。

だけれどこんなのこれから先の愉悦を考えれば大したことはない

 

俺の意志を変えることはできない! 

 

そうして呪いをねじ伏せ、痛みさえも己の愉悦とする。

 

キヒヒヒッ!!!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ァ!!!!

 

絶叫するほどの痛みを超えた快楽が俺の口から狂笑を吐き出させる。

 

それと同時に俺と喰らいあっていた呪いが委縮したようにその勢いを失い・・・

 

 

 

『転送が完了しました』

 

その言葉とともにどことも知れない河川敷の架橋の下に俺とリラは放り出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




*1

攻撃を受ける場合、使用可能な属性の中から
一番ダメージが少なくなる属性が参照されダメージ計算がされる。

攻撃する場合は相手の属性に合わせて自分の魔法を選択する。

基本的に敵の魔物は1属性しか持たないが
複数属性を持つ敵もいる。

属性の相性は

木→土→水→火→金→木

の順に相手へのダメージと軽減が上がるが
それの相性外に

光→闇→光

が存在し、互いに対するダメージが4倍。
それ以外の属性(時空属性を除く)に対しては全て等倍で計算される。


時空属性はすべての属性に対し
4倍ダメージ。その代わり他の属性と比べると威力に対し魔力の消費量が多い。

---------------------------------------------------------------------

終の文字を使ってますが
大丈夫です次話はちゃんとあります。

原作ネタですので気になる方はどうぞ動画の方ご覧になってみてください!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~やってみよう~

2日連続投稿です。

色々と改変やごちゃまぜにしているのわかっていただけましたでしょうか?

こんな感じでこれからもぼちぼち投稿していくつもりですので
よろしければ閲覧していただけると嬉しいです。


<帰還>

 

<リラ視点>

 

[そんな・・・・]

 

目の前で呪いを付けられて異形となるオレの専属魔法少女。

それをただ見ていることしかできなかった...

 

あの時は自分で戦うことさえできなかったから...

 

それからはただただ己を鍛えた。

元々、妖精だって戦えるのだ。

効率は悪いが、極めれば一般的な魔法少女レベルにはなれる。

 

こんなことが2度と起きないように!

そう言い訳して

己の罪から逃げるように魔法を鍛え続けた。

そうしなければ気が狂ってしまいそうだったから。

 

あの子が変わってしまった体に悩む度励ました。

その陰では自分の身体を苛め抜いた。

 

あの子がもう嫌だと命さえ諦めそうになる度に勇気づけた。

その陰ではいくら失敗しても魔法の練習をした。

 

だけど、オレではあの子をどうにもできなかった。

変えたのは司令官だった。

 

魔法少女機関の最高責任者だ。

当然時間に余裕なんてあるはずない。

なのに何度も何度も家の戸を叩いた。

いくら門前払いされようと諦めなかった。

 

・・・・その努力が実を結ぶまで。

 

何回目だっただろうか。

あの子が戸を開いて招き入れたのは。

最初は悪感情だったのだろう。

 

鬱陶しい、もう来ないでくれ!”と。

 

そう言って獣と化したその手を振り回し

怯えさせて追い払おうとしていたから。

 

だけれど司令官はそれに対し一切の恐怖も忌避感も抱かなかった。

無警戒にその手に触れ可愛らしいとまで言ったのだ。

少し力が籠められれば容易くその命は失われるというのに...

 

異形と化してから初めての人の温もりにあの子は泣いた。

泣いて泣いて泣き疲れて寝て。

それでもずっとそばに居た司令官についに心を開いた。

 

また来て欲しい

 

そんな言葉をかけた。

 

そのあとは早かった。

少しずつ少しずつあの子は外に出るようになっていった。

 

そしてそれに伴うように司令官に対する好意も増えていった。

 

最近は傍から見ても司令官に恋をしているのは明白であったし、その想いの力は周りの視線や思いなど一切を無視できるレベルだった。

 

 

・・・・・一方でオレは司令官に悪感情を募らせていった。

そんなはずがないとわかっているのにあえて呪いをあの子につけさせたのではないか

そんな思いさえ抱いた。

 

分かっている。

いくら未来を知っているかのような素晴らしい采配が出来ても、実際は考え予測し素早く対応しているにすぎないと。

 

スタンピードであの子がいくら活躍しようと

呪いがなければ犠牲が出ていただろうことが真実であっても。

それは手持ちの戦力を上手く使ったからだ

戦力を増やすために呪いを付けさせたわけじゃない。

 

魔法少女が対象の事件を先読みしたように防いでいてもそれは微かな手がかりから予測したからだ。

決して未来を()っているわけじゃない。

 

 

分かっている、分かっているのにオレのどろどろとした猜疑心は留まることを知らなかった。

 

 

そしてあの事件が起きた。

第4次スタンピード

初めて魔法少女が犠牲になったそれだ。

 

 

その時も司令官は間違いなく最高の作戦を立て魔法少女を配置していた。

それは100人に聞けば100人が間違いない。と答えるだろう。

 

問題は敵の戦力。

今までとは全く違ったその形態。

ヌシと呼ばれる他の魔物と一線を画す強さの敵が

まるで雑魚のように大量に現れたのだ。

 

なすすべもなく飲み込まれていく魔法少女達をオレ達は見ていることしかできなかった...

 

そして。日本は魔物に蹂躙され尽くした。

 

 

・・・・だけれどオレ達妖精は諦めていなかった。

 

全ての技術の粋を集め作り出したのは逆行の呪い。

誰か一人を専属妖精と共に過去に送る禁忌。

 

しかし作り上げたときにはもうその対象が居なかった。

魔法少女達は皆自分の大切なものを守るために命尽きるその時まで戦うことをやめなかったから。

 

だから追加で魔法少女になる呪いを作った。

そして一般人の中から対象を選ぶことに決まった。

 

満場一致で選ばれたのは司令官。

彼は彼を慕う魔法少女達により戦場から転移させられどことも知れぬ廃ビルの屋上で生き残っていたのだ。

 

精神性と魔法少女への知識

どちらも素晴らしい人材だ。選ばれない訳がなかった。

 

問題は彼についていく妖精だ。

 

オレは真っ先に立候補した。

勝算も十分あったし何より確かめなければならないことがあったから。

 

他の妖精も呪いに関係していることもあり

オレに任せた方が良いと判断してくれた。

 

オレの内心には未だに猜疑心が渦巻いているとも知らず...

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

妖精界から直接司令官が居るビルの屋上に転移する。

だけれど急に目の前に現れたというのにその視線はどこか遠くを眺めていてオレに焦点が合わない。

 

[何を呆けておる、お主のせいで魔法少女が死んだんだぞ!]

 

理不尽な怒りが沸き上がる。

なぜ悲しむでもなくただ、呆けているのだろう?

自分の下に就いていた魔法少女達がみな死んだというのにそれはあんまりではないか?

 

だから罰という言葉を使い責めて

最前線で戦うという言葉で皮肉をぶつけた。

 

そこから先の行動は予想外じゃったが...

まさか呪いを付けるためのタブレットを奪い取られるとは思ってもみなかったのじゃ。

 

だが!これではっきりした。

コイツは悪人じゃ!このまま勝手にさせて置いたら何をしでかすか分からぬ!

 

急いでタブレットを取り返す。

身体を鍛えておいてよかった。

何もしていなければ確実に力負けしてしまっていただろうから。

だけれどもみ合った反動でタブレットのボタンが押され呪いが確定されてしまったのじゃ!

 

これはまずい!

急いで確認をする。

逆行と魔法少女化の呪いはちゃんと入っておるよな?

 

 逆行

 魔法少女化

 人格分裂(3)

 呪い人

 縁切り

 精神保護解除

 自動防御不可 

 逃げるな!

 変身解除不可

 

 

は?

絶句する。こんなに大量の呪い今まで見たことが無い。

これでは肉体の方が保たないぞ!

そう思う最中も黒い呪いがタブレットから溢れて司令官の肉体に吸収されていく。

 

待て!止まってくれ!

吹き出しているところを抑えようともそれはオレの手をすり抜けていき、その全てが司令官の体に叩きつけられた。

 

『ゴキゴキッ』

 

魔法少女化の呪いによって全身の骨や筋肉が縮み形を変えていく

その過程で途轍もない痛みが全身を襲っているのだろう。

 

それに加えて他の呪いの、魂を変革する痛みもあるのだ

想像すらできないレベルの苦しみに違いない。

 

地べたに蹲り耐えるように震えるその体は

しかしそれでもすべての呪いを耐えきった。

 

[そこまで気に病んでおったのか...]

 

危険性は十分わかっていたはず。

なのに迷いなく決行した。

 

申し訳ない気持ちが沸き上がる。

完全にオレの勘違いだったのだ。司令官は魔法少女の事を第一に考えるような素晴らしい人格者だった。

 

じゃが・・・

 

[何を微笑んでいる!笑いごとではないのだぞ!]

 

なぜ微笑んでいるのじゃ!

生き残ったからいいが下手したら死んでいるところじゃったぞ!?

勢いに任せて頬を叩く。

全く。少しは考えて行動してほしいのじゃ!

 

そうだね、私が間違ってたよ

 

うむ。わかればいい。

既に変化した体に合わせ口調も変わっているようじゃし問題なく呪いに適応しているようじゃ。

 

それに複数の呪いを付与した影響で、他の魔法少女と比べようがないほど実力が上がっているのも感じるしこのまま過去に戻れれば悲劇を回避することもできるだろう。

 

 

[そうか、本当のところはオマエの指示が最適だったのは分かっている気に病む必要はないのじゃ]

 

後はオレが先ほど無責任に責めてしまったことを謝らなければならない。

 

こんなんじゃ……足りないよね

 

しかし、その言葉がすべて口から出る前に遮るように言われる。

 

な・・・どういうことじゃ!?

 

目の前でホログラムのようなものが展開される。透けた裏側から読めた文字は呪いがずらっと並んでいて、まるでオレの持っているタブレットをそのまま写し取ったかのような画面だった。

 

手慣れたように操作していく司令官ははほとんどの項目にチェックを付けて行っている。

 

[何を・・・やっておる・・・]

 

[やめるのじゃ! そんなことをすれば魔女どころかただ死ぬだけじゃぞ!]

 

自分のそれに照らし合わせれば

チェックを付けたらその呪いが付与されるはず...

ならば止めなければ!

 

関係ないよ、あんなこともうさせないから。私一人で止めてみせる。

 

スタンピードの事か!?

無茶じゃ!人の許容量限界まで呪いを詰め込もうと一人で全て解決するほどの力を得ることなんて不可能なのじゃぞ!?

 

ホログラムには触れない...

なら操作する方の司令官の腕を止めれば!

 

そう思い縋りつく。

しかし魔法少女化したせいか、筋力も上がっていて

先ほどと違ってほとんど動かすことができない。

 

それでも諦めずに揺り動かしていると

 

あっ

 

という声と共に下に腕がぶれた。

必死になって振っていた腕の先を見ればほとんどの項目にチェックがつけられ決定ボタンに指が重なっている。

大丈夫じゃ、まだ次の画面に進んでおらん。

そう思うオレの前で無情にも画面が切り替わる。

 

そう、それはすでに付与が決定したことを示す。

 

ありがとう。選ぶ手間が省けた

 

『ひゅッ』

 

その言葉に息が止まる。

 

[う、嘘じゃオレがオマエの事を・・・]

 

むやみやたらと振り回さなければこんな酷いことにならなかったかもしれないなのにオレが余計なことをしたせいでこんなことになってしまった...

 

いやじゃ。いやなのじゃ。

やめてくれ、もう入らぬ。

 

お主の身体にそんな大量の呪いは入らぬのじゃ

 

私のせいなんでしょ?リラがそう言ったんじゃん。責任を取らないと

 

なんてことを言ってしまったのじゃ...

 

[ちがう、ちがうのじゃ勘違いしただけなのじゃ]

 

勘違いで吐いた言葉なのじゃ。

だけれどそんな思いは届かない。

 

いや。私もそう思ってたところだから誤魔化さなくていいよ。私がもっと上手く指揮できてればこんなことにならなかったもんね。

 

暗い瞳をしたまま

人格分裂で増えた分の変身先にまで呪いを詰め込んでいく司令官。

 

[やめてくれ、オレが悪かったのじゃ]

 

ボロボロと涙がこぼれる。

なのにその手を邪魔できない。

焼き増しの様に先ほどの光景が蘇るから。

その体に触れようと動き出すことさえできない。

 

そう、なら手で顔を覆ってしまえばいい。

最底辺まで堕ちたオレなんてこれ以上何をしようと関係ないのだから

嫌な物なんて見なければいいのだ。

 

わかった。もう一人には何もしないよ

 

そうして塞いだ暗い視界の中で司令官の声が聞こえた。

ほんとうか?少しだけ手をどけてそちらを見る。

 

そこには呪いの無いまっさらな3人目の情報が。

 

・・・・良かった。

そう思い油断して手を下した。その瞬間に

 

ちゃんと見届けて。

 

そう言われ、ずらっとチェックがされる。

 

[あ・・・あぁ・・・あ]

 

ほしがくらくて

みずがそらにいっぱいで

あはは、13じのにいじろたまむしだね

 

へやでもどって

ぐちゃぐちゃこわいね

 

バラばらだね!

 

いやだ!こないで

わがばんうう

 

まわるえんばんがつながって

ひかりがちになって

 

いあ きょていめ

いあ しつつたもう

 

カイ``をあエよう

 

ほらすぐそこだよ

 

「[あぁあああああああ”!!!!]」

 

きれいだね?あなたもね?

 

見たな?

 

--------------------------------------------------------------------------

<0章 帰還>

 

 

さてと

 

まずは変身後のステータスを見ておきますか!

 

正直、ノリとその場のテンションで大量に呪いを入れたせいで自分でも理解してないような効果が大量についているのは間違いないのだ!

 

バカなの?だって?

 

いや、愉悦部諸君なら理解してくれるとは思うけど目の前に最高の曇らせ対象が居てさ、後々のデメリットを考えて行動するとかありえなくない?

 

[あっ・・・あ]

 

その場で終わってもいい

 

それくらいの覚悟でやらないとむしろ失礼だよね。

 

 

 

っと、そんな言い訳をしてる間に確認してたけど思ったより変なのはついてないね!

まぁ装備保護無効化とか言う意味わからん呪いは俺だけについてるけどね?

 

・・・・・もしかしてお色気想像した?

違う違う。これの効果は魔法少女衣装以外のその時身に着けていた物が攻撃されると壊れるってだけだから。

 

改めて文章にするとちょっとわかりずらいかな?

 

例として説明すると

アクセサリーとかおしゃれでつけるじゃん?

そういうのって戦闘になったら毎回外すとか面倒だよね?

だから設定的に変身中はそういう物まで衣装扱いで破壊不可になるの。

 

だけどこの呪いがあるとおしゃれアイテムが壊れちゃうよ~ってコト。

 

ま、それはいいや。

どうせ関係ないし。

 

本当に話したかったのはこっち。愉悦の種になる方の呪いね!

 

全部話してしまうと面白くないから一つだけ紹介するけど

 

実験体(キメラ)

 

効果は異形化と体力の高速再生に、体力上限3倍化。

致命傷を受ける

例えば首を吊るとかやっても体力がなくならない限り死なない

 

 これと

 

魔力炉 

変身解除不可、魔力の常時回復、傷を受けるとその度合いに応じて魔力を回復する

 

 っての

 

単体で見ればどちらもただの強い呪いだけど

合わせて考えるといろいろ悪さするよね!

 

魔力残量がなくなって、目の前で自傷して魔力を回復するとかさ?

軽いもので足りなくなったら致命傷をわざと自分でやって曇らせることもできるしね。

 

 

めっちゃアイデアが湧いてくるわ!

間違いない。これから先も俺の愉悦は続いていく!

 

[あ・・・ああ・・・あ]

 

 

所でぇ、リラさ~ん。復帰まだですかね?

さっきから脳クチュされたみたいな声出しながら呆けてますけど貴方がいないとたぶんこのまま打ち切り完結ルートまっしぐらなんですわ。

 

え?これ俺が悪いんか?

俺が何とかしなきゃいけない系?

 

・・・・しょうがないにゃぁ

 

大丈夫、私は問題ないよ

 

秘儀、優しいオネェさんによる抱っこ。

 

 [ううああぁあああ...]

 

これをされて堕ちなかった奴はいねぇ

 

ちなみにすでに変身済みの第一状態になっているため

見た目は青い猫耳と尻尾の生えた10歳程度の姿で服装はシンプルな白のワンピースである。

 

中身は?って

ん~たぶん転生先の司令官の肉体が元だから27歳くらいかな

 

なので母性は・・・あります!!!

 

<スカスカじゃん?>

 

はぁ?わからん奴だなぁ!見た目じゃねぇんだよ!見た目じゃ。

 

その証拠に、ほらリラは泣き止んだぞ。

俺の胸元を涙と鼻水と涎でべとべとにしながらだけどな!!!!

 

[オレはオマエを追い詰める気はなかったのじゃ...]

 

うんうん、分かるよリラは優しい子だもんな。

 

[オ、オマエがそこまで気に病んでいると知っていたなら・・・]

 

「ううん、これは本望だから。私の生徒たちを助けるために自分の意志で選んだの。」

 

背中をトントンと優しく叩いていた手を止めリラと目を合わせる。

本来の司令官と同じように魔法少女たちを生徒と呼べば、その意志の強さが伝わったのだろう

乱暴に目元を拭い気を取り直したように俺の手を離れ地面に降りた。

 

 

だから、貴方にも協力してほしい。私だけじゃムリだから

 

よしよし、やっと本題に入れるよ。

君の探知能力が必要なんだ!

じゃないとピンチの魔法少女の助けに入って自分が傷つく曇らせムーブができないからね!

 

 [任せろ!魔法少女たちを守るぞ!]

 

意気込みながらリラが言う。

 

その言葉が聞きたかった!

いいぞぉ、完全復活で、絆も深まった。

万事OKじゃないか!

 

 

[もちろんオマエの事もオレが・・・]

 

 

なおマッチポンプでは?という正論は受け付けておりません。ご了承ください。

それと何かボソボソ言っていたような気がするが何も聞こえておりません。

 

俺のことを守る誓いを立てたことなんてね?

 

『ガシャァンン!!!』

 

そうして、これからのプランをたてようとしたところで大きな破壊音がする。

 

つっ!?!?

 

 

良い曇らせの種が出来そうだと思ったところで邪魔が入ったんだが?

 

何なんだよもう!

 

この辺でなんか戦闘あったっけ?

ストーリーだとどうだったっけなぁ~

 

 

え~っと・・・

 

あ、やべッ。

 

思い出したわ。

今の音は魔物が暴れている音でございます。

 

<どんな状況なの?>

 

 

実はですね。ストーリー上の逆行先って初めて魔物が出て大パニックが起きたときなんだよね。

 

つまりは、こんなところでうだうだしてる場合じゃなくて本来の歴史と同じように多大な被害を出す前にすぐに戦いに行かなきゃいけなかったわけです。

 

なお俺はリラのメンタルケアに時間を使っていた模様。

 

すぅ~。ハイ。

 

 

どうしましょうかね?

このまま放置してるとマジでとんでもねぇ被害がでます。

 

あの破壊音はね、すでに魔法少女に覚醒した子たちが戦ってる音なんだけど当然戦い方も知らない訳でクソ雑魚のチュートリアル敵にも大苦戦するんだよね。

 

 

<なら、すぐに助けに行けば?>

 

 

いや、俺もそうしたいんだけどさぁ。

今の姿思い出して?

 

猫耳生えて尻尾生えたどう考えても人寄りの獣の姿なわけよ

 

しかも、そもそも俺自身が戦いなれてないからゲームの魔法は分かっていても現状何ができるのかわからん!

 

だから常識的に考えると2次災害になりかねないから行かない方がいいんだよね。

 

 

[いくぞ!ここから0.3KM先に魔物が出現しておる]

 

リラさん?!ウラギリディスカ!?

 

うん、わかった

 

分かったじゃねぇよ!!!

せめて練習させろや!

そう思いながらも先ほどの決意なんだったん?ってなるから今更ちょっと待って、って返事や撤回もできない訳で・・・

 

うぉぉおおおおお!!!!

 

なんとかなれぇぇええ!!!(やけくそ)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

【断空】

 

 

はい、何とかなりました。

ゲームの通り魔法名だけで勝手に打てました。

 

姿の方も問題ありません

現場にダッシュするまでに必死に魔力らしき何かを操って認識疎外しました。

スゴイでしょう?俺をほめてください!

 

 

なお、それが成功した結果

現状の自分はいきなり現れたうえで魔獣を両断したクッソ怪しい人型の何かです。

 

「「「「なにが起きたの!?」」」」

 

 

そのせいで完全に警戒されている模様...

ねぇ、その危なそうなハンマーやら弓やら杖を向けないでもらえます?

怖いんだよねぇ純粋に。

 

この警戒を解くにはオレが敵じゃなくて、魔法少女だとわかってもらえればいい訳で

 

・・・・魔法少女名を名乗らせてもらいます!いいですね!

 

私は、魔法少女・・・・

 

えっと・・・

名前どうしよ?本来勝手に決まるんだけど、俺は好き勝手にキャラクリしたせいでそういうのないし、安直にもともとの役職の司令官を英語に直しただけだとCOMMANDERなんだよ。これむしろ敵側の名前だよな?

 

 そうだ!

 

魔法少女ティーチ、苦戦してそうだから助けた。それだけ

 

 

さっきも言ったけど司令官ってその地位になるまでに戦い方を複数の魔法少女に教えてた時期もあったんだよね。

で、その時先生とも呼ばれてたしね!

バッチリでしょ!

 

「「「「魔法少女ティーチ・・・・」」」」

 

 

なお、そこまで名乗ってから現状魔法少女機関も妖精府もない完全初期であることに気づいた無能が俺です。

 

現状なんのルールも決まってない状態でこんな紹介急にされたら当然ポカーンってしますよね

 

わかります。

 

【ワープ】

 

クッソ恥ずかしいんでこのまま河川敷に帰りますね!!

 

サヨナラ!!!

 

[お疲れ様・・・]

 

やめてくれリラ、その憐れむような目は俺に効く。

 

アホをさらした俺にとどめを刺さないでくれ...

 

ん、また出たら教えて

 

もういいもん!寝る!

 

認識疎外の為にいじくりまわした結果できるようになった空間操作で河川敷の空間を切り取って異空間を作りその中でベットを形作っていく。

 

こんな芸当だってできるようになったんだから+だし?

クッソ恥ずかしい真似さらした挙句に逃げ出してきたのなんかチャラだし?

 

 

おやすみ。

 

なお、こんな内心あらぶってる状態でも

なんだかんだ疲れていたようで、数秒で寝れた模様・・・

 

俺ずぶとすぎませんかねぇ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




閲覧ありがとうございました!

ちなみに狂人の洞察力ってご存じでしょうか?

クトゥルフ神話TRPGの第6版の選択ルールなんですが
凶器に陥った者がその状況の原因を見抜いてしまうというルールです。

INTの5倍より高い数値をダイスロールで出さないといけないとか
そう言った縛りはあるんですけど面白い裁定ですよね
まぁ。本作にはあんまり関係ないのですがね?

はい。あとがきに書くことが無かったので雑談してるだけですよ。
なんの他意もございません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~いたいよ?~

本編に行く前に読んで欲しいのですが
原作と比べるとミジンコレベルですがこの作品には残酷な描写タグの通り
少しの流血表現、自傷行為等が含まれます。

この話でもそちらの表現が含まれますので苦手な方は斜め読み程度に抑えていただいた方がよろしいかもしれません。

なるべく表現は押さえましたがそれでも不快に思われる方はいらっしゃると思いますので。


<1章 牙を剝く獣たち>

 

<ティーチ視点>

 

 

こんにちはぁ!!!いきなりですが!問題です!

 

いま俺はどこにいるでしょうか~!10秒でお答えください

 

 

せ~の10、9、8・・・・3、2、1、0、0、0

 

 

正解は!こっこ!こっこ!ここにいま~す!

 

閉店後の店内に不法侵入して

廃棄される寸前の弁当を空間魔法で強奪してま~す!

 

・・・・・いや、これが3か月間で何万人もの一般市民と魔法少女たちを救ってきた英雄の姿か?

 

情けなさ過ぎて涙が出てくるんだが?

 

あぁ、あとカウントダウンはナニとは言いませんが使ってもらって構いませんよ。

中身男のケモ耳魔法少女に需要があるならだけどなぁ!!!!

 

帰るか。

 

誰も見えないのに体を使ってネタをするとか虚しいよね...

下手に動いて認識疎外をしている人がいることがバレると困るし、さっさと帰って夕飯食べましょ。

 

今はゲームもできないから娯楽がそれくらいしかないんだよね

本当に辛い...

 

まぁ昔から食べることが大好きだからそれができるだけで割と精神状態は保ててるんだけどね?

 

なお、現在はその癒しのごはんタイムも虚無と化している模様。

 

[おいしいな。]

 

うん。

 

という会話をお互い虚空を見つめながらしてます。

シナシナの野菜と冷めた総菜の食感にはもう飽きました...

 

ただし!!このクソみたいな食生活も今日でおしまい!

 

<なんで?どう考えてもすぐに解決できる状態じゃなさそうだけど?>

 

実はですね。ストーリー上だと。

0章から3か月後には魔法少女機関が発足されて倒した魔獣によって謝礼が払われるようなるんですね!

ここは基本的に全ルート変わらないんですよ。

 

つまり、河川敷住まいの泥棒猫からランクUPできるわけ!

なお、戸籍も保険証もないので住所不定なのは変わらない模様...

 

 

<そんなんで風呂とかトイレどうしてるの?>

 

ははは!魔法少女はアイドルだよ?

トイレなんて行かないし、風呂に入らなくても常に清潔なのさ!

と、当然のことだよ。

 

・・・いや?ネタじゃなくてね?

戦闘中にトイレなんて行けないし、敵の血でべとべとになってもすぐに洗えるとは限らな訳じゃん?だからそういった機能は変身中は免除されるのです!

 

なおケモ耳少女によくある、くさそうという感想は受け付けておりません。

俺キレイ。イイニオイ!

 

・・・・う~ん。まだかな?話のネタがなくなってきちゃったよ?

 

結構時間潰してるし、そろそろその件についてのメールが届くはずなんだけど・・・・

 

『ピロン!』『メールが届きました』

 

うお?!思ったより音でけぇな?

ケモっ娘状態になってから音に敏感でこうやって身構えてても割と驚くからちょっと音下げてて欲しいんだけどなぁ。

 

まぁ、今回は許すけど!

 

訝しげにタブレットを取り出したリラの顔が笑顔になっていってるのでどういった用件かはわかるからね。

 

 

[見ろ!オレ達もまともな食生活ができるようになるぞ!]

 

ほらやっぱり。

 

倒してきた魔獣の分の報酬を支払いますよ!

専用のアプリはどの店でも使えるからそこから引き出して使ってね!

って言うのがクッソ硬い文面で来とるよ。

 

ちなみに、この連絡を受けるためだけに3か月間リラのタブレットの捨て垢のメールアドレスを助けた魔法少女にバラまき続けました。

 

また困ったことがあれば君の妖精に連絡をしてもらってね。なんて言伝を付けて。

 

おそらくそこから機関にアドレスが回ったのでしょう。

まさか妖精さんと連携しているとはいえ、なんの手がかりもないのに個人のメールアドレスを勝手に特定してメッセージを送ってきているとは思えないからね。

 

いや?そうだよね?

 

うん・・・・このまま考え続けると

深淵を覗くとき深淵もまたこちらを覗いているのだ!案件になりかねないから流しましょう。

さっきのメールアドレス捨て垢じゃなかった気がしたけども・・・

 

|д゚)  ヒョコ?

 

ヒエッ・・・・・

 

俺は何も気づいてないです。最高に幸せです!

 

 

>゜))))彡 サッ!

 

ふう...マジでシャレにならん。

 

ゲーム設定が妖精関係だけフワフワしててブラックボックスみたいになってるせいで下手したら、いあいあ案件が飛び出してくるのコワすぎなんだよね。

 

過去にも他の世界で魔法少女を覚醒させて導いてきたとか、分かることもあるけど設定資料にすら書いてないことが多すぎるんよ!

 

基本的に何か必須じゃなければ関わりたくないです!

 

<今回関わってるじゃん>

 

って?あぁ、まぁ普通疑問に思いますよね。

いやまぁ、そんな恐怖があってもわざわざこうやって関係を持った理由があるわけでして・・・・

 

当然、生活水準が上がるってだけなわけがないんだよな。

 

俺はお腹と頭が直結してる感じの腹ペコキャラじゃないので!

 

<その理由は?>

 

はい、それはですねぇ、アプリの存在です!

 

魔法少女にしか使えない支払いアプリ。

コイツが欲しかったんだ!

なぜならこの後の仕込みに必要だから。

 

愉悦部の同士諸君じゃなくても分かると思うけどこのアプリってまるでコイツ魔法少女なんで狙ってください!!って主張してるようなもんじゃない?

 

そんな状態の物を社会で使ったらどうなるか!

 

うん、当然悪用されます!

 

買い物したら相手に魔法少女なのがバレるわけです。

しかも変身してない姿がバッチリと。

当然その年代の子が突然襲われて対応できるはずもなく・・・

そりゃ魔法少女を攫うクソみたいな(素晴らしい)機関がのさばるよな。

 

・・・・アホかな?

 

妖精さんがアプリ自体を運営管理するにしても

なぜ魔法少女機関はこんなものにGOサインを出してしまったのか...

 

なお、その時の責任者は

魔法少女は頑張って、守ってくれてるんだから、それに害を与える奴はいないと思ってたんだもん!とかクソみたいな言い訳をしたうえで牢屋にぶち込まれましたとさ。

 

ちゃんちゃん♪

 

頼むから二度と出てこないでくれ...

 

 

 

あぁそうだ。ついでにこれからの流れが分かりやすいようにゲームの共通の1章の話も一緒にしようか。

 

1章は魔法少女の誘拐を企む組織を潰す話。

 

ここでの重要人物は主人公である俺と逆行前の俺のポジションの指令官

 

つまり全部俺状態。まぁ当然他の魔法少女もいるけどそっちはいてもいなくてもあんまり変わんないので...

 

 

そんなストーリー。当然、たくさんルート分岐がございまして

 

≪ある程度までの魔力総量がない、あるいは魔法少女機関に現状で所属≫

 

って条件を満たしていれば、事件が終わった後から勧誘されて司令官と一緒に組織を潰すためにいろいろやります。

 

当然これが正規ルート。

他の魔法少女や機関、司令官と絆を深めながら事件を解決していきます。

 

良いですね!正統派魔法少女の青春ストーリー。面白そうです!

 

だが、無意味だ。

 

すでにそのルートは断たれています。

そりゃそうだ。現状、機関に所属してないし魔力総量なんて首都圏丸ごと2.3回は消し飛ばせるくらいありますからな。

 

ならどのルートになるか...

それは・・・俺自身が襲われるルート。

他のルートもあるけれど俺は今回このルートを選びます。

 

このルートでは何とかできる力はあるけど

逆行前と完全に同じルートをたどるのかわからないから慎重に行こう。

ということでリラも俺もすぐには動かない。

 

当然、どこにアジトがあるのかは知ってるし誰が黒幕なのかも知ってますが、勘違いでやっちゃったZE☆とかシャレにならない訳だからね!

 

 

なお、このルートに進むと下手すると変身解除してるときに襲われてバッドエンド直行です!

基本相手は不意打ちで無力化してくるわけですからめちゃくちゃキツイルートになります。

 

まぁ俺には関係ないんだが。

 

他の魔法少女と違ってたとえ魔法の発動媒体を奪われようと、魔力量でごり押しして無理やり発動できるし、そもそも変身解除不可だからね。

 

はぁ?なんだよつまらねぇなと思いの画面の前の皆!

安心してくれよな!バチバチに曇らせてみせるぞ!リラも指揮官も魔法少女機関もまとめて!

 

その計画は・・・・いや

 

そうだな。その目で確かめてもらおう!

 

ということでそろそろ正気に戻ってもらいましょうかリラさん。

 

[野菜スティック~!新鮮な果物~ふんふん♪]

 

キミ何のために俺と逆行したのかわかってる?

未来知識あるんだからこの先何が起きるかわかってるはずなのに完全に忘れてますよね!

 

そんなんじゃこれでよく妖精代表が務まるな!

略してこれ妖案件ですよ?

 

嬉しいのは分かるけど、誘拐事件と約束。忘れないで

 

釘を刺しておきますか!

 

3か月の間に二人で話し合って逆行してきたことはあっちから尋ねられるまで話さないってのと、正体を隠して行動することも約束したしそっちを忘れてると困るからね。

 

[お、おう!忘れとらんぞ!]

 

おもいっきり慌ててるけどほんとに忘れてなかったんですかねぇ?

怪しいなぁ?

 

うん!ちょっと嫌がらせしちゃお!

あんだけ曇らせたのに3か月たったら忘れてお調子者の性格に戻るのが悪いんだよ?

 

それならいろいろすっ飛ばして話を進めても問題ないよなぁ?ちゃんとそのことも頭にあったんだもんな?

 

ということで

 

私が魔法で変身解除した魔法少女に見せるから襲ってきたところを反撃して生け捕りにしよう

 

ササっと結論を言いましょう。どう帰ってくるかな?

 

[そうじゃな。現状過去に戻ってきたとはいえバタフライエフェクトは多分に起こっているじゃろうしそれが一番の良策かもしれぬな!]

 

えぇ...思ったよりちゃんとした答えが返ってきたし。

慌てふためくリラが見たかったのになぁ。

 

はぁ

 

マジ残念。

こういうところですぐに返せる当たり頭の回転は速いのよね...お腹に直結してなけりゃクッソ有能なんだけどなぁ

 

[ん?なんじゃ不安なのか?ため息なんぞついて。

 大丈夫だ!何かあればオレが守ってやるからな!]

 

そう!しかも、このマスコット

その言葉通りにある程度戦闘力があるんだよね。

相手が飛び道具とかで武装してなきゃ余裕で勝てるくらいには

なお飛び道具があると普通に負けます。本体くそ雑魚なので。

 

そんなところも残念感を助長してますね!

 

まぁ、聞きたいセリフは聞けたからいいんだけど。

 

ということで明日からアジトがある付近のスーパーで

ガンガン買いものをしていきましょう!

 

今日は寝ます!おやすみ!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

おはようございます!

こんにちは!

こんばんは!

 

はい、全世界の皆様の時間に合わせえた挨拶をしております。

 

どうも俺だ!!

 

テンションが高いなって?

そりゃやっと罠にかかってくれたからな!嬉しくなるってもんよ!

 

食材とガスコンロやなんかを持ち込んで外での食事が好きな子を演じるのはめっちゃ疲れたわ。

 

最初なんて火力調節よくわからなくて、黒焦げになったのを必死に口に押し込んでたからね?

 

じゃりじゃりしてヒドイ食感どころじゃなかったよ!?

 

せめてリラの為に買ってきたバナナ(キウイ)をもらえたら良かったんだけど、アイツそっち見た瞬間全部口にツッコミやがって!

 

食い意地張りすぎなんだよね!

 

他にも作ってると途中で風に煽られてフライパンに砂埃がINしまくったり、そもそもガスが切れて生焼けになったり...

 

でもそれも今日でおわり。

 

ついに隠れていた一人の組織のメンバーと

残り二人の魔法少女に恨みを持つ一般市民が仕掛けてくるんだからね!

 

[ふたり、かの]

 

歩きながらも小声でリラが確かめるように話しかけてくる。

妖精の声は相手に聞こえることはないし、魔力を持たない存在には姿を消していない状態でもただの動物にしか見えないが念には念を込めてだ。

 

うん、いつものところで食事にしよ!

 

それに対し、俺は反応し計画に変更はないことを暗に伝え、決めていた通りにいつも食事をしていた外から見づらい場所に向かう。

 

 

しっかしさすがだね。組織のメンバーの方は、リラの探知からバッチリ外れて潜んでるよ。

 

もともと国のエージェントなだけあるってことだね!

 

・・・おっと情報をおもらししちゃった。

これは秘密で!

 

さてと

 

さっさと出てきたら?そこの二人。なんの用かは知らないけどついてきたのバレてるよ

 

あえて2人と限定する。

そうすれば気づいていないように見せかけやすいからね。

下手にタイミング見図られてもこっちも困るし...

 

「クソ!やっちまえ!」

 

予想通り!

下っ端の何も知らない市民だけが焦ったように物陰から出て、素人感丸出しで殴りかかってくる。

 

変身

 

そういって杖を取り出し、耳と尻尾の偽装を解除

それと同時に魔力の塊を相手に打ち出し吹き飛ばす。

属性魔法使うとスプラッタ会場になっちゃうからね。強すぎると手加減も大変なのだ。

 

「「ぐぇっ・・・」」

 

過たず飛んで行ったそれらは直撃し相手の身体を2~3メートルは吹き飛ばしただろうか。

 

 

ふぅ、人間相手に使ったことなかったけど楽勝ね!

 

 

吹き飛んだ先で立ち上がれず呻く男たちを見ながら油断したようにつぶやく。

 

ほら今だぞ!麻酔銃カモーン!!

 

 [うまくいったのじゃ!]

 

そう言ったリラの方を向く

わざわざ首筋を隠れてる方に向けてるんだから外さないでくれよ?

 

 

『ぷすっ』

 

口を開こうとしたとき

確かな衝撃を感じた。

それと同時に自分から杖を離し地面に倒れこむ。

 

あっ、なん・・

 

やっべぇ割と呂律回らん。体は普通に動くし視界にも不具合はないけど・・・

 

どんだけ強いの使ったんだ。現状俺の身体って呪いの影響で大抵の毒物も麻酔薬も影響なくなるはずなんだけど?

 

これ普通の魔法少女だったら永眠するくらい強いの使ってない?大丈夫?

 

 

「ふん、この程度か」

 

そう言いながら物陰から出て近づいてくる一般市民に見せかけた男

 

 [ティーチ!!!]

 

俺の名前を叫びながらそこに光弾を放ち攻撃するリラは

 

「妖精というやつか、戦えるとは初めて聞いたが・・・しかし攻撃が単調すぎるな!」

 

そういいながら光弾の群れを避け接近し蹴りを叩きこんだ男になすすべもなく吹き飛ばされ動かなくなる。

 

ヒュー!

あれだけの密度をかいくぐるように抜けて、情け容赦なくカワイイ動物を蹴り飛ばすとか完全にプロの犯行ですね!

 

ただ追撃するのはやめてもろて。

 

『ゴッシャア!!』

 

明らかに蹴りで出る音じゃあないんだよねソレ。

ギリギリで結界張れたから良かったけどあんまり魔力注いでなかったから歪んでるんだが?

 

直でぶち当たってたら下手したら体爆散するくらいの威力出てるよ間違いない。

リラに死なれたら困るんだよね!というか傷つくだけでも俺の悲惨さが薄れるからやめていただきたい。

 

ということで!内外からの全てを一切通さないような結界を張ります。

これのミソは内側からも破れない点。外側から音と空気だけ通すようにしとこうか!

 

これからの暴力!暴力!暴力!の現場を全部観察しておいてほしいからね。

気絶してるっぽいけど早く起きないかなぁ?たのしみだなぁ!

 

「まだ動けるのか」

 

結界を張った瞬間グルンとこちらに向き直った組織の男が素早く構えなおした麻酔銃を撃つ。

 

『ぷすっ』

 

おっと?お代わりが入りましたけど?!

鬼畜すぎんか?人の情というものがないようですね!

まぁ効いてないんだけど。

 

「ふむ、この杖が媒体か」

 

かろうじて触れていた杖を手ごと蹴飛ばされる。

 

いや、力つよ!手ごと体持ってかれるかとおもったわw

 

「しかし愚かなものだ。妖精を守るなら自分を守っておけばいいものを。」

 

いや、それはそう。

正直愉悦部じゃなかったら自分に張ってからリラに張りなおしてるよ。

それが最善手だもん今の場面

 

「すみません気づかれていたようで」

「しっかしこんな獣と混ざったような化け物が・・・・」

 

おっと吹き飛ばした奴らも復帰してきたっぽいな

うつぶせだから何も見えんけど。

 

 

うっ・・・・

 

だからと言って腹蹴飛ばして壁にたたきつけて顔を上にするのはどうかと思いますよ?!

 

リョナ勢ですか?

 

「像でも10秒で昏倒する麻酔薬を使ったんだがまだ反応するか。つくづく魔法少女というのは化け物らしい」

 

いや、そんなもん使うなや!

どう考えても人間に使うもんじゃねぇよ

 

お前ら人間じゃねぇ!!

 

「俺はもう満足だ。あとはお前らの好きなようにしろ」

 

そう言い靴音を鳴らしながら離れていく組織の男

 

後に残ったのは男二人何も起こらないはずがなく・・・・・

 

「えっと、どうするか。」

「あぁどうしようか?」

 

いや、何も起こらないはずがないとは言いましたけどね。

俺にそれを向けてもらはないと困るわけですよ。最悪、劣情ぶつけられる[覚悟]まで決めてたからね?

 

なのに現状は目の前でおろおろするだけ。

 

は?俺の事ボロボロにしてくれよ!

期待外れだよ!

 

・・・・なんかドMっぽいなこれ?

違うからね?愉悦したいだけだから!

 

俺の計画的には暴力を振るわれないと困るんですよね!

 

なので今からあなた達を怒らせます!覚悟してください!

 

今まで・・・守ってあげていたのに・・・

 

はい、

基本的に恨みを持っている連中は上から目線で言われるのが大嫌いです。

その上守られていないのに守っていたという発言

 

当然、逆鱗に触れるどころかクリティカルヒットします!

 

「ふざけんな!俺の妹はな!瓦礫に挟まれて必死に叫んだ助けてくれって言葉を魔法少女に無視されて死んだんだ!」

 

「オレの弟もそうだよ。魔法少女なら治せるはずだった怪我を他の魔法少女が怪我したかすり傷を優先されて死んだ!」

 

 

お、おう

思ったよりつらい過去が来ちまったな。

 

 

正直めっちゃ申し訳ないし

それに加えて自分から煽ったわけだから、現状殴る蹴るされてるのも甘んじて受け入れましょう。

 

 

・・・だけど足りないんだよね

オレの装甲を抜いて跡を残すためにはさ。

 

現状実験体(キメラ)の再生効果も切ってるのに俺の柔肌に傷一つついてないからね。

 

だから反抗的な目を向け、嗜虐心を煽る。

 

「その目がむかつくんだよ!」

 

あとは、他のところを蹴られても反応しないのにお腹だけは庇おうと動きます。

 

「へぇ。腹はいやか」

 

こうすれば一か所に集中して攻撃を延々とされる機構の完成です。

 

途中途中で口内を嚙みちぎって血も吐きましょう。

 

そうすれば成果が見えず途中で相手が諦めることもありません。

 

まぁそれにも限度はあるわけですが・・・・

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「「はぁはぁ」」

 

肩で息をする男たち。

それも仕方ない。昼過ぎからやってるのにもう日が暮れてきてるからね。

 

ちなみに今の俺は相当芸術的に仕上がってると思うわ。

いまだに動けない演技を続けてるから完全には確認できないけどもうそれはそれは酷いことになってるよ絶対。

殴られすぎて感覚無くなっちゃったから自分の被害がよくわからんのだけどね・・・・

 

 

「満足したか?」

 

そう言うと、組織の男は俺の生死確認でもしているのだろうか

手首に触れる。

 

ん~ここで死んでると勘違いされた方が面白いし承〇郎みたいなことするか!

☆の白金で心臓握るやつ。

まぁ俺にそんなもんないから時空魔法で体内と対外を遮断するだけだけど。

 

「っち、死んでるじゃないか。全く化け物のくせに使えん」

 

その言葉に自分のやったことを自覚したのか

震えながらしゃべる男たち。

 

「え、死んでるって・・・・」

「俺たちが殺した・・・ってコト!?」

 

なんか邪悪なちいかわみたいなの居たけど!?

 

わァ・・・・あ・・・・

泣いちゃった!!

ってオレが返さなくちゃいけない?

 

泣きたいのは俺だよ!!

よく考えたら俺から曇るリラの事見えてねぇんだもん!

 

録画魔法とかないんですかねぇ?

はぁホント無能。魔力量だけ無駄にあるの恥ずかしくないの?

 

こういう時の為にちゃんと魔法の種類増やしてもろて!

 

 

「なんだ。そのつもりじゃなかったのか?」

 

そう言った男の言葉に完全に錯乱したのかこんなはずじゃ!

とかいいながら逃げていく足音が二人分聞こえる。

 

俺し~らね!そもそも誘導したとはいえこんないたいけな少女にこれだけ暴力をふるったんだからしっかり反省しましょう!

 

あと、組織の奴は絶対許さんからなぁ!時折参加しに来やがって!お前の攻撃が一番効くんだよ!

 

バーカ!アホ!おたんこなす!リョナ好きのペドフィリア!

 

「む、気のせいか。」

 

いってぇ!いきなりナイフ取り出して尻尾切り取るなや!

何?まだ心音とか諸々は遮断してるんだけどなんか勘が働いたの?

 

 

「はぁ、本当に死んでいるようだ。全く」

 

いや、怖すぎないか?体が反応しないようにしておいてよかったわ!

気を抜いて反応してたら絶対連れ去られてたでしょコレ!

 

『ドチャ...』

 

何か湿ったもの、たぶん俺の尻尾を投げ捨てたような音が聞こえそのあとに悠々と歩く聞き逃しそうな足音が一つ少しづつ離れていく。

 

それが聞こえなくなり1分、2分と時間が過ぎる。

そこまで確認してから倒れていた体を起こし壁に横たえた。

 

さぁてと

 

リラはどうなってるかな?

自分の被害確認もそこそこに結界を解除する。

そうすれば向こうからこちらに来るだろう。

 

 [ティーチ!!ティーチ!!!!]

 

叫びながら来るその手は、結界を叩いていたのだろうか

皮が裂け血が出ていてひどく痛そうだ。

 

 

大丈夫。油断した。それより手大丈夫?

 

自分の被害よりも他人の怪我の方が気になるときって往々にしあるよね。

 

自分は車にひかれて大怪我負ってるけど、目の前で突き飛ばした女の子の擦りむいた手の方が気になるとかさ。

 

[バカ者!オレの心配をするより先に自分の事を心配しろ!すぐに病院に行くぞ!正体を隠すことなど気にしている場合ではない!!]

 

そういってタブレットを取り出し電話を掛けようとする

 

・・・・・あぁ、忘れてたわ。

 

いやだ。それよりタブレット借りるね

 

俺の手元とリラの目の前の空間を魔法で繋げる。

するとポータルのようなものが目の前にできてリラの驚いた顔が目の前に見える。

 

そのまま手を伸ばしてタブレットに触れれば驚愕して動かないその手は力が抜けていて軽く取り上げることができた。

 

カメラアプリを起動して傷口が分かりやすいように衣装を脱ぎ捨て全裸になりながら360度全身を撮影していく。

 

普通なら背中側とかって自分だと撮影しずらいけど魔法があると便利でいいね!

 

先に機関への連絡しなきゃいけないから。証拠あった方がいいし

 

撮影後はわざわざ止めていた再生能力を起動すればいいし

かなり酷いケガになってるけど・・・・

 

すぐ直るから

 

実験体(キメラ)の呪いの効果を正常に働かせれば一瞬で直るからね。

 

 

それと疲れたから寝るね

 

ただなんか無性に眠気があるんだよなぁ。

ケガしすぎて血を流しすぎたとか?かなぁ。

 

リラの答えも聞かないでベットを作り眠りにつく。

 

おやすみ」  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様 0831029様から投稿された新曲の方は聞きましたでしょうか?

新たなキャラクターソング!最高ですね!!!




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~あいしてる~

今回もグロ注意です。
前回の描写でそんなに問題がなさそうだったので
もう半歩くらいエグイ方に踏み込みました。

ダメそうだったらまたマイルドに変えます。


<1章 牙を剝く獣たち> 他者視点

 

<リラ視点>

 

[ふ、ふぐ]

 

オレは何をしていたのじゃったか・・・・

ズキズキとした痛みを感じる腹を抑え立ち上がる。

 

そうして霧がかかったような思考を頭を振り晴らそうとした時であった。

 

それ(・・)が視界に飛び込んできたのは。

 

 

「はは!思い知ったか!」

 

狂ったようになにかを蹴り続ける二人の男と眺めるだけの一人。

 

あれは・・・なんだろう?

赤く染まった布?と黒い水?

 

最初はそうとしか見えなかった。

だけど靄のかかった視界が定まり視点が合えば何か理解するのは簡単で。

 

その正体はあの子だった。

白いワンピースが血を吸い赤黒く染まり

それでとどまらず血だまりを作っている。

そんな中に力なく横たわるティーチ。

 

[やめろぉ!!!!!]

 

絶叫しながら持てる限りの魔力を使い光弾を放つ。

しかし、そのすべてが何の意味もなく眼前で霧散する

 

 

そこで初めて気づいたのだ。見慣れた魔力で自分が守られていることに。

 

これが意味することは一つ。

あの時に蹴り飛ばされたオレを守ったせいであの子はあそこで嬲られている。

 

[ティーチ!結界を解除しろ!]

 

声が届くはずの距離なのに彼女は一切の反応をしない。

そればかりか屑どもの誰一人すらも反応しない

 

[なら!]

 

タブレットを取り出し連絡を取ろうとする。

しかし魔法でどこでもつながるはずのそれは一切反応を示さない。

 

この強すぎる結界は完全に内側からの接触を断絶しているようでその電波さえも止めてしまっていた。

 

そのうえで彼女の意識がなくともその効果を微塵も弱めていないようで先ほどの光弾でも小さなヒビすら入っていない

 

これでは妖精特有の転移も意味をなさないだろう。

魔力が無くても行えるソレをためしてみるが予想通りなんの効果も示さなかった。

 

 

[解けてくれ!おねがいだ!]

 

叩く!結界を叩き続ける

魔力を使い果たしたオレではそれくらいしか攻撃手段がないから。

 

 

そうしてどのくらい殴り続けていただろうか。

 

[お願い、します。]

[守るって約束したんだ。おねがいだよぉ!壊れてくれよぉ]

 

なんの代わり映えもなく健在の結界にグローブのように腫れあがった手で力なく殴りつける。

 

裂けた皮から溢れた血がこびりつき視界は悪くなり、肉を叩きつける湿った音が響き続けている。

 

そんな状態で離れたところの会話なんて聞こえるはずないのに

 

「死んでるじゃないか」

 

その声だけはなぜか聞こえた。

 

嘘だ。嘘だよ。

オレが殺した?オレが弱かったせいで死んだ?

 

最初の時だって余計なことをして苦しめた。

 

守ってやるだって?魔法も使えない人間に負けておいてよくほざいたものだ

そのくせ自分は守ってもらって?

挙句の果てに彼女は死んだ。

 

 

[あぁああああああああああああああああああああああ!!!!]

 

[殺してやる!!殺してやるぞ!]

 

あの子を傷つけた相手を探し出して皆殺しにしてやる。

当然、オレ自身も最後に。誰よりも無残に殺そう。

 

[ティーチ!!ティーチ!!]

 

いつの間にか解けていた結界

そこから飛び出て駆け寄る。

 

[ごめん・・・なさい、オマエの仇は絶対に討つから・・・]

 

傍らに落ちていた無残にちぎられた彼女の尾とともに優しく抱え上げたその体は冷たくなっていて、命というものを一切感じられない。

 

勝手に殺さないで

 

だというのになぜだろうか。彼女の声が聞こえた気がした。

 

都合のいい幻聴だ。流れ出た血の量はどう見ても致死量を超えているのだから生きているはずがない

 

おろして、別にこの程度何でもないから。油断した私が悪いし。

それより手大丈夫?

 

もぞもぞと動き出し、確かに地面を踏みしめる彼女。

めくれ上がった衣装から除くその腹部は外皮が破れるどころか内臓が見えていてどう考えてもオレの事を心配している場合ではない

 

[バカ者!オレの心配をするより先に自分の事を心配しろ!すぐに病院に行くぞ!正体を隠すことなど気にしている場合ではない!!]

 

いやだ、それよりタブレット借りるね

 

なのにこんな傷、些事だと言わんばかりに動き出す。

 

 [何を、しておる...]

 

オレのタブレットを使い写真を撮る間にも傷からは血液が漏れ出て足元に血だまりを作り続ける。

 

それは詳細に撮ろうし体をひねるたびに勢いを増し挙句の果てに脂肪と内臓が混じったようなてらてらとした肉片が傷口から漏れ出す。

 

機関に連絡するためにね。証拠があった方がいいでしょ?それにすぐ治せるから。

 

その言葉を聞いて、オレは彼女の覚悟を勘違いしていたことに初めて気づいた。

 

彼女は魔法少女を守ろうとは過分なくらいにしている。

 

だけれどその中に自分が入ることはないし有益になるためなら己の身を顧みることはないのだと。

 

最初もそうだ。

なぜ気づかなかったのだろうか?こんなにも明確に行動に出ているのに...

 

 

・・・・その答えはすぐに思い浮かんだ。

つまりは彼女は先ほどの己と同じなのだ。

方向性は違えど死を計算に含んでいる極まった覚悟の姿。

最期は自死に向かう破滅の旅路。

 

だからオレ一人では彼女を助けることはできないのだ。

いくら準備をしようと、自分を除いた最適を選ぶから。

行動の根底は自戒なのだから。

 

ならばオレはこの世界で機関に頼ろう。

そうだ、それがいい。

 

大量の呪いを持った彼女ならば一人でなんでもできると思い込んでいた。

それは確かに間違いないだろう

任せておけば全てハッピーエンドにしてくれる。

だけど確実にそこに彼女はいない。自分がそこにいることを許しはしないだろうから。

 

それでは意味がないのだ!

 

疲れたから、寝るね

 

あれほど凄惨な傷も体の欠損も何でもないように一瞬で消した彼女。

だけれどその痛みは本物だったはずだ。体を動かすたびに顔を顰め、歯を食いしばっていたのだから。

 

当然大量の気力を使い疲れ果てているのだろう

代わりに連絡しておいてほしいとオレにタブレットを差し出す。

 

 [うむ、ゆっくり休め]

 

ここからだ。より悲惨さを演出すれば魔法少女機関は必ず動いてくれる。

向こうからも守らなければいけないと認識させよう。

今のままでは正体不明の最強魔法少女でしかないのだから

 

一番幼く見え、一番傷がひどく見えるものを必死に探していく。

その傷は自分が原因でついたものだということから目をそらしてはいけない。

だからこの胸の痛みから逃げるな!

 

己の手の事など完全に頭から抜けて

必死にタブレットを操作する。

不思議と痛みは感じなかった。

 

「すぅ、すぅ」

 

あどけなさを残すその顔立ちも一緒に写真に収めておく。

実年齢は違うと知っているのはオレとこの子だけ。ほかの誰から見ても幼い少女でしかない

 

その獣の様な耳も尾も含めすべてはオレの罪の証だと知っているのも二人だけ・・・

 

『パチンッ』

 

涙がこぼれそうになるのを頬を叩いて強引に抑える。

 

泣くな。オマエに泣く資格はない!

後は文章だ。

 

襲われたこと。そのことについての注意を淡々と書き連ねる。

彼女ならばここで助けてほしいとは一言も書かないから

だけれどその凄惨さを示す写真、これだけで現状は分かるだろう。

 

それと重ねるように自分の名前で救援依頼を書き込む。

 

家がないこと。家族がいないこと。変身が解除できないこと。日々過ごす場所にも困っているのに本人は助けを求めていないこと。

 

それらを情景が思い浮かぶように入れる。

 

最期には先ほど撮った彼女の寝顔。

 

宛名には魔法少女ティーチの文言を入れる

 

 

彼女には伝えていないが毎日のように機関への勧誘メールが届いていたのだ。

向こうからの関心度は相当高いはず。

こうすれば上層部まで確かに届いてくれるだろう。

 

そこまでして送信ボタンを押す。

その直前で手がとまる。

 

いや、これだけでいいのか?

オレの知ってる未来の事を伝えてみればいいんじゃないか?

 

 

今回だってこの世界の司令官が対応するのを待ったってよかったのだ。

油断しておとり作戦なんてものをしたからこんな結果になった 

そうだ。いっそのこと未来の知識について全部話してしまおう!

タイムパラドクスがなんだ!知った事か!

 

そんな決意を決めた途端

 

 "それはダメです"

 

後ろからそんな声が聞こえる。

 

 

突然の事に驚き振り返ったその先には顔の無い黒い影が一つ。

そちらを見た瞬間混み上がる根源的恐怖とそこから来る震えを抑え込み強い口調で反論する。

 

 [誰だか知らんが指図されるいわれはないぞ!]

 

 

コイツは絶対に碌なもんじゃない。

眠っている無防備なティーチを守らないと。

そう思いこちらに注意を向けるためにそうした。

 

だけれどそれも無意味であった。

 

何もできないまま顔を掴まれる

いつ動き出したのかさえ認識できない速度で行われたそれは彼我の絶望的なまでの実力差を示している。

 

 [何をす・・・] 

 

それが分かっていながら

何とか彼女を守ろうと反抗した瞬間

 

 "記憶を曇らせる"

 "精神的従属"

 

そんな声が聞こえ意識が途切れていく。

 

 

 "つまらないことをされては困るのですよ。"

 

最後にそんな言葉が聞こえた気がした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

一瞬意識が飛んでいた気がしたが

目の前には確かに魔法少女ティーチの宛名まで入れ終わったメールがある。

 

一回見直してみるが文章ミスもないし

追加したい文章もなかった。

 

そのまま送信ボタンを押した。

 

 

そこまでしたところで

オレ自身も疲れていたのだろうか、ふいに抗えないほどの眠気を感じた。

 

さすがに地べたでは寝たくないので彼女の横に倒れるように横たわる

 

そこからは泥のように眠って夜中目を覚ますことはなかった。

 

朝起きたときになぜか彼女に抱きつかれていたのはびっくりしたが・・・ 

 

──────────────────────────────────────

 

☇☇☇視点>

 

かける。駆ける。翔ける。

 

ビルの群れを飛び越え、水上を濡れることなく疾駆し、森を木々が避けているかのように進む。

 

目的地はマーカーを付けた男がいるビルのすぐ近く。

 

一見廃墟のようにしか見えないそこ

実際はしっかりとした拠点で、間違いなく今回の件の原因がいる場所。

 

マーカーから400メートルほど先

政府が設置した魔獣の出現情報を管理するためのカメラの前で、無造作に銃を構え引き金を引く。

 

銃口が火を噴き。目標が見えないにもかかわらず当たる。

 

一発一殺

過たず急所を削り取った銃弾が声を上げることすらも許さず、その命も刈り取って土に還す。

 

これで終わり。はっ!雑魚め!この程度で魔法少女を襲うとか馬鹿じゃねぇの?

 

他の拠点も裏で糸を引いていた権力者もこの場からすべて撃ち抜き壊滅させた。

 

だから終わり。

本来こうして近くに来る必要もないのだ。ただ自分の姿を確認させるためにカメラに移りに来ただけ。

 

んべぇ!

 

舌を出し挑発するようにカメラを見る。

認識疎外でぼやけた姿であってもそこに誰かが居たことは明白でおれにたどり着くことは造作もないだろう。

 

・・・・少しだけ立ち止まり確かにカメラが動作していることを確認する。

 

 

用事はこれで完全に終わった。

このまま木々の陰に入ればその黒と赤の体毛も合わさって、行方を探ることは不可能だ。

 

機関の設置したカメラの死角になる位置にゆったりと歩いて入る。

 

ワープ

 

完全に影に入ってから軽くそうつぶやけば使い慣れたその魔法は拠点へおれを送り届ける。

 

とはいえこの世界で初めて手を汚したことは思ったよりも精神にダメージを与えていたらしくいつも通りとはいかなかった。

 

チッ。

 

地面から60cmほど上の空中に出現したおれの身体。

Z軸の調整が上手くいかなかったらしい

少しだけ不愉快だ。

 

ただ、空中に出てしまったこと自体はそこまで焦るものでもない。着地の衝撃を全て足裏の肉球と体のバネを使い押し殺せばいいのだから。

 

『ストッ』

 

軽い音をたてて着地しそのまま音もなく河川敷の小石の上を歩いていく。

少し歩けば目の前に広がるのは架橋の下の空間。

一見何の変哲もなさそうなソコがおれ達の拠点だ。

 

開け

 

その言葉で何もなかったはずのそこに裂け目ができる。

その中には寝づらそうに腫れた手を抱え、おれが作ってやったベットに寝そべるリラが見える。

 

借りるぜ?

 

反応できるはずもないが一応そう声をかけてから近くに落ちていたタブレットを拾い上げる。

 

魔法少女機関あてにでも一応メールを送っておくか。

そう思い画面に手の平を当てて魔法でメールを弄った後電源を切る。

 

先ほど強制的に眠らせたときに取り落としていたが

拾わずにおいて良かった。下手にリラに返していたら使うのも面倒だっただろうからな。

 

・・・・ま、拾ったとしても邪魔になるだけだから放置していただけなんだけどな?

 

ついでだ。

 

手のひらから緑色の柔らかい光が漏れ出し標的に優しく触れる。

未だ腫れあがっていたリラの手はそれで完治した。

 

今日はこれで終わりでいいか

 

そのまま布団の中に滑り込み

眠る兎を震える体をごまかすように優しく抱えれば、その姿は溶けるように元に戻る。

 

未だに瞳孔が開き、恐慌に震えていた緑の瞳もそれに合わせていつの間にか閉じて寝息を立て始めた。

 

 ──────────────────────────────────────

 

<司令官視点>

 

一通のメールが転送されてきた。

その内容とはアプリのせいで特定され暴行を振るわれたということ。

証拠として写真も添付されていた。

 

ついに恐れていたことが起きてしまった...

機関に所属している魔法少女への注意喚起は広まっていたが

当然、野良で活躍している魔法少女もいる。

 

そこへの情報の拡散は遅かった。アプリの危険性が広まり切る前についに被害が出てしまったのだ

 

メインモニター空けて!

 

叫ぶように指示をする。

機械の音だけが響くメインルームに轟いた自分の声に、周りで確認している魔法少女機関の職員がすぐに動き出し魔獣出現情報観測用のページから、先ほど送られてきたメールの情報のみにメインモニターが切り替わる。

 

 

「‥コレは...」

「っなぁ!なんて酷い...」

 

 

そこかしこから憤るような、嘆き悲しむような声が聞こえる。

それだけに留まらず、一部の者はその酷さに耐えきれずトイレに駆け出して行った。

 

正直なところ、やるべきことが無ければ自分もそれに続きたい気分ではあったが、今はそれどころではない。トップとして統率を取らなければ!

 

使命感で感情を抑え込み平静を装う。

 

市民から襲われて大けがを負ったそうよ。

 

職員には悪いが気分を整える間を与えずに簡潔に用件を伝える。

被害が出た以上言い逃れをされる前にすぐに責任者を捕まえるのだ!

 

各部門のトップに指示は一任します!それぞれ連携を!

 

もともと優秀なものばかりが集まった機関だ。

残ったものは気持ちを押し殺し、各自の部門に沿った行動を起こし始める。

 

「国営ニュースとしてできるだけの拡散を!」

「不足メンバーのいる部署教えて。戻るまでこっちでサポート出すわ!」

「犯人の特定に動かせる人員は・・・」

「被害者の救護に回せる魔法少女のピックアップします!」

 

 

送られてきたメールの内容を読みながら対応を進める中再度私も内容を確認する。

 

自分も傷害事件の方の問題に関わる必要性はあるが、各部門の責任者が集まっているここではその優先度は低い。

 

私が優先すべき問題はもう一つの方。差出人が魔法少女ティーチであること。

 

他の魔法少女と比べようもないほど高いその能力から機関で最重要要綱として指定されている彼女。

 

その彼女が被害にあったということは最悪の結果であり、どうしようもない軋轢を生む可能性があるのだから

現状の魔法少女機関内での最高権力である自分が最優先で対応しなくてはならない。

 

なるほど...かなり厳しい展開ね

 

メインモニターに出さなかったもう一通のメール

彼女の担当妖精から届いた内容を読み終わって正直な感想が口をつく。

 

定住地はなく戸籍もないから本人の特定も不可能。

生活環境は最悪で魔法少女としての変身状態から解除ができない。

 

そんな状況なのに誰かに頼る気はなく、病院での治療すら拒否。

当然のように魔法少女機関に所属することも拒絶...か。

 

妖精の方がこちらでの保護に協力的なのが唯一の救いね。

 

あとは...実際の姿が分かったのはいいけれど、普段から認識疎外が強すぎてもともと個人は判断で来ていたのよね。

 

 

他に情報は・・・

 

メールをより精査するためにスクロールして上端まで戻った時に、閉じられていた扉が開き黒服に周囲を囲まれながらでっぷりと太った50代程度の男性が入ってくる。

 

「真夜中に呼び出されたから何かと思えば...」

 

 

魔法少女機関の創設者のひとり。

アプリ関係や報酬の支給を総括している上官が現れたのだ。

 

それを尻目に私は用意してあった胸元のポケットのボイスレコーダーをこっそりと起動する。

 

何か証拠となればいいのだけれどね。

 

 

『『『『ザッ』』』』

 

そのまま何食わぬ顔で作業の手を止め職員全員で敬礼を行う。

 

「はぁ。アプリに問題があったって?」

 

はい。やはり匿名性がないのは問題と思われます!

