残機無限のブルーアーカイブ (エドアルド)
しおりを挟む

骸夜ヤマト プロフィール

今回はヤマトのプロフィールをpixiv百科事典風に作って見ました。


 

kill or be killed。怪我は勲章、死は名誉。進む先は地獄なり、なんてカッコつけてみたりして

 

骸夜ヤマトとはYostarが運営するアプリゲームブルーアーカイブにおける登場人物の一人。

 

プロフィール

 

名前骸夜ヤマト
学園エガタ学園
部活学園運営委員会
学年3年
年齢18歳
誕生日4月21日
身長178cm
趣味パルクール、小説、アニメ、漫画、プラモデルetc…

 

 

 

人物

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 所属がエガタ学園にはなっているものの連邦生徒会非公認の学園の為公的な所属は無所属であり、学年的には高等部の三年生。

 普段は便利屋として働いており〈不死者(アンデッド)〉の異名を持つ。

 キヴォトスで唯一ヘイローを持つ人型の男子生徒である。

 

 性格は良くも悪くも普通でありキヴォトスにおいては珍しい常識人(プレイヤー基準)、それ故に苦労する事も多く、また多くの学園と友好関係を持っている為恐らくその苦労は先生並みかもしれない。

 だが唯一として彼には異質さがある。それは死への寛容さ。これには後述する彼の異能とも呼ぶべき特性が関わっているのだがこれ知った先生達は殆どがヤマトに優しくなった。更にはブルアカの曇らせ隊には同士と言われている。

 ただ彼が寛容的なのは自分だけであり他の生徒達については全力で死から守ろうとする。その際は多くの先生が叫び声を上げ、曇らせ隊は歓声を上げる。

 また、常識人ではあるが大変ノリが良く色んな悪ふざけをやらかしたりもするが大変微笑ましい(プレイヤー視点)

 

 戦闘力はキヴォトスで上澄みにも数えられる程で特に機動力が高く一人だけ別の世界の住人と思える程の三次元軌道で相手を翻弄する。

 キヴォトスの生徒達が銃を一つ持つのに対してヤマトは複数の銃器を所持しており状況に合わせて武器を使い分ける。

 素の実力は高いのに武器を複数持って状況に応じた戦闘をこなす事から先生達からつけられた異名は1人軍隊。

 実は後述する異能の力により人数が増えている。

 

 また、ヤマトは幅広い人脈を持っており、三大学園はもちろん、他の多くの学園とも関わりがあり、更にはゲマトリアとも手を組んでいる。

 ゲマトリアに関してはヤマトは味方ではあるが敵でもある利用し合う関係と称しており本人もゲマトリアは毛嫌いしている。

 各学園の生徒会にも人脈を広げておりそのせいかストーリーには必ずと言っていいほどに出現し何度も先生を手助けしてくれる。

 

 何人かの生徒とはできているようで希に仲睦まじい様子が披露されヤマトと仲のいい生徒が推しの先生は怨嗟の声を上げることもしばしば。

 

 絆ストーリーでは先生と仲が良く一緒にゲームをしたりアニメについて語り合ったりと何処か先生と生徒と言うよりはまるで友達のような接し方をしており、先生達の一部では頭に存在しない記憶が流れ出す事態となっている。

 メモリアルロビーは今までの友達というスタンスとは一転先生と生徒と言う面を強調しており彼の苦悩が垣間見える。

 

 

武装

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 〈ジェノサイダー〉と呼ばれるフルオートショットガンを持ちこれの元ネタはPancor Jackhammer(パンコア ジャックハンマー)と思われる。この武器は彼が本気を出す時に持つ武装でアビドスと便利屋がいたとはいえ簡単に風紀委員会の部隊をゴム弾で潰している。

 実弾を使えば巡航ミサイルを食らっても動けるヒナに確実にダメージを与えるためその威力の高さが伺える。

 ヤマト本人曰く普通の生徒にスラッグ弾でも使おうものならヘイローが砕けるとの事。

 

 〈アサシン〉と呼ばれる狙撃銃。元ネタは近距離用消音ボルトアクションライフルのB&T SPR300と思われる。普段はこれを使い戦闘を行う。狙撃銃ながらも本人は中近距離でも使う事もあり、俗に言う凸スナである。

 ただしっかりと狙撃銃としてヤマトが運用した場合彼の異能と相まってまさに暗殺者と言える隠密性を誇る。

 

 

異能

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

キヴォトスの生徒達の中には時に異能と呼べるような力を持つ生徒がいる。ヤマトはその生徒のうちの一人であり、ヤマトの持つ異能は不死身(仮)である。

ヤマトはヘイローがあるにもかかわらずその防御が無く耐久は先生と同じで弾丸一発で死んでしまう。しかし、その代わりなのか死んでも生き返る事ができる。

 現在わかっている事は

 

・傷は治らず死んだ際に一緒に治る。

・痛覚はある。

・再生する肉体から離れた部位は生えてくる。

・ヤマトの意思でバラバラになった肉体のどれから生き返るか選べる。

・再生に邪魔な物体は分解される。

・生き返る際には病気や毒なども消える。

 

 という事である。

 

 他にも本人がIBMと呼ぶ黒い包帯でできた人型を呼び出す事が出来る。

 IBMは透明であり見る事が出来ないが特定条件下では見る事も出来ると言う。我々、画面の向こうの先生(プレイヤー)は常に見る事が出来る。IBMを使って自分の姿を隠したりIBMを変形させて戦いに使用出来たりもする。変形した際は巨大な爪になったり牙になったり数を増やしたりと結構変幻自在のよう。

 

 この異能のせいで脳を焼かれた生徒が多数おり別名ヤマト被害者の会。




度々情報を更新する予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

プロローグ

最近曇らせ系のブルアカ小説をよくみるので書いてみたくなった。
容易に殺せて生き返る系主人公


 突然だが諸君に問おう。目の前には怪我を負った推しが居て銃口が向けられている。そして自分はそれを庇う事が出来る。

 さて、どうする?

 庇うしかねぇよなぁ!!

 

 パァン

 

「ヤマトォォォォ!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いきなりだが自己紹介をしよう。俺の名前は骸夜 (むくろや)ヤマト、しがない便利屋だ。日々寄せられる様々な依頼を糧に生きている学園都市キヴォトス唯一のヘイローを持った男子だ。

 

 学園には所属していない。その方が色々としがらみが無いから。だがあえて言うならゲヘナ学園の一員と言っておく。ゲヘナの万魔殿(パンデモニュウム・ソサエティー)が一番仲が良好だ。

 

 他の学園も特に不仲という訳では無いがトリニティは苦手だ。あそこは陰謀渦巻く魔境だし政治関連は苦手だ。正義実現委員会が唯一の良心だな。

 

 

 そして俺は俗に言う転生者という奴だ。死んでいつの間にか転生してこの世界、ブルーアーカイブの世界にいつの間にかいた。

 転生してからはとりあえずブラックマーケットを活動拠点に便利屋をして生きてきた。身一つで転生したからな、銃も寝床も飯もねえ、とんでもねぇや。

 

 転生した肉体は流石キヴォトス人といったところで高い身体能力を有していた為最初は銃も使わずにヒャッハーしてたな。前世で器械体操をしていたのが良かったのか変態機動でどうにかなった。あとは大和魂を見せてやる!(やけくそ)してたな。

 

 その後お金が貯まって訪れたのはミレニアム学園のエンジニア部。そこで俺用に武器を作ってもらうように頼んだ。武器に色々と余計なものつけられそうになったが何とかエンジニア部の蛮行を止めちゃんとしたものを作らせた。とりあえず予定より金がかかったと言っておこう。金食い虫共め!

 

 武装はPancor Jackhammer(パンコア ジャックハンマー)というフルオートショットガンと似た様な物だ。

 マガジン構造が独特で、最初から弾が装填された、取り外し可能なリボルバー型「弾薬カセット」という形になっていて射撃後も薬莢は排出されず、リロードはカセットごと交換して行う、携帯性がクソみたいなのがPancor Jackhammerというフルオートショットガンだ。前世でも全然売れてなかった。

 独特のマガジン故か、そもそも過剰火力が過ぎるためか、開発元のパンコア社の売込みは実らず、特許取得から30年以上が経過しても、あらゆる軍隊や警察機関から採用されることはなく火力が強力すぎるため民間に売る事も出来ず、数挺のプロトタイプのみが存在している状態だ。

 

 まあ、コレは下手すると神秘の弱い子のヘイローを一撃で割りかねないので相当な強敵にしか使わない。ほぼ趣味で作ってもらったようなやつだし。

 

 次に作って貰ったのが近距離用消音ボルトアクションライフルのB&T SPR300だ。

 長大なサプレッサーとアルミストックを備えたボルトアクションライフルで近距離(メーカーによると165ヤード【約150m】まで)における高精度と、.300AAC Blackout(弾丸)+サプレッサーにおける静音性、またサプレッサーを外してストックを畳むと全長が16インチ(約40cm)になってしまう、優れた携行性を兼ね備えた魅力的なモデルとなっている。

 

 これが俺のメインウェポンだ。大変使い勝手が良い。

 他にも近接戦用に垂直二連式のソードオフショットガンを作ってもらった。

 

 え?そんなに武器あっても持ち運べないだろ?ええ普通に邪魔くさいですね、はい。だが対策をしていないほど俺も馬鹿では無い。

 

 これまたエンジニア部に頼み込んで作ってもらった運搬用浮遊ユニットの〈ベクトゥラ〉だ。ドローンタイプでプロペラと小型ロケットエンジンが動力になっている。そこに色々と武器を詰め込んでいて小型のグレネードランチャーによる支援もできる。

 コイツをエンジニア部の蛮行から救うのが一番疲れた。

 

 少しはキヴォトス人らしくはなった。

 

 あと、実は俺銃弾一発で死ぬようだ。それに気付いた時は頭を銃弾でぶち抜かれた時だった。

 じゃあ、あたま撃ち抜かれてるのになんで生きてんの?という質問にはちゃんと答えがある。

 

 どうやら俺のヘイローは一切の防御をとらない代わりに凄まじい再生力を俺に与えているようだ。それこそ殺されても生き返る程の、そして更にはなんか黒い人型みたいなのを操れる。

 

 ここで勘のいい人は気付いただろう。俺の能力なんか既視感あるなぁ〜と思ってたら思い出したのだ。

 あ、これって亜人の力じゃんって。

 

 亜人というのは簡単に言えば例え死んだとしてもあらゆる傷を治して復活する人間そっくりの生命体だ。人間との差異は蘇生するかしないかだけで普通に老化もするから不老という訳ではなく単に死ぬダメージを負った場合に蘇生するという存在だ。寿命で死ぬかは知らない。あとは、黒い人型の存在を操れる。

 この黒い人型は色々と呼び名があるので名前は割愛する。亜人が生成する未知の物質により構成されており科学的には屈折率がおよそ1.000292の完全に透明な物質で基本的には同じ亜人しかその姿を見ることはできない。だが例外として亜人に強い敵意を向けられた人間は姿を視認できるというものらしい。

 

 この力のせいで〈不死者(アンデット)〉なんて呼ばれはじめて怖がられている。私は悲しい(ポロロン)

 

 そんなこんなで不死を獲得した俺はこの過酷な世界で生きていく、あとこの力でこの世界をハッピーエンドに持っていけたらと思っている。

 

 先程シャーレの先生がキヴォトスに来たとことを知ったので会いに行こうと思う。このキヴォトスの救世主に。

 

 あ、今日も日課の自殺しておかないとな〜。




ぜひ、感想評価お願いします


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

先生がやって来た

 

「やってんなぁ」

 

 俺は少し遠くのビルからシャーレ付近から上がる煙と銃撃の音にそう呟く。我ながらこの世界に染まったなと感じる。

 ここキヴォトスは前世ではありえない程の銃社会。ちょっとした喧嘩だとしても銃を取り出すほどだ。前世の人達が聞けば『あらヤダ野蛮!』と言いそうな程やばい。

 

 一番ヤバイのはゲヘナ学園であり「自由と混沌」を校風としているのは別に良いのだが紛争地帯どころか世紀末だ。活動を認められていない違法なサークルがいくつもあり、美食研究会や温泉開発部などといったテロリスト・危険集団として悪名が他校にまで広まっている部活もある。部活がテロリスト認定ってどんなだよ!と思うかもしれないがやってる事はまじでテロリストなので間違いが何一つ無いのが悲しい。

 

 あら、静観してるうちに先生来ちゃった。へ〜、この世界の先生は女性か…………これは百合が見れるのでは?┌(┌'ω')┐ユリィ…

 我百合大好き侍!性癖に従って助太刀する!!

 

 我が愛銃B&T SPR300の出番である。そして黒い人型を俺に纏わせるように出すと俺の姿が周りからは見えないようになる。本来ならこんな事しても防御力の向上程度しかならず俺が透明になる事は無いのだが俺の場合はキヴォトスの神秘由来の為か黒い人型により俺だけは透明になる。

 てか黒い人型て呼びにくいな、亜人で呼ばれていたInvisible Black Matterを略したIBMと呼ぼう。IBMくん。

 

 これで完全に姿を隠して支援する。これをするだけでだいぶ安全になる。まあ、ゲヘナ風紀委員長のヒナは自身の固さを利用して撃ち込まれた銃弾の角度で狙撃手を発見する、なんていうとんでも方法を使うのでヒナだけにはあまり意味が無い。他の奴らには効果抜群なんだけどね。あと多分、正義実現委員会委員長のツルギ他キヴォトスの上澄みにもヒナと同じ対処されそうで怖いんだよなぁ。恐るべしキヴォトス。

 

 目に付く暴れている不良生徒達を片っ端から撃ち抜いていく。銃声もなく突然倒れていく仲間達に困惑しているのか動きが鈍る。その隙をついて先生達が進んでいく。

 

「おー、流石先生と言った所かな」

 

 素人目に見ても凄まじい勢いで不良生徒を鎮圧しながら進んでいく先生達は凄まじい。こっちの攻撃に気付いているのかそれすら利用している。

 

「えっと、確かワカモが居たはずなんだけど」

 

 スコープから見える戦場で不良生徒を撃ち抜きつつワカモも探す。あ、シャーレの建物に入って行ったな。先生ももうそろそろシャーレに到着するな、俺も行くか。

 

 銃をベクトゥラに収納してビルから躍り出る。ビルの外壁をIBMくんを利用して削りながら降りていく。あと少しで地面という所で壁を蹴り跳躍する。そしてシャーレの真ん前に着地する。ふっ、我ながら完璧な着地だな。

 

「な、なんだぁ!?」

「空から降ってきたぞ!?」

「ファッ!?」

「ちくわ大明神」

「今変なのいなかったか!?」

 

 今変なのいなかった?まあ、良いか。

 

「kill or be killed。怪我は勲章、死は名誉。進む先は地獄なり、なんてカッコつけてみたりして」

 

 俺は残り少ない不良生徒達を垂直二連式のソードオフショットガンで沈めていく。まあ、一発売ったら薬莢取り出してのリロード式だから撃つ回数よりも銃自体で殴る回数の方が多いけどな。

 

「女子を傷付けるのは心苦しいが――」

「それが心苦しい事してるやつのこうどうk――」

「心苦しいのですが」

「ヒィ!?」

「アイツ銃撃で物理的に黙らせやがった!」

 

 ええ、大変心苦しいですよ。ただ――

 

「死ぬのは嫌いなので」

 

 じゃあこんな戦場突っ込むなよって話ですけど、どうせ生き返るんですから嫌いよりも大事な事しなきゃいけませんよね〜。

 そのまま残り少ない不良生徒を沈め終わったころ、先生がやって来た。

 

「お疲れ様〜」

「やっぱりヤマトくんでしたか」

 

 俺の言葉に真っ先に反応したのはゲヘナ学園風紀委員、火宮チナツだった。

 

「やあ、チナツ」

 

 この場にいるのは先生、チナツにミレニアム学園セミナーの会計、早瀬ユウカ、トリニティ総合学園正義実現委員、羽川ハスミ、同じくトリニティ総合学園トリニティ自警団、守月スズミの4人か。

 

「他のみんなもこんにちは。そっちの人は初めましてだね」

 

 俺は先生に近付くと名刺を差し出す。

 

「このキヴォトスで便利屋をしている骸夜ヤマトだ。ただの雑用から護衛まで、幅広く仕事を請け負っている。先生も何かあれば依頼してくれ、黒い依頼じゃなきゃ格安で受けよう。よろしく頼む」

「よろしくね」

 

 流石先生、この適応能力、キヴォトスで先生をやれる訳だ。

 

「話はそこまでにして、早くシャーレに入るわよ」

 

 ユウカがみんなに急かすように言うが俺はストップをかける。

 

「ちょっと待った。さっきワカモがシャーレ内に入ってくのが見えた、先にワカモ追い出してからだ」

「面倒ですね」

「安心してくれすぐにすむ」

「あ、ちょっと!」

 

 俺はシャーレの入口に立つと大声でワカモの名前を呼ぶ。

 

「ワカモォォォォ!!」

 

 それから三秒程すれば。

 

「ヤマト様ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 俺の名前を呼びながらワカモがシャーレから飛び出してくる。

 

「帰るぞ」

「はい!」

 

 その様子に他の面々は驚きの表情をしている。

 

「じゃあ、また後日」

「皆様、さようなら〜」

 

 驚き固まった面々を置いて俺とワカモはシャーレを去った。




ちなみに実はこの世界のワカモは主人公の被害(曇らせ)に既に晒されております。そのうち過去編とか書こうかなぁなんて思ってたりもします


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ちょっとした日常

今回は無くても良かったかなぁと思ったがまあ、投稿する。


 

 スマホが震え着信を知らせる。俺はその音で目を覚まして寝ぼけ眼でスマホを取り出し電話に出る。

 

「はいはい、こちら便利屋骸夜ヤマト」

『おはよう〜』

 

 電話から聞こえて来た声は先生のものだった。

 

「先生か?どうした?」

『依頼をしたくて……』

 

 昨日の今日でか、早いな。

 

「そうか、依頼は何だ?護衛かそれとも書類整理とか?」

『書類を手伝って欲しいんだ。へへっ』

 

 oh......、書類整理は冗談のつもりだったのにマジか。

 

「わかった。1時間後にそちらに伺う」

『ごめんね、赴任したばかりでちょっと書類が多くて』

 

 なるほどなぁ、確かに赴任したばかりなら不慣れだろうし書類も多いのだろう。俺は電話を切ると大きく欠伸をしてベットから出る。

 時間は今午前7時か。

 

 今はいるのはキヴォトスの各地にあるセーフハウスのうちの一つで百鬼夜行連合学院の学区内にある。基本的にこことゲヘナ学園のセーフハウスを主軸に行動している。

 

 寝室から出ればワカモがキッチンで料理をしていた。

 

「あら、おはようございます。ヤマト様」

「おはよう、ワカモ」

 

 ワカモはいつの間にかセーフハウスの場所突き止めてるしなんなら勝手に入ってくるのでもう気にしない事にした。恐るべし災厄の狐。

 

 ワカモはコンロの火を止めると近付いてくる。そして俺の首に指をはわせる。

 

「また、やったんですね?」

 

 そう聞いてくるワカモの目は光がなく淀んでいた。

 ワカモが指を這わせたのは俺の首に横一文字についている傷跡だ。これは日課でしている自殺の傷跡で俺の蘇生は生き返る過程で傷を治すが少しだけ痕が残る。それも一週間もすれば消えるものだが。

 

 ワカモやその他の知り合いから自殺は辞めろと言われてから頻度は減らしたがやはり自殺は続けている。死に慣れたままじゃ無ければ戦場で判断を鈍らせる。確実にあの時のように。

 

 まあ、そう言う訳で以前にワカモから自殺してる所を見られてからワカモはこの調子だ。まあ、自殺するところを見せられたらねぇ?

 

「やはり、首輪をつけて……」

 

 ついにはワカモがぶつぶつと俺の監禁計画を立て始めた。うーん自業自得とはいえ監禁は勘弁。

 俺はワカモを抱き寄せる。

 

「ふえっ!?」

 

 そうすればワカモは戸惑うようにして顔を赤らめる。同時に目のハイライトも戻って来た。

 

「何度も言っているけど問題は無い」

「ですが……あなた様が傷付くのは苦しいのです」

 

 それは分かる。例え生き返ると言われても誰かの傷を気にしない事なんて俺にも出来ない。それ他人に強要してる時点で俺はクズだな。

 

「ワカモ、俺は止まらない。自分の命の使い方はもう決めたんだ」

 

 俺はワカモの目をまっすぐ見ながらそう言う。そう、死んでも生き返るなら自分の命は目の前の誰かの為に使うと決めた。親しい相手になら尚更だ。みんなの心が傷付くとしても命には変えられないのだから。

 

「ずるい人です。そんな真っ直ぐな目をして言い切るんですもの。ですがお忘れなく、あなた様の傷付く姿を見て苦しむ人がいるのは事実なのですよ」

「善処するよ」

「ええ、ぜひとも」

 

 そう言うとワカモは俺から離れてキッチンに戻る。

 

「さあ、朝ごはんを食べましょう」

 

 その後食べたワカモの朝食は美味しかったと言っておこう。

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 俺は早速シャーレに向かうべく道路を前二輪のトライクに乗っていた。このトライクはブラックマーケットに販売されていた違法改造品のものだ。搭乗者の生命を保証しない程の殺人的なスピードが法に触れたらしい。他にも小型ロケットエンジンによる加速やセントリーガン、ブレード等の武装も整っている。

 

 トライクで15分もすればシャーレに到着した。トライクを近くの駐車場に置くとシャーレの中に入っていく。

 

「来たぞ先生」

「あ、おはよう」

「ああ、おはよう」

 

 先生はこちらに挨拶をした。にしても先生の机の上には山のように書類が積まれている。これは人がやる量じゃねぇ。

 それに先生の顔には隈ができて如何にも徹夜しましたという感じだ。エナジードリンクの缶も幾つかある。

 

「先生、昨日から寝たのか?」

「え?寝てないよ。早く終わらさなきゃ行けない書類が多くて」

 

 いくらなんでもこれは酷い。連邦生徒会長が居なくなった影響か?

 

「とりあえず先生は寝ろ」

「え、でもまd――」

 

 俺はまだ書類を続けようとする先生を手刀で眠りの世界に旅立たせた。そして毛布をかける。

 

「とりあえず。やりますか」

 

 俺はそのまま書類を回収して書類仕事に励む事にした。

 だが流石に一人だと時間がかかるのでIBMくんを出す。そして眼帯を取り出して左目を覆う。すると左目にはIBMくんの視界が映る。これで一人二役で仕事が出来るという訳だ。まあまあ疲れるが昔からIBMくんを使ったマルチタスクは散々して来たので慣れたものだ。

 

 それから夕方まで少しの休憩を挟みながら書類を五割程終わらせる事が出来た。残りは先生がやらなきゃいけない奴だ。

 

 書類仕事が終わって少ししたら先生が起きて来て急いで書類を片付けようとしたのでとりあえず伝手で手に入れた睡眠薬をぶっかけて眠らせてベッドルームに放り込んで来た。このワーカリホックめが。

 

 というかどれもこれも先生がやらなくてもいい書類ばっかだぞ、やっぱり連邦生徒会長がいなくなったシワ寄せか?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アビドス編
アビドスへの来訪


どんどん増えるお気に入りにやっぱみんなブルアカと曇らせが好きなんやなって


 

『迷子になった。助けて……』

「は?」

 

 その時ついドスの効いた声を出した俺は悪くないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出掛ける?」

「うん」

 

 先生がキヴォトスに来て数日、そろそろ書類仕事も慣れてきて今まで以上のスピードで仕事をこなせるようになってきた頃、先生の元にとある学校からの救援要請が届いた。

 

「アビドスっていう所なんだけど」

「ああ、あそこね」

 

 アビドス高等学校。キヴォトスの砂漠地帯に隣接した学区を有する学校。昔は数千人の生徒が通う、キヴォトス最大の学園として名を馳せたが砂嵐の影響で環境が激変、砂嵐に街は砂に埋もれ校舎も何度も移転しており今や一桁の学生しか残っていない学園だ。

 

 先生にその依頼が来たとなると遂に始まった所か。でもここは別に関わんなくてもあんまし問題無いよな。唯一ゲマトリアの黒服があれだが俺ゲマトリアに目を付けられてるからなぁ、行きたくねぇ。それにアイツに会うのは気が重い。

 

「まあ、頑張ってな。後、アビドスの自治区は広い上に砂漠地帯に隣接している。自治区内で遭難者なんかが出てるから地図とあと食糧も持っていきな」

「ありがとう。じゃあ準備して早速行ってくるね」

 

 先生は俺の言葉にそう返すと準備を始め駆け足で出て行った。原作だと遭難してたが食糧持たせたし地図も持たせたから大丈夫なはず。大丈夫だよな?

