【書籍化決定】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。 ~レンジャースキルで「ヘッドショット系幼女」って呼ばれたりダンジョンの秘密に囚われたりする配信~ (あずももも)
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1章 ダンジョン配信に紛れた僕とるるさんたちとの出会い
1話 いつも通りだったはずのダンジョン


僕が放った矢がひゅっと飛んでいき……10秒くらいで今日の最後の獲物にクリーンヒット。

 

その獲物――名前は知らないけどとりあえずでかいクマみたいなの――はその衝撃そのままにずしんと転び、一応の警戒でしばらく見守ったけど動かない。

 

うん、今日も実に良い狩りだった。

 

やっぱり怖いモンスターなんて、相手が見えないところから仕留めるのが1番だよね。

 

「この体」だし、安全マージンは多く取れば取るほどに良いんだから。

 

【おめ】

【ハルちゃんおめ】

【遠くてよく見えないけど、あれってグレーターグリズリー?】

 

僕が流していた配信にぽつぽつとコメントが流れてくる。

 

【ハル「ありがとうございます。 今日はこれで手じまいです」】

 

数少ないそれらを眺めつつ、倒したモンスターが素材になるのを待つついでにコメントで返信。

 

【さっきから見てた。 初見なんだけどこの配信、顔も声も無いの?】

 

【最初っからずっとだな】

【身バレが怖いって言う普通の理由らしい】

【声すらないとか普通じゃないけどクセになるんだよな】

 

【そのせいで人気出ないんだよなぁ……】

【俺たちみたいな変わり者ほどハマるのになぁ】

【お前と一緒にするな。 俺はハルちゃんの技術に惚れたんだ】

【そういうのもあるのか……】

 

僕は帽子に付けたカメラを指で触って確かめる。

 

――うん、大丈夫。

 

僕の顔が映ることはないんだ。

 

【グレーターグリズリー……かは遠すぎて分からなかったけど、ただのグリズリーでもソロ討伐できるなら顔出しすれば良いのに。 あれって中難易度ダンジョンの下層以上のモンスターなんでしょ?】

 

【初見、お前に何も分かっていない】

【何のこと?】

 

【1回も声も顔も出してしてくれたことないけど、俺はハルちゃんが美少女っていう夢を見てるんだ】

【分かる。 完全に顔も声も無いから逆に妄想しやすいんだよな】

【今どきデフォのアバターさえ使わない硬派だもんな】

 

【夢は夢のままが良い。 起こさないで】

【まぁ男の顔見ててもあれだしな。 つってもトークが上手かったりしたり、これくらい強いんなら見るけど】

 

【ハルちゃんは俺たちに希望を持たせてくれているんだ】

【ああ】

 

【よく分からん……けど、視点的に結構、背、低いのかな?】

【おっと、詮索はNGだぜ初見さん】

【ハルちゃんがふさぎ込んじゃうからな】

 

【コメントなんて最初と最後しか見ないけど、万が一はあるからな】

【ああ……個人勢なんて趣味だし、吹けば飛ぶメンタルだから。 俺もだし】

【分かる】

 

配信=ダンジョンへは不定期に潜って時間もばらばら。

 

顔出しも無し、アバターも無し、声もチャットすら無しとどう考えても人気の出るはずがない僕の配信。

 

タイトルも適当で説明文も「ダンジョンに潜ります。 声出し顔出しアバターありません、スナイパーなので9割画面動きません」だし。

 

そんな適当さで完全な趣味って言うのに逆に惹かれたらしい、

 

ちょっとおかしい……もとい非常に奇特な人たち何人かが同接を維持してくれているのが現状。

 

それは嬉しいんだけど、逆に言えば完全な内輪感で初見さんは大体離れる……いや、そもそもとしてBGMも何も無くって狩りの間、何十分も身じろぎしないんだからちらっと見てそっと出ていくのが普通だ。

 

ちなみにその時間、僕はタブレットで読書してる。

みんなは何してるんだろう。

 

というか普通じゃないこの人たちは何なんだろうね。

 

男って分かっていながら「ハルちゃん」とか言って見てるしさ。

 

――去年からは、あながち間違いでもないけども。

 

【もう3年? 4年になるのか、ハルちゃんがこれ始めてから】

【BGMすらない清々しさが逆に良いよな】

【なんか着けっぱなしにしてたらハマったんだっけか、俺は】

 

【同接も全員顔見知りになる過疎っぷり】

【顔を知らないのはハルちゃんだけ】

【なにしろ本当、作業用って感じだし】

 

作業用。

そういう需要も世界にはあるらしい。

 

【在宅だからちょうど良いんだ】

【おっと、ニートの存在を忘れるな】

【そこで威張るのか?】

【草】

 

まあそうだよね。

 

全世界のダンジョンですごい数の人が配信しているんだ、むしろこれくらい突き抜けてないと駄目なのかも。

 

特に男はね。

 

……男も美形でトークも上手い人なら女性リスナーが集まってくるらしいけども、残念ながら僕はそうじゃ「なかったし」なぁ。

 

一方で女の子なら基本、誰でも結構なファンが付く。

 

男はごく一部の男女にモテるトップ層と下層組、女の子はトップも高ければ平均も高い、素人でもそれなりに最初っから人が来る。

 

男って悲しいね。

 

なにがって、性別だけでこの格差ってのと、それをしているのは他ならぬ視聴者の男って意味で。

 

僕も男「だった」……いや、今でも心はそうだからよく分かる。

 

【あ、結晶化した?】

【早く取りに行かないと】

【大丈夫だろ。 この数十分で人来なかったし】

 

【人気ないダンジョン……僻地?】

【詮索すると俺たちが押しかけるぞ?】

【総勢10名の俺たちがな】

 

【言ってて悲しくならない……?】

【なる。 なった】

【かなしい】

 

暗い洞窟の先でしゅわっとした光。

倒されたモンスターが結晶化することでの素材回収だ。

 

――本当、ダンジョンってのが出てくるまでのゲームそのまんまだね。

 

僕はそう思いながら周囲を警戒しつつ熊さんの素材と、あと十数本散らばっているはずの矢を拾いに向かった。

 

飛び道具はコストが高いから、使えるのはまた使わないとね。

 

定職を失ってダンジョン配信者っていう……いや、配信は収益化どころか登録10人とかいうレベルだから趣味で、お金はダンジョンでの稼ぎだけども。

 

自由業な生活をしている僕は、ただでさえ低い身長をさらに低くして目立たないようにしながらこそこそと歩き回った。

 

――よし。

 

今日も誰にも見つからないで行けそう。

 

 

 

 

今日の稼ぎはなかなかだ。

ほくほくだ。

 

ダンジョンって良いよね、自分に合うやり方さえ見つけたら会社行かなくって良いから。

 

まぁ今の僕じゃ会社行けないどころか見つかったらお巡りさんなんだけどさ。

 

お金なんて通販かデジタルコンテンツくらいしか使い道すらないよ。

 

「!」

 

手元のスマホからアラームが鳴る。

 

……またかぁ。

 

みんな無茶するんだから。

 

【救援要請?】

【この人が居なさそうなダンジョンにも……って言うかホントここどこなんだ?】

 

【だから秘密だって、身バレするかもって】

【どんだけ身バレ怖いの配信者……】

【だからハルちゃんと呼べ。 ハルにゃんでもハル様でも可】

 

【ハルきゅんは?】

【お前……ハルちゃんが嫌がらなければ別に】

【初見のキャラが濃すぎる】

 

ちらっと見たけども、まーた新しく入って来た人にみんなが群がってる。

 

そうやって初見さんに群がるからいつまでも人増えないんだけど……いや、そもそもコンテンツそのものが悪いんだけどね。

 

そう思いつつも、この人たちがいるから僕が孤独じゃないって思えるのを思うと「止めて?」とは言えない。

 

リアルでの知人が壊滅したんだ、もはや僕の拠り所はここだけ。

言っていて悲しいね。

 

【あ、移動し始めた】

【けどいつも他のパーティーが来て解決するか、ハルちゃんが着いてもいつも通りだから見せ場はないぞ】

 

【どういうこと? だって救助要請って普通は……】

 

【さっきみたいに遠くからアサシンするだけだからな】

【で、ハルちゃんってば顔見られない内に逃げちゃうから感謝も報酬ももらえない】

 

【どんだけ見られたくないんだよ……逆に興味湧いてきた】

【今のうちに登録しとけ。 古参になれるぞ?】

【古参(配信開始3年半経過)】

 

僕は今78層……救助要請は77層。

 

よっぽどじゃなきゃ間に合うし、よっぽどじゃなきゃいつも通りさくさく終わらせて後味良くしてミッションクリア。

 

……救助のときって助けた人にバレちゃいけないから近づけなくって、矢とか石とかドロップは捨てることになっちゃうんだよな――……。

 

んー。

 

どうしようもない理由での縛りプレイな僕だけど、そのどうしようもない理由でダンジョン生活してるからしょうがない。

 

前に比べて体重は軽くなったけど筋力が無いのと、荷物の相対的な大きさとで走れない僕。

 

助けるのは良いけどせめてなんとか生きていて。

 

そう願いながら……おっと。

 

なんだか今日に限ってズレやすいヘルメットにくっついたカメラを気にしつつ、長くなった髪の毛を後ろで縛りながら上層への階段目指しててくてくざくざくと進んでいった。

 

 

 

 

【るるちゃんがんばって!】

【救助要請、今……え、たったの1人?】

【いや、るるちゃんに近い階層でソロならむしろ期待できるぞ】

 

「みなさんごめんなさい、よりにもよってこんなミスしちゃって……っ!」

 

10を超える数のモンスターに追われている深谷るるは、カメラを意識しつつも震えを抑えるので精いっぱいだ。

 

「今日もまたドジ踏んじゃって……ああ、私ってばなんて不幸なの!」

 

【草】

【結構なピンチでも配信盛り上げようとする配信者の鏡】

【偉いけど声震えてる……】

 

【でもまずくね?】

【これがまずくないとでも?】

【歯がゆい……今、会社じゃなければなぁ】

 

普段は数人のチームでダンジョンに潜る、とある事務所所属の配信者――深谷るる。

 

普段から自分の不注意と些細なミスとで「不幸体質」「不憫な子」として不本意な人気を持ってしまった彼女は、登録者100万人に手が届く期待の新星だ。

 

ダンジョン内では魔力でピンク色になるくせっ毛名長髪、「貧乳は正義だ」「貧乳ロリでないるるちゃんなど居ない!」とさんざんな体型は接近専用の軽装の鎧で覆われており、その手にはごく普通の長剣。

 

近接戦では特に隙の無い彼女は、生来のドジのために人一倍気をつけていた。

 

【でもまさかるるちゃんが3連続で落とし穴に落ちて】

【落下地点にモンスター召喚の罠があって】

【しかも敵の大半がアウトレンジな飛行モンスターとか】

 

【【さすがは不幸体質】】】

 

【これ、演出だよね……そうと言ってよるるちゃん……】

【むしろここまで来たら逆にリアリティーしか無い】

 

「ひっじょーに信じにくいですし私も信じにくいですけどーひっ!? 頭掠めたぁ!? ……紛れもなく命のピンチですぅー! しかも落とし穴の罠で緊急脱出装置も上の階ぃー!! 私のリストバンドー!!!」

 

【草】

【草】

【笑い事じゃないのに草】

【死にそうなのに笑えるのがるるちゃんの魅力だよ】

【がんばって】

 

――そうよ、るる。

 

私は、最後の瞬間まで「エンターテイナー」なんだから。

 

中難易度のダンジョンとは言いつつも100層あるところを、ソロで攻略……もちろん途中までと言うつもりの企画。

 

まさかの連続罠にさえ引っかからなければなんとかなったはずの彼女は、絶体絶命の危機だった。

 




1話をお読みくださりありがとうございました。

この作品は最初は複数話投稿、以後はだいたい毎日1回3000字くらいでの投稿となります。
ダンジョン配信ものでTSっ子を読みたいと思って書き始めました(勢い)。

「TSダンジョン配信ものはもっと流行るべき」
「なんでもいいからTSロリが見たい」

と思ってくださいましたら作品を評価&ブックマーク登録をしていただけますと嬉しいです。


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2話 いつも通りだったはずの救助要請

ふむ。

 

ナビゲーション通りに来てみたけども。

 

「……もー! いい加減諦めてよー!」

 

そんな声を張り上げながら全力疾走している女の子が居た……すごい声の大きさ。

 

この声、なんかこの階層中に響いてそう。

……救助要請の割にはなんか元気そう……。

 

ほほえましい光景にしか見えないけど多分ピンチなんだろう。

 

その後ろに……えっと、16匹のモンスターがばっさばっさしてるし?

 

確かにあの状態はレベルあっても無理かなー、最初どのくらいいたのか分かんないけど。

 

【あれってるるちゃん?】

【深谷るるだよな?】

【あの不幸体質の……つまりはいつものか】

 

【いつものだな。 ソロだってんならやばいけど】

【いつもは介護要員がいるもんなぁ】

【まぁ事務所のだし】

 

【悪い子じゃない……悪い子じゃないんだが、ただただ運がないんだ……】

【はぐれたかソロでチャレンジしたか……いずれにしても結構ガチでピンチみたいだな】

【ちょっとあっちの配信に潜ってきたけどやっぱり……】

 

ちらっとコメント見た限り、リスナーのみなさんは知っているらしい。

 

ほぼ全員知ってる感じだし……人気なのかな?

確かに顔も整ってるって言うか、かわいいと思うし。

 

まぁ今の僕には負けるけどね。

 

「………………………………」

 

【あー、さすがのハルちゃんでも頭振るレベルの惨状】

【それにしては画面ぶれる気が……?】

 

……いやいや落ち着こう僕、僕は男だ男、ただ少し今は変になっているだけなんだ、心まで女の子になってどうする。

 

女の子は見て和むものであって、張り合う対象じゃないんだ。

 

……これは早く男に戻らないとやばいかも。

精神まで女の子になっちゃう前に。

 

【早く助けないと!】

【いやでもハルちゃんの基本動作は……】

 

おっと、そうだった。

 

確かにあの子、控えめに見ても危ないもんね。

さっさと助けてあげよっと。

 

……良い感じの窪み……あったあった。

 

【……ですよねー、まず隠れる場所だよなー】

【こんなときでも声すらかけないとか】

【救助要請でも毎回こうだしなぁ……】

【本当、どんな姿なんだか……ハルちゃんって】

 

僕が78階層から昇ってきたところからそんなに離れていないところで追いかけっこ……失礼か、文字どおり必死に逃げている彼女。

 

僕の最重要課題はあの子に見つからないこと。

 

……間に合わなさそうならしょうがないけど、まだ余裕ありそうだしもうちょっとがんばっててもらおっと。

 

あの子だって配信してるんだ、下手に前に出過ぎちゃうと移っちゃう。

 

そこまで困るわけじゃないけどもちょっと困るからやっぱがんばってて。

 

僕は辺りを見回して「やっぱそこしかないよね」って決め、つい1時間ほど前にこの階層での狩りで潜んでいた高台の1つのくぼみへ足を向ける。

 

もちろん目立たないようにこそこそとね。

 

 

 

 

僕はスナイパー。

 

レンジャーとか狩人とかニンジャとか忍びとか、いわゆる遠くからじっと観察して遠くからちまちま倒す感じのやつ。

 

ダンジョン内での戦闘スタイルには特に決まった呼び方はないけど、僕を表現するならこれだ。

 

しかもソロだから後衛かつ前衛。

 

普通のソロなら何でもできなきゃいけないけども……モンスターに見つからなければケガのしようもないから問題ない。

 

これは前の僕も今の僕も――普通体型で秀でたところのなかった成人男性な僕も、幼児体型で幼児……とまでは行かないけど子供で、しかも筋力で不利な女の子になっている僕も変わらない。

 

……本当、女の子になる前からこの戦闘スタイルで良かったよなぁ。

 

じゃなきゃこうして日銭を稼ぐことも……っと。

 

【るるって子、結構足速いのな】

【不幸体質以外はトップランカーの事務所所属だし】

【でもああして不幸体質と】

 

【多分また落とし穴からのモンスターの巣に直撃なパターン。 で、救助要請ってことは今日はソロかチームとはぐれてる、で、ああして逃げるだけってことは普段から持ってるはずの緊急脱出装置も落としたと】

 

【草】

【えぇ……】

【悲しすぎる】

【あの子の配信、ときどき「呪い様」出るから……】

 

ええ……どんだけかわいそうな子なの、その子……。

 

まぁ確かにもうすぐこのダンジョンがリセットされるタイミングに近いからモンスターも少ししかいないけどさぁ……。

 

っと良し、セット完了。

 

……本当は高い弾使いたくないんだけどねぇ……人の命には代えられないから。

 

【んで、逃げ回るるるちゃんをちらちら見ながら冷静に移動してきて壁よじ登ったところで銃の用意してる俺たちのハルちゃんだ】

 

【さすがはスナイパー、いついかなるときも冷静だな】

【まぁなぁ……最初の方から観てるけど悲鳴1つあげたことないし】

 

【けど洞窟の壁にロープ引っかけて登ってって徹底してるな】

【おかげでハルちゃんがモンスターと接近戦したことないし】

 

【配信中で他人に見られたこともないけどな】

【ぼっち?】

【俺たちのことか】

【やめろ】

【孤高の存在と言え】

 

【るるちゃんの悲鳴は聞き飽きたからハルちゃんの悲鳴はよ】

【いや、この位置にいるハルちゃんが悲鳴上げた時点でやばいだろ】

 

リスナーの人も通報してくれたらしく、他の人も助けに向かってるとのこと。

 

まぁ多分あの子の……有名らしいし、そっちの方でもとっくにダンジョンの管理者にも救助要請出してるはずだけどね。

 

……んじゃ、やりますか。

 

あー、今日の稼ぎが吹っ飛んじゃうなぁ……しょうがないけど。

 

 

 

 

【るるちゃん朗報、今誰かが到着したって】

【近くの階層に居てくれてよかったな】

【るるちゃんがんばれ、もう少しで助かるぞ!】

 

【でも野郎だったらやだな……野郎だろうけど】

【まぁまぁ、ガチの緊急事態だし今回はノーカンでしょ】

【さすがにガチでやばいんだからんなこと言うなよ】

 

【今日の配信でここに潜ってる有名配信者はいないみたいだけど……でもソロでるるちゃんと同レベルってことでしょ?】

 

【え? そのくらい強かったら有名なはずだけど】

【めぼしい配信者は……いないよなぁ、やっぱ】

 

「どうでもいいからはーやーくー! ここですここですー、るるはここにいまーす! こーこーでーすーうー!!」

 

【草】

【いついかなるときも元気、それがるるちゃん】

【本気で命かかってるとは思えねぇ】

 

【るるちゃんがピンチと聞いて】

【同接すげぇ……これが命をかけたバズってやつか】

【朗報・るるちゃん、命の危機で覚醒する】

【「呪い様」が降臨なされたけどな】

【草】

 

深谷るるが全力で走り続けて10分以上。

 

いくら高レベルな彼女と言えども、さすがにこれは厳しい。

しかも今は頻繁に後ろからのブレスなどが来るおまけ付き。

 

さらには配信を切る余裕もないため「全世界の視聴者」を意識して泣き言も言えないとさんざんだ。

 

――いつものみんながいてくれたら……。

 

そう思いつつ、けれどもアイドルとしての底意地であえて普段以上に振る舞って視聴者を安心させようと努力している。

 

――だって、もしここで死ぬんだったらこれが最後の私になるんだもん。

 

最後までアイドルでいなきゃいけない、それがアイドルだもんってえみちゃんも行ってた。

 

だけど早くヘルプ来て助けてぇぇ!!

 

彼女の周りを飛び回る3基のカメラ写りを意識しながら内心だけで泣く彼女。

 

――ぱぁん。

 

「……え?」

 

遠いところで軽い音。

ひと呼吸置いて彼女の真後ろで魔物の悲鳴。

 

……助けが来たのね!

 

「よーし、ここから華麗なるるの本気見せちゃうよー!」

 

【急に普段通りに戻って草】

【真っ青な笑顔で走るるるちゃんは大変おいしかったけどやっぱりこれじゃないと】

【けど銃撃? それじゃ浮遊モンスターは――】

 

ぱぁん。

 

銃声。

 

ぼとっ。

 

重い音。

 

「ヘルプの人ありがとー! 私は誤射避けるために――……って、え?」

 

振り返った彼女の前には3匹のモンスター。

羽の付いている彼らは地面に伏して動かない。

 

「え、一撃? す、すご――」

 

――ぼとっぼとっぼとっぼとっ。

 

続けて彼女の目に飛び込んできたのは、ほんの数秒前まで追いかけて来ていた死の象徴たちが地面に叩きつけられる音だけ。

 

【え? こいつらってレベル70以上の】

【いや、罠のモンスターだから80……いや、それ以上かも】

 

【狙撃? とは言っても一撃で? どんな威力の弾なんだ】

【遠距離が得意な高レベル配信者……駄目だ、全員休みだったり別のダンジョンだったりで見当が付かない】

 

「え……ええっとぉ」

 

……なんかすごい人、来ちゃってる?

 

……………………………………。

 

「……るるの見せ場は……?」

 

とっさの判断で、その光景のすごさを和ませようと試みてみる。

 

【こんなときまで好戦的なるるちゃん草】

【さっきまでの必死具合からこれである】

【こうでなくちゃるるちゃんじゃないし】

 

――どすっ。

 

「………………………………」

 

最終的に、彼女の目の前には10匹以上――正確には16匹と戦力は1.5倍になっていた――のモンスターの骸。

 

「……すごい。 銃で一撃……それも複数ヒット……」

 

【浮遊してるるちゃん狩りしてたモンスターをでしょ? すごすぎ】

【1匹でもすごいのに10匹も連射で仕留めるとか】

【俺のるるちゃんが助かった……!】

【俺たちのだ、抜け駆けするな】

 

【でも「もう大丈夫」とか「撃つからしゃがんで」とかひと声かけてくれてもよかったのにね。 だってこんな威力の銃弾、るるちゃんに当たってたら……】

 

【声、届かなかったんじゃ? 遠いだろ、今の感じ】

【重武装の可能性もあるな……けど、やっぱそんな配信者は……】

 

――そうじゃない。

 

深谷るるは、実力をよく知っているメンバーたちを思い浮かべながら身震いした。

 

遠距離……姿が見えないし、発砲音からワンテンポあったから最低でも50メートルはあるはず。

 

そこから私を追っているモンスターを1匹ずつ、上下左右に動き回るのをほんの10秒くらいで全部仕留めたのよ、その人は。

 

間違いなくとんでもない実力者。

確実に先輩、いや、ダンジョン協会のトップ層かも。

 

【! るるちゃん、左!】

 

「え?」

 

ほっとして眺めたコメントの中に目を引いたそれ。

 

彼女の戦闘経験は意識よりも速く反応し、即座に全力で右に飛ぶ。

同時に鼓膜が破けるかと思う音と目を開けていられない光が彼女を襲う。

 

――一体何が?

 

とっさの回避で転倒した彼女は瞬時に膝をついての迎撃態勢。

 

しかし彼女の前には――。

 

「ど。 ……どどどどどどっ」

 

【ドラゴン!?】

【アイエエドラゴン!? ドラゴンナンデ!?】

 

【るるちゃん逃げて全力で逃げて】

【待って何これ聞いてない】

【これマジ? ヤラセじゃなくて】

 

【ヤラセなら緊急脱出装置落としたりするわけないだろ】

【やばいって本当】

【るるちゃん、今事務所の人たちが突入したって、だからなんとか】

 

このダンジョンのボスらしい、巨大なドラゴン。

 

ボスモンスター。

それぞれのダンジョンの最下層にしか現れないはず存在。

 

それが、なぜか彼女からほんの100メートルほどのところに――。

 

「あ」

 

ふと彼女が下ろした視点の先を、配信用のドローンが追った。

 

【あ】

【えっ】

【るるちゃんの足元……まさか】

【この魔方陣……えっ】

 

「……これ、今日2回目のモンスター召喚の罠……?」

 

【草】

【悲報・るるちゃん、ボス召喚しちゃった】

【えぇ……】

【そこまで不幸体質しなくても……】

 

【それでボス引くとかついてなさすぎ】

【生きて帰ったらお祓いしよ?】

【ここまで来るともはや呪いで草】

 

 

 

 

え――……ドラゴン来ちゃうの、こんな中層に……どうしよ。

 

僕はさっきの、弾だけで100万は超える金額を頭に浮かべながら……ぼけーっとそのでっかい体を眺めていた。



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3話 今日はついてない日

ダンジョンが世界にあふれて10年ほど。

 

初期は混乱もあったものの、身体能力、レベルの可視化や各種便利グッズ、とどめに「HP」が危険になった場合にオートでダンジョンから離脱させる「緊急脱出装置」の開発でそれなりに安全にはなった世界。

 

そこでまさかの民間人に、命の危険を「自己責任」と言い放ってのダンジョン解放という方策が取られた結果……人海戦術は成功。

 

今では大半のダンジョンは踏破まで行かなくとも探索され、深さや推奨レベルまでが共有されている。

 

その情報によると、たまたま普段のメンバーと離れてソロでの耐久配信を思いついて深谷るるが潜ってしまったこのダンジョンは、ごく普通の中規模中難易度のもの――つまりは「普通に潜っている人にとっては普通の場所」だ。

 

ある程度慣れているならソロでも50階層までは――余程運が悪くなければ――体力と手持ちの武器だけで潜れると評判。

 

そしてこのダンジョンの中のモンスターはかなり減っているのが確認されている。

 

実際に深谷るるは余裕でいけいけだった。

 

だから50階層を超えてもなお潜りにも潜って――何回も立ち止まって視聴者やマネージャーと相談して――――――で、なぜか落とし穴3連続とモンスター召喚の罠を踏み抜いた。

 

なぜか。

 

しかもその罠は1000回ダイスを振って1回出るかというレベルの致命的な、そのダンジョン最下層のボスモンスターも召喚してしまうものだったらしい。

 

その情報は配信中ということもあってとっくにバズを引き起こし、登録者の10倍以上の注目を集めていた。

 

――助けに来てくれた人、ごめんなさい。

 

ドラゴン。

 

普通の個体ではなく、ボスモンスターのドラゴン。

 

低難易度のダンジョンの最深部で出現する弱い個体でさえ、仲間10人ほどとの討伐経験しかない彼女は……圧倒的な戦力差を目の当たりにし、今度こそ腰が抜けてしまっていた。

 

【え、やばくね】

【やばいんだよ実際】

【るるちゃん逃げてー!】

 

【今助けてくれた人だけじゃ無理だから、他の人が到着するまで――】

 

配信、切った方が良さそう……かな。

 

既に笑顔を見せて強気になれる余裕も無くなった彼女は、それでもエンターテイナー/アイドルとしての意地と機転でそう判断する。

 

――配信者が無残に殺される場面の生配信。

 

無いわけではないが、初期はともかく今は攻略の際に緊急脱出装置の携帯が義務づけられているため死亡事故はほとんど無し。

 

ただでさえそれなのに現役のアイドル、しかもまだ高校生女子な彼女が――というのは、事務所への評判とか世間からの非難以前に、配信中に救助要請を出す段階で膨れ上がっているだろう視聴者へのショックが大きすぎる。

 

彼女は、確かにルックスでは恵まれていた。

 

そうして上位層のダンジョン配信関係の事務所に入ることはできた。

 

――でも、そこからトークやリアクションやお化粧、ファッションや戦術などを研究してがんばって来たのは私。

 

だったらその最後もちゃんとしないとね。

 

その巨体過ぎる体は中層のここにとって狭すぎるらしく、身動きが取りにくいらしいためにダンジョンを揺らしながら壁を落としているドラゴン。

 

77層の壁や天井から崩れ落ちる音が彼女を取り囲む。

 

ダンジョンの暗さと絶望感とで、その存在感ははっきりと死を認識させる。

 

【るるちゃん諦めないで】

【さっき撃ったやつは何してるんだ! さっさとるるちゃん助けろよ】

 

【イヤ無理だろ、ボスモンスターだし】

【救助要請も危険と判断したら撤退って決まってるしなぁ】

【誰だって巻き添えは勘弁だろ】

【正直来てくれただけでもありがたいもんだし】

 

――そうだ、さっきの人。

 

もしまだ居るんだったら、せめてあの人には逃げてもらわないと……じゃないと、私のせいでその人も。

 

ドラゴンはまだ、小さすぎる彼女のことを見つけられていないらしい。

 

このまま黙っていれば――いても、いずれは見つかる。

 

なら。

 

「……――っ! 救助要請、ありがとうございました!」

 

【るるちゃん!?】

【ちょ、そんな大声】

 

「さっきばしばし倒してくれて嬉しかったです! かっこよかったです! 泣いちゃいました! でもボスモンスターが出て来ちゃったので逃げてください!」

 

――泣き叫びたいよ。

 

助けてほしいよ。

 

でも……私は、アイドルだから。

アイドルだから、最後までアイドルしなくちゃ。

 

「私は深谷るるって言います! 後で事務所に行ってください! お礼、私の大切な人たちが、できる限りします!」

 

彼女に反応したドラゴンの咆吼に負けじと張り上げる。

 

救助要請に応えた人が巻き添えになるケースは多い。

死なずとも重症を負ったり、もう潜れなくなったり。

 

「だから、逃げてください! 上への階段!」

 

咆吼と地響きは、例え腰が抜けていなくとも立っていられないほどのものとなり。

 

彼女は――ドラゴンから明確に見られていると悟る。

 

――もうコメント見る余裕も無いや。

 

とっさの判断でドラゴンが出現した瞬間に自分を映すカメラをオフにしていた彼女は、そこで初めて崩れる。

 

楽しかったけど……やっぱり最後まで、不幸体質。

 

「不幸体質な深谷るる」という「キャラクター」。

 

――ただのアピールポイントだったら良かったのに……最後までこうだもんなぁ。

 

私、がんばって来たのになぁ。

 

やっぱり1人でいたら駄目なんだね。

 

えみちゃん……またね。

 

いつの間にか閉じていたらしい目を開けると、遠くにあったはずの巨躯が近づいている。

 

腕にも脚にも力が入らない、ただただ地べたについて視線だけがその恐怖にくぎ付け。

 

「――みんな、今までありがと」

 

じゃあね。

 

そう言ってマイクをオフにしようと、震える手を伸ばす。

 

――ばあん。

 

先ほどと同じ遠くから破裂音。

そして何かが火を噴きながら飛んで行く音。

 

「――グオオオオオ!?」

 

「……え?」

 

ずしん、とこれまでにない揺れで視界がぶれ、剥がれ落ちた壁が舞って何が起きたか分からない。

 

が、ドラゴンが苦しむような声を上げているのだけは分かった。

 

「……いったい何が」

 

砂埃に咳き込んだ彼女が次に顔を上げると――。

 

「――小さな、女の子……?」

 

偶然光った方向に彼女が向けた視線は、壁にできたくぼみ……恐らくは地面から20メートルは上。

 

上を向かないと視線が向かないそこに、視力2.0な彼女が認めたのは――普段被っているフードも帽子も外れて長い金髪が出てしまっている、1人の少女……幼女だった。

 

 

 

 

うわ、あれよく見たらめっちゃレアなやつじゃん。

 

ドラゴンってあんなにおっきいのいるんだ。

 

がーってうるさかったから耳がきーんってなって何も聞こえないけど、多分ここの下層の……ボスとかそのひとつ手前くらいのやつ?

 

【ハルちゃん逃げて、アレはムリ】

【いやいやるるちゃん助けなきゃだろ、救助要請出てるし】

【でも今から行ったって間に合わないぞ?】

【やばいって!】

 

【というか配信切らないとまずくない?】

【このままじゃるるちゃんの……の中継だもんなぁ】

【るるちゃんに続けてこっちの配信も非公開か……まぁしょうがない】

 

【最後まで観たいけど最後まで観たくない……この気持ちは一体?】

 

【恋だよ】

【愛だよ】

【俺はまだ信じてる……ハルちゃんが寡黙ジト目ロリなんだって】

【お前……】

 

【ショタっ子っていう可能性はありますか?】

【初見……お前、こんなときに……】

 

【けど、ハルちゃんのいつもの見てるとさ】

【ああ】

 

【このまま次の1発でるるちゃんを救ってくれる――そう思っちゃうんだよな】

【だよな、ハルちゃんってばほぼ1発で倒してきたからさ】

 

あれのドロップ、おいしいんだよなぁ……いろいろと。

 

僕はばさっとリュックを逆さにしてぶちまけて、かちゃかちゃととっておきを探す。

 

……けど、顔見せられないからドロップももらえないだろうなぁ……残念だし、さらにこの弾で大赤字。

 

さらにさらに弾を撃つスキルで数日寝込むし、その間に潜る収入考えたら……今回での収支、マイナス1000万くらいなんじゃ?

 

ぴたりと僕の手が止まる。

 

「………………………………」

 

こつこつとヘルメットに破片が飛んでくるけどそんなことよりお金だ。

 

【え、いきなり画面が】

【金髪?】

【ハルちゃーん、カメラカメラ!】

 

お金。

 

身分不詳、住居不法侵入っていう現状の僕にとってはダンジョンの外で換金しての現金が唯一のよりどころ。

 

【おてて】

【おてて】

【でかい砲弾?】

 

何日かかけて作った特殊配合の弾。

 

……これひとつで、3年は遊んで暮らせる金額。

 

その自信はある。

 

けど――やっぱ、人は助けないとね。

ああ、僕の貯金。

 

【うわ手ちっちゃ】

【え、ハルちゃんってマジで女の子だったり?】

【女の子って言うかロリだろうな、この手つき】

 

【いや、ショタって線も捨てきれない】

【初見、お前……】

【なんか安心してきたよ】

【全てをハルちゃんに託そう】

 

【深谷るるのピンチってことでこっちも相当人来てるぞ】

【るるちゃんと言え】

【るるちゃんファンだ! 囲め!】

 

【ハルちゃーん、髪の毛と手、見えちゃってるよー】

【でもいつものハルちゃんなら多分コメント見てない】

【ああ、見てないだろうな】

【有識者の方々の知見が鋭い】

 

かちゃっ、かちゃっと、いつも予備で背負ってきてる特注の銃に、僕お手製の銃弾を込める。

 

ボス攻略でミスったときの切り札。

でもしょうがないよね、人が死にそうなんだもん。

 

かちゃっ。

 

「よし」

 

【しゃべったぁぁ!?】

【やっぱりロリじゃないか!】

 

ふぅっと息を吐き、獲物を観察。

 

――体長50メートルくらいのレアモンスター。

 

定期的にポップするここのボスそっくりだけど、色が違うから多分耐久も高め。

 

じゃあやっぱり2発は必要。

 

足りなければ後は残りの弾と矢と石で弱らせるしかない。

それくらいしていれば他の人も降りてこられるだろうし。

 

「じゃ、やろっか」

 

【え? 俺とだって?】

【バカ、そうじゃなくって……え?】

【まさかハルちゃん、いつもみたいにボスを――】

 

この弾だけは外せない。

 

だから僕は普段みたいに伏せた体勢じゃなく、立ってしっかりと構えて――――引き金を引いた。

 

こんなのが出てきてしっちゃかめっちゃかだし、誰も僕のことなんて見てないだろうし。

 

ああ。

 

早く帰って今日の損失に悶えながらふて読書してふて寝したいな。

 

そんなことばっかりのんきに考えて。



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4話 VSボスモンスター。 僕にしては珍しい2発目の砲弾は僕自身と

しっかしほんと、バカでかいドラゴンだなー、あれ。

 

中層の普通の洞窟なもんだからぎゅうぎゅう詰めじゃん……。

 

【ハルちゃん、だから手元見えちゃってる……って見てねぇ!】

【ハルちゃん、普段から狩り終わってからコメント見る派だから……】

【まぁ見ても基本的に「ありがとうございます」とかだけだけどね……】

【その素っ気なさが良い】

【ああ……!】

 

【とりあえずハルちゃんがマジで子供のおててしてるのだけは把握】

【あと長い金髪な】

【て言うか何あの武器。 見たことないんだけど】

【ハルちゃんお手製武器だぞ?】

【あのお手々でちまちまと……】

 

無反動のロケット砲……もどき。

自作だからその辺はさっぱりだ。

 

一般的な魔物は、銃弾くらいじゃ簡単には倒れない。

 

倒れるんだったら今ごろ世界中のダンジョンは軍隊とかが制圧してるもんね。

 

そんな攻撃でもヘッドショット……つまりコアに直撃すればそうでもないけど、図体が大きくなっていく中層以降のモンスターには効かないことも多い。

 

でも「効きませんでした」じゃ困る。

僕はソロだし、事情的に救助要請は出せないんだ。

 

だから自作武器で、なんとか足りない筋力を底上げ。

 

魔力は結構あるけど、あれって半分くらい使うとクラってしてくるからあんまり好きじゃないし、魔法での攻撃はMP的な残弾がシビア。

 

そんなわけで構えた、銃でありつつもロケット砲にもなる……もちろん無反動のこれ。

 

ダンジョンのドロップ品だから作った僕ですら仕組みはよく分かんないけども……動くならいいんだよね。

 

弾は1発数百万……いや、素材はドロップで作ってるからあくまでお店で頼んだらね?

 

そんなお高いとっておきなんだ、僕は普段の何倍も時間を掛けて狙いを定める。

 

【カメラ! カメラが肝心のモンスター捕らえてないよハルちゃん! お手々だよお手々!】

【草】

 

【幼女のお手々配信……なんて斬新なんだ】

【斬新すぎる】

【そんな発想は誰にも浮かばない】

【やる気無いここでしか見られないレア配信】

 

【俺……今日初見でここ来て良かった】

【もちろん登録したよな?】

【ハルちゃん親衛隊は全アーカイブの視聴が義務だぞ】

【がんばる】

 

【ちなみにほとんどは移動と待機だから大した量じゃない……まぁ4年分くらい、週4とか5だけど】

【え、なにそれこの子どんだけ潜ってるの】

 

【専業でも普通は週2から3だよなぁ……やっぱハルちゃんおかしいわ】

【しかも10時間以上潜ってる日でも、ひとことも発しない強靱メンタル】

【強靱では?】

【狂人の間違いじゃ?】

 

【あっ……】

【あっあっ】

【ハルちゃーん! コメント見てー!!】

【どうしたみんな】

 

【どんだけの絶望なのかって深谷るるの配信行ったら……ハルちゃんの金髪、あっちのカメラに映ってるー!?】

 

【草】

【よりにもよって助ける相手から身バレするの、ハルちゃんらしいと言えばハルちゃんらしい】

 

「………………………………」

 

どうやらあのドラゴン、本来はバカでかい最下層のボスフロアで手下と一緒に動くつもりだったのが、よりにもよって中層だから狭くってあんまり動けないらしい。

 

「なんかここ、つっかえて狭いんだけど!?」って顔してるし。

暗くて表情見えないけどね。

 

分かる分かる、家具と壁のすき間に落としたの取るときとかそうなるよね。

大人の体だった頃に何回も思ったからよく分かる。

 

今?

 

子供の体だからね……ベッドの下にだって潜り込めるよ。

 

そんなドラゴンさんはかつての僕がすき間に入ったもの取ろうとあがくみたいにもぞもぞしてるだけ。

 

おかげで、1分くらい経っても助けなきゃいけない子との距離もそこまで縮まらない。

 

で、そこに僕も居る。

 

――残念だったね?

 

そうしてかしゃこんって気の抜けた音が響いてぽこって弾が飛び出す。

 

そこでさっとしゃがむと頭にこつって瓦礫が当たる音と一緒に火を噴いて飛んで行く弾の音。

 

【あ、カメラ戻った】

【うおっまぶし】

【なぁにあれぇ……】

 

【ダンジョンっていう閉鎖空間でロケット砲吹っ飛ばすハルちゃん草】

【草】

 

【アグレッシブ幼女】

【こんな奥の手持ってたんか……意地でもソロでやるって意志を感じる】

【どんだけぼっちこじらせてるの、ハルちゃん……】

 

――どおん。

 

火薬と魔力での飛翔、そして頭部に直撃しての火薬の炸裂に魔力での追加攻撃。

 

ドラゴンが悶絶する声が聞こえる。

けどまだ致命傷にはならないだろう。

 

……普段は1発で倒すけども、今回はあと1発必要かな。

 

どうせならちゃんとした装備で来れば、こんなにお高いの使わなくてもよかったのにね……まぁダンジョン内での想定外はしょうがない。

 

そんなことを思いながら煙が晴れるまでにもう1発伏せながら込めて、うなり声のする方向に再度構え。

 

「!」

 

【え? やばくね】

【ドラゴン、るるちゃんの方に倒れかけてる】

【さすがのハルちゃんでもボスは一撃じゃ済まないか】

【あれ、ドラゴンが意識失っててもるるちゃんぺちゃんこなんじゃ……】

 

――まずい。

 

僕は念のためにって構えてた射出装置を片手に――くぼみから身を躍らせた。

 

軽い体が、ちょっとだけ浮く。

 

【ちょ、ハルちゃんやばいって!】

【落ちる落ちる! ……あれ?】

【むしろ前に加速してる?】

【飛行魔法?】

 

しゅごおおって背中からの音。

 

く……首が予想以上に……!

 

背中にしょったリュックの下半分は、僕お手製の緊急離脱装置――つまりはジェット噴射機。

 

これでいざとなったら飛んで逃げるためのもの。

軽い体になってるから燃料の魔力も少なくて良いし。

 

……ただ、初めて実戦で使ったけど……せめて速度3段階くらいにしとけば良かったぁ!

 

ものすごい勢いで目の前に迫ってくるドラゴンの体。

 

……あいつの目は開いてない。

 

もしかしたらもうHP、ほとんどないかも。

でも他の装備なんて持って来てないし、今の僕にはこれしかない。

 

もったいないなぁ……今回ばかりは保証してもらいたいなぁ。

でもムリだよなぁ……だって顔見せたらダメだもんなぁ……。

 

こんなときにももったいない病を発症している僕は、あっという間にドラゴンの目元。

 

【でっか】

【って言うかドラゴンにここまで近寄った資料ないからこの配信……】

【みなまで言うな】

 

【そうだな、後で金髪ロリかショタってバレたのが分かったときのハルちゃんの慌てっぷりを見たいんだ、俺は】

 

【分かる】

【分かる】

【さすがのハルちゃんでも声くらい上げるよな?】

【いや、冷静に納得するかも】

【分かる】

 

「――――――っ!」

 

下の方でさっきの子が叫んでるみたいだけど、あいにくごおおおおっていう僕の背中からの音で聞こえない。

 

「……じゃあね」

 

がしゃこ……あ、これ、爆風やばいんじゃ?

 

一瞬そう思った僕は、直後に光と音を喪失して――ちょっとだけ夢心地。

 

その直前、リストバンドな緊急脱出装置が反応して僕をダンジョン外へと転送させようとする感覚。

 

あー、ドロップがー。

 

でもあの子のこと助けられるからいっか。

 

――やっぱ大人の男から小さな女の子って、こういうとこで感覚ミスるなぁって思った。

 

 

 

 

「……すごい……」

 

【小さな女の子……つまりは幼女だな!】

 

【小さなるるちゃんより小さいならそれは幼女】

【そうじゃなきゃバストサイズで負けそう】

【絶壁だから負けてるんじゃね?】

【草】

 

煙が少し晴れて彼女が呟いた「小さな女の子」に反応しているらしい視聴者たち。

 

死ぬと思った矢先に大きな音と光、ドラゴンがたたらを踏む振動とで直感的に助かるかもしれないと思った深谷るるは――普段の癖で、ちらっとだがコメントを見て苦笑した。

 

――こんなときでも貧乳ネタ。

 

ううん、むしろみんなもちょっと安心したのかも。

 

……っと、カメラのスイッチスイッチ……。

 

彼女の手がしばらくさまよう。

 

――救助要請で来たと思しき誰かは、ここまで姿を現さなかったどころか声すらかけてこない。

 

ってことは訳アリの人ってことよね……多分。

 

これでも上位の実力はある自負のある彼女――ただし極めて運が悪い――は、そう判断する。

 

だから、後方に向いたカメラの切り替えをしようとしたのだが。

 

……今の爆風みたいなのでどっか行っちゃった。

 

けど、暗いし遠いから配信のカメラにはシルエットくらいしか映っていないよね……多分。

 

恩人へ迷惑を掛けないようにと配慮をする彼女だったが、たった今死ぬところから猶予ができて気が抜けて――万が一にでも顔が映ってしまう可能性を軽く考えてしまった。

 

【ってるるちゃん、早く隠れて隠れて!】

【たったの1撃じゃ……って、なんかやばくない?】

【なんかでかくなってる】

【違う、倒れてきてるんだ】

 

「ひ、ひゅええーっ!? ……あ、まだ腰抜けてますね、これ。 手しか動きませんね」

 

【草】

【るるちゃんの肝座ってるってレベルじゃないよね?】

 

【いやまあついさっき死ぬって思ってたらそうだろ】

【それもそうか】

【とにかく逃げてー】

 

「……っ! ……っ! ……だめみたい」

 

【腰が抜けるとねぇ……】

【ただでさえ3回も天井から地面に落っこちてるわけだし】

【改めてダンジョンに潜ってレベル上げてる人間の耐久力よ】

【でもあの図体が倒れてきたらぺちゃんこなんじゃ?】

 

ぺちゃんこ。

 

「……あはは」

 

そんな表現を目にした彼女は、最初の罠を踏み抜いてから初めて笑った。

 

【やばい、怖くて錯乱してる!?】

【るるちゃん、お姉さんたち、もう60階層到達だって! あともうちょっと――】

【あ、倒れる倒れる】

 

空が落ちてくるような錯覚。

 

ドラゴンという巨大すぎるモンスターが倒れてくるらしい。

 

――まだうなり声はしてるから生きてる。

 

そもそもモンスターのHPが0になってから消えるまでにはちょっとラグがあるもん。

 

だから潰されたら……そのままぺちゃんこよね。

 

それが分かっていても動かない、私の脚。

腕の力だけじゃ、とても逃げ切れない。

 

……けど、今なら笑顔で死ねるかも。

 

彼女は、理由のない笑い声を抑えるので精いっぱい。

 

……確かに錯乱してるのかもね。

 

だって、何でだか分からないけど「絶対助かる」って思ってるんだもん。

 

「帰ったらゆっくりお風呂入りたいなぁ」と「かみんなに叱られるんだろうなぁ」とか……「助けてくれた人にちゃんとお礼したいなぁ」とか、そんな帰ったあとのことばっかり。

 

これが走馬灯なのかな。

だったら……幸せね、私って。

 

「じゃあね、みんな…………って、ええええぇぇ!?」

 

なんだかヒロインチックでメランコリックな感情で美化しようとした彼女の前を轟音が突き抜ける。

 

「……やっぱり女の子!?」

 

彼女の動体視力は、目の前を高速で突っ込んでいく「彼女」を捕らえていた。

 

「って無茶ですー! あなたまで死んじゃいますから早く避けてくださーい! あ、助けてくれてありがとー!」

 

【るるちゃんいい子すぎて泣いた】

【泣いた】

【って言うか女の子……やはりロリ】

【速すぎてカメラに残像しか映ってねぇ!?】

 

【ロリでソロで遠距離職で高レベルで今日空いてるのは……やっぱいねぇ!?】

 

深谷るるの声に一瞬反応したのか、その彼女がちらりと振り返る。

 

――金色の長い髪に蒼い瞳、長いローブを着ていて頭には変な形の何かが王冠のようにも見える。

 

「……はえー、お姫様?」

 

【るるちゃんしっかり】

【るるちゃん生きて】

 

死が迫った危機のはずなのに気の抜けたコメントばかりが流れる。

その大半は深谷るるの精神状態を本気で心配しているもの。

 

その一瞬後、「彼女」はドラゴンの頭部へと迫っていて――銃口をかちりと向け、その瞬間。

 

先ほどよりも激しい音、光、振動。

 

――そうして深谷るるもまた、どこかへと吹き飛ばされた。

 



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5話 『【悲報】深谷るるちゃん、またやらかす』

『【悲報】深谷るるちゃん、またやらかす』

 

 

1.るるちゃんの保護者のファンさん

取り急ぎ〈配信URL〉

 

10.るるちゃんの保護者のファンさん

いつものことながら乙

 

17.るるちゃんの保護者のファンさん

今度は何やらかした?

 

23.るるちゃんの保護者のファンさん

るるちゃん、いつものこと過ぎて感覚マヒしてきた

 

28.るるちゃんの保護者のファンさん

今回こそはやべえよ……ニュースサイトのトップになってるし

 

36.るるちゃんの保護者のファンさん

さっきテレビの速報でも出たな

 

45.るるちゃんの保護者のファンさん

ダンジョン内の中層でボストラップだろ?

 

59.るるちゃんの保護者のファンさん

この10年でたったの2回とか言うレア度だっけ?

 

61.るるちゃんの保護者のファンさん

それを躊躇なく踏み抜くのが俺らのるるちゃんだ

 

66.るるちゃんの保護者のファンさん

 

72.るるちゃんの保護者のファンさん

この界隈に居る誰もが知ってる事実で草

 

78.るるちゃんの保護者のファンさん

結構やばいって配信見てて分かってても草

 

80.るるちゃんの保護者のファンさん

実際配信のコメントも「笑っちゃいけないのに笑っちゃう」ってすごい勢いだしな

 

88.るるちゃんの保護者のファンさん

笑ってはいけないるるちゃん大ピンチ

 

91.るるちゃんの保護者のファンさん

 

100.るるちゃんの保護者のファンさん

るるちゃんが無事に生還したらそのタイトルで切り抜き作るわ

 

105.るるちゃんの保護者のファンさん

待ってる

 

109.るるちゃんの保護者のファンさん

助かってほしいけどなぁ……保護者不在だしなぁ……

 

113.るるちゃんの保護者のファンさん

誰だ! あのるるちゃんにGOサイン出したのは!

 

119.るるちゃんの保護者のファンさん

いや、誰だってダンジョン情報聞いたらOK出すだろって状態だったし……

 

125.るるちゃんの保護者のファンさん

実際るるちゃん、調子乗りつつもさくさく攻略してたし……

 

127.るるちゃんの保護者のファンさん

ポップするモンスターも少なかったもんなぁ

 

150.るるちゃんの保護者のファンさん

一応でお姉ちゃん兼お母さんなえみちゃんも近くのダンジョン居たみたいだけどねぇ……

 

159.るるちゃんの保護者のファンさん

やはり10階層連続で罠とか踏んだり転んだりしなかった分が……

 

169.るるちゃんの保護者のファンさん

「今日は行ける気がする!」って言うのが特大のフラグだったとは……

 

171.るるちゃんの保護者のファンさん

 

177.るるちゃんの保護者のファンさん

ああ……幸運の揺り戻し……

 

180.るるちゃんの保護者のファンさん

やっぱり保護者居ないとダメなんだねるるちゃん……不憫な子……

 

 

 

 

905.るるちゃんの保護者のファンさん

救助要請の援軍来た!!

 

929.るるちゃんの保護者のファンさん

【悲報】援軍、総員1名

 

935.るるちゃんの保護者のファンさん

それは援軍なのか……?

 

941.るるちゃんの保護者のファンさん

こんなときまで不幸なるるちゃん草

 

949.るるちゃんの保護者のファンさん

 

962.るるちゃんの保護者のファンさん

るるちゃんだって罠踏み抜くけど実力はあるもんな

 

968.るるちゃんの保護者のファンさん

実力もあって罠探知もがんばってても踏み抜くけどな

 

978.るるちゃんの保護者のファンさん

いや、ソロなら逆に最低でもるるちゃんと同じレベルなんじゃ?

 

989.るるちゃんの保護者のファンさん

そうか!

 

999.るるちゃんの保護者のファンさん

それでいてるるちゃんクラスの不幸じゃなきゃ間違いなく助かるな!

 

 

『【悲報】深谷るるちゃん、またやらかす』 2

 

 

8.るるちゃんの保護者のファンさん

安心しろ、るるちゃんクラスはそうそういない

 

18.るるちゃんの保護者のファンさん

神社とか行くと神主さんが必ず出てきて「ちょっとあなた……」って言われるし

 

23.るるちゃんの保護者のファンさん

真剣な表情で必ずと言って良いほど「あなた、このままだと死にますよ……」とか言うし

 

32.るるちゃんの保護者のファンさん

そのくせ「あ、うちの神様じゃムリです」って言われるもんな、必ず

 

39.るるちゃんの保護者のファンさん

もはや不幸っていうギャグで売るしか道はないるるちゃん

 

45.るるちゃんの保護者のファンさん

かわいそうなのがかわいい

 

78.るるちゃんの保護者のファンさん

分かる

 

80.るるちゃんの保護者のファンさん

分かる、あの涙が良い

 

83.るるちゃんの保護者のファンさん

るるちゃん、報われて……

 

89.るるちゃんの保護者のファンさん

あまりの不幸っぷりにガチ勢でさえ「素敵な人を見つけて」って言うレベルだし……

 

102.るるちゃんの保護者のファンさん

ある意味最強だな!

 

105.るるちゃんの保護者のファンさん

最凶の間違いじゃ?

 

265.るるちゃんの保護者のファンさん

あ、るるちゃんの後ろ!

 

279.るるちゃんの保護者のファンさん

すげぇ、あのモンスターたち、レベル80は超えてるだろ……?

 

291.るるちゃんの保護者のファンさん

それを一撃、しかも10匹以上連射とか

 

309.るるちゃんの保護者のファンさん

そんな遠距離職居たっけ?

 

321.るるちゃんの保護者のファンさん

配信でも誰も分からんらしい

 

329.るるちゃんの保護者のファンさん

いや、この子らしいぞ?<配信URL>

 

335.るるちゃんの保護者のファンさん

誰?

 

339.るるちゃんの保護者のファンさん

誰? いやガチで

 

345.るるちゃんの保護者のファンさん

そっちからの合流組いわく、30分前まで登録者10人とか言うレベルだったらしい

 

351.るるちゃんの保護者のファンさん

配信3年以上でそれはやべぇな

 

391.るるちゃんの保護者のファンさん

やべぇ

 

421.るるちゃんの保護者のファンさん

空気……そうか、不幸のるるちゃんに対抗するには空気キャラ……!

 

462.るるちゃんの保護者のファンさん

いやまあヘッダーもアイコンも無し、なんか配信の数だけすごいし……配信時間も10時間以上とか言う日があるのに、タイトルはその日の日付で「今日の狩り」だし……やる気あんのこの子?

 

473.るるちゃんの保護者のファンさん

あったら10人とか逆にレアなことにはなってないだろ……3年だぞ?

 

483.るるちゃんの保護者のファンさん

毎日のように配信してるみたいだし……ソロで

 

489.るるちゃんの保護者のファンさん

で、るるちゃん助けるために来たハルってやつはどこよ?

 

490.るるちゃんの保護者のファンさん

ハルちゃんだ、間違えるな

 

526.るるちゃんの保護者のファンさん

合流組だ! 囲め!

 

529.るるちゃんの保護者のファンさん

ハルちゃんはな、寡黙でジト目でじっとしているのが好きなダウナー系ロリなんだ

 

542.るるちゃんの保護者のファンさん

マジか!? じゃあなんでそんなに人少ないんだ

 

549.るるちゃんの保護者のファンさん

だって俺たちの想像だもん

 

555.るるちゃんの保護者のファンさん

それはあなたの想像上のハルちゃんなる人物像ではないでしょうか

 

578.るるちゃんの保護者のファンさん

 

591.るるちゃんの保護者のファンさん

 

 

 

 

721.るるちゃんの保護者のファンさん

【悲報】正体隠したい系配信者のハルちゃん(仮)、3年越しでお手々と髪の毛と声がバレる

 

729.るるちゃんの保護者のファンさん

こんなところにまでるるちゃんの不幸が伝染してて草

 

762.るるちゃんの保護者のファンさん

 

771.るるちゃんの保護者のファンさん

るるちゃんの不幸……伝染するんだ……なにそれこわい

 

791.るるちゃんの保護者のファンさん

耐性がないと巻き込まれる。 それが深谷るるちゃんだ

 

800.るるちゃんの保護者のファンさん

やはりるるちゃんはこうして配信見ながら実況の距離感が至高……

 

865.るるちゃんの保護者のファンさん

握手会でよく設備が壊れて落ちてくるもんな、いつもお姉ちゃんが助けてくれるけど

 

879.るるちゃんの保護者のファンさん

えみお姉ちゃーん! はよ来てー!

 

889.るるちゃんの保護者のファンさん

で、ハルちゃんって援軍が、最低でもロリかショタで金髪ロングって確定したと

 

891.るるちゃんの保護者のファンさん

それでもるるちゃんの貧乳っぷりには勝ちそう

 

901.るるちゃんの保護者のファンさん

あのフラットチェストはなかなかのものだから……

 

910.るるちゃんの保護者のファンさん

逆に筋肉なくて子供体型だと胸に付いた脂肪で負けそう……

 

932.るるちゃんの保護者のファンさん

とか言ってる場合じゃなくて草

 

949.るるちゃんの保護者のファンさん

ちょっと目を離したらなんかすごいことになってる……

 

959.るるちゃんの保護者のファンさん

ドラゴンまで出てきて草

 

1000.るるちゃんの保護者のファンさん

一難去ってまた一難ってレベルじゃねぇ

 

 

『【悲報】深谷るるちゃん、またやらかす』 3

 

 

162.るるちゃんの保護者のファンさん

だってるるちゃんだし……

 

179.るるちゃんの保護者のファンさん

だってるるちゃんだぞ?

 

200.るるちゃんの保護者のファンさん

 

212.るるちゃんの保護者のファンさん

ハルちゃんまで盛大に巻き込まれてて草

 

245.るるちゃんの保護者のファンさん

2人とも逃げてー、超逃げてー

 

290.るるちゃんの保護者のファンさん

ちょっと待て、ハルちゃんの方の配信、ハルちゃんが逃げるどころかなんか構えてる

 

336.るるちゃんの保護者のファンさん

【悲報】ハルちゃん、ぶっ放し系ロリかショタ

 

340.るるちゃんの保護者のファンさん

るるちゃんに掛かると何でも悲報になるな

 

369.るるちゃんの保護者のファンさん

だってるるちゃんだよ?

 

375.るるちゃんの保護者のファンさん

そうだったな

 

392.るるちゃんの保護者のファンさん

おい、最低でも200メートルの距離で動いてるドラゴンをヘッドショットしたぞ……無誘導で

 

409.るるちゃんの保護者のファンさん

すげぇ

 

436.るるちゃんの保護者のファンさん

ヘッドショット系ロリ?

 

465.るるちゃんの保護者のファンさん

ショタでも可

 

479.るるちゃんの保護者のファンさん

るるちゃんに対抗するんだ、それくらいじゃないとな

 

505.るるちゃんの保護者のファンさん

って倒れるー!?

 

609.るるちゃんの保護者のファンさん

【悲報】るるちゃん、運悪すぎ

 

636.るるちゃんの保護者のファンさん

ええ……るるちゃんから見て後ろから飛んできた弾……弾? がドラゴンの真正面から直撃して、そのドラゴンが後ろじゃなく前に倒れることなんてある……?

 

654.るるちゃんの保護者のファンさん

見えない謎の力が働いてるんだろ……だってるるちゃんだし……

 

681.るるちゃんの保護者のファンさん

ハルちゃんって子、かわいそう……

 

699.るるちゃんの保護者のファンさん

せっかく助けに来たのに……ああ、るるちゃんがぺちゃんこに……

 

756.るるちゃんの保護者のファンさん

悪運は強いからなんだかんだ大丈夫だって信じてる

 

772.るるちゃんの保護者のファンさん

俺も

 

791.るるちゃんの保護者のファンさん

るるちゃん、「お姫さま……?」とか言い出す

 

821.るるちゃんの保護者のファンさん

!?

 

829.るるちゃんの保護者のファンさん

!? 何だ今の

 

875.るるちゃんの保護者のファンさん

何がお姫様なのるるちゃーん!?

 

891.るるちゃんの保護者のファンさん

【悲報】ヘッドショット系ロリ、飛んだ

 

932.るるちゃんの保護者のファンさん

これもまたるるちゃんのせい……

 

999.るるちゃんの保護者のファンさん

あ、配信切れた

 

 

『【悲報】深谷るるちゃん、またやらかす【もうおしまい】』

 

 

61.るるちゃんの保護者のファンさん

ハルちゃんのも切れたな

 

82.るるちゃんの保護者のファンさん

どうなったんだ……!?

 

106.るるちゃんの保護者のファンさん

とりあえずこっち<配信URL>で三日月お姉さんの視点から見ようぜ

 

154.るるちゃんの保護者のファンさん

えみちゃん、泣きそうになってる……

 

172.るるちゃんの保護者のファンさん

泣かないで

 

200.るるちゃんの保護者のファンさん

えみお母さん、あと5層がんばって

 

234.るるちゃんの保護者のファンさん

るるちゃんもハルちゃんって子も、どうか無事でいてほしいな

 

267.るるちゃんの保護者のファンさん

無駄かもしれないけど祈っておく

 

271.るるちゃんの保護者のファンさん

俺も

 

209.るるちゃんの保護者のファンさん

ちょっと神社でお参りしてくる

 

265.るるちゃんの保護者のファンさん

でもるるちゃん関係だと神主さん出てきそう……

 

282.るるちゃんの保護者のファンさん

 

291.るるちゃんの保護者のファンさん

不謹慎なのにどうして……

 

305.るるちゃんの保護者のファンさん

なんだかんだでるるちゃんは無事そうだから、祈るとしたら神主さん出てこなさそうなハルちゃんにしとこ……

 

361.るるちゃんの保護者のファンさん

それがいいと思うよ

 

370.るるちゃんの保護者のファンさん

ハルちゃん……無事で……あ、るるちゃんは面白いリアクション期待してるからね。 ひょっこり元気な顔出してさ



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6話 「るるちゃん」&「ハルちゃん」捜索隊

【深谷るるちゃんが死んじゃったって!?】

【それデマ。 まだ確定してないからな】

 

【俺配信見てたけど、なんか助かったって思ったらピンチに戻って、るるちゃんが幻覚見て爆発でカメラ途切れた】

 

【るるちゃんが変なこと言うのはいつものことだけど心配】

【草】

【こんなときでもクセありすぎるるるちゃん草】

【だってるるちゃんだし……】

 

【今回るるちゃん、ソロでしょ? いつものメンバーの誰かがいないと】

【なーんかやらかすよね】

【やらかす】

【むしろやらかさないとるるちゃんじゃない】

 

深谷るるの配信が――ドラゴンが倒れてきそうになってからの爆発で電波切れで終わってから少しして。

 

彼女を助けるためにと駆け付けたうち、彼女に最も近い60階層まで降りており、かつ彼女のお目付役として有名な同じ事務所の三日月えみの配信。

 

そこに、深谷るるの配信からの難民がそのまま移住してきており……三日月えみの配信の同接数は過去最高となっていた。

 

――こんなの、喜べるはずがないじゃない。

 

ぎり、と歯をかみしめながら、それを視聴者に悟られないようにしつつ、三日月えみは切れ長の目を細める。

 

このダンジョンは中規模。

 

郊外にあるものの近くに駅もあると言うことで付近の人間が頻繁に潜る場所だ。

 

しかも、定期的にモンスターが補充される――魔力が増える時期までは、まだ半年以上の予測。

 

だから、協会のHPで確認した限りでもアクティブなモンスターは圧倒的に少なく、深谷るる1人でも問題はないだろうという判断で許可が出た。

 

……まさか落とし穴の罠に落ちそうになるたびに穴の周囲の岩を掴んだりして緊急脱出装置――リストバンド型のそれ――が少しずつ壊れ、連続で3回目に踏み抜いてしがみつこうとしたときに外れるなんて、不運にもほどがあるもの。

 

……あの子、お祓いとか行ってもお断りされちゃうものね……。

 

【るるちゃんの不幸体質っぷりは知ってたけど……やっぱ1人はダメだわ、あの子】

【無事だと良いけどなー】

【あれだけ準備してきて「やりすぎじゃない?」って総ツッコミだったけど、それでもやっぱ足りなかったわ】

 

【でもさ、あの子より深いところに潜ってた誰かが、召喚されたモンスター叩いたところまでは分かってるんだろ?】

 

【ボスモンスターな】

【マジかよ】

【じゃなきゃ押し潰されるとかないだろ、大きさ的に】

 

【るるちゃんが途中から幻覚見ちゃってはっきりとは分からんけどな】

【るるちゃんだからなぁ】

【草】

【割と本気で生死がかかってるのにこの扱い】

【明日の一面で訃報が出るかもしれないのに草】

 

【いやだって、るるちゃんだし……】

【るるちゃんだしなぁ……】

【心配はしてるよ? してるんだけど……】

【なんかことごとくギャグになりそうだって、調教された俺たちは思えてならないんだ……】

 

……リスナーさんたち、不安は不安でもまだ冗談言えるみたいだから、まだ良いのかしら。

 

――マネージャーさんから「るるをソロで潜らせる」って。

 

そのダンジョンの様子を聞いて「それなら大丈夫そうね」って同意してしまった私を、昨日に戻って引っ叩きたい。

 

後悔の念で焦りつつも、二次災害の危険もあるということで慎重に急ぐ三日月えみ。

 

今はさらなる被害を出さないように。

それだけを考えないと。

 

【えみちゃん……心配だよね……】

【普段はお淑やかにしてるのに】

【今はおっぱい揺れてる……】

 

【冗談言ってる場合じゃねぇ! でも揺れてる!!】

【こんなときにも男な俺たちが罪深い……】

【えみお母さんならきっと受け入れてくれるさ】

 

救護班たちも彼女のすぐ後ろで追ってくれている。

 

生きてさえいれば、きっと助かるわ。

ええ、きっと。

 

トップランカーの事務所のひとつ、その中でも濃いキャラで名前の売れている深谷るる……その遭難と聞いた視聴者が、数秒おきに膨れ上がる。

 

【ハルちゃんも大丈夫かなぁ】

【記録見たけど、るるちゃんとほぼ同じタイミングで配信途切れてたよね】

【ああ。 そもそもハルちゃん、特攻とか無茶しやがって……】

 

……ハル、という子がるるを助けようと。

 

配信のコメントには「彼女」の配信からの難民も――「彼女」の配信に元から居た数人も紛れており、そこから大体の事情を把握した三日月えみ。

 

ハルという子。

 

推定で食べごろのロリかショタ……こほん、小さい子ね、小さい子。

 

78層より深く潜っていたらしいし、普段からソロだって話。

 

親御さんやダンジョン協会からの許可が出るくらいの高レベルなのは間違いないから、せめて2人でどこかのすき間に隠れていてくれたら嬉しいけど。

 

【ハルって誰?】

 

【るるちゃんの救助要請で駆け付けてくれた子。 年齢も性別も秘密な配信だったけど、カメラが傾いてるるちゃんより幼そうって判明してる】

 

【あのぷにぷにお手々は間違いなく幼女】

【まだショタだって言う希望がある!】

【初見……お前……】

 

【いやまあ金髪ロングならロリでもショタでも】

【通報しました】

 

【るるちゃんとどっちが絶壁?】

【るるちゃんだろ……本気で走っても揺れたことないし】

【ショタの可能性があるのに否定されるるるちゃん草】

【雑談回で「Aはあります!」って言ってたから多分AAだしな】

 

……るるったら、セクハラコメントも結構楽しんでたものね。

 

でも。

 

「ごめんなさい。 るるの相手は私が見定めますから」

 

【お母さん! 娘さんを俺にください! お祓いした後で!】

 

「ダメです。 むしろ私が嫁にもらいます。 お祓いしてから」

 

【百合宣言!】

【でも実際るるちゃん危なっかしいし……】

【るるちゃんのファンでさえ「将来は良い相手見つかると良いね」とか言う態度だし】

 

【いや、あの体質はよっぽど幸運じゃないとことごとく貧乏になりそうだし……】

【草】

 

――無事でいて。

 

三日月えみは長いストレートの髪を振り回し――地面にぽっかりと空いた、深谷るるが落ちたと思しき落とし穴に向けてダイブした。

 

 

 

 

「………………………………」

 

「……これは酷いです。 ここまでダンジョン内の崩落があったのなんて、これまでの救助活動で初めてかも……」

 

三日月えみも、フリーズした彼女に追いついた救護班や駆け付けた人々も絶句していた。

 

ダンジョンとは魔力が暴走して生成されたもの。

 

地下の空洞ではあるが壁や天井、地面は多少の攻撃では欠ける程度。

ここまで大規模に――瓦礫が散乱していない地面の面積の方が少ないのは前例がないという。

 

【るるちゃん……】

【ハルちゃん……】

 

【るるちゃんに巻き込まれたハルちゃんって子、かわいそう……】

【ハルちゃん、不幸すぎ……】

【草】

 

【いやだって、るるちゃんは不幸なの知ってるけどその子は知らないんだろ?】

【笑っちゃいけないけど笑っちゃう……これがるるちゃんか……】

 

「とにかく、配信を分析して彼女が居たおおよその位置は分かっています。 そちらを探しましょう」

「ええ、そうですね」

 

【でもこんなの配信して大丈夫なん? もし死んじゃってたら……】

 

【配信しないわけにも行かないだろ。 ニュースもSNSもこの話題で持ちきりだぜ】

【昨日もテレビに出てたしなぁ、るるちゃん。 それに緊急脱出装置が外れて作動しなかったってのは大問題だし】

 

【ただでさえ同接と売名目的で結構来てるらしいからなぁ】

【二次被害は後味悪いしな】

 

【それでも俺たちのハルちゃんならきっと助けてるはずだ】

【ハルちゃんって誰よ】

【るるちゃん助けた子だよ】

 

【そのハルちゃんっての、強いの?】

【ああ】

 

るるの名前を叫びつつ瓦礫を慎重にどけていく作業の傍ら、三日月えみが流し読みで読むコメント。

 

そこのハルという子の説明に、一瞬手が止まる。

 

【3年前から延々と、ほぼ毎日数時間ダンジョン潜って】

 

【3年半前だぞ】

【すまん、間違えた】

【良いんだ】

 

【それで、最初はそこまでじゃなかったけど……なにしろほぼ毎日、ほぼ1年中ひたすら無言で潜って大体のモンスターはワンショットだから、かなりのレベルとスキルのはずなんだ】

 

――最初からソロで、こんな暗くていつモンスターに襲われるか怯えなければならないダンジョンに?