 

何度も何度も開発されたアプリの危険性は告発した。

 

しかしそのたびに、

 

 【魔法少女は尊敬されるべきで特定されたところで問題はない】

 【アプリはすぐに配信しろ】

 

というばかり。

所詮国の下部組織である魔法少女機関ではそれを止める権利はなく、他部署に救援を求めてもこのクソ爺の権力で握りつぶされてしまっていた。

 

しまいには配信を遅らせたアプリも圧力を受けて無理やり広めさせる始末。

 

被害が起きる前に何とか告発しようと証拠を集め、その立場を突き崩すために動いてはいたがもうそれも間に合わない。

 

だが被害にあった魔法少女の思いを無駄にはしない!

これだけ状況証拠があるのだ!もう言い逃れはできない。

すぐさまアプリの配信は停止してもらう!

 

 

えぇ。上官やはりこのアプリが今回の傷害事件の原因と思われますので一旦配信を停止。後日内容を訂正して再度、作動させるべきかと

 

「はぁ、停止は許可しよう。仕方がない。だが儂に責任を取れと?」

 

むかつく声色でこちらを見下したように言う狸爺。

その言葉とともに、あとは承認だけになっていた停止措置が行われこれ以上の被害を広げることはなくなった。

 

機関の職員がハンドサインですべての手続きが終わったことを示している。

 

『ふぅ』

 

ひとまずは安心だ。そんな気持ちで油断したのが悪かったのかもしれない。

あのカスが余計なことを言わないはずがなかったのだ。

 

「そんなねぇ、たかが1魔法少女が怪我をしたくらいどうというのだ?」

 

 

・・・たかが1魔法少女だと?

たかがと言ったか!この国を守り将来を担う一人をたかがと!

 

絶対に許せない!

こんなのが国の中枢部に巣くっているというだけで胸糞が悪い。

 

そんな同じ人間とすら思いたくない言葉が飛び出してくればいくら心構えをしていたとしても頭が煮えくり返るだろう。

 

皆、拳を握りしめ怒りをこらえるように震えている。

 

『バシッ!』

 

そんな中で怒りを抑えきれなかったのだろう。

救護部門の職員がその頬を張り倒す。

 

それも仕方ないことだ。常日頃から彼らは魔法少女の傷つく姿を実際に見続けているのだからその怒りは他の職員と比べても並大抵のものではないだろう。

 

他にもに何人も我慢できず動き出そうとしていたがそのほとんどは救護部門の人員だった。

 

「おまぇえ!この儂を誰だと思っとる!」

 

無様に地面に転がる狸爺が叫ぶ。

その声に反応し、すぐさまSPが職員を抑えにかかる。

 

「全く、教育がなっとらんなァ?司令官どの?」

 

何もなかったかのように立ち上がりそう言っているが、痛そうに顔を顰めているのがバレバレだ。

正直内心では拍手したい気持ちだが、それを抑え謝罪をする。

 

申し訳ありません。すべての責任は自分にあります、いかようにも罰を...

 

現状、告発するのに必要な情報は十分には集まっていないし、こうしてSPに取り押さえられた状態で反抗する必要はない。

 

今は相手の怒りを抑え、穏便に済ませよう。

今日はアプリの配信停止を要求するために呼び出しただけ。

後日致命的な証拠をたたきつけ失脚させればいい。

 

「ほぉ?殊勝な態度ではないか。フム」

 

ニチャニチャとした笑みを浮かべながら

なぞり上げるように私の身体を眺めるクソ野郎。

怖気が走るがそれを態度に出すことはできない

 

「そうだなぁ?司令官には・・・・」

 

下心を一切隠さない、性欲だけで動いているようなその姿が突然硬直し言葉が止まる。

 

 

『ドシンッ』

 

そのまま太った体が傾き地面にたたきつけられる

 

胸付近に向こう側が見えるような風穴が空いていて明らかに致命傷を受けている。

 

ッ!敵襲!警戒!

 

その声に反応し動ける者たちは遮蔽物へと身を素早く隠す。

 

『トスッ!』『トスッ!』

 

軽い音とともに上官のSPと思われる黒服の大柄な男たちだけが、胸や鼻付近に直径5cm程度の風穴を空けてその場で倒れていく。

 

「止まった?」

 

『トスッ!』という音が聞こえなくなって1分は経っただろうか。

これ以上の攻撃がないことを確認して

姿勢を低くし、遮蔽に隠れていた者たちが少しずつ体を起こし始める。

 

「被害確認!」「連絡班は警察機関へ通達を!」

 

人員確認します。各自の部門リーダーのところへ集合お願いします!

 

血に染まったメインルームを尻目に 緊急で点呼が行われた結果幸い欠員が出ていないことが確認された。

 

良かった。しかし誰がこんなことを...

 

状況から考えるにとてつもない実力者がこの惨状を起こしたのだろうことは分かる。

 

SPに拘束され、完全に密接していた者たちですらその体に傷一つない。

なおかつ遮蔽に隠れていた者さえ残らず撃ち抜かれている。

そのうえで標的の急所を的確に抉っているのだからその精度は絶技と呼ばれるに足るものだろう。

 

だがなぜ今回の暴行事件の原因となったアプリの関係者の上官だけでなくそのSPまで標的になったのだろうか?

 

上官が狙われる理由は多々あるし、下手人があの時空属性を使う魔法少女だった場合自分が怪我を負う原因のアプリを作った者に復讐する気持ちは理解できる。しかしなぜここまで徹底的に行ったのだろう?

 

 

「司令官!メインモニターが!」

 

そこまで考えてモニターに映るメールの文言がいつの間にか書き換わっていることに職員の一人が気づいた。

 

[無能な魔法少女機関の皆様へwww]

 

貴方たちが手をこまねいているうちに

今回の件

市民を陽動し、魔法少女を捕らえ、兵力として運用する。

 

そんな計画を立てていた組織の主犯から末端まですべて殺害させていただきました。

 

計画書と指示書。署名等の証拠もあなた方のパソコンのメモリにダウンロードしておきましたのでご確認ください。

 

 魔法少女L

 

そこまで読み進めて送り主の名前に違和感を覚える。

魔法少女L

ティーチではないのか?

そんな中でまた文字が書き換わる。

 

 

 

追伸

 

ただの1魔法少女でさえ掴める情報を今だ把握できていないのざっこwww

それでも優秀なものが集められた部門なの?

 

中枢機関なのに魔法での攻撃に対する防御ないとかもろすぎwww

この程度も分からないとかやめたらその仕事?

 

まぁ、今後もその低能さで魔法少女や市民を危険にさらすのは別にどうでもいいけど...

面倒だからさっさとどうにかしてほしいなぁ?

まぁ私におんぶに抱っこで気にしないならそのままどうぞ?

 

 

 

これは・・・・

 

多分な煽り文句は入っているがその通りだろう。

対策すべき中枢部分はセキュリティすらスカスカでこうして文言を書き換えられ

あまつさえ内部データをいじられている。

 

物理的なものはココに直接攻撃ができる時点で意味がない。

 

ましてや権力に圧殺されて手がかりどころか事件性があることすら気づいていない。

 

魔法少女がこの惨状を起こした以上その言葉に間違いはないはず。

前提として心優しい者しか魔法少女に変身することはできないのだから...

 

というかそもそもが犯罪に魔法を使うことはできない。

 

窃盗程度でも使おうとした段階で強制的に変身が解除されてしまう。

ましてや殺人だ。もし不当な理由であったら解除されない訳がなかった。

 

幼い少女の手を汚させてしまったことに申し訳なさと不甲斐なさを感じる。

 

すまない...

 

自分たちの無力さをより痛感する。

 

魔法少女たちからも協力の申請は受けていたのだ。

幼い少女たちを利用することになるかもしれない。その気持ちで断ってきたそれを受け入れることから始めよう。

 

「現場保存を行います。申し訳ありませんが職員の皆様は退避していただくようお願いします。」

 

警察の現場保存の為にその場から追い出される

重要なデータや仕事に必要なものを持ち出す間もグルグルと頭はまわりどんな方法で連携すべきかを考え続ける。

 

二度とこんな事件を起こしてなるものか

「それは良い決意ですが、始末書やらなんやら色々増えましたので確認お願いしますね?」

 

決意を新たにしたところで文句が入る。

そちらを見れば大量の書類の山が...

 

 

 

 

 

今日も徹夜で書類を片づけることが決定した...

 

 

 

 ──────────────────────────────────────

♡♡♡視点>

 

『きぃきぃ』

 

 

二つの縄と地面から離れた肉塊が風に揺れる。

足元には懺悔する言葉が延々と書きつけられた紙が2枚。

 

まもなく夜は明け木に揺れるその姿は誰かに確認されるだろう。

 

・・・・何もなければ。

 

あんなに可愛いのにどうして?あんなにカッコいいのにどうして?

 

僕許せないな。

大好きなみんなをきずつけるの。

 

だから・・・・・ワルモノにサヨナラしよ!

 

がり、ごり

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

誰もいなくなったそこにゆるやかに陽は登っていく。

すがすがしい朝の風が残った紙を吹き飛ばせば

そこに残ったのは小さな血痕だけ。

それさえ地面に吸い込まれてすぐに消えてなくなるだろう。

 

ふへへ。大好きだよリラ。ぎゅってだきしめてあげる!

 

そんな言葉が聞こえたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前書きには注意だけ書かせていただきましたが
あとがきには感謝を書かせていただきたいと思います。

こんな稚拙な作品ですが感想や評価をくださる方がいるおかげで
続きを書けています。
ありがとうございます。

これからもエタらずに完結までは書き続けていきたいと考えていますので
どうかお付き合いいただけると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

☆~みせて~

初めての掲示板形式に挑戦です。

作者は本物には触れたことないんですが
いろいろな作品で取り入れられえているのを見て
面白いなぁと思いまして
今回やってみることにしました。

楽しんでいただけると嬉しいです。


<1章 牙を剝く獣たち> 掲示板回 

 

 

[最強は]魔法少女分析スレ[誰だ]part29

 

 

1:名無しの魔法少女ファン ID:USW+oWN64

・テンプレは>>2まで

・荒らしはスルー

・魔法少女に対する暴言や批判は禁止

・次スレは>>950が宣言して立てる

・もし>>950が立てられない場合は番号で指定

指定ない場合>>立てられる人宣言してから新スレ立てお願いします。

 

前スレ

[最強は]魔法少女分析スレ[誰だ]part28

http://mahousyoujyobunseki/...

 

 

2:名無しの魔法少女ファン ID:USW+oWN64

‣関連ページ

 

魔法少女機関公式ホームページ

http://mahousyoujyokikan/...

 

魔法少女戦闘動画用公式フォーラム

http://mahousyoujyotai/...

 

 

 

3:名無しの魔法少女ファン ID:b0bzqZ5JC

 

立て乙

 

 

4:名無しの魔法少女ファン ID:tpi5h38RN

 

乙~

 

 

5:名無しの魔法少女ファン ID:JWkjmI6fq

 

それで始まってさっそくだけど結局スレタイにもなってる最強の魔法少女って誰なの?

 

 

 

6:名無しの魔法少女ファン ID:Bk/hbANhM

 

>>5

 

魔法少女ティーチですねぇ

 

 

7:名無しの魔法少女ファン ID:H4COAZYoC

 

最初のスレですでに結論出てるんだよなぁ

 

 

8:名無しの魔法少女ファン ID:D/KjKt1un

 

まぁねぇ、数多の反論を実力で黙らせてきてるから...

 

 

9:名無しの魔法少女ファン ID:mp6xXuc1M

 

というか有志による検証だと

一個中隊分くらい魔法少女が集まっても正面から叩きつぶされるくらいには

戦力に差があるらしいよ?

 

 

10:名無しの魔法少女ファン ID:GPWPJjMeL

 

有志(魔法少女機関)による検証

 

 

11:名無しの魔法少女ファン ID:ld+vhzLwp

 

それも最低限で見積もってなんだろ?

 

 

12:名無しの魔法少女ファン ID:GDF61ldfg

 

そう、認識疎外を発動しながらの戦闘の最大時間で計算しただけ。

 

 

13:名無しの魔法少女ファン ID:ZNBjiDTJF

 

この動画が分かりやすいかも

 

https://www.mahoutube.com/....

 

認識疎外発動してる魔法少女達の動画をつなげた奴

と戦闘中のティーチの動画の比較

 

 

14:名無しの魔法少女ファン ID:C0Hij6hBq

 

バグってるのかな?

 

 

15:名無しの魔法少女ファン ID:ApI1uBg9A

 

うん確かに見た目はポリゴンバグみたいになってるね!

 

 

16:名無しの魔法少女ファン ID:OnJUQrUO/

 

ちげぇよ!他の魔法少女が2,3秒で魔力切れてグロッキーになるようなのを

他の魔法も使いながら軽々維持してることの方だよ!

 

 

17:名無しの魔法少女ファン ID:Rq0kVrZHU

 

 

 

18:名無しの魔法少女ファン ID:Oja6IzzM0

 

完全に見た目も合わさってただのバグキャラなんだよなぁ?

 

 

19:名無しの魔法少女ファン ID:+xKc71Gfs

 

あれれぇ?おっかしいぞ~

どうして上澄みの魔法少女達ですら発動するのがやっとなのを

戦闘中どころかずっと維持できてるのかなぁ?

 

ボクも分からないや!

 

 

20:名無しの魔法少女ファン ID:VQCNWI/E3

 

名探偵でも匙を投げる難題やめやめろ!

 

 

21:名無しの魔法少女ファン ID:gRYTk3EeB

 

単純に魔力量が多いだけでなく攻撃力もとんでもない模様。

 

 

22:名無しの魔法少女ファン ID:gRYTk3EeB

 

はい、大規模災害が。

 

picture//...(魔物の攻撃によってうまれた土砂の山、今も崩れ落ちてきている)

 

こうよ!

 

picture//...(魔物のついでとばかりに跡形もなく消し飛ばされ平らになった其処)

 

 

23:名無しの魔法少女ファン ID:FsZh3VFdl

 

>>21

え、なにこれは?

 

 

24:名無しの魔法少女ファン ID:AQuNz60o0

 

>>21

ファッ?!山消しとんどるやん!

 

 

25:名無しの魔法少女ファン ID:cO99noONu

 

一人だけ桁がおかしいんだよなぁ?!

 

 

26:名無しの魔法少女ファン ID:L0n4IgFPJ

 

う~ん、天変地異起こすとか神様か何か?

 

 

27:名無しの魔法少女ファン ID:O45FreGD8

 

え?怖すぎない?こんなん好き勝手暴れたら余裕で日本沈まん?

 

 

28:名無しの魔法少女ファン ID:94bSgA3mt

 

まぁ、魔法少女だから...

 

 

29:名無しの魔法少女ファン ID:HJ7ntn3O4

 

魔法少女だからな...

 

 

30:名無しの魔法少女ファン ID:O45FreGD8

 

いや、そういうネタじゃなくてさガチで怖いんだけど...

 

 

31:名無しの魔法少女ファン ID:8aObvXWsp

 

あ~なるほどね知らない奴まだ居たんか

 

コレ読んでみ↓

 

http://mahousyoujyokikan/youseifu/repo...

 

 

 

32:名無しの魔法少女ファン ID:9/i6MfgBX

>>31

 

このクッソ長いやつのリンクわざわざ張るとか外道かな?

 

 

33:名無しの魔法少女ファン ID:k8tHLMc6l

 

>>31

 

それ張らんでも、普通に説明してやればいいじゃん...

魔法少女は悪いことに力使おうとすると変身できなくなるよでイイっしょ。

 

まぁそんな説明で満足できないならソレ読みゃいいとは思うけど...

 

 

34:名無しの魔法少女ファン ID:O45FreGD8

 

>>33

へぇ~そうなんや。有識者ニキサンクス!

 

 

35:名無しの魔法少女ファン ID:+EZ3raAVr

 

>>33

ほ~ん知らんかったわ

 

 

36:名無しの魔法少女ファン ID:cPsX25yBT

 

>>35

な!魔法少女ちゃん達かわいいし

みんないい子たちだからそんなことしないやろぐらいの認識だったわw

 

 

37:名無しの魔法少女ファン ID:H7ZgPpUoO

 

えぇ...?

知らなかった奴多すぎませんかね?

 

 

38:名無しの魔法少女ファン ID:w7SK2DKmL

 

>>36

せっかく魔法少女機関が不安を減らせるようにって調べてまとめたのをガン無視して

可愛いから許すみたいなアホな理由で納得してたやつは反省してどうぞ...

 

 

39:名無しの魔法少女ファン ID:cPsX25yBT

 

は?魔法少女ちゃんかわいいだろ!

特にブルームライトちゃん!

 

 

40:名無しの魔法少女ファン ID:lZ1b5x3hS

 

可愛いのはそうだが

俺はトワイライトちゃんが一番かわいいと思うぞ!

 

 

41:名無しの魔法少女ファン ID:spLuby2Zh

 

は?ホワイトリリィちゃんを知らないんか?

 

 

42:名無しの魔法少女ファン ID:tUKtyOqm9

 

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

以降自分の推し魔法少女をあげ続ける流れになったため

次からはスレ分けが行われた模様。

 

─────────────────────────────────────────

 

魔法少女総合スレpart831

 

 

1:名無しの支援者ID:GIwII5W+9

・テンプレは>>2まで

・荒らしはスルー

・魔法少女に対する暴言や批判は禁止

・次スレは>>950が宣言して立てる

・もし>>950が立てられない場合は番号で指定

指定ない場合>>立てられる人宣言してから新スレ立てお願いします。

 

前スレ

魔法少女総合スレpart830

http://mahousyoujyosougou/...

 

 

2:名無しの支援者 ID:GIwII5W+9

‣関連ページ

 

魔法少女機関公式ホームページ

http://mahousyoujyokikan/...

 

魔法少女戦闘動画用公式フォーラム

http://mahousyoujyotai/...

 

 

 

3:名無しの支援者 ID:vn0D3RbMU

 

立て乙です~!

 

 

4:名無しの支援者 ID:9p6mPVH5W

 

おっつう~

 

 

 

5:名無しの支援者 ID:EK1DPxJpF

 

thx

 

 

6:名無しの支援者 ID:yGJID6bdh

 

乙!

 

 

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

 

233:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

テレビつけてない奴は今すぐつけてちょっと国営放送見てほしい。

その内容について話し合わねぇ?

 

 

234:名無しの支援者 ID:sMOgt1ln7

 

あぁこれか。俺もたまたま起きてて見てるけどマジで胸糞悪い事件だな。

 

 

235:名無しの支援者 ID:r/RBWegW5

 

なになに?魔法少女関係だよな?

 

 

236:名無しの支援者 ID:QgVzbcBnb

 

あ~、これはガチでヤバイのだなぁ

正直こういうのが同じ人間としている時点でなんか申し訳ないわ...

 

 

237:名無しの支援者 ID:Gnc+vLMPk

 

>>235

見てきた方が早いけど

正直別に魔法少女のファンでもないオレでもキレかけるような奴だから

心して見た方がいいぞ

 

 

238:名無しの支援者 ID:r/RBWegW5

 

今見てきた。

>>237ニキは忠告サンキュー

無かったらワンチャンテレビ画面殴り飛ばしてたわ。

 

 

239:名無しの支援者 ID:xAcg5JkdO

 

魔法少女機関はどうにかできんかったんかねぇコレ

 

 

240:名無しの支援者 ID:s54WQo1M4

 

しょうがないやろ。権力で押さえつけられたら国の下部組織じゃ動くに動けんよ。

 

 

241:名無しの支援者 ID:l/vRbNDIv

 

分かってるけどさぁ、なんか全部魔法少女に頼りっぱなしって感じでさ

違うのは分かってるんだけど表面だけ見るとあんまり役に立ってないっていうかさ...

 

 

242:名無しの支援者 ID:l/vRbNDIv

 

今回の件も結局誰か分からん魔法少女がさっさと突き止めて全部終わらせたわけじゃん?

 

 

243:名無しの支援者 ID:cycXiaPTb

 

魔法少女を利用しないってのが根底にある以上どうしてもなぁ

協力するのと1手2手どころじゃなく遅れるよね。

 

 

244:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

それより魔法少女が〇人侵してることについて...

 

 

245:名無しの支援者 ID:aPNU7cDEB

 

あ~正直幼い少女に手を汚させたってのはいい気分じゃないよな

 

 

246:名無しの支援者 ID:VRnTRckRK

 

そこまでする必要あったのかって思ったけど

する必要があったからこうやって魔法を使えてるんだろうしな。

 

 

247:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

思ってたよりわかってる人多いっぽいね

てっきり人〇しは法で裁かれるべき!とか言い出す奴が出るかと思ってたわ。

 

 

248:名無しの支援者 ID:EJ0c8rO5J

 

だって原則として悪いことできないのが魔法少女だろ?

それが殺人なんて悪いことの代表格をできる時点でなぁ...

それが悪いことじゃない判定になってるのはあきらかだからなぁ

 

 

249:名無しの支援者 ID:VLvCkhvzy

 

な。ちょっと考えればわかることだよな。

むしろそこまでやった魔法少女ちゃんの精神面が心配だわ俺。

 

 

250:名無しの支援者 ID:I0ifiYg7Z

 

>>249

分かる。

カウンセリングとか受けた方がいいんじゃないか?

 

 

251:名無しの支援者 ID:NxBx1drAC

 

死刑執行官でさえ結構精神病む人多いらしいからな。

年齢的にも精神も成熟してないだろうし...

 

 

252:名無しの支援者 ID:vvnES609c

 

ちなみに怪我した魔法少女も解決した魔法少女もどちらも機関に所属してないらしいぞ。

 

 

253:名無しの支援者 ID:AJVyiiTE/

 

魔法少女名伏せられてるし現状説明もないから疑ってたけどやっぱりか...

 

 

254:名無しの支援者 ID:FYdoJ1Q7M

 

出来れば病院とかカウンセリング施設とか行って欲しいけど

身バレや特殊な事情があるから機関にも所属してない訳で

 

何とか元気に過ごしてて欲しいな...

 

 

255:名無しの支援者 ID:tM5NiuIYZ

 

 

 

 

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

 

──────────────────────────────────────────

 

[正体は]魔法少女ティーチファンスレpart27[どんな人]

 

 

1:名無しのティーチファンID:tACUGNCe3

・テンプレは>>2まで

・荒らしはスルー

・魔法少女に対する暴言や批判は禁止

・次スレは>>950が宣言して立てる

・もし>>950が立てられない場合は番号で指定

指定ない場合>>立てられる人宣言してから新スレ立てお願いします。

 

前スレ

魔法少女ティーチファンスレpart26

http://mahousyoujyoteach/...

 

 

2:名無しのティーチファンID:tACUGNCe3

‣関連ページ

 

魔法少女機関公式ホームページ

http://mahousyoujyokikan/...

 

魔法少女戦闘動画用公式フォーラム

http://mahousyoujyotai/...

 

3:名無しのティーチファン ID:hTVs464x0

 

立て乙~

 

 

4:名無しのティーチファン ID:mxOFU13rL

 

代行ありがと

 

 

5:名無しのティーチファン ID:dhvCqLg8S

 

 

 

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

 

72:名無しのティーチファン ID:GC1bEsjvt

 

彼女の戦闘動画を初めて見たとき

それがスライムみたいな敵だったんですが

彼女に覆いかぶさってるのを見まして...なんていうか...その...

下品なのでやめておきますね...

 

 

73:名無しのティーチファン ID:bANi4iwoV

 

>>72

君はよい選択をしたよ。

何せその先を言えば保護者とファンが大量の救急車に乗って突撃してくだろうからね。

 

 

74:名無しのティーチファン ID:bUvGDKHsK

 

 

 

75:名無しのティーチファン ID:ShHMuWUHj

 

死因まで完全再現されるの笑うんだよなぁw

 

 

76:名無しのティーチファン ID:g8gKS8SrS

 

なおこのスレは魔法少女も閲覧できるから下手したらそれで済まないかもしれん...

 

 

77:名無しのティーチファン ID:FuyoF7n9k

 

ひえっ...

 

 

78:名無しのティーチファン ID:KBTp0HfZ3

 

何処でもティーチちゃんだからなぁ、魔法少女側にもファンが多いらしいし

下手しなくても魔法少女にお前を見ているぞされる可能性が...

 

 

79:名無しのティーチファン ID:LUu+dHo0k

 

>>78

様をつけろよ!!デコ助野郎ォ!!

 

 

80:名無しのティーチファン ID:KBTp0HfZ3

 

はい!申し訳ありませんでした!

ティーチちゃん様ですね!

以降気を付けます!

 

 

 

81:名無しのティーチファン ID:P+A9BeW7K

 

うむ、よろしい!

 

 

82:名無しのティーチファン ID:K/BNtOcI4

 

(それでいいのか?ちゃんと様で被ってるけど...)

 

 

83:名無しのティーチファン ID:9gcmDmS15

 

(なおIDがかぶっていない模様)

 

 

84:名無しのティーチファン ID:6U6EDfv11

 

(ファミチキください)

 

 

85:名無しのティーチファン ID:HwxwwpplE

 

(新しい戦闘動画を早く...)

 

 

86:名無しのティーチファン ID:STanyugft

 

普通にレスしろ!

あと>>85には同意

早く今回のゴーレムみたいな敵との戦闘動画出してほしいなぁ。

 

 

87:名無しのティーチファン ID:k5BnLH3mx

 

分かる!

もともと魔法少女についての理解を深めてほしいって目的で投稿され始めた奴だけど。

今じゃ、頑張ってる姿応援するために見てる奴らも多いよな。

 

 

88:名無しのティーチファン ID:xWd2zJfTA

 

副次効果としてバカが戦闘風景見るために避難誘導に従わないってのもなくなったわけだしな。

 

 

89:名無しのティーチファン ID:nphlDN0z6

 

残ってたアホが巻き添えになったのはまだいいけど

それで庇われて魔法少女自体が怪我したりとかほんと酷かったからな。

 

 

90:名無しのティーチファン ID:HcyBSAatc

 

そろそろじゃね?

日付変更ごとにその日の分大放出されるし。

 

 

91:名無しのティーチファン ID:2A2V/R7sA

 

やね。ワイはメインのpcでサイト開いて更新ボタン連打してる。

 

92:名無しのティーチファン ID:PTshSrIad

 

ワイもそ~なの!

 

 

93:名無しのティーチファン ID:agqoXRSN1

 

あと一分なんでワイはスレとじるわ~

 

 

94:名無しのティーチファン ID:4r+Qlwqfb

てら~

 

 

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

145:名無しのティーチファン ID:7Suu7BrtH

 

う~ん。今日もとんでもない火力。私じゃ足元にも及ばないなぁ

 

 

146:名無しのティーチファン ID:cQzP7/DB7

 

カッコいいですわぁ!他の魔法少女を守って

攻撃を受けても傷一つない!

私もあんな風になりたいですわぁ!

 

 

147:名無しのティーチファン ID:N8F6WKmdI

 

うん、カッコいいしカワイイね

あんなの私には無理だけど...

 

 

148:名無しのティーチファン ID:EDBocxw9E

 

あのあのあの

 

 

149:名無しのティーチファン ID:48MVuec68

 

>>148

反応するな。早めに流すぞ!

 

 

150:名無しのティーチファン ID:oSQ7Ql4QE

 

りょ!

ティーチ様カッコいい!

 

 

151:名無しのティーチファン ID:BdScf/bq5

 

ティーチ様カワイイ!

 

 

152:名無しのティーチファン ID:wtE9xjmLf

 

ティーチ様カッコいい!

 

 

153:名無しのティーチファン ID:OrbkaG7+m

 

ティーチ様カワイイ!

 

 

154:名無しのティーチファン ID:MAaNTtDAa

 

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

181:名無しのティーチファン ID:48MVuec68

 

そろそろいいか

時間的にもう寝ちゃってるだろうし。

 

 

182:名無しのティーチファン ID:Qgq2BFooj

 

ティーチ様カワイイ!

 

 

183:名無しのティーチファン ID:+IeLuFTfL

 

ティーチ様カッコいい!

あっおけ

元に戻ります~

 

 

184:名無しのティーチファン ID:WgVYYR1Vb

 

俺たち大人の責任としてああいう書き込みがあっても無視するか

反応したやつがいたら流してやろうな。

 

 

185:名無しのティーチファン ID:EDBocxw9E

 

はい~わかりました!

ご迷惑をおかけしました...

 

 

 

186:名無しのティーチファン ID:8IAZwOFbz

 

気にすんなって!

俺も初見はびっくりしたし

 

 

187:名無しのティーチファン ID:tP90y7ZB2

 

この話終わり!

でさ、スレの本題になるけどティーチってどんな姿だと思う?

 

 

188:名無しのティーチファン ID:qY0UHVuRg

 

俺の予想だと割と幼めだと予想。

 

 

189:名無しのティーチファン ID:qv8lEhPSo

 

あえてスレンダー高身長

 

 

190:名無しのティーチファン ID:virusLoL

 

ネコミミの8歳前後、身長140㎝代体重30kgくらいと予想。

 

 

191:名無しのティーチファン ID:ZGR0m737A

 

性癖モリモリで草ァ!

 

 

192:名無しのティーチファン ID:RAYOax8r0

 

そっかあえて隠すということは異形系もあり得るのか。

なら俺角付きで!

 

 

193:名無しのティーチファン ID:L84LMQFd3

 

俺は悪魔っ娘がいいなぁ

 

 

194:名無しのティーチファン ID:7DCkhPoGk

 

天使だろぉん?

 

 

195:名無しのティーチファン ID:cqf/sv9ma

 

ここ全年齢版だということ忘れてませんかね?

天罰覿面ですよ!

 

 

196:名無しのティーチファン ID:7DCkhPoGk

 

あっ、ごめんごめんなさい。

めっちゃ痛いコレ

 

 

197:名無しのティーチファン ID:L84LMQFd3

 

ワイの四十肩ぶり返したんやが?

 

 

198:名無しのティーチファン ID:RAYOax8r0

 

ぎっくり腰がぁ!

 

 

199:名無しのティーチファン ID:cqf/sv9ma

 

えぇ?俺男だし魔法少女じゃないんだが?

プラシーボ効果ってホントにあるんやなw

 

 

200:名無しのティーチファン ID:7DCkhPoGk

 

全然痛くなかったわ!

 

 

 

201:名無しのティーチファン ID:L84LMQFd3

 

四十肩治ったわ!

 

 

202:名無しのティーチファン ID:RAYOax8r0

 

ぎっくり腰じゃなかったわ

ただ腰の骨砕けてただけだった。よかったぁ

 

 

203:名無しのティーチファン ID:ILUCxRJf2

 

>>202

お前は病院行ってこいw

 

 

204:名無しのティーチファン ID:LdCke9eqT

 

単純すぎて草w

 

 

205:名無しのティーチファン ID:vNCgLZG8N

 

馬鹿どもがよぉ! 

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

 

─────────────────────────────────────────

魔法少女ティーチアンチ風スレpart2

 

1:名無しの支援者ID:ErI4iPX+0

・テンプレは>>2まで

・荒らしはスルー

・節度を持って使いましょう。

・あくまで傍観者である立場なのを忘れないようにしましょう。

()です。ガチアンの皆様はおかえりください。

・次スレは>>950が宣言して立てる

・もし>>950が立てられない場合は番号で指定

指定ない場合>>立てられる人宣言してから新スレ立てお願いします。

 

前スレ

魔法少女ティーチアンチスレpart1

http://mahousyoujyoan/...

 

 

2:名無しの支援者 ID:ErI4iPX+0

‣関連ページ

 

魔法少女機関公式ホームページ

http://mahousyoujyokikan/...

 

魔法少女戦闘動画用公式フォーラム

http://mahousyoujyotai/...

 

 

 

 

794:名無しのアンチ ID:virusLoL

 

やっぱ魔法少女ってクソだわ

殺人侵してんのに擁護してる奴ばっかでキモすぎない?

 

 

795:名無しのアンチ ID:yWqxj1aL6

 

テンプレも読めないんなら半年ROMってろ。

 

 

796:名無しのアンチ ID:K3/XsKEU6

 

は?何言ってんのお前。

ココはティーチ専用アンチ風スレやぞ。

表では吐き出しずらい小さな不満を吐き出すだけの場所や。

 

 

797:名無しのアンチ ID:972rNkeO6

 

常識も知らないアホは帰って!どうぞ!

 

 

798:名無しのアンチ ID:virusLoL

 

大体ティーチとか言うやつも

さっさと魔物倒せよ。

お前がやれば被害なしですぐ終わるだろ。

 

 

799:名無しのアンチ ID:Z6fRwP1wB

 

キッズかな?

ちゃんと文脈繋げましょうねぇ?

 

 

800:名無しのアンチ ID:llF8umF+v

 

まぁティーチがクソなのはそうだけどな。

 

 

801:名無しのアンチ ID:EmOFAiI4I

 

>>800

それはそう。

アイツチートキャラみてぇな強さしてるくせに

魔物倒すんじゃなくて見てるだけの時あるの嫌いだわ。

 

 

802:名無しのアンチ ID:1GWxUhsrI

 

そのせいで人に被害出たら責任取れんのかって話だよな。

 

 

803:名無しのアンチ ID:F1zmcTu3m

 

建物の被害ガン無視だしな。

 

 

804:名無しのアンチ ID:rdlFtxaI6

 

一回負けてボロボロになってほしいわw

 

 

805:名無しのアンチ ID:m50ldbdap

 

認識疎外で見た目隠してるけどクッソ不細工なんじゃね?

 

 

806:名無しのアンチ ID:tcgQ5xXeR

 

>>805

ワンチャンあるわw

いつか素顔見れたときクッソ笑ってやろw

 

 

807:名無しのアンチ ID:1LWg1n7Ab

 

てか、さすがに不公平すぎん?

なんも努力せずに初期からあれだけ強いのズル過ぎでしょ!

 

 

808:名無しのアンチ ID:fRg0v6D+2

 

>>807

それな。なんか代償にしてて欲しいわw

 

 

809:名無しのアンチ ID:tKchq1W4a

 

          ・ 

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

          ・

------------------------------------------------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       

 

 

<???視点>

「う~ん...謎」

 

何でボクの事...こんなに嫌ってるんだろう...ね?

全部助けるのも...よくないと思う...よ

戦うの下手になっちゃうからね。

 

・・・・ま、どうでもいっか!

 

でもみているひとはきをつけよう...ね?

ボクは気にしないけど...嫌な人もいるからね

悪口は言わないようにしようね

 

あぁそうだ。

これをみている人はお口にチャックをしてくれると嬉しいな。

ボクはいいけれど秘密にしておきたいひともいるから...ね?

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~じゅんびしよう!~

パソコンで書いてそのまま投稿していたのですが
たまたま出先でスマホでログインしてみたらかなり文章欄がずれてました。
1話から5話まで編集して段落下げを消したので多少は読みやすくなってるはず?です。

あと、今さらですがサブタイトルの設定が間違っていたことに気づきなおしました。

元ネタの動画タイトルに合わせてひらがなでタイトル設定していたのに設定ミスで
違う方をサブタイにしてしまったというね...



2章 氾濫する獣たち

 

<ティーチ視点>

 

 

やぁ、ボクの...名前は...ティーチくん...だよ?

 

 

今ね、めっちゃ落ち込んでるんだ俺...

 

何でって?

眠かったからってメールの文面を考えずにリラに丸投げしたからですね。

 

お判りでしょうが、彼は優しい心を持った妖精なので

曇らせなんてやるはずがないんですよね!

 

あぁああああああ!!!

 

もうおわりだよ!あんだけ楽しみにしてた曇らせの機会を逃すとか頭おかしいんか?俺。

 

[おはようティーチ。それでのオレの事離してくれんか?]

 

あぁすまんね

発狂しててめっちゃ力込めてたわ

俺の腕の形にふもふもの毛がへこんで戻らなくなっちゃってるね。

 

ごめん

 

オレがやるべきこと丸投げして寝てごめん

みんなの期待を裏切ってごめん

跡つくほど強く抱いててごめん

 

色々なごめんがこれに込められております。

 

[まぁまぁ。オマエは疲れとったのじゃろ?仕方ないことじゃ。朝ごはんにしよう!そうすれば多少は気分も変わると思うぞ!]

 

おなかすいてない...

 

いや、別に気分的にそうなわけじゃなくて・・・・

 

というかこの体になってから小食になったんだよね...

満腹になるのがスッゴイ早いの。

多分体の大きさと性別が変わっちゃったからなんだろうけどね?

 

でもそれを加味しても明らかにおなかすいてないの...

2,3日食べなくても大丈夫なくらいお腹パンパンなんだよね。

 

正直、吐きそう...

昨日口も漱がずに寝たせいか血でネトネトするし...

 

 <食べるのが大好きって言ってなかった?>

 

うん、食べるのが好きって前言ったね

だけど本当のところちょっと違うんだよね

正確に言うと満腹になるまで食べるのが好きね

 

満腹以上に食べてもそれはただ苦しいだけじゃん?

それじゃ楽しくないでしょ。

俺は楽しくいろんな味を味わいたいわけ。

 

 <なるほどね、大抵の人はそうだと思うけどね。>

 

いやぁ、大食いの人とかアレ相当苦しいんじゃないかな?

それでも食べるのが好きだから限界を超えて食べ続けてるんでしょ.

 

俺はそういうタイプじゃないよって言いたかったの。

 

 

だからね、今日の朝ごはんはいらないし

 

リラだけで勝手に食べちゃっていいよ?

 

[そうか。オレだけ食べるのもなんか申し訳ないのじゃが...]

 

いやぁ気にしなくていいって見てるだけで癒されるから。

あの必死に両手で抱えてカジカジするスタイルの食べ方何回見ても飽きないんだよね。

 

 『じぃ~』

 

[そんなにみられると食べづらいのじゃが...何か気をそらす方法は...]

 

ん?なんか言った?ごめん聞こえなかった。

 

 

[いや、問題はないと思うが昨日送ったメールの文面、確認してもらってないなとな?]

 

そっか忘れてたわ。万が一の可能性があるし確認させてもらおう。

光の意志を持ってるのに俺を満足させる文面が書けるはずもないとは思うけど...

 

 

宛先:mahousyoujyokikann.~~~~~~~.・・・・・・

------------------------------------------------------

差出人:teach@googlemail.com

------------------------------------------------------

件名:一般人に襲われ怪我を負いました。

------------------------------------------------------

魔法少女ティーチです。

今日7月●日、10時頃に一般市民に襲われました。

魔法で迎撃はしましたが、隠れていた一人から麻酔銃による攻撃を受け昏倒

 

妖精の探知でも引っかからずにいたことから

相当腕の立つプロの犯行によるものと思われます。

 

また、一般人の方もかなり恨みを持っていたようで3~4時間程度の断続的な暴行を受けました。

 

そのまま犯人は逃走。

類似の事件が起こる可能性があるので魔法少女達へ注意喚起をお願いします。

 

証拠として写真を添付いたします。

早急な対応をお願いします。

 

 

[写真]

 

(首から上が映らない角度の写真。

何度も殴られて青黒くなった傷と

破れた皮から漏れ出す肉片が鮮明に映り

足元には血だまりが出来ている。)

 

 

宛先:mahousyoujyokikann.~~~~~~~.・・・・・・

------------------------------------------------------

差出人:rewr@googlemail.com

------------------------------------------------------

件名:魔法少女ティーチの救援要請について

------------------------------------------------------

魔法章少女ティーチの専属妖精リラと申します。

 

先ほど送らせていただいたメールの通り本人は重傷を負っているのですが、本人に病院に行く意思が在りません。

 

また、現在の状況として戸籍や住居もなく親類縁者もいないため健常な生活を送れているとは言い難い状況です。

何とか魔法で一時的な住居は確保していますが、常に魔法を使い続ける関係上精神的に余裕もないです。

 

そんな状況下ですが本人に誰かを頼るという意志が一切なく、援助を必要としていないのです。

 

私個人の意見としてですがどうかそちらから救援をお願いできませんでしょうか?

 

勿論、強制的な保護を要求しているわけではありません。

コチラでも本人の説得をしておきますので、いざという時の用意をしておいて欲しいのです。

 

ムリを承知でお願いします。

どうか、ティーチの事を助けてください

[写真]

(幼い顔つきの少女が少し苦しそうに眠っている状態。巧妙に耳と尾は映らないようになっている)

 

本人の写真です。

伸長は130CM後半

勧誘や何かの役に立てていただければ嬉しいです。

 

・・・・・・・ん?

 

満点とは言い難いがこの文章結構よくないか?

というか俺が送るより結果的に良かったのでは?

 

まずはこの写真。

偶然なのか狙ったのか。最高に酷い傷に見えるような写真を送ってる。

最高!100点満点!

 

次に淡々と状況の報告をしているところ。

傷の具合やなんかは写真での報告にとどめて感情が入らないのが良いね!ただここは暴行の内容なんかを詳細に報告した方が良かったかな。

 

まぁ、リラは経験したわけじゃないからそこは仕方がないとして90点!

 

次に2枚目のこれね!

私の現状をリラの視点から書いてる奴。

いやぁ素晴らしい。これは俺じゃできない奴だ。

もう加点100点よ!

 

最後に俺の寝てる写真

盗撮ですよ!リラさん!

だけど、いいねぇこれ。あえて耳も尾も映さずに幼げな容姿だけを伝える。

 

いやぁ、悲惨な境遇の幼女ってだけで脳が破壊される優しい人もいるからね

 

これも俺じゃ撮れない写真だし。

50点の加点ですねぇ

 

結果、190点+150点の加点で340点です!

 

俺じゃどう頑張っても200点までしか出なかったのでこれは・・・まさかの同士リラという独自ルートじゃな?

 

このメール何?

 

ちなみにどうして書いたんだろ?このメール

機関に保護されるのは3章からそのルートに進もうと思ってたからいいんだけど...

 

[あっ、それはその...]

 

聞いたとたんに露骨なまでにうろたえるリラ

はい、単純なガバですよねわかります...

 

・・・まぁわかってましたよ

そんなルートありえないってね

でもずっと一人でやってると辛くなってくるんだよね

ネタ切れしそうだし

 

<オレらは?>

 

そっちに案を出してもらったらつまらなくない?

それは一番避けるべきことだと俺は思ってるよ

 

どんな美しい思い出も嫌なことがあれば思い出したくないように、全て綺麗に曇ってこそ余韻も濁らずに味わえるってものじゃん?

 

[あのな・・・・約束破りたかったわけじゃないぞ?]

 

・・・まぁ今はソレは置いておきましょう。

リラが冷や汗だらだらになってるし...

 

別に俺はリラの事困らせたいわけじゃないんだよね。

だから助け船を出してあげましょう。

今回だけだゾ?

 

私の事心配?

 

[む...そうじゃ。オマエがの、傷つくのが嫌なのじゃ。]

 

うん、やっぱり頭の回転が速いのはいいね。

こうしてこちらが出した手助けにすぐに乗れる。

 

わかった。まだダメだけど、一回目の魔物氾濫(スタンピード)を乗り越えたら機関に所属する

 

 

ゲームの3章は日常の学園ものだからね。

所属しない場合はストーリー自体がカットされちゃうし、結局機関には所属するしかないのだ。

 

まぁティーチは有名になりすぎてるからサブの魔法少女で所属するつもりだけどね?

 

だって認識疎外がないと今後出てくる機械でステータス勝手に閲覧されちゃうし...

 

そもそも俺、素直にティーチで所属するって選択肢は端から外してたよ?

そのための人格分裂(3)だしね。

 

だから認識疎外なしの姿を写真として送られたのもルートへの影響はないんだよね。

 

 

[そうか!ならば機関に連絡してスタンピードに備えるぞ!]

 

うんうん2,3日大量に魔物が出現し続けるからね、正直自分一人で対応できるレベルじゃないしね

 

かといって自分の曇らせの為に誰か犠牲にするのも心が痛むし、それは良いことだと思うよ。

 

うん、私も出会えた魔法少女達に声をかけるよ。

 

実際日本全土の魔法少女参加の防衛戦みたいなもんだからね

スタンピードの間は他に魔物が出現することもないし総力戦推奨なんだよね。

 

まぁそんなの分からないから

本来の世界線だと突然出現した空間の裂け目の正体がわからなくて、政府の監視がつくだけだし

 

スタンピードが発生した後は魔法少女の対応も、その統制も間に合わなくて過去最大の被害を叩き出すんだけどね...

 

コワすぎィ!しかも一回で対策が終わらないとか言う悪夢。

 

2回目は対策して多くの魔法少女が集まったんだけど、1回目より魔物の出現量が増えててさ

結局絶え間なく湧き出るその物量に押され魔法少女側だけに被害発生。

 

3回目で交代ルーティーンの確立や現代兵器の全力投入してやっと死者無く撃退。

 

マジで設定がアホなんよ。魔力が籠って無いから足止めにしかならない現代兵器ですら全力投入とか...

 

[ティーチ、魔物が出たぞ]

 

わかった

 

おっと、お仕事の時間ですね。行ってきますわ

 

──────────────────────────────────────

 

<魔法少女シトリン視点>

 

っつぅ!コイツかったい!

 

泣き言いわないの!時間稼ぐ!

 

鉄でできたゴーレムの様な見た目の魔物に相方のダイアモンドが武器であるハンマーを叩きつける。

 

そのたびに衝撃が返ってきて手がしびれているらしい。

 

だけど私達がここで引くわけには行かない。

まだ周辺の一般市民の避難が終わっていないのだから。

 

全然攻撃通ってる感じしねぇんだけど...

そうね。私の魔法もダメージが入ってる感じがないわ...

 

私も杖を向け魔法を撃つがダメージが通っている感触はない。

 

でももう少しのはずよ...

 

既に魔法少女機関が対応に動いているから。

魔法少女機関や個人勢の中から援護がくるはず。

悔しいが私たちでは相性が悪いのだからそれはしょうがない。

 

そんな言葉を交わすうちに空間が歪み認識できない()()が姿を現す。

 

・・・・手助けするね

 

言葉少なに言われたそれに反応する間もなく

 

 【断空】

 

以前も聞いたことのある超短文詠唱の魔法が放たれる。

それだけで私たちがダメージすら与えられなかった敵が無残に解体され地面に転がる。

 

「「魔法少女ティーチ...」」

 

個人勢の中で、いや魔法少女の中で飛びぬけて高い実力をもつ時空属性を使う魔法少女。

 

活動範囲も全国に及びその生活圏すら把握できず

他の有用なデータもないため、認識できないのがその特徴とすら言われる。

 

ここ一か月は以前に比べても出現の頻度が多く

もしやとは思ったが...今回も助けに現れたようだ。

 

正直期待していた中で最強の助っ人でありこれ以上の助けは望めないだろう。

それに加えて個人的に彼女にはまた会いたかったのだ。

それも含めれば最高の状況と言えるのではないだろうか。

 

未だ私たちを庇うように前に立ち杖を構え警戒しているティーチを見つめどう話しかけるか思案を巡らせる。

 

「援護は...いらなかったようですね。」

 

そんな中で遅れて到着した機関所属の魔法少女

私たちの知り合いのルビーが、倒れたその残骸に近寄っていく

 

ッつ!まだ終わってない!

 

え?と思ったその瞬間

解体されたそれがごちゃごちゃと纏まり立ち上がり

無防備な姿の自分たち3人にその体を投石機のように発射する。

 

大質量のそれは身構える暇もなく私たちの目前まで迫り。

 

 『『ガンッ!』』『ドカーンッ!!』

 

何かを弾くような音が連続で響き少し遅れて建物にぶつかるような音が鳴る。

 

 【虚空】

 

濛々と煙が舞う中で言葉が響き

大きな影が一つ、跡形もなく消滅する。

 

「ティーチさん!!」

 

大丈夫ほとんど威力はなかった

 

少しずつ晴れていく視界の中で吹き飛ばされ建物に埋まるティーチの姿と

それを助けようとするルビーの姿

 

それでようやく状況が理解できた。

自分達が彼女の魔法で守られ、そのせいで彼女自身が自分を守る余裕がなかったのだ

ということが。

 

「「大丈夫《/font》ですか!?」」

 

同時に駆け出す自分達。認識疎外によって怪我の程度は分からないが

建物に埋まるほどの威力だ、生半可なものではないだろう。

 

「《font:118》救護班の出動お願いします!」

 

それはいらない

 

緊急要請しようとした端末をいつの間にか後ろに立っていたティーチに抜き取られる。

 

怪我してないから大丈夫

 

ぴょんぴょんと飛び跳ねて元気だということを示すその姿。

ジャンプしても私の胸程度までしかぼんやりとした影が届いていない。

ここまで近くで見たことが無かったから分からなかったが、かなり幼いのではないだろうか?

 

ホントに大丈夫?何かあったら私に言うのよ?

 

つい、年下の妹にするようにその頭を撫でてしまう。

 

・・・んっ。もうすぐ魔法少女機関にも所属するつもりだから心配ない

 

その手を避けるでもなく

むしろ猫のように気持ちよさそうに手に頭を擦り付けてくるその姿に癒される。

 

 

だけれど聞かなければならないことがある。

 

どうして今すぐじゃないの?

 

魔法少女機関に所属する意思があるならすぐに済ませてしまえばいい。

 

それで行動を縛られることはないし、彼女が魔法少女のピンチに何度も助けに入っていることからして戦うのが嫌というわけでもないはずだ。

 

まだ、その時じゃないから

 

どういうことだろう?

不思議に思ううちにルビーとダイアモンドがこちらまで来ていた。

 

それを見て彼女は私から体を離す。

 

 

貴方たちも気を付けて、空間の裂け目が出たら魔物が大量発生するよ。

 

どういうことですか!詳しく...あっ

 

大量発生?どうして知っているんだろう。

詳しく聞くこともできず彼女は姿を消す。

 

「どうして救護班を呼ばなかったんですか!」

 

声が届く距離に入ったルビーが叫ぶ。

 

え?だって怪我してないって...

 

そんなはずないだろバカ!目ぇついてんのか

 

そうしてダイアモンドが指さしたその先

彼女が立っていたその場所には血だまりになるほど大量の血液が落ちていて...

 

っち!人嫌いもここまでくると相当のもんだな

 

「えぇ。おそらくこれも認識できないようにされていたのでしょう。彼女自体とても強い魔法少女ですから治癒魔法も問題なく使えるのでしょうが...」

 

私、何してたんだろ?

 

おい、シトリン?どうした?

 

あの子ね、スゴイ小っちゃかったよ私の10歳の妹くらい...

 

痛くないはずないのに、我慢して心配させないようにして

 

それは...

 

ごめんね...私が油断しなかったら・・・

 

怪我したのがバレたら自分を責めるだろうと思ってあえて隠してくれたのだろう。

 

お前だけの責任じゃねぇよ。

「えぇ、そうです元はと言えば私が不用意に近づいたせいです」

 

ルビーもダイアモンドも慰めてくれるが

みんな自分のミスを理解しているのだろう、雰囲気が暗くなっていく。

 

 

[今回の戦闘内容についてお尋ねしたいので機関本部にお越しいただけますか?]

 

そんな中で支給された端末から音声が流れだす。

 

わかりました。今から向かいます

 

気分を切り替えるように声を出す。しっかりしなくては

 

──────────────────────────────────────

<魔法少女ダイアモンド視点>

 

呼び出しからの帰り道、唐突に話を切り出す。

 

なぁ。もっと強くならないといけないよな

 

私やシトリンが自衛できればティーチはケガしなかったはずなのだ。

 

えぇそうね。借りを返すどころかまた庇われてしまったもの。

 

そう。一番最初に魔物が出現した時

そこに私もシトリンもいたのだ。

その時も同じように助けられて悔しい思いをしたのに今回もまた...

 

今度は私たちが守れるくらいになろうぜ

 

あれから戦い方も学んで少しは強くなれたと思っていた。

だけどまだ全然だった...

変わろう、私達ならやれるはずだ。

 

えぇ、当然よ

 

曇りがちだった相棒の瞳に光が灯る。

目標が定まればもう迷わないだろう。そういうやつなのだ私の相棒は。

 

気合を入れるように一つ頬を叩く。

よっしゃ、私も頑張るぞ!

──────────────────────────────────────

 

<司令官視点>

 

ふぅ、空間の裂け目に魔物の大量発生ね

 

魔法少女ティーチの妖精もそうだけどティーチ自体なぜそんなことを知っているのかしらね?

彼女の固有能力なのか膨大な魔力にものを言わせた未来予知か何かなのか。

 

魔法に常識は通用しない。ほんとに対応に困る事実だわ...

 

とはいえ彼女が魔法少女機関に所属する予定であるのは素晴らしい知らせであると言えるだろう。

何せその実力は他の魔法少女たちと隔絶していることは確かなのだ。

 

常にまとっている認識疎外。あれさえ普通の魔法少女なら2,3秒継続するだけで魔力が底を突き変身を保つことさえ不可能になる。

 

空間転移もできる子はいるけどそれは固有能力でそこに特化しているから。

それさえ乱発できるようなものじゃない。

 

明らかに戦闘能力がおかしいのだ。

 

妖精府の方はどう?観測できてる?

 

「ダメだって。生の映像越しならいけるはずだけど認識疎外で弾かれたってさ」

 

通訳の魔法少女を介して妖精と会話する。

 

以前から妖精側もティーチのステータスを詳しく見たいと言っていた。

 

その要望を受け今日ついに完成したばかりのステータスを数値化する機械。

機関の技術班と協力し出来上がったそれはしっかり働いてるはずなのだ。

 

一応再確認としてあなたに使ってみてもいいかしら?

 

「うん、どうぞ~」

 

 

 

[魔法少女アクアオーラ]

 

 年齢:16

 

 体力:1000/1000

 

 魔力:100/100

 

 固有能力:どんな言葉でも意味があるなら話し、理解できるようになる

 

 属性:全て

 

 呪い:なし

 

 

 

シンプルにまとめ上げられたソレがしっかりと表示された。

ということは壊れているわけじゃないはず。

 

ねぇこの呪いっての何か教えてくれない?

 

他の項目は聞かなくても分かる。

体力はいわゆるHPのようなものでしょうし、魔力はMPでしょう。

だけれどこの項目だけは分からないのよね。一回聞いてみたけど答えてくれないし...

 

「嫌だって。知ったら試したくなるでしょ?でもこんなの求めるようになったら見切りをつけるし絶対になし以外の表示にはさせないってさ」

 

そう、やっぱり断られるわよね。

正直名前からしても厄ネタの香りしかしないし本音を言えば、私も触れたくなかったからいいわ。

 

まず間違いなく魔法少女たちの負担になることなのでしょう。

妖精たちは自分の契約した少女たちの事とても大切にしているようだし、本人たちも話したくないのなら無理に聞き出さないでおきましょう。

 

 

はぁ...仕方ないわね。この件は後回し。やることは多いけれどまずは魔法少女との連携を強化しないと!

 

その固有能力や魔力量をある程度ファイリングして協力を要請しなければならない。

順次手が空いたものから魔法少女機関本部への出動を要請しなくては...

 

今日も徹夜か...

 

あの事件が起こってから1か月近く経つが

案件が連続していていまだに家に2,3回しか帰れていない。

時折休憩室で仮眠は取るが長い眠りも久しく取れていないのだ。

 

次に帰れるのは2,3日後かしらね...

 

 

司令官の長い夜がそろそろ始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~さかなのなまえは~

フォントの変更を行いました。
ティーチくんはこうなりました。 
リラはこうなりました。
とりあえず暫定的にはこうなります。

感想欄で指摘していただいた方。
ありがとうございました!


<ティーチ視点>

 

やぁ、みんな。おはよう。

なにやらこの世界の俺がめっちゃ苦労している気配を感じ取った気がしたよ。

 

少しだけ同情してしまうね。

 

まぁ魔法少女誘拐事件が終わって少し経ったし

独立して組織自体の最高責任者になってるはずだから忙しいのは仕方ないと思うよ。

 

こっちの俺もちょっと忙しいし

何か手出しする気は最初からないんだけどね?

 

 

<今何してるところなの?忙しいって言ってたけど?>

 

ん~?

 

買い物に行くかどうかでめっちゃ悩んでる。

 

<それ別にそんな重要なことじゃなくない?>

 

そんなことないよ?一見大したことに見えないと思うけど俺的に一大事だからね

 

なにしろこんな見た目だから

認識疎外の程度とかを調整して買い物しに行かないといけないし

これからの準備においてこの時何を買っていたかによって今後の曇らせに影響が出る可能性もあるからね!

 

<あ~なるほどね>

 

ただねぇ、リラの食料は最近開発したインベントリ魔法で貯めこみ出来ててまだ1週間分はあるんだよね

だからまだ買い物に行く必要はないの。

 

あとね、そろそろスタンピードの予兆の割れ目が出現するからそれに備えてフリーで動けるようにしておきたい。

っていう買い物に行かない十分な理由があるんだよね。

 

一方で買い物に行きたい理由の方なんだけど

サブで学園生活をする以上普通の服やパジャマとか生活必需品はそろえておきたいってこと。

 

後々用意するのって面倒なんだよね。

学園始まった後は指定の体操服とか用意するのに時間かかるからそっちに掛けてる時間てあんまりなさそうだしね。

 

めっちゃ悩む...

 

[買い物に行かんか?そろそろスタンピードに対する備えとして貯蓄しておきたいのじゃが?]

 

およ?ちょうどいいタイミングやね。

リラがそう言うなら買い物に行くことにしましょうか。

一回で済ませたいし遠出して大きい百科店まで行こう。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ふんふふふ~ん

 

何買おっかな?

ここ1か月散々魔物倒してきてるからあのアプリには大量入金されてるんだよね。

金額気にせずに服買えるくらいには余裕あるよ。

 

<アレ?使って大丈夫なの?>

 

うん。もうあんな個人情報大放出アプリじゃないからね。

そもそも他のwallet系アプリに移し替えて使うタイプになったし別物と考えていいんじゃないかな。

 

というかちらっと見たら桁がおかしいことになってるんだけど、何処からこのお金出てるんだろ?

 

命をかけて戦ってる以上大金が支払われるのはおかしくないんだけど、魔物倒しても消滅しちゃって素材もなんも残らないから収益が出るわけじゃないんだよね。

 

だから国家予算とかから支払われてると思うんだけど

そう考えると上限が分からないのに大金を払えるわけがないし...

 

リラ。前で魔法少女に払うお金ってどうしてた?

 

[オレは知らんぞ?・・・・・ちょっとトイレ行ってくるな?]

 

あ、行っちゃった。限界だったのかな?なんかよたよたしながら歩いてったけど...

まぁいいや。すぐ戻ってくるだろうしね。

 

 

よく考えてみると俺の知ってる限りだと妖精府名義で支払われてたけどそれもおかしいよな。

 

政府か魔法少女機関名義で支払われるのが普通だろ?

もし、妖精側から支払ってるとしたらマジカルパワーでやってるだろうから貨幣経済が崩壊しかねないし

司令官だったころに不思議にすら思わなかったのってまるで魔法でもかけられていたかのよう...

 

そんな考えをしていたところで肩を叩かれ振り返る。

未だ強い認識疎外を掛けていて誰にも自分がいることは認識できないはずなのに...だ。

 

 

 ”どうも司令官さん繧イ繝シ繝?繝励Ο繧ー繝ゥ繝?です”

 

其処に居たのはスーツを着込んだ何の変哲もない誰か。

本来顔があるべき場所がノイズが走った空間であることを除けばだが。

 

うん。俺コイツの事知ってるんだわ。

 

アイエエェエエ!繧イ繝シ繝?繝励Ο繧ー繝ゥ繝?!?繧イ繝シ繝?繝励Ο繧ー繝ゥ繝?ナンデ!?

 

コワイ!オゴゴーッ!!

 

 

”おや、気絶してしまいましたか。この様なら記憶処理も必要なさそうですね。”

 

”あぁ。もちろんプレイヤーの皆さんも言いふらしてはなりませんよ?いいですね?”

 

<エッ?アッハイワカリマシタ!>

 

”フム、意見のある者が居れば遮蔽物の無い空間で両手を挙げてから発言してもらおうと思っていたのですがね...残念です”

 

ヒエッ!?

 

”そろそろ彼、いや彼女も起きると思いますのでしばらくお待ちくださいね。では私はこれで”

 

 

ん?

 

なんかやろうとしてたはずなんだけど分かんなくなっちゃった。

みんな覚えてる?

 

そうだった?何にもなかったけどな

そう?ならいいや。

リラの事待ってサブの服買いに行こ!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

[ティーチ、まだ終わらんか?]

 

ん~

 

いや、猫さんパジャマは狙いすぎか?

うさ耳のボイスロイドのゆかりさんっぽいパーカーは即決したんだけど他が決まらん。

基本的に頭隠せるようなタイプの服じゃないといけないのが選択肢の幅を狭めてるんだよなぁ。

 

かといってフードはかわいいタイプの服少ないし

着ぐるみは論外だし。

 

[もう。全部買ってしまたらどうじゃ?]

 

それもアリか。

別に収納なんて無限大だし。お金も困ってないしな。

 

うん。そうする

 

会計でとんでもない金額が出てるけど

総所持金からしたら大したことないし、スタンピードで大量の魔物処理することになるだろうから財布も痛まないしな。

 

やること終わったけどどうする?

 

トイレに入って他の人の視線を遮ってから

そのままインベントリにぶち込めば終わり!

 

荷物ナシで動けるからとっても身軽だし

ショッピングがめちゃくちゃ楽しいんだよね。

 

ついつい必要無い物まで欲しくなっちゃう。

 

だけどリラは別に買い物好きなわけじゃないみたいだからなぁ

2~3時間近く付き合わせちゃったし気分転換で

好きなところ連れてってあげようかな。

ってことで

 

どこか行きたいとこある?

 

流石にわざわざ遠出したのに買い物してハイ終わりじゃ味気ないしね。

どっか遊園地とかで遊んでから帰ろうか。

 

[そうじゃなぁ。近くにあるみたいじゃし水族館にでも行ってみんか?]

 

リラが近くに貼ってあったポスターを指さしている。

 

それによると、山のふもとに建てられた水族館らしく

広い敷地を生かしていろいろな生き物がいるらしい。

 

・・・・・ふ~ん、水族館ね。

アリだな。

 

うん、いいね。ついでに昼ごはんも食べていこう。

 

 [新しく買ったそのパーカーを汚さんようにな。]

 

そうねぇ、普通の魔法少女ならその時つけてるものまで防御が発動するんだけど

俺の場合それも呪いのせいで剥がれちゃってるからね。残念ながら普通に汚れるし破れちゃうんだよね。

 

だけど、ゆかりさんパーカーお気に入りすぎて脱ぎたくないからこのまま羽織ってます!

食事するときは気を付ければいいだけだし、戦闘する前に脱いでインベントリに入れておけばいいんだから

そうそう破れることもないでしょ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<水族館>

 

うぇっぷ...おなか一杯だよぉ...

 

近くにあったレストランに入ったんだけどさ

そこのメニューが結構ボリュームがあって俺的には大満足。

ちょうど腹8分目くらいでいい感じにおなか一杯になったよ。

ただ、リラには少し量が多すぎたみたいで皿にだいぶ残ってたの

 

そこで御馳走様でもよかったんだけど

残すのも悪いじゃん?

だから無理して口に突っ込んだんだけど正直残せばよかったわ...

 

しかもサラダ単品だけ頼んだくせに残しやがったせいで

めちゃくちゃキツかった...

昔みたいに人参が苦手だったらまず間違いなくリバースしてたね!

 

こんな苦しい状態で水族館に入っても楽しめなさそうだから今は歩いて腹ごなし中。

 

そろそろ水族館の入り口が見えてくるかな?

地図的にはここら辺にあるんだけど

 

[お?あれじゃないか?]

 

 

角を曲がれば大きな標識と水族館の入り口が100メートルほど先に見える。

 

あれだね、あとちょっとだ

 

かなり大きいな。

まぁ、行ったことある水族館の数が少なすぎて俺の感覚的なものでしかないんだけどここまで大きいものは珍しい気がする。

 

パンフレットだと地下にも広がってるらしいんだけど地上部だけでデカめの学校くらいありそう?