 

 きっと大丈夫だと思っていた時期もありました。

 

 先生から出掛けて数日後先生からの電話が掛かってきた。出てみれば『迷子になった。助けて……』の言葉が飛び出した訳だ。運命は変えられねぇってか?

 

「地図渡したよな?」

『似たような景色ばっかりで……』

 

 あー、確かにあそこは似たような景色多いもんな。特に住宅街が広くて、アビドスの校舎の近くの店なんかは全て撤退したからなぁ。特徴という特徴が無い。

 

『あと、食糧も底をつきそうで……』

「確か一週間分は持たせたよな?まだ4日しか経ってないのだが?」

 

 念の為に一週間分は持たせたのだが、と言うよりも何で4日経って電話したんだ。

 

『歩き疲れて栄養補給に少し多めに食べちゃって』

「じゃあ何で4日経ってから電話した」

『……あんなに準備してもらったのに遭難したなんてかっこ悪くて』

 

 ……この人は、変な見栄張らないでくれよ。あんたが死んだらこのキヴォトス終わりなんだからな?

 

「とりあえず迎えに行くから待ってろ。そこ動くなよ」

『ごめんね。ありがとう』

 

 俺はシャーレを出るとトライクに跨りアビドス自治区に向かった。

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 

 アビドス自治区に着けば砂が辺りを舞っており酷いところだと建物が砂に飲み込まれている。

 

「とりあえずアビドスの校舎で協力を仰ぐか」

 

 こんな広い場所を一人で探すなんて狂気の沙汰だ。俺が見つけるよりも早く先生が干からびる可能性の方が高い。

 

「……会いたくねぇなぁ」

 

 ついそう呟いてしまう。アビドスには知り合いが一人いる、もう一年近く会ってないが、もしかしたら頃合いなのかもしれない。アビドスを訪れなくなったのは俺が気まずかっただけなのだ。無限の命があるってのにあんな結果になった、だがあいつは、ホシノは、俺を責める事はしなかった。それが辛かった。

 

 お前がいたのに何で、そう罵られた方が万倍マシだったのに。

 

 そんな事を考えている内にアビドスの新校舎についた。ここに来るのは初めてだな。

 トライクを停めてアビドスの校舎に入る。校舎の案内図に従い対策委員会の部室を目指す。

 

「ここか……。失礼する」

 

 俺が対策委員会の部室の扉を叩くと中から声が返ってくる。

 

「はーい、どなたですか?」

 

 部室の中には過去、アビドスにはいなかった生徒の姿があった。ホシノがひとりじゃないのに少しだけ安堵した。

 

「突然すまない。俺の名前は骸夜ヤマト、このアビドス自治区で知り合いが遭難してな、捜索に協力して欲しい」

「初めまして、奥空アヤネと言います。遭難という事でしたらお手伝いさせて頂きます」

「ありがたい」

「ただ今は私しかいないので、しばらくしたら他の生徒も来ると思いますので全員揃ってからでも大丈夫ですかね?」

「問題無い。あと一日ぐらいなら生き残れるだろうからな」

 

 人は水と食糧が無くても4〜5日は生きているという。砂漠地帯の近くなのだからそれよりは少ないとは思うが一日なら大丈夫だろう。

 

「では座って待っててください」

「すまない」

 

 そのまましばらく対策委員会の部室で過ごしていると生徒が何人か入ってくる。昔のたった二人、いや三人で回していた頃の学校の時とは違うんだと感じた。同時にここに入学してくれた事に嬉しさを覚える。

 入学はしていないし短い期間しか過ごしていないこの学校にも愛着はあるのだ。

 

 そうしてあとはシロコという生徒とホシノを待つばかりになった時だった。先生を背負った少女が入ってきた。

 

「シロコちゃんが知らない人を背負って来ました。拉致ですかね?」

「拉致!?シロコ先輩がついに!?」

 

 先生が無事だったのは良いが背負ってる子、ここまで言われるとなると少し心配だな。

 

「あ、ヤマト」

「とりあえず無事で良かったよ先生」

「え?この人が遭難者の?」

「死体でも拉致でも無いのね……良かったわ」

 

 今のアビドスの生徒達は中々に愉快なようだ。

 

 先生の無事を喜んでいると突然銃声が聞こえて来た。

 

「おらおら!出て来いや!」

「ここは今日からあたしらのもんだ!」

 

 どうやらよくいる不良生徒達が来たらしい。

 

「アイツらはまた!」

 

 対策委員会の面々は顔を顰めている。そんな時だった

 

「うへぇ〜、騒がしいねぇ〜」

 

 聞き覚えのある声が聞こえて来た。

 

「ホシノ先輩!起きたんですか!」

「そりゃあこれだけ騒いでた、ら……」

 

 部室に入ってきたホシノと目が合った、合ってしまった。

 

「ヤ、マト……」

「久しぶりだな……」

 





 時に人は力を手に入れると傲慢になりますよね?どっかの誰かさんみたいだね!

お前(主人公)の罪(曇らせ)は加速する!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヤマトの戦い方

今回のヤマトくんの特性を活かした戦いだよ、ぜひ楽しんでくれたまえ。


 

 俺を目にしたホシノは目を見開いて驚く。

 俺もまあまあ驚いたがな。昔の一匹狼みたいな態度から随分変わっている。やっぱりあれが原因なんだろうな。

 

「ヤマト、知り合い?」

「ああ……」

 

 昔というほど昔じゃないが一時期はここで生活していた。ユメさんには助けてもらったからな。

 俺はホシノに近付くと頭を撫でる。

 

「あ……」

「色々、あると思うが今は先に表の不良どもが先だ、話ならその後幾らでも聞いてやる」

「……逃げないでよね」

「ああ」

 

 俺はそのまま部室を出て校舎の表に出る。

 

「一人で出てきやがったぜ!」

「カモだ!」

「ヒャアッ!!もう我慢出来ねぇ!!」

 

 不良生徒達もといカタカタヘルメット団は俺を見つけると血気盛んな様子で銃を向けてくる。戦車なんかもある、まるで世紀末だなこりゃ。

 

「ベクトゥラ。グレネードの支援よろしく」

〈Yes sir〉

 

 俺の命令にベクトゥラは了解の意を示してグレネードランチャーを展開する。ベクトゥラから放たれたグレネードはスモークをたく。

 

「スモーク!?」

「クソっ見えねぇ!?」

「あでっ!?見えないのに撃つなバカ!!」

「下手に動くなよ!同士討ちになんぞ!」

 

 グレネードのスモークに混乱したカタカタヘルメット団の一部は発砲してしまったらしい。それもすぐに収まったが。視界さえ奪えれば良かっただけだしな。

 

「久々に肉弾戦と行くか」

 

 拳を握ると同時にIBMくんを纏わせる事で完全に姿を消す。この距離と人数差ならこっちの方が良い。あと、気分。

 

 俺は躊躇う事無くスモークの中に飛び込む。俺も視界が煙で塞がれるが問題は無い。何故なら。

 

「そこか!」

 

 スモークの中で唯一動き回る俺に相手が居場所を教えてくれる。

 俺に飛んできた銃弾はIBMくんが弾く。モブ生徒の銃弾ぐらいなら普通にIBMくんは弾ける。ゲームに出てくるようなネームドの生徒は人によるかな。

 

 銃弾を放った生徒に近付きその背後に周り絞め落とす。

 

「あ、が……」

 

 ヘイローが消えて気絶したのを確認して地面に寝かせる。そして次の相手を誘う為にスモークの中を走り回る。

 

「いい加減にしやがれ!」

 

 その声と共にとてつもない衝撃で俺の体は宙を舞う。

 

「へへ、持っててよかったサーモグラフィーってな」

 

 どうやら戦車に乗ってた生徒はサーモグラフィーを持ってたらしい。まあ、持っててもおかしくないよな。

 てか今ので右半身持ってかれたな。俺の右半身は跡形もなく無くなっていた。

 

「コンテニューと行くか」

 

 さっさと回復すべく懐からナイフを取り出すと首を掻っ切る。そうすれば一瞬の意識の暗転と共に体が修復される。

 ホントなら戦車の一撃で死んでるはずなんだけどそこはキヴォトス人、生命力は強いんだよな。痛いのは嫌いなのに。

 

 俺は肉体の修復と共に撃ってきた戦車に向かって走り出す。

 

「なんで動けんだよ!?こ、こっち来んなぁ!!」

 

 戦車に乗った生徒は再び砲弾を装填する。

 俺が着く前にもう一回撃たれるな。そう感じた俺は自分の右腕を引きちぎり戦車の上方向にぶん投げる。

 それとほぼ同時に戦車の砲弾が俺の肉体をミンチに変える。

 

「へ、へへ。やったか?」

「残念」

「へ?」

 

 先程俺が引きちぎった右半身から体が再生し戦車の前上に現れた。擬似的な瞬間移動だ。

 

「爪」

 

 俺がそう言えばIBMくんが現れその姿を変える。巨大な五本の爪を携えた手に。

 これは俺のIBMくんの能力だ。俺のIBMくんは変幻自在にその姿を変えられる、IBMくんの体積の範囲内だけどな。

 

 巨大な爪は戦車の砲塔を易々と輪切りにする。それ同時に戦車の車体を掴みぶん回す。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!?」

「ぶへぇ!?」

「ヘブッ!?」

「あべしっ!?」

 

 戦車の中から悲鳴と轢き殺されたカエルみたいな声が辺り一帯から聞こえて来るが気にしない、気にしない。

 

「そーれっ!!」

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!?」

 

 最後に大きく振りかぶって戦車を投げれば。

 

「ぎゃー!?」

「ドワァッ!?」

「アイェェェェ!?」

 

 動くものはいなくなった。ゲームセット!俺の勝利だ!

 そこから更にしばらくすればスモークは晴れて来た。

 

「あ、来てたんだ」

 

 スモークが晴れれば先生とアビドスの面々がコチラを見ていた。顔を赤らめて。目を背けている人もいる。

 はて?どうしたのかと思えば。

 

「ヤマト、ふ、服は……」

「……あっ」

 

 先生の言葉に気付く。戦車に吹っ飛ばされた時に服も一緒に消し飛んでたな。

 

「ベクトゥラ、服」

〈Yes sir〉

 

 ベクトゥラを呼んで服をさっさと着る。なんか締まらんなぁ。





肉が弾け飛びならがも勝利の為に突き進む!それがヤマトくんなのだ!

なお、周りがどう思うかは知らん。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ホシノの叫び

今回は短いです。すまない


 

 カタカタヘルメット団を片付けて俺達は対策委員会の部室に戻って来ていた。

 

「さっきはお見苦しい所をお見せした」

 

 俺は深々と土下座をした。幾ら戦った後だからとはいえ、女性に裸を見せ付けるなどヴァルキューレ警察学校に捕まっても文句は言えないだろう。セクハラダメ絶対。いやこの場合は公然わいせつ罪になるのか。

 

「あ、頭をあげてください!べ、別に故意だった訳じゃ無いでしょうし!」

「驚きましたけど、カタカタヘルメット団を撃退してくれましたし〜」

「そ、そうね。カタカタヘルメット団の事でチャラにしてあげる!」

「今度からは気を付けようね?」

「ん、私は気にしない」

 

 みんなからの暖かい言葉に咽び泣く男!骸夜ヤマト!!

 いや、ホント真面目にありがてぇ。

 しかし、唯一としてホシノだけが何の反応も返さずに佇んでいる。怖いです。

 

「……ヤマト」

「はい……」

 

 顔を上げたホシノの瞳はハイライトが消えていた。やっちまったなぁ!!

 

「ちょっと私についてこようか」

「はぃ……」

 

 ホシノの言葉に逃げれない事を悟り大人しく着いていくことにした。

 

「せ、先輩!許してあげましょうよ!悪気があった訳じゃないんですし!」

 

 あ、これ勘違いしてんなアヤネちゃん。

 

「今更ヤマトの裸見たぐらいで一々おじさんも騒がないよ。ヤマトと話があるのは別件」

「い、今更!?」

「とりあえずおじさんはヤマトと話があるから」

 

 そう返して教室を出ていくホシノの後ろを着いていく。そのまま着いていくと対策委員会の教室から少し離れた一室に辿り着く。

 

「中に入って」

 

 ホシノの言葉に従い中に入る。中は特に何かあるという訳でもなく物置として使われている感じだった。

 そしてガチャリと部屋の鍵が閉まる音がした。

 

「へ?」

「これで逃げられないね……」

 

 ホシノが鍵をかけたようだ。本格的に俺を逃がす気は無いようだ。

 

「……どうして。アビドスからいなくなったの……」

「それは、気まずかったんだ」

 

 そう、ただそれだけ。

 

「俺の実力不足でユメさんはああなった……俺が弱かったから。なのにお前は俺を許した。だけど俺はあんな事になったのを俺自身が許せない。俺の気持ちの問題なんだ。俺はアビドスに居る資格なんて――」

 

 そこまで言った時俺は床にホシノに押し倒された。

 

「ガハッ!?ホシノ!?何を――」

「黙って……黙れよ!!それ以上喋るな!!」

 

 ホシノは倒れた俺の上に跨り胸元を掴む。

 

「弱かった?自分を許せない?アビドスに居る資格がなんだって?ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなぁ!!」

 

 怒気を含んだ言葉を吐き出すホシノは泣いていた。

 

「あの時!あの化け物にユメ先輩が殺され掛けた時!ユメ先輩が死ななかったのも私が無事でいられたのもヤマトのおかげでしょ!!

……さっきの裸になったのもまた死んだからでしょ……あの時みたいに腕が脚が頭が体が吹き飛んで死んで生き返って、死んで生き返って、死んで生き返って、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、何度も!!

弱い?そんなわけ無いでしょ!あんな、あんな事になってまだ立ち上がって立ち向かえるお前が、痛いはずなのに苦しいはずなのにいつもと変わらない顔でいるお前が弱いわけが無いでしょ!!

アビドスに居る資格なんてお前が決める事じゃない!!そんな事、私とユメ先輩は認めない!!例え!お前がここの生徒じゃ無くても、一緒にアビドスの為に戦った仲間じゃないか!」

 

 そこまで言ったホシノは言葉をパタリと止め無言で俺の胸を弱々しい力で叩き始めた。

 

「ホシノ……」

 

 バカみたいだな俺。勝手に色んな事を決め付けて逃げてただけだと気付かされた……いや、わかってたはずなのに目を背けて逃げてたただけなんだろうな。

 

「……もう、誰かが居なくなるのは嫌なんだ……だから、そんな事言わないでよ」

「ごめん」

 

 俺はそう謝るしか無かった。

 そこからはホシノの泣き声だけが部屋に響き続けた。俺そんなホシノを撫で続ける事しか出来なかった。こういう時に気の利いた言葉の1つもかけられないなんて情けないな。

 

 それからしばらくして泣き疲れたのかホシノはそのまま寝てしまった。……どうすっかなぁ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヤマトとホシノ

 

 ホシノが泣き疲れて3時間程たっただろうか、未だにホシノは俺の上で眠りこけており動くに動けないでいた。

 その時スマホのモモトークに着信が入った。何かと思い見てみると。

 

『結構時間経ったけど大丈夫?私はシロコにシャーレに送って貰ったんだけど』

 

 先生からのメッセージだった。もう帰ったのか……

 返信しておくか。

 

『問題は無い。今日はもう少しアビドスにいる。また何かあれば連絡をしてくれ。対価としてシャーレの設備を使わせてもらう、という注釈が着くけどな』

『わかったよ、気をつけてね?』

 

 返信はすぐに来たのでスマホを閉じる。

 にしてもそろそろ背中が痛くなってきたんだが……仕方ない。俺はIBMくんを出すとホシノを抱き上げさせて、立ち上がる。立ち上がった後はIBMくんからホシノを受け取りお姫様抱っこをする。

 

「えへへ……ユメ先輩……ヤマト……」

 

 どうやらホシノは幸せな夢を見ているようだ。俺は鍵のかかった扉をIBMくんに開けさせると外に出る。

 

「……あっ」

 

 外に出るとアヤネちゃんがいた。まあ、だいぶ時間が経っていたから様子を見に来てもおかしくないだろう。

 

「ホシノは今眠っていてな、すまないが寝かせられる場所は無いか?」

「あ、はい。そういう事でしたら、先輩がよくお昼寝に使っている場所があるのでそこに」

「すまないな」

 

 アヤネに案内されるまま別の部屋に入りそこにあった簡易的なベッドにホシノを寝かせる。その時窓の外を見れば空は茜色に染まっていた。もう夕方だ。

 俺は眠るホシノの横に座りいつの間にか部屋に入って来ていたベクトゥラから銃を取り出して手入れを始める。今は、ホシノのそばを離れない方が良い。

 

「あの……」

「どうした」

 

 何やらアヤネちゃんが難しい顔をしてこちらに話しかけて来た。

 

「ヤマトさんは、先輩とはどういう関係なんですか」

 

 まあ、初対面の知らない人が自分の先輩と知り合いだったら気になるよな。

 

「仲間だな」

「仲間ですか……」

「昔な、アビドスに助けて貰って一時期ここで居候させてもらってたんだ。入学こそしなかったしすごした期間も短いがこの学校は大切な場所だ。まあ、今日まである事件のせいで気まずくて顔出せて無かったんだけどな。ホシノに怒鳴られちまったよ」

「先輩が……」

 

 ほんとバカだよな俺って。言われて気づくなんてさ。

 

「そう、なんですか」

「他に聞きたい事はあるか?」

「いえ、ありがとうございます。私はこれで」

「そうか、じゃあな」

 

 アヤネちゃんは部屋を出て行った。

 俺は銃の手入れを再開する。部屋には俺が銃をいじる音とホシノの静かな寝息が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 

「んぁ……あ」

 

 顔に掛かる日差しで目を覚ます。体の節々が痛い。どうやら昨日は床に座ったまま寝たらしい。銃はちゃんと手入れ終わってるな。

 ふと横を見れば未だに寝ているホシノが目に映る。俺はホシノの頭に手を伸ばし撫でる。アビドスに住んでた頃はよく撫でていたのを思い出してつい撫でたくなった。

 しばらく撫でているとホシノのヘイローがあるのに気付く。俺はホシノの頭から手を離すとその額にデコピンをかます。

 

「あてっ」

「いつまで狸寝入りしてんだ?」

「そう言うのは気付いていても続けるものだよ〜」

 

 ホシノはムクリとベットから起き上がる。

 

「まあ、良いさっさとシャワーでも浴びて着替えてきな、昨日のままだからな」

「わかったよ」

 

 ホシノは部屋を出て行った。俺はそれを見送るとメモ書きを書いて学校から出る。ちょっとした買い出しだ。

 

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 

「おはようございま〜すっと」

「おはよう〜」

 

 買い出しを終えて対策委員会がいる教室に入れば先生も来ていたようだ。

 

「おかえり〜」

「おはようございます」

「おはようございます〜」

「ん、おはよう」

 

 セリカ以外の対策委員会は揃っているようだった。

 

「戦利品は何かなぁ〜」

 

 部屋に入って来た俺が持っていた袋をホシノは奪い取り物色し始めた。

 

「図々しくなったなお前」

「うへぇ〜、そうかなぁ?」

 

 うん、既に買ってきたお菓子に手を出している当たり確実に図々しいなってる。

 しかも、先生どころか他の面々も漁り始めやがって。まあ、そのために買ってきたんだから良いけどさぁ?一言ぐらいかけろや。

 

「あ、貰いますね?」

「ああ、良いよ」

 

 ここの良心アヤネちゃんぐらいじゃない?