 

しかもなめ回したいロリ……こほん、小さい子が?

 

何か事情があるのかしら……いえ、ソロを選ぶ人は大体正確にクセがあるものだけれど……?

 

【最初は銃だっけ】

 

【それから石をパチンコでとか矢を弓でとか】

【コスパ良い方向にシフトして行ったんだよな】

【その頃はコメントでよく相談したもんだ】

【配信中なのになぜか配信主までコメント打っててな】

 

絶対に、声すら出さない主義。

 

男の人が怖い、か弱い女の子なら仕方がなさそうね。

そういう子を優しく抱きしめてあげるのが……こほん。

 

【それにしても良くあんだけ遠距離攻撃系のスキル上げたもんだ】

 

【毎日1人で延々狩って全部1人でやってりゃあれだけ行くわな……経験値も全部だし】

【コストも全部だから最初は本当大変そうだったけどな。 だからコストゼロな石とか使うようになってたんだが】

 

【去年だったか? 一時期銃しか使わなくなって、しかも狙い外しまくりで不調だったみたいだけど……そこからは魔法も使えるようになって結構な頻度で最下層まで言ってたよな】

 

【あれ、なんでだったんだろうな?】

 

【移動ですら休憩頻繁に挟んでたし……体調崩してたっぽいんだよな】

 

【でもさ、最下層をソロで? そんなのえみちゃんでもムリじゃね?】

【相性次第だけど……ここはドラゴンらしいから、接近戦なえみちゃんでも、遠距離主体のるるちゃんでもムリだろうなぁ】

 

【遠距離なら隠れながらちまちま撃ってれば……だけど飛んでこられたら……だし、普通は怖くてやっぱソロじゃやらねぇもん】

 

……ソロで、ボスモンスターを?

 

何回も?

 

――なんでそんな子が今まで誰にも知られていなかったの?

 

コメントの流れで、つい数時間前まで登録者が10人だったというハルなる子。

 

でも、そんな子もるるのせいで――。

 

そう、コメントの方に意識が向いた彼女の下。

 

そこから、不意に聞き慣れた声がした。

 

「あ」

 

「え?」

「やっほ」

 

――この声。

 

「……るる?」

「えみちゃんだ」

 

【え? るるちゃん?】

【るるちゃん居た!?】

 

【体育座りでおとなしく待ってたるるちゃんかわいい】

【なんか元気そうで草】

 

ぼこっ、と。

 

コメントを見ながら瓦礫をどけていた三日月えみの真下。

 

絶妙に屋根になる形で平べったい岩に囲まれて守られていた、深谷るるが……体育座りをしたまま彼女を見上げ、いつもの間の抜けた顔つきをしていた。

 

「えみちゃん、埃まみれ」

「……るるの方こそ……」

 

【感動もへったくれもない再会で台無しだよ!】

【これがるるクオリティ】

【さするる】

【さすが……って言うべきなのか? これ】

 

【良かった……これでとりあえず安心できる……】

【でもハルちゃんは……?】

 

――そこからさらに数時間の捜索が続く。

 

配信のコメントは「ハルちゃん情報」を布教する数人のおかげでリスナーのほぼ全員、さらにはニュースサイトやSNSで拡散されていく。

 

ほとんどのモンスターはヘッドショット一撃で倒す凄腕。

 

ソロ。

ぼっち。

 

孤高の存在。

 

自分から、リスナーからでさえ距離を置いてぼっちを貫く勇者。

 

――そして、子供の手の甲と長い横髪――それも金色の。

 

【捜索打ち切りだって】

【ハルちゃん……】

 

【まあまあ、緊急脱出装置で外に飛ばされて気を失ってる可能性が高いって話だし】

【残りは救護班さんたちの周辺探索か……】

 

【ひょっとしたらいつも通り、ろくにコメントも見ないでさっさと帰って寝てたりしてな】

【ありえる……ハルちゃんならありえる……】

 

【あの子、普段からろくにコメントも読まないし、そもそも普段から世捨て人的な生活してるみたいだから、多分ニュースとか見てないだろうし……】

 

【ハルちゃん、獲物を待つ間何してるかってコメントで「持ち込んだ本読んでます」って言ってた猛者だし……】

【草】

 

【え!? いつ襲われるか分からないダンジョンの中で読書を!?】

【いや、さすがに熱中できる物語とかは控えているらしい】

【そういうことじゃない】

【完全にずれてて草】

【えぇ……】

 

「一体どんな子なんだろうねぇ、ハルちゃんって子。 ……無事だと良いなぁ」

 

「……あなたはまず謝罪とお礼、あとは罪滅ぼしね」

「えみちゃーん!?」

 

【いつも通りのお母さんと娘で草】

 

【とりあえずるるちゃんはハルちゃんにわびるべきだな】

【脱いで?】

【ロリだった場合はもちろん。 ショタの場合は顔による】

 

【すでにハルちゃんが無事に帰ってる前提になってて草】

 

そうして彼女たちはダンジョンを後にし。

 

「あの、三日月……さん? ちょっと良いですかー?」

 

――救護班の1人が、彼女たちに近づいた。

 

「ハル」という人物の可能性のある「落とし物」を携えて。

 

 

 

 

「~~~~♪」

 

あー。

 

やっぱ疲れた体にはお湯とお酒だよねー。

 

「ひっく」

 

僕は、いつも通りに湧かしてあったお湯へ、帰ってすぐに服を脱ぎ捨ててじゃぶんと飛び込んで。

 

用意してあったお酒をぐいっと呑んで仕事帰りの1杯を楽しんでいた。

 

いやー、今日は大変だったなー。

 

損したこととか忘れてお酒のんじゃおー。

 

何か忘れてる気はしたけども、そんなのどうでもいいや。



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7話 僕のおかげで無事だったらしい子と、その保護者さんと、ふて寝した僕に迫る彼女たち

衆人環境での公開説教。

ごつごつした床に正座するという最大限の誠意を示す深谷るると、それをため息をつきながら見下ろす三日月えみ。

 

彼女たちの配信では日常のものだった。

 

「るる……本当にあなたって子は……」

「だって大丈夫だって思ったんだもん」

 

【公開お説教草】

【結構な事件で周りの配信者たちからも360°囲まれてて草】

【ドラマの収録かな?】

【家族ドキュメンタリーだろ】

【草】

 

「みなさん、本当に心配していたんですよ?」

「だってマネージャーちゃんも良いって言ったもん!」

「悪いと思っています?」

「あ、うん、心配かけちゃったもんね」

 

【素直るるちゃんかわいい】

【全世界生中継お説教草】

【まぁるるちゃんだし……】

 

【でも結局いつも通りで草】

【罠踏んでやらかすいつも通りでしかない】

【実家のような安心感】

 

周囲には人だかり……彼女と、見つかっていないもうひとりを探すために来た救護班や近くのダンジョンに潜っていた彼らは、まるで緊張感のない説教を聞きながらひと息ついていた。

 

「いや、しかし良かった。 こんな状況で奇跡だな」

「おっと気をつけろ、さっきその辺に天井が崩れてきたぞ」

 

「悪い。 しかしたったの2発でこれだろ? どんだけの威力だったんだ」

「ここのドラゴン……耐久高いから普通の代物じゃねぇな。 それに天井まで少し剥がれて……極大魔法でもぶっ放したのか?」

 

「壁際もかなり崩落している。 あまり近づくな」

「でも、彼女を助けたっていうもう1人も探さないと……」

 

【モブっぽく話しているけど、先月の配信同接ランキングトップ500に入ってるやつも結構……そうそうたるメンバーだな】

【同接目的で他のも結構来てるけど、自分の仕事投げ出して来てるから偉い】

【こういうのは良いよな】

 

【でもさ。 それが「るるちゃん捜索隊」ってのがまた良いオチだな】

【草】

【るるちゃん捜索隊草】

【まるで企画みたいになって草。 本当の事件だったのに】

【それで何にも間違っていないからもうそれでいいや】

 

「でもでも、本当に何回も潜って良いか聞いたもん! それで大丈夫だってマネージャーちゃんもみんなも言ってたもん! アクティブなモンスターも通常の1割でソロでも大丈夫だって! 入るときの守衛さんも! えみちゃんだって『がんばって』って言ってたじゃん!」

 

【子供みたいなでもでもだってがかわいい】

 

「はぁ……それ、るるの運の悪さ、自覚しても言える?」

 

「もう言えない」

「でしょうね」

 

【るるちゃんが反省しているだと……!?】

【あの顔で踏まれたい】

【リーダーえみちゃんに見下されたい】

【お世話されたい】

 

三日月えみから救助され、周囲から心配されながら医療班に応急手当をされ――「すり傷程度ですね」「頭も打っていませんし大丈夫でしょう」「これだけの崩落で奇跡的に出来た空間で良かったですね」と肩透かしな、それでいて安心できる診断が下りたことで、ここだけは緩い雰囲気。

 

三日月えみ――切れ長の目、鍛えられた体に母性の象徴、世話焼きな性格。

 

深谷るるがいちばん高い頻度でパーティーを組む……もとい危なっかしすぎるからメインで組まされている、そのリーダー。

 

彼女は良く、本当に良くこうしてるるを叱る。

軽いものから本気のものまで、配信で1回は必ず。

 

【やっぱりお世話係がいなきゃダメだよね、るるちゃんって】

【どんだけ気をつけていても罠踏み抜くるるちゃんにゴーサイン出したマネージャーさんその他が悪い】

 

「……確かにそうなんです……だから怒りきれないんです……この子なりに予備の装備をいつも持って、講習などに出てがんばっているのは知っていますから……」

 

【草】

【えみちゃんなかないで】

【ないて】

【ぺろぺろ】

 

「えみちゃんぺろぺろしていいのは私だけなんだから!」

 

「るる?」

「ひゃいっ!」

 

【草】

 

深谷るるは三日月えみの前では子犬でしかない。

 

やんちゃすぎて手がつけられなくて、でも性格は良いし人懐っこいし言うことはちゃんと聞くという……本当に扱いに困る質の。

 

【でも良かった、この様式美がまた見れて】

【もうダメかって思ったもんなぁ、本当】

【結局見つかんないの? 助けてくれたのって】

 

「……ええ、そうですね。 崩落の危険もあると言うことで、そろそろ撤退しなければならなさそうですし……」

 

叱られてしゅんとしている深谷るるを放っておいて、三日月えみは辺りを見回す。

 

僻地の中規模ダンジョン、77層。

 

なんでも初心者から中級者が低層に潜るのに適した程よいダンジョンらしいそこは、深谷るるが帰省先での思いつきで入り込んでしまった場所。

 

――もちろんマネージャーさんもそれを知っていたし、ダンジョン内のアクティブモンスターの情報とかるるの装備とかを知っていて、許可したはずなんだけど。

 

ごく普通のダンジョンでも、50階層を超えると難易度はひとつ上がる。

 

ユニークモンスターも出やすくなるし罠も増える。

 

――でも、ダンジョンの更新時期だから罠もモンスターも大半は出尽くしているはずなのよね……まぁ「るるだから」って言えば不思議はないんだけど。

 

【この人数で30分くらいかけて探して居ないんならもう帰ったんじゃ?】

【仮にケガとか重傷だったとしても、どっかに装備くらい落ちてるはずだもんな】

【意識失ってたら自動で救急へ通報も入るんだっけ?】

【そうじゃないってことは大丈夫なはず】

 

「その人の装備は本当に無かったんですね?」

「ああ。 俺たち救助隊も彼女の証言から飛ばされたと思しき方向の瓦礫を見たが、何も」

 

「あのっ、小さな女の子だったはずなんです! 大きいローブで王冠の!」

 

がばっと立ち上がって……一時的に気を失っていたらしく、少しふらついて救護班に腕を支えてもらいつつも、彼女は主張する。

 

「るる……帰ったら精密検査、受けましょうね」

「えみちゃんなんでそんな優しい声出すの!?」

 

【幻覚だと思われていて草】

【実際配信じゃ解像度低くて、金髪くらいしか分かんなかったし】

 

「2発目っ! ドラゴンへの2発目のとき、あの子しゅごおおおおーって飛んできて一瞬目合ったの! 金色で青いおめめのかわいい子!」

 

【るるちゃーん、最初目合ったって言ってない言ってない、横顔見たって言ってた】

【すーぐに記憶捏造するー】

 

「私にほほえんだの!!」

 

【言ってない言ってない】

【あのとき言ってなかったよるるちゃん……】

 

【でも数秒で画面に映らない距離からドラゴンの頭に接近したんだろ? そんな飛行魔法ある?】

 

――レベルの高い私たちなら、カメラで追えないものも認識することができるわ。

 

命のかかった状態で、そんなでたらめなことをしている相手が居たら本能的に追うはず……嘘や記憶違いではないのでしょう。

 

ああ、私もそんな女の子が居たら迷わず抱きしめてその金髪に鼻をうずめて脳天が痺れるまで――こほん。

 

「……けど、今はそんな場合じゃないわね。 るる、ほら、担架に」

 

「ん!」

 

ふらふらと座り込み直してしまった深谷るる。

 

……どうやら意識が戻っても腰が抜けたままらしい彼女は、ふくれっ面のまま両手を三日月えみの方に差し出している。

 

「……ん!」

「あのね……」

 

【いつもの】

 

【るるちゃん甘えるの得意だもんな】

【で、えみちゃんはそれに弱いお姉様属性】

【お姉様……はあはあ】

 

「……仕方ないわね……」

「やった!」

 

「……改めましてみなさん。 救助隊や救助要請で駆け付けてくださった方々、本日はありがとうございました」

 

「ました!」

 

るるが「やっぱり担架はやだ」と言い出したためか、おんぶをし、されている2人からの声が響く。

 

「この通りるるは無事です。 ……二次被害の可能性が高いので、この子を助けてくれた方の捜索は中断。 以降は私の事務所の者たちが責任を持って行います」

 

その声を聞き、ある者は残念そうに、ある者はぱらぱらと振り続ける天井からの小石を避けつつほっとして。

 

「あ、あのっ! お礼、マネージャーちゃんから出ますから!」

 

「まぁ無事で良かった」

「しかしドラゴンを2発で……そんな遠距離専門居たかな……」

 

「いや、確か居る。 たまに救助要請で今回みたいに姿も声も出さないで助ける変わり者がいるらしいと、俺のリスナーが……」

「ああ、俺も聞いたことが……」

 

 

 

「あたまいたい」

 

やっぱあんだけぶっ放した後にお酒呑みながらお風呂入ったからかなぁ……。

 

あー、MPゼロの頭にアルコールががつんって効くー。

 

……体にまとわりつく長い髪の毛がうっとうしい。

 

感覚の鈍り始めた成人とは違って、幼くて触覚に敏感な肌の感覚がぴりぴりと痛い。

 

「魔力も使いすぎた……」

 

こりゃあ、1ヶ月は本調子に戻れないなぁ……。

 

緊急出力で飛んだし、今度こそって弾にも、ものすごく魔力込めちゃったからなぁ。

 

ボスモンスター相手にゼロ距離射撃――僕が撃った弾でHPがミリ残ったドラゴンが、あの子に倒れようとするっていう変な動きをして。

 

だから急いでぶっ放した僕はすごい爆風にあおられて、あの直後天井に空いていた穴から77層の上の76層に飛ばされた。

 

消えそうな意識を、緊急脱出装置の作動を止めるためにって無理やり息止めてつなぎ止めながら。

 

ほら、授業中どうしても眠くなって、でも寝ちゃいけないときのあんな感じってあるじゃん?

 

学生時代に編み出したんだよねー、息止めて死にそうになると意識はっきりするって。

 

だから76層に着いても動けたんだけど……でもなんで天井に穴が?

 

おかげで地面に叩きつけられて痛い思いしなかったし、なによりあの子に見つからずに済んだけど……なんで?

 

爆発で空いたのかな……実戦で1回も使ったことない威力のだったし、僕のせいかもしれないけど。

 

――緊急事態ってことでほぼ全力を出し切っちゃったせいでふらふらだった僕。

 

リスナーさんからその子が……名前はもう忘れたけど……大丈夫そうで、もうすぐ捜索隊が来るって教えてもらったから配信オフにして緊急脱出装置でするっとあなぬけ。

 

そこからまたひーひー言いながらはいずるようにしてアパートに帰ってきて……ごらんの有様だ。

 

魔力……つまりは精神力と体力がほぼガス欠でもうだめ。

 

「もっかい寝よ……」

 

動くのもだるいけど、お風呂上がりで結構汗かいてる。

 

カゼ引いたら困るから、着ていたシャツを脱いでべちゃっと投げつけ、新しいのをふわっと着直す。

 

――金色に輝く長い髪の毛の下にかすかな膨らみが2つ。

 

一応揉めるけど、手のひらに収まるってのとはほど遠い……って言うか多分ただの脂肪の範囲でおっぱいじゃない。

 

いくらがんばっても筋肉が付かなくってぽっこりしてるお腹につるつるの太もも。

 

ぶらぶらしないお股。

 

それを、しばらくじーっと見下ろす。

 

「……着替えるときだけは便利だよね、この体……ふぁ」

 

そうして女の子になった僕は、ひと仕事を終えた満足感で寝直した。

 

 

 

 

上層へ引き返している最中。

 

救護班の1人が三日月えみへ話しかけてきた。

 

「三日月さん。 そう言えば瓦礫の中にごく最近落としたと思われるパスケースがあったんです」

「パスケース……ですか?」

 

「ええ、ごく最近というか、ちょうど今日のダンジョン入場許可証の入った」

「え、そんなの見せて良いんですか? 私たちに」

「はい、私は『上からそう言う許可をもらっています』から」

「ふーん」

 

「でも、『彼』は朝に入った記録がありますし、多分落としたことに気が付かず帰っているかと……ですので無理にとは言いませんが」

「……事情を訊くかもしれません。 見せてもらっても?」

 

「ええ、この後の捜索にご協力いただけるのでしたら『臨時の救護班』として権限を付与して……と思いまして」

 

「るるも平気そうですし、もちろん」

「私も!」

「では少しお待ちくださいね、本部に伝えておきますから」

 

ダンジョン。

 

そのへんに落ちている石ころでも地球上になかった新しい物質だったりと、各国が民間人に開放してまで集めたい資源のある空間。

 

それに関する法律はかなり超法規的措置が多く、さらにダンジョンへ潜る人材の保護に関しては現地での判断が優先されるものも多い。

 

だから「彼」が今回の件で被害を受けたまま帰った可能性がある以上、当然ながら「救護班の司令所」からの判断は即決。

 

――でもそんな権限、救護班にあったかしら……?

 

えみがそう考えるも、大したことではないとすぐに意識外。

 

「……下りました。 恐縮ですが、三日月えみさん、深谷るるさんは私との臨時のパーティーということで」

「ええ、リーダーはお任せします」

 

ぺこりと頭を下げ合う救護班と三日月えみ。

 

「じゃあそのカード、もう見て良いの?」

「はい、どうぞ」

 

「……るる、配信は切ったわね?」

「うん、もちろん」

 

「……念のために他の人に預けて行くわよ、カメラ」

「えー?」

「るるが触れたものは大体何か起きるでしょう?」

「そうだねぇ、ハルちゃんって子もちょっと映っちゃったらしいし……」

 

近くに居た知り合いにぶんぶんと手を振って呼び寄せ、3台のカメラを預ける深谷るる。

 

「……こうでもしないと安心できないのよね……」

「それでそれで見せて! ……普通の男の人?」

「そうね。 大学生くらいかしら」

「いえ、社会人の方のようです」

 

――そこには、「征矢春海」と書かれていた。

 

「なんて読むの、えみちゃん」

「ええとローマ字の方だと……そや『はる』みさん、だそうね」

 

「へー、そのカード、住所とか載ってるんだね。 知らなかったなぁ」

「特殊な機器を通さないと表示されませんが、今は表示させています」

 

「ほえー?」

「そんな機能があったんですね。 知りませんでした……でも、結構近いわね、ここから」

 

「ええ、住所を検索しますと、最寄りのバス停から2駅のようで……」



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8話 その日のうちの乱入

急行も止まらない、ある地方の駅から徒歩30分。

そして騒ぎのあったダンジョンからも同じくらい。

 

そんな場所にある、あるアパートのインターホンが何回か鳴らされる。

 

「済みませーん、ダンジョンの協会のものなんですけどー」

 

「……出ないねぇ、えみちゃん」

「留守かしらね?」

 

「征矢」と書かれたドアの前には深谷るると三日月えみ、それにダンジョンから出てきたばかりの救護班のひとり。

 

「……征矢さん、彼が当時あの場に居たかは不明です。 ですが万が一はあり得ます」

 

「うん、だってハルちゃんは金髪の女の子だったもん!」

「だからるるの見間違えの可能性が……いえ、今は置いておきましょう」

 

ダンジョンへ潜るというのは、安全がかなり確保されているとは言ってもそれなりの危険がある。

 

それなり――普通の、これまで通りの仕事などに比べると「モンスター」という不確定要素に不意を突かれてのケガや死亡のリスク。

 

どの職業よりも圧倒的に高くなるのは当然のことだろう。

 

これでもダンジョンの研究により開発されたリストバンド型の脱出装置のおかげで体力の可視化や脳波がモニタリングされるようになり、危険水域へと落ちる前にほぼ強制的な離脱がされるために相当落ち着いた方。

 

しかしダンジョンやその周辺で起きる事象はやはり不確定なことが多い。

 

ために、特に今回のような事件の場合には救護班ひとりひとりにでさえ特別な権力が与えられる。

 

さらには若いながら――なんでも高校生らしい――「上司」から緊急の場合に自己判断で処理する許可を得ているらしい彼女、九島ちほという彼女いわく「ハルちゃんなる存在と征矢春海という男性」に関しては全て任されているのだそう。

 

そんな彼女に従い「要救助者という可能性のある男性」の個人情報からアパートへたどり着いた3人。

 

「……今のところ『征矢春海』さんのバンドからは救助サインは出ていません。 けれども今回は非常時ということで、彼の安全を確認する命令も出ました」

 

「命令……ですか。 彼はるるの救助要請の前にダンジョンを後にした、その可能性は高いのだけど……でも、よりにもよってあの階層、しかも」

 

「うん、ハルちゃんのリスナーさんがね、ハルちゃん、そのカードキーが落ちてた辺りに居たんだって……」

 

「ですから征矢春海とハルさんとが同一人物、とまでは行かなくとも関係者――一緒に潜っていた可能性も考慮しまして、三日月さんの提案に従って来たわけですが……」

 

「そやさん、居ないねぇ……そやさーん。 はるみ……はるさーん。 ん? はるさん? ハルちゃん?」

「るる、年上の男性のことをちゃん付けだなんて――待て、『ハルちゃん』……?」

 

地方のダンジョン、それもそこまでの危険度はないとあって人手不足から出入りはカードキー式の簡易的なもの、守衛は居るが民間人の立ち入りを見張る程度。

 

「征矢春海という20代の男性」が今朝早く入ったのは記録に残っていたが、出た記録はなし。

 

ダンジョンには、間違っての侵入を防ぐセキュリティはあっても出るときには何もないのが普通だ。

 

「でも、まだダンジョンの中に……ってのは」

「深谷さんの件の後、全階層をサーチしましたが……」

「居なかったそうですね。 ということは緊急脱出装置で」

 

「……ってとこはやっぱり私助けてくれたのは!?」

 

「落ち着きなさい、るる。 それは別件で、単にあなたの巻き添えで命からがら脱出って可能性もあるわ」

「あぅ」

 

「ただカードを落としたのに気が付かず、深谷さんの件の前に出て普通の生活……買い物などをしているだけかもしれません。 ですが……」

 

三日月えみとうなずき合った救護班が電話を掛ける。

 

るるはずっと「はるさん? ハルちゃん?」と奇妙な偶然を唱えている。

 

「もしもし、九島です。 はい、今、征矢春海さんのお家の前に来ました……はい、メーターは回っていますが応答はなし。 彼が崩落に巻き込まれて怪我をし、意識混濁の中、普段通りに帰ってきた可能性を……はい、はい」

 

「ど、どうするのえみちゃん……ドア、鍵がかかって」

「決まってるでしょ。 るるを助けたかもしれない人が頭を打っているかもしれないのよ。 ……九島さん、言われた通り開けるわね」

 

「ええ、今大家さんの方に――え?」

 

救護班の連絡が終わらないうちに、三日月えみはおもむろにアパートのドアノブを握りしめ――めこっとスライドさせた。

 

外開きのドアを、真横に。

 

「……えみちゃん、だから筋肉だるまって……」

「何か言ったかしら? 視聴者の方々を含めると数百万の人に心配を掛けたるる?」

 

「ア、ハイ、ナンデモアリマセン」

 

――こういうときのえみちゃんって怖い。

 

お説教の切り抜きが定番な深谷るるは黙っていることにした。

 

「道中に話し合いましたように、交通事故に遭ってケガをした人も一時的な脳の興奮で……と」

 

「……は、はい、応答がないので立ち入っての捜索も、本部から指示されました。 工具でこじ開けると時間も騒音も……ええ、緊急事態ですから……」

 

高レベルの腕力を――それもアイドルという呼び方にふさわしく細い腕と細い指から鋼鉄製のドアを、力も込めずに蝶番からもぎ取るのを見た、腕に赤い十字の腕章を巻いた彼女は黙り込んだ。

 

「い、一応は不法侵入……普通にされている可能性もありますからゆっくりお願いしますね……?」

 

「ええ。 ではお邪魔します。 ……征矢さん、征矢春海さん、いらっしゃいますか」

「そやさーん、入りまーす。 ごめんなさーい」

 

ごとっと、何ごともなかったかのようにドアを立て掛けた三日月えみが先頭に、次に……男性の家に入る緊張で少しだけ腰が引けている深谷るる、そしてドアの残骸を見ながら高レベルの筋力にドン引きしている救護班の九島ちほ。

 

――「最初からこうするように指示を受けていた」けれど、三日月さんがここまでするなんて……いえ、好都合なんだけど。

 

彼女はそう考えつつも、蝶番と鍵だけ綺麗に壊れているドアから目が離せない。

 

そうして数歩、慎重に廊下を進むえみと、「あれ? 子供の靴……」と目ざといるる。

 

しかし直後、えみから申し訳なさそうな声が発せられる。

 

「――御免なさい、私の早とちりでした。 九島さんからの説明で、彼が動けないものと思い込んでしまっていまして……」

 

それにつられて顔を上げた2人の耳に入ったのは、水の音。

 

「シャワーの音……お風呂でしたか。 いえ、入浴中に気を失うこともありますから」

 

「お、男の人のお風呂……入るの……?」

 

「おふたりはアイドルをされています。 このことが漏れると一大事ですから医療担当の私が入ります。 大丈夫です、研修などで男性の体は見慣れていますし、意識があるのなら外から声をかけるだけですから」

 

「お、おとな――……」

「お医者さんなのよ、男とか女とか関係ないでしょう」

「それもそっか」

 

「征矢春海さーん、ダンジョンの医療班の九島と申しまーす。 数時間前のダンジョンで大規模な崩落がありましたが――……」

 

彼の名前を連呼しながら風呂場に近づいていく救護班。

 

「あれ?」

「ちょっとるる、勝手に」

 

そこから興味を別の方向に引かれたるるが、とてとてと勝手に廊下の先へと足を向ける。

 

「もし彼が何ともなかったら、ただの不法侵入で……いえ、率先した私が悪いのだけど」

 

「……これ! これこれこれこれ! これで撃ってた! あの子!! あ、このローブも見た!!」

 

廊下の先の部屋。

 

廊下からでも見える、狙撃銃に筒のようなものを付けてある武器、そしてぼろぼろになったローブを指差す、るる。

 

「……でもあなたが見たのは女の子だって」

「うーん、男の子だったかも?」

「男の子って……登録情報によると彼はもう社会人の方よ?」

 

「ほ、ほら、私たちみたいに早くレベル上がると歳取りにくくなるし!」

 

「彼女によると、彼が初めてダンジョンに入ったのは3年半前だそうね」

「あぅ」

 

「それに、顔写真も普通の男性よ。 ……まぁ、あんな状況だったから見間違えなんていくらでも……」

 

「あれ? でもおかしいよえみちゃん。 私もカメラも長い金髪ははっきり!」

「……そうね、確かに……」

 

「あと、それに!」

 

九島という彼女から「医療班として許可を得ています」という言葉が頭に残っているためか、深谷るるはワンルームの中へ。

 

中心には布団、周りは本がうずたかく積まれていてテーブルの上は装備などのパーツがある中へ突進して行く深谷るる。

 

もはや年頃の乙女が男性の家に不法侵入しているという状況を忘れているようだ。

 

「これ!」

 

「干してある服……みんな、小さい……」

「ぱんつも! ほら、ぱんつぱんつ!!」

 

「バカ」

「あいたぁ!?」

 

似たようなシャツや下着――そして女性もののそれらは、みな彼女たちよりも幼い子供の着けるもの。

 

「……はっ! もしや、これはお巡りさん事案!」

 

「妹さん、あるいは親戚の女の子。 それか、背が低いけど成人している女性のもの……同居している女性のものでしょう、きっと」

 

「……そーだよね……あ、でも、じゃあ2人でお風呂ってこと?」

「え? ……きっとどちらかは外に出ている……わよね……?」

 

「もしかして大人の時間だった!?」

「……きちんと謝らないとね……」

 

正解にたどり着きかけたるるをばっさりと「現実的な判断」で押し返そうとするえみ。

 

「ごめんなさ……え!? え、あの、私っ」

 

と、えみが両手で少女のリボン付きぱんつを持っていたるるにチョップをかまそうとした瞬間、廊下の先で先ほどの救護班の彼女が戸惑いの声を上げる。

 

「? どうしたんだろ」

「……とりあえずそれを戻しなさい……」

「はーい」

 

会話をしているということは、シャワーをしていた征矢という男性は無事。

 

でも先ほど冷静だった彼女が妙に慌てている……その違和感に、女児用のぱんつが、そっと戻される。

 

2人は念のためにと、後は少女らしい好奇心とで風呂場の方へ足を向けると、もっとうわずった声が響いてきた。

 

「……ひゃいっ、私九島と申しまして怪しい者では! はい、今日の14時半に起きました最寄りのダンジョンでの通報で駆け付けました救護班で……あ、あの、あなたが……え、でも女の……」

 

「――あー、とうとうバレちゃったかぁ……いやまぁ、これでむしろよく1年持ったって思うけど。 て言うか本当にご近所さんから通報とかないんだねぇ、今どきって」

 

彼女とは異なる別の人物から発せられた声は幼く。

 

「……ちっちゃい子の声?」

「え、ええ……」

 

「で、えーっと……ダンジョン関係でなんかすごいことが起きたらどこに報告するんでしたっけ。 僕、めんどくさくてしてなかったんですけど」

 

「え? ええっと……一応私でも受け付けられますが……」

 

「……あの金髪の女の子!?」

 

ぺた、ぺたという足音が聞こえ、その少し後に廊下に覗いたのは――。

 

「タッ、タオル! タオルで前隠してください!」

「えー? ここ僕の家なんだけど……?」

 

「そ、それはそうなんですけど! 申し訳ないことにあなたの万が一を考えまして協力者の方を――」

 

「――未発達なロリのつるつるでぷにぷにで幼児体型で究極の美な肌ぶふぅぅっ!」

 

「えみちゃーん!?」

 

――長い綺麗な金髪を、こともあろうかタオルでごしごしと拭きながら――つまりは全裸でぺたぺたと歩いてきた幼い少女――いや、幼女。

 

そんな破壊的すぎる姿を見た三日月えみが、彼女のキャラを崩壊させるワードを発しながらぶっ倒れ、それを深谷るるが慌てて介抱しようとして――。

 

「あ」

「あ」

 

幼女の眠そうな蒼い目とるるのくるくるとした目が、ぱっちりと合った。



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9話 僕の家に不法侵入したるるさんと救護班さんとヘンタイさんと

男のひとり暮らしだった僕の前には3人の女の子がいる。

 

彼女も居ない僕が、まさか一気に3人もあげることになるなんてね。

……これで男の体だったらどんなに嬉しかったことだろう。

 

「はぁ……つまりはあなたが征矢春海さんと」

「そやはるみ……だから配信でもハルちゃん」

 

「はい。 あ、配信にもたどり着いてたんですね」

 

「う、うん……あ、はい……その、頼りになってたえみちゃんがね……そうかもしれないって……言ってたんだけどね……」

 

「ヘンタイさんだったと」

「んふぅっ!」

 

赤い十字の腕章を着けている……ダンジョン関係の救護班ってひと目で分かるためにお仕事中は外でもこの服装らしい子と、僕が助けた覚えがある深谷るるさん。

 

で。

 

「その……私も、こんなえみちゃん初めて見て……正直どうしたらいいか……」

 

「ヘンタイさんだったんですか?」

「ふんんん!!」

「ヘンタイさんだったんですね」

「んふっ!!」

 

なんか目がやばかったから「その人怖いです」って言ったら……錯乱した人に慣れてるのか、そっと救護班さんが近づいたと思ったらきゅきゅっと包帯で両手両脚縛ってお口も包帯で巻かれた可哀想な人。

 

……二重の意味で。

 

でもこの人多分僕みたいにレベル高いんだろうし、分かってて簀巻きにされたよね。

 

まだちょっと残っていた理性が光る。

偉いね。

 

「あ……だからえみちゃん、よく孤児院の依頼とか受けて……」

「ふんんんん!?」

「あと、小学生の子たちの体験ツアーとかも、積極的に」

「ふむむむむ!? むむむむん!!」

「えみちゃん……」

「むうううう!!」

 

なんかそこは違うっぽいけど……あー。

 

僕はなんとなくで1歩下がる。

だって今の僕、幼女だし……。

 

「と、とりあえず三日月さんから征矢さんに話、戻しましょう……?」

「あ、そうですね。 とりあえずえみちゃんのことは……うん……」

「ふんんんんっ!?」

 

なんか背も高くて格好いいのに残念な人が三日月……えみさん、と。

 

近づかんとこ……なんか怖いし……。

 

男だった前の僕なら「ヘンタイさんだー」って一緒に笑う立場だったけども、今はそのヘンタイさんに何かされる立場だから実害あるし。

 

「こほんっ。 そや……はるみさんっ」

 

「ハルで良いです。 『この姿』だとそっちでしか呼ばれたことありませんし。 まぁリアルでは見られたことないですけどね」

 

征矢。

珍しい名字って苦労するよね。

 

名前が1発で分からない仲間と苦労話で盛り上がった若い記憶。

 

「じゃあハルちゃん!」

「……まぁ良いです、今は女の子ですし」

 

でも年下の子からハルちゃんは……ねえ……?

 

いや、良いけどさ。

 

僕の布団の上に女の子が2人、部屋の隅っこにヘンタイさんが1人っていうものすごいことになってるのは気にしないでおく。

 

気にしても無駄とも言う。

 

うん、姦しくって良いね。

 

「改めまして……助けてくれて、ありがとうございました。 私、ハルちゃんが来なかったら間違いなく生きてませんでした」

 

第一印象は明るい子。

明るい色合いでくせっ毛な髪の毛で……中学生くらいの子。

 

深谷るるさん。

 

中学生なのに丁寧に指までついて……三つ指っていうやつをしている。

今どきの子って礼儀正しいんだなぁ……僕より10以上、下のはずなのに。

 

今の肉体年齢じゃ僕が下になってるけどね。

 

「僕自身の命は大丈夫だって確信してのでしたから」

「で、でもっ、あんなに危険なことさせちゃって!」

 

「あれは違うんです。 ドラゴンを一撃で仕留めきれなくって……下手にヘッドショットしたばかりに君の方に倒れそうになっていたから。 助けるのが下手だった僕のせいです」

 

「でも!」

 

ばっと顔を上げる、るるさん。

 

やっぱアイドルさんだから目鼻立ちが整ってるねー。

今の僕には……じゃないじゃない、この考えはいけない。

 

「そこから、命かけて助けてくれましたっ」

「………………………………うん」

 

思わずで顔を背けちゃう。

 

だって、こんなにまぶしく見つめられたらなんか……だめじゃん。

 

僕はそういうの、苦手なんだ。

救助要請で見つからないようにしていたのってそれも理由だし。

 

ほら、電車とかで席譲って「ありがとう」って言われても無愛想にしちゃって、次の駅で別の車両に乗り換える気持ち分かるでしょ?

 

「だからお礼させてください!」

 

この子的にはダンジョンでやばいときに助けてくれたってことになる。

けども、僕的にはそこまで危険じゃなかったし……損はしたけども。

 

「ドロップ」

「え?」

 

「ふんんんん!」

 

もぞもぞ蠢いているヘンタイさんを眺めて癒やされながら、テーブルに広げてある家計簿を指差す。

 

「あのとき倒したモンスターのドロップ。 あれがあれば僕は良いんだ。 ……です」

 

「あ、そう言えばハルちゃんってそんなにちっちゃいのに大人なんですよね! 良いです良いです、楽に話してもらって!」

 

るるさんの代わりに救護班さんが見ているらしい、僕の家計簿。

 

「はぇー、マメですねぇ征矢さんって。 ダンジョンに潜る人って大体家計簿付ける性格じゃ……。 ………………………………?」

 

「はい、僕、細かいことが好きなので」

 

「……え、ええっとぉ……その……」

「? どうしたんです?」

 

まぶしい笑顔で熱くなっちゃった顔がようやく冷えてきたから、自然なフリしてるるさんを通り越して救護班さんの顔へ。

 

あ、この子のポニーテールの結い方良い感じ。

この子もまだ高校生くらい?

 

そっか、この子たちの世代ってばダンジョンが出現した後で進路とか決めるから、もうこの歳からダンジョン関係のお仕事って……止めとこ、こういうのってダンジョンが生まれた時点で中高生だった僕には辛い現実だ。

 

「……その、ま、マイナス……」

 

あ、数字に慣れてないとゼロの多い金額とかって見づらいよね。

 

「2000万円ですね。 今日のマイナス」

 

「せんっ!?」

「むうっ!?」

 

真っ青になる2人。

 

ヘンタイさんのはよく分からない……だってまだ赤いんだもん。

なんかうねうねしてるし……なんかこわいし……。

 

「最初に追われていたモンスターたちに使った弾が16、ドラゴンへ2発。 見てのとおりの体でダンジョンに潜るわけで、特殊な弾をこういうとき用に作っていたものですので」

 

「あうあうあうあう……どうしよどうしよ、そんなお金……」

「むうむむむむうむむう、むむむむう」

「ごめんえみちゃん、何言ってんのかさっぱり分かんない……」

「むうっ!?」

 

いや、そりゃお口チャックされてたらねぇ……。

 

「厳密にはドロップとかの素材で手作りですから、そこまで掛かってません。 あくまで時価にするとってことで、協会のホームページの素材の買い取り値段で帳簿作っただけですから。 税金の計算用なので気にしなくても」

 

実際に使った金額は大したことないはず。

 

でもさ、ほらさ?

僕たちってば個人事業主でさ?

 

あと青色申告しなきゃな立場じゃん?

 

だからちょっとだけ盛っても良いでしょ?

そういう判断は必要でしょ?

 

時価だし嘘じゃないし?

 

「あと、それ……ほら、今の僕って魔力が底着いてますから。 僕の不注意で無駄に全力使ったのもあって……だから復帰に1ヶ月くらいかかるって考えて上乗せしてますから、深谷さんに使ったのだけだと……1200万円くらいに減りますし」

 

「せんにひゃく……はぅ……」

「むぅぅぅぅ!?」

 

さっきからヘンタイさんがびったんびったん荒ぶっている。

なんかエビフライみたいだね、君。

 

「あ、ちゃんと別のページに素材の管理とか……ほぇー、まじめなんですねぇ――……」

「この通り、ひとり暮らしですし。 それに」

 

僕はぱたぱたとシャツを振る。

 

「むうっ!?」

 

ヘンタイさん止めて、簀巻きにされてるのに腹筋だけで起き上がるの止めて。

 

「……はいはい、邪魔になりますからおめめも塞ぎますねー三日月さーん」

「むぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?」

 

うわすごい声……この人、そこまで僕見たいの……?

 

「あと、征矢さーん」

「はい」

 

またいつの間にかヘンタイさんと僕の間に入っていた救護班さんのポニーテールがひゅんって舞う。

 

「……私たち同性……えっと、肉体的な方ですけど」

「そうですね、今はそうなりますね」

 

「……なんですけどそのー、征矢さんのその格好は非常に扇情的と申しますかー」

 

「? こんな子供なのに?」

「そ、そうですよハルちゃんっ!」

 

もはや三日月さんを見もしなくなった深谷さんが僕にばさっと……彼女が羽織ってたカーディガンを掛ける。

 

「さっきから言おうかどうかすっごく迷ってたんですけど! って言うか頭下げたときに見えちゃって正直私もどきどきして困るんですけど!」

 

「?」

 

「「――女の子の大切なところまる見えなのは行けません!」」

 

「あ、はい」

 

そういえば僕、お風呂上がって髪の毛濡れたままで体に張り付いてて。

で、とりあえずでシャツ着ただけだった。

 

つまりは裸シャツでお布団にぺたって座ってたわけか。

 

「でもいきなり家に入って来られたから……」

「ですから私、『着替えはよろしいんですか』って訊きましたよ!?」

「あ、そう言えばそうだった気がしてきました」

 

救護班の人はまじめさんみたい。

なんか委員長さんっぽいね、君。

 

「……でも僕、普段からこうですけど。 ほら、女の子の体になったからなんかこうして穿かないで直接布団に座ると不思議と安心するって言うか」

 

「ダメですぅ! って言うか男の人だったんですよね本当に!?」

「うん、去年までは」

 

「……その豪快さは確かに男性らしいと言いますか……って、あのー」

 

もぞもぞうねうねしている包帯で真っ白になった何かさんをそっと壁際に押し付けつつ、救護班さんが訊ねる。

 

「――どうして男の人がそんなにかわ、……女の子に? あと、カードの写真じゃ髪の毛も目の色も……」

 

「ちょっとダンジョンの中の願いの泉的な場所でお願いを……したら、なんか曲解されちゃったみたいで……」

 

顔の赤い2人と真っ白な包帯で全く見えない1人。

 

彼女たちを前に、ようやく僕は隠れ続ける生活を止めることになった。



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10話 『【朗報】深谷るるの恩人ハルちゃんの無事確認【伝説の配信事故】』

【朗報】深谷るるの恩人ハルちゃんの無事確認【伝説の配信事故】

 

 

1:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

詳細は不明、るるちゃんの事務所の第一報<URL>

 

2:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

でかした

 

3:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

9:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

いやぁ、良かった良かった

 

10:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

これでるるちゃんの不幸がとうとう呪術っていう悪評を払拭できるな

 

11:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

できるか?

 

12:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

無理だろ

 

13:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

今さら無理だな

 

18:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

46:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

でもそうか、救出配信後、るるちゃんとかえみちゃんとかが静かだったのは探していたからなのか

 

59:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

まぁ当然だろうな、るるちゃんの救助要請だし……もし重症とかだったら業務上過失傷害とかだろ?

 

65:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

るるちゃんとハルちゃんのどっちか1人でも大変なことになってたら、せっかく盛り上がってたのに……ってなるし

 

74:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ダンジョン配信関係はしょっちゅうあるからなぁ

 

81:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

さすがのるるちゃんでも自分のせいでってなったら落ち込むだろうし

 

88:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

そもそもるるちゃんが死にかけたのは

 

93:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

それはるるちゃんの事務所が悪い

 

110:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

確かに

 

140:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

最初はるるちゃんの、次はハルちゃんの生死不明なときの凸やばかったらしいからなぁ……事務所への

 

148:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

まぁ実際これだけの有名人とかその救助者のってしばらくなかったし

 

172:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

10組くらいあった野良のハルちゃん捜索配信も終わり始めた

 

186:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

同接稼ぎのあいつらだろ?

 

216:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

いや、ダンジョンから出てうろうろしてみたけど本当に何もない田舎で最初から「さすがにいないんじゃね?」って空気だったぞ

 

295:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

まぁでも今回の大事件の感想とか言い合ってて後夜祭みたいだったけどな

 

341:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんが無事だったからこそ後味良かったけど、やっぱ良くないよなぁ、ああ言うの

 

355:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

まあまあ、んなこと言ったら俺たちだってネットで追ってたし

 

376:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

おかげで「始原の10人」からハルちゃん情報が布教されたけどな

 

389:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

呼んだか?

 

420:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

出た、始原の

 

465:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

「始原の10人」ってすげぇインパクトだな

 

477:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

499:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

マジでハルちゃんのファンが当初10人しかいなかったとか……

 

562:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

今となっちゃ誰も信じられないな

 

572:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

るるちゃんの行方不明からハルちゃんバレまでの流れが完璧すぎたんだ

 

597:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

分かる

 

623:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

わずか数時間で世界は変わった……

 

672:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

るるちゃんってすごいね……

 

725:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

あらゆる意味でどうにかお祓いしてってレベルでな

 

739:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

767:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんのバトルスタイルから生活リズムまであっちこっち転載されてるし

 

865:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

この数時間でネットとニュースの速報見てなかった人以外、ハルちゃんの名前だけは耳に残ったレベル

 

921:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

せっかく何年も隠れて配信して始原の10人にしか捕捉されてなかったのに、るるちゃんに近づいたばかりにことごとくバレてて草

 

957:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

 

【朗報】深谷るるの恩人ハルちゃんの無事確認【伝説の配信事故】2

 

 

15:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんの個人情報だけど、配信で分かる範囲なら大丈夫だろ

 

25:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

でもハルちゃんの身長が、高くて120センチって断定されてて草

 

37:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんちびっこ!

 

67:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ガチロリじゃねぇか……

 

102:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

そんな子供が……って言い切れないのが今の世の中よ

 

165:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

それな

 

179:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ダンジョン、たまに明らかに小学生って子でもいるもんなぁ……親の許可が必要らしいけど、逆に言えばその程度だもんな

 

187:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

救助要請後の配信で1回カメラが傾いて、視点が頭の上にあったって判明してて

 

193:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ダンジョン内を歩いているときの高さから歩幅まで割り出した変態がいたんだよな

 

199:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

お巡りさんこちらです

 

221:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃん逃げてー!!

 

234:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

いや、逃げたって言うか、黙ってひとりで避難して帰ったっぽいせいで余計騒ぎになったんだけどな?

 

251:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

266:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

やっぱりるるちゃんが……

 

281:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

けどハルちゃんの身長と歩幅、未だに1ミリ単位で論争してるの草

 

299:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ガチ勢こわっ……

 

362:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

自分を映さない配信でも身長は簡単に割れるんだな……俺も気をつけよ

 

388:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

へんたいってこわい

 

396:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

変態だから怖いんだよ?

 

400:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

変態だから怖いのか怖いから変態なのか分からなくなってきた

 

420:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

変態たちが、るるちゃんの配信で解像度がものすごく低かったのを補正したりして……ハルちゃんの大体のシルエットも判明してるんだよな

 

446:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃん自身は嫌がりそうだけど……映っちゃったもんはしょうがないよなぁ

 

451:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

まぁ救出に行くほどなんだから覚悟してないってことはないと思うけど……

 

457:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

あと、るるちゃんの幻覚じゃなく本当に、ハルちゃんが200メートル以上ぶっ飛んだのも判明してて草

 

472:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

フライング幼女草

 

481:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃん大胆な子……なんで顔隠してたのか分からないレベル

 

498:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

顔は分からないけど腰までの金髪ロング、黄色とか金色のヘルメット的なのに溶接したらしいカメラで、るるちゃんいわくの王冠被ってるっぽい見た目

 

521:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

体は目立たない色のローブを羽織ってて、体はごく普通のレンジャー装備

 

527:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

すでに二次創作が山ほど出てて草

 

562:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

だって絵師たちに餌あげちゃったから……

 

569:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

絵師たちは流行りものに飛びついちゃうの! ダメでしょ、SNSでも推理合戦してみんなでハルちゃん描き合ったりしちゃ!

 

581:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

588:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

まぁあんだけニュースになってトレンド入りしてたら、売名目的じゃなくても描く人は多いだろうな

 

598:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

大半は「ハルちゃんが無事でありますように」的なのだから勘弁してあげて……何故か鞭持ってたりするけど

 

611:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

でもすでに1000以上のハルちゃんがイラストサイトに出てて草

 

623:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

1夜どころか数時間で強烈なデビューで草

 

650:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

事務所とかの所属じゃない完全な個人勢、しかも趣味で力入れてないのがバズるとこうなるのか……

 

661:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ネットって怖いところだね

 

672:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

まぁその発信源がここだけどな

 

688:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

だってハルちゃんの始原が集まっちゃったし……

 

699:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

つまりはハルちゃんのファンが悪いってことで

 

751:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

俺たちのハルちゃんが全世界デビューして複雑すぎる

 

753:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

せっかく細々と10人だけで支え合ってきたのに……もうファンするモチベーションが無くなった……

 

757:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

あー、マイナーだからこそ自分たちで応援してる感があったのに、急にバズってメジャーに行っちゃって……ってやつ?

 

759:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

分かる……

 

761:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

るるちゃんの騒動でとりあえずの登録も多いはずだけど、それでも50万超えちゃったんだっけ?

 

769:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

マジもんのシンデレラストーリーだな

 

777:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

待って、ということはるるちゃんが王子様?

 

780:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

無いな

 

785:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

無い

 

790:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

どっちの意味でも無いし、あり得ないな

 

799:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

802:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

速攻で否定されてて草

 

813:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

むしろ助けたのはハルちゃんの方だからハルちゃんが王子様ってことで……

 

826:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

でもハルちゃんはロリだよ?

 

831:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

男装ロリな王子様……アリでは?

 

834:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

安心しろ、そのネタもとっくに百合絵師が群がった

 

840:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

845:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

百合勢力怖……

 

851:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

でもイラストの1割くらいは謎のショタ押しなんだよな……

 

857:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

始原の10人プラスの初見さん、怖……

 

866:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

あいつ、たったひとりでサジェスト汚染を達成しやがった

 

870:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

誰が何と言おうともハルきゅんは金髪ロングなショタなんです!!

 

877:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

うわ出た

 

883:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

お前SNSの垢バレしてるぞ草

 

891:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんに続いて一般人まで晒されてて草

 

899:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

私が犠牲になるだけで新鮮なハルきゅんのショタイラストが出回るなら……

 

906:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

何故大人のお姉さんはいつもショタを求めるのか

 

912:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

俺たちがロリを求めるのと同じ気持ちだろ?

 

919:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

そうだな

 

928:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

この騒動のおかげでトレンド上位がハルちゃんばかりなんだけど……

 

930:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんが助かったってのもあってすさまじいな

 

936:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんすら知らない、ハルちゃんらしきロリショタな立ち絵が豊富に……

 

942:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

もちろんエロも豊富だぞ!

 

946:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

男って悲しい生きものなのよね

 

950:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

こういうのが嫌で顔とか隠してたんじゃ? ほら、女性配信者ってストーカーとか

 

958:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

安心しろ、ハルちゃんは単純にめんどくさがりなんだ

 

961:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんがどうかはともかく、ここまで来たらもう消したら増える状態だもんな

 

966:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

むしろこのノリを続けさせて飽きさせるくらいしかねぇな

 

971:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

かわいそうなハルちゃん……これもみんなるるちゃんって子のせいなんだよ……?

 

973:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

大元は変わらない、ただひとりのるるちゃん

 

979:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

だってるるちゃんだし……

 

991:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

そんなるるちゃんに巻き込まれたハルちゃんかわいそう……

 

999:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

 

【朗報】深谷るるの恩人ハルちゃんの無事確認【伝説の配信事故】3

 

 

6:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

でも登録者と知名度の増え方、今日だけならダントツの1位だぞ?

 

12:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんが望むかどうかは分からないけどな

 

19:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

まぁな、今後あのダンジョン周辺は野次馬だらけで、背の低い女性……と言うか学生の女子ってだけで片っ端から同接稼ぎが絡んでくるだろうし。 髪の毛もウィッグでごまかせるからって

 

62:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

男って馬鹿ばっか

 

72:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

けど金髪碧眼ロリかー、なんであんな田舎に居たんだろうな?

 

85:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハーフかどうかは分からないけど、田舎でそんな見た目だったら地元の同世代みんな知ってるよな?

 

97:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

インタビューして回ってた配信あったけど、誰も知らないって

 

123:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

何? ハルちゃん、日常でもあんな感じなの?

 

130:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

人目に触れないように常に身を潜める生活……

 

139:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんならしてる

 

142:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

配信リズムからしてしてる

 

160:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

始原たちが言うんならそうなんだろう

 

167:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

259:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

でもここからどうするんだろ、ハルちゃん

 

270:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

本当に知名度上がるのが嫌だったら引退か放置だろ

 

275:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

まあぎりぎり顔は割れてないし、配信止めて引っ越せばまだなんとかなる……?

 

277:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

でも案外に、また普段通りコメントだけで配信したりして

 

291:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

いやさすがに……

 

300:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃんの配信のおかげで在宅のリズムができてるんだ! 早く復帰してもらわないと困る!

 

309:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

声なし顔出し無しの配信にそんな需要が!?

 

329:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

あ、新情報。 事務所から

 

390:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

本当だ……ハルちゃんを一時身柄預かり!?

 

399:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

え? どういうこと?

 

426:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

無事だけど事務所が保護? やっぱ事情持ちのロリだったり?

 

456:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

やっぱりるるちゃんの呪いが伝染して何か起きたんじゃ……

 

470:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

 

477:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

結局そこに回帰するの草

 

700:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

おい、ハルちゃんのチャンネル、待機所できてる!!

 

732:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

うわマジだ……って何日後よこれ

 

741:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

予約とか待機所とか……ハルちゃんなら絶対にしないのに……

 

768:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

ハルちゃん……お願い、配信チャンネルに連携したSNSアカウント作って……今偽物が大量繁殖してるから……

 

799:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

だからじゃね? 偽ハルちゃんがあることないこと言ってるし

 

865:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

「ハルちゃんの配信☆告知もあるよ!」って……本当にハルちゃん?

 

972:かわいそうなハルちゃん応援隊さん

タイトルの付け方……この感じってハルちゃんって言うよりまるで……いや、まさかな……




追記:改行を加えて少しだけ読みやすくしてみました→戻しました。


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2章 めんどくさいこと押し付けたり間違えて配信したり
11話 願いの泉的なので女の子になった僕


「願いの泉……私もそのような場所があるとは聞いていませんね……」

 

救護班さん――九島さんって言うポニテの子が言う。

 

「そうですか。 あれからいろんな掲示板の書き込みまで探したんですけど、やっぱりそうなんですね」

 

深谷さん……るるって呼べって言われたっけ……るるさんから借りているカーディガンの柔らかさと、るるさんの匂いに包まれている僕が言う。

 

願いの泉。

 

僕が勝手にそう勘違いした不思議なエリアのこと。

1年前に僕が金髪ロリな女の子になっちゃった場所のこと。

 

「……ねぇ、えみちゃん本当に大丈夫? もう1回殴っとく?」

「大丈夫よ、るる。 どうやら私は正気を失っていたみたい」

 

るるさんのとなりできりりとしているのは、背も高いしおっぱいも見上げるほどでかいし切れ目でやり手って感じの……誰?

 

いや、これが三日月えみさんって人なんだよね……ネットで見てみたけどやっぱヘンタイさんと同一人物って信じられない……。

 

でもたんこぶ痛そう。

 

高レベルでも防御解くと簡単に怪我ってするもんね。

つまりは彼女なりに反省してますってことなんだろう、きっと。

 

「ま、まぁ、深谷さんの命の危険ということで……ということにしておきましょう……ええ」

 

「そうですね、身近な人が一時行方不明だったんですから」

「ハルたん……! 私のことを庇って……!!」

 

常識的な判断で理解した僕をばっと振り返って、がばっと両手を広げるヘンタイさん。

 

「やっぱりもう1回殴るね? えみちゃん」

「ぐふぅっ」

 

「おっぱい大きいし僕もハグされて嫌な気持ちしないから良いかな」って思ったけども、そこから真横にストレート。

 

うわ、痛そ……でも「ハルたん」は止めて……「ハルちゃん」なら我慢するからさ……。

 

――この体になってからっていうもの、家の中では基本的にシャツとぱんつだけで過ごすのが日課だった。

 

だって洗濯物減るし汗かかなくなるし、目の保養だし。

 

でもさすがの僕でもやばい目をしたヘンタイさんもいるし、救護班さんから「そういう扇情的な格好は性犯罪を生み出します。 客人がいるときだけはブラを着けてズボンを……緊急事態で押しかけたのはこちらとは言いましても……」って冷静な顔で言われたらしょうがなく、外に出る格好にはなる。

 

でもでも「あ、僕元々男ですし、この体、胸ないからブラとか買ってません」って言ったらもう1回ヘンタイさんもとい三日月さんが鼻血噴いて倒れたし、救護班さんは「これは学校教育から……小学校高学年くらいからやり直し……」とか怖いこと言うし、深谷さんはなんかじっと見てくるしで居心地悪かった僕。

 

良いじゃん家の中くらい……裸族とかじゃないんだからさぁ……。

 

ダメ?

ダメっぽい。

 

そんなわけでさっさと切り替えた話題が、僕が女の子になった元凶。

 

ちなみに僕はちっちゃいからブラじゃなくてキャミソールって言うので良いんだって。

 

それなら洋服屋さんの言われるままに買ったのがあるからってお胸を保護。

まだぽっちが痛くなる年齢でもないから変わらないんだけどなぁ。

 

「で、とにかく1年くらい前にそこで……なんかこう、モンスターが出ないセーフエリア的なところにあったそこで祈ってみたら何も起きなくってがっかりして」

 

「あ、すぐにはならなかったんですね」

「そんな場所あるんだ――……へー」

 

「で、がっかりしながら帰って寝たら、次の日にこうなってました」

「……何でそこですぐ届け出なかったんですか征矢さん!?」

 

ポニーテールを振り回すまじめな救護班さんがツッコミ要因と化している。

 

「いやだって……こういうのってなんか、めんどくさくないですか?」

「めんどくさい!? 大変なことですよね!?」

 

「はい。 こうやって1から事情を説明するのって。 あと」

 

こっそりと正座したまま脚をいもむしみたいに動かして近づいて来ていた三日月さんをつんって小突くと「あふんっ!」とか言って部屋の隅の方へくるくると。

 

……女の子で良かったね、君。

 

男なら通報してたよ?

 

「……こういう状況じゃなければ。 信じます? 男がこんな女の子にって。 顔も何も違うんですよ? 個人情報なんて連続していませんよ?」

 

「……それは……確かに……」

「多分両親も信じませんし。 『男の僕に攫われてきたこの僕がそう言えって言われたんだね』って哀れまれるだけです。 聞く耳持ってくれて、色々昔話して何時間……で、ようやくでしょうし?」

 

「ん――……私なら信じるけど、大人の人はそうかも……」

 

「ですよね? 普通なら家出少女とか虐待とかで施設へ直行です」

 

だからめんどかったの。

 

……あと、親から信じてもらえなくって、逆に「うちの馬鹿息子が拉致監禁してごめんなさい」って真摯に謝られたら立ち直れないって思ったし。

 

僕は高レベルにはなってるけどメンタルは打たれ弱いんだからね?

 

「私は信じますよハルちゃん!!!」

 

「あ、ヘンタイさんはどうでもいいです」

「幼女にジト目で罵られる快感!!」

 

「…………えみちゃん……手遅れさんだったんだね……」

「ロリコンは病気です。 女性でも発症しますから……」

 

「矯正施設」とか「隔離」とか物騒な言葉が聞こえるけどどうでもいいや、僕のことじゃないし。

 

「ちなみに救護班さん、これ、僕の代わりに協会とか役所とかに説明してくれます? じゃないと僕、めんどくさくてする気になれません。 このまま普通に暮らします。 ここから逃げ出してでも」

 

「逃げ……私が担当しますから逃げないでくださいね……」

「で、それって僕も行かなきゃダメですか? ここで話しておしまいには?」

 

「駄目……でしょうね」

「えー」

 

ノリで「良いですよ」って言ってくれるかって思ったのに。

 

「本人確認として、征矢さんのお知り合いやご家族の方からの聞き取り、記憶の照合に征矢さんの今の体の検査……精密検査で、ダンジョンでの呪いで他にも何か起きてないか見なきゃですし……あ、そもそも今回の事故で深谷さんと一緒に受けてもらうことにはなりますし」

 

「えー」

 

めんどくさそう……やっぱ見つからなきゃ良かった。

 

「……私がお世話するから大丈夫です!」

「深谷さん?」

 

「るるちゃんって呼んでください! じゃないと泣きます!」

「あ、うん、るる?」

「るるちゃんです!」

 

ヘンタイさんより素早く抱きついてきていた深谷さん改め、るる。

 

……え?

 

……女の子なのに……ない……?

 

あー、貧乳さんなのか。

 

ふっくらしていなくて予想外の鎖骨の感触から頭を上げる。

 

ごめんね、一瞬男の娘ってやつかって思っちゃって。

今の僕も胸ないから許して?

 

「ハルちゃんって、女の子になってから困ったり!」

「してないかな。 トイレとかおふろも1回すれば慣れたし」

 

「ぐっ……で、でも、かわいい服とか……ブラとか買ってないし!」

「そういうるるさんも着けてないじゃん?」

 

「だからるるちゃんって! ……え?」

 

「違うんだ! るるは小さすぎるからスポブラかキャミソールしか必要ないんだ! つまりは今のハル、君と大差は」

「乙女の情報を勝手に言わないでよえみちゃん!? ハルちゃん男の子なんだよ!?」

 

そこは男の人って言って欲しかったなー。

 

「いや、だって……配信とかでとっくにファンのみんなは知っているだろう……?」

「うぐ……そうだけど……」

 

……本物の女の子なのにかわいそう。

 

でもそれ言ったら本当に泣いちゃうだろうから黙ってあげる僕はえらい。

 

「と、とにかく! これまで平気でもこれから平気とは限らないし! ……あと、私のせいで絶対配信とかめんどくさくなるし……あとあと、そんな珍しい見た目ならそのうち外で歩いていても『もしかしてハルちゃん?』って言われるようになっちゃうかもですし……」

 

「……確かにそうだね。 登録者が10人から……えっと、80万人? にまで増えてるみたいだし……」

 

「は、はちじゅう……私が1年かかって伸ばした数字ぃ……」

「えっと……ごめん?」

 

「ううん、いいの……今回のは完全に私のせいだし、むしろハルちゃんが守ってくれなかったらもう死んでたから……」

 

僕は普段、スマホは1日に何回も見ない。

 

特にソシャゲとかもしてないしSNSも見る専のだし、そんなヒマあったら本読んでるし。

 

だから配信が終わってからものすごい数の通知とかが来ていたらしい。

 

それで80万人。

 

……実感は湧かないなぁ。

 

「多分時間が経てば元通りに」

 

「ならないと思いますよ? 征矢さん……」

「ならないんじゃないの? ハルちゃん」

 

「ならないと思うぞ! なにしろ君の活躍と美貌はるるの配信で、るる自身が君のことを『お姫様みたい』と言ってしまったからな! 例え今後も顔出し声なしでも確実に同接は以前とは桁違いのはずだし私の同類が寄ってたかってファンになろうと押しかけてくるし、話題の配信者だから絶対に君の配信している場所へ同接目当てに同業が押しかけてくる! 間違いない!」

 

「ヘンタイなロリコンさんの言うことですから間違いなさそうですね」

「はうんっ!」

 

あと自然に普通の話し方になってるよ?

僕は別に気にしないけどさ、そういうの。

 

「……ハルちゃん……えみちゃんって一応、私の保護者的な扱いされててね? 慈母の女神とか言われててね? 格好良かったんだ……」

 

「そうなの? これが? 信じられない」

「金髪ロリに『これ』呼ばわりされるのがこれほど……!!」

 

「三日月えみさんと言えば、深谷さんより前から活動されていてトップランカーとしての実力とカリスマ、後輩のお世話での優しさで人気……でしたからね……」

 

しかたなくシャツの上にカーディガン、胸元はボタンで閉じてぽっちが見えないようにぱんつを穿いてズボンも履いた僕のことを食い入るように見てくる三日月えみさんを見つめる。

 

「……こんな人が?」

「ああ、ぷにぷになほっぺの上の蒼い瞳でジト目で罵られる快感!」

 

「……この方が、前回の人気投票で……」

「えみちゃん……私だけは見捨てないからね……」



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12話 やっぱり僕は子供らしい。 6歳の女児なんだって

「検査お疲れさまでした、征矢春海さん」

「ハルで良いですよ」

 

もそもそと着替えた僕は言う。

 

人間ドックとかって服着替えるからめんどくさい。

……そういや会社の健康診断で去年以来なのか、こういうの。

 

女の子になったことで強制的に脱サラしたからすっかり忘れてたな。

 

「……それではハルさん、こちらへ」

「はい、九島さん」

 

あれからしばらくして救急車とパトカーが来たって思ったら僕の部屋の前まで……なんかドアもげてなかった? 気のせい?……たくさん人が来て、テレビとかでよく見るブルーシートで廊下とかの目線を遮られ。

 

どこも悪くないんだけども救急車に乗るって言うレアイベントを経て着いたのはこの病院……人間ドックとか受けるとこ。

 

僕はさくっと調べられた。

 

全身くまなく――もちろん九島さんとかるるさんとかヘンタイさんじゃなくって、ちゃんとしたお医者さんと機械でね。

 

……まあね、ダンジョンの謎の何かで男から女になったからこの1年、ちょっと不安だったし。

 

「詳しい説明しなくても良さそうな人たちが勧めてくるんだからちょうど良いか」って思って、手を引かれて連れられるままでのおっきな病院。

 

ちなみに救急車はって言うと、初めてってことでちょっとテンション上がったけど乗り心地は正直アレだったのと、救急隊員さんたちもどうして良いか分かんない顔してたから空気も微妙だった。

 

で、何時間かかけてめんどくさい検査ばっかり。

 

半分寝てたけどなんか幼女にしか見えないからってほほえましい視線しか来なかった。

 

……どこまでの人に僕が元男だって知らされてるんだろうね。

 

「ハルちゃん!」

「ハルさん!」

 

「るるさんとヘンタ……三日月さん」

 

「公の場ではどうか『えみさん』と呼んで欲しい」

「あ、はい、えみさん」

 

待合室に居たのはるるさんとえみさん。

 

……ヘンタイさんの外面は完璧で、こうして見るとまるで本当にるるさんのお姉さんみたいだ。

 

話し方も堂々とハキハキと、まるでやり手のキャリアウーマン。

 

だけどヘンタイさんだ。

 

「では医師の元に案内しますね」

「お願いします」

 

そうして……なんでかずっと僕の手を握っているのは九島さん。

 

いや、君は僕のこと、元成人男性だって知ってるよね……?

 

僕、はぐれたりなんかしないよ……?

って言うか僕、君より年上なんだけど……?

 

「良いなぁ。 ハルちゃんと手、繋ぎたいなぁ」

「大丈夫よ、るる。 これからはいくらでも機会があるわ」

「……そうだよね!」

 

そうなの?

 

あと、君本当にあのときのヘンタイさん??

君、人格が変わったり双子だったりしない?

 

 

 

 

「征矢春海さん。 去年の健康診断データを提供してもらいましたが」

 

お医者さんは難しい顔をしている。

こういうときって超法規的措置ってので個人情報なんて保護されないんだね。

 

まぁ身を委ねたのは僕だから良いんだけどさ。

 

「残念ながら……」

 

「ハルちゃんどこか悪いんですか!?」

「そんなっ! こんな貴重なロ……大切な人なんです!」

 

僕、君たちとは初対面だよね?

 

「ああいえ、血液検査など後日に結果が出るものを除きまして、今のところ征矢さんの体に悪いところはありませんでした」

 

「……良かったぁ――……」

 

「まぁ丸1年普通に過ごしていましたし。 どこか痛かったりしたらさすがの僕でも協会に連絡しますって」

 

「そうですね、今日のところは健康な肉体と。 しかし……」

 

「……元の僕と完全に別人。 ですよね?」

「……はい。 医学的には、そう結論づけるしか……」

 

まじめそうなお医者さんが頷く。

 

「もう1年ですから。 そうなんだろうなとは思っていました」

 

「DNA鑑定の結果も後日お伝えしますが、恐らく……ご両親とは」

「繋がらなくなりましたね。 この顔、この髪の毛と目の色ですし」

 

前の目立たなかった僕から一転、普通に外に出ちゃうと誰からも見られる今の僕。

 

服屋さんでは「なんでも似合って素敵ですね! 今日はお忍びですか?」とか言われるし、通りすがりのおばあちゃんたちからは「めんこいねぇ」とか言われるし。

 

……だからめんどくさくって、極力通販でしのいでたんだけどなぁ。

 

隠蔽スキルを適度に効かして目立たない女の子っぽい感じで買いに行ったりしたけども、やっぱ疲れるからほぼほぼ通販。

 

現代文明は偉大だね。

 

あと、入居者が少ないアパートであんまり見られなかったから特に通報とかされなかったし。

 

通報されてたら?