近づくにつれて見えてきたけど何個かプールがついてるし少なくとも小さい方ではない気がする。

 

自動ドアをくぐったところで足を止める。

え~っと入場券はどこで買うんだろ?そう思いながらあたりを見回しているとリラから声がかかる。

 

[ちょっと涼まんか?外が暑くて汗が止まらぬ...]

 

あ~確かにね。今ちょうど8月の夏真っ盛りって感じだし外は暑かったかもしれんわ。

俺は関係ないから気にしてなかったけどこんな炎天下に散歩突き合わせてすまんかったな

 

 

ん、ここで待ってて。券買ってくる

 

どうせ買うのは俺一人分だしリラが休んでる間に買ってきちゃおう。

幸い見つけたのは券売機タイプでめんどくさいこともなさそうだしね。

 

<なんで券売機タイプがいいの?コミュ障?>

 

いやいや、有人販売タイプだと俺の見た目だと止められかねないんだよね。

 

<認識阻害は?>

 

そっか、そっちからは強度とか関係なしにはっきり俺の姿が見えてるんだもんねそれだと気づかないか。

 

説明するとね?認識疎外を掛けてるって言っても

今の俺がやってるのって、そこに居るのが別人に見えるんじゃなくて、そこに居るのが普通の人間に見えるタイプなんだ。

 

俺は完全に見た目を偽ることは出来ないからさぁ、残念ながら年齢通りの見た目でしかないわけ。

まぁ時空属性以外も使えれば大人が一人で来てる風にも見せられるんだけどそれはないものねだりというものでして...

 

 

・・・・・よく考えたらそれはそれでなんか憐みの視線を向けられそうだな?

ただでさえデートスポットとして人気な水族館。

 

偏見でしかないけどそんなところに子連れでもない

20代後半の男が居たら間違いなく変な勘ぐりされるよね。

 

うっ...妹の為にぬいぐるみを買いに行った時のトラウマが...

 

 

いや、それはもう過去の話だったね。

今は関係ないしわきに置いておいてと・・・・・

 

本題は、今のオレをスタッフとかに見られると問題になることだったね。

 

さすがに12歳くらいの少女が一人で居たら

心配に思うのは普通だからそれに何か思うことはないんだけどさ。

 

止められた場合、対応がめんどくさいのよ...

 

親を館内放送で呼び出しても誰も来ないから延々と待たされることになるしさ

 

勝手に一人で来たって伝えても家の電話番号なんて存在してないんだから

あなたどこの子?ってなっちゃうのよね...

 

まぁ、今はいいや。

普通に買ってそのまま入れたし純粋に楽しみましょ。

 

買い物するなら相手に認識されていないとどうにもならないから効果を弱めていたけど、もう誰かと会話する機会もないから認識疎外を強めまして・・・と

 

【認識疎外】

 

これでもう俺とリラはお互いにしか認識できない状態になったよ。

 

[これで普通にしゃべれるな!]

 

そうだね。

 

さっきまでも特に気にしてなかったけど

よく考えたら周りから見ると誰もいないところに話しかける変な子だったのか...

 

・・・・うん。考えないようにしよう。

 

今更気づいた恥ずかしさを振り払い

薄暗い通路を通って一番初めの部屋に入る。

 

目の前には大水槽が広がり

複数種の魚が優雅に泳いでいる。

 

あの魚の名前なんだっけ?

 

だけど名前の分からん魚が多すぎる...

マグロとかエイとかメジャーどころは何とか分かるよ?

でも知識が少なすぎるのよ...

 

俺の知ってるのなんて結構昔に流行ったサカバンバスピスとかチンアナゴぐらいだからなぁ。

そもそも片方化石だし。

 

・・・・・それであの、リラさん?

知ってるなら教えてくれませんかね?

 

無視ですか?さすがに泣くぞ?

大の大人にあるまじき泣き方するからね?

そりゃもう係員の人が駆けつけてくれるレベルの

 

[すまん。きいておらんかった。何か言ったか?]

 

は?ガチ嗚咽込みで泣くぞホンマに。

マジでもう一回聞いて答えてくれなかったら実行するからな?

 

あの魚の名前何かなぁって

 

[オレも詳しい訳じゃないからな。プレートを見るしかなかろう]

 

はい、結局知らないんですね...

もういいです諦めました。プレート見て勝手に楽しみます...

 

二人で来たんだから話しながら楽しもうと思ってたのにリラは魚に集中してるしよぉ!

 

・・・・・・あぁでもどれも可愛くて癒しだわ。

 

順路をゆっくりと進みながら

プレートを読んでいく。

 

へぇ、このオワンクラゲって発光するんだ。

水槽の中でフワフワしてる感じもいいしきれいだね。

 

 

まぁでも個人的にはハコフグが一番好きだなぁ、アホっぽい顔とちょこちょこ動かす小さな横ひれが好きだわ。

 

次点でエビ。

あのツマツマ常に何か食べてるのが可愛くない?

せっせと口に運んでるのずっと見てられるかもしれない。

 

ペンギンショーやイルカショーも見ごたえはあるんだけどね。

精神年齢がどっちかというと大人寄りだからのんびり眺めていたい気分なのです。

 

・・・・まぁのんびりとかそんなこと言ってられないんだけどね...

3章の学園生活はココの地下で実験体にされた魔法少女が主役の話だから。

 

最近事件多いよ!魔法少女機関は何やってるの!

 

って言いたいところだけど、正直仕方ないんだよね。

そもそも過去の知識っていうズルがなければ誰も気づけない訳だし。

 

アニメやゲームみたいに犯人が証拠をポロポロ落として

それに天才が気づいて事前に解決するとかご都合主義じゃないんだよねぇ。現実なんだから。

 

[ティーチ、楽しんでるところですまんが魔物の出現じゃ]

 

はいはい。わかりましたよ。

事件じゃなくてもこうやって働かなきゃいけないから魔法少女というのは大変だねぇ。

で、魔物の反応はどこ?

 

[う~んとここの真下...真下じゃと!?]

 

やっば!?うそでしょ?

 

とっさに防御魔法を張るどころか、そんな声を出す暇もなく

下から5メートルくらいの大きさの口がのこぎりのような歯を伴って現れた。

 

そして俺の足部分をすっぽりと口の中に取り込み胴体部分を噛み千切るように喰らいながら天井をぶち破る。

コンクリートと鉄筋の分厚い層を容易く引き裂きそのまま青い空の下に踊りだしたその巨体。

 

10メートル近く地中を引きずり回される間に防御魔法を張れたから良かったが

何列もの歯が並ぶサメの口のような構造は俺でも無策で受け続ければ胴体を両断されていただろう。

 

まぁ、初撃だけでも途轍もない威力だから

当然両断されていないというだけで肌や、肉体、ひどい所は骨までボロボロになったし十分致命傷ではある。

 

だけど俺にそれを気にする余裕はない。

 

[ティーチ!ティーチ大丈夫か?!]

 

なんせ、ガチギレしてっからね。

せっかくこんな重篤な怪我を負ったのに曇らせにつなげるって考えすらないんだわ。

というか呪いの効果抑制してなかったからもう体の方は治ってる。

問題は服。

ケガした時に出た大量の血でどろどろになった挙句

復元不可能なほどに噛み千切られてボロボロになっているのが嫌でも目に入ってしまう。

 

・・・・・ふふ...

 

不気味な笑いが口から洩れる。

 

俺の身体が血まみれになったことは良い。

奇襲に反応できなかった自分が悪いんだから。

 

楽しい水族館を邪魔したことも許そう。

その場にたまたま居たのは運が悪かった。

 

 [ティーチ?]

 

だけどさっき買ったパーカーがびりびりになったことだけは!

 

許せないよね?

 

瞳孔が怒りに合わせて大きくなっているのを感じる。

おそらく体毛も威嚇するように逆立っているだろう。

 

だけど落ち着く気なんて毛頭ない。

怒りのままにボッコボコにしてやろう。

 

お前だけは絶対にただでは殺さん!!

 

【箱】

 

悠々と地面を泳ぐ背びれを補足し強引に地上に引っ張り上げる。

なんにでも潜れる性質を持つ魔物らしいがそんなことは関係ない。魔力のごり押しで結界の中に取り込む。

 

「えへへ。さっき見たからからおさかなさんのなまえわかるよ!」

 

あれはふぐ!

あれはかに!

あれはねぇ、まぐろさんだ!

 

ごちゃごちゃと絡まりあった魚の体で作られたサメの様な魔物がその言葉通りの形に切り取られて消されていく。

 

しかし、口に出した魚の名前は一切合っていない。

というかそもそもピンポイントで抜き出しているわけではない。

 

絡み合った部分を完全に無視して

元の魚の種類がなんであったかなど一切気にせずに型抜きのように貫通させていくのだ。

 

当然そんな強引な倒し方は正攻法ではない。

本来は立体パズルを解くように一つ一つ外して倒さないといけないなかなか厄介な特性の魔物だった。

 

だけど、普通はその防御力で弾かれてしまうものを

魔力でのごり押しで無理やり貫いてしまった結果

とんでもない絶叫と出血を伴いながらの空中でのスプラッタ解体ショーが現在行われることとなってしまった。

 

 

「ん~むずかしいなぁ。わかんないからもうみんなサメさん!」

 

飽きたようにそうつぶやく誰か。

 

たった数種しか挙げていないのにもうレパートリーが尽きてしまったのだろうか。

残念なことである。

だけれど魔物の方としてはむしろそれが幸いだったのかもしれない。

責め苦が終わってくれたのだから。

 

折りたたむように、潰すように結界が閉じる。

見上げるような巨体は極限まで小さく圧縮され、にんじんのような形になる。

 

「あれれ?まちがっちゃった。だけど苦手だから僕い~らない!」

 

そしてその残った残滓でさえ消し飛ばされた。

 

 [ティ、ティーチ?大丈夫か?]

 

ん?何が?

俺は別に何も問題ないけど...

急に慌てだしてどうしたんだろうね?

 

[オマエ、疲れておるのではないか?うん!きっとそうじゃ!買い物の後じゃったしの?そろそろ帰ろう!]

 

え~別に疲れてないんだけどなぁ...

 

というかこの程度で疲れるわけなくない?

俺この後スタンピードで2,3日ぶっ続けで戦う予定なんだけど...

 

[実を言うとオレが疲れてしまったのじゃ!だからもう帰ろう!]

 

そっか、なら仕方ないね、

魔法使えばまたいくらでも来れるし今日は帰ろうか。

それに水槽や一般人に被害がなかったとはいえ今日はもう閉館しちゃうだろうしね?

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

[パーカーのことは残念じゃったが・・・・]

 

転移しておなじみとなった河川敷に着いたところでそう声をかけられる。

 

パーカー?何それ?

 

なんかあったっけ?

うっ...頭が...

 

[あっ、いや何でもないのじゃ!気にしないでくれ!]

 

焦ったようにそう言われ

頭の痛みが引く。

するとその代わりと言わんばかりに

猛烈な眠気が襲ってくる。

 

そう。なんか私も知らないうちに疲れてたみたいだから寝るね

 

呪いで寝る必要なくなってる。というか寝れなくなってるはずなのに

な~んかたまに抗えないぐらい眠くなるんだよね。

 

まぁいいや。なんかの呪いと競合してるんでしょ。

寝れないよりはマシだし。

 

寝れない日とかリラをずっとふもふもしてるしかないからね?

 

おやすみ。

 

一応挨拶だけはして寝ます。

毎回河川敷に穴開けて部屋作ってるけど

ちゃんと伝えておかないとリラが外に取り残されちゃったら困るからね。

 

 

 

                

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

<???視点>

ごめんね?≪俺≫が暴走しちゃったみたい。

 

だけど仕方ないよね?

 

みんなもお気に入りのもの...壊れたら嫌だよね?

だから幼児退行しちゃっても仕方ないと思うんだ。

 

可愛そうだからボクが買いに行ってあげたいんだけど

それはできないんだ。だからコバヤシくんか終くんに頼んでおくね。

 

二人とも毎晩忙しそうだけどそれくらいはしてくれると思うよ?

だって・・・・・・

 

うん、ごめんね。コバヤシくん

これはまだ秘密なんだよね?わかってる。

ちゃんとお口にチャックしておくよ

 

中指立てないでよ。こわいじゃないか。

 

もう、ミスはしないからね大丈夫。

 

あぁ、そうだ。

初めてのひともいるみたいだから伝えておくね?

このことは秘密だよ?

他の人に話さないで欲しいんだ。

ボクは自分から話しているけど、知られたくないことが漏れている人もいるからね?

 

 




ちなみにサメの嚙む力ってめちゃくちゃ強いらしくてメガロドンとかの巨大なサメになると最大18万ニュートンくらいの力がかかるらしいですね。ティラノサウルスの約6~10倍ぐらいだとか。
怖いですねぇ。

既に絶滅しているらしいですが人が噛みつかれたら抵抗なく真っ二つになるでしょうね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~やさしさといらないきもち~

原作のサムくんの設定として字が汚いというのがあるのですが
2週間たっぷり悩んだ結果その設定は取り入れないことになりました。

理由として主役級のキャラであるので何度も作品内で登場するため漢字変換をしない
かつ、文字フォントが崩れた状態で投稿するととても見づらくなってしまうからです

ご理解していただけると幸いです。


 

☇☇☇視点>

 

さて・・・今回はどうにかなりますかね?

 

おっと失礼、視聴者様並びにプレイヤーの皆様方。ワタクシは今、件の水族館に来ております。

 

どうも魔法少女リ:rinnと申します

変な名前ですよね?

呼びやすいようにリリンとでも名乗っておきましょうかね。

 

<今回はってどういうこと?>

 

ふむ、皆様全て見ていると思っていたのですがそんなことはないようで...

少しだけ安心しました

・・・・おっと失礼こちらの話です。

 

では説明いたしましょう。

 

本来この世界は、どんなルートを通ろうと大筋に変わりはありません。

いわゆる世界の強制力というもの。皆様なじみ深いのではないでしょうか?

 

そんなものがあるのですから先に動いて組織を潰すこともできなかったわけです。

ティーチのアホもサブのバカも知りませんがね。

 

 

私が組織のメンバーを一人残さず処分していたところはご覧になっていたでしょう?

疑問に思いませんでしたか?なぜ先に潰さないんだと。

 

えぇ、もっともな疑問だと思います。

 

ワタクシはティーチのように曇らせに興味はございませんし協力する義理もないですからね。

できるならそうする予定でした。

 

ですがそれは不可能なのですよ。これまでの経験からしてね。

 

勿論試さなかったわけではありませんよ?

狙撃してもみましたし事故を起こして間接的に殺害しようとしました。

 

ですがティーチが被害にあうまで。

というよりは誰か魔法少女が被害に合うまで手出しができなかったのですよ

それがストーリーの大筋ですから。

 

狙撃は一切の効果を示さず、事故は時間が戻り起きなかったことにされた。

お手上げです

 

今回の事件もおそらくそうでしょう。

誰かが実験体として呪いを付与される被害を受けない場合ストーリーの大筋が歪んでしまうから干渉できない。

 

だけれどワタクシ、優しいので魔法少女が被害に合うのは避けたいんですよね。

 

だからサブ君を生贄にしようと思います。

ワタクシは痛いのや辛いのは嫌なのでね

全くティーチの癖もサブの体質も我がことながら

狂っているとしか言いようがないですが...

 

失礼。続けましょう

確認は取っていませんが、本人も魔法少女大好きな男の子ですし了承してくれるでしょう。

それに今回の主題は呪いの強制注入。一つ増えたところで何も変わらないでしょうし...

 

今回の仕事は前回と比べてもとても簡単です。

攫われてきた子と魔法で入れ替える。それだけ

今回の被害に合う子は一人だけですからね。いつでも使える手ではないですが...

 

さて、魔法少女サブに認識同化の効果を掛ければいけませんのでワタクシはこの辺で。

 

─────────────────────────────────

サブ視点>

 

クソリリンのやつ。変なことしやがって!

 

魔法少女を助けるって理由だからいいけどさぁ

愛してるティーチくんの側にいれないの辛いよ!

 

まったく。

ぼくも呪いで寝れないのに一人でこんな水槽みたいな奴の中に閉じこめやがって!!

 

でも、リラとティーチくんといっしょに水族館に行けたの楽しかった!

リリンもいっしょだったのはキモかったけど。

 

はぁ。ティーチくんに会いたいよぉ

 

今ごろリリンと二人でいることを考えるともうぷんぷんなんだけど!

 

てか、体分けられるなら出てけよ!

僕はティーチくんに使ってもらった方が楽しいし嬉しいからそうしてるけど、おまえそんなことないじゃん!

 

「実験を開始する!」

 

水槽の中で目を閉じながらそんなことを考えていると追加で白衣を着た集団と銃火器で武装した黒服たちが一塊になって狭いドアから入ってくる。

 

どうやら準備が終わったみたいで、さっきから水槽の前に居た妖精さんと若い男が何かもめている。

 

 

ありゃ。こんだけ人がいるとは思わなったよ。

起きてるのばれないといいけど...

 

 

・・・・・まぁ、あのうんこリリンも魔法の強さだけはすごいし、そこらへんは大丈夫かな?

 

「さっさとしろ!この魔法少女がどうなってもしらんぞ!」

 

そう言ってレバーを下す男。

視界に雷のような光が何筋も走り出す。

 

う~ん?どうも電流が流れてるっぽいんだけど

僕、大抵の攻撃だと痛く感じないんだよね

でも。痛がったほうがいいのかな?

 

・・・いや?水中だし声出せないんだから口からアワだけ出せばいいか。

 

ぷかぷか~ぽこぽこ~

う~ん。お父さんともお母さんともやったことなかったからシャボン玉みたいで楽しいな。

 

あれ?妖精さんがないちゃってる...

大丈夫だよ?泣かないで?

 

[わかった...呪いを注入するよ]

 

 

「それでいいんだ!全く!やるなら早くやればいいのに!」

 

心配ないよ?

僕ねもうたくさん呪いをもってるんだ!

だから効かないんだ?すごいでしょ!カッコいいよね!

ムテキの主人公だよ!へへ~ん!

 

「ははは!実験は成功だ!すばらしいデータが取れた。」

 

ん~そろそろいいかな?

リリンも呪いを注入された後は好きに暴れて良いって言ってたし

 

よいしょお!

 

あっれぇ?思ったより動きずらいんだね。水の中って。

てっきり一発で壊れると思ってたんだけど...

 

まぁいいや。2発目ぇ!3発目ぇ!

何回か殴れば壊れるしね!というかもう壊れたし!

 

 

って?ありゃぁもうみんな死んじゃってるじゃん。

リリンも何人か残しといてくれればよかったのに。

 

あとは。魔法少女機関につかまるまで逃げてればいいんだよね!

おにごっこもやったことなかったし。楽しみだなぁ。

 

あ、そうだ。

 

妖精さんバイバイ!

 

こんなところに残してくのはかわいそうだしね

きみの魔法少女のところに早く行ってあげなよ!

 

じゃあね!

 

────────────────────────────────

<とある妖精の懺悔>

 

「君にはここにいる魔法少女に呪いを注入してもらう!」

 

何でこうなってしまったのだろう?

この人は良いヒトだと思っていた。

 

パートナーとしてステータスの表示機械も研究したし

妖精と会話できるシステムだって、作り上げたのはキミじゃないか。

 

「君には分からないよ!!二人で作り上げたシステムを他人の手柄にされた気持ちなんて!」

 

分からないよ。

より良いサポートをするために研究してたんじゃなかったの?

私はキミが魔法少女の事が好きだから頑張ってると思ってたのに...

 

「あぁ、勿論大好きさ!だけどそれ以上に功績が今、欲しいんだ。」

 

なんで...

 

ストレッチャーに乗せられ、顔も知らぬ男たちに運び込まれてきた魔法少女が液体で内部が満たされた器具の中に押し込まれて漂っている。

そんな姿を見るだけで私は胸が張り裂けそうなほど辛いのにキミは何も思わないの?

 

「あぁ。どうでもいいね!そんなこと。」

 

そう言いながらいくつかのボタンやレバーを操作する私の研究パートナー。

 

すると機械の内部にいくつもの太い管が蔓延りはじめ鋭い先端が一切の抵抗なく中の少女に突き刺さった。

そして被験者の状況を示すためのモニターが稼働を始める。

 

傷口からは赤い血が漏れ出しとてつもなく痛そうだがそれでも中の少女は意識を取り戻さない。

 

それはそうだ。およそ人体に投入すべきではない量の睡眠薬が投入されているのだから...

そのうえで筋弛緩剤まで投入して万が一中の少女が起きたとしても逃げ出されないようにしている。

 

「実験を開始する!」

 

「呪いを解明すれば...この功績はボクだけの物だ!」

 

ねぇ。どうしてそんなことするの?

それはキミもこの魔法少女のためにもならないよ!

 

「うるさい!やる気がないならこうだ!」

 

近場にあるレバーを下す青年

内部の液体が沸騰するほどの電流が流れる

 

中に居る魔法少女が痛みに飛び起き、もがき苦しんでいる

 

声の無い絶叫を響かせ、数多の泡を口からこぼしているその様子は見ている自分でさえ痛みを感じれるほどむごい

 

[やめて!やめてよ!]

 

流れていた電流がいったん止まる。

 

睡眠薬による深い眠りから痛みで無理やりたたき起こされたその少女は、現在の状況が理解できていないのだろう

きょろきょろと水槽の中であたりを見回している

だけれどそんな中で泣いている私が見えたのだろう

こちらを見て安心させるように口が動く

 

 

(大丈夫だよ?泣かないで?)

 

そんなはずないのに

ごめん、ごめんね

私が悪いんだ。決断できない私が

 

私が彼を裏切れないこと。それをわかっていて。彼は私から連絡手段を取り上げなかった。

実験の根幹さえ全て明らかにした。酷いヒトだ。

 

[わかった。呪いを注入するよ...]

 

だけど。こんなに悪いことしてるのに

まだ期待してる。これが成功さえすれば元の優しかった彼に戻ってくれるんじゃないかって

 

あの頃の二人で支えあって、研究して、失敗して

それさえ笑って受け入れて。成功するまで何度も試行錯誤していた時のように

 

[ごめん、ごめんね...]

 

タブレットで選択して震える指で決定ボタンを押す

 

生理的嫌悪感を与えるような黒がその魔法少女の体を包み込んでいく

 

魔力を持たない人でもわかるその禍々しさ

明らかに使っていいものではないことが明白なソレ

 

妖精の中でも忌避されるソレは持っているものを天秤の片方に捧げるもの

 

 

藻掻き苦しみその体を変えていく魔法少女

注入した呪いは異形化。ほかの呪いは魂を変革するような負担が大きいものだから肉体だけに作用する。一番精神への負担の低い物を

 

・・・こんな言い訳意味ないだろう

私も彼も地獄まで一蓮托生だ。人としての在り方を歪める物を他人に押し付けているのだから

 

「ははは!実験は成功だ!素晴らしいデータが取れた。」

 

狂ったように笑い声をあげた後ありがとう、テル

そう言ってこちらを見る彼の瞳

その中には優しさの欠片さえもなく宿るのは底なしの欲望と狂気だけだった

 

もう手遅れだった...

気づくのが遅すぎた。彼は研究者としての心持ちさえ完全に棄ててしまった

 

その根底にあるのは知識を求める狂気と利益を求める欲望だけ

 

誰かのための探求も、倫理観に基づいた超えてはいけない一線も、道徳心に基づいた理性もない

 

「次は何を試そうか?」

 

そういう彼を前にタブレットに手を伸ばす

今更遅いが連絡しなくては

 

『トスッ!』

 

魔法少女機関の番号を入力して通報する。

 

 [もしもし、こちら魔法少女機関緊急対応窓口です!]

 

コール音が何回かなった後通話がつながった

そこでおかしいことに気づいた

 

衝動的に事を起こしたがこの部屋には何人もの人がいるのだ。止められないはずがない

 

タブレットを操作するために下を向き

狭まっていた視界を広げるように周囲を見渡す

 

そこでやっと彼が死んでいることに気づいた

一発。苦しむこともなく胸を抉りぬかれて

 

あたりを見回しても生きているものは私以外誰もいない

周囲の素性の知れない研究者も、護衛もすべてがその場で倒れている

 

そんな命の鼓動が消え失せた中で

 

 『バキッ』 『バキッ!』 『バリンッ!!』

 

という音が響く。

 

音とともに魔法少女がとらわれていた器具が割れ

粉々になったガラス片があたりに散らばり屍の上まで覆いかぶさる。

 

体に刺さっていた管を強引に抜き取り

ガラスにまみれた床を踏みつけ器具から出てきたその少女は、獣のような手足と蛇の様な尾を持つ以外はただの人間に見える。だがしかしその本質は違う

 

呪いに侵された体はついた傷も足裏の痛みも一切を感じていないのだろう

いや、その回復力からして気づいてすらいないのかもしれない

人間に見える部分でさえ内側は異形と化しているのだ。それも当然の事。

 

周囲の死体すらも目に入らないようにこちらにゆっくりと歩いてくる少女

きっと正常な倫理観でさえ代償として失われてしまったのだろう

 

本来は自分の犯した罪の重さに打ちひしがれ

後悔に嘆きもだえ苦しむべきなのだ。

だけれど私にそんな感覚が湧くことはなく...

 

妖精さんバイバイ!

 

と私に声をかけそのまま目にも止まらぬ速さで走り去っていくその姿でさえ、ただの情報として処理され何の反応も起こすことはない

 

ただ私の中にあるのは

 

[なんで...私も殺してくれなかったの?]

 

という思いだけ。

 

知っている、あぁよく知っているとも

機関の職員の中では有名な話だ

 

一撃で確実に悪人を殺す、天誅の化身

魔法少女を守るためその手を汚す正体不明の存在

 

その姿すら見せず

けれど急所を確実にえぐり抜く

 

この手口は魔法少女Lの仕業。

 

 

なのになぜ私だけが生き残っている?

彼が死ぬのなら私も死ぬはずだ。

止めなかったのも実行したのも私なのだから

誰よりも罪が重いのは私なのだ!

 

[聞こえているのなら返事をしてくれ魔法少女L!なぜ私を、私を殺してくれない!]

 

 『ドサッ...』

 

・・・・返事はない。

だけれど代わりに重い音をたててライフルが一つ現れる

 

なるほど

キミももう嫌なんだな

そうだね、自分で起こしたことの始末は自分でつけよう

 

長い銃身のその先を咥えこみ引き金に指をかける

 

そうだ、これだけは伝えなければ

 

[キミとあの魔法少女に溢れんばかりの祝福を]

 

魔法少女Lは私たちの様な悪人を手に掛けることでその心を痛めないように

名も知らぬあの被害者の魔法少女にはせめて今以降の幸せを。それを一つの言葉に込めた。

 

私達みたいな悲しい人生を送らないように。これから良い巡り合わせがありますように...

そう願いながら引き金を押し込む

 

『ドン...』

 

全ての灯が消えた部屋にくぐもった銃声が1発響いた

 

 

─────────────────────────────────

 

リリン視点>

 

祝福ですか...私にはそれを受け取る資格はないんですよ

 

最悪の気分だ

何度も何度も繰り返しても、この感覚は好きになれない

 

あそこに寄りますか

 

気分転換にワインとチーズでも買っていきましょう

この体は未成熟なので普段は飲まないのですが...今日くらいは良いでしょう

 

【ワープ】

 

んん、やはり総量が3分の1近く減ると少し感覚が違いますね

 

3Fの食料料品店の近くに現れるつもりが

まさか1Fのストリートピアノの近くに出てしまうとは...

 

 

・・・・いえ、これも何かの縁ですかね。少し触っていきましょう。夜中に近いので音は抑えなければいけませんが...

 

Lacrimosa dies illa,

 qua resurget ex favilla

 judicandus homo reus:

 

 Huic ergo parce Deus.

 pie Jesu Domine,

 

 

 Dona eis requiem. Amen

 

やはり、ピアノだけでは雰囲気が出ませんね?

ヴァイオリンだけでもあると良いのですが...

 

「そこの兄ちゃん、うまかったぜ!」

 

はい、ありがとうございます。

短い曲なのですがそれでも立ち止まって聞いてくれた人もいたようで。

コチラも聞いてくれて嬉しい限りですよ。

 

 

 <あれ?>

 

あぁ。当然見た目は変えていますよ。

認識疎外ではなく光属性魔法の幻影でね。

ここのスーパーはよっぽど若く見えない限り年齢確認されないので30代程度に変えています。

 

いちいち代金だけレジに入れて商品をもらっていくのも面倒ですから。

 

 

ふむ

 

そういえばここはティーチのバカが服を買ったところではありませんでしたか?

仕方ありませんね。気分もいいですし、ついでに寄っていきましょう。

どうせ通り道の2Fですから。

 

全く。大人というのも楽じゃないですね。

そんなにお気に入りなのならまた買いに来ればよかったのですよ。

それをいじけてそのまま帰るとは...

子供というのは理解しがたい思考回路をしていますね。

 

ツンデレだ...

 

そんなことないですよ?

ただ・・・いえ。何を言ってもそれで片づけられてしまいそうですね。

 

-- --

さて、あとは私の方では面白いコンテンツを提供できませんので

そうですね、サブを追いかけている魔法少女視点に切り替えてもらいましょうか。

さん視点変更お願いします。

 

 

え?いや?

あぁなるほど。そろそろ尺の問題もありますか。なら次回に回しましょう。

サブのはしゃぎ様でも映してやればいいでしょう。頼みましたよ。

 

まだ何か?

えっと視点かえてないと。・・・・視点変えてない?!

 

-- --

あ、あぁ申し訳ありません。

裏の音声が入ってしまったようです。完全にこちらの失態ですね

 

見なかったことにしていただけると助かります。

それでは・・・・

─────────────────────────────────

サブ視点>

 

ひゃっほ~!!!

 

走るのってこんなに楽しかったんだ!

前は走ったことなんてほとんどなかったし、体も痛かったから走ることなんてしたくなかったんだ。

でもこんなに気持ちいいなんてね!

 

だけど僕の本気はこんなもんじゃないよ!

もっと速くできるよね!

こんなところじゃ危ないから山まで行ってから本気で走ろ!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

山の上から町の光を見下ろして走り出す準備をする。

そして

 

それじゃ、ようい...ドン!

 

窓から聞いた運動会の掛け声を真似してスタートする。

走り始めれば次第に速度は上がっていき耳元ではとてつもない風音がし始める。

 

すっごい音!風につつまれてるみたい!

 

少しずつ息が上がってくるがそんなこと気にならないくらいとっても楽しい。

 

だけれど5分くらい走ったところで障害物の様な人形と、ゴールテープのように糸が道路に張り巡らされているのに気づく。

 

知ってるよ!コレをとびこえていくんでしょ!

 

テレビで見たのはこんな感じで

めっちゃ近くで飛んでたんだよね!

 

 

 『ゴギャァアアンン!!!』

 

あれ?失敗しちゃった...

まぁいいや!ゴール!!!

 

あ!魔法少女達だ!

 

えへへ?見られてたのかな?ちょっと恥ずかしいな...

でもぼく知ってるよ!走り切った時って見てる人にハイタッチしに行くんだよね

 

『ドカンッ!!!』

 

あ...

忘れてた。力加減しないとまずかったね。

 

えへへ。ごめんね。

 

・・・・あれ?あの子誰かと話してるね。

何話してるんだろ?こっそり盗み聞きしちゃお!

 

魔法少女機関?

 

ってとこに連れて行ってくれるんだって。

いいの?やったぁ!

ずっと憧れてたんだ。

アニメで見たときもゲームをプレイした時もすっごくカッコよくて

いっぱい魔法少女がいるところ。

楽しみだなぁ!

 

                 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

怖かった、怖かったよ。怖かったね。怖かった。

 

なんで、なんであんなミスを。

この世界は視聴者様とプレイヤー様の選択次第なのに。

 

楽しませなきゃ。続きを見たいと思わせなきゃ。

 

死にたくない。続けたくない。消えたくない。もういやだ。

 

次こそ、次こそこんな私を見せちゃだめだ。

 

 

 

次なるワタクシにご期待ください(^^)¬ 

 

 

(:_;)¬『ガチャン!』 




ピアノを弾ける男性ってかっこいいですよね。
グランドピアノもいいですがトイピアノでも弾く人が雰囲気に合っていればそれ相応に
良さが出る気がします。

ちなみに作中で使用したラクリモーサですが
モーツァルトの作曲したこのレクイエムにはとある伝説があるらしいですね。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~あぶないことはやめようね~

原作者様の投稿している別シリーズの曲が出たんですが皆様聞きましたかね?

初聞きした時はほんとに興奮しすぎちゃってずっと鬼リピしてました!
とってもいい曲なのでできれば聞いてみて欲しいです。




<司令官視点>

 

[司令官くん!すぐに魔法少女たちを集めてくれ!]

 

メインルームにいた妖精府代表のナイアが急にそう言う。

 

先日開発された機械で直接コミュニケーションができるようになったのでテストを行っていたのだが

誤翻訳ではないだろうか?そう疑うくらいの脈絡の無い言葉であった。

 

どうなされたんですか?急に

 

 [いいから!早く!]

 

さすがにそこまで鬼気迫る様子で言われれば誤翻訳ではないことは分かる。

こんな真夜中だから緊急で呼び出せる魔法少女は少ないが...それでもコールを行う。

反応したのは..クインスとポーン、キングだけか。

此方の状況が分かるように通話をつなげたまま魔法少女機関に来てもらう。

 

[地図を出してくれ!呪いが魔法少女に対して発動された場所を示す!それとデータにない魔法少女の反応を探してほしい!]

 

 

呪い?ソレは、妖精が忌み嫌っているものではなかったか?それが魔法少女に?

 

なぜそれを察知できたのか分からない

だがもともと妖精の技術であるソレにセーフティーとして警報でもを掛けていたのかもしれないと強引に納得する。

 

同時に連絡担当からの声が飛ぶ。

 

「司令官!緊急連絡です。正体不明の妖精からの連絡の後、銃声とともに返答が途絶...

繋がっていた通話からその場に魔法少女Lが居た模様!発信源はココです!」

 

そのまま差し出された地図に示されたポイント。

それを見てナイアが叫ぶ。

 

[そこだ!その座標と一緒だ。水族館の地下!]

 

なるほど!別件ではなく一つの事件の派生か。

ならここで送るべきは魔法少女ではなく・・・

 

その座標には特殊部隊を!

 

魔法少女Lの案件なら現場は幼い少女に見せるには酷な状況になっているだろう。

だから大人で対処すべき案件だとして特殊部隊を送った。

 

 

「ファイリングされていない魔法少女の反応を確認!メインモニター出します!」

 

そして。出動要請を送る間にさらに事態は進む。

 

 [これは...異形化の呪い...]

 

其処に映っていたのは道路を疾走する手足が獣と化した魔法少女の姿。

明らかに正気を失っている様子でこちらの静止の一切が届いていないようだ。

 

さらにはその速度はカメラの切り替え速度が間に合わないほどで、一歩ごとに地面が捲れ上がり暴風が発生している。

 

「この速度ではあと5分程度で郊外に到達します!」

 

 

マズイ、せめて速度を落とさなければ...

 

現状、山道や何もない直線の道を通っているから被害は少ないが

あの速度で人の住んでいるところに侵入すれば間違いなく大きな被害が起こる。

仕方がない、どんな手を尽くしてでも止めるしかないわ...

 

(いざとなればアレを・・・・・)

そんな考えをしたところで遮るようにナイアが声を上げる。

 

 [厳しいかもしれないがあの子を捕獲してほしい。頼めないか?]

 

おそらく一度動きを止めれば正気に戻るはずなんだ

そういいながら縋るように私を見つめる

 

そうね。私が諦めればそれ以上を望むことなんてできっこないわよね

 

指をかけていた、とあるボタンから指を離し声を張り上げる

 

魔法少女クインス。聞こえていたわね。捕獲、alive only よ。よろしく頼むわ!

 

「は~い。まかせといて~完全に捕まえっちゃうよ!」

 

補佐はポーンとキングよろしく!戦闘になる可能性もあるから気を付けて!

 

「はいよ~」「了解!」

 

緊急事態よ魔法少女ゲト、このポイントへの移送頼むわ

 

「準備OK~じゃ行ってらっしゃい!【開け、扉よ此方と彼方をつなぎこの者たちを送り届けよ。ゲート】

 

後は彼女たちに任せるしかないわね...

 

さて、詳しく話してもらうわよ。あの魔法少女と呪いについて!

 

聞き出さなければならない。どうしてあの状態になってしまったのかを

そして対策があればそれを行う。それしか今の私たちにできることはないのだから

 

 

─────────────────────────────────

 

<魔法少女クインス視点>

 

任せろとは言ったものの

 

「ちょっち厳しいなぁ...」

 

 

私の固有能力の糸もできるだけ張り巡らせてるけどさぁ?

あの速度でぶつかられたら紙切れ同然だと思うんだけど...

 

「文句を言っている場合ではないのであります!自分ができるだけ盾を作りますのでそちらもどうか!」

 

「はいはい、分かってるよ」

 

ポーンの能力は兵隊の様なブリキ人形の生成

それをキングのメンバー強化の能力で強め魔物をしとめるのが普段の戦法

私はそれを補佐するためのトラップやなんかの拘束係

 

本来は攻撃に使うべきものであっても今回は役に立たないのだから

障害物として使う。それは当然の事なのだが...

 

「いつもと逆だねぇ」

 

そんな感想が湧いてしまう。

 

 [目標地点到達まで30秒。魔法少女は針路上から退避してください!]

 

そんな中で、無慈悲なカウントダウンが告げられる

作業の手を止め振り返った先・・・・

 

「うっわぁ。あれ止めるの?」

 

 

目視距離まで迫ったそれはまるで台風

 

風の音を鳴らしながら走るその姿は何もかも吹き飛ばし直進し続ける天災のようであった

 

 

 ≪到達まであと20秒≫

 

できるだけ現場から距離を取る

衝撃に巻き込まれただけでも体がバラバラになるだろう

 

 ≪10秒・・・≫

 

ギリギリ視界が通る位置

仕掛けから300メートルほど離れた位置で行方を見守る

 

 ≪3・2・1・・・≫

 

「(ん?)」

 

その後すぐさま埃が舞い上がり視界が通らなくなったので気のせいだったのかもしれないが、仕掛けにぶつかる直前にその速度が鈍ったように見えた

 

だけれどそのことを二人に伝える前に衝突音がその考えを流し去っていった。

 

『ゴギャァアアンン!!!』

 

とてつもない轟音がなる。

何十枚も束ねた鉄がひしゃげ悲鳴を上げる音

 

これだけ離れているというのに鼓膜が破れるほどの音を立てたそれに思わず手で耳を覆う

 

だけれど私の糸は千切れず衝突したその体をしっかり絡めとった。

 

「とまった?」

 

だからキングもポーンも私もこれで終わりだと油断した

 

けれどもこれで終わりではなかった。

自分の糸が切断されたのを知覚した瞬間咄嗟に反応し、横跳びに避ける。

 

 

「ッ!」

 

 

瞬間的に加速した意識の中

あれほどあった距離を一瞬で詰めた彼女が掌を振り下ろすところだけが、紅く染まった眼光の軌跡とともに知覚出来た

 

(あ、コレ詰んだわ...)

 

着地も考えず投げ出した体はそのあがきも意味をなさずに確実に当たる軌道にある

 

(うわぁ、こんなんだったらもっと遊んどけばよかったなぁ)

 

この作戦に参加したのは自分の意志だからこの魔法少女にも機関にも文句を言う気は一切ない

 

だけれど、たくさん貯金があるのに全然遊べずに終わってしまう

そのことだけはとても残念だ

 

そんな遺言じみた後悔を抱いていた私だが

なぜか私の身体に触れる寸前で、その軌道が強引にねじ曲がり地面を叩いた

 

 

圧倒的な力と速度を持ったその一撃は

そのまま地面を豆腐のように砕き

伝播した衝撃が深さ10メートル程度のクレーターを作り上げる。

 

 

ゾーンに入っていた脳が通常の感覚を取り戻し

とてつもない衝撃が一瞬で体を叩く

そのまま吹き飛ばされ、地面に体を擦り付けた

だがその痛みを考えている場合ではない

あんなもの喰らえば命がいくらあっても足りないのだから

 

追撃を避けるため自分の身体から出した糸で引きずられるように立つ

早く、早く立ち上がらなければ!

せめてわずかでも生き残る可能性を

 

だけれど追撃に動くだろうと思っていたその体は一切動いていない

それどころか先ほどまで放っていた野生の獣の様な荒々しいプレッシャーすら嘘のように消えている

 

ぼくなにを?

 

理性も何もなかったその目はきれいな黄色に戻り

此方を見つめる

 

「あれぇ?覚えてないの?かなり大変だったんだけどなぁ」

 

何が起こったのかよくわからないけれど

正気に戻ってくれたのならよかった

次攻撃されれば私の命は間違いなく刈り取られていただろうから

 

よくわからないですけど...たぶん僕が迷惑をかけてしまったんですよね。ごめんなさい...

 

そう謝った後は不思議そうに自分の手足や尾を眺めている

 

その姿はとても可愛らしく

先ほど自分たちに襲い掛かった敵とはみじんも重ならない

 

「よくやったわ。魔法少女機関の本部にその子を連れて帰投して頂戴」

 

魔法少女機関?

 

ん~この子

魔法少女機関を知らないってちょっとどんな生活してたのか気になるんだけど...

 

・・・・ま、いっか

知る必要があったら司令官から教えてもらえるでしょ!

 

「説明は自分にお任せを!クインスとキングは一応周囲の警戒をお願いします」

 

「は~い、任せたよポーン」

 

私も説明は苦手だからポーンがやってくれるんなら助かるわぁ

 

─────────────────────────────────

<司令官視点>

 

ふむ、説明を受けたが要約すると

 

つまり呪いというのは何かを代償に力を手に入れるということ?

 

[あぁ。基本はそれであっている。だが天秤の片側に乗る代償は人間として必須なもの

どれもなくすことさえ考えられないような重い代償だ]

 

5感にはじまり、精神性、知識、記憶。

どれも自分の存在を形成するのに必要なパーツ、突然欠ければ全体の崩壊を招きかねないそんなもの。

そんな代償を払ったうえで

 

呪い自体が成功しても体が適合できなければそのまま狂い果てると...

 

 [あぁ、私たち妖精は魔女化と呼んでいるがね。]

 

適合は想像を絶する痛みを伴う。耐えられたものなどいままで数人しか...

 

そう悲しそうに呟くナイア。この世界に来るまでも魔物との戦いを続けてきた彼らにはその様な暗い歴史もあったのだろう。

 

彼女は救えるの?

 

 [おそらく]

 

あれは魔法少女にもとからある種の防衛機構で、魔女化した結果ではないらしい

本来はダメージを受けたときに緊急離脱するための行動と思われるがそれが規定値を超える痛みの情報にオーバーフローを起こし暴走しているようだ。

 

だから止まらずに動き続けているのをストップすれば

同時に機構自体も解除されるはず

とのこと

 

なるほど

 

結局こちらでできる有益な対処法はなく、私たちには祈ることしかできないのか...

 

そっと最後の手段のボタンを手の中に納める。

私と妖精達しか知らないソレ

いざという時のための魔法少女に対する最低な最高威力の攻撃

ターゲットはロック済み、あとはトリガーを引くだけで全て終わりにできる

 

≪目標地点到達まで30秒・・20・・10・3・2・1≫

 

メインルーム一同でかたずをのんで見守る。

どうか・・・・

 

『ゴギャァアアンン!!!』

 

スピーカーが音割れするほどの轟音とともにカメラからの映像に揺れとノイズが走り、砂煙で何も見えなくなる。

 

 

「カメラ。クインス付近に切り替わります!」

 

かたずをのんで切り替わるのを待つ職員たち。

談笑する魔法少女たちがモニターに映ったところでメインルームに歓声が上がる

 

私もそこに混ざりたい気持ちを抑えやるべきことを行う。

 

まずは、手の中にある危険物の処理だ

抱き合い喜ぶ職員たちの目線を避けさりげなくボタンをカバーに戻し、何重ものセーフティーを掛けて仕舞う。

誤発動などシャレにならないから。

 

よくやったわ。魔法少女機関の本部にその子を連れて帰投して頂戴

 

その後は彼女達への支持

ここまでやり終えてから小さくガッツポーズをする

常日頃からトップに立つものとして冷静であろうとはしているが、これくらいは大目に見て良いだろう

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

時間が経ち通常業務に職員が戻り始める

そんな中、魔法少女Lの出現場所に送った特殊部隊からデータが転送されてくる

 

 

これは...研究部門のトップに。これは人事部に

 

非道な実験の記録や、欠けた分の人員の補充などそれぞれ適した部門に振り分ける

 

なるほど。今回被害に合った子のデータはないけど

ほかの候補の子から見て親族がおらず周りとの関係性が薄かったから攫われたようね...

 

だけれど次のターゲットは...

この子は魔法少女機関所属の子じゃない!?

 

少し驚いたけれど、よく考えれば機関所属でも個人が特定されちゃう場合はあるわよね

 

変身場所の問題や出現場所から特定される危険性だってあるわけだし、魔法少女機関の支部だって何処にでもあるというわけではないし...

 

 

う~ん・・・・攫われた魔法少女の関係も考えるとやはり魔法少女専用の学校を作るべきかしら?

それぞれの環境に負荷を掛けたくなかったから避けていたのだけれど

 

現状妖精府からの支援で土地や資金の確保は問題ないのだから踏み切ってしまってもいいかもしれないわね

 

どう思う?ナイア?

 

アンケートを魔法少女とその保護者に行なうことは当然として妖精たちにも意見を訪ねよう

 

 [そうだね。ボクの意見としては絶対必要だと思うよ!]

 

やっぱりそうよねぇ...

昼間に出現した場合の対応の遅れも問題になっているし...

 

 

みんな学生なんだからそう簡単に抜け出せるわけもないし補填が通常の学校だと厳しいこともあって遅れは仕方ないのだけれど

その分だけ被害が増えることを考えるとできるだけ迅速な対応をするに越したことはない訳で

 

 [それに今回の魔法少女みたいに機関に所属していない子を受け入れる場所も必要なんじゃないかな?]

 

それもあるわね。個人勢の子じゃなくても周りとの縁が薄い子は被害に合いやすいでしょうし

例えばティーチちゃんなんかの裏があるような子に安定した住居を提供することも必要よね。

 

やることは多いけれど、頑張るしかないわね。

 

他は後に回しましょう

そろそろクインスたちも戻るはずだから...

 

「は~い、ただいま~サムちゃん連れて戻ってきたよ~」

 

噂をすれば影ね

 

ありがとう。こんな真夜中に呼び出してごめんなさいね?解散してゆっくり休んで頂戴

 

まずは。彼女たちをねぎらいましょう

おかげで被害は少なく終わっているのだから

 

「いやいや~気にしないで~。私たち魔法少女の中でも年長組ですし?こういう時の為の戦力なんだからジャンジャン呼び出していいんだよ?」

 

ひらひらと手を振り踵を返して出口に向かっていく少女達

そんな言葉を口に出しながらも背中からは疲れがにじみ出ていて、気を遣わせたみたいでとても申し訳ないわね。

 

そんな気持ちを振り払い目の前の連れてこられた少女に目を向ける

 

さて、あなたのお名前はサムちゃんでいいのかしらね?

 

はい!それでいいです!

魔法少女サブ、っていうんですがサムってあだ名の方が気に入りました!

さっきクインスさん達に考えてもらったんです!

 

そう言って嬉しそうに蛇のようになった尾を振り

鋭い爪の生えた獣の様な手を振る彼女

 

情報だけを抜き出すと恐ろしく見えるが

実際はとても可愛らしく。恐怖心など微塵も抱くことはできない

というか可愛らしすぎて覗き見ていた職員が何人か尊死しかけている

 

 [まてまてまて!魂飛んでるって!]

 

ナイアが大変そうだなぁ

頑張ってね!職員の飛んでった魂捕まえるの

 

いや、違う違う!私まで飲まれてはいけないわ!

 

そう、良かったわね。

 

・・・・いや、違うのよ?

本当はね何か言おうとしたことがあったの

だけど小首をかしげて下から覗き込むように見られたから!

 

私発狂しないように頑張ったのよ?

なんせ口の中噛みすぎて口内炎出来そうだもの

 

 [司令官!司令官!まずは検査だよ!]

 

アッ!そうだったわね。

 

救護部門!後は任せたわ!

 

そんな捨てられた子猫のような目で見ないで欲しい

私にはもうムリよ!

救護部門の職員さんならできるって信じてるから(嫌な上司感)

 

私は彼女の仮の住居を探してくるから!

 

「そ、それじゃあまずはついてきてもらえるかな。」

 

 [ボクも付き添いで行くよ]

 

 

現場確認ヨシ!

ちゃんと対応できてるわね!

 

─────────────────────────────────

<サム視点>

 

何度もアニメでもゲームでも見たあこがれの魔法少女機関内部!

すっごいうれしい!

 

「私たちはここまでだけれど何かあったらすぐ呼んでね~?」

 

ふふふ!機関に来るまでの道でみんなと友達になれたよ!

でもね、クインスお姉さんだけちょっと難しかったんだ...

やっぱり手加減してても怖がらせちゃうよね。気を付けないと!

だけど今は一番仲良しだよ!

全く、ウンコバヤシのやつ暴走してるフリしろだなんて酷いよね。

仕方ないからやってやったけど、ケガしないように手加減するの大変だったよ...

何があったかって言うとね

最初はちょっと壁を作ってる感じであんまり話しかけてくれなくて...

 

だからぼくから話しかけてたんだ!

そしたら向こうからも話しかけてくれるようになってね

 

それでサムちゃんってあだ名ももらったの!

ティーチくんもリリンちゃんも自分で名前つけてたし

ぼくも名前変えちゃった!

コバヤシの奴が何でそのまま使わなかったのかは分からないけどね?

えへへ(n*´ω`*n)

 

うん!お姉ちゃん達またね~

 

全力で手を振って見送る。

カッコよかったなぁ。司令官の感謝も軽く流す感じで・・・・

ゲームにもアニメにも登場しないのにね?カッコいいしカワイイ!!

あれが大人ってやつなのかも?

ぼくにはまだ無理だなぁ。

やっぱり魔法少女ってすごいや!

さて、あなたのお名前はサムちゃんでいいのよね?

 

カッコいい司令官さんに対面だ!

でもなんでわかったんだろう?

 

クインスがそう呼んでいたでしょう?

 

おぉ!そっか。

 

サムでいいよ!

 

さっきのクインスさん達みたいにカッコよく言いたかったけどついつい尻尾や手が動いてしまう。

 

ちょっと恥ずかしい(/ω\)

 

自己紹介が終わったら検査なんだって

痛いことないと良いなぁ。ぼく生まれたときから一回も病院に行ったことないからちょっと怖いかも...

ケガしても包帯や、絆創膏で手当てするだけだったもんね。

 [心配しなくても大丈夫。痛いことや怖いこと、何にもないからね]

 

妖精さんが言うなら心配ないね!

 

「じゃあ、リラックスしてくださいね」

 

は~い!

 

大きなヘッドセットをかぶせられてベットに寝せられる

薬品の匂いと、機械が動く音だけが続く

とっても落ち着く嗅ぎなれた消毒液の匂い

暇だなと思い始めたところで

 

「はい、終わりましたよ。」

 

と声をかけてくれた。

ホントに痛くも怖くもなかった!

そのまま慌てて部屋を出ていく大人の人たち

僕はどうすればいいんだろ?

 

 [じゃあ、ボクについてきてくれるかな。]

 

腰かけたベットで足をプラプラさせて待っていると

妖精さんがそういって前を歩き始めた

何処に行くんだろ?

 

 [君の戸籍が見つからなくてね、悪いんだけど魔法少女機関にある客人用の部屋を今日は使っていて欲しいんだ。]

 

そんなのあるんだ!?すっごーい!

設定資料でもアニメでもゲームでも描写されてなったよ?

うん!わかった。大人しく待ってるね!

 

案内された部屋はパソコンとベットがあるだけの小部屋だったけれど

僕の部屋みたいでとても落ち着いた。

 

誰の視線もない部屋に居ると落ち着くよね!とっても眠くなっちゃう。

まぁ今の僕は寝れないんだけどね!

 

─────────────────────────────────

<司令官視点>

 

そう、特に異常はなかったのね

 

変身が解除できないだけで肉体や精神に異常は見られなかったと。

それはよかった!

 

 [ただいま。]

 

おかえりナイア。サムはどうだった?

 

 [気に入ってくれたみたいだよ。]

 

快適に過ごしてくれるといいわね。

 

 [そうだね、ただ問題は・・・]

 

えぇ、彼女のステータスね。

 

 

[魔法少女サム]

 

 年齢:12

 

 体力:10000/10000

 

 魔力:3200/3200n+145928491/n+145928491

 

 固有能力:体力を消費し攻撃の威力を上げる

 

 属性:全属性-空間・光・闇・金・火・土・水

 

 呪い:嵌合体(キマイラ)[体力10倍 体力高速回復 自己再生 異形化]

   :隠蔽状態

 

たった一つの呪いでここまで変わるのね...

 

体力に至っては10倍近く一般的な魔法少女と差がある

魔力は本人の素質次第だから何とも言えないが魔物と戦ったことない初期の平均が100程度

かつ機関所属の最高戦力でも2000を超えない事を考えるととても高いと言わざる負えないだろう

 

 [あぁ。しかもこの呪い、変質してしまっている。]

 

変質しているとは?

明らかに効果量が高いのだがそれも関係しているのだろうか?

 

[本来、こんな呪い存在しないんだ。だけれど本人の素質やなんかがかみ合ったときにその質や効果が変わってしまう。それを変質というのさ]

 

他にも複数の呪いが合わさる統合、お互いに高めあう昇華なんかもあるらしい。

 

何にしろ呪いの情報は公表しないべきであろう。

危険性しかないのだから...

 

[いや、ここに来るまでに協議したんだがむしろ呪いについては公表してほしい。]

 

なぜ?強要されたり、悪用される可能性が増えるのでは?

だから今まで妖精たちも隠してきたのでしょう?

 

 [サムを守るためだよ。]

 

実験の記録動画を一緒に挙げることで世論は制御できる

呪いの付与自体は妖精にしかできないのだし自分達が協力しなければいいだけ

一番大切なのはサムを守ってあげることだろ?と言われた

 

なるほど、そうよね

 

わかったわ。広報部は記録動画の編集頼んだわ!

 

表に出せない情報やその他を編集してもらい

魔法少女機関のサイトに公開する

 

彼女に協力して新しく動画を取るのもアリかもしれないがそれは明日以降

 

 

私は魔法少女専門の学校や宿泊施設の建設の計画案をまとめないとね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




みなさんクトゥルフ神話のニャルラトホテプって知ってますかね?
アニメ化した作品で美少女化されてたりもしますので名前は知ってるよ!って方多いんじゃないでしょうか?
そんなニャルラトホテプですが複数名前や呼び方があるんですよね。

呼び方の方は化身ごとに違うので省きますが
ナイア―ラトテップ
ナイアーラソテップ
ナイアルラトホテプ
ニャルラトテップ
などなど表記ずれみたいに似た呼称をたくさん持っているみたいです。
アザトースを部屋に飼ってるOLさんは内藤さんなんて名前を付けてごまかしていましたが
そんな感じで似てる名前がだんだん繋がっていったのかもしれませんね。

そんな風に考えるととっても面白いですよね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~がんばれ!がんばれ!~

お待ちかね、スタンピード回です。
あんまり曇らせてはいないですけどね

本番はまだまだ後なのでちょっとジャブを入れた感じにとどまっています

今週は感想沢山もらえてモチベが上がったので2話投稿します。
次回投稿は10/29日 日曜日に上がる予定です。

作者は単純なのでお気に入り登録だったり評価や感想もらえると尻を叩かれた馬みたいに続き書きだします
なのでこれからも1週間に2本投稿になる時があるかもしれないです。
その時は毎回前書きにてお知らせさせていただきますね



<ティーチ視点>

 

やぁ...僕の...名前は...ティーチくんだよ。

 

忘れちゃっていないかい?

 

もう一度いうよ?

 

僕は...ティーチくんだよ?

 

・・・・・・そう、それはよかった。

なぜかめちゃくちゃ久しぶりな気がするからね。具体的には2話分くらい。

 

まぁ。それは置いといて、今回俺の視点になったのは

そろそろスタンピードが起こるからなんだよね。

 

実は今朝、割れ目が出現したんだ。

だからあと2,3日でスタンピードだよ。

 

なおなんか目を覚ましたら頭グワングワンするし、サブに変身できないし

魔力総量が3分の2くらいに減ってるしでコンディションがクソほど悪いです。

誰か助けて?

 

[どうするのじゃ?]

 

待ってね。視界が回っててちょっと動きたくないの。

蜆の入った味噌汁とかが飲みたい。少なくとも水が欲しい。

ま~じで頭働かないです...

 

まだ動かないよ戦線が構築されてから合流する

 

吐き気を抑えて一応答えておく。

というかこのまま行ったら空から虹を降らせるきったねぇ魔法少女になってしまう...

 

 

[わかった。体調も悪そうじゃし、寝ておいていいぞ。]

 

助かる

 

横になるだけでもう込み上げてくるものがあるよね...

いっそ寝れたらいいんだけどな・・・

 

─────────────────────────────────

 

<司令官視点>

 

「土嚢足りてないんだけど追加まだですか~」

「戦線構築急いで!」

「緊急事態よ。周囲10Km範囲の避難誘導急いで!」

 

喧騒がメインルームを包んでいる。

ティーチやその妖精の忠告通り空間の裂け目が現れたのだ。

現状どの魔法少女も動けるように日本全域に緊急事態宣言が敷かれすべての住民は不要不急の外出が禁止されている

また空間の裂け目から半径10KMまでの住人は仮の住居を与え戦闘地域から避難。

半径30KM以内にも避難勧告が出ている状況である。

 

なのだが...正直コレが正しい対応なのかわからない...

過剰かもしれないし逆に足りていないかもしれない

何しろ情報がティーチからのモノだけなのだ

しかも伝えられたのは魔物の大量発生が起きるという曖昧なことだけ

 

ただできうる限りの安全マージンを取ったつもりではある。

 

どの程度の規模になるか分からないの?

 

一応何度も聞いた問いをもう一度ナイアに尋ねてみるが

 

 [いや、前も言った通り僕たちでもこんなのは初めてだ。予測するのは不可能だ。

 

そんな答えが返ってくる。

そうよねぇ...

ティーチの妖精にメールで聞いてみても2,3日以内だとしか返ってこないし

多くの魔法少女達に集まってもらった以上せめていつ始まるのかだけでもわかればいいのだけれど・・・

近場の宿泊所やなんかを利用して備えるしかないか。

 

それぞれの担当区域はファイリングしたステータスから考えるとして...

 

フォーメーションや交代制についても事前に考えてはあるけど

全員が集まれたわけでもないし入れ替えて周知を徹底しないとね・・・

 

いくら時間があっても足りないし

できるだけ頑張っては見るけど大変ね。

 

───────────────────────────────────────────

 

<ティーチ視点>

 

[そろそろじゃぞ。行けるか?]

 

うん、二日酔いは収まったから行けるよ。

未だに魔力総量が減ってるのは変わってないけど...

 

 

まぁでも原因らしきものは特定できてるから気にしなくていいかな

横になってる間にいろいろ考えた結果、多分これって人格分裂の呪いのせいだってほぼ確信したから

 

[よかった。ムリをするんじゃないぞ、たとえ戦線が崩壊しようとお主が責任を感じる必要はないからな!]

 

はいは~い

 

【ワープ】

 

戦線が構築された場所を指定して転移した

その瞬間ガヤガヤと耳に喧騒が飛び込んでくる

サブはいるかな?

推測があってればココに来てると思うんだけど...

 

・・・・・っと

あ~やっぱりいたね。この距離まで近づけば繋がってる感じするから分かるよ

思考や感情の共有はないっぽいけど...

 

人格分裂の効果ってやっぱり自分が何人もできる感じだよね

 

今まではたまたまバラバラに行動してなかったから分からなかったと

というか寝てる間に行動してた可能性バリバリあるよね。唐突な眠気とかソレが原因としか思えんし

 

 <思ったより取り乱さないんだね>

 

いやだってさ?

いくら分裂しようと俺は俺なわけで

みんな曇らせや愉悦に向かって動くわけよ。嫌がる必要なくない?

 

むしろ自分が想定していなかったものを見れる可能性まで出るんだから嬉しいくらいだよね?

 

 

『ビシビシッ!!』

 

おっと、そんなことを言ってたら割れ目が広がり始めました

 

これが、スタンピードが始まる直前の予兆です

ということでリラには安全なところに居てもらいましょう

 

リラ、いったん離れてて

 

[わかったのじゃ。何度もうるさく言うがここの戦線を放棄しても被害は出ない。自分を大切にするのじゃぞ!]

 

はいはい

妖精界に戻るリラを尻目に杖を構える

 

『ビキッ!!』

 

ひときわ大きな音とともに

割れ目が完全に広がりきり門のようになって地面が見えなくなるほどの量の魔物が吐き出された

 

さぁ始まったぞい。スタンピードが

まぁとりあえず、開幕は広範囲ぶっぱでしょ

 

【オールレンジシャウト】

 

あ~気持ちィ無双ゲーすぎぃ!

もう金と経験値が歩いてきてるようにしかみえんね!

 

フゥ!レベルが上がるオトォ!

 

<レベルって上がるの?なにも説明されてないんだけど...>

 

当然上がるよ?だって元がゲームだもん。

説明抜けてたかもしれないけど薄々わかってたでしょ?

戦闘があるゲームでレベルシステムが無いじゃんね。

 

<それもそうだね。>

 

それじゃ、戦闘に・・・・・

 

『ドカーン!!!!』

 

うわ!?音ヤバ!?

サブちゃんも暴れとりますねぇ...我がことながらすっごい膂力やん。殴った魔物が爆散してんだけど?

 

あれ魔力一切使ってないよね?まさに筋肉・筋肉・筋肉って感じ!

 

負けてらんないよね!俺の方も次々いきましょ!

 

【黒穴】

【放射レーザー】

【針の筵】

 

ん~?ほかの子呆けちゃって

俺と俺しか戦ってないやん!

 

どっちも俺だから言葉にするとわかりずらいねw

 

・・・・・ほれ。いつまで怠けてるの?

魔法少女ちゃん達早く戦いなされ!

 

まったく、2,3日続くんだから私一人で全部はさすがに面倒だぞ?

 

──────────────────────────────────────

<司令官視点>

 

「魔法少女ダイアモンド戦闘継続不可!残りティーチ。サムのみです!」

 

ついに限界か...

最初はうまくいったように見えていた。だけれど

一人が疲労や魔力の枯渇に倒れ、戦線の人数が減れば減るほど

負担は増え交代サイクルが回らなくなっていった

 

休憩中の子たちで出れる子はいる!?

 

一応、訪ねてみるが

 

「ムリです!!最大でもあと2時間は経たないと継戦可能状態まで復帰できません!」

 

という叫ぶような答えが返ってくる。

 

そうよね、自転車操業で回していたのだもの

2日間戦いっぱなしで微塵も崩れないあの子たちがすごすぎるだけだわ

どちらかでも崩れたら...

そう考え始めたときについに悲報が届く。

 

ごめん...司令官。僕もそろそろ限界かも・・・

 

 

サム。よく頑張ってくれたわ

・・・・・そうねここが潮時ね

 

戦線を放棄します!動けるものは魔法少女の避難のサポートへ!

 

戦線の離脱が多くなってから始めた第2戦線付近の一般人の避難誘導は既に完了済み

後は休憩中の魔法少女達に次の戦線まで下がってもらえばいい。

 

ここの戦線を放棄しても何とか4区分程度の建物のみの被害で押しとどめられるはず

かなり厳しいことは確かだけれどここで命を懸ける必要はないのだから

 

申し訳ないけれどできるだけ足止めをお願いするわ!ティーチ!

 

後は、未だに余裕がある彼女に足止めをしてもらってその間に戦場付近の魔法少女たちを護送する

それで安全な撤退戦ができるはずだ

 

悪いけど足止めするつもりはないよ

 

魔物の大量発生が始まる前に渡しておいた無線

そこから流れ出る声

 

未だに認識疎外を纏っているから十分な余裕があると思っていたのだが厳しいのだろうか?

その体に触れるどころか100メートル四方にすら魔物が侵入できていない時点で、撤退しながらでも足止めはできると思うのだが...

 

残りは私一人でやって見せるから。

 

だけれど続けて言われたそれは予想外なもの。

 

何を言っているの!無茶よ!?せめて前衛の魔法少女がいないと危険だわ!