 

「てか、先生は目的すませたのか?確か支援物資を届けるだっけか?」

「あー、それなんだけど、借金返済に手を貸すことにしてね」

 

 9億だっけかな、今の俺なら一括で支払えるだろうけど今やっても意味ねぇしな。カイザーはお金じゃ無くてこの土地が欲しい訳だし。

 

「まあ、今日はとりあえずセリカのバイト先に行くんだ、仲良くなりたいからね」

「それなら、おじさん、居そうな場所知ってるよ〜」

「ホント!?」

 

 そのままホシノと先生によりセリカちゃんのバイト先に突撃する計画が立てられてしまった。

 大変だなぁ、ツッコミ役の常識人は。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邂逅、便利屋68〈上〉

 

 「いらっしゃいませー!」

 

 元気なセリカちゃんの声に迎えられ俺と先生、アビドスの面々は柴関ラーメンに入店した。

 

「げっ!?何でいるのよ!」

「みんなで様子を見に来たんだよ」

「セリカちゃんのバイト先といったらここかなぁ〜って」

「ホシノ先輩か!?」

 

 やっぱり、バイト先に知り合いが来ると気まずくなるか歓迎するかの二択だけどセリカちゃんの場合は気まずくなる方なんだな。

 

「おう、いらっしゃい。セリカちゃん話はそこまでにして仕事してくれや」

「うっ、はい。ご案内します」

 

 セリカちゃんに案内されて大きめの席に座る。俺はホシノの隣に座りメニューを見る。他の面々も席に着いたようだ。

 席に座った後はたわいもない話でセリカちゃんが弄られている。こういうのを見ると青春してるなぁと思う。

 とりあえずおれはチャーシュー麺の大盛りと餃子を頼んだ。

 

「にしても久しぶりに来たなヤマト」

「まあ、色々とあって」

「俺としては常連が戻って来てくれて嬉しいがな」

 

 柴関ラーメンはアビドスに居候していた頃はよく来ていた。前世では麺類消費量日本一の某県の出身としてラーメンには思い入れがある。

 味も変わって無くて安心した。まあ、1年やそこらで味が変わるわけも無いか。

 その後は先生にラーメンの代金を支払わせて柴関ラーメンを後にした。

 

 確かこのあとセリカちゃんが襲われて救出作戦が始まるんだったけかな?事前に防ぎたいところではあるが、セリカちゃんが先生を認めるきっかけになるイベントだ。手は加えたくない。まあ、救出作戦に参加するだけでいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 

「準備は?」

「問題無い」

 

 次の日の朝やはりセリカちゃんが攫われ先生の指揮の元救出作戦が行われた。俺は、狙撃手として後方で待機していた。

 

「じゃあお願い」

「了解した」

 

 先生の号令と共にセリカちゃんを運んでいる車両のタイヤに銃弾をぶち込む。車両は横転して止まる。

 少々荒っぽいがキヴォトス人は頑丈なので問題なし。俺だったらたぶん病院行く事になる。

 

「セリカちゃん確保ー」

 

 車両から出てきたセリカちゃんをホシノ達が確保した。だが――

 

「本隊の登場ってところかな?」

「全員行けるね?」

「問題無い」

「ん、行ける」

「おじさん、頑張っちゃうよ〜」

「仕返ししてやるんだから!」

「私も張り切っちゃいます」

『サポートは任せてください!』

 

 戦車とかも出して大量のカタカタヘルメット団が出てくる事になったが。先生の指揮もありものの数十分で全員を叩きめした。

 基本一人で戦って来たから誰かと一緒にこういう事をするのは凄く新鮮に感じた。

 

 そしてセリカちゃんを連れて俺達はアビドスに戻った。

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「チャーシュー麺大盛りと餃子」

「あいよ!」

 

 次の日再びアビドスの面々と先生と共に柴関ラーメンに来ていた。

 先程までアビドスの定例会議に参加していたのだが酷いものだった。どうやって借金のお金を返すか議論していたのだが、セリカちゃんはマルチ商法に引っかかっていたし、シロコちゃんは銀行を襲うと言い始める、ホシノも他校生を攫ってアビドスに転校させるとか、一番マシなノノミちゃんもスクールアイドルという意見だったし、とにかく酷かった。そのせいでアヤネちゃんがブチ切れてただいまチャーシューを食べてメンタルを回復させているところだ。

 

「いらっしゃいませー!」

「あ、あのここで一番安いメニューってなんですか?」

 

 新しく店に入って来た人物の声を聞いて、はて、何処かで聞いた事があるなと思いそっちの方を見れば。

 

「それなら、580円の柴関ラーメンですね!」

「あ、ありがとうございます!」

 

 知り合いのハルカだった。ハルカは一旦外に出ると他の人達を引き連れて柴関ラーメンに改めて入店した。

 

「えへへっ、やっと見つかった、六百円以下のメニュー!」

「ふふふ、ほら、何事にも解決策はあるのよ、全て想定内だわ」

「そ、そうでしたか、流石社長、何でもご存知ですね」

「はぁ……」

 

 

 ぞろぞろと入ってきたのは、便利屋68のメンバー達だった。

 

 ハルカは社長アルを持ち上げ、カヨコは頭を抱えながらため息をつき、ムツキはご機嫌そうしている。

 そして、セリカちゃんが対応をするとムツキがどうせ一杯しか頼まないからと言った。

 

 また金欠なのか、アルの金遣いは荒いからな。

 

「ご、ご、ごめんなさいっ、貧乏ですみません! お金がなくてすみません!」

「あ、い、いや……! その、別にそう謝らなくても!」

 

 ハルカはいつも通りだな、そんな卑屈にならなくてもいいと思うんだけど。

 

 俺は席を立つと便利屋68の面々が座る席に滑り込む。

 

「よう、相変わらず貧乏してんな」

「えっ!?ヤ、ヤマトさん!?」

「ヤ、ヤマト様!?」

「あ、ヤマトだ。やっほ〜」

「久しぶりだね」

 

 とりあえず元気そうで何よりだ。

 

「セリカちゃん!柴関ラーメン四つ!トッピング全部付けて!」

「え?わ、わかりました」

「ちょっ、ちょっと何を!?」

「ここは俺に奢られとけ。知り合いがひもじい思いしてるならご馳走ぐらいするさ」

「いつもご馳走されてるけど」

「気にするんなら金を稼ぐんだな」

「あはは、違いないね〜」

「すみません!すみません!すみません!お金を稼げてなくてすみません!」

 

 まあ、アルの金遣いだけでなく依頼の少なさとか成功率とかも関係してるんだろうな。今度、コイツらに授業でもするか?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邂逅、便利屋68〈下〉

 

 便利屋68はその界隈ではまあまあ有名な便利屋であり四人の生徒により構成される会社……会社なのか?まあ、会社でいいだろう。

 便利屋68とはアルがゲヘナ学園の高等部に上がった時から交流がある。最初はアルが他の生徒達にカツアゲされてたところを助けてそこが始まりだった。

 

「で?何でまた無駄遣いしたんだ?」

「む、無駄遣いですって!?」

「社員にご飯の一つも奢れない時点で無駄遣いでは?」

「…………」

「アルちゃん白目剥いちゃった。ヤマトもあまり虐めるのは良くないよー」

 

 いやーこれは正論パンチしなきゃダメでしょ。

 

「で?結局何にお金使ったんだ?」

「アルちゃんがこの後の依頼のために全財産使って傭兵を雇ったんだよ」

「はぁ?」

 

 アルが傭兵を雇った?便利屋68は実力に関してはキヴォトスでも上位に行ける集団ではある。便利屋68の仕事も基本便利屋だけですませている。なのにバイトを雇うという事はそれだけデカい仕事って訳か?あ、確かこの後便利屋68がアビドス襲撃するんだっけな。

 

「……んー、まあ、詳しくは聞かないわ。お前達にも守秘義務とかあるだろうし」

「流石同業者、わかってるね〜」

「お待たせしました!柴関ラーメン四つとチャーシュー麺大盛りと餃子です」

 

 話していれば席にりょうりが届いた。俺の分までこっちに持ってきてもらってありがたい。

 置かれていくラーメンに便利屋68の面々は頬を緩める。ハルカだけは恐縮してていつも通りだと思う。

 

「大将なんか量多くない?」

「いやぁ、ちょっと手元が狂っちまってな。こっちのミスだから問題無く食べてくれ」

「大将っていつも手元狂ってるな」

「そういやぁそうだな!俺もまだまだって事だな。はっはっはっ!」

 

 大将マジで聖人、いや、聖犬?まあ、聖人でいいだろ。

 

「では、手を合わせて頂きます」

「「「「頂きます」」」」

 

 俺の食前の挨拶に便利屋68も同調し、食べ始める。この前食ったばかりだけどここのは美味いな。

 便利屋68のみんなも美味しそうに食べている。やはり食事は良いな。

 食事をしていればノノミちゃんがいつの間にかこちらのテーブルに近付いてきていた。

 

「美味しいでしょう?」

 

 ごく当たり前のように自然に、ノノミちゃんはテーブルの横から声をかけてきた。それに少し驚いた表情をしながら便利屋68の視線がノノミちゃんに集まる。

 

「あれ……?えっと、隣の席の――」

「うんうん、此処のラーメンは本当に最高なんです、遠くから態々来るお客さんもいるんですよ」

「えぇ、分かるわ、色々な場所で色々なものを食べたけれど、このレベルのラーメンは中々お目に掛かれないもの」

 

 確かにここの料理は美味い。美食研究会が大人しく料理を食べる程だ。あいつら常識をどっかに置いて来たのか?と思う程やらかしが多いが舌は肥えてるからなぁ。

 

「えへへ……私達、此処の常連なんです、他の学校の生徒さんに食べて頂けるなんて、何だか嬉しいですね」

「きょ、きょ、恐縮です……」

「その制服、ゲヘナ?遠くから来たんだね」

「……まぁね、ちょっとだけ大変だったよ~?」

「…………」

 

 あ、カヨコとムツキ、今話してるノノミちゃんがアビドスの所属だって気付いたな。

 

「ね、もしかしてアビドス?」

「たぶん……でも社長…気づいてないね…言うべき?」

「ん~..面白そうだからほっとこ!」

 

 さて、どうしようか、まあ迎撃はするか。あとはアイツら呼ぶかな。

 

「うふふふっ、良いわ、こんな所で気の合う人達に会えるなんて、これは想定外だけれど、こういう予測できない出来事こそ、人生の醍醐味じゃないかしら!」

 

 アルはすっかり仲良くなっちゃってこの後戦うってのに、まあ、こういうポンコツ具合がアルの面白いところだよ。

 さて、久しぶりにコイツらが何処まで成長したのかみてやるか。楽しみだ。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

「ふう……良い人達だったわね」

「………」

「………はぁ……」

 

 

 便利屋とアビドス、ヤマトが互いに手を振り合って別れた後、アルは笑顔なのに対してただ一人、カヨコの表情は暗かった。

 そんなカヨコを心配してアルは声をかけた。

 

「カヨコ?もしかして胃もたれでも…」

「違う、社長、あの子達の制服気付いた?」

「せ、制服?なんのこと?」

 

 カヨコの予想外の言葉にアルはきょとんとする。

 その顔をみてムツキはクスクス笑い始めた。

 

「アビドスだよ、あいつら」

「………アビドス?」

 

 アルは難しい顔でアビドス……アビドス……と言葉を繰り返し、そんなアルを見てカヨコは額を押さえてため息をついた。

 そして漸く、アルは今回の依頼主からの襲撃校の名前がアビドスである事を思い出した。

 

「ななな、なっ、何ですってッーーー!?」

「あははは、その反応おもしろ~い」

「はぁ……本当に全然気づいていなかったの」

「……えっ、そ、それって私達のターゲットって事ですよね? わ、私が始末してきましょうか!?」

「あははは、遅い、遅い、どうせもうちょっとしたら攻撃を仕掛けるんだし、その時暴れよ、ハルカちゃん」

「そ、そうですよね」

 

 

 愛銃を握りしめ、今にも突撃しそうなハルカをムツキが制止する。その制止にハルカは愛銃を握りしめた手を緩めた。が、カヨコはまだ苦虫を噛み潰し続けているような表情をしていた。

 

「う、嘘でしょ……あの子たちがアビドス? う、うぅ、何という運命の悪戯……!?」

「はぁ……社長、まだ悪い情報が残ってる」

 

 崩れ落ち、まるで生まれたての小鹿の様に震えているアルにカヨコは追い討ちをかけるように言葉を続けた。

 

「う、うそでしょ…?これ以上、何が……」

「ヤマトがアビドス側に着いてる」

 

 ピタっと、震えていたアルの動きが止まった。

 そして数秒の間を開けて錆び付いたブリキの玩具のようにカヨコの方に振り返った。

 

「……嘘でしょ?」

 

「嘘つく理由が無い。それにさっき『楽しみに待ってる』って言われた」

 

 カヨコはそう言って天を仰ぐ。

 そして、静止していたアルは徐々にカタカタと震え始め……

 

「どお"じでよ"ぉぉぉお"っ!!!!!」

 

 情けなく汚い声で悲鳴を上げた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蹂躙またの名を地獄絵図

 

「あばばばばば」

「もう、アルちゃんしっかりしてよ」

「わからなくも無いけどさ……」

「あわわわ、わ、私は、どうすれば」

 

 俺の目の前には白目を向いて震えるアルにそれを面白そうに見るムツキ、気だるそうにしたカヨコ、慌てふためくハルカの4人と――

 

「え?あれ、ヤマトさんだよな?」

「まさかヤマトさんと戦うとか?」

「ははは、そんなまさか」

「帰っていい?」

 

 その後ろでざわめく傭兵達。敵側は簡単に言えば全員俺の知り合い!そして全員俺が叩き潰した存在!(俺はn回死んだ)

 俺はアビドスから借りた放送用のマイクを握りマイクに向かって喋り始めるとアビドスの校庭に俺の声が響く。

 

『よく来たなお前達!仕事ご苦労様!しかし、今の俺はアビドス側についているのでお前達と敵対することになる!』

「帰ろうな?」

「そうだな、帰ろう」

「家に作り掛けのプラモあるからさっさっと帰って完成させなきゃな」

「バイトがあるので」

「今、モモトークでおばあちゃんが危篤だって」

 

 アルに雇われた傭兵達は口々に帰ると言い始めるが、逃がさんよ?

 手元にあるスイッチを押すとアビドスを囲うように半透明のドームが形成される。

 

『今日はお前達がどれだけ成長したか見せてもらう。故に逃げる事は許さん!』

「お、お慈悲を!」

「廃校寸前の学校襲撃する簡単な仕事じゃ無いのかよォ!」

「どういう事だ!陸八魔アル!」

「許さんぞ!陸八魔アル!」

「殺してやるぞ!陸八魔アル!」

 

 俺の言葉を聞いた傭兵達は口々にここに来る原因となった雇い主のアルに矛先を向けるが。

 

「あばばばばば」

「もうダメだね」

 

 未だに白目を向いていた。いざという時は頼りになるんだけどなぁ。今回はダメだな。

 

『本当なら俺が相手をしてやりたいところだが、今回お前達の相手は俺では無い』

「マジで?」

「それならマシか?」

「多分アビドスの連中か?」

 

 そろそろアイツらのストレス発散をしないと学校が被害に遭うのでな、修繕だって無限じゃねぇんだぞ!クソッタレ!

 

『では今回の対戦相手を発表する!シロコ、布を剥がせ!』

「ん!」

 

 俺は校庭の隅に鎮座した何か達に掛かった布をシロコに指示して剥がさせる。

 まず目に入ったのは戦車の砲塔があるべき場所に人の上半身がくっ付いたような形をしたロボット。手には銃であろう武器が握られ、背中には別の武器がマウントされている。大きさはだいたい6m程。

 次に見えたのはキャタピラをつけた多脚戦車だ、しかし砲塔についているのはミサイルポッドと思われる存在。しかも大量に。

 最後に見えたのは完全な人型をしたロボット。最初に目にしたロボットとは違いこちらの武装は全て近接型。大きなレンチのような武装やパイルバンカーなどが見て取れる。

 

「ロボット?」

「……ま、さか……」

「ねぇ!違うって言ってヤマトさん!アイツらじゃ無いよね!」

「あばばばばば」

「うぉー!?ここからだせぇ!!」

「嫌だー!死にたくなーい!死にたくなーい!!」

「ブクブク……」

「衛生兵ー!!」

 

 その姿を見ただけで傭兵達は震える叫び泡を吹いた。わかるよ君達、俺もちょっと震えてるもん。

 

『さあ!!今回のイカれたメンバーの紹介だー!!まず初めに、最初に目に付く戦車の車体に人型の上半身がくっ付いているロボットに乗るのは!ブラックマーケットに存在する連邦生徒会非公認の学園!エガタ学園所属!兵器開発部、部長!柳刃(やなぎば)レア!元ミレニアムサイエンススクール所属で危険な兵器開発により退学させられた問題児だ!よく俺はコイツに新兵器の的にされている!お前らも的にされてみやがれ!!』

 

 エガタ学園においても超問題児である柳刃レア。自分で作ったものは試さずにはいられないとよく暴れる超危険人物だ。俺は死んでも生き返るからとよく的にされている。人の心とか無いんか?

 

『続いて多脚戦車でありながらミサイルポッドのようなものが取り付けられた存在!それに乗るのは先程と同じくエガタ学園、兵器開発部に所属する名護(なご)カオル!その口癖『芸術は爆発だ!』の通り爆発をこよなく愛する爆弾魔!矯正局送りにされる事数十回!全て檻を爆破し逃亡!最近ではコイツを含めて八囚人なんて呼ばれ始めてる!』

 

 此奴もまた俺を爆弾の実験台にするイカレ野郎だ。人の心は無い。

 

『そして最後が人型ロボットに乗るのは!エガタ学園、兵器開発部所属!ロマンをこよなく愛する女ァ!鬼紫(きし)ライハ!兵器開発部唯一無二の常識人にして良心だ!常にロマンを目指して機械を弄り夢にまで見たあんな兵器やこんな兵器を日夜作り出してるぞ!』

 

 人型ロボットにパイルバンカー、ロケットパンチ、暴走モードなどなど、男の子の心を掴むこと間違いなしの発明品を良く作る良い子だァ。

 

『的がたくさんある、ヒヒッ、楽しくなりそうだァ』

『君達はどんな爆発を見せてくれるのかな?』

『あ、えっとよろしくお願いします』

『それじゃあ逝ってみよう!』

「お慈悲を!お慈悲を!!」

「命ばかりは!!命ばかりはお助けを!」

「我が生涯に数多の悔いあり!」

「ママァ!!」

「えっ!?何この状況!?」

「あっ、やっとアルちゃん起きた。まあ、起きない方が良かったかもしれないけどね」

「この仕事受けるんじゃ無かった」

「あわわわわわ、ど、どうしましょう、どうしましょう」

 

 その後の事はあえて語るまい。しかし、あえて言うならば地獄絵図であったと書き記す。

 別にアビドスを狙った腹いせとか、実験台友達増やそうとかそんな事思ってないんだからね!

 





・エガタ学園
ブラックマーケットに存在する連邦生徒会非公認の学園。ヤマトその他多数の有志のもの達により設立されたキヴォトス最後の砦。各学園からブラックマーケットに集まった不良生徒達にこの世を生きる為の術を叩き込む学校。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

地獄絵図の後で

中々癖の強いオリキャラが誕生してしまった。
これも全部アーマードコア6てっやつのせいなんだ!(言いがかり)

ACを登場させたいが為に作ったが今後も活躍はあるオリキャラ達です。


 

「もう大丈夫だからな!」

「うう……ミサイルが飛んで、うわぁぁぁぁぁ!?」

「ドクター!鎮静剤を早く!」

「レンチメイス怖い、レンチメイス怖い、チェーンソーはやだァァァァ!!」

「人手が足りない!応援を呼べ!」

「ル、ルビコン神拳恐るべし……ガクッ」

「しっかりしろ!希望を捨てるな!」

「目が!目がァァァァァ!?」

「あ、悪魔が白い悪魔がぁぁぁ!!」

「んー、もう無理☆」

「おい!諦めてんじゃない!」

 

 エガタ学園、兵器開発部の部員三名による蹂躙の結果、アビドスの校庭には怪我人が並べられていた。全員大きな怪我は無かったが精神をやられた生徒が多数出た、後でメンタルケアしなきゃ。

 にしても――

 

「んー、地獄絵図」

「「「「「「「「「「あんたのせいだろ!」」」」」」」」」」

「うへぇー、流石にこれはおじさんでもちょっと……」

「これは流石に……」

「アビドスを狙った敵のはずなのに不憫すぎる」

「エガタ学園、初めて聞きましたがとんでもない場所のようですね」

「ヒヒッ、そりゃあはみ出しもの達の巣窟だからなァ」

「ビバ!爆発!」

「なんかすいません……」

「ん、なんか仲良くなれる気がする」

 

 レア、カオル、ライハの三人は俺、アビドス、先生の面々に混じって談笑をしていた。

 黒髪のウルフカットにゴーグルを首に掛けた180cmの高身長が柳刃レア、赤い髪のお団子ヘアーに右頬に大きな傷跡があるのが名護カオル、紫色の髪のショートヘアに特徴的な機械の足をしているのが鬼紫ライハだ。

 全員が元ミレニアムサイエンススクールであり今はエガタ学園の兵器開発部に所属している。

 

「ううう、酷い目にあったわ」

「意外と何とかなったね〜」

「でも、二度とやりたくない」

「つ、疲れました……」

 

 なお、レア、カオル、ライハの三人と戦って便利屋68だけは全員が軽傷だけですんでいた。

 

「まだまだ改善の余地ありと言う事だなァ」

「ハルカさんとは仲良くなれそうですね。良い爆発でした」

「操縦技術の方も磨かないとね」

「お前らは何処を目指してるんだよ……」

 

 その向上心は大変素晴らしいがそのせいで被害が出てるんだよなぁ。

 

「ヒヒッ、にしても良いもん手に入ったなァ」

「良い物?」

「ああ、傭兵共が使ってた武器だよ。どれもこれもブラックマーケットでしか取り引きされてない型番の武器や兵器だ。結構値段張るんだがな、今回はタダでパーツが手に入ったよ。ヒヒッ、儲けもんさァ」

「ブラックマーケットですか……」

 

 倒れてる傭兵達も全員がエガタ学園に在籍している奴らだからな、基本的に活動圏内はブラックマーケットだ。まあ、基本的に不良生徒とかはブラックマーケットが活動圏内だし。

 

「うう、高かったのに」

「私の愛銃がぁ……」

「人の心がない!!」

「畜生めぇ!!」

 

 この傭兵達の嘆くさまよ。罪悪感がヒシヒシと込み上げてくる。

 

「……仕方ねぇ。ここに居るヤツら全員学年とクラス、名前言え。補填してやる」

 

 今ここでレアとカオルに奪った物返すように言ったら殺されかねん。コイツらお手軽に俺の命奪うからな。ライハだけは返してあげる、というか奪ってないからな。

 

「マジっすか!?ヤマトさん!!」

「シャッ!オラッ!!」

「ヤッター」

「ヤマトさん太っ腹!!」

「ヒヒッ、嬉しいねぇ」

「これでもっと爆発が見れますね!」

「問題児二人は引っ込んでやがれ!何も失ってねぇだろうが!!」

 

 図々しすぎだぞ!コイツら!

 

「うへぇ〜、ヤマトは相変わらず優しいね?」

「ん?まあな、やってることはあれだがコイツらも生きてく為に必死だからな。先輩として手助けぐらいはしてやるさ、俺のやれる範囲でな?」

 

 確かに素行が悪かったりそういう理由でブラックマーケットに来るやつも多いが財政難だったりでブラックマーケットに来るしかない奴らも居るからな。そういう奴らを助ける奴なんてそう多くは無いというか皆無だ。

 それに一応元先生(プレイヤー)としては生徒達には幸せになってもらいたい。プレナパテス先生に、例えゲームのころだったとはいえ頼まれた側だしな。先生の手の届かない場所に手を届かせる為に俺は必死こいてここキヴォトスでもがいてるわけだし。

 

「よし!全員復活したら飯食いに行くぞ!今日は焼肉奢ってやる!」

「マジ!?」

「ヤマトさんマジパネェ!」

「焼肉!焼肉!」

「やっぱり焼肉っしょ!!」

「ヒャア!ヨダレが止まらねぇ!」

 

 コイツら急に元気になり始めたな。まあ、良いか。

 

「もちろんおじさん達も連れてってくれるよね?」

「おう、もちろんだ。便利屋68もな」

「ん、楽しみ」

「やりましたね!」

「そ、そんな。い、良いんでしょうか?」

「奢ってくれるって言ってるんだしありがたくご馳走になろうよ」

「そうだね、仕事潰されたわけだし」

 

 とりあえず今日は焼肉食って終わりにしよう。

 

「ヤマトお金大丈夫?なんなら私が……」

「良いって先生。俺お金持ちだから。それにこの人数分のお金を最近パン生活の先生が払えるわけないでしょ」

「うっ……」

 

 先生の申し出はありがたいが趣味にお金使ってユウカに怒られたんだから節約しなよ。

 

 とりあえずみんなで食った焼肉は美味かったと言っておく。少なくないお金が懐から飛んだが必要経費だ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

未来の為に

なんか今回は上手くお話書けなかった気がする。ちょっとスランプ入ったかもしんない。
とりあえず頑張る


 

「クックックッ、まさか貴方の方から来て頂けるとは思いもよりませんでしたよ。骸夜ヤマトさん」

「俺だって出来れば会いたくなんて無かったよお前とは、でもそうも言ってらないんでな」

 

 とあるビルのオフィス、その場所にはポツンと机と椅子が置いてある。

 そこに座るのは黒いスーツに身を包みキヴォトスでも見ない珍しい姿の大人、体は影の様に黒く無機質で、右目にあたる箇所には発光部があり、そこから顔全体に亀裂が走っている。

 ゲマトリアという組織の一員『黒服』。()()を目指し()()に対抗する為に『大人』としてのありとあらゆる手を使う『悪い大人』。

 そんな黒服と俺は対峙していた。

 

 元々黒服とはキヴォトスに転生して自分の不死性を知ってから間もなくしてから出会った。

 やはりというか俺の不死性に目をつけて接触してきた。その時はキッパリ断ったが連絡先だけは受け取っていた。

 

「それで今回はどのようなご要件で?あの契約を結んでいただけるので?」

「それは無い。何をされるかわかったもんじゃねぇ」

 

 黒服が前に持ちかけてきたのは俺を調査する見返りに金銭やゲマトリアの技術提供など非常に魅力的ではあったがその調査がどの範囲でありどれだけの期間であるかなど不明瞭な事も多く断った。

 

「俺が出すのは情報と今まで俺が書いた俺自身の研究資料、お前達ゲマトリアに求めるのは技術だ。もっと詳しく言えば共同研究になるな」

「クックックッ、それはまた非常に気になりますね」

 

 先生がこのキヴォトスに来た以上もうキヴォトスの命運を賭けた戦いはもうすぐだ、ここで俺に出来る事をしなくてBADENDになったなんて笑えない。

 