 

今ごろはいくつか作ったセーフハウス的な場所か、あるいはダンジョンで寝泊まりしてたね。

 

「征矢さんの肉体は、医学的には6歳前後の少女だと断定されます」

 

「6歳!? 園児さんだ!」

「そこはせめて小学生でお願いします」

 

「6歳だから! ……それは辛いな。 私たちより年上の男性でそれとは……」

 

隠し切れていないヘンタイさん成分はともかく、本当に子供らしい僕。

 

「それで、ハルちゃんはこれからどうなっちゃうんですか!?」

 

「このような件は……国でも初めてのことで、何とも言えません。 ダンジョンのトラップか何かで未知の魔法が発動し、寝ているあいだにその体になったということですから」

 

「やっぱりダンジョンでまたおんなじ場所を見つけて祈らないと」

「戻らない――かもしれません。 断言は、できません」

 

男に戻るこだわりはないけども、生きやすさって点では間違いなく大人の男だからなー。

 

もちろんこの見た目、僕自身の保養にもなるし寿命も10年延びたことになるしで良いんだけどさ。

 

「あ、そうだ。 女の子って言うことは、そのうち……えっと、男とは違う……」

 

「第二次性徴を迎えますと……男性の征矢さんには辛い状況になる可能性もありますね」

 

「そんな! ハルさんが成長してしまっ……もがもが」

「お、女の子として育っちゃうってことですよね! ハルちゃんは男の子でしたから困りましたよね!!」

 

もう隠し切れてないえみさん。

 

君はどうしてそうもヘンタイさんなんだろうね。

そういうのって業って言うんだよね?

 

あと僕、男の子って言うんじゃなくて……せめて青年とかなんとか……。

 

「……その後のことも含めまして、征矢さんはカウンセリングなどのサポートを受ける権利があります。 必要だと思いましたら迷わずご連絡してください」

 

「ありがとうございます。 今のところは平気ですけど、もしそうなったら」

 

そうだよね。

 

女の子って言ったら生理とかだよね。

まぁ6歳って言うんならあと数年は大丈夫ってことかな。

 

……でも、前だったら。

こうなる前だったら。

 

かわいい女の子になってちやほやされたり、男どもを手玉に取ったり、なんかすごいらしい女の子の快感ってのを味わいたいって妄想くらいはした。

 

けどもいざ本当になってみるとそんな勇気は無くって、ちょっと不安。

 

「ハルちゃん、大丈夫!」

「るるさん?」

 

ぎゅっと両手が握られる。

 

るるさんっていつも元気だね。

その隣で鼻息が荒い人は無視しておこ。

 

「私がずっと面倒見るから!」

「え? あ、はい、ありがとうございます?」

 

「わ、私も」

 

「えみちゃんは止めた方が良いんじゃない?」

「然るべき治療を……あ、今日早速カウンセリングを」

 

たこ殴りなヘンタイえみさん。

 

「僕はどうでも良いですけど……えみさんがアイドルできなくなるのは困るので、がんばってください」

 

「私のことをそこまで信頼して……! 分かった! 任せろ!」

 

微妙なニュアンスのすれ違いが起きてる気がするけども、どうでもいいや。

 

僕的にはるるさんの事務所の中でリーダー的な立場らしいえみさんの庇護下なら何かと便利かなって思っただけだし。

 

「あ、そう言えばハルちゃん……征矢さんはダンジョンに潜っても?」

 

「これまで問題が無かったようですから構わないでしょう。 ですが何か異変を感じましたら」

「そうですね、なんか変になりましたら連絡します」

 

1年大丈夫――最初は筋力と体力と背丈の低下で大変だったけども、慣れてからは特に問題も無かったんだし、多分大丈夫。

 

あとなぜか小さくなったのに魔力が増えてるし、コスパ的には今の方が良いし。

 

なんなら法的には成人してるからってお酒呑んでも前の体より強いみたいだし、こっちも怒られなかったから大丈夫。

 

「ああ……強いて挙げるのでしたら。 簡易の血液検査で出ました数値で、肝臓がほんの少しだけ」

 

「ごめんなさい、お酒はほどほどにします」

 

るるさん助けて帰ってきたあと何杯か呑んでたからなぁ。

 

「ハルちゃんお酒呑んでたの!?」

「ハルさん……その体でお酒は……」

 

「甘い香りの中に混じる酒精……錯覚ではなかったな」

「あ、そこまで嗅いでたんですねえみさん」

 

ちょっと怒られたけども「一応現在の法律では征矢さんの飲酒を止めることはできませんが……」って感じだったからオッケーなんだよね。

 

良かったー、お酒呑んで良くって。

 

「あ、ハルちゃんのお酒は私がずっと管理するからね!」

「えっ」

 

「返事は?」

「あ、はい」

 

なんかぐいぐい来るときにはぐいぐい来るるるさん。

 

――さっきもあったこの子の「ずっと」の意味は、この子の見た目によらずにすっごく重いものだった。

 

それを僕が知るのは、ずっとずっと先のこと。



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13話 ここで全部丸投げしたことを後悔する僕

「さて、今後の話ですが」

「はい」

 

一見するとごく普通のまじめなお姉さんなヘンタイさん兼えみさんが口を開く。

 

お仕事モードって感じで話し方も丁寧に。

どっちが本物の三日月えみさんなんだろうね。

 

「まず最初に……ハルちゃんのSNSアカウントを作ってください」

 

「え、やです。 めんどくさいです」

「いえ、今どきは作るのが当たり前で」

「そういうのがめんどくさくて隠れてたんです」

 

「ハルちゃんって変わってるよねぇ。 男の子のときならともかく、そんなにかわいい女の子になったら『かわいいかわいい』ってちやほやされたくない?」

 

「え、だって僕、男ですし。 男からちやほやされてもちょっと……」

 

「あ、なるほど。 女の子の視聴者さんって大体は格好いい男の人のところに行くもんねぇ……ハルちゃんくらいちっちゃくてかわいいなら女の子も観るだろうけど」

 

「わざわざ配信で見たい相手って知り合いでもなければ異性ですし……女の人でもなんかヘンタイさんが集まってきそうですし」

 

「ぐっ」

「あ、ごめんなさい。 別にえみさんのことじゃないです」

 

なんか流れ弾が当たったらしいヘンタイさん、もといえみさん。

でもなんか嬉しそうだからいっか。

 

「……こほん。 でしたら言ってもらえたらうちの事務所が代行」

「してください、ものすごくめんどくさいので」

 

もともと僕は説明とかがめんどくさいから隠れてたんだ。

 

隠れる必要がなくなったし、なんか恩着せてるし、ならいっそのこと全部任せちゃえ。

 

めんどくさいし、そんなことしてる暇があったら本読みたいし。

 

「配信の設定とかもお願いします。 3年4年くらい前に初めて配信したときからほとんど何も触ってないので」

 

「……確かにアイコンどころか概要欄もタグも一切……」

 

「めんどくさかったので」

「ハルちゃん……もうちょっとがんばろ……?」

「……配信をしていない私でもそれくらいは……」

 

救護班さん……九島さんがびっくりした目で見てきていて、三日月さん……えみさんが困った顔で見て来ている。

 

だってしょうがないじゃん、僕の配信って本当に趣味だったんだし。

 

「でも分かるよハルちゃん、その気持ち……!」

「分かる? るるさん」

 

「うん……! 毎回考えなきゃいけないのってとっても面倒なんだよね! あと『るるちゃん』ね?」

 

一方で手をぎゅっと握ってきた深谷さん……るるさんは僕の気持ちが分かるって。

 

この子に対する僕の好感度は急上昇中。

 

「……それに、ハルさんを表に出してしまったのは、るるのせいですから。 私たちにできることは何でもします」

「じゃあ後でパスワードとか全部送りますから、なんか良い感じにやっといてください」

 

専門の人たちに「良い感じ」にしてもらえばなんとかなるでしょ。

 

なんか膨れ上がった登録者も大半はるるさん目当て、そのうち減って元に戻るだろうしさ。

 

ああいや、でも幼女疑惑っていう事実が残り続ける限りはこのヘンタイさん以外のヘンタイさんが残るのかな?

 

「私、あまり詳しくありませんけど……それってもう事務所所属って感じなんじゃ……?」

 

「まぁ、一時的にでもハルさんへの勧誘を遮断する目的でそう見せかけますので、間違いではありません。 騒動が収まった後はハルさんの意志次第ですが……」

 

門外漢な感じの九島さんだけど、彼女でさえ僕よりこの業界について詳しそう。

 

「任せて! ハルちゃんの配信は私がプロデュースするからね!」

 

「え? あ、うん、お願いします、るるさん」

「お願いされたよ! あと『るるちゃん』ね!」

 

るるさんの顔が近いからぷいっと適当なところへ目を移す。

 

「あ、照れてるー! かわいー♥」

 

違うよ。

僕は人と顔を近づけるのが前から苦手なだけなんだ。

 

……そう言えば君、いつの間にかすっかり砕けてるね……いや、僕は気にしないし良いけどさ……。

 

「次に、ハルさんのご自宅……あのアパートですが」

 

「ドア直しておいてくださいね。 高いので」

「あ、はい、それはもちろん」

 

腕の力だけで剥ぎ取ったらしいマッチョなヘンタイさんが言う。

マッチョなヘンタイさんってやばいよね。

 

「……それに加えて、当分は事務所の方で用意する部屋に引っ越していただきたく。 あのダンジョンのある町からも数ヶ月は離れた方が無難との判断だそうです」

 

「高レベルの方と言っても、ハルさんは6歳の体ですし……女性は警戒してもし過ぎることはありませんから」

 

「そうなんですか? 九島さん」

「ええ。 ダンジョンの警備隊への通報も何割かは女性に対する男性からのものですので」

 

あー、女の子ってだけでめんどくさいのか。

やっぱ早く男に戻りたいなぁ。

 

「あ、さっきのですけど引っ越しもやってくれるなら良いですよ」

 

「もちろんです」

「じゃあお願いします」

 

僕は別にあのアパートが気に入っていたわけじゃない。

ただ田舎だから安くって広くって、ただそれだけ。

 

男だったときは自転車でちょっと走ればなんとかなったし、この体になってこそこそするものの移動は足でもそんなに遅くはない。

 

やっぱりダンジョンで鍛えられるレベルって大切。

そうじゃなかったら僕はただの幼女で、駅まで1時間とか掛かるだろうし。

 

「うん……ハルちゃんの正体知りたい人たちがね、いっぱいうろうろしてたの。 私たちもその人たちに見つからないようにこそこそしてたから」

 

「ああ、配信で僕の髪の毛とかがバレたんでしたっけ」

 

「ついでに言えば……こんな感じです」

「どれどれ」

 

さっきからスマホをいじいじしていた九島さんが画面を見せてくる。

 

そこには金髪ロングでローブを被ったキャラ。

 

「?」

 

「それがハルさんだそうです」

「えっ」

 

どっかのソシャゲのキャラ実装って感じでいろんな人が描いているらしい。

 

それに対する盛り上がりとかすごい。

 

え?

 

これ、僕?

 

なんか意外と似てるんだけど……え、怖。

 

「トレンド入りしちゃって、みんな悪ノリしてたみたいだね!」

 

「ええ……人の姿を勝手に……?」

 

「お嫌でしたらハルさんのアカウントを作った際に削除申請とか」

「ああいや、別にそこまでじゃないです。 そもそも僕、戻れば男ですし」

 

「……こういうの、配信する女性は特に多いみたいですね……」

 

「有名税と思うしかないんです、こればかりは。 実際に有名なほど描かれて認知の機会も増えますから……」

 

「えみちゃん、おっぱいおっきいから良く描かれるよね! えっちなの!」

「るるだって……いえ、ごめんなさい」

 

「何で謝るの!?」

「だって、あなたのファンアートって大体いつもの不幸な場面だし……」

 

なるほどね。

女の子ってだけで人気も出るけども、逆にこういうことも多いと。

 

確かにえみさんはでかいし、るるさんは小さいっていうか絶壁で……うん、あの不幸っぷりだもんね……。

 

まぁ僕は男だからどうでも良いけどさ。

 

「ハルちゃんって顔出しも立ち絵とかもなかったし、みんな妄想楽しんでるね!」

「いわゆるファンアートですね。 どれもかわいいです」

 

嬉しそうに九島さんがスクロールする。

 

この中ではトップに常識人な九島さんでも、描かれるってこと自体はごく普通に受け入れてるらしい。

 

……僕ももうちょっとネットとかやろっかな……知らなかったし、こういうの。

 

「……あの。 なんかセンシティブな僕がいません?」

「ま、まあ、女性と来たらそう描かれるのが私たちですから……」

 

「僕、男なんですけど」

「ごめんね……私が配信でお姫様とか言っちゃって……」

 

よく見たらどのイラストもなんか王冠みたいなの被ってるし。

 

「跪け!」とか「下僕」とか鞭とかが添えてあるイラストも数知れず。

 

「王冠って……ヘルメットの上のカメラのことでしょうか」

「ハルちゃんお手製のだね! あの部屋にあったやつ!」

 

がんばったから随分な高レベルだし、ダンジョンでは基本的にケガはしない僕。

 

だから頭の上には一応で蒸れないように加工した帽子、そこにカメラを取り付けてあるだけなんだけどなぁ。

 

「るるが配信でそう言ったんですよ」

 

「るるさん?」

「ごめんなさい」

「別にいいけど……アイドルさんも大変なんですね。 こうやってあふんなイラスト描かれて」

 

一緒に流れて来てた、るるさんが盛られた感じのイラストを見る。

 

「すっごく恥ずかしいから自分のは見ないようにしてるんだけどねぇ……でも綺麗だったりかわいいのはサムネに使わせてもらいたいし……」

 

「人気の代償ですね。 目に余るものでなければもうなんとも思いません。 配信の映像を加工したものなら怒りますが」

 

女の子って大変だね……勝手に薄着にされていろいろさせられて。

 

「……ハルさん、大丈夫ですか?」

「? 何がですか九島さん」

 

「何がって……ハルさんは、もともと男の人なんでしょう……? その、だから女の子としてそういう絵とかやっぱり……」

 

「……ああ」

 

そういうこと。

 

九島さんは救護班さんってこともあって、至極常識的な人らしい。

 

困ったらこの人に頼ろう。

るるさんはそういうのじゃないし、えみさんはヘンタイさんだし。

 

「平気です。 僕も男でしたから男の気持ちは分かるんです」

 

「じゃあハルちゃんが男の子だったときに私たち見てたらそういうのも見た!?」

 

「なんでそうなるの、るるさん」

「『るるちゃん』! それより答えて!」

 

なんか真っ赤になってるるるさん……良く分かんないけど何かが年頃の彼女の心に直撃したんだろう。

 

見てみるとえみさんもちょっと赤くなってるし。

 

「……私も、気になりますね……」

「ヘンタイさんなのに?」

「あふんっ!」

 

「三日月さーん、それ治さないと絶対いつか配信でやらかしますよ――……」

 

まだ病院だからか控えめなヘンタイさんと、両手にきゅっと糸状の何かを持っている九島さん。

 

……見なかったことにしよ。

 

「それでハルちゃん、どうなの!?」

「どうって……別に?」

「女の子としての魅力ゼロ!?」

「え、いや、そういうわけじゃないけど」

 

「じゃあやっぱり見るの!?」

「なんでそうなるの……見ないよ……」

「私が魅力的じゃないから? おっぱいないから!?」

「いや、僕、そんなに気にしない方で……」

 

それからお会計が終わってお迎えが来るまで、ひたすら見る見ないでめんどくさかったるるさん。

 

女の子ってめんどくさいね。

 

あ、ちなみにお金とか全部事務所さんが出すんだって。

なら仕方ない、女の子のめんどくささもホストしてるって思えばいいや。

 

今は女の子だけどね、僕も。

 



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14話 高層階のスイートルームに軟禁される幼女(僕)

「へー、良いですねここ」

「機密を絶対的に管理するにはこういうところが最適ですから」

 

「わー、すごーい。 ここ何十階なんだっけ」

「い……一泊何十万……私でも腰が引ける金額……」

 

病院で「特に悪いところはないですね。 お酒に気をつけるくらいでしょうか」って感じのやり取りの後、僕は三日月さんに連れられるままにでっかいホテルに来た。

 

「ハルさんへの弁償とは別に迷惑代で事務所から出しますのでお気にせず……とマネージャーから言付かっています。 目処がつくまではこちらで、と。 最大で1ヶ月程度でしょうか」

 

「1ヶ月……長くないですか?」

 

「それだけハルちゃんが人気なんだよ!」

「それだけるるが人を引っ張って来てしまったということだな」

「あぅ」

 

つまり遠慮なく甘えて、冷蔵庫の中のも好き勝手呑んでいいってことだよね。

 

「……………………………………」

 

……なんかるるさんの目が光った気がするからほどほどにしよ。

 

「ハルさん……ごめんなさい、征矢さんの」

 

「ハルで良いですよ、九島さん。 というより、外で間違って僕のこと征矢って呼んじゃったら前の身分がバレますし」

 

「……そうでした」

 

暫定的な扱いとして、僕は「ハル」っていう名前で、元の「征矢春海」とは別の人間として登録されたらしい。

 

戸籍とかはそのまんまだけど、仮の身分として。

 

名字とかどうするんだろ……いいや、必要になったらなんかしてくれるでしょ。

 

僕のこの体とかダンジョンでの願いの泉みたいなのとかは置いといて、事務所さんにお任せすれば社会的なあれこれをしてくれる。

 

幼女歴が長くなって戻らなさそうってなれば、新しい人間として生きるか男として生きてきた経歴を引き継ぐか選べるんだってさ。

 

そのへんは……そのうち家に帰って1回話さないとね。

 

さすがに大人が一緒に来て話してくれたら母さんたちも信じてくれるでしょ。

 

いくらなんでもこんな幼女だけじゃなくって、ちゃんとした大人が一緒ならね。

 

でも、この好待遇。

 

僕の脳みそだけは幼女じゃないから分かる……多分これから、前の――男だった僕についてダンジョン協会……国の調査が始まるんだろうって。

 

それで僕が逃げ出したりしないようにって理由で九島さんとかが信じたことにして、その間に本当かどうか確かめたりするんだろう。

 

だからこそ女の子たちだけって組み合わせでアパートに来て、これだけ疑わずに接してくれているんだ。

 

だっておかしいでしょ?

男が幼女だよ?

 

普通なら信じない……って思う。

 

少なくとも僕ならこっそり通報するもん。

「なんか変な女の子がいる」って。

 

僕の考えすぎかもしれないけども、この子たちはともかく上の方はそういう考えだろうとは思う。

 

まぁいいや、こういうめんどくさいことは頭良い人にぽいで。

 

そういう裏のことはともかく、それ以外でもめんどくさいことは基本的に三日月さんと深谷さん……えみさんとるるさんの事務所に丸投げできるらしいし、僕はただここでのんびりしてたら良いだけ。

 

僕がるるさんのあれこれに巻き込まれたからと言っても、魔力が少なくて効率悪くなるの以外は使ったあの弾以外に損はなかったんだし、別のアパートへのお引っ越しくらいで手を打つくらいでいいもんね、ほんとうは。

 

だって配信だってアカウント作り直せば……ちょっとさみしいけども、多分これまで通りにやっていけるんだし。

 

あー、でも戦闘スタイルバレてるからなー。

 

とりあえずはこのスイートルーム的な場所で毎日冷蔵庫から良いのを取り出してちびちび……あれ?

 

これってもしかして理想の生活?

 

「ひとまず、不便だろうと思いますが」

「みなさんも良いですよ、普通に話してもらって」

 

「う、うむ……そうか。 では」

「わ、私は救護班ですからこのままで……」

 

えみさんはヘンタイさんってイメージが強すぎるから普通に話してほしいところ。

 

九島さんは救護班さんだから何なのかは分からないけども、きっと医療従事者としてのポリシー的なのがあるんだろうし、なんとなくまじめって雰囲気に合ってるからいいや。

 

というか君、どこまで着いてくるの……?

 

るるさんとえみさんはまだ分かる。

僕が巻き込まれた関係者だもん。

 

でも九島さんは……いや、貴重な突っ込みと常識要因だから良いけどさ。

 

「……不便だとは思うが、ハルさん」

「ハルでいいですよ。 今は僕が年下ですし」

 

あ、まじめモードになると「ハルたん」とか言わないんだね。

 

「……ハルはこの部屋で来週まで過ごしてほしい。 食事や買い物はルームサービスで手配するか、私たちに連絡してほしいとのことだ」

 

「つまりは軟禁ですか?」

 

「……言い方は悪いが、その通りになるか。 なにしろるるのせいで、今のハルは有名人どころではないからな」

 

まぁね、僕の住んでたアパート付近ならまだしも、この姿でこんな都会に来てそのへんぶらぶらしてたらめんどくさいことになるよね。

 

隠密使えば平気なんだけどね。

得してるから言わないけども。

 

「大丈夫! 私がハルちゃんと一緒に暮らすから!」

 

「?」

 

なんかるるさんが変になってる。

 

「お、おいるる、それは」

 

「だってハルちゃん、不安でしょ? 女の子になっちゃっ……たのはずっと前だけど、でも急に家から出されて病院行って。 それでこんな高いところでひとりで居ろって!」

 

「大丈夫だからね!」とか言いながら僕の手を握るるるさん。

 

いや、別に僕は大丈夫なんだけど。

 

「しかしハルさ……んは、元は男性だぞ?」

「でも今は女の子。 検査の結果でも正式に出たよね?」

 

「え、ええ、そうですね。 トランスジェンダーということで登録はしましたが、肉体的な性別は女性という枠組みです」

 

あー、今ってそんな便利な言葉あるんだっけ。

 

これでみんなも男から女になったり逆でも楽だね。

……まぁ大変なんだけどさ、最初は。

 

「同性の小さな女の子の付き添いだもん、マネージャーちゃんもOKって言ってくれる!」

「い、いや、でも、万が一が」

 

「――あんな変態なえみちゃんとは比べられないくらいに安全だって思うよ?」

 

「ぬぐう!」

 

あ、えみさんがものすごいダメージ受けてる。

 

というか結構えぐいことするね君……。

 

「……一応私も、メンタルケアや不測の事態に備えて隣の部屋に滞在するので……」

 

「え、九島さんが?」

 

「はい。 私、征矢……ハルさんの担当ということに、しばらくなったみたいなので。 ……今後に『願いの泉』でハルさんのようになる人のメンタルケアや経過観察に役立てるという意味もありますので、お気になさらず」

 

そんなこと聞いたっけ?

 

聞いた気がする。

待合室でヒマだからタブレットで本読んでたときに、うわの空で。

 

まぁダンジョンの中……の何かで男が女になるって、しかも別人ってのはさりげなくないくらいの大事件だししょうがないのかな。

 

ごめんね?

普段のお仕事邪魔しちゃって。

 

でも多分ダンジョン潜るよりここの方がずっと楽だから勘弁してね。

 

「じゃあ私も九島ちゃんとこに泊まる! それなら良いでしょ!」

「え? ええ、私は別に……」

「……それなら文句は言えないか」

 

いや、君たち僕の気持ちは?

ひとりで静かにしてたいっていう僕の気持ちは?

 

……ナチュラルになさそう……女の子って意識あるあいだは話してる生きものだし……。

 

「あの、僕は」

 

「それはるるの親御さんが許可を出したらだ」

 

「ひとりで」

「うちならすぐにOK出るから問題ないね! じゃあ荷物取ってこよーっと」

 

「だいじょう」

「で、では私も……ハルさんを案内しましたので、1回帰ります。 夕方にまた来ますから、それまではお部屋でお願いしますね」

 

「ぶ……」

「ぶってくれるのか!?」

「え、いや、そういうのはちょっと」

「む、そうか……残念だ……」

 

僕は昔から自己主張が苦手だ。

 

「クラスのみんなで話し合ってください」とかになると、誰か仲の良い友達と話してるあいだに全部決まってて、当の友達の当番とかはしたいのをいつの間にかに先生に言っていて、「征矢くんは決めてないから……これでいいかしら」とか余ったのになるし。

 

「………………………………」

 

集団生活を強制される学生のあいだにあった、悲しい出来事。

 

それらを浮かべているうちに、女の子たちは自然に挨拶をして出て行っていた。

 

「………………………………」

 

こんな幼女になってさえ、僕ってものは変わってないらしい。

 

いや、むしろ小さくなったから余計に……。

 

「……イヤ?」

 

るるさんが急にしおらしくなって、かがみ込んで来つつ上目遣いするって言う「ああこれが女の子としての技なんだなぁ」って感心するあざとさを見せてくる。

 

なんだ、聞こえてたんじゃん。

 

「……同じ部屋じゃなければいいよ」

「やった!」

 

「あと来ても、僕、本読んでるくらいだから」

「大丈夫!」

 

良いよって言っちゃった。

あと何が大丈夫なんだろ。

 

よく分かんないけども、こんなあざとさを見せられちゃったら……年下の女の子には敵わないよね。

 

だって男だもん。

 

男って損だね。

女の子ってお得だね。

 

「……深谷さんはこちらで抑えますから」

「お願いします」

 

こういうときに冷静な子っていいよね。

 

ぜひ隣の部屋で女の子同士おしゃべりでもして疲れさせておいてほしい所存だ。



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15話 せっかくだから初心者気分で初見ソロ攻略行ってみよう

僕がお高いホテルに連れて来られてから2日。

 

なんとかしてるるさんたちが――特にるるさんが僕の部屋に泊まるのを阻止はしたものの、朝昼晩と九島さんを連れて来て一緒に食べるし、その後はだらだらと部屋に居るしで実質的に泊まってるみたいなもの。

 

救護班さんな九島さんも最初は困ってたけども、悲しいことに僕から男らしい成分が何も出てないのを理解してか、今じゃすっかり普通に話しかけて来る間柄。

 

うん……今の僕じゃ男成分、かけらもないもんね……。

 

あと驚愕なことに、あのえみさんはあんまり来ない。

 

びっくりした。

だって身構えてたから拍子抜けで。

 

なんでも事務所の方でのお仕事が忙しいらしいね。

どうやらそのへんはネットで調べた彼女の評判通り。

 

聞く限りにはるるさんと僕のことでいろいろしてるらしいから感謝しとこ。

 

多分ヘンタイさんだから僕から隔離するって意味合いもあるんだろうし、きっと幼女成分に餓えてるはず。

 

次会ったときには僕から抱きついてあげようかな。

 

僕は健康的な体つきのJKなえみさんのお腹に抱きつけて幸せ、えみさんも幼女に抱きつかれて幸せ。

 

Win-Winってやつだね。

 

ヘンタイさんだからと言っても、いくらなんでもこんな幼女にわいせつ行為……しそうだからほどほどにね。

 

ヘンタイさんにはごほうびあげすぎると大変なことになるって知ってるから、本当にほどほどに。

 

勢い余って女の子にいたずらされるのは男としては大歓迎だけども……あの子、なんか怖いし。

 

表面的には立派なお母さんとかお姉さんキャラしてるらしいんだ、そんな子を犯罪者にするわけにはいかないもん。

 

届かないなら届かないって分かってる方が諦めもつくし、見てるだけで満足できるもの。

 

そこで距離感間違えちゃうと歯止めきかなくなりそうだしさ。

ほら、あの子も高校生だし、まだまだ先は長いし。

 

「………………………………」

 

今日はるるさんが忙しいとかで景色の良いホテルのでっかいベッドの上は広くて静か。

 

僕はいつも通りに本を読んでるだけ。

 

……だけど。

 

「あきた」

 

僕は別に引きこもりじゃない。

普段から朝晩は軽く散歩くらいするし買い物もしてた。

 

ダンジョン潜らない日に近くの公園とか駅前とかを、隠密の練習がてらに歩き回るくらいはしてた。

 

だから、さすがに軟禁3日目ともなると体がうずく。

 

みんなに言えば近くくらいは出られるだろうけども、そうじゃない。

僕はひとりでのんびりうろうろしたいんだ。

 

部屋だって広いと言っても基本的に廊下に出られないんだもん。

そりゃ事情は分かってるけどヒマなものはヒマ、うずうずするものはうずうずする。

 

どうしよっかなぁ……。

 

部屋に敷かれてる分厚いじゅうたんにぽすっと飛び降りて、はだしのぞわぞわする感覚を楽しみながら全身鏡の前へ。

 

いつも通りにただ下ろしただけの――るるさんたちが来る日は毎回髪型変えられて今日は両端がぴょこんってなってるけども――長い金髪と、そこから覗く蒼い瞳。

 

この髪型、何て言うのか忘れちゃった。

まぁ男だからどうでもいっか。

 

眠くはないんだけどもまぶたが眠そうになる目。

ぷにっとしてるほっぺたに白い肌、小さな体。

 

新しく買い与えられた服――白いワンピース。

 

「どうしても嫌なら女の子の服は返してくるよ?」って泣きそうな顔でるるさんが言うもんだからさ……なんとなく断れずに着ちゃって喜ばれちゃったから3日連続で似たのを着ている。

 

自己主張できないなぁ……あの子たちが年下の子ってことで、大抵のことはまぁ良いかって甘やかしてるのもあるんだけども。

 

「悪くは、ないけど」

 

鏡の前でくるんと1回転。

 

ふぁさっとスカートがなびいてふとももがちらちら、ふとももをすべすべ撫でるスカートの裾。

 

ちょっとどきどきする。

 

このどきどきは……うん、まだ男としてのどきどきだ。

女装してる感覚、罪悪感と興奮が含まれてる感じの。

 

だから僕は、まだ男のままで、きっと男に戻れる。

 

――こういうのをときどき確認するために女物も持ってたんだよね、アパートに。

 

あとはシャツ1枚だったりすっぱだかだったり。

幼女だから性的興奮は脳内でもないけども、目の保養にはなるんだ。

 

やっぱり女の子ってだけでどきどきするもん。

これで生えてたら――いや、どきどきするな。

 

なんで?

 

顔か。

やっぱり人は顔なんだ。

 

この幼い顔がまた庇護欲をそそる感じで、成長すれば僕好みの――。

 

「………………………………」

 

やばい思考回路になりかけたのを封印。

 

ごそごそ。

 

るるさんとえみさんが……いくらしたんだろ、「経費で落ちるって素敵」とか言ってたから10万とか言ってそう、いや、もっとかな……買ってきた大量の服の中からつばの広い帽子、あとは蒼いサンダル。

 

ついででおしゃれだけどあんまりものが入らなさそうなリュック……これをリュックって言っていいかは分からないけども。

 

とてとてと引き返した僕はリュックの中へ、アパートから持って来た携行用の荷物を厳選して詰める。

 

そして――スマートウォッチな見た目の緊急脱出装置。

あと返してもらったカードキー。

 

スマホも持ったから買い物もできるし、小さい武器も持ったから弱いのなら追い払える。

 

「よし」

 

じゃ。

 

いい加減ヒマになったし、今日はみんな離れたところにいるらしいし。

 

そもそも僕、はっきりと「絶対にここから出ちゃダメだから!」って言われてない。

 

だから、気晴らしにちょっと潜っても良いよね?

大丈夫、普段とは違うとこってことで趣向変えるから。

 

一般人に襲われても返り討ちできるのが高レベルってやつだし、町中でも緊急脱出装置は作動――するかは忘れたけども、通報ベルくらいは鳴るはず。

 

そこまで行ったらこの見た目だ、周りの人が助けてくれるし大丈夫でしょ。

 

顔もばれてないし、平気平気。

 

 

 

 

「こそこそ」

 

僕の隠密スキルはかなりのものだ。

 

だって僕は遠距離専門。

 

モンスターとか怖いのに近づくのもやだし、レベル相応なら死なないとは言ってもケガすれば痛いものは痛い。

 

だからとにかくに遠距離での攻撃手段と気が付かれないスキルを磨いてはや4年。

 

前の体で3年、この体で1年。

 

石の上にも何とかって言うし、これくらい続けてると僕のことながらなかなかのものだって実感する。

 

「………………………………」

 

だから、部屋から廊下へのドアを開けて真横に居る警備の人――多分るるさんたちの事務所からの派遣さん――にも、ドアが開いたことすら気が付かせない。

 

隠密って言うのはそういうこと。

 

これはもう感覚なんだけども、モンスターを含めた生物は五感の情報と意識で周囲の情報を把握する。

 

だから僕が空気みたいになれば、自然の作用で動いたように感じられたら反応もしてこないんだ。

 

ぱちっと目が合う。

 

――合ったけども、ムキムキスーツなその人は2、3秒で何もなかったように前を向く。

 

ほら、何もなくてもふとどこかを見ちゃうことってあるよね?

あんな感じになっているんだ、今のこの人。

 

ちなみに犬とか猫にはばっちり見られるから注意。

あいつらは僕の隠蔽なんて軽く突破する高レベルなんだ。

 

「じゃ、行ってきます」

 

僕はつばの広い帽子、ワンピースに小さいリュック、それにサンダルって言うお出かけモードでホテルを抜け出した。

 

 

 

 

「………………………………」

 

隠密スキルは町中でも完璧。

 

けどもダンジョンとは違って完全に気配が消えちゃうとぶつかられちゃうから「そこに人がいるなー」程度の気配感。

 

おかげでこんな姿で歩いても誰も気にしないもん。

人目があんまり好きじゃない僕にとっては快適だ。

 

今のところ僕にスマホ向ける人も居ないみたいだし大丈夫っぽい。

 

けども普通の人の中でも勘の良い人はいる。

 

ダンジョン内でモンスターを倒すと上がるスキルの中で「探知」とか「発見」とかそういう系統のを、生まれつきとかで持っている人もそれなりにいるらしいんだ。

 

多分そういう人が幽霊とか見るんだろうね。

 

……って言うことは幽霊っぽい何かは本当に存在するってことになっちゃうんだけども怖いから考えるの止めとこ。

 

ダンジョン内のゴースト系ならともかく、いわゆる幽霊って怖いし。

 

モンスターなら倒せるけども幽霊さんたちはどうか分かんないし。

 

さてさて、今日潜ろうとしてるのは検索して近場、かつ初心者用のレベルの低いダンジョン、それでいて階層が深いとこ。

 

さすがは都会、人が多いから近くのダンジョンが一覧になってて素敵。

名前が似てるところが多いのもまた都会らしい。

 

今の僕は町中を歩く格好。

ワンピにサンダルと、本当に近所を歩く格好。

 

強いて言えば帽子の上にくっつけたカメラだけども、今どき町中で配信してる人なんてそんなに珍しくない。

 

せっかく滅多に来ないとこに来たんだし、ずっと同じことばっかりしてたしでそろそろ新しい何かしてみたいって思ってたし、ちょうど良い機会だ。

 

だから今日はダンジョン素潜り。

 

ダンジョン内でドロップするものとか落ちてるので切り抜ける、クリアまでのRTAとかで盛り上がるジャンルだ。

 

生配信で事故も多いってのが人気の要素らしい。

 

もっとも僕は隠蔽&遠距離特化だし、なによりこの体だしで無茶もできないし、まだ魔力も割と底だってことでいつも通りに慎重に遊ぶだけだけども。

 

今日のとこは初心者用だけあって実入りは少ない。

 

けどもどんだけ少ないと言っても数をこなせば半日で数万円は余裕だし……ダンジョン潜って1回の換金で数百万とか数千万とか、気が付いたらおかしくなってる金銭感覚直すためにもたまにはこういうことしないとね。

 

けど初心者用ダンジョンかぁ……なんか初心に返った気分。

 

最初は普通に突撃して痛い目見て普通な戦果しか挙げられなかったなぁ。

 

今はどうしてこうなっちゃってるんだろうね?

 

「……よしっ」

 

僕たちの生命線な緊急脱出装置の動作確認も完了。

いつもみたいな装備はないけども逆に気合は充分。

 

配信カメラも問題なし。

 

「あ」

 

そうだ、せっかくひとりぼっちを楽しむのにるるさんたちに見つかっちゃうか、配信なんかしたら……いや。

 

確か、最初の頃に作ったサブ垢があったよね……あった。

 

僕は桁がたくさんになりすぎてて、なんかヘッダーとかアイコンとかがかわいくなっちゃってる僕のアカウントを見つつ、もう1個の方に設定し直した。

 

……たくさんの人に見られるのはやっぱ苦手。

 

だけど、いつもの人たちが見つけてくれるんならそれで良いよね。

 

なんか「始原」とか格好いい名前にされてた人たちと「初見」って人――登録者の最初の人だけに通知をオン。

 

何年も使ってないアカウントからの通知で来てくれるなら良し、そうじゃないならそれでも良し。

 

じゃ、はじめてのぼうけん的な配信、やっちゃおっか。



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16話 「はじめてのだんじょんはいしん(限定公開)」

普段通りのことするとなんか落ち着くよね。

 

ダンジョンの1階層に入って来た僕は、ごく自然に頭の上に手を手を伸ばしてカメラの向きを確認。

 

「と言うことで持ち込みほぼ無しでのアタックです」

 

声の大きさとか大丈夫かな?

 

……配信歴何年なのに初心者みたい。

 

ま、まぁ、声出しとか初めてだし?

 

今の僕幼女だし?

 

【見知らぬアカウントからの通知がいきなり飛んできたと思ったらハルちゃんで草】

【いつもの時間だって思ってなんとなく開いてた俺とハルちゃんが通じ合った……?】

 

【いや、いつもだからだろ】

【自然に幼女ヴォイスが聞ける幸せ】

【まだ……まだショタの可能性は……!】

【初見まで招待されてて草】

 

「一応あの騒ぎの前までのみなさんと言うことで。 あんなに膨れ上がった人たちの分なんて僕、捌けませんし」

 

【僕っ子!!!!!!!!!!】

【初見の喜びようがすげぇ】

【僕っ子ロリ……良いね】

 

【一瞬で濃いキャラ付けな俺たちのハルちゃん】

【思ってたより落ち着いた話し方だ】

【文字コメントオンリーのときと案外似た印象】

 

ちょっとだけとは言え、今の僕の声はるるさんのときのでバレてるらしい。

 

……それに男のときから「コメントにいちいち打って返すのめんどいなー」って思ってたし、もう子供バレしてるし。

 

あとここにいるのは今までの人たちプラス1人だし、お披露目にはちょうど良いかなって思ったんだ。

 

僕の配信見続けてた奇特な人たちだし非公開だし、大丈夫でしょ。

人の見た目なんて、声だけじゃ案外分からないものだし。

 

あと僕のこと男の子だって思ってる人も居るし、ここは「女の子だって思いたいけど声変わりする前の歳だから男の子かも」って可能性残しとくことで正体隠しとこ。

 

あ、髪の毛……も、今は多様性の時代だ、髪の毛伸ばしてる系男子だって小学生でもいるはず。

 

変装のためにかつら……ウィッグって言うんだっけ、被ってるとも言えるし。

 

まぁバレないときはどんだけずぼらでも何年でもバレないし、バレるときはどんだけ気をつけていても一瞬でバレる。

 

世の中そういうもの。

 

るるさんみたいに、あり得ない確率の不幸踏み抜く存在もいるんだからね。

 

……すごい説得力。

 

「いつもの通りなのでつまらない配信だとは思いますが……ヒマなので潜ります」

 

【草】

【ハルちゃんハルちゃん、るるちゃんとかのって聞いてもいいやつ?】

 

「あ、そうですね。 別に言うなとは言われてない気がします」

 

多分。

 

【いつものアカウントの方じゃ、るるちゃんっぽいタイトルだったけど】

 

「多分るるさんが設定したんだって思います」

 

【まさかハルちゃん、個人勢から事務所に拾い上げ!?】

【もしそうならすごいよな】

【トップランカー揃いで上位10入りだろ? あの事務所って】

 

「え、そんなにすごかったんですかあの人たち」

 

【ハルちゃん、やっぱりぜんぜん知らなかった……】

【まぁハルちゃんだし】

【ネットろくに見てないって去年辺り言ってたもんねぇ……】

 

「そうですね。 スマホとかも1日10分くらいかな」

 

【ハルちゃん、厳しいお家なのかな】

【厳しいお家なのにこんなに毎日潜れないだろ】

【と言うか稼ぎ的にハルちゃんが家長とかなんじゃ?】

 

【でも幼女だろ?】

【ショタです!!】

【詮索は良い、ハルちゃんはハルちゃんなんだ】

 

え、去年とか……結構前に言ってたこと覚えてた人いるんだけど、記憶力すごいね……僕なんか今日言われたことも忘れてるよ。

 

まぁ僕の配信をわざわざ追いかける人たちだし。

僕と同じくらいの変わり者なんだろうね。

 

「ダンジョン入ったらあんまり話せないですけど、返事なくても気にしないでください」

 

【りょ】

【つまりはいつもの無言配信だな】

 

ダンジョンの入り口から少し。

 

やっぱり都会でも平日の午前って言うのは人気がないらしいからってことで軽く視聴者さんたちにご挨拶。

 

じゃ、行ってみよう。

 

 

 

 

【けど珍しいねハルちゃん、普段はレベル……50とか60のダンジョンなのに】

【いつも敵がろくに映らないから緊迫感ないけどな】

 

【ハルちゃんのレベルとスキルで今さら初心者用ダンジョンって言うのも不思議だけど、確かに新鮮な感じ】

 

【はじめてのぼうけん……】

【閃いた】

【通報した】

 

【あの、私この前のが初めてだったんですけど、ハルきゅんっていつもそんな高難易度のところにソロなんですか?】

 

【そうだな、いつも結構高いところ行ってるよな】

 

【やってることは壁沿いを静かに進んで岩陰とかに隠れてじっと待ってのヘッドショットだけどな】

【後衛職なら装備と技量次第でレベルもあんまり関係ないから……ソロだけど】

 

【普段の戦闘スタイルも、遠距離からか忍び寄ってモンスターのコア撃ち抜いてのクリティカルショットなんだけど、あの配信でみんなヘッドショットって言うようになっちゃった】

 

【俺たちのハルちゃんが……メジャーデビュー……】

【ファンとしては喜ぶべき何だろうけど複雑】

 

【こっそり応援していた子が急ににわかに取られるこの気持ち】

【分かる】

【分かる】

【このアングラ感が良かったんだよ】

 

【それを分かってか分からないでか、俺たちにいつも通りを見せてくれるハルちゃんマジ天使】

 

【ハルちゃんだから天然だろ。 この辺のコメントも見ないのも含めて】

【草】

 

初心者用……ちゃんとした武器と防具と道具、モンスターへの知識と戦い方さえ用意したなら、一般人、子供でも5階層くらいまでは進めるレベルのとこ。

 

本当にモンスターもレベル1とかね。

だからこそほぼ手ぶらで来るにはちょうど良い。

 

……正直今の僕ならレベル……30くらいまでこれでも行けるとは思うけどさ……ほら、るるさんのあれ見たら……ちょっと怖いじゃん?

 

罠を連続で踏み抜くとか……アレだけのはないにしても2連続くらいは無いとは言えないもんね。

 

らなみにるるさんのアレは宝くじよりも低い確率なんだって。

あの日あの時間に宝くじ買ってたら今ごろ億万長者だったのにね。

 

それにダンジョンってのは人類圏に現れた人類圏外なんだ、FOE的なのだってゼロじゃない。

 

痛い思いはしたくないもん、油断だけはしないんだ。

 

【で、ダンジョン入ったら今みたいに、まずは石拾いからがハルちゃん流】

 

【石……?】

 

【普段はスリングショット……賭け事の方じゃないパチンコ用の弾用。 でも今日は武器すら持ってないから投擲用かな】

 

【投擲スキルあれば石ころだって充分な威力になるんだよな。 俺、この配信で初めて知った】

【俺も】

 

【ハルちゃん、投擲スキルどのくらいなんだろ】

【最低でも30くらい? ダメだ、マニアックすぎる戦闘スタイルでWikiにも出てない……】

【だってどう考えても他の武器の方が便利だし……】

【草】

 

ころころと袋に貯まってきたのは良い感じのサイズの石。

 

石って良いよね……弓矢だと矢が折れたりするし弦が切れたりするし、銃だと弾代が……ね?

 

それに比べてそのへんの石ころってのは良いものだ。

 

なにしろほとんどの人にとっては無価値で注目に値しないもの。

 

そんな石ころみたいな人生だって悪くはないんだ。

男だった僕だってそうだったもん。

 

早く石ころみたいな男に戻りたい。

 

それが僕の幸せ。

 

【あ、でも】

【お手々が映ってる!!!】

【あー、もう隠す必要なくなったからか、カメラがちょっとだけ下に着けてある……いい……】

 

【お手々!!! ちっちゃなお手々!!】

【落ち着け】

 

「っと」

 

ひゅんっ。

 

まだ低層って言うか1層だしってことで隠蔽も切ってるからか、早速にモンスターだ。

 

……うん、レベルが低いからのろのろだし足音もはっきりしすぎてるから思わず見ずに石投げちゃった。

 

さすがに無理……あ。

 

【え?】

【何今の】

【ハルちゃん、もしかして……】

 

「見てなくてごめんなさい……そうですね、モンスター居たっぽいので適当に投げました。 反応が消えたので多分いつも通りです」

 

【えっ……ハルちゃん、なんかさらにレベル上がった……?】

【まぁ普段なら、攻撃食らったらHPの何割か削れるレベルの場所から一気に低レベルだし……】

 

【ハルきゅん、もしかして見ないで投げた……?】

【いつもみたいに狙い澄まさなかったから多分】

 

舐めすぎてるるさんみたいに変なトラップで――ってのは怖い。

だって近くで見たもん……何あれ、ほんと怖い。

 

だからどれだけ弱くとも万全に。

 

【あ、ドロップ】

【ヘッドショット……以前にハルちゃんのレベルとスキルで瞬殺か、さすがに】

【多分かすっただけでこうなるな】

 

【あ、本当だ、ただのスライムのコア】

【ハルちゃんとスライム……閃いた】

【通報した】

 

【さっきからやめて、ハルちゃん相手だとマジで捕まっちゃう】

【安心しろ、冗談だ】

【え? 通報しちゃった】

 

【え?】

【え?】

【安心して、冗談だから】

 

【止めて、リアルロリ疑惑のハルちゃん相手は冗談にならないからホント止めて……】

【草】

 

何も持たないチャレンジだからってさすがに弱すぎたかな……ダンジョン選び直そっかな……。

 

でもこんな感じで疲れるくらいで引き返せば、普通にバイトとかで働くのよりずっと手に入るもんなぁ。

 

あと、やっぱりこうやって戦うのって楽しい。

 

もはや中毒。

 

ダンジョンに潜りすぎると取り憑かれるって言うけども、そういう意味じゃ僕はとっくに取り憑かれちゃって、ついでで女の子になっちゃってる感じなんだろう。

 

 

 

 

【あれ、ハルちゃん何してるの?】

【さっきから止まって……FOE?】

 

「いえ、そう言えばなんとなくの思いつきで何も言わずに出て来ちゃったので、えみさんくらいには伝えておこうって」

 

【おでかけ先と帰る時間、お母さんに言わなきゃダメでしょ!】

【えみお母さんが一緒の生活……】

【うらやまー】

【えみお母さんに甘えるハルちゃん見たい】

 

【えみママに埋まりたい……】

【胸とふともも、どっち?】

【もちろんどっちも】

 

あ――……。

 

みんな、えみさんが本当はヘンタイさんだって知ったらどうなるんだろうね。

 

案外すぐに受け入れられるかもしれないけどさ……だって男ってそういうもんだし。

 

【るるお姉ちゃんに甘える……いや、るるちゃんなら】

【ひたすら抱きついて甘えてくるだろうな……天国か】

【おねショタ!!!!!】

【落ち着け初見、おねロリの可能性の方が高いんだ】

 

けども、ちょっと落ち着いて考えたら……ああやって抜け出す時点で僕のストレスはそれなりにあったんだろう。

 

だから行き先も今伝えたくらいだし。

 

ま、今伝えたし怒られないでしょ……怒らないよね?

 

あまりにレベル低いってのはダンジョン名調べれば分かるだろうし、なまらない程度に体動かしてくるって書いといたし。

 

あ、バッテリー節約のために他のアプリ落としてっと。

 

よし、問題なし。

 

【あ、ちょ、ハルちゃん】

【ハルちゃんハルちゃん、設定! 配信設定触っちゃってる!】

 

【あ、ダメだ、これいつもの見てないパターン】

【あの……いつものアカウントに移動しちゃってるんだけど……】

【ハルちゃーん!】

 

「せっかくですし、ある程度までは止まらずに歩いて潜ります。 ちょっとでもダメージ受けそうになってからいつものスタイルってことで」

 

【ハルちゃーん!! ダメだ、やっぱり見てない!】

【ちくしょう、けどそんなハルちゃんがかわいすぎる】

【天然ロリ……】

 

【でもサブ垢からそのままメインに移動して配信とかできるの?】

【そんな機能……あ、あった】

【あるのかよ!?】

 

【まー、普通の人は使おうともしない機能だよな。 でもなんでこんなのを?】

【今の感じ、チャットの後に配信アプリに戻って指が触れちゃってって感じ?】

 

【そんなミラクルある?】

【やっぱりるるちゃんのせい……?】

【るるちゃんに関わったから……】

 

【もしかして勝手に出かけちゃったから思念だけ乗り込んできた?】

【ホーミングるるちゃん?】

【ホーミングるるちゃん草】

 

【ハルちゃん……これ見たらその足でお祓い行って……無理かもしれないけどるるちゃんとの接触歴が短いからまだなんとかなるかも……】

 

やっぱり適正レベルってのがあるんだなぁ。

 

ゲームとかだって簡単すぎてもつまらないものだしさ。

 

そんなわけで、僕はいつも通り、ダンジョンに潜る人の常として取り憑かれたようにモンスターをばしばし倒しながら下へ潜って行った。

 

 

 

 

「えみちゃーん! 九島さーん! ハルちゃん勝手にダンジョン潜って配信してるよー!?」

 

ダンジョン協会、地域支部の会長室。

 

そこで「征矢春海、またはハル」について今後を議論していた中、突然に上がった悲鳴。

 

「済みません、緊急のこと故少々……それでるる。 彼……彼女は部屋に居るはず。 外出する連絡は来ていないのだが……ですよね? 九島さん」

 

「え、ええ……ちょっと守衛さんに連絡してみますね」

 

「でもほら! 配信! ハルちゃん!! おてて!!!」

 

「!!!! ……こほん、確かにその柔らかさ加減はハルのものだな」

「え、三日月さん手の甲だけで分かるんですか……カウンセリング、早めますね」

「なぜだ!?」

 

会議に集まっていたメンバーたちも次々とスマホを取り出し、渦中の「彼または彼女」のアカウント――の前にSNSを覗き。

 

「ゲリラ配信」「ハルちゃん」「素潜りダンジョン」というワードがトレンド入りしているのを見て――頭を抱えた。

 

「私とのコラボの前にダンジョン潜っちゃったー! コラボー!」

「いや、まだるるとコラボとは決めていないが……」

 

――やはり軟禁ではなく隔離すべきだった。

 

なにしろ、姿形がダンジョンのせいで変わったのに1年もそのまま暮らしていた人間だ、変わり者なのは間違いがない。

 

そう分かっていたものの、可憐な幼女という見た目で手加減してしまっていた彼ら自身の判断が悔やまれていた。

 

「ハルさん……帰って来たら、ご自分の注目度。 ちゃんと知ってもらわないとですね……」

 

「無理だと思うよ? ハルちゃん、いつもぽーっとしてるし」

「るるには言われたくないと思うが……改めて教えないとな……」

 



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17話 「はじめてのだんじょんはいしん(全世界公開)」1

【おい、もうハルちゃんのゲリラライブ、トレンド入りだってよ】

【だって実質デビュー配信だろ? これ】

【それがまさかの平日昼間なゲリラだもんなぁ】

 

【さすがるるちゃんに吸い寄せられたハルちゃん……格が違う……】

【草】

 

【事務所のサプライズだって説が一蹴されてて草】

【普通ならまず大手事務所が新しいプロデュースしてるって思われるのに、コメント欄がほぼるるちゃんのせいって一致してるの草】

 

【るるちゃん大人気だね!】

【そりゃまあまだみんなあの配信の衝撃忘れてないし】

【それがハルちゃんとセットだもんなぁ】

 

【羨ましいはずなのに羨ましくない事実】

【だってるるちゃんだよ? お前ハルちゃんと代わるか?】

【いや……それはちょっと……】

【普通の人間にはちょっと……】

【草】

 

ふむ、よし。

 

もう30層くらいだと思うけど、それなりに素材のドロップも武器とかのドロップも手に入っていつも通りになって来た。

 

さすがにここまで潜って来ると、最初みたいに舐めてたら痛い目見るだろうから慎重にはなってるけども、まだまだ行けそう。

 

やっぱり何年も毎日のように潜ってたからダンジョンの中の方が心が安まるね。

 

僕ここに移住しようかな。

冗談だけども。

 

と言うか……普段から安全マージン取りすぎてて正直僕自身のレベルがよく分かんないんだよなぁ、最近。

 

男のときはここまで毎日じゃなかったけども、女の子になってなんか信じてもらえなくてクビになってからは生き甲斐がダンジョンしかなくなったし。

 

少し冒険しようって思ってもソロだと万が一がなぁ……ってなっていつも通りのランクのとこ潜っちゃう。

 

あ、えみさんとかに来てもらえば良いのか。

 

るるさん?

あの子はちょっと……ほら、一緒に落とし穴落ちそうだし……。

 

【顔出し無し、ほとんどしゃべらない、たまにお手々が映る程度で同接20万……】

【ゲリラで始めたばっかでこれはすごい】

【あのときほどじゃないけど、あのときが以上だったんだよなぁ】

【いろいろと普通じゃないもんな、ハルちゃんは】

 

【るるちゃんがトラップ踏み抜き始めたあのときからの流れがまだ続いてるんだろ】

【ここからが勝負だよ、ハルちゃん】

【え? またるるちゃんと一緒にドラゴンと戦うって?】

【イヤ無理だろそれ】

 

【でもこのままだと同接下がり続けそう……ハルちゃん大丈夫かな】

【ハルちゃんだから全然気にしないでしょ】

【なんなら10人とかになってもけろっとしてそう】

【「そういうこともありますよね」とか言いそう】

【それがハルちゃんだ】

【うむ】

 

【始原から布教されたハルちゃん像で納得する俺たちがいる……】

【でもなー、もうちょっと派手なところ見せろよなー】

【せめて顔くらいは見たいよなぁ】

【ていうか自己紹介とかないの?】

 

【雑音多いけどハルちゃんがんばって!】

【残念、ハルちゃんはろくにコメント見ないんだよ】

【良くも悪くも動じない、それがハルちゃんだ】

【草】

【ある意味プロのメンタルな安心感】

【完全にマイペースだと逆に安心できるな】

 

今の手持ちは普通品質のパチンコと石72個、同じく長弓とぼろ矢35本、狙撃銃と弾20発にショットガンと5発。

 

さすがにリュックに入らなくなって体に引っかけるスタイルになりつつある……まぁいつものだし、走ったりしないから良いけど。

 

まだドロップ品で充分に戦えるレベルだから良いけども、コモンの武器で一撃で倒せなくなってきたら引き返し始めよっと。

 

初心者用ダンジョンだし、ドロップを換金しても大したお金にはならない。

 

今日の稼ぎは緊急脱出装置1回分の使用代金的には赤字になりそうだし、歩いて戻らなきゃだもんね。

 

【しかし本当ハルちゃん、しゃべらないしコメント見ないな】

【だってハルちゃんだし】

【だから始原しか居なかったんだもんな、この前まで】

 

【しかも敵がカメラに映る前に倒しちゃってドロップしか映らないから見せ場も何もないと来た】

【よく始原はこのハルちゃんの配信観続けてきたな……】

 

【これにはこれの良さがあるんだ】

【ああ……言葉にはできない何かが】

【にわかには分からんよ】

【見るんじゃない、心で感じろ】

【草】

 

【ラジオ配信って思えば楽しいぞ?】

【基本効果音と攻撃音と断末魔だけどな】

【ASMRじゃねーか!】

【ASMR草】

【ダンジョンASMR配信……斬新すぎる……】

【しかも本人の声は無いって言うね……】

 

【まぁ金髪ロリってことで一定数は観続けるから……】

【お巡りさん、俺たちです】

【あ、俺たちノータッチなんで大丈夫です】

【何が大丈夫なんだろうか】

 

【ハルちゃん高レベルだし、下手におさわりしたら手首折れそう】

【「あ、ごめんなさい、つい」とか言う猛者スタイル】

【ちょっと出かけてくる】

【待て、早まるな】

 

「あ、この先モンスターたくさんいるところですね」

 

【しゃべったぁぁ!】

【かわいい】

【声だけでファンになりました】

【そのお手々と握手したい】

 

【ってモンスターハウス!?】

【ハルちゃん、やっぱここ違う、初心者用ダンジョン違う】

【初心者用ダンジョンとは一体……】

 

【誰か、ハルちゃんがこのコメント見たら教えてあげて……ハルちゃんハルちゃん、初心者用ダンジョンはね、モンスターハウスとかない場所なの。 ちゃんと協会のHPで安全が確保されてるダンジョンだけ指定されてるの】

 

【もしかしてハルちゃん、これだけ潜ってるのにダンジョンのこと、詳しく知らないんじゃ……】

【うん……だって拾った武器だって鑑定とかしてないみたいだし……】

【さっきもモンハウって単語自体使ってなかったしなぁ……】

 

【あ、半年くらい前の配信でハルちゃん、呪われた銃で突破したダンジョンあったの思い出した】

【草】

【このロリ、執着しなさすぎる】

 

「ということで今からちょっと画面ぶれるかもです」

 

【え? 迂回しないの?】

【ソロでモンハウって】

【ま、まあ、初心者用ダンジョンじゃないにしてもレベルは低いとこらしいから……】

 

【そもそもハルちゃん、今日1回も魔法で攻撃してないもんな】

【そうだよな、いざとなったら範囲攻撃でなんとかなるだろ、いつも通り】

 

暗い洞窟の先を見ながらかちゃかちゃと手元の用意を始める。

 

あー、これまでみたいに手元まで隠さなきゃいけなくなくなってるから首が楽ー。

 

これまでは首は正面で目だけ真下見てて地味に疲れてたし。

 

【おてて】

【お手々ぺろぺろ】

【このお手々は非常に良い】

【このスクショだけでファンが増えるな】

 

【ときどきかき上げてる金髪ぺろぺろ】

【横髪でこの長さ……やはり長髪なのか】

【髪フェチが現れたぞ! 囲め!】

 

【え、こんなときでもスリングショットなのか……】

【まぁ投擲スキルが高ければただの石でもかなりの威力だし】

【命中精度すごく高いからコストゼロの石でいいのか……】

 

【でも少し前の階層で拾っただけのパチンコって、相当レベルとスキルないともうこの辺のモンスターでも厳しいんじゃ……】

 

「じゃ、行きます」

 

【無茶しないで】

【ハルちゃんなら大丈夫だろ】

【始原が落ち着いている……大丈夫なのか】

 

【手作りの武器でボスモンスターを2発で仕留めたハルちゃんを信じろ】

 

「………………………………」

 

ここまで倒したモンスター――みんな遠距離からだったけども手応え的に――囲まれてもまだ平気なはず。

 

万が一のときは少ないとは言え、逃げるには充分な魔力で全力で跳躍して、そこから緊急脱出装置で問題ないはず。

 

「るるさんも居ないし大丈夫大丈夫」

 

【草】

【ハルちゃん、それフラグって言わない?】

【るるちゃんの近くで感染してるんじゃ……】

 

【えみお姉さんが大丈夫なんだから平気だろ】

【さすがにそこまでの疫病神じゃない。 はず……】

 

【そこは言い切ってやれよ】

【え? いや無理】

【だって呪い様だよ?】

【草】

 

目をつぶって探知のスキルを最大化。

 

――距離22メートルから40メートルの空間、数は……31、右の方向に固まってるっぽいな。

 

【あ、ハルちゃんの腕! まっしろな腕が前に!】

【モンハウの鉄板、最初は遠くからの狙撃。 だから弓みたいに伸ばすのね】

【なるほど、筋力なくてもそうやればいいんだ……】

【でもそれじゃ最初から弓とか銃使えば良いんじゃ?】

 

【ところがな、ハルちゃんはコスパ主義なんだ】

【つまりはケチ】

【普段から移動中はずっと下向いて石拾いだもんなー】

【あとは他の人に倒されて明らかに残されたドロップとかもな】

 

【ハルちゃん……もしかして:貧乏家庭】

【家族のために健気なハルちゃんだって!?】

 

ひゅんっ。

 

「よし」

 

1番近いのに当たった。

そいつの反応は消えたから今日の精度は大丈夫。

 

【え? 当てた?】

【良しって言ったからそうなんじゃ?】

【えっと……敵、これまでみたく、まだ見えてないんだけど……】

 

【この前の配信でカメラの型番まで指摘されてたけど、それでもこの暗さ……スキルないと見えない暗さで、最低でも15メートル以上離れてる……?】

 

ひゅんひゅんっ。

 

モンスターが動き出す気配から、さっきまでよりはっきりと見えるようになった影へ、近い順に石を当てていく。

 

いつも通りの感覚を最優先に、弓で言う早気……クセで油断しないように慎重に。

 

【え、速くない?】

【えっと……左手突き出してるから、スリングショット、多分40センチは引いてるでしょ? それを連続でって……】

 

む、1匹速いのがいるな……じゃ次は君で。

 

【あ、来た】

【飛行系!】

【前前!】

 

ひゅんっ。

 

コウモリさんらしい悲鳴でぼとっと落ちる音。

 

【……今の、一瞬で消えたけど……色とサイズ的にラピッドバットの上位種じゃね?】

【え、それって最低レベル30とかじゃ?】

【それって中級者ダンジョンの中盤で出てくるやつじゃ】

【見間違いじゃないの?】

 

【……いや、巻き戻してみたけど多分合ってる。 俺、この前対抗手段なくて宝箱諦めたからよく覚えてる】

 

【スペリアルラピッドバットを一撃? それも拾っただけのコモンのスリングショットと石で?】

 

【???】

【???】

【俺、そんなに弱かったのかなぁ……】

【ダンジョンの ほうそくが みだれる】

 

今のコウモリさんはちょっとだけ速かったけども、コウモリさんだから特に驚くことはない。

 

のそのそ起きてくるモンスターたちをいつも通り冷静に、丁寧に。

 

1匹1匹、石を右手で袋から出してゴムのとこにセットして、両腕にちょっとだけの魔力を込めて左手を真っ直ぐ、右手は胸くらいまで引っ張って威力のかさ増し。

 

――ひゅんっ、ひゅんっ。

 

【あの、石が風切る音とモンスターの断末魔が遠くから響くのしか聞こえないんだけど……】

【いつもながらに派手さゼロ、だけど見てるとスルメな殺戮シーンだな】

 

【あの、掲示板の方でこのダンジョンのレベルとか絞られたみたいなんだけど……】

【入り口はレベル10とかだけど200階層まである大きいとこっぽいんだけど……】

 

【は?】

【初心者用ダンジョンなら深くて25層、中級者ダンジョンで50から100ってのは知ってるけど……】

【200とか……え?】

 

【いやね? るるちゃんんとこの事務所のある町にあるのよ。 初心者用ダンジョンと、そっくりな名前のダンジョンが。 めっちゃ注意されるから俺も知ってる】

 

【でも入るときに推奨レベルとか書いてあるはずだし】

 

【天然疑惑のハルちゃんだよ?】

【ああ、ハルちゃんならやりかねん】

【草】

 

【そんなとこ持ち込み無しのアタックしてんの? ハルちゃん】

【すげぇ】

 

【しかもさ、なんか階段のトラップか何かで階層飛び飛びっぽい って指摘が……】

 

【やっぱりるるちゃん……】

【冗談じゃなくリアルでるるちゃんが感染してる?】

【るるちゃん怖……】

【なんかハルちゃんの配信見るのでさえ怖くなってきた】

【るるちゃんが追ってきそうでなぁ】

 

そうして僕は最後の石を投げて、ちょっと耳をそばだてる。

 

――よし。

 

「いつも通り」

 

【ハルちゃん、この落ち着きようよ】

【けどお願い、コメント見て……】

【ダメだ、スマホ取り出す気配すらない】

 

【ハルちゃんここ違う、初心者用ダンジョン違うのよ】

【初めてのおつかい的なアタックするところじゃない……】

【ハルちゃんのこのぽんこつっぷり……まさかるるちゃんの……】

 

【いや、ハルちゃんのこの調子はいつも通りだぞ?】

【おう、いつもマイペースだもんな】

【狩りの途中の待ち時間、タブレットで読書してるって言い放った猛者だもんな】

【草】



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18話 「はじめてのだんじょんはいしん(全世界公開)」2

【さっきからカメラに映るモンスターの数、増えてきてない?】

【しかもやっぱレベル30~40……】

【普通ならまずソロでなんか行かないゾーンになって来てる……】

【配信者の中には控えめに言ってもおかしい人とかいっぱいいるけど……】

 

【まぁソロの時点でおかしいから……】

【いい意味で?】

【これがいい意味に聞こえるか?】

【草】

 

【実際は褒めるしかないよなぁ】

【良くも悪くもプロの領域だし】

 

うんうん、やっぱりダンジョンはこうでなくっちゃ。

 

ちょっと前から隠蔽を戻して歩く音や衣擦れ、装備の音も消音済み。

 

気配も消して、さらに壁沿いを岩陰とかを利用して少しずつ前に進むいつものスタイルに戻してしばらく。

 

そうだよねぇ、やっぱりゲームはレベル相応じゃないと。

 

才能があったかどうかは知らないけども、僕は隠れての狙撃が好き。

好きって言う理由と痛いのがイヤって言う理由で選んだ後衛職――スナイパー。

 

いろんなスキルも取ってるから、ただの狙撃屋って言うよりは狩人とかレンジャーとかサバイバーとか、ひとりで立ち回るオールラウンダー系統。

 

良く言えば万能、悪く言えば器用貧乏。

でも僕はこういうのが肌に合ってるんだ。

 

ゲームって言ったけども、普段のゲームとかでもバランス型が好きだし。

 

いろんなことを初級くらいにはできるってのは何でもできる気がしていいよね。

 

【けどすごいな……】

【ああ……掲示板で指摘されてるけど、ハルちゃん本当何者よ】

【トップランカー、これで国内500はまだしも1000に入ってないって……】

 

【いやまあハルちゃんって愛称だし、入ってるかもしれないけどな】

【元々配信の自己紹介文に「ハル」ってあるだけだし】

 

【あー、トラブル回避のために名前出さない人とか多いしな】

【配信社会だもんな、事務所所属でも変な奴とか絡まれるとめんどい世の中】

【世知辛いのじゃあ】

 

こそこそと壁を背にしてかに歩き、大きめの岩か窪み――今の僕は背も低いから大人の腰の高さがあれば充分だ――に体を隠し、ちょっとだけ顔を出して周囲の探索。

 

僕だけじゃなくてパーティー組んでても斥候役がする定番の動き。

 

こういうのしてると映画で出てくるアサシンみたいでなんかいいよね。

 

【一切ムダのない動き】

【ハルちゃんの配信見る配信とかで「参考になる」って言ってる人多いよね、この動き】

 

【俺はハルちゃんの動きに惚れて始原になったぞ】

【なるほど】

 

【他の配信者みたいに話したり顔を出したりしない分、なんか俺まで一緒に潜ってる感じがする……俺、ダンジョン入ったことないのに】

【俺も俺も】

【没入感半端ないよな】

【こういうVRゲーやりたい】

 

【なんか同接……やばくない?】

【海外勢に捕捉されたらしい】

【マジかよ】

 

【なんでも英語圏で超有名人が「スカウトはこの配信参考にするといいよ」って】

【俺たちのハルちゃんがメジャーデビュー……】

【わずか数日で駆け抜けすぎだろ】

 

あ、そう言えばさっきから全然しゃべってない……いや、いつもだけどさ。

 

けど、せっかく声もお披露目したんだからちょっとはしゃべらないとね。

 

配信見てるのだって9割は僕と同じ――まだ心はね、まだ――同性の男たちなんだ、ロリの声くらいは聞かせてあげよう。

 

同じ男としての優しさだ。

 

「えーっと。 少し前から敵が強くなってきたのでいつものスタイルで戦ってます」

 

配信とかってこうやって言うんだっけ?

 

僕、めったに見ないから参考にしてるのがるるさんのとかだから自信ないけど、今してることとか考えてること言うと良いんだって。

 

【急にしゃべった!!】

【かわいい】

【保存した】

 

【もう5分くらいしゃべってくれたらAIでハルちゃんボイス作れるからもっとしゃべって】

【なにそれ怖……】

【やっぱり人増えるとやばいヤツも増えるな……】

 

「前方に……えっと、左に4体、右に8体居ますね。 近くて動きが素早いのから撃っていきます」

 

【やっぱこの暗さで分かるんだ……】

【スカウトのレベル、いくつくらいなんだろうな】

【ハルちゃんくらい敵が見えると事故なさそう】

【るるちゃんさえ居なければな】

【草】

 

ひゅんひゅんっ。

 

【とっくに中層レベルなのに普通品質のスリングショットとただの石で淡々と攻略してる……】

【攻略ペースおかしいって】

 

【まぁそもそも、どう考えても階段罠で飛ばし飛ばしだし】

【普段まともな武器で戦う相手を普段通りに処理してるんだぞ?】

【やっぱハルちゃんって何かがおかしいわ】

【草】

 

「――けど飛行系とゴースト系はほんと、速いです、ねっ」

 

僕の攻撃に気が付いた素早い系統のモンスターたちが、攻撃音からまっすぐ突撃してくる。

 

別に岩に隠れたら1回やり過ごせるし、そこから振り返って攻撃すればもっと楽なんだけども……いちいち体動かすのめんどくさいし、体力ない体だから継戦能力考えると極力動かないのがベスト。

 

「代わりに真っ直ぐ頭向けて突撃してきてくれますから、逆に倒すのは楽ですけど」

 

【……えーっと、上位のラピッドバットにフレイムホークだろ? なんで1匹づつ狙って間に合ってるのハルちゃん……?】

【おかしいよな、そんなに体動かしてないのに】

 

【海外勢の解説いわく「あれは石を複数個セットして散弾にしているようだね。 しかもばらつく方向も計算済みのようだ」とのこと】

 

【やっぱおかしいわハルちゃん】

【それは褒めてるのか? それとも敵になるという意味か?】

【落ち着け始原の、気持ちは分かるけど】

 

【褒める意味でも呆れる意味でもだよ……何あれ、俺、もう斥候職の自信なくしたんだけど……】

 

【草】

【ハルちゃん……罪な子……】

【罪な女の子……】

【罪な男の子なの!!】

 

【ハルちゃん絶対トップ100の誰かだって。 20人くらいは非表示だからそのうちの誰かだって】

 

僕のスタイル的に戦闘時間は短い。

短いから楽で、楽だからこそこの体でもやっていける。

 

魔力って言う肉体強化もばりばり使ってるしさ。

 

疲れたら?