 

そんな静止の言葉を無視して

メインモニターで映る彼女は最前線で戦うサムの横に転移すると、何か一言二言喋った後にそのままこちらへ転移させる

 

貴方もココに戻ってきなさい!

 

そんな言葉をかけるが聞こえていないかのように無視される

 

認識疎外解除

 

今だ繋がっていた無線から流れるその声

モザイクのように曇っていたその姿がついに現れる

 

 [今だよ!ステータス、計測開始!]

 

その瞬間ナイアが装置を起動させる

表示されたのはこんな情報

 

[魔法少女ティーチ]

 

 年齢:8+19

 

 体力:6000/6000

 

 魔力:92849171/291856982

 

 固有能力:魔法強化

 

 属性:時空属性

 

 呪い

:実験体(キメラ)[体力3倍 常時回復 致命傷無効化 異形度上昇]

:属性制限 [金・土・火・木・水・闇・光 使用不可]

:魔力炉[魔力常時高速回復 体力の減少で爆発的に魔力回復 変身解除不可]

:味覚欠損

:睡眠不可

:戦闘人形(キリングドール)[感情制御 戦闘最適化]

:人格分裂

:魔法強化(獣)[魔法効率上昇 異形度上昇 ]

:狂化(バーサーク)[防衛機構無効化 緊急離脱機構無効化 逃走不可 体力回復速度上昇 精神汚染]

:嘘つき[縁切り 異形度上昇]

:執着[特定条件下で精神に対する外的影響完全無視 異形度上昇]

:空間の獣[時空属性強化 異形度上昇]

:時の獣[時空属性強化 異形度上昇]

:演じる者[トリガーによる記憶の消失 異形度上昇]

:二重人格[魔法演算補助 魔法効率上昇 魔法威力上昇]

:二つの魂[魔法演算補助 魔法効率上昇 魔法威力上昇 魔力上限倍加]

:罪の意識[自分を対象とした攻撃に対する防御・回避・迎撃不可] 

               ・

               ・ 

               ・

               ・

               ・

               ・

               ・

               ・

               ・

 

 

 

 

 

:逆行者 [絶望を知り、変えるために過去に戻った者]

 

:縛り付けられた魂[荳也阜縺ォ邵帙j莉倥¢繧峨l豁サ縺ャ縺薙→繧定ィア縺輔l縺ェ縺上↑縺」縺溷ュ伜惠]

 

 

薄々呪いを抱えていることは分かっていた。

じゃないとここまで戦い続けれるわけがないから。

だけれどここまでとは予測すらできなかった。

 

表示されたのは圧倒的なステータス。

世界中の魔法少女を集めたとしても足元にすら及ばないレベルのそれ。

 

 [ごめん。ごめんね・・・]

 

くしゃくしゃに顔を歪め泣きだすナイアの横で

 

私はただその壮絶さに絶句し

涙を流すことしかできなかった

 

 

【万象記録】

【空割れ】

【黒孔】

【潰界】

【万象再演】

 

すすり泣きだけが響くメインルームのモニターには

先ほどまでが児戯に見えるような圧倒的な蹂躙を続ける、その姿だけが映っていた。

 

 ─────────────────────────────────────────

<魔法少女ダイアモンド視点>

 

クソッたれッ...

 

自分のエモノを振る力さえ抜けていく

 

「魔法少女ダイアモンド戦闘継続不能。すぐに戦闘地域から離れてください」

 

まだ、まだ私はやれる

そう思うのに理性的な自分はこれ以上やれば撤退すら自力でできなくなると判断している

 

私だってティーチに庇われた後はさらに厳しい訓練を相棒と続けてきたんだ

強くなったしより効率的に戦えるようになった

教官に頭を下げて相棒と戦闘訓練までして、

 

・・・・でも敵わないじゃないか

今だってスタミナ切れでまともに戦えやしない。

 

【天光】

 

視界を埋め尽くすように迫る魔物が宙から落ちる光によってばらばらになる

 

ありがとう。お疲れ様

 

挙句の果てに、こうやって守るべき年下に守られて撤退させられてる

 

【ワープ】

 

飛ばされた先は貸し与えられたホテルの一室で

先に魔力切れで離脱したエメラルドが寝ている部屋だった

 

私もおなじようにするべきなのだろうだけれど

自分にイライラして仕方がない

 

そんな気持ちを表すように室内を歩き回る

 

ダイアモンド、ちゃんと休憩しなさい

 

うっせ、分かってるよシトリン

 

分かってはいる、それが一番回復しやすい体勢だってことくらい

だけれど落ち着くことなんてできやしない

 

「戦線を放棄します!職員の指示に従い各自撤退してください!」

 

そんな中で撤退の指示がスピーカーから流れ出る

 

「魔法少女の皆さん!動ける者は各自で移動してください!疲労がひどく動けないものは車で護送します!」

 

私たちは徒歩だね

 

そうだな。戻ってきたばかりだが撤退する程度の余力ならある

車を利用するより徒歩の方が早いのだから私たちはそうするべきだろう

 

窓から出るか

 

廊下から出てわざわざロビーを通るよりも

3階程度の高さなら飛び降りた方がよっぽど早い

変身中ならこの程度造作もないしな

 

そう考え窓を開け放った瞬間

戦闘区域からかなり離れているのにここでもわかるような大量の魔力が放たれる。

 

ッ何がおこった!?

 

遠距離魔法を主武器に戦うシトリン

自分より魔力に敏感なのは当然でそちらを伺う

 

ティーチちゃん。あなた何してるの?

 

ぶるぶると震えながら彼女が漏らしたその名前

私と彼女で守って見せると決意したその子

 

なぁ何があったんだよ?私魔法得意じゃないから教えてくれね?

 

わかるでしょ!?あれだけ強い魔力だったのよ!?

 

分かんねぇよ!

あぁもう良い!自分で見る!

 

魔法少女機関のサイトで今も放送されているはずの現地の映像

それを開く

 

その間にも何度も何度も魔力が放たれているのを感じる

 

閲覧者が多いせいで読み込みに時間がかかっている中をジリジリとした

気持ちで待つ

 

・・・・やっと映ったそれは圧倒的な蹂躙

今までが何だったのか分からないレベルの魔法

まるで神罰が降り注ぐような、世界が怒声を上げるようなそんな攻撃

 

それを起こしている彼女はついに認識疎外を解いて隠されていたその姿を露わにしている

 

 

普通ならそんな状況を見たらすごいと思うだろう

もしかしたら魔法少女なら怖いと感じるかもしれない。自分との力量差が分かるから

 

でも私はそのどちらでもなかった。可愛そうだなと感じてしまったのだ

 

なぜか泣いているようなのだ。その姿は

悲鳴を上げているようなのだ、助けを求めているようなのだ

 

わかるでしょう、私たちの手伝いなんか必要としてないのよ!

 

此方がその蹂躙を理解したとわかったのだろう

そういうエメラルドに堪忍袋の緒が切れる

 

ビビってんじゃねぇよ!ちゃんとアイツの事見てやれよ!

 

未だに怯え震える情けないシトリンに画面を叩きつけるようにして見せる

 

アイツが泣いてんのが分かんねぇならやめちまえ!魔法少女なんて!

 

いくら強くても心は幼い少女なんだぞ!

魔法少女はどんな時でも泣いてる奴を助けるもんだ。それを忘れちゃ意味ねぇだろうが!」

 

そう怒鳴って胸ぐらをつかめば

やっとこちらの叩きつけた画面に瞳の焦点が合う。

 

そこまでくれば簡単だ。

私の相棒がいつまでも怯え震えているわけがない。

 

はたして予想通りシトリンは少し目を見張った後落ち着きを取り戻す

 

そしてキッと視線を鋭くして魔法の発動媒体である本を取り出し残り少ない魔力を巡らせだした。

 

ごめん...そうよね。行きましょう

 

あぁ。それでこそだ

いくぞ!助けに行かなければ

 

窓から飛び降り

戦闘の余波で崩れた道ををただ走る

 

道を塞ぐ瓦礫は私がハンマーで粉砕し、ティーチの魔法の余波はシトリンの魔法で弱めて

だけれど二人とも元がギリギリの状態。次第に進む速度は衰えていく

それでも足を止めるわけにはいかない

なけなしの魔力を振り絞り、尽きた体力を気力で補い走っていく

 

だけれど私達がティーチの元にたどり着くことはできなかった...

 

あぁああああああ!!!

 

遠くにやっとティーチが見えたところでその姿が黒く染まる

 

私達ではどう工夫しようとなんにもならないだろう

だけれどここに来たのが無意味になったわけではない

それは少し先に転がる兎の様な妖精が示している

 

ねぇ。

 

あぁ。

 

言われなくても分かってる。

必死に近づこうとする妖精。あれはおそらくティーチの相棒だろう

 

 [諦めたくない!]

 

私たちもそうだ。だから後は託す!

 

【土よ希望を紡げ!】

【activate full release!】

 

走りながら魔法を使おうとすれば何故か今まで使ったこともない詠唱が口からスラスラと出てくる。

そしてそれに比例して握りしめたハンマーに白い光が蓄積されていく

だけど躊躇している余裕はない。そのまま魔法を使い続ける

 

「いくぞ!!」

 

ハンマーが届く距離になったころには太陽のようなまぶしい光を放っていたソレ

幾重にも重なった結界がかけられた妖精にフルスイングすれば打撃面から暴力的な衝撃が発生した

 

『バゴォン!!!!』

 

反動で埃のように吹き飛ばされ地面を転がる。

離れた位置で詠唱をしていたシトリンでさえも巻き込まれて飛ばされるほどの衝撃だ。

当然のように妖精の軽い体は吹き飛び遥か彼方、ティーチの元までロケットのように向かっていった。

 

 

はは。シトリン意識はあるか?

 

地面に伏せたまま口を開く。

今の私には手をついて立ち上がるくらいのスタミナさえ残っていない。

 

ごめん、指一本動かない。

 

私もだ...

 

だけれどこれでいい。という直感があった。

 

そしてそれは間違いではなかった。

数分後、あれだけ荒れ狂っていた魔力は霧散していったからだ。

 

「「よかった...」」

 

二人ともそのことはちゃんと感知できている。

だからそれだけを口にする。正直口を開くことすら今はキツイ

伝えたいことはいろいろあるがもう少しだけ地べたの冷たさを味わっていよう

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

少し体力が戻ってきて会話くらいは問題なく行えるようになったころ、なんとなしに話を切り出す。

 

ねぇ、私今の学校辞めて、魔法少女機関の学校に行くわ

 

訓練中に魔法少女機関の職員から教えてもらったのだ。

水面下で魔法少女専用の学校を作る準備をしていると

そこには専用の訓練施設とかもつくらしい

なら機関の施設を借りて訓練していた今までよりももっと質のいい練習ができるのは間違いないだろう。

 

えぇ、私もそうしようと思う。もっと強くならないといけないからからね

 

他にも同じような子はいるだろう。

だが負けるわけにはいかない、私達が最強になってティーチの隣に並び立つのだ。

 

・・・・こんな地べたに倒れている状態では、しまりがつかなかったな

 

ふふ。私達らしくていいじゃない。

 

そうだな。

 

救護に助けられるまで魔法を使うことはおろか自力で動くことすらできなかったが心だけは赤々と燃えていた

─────────────────────────────────────────────

<ティーチ視点>

 

ふっふ~ん!いやぁサブが前線で動いてくれたおかげで呪い持ちの強さも知らしめてるし

最高のタイミングだったよねコレ!

全国配信の中で明かされる衝撃の真実!

 

 

いやぁ、掲示板のアンチ君たちどうしてるかなぁ?

なんの代償もないのに最強なわけないんだよねぇ!

 

というか酷くないか?何で俺だけアンチ板あるねん!

これでも一番活躍してる魔法少女なんですけど?

エゴサしてたらたまたま見つけただけだけどちょっと悲しかったよ?

 

たださぁ余裕すぎるんだよねぇ

適当にバンバン魔法を撃っても余裕で殲滅できる数しかいないんだもん

 

1回目だから海上とか空中とかから襲い掛かってくるやつもいないし、ボス級の体力高いやつもいないからざ~こざ~こ♡

 

だけどそれじゃ困るよね?

だから曇らせるための演技をします。

 

ひゅ、ふぅ。悲しむ人をなくす!

 

設定はつらい未来からの逆行者

全力を出しているふうに見せるため息切れさえして見せよう

 

あぁああああああ!!!

 

ここでさらに一つまみ

まるで蝕まれているかのようにするために制御下にある呪いを外に出す

 

内側から漏れ出すように大量の呪いが噴出し

手や足を真っ黒く染め上げ、瞳を赤く変えていく

 

いやぁ、魔法少女と言えど暴走状態はマジで少年心をくすぐりますねぇ!

 

個人的にはロボット系とかの方が好きだけれど

基本覚醒シーンとか暴走シーンとかは大好きよ?

 

・・・・ってか嫌いな人いないんじゃないかな?

 

ま、まもる。とおさない

 

魔物がちょうど吐き出される。

今までと比べてもひときわ多いしちまちま削るのも面倒だねぇ

 

だから一番威力のある魔法を範囲を絞って使う

まぁ絞らないと地面がえぐい削れ方してインフラライン切断されたりしかねないからね

 

絞ったといっても地上は\(^o^)/オワタ状態になるけれど

そこはコラテラルダメージだと思ってあきらめてください

 

下手に建物残しとくと中に残党が隠れかねないので

 

【崩界】

 

かろうじて形を残していた建物が跡形もなく消滅し周囲一帯が平地となる

 

今のが最後のあがきだったのだろうか

ついには大量の魔物を吐き出し続けた割れ目全体にヒビが走り砕け散った

 

ん~このまま味方を攻撃するフリが良いかな?

前に機関に所属すると言った手前言い辛いんだけど

サブが魔法少女機関側についてるならまだ俺はフリーで動きたいんだよね

 

ま、守らないと。

 

適当にカメラに向かって攻撃すればいいでしょ

それで怯えさせてやっぱりナシっていえばいいかな

怖がらせちゃったみたいだしいつ暴走するかわからないからみたいな理由でさ

 

【断・】

 

[やめるのじゃ!!もう、終わりじゃ!敵はいない!

 

ありゃ。思ったより良い展開が来たね

なら表に出してた呪いを引っ込めて

 

ごめん...りら。ありがとう

 

それだけ言って一緒にワープしましょ。

 

【ワープ】

 

────────────────────────────────────

<リラ視点>

 

残りは私一人でやって見せるから。

 

決意を込めてそういうティーチ。

違うのだ!お前が命を振り絞る必要はない!

ここで負けようと体制を立て直せば勝てるのだ。

 

少しだけ耐えれば安全な撤退戦ができる

誰も命を落とすことも大けがをすることもないのだ

 

認識疎外が剥がれあらわになったステータス

魔力にも余裕があるしやろうと思えば一人で戦いきれるのだろう

 

だけれど前衛もいない状況で戦い続けるリスクをとる必要はない!

 

なんとしてでも止めに行く!

 

荒れ狂う魔力のせいで彼女の近くに転移することは不可能。

だからぎりぎりまで近く、200m程度のところに現れる

 

普通なら40秒もあればたどり着ける距離

だけれど今はあまりにも遠い

 

【万象記録】

 

円を描くように地上を衝撃波が通り過ぎる

 

ただの余波でしかないソレも、軽いオレを吹き飛ばすには十分な威力で、稼いだ距離が一瞬で無意味になる

 

【空割れ】

 

空中にヒビが走る

地上に伝わったそれは局地的な地震を引き起こし動くことすら不可能になる

 

 

【黒孔】

 

重力が歪む。ありとあらゆるものを飲み込むその流れ

僅かでも逆らう力を緩めれば、彼女に近づくどころか吸い込まれ塵と化すだろう。

 

【潰界】

 

折りたたむように世界が重なる

コチラに影響がなく唯一距離を稼げた

 

【万象再演】

 

また衝撃波が通り過ぎる

先ほどの焼き増しのようになすすべもなく空を吹き飛び地面を転がる

 

 

コレの繰り返しだ

3歩進んで2,5歩下がるような状況

あまりにも進みが遅いそれでは何も間に合わせることができなかった。

 

あぁああああああ!!!

 

ティーチの絶叫が響き渡る。

ボロボロになり手を伸ばしたその先には

呪いに取り込まれ正気を失ったその姿

 

蟠ゥ繧後?∝」翫l縲∬キ。蠖「繧ゅ↑縺乗カ医∴繧九′縺?>縺薙s縺ェ荳也阜縺ェ縺上↑縺」縺ヲ縺励∪縺医?縺?>縺ョ縺??

 

詠唱の声すら歪んでその内容を聞き取れない。

だけれど現れた効果は絶大だった。

 

【蟠ゥ逡】

 

 

ひときわ多く現れた魔物の集団

それを一息に消滅させたのだ

 

今までは断続的に放たれる魔法の累積にも耐えてきた建物の残骸ごとだ

とてつもない威力と範囲だったのは明確だろう

 

そして、その大量出現、それが最後のあがきだったのだろう

空間の割れ目は急速に小さくなり消え、スタンピードは終わった

 

縺セ縲∝ョ医i縺ェ縺?→縲

 

だけれどすでに敵はいないのにまたティーチは手元に極大の魔法陣を展開し始めている

しかも過剰な魔力の放出によって全身から血が噴き出しているのにそんな自分の状態に気づいていないように淀みなく詠唱を続けているのだ。

 

「(アレはマズイ!)」

 

ビシビシと嫌な予感を感じる。

ソレが放たれれば彼女の命も共に掻き消えるだろう。

そんな確信に近い推測を抱く

 

だがこの距離では静止の声すら届けられない。

そして自分ではここまで開いた距離を詰めることはできない。

絶望的な状況だ...だけど

 

 [諦めたくない!]

 

自分の想いを吐き出した瞬間、誰かの声が二人分聞こえた

 

よく言った!」「後は任せるわよ!

 

自分の周りに黄色い結界が張られるのが分かる。

その直後に衝撃。

 

あれだけあった距離を吹き飛ばされ突き進み

やっとのことでティーチの前にたどり着く。

 

おそらく誰か魔法少女が助けてくれたのだろうが

オレにそれが誰かを気にする余裕はない。今は何とかティーチを止めなければ!

 

[やめるのじゃ!!もう、終わりじゃ!敵はいない!]

 

杖を構える腕に飛びつき必死に訴える

詠唱が一時的に途切れ魔力が霧散する

だけれど正気に戻った様子はなく、振り回され地面に叩きつけられる

 

[お主は頑張ったのじゃ!もう休んでいいのじゃ!]

 

何度も何度も、

たとえいくら傷つこうとオレは諦める気はない!

このチャンスを無駄にはしない!

 

[みんな無事じゃ!後は笑って帰るだけ!]

 

地面の石が刺さって瞼が切れた

関係ない!目に垂れてくる血も拭わずにそのまま再度縋りつく

 

[オマエのおかげで誰もケガすらないぞ!誇ってよい!]

 

背中から叩きつけられ息が詰まる

呼吸が変なまま、また詠唱を妨害しに行く

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

[オマエだけなのじゃ...ティーチ...]

 

何度振り払われただろうか

たくさんだったかもしれないし、ちょっとだけだったかもしれない。

一撃ごとに自分の芯に響き握る力が弱まっていく

 

ついには触る程度の弱弱しさで腕をつかむ

諦めない。諦めたくないのに力が抜ける

 

[いやだよ。いなくならないで...]

 

 

そんな気持ちがあふれる

だけれどその想いは暴走したティーチに通じることはなく、オレが掴んだ腕と逆の腕で背中を鷲掴みにされる

 

もうダメなのか?オレは助けるって言ったのに

なにもできないのか...

 

『ポタン...』

 

虚しさと申し訳なさと悲しさ。いろんな感情が入り交じり涙が一粒ティーチの腕に落ちる。

 

オレが泣いたって何の意味もないのにな...

 

むしろ泣きたいのはティーチの方だろう。

こうやって暴走したのもスタンピードの事トラウマになっていたのではないか?

そのことに気づいてやれずこうやって前線に立たせて、挙句の果てに呪いを暴走させることを許してしまった

オレは何してたんだろうな?

ティーチに庇われたときからなんにもかわってないじゃないか...

 

 

そのまま弾き飛ばされるのを目を閉じて待つ

だけれど予想した衝撃はいつまでたってもやってこなくて

 

ごめん...リラ。ありがとう

 

ハッとして彼女の顔を見上げる

そこにいたのはいつもの黄色い瞳でこちらを見つめる彼女

 

 [よかった。]

 

他にもいろいろ言いたくて、口を開こうとしたのにそれしか言葉が出てこない

まぁひとまずはこれでいいか

起きたら文句を言ってやろう!オレの言葉を無視するからじゃぞ!と

 

そんなことを考えながらも気力だけで繋いでいた意識は切れ。暗闇へと落ちていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




魔法少女物ってやっぱ覚醒とかないと面白くないですよね。
私、暴走シーンや闇落ちシーン、覚醒シーンが大好きなんですが
あぁいうのって前触れが欲しいタイプです。

皆さんはそう言ったこだわりありますか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

☆~きかせて~

2回目の掲示板回です。
サム編の話あたりからスタンピード終わりまでの時系列です。


誤字報告ありがとうございました。
作者はめちゃくちゃ抜けてるところ多いのでとっても助かりました!


 魔法少女サムについて語るスレpart1

 

1:名無しのサムファン ID:zgFjGCx57

 

・テンプレは>>2まで

・荒らしはスルー

・魔法少女に対する暴言や批判は禁止

・次スレは>>950が宣言して立てる

・もし>>950が立てられない場合は番号で指定

指定ない場合>>立てられる人宣言してから新スレ立てお願いします。

 

前スレ

なし

 

 

2:名無しのサムファン ID:zgFjGCx57

 

‣関連ページ

 

魔法少女機関公式ホームページ

http://mahousyoujyokikan/...

 

魔法少女戦闘動画用公式フォーラム

http://mahousyoujyotai/...

 

 

 

 

 

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

 

 

 

473:名無しのサムファン ID:QxreSffpZ

 

絶叫で半分くらいスレとんでて草

総合スレでやらないだけましだけど。

 

474:名無しのサムファン ID:83K9Y/ktv

 

しょうがなくね?

いろんな意味で衝撃的だったんだから。

 

 

475:名無しのサムファン ID:ZxL2i68wE

 

単純にケモナーとか闇っぽいのが好きとか性癖持ちの人たちと

呪いとか言う地獄のシステムに対する絶叫が合わさってたから...

 

 

476:名無しのサムファン ID:adgAbKcwj

 

いや、あれで興奮する人たちはマジで処してもらった方がいいぞ?

現実と2次元を混同しちゃあかんやろ。

 

 

477:名無しのサムファン ID:fQRLTHb/i

 

>>476

それはそう。

だけど心配ないと思うで

下手なことすれば保護者が出てくるからな。

 

 

478:名無しのサムファン ID:6jOuIAOiF

 

保護者(魔法少女機関+所属魔法少女)ですか。

それは安心だぁ!

 

 

479:名無しのサムファン ID:N6CTDIrLg

 

過剰戦力すぎて終わってるんだよなぁ!

 

何、そんなに守りたい雰囲気してる?

って紹介動画見るまでは思ったけど

バチバチに保護欲掻き立てられるかんじだったわw

 

 

480:名無しのサムファン ID:TSva3C15V

 

単純に可愛すぎて市民にも保護者が多いんだよなぁ。

 

 

481:名無しのサムファン ID:vZ320iWtL

 

にっこにこで司令官の膝に座ってたの笑っちゃったw

 

 

482:名無しのサムファン ID:n/CISWSOw

 

あれだけ厳しそうな司令官が優しい顔で頭撫でてたのも追加で!

 

 

483:名無しのサムファン ID:pCCb8nTIH

 

・・・んっ!

じゃないんだよなぁ!お前!マジで人の悶えたくなるツボを押さえやがって

 

 

484:名無しのサムファン ID:jrv9NmA7H

 

猫感めっちゃあるよね!

警戒心は皆無だけど。

 

 

485:名無しのサムファン ID:virusLoL

 

戸籍無いって時点で捨てられたっぽいし

親とか他人とかの人の温もりに飢えてるんじゃない?

だから警戒心ないんだと思うよ。

 

 

486:名無しのサムファン ID:G/UKuuA2k

 

>>485

 

人の心がないのかな!?

 

 

487:名無しのサムファン ID:XAXPcGMTy

 

>>485

 

おまえこの野郎!

薄々みんなわかったうえで可愛いなってほっこりしてたのをぶち壊しやがって!

 

 

488:名無しのサムファン ID:1ASAByeNA

 

>>485

 

分かってるから

絶叫してたんだよなぁ!!

 

 

489:名無しのサムファン ID:virusLoL

 

いやだってさ。機関から公開された情報的に

戸籍がないのは確定してて、どこに住んでいたのか未発表。

紹介文のしゃべり方は年齢に比べて幼い感じだし

よく考えなくても今までまともな生活できてないのは確定してんじゃん。

 

 

490:名無しのサムファン ID:virusLoL

 

そこから目をそらしても仕方なくない?

俺ら大人にできるのはそういう子たちとちゃんと向き合って助けてあげる事だと思うんだけど

 

 

 

491:名無しのサムファン ID:BLe2wlljE

 

真剣に考えているタイプだったか。

そうだよな。目を背けていたって仕方ないよな。

 

 

492:名無しのサムファン ID:NS+Wls3ud

 

俺たち大人が努力すれば必ず変えれるはずだもんな

ヨシ。オレも頑張ってみるぜ。

 

 

493:名無しのサムファン ID:virusLoL

 

いや、単純に幸せな空想に浸ってる奴らが

苦しい現実を見て嘆く姿が好きなだけだけど?

 

 

494:名無しのサムファン ID:BLe2wlljE

 

 

>>492

 

オレの感動返せバカ野郎!!

 

 

 

495:名無しのサムファン ID:5yK3Hy4MI

 

>>493

 

言ってることは正しいけど

ただの真ゲスで草ァ

 

言ってることは正しいけど...

 

 

496:名無しのサムファン ID:8ybPXpRA0

 

>>496

 

大事なことなので(ry

 

 

497:名無しのサムファン ID:dZ8GUb2VE

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

───────────────────────────────────────────

 

魔法少女総合スレpart831

 

 

1:名無しの支援者ID:ycxT1v32F

・テンプレは>>2まで

・荒らしはスルー

・魔法少女に対する暴言や批判は禁止

・次スレは>>950が宣言して立てる

・もし>>950が立てられない場合は番号で指定

指定ない場合>>立てられる人宣言してから新スレ立てお願いします。

 

前スレ

魔法少女総合スレpart830

http://mahousyoujyosougou/...

 

2:名無しの支援者 ID:ycxT1v32F

‣関連ページ

 

魔法少女機関公式ホームページ

http://mahousyoujyokikan/...

 

魔法少女戦闘動画用公式フォーラム

http://mahousyoujyotai/...

 

 

     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

378:名無しの支援者 ID:EQ+Nhlco5

 

うわぁ、こんな大量の魔物どうやって処理するんだよ。

っと思ったらティーチちゃんが一掃してて草

 

 

379:名無しの支援者 ID:Kc66/boaZ

 

マップ兵器かな?

 

 

380:名無しの支援者 ID:KlAYtfS5b

 

詠唱ナシでコレはバグッとらんか?

 

 

381:名無しの支援者 ID:SKJ+jlI8V

 

なお、呪いとか言う特急厄ネタ由来なのはほぼ確定な模様。

 

 

382:名無しの支援者 ID:FPINv1SV0

 

>>381

 

言うな。ティーチスレの連中今でもそれがトラウマなんだから。

 

 

383:名無しの支援者 ID:V0/WXl357

 

あぁぁああああああああああああああああ!!!

 

 

384:名無しの支援者 ID:N0LOACegV

 

>>383

 

はいはい。ティーチ民は元スレにお帰り。

 

 

385:名無しの支援者 ID:TlG4TQdCb

 

お前ら余裕すぎないか?

割と危機的状況だと思うんだが。

 

 

386:名無しの支援者 ID:D0p/VrhJ4

 

いや、正直今のところはそうでもないぞ。

魔法少女側は交代ルーティーン組んで負傷者出さずにうまく回してるしな。

 

 

387:名無しの支援者 ID:wvTUXhZRv

 

建築物の被害はでかいけど

それも織り込み済みだし

ここの戦線を維持する必要だって薄いからな。

 

 

388:名無しの支援者 ID:C2yS1s4az

 

そうそう。

機関で補填してくれるらしいし

むしろ被害とか気にせずにのびのびと戦ってほしいよな。

魔法少女側が怪我しないのが一番だ。

 

 

389:名無しの支援者 ID:xi/8z5pCW

 

そもそも、思ったより呪い持ち二人の戦力が高くて

正直余裕っぽそうだしね。

 

 

390:名無しの支援者 ID:TlG4TQdCb

 

なるほどね。そう考えればそうだわ。

俺の家族があの辺住んでてさ、ちょっと不安だったんだよね。

 

 

391:名無しの支援者 ID:C2yS1s4az

 

ダイジョブだって!

オレもあの辺在住だけどもう誰もいねぇよあそこ

避難はとっくに完了してるしみんなネット開いてホテルとかでくつろいでるぜ?

 

 

392:名無しの支援者 ID:zYhlD11h6

 

おぉ実体験ニキいるんか。

なら安心やな。

 

 

393:名無しの支援者 ID:TlG4TQdCb

 

ありがとうやで。

スレ汚しすまぬ。

 

 

394:名無しの支援者 ID:DmQtL4/TD

 

家族が不安なのは仕方ねぇよ。

スレチってわけでもないし気にしなさんな。

 

 

395:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

優しい世界やなぁ

 

 

396:名無しの支援者 ID:Ni1gw2XfN

 

ハイハイ(ry

 

397:名無しの支援者 ID:dDxYH/vF6

 

>>395

 

ついに全略されて草

 

 

398:名無しの支援者 ID:09wFRsYRc

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

───────────────────────────────────────

魔法少女総合スレpart897

 

1:名無しの支援者ID:nHwZtm26b

・テンプレは>>2まで

・荒らしはスルー

・魔法少女に対する暴言や批判は禁止

・次スレは>>950が宣言して立てる

・もし>>950が立てられない場合は番号で指定

指定ない場合>>立てられる人宣言してから新スレ立てお願いします。

 

前スレ

魔法少女総合スレpart896

 

http://mahousyoujyosougou/...

 

2:名無しの支援者 ID:nHwZtm26b

‣関連ページ

 

魔法少女機関公式ホームページ

http://mahousyoujyokikan/...

 

魔法少女戦闘動画用公式フォーラム

http://mahousyoujyotai/...

 

 

571:名無しの支援者 ID:1nhquWmG/

 

そろそろ一旦撤退ですかね

 

 

572:名無しの支援者 ID:wRuZA4mgR

 

かな?もうティーチとサムしかおらんし。

 

 

573:名無しの支援者 ID:c6MsoeuKK

 

まぁそこ二人でも行ける気はするけど

 

 

574:名無しの支援者 ID:wn94Td8UG

 

あぁ、サムも一旦ダウンか。

めっちゃ頑張ってたもんな。

 

 

575:名無しの支援者 ID:rk9Wun80H

 

2日間ぶっ続けで戦ってんだろあの二人

それで落ちない方がむしろおかしいって。

 

 

576:名無しの支援者 ID:NklB2o+T4

 

2日間全力で運動し続けてるようなもんだもんな。

呪い持ちで問題ないのかもしれないけどちゃんと休んで欲しいわ。

 

 

577:名無しの支援者 ID:ejJAovFSi

 

ただ、どちらかでも抜けた場合戦線が崩壊するレベルという...

 

 

578:名無しの支援者 ID:VRxGAEPRE

 

そうだよなぁ。

周りの魔法少女と明らかに戦力が違いすぎるからなぁ。

 

 

579:名無しの支援者 ID:pkLV+74ZY

 

かといって同じ方法を使うという選択肢はないしな。

 

 

580:名無しの支援者 ID:gzf09JqpX

 

閲覧注意の年齢制限とか言う

ガチガチに規制されたあの動画見てそんなこと言える奴いたら

人間じゃないと思うわ。

 

 

581:名無しの支援者 ID:TB+xbrnDB

 

ちょっと待って?ティーチ何言ってんの?

 

 

582:名無しの支援者 ID:KQOu6USib

 

いくら強くても一人ではムリだって!

 

 

583:名無しの支援者 ID:d1yzxANeT

 

魔法少女は前衛と後衛でワンセットやろ!

さすがに危険すぎる。

 

 

584:名無しの支援者 ID:nLsEv0U4o

 

ステータス次第とはいえ...

 

 

585:名無しの支援者 ID:XZ6n9YfNQ

 

ステータス出るぞ!

 

 

586:名無しの支援者 ID:IFdVqSgC+

 

は?

 

 

587:名無しの支援者 ID:3ku+hiany

 

ナニコレ。

・・・・いや、ホントなにこれ!?

 

 

588:名無しの支援者 ID:T3AxfdiTO

 

おかしいだろ、コレ

抱え込んでるもんが違いすぎるよ...

 

 

589:名無しの支援者 ID:1cCp4uYQF

 

アッ、ヤバ。スレ流れるな。

ワイが次々立ててくんで他の人手出ししないでもろて

しばらく絶叫スレになると思います。

余裕ある人絶叫スレ立てて誘導お願いします。

 

 

590:名無しの支援者 ID:tgxXNfkE2

 

あぁああああああああ!”!!

 

591:名無しの支援者 ID:ZpmB2hnKd

 

こんなのひどすぎんだろ...

 

 

592:名無しの支援者 ID:8imAIqiKF

 

あぁああああああああぁああぁぁっぁぁあ!

 

593:名無しの支援者 ID:/7PVlj9Vs

 

aaaalaaaaalaaaaaaaaaaaaa!

 

 

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

────────────────────────────────────

魔法少女ティーチアンチ風スレpart3

 

 

1:名無しの支援者ID:ErI4iPX+0

・テンプレは>>2まで

・荒らしはスルー

・節度を持って使いましょう。

・あくまで傍観者である立場なのを忘れないようにしましょう。

()です。ガチアンの皆様はおかえりください。

・次スレは>>950が宣言して立てる

・もし>>950が立てられない場合は番号で指定

指定ない場合>>立てられる人宣言してから新スレ立てお願いします。

 

 

前スレ

魔法少女ティーチアンチ風スレpart2

http://mahousyoujyoan/...

 

 

2:名無しの支援者 ID:ErI4iPX+0

‣関連ページ

 

魔法少女機関公式ホームページ

http://mahousyoujyokikan/...

 

魔法少女戦闘動画用公式フォーラム

http://mahousyoujyotai/...

 

 

 

 

           ・

           ・

           ・

           ・

           ・

           ・

 

 

 

220:名無しのアンチ ID:W5mNl610z

 

アンスレなんてあったんや...

 

 

221:名無しのアンチ ID:q4Wq3IZXV

 

>>220

 

新規さんいらっしゃ~い

今はアンスレとは名ばかりの考察件何かできる事はないか考える雑談スレやで。

 

 

 

222:名無しのアンチ ID:W5mNl610z

 

そっか、みんなすごいな。

オレは正直気持ちを吐き出せるところがないか探してただけだったからさ

そんな風に解決する方法で考えられなかったよ...

 

 

223:名無しのアンチ ID:dWC/2zpdD

 

ここに居る人だってみんなそうだよ。

正直、自分の娘とかそんな年齢の子が悲惨な目に合ってるってだけで胸が張り裂けそうだもん

 

 

224:名無しのアンチ ID:dWC/2zpdD

 

だけど誰かが言ってたんだよ。

大人にできるのは悲しむことじゃなくて助けてあげることだってさ。

だから考察を必死にしてる

 

 

225:名無しのアンチ ID:gP14EBqwR

 

俺も一緒。

涙で滲む画面で必死にタイpingして

自分の考えを髪に書きだしてる。

 

 

226:名無しのアンチ ID:boqyWlR2p

 

>>225

 

だからそんな誤字多いのか。

一旦顔洗ってくると良いぞ、気持ちの切り替えにはなる

 

 

227:名無しのアンチ ID:gP14EBqwR

 

うん、行ってくるわ。

 

 

228:名無しのアンチ ID:W5mNl610z

 

ちなみに元居たカスどもはどこに行ったの?

 

 

229:名無しのアンチ ID:LwpHwCKP1

 

>>228

多分スレにはいるよ。

罪悪感で死にかけだからスレから抜ける気力もないだけだろうけどな

 

 

 

230:名無しのアンチ ID:Qu2yIcQUR

 

>>228

 

元居た奴らも別に酷いアンチじゃなくて日ごろの不満を吐き出してただけだったからな。

ログさかのぼってきたけど、目も当てられないほどじゃなかったから再利用して続きから使ってるって訳。

 

 

231:名無しのアンチ ID:+6KXLmvZo

 

ごめんなさい。ごめんなさい。

ネタだったんです。ほんとに酷い目に合ってほしい訳じゃなかったんです...

 

 

232:名無しのアンチ ID:Qu2yIcQUR

 

>>231

ほらな?

だから今は絶叫スレで流れまくってる他スレの避難所みたいなもんよ。

 

 

233:名無しのアンチ ID:W5mNl610z

 

教えてくれてありがとうな。

俺にも何かできることないか考えてみるよ

 

 

 

234:名無しのアンチ ID:rdlFtxaI6

 

おう、頑張ろうぜ。

 

 

235:名無しのアンチ ID:g9jYh9m8U

 

三人寄れば文殊の知恵って言うしな。

これだけ人数が居れば何かいい案が思いつくかもしれない。

とはいってもそれ以前にティーチの現状を考察するところからだけどな。

 

 

236:名無しのアンチ ID:+6KXLmvZo

 

そっか、じゃあ現状の考察なんだけど

ティーチの呪いの中にあった逆行って何だと思う?

 

 

 

237:名無しのアンチ ID:ZWKpwsrSL

 

急な話題転換だな。

まぁいいけど...

 

一般的な意味だと未来から戻ってきたってことやろなぁ。

 

 

238:名無しのアンチ ID:+6KXLmvZo

 

絶叫スレになったら考察もできなくなるからな。

ちょっと急ぎ目に自分の考えを話しておきたかったんだ

 

 

その路線で考えると魔法少女Lとかもその可能性ない?

だから未然に事件を防げて犯人を殺害してるって説。

 

 

239:名無しのアンチ ID:9nxdwsVq6

 

あぁなるほど。

認識疎外で正体隠して逆行前の知識で事件防いでるから

正体が分からないし誰よりも早く動けるって感じか。

ワンチャンあり得るな。

 

 

240:名無しのアンチ ID:zkPgPszgb

 

となると、他にもいるのかな?

サム、ティーチ、Lあたりはほぼ確定っぽいけど。

 

 

241:名無しのアンチ ID:a3ApDVksl

 

>>241

 

なんでサム?あの子は最近呪いを得たのでは?

 

 

242:名無しのアンチ ID:zkPgPszgb

 

今回の戦闘をよく見ればわかるんだけど

魔力を使って身体強化してるっぽい場面があるのね。

だけど撤退時にちらっと映ったステータスで魔力が一切減ってなくてさ。

 

 

243:名無しのアンチ ID:zkPgPszgb

 

だから、ティーチやLと一緒で少なくともステータスは改竄してるし

おそらくはキメラって呪いだけじゃないと思うんだよね。

まぁ。素人考えなんだけどさ。

 

 

244:名無しのアンチ ID:a3ApDVksl

 

なるほどね。一理あるな。

だとすると本来別の魔法少女が呪いを受けていたとか?

多分途中で入れ替わるなりなんなり魔法でいくらでもできるはずだから。

 

 

245:名無しのアンチ ID:OBx0jHhwt

 

だけど。問題がない?

入れ替わりはできるのにただ攫わなかった理由は?

態々呪いを受ける必要はないと思うんだけど...

 

 

 

246:名無しのアンチ ID:zkPgPszgb

 

そうなんだよなぁ。

Lと繋がってるならことが起こる前に処理すればいいし

ティーチと繋がってるならどこでも自由に転移し放題なんだよねぇ。

 

 

247:名無しのアンチ ID:Nmu0Cm4W9

 

∧_∧

( ՞ةڼ◔)

_ ⊃/(___

/ └-(____/

 

この人たちわかるような言語で喋ってくれない...

 

 

248:名無しのアンチ ID:v1itbJrm1

 

日本語勉強してから来ようね!

 

 

249:名無しのアンチ ID:Nmu0Cm4W9

 

だってさみんな。

ちゃんと日本語勉強してきてね。

 

 

250:名無しのアンチ ID:TqhM4/JRK

 

>>248

 

おまえじゃい!

 

251:名無しのアンチ ID:kRmrn+aRX

 

>>248

お前の事なんだよなぁ。

 

 

252:名無しのアンチ ID:Nmu0Cm4W9

 

ワイの脳内メモリー容量53万ばいとやぞ

頭悪いわけなくね?

 

 

253:名無しのアンチ ID:IESNwlDQ6

 

スッカスカで草ァ!

 

 

254:名無しのアンチ ID:o7I7CWzpL

 

ばいとがbyteどころかカタカナですらないのに

RPへの全力感を感じるわw

 

 

255:名無しのアンチ ID:df6xp7ruE

 

あぁぁああああああああああ!

 

 

 

256:名無しのアンチ ID:Qlk6zhopj

 

あぁ。

ついにこのスレまで絶叫が流れ込んできちゃったか。

 

話ぶった切って考察に移ったの正解だったな

あの時初めてなきゃここまで纏まらなかったろうな

 

 

257:名無しのアンチ ID:BUp9U3SSm

 

そろそろ解散やな。

落ち着いたときまた会えるとええな。

ワイは考察スレで待ってるで

 

 

258:名無しのアンチ ID:Nmu0Cm4W9

 

タイムパラドクス関連で本来たどった歴史から大きく変えられないのでは?

 

一回魔法少女が市民から暴行をうけるって事件もあったよね。

被害に合った子の情報が一切表に出てなかったことを考えるとティーチかLが被害に合ったんだと思う。

逆行で知識があるならソレを避けるか先に潰せばいいのは当然のこと。

それができない理由は?って考えると

おそらく避けれない歴史があるんだと思う。

 

 

 

259:名無しのアンチ ID:FNmO6QROz

 

>>258

 

ガチ考察ニキ!?

って思ったら、頭53万バイトの人で草ァ!

 

 

260:名無しのアンチ ID:RZDEbg2ne

 

>>258

 

おまえソレ最初から出しとけやぁ!!!

 

 

261:名無しのアンチ ID:/YH3naLG3

 

スレ落ちしそうなときに出すんじゃねぇよ!!!

 

 

262:名無しのアンチ ID:Nmu0Cm4W9

 

じゃぁノ!

 

 

263:名無しのアンチ ID:/h1QB1H0U

 

どうしてだよぉおおおおおおおおおおお!!!!

 

 

         ・

         ・

         ・

         ・

         ・

         ・

         ・

 

-------------------------------------------------------------------------

<ティーチ視点>

 

「いっひひw」

 

あぁいけねいけね。きったねぇ笑いが漏れちまった。

リラが寝てるとはいえ自重しないと

 

起こしちゃったら困るしな。

 

いやぁしかし笑みがこぼれるのが抑えられそうにないなぁ

 

前に俺がスレに書き込んだことである程度正気を保ってる人たちが居るのがまた対比になっていい味出してるわw

 

しかもその人たち、ある程度俺が想定した通りの推測を立ててくれてるのがほんとありがたい。

正気に戻った人たちがこのスレ発見したらまた発狂するんだろうなぁ、2段構えの曇らせとか我ながら最高だわ。

 

それに暴走状態の方も映像として残ってるだろうしまだまだスレは賑わいそうだよね。

楽しみだなぁ

 

スレ番弄っていつものvirusLoLからNmu0Cm4W9に変えたかいがあるってもんだよ。

ちょい手続きはめんどくさかったけどほぼ核心に近い内容も投下できたしな。

これで考察スレは地獄になるだるろうなぁ。

 

絶叫がある程度収まった時が楽しみだわ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

 

<???視点>

 

あぶなかったね・・・・

≪俺≫がまさかあの事をココまで気にしてるとはね...

責任はボクの方にあるから≪俺≫が気にする必要はないのにね?

やっぱりあの子は優しすぎるよ。

 

呪いを暴走させて、自分の命さえ帰り見ずに殲滅しようとしてたから

あのまま放っておいたら人格が一つ壊れるところだった

 

本当にリラが助けに来てくれてよかったよ。

じゃないとボクが表に出る羽目になってたかもしれないしね。

 

でもそれもいいかなって最近は思ってるんだ。

ずっと辛いこと、苦しいことを任せきりにしてきたボクが今さら何をと思うかもしれないけどね?

 

おっと、このことはやっぱり秘密だよ?

気づいてる人たちだけで共有してほしいんだ。

だから誰かに知らせちゃだめだからね?

 




逆行系はやっぱりタイムパラドクスやらで
いくら力を持ってても何も変わらないのが鬱苦しいですよね。

無駄だって分かってるのにあがくのとか特に大好きです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~かわいいともだち!~

今回から3章です。
学園編なのでオリキャラめっちゃ出ますが
ご理解のほどよろしくお願いします。

今週も2本投稿の予定です。
投稿日は日曜日11/5日です



<3章 降臨する主>

 

やぁ、ぼくの...名前は...ティーチ君だよ。

 

おはよう、俺もあの後はリラと一緒にすやすやしてたよ。

2徹とかよくしてたんだけど。こっちに来てちゃんと睡眠をとるのに慣れたらだめだったね。

というかそもそも寝れないはずなんだけどな。

 

ま、原因はおおよそ予測がついてるよ。

おそらくサード君が働いてたんでしょう。

こまごまとした事件なんていくらでもあるし、キルカウントまた増やしてきたんじゃないの?

 

残念ながら出番はまだ先だから相変わらず裏方として動いてもらうことになると思うけどね。

 

 

・・・いや、ちょっと待って?

よく考えたら今回の章で行けるかもしれない。

スタンピード戦で俺とサブ、サードで集合してお披露目する流れがキレイなんじゃないかな?

 

 

[起きたのか?]

 

おっと、予定を立ててたらリラがもぞもぞ動き出したよ。

 

おはよう

 

ところでなんで起きた直後からそんなに不機嫌なのかな?

 

[なんでも何もあるか!オマエはオレの話なんも聞いとらんかったな!?]

 

ありゃ、最後のソロ掃討戦がお気に召さなかったらしい。

事前にムリする必要はないとか言ってた気がしたけど

ガン無視して暴走してる風までやったからな、甘んじて説教は受け入れましょう。

 

[大体じゃな。あそこを放棄して戦線を下げればよかったじゃろうが!]

 

あ~なんか長くなりそう。

しばらく暇だしサブの方が気になるなぁ。

そっち見れたらいいのにな。

 

[おい、聞いとるのか!]

 

聞いてる聞いてる。

 

[全く...]

 

[・・・・・・あのな?・・・・・・いや。何でもない!

 

ん?どうしたんだろ?

何か聞きたいことがありそうだったのに口をつぐんじゃった。

 

ま、いっか!

『何でもない!』って言ってるし

それより説教はこれで終わりかな?

 

終わり?

 

[おわりなわけあるか!!!!]

 

 

うわ...めんど。

これは火に油注いじゃったパターンですわ。

絶対長くなるよ。いやだなぁ

 

あ、皆は付き合う必要ないから好きなところ見に行ってきていいからね?

流石に俺は身から出た錆だと思うからちゃんと話聞いてなきゃいけないけど...

──────────────────────────────────────────

<サム視点>

 

それじゃ、行ってらっしゃい。

 

は~い!行ってきます!

司令官さんに手を振って廊下を歩く。

 

 

未だに僕、魔法少女機関の本部に住んでるんだよね。

他に家を用意しようかって聞かれたんだけどここがいいなって伝えたの

 

迷惑かなって思ったけどここでいいならむしろいてほしいって言われてさ!

だけど何もしないのもなんかダメだと思うから最近はお手伝いしてるんだよ

 

だから職員さんはみんな知り合い!

 

「お、嬢ちゃんは買い物か!気を付けてな!」

 

それでね。通りすがるたびにこうやって声を掛けてくれるの。

とっても優しい人たちなんだよ。常に僕の事誰かは見てくれてる状態なの!

 

「いってらっしゃい、頑張ってね!」

 

入口のお姉さんに手を振って正面の自動ドアから出る。

 

「寒っ...」

 

外に出た瞬間冬の冷気がぼくを包む。

咄嗟に自分の体温を調節して寒さを感じなくしたからいいけど、9月にしてはとっても寒いね?

普通のヒトなら風邪ひいちゃうかも?

 

・・・・っとこんなことしてる暇なかったね!

明日から学校だし急いで準備しないと

そう思い、パーカーのポケットから地図を取り出す。

 

職員さんに近くの店を教えてもらったんだ!

ちゃんとマークもつけてもらったしすぐにたどりつけるはずだよ?

 

よし行こう!目的地は・・・

 

場所の確認を終えて

そんな声を出した瞬間、周りを歩いていた人たちの視線がぼくに突き刺さる。

 

ひっ...

 

いやな視線だ。

画面に映る道化師を見るような目

いつも向けられていた、≪物≫に向けるような視線とは違うけれど、それでも逃げ出したくなるのはいっしょ。

 

だから常に来ている兎のパーカー。

それのフードを被って誰も視界に入らないようにする。

ティーチ君がそばにいる気がしてこうするととても楽になるのだ。

 

そしてそのまま俯くようにしてカツカツと音を鳴らしながら道を歩く。

爪が鋭すぎて特注じゃないと破けてしまうから、靴の先端は金属なのだ。

 

開発部門の人たちが作ってくれたそれは

みんなの優しさを感じるからその靴音でさえ大好きだった。

だけどいまは少しでも静かにしてほしかった。

音を鳴らすたびに自分に視線が刺さる気がするから。

 

一直線に目的地へ向かい、必要なものをカートに詰め込む。

そのまま会計して魔法少女機関()に帰る。

それだけの道のりがひどく遠く感じて帰るころには体が酷く冷えている感じがした。

 

「お帰り、お疲れ様!」

 

行きとは違ってロビーの人になにも返事をしないまま

通り道の人の声を無視して自分の部屋に戻る。

 

そして布団に飛び込んで自分の身体を抱え込む。

芯から冷える寒さが消えるまでずっとそうしていた...

 

 

──────────────────────────────────────

<司令官視点>

 

すごいわね、これ。ねぇナイア

 

目の前には戦闘訓練用の部屋など

魔法少女として必要な施設が詰まった魔法少女の専用の学校が白い外壁をさらして建っている。

 

 [あぁ。私も妖精が協力したとはいえここまでの物が出来上がるとは思っていなかったよ]

 

そう、あのスタンピードの後一週間も経たずに出来上がったこの学校。

 

この短期間で建築されただけでもかなりのものだが

それ以外にもいろいろと妖精からの協力があったのだ。

 

 1つめ。妖精界にこの校舎を建てたこと。

 

 2つめ。各機関の支部と妖精界直通のゲートが恒常的に開かれるようになったこと。

 

 3つめ。限定的ではあるが魔法少女が妖精に連れられることで妖精界に好きな場所から来られること。ただし帰りは来た時と同じ場所にしか出れない。

 

 [あそこまで自分を削る子が居る中で私たちが全力で協力しないなど許されないからね...]

 

今までは侵略の可能性などもあって人間の侵入を一切禁止していた妖精界

それが魔法少女と許可された人間限定で開放されたのだ。驚くべきことだろう。

 

残念ながら妖精の転移は誰かを連れた状態では自由にできないらしく出動に利用することはできないが

それでも近場の機関に妖精界を経由していけるだけでも支援のしやすさは格段に変わる

 

それの原因がティーチの状態を見たからというのはとても悲しむべきことだが...

 

明日から解放でいいのよね?

 

ティーチとサム。その雄姿と悲惨さに触発され

もっと訓練がしたい。そんな理由で

スタンピード前から募集していた入学者は格段に数を増やしていた。

 

本当は新年度からの開放の予定であったが

人数の増加とたくさんの要望もあり準備が整い次第解放されることになったのだ。

 

 [あぁ。受け入れ準備は万事終了している。]

 

そう、ならよろしくね。

私はサムのところに行ってくるわ。

 

彼女、今日学校の為に買い物に行ったときにすごくジロジロ見られたみたいで...

とっても怯えていたから。

 

 

娯楽もないこんなところで軟禁状態なのに

(ここにずっといていい?)

ってこっちが聞く前に言うような聡い子だから

視線に込められた思いも敏感に感じたと思うの。

凄く傷ついたんじゃないかしら...

 

[やっぱり、普通に過ごすのは厳しそうなのかい?]

 

そうね、毎日のように検査しているけれどその度に血液型から何から何までバラバラ。

心拍数だって300を超えるときもあれば20程度しかない時だってある。

外に出て何もないならいいけれど何か起きたときに一刻を争う状態の場合だって考えられるわ。

安定するまでは監視の目を無くすのすら不可能ね。

 

 [チップでモニターしているんだろう?何かあってもすぐに対応できるんじゃないかい?]

 

生態チップを埋め込ませてもらっているから

常にモニタリングしている状況ではあるのだけれど

彼女の妖精がいくら探しても出てこないわよね。

だから緊急での移動ができないでしょう?そのせいよ

 

 [そうか、こちらでも探してみているがおそらく見つかることはないだろうね...]

 

代わりの妖精を宛がうことも考えて要請してみたけれど、向こうのルールで魔法少女と契約している妖精がいる限り追加で宛がうことができないらしくて。

 

もどかしい話ね...

 

呪いを付けた妖精は死亡していて契約していた方とは違うらしいのだけれど

責任を感じているのか本人が出てきてくれないし

 

妖精の常識からすると本人が精神を病んでいたとしてもおかしくない状況らしいのよね。

それだけ自分の契約者が呪いに侵されるというのは重いことらしくて...

かといってコンタクトすら取れていないからやれることが無いと。

 

「[はぁ、うまくいかない(わ)ね]」

 

ナイアと共にため息を吐く。

 

───────────────────────────────────

 

<サム視点>

 

今日から始まる魔法少女専用の学校。

僕のクラスの1-Aの扉の前で立ち止まる。

 

初めてで緊張するけどちゃんとできるはずだ。

知識だけはあるから授業についていけないなんてことはないはず。

挨拶をして、お友達をたくさん作ろう!

 

よし、がんばるぞ。

 

兎のパーカーのフードを被って気合を入れる。

 

誰が買ってくれたのか分からないけれどいつの間にか色違いで何着も部屋に置いてあったそれは

大好きなティーチ君とお揃いということもありぼくのお気に入りなのだ。

 

おはようございます!

 

そしてそのままガラガラと音をたてて扉を開け

大きな声であいさつをした。

 

[はい、おはよう。私の名前はフィンと言います。これからよろしく。]

 

壇上に居るイルカをデフォルメしたような妖精さんがぼくのクラスの担任みたい!

名簿を取り出すとぼくの座席を示しそこに座るようにいう。

 

はじめまして、魔法少女サムさんであっていますよね?どうぞよろしくお願いします。

 

早めに来たからかな?まだ大分あいてるね!

だけど隣の席になった子はもう来てたみたい!

 

そうだよ!来るの早いね!キミの名前は?

アニメでもゲームでもメインキャラだから知ってるけどね。

私は魔法少女ボタンと言います。本名は相沢牡丹です。ぼたんって呼んでいただけると嬉しいです

 

すっご~い!お姫様っぽい。

衣装もフワフワしててドレスみたい。

 

ボタンちゃんだね!よろしく!

 

そのままボタンちゃんと授業が始まるまでにたくさんお話ししたよ。

とっても仲良くなれたと思うな。

だって財閥の娘として扱わなきゃすぐに友情度上がるもんね。

ちなみにボタンちゃんは読書が好きなんだって。

面白い本ある?ってきいたらいろいろオススメしてくれたよ。

 

「は~い、ホームルーム始めますよ」

 

それじゃ、またあとでね。

 

バイバイって手を振ってボタンちゃんの席から離れる。

といっても僕の座席はボタンちゃんの隣なんだけどね?

 

まぁ先生が話してるのに僕がしゃべりかけちゃ悪いからHL中は話しかけるつもりはないよ!

 

それに今日はすぐ放課後のはずだからこの後遊ぶんだもん。

その時にいっぱい話せばいいよね!

────────────────────────────────

<魔法少女ボタン視点>

 

「行ってらっしゃいませ。お嬢様」

 

はぁ。いやだな。

そう思いながらも支度をする。

今日から新しい学校だ。だけれど転校した先でもまた同じように扱われるのだろう。

 

大企業である相沢財閥の娘としてへりくだられるのが仕方がないのは分かっている。

だけれど幼いころから常に気を張り続けるのはものすごく大変で嫌だった。

 

私はただ、好きな本を読んで友達と楽しく話したいだけなのに...

常に言葉の裏を探られ弱みを抜き取ろうとする。

そんな学校生活にはもう疲れてしまっていた。

 

はぁ。

 

疲れを吐き出すようにため息をつき

教員すらもまだ来ていない教室で小難しい本を開く。

文学小説など興味はないがこれだけが自分に許された娯楽だったから。

 

本当は少女漫画やファンタジーが読みたい。なんて思いが頭をめぐる

 

当然そんな状態では集中できるはずもなく

頭に一切内容が入らないまま同じ行を何度も読んでいる。

 

 

・・・・・時間だけが無為に過ぎていく中さらに妄想を巡らせる。

 

誰か相沢の名前について何も知らない子が居たら。

常識が一切ない子がいたらいいのに

そしたら素の自分を見てもらって友達になれる。

 

無意味な前提であっても考えることだけはやめられない。

世界中に展開する相沢コーポレーションは

外国人であってもその名前を知らないものはいないというくらい生活に根づいているのだから

期待を抱くだけ無駄だとわかっているのに...

 

 

朧げに視界の端に映るクラスは次第に席が埋まっていきざわざわとし始めた。

 

 [あなたの席はあそこ、12番ですね]

 

黒板に張られた番号表で割り振られる席

私は13番で隣は12番。

ついに私の隣の人が来たようだ。

 

目を伏せていた本から上げる。

 

その瞬間、心臓がはねた。

 

 

シンプルなシャツとショートパンツという魔法少女にしては地味な衣装の上から兎のパーカーを着たその子。

両手に鋭い爪を持ち蛇の様な尾をもつその姿は

私が知る限り魔法少女サムしかいない。

 

彼女のことはよく知っている。

スタンピードの時は参加こそできなかったもののしっかりと中継を見ていたし

それ以前に呪いを付けられた魔法少女として新聞の1面を飾ったこともあるのだから知らない訳がない。

 

 

そしてだからこそ驚いたのだ。

 

だけれど何度も叩き込まれた作法はその驚愕を表面に出すこともなく

丁寧にあいさつを始める。

 

はじめまして。

 

心臓が高鳴っていく。

相沢牡丹と口から名前を出した。ほとんどの人はそれで対応を変えてしまう。

だけれど目の前の少女、サムは違かった。

 

よろしく!

 

丁寧な言葉遣いに変えることも遜ることもない自然体。

この子は知らないのだ!私の事を!

嬉しさに溢れた私は唐突にこんなことを口に出してしまった。

 

あの、お友達になっていただけますか?

 

口に出してから正気に戻る。

唐突にこんなことを言い出して変に思われなかっただろうか?

嫌われなかっただろうか?

 

弱みを握られたかどうか、そんな不安ではない。

ただ純粋に相手にどう思われたのかが気になるのは初めてだった。

 

い、いえあのですね...

 

咄嗟に誤魔化そうとする。だけれど続く言葉が出てこない

 

・・・思えば今まで自分から友達をつくろうとしたことが無かったのだ。

どう声を掛ければいいのかが分からない...

 

いいの!?初めてのお友達だね!うれしいな!

 

だけれどそんな杞憂は無駄だった。

フードの奥で太陽の様な笑顔が咲く。

純粋な喜びの感情がはじけて私の鬱々とした心を晴らしていくようだった。

 

はい、よろしくお願いします!

 

そのあとは自己紹介やただの雑談を授業が始まるまでしていた。

だけれどそれが退屈だとは全く思わなかった。

いや、それどころか初めて会話が楽しいと感じた。

 

それじゃ!また後で!

 

授業が始まるからと自分の席に戻る彼女の姿

とても名残惜しく思う。

 

だけれど今日は放課後彼女と遊ぶ約束をしたのだ。

だから話しかけたくなる気持ちは我慢できた。

 

[自主訓練室は・・・・]

 

説明が終わるのを待つ。

 

ガイダンスの紙は熟読しているし内容は覚えている

だから早く、早く。

時間の進みがこれほど遅く感じたのは初めてだった。

 

[連絡事項は以上です、今日はこれで終わりですので気をつけて帰ってくださいね!]

 

やっと終わった...

そう思い彼女のほうを向く。

だけれどあれ程話しかけたかったはずなのに何も言葉が出ない。

どうやって誘うんだっけ?私が誘われたときは・・・えっと。

 

 

それじゃ、行こうか!

 

逡巡しているうちに手がこちらにさしだされる。咄嗟にその手を握れば

鋭い爪の生えたその見た目に反して優しく包み込まれる私の掌。

毛皮と肉球で挟みこまれたそれは何も考えられなくなるほどの極上の感触であった。

 

ふわぁ

 

口からはしたない声が漏れる。

 

気持ちいでしょ!

 

咄嗟に抑えようとする。その瞬間に遮られる。

そうだ。気にする必要なんてないんじゃないか。

 

すごい!

 

純粋な思いをぶつける。

押し隠し偽る必要がないのはとてもすばらしいことで

少しだけ言葉が崩れてしまったが誰もそれをとがめる者はいなかった。

 

えへへ、司令官さんも職員さんもほめてくれたんだよ

 

魔法少女機関の司令官や職員のことだろうか?

彼らは私より前にこの感触を味わっているのだろう。

それは少し羨ましかった。

 

────────────────────────────────────

<サム視点>

 

どこに行こっか?

 

僕専属の妖精さんはいないからボタンちゃんに連れてってもらうしかないんだけど

ちょっと恥ずかしいからまだそのことは秘密!

 

そうですね、私のお気に入りの店があるのですがそこに行きませんか?

 

ボタンちゃんの家の近くじゃなくて機関の新宿支部に近い場所らしい。

なら安心だね!

だけど伝え忘れてた大事なことがあったんだ...

 

あのね、言い忘れてたんだけど僕は変身解除できないんだ...

 

僕と一緒に居ると変身前がバレちゃうかもしれない...

だからね、嫌だったら。

 

いいえ!気にしないでください。私達友達でしょう?

 

ぼくの言葉を遮るようにそう言う彼女

そっか、友達か。そうだね。

うん。とってもいいね、嬉しいね!

 

うん!じゃあ行こう!

 

妖精界とのゲートをくぐり新宿支部へ出る。そのまま外に出ると

周囲の人の目がぼくに刺さるのを感じる。だけれど今日はそんなに怖くないよ!

友達がいるもん!

 

繋いでいたボタンちゃんの手をぎゅっと握りしめる。

何も言わずに向こうも握り返してくれた。それがすごく嬉しかった。

 

ここです。ここのショートケーキがとてもおいしかったんですよ。

 

・・・・・数分歩いた先。

目の前にあるのは明らかに高いとわかるお店。

ちらっとメニューを見た感じ1品3000円はしてたんだけどあれ何!?

文房具を買ったときでもそんなに高いものはなかったよ!?

 

確かにぼくもスタンピードで倒した魔物の分のお金があるから余裕はあるけど...

 

 

あんまり高いところだとちょっと入りずらいですし、予約も必要ですから。今日はココでいかがでしょう

 

あれぇ?僕がおかしいのかな?ボタンちゃんは全然金額を気にしてないみたい...

 

う~ん、友達と入るならこのくらい普通なのかな?

ぼく自分で買い物したことあんまりないから分からないんだよね。

だけど、お出かけだもんね!特別なことだし普通なのかもしれないね!

 

「いらっしゃいませ。」

 

しっかりとした制服とソムリエエプロンに身を包んだ女性に個室に案内される。

 

「ごゆっくりどうぞ。」

 

そのまま小さな金色のベルをテーブルの上に置くと

静かに部屋を出ていった。

 

凄いなぁ。なんかその場にいるのにぜんぜんいる感じがしないの!

プロって感じがしたね!

 

─────────────────────────────────────────

<魔法少女ボタン視点>

 

運ばれてきたショートケーキを二人で味わう。

 

本当に一緒でよかったのですか?

 

彼女の好みを知らないのだけれど私と一緒でよかったのでしょうか。

 

うん、僕もお揃いがよかったから!