「それじゃあ、詳しく話そうか」

「ええ、有意義な時間にしましょう」

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「いらっしゃい!なんだ、ヤマトか!」

「こんちわ、大将。チャーシュー麺大盛りに餃子お願い」

「おう、いつものだな。待ってな!」

 

 俺は黒服との話し合いを終えて柴関ラーメンに来た。

 黒服との話し合いはすげぇ神経を削られた。なんだよアイツ、マジで面倒、苦手。

 

「ヤマトじゃん、やっほー」

 

 柴関ラーメンに入って声をかけたのはムツキだった。他の便利屋68の面々も揃っている。

 

「ああ、お前らか。ここ気に入ったのか?」

「まあ、安くて美味しいからね」

 

 俺は便利屋68と同席する。

 

「で?難しい顔してどうしたんだアル?」

「……このままでいいのかしら。いいえ、良くないわ」

 

 ああ、またか。

 アルは時たまこうなる。ハードボイルドでアウトローの存在になろうとしているアルは少しズレている。どうせ柴関の大将の優しさに触れたせいだろう。

 

「また()()が始まっちゃたかぁ」

「私に必要なのは冷酷さと無慈悲さと非情さなのに!こんなほっこり感じゃない!ここには仕事に来てるのよなのに、こんな――」

「はーい、黙りましょうか」

 

 俺はアルの口を手で塞ぐ。

 

「もごもごもご!?もごもご!!」

「ちょっ、口動かすなくすぐったい。良いから落ち着けよ。お前がそうなるといつもろくな事ないだろ?」

「……もごもご」

 

 アルが大人しくなったのを見計らって俺はアルの口から手をどける。

 

「お前はさ変な思い込みしてんだよ。アウトローは法に従わないもの、ハードボイルドは感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情、精神的な強靭の高いやつだ、お前の言うそれはただの犯罪者と紙一重だぞ?お前がなりたいのは吐き気を催す邪悪か?それとも卑劣な悪か?お前の解釈がいまいちよく分からないんだよなあ」

「……それは」

 

 俺が思うにコイツの言うアウトローとハードボイルドは自由とカッコ良さなんだよな。まあ、コイツ元来のポンコツさで到底なれるとは思わんが、それがアルのいい所でもある。あと変な所で甘ちゃんな所とか。

 

「お前がどう生きようとお前が決める事だが、アウトローとハードボイルドって言葉に捕らわれすぎだ。もっと自分のやりたいようにやれ」

「私のやりたいように……」

 

 アルは変に意識してない時の方がそれっぽいんだけどなぁ。根は真面目なところあるし、アウトローとハードボイルドなんて目指して簡単になれるような存在でもない。特にハードボイルドなんてそのうち感情が死にそうだ。

 

「お待ちどう!柴関ラーメン四つとチャーシュー麺大盛りと餃子だ。腹減ってると良くない考えばかり浮かんじまうもんだ、飯食ってから考えてもでも遅くはねぇさ。それにな嬢ちゃん、あんたの周りにはいい友達がいるじゃないか」

「大将いい事言うねぇ」

「人生経験が違うんだよ!なんてな、はっはっはっ」

 

 席に届いたラーメンを俺達はそれぞれ食ったがその間アルは何やら悩んだ顔をしていた。まあ、そのうち吹っ切れるだろ。

 

「ご馳走でした。大将御会計」

「あいよ」

 

 ラーメンも食い終わり店を出ようとした時。突然柴関ラーメンの建物は崩れ去り俺はミンチになった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゲヘナ風紀委員会

 

「ゲホッ、ゲホッ、いきなり何よ!?」

「痛ったぁい」

「みんな無事?」

 

 突如として崩れた柴関ラーメン、その瓦礫から便利屋68の面々は出てきた。目立った怪我は無く無事のようだ。

 

「あれ?ハルカちゃんは?」

 

 ムツキのその声にアルとカヨコは辺りを見渡す。

 

「ヤ、ヤマト様!?ヤマト様!!うぅぅぅぅ」

 

 瓦礫から突き出た腕を一生懸命に引っ張っているハルカが見えた。

 

「ぬ、抜けませ――ひゃあっ!?」

 

 次の瞬間には勢いよく転んでしまった。

 

「ちょっ、ハルカ大丈夫!?」

「あ、アル様。えへへ、お見苦しい所をお見せしました。でもヤマト様は……へっ?」

 

 アルに自慢するようにヤマトを助けたと言おうとしてハルカは自分の腕の中にある()()()を見て固まる。

 

「ひぁぁぁぁぁぁ!?う、ううううう、腕!?」

「ぎゃぁぁぁぁぁあ!?」

 

 それを見たハルカとアルは大声をだして白目を向く。ヤマトと思ったら腕だけだったなんて驚くのも無理は無いだろう。

 だが腕からまるで逆再生するかのように骨が肉が神経が構築されていき、やがて無傷の俺が現れる。

 

「ふぅ、酷い目にあった。」

 

 俺は何も無かったかのように立ち上がった。

 

「あわわわわわわわわ」

「あばばばばばばばば」

「いつ見ても慣れないよね……」

「わかっててもくるものがあるね……」

 

 その姿にハルカとアルは声を上げながら頬を少し赤くし、カヨコとムツキは俺の下半身を見ないようにしないようにした。

 

「また、服がダメになった」

 

 ちくしょう、服もタダじゃないんだぞ。

 そう思ってると瓦礫の一部が吹き飛んでIBMくんが出てくる。その手には気絶した大将が抱えられてた。

 死ぬ寸前に大将を守るように展開したがしっかりと大将を守れたようだ、衝撃で気絶したようだが。

 

「どうなってんの!?」

「酷い……」

『柴関ラーメンが瓦礫の山に……』

 

 どうやらアビドスのみんなが駆けつけたようだ。先生もいる。

 

「……ヤマト、なにがあったの?」

 

 俺にそう問いかけてきたのは目が据わったホシノだった。

 

「砲弾が柴関ラーメンに直撃して俺はミンチになった」

「……へぇ」

 

 そういえばホシノ目から光が消えた。

 あ、これやべぇなと直感的に察した、砲撃した誰かさんよ南無三。

 

『そちらに近付く集団を確認!これは……ゲヘナ学園の風紀委員会です!』

 

 そういえばこのイベントもあったな。

 

「ゲヘナか……そう、ゲヘナ」

 

 ああ、ホシノはもう殺る気満々ですわ。

 てか、いつまでも裸だと風邪引くわ。瓦礫から飛び出してきたベクトゥラから服を受け取りさっさと着る。

 

「アヤネちゃん」

『どうかしましたか?』

「ゲヘナからなんか連絡来てる?」

『いえ、来ていません。今回のこの行為は越権行為です』

 

 やっぱりか、あの横乳め。面倒を起こしてくれる。トリニティとのエデン条約も控えてるってのに。

 しばらくしてやって来たゲヘナ風紀委員会の部隊の先頭にチナツと銀鏡(しろみ)イオリが見えた。

 

 俺はベクトゥラからフルオートショットガンのPancor Jackhammer(パンコア ジャックハンマー)の〈ジェノサイダー〉を取り出す。流石に今回のはカチンと来た。銃弾は暴徒鎮圧用のゴム弾だが問題ない。俺の神秘も込めてるし二発も撃ち込めば普通の生徒は気絶する。至近距離なら一発で良い。

 

「お仕置が必要だな」

「……そうだね」

「ふふふ、何が何だか分からないけど今の私はムカムカしてるのよ、相手してやるわ!!」

 

 俺、ホシノ、アルはそれぞれ得物を構えて風紀委員会を待ち受ける。

 

「えっ、ヤマトさん……」

「どうしてあんたがここに」

 

 やって来た風紀委員会のチナツとイオリは俺がいた事に驚いているようだ。

 

「ここで飯食ってたんだよ。そしたら砲弾が、ね?」

「えっ」

「……やば」

 

 いやぁ、一回死んだせいでせっかく食べたチャーシュー麺と餃子が胃の中から消えちまったよ。

 

「それに君達、アビドスに許可とってないらしいじゃないか。他自治区への大部隊による侵攻。どうせここに居る便利屋68を免罪符にでもしようと思ったんだろうけどエデン条約が控えているこの大事な時期にこんな馬鹿な事ヒナなら許さない。どうせあの横乳の仕業だろ?」

『誰が横乳ですか!?』

 

 俺が横乳と言えばチナツの持つ通信機から空中ディスプレイが投影され青髪の少女か現れる。ゲヘナ風紀委員会、行政官天雨(あまう)アコだ。

 

「でたな、横乳」

『その呼び方辞めてくれません!?』

「はっ!補佐のくせにヒナの仕事増やしてるバカは横乳で十分だよ」

『なっ!?私は委員長の為にエデン条約前に不確定要素を――』

「今回は多方超法規的組織であるシャーレの先生を狙ったんだろ?だがな、こう言う政治絡みは万魔殿(パンデモニュウム・ソサエティー)の役割だろ?マコトに連絡しとくからな?」

 

 風紀委員会と万魔殿は仲が悪い。確実にアコはこのネタで煽られるな。

 

『なっ!?』

「イオリやチナツも上に意見するとかヒナに連絡するとかしろよ。明らかにおかしいだろ今回のは」

「うっ、それは」

「ご最もですね」

 

 イオリとチナツは反省しているのか暗い顔をしている。まあ、チナツに関しては医療班だから仕方ないところはあるんだけども。

 

「さて、言いたい事は言ったしここからはお仕置きな?」

「おじさん、久しぶりに怒ったよ」

「柴関ラーメンの仇!」

「行きまーす」

「ん、やる」

「合法的に風紀委員会に喧嘩を売れるね!」

「うふふふ、やってやるわ!」

「し、死んでください!」

「はあ、仕方ない」

 

 俺、便利屋68、アビドスの全員が武器を構えて殺る気を顕にした。

 

「ああ、横乳お前は今度ゲヘナに寄った時にサシで相手しやるよ」

『ひっ!?』

「先生、指揮頼む」

「え?あ、うん」

 

 ここからは楽しいお仕置の時間だ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゲヘナ風紀委員長

 

 アビドス自治区の倒壊した柴関ラーメン付近ではゲヘナ風紀委員会の委員達が転がっていた。

 

「戦闘終了」

「みんな、お疲れ様」

 

 俺の報告と先生の労いの言葉で便利屋68とアビドスの面々は構えていた武器を下ろして戦闘態勢を解いた。

 

「ううっ、負けた」

「悔しいのはわかりますが動かないでください」

 

 今は、風紀委員の医療班が忙しなく動いて倒れている他の風紀委員達を治療していた。

 

『そ、そんな……』

 

 アコは通信機の向こう側で唖然としているようだ。まあ、普通ならこの人数差では基本的に勝てないが、先生の指揮もあったし、自分で言うのもあれだが俺はキヴォトスでも上位に入る実力者だからな。

 

「で?いつまで見てるつもりだヒナ?」

『えっ……』

 

 俺がそう言えばヒナがどこからともなく現れた。

 

『ヒナ委員長!?』

「……どういう状況かはもう把握してる。アコの独断については学園に帰ってから決めるわ。それまで謹慎していて」

『……はい』

 

 ヒナはアコにそう告げるとこちらに向き直った。その事に便利屋68とアビドスに緊張が走る。

 

「おう、久しぶりだなヒナ」

「ええ、久しぶりヤマト」

「いつも大変だな、あの横乳の暴走。まあ、ゲヘナらしいと言えばらしいんだが」

「風紀委員会としてはよろしくないんだけどね。まったくアコには困ったものね」

 

 便利屋68とアビドス達は俺がヒナと話始めたからか毒気を抜かれたように緊張を解いた。

 

「連絡ありがとう。おかげで状況はちゃんと把握したわ。後でアコにはしっかりと反省してもらう」

「そうしてくれ。今度ゲヘナに行った時には個人的にあの横乳に訓練付けてやるわ」

「ええ、ぜひ。アコも普段書類仕事ばかりで鈍っているでしょうから」

 

 よし、これで問題無くあの横乳の事しばけるな。

 

「とりあえず万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)には俺から報告しておく。風紀委員会には特に罰は無いように言っておくが横乳には風紀委員会とは別に万魔殿から沙汰が下る可能性は高いからそこだけは了承してくれ」

「わかっているわ。今回のアコの行動は色々と不味かったもの」

「俺も飯食ってたら砲弾食らってせっかく食ったラーメンが胃の中から無くなっちまったよ」

「……ごめんなさい。とりあえずここのお店にはゲヘナからお金を出すように万魔殿には要請しておく」

「そうしてくれ」

 

 あー、一回死んだ事を匂わせる発言はしなきゃ良かったな。ヒナが暗い顔しちまった。悪いのはあの横乳なんだが。

 

「ま、とりあえず俺との話し合いはここまでにしてアビドスの連中と話しつけてくれ。今回の一番の被害者はアビドスだからな」

「ええ、もちろんよ」

 

 ヒナは俺からアビドス達に体の向きを変える。

 

「事前通達無しでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こしたこと。このことについては私、空崎ヒナより、ゲヘナ風紀委員会の委員長として、アビドス対策委員会に対して公式に謝罪する」

 

 そう言ってヒナは深々と頭を下げた

 

『えっ!?』

「!!」

「!?」

 

 その事にその場にいたアビドスの面々は驚く。

 それもそのはず廃校寸前のアビドスへキヴォトス三大学園の一つゲヘナ学園、それも風紀委員長からの正式な謝罪なのだ。アビドスとゲヘナではその力関係からして天と地、月とスッポンの差がある。

 その謝罪には大きな意味がある。

 

「今後、ゲヘナの風紀委員会がここに無断で侵入することは無いと約束する。どうか許してほしい」

 

 それとは別にあの粗暴で有名なゲヘナからしっかりと謝罪されている事にも驚いているのだろう。

 ヒナはゲヘナにいるとは思えない常識人だからな。

 

「チナツ、イオリ撤収するわよ」

「えっ!?委員長、便利屋68はどうするの!?」

「もう居ないわ」

「え……ホントだ」

 

 ヒナの言った通り既に便利屋68達はその場からいなくなっており。これで完全にゲヘナ風紀委員会がここに居る理由も無くなった訳だ。

 

「貴方がシャーレの先生?」

「うん、そうだよ」

「先程の戦術指揮は見事だった。それと迷惑を掛けたわ」

「生徒達の相手をするのも先生の役目だから」

「……そう。それじゃあさよなら。また、会えるのを楽しみにしておくわ」

 

 そう言うとヒナは風紀委員会の人達を連れて去っていった。その去り際は流石ゲヘナで風紀委員長をやっていると思える統率の取れた撤退だった。

 ゲヘナでやっていける力とカリスマをこの短い時間で感じ取ることができた。

 

「……さて、一度アビドスに戻るか」

「そうだね。おじさん疲れちゃった」

 

 俺とホシノの言葉にみんなが頷きアビドスに向けて戻って行った。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

未来の為の布石〈上〉

 

 風紀委員会もといアコによる柴関ラーメンの破壊から次の日俺はミレニアムサイエンススクールにまで来ていた。

 

「お待ちしておりました。ヤマト様」

「いつもお疲れさま、トキ」

「仕事ですから」

 

 ミレニアムサイエンススクールの極秘エリアに入れば俺を出迎えたのは金髪にメイド服を来た少女、飛鳥馬(あすま)トキ。ミレニアムサイエンススクール、C&C所属、コールサイン04。だが、実際にはミレニアム生徒会長の専属のボディガード・懐刀の役割を担っており、与えられた様々な任務を単独でこなしている。

 

「それではご案内致します。どうぞ此方へ」

 

 トキの案内に促されるままついて行くととある一室に案内される。

 

「失礼致します。トキです。ヤマト様をお連れしました」

「ご苦労さまトキ。入ってちょうだい」

 

 中に入れば俺とトキを出迎えたのはロングの黒髪をした女性。ミレニアムの生徒会長、調月(つかつき)リオ。

 

「いらっしゃいヤマト」

「ああ、お邪魔するよ」

 

 リオとの出会いは3年前になる。別段特別な事はなくたまたま知り合っただけだけどな。

 

「ヤマト様、お飲み物はどうされますか?」

「ありがとう、トキ。冷たい緑茶をお願いしても良いかな?」

「かしこまりました」

 

 トキは部屋に備え付けられたキッチンのにまで行くとお茶の準備を始めた。

 

「ところで要件は何かしら?」

「ああ、すまない、いつも忙しいのに」

「いえ、別に攻めてる訳では無いのよ」

「色々な確認をしに来たのと、後はコユキに頼んでいたものを取りに」

「ああ、なるほどね。コユキは今謹慎中だから面会用の書類発行しておくわね」

「ありがとう」

 

 リオは俺とは一切目を合わせずに様々な書類に目を通したままだ。人によって気分を悪くするかもしれないがリオはいつもこうで下手をするとそのうち過労で倒れないか心配になる。

 

「ヤマト様、お飲み物をお持ち致しました。リオ様もどうぞ一度休憩をなさって下さい」

「いえ、私は――」

「既に四時間休憩を取らずに仕事をしております。昨夜の睡眠もたったの4時間です。これ以上の活動は仕事に悪影響を及ぼします」

「……私は――」

「リオ?」

「……はぁ、わかったわ」

 

 トキと俺による圧力によりリオは仕事を一旦辞め、俺が座っている来客用のソファーの反対側に座る。来客用と言っても座るのは大抵俺なんだけどな。

 俺とリオは静かにお茶をしばらく飲んだ後話し始めた。

 

「それで、エリドゥはどうだ?」

「既に完成して今は点検中よ」

「ウルク、バビロン、クタ、ニップル、エビフは?」

「ウルクとバビロンは既に最低限稼働出来るわ。他の三つに関してまだ建設途中よ」

 

 なるほど、これならまあ間に合うかな。

 まあ、戦力の底上げは未来の事を考えるとどれだけしても足りない。

 

「イルカルラは?」

「既にロールアウト済みで何時でも稼働出来るわ」

「なら、おそらく数日中に借りる」

「何処で?」

「アビドス砂漠だ」

「ビナーね。データ収集も必要だからちょうどいいわね」

「おまかせ下さいヤマト様、リオ様」

「ええ、お願いねトキ」

「楽しみにしとくよトキ」

 

 これでとりあえずビナーは先に潰せるかな。

 

「ところであいつらはどうだ?」

「あいつら?……ああ、あの子達ね良く働いてくれているわ」

「そうか、なら良い」

 

 その後はたわいもない話を小一時間程して俺はリオとトキと離れた。

 次に訪れたのはミレニアムの謹慎室だ。

 

「あ?ヤマトじゃねえか。どうしたんだ?」

 

 謹慎室の前で出会ったのはミレニアムのC&C所属、コールサイン00(ダブルオー)甘美(みかも)ネルだ。

 大方、見張りなのだろう。

 

「コユキに会いに来たんだ」

「あいつにかよ。いい加減、面倒起こさないように首輪でも付けて閉じ込めときゃあ良いのによ」

「ははっ、確かにコユキは色々とやらかすけど、ミレニアムにとって稀有な才能の持ち主だしね」

「わかってるけどよぉ?いつも捕まえるこっちの身にもなれってんだよ」

「でも少し前よりはましになってるじゃないか」

「だからタチ悪いんじゃねえかよ」

「ははっ、確かに」

 

 ネルのコユキに対する愚痴を聞いていると苦笑いしか出来ない。コユキは少し前に比べれば大人しくはなったんだけどな。

 

「はぁ、ここで愚痴っても仕方がねぇ。ほら、コユキに会うんだろ?着いてきな」

「ありがとう」

 

 ネルに着いていきコユキが閉じ込められている、部屋にまで来るとネルは鍵を取り出して幾つも取り付けられた南京錠を開けていく。

 コユキはコンピュータシステムの暗号であればどんなに複雑なものであろうとも感覚的に簡単に解いてしまうという特異な能力を持っている。その為ミレニアムで使われている電子錠は簡単に外されてしまうためここだけ古典的な鍵で外側から施錠してある。

 

「おい、コユキ入んぞ!」

『えっ!?ネル先輩!?ちょっ、まっ――』

 

 何やら慌てた様子のコユキを無視してネルは扉を開けると。

 ポテチを食べコーラを飲みながらパソコンを弄っているコユキがいた。更には部屋の中には様々なクッションやらも置かれておりもはや謹慎室と言うよりかはコユキの私室と化していた。

 

「……おい、コユキ」

「ひっ!?な、なんですかぁ?……へっ、へへっ」

「反省してんのかテメェはよォ!!」

「お、お許しを!!」

 

 この部屋の惨状とコユキの態度にネルは怒りコユキの胸元を掴むと激しく揺さぶった。

 

「いっつもオレたちがどんだけ苦労してると思ってんだよ!あ゛あ゛!?」

「す、すびませせせん。てか、はははははく、吐いちゃううううう」

「ネル、そこまでにしてくれ。コユキと話が出来なくなる」

「ああ?ちっ、命拾いしたな」

「うっ、吐きそ……」

 

 ネルから解放されたコユキは顔を青くしながら口元を手で押さえた。

 

「あー、大変な所悪いが良いか」

「あ、ヤマト先輩。うっ、にははは、お見苦しいところを見せました」

 

 やばそうだな。だがこっちも時間無いからな、手短に済ませるか。

 

「この前頼んでたアレはできたか?」

「カイザー系列の社内データですよね?バッチリ抜き取っておきましたよ!いやぁにしてもカイザーがあそこまで真っ黒だとは思ってもいませんでしたよ。あ、こちらデータです」

 

 俺はコユキからカイザーの社内データが入ったUSBメモリを受け取る。これでカイザーに対して有利に出られるな。なるべくカイザーの力を今のうち削り取って行きたい。そうすればこの先楽になるはずだ。

 

「ありがとう。今日は忙しいからまたそのうち来る」

「にははは、お待ちしてますよ〜」

 

 コユキの用事を早めに終わらせて今度はゲヘナへ足を向けた。

 ちなみに俺との会話が終わった後コユキはネルに締められていた。南無三。

 




ヤマトくんの暗躍暗躍〜

てか、さっさとブルアカのストーリーさっさと見終わらないとやばいぞ俺。
現在アビドスの二章なり。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

未来の為の布石〈下〉

何か主人公今のところ曇らせしてないなと思う。被害者はいるけど基本的に過去で済ませてるからな。そのうち過去編書かなきゃ。


 

 ミレニアムを後にしてやって来たのはゲヘナ学園。ここに来るまで不良生徒や温泉開発部と戦闘する羽目になったがまあ、いい。

 

「やっほー。やっと来たね」

 

 そう言って俺を出迎えたのは乗ったボリューミーな臙脂色の髪をした少女(なつめ)イロハ。ゲヘナ学園、万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)所属の戦車長。

 

「すまん。不良と温泉開発部に出会ってな」

「あー、まあそれなら許してあげましょう。それにサボれたしね〜」

「それは良かったよ」

 

 サボったと言いながらしっかりと待ってるあたり仕事はしっかりとやるタイプなんだよな。まあ、サボるのはマコトからの無茶振りの命令ぐらいだし。

 

「それより早く行くよ」

「ああ」

 

 イロハの案内に従ってゲヘナ学園の中を進み生徒会室まで来る。

 

「ヤマトを連れて来たよ〜」

「ご苦労、イ――まだ入室許可出してないんだがァ!?」

「今更でしょ?」

 

 イロハはマコトからの入室許可をガン無視で扉を開け放つ。

 中に入ればゲヘナ学園の生徒会である万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)の生徒会長の羽沼(はぬま)マコトだけが座っていた。

 

「あれ?他の奴らは?」

「ああ?今は席を外してる。それよりも」

 

 席から立ち上がりこちらに歩いてくる。

 

「キキキッ今日もしっかりとつけてるようで何よりだ」

 

 俺の首につけられているチョーカーを触りながらそう言う。

 この首のチョーカーはマコトから俺への贈り物と言うかマコトの顕示欲の現れと言うか俺のせいというか。まあ、色んな理由があるな。

 戦闘以外の場面ではつけているようにしている。死んだりすると無くしたり壊したりするからな。

 