 

1メートル以上上にある壁の窪み見つけて入って警戒しつつ読書して休むけど?

 

「全部倒したのでドロップ回収します。 ……けど荷物がいっぱいなのでそろそろ撤退しなきゃ」

 

【いつも通りの瞬殺】

【俺たちにわかにとってはいつも通りなんかじゃない】

【これスナイプ違う、何か違う】

【ヘッドショットロリ……】

 

【でもそうだよなぁ、ひとりで潜ると荷物の量的にドロップ諦めるの多くってもったいないよなぁ】

 

【だから普通はソロなんかやらないし、そもそもガチで命の危険があるから「ダンジョンで何があっても訴えない」って言う誓約書書かされるもんな】

 

【普通は交代で警戒するし、四方を分担して警戒するの……】

【こんな暗い洞窟で誰とも話さないで何時間も、常に命の危険を感じるとか俺には無理だ】

【安心しろ、ごく一部のおかしいのを除いてそれが普通だ】

 

【ハルちゃんがおかしいって言うのか!!】

【違うのか?】

【合ってるけど】

【草】

 

「あ、銀の宝箱」

 

【おめ】

【すげぇ、滅多にないんだろ? 銀のって】

【そもそもレベル換算で50を超える階層じゃないと出現しないし】

 

【え、つまりハルちゃん、とっくにモンスターが50とか行くレベルの階層まで?】

【配信見た限りだと、罠がなければ25層なのにな……】

【やっぱりるるちゃんの影響か】

【1階ごとにスキップさせられるとかどんな嫌がらせだよ……】

 

【るるちゃん自身の配信でもここまでのは無いんじゃ?】

【もしかして:ドラゴンの件で呪い様、本当に移った】

 

【草】

【かわいそう……】

【かわいそう】

【ガチでかわいそすぎる】

 

「宝箱は……なんかこう、じっと見てたら僕のレベル以下の罠なら見えます。 見えなかったら後は……気合?」

 

【待ってハルちゃん待って、そんな力技で宝箱を!?】

【悲報、ハルちゃん脳筋だった】

【て、天然だから……】

 

「で、罠はないみたいなので開けます。 ……何これ」

 

銀の宝箱。

 

1ヶ月に1、2個あるかどうかのいいもの。

 

僕の体くらいあるそれを慎重に開けてみた僕は、その変な袋を取り出す。

 

「何、この汚いの」

 

【草】

【本当だよ、なんだよそれ!】

【ハルちゃん! ばっちいものを拾っちゃいけません!】

 

【子供は何でも拾っちゃうから……】

【通報した】

【待って】

 

【ここだけ見ると本当に子供みたいなんだよなぁ……見た目だけ子供でやってることはどう考えてもおかしいけど……】

 

「……袋? 罠とかハズレじゃないだろうし……」

 

【『……それはもしかしたらだけど、上位の収納袋なんじゃないかな?』】

 

【さっきから外国勢が多いな】

【あ、ちょっと待って! なんか今すごい単語出て来た!】

【翻訳頼む】

 

【収納袋の上位……えっと、ドロップ品を普通の収納袋とは桁違いに収納できる超レアアイテム。 確認されてる最大のものは数トンは余裕……?】

 

【は?】

【なにそれ、そんなのあんの?】

【ほら、荷物が軽くなるリュックとかドロップするだろ。 あれの最上位クラスのやつだって。 Wikiによると】

 

【あんなぼろい袋が?】

【ハルちゃんの両手なお手々に収まるくらいだぞ?】

 

「あ、なんか結構入りますね」

 

袋と来たらとりあえず要らないものを入れてみる。

 

でも取り出してみても特に変わらないみたいだし、ドロップ品を物理法則無視して多めに入れられるあのリュック系統なのかな?

 

あれってダンジョン内でのドロップとしては破格の換金率。

 

まぁそりゃあそうだよね、今の科学力じゃなんでなのかすら分からないらしいし、実用性はもりもりあるし。

 

それで手当たり次第にドロップ品とか重いけど売れそうな装備とかを入れていったけども……全然かさばらないしすごく軽い。

 

「なんかいいもの拾ったみたいですし、まだ潜り始めて3時間ですから……いつも通りこの辺でお昼食べてもっと潜ってみます」

 

【知らないってすごいね……】

【とんでもないお宝が「なんかいいもの」だし】

【草】

 

【だからハルちゃんコメント……うん、見ないよね……】

【まぁ用途は間違ってないからいいや】

【このロリは一体どこまで潜るのか】

 

【そもそも限定公開のつもりなのに海外勢まで流れ込んできてるの 、まずいんじゃね?】

 

【それは大丈夫。 ちょっと前から過激なコメントの削除とかBANとかされ始めたから多分るるちゃんとこが捕捉して手伝ってる】

 

【ハルちゃん、るるちゃんやえみちゃんと知り合ってて良かったね……そもそもこうなったのはるるちゃんのせいだけど……】

 

【草】

【結局るるちゃんに回帰するの、ホント草】

【全てはるるちゃんに始まりるるちゃんで終わるのだ……】

 

【けどさ、みんなが心配する場所へひとりで出かけて、お腹空いたらご飯食べて冒険終わったら帰って来るのを保護者と見る。 やっぱこれ、スケールでかすぎるはじめてのおつかいだよ】

 

【草】

【はじめてのおつかい草】

 

【300万近い大きなお友達に見られるはじめてのおつかいとか前代未聞で草】

【せめてハルちゃんがここに気が付いて、配信設定戻せばなぁ……】

 

【と言うか事務所が手伝ってるんなら戻せるんじゃないの?】

【しないってことはなんか理由あるんだろ。 ハルちゃん自身がするなら別だけど】

 

【無理だろ。 気がつくはずがない。 俺たちのハルちゃんだぞ?】

【ああ、待機時間でも読書してて、終わるときにちょっと見るだけのな……】

 

【始原からも見放されてて草】



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19話 『【緊急】超ド級新人のハルちゃん、まさかのゲリラ配信』

【緊急】超ド級新人のハルちゃん、まさかのゲリラ配信【はじめてのぼうけん】

 

20.るるハルorハルるる推し投票中

まったくハルちゃんは型破りな新人だぜ!

 

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まったくだよ!

 

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41.るるハルorハルるる推し投票中

と言うか平日昼間から、しかも一切告知無しとかおかしい……

 

45.るるハルorハルるる推し投票中

まぁ配信事故っぽいからなぁ

 

49.るるハルorハルるる推し投票中

さっき知ったけど、配信切り忘れに近いんだっけ?

 

59.るるハルorハルるる推し投票中

始原たちへのサービス配信→うっかり全体公開、だぞ

 

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65.るるハルorハルるる推し投票中

えぇ……そんなことってある?

 

69.るるハルorハルるる推し投票中

何そのミラクル……そんなのあり得ないでしょ……

 

72.るるハルorハルるる推し投票中

お前るるちゃん見てそれ言えるか?

 

77.るるハルorハルるる推し投票中

何も言えねぇ

 

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ああ、るるちゃん関係ならもうなんでもありだもんな

 

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102.るるハルorハルるる推し投票中

俺たちはハルちゃんのいつも通りにほっとしていたんだ……

 

110.るるハルorハルるる推し投票中

途中から声出ししてくれて嬉しかったけど、何か予感はしていたんだ……

 

119.るるハルorハルるる推し投票中

始原のお兄さんたち!

 

125.るるハルorハルるる推し投票中

始原の大きなお友達!

 

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あ、オフ会で互いに知ってるけど、普通に中学生から老人までバラエティ豊富だぞ? 俺たち始原は

 

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ちなみに中学生のは最初の頃は小学生だったからな。 見る目と年季が違うのよ

 

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161.るるハルorハルるる推し投票中

【速報】始原もキャラ濃すぎた

 

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キャラ濃いのは初見お姉さんだけで勘弁だよ!

 

180.るるハルorハルるる推し投票中

そう言うなら情報開示請求しよっか? 職場に電話うるさいんだけど。 まぁ私がトップだから平気なんだけどね?

 

185.るるハルorハルるる推し投票中

ごめんなさい

 

192.るるハルorハルるる推し投票中

許して

 

199.るるハルorハルるる推し投票中

ん? 今

 

203.るるハルorハルるる推し投票中

何でもって

 

204.るるハルorハルるる推し投票中

言ったわね。 とりあえずあなたたちのショタだった時代の写真をDMで送りなさい。 なるべく薄着の。 あ、逮捕は怖いからお風呂のとかはダメだけど条例に触れない範囲で薄着で、できたらいい汗かいてるのとか体操着とか良いわね。 送った人は訴えないであげる

 

210.るるハルorハルるる推し投票中

 

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怒濤の長文

 

220.るるハルorハルるる推し投票中

お姉さん本気で草

 

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と言うかさ、非公開限定の配信を切らずに公開設定にできるの?

 

239.るるハルorハルるる推し投票中

できないだろ

 

251.るるハルorハルるる推し投票中

いや、それができるらしい

 

259.るるハルorハルるる推し投票中

マジかよ

 

294.るるハルorハルるる推し投票中

でも何回かタップしないといけないから、普通は間違ってはならないらしい。 誤爆防止……のはずなんだとさ

 

319.るるハルorハルるる推し投票中

えぇ……

 

360.るるハルorハルるる推し投票中

そりゃそうだよな、じゃなきゃ世の中配信事故まみれだもん

 

369.るるハルorハルるる推し投票中

じゃあ何でなったのよ?

 

375.るるハルorハルるる推し投票中

分かるだろ?

 

387.るるハルorハルるる推し投票中

るるちゃん?

 

390.るるハルorハルるる推し投票中

まーたホーミングか

 

399.るるハルorハルるる推し投票中

ことごとく元凶で草

 

410.るるハルorハルるる推し投票中

だってあの配信からしてるるちゃんのせいだし……

 

416.るるハルorハルるる推し投票中

完全に巻き込まれてるハルちゃんかわいそう……

 

422.るるハルorハルるる推し投票中

本人はのんびり殺戮してるけどな

 

430.るるハルorハルるる推し投票中

 

436.るるハルorハルるる推し投票中

トレンドに「ヘッドショットロリ」が入ってて何かと思ったぞ

 

 

601.るるハルorハルるる推し投票中

あ、モンスターハウス

 

621.るるハルorハルるる推し投票中

ハルちゃん逃げてー

 

633.るるハルorハルるる推し投票中

なんか冷静にくるくる回ってる……

 

642.るるハルorハルるる推し投票中

えぇ……なんで1分しないでモンハウ全滅させられるの……?

 

451.るるハルorハルるる推し投票中

初心者用ダンジョンなんだろ? ここ

 

459.るるハルorハルるる推し投票中

これが初心者用ダンジョンだと思うか?

 

470.るるハルorハルるる推し投票中

そう言えばモンハウって「初心者用」ってなってるとこじゃないはずなんじゃ……?

 

475.るるハルorハルるる推し投票中

安全って分かってるからこそ初心者用なんだもんな

 

485.るるハルorハルるる推し投票中

どうやらハルちゃん、ダンジョン間違えたらしい

 

499.るるハルorハルるる推し投票中

【悲報】ハルちゃん、おっちょこちょい

 

532.るるハルorハルるる推し投票中

ソロでよくそれで今まで……

 

549.るるハルorハルるる推し投票中

まぁレンジャーなら基本隠れてダメージ受けないし、冷静だから大丈夫だったんじゃ……?

 

555.るるハルorハルるる推し投票中

冷静でダンジョン間違えるか?

 

561.るるハルorハルるる推し投票中

 

564.るるハルorハルるる推し投票中

あー、これだろ<URL> 協会の公式HPでもダンジョン名と外観、最初の20層くらいに出てくるモンスターのレベルとかが似すぎてるから注意って

 

571.るるハルorハルるる推し投票中

割とトラップだよな、初心者用ダンジョンと中級ダンジョンがすぐそばで名前まで一緒って

 

577.るるハルorハルるる推し投票中

いや、普通は入り口にある売店とか警備員さんに確認するんだよ……でもハルちゃん……

 

583.るるハルorハルるる推し投票中

始原によると今日ははじめてのおつかい的に素潜りみたいだしなぁ

 

588.るるハルorハルるる推し投票中

舐めプなハルちゃん……

 

600.るるハルorハルるる推し投票中

あんだけのレベルあるんじゃ舐めプもするわな

 

621.るるハルorハルるる推し投票中

けど声かわいい。 ほんとかわいい

 

624.るるハルorハルるる推し投票中

やっぱりロリっ子

 

630.るるハルorハルるる推し投票中

だからショタだって言ってるでしょ!! 情報開示請求するわよ!!

 

639.るるハルorハルるる推し投票中

一瞬で書き込んできて草

 

646.るるハルorハルるる推し投票中

何でもしますから許して……

 

652.るるハルorハルるる推し投票中

お姉さんが強すぎて草

 

 

736.るるハルorハルるる推し投票中

え?

 

789.るるハルorハルるる推し投票中

は?

 

805.るるハルorハルるる推し投票中

嘘だろ、見えない敵を一撃?

 

899.るるハルorハルるる推し投票中

……何体も連続でやってる……何これ……

 

910.るるハルorハルるる推し投票中

えぇ……

 

955.るるハルorハルるる推し投票中

あの、俺レンジャーのスキル20で一応プロしてるんだけど……俺でも無理なんだけど……

 

980.るるハルorハルるる推し投票中

レンジャーで20とかモノホンのプロじゃねーか!

 

 

【緊急】超ド級新人のハルちゃん、まさかのゲリラ配信【はじめてのぼうけん】2

 

 

21.るるハルorハルるる推し投票中

レンジャー職のグループでハルちゃんの立ち回り研究してたんだよ……そしたらこの子、どう考えても普通じゃないってことしか分からなかったんだよ……

 

42.るるハルorハルるる推し投票中

 

51.るるハルorハルるる推し投票中

ダンジョン潜りで生計立ててるプロがマジ凹み草

 

59.るるハルorハルるる推し投票中

スペリアルバット!?

 

71.るるハルorハルるる推し投票中

スペリアルバットに突撃されたら普通はやばいよな……?

 

79.るるハルorハルるる推し投票中

俺、田舎に帰る……

 

95.るるハルorハルるる推し投票中

待て、早まるな

 

132.るるハルorハルるる推し投票中

多分ハルちゃんだけがバグってるから……

 

149.るるハルorハルるる推し投票中

るるちゃんのせい? それともハルちゃんの素質?

 

160.るるハルorハルるる推し投票中

決まってるだろ

 

161.るるハルorハルるる推し投票中

両方な

 

173.るるハルorハルるる推し投票中

 

 

350.るるハルorハルるる推し投票中

【悲報】中級ダンジョン、中級とは言っても未踏破の200階層疑惑

 

382.るるハルorハルるる推し投票中

マジ?

 

402.るるハルorハルるる推し投票中

HPだと「100層以上、トラップ多し」って書いてあるな……

 

451.るるハルorハルるる推し投票中

マジだ、未踏破だからボスモンスター残ってるじゃん!

 

477.るるハルorハルるる推し投票中

誰かハルちゃんに教えたげて、ここ初心者用ダンジョン違うって

 

483.るるハルorハルるる推し投票中

そんなダンジョン、なんで素潜りでここまで無傷なの……?

 

 

502.るるハルorハルるる推し投票中

とことこあるいててかわいい

 

553.るるハルorハルるる推し投票中

正気に戻れ、これは現実だ

 

559.るるハルorハルるる推し投票中

 

600.るるハルorハルるる推し投票中

しかも階段罠で飛ばし飛ばし疑惑とか配信コメントで出始めてる

 

609.るるハルorハルるる推し投票中

えぇ……

 

635.るるハルorハルるる推し投票中

るるちゃん……

 

650.るるハルorハルるる推し投票中

いくらハルちゃんが好きだからって生き霊飛ばさないで……?

 

659.るるハルorハルるる推し投票中

本当に飛ばしてそう

 

672.るるハルorハルるる推し投票中

なんなら積極的に飛ばしてそう

 

680.るるハルorハルるる推し投票中

大丈夫? るるちゃんだよ?

 

699.るるハルorハルるる推し投票中

あの子、昨日の雑談配信でハルちゃんのこと話すときだけなんか目が据わってた気が……

 

732.るるハルorハルるる推し投票中

もしかして:るるちゃんのお気に入り

 

740.るるハルorハルるる推し投票中

もしかして:るるちゃんの呪い様がハルちゃん好きになっちゃった

 

762.るるハルorハルるる推し投票中

怖……るるちゃんのファン止めます

 

777.るるハルorハルるる推し投票中

ハルちゃんのファンになったげて?

 

780.るるハルorハルるる推し投票中

ここまでやべー呪い様だったらさ、るるちゃんのファン辞めても何か飛ばしてきそうだぞ……?

 

821.るるハルorハルるる推し投票中

あの、俺、ハルちゃんが心配でお参りに行ったらさ……お金、いくら投げても賽銭箱から弾かれたんだけど……

 

835.るるハルorハルるる推し投票中

 

861.るるハルorハルるる推し投票中

もはや怨霊じゃねーか!!

 

869.るるハルorハルるる推し投票中

そうじゃないとでも?

 

877.るるハルorハルるる推し投票中

なにそれ……視聴者にまでホーミングしてくるとか……

 

905.るるハルorハルるる推し投票中

安心しろ、多分ここもターゲットだ

 

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呪わないでください、なんでもします

 

924.るるハルorハルるる推し投票中

じゃああなたたちの小さい頃の写真も私に送りなさい

 

944.るるハルorハルるる推し投票中

唐突なお姉さんで草

 

 

【緊急】超ド級新人のハルちゃん、まさかのゲリラ配信【はじめてのぼうけん】3

 

 

36.るるハルorハルるる推し投票中

モンスターのレベル、もう40とからしいぞ

 

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やべぇな

 

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40って……上位パーティーでも1匹を囲んでようやくだろ?

 

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基本的にレベル20が目安だからな、それ超えたら間違っても1人で相対しちゃいけない

 

109.るるハルorハルるる推し投票中

よい子のみんなはよく覚えておいてね?

 

162.るるハルorハルるる推し投票中

ハルちゃんは?

 

186.るるハルorハルるる推し投票中

あの子はなんかもう別の存在ってことで……

 

200.るるハルorハルるる推し投票中

 

222.るるハルorハルるる推し投票中

それにしても海外勢がすごいな

 

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さすがにこことかの掲示板には来ないけど、SNSの偽ハルちゃんたちのところとかこの配信関係のポストに群がってる

 

270.るるハルorハルるる推し投票中

んもー、だからハルちゃんの公式アカウント必要だってのにー

 

290.るるハルorハルるる推し投票中

けどこれでハルちゃん、国内トップ20人のうちの誰かって絞られたっぽいな。 実力的に

 

342.るるハルorハルるる推し投票中

けど非公開だろ?

 

366.るるハルorハルるる推し投票中

だから今まで顔も声も出さなかったのか……

 

380.るるハルorハルるる推し投票中

全てが繋がってしまった

 

391.るるハルorハルるる推し投票中

ああ……壮大な伏線回収だな……

 

420.るるハルorハルるる推し投票中

壮大(1週間経ってない)

 

432.るるハルorハルるる推し投票中

マジかよ……マジだった

 

456.るるハルorハルるる推し投票中

つまりハルちゃんってば、貧乏家庭出身の金髪ロリ

 

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またはショタ

 

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で、レンジャーレベルはプロの平均の20から……多分上位層ってことだと最高で40とか行くレベルのどこかで

 

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誰だ今の

 

491.るるハルorハルるる推し投票中

幼くして強くなりすぎて世捨て人的なのになっちゃった子で、あろうことかるるちゃんに見初められた……属性しかねぇ!

 

521.るるハルorハルるる推し投票中

 

539.るるハルorハルるる推し投票中

今年にデビュー予定の子たち、ほんとかわいそう……

 

579.るるハルorハルるる推し投票中

大丈夫? ハルちゃんとるるちゃんだよ?

 

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大丈夫なもんか

 

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辛辣で草



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20話 「はじめてのだんじょんはいしん(全世界公開)」3

「えっと、今日買ってきたのはコンビニのおにぎり……あ、これ初めて見たやつです。 ちょっと高いけどおいしそう」

 

【え、ハルちゃんのお昼、おにぎりだけ?】

【お、おにぎりいっこ……ハルちゃん……】

【ちっちゃなお手々で開ける実況助かる】

【ぺろぺろ】

 

【高レベルだからお金には困らないはずなのに、なぜか貧困幼女設定が積み重なっていく……】

 

【だっておにぎり1個だよ? 肉体労働のダンジョン潜りが】

【いくら後衛職とは言っても、3時間ほぼ歩きづめだしなぁ……】

【それだけハルちゃんがちっちゃいってこと?】

【つまりは幼女】

 

【ショタです!!】

【ハルちゃんに釣られてバズって個人情報漏れた初見お姉さんちーっす】

 

【第二次性徴が始まるまでの男の子は実質女の子。 第二次性徴初期は男の子も女の子になるからロリでも許すわ】

 

【分かる】

【分かるのか?】

【このショタコン……できる……!】

【理解度高くて草】

【趣味垢からリアル垢が漏れてもむしろ積極的なお姉さん……つよい】

 

体が小さいと良いこともある。

そのひとつが食費の安さ、または燃費の良さ。

 

なんと、朝昼晩おにぎりなら1個、ご飯なら半膳、食パンなら1枚で菓子パンなら半個とかいうレベル。

 

「もむもむもむもむ」

 

【ASMR助かる】

【ちっちゃなお手々でコンビニおにぎりをぱりぱり開けて食べる音……いい】

【でももっと食べて大きくなって】

【いや、ハルちゃんに大きくなられたら困る】

 

【でも金髪美女になるぞ?】

【ありだな】

【そんなぁ!】

【草】

【欲望に忠実過ぎる】

 

食べる楽しみが少なくなったけども、ムダに食べて太ったり胃もたれしたりしなくなったことを考えると悪くないなって思う。

 

人って何だかんだ慣れるものだよね。

例えば生えてないからトイレが大変とかもね。

 

【深谷るる「ハルちゃーん!? 見てたらお返事してー!」】

 

【るるちゃん来た!】

【結構かかったなぁ】

【お友達登場】

【お友達(呪い持ち】

【お友達……?】

 

【三日月えみ「視聴者のみなさま、三日月えみです。 この度はハルのことでご心配とご迷惑をおかけしております」】

 

【えみお姉さんも来たぞ!】

【保護者の登場だ!】

【えみちゃん……いつものるるちゃんのお世話に加えてハルちゃんのお世話も……】

【おいたわしや……】

 

【ま、まあハルちゃんは放浪癖以外はまともなはずだから……】

【本当か?】

【この配信見ていて本当にそう言えるのか?】

【自信なくなってきた】

【草】

 

けど本当、女の子ってとにかく距離が近いから疲れるよね。

 

るるさんはるるさんって感じでヒマさえあればひっついてきて、何かとお世話焼きたいモード入るし。

 

あの子、本当に僕が年上の男って理解してるのかな……してなさそう、だって連れションとか誘ってくるし……何で……?

 

その点についてはえみさんはまとも。

 

普通に距離取ってくれるし、普通に社会人の異性相手って感じの対応してくれるし……まぁおかしくなるときはなるけども、それだって僕にはたかれて「あふんっ」とか言うくらいだし。

 

あれ?

 

もしかしてえみさんの方が常識人……?

ヘンタイさんだけど場をわきまえてるっぽいし。

 

……いやいや落ち着こう、本当の常識人って言うのは九島さんみたいな人なんだ。

 

普通の大人……JKさんらしいけどね……として事務的に接してくれるし、るるちゃんみたいにくっついてこないし、えみさんみたいに不意に飛びかかってこないし。

 

あの子相手なら気が楽なんだけどなー。

 

まぁるるさんもご近所の子って思えば悪くはない。

面倒見てあげてる感じ……あ、ヘンタイさんは離れてね。

 

「ふぅ……おなかいっぱい」

 

【草】

【のんきにもほどがあるハルちゃん】

【それでこそハルちゃんだ】

【野良猫みたいな気ままさ】

【野良猫ハルちゃん?】

 

【三日月えみ「確かにハルさん……ハルにはそういうところがありますね。 ええ、こうしていきなり潜り出すところとか……」】

 

【えぇ……】

【悲報、ハルちゃんもやっぱり癖強すぎるキャラだった】

【放浪系ロリ……?】

 

【野良猫……つまりかわいがりすぎて嫌われたりして】

 

【深谷るる「あ、ちょ、えみちゃん!? ごめんなさいみなさん、えみちゃんすごく落ち込んじゃったので、ハルちゃんがえみちゃん嫌うとか言わないでください! ハルちゃんはえみちゃんのこと大好きです!! えみちゃんのこと嫌ってませんから!!!」】

 

【泣かないで】

【さりげなくるるちゃんがトドメ刺してない?】

【草】

【2回刺してて草】

 

【えみお母さんの母性はハルちゃんにとってまぶしかったのか……】

 

【お風呂に入れられて逃げ出す野良猫的な?】

【お風呂だって!?】

【百合お風呂、実況希望】

【通報しました】

【声だけで良いんだ、通報は止めてくれ】

 

窪みに預けてた荷物を体に付け直し、カメラの向きもちゃんと手で確認。

 

「よし」

 

【ハルちゃん良くない、全然良くない】

【お願い、スマホ一瞬でも良いから見て……?】

 

「じゃあ後半戦行きます。 この袋のおかげで、この先のドロップも入れられるだけ入れたら……リストバンドのこれで脱出しても黒字になりそうですから、危なくない範囲で行けるところまで」

 

【ああ、悲しきはすれ違い】

【ハルちゃん、スマホはね、人と連絡を取るためのものなんだよ?】

 

【まぁ攻略中……特に後衛職でこそこそ移動してるときに見つかったらまずいし、電源切るかマナーモードにするのは基本だけどなぁ

【それでもせめて安全な場所での休憩中くらい確認しよ?】

【SNSでも見てくれたら……あ、アカウントないんだったね……】

 

【どうして人と連絡を取るためのスマホで通知見ないんだろうね。 普通友達とかと話したりチャットしない? こういうとき。 みんなもそうでしょ?】

 

【普通とか言わないで】

【みんなとか言うな……言うな……】

【おいやめろ、それは俺たちに刺さる】

 

【みなさんの連絡先……何件ですか? あ、仕事関係とお友達未満な知人以外で】

 

【うわぁぁぁぁ!!】

【「   」】

【「   」】

【「   」】

 

【し、死んでる……】

【なんとむごいことを】

【大丈夫だ。 ただの致命傷だから】

【まるでハルちゃんに群がったモンスターたちの末路……】

【草】

 

何かこの体になってからダンジョンの中で妙に体調いいんだよね。

 

おかげで水分と食糧補給も休憩も少なくて良いし、集中しやすいからこうして長時間が捗る捗る。

 

お水もちっちゃいペットボトル1本で6時間くらい余裕だし。

ちょっと疲れたら窪みで寝転がって読書とか最高。

 

さすがにお昼寝まではできないけどね。

あとお酒も呑めない。

 

「早く帰ってお酒呑みたいなー」

 

【ちょ、ハルちゃん!?】

【ハルちゃん何言っちゃってるの!?】

【草】

【まさかの酒飲み幼女】

【もし本当にロリだったらこの発言だけで炎上するんじゃ……】

 

【三日月えみ「誤解を与える発言で申し訳ありません。 彼女は父親の口癖を真似る癖があるんです」】

 

【ハルちゃんお父さんっ子!】

【お父さんの真似っこならしょうがない】

【うんうん、しょうがないしょうがない】

 

あ、やば。

 

そう言えば今の僕、子供って知られちゃってるんだっけ。

 

……炎上とかって怖いって言うよね。

しかもるるさんのせいでやたらと人多いみたいだし……よし。

 

「あ、そういえば僕、成人しているので大丈夫です」

 

【は?】

【え?】

【嘘お!?】

【身長120センチの成人女性……だと……!?】

 

【深谷るる「ハルちゃーん!?」】

【草】

【せっかくえみママがフォローしてくれたのに台無しにして草】

【えぇ……】

【悲報・ハルちゃん天然属性が強すぎる】

 

【ハルちゃんの言うこと信じるなら、ハルちゃんは見た目小学生な合法ロリ。 もしえみお母さんの言うこと信じるなら、これもお父さんの真似っこ。 つまり?】

 

【……ハルちゃんは不思議なこと言うねー? そうだよねー、お母さんの言うことが正しいよねー? マネしちゃっただけだよねー?】

 

【……そうだな! 大人ぶりたいお年頃だもんな!】

【そうだよな! ……ちょっと知り合いの記者に根回ししてくる】

【あ、俺も。 インフルエンサー仲間に……】

【ちょっと社長に……】

 

【えみママえみママ、アシスタントさんに言ってこの配信一瞬だけ止めて、今のシーンのカットはよ】

【新しい配信にしてもこのバズりで人来るだろうしな、問題なさそうだし止めるのが正解か?】

 

【やっぱりるるちゃんのせいで炎上しちゃった……】

【あーあ、るるちゃんのせいで】

 

【深谷るる「今回ばかりは私のせいじゃないよ!?」】

 

【草】

【さすがにとばっちりで草】

【ごめんね?】

 

【深谷るる「許します!」】

 

【やさしい】

【るるちゃんは良い子。 ハルちゃんは天然な子】

 

【でも元凶は多分るるちゃんなんだよ……?】

【そう言えばそうだった……】

 

【深谷るる「理不尽すぎません!?」】

【るるちゃんが巻き込まれてて草】

 

いいよね、もともといつかはバラす予定だったし、僕が大人って。

 

さすがに男だったってのは言わない方がいいのは分かってるけども、子供だってことになるといろいろ問題あるもんね。

 

例えば配信。

 

何年も平日の昼間っからしてるし、「学校どうしたの?」ってことになるし。

 

あと未成年のダンジョン潜りって確か年間の規制とかあったはずだし……それこそ危ない目に遭ったらカウンセリングとかで数ヶ月強制的に休みとかあったはず。

 

そんなのめんどいもんねぇ……やっぱ大人って楽だね。

 

 

 

 

「……なんか、えーと。 ……もしかして配信にるるさん来てます? 僕になんか飛ばしてます? なんか……呪いとか?」

 

【深谷るる「違うってばー!? って言うか見てー!! スマホ、安全エリアでもマナーモードにしないでー!!」】

 

【草】

【まあ、そうなるな】

【誰だってこんなの経験したらそう思う】

 

【なにこれ……なんで3回連続初手モンハウなの……】

【確率おかしくない?】

【ダンジョンさーん、バグってますよー】

 

【三日月えみ「これまでるるの配信やコラボでも些細なトラブル程度しか起きませんでしたが……るる、ログアウトしなさい。 それから適当に何か食べてなさい。 なるべくハルのことを考えないように」】

 

【草】

【とうとうえみお姉さんからストップ掛かって草】

 

【るるちゃんの呪い……改めて怖っ……】

【だってホーミングるるちゃんだし……】

【確かにやばいよな、この確率】

 

【これまでネタにできる程度の不幸だったのに、どうしてハルちゃんだけ……】

【……考えてみれば、こっそり楽しんでたハルちゃんが大勢にバレたのも、元はと言えばるるちゃんの……】

 

ひゅんひゅんっ。

 

お昼ごはん食べて元気になった僕は元気に階段から下へ。

 

――そこからまさかのモンスターに囲まれた状態×3。

 

……ねぇ、あの子本当やばくない?

 

お祓いとか行ったら?

 

あと僕に押し付けないで?

 

「ふぅ」

 

さすがの僕だって、びっくりするのが3回連続なら焦りもする。

だから普段はならないけど……。

 

「もう、汗かいちゃったじゃん……」

 

【ぺろぺろ】

【ハルちゃんの汗……】

【幼女の汗……いい】

【ショタの汗です!!】

【初見お姉さん元気だな】

【草】

 

【でもハルちゃんおかしい……どうして遠距離職がソロでモンハウ放り込まれて1回も近寄らせないで撃退できたの……?】

 

【階段下りた瞬間、5メートル以内に数体居たよな……?】

【カメラ的にくるくる周りながら冷静に撃ち抜いていくハルちゃん……】

 

【ほとんど移動せずに1分でフロアのほぼ全部のモンスターを制圧してる……何これ……?】

 

【ヘッドショットロリやべぇ】

【この技量だけは大人だって言えるな。 背の高さも声もロリだけど】

 

【『彼女は正式に事務所に所属しているのでしょうか?』】

【『彼女へのコンタクトはいずれの方法を選べますか?』】

【『彼女についての詳細情報は存在しますか?』】

 

【怒濤の海外勢】

【読めなくても言いたいことが伝わるのすげぇ】

【誰か教えてやって、えみママんとこ連絡してって】

 

【せめてハルちゃんが、一瞬でも見てくれたらなぁ……】

【無理だろ。 始めた頃から最初と最後しかコメント見ないって始原が言ってたぞ?】

 

【始原が言うなら仕方ない】

【なんか始原って名前に見えてきた……】

【良いのか? 始原っていう10人が居るんだぞ?】

【始原10人兄弟……何か嫌だなそれ】

【草】

 

普段はこんなに焦ることないのにね。

 

だって階段下りたら囲まれてる……のはあるけども、その次の階層でもその次の次の階層でもってあり得なくない?

 

この調子だとこの後全部?

嘘でしょ?

 

「……帰ったらるるさんに、何か飛ばしたりしないでって言わないと」

 

【深谷るる「え〝っ!?」】

【三日月えみ「ほら、さっさとログアウトしなさい」】

 

【草】

【とうとう避けられてて草】

【って言うか待って、ハルちゃんってばるるちゃんと一緒に……?】



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21話 「はじめてのだんじょんはいしん(全世界公開)」4

「……僕、帰り道でお祓い受けてこようかなぁ……」

 

【それがいいと思うよ】

【でも無理だと思うよ】

【だってホーミングるるちゃんだし……】

 

【深谷るる「ごめんね……本当にごめんね……」】

 

【るるちゃんが謝ってる】

【草】

【泣かないで】

 

【でもハルちゃんがこれだけ不運なのも、ヘタするとるるちゃん自身の配信始まって以来だし……】

 

【るるちゃんに魅入られし幼女、ハルちゃん】

【そう言えば僕っ子だったハルちゃん】

【それどころじゃなくてすっかり忘れてた……】

【普通ならロリが僕っ子ってだけで強すぎるのにな……】

 

【それを塗りつぶす個性よ】

【吹き飛ばすの間違いじゃ?】

【そうかも】

 

階段を下りたと思ったらモンスターがうようよいる場所。

それが3連続。

 

……さすがにそれ以上は無かったけども、今度は出てくるモンスターがどれも色違いとかちょっと見た目が違うレアなやつばっかりに。

 

色違い、レアと来たら当然強いのはダンジョンが出現する前のゲームとかと同じだけども……結構大変。

 

「弓矢は便利だけど矢が折れたら損だし、銃は弾が高いし……ただで拾える石、もっと集めなきゃ……」

 

【ハルちゃん、もっとしあわせになって \5000】

【おじさんのおこづかい、受け取って \10000】

【俺の小遣いも……ガチャなんか回してる場合じゃねぇ \3000】

 

【あ、投げ銭……登録者数はともかく、収益化申請、事務所でしてくれたんだね……】

【そうじゃなかったら気が付かなさそうなのがハルちゃんだもんなぁ】

 

【るるちゃんが救いの女神……いや、そもそもるるちゃんのせいだったわこれ】

【今この瞬間の全てがるるちゃんのせいという風評被害】

【風評か?】

【すまん事実だったわ】

【草】

 

【けど、かわいい声で言うからてっきりおねだりかと思いきや、ハルちゃん本人が画面見てないから本当のぼやきで草】

【何日か前まで登録者10人とかじゃ収益化とか頭にないだろうしなぁ……】

【つまり、これまで通りに収益化とか頭にない趣味配信な気分だと……】

 

【ハルちゃん……すっかり貧乏キャラが定着しちゃって……】

【このレベルなら普通に稼いでるはずなのに、どうして……】

 

【何でか知らないけど今日はやたらしゃべってくれて嬉しい……けどやっぱりハルちゃんは無言で良かったかも……】

 

【知らなければただ楽しめたのに……もう戻れない】

【一緒に沼に沈もう?】

【俺たちと来るんだ】

【始原さんたち……】

【きゅん】

【待て、そっちはときめく方向が違うぞ】

【草】

 

【なんかハルちゃんが口を開くたび、闇がひたすらにあふれてくるでござる】

【どうして……】

【やっぱりるるちゃん……?】

 

【でもお父さんの真似はするけどお母さんのはない……あっ……】

【シングルファザー、お父さんのためにダンジョン潜って……帰ったらえみお母さんに甘えて……?】

【あの柔らかいのに包まれて癒やされて?】

【できたらその光景も配信して?】

 

【三日月えみ「***************************************」】

 

【えみちゃん!?】

【今度はえみちゃんが……えみちゃんがるるちゃんの餌食に……!】

【草】

 

【深谷るる「ごめんなさい、ちょっとえみちゃん……ハルちゃんが心配すぎて」】

 

【優しい】

【優しすぎてストレスになってそう……】

【ハルちゃん、幸せになって……】

 

なんかモンスターが異様に強くなってきてる。

これは気のせいとかじゃない。

 

「………………………………」

 

腕のリストバンド。

 

僕の、普段とは違う焦りですでにスタンバイモードだ。

 

この状態ならタップすればすぐに脱出できるし、大きな衝撃でもオートで脱出させてくれるすごいもの。

 

【緊急脱出装置!】

【帰るの?】

【多分それがいいと思う……何かおかしいし】

 

【それに<URL>こっちとかの配信じゃ普通に潜れてるらしいんだよ……1階層ずつ、トラップも無しで。 やっぱるるちゃん、なんかしてるって】

 

【ハルちゃん救助隊……って言っても有志のだけど】

【その人たちが潜っても普通に1層ずつだから逆に時間掛かって追いつけないっぽいね】

 

【初心者用ダンジョンだけど各階層の広さは普通にあるからなぁ】

【全力で走っても……最低2時間は掛かるよね、ここまで】

【ハルちゃん、どんだけ階層スキップしちゃったんだろ】

【と言うか本当、今何階層なのよここ?】

【正確な階層はハルちゃんすら分からないゾ】

 

……電波は入ってる、充電はばっちり、「作動しますか?」も表示される。

 

壊れてないのを確認。

ソロプレイだからこそ命綱は何度も確かめなきゃね。

 

「まだダメージ受けてないのでもうちょっとだけ行ってみます。 この袋、まだまだ入るっぽいですし」

 

【前しか見てないハルちゃん……そこが好きよ】

【あの、同接……夕方になって何倍にも跳ね上がってるんだけど……】

 

【同接、えぐない……?】

【そりゃあ100万超えでも驚かない内容だし……】

【普通ならこれだけですっごく喜んで記念配信とかになるだけどね……】

【そこはほら、ハルちゃんだからさ……】

 

【前とは違ってニュースとかにはなってないのにあのとき並って……しゅごい】

【まぁ実質、えみちゃんるるちゃんの事務所の新人扱いだし】

 

【こんな新人が居てたまるか! 後続のハードル高いなんてもんじゃないぞ!?】

【草】

 

【ハルちゃんは……うん】

【なんかもう「ハルちゃん」っていう別の何かだから……】

【るるちゃんみたいな扱いで草】

 

【不幸るるちゃんに続いてヘッドショットハルちゃん……すごい時代だ】

 

最初はただ歩きで、しかも石拾いしながらとぼとぼ進んでただけ。

途中でおにぎりも食べたし、10分くらい横になった……寝てないよ?

 

で、この袋。

 

入れたものがどうにかなる的なトラップもないみたいだからって装備とかもどんどん入れて、最低限のもの以外しか手に持ってない状態で実質手ぶら状態。

 

だから普段よりもむしろ楽なまである……体の方はね。

 

心の方は……うん。

 

「やっぱりるるさんのせいかなぁ……これ」

 

【そうじゃない?】

【そうだよ】

 

【深谷るる「ごめんね……ごめんね……」】

【かわいそうなのがかわいくて草】

【ぺろぺろ】

 

また何か変なことになるかもしれない。

普段以上の警戒心で結構心は疲れてきてる。

 

あー。

 

「……残弾使い切って戻ろ」

 

【良かった……良かった……】

【帰り際にコメント見てくれたらなんとか……】

【でも既に遅いって言うね】

 

【ハルちゃんがソロでそれなり以上どころじゃなくやれるやばいやつって分かったから安心はしてるよ。 闇まみれだけど】

 

【俺、ハルちゃんが脱出したら今日の仕事がんばるんだ……】

【お前、絶対今日の仕事できてないだろ】

【だって気になるじゃん?】

【草】

 

【けどさ、言動も幼いし……まさか本当に合法ロリ?】

【本物のロリに決まってるだろ】

【ショタです!!!!】

【お前は落ち着けショタコン】

 

【まー、ダンジョンが現れて10年。 ダンジョンにぴったり合ってる天才が出て来てもおかしくはないわな、時代的に】

【やめてくれ】

 

【ダンジョンが出現する前の時代を知ってるお兄さんたちは何歳なんですかー?】

【やめろ】

【やめてくれ】

【おじさんたちはどうすれば……】

【まだ俺はお兄さんなんだ……おじさんじゃないんだ……】

 

ちょっと速かったりコアが頑丈だったりはするけども、やっぱり初心者用ダンジョン……ちょっと変だけど……だってことでモンスターもそこまで強いわけじゃない。

 

だから隠蔽と視界を最大まで引き上げた僕は、その分音を立てても問題ない形にする。

 

じゃ、息が切れない程度のジョギングだ。

 

2日くらい外に出られなかった分の体力使い切っちゃお。

 

【え? ちょ】

【なんでハルちゃん走り出したの!?】

【まさかの特攻】

【ハルちゃーん!?】

 

【いや、大丈夫だ】

【ハルちゃん、早く帰りたいときによくこれやるから】

【始原……情報助かる】

 

「ふっふっ」

 

子供の足で普通に歩く速度から、子供の歩幅だけども魔力ブーストで大人のジョギングくらいにスピードアップ。

 

これで移動時間を短縮してさっさと行けるところまで。

普段からよくやるやつだ。

 

町の中で普通に速く移動できるから案外重宝するよね。

 

【●REC】

【AI遣い、これは?】

【任せろ、吐息も完璧に作る】

【あなたが神か】

 

【深谷るる「あ、そういうのは事務所に申請してくださいねってえみちゃんとマネージャーちゃんが言ってます」】

 

【もちろんです。 公開の前にデータの提出もして許可をいただきますし、最大限の配慮と制限をこちらからも掛けます】

 

【えらい】

【と言うかるるちゃん、ログアウトしないとまた不幸が……】

 

【問答無用でBANされるよりはほどほどで許可取ったほうがいいもんな】

【そのうち絶対悪用されるけどな】

【まあ人気な子のは前から出回ってるし……】

 

【と言うかハルちゃん、足速くない……?】

【魔力でブーストして……いや、ソロでそれは危ないんじゃ……】

 

【ハルちゃんは疲れて気が抜ける前に撤退できるタイプだ。 安心してくれ】

【そうそう、これはただめんどくさいからさっさと終わらせようって思ってるパターン】

【うんうん、ハルちゃんは全力でめんどくさがりだからな】

 

【始原たちの理解力が高すぎる】

【草】

【それでこそ俺たちの始原だ】

 

「左」

 

しゅんっ。

 

「右斜め前」

 

しゅんっ。

 

「後ろから3」

 

くるっと回ってしゅんっ。

 

そうして目指す方向に近いところのドロップは取りに行くけども、外れたところまでは行かない。

 

ここからはスピードでの狩りなんだ、効率重視でね。

 

【えっ……何してるのこの幼女(ドン引き】

【なんか自転車くらいの速さで走りながら止まらずに撃ってるんだけど……】

【しかもパチンコじゃなくなって弓で……】

【わー、ようじょがくるくるおどってるー】

 

【俺弓道やってるけどあんなに速く番えられないし引けないし狙いも合わせられない】

【そういう競技じゃないからね?】

【アーチェリー……俺、もう止めようかな……】

【だから違うからね?】

【俺もメイン武器が弓だけど1から出直さないと……】

【ダンジョンでも普通は不要なスキルよ??】

 

【絶望を振りまくハルちゃん】

【モンスターどころか視聴者たちへもダメージを振りまいてる……】

【なにこの幼女……】

 

【待って、やっぱおかしい。 さすがにこのレベルのモンスター一撃ってのも、それがコモンの弓ってのも、腕の長さ的に威力が出ないはずなのも何もかも】

 

【知らない、こんなスキル知らない】

【さすがに動画だって思いたくなってきた、合成の】

【残念ながら配信なんだよなぁ……】

 

【これが全部計算ずくだったら俺、もう何も信じられない】

【大丈夫。 るるちゃんの伝染力だけは本物だよ】

【草】

【オチ担当のるるちゃん草】

 

 

 

 

「つよかった」

 

僕の目の前にはでっかい熊さん。

 

なんかいろいろ角とか生えてるけどなんて名前なんだろうね。

あんま興味ないからどうでもいっか。

 

【速報・ハルちゃん新種のモンスターもヘッドショット】

【Q.感想は? A.「つよかった」 ……かわいいね】

【かわいい(ぐるぐるおめめ】

 

【もはやどんなモンスターも瞬殺で全てが見せ場だった】

【ダンジョンに潜ってる高レベルほど見せ場って分かるあれだな】

 

【これがハルちゃん流のエンターテイメント……?】

【いや、ただの天然だろ】

【草】

 

「これってFOE? 突然変異のこわいやつ?」

 

【ハルちゃん、それボス……多分ボスモンスターよ……?】

【ボスモンスターが「こわいやつ」のひとことで片づけられて草】

【ネーミングセンスはとことん幼女】

【こんなのがダンジョンを徘徊していてたまるか】

 

【そもそもこの広間、階段下りてワンフロアって時点でボスフロアでしょ……】

【それはほら、ハルちゃんだから……】

【ああうん、なんか納得したわ】

【もうハルちゃんっていう何か】

 

【なにもかも常識が通じない。 それがハルちゃんだ】

【我流も極めたらすごいんだなぁ……】

【絶対マネしちゃダメだぞ? いや、ガチで】

【普通の人間ならこうなる前に大ケガで緊急脱出だ、安心しろ】

【草】

【安心して良いのか? それ】

 

ちょっと見て回ったけども、降りる階段は無し。

 

……たまにあるよねぇ、こういう部屋。

 

ダンジョンも工事中ってあるんだよね。

 

「ここから先の階層はまだ開かないみたいですので、そろそろ脱出装置で出ます。 次来るとき潜れるようになってるといいなぁ」

 

【いや、開かないも何もここが最奥なんだよハルちゃん】

【ここがボス部屋……なんで宝箱探さないのハルちゃん……】

【ハルちゃんの索敵能力なら探せば見えるはずなのにどうして……】

 

【……もしかしてさ? ときどきある、ダンジョンのボス部屋なのになぜかボスが居なくて宝箱とかドロップだけあるのって……】

 

【は?】

【いや、まさか】

【さすがに……なぁ?】

【ハルちゃんは確か3年くらい前から……え?】

 

【俺、ちょっとそういう噂のリスト作ってみる。 もしそれがこの前のダンジョンの近くだったら……】

 

【ハルちゃん、ダンジョン攻略したの分からないで引き上げてた!?】

【草】

【えぇ……】

【何そのもったいなさ過ぎるの……】

【やっぱりこの子ちょっとおかしい】

 

【悲報・ハルちゃん、保護されるべきだった】

【やっぱソロの人ってどっかがぶっ飛んでるんだね……】

【知りたくない情報を知ってしまった】

 

【これ、完全にソロの弊害じゃん……】

【ハルちゃん、保護してもらって……えみお姉さんたちに1からいろいろ教えてもらって……】

 

【ダンジョン協会も調査してたんだよハルちゃん……どうしてボスが居ないダンジョンがあるのかって……】

【まさかその原因がハルちゃんだとは……】

 

【ダンジョン協会で調べて回ってた人たち、何年分の仕事がパーになって泣いてそう】

【かわいそすぎる】

【しかも今からハルちゃんの検証があって地獄絵図】

【かわいそすぎる】

 

「じゃ、今日の配信はおしまいです。 ちょっと疲れたので地上に上がってから軽くお返事しますね」

 

【これだけのことをしでかして「ちょっとつかれた」ハルちゃん】

【最後まで疲れた様子ないとか……】

【本当に人間? ダンジョンで生まれたエルフとかじゃない?】

 

【えみお母さん、ハルちゃんすぐに捕まえて。 すぐに捕まえて即行連れて帰って悪い人たちから守って】

【これだけの実力があるのにこれだけ抜けてるの心配すぎるもんな】

 

【ヘタしたら「お嬢ちゃん、コンビニおにぎり買ってあげるから来てくれない?」でのこのこ着いていきそうなまである】

 

【ひらめいた】

【通報した】

【情報開示請求しとく?】

【姉御、やめてくれ。 本当に冗談だ】

【草】

 

【ハルちゃん、るるちゃんの不幸もらった代わりに面倒見てもらえて良かったね……いや本当に】



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22話 『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』1

『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』

 

 

60.投票は「るる×ハル」最多

るる×ハルorハル×るるという世紀の投票は圧倒的多数でおねロリになる見込み

 

87.投票は「るる×ハル」最多

こんなときに何やってるんだ……

 

121.投票は「るる×ハル」最多

だってこうでもしないと現実逃避できないし

 

136.投票は「るる×ハル」最多

みんな当たり前すぎて忘れてるけどさ……先週まで登録者10とかの個人勢がさ、ゲストですらない一般視聴者にえみちゃんとるるちゃんが普通に居るとか豪華すぎるよね……

 

154.投票は「るる×ハル」最多

しかもその内容がハルちゃんのこと必死に呼んでるだけってのがな

 

159.投票は「るる×ハル」最多

個人勢でソロで幼女だから本気で心配される系な配信……

 

160.投票は「るる×ハル」最多

えみちゃん、おいたわしい……

 

171.投票は「るる×ハル」最多

るるちゃんは?

 

177.投票は「るる×ハル」最多

とりあえず謝ろ? ハルちゃんが許してくれるかもよ?

 

189.投票は「るる×ハル」最多

 

200.投票は「るる×ハル」最多

るるちゃんに対してだけ辛辣で草

 

223.投票は「るる×ハル」最多

だって本当、どう考えてもるるちゃんのせいでハルちゃん大変な目に遭っただろうし……この何日か……

 

246.投票は「るる×ハル」最多

それもそうだ

 

249.投票は「るる×ハル」最多

正論過ぎる

 

251.投票は「るる×ハル」最多

考察班のガバガバ推理通りならこれからも隠れてたいはずのハルちゃん。 だから今日の配信も始原って言う実質身内だけにってのだったはずがこの通り、全世界公開だし……

 

272.投票は「るる×ハル」最多

それで嫌ってないって時点で……天使かな?

 

291.投票は「るる×ハル」最多

金髪ロングで碧眼のお姫様みたいな子が天使じゃないならなんだよ

 

303.投票は「るる×ハル」最多

え? 俺の嫁

 

326.投票は「るる×ハル」最多

>>303 ショタだって言ってんだろ! ……分かった、情報開示請求するから3ヶ月後待っててね?

 

329.投票は「るる×ハル」最多

待て姉御、謝る、この通りだ

 

361.投票は「るる×ハル」最多

 

370.投票は「るる×ハル」最多

初見→初見お姉ちゃん→姉御で草

 

381.投票は「るる×ハル」最多

悲報・ハルちゃんの関係者、みんなキャラ濃すぎる

 

388.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃん自身には敵わないけどな!

 

 

421.投票は「るる×ハル」最多

おにぎりいっこでおなかいっぱい

 

438.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃん……

 

450.投票は「るる×ハル」最多

もっと食べる君が好き……

 

462.投票は「るる×ハル」最多

ちょ、配信画面ものすごい課金の嵐

 

477.投票は「るる×ハル」最多

だっておにぎりいっことか……ねぇ?

 

511.投票は「るる×ハル」最多

これで本当に計算ずくじゃないなら不憫すぎるし

 

526.投票は「るる×ハル」最多

演技とか台本であってくれって思う日が来るとは……

 

536.投票は「るる×ハル」最多

現代社会の闇よ……

 

557.投票は「るる×ハル」最多

えみお母さんの愛情がまぶしすぎるとか……泣ける

 

589.投票は「るる×ハル」最多

あのおっぱいに包まれても逃げ出すなんて……

 

600.投票は「るる×ハル」最多

るるちゃんにおっぱいがあるって!?

 

631.投票は「るる×ハル」最多

お前は別の宇宙から来たのか?

 

640.投票は「るる×ハル」最多

別の世界線かもな……るるちゃんが貧乳以上になるって言う平べったい確率の先の……

 

643.投票は「るる×ハル」最多

そんな世界線は三千世界でも数えるほど

 

647.投票は「るる×ハル」最多

 

656.投票は「るる×ハル」最多

だって絶壁だし……

 

671.投票は「るる×ハル」最多

ひ、貧乳教徒からは絶大な人気だから……

 

680.投票は「るる×ハル」最多

あー、確かに一部からは熱狂的すぎるよな

 

688.投票は「るる×ハル」最多

私、実はるるちゃんのこと、男の娘だって思っているんです。 だってブラ紐とかないときあるし……

 

701.投票は「るる×ハル」最多

ほ、ほら、配信だと動くから……

 

729.投票は「るる×ハル」最多

姉御、るるちゃん泣きますぜ?

 

756.投票は「るる×ハル」最多

そうだそうだ、いくら絶壁だからって言ってもひどいや!

 

761.投票は「るる×ハル」最多

擁護になってなくて草

 

799.投票は「るる×ハル」最多

お前らはるるちゃんファンの俺を怒らせた

 

862.投票は「るる×ハル」最多

でもお前、貧乳ロリの上位互換がハルちゃんだぞ?

 

888.投票は「るる×ハル」最多

ごめんるるちゃん、今日から俺ハルちゃんファンになるわ。 後はがんばって

 

901.投票は「るる×ハル」最多

切り替えが早すぎる

 

926.投票は「るる×ハル」最多

 

986.投票は「るる×ハル」最多

いや待て、ハルちゃんは幼女だから成長する見込みがあるけど……JKなるるちゃんは……もう、無いんだぞ……?

 

 

『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』2

 

 

6.投票は「るる×ハル」最多

【速報】ハルちゃん、合法ロリになるしかなくなった

 

23.投票は「るる×ハル」最多

そっかー、おしゃけおいしいんだー

 

65.投票は「るる×ハル」最多

自ら退路を断っていくスタイル

 

71.投票は「るる×ハル」最多

 

99.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃん、下手に実況なんかし始めるから……

 

165.投票は「るる×ハル」最多

は?

 

203.投票は「るる×ハル」最多

成人してるって言った!!

 

276.投票は「るる×ハル」最多

これは……どっちだ!?

 

309.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃんハルちゃん、実はこっそりこことか見てない?

 

361.投票は「るる×ハル」最多

大丈夫だろ、見てたらここにもホーミングるるちゃんが来るはずだし

 

372.投票は「るる×ハル」最多

始原としては、ハルちゃんがそんなに器用だとは思えないな

 

380.投票は「るる×ハル」最多

 

400.投票は「るる×ハル」最多

えみお姉ちゃんの華麗な判断で、ハルちゃんはお父さんっ子と言うことになりました

 

465.投票は「るる×ハル」最多

そういうことにしておこう

 

478.投票は「るる×ハル」最多

そうだよな、ハルちゃんが嘘つくはずないもんな!

 

521.投票は「るる×ハル」最多

そうだそうだ、そこまで器用だったらもっとうまくやってる

 

564.投票は「るる×ハル」最多

擁護になっていないような、擁護のような……

 

581.投票は「るる×ハル」最多

負の信頼ってやつがこれだよ

 

601.投票は「るる×ハル」最多

 

626.投票は「るる×ハル」最多

でも、やることなすこと全部ハズレ引くハルちゃん……

 

651.投票は「るる×ハル」最多

これがるるちゃんの呪い……

 

 

879.投票は「るる×ハル」最多

「僕になんか飛ばしてます?」草

 

906.投票は「るる×ハル」最多

やっぱり飛ばしてるんじゃねーか!!

 

921.投票は「るる×ハル」最多

怖っ

 

962.投票は「るる×ハル」最多

るるちゃんのキャラってことでこれまでみんな冗談で言ってたのが、マジもんでガチッぽいって気が付いて本気で怖がってて草も生えない

 

981.投票は「るる×ハル」最多

ちょ、流れ速すぎ

 

 

『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』3

 

 

109.投票は「るる×ハル」最多

3連続初手モンハウとかどんな確率よ?

 

167.投票は「るる×ハル」最多

宝くじの……2等とか1等とか……?

 

189.投票は「るる×ハル」最多

宝くじには当たりがあるけどるるちゃんの呪いは呪いでしかないよ?

 

242.投票は「るる×ハル」最多

 

296.投票は「るる×ハル」最多

ある意味すごいけど絶対巻き込まれたくない

 

319.投票は「るる×ハル」最多

るるちゃん、えんがちょにならないで……

 

372.投票は「るる×ハル」最多

ああ、とうとうえみちゃんから退場させられてる……

 

384.投票は「るる×ハル」最多

まぁ、ここまで見たらねぇ……

 

432.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃんの汗

 

496.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃんの汗

 

594.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃんの汗

 

706.投票は「るる×ハル」最多

配信画面、こっちとおんなじ変態コメントが流れるのに迫る頻度で外国語が流れ始めて草

 

732.投票は「るる×ハル」最多

俺たちが変態だってことも全世界に……

 

762.投票は「るる×ハル」最多

今さらだろ

 

795.投票は「るる×ハル」最多

HENTAIだぞ?

 

862.投票は「るる×ハル」最多

つまり、世界中に俺たちが……

 

888.投票は「るる×ハル」最多

そんなの嫌すぎる

 

898.投票は「るる×ハル」最多

 

946.投票は「るる×ハル」最多

俺たちは未来に生きているんだ

 

950.投票は「るる×ハル」最多

まぁ実際、多くの先進国じゃ未成年はそもそもダンジョン立ち入り禁止だしな

 

 

『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』4

 

 

32.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃん、帰りにあの近くの神社行くってよ

 

69.投票は「るる×ハル」最多

俺ちょっと用事あったんだった、行ってくる

 

80.投票は「るる×ハル」最多

俺も俺も

 

89.投票は「るる×ハル」最多

私も

 

101.投票は「るる×ハル」最多

姉御はステイ

 

151.投票は「るる×ハル」最多

別に私はひと目でもハルきゅんらしき男の子見るつもりじゃないのですわよ!?

 

162.投票は「るる×ハル」最多

落ち着け姉御、キャラ崩れてるぞ

 

269.投票は「るる×ハル」最多

いや待て、なんか物々しくなってるぞ<URL>

 

299.投票は「るる×ハル」最多

うわ、なんだこれ

 

321.投票は「るる×ハル」最多

ここ、ハルちゃんが潜ってると思しきダンジョン?

 

339.投票は「るる×ハル」最多

突撃しようとした配信者がお巡りさんたちにガードされてるな

 

351.投票は「るる×ハル」最多

何があった!?

 

371.投票は「るる×ハル」最多

いや、こんだけおかしいこと起きてるんだからダンジョン協会が規制頼んでるんだろ

 

389.投票は「るる×ハル」最多

るるちゃんのせいで1階層飛ばしだもんなぁ……

 

404.投票は「るる×ハル」最多

耐性のないヤツは無理だろうな

 

462.投票は「るる×ハル」最多

高レベルパーティーじゃないと入れてもらえなさそう

 

492.投票は「るる×ハル」最多

あ、ハルちゃん追ってたパーティーにも協会から撤退した方が良いって連絡入ってるっぽい

 

506.投票は「るる×ハル」最多

まあ、そうなるな……

 

512.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃん以外は変なことになってないけど……これは、ねぇ……?

 

 

593.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃん、弾代でかつかつとか

 

601.投票は「るる×ハル」最多

ごく自然にまーた視聴者に課金させるハルちゃん

 

651.投票は「るる×ハル」最多

この闇よ

 

689.投票は「るる×ハル」最多

配信サイトでの投げ銭は結構持ってかれるって言うし、事務所さんハルちゃんのファンボはよ

 

708.投票は「るる×ハル」最多

こんだけレベル高いんだったらちゃんとしたパーティーと潜ればちゃんとしたお金が入るはずなのに……

 

729.投票は「るる×ハル」最多

ハルちゃん、ガチでお父さんのために潜ってたり? お父さんが病気とかで

 

888.投票は「るる×ハル」最多

まーた健気属性が……

 

900.投票は「るる×ハル」最多

!?

 

926.投票は「るる×ハル」最多

えみちゃんのコメントがバグってる草

 

951.投票は「るる×ハル」最多

えぇ……

 

971.投票は「るる×ハル」最多

るるちゃんダメでしょ! 呪い飛ばしちゃ!

 

989.投票は「るる×ハル」最多

呪いを自分の意志で飛ばせたらやばそう

 

1000.投票は「るる×ハル」最多

るるちゃん……いや、るる様……

 

 

『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』5

 

 

101.投票は「るる×ハル」最多

すごいパトカーの数

 

162.投票は「るる×ハル」最多

テレビで中継してる!!

 

189.投票は「るる×ハル」最多

「ダンジョン内部で通常とは異なる動きを探知」だそうだ

 

202.投票は「るる×ハル」最多

あ、その前に潜ったパーティーの配信

 

208.投票は「るる×ハル」最多

撤退直前まで普通に潜れてるっぽいな……

 

246.投票は「るる×ハル」最多

もしかして:るるちゃんの呪い、完全にハルちゃんだけがターゲット

 

258.投票は「るる×ハル」最多

「私を助けてくれたハルちゃんは私だけのものだからね」

 

261.投票は「るる×ハル」最多

ヤンデレかな?

 

287.投票は「るる×ハル」最多

そう言えばるるちゃんが事故った配信でもハルちゃん、一時行方不明からの保護って……

 

301.投票は「るる×ハル」最多

まさか……

 

369.投票は「るる×ハル」最多

お坊さん100人くらいでまとめて掛からないと解呪できなさそう

 

389.投票は「るる×ハル」最多

「無理ですじゃ」とか言われそう

 

443.投票は「るる×ハル」最多

 

 

468.投票は「るる×ハル」最多

パトカーとかの車両がダンジョン一帯を封鎖してるせいで余計大ごとになってる……

 

487.投票は「るる×ハル」最多

これもみんなみんな、るるちゃんのせいなんだよ? いや本当に

 

498.投票は「るる×ハル」最多

テレビ中継の方は、報道規制なのか「原因は不明です」って感じだな

 

521.投票は「るる×ハル」最多

まぁ話題性しかないるるちゃんからのハルちゃんってことで突撃して二次被害起きそうだし

 

552.投票は「るる×ハル」最多

一方でハルちゃんの配信自体は平和そのものなのが草生える

 

559.投票は「るる×ハル」最多

コメントさえ見なければ普通のようじょのぼうけんって感じだもんな

 

568.投票は「るる×ハル」最多

わー、ハルちゃんひとりでおさんぽできてえらいねー

 

577.投票は「るる×ハル」最多

おさんぽ(1階層ずつ飛ばしです、初手モンハウ3連続とかどう考えても殺意マシマシです、おまけにるるちゃんの呪い様が来てます……普通ならまず無理です

 

587.投票は「るる×ハル」最多

最近の幼女ってすごいな……

 

632.投票は「るる×ハル」最多

ロリでも合法ロリでも良い、無事でいて……

 

640.投票は「るる×ハル」最多

ショタでも良いからさ、この際……

 

647.投票は「るる×ハル」最多

まぁここまで危ない場面すら無かったし大丈夫……だよね?

 

656.投票は「るる×ハル」最多

「やっぱりるるさんのせいかなぁ……」

 

702.投票は「るる×ハル」最多

 

783.投票は「るる×ハル」最多

るるちゃんが全力で謝ってて草

 

805.投票は「るる×ハル」最多

るるちゃんがログアウトしてないから続いてるんじゃないの……?

 

876.投票は「るる×ハル」最多

心配な気持ちは分かるけどなぁ……

 

889.投票は「るる×ハル」最多

えみお母さん、るるちゃんのことちゃんと管理して? なんかあるでしょ、神社の離れとかお寺の1室借りてバリア張ってもらうとかさ……?

 

892.投票は「るる×ハル」最多

そんなことしたらその神社とかお寺ごと崩壊しそう

 

900.投票は「るる×ハル」最多



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23話 『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』2……とその後

『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』7

 

 

1.結果は「ふたりはるるハル」最多

今来た人用まとめ:ハルちゃんは貧乏家庭出身で病気のお父さんが大切なお父さんっ子→たまたまダンジョンでの適性があって毎日潜ってた?

 

2.結果は「ふたりはるるハル」最多

ハルちゃん、本当に合法ロリ説→数年前の法律改正で16歳からダンジョン内だけ成人扱い、もし今年で18歳なら配信始めた頃ギリ16歳。 配信開始の3年前からなら学生の年間規制に引っかからない

 

3.結果は「ふたりはるるハル」最多

ハルちゃんがまだロリっ子で16歳未満なら、法律違反になるから意地でも成人って言い張ってるならやべーロリっ子配信者爆誕

 

4.結果は「ふたりはるるハル」最多

合法ロリなら身長120センチの合法ロリ配信者爆誕、ロリならガチロリ配信者爆誕とご褒美しかない模様

 

5.結果は「ふたりはるるハル」最多

顔出し無し・声出し無し・趣味垢宣言→ロリだろうと合法ロリだろうと目立つ見た目、目立ったら困る身の上、さらに推定レベルがほぼ上限の30~40、つまり国内上位100位の中の非公開勢で面倒を嫌がってるから

 

7.結果は「ふたりはるるハル」最多

情報量が多すぎて草

 

10.結果は「ふたりはるるハル」最多

怒濤のまとめ助かる

 

16.結果は「ふたりはるるハル」最多

なんか矛盾してるところあるけど綺麗に繋がっちゃってる……

 

23.結果は「ふたりはるるハル」最多

がばがばだけどなんか大筋合っちゃってるねぇ……?

 

32.結果は「ふたりはるるハル」最多

【悲報】ハルちゃん、必要だったからあえておかしな配信してた

 

45.結果は「ふたりはるるハル」最多

【悲報】なのにるるちゃんのせいでバレたから保護されてる

 

51.結果は「ふたりはるるハル」最多

【悲報】なのに逃げ出して普通に配信してる

 

55.結果は「ふたりはるるハル」最多

なんで……?

 

59.結果は「ふたりはるるハル」最多

 

72.結果は「ふたりはるるハル」最多

男の子に決まってます。 私はまだ希望を捨ててません

 

74.結果は「ふたりはるるハル」最多

まーた初見お姉ちゃんか

 

75.結果は「ふたりはるるハル」最多

SNSとかでもみんなで好き勝手言ってるうちに情報が集約統合されてきてて草

 

81.結果は「ふたりはるるハル」最多

これが集合知ってやつか……

 

86.結果は「ふたりはるるハル」最多

ネットって怖いね

 

103.結果は「ふたりはるるハル」最多

特定とか怖いね。 みんなも気をつけようね? こうなると手遅れだから……

 

119.結果は「ふたりはるるハル」最多

大きなお友達はすごいんだよ?

 

 

『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』8

 

 

226.結果は「ふたりはるるハル」最多

ハルちゃん、やっと帰る気持ちになってくれたらしい

 

242.結果は「ふたりはるるハル」最多

良かった……良かった……

 

267.結果は「ふたりはるるハル」最多

!?

 

287.結果は「ふたりはるるハル」最多

ハルちゃん、猛ダッシュ

 

305.結果は「ふたりはるるハル」最多

もしかして:これもるるちゃん

 

367.結果は「ふたりはるるハル」最多

えっ

 

406.結果は「ふたりはるるハル」最多

え、あの

 

469.結果は「ふたりはるるハル」最多

ハルちゃん、結構全力で走りながらヘッドショット続けてるんだけど……

 

500.結果は「ふたりはるるハル」最多

なぁにこれぇ……

 

522.結果は「ふたりはるるハル」最多

なーんでリアルでゲームみたいな挙動してるんですかねぇ……?

 

563.結果は「ふたりはるるハル」最多

【悲報】ハルちゃん、やっぱり充分おかしかった

 

580.結果は「ふたりはるるハル」最多

わぁ、国内トップクラスってこういうことできるんだぁ……

 

601.結果は「ふたりはるるハル」最多

しかも残弾使い切りたいからか、わざわざ取り回しの難しい弓で連射って言うね……

 

621.結果は「ふたりはるるハル」最多

曲芸かな?

 

643.結果は「ふたりはるるハル」最多

1秒置きに矢をつがえて2回同じ方向狙わない……

 

666.結果は「ふたりはるるハル」最多

さいきんのこどもはずいぶんすごいんだなぁ

 

673.結果は「ふたりはるるハル」最多

落ち着け、ハルちゃんだけだ

 

689.結果は「ふたりはるるハル」最多

こんなのが一般的な子供でたまるか!

 

700.結果は「ふたりはるるハル」最多

 

739.結果は「ふたりはるるハル」最多

配信のコメント欄でも絶望が書き込まれてて草

 

746.結果は「ふたりはるるハル」最多

まぁ同業者ほど実力が分かりそうだし……

 

777.結果は「ふたりはるるハル」最多

普通にスポーツでやってる勢も致命傷受けてて草

 

879.結果は「ふたりはるるハル」最多

ハルちゃんが特別だって割り切れないと大変そう

 

890.結果は「ふたりはるるハル」最多

それな

 

 

932.結果は「ふたりはるるハル」最多

ちょ、この大部屋ってまさか

 

986.結果は「ふたりはるるハル」最多

ボスフロア!?