 

だけれど心配はいらなかったらしい。

小さく切り取った先を口に運んだ彼女の顔が綻ぶ。

 

すごいね!口の中で溶けてなくなっちゃった!

 

それを見て私も一口。

うん、とっても美味しい。

前に来た時よりもずっとずっと。

 

少しずつケーキを切り崩しながら話を弾ませる。

 

それでね!とってもカッコいいんだ!

 

目の前で楽しそうに魔法少女ティーチの事を話すサム。

彼女が楽しそうにしているだけで自分も楽しい。これが本当の友達なんだ。そんな思いが沸き上がる。

 

だけれどどんなに夢の様な時間であってもいつしか終わる。

 

 『pipipi』

 

ポケットの中のスマホが着信を知らせる。

 

あれ?鳴ってるよ?取らなくていいの?

 

いっそ気づかないでくれればよかったのに...

嫌々ながら通話をつなげる。

 

「お嬢様そろそろ門限です。お迎えに上がります」

 

簡潔に用件だけを告げた後電話は切れた。

此方の用事なんて些細なもの、と言わんばかりのそれに苛立つ内心をサムちゃんを見て鎮める。

 

そっか、もう門限なんだね...

 

猫の様な耳は聴力もそれ相応に高いのか兎のフードで覆われていてもこちらの電話の内容が聞こえていたらしい。

悲しそうな表情に胸が締め付けられる。

 

えぇ。そうですね...

 

つられて私も悲しい気持ちになってきました...

 

じゃあ、また明日だね。次はいつ遊びに行ける?

 

そうですね。そうですよね!

明日だってその先だってあるのですから

次の約束をすればいいのです。

 

次は来週の月曜でしょうか。

 

山のように入った習い事が無いのは今日だけなのだ。

普通に6時間授業があったら他の日は放課後に時間の余裕はない。

 

そっか!じゃあ今度は本買いに行こ!約束ね!

 

立てられた小指に絡めるように自分の小指を重ねる。

 

指切りげんまん嘘ついたらハリセンボンの~ます!指切った!

 

この約束は誰にも破らせてなるものか。

そんな思いを込めてしっかりと握る。

 

会計を済ませて外で車を待っている間も

握った小指は離さなかった。

 

いっそ迎えの車が来れなくなればいいと何度思っただろうか。

だけれど無情にも滑り込むように自分達の前に車が停車する

 

「お待たせしました。」

 

後部座席のドアを開け、こちらに手を差し出す運転手に鞄を差し出す。

繋いでいた手を離してそのまま車に乗り込めば

冬の気温がわずかな間にそのぬくもりさえ奪い取っていった。

 

静かにドアが閉められ車が出発する。

 

またね!ボタンちゃん!

 

窓から身を乗り出して手を振りたい気持ちを抑えおしとやかに手を振り返すだけにとどめる。

 

「それではご自宅へこれから護送させていただきます」

えぇ。頼みました。

 

家に戻るまでにしっかりとお嬢様の仮面を被らなくてはならない。

執事もメイドも両親も普通の中学生としての私は許さないだろうから。

 

楽しい記憶を忘れないように仮面の奥に閉じ込めて

 

揺れすら感じない高級車で

常に気を張り続ける(地獄)へと私は連れられて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 




独断と偏見でリッチの想像していますが
作者は常に金欠なので高級スイーツの正確な値段とか分かりません。

なんとなくこんな値段かな?ってので想像で書いていますので
アバウトにお金持ちなんだなぁくらいの認識してもらえるとありがたいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~かっこいいともだち!~

<サム視点>

 

また明日ね!

 

ホントは今日もボタンちゃんとお出かけしたかったんだけど今日は習い事があるんだって

 

 

はい、また明日ですね!

 

大変なんだなぁ、ボタンちゃんって。

家の中で遊んでられた僕とは全然違うね。

勉強もたくさんしないといけないのは一緒だけど...

 

そんな風に考え込んでいればトントンと肩を叩かれ後ろから急に声が掛けられる

 

ねぇ、おまえ。魔法少女サムであってる?

 

ビックリしたぁ。普段は気配で分かるからこんなことないんだけど

油断してて気づかなかったよ!なんてね?そんなわけないじゃん。

この子は隠れコミュ障だから話しかけやすいようにしてただけだよ。

わぁ!こんにちは。そうだよ?どうしたの?

 

え~と。この子は・・・・・

知らない子だ!嘘、知ってるよ。だってこの子とボタンちゃんがこの章のメインキャラだから。

おんなじクラスの子なのは知ってるけど昨日は何もしゃべらなかったしね。

 

オレ、魔法少女シラウメってんだけどさ。訓練に付き合ってほしいんだわ

 

うん?訓練?

訓練室でやりたいのかな?

でも予約しないとだめって言われてたと思うんだけど...

 

あぁ、ちゃんと許可はとってあるぜ?監督もいるし心配ねぇよ

 

そうなんだ!すごい準備が良いね!

なら何にも問題ないよ!いこ!

 

お、おう。なんかわりぃな急にこんなこと言い出して。

 

ん~?もともとそのつもりでここに居たし。

僕も暇だったからね。気にしないで!

 

家に帰ってもお手伝いくらいしかできないし

特にやりたいこともないからつまらないんだよね...

 

このまま帰ってもいつも通り勉強してるだけだったと思うし本当に気にしなくていいよ!むしろ誘ってくれて嬉しいよ!

────────────────────────────────────────

<魔法少女シラウメ視点>

 

スタンピードに参加した時、自分の力不足をいやというほど思い知った。

 

実家のめし屋の手伝いで重い物山ほど運んだりしてたからスタミナだって同世代の中では抜きんでてあるって思いこんでた。

 

だけどいざ戦うとなるとなんの役にも立てねぇただの障害物だった。

自慢の盾さえ意味をなさなかったしな...

 

だから親父に頭下げて頼み込んでココに転校した。

訓練室を使って強くなるために。

 

まさか魔法少女サムとおんなじクラスになれるとは思ってもみなかったが・・・・

これも絶好の機会!利用しなきゃ損だよな!ってことで

 

じゃ!よろしく頼むぜ!

 

訓練室に入り盾を構える。

 

できるだけ手加減して攻撃してみてくれ。

 

悔しいがあの時見た一撃を喰らえばオレの盾なんて軽く吹き飛ばされちまう。

だから手加減してもらう。

 

わかった!いくよ!

 

10メートル以上離れていたのに『いくよ!』と言われた瞬間には既に目の前に迫っていたその体。

 

踏み出した瞬間すら見えないそのスピードに俺は全力で盾を支える。

 

普通はスタミナを温存する為に

インパクトの瞬間を狙ってちょうど相殺するくらいの力で弾くか敢えて弱めに受けて流すんだが

そんな温存とか甘ったれたことが言えるレベルじゃないと咄嗟に判断したんだ。

 

そしてそれは正解だったと思うぜ。

もし少しでも力を抜いてれば怪我してたかもしれねぇからな。

 

『ガギィン!!』

 

素手とは思えないほどの重い音ととてつもない衝撃が走り、しっかりと踏みしめていたはずの床が氷にでもなったかのように後ろに滑る。

 

[ティーチ君ストップ!]

 

やっべぇ。最弱でこれかよ。

たった一撃。それも盾越しのそれで手が痺れて力が入らねぇ。

危なかった。フィン先生が止めてくれなかったら次の一撃は絶対受け止められなかったぜ...

 

わりぃな。オレが弱いばっかりに。

 

うぅん!止められてすごいよ!ぼく手加減が下手で少し強めになっちゃったから...

 

慰めが染みるぜ。優しいやつだな。

だけどオレはそれで満足するような甘ちゃんで居たくねぇからな。

 

すまねぇな。もう一回お願いできるか?

 

そろそろ痺れも取れて握力も十分戻ってきた。

休んでる暇なんてねぇからな!

 

わかった!しっかり構えてね!

 

『ガギィン!!』

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ───────────────────────────────

<サム視点>

 

 [はい、そろそろ利用時間は終了ですよ~]

 

フィン先生がそう宣言し訓練がおわった。

 

「「ありがとうございました!」」

 

長時間監督してくれた先生にお礼を言う。

 

 [はい。よかったらですが隣の部屋のシャワールームも使ってくださいね。では私はこれで!]

 

そういって訓練室を出ていくフィン先生

それを尻目に示された方向にある扉を開けてみる。

 

 

おぉ、スゴイ。新品だぁ。

中はどうなってるのか分からないけれど

脱衣所だけでも大きいね。

 

サムも行くのか?オレもそうしよっかなぁ...

 

そういうシラウメちゃんと一緒に隣の部屋に入ってみる。

 

服を脱ぎ、備え付けのタオルを取ってさらに扉を開けると風呂までついた豪華な浴場が広がっていた。

 

旅館についてる大浴場みたいだな。

 

隣の個室でシャワーを浴びているシラウメちゃんがそういう。

 

一応、聞いてみたところやっぱり気分的にシャワーを浴びたくなるらしい。

 

変身している間は必要なくなったら消えるから

汗も汚れも気にしなくていいんだけどやっぱりちょっと嫌だよね...わかる!

 

僕も運動した後のシャワーは、汚れていなくてもさっぱりする感じがあるから好きだよ!

怪我してる時は染みるから入りたくないけどね。

 

 

それに風呂自体が好きなんだって。

今日はあんまり時間がないから入らないけれど今度来た時には入ってみるって言ってたよ。

友情イベントが見たいから今度はボタンちゃんも連れて来よ!っと。

さて・・・・まずは長々付き合わせて悪かったな

 

ざぁざぁと水が流れる音がする中

壁の向こうで頭を下げるような気配がした。

別にそんなに気にすることないのに。

 

僕の方も練習になったから!

 

常に全力全開で戦っていたせいでスタンピードでは最後の最後に離脱しちゃったから...

だからセーブして戦うのを僕も練習しているんだ。本当に気を付けないと。

そのせいで魔物にティーチくんが傷つけられたらぼく絶対おかしくなっちゃうよ!

それでな、お礼と言っちゃなんだけどオレの家で夕飯くってかねぇか?

 

シラウメちゃんの家?

 

あぁ。うち、飯屋なんだけどさ。めっちゃお世話になったしどうかなって

 

ごはん!だけどあんまり高いのは困るかも...

 

カネなんてとらんとらん。オレらダチだろ?

 

おぉ!ダチ。やった!前からこの二人と友情度あげたかったんだよね!

友達か!これで二人目だ!僕この二人が登場人物の中で二番目に好きなんだ。

主人公のティーチくんとは比べものにならないけどね。

オレが二人目かなんか照れんな//

 

くっそ。顔真っ赤じゃねぇか。個室でよかったぜ。

 

僕知ってるよ!

こういうのって聞こえないフリをするのが一番なんだよね?

 

ん?何か言った?

 

なんにもきこえませ~ん!僕の猫耳は濡れた毛のせいで音が聞こえないのです!

 

いや!?先出てるけどゆっくりでいいからなって言っただけだ!

 

そんな慌てたような返事のあと

キュッキュと蛇口をひねる音と共に足音が遠ざかっていく。

シラウメちゃん、もうシャワー終わったみたい。

 

それなら僕も出よ!

 

ゆっくりでいいって言われたけど待たせちゃうのも悪いしね?

 

それに長い毛があるから乾かすのも時間かかるし大変なんだよね。

特に耳のあたり。

変にドライヤーを当てるとうるさいし気持ち悪いし。

いっそ変身中は水も弾いてくれればいいのに...

なんて思うけどそうなると僕シャワーできなくなっちゃうか...

 

─────────────────────────────────

 

<魔法少女シラウメ視点>

 

いくぞ。

 

慎重に、慎重に両手を動かす。

ドライアーを握ったその手はかなりサムから離してんのにそれでもくすぐったく感じるらしい。

 

んぅ...

 

声を漏らさないように口を押えているのにそれでも少し漏れ聞こえてくる。

変な気分になるからそんな声漏らさねぇで欲しいんだけどな...

 

まだか?

 

んん。湿ってる...

 

耳を触る様子はめっちゃ可愛いんだが

女同士とはいえマジでヤバイからさっさとこの地獄(天国)の様な時間は終わってほしい...

 

・・・・・菩薩の様な気分で温風をあてていく。

 

シラウメちゃん...

 

シラウメちゃん!もういいよ!ありがと!

 

ん?おぉやっと終わったか。

絹の様な髪質とふかふかの耳の毛皮の感触にだけ意識を集中してたおかげでなにも気にならなかったぜ!

 

・・・うん。ほんとに気にならなかったぜ。

 

 

それじゃ、行くか。トウキ頼んだぜ!

 

頭を振って雑念を振り払い

誤魔化すようにオレの妖精を呼ぶ。

 

 [は~い、まずはサム君から運ぶよ~]

 

普段は表に出てこない妖精たちだが

こうして呼ぶとすぐに来るあたり”見守ってる”って感じしていいよな。

 

サムを連れて消えたあいつがすぐに戻ってくる。

目の前が歪み次の瞬間には店の裏手の人目につかないところに居た。

 

 [それじゃ、また何かあったら呼んでね!]

 

まったく。トウキも一緒に飯食ってきゃいいのに干渉は最低限だとかいって

すぐ消えちまうんだよな。残念だぜ。

 

ただまぁ、いつもの事だからな。とあまり気にせずに扉を開ける。

 

ただいま~

 

そう言い中に入っていけば

なぜか家の中に入らずにじ~っとこっちを見つめるサム。

 

ん?どうした?

 

好きに入っていいんだぞ?

 

あのね、えっと。

 

なんだ、煮え切らねぇ返事だな。

足元に目を落として、気になることでもあるのか?

 

そのね、ぼく足もこうなんだ

 

手をこちらに広げるサム。

鋭い爪が生えているソレ。一緒ってことは・・・

 

あ~すまねぇ。じゃあ表の店の方行くか!そっちは土足だ。

 

よく考えたらそうか。

そのまま上がったら床が傷つくもんな

ワリィ。オレの配慮が足らなかったな...

 

うん...

 

だけれど帰ってきた返事はなんとなく不安そうで、暗い声。

 

自分の爪の事かなり気にしてるっぽいな

なら。

 

ほれ行くぞ。

 

オレから手を繋ぐ。

しけた顔すんなって。怖がるわけねぇだろ。

今日初めて話したとしてももうダチだからな!

 

そのまま表に回り暖簾をくぐって店に入る。

幸い誰も客がきてなかったみたいですんなりカウンターまで行けた。

 

「あら~お友達連れてきたの!初めてねぇ!今日は閉店にしましょう!徹底的に奮発するわよ!」

 

ちょ、おふくろ!何言ってんだ!

 

「おぉ、男口調のせいでなかなか友達ができなかったお前がなぁ...」

 

 

親父まで!

嘘泣きなのバレバレだからハンカチ取り出して泣きまねなんてすんじゃねぇよ!

てかほんとに店じまいするな!暖簾下すなよおふくろ!

 

ふふっ、すっごいお父さんとお母さんだね。

 

もう!全く。

でもサムがそうやって笑えんなら今日くらいは良い・・・かな。

 

絶対!二度と!こんなからかわれ方されたくないけどな!!

 

はぁ。もういいや。適当に待ってるな。

 

これ以上口を出してもからかわれる気しかしないから諦めて席に座る。

 

「おう、そっちのめんこい嬢ちゃんと一緒に座ってな!」

 

いつもはこんな風に待ってるなんて言ったら『手伝え!』なんて言って怒られんだが

今日は親父も上機嫌で包丁を扱っているし手伝わなくていいっぽいから時間が空いたな...

 

 

ならサムと話してるか!

なんて思ってサムの方を見れば直後にこんな疑問がとんでくる。

 

そういえばシラウメちゃんって何て名前なの?

 

あぁ。そっか本名の方伝えてなかったよな

うっかりしてたぜ。

 

わりぃ、伝え忘れてた。風待 (かぜまち)ゆかりっていうんだ。

 

似合わねぇ名前だし、シラウメって呼んでくれよな。

 

そっか。知ってると思うけどぼくはサブだよ!サムって呼んでくれればいいよ!

 

OKサムな、了解。

サブって聞こえた気がしたけど聞き間違えっぽいな

危ない危ない。名前間違えたら申し訳ないしな。

しかもサブなんて誰かの代わりみたいな名前で呼んだらいい気分にはならないよな。

 

 

しっかし本名もサムなんだな!

結構元の名前から近い魔法少女名になるやつも多いとは聞くしな?

別に変なことじゃないんだけどそういうやつは大変だよな...

 

オレは由来が分かりずらいタイプだからあんまりそれで苦労したことはねぇけど

そのせいで身バレしたなんて奴もいるらしいしな。

 

「できたぞ~」

 

そんな思案を巡らせるうちに親父が盆にのせて運んでくる。

 

[ドンッ]っと重量感のある音をたててテーブルに乗せられたソレ。

 

うっわぁ

親父、大盛にしすぎだって。

海鮮丼なのはわかるけど下の米見えねぇじゃん。

でけぇどんぶりに盛ってきてるしコレうちの一番のサイズの皿だろ!

 

サム、食べきれるか?

 

オレは普段からめっちゃ食べるからいいけど

コイツあんまり食べる印象ないんだよな...

今日の給食もちょっとしかとっていかないしお代わりとかしてる感じなかったんだが...

 

ん?大丈夫だよ。とってもおいしそうだし食べきれると思う!

 

そっか。それならいいんだが

ムリして食べきろうとしなくていいからな?

 

──────────────────────────────────

 

<サム視点>

 

とってもおいしいよ!

 

イクラがプチプチしててお弁当のとはレベルが違うね!

海老とか魚もすっごい新鮮で他とは比べ物にならないよね!

 

そんな風に褒めればシラウメちゃんが理由を教えてくれた。

 

 

うちのは、朝一で仕入れてきてっからな。海が近いのもあってめっちゃ新鮮なんだ!

 

そう言って窓の方を指さす先に橙色に染まる黒い海が見える。

 

 

ほえ~そっか。

この匂いって海の匂いだったんだ。

なんか不思議なにおいがするなぁってシラウメちゃんの家に来た時に思ったんだけど

これが磯臭いってやつだったんだね!

 

海来た事ねぇのか?

 

そうなんだよね。海近くになかったから...

 

だから泳いだこともないし海の生き物とかあんまり知らなくてさ。

 

ん~そうだなぁ。ここらへんだとやっぱヤドカリとかカニじゃね?

 

開発されてるとこだとあんまり生き物いないけど

ここら辺は岩場そのままみたいなところも多いし

フナ虫やらなんやらからゴンズイ玉とかまで見れるんだってさ。

 

ゴンズイ玉?

 

何だろ?

ゴンズイは魚の名前かな?

それともゴンズイ玉で魚の名前?

 

そそ、ちっちゃいナマズみてぇな魚がいるんだけどそれが集まって球みてぇになって泳いでんの!

 

毒あって刺されるとめっちゃ痛いから絶対近づいちゃダメなんだってさ。

怖いねぇ!

 

でも毒があるんならそんなに集まる必要ない気がするけど...

 

いやぁ。いくら強くても群れた方が良いからな。クジラとかでさえ群れ作るだろ?

 

そもそもゴンズイ玉は基本稚魚が作るし単体で強い訳じゃないんだって。

毒も弱いし集まってお互い守りあってるんだってさ。すっごいね!生き物って不思議だね!

 

そんな風に驚いてたら先に食べ終わっちゃったみたい。

 

ご馳走様!

 

シラウメちゃんが『パンッ』と良い音をたてて両手を合わせる。

 

あれ、シラウメちゃん早いね?

僕まだ半分くらい残ってるよ?

 

あ~まぁ。オレはな・・・だけどさっきも言ったけどサムは別に残してもいいんだからな?

 

ううん。おいしいからちゃんと食べきるよ。

僕食べるの遅いからちょっと時間はかかるけど

おなかの空きに余裕はあるからね!

 

水持ってこようか?

 

うん。よろしく!ちょうどなくなっちゃったし

欲しいなと思ってたところだったんだ!

 

あいよ~

 

シラウメちゃんが取りに行ってくれてる間に続き食べてよ。

 

次は焼いた?感じの魚にたれがかかってるトコ!

 

う~ん!やっぱりおいしい

酢飯と甘じょっぱい匂いのたれが飽きさせないよね。

 

──────────────────────────────────

<魔法少女シラウメ視点>

 

ご馳走様!

 

お~すげぇな。ちゃんと全部食べ切ったじゃん。

大人用の大盛なんだけどな。

ま、めっちゃ運動したしサムもお腹減ってたんだろ。

 

じゃあ何する?

 

う~ん、オレもこの後も遊んでたいところなんだけどよ

 

そろそろ時間も遅いし帰らねぇとまずいんじゃねぇか?

 

だけど、外真っ暗になっちまってるしなぁ

 

・・・そんな悲しそうな顔すんなよ。また明日な。

というか毎日の様にこれから訓練に付き合ってもらうから覚悟しとけよな!

 

うん!

 

そう言った瞬間喜色満面の笑みを浮かべ頷くサム。

どっちかと言うと嬉しいのはオレの方のはずなんだけどな?

だってやっぱり自分より強い奴と訓練した方がより強くなれんだろ?

 

そして何よりオレの初めての友達だからな。

そいつともっと仲良くなれんのはめちゃくちゃ嬉しい訳だ。

 

そう。さっきは誤魔化したけどおふくろ達の言う通り

オレは友達が全然できなかったんだよ。

 

ま、過去の事気にしてもしょうがねぇし

今こうして友達になれてる時点でどうでもいいことなんだけどな?

 

それじゃ、僕今日は帰るね。

 

そう言って皿とお盆を持ち上げ運ぼうとするサム

 

あ、皿はそのままで大丈夫だ

 

お客さんにさせる事じゃないし、あとでやっとくからな。

 

それよりどうやって帰る?

近くの機関の支部まで送ってくか?

それともトウキに送ってもらうか?

 

じゃあ。トウキちゃんに送ってもらおうかな。

 

あいよ。トウキ~

 

 [はいはい、送ってくよ~]

 

宜しくな~

手を振って消えていくサムを見送る。

 

・・・ちょっとオレも寂しくなってきたな...

 

悪い、オレも向こうに頼む

 

 [ふふっ!わかった~]

 

なんだよ。意味深な笑みしやがって。

まぁいいけどさ...

 

あれ?シラウメちゃん?

 

せっかくだし見送ってこうと思ってな。

 

なんか危険なことがあるとは思わねぇけど

やっぱ家まで遠いとできるだけ人数固まって動いた方がいいと思うからな

 

そっか~でももうすぐそこだよ?

 

指さす先は機関の本部に繋がる門。

そっかサムの奴本部の近くに住んでんのか

 

家まで送るか?

大丈夫、歩いて一分もかからないから

 

ふ~ん。

ま、それなら安心だな!

 

じゃ、また明日な!

うん、じゃあまたね!

 

手をふり、先が見えない黒のゲートの先に沈んでいくサム

それが何かに被った気がして思わず手を伸ばした。

 

だけどすんでのところで届かずにその姿はかき消えてしまった。

 

・・・?

何だ?今の感覚。

不思議なソレに訝しむ思いも

なぜかすぐになくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~みんなともだち!~

次回投稿は11/12日です。

とりあえずペース的に行けそうなのでしばらく週2投稿で行こうと思います。
木曜日と日曜日に投稿しますのでよろしくお願いします!

ダメそうだったらまた週一に戻します。
その時は前書きでまたお知らせします


<魔法少女ボタン視点>

 

「・・・・・」

 

誰もしゃべらない食卓はすごく息苦しい。

だけれど私から口を開くことはない。

 

それがルールだから。

そして両親の方からも話しかけてくることはほとんどない。

だから今日も会話せずに終わると思っていたのに...

 

 

「ぼたん、学校で友人はできたか。」

 

急に父親が話しかけてくる。

普段は急いで夕飯を食べてすぐにまた自分のデスクに戻ってしまうのに...

 

何が理由だろう。情報を大事にしている父は自分の交友関係なんてとうに把握しているはずだ。

私が言うまでもなくサムちゃんと友達になった事は知っているでしょう。

 

・・・・・・いえ、それを私の口から言わせることが目的かもしれませんね?

 

サムちゃんの事を何かに利用しようとしているのでしょうか?

ならばここで返すべきは

 

はい、何人か友人が出来ました。

 

個人名を出さないのが一番でしょう。

実際に一言二言話す程度の関係なら一部のクラスメイトとは築いていますから

嘘というわけでもないですし。

 

「そうか...」

 

何だったのでしょう?

そのまま引き下がってしまいました。

まさか今更ただの雑談がしたかったわけでもないでしょうし...

 

いえ、ここで考えていても仕方ありませんね

手元に紙もありませんし予測をかきだすこともできませんから。

 

私の食事は終わりましたし自分の部屋に戻ってから続きをゆっくり考えてみることにしましょう。

 

ごちそうさまでした。

 

そう言って席を立ちます。

扉にたどり着くまでの短い距離ですがそれでも両親の視線が自分を追いかけているのを感じます。

 

おそらくマナーに綻びがないか監視しているのでしょう

 

そこまで私に信用がないのです。

何年も共に夕食を摂っているというのに未だにこれが変わることはない

 

お先に失礼します。

 

そう言って音をたてないように扉を開けます。

 

知人の家ではドアも使用人が開けているところもございますが

我が家はそこまで誰かに任せることはしません。

 

というよりそんなことまで誰かにやらせるなど普通はおこなわないのではないでしょうか?

一部、高貴な生まれの方ならそうかもしれませんが

私の知りうる限りだとお客様を迎える時だけというところが多いように感じます。

 

なんて、考え事をして気を逸らしていても

マナーに抵触することなんてありえないくらい体に染みついた動きなのに

未だに見張られるのは少し心外です...

 

(ふぅ)

 

扉が視線を遮った時にやっと息を吐き出します。

とはいってもどこに誰の目があるか分かりませんから内心でだけです。

 

さて

 

これからのプランを立てながら部屋に向かって歩き出します。

 

入浴する前に宿題を終わらせておきましょう。

そのあとは授業の予習ですね。いくら学習塾で進んだ講義を受けていようとおろそかにするわけにはいきません。

 

できるだけサムちゃんとの時間は大切にしたいので学校で他の事に手を煩わされたくないですからね。

 

──────────────────────────

相沢 真司(あいざわ しんじ)視点>

 

最愛の娘、牡丹が出ていくのを見る。

たまたま時間が取れたので話しかけてみたのだが

全然会話がつながらなかった...とても悲しい。

 

「あなた。ちゃんと話し合わないとダメよ?」

 

妻の愛花(あいか)に叱られてしまった。

 

分かっている。わかっているのだ。

だけれど何を話しかければいいのか分からないのだ。

 

小さいころから自分は一大財閥の跡取りとして育てられてきたし、今でもそれに満足している。

 

だけれどその教育では娘との接し方なんて習わなかったし

両親にも同じように扱われた記憶しかないのだ。

 

今思えば自分の両親もこんな気持ちだったのだろう。

同じように頑張って話しかけてくれていたし。そのことに文句はない。

だが今本当に困っているのだ!

 

「おまえも一緒にどうだ?」

 

「私はもう手遅れよ...ぼたんが小さいころ叱りすぎてしまったもの...」

 

それは愛花もそう。

同じように大企業の一人娘だった彼女はそういったことを知らなかった。

だから一緒に考えてみたりもしたがどれも失敗。

 

習い事がしたいというから好きなようにさせてみれば

ほとんどの日をそれで埋めてしまう。

 

本が読みたいと聞いたから好きなようにさせてみれば

年頃の少女が読むようなものではなく大人が読むようなものを

いつもつまらなそうな顔で読んでいる。

 

 

まさかこんな悩みを使用人に聞くわけにもいかず

どうにもならない状態なのだ...

 

「せめて自由に。と思い魔法少女専門の学校に通わせてみたが...」

 

あの様子では仲のいい友人もできなかったのではないだろうか?

元の学校でも同じように言っていたが決して友人を家に呼ぶことすらしなかったわけだし。

 

いっそ、学校はやめさせてしまった方がいいのだろうか?

 

辛いだけの学校生活など無駄だから。

 

早計かもしれないが一応、その手配もしておこう。

 

───────────────────────────

<サム視点>

 

おはよ!

 

今日はシラウメちゃんとボタンちゃんをお互いに紹介しようと思ってるんだ!

あのね!二人ともすっごい気が合う気がするの!

ただの勘だけどね!というかそうなってくれないと困るからね。

 

でも、間違ってないと思うよ。

二人ともとっても優しいからね!

 

だからまずは同じクラスなのに

話したこともない二人を会わせてみようと思うの!

 

 

シラウメちゃん!ボタンちゃん!こっちこっち!

 

昨日の夜だけどね、タブレットで二人に連絡しておいたんだ!

だからおんなじくらいに来てくれるはずだよ。

僕もそのために早めに来たし。

 

・・・・ちょっと眠たいような気分だけどね。

これはただのフリ。この二人の友情度上げるのって難しいから早めに上げるためには

こういうちょっとした小細工も大事なの。

「「それで話って?」」 

 

 

ふふ。二人そろってしゃべるあたりすっごく息があってるよね。

って思ったんだけどなんか二人ともあんまりお互いの事を好きじゃないみたい?

どうしてだろう...

喧嘩してるのは知ってるけど、一言謝れば済むのにどうしてこんなにこじれちゃったんだろうね?

 ─────────────────────────

<魔法少女ボタン視点>

 

昨夜朝7時ころに教室に来て欲しいとサムちゃんから連絡がありました。

 

会ってもらいたい人がいると連絡が来ましたが誰でしょうか?

いつもより少し早い時間ですが家を出て

私の妖精、シュンキに学校まで送ってもらいます。

 

「「あっ」」

 

学校の前で私のペアの魔法少女シラウメさんと出会ってしまいました。

少し気まずいですね...

 

元からあまり仲がいい訳ではなかったのですが

前回のスタンピードで決定的な決裂が起きたのですよ。

 

 

どういうことかと言いますと

前回のスタンピードの時に私は参加できなかったのです。

そのことについて口論になってしまいまして...

でも仕方がなかったのですよ?

両親から危険だから参加は許しませんと言われればどうしようもないですから...

 

普段出現する魔物だって他に任せればいいと言われたのを

ムリを押して戦闘に参加して倒しているわけですから。

今回だけはダメだ!と強く言われてしまえばどうしようもないのですよ...

 

・・・・いえ。今回はそれはどうでもいいことですね。

 

それよりも、気になることは

まさか彼女が私に合わせたい人なのでしょうか?

新しい友達とのことですが。もしそうならば

いくらサムちゃんの紹介と言えども仲良くできる自信はないですね...

 

おはよ!

 

あぁ。サムちゃんの元気な挨拶が荒んだ心に染みわたります。

家や習い事との対比でまさに天国にいるような心地です。

 

・・・・隣にシラウメさんがいなければもっとよかったのですが。

 

「「それで話って?」」

 

言葉が被ってしまいました。

私は譲る気はありませんよ。あなたが譲ってください!

 

うん!シラウメちゃんもボタンちゃんも優しいから気が合うんじゃないかと思って!

 

いえ、私は優しくなんかないですし

彼女もそんなことないです。

 

だって。初対面でおまえ変な奴だな!とか言われたんですよ?

絶対に優しい訳がないです!

それにそんな人と表面上でも友達になんてなりたくないです!

 

いや、それは...

 

いい訳なんて聞きたくないです!

 

スタンピードの事は自分にも非があったことは認めますから水に流しました。

でもそのことだけは私今でも怒ってますからね!

自分でも子供っぽいとは思いますが嫌な物は嫌なんです!

 

──────────────────────────

<魔法少女シラウメ視点>

 

初対面で”おまえ変な奴だな”とか言われたんですよ?

 

その言葉をボタンに言われて

初めて会った時の記憶がよみがえる。

 

そう、初めて誰かとペアを組むってことでめちゃくちゃ緊張してたんだよオレ。

 

オレ、シラウメってんだよろしくな!

 

はい、よろしくお願いします。

 

てっきりいつもみたいに男みたいな口調だとかなんとか言われると思ってたんだよ!

だけどさ。なんにも気にしてねぇみたいに普通に返事して来たからさ

 

おまえ、変な奴だな!

 

つい、思ったことがそのまま口から出ちまって

あ、マズイって思ったときには取り返しがつかない状況だったんだよな...

 

変な奴ですか...すみません今日はこの後予定があるので顔合わせだけで。それでは

 

謝る隙もないくらいにまくしたてるように言ってどっか逃げちまうしさ。

 

だけど一番ダメだったのはあれだよな。

スタンピードの事。

 

ごめんなさい、私は参加できません。両親に反対されてしまって...

 

ペアで動くのが鉄則なのに片方が参加できないなんてどうにもならないと思ったから責めすぎちまった...

 

親父も反対してたけど頭下げてでもオレは参加するんだぞ。それぐらい気合入れたらどうだ?

 

ってさ。

実際アブねぇからやめろって言われたんだよ。

親父心配性だし。

だけど頭下げて必死に頼み込んで安全だってしっかり説明してそれでやっと許可もらったんだ。

 

マジで、みんな必死に戦ってるのに参加しないなんてありえねぇって思ってたからさ

少しでも力になりたいと正義感が空回りしてた。

 

今、冷静になって思い返してみればオレめっちゃ最低なことしてるよな。

相手の都合も考えずに自分の基準で考えちまってた。

 

だから

 

申し訳ねぇ、許してくれとは言えねぇがせめて謝らせてくれ!

 

渾身の土下座だ。

いっそこのまま踏みつけてくれたってかまわねぇし

気が済むならいくらでもやってくれ!

 

──────────────────────────

<サム視点>

 

あわわ。

 

どうしよどうしよ?!

二人とも仲が悪いみたいでお互い嫌な顔して何か話してるよ?

 

ホントに小さな声だから僕の耳でも聞こえないけれど

あんまりいいお話じゃないかも?

 

かと思ったらシラウメちゃんが床に倒れこむし何してるんだろ?

 

はぁ。もういいです。其処までされて怒れるわけないじゃないですか...

 

良かった、仲直りしたみたい!

これでお友達だね!

 

すまねぇ。本当に悪いと思ってる...

 

と思ったんだけどまだギクシャクしてる感じ?

 

どうすればいいかな?僕にも何か仲良くなるお手伝いが出来たら良いのにな...

 

・・・・そうだ!今日は席くっつけて一緒にお昼食べよ!

 

ごはん一緒に食べて僕は二人と仲良くなったし

同じようにみんな仲良くなれるよね!

 

良い考えだと思わない?

てことで仲良し大作戦頑張るぞ~!

 

・・・・・・<給食>・・・・・・

 

それで、シラウメちゃんは何が好きなの?

 

オレか?オレはそうだなぁ。やっぱサケが好きかなぁ

 

ボタンちゃんは?

 

私は苺が好きですね。

 

会話が...会話がつながらないよ...

なんでぇ?もっと楽しくおしゃべりしようよ!

 

いえ、これでも仲良くしたいと思っているのですがなんとなく話しづらくて...

 

オレもそうなんだよな。わりぃけど間に挟まっててくれねぇか?

 

別に僕は良いんだけどいつかはちゃんと仲良くなって欲しいんだけどなぁ。

 

「「って、サム(ちゃん)昼ごはん食べないと!!」」

 

忘れてた...

じゃあ僕も食べようかな

って思って箸を持ったところでチャイムが鳴る。

 

 [キーン♪コーン♪カーン♪コーン♪]

 

「「「あっ」」」

 

気にしないで!僕の好きでやってたことだから!

それに今日の給食は好きな匂いしなかったからいいのいいの

元からそんなに食べたいわけでもなかったし!

 

・・・・・・・<放課後>・・・・・・・

 

僕は諦めないぞ!

今度は訓練で仲を深めるんだ!

フィン先生にもちゃんと許可を取ったし一緒に汗を流せば仲良くなれるはず!

 

・・・サムちゃん?言いにくいのですけれど私、支援専門なのですが...

 

そうだよ...完全に忘れてた。

 

自己紹介の時に得意なのは回復魔法と強化魔法で、直接戦闘は苦手って言ってたじゃん...

 

あの、落ち込まないでくださいね。今日は短縮授業でたまたま時間もありますし二人の戦闘訓練のお手伝いもできますから!

 

そうそう、回復してもらえるしいつもより強めでも強化魔法で耐えられるぜ!

 

ありがとね。だけど慰めが痛いよ...

 

結局そのあとの訓練自体は捗ったけれど

シラウメちゃんとボタンちゃんの仲はあんまり進展しなかったよ...

 

凄く息があってるから連携自体のレベルは高いんだよね。

だからちょっとしたきっかけさえあればすぐに親友になれると思うんだ。

──────────────────────────

<魔法少女ボタン視点>

 

落ち込むなって!ほら仲良くなってるから!

 

シラウメさんが差し出した手を私も握る。

 

えぇそうです仲良しですよ。

 

そこまで心を許しているわけではないですが

間違いなく以前よりはグッと距離が縮んでいますよ!

 

以前ならこうやって距離を詰めることすら少し躊躇したでしょうから。

 

そう?なんにもできてないんじゃないかなって思ったんだけど...

 

サムちゃん、そんなことないですよ

 

一朝一夕で友情深めんのは難しいけど切っ掛けになったからもう大丈夫だぜ!

 

えぇ。これからまだまだ時間はありますから絶対仲良くなれますよ!

 

 『ぴぴぴぴ』

 

時間を知らせるアラームが鳴る。

今日の習い事の準備をしなくてはならない。

 

あぁ、申し訳ありません私これから用事がありますので今日は帰りますね...

 

本当のところはもう少しサムちゃんを元気づけてからにしたかったのですが

用事が入っているのでは仕方ありません...

 

そっか、じゃあオレも帰るか。

 

訓練もしましたし、時間も遅くなってきているので今日はこれで解散することになりました。

ですが、また明日もあります。

 

私もシラウメさんと仲良くりたいですし、今日一日楽しかったですから

明日もまたこうやって集まりましょうね!

 

 

「「「じゃあ、また明日!」」」

 

私たちが妖精に送ってもらっているのをサムちゃんが手を振って見送っています。

 

そういえば彼女の妖精って?

一回も見たことが無いような...

 

転移する際にふとそんな疑問が思い浮かびましたが

明日聞いてみようと思っていたそれは用事を済ませ就寝するまでにいつの間にか闇に消えてしまいました。

 

──────────────────────────

<サム視点>

 

ボタンちゃんとシラウメちゃんが自分の妖精に連れられて家に帰るのを見送る。

 

えへへ、うまくいったね!

 

僕はこの程度で落ち込まないもん!

それにね、とってもずる賢いんだよ!

 

優しい二人だから落ち込んでるフリをしたら嘘でも仲よく見せてくれると思ったんだ。

ちょっと心は痛むけど二人の事を騙してまずは形から入ったんだよ!

 

訓練してる時はちょっと悲しかったけど

やっぱりきっかけがあったらすぐに距離が縮まったもんね!

 

 

最後の方には二人ともお互いの方を見て話し合ってたし、間に僕がいなくても協力できてたからね!

仲直り作戦大成功だよ

明日が楽しみだなぁ。

 

長い夜が今日はもっと長く感じちゃうかもしれないね!

 

ウキウキとした気分でぼくも家に帰る。

 

その途中、廊下に差し掛かったところで声がかかる。

 

「嬢ちゃん、今日はご機嫌じゃないか。前は悲しそうな顔してたから心配してたんだぞ」

 

おぉ。買い物に行った時のおじさんだ。

あの時はごめんね。ちょっと悲しいことがあって...

 

「きにすんな~笑って過ごしてればそれでえぇからな!」

 

ガハハッ

って豪快な笑い方するおじさん

開発部の人らしいけど結構こうやって廊下を歩いてたりメインルームに居たりする。

普段何してる人なんだろ?よくわからないや。

名前も知らないけれどとってもカッコよくて好きだよ!

 

「ワシは飯食いに行ってくるからまたな!」

 

そういってトンっと僕の背中を叩いて歩いていくおじさん

良いよね。こんな感じの渋さ。

 

僕も将来あんな感じになりたかったなぁ。

 

・・・・部屋に戻ってそういう感じの映画でも見るかな。

ハードボイルド系で今夜は時間つぶししよっと!

 

 

─────────────────────────

 

 

<ティーチ視点>

 

やぁ。みんな久しぶりだね。俺だよ俺!

長く離れてたみたいだから心配してたけどサブの方見に行ってたの?

あっちどんな状況?

 

<えっと...>

 

いや、やっぱいいわなんも教えんといて!

その方が絶対に面白いから!

 

っと。そういえばどうして呼んだのか伝えてなかったね!

何でかって言ったら時期的に3章の学園生活の中盤の目玉!ヌシ魔物がそろそろ出るからなんだよね

そしたら注目してみててほしいんだよね。絶対面白いから!

 

俺もめっちゃ楽しみだよ!

 

サブはおそらくこの章のメインキャラクターのボタンとシラウメに接触してるはずだから

そこの絡みで何か仕込んでくるだろうし

 

サードは毎晩のようにコソコソ何かやってるみたいだからそれも楽しみだし。

 

いやぁ実に良い愉悦日和になりそうじゃないか!

 

ってことで次回をお楽しみに~

 

じゃあね~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~さよならはいやだから~

<サム視点>

 

[緊急事態発生。東京湾沖に100m超の魔物が出現、出動可能な者はすぐに本部に集合してください!]

 

 

やっぱり来ちゃうよね...

 

こないで欲しいなって思ってたけど

やっぱりアニメやゲームと一緒だよね。

嫌だなぁ。シラウメちゃんとボタンちゃんとせっかく仲良くなれたのに。

 

・・・でも。みんなが傷つくくらいなら僕は嫌われてもいいかな...

 

ゲートまで急いで走っていく魔法少女たちの後ろからゆっくりと歩きながら

誰の目も自分に向いていないのを確認して少しだけ本性を出す。

 

元から鋭かった爪は掌ごとその大きさを増し、少しでも触れれば容易く体をもぎ取れるほどの凶器と化す。

目は紅く染まり、血流は異常なほどの循環を始め,

身体機能が魔法少女の域を圧倒的に突き抜けて上がっていく。

腰のあたりからは皮の内側に押し込めた僕の身体が漏れてリボンの様にゆらゆらと宙を漂う。

 

サムちゃんは?!

サム~!

 

その言葉に

一瞬で本性を閉じ込める。

幸い友達には見られてなかったみたい!

よかったぁ。

 

ごめんごめん。遅れちゃった~

 

二人の後をついていく。

今だけはどうか一緒に...

 

 

─────────────────────────────────

<リラ視点>

 

[本当に行くのか?]

 

止めても無駄だろうということを知りながらそう口に出す。

 

スタンピードで無茶をした後からティーチの身体は少しずつ呪いに染まり始めている。

今は薄水色の髪にメッシュの様に黒が入るだけだがそれでも確かな変化だ。

 

だから。また、魔法を使えばあの時の様に呪いに取り込まれるのではないか?

そんな不安でオレはあの後からティーチに戦わせまいと努力してきた。

 

妖精と機関の協力体制がさらに強固になった事もあり

今日までそれは成功していたのだ。だけれどついにヌシが出てしまった。

 

うん。

 

返事は簡潔。だけれど決意を確かに感じさせるもの。

 

[そうか]

 

落胆の意を乗せ、そう口に出す。

今回もオレは何もできないのか...

 

信じてる。また助けてくれるって。

 

だけれど続いた言葉に意識を変える。

 

そうだ、オレが何度だって助けてみせよう。

だから

 

[今度こそそばにいるからな!]

 

前回は一緒に居なかったから

対応するのさえ遅くなってしまってすぐに近づくこともできなかった。

 

邪魔になるのは分かっているけどそれでも今回は離れることはしない。

 

うん。ちゃんと守るから心配しないで。

 

 ───────────────────────────────────

<司令官視点>

 

「海上に出現した個体。仮称アジ・ダハーカは依然として速度を緩めず進行中!

海中部分が確定できないですが推定体長は100mを超えると思われます。

現在の進行速度は23ノット、東京都沿岸到着まで推定37分です!」

 

 

とてつもないわね....

 

正直な感想を口に出す。

57分前に洋上に出現した3頭、3口、6目の龍のような特徴を持つ魔物。

巨体から強敵となると予測されたため、アジ・ダハーカの仮称を得たそれは想定以上の存在だったのだ。

 

まず魔法を使って死角までカバーしている点。

 

飛行可能な魔法少女で組まれた偵察部隊が接近したところ、多種多様なソレを体表に出現させた魔法陣から弾幕の様に連射。

半径100m程度から斉射され始めたそれは50m付近では回避すら困難なほどの密度だったとのこと。

 

それは背部でも同様で、完全に視界から外れているのに精密性は落ちなかったそうだ。

よって何らかの方法で視野外の情報を認識していると考えられる。

 

次に長射程のブレス。

口内に黒い光が収束し発射されたそれは

幸い誰にも命中せず遠く離れた海面に着弾したが、その威力は付近の海水が消滅し海底が見えるレベルだったと。

 

 

ココまでも大分厄介なのだが

一番最後が最大の問題だ

それは体長から推定される重量

接近した場合緊急離脱もできず即死する可能性すらある。

 

さらにアジ・ダハーカの付近に漂う有色の煙を成分分析に掛けたところ

強い毒性が存在すると判明した

そのため近接戦闘が選択肢から完全に外れてしまった...

 

困るわね。遠距離に戦力が限定されるとは...

 

遠距離のみで戦う魔法少女は全体の3割にも満たない。

そこに普段使いしないタイプを加えてもよくて半数といったところだろう。

 

そのうちの何割が100メートル以上対象から離れた位置から有効な攻撃をできるのだろうか?

・・・正直とても少ないと言わざる負えないだろう。

 

 [そうだね、身動きだけでも潰されかねないから仕方ないのだけれどね。]

 

だけれどそもそもがその遠距離の魔法も効くとは限らないこと...

 

実際に超遠距離の攻撃魔法を持っている子たちには既に攻撃してもらっているけれど

一切効いている様子がないし、装甲がとても厚いのでしょう...

 

避難誘導はどうなってるの?

 

まずはそこを万全にしておきたいのだけれど...

 

「ダメです!平日昼間ということもあり道路の混雑がひどく、全く進んでいません!」

 

チィッ!!

思わず舌打ちが漏れる。

何とかして上陸前に仕留めなければ途方もない被害が出る。

 

だけれど飛行魔法を使える子も決して多くはないし

その中で並列して攻撃できる子なんて片手の指ほどの数しかいない。

そんな子たちはすでに全員出撃済みで今も何とか足止めしようとしてくれている。

 

そしてそれに加えて遠距離が得意な子を集めて配置してはいる

 

だけれどそれでも心もとないわね...

 

何か打開の手になるものがあればいいのだけれど

現状の手持ちの戦力をどう活用しても致命傷どころか装甲を抜くことさえ厳しい。

捨て身の特攻をすれば行けるのかもしれないけれど

それは完全に最終手段でしょう。

 

そんな不確定かつ戦力を削るようなやけくそのプランに頼るよりも

まだ、魔法少女ティーチが駆けつけてくれることを祈る方がましだわ。

 

ふぅ...

 

そこまで考えてため息をつく。

 

・・・・・・・正直なところこうやって一つの多大な戦力に頼るのは戦略上よくないし

そもそも彼女は機関所属の魔法少女というわけでもないから手持ちの戦力として数えるべきじゃないのは分かってる。

 

だけれどそれしか方法がないのだ。

全部が全部彼女たちがいることによって成り立ってる。

 

そんな現状をどうにかしたいところではあるけれど

何か私達が手を出したところで魔法少女全体の戦力が急速に上がることもないし

呪いなんてものに手を出すのは言語道断!

だから頼り続けるしかないのだ...

 

───────────────────────────────────

 

<サム視点>

 

「まだ待機ですか?」

 

誰かがそう声を上げた。

 

いっぱい魔法少女が集められた本部で作戦の説明を受けたんだけど

僕みたいな接近戦しかできない子たちは待機だってさ...

 

毒が漂ってるし敵が大きいから近づいたら危ないんだって。

なら僕だけだったら問題ないね。

 

今はまだ他の魔法少女たちが頑張ってるから

出番はないけれど足止めもできてない状況だし多分僕も戦うことになるよね...

 

 [上陸まであと10分です!]

 

頑張れ~!

現場状況が分かりやすいように設置されたモニターを見ながら声援を送る。

 

魔法少女たちが可愛く、かっこよく戦っているのを見ると僕も少しだけ勇気が湧くから。

 

だからもう少しだけこうしていたいな。

戦場の何処にいるかわからないけれどボタンちゃんとシラウメちゃんには特に大きく応援する。

 

だけれどそんな時間が長く続くわけもなく

 

【ワープ】

 

ティーチくんの声が聞こえた後僕は戦場に立っていた。

 

───────────────────────────────────────

<ティーチ視点>

 

 『キュキュキュキュィィィ──ーン!!』

 

 

戦場にワープした直後に目の前で途轍もない量のブレスが高音を伴って放たれる。

 

うわやっば!?

出オチするって!こんなの。

サブもせっかく連れてきたのに二人そろって出オチとかネタにしかならんw

 

【バリア】

 

まぁ、余裕で防げるんだけどね!

スタンピードでクソほど暴れ散らした結果、LVがめちゃくちゃ上がったし魔法の扱い方も上手くなったのでね!

 

ブレスが途切れたのを確認してからバリアを解除する。

そしてそれと同時に空を飛べないサムの為に足場を展開する

 

【結界】

 

・・・・・さてと。今回は俺の役割はサポートだからね。

呪いに蝕まれるフリはするけれどできるだけ裏方に徹しましょ!

リラもついてきてるし変に暴走するわけにもいかないからね。

 

まぁ。おいしいところのとどめだけは貰っていくけれどね!

 

【手繰る糸は、荒ぶ風に吹かれ其の手をすり抜ける。

 穢れなき羊は悪しきものの、手に掛けられ躯を晒す

 

はぁ~!クソ長詠唱かっこえぇ~

普通に連射できるレベルでしかないけれど

こうやってゆっくり構築して詠唱すると強い魔法に見えるよね!

 

───────────────────────────────────-

 

<サム視点>

 

戦場に到着した直後に黒い力の奔流が僕たちに襲い掛かる。

 

【バリア】

 

咄嗟にティーチくんが張ってくれた結界のおかげで何にも被害はなかったけれど

とっても危なかったよ...

あんなの受けたら僕もボロボロになっちゃうし街だって壊れちゃうからね。

 

足場は作るから自由に戦って

 

そう言った後集中するように目を閉じて杖を構えるティーチくん。

 

ホントは一緒に戦いたいんだけれど

一撃で仕留めるために魔法を詠唱してるみたい。

そっちに集中してるみたいだしやっぱり僕が戦うしかないよね。

 

僕も頑張るよ!

 

その言葉と共に足場を蹴って高速で近づく。

大量の弾幕も僕の速度には全くついてこれない。

 

そして全力で殴りつける。鱗で覆われたその表面に触れた瞬間全身に毒が回る

・・・だけれど僕には効かない。

そのまま拳を振りぬけば千切るように表面が削り取られる。

 

 

『ガァアアアアアアアア!!』

 

痛みに吠えて、敵が反応する。

咄嗟にその場から離れれば、僕がいたところに色とりどりの槍が突き刺さり爆発した。

 

飛び退いた先。見上げればさらに大量の魔法陣が全てこちらを向き

光り輝いている。

 

まずいっ!

 

回避だけに集中して必死に避け続ける。

一発受けても死にはしないけど反動で足が止まったら絶対に耐えられない!

一回死ぬと復活まで少しラグがあるし困るんだよね...

そのままティーチくんの横あたりまで下がったところでやっと猛攻が途切れる。

 

あぶなかったぁ。

 

だけど

思ったより硬いけど倒せない硬さじゃない!

本気で戦うほどじゃないと判断してこのまま戦うことにする。

 

接近して、攻撃して、離れてを繰り返す中本音が少しだけ漏れちゃった。

 

まだ僕はみんなと一緒に居られるんだね。

 

・・・だけれどそんな幻想はすぐに打ち破られた。

 

足りない。

 

ぼそりとティーチくんがつぶやいたのが聞こえた。

 

え?どうして?

そっちを見たら槍の様なものが杖の先で構えられていた。

 

普通ならただの魔法にしか見えないんだろうソレ。

だけれど僕にはわかるよ。

アレはそんな単純な物じゃないって

 

いくつも束ねれられた魔法陣が繊細な操作によって崩れずに均衡を保っている

人間としての技術の果て、魔法少女としての極限。

ゲームではそんな紹介をされてた。

 

アニメでだって心を一つにしていっぱい魔法少女が協力したからできたそれ

だけど足りないって?

それじゃあ僕も本気で戦わないとダメなんじゃ。

 

僕は、まだ...

 

嫌われる?〔バケモノ!〕って言われる?

〈オマエなんて友達じゃない!〉って言われる?

嫌だ!嫌だよ!

 

みんなと離れたくない...

 

覚悟は決めてたはずなのにそんな思いが溢れ、涙がこぼれる。

 

わかってる。だから私に任せて。

 

呪いがティーチくんの体からあふれ出す。

槍ほどのサイズだったそれは漏れ出る量が多くなるのに伴ってその体積を巨大化させていく。

 

待って!そう言いたいのに僕の口は動いてくれない。

それは内心ホッとしているから。

最低なバケモノの僕は自分の事が一番だから...

嘘。ただこのまま見ていたいだけ

・・・・・そして、敵もその脅威に気づいたのだろう。3つの首がこちらを一斉に見る。

だってどうせ死なないもん。僕もティーチくんも

『グォォォオオオオ!!!!!』

それにホントに危険ならティーチくんを優先するよ

そんな咆哮を上げて

他の魔法少女達に向けられていた牽制の魔法弾。それが全てティーチくんに向けられ放たれるようになる。

援護もあるけれどそれでもすり抜けて迫ってくるそれらを僕は殴って反らす。

一つでもこの先に通してティーチくんの集中が途切れたら暴発した魔法陣はここら一帯を消し飛ばしちゃうだろうから。

 

拳に触れたそれは確かに僕の体力を削っていく。だけれどその程度なら効かない

どうせ次の魔法に触れるまでの一瞬の間に回復するし手元で爆発しなければ全然問題はないんだ!

 

神経を尖らせて強化魔法をかけた拳で弾いていた時間はもしかしたら1分程度だったかもしれない。

だけれどとてつもなく長く感じた。

だって、もし魔法が上手く弾けなければその時点でゲームオーバーだしね。

そもそも強化魔法が途切れればその時点で弾くことすらできずに爆発するし緊張するのは仕方ないじゃん。

 

だけれどティーチくんの準備は僕の集中力が切れるまでにおわったらしい。

 

にげて!サブ。・・・・ありがとう

 

ミサイルの様に巨大化したそれが通り道にあるものすべてを消し去りながら敵に突き刺さる。

その直前に耳元でささやかれる。

 

【一斉転移】

 

その言葉に反応する暇もなく視界が歪んでいって

本部の待機場所に戦場に居た魔法少女達と共に

僕は転移されていた。

 

突然のことに驚いているようで

近くに現れたシラウメちゃんもボタンちゃんもほかの魔法少女のみんなも

きょろきょろとあたりを見回している。

 

 ───────────────────────────────────────

<司令官視点>

 

「アジ・ダハーカ依然として健在!」

「上陸まで推定2分です!」

「緊急!ブレス予兆です!」

 

マズイ!?

あの距離なら十分に首都圏全域何処でも範囲だわ!

 

避難誘導の現状は!?

「依然として、すすんでいません。避難完了者は全体の5%程度です!」

 

その言葉に歯噛みする。

未だに魔法少女ティーチが戦場に現れていない以上

誰も防ぐことができる魔法少女はいないのだ。

放たれた瞬間に多くの市民の死が確定するだろう。

 

「ブレス来ます!耐ショック体制!」

 

咄嗟に身をかがめる。1秒、2秒と時間が過ぎるが衝撃が来ることはない。

 

「ティーチです!魔法少女ティーチが防ぎました!」

 

本当に助かったわ!

ブレスが直撃すれば500万人以上の被害が出てもおかしくなかった。

防いだ余波だけでモニターしていたカメラのほとんどが使い物にならなくなっている時点で

その威力の強大さは分かるもの。

 

「モニター回復します!」

 

砂嵐の走ったような画面になっていたそれが

かろうじて生き残っていたカメラに接続され復旧する。

 

サムちゃん!?なんで!?

 

そこに映ったのは魔法少女ティーチとその横に張られた結界の上に立つサムちゃん。

近接戦闘しかできないあの子は待機を命令されていたはずなのにどうして!?

 

音声は聞き取れないが何かしゃべっている様に口元が動き

サムちゃんが足場にしていた結界を蹴りアジ・ダハーカに接近していく

毒が漂っている中を接近していったらいくら呪いで体が強いとは言っても死んでしまうわ!

 

生態モニターは!?

 

映し出されたそれは血中酸素濃度も心拍数も何もかもが異常値を叩き出している。

だけれどそれは毒のせいではない。普段から戦闘中はこの数値なのだ。

そして、一定の数値の間をゆらゆらと揺れている線は何の被害も受けていないことを示している。

 

『ガァアアアアアアアア!!』

 

痛痒に呻くアジ・ダハーカを見て気を取り直す

近づいて問題がないなら気にするのは他の魔法少女達でしょ!

私が司令官なのだから私が指示をしなければ何も始まらないじゃない!

 

全魔法少女に通達!ティーチとサムへの援護を最優先で!

前面は弾幕と相殺するように!後面は本体への攻撃を最優先して!」

 

少しでもターゲットが分散されるように

少しでも回避が楽になるように、

紙一重で反撃を躱し魔法少女ティーチの元まで下がったサムが再度突撃していく。

どうか怪我無く戻ってきてほしい。

その姿を見つめそう願う

 

そのまま、攻撃の間を縫うように接近したサムが重い一撃を入れる。

ひるんだ様にアジ・ダハーカが揺れ2歩、3歩と後ろに下がる。

ティーチの方もずっと詠唱を続けているし何とかなるかもしれない。

そんな思いを抱いたところで異変が起きる。

 

黒い黒い煙。呪いがティーチからあふれ出した。

 

 [マズイ、暴走しかけてるよ!]

 

スタンピードの時の様に無差別に破壊を振り撒かれれば現状は完全に破綻するだろう。

しかしそうはならなかった。

 

 [急激に状態が安定!しっかりと制御下に置いている!?]

 

あの日とは違う。周囲を円を描いて飛ぶそれは

確かに正気を宿したその目と共に完全に制御されていることを示していた。

 

そして、変わったのはそれだけではなかった。

明らかに詠唱途中の魔法の体積が増えているのだ。

先ほどは2メートル程度の長さだったそれが20m程度まで伸長

それと共に直径が2メートル近くまで増大。

 

 

『ギャオォオオオオオオ!』

 

驚いたようにそちらを見て咆哮する魔物。

 

自分を倒せるだけの威力があると察したのだろう。

サムに割り振っていた迎撃も全方位に振りまいていた魔法弾もその全てがティーチへと向かう。

 

それに加え全力を出し切るつもりなのかその3つの頭すべてに光が宿りチャージを始めている。

 

しかしこちらとてそれを指をくわえてみている訳がない。

 

ここが正念場よ!全力でいきなさい!

 

そこかしこで魔法少女たちの本気が炸裂し極彩色の光が放たれる。

アジ・ダハーカの攻撃も十分激しいけれどそれを上回るように塗りつぶしていく。

僅かに漏れた分さえサムちゃんがはじいて魔法少女ティーチへの攻撃を許さない。

 

「ブレス、来ます!」

 

長いチャージ時間を終え吐き出したブレス。

だけれどすでに準備は終わったようでほぼ同時にミサイルのような形をした魔法が飛んでいく。

 

3つのブレスは容易くかき消され一切速度を落とすことなく敵に突き刺さった。

 

その瞬間。モニターが焼き付くほどの白い光が溢れ

周囲のカメラが全て反応をロストした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~あれ?なにかまちがえちゃった?~

<ティーチ視点>

 

『ドカァン!!!!!』

 

爆音と閃光が走る。

いやぁ、余裕があるからって使える魔法をとりあえず重ねて発射したせいで内部がとんでもないことになってますねぇ。

 

あの程度のヌシなら下手したら突っ込むだけで消滅するレベルだよね。

正直オーバーキルすぎるけれど攻撃範囲絞って周りにほっとんど影響が出ないように注意したから許して?

 

1%くらいは漏れてるかもしれないけどその程度誤差よ。

もしそれで何か壊れたとしても俺のせいではないです

それはいわゆるコラテラルダメージというものだよ!

 

まぁ、そうはいっても何かあった時の為に一応俺も現場に残って対応できるようにはしてるけどね?

イレギュラがないとは限らないしね。

流石にそこまで無責任ではないよ俺もさ。

 

でも今回は問題なさそう。

 

『シュウゥ...』

 

なんて音をたてて最後の魔法が消えていく。

 

は~楽しかった。

ココまで同時に使ったことないし

他の魔法少女達の魔法も派手で見応えあったよね!

 

・・・・だけどさ。よく考えなくても

 

愉悦できてなくない?!

 

適当に進めたせいでサブの呪い堕ちもなかったし

俺もリラがそばにいたせいで暴走できなかったしつまらねぇよなぁ...

 

 

あ~これじゃあ予告詐欺になっちまうよなぁ。

 

どうすっかなぁ。

 

・・・・俺も学校行くか?

でもなぁまだやりたくないんだよなぁ。

 

[ティーチ、魔法少女機関から電話が来ておるぞ。どうする?]

 

お?ナイスタイミング!

用件は想像がつくしそれで愉悦しましょ!

 

もしもし、こちらは魔法少女機関の司令官、コバヤシ・リンよ。

聞きたいことがあるのだけれどいいかしら?」

 

電話に出た瞬間にそう言われる。

やっぱりね。予想通りの感じだ!

 

でも・・・・・う~ん。

電話で話すのもいいんだけど

耳がさぁ...上にしかついてないから既存のタブレットだと話し辛いんだよね。

ってことで

 

わかった。じゃあそっちに行くね。

 

その場で話した方が楽だわ。

リラ連れて行っちゃお!

 

【ワープ】

 

ん?なんかちょっと弾かれる感触あったけど

問題なさそう?

行ける?行けちゃうのか?

おっけ大丈夫だね!それじゃレッツゴー!

 

────────────────────────────────────────

<司令官視点>

 

わかった。じゃあそっちに行くねって

ここには直接来れないように防護策を施しているのだけれど・・・

 

『パリーン』

 

あっ

 

[嘘だろう?メインルームに張った最高レベルの防御を貫通するのか!?]

 

 

認識疎外を掛けずに現れたティーチが不思議そうにこちらを見ている。

画面越しに見ただけだから分からなかったけれどこう見ると本当に小さいわね。

 

何か悪いことした?

 

いいえ?大丈夫よ気にしなくていいわ。

魔物の侵入に備えてのものだしあとで貼りなおせばいいから防護なんて今はどうでもいいわ。

 

そう。ならいい。

 

彼女とコンタクトが取れたのだから今度こそ

聞き出すべきことを聞き出さないと。

 

で、聞きたいことは?

 

ナイア、ステータスを計測してもらえる?

 

[は~い、了解]

 

[魔法少女ティーチ]

 

 年齢:8+19

 

 体力:6000/6000

 

 魔力:34232396/1238290930

 

 

 固有能力:魔法強化

 

 属性:時空属性

 

 呪い

:実験体(キメラ)[体力3倍 常時回復 致命傷無効化 異形度上昇]

:属性制限 [金・土・火・木・水・闇・光 使用不可]

:魔力炉[魔力常時高速回復 体力の減少で爆発的に魔力回復 変身解除不可]

:味覚欠損

:睡眠不可

:戦闘人形(キリングドール)[感情制御 戦闘最適化]

:人格分裂

:魔法強化(獣)[魔法効率上昇 異形度上昇 ]

:狂化(バーサーク)[防衛機構無効化 緊急離脱機構無効化 逃走不可 体力回復速度上昇 精神汚染]

:嘘つき[縁切り 異形度上昇]

:執着[特定条件下で精神に対する外的影響完全無視 異形度上昇]

:空間の獣[時空属性強化 異形度上昇]

:時の獣[時空属性強化 異形度上昇]

:演じる者[トリガーによる記憶の消失 異形度上昇]

:二重人格[魔法演算補助 魔法効率上昇 魔法威力上昇]

:二つの魂[魔法演算補助 魔法効率上昇 魔法威力上昇 魔力上限倍加]

:罪の意識[自分を対象とした攻撃に対する防御・回避・迎撃不可] 

          ・

          ・

          ・

          ・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

:逆行者 [絶望を知り、変えるために過去に戻った者]

 

:縛り付けられた魂[荳也阜縺ォ邵帙j莉倥¢繧峨l豁サ縺ャ縺薙→繧定ィア縺輔l縺ェ縺上↑縺」縺溷ュ伜惠]

 

 

ずらっとモニターに出るそれら。

正直何かの間違いであってくれと願ったことが何度あったか。

だけれどこれは確かに現実なのだ。

そして大人として目を逸らすことは許されない。

荒れた心を表に出さないように押し込めて話しかける。

 

まず聞きたいことはこれほどの呪いをどうして抱えているのか。よ

 

最初の質問は比較的軽い物から。

 

現状から見るにそれだけの戦力が必要だったことは分かり切っているし

おおよその理由について検討もつくから心構えは事前にできている。

 

必要なことだったからだよ?