「また始まったよ」

 

 そう言ったイロハは面倒くさそうに溜息をついたがその目は鋭くなっていた。

 

「そう睨むなイロハ。なんならお前も何かつけてみたらどうだ?」

「そういうキャラじゃないんで」

「俺は着せ替え人形じゃねえぞ」

 

 こうなったはやはり俺のせいでまあ、色々やっちゃったからな。主に俺の死とか。

 

「キキキッ、まあいい忘れるなよお前はこのマコトさまの物だ」

「はいはい。耳にタコができるほど聞きましたとも」

 

 適当に返してはいるが冷や汗をかく。マコトもイロハもその目の奥にはドロドロとしたものが見える。と言うかマコトに関しては一回監禁されたしなぁ。まあ、亜人らしく腕切断からの自殺して再生する際の再生の障害になる物質を分解して再生する特徴を利用して脱出したが。

 いや、あの時は驚いたな。

 

「で?話ってのはなんだ?」

「近々ここにシャーレの先生が来る。その時手助けしてやってくれ」

「なぜそう言い切れる?それにゲヘナのメリットは?」

 

 ま、流石に二つ返事とは行かないよな。マコトも一つの学園のトップに君臨してるわけだ。下手な行動は取れないそれにエデン条約が近いのに無理は出来ない。

 

「なぜ言い切れるのかは、それがあの先生の持てる手段の一つだから。メリットはシャーレとの繋がり。それと手柄」

「ふーん」

「まあ、今はそれで良いけどそのうちわかると思うよシャーレと言う存在ひいては()()()()()()()と言う存在の価値が。あと先生が来た時に最初に頼るのは風紀委員会」

「……なるほどわかった。良いぞシャーレの先生の手伝いをしてやる」

 

 ああ動いてはくれるみたいだけどやっぱり風紀委員会の名前を出さなきゃ動かなかったなたぶん。なんでそこまで風紀委員会を敵視するのか俺にはわからん。

 

「あと、アリウスのほうはどうだ?」

「ああ、そっちはもう潜り込ませてある。お前のおかげでやりやすかった。……にしてもだ、中々闇が深いぞ」

「だろうな」

 

 アリウスはトリニティの弾圧もそうだがその後のベアおばが接触したのがほんとに面倒臭い。

 このまま想定通りに事が進めばいいんだが。

 

「まあ、それだけだな」

「なに?もっとここにいろ」

「俺も今色々と忙しくてなアコと戯れてから帰るわ。今度埋め合わせするから」

「……仕方ない。だが、アコと戯れるなら外にいるぞ」

 

 マコトの指差す先にはゲヘナ学園の校庭が広がっておりそこでは――

 

「こ、来ないでぇ!?」

「ひゃぁ!!まちなよアコちゃん!そのだらしないよ横乳をつつかせな!」

「はぁはぁ、痛くないから、先っちょだけだから!」

「ひひっ、首輪プレイ」

「アコちゃんの■■■を■■して■■■■■■で■■■した後に■■■■■――以下略、ヤらせろぉ!!」

 

 アコを追いかけ回すクレイジーサイコレズどもの群れがいた。

 

「キッツ」

「ああ、仕掛けた私が言うのも何だがキッツイ」

 

 エガタ学園所属、百合同好会の面々だ。あくまで同好会なここ重要。

 まあ、言わなくともわかる通り百合とは女性同士のあれである。俺も好物ではあるがあそこまでやばくは無い。彼女らがエガタ学園にいる理由は察しろ。

 エガタ学園は来るもの拒まずのスタンスだからもう生徒は色々と濃い。たぶんあらゆる学園の中で一番カオスな学園だ。ゲヘナとは別ベクトルで混沌としている。

 もう愛でるとかじゃなくて性欲の対象として見てんのよなあいつら。

 

「混ざる気無くしたわ」

「ああ、混ざらない方が良い。消される」

 

 大方、正当な理由で風紀委員会に所属しているアコに嫌がらせできると知って最大級のを用意したが予想以上でドン引きしてるんだろう。

 そしてあいつらは百合に挟まる男は許さないタイプの奴らだ、かく言う俺もそうだが。

 

「それじゃあこれくらいで失礼するよ」

「キキッ、埋め合わせの件楽しみにしておくぞ」

 

 俺は生徒会室を後にして外にゲヘナ学園を外に出た。

 さて、明日はエガタ学園だな。

 

 




ちなみに過去編で詳しく書くけどマコトのスタンスは監禁しても止められないので永遠にそばに居るぞ!お前は私の物だ!もしほんとに死んでも追いかけちゃうぞ!
ヤンデレかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

レクイエムを奏でる死者達

 

 朝、エガタ学園の生徒会室に徹夜後のちょっとした休憩をしていた時にモモトークに着信が入る。

 眠気で重い瞼を無理矢理にあけ近くにあったエナジードリンクでカフェインを摂取する。そうしてスマホに手を伸ばす。

 モモトークを送って来た相手はホシノだった。いつも電話をしてくるホシノらしくないと疑問に思いつつもモモトークを開きメッセージに目を通すと一瞬で目が覚める。

 モモトークにはこう書かれていた。

 

『ヤマト、先に謝っておくよ。ごめん。

実は昔からカイザーからスカウトを受けてたんだ。カイザーPMCの傭兵として働く、その代わりにアビドスが背負っている借金の大半を肩代わりする……そういう話でね。

つい昨日、やらかしちゃってアビドスの借金の利子が増えて、更に三億円を近い内にカイザーローンに支払わなくちゃいけなくなった。

だからこの話を受ける事にしたんだ。

アビドスを……ユメ先輩とヤマトとシロコちゃんとアヤネちゃんとノノミちゃんとセリカちゃんと過ごした私達の大切な居場所を無くしたくは無いから。

中途半端に押し付ける形にはなってしまうけどすぐにアビドスが無くなる事態だけは避けることが出来る。

身勝手なお願いだけど、どうかお願い、アビドスのみんなをユメ先輩を支えてあげて欲しい。

さよなら、ヤマト。

 

追記

 

実は私、ヤマトのこと好きだったんだよ?もちろん男性としてね』

 

 全て読み終わってスマホを下ろし深く椅子に座り込む。

 わかっていたとはいえ来るものがある。そんなに俺は頼りないのかと思うが、これがホシノなのだ。喪うことを大切なものが傷付くことを酷く恐れている、1人の少女。

 

 だからこその選択、大切なものの為なら()()()()()ことがすむようにしてしまう。昔からそうなのかそれとも喪いかけたあの時からなのかそれとも誰かに似てしまったのか定かでは無いが酷く寂しく感じる選択だ。

 だが、しかし――

 

「それを認める程俺もアビドスの生徒も先生も聞き分けは良くないんだぜ?ホシノ」

 

 椅子から立ち上がると電話をかける。

 

「もしもし、ヤマトだ()()()()()は動けるか?」

『いつでも』

「そうか、全員アビドスに向かってくれ。敵はカイザーPMCだ」

『了解致しました。生徒会長』

 

 俺が電話を切ると同時に着信が入る。先生からだ。

 

「もしもし、ヤマトだ」

『ヤマト!ホシノが!!』

「知っている、こちらに律儀にお別れのメッセージを送って来たよ」

『ヤマト……』

「言われなくともわかってる。先生は先生に出来ることをしてくれ。俺も俺に出来ることをする」

『わかったよ。大人としては情けないかもしれないけど()()()()

「先生に一つ言っておく……情けなくとも誰かを頼れるやつは取りこぼさないやつだ」

 

 先生との通話も切ると俺は部屋から出て歩き始めた。

 今から始まる奇跡にはまだ必要な人がいる。一人たった一人ホシノが本当の意味でただいまと言えるアビドスに必要な今もなお眠る眠り姫が。

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 ホシノがいなくなった直後のアビドス自治区ではカイザーPMCが暴れ回っていた。

 理由は簡単。ホシノがいなくなったからだ。アビドス最後の生徒会員であるホシノがいなくなればアビドスは事実上の機能停止状態であるからだ。

 

 しかし、それを許さないものたちがいる。アビドスの対策委員会とシャーレの先生だ。

 更には便利屋68もアビドスに力を貸してカイザーRMCと戦闘を繰り広げていた。

 そんな中新たな銃声が爆発と共に戦場に響く。

 

「今度はなんだ!?」

 

 突然のことにアビドスの抵抗に苛立っていたカイザーPMC理事は声を荒らげ爆発が起きた方向を睨む。

 アビドスに便利屋68も新たな乱入者がいるであろう方向に目を向ける。

 

 戦場を突き進むのは五人の生徒達。その全員が同じ服に身を包み同じマークをつけている。唯一違うのはそれぞれがつけるフルフェイスのマスクのみ。

 

「誰だ一体…………なぜ奴らがここにいる!?」

 

 全くもって見知らぬ存在の出現にカイザーPMC理事は混乱するが次の瞬間驚愕に体を震わせる。彼女らの腕につけられたマークを、まるで包帯で作られた人型のようなマークを見て。

 

「我ら死により命を助けられしもの、我らが死の為に我らの命を尽くさん。我らが命は我らの死の為に」

「ふ、ふざけるな!!」

「我らは死の操り人形。我らエクリクシ、愛する死と生を繰り返せしものの為に撃鉄を今、起こす」

「こんなところで終わる訳には!!」

「これより任務を開始する」

「「「「「我らと死に安息を」」」」」

 

 そう言い放った彼女達の横には黒い人型が立っていた。





オリジナル要素がバンバン出ますねこれは。少し前まで影も形もいなかったのにおかしいなぁ……
まま、ええやろ。

ちなみにエクリクシのいう死はヤマトで全員がヤマトの死により命を存続させた子達です。
命を救われた時に自分達の救われた命はホントならないはずだからヤマトが救ったならヤマトに使う権利があるとヤマトの元に集った激重な子達。

これ以上詳しいことはおいおい説明しますね(*^^*)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エクリクシ蹂躙する

 

 エガタ学園所属、特殊部隊エクリクシ。五人の実働部隊と二人の支援部隊の計七名により構成される部隊。

 

 全員がかつて居た学園を自主退学しヤマトの為にエガタ学園に集まった集団であり、ヤマトに命を救われた少女達である。

 彼女達の行動理念はただ一つ『我らの命を彼に』。ヤマトに命を捧げヤマトの命令だけを聞く。自分達の全てはヤマトの為に使う。

 

 ヤマトは当初さすがにどうなのかとも思っていたがそれが彼女達の選択であり止めることが出来ないと悟ると諦めた。その後はヤマトの元でエガタ学園と言うよりはヤマトの私兵として日々を生きてきた。

 

 そんな彼女達の特徴は亜人のような存在である事。ヤマトとは違いヘイローによる防御はあり、死んでも蘇らないがとてつもなく高い再生能力――それこそ即死しない限りは一瞬で欠損であろうと心臓を撃ち抜かれようと再生する――とIBMを獲得した。

 

 元々彼女達は亜人のような力何てものはもっていなかった。

 だが、なんの因果かそれを獲得した。そうなる原理事態は黒服によって明かされている。

 

 死の間際、ヤマトが近くで死に生き返りその様を見て彼女達の神秘は在り方を変えた。 なぜそうなったかの原理は不明だが黒服はこう結論づけた。

 ()()()のだと。

 生き返ったと言う事実になのかそれとも死のうとも立ち上がることの出来るヤマトの人間性になのかそれともまた別のことにか、それはその時を生きた彼女達にしかわからないが、それに憧れ、想い、願った。それに神秘が答えた。

 

 死の間際というキヴォトスにおいて非常に稀な事象に死から脱却を可能とする神秘を知りそれを真似た、もしくは混じったのかもしれない。生への渇望、ヤマトへの憧れ、なんでもいい、彼女らの意思が神秘を動かしたのだと。

 

 まあ、そう結論付けることしか出来なかったとも言えるが。

 

 そんな彼女達は裏社会では有名だ。しかし、彼女たちを詳しく知るものはいない。なぜか?それは彼女を実際に見て正気でいられた者が極端に少ないからだ。

 彼女らを見たものは例外なく精神病棟へと送られる。誰もまともに覚えていない、いや、覚えていたくない。それほどの何かが彼女たちにはある。

 

 そんな彼女達について伝わっているのは彼女らが存在を示すように任務現場に残すエンブレムである包帯で出来た人型のみ。構成人数も生徒なのかそれとも大人なのか使う武器は何処の所属なのかもわからない。

 

 わからない事だらけ、故に恐怖を覚える。わからないという事は恐ろしい、未知というものは時に人を恐怖させる。

 それゆえか裏社会では一種の抑止力として機能している。

 

 そんな彼女達の戦闘力はこのキヴォトスでも突出している。無論一人一人の純粋な戦闘力キヴォトスの上澄み達には及ばない。

 しかし、彼女たちの真髄はチームコンビネーションと技術にある。もし、彼女らのうち二人が揃えばヒナであろうがワカモであろうが勝利し、同数がいればFOX小隊やRABBIT小隊も鎮圧可能である。

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「急いで応援を寄越せ!!こんな所で終わるわけにはいかないのだ!!」

「はっ、はい!!」

 

 エクリクシのマークをつけた少女達を見た瞬間カイザーPMC理事は部下に怒鳴りつけながら応援を寄越すように言う。

 そんなカイザーPMC理事を視界に収めながら彼女達は疾走する。

 

 そんなエクリクシに向けてカイザーPMCの兵隊達は銃を発砲する。

 しかし、彼女たちの目の前に立ったIBMが全て弾いていく。そして逆にカイザーPMCの兵隊達はエクリクシに撃ち抜かれていく。

 

 そんなカイザーPMCの兵隊達の目の前に盾を持った他の兵隊が割り込み防御するが何処からともなく飛来した12.7×99mmNATO弾に盾を砕かれ吹き飛ぶ。

 その銃弾ので出処はおよそ2km離れたビルの屋上からだ。そこにいるのはエクリクシの一人、コールサインD6、(あざみ)レイナ。

 彼女が持つのはその小さく華奢な体とは不釣り合いの全長1380mmの対物ライフルPGM ヘカート II。それを苦もなく連続で放ち次々と盾持ちの兵隊達を一撃で再起不能にしていく。

 

 それでも全ては狙撃出来ずに彼女の銃撃を抜けていく盾持ちの兵隊はエクリクシの先頭を走る、エクリクシのリーダー、コールサインD1、屍呀(しが)カナエの持つShAK-12という12.7×55mm弾をフルオート発射可能なブルパップアサルトライフルにより盾を砕かれ弾丸を体に撃ち込まれ倒れる。

 

 そして倒れた盾持ちはIBMにより投げ捨てられ他のカイザーPMCの兵隊達を押し潰す。

 

 そこに追撃するようにコールサインD2、覇刃(はじん)カノンの持つ個人携帯用に改造されたM61 バルカンが唸り声をあげ毎分六千発の20x102mm弾がカイザーPMCを襲い地に沈める。

 

 そしていつの間にかカイザーPMCの兵隊達のど真ん中に現れた少女。コールサインD3、閃嵐(せんらん)マナが両手に持つ拳銃キャリコM100を武器に超近距離の戦闘を仕掛け時に戦場に混乱を招く。

 

 そんな中カイザーPMC側に増援として戦車が三台戦場に乱入してくるがコールサインD4、傀儡(かいらい)ミナの手元のチャイナレイク・グレネードランチャーから一瞬で放たれた三発のグレネードが戦車の砲身に滑り込み砲塔を吹き飛ばした。

 

 カイザーPMCの戦力が壊滅したのはエクリクシが来てからおよそ3分だった。

 

「ば、馬鹿な……」

 

 それらを見て驚愕に体を固めたカイザーPMC理事の頭にコールサインD5、雷鳴(らいな)ヤヨイのフルオートショットガンAA12が突きつけられる。

 

 「さよなら」

 

 そのまま引き金を引きカイザーPMC理事の頭にはスラッグ弾が叩き込まれ、地面に倒れ伏した。

 

『残存兵力無し。状況終了。撤退』

 

 そしてエクリクシの通信にコールサインD7、亜廻(あかい)キルから状況終了の知らせが入る。彼女は常に彼女の異能である3km圏内なら自由に目を張り巡らせることのできる千里眼によりエクリクシを指揮し支援していた。

 

 エクリクシはキルからの通信を受け撤退を開始し、戦場に乱入してきた時と同じく瞬く間に離脱していった。




ちなみに今回はIBMくんをあまり使っていなかったので本気ではありません。
なんでこんな化け物集団生み出しちゃったかなぁ。
まま、ええやろ。

そのうちオリキャラの設定とかまとめたやつ書こ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大一番の前に

 

「……いったいなんなのよ」

 

 その言葉を発したのはセリカだった。カイザーPMCが攻めてきたと思ったら突然現れたガスマスクの少女達に3分たらずで殲滅されたのだ。状況が上手く飲み込めていなかった。

 

「とりあえず、危機は去った……ということでしょうか?」

「ん、カイザーは全員倒れてる」

 

 通信機の向こうのアヤネの言葉に返したシロコの目線の先には微かな呻き声をあげながら倒れているカイザーの兵隊達がいた。

 カイザーPMC理事も顔が酷い事になりながらもどうやら生きてはいるようであった。

 

 そんな現場に次々と装甲車がやってきた。また、カイザーの一団かとアビドスの生徒達と便利屋68、先生は身構えるが――

 

「……あのマーク、エガタ学園の」

 

 カヨコの言葉に構えをとく。エガタ学園、ブラックマーケットにあるという連邦生徒会非公認の学園。そこの生徒とはつい最近、交流もあり知らない仲では無かった。

 

 停車した何台もの装甲車の中からはよく不良生徒と言われる格好をした生徒達やヘルメット団なども出てきたが全員が腕にエガタ学園の校章が描かれた腕章を付けていた。

 

 そしてとある装甲車から出てきたのはヤマトだった。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

『はーい、注目!』

 

 俺は装甲車の上からスピーカーで沢山いるエガタ学園の生徒達に向かって話しかけていた。

 ここにいる生徒達は全員がエガタ学園の所属であり、日給2万円でカイザーPMCとの戦闘によりボロボロになったアビドス自治区の整備をやらせる為に連れて来た。

 

『これからここ、アビドス自治区の整備をします。瓦礫の撤去と清掃、倒れているカイザーPMCはトラックに乗っけて自治区の外に放り出せばいいです。それじゃあ開始!』

 

 俺の開始の言葉と共にエガタ学園の生徒達はそれぞれ行動を開始した。

 それを見届けると装甲車を降りて先生達の元に行く。

 

「ヤマトこれは……」

「ん?ああ、彼女達はエガタ学園の生徒だよ。戦闘でアビドス自治区はこの有様だろ?だから連れて来たんだ」

 

 いやあ、にしても本当に酷いな、大分派手にやったみたいだ。

 

「この後もちょっと予定入ってるから直ぐに行かなきゃ行けないんだけど」

 

 そう言いながら手に持っていたファイルを先生に渡す。

 

「これは?」

 

 そう言いながら先生はそのファイルの中の書類に目を通すと驚きに目を見開く。

 

「これは、土地の権利書?アビドス自治区の!?」

「えっ!?」

「ほんと?」

 

 俺が渡したのはアビドス自治区の土地の権利書だ。

 

「カイザーをちょっときょうはk……交渉してね。カイザーに渡ったアビドスの土地は全部戻って来たよ」

 

 いやあ、実に楽だったよ。先生が対策委員会の顧問になってたおかげでホシノは未だに生徒会副委員長だから今回のカイザーPMCの戦闘行為は確実に違法行為だ。それとコユキに頼んで手に入れたカイザーの黒い部分の一部その二つで土地を潔く譲ってもらった。流石に借金に関してはちゃんとした契約の元成り立ってるので無くしたりする事は出来なかった。利子を減額するのは行けたが。

 

「さて、先生。あとはホシノだ」

「うん」

「生徒の俺には出来ない先生の仕事だぜ?」

「任せて」

 

 先生の自信に満ち溢れた言葉に安心した。普段はあれだがいざとなると頼もしいな。

 

「さて、俺はこの後もやる事がある。また後でな。ホシノの事頼んだぜ」

「うん。また後で。必ず連れて帰るよ」

 

 俺はその言葉を背にしながら装甲車に戻った。

 アビドスの土地は取り返した。後はホシノ……は先生の担当だ。あと一人必要だ、アビドスには。

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 とある病院の一室に俺は来ていた。そこの部屋の主は生命維持装置に繋がれながら穏やかに眠っている。

 

「ユメ先輩」

 

 月明かりを受けただ眠っているかのように見えるユメだが、アビドス砂漠でビナーと戦闘した時の怪我が原因で脳に傷を負い植物状態になっていた。

 医者からはいつ目を覚ますかはわからないと言われている。もしかしたら一生目が覚めないかもしれないとも言われた。

 

「クックックッ、このような貴重な機会に立ち会えるとは幸運です」

 

 俺とユメの他にこの部屋にいる人物が一人黒服だ。こいつがここに居ることは大変に遺憾なのだがこれも契約だ、破る訳というか破る事は出来ないからな。

 

「で?物は?」

「こちらに」

 

 黒服から手渡されたケースを開くと中には3発の銃弾とリボルバーが入っていた。

 

「あなたが色々と試行錯誤してくれたおかげで早急に作り上げることが出来ました。すでに実験も済ませています」

「……問題無いんだな」

「ええ、勿論」

 

 俺はリボルバーを手に取ると銃弾を込めて撃鉄を起こす。

 そしてユメ先輩の額に照準を合わせる。

 

「……チッ」

「私が代わりましょうか?」

「要らない」

「ククッ、わかりました」

 

 今からユメ先輩を撃つという事実に手が震える。自分の命を絶つ事には問題が無いのに他人のものとなると怖気付くなんて矛盾してるな。だがその矛盾は俺にとって大切なものだ。

 

「……スゥ……ハァ……」

 

 呼吸を整えて俺はリボルバーの引き金を引いた。銃声が病室に轟き、機械の心肺停止を知らせる音が鳴り響いた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アビドス高等学校に必要な2人

さてあと少しでアビドス編も終わりやな。
アビドス編が終わったら過去編とエガタ学園についてでも書いてその後パヴァーヌに移ろうかな。


 

 砂漠地帯をアビドスの生徒と先生がカイザーPMCの兵隊を蹴散らしながら進んでいる。更にはゲヘナの風紀委員会に万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)の戦車隊、トリニティの正義実現委員会がカイザーPMCの兵隊に攻撃をしていた。

 

 たった一人の為にこれだけの人間が動いたのはホシノを思う人達の尽力に他ならない。ホシノがアビドスに先生にヤマトに大切に思われている証左だろう。

 

「クソッ、クソッ、クソッ、クソがァァァァァァ!!」

 

 その状況にカイザーPMC理事は怒鳴り声を上げてアビドスの生徒達が映る画面を殴る。

 

「私の計画が!どれだけ時間と金をかけたと思っている!?何も知らないクソガキ共がァ!!」

 

 何度も何度もその怒りをぶつける様に画面を殴り付ける。

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

「理事」

「……チッ。何だ?」

「カイザーコーポレーションの代表取締役から御手紙が」

「なに?」

 

 部下の一人から渡された手紙をひったくる様にとった理事はその手紙の内容を読んだ。読んでしまった。

 

「……は?」

 

 手紙を読んだ理事は一瞬惚けてしまった。何故なら手紙には長ったらしい社交辞令と共に()()の二文字が並んでいたからだ。

 

「……ふざけるな……ふざけるなぁぁぁぁぁぁ!?私が今まで会社の為にどれだけ尽くして来たと思っている!?」

 

 大声を上げ手紙を破り捨てたカイザーPMC理事は早足に部屋を出て行った。

 

「アビドス……アビドス高等学校!!あいつらさえいなければ!!道づれにしてやる!!」

 

 凄まじい怒りを顕にしながらどこかへ行ってしまった。アビドスへの強烈なる殺意を抱きながら。

 

 

 

 

 

************

 

 

 

 

 かつてアビドス高等学校の校舎だった場所。今や校舎は砂に埋もれその地下は黒服により実験施設と化していた。そんなに地下に一人拘束された少女がいた。小鳥遊ホシノだ。

 

「……また、大人に騙されて……ははっ、バカみたい」

 

 その顔は暗く悲しみと後悔に歪んでいた。

 

「……ごめん、みんな。私のせいで……。シロコちゃん、ノノミちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん。……ユメ先輩、ヤマト。……私じゃあアビドスを守れなかった……。……何時だって私は……無力だ……」

 

 そうしてホシノが悲哀にくれ絶望仕掛けたその時。ホシノのいる実験室の扉を叩く音が聞こえた。

 

「先輩はすぐそこにいるはずです!!」

「ん、壊れない……もう一度」

「あ、アヤネちゃん!?どうしてここに!?」

「シャーレに貸してもらったヘリで!ホシノ先輩は!?」

「ここです!でもドアが開かなくて……!!」

「こんのっ!!」

 

 ひときは大きな音と共に実験室の扉が破壊された。

 

「(一体、何が……。体が自由に……?夢でも見てるのかな……。みんなの声が聞こえたし、夢か……)」

 

 そして自由になったホシノは歩き出した。

 

「(声……こっちの方かな。夢でも良いから……最後に、もう一度だけ……)」

 

 聞こえてくる声を夢と決めつけながらも丸で光に誘われる蛾のようにホシノはふらついた足取りで進む。

 そしてホシノの目に光が射し込み――

 

「「「「ホシノ先輩!!!!」」」」

 

 ホシノの目には大切な後輩達が映った。

 

「あ、あれ……なんで……だって……私は……」

「ホシノ」

 

 困惑するホシノに先生が声を掛ける。

 

「……ああ。そっか……みんなが、先生が……。大人が、ね……はは」

 

 これが夢では無いことを自覚し、ホシノは事実を噛み締めた。

 

「……お、おかえりっ!先輩!」

「ああっ、セリカちゃんに先を越されてしまいました!恥ずかしいから言わないって言ってたのに、ズルいです!」

「う、うるさいうるさいっ!順番なんてどうでも良いでしょ!」

「……無事で良かった」

「ホシノ先輩、おかえりなさい!!」

「おかえりなさい、です!!」

「おかえり、ホシノ先輩」

「あはは……。……何だかみんな期待に満ちた表情だけど。……求められてるのはあのセリフ?」

 

 ホシノは少し前までの暗く沈んだ表情では無く笑顔を浮かべていた。

 

「ああもうっ!わかってるなら焦らさないでよ!」

「うへ〜……全く、可愛い後輩たちのお願いだし、仕方ないなあ……」

 

 

 

ただいま

 

 

 

 今ここにアビドスは対策委員会は大切なものを取り戻した。それはとても当たり前で、だからこそ大切なものだった。

 

アビドスゥゥゥゥゥ!!