 

 

『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』9

 

 

52.結果は「ふたりはるるハル」最多

有志の計算によると、1階層ずつスキップ、モンハウの9層前から2階層ずつスキップしたら、ここでちょうど200層らしいゾ☆

 

70.結果は「ふたりはるるハル」最多

ソロで200層とか頭おかしい

 

89.結果は「ふたりはるるハル」最多

いくら入り口のレベルが1で、100層くらいまでなら中級者でも潜れるダンジョンだって言っても200層はなぁ……

 

162.結果は「ふたりはるるハル」最多

ハルちゃんの前にこのダンジョンにチャレンジした最下層の人が100層ちょいなんでしょ?

 

180.結果は「ふたりはるるハル」最多

やば

 

199.結果は「ふたりはるるハル」最多

上位パーティーが来ていないにしても200層とか……普通ならダンジョンで2泊3泊かけて攻略するもんなぁ……

 

213.結果は「ふたりはるるハル」最多

普通ならな。 ハルちゃんはるるちゃんスキップがあるから……

 

222.結果は「ふたりはるるハル」最多

るるちゃんスキップとか言い方変えようと事実は変わらないよ?

 

 

240.結果は「ふたりはるるハル」最多

「でっかい熊さん」

 

262.結果は「ふたりはるるハル」最多

 

277.結果は「ふたりはるるハル」最多

のんきで草

 

290.結果は「ふたりはるるハル」最多

あ、さすがに立ち止まってる

 

369.結果は「ふたりはるるハル」最多

って、銃で1発!?

 

384.結果は「ふたりはるるハル」最多

えっ……拾っただけのコモンの銃と弾で?

 

390.結果は「ふたりはるるハル」最多

スキルでクリティカル出た……んだよな? そうだと言ってくれ

 

400.結果は「ふたりはるるハル」最多

草しか生えない

 

465.結果は「ふたりはるるハル」最多

「さすがに前には倒れてきませんね」草

 

487.結果は「ふたりはるるハル」最多

 

499.結果は「ふたりはるるハル」最多

ああ……るるちゃんのときは「やったか!?」からのこっち側に倒れてくる仕様でしたねぇ……

 

506.結果は「ふたりはるるハル」最多

まさかの追撃戦で絶対トラウマなってるよね、ハルちゃん

 

555.結果は「ふたりはるるハル」最多

ハルちゃんでもなるのか……トラウマ

 

587.結果は「ふたりはるるハル」最多

お前らハルちゃんのこと何だと思ってるの?

 

600.結果は「ふたりはるるハル」最多

やばいようじょ

 

612.結果は「ふたりはるるハル」最多

なんかとにかくやばいやつ

 

619.結果は「ふたりはるるハル」最多

 

 

646.結果は「ふたりはるるハル」最多

新種疑惑のボスモンスターを「突然変異のこわいやつ」だってね

 

682.結果は「ふたりはるるハル」最多

かわいいね

 

689.結果は「ふたりはるるハル」最多

かわいいけどこわいね

 

741.結果は「ふたりはるるハル」最多

もうそれでいいんじゃないかな……

 

765.結果は「ふたりはるるハル」最多

モンスターの情報まとめる人、頭抱えそう

 

777.結果は「ふたりはるるハル」最多

あ、やーっと脱出だって

 

786.結果は「ふたりはるるハル」最多

というかハルちゃん、宝箱! 宝箱は!?

 

791.結果は「ふたりはるるハル」最多

【悲報】全力で天然のハルちゃん、まさかの宝箱逃し

 

801.結果は「ふたりはるるハル」最多

これ、ガチでさっきのボスを変異種のFOEって勘違いしてるな

 

862.結果は「ふたりはるるハル」最多

ハルちゃんはどじっこ

 

870.結果は「ふたりはるるハル」最多

あ、配信切れた

 

896.結果は「ふたりはるるハル」最多

さすがのハルちゃんでもさすがに疲れたか

 

909.結果は「ふたりはるるハル」最多

まぁ非公開から換算して7時間ぐらいみたいだし……

 

932.結果は「ふたりはるるハル」最多

むしろその中でおにぎり休憩しか無かったんだけど

 

945.結果は「ふたりはるるハル」最多

これは荒れそうだな

 

987.結果は「ふたりはるるハル」最多

というかえっと……ダンジョンの周辺一帯、規制線張られてるんだけど……

 

 

『【衝撃】超ド級新人のハルちゃんのゲリラ配信、無事大騒動』反省会場

 

 

32.ハルちゃん無事に保護(2回目)

とりあえずハルちゃんが配信始めちゃったら始原はステイかけるように

 

45.ハルちゃん無事に保護(2回目)

任せろ

 

49.ハルちゃん無事に保護(2回目)

俺の部下全員を使って止めるから安心しろ

 

56.ハルちゃん無事に保護(2回目)

やだ、過激

 

62.ハルちゃん無事に保護(2回目)

だって始原だし……

 

69.ハルちゃん無事に保護(2回目)

 

73.ハルちゃん無事に保護(2回目)

るるちゃんもえみちゃんも事務所の公式も、ハルちゃんの安全を伝えた後静かになったし……多分今、ハルちゃんお説教中

 

77.ハルちゃん無事に保護(2回目)

ハルちゃんかわいそう……

 

86.ハルちゃん無事に保護(2回目)

なんでさ! 悪いのは……うん、ハルちゃんだったわ

 

91.ハルちゃん無事に保護(2回目)

 

94.ハルちゃん無事に保護(2回目)

でもこんなことになったのはホーミングるるちゃんだけどな!

 

103.ハルちゃん無事に保護(2回目)

何あのホーミング精度……ダンジョン内であんな罠の発動の仕方とか存在するの……?

 

109.ハルちゃん無事に保護(2回目)

存在しなかったとしても今日から存在することになったな

 

123.ハルちゃん無事に保護(2回目)

今日あっちこっちの公務員たちが残業させられそう……

 

136.ハルちゃん無事に保護(2回目)

かわいそう

 

139.ハルちゃん無事に保護(2回目)

かわいそうでしょ! るるちゃん謝って!

 

151.ハルちゃん無事に保護(2回目)

待て、ヘタにつつくと呪い様が来るぞ  脅しじゃなくて

 

156.ハルちゃん無事に保護(2回目)

名前を呼んではいけない呪い様

 

160.ハルちゃん無事に保護(2回目)

こわ……

 

172.ハルちゃん無事に保護(2回目)

今日の配信で完全に世界デビューとかスピード感おかしくない?

 

178.ハルちゃん無事に保護(2回目)

だってハルちゃんだし

 

180.ハルちゃん無事に保護(2回目)

それもそうだな

 

185.ハルちゃん無事に保護(2回目)

 

194.ハルちゃん無事に保護(2回目)

でもまあ、今日の配信でばっちり人外な動き映ってたから……今回のはさすがに注目されるでしょ

 

202.ハルちゃん無事に保護(2回目)

あの……登録者いろいろ飛び越して300万とか……

 

210.ハルちゃん無事に保護(2回目)

あの内容ならむしろ少ないまである

 

218.ハルちゃん無事に保護(2回目)

こわいくまさんのヘッドショットの切り抜きの再生、1時間で200万再生行ってるしなぁ……

 

222.ハルちゃん無事に保護(2回目)

ネットを見ないでまじめに勉強したり働いてた人たちが帰ってひと息、そこからネット見て押し寄せるからこの何倍なんだろうな……

 

231.ハルちゃん無事に保護(2回目)

ハルちゃん怖がらないで

 

239.ハルちゃん無事に保護(2回目)

大丈夫だろ、あのハルちゃんだぞ?

 

246.ハルちゃん無事に保護(2回目)

「みなさんヒマですね」とか言いそう

 

250.ハルちゃん無事に保護(2回目)

 

253.ハルちゃん無事に保護(2回目)

あのやる気の無い感じで言いそう

 

257.ハルちゃん無事に保護(2回目)

脳内再生余裕で草

 

264.ハルちゃん無事に保護(2回目)

<URL>ハルちゃんの公式アカウントできたっぽい!!

 

270.ハルちゃん無事に保護(2回目)

お、えみお母さんとるるちゃんもフォローしてる、本物だな

 

279.ハルちゃん無事に保護(2回目)

あの、プロフページ、ものすごい勢いで数字が増えていくんだけど……

 

300.ハルちゃん無事に保護(2回目)

まぁさっきの内容でこのタイミングだもんな

 

320.ハルちゃん無事に保護(2回目)

やっぱりこれ、事務所の新しい戦略じゃ……ないな

 

241.ハルちゃん無事に保護(2回目)

 

246.ハルちゃん無事に保護(2回目)

まあね、あのるるちゃんの呪い性能はね……

 

250.ハルちゃん無事に保護(2回目)

むしろあれ狙ってできるなら現代の呪術師とかになれそうだもんね、るるちゃん

 

264.ハルちゃん無事に保護(2回目)

そして平気な顔して通り過ぎるハルちゃん

 

269.ハルちゃん無事に保護(2回目)

その周りには死屍累々

 

281.ハルちゃん無事に保護(2回目)

うわぁ……開設20分でSNSフォロワー50万とかえぐすぎぃ……

 

 

 

 

「……と言うのが抜粋した配信でのコメントと掲示板です」

「ほう」

 

豪華な机の上には「会長」と書いてあるプレート。

 

印刷したての紙から目線を上げた――老眼鏡越しに――老人が、ソファに座っている壮年の男性へ答える。

 

「これまではハルちゃ……こほん、征矢春海さんの件を、捜索時にたまたま深谷さんや三日月さんと合流した彼女経由で調査して参りましたが……」

 

「ハルちゃ……うむ。 そろそろ限界かのう。 マスコミへの対応はつつがなく行っておるが、こうも情報があふれたら歯止めが効かん」

 

「肝心のハルちゃ……ん自身が、かわゆい……小さくとも目立つ上に厄介ごとを抱えている身と自覚してもらわなければ」

 

「ハルたん、あの調子じゃ近いうちに顔が出てしまったり、『男の子だったこと』を口走ってしまうかもしれんの……あい分かった」

 

2人だけの密室。

 

そこで彼らは――『ダンジョン内の何かで男性から少女になった彼』と直接に接触を試みる判断をした。

 

「……会長。 他の8名が『2人だけハルちゃんと会うなんてずるい、自分たちにも会わせて』と……」

「ずるいも何も、あやつらは関係ない職業じゃろ……ハルたんが不審に思ったらアウト。 会う場面の録画で我慢せいと伝えとくれ」

 

「承知しました……ああ、実質的に我々『始原』に加わっていますあのショタコンOLはどうしましょう」

「ロリっ子だと分かってどう反応するのか楽しみじゃ」

「分かりました、彼女へも秘匿回線で」

 

「……ああ。 ハルたんのこと漏らさぬよう、念のために必ず職場と家族は抑えておくように」

「既に手配済みです。 ダンジョン関係での他国のスパイということにすれば、どのような理由でも付けられます」

「うむ」

 

そうしてまた「ハル」と名乗る幼女の知らないところで「彼だった彼女」を巡る陰謀が渦巻く。

 

……もし知ったとしても「めんどくさいからどうでもいいや」と言いそうではあるが。



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3章 るるさんとコラボ 2人はるるハルって良い響きだね
24話 配信ミスしちゃった代償はダンション協会本部


「ふぅ」

 

この緊急脱出装置、使うと一瞬ふわっとする感じがするから実は苦手。

あれだよあれ、飛行機でおしりがひゅんってなるあの感じ。

 

まぁ中級者以上になると普通に毎回使うんだけどね……うん、慣れればちょっとヤな程度だからさ。

 

けど、いつものとこに比べて出店とかドロップの買い取りのお店とかの広いエリアは――ものすごい人であふれていた。

 

「あれ?」

 

なんか今日イベントとかあるの?

 

「……ハル……ようやく出て来てくれたか……」

「とりあえずこのパーカー、頭から被ってください。 ちょっと面倒くさいことになっていますので」

 

「え? えみさん? 九島さん?」

 

ダンジョンの行き止まりから入り口までひとっ飛びした僕の目の前には、えみさんと九島さん。

 

……と、その周りに……30人くらいのお巡りさんたちがガン見してくる……やだこわい。

 

その後ろには10台以上のパトカー、そのさらに周りはテレビとかでよく見るブルーシートで遮られてる。

 

なんかすごい雰囲気……なにこれ。

 

「……なんか事件あったんですか?」

 

こわっ……物騒な世の中だよねぇ。

 

「……それはハルちゃんのことでしょー!?」

「うわ、るるさん」

 

真後ろからの声でびびった僕に、後ろから……この感触はるるさんだよね、だって胸がないし……抱きついてきたるるさん。

 

いや、ちょっとはふよんって押し付けてくる感覚はある。

けどそれがブラジャーな偽乳だって察しはついてるから黙っとこ。

 

抱きつかれたついでですっぽりとフードを被せられてる僕。

 

上手だね。

 

「???」

 

「……ハルちゃーん……はいしーん……」

「あ、来てたんですね。 だから変なの飛ばして来て……けどあれ? なんで非公開なのに」

 

「……そうかもしれないのは私が悪いんだけどさ――……だけどさぁ――……」

 

「???」

 

なんか僕にひっついたままだるーんとしてる、るるさん。

 

ちょっと重いんだけど……魔力で筋力増強してるとは言ってもベースは幼女だし。

 

「三日月さん、詳しい説明は後ほどにしましょう。 ハルさんも200層の攻略で疲れているでしょう」

「九島さん……そうですね。 特にケガも無いようですし、急ぎこの場を」

 

「?」

 

なんで200層?

 

僕……そう言えば結局あそこは何層だったんだろ。

49層くらいで塞がってたのかな?

 

るるさんのせいでよく分かんないだけどね、今日のって。

 

もういろいろとめちゃくちゃすぎて……。

 

「はい、無事保護できました。 大変なご迷惑を……」

 

近づいて来たお巡りさんたちにえみさんがぺこぺこ頭を下げてる。

 

えみさん……とうとうヘンタイさんなのバレちゃったの?

だからこんなにお巡りさんなの?

 

いや、それにしてはブルーシートの外がうるさいような?

 

それに女の子の変態趣味がバレた程度でここまではならないだろうし……後はるるさんがまたなんかやらかしたかだな。

 

うん、それしかない。

断言できる。

 

「ハルさん、歩けますか?」

「はい。 あ、本当にケガとか無いので治療必要ありませんからね、九島さん。 普段通りでしたので被害はゼロです」

 

今日もいい感じのポニーテールな九島さん。

 

なんかすっごくまじめな人だからちゃんと説明しないと心配し続けそうな雰囲気だもん。

 

「え、ええ……配信を観ていましたから、それはよく……」

「そうですか、それなら……あれ?」

 

だから何で配信?

 

……アーカイブになれば観られるんだっけ……分かんないや。

 

そう言えば配信中もるるさんの気配がしたんだけども、そもそも僕、始原さんたち10人+1人しか招待してないし。

 

……あ、管理者権限で見られるのかな……やっぱよく分かんないけども。

 

「……分かりました。 ハルさん、このパトカーで送ってくださるそうです。 乗りましょう」

 

「えみさん? あ、分かりました」

 

ああ、かわいそうに……とうとう君もお巡りさんの厄介に……。

 

任せて、ちゃんと「いたずらされてません」って言い切ってあげるから。

けどなんで未成年なんちゃらの加害者と被害者、おんなじ車両に乗せるんだろ?

 

知り合いだから?

よく分かんないや。

 

「……とりあえず言うけどね。 多分ハルちゃんの考えてること、全部間違ってるからね?」

「む、それはどういうこと? るるさん」

 

ぐいっと引っ張るお手々の感触。

 

僕は疲れた顔してるるるさんに引っ張られて行く。

 

「????」

 

……ほんと、何があったんだろ。

 

悪いことしてなくってパトカーに乗る経験なんて貴重すぎるから、僕的には楽しくて良いんだけどさ。

 

 

 

 

パトカーはテンション上がった。

あと乗り心地もそこそこだった。

 

けども。

 

「え〝っ。 ……………………………………配信が」

「はい。 当初非公開だったものが、途中から……」

 

血の気が引くってのはこういうことなんだろう。

さすがの僕でもやらかしたって分かればこうもなる。

 

「……いつから?」

「その、ハルさんがお昼を食べるずっと前から……」

「えぇ――……」

 

やっちゃったぁ――……。

 

配信の切り忘れでの事故とか配信中での失言とか映しちゃいけないもの映しちゃうとか、そういうのって「気をつけてれば普通はならないよね、僕だったら絶対しないなぁ」って思ってた。

 

でも、それを僕がしちゃったんだよなぁ……どうしよ。

 

いやまぁ僕自身のことを話したわけでもないし、顔を出したわけでもない。

 

だからセーフなんだろうけども……てっきりいつもの人たちだけしか居ないって思ってたから……なんかちょっと怖い。

 

あれ?

 

なーんだ、ちょっと怖いだけかぁ。

なら問題はないよね。

 

「問題のある箇所は、配信中にこちらで手を加えた。 ……視聴者のローカルでも録音・録画されていた場合にはどうしようもないが……」

 

あ、問題あったのね……ごめんね?

 

「ありがとうございます、えみさん。 でも僕、特段困るようなことは」

 

「お酒」

「ごめんなさい」

 

思いだしてみたら確かに普段から呑んでる発言してたよ僕……もうおしまいだ。

 

「コ、コメントですぐにえみちゃんがフォロー入れたから! だからよっぽどハルちゃんターゲットにする人じゃなきゃ大丈夫だと思うよ!」

 

「そうですか……」

 

「そもそもハルさんは、配信画面から身長を把握されています。 さすがに小学校低学年の身長で飲酒をしているとは……普通なら、本気で思わないと思います」

 

「私としては断酒してもらいたいところですが」とまじめな九島さんが付け加える。

 

うん……そうだよね……僕の肉体、6歳児だもんね……。

 

ホテルの部屋にあったお酒、減り具合毎日チェックしてくるもんね……特に何も言わないけど……。

 

「しかし法的にハルさんは『成人している征矢春海さん』と言うことになっていますし……未成年が飲酒をしたからと言ってもせいぜいが厳重注意。 よほど悪質でも、逮捕に至るのは保護者です」

 

「……現状は私たちになるのか?」

 

「いえ、私たちも未成年です。 法律的に考えますと、保護者はハルさんのご両親……ですが、ハルさんの今の姿的にもダンジョンに関する特例が適用されるでしょう」

 

「……つまり?」

 

「今回の配信で致命的になり得る点は、未成年飲酒で炎上するかはともかく法的には問題ありません」

 

「じゃあ」

「でも、ハルさんの今後の発育を著しく阻害しますので、断酒とは行かずともせめて節制を」

「はい」

 

「強制する手段が無いというのが非常に歯がゆくはあります……けど、いきなりお酒を止めてもそれはそれでよくありませんから。 歯がゆくはありますよ?」

 

僕は小さい体をさらに縮こまらせるしかない。

 

正論ここに極まれり。

でもお酒は絶対止めない。

 

「――しかし、今回のこともまたるるのせいなんだ」

「え?」

 

「そうなの。 だから、ハルちゃんに何かあったら私たちがなんとかするよ。 絶対」

「え? え?」

 

申し訳ない気持ちでいっぱいだったのに、急に声音が変わったから顔を上げてみると……一瞬前の僕みたいな顔……多分……をしている2人。

 

あとやっぱこの子の「絶対」ってのなんか怖い。

 

「? るるさん、やっぱ何か飛ばしてきたんですか?」

 

「飛ばしてない! ……って言いたいんだけどぉ……」

「今回の件でほぼ確定なんだ……るるの呪いが、ハルに影響しているとな……」

 

「え?」

 

「ハルさん」

「九島さん?」

 

「私もさっき聞いたばかりなんです。 けど、そんなことが……」

 

るるさんの呪い?

 

え?

 

いつもの冗談じゃなくって?

 

「ハルさん、大人の人が同席しても大丈夫ですか?」

「え? あ、はい、僕自身大人の男ですし」

 

「そうですか。 ……三日月さん」

「ええ、連絡します」

 

今度は九島さんの手が僕の手を包み、軽く引かれる。

 

……どうでもいいけどさ。

 

君たち、僕のことなんだと思ってるの?

僕のこと、年上の大人の男って知ってるよね?

 

忘れてないよね?

 

ね?

 

 

 

 

「征矢春海さん。 この度は大変な目に遭われ……また、当協会の支援が遅れ、誠に申し訳ありません」

 

「え? あ、はい、僕もバレないように隠れてましたし」

 

「征矢春海さん。 25歳男性、――大学卒業後――株式会社で2年勤務。 学業成績や素行、勤務態度ともに良好。 しかし去年、突然欠勤を続け、会社都合での退職をされた……ああ失礼、私はこういう者です」

 

「……あの、それって公安とかいうあれですか?」

「そういうことになりますね」

 

「私も失礼しました。 私は名刺で……」

「……ダンジョン協会……会長、さん?」

 

は?

 

公安さん。

会長さん。

 

おじさん。

おじいさん。

 

「……?????」

 

「……征矢さんの意識は、確か成人男性のままだったと……」

 

「急なことばかりで追いつかないのでしょう。 私たちも、何時間か潜った後は疲労で頭が回りませんので」

 

「いつもは私より頭良いですし、私が読めないような本とか読んでます! ハルちゃん!」

 

「おふたりがダンジョンへ普段潜らないのでしたら、そうですね……映画館で鑑賞が終わった直後のようなと表現すればよろしいでしょうか。 私たちもよくなります」

 

僕が頭幼女になってる疑惑をそっと否定してくれるえみさんとるるさん。

 

今は頼もしいね。

今は。

 

……ごめん、普段「も」頼もしいんだよね。

 

頭の中が「???」な僕へ、まじめそうなおじさんが話しかけてくる。

 

「改めまして、征矢春海さん。 貴方の身柄は、我々で保護します」

「え、でも、僕」

 

「ご安心ください。 もし希望があれば、人員は協会から三日月と深谷、公安から九島を引き続きという形ですので」

 

「え? あ、それは良いんですけど」

 

今さらっと流そうとしてるけども九島さんって公安さんだったの?

 

あ、でもなんかそんなオーラあるかも。

 

「征矢さん。 ここからは一般に公開されていない情報ですので、失礼ですがこちらの誓約書へ一筆を」

「え? あ、はい」

 

すっと差し出されたペンと紙。

 

……なんか細かい字が延々と書かれてる誓約書的なもの。

 

……「騙して申し訳ないが」とかいうあれじゃないって信じながら、小さい手でいつも通りに僕自身の名前を書く。

 

「……そやはるみ……あ、ハルちゃんの字、男の人っぽい」

「そういうところは男の人のままなんですね」

 

あの、左右からのぞき込まないでるるさん、九島さん……。

 

「……確かに。 それではお話しします。 征矢さんと深谷さんの今回の件」

 

え?

 

るるさんも何か?

 

「ダンジョン内で発生する未知の現象。 秘匿されている現象についての情報共有をさせていただきます」

 

……ちょっとびっくりしたけども、そりゃそうだ。

 

突然に別人の女の子になる、おかしいくらいの不幸が押し寄せる。

これらに原因がないはずないもんね。

 

……待って、これ、上の人が知ってることならもしかして解呪って言ったらいいのか分かんないけども……男に戻れる?

 

……ああいや、その前にるるさんの呪いの方が先だよね。

 

ほら、僕が幼女になっても生活に支障は……会社クビになったけど……ないけども、この子の場合は……ほら。

 

自分も危険な目に遭うし知り合いに生き霊飛ばすくらいだもん、もしこの子と僕どっちかって言ったらこの子だもんねぇ。

 

「ハルちゃん……どっか行っちゃわないでね」

「? うん、僕はここに居るよ?」

 

偉そうなおじいさんとおじさんが目の前だからか、不安そうなるるさん。

 

彼女から握られてる手を、ぎゅって握り返してあげた。

年上の男としての頼れるところ、たまにはね。

 



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25話 僕のTSとるるさんの呪い(ガチ)、僕のレベル★10のおかしさ

「……なるほど。 つまり願いの泉っぽいのは関係ないと」

 

「恐らくは。 世界で十数例しかありませんが、どれも共通しているのは『ダンジョン内の何かが原因』とだけ。 ダンジョン内で特別なことは起こらず、ごく普通に潜り帰還した後に……です」

 

「願いの泉……儂も聞いたことはないが、一応手は回しておこう」

 

るるさんと僕。

 

おかしなくらいの……特に今日の僕がなったみたいな不運って言う呪いに、男から女の子になる現象。

 

「これ。 まぁ普通じゃないですよね」

「私の……そんなのだったんだ……」

 

うん、飛ばしてくるし。

 

なんか気配あるんだよ……こう、さっきみたいに後ろから抱きつかれた的な?

 

「るるの明らかな不運のようなものについては事務所の伝手で調べ、推測はしていましたけど……そうですか」

 

僕はともかく、るるさんとえみさんは普通の女子高生として普通にショック受けてるらしい。

 

そりゃそうだよね。

 

下向いちゃったるるちゃんのこと、さっきから静かにしてくれてるえみさんと九島さんが静かに頭とか背中撫でてる。

 

あ、僕のは要らないって断った。

だって平気だもん。

 

……でも、るるさんの繋いできた手は離さないでおこっと。

 

「深谷さんは……ご両親が」

「はい……何年か前に、2人とも別々の場所で大怪我を」

 

え?

 

「しかしお母様もお父様も、現在はお元気と」

「はい……でもまたなるって思ったら怖いので、今はえみちゃんちに居させてもらってて」

 

へー、るるさんってえみさんの家に住んでたんだ。

 

……それでOK出すって、えみさんってよっぽどるるさんと仲良いんだね。

 

「……私たちも、るるの不幸体質は知っていました。 ですがしばらく一緒に居ても些細なものでした。 るるの明るい性格と合わせ、ダンジョン配信にはむしろ好都合との判断もあってパーティーに誘ったんです。 経験的に周辺の人間が多いほど些細な不幸……転ぶとか程度になると知っていましたし」

 

「事務所主導で、ですか」

 

「はい。 るるが入って来て2年。 大きなケガも起こさず『不幸体質というキャラ付け』というエンターテイメントとして受け入れられて……いたのですが……」

 

「私が知り合いになる前のるるさんも……そうですね、『ハプニングが良く起きる方で、たまにコラボ先の相手にも飛び火する』程度の認識だったと思いますし」

 

「でも、この前ハルちゃんに、迷惑かけちゃった。 今日も」

 

あー。

 

「……その配信でしたら私たち上層部も。 あまりにも罠の確率がおかしいため、ダンジョンそのものの難易度の設定やレベル表記の修正も兼ねて内密で調査を始めていましたが……」

 

「あ、そうだったんですかぁ」

 

「うちの九島もその1人です」

「そうだったんですか……ってちほちゃんも!?」

 

ちほちゃん?

 

……あ、九島さん、ちほって名前なんだ。

 

仲良いね、本当に。

 

けどさっきさらっと言ってたよ?

さらっと過ぎて聞き逃しそうだったけども。

 

「……ごめんなさい」

「え?」

「私、みなさんに何も言わず……」

 

九島さんが立ち上がって僕たちに頭を下げる。

 

……真面目過ぎる子だよなぁ、この子って。

 

「いっ、いいの! だって私のためなんでしょ!?」

「そうだ、九島さん。 るるの相手をしてくれたじゃないか」

「えみちゃん!? 私の扱い雑じゃない!?」

 

「僕も別に平気ですよ。 るるさんを止めてくれてましたし」

「ハルちゃんまで!? ……もーっ!!」

 

普段はこんなに明るい子が下手に落ち込んでてもこっちが困っちゃう。

 

だからここはえみさんに乗っかって明るくした方が良いよね。

 

 

 

 

「現状、解呪手段は見つかっていません。 ……が、同時に悪化したりするなども報告されていませんし、周囲に広がるということもありません――少なくとも現在のところは」

 

「……そうですか。 良かったぁ」

 

「じゃあ僕の配信が公開になったりなんかすごいことになったのはるるさんの生き霊じゃないんですね?」

 

「生き霊って何!?」

「違うの?」

 

「ああ……コメントではホーミングるるなどと……」

「ぶふっ………………………………失礼しました」

 

なんか「ホーミングるるさん」ってのが九島さんのツボに入ったらしく、普段そこまで笑わない彼女がむせている。

 

分かる、なんか変なのでツボるときってあるよね。

普段は冷静な九島さんの顔が、お耳が真っ赤。

 

「ですが、征矢さんも深谷さんもどちらもこの現象の被害者――と言って良いのかは分かりませんが、とにかく同じ境遇です。 ダンジョン内での魔力の属性や職業ごとのシナジーと同じように、掛かっている力の相乗効果がある可能性は高いです」

 

「えっ」

 

「……配信もこちらで拝見していました。 深谷さんの先日のものも、征矢さんの本日のものも、通常ではあり得ない確率のハプニングです」

 

「……私たちもそう思っていました。 普通ならトラップは多くて1日に2回。 多くてです。 無い方が普通ですから……せいぜいがうっかりモンスターに見つかったり転んだりする程度で」

 

あ、そうなんだ。

 

「こほん……救護班としての経験から、私もそう思いました。 確かに階段トラップからの救助要請もあったりしますけど……そこからモンスターハウスとかボスモンスター召喚とか聞いたことありません」

 

ほっとしてたるるさんが真っ青になって僕のことを見てくる。

 

「ハ……ハルちゃん……」

 

「だから平気だって」

「でもっ」

 

「だいたい僕、ケガすらしてないし。 あの弾代とか魔力が回復するまでだって、マネージャーさんから保障してくれるって連絡あったから別に?」

 

「そ、そうだよな! ハルはあれだけ強くて可憐だからな!」

「三日月さん、抑えて抑えて……」

 

本当だよ、こんな偉そうなおじいさんとおじさんの居るところでヘンタイさんばれたらやばいよ?

 

「――その強さもまた、恐らくは姿が変わったことと関係があるでしょう」

 

「へ?」

 

ダンジョン協会の会長さんと公安の人が追撃してくる。

 

……まだあるの?

 

僕もう帰ってひと眠りしたいんだけど?

 

「征矢さん。 ――鑑定アイテムを使用しても?」

「え? あ、はい。 もう1年くらいしてませんけど」

 

鑑定の水晶。

 

ダンジョン内でのドロップ品……結構高く買ってくれるんだよね。

これで大雑把なレベルとかスキルとかが分かるすぐれもの。

 

……これもまたダンジョン内でしか発見できなくて、科学的に作ることはできないらしい。

 

すごいね、ダンジョンって。

 

「協会にありますデータ上……まだ男性だった頃の征矢さんの去年のデータは、レベル換算で15。 中級者として専業で生計を立てるには充分、国内全登録者のトップ20%に入っています」

 

「え!? ハルちゃんそんなに強かったの!?」

 

「……るるが11、私が13ですから……」

「救護班でも10あればすごい方なのに……」

 

あれ、そんなに高かったっけ?

 

……まぁどんなことでも3年くらいやってれば中級者にはなれるもの。

 

しかもレンジャーとかは隠蔽スキル使用時に経験値貯まりやすいらしいし。

パッシブってやつだね。

 

「はい、最近の方はレベルが10に上がれる素質があれば本業にしますね。 我々もてっきりそうだと……」

 

細かいことは分かんないけど、どうやら前の僕はなかなかだったらしい。

 

趣味と実益を兼ねたのが評価されてて、ちょっと嬉しい。

 

「伊達にダンジョン潜りを趣味にしてませんでしたから」

 

なんかダンジョンの中ってゲームみたいで楽しいんだもん。

VRゲームみたいな?

 

ただしデスゲームでもあるけども……今はほとんど、事故以外じゃそういうのないし、かなり安全な遊びの。

 

ゲームで生計立てられるなら楽しいよね。

ソロならほとんどの時間、誰とも話さないで居られるし。

 

「会社員として、会社帰りに毎日のように2、3時間潜り、週末は6時間ほど。 それを3年……こちらを専業にしようと準備されていたのでは?」

 

「いえ、なんとなく居心地良かっただけです。 ダンジョンで稼いでいれば会社でもそこまでがんばらなくて良いですし」

 

「居心地……そ、そうですか……」

「はい。 暗くて静かなので」

 

強面の公安さんが一瞬ドン引きしたのを僕は見た。

 

だって良い感じじゃない?

あのじめじめして暗くって静かな場所って。

 

きのことか生えそうで良いよね。

 

僕のお気に入りは舞茸。

椎茸はちょっと苦手。

 

「では、失礼して――――!?」

 

――どっかで見たことある水晶玉が光ったかって思ったら、公安さんが近くにあったごみ箱を被せる。

 

そうして中でぱりんってガラスの割れる音。

 

……一瞬でよくここまでできるなぁ……さすがはプロ。

 

「……予想はしていましたが……」

「これで間違いありませんね」

 

うなずき合う会長さんと公安さん。

 

「征矢春海さん」

「はい?」

 

「あなたは――恐らくは人類の限界を超えています」

「はぁ、そうですか」

 

「……驚かないのですか?」

「いえ、実感がないだけです」

 

あ、会長さんも「なにこの子……こわ……」的な表情。

 

失礼な、こんなにかわいい幼女に対して。

 

 

 

 

「――★10。 それが、征矢さんのレベルです」

「ほし、じゅう?」

 

「上位のダンジョンで手に入りました鑑定アイテムを使用した結果です。 この星の意味は……恐らくは限界を突破したという証かと」

 

「ほぇー」

 

「うぐっ……」

「三日月さん抑えて……!」

 

何かゲームみたい。

 

それが僕の第一印象だ。

 

「ゲームシステムみたいですね。 限界突破とか」

「る、るる……」

 

「構いませんよ。 実際、ゲームと酷似していますからね……レベルと良いスキルと言い、ダンジョン関係は」

 

ゲームっぽいからこそダンジョンが出て来てすぐに人類が馴染んだとも言えるもんね。

 

一撃死があるところとかもハードなゲームシステムだけども、緊急脱出装置があるからよっぽどのことがなければ大丈夫って言うのもまた「ヌルゲー」らしい。

 

「つまり、征矢さんは現時点で最高レベルだと言えるでしょう」

 

「ほぇー」

 

「ふぐっ……」

「三日月さん……」

 

僕の声に反応するヘンタイさんの心を九島さんが抑えている。

 

何がそんなに心くすぐるんだろうね?

確かにかわいい声だとは思うけども、そこまで……?

 

「これらのことから、今後征矢さんと深谷さんへは必要なサポートと同時に、この現象の解明のために定期的な検査――半日での人間ドック程度のものです――や、非常時の特別警護をさせていただきたく」

 

「良いですよ」

「ハルちゃん軽すぎ!?」

 

「だって、そうするしかないじゃん。 僕たちダンジョン関係の未知のなにかに取り憑かれてるんだよ?」

「それはそうだけど……」

 

なんか気の抜けた顔してる公安さん……僕がぐずるとでも思った?

僕のこと、大人の男って分かってるはずだよね?

 

「それにるるさんだって呪い解きたいでしょ」

「う、うん……またハルちゃんに迷惑かけちゃうかもだし……」

 

「僕だって早く元の男に戻りたいし」

 

「それは駄目だハルたん!!!」

 

「……ハル、たん?」

 

「……あっ」

「えみちゃん……」

「三日月さん……」

 

「あーあ」

 

この幼女な肉体に心奪われすぎてたせいか、思いっ切り「ハルたん」とか言っちゃったヘンタイさん。

 

あーあ。

 

せっかく隠せてたのにね……。

 

 

 

 

征矢春海――「ハルちゃん」、深谷るる、三日月えみに九島ちほが退席したその部屋。

 

……いい歳をした男が悶えていた。

 

「かわゆかった……かわゆかったのうううう……!」

「会長、高血圧、高血圧ですから!」

 

「何あのちっちゃいの、ぷにぷにほっぺに綺麗なブロンド!」

 

「1年経ったとは言え内面は男性のままのようで、見えない程度に膝も開いていましたし……ガードが緩かったですね。 と言うか普通にワンピースも着こなしていましたね……」

 

「儂、決めた! ハルたんは絶対に守ると!」

 

「ですから抑えて……しかしこちらも『ダンジョン内現象に関する稀少な保護対象』として、1年ごとに交代するようなどうでもいい大臣とかよりも多くの警備を割くよう指示してきます。 るるちゃ、深谷さんと2人分ですから通るでしょう」

 

「あ。 あのえみちゃんの目つき、わしらと同じだったぞい」

「……始原に加えます?」

 

「内通者がいるといろいろと都合が良いし、女性陣やあのショタコンとも気が合うじゃろ。 コンタクトを」

「はっ」

 

 

◆◆◆

 

 

25話をお読みくださりありがとうございました。

 

この作品はだいたい毎日、3000字くらいで投稿します。

ダンジョン配信ものでTSっ子を読みたいと思って書き始めました(勢い)。

 

「TSダンジョン配信ものはもっと流行るべき」

「なんでもいいからTSロリが見たい」

 

と思ってくださいましたら↓の♥や応援コメント、目次から★~★★★評価とフォローをお願いします。

 

※しばらくコメントや感想に返信が追いつきませんけれども、ありがたく読ませていただいています。



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26話 ホテルに戻ってひと息。 あ、次の配信はコラボだって。 るるさんとの

あのあと、「で、僕たちはどうしたら?」って聞いたら「僕が女の子になったこと――TSしたことと、るるさんの呪い(ガチ)についてしゃべらなければ別に良いよ?」って言われた。

 

あと、「でも大変だろうから協会からと国からいろいろ助けるよ」って言ってくれたから、今後は見えないとこで警護とかつけてくれるんだって。

 

特に制限とかも無いらしいね。

良かった……まぁ僕はそんなに出歩かないけども。

 

で、僕は。

 

「? ハル、別に正座なんてしなくても良いんだぞ? そもそもここはじゅうたんだろう?」

 

「いえ、何となく自主的にしているだけですのでお気になさらず」

 

戻ったホテルの部屋で――綺麗に正座している。

 

幼女の正座。

それはそれは立派なものだ。

 

誠意は態度で示すものだってどっかの誰かが言ってた。

だから僕は、逃げ出しちゃって配信しちゃってたのを態度で謝る。

 

けどもここで僕から「逃げ出しちゃってごめんなさい」とは絶対に言っちゃいけない。

 

なぜか?

 

それは……女の人は怒るための地雷をいくつも持っていて、どれかが爆発するといっぺんに怒るもの。

 

ここで僕から謝っても、謝ってほしい気持ちのときじゃないと謝っても意味がなくって謝り損。

 

逆にこれで尻尾を踏んづけちゃった形になって、ついででいろいろまとめて怒られることもあるもん。

 

まぁえみさんたちとは知り合って間もないからそうはならないだろうけど……念には念を、ね?

 

「……ハルちゃん? えみちゃん、怒ってないよ?」

「あ、るるさんなら分かりますか」

「うんうん。 怒られそうなときって怖いよねー」

 

えみさんの家に住んでるってことだし、年上で面倒見が良いらしいえみさんの……手の掛かる妹的な感じなんだろうか。

 

「あ、ハルちゃんもちほちゃんのことちほちゃんって呼んであげて? ちほちゃんって恥ずかしがり屋さんだから」

 

「……良いですから。 ハル……征矢さんは男性ですし……」

「でも今はちっちゃい女の子だよ?」

「……それはそう、ですけど……」

 

ちほちゃん?

誰それ?

 

……ああ、救護班さんな九島さんだっけ。

 

僕は人の名前覚えるの苦手なんだけどなぁ……。

 

「……それで、です。 征矢さん」

「今までどおりハルで良いですよ、ちほさん」

 

「っ!!」

 

ばっとそっぽ向いちゃったちほ……九島さん。

 

え?

 

もしかして「見知らぬ大人の男に下の名前で呼ばれて吐き気催したわ……気持ち悪い……」とかじゃないよね?

 

そんなこと言われたらさすがの僕でも傷つくよ?

 

それこそ、ダンジョンの中で1週間くらいサバイバルしたいくらいに。

 

「……こほん、失礼しました……それで、ハ……ルさん」

「はい」

 

……真相は不明だけども、普段通りの落ち着いた顔と声な九島さん。

社会人的なスキルでとりあえず置いとくってことね。

 

今までどおり九島さん呼びが無難だね。

 

「ハルさんと深……るるさんの新しい住居が決まりました。 おふたりの利便性も考え、三日月さんたちの所属する事務所や三日月さんのお宅のすぐ近くのタワーマンションです」

 

「へー」

「ほへー」

 

「……ハルたんかわいあふんっ!」

 

タワーマンションっていろいろ大変だっていうけども……この感じだとご近所付き合いとか無さそうだし、るるさんも僕もある程度のレベルあるから階段で上り下りしてもそこまで苦労しないからいっか。

 

1回住んでみたかったしさ、高層マンションって。

 

何階なんだろうね?

 

「おふたりの立場は……配信者として注目されすぎているのと、先ほどの話の通りと言うことで、可能な限りに人目につかないよう配慮します。 買い物なども、警備の人間に伝えてもらえたら」

 

「それって僕自身が外に出ちゃダメってことですか?」

「あ、いえ……でもそうですね。 ハルさんはおふたりと一緒に外出はされない方がよろしいかと」

 

「なんで!?」

「私は耐えるぞ!? 外では絶対隠し通す!!」

 

「いや、さっきやっちゃってたじゃん……お偉いさんの前で……」

「ぐう」

 

あのとき、みんな何も聞かなかったことしてくれたけども……絶対バレたよね、三日月えみさんって人もやっぱりなんかヘンだって。

 

「……るるさんとえみさん。 おふたりは以前から顔出し配信をされており、しかも今は国内どころか全世界でも1番に有名な立場です」

 

「有名……えへへぇ……」

 

「ですがハルさんは、特徴こそ知られてはいますけれども顔はまだ。 ですから……ハルさんがその姿のあいだ、外に出る際の警護体制やハルさんご自身が気楽に外へ出られるようにと考えますと」

 

「あー、るるさんとえみさんが一緒だと僕がハルだってバレますね」

「ええ。 ハルさんが別に構わないというのでしたら顔が知られても」

 

「いえ、僕、2日に1回は適当にぶらぶらするのが好きなので」

 

「……ハルちゃーん……」

 

「ハルたん……あふんっ」

「我慢してくださいヘンタイさん」

 

「ハルたん」とか言いながら近づいてくるから優しく蹴ってあげて恍惚としてるえみさん……君、それで良いの……?

 

ああ、ヘンタイさんなら幼女に蹴られて喜んじゃうんだっけ……ごめんね、僕、男なのにヘンタイさんの気持ち理解できなくってさ……。

 

「……今日ハルさんが無断で外出」

 

「その度は誠に申し訳」

「あ、謝らなくて結構です! ……されたのも、元はと言えば私たちがハルさんの希望を聞かなかったせいですから……」

 

よく分かんないけども怒られないらしい?

 

「今後は伝えてくだされば可能な限り対応しますから……お願いですから」

「はい、勝手に外に出ません」

 

これ以上怒らせて外出禁止にされたら困るし。

まぁ逃げようって思えば罠抜けの応用で壁抜けできちゃうんだけども。

 

 

 

 

「……ああ、あとうちの社長が聞きたいと言っていたんだが」

「なんですか? えみさん」

 

気まずいのは苦手。

 

だからとりあえずコーヒータイムにして……こっそりアルコールを垂らしたコーヒーリキュール的なカクテルを呑んでご機嫌な僕。

 

今のところバレてないみたいだし……今後はジュースとかに混ぜる感じでごまかそう。

 

だってお酒呑もうとするとすごい目で見てくるんだもん、みんな……。

そりゃまあ幼女が呑もうとしたらそういう目もするだろうけどさ……。

 

「保護する役目も公的な機関に引き継がれた。 ……今後はどうしたいのか、と」

「今後ですか?」

 

「そうだ! ハルちゃんハルちゃんコラボしよコラボ!」

「近いです」

「いーじゃん、カメラハルちゃんには向けないようにするからさー」

「近いです」

 

るるさんはすきあらば僕にひっついてくる。

 

……嫌じゃないんだけども気恥ずかしいし、そもそも年頃の女の子相手だから僕の方が恥ずかしい。

 

だから近づいてくるほっぺをぐにーっと押し出す。

 

あ、でもこの子ならえみさんみたいには胸無いから

 

「ハルちゃん?」

「なんでしょう」

「………………」

「それで、コラボ……うーん」

 

最近のるるさん、僕がこの子の平坦なことを

 

「ハルちゃん、やっぱり」

「良いですよ」

「私の……え、ほんと!? やったぁ!!」

 

僕が深遠な思考をしようとすると女の子の勘ってやつで分かるらしいんだよね……この子ほんとになんなの……?

 

……って言うか、今思わず「良いよ」って言っちゃった。

 

「ハルのカメラは今日と同じように被る、本人視点のもの。 るるのカメラは、普段の3方向ではなくハルの方向からに限定すれば……うん、るるがハルに話しかけるようにすれば行けそうだな」

 

「えみちゃんありがとー!」

 

あー、僕の顔映さないってなるとそうなるのかー。

 

そうだよね、最近知ったけどもプロの配信者さんたちってドローン飛ばして撮影するんだよね、何方向からも。

 

科学の進歩ってすごいね。

ぱっと見るとSF的なポットが浮いてるようにしか見えないんだもん。

 

「配信の終わり際……仕方がないんだが、ダンジョン一帯を封鎖したりした影響で、ハルの身を案じるつぶやきが耐えないからな」

 

「あ、そう言えば」

 

ちほ……九島さんがスマホを取り出して……僕を見てくる。

 

「?」

 

「……ハルさん、マナーモード」

「あ、はい」

 

「! そうだよハルちゃん! ダンジョンの中でも休憩のときくらいマナーモードオフにするかスマホ見て!」

「いえ、でも僕、普段からスマホ見るのは朝晩くらいで……」

 

おかげで電池は2日とか3日とか持つんだよ?

あ、でもゲームとかする時期は持たないかな。

 

「……男性とはそういうものなのでしょうか?」

「いや、今の時代なら男性でももっと見ると聞いていたが……」

 

めんどくさいなぁ……あ、そうだ。

 

「九島さん」

「ちほちゃんって呼んであげて!」

「九島さん」

「はい」

「ちほちゃんっむむむ」

 

えみさんの華麗なインターセプトで「ちほちゃん」呼びを回避。

こういうときはえみさんって良い子だね。

 

「ダンジョンに潜ってるとき以外は僕のスマホ、管理してくれません?」

「えっ」

 

「だって僕、そういうのめんどくさくって……あ、ヘンタイさんスイッチが入ってないときのえみさんでも良いですよ」

 

「……ハル、良いのか?」

「はい、別に」

 

「……男性は女性に見られたくないコンテンツをスマホに入れていると」

「僕は特に入れてないのでどうでもいいです」

 

お、なんかえみさんのレアな顔。

あ、九島さんも結構レア。

 

……るるさんは顔真っ赤。

 

なんで?

 

「……ハルちゃん?」

「はい」

 

「ハルちゃんって……もしかして男の人、好き……?」

「なんでそうなるんですか」

 

「だって、男の子がそういうのしないって……」

「男だってそれぞれですよ? ほら、るるさんとえみさんみたいに」



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27話 九島さんとるるさんとえみさんと。

「――うん。 そういうことだから。 うん、落ち着いたら顔見せるよ……いや、いらない。 かわいい服とか要らないから本当に……やめて買わないで、絶対買わないで。 絶対着ないからね? ちょ、母さん!?」

 

ぴっ。

 

「ふぅ……」

 

「……ハルさん、お疲れ様です」

「あ、九島さん」

 

今日もポニーテールがまぶしい九島さん。

 

ちょっと前に「なんでポニーテールにしてるんですか」って聞いたら「医療関係者ですから」ってものすごく常識的な答えが返ってきたっけ。

 

良いよね、まじめな子って。

僕のこと「かわいい」って子供扱いしてこないしさ。

 

「……ご両親へ連絡を?」

「うん、ようやくね。 これまでは適当にごましてたから」

 

父さんと母さん。

 

「息子の息子がなくなって娘になった」なんて突然言ってもまず信じない。

 

だって息子だって主張してるのが幼女だもん。

 

だからどうしよっかなって思ってたところでこの前の呼び出し。

 

あのおじいさんかおじさんの部下の人がなんか良い感じに説明してくれたらしく、拍子抜けなくらいにあっさりと僕が幼女ってこと納得してたみたい。

 

……でもちょっとは疑って欲しかったっていうのが息子としてのささいな抵抗。

 

だって男だもん。

 

「……そのうちご自宅……ご実家へ帰られますか……?」

「え? いや別に、元々会社のためにひとり暮らしだったし」

「でも今は会社へは……」

「あー」

 

今の僕の身分はニート……じゃなくてフリーター……でもなく、一応はフリーランスな個人事業主。

 

なんでも1年以上、ダンジョンに週3回以上潜ってるとそうなるらしい。

 

まぁ稼ぐお金のケタがケタだから、とっくに青色申告っていうめんどいしお金かかるのやって国と戦ってるけどさぁ……。

 

「あの、上司から……ハルさんのカバーストーリーをと言われていまして」

「カバーストーリー」

 

何か悪いことしてる印象だけど僕何も悪いことしてないから大丈夫だよね。

でもこういうときってなぜかどきどきしちゃう。

 

「……配信でハルさんが話してしまった部分から、ハルさんは……その、シングルファザーのお父さんのために潜っていると……」

「あー、そうなっちゃってるんだっけ……母さん勝手に殺しちゃった?」

 

母さんごめんね。

 

でもどうせ家に帰ったらいろいろされるの目に見えてるからやっぱいいや。

 

「あ、いえ、明言していませんので、ここは『入院している母親のため、適性のあったダンジョンへ潜っている』と言うことにするとよろしいかと……」

 

さすがはプロの人、さくっとそれらしいの考えるね。

 

「……と、ハルさんが今後『軽くほのめかせば』充分だそうで。 ご自分から言う必要は無いとのことです」

 

「そっか。 ありがと。 嘘つくのはなんかヤですし。 多分今後の配信、親も見るだろうし」

 

今日の僕はシャツにズボンって言うラフな格好。

 

……ほんとはシャツ1枚が良いんだけどね……すっかり慣れたし……けども一応は女の子もいるんだ、汚い男の体なんか見せたら目が汚れる。

 

……あー違う違う、今の僕は幼女だった……なら目は神聖なまま保たれる。

 

けどもヘンタイさんをその気にさせても……僕は嬉しいけどもえみさんの今後の人生が大変なことになる、自重しよう。

 

「るるさんとえみさんは?」

「今日は配信……るるさんがご無事なことの報告と雑談の配信だそうです」

 

「あー、そういやそっか。 有名人って何回も大丈夫ですよアピールしなきゃいけないから大変だよねー」

 

「……………………………………」

 

「どしたの?」

「……いえ」

 

九島さん。

 

マジメさんだからか、ときどき僕のいい加減な態度が気になるらしい。

 

なんかジト目してくる。

すっごくジトってしてくる。

 

あれだ……中学くらいまでの学級委員長的な女子みたいな。

「ちょっと! シャツの裾! ボタンは首元まで!」的な?

 

「けど九島さんってるるさんたちほど派手じゃないけど、いつも顔、きれいにしてるよね」

「えっ」

 

そう言えばずっと見てたけども言ったことが無かった気がするから言ってみる。

 

「そのポニーテールもさ、ほつれとかないしいつもリボン変えてるし」

「え……えっ」

「えみさんみたいな派手さじゃないにしても……アイシャドウ? 的なやつ着けてるし」

 

「……ハ、ハルさん、お化粧とか」

「え、だって毎日近くで見てたら分かるよ? 男でも。 だって多分僕が1番見てる女の子だし」

 

「い、1番……」

「あと、こうして普通に話せるから居心地いいし」

 

「…………っ」

 

「近くにいても抱きついたりしてこないから気が楽ですし」

「え、あ、あの……」

 

あ、珍しく九島さんが照れてる……「ちほさん」って呼ぶときみたい。

 

「いつも2人とも違う香水着けてるし。 落ち着く匂いですし。 『ちほさん』って」

「あっ、あのっ、あのっ」

 

ちょっとだけ近寄って、九島さんのポニテの先っぽをすんすんすんっと嗅いでみる。

 

……つま先立ちしても肩まで届かないって悲しい。

 

だって幼女だもん。

 

「あと――――」

「……わっ、私! 必要な買い物がありましたので!」

「え? あ、そう?」

 

一応僕も、言えば好きに……まぁ警護の人はつくらしいんだけどね……出歩けるらしいけども、今日はまだ外に出たいゲージが貯まってないからいいや。

 

九島さんは珍しく物を取り落としたりしながら出て行った。

 

……普段はあんなに冷静なのに、なんか不思議な感じ。

 

 

 

 

「ハルちゃん!」

「るるさん?」

 

「ちほちゃんとなんかあったでしょ!!」

「いや? なんにも?」

 

夕方。

 

お昼寝したあとにぼんやりしてた僕は、唐突に揺さぶられて起きた。

 

「ほんと!?」

「え、ほんとだけど」

「……むーっ……」

「???」

 

どしたんだろこの子。

 

いつも割と気分屋で、わけもなく抱きついてきたと思ったらなんかほっぺ膨らましてることあるし……まあるるさんは女の子らしい女の子だからそういうもんだって思ってるけども。

 

「……………………………………」

「?」

「……ハルちゃんって彼女とか」

 

「作る時間があったら本読むよ? 彼女さんってめんどくさいらしいし」

「……だよね――……はぁ……」

「?」

 

僕に抱きつきながらずるずると脱力していって、僕が膝枕する形になるるるさん。

 

この子、結構聞いてくるよね……彼女がどうとか。

 

「いいにおーい……」

「股に顔うずめるの止めよ? えみさんでもしないよ?」

 

まぁ女の子だし。

女の子の会話のほとんどは恋バナとかだって言うし、こういうもんかな。

 

九島さんみたいに仕事の話以外は時事ネタ話す子とか、えみさんみたいなヘンタイさんが例外なんだ。

 

「……ハルちゃん、男の人が好きになったりしない?」

「んー」

 

考えてみる。

までもなかった。

 

「しないね」

「ほんと?」

「げろげろげーだ」

「……そっか」

 

けどなんでこの子……ああそっか。

 

僕たち男が、女の子同士で楽しそうにしているの見ると「百合」だって妄想するように、女の子たちだって男同士を……やっぱり鳥肌と吐き気が……。

 

 

 

 

「ハルたん!」

「えみさんステイ」

「わんっ!」

「うわぁ……ほんとにためらいなく……」

 

ヘンタイさんなえみさん。

 

彼女がヘンタイさんだったとしてもヘンタイさんとして尊重してあげようって言う、僕の中の男としての同情からヘンタイさんだけども普通に接してあげている。

 

特に引くことは……結構あるけども「もう近づかないで」とか言ったりするほどでもないし、ヘンタイさんらしき言動になったら「気持ち悪いです」とか喜びそうなこと言ってあげるとひっくり返ってぴくぴくするだけで特に害はないし。

 

だからか……すっかり調教されてる美女系JKさんがここに。

 

「あ、えみさんえみさん、そのカッコでおいぬさんは止めた方が」

「わん?」

 

いや、「わん?」じゃなくて。

 

「僕、背が低いから……ぱんつ、見えちゃってますよ。 気にしないなら良いですけど」

「わ、…………――――っ!?」

 

あ、いくらヘンタイさんでも女の子としての自覚はまだあるのね。

 

慌てて膝を閉じて座り込んだからか、傍目には僕に跪いてお胸を寄せてあげてる形になってる。

 

……これで、僕が男だったら完全に事案だね。

 

残念なことに今は僕が幼女で逆事案だけど。

逆事案?

 

「……ハル、は」

「はい」

 

今日で3回目の真っ赤な顔が僕を見上げる。

 

「……女性になっていても、女性に……欲情、するのか?」

「さあ? とりあえずこの体になってしたことないですね」

 

なんかド直球なことを現役JKさんから言われた気がするけども、僕自身にやましいこともないし……幼女だからか女体は目の保養以上の価値が無いからか割と平気。

 

もし男のままだったら……こんなおっぱいおっきい美人さんに言われたらどきってする程度じゃ済まないだろうけども。

 

「そうか……」

「そうですね」

 

なんかそのまま考え込んでるえみさん。

 

「……なら一緒に風呂に入っても問題は」

「お手」

「わんっ!」

 

僕の差し出した手に彼女のお手々。

 

「……はっ!?」

「何回かですっかり条件付けされてますね……」

 

見えない尻尾が見える気がするよ、えみさん。

 

 

 

 

「――――以上が我らがハルたん、もといハルちゃんの正体だ」

 

とある地下室。

 

そこに9人の老若男女が集う。

 

「ハルちゃんは、中身が文学青年な成人男性」

「それであの声、あの話し方……」

 

「それでいてあのレンジャースキル……しかも」

「★『星』――『ゲームシステム的に』あり得ると考えられていた、人類の限界を突破したレベル、あるいは『転生』」

 

「で、これが――」

 

腰まで伸びる長い金髪。

 

深谷るるや三日月えみ、彼らは初めて見ることとなる九島ちほという少女にグルーミングのように顔を溶かされて「ほわぁー」と溶けている幼女。

 

ちらりと見える八重歯、ついでで出ているあくび、少女未満の童女や「女としての動作」を習得していないから自然になる、開いた脚。

 

着せられたフリルのあるスカートからちらりとのぞく太もも。

 

「ハルちゃんのお顔よ。 げに愛い――だが、中身は男だ」

 

「男……」

「ハルちゃんが……」

「去年まで……」

「そんな……」

 

「――始原としての盟約により貴殿等にはハルちゃんのかわゆい姿をご覧に入れた。 さあ、ここからは貴殿等の決断を」

 

「――つまり実質ショタ!!! 私は協力します!!」

「……さすがは身バレしても貫いたその心意気。 ああ、君の会社の関係先、取引先には話を通したから安心したまえ」

 

「初見に先を越されるとはな……俺もだ」

「ぼ、僕も!」

「私も入ります。 ハルちゃんを護る会に」

「アタイもねぇ……この歳でひ孫ができた気分さ……」

 

「男だってかわいく仕立ててかわいいって言い続ければだんだんと女の子になるのよー? 私、もう何人もこの手で……うふふ……」

 

「爺さんから婆さん、兄さんから姉さん……姉さんみたいだけど声だけお兄さんなヤツ……すごい集まりだな、改めて」

「何回かオフ会したけど……まさかこうなるとはなぁ」

 

「これで全員じゃないもんねぇ」

「海外のもなかなか濃いよねー」

 

暗い部屋に投影された「ハルちゃん」の様々なシーン。

 

それを眺めながら談笑する時間は続いた。



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28話 女の子の買い物って長いよね

「ハルちゃん! 配信ではもっとおしゃれしないと!」

「いえ、でも顔出ししませんし」

「それでも私とコラボするんだったらお手々とか足とかちらちら見えるの! だからかわいいの着るの!!」

「はぁ……」

 

そんな感じで、ベッドででろーんってしてた僕はいつの間にやらモールの中。

 

女の子の買い物欲ってすごいね。

僕なんか本屋くらいしか楽しくないよ。

 

あ、でもアウトドア用品とか文房具とかホームセンターは楽しい。

 

まぁいいけどね、なんかこういうの新鮮だし。

 

いい感じに隠蔽効かせてるから、男だったときくらいしか見られないし。

 

そうじゃなかったら?

 

……金髪ロングで蒼い目でスカートな幼女だよ?

そりゃあ見られるよ?

 

まぁ今日は大分マシな格好になってるけどね。

 

「これもどうかなー?」

「ハルにはこっちの方が……」

 

けども……この子たち、なぜかあの配信の後から妙に引いてる感じがある。

 

なんて言うか……ご機嫌うかがってるって言うか?

腫れものってまでは行かないけども、これまでのぐいぐいさ加減がちょっとおとなしめ。

 

そんな感じ。

 

だからワンテンポって言うかワンクッション置いて僕を着せ替えてくる。

 

結局着せ替えられるにしても、過程で何十回も着替えるのと何回かとは別物。

だから待つ間は適当なところでだらんとしてたら良いっぽい。

 

これなら母さんの買い物の荷物持ちよりは楽かな?

 

……あ、次実家に帰ったら僕、もしかして母さんの着せ替え人形……

 

「ハルさん、この後は」

「本屋さん」

「……でのお買い物の後は」

「帰るよ?」

 

「……もう少し見て回ったりとかは……」

「いえ、めんどくさいですし」

 

るるさんとえみさんはサングラスとかメガネに帽子とかって言う「ザ・お忍び」な格好で、さらに僕とは話すとき以外離れてる。

 

多分通りがかりの勘の良い視聴者さんに2人がバレたとき用のなんだろうね。

 

今日の僕も、シャツにズボン、九島さんとお揃いのポニテって言う格好になってるし。

 

ぱっと見で「男の子かも?」って思わせられるようにしてるんだって。

効果がどのくらいかは分からないけども、髪の毛そのままでスカートよりはずっと楽。

 

……まぁ隠蔽スキル起動しとけば僕って認識されないんだけど……まぁいいや、せっかくやってくれてるんだし。

 

実はスパイもとい公安さんの手先だった九島さんは、私服もマジメ系でいつも通りのポニテ。

 

この子と一緒だと気が楽。

ぽつぽつって感じでしか、しかも世間話くらいしかしないからさ。

 

「あ、ハルさん。 深……るるさんたちが服を選んだって」

「じゃ、ちょっと行ってきます」

 

そんな彼女は僕の警護と2人との連絡役とですっかり秘書さん。

 

この子もさりげなく属性多いよね。

 

 

 

 

「……ハルちゃんっていつも電子書籍で読んでなかった? 本……」

「だって家から連れて来られましたし」

「ハル、頼む……一応は同意の上ということになっているんだ」

「あ、ここ外ですからね、分かりました」

 

あー、「連れて来られた」とか警備員さんとかに聞かれたらまずそうだもんね……特にヘンタイさんなえみさんは。

 

そんな僕は手ぶら。

 

周りでぶらぶらしてる……ように見える演技してる、私服の護衛の人たちのこと「ハルちゃんの荷物持ちにでも何でも使って良いよ」って言われたから遠慮なく買ったのを持たせてるから楽。

 

20冊くらいかな?

 

男の力でもずっと持ってると疲れてくるやつ。

 

「この体じゃ帰る頃にはへとへとになっちゃいますから助かります」

「え、ええ、みなさんこのくらいは平気だと……」

 

本屋に突撃してひたすら新刊集めてた僕は、女の子3人からはちょっと引かれてる感じ。

 

……君たち、服屋何軒も行って3時間くらい使ってたよね……?

 

「けど、そっか。 ハルちゃんって元々は……だったから、こういうところが大変なんだ。 そうだよね、本とか重いよね」

「私たちは産まれたときから女だからなぁ。 ダンジョンに潜るため鍛え始めてからはむしろ楽になったくらいだが……」

 

「それであんなに筋力……いえ、何でもないです……」

 

あ、家のドアがもげてたのってえみさんの馬鹿力らしいね。

ヘンタイ筋肉さんとかもう対処法ない気がする。

 

「!!」

「帰ってからですよ」

「分かった!」

「えみちゃん……」

 

一時期「えみちゃんが人としての道を間違っちゃう前にハルちゃんとお別れさせる……?」って、えみさんのこと大好きなるるさんから深刻そうに相談された。

 

うん……心配だよね……面倒見の良いお姉さん的な人が、ある日を境に幼女見て豹変したんだから。

 

僕、忘れてないよ?

九島さんに簀巻きにされてもぞもぞうねうねして奇声上げてたの……。

 

あ、でも足でつんつんすると反応するのは楽しかった。

またつんつんしたい。

 

で、僕も男だからちょっとは性的嗜好に対する理解はあるってことで「もしえみさんが襲ってきたら全力でぶっ飛ばしていい」っていう約束だけもらっておいた。

 

……正直女の子に襲われるって時点で僕的にはご褒美なんだけどね。

 

けどもそれはそれ、えみさんの人生を捻じ曲げたくはないし。

 

すでに捻じ曲げた可能性については……うん、僕以外の幼女にやらかすよりは良かったんじゃない……?

 

僕ならもし剥かれたりしてもトラウマどころかご褒美だし。

 

「……でもハルさん、そこまで女性ものに抵抗、ないんですね」

「うん? まぁ肉体的には女の子……って言うか女の子以前って言うかですし」

 

たくさんの紙袋に入った僕の新しい服もまた護衛の人たちが持ってくれている。

 

その中には当然にぱんつとかキャミソールってのとか、ワンピ……じゃないワンピースとかスカートとかふりふりなのとかアクセ……アクセサリーね、アクセサリー……とかが入っている。

 

それも、女の子視点で「かわいい」のが。

 

僕はどうでも良いけども。

 

「単純に服装に興味が無いからってだけな気がしますね。 僕としてはシャツだけでも」

 

「それは駄目です」

「それはダメー!」

「是非! ………………ダメだ……」

 

素直なのだけが取り柄なえみさんはものすごく落ち込んでいた。

 

……えみさんだけのタイミングでシャツ1枚って言う私服にしてみよっかな。

 

えみさんもロリコンさんで幸せ、僕も楽な格好で幸せ。

 

万が一僕が襲われてもそれはそれで……あ、えみさんの人生のことがあるからダメかな。

 

 

 

 

「コラボって言うくらいだから、お揃いの服だよね! 髪型とかも!」

 

「……え、でもダンジョンの中で配信するんですよね? 通りすがりの人に会ったとき、服見られたら僕ってバレるんじゃ?」

 

「あ」

 

ダンジョンの中ってのは、基本的には他の人とかグループとすれ違うことはない。

だってなにしろ1階層ごとに広いんだもん、しかも迷路仕様で大部屋もあんまりない。

 

入るタイミングもばらばら、みんな攻略ペースは違うって具合で……強いて言えばセーフエリアとか階段で休憩とかしてるときくらいかな?

 

あと、今どきはみんな配信しながらだったりするからお互いに映るとトラブルになるってことで、近くになるとお互いのリストバンドで位置情報が分かって「顔映っちゃってもいい?」って自動送信。

 

僕みたいに「絶対にNO」って送ると、いい具合に姿が見えないすれ違いができるからとっても便利な世の中。

 

……まぁ同接目当てとか迷惑行為したい人は突撃してくるけども、僕はレンジャースキルで隠れるからバレたことはない。

 

けども、るるさんたちは人気すぎる。

 

配信中って普通は「どこのダンジョンの何階層攻略してます」って言いながらだから、何組かはそばで見てるって感じらしい。

 

まぁ多くなってきたら抽選で適度に追っ払うらしいけども……つまりは顔を隠したほうが良いっぽい僕とは相性が最悪なんだ。

 

「……コラボぉ……」

「僕は別にいいんですけどね、でもバレますよ? こんな幼女が僕だって」

 

「済まない、私もそのことが抜けていてコラボの許可を」

「僕は気にしてないですよ、えみさん。 けどどうするんですか」

 

僕とお揃いで着たかったらしいふりふりなのを抱いて絶望している、るるさん。

 

……そもそも君、前衛職だからスカートで戦ってたらぱんつ見えちゃわない……?

 

それ以前に戦いにくそう。

 

「その点については……ちほ」

「はい。 当日はこちらの人員を使いまして人目を物理的に遮断する方針です」

 

「……そんなのして良いの?」

「ええ、これもハルさんとるるさんに対する特例だと上司が」

 

ダンジョン内の特定の場所を封鎖しての配信とか……ダメじゃないけどもマナー的にアウトでチクられたら炎上することもある諸刃の剣。

 

マナーってめんどくさいよね。

僕そういうの苦手。

 

だからぼっちこそが至高。

 

「後はそうですね、今回に限り、潜るダンジョンと階層を伏せる方が良いとの判断です」

 

「……みんなにはごめんだけどしょうがないよね……」

「トラブルを避けるためだからな」

 

そもそもコラボとかしなきゃ良かったんだろうけどね。

 

でも物心ついたときから配信とか切り抜きとか見て育った世代だ、きっと配信って言うのが嬉しいものになってるんだろう。

 

……そういう意味じゃ、ひと世代前の僕になると同じ感覚は味わえない。

 

まぁ僕は昔っから変わってるって言われてたから、例え同い年でも変わらなかったかもだけど。

 

「でも今回のって僕たちの呪いっぽいのの調査でもあるんですよね」

「うん……私たちが一緒にいたらどうなるのかって」

 

「……ダンジョン、1層から最下層まで崩落しません?」

「しないよ!? ……多分」



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29話 るるさんとお風呂。 ……なんで?

「あ、お風呂沸いたみたいなので入って来ますね」

「はーいっ」

 

当たり前のように僕の部屋に……ホテルだけどね……居座っている、るるさんたち。

 

いや、前みたいに長時間とかじゃなくなってるから別にいいけどさぁ……女の子の中に僕みたいな男がいたらヤじゃない?

 

そう思わない?

 

それともこれが今どきの子……じゃないよね、僕がどう見てもどっから見てもどう触っても嗅いでもちっちゃい女の子だからだよね……よく抱きかかえられてモフられて頭の匂いかがれるし。

 

「臭くないの?」って聞いたら「甘い匂いがする」んだって。

 

まぁ僕もえみさんと九島さんなら後頭部の柔らかさで嬉しいけどさ。

 

え?

るるさん?

 

だってあの子は……うん……。

 

そういう需要もあるんじゃない……?

 

みんながきゃっきゃしてる中、ひとり本読んでるだけな僕。

髪の毛とかいじられながら。

 

……もし僕が女の子で背の低い系だったら、学生時代もこうだったかもね。

実際はただのメガネ男だったからスルーされてたけどさ。

 

「……………………………………」

 

「?」

 

感知スキルは基本的にダンジョン外で切っている。

 

単純に魔力がもったいないのと、虫1匹が効果範囲で動くだけで反応しちゃう超デリケート仕様だから。

 

そんな感知に、なぜかこっちを見てる、るるさんが反応。

 

僕への注意が何秒か続くと無意識でスキルが起きちゃうからなんだけども……なんで?