 

果たして・・・返ってきたのはそんな答え。

事も無げに言われたソレになんとも言えない感情が湧くが

事前に泣きはらし、心を痛めた分まだ耐えられる。

 

そう、分かったわ、次の質問よ。

 

本題はこの質問だ。

正直こちらも予測はできている。

出来ているが心構えなんてできなかった。

 

だけれど聞かない訳にはいかない。

だから一つ息を吸い込み、勢いをつけて質問をする。

 

この『逆行』という呪いについて詳しく教えてくれる?

 

うん。『逆行』というのは、文字通り未来から過去に戻るための呪いだよ。

 

簡潔に説明されたそれは想定するうちの最悪の回答

正直それだけは否定して欲しいと思っていたもの。

だって未来から戻ってきたということはそうするだけの理由があったということだから

 

しかもね。この『逆行』という呪い。妖精府に確認してもデータベースに存在しなかったのよ

その時点で嫌な予感しかしないでしょ?

 

それでも正確に情報を知る必要があるから『データベースにそんざいしないってどういうことよ?』って

さらに尋ねたの。

そしたらね、妖精の中でも元々呪いについてのデータは少ないんだって。

 

どうも、禁忌扱いで消されたり、実際に体験した者は詳細に語りたがらなかったりと言った事情で

名前とそれに対応する効果、そしてシステムと運用マニュアルだけが残っている状態みたいね。

 

だから一縷の望みをかけて聞いてみたの。

ただ『消されてしまって残っていないのでは?』と

でも違ったわ。いくら消されても痕跡は残るし

呪いの名前だけは確実に残しているんだって。

 

ではどういうことか?

私は妖精の事について詳しい訳でもないし他の可能性もすぐには思いつかなかったわ。

だけどナイアが説明してくれたの。

[封印され、禁忌とされた呪いのシステム自体を読み解いて新しく作られた呪いの可能性が高いんだ]と。

 

つまりは[魔法少女達の全滅だったり市民の大虐殺だったり、どう考えてもこの国が存続不可能になるような事件が起こった可能性が高い]と言われたわ。

 

もう最低最悪よ。

彼女が居なければ勝てないような、そして居たとしてもそれだけ強大な敵が現れる可能性があるのだから...

 

ということは、未来で何かあったのね?

 

でも明言されるまで質問を止めるわけにはいかないからさらに詳しく聞く。

 

そう。だけど下手に手を出すとタイムパラドクスが起きかねないから私達4人で代わりにやってる。

 

ついに明確に言葉にされたそれに息が止まるような感覚がして一瞬口を噤む。

その瞬間、静観していた彼女の専属妖精と思われる兎の姿をした存在が驚愕したように話しだす。

 

[ちょっと待つのじゃティーチ!私達4人ってなんじゃ!?

 

なるほど、身内でも知らないような情報があるのね。

 

自分の会話以外でも情報収集は欠かさない

司令官として、そして軍人として叩き込まれたスキルが無意識に会話から情報を引き抜いていくから。

 

でもいいことばかりではない。そんなスキルのせいで心にダメージを負うこともあるし

まさしく今がその時だった。

 

私たちは私達だよ?リラとティーチとサブとサード。4人でしょ?

 

サブ・・・それは確かサムちゃんが自己紹介した時に話した自分の名前ではなかったか?

そんな分析をした瞬間に脳が考えることを放棄してしまう。

 

[サブとサード!?オレは知らんぞ!いつそんなことを!?

 

後で教えるね。

 

そのまま続けてそんな会話をしているが

それを聞いた私達機関の職員の内心はそれどころではない。

サブ、つまりはソレはサムの事ではないか

そしてサードそれが魔法少女Lの正体だったとしたら?

 

皆、優秀な者たちだ。

すぐにその可能性に至ったのだろう。

蒼白になっている者や呼吸を乱すものなど

十人十色の反応を示している。

 

だから私が聞くしかないのだ。

なぜなら司令官だから。

一番権力を持っていて、そしてその分の責任を負わなくてはならない役職だからだ。

 

 

サブというのは呪いを受けた子、つまりサムの事であってるかしら?

 

恐る恐る疑問を口に出す。

多分その時の言葉はおそらくとても聞き取りづらかっただろう。

なぜなら私自身が震えていたせいで途切れ途切れになってしまっていたから。

 

へぇ、いい名前つけてもらったんだね。寂しがりのあの子が...そっか。うんあってるよ。

 

じゃあサードって魔法少女Lのこと...

 

あぁ。そんな名前にしたんだ。うん。これから起こる犯罪の悪人を殺害し続けてる魔法少女の事だよ。

 

ドクドクと自分の心臓が脈打つ音が聞こえる。

呼吸が荒くなり視界が暗くなっていく。

 

まずいわね。過呼吸になりかけている

そんな風に冷静に自分の状態は診断できているのに

呼吸を抑えることができない。

 

そしてとどめが刺される。

 

それでね、聞きたいことがあるんだけれど。あなたたちは今幸せ?

 

ひゅッ。

変な呼吸をした後自分の視界が斜めになって床に近づいていく。

あぁダメだコレ気絶する。

 

一番つらいのは彼女たちのはずなのにここで気絶するわけにはいかない。

そんな思いを抱いたまま私の意識は闇に落ちていった。

 

────────────────────────────────────────

<ティーチ視点>

 

う~ん良い反応するねぇ。過去の俺

名前一緒だし間違いなくこの人が俺のポジションなんでしょ。

まぁ性別違うからパラレルワールドだったっぽいけどね。

 

<反応薄いね?結構衝撃的だと思うんだけど...パラレルワールドなのって>

 

いや、だってさ。

俺が憑依したのって逆行する直前じゃん。

だから別にどうでもいいんだよね、その前の世界の事なんて。

 

確かにその世界の過去だったらまぁ全部ハッピーエンドで終われるのかもしれないけど

俺の目指すところはそこじゃない訳で...

 

薄情かもしれないけどそこに何か感情が湧くことはないかな。

むしろパラレルワールドであることを曇らせに利用できるから嬉しいくらいだよ。

 

<そういえばそうだったね。目的は曇らせか。>

 

そうだよ?

最近ちょっとぶれてたところはあるけど大元はそれだからね。

そのためにサムの事わざわざサブって呼んだんだしね?

 

かひゅ・・・・

 

おっと。そんなこと話してたら司令官が気絶しちゃった。

流石に女の子地面に倒れさせるのは問題だし抱きとめてくるね?

 

大丈夫?

 

崩れ落ちるその体を受け止めて優しくゆする

だけれど起きる気配がないなぁこの司令官。

 

・・・・・しっかしまさか気絶するとはねw

まぁ、嫌なことを3人の幼い少女が全て請け負ってるって知ったら心優しい大人たちはこうなるのかな?

 

実際メインルームにいる人みんな阿鼻叫喚状態だからね。

この世界の大人はとっても優しいなぁ。

だけど魔法少女たちがねぇ。主人公的優しさのせいでなかなか曇ってくれないんだよね。

 

司令官の状態を見るために切った言葉の続きを吐き出したら多少は曇ってくれるかな?

 

私たちはそのためにいるから。あなた達が幸せなら私たちはそれでイイんだよ?

 

そうだ!全世界配信されてるしそれにもダメ押ししておこうか。

魔法少女達にも届いてるだろうしね。

 

たとえ別世界であっても、私たちの知っている人たちじゃなくてもそれでも絶対守り切るからね。

心配しないで私達に全て任せて。あなた達は頑張らなくていいんだよ?」

 

ニッコリ、やさしい聖女のような笑みを浮かべて

配信を切りましょう。

 

 

さ~て。

 

・・・・・・これどうしようかな?

 

まず、メインルームの人たちの状況を教えようか。

 

気絶しているのかピクリとも動かない人たちが約1割。

壁やデスクで自傷行為にはしる人たちが約1割。

ネガティブホロウを受けたみたいにボソボソ何かをつぶやいている人たちが約1割。

 

何言ってんのか分からん言葉をしゃべりつつ泣きながら俺に縋りついている人たちが残りの7割だね。

 

・・・・地獄かな?

ちなみにリラも7割の方に入ってるよ。

てっきり人格分裂の呪いの事知ってると思ってたから今回は対象にならないかなと思ってたんだけど

知らなかったみたいだね。ラッキー!

 

だけどそろそろ離れて欲しいなぁ。

結界なかったらオレはもちろん職員さんも前の方の人は押しつぶされるレベルなんだよ?

しょうがないから個々人に結界は張ってあげてるけどさぁ。

そろそろ落ち着いて欲しいんだけどダメかな?

 

・・・・・リラにまた母性アタック試してみるか!

 

大丈夫。私が望んだことだから。リラは気にしなくていいんだよ?

 

[%&びゅ#ぁに$~]

 

あぁ、ダメですねコレ。

正気に戻るのを待つしかない感じですわ。

 

下手するとさっきよりも暴れてるし

余計に言語中枢が破壊された感じになってますねぇ。

 

はぁ。やりすぎたかな・・・

 

まぁ反省はしないしまた隙あらば曇らせるんですけどね!

 

────────────────────────────────────────

<サム視点>

 

ザムぅ~!!!

サム``ぢゃあん!!!

 

う~ん。ティーチくんの中継がいまだに繋がってたモニターに映ってたせいでシラウメちゃんとボタンちゃんが泣きくずれて動かなくなっちゃった...

優しいんだね。だけど

 

「気にしないで、僕が居なかったら他の子がこうなってたんだから。」

 

そういって手を広げてみせる。

アニメでも呪いを受けた子ってスッゴイ痛そうだったからね

それに自分が異形になった事にスッゴイ悩んでたし

 

その点ぼくならもとから異形だし

痛いのは意味ないからバッチリだよね!

 

「「「「ゔぁああああああああああ!!!」」」」

 

待って?とってもうるさいんだけど何!?

なんで他の子まで泣いてるんだろ?

よくわかんないや。

 

血の繋がりがあってもこの程度泣くほどじゃないじゃん。

 

僕の経験則からして怪我しても気にしてもらったことなんてないし、むしろ痛くしたのは血のつながった両親だったよ?

 

ましてやまともに話したことないのにどうして?

 

う~ん・・・・

あっ!

 

ティーチくんがかわいそうだからか!

 

それなら納得できるよ。

今まで何人も助けてきたもんね!僕も内側で見てたから知ってるもん。

恩人なら泣くのは分かるよ!

それなら知識としてはあるもん。

 

オレがまも``ってやるからな!!

絶対一人にしませんから!!

 

う~ん。あったかくて気持ちいなぁ。

二人して僕に抱き着いて泣いてるよ。

ケガさせたら困るから背中さすったりできないけど

落ち着くまではちゃんと一緒に居るからね!

 

────────────────────────────────────────

<ティーチ視点>

 

他人(ひと)の涙が!!!   止まらねぇ!!!!

 

いやマジでもう帰ってえぇか?

そろそろ日が沈むのよ。

こっちに来たのが昼過ぎだから4時間近くここに居るの。

もう疲れたんだが?

 

なのに未だに泣いてる職員はいるしさぁ。

泣き疲れてリラは寝てるし。とにかく俺の負担がでかいのよ。

 

自傷行為に走るやつは上手く気絶させて横たえて寝かせてるけど、それは緊急事態だったからで・・・

そうじゃなかったらやりたくないのよ。

時空魔法しか使えないせいで強制的に眠らせようとすると物理に頼るしかないからね。

 

めんどくせぇ...

もう帰っちまおうかな。どうせこの場は魔法で監視できるんだから

正気に戻ったら隔離してる結界も解除すればいいし・・・・・

 

【スリープ】

 

・・・・おろ??一瞬意識が飛んだと思ったら全員寝てるじゃん。

この系統はサムも俺も使えないから内側にいる

サードが出てきた感じかな?助かるわぁ。

これで帰れる...

 

さっさと帰ってリラを抱っこしながらタブレットで掲示板見てよ。

マジで面白いんだよな。

下手すると直で反応見るよりも面白いからね。

絶叫で流れちゃってるだろうからログ漁るのめんどいのはちょっと残念だけど...

後でやりたいこともあるしね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

<???視点>

ほんとはそんなこと...思えないよ...

前の世界がどうでもいいなんて、言えるわけない...

恵介くんだってそんなことないはずなのに

ムリして笑ってる...

ならいっそボクが。

そう思い手を伸ばして恵介くん交代しようとした瞬間止められる。

「ダメだ。」

有無を言わさぬ強い口調と緑の瞳が射止めたようにボクを止めてしまう。

何で...恵介くんを救いたいんだよ。

もう見ているだけのボクで居たくないんだ...

そんな風に訴えてもコバヤシくんの手が緩むことも

決意が揺らぐこともなくて。

だから今日もボクは諦める...

・・・・・気づいた人にお願いがあるんだ。

やっぱりまだ話しちゃダメなんだって。

だからまだ秘密にしておいて欲しいんだ。ボクの事もコバヤシくんのことも...

ボクはむしろみんなに知ってほしいんだけどね?

「親友くん!!」

・・・・分かってるよ。中指立てないでよ

それじゃ、秘密にしておいてね?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

☆~かんがえさせて~

魔法少女サムについて語るスレpart57

 

1:名無しのサムファン ID:zgFjGCx57

 

・テンプレは>>2まで

・荒らしはスルー

・魔法少女に対する暴言や批判は禁止

・次スレは>>950が宣言して立てる

・もし>>950が立てられない場合は番号で指定

指定ない場合>>立てられる人宣言してから新スレ立てお願いします。

 

前スレ

魔法少女サムについて語るスレpart56

http://mahousyoujyosamfun/...

 

 

2:名無しのサムファン ID:zgFjGCx57

 

‣関連ページ

 

魔法少女機関公式ホームページ

http://mahousyoujyokikan/...

 

魔法少女戦闘動画用公式フォーラム

http://mahousyoujyotai/...

 

 

 

3:名無しのサムファン ID:zysO/fKOd

 

今日機関の本部近く通った人いる?

昼過ぎくらいなんだけどさ。

 

4:名無しのサムファン ID:SEh053nbA

 

>>3

開始直後にいきなりどうした?スレ間違ったか?

 

 

5:名無しのサムファン ID:zysO/fKOd

 

いや。間違ってない。

たまたまサムちゃんが出歩いてるの見かけたから

人もいっぱいいたし誰か見てる人他にいるかなって

 

 

6:名無しのサムファン ID:YqJCzHxQc

 

マ?

どこに住んでるのか全く分からんかったんだけど

あの辺なのか。

 

 

7:名無しのサムファン ID:tmeYc4xF2

 

へ~可愛かった?

 

 

8:名無しのサムファン ID:zysO/fKOd

 

そりゃもう画面越しの100倍くらいはかわいかったね!

マジで通りすぎるところ見ただけだけど

しばらく動けなかったもん。

 

 

9:名無しのサムファン ID:f7fXveaLD

 

そのレベルか!

 

 

10:名無しのサムファン ID:0eEZT54EC

 

分かる

俺写真撮ろうかと思ったけど

さすがにそれは思いとどまったね。

ガン見するだけに自制しといたわ!

 

 

11:名無しのサムファン ID:qby6/Wpo6

 

>>10

 

それは自制できてるのか?

写真撮ったら完全にギルティ―だが

見つめるだけでもグレーの黒寄りだと思うぞ?

 

12:本部職員のサムファン ID:mahousyoujyokikann/kousiki

 

やっぱりそうだったか。

 

 

13:名無しのサムファン ID:QMTYz0uPk

 

アイェエエエエエエ!?

本部職員さん!?本部職員さんナンデ?!

 

14:名無しのサムファン ID:vMCtloNQV

 

IDガチじゃん...

ネタかなと思ったら固有IDになってるし...

 

 

15:本部職員のサムファン ID:mahousyoujyokikann/kousiki

 

突然すまない。関係ないヒトも居ると思うが聞いて欲しい。

俺は警告に来たんだ

 

あの子は泣いてたぞ。

買い物に行ったらジロジロ見られて辛かったって。

 

 

 

16:本部職員のサムファン ID:mahousyoujyokikann/kousiki

 

いくら可愛いから見てたって言っても

あの子は本来一般人だったんだ。

俺たち大人はちゃんと配慮してあげなきゃいけないよな。

それが守れないんだったらファン名乗れねぇんじゃねぇか?

 

 

17:本部職員のサムファン ID:mahousyoujyokikann/kousiki

 

このスレにいる奴はそこら辺んちゃんと考えて

出来れば周りにいる奴らに広めてくれると助かる。

それじゃあな。スレ汚しすまんかったな。

 

 

18:名無しのサムファン ID:0eEZT54EC

 

・・・・うあぁ。俺最低だ...

マジで何にも考えてなかった...

 

 

19:名無しのサムファン ID:zysO/fKOd

 

私もそんな注目するべきじゃなったわ...

 

 

20:名無しのサムファン ID:3cZ5Tv7EN

 

完全に部外者のオレがしょうがないとは言えないけど

反省してんなら言われた通り周りの奴に広めるのを手伝ったらどうだ?

ココでいくら謝ったところでどうにもならないんだから

挽回する為に動くべきだと思うぜ?

 

 

21:名無しのサムファン ID:zysO/fKOd

 

そうします。明日会社言ったら社員みんなに広めるわ。

近場にあるから今後も見かけることはあるでしょうし。

 

 

22:名無しのサムファン ID:0eEZT54EC

 

俺も同級生とかにしっかり知らせとくわ。

マジで申し訳ねぇ...

 

23:名無しのサムファン ID:ZQt8MN/xg

 

正直他人事じゃないよな。

オレも絶対同じように注目してただろうし

みんなで気を付けていこうぜ。

 

 

24:名無しのサムファン ID:RFr4Z9/wh

 

テンプレにも追加しておいた方が良いよな。

文言どうする?

 

 

25:名無しのサムファン ID:n+vMNCbjK

 

サムちゃんはもともと一般人です。

ジロジロ見ないようにしましょうとかは?

 

 

26:名無しのサムファン ID:qseb6vfHK

 

もともと一般人じゃなくて

多くの視線を集めることに慣れていません。にしようぜ

 

27:名無しのサムファン ID:ByFAOuMp7

 

そしたら続く言葉はきちんと配慮しましょう。だな。

 

 

28:名無しのサムファン ID:virusLoL

 

サムくんは多くの視線を集めることに慣れていません

きちんと配慮して常識的に動きましょう。

って感じ?

 

29:名無しのサムファン ID:XTChwClDx

 

>>28

 

おおむねそれでいいんじゃない?

なんでサム()()にしたのかよくわからんけど...

 

 

30:名無しのサムファン ID:gXwcjD0Wa

 

おっけ~スレ更新あたりでまた一応貼るね。

 

 

31:名無しのサムファン ID:l8wqXAlzI

 

宜しく!

 

 

32:名無しのサムファン ID:gXwcjD0Wa

 

いつでも居れるわけじゃないから

他にも何人かキープしておいてくれると助かる。

 

 

33:名無しのサムファン ID:Br9WPEvG6

 

>>32

 

りょ!

 

 

34:名無しのサムファン ID:BS0CdTktC

 

>>32

 

了解。

 

 

35:名無しのサムファン ID:1TYQl8nz2

 

 

           ・ 

           ・

           ・

           ・

           ・ 

           ・

           ・

           ・

           ・ 

───────────────────────────────────    

魔法少女総合スレpart1504

 

 

1:名無しの支援者ID:ycxT1v32F

・テンプレは>>2まで

・荒らしはスルー

・魔法少女に対する暴言や批判は禁止

・次スレは>>950が宣言して立てる

・もし>>950が立てられない場合は番号で指定

指定ない場合>>立てられる人宣言してから新スレ立てお願いします。

 

前スレ

魔法少女総合スレpart1503

http://mahousyoujyosougou/...

 

2:名無しの支援者 ID:ycxT1v32F

‣関連ページ

 

魔法少女機関公式ホームページ

http://mahousyoujyokikan/...

 

魔法少女戦闘動画用公式フォーラム

http://mahousyoujyotai/...

 

 

           ・ 

           ・

           ・

           ・

           ・ 

           ・

           ・

           ・

           ・ 

224:名無しの支援者 ID:Uf3VV+DBT

 

スレ番随分進んだねぇ。

 

 

225:名無しの支援者 ID:pinh94QI6

 

その大半は絶叫しかないけどな。

 

 

226:名無しの支援者 ID:A7ou3A/OS

 

総合スレだったおかげで立てる人がしっかりしてたから

なかなか途切れなかったからね。

 

 

227:名無しの支援者 ID:ZOwXt/2yx

 

他のスレ軒並み落とすのやめろw

気持ちは分かるがマジで迷惑だぞ?

 

 

228:名無しの支援者 ID:d7QkbvhmA

 

他のスレも大抵その場でスタンピード映像見てたから

元からその板にいる人が落としただけだぞ。

 

 

229:名無しの支援者 ID:ZOwXt/2yx

 

ココから流れ込んだ人だっているだろうし

気を付けようって言ってんの!わかんないかな?

 

 

230:名無しの支援者 ID:hOUJfilJ3

 

まぁまぁ。争っても仕方ないし他の事話そうぜ?

あんまりやるとスレチになっちまうしな。

 

 

231:名無しの支援者 ID:ZOwXt/2yx

 

せやな。悪かったわ。

当時見てたスレが途中で流されてイライラしてたんや。

 

 

232:名無しの支援者 ID:d7QkbvhmA

 

俺も悪かった。

変に張り合っちまったな。そのまま次から気を付けるでよかったな。

 

 

 

233:名無しの支援者 ID:sum0Q5Fxq

 

仲直りや!

優しい世界やな。

 

 

234:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

(魔法少女ティーチ以外に)優しい世界。

 

 

235:名無しの支援者 ID:CosJxEwAN

 

>>234

 

どおじでぞんなこというの!!

 

 

236:名無しの支援者 ID:1Bz5GS+FQ

 

>>234

 

一言付けるだけでテンプレがあら不思議

地獄に早変わり!

やめろ?(建前)やめて?(本音)

 

 

237:名無しの支援者 ID:RuBtewYd8

 

あぁああああああああああああああああああ!!!

 

 

238:名無しの支援者 ID:3pi4Li8kJ

 

あぁ今日もやっぱりダメだったよ...

ティーチスレの住民精神壊れすぎてもう戻ってこないんじゃないか?

 

 

239:名無しの支援者 ID:RB4myCYGf

 

可愛そうに...

って緊急事態宣言!?

 

 

240:名無しの支援者 ID:xspekdWXB

 

東京はやばいでしょ!?

真昼間とか副次被害が起きかねないぞ?

 

 

241:名無しの支援者 ID:NIyzL7kTN

 

機関の戦闘ライブは総合板で実況しておくからログは残る。

避難指示出てるとこはさっさとサイト閉じてスマホなんて見ずに

冷静ににげるんだぞ!

 

 

242:名無しの支援者 ID:ARYfk47L4

 

そうっすね。ROM専の人たちもちゃんと

落ちるんすよ?迷惑かけちゃダメですからね!

 

 

243:名無しの支援者 ID:+jpc7RZev

 

ゆっくり進行にしようか。

なるべく無駄レスしないようにね。

 

 

244:名無しの支援者 ID:+wU64s3yf

 

 

 

           ・ 

           ・

           ・

           ・

           ・ 

           ・

           ・

           ・

           ・ 

530:名無しの支援者 ID:M34FTwNy5

 

魔法少女ちゃん達の攻撃がスッゴイ派手。

スッゴイ派手なんだけど全く効いてないように

見えるんですけど...

 

 

531:名無しの支援者 ID:ORXClwSDu

 

そうだぞ。

正直ガチでヤバイ状況だゾ!

 

 

532:名無しの支援者 ID:hdEG39CUN

 

避難者の方もやばいってマ?

 

 

533:名無しの支援者 ID:pz4SMwH+r

 

>>532

 

あってる。今ちょうど避難中だけど

人が多すぎて進まない...

タブレット取り出してスレ見れるぐらいにはゆっくり進んでる。

 

 

534:名無しの支援者 ID:gpnDJyOb5

 

俺も避難中だけど全然列進んでないね。

幸い機関と魔法少女ちゃん達が誘導してくれてるおかげで

2次被害はないみたいだけど...

 

 

535:名無しの支援者 ID:cH/1Ev69P

 

ティーチちゃん助けてくれぇ!

あのトンデモ火力がないとムリだぁ!

 

 

536:名無しの支援者 ID:nzOXMURxX

 

あ。おかあさん生んでくれてありがとうございました。

 

 

537:名無しの支援者 ID:iZfKB55x+

 

ココで死ぬならもっと親孝行しとけばよかたなぁ

 

 

538:名無しの支援者 ID:u7OQGqp0y

 

あぁ。もうダメだコレ

 

 

539:名無しの支援者 ID:TmbDIMhry

 

ティーチちゃん!ティーチちゃんありがとぉ!!!!!

 

 

540:名無しの支援者 ID:7cupxZogE

 

一生崇めたてるわ。

神棚作るレベル。

 

541:名無しの支援者 ID:ef8sGJj/N

 

ファンになるわ。

・・・・もうファンだったわ。

じゃぁ俺も崇め奉るか。

 

 

542:名無しの支援者 ID:2AK/9/pIl

 

>>536~>>541

 

何があったのコレ!?

いきなり辞世の句読み始めたと思ったら

ティーチちゃん信仰し始めたんだけど?

 

543:名無しの支援者 ID:ntnUGxfvC

 

魔物の攻撃でタヒぬはずだったところを

ティーチちゃんが防御して打ち消して

救われた。

 

 

544:名無しの支援者 ID:2AK/9/pIl

 

>>543

 

簡潔にわかりやすい説明thx

 

 

           ・ 

           ・

           ・

           ・

           ・ 

           ・

           ・

           ・

           ・ 

752:名無しの支援者 ID:9RRAckYgM

 

やばくない?またなんか闇落ちしそうになってるけど!?

 

 

753:名無しの支援者 ID:w8AKhmVub

 

いや、いけそうだぞ!

完全にコントロールしてる!

 

 

754:名無しの支援者 ID:XZguHpf48

 

うぉおおおおおおおお!!!!

いけぇええええええ!!!

 

755:名無しの支援者 ID:pFoI1gNID

 

全力全開だ!

すっげぇ派手!

 

 

756:名無しの支援者 ID:70yP6J9J6

 

魔法少女ちゃん達頑張れ!

守り切れば勝ちだ!

 

 

757:名無しの支援者 ID:h4n0/cQ1e

 

ティーチちゃん頑張れ!!

 

 

758:名無しの支援者 ID:qR23FNdIC

 

 

           ・ 

           ・

           ・

           ・

           ・ 

           ・

           ・

           ・

           ・ 

803:名無しの支援者 ID:QMHeH5bBV

 

いったぁ!当たった!

 

 

804:名無しの支援者 ID:24DRxxiyl

 

早く結果見せて!

 

 

805:名無しの支援者 ID:otEbj/u6T

 

はよはよ!

 

バンバンバンバンバンバンバン

バン     バンバンバン

バン (∩`・ω・) バンバン

 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/

   \/___/ ̄ ̄

 

    ; ’  ;

     \,( ⌒;;)

     (;;(:;⌒)/

    (;.(⌒ ,;))’

 (´・ω((:,( ,;;),

 ( ⊃ ⊃/ ̄ ̄ ̄/

  ̄ ̄\/___/ ̄ ̄

 

 

806:名無しの支援者 ID:1fkLu/f8t

 

すっげぇ!

一発で消し飛んだぞ!

ティーチちゃんマジ神!!!!

 

 

 

807:名無しの支援者 ID:uk4C8WOg6

 

最高すぎる。

これはティーチファンがさらに増えましたね!

 

勿論俺はもとからティーチファンだが?

 

 

808:名無しの支援者 ID:sgWjfRJOh

 

FooooOOOOOOOOO!!!

 

 

809:名無しの支援者 ID:neE2IUi6E

 

ってあれ?ライブ切れてなくね?

ミスか?

 

 

810:名無しの支援者 ID:Tv+gfUld9

 

緊急対談!?

ティーチちゃんの秘密が明らかに!?

 

 

811:名無しの支援者 ID:JUEEvmrJV

 

うわぁ。楽しみだわ何聞くんだろ?

 

812:名無しの支援者 ID:ZLiBe2hxI

 

逆行か!

考察スレでもめっちゃ話題に上がってた呪いだ!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

813:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

・・・・・あれ?スレ途中で途切れたみたいに全然進んでないね。

結構時間たってるんだけどな...

まぁいいや。勝手に話してよう。

 

814:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

いやぁ。しっかしさっき

(魔法少女ティーチ以外に)優しい世界。

って言ったけど違ったね。

 

 

815:名無しの支援者 ID:tZJT3kAPw

 

なに。まちがってないとおもうよ

 

816:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

あぁ。一応人いたんだ。

いや、それだと正確じゃないじゃん?

 

 

817:名無しの支援者 ID:fWOMBFLHa

 

わかんないや

どういうこと?

 

818:名無しの支援者 ID:SY9LikOgA

 

なにいってるのこのひと?

 

 

819:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

語彙力溶けてるけどまぁいいや。

人集まってきたし言っちゃお

 

 

820:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

正確に言ったら

(魔法少女ティーチ、サム、Lを生贄にした)優しい世界。

だったなって。

 

821:名無しの支援者 ID:zKCyPFGh7

 

あぁあああああああああああああああああああ!!!!

 

822:名無しの支援者 ID:y8fjnXsOw

 

うぉおおおおおおおおおあぁああああああああああああ!!!

 

 

823:名無しの支援者 ID:virusLoL

 

はい、スレ落ちです。

余裕ある方どんどん空スレたててね~

 

 

 

824:名無しの支援者 ID:H72bZhTLA

 

どうしてだよぉOOおOOO!!!

 

825:名無しの支援者 ID:yBSDmcNep

 

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 

826:名無しの支援者 ID:EC/fDJ7CK

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

<☇☇☇視点>

すまない...許してくれとは言わないよ。

でもボクは...いや俺は

もう二度と親友くんを失いたくない。

終わった存在になんてしたくないんだ。

もうどっちが本当かもわからなくなっちゃったけど...

でもそれでも親友くんが大切だったことは覚えてるから

だから今度こそおれに君を守らせてくれ。

籠の鳥でいい

愛でられるだけの花でいい。

そこに君がいてくれるだけでおれは頑張れるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~おしえてあげるね~

<リラ視点>

 

[なぁ、今日こそちゃんと説明してもらうぞ!]

 

目を覚ました後、知らないうちに拠点に帰っていたことには驚いたがちゃんと疑問について問い詰めてサブとサードの事は詳しく聞いた。

 

人格分裂の呪いで増えたお主自身であることもじゃ。

 

だが逆行については詳しく聞いとらんぞ!

 

何も知らない人から見たら単純に未来から戻ってきたで済む話じゃ。

その記憶を活かして救っているというのもな!

 

だがオレは違う。

司令官と一緒に未来から戻ってきたオレでも知りえない知識を持っているのはなぜじゃ?

 

お主が防いだ事件の本来の結末でさえ知っているのはどうしてじゃ?

 

[なぁ、お主司令官だったころも未来を知ってたんじゃないか?]

 

今更何か言うつもりもないが

それが繰り返した結果の記憶だとしたらつじつまが合うのじゃ。

 

あれだけ先読みしたように指揮できたのも。

事件を未然に防げたのも。

全てがそれで説明できてしまうのじゃからな。

 

うん。ほんとのことを言うと魔法少女になる前から知ってたよ。

 

・・・・・やっぱりそうだったのか...

 

オレの担当の魔法少女スズノのこと

ああなると知っておって何もしなかったんじゃな?

 

そう。悪いと思ってるけど、あぁしないとそもそもスタンピードを超えれなったから。

 

その言葉を聞いても不思議と自分の中で負の感情が湧くことはなった。

 

なぜだろうか?オレがこうして逆行した理由もそのことを疑ったからなのに。

あの時の煮えたぎるような怒りはおろかイラッとする程度の小さな怒りすら湧かないのだ。

 

ごめん。何回も何回も繰り返してそれしか方法がなかったの。

 

むしろ、罪悪感に押しつぶされそうな顔をして頭を下げるティーチに申し訳なささえ湧く。

その言葉から、最善の未来を目指して努力していたことが痛いほどわかってしまうから

 

だから未だに頭を上げない彼女に向けて言葉をかける。

 

[もういいのじゃ。それよりオレにできることはないのか?]

 

過去を取り戻すことはできない。

なら今を見据える。きっと司令官の事が大好きだったスズノも分かってくれるはずだ。

 

・・・ふとティーチの後ろにその体を守るように無数の触手を絡める彼女の姿が見えた気がした。

 

オレの都合のいい幻影だとは分かっているが、

貴方が守ってあげて・・・っと。微笑みながらそう言ってくれた気がしたのだ。

 

私の事ずっと最期まで見守って?そしたら頑張れるから。

 

[言われなくてもそうするつもりじゃったぞ?]

 

むしろ今更離れたりするものか!

そうじゃない。オレが言いたいのはサブとサードのことじゃ!

 

あっちは大丈夫。サムって呼ばれてる子は楽しく学園生活を送れてるし、サードはちゃんと役割を果たしてる。

 

本当かの?

古賀鈴音つまり魔法少女スズノの代わりに呪いを受けたサムはそれでいいとして、魔法少女Lと呼ばれているのがサードじゃよな。

何人も人を殺しているのに精神状態は大丈夫なのか?

 

見た目は小さいけどこれでも精神年齢は大人だよ?それも元々軍所属の。問題なく覚悟はできてる。

 

そう言われるとそうなのかもしれんが...

それでも心配じゃ...

 

そんなに言うならあってみる?

 

[それができるなら一番じゃがそんな簡単に会えるのかの?

 

向こうにも都合というものがあるじゃろうし...

 

出てきてくれるか分からないけど試してみるね。

 

そう言って目を瞑るティーチ。

 

・・・・・数秒後

人間の形を保っていたその姿が唐突に溶けて黒い泥のようになる。

 

[っあ!?]

 

 

だが、言葉を発そうとしたその瞬間にはすでに

形をとり再度人型となっていた。

 

しかしそれはティーチではない。

誰でも見間違うことはないだろう。

 

何しろその体のほとんどは黒い体毛に覆われ

耳と尻尾だけが唯一赤色という時点で体色でさえ大きな差があるのだから。

 

そもそもが人型ではあり、骨格こそ人間寄りだが

パーツは完全に猫の物であるという時点で似ているところなどほとんど存在していないだろう。

 

その姿は簡潔に表せば2足歩行の150CM程度の猫。

それがオレの前に現れていた。

 

[お主が魔法少女Lかの?]

 

気を取り直し話しかける。

先ほどの会話からして子奴がおそらく話題に上がっていた人格なのじゃろうが

まさか今もティーチの中に居たとは...

 

えぇ、そうですよ。魔法少女リリンとお呼びください。

 

ん!?

ティーチとは大分性格が違っておるようじゃが

これ本当に大丈夫かの?

精神を病んでしまった結果ではないのか?

 

いえ、ティーチと区別するために口調を変えているだけですからお気になさらず。

 

本当かの?

すぐに確かめる方法はないが自分の心を守る手段として性格を偽るというのはメジャーな手段じゃ。

見たところ特に異常はないがオレはカウンセラーではないからの、詳しくわからんしのぉ。

 

 

いえいえ、ちゃんと息抜きはしていますから。

 

そう言ってティーチと同じように空間のゆがみ。

(アイツはインベントリと呼んでいたか。)

それを開いて色々とこちらに見せてくるリリン。

 

・・・・・・あのなぁ。さすがにこれはまずいじゃろ?

 

先ずじゃ、チーズは良いじゃろう。

別に渋めの物を大量に貯蓄していてもそれは

個人の嗜好の範囲だからな。

 

だけどワインと葉巻まであるのはまずくないか?

お主何歳なのじゃ?

 

ちゃんと成人しています。ですので問題ありませんよ?

 

本当かのぉ?

司令官は成人しておるがその肉体年齢まで一緒とは限らんよな?

怪しいなぁ...

 

おや、信用されませんか。悲しいですね...

 

そう言ってまた溶けるように姿が変わる。

 

強制的に話を途絶えさせおった・・・・じゃと?

 

話終わった?

 

うろたえている一瞬の間に姿はティーチの物に変わる。

 

どうやら向こうの行動しているうちは意識がないようで

何をしていたのかわかっていなかったらしいな。

 

まぁでも・・・・

 

[大丈夫そうだったぞ!]

 

悲しいとか言いながら

笑っておったからな。

冗談を言えるようなら問題ないのじゃろうな。

 

冗談はある程度心に余裕があるというまぎれもない証拠じゃからな。

 

──────────────────────────

<ティーチ視点>

 

ま~じで焦ったんだが?

俺が憑依転生したのって逆行する直前だから何にも知らないし司令官がなんかしてたのとか分からんよ?

 

もしや俺と同じ知識あり転生とかした人だったんかな?

それとも単純に天才ってやつ?

先読みがえげつないほどできる人だったのかもしれん...

 

その上から俺が憑依転生してる以上真実は分からんけど、リラは何回もループした結果未来を知っていたって解釈したらしいしそれに合わせて答えたわ。

 

変に違うって言っても本当の事が分からない以上ほころびが出てきちゃうし

何よりどうせ嘘をつくなら相手の望むものの中に混ぜ込んだ方が楽だしバレにくいからね。

 

 

嘘をつくときは真実に混ぜ込むのがいいって言うけど

それってちょっと違うと思うんだよね。

真実ってのは、えてして疑いたくなるようなこともあると思うから相手の望むこと、耳当たりのいい言葉で包み込んで嘘をついた方がよっぽどバレにくいと思うんだ。

 

ま、完全に俺の持論なんだけどね?

───────────────────────────

<魔法少女ボタン視点>

 

いやです!離しません!

 

そう言いながらサムちゃんの右腕に縋りつきます。

逆側の左腕には同じようにシラウメちゃんが縋りついているのが見えます。

 

ココまですれば絶対に居なくなったりしないでしょう!

 

[もう遅いし帰らないかい?お父さんもお母さんも心配しているよ?]

 

いいえ!そんなのどうでもいいです!

どうせ心配しているのは私の健康じゃなくて自分たちの世間体ですから

魔法少女達が集まっている機関に居たと言えば全く問題ないです!

 

[・・・・ほら、サムちゃんも困っているよ?]

 

・・・・・考えてみればそうですね。

サムちゃんに迷惑をかけるのは本意ではありません。

 

渋々ながら手を離そうとした瞬間。

 

そんなことないよ~、ボタンちゃんとシラウメちゃんが気が済むまで一緒にいるよ!

 

そうサムちゃんが話しかけてきます。

 

なら手を離さなくていいですね!

ゆっくりと力を抜いていた手に再度力を籠めます。

 

だけどどうしてそんなに泣いているの?心配しなくても僕はココに居るのに...

 

そうですね。確かにサムちゃんは無事にここに居ます。

だけどいつまでも無事でいるという確証がないんです!

 

私はあなたとずっと一緒にこれからも日々を過ごしたいのです。

だから知らないところで危ないことをされるくらいならこうしてずっとくっついてますからね!

 

自分でも幼稚な理論だということは分かっていますが

この手を離したら消えてしまうような気がするんです。

 

大丈夫だよ。それに僕が未来から戻ってきたことは知ってるでしょ?これからの知識もあるんだから心配ないよ?

 

えぇ。確かに逆行という呪いで現在に戻ってきた事は聞きました。

だけれどこれからの未来のことは何も教えてもらっていないんです。

また似たような事件があったら自分の身体を犠牲にして誰かを助けるのではないですか?

 

つまりは目を離したすきにどこかに居なくなってしまいそうで不安なのです!

 

そうなの?でも僕の役目はもう終わったから何にも危ないことする気はないんだけどなぁ...

 

ホントですか?

私の目を見て言えますか?

絶対にしないって誓えますか?

 

うん。もちろん僕はこれから危ないことする気はないよ!

 

真剣に私を見てそう言ったサムちゃん。

その瞳の中に嘘が含まれているようには見えなかった。

 

人の嘘には慣れている私だ。

そんな自分の感覚で嘘をついていないと判断できたのならソレは本心からの言葉なのだろう。

 

逆側の腕に未だしがみついているシラウメちゃんにもアイコンタクトで嘘をついていないと伝える。

 

そっか。それならいったん離してやるぜ。

 

そう言ってサムちゃんから離れるシラウメちゃん。

私もそれに合わせて離れたのですが、とても名残惜しいですね...

 

せっかく人目を気にせずにこれだけ長い間サムちゃんと触れ合えていたのにそれを楽しむ余裕もありませんでしたしね。

 

・・・・・また抱き着いちゃダメですかね?

 

ボタン...

 

いえ、本心からの言葉ではないですからね?

 

ホントですよ!嘘じゃありません!

 

何ですか、そのジト目。私は嘘なんてついてませんからね!?

 

疑うなら指切りでもしますか?

 

あぁ、そうするか。

 

本当にするんですか!?

私の言葉そこまで信用無いですかね?

 

違う違う、サムの方だ。せっかくだししとけばいいだろ?

 

そうですね。そう言われればそっちの方が良いような気がします。

私はサムちゃんを信用してますがそれでも約束したという事実は大きいですからね。

 

では・・・・

 

「「「♪指きりげんまん 嘘ついたら針千本飲~ます 指きった♪」」」

 

3人の声が完璧にそろいます。

 

左手側は私、右手側はシラウメちゃんが固めましたからね!

絶対に破らせたりなんてしませんよ!

 

[さて、満足したのならそろそろ帰らなくてはならないよ。もう遅い時間だからね。]

 

余韻に浸る暇もなくシュンキに声をかけられる。

分かっていますよ...

私一人の都合で二人を引き留め続けるわけにもいかないですからね。

 

[早くしないと強制転送してしまうよ?

 

未練たらたらなのが分かったのでしょう。

シュンキが強制的に私を家に送り届けようとしています。

 

こうなってしまったら決して意見を覆すこともないので早くあいさつしなくてはなりません。

 

それでは、また明日!

 

シラウメちゃんとサムちゃんにそう挨拶をした瞬間

視界が黒に呑まれて見えなくなりました。

 

・・・・危ないところでした。

 

そう思い胸をなでおろします。

 

急かされたせいで雑な挨拶になってしまいましたが

まぁ明日もありますし、その時にでも謝ればいいでしょう。

 

おそらく二人は全く気にしていないでしょうが

こればかりは私の気持ちの問題ですからね。怠ってはならないのです。

 

 

この時の私はそんな風に軽く考えていました。

 

サムちゃんが離れる気が無くても私が離れてしまえば会えなくなることに変わりないというのに・・・・です。

 

 

──────────────────────────

<司令官視点>

 

ん・・・・ん?

 

メインルームの自分の椅子で目を覚ます。

身じろぎするたびに体のあちこちがボキボキと音をたてる。

 

また寝落ちしてしまったのかしら?

 

未だ働き出さない頭をひねりながら考えるけど

眠る前の記憶がもやがかかったように思い出せない。

 

・・・・・だけれどおそらく寝落ちしたんでしょうね。

 

よくあるのよ。仕事が立て込みすぎていて気絶するように眠ってしまうことが。

 

きちんと仮眠室まで行って休憩をとった方がいいのは分かっているんだけど、仕事を処理している最中に無意識に寝ているのだからどうにもならないのよね。

 

手元に仕事があると寝れない性分だから

限界を超えて仕事をしてしまっているのも悪いんでしょうね...

 

さて、今はどんな状況かしら。

 

とりあえずデスクにある時計に目の焦点を合わせる。

 

時間は・・・・19:34!?

最後の記憶が昼過ぎだったはずだからとんでもない時間寝てしまっていることになるわ!

 

何で誰も起こしてくれなかったのよ!?

そう思いメインルーム全体を見渡す。

 

そこには屍のように床に寝転ぶ職員や

デスクに伏せたまま身じろぎもしない者たちの姿が・・・・

 

それを見てやっと思い出した。

私、寝落ちしたんじゃなくて気絶したのだった...

 

ティーチちゃん...

 

ぽつりと口に出した言葉が静かなメインルームに響き渡る。

 

その瞬間身じろぎ一つなかった職員たちが発作のように悶えだした。

 

「ミ゜キュ」

「コロ...シテ...」

「もう・・・・嫌なんだ自分が...」

「オレ、何の役にも立ててねぇじゃんかよ...」

 

思い思いのネガティブな言葉を発しながらも

何も行動に移さない彼ら、彼女ら。

 

これでは自分が何か声をかけたとしても何も変わらないだろう。

何より自分の中で整理もできていないのに誰かを立ち直らせる言葉が吐けるわけもなく。

 

今日の業務は終了とするわ。各々自宅に戻って考えをまとめてきなさい。

 

私にできることは落ち着いて考えを整理する時間を職員に与えることだけだった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「おはようございます。」

 

相変わらず表情は暗いがそれでも自分の中で整理をつけてきたのだろう。

今のところメインルームに来た職員たちはいつも通り。いや、それ以上の効率で仕事をしている様に見える。

 

「司令官、どうかこちらのプラン検討していただけませんか?」

 

このように魔法少女Lやティーチについての保護プランについてまとめて提出してくるものまでいる。

 

普段の業務に加えて綿密に計画したソレを練り上げてきているのだから当然疲労もあるはずだ。

 

目の下にクマを作っているものさえいるし休息をとらせた方がいいのだろう。

しかしギラギラと輝くその目はまだやれるという意志を雄弁に訴えかけてきていた。

 

それを見れば私に休ませるという選択肢などなかった。

というか休ませようとしたらそのまま折れてしまう気がしたのだ。

 

自分も似たような状況だから分かる。

おそらくは仕事に集中して自分の気持ちから目を逸らしている状況なのだろう。

ギリギリのバランスで保たれているソレを不用意に崩せば間違いなく戻ってこれなくなると思うのだ。

 

・・・・・・プランを検討しよう。

私も何かできることをしなければ。

 

とりあえず全体の意見としてよくある情報収集の拡大化をしてみるのもアリか。

 

今までは明らかに業務が増えることもあって避けてきたのだが市民の目撃情報も集めることも視野に入れるべきだろう。

再度ティーチちゃんとコンタクトを取りコチラで保護するには一つでも多くの情報が必要なのだから。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

to:魔法少女の皆様へ

 

from:魔法少女機関

個体名:アジ・ダハーカとの戦闘に参加。もしくは映像をご覧になっていただいたと思います。

そのあとの魔法少女ティーチに対する質問配信も聞いていた方は多いのではないでしょうか?

 

もし、どちらかでも確認しておられえない方がいらっしゃいましたらリンクを張りますのでそちらから確認お願いします。

 

https://mahousyoujyo.org/senntou/・・・・・

 

https://mahousyoujyo.org/situgioutou/・・・・・

 

 

上が戦闘の配信アーカイブ

下が質疑応答の物になります。

内容に大きな衝撃を受けると思いますので時間に余裕があるときにリンクを開くことをお勧めします。

 

 

さて、どちらもご存じの方についてですが

もしよろしければ魔法少女L、(魔法少女ティーチによる呼称名サード)

と魔法少女ティーチについての情報をいただけませんか?

 

小さなことでも大丈夫ですので

魔法少女機関がコンタクトをとるための手伝いをしていただけるとありがたいです。

 

もしご協力いただける場合は

下のリンクから回答をお願いします。

 

 

https://mahousyoujyo.org/homepage/・・・・・

 

プランを検討し会議に出して決定した内容を纏めて

昨日の深夜全体に一斉送信したメールがこれなのよね。

あの質疑応答から4日後の事だったかしら。

 

それで、今朝になったらコレよ。

 

「すみません!司令官サーバーの増設許可お願いします!」

「捜索を行う部隊はないのか?という問い合わせが60件を超えています!」

 

もう・・・ムリ...

あの後みんな帰しちゃったから神経を削りながらながらずっと魔物の出現情報モニタリングしてたのにそれに加えて連日の徹夜。

私のメンタルも肉体ももうボロボロよ...

 

任せなさい!何とかしてやるわよ!

 

だけどこれでも私は最高責任者!

弱音を吐くわけにはいかないわ!

 

一つ一つ積み重なったタスクを消化していくのよ!

頑張りなさい!私!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

それから何日後だっただろうか。

私がついに家に帰れたのは。

 

ただいま...

 

誰もいない暗い家にそう挨拶をする。

 

今日も私は無事に過ごしているわよ。ちゃんと見守っていてねお父さん。お母さん。ゆきえ

 

そしてそのまま仏壇の前に行き手を合わせる。

 

本当は部屋に薄らと積もったほこりも何とかしたいところだけれどその余裕も今の私にはないから。

だからせめて仏壇だけは拭いておく。

 

家の窓を全て開けて無心で拭き続けていれば

濡らした雑巾にさらに水滴が落ちる。

 

あれ?あれ?おかしいわね。止まらないわ

 

何度も何度も白いシャツの袖で顔を拭おうととめどなくあふれるソレを無くすことは不可能で、ついにはフローリングの床に涙が溜まっていく。

 

どうしてこんなことになっているのか理由を考えようとして一つしかないことに気づいた。

 

・・・・私、今まで整理する時間もなかったんだ。

 

職員を帰しても自分は帰らずただ一人業務に没頭して

そのあとも自分がやらなくてもいいことまで請け負って何も考えないようにして

 

いま。自分一人で何も考えなくてよくなったから

こうしてそのことについて考える時間が出来た。

いや、できてしまった。

 

 

「うっ...ひぐっ...うわぁああああん。」

 

無意識に避けていたことを考え出せば小さな嗚咽は

止めることもできず慟哭へと変化していく。

 

どうして私って何も知らないんだろう。

もし、ティーチちゃん達みたいに未来が分かっていれば何かできる立場なのに...

 

 

どうして私はもっと若くないんだろう。

もし魔法少女として戦えるなら大人の私が全て引き受けるのに!

 

 

意味のない仮定が脳内を巡り

無力感が私から立つ力さえも奪い去っていった。

 

『ペタン』

 

溜まらず床に座り込む。

そうすると今まで無視できていった疲労感が耐えきれないほどの強さとなって姿勢を保つことさえ不可能になってしまった。

 

『ドタン』

 

床に倒れこむ。

視界の端に映った先ほど投げ出した雑巾が滲んでいく。

 

その日最後に見た光景はそのまま闇に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~なかないで~

<シュンキ視点>

 

ふぅ。ボタンも泣き止んでくれてよかったよ。

サムちゃんと離れたくないなんて言って途中でしがみついたまま動かなくなった時はどうしようかと思ったけれど

サムちゃん自体が何とか宥めてくれたおかげで少し遅くなったけれど今日中にこうして家に帰してあげれたからね。

 

・・・・・それにしてもまったく。お互い意固地になってるのはどうにかならないのかな?

 

ボタンのほうも両親を愛しているからこそあれだけハードなスケジュールをこなせているというのに本人は意固地になってそんなことないって否定してしまうし。

 

両親の方も愛しているよって伝えてあげればいいのに

直球の言葉じゃ説得力がないと変に気を回す。

 

 

ボクがいくら伝えてもどうにもならなかったし

何か大きなきっかけがないとダメなんじゃないかな?

 

・・・・おっと、そんなことを考えていたら書斎を通り過ぎてしまうところだった。

 

 

『コンコンッ!』

 

今日の定期報告をしないとね。

こんなことしなくても中を深めれば自然と本人の口から聞けるのに難儀なことを頼んでくるものだよ。全く。

 

 

「どうぞ!」

「入ってくださいなお茶も用意していますよ!」

 

仲から男女二人分の声が聞こえる。

当然ボタンの両親の声なのだが。

 

・・・・ボクにはそんなウキウキとした言葉遣いで話せるのになぜ本人にできないのか...

 

不思議に思って以前聞いたこともあるのだけれど、娘に落胆されそうで厳格な父親像を崩せないとかなんとか。

 

母親の方も幼少期に受けた教育が身に沁みついていて

人間相手だと常に猫を被ってしまうんだとか

 

ほんっとうに残念な人たちだ...

 

「今日の戦闘見ていたがぼたんちゃんはどうだった?ケガしなかったか?」

 

[はい、映像!]

 

口頭で説明するのが面倒なのでタブレットで至近距離から撮影していた映像をそのままUSBに入れて渡す。

 

「ありがとう!、今すぐ見るぞ!」

「シアタールーム行きましょ!」

 

このためだけにシアタールームを書斎に併設するとか言う親バカ。本当にもう勘弁してほしい...

ボクも問答無用で連行されるしさ。

幸いお茶とお菓子はいくらでもあるから退屈はしないけれどそれでも戦闘があるたび毎回やるのは面倒なんだよね。

 

「キャー!カッコいいわよボタンちゃん!」

「すごいぞボタン。的確な支援だな!才能あるぞ!」

 

設置された最高級ソファーでジャンプする父親と

ぬいぐるみを抱きながら声援を送る母親。

 

この姿を撮ってボタンに見せるだけで全部解決しそうでしょ?

でもなぜか親バカなのにそういうところだけしっかりしてるせいで盗撮ができないんだよね。

[繧イ繝シ繝?繧キ繧ケ繝?Β縺ォ繧医j]

[撮影が禁止されています。

 

ほらね。魔法を利用したタブレットなのになぜか繋がらなくなるの。

 

だからボクは今日もお菓子をポリポリ食べながら

その様子を眺めてるってわけ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ありがとう。シュンキ君。また今度も頼むよ」

「ありがとね!シュンキくん!」

 

はいはい。それじゃあね。

重厚な木の扉を閉める。その寸前で声が聞こえ始めた。

 

咄嗟に隙間を少しだけ開ける。

 

「今日もボタンは変わらず可愛かったが危険なのではないか?」

 

おっと?

急いでタブレットの録画機能を起動する。

幸いシアタールームから離れたおかげか問題なく起動したそれで音声を録っていく。

 

「そうですね。ああいった危険な魔物と戦わされるのなら学校もやめさせた方がいいのかもしれません...」

 

「それどころか魔法少女として戦うことも止めた方がいいのかもしれんな」

 

「まぁ。最後はあの子の選択次第ですけどね。」

「そうだな。あくまで俺たちは親だからな選択権は彼女にあるさ」

 

うん。きっかけは作れた。

後はちょちょいと編集してボタンに見せるだけさ。

 

ゆっくりと扉を閉めてその場を離れる。

問題はシラウメちゃんとサムちゃんがどの程度仲がいい友人だと思ってくれているかなんだけど...

其処は気にする必要はないだろうね。

アジ・ダハーカとの戦闘の後さらに友情を深めたみたいだからね。

 

─────────────────────────

 

<魔法少女ボタン視点>

 

 [起きて、ボタン。起きて!]

 

そんな声で目が覚める。

時計を見ればまだ朝の5時。

起床時間には早かった。

 

なんですか?シュンキ。まだ学校に行くには早いですが...

 

さすがに二度寝できる時間ではないので

服を着替えながら話を聞く。

 

[それどころじゃないんだって。早く着替え終わって!]

 

分かりました。

そんなに急かすのなら少し急ぎますが...

 

 

[着替えおわったね?!これを見て!]

 

私が服を着終わった瞬間鬼気迫る表情でタブレットを差し出してくるシュンキ

やっと頭が回りだした私はただ事ではないと察し開かれていた画面を見る。

すると何か操作をしたのだろう音声が流れ出す。

 

「あぁいった危険な魔物と戦わされるなら学校もやめさせた方がいいのかもしれません」

「魔法少女として戦うことも止めさせた方がいいかもしれんな」

まぁ。最後はあの子の選択次第ですけどね。

「そうだな。あくまで俺たちは親だからな選択権は彼女にあるさ

 

これ・・・・は。

私は学校を辞めさせられるの?

魔法少女としての活動さえできなくなるの?

 

[いいのかい?]

 

両親の言うことだから今回も仕方ない。

そう言おうとして口が開かないことに気づきました。

 

いやだ。

 

代わりに口から出たのはこの一言。

吐き出してしまえばストンと胸に落ちた。

嫌だ。サムちゃんとお別れなんて嫌だ!

シラウメちゃんとだってせっかく仲良くなったのに私は離れたくないです!

 

シュンキ。学校に行きましょう!

 

[わかったよ準備したら・・・]

 

いいえ、今すぐです!

 

ココまで語気を荒げたのは初めてかもしれない。

それぐらい強い声が出た。

驚いたようにこちらを見るシュンキ

 

申し訳ありません。ですが急いでいるのです。

 

起きたばかりで櫛も使っていないけれど

両親と会う前に早く学校に行かなければ!

昨日用意してあった学校用の鞄と充電してあったスマホを掴む。

そして少し逡巡した後その隣にあった自分の財布を掴んだ。

もしかしたら二度と・・・・

いえ、それは考えないようにしましょう。

 

 [じゃあ行くよ!]

 

その言葉と共に校門に立っていた私

どこかに消えていくシュンキを尻目に

自分のクラスに向かいながら電話をかける。

 

サムちゃん、シラウメちゃん...

 

3人のグループ通話に入ればすぐにサムちゃんが

それから少し遅れてシラウメちゃんが入ってくる。

 

あれ?ボタンちゃん?早いね。どうしたの?

お?ボタンか?どうしたんだ?

 

二人の声が聞こえて少し心が落ち着く。

そうですよね。こんな朝早くから電話したら迷惑でした。

話したいことがあるなら二人が来てから伝えればいいんです。

だから

 

あの、学校に...いえ。ごめんなさい。何でもないです。間違えて電話してしまいました。

 

そういって電話を切りました。

そのまま机に顔を伏せれば冷えた天板が火照った頬に当たり気持ちがいいです。

 

・・・・まだ眠気が残っていたのでしょうか

そのまま視界が暗くなっていきます。

良いです。このまま寝てしまいましょう。

もう私は相沢家から離れると決めたんですから!

 

──────────────────────────

<魔法少女シラウメ視点>

 

早く早く!

 

急いで準備をしたがそれでも20分くらいかかっちまった...

早く行かないといけないのに!

 

今朝、親父の手伝いをしていた時にかかってきたボタンからの通話。

明らかに声がいつものアイツじゃなかった!

 

トウキに送ってもらった校門前から必死に走る。

教室に近づいてきたときに扉の前に見慣れた姿を発見した。

 

サムも来たのか!

うん。だっていつものボタンちゃんじゃなかったもん。絶対何かあったんだよ!

 

やっぱ気づいてたらしい。

そりゃ気づくよな。オレよりもボタンと仲いいしな。

 

二人で行こうと思って待ってたんだよ?

 

そういって扉を開けてクラスに入るサム。

そのすぐ後ろから明かりをつけて入っていく。

 

ん、んん。いやだ。やめたくないよ。

 

するとそんな風にうなされているボタンの姿が視界に入ってくる。

 

シラウメちゃん

あぁ。

 

急に飛び起きて事故が起きたらいけないからと

サムは少し後ろに下がってオレに起こすよう目で示してくる。

 

・・・こいつのそういうところも何とかしてやりたいんだが、今はそれどころじゃないよな。

 

おい。大丈夫か?

 

優しくゆする。

顔を上げたボタンには未だ乾かない涙の跡が線になっていた。

そしてそのまま寝ぼけているのかふにゃふにゃしたまま話しかけてくる。

 

おとうさんとおかあさんがもうがっこうやめさせるって。

いやだ。やめたくないよ。

さむちゃんとしらうめちゃんとはなれたくない。

 

そのまま声を上げて泣き出すボタン。

なんで正確にオレを避けてサムに抱き着いてんのか分からんけど、まぁ今はいいや。

それより気になんのは

 

なぁ。ソレホントか?

 

ボタンがこの学校辞めさせられそうなことだ。

何かの間違いじゃねぇのか?

というか間違いであってくれという思いを込めて聞くがそんな考えはすぐさま打ち砕かれた。

 

シュンキがきいたって。録画してきたの!魔法少女もやめさせるって!

 

ボタンの答えを聞いた瞬間頭が沸騰するように熱くなる。

 

んだよソレ!

おかしいだろ!本人の意思無視して全部親が決めんのかよ!

爪が掌に食い込むほど力を込めて拳を握る。

 

そのまま、机を叩こうとしたところで声がかけられた。

 

ねぇ。シラウメちゃん。今日学校サボらない?

 

あ?いきなりなんだよサム

 

僕、今日ボタンちゃんの家に行ってみたいんだ!

 

あ?・・・あぁ。

そうだなオレも行ってみたいと思ってたところだ。

いいぞ、サボろうぜ!

 

待ってください?夢じゃなかったのですか?

 

そこまできてやっとうずめていた顔を上げるボタン。

サムの服びちゃびちゃになってるけどそれすら気にできないほど余裕がないらしい。

というか、今まで夢だと思ってたのか。

 

ダメです!二人に迷惑をかけるわけにはいかないですから!

 

そう言ってめちゃくちゃ焦ってオレ達を引き留めようとする。

 

ふん。友達の親に会いに行くだけだぞ何を怖がる必要があるんだ?

 

違います!私は相沢財閥の娘なんです!だから

 

ふ~ん、いいところのお嬢様だとは思ってたけど

そんな大きいところだったんだ。

だけど

 

「「関係あるか?(ないよね)」」

 

オレはそんなことより友達の方が大事だ!

 

ということでボタンの妖精

確かシュンキで合ってたよな?

ボタンの家まで頼む。

 

なにもいない空中に向かってそう話しかける。

すると・・・

 

 [はい、お任せを!]

 

やっぱり見ていたようですぐに

空中から小人のような妖精が現れる。

 

それなら私も連れてってください!

 

まぁいいけど。

ホントに挨拶しに行くだけだぞ?

 

────────────────────────

<魔法少女ボタン視点>

 

シラウメちゃんもサムちゃんも分かってないんです!

父も母もそんな甘いヒトではありません!!

下手したら家ごと取り潰されてしまいますよ!

 

シュンキ!転移させちゃだめですよ!

 

二人は私の家を知らないんですから

シュンキさえ協力しなければ問題はないはず...

 

 [う~ん。今回ばかりは聞けないかな]

 

何でですか!?

私はどうなってもいいんです。

それよりも二人の方が絶対に大切なんですから!

 

[いくらお願いされてもボクも意見を変える気はないからね、諦めるんだね!]

 

・・・・・わかりました。

意見を変える気はないんですね。

 

 

それなら私も連れてってください!

 

何とか二人の方を説得してみせます!

絶対に!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

おっきいねぇ。

すげぇでけぇな。

 

最後に転移した私の耳にそんな言葉が聞こえてきます。

転移した先は私の部屋ですのでそれを見て言っているのでしょう。

・・・・・利用できますね。

 

でしょう。これだけ大きい部屋を持てるんですから私は満足しているんですよ。

 

満足しているアピールです!

文句を言ったのは一時の気の迷いなんです!

 

部屋の大きさに満足してんのと勝手に学校変えられんのは関係なくないか?

 

うっっ...

それはそうです。失敗してしまいました...

いえ。無駄に大きい家ですから両親の部屋まではまだ距離があります。

いくらでも引き留める機会はあります!

 

 [こっちだよ。]

 

シュンキが扉を開けて部屋を出て

目的地に向かって先導しようとしたところで声がかかりました。

 

おや?お嬢様そちらの方は?

 

執事の内藤さんですか。

誤魔化してもいいのですが

ココは素直に話しておきましょう。

 

友人です。両親に挨拶したいと言っているので呼んできました。

 

そうですか。どうぞごゆっくり。

 

私の言葉を聞いて頷くと

そう言って意味深な笑みを浮かべそのまま静かに離れていきます。

おそらく両親に伝えに行ったのでしょうね。

 

すごいねぇ。執事さんまでいるんだ。

朝っぱらからいるとかすげぇんだな執事って。

 

やはりびっくりしているようですね。

これもアピールしておきましょう。

 

そうですよ。この家は30人近い使用人がいますから生活に不自由することはないんですよ

 

私がやらなくてもなんでも準備してくれますからね。

買い物に行かなくても生活できますし、料理も作る必要ないんですよ!

 

でもそれってボタンちゃんの趣味じゃないよね?

ボタンちゃんって買い物するの好きなんでしょ?料理も趣味だって言ってたし

 

はい...そうです。

自己紹介の時に趣味として紹介しましたね。

メリットとして捉えられるわけがなかったです...

 

そしてとてもまずいことに気づいてしまいました。

あれだけ距離があったはずの両親の部屋が近づいてきているのです。

もうすぐそこ、角を曲がれば扉が見えてしまいます。

話しているうちにも歩いていたのですから仕方ないのですが何か、何か引き留める方法を...