 

 しかし、彼女たちの感動の再会を邪魔をするものがいた。

 

「何よ……あれ……!?」

 

 歩く度に地響きを鳴らしながら突き進む巨大な人型。その大きさはおおよそ50m程だろうか。

 

『貴様らのおかげで私の計画も何もかもおしまいだ!!』

「まさか……カイザーPMC理事!?」

『お前たちだけでも道づれにしてやる!!このオーパーツの一つ、オブシディアン・フューリーでな!!』

 

 カイザーPMC理事の宣言と共にオブシディアン・フューリーの両肩からはエア・ミサイルの発射口が現れ両腕からはプラズマチェーンソーが展開された。

 

『消えろ!!アビドスゥゥゥゥゥ!!』

 

 あまりにも今までの敵とは一線をかくすオブシディアン・フューリーの出現にアビドスの面々と先生は絶対絶命かと思われたが――

 

「大切な後輩たちに手出しはさせない!!」

『何が――ぐあっ!?』

 

 その声と共にオブシディアン・フューリーの横っ面に何かが衝突しオブシディアン・フューリーは倒れ伏した。

 オブシディアン・フューリーに激突した存在はアビドスの生徒達を背にするように地面に降り立った。

 

『あー、こちらヤマト聞こえてるか?』

「ヤマト!?」

 

 そして突然先生の元にヤマトから連絡が入る。

 

『何やら凄いのが出てきてるみたいだが助けに来たぜ?アビドスの()()()()と一緒にな?』

「え?」

 

 その言葉に先生は驚く。今までアビドスには生徒会長はいないと思っていたからだ。アビドスの最年長であるホシノでさえ副会長という立場だったのだから。

 

『さあ、寝起きの運動の時間だぞ、()()()()!』

「もちろん!!大切な後輩のためだからね!」

「……ユメ、先輩……?」

 

 アビドスの背に降り立ったのはアビドス高等学校生徒会長ユメ、その人だった。

 

 





ユメ先輩復活!!ユメ先輩復活!!祝うが良い!!

そういえば最初はカイザーPMC理事はアーマード・コアのN-WGⅨ/Vにでも乗っけようかと思ったけどアーマード・コア要素ばっかりもあれだしと思った時にAmazonプライムビデオでつい最近見たパシフィック・リムを思い出してせやオブシディアン・フューリーに乗せたろと思いました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

激突!!アビドスとカイザーPMC理事

 

 ユメ先輩がホシノ達の前に現れる少し前。

 

 アビドス砂漠上空、大型ヘリの内部に俺とユメ先輩、エガタ学園の生徒数名がいた。俺はヘリの操縦席でアビドス旧校舎に向けて進路を取っていた。

 

「サイズ調整完了」

「出力修正プラス0.4」

「エネルギー充電Max」

「全武装点検完了」

 

 ヘリの後ろではエガタ学園の生徒たちがユメ先輩の体にとあるものを装着している途中だった。

 パワードスーツ〈クストス〉。アビ・エシェフを参考に作り上げられた身体補助のパワードスーツだ。形は体を覆う骨組み型の単純なのものだが装着すれば戦車を軽々と持ち上げられる程の膂力を発揮出来る。

 さらにそれに合わせて作られた特注の盾と劣化ウランの特殊徹甲弾を放つ為の特注大型拳銃。二つともミレニアムのエンジニア部とエガタの兵器開発部の合作でもある。

 

「全調整と点検終わりました」

「よし、ユメ先輩カタパルトに」

「あいあいさ〜」

 

 ユメ先輩はヘリの内部に取り付けてあるカタパルトに乗り体勢を整えた。

 

「起きたばっかりなのにすいません、ユメ先輩」

「大切なアビドスの何より後輩たちの為ならこれぐらいへっちゃだよ!それに楽しみなんだ、新しい後輩に会うのもホシノちゃんに会うのも。……ホシノちゃんには怒られちゃうかなぁ、あはは」

「まあ、その時はその時でしっかり怒られて下さいよ?大変だったんですから」

 

 ビナーに何回殺された事か、一人で相手する存在じゃねえ。

 

「うん、心配かけちゃったみたいだから。でも、今は!」

「ええ、ホシノをアビドスを助けますよ!」

 

 カタパルト前方のヘリの扉が開き巨大なロボットが見える。

 

「ブースター取り付け終了!何時でも行けます!」

「行きますよ!ユメ先輩!」

「うん!!」

〈システムオールグリーン。ブースター点火。射出します〉

 

 ユメ先輩の背後に取り付けられたブースターが点火しカタパルトが稼働すると超高速でユメ先輩はロボット、オブシディアン・フューリーの顔面目掛けて盾を構えて飛んでいく。

 

「大切な後輩たちに手出しはさせない!!」

『何が――ぐあっ!?』

「ダイナミックだなぁ、先輩」

 

 先輩はそのままブースターをパージしホシノ達の目の前に降り立った。

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 そうして今に至る訳だがどうすっかなあ。まさかあんなデカブツ出してくるなんてなぁ。

 まあ、カイザーPMC理事――いや、()理事だから、特に潰しても問題無いか。

 

「全員戦闘態勢!」

「「「「「了解!」」」」」

「ヘリの全火器システム起動。操作を各操縦席に移譲。これよりヘリの操縦に専念する」

「移譲を確認!」

「火器制御システムオールグリーン」

「残弾数残り100%」

「ヘリの防御シールド展開。エネルギー残量100%」

「照準設定完了!」

「よし!アビドスに当てないよう気をつけながら射撃開始!」

「「「「「了解!」」」」」

 

 そうしてヘリの全武装が()カイザーPMC理事の乗るオブシディアン・フューリーへ向けて放たれる。ミサイルや機関砲の弾丸がオブシディアン・フューリーの装甲に着弾した。

 さらに地上からは先生の指揮の元ユメ先輩をはじめ、アビドスのみんなからの攻撃が開始された。

 

『グッ!?邪魔をするなぁ!!』

 

 アビドスよりこちらを脅威とみなしたのかオブシディアン・フューリーの両肩からプラズマミサイルがヘリに向けて放たれたる。

 まあ、計画通りなんだが。

 

「回避行動!」

「フレア展開!」

「機関銃による迎撃開始!」

 

 次々と放たれるプラズマミサイルだがその全てを回避しフレアで爆破し機関銃で撃ち落とす。それを抜けてきたものはたった1発、それもシールドにより阻まれる。

 

「ダメージ想定内、シールド残量95%」

「ユメ先輩!」

『わかった!』

 

 俺がユメ先輩に合図を出せばこちらを注視していたオブシディアン・フューリーが突如膝を着く。

 

〈右膝損傷、歩行に支障が出ます〉

『何が!?』

 

 オブシディアン・フューリーの右膝を撃ち抜いたのはユメ先輩が持つ特殊拳銃。劣化ウラン製の特殊徹甲弾を撃つ為に開発されたその拳銃は並の生徒ではまず吹き飛ばされる程の反動を誇りその威力はご覧の通り、オブシディアン・フューリーの右膝を撃ち抜き大きな損傷を与えた。

 

〈ショックアブソーバーへの負荷を確認。射撃可能回数、三回〉

「それだけあれば問題なし!」

 

 パワードスーツであるクストスを装備したユメ先輩ですら放てるのはたったの4回。それ以上はクストスが瓦解する。

 

 右膝へのダメージで動きが止まったオブシディアン・フューリーの隙を見逃さずユメ先輩はそのまま左膝、右肩、左肩に向けて特殊拳銃を立て続けに発砲する。

 

『クソッ!?クソッ!?クソがァァァァァァ!?こんなはずでは!?』

 

 それによりオブシディアン・フューリーは撃ち抜かれた関節から火花を上げながら膝を付き両手を地面につけた。

 

〈パワードスーツ・クストス、許容ダメージ限界値。パージします〉

「ありゃ〜、クストスもだけど拳銃もダメかぁ」

 

 クストスは搭乗者の安全の為にパージされ特殊拳銃も特殊徹甲弾が撃たれる際の膨大な摩擦熱により砲身が発熱し真っ赤に染まっていた。

 真っ赤に発熱した特殊拳銃を残念そうに見つめるユメ先輩に向けてホシノが歩みよる。

 

「ユメ先輩、これを」

「え?これは、私の拳銃……ありがとう、ホシノちゃん!」

「帰ったら言いたいことが沢山あります」

「え!?今言うの!?…………うん、もちろん」

 

 ホシノからまるで新品のように綺麗な状態の自分の拳銃を受け取ったユメ先輩はそれを見て笑い弾丸を込めた。そして盾をホシノと一緒に構える。

 

『動きは封じたからあとは機能停止まで総攻撃だ』

「みんな!あと少しだよ!」

 

 ヤマトと先生の言葉にみんなは頷きオブシディアン・フューリーに向けて総攻撃を開始しようとして地響きに動きを止める。

 

『こ、今度は何が!?』

 

 そして地面が爆発したように砂が吹き飛びそこから何かが飛び出しその長い体でオブシディアン・フューリーに絡みつく。

 

『ダメージ70%、これ以上は危険です脱出して下さい』

『クソがあっ!?』

 

 何かに巻き付かれたオブシディアン・フューリーの機体は悲鳴を上げ火花を散らす。

 元カイザーPMC理事は脱出しようとするがそれよりも早く、オブシディアン・フューリーに巻き付いた何かの口がオブシディアン・フューリーの操縦席である頭を食いちぎる。

 

『や、やめろ!?死にたくな――』

 

 口に咥えられたオブシディアン・フューリーの頭部は軋みながら変形し無惨にも噛み砕かれ、吐き捨てられた。

 

 そして、たち昇った砂煙も落ち着きその中から姿を現したのは――

 

「ビナー、出てきたか」

 

 デカグラマトンが一体ビナーだった。





たった一話で終わりビナーに一瞬でやられたオブシディアン・フューリーくん。すまんな、カイザーPMC理事が乗った時点で君の敗北は決まってたんだ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ビナー死すべし慈悲は無い〈上〉


なんか今回ギャグ調になったな。
ちなみに今回ホシノがおじさん喋りしてないです。昔の素の状態で喋ってるのであしからず。


 

 オブシディアン・フューリーを一瞬にして破壊し現れたその巨躯の正体、デカグラマトンのビナー。

 遠い昔、キヴォトスの旧都心廃墟で行われていた「神の存在を証明、分析し、新たな神を創り出す方法」を研究していた組織と、それを支援するゲマトリアによって作り出された対・絶対者自律型分析システム。

 

 まあ、元々は自動販売機のお釣り計算AIなんだから世の中何が起きるかわらねぇよな。

 

 さてと――

 

「全火器システムの標的を再設定。目標、デカグラマトン、ビナー。死にさらせぇぇぇぇぇ!!」

「生徒会長何を!?」

「システムが全部操縦席に戻ってる!?」

「しかもご丁寧にロックまで!?」

 

 あの時の恨みはらさでおくべきかぁぁ!!

 テメェに何度ぶち殺されたと思ってやがる!!リスキルもしやがって!このクソAIがよォ!!自動販売機のお釣り計算AIのクセに一丁前に私が神だ、してんだよ!!神様なら世界創造の一つや二つしてみろってんだよポンコツAI!!やーいやーい、アロナにクシャミで撃退されたクソザコナメクジAI!!

 

「ひゃあっ!!もう我慢出来ねぇ!陽電子砲起動!!」

「何やってんですか!?」

「総員退避ー!!」

「あれはまだ試作段階だから使わない約束でしょう!?」

「ああ!?電力急激減少!?落ちる!!」

「パラシュート持って飛びだせぇ!!」

 

 ヘリの底部からは巨大な砲塔が現れたそこに急速にヘリの電力が吸われていく。

 ビナーは陽電子砲に対抗するように口にエネルギーを貯めているようだが――

 

「遅せぇよ!!発射ァ!!」

「生徒会長のバカァ!!」

「やっぱりこの人頭エガタだよ!!」

「伊達にあの人外魔境で生徒会長やってねぇよ!」

「そりゃそうですね!!」

「この人に救われたという事実が嘘みたいだよ!!」

 

 陽電子砲はビナーの胴体にぶち当たり少々弾かれるも胴体の一部を抉り飛ばした。

 

「非常電源起動!着陸まであと一分!」

「着陸じゃなくて墜落ですよ!?」

「先に脱出しますからね!」

「たまにこういう事しなければ良い人なのに!!」

 

 陽電子砲に電力を吸われ非常電源しか残っていないヘリから次々とエガタの生徒たちがパラシュートを背に飛び出していく。

 で、俺はと言うと――

 

「大和魂見せてやれ!!カミガゼ特攻!!ブースター起動!!」

 

 非常電源を使ってビナーに向けてヘリに取り付けられたブースターを起動し全速前進DA☆した。ちなみにこのヘリには爆弾も積んであるから良い一撃になるだろう。

 

 陽電子砲のせいで隙を晒しているビナーに目掛けてヘリは激突し夜を明るく照らした。

 

「ヤマトぉぉぉぉぉ!?」

「ヤマトくん……」

「ヤマト……帰ったら覚悟して下さい」

「ん、汚ぇ花火」

「なにやってんのあの人」

「というか、あの人脱出したんですかね?」

「え!?不味くないですかね!?」

 

 突然の事に先生は驚愕し流石のユメ先輩も少々呆れ気味、ホシノは目からハイライトが消えて恐ろしい程に怒気を放ち、シロコはヤマトに教えてもらった言葉を呟き、セリカは完全に馬鹿を見る目をし、ノノミは純粋な疑問を抱き、アヤネはヤマトの心配をした。

 

 そんな面々の真横にドチャと音を立てて何かが落ちてきた。何だろうと全員が振り向くとホシノとユメ先輩以外は恐怖に固まった。

 彼女たちの横に落ちてきたのは俺の生首であったからだ。

 

「ヤ、ヤマト……そ、そんな……」

 

 しかし、そんな先生たちの恐怖も驚愕に変わる。俺の生首は逆再生をするかのように傷が治り、骨が作られ神経が作られ肉が作られ皮膚が作られ無傷の俺が現れたからだ。

 

「スリル満点!」

「何言ってるんですか!!」

「ガッ!?お、お前、脛を蹴るなよ!」

「そんな粗末なものをみんなに見せないでください」

「はぁ!?粗末とはなんだ粗末とは!?」

「ふっ、ポークピッツ」

「テメェ!?それ言ったら戦争だからな!?俺のポークピッツは立つとすげぇんだからな!?てかそこまで小さくはねぇよ!」

 

 蘇生した俺をそのまま蹴りだし更には罵倒したホシノにキレた俺はホシノとの口論に発展した。

 

「だったら立たせて見せてくださいよ」

「俺に社会的に死ねと申すか!?」

「全裸の時点でもう手遅れでは?」

「クソっ!?言い返せねぇ!?」

「二人とももうそろそろ……」

「早く服きてくださいよ、露出魔」

「うるせえぞ、ユメ先輩のモンペ」

「あ゛?」

「あ?」

「二人とも〜?」

 

 さすがのユメ先輩もキレたのか怒気が染み出していた。

 

「すいません、ユメ先輩」

「ごめんなさい、ユメ先輩」

 

 ちっ、いつか泣かせるぞゴラァ……。てか、さっさと服着よ。

 ベクトゥラ、いつもすまんな。

 

「…………私達は何を見せられたの?」

「ん、夫婦喧嘩は犬もくわない」

「なんか、ホシノ先輩キャラ違くない?」

「うーん、会ったばかりの先輩に似てますねぇ〜。あちらが素という事でしょうか?」

「…………(宇宙猫)」

 

 先程の俺の蘇生の場面の恐怖と驚愕もどこえやら、先生達は大いに困惑しアヤネに至っては宇宙猫と化していた。

 

 そんな俺たちを現実に引き戻したのはビナーであった。陽電子砲とヘリの特攻によりボロボロになりながらもこちらを敵意ある目で睨んでいた。

 

「流石に死なないか」

「どうするんですか?」

「先生なんか思いつかない?」

「えっ!?私?……んー、逃げる?」

「嫌だ」

「却下です」

「御礼参りはしっかりとしないとね〜」

「ですよね〜」

 

 アレだけの攻撃を受けてもなお、動くビナー相手に先生は逃げるかと問いかけるが俺とホシノとユメ先輩が即座に却下する。

 アビドス砂漠がその範囲を広げた犯人でもあるこいつを倒せばアビドスのためになるし何より散々やられたお礼はしなくちゃな。

 

「でも、戦力的に厳しい気もするんだけど……」

 

 先生の言い分もわかる。陽電子砲とあの爆発で生き残ってる時点でかなりやばい。伊達に神様名乗ってないってか?

 でも問題無し。

 

「戦力は今から来るから問題無いよ」

「え?」

 

 俺のその言葉と共にビナーに砲弾が着弾する。

 

「今度は何!?」

万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)戦車隊到着しました。めんどくさいなぁ〜」

「風紀委員会もいるわ」

「ゲヘナにばかりいい顔はさせません。正義実現委員会も行きます」

「キェェェェェェ!!」

 

 イロハにヒナ、ハスミ、ツルギを筆頭に今回ホシノ救出作戦に参加した人達。

 

「もちろん私達もいるわよ!」

「どうせなら最後までだよねぇ〜」

「が、がんばります!!」

「タダ働きか。でも悪くは無いね」

 

 便利屋68の面々が表れ更には――

 

『兵器実験が出来ると聞いて』

『爆発が存分に出来ると聞いて!』

『ロマン武器が試せると聞いて』

『部長達に続けぇー!!』

『デケェ的だ!砲弾の餌食にしてやるぅ!!』

『私達の部活の成果を今此処に!』

『新型も試せるなんてなんて幸せ!』

 

 兵器開発部のレア、カオル、ライハを筆頭にその部員たち総勢20名に加えエガタ学園戦車部の部員の小隊が現れた。

 

「しててよかった根回し」

「なんか今回ヤマトが凄いね」

「それほどでも」

 

 だがこれで終わりじゃない。

 

『こちらコールサイン04。イルカルラ、戦域に侵入。これより戦闘態勢に移ります』

 

 上空から超高速で降り立ったのは巨大な白色のロボット。対大型適性体装備イルカルラ。俺がリオと協力して作り上げだロボットだ。モチーフはエヴァ、白だけど量産型では無いので悪しからず。どちらかという二本足を得た白い5号機だな。

 最初はアヴァンギャルド君マークIIみたいなのが出来上がりそうだったが何とか軌道修正した。流石にアヴァンギャルド君は一体で良いです。

 

「さてさて、あの時の借りは返すぞビナー」

 

 上空から兵器開発部より投下されたRPGを片手に持ちながら俺はビナーを睨んだ。

 ついでにユメ先輩とホシノもRPGを手に殺意満々だ。




Q.これからビナー君はどうなるの?
A.解体作業が始まります。

次回!ビナー死す!?デュエルスタンバイ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ビナー死すべし慈悲は無い〈下〉

最近バイトが中々に忙しい。店長よ俺の使い勝手がいいのはわかるがも少し手加減をしてくれなきゃ。でもお金欲しいし……

後は後日談書いて過去回とかチョロっとやってパヴァーヌ行くかぁ


 

 ビナーを取り囲む大戦力。これだけいれば取り逃がすことも倒せない事も無いだろう。

 

「人数多いけど指揮できるか?先生」

「任せておいて!アロナ!」

『サポートは任せて下さい!』

「それじゃあ開始の合図と行きますか!」

 

 俺がRPGを撃つとビナーに着弾し開戦の狼煙が上がった。

 

 戦車達からの砲弾の雨あられに多数の生徒たちからの銃弾の雨がふる。そこに割り込むように兵器開発部の部員達が駆るACたちによる総攻撃。エネルギー武器から実弾兵器、近接武器、遠距離武器、なんでもござれだ。彼女たちがビナーに攻撃するさまは蜂の巣をつついたかのよう。

 

 部長であるレアはコーラルビームを……おい、ちょっと待て、燃料は一体なんだ!?……電力とガソリン?あと、自分の神秘?こいつ何してやがる。何をどうしたら神秘を燃料にしようと思うんだ?まあ、良い。

 次にカオルが乗るカタフラクト、それから発射されるのは多種多様なミサイルに榴弾、とにかく爆発物がこれでもかと発射されていく。なんかあそこだけ明るいな、花火みてぇだ。

 で、ライハなんだがちょっとテンションがやばい。『これが私のドリルだ!!』とか『ロケットパンチ!!』やら『ACビーム!!』とか一人だけスーパーロボット時空から来てない?大丈夫?なんか後方で腕組みながら頷く最初の魔神さん見える気がするのだが?