 

「るるさん?」

「……ううん」

 

最近の彼女はよく、こんな感じで僕のことを見てくる。

 

特に変な感情も混じってないっぽいから別に気にしてはないけどね。

「多分女の子ってのはこういうものなんだ」って納得してる。

 

ほら、えみさんも……ダメだ、あの子は僕のふとももとか胸元見てるだけだからいろいろダメなんだ。

 

それに僕は男なんだ、今さら幼女になったところで女の子の気持ちを理解できるはずもない。

 

そう諦めて適当に下着とパジャマを両手にお風呂場へ。

 

ここのホテルのお風呂、ちょっと大きいんだよねぇ……いやまぁこの体だと、どのお風呂でもお湯の量減らさないと頭のてっぺんまで沈むけどさ。

 

「……るる、良いのか? 本当に……その……」

「どうしても確かめたいんだ。 ごめんね」

 

そんな声がした気がしたけども「そう言えば聴覚スキル切り忘れてたな」って気が付いてぱちっと切った。

 

 

 

 

「あ〝――……」

 

お風呂は良いよね……生き返るぅー。

 

ぷかぷか浮かぶ僕の脚はすべすべ。

 

両手は体を支えるためにずっと力入れてないといけないからちょっと大変だけど、幼女専用のお風呂なんてそうそうないだろうし、もうすっかり慣れてるから諦めてるし。

 

そうして何となく目に入る、何も生えていないおまたと小さな胸。

 

お股と脚のつけ根のあいだが空いてるって、なんか不思議だよね。

男のときはここにぷらぷらしてたのにね。

 

……この体になってもう1年。

 

普段は女の子って感じはあんまりしなくなってきたけども、お風呂とかだけは実感する。

 

まだ女の子って言うよりは子供な体を見るともなく眺める僕。

 

……ほんと、子供の体で良かったなぁ。

 

もしるるさん……は絶壁らしいからあれだけど、えみさんみたいな女の子らしい体つきなら困っただろうし。

 

万が一色にハマっちゃったら……うん、女の子のそれは男のそれの何十倍とか何百倍って言うし、きっと男に戻れなくなってただろうからこれで良いんだろうって思う。

 

でもなんかちょっと羨ましくはあるけども、男に狙われるってのは嫌すぎるからこれでいいや。

 

ちょっと寂しいけどね。

 

――こんこん。

 

お風呂のドアの向こうに誰かが立っててノックしてる。

 

「? どうぞ」

 

どうしたんだろ……今日新しいシャンプーとか買ったっけ?

 

こうすると体隠れるからって、浴槽の縁にあごを置いて待つことしばし。

 

「?」

 

なにかあったのかな。

 

そう思ったらようやく開いたドアからるるさんが――――。

 

「……入るね?」

「え、いや、あの」

 

え?

 

何で君、服着てないの?

すっぽんぽんなの?

 

「……………………………………」

 

というか一瞬見ちゃったじゃん……お胸とかお股とか、男なら本能的に見ちゃうんだから。

 

ダメでしょ、年頃の女の子が男に肌をさらしたら……って言うかほんとどうしたんだろこの子?

 

何?

 

君、痴女属性……は無いな、えみさん基準はいくら何でもかわいそう。

 

多分お風呂入りたい気分になっただけなんだよね。

なんで僕が入ってるところなのかはさっぱりだけど。

 

「あ、お湯少ないんだ。 ……足してもらって良い?」

「いや、だから」

「お願い」

「……はい」

 

なんか普段とちがう感じのるるさん。

 

……前からちょくちょくお風呂一緒に入りたがってたけども「でも僕男だよ?」で乗り切れてたんだ。

 

本当、僕が男って知ってるのにどうして入りたがるんだろうね。

 

「僕は男なんだから見られたらヤでしょ?」って聞くけども、「そんなことないよねー?」ってるるさんが同意を求める。

 

えみさんは「ハルが良いと言うなら」ってお返事だし、九島さんは「介助が必要でしたら」っていう超事務的なスイッチ入る感じ。

 

でも最後にるるさんがすっごく悩んで「やっぱり今度」ってなってた。

 

……今日はとうとう我慢できなくなったの?

 

「前か後ろ。 詰めてもらってもいいかな……ハルちゃん」

「え? あ、うん」

 

いつの間にかかけ湯を終えていたらしいるるさんがちゃぷりと入って来てるらしい……いやだって、顔のすぐ下に見ちゃ行けないものがあるから、目、逸らしてるし。

 

「……………………………………」

「……………………………………」

 

お湯が胸の下から一気に首元まで上がって、僕の肩にるるさんの体のどこかがくっつく。

 

「……………………………………」

「……………………………………」

 

……いや、何か言ってよ。

 

僕、女の子とお風呂なんて悲しいことに体験したことないからさ、いくら女の子になってるって言ってもかなり恥ずかしいんだけど……?

 

「……ハルちゃん。 嫌?」

「え?」

「こうして私が入るの」

「いや別に……むしろるるさんの方が」

 

見知らぬ男、しかも確か8歳くらい上だよね僕……と一緒にお風呂入る方が嫌なんじゃないかなぁって。

 

あ、もしかして僕男として本気で認識されてない?

それはそれで悲しいんだけど?

 

「ね。 ハルちゃん」

「?」

「どうしてこっち見ないの?」

「いや、見ちゃダメでしょ……事案でしょ……」

 

「だって今のハルちゃんは女の子だよ?」

「法的には僕は成人男性なんだってば」

「……ってことは、女の子に興奮しない?」

「さあ……?」

 

良く分かんないけども、きっと何かあったんだろう。

 

多感な思春期真っ盛りな高校生だし、最近悩むようなことがあって人肌が恋しくなって……いやでもえみさんか九島さんに頼れば良いんじゃ?

 

「……痛っ!」

「え、どっかケガ――――あ」

 

思わず反応しちゃって振り向いちゃっ……た先には、痛そうな顔してないるるさんと、その下のお胸が。

 

……いやだって身長差。

座高的に今の僕の目線は……ねぇ?

 

「……また逸らした」

「だってヤでしょ、男に見られたら。 男が見ちゃ行けないでしょ」

 

待って待ってどうしたのこの子本当に……お酒でも呑んでる?

 

僕のお酒こっそり呑んじゃったの?

からみ酒なの?

 

めんどくさいタイプだったの?

 

……そう言えば君、絶壁絶壁からかわれてるけども別に絶壁じゃないね。

 

絶壁って聞いてたからてっきり前の僕のイメージだったんだけども、2回も見ちゃったそこはしっかり膨らんでた。

 

……けどもそれ、この僕の幼女のそれと大して変わらなくない……?

 

え?

 

やっぱり絶壁?

高校生でそれってもう成長の余地ないの?

 

「ハルちゃん……はるさんは私のこと……女の子として見てない?」

「いや別に」

「だって興奮しないって」

「するもなにもさ、今の僕って生えてないから分からないよ?」

 

男は下半身の生きもの。

 

つまりは生えているのが元凶。

厳密には生えてる横の2個だね。

 

……あの朝起きたらもげてたもんだから、当然ながらあれから1回たりともやましい気持ちになったことはない。

 

これが幼女の肉体のせいなのか、それとも脳みそまで女の子になってるのかは不明。

 

「? 生えてる?」

「いや、だから生えてないって」

「生えてないってなに……が……」

 

と、ようやくに「生えてるもの」に思い至ったらしい彼女。

 

さっきまで別人みたいに感情無かった感じだったのが、急に普段のトーンに戻って来る。

 

……なんかあったんだろうなぁ。

 

それでなぜか僕の所にお風呂を……いやほんとなんで?

 

「……ぜ、絶壁だから! 幼児体型だから興奮しないんだよね!」

 

「え? いや、そんなことないんじゃ? 見ちゃったけどきれいな体だったし。 僕は好きだよ」

 

「……き、きれい……すき……」

「あっ」

 

2回も見せられたのを思い出して自己嫌悪。

お胸の中心とかお股のすき間とかを一瞬で見てた僕自身に。

 

……僕、こんな年下の子の裸を思い浮かべるとか……。

 

「……………………………………」

「……………………………………」

 

んー。

 

ん――。

 

「……るるさん」

「ひゃいっ!?」

 

「……興奮がゼロってことじゃないらしい……みたい? だよ?」

 

言うのも恥ずかしいけどもここまで変になっちゃってるんだ、聞かれたことには答えよう。

 

そう思って言って、言ってからものすごく恥ずかしいこと言ったんじゃないかって思い直した。

 

……沈静化魔法。

 

頭の中で唱えると、途端に落ち着いてくる。

便利だよね、魔法って。

 

これってモンスターへの恐怖とか減らすものなんだけど、こういうときにも結構役に立つ。

 

ほら部屋に黒くてすばしっこくて飛んだりするあれが奇襲をかけてきたときとかに、これ使えば恐怖心ゼロの状態でコップとか被せて外に逃がせるから……ってそうじゃないよね、今は。

 

「それでるるさん、悩みって……あ」

 

「きゅう」

 

真っ赤になって浴槽の縁にしがみついてる彼女。

顔どころか全身真っ赤、息は荒くはあはあ言ってて脱力。

 

……しらふじゃ言えないようなこと言ったりしたりするから……。

 

「るるさん。 るるさん、起きて」

「きゅう」

 

ダメだ、ほんとにのぼせてる……しょうがない、九島さん呼ぼう。

 

「くし――」

「どうしたハル、るるが入って来てさっきから静かすぎ――」

 

すこんっ。

 

「あふんっ」

「ヘンタイさんじゃなくて九島さーん」

 

「……深谷さんのこと、止めなくてごめんなさい」

 

ひょっこりと出て来たのは、すでにスカートをぎりぎりまでたくし上げて紐で縛る準備万端な九島さん。

 

準備いいね、君。

 

「いえ、平気です。 それよりのぼせちゃったみたいなので……」

「……応急の治癒魔法で治りそうですけど、とりあえず連れ出しますね」

 

じゃぶんと浴槽に入って来た彼女がるるさんを抱き上げ、器用にバスタオルを巻いて連れて行く。

 

……看護師さんってすごいね、自分が濡れるのとか全然気にしてない。

 

けど、ほんと何があったんだろ。

 

多感な時期だからなぁ……またるるさんが話してきたらちゃんと対応してあげよっと。

 

「ヘンタイさん」

「わん!!」

「出てってね」

「わんっ!!」

 

さっき思わずですこんっと頭に当たったのをすっぽり被った状態のヘンタイさんは、とてもお行儀良く扉を閉めてくれた。



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30話 【コラボ配信】「ふたりはるるハル!」1

「……………………………………」

 

初めて来るダンジョン、その3層くらい。

 

何でも、周囲の偵察もとい他に潜ってる人たちを見るってことで、僕たちに先行して警備の人たちが様子見してくれてたからのんびりと入って来た僕。

 

……るるさんはちょい遅れての到着だ。

 

理由?

 

ほら、僕たちが入った途端ダンジョンがなんかやばいことになったら困るし?

 

僕たちだけならなんとかなるけども、他の人が居ての巻き添えはちょっと……ねぇ?

 

崩落とかモンスター召喚とかで被害が出かねないからしょうがないよね。

 

あと、るるさんと僕との距離をいろいろ試したいって言われてるのもある。

 

僕たちがどのくらいの距離であんなことが起きるのかっての、確かに知っときたいし……だってあんなミラクルだよ?

 

『ハル様。 現在探索中の方は4組、いずれも私たちが配置につきました』

「ありがとうございます」

 

耳に入れたインカムからは護衛の人たちの声。

 

前の僕より高レベルだし、今の僕よりも身体能力ではずっと上な彼らが、いざとなったらなんとかしてくれるんだって。

 

ありがたいね。

 

ちなみにこういう裏方なお仕事は人気がある。

ほら、スキルを活かしての会社勤めながら高給取りだからさ。

 

経理でいろいろ処理してくれての社会保険とか……会社がやってくれて払ってくれるって素敵だよね。

 

去年クビになってから自分でやるとその恩恵が……って稼ぎじゃなくなるんだけどね、僕みたいに毎日のように潜ってると。

 

ただただめんどくさいのは残るけども。

 

でもこれだってでっかいケガしたりすると半年単位でお仕事できないし、リスクはそこそこあるし。

 

それはさておき……じゃ、スタート。

 

【お、いつも通りの時間】

【午前10時って、まるでフレックス制で働いてるみたいだよな】

【だがそれがハルちゃんだ】

 

【ぼっちで決まった時間にダンジョンで働く健気な子……】

【社畜のようなルーチンワークで淡々と働くロリっ子……】

【いい……】

【訓練されすぎた視聴者たち】

 

今回はコラボ。

だから視聴者さんたちの対応はるるさんに丸投げ。

 

だけど僕だって10人くらいならなんとかなるから、始原さんって人たち11人だけはアイコンで分かりやすくしておいてもらってる。

 

それ以外の人たちのコメントは基本流し見。

 

なんでも普段MAX10人の配信からいきなり万以上はムリだからって。

 

そりゃそうだ。

 

配信ってのは特殊な作業なんだもん。

僕にそういうのはムリ。

 

【俺の名前、ハルちゃんのデフォルメ絵……だよな!?】

【俺たち始原は最高ランクのメンバーに加入できたからな】

【いいなぁ始原……】

【追加はありますか?】

 

【残念でしたー、私が最後ですー】

【姉御!】

【姉御言うな。 開示請求するぞ】

【ゆるして】

【草】

【姉御が強すぎて草】

 

姉御?

 

……ああ、11人目だっけ。

なんかかっこいいよね、そういうの。

 

「始原」とか……そういう悪乗り、僕も好きだよ。

男としてはそういうところに心くすぐられるんだ。

 

「おはようございます」

 

【しゃべったー!】

【ハルちゃんが俺たちにしゃべってる!!】

【かわいい声】

【やっぱロリだな】

【ちょっと舌っ足らずな感じが良い】

 

いつもの時間、いつも通り告知とかは一切無し。

 

そしたらいつもの人たちが集まっていて、やっぱり言われたとおりの作戦で良かったみたい。

 

そうだよね。

 

僕はもともとぼっち気質なんだ。

 

たくさんの人がわいわいやってるところからけっこう離れたところで、ひとり本でも読んでるのが合ってる。

 

だからいつも通りにやろう。

 

他の人たちのはるるさんとか事務所の人とかがうまくさばいてくれるでしょ。

 

なんか外国語とか変なこと言ってる人たちもいるけど、そういうのはムシでいいんだって。

 

「僕の画面ではこの前と同じ感じですので、コメントに反応してもらいたい人とかはるるさんの方に行ってくださいね」

 

【はーい】

【いいんちょー】

【ろりいいんちょー】

 

【でも俺はハルちゃん目当てだからこっちにする】

【俺も】

【私も!!!!】

【姉御……】

 

勉強のためにるるさんのアーカイブとか見たけどみんなすごいね。

 

あんなのもう普通にテレビ出てる人とかみたいじゃん。

僕には絶対ムリだもん。

 

僕は教室の中でさえ前に出て話せないんだ。

 

せいぜい仲がいい感じの10人くらいが限界だよね。

その10人の中に入るか入らないかで、ときどきぼそっとしゃべるくらいで。

 

【この前もそうだったけど、しゃべり方は幼いけどしっかりしてる……意外とロリじゃない?】

【ロリに決まってるだろ】

【いいんだ、俺たちはロリでも合法ロリでも】

 

【うわ、同接の増え方えげつない……】

【前回と前々回があれだったし】

【コメント、一瞬で流れるな】

【まあ、そうなるな】

 

【これで事故起きたらまた大変なことになるな】

【召喚の儀はやめろ】

【るるちゃんの呪い様が来たらどうする!】

【え? 泣く】

【草】

 

あ、そうだ、先にこれ言っとこ。

 

「今日はコラボなので、事務所から提供してもらった弾がたくさんあります。 なので今日は石とかじゃないです」

 

【おてて】

【おてて】

【ちっちゃい】

 

【お、狙撃銃】

【ハルちゃんのいつものやつだな】

【スリングショット→弓矢→狙撃銃、高レベルの敵にはロケット砲だもんな】

 

「だから今日はコストのこと考えなくていいですね」

 

【いっぱい食べて \1000】

【大きくなって \15000】

【そのままでいて \30000】

 

「あ、違います、おねだりじゃなくて」

 

【収益化してなかったときの3年分以上のだから \50000】

【収益化してない相手って貢げる手段がないんだ……分かってくれ…… \10000】

 

【本当だよな……相手が干し芋とかファンボ持ってればまだ貢げるけどなぁ】

【応援のメッセージじゃ足りないことも多いんだ】

【特にハルちゃんはあんまり読んでくれないし……】

 

【始原たち……分かる、分かるぞその気持ち……!】

【分かる】

【清貧も推す材料だけど、応援したいときに無いとなぁ】

【そうそう、長く続けてもらいたいたら】

 

うわぁ、今の一瞬で……さ、さんじゅう……。

 

「……………………………………」

 

……僕の手元に入って来るのはこの何割かだけども、なんか悪い気がする。

 

僕の金銭感覚は独り身のサラリーマンのまま。

 

副業のダンジョンでなんか上手く行っちゃったからお金は稼げるけども、スーパーとか薬局とかコンビニで安いの食べ比べする程度にはまだまだ脱・新入社員って感じ。

 

「……えみさん、今のお金、返金とかは……できないんですか」

 

【三日月えみ「返金機能はありませんね」】

 

ここはヘンタイさんじゃないときは頼りになるえみさんしかいない。

 

「そこをなんとか」

 

【三日月えみ「いえ、プラットフォームのシステム的に無理なんですよ」】

 

そういえばえみさんって人の前では話し方変わるよね。

なんか別人に思えるけども、その正体は女の子でありながらにして……。

 

【優しい】

【悲報・ハルちゃん、マジで返そうとしてた】

【おいしいものもっと食べて? \5000】

【おにく代 \7000】

 

コメントを見る限り、今どきの価値観はお金をもらうのはおかしくないことらしい。

 

……普段からネットとか配信とか観ないからさっぱりだ……今度からもうちょっと、るるさんとえみさんのだけでも見よっと。

 

【って言うか珍しいねハルちゃん、こんなにコメントに反応するなんて】

【もっと声聞かせて……】

 

【この前も結構おしゃべりしてくれただろ?】

【あれはるるちゃんの不幸のせいだからノーカン】

 

【だな、るるちゃん関係のことは見なかったことにするのがこの業界のマナー】

【結局るるちゃんに回帰するのか……】

【ああ、全てはるるちゃんを中心に回っている】

【草】

 

【るるちゃんが転んだ拍子にスカート下ろされた子やズボン下ろされた男は数知れず……】

【しかも配信中でな】

 

【あれで、本気で狙ってないからなぁ……しかも恨まれないどころか同情されるし】

【配信の機能で、だいたいセンシティブっぽいのには自動でモザイクかかるからセーフだけど……】

 

【おい、ハルちゃんの配信だぞ。 るるちゃんの不幸はるるちゃんの窓でやれ】

【そうだな】

【すまん】

【いいよ】

【やさしい】

 

【でもコラボで実質同じ画面だし……】

【なんかこの前以来、るるちゃんから何か飛ばされそうだし……】

【るるちゃんのとこでコメントするの、ちょっと怖いし……】

【分かる】

 

コメント、読めはするけどすごい勢い。

 

どうしよっかなって思ってたら探知スキルに嗅ぎ慣れた気配が。

 

「あ、るるさん来ますよ」

 

【るるちゃん遅刻?】

【配信そのものも今始まったみたいだし、単純にハルちゃんが早かっただけじゃ?】

 

【でもるるちゃんだよ?】

【ああ遅刻だわ、そのへんで転んだり迷って】

【誰かを巻き添えにしてる】

【悪い子じゃないんだ……ただただ運が悪いんだ……】

【草】

 

「ハルちゃんおまたせー!!」

 

ちょっとしてから、結局お揃いの服になってるるるちゃんが走ってくる。

 

お揃いのワンピース。

 

「それじゃ戦闘しづらくないですか」って聞いたら「腰でベルト巻いてスパッツ穿けば大丈夫!」って言ってたやつ。

 

【るるちゃんかわいい!】

【ああ、良い……】

【元気っ子のおしとやかな格好……】

 

【あのまま麦わら帽子被って】

【タイツ脱いで】

【穿いて】

【サンダルにして】

 

【……あとは何もしゃべらなければ男の理想の女の子だな!】

【おい、大切なものが足りないぞ】

【そうだな、胸も必要だ】

【草】

 

【いや、絶壁って言うのもるるちゃんの童顔フェイス的に、小学生なあの頃だって思えば……】

 

「あ、そうだ。 僕も顔はダメですけど」

 

せっかくだからって頭に乗せてたカメラを持ち上げて足元だけ映すように。

 

……るるさんがいるから慎重にね、慎重に。

 

るるさんがいるから、すごいミラクルで僕の顔が映る可能性もあるんだ、慎重に……。

 

【あんよ!!!!】

【かわいい座小僧】

【その脚で踏まれたい】

 

【お揃いのワンピース……てぇてぇ……】

【尊い】

【これが百合か】

【ガチで仲良さそうだ……つまりは百合……!】

 

【これと同じかな? ハルちゃんに合わせてかお手軽なお値段ね<URL>】

 

【\15000】

【\20000】

 

【後で買いに行ってくる \5000】

【もうカートに入れた】

【XLLなら大丈夫そうだな】

 

【男が買ってどうするんだ?】

【聞きたいか?】

【聞きたくないな……】

 

【せっかくるるちゃんとハルちゃんのおみ足を見て浄化された目が汚れた! どうしてくれる貴様!】

【草】

 

【     】

【あ……姉御が……!】

【ただの しかばねのようだ】

 

【ま、まぁ、ショタの女装って思えば……】

【!!! なるほど!! 最高ね!!!】

【姉御、一瞬で復活してて草】

 

【しまった、姉御の同志が「女装ショタだって!?」って顔してる……】

【もうおしまいだ……】

【草】

 

とんっと目の前に立つるるさん。

 

今日はちゃんと武器……普通の剣を背負う感じ。

 

「ふぅ。 この前はほんっとごめんね! 私がまた変なの送っちゃって!」

「僕は別に平気でしたから良いですよ」

 

「だからコラボ、がんばるね!」

「ほどほどにお願いしますね」

 

【カメラ、ハルちゃんの頭の上に乗っかってるからるるちゃんのバストアップ!!】

【バスト……あるのか?】

【いや、無いな……】

 

【そこにあるのは虚無だ】

【立体感がない……】

【胸もない……】

【草】

 

【るるちゃん、絶壁だから……】

【るるちゃんとハルちゃん、どっちがおっきいの?】

 

「もう! またみんなそうやって! 私はまだ成長期だから!」

 

【無理だと思うよ】

【無理でしょ……】

【高2だっけ? でそれって……もう……】

 

【ここからるるちゃんが育つには?】

【呪い様に願うしかないな】

【呪い様のせいでえぐれそう】

【さすがにマイナスは勘弁してあげて】

【草】

 

あー、またお胸のことをいじられてるっぽいね、この感じ。

む、お胸のこといじるってなんかやらしい表現。

 

けど年頃の女の子ってどの辺までこういう話題大丈夫なんだろ。

持ちネタっぽいからバストサイズのことはるるさん的にはOKなのかな?

 

【でもほら、ちょいしたからだとかすかに膨らみと影が】

【ウソだろ!?】

【お胸からどアップで喜ばれないるるちゃんで草】

 

……でもちょっとかわいそう。

 

あれでしょ?

 

男だったら「背が低いなぁお前」とか「お前のソレちっちゃいなぁ」とか言われるレベルでしょ?

 

……そう思ったらちょっと援護してあげたくなるな。

ほら、今は同性だし?

 

「大丈夫ですよるるさん」

「ハルちゃん! 私のことはるるちゃんって」

 

「お風呂で見ましたけど、言うほど絶壁じゃないですよ?」

 

【!?】

【!!??】

【えっ】

【え】

 

【おふろ】

【おふろ】

【ハルちゃんとるるちゃんがお風呂!?】

 

「……あっ」



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31話 【コラボ配信】「ふたりはるるハル!」2

【お風呂】

【おふろ!】

【朗報・ふたりはるるハル、お風呂もるるハルだった】

【新しい百合表現が爆誕してしまった……】

 

【「るるハル」には「おねショタお風呂」って言う意味もあるの!】

【姉御が生き生きしてて草】

【おねロリとおねショタ……どちらでも俺は構わん】

【ああ……】

 

【……るるちゃんが……お姉さん……?】

【お前今どこ見て言った?】

【え? 男の娘疑惑が消しきれない絶壁だけど?】

【草】

 

……どうしよ、お風呂のこと言っちゃった。

 

あー、こうやって配信とかで失言とかするんだね。

いっこ勉強になったよ。

 

けども、今の僕は男か女か分からないけど子供ってことになってるから……多分セーフ。

 

多分ね。

 

そもそもお風呂突撃してきたのるるさんだし……うん、僕は悪くない。

 

悪くないよね。

多分。

 

「………………あ、あぅぅ……」

 

【え?】

【るるちゃん真っ赤】

【マジで入ったっぽい】

【けどこの反応……!?】

 

【しかもるるちゃんが黙ってる……教授、これは?】

【……百合ですな】

【ショタとお風呂に入ったのを思い出してる系おねショタも可】

【ああ】

【然り】

 

【●REC】

【安心しろ、すでに切り抜きを上げる作業に入った】

【切り抜き師……助かる】

 

【待ってろ、今描いてる原稿のおねロリをるるハルに仕立て上げる】

【絵師まで……!】

【ま、まあ、事務所も規制とかしないから実質的にハルちゃん公認だし……】

 

【三日月えみ「ハルの二次創作はうちの事務所のガイドラインに準拠してくださいね?」】

 

【はーい】

【ままー!】

【はーい】

 

【絶壁とロリだからそこまでセンシティブにならないから大丈夫だな!】

【ああ、なにしろ絶壁だからな!】

【草】

【いいんだ……俺はこういうのがいいんだ!】

 

【おっぱいとかいう脂肪の塊なんて要らないもんな!】

 

【は?】

【要るだろ】

【それはそれ、これはこれ】

【ならお前、えみちゃんのあのあふれる母性は要らないんだな?】

【すまん、どうかしてた】

【草】

【欲望に忠実で草】

 

あれから結局、お風呂に入ってこられたこと聞けてなかったんだよなぁ……気まずくて。

 

しかも自分でも「絶壁」って言うからてっきり男みたいな体って思ってたのに、いざ見ちゃったら普通に女の子で……僕の方もなんか意識しちゃってるし。

 

……いや、いくらなんでも高校生の女の子が裸でお風呂入ってきて、浴槽の中、至近距離で見ちゃったらこうもなるでしょ……なるよね?

 

……………………………………。

 

僕、ロリコンさんじゃないよね?

普通に事故で年下の女の子の裸見ちゃって困ってるだけだよね?

 

そう思っとこ。

 

【いきなり特濃の百合営業か?】

【いや、ハルちゃんは幼女だから多分普通に入ったんだろう】

【でもるるちゃんがこんなに恥ずかしがってるって】

【ハルちゃん、もしかして意外と……】

【やめて! ハルちゃんは幼女体型なんだ!】

 

……どうしよ。

 

コメント欄、盛り上がっちゃってるよ……男なら当然な話題で当然な流れで。

 

「……………………………………」

「……………………………………」

 

るるさんは溜まりこくちゃって、僕も何も言えなくて。

 

……これも配信事故とかいうやつ……だよねぇ……。

 

【でも良かった……本当に良かった……ハルちゃんが報われて】

 

【そうだよなぁ……これまでずっと、遠くから人助けしてもクールに去っちゃってたんだぞ……?】

【結構なピンチとか助けてもお礼すら受け取られかったもんなぁ】

 

【相手から本気で感謝されても名乗り出ないとか】

【自己主張ができないってレベルじゃない】

【ぼっちを極めし者……それがハルちゃんだ】

【まぁ理由があって人避けてるのは俺たち知ってたし】

 

【けどさ、ときどきあったんだよ。 「あのときの人のこと、どなたか知りませんか」っていつまでも探してる人とか……】

 

【でもハルちゃんのためだからって黙らなきゃいけなかった俺たちは罪深い】

【許して】

【始原……】

 

気まずくてどうしよってなってたところ、始原さんたち……僕のデフォルメイラストなアイコンになってるね……のが目に入る。

 

あー、こうやって話題変えたりするんだ……乗っからせてもらおう。

 

「あ、これまでの救助要請のことですけど、僕は気にしてませんよ。 だって義務ですし。 もし今でも探してる人、いたら教えてあげてください。 お礼とかいいですって」

 

【OK】

【まぁ多分この配信とか切り抜きとか見るだろうけどな】

【お前ら、るるハルな話題はおあずけだそうだ】

【はーい】

 

【けどハルちゃん偉いよね、救助要請って結構「他の誰かが行くだろう」ってスルーしちゃうのに】

 

【あー、駅とかで転んでる人見ても「他の誰かが助けるだろう」ってスルーしちゃうあれ……】

 

【しかし誰も! 消防車を呼んでいないのである!】

【ガチで多いから笑えねぇ】

【みんなハルちゃん見習おうね?】

【はーい】

 

【ダンジョンでの救助要請、配信勢は撮れ高ってのもあって結構参加するけどそれ以外は……ねぇ?】

【半分以下らしいね、実際は】

【まぁ本当に危なければリストバンドで致命傷にはならないし】

 

【一応義務ではあるけど、ダンジョンだからレベルのこととか消耗品とか体力のことも考えるとなぁ】

【二次災害は怖いからな】

【そもそも普通はリストバンド壊れないし】

 

【つまり?】

【ハルちゃん偉い!】

【えらい】

【優しい】

 

「……そうだよね! ハルちゃんのおかげで助かった子、かなり居るんだってこの前の配信で言ってたよね、みんな!」

 

お、るるさんがいつの間にか普通に戻ってる。

やっぱすごいね、普段からこういうのしてるのって。

 

【リストバンドのだと自分の体しか転送してくれないからなぁ】

【荷物とか結構紛失しちゃうんだよね】

【まぁ命の方が大切だし】

【そもそも救助要請する時点で相当な目に遭ってるし】

 

「そう! ダンジョンの中って結構危ないんだから! みんなも危ないって感じたらすぐに救助要請! で、できそうな人はできるだけ助けてあげてね! この前の私も、すっごく嬉しかったもん!」

 

【はーい】

【はーい】

 

【身をもって危険を体験したるるちゃんからの、これ以上無いくらいに説得力のある注意】

【ああ、今のるるちゃんの発言を超える説得力はそうそう無いもんな】

【ああ……】

 

【かつて、こんなにも心に響く言葉はあっただろうか】

【いや、ない】

【るるちゃんのあのときのと合わせた動画にすれば、これ以上無い啓蒙ってやつになるな】

 

【実際あの配信でリストバンドの修理とか予備の注文とかすごいらしいし】

【これからのも含めて、ガチで結構な数の人を救いそう】

 

「そうなのっ! ハルちゃんのおかげなんだ!」

 

【でもるるちゃん、本当に嬉しそう】

【尊い】

【これが……尊いという感情……!】

【推し×推しの尊み……】

【「ふたりはるるハル」……実にいい響きだ……】

 

「ええ、あのときのるるさんのは大変で――わぷ」

 

るるさんって結構……いや、かなり感情で動く子。

 

あのホテルに移ってからも、ヒマさえあればやって来て頭なでてきたり抱っこしようとしてくるし、抱きついてくるしほっぺすりすりしたりしてくる。

 

……けど、女の子に抱きつかれるってやっぱ恥ずかしい。

 

【\5000】

【\25000】

【\10000】

【\15000】

 

【ああ……カメラが惜しいところでハルちゃん見せてくれない……】

【このぎりぎりさ加減がクセになる】

【でもハルちゃんの髪の毛だけ見えてる!!】

 

【静かなのが取り柄だったハルちゃんの配信がうるさくて草……って言おうとしたら急に金額だけ飛んでてさらに草】

 

【だって尊いし】

【ああ……】

 

【けど声量の差でハルちゃんの声がことごとくかき消されそう】

【確かにハルちゃんってぼそぼそ話す感じだし】

【だが】

【それがいい】

 

【ハルちゃんハルちゃん、事務所さんえみちゃん、ハルちゃんのささやきASMRはよ】

【はよ】

【言い値で買うぞ!】

 

【でもなるほどな、ハルちゃんが対処できない分はるるちゃんの方でって形か】

 

【るるちゃんがお姉さん的に妹なハルちゃんを導くって?】

【言ってないけど言ってたことにしよう】

【百合】

 

「私、ほらさ? ハルちゃんに、ちょーっと迷惑かけちゃったから」

 

【????】

【ちょっと???】

【え?】

【るるちゃん、あのときのことをもう……】

 

【<URL>青ざめながらの笑顔なるるちゃん】

【<URL>死にかけなるるちゃんボイス集】

 

「すっごく迷惑かけちゃったので! あんまり話したくないハルちゃんの代わりにいろいろ話します! だから許してね!!」

 

「じゃあそういうことでみなさんもお願いしますね」

 

【はーい】

【ぺろぺろ】

【おっと、ハルちゃんペロは始原を通してもらおうか】

【始原が偉そうで草】

 

あー、楽。

 

何がって、この子がいるだけで勝手に話が進んでくれそうなのが。

 

耳元って言うか僕の頭の上にこの子の胸……胸っぽい体重が乗っかってるから重いしうるさいけどね。

 

【るるちゃんが金髪幼女に抱きついてる……!】

【百合!? 百合だな!?】

【おねショタも可】

【でもるるちゃん、絶壁だから押し付けられたら痛そう……】

 

「さて! まず、ハルちゃんと私、一時的にパーティ組むことになりました!」

 

「え?」

 

なにそれ聞いてない。

 

今回限りのコラボじゃないの?

 

【草】

 

【今ハルちゃん「え?」ってすっごい勢いで見上げたぞ?】

【カメラの動きで草】

【これ以上ない模範的なガン見】

 

【移動でも待機中でもドロップの回収でもことごとくのんびりなのに俊敏で草】

【ハルちゃん、嫌なことは嫌だって言いなよ……?】

 

「さっき決まったってえみちゃん言ってた!」

「あ、そうなんだ。 じゃあいいです」

 

そういう大切なことは……まぁいっか、どうせ告知のための配信って言われたし。

 

きっと、僕のこういう反応も含めてのライブってやつなんだろうし。

 

【どう見てもるるちゃんがその辺の幼女攫ってきてるようにしか見えない】

【るるちゃんのコミュ力で連れ帰った幼女……】

【えみお母さーん!】

 

僕の配信をのぞき込んでいるらしく、るるさんのアゴが頭に押し付けられてぐりぐりして、あと髪の毛がこしょばゆい。

 

「んー、ハルちゃんいいにおーい」

 

【●REC】

【もっと……もっと課金を……】

 

【もはやハルちゃんが幼女以外の何者でもなくなってて草】

【いつも淡々とスナイプするハルちゃんどこ……ここ……?】

 

うーん。

 

今後のことを伝えようとしてくれてるんだろうけど……あ。

 

「へっくち」

「あ、ごめん」

 

【ハルちゃんのくしゃみ助かる】

【て言うか何も進んでなくて草】

【まぁるるちゃんだし】

 

【孤高のスナイパーもるるちゃんの手に掛かればしょせんは幼女……あ、ところでどんな匂い?】

 

【柔らかそう】

【もぞもぞ】

【ハルちゃん逃げようとしてる】

【かわいい】

 

……ヘンタイさん、もといえみさんに合流してもらった方が良いかもなぁ……るるさんだけだと話が横に逸れすぎるし。

 

【三日月えみ「そろそろ出発の時間ですよ?」】

 

「むー、帰ったらもっといちゃいちゃするのー!」

 

【いちゃいちゃ】

【いい……】

【ハルちゃんも満更じゃないみたい?】

【てぇてぇ】

 

んー。

 

昨日のあのヘンな感じはもうない……のかな。

 

ま、いいや。

とりあえず今日もダンジョン、潜ろっと。

 

「いつも通りにして良いよ」って言われたから「いつも通り」で良いんだよね。

 

【お、ハルちゃん銃構えた?】

【まだるるちゃん抱きついてるのに】

【絵面だけ見ると物騒で草】

【抱きつくお姉ちゃんに銃口を向ける幼女……?】

 

かしゃんっ。

 

「じゃ、このフロアの86匹のモンスターのうち、ここから撃てる14匹を撃ちます。 るるさんは横にどいてください」

 

「え?」

 

【えっ】

【えっ】

 

「ほら、銃ですからうるさいですよ。 薬莢とか当たったら痛いですよ」

「あ……うん……」

 

【え、待って、ハルちゃんまだスキル使ってなくない?】

【索敵……普通なら何分か集中するよな?】

【やっぱりこの幼女なんかおかしい】

 

【知ってただろ?】

【知ってたけど】

【草】

【ああ……やっぱり今回もハルちゃんによる殺戮ショーか……】

 



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32話 『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』 1

『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』

 

 

5. るるハルASMRを2窓で

どうして悲報なんだ! 朗報だろ!

 

13.るるハルASMRを2窓で

ヒント:実質的デビューから1週間で、登録者だけなら国内トップ20に食い込んだハルちゃん&そのハルちゃんを爆誕させたホーミングるるちゃんのコンビから予想されるのは?

 

22.るるハルASMRを2窓で

やべぇ、事故しか思い浮かばねぇ……

 

26.るるハルASMRを2窓で

すまん、悲報だったわ

 

29.るるハルASMRを2窓で

ぐうの音もってのはこのことを言うのか

 

36.るるハルASMRを2窓で

 

49.るるハルASMRを2窓で

ま、まあ、さすがにあんなことはもう……

 

65.るるハルASMRを2窓で

なあ    2度あると言うことは……って言うよな

 

73.るるハルASMRを2窓で

ああ……

 

86.るるハルASMRを2窓で

もうだめだ……

 

92.るるハルASMRを2窓で

初っ端から絶望で草

 

109.るるハルASMRを2窓で

絶壁だって?

 

114.るるハルASMRを2窓で

おい、るるちゃんファンが怒るぞ

 

126.るるハルASMRを2窓で

大丈夫だ、俺たちはむしろそれがいいんだ

 

133.るるハルASMRを2窓で

えぇ……

 

135.るるハルASMRを2窓で

紳士過ぎる

 

141.るるハルASMRを2窓で

最近の若い子は発育が良すぎるからな、逆にレアだぞ

 

156.るるハルASMRを2窓で

知ってるか? IQが高いほどスレンダーを好むと

 

170.るるハルASMRを2窓で

つまりるるちゃんファンは人類の最高峰?

 

177.るるハルASMRを2窓で

なにしろ絶壁だもんな!

 

181.るるハルASMRを2窓で

ここまでがテンプレ

 

202.るるハルASMRを2窓で

絶壁で盛り上がってるとこに、るるちゃんがぷんすか怒ってくれるのが楽しみ

 

265.るるハルASMRを2窓で

しかしハルちゃん、そろそろ顔出ししてくれないかなぁ

 

278.るるハルASMRを2窓で

イヤ無理だろ、3年とか隠れ潜んでた幼女だぞ?

 

297.るるハルASMRを2窓で

合法ロリだろ?

 

301.るるハルASMRを2窓で

一説にはな

 

306.るるハルASMRを2窓で

俺はまだ違法ロリだって信じてる

 

321.るるハルASMRを2窓で

違法ロリ草

 

336.るるハルASMRを2窓で

もしもしお巡りさん?

 

340.るるハルASMRを2窓で

開示請求?

 

355.るるハルASMRを2窓で

おっと姉御はお帰りくだせぇ

 

361.るるハルASMRを2窓で

 

368.るるハルASMRを2窓で

三下になってんぞ草

 

382.るるハルASMRを2窓で

でも実際、本当のところはどうなんだろうな。 やっぱ前の配信までそういうシナリオだったんかな

 

386.るるハルASMRを2窓で

いくらなんでもデビューまで3年とかかけない気はするが……

 

388.るるハルASMRを2窓で

1事務所のシナリオで何局もの報道ヘリが飛び回るんですかね……?

 

410.るるハルASMRを2窓で

だって視聴率取れるじゃん?

 

422.るるハルASMRを2窓で

確かに

 

436.るるハルASMRを2窓で

あのるるちゃんのピンチでどの局も視聴率20%とか行ってたし

 

439.るるハルASMRを2窓で

このご時世でなぁ

 

450.るるハルASMRを2窓で

それにさ、あのボスモンスターのときにSNS吹っ飛んだよな?

 

458.るるハルASMRを2窓で

鯖落ちとか今どきあるんだな……

 

472.るるハルASMRを2窓で

まぁ、あまりの衝撃だったし

 

491.るるハルASMRを2窓で

はじめてのだんじょんはいしんも普通にやばかった

 

521.るるハルASMRを2窓で

ああ……

 

540.るるハルASMRを2窓で

あれからハルちゃん、事務所入りだろ? やっぱそういうデビューのためだったんじゃね?

 

555.るるハルASMRを2窓で

あん? お前、るるちゃんのアレまで仕込みだって言うのか?

 

569.るるハルASMRを2窓で

いや、るるちゃんの不幸っぷりは信じてるけど

 

477.るるハルASMRを2窓で

うん、るるちゃんのアレだけはガチだろうな

 

482.るるハルASMRを2窓で

 

492.るるハルASMRを2窓で

ああ……うん……それはまあ、ねぇ……?

 

499.るるハルASMRを2窓で

誰もるるちゃんのピンチ自体は疑わないの草

 

551.るるハルASMRを2窓で

だってるるちゃんだよ?

 

560.るるハルASMRを2窓で

あの子だって充分やばいスピードで登録者増えてたもんな

 

574.るるハルASMRを2窓で

それを一瞬で飛び越したハルちゃんとかいうロリよ

 

575.るるハルASMRを2窓で

ショタだって言ってるでしょ!!!!

 

592.るるハルASMRを2窓で

始原入りの姉御ちーっす

 

600.るるハルASMRを2窓で

ハルきゅんはね、女の子だけど文学青年な心の持ち主ししししししししししししししししししししししししししししし

 

620.るるハルASMRを2窓で

!?

 

631.るるハルASMRを2窓で

姉御!?

 

639.るるハルASMRを2窓で

まさか:るるちゃん

 

654.るるハルASMRを2窓で

るるちゃんの前でショタとか言うから……

 

666.るるハルASMRを2窓で

るるちゃん怖っ……

 

680.るるハルASMRを2窓で

静まりたまえ静まりたまえ

 

693.るるハルASMRを2窓で

配信始まる前から不穏で草

 

721.るるハルASMRを2窓で

始まる前でこれなら、始まったら何が起きるんです?

 

736.るるハルASMRを2窓で

えっと……ダンジョンごと崩落とか……?

 

751.るるハルASMRを2窓で

おいやめろ

 

760.るるハルASMRを2窓で

ちょっと近所の神社お参り行ってくる

 

767.るるハルASMRを2窓で

俺も

 

778.るるハルASMRを2窓で

私も

 

796.るるハルASMRを2窓で

こん!

 

806.るるハルASMRを2窓で

知ってるか? ハルちゃんの登録者ってかなり女性の割合高いんだぞ?

 

823.るるハルASMRを2窓で

それどこ情報よ?

 

836.るるハルASMRを2窓で

始原ネットワーク

 

850.るるハルASMRを2窓で

始原……!

 

859.るるハルASMRを2窓で

始原が言うなら間違いないな

 

870.るるハルASMRを2窓で

ああ……!

 

 

909.るるハルASMRを2窓で

ロリにして社会人な風格のあるハルちゃん

 

924.るるハルASMRを2窓で

なんか達観してるよな、話し方とか

 

947.るるハルASMRを2窓で

まるで社会人何年目で「これから何十年もこんな生活しなきゃならないのか」って悟った感じだ……

 

971.るるハルASMRを2窓で

おいやめろ

 

998.るるハルASMRを2窓で

今日はとことんに不穏すぎる

 

 

『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』2

 

 

20.るるハルASMRを2窓で

というか姉御、どんだけネット中毒なんだよ

 

46.るるハルASMRを2窓で

あんたたちが会社凸とかして来たからだけど? ん? いろいろ話し着いたから会社公認よ?

 

73.るるハルASMRを2窓で

ごめんなさい

 

92.るるハルASMRを2窓で

許して

 

111.るるハルASMRを2窓で

ん? 今何でも

 

130.るるハルASMRを2窓で

あ、私、始原ネットワークでいろいろ知ってるから

 

156.るるハルASMRを2窓で

え、なにそれ……怖

 

178.るるハルASMRを2窓で

お前、女だからってちやほやされて……こんなときに誰だよ

 

209.るるハルASMRを2窓で

始原とかもてはやされてるけどさ、どうせお前らもハルちゃんデビューのための仕込み要員……あれ、今日宅配来るんだっけ

 

251.るるハルASMRを2窓で

情報開示請求ってさ、弁護士に頼んでも1件ごとにお金も時間もかかるんだろ? んなの本気にするなんて……おや、誰か来たようだ

 

300.るるハルASMRを2窓で

助けt

 

309.るるハルASMRを2窓で

え?

 

362.るるハルASMRを2窓で

なんかハルちゃんを疑ってるコメントのID、ことごとく沈黙するか変な書き込みして消えてるんだけど……

 

381.るるハルASMRを2窓で

え、怖

 

407.るるハルASMRを2窓で

まさか:るるちゃん

 

425.るるハルASMRを2窓で

るるちゃんを崇めよ!

 

449.るるハルASMRを2窓で

いやマジで怖いんだけど!?

 

 

492.るるハルASMRを2窓で

ろりいいんちょー

 

529.るるハルASMRを2窓で

ああ……やっぱりハルちゃんの声、いい……

 

555.るるハルASMRを2窓で

脳を揺さぶってくるヴォイス……

 

571.るるハルASMRを2窓で

寡黙ロリなロリロリヴォイス

 

591.るるハルASMRを2窓で

それでいてダウナーな感じ?

 

606.るるハルASMRを2窓で

コラボだから事務所から弾とかもらえるってだけですっごく嬉しそうなハルちゃんかわいい

 

632.るるハルASMRを2窓で

でもここまでコストのことを考える幼女とか闇があふれて笑えない

 

659.るるハルASMRを2窓で

ちょっと小遣い投げてくる

 

670.るるハルASMRを2窓で

俺も

 

708.るるハルASMRを2窓で

朗報・ハルちゃん天使だった

 

732.るるハルASMRを2窓で

投げ銭を返すとかいう発想……

 

759.るるハルASMRを2窓で

ハルちゃん……

 

789.るるハルASMRを2窓で

もっとおいしいものたべて

 

798.るるハルASMRを2窓で

いっぱい食べる君が好き

 

831.るるハルASMRを2窓で

俺、近いうちに婚活しよっかな……

 

859.るるハルASMRを2窓で

俺も……ハルちゃんみたいな娘がほしい

 

878.るるハルASMRを2窓で

るるちゃんは?

 

888.るるハルASMRを2窓で

かわいいけど絶壁が約束されてるし

 

932.るるハルASMRを2窓で

呪い様はちょっと……

 

957.るるハルASMRを2窓で

 

 

『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』3

 

 

30.るるハルASMRを2窓で

そう言えばえみお姉ちゃんはなにしてるのん?

 

57.るるハルASMRを2窓で

ダンジョンの入り口で雑談してるな。 あと、入ろうとする人に「今配信で一部区間を占有してしまっています」っていちいち頭下げてる

 

89.るるハルASMRを2窓で

女神……

 

113.るるハルASMRを2窓で

お母さん……

 

141.るるハルASMRを2窓で

やはり母性の象徴は伊達ではなかった

 

184.るるハルASMRを2窓で

おっぱい+絶壁+ロリの組み合わせは最高だな!

 

219.るるハルASMRを2窓で

なんか1個おかしいのが混じってない? 大丈夫?

 

222.るるハルASMRを2窓で

 

234.るるハルASMRを2窓で

お前ら絶壁のことをるるちゃんって言うなよ!!

 

251.るるハルASMRを2窓で

お前は全るるちゃんファンを敵に回した

 

282.るるハルASMRを2窓で

けどさ、ハルちゃんが僕っ子なの、みんな気にしてないよな

 

312.るるハルASMRを2窓で

いや、だってあの個性だし……

 

356.るるハルASMRを2窓で

他のが全部すごすぎて……なぁ?

 

371.るるハルASMRを2窓で

ああ、あのるるちゃんとセットなもんだから……

 

390.るるハルASMRを2窓で

 

 

404.るるハルASMRを2窓で

お風呂

 

421.るるハルASMRを2窓で

お風呂

 

444.るるハルASMRを2窓で

ふたりでおふろ

 

450.るるハルASMRを2窓で

おふろ!?

 

475.るるハルASMRを2窓で

さっそく百合営業かよ     なんだよ、いいところで……インターホン連打すんなよ

 

498.るるハルASMRを2窓で

営業でも良い……百合からしか得られない何かがあるんだ……

 

513.るるハルASMRを2窓で

分かる

 

539.るるハルASMRを2窓で

同意しかできない

 

560.るるハルASMRを2窓で

おねショタ派の私でも同意するわ

 

584.るるハルASMRを2窓で

姉御、いや、お姉様!

 

599.るるハルASMRを2窓で

恐れられてて草

 

634.るるハルASMRを2窓で

ハルちゃんとるるちゃん、思ったより仲良くなったんだな

 

650.るるハルASMRを2窓で

どっちかって言うとるるちゃんがハルちゃんにぐいぐい行ってる印象しかないんだが

 

668.るるハルASMRを2窓で

いやまあそうでしょ、あのハルちゃんが自分からって想像できないし

 

681.るるハルASMRを2窓で

「うざったいので近寄らないでください」とか言ってそう

 

690.るるハルASMRを2窓で

言ってそう

 

707.るるハルASMRを2窓で

納得しかできないわ

 

732.るるハルASMRを2窓で

るるちゃん真っ赤……!

 

755.るるハルASMRを2窓で

●REC

 

770.るるハルASMRを2窓で

ゆりんゆりん助かる

 

777.るるハルASMRを2窓で

あのるるちゃんが真っ赤になるとか……!

 

790.るるハルASMRを2窓で

ハルちゃん、テクニシャン?

 

841.るるハルASMRを2窓で

幼女だろ?

 

849.るるハルASMRを2窓で

合法ロリなら?

 

870.るるハルASMRを2窓で

ありだな

 

888.るるハルASMRを2窓で

むしろ捗る

 

899.るるハルASMRを2窓で

男ってこれだから……

 

901.るるハルASMRを2窓で

お前ら1回レディコミ見てみろ、百合ものをだぞ     男物なんて目じゃないぞ?

 

936.るるハルASMRを2窓で

お姉様方も居るのか……すげぇなこの配信

 

956.るるハルASMRを2窓で

男女比の話、嘘じゃないっぽいな

 

971.るるハルASMRを2窓で

まぁハルちゃんの声だけなら脱力系ショタでも盛り上がれるもんな

 

 

『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』4

 

 

56.るるハルASMRを2窓で

そんなショタっ子が女の子の服着せられて嫌そうにしてるのがたまらないの!

 

81.るるハルASMRを2窓で

うわぁ……

 

113.るるハルASMRを2窓で

分かるけど分かりたくない

 

142.るるハルASMRを2窓で

あ、なんかえみちゃんとこがつぶやいてたな。 ハルちゃんと思しき人から助けられてお礼言いたい人向けに

 

179.るるハルASMRを2窓で

あー、何だっけ? ひとことメッセージをハルちゃんに渡しますだっけ?

 

212.るるハルASMRを2窓で

始原の言う通りなら結構な人数が助けられてるもんなぁ

 

261.るるハルASMRを2窓で

パーティー数で数十だろ? 下手したら数百人行くんじゃね?

 

280.るるハルASMRを2窓で

すげぇな

 

306.るるハルASMRを2窓で

それを無報酬でやりきるハルちゃんよ

 

346.るるハルASMRを2窓で

ただのコミュ障なんじゃ……待って待ってください、俺はハルちゃんのこと応援してるんです!! 連れて行かないで!!

 

372.るるハルASMRを2窓で

呪い様が見張ってるって思うと書き込みにも気合入るな!

 

405.るるハルASMRを2窓で

 

411.るるハルASMRを2窓で

お前ら発言には気をつけろよ?

 

436.るるハルASMRを2窓で

普通ならただのネタ扱いだけど、るるちゃんの配信知ってる人ならネタ扱いできない現実感

 

466.るるハルASMRを2窓で

そもそもハルちゃん自身が最大の被害者だもんな

 

479.るるハルASMRを2窓で

るるちゃんに巻き込まれなければ今日の配信も無言で気楽だったろうに……

 

490.るるハルASMRを2窓で

どっちが幸せなんだろうな、ハルちゃんにとって。 こうして有名になるのと無名なままと

 

532.るるハルASMRを2窓で

多分ハルちゃんの気持ち的には無名。 でもハルちゃんの環境的には有名……だろうな

 

555.るるハルASMRを2窓で

まあな、この歳でここまで鍛えてる時点でな……

 

 

700.るるハルASMRを2窓で

るるちゃんがハルちゃんの頭嗅いでる!!

 

736.るるハルASMRを2窓で

営業でも良い……営業でも良いんだ……!

 

754.るるハルASMRを2窓で

ハルちゃんの性格的に営業できないだろうし、多分ホントなんだろ

 

777.るるハルASMRを2窓で

聞いたときにはやばい事件起きそうって思ったけど、開けてみたら普通にほほえましい百合配信だった

 

789.るるハルASMRを2窓で

……え?

 

805.るるハルASMRを2窓で

なんか急にハルちゃんが流れぶった切ってる……

 

863.るるハルASMRを2窓で

悲報・ハルちゃん空気読めない

 

880.るるハルASMRを2窓で

前からじゃ?

 

889.るるハルASMRを2窓で

そうだった

 

900.るるハルASMRを2窓で

 

909.るるハルASMRを2窓で

えっと、なんでこの子、このフロアの敵の数分かるの……?

 

932.るるハルASMRを2窓で

アイテムとか使ってなかったよな?

 

951.るるハルASMRを2窓で

ハルちゃん自身が映ってないから何とも……でも多分そう

 

962.るるハルASMRを2窓で

えぇ……

 

970.るるハルASMRを2窓で

なんかひたすら銃声が響いてるんだけど……

 

 

『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』6

 

 

5.るるハルASMRを2窓で

ああ……ハルちゃんの配信で心落ち着く音、それがこの音だ

 

43.るるハルASMRを2窓で

さすがは始原、経験値が違うな

 

101.るるハルASMRを2窓で

けど、カメラに映らない暗さと距離の敵をこの速度でとか

 

151.るるハルASMRを2窓で

やば

 

179.るるハルASMRを2窓で

お前ら、これでもあのドラゴンの件含めて仕込みとか言う?

 

203.るるハルASMRを2窓で

言えない

 

241.るるハルASMRを2窓で

ごめんなさい

 

250.るるハルASMRを2窓で

いいよ

 

270.るるハルASMRを2窓で

優しい

 

299.るるハルASMRを2窓で

るるちゃんがドン引きしてる……

 

346.るるハルASMRを2窓で

コラボ相手にことごとくドン引きされるるるちゃんがドン引きする存在、それがハルちゃんだ

 

370.るるハルASMRを2窓で

すげぇ……

 

389.るるハルASMRを2窓で

もうこの子だけで良いんじゃないかな

 

409.るるハルASMRを2窓で

あれ? この感じじゃるるちゃん要らない子?

 

451.るるハルASMRを2窓で

悲報・るるちゃん戦力外通告

 

491.るるハルASMRを2窓で

ま、まあ、ハルちゃんが異質だから……

 

506.るるハルASMRを2窓で

「ほぇー」とか言いながらあんぐりしてて草

 

560.るるハルASMRを2窓で

かわいい

 

579.るるハルASMRを2窓で

もうこれで良いんじゃないかな……

 

602.るるハルASMRを2窓で

うん、見どころはワンマン殺戮ショーの音だけとるるちゃんの反応ってことで

 

666.るるハルASMRを2窓で

うむ

 

680.るるハルASMRを2窓で

異議なし

 

703.るるハルASMRを2窓で

けど本当、どんな家庭環境で育ったらこんな幼女が爆誕するんだろうね……



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33話 【コラボ配信】「ふたりはるるハル!」3

「ふぅ」

 

たんっと撃ってリロード。

 

慣れてるけども、遠くの敵をピンポイントで狙うのって神経使う。

 

こうやってまとめて処理すると楽だからやってるけど、何分か続けると知恵熱っぽいの出て来るからやりすぎは危険。

 

まぁこの体で1体ずつ接近戦するよりはずっと楽なんだろうけどね……しょせんは幼女だからさ。

 

「……は、ハルちゃーん……」

「? はい、るるさん」

 

……そう言えばすっかりるるさんのこと忘れてた……ごめんね。

 

そう言えばついでで、これ、配信だったよね……まーた忘れてた。

 

「ちょーっとストップしてもらって良い……かな?」

「でもまだ6匹残ってますよ? あ、射線にあと2匹」

「いいから。 ね?」

「あ、はい」

 

僕の疲れを見抜いたのか、るるさんが僕の近くに来る。

 

【とうとうのるるちゃんインターセプト】

【1分くらいか……虐殺が続いたな……】

【モンスターが映ってたら「見せられないよ!」だったな……】

【ああ……】

【なぁにあれぇ……】

 

【レベルはともかく、何十のモンスターを動かずに1分で狩り尽くすとか】

【問題は俺たち誰1人として見えていないことだな……】

【ああ……】

【配信なはずなのに音でしか判断できない悲しみ】

【草】

 

【だってハルちゃん、カメラで映らない暗くて遠いとこのモンスター狩っていくだけだし……】

【やっぱりいつものハルちゃんな配信になったな……】

 

【無言配信……なるほど、これが……!】

【一切に見どころはないのに、見る人が見れば手元を見たくてたまらない逸品になってた気がする】

 

【憎い演出だね。 いや、ハルちゃんの天然な素なんだろうけど】

【これでも事務所の企画だぜ? 最大手の】

【ま、まあ、相方がるるちゃんだし……】

【ハルちゃん……せめて手元……参考になるどころじゃないから手元を……】

 

コストを気にしなくて良い。

これほど素敵なことはない。

 

だから、気が付けば無心で引き金引いてた気がする。

ついでにるるさんも引いてる気がする。

 

もしかして……やっちゃった?

 

「うん……ハルちゃんはすごいけど、一応今は配信だから……ね?」

「みなさん退屈しちゃいますよね。 あ、でも、あのモンスターとかほっといたら大変なことになりません? るるさんが」

 

【やさしい】

【ハルちゃん良い子】

【けどこの階層レベルならるるちゃんでも無双できるのよね、多分】

 

【るるちゃんもレベル自体は結構あるからな】

【何も無いところで転ばなければな】

 

「私もよくえみちゃんに言われてるんだけどね? 配信中は無理のない範囲で来てくれた人を楽しませるんだって。 だから……えっと。 ここからは私がモンスター引きつけるから、それをハルちゃんにお願いするってのはどうかな?」

 

ふむ。

 

考えてみたら僕にはそういうのが致命的に欠けている気がする。

いや、気がするんじゃなくて多分無いんだろう。

 

だってめんどくさいし……ほんとなら今日も黙ってひとりで配信したかったし。

 

そのへんのとこ……んー、どうしよっかなぁ、これから。

るるさんたちと一緒ならこういうの増えそうだけど……。

 

【まぁ実際るるちゃんの言ったやり方の方が人気は出そうね】

【けど俺たちはハルちゃんについて行くぜ】

【始原たち……】

【さすがは始原】

 

【ハルちゃんの声すら分からない状態から、何年も追い続けて来たっていう猛者たちよ……】

 

「……そうですね。 とりあえずコラボしてるあいだはるるさんの通りにやってみます。 それでめんどくさすぎたらやめます」

 

「ありがとっ。 ……もしかして今もめんどくさい?」

「はい、とても」

 

「どのくらい?」

「ここから見えてるいい感じのくぼみに入り込んで30分くらいごろごろしたいくらいには」

 

【素直すぎて草】

【素直すぎるけどダンジョンの中でごろごろする発想は】

【普通の幼女には無いんだよなぁ……】

 

【いや、普通の大人にも無いぞ?】

【つまりは変…………こんなときにインターホンこぇぇよ!?】

【もはやみんなのトラウマで草】

 

【こういうところはロリっ子な反応だよな】

【ショタは……?】

【姉御は好きにすればいいだろ】

【何、急に弱気になってるんだよ! もっと荒ぶれよ!】

【草】

 

「そ、そう……だよね、お家でも普段は寝っ転がって本読んでるだけだもんね……」

「生来の気質なんです」

 

「ほっとくとそれだけで1日が終わるもんね、ハルちゃん……」

「そんな僕のこと、みなさんで囲んで髪の毛結ったりヘアピンつけてきたりするんですよね」

 

【\2000】

【\12000】

【いちゃいちゃ場面、ぜひボイスだけで良いので実況してください】

【そのときのるるちゃんの手元だけで良いから見せて……】

 

【年上の女の子たちにもてあそばれるハルちゃん……ひらめいた】

【通報した】

【開示請求した】

【勘弁してください】

【草】

 

 

 

 

「……ハルちゃーん、連れて来たよー!」

 

あれからちょっと。

 

「ハルちゃんは始原さんたちのコメントでも読んでてあげて?」って言われた通りに相手してたらるるさんの走る音。

 

「……思ったんですけど、モンスタートレインしてくるのってどう考えても敵対行動ですよね」

 

【草】

【確かに】

【まぁ恨まれるどころか後で訴えられても文句は言えないな】

 

モンスタートレイン。

 

自分が敵わないモンスターから逃げてるうちに別の人に押し付けちゃう形になるあれ。

 

ほとんどはわざとじゃないだろうけども、一応やばい行動だからわざとだったら結構な重罪ってことになってる気がするあれ。

 

【実際されると殺意は湧くよね……まぁするのって大抵無理してレベル以上のとこ来ちゃったヤツだから大目に見るけど】

【誰でも新人の頃に1回はやらかすもんな】

 

【いや、誰でもじゃないぞ】

【えっ】

【お前、押し付けた相手に謝ったんだろうな?】

 

【るるちゃんですらしたことないくらいだし、初心者講習まじめに受けてればそうそうないはずなんだけどなぁ……】

 

スナイプはともかく、配信とかトークについてはるるさんの方が圧倒的に経験者。

 

何とでもなるけども、とりあえずでるるさんの指示を待つ偉い僕。

 

「るるさん、脚が速いですね」

「伊達に普段から大変な目に遭ってないからね!」

 

【悲しい】

【元気出して】

【るるちゃん自身は普通にがんばってるのにどうして……】

【どう考えても呪い様だろ】

 

【やめろ、そのワードでこっちに来たらどうする】

【草】

 

【るるちゃんとえみちゃんの配信じゃ、もはや「名前を呼んではいけない存在」として定着してるの草】

 

僕は基本的に動かない。

 

家でもそうだけどもダンジョンでもそうだ。

だってずっと隠れてるからね。

 

だから隠れることとか敵を観測することでの経験値が普通の人よりずっと多くって、代わりにフィジカルはからっきし。

 

レベルこそ……★とか付くくらいにはなってる高さだけども、魔力でのブースト使っても大して速く走れないし、スタミナ切れですぐに倒れ込んじゃうんじゃないかな。

 

だからそういう意味ではるるさんはすごいって思う。

 

あと、スカートがちらちらしてるけど……なるほど、タイツか。

あー、僕も履かせられたのこういう理由だったんだね。

 

【●REC】

【●REC】

 

【!? るるちゃんの配信だとガードされてるけど、ハルちゃんのからだとちょっと見える!!】

【ああ……ハルちゃん、ちっちゃいから……】

 

「え〝!? うそっ!? ……あ、タイツだしその下は見せパンだから大丈夫だったんだ」

 

「るるさん、そう言うこと言わない方が良いって思います」

「? だって本当だよ? 見る?」

「見ません」

 

【ああああああ】

【ハルちゃん何と言うことを!!】

【走ってきて汗だくのるるちゃんがたくし上げてたのに!!】

【ちくしょう!】

 

「ほら、こんな感じでヘンタイさんたちが湧きますから。 男って悲しいヘンタイさんばかりですから気をつけてくださいね?」

 

【はーい】

【おいお前ら言われてるぞ】

【ハルちゃんの理解度が高すぎて感激】

【しかも淡々と言ってくれるっていう……ふぅ……】

 

【ハルちゃんのジト目……良い……】

【きっとジト目してる。 信じてる】

【始原のデフォルメアイコン見て癒やされよう……】

 

【三日月えみ「**************」】

 

【えみお母さん!?】

【草】

【まーたるるちゃんのだよ……】

【えみちゃん、入り口辺りで待機してるはずなのに……】

 

あー、もしかしてえみさん……君、「ヘンタイさん」で反応して書き込もうとした?

 

ごめんね、うっかりしゃべっちゃって……帰ったら呼んであげるから我慢して?

 

【ってそんな場合じゃなかった】

【ハルちゃんモンスター来てる! 来てるよ!】

 

【ハルちゃんの配信で映ったモンスター……何匹目くらい?】

【……そう言えばろくに映ってねぇ!?】

【草】

 

【ダンジョン配信なのにモンスターが映らないとか……】

【だってハルちゃんだし……】

【ま、まぁ、遠距離職の配信はわりかしそういう傾向あるから……】

 

「るるさん、じゃあどっちかに避けてください」

「うん!」

 

こういうときに左とか右とか言うと「どっちから見て!?」ってことになって事故りやすいらしい。

 

るるさんとは何日か一緒だけども、こうしてダンジョン潜るのはほぼ初めて。

だから僕がるるさんに合わせるって形になってる。

 

「えいっ」

 

どんっ。

 

ぴしゅっ。

 

【お見事】

【俺、この配信で初めてまともな攻撃見たかもしれない】

【確かに】

【普通にレベル相応のモンスター、普通の距離で普通に……これで良いんだよ】

 

「でもすごいねハルちゃん、動いてるのにちゃんと一撃って!」

「僕の方がレベルもスキルレベルも高いですし」

「それでもすごいよ!」

 

どんっどんっ。

 

るるさんがぴょんぴょんしているのを横目で見つつ、るるさん目当てに突撃してきたモンスターたちをびしびし倒していく。

 

「弾もいつものじゃなくてちゃんとしたの使ってますから、火薬で周囲に追加ダメージ入って多少ずれても命中しますし」

「ふーん?」

 

【……それって、逆に言えば普段はちゃんとダメージ通るところに当ててる……?】

【動いてるモンスター相手だから普通は何発か外したりかすったりするのにな】

 

【は、ハルちゃんだから……】

【ランダムに動く的だぞ……?】

 

【それにしても性格なエイム】

【俺のチームの銃使い、こんなに速くねぇぞ?】

【まぁそのへんはソロだし】

【ハルちゃんだし】

【もはやハルちゃんという概念】

 

「ほら、モンスターのコアって慣れてくるとはっきり見えるでしょ? この距離ならそこに照準合わせるだけだから、ちょっとやればるるさんでも同じことできるって」

 

「え?」

「ん?」

 

「コア? なにそれ?」

 

ぽけっとしてるるるさん。

 

あれ?

中級者なら知ってるでしょ?

 

「え? いや、モンスターの頭とか胴体……光るでしょ?」

 

【え?】

【光るの?】

【いや、知らん】

【レベル上がればそうなるのか……?】

 

「……えーっとぉ……みんなも知らないみたいだけど……?」

「えー、そんなはずないですよ。 僕、前から……結構前から見えてましたもん」

 

危ない危ない、つい「男だった頃から」って言いそうに……ん?

 

「……………………………………」

 

……確かにこれ、この体になった辺りからだったような……?

 

【『コアというものについて具体的にご教授いただきたいのですが』】

【『使用されている武器は<URL>と同型でしょうか。 それですとリロードには最低でも3.2秒かかりますが今のあなたは1秒でした』】

 

【『また、一見したところ近づいて来たモンスターがあなたに反応したのは3メートルほどまで近づいてからだったようですが、何か特別な隠蔽スキルをお持ちでしょうか』】

 

【えみお姉ちゃーん、海外勢抑えてー】

【相変わらずハルちゃんが珍しいことすると湧いてくるな】

【これでも配信元……事務所で抑えてるんだろ?】

【海外勢、普通の配信とは違って明らかに上級者ばかりだもんな】

 

んー、なんかの拍子にできるようになって「ゲームみたいだなー」って思ってたのは覚えてるんだけどなー。

 

「……ハルちゃんハルちゃん、『あんまり答えないで』だって」

「? 何をですか?」

 

こしょこしょと話しかけてきたるるさん。

 

【キマシ】

【タワー】

【違うッ! これはおねショタなんだッ!!】

【姉御落ち着け】

 

「ほら、ハルちゃんの『星』に関係するかもだからって」

「ほし? ……ああ、なるほど」

 

コアが見えることとかまでこの体と関係……なさそうでありそう。

 

うん、とりあえずは秘密だね。

 

【ふぅ……】

【いいものを見てしまった……】

【我が生涯に一片の悔い無し】

 

ついでにちらっと見たコメント欄は、やっぱりヘンタイさんなのであふれかえってた。

 

男って悲しい生きものだね。



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34話 【コラボ配信】「ふたりはるるハル!」4

「……というわけで、3年くらいひたすら見つからないようにこそこそ逃げ回ったり、安全なとこでビバーグ……高いところにある窪みとかに潜り込んでキャンプして週末過ごしたりしたら、多分誰でもできますよ」

 

【いや、ない】

【それはない】

【あるはずがないよハルちゃん……】

 

「隠れ続けるだけですから楽ですよね?」

 

【ハルちゃん……?】

【それ楽って言わない、苦行って言うんだ】

【そっかぁ、ダンジョンができてからの世代はこんなに進んでたんだぁ……(おめめぐるぐる】

 

なんかみんな僕のワザマエに興味津々だったから、意識して僕のしたこと――男だった頃からしてたことを掘り起こして説明してみた。

 

「ほら、連休とかどうせ行くとこないですし。 だったら携帯食料とお水と、あとは暇つぶしの道具に飛び道具いっぱい持ち込んで遊んでましたし」

 

【遊ぶ!?】

【ハルちゃんは野生児だった……?】

【草】

【えぇ……】

 

「……あれ?」

 

なんか思ってたのと違う反応。

 

てっきり「あー分かるー」とか「キャンプみたいで楽しいよね!」とか盛り上がるって思ってたのに。

 

「だってダンジョンの中ってある意味安全じゃないですか」

 

【は?】

【え……え?】

【悲報・ハルちゃん、最初からやばい子だった】

【分かってたけどね……分かってたけどこれほどとは……】

 

「安全……なの? ハルちゃん……」

 

「うん。 だってモンスターって湧くポイント大体決まってて、湧く種類も決まってますよね?」

 

【そこまでは分かる】

【Wikiに載ってる程度ならな】

 

「で、同じ場所から何時間か観察してると分かるんですけど」

 

【ん?】

【待って】

【待ってハルちゃん、そこから分かんない】

【草】

【もう分からなくて草】

【なんか時間の単位間違ってない……?】

 

「モンスターたち、移動ルート……警備するルートとか決まってるんですよね、ある程度。 僕たち人間が近づかない限りは。 縄張り的なので滅多に入って来ない部屋とかありますし」

 

僕はじめじめしてじとじとしてしっとりしてるところが好き。

 

「あとモンスターの種類同士でちょっとだけ戦力配分したり、誰かが戦ってると応援呼びに行ったりしてますし」

 

だから、友達もいないし連休はどこも混んでるからって、せっかくなら変わったところで難しい本と格闘したいって思うこともあるよね?