 

 

・・・・思いつかないですし

これは実力行使をするしかないですよね!

 

サムちゃん!

 

抱き着いてでも止めてみせます!

一番身長が低いサムちゃんなら私でも引き留められるはず。

 

なぁに?疲れちゃったの?運んであげるね。

 

なんで止まらないんですか!?

というか引きずられるどころか私、体の前で抱え上げられてしまいました。

俗にいうお姫様抱っこですよねコレ。

 

凛々しいお顔が見えて恥ずかしくなってきてしまいます(〃▽〃)ポッ

 

 [ついたよ。]

 

待ってください!?それどころではありませんでした!!

もう着いてしまったのですか!?

 

『コンコン』

 

「入っていいですよ。」

「どうぞ」

 

そのまま入ればお友達を連れてきたのは初めてなのですよ。

そう言って歓迎する両親。

やはり執事からすでに連絡を受けていたのでしょう

驚く様子さえ見せません。

 

だけれど

此方を見た瞬間に内心の見えない笑みを浮かべました。

 

「あらあら。ボタン。とても仲良しなのね。」

 

あ...

私抱えられたままじゃないんですか。

まずいです。非常識だと怒られてしまいます。

 

・・・いえ。怒られるだけならまだましです

サムちゃんがその矛先に挙げられる可能性も...

ダメです!それだけはどうか!

 

なぁ。少し話したいことがあるんだけどいいか?

 

シラウメちゃん!?

そんな荒い言葉遣いしたら絶対まずいことになりますって!

 

「なんでしょうか?」

 

怒ってます!お父様絶対に起こってますよ。

なんでサムちゃんと私の非礼を挽回しようと考えていたらもっとダメなことを重ねてくるんですか!?

 

親ならさ、子供の好きなようにさせてやる寛容さ。必要なんじゃねぇか?

 

あぁ、もうダメです

ごめんなさい。私があなた達と会わなければ...

 

─────────────────────────

 

<サム視点>

 

親ならさ、子供の好きなようにさせてやる寛容さ。必要なんじゃねぇか?

 

そうそう!言ってやれシラウメちゃん!

ボタンちゃんの事を大切にしない親なんてダメだって!

まぁ仲良しにするための策なのは知ってるんだけどね!

何とか言ったらどうなんだ?ボタンは学校辞めたくないって泣いてたんだぞ?

 

魔法少女としてまだ活動したいとも言ってたよね!

 

「待ってくれ。何か勘違いがあるのではないか?私はそんなこと言った覚えはないぞ。」

 

証拠があるんだっての。シュンキの奴が録音してたぞ?

 

証拠があるのに勘違いなわけないじゃん!

まぁ意図的に隠して作られた穴抜け音声なんだけどね。

・・・・いえ、もういいんです。私決めました。私縁を切ります!家出させていただきます!

 

ボタンちゃん!? 誰かが傷つくくらいなら自分が全部引き受けるって理由なんだよね。

急にどうしたの? さすがこの章の主役!とっても魔法少女らしい理由だよね!

 

「ま、待ってくれ違うんだボタン。」

 

待ちません!もう決めたんです!

 

「私も愛花もボタンの事を愛しているんだ。どうかそんなこと言わないでくれ!」

 

っ!?そんなわけないでしょう!それならどうしてあの時運動会に来てくれなかったんですか!

 

「行ったさ!人ごみに紛れて見えていなかっただけだ!あの時の嬉しそうなジャンプだって覚えているよ!」

 

・・・・なんか聞いちゃいけないことを聞いてる気分。

誤解があったみたいだしいったん離れた方がいいかも?

ねぇ。シラウメちゃん。僕たち邪魔じゃない?

そうだな。外で待ってようぜ。

 

こっそりと扉を開けて外に出る。

すると目の前には執事服を着た男性が一人。

 

おやおや。やっと正直に内心を話されたんですね。

 

この人は確かさっき会った内藤さん?

ボタンちゃんがそう紹介してくれた気がする。

 

長くかかると思いますのでどうか座ってお待ちください。

 

そう言って近くの部屋に通されるぼく達二人。

 

どういうことだ?ボタンと両親って仲が悪かったんじゃないのか?

 

席について飲み物が出されたところで

シラウメちゃんが口火を切る。

裏を知らなきゃ不思議に思うよね!分かる!

 [お互いそう思ってるだけだね。しかも周りがいくら言っても聞き入れないくらい強くね!]

 

その疑問に答えるように突然空中から現れて声を放つシュンキちゃん。

補足するように内藤さんが言う。

 

有名な話ですよ。使用人の中でも知らない者はいないくらいね。

 

[だから今回、策をたてて何とか関係を修復しようとしたんだ。]

 

たまたまちょうどいい音声を手に入れましたからね。

そう言って手元のタブレットで録画を流すシュンキちゃん。

へぇ~これが元の音声なんだ。

[「巻き込んでしまったのは申し訳ありません。どうかご容赦を」]

 

そう言って深々と礼をする二人。

 

それ自体に怒る気はねぇけどよ。なら証拠の音声って何なんだ?

 

[それはね、エフェクトを複数かけて音声に乱れがあるようにして前後の文脈に・・・]

 

「なるほどな。つまり元の音声を編集して騙したわけか。」

 

ん~ジュースおいしいなぁ。

むずかしい話してるし僕、良く分かんないや。

今回はこれで終わりでいいんじゃないかな。

ね?

 

・・・・ダメ?

じゃあ寝たふりしてよ。

つまんな~い。早く終わんないかな。

ぼく人間に興味ないんだよね。魔法少女ちゃん達は愛してるけど...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




誤字報告ありがとうございました!
自分ではちゃんと確認しているつもりなんですがやっぱりミスが出ちゃいますね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~よかったね!~

<魔法少女シラウメ視点>

 

それで、結局は・・・・おや?声を落とした方がよさそうですね。

 

執事の内藤さんとシュンキから、どうやって音声を偽ったか。そしてそこから発展してボタンと親の関係まで詳しく聞いている途中に急にそういわれた。

 

指さす方向を見れば目を閉じソファに座っているサムが居る

 

 

あぁ・・・・朝早かったし眠くなって寝ちまったのか。

まぁしょうがねぇよな。

オレは毎朝の仕込みの手伝いで慣れてっから問題ねぇけど、普通なら朝5時なんてまだ寝てる時間だからな。

 

・・・・けど風邪ひいちまいそうだな。

いくら暖房が聞いてる部屋の中とは言え外寒いし

起こしてやった方がいいかな?

 

そんな風に考えていれば

 

毛布、持ってきますね。

 

そう言って音もなく部屋を出ていく内藤さん。

流石気が利くな。

 

・・・・・てか寝てるサム見てたらなんかオレも眠くなってきたな...

 

悪いけどオレの分も頼めねぇか?

 

部屋に残っていたシュンキにそう伝えれば

 

 [わかりました。伝えてきますね!]

 

そう言ってどこかへと消えていった。

 

ふぅ・・・・

 

二人が居なくなった部屋にため息が響く。

完全に無意識だった。

 

とはいえその理由は自分自身の事だから分かってる。

正直な話、オレはめちゃくちゃ緊張してたんだ。

”関係ない”なんて見栄を張りはしたがな。

 

自分だけならいくらでも動けるさ。当然、命だって懸けれる!友達のためならな。

だけどそれが家族まで被害が及ぶんなら別だ。

サムもそうだったんだろうな。だから緊張が解けて疲れがどっ。と襲ってきたんだろう。

 

あいつ、自分の事あんまり話さねぇし

友達の事を探るのもよくないと思ってオレも調べたりしないからどこが家なのかすら知らねぇけどよ。

 

だけど逆行っつったか?それで3人と妖精の1人で未来から戻ってきたんだよな。

ならティーチともう一人とその妖精と一緒に住んでんだろうな。

 

そうじゃなくても少なくとも一人だけで居るわけじゃないはずだ。

オレらくらいの年で一人だけで生活するなんて不可能だからな。

 

当然オレと同じように恐怖を感じながらもそれを振り切ってボタンの為にここに来たんだろう。

 

ちっくしょ。今更かよ。

 

サムの事考えてたら今更実感が湧いて手が震えてきやがった...

 

抑えろよ。そんなの恥ずかしいぞ。

そう思い手の震えを何とか抑え込もうとした瞬間ノックと共に部屋の外から声がかかる

 

毛布お持ちしました。

 

マズイ。内藤さんが帰ってきた。

流石にこんなところを人に見られたくはねぇから、急いで手をソファーの背もたれと背中に挟むようにして震えが見えないようにする。

 

ありがとうございます。

 

そこまでしてから返事すれば扉を開けて入ってくる二人。

バレてねぇよな?

 

机の上に置いておきますのでご自由にどうぞ。

 

そう言ってサムに優しく毛布を掛けると

何事もなかったように内藤さんはそのまま部屋を出ていった。

 

 [暗くしとくね!]

 

そのあとに続くようにシュンキも出ていく。

カーテンが魔法で勝手に閉まり、部屋の電気が消える。

 

・・・・良かった。

何にも気づいてねぇみたいだ。

暗くなった部屋の中。毛布を取り上げ体に掛ける。

弱くなった心から本音が漏れる。

 

ほんとはオレ臆病な奴なんだ。

 

こんな口調で誤魔化してはいるけど

肝心なところで踏み出すのに躊躇しちまう...

 

サムと会った時だってホントは一日目から声かけるつもりだったのによ?なのに話しかけるだけで躊躇して、何とか覚悟を決めるのに丸一日かかったんだぜ?

 

今日だって、サムと一緒だからこうやってここに来れたんだよ。

オレ一人だったら家に来ることすらできなかったかもしれねぇ。

 

強く...なりたいなぁ。

 

魔法少女としての実力も・・・

人間としての精神力も・・・

 

─────────────────────────────

<サム視点>

 

スゥスゥと寝息を立て始めるシラウメちゃんの横で

ソファーに座りながらニマニマと顔をほころばせる。

 

可愛いなぁ。カッコいいなぁ。

 

だから僕は魔法少女が大好きなんだよね!

自分の事ちゃんとわかってよりよくしようと頑張れる。

 

特にボタンちゃんとシラウメちゃんが好きなのはね、僕が出来なかったこと頑張ってるからなの!

 

親に逆らうことも。臆病さを直すことも。

 

だけどやっぱりティーチくんが一番!

 

どんな逆境にも負けないで、絶対に勝つの!

どんなに怪我してボロボロになっても倒れないの!

悩んで、苦しんで、汚れて、穢れて、それでも輝くの!

 

あぁ。ティーチくん。ティーチくん。ティーチくん!ティーチくん。ティーチくん。ティーチくん。ティーチくん。ティーチくん。ティーチくん!ティーチくん。ティーチくん!ティーチくん!

あはぁ大好きだよ!愛してる。

中身が誰でも関係ないよ!何度でも何回でも愛してあげるからね!

でもリリンだけはダメ!

だって魔法少女

殺しをしたんだよ?理由があったとしても許せないよね!

そのくせ諦めてなにもしないの。

ワルモノだよ!酷いやつだよ! 

嫌い!大っ嫌い!

 

─────────────────────────

<魔法少女ボタン視点>

 

本当。なんですよね。

私の事愛してるって...

何度も何度も両親に確認を繰り返す。

 

私だってホントは分かってる。嘘じゃないんだってことくらい。

でも確かめなければ夢の様に消えてしまいそうで

それが嫌で止められないのだ。

 

「あぁ。そうだ。当然だろう娘だぞ!」

「私もよ。あなたが幸せならそれ以上の事なんてないわ!」

 

習い事もうやらなくていいの?

 

「あぁ、そうしたいならすぐにでも全部解約しよう!」

 

自分の好きなように行動していいの?

 

「えぇ。もちろんよ。私厳しくしつけてしまったことずっと後悔していたのよ...」

 

涙がまたあふれてくる。

 

私も愛してるよ。ママ。パパ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そのあとは何度も何度も抱き着いて泣きあった。

 

お互い恥も外聞も気にせずに泣きあっていたと思う。

 

涙は今まで貯めていたすべてを溢れさせるようにとどまることを知らず

それが落ち着いてきたときには既に太陽は天高く昇っていた。

 

私から唐突に口火を切る。

 

ねぇ。ママ、パパ。私やっぱり習い事は続けようと思うの。もちろん数は減らすけどね?

 

バイオリンは楽しかったし、塾はこれからの学業でも役に立つから。

だけどそれ以外はやめる!

辛いだけの護身術も。習字も水泳も。

 

「あぁ。ぼたんのすきなようにしなさい。」

 

コチラで手続きはしておこう。

そう言ってすぐに残しておく習い事についてメモを取るパパ。

 

それとね、やっぱり礼儀作法は変えないよ。ほかの人がいるところではね。

 

しみついた口調はもう自然と口から出てくるようになっているし今更行儀を崩すことも不可能でしょう。

 

「えぇ。あなたの楽なようにするといいわ。」

 

だけどママとパパといるときと友達と話す時は堅苦しい話し方から変えていきます!だって他人行儀じゃない?そんなの

 

「そうか!パパもママも嬉しいぞ!」

「えぇ!もちろんよこうやって娘とフランクに話すことをずっと夢見ていたのよ!」

 

 [良かったね。]

はい。長らく亀裂が入っていた関係がやっと修復されましたね

 

完全に存在を忘れていたがかなり前から部屋にいた二人がそう話し出す。

そうです二人にもちゃんと謝罪をしなければ。

 

「すまなかったな。お前たちに何度も言われていたのにそんなわけないと端から否定してしまっていた...」

 

ごめんなさい...内藤さん。シュンキ。私意固地になってた。何度も迷惑をかけてしまいましたね。

 

いえいえ。執事ですから。当然のことです。

 [気にしないで!ボクもボタンが幸せならいいんだよ。]

 

むしろ言われるなら感謝の言葉が良いな?

せっかくこうやって裏からいろいろ手を回したんだからね。

全く大変だったんだよ。

 

そう言ってこちらを見るシュンキ

 

そうでした、ありがとうですね

 

お礼を言いながらも納得します。

 

やはりそうでしたか。

よく考えなくてもシュンキが今回の件

御膳立てをしてくれたのでしょう。

 

あの時は気が動転していて気づきませんでしたが

今思い返してみれば不自然に音声も途切れていましたし、そもそも私が起こされたのは朝の5時ですから。いかに早いと言えどすぐに知らせに来たのであればおかしな時間ですよね。

 

そんな時間に両親が起きて話しているというのも変ですしね。

 

[ところで、友達はいいの?]

 

・・・・・あっ。

そうですよ!私に余裕がなさ過ぎて忘れていたんですが、元を言えば親友たちと一緒にここまで来たじゃないですか!

 

二人はどうしてます!?怒ってますよね!?

 

あわあわ。

どうしましょう。時計を見ればすでに10時を回っています。

家に着いた時が5時半過ぎでしたから3時間以上も経ってしまっています!

こんなに長く放置してしまうなんて

怒られてしまっても仕方ありません!

 

隣の部屋にご案内いたしました。出てきたときにはお休みを取られていたようですが...

 

どうしましょう!?

なにかお詫びなど持って行った方がよろしいでしょうか?

 

「ぼたんこれでも持っていきなさい。」

 

そういって渡されたのはシンプルなデザインの装飾品が詰まったアクセサリーボックス。

 

ありがとう。パパ!

 

このデザインなら普段使いしても問題ないレベルですね!

高価なものでもないですしお詫びとして渡す物と考えると最適かもしれません!

 

 [ちょっと待つんだボタン!]

お待ちください!お嬢様!

 

いえ。十分待たせてしまいましたから。

これ以上待つことなんてできません!今すぐ行きます!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『コンコン...』

 

まだ寝ているかもしれませんから静かにノックして

それから入し・つ・・・・

 

おっふ・・・・

 

変な声が出そうになってしまいました。

危なかったです。

 

ですが仕方がないじゃないですか!

こんな、こんな美しいものを見たらみんな同じ反応をすると思うんです!

 

まず2人掛けのソファでお互いを抱き合うように眠っているんですよ。

その時点でもう手出しできないじゃないですか?

 

だけどこれで終わりじゃないんです。

それに加えてカーテンの隙間から入ってきた一筋の光が差し込んで、まるで宗教画みたいな雰囲気を醸し出しているんですね。

 

何物にも侵せない神聖な領域が出来上がっているんですよ。

 

 

そしてダメ押しなのですが

二人とも薄らと笑いながら眠っているんですね。

お互いが居ることが幸せとでも言わんばかりのその姿勢はもうダメです。私の語彙力を破壊し尽くしてしまいます。

 

うゅ?おはよ。ぼたんちゃん

んぅ?おはよ。ぼたん

 

アッ!?!?・・・・・私死んだかもしれません...

 

もうダメそうです。骨は拾ってくださいね。シュンキ。

 

すみません、私もダメそうです...

 [ごめんね。ボクも無理だ。]

 

そうですよね。どんな人でもこの状況は耐えきれませんよね。

みんな一緒に仲良しですね。

 

──────────────────────────

<魔法少女シラウメ視点>

 

おはよ。しらうめちゃん

 

寝起き特有のふわふわとした言葉遣いと、より幼げになった雰囲気に何とも言えない感情が沸き上がる。

 

 

まて。オレが沈んだらどうにもならなくなる。

そこで沈んでいるボタン、内藤さん、シュンキを見ろ。

あれと同じになりたいのか?

耐えろ!オレ

耐えて何とかこの事態を収拾するんだ!

 

内心で自分を激励する。

しかしそんなもの全く無意味であった。

 

あったかいね。えへへ。

 

優しく抱きしめられて

すりすりと顔をこすりつけられる。

フワフワとした猫耳の感触が顔を撫でて、オレのぎりぎりだった理性を木っ端みじんにした。

 

もう。いいかな

ぼたん、オレもすぐにそっちに行くよ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

シラウメちゃん!・・・シラウメちゃん!・・・・起きてください!

 

ハッ!?

オレ何してたんだ?

 

宇宙が広がって、その中で天に近づいて行って

みんなが幸せそうに微笑んでいて

 

そん中にはオレが小さいころ死んじまったじいちゃん、ばぁちゃんが居て。

久しぶりに会えてとっても嬉しかったんだ。

 

だから走って駆け寄ってったんだけどさ

向こうがこっちに気づいて

来ちゃいかん!早く帰るんだ!ってグイグイ押してきてさ。

 

死んだおばあちゃんとじいちゃんが慌てたように押し返してくれなきゃ帰ってこれなかったかもしれねぇ。

 

わかりますよ。私も天国が見えました。

 

そうだよな。

お互い危なかったな。

 

へぇ~そんな夢見てたんだ!僕はねぇ。みんなと遊ぶ夢見たんだよ!

 

そう言いこちらを見るサム。

 

・・・・よし。大丈夫だな。

普段通り可愛いけど死ぬほどじゃねぇ。

寝起きの破壊力に比べたら大した事ねぇな!

 

あっ

 

大丈夫かッボタン!

今度こそ戻ってこれねぇかもしれねぇぞ!

頑張って耐えろよ!

 

いえ、大丈夫です。そちらではなくお詫びを渡すのを失念していたなと思いまして

 

お詫び?

なんのことだ?

 

わざわざ家まで乗り込んでくださったでしょう。それに長々待たせてしまって学校も休ませてしまいましたし...

 

あぁ。

気にすんなそんなこと。

オレ勉強苦手だし?むしろサボれてラッキーって感じだぜ?

 

うん、そうだよ!気にしなくていいよ!

 

サムもこう言ってるしな?

 

いえ、それでは私の気が済まないのです。どうかもらっていただけませんか?

 

う~ん。

本当に気にしなくていいんだけどなぁ。

まぁそれでボタンが満足するならもらうけど...

 

はい!ではこの中から選んでいただけますか?

 

そう言ってこちらに見せてきたのはシックな見た目の箱。

 

留め金の装飾以外はそこまで高価でないように見える。

其処に宝石が使われている様に見えることは問題だが...

おそらく偽物であろう。

 

いや・・・・そうだよな?

じゃないと中身を見るのすら怖いんだが?

 

いえ、こちら中身も外見も全て本物ですよ?

 

待ってくれ。

ちょっと待てボタン!それはお詫びで渡せる物じゃないだろ!?

 

というか無造作に蓋を開けないでくれ。

中の煌めきでガチで目が潰れかねねぇ。

 

お手ごろな価格ですし。よく交換し合っていましたから気にせずに・・・ね?

 

そう言ってズイとこちらに向けて差し出されるヤベェ箱

 

庶民の感覚がないのかボタン...

 

なんとか。何とかオレと一緒に説得してくれる人は・・・

 

執事の内藤さん・・・・は未だ死んでる。

シュンキ・・・・もダメ。

トウキ、トウキは!?

 

トウキ!居るか?

 

・・・・・いつもならすぐ出てくるのに反応がない

ということはもしかしなくともサムに当てられて死んでるな。

 

最後の頼みサム!

何とか説得してくれ。そう思いを込めてそちらを見る。

視線に気づいたのか頷きを返してくれた!

 

いいの?嬉しいな!友達からのプレゼント!

 

サムぅ!!!

ダメじゃねぇか!

まともなのはオレだけか!?

 

あ、でもおんなじの無いんだね。3人でお揃いにしたいなって思ったんだけど...

 

・・・そうだ!その路線だ!

 

オレもみんなでお揃いにしたいと思ってたんだ。今から買いに行かねぇか?

 

「え・・・でも遅くなっても学校に行った方が良いのでは?」

 

いや、いいって。

一日学校休むよりも、何十万もするものをポンと渡される方が怖いから

マジで

 

そうですね。もう今日は休むと連絡も入れておきましたのでどうぞお買い物をお楽しみください

 

内藤さん!?

生き返ったのか!ナイスタイミングだ!

アシストありがとう!

 

車を表に手配しておきますね

 

有無を言わせず次につなげる!

素晴らしい手腕だ!さすが筆頭執事なだけあるな!

 

そこまでいわれるのでしたらそうしましょう。

 

ふぅ。やっと納得してくれたか。

そう思い弛緩した体に衝撃的な独り言が飛び込んでくる。

 

今日はこの中から選んでもらい

後日3人で買い物に行こうと思っていたのですが

 

 

今、恐ろしいセリフが聞こえたぞ!?

 

危なすぎんだろ!下手したらめっちゃ高価なもの2つも持つことになってたぞ。

 

頼むからもう何も言いださないでくれ。

そんな思いを抱えながら車を待つ数分間は本当に長く感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~かいものにいこう!~

<サム視点>

 

みんなでお揃いのアクセサリー買いに行こうってなってボタンちゃん家の車に乗ったんだけど、スッゴイおっきいね!?

 

普通の車とは大きさが違うよね!

とっても静かだしあんまり揺れないし

あんまり車に乗った事無いけどこれがスゴイことだってのは分かるよ!

 

飲み物はいりますか?

 

そういってひじ掛けの部分からペットボトルを取り出して見せるボタンちゃん。

へ~飲み物まで備え付けてあるんだ!

こういうの至れり尽くせりっていうのかな?

 

お、貰ってもいいか?

 

シラウメちゃんが貰うなら僕も欲しいな!

 

いろいろありますがどうします?

 

う~ん。基本水飲んでるからドリンク系とかよくわからないしオススメで!

 

オレもオススメ一つ。

 

はい、ではこの苺ミルク4,3はどうでしょうか?

 

へぇ~これがシラウメちゃんのオススメなんだね。

知ってるけど

じゃ、それ一つ!

 

僕もソレもらお!

作中設定だとめちゃめちゃ味が濃いらしくて、前から飲んでみたかったんだよね。

ハイどうぞ

 

手渡されたソレをさっそく蓋を開けて口に含む。

 

・・・・・う~ん、冷たくておいしいね!

だけどやっぱり僕に味は分からない...か

スッゴイ濃いな!?よく二人とも平気な顔して飲めるな!

 

味わうようにゆっくりと飲んでたんだけど

喉が渇いていたのか一気に口に含んだシラウメちゃんが顔をシワシワにしながらそう言う。

 

あらら...まぁ確かに水分補給には向かないよね!

でもジュースとしてなラ美味しいと思うんだけどなぁ。

 

この濃さが良いんじゃないですか?ね、サムちゃん。

 

うん。匂いも濃いしおいしいと思うよ!

 

すまん、オレには合わなかったわ…

なんて言いつつキャップを閉めるシラウメちゃん。

 

じゃあ残りは僕が貰おうかな。

ってことでちょうだい?

その手からそっと抜き取ってそのまま一気に飲み切る。

 

あ、ちょっ・・・間接キス・・・

 

何か言った?

 

いや、なんでもないぜ・・・

 

顔赤くして不思議だね?

車の中は暖房が効いてるからあったかいはずなのにね?

冷たいもの飲んで冷えちゃったかな?

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そのまま少し車で走り、高層ビルの群れが見えてきたところで行先を尋ねられる。

 

どこか他に行きたいところはありますか?

 

オレはとくにはないな...

 

僕も別に...

いや。本屋に行きたいかな?

この辺は来たことないからどこにあるかはわからないけど前に紹介してもらった本、買ってみたいと思って

 

なるほど。ではまずそちらから行きますか。いい時間ですしそのあとは昼食を摂ってからアクセサリーを選びに行きましょう

 

おっけ~、分かったぜ!

 

そっかよく考えたらもうお昼に近いんだね!

時間かかるかもしれないしはっきり目的がある方を先に済ませちゃおうってことだね!

 

ボタンちゃん頭いいね!

 

──────────────────────

<魔法少女ボタン視点>

 

「行ってらっしゃいませ」

 

運転手さんに見送られて3人で本屋まで歩きだします。

 

流石に店の入り口で降ろしてもらうのは他のお客さんにも悪いので、普通に駐車場に停車してもらいました。

と言っても駐車場から20秒も歩けば店内なのでさほど寒さを感じることはないですね。

 

手、つながない?

 

そんな風に考え、特に上着を着ることもなく歩いていればサムちゃんがそう言って両手を差し出してきます。

 

前言撤回いたします。私、とても寒いです!

なので手を繋ぎましょう!3人で一緒にです。

 

中央にサムちゃん。その両脇を私とシラウメちゃんで固める形で手を繋ぎます。そしてそのまま店内に入りました

 

二人は買いたい本ないの?

 

自分だけの買い物に付き合わせる罪悪感があるのでしょうか?

そう言ってこちらを見てくるサムちゃん。

 

オレ、あんまり活字読まねぇしなぁ。

 

私は・・・・・今回は大丈夫です。

 

ふと今なら読んでみたかった本が読めるのでは?

と思いチラッとファンタジーのジャンルが集まったコーナーに目を向けますが、いざ買うとなると少し尻込みしてしまいますね。

 

今回はやめておいて

下調べをしてから買うことにします。

 

私も、シラウメちゃんもそんな感じなので気にしなくて大丈夫ですよ。

みんなで目当ての本を探しましょう。

 

それとも店員さんに持ってきてもらいますか?

 

私が紹介した〔時転〕という小説は有名な作品ですし

在庫がないということはたぶんないと思いますが...

 

もしかしたら売り切れかもしれませんので確認してもらうのもアリだと思いますよ?

 

ううん。ほかの本も見て回りたいし店内を回ってみようと思うんだけど...ダメかな?

 

いいえ。大丈夫ですよ

見て回っているうちに私も買いたい本が出てくるかもしれないですしね。

 

そうだな、面白そうなのがあったらオレにも教えてくれ。チラッと読んでみようと思うぜ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

これであってる?

 

静かな店内を歩いている最中サムちゃんから尋ねられます。

そちらを見れば確かに〔時転〕があります。

 

はい。それで間違いありません

 

いくつもの時計が書かれた表紙は特徴的なので

かなり前に読んだ本ですが忘れていることはありませんでしたね。

 

じゃあ取ってくるね!

 

そう言って繋がれた手が離れて行ってしまいます。

あぁ・・・・少し名残惜しいですね。

 

ずっと繋いでいるわけにもいかないので仕方ないことですが...

 

 

じゃ目的のものも見つかったし、そろそろ昼飯食べに行くか?

 

店内にある時計に目を向ければすでに12時を回っています。

そうですね。私も朝ご飯を食べていないのでおなかが空いてきました。

そうしましょう。

 

会計に向かい清算を済ませます。

 

僕ちょっとトイレに行ってくるね!

 

はい、行ってらっしゃい。

シラウメちゃんの分と合わせてジュースを2本も飲み切っていましたしお手洗いに行きたくなるのは当然でしょう。

 

少し入り口で待っていましょう。

 

────────────────────

<魔法少女シラウメ視点>

 

店の入り口の近く、手ごろなベンチを見つけて座る。

さて・・・・

 

サムがいないうちに話しておきたいことがあるんだ。

 

なんでしょう?

 

首を傾げ不思議そうにこちらを見るボタン

 

サムが過剰に誰かを傷つけること怖がってるの何とかしてやれねぇかな?って思ってさ。それについての話

 

そう口に出す。

向こうも思い当たることがあったのだろう。

確かにという感じで頷く。

 

そうですよね。普通に触れても変身していたらケガしませんものね。

 

そりゃ生身の状態じゃサムの尖った爪に無遠慮に触れたらケガするだろうさ。

でも最近は鍛錬もかねて俺もボタンも日ごろから変身しっぱなしなんだぞ?

 

魔法少女の状態なら力を籠めすぎなきゃ傷一つ付かないってのに気にしすぎなんだよな。

 

さっきだって自分から手を繋ぎたいって言ったくせに

手を差し出すだけで絶対握ろうとはしなかったしな。

 

それに万が一ケガしてもボタンの回復だってあるんだから気にすることねぇっての。

まさか事故でケガさせた程度でオレらが嫌うとでも思ってんのかね?

 

そんなわけないのに...

 

だよなぁ。

・・・とはいえ気にしなくていいって伝えてんのになんにも変わらなねぇんだよなぁ...

 

「「ふぅ...」」

 

ため息が重なる。

何か案があったら聞こうと思ったんだけど

そもそもボタンだってサムの親友なんだから思いついて実行してない訳なかったな。

 

ん~むずかしいなぁ。

こういうのって本人の気持ち次第なところもあるし外からどうこう言ってもどうにもならねぇよなぁ。

 

 

お待たせ!

 

おっと。サムが戻ってきたか

 

じゃあまた後で話そう。

 

そうアイコンタクトでボタンに伝え

何食わぬ顔をしてサムに話しかける。

 

お?意外と早かったな?

 

誰も並んでなかったからね!すぐに入れたんだ!

 

へぇ。そっかそれはよかったな。

じゃ車に戻ろうぜ!

 

今度はこちらから手を差し出してみる。

握ってくれねぇかな?と期待してみるがサムは優しく掌をのっけただけ

 

・・・・・先は長そうだな。

だけど絶対何とかして見せるぜ!

ただ触れ合うだけで遠慮するなんて寂しいからな。

 

何かいい本あった?

 

私は時の魔女という本が気になりましたね。あらすじがとっても面白そうだったんです。

時を操る魔女が過去に飛んで悩みを解決するんですが

誰かを幸せにすると他のだれかが不幸になるということに気づいてから自分の生き方に疑問を持って最終的には・・・・

という感じでしたね。

 

へぇ。シラウメちゃんは?

 

オレは特に・・・・

 

そう言おうとして考え直す。

 

・・・・いや、ウサギの子って作品がちょっと気になったかな。

ふつうの人間だったのにある日自分の体がウサギになっちゃって・・・・

みたいな設定がぶっ飛んでて読んでみたいって思ったかも。

 

同じような人が集められた学園で恋を育む恋愛小説らしいからちょっと自分で買う気は起きなかったんだけどな...

 

恋愛小説を読みたいなんてちょっと恥ずかしいかも?

なんて思ったけど、よく考えたら別に隠すことじゃないしな。

 

まぁサムの買った本やボタンの読みたいって言ってた本と比べるとちょっと俗物的な内容の本かもしれないけどな?

 

車までの短い距離を歩く。

雑談しながらだったから行きより時間はかかったけれどそれでも30秒程度で車について乗り込んだ。

 

「おかえりなさいませ。」

 

次はいつものところにお願いします。

 

そう言って行き先を指定するボタン。

この辺の地理を知ってるのアイツしかいないし昼食をとる場所もお願いしてあるけどさすがに常識的な範囲で抑えてくれるだろ。

さっきいた本屋も大きかったけどそんな高級な感じではなかったしな。

 

はい、どうぞ!

 

ゆっくりと走り出した車の中

どこからかさっきは持っていなかった紙袋を2つ取り出して一つずつオレとボタンに渡してくるサム。

 

中身は何ですか?

 

ん~二人が欲しいって言ってた本!じっと見つめてたから欲しいのかなって思って買ってきておいたの。違ったら困るから一応聞いたんだけど間違ってなくてよかったよ。

 

 

マジでか!?

よく買いに行く時間あったな?

ずっとオレ達と一緒にいた・・・・・

いや、トイレに行ったときについでに買ってきたのか。

 

いただいてよろしいのですか?

 

プレゼントとして買ってきたからね!遠慮せずにもらって!

 

ありがたくもらっとくぜ!

今度お返しするから期待して待っとけよ!

 

ボタン。

プレゼントってのはこれくらいの金額で普通やるもんだぜ?高くても5桁には決して届かないんだよ。

 

そうなんですか?私の感覚ってやっぱりちょっとおかしいのでしょうか...

 

いやぁ、確かに一般庶民からしたらずれてるとは思うぜ?

でも今までの世界からしたらそれが普通だったんだろ?

 

はい、その通りです。

 

じゃあ使い分けすりゃいいんじゃねぇか?

あんまり高いものを貰うってのもオレは気疲れしちまうしな?

 

そうなんだ!知らなった。

 

ちょっと待て!サムはそっち側じゃダメだろ!?

オマエこっち側じゃないのか?

 

あんまり買い物したことなくて、僕も金銭感覚がよくわからないの。普通の家だったんだけどね。

 

そっか、まぁ魔法少女として戦ってるから金はいっぱい貰えるし

それもしょうがない・・・・のか?

まぁ。普通の家に住んでるんなら家族に聞いてみるといいぞ。

 

は~い!

 

でしたら昼食も別のところにいたしますか?

 

ここはさすがに高級すぎますかね?

そう言って示された車の窓の外にはすでに案内の準備をしている

従業員らしきすがたが...

 

いつの間にか到着していたらしい。

 

普通なら車が動いている振動やなんかで着いたか分かるよな?

でもこの車全然そういうのないんだわ。

 

見た目はそんな高級車って感じしないけど

金額聞いたら卒倒するようなやばい車なんだろうなこれも...

 

 

さすがに準備してくれてんのにそれを直前キャンセルってのは良くないんじゃね?

 

そうですよね。シラウメちゃんごめんなさい...

 

落ち込んだ様にいうボタン。

あぁ。いやいやそこまで責めたかったわけじゃねぇんだよな。

 

たまに奮発してこういうところ行ってみたかったから気にしなくていいぜ?

 

オレだって魔物倒した報酬で懐は潤ってるし問題なく入れるんだよ。

こういう高級店もな。 

 

だけどきっかけがないからさ、今まで行ったことなかったわけ。

だからテーブルマナーとかよくわからねぇから教えてくれよな!

 

僕にもよろしく!

 

はい!もちろんです。

 

オレとサムに頼られてうれしいのか先ほどの

落ち込みようは何だったのかというくらいテンションが上がるボタン。

 

よかったよかった。

気分落としたまま飯食ってもおいしくねぇからな。

 

 ────────────────────────────────

<サム視点>

 

「ご案内いたします。」

 

車を降りてすぐ、一人のウェイターさんが前に進み出て案内を始める。

 

「足元に段差ございますのでご注意ください。」

 

へぇ。そんなことまで言ってくれるんだね。

 

高そうな調度品が並ぶ廊下を抜ける間もこちらに気を配ってくれているのが分かるね。

 

ただ、そうやって注意してくれる状態でも

シラウメちゃんはもうびくびくしっぱなしでこけちゃいそう。

 

入った瞬間から何か壊したらどうしよう。

みたいな顔してボタンちゃんの後ろにピッタリくっついてる。

 

そんなに緊張することないと思うんだけどなぁ。

 

むしろ楽しまないと損じゃない?

多分本物だろうしこういうの見られるのって美術館とかだけだから機会も少ない訳だしね。

 

「それではごゆっくり」

 

だけど結局そう言ってウエイトレスさんが退室するまでずっとカチカチになってるの。

キレイだったのになぁ道中に合った壺の模様とか

飾られてた金ぴかの扇子とかさ。

 

ボタンちゃんがウェイターさんに話しかけた時なんて

わかりやすく狼狽してたしね。

 

アレは多分何かやらかしちゃったんじゃないかって

ビックリしたんだろうね。

 

水飲んで落ち着いたみたいで今は普段通りみたいだけど、注文するときに呼んだらまた緊張しだすんじゃないかな?

 

さて。皆様何を頼みますか?

 

今は一つの長机を3人で囲むように座ってるんだけど

何を頼もうかな。メニューが難しくてよくわかんないや。

 

このデルモニコってどんな料理なんだ?

 

シラウメちゃんが聞いてるのは

デルモニコ・ステーキってメニューかな?

 

確かこれ調理の仕方もいろんな説があって

それぞれの店によって販売の仕方も違ったりするから

よくわからないよね!

 

簡易的に説明すると柔らかい牛肉をグリルしたステーキ?ですかね

 

ボタンちゃんも説明が難しいみたい。

 

あんまり料理自体の説明はできないみたいで

少し量が多めなのでお腹が空いているようでしたらいいかもしれません

って補足説明してるね。

 

そっか、じゃオレはこれにしようかな

 

私も決まりました。サムちゃんは?

 

ありゃ、あと決まってないのぼくだけだ。

どうしようかなぁ。

卵料理が良いから・・・・オムライスにしようかな

 

僕もOK!

 

では呼びますね

 

卓上の小さな銀のベルを鳴らすとすぐにウェイターさんが来る。

ココも前行ったケーキのトコみたいにベルで呼び出すんだね!

 

私は洋ナシとエビのグラタン。こちらがデルモニコ・ステーキのセット。サムちゃんは・・・・

 

「僕はオムライスで!」

 

「かしこまりました。焼き加減はいかがいたしますか?」

 

ミディアムでお願いします。

 

縋るようなシラウメちゃんの視線に気づいたのか

しっかりと代わりに返答してくれた。

 

焼き加減って言われてもよく分からないよね...

どれがどんな焼き方なのかさえ僕知らないや。

 

「皆様料理の方はご一緒にお持ちいたしますか?」

 

そう聞かれても僕もシラウメちゃんも分かんないので

全部ボタンちゃんに丸投げ!

 

では、お願いします。

 

静かに退出していくウェイターさん

それを見送ってから息を吐き出す。

前のところも結構スゴイと思ったけど今回は格が違ったね!

 

焼き加減は適当に答えてしまいましたが大丈夫ですか?

 

あぁ、大丈夫むしろ助かったぜ。

 

そう言って大きく息を吐き額を拭う動作をするシラウメちゃん

 

それは良かったです。では料理が来る前にテーブルマナーを伝えておきましょう

 

お!気になってたところだ!

しっかり聞いておこう!

 

まず一番初めに伝えておくことは。ここではそんなに気にする必要はないです!

 

あら?むしろこういう高級店って厳しい印象があったんだけど...

 

常識の範囲内であれば全く問題ないです。普通にいつも通り食べてもらって全然かまいません。

一番大事なことは食事を楽しむことですから。

 

そのためにウェイターさんも外に出てもらって私達3人だけで食事できるように取り計らってもらいましたしね。

そう言って微笑むボタンちゃん。

 

最初の方で話しかけたのはソレか!

さすが気が利くね!

 

ただし、ナイフとフォークの持ち方ですね。これだけは気を付けてください。一度癖がつくと直し辛いので将来困るかもしれません

 

まずナイフとフォークをたてないこと。これをするとお肉自体が切りずらくて困ると思います。

ナイフが横に倒れるのも避けてください。

どんな刃物でもそうですが切れるのは一部分だけなので、切りずらいですし断面がボロボロになってしまいます。

できるだけ手首から一直線に伸びるように切ってみてください。

 

フムフムなるほど?

 

次に手前から奥に力を入れるように切ってみてください。

ちなみに日ごろ触れやすい包丁も一応食材の硬さによって切り方を使い分けすると良いのですが知ってますかね?硬いものは押し切り、柔らかいものは引ききりですね。

 

へぇ~

使い分けすると良いのは知ってるけど

包丁ってどっちでもとりあえず切れるから気にせずに切ってたな。

最近は触ってないけど触ることがあったら気にしてみよ!

 

最後に切る順番ですね。左側から一切れずつ。一口大に切って食べてみてください。そうすると温かいまま食べることができますよ。

 

左利きの人は逆がいいんだよね。

フォークを持つ方も逆になるから何度も刺さなくていいようにって聞いたことあるよ。

 

このくらいですかね。サムちゃんもおそらくスプーンだけでしょうから左側から食べることだけ気を付けると良いですよ

 

は~い、わかりました!

・・・・それだけ!?ほかにないのかな?

 

えぇ。ナイフとフォークだけで食べる場合もあるのですが今回は慣れていないと伝えておりますのでスプーンの事だけで問題ないと思いますよ

 

ふ~ん。そうなんだ。ありがとね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~おそろい!~

<魔法少女シラウメ視点>

 

「お待たせいたしました。」

 

サムとボタンと話しているうちについに頼んでいた料理が届いた。

 

『ゴクリ』

 

生唾を飲み込む。

 

漂う匂いは確かに美味しそうで食欲がわく。

 

・・・・・のだが本当にマナーを気にしなくていいのだろうか?

チラチラとボタンの方を覗き見ながら

ナイフとフォークを手に取る。

 

「「「いただきます」」」

 

え~っと、左側から一切れずつ。

手首を立てないように手前から奥に向かって切ればいいんだよな。

 

ナイフを肉に触れさせる。

すると『スッ』っとほとんど抵抗なく刃が進んでいく。

 

すっげぇ。こんな感覚今まで味わった事ねぇんだけど!?

 

ナイフの切れ味ももちろんあるんだけど

コレは肉の質が高いんだろうな。

 

そのまま口まで運べば洗練された味が口の中に広がる。なるほど確かに見たことない値段をしていただけはある。

今まで肉を食べた時に経験したこともないような感覚が口内で弾けている

 

だけどソレは嫌な感覚じゃない。しっかり味わって味わって味わい尽くす。

欠片さえも口の中から消えたところでちょうど声がかかる。

 

バッチリですよ!

 

そっか・・・・こんな感じでいいのか。

オレ怯えすぎてたみてぇだ。

無意識に入っていた肩の力が抜けたのを感じる。

 

 

・・・・そこからはとっても楽しかった。

上手い飯と仲いいやつとのおしゃべり。

それが嫌な奴は誰も居ねぇと思う。

 

それにボタンが多いというだけあってオレも十分お腹いっぱいになったし

ボリュームも十分だった。

 

まぁまさかデザートまであると思わなくて

ちょっと腹いっぱいになりすぎた感じはあるけどな!

 

でもとっても良い食事だったと思う!

 

--------------------------------------------------------------------

<サム視点>

 

それじゃ、そろそろ会計に向かいますか?

 

あぁ。もうお腹いっぱいだぁ。

 

そう言ってポンポンっとお腹を撫でるシラウメちゃん

一人だけセットだったせいでガッツリ量があったからね。僕達に合わせてデザートも頼んでたしそりゃ満腹になるよね!

 

また来たいな

 

良かった。自分からそういうってことは

シラウメちゃんも楽しんでくれたみたい!

ボタンちゃんもホッとしたような顔してる。

 

今回は私が支払いますね。

 

ん、頼んだ。次来るときはオレが払うわ。

 

会計でも揉めることなくそのまま進む。

まぁみんな積極的に魔物を倒しに行くから結構お金持ちだからね。5桁後半くらいまでは気兼ねなく払えるんだよね。

 

それにシラウメちゃんが嫌がるのも一方的に高額を支払われることだしこうやってお返しをするめどがあるときは何も言わないもんね。

 

次はジュエリーショップに行きましょうか。

 

車に乗り込んだところでボタンちゃんがそういう。

昼食だけのつもりが話し込んじゃって2時過ぎてるから早くしないと選ぶ時間減っちゃうもんね~

 

そうだな。でもオレの分は自分で払うからな!

 

 

ん~頑固だなぁ。

別にもらっちゃえばいいのにね?

 

・・・・・あれ、でもよく考えたらお金払った方がいいかもしんないね!

プレゼントにしてお互いに送りあえば問題は解決するんじゃない?

 

ボタンちゃんはお詫びを送りたい。

シラウメちゃんはただで高価なものを貰うのは申し訳ない

 

どっちも叶うよ?

 

ナイスアイディア!それでいこう!

 

いいですね。自分以外の相手に1個ずつ似合いそうなアクセサリーを選ぶのはどうでしょう?

 

あ、でもおんなじ部位のアクセサリーが被ったら困るか!

同時につけられないの嫌だよね?

イヤリングとか送りあってみる?

 

オレは良いけどサムってイヤリング大丈夫なのか?敏感なんだろ?

 

そう言って耳を指さして見せるシラウメちゃん。

 

・・・・穴開けたらさすがに痛いけれど

イヤーカフとかでおしゃれとしてつける感じなら問題ないと思うよ?

 

長く触れてれば慣れるしね?

 

 

そっか、ならそうしようか。イヤリングはお出かけ用。もう一つは普段使い用でどうだ?

 

おぉ、じゃあそうしよう!

普段使いするなら戦闘中もつけてられるような物ってことだよね!

気を付けないと。

 

こちらは私がシラウメちゃん。シラウメちゃんがサムちゃん、サムちゃんが私に送りますか。

 

おっけ~

 

わかった~

 

あともう一つはさっきと逆で、私がサムちゃん、サムちゃんがシラウメちゃん。シラウメちゃんが私。でどうでしょうか?

 

こっちは、送る相手のこと考えて好きなの選んでくることにしようか。オレのデザインセンス期待しててくれよ?

 

は~い。

僕はあんまり自信ないけど似合いそうなの選んでくるよ!

 

予算どうする?買ったことないからよくわからん。

 

では5万円以内でどうでしょうか?部位によって値段もまちまちですしちょっと幅を持たせておきましょう。

 

了解!シラウメちゃんに似合うデザインかぁ。

どんなのがいいかなぁ?

 

制限時間は2時間くらいか?

そうだなぁ。4時になったら入口に集合してプレゼント。

そのあとそろってイヤリングを見に行く感じでどうだ?

 

そこまで決めたところで大規模なアクセサリーショップの前で車が停まる。

今回は停車位置が店前にあったから問題なくそこで乗降できるみたいだね!

 

「到着いたしました。」

 

その声で二人も気づいたみたいだ。

あんまり店前を占領しても悪いので急いで車から降りる。

 

それでは一旦分かれて探しますか。

 

おう!時間忘れないようにな~

 

店内に入り温かさを感じ始めたところで

二人とも別方向に分かれて歩いていく。

 

僕もタイマーかけとかないとね。

 

3時50分くらいでいいかな。

それまで店内を回って探してこよっと!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

う~ん。決まらない...

 

種類は決まったんだよね

 

まずシラウメちゃんが盾を持つから指輪は候補から外したの。

 

ティーチくんみたいに自動防御不可の呪いがあるわけじゃないから戦闘中でも壊れないからね、アクセサリーはつけていられるの。

だけど邪魔になるし指輪はなしでしょ?

 

 

次にショートヘアだから髪留めも違うなってなって

ブレスレットかネックレスにしようと思ったの。

 

で、ひっかけたときに困るよね?

って思って結果ブレスレットにしようと思ったんだけど...

 

デザインが決まらないんだよね。

すっぽ抜けても困るから割とぴったりとしたデザインにしたいんだけどそうすると手首の可動域を邪魔しそうでさ。

 

あ!でもアンクレットって手もあるのか!

ソレならこれにしよう!アクアマリンとシルバーの奴!

 

石言葉も合ってるし住んでるところが海に近いから色も似合うと思うんだよね!

 

足首なら緩めでもとれちゃうことないし戦闘中邪魔になることもないでしょ!

幸いシラウメちゃんの衣装も足首見えてるタイプだから隠れちゃうこともないしね!

 

まぁ、万が一腕に着けたくてもどっちとしても使えるって書いてあるしこれなら好きなように使ってもらえるよね!

 

よし!

 

これくださ~い。

 

言われた値段も問題なかったし即決で購入。

 

そのままコーナーを出るとすでに3時45分。

早めにまっててもいいよね!ってことで入り口あたりにベンチもあるし座って待ってよ!

 

喜んでくれるといいなぁ。

 

-------------------------------------------------------------

<魔法少女ボタン視点>

 

お待たせしました!

 

私が最後だったようですね。

ですが満足のいく品を買うことが出来ました!

サムちゃんもおそらく喜んでくれるはずです。

 

じゃあまずどこの部分買ってきたかいうか?

 

わかりました。

わくわくしますね!こういうプレゼント会のようなもの、とても楽しいですよね。

 

「「「せーの」」」

 

アンクレットだよ~

指輪だな!

チョーカーです。

 

なるほど私へのプレゼントは指輪ですか。いいですね!

 

じゃあ次は箱のまま渡して一斉に開けましょうか。

 

お互いに渡しあっていきます。

どれも黒いベルベットの箱に入っていましたので間違えないようにしないとですね!

 

「「「せーの」」」

 

ゆっくりと開けてみます。

 

おや?コレは・・・

 

偶然ですがみんな似た色の宝石を選んできたようですね。

私がプレゼントしたチョーカーにはアパタイトが

貰った指輪にはサファイアが

シラウメさんのアンクレットにはアクアマリンが使われています。

 

なんとなく選んできたけどすごい偶然だね!

な~。色的に似合うな~っと思って選んだんだけどこっちでもお揃いっぽくなったな!

 

そうですね。予想外ですがこれはこれでいいでしょう。

より連帯感が増したようにも感じますしね。

 

ねぇ。さっそくつけてみない?

 

そうだな、鏡もあるし調整もしやすいからな!

 

皆普段使いできるタイプの物ですし

せっかくですからつけてみましょう!

このままショッピングすれば付け心地も分かると思いますしね?

 

じゃあまずは僕から!

 

そう言ってさっと首元にサッと装着してみせるサムちゃん。

 

おぉ。やっぱり似合いますね。

 

シンプルな黒の革製のレザーチョーカーなんですが

ベルト部分にバックルがついていてズレにくいように

なっているのがポイントでしたね。

アクセントでアパタイトが輝いているのもいいと思いますよ。

 

あぁ。似合ってる!それでオレはどうだ?

 

おや?シラウメちゃん?

ソレ腕に着けるものではないですよ?

アンクレットですから足首に着けるのですが...

 

ん?そうか?でもオレ左手の方が良いかなぁ。自分から見えた方がよくない?

 

まぁ、長さ調節用のアジャスターもついていますから

ブレスレットとして使うこともできますが戦闘中に邪魔にならないですかね?

 

大丈夫だと思うけどなぁ。

 

そう言って腕を振って見せるシラウメちゃん。

確かにほとんど揺れ動いていませんし問題はなさそうですね!

 

色合いも健康的に焼けた肌に似合っていると思いますし、デザインもごちゃごちゃしすぎずにシンプルでいいのではないでしょうか。

 

そうでしょ~、ブレスレットとしても使えるって書いてあったからね!

 

へぇ。なかなか面白いですね。

足首に着けるときはアジャスターが引っかからないようなちょうどいい長さに調節されているんですねコレ。

考えられているアクセサリーですね。

 

それで。ボタンはどんな感じだ?

 

あぁ。二人をみるのに集中していてまだつけていませんでした。

 

私はどうしましょうか・・・・

 

指輪ですし候補は沢山あるんですが

どの指にも意味があるんですよね。

 

形状的に親指、小指には付けれないとして

薬指も意味合い的にはおかしいですしつけるなら人差し指か中指ですよね。

 

う~ん・・・・・左手の人差し指にしましょうか。

精神力の向上や積極性を引き出す効果がある。

なんて言われていたはずです。

 

おぉ!似合ってる!

 

そうですね。自分で見てもよく似合っていると思います。ありがとうございますシラウメちゃん!

 

喜んでもらえて良かったぜ!

 

私の武器は魔本ですから片手で構えられますし

基本的に自分で浮いているので重さも存在しないですからね。

 

右手で構えて左手の人差し指を照準代わりにすれば

よりそれらしく戦えるのではないでしょうか?

 

そうだなぁ。次戦う時に試してみるか?

 

えぇそうしましょう。

最近はトリオとしてサムちゃんを加えての戦闘も練習していましたしそれの実戦経験も積みたいですもんね。

 

周りに被害が出るようなことをするわけにはいきませんから練度が低い状態で試すわけにもいきませんし、今までは私とシラウメちゃんで対応していたのですがそろそろ試してみるべきでしょう。これ以上訓練で練度を上げるのも厳しい状況でしたしね。

 

まぁ、そう都合よく戦えるわけでもないから今はイヤリングの方に行こうぜ。

 

 

そうですね。

みんなで探しに行きましょうか。

 

----------------------------------------------------------------------

<魔法少女シラウメ視点>

 

これなんていいんじゃないですか?

 

誰もピアス穴なんてあけてないからな。選ぶのは当然ノンホールピアスだ

 

そんな制限のある中でボタンが候補として見せてきたのはシリコンカバーの付いたもの。

 

こっちは結構飾りの部分が大きめのものだ。

まぁさすがに耳元でぶらぶらしてんのに激しく動けないからな。

元からその予定だったし戦闘中に着ける用ではなく

お出かけ用のものだ。

 

デザインはシンプルにチェーンがつながっていてその先の自由にデザインを選択できるタイプの特注のイヤリング。

 

これがいいんじゃない?

 

デザインのカタログを先に見ていたサムがこちらに見せてくる。

 

梅の花、牡丹をモチーフとした形があってオレ達にピッタリなんじゃないか?と言いたいみたいだ。

 

 

確かに魔法少女衣装も名前を意識したものになってるから全体でバランスが取れて違和感なくつけられる気がするな。

 

何よりオレ自身梅の花は好きだから気に入ったんだが

 

サムちゃんの分どうしましょう?

サムの分どうするんだ?

 

やっぱりボタンもそう思うよな。

基本的に衣装って自分の好きな物や関連してるものから取られるから向こうも問題なく気に入ってると思うんだけど問題はサムなんだよな。

 

別にオレらみたいに花の名前から魔法少女名が決められてるわけじゃないから統一感が出ないし、よく考えたら好きなマークもあんまり聞いたことなかったなって。

 

僕?僕はハートマークが良いかなぁ。

 

へぇ~好きなんだ。ハートマーク。

じゃあこれにすっか。

 

オレはサムのだからハートマークで注文するな。

私は、梅の花モチーフ。

僕が牡丹の花モチーフだね!

 

注文してみると、出来上がるまでに2週間ほどかかると言われ出来上がったら連絡を入れてくれるとのこと。

 

注文票を貰い支払いはその時にするらしい。

 

楽しみですね!

 

あぁ!こうやって一緒に出掛ける機会もこれから増えると思うしそん時につけられたらいいな!

 

そうだね~、しまう場所ちゃんと決めとこうね。

 

あぁ、そういやそうか。

結構高価なものだし何よりプレゼントだからな。

無くしたくないししっかりしまっておかないとな。

 

・・・・なんだけど

オレの部屋ごちゃごちゃしてっから片付けねぇと絶対出せなくなるんだよなぁ...

 

帰ったら部屋片づけないとダメだな。

 

このチョーカーは絶対に外さないけどね!

 

私も指輪は学校でもつけていようと思います!

 

幸い魔法少女ってのは派手なアクセサリーついてる奴も多いからな。

学校はアクセサリー禁止とかもねぇし二人みたいに貰ったブレスレットはしまわずにつけっぱなしでいいか!

 

『機関から通達、銀座一丁目付近に魔物出現反応アリ。付近の魔法少女で対応できるものは連絡を!』

 

そんな風に買い物をした余韻に浸りながら

雑談をしていたところで端末がなる。

 

ここからすぐのところです。行きますか!

 

そうだな!ちょうどいい機会だ行こうぜ!

そう口に出してそのまま店内を駆け抜けて外に飛び出す。

 

緊急事態だから騒がしくしてしまったのは許してくれ

 

じゃあ連絡入れちゃうね!

 

走りながらも連絡は忘れない。

これをしておかないと現場で混線するから

大事なことなのだ。

 

『魔法少女サム、魔法少女シラウメ、魔法少女ボタンの3名が対応に向かいます。支援が必要な場合に備えて動ける者は準備お願いします。』

 

よし、機関からの通達も来たし他の魔法少女とバッティングして動きずらくなる事もない。全力で行こう。

 

角を曲がった先の地面から

せり上がるように一つ目の巨人が腕をふり被り現れる。

 

ぼろ布を纏っただけで武器も何も持っていないが、10メートルを超える巨躯はそれだけで十分な脅威だし、その巨木のように太い腕が振り下ろされれば間違いなく被害は避けられないだろう。

 

させないけどな!

 

【スピ―ドアップ】

 

ボタンの支援を受けて一気に加速する。

 

そのままエモノを空中から取り出して割って入り受け止める。

 

『ガゴッ』

という重い音が鳴るが正直サムに比べたらそよ風程度の威力しかない。

 

スタンピード前のオレだったら耐えれはしても

結構厳しかっただろうから確かに実力が上がっているのを感じる。

 

【【パワーアップ】】

 

さらに追加の支援が飛んでくる。

強化された力で押し返すように腕を跳ね上げパリィを行う。

そうしてがら空きになった胸元。

そんなあからさまな弱点をサムが見逃すはずもなく

 

行け!

 

寸分たがわず突き刺さった拳は一撃で致命傷を与え

魔物を光の粒へと返していく。

 

『反応消失。戦闘終了です。お疲れさまでした。』

 

機関のアナウンスで完全に倒したと確認してから警戒を解く。

たまにやられたふりをする魔物もいるから最後まで気を抜いちゃいけないんだよな。

 

しっかし接敵から20秒程度で完全消滅か。サムとの連携もいい感じなんじゃねぇか?

 

割と想定通りの動きが出来てた気はするな。

 

ボタンちゃんの支援もよかったしシラウメちゃんのパリィも上手くいったよね!

 

何度も練習したしな。

ま、できない方が問題だろ。

 

アクセサリも特に邪魔になりませんでした。私はむしろあった方が狙いがつけやすいかも?

 

そうだな。

オレも特につけてて違和感はなかったぞ。

 

僕も気にならなかったよ。

 

ま、何はともあれ・・・・

 

 

『『『パチンッ』』』

 

ハイタッチだ。

 

別に意図したわけじゃないんだけどな。

なんとなく手を差し出せば2人とも同じようにしていたよな。

 

こういうところで示し合わせなくても

行動が合うあたりめっちゃ仲良し!って感じがしてオレ好きだわ。

 

・・・・・口には出さないけど...

 

さて、帰りますか。

 

ん~そうだな。

もういい時間か。明日も学校あるしこのまま解散するか。

 

あ、そうでした。ではこのまま解散にしますか。

 

あれ?そういう意味じゃなったのか?

てっきりこの場で解散するって意味だと思ったんだけどな。

 

ココだったら本部に近いからサムの家も近いだろうし

オレも経由して帰りやすいからな。

 

あれ?サムちゃんってこの辺に住んでるんですか?

 

うん。そうだよ!そういえば言ったことなかったね。

 

まぁそうはいってもオレも近場のゲートが本部ってコトしか知らないんだけどな。

 

本部前まで送っていってもらいます?

 

ん~このまま歩いていかね?

明日の放課後の予定とか立てたいし歩きでもすぐ着くだろ?

 

そうですね。では徒歩で向かいますか!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「それじゃあね~」

それではまた明日。

 

手を振りながらゲートをくぐる。

 

黒いゲートにのまれた瞬間

あれほど大きく聞こえていた二人の声が一切聞こえなくなる。

 

ま、一瞬でうちの近くの支部まで移動したんだから当然の事なんだけど

何度経験しても不思議な感覚だよな。

 

 

 

そんな取り留めないことを考えながら歩きなれた道を家に向かって歩く。

 

10分程度で見慣れたうちの戸が見えてくる。

 

ただいま~

 

『ガラガラッ』

 

少しだけ建付けの悪くなった引き戸は明けると大きな音がする。

 

この音聞くと帰ってきた~

って気分になるんだよな。何せ10年前くらいからこんな感じだからな。

 

 

ふぃ、それにしてもまだ7時前だけどめっちゃ疲れたぜ。ま、それだけ充実した時間を過ごせたってことなんだけどな。

 

「ねぇゆかり?学校は?」

 

あ・・・・・

 

待ってくれ母さん。

これには深い理由があってだな。

 

なんというかその・・・学校行くより大事な音があったんだよ!

 

だからその振り上げた握りこぶしをおろしてはくれないか?

 

「なんてね。嘘よ。お友達を助けてきたんでしょう。よく頑張ったわね。」

 

大きくなってからは久しく受けていなかった

母さんからの抱擁。

小さいころからも数えるほどしか受けたことが無い。

けどそれでも一番落ち着くソレ

 

少し涙がこぼれそうになる。

 

「夕飯出来てるわよ。手を洗ってらっしゃい。」

 

嘘。オレの瞳からはボロボロと涙がこぼれている。

それを見なかったことにしてくれたらしい。

 

「食事の時に今日の冒険。聞かせてね。」

 

あぁ。期待して待っててくれ。

とんでもねぇ大冒険だったんだからな!

 

手早く顔と手を洗って食卓に着く。

 

ボタンって友達がいるんだけどよ・・・・・・・

 

そうして話し出せばその日遅くなるまで話題が途切れることはなく次の日に差し障るからと親父に無理やり布団に叩きこまれるまでオレの口が閉じることはなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~3にんしゅうごう!~

<ティーチ視点>

 

さて、二度目のスタンピードが近づいてきましたが

皆様いかがお過ごしでしょうか?

俺の方は最近はずっとサムちゃんを眺めていたのですがめちゃくちゃ楽しそうでしたね。

 

いいなぁ。

ねぇリリンちゃん?

俺たちも学校行こうよ。見ててうらやましくなっちゃった。

 

好きにしろ。おれはいかん

 

え~どうせなら3人で行った方が良いと思うんだけどなぁ...

 

<話せるようになったんだ!?>

 

あぁ、説明し忘れてた。

意図的に入れ替わった時があったでしょ

そのあとから心の中で自由に会話できるようになってさ、最近はよく俺から話しかけてるんだよね。

 

だけどなんかこっちに来てから時間が長いからか

俺とちょっと性格が違くてやさぐれてるというかツンデレっぽいというか...

 

あんまり変なこと言ってるとぶっ飛ばすぞ

 

しかも口が悪いし態度も悪いんだよね。

今だって普通に中指立ててるからね。

それに加えて手が出るのも早いという...

 

最近なんて、実際にやらんやろって思ってたらリラを魔法で寝せて容赦なく攻撃してきたからね。

 

しかもサムみたいに俺の外に出てないから

こっちから一切反撃できないとか言うクソゲー仕様。

 

ごめんごめん。許してくれよリリン

 

そもそもがコイツ、使用できる魔法の数的に圧倒的に俺の上位互換だから喧嘩だと勝てないのよ。

威力は俺の方が全然上だからガチで殺しにかかったらまず間違いなくやれるんだけどね。

 

それで?スタンピードは参加するの?

 

おれが出ないとお前とサムだけじゃカバーしきれんだろ。しょうがないから出る。

 

だよね~。

じゃあ魔力の総量下がっちゃうし自傷回復必須かな。

 

知らん、おまえの好きにしろ。休憩時間くらいの余裕はあるだろ

 

 

ぬ~。

そう言われたらそうなんだよね。

おそらく他の魔法少女もいるし一時的に俺、サム、リリンの誰かが戦線離脱するくらいなら押し込まれるだろうけどカバーが出来ちゃうんだよなぁ...

 

う~む。今回はちょっち休憩回にするか。

本題はリリンのお披露目と俺の魔法少女機関への所属。それに伴って学校への所属でいいかな?

 

何度も言うが好きにしろ。それと一応言っておくがおれは絶対学校には行かないからな。こんな年にもなって今更中学校とか恥ずかしすぎるだろ

 

そうかなぁ?

別に精神年齢と肉体年齢は違うじゃん?

分裂した人格だし、知識はあっても経験したことの無い青春を取り戻すってのもアリだと思うんだけどなぁ。

 

ふんっ

 

あらら...

そっぽ向かれちゃったよ。

サムの人格なんてめっちゃ幼い感じで演じてるし恥ずかしがることないのになぁ...

 

とにかく俺はスタンピード終わったら学校行くからね!