 

 更にはトキがのるイルカルラによる攻撃。上空に待機するイルカルラ専用支援ユニットからの投下されるロケットランチャーをはじめにガトリング砲、散弾銃、大型メイスなどなど様々な兵器による攻撃がビナー襲う。

 なんかここだけ怪獣大決戦みたいな事態になってるな。先生も目を輝かせながら見てるし一部からは野次も飛んでいる。かく言う俺もついつい見てしまう。

 

 ビナーに対する攻撃はもはやらオーバーキルもオーバーキル。なんという地獄絵図。ほぼ爆煙と火花がビナーを覆い尽くしてる。

 

 しかし、それでもビナーは負けじと攻撃を返す。体の側面から放たれるミサイル郡、正式名称大道の劫火が打ち込まれる。

 が、イルカルラには大したダメージを与えられず兵器開発部には避けられ防がれ、風紀委員会に正義実現委員会には多少の負傷者をだしつつも迎撃され戦車隊には上手く避けられていた。

 

「負傷者は下がらせて医療班に」

「はい!」

「弾切れしたものは下がって補給を」

「はい!」

 

 それぞれの場所で混乱を起こす事なく粛々とビナーへの攻撃が行われた。こんな大人数でもしっかりと指揮出来てるあたり先生も生徒たちも強いなぁ。

 

「しっかし、硬いなぁ」

 

 あんなに攻撃を受けてるのに一向に大きな傷がない。伊達に神様名乗ってないってか、いや、それよりも、よく見ればビナーの形が昔見た時から変わっている。微妙な違いすぎて気づかなかったが原因はそれか?

 おそらく昔、ビナーとやりやった時に素手で右目を潰した事があったんだがそのせいか?考えられるとしたら。

 

「だけど、硬くなっただけみたいだな」

 

 ビナーがする攻撃はどれもこれも見た事のあるもの。ミサイルにビーム、砂津波の三つだけだ。

 ただのサンドバックじゃねぇか。

 

 負傷者こそ出ているがそこまで大きい怪我でもないし時間の問題とはいえ、早めに終わらせたいな。

 

「04、五番武装を使え」

『了解』

 

 俺はイルカルラの支援ユニットから五番武装〈レンチメイス〉を投下させる。そう、レンチメイスである。ガンダム鉄血のオルフェンズに出てくるレンチメイスである。

 しかもこれは特別仕様でヒートソードと同じ仕組みなので破壊力は抜群だ。

 

 地面に投下されたレンチメイスを掴んだイルカルラは全速力でビナーに近づきレンチメイスを頭に振り下ろす。ビナーはその一撃を受け大きく地面に沈む。

 しかし、イルカルラはレンチメイスを再び振りかぶりビナーの顎下をかちあげる。そして体が浮き伸びきったその首を開いたレンチメイスが挟み込む。

 そしてレンチメイスの中に内蔵された赤熱したチェーンソーがビナーの首を凄まじい音をたてながらジワジワと溶断していき、胴体と首が泣き別れた。

 

 大きな音を立てながらビナーは砂漠にその体を沈めた。

 

『敵性反応の沈黙を確認』

「了解」

 

 トキからの連絡で完全に機能停止したのを確認する。

 

「終わった……?」

「そうみたいね」

「あの時の借りは返せたかな〜」

「私は少し物足りないですね」

「ん、大変だった」

「やりましたね!」

 

 沈黙したビナーの姿を見てアビドスのみんなは喜び、ホシノは少し不満そうにしている。そんなに憎かったのか……。

 

「しゃァァァァ!!」

「やったぁぁぁぁぁ!!」

「楽しかったなァ、ヒヒッ」

「わぁぁぁぁ!!」

「やりましたァァァァァ!!」

「爆発、爆破、大爆発!!火薬の焼ける匂いたまんないですねぇ」

 

 そして、各所で歓声があがる。中には空中に銃を乱射する生徒も、ゲヘナとうちの学園だな。にしても危ないから辞めなさい、それ空から落っこちてくると普通に人殺せるクラスの凶器になるんだから、キヴォトス人は痛いで済むけど。

 

「とりあえず、一件落着かな」

 

 ビナーの残骸と喜ぶみんなをみてそう思った。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アビドスの後日談

 

 ビナーを破壊しやっとアビドスの長い苦悩の日々が終わった。アビドスが砂に呑み込まれていた要因の一つであろうビナーが消えた事でこれ以上酷くなる事は無いだろう。

 

 なによりアビドスにはホシノが帰ってくる事ができた。ユメ先輩も目覚め万々歳、土地も俺のおかげで戻って来た。借金はまだ残っているが利子は減っているし総額も幾らか減った、後は地道に借金を返済して行くだけだ。

 アビドスの未来は明るいぞ!ハッピーエンド!

 

 になれば良かったんだけど。

 

「ちゃんと聞いてる?」

「はい、聞いてます」

 

 俺は正座で説教をされていた。ホシノ、ユメ先輩、先生に囲まれて。

 

 ビナーを破壊しアビドスに戻って来た時にまず初めにホシノにアイアンクローをされたのが始まりだった。

 『なんであんな事したんですか?』そう笑顔で自爆特攻した事を咎められ『の、ノリで……』て言ったら更に力が強まって危うく頭をかち割られるところだった。

 

 そこに更には先生が参戦してきて亜人の力について聞かれて『どうせ生き返るし』とか言ったら今度はユメ先輩が乱入してきて、今に至る。

 

「だいたいですね、貴方はそうやって他人の気持ちをないがしろにして──」

「幾ら大丈夫だからって、痛いはずだろうし何よりやられた側の立場になって──」

「いつも一人でなんでもかんでもやって人に頼る事を覚えなきゃダメだよ。じゃなきゃいつか──」

 

 三方向から順々に言われる耳が痛い言葉に俺は理解はする、だが納得はできない納得は出来ないのだ。

 だがそれを言う事はしない。地雷源にタップダンスしながら突っ込むような真似である。言ったが最後、説教が長くなる。

 こういう時は適度に返事をして反省の意を示しつつ無駄な事は喋らずに耐え忍ぶのが吉だ。前世からそうやって切り抜けてきたのだ、大抵の説教はこれで乗り越えられる。なんなら適当にゲームの事も考えると苦痛が減る。

 

 だが世界はそこまで上手く行くようには出来ていないらしい。死神が俺の首に鎌をかけた。

 

「失礼します。ヴァルキューレ警察学校所属公安局局長、尾刃カンナです。骸夜ヤマトに用がありお訪ねしました」

 

 その声を聞いた瞬間俺は窓ガラス目掛けて走り出していた。しかし次の瞬間、俺の脳天を弾丸が通り抜け、体は崩れ落ちた。

 

「あふん」

「逃げるな」

 

 その弾丸はカンナの手の中にある第17号ヴァルキューレ制式拳銃から放たれたものだった。

 

「……え?なにが?」

 

 突然の出来事に部屋にいた全員がかたまる中、カンナは再生途中の俺の首根っこを掴み逃げれないようにして。

 

「……へっ、へへっ。お代官様あっし何か悪い事しましたかねぇ」

「取り調べ室行くか?」

「あっ、すいません」

 

 この冗談を許さぬ姿勢といい頭を即座にぶち抜いた事といい、なん徹したんだカンナは。てか頭にゴリゴリと拳銃押し付けないで!普通に痛い!

 

「カヤ防衛室長からの言葉を先にお伝えしますね?『仕事を増やさないで欲しい』との事です。それと『ありがとうございます』との事です。あと、こちらが請求書ですね」

 

 カヤ、お前も立派な社畜になってと思いつつ俺が逃げ出した理由である請求書に目を通す。

 ゼロが1つ2つ3つ4つ5つ6つ7つと来て俺はそっと請求書を畳んだ。これ以上は精神に良くない。

 

「今回の出来事を誤魔化すのは大変だったんだからな?こちらにも準備というものがあってだな」

「……はい、すいません。この度は誠に申し訳ありません」

 

 未だに状況が飲み込めていない先生達を放置してお説教の第二ラウンドが始まった。

 

 その説教は数時間に及び終わる頃には俺はエガタシナシナアジンと化していた。正論ばかりをぶつけるのはやめてください死んでしまいます、精神が。

 

「おや、もうこんな時間ですか突然失礼しました。失礼します」

「あ、うん」

 

 いつの間にか席で座ってお菓子を食べていた先生たちに声を掛けてカンナは早足に部屋を後にした。

 

 残された俺は正座により痺れた足の痛みとの格闘を始めたが。

 

「ん、大丈夫?」

「ガッ!?つ、つつくのはやめてくださいシロコさん死んでしまいます」

「ん、ヤマトは生き返るから大丈夫」

「そ、そういう問題では──ガッ!?ホシノ=サン!?ユメ=サン!?その手に持っている棒は何ですか?笑顔のまま無言で来ないで!イヤッ、イヤッ、イヤー!?俺のそばに近寄るなァ!」

 

 その後ピクピクと痙攣する俺と満足そうに笑うホシノとユメ先輩がいた。体罰は僕良くないと思いますぅ〜。

 

「あれ?もうこんな時間ですね」

 

 ユメ先輩がそう言って時計を見ると午後の5時だった。もう学校は終わり帰る時間だ。これ幸いと俺は荷物を手に取りさようなら〜と外に出ようとしてホシノに肩を捕まれる。

 

「どこ行くの?」

「あ、その、もうこんな時間ですし帰ろうかなと……」

「逃がさないよ?」

 

 お慈悲は無いのですか?あ、無いそうですか。

 

「それじゃあ私達は先に失礼するね」

「さようなら〜」

「ん、骨は拾う」

「あ、えっと、が、頑張ってください!」

「ふんっ!いい気味だわ」

「ヤマトくん!ファイト!」

 

 ホシノと俺以外が教室を出ていく。

 

「今日はおじさん、君の事寝かさないよ」

 

 その日の夜アビドスの校舎で起きた事はあえて語るまい。一つ言えるのはこの俺、骸夜ヤマトの尊い犠牲の数々にアビドスには少しだけ平和が訪れたのだった。

 

 




実はこの世界のカヤはヤマトくんに脳を焼かれています。手足が吹き飛びながらも戦う存在は超人だよね!

ちなみにこの後ヤマトとホシノが夜の校舎でナニをしていたかは読者諸君が手を胸に当てて考えてね!きっと答えがわかるよ!

ちなみにヤマトくんの初体験はマコト様です。初体験が拘束プレイなんて珍しいねヤマトくん!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

過去編 羽沼マコト

ヤマトによる被害者その1マコト様編です


 

 私があいつと、ヤマトと出会ったのはまだ一年生の頃だった。最初は噂の便利屋とやらとパイプを作って将来、万魔殿の委員長になった時の手駒の一つにでもしてやろうと考えていた。

 

 そうして依頼の一つとしてそれらしい理由をつけて指名手配犯の捕縛を頼み実力を測る事にした。事前に指名手配犯の潜伏場所は把握し遠くから戦闘を観察し実力を測った。そこ結果は良い意味で予想外だった。

 ただの一発も弾丸をその身に受けずに一方的に制圧した時は驚いた。確実にキヴォトスでも上位に入る実力者である事は間違いない。

 

 それからはヤマトとのパイプを太くする為にたまに依頼を出したりプライベートで友人のように接した。しかし、いつしか私はヤマトに好意を抱いていた。

 

 特に特別な何かがあった訳ではない。ただ、ヤマトといるのが楽しくて嬉しくて胸が高鳴っていた。いつの間にかヤマトと会うためだけにヤマトの所に行くようになっていった。

 

 ヤマトの事が愛おしくてたまらない、ヤマトといると何もかもが楽しい、ヤマトの声が仕草の一つ一つが私を魅了する。

 

 薔薇色の人生とでも言うのかとにかく毎日が色鮮やかで楽しかった。あの時までは……。

 

 その日は何気ない一日だった。いつものようにヤマトに会いに行ってたわいもない話をして幸せにひたる。そう言う日だった。

 

 ゲヘナというかキヴォトスではよくある銃撃戦が起き、運悪くヤマトと共にその銃撃戦に巻き込まれた。そこそこ規模の大きい銃撃戦で戦車やロケットランチャーなんかも飛び交っていた。私たちは近くの建物の影に隠れて終わるまで待つ事にした。だがそこにピンの外れた手榴弾が転がりこんできた。

 

 驚きはしたが手榴弾程度なら問題無い。しかし、手榴弾が転がり込んで来た時にヤマトが私を庇うように覆いかぶさった。驚きはしたが身を呈して守ってくれる事にはすごく嬉しく思った。私の事を大切な存在として認識していると思えたからな。

 

 だが次の瞬間私の頭は状況を飲み込むのを拒んだ。私の顔そして手にべっとりとついた赤い液体。全身から私についたものと同じ液体……血を流していた。その姿は酷いものだった。手榴弾の破片で全身はズタズタになって右足は吹き飛んでいた。

 

 その姿はありえないはずのものだ。ヤマトにも私と同じヘイローがある。幾らヘイローの防御に個人差があるといえども手榴弾程度でこうなる筈はない。現にヤマトの頭上にはヘイローがしっかりと輝いている。

 

 なのにヤマトの体は重症、いや、致命傷と言っていい程のキズだ。

 

 ありえない……ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない、ありえてはいけない。

 

 だが私の手には暖かく鉄くさい血が心臓の鼓動に合わせるようにドクドクと流れている。

 

「あ、え……なん……」

 

 口からは掠れたような情けない声しか出て来なかった。頭が理解するのを拒んでいた。

 

「……良かっ、た」

 

 そんの状況で彼の口から出たのは私を心配する声。嬉しく思える言葉のはずなのにどうしようもなく全身から血の気が引いた。

 そして私が惚けている間についにこときれるようにヤマトから全身の力が抜けて私の膝の上にその身を投げ出した。

 

 信じたくなかった信じられなかった。ただただ目の前の現実に脳が理解するのを拒んだ。しかし、次の瞬間には状況が変わった。

 

 私についていたヤマトの血がヤマトに戻っていくズタボロだった体が逆再生するかのように治っていく。そしてヤマトは目を覚ました。

 

 目を覚ましヤマトは私の心配をして来た。だけど私にはそれに答えずにヤマトにすがりついた。

 

 全くもってわからないわからないわからない。だけどヤマトが生きているという事実だけは確かにそこに存在していた。

 

 そのあと何故生きているのか何故あんなダメージを受けたのかを聞けばヤマトはこう答えた。「俺のヘイローは防御力が無い代わりに死んでも生き返る」と。

 

 なんだそれは、あまりにも惨い。私たちのような普通のヘイローの持ち主は銃弾が少し痛いだけですむ。だけどヘイローによる防御が無いヤマトは銃弾に撃ち抜かれる苦しみを肉を抉られる痛みを血を流す痛みをそして死んでいく感覚を知っている。なんておぞましいのだろうか、なんて酷いのだろうか。

 

 もしヤマトをこんなふうにした神とやらがいるのならば撃ち殺してやりたいぐらいだ。

 

 それにもう1つ重要な事に気が付いたヤマトのヘイローが壊れるのは何時だ?私たちは攻撃を貰い過ぎればヘイローが砕けて死ぬ。だが死んでも生き返るヤマトのヘイローの限界は何処だ?

 

 そこからの私の行動は早かった。ヤマトをスタンガンで気絶させてゲヘナにある不良生徒を入れておく檻の中でも特別製のものの中にヤマトを入れた。

 

 もう二度と死ぬ事のないように、もう二度と苦しまないように。これが私のエゴでヤマトはきっと望んでいないのだろう。だがそれでもヤマトのあんな姿は私の中で命尽き果てようとしていた時の姿をもう見たくないもう感じたくない、本当の意味で死んでしまうヤマトを見たくない。

 

 あとは、ヤマトの初めても奪った。ヤマトの生きている証が欲しくて、ヤマトの愛が欲しくて、ヤマトを幸せにしたくて、ヤマトの全てを手に入れたくて。

 

 その後もヤマトをこの檻の中でずっとずっと大切にしていこうと思ったが、ヤマトはそれを良しとせず逃げた。

 しかも監視カメラには腕を切り落とし、舌を噛み切って自決した映像まであった。その時は死ぬ程私の愛が嫌なのかと目の前が真っ暗になっだが逃げ出したヤマトが真っ先に来たのは私の前だった。

 

 そこからは言い争った。とにかく口汚く情けなく、内容は私の名誉の為に黙秘しよう。

 

 そしてそれからは私は正気に戻ったというか妥協点を作ったと言うか……まあ、とにかくヤマトとの関係は悪くなる事はなかったな。

 

 ……今思い返すと中々に私やばい女だな。まあ、ヤマトが受け入れた以上改めるつもりは無いがな。キキッ。





次はもう1人ぐらい過去編かエガタ学園について書くかの二択やな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エガタ学園という場所《上》

今回はエガタ学園について軽くご紹介。今回は導入で次回辺りからはエガタ学園の成り立ちに着いて書いてくつもりです。


 

 学園都市キヴォトス、ブラックマーケットの一角に立つ学校。その名はエガタ学園。連邦生徒会非公認の学校にして自治区を持たない異色の学園。

 そんなエガタ学園に来訪者が一人。

 

「アロナ、ここで合ってる?」

『はい!間違いなくここがエガタ学園です』

 

 連邦生徒会の制服に身を包んだ大人の女性。連邦捜査部シャーレの顧問である先生だ。この日は度々自分を手助けしてくれるヤマトが所属しているエガタ学園を一度この目で見ようとやって来たのだ。一応視察という仕事の面も持ち合わせてはいるが微々たるものだ。

 

 先生は早速エガタ学園の敷地に入って行くと中々の大きさに目を見張る。事前にある程度調べていたとはいえ学校の敷地だけで言えばキヴォトス一の広さを誇るのは伊達では無いようだ。生徒数もマンモス校筆頭であるゲヘナ学園と同規模という点から見ても相当な規模を誇っている。

 

「確か入口近くに守衛所があるらしいけど……あそこか」

 

 先生が見つけた一つの建物、そこには守衛所と書かれている。その名の通り守衛の詰所だ。ここエガタ学園はブラックマーケットの中に立っている関係上治安はかなり酷いものになっている。それ故に学校そのものを守る為の守衛委員会というものが設立されており学校の守りを担っている。

 それとは別に風紀委員会も存在してはいるがそちらは学校内での取り締まりを主に担当している。

 

 先生が守衛所に向かう理由としては部外者がここに入る際にはこの守衛所にて入校許可証の発行が必要になってくる。他の学校ではあまり見られないシステムだがやはりブラックマーケットの中という事で犯罪の抑制の為などにセキュリティ面ではガッチガチに固められている。

 

「すいませーん」

「はい、どうぞ」

 

 早速守衛所に向かった先生が声をかけると中から声がかえってくる。その声に従って中に入る。

 

「うおっ……でっ……」

 

 中に入って先生が目撃したのは黒い軍服のような服に彼岸花が装飾された服を着た身長2m程の女子生徒だった。彼女が着ているのはエガタ学園の守衛委員会に支給される制服である。

 

「ようこそ、シャーレの先生」

「……あれ?私自己紹介した?」

「ああ、この姿では初めましてですね」

 

 そう言って彼女はガスマスクを取り出す。

 

「あ、この前の!」

「はい、改めまして。エガタ学園二年の覇刃カノンと言います」

 

 覇刃カノン、アビドス自治区にてカイザーPMCを殲滅した特殊部隊エクリクシのコールサインD2である。エクリクシの子達は普段はこうしてエガタ学園で普通の学園生活を送っているのだ。

 

「話しは聞いています。これが入校許可証になります」

「ありがとう」

「仕事ですので」

 

 カノンから手渡された入校許可証を首からかけた先生は守衛所を後にして校舎に向かう。そしてあと少しで入口に到着というところで突然校舎1階の一角が爆発する。

 

「えっ!?」

 

 爆発からは何人かの生徒が悲鳴をあげながら吹き飛ばされ校庭に顔面からダイナミック着地をしている。それを見た先生は慌てて校庭に投げ出された生徒たちに近寄る。

 

「配合ミスった……」

「だから辞めましょうって言ったじゃないですか」

「お前らふざけんじゃねぇぞ」

 

 しかも吹き飛ばされた生徒の中にはヤマトがいた。ただヤマトだけは上手く着地したようで顔面からの着地は避けていた。

 

「ヤマト大丈夫!?」

「大丈夫だ、って先生じゃないですか。そういえばもうそんな時間か」

 

 体についた砂埃をはたきながらヤマトは立ち上がる。

 

「何があったの?」

「ああ、いや、こいつらが薬品の調合ミスって爆発させたんですよ。運良く怪我はしなかったけど危うくミンチになるところでしたよ」

「ははっ!ミンチになっても君は問題ないじゃないか」

 

 ヤマトと先生が話している所に突然割って入る声があった。その声の主は未だに立ち上がる爆煙の中から現れた。

 

「ショウ、部費減らされてぇのか?」

「それは困るな」

 

 現れたのは緑髪のロングヘアの少女、エガタ学園、薬品化学部部長、薬屋(くすや)ショウだった。

 

「おや?そちらの大人は?」

「初めましてシャーレの先生です」

「ああ、君がかのシャーレ先生か」

 

 ショウは先生に歩み寄ると何かを握らせる。

 

「お近づきの印だ」

「なにこれ?」

 

 先生に渡されたのは何やら青色の液体が入った試験管だった。それを見た瞬間にヤマトはその試験管をぶんどるとショウに向けてぶん投げた。

 

「おっと危ないじゃないか」

「危険物を先生に渡すんじゃない!」

 

 ショウが先生に渡したのはニトログリセリンのおよそ5倍の威力を誇るショウ独自の調合により生まれた爆薬だ。

 

「なに、非力な先生に少しでも身を守るものは必要かと思ってね」

「身を守るどころか滅ぼしかねないものなんですけど!!」

「ははっ、まあ良いじゃないか。とりあえず実験室のあと片付けをしなきゃいけないので失礼するよ。ほら、お前たち起きて手伝え」

「はい部長」

「了解です部長」

「面倒起こすなよまったく……」

 

 やっと爆煙が収まってきた実験室に戻っていくショウ達を見てとんでもないところに来たなと内心思う先生であった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エガタ学園という場所《下》

 

「そんじゃあ行きますよ」

「よろしくね」

 

 そう言ってエガタ学園に来た先生を案内していく。エガタ学園の中はかなり広く作られており案内は軽く中を見せて後は生徒会室に呼ぶ手筈だ。

 校舎の中は基本的に他の学園と変わらず学校としての機能しか無いが幾つか違う場所がある。

 

「あれ?ヤマト、あそこは?」

「ん?ああ、あそこは依頼掲示板だな」

「依頼掲示板?」

 

 1階のちょっとした広場のような場所には幾つもの掲示板が立てられておりそこには紙が貼ってある。

 

「エガタ学園に来る生徒の大半は不良生徒だったりする訳だが何も自分から好きでそうなったわけじゃない。とりわけ金銭的な理由の子達はな。各学園にも奨学金制度はあるみたいだが定員もあるし条件も厳しい」

「うん、確かにそうだね……」

「だがエガタ学園ももちろんお金がかかる。完全な慈善事業という訳でもないしな。そこで学園から依頼を出すんだ。まあ、足りない分は働いて稼いでくれってわけだな」

 

 エガタ学園に寄せられる依頼は様々、街の清掃や民家の草むしりなんて小さなものから護衛や襲撃任務何かもある。もちろん全部クリーンな仕事だ。知らず知らずのうちに悪事に加担していたなんてさせたくないしな。

 

「例えばあの赤い紙を見てくれ」

「あれ?ゲヘナのマーク」

 

 先生に見せた赤い紙はゲヘナのマークがデカデカとつけられていた。

 

「そう、あれはゲヘナ学園の給食部からの依頼だな。ゲヘナの生徒は数千人を超える超マンモス校それに対して給食部はたったの二人。その二人だけだと限界がある。いや、破綻してない時点で凄いんだけど。まあ、そんなわけで人手不足な給食部に人が欲しいという事で依頼を万魔殿経由で来たな。他にも風紀委員の臨時委員とかの募集なんかもあるな」

「学校と言うよりは会社っぽいね」

「まあ、確かにな。でも社会勉強にもなるし学生としての勉強も出来る。中々いい環境だと自負してるよ。他にもミレニアムでのテスターとか山海経の自治区の店のバイトとか、キヴォトス全土から依頼が来てる」

 

 働かざる者食うべからずを体現している学園だな。

 

「授業もどちらかと言うと社会に出て生きて行く術を教えるものが大半だ」

 

 より実益があるものを選択して教えている。ここに流れ着いた生徒に必要なのは生きる術なんだ。このキヴォトスの地の底であるこの学園はこれ以上生徒を下に行かせないための砦だ。

 

「ヤマトは凄いね」

「もっと褒めてくれても良いんだぜ。ま、そんな事よりも次行こう」

 

 その場を先生を連れて後にして生徒会室に向かう。

 

「ここがエガタ学園の学園運営委員会、まあ、生徒会だな。その部屋だ」

「お邪魔しま〜す」

 

 そう言って先生が生徒会室に入っていく。今は特に仕事も無いので部屋には誰もいない。

 

「ここでは主にこの学園の運営に関する事を話し合ったり運営する上で発生する経費だったりの諸々を処理する場所だ。生徒会長は俺で他に幹部ってのがいるんだけどそいつらは全員他学園の奴らだな」

「え?」

 

 まあ、そんな反応になるよな。

 

「元々この学園は俺の発案でできたものだけど流石に俺一人では学園作りは出来ない。そこでエガタ学園の理念である【全ての生徒が当たり前に生きてける】を元に様々な学園に声をかけたんだ。まあ、すげぇ大変だったけど。幹部は主だったところで言うとゲヘナ学園生徒会長の羽沼マコト、トリニティ総合学園ティーパーティーのホストの1人百合園セイア、ミレニアムサイエンススクールセミナーの会長調月リオ、なんかだな。各学園の生徒を分け隔てなく受け入れ様々な依頼を受ける事を交換条件にエガタ学園に出資してくれてる」

 

 いやぁ、最初は大変だったな。何度土下座した事か、しかも生徒会長とか毎年変わるしその度に契約の更新あるし、結構ギリギリで生きてるんだよなエガタ学園って。生徒に優しい代わりの苦労と考えればまだマシだけど。

 

 その後も先生とお茶を飲みながら学園についてのあれやこれやを話し合ったりしてその日は時間を使った。

 

 そして夕方先生を送る為に学園の車庫に向かう通路で5人の生徒が立ちはだかった。

 

「おっと、待ちな……かわい子ちゃん」

「……え?」

「出たなコイツら……ハァ」

 

 現れた生徒はエガタ学園でも危険人物に指定されている百合同好会の面々である。同性のである女性に愛欲ではなく()()を向けるアブナイ集団である。無論双方同意の上でするなら何も言わないが違法行為スレスレを行くもんだから手を焼いている。

 今回は先生に目を付けたのだろう。普段はシャーレビルのセキュリティや他生徒に守られているから手を出せないが今はそうじゃない。そして先生の隣にいるのは俺だけ。

 

「さあ、私たちと共に楽園(エデン)へ」

「ヘヘッ……ジュル、おっと、ヨダレが」

 

 不気味や笑いと共にこちらにジリジリとにじりよってくる百合同好会の面々。しかし、この程度の事予想済みよ、伊達にエガタ学園で生徒会長やってないんだよ!