 

【え? そうなの?】

【知るもんか】

【草】

 

【あの、普通数時間とか……ダンジョンの学者さんでも調べないと思うんですけど】

【そういう専門のが居たらな……】

【居るの……?】

 

【居るだろきっと。 この世界に1人くらいなら……】

【そもそも普通はすぐに見つかって攻撃されるから、観察してる余裕なんてないんだよハルちゃん……】

 

「で、あんまり入って来ない部屋に良い感じのくぼみがあったら」

 

なんだか楽しくなってきた僕は、るるさんに「ちょっと待ってて」

って銃を預ける。

 

「え? あ、あの、ハルちゃん?」

 

とてててっと壁の1つに近づいて上のくぼみをカメラに映す。

 

「そうですね、飛行系が来ないんなら5メートル。 居ても10メートルの高さならまずバレませんから、こうやって」

 

リュックから取り出した、かぎ爪のついたロープ。

 

「手作りでも良いですし、キャンプ用品とかでもあると思います。 それで、手作りなら適度にコブ作っておけば……っ」

 

ひゅんっ……かつん。

 

「投擲スキルがあればこうやって引っかけて、あとは登ってキャンプです」

 

「はえー、そんなことできるんだー」

 

【はえー】

【はえー(思考放棄】

【かしこい】

 

【でも待って】

【ちょっと落ち着こうかハルちゃん】

【るるちゃん気をつけて、できない、できないから!】

 

「え?」

 

【はえーってかわいかったけど、そうじゃない】

【ダメだ、ここにはボケしかいない】

【突っ込みはどこだ!】

【えみお姉ちゃん……どこ……ここ……?】

 

「……なんかコメントの雰囲気からすると、違うっぽいよ?」

 

るるさんが画面を見せてくれる。

 

「変ですね……からかってるんでしょうか」

 

配信とかって、お決まりのボケとか流れがあるって聞く。

それなのかな?

 

【違う、からかってる違う】

【普通ソロでダンジョンなんて泊まらないから……】

【ま、まあ、深いところなら1泊くらいはするのか……?】

【ダメだ、ソロの絶対数が少なすぎて集合知が機能しない】

【草】

 

【でも何日も1人でなんて……可能なのか?】

【常識的にはナシ。 数日かけての攻略だって、基本パーティーだし】

【交代で歩哨するもんなぁ】

【なんなら食事とか荷物持ち、夜番専用の人雇うしなぁ】

【寝てるあいだに一撃でなんてあり得すぎて怖すぎるし】

 

「あー、普通はパーティー組むからだって」

 

「む、なんですか。 みなさん」

 

るるさんの画面……に近づくと顔が入っちゃいそうだから僕の配信画面を見てみる。

 

【「むっ」かわいい】

【ハルちゃんでも怒ることあるんだ……】

【お前らハルちゃんのこと……ああ、うん……】

【始原が口閉ざしてて草】

【こればっかりは擁護できないもんな】

 

【みんな、落ち着こう】

【姉御!】

【髪の毛を伸ばした金髪ショタっ子が、るるちゃんのためにって女装して】

【あ、もういいわ、黙ってて】

【草】

 

……なんかすごい勢いで否定されてるのを見ると、なんかムカってするよね。

 

「みなさんだってあるでしょ? 修学旅行とかで、みんなと移動するのがめんどくさいからって良い感じにはぐれてみたり、自分から別行動したり」

 

「え? ハルちゃんそんなことしてたの?」

「いや? してないけど。 でもしたくならない?」

「う、ううん……私はない……かなぁ……」

 

【ならない】

【ならないよね】

【そんな、自分からぼっちになるなんて……!】

【ダメだ、ハルちゃんの個性が強烈過ぎる】

 

【と言うかそうだよね……ちっちゃいけどダンジョン内限定で合法ロリってんなら最低でも中3だから、修学旅行とかあるよね……】

【ハルちゃんの学校の同級生たちは呪われるべき】

 

【おいやめろ、本当にるるちゃんがホーミングするぞ】

【ホーミングるるちゃんだもんな】

【忘れてたホーミングるるちゃん草】

 

「あと、体育とかもめんどくさいので、組む相手が不規則になる日とかはこっそり隅っこ行って、わざとひとりでやったりするでしょ?」

 

【体育……ペア……うっ】

【「はーい、2人組作ってー」】

 

【    】

【    】

【    】

【    】

 

【むごい……】

【もしかして:ハルちゃん、ぼっち】

【つまり俺たち?】

 

【違う……これはぼっちの上の存在。 自らぼっちになっても平気なタイプだ……!】

【なんだ、俺たちの上位存在か】

【なんか納得したわ……】

【草】

 

「ハルちゃん……」

 

なんかみんなが変な方向にダメージ受けてるらしい。

なんでだろうね。

 

あとるるさんも、ときどき僕にだけするような目をして来る。

 

なんで?

 

「……とにかく、こうやって地道に経験値貯めたらそのうちなれるんです。 ほら、エキスパートになるには1万時間とか言うじゃないですか。 実際にはもっと短くて良いみたいですけど」

 

【ああうん、そうかもね……】

【ハルちゃんにとってはそうなのかも】

 

【俺たちにとっては?】

【マネできるか?】

【できないな】

 

【普通の人はひとりぼっち、ダンジョンで連泊とか発狂するからな】

【24時間、常に命の危険を警戒しながらぼっちとか……】

 

【ジャングルの中で過ごすレベルだもんなぁ……猛獣が居るタイプの】

【猛獣って言うかモンスターな】

【草】

 

【『なるほど、ダンジョン内での滞在時間で微量ながらも経験値を……情報提供感謝する $500』】

 

【『失礼、上限があるようだ。 お目汚し失礼』$500】

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

 

【『当機関も感謝する』】

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

 

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

【$500】

 

【『……コメントを圧迫してみなさんの邪魔になってしまうようだ。 後日事務所へ送金する』】

 

【うわぁ……】

【ひぇっ】

【何て書いてあるのか分かんないけど何で投げまくってるのかは分かる……】

【外人怖……】

 

【けど確かにダンジョンの中で過ごす時間でレベルが上がりやすいか……】

【単純に攻略時間が長ければ攻撃回数もモンスター討伐数も伸びるけど】

 

【えっと、スニーキングスキルとかが時間経過でごりごり貯まるとしたら……やばくね?】

 

【え?】

【ダンジョン内で過ごすだけでちょっとずつレベルアップとか……】

【あ、ああ、自分のレベルより低いダンジョンでやれば危険も少ないし……】

 

【Wiki、確かにそれっぽいコメントはあったけど……】

【まぁ誰も本気にしないわな】

【そもそもメンタル的なアレで1日最大8時間が推奨だもんなぁ】

 

「でもハルちゃん、配信……これまで週何回かを2、3時間とかって始原さんたちが言ってるよ?」

 

「ああ、それですか」

 

なぜか妙に明るい声とすごい笑顔で話してきたるるさんに答える。

 

「それ、配信してる時間ですから」

「はぇ?」

 

「だから、配信してる時間。 それ以外の寝泊まりとか、うっかり顔映っちゃったりしたら困るしで切ってたよ? 心配もされるし」

 

「……………………………………えっ」

 

【えっ】

【えっ】

【待って、知らない】

【始原知らない】

 

【始原が動揺してて草】

 

「お休みの日は10時間くらい配信したときもあったけど……ほら、土日ならいちいち帰るのめんどくさいし、配信終わってからもしばらくうろうろして中で寝て。 で、起きたらまた配信すれば楽でしょ?」

 

【楽……?】

【この幼女の判断基準が分からない】

 

【えっと……】

【つまり?】

 

【悲報・ハルちゃん、ガチで自分から望んでぼっちになってた】

【しかもダンジョンの中って言う】

【さらには誰にも発見されず、3年も……】

 

【……よい子のみんなはマネしちゃダメだからね!】

【大丈夫だ、普通の神経してたらダンジョンでそんな寝泊まりできない】

 

【クマの目撃情報だらけの森でバーベキューとかしながらのんきに過ごすようなもんだもんなぁ……】

【改めて聞くとやばいことしてたハルちゃん】

 

【良かったねハルちゃん……今気が付いてもらえて……】

 

むぅ。

 

どうやら視聴者の人たちの中に、僕と似た人は居ないらしい。

 

「楽しいのに」

 

【むくれてて草】

【年相応におこなハルちゃんぺろぺろ】

【でも……たの……しい……?】

【新感覚】

 

【そうか、俺たちは楽しんでるハルちゃんを応援していたのか……】

【始原!】

【なんか得体の知れない喜びが湧き上がってきたな】

【待て始原早まるな、その道はハルちゃんしか無理だぞ】

【草】



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35話 【コラボ配信】「ふたりはるるハル!」5

「見えている地上型のモンスターは普通に撃ちます」

「う、うんっ!」

 

【あの、ハルちゃん】

【獣系って俊敏だから普通はまず当てられないんですがそれは】

【しゅごい……4匹で集まってきたハウンド系を順番に……】

【だからリロードおかしいって】

【なぁにこれぇ……】

 

 

 

 

「浮遊系のモンスターは上下に動くのでちょっと難しいですね」

「えっ」

 

【え?】

【ちょっ……と……?】

【あの、全弾命中で全部ヘッドショットなんですけどそれは】

 

【ハルちゃんと同じ狙撃銃持ち、どうだ?】

【俺、1から出直すよ……】

【ああ、俺たちのしていたことは児戯にも等しかった……】

【弾はごく普通の市販品……それで頭や胴体へ1発とは……】

【なぁにこれぇ……】

 

 

 

 

「アンデット系は僕が苦手なやつです」

「そ、そうだよね! ハルちゃんでも苦手なのあるよね!」

 

【朗報・ハルちゃんも人だった】

【人じゃなかったら何だよ】

【天使……かな……?】

【殺戮の天使ってことか?】

 

【情報開示?】

【ワードで脅して回るのはやめてくれ姉御】

【草】

 

「よ、よーし! じゃあここは私が属性こうげ」

 

「でもアンデット系にもコアはあるので」

「え?」

 

【は?】

【んん?】

【聞き違いかな?】

【は、ハルちゃんでも間違えることはあるから……】

 

「よく狙って……こうです」

「……ゆーれーいなくなっちゃったぁ……」

 

【ゆーれーしゃんないなった】

【あーあ】

 

「あ、これができるようになったの、僕でも去年くらいからなので難しいかもです」

「ゆーれ――……」

 

【るるちゃんが……】

【アンデッドの圧力が……消えた……?】

【あの、アンデッドは物理攻撃無効だからアンデットなんですけど】

【えぇ……】

【なぁにこれぇ……】

 

【そっかー、あんでっどにもこあはあるんだーハルおねえちゃんすっごーい!】

 

【気を確かに……無理か】

【無理だろ】

【ダンジョン歴が長いやつほどショック大きいってやつー】

【みんなが一斉に幼女になっている】

 

「……ハルちゃん? アンデッド……この剣とかでも倒せるのぉ……? 私もハルちゃんみたいにできるのぉ……?」

 

「え? はい、多分。 コアがちゃんと分かれば?」

「それはどうやるのぉ……?」

「ん――……」

 

最初の頃こそWikiとか動画、講習会……男のときだけどね……とかで勉強してたけども、僕のスタイルは完全な我流。

 

こういうことができるようになったのも、僕の中の「なんとなくな感覚とか直感」を極めたからに過ぎない。

 

まぁ誰だって人の何倍も時間使えば人よりは自慢できるようになるってやつだ。

 

それをみんなに分かりやすく言うには……。

 

「気合ですね」

「きあい」

「うん、気合」

「……そっか――……」

 

【ああ、るるちゃんのおめめからハイライトが!】

【さすがのるるちゃんでも思考を放棄したか……】

【草】

【るるちゃんだって中級者だもんね……分かっちゃうよね……】

【ハルちゃんがなんかこう、よく分かんない何かってねぇ……】

 

よかった、るるさんのさっきまでの不自然な感じがなくなったみたい。

 

うん、ちゃんと伝わったね。

 

「あ、アンデット系はいいやつらなんですよ」

「そっかー、いいやつらなんだー」

 

【るるちゃん元気出して】

【無理だろ】

【ぽけーっとしてるるるちゃん……何気に超レアだ……】

【普段はムードメーカー兼トラブルメーカーだもんな……】

【草】

 

【『*******************』】

【『*******************』】

【『*******************』】

【『*******************』】

【『*******************』】

 

【どうした海外勢】

【あー、これはフィルター入りましたねー】

【別に荒らしとかじゃないっぽいけど】

【多分今のだろ】

【ああ……】

 

【気合でアンデット系のコア見つけて倒せるとか、ハルちゃん以外で再現できたら……】

【属性武器とかアイテムの需要がた落ちだもんなぁ……】

【まぁハルちゃん以外、そうそうには再現できないだろ】

【だよなぁ】

 

「……それでぇ……? アンデット系が何でいい子たちなのぉ……?」

 

【るるちゃん……おいたわしい……】

【まさかこの言葉をるるちゃん相手で聞くことになるなんて】

【普段はえみちゃんだもんなぁ】

 

「? るるさん疲れました?」

「うん……ちょっとねぇ……」

「ダメですよ、早く寝なきゃ」

「うん……わかったぁ……」

 

【るるちゃんの配信の方にも投げ銭の嵐が】

【うん……普段の不幸っぷりじゃなくて本当に同情でね……】

【るるちゃんがんばれ、この場の全ては君にかかっている!】

 

【やーばい幼女制御する担当ってことでね……】

【これ、制御できてるのか?】

【こういうの全部無言でやられるよりは……まあ……?】

 

【ハルちゃんと一緒にいれば、るるちゃんも普通のキャラになれるんじゃ?】

 

【そう言えば呪い様が出現してないな】

【召喚の儀はやめろ】

【やめろ、そういうこと言うからホーミングしてくるんだぞ?】

【草】

 

「アンデット系のコアって柔らかいっぽくって」

「アンデット系のこあはやわらかいんだー」

「だから倒した後、弾も地面に落ちてて回収できるんです」

「そっかー」

 

僕が指差す先には転がっている銃弾。

 

魔法ってすごいよね、ちょっと「えいっ」てやれば壊れてない弾なら何度でもリサイクルできるもん。

 

【悲報・るるちゃん、思考を完全放棄】

【うん……分かる、分かるよるるちゃん……】

 

【思ってたけどさ、ハルちゃんも相当な天然だよな?】

【今さらか?】

【今さらだな】

【遅くね……?】

 

【遅すぎるよ! 今まで何見てたんだお前!】

【すまん……パーティーメンバーに「無能な俺のことを追放してくれ」って言ったら大変なことになっててな……】

【草】

【セルフ追放草】

 

【……けど、思えば最初の頃から完全な趣味配信って思ってたのって、もしかしてただハルちゃんが天然だからだった……?】

【つまり俺たちは……】

【あっあっあっ】

【**********】

【***********、******】

 

【始原……】

【天然ちゃんの趣味とか……ああうん、なんか納得行ったわ】

【ハルちゃんの属性ってどこまで増えるの?】

【どこまでもだ】

【草】

 

「あ、ありがとうございまするるさん、集めるの手伝ってくれて」

「ううん……これくらいはしなきゃっておもったの……」

 

なんだかるるさんはお疲れっぽい。

 

……あんまりこの子にばかり任せても大変そうかな。

 

男って知ってる相手のお風呂に入ってきたりする時点でメンタル削れてるんだろうし、ここはひとつ男らしくリードしないと。

 

「じゃ、先行きましょうるるさん」

「ふぁい……」

 

そうだ、僕はこの子よりも年上の男なんだ。

 

女の子って言うのは気分屋で不安定なもの。

きっとこの子も普段はえみさんにリードされてるから、やっぱ先歩かせちゃダメだよね。

 

背は低いけども中身は大人な僕が助けなきゃ。

 

【おてて!!】

【!?!?】

【ハルちゃんからお手々繋いでる!!】

【ロリおね……いい響きだ……!】

 

【けどその原因は紛れもなくハルちゃんなんだよね……】

【草】

【いやまあそうなんだけどさ】

【これがマッチポンプですか?】

【いや、完全に素でやってるぞ、ハルちゃん】

【草】

 

「あ、多分次の階層にモンスターがわさっと集まってるとこあるので撮れ高ありますよ、撮れ高」

「ふぁい……」

 

先に言っとくのが大切だって、ちょっと静かになったときにえみさんからインカムで来てた。

 

なんでこのタイミングに言うのか分からないけども、配信じゃ大先輩なんだからここで従わない僕じゃない。

 

【え?】

【待ってハルちゃん、今なんて!?】

 

「階段降りて1個目ですから心の準備、してくださいね」

「ふぁあ……」

 

【おかしいな……次の階層なんて……ハルちゃんならもういいや】

【ああ、るるちゃんの次は視聴者が思考を放棄していく……】

【多分頭空っぽな方が楽だよ?】

【うん……そうすりゅ……】

【そうだね、はるちゃんよりようじょになればいいんだ】

 

【……そうだよな! よーし、俺も明日はマッパーとして最初から出直す!】

【待て早まるな】

【そうだぞ、ハルちゃんだけがおかしいんだ】

 

【まぁ最初からバグってる存在って言われてたし……ね?】

【ハルちゃん、ヘッドショットだけじゃなかったのね……】

 



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36話 【コラボ配信】「ふたりはるるハル!」6

なんか自分のペースで人と話しながら好きなことしてると温まってくるよね。

 

普段は誰とも話さない生活な僕だけども、たまにはこういうこともあるんだ。

 

だからお口は疲れてきたけどもちょっとだけ楽しい僕。

 

「あ、ここのダンジョン浅いんですね。 もうボスフロアっぽいです」

「そうだねぇ……」

 

「るるさん、大丈夫ですか?」

「だぁいじょうぶぅ……」

 

「無理はしちゃだめですよ?」

「………………………………」

 

るるさん、なんかげんなりしてる。

……昨日の夜眠れなかったりしたのかな?

 

【ハルちゃん……もうちょっと手加減というものを……】

【るるちゃんかわいそう……】

【こんなにもるるちゃんがかわいそうな配信はあっただろうか】

 

【この前のやばかったの以来じゃない?】

【そうか、つい最近だったな】

【草】

 

なんか普段の配信……って言っても2回3回しか見てないんだけどね……そのときのるるさんに比べると、ものすごく疲れてる。

 

ペース配分間違えた?

 

ダメだよ?

 

前衛さんこそスタミナ管理だよ?

 

【多分本気で分かってないハルちゃん】

【ま、まあ幼女だし……】

【合法ロリならるるちゃんとほぼ同い年だけどな】

【うん……今回の見るとロリって思えるよ……】

 

【ハルちゃんにもできないことってあるんだね】

【むしろできることとそれ以外がはっきりしてそう】

【興味があればすごそう。 ダンジョン攻略のスキル的に】

【スキルツリーも対人ツリーも完全に尖ってるタイプか】

【興味が無いことには今のるるちゃんみたいな扱いになりそう】

【草】

 

えみさんからの通信によると、ここは10階層と浅いところ。

 

この前みたいなのになったら困るからって、レベル自体はそこそこだけども別に深くもないってのを選んだらしい。

 

英断だね。

 

だって、なぜかるるさんこんなに疲れてるんだもん。

 

きっと何かがあって、付き合いが長いらしいえみさんが前もって決めたんだろう。

 

帰ったら「ヘンタイさん」って呼んであげよっと。

ここの人たちみたいに喜んでくれるよね。

 

【けど道中はことごとく悲惨だったな……】

【ああ……】

 

【本当にハルちゃんひとりでできちゃったもんね……】

【る、るるちゃんも……ムード盛り上げようってしてたから……】

 

【まずハルちゃんが乱射】

【近くの敵はだいたいだいたい死ぬ】

【ハルちゃんに合わせてしゃがんでたるるちゃんが起き上がる】

【るるちゃん、お仕事ないって悟る】

【起き上がって2人でドロップ拾い】

 

【そのあいだに反応して向かってくるモンスターたちをハルちゃんが順次乱射】

【遠くの敵もだいたい死ぬ】

【るるちゃん、お仕事ないって悟る】

【2人で手分けしてドロップ拾い】

 

【そこからやっと1匹とか2匹とかのモンスターが来るようになって、るるちゃんが軽く戦ってからハルちゃんがズドン】

【で、またドロップ拾い】

【途中からるるちゃんが率先してひとりでもくもくドロップ拾い】

 

【……うん、るるちゃんがんばった】

【すっごくがんばった】

【えらい】

【この乱射幼女……どうして……】

 

伏し目がちなるるさんが気になるから、気が付けば普段の逆で僕から話しかける形が多くなってる。

 

「ごめんなさい、るるさん」

「ううん、いいの」

 

「るるさんってものすごく運が悪いので」

「うん、運が悪いの」

 

【草】

【るるちゃん、話聞けてない……】

【もしかして:普通に戦うより疲れてる】

【なんならトラップで大変な目に遭うより疲れてる】

 

【かわいそう】

【あれ? でも】

 

「るるさんに近づく敵を先に倒して回ったからか、罠、引っかかりませんでしたね。 良かったですね」

 

「うん。 ……うん?」

 

あ、ちょっと元気になった?

やっぱり女の子は話してあげなきゃだめっぽいね。

 

「今日は念のためにって、見えてる罠踏まないように誘導したんですけど」

「うん? ……うん?」

 

【えっ】

【え?】

【ゑ?】

 

【いやいや、罠から誘導って……マジ?】

【……ハルちゃんは冗談は言わないよな】

【だって天然だもん】

 

【むしろ言えないよな】

【ああ、言えない】

【ハルちゃんはそんなこと言わない】

 

【「嘘つく」とか「騙す」とかはハルちゃんと最も縁のない言葉】

【草】

【負の方向に信頼が厚いハルちゃん】

 

僕がるるさんと一緒に潜るのは、今日が実質的に初めて。

 

あのとき?

救助要請のあのときは別だし……。

 

で、今日は様子がおかしい彼女のこと、最初からちょっと観察してた。

 

……そうしたらるるさん、なぜかことごとく罠のある場所を踏み抜こうとしてるんだ……いやほんと、なんで?

 

分かってはいるけどね……それがみんなが呼んでる「呪い様」ってやつなんだって。

 

観察した限り、彼女はちゃんと周囲を見てるし足元も警戒し続けてる。

 

……でもどうしてかそっちの方ばっか足が向くんだよねぇ……呪いって怖い。

 

僕には無くって良かった。

 

いや、無いからこそこうして幼女するハメになって、そこそこに居心地の良かった職場クビになったんだけどね……。

 

あ、ちなみに会社の件は誤解を解いてくれたらしく、不登校もとい出社しなくなっての解雇じゃなくなったらしい。

 

ありがたいね。

 

「……ハルちゃん? その、誘導って」

「え? ああ……るるさん、そこに立ってください」

 

まだちょっと頭が回ってない感じだから分かりやすい場所へ誘導。

 

「え? う、うん……」

「そこから真っ直ぐ歩いてくださいね」

「え、えっと……うん……」

 

【……罠が見えるのはスカウトスキルで知ってるけど】

【ハルちゃん、使うそぶり無かったよな……?】

【ああ、ただただ乱射してただけだった】

 

【あ、でもそう言えば何かとるるちゃんのこと呼んで「そこを右」とか「左」って……あれって誤射避けるためじゃなくってもしかして……】

 

「……ついたよ?」

「じゃあ動かないでくださいね」

 

今日はなんだか物足りないって思ったら、最初の石集めが無かったんだって思いだした僕。

 

数歩歩き回っていくつかの石ころを拾い上げて――。

 

「音、しますからね」

「う、うん……わっ!?」

 

がしゃんっ。

 

痛そうな音。

 

るるさんの左右40センチくらいのところに石を投げると、片方はひゅんっと毒矢、もう片方はばしっとトラバサミが牙を剥く。

 

罠の方向的に大丈夫だって確信してのだからケガとか無いだろうけど、びっくりはするよね、やっぱり。

 

【は?】

【罠そこぉ!?】

【あったよ! 罠!】

【えぇ……】

 

「るるさんは素直なので誘導は楽でした」

「そ、そっか……ありがと……」

 

ちゃんと教えてあげたからそこまでびっくりしてないね。

 

【天然に褒められる素直っぷり】

【良くも悪くも、るるちゃんってば普段から指示され慣れしてるしな】

【えみお母さんのおかげだな!】

 

「……ハルちゃん。 これ、もしかして今日、初めから?」

「はい。 なんかるるさん、ほっとくとことごとく罠の方に向かうので」

 

【ああ……それで普段から転んだり罠踏んだりするのが今日は無かったのか……】

【え? じゃあハルちゃん一緒ならるるちゃん、もうドジっ子卒業?】

 

【ドジっ子って言うか不幸体質だけどな】

【呪い様に対抗するには天然だったか……!】

【どっちかって言うとスカウトスキルじゃね?】

【とりあえずるるハルが正義だってのは分かった】

 

ぼーっと足元の罠の跡を見てる、るるさん。

そうだよね、やっぱ怖いよね、そういうの。

 

「僕と一緒のときは罠から守ってあげられますから大丈夫ですよ」

「……………………………………」

 

む。

 

また変な感じになってる……なんでだろ。

 

「帰ったら髪の毛は好きにして良いですから」

 

そう甘い飴を投げてあげてもなんか固まってる。

この子、良くなるよねぇこうやって。

 

【ん?】

【今】

【なんでもって】

 

【るるちゃんには言ったな】

【つまり帰ったら百合展開?】

【姉御のためにおねショタ展開とも言っておいてあげよう】

 

【あなたいい人ね。 後で郵便受け見といて】

【は?】

【草】

【なんか犯行予告にしか聞こえないセリフが】

【え……こわ……】

 

「おーい」

 

なんかるるさんが固まっちゃってるから近づく。

 

……本気で怖くなっちゃった?

 

「だいじょうぶ?」

「…………うん」

「本当? リストバンド使う?」

 

「……ううん。 ハルちゃんが居るから大丈夫」

「そ。 なんかあったら言ってね」

 

【尊い】

【てえてえ】

 

【ハルちゃんが純粋にるるちゃんのこと心配してる声……】

【深く考えられなさそうなハルちゃんだからこそ伝わってくる優しさ】

【優しい】

【いい子】

 

【けど、確かにソロのレンジャーだから罠発見スキルはあると思ったけど……ここまで全回避だろ?】

【やば】

 

【これ、事務所がハルちゃんのこと、もう離さないんじゃ?】

【いや、これだとるるちゃんの不幸っぷりが皆無になる。 撮れ高が壊滅だ】

【ああ……るるちゃんのアイデンティティーが崩壊しちゃう……】

【草】

 

【悲報・るるちゃん、まさかの個性喪失】

【いやまあ、るるちゃんにとっては良いことだから……】

【まあな、1回ガチで死にかけたし】

 

「――うん。 大好きだよ」

 

「? そうですか」

 

なんか毎日言われてる感じのラブコール。

うん、妹的存在として好かれてるだろうし、別にいいけど。

 

【!?】

【ひぇっ】

【おかしい、聞き間違いかな……るるちゃんの声、ドスがきいてるって言うか……】

 

【……あのさ、俺、ヤンデレの彼女居たんだけどさ】

【おう? 視聴者全員にケンカ売るつもりか?】

【大丈夫だ、血を飲まされそうになって逃げ出した】

【草】

 

【……でさ。 今のるるちゃんの感じ、あのときの彼女に……あれ、玄関の鍵閉めたはz】

 

【え?】

【おい、そこで止めるなよ!】

【返事がない……】

 

【もしかして:呪い様がヤンデレの彼女呼び寄せた】

【え……こわ……】

【これもう迂闊にしゃべれねぇじゃねぇか草】

 

【呪い様の精度やばない? と言うかもはや因果関係収束してない?】

【呪い様に引っかかるワード、呪い様が時空をさかのぼって探知してる……?】

【この配信やべぇ……】

 

「るるさん? お腹空いてます?」

「ううん……何でもないよ」

「そうですか」

 

この子ってば気分の乱高下が激しいからなー。

 

ホテルでもときどきなってる気がするし……まぁ害もないからほっといてるけどさ。

 

「でもるるさんに何かあったら困るので、ここから倒しちゃいますね」

 

「うん……………………………………、え?」

 

どんっ。

 

今日の行きでは最後の攻撃。

残りは引き返すだけだから多分そこまでモンスター出ないし。

 

【え?】

【あ、そう言えばここボスフロアだった】

【草】

【視聴者揃って忘れてて草】

 

「僕たちが立ってるところでぎりぎり起きない距離だったので、ボスは眠ったまま仕留めました」

 

「え……え?」

 

【えぇ……】

【悲報・とうとうボスすらヘッドショット】

【しかも寝たまま】

【さらには画面外って言う】

【ボスしゃんかわいそう】

【とことん配信と相性悪くって草】

 

【えみお姉ちゃん……ハルちゃんのカメラ、良いの買ったげて……暗いところでもちゃんと見えるやつ……じゃないと見せ場が皆無なの……】

 

ずしんと崩れる音。

 

「まぁおっきいニワトリさんでしたから、るるさんひとりでも大丈夫だったとは思いますけど」

「あ、ありがと……」

 

【にわとりさん】

【かわいい】

【……ニワトリ? それって】

【コカトリス!?】

 

【コカトリスって毒と石化持ちだから接近戦のるるちゃんとは相性最悪じゃねぇか】

【だから遠距離からのヘッドショットでワンキルだったんじゃ?】

 

【お前、ハルちゃんがそこまで考えたと思うか?】

【いや? あり得ないけど?】

【草】

【すごいことしたのにハルちゃんの天然って言うのに吸われてて草】

 

「じゃあドロップと宝箱拾ったら帰りましょうか」

「……そうだねぇ……」

 

【ああ、るるちゃんの目が! 目が!】

【さっきからハルちゃんしか見てなくてこわいよー】

【しかも絶妙に光が……これ、ハイライトオフってやつじゃ?】

 

【……るるちゃん、ハルちゃんにまた助けられてなんかスイッチ入っちゃった?】

【どうにもそうっぽいですな】

【おい、下手に言うと何かがやって来るぞ】

【え、こわ】

 

【……今回の配信、いろいろやばいよな】

【ああ】

 

【なにしろ、あの深谷るるが1回も不幸発動しなかったんだからな】

【そっちかよ!】

【草】



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37話 『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』2

『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』11

 

 

5.虐殺天使ハル&一般人るる

とうとうハルちゃんが天使になったな

 

21.虐殺天使ハル&一般人るる

俺たちにとっては天使なのは間違いない

 

33.虐殺天使ハル&一般人るる

モンスターにとって死神なのも間違いないな!

 

40.虐殺天使ハル&一般人るる

 

52.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃんのあまりのパワーに……見ろよ……るるちゃんが煤けてるぜ……

 

59.虐殺天使ハル&一般人るる

多分呆然としてるだけだと思うよ

 

66.虐殺天使ハル&一般人るる

ああ……

 

71.虐殺天使ハル&一般人るる

あんなの目の前で見てりゃなぁ……

 

87.虐殺天使ハル&一般人るる

たとえ画面に映っていなくとも察せられる虐殺っぷり

 

96.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃんの狙撃の腕前はみんな知ってるもんな……

 

105.虐殺天使ハル&一般人るる

撃った回数=哀れなモンスターの数

 

 

121.虐殺天使ハル&一般人るる

これほどカメラの動きが憎い配信があっただろうか、いや、ない

 

136.虐殺天使ハル&一般人るる

これが……これが課金してでも見たいという気持ち……!

 

154.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃん、それか事務所……メン限やってくれないかなぁ

 

166.虐殺天使ハル&一般人るる

無理だろ

 

173.虐殺天使ハル&一般人るる

無理だな

 

180.虐殺天使ハル&一般人るる

「くぼみで30分ごろごろしたい」

 

189.虐殺天使ハル&一般人るる

 

201.虐殺天使ハル&一般人るる

るるちゃんがなんとか立て直そうとするも天然で押し返すハルちゃん

 

211.虐殺天使ハル&一般人るる

この幼女……強い

 

222.虐殺天使ハル&一般人るる

物理攻撃も精神攻撃もスキが無い幼女

 

230.虐殺天使ハル&一般人るる

幼女って何だっけ?

 

239.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃんのことだよ

 

253.虐殺天使ハル&一般人るる

 

264.虐殺天使ハル&一般人るる

ショタってことにもならないかな……?

 

273.虐殺天使ハル&一般人るる

どうした姉御、さっきから気弱だぜ

 

285.虐殺天使ハル&一般人るる

だってハルきゅん、ちょっとすごすぎて……

 

290.虐殺天使ハル&一般人るる

ちょっと……?

 

300.虐殺天使ハル&一般人るる

とうとう姉御まで引いてて草

 

306.虐殺天使ハル&一般人るる

すげぇ……

 

323.虐殺天使ハル&一般人るる

垢バレして全世界に実名垢も流出して会社に凸されてもあっさりと返り討ちにするほど強い姉御をあっさりと屈服されるハルちゃんの猛者っぷりよ

 

333.虐殺天使ハル&一般人るる

もうハルちゃんだけで良いんじゃないかな……

 

350.虐殺天使ハル&一般人るる

そんな中で交わされる、普段の百合さ加減

 

358.虐殺天使ハル&一般人るる

……うん、ちょっとだけ気が楽になった

 

367.虐殺天使ハル&一般人るる

殺戮の天使にも天使らしいところ、あったんだな……

 

376.虐殺天使ハル&一般人るる

虐殺なのか殺戮なのか

 

382.虐殺天使ハル&一般人るる

どっちも一緒だろ?

 

389.虐殺天使ハル&一般人るる

 

 

502.虐殺天使ハル&一般人るる

でもハルちゃん、話し方はかわいいよな

 

516.虐殺天使ハル&一般人るる

ああ、話し方はな……

 

532.虐殺天使ハル&一般人るる

こ、声もかわいいから……

 

540.虐殺天使ハル&一般人るる

援護が厳しすぎる

 

546.虐殺天使ハル&一般人るる

 

555.虐殺天使ハル&一般人るる

るるちゃん不在のコメント返信でもやっぱどっかズレてるハルちゃん

 

563.虐殺天使ハル&一般人るる

始原……これが!?

 

570.虐殺天使ハル&一般人るる

いや……俺たちに言われても困る……

 

577.虐殺天使ハル&一般人るる

始原たちが見放してて草

 

583.虐殺天使ハル&一般人るる

いやだって、ハルちゃんの性格とか知らなかったし……

 

592.虐殺天使ハル&一般人るる

せいぜいが細かいことには執着しない程度で……

 

599.虐殺天使ハル&一般人るる

そもそも「ハルちゃん」呼びもただの遊びだったんだ……

 

616.虐殺天使ハル&一般人るる

こんな大ごとになるって知ってたら、俺たち……

 

623.虐殺天使ハル&一般人るる

しっかりしろ始原、お前らが望んだ物語だぞ

 

628.虐殺天使ハル&一般人るる

 

634.虐殺天使ハル&一般人るる

始原が自信を喪失してる……

 

641.虐殺天使ハル&一般人るる

まあこんなの見たらなぁ

 

646.虐殺天使ハル&一般人るる

ほ、ほら! るるちゃんのタイツで元気になろう?

 

652.虐殺天使ハル&一般人るる

あんな細いのじゃ無理だ

 

657.虐殺天使ハル&一般人るる

 

669.虐殺天使ハル&一般人るる

落ち込みようが半端ない

 

683.虐殺天使ハル&一般人るる

「ヘンタイさん」

 

690.虐殺天使ハル&一般人るる

うっ……

 

699.虐殺天使ハル&一般人るる

これは……効く……

 

721.虐殺天使ハル&一般人るる

なんか妙に俺たちへの反応が優しい中でヘンタイさんは……こう……

 

727.虐殺天使ハル&一般人るる

心がきゅんとなるな

 

735.虐殺天使ハル&一般人るる

心がきゅっとされるの間違いじゃ?

 

745.虐殺天使ハル&一般人るる

え、なにそれ怖……

 

751.虐殺天使ハル&一般人るる

 

759.虐殺天使ハル&一般人るる

とうとうえみちゃんのコメントまでバグりだしたし、もうめちゃくちゃだよ!

 

767.虐殺天使ハル&一般人るる

というかちょこちょこインターホンとか電話の音でびびる書き込みがあってホラーみが出て来たな

 

772.虐殺天使ハル&一般人るる

冗談って分かってても冗談に聞こえない

 

781.虐殺天使ハル&一般人るる

なんだよ! 普通の電話でびびり散らかしちまったじゃねーか!

 

789.虐殺天使ハル&一般人るる

戻ってこられて良かったね

 

796.虐殺天使ハル&一般人るる

本当に良かったね

 

808.虐殺天使ハル&一般人るる

ああうん……るるちゃんの呪い様、もしかしたらハルちゃん怖がって俺たちの方へ来てるのかもな……

 

825.虐殺天使ハル&一般人るる

だって虐殺天使だし

 

834.虐殺天使ハル&一般人るる

ただの呪いがハルちゃんに叶うと思うなよ!

 

842.虐殺天使ハル&一般人るる

実際配信で転んだりしなくて影薄いし、これで良いのかも……

 

849.虐殺天使ハル&一般人るる

それは配信者として何か大切なものを失っていないだろうか

 

856.虐殺天使ハル&一般人るる

実際あのハルちゃんなら「邪魔ですよ」とか言いながら平然と退治しそう……

 

 

877.虐殺天使ハル&一般人るる

コア?

 

883.虐殺天使ハル&一般人るる

えっ

 

887.虐殺天使ハル&一般人るる

モンスター……光るの?

 

896.虐殺天使ハル&一般人るる

俺たちが知るもんか

 

900.虐殺天使ハル&一般人るる

 

907.虐殺天使ハル&一般人るる

そう言ってる人はそこそこ居るよ? ほら、携帯ゲームみたいなコアらしきものがあるって……ただのネタだって思ってたけど……

 

915.虐殺天使ハル&一般人るる

「クリティカルポイント」とか「経絡」とか呼び方はみんなばらばらだけど、やっぱりあるのか……

 

921.虐殺天使ハル&一般人るる

まあな、良いところ入って手応えあるのは多分そうなんだろうとは思ってたけど

 

930.虐殺天使ハル&一般人るる

光るか?

 

934.虐殺天使ハル&一般人るる

さあ?

 

942.虐殺天使ハル&一般人るる

ほら、ハルちゃんは天使だから……

 

949.虐殺天使ハル&一般人るる

ああうん、人には見えないものが見えても……ね?

 

956.虐殺天使ハル&一般人るる

もうそういうことでいいや

 

962.虐殺天使ハル&一般人るる

もうなんか疲れたよ……

 

967.虐殺天使ハル&一般人るる

 

973.虐殺天使ハル&一般人るる

海外勢もコアについて興味津々

 

980.虐殺天使ハル&一般人るる

多分今ごろダンジョン関係のお偉方も大忙し

 

989.虐殺天使ハル&一般人るる

なんにも気が付いてないのはハルちゃんだけ

 

997.虐殺天使ハル&一般人るる

ほら、台風の目って無風らしいし……

 

 

『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』17

 

 

30.虐殺天使ハル&一般人るる

悲報・ハルちゃん、3年もぼっちでダンジョン生活

 

36.虐殺天使ハル&一般人るる

いや、家には帰ってたらしいぞ

 

52.虐殺天使ハル&一般人るる

なんか……うん……すごいね……

 

59.虐殺天使ハル&一般人るる

誰にもできない、できないよハルちゃん

 

66.虐殺天使ハル&一般人るる

普通なら学校帰りとかお休みとか友達と遊ぶ年頃なのに……

 

71.虐殺天使ハル&一般人るる

お前らは帰ってから遊ぶ友達はいたのか?

 

77.虐殺天使ハル&一般人るる

おいやめろ

 

82.虐殺天使ハル&一般人るる

やめろ    やめろ

 

88.虐殺天使ハル&一般人るる

あの頃の俺を殴りたい、面倒くさかったとしても友達作って遊んどけって

 

96.虐殺天使ハル&一般人るる

まーたハルちゃんのせいで被害が拡大してる……

 

111.虐殺天使ハル&一般人るる

「ね? 簡単ですよね?」

 

117.虐殺天使ハル&一般人るる

天才はいつだってそう言うんだ……

 

123.虐殺天使ハル&一般人るる

天災だろ?

 

128.虐殺天使ハル&一般人るる

最近の幼女ってすごいね!

 

136.虐殺天使ハル&一般人るる

全世界の幼女が抗議してくるぞお前

 

143.虐殺天使ハル&一般人るる

「わたしたちにハルちゃんみたいな期待、されてもこまります」

 

147.虐殺天使ハル&一般人るる

 

153.虐殺天使ハル&一般人るる

しかも何時間もモンスター観察するとか

 

160.虐殺天使ハル&一般人るる

ああ……ジャングルの木の上で野生動物を観察する学者的な……

 

165.虐殺天使ハル&一般人るる

ああ……フィールドワークと称して動物と寝泊まりしたりするタイプの……

 

172.虐殺天使ハル&一般人るる

そうかも

 

177.虐殺天使ハル&一般人るる

喜々としてダンジョンの壁にできた窪みを紹介するハルちゃん

 

189.虐殺天使ハル&一般人るる

嬉しそうだね

 

200.虐殺天使ハル&一般人るる

そんな君が好き

 

210.虐殺天使ハル&一般人るる

そうだね、この子って天才肌な学者タイプなんだ……

 

217.虐殺天使ハル&一般人るる

それもフィールドワークをやりすぎて同業からもドン引きされるタイプのな

 

222.虐殺天使ハル&一般人るる

はえー

 

228.虐殺天使ハル&一般人るる

はえー

 

236.虐殺天使ハル&一般人るる

るるちゃんかわいい

 

242.虐殺天使ハル&一般人るる

るるちゃんだけが癒やしだよ

 

249.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃんもかわいいいだろお前ら!

 

258.虐殺天使ハル&一般人るる

かわいいよ?

 

264.虐殺天使ハル&一般人るる

かわいいけど……

 

269.虐殺天使ハル&一般人るる

なんか違う

 

280.虐殺天使ハル&一般人るる

それな

 

286.虐殺天使ハル&一般人るる

 

296.虐殺天使ハル&一般人るる

「むっ」

 

316.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃんでも怒ることあるんだね

 

324.虐殺天使ハル&一般人るる

幼女アピールかわいいね

 

330.虐殺天使ハル&一般人るる

天然だから計算じゃない安心感だけはあるね

 

337.虐殺天使ハル&一般人るる

修学旅行で自分からぼっちに……?

 

342.虐殺天使ハル&一般人るる

???

 

349.虐殺天使ハル&一般人るる

??????

 

355.虐殺天使ハル&一般人るる

なんでこの子はそんな苦行を自分からしに行くのだろうか

 

362.虐殺天使ハル&一般人るる

分からない

 

369.虐殺天使ハル&一般人るる

俺たちの脳が理解を拒む

 

380.虐殺天使ハル&一般人るる

ぼっち気質をこじらせたのか、生まれつきのぼっちなのか

 

388.虐殺天使ハル&一般人るる

ほら、孤高の天才とか言うじゃん……?

 

 

406.虐殺天使ハル&一般人るる

ひぇっ

 

417.虐殺天使ハル&一般人るる

投げ銭の乱舞

 

429.虐殺天使ハル&一般人るる

海外勢の投げ銭……頭おかしい……

 

436.虐殺天使ハル&一般人るる

外人怖い……鎖国しよ……

 

442.虐殺天使ハル&一般人るる

あっちから勝手に来るんだけど?

 

450.虐殺天使ハル&一般人るる

こうなれば籠城だ

 

456.虐殺天使ハル&一般人るる

 

462.虐殺天使ハル&一般人るる

けどちょっと待って……これ、特に初心者の育成、革命起きるんじゃ?

 

469.虐殺天使ハル&一般人るる

ダンジョン内、自分のレベル的に安全な場所で長時間過ごすだけでそこそこの経験値にってのがハルちゃんで証明された……

 

477.虐殺天使ハル&一般人るる

さすがに隠蔽と索敵スキルがメインだろうけどさ、レベル上がりにくい斥候職とかレンジャーの人気、これで上がったりしない……?

 

484.虐殺天使ハル&一般人るる

そもそもハルちゃんの存在で爆上がりだろうけどな

 

490.虐殺天使ハル&一般人るる

それもそうか

 

502.虐殺天使ハル&一般人るる

ここにその効果を実証した存在が居るんだもんな

 

511.虐殺天使ハル&一般人るる

ただしモンスターが跋扈する中、恐らくはごく少人数で1日の大半を過ごす恐怖と戦える人間だけに効果があるけどな!

 

519.虐殺天使ハル&一般人るる

ま、まあ、100人に1人くらいはそういうのいるかもだし……

 

530.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃんは?

 

539.虐殺天使ハル&一般人るる

……全世界の配信者分の1の確率くらい?

 

551.虐殺天使ハル&一般人るる

人類の頂点で草

 

558.虐殺天使ハル&一般人るる

けど良いよな、孤独を本気で楽しめてるみたいで

 

573.虐殺天使ハル&一般人るる

コミュ障ってわけでもないみたいだし、マジで楽しんでやがる……この幼女

 

582.虐殺天使ハル&一般人るる

知ってる? コミュ障って人と話ができないことじゃないんだってよ? 人と会話が通じないことを言うんだよ?

 

588.虐殺天使ハル&一般人るる

い、一応ハルちゃんは聞こうとはしてくれるから……

 

 

『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』25

 

 

13.虐殺天使ハル&一般人るる

さらなる虐殺の1時間が過ぎてしまった……

 

19.虐殺天使ハル&一般人るる

みんなで「なぁにこれぇ……」って言うだけの簡単な実況です

 

31.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃんが楽しそうで何より

 

38.虐殺天使ハル&一般人るる

画面外で屠られたモンスターたちかわいそう

 

46.虐殺天使ハル&一般人るる

るるちゃんもかわいそうだろ!

 

52.虐殺天使ハル&一般人るる

ごめんね……今日だけは微乳って言ってあげるね……

 

58.虐殺天使ハル&一般人るる

 

70.虐殺天使ハル&一般人るる

そこは巨乳って……嘘はダメだよな、うん……

 

77.虐殺天使ハル&一般人るる

るるちゃん、がんばって苦手なアンデッドと戦おうとしてやっぱりダメだった

 

84.虐殺天使ハル&一般人るる

かわいそう

 

93.虐殺天使ハル&一般人るる

さっきからちょくちょく発狂してるコメント増えてきたな……

 

111.虐殺天使ハル&一般人るる

そりゃこれだけおかしいのを叩き込まれたらそうなるだろうよ

 

118.虐殺天使ハル&一般人るる

真実って残酷だね

 

126.虐殺天使ハル&一般人るる

この配信だけでいろいろ変わりそうなくらいにはな

 

137.虐殺天使ハル&一般人るる

そっかー、アンデッドって気合で倒せるんだー

 

142.虐殺天使ハル&一般人るる

すっごーい!

 

149.虐殺天使ハル&一般人るる

ああ、とうとう知能指数まで下がり始めた……

 

156.虐殺天使ハル&一般人るる

みんな幼女になーれ☆

 

160.虐殺天使ハル&一般人るる

幼女(ただしハルちゃんとかいうおかしいのは除く

 

166.虐殺天使ハル&一般人るる

でもこれ、冗談じゃなく革命なんだよなぁ……

 

181.虐殺天使ハル&一般人るる

ちょうど画面に映るところで実践してくれちゃったし……

 

187.虐殺天使ハル&一般人るる

この切り抜きとか多分永久保存版になるよね

 

196.虐殺天使ハル&一般人るる

どころか普通にあっちこっち研究対象だし、なんならダンジョン講習でそのまま使われるレベルだよ!

 

210.虐殺天使ハル&一般人るる

アンデット系がいいやつらってのも?

 

217.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃんがそう言うんならそうだって思い込むしかないな

 

223.虐殺天使ハル&一般人るる

 

231.虐殺天使ハル&一般人るる

こんなに静かなるるちゃん、初めて見た……

 

237.虐殺天使ハル&一般人るる

誰だってそうなる、俺たちだってそうなる

 

251.虐殺天使ハル&一般人るる

俺、るるハルコラボって聞いてさ、てっきりハルちゃんがまーたるるちゃんに大変な目に遭わされるって思ってたんだよ

 

257.虐殺天使ハル&一般人るる

実際は逆だったな

 

262.虐殺天使ハル&一般人るる

ま、まあ、前回のでなんとなく……ね?

 

267.虐殺天使ハル&一般人るる

不幸属性るるちゃんの不幸属性が完全に塗りつぶされた配信だな

 

281.虐殺天使ハル&一般人るる

るるちゃんかわいそう

 

286.虐殺天使ハル&一般人るる

そんなるるちゃんの手を引くハルちゃん

 

292.虐殺天使ハル&一般人るる

優しいね

 

299.虐殺天使ハル&一般人るる

優しい

 

305.虐殺天使ハル&一般人るる

でもその原因はハルちゃん自身なんだよ?

 

313.虐殺天使ハル&一般人るる

それに気が付けないのがハルちゃんだ

 

 

701.虐殺天使ハル&一般人るる

そんなわけであっという間に最下層か……

 

710.虐殺天使ハル&一般人るる

るるハルがお手々繋いで歩くだけだったね

 

717.虐殺天使ハル&一般人るる

お手々繋いで歩いて、立ち止まって撃ってドロップ拾って、またお手々繋いで歩いてだから何も間違ってないな!

 

726.虐殺天使ハル&一般人るる

魂抜けてるるるちゃんに話しかけるハルちゃんの話題の平和っぷりよ

 

733.虐殺天使ハル&一般人るる

ははーん? さてはこの幼女、本気でなんにも分かってないな?

 

740.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃんだからな

 

746.虐殺天使ハル&一般人るる

ああ……!

 

752.虐殺天使ハル&一般人るる

始原10人もそう思います

 

759.虐殺天使ハル&一般人るる

始原……生きていたのか……!

 

764.虐殺天使ハル&一般人るる

ああ、少しばかり緊急会合をして意識を保つことにしたんだ

 

770.虐殺天使ハル&一般人るる

 

776.虐殺天使ハル&一般人るる

始原が減るのか?

 

783.虐殺天使ハル&一般人るる

いや、結束が固くなったようだ

 

789.虐殺天使ハル&一般人るる

 

795.虐殺天使ハル&一般人るる

えぇ……

 

800.虐殺天使ハル&一般人るる

ら、乱射幼女が好きな人たちがいてもいいよね!

 

809.虐殺天使ハル&一般人るる

見てて飽きないしな!

 

816.虐殺天使ハル&一般人るる

俺は無言配信のままがよかったんだ……どうしてこうなったんだ……

 

824.虐殺天使ハル&一般人るる

始原……

 

831.虐殺天使ハル&一般人るる

始原かわいそう

 

837.虐殺天使ハル&一般人るる

姉御は?

 

846.虐殺天使ハル&一般人るる

さっきから居ないな

 

854.虐殺天使ハル&一般人るる

姉御もとうとう……

 

860.虐殺天使ハル&一般人るる

仕方ない、この情報の暴力だもんな

 

 

882.虐殺天使ハル&一般人るる

……え?

 

888.虐殺天使ハル&一般人るる

えっ

 

890.虐殺天使ハル&一般人るる

罠あったの!?

 

899.虐殺天使ハル&一般人るる

え? え?

 

916.虐殺天使ハル&一般人るる

悲報・ハルちゃん、るるちゃんの呪い様を物理で破壊

 

821.虐殺天使ハル&一般人るる

えぇ……

 

827.虐殺天使ハル&一般人るる

ぅゎょぅι゛ょっょぃ

 

844.虐殺天使ハル&一般人るる

そっかー、呪いとかそういうのって気合で何とかなるんだー

 

850.虐殺天使ハル&一般人るる

もしかして:ハルちゃん、寺生まれ

 

855.虐殺天使ハル&一般人るる

天使だからどっちかって言うと教会とかじゃね?

 

863.虐殺天使ハル&一般人るる

この子、ダンジョン関係なくてもなんかすごいことしてたんじゃ……

 

870.虐殺天使ハル&一般人るる

そうだよ

 

877.虐殺天使ハル&一般人るる

でもさ、冗談抜きでるるちゃんの不幸……ハルちゃんと一緒で粉砕できるならるるちゃんは幸せだよな

 

886.虐殺天使ハル&一般人るる

でもお前気づいてるか?

 

892.虐殺天使ハル&一般人るる

何をだ?

 

899.虐殺天使ハル&一般人るる

るるちゃんがハルちゃん見るときの目つき

 

904.虐殺天使ハル&一般人るる

ああ……うん……

 

910.虐殺天使ハル&一般人るる

疲れ切ったところに衝撃の事実告げられたら誰だってこうなるよね……

 

918.虐殺天使ハル&一般人るる

錯乱してないだけマシって言う

 

962.虐殺天使ハル&一般人るる

ひぇっ

 

966.虐殺天使ハル&一般人るる

る……るるちゃん……?

 

971.虐殺天使ハル&一般人るる

悲報・るるちゃんヤンデレ

 

983.虐殺天使ハル&一般人るる

朗報・るるちゃんヤンデレ

 

999.虐殺天使ハル&一般人るる

るるちゃんにそう言うニーズがあったとは……

 

 

『【悲報】ふたりはるるハル、濃すぎる』32

 

 

106.虐殺天使ハル&一般人るる

 

120.虐殺天使ハル&一般人るる

えっ

 

129.虐殺天使ハル&一般人るる

あ、ここボスフロアだった

 

136.虐殺天使ハル&一般人るる

ほ、ほら! 見せ場あるじゃん!

 

142.虐殺天使ハル&一般人るる

 

155.虐殺天使ハル&一般人るる

「眠ったまま仕留めました」

 

167.虐殺天使ハル&一般人るる

えぇ……

 

171.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃん……配信って言葉の意味、分かって……ないねぇこれ

 

178.虐殺天使ハル&一般人るる

配信者の定番をとことん無視する系幼女ハルちゃん

 

186.虐殺天使ハル&一般人るる

ここまで完璧に無視するのってすごいね!

 

194.虐殺天使ハル&一般人るる

多分ハルちゃんにしかできないよ

 

200.虐殺天使ハル&一般人るる

できてたまるもんか

 

210.虐殺天使ハル&一般人るる

 

217.虐殺天使ハル&一般人るる

悲報・コカトリス戦、発生しなかった

 

226.虐殺天使ハル&一般人るる

コカトリスかわいそう

 

234.虐殺天使ハル&一般人るる

鳥さんかわいそう

 

239.虐殺天使ハル&一般人るる

あ、今回はちゃんとドロップ拾ったね……よかった……

 

251.虐殺天使ハル&一般人るる

宝箱はおっきいシールド

 

257.虐殺天使ハル&一般人るる

持って帰るの大変だって思いきや「汚い袋に入っちゃった」で草

 

271.虐殺天使ハル&一般人るる

ああ、そう言えばそんなのもあったね……

 

277.虐殺天使ハル&一般人るる

それ以外で吹き飛んでたよね……充分にすごいもののこと

 

292.虐殺天使ハル&一般人るる

ハルちゃんがその袋拾ったときは羨ましいって思ったけど……今はもうどうでもいいや……

 

320.虐殺天使ハル&一般人るる

それがあれば何日でも潜れるね!

 

326.虐殺天使ハル&一般人るる

やめろ

 

333.虐殺天使ハル&一般人るる

おいやめろ、ハルちゃんならそれ見て「じゃあ今度耐久しましょう」ってるるちゃん巻き込みかねんぞ

 

340.虐殺天使ハル&一般人るる

え、なにそれ怖……

 

349.虐殺天使ハル&一般人るる

そう言えば今さらだけどさ、レス落ち着いたね

 

361.虐殺天使ハル&一般人るる

配信の方は大荒れだけど……なんで?

 

366.虐殺天使ハル&一般人るる

なにしろ実況が追いつかなくて分裂して、こっちはゆっくりな方だからな

 

376.虐殺天使ハル&一般人るる

書き込んでも書き込んでも追いつかない

 

383.虐殺天使ハル&一般人るる

ああ、本当ね……あっちこっちすごいことになってるね……

 

390.虐殺天使ハル&一般人るる

SNSとかのトレンド総ナメだからな

 

395.虐殺天使ハル&一般人るる

お願いハルちゃん……たまにはコメント見てさ、自分がちょっとずれてるって自覚して……

 

402.虐殺天使ハル&一般人るる

これがちょっとなのか?

 

410.虐殺天使ハル&一般人るる

だって多分それ以上思わないもん

 

419.虐殺天使ハル&一般人るる

 



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38話 始原会議Ⅰ

「……え、えぇ――マジで……」

「……これが、始原の方々……」

 

「左様」

 

とある地下の会議室。

そこには「始原」と名付けられた10名……のうちの8名が席に着いている。

 

促されるままに新しく座ったのは2人の女性。

 

『姉御』と、三日月えみだ。

 

――始原とか言うハルの追っかけ……本当に実在するどころか大変な人たちなのだけど!?

 

ハル……ハルさん、あなた本当何をしてきたの……?

 

「ヤベぇじゃん……私、この人たちと一緒にされてたの……」

 

えみが横目で見た『姉御』なる女性。

 

彼女より年上だが、容姿も服装も普通の会社勤めの女性という彼女のひとり言に「あなたもネット上ではなかなかみたいだけど……」と言いたくなるのをぐっと我慢する。

 

「……女性も半分近くいらっしゃるのですね」

「そうだよ。 アタシたちは最初っからあの子に注目してたのさ」

 

「あ、ちなみに私はLGBT的なアレだから肉体的には男よ」

「俺はその反対だ。 この見た目に合った反応をしてくれると嬉しい」

 

「あ、はい」

 

……キャラ濃すぎるわねぇ……。

 

そんなジャブの後にはストレートが来た。

 

えみと『姉御』という新入りが理解できた範囲で表すと「ダンジョン協会会長」「警視庁公安部部長」、「大企業の幹部」やら「引退した政界の重鎮」やら。

 

「超一流大学の首席を名乗る学生」、果ては若干一桁歳――「ハル」の肉体年齢と離れていないのに「海外の大学での学位を持つ天才」だとかだとか。

 

軽い自己紹介だったはずのそれらは軽くなかった。

 

――ハルさん……貴方、るるのせいでこうなる前から何してきたんですか、本当に。

 

三日月えみが頭を抱えたくなるのも無理はない集いだった。

 

ついでになんとなくでハル相手で敬語を使いたくなった。

ハルのことも「ハルさん」と呼びたくなった。

 

「そういうあなたも……ハルきゅんが入った事務所の子よね?」

「あ、はい、三日月えみと申します」

「あー、えみお母さんって……確かにでかい。 揉んでいい?」

「え、えっと……」

「じょーだんよ! 女子校ジョーク!!」

 

姉御という女性――聞けば「法律上の征矢春海」と同じ年齢の彼女は彼らのことをえみほどに恐れていないらしく、マイペースでわきわきとセクハラをかまそうとしてくる。

 

「議題の方を先にいいかの」

 

「あ、分かりました! えみちゃんへのセクハラは後でですね!」

「いえ、後でもいきなりはちょっと……」

 

「――おふたりは今回が初めてですから先に」

 

すっと手を上げたのは……えみが覚えている限りは九島ちほの上司。

つまりは公安という恐ろしい組織の一員。

 

自然、体が固くなる……が。

 

「我々は同志。 ハルちゃん――『征矢春海くん』の身の安全を最上位に考える組織。 我々は裏切らない。 ……同時に、上下関係は無いのだよ」

 

「え、ええと……?」

 

「あー、つまりこーやってフツーに話せばいいのね?」

「さっすが『姉御』、話が早いね」

「がきんちょ……ゴメ、私口悪くって」

 

「良いんだ。 僕たちがずっと追いかけて来たハルちゃんの今の体と同世代だって思うと興奮するから。 あ、もちろん年上の先輩って言うのもそれはそれで良かったんだけどね?」

 

「うわぁ……」

 

「うん。 私なんかやばいよ、だってハルちゃんと数歳違いで同性になったんだもん。 ハルちゃんのコスすると飛ぶんだぁ……あー、あと身長20センチ低ければサイズまでおんなじの着てもっと飛べるんだけどなぁ」

 

「あ、あはは……」

 

ハルとるるのコラボ配信。

 

それが終わってすぐにえみのスマホへ連絡が入った。

 

それはダンジョン協会から直接の指名というもので――てっきり、先ほどの配信の内容で叱られるのだと思い、疲れているだろうハルとるるを置いて来た彼女。

 

――始原って、会長主催だったのね……いえ、円卓だからあくまで音頭を取っているという形なのだろうけど。

 

えみは、つい最近にハルを連れて行った先に居た会長と九島ちほの上司を眺める。

 

――最初からグルだったのね……しかもここに居る人たちって私たちとは明らかに違う世界の人たちよね……。

 

なんでこの人たちがハルさんのことを何年も――。

 

「で、会長さ……会長? オンラインで話せない内容なんでしょ?」

「うむ。 ――入り口で全員の携帯端末を置いてもらったのもそれだ」

 

「あれ、私『これからなんかされるんじゃないか』ってめっちゃ怖かったんだけど? ダンジョン配信で見かける『えみお姉ちゃん』が居たからちょっと安心できたけどさぁ」

 

「あ、あの、私の方が年下で……」

 

「今どきの電子機器はことごとくカメラとマイクで情報が筒抜けだからねぇ、悪かったよ」

「西と東の上層部に目を付けられない話題なら平気なはず。 ――つまりは、そういうことなんだろう?」

 

「……?」

「……えー」

 

説教だと思って呼び出されたと思ったらとんでもない会議。

 

頭が真っ白になっている……幼女以外の事柄には極めて常識人なえみを余所に、事情を飲み込んだらしい「姉御」が非常に嫌そうな声を上げる。

 

「私たち、帰って良い? これ聞いたらやばいかもだし」

「コードネーム『姉御』」

「え?」

 

「――始原は、ハルちゃんの守護者。 その権力を用いれば、ハルちゃんが許可した範囲の情報。 こうしてスクリーンでハルちゃんの鑑賞会。 さらにはハルちゃんとの直接の会話もセッティング」

 

「ハルきゅんのためなら何でもするわ!」

「……えぇ――……」

 

一瞬で陥落した『姉御』を見るえみだったが、「確かに私もハルの容姿だけしか知らなかったらこうなるかも」と思い、また頭を抱える。

 

「そして『クレセント』」

「……もしかしてそれ、『三日月』だから」

 

「申し訳ないが君はすでに名を知られているのでな。 『えみちゃん』の方が」

「やっぱりクレセントでお願いします」

 

「ハルちゃんはな? 温泉が好きだと……確か2年3ヶ月前の配信でコメントしておったの」

 

「2年4ヶ月だよ『会長』」

「うむ、助かるぞ『首席』。 それでだな? ハルちゃんの了解を得たなら温泉旅館にでも招待。 ――肉体的には同性の君なら、後は分かるかのう?」

 

――ハルさんなら「別に良いけど?」とか……お酒が入っていればあるいは。

 

「ちなみに我々のプロファイリングだと、ハルちゃんは2週間に1回くらいは人肌恋しくなって人と接触するタイプだ。 過去のコメント返信からおおよその周期も把握して居る。 そのときに誘えば……そうだな、ハルちゃんが望んでのショッピングなどを手配」

 

「ハルさんのためですから手伝います」

 

……新入りの女子2名。

 

彼女たちは色欲で即刻に陥落した。

 

 

 

 

「さて、ハルちゃんの配信に介入してきた外国勢力についてだ」

 

「あー、なんか居たわねぇ、いっぱい」

「うちのマネージャーやスタッフで、明らかに攻撃的なIPは弾いていましたが……」

 

部屋のスクリーンには先ほどの配信画面……の内のハルが出て来た部分の切り抜きバージョンが、明らかにプロの手で編集されて流れている。

 

「奴らは既にハルちゃんをターゲットにしておる。 それは、今回の配信で決定的となった」

「と言うと?」

 

「ハルちゃんの元の姿には全くに気が付いておらんが、ハルちゃんが明らかに異質な力を備えているのだと断定しておる。 それも、自国で囲い込みたい実力もある、とな」

 

「……ま、時間の問題だったわさ。 配信していなくたってあの業前。 いつかは誰かに目を付けられていたからねぇ」

 

配信画面がスクリーンの6割ほどに縮小され、隅に表示されたのは世界地図。

 

「この通りに主要国家が軒並み介入していた」

 

「マジ!?」

「マジだ。 彼らはマジで、ハルちゃんを盗りに来るつもりと推測できる」

 

――ハルを、盗る。

 

その意味を――冗談のようで大真面目なこの会議の雰囲気だ、取り違えるえみではなかった。

 

「――国は。 国は、彼女――いや、彼を守る意志はあるんですか」

「ある。 ――が、君も知ってのとおりにこの国の立場は非常に弱い」

 

「世界を二分する勢力の絶妙なバランスの上で成り立っている国家だ。 両方からの強烈な圧力があれば」

「簡単になびくってことね。 ……ハルきゅんを拐かそうとするショタコンたち……」

 

「……ハルちゃんは一応女の子じゃからな? 先ほど伝えたが」

「それが? 心が男の子ならそれはショタなんだけど? ショタな反応見せてくれたらそれだけで推せるんだけど?」

 

「……さすがは姉御と呼ばれる者よ」

「じゃなきゃ呼ばないよね、ここに」

 

『姉御』と呼ばれるようになった彼女へも、「ハル=征矢春海という成人男性」という情報は伝えられた。

 

だが、それのせいで「つまりロリの中にショタを内包した究極の存在ってことね!?」と白目を剥いて喜んでいたため――その場にいた全員は「コイツヤベぇ」と認識した経緯がある。

 

――つまり、ここに居る全員が頭おか……熱狂的なファンってことね。

 

つい昨日もハルに踏んでもらって喜んでいたえみは、自分でもマシな方だったかもしれないと悟る。

 

「で?」

「私たちは何をすれば」

 

「儂らはハルちゃんを守りたい。 じゃが国はいざとなったら簡単に明け渡す。 ――明け渡さざるを得ない」

 

「だから我々で護るのですよ。 独立勢力で」

 

「幸いにして、始原はほぼ全員が各界へ顔が利く」

「それぞれのできる範囲で守ることができるよう」

 

「裏で動く。 お姉さんたちは表って感じかな」

 

「『クレセント』は羨ましすぎることにハルちゃんのお家にフリーパスだし、『姉御』はネット上で認知されてるからね」

 

「ちなみにここに居ないのは外国勢の仲間よ。 『翻訳機無しでコミュニケーションできるようになったらハルちゃんの真実を教える』って言ったら数ヶ月後には一時滞在とか引っ越しとかしてくるって」

 

年寄りからハルと同世代の子供、男から女、どちらか分からない存在。

 

さらにはハルのために語学と、多分には仕事先をどうにかする気概のある外国人たち。

 

「……ひとつ、聞いても?」

「うむ」

 

「貴方たちは――ハルのことを、最初から?」

 

「うむ」

「全員がなんとなくで彼の配信にたどり着いて、彼が彼女になる前から既に目を付けていた」

 

「だからこそ、護るのだ。 とんでもなくかわいい幼女になってくれたハルちゃんを」

「前の男の子だったときもなかなか良かったけどねぇ」

 

「こーら、協定違反はだめよ」

「分かってるわぁ」

 

「……そうですか」

 

――そうよね。

 

ハルさん、元から既に、配信で見たような常人離れした戦い方をしていたみたいだから。

 

だから、これだけの大物たちに見初められていても――。

 

「――ま、そんな奴がこんなにかわいいロリっ子になってるんじゃあ」

「世界を敵に回す価値はあるのさ」

 

『……るるさーん、僕、もうちょっと寝てますぅ――……』

『だーめ! ハルちゃん、昨日まーたお酒呑んでたんでしょ!!』

『あ――……』

 

スクリーンには、ベッドの上、長い金髪を顔に巻き付けて寝ている幼女。

 

普段は無表情なはずなのに、よほど眠いのか顔をしかめてものすごく嫌そうな顔をしていて――はだけたパジャマからは肩がのぞいている。

 

「!!!!!!!!」

「うむ、それでこそ同志よ」

 

「あー、良いわぁ……こんな子の心は男の子ってのがさいっこ――……」

 

「これで言動は男……でも肉体の幼さのおかげで年齢不詳な魅力を発しているんだ。 これでおかしくならない方がおかしい」

 

「合法的に飛べるよね。 私と同じ女の子としても、年上の男の人……男の子としてもいろんな妄想できて」

 

「あ、ちなみにこれ全部ハルちゃんの合意は取ったぞい? 『監視カメラ? こっちでオンオフできるなら良いですけど』と気前よかったし」

 

「……ハルさんならそう言いますよね……」

 

「では、同意が取れたということでよろしいかな?」

 

「ええ」

「もちろん」

「おう」

 

「……それでは各自に資料を配付する。 機密なのはもちろんだが、ここにはそれぞれに頼みたい事項が――」

 

 

 

 

「えみちゃん、今日は遅いってー」

「そうですか」

 

「……ハルちゃん!」

「お風呂なら1人で入ってください」

「まだなにも言ってないよ!?」

 

夕方、だるんとした僕にだるんと被さっていたるるさんがもぞもぞしている。

 

「……さすがに今度は止めますからね、深谷さん」

「もうっ、ちほちゃんも! るるちゃんって呼んでって!」

 

そんな僕たちをしゃきっと……ベッドの端っこに腰掛けた九島さんが見張っている。

 

あと、天井につけられた監視カメラも。

 

……男のときならともかくこの体なら見られても困ることないし、あんま気にならないし。

 

こうやって読書の後で余韻に浸りたいときとかはよくぼーっと見るといい感じ。

 

あれだってどうせあれでしょ?