 

はいはい。

 

─────────────────────────────────

<司令官視点>

 

「緊急事態です!スタンピードの予兆が出現しました!」

 

各々が仕事をしているメインルームに

そんな声が響き渡る。

 

「ツッ!?」

 

静かに息をのむ音が聞こえ、それでも誰も声を発することなく私の指示を待っている。

 

 

緊張感で空気がピリピリしてきて

未だ予兆段階でも職員の中には決戦前のような雰囲気を醸し出す物さえいる。

 

それは当然のことだ。

今も前回のスタンピードの事は記憶に新しいのだから

身構えてしまうことは仕方がない。

 

 

A班は緊急時対応マニュアルに沿って行動、それ以外は通常業務を継続しなさい。

 

事前に決めていたA班。

それはこういった緊急事態に真っ先に動く

魔法少女機関の職員の中でも一層尖った能力を持つ選りすぐりの人員たち。

 

彼ら、彼女らがやっていた業務を他の職員に分配して

緊急対応を行いだす。

 

 

それを尻目に私は普段通りの事務処理に戻る。

 

ココで自分が下手に手を出すよりも

その道の専門家に任せた方が良いとわかっているから。

 

そのうえでスタンピードが起きたときに、確実に滞る業務を事前にできるだけ処理しておくことで不測の事態に備えるためだ。

 

────────────────────────────────

<サム視点>

 

緊張するね?

 

スタンピードの門の周囲円形範囲をA.B.Cの3地区に大まかに分けられた内、僕が担当するのはB地区

 

それもボタンちゃんとシラウメちゃんと一緒にね。

 

僕は別にケガしても大したことないんだけど

二人が傷ついちゃったら困るから守ってあげないとね!

 

めっちゃ頑張るよ!

 

でも今は準備期間中だからあんまり緊張しすぎても仕方ないんだけどね!

 

おはようサム。

 

あ~!ティーチくんだ!

愛してるよ~!

 

・・・・あと内側にリリンもいるね...

おまえはさっさとどっかに行っちまえ!

 

(そんなこと言うなよ?おれとお前は一心同体じゃねぇか、仲良くしようぜ?サ・ム・ちゃん?

 

あ~!!

クソうざい!

マジで消えてくれないかな!

 

ねぇ、僕の天使?

 

どっか別のところに捨ててこようよぉ

 

 

ん~、リリンも口は悪いけど本当は優しいんだよ?なかよくしようね。

 

むぅ~

ティーチくんがそういうなら我慢するけど

こいつが優しいなんてこと絶対にありえないから!騙されてるんだよ!

 

いつか絶対お前の本性ばらしてやるからなうんこリリン!

 

は~。そんな嫌われちまうとは悲しいよおれは...

 

わざわざ表に出てきて何を企んでるのか知らないけど

絶対好き放題はさせないからね!

 

サムがBだから私はA地区、C地区にリリンでいいね

 

 

ラッキーなことに僕はB地区の真ん中だから

リリンが変なことをしようとしたらすぐに止められる位置。

 

戦闘中は僕も必死だからずっと見ていれるわけじゃないけどなるべく見逃さないようにしよう。

 

そう決意し配置に戻る。

 

そんな折『ミシミシッ』

っとスタンピードの予兆の割れ目から異音がし始めた。

 

がんばるぞ~!

 

今回は前みたいに途中リタイアなんてできないからね!

ペース配分に気を付けよう!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『ビキッ』

 

ひときわ大きな音が鳴った後に以前のように大量の魔物が出現する

 

・・・・・だけど前回と違う点が一つ。

それは空を飛べる敵がいること。

 

一体一体が大したことのない魔物でもその数は膨大で一気に空域が占領される。

 

そうなってしまえば地上戦力は膨大な被害を受けることは避けられない。

 

普通ならそれらを全部倒すのにいっぱい犠牲を必要とするのだから。

 

だけど、問題ないよ!

だって僕たちは最強の魔法少女だからね!

それもそんな『最強』がここには3人もいる。

 

【飛べない鳥】

 

ティーチくんがすぐさま重力増大化の魔法を全体にかける。

それだけでバランスを崩した魔物たちは地面に落ち、飛ぶために軽量化されたその体では身動きすることすらできなくなる。

 

わずかな魔物はそれでも必死に翼やジェットのような機構を操作し空中にとどまっているがその動きはひどく不安定で同時に攻撃を行うことなど不可能だ。

 

そして、そんな隙をリリンが見逃すわけもない。

僕も実力だけはあるって認めてるからね!

 

【ロックオンレーザー】

 

対人専用として作られた変身先とはいえどその保有魔力量はティーチくんと同じだから

いくら威力が落ちてもこの程度の魔物を一撃で仕留めることなど他愛ない。

 

それを示すように

放たれた細いレーザーが残っていた魔物たちの急所をピンポイントで貫き光の粒へと変えていく。

 

もちろん僕も何もしてないわけじゃないよ?

 

【スピードアップ】

【パワーアップ】

 

ボタンちゃんに支援をもらったあと地上に落ちた魔物たちを優先して潰して回ってるからね!

 

まぁ...呪いはキメラしか使ってないし

それも本性一切出してないから全然効率は良くないんだけどね?

 

ティーチくんと

本当に、本当に!嫌なんだけどリリンがいるから今回はまだ大丈夫かなって。

 

もちろん緊急事態になったら本気一歩手前までは出すつもりだけどできればやりたくないんだよね。

自分で見てもあんまりかっこよくもかわいくもないからね...

 

ティーチくんのは本気出しても

衣装が黒くなるだけでカッコいいのに何で僕こんなんなんだろうね?

 

リリンでさえ耳や尻尾まで真っ黒になるだけなのに...

 

────────────────────────────────

<リリン視点>

 

相変わらずですか...

 

おや、視聴者様並びにプレイヤーの皆様方

お久しぶりですね、リリンです。

 

しかし司令官も無駄な作戦を立てますよね。

ワタクシ達3人とそれ以外で交代式にすればいいのに

戦力の逐次投入などするからティーチやサムが呪いの活性化を行う羽目になるんですよ。

 

まぁ。世間体もありますし

そもそも魔法少女自体が戦わずに見ていることなど

できない性格の子たちばかりですからね。

 

まったく、その年ごろの少女達にありがちなことですが基本的に自制心というものが足りないんですよ。

 

ワタクシ達だけで全て賄えるようになっているのに変に出しゃばって...

 

論理的に考えれば控えに居ることが一番戦力になるということが分からないんですかね?

 

まぁ、サムやティーチがいくら傷つこうと

関係ないのでワタクシから口に出して誰かに伝えることはありえないのですが...

 

<そんな言い方ないんじゃない?>

 

おや?不愉快にさせてしまいましたか?

それは申し訳ありません...

今回のプレイヤー様方は優しい方らしいですね。

【魔弾の射手】

前回はむしろこういった陰口を楽しまれる方だったのですが...

失礼しました。少し厄介な敵が居た物で

話が途切れてしまいましたね。

 

それで、皆様方は何が気に入らなかったのでしょう?

 

<まず頑張っている魔法少女達について必要ないなんて言ったこと>

 

そうですか。

確かに努力は認めるべきでしたね、申し訳ございません。

 

<はい。次にサムとティーチについてどうでもいいなんて雑な扱いをしたこと>

 

あら?

皆様ご存じなかったのですね。

 

<何を?>

 

・・・・・そういえば申し上げていなかった気がしますね。

 

では、説明させていただきますが

ワタクシも含めましてサム、ティーチは死ねません。

体力が0になろうが何だろうが死ぬことは不可能です。

 

何せ3人とも主人公ですから。

誰かが欠ければゲームのストーリーが進行しなくなってしまいます。

これも以前説明した世界の強制力という物です。

 

例えると、ゲームのコンティニューみたいなものですね。

少し違いますのが残基などの制限が一切ない点です。

ですからゲームオーバーなんてありえないんですよ。

 

 

なので体力も魔力と同じようにコストとしていくらでも使えますしティーチもサムも薄々そのことを感じていますから自分が傷つこうと致命傷を受けようと一切怯まずに動き続けますよ。

 

そしてそれはワタクシも同じです。

ただ痛いのは嫌なのでけがをするときは一時的に感覚を麻痺させたり一撃で即死したリしますがね。

 

<・・・>

 

納得いただけましたかね?

それではさん切り替えお願いします。

────────────────────────────────

<ティーチ視点>

 

うん。飽きた...

 

いや、別に無双ゲーは楽しいんだよ。

だけどさぁ行き過ぎるとつまらなくなるものでして...

 

【空間圧縮】

 

例えばさぁ。

レベル上げて無双ゲーになりました。

≪戦う≫コマンドを連打するだけで勝てます。

 

そんな状態になったらそのゲームもうやめるでしょ?

強敵と戦う時に回復とか防御とかバフとかなんも気にしなくなったらそれはただの作業じゃん?

 

【風化空間】

 

しかも今やってるのってリアルなわけで

どの魔法選択しても敵を殲滅できるけど脳死でできるわけじゃないっていう絶妙な面倒さもあるんだよね...

 

ゲームの中でもリアルに近いタイプの無双ゲーなら、コマンド入力で工夫してTAしたり強敵相手だと攻撃ボタン連打だけじゃ倒せなかったりして難易度調節がされてるわけじゃん?

 

この世界にも一応そのタイプのBOSSクラスはいるんだよ。前戦ったヌシの事だね!

 

【落空】

 

だけど今回ラストにしか出ないの...

しかも出現タイミング知ってるからリスキルする予定なんだよね。

 

俺が即死させなくてもリリンかサムがぼこぼこにするから手加減して苦戦もできないし

 

つまんないなぁ...

 

 

 

【死界】

 

あ、ヤバイ。

魔力無くなってきちゃった。

 

えっと

適当にリスカでいいかな?

 

【断空】

 

おっけ。

1割くらい補充完了。

この程度のケガじゃ曇ってくれる子いないだろうし雑に流していいでしょこんなの。

 

みんな人生で一度はやったことあるだろうしね。

俺も小さい頃は日に2,3回はやったことあるからね。

 

まぁバレてこっぴどく叱られたからそのあとやってないんだけどね?

 

そのせいでちょっと感覚ミスって深くやりすぎたかもしれないけどすぐ直るし問題ないよね!

 

というかもう直った。

傷一つないつるつる手首だよ。

 

ホントはギュって手を握ると

線に沿ってじんわり血が珠になるのが好きなんだけどね。

 

この体になってからはいくら自傷しようとす~ぐ治っちゃうからなぁ。

 

前にやったみたいに意図的に呪いの効果を弾くのも

ちょっと無理があるからこの程度の遊びに使いたくないしね。

 

【ディラックの海】

 

飽きたなぁ...

 

───────────────────────────────

<サム視点>

 

ボタンちゃんもシラウメちゃんも戦線離脱しちゃった。僕はまだまだ余裕あるんだけどな?

 

目の前に湧き続ける雑魚敵を片手間に処理しながら考える。

 

受け入れてくれるかな?

呪いくらいなら大丈夫だけど

僕の本性の一部見せちゃっても大丈夫かな?

 

だんだんと周囲で戦っている魔法少女の数が減ってくる中変わらずに考え事をしたまま戦い続ける。

 

・・・・うん。決めた

この後もしヌシが倒しきれなかったらちょっとだけ見せてみよう。

 

首に巻いたチョーカーと

耳元で揺れるイヤリングを触ってその存在を確認する。

 

 

僕は二人の親友の言葉を信じるよ!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ワリィ、待たせた。

お待たせしました。戻りましたよ

 

あ、おかえり~

ちゃんと休憩できた?

 

おぉ、バッチリだ!防御は任せとけ

はい、8割程度まで回復しました。支援はお任せを!

 

 

そっか。それはちょうど良かった。

そろそろ・・・・

 

『バキンッ』

 

ヌシが現れるから。

 

「「「「「「「ッツ!?!?」」」」」」

 

周りの魔法少女ちゃん達が息をのむ声が聞こえる。

だけどそんなに心配することないよ!

 

【エンド・オブ・ザ・ワールド】

 

だってティーチくんがいるからね!

 

アジ・ダハーカだっけ?

多分そんな名前だったはずのBOSS敵がティーチくんの魔法で一撃で瀕死になる。

 

かっこいいよ~!!!!

やっぱティーチくんは最高だ!

前は苦戦した敵なのに一撃だもんね!

 

あとは僕たちでとどめを刺せば終わりだし

僕も殴りに行こう。

ストーリー上だとこれで終わりのはずだからね!

 

そう思い地面を蹴って飛び上がったその瞬間

 

 

『バキンッ』

『バキンッ』

 

未だ消えていなかった裂け目から2度異音が響く。

 

それを機にスタンピードは終了したがそれどころではない

 

追加で2体もヌシが出てくるの!?

僕こんなの知らないよ!

 

このヌシたち自体は知ってるけど

これから出てくる奴でこんなところで出てくるはずないもん!

 

サム、c側のミラー・トラペゾヘドロンをやれ。おれはA側のバイオスライム、ティーチはアジ・ダハーカの処理!その後手の空いたものから救援に!

 

うるさい!命令するな!

 

はいはい。じゃあお願いしますよ?サムちゃん?

 

左の敵は物理攻撃が効かないし

右の敵は逆に物理が弱点。

 

口ではそう言いながらも

僕が戦うべきなのは右の敵だとわかってる。

 

左の鏡みたいな敵に行くよ!

 

おっけ!

わかりました!

 

だから迷うことなくそちらへ駆け出していく。

 

その最中でも頭の中を不安がグルグル回る。

 

ねぇ、ボタンちゃん。シラウメちゃん。

 

あぁ、なんだ?

なんでしょうか?

 

問いを投げかける。

 

僕がどんな姿でも友達でいてくれる?

 

 

さっきはちょっと見せてみるなんて決めておきながら

僕はやっぱり尻込みしてしまうのだ。

 

 

なんだ?変な質問だな。オレは誰であろうが見た目で判断しねぇぞ。

前も言いましたけど私、サムちゃんから絶対離れる気はないですよ!

 

だけれどそんな風にきっぱり言い切られた言葉に

僕も覚悟を決める。

 

未だ雑魚敵は地上に残っている

そんな中を走っているわけだから二人とも表情に余裕はない

何しろ敵味方問わず攻撃が飛び交う中を走っているのだから。

 

だけれども質問にちゃんと答えてくれた。

こんな危険な時に意味の分からない質問をした僕にだ。

 

なら僕も二人の信頼に応えなくちゃダメだよね!

 

そっか。ありがとう

 

『Grrrrrrrrrrrrrrrrrr』

 

喉の奥から唸り声が漏れる。

 

『ミシミシ』

 

と音をたてながら鋭さと大きさを増す

自分の掌。

だけれど抑えることなんてしない。

 

『シュルルルッ』

 

尻尾の蛇の威嚇音に合わせるように僕の身体が

入れ物から漏れ出てリボンの様にあたりを漂いだす。

 

へぇ、不思議な確認するからなんだと思ったらカッコいいじゃねぇかよ!

素敵ですね!とっても強そうです!

 

受け入れてくれた。その悦びに

 

『グォォオオオオオオオン!!!』

 

歓喜の咆哮が響きわたる。

僕はもう迷わない!

 

行ってくるよ!みんなの事任せたよ!

 

極太の光線を放とうとしている敵

だけれどシラウメちゃんなら確実に弾き返せえるはず!

だからここは任せて僕はアイツを倒しに行く。

 

あぁこっちは任せろ!誰も傷つけさせやしないさ!

 

「ありったけの支援です!受け取ってください!」

 

【スピードアップ】

【パワーアップ】

【リジェネ】

【ディフェンスアップ】

 

踏みこんだ地面が陥没する。

ものすごい勢いで景色が後ろに飛んでいく。

 

あれほど離れていた距離が一歩で半分ほど縮まる。

 

もう一歩!

そうして先ほどと逆の足を踏み込んだ瞬間。

 

『キュワンッ!!!』

 

と特大のビームが発射される。

 

だけど焦る必要はないもん!当たっても意味ないしね!

 

そのまま受けようとする。

 

だけれどリボンの一つが動き出し近くの建物に突き刺さりそのままグイっと体が引っ張られ無理やり掠めるような軌道に変えられる。

 

 

別にそのまま受けても良かったんだけどな?

というかそっちの方が効率的だし僕はそうするつもりだったの!

 

・・・・だけどなんか無意識に避けちゃった...

 

 

まぁいいや。

 

よいしょぉ!!!!

 

スピードを保ったまま空中に浮いた凧形二十四面体の敵に拳を突き出す。

 

見た目とは違いとても高い耐久を持つその体は

それでもちょっぴり本気の僕の前ではただの鏡といっしょで

 

『パリンッ』

 

という軽やかな音をたてて何もないスカスカのその内部に僕を通してしまう。

 

こうやって内部に入ってしまえばもう楽勝だ。

だってこのヌシは内側に攻撃ができないから。

 

四方八方に伸ばして突き刺したリボン

それに引っ張られ縦横無尽に内部を暴れまわる。

 

そうしていればいつの間にか光の粒となって

消えて行ってしまった。

 

 

開けた視界の中

同じようにバイオスライムもアジ・ダハーカも光となって消えていっているのが見える。

 

既に雑魚敵は全部倒されたみたいでもうどこにも戦闘の音は聞こえないね!

 

つまり

 

 

『戦闘終了!被害なし!私たちの完全勝利です!!!』

 

 

「おぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

勝鬨が空気を揺らす。

その場に居た魔法少女だけでなく世界中全てが勝利の喜びに沸いていた。

 

そんな中僕はただ一人、目的の人物たちを探すために

走っていた。

 

と言っても場所は分かってるから

そこに跳んでいったと言いうのが正しいんだけどね!

 

「やったな!」

「やりましたね!!」

 

『パチンッ!』

 

やっぱり最後はハイタッチだよね!

 

そのまま自分から抱き着いて喜び合う。

未だ戻していない爪はリボンでぐるぐる巻きにして危なくないようにしてからだけどね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~まわりのみんな!~

<司令官視点>

 

「2枠のステータス計測器、準備できました!」

 

わかったわ。もし撮れたなら一旦私だけに表示して。

 

 

スタンピードが始まる直前

認識疎外なしで現れた魔法少女ティーチと

いつの間にかその隣に現れた黒い靄。

 

会話からしておそらくそれが魔法少女リリン本人であろうことは分かっている。

 

だけれど以前ティーチちゃんの事を計測した時と同じようにリリンちゃんのステータスが出ないため断定ができないのだ。というかそれ以前の問題でステータス計測ができない。

 

だから常に計測器の一枠を使いリリンちゃんの事を補足し続けている状態にしている

なぜなら認識疎外を解除した瞬間があるなら計測できる可能性があるからだ。

 

ココで一番問題になってくるのが表示されたステータスが改竄されている可能性があること。

 

サムちゃんがそのパターン。

だからもう1枠をサムちゃんに宛がっているの。

 

このパターンの可能性が判明した理由は単純なのだけど、以前の質疑応答で逆行してきたことが分かったでしょう?

なのにそんな呪いは計測した時に表示されていなくて

 

本人に確認してみたら何もしてないよ?っていうんだけど目は泳いでるし気まずそうに指先を合わせているしで嘘をついていることが明白だったの。

 

だからサムちゃんに本来のステータスを測定させてほしい

って頼んでみたのだけれど断られてしまって...

 

騙しているみたいで申し訳ないのだけれど

こうやって戦闘中に計測できる瞬間がないかと機を伺っているわけね。

 

私も正直やりたくないのよ。

本人がとても嫌がっているしね。

だけれどこうやって無理やりにでも測定しないといけないの。申し訳ないのだけれどね...

 

どうしてそんなに正確なステータスの閲覧に必死になっているかというとね

それがないと魔法少女機関の交代ルーティーンに組み込めないからなの。

 

個人個人に渡しているデバイスは、常にそのステータスを参照して魔力が危険域になったら自動的に知らせてくれる機能がついているのだけれど

それってステータス計測器のシステムの流用だから改竄されたりそもそも表示されない魔法少女ちゃん達には意味がないでしょう?

 

ティーチちゃんとさっき話したときにデヴァイスを2つ渡したのだけど、片方のティーチちゃんがつけている方は正常に動作しているのにもう片方、リリンちゃんに着けてもらった方は一切動作すらしていないからね。

 

だからせめて魔力の最大値だけでも把握したいのよ。

そうすれば使った魔力から逆算して無茶しないように静止できるかもしれないからね。

 

問題は性格的にサムちゃんでさえ静止に従うとは思えないこと

ティーチちゃんは言わずもがな、リリンちゃんは分からないけれど他の二人を考えれば無茶をし続けちゃうタイプの可能性が高いわよね。

 

というか魔力が減ってきても戦闘継続可能なのも問題なのよ!

何でかって言うとね?前の計測の時、呪いで魔力の高速回復の効果があったのだけれどそれの効果がとんでもないから!

だってね?その時は呆然としちゃってて把握してなかったんだけど録画を見返したら秒間10万近く回復してたの。

 

少し攻撃の手を緩めるだけでむしろ回復していくレベルだったのよ?

だからずっと戦場で戦い続けれるの!

 

私としては絶対に休憩してほしいのよ?

でも無理やり休憩させるというのも不可能なのよ!

 

まず、物理的に無理やり休憩させるのは

誰も実力で勝る子が居ない以上不可能でしょ?

 

 

次に戦力的に考えると誰か一人でも抜けると

その穴を埋めるための戦力を捻出するのがとても大変なの。

 

めきめきと魔法少女ちゃん達も実力を上げているのだけれど現状、ティーチちゃん一人とそれ以外の魔法少女で戦ったとしても確実に勝てない。そう言えるくらい実力に差があるの。

 

サムちゃんにしてもそう。

常に最前線で全力で戦い続けれる子って他には絶対に存在しないわ。

それにティーチちゃんの陰に隠れているけれど

サムちゃんの戦闘力はとても高いの。

一撃一殺を常にできる子なのだから

 

本人たちが休憩を取りたいというならば

交代要員を捻出することは可能だわ。

 

だけれど人の心を捨てて機械的に考えるのなら

戦い続けてもらう方がよっぽどリスクを減らせるの。

 

だから現状彼女たちの好意に甘えて頼りきりの状態になるしかないってこと...

 

こういう時本当に司令官という責任ある役職に就いたことを後悔するわ...

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『ピ―!!』

 

ついにティーチちゃんに渡していたデヴァイスからの警告が響く。

 

[魔法少女ティーチ]

 

 年齢:8+19

 

 体力:6000/6000

 

 魔力:29185698/145928491

 

 固有能力:魔法強化

 

 属性:時空属性

 

念のためにステータスを計測してみるが確かに

魔力残量が2割を切っている。

 

今回は空中戦力が出現したため高頻度で魔法を使っていた。

なので必然ではあったのだが正直辛いところではある。

 

ティーチちゃん、いったん休憩に入りなさい

 

休憩への勧告をする。

だけれど帰ってきた返答は

 

要らない、回復するから

 

その一言のみ。

想定の範囲内ではあるが”やはりそうか”

という落胆が胸内に満ちる。

 

だけれどそのあとの行動については

全然予想もできていなかった。

 

【断空】

 

彼女がよく使う単体魔法が放たれる。

だけれどその対象は敵の魔物ではなく彼女自身。

 

すっぱりと手首から上が消し飛んで流血が飛び散り

瞬きの間に再生した。

 

本当に一瞬の事だったからちょうどカメラでの映像を見ていた私にしか気づけないだろう。

だけれどそれが見間違いではない証拠が確かにある。

 

[魔法少女ティーチ]

 

 年齢:8+19

 

 体力:6000/6000

 

 魔力:59185698/145928491

 

 固有能力:魔法強化

 

 属性:時空属性

 

未だ計測中だった画面に映った魔力値は先ほどの2倍近くまで急激に増えていることだ。

 

つまりあの自傷行為で強引に急速回復したのだ。

どうしてそれで回復したのかそれはすぐにわかった。

 

魔力炉[魔力常時高速回復 体力の減少で爆発的に魔力回復 変身解除不可]

 

少し下に目を向ければその答えがあったのだから。

 

【ディラックの海】

 

そのまま戦闘に戻る彼女を尻目に早鐘を打つ心臓を隠すように胸を押さえあたりを見回す。

幸いあの時中継を見ていた職員は私だけだったようで

他に気づいた職員はいなかったみたいだ。

動揺している職員はおらず各々の仕事に集中している様に見える。

 

それならばこのことは私の中だけで納めておけばいい。

 

表に出したところでろくなことにならないのは目に見えているのだから。

ココで職員に知らせる必要はないだろう。

 

------------------------------------------------------------------------------

<魔法少女シラウメ視点>

 

ワリィ、待たせた。

お待たせしました。戻りましたよ

 

何度目の戦線復帰だっただろうか

ボタンと一緒にサムの近くまで走ってくる。

 

これでも前回よりはましだがなぁ。

サムの奴を一人戦場に残して戦線離脱すると本当に悔しくてたまらなくなるんだよ...

 

何度も戦線復帰しているってことはその分戦線離脱してるってことだからさ。

それだけ悔しい思いを今回も味わってる。

 

遥か彼方で戦い続ける薄らとした靄とティーチさんの事をちらっと視界に入れる。

オレも呪いがあったら...

 

何考えてるのか分かるけどソレはダメだよ?

 

心を読まれているかのようにストップがかかる。

 

僕たちを見て感覚がマヒしてるのかもしれないけどコレは本当に奇跡なんだ。だから絶対にソレを口に出しちゃだめだよ。

 

ココまで真剣な眼差しは見たことが無い。

それくらいの強い意志を込めた目と否定の言葉

 

あ、あぁ。

 

たじたじになりながら肯定の言葉を口に出す。

 

気まずい空気が流れたところで

 

『バキンッ』

 

という今までとは違う魂の奥底から震えがくるような音がする。

 

咄嗟に音が聞こえた方。

つまり空間の割れ目がある方を向けば

無理やり這い出して来るように亀裂を広げながら出てくる大きな影が一つ。

 

よく見なくてもその正体はわかる。

だって最近も見たことがあるのだから。

 

「「「「「「「ッツ!?!?」」」」」」

 

思わず息を呑む

期せずしてタイミングがあったようで

同様に周りの魔法少女達も驚愕に震える気配がする。

 

アジ・ダハーカ

そう名付けられた魔物

それとの戦闘は依然と比べてさらに厳しいものとなるだろう。

ただでさえ長時間の戦闘と休憩の連続で精神的な疲労も大きい。

 

そのうえで出現値は海上ではなく地上。

相手が動けば動くほど大きな被害が出る。

 

それをティーチがとどめを刺す準備ができるまで食い止めなければならないのだから...

 

大丈夫だよ~準備できてるからね~

 

のんびりとサムがそう言う。

 

【エンド・オブ・ザ・ワールド】

 

次の瞬間、そこには宙があった。

その中心にはなぜか玉座があり場違いなフルートの音が聞こえてくる。

 

 

コチラ側は背もたれ側で座している者の姿は見えないのに寒気がしてたまらない。

だけれどその向こう側を見たいという気持ちが抑えられないほど湧いてくる。

 

一瞬で魔法の効果が終わり

そんな情景は搔き消えた。

なのにオレの心臓は早鐘の様に撃ち強制的にその魔法の効果を理解らせられる。

 

アレは継続型だ。

本来はあの恐ろしくも魅力的な存在を相手に認知させ続けるのだ。

 

あぁ。それはなんと甘美なことだろう。

だけれど同時に正気を保つことはできないだろう。

 

それでもいい。

もう一度、もう一度感じさせてほしい

見せて欲しい。そしてオレを・・・・

 

大丈夫?シラウメちゃん?

 

あ?

あぁ。オレ何してたんだっけ?

 

ティーチくんの魔法を見て呆けてたんだよ?そんなにすごかった?

 

ん・・・

思い出せねぇ...

 

えっと何があったんだっけ?

 

『バキンッ』

『バキンッ』

 

だけれど記憶を引き出す前にさらに異音が響く。

先ほどと同じ魂の奥底から震えるような音のはずなのに全く恐ろしいとは感じなかった。

 

それより恐ろしいものを知っている気がしたから。

 

左の鏡みたいな敵に行くよ!

 

だからサムの言葉にすぐ反応して動き出すことができた。

そしてサムの異変に気付くこともだ。

 

・・・・なぁ。どうしてそんなに怯えてるんだ?

いや、違う。何に怯えてる?

 

 

戦ったことの無い超巨大な魔物。

おそらく機関の区分ではヌシという扱いになるんだろうそれを相手にするのが怖いのは分かる。

 

だけれどサムは未来を知ってるんだろ?

それにさっき出たアジ・ダハーカとか言うヌシにも一切怯えてなかっただろう?

ならこいつにだけ怯える理由が分からねぇ。

 

 

 

地上にはまだ魔物が残っている。

そんな中を最短直線距離で走っているから流れ弾や

魔物の攻撃が飛んでくる。

 

【スピードアップ】

【スピードアップ】

【スピードアップ】

 

オレら3人にボタンが支援をかける。

流れ弾や魔物の攻撃ならオレがいくらでも弾けるが

他の魔法少女の射線に入っちまうこともあるから回避を最優先にするつもりなのだろう。

 

たいていの追いかけてくる魔物は速度で突き放して

撒けない奴は攻撃をオレが防いでサムがその隙にとどめを刺して。

 

そんな状態だから当然体力も精神力もガリガリ削れてく。

だけれど親友の不安そうな問いかけに答えないわけにはいかねぇよなぁ!

 

 

ねぇ、ボタンちゃん。シラウメちゃん。

 

あぁ、なんだ?

なんでしょうか?

 

間発入れずに答えたその言葉は奇しくもボタンと被る。

いや、必然的に。だな

ボタンの奴の方がたった一日だけだけど付き合いは長いしオレが気づいたんだ。気づかないはずがねえ。

 

僕がどんな姿でも友達でいてくれる?

 

 

さて、どんな質問が飛んでくるだろうか?

そう少し身構えていたので拍子抜けしてしまった。

 

 

なんだ?変な質問だな。オレは誰であろうが見た目で判断しねぇぞ。

前も言いましたけど私、サムちゃんから絶対離れる気はないですよ!

 

たとえお前が呪いのせいでどんな姿になったとしても

それはお前自身だろ?

ならオレはその状態でも普段通り接するぞ?

 

えぇ。私もそうです。というかそんなことで悩んでいたんですか?

見た目程度で態度が変わると思われていたなんて少し悲しいです...

むしろサムちゃん。あなたから離れようとしたら許しませんからね。

 

ちょっとボタン...

なんかヤンデレっぽくて怖かったぞ?

サムもさすがにそれは怖がるんじゃないか?

 

ううん、とっても嬉しいよ。ありがとう。

 

オマエもそれでいいのか...

そんな風に内心あきれていると

 

じゃあ、見せるね。

 

そんな風に声をかけられる。

 

それと同時に

 

『Grrrrrrrrrrrrrrrrrr』

 

とサムの喉の奥から唸り声が漏れだし

見た目が変わっていく。

 

『ミシミシ』

 

と音をたてながら鋭さと大きさを増すその掌。

だけれどより野生に近づいたような・・・

狂暴性を増したようなその姿はむしろ

カッコいいくらいだ。

 

『シュルルルッ』

 

尻尾の蛇の威嚇音に合わせるようにサムの腰あたりから黒いリボンのようなものが何本も伸びてくる

あたりをゆらゆらと漂うそれは見た目にはさほど耐久性がなさそうに見えるが実際はそんなことはない。

 

何しろ20メートルほど先から攻撃を仕掛けてきた魔物。

それを敵の放った岩ごと両断してみせたのだから。

 

へぇ、不思議な確認するからなんだと思ったらカッコいいじゃねぇかよ!

素敵ですね!とっても強そうです!

 

本心からそう口に出す。

どんなゲテモノが出てくるかと思ったが全然だったな。

むしろ戦闘スタイルって感じで

オレは好きだぞ、その姿も。

 

『グォォオオオオオオオン!!!』

 

喜びの声が混じった咆哮を上げるサム。

 

行ってくるよ!みんなの事任せたよ!

 

極太の光線を放とうとしている敵

それをオレに任せるって言われちまった。

 

・・・・・あぁいいさ!やってやろうじゃねぇか!

 

あぁこっちは任せろ!誰も傷つけさせやしないさ!

 

ありったけの支援です!受け取ってください!

 

【スピードアップ】

【パワーアップ】

【リジェネ】

【ディフェンスアップ】

 

ものすごいスピードで駆け出しいく。

いや吹き飛んでいくサム

すぐに遥か彼方へと行き豆粒のようにしか見えなくなる。

 

だけれどそれを見ている余裕はオレにはない。

 

【リジェネ】

【ディフェンスアップ】

 

来ますよ!構えて!

 

あぁ。わかってるぜボタン。

ココでオレの魔法も全開だ!

 

【ワイドガード】

 

盾の範囲だけじゃ足りねぇ。

だからこれで単純に受けれる範囲を広げる。

本来の盾の範囲それをはるかに超えて

透明な障壁が広がる。

 

次の瞬間

 

『キュワンッ!!!』

 

という音をたてて光線が放たれる。

軽い音に対してかかる負荷は大きい...

だけどこんなもん慣れてる!

 

少しだけ角度をつけて衝撃を逃がす。

そうすればほんの少しも押し込まれることなくオレの盾は光線を受け止め続けれる。

 

へへっ。この程度ならいくらでも受け止めてやるぜ!

 

そう思った瞬間衝撃が消える。

障壁の向こう側ではらちが明かないと判断したのだろう。

 

全身から光を放ちビームの発射体勢に移る敵がいた。

一部はサムが割ったようでその光が宿っていない部分もあるが

それでもほとんどの面がレーザーの準備に移っている。

 

へぇ。上等じゃねぇか

 

固有能力を発動する。

オレの固有能力はターゲット集中。

技術でカバーできる範囲なら使わねぇけど

こういう時にはばっちりな能力だ。

 

根競べと行こうじゃねぇか!

 

『キュワンッ!!!』

 

先ほどと同じように光線が放たれる。

だけれど今度はサムが割った面以外の分だ。

 

そりゃあさっきの比じゃないほどの衝撃が来る。

 

ぐぅっ!

 

魔法で展開した障壁にヒビが入り始める。

それに加えて威力に押され後ろに体がもっていかれる。

それによって地面との接地面に隙間ができて防ぎきれなかったレーザーがオレの体力をガリガリと奪っていく。

咄嗟に隙間を埋めるようにワイドガードの範囲を広げるが逸らしきれていないレーザーが地面を融解させ断続的に隙間ができてしまう。

 

汗で支える手が滑るがそれどころじゃねぇ。

このままじゃマズイ!

 

【ヒール】

【回復の風】

【治癒】

 

そんな風に思った時だ。

周囲から緑の光が飛んでくる。

それによって危険域に入りかけていた体力が急激に回復していく。

 

「任せなさい!あなたは一人じゃないわ!」

 

ボタンは回復系はリジェネしか使えないはず。

だけれど他にそっちの系統が使える奴がいたらしい。

 

【ストーンウオール】

 

さらに。照射を遮るように石の壁ができる。

1秒と保たず消え失せてしまうがそれでも少しだけ盾にかかる力が弱まる。

 

「アンタたちぼさっとしてんじゃないわよ!私達も手伝うわよ!」

 

あたりを見回す余裕なんかないが

それでも視界の端でオレが展開した障壁を一緒に支えてくれる者。

オレの前に障壁を魔法で出す者。

支援をし続ける者。

次々と魔法少女が集まってきているのが分かる。

 

「気合入れなさい!ここが正念場よ!」

 

【鼓舞】

 

同系統の魔法は重ねがけ出来ないから、誰かの固有能力だろうが全体に声が響き能力が上がった感覚がした。

 

よし。これなら全然耐えられる。

手首のアンクレットを見つめならただ一心に盾を支え続ける。

次第にかかる力は弱まっていきそしてついに

 

 

『戦闘終了!被害なし!私たちの完全勝利です!!!』

 

そんなアナウンスがかかる。

 

 

「おぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

その瞬間勝鬨が空気を揺らす。

その場に居た魔法少女だけでなく世界中全てが勝利の喜びに沸いていた。

 

周りの魔法少女にもみくちゃにされる中オレとボタンは目的の人物たちを探すために

動き出す。

 

すみません通ります!

通してくれ~!

 

そうして人ごみを抜け出した先

そこには跳んでくるサムの姿が見えた。

 

マッズイ!?

全然スピードを落とさずにそのまま近づいてくる

というより突っ込んでくるサム。

 

必死に腰を落とし受け止めたが

それでも吹き飛んで3人ひと塊になってゴロゴロと転がる。

 

だけれどオレもボタンも怒っていない。

だってサムの方から抱き着いてくれたんだ。

こんなこと始めてだからな。

 

ははッ焦りすぎだぞサム!

そうですよ。私たちは逃げませんからね!

 

ごめんごめん。早く二人に会いたくて!

 

可愛いこと言ってくれるじゃねぇか!

 

そして立ち上がった後はハイタッチ

 

やったな!

やりましたね!!

 

『パチンッ!』

 

いつも通りの戦闘終了後のルーティーン。

それを行う。

だけどそのまま会話を続けることは不可能だった。

 

だってそのまま囲まれて3人とも胴上げに巻き込まれたからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~そのよる~

<リリン視点>

 

『バキンッ』

『バキンッ』

 

ティーチが瀕死にしたヌシ。

そこに追加で二体のヌシが現れる。

 

・・・・・なるほど今回はそうなるんですね。

興味深い結果です。

 

ならば・・・・

 

目の前のヌシを完全に忘れて深い思考の中にとらわれていく。

 

時間も空間も忘れて自分だけの世界へと沈んで、沈んで、沈んでいく。

 

≪申し訳ありません。一旦戦闘の方に映像を切り替えさせていただきます。≫

 

そんなテロップが流れ、画面に映るのは他の魔法少女がバイオスライムに一斉攻撃を仕掛けている映像に切り替わる。

それすらも気づくことなくおれは頭を回す

 

 

今までこれほどの変化が起きることなんてなかったが

今回はなぜこのような変化が起きたんだ?

・・・・・いや、明白な理由があるな。

おそらく自分が3人いることによって主人公クラスのキャラクターが3人判定になったんだ。

つまりこの世界の基本ルールに引っかかったってことか。

 

               

少々お待ちください

いや、それより重要なことが一つ。推測でしかないがこれならもしかして可能性がある!

おれが知らないハッピーエンドにたどり着くのが≪終≫の条件だとしたら?

4回目のスタンピードという本来存在しないものを無事に乗り越えるだけでは意味がない?

確かにそれ以降にたどり着いたのは7回の繰り返しのうち1度もなかった。

ヌシが通っているときのみ大きく開く空間の割れ目、普通の魔物を吐き出す時にはただの亀裂でしかないそれが道になる。

その向こうに通って元凶を退治することこそがクリア条件?

親友が精神を砕いて作ってくれた道筋を無駄にするわけにはいかない。それを前提に仕込みをしておこう

 

映像の方で戦闘地域全域を覆い尽くすほどの大きさに広がった緑色の粘体がそのまま空中から質量による落下攻撃を仕掛けようとしている。

だけれどそれに対応できるはずのティーチは瀕死で暴走しているアジ・ダハーカの対応で手いっぱい。

対応できるのはリリンしかいないのに未だ考え込み動かない

 

<危ない!>

 

刺すような声に急激に意識が覚醒する。

植え付けられた習性でいかに別の事をしていようとおれはプレイヤー様方の声に反応するのだ。

普段なら内心忌まわしく思うそれだが今回ばかりは助けられた。

 

意識を取り戻した直後には目の前には高層ビルにも匹敵する巨体を広げ上から降ってくるスライムの姿が。

 

 

おっと失礼しました皆様。

警告ありがとうございます。

呆けている暇はありませんでしたね。

 

【ノクターン】

 

闇が集まりその巨体を余さず受け止める。

そのまま囲い込むように球体の形を成して外側からは中の様子が一切見えなくなってしまった。

 

いったんこれでよいでしょう

 

あとは・・・・

 

(サム、c側のミラー・トラペゾヘドロンをやれ。おれはA側のバイオスライム、ティーチはアジ・ダハーカの処理!その後手の空いたものから救援に!)

 

それぞれの役割を割り振れば問題なく処理できますね。

問題はサムがどこまで本気を出すかですが...

 

ふむ。割と気に入っているようなので問題なく倒せますかね。

 

<あれ放置してて大丈夫なの!?>

 

おそらく内側からの抵抗に合わせて膨らんだり

突き出たりしている結界の事を見ていったのでしょうが大丈夫ですよ。

囲い込んでいる闇属性の結界は弾力が高いものですから

あぁいった変形をするのは問題ありません。

 

触れている部分に部分に継続的にダメージを与える効果もございますのでこのまま放置していればいつか倒れますよ。

 

・・・・・ですがそれだと時間がかかってしまいますし

もう一つ使いましょうか。

 

【月の光】

 

こちらも継続ダメージの魔法なので少し早くなる程度ですが他に打つ手がないのでね。

 

<継続ダメージ以外は意味ないの?>

 

えぇ、それと似たようなものです。

 

このBOSSの特性について説明させていただきますが

 

覆い尽くしたものを取り込んで自分の身体に変えてしまう性質がございまして、それは地面さえも一緒なのですよ。

だからまずこのように魔法のみで隔離する必要がございます。

 

さらに一定以上のダメージは体の一部に押し付けて本体から切り離す厄介な能力がございまして、じわじわと削るしかないんですよね。

 

一般的な魔法少女の攻撃程度ならその押し付け能力が発揮されることはないのですがワタクシ達3人のレベルになりますとこういった持続ダメージを全体に照射するような魔法でないと効率が悪いので...

 

しかし鬱陶しいですね...

 

<何が?>

 

さっきからワタクシがサムに張ったステータス改竄の魔法と

ワタクシ自身に張った認識疎外+ステータス隠蔽の魔法にチクチク負荷がかかり続けてるんですよ。

 

おそらくずっとステータスの計測装置を向け続けてるんだと思いますがとても気が散ります。

 

例えると視界に前髪が入り続けてていくら整えてもまた下がってくる感じですね。

何かに集中しているときはさして気にならないですけれど微妙に気になりますよね?

 

<そもそもなんでかけてるの?>

 

それは・・・・・

 

そうですね。よく考えれば別にかけておく必要なかったです。

元々、呪いは一つでも危険なんだということを伝えるためにサムのステータスを隠蔽していただけですから今はもういらないですね。

流石にこんな人から離れた姿を見せるわけにはいかないので認識疎外を解除するわけにはいきませんがステータス隠蔽の方は解除してしまいましょう。

 

いやぁ、お恥ずかしい。

言われるまで全然気にしていなかったです。

ご忠告ありがとうございました。

 

『パリンッ』

 

おっと、そんなことをしていたらどうやらヌシが倒れてスタンピードも終わったみたいですね。

空間の歪みが割れて門が閉じていきます。

 

これで終わりですね。

早くティーチの中に戻りましょう。

 

それでは視聴者様並びにプレイヤーの皆様方、ご視聴ありがとうございました

 

ダメだよ?一緒に学校に行こう

 

───────────────────────────

<ティーチ視点>

 

ダメだよ?一緒に学校に行こう

 

フフフ。そんなに容易く俺の中に戻れるわけないんだよなぁ

バッチリ魔法で対策済みよ!

 

バカティーチ何しやがる!!!

 

ついでに転移系も対策済み。

当然リリンの考えることなら分かるんだよなぁ

だって自分だからね!

 

何が何でも学校に連れてくからね!逃げられると思わないことだ!

 

はぁ...いやだと言って・・・プレイヤー様方何を!?

 

俺には完璧に分かるわけじゃないけど

口の動きから見るにリリンの事学校に通うように説得してくれたのかな?

ありがとね、みんな!

 

わかりました...本当に!本当に嫌ですが皆様方がそう望まれるのでしたら通いましょう。

 

やったぜ!

それでは善は急げということで早速本部に行って手続きをしてきましょう。

 

サムとリリンと同じクラスになれるか分からないけれど

そこはまぁ色々と・・・・ね?

 

<何をする気なの!?>

 

そんなに心配することないよ?

俺は常識人だからね!

 

<その言葉マジで信用無いからな?>

 

 

サムは忙しそうだし二人で行けばいいか。

最悪サムと同じクラスにしてくださいって頼めば

向こうも分かってくれるだろうしね。

 

<ねぇ、聞いてる?>

 

ふんふっふふふ♪

 

<聞いてないですねこれ!鼻歌なんて歌ってとてもご機嫌ですもんね!>

 

【ワープ】

 

ちなみにそのあとはある程度はうまくいったことだけ伝えとくな!

 

──────────────────────────

 

<司令官視点>

 

今日スタンピードの制圧が無事犠牲無く済んだということで

職員を半数に分けて1日ずつ休暇が取れることになった。

 

私は前半の今日から明日にかけて全休。

 

相変わらず埃が溜まり

こもった空気が停滞する家について一息をつく。

 

窓開けないと...

 

適当に床に置いた袋の中で

カチカチと帰り際にかってきたワインのビン同士がぶつかり音を出した。

 

 

普段はこんなやけになって酒類を買ってくることはしないのだが正直もう飲まないとやってられないのだ。

 

『ガラガラッ』

 

そんな音をたてながら少し古びた窓を開ける。

 

ティーチちゃんの自傷行為の後もほかの職員のメンタルに大きなダメージを与えると思われる情報は沢山出たわ。

 

それに二人とも幸か不幸かステータスの閲覧はできたの。

 

それがこれ。

 

 

[魔法少女サム]

 

 年齢:12

 

 体力:10000/10000

 

 魔力:145928851/145928851

 

 固有能力:体力を消費し攻撃の威力を上げる

 

 属性:木

 

 呪い

:嵌合体(キマイラ)[体力10倍 体力高速回復 自己再生 異形度上昇]

:属性制限 [金・土・火・水・闇・光・時空 使用不可]

:魔力炉[魔力常時高速回復 体力の減少で爆発的に魔力回復 変身解除不可]

:味覚欠損

:睡眠不可

:いびつな心[縁切り 感情制御  異形度上昇]

:人格分裂

:魔法強化(獣)[魔法効率上昇  異形度上昇]

:狂化(バーサーク)[防衛機構無効化 緊急離脱機構無効化 逃走不可 体力回復速度上昇 精神汚染]

:感覚鋭敏化[5感の強化]

:無関心[トリガーによる記憶の消失 異形度上昇]

:歪んだ愛[特定条件下で精神に対する外的影響完全無視 異形度上昇]

:暴走[精神異常 与える物理ダメージを強化 異形度上昇]

:埒外の獣[物理攻撃を魔法攻撃として換算 ダメージ倍率上昇 異形度上昇] 

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

:逆行者 [希望を抱き、見届けるために過去に戻った者]

 

:縛り付けられた魂[荳也阜縺ォ邵帙j莉倥¢繧峨l豁サ縺ャ縺薙→繧定ィア縺輔l縺ェ縺上↑縺」縺溷ュ伜惠]

 

 

 

サムちゃんの分だけでもモニターに現れた瞬間共有するの辞めたわよ。

 

 

さらにはリリンちゃんの分

 

 

[魔法少女リ:rinn]

 

 年齢:7+27

 

 体力:10000/10000

 

 魔力:14592830/14592830 n+EROOR/n+EROOR

 

 固有能力:武器の形状変更

 

 属性:全属性

 

:嵌合体(キマイラ)[体力10倍 体力高速回復 自己再生 異形度上昇]

:属性制限 [金・土・木・火・水・闇・光・時空 使用不可]

:属性覚醒[金・土・木・火・水・闇・光・時空  使用解禁 強化]

:魔導炉SIN[魔力常時超高速回復 体力の減少で爆発的に魔力回復 変身解除不可]

:感覚喪失[5感の完全消失]

:感覚覚醒[5感の超強化]

:睡眠不可

:諦観[縁切り 感情制御  異形度上昇]

:人格分裂

:魔法強化(獣)[異形度上昇 魔法効率上昇]

:狂化(バーサーク)[防衛機構無効化 緊急離脱機構無効化 逃走不可 体力回復速度上昇 精神汚染]

:理を知る者[トリガーによる記憶の消失 異形度上昇]

:絶望[異形度上昇 特定条件下で精神に対する外的影響完全無視]

:次元の獣[時空属性強化 次元移動の影響無効化 異形度上昇]  

:呪いの支配者[呪いの付与と対象の切り替え権限]

:時間の獣[時空属性強化 時間移動の影響無効化 異形度上昇]

:二重人格[魔法演算補助 魔法効率上昇 魔法威力上昇]

:二つの魂[魔法演算補助 魔法効率上昇 魔法威力上昇 魔力上限倍加]

:罪の意識[自分を対象とした攻撃に対する防御・回避・迎撃不可] 

 

 ・

 ・

 ・

 ・

:聖騎士[体力自動回復 体力上限レベルに応じて増加 火属性強化 異形度上昇]

:聖女[水属性強化 回復魔法強化 蘇生魔法の使用解禁 異形度上昇]

:最終防壁[土属性強化 結界の能力強化 異形度上昇]

:双極[光属性強化 闇属性強化 異形度上昇]

:狂戦士[木属性強化 体力超高速回復 精神汚染 異形度上昇]

:賢者[時空属性強化 異形度上昇]

:暗殺者[金属性強化 異形度上昇]

 

 

 

 

 

 

 

 

 :逆行者 [希望を抱いて理想に溺れた者、絶望を変えて虚無に至った者]

 

 :縛り付けられた魂[荳也阜縺ォ邵帙j莉倥¢繧峨l豁サ縺ャ縺薙→繧定ィア縺輔l縺ェ縺上↑縺」縺溷ュ伜惠]

 

もう笑うしかないわよね!

 

やけくそになって叫ぶ。

そりゃあある程度は覚悟していた。

それだけ彼女たちの事情が重く暗いものだということも。

 

だけれど2人ともティーチちゃんと似たり寄ったりだと

流石にいくら心構えしていようとムリだ!

 

はは!呑んで忘れるわよぉ!

 

どうせ休みだからと栓を抜いたワインをグラスに入れずにそのままラッパ飲みする。

 

息継ぎもしないで半分ほどまで一気に飲み込めば酸欠か酔いか分からないが視界がクラクラし始める。

 

だけど足りないわ!

これじゃ記憶が飛ぶほどじゃないもの!

 

もったいない飲み方なのは分かっているが残りを一息で飲み切り空いたビンを床に適当に転がす。

 

ジャンジャン飲んで忘れるわぁ!

 

アルコールが脳に回りテンションが上がってくる。

 

まだまだ買ってきたワインはあるのだからそろそろつまみをとって来よう。

 

そう思いふらふらとした足取りでキッチンに向かう。

確かチーズが冷蔵庫にあったはずだ。

 

だけれどこんな躁鬱状態で刃物のある所に近づいたのが悪かったのだろう。

 

食器かごに入れっぱなしだったナイフが

まな板の上に取り出した包丁がとても魅力的に見えるのだ。

 

自分の精神状態が明らかにおかしいのは分かっている。

 

だけれどそれは抗いようのないほどの誘い。

いや魅了と言った方がいいかもしれない

さほど使うこともないその刃は新品同様であり

腕に沿ってスッと引けば薄皮を切り裂いて綺麗な赤を咲かせるだろう。

 

いや、もしかしたらもっと深いところまで行けるかもしれない、そして私の命を絶ち切ってくれるかもしれない。

 

その柄を手に取った時点でもう命の源が流れ出すのは決定してしまった。

だってそこまでいって我慢できるわけないじゃない?

 

『スッ』

 

左手の手首に沿って軽く引く。

そうすれば白い線が引かれすぐに紅い珠が浮かび上がってくる。

 

傷のすぐ上を包丁を手放した手でギュっと握っていれば

ぷつぷつと次々に浮かび上がるルビー

 

それをじっと見つめる。

だけれどいくら止まりづらいように抑えても

いつかは固まりどす黒い赤になる。

水で流しながらだともっと長い間かさぶたができないようにすることはできるが洗い流しては意味がないのだ。

 

それに見たければまた傷つければいい。

そら、もう一度だ。

そう思い近づけた包丁の刃を一度止める。

・・・・・・もっと深くやれば固まるまで時間がかかるんじゃないか?

 

酒が回った末の思考は愚かなことを思いつくのだ。

この時の私も一緒。

普通ならそんなの危ないから誰もやりはしない

だけれど思いっきり振り上げたその凶器を止める理性はなくて狂気に染まったまま一人の命が絶たれることになる。

 

・・・・・はずだった。

 

ストップだ。コバヤシ・リン

 

後ろから誰かに腕を押さえつけられる。

思わず軍所属時代に培った技術を使い抜け出そうとするが

相手の膂力が強すぎて押さえつけられた腕を微塵も動かすことができない。

 

落ち着け。魔法少女リリンだ。

 

それでも何とか抜け出せないかと暴れていたところに

そんな風に声を掛けられ思わず力を抜いてしまう。

 

それでいい、座って話そうじゃないか

 

その瞬間視界が一瞬暗転し

リビングにあるソファの上に座った格好で転移させられる。

正面に見えるのは誰か分からない靄。

 

だけれどそれがティーチちゃんでないことは明白で

認識疎外がまともにできる魔法少女は残りはリリンちゃんしかいないことを考えると本人なのだろう。

 

埃っぽいし暗いな。勝手に掃除するぞ

 

その言葉と共に今いるリビングの電気がつき

見違えるように部屋がきれいになる。

魔法でやったのに間違いないのだがこうした細かいコントロールでも他の魔法少女と一線を画す実力を備えていることが分かる。

 

リストカットに重度の酩酊。治すぞ?

 

クラクラしていた頭が正常な思考ができるようになってまた悲しい気持ちが溢れてくる。

 

ごめんなさい...ごめんなさいぃ!!!!

 

座っていた場所から床に頭を付けるようにして謝り続ける。

その懺悔は次第に嗚咽へと変わり最終的に愚痴になった

 

大人として何か役に立てるんじゃないかって最初はそう思ったの。

 

だから志願して自分から司令官になった。

業務内容は過酷だけどそれでも色々な魔法少女の悩みに向き合って。

戦術を考えて。

とってもやりがいのある仕事だったわ。

 

だけれど重要なことは全てあなた達3人に任せきり!

 

どれだけ情報を集めても

どれだけ努力しようとも

どれだけ早く対応しても

 

先にあなたが全て終わらせてしまう。

 

ねぇ。そんなに私たちは信用できない?

 

内心に抱えた疑問を思いのままにぶちまける。

 

だって私達にその未来の知識を話してくれれば何か対応できるかもしれない

なのに誰一人としてそれを話そうとはしなかった...

 

サムちゃんに教えて欲しいと心を込めていったこともある。

だけれどごめんね。教えられないって言われただけだった。

 

ティーチちゃんに教えて欲しいと疑問をぶつけたこともあった。だけれど聞こえすらしてないみたいに無視された。

 

リリンちゃんは誰に頼ることもなく、其の手を汚し続けている。

 

そんなことねぇけど言っても分からないと思うぜ?

 

どういうこと?

 

次の犯罪が起こる場所は????だ。聞こえたか?

 

なに・・・これ...

何か話していることは分かるけど何を言ってるのか分からないわ。

 

逆行の呪いがないと聞き取れないんだよ、未来の知識はな。

スタンピードはどのみちすぐに分かることだったからこっちからも声が通った。

だけど本来知りえない事は一切を伝えることはできない。

だからサムもティーチも何も話さなかったし、おれが誰かに頼ることもねぇ。わかったか?

 

そんな、そんなことってないでしょう!?

私たちは何もできないの?

手伝うことすら不可能なの!?

 

あぁ、全部おれ達に任せてくれりゃいい

 

どうして...

どうしてそんなことを受け入れられるの?

 

受け入れられてるわけないだろ?だけどそれ以上に魔法少女が大事だから処分できるだけだ。

引き金を引くたびに吐きそうになるし自分が処分したやつらの事を考えるだけで死にたくなる。

 

そんな・・・・

いっそ変わってあげられたら...

 

そうだな、そうしてくれたらおれも嬉しいよ。無意味な仮定だけどな

 

さて、それじゃ

レコーダーは切ってもらおうか。この先は内密な話だ。

そう言われ手を伸ばされる。

 

「レコーダー?」

 

確かに胸元にいつも入れているが

家に帰宅してからわざわざ起動した覚えはない。

 

あぁ、偶然か。もみ合ったときにでも電源が入っちまったのかもな?

 

そう言って取り出されたのは確かに録音状態になっているそれ

あぁ、なるほど。

さっき暴れた時に誤作動してしまったのだろう。

 

『カチッ』

 

っと音をたててボタンが押し込まれ動作が停止する。

 

さて、内密な話と行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

~けつい~

<リリン視点>

 

さて、内密な話といこう

 

いつまでも司令官にくよくよと悩まれていては困るんですよね。

それにスタンピードの対策について話さなければならないですからね。

 

まず、お前がそんな風におれについて悩む必要はない。

 

どうして?

 

普通なら疑問に思うでしょうね。

だけれどこれを言えば分かるはずです。

 

端的にいえばおれは未来のお前だ。見た目通りの年齢なんかじゃない

 

そう口に出せば

想像もしていなかった言葉だったのでしょう。

あんぐりと口を開けて呆ける司令官。

いやリンの姿がありました。

 

名前だってそうだリ:rinn。は本来の名前からとっただけだからな

 

畳みかけるようにそう言う

 

ただ、サムとティーチの事は大事にしてやってくれ。あいつらはまだ成人もしてない子供だからな

 

人格分裂の呪いはワタクシが3人できるものじゃないんです。

今までの人生での転換点の記憶を中心とした人格でして・・・・

 

サムは転生する前まで

ティーチはサム+逆行前までのわずかな期間。

おれはティーチ+逆行後全てです。

 

だから3人とも性格は違うし経験だって違います。

 

不思議に思いませんでしたか?どんな経験をしても一切性格の変わらない彼らのこと。

人というのは皆成長するうえで少しずつ好きなもの、嫌いなものを作り性格や趣味嗜好が変わっていきます

ですが彼らにはそれがない。所詮紛い物の命ですから成長も劣化もあり得ないのです。

どれほどつらいことがあっても、トラウマになるような出来事が起きても・・・・ね?

 

ですからどれだけこの世界で過ごそうともあいつらはただの子供でしょう?

ワタクシだけが成人なんです。

 

まぁ、人格分裂の呪いの事はプレイヤーの皆様にお伝えしたかっただけなので

内心でしか話していませんがね?

 

わかったか?仮定しても無駄だって言葉の意味がさ?

 

司令官が反応し始めるまで待っておいてあげます。

こんな衝撃的なこと突然言われたら誰だって混乱しますからね

ワタクシが司令官の立場でもそうです。

まぁおれも元司令官なんですがね?

 

つまりあなたは成人済みなのね?

 

やっと口を開いたと思ったらそんな質問ですか

まだ混乱しているようですね。

 

あぁ、だからワインだって飲めるぜ?

 

そう言って袋の中に放置されたワインを手に取り

口に含みます。

 

勿論ラッパ飲みなんてもったいないことはせず

ワイングラスをインベントリから取り出してからですが

 

・・・・ふむ。

やはり好みは一緒のようですね、とても口に合います。

 

秘蔵のチーズもつまみますかね。

 

お前もいるか?

 

自分が買ってきた物の様に扱っていますが

自分は自分でも別次元の自分ですからね。

流石に少し心が痛みますので分けてあげましょう。

 

性別以外はおそらく全て同一でしょうから

相手もこれは好きなはずです。

 

うん

 

ワタクシの手から素直に受け取って口に含む司令官

ですが心ここにあらずという感じですね。

まだ考え事をしているようですので放っておきましょう。

 

しかし

 

(月がキレイな夜ですね。)

 

・・・・・・あぁ。告白ではありませんよ

単純に綺麗だなと。

 

(あなた達も見てみませんか?)

 

もう少し窓に近づけば・・・・・

 

(ほら、これでよく見えるでしょう?)

 

 

窓からのぞいた三日月が黒に染まったその体を

優しく照らし出す。

 

<確かに綺麗だね>

 

そうでしょう?

私大好きなんですよ三日月が

[月の剣]なんて別名もとてもロマンティックですよね。

 

ただ満月はよろしくない...

見つめていると不安になってきませんか?

 

星の光を塗りつぶしてしまうのもよろしくないです。

それに私には似合わないのでね...

むしろ新月の暗さの方が似合うでしょう。

 

ちなみにティーチは半月が好きならしいですよ?

誰かと半分こに分け合うのが好きだから。そう言っておりました

誰かって誰でしょうね?

 

あとサムは満月ですね。

何でもティーチくんの目に似ているから!だとか

相変わらず歪んでいますね。

いえ、狂っているといった方がよろしいのでしょうか?

自分自身の過去の性格ではありますが幾分時間も経ちましたから・・・理解ができないです。

いくらこの作品が好きだとはいえ中身に自分自身が入って入ればそれは別物だと思うんですがね?

 

ふむ

 

未だ司令官は熟考中のようですね...

では時間つぶしに先ほど無理やり学校に所属させられることになった時の話をしましょうか。

 

気づいている人は気づいていると思いますが私たちは年齢を偽っているでしょう?

ですからそもそも入学した時点でサムと同じクラスどころか同年代のところに放り込まれそうになっていたのですよ。

 

よく考えてくださいね。

精神年齢27歳と34歳が小学生に混じって勉強する

そんな光景見たいですか?

普通に視界への暴力ですよ、そんなもの。

想像したら地獄でしかないですよね?

 

当然私もティーチも抗議しました。

そしたら学力テストが出てきてですね、私たちは仮にも大学を卒業している身ですから

軽く高校レベルまでは解けたわけですよ。

 

すると今度は高校生に混じって学業に励むことになりまして

ワタクシはそれでよかったのですよ?ですがあのバカがサムと一緒じゃなきゃ嫌だ!

と抗議しだしまして

 

地団太まで踏んで駄々っ子かって感じですよ...

見た目が幼いから許されてますけど精神年齢を知ってるこっちからしたら気持ち悪いどころの話じゃなかったです。

 

ま、そんな見苦しい物放置するわけにもいかないのでぶん殴ってそのまま連れ帰りましたけどね。

 

それでも結局部屋に帰ってきてからも拗ねていまして...

休み時間にでも会いに行けば?と言ったところ思いついていなかったのか一気に元気になりましてね。

 

本当に単純すぎる...

 

ねぇ、貴方も私だってことは覚悟を決めているのよね

 

突然そんな声が後ろからかけられます。

 

おっと。考え事が終わったようですね

対応しなければ

 

あぁそうだ。魔法少女を誰一人傷つけさせやしないよ。

 

それがワタクシの使命ですから

たとえ命を懸けてでも遂行します。

 

死んでも何度でも蘇れますし

こんな軽い命に価値があるかどうかは甚だ疑問ですがね。

 

下手にあなたの事心配する方が邪魔になるのよね?

 

おや、結論にたどり着くのが早いですね。

ですがその通りです

心配して支援を用意されても邪魔なだけなのですよ。

 

あぁ。いっそのこと一人で戦わせてくれた方がいい

 

この手を汚すことも最近は減ってきました。

 

相変わらず魔法少女に対する犯罪に手を染める輩はいますが

ワタクシの存在が抑止力として機能しているのか明らかにその数は現状しています。

 

 

本来の歴史では屍の山の上に立つことになるはずでしたが

今はまだ小山程度

この程度なら覚悟の上です。

 

そう。わかったわ

 

はい、わかっていただいてよかったです

では早速ですが本題について話すことにしましょうか。

 

まさか酔って自殺するほど追い詰められていたとは知らず

ケアに時間を取られてしまいましたがもともとそのつもりで家に訪れたのですからね。

 

────────────────────────────────────────────────────────-

<司令官視点>

 

それじゃ、矢面に立ってもらうことにはなると思うがよろしくな。

 

わかったわ。

 

話が終わったのかそのまま席を立つリリンちゃん

 

見送りはいる?

 

私がそう口に出す前に魔法でどこかに消えていったためその言葉は何もない空間に虚しく響くだけとなってしまった。

 

さて、どうしましょうかね?

 

まさかリリンちゃんが未来の私が逆行してきた姿だとは思わなかったわ。

 

それを知ったところで何か態度を変える気はないのだけれどね

だっていくら自分の未来の姿だとしても今は幼い少女なわけじゃない?

ならそれは私達大人が守るべき子供だということよ。

 

だけどよかったわ

 

けれどそのことを知ったことで少しだけ心が楽になったのは確かなの。

私が一番心配していたのはあの子の事だったから。

 

勿論ティーチちゃんやサムちゃんの事も心配だわ

だけれど表に出てる分私達からアプローチする機会があるでしょう?

だけれどリリンちゃんはそうじゃない。

 

常に隠れ潜んで誰にも会おうとしなかった。

それに姿が判明していたわけでもない。

 

コンタ