 二回拍手すればあら不思議、天井に床、窓から突如として幾人かの生徒たちが現れて瞬く間に百合同好会の面々を拘束した。

 百合同好会を拘束したのは隠密機動部の部員たちだ。エガタ学園において諜報活動を主にする部活である。情報収集能力はマコトに仕込まれてるから優秀な子達だ。もちろん今みたいに不意打ちでの敵の捕縛なども出来る。念の為今日一日付けておいて正解だったな。

 

「よし、あとよろしく」

「「「「「了解!!」」」」」

「あ、待って!!」

「束縛プレイは大変嬉しいけど今じゃない!!」

「ああ、極上の料理が!」

 

 動きを封じられながらも先生に執着をみせる百合同好会を放置してさっさと車庫に先生を誘導する。後ろで響くスタンガンの音の後ズルズルと何かが引きづられる音が耳に届いた。

 

「……一体何が?」

「知らなくて大丈夫ですよ」

 

 先生は状況を飲み込めてないようだけど飲み込めなくて良いんだ。関わるべきものとそうでないものがこの世にはあるんだ。




次はMIKE猫さんとのコラボ回の投稿になると思います!
その後パヴァーヌ編ですかね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【‎コラボ回】転売ヤー死すべし慈悲は無い

おまたせしました!ついに書き終わりました。ネタが中々思いつかなかったのとスバルの扱いに苦心しました。

コラボしてくださって伝説の超三毛猫さん、ありがとうございます!
↓伝説の超三毛猫さんの作品はこちらになります
https://syosetu.org/novel/311789/

それではどうぞ!




 

 ある日のエガタ学園。

 

「殺す……殺す……」

「転売ヤー死すべし慈悲は無い……」

 

 ヤマトとスバルの2人が殺意を滾らせながらそれぞれ銃の整備とシャドーボクシングをしていた。

 

 

 

 

 

************

 

 

 

 

 時は数日前まで遡る。

 

「転売?」

「はい、最近ブラックマーケットでその手のものが多くなってるようです」

「いつもの事だろ?」

 

 その日エガタ学園の生徒会室でのカナエからの報告の中に出てきた話題の一つである転売、それ自体というか犯罪行為はブラックマーケットでは日常茶飯事。だから特筆する事は無いはずなのだが、わざわざ話に出したと言う事は何かあるのか?

 

「それが、転売されている品が、その……我が校で作ったものも含まれてるようでして」

「あ?」

 

 実はエガタ学園では運営資金の獲得と生徒自身のお金の為に様々なものの販売制作を行っている。殆どは企業などからの委託による内職のようなものだ。

 しかし、エガタ学園独自のものとして個人による小説や漫画などの創作物や兵器開発部の兵器の一部などを売買している。

 

「……つまり、何だ。うちの生徒の努力の結晶を使って私腹を肥やしてる奴がいると?」

「はい。しかも組織的なものらしく他にもモモフレンズのグッズやプリンスメロン先生やメルリー先生の同人誌他様々な限定品やプレミア品などを買い占め高額で売り捌いているようです」

 

 なるほどな。日夜犯罪が横行するブラックマーケットでは転売如きに一々目対応してなどいられない。しかしだ、うちの学校のもを転売してるとなると話しは別だ。それに転売ヤー共は前世から俺たちオタクの敵だ……死あるのみ。

 

「隠密機動部に情報収集を──」

「既に手配しています」

 

 仕事が早いな流石だ。となると、後は襲撃部隊を組むか。そう言えばさっきプリンスメロンの同人誌も転売されてるって言ったな。なら──

 

「……もしもし、スバルか?話がある」

 

 間島スバルに電話をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして今の状況がある訳だ。

 

「失礼します」

 

 そして隠密機動部の部長である、キルがやって来た。

 

「転売組織の構成員及び拠点の情報収集完了しました」

 

 キルから差し出された情報に目を通す。どうやら様々な自治区に支部があり構成員もかなりいるようだ。本拠地はブラックマーケットの一角にあるとあるビルか。そして──

 

「この猫野郎が親玉か……」

 

 差し出された情報を一緒に見ていたスバルは殺意を滾らせながらそう呟いた。

 情報に出ているのは三毛猫の姿をしたキヴォトスでは一般的な大人の一人。こいつが転売組織のボスらしい。

 

「しかし、予想以上に大きいな。ブラックマーケット以外は各自治区とヴァルキューレに頼むか」

「連絡しておきます」

「頼む」

 

 さてと、行きますか。

 

「3時間後カチコミ行くぞ」

「ああ」

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「ここがあのビルか」

「ああ、既に中に主犯の三毛猫野郎がいるのは調査済みだ」

 

 3時間後俺とスバルは転売組織の真ん前まで来ていた。のだが──

 

「なあ、ところでお前それどうなってんの?」

 

 何故かスバルの全身から陽炎が立ち上っていた。肌は若干赤みがかってるしなんかすげぇ闘気を肌でビリビリと感じる。

 

「キング・パンチって知ってるか?」

「ああ。名前は忘れたが確かワンピースのドレスローザ編に出てくるとある国の王様の技だったよな。………………まさか!?」

「そのまさかだよ」

 

 そう言ったスバルの腕の筋肉が膨張していく。そして大きく右腕を振り絞り目の前のビル目掛けてアッパーカットを繰り出した。

 

「『 擬・キング・パンチ!!』」

 

 その一撃は一瞬でビルを粉々に粉砕し瓦礫の山に変えた。

 

「……これ生きてっか?」

「キヴォトス人は頑丈だからヘーキヘーキ」

 

 スバルの突然の行動に唖然としていると俺とスバルの目の前に何かが落ちてきた。それはボロボロの三毛猫、転売組織のボスだった。

 

「悪は滅びたな」

「俺は不完全燃焼なんだがなぁ……」

 

 スバルが一人で片付けたせいで不完全燃焼だ。他の場所は既にヴァルキューレだったり依頼としてエガタ学園の生徒たちが襲撃したりして突撃する場所がないんだよな。

 

「あ、そうだ。スバル棺桶持ってるか?」

「ん?一応ナギサ蘇生用の持ってるけど。」

「なら、丁度いい。ここにサングラスがあるじゃろ?そしてCDプレイヤーもある」

「なるほど理解」

 

 そうして俺たちはサングラスをかけて棺桶に転売組織のボスを詰め込みCDプレイヤーでAstronomiaをかけ棺桶を肩に乗せ、踊りだした。

 

「よし、このままヴァルキューレ連れてこうぜ」

「OK!」

 

 そして二人で時たま棺桶をぶん投げたり叩いたり、曲をUnwelcome Schoolに変えながらヴァルキューレに向かった。

 

「……あなた達は何をしてるんですか」

「憂さ晴らし」

「同じく」

「…………はぁ」

 

 ヴァルキューレに到着した時にカンナが出迎えてくれたが心底理解し難い顔で向かい入れられた。解せぬ。やはりこのネタは同じ転生者のスバルにしか通じないか。

 

 そのまま転売組織のボスはヴァルキューレによって逮捕され他の構成員達も全員豚箱行きだ。

 

 今回の件は少々不完全燃焼ではあったがスバルとお巫山戯が出来たのでまあ、良かったな。同じ転生者同士これからも仲良くしていきたい。ただ、往来のど真ん中でエロ本を渡して来るのはやめてくれ、社会的に死ぬ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

パヴァーヌ編
訪問ゲーム開発部


ここからパヴァーヌ編に入ります。
ただ、時系列的にVol,2を直ぐにやるか悩んでる。


マコト様実装!!マコト様実装!!マコト様実装!!
我大歓喜!!(天井してお迎えした事実に目を逸らしながら)


 

 とある日、俺は先生からの連絡でシャーレに来ていた。何故先生から呼び出されたかを簡単に説明するとミレニアムのゲーム開発部という部から廃部の危機を助けて欲しいと連絡が来たらしい。パヴァーヌ編ですねこれは。

 

 先生と合流した後は最近先生に移動用にと送った連邦生徒会仕様の装甲車に乗ってミレニアムへと向けて出発した。流石に徒歩と電車じゃキヴォトスでは色々と辛いよ、特にアビドス。

 

 そうしてやって来たミレニアムだがゲーム開発部の部室を知らないので先生がユウカの所に行こうとした時だった。

 ガツン!!という音を立てて先生の頭に何かが激突した。

 

「ガッ!?」

「先生!?」

 

 そして先生は頭への衝撃でパタリと地面に倒れ込んでしまった。咄嗟に先生に駆け寄り何かが先生に激突した箇所を見る。幸いな事に血は出ていなかった。ただあと少しもすればたんこぶになるか内出血が起きてもおかしくない。というか頭へのダメージは一番まずい。この後ミレニアム自治区の最新鋭の設備がある病院に連れてく必要があるな。

 

「もしかして先生に当たっちゃった!?」

「プライステーションは無事!?」

 

 先生を介抱していると駆け足の音と一緒に声が聞こえて来た。

 そこにやってきたのはピンクの猫耳をつけた子と緑の猫耳をつけた子だった。

 

「才羽モモイ、才羽ミドリ……」

「……誰?」

「これは、不味い」

 

 そういえばあったな、先生が初手で気絶した状態から始まったの。何故気絶したかはかなりあっさりと流されてたから忘れてたけど。

 

「そこになおれ」

「え?」

そこになおれ!!

「「は、はい!!」」

 

 とりあえずコイツらは叱る。

 

 

 

 

 

 

************

 

 

 

 

 

 

 

 モモイとミドリの二人を叱り先生を念の為、医療部に預けて俺は先にゲーム開発部に来ていた。

 

「うぅ……足が痛い」

「仕方ないよお姉ちゃん。私達というかお姉ちゃんがゲーム機を投げたのが悪いんだから」

「わかってるよぉ……」

「で?シャーレに手紙を出したようだけど何の用だ?」

 

 俺が正座させた影響で痺れる足を擦りながら呻く2人に声をかける。

 

「あ、手紙読んでくたんだ!」

「ああ、お前達が気絶させた先生がな」

「……う、そ、それは……」

「はぁ、まあいい。変に掘り返しても先生に何か言われそうだ」

 

 そうこう話しているとゲーム開発部の部室の扉が開いて頭に氷嚢を乗せた先生がやって来た。後ろには怒髪といった雰囲気のユウカを連れて。

 

「先生、起きたのか」

「うん、たんこぶだけで問題無いってさ」

 

 うん、それは良かったんだが──

 

「モーモーイー!!」

「ヒェッ!?」

 

 ユウカが怖い。

 

「先生の頭にゲーム機を投げつけたそうじゃない?」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

「ユ、ユウカ。私は気にしてないから……」

「先生は甘すぎるんですよ!!」

「まあ、落ち着けユウカ。説教なら既に俺からしたから」

「ぬ、ぬぐぐ。…………モモイ?」

「はい!!」

「次は無いからね」

「サーイエッサー!!」

 

 ユウカって怒るとこんなに怖いだな。

 

「ところで先生?」

「どうしたの?ユウカ」

「ミレニアムにはどんな御用で?」

「えっと、ゲーム開発部っていう部活から要請が来てね」

「……はぁ。本当に諦めが悪いわね。廃部を食い止めるために、わざわざ()()()()まで巻き込むだなんて。けど、そんなことをしても無意味よ。たとえ連邦生徒会のシャーレだとしても……いえ、あの連邦生徒会長が戻ってきたとしても!部活の運営については概ね、各学園の生徒会に委ねられてるんだから。ゲーム開発部の廃部はもう決まったことなの、これはもう誰にも覆せない」

「そ、そんなことはない!言ってたでしょ、部員が規定人数に達するか、ミレニアムの部活として見合う成果を出せれば……」

「……それが出来ればよし。もしできなかったら、部費はもちろん部室も没収する。私、そこまでちゃんと言ったわよね。あなたたちは部員数も足りない上に、部活としての成果を証明できるようなものも無いまま、もう何ヶ月も経ってるんだから……廃部になっても、何も異議は無いはずだけど?」

「異議あり!すごくあり!私たちだって全力で部活動をしてる!」

「だからあの、何だっけ……上場閣僚?というのがあっても良いはず!」

「それを言うなら情状酌量な」

 

 これでシナリオライターやってるとかマジですかモモイさん。

 

「全力で活動している・・・・・?笑わせないで!」

「あ、あう・・・・・・」

「校内に変な建物を建てたと思ったらまるでカジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めるし、レトロゲームを探すとか言いながら古代史研究会を襲撃するし・・・・・・」

「何をやってるん?」

「……あはは」

「おかしいでしょう!?全力かもしれないけど部活動としては間違ってるわよ!それにこれだけ各所に迷惑を掛けておいてよく毎度のように部費なんか請求出来るわね!」

「エガタでそれやったら即刻廃部なんですけど」

 

 あいつら良くも悪くもできるし、分別もあるんだよな。あれ?もしかしてゲーム開発部ってエガタの部活以下ってことぉ!?

 

「真っ当な言い訳くらいしてみたらどうなの!」

「と、時には結果よりも心意気を評価してあげる事も必要・・・・・」

「負け犬の言い訳なんて聞きたくない」

「聞きたいのか聞きたくないのかどっちなのさ!」

「それが真っ当な言い訳と思いで?」

「うぐっ」

「そういう事よ、ミレニアムでは結果が全て」

「け、結果だってあるもん!私達もゲームを開発してるんだから!」

「そ、そうですよ!テイルズ・サガ・クロニクルはちゃんとあのコンテストで受賞、も・・・・・・」

 

 出たよ。テイルズ・サガ・クロニクル。

 

「・・・・・そうね、確かに受賞してたわ、その反応を見るに先生はご存じないようですね、テイルズ・サガ・クロニクル・・・・・・このゲーム開発部における唯一の成果です」

「成果と言ってもクソゲー1位だけどね」

 

 やってみた事あるけどあれは間違いなくクソゲーでしたわ。

 

 

「・・・・・・えぇまぁ、あれはゲームそのものさることながらレビューが大変印象的でした──」

 

私がやってきたゲーム史上、ダントツで「絶望的」なRPG。いやシナリオの内容とかじゃなくてゲームとしての完成度が

 

このゲームに何が足りないかを数えだしたらキリが無いけど・・・・・まぁ、一番足りてないのは「正気」だろうね

 

このゲームをプレイした後だと「デッドクリームゾーン」はもしかして名作の部類に入るんじゃ・・・・・って思っちゃうわ

 

 うーん、満場一致でクソゲー。

 

「わ、私達のゲームはインターネットの悪意なんかには屈しな・・・・・」

「例えユーザー数が無限にいたとしても沢山の評価が収束すればそれは真実に一番近い結果よ、それに貴女達の持っている結果はヤマトが言ったようにそのクソゲーランキング1位だけでしょう?」

 

 その言葉に魂が抜けたようにモモイとミドリは白目を向いた。

 

「・・・・・・と、とにかく!貴女達のような部活がこのまま活動していてもかえって学校の名誉を傷つけるだけよ、それにその分の部費を他に回せばきちんと意義のある活動をしている生徒達のためにもなる・・・・・」

 

 その通りだね。こっから挽回するならミレニアムプライスで受賞するか。新しいゲームを売り出して何らかのプラスになる記録をたたき出すかかなぁ。

 

「だからもし自分達の活動にも意義があるのだと主張したいのなら、証明してみせなさい」

「証明って・・・・・?」

「何度も言ったでしょう?きちんとした功績や成果を証明すれば廃部を撤回するって、例えばスポーツでのインターハイやエンジニア部の発明品の公表とかね」

「ぱっと思いつくのは高い売上数とか、ダウンロード数とかかな?」

「そういう事、とはいえ出せば何とかなるとも思えないわね、貴女達の能力はあのクソゲーランキングが証明済み」

「うぐっ・・・・・・」

「どうせならお互い楽な形で済ませましょう?今すぐ部室を空けてこの辺のガラクタも捨てて・・・・・」

「が、ガラクタとか言わないで!」

 

 ガラクタでは無いけど、結果を出してないからユウカにとってはガラクタ何だよなぁ。

 

「・・・・・じゃあ何なの?」

「そ、それは・・・・・・・・分かった、全部結果で示す」

「へぇ・・・・・?」

「その為の準備だってもう出来てるんだから!」

「え?」

「そうなの!?」

「何でミドリが驚くのさ!?・・・・・とにかく私達には切り札がある、その切り札を使って今回のミレニアムプライスに私達のゲーム・・・・・・テイルズ・サガ・クロニクル2を出すんだから!」

 

 モモイはそう高らかに宣言した。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

モモイの秘策

 

 モモイのした宣言。ミレアムプライスに新たなゲームを出し部を存続させるという無謀にも思える宣言にユウカ驚く。

 

「ミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合うミレニアムでも最大級のコンテスト!ここで受賞さえすればいくら何でも文句は言えないでしょ!」

「・・・・・まぁそうね、受賞出来たならの話だけど。けどねモモイ、今貴女が言っているのは運動部がインターハイに出場するとかそういうレベルじゃなくて高校球児がいきなりメジャーリーグに出るみたいな雲を掴むような話よ」

 

 実際ミレニアムプライスはミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合う、ミレニアムで最大級の品評コンテストである。そんな場所にクソゲー1位という不名誉な功績しかないゲーム開発部が挑むのはユウカの言う通り無謀を通り越し無駄でしかない……のだがこの後の出来事を知ってる俺としては無理とは言えないんだよな。そもそもゲーム開発部自体、ポテンシャルはあるんだ。ただそれを発揮しないだけで。

 

「・・・・・・まぁ良いわ、何でだろ私もちょっと楽しみになってきたし、そこまでは待ちましょう。今日からミレニアムプライスまで2週間、この短い時間でどんな結果を出せるのか楽しみにしてるわ。それにしてもまさか先生の前でこんな可愛くない所を見せてしまう事になるなんて・・・・・・ただこれも生徒会の仕事なので。次はもっと違った落ち着いた状況でお会いしましょうね、先生。それではまた」

 

 そう言ってユウカは部室を出て行った。

 

「で?どうするんだ?あんな大口叩いて」

 

 この後の行動は知ってるがあえて煽るような言葉をかける。まだこの後何するか先生は知らないからな。

 

「もちろん!考えはあるよ!その為に先生を呼んだんだし」

「うん、手紙が来たからね」

「それじゃあ早速は『廃墟』に行こう!」

「……廃墟?」

「お姉ちゃん、説明が足りないよ」

 

 安定のモモイクオリティだなぁ。先生が着いてけてない。

 

「まず廃墟って言うのはミレニアム自治区の郊外にある場所なんだけど少し前までは連邦生徒会長が立ち入りを封鎖していた場所なの」

「まぁ、あそこは危険だからな」

「ヤマトは知ってるの?」

「ん、ああ。あそこには俺は入った事あるからな。ちょっとした調査の一環で」

 

 ALー1S──アリスの調査と廃墟自体の調査、divi:Sionの調査、潜在的な脅威が無いかの調査をした。これはリオに頼まれた事でもあるしカヤも巻き込んでる。まあ、カヤについては今は関係ないな。

 

「そうなの!?なら心強いじゃん!」

「でも、封鎖されてるんじゃないの?」

「ああ、今は警備なんていないよ。連邦生徒会長の捜索に人員が割かれてるから」

「そう、警備する人員も撤収して今はその封鎖は解かれてる、と言うより放置状態なんだ。それで廃墟がどういう場所かって言うとヒマリ先輩曰く()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って」

 

 ヒマリなぁ、俺苦手なんだよなぁ。一見、キヴォトスにいるちょっとクセのある優等生とかに見えるけど結構()()()()してるし、こう、本能的に?苦手なんだよね。あと、リオをナチュラルに「下水道を流れる水」「浄化槽に浮かぶ腐った水」とか呼ぶから正直殴らなかった俺を褒めて欲しいぐらいである。あまりにも失礼である。

 

 

「ヒマリ先輩って、ヴェリタスのあの車椅子に乗った美人のヒマリ先輩?いつもRPGの賢者みたいに「私は何でも知っていますよ」って感じのヒマリ先輩が「かもしれない」って言葉を使うのも珍しいね・・・・・それくらい未知の世界なんだ。って、ちょっと待って?まさかとは思うけど・・・・・お姉ちゃんが「ここにG.Bibleがある」って言ったのはヒマリ先輩の言葉を聞いたから!?そ、それだけの理由で行くの!?」

「それだけじゃないよ、ヴェリタスにG.Bibleの捜索を依頼したら座標を教えてくれたの。最後にG.Bibleの稼働が確認された座標をね、その座標が指していたのは普通の地図には存在しない場所だった」

「まさか!?」

「そう。この2つを合わせて考えるとG.Bibleはずっと存在を隠されてきた『廃墟』にあるはず!」

 

 まあ、あってはいるんだけどねぇ。ま、アリスを起こすには必要な工程だからいっか。とりあえず戦闘の準備だけしとこ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。