 

中身男な僕がこの子たちにいかがわしいことしないようにって見張ってるだけなんでしょ?

 

「そうですよるるさん。 そもそも知り合いでも無かった男に裸見られて平気なんですか? ……それともえみさんみたいなヘンタイさんだったり」

 

「違うよ!?」

 

あ、違うんだ。

 

でも君、裸でお風呂突撃してきたよね?

別に何でも良いけどさ。

 

けどえみさん……もしかして今日の配信で叱られてたり?

 

……戻って来たら抱きついて「お姉ちゃん」とか言ってあげよっかな。

 



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4章 実感のない有名な僕と、お忍びリリさんと
39話 お引っ越しって楽しいよね


「なるほど、ここが」

「候補の中からハルさんのご希望に沿うものを選んだつもりですが……」

 

「なかなか良いと思います。 特に家賃がタダってのが」

「あ、あはは……ハルちゃん、人気者になっちゃったからね――……」

 

「るるさんのせいですね」

「そうだね! ……じゃないよ! そうだけど!」

 

今日の僕たちはとあるタワマンってのに来てる。

 

タワマン。

タワーマンション。

 

雲の上の存在って言うよりも、そもそも物理的にもお値段的にも高いところに住むのはめんどいって理由で住みたいとすら思ったことないし、ましてや僕がこの歳で住むことになるとは思ってなかった。

 

そんな、駅前の高いビルの20階のお部屋。

 

うーん……綺麗過ぎて落ち着かない気がする……。

あのボロいけど広いアパートが気に入ってたんだけどなぁ。

 

「後日上司から改めて……とのことですが、ハルさんは今、要保護対象になっていますから、警備のしやすさも兼ねています」

 

「はぁ、たしか外国の人が攫いに来るんでしたっけ?」

「はい……ハルさんの持つ情報があまりにも大きすぎまして……」

 

ポニーテールのまぶしい九島さんが申し訳なさそうに言う。

 

「よく分かりませんけどタダで1室貸してくれるなら何でも良いですよ。 タダほど高いものはないんです」

 

「ハ、ハルちゃーん……ちょっとは悩もうよう……」

「節約は大切ですよ?」

 

なんでもあの配信の最中、僕がるるさんとかに話してあげたいろいろ。

そのうちの何かが……なんかすごいものだったんだって。

 

説明されてもよく分かんなかったのは、僕の頭がめんどくさいのを放棄してるのか、それとも頭のいい人の説明は通り抜けやすいのか。

 

……それとも、脳の処理能力が幼女に近づいているのか。

 

なんてね。

 

今のところそんな気配はないけど、ちょっと言ってみたかっただけ。

 

「ハルちゃんってすごいねぇ」

「配信で完全に呆けていたるるが言うと説得力があるな」

「もー! えみちゃんのいじわるー!」

「冗談だ。 あの配信でるるのファンも増えただろう?」

 

「どーせ私が不幸しなかったのと、ハルちゃんと一緒だからって理由ですよ――……」

「そうむくれるな。 コラボなんてそういうものだ」

 

るるさんが……勝手に備え付けのベッドにダイブしてうだうだしてる。

 

いや、別にいいけどさぁ……君、僕のこと男だって……意識してないよね、そうだよね……。

 

「でもこれからは私たち、ご近所さん!」

「ホテルに泊まってたときと変わりませんね」

「やったねハルちゃん!」

「そうですね」

 

「……そっけないようだが、かと言って突き放すわけでもなく……断ることもあるが基本的にはるるには甘く、読書中に髪の毛をいじらせる優しい幼女……」

 

「ヘンタイさん」

「わんっ!」

「気をつけないとほんと、どっかで漏らしますよ? それ」

「大丈夫だ! 気を張っているときには絶対にならないからな!」

 

「えみちゃん……」

「えみさん、次回のカウンセリングも来てくださいね」

「ああ。 何を話したのか良く覚えていないが、何となく心地よかったからな!」

 

……それ大丈夫なの……?

 

それ本当にカウンセリング?

洗脳とかって言わない?

 

僕からの評価が初日からヘンタイさん、だけども一般的には美人系で女の子にモテるタイプな子って印象のえみさんは今日も元気だ。

 

……僕の何がこの子のロリコン魂に火を付けちゃったんだろうね。

 

僕のせいかなぁ……いや、聞き出した限り元から小さな女の子が好きだったみたいだし、やっぱり最後のひと押しだったんだろうし。

 

ちょっとは責任感。

 

ま、まあ、適度にヘンタイ成分を吐き出させてあげれば良いよね。

幸いにしていかがわしいことして来るわけでもないしさ。

 

……ちょっと残念。

 

「ハルちゃん?」

「何か?」

「……………………………………」

「それよりるるさん」

 

るるさんの変な感じは今でもときどき感じる。

例えば今みたいなときに。

 

……この子も僕みたいにダンジョンの何かで変なことになってるんだ、さらに何か自覚してないものとかあったりするかもね。

 

 

 

 

「しかし良かったのか?」

「踏んであげてないことがですか?」

 

「うむ、非常に悩ましいのだが1回でも幼女のおみ足でふみふみされるという極楽を味わってしまうと」

 

「えみちゃん……」

「……ではなく! 引っ越し! 引っ越しをこちらの業者に任せてしまってということだ!」

 

「あ、そういうことですか」

 

そういえばそうだった。

僕のお引っ越し、こっちに来てから全部任せっきりなんだよね。

 

「楽で良いじゃないですか」

 

「いや、誰だって他人に見られたくないものなどはあるだろう? ホテルへ来てもらうときに身の回りのものしか……」

 

「見られたくないの、あるんですか? えみさんにも?」

 

「うむ、気が付けばクローゼットを埋め尽くすようになっていた、着られもしない女児用の服などが」

 

「うわぁ……」

 

「えみちゃん……」

 

「あっ」

 

「……こちらで処分しましょうか……?」

「これはドール趣味と同じなんだ! 良いだろう、眺めて楽しみだけなんだから!」

 

ぽこぽこ出てくるえみさんの余罪。

 

……これ、男女逆だったらほんとにやばいよね。

 

女の子で生まれてよかったね。

合法的に僕みたいなのとはぐはぐできるし。

 

「はぐはぐします?」

「わんっ!」

 

「ハルさん。 あまり刺激すると危険ですよ」

「? えみさんは同意もない相手を性的に襲う人なんですか?」

「いや、それは絶対にない!」

「らしいですから良いです。 男相手でもありませんし」

 

正直僕的にはえみさんっていう大変に素晴らしい2つと良い匂いを堪能できる相手からは、もっともっとはぐはぐしてもらいたいところ。

 

でもえみさんの将来が心配なのと、九島さんが委員長っぽく叱ってくるのと、なによりもるるさんが

 

「……女の子のえっちな本とか、ないんだ」

 

「女の子がそんなこと言っちゃ」

「ないんだ?」

「あ、うん。 なんならるるさんもお引っ越しのお手伝いしてくる?」

 

怖いからね。

 

ほんとこの子どうしちゃったんだろうね。

思春期だからかな?

 

「……通常の男性は、健康的ならば……」

「やはり少女になる前から何かが……」

「今度えみさんの付き添いという形でメンタルクリニックへ……」

「うむ、ハルも診てもらった方が……」

 

聞こえてる聞こえてる、こっそり話してるけど聞こえてるよえみさんと九島さん……別におかしくないってば。

 

と言うかほんと、どうしてこんな話題になるんだろうね……女の子って猥談……ああ、実は好きなんだって聞いたことあるよ……。

 

あ、ちなみに今は電子の時代だから本当に無いよ?

 

実物はね、だって電子の方がずっと

 

「……………………………………」

 

「あ、ダンジョン関係っぽい弾薬とか武器とかには気をつけるよう言ってくださいね。 扱い方、間違えるとどかーんなので」

 

るるさんに髪の毛をひと房手渡してなだめながら話題転換。

 

「……どかーん?」

「うん、どかーん」

 

「ああ、こちらの手の者だから熟知はしているはずだが……ちなみにどのくらいの威力ものがあるんだ?」

 

「えっとですね。 僕が倒れてくるドラゴンさんからるるさんを助けようとぶっ飛んだときのこと覚えてます?」

 

「!! 私のこと見てたあのときの!」

「別に見て――ああうん、見てたかもしれませんね」

 

嘘は言ってないからセーフ。

 

「あのとき飛んだのって、メカニックな社長さんに憧れて作ったお手製の背負い式ロケットなんですけど」

 

「背負い式ロケット」

 

「うん、背負い式ロケット。 で、あれ、上手に使うと航続距離が……とりあえずダンジョンの50階層から出口まで、階段とかの空間を抜けて行けるくらいにはしてありますから……どのくらいなんでしょうね?」

 

「……50階層……?」

「はい。 リストバンドのって1回使うだけですっごく高いですし。 その点、手作りならほぼタダですから」

 

「こーんな感じの」って腕で形を作って見せる。

 

「ぐふっ」

「ハルちゃん、それかわいすぎるからダメみたい」

 

「まったく、えみさんはわがままですね」

「ぐふっ」

 

「……ハルさん、男性なら分かると思いますけど……そういう行動がえみさんを……」

 

「?」

 

「……ちほちゃん、ハルちゃんってほんとに社会人さん? 高校生……中学生だったりとか」

「戸籍上は紛れもなく成人男性ですが……」

 

今度はるるさんと九島さんがひそひそ。

 

えみさんはびくんびくんしながらうずくまってるけどどうでもいいや。

この状態のえみさんをつんつんするとおもしろいんだよね。

 

「とにかくあれ、落としたりするとすごいことになるので」

「……分かった、伝えておこう」

「鼻血出てますよ」

「うむ、助かる」

 

そう言えばえっちなのとか見たりして鼻血が出るのって、一応はほんとらしいね。

 

まぁ実際に目の前でぼたぼた垂らしてるし。

 

ただし鼻の中の血管が切れるくらいに興奮して血圧とかが上がってる状態に限る。

 

……えみさん、ほんとに僕みたいな幼女が好きなんだね……多分性的に。

 

「一応ここが僕の家ってことになるので、今後はあんまり来ないで」

「ハルちゃん」

「普段離れている方が会っているときの楽しさ倍増って記事ありましたよ」

 

「……ならいいや」

 

良くも悪くもべったりが大好きなるるさんっていう典型的な女の子らしい女の子だけども、僕はひとりでじっとしてたいんだ。

 

ほら、ベッドで何もしないで横たわって存在消すのとか楽しいでしょ?

 

僕自身が世界に溶け込む感覚、楽しくない?

 

「あ、そうだハルちゃん。 ちょっとハルちゃんについて調べてみない?」

 

「え? 僕のこと?」

 

 

この子ほんと大丈夫?

 

「るる、それじゃ伝わらないぞ……ネット上での君の盛り上がりっぷり。 その様子だと全く理解していないようだから心配でな」

 

「あー、なんかすごいことになってるみたいですね」

「……その程度なんですね……」

 

「九島さんだってあんまりスマホとか見てませんから」

「そんな私だって知ってますよ……? 少なくともハルさんよりは」

「む」

 

高校生くらいなこの子たちでさえ当たり前に知ってることを、僕が知らないのってなんかもやってする。

 

ほら、今は無き男だったプライド的な?

 

「ほらほら、解説してあげるから一緒に見ようよ!」

「……まあ、ヒマですし」

 

なーんか正直、この体がまだ別人って感じるもんだから「ネット上の僕」についてもあんまり実感ないんだよね。

 

でも配信とかで反応するときになんかずれてるっぽいってのは薄々分かってたし……見てみるか。

 

めんどくさいけど。



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40話 僕のバズりってやつはなかなかのものらしい。 え? 違う?

【通称「ハルちゃん」。 普通の配信者とかアイドル系みたいに名字とか公式な設定は無し】

 

【「ハル」は多分本名?】

【深く追求すると後述の理由により消される可能性ありとの噂】

 

【ダンジョン配信業界の超新星……というか隕石というか絶滅をもたらす隕石群というか、とにかくやばいやつ】

【たったひとりで何もかもを変えつつある幼女】

 

 【ロリ・ショタ・合法ロリ疑惑の諸説あるが性格な年齢と性別は不明】

【ただし配信での声から、男でも声変わり前のショタなのは確実】

【↑みたいな一部過激ショタ推しはスルー推奨】

 

【殺戮の天使】

【呼吸ごとにヘッドショットする幼女】

【幼女の概念を変えた幼女】

【もしハルちゃんがショタなら俺もショタコンで良いや】

 

【天然さん】

【天然幼女(真性】

【天然幼女(やばいやつ】

【天然幼女(ショタを熱望するやべー勢力含む】

 

【遠距離職・斥候職のことごとくを発狂させた幼女】

【来年からダンジョン研修の内容総取っ替えな噂】

【良くも悪くも革命をもたらした幼女】

 

【デビュー配信(るるちゃんショック以前を除く)からたったの10日で同接世界ランク入りのやべーやつ】

 

【るるちゃんが相方(または保護者、または被保護者、またはヤン……おっと誰か来たようだ】

【「ふたりはるるハル」でのんきに楽しめたのはたったの数時間だけ】

 

【やべーやつ】

【貧乏属性】

【お父さんっ子】

 

【海外からの認知度もやべーやつ】

 

【外国語や機械翻訳で『ハルという子について知りませんか』と来たら黙ってこちらへ通報→<URL>】

 

 

「……なんですかこれ」

 

「ハル」「配信」「ダンジョン」で検索した最初のWiki的なのを上から見たら……なんか変なことになってる。

 

しかも金髪ロングの女の子なイラストがたくさんあるし。

 

……どう見てもその大半は……。

 

「ハルちゃんだね! 人気者だよ!」

「いや、僕こんなんじゃないですよ?」

 

「え?」

「え?」

 

「みんな大げさですね。 ……ああ、これが配信の空気ってやつ?」

 

「……本気で言っているのがハルだよな……」

「ここ数日、本当に本しか読んでいませんでしたものね……」

 

「?」

 

ごくごく自然な形で僕の部屋、僕のベッドでくつろいでいる女の子たちが集まってくる。

 

いや、集まらなくて良いんだけど?

 

「これ、どうしたらいいんでしょう」

「ハルが不快に思うのなら削除申請を出すが?」

「ああいえ、そうじゃないんです。 ただ何て言うか」

 

【『始原』と呼ばれる、チャンネルを開設してから1年以内に登録して現在まで支え続ける10人、それに姉御と呼ばれるショタコンが確認できるだろう】

 

【彼らがハルちゃんの古参と認定されている】

【オフ会でハルちゃんの雄姿を語り合うやべーやつら】

【全員顔見知りらしい】

 

【唯一でハルちゃんとだけがお互いに知らない】

【コメントで曰く「アイドルとファンは明確な区切りがあってこそ」という高潔さ】

 

【だからこそハルちゃんについてリアルを追求してはいけない】

【深淵を覗いてはいけない】

【覗いたら……ごめんなさい冗談ですから助け】

 

「この、男子校の悪ノリそのものです。 僕は共学でしたけど」

 

「……そうだな、こういうのは男性リスナーが多い気がするな……」

「うん、そうだねぇ……女の子はこういういじり方しないもん」

 

「そうなんですか? じゃあ女の子はどんな」

 

「知らない方が良い」

「知らない方が良いと思うよ?」

「知らない方がハルさんのためです」

 

「あ、はい」

 

普段はばらばらなのに、こういうときだけ団結する辺りが女の子だよね……ってのは言わないどこ。

 

確かに男は男なりに、女の子は女の子なりに異性への憧れがあるんだろうしさ。

 

……例えば男は、もう今の時代は紙の本じゃなく電子書籍で

 

「ハルちゃん?」

「僕は不快じゃないですけど、結構ウワサだけが歩いててどうしようかって思ったんです」

「……………………………………」

「ね?」

 

危ない危ない。

 

何でか知らないけどこの子、特定のことを考えるとなんかじとっと見てくるんだよね。

 

「……ハルが不快でなければ現状は放置で良いだろう。 そもそも明らかに悪意のあるものや、偶然であってもハルの真相に当たってしまったものに対しては適切な処置をしているからな」

 

「そうなんですか?」

「ああ、事務所の総力を挙げている」

 

あー、こういうときに事務所さんってのは助かるよねぇ。

中抜きもとい中間管理職的な……仲介業者的なものへの感謝。

 

ああいうめんどくさい仕事してくれるならお金も払いたくなるよね。

 

【本気でハルちゃんの正体を探ってはいけない。 るるちゃんがホーミングしてくるぞ】

 

【配信中のコメントがBANされるレベルのものでない内容でも、特定の話題への粘着は避けるべき。 頻繁にコメントしていたIDが急に沈黙する件が多発している。 これは深谷るるちゃんの不幸が何らかの影響をお呼びしていると推測される】

 

「るるさん?」

「私はなんにもしてないもん」

「ほんとですか?」

「ほんとだもん」

 

ぷいっと顔を背けるるるさん。

 

……まぁあの子が自分で呪い様ってのコントロールできるんなら、死にそうな目には遭わないだろうし。

 

「けどほんと、設定盛られに盛られてますね。 誰? って感覚です」

「ハルにとっては都合が良いだろう。 何しろどこまでが本当か分からないのだからな」

「それもそうですか」

 

木を隠すにはって言う。

 

実際ここまで属性ばっかりだと、この僕を見てもるるさんたちと一緒じゃなきゃ分かんないだろうってくらいにはね。

 

……いや、金髪碧眼っていうのは目立つかぁ……いやまあこれは変装スキルでカラーリング変えられるし……。

 

「それで、次の配信だが」

「出て良いんですか?」

 

「ハルさんは普段、週に3回ほど配信していましたよね。 別に私たちは止めようとはしていませんよ」

「あ、そうなんですか」

 

てっきり止められるかって思ってた。

だからこのマンションからの逃走経路とか確認してたのに。

 

「ただし、ご協力いただけるのでしたら、次はるるさんとの距離を測らせてもらいたいと上司が」

「どういうことですか? 九島さん」

 

「ハルさんとるるさん。 おふたりともがダンジョンの何かしらで今のような状態になっていますよね」

「そうですね。 僕は女の子に。 るるさんは不幸体質に」

 

「その不幸体質の方は……ハルさんが罠を避けるよう誘導してくださったので確実ではありませんが、恐らく『避けられないレベルのそれは、おふたりがすぐ近くに居ると発動しません』」

 

んー?

 

……………………………………。

 

……あー、なるほど。

 

るるさんひとりきりだとドジっ子レベル。

で、僕とある程度近い数階層の距離だと破滅的になってたっけ。

 

でも直近の配信では手を繋ぐ距離で、僕が罠から遠ざけられた。

 

「だから、ハルさえ良ければ」

「僕たちの距離をダンジョンの中で検証するってことですね。 別に良いですよ」

 

「……いいの?」

「と言うか呪い様だっけ? が発動してもケガとかするのはるるさんだし……その対策できてるなら?」

 

高校生にして両親が大ケガしたって言う、るるさん。

 

……僕には言わなかったけど、きっと学校とかでも嫌な思いはしたはずなんだ。

 

「ああ、私たちがるるの周囲を警護する。 今までもそうしてきた。 ハルとるるが同じダンジョンに潜ってしまった最初のときほどのものはなかったしな」

 

「そうですか」

 

つまりは同じダンジョンに潜らなきゃ干渉しない。

 

……あれ、でもそれまでも不幸体質って……まぁいいや、るるさんの世話してきたえみさんの言うことだから何か知ってるんだろうし。

 

けどもあのときは僕が78階層、この子が77階層――落ちてきてそれだから、たぶん10階層くらい離れたところで大変なことになってた。

 

その条件とか知りたいってことね。

 

「それにハルは、やっぱり1人で配信したいんだろう」

「配信と言うよりはダンジョン潜りですけどね。 何て言うか、あの空間が心地良いので」

 

「……心地、良いんですか……?」

「ああ、配信でも言っていたな……」

 

「? 狭くて静かで暗くってひんやりしてるとこって良くないですか?」

「……ハルちゃん、お布団に潜って本読んでるときあるもんね……」

 

何でか知らないけどね。

男のときはここまでじゃなかった気がするけど……まぁいいや。

 

「あ、始原さんたちが『あんなにしゃべって疲れてないかな』って心配してたね」

「なにしろこれまでは配信で会話をされていなかったようですから」

 

「特には。 僕、目的がないと言葉を発しないだけな質なので」

 

特に疲れたとかそう言うことはないけども……ひとりでのんびりが楽しいよね。

 

「では、次はそのように告知しておこう。 明日か明後日にするか?」

「はい、3日以上潜らないと禁断症状が」

 

「禁断症状、ですか?」

「はい、手が震えるんです」

 

いつもしてることを止めると、体がむずむずするよね。

特にこの体は幼いからそういう衝動には敏感なんだ。

 

「……ハルさん」

「九島さん?」

 

「アルコール依存症の治療。 受けましょう?」

 

「え、やですよ絶対どんなことがあってもそれだけは絶対やですそれされるくらいなら隠蔽スキル駆使して逃げおおせますしそれで1年くらいはまた隠れ通します絶対にどんなことがあっても」

 

「……ハルさん、ほとんどのことは心配するくらいに『それで良いです』なのに、お酒と読書だけは……」

 

「それが生き甲斐ですから」

 

生き甲斐だぞ。

なんならお酒止められたら脱走する勢いだぞ。

 

こんな体になったんだ、もし「極悪非道幼女誘拐犯」ってことにされた場合を考えてセーフハウス的なのは何カ所かあるんだぞ。

 

教えてないけどね、誰にも。

 

秘密基地ってのは秘密だから秘密基地なんだから。

 

【なお、配信で飲酒について発言していたが】

【#####このコメントは削除されました】

 

「あ」

 

「こういう感じで完全に抹消はできないものの『さすがにそれは無いな』と思わせられるように記事にも手を入れてある」

「……こういうところにも、全部……?」

 

「ああ。 おかげでうちの事務員たちの今月の給与は先月の倍だそうだ」

「うちは公務員ですので1円もつきませんけど、みなさん楽しそうです」

 

ああ、民間と公営の格差。

 

……機会があったら九島さんとこの人たちに菓子折でも送っとこ。



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41話 『【速報】偽ハルちゃんたちを辻ハルちゃんが襲う』

「くぁ」

 

お昼寝から目覚める僕。

 

お昼寝って良いよね。

この体になってから1日2回くらいするけどほんと気持ちいいもん。

 

特に難しい本と格闘したあとにお酒呑みながらやさしい本読んで落ちる瞬間が最高。

 

「んぁぁ……」

 

静かな室内、ぐっと猫みたいにのびーっと。

 

……良いよね、やっぱりひとりって。

 

今日は誰も来ない日。

これが失われた日常。

 

女の子たちが僕の部屋にたむろしてるのは悪い気持ちじゃないけども、とにかくきゃっきゃって笑い続けてるし僕の髪の毛好き勝手してくるしであんまり気が休まらない。

 

あと、えみさんがいるときに今みたいなことすると確実にヘンタイさんになるから抑えなきゃだし。

 

「ん――……」

 

前は全然見てなかったスマホも、気が付けば習慣でちらちら見るようになってる。

 

「……………………………………」

 

ぼーっとした頭の僕は、ふとえみさんに言われたことを思い出す。

 

『ハルも気が向いたら配信とかを観た方が良いぞ。 普通の配信と言うものをな』って。

 

確かにそうだよねって思ってアプリを開く。

 

そうだ、僕にはいわゆる「普通のダンジョン配信」って言うのの知識が皆無なんだ。

 

だからなんかみんなから変な反応されるんだろうし、ここはお勧めに出て来てる適当なのいくつかお邪魔してみよう。

 

本ばかり読んでいても飽きることはある。

なら新鮮なのを体験しておくのも悪くないだろうし。

 

「……ん」

 

これでいっか。

 

どこかで見た僕って感じのキャラのアイコン。

「ハル」って名前と絵文字で女の子らしい感じ。

 

……?

 

なんで?

 

『見ててください、今からヘッドショットれんぱ……きゃあ!?』

 

【偽ハルちゃん、初心者がいきなり狙撃は無理よ?】

【そもそも銃って反動すごいし】

【下手すると肩壊すから止めた方が……】

 

「……えー……」

 

画面には……頭の上にコスプレ用の王冠っぽいのを乗せた長い金髪の女の子。

 

マントというかローブも着けてて……え?

 

もしかしてこれ、僕のコスプレ?

 

なんで?

 

と言うか撃ってからバランス崩して尻餅ついてるし……。

 

【というか偽ちゃん、ハルちゃんならそんな声出さないよ?】

【うん、配信でも大半の時間は黙ってるし】

【そんな普通に会話しないの】

 

【そもそもハルちゃんならそんな無様は晒さない】

【ハルちゃんは俺たち斥候職の師匠なんだ、許されない】

【もっと勉強しよ?】

【ことごとくダメ出しされてて草】

 

偽ちゃん……偽ハルちゃん。

つまりは僕……らしい。

 

……何でこの子僕のマネしてるんだろ。

 

『だって! お店の人言ってたもん! このスコープあれば初心者でもって!』

 

【ああ……かわいそうに】

【あなた、騙されちゃったのよ】

【いや、品物はそうなんだろう。 けど】

【うん……まともに撃ったことがない初心者じゃあな】

 

【いいカモだもんねぇ……ハルちゃんフィーバーに便乗しようとしてる子にいろいろ売りつけるのって】

【ちなみにその一式、他の配信でもおんなじの着けてる子何人も居るんだけど……おいくらで?】

 

『……にじゅう……高かったのにぃ……』

 

【ああ……】

【ま、まあ、初心者脱出まで続けたらペイできるから……】

【でもケガしないようにね?】

【脱出装置、1回当たりのお代はその何倍よ? 気をつけてね?】

 

【しかし止めない店主も店主だよなー。 この子中1とかだろ?】

 

……20万……え、そんなしょぼい装備で?

 

『……も、もう一度! 今度はちゃんと狙うもん!』

 

【ハルちゃんのマネしないで素直にパーティー組みなって】

【知ってる? ソロって全体の5%も居ないのよ?】

【サッカーとか野球を1人チームするようなものなの】

【みんな優しいな】

【おう、そこそこハルちゃん似かもしれない幼女だからな】

 

『中学生だもん! 今年からなったもん!』

 

【おお……もう……】

【去年までランドセルで草】

【もん! とか言ってる時点で……】

【お前それるるちゃんに言えるの?】

【ごめんなさい】

【草】

 

画面に映ってる子はもたもたと立ち上がって新品っぽい銃を……ああ見てらんない。

 

『えいっ!』

 

【当たってない】

【あさっての方向】

【もしかして:ノーコン】

 

……いや、多分違うなこれ。

 

【ハルちゃん★「その構え方のままで良いから、右目つぶって撃ってみてください」】

 

【え?】

【は?】

【「ハルちゃん★」……えっ】

 

【「ハルちゃん★」の後に、るるちゃんえみちゃんと同じ事務所のマーク……え?】

 

【本人?】

【は?】

【どうせまた偽ハルちゃん何号ちゃんだろ】

 

【アカウントは……待って、飛んだらガチだこれ!?】

【マジ!?】

【草】

【ハルちゃん、以外とフットワーク軽いのね……】

【アクティブ幼女ハルちゃん】

 

【始原だがハルちゃんが書き込みをしたのは初めてだぞ】

【え、始原!?】

【始原までいたのかよ草】

【ああ、俺たちはどこにでも居る】

【始原……!】

【いやちょっと引くわ……】

【草】

 

【これ、そういう企画?】

【いや、辻ハルちゃんだ】

【辻ハルちゃん!?】

【辻ハルちゃんで草】

 

【俺たち始原はだな、偽ハルちゃんの配信を巡回して】

【危なさそうなら最寄りのダンジョンの知り合いを通じて、危険なら助けるようにと伝えて回っているだけだ】

 

【まさか本人が来るとは俺たちも想定外】

【この偽ハルちゃん17号ちゃんにもすでに応援を呼んでいたんだが……】

 

【始原……!】

【やってることはただのストーカーで草】

【事案ですか?】

【でも、一応は人助けだし……】

 

ん、始原さんも居たんだ……ヒマだね。

 

まあいいや、ぽけーっとしてる子に伝えておこうっと。

 

【ハルちゃん★「撃つ直前まで両目閉じて、撃つって思ったら左目だけ開けるのでも良いと思います」】

 

『え!? ハ、ハルちゃん!? うそ!?』

 

【速報・ハルちゃん、偽ハルちゃんの配信に降臨】

 

【天使降臨】

【虐殺天使降臨な】

【いや、これ指導してるから……】

【虐殺天使師匠降臨……?】

 

【ハルちゃん★「フォームは良いし、そのスナイパーライフルも普通に良いやつみたいだから、ちゃんとやれば当たると思いますよ」】

 

『あっ、ありがとうございます! ハルちゃんが私の配信に……ぐすっ……』

 

【なかないで】

【ぺろぺろ】

【でももうすっかりハルちゃん名乗ってたこと忘れてて草】

【だって本人来るとは思わないだろ?】

【まさかハルちゃんまでホーミングしてくるとは……】

 

【ホーミングハルちゃん!?】

【ホーミングるるちゃんより害はないはずだから……】

【草】

 

【というか、そうか。 この子利き目が……】

【あー、なるほど。 逆の目で狙ってたなら外すわな】

 

【それをひと目で見抜いたハルちゃんと、何十分も見抜けなかった俺たち】

 

【やめろ】

【やめろ】

【ごめんなさい】

【生まれてきてごめんなさい】

【ナメクジから生命やり直します】

【大ダメージで草】

 

コメント見てる限りだと、どうやらこの子は僕を騙った……じゃない、いわゆるなりきりコスプレみたいなのをしたかったらしい。

 

集まってる人たちもそれ分かっててからかう感じ……だよね?

 

で、この子。

 

何年分のお小遣いとかはたいてライフルまで手に入れて、お母さんに頼んでダンジョン探索許可取り付けたんだって。

 

偉いね。

 

でも無謀じゃない?

中1でいきなりとか……今どきはこんなもんかな。

 

そうだよね……CMとかでごく自然に「ダンジョンへ行きましょう!」って政府広報出てるしねぇ……。

 

『……当たったぁ!! 買ったときの講習みたいにちゃんと真っ直ぐ飛んだぁ! ……ぐす、ハルちゃんありがとぉぉぉうぇぇぇん……』

 

【偽ハルちゃんおめ】

【でもなるべく早く名前変えた方が良いと思うよ】

【ハルちゃん本人見てるし】

 

【ハルちゃん★「僕は別に良いですけど、マネしてケガしたら痛いですから。 ダンジョンは楽しんでください」】

 

【やさしい】

【良い子だ】

【やはりハルちゃんは天使……】

【本物の幼女だった……】

 

ぺこぺことすんごい勢いで画面に向かって頭下げてる子。

 

……あ、金髪ロング、ウィッグだったのね……取れてる取れてる。

 

「……………………………………」

 

けど……なんだろ。

 

これ、なんか楽しい。

 

「……………………………………」

 

……別のとこも行ってみよっと。

 

 

 

 

【ハルちゃん★「隠蔽スキルが低いときは基本、壁に背中くっつけた方が良いですよ」】

 

【ふぉっ!?】

【え、ハルちゃん!?】

【……本物のハルちゃんのアカウントだ】

 

【え? なんか初心者のところにあのハルちゃんが!?】

【贅沢どころじゃない指導で草】

【いいなぁ……】

 

【俺もハルちゃん名乗って配信】

【通報しました】

【通報したぞ】

【何でだ!?】

【草】

 

 

 

 

【ハルちゃん★「あ、その持ち方間違ってます。 肩抜けますよ? ……あ」】

 

【え、ハルちゃん】

【来てくれたけど……うん……】

【痛そう……救助要請出しな……初心者なら割引あるからさ……】

【うわぁ……】

 

 

 

 

【ハルちゃん★「石はですね、なるべく丸っこいのが良いです。 真っ直ぐ飛ぶので」】

 

【なるほど】

【普段コスト削減に石を厳選しているだけはあるな】

【丸っこいのとか表現がかわいい】

 

【……これ、今をときめく規格外の新人なハルちゃんが、つきっきりで指導してるようなもんじゃ……?】

 

【ハルちゃん★「なるべくいい感じの石を見つけてくださいね。 慣れれば見渡すだけで分かります」】

 

【優しいけど言ってることはスパルタ】

【やっぱり:虐殺天使】

【ああ、俺たちのハルちゃんだ……】

【この偽ハルちゃんも感動して泣きじゃくってる……】

 

 

 

 

【ハルちゃん★「弓矢は真っ直ぐ飛ぶようになってからの方がいいと思いますよ……せめてコンポジットボウ、えーっと、機械みたいなやつで」】

 

【初心者がいきなり弓はやっぱ無茶だよなぁ】

【誰だ! 去年まで小学生だった女の子にこんなもん売ったのは!】

【いや、親からの許可と購入代金あれば断れないし……】

【あ……この子の配信も辻ハルちゃんであっという間に……】

 

【ハルちゃん★「あ、でもフォームは良いのでもう1回……そう、それで矢の方向意識して離してみてください」】

 

【ふぇぇ……贅沢すぎる指導だよぉ……】

【ハルちゃんハルちゃん、これ普通にお仕事。 商売。 多分30分何百万だって出す人居る】

 

【むしろ出すから連絡先ちょうだい】

【通報しました】

【待て、俺は純粋に技術を習いたいんだ!】

【絵面がどう考えても事案ですのでやっぱり通報しました】

【おいぃ!?】

【草】

 

【で、気が付けばいなくなってるのまでワンセット】

【ハルちゃんは、ほら……気分で動く系の天然幼女っぽいから……】

【だてに辻ハルちゃんしてないな】

 

 

 

 

【ハルちゃん★「む、僕はそんなお下品な会話しません。 えみさんに言いつけますよ」】

 

【あーあ、ハルちゃん怒っちゃった】

【まあ当然だな】

【と言うかこの子、なんでハルちゃんが下ネタ系って思ってたん……?】

【あー、配信→切り抜き→MAD→のループでいろいろ混じってる……】

 

【けどえみお母さんに言いつけるとかかわいい】

【ぺろぺろしたい】

【通報しました】

【開示請求】

 

【姉御は勘弁してくれ】

【草】

【本当姉御、どこにでも湧くな……】

 

 

 

 

声が高いけど、ぎり声変わりしてない系の少年の配信。

 

【ハルちゃん★「……なるほど……僕がショタ説ってのになるとそんな感じなんですね」】

 

【声の感じとかそっくりだったし、完全に騙されてたよ俺たち】

【でも本物のアカウントが来ちゃったらなぁ】

 

【でもつまり君は偽ハルきゅんってことね? 後で私のアカウントにいかがわしくない写真送ってくれたら許すわ】

【ああ、かわいそうに……姉御の餌食に……】

【でも保身はしっかりしてる姉御で草】

 

 

 

 

【ハルちゃん★「あ、そこ爆発系の罠あります。 あ、そこから2時の方向、1メートル先は転送の罠です」】

 

【え?】

【なんで?】

【えーっと……ハルちゃん、なんでそんなの画面越しで分かるの……?】

 

【ハルちゃん★「なんとなく。 試しに石投げてみてください」】

 

【どかーん】

【えぇ……】

【いくらハルちゃんでもそんなはずは……マジかよ】

【罠の種類まで合ってる!?】

【なぁにこれぇ……】

 

【ああ……偽ハルちゃん、辻ハルちゃんのやばさを目の前で見てこの前のるるちゃんみたいに……】

【草】

【画面越しでも容赦ない幼女】

 

 

 

 

【ハルちゃん★「るるさんたちとですか? えっと、るるさんはお風呂に入ってきた程度ですけど」】

 

【程度!?】

【なにそれ、ハルちゃん的にはその先があるってこと!?】

【ここに塔を建てよう】

【こ、今度ぜひえみお姉ちゃんとのお風呂実況を……】

 

【偽ハルちゃんの配信がすっかり辻ハルちゃんに乗っ取られてて草】

【ま、まあ、最初に乗っ取った……のは偽ハルちゃんたちの方だし……】

 

 

 

 

【ハルちゃん★「コアですか? ……とりあえず目がしょぼしょぼするくらいの時間、じっと観察してみてください。 はい、まずは6時間くらい。 なるべく目を閉じないで」】

 

【草】

【アドバイスが完全に根性前提なんよ】

【いやまあ普通の人には見えないんだし……】

 

【偽ハルちゃん偽ハルちゃん、君は素直にパーティー組んで普通にやった方が良いと思うよ……?】

【うん、その方がよっぽど楽だと思う……】

 

【優しいコメントのはずなのに言ってる内容で諦めさせる高度な会話技術よ】

 

【いや】

【ハルちゃんだから多分何も考えてない】

【考えてたらハルちゃんじゃない】

【みんなの信頼で草】

 

 

◇◇

 

 

「楽しかった……」

 

気が付いたら何時間か経ってたらしい。

 

……他の人の配信にお邪魔するって楽しいかも。

もしかして僕、配信の才能が……なさそう……。

 

けどそっか。

 

僕、そこまで有名になってたんだね……僕のマネした子たちが出るくらいには。

 

なんかちょっと恥ずかしい気がしてきた。

 

「もうひと眠り、しよ……」

 

慣れないスマホでのチャットばっかりして疲れたからか、もう1回眠くなった僕。

 

もぞもぞと新しいお布団に潜り込む。

 

……ん、るるさんの匂い。

 

 

 

 

【速報・ハルちゃん、辻ハルちゃんとなり偽ハルちゃんたちを一掃する】

【最近乱立してたハルちゃんを名乗るアカウントも落ち着くか】

 

【ダンジョン協会からの声明『ハルちゃんという子のマネは大変に危険ですから止めましょう。 初心者は保護者や監督と一緒に』】

 

【ハルちゃんの衣装一式を売りつけていた悪徳業者、何故か自首してくる】

【『勘弁してください』以外会話が通じず、何らかの脅迫があったと……】



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42話 お出かけ、からの救助要請

「ハルちゃんかわいい!」

「そうですか」

 

「次はこれを」

「そうですか」

 

「……私はこれが似合うかと……」

「そうですか」

 

呼び出しから帰ってきたえみさんはぬけがらみたいだった。

 

それこそ抱きついてあげても「お姉ちゃん」って呼んでもあんまり反応しなくって、横になってたところを踏んづけてあげたらびくんって生き返ったくらいには。

 

「ハルさん……あまり無茶はしないでください……」とか、急によそよそしい感じで言ってたし。

 

ラフなのが良いって言ったから呼び捨てにしてくれてたのにね。

だから多分相当怒られちゃったんだろうなって予想がついた僕。

 

……こんな子供に僕の不始末を押し付ける形になっちゃった罪悪感で「明日、服見に行っても良いですよ」って言っちゃった結果がこれだ。

 

ま、まあ、この前来たときよりは耐性ついてるから……。

 

そんな僕たちは、なんとモールのワンエリアを丸ごと封鎖しての服選び。

 

……こんなことしたらまた怒られるんじゃ……とは思ったけども、僕の秘密保持のためらしいから良いらしい。

 

僕は別に顔とかバレても平気なんだけどなー。

別にひとりで出かけるなら隠蔽スキルで目立たなくなれるし。

 

「はい、はい……ただいま撮影中でして」

「あと20分ほどでご入店いただけますので……」

 

僕の警備の人たちも私服でお店の前とかを封鎖中。

お店には許可取ってるらしいけど……普通に買い物に来てる人には申し訳ない気持ち。

 

「ここまでしなくても良いんじゃないですか?」

 

「はい……いや、うむ、ハルさん、じゃない、ハルだけならまだ良いのだが」

「私たちもいるからねぇ……」

 

「既に顔が売れているおふたりとの買い物ですと、こうするしか……」

 

思い思いの服を腕に更衣室の前を陣取っている3人。

 

うん……そうだよね、るるさんもえみさんも変装こそしてるけども、その組み合わせだと分かる人は分かるよね……しかも僕疑惑な幼女までいるし。

 

「念のためですが……彼女たちの個人情報を流出した場合、こちらの書類の通りに刑事事件となりますので……」

 

遠くではお店の人たちが黒服な警備の人たちに絡まれて、もとい言い含められてる。

 

そうだよね、今って結構お店の人とかがお漏らししちゃうもんね。

 

「ハルちゃんハルちゃん、その服、どう?」

「……スカートがひらひらしてて動きにくいです」

「でもハルちゃんって大半の時間は寝そべってるよね?」

「む、そう言えばそうですね。 じゃあ関係ないか」

 

上はレースとかが細かいシャツに下は長めのスカートな金髪幼女。

 

それが今は僕だ。

 

服の種類とかはさっぱりだけど、ぱっと見た感じでもお洒落って感じる服装。

この組み合わせを選んでくるのがさすがは女子って感じ。

 

男だとこういうのはさっぱりだもんなぁ……家にあった、数少ない女の子な服だってそのへんの格安チェーン店の子供っぽい服だったし。

 

あとは首にネックレス的なのと手首に……はリストバンド着けて来ちゃったから片方だけブレスレット、髪の毛にはなんかいろいろ刺さってて厚底な靴ってチョイス。

 

結構良いお店っぽいし……これ、もしかしなくとも上から下までで10万とかするんじゃ……?

 

何その、男物なら何年分のオールシーズン着回せる金額……女物って高い。

 

いや、違うな。

女物は種類が細かすぎて装備できすぎるから問題なんだ。

 

「けどハルちゃん、ツーサイドアップも似合うね!」

「あれ、これってポニーテール……じゃなかったですね」

 

「そうですね、髪の毛の左右を一部だけ結ってそれ以外は流すものはツーサイドアップと呼びますね」

「そのへんは男なのでさっぱりです」

 

彼女たちの話をうわの空で聞いてたところによると……ことファッションになると、どうやら男と女では使っている言語が違ってくるらしい。

 

すごいね。

 

僕なんて九島さんみたいなポニテくらいしか知らないよ。

 

ちなみにえみさんみたいに、肩くらいの長さでときどき一部を三つ編みっぽくしてるのとかは何て呼ぶんだろうね。

 

別に知らなくていい情報だから聞かないけども。

 

「任せて! 私たちでコーデしてあげるから!」

「そうですね、めんどくさいのでお願いします」

 

「……ハルさん、それでいいのか……?」

「はい。 別に抵抗ありませんし」

 

まだえみさんが微妙に戻ってないけども、僕を着せ替えしつつのお買い物ということで大分戻って来た様子。

 

何着か服着替えた甲斐はあったかな?

 

「あれ? みんな、リストバンドは? つけてないんですか?」

 

「え、だって今日はオフだし」

「町中で緊急離脱装置をつけているとダンジョン関係者とひと目で分かってしまうからな」

 

「そうですね、おふたりは有名人ですから……手首の出ない服装でなければその方が良いんですね」

 

「ちほちゃんは元から着けてないよね!」

「ええ、私はその通報から駆け付ける方ですからね。 直接私のスマホの方に来ますし」

「そっかー」

 

だからさっきから3人でブレスレットとかをきゃっきゃしながら選んでたんだね……姦しいね。

 

まぁそれを僕も着けさせられるわけだけども、この細い手首の都合上合うのはちょっとだけだからそんなに困らない。

 

「でもハルちゃん、とうとう女の子なおしゃれに目覚めたの!?」

「あ、いえ。 ……そうですね、毎回買ってきてもらうのも悪いと思って」

 

本当は年下の女の子なえみさんに責任押し付けちゃったっていう罪悪感からなんだけどね。

 

けどもそこは年上の男としては言わない。

察せられてるとしても、そこは男のプライドだ。

 

「あと20分ですから……お会計も考えますとそろそろ候補は絞った方が良いかと」

「全部ではダメか?」

 

「えー、すごい金額に……あ、そっか、マネージャーちゃんが経費で良いって」

「半分はうちから出ますからね。 ハルさん関係ですから」

 

衣食住。

 

そのうちの衣は今みたいに経費、食もお弁当とか食材とか買ってきてくれるから多分経費、住も経費のはず。

 

……あれ?

 

僕、本とかお酒……も警備の人たちに頼んで買ってきてもらってるから、本くらいしか生活コストかからない?

 

え?

 

何これ、僕、この歳にしてなんかすごいことになってる?

 

「ハルさ……ハル、次はこの服を」

「あ、はい……すごいふりふりですね」

「うむ、動くたびにリボンが私の情動を」

「着て来ますね」

 

ここには警備の人たちと箝口令敷かれてるお店の人たちしかいない。

とは言っても一応はアイドルしてるえみさんだ、イメージは守ってあげないとね。

 

「……うぇ、これどうやって着るんだろ……」

 

女の子の服は装飾が多くなるほどに着るのが難しくなる。

 

……僕なんて女の子の格好するとしても、せいぜいが普通のシャツに普通のスカート、靴下とスニーカーで良いのにね。

 

まあしょうがない、幼女になった以上着せ替え人形さんは諦めよう。

 

それでこの子たちのかわいがりたい欲がちょっとでも収まれば――

 

「!」

 

ぶぶぶぶっと震えるリストバンド。

 

……え、救助要請?

 

今?

 

ここで?

 

 

 

 

「……………………………………」

 

「ねーねー、やっぱりこっちの方がハルちゃんに似合うよー」

「しかしだな、シックな色合いだと一気にお嬢様風味が……」

 

「あ、あの、ハルさん、普通のシャツとパンツの組み合わせも欲しいと前に……」

 

救助要請。

 

近くのダンジョンに潜っている誰かが自分で押すか、意識を失ったり脈拍とかが乱高下したら自動で送信されるもの。

 

スマートウォッチ的なリストバンドの液晶パネルをのぞき込むと、どうやらここから1キロも離れていない場所にダンジョンがあるらしい。

 

あー、こんだけ近けりゃ潜ってなくても通知来るのかぁ……普段はダンジョンの中とか隣のダンジョンくらいしかだもんなぁ。

 

けど、ここは都会。

 

僕が行かなくても誰かが――――――。

 

「……………………………………」

 

ちょっと前。

 

るるさんって子が……僕が間に合わなかったら、多分、死んじゃってたあのとき。

 

あのときは僕が居たから助けられたんだ。

 

こうしてカーテンの向こうできゃっきゃして楽しそうな、女の子のこと。

 

救助要請は義務だけども装備を身に付けてない、こういうオフのときは対象外。

 

車で来たけども、道の両側にはたくさんの人が居た。

 

こんだけ人が集まってるなら、僕以外にもオフのダンジョン関係者はいる。

 

なんなら九島さんの同僚の救護班さんたちだって、きっと近くに本部があって車で駆け付ける。

 

それにそもそもそのダンジョン……リストバンドの情報を見ると80層っていうまあまあでかいとこらしい……の中だって、休日の昼間なんだ、潜ってる人がわんさかいるんだ。

 

だから大丈夫。

 

僕が行かなくたって、誰かが。

 

「あー、この服着たハルちゃんとお出かけしたいなー」

「広い公園で平日とかでしたら……」

 

「……………………………………」

 

――いや。

 

鏡の向こうの、金色の髪の毛をツーサイドアップってのにしてて、おしゃれなシャツで手首まで覆われてて片方はブレスレットつけてて、スカートにもリボンとかベルトとかがついててぴったりフィットなタイツな僕と目が合う。

 

――うん。

 

僕の性格的に、例え杞憂でも無視はできないよね。

 

耳を澄ませても、僕の着替えの遅さを知ってるからか3人は楽しそうにおしゃべりしてるだけ。

 

探知スキル。

 

――非常階段使えばかなり楽に外に出られるみたい。

 

隠蔽スキル。

 

誰にも見つからないレベルまで……人にぶつかられちゃったりするくらいまで落として、さらには念のために髪の毛と目の色を黒にカムフラージュ。

 

これで……うん。

 

どう見ても良いとこのお嬢様って感じな、黒髪黒目なツーサイドアップの女の子になった。

 

「……みんな、ごめんね?」

 

ここでみんなに言っても大ごとになるし、「どうしよどうしよ」って絶対もたもたする。

 

その数分がもったいない。

そもそも助けに行くなら僕が1人でこっそり行く方が早い。

 

だから僕は――また、脱走した。

 



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43話 『80Fダンジョン攻略RTA&救出作戦』1

「と言うことでるるさん以来の救助要請行き……あ、意外と最近ですね、救助要請」

 

【草】

【まーたゲリラ配信してるよハルちゃん……】

【意外と最近も何も、まだ2週間経ってないんですけどそれは】

【まぁ救助要請は待ってくれないし……】

 

どうしよっかなって迷ったけども結局配信することにした。

 

や、配信機材もダンジョン前のお店で買えるって聞いて……ほら、懐が温かくなったから試してみたくなってね?

 

【けど救助要請に駆け付けるって本当だったんだな】

【今日は配信の予定なかったし】

【と言うかこんなときでもひとり?】

【援軍、総勢1人!】

【しかも幼女!】

 

【援軍総勢1人の心強さよ】

【普通なら絶望する数だけどハルちゃんショック以降は流れが変わったな】

【ハルちゃんショックで草】

【まーたワード爆誕してるよ……】

 

「今日は普通に町で買い物してたらリストバンドが反応したので……ダンジョン前のお店で普通の装備買ってきてます」

 

【え?】

【それ普通じゃ……いやハルちゃん普通じゃない子だったわ】

【草】

【普通とは……普通とは一体……】

 

【お出かけってるるちゃんたちと?】

 

「あ、はい。 そうです、誰か2人に連絡しといてください。 急いで来たので、多分今ごろになって僕が居ないって慌ててるはずなので」

 

【えぇ……】

【草】

【悲報・ハルちゃん脱走癖ついちゃった】

【飼い猫かな?】

【野良猫かもしれん】

【まぁ経緯が経緯だし……】

 

【脱走幼女とか斬新すぎる】

【保護者はどこだ!】

【えみちゃんたちってことになってるんじゃ?】

【もうだめだ……】

【草】

 

【とりあえずSNSでリプ飛ばしといた。 事務所の担当がこの時間見てくれてたら気が付いてくれるだろ】

【と言うかせめてハルちゃん電話1本しなよ……】

 

「いえ、時間がもったいないので」

 

スナイパー職にとって、心拍数はかなり大切。

 

僕的には50くらいが1番当てやすい感じだけども、今回は結構急がなきゃいけないかもしれないってことで無理のない範囲で走る予定。

 

【他のパーティーは来てないのん?】

 

「何組か見かけましたけど、入り口で要請出した人たちの話聞いてたので置いてきました」

 

【草】

【草】

【ひどい】

【いや、そこは聞きなよ】

【協力すれば良いのに……】

 

【足手まといは置いてきた!】

【えぇ……】

【ハルちゃん、人の話……いや、ハルちゃんはもうそれでいいや……】

 

【ま、まあ、実力はあるから……】

【ついでにあのるるちゃんを助けた実力もな!】

 

【あ、じゃあ大丈夫だわ。 あの不幸っぷりを超える人なんていないだろうし】

【草】

【そう言えばもう不幸のるるちゃんって言われなくなったね】

【そのへん全部ハルちゃんが持ってったからな】

 

【と言うかハルちゃん……走ってる?】

 

「ちらっと聞いた話だと、そのパーティで取り残された人、ボスフロアだそうなので急ぎます」

 

【えっ】

【うわ、かわいそ】

【と言うか1人かよ……】

【あ? 見捨てられた?】

 

「事情はそのうち分かると思いますけど……みんなぼろぼろだったのでしんがりを引き受けたのかもしれませんね」

 

何となくヤな予感がしたもんだから、お店でも速攻で必要なものだけ買ったし、その人たちの話も装備してるあいだに聞いただけ。

 

ひょっとしたら聞き間違いとかあったかもしれないけども、今はボスフロア……何階層か分からないけども、そこに1人で。

 

救助要請してるってことは、その子のリストバンドは壊れてるか無くしたか……それともパーティーの誰かのために譲った可能性が高い。

 

――つまりは、あのときのるるさんと一緒で死んじゃう可能性があるんだ。

 

「と言うことで、今からこのダンジョンを最速で突破します。 あ、配信してるのは新型の配信機材に心惹かれたとかじゃなくって、最新機能がいろいろおもしろそうだからじゃなくって、えみさんたちが心配しないようにってのと現在地と状況を共有するためですから私欲じゃないですから経費にしてくださいって言っといてください」

 

【ハルちゃんめっちゃ早口で草】

【ハルちゃんこんな長文しゃべれたんだ……】

【よくかまないね……走ってるのに……】

 

【なるほど、配信機材に惹かれたんだな】

【分かる】

【新しい機械って欲しくなるよね……】

【すっごくよく分かる】

 

【けど新しいのって……えっ】

【あの、haruzon見たら今月発売のって3ケタ万円なんですけど……】

【経費でできるならまぁ……】

【あ、そうだったな。 もう個人じゃないんだもんな】

 

【ちょっと悲しい】

【始原は悲しい】

【始原しょんぼり】

【始原はしょんぼりしています】

 

【泣かないで】

【唐突な始原で草】

【まぁハルちゃんの配信なら来るよね……】

 

「じゃあウォーミングアップも終わったので全力で行きます。 画面酔いとかは……カメラの補正に期待ですね」

 

【OK】

【……待って、これ、今からハルちゃんの全力ってこと?】

【しかも市販品の装備で……】

【これでようやくスペックの比較が……できないか】

【草】

【ハルちゃんのスキル、ほんっといろいろおかしいから……】

 

「……ふっ」

 

ダンジョン内でレベルアップすると、普通じゃ無理なくらいまで体が鍛えられる。

 

それはもう、こんな幼女なのに何時間でも止まらずに走ることができるくらいには……ものすごく疲れるからやりたくないけどね。

 

【うわようじょはやい】

【ちょ、こんな全力じゃすぐスタミナ切れちゃう】

【あ、RTAだから石拾いとかしないのか】

 

【なんか普通の配信っぽいな】

【多分すぐに普通じゃなくなるだろうけどな】

【ああ、そんな信頼がある】

【絶大な信頼がな】

【草】

 

今日の目標は配信でもドロップでの稼ぎでもレベリングでもキャンプでも遊びでもなく、人助け。

 

ひょっとしたらすでに潜ってた人がその人のところに近くなってるかもしれないけども、途中で手間取ったりしてたら間に合わない可能性もある。

 

――僕は、なんだか知らないけども特別な力を持っちゃってる。

 

ついでに女の子になっちゃってる。

 

持ってない男のときからもそうだったけども、僕の私生活はどうでもいいとして――誰かが困ってるのに僕の力を使わないとかはできないんだ。

 

そういう性分だからしょうがない。

 

目の前で倒れてる人とか居たら、勇気があるとかじゃなくって見捨てるってのができないだけの臆病者。

 

【あ、モンスター】

 

たんっ。

 

たんったんっ。

 

【はやい】

【速攻で吹き飛ばされてて草】

【え、今ハルちゃん走りながら撃ったよね……?】

 

【あの、普通は今の距離のモンスター、止まってないと当たらないと思うんですが】

【そこはまあハルちゃんだし?】

【ハルちゃんだしなぁ】

【ハルちゃんってことでなんかもう何でもアリな気がしてきた】

【草】

 

【あ、ドロップ拾わないんだ】

【救助要請だしな】

 

【石拾いもドロップ漁りもしないハルちゃんが斬新すぎる】

【そもそも画面がこれだけ速く動いてるのも斬新すぎる】

【走ってるのも斬新すぎる】

【アクティブすぎてハルちゃんじゃない気がしてきた】

【草】

 

ドロップがもったいないって思ったのも最初だけ。

 

何回か倒して素通りするのを経験すると、だんだん気にならなくなってきた感じ。

 

【三日月えみ「この度はうちのハルがご迷惑をおかけしております」】

【深谷るる「ハルちゃん!? すっごく探したんだよ!? 誘拐かってみんな心配したんだから!」】

 

【あ、保護者】

【あと被保護者】

【被保護者で草】

【せめてお姉ちゃんと……ああうん、るるちゃんだからね……】

 

【と言うかハルちゃん、時間節約のために配信を連絡に使うとか斬新すぎん??】

【今日は斬新なことばっかりだな】

【えみお母さん、娘さんのことはちゃんと面倒見て?】

 

【いや、無理だろ……ハルちゃんだぞ?】

【それもそうか】

【なんかふらっと放浪してるイメージしか無いもんな】

【草】

【草だけど言われるとほんとそう】

 

「次の角に2体っ」

 

普段しないようなスピードレース。

 

ちょっと楽しくなってきた僕は「そういえばちゃんとした実況ってのしなきゃ」って思い出す。

 

「モンスターたちがこっち見てても、僕が足音立てていないので3秒は反応しませんっ」

 

きゅっと通路の角に到着して足をグリップにして直角に曲がる。

 

【そうなの?】

【知らん】

【知るもんか】

【草】

 

【いや普通はそもそも曲がった角の先のモンスターなんて探知しようがないんですが?】

 

【探知スキルあげたらできるん?】

【お前が耳を澄ませていたとして、廊下の曲がり角で動いてもしゃべってもいない人の存在を把握できるか?】

 

【ああ無理だわ】

【そうだよ……無理なはずだったんだよ……】

【よっぽどあげたら多少分かるかもだけど、何匹かまでかは……】

 

【あ、ほんとにいた】

【そしてもういなくなった】

【草】

【なぁにこれぇ……】

 

うん、実況ってこういうのだよね?

 

多分。

 

【と言うかさ、角の先に居たモンスター確かに硬直してたわ】

【まぁ多分人間でも同じだけどな】

【ハルちゃんこそ足音立てずに曲がり角から飛び出したんだもんな】

 

「で、今日はショートカットしたいので」

 

目の前にある下への階段の横を全力疾走。

 

【え?】

【ハルちゃん速すぎて通り過ぎちゃった?】

【でも今ショートカットって】

 

「るるさんが何回も落ちた、落とし穴の罠を使います」

 

【は?】

【え、今なんて?】

【うっそでしょ】

【もー、ハルちゃん冗談……え?】

 

【深谷るる「私はともかく危ないよハルちゃん!?」】

 

【るるちゃん、ともかくって】

【まぁるるちゃんだし】

【そうだったな】

 

【るるちゃんってなぜか致命傷だけは避けてたもんね……ハルちゃんのとき以外は】

 

たんっと罠のスイッチを撃ち抜くとがこっと下に穴が開く。

 

【マジだ】

【あの、今ハルちゃん……罠を撃ち抜いたように見えるんだけどて】

 

「で、ここからダイブします」

 

【えっ】

【えっ】

【え?】

 

【深谷るる「ハルちゃーん!?」】

【三日月えみ「ハル、それは危険だから止」】

 

普段はやらないけどもやるときはやる飛び降り。

こういうのって最初は怖いけど何回かやれば慣れてくるよね。

 

「落ちるときは片目閉じておいて下の階の地面がちゃんと見えるようにして」

 

【今落ちるって言った!】

【言ったな】

【飛び降りてる自覚はあるんだ……】

【なぁにこれぇ……】

 

「で、地面が迫ったら」

 

【ひゅんってしてる】

【怖い】

【地面が】

【上から】

【ああ! 上に! 上に!】

【ハルちゃんケガしないで】

 

「手を伸ばして触れる瞬間に」

 

ぱりんっ。

 

寒い冬の日、大きめの水たまりの上に張った氷を地面に叩きつける感じのいい音。

 

攻撃を受け流すスキル、それを慣れたタイミングで発動。

僕の自由落下のモーメントは失われて、ふわっと一瞬浮いて。

 

「ほらね?」

 

すとん。

 

む、着地が微妙にぐらついた……最近やってないからなぁ。

 

「今日は慣れてない装備ってのもあるんですけど、普段はちゃんと綺麗に着地できるんですよ?」

 

【草】

【どんなこだわり!?】

【えぇ……】

【本当にぴんぴんしてて草】

【高度な内容過ぎて誰も分かんないよハルちゃん】

 

【ダンジョンの1階層分って……何メートルよ?】

【多分5メートル……10メートル行くところもあるよな】

【大部屋だと20、30メートルくらい?】

【ここは通路だから10メートルくらいか……?】

 

【深谷るる「        」】

【三日月えみ「肝が冷えました」】

 

【だって幼女飛び降り事件だもんな】

【それなのに平気そうすぎるハルちゃん】

【なぁにこれぇ……】

【草】

 

「じゃあ……あ、隣の部屋にまた落とし穴」

 

【え、何この幼女……自分から落とし穴探してる……】

【確かに階段使うより速い……か……?】

【いや、普通はこんな方法しないぞ】

【と言うか待って、今隣の部屋の罠探知したのこの子!?】

 

【そもそも普通はどれだけ急いでいても階段使うよね】

【そもそも普通は飛び降りるなんて発想は無い】

【そもそも普通は落とし穴をショートカットに使うっていう発想できない】

【そもそも普通は地面にぶつかる瞬間に謎の力発生したりしない】

 

【と言うか今の本当……何?】

【俺たちが知るもんか】

【上位ランカーのえみちゃんとるるちゃんさえ知らなかったんだぞ?】

【いや、飛び降りたの見てフリーズしてる可能性】

 

ふと、そういえば女の子になってからこれやると髪の毛ぶわってなって大変なのにって思いつく。

 

あ、そっか。

 

るるさんたちに……えっと、つーさいどあっぷ……?

とにかくツインテっぽいのにしてもらったからばらけにくいっぽい。

 

なんか今日に限ってこの髪型で助かった感じ。

 

「落とし穴の中まではモンスターも追ってこないので、さっきみたいに罠を撃っちゃってさっさと落ちますね」

 

【ハルちゃんがアクティブ過ぎて草】

【心なしか生き生きしている】

【すっごく楽しそうだね】

【かわいいね】

【やってることはえぐいけどな】

 

【なぁにこれぇ……】

【なぁにこれぇ……いやほんと】

【これがRTAですか?】

【知らない、こんなRTA知らない】

【RTAってなんだっけ……】

 

【ハルちゃんハルちゃん、普通はね、ダンジョン攻略RTAって普通に階段使うの……階段でどれだけ荷物整理と準備できるかを競うの……】

 

【偽ハルちゃんたち! これは絶対に真似しちゃいけないからな!】

【安心しろ、普通の人間は試そうとすら思えない】

【普通の人間は落とし穴ですら怖いから】

【多分ドン引きしてるから安心して?】

【草】

 

【あっあっ】

【ボア系のモンスターがこっちに】

 

【あっ】

【「ぶぎー!?」】

【悲報・モンスターさん、ハルちゃんのせいで落とし穴落っこちた】

【草】

【かわいそう】

【なるほど、こんな手が……思いつけねぇよ!?】

 

【で、華麗にダイブするハルちゃん】

【なんか2回目だと目が慣れるね】

【そうだね、心穏やかだね】

 

【お前ら調教されすぎじゃない?】

【だってなんかよく分かんないけどすごいんだもん……】

 

【なぁにこれぇ……】

【分かる、何も考えないでそればっか言ってたい気持ちはよーく……】



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44話 『80Fダンジョン攻略RTA&救出作戦』2

「ふぅ。 ひと休み」

 

ずっと走り続けなことと、なによりも話してるので普段より早めに疲れてきた僕。

 

少ない魔力で体補強して走り続けてるのもあるけどね。

たくさん残ってたらもっと楽だったんだけどなぁ。

 

【ちゃんと自分の体力把握できてて偉いね】

【でもどう考えても走り始めてから1時間経ってるんだよなぁ……】

【おかしいよね?】

 

【この前見た国内ランク80位くらいの前衛たちでも10分に1回は休憩挟んでたのに……】

【ま、まあ、レベル高ければ身体能力も高いはずだから……】

【ま、まあ、映ってないけどスカウトってことで軽装備なはずだし……】

 

【それでもこんなの普通はできないんだけどなぁ……】

【踏みたくない罠はとことん回避してモンスターは見えない距離からヘッドショットだもんねぇ……】

【なぁにこれぇ……】

 

【と言うか今何層?】

【カウント班はどこだ!】

【49層だよ】

【ありがとう】

【いいよ】

【やさしい】

 

【なんだか視聴者同士の奇妙な連帯感があるな】

【もしかしてこれが……】

【始原が生まれた理由……】

【草】

 

【ああ、繋がってしまったな……】

【繋がっちゃったね(通算2度目】

【ハルちゃんの配信はなんでこうも全てが繋がるんだ?】

 

【ハルちゃんだからじゃない?】

【ああうん、もうそれでいいや】

【草】

 

「くぴくぴくぴくぴ」

 

あー、運動後の水分補給は最高だね。

入り口の自販機で買ったスポーツドリンクが染み渡るー。

 

【\500】

【\5000】

【\10000】

 

【無言の投げ銭】

【だって……良いものだろう?】

【ああ……】

【やべぇ、俺ロリコンじゃ無かったはずなのに】

【娘が欲しくなってきた】

 

【みんなロリコンになーれ☆】

【やめろ】

【本当になるだろうが】

【この欲望をがんばって押さえてるのにひどい!】

 

【草】

【性癖さえ殺戮するハルちゃん……】

 

「ぷはっ……さすがにちょっと疲れましたねぇ」

 

【ちょっ……と……?】

【ごめん、ちょっと何言ってるか分からない】

【あのねハルちゃん、普通の人はもっと早く疲れるの】

【49階層までノンストップって……えぇ……】

 

【落とし穴……どんくらい使ったんだ?】

【カウント班!】

【22回だな】

【助かる】

 

【つまり半分くらいスキップ?】

【歩き回って階段探さなくて良いからほんと早いのね】

【えぇ……】

【こんな裏技あったのね……】

 

【あったらしいね。 ハルちゃん以外今日まで誰も知らなかったみたいだけど】

【知るもんか】

【知っててたまるもんか】

【誰が落とし穴の罠自分から起動して飛び降りるのよ】

 

「あ、このショートカットですけど、慣れてない人はマネしないでくださいね。 やるならちゃんと50センチくらいの安全なところからちょっとずつ練習しないと」

 

ふと僕を真似してたあの子たちを思い出す。

 

しないとは思うけども、子供は大人に憧れちゃうものだし……あ、今の僕幼女だったっけ。

 

【大丈夫、普通の人は下の階に飛び降りる勇気無いから】

【あってたまるもんか     いやほんとうに】

【なぁにこれぇ……】

【お前らそればっかだな】

【常識を破壊された奴の鳴き声だ、哀れんでやれ】

【草】

 

息を整えるあいだに買ったばっかりの荷物を確認。

 

リュックいっぱいに買っておいた弾薬はまだ7割くらいある。

 

それ以外の装備品とか換金忘れてるドロップ品とか、スーパーの買い物したのとか読みかけの本とか、いざってときのための避難先の鍵とか……あとダンジョンで拾ったあれこれは、この前拾った汚い袋の中に入ってる。

 

これ便利だよねー、なにしろ重さも無いし音もしないからね。

 

あと物が腐らないらしいのも嬉しくって、ちょっと漁ると何日か前に買ったつまみとかが出てくる優れもの。

 

念のためにって大切な荷物はリュックの中だけども、今度から弾薬とかも全部袋の中でいいかなぁ。

 

【三日月えみ「先ほど、ハルの潜っているダンジョンの事務所に到着しました」】

【お姉さん!】

 

【三日月えみ「視聴者のみなさんへも情報共有です。 救助要請は継続しており、リストバンドは着用――ただし本人の物ではなく、強い衝撃で故障したパーティーメンバーのもの、とのことですが現在も連絡は付いています。 また、すり傷程度の軽症だということです」】

 

【三日月えみ「要請を出しているのはパーティーから取り残される形となった女性1名。 状況と実力を判断し、パーティーメンバーの中で自分から残ったようです。 名前は非公開ですが、いわゆる上位陣の経験があるようですから直ちに問題はないとのことです」】

 

【深谷るる「ハルちゃんが電話にさえ出てくれたら教えられるのに……今のところは大丈夫だって知ってたらこんな無茶な攻略しないのに……」】

 

【草】

【あ、思ったよりも状況は良いのね】

【でも全力で急ぐハルちゃん偉いよね】

【まぁでも誰もここまでの無茶して向かえだなんて言ってないけどな】

【ハルちゃんは良い子なんだ……ただちょっと、ね……】

 

【あ? ちょっと……何だ?】

【ちょっとおかしい】

【まあな】

【草】

 

【けどこの前えみちゃんに言われたはずなのにマナーモードにしちゃってるハルちゃん】

【いや、脱走してるときに切ってたままなんじゃ?】

【草】

【えぇ……】

 

今日は珍しくドロップを拾わないから荷物は少ない。

だからか、なんだか……。

 

「なんか今日、体が軽い気がする」

 

物理的にね。

 

【ハルちゃんやめて】

【やめて、それフラグってやつだから】

【逃げてー】

【モンスターが?】

 

【ああ……もはやモンスターにとってのFOEと化してるハルちゃんだから……】

【草】

【人間のFOE草】

 

【まぁモンスター視点だと……ね?】

【いきなり現れて何も言わずにヘッドショットかましてくる人間の幼体……FOEだこれ!】

【草】

 

「よし、じゃあペース上げて行きましょうか」

 

【えっ】

【は?】

【なぁにこれぇ……】

【今日何回目の流れよこれ】

 

【深谷るる「ハルちゃんやめてー!?」】

【草】

 

【というかハルちゃん、今までのって全力じゃなかったの……?】

【あの、ハルちゃんって本当に人間?】

【ハルちゃんは天使だって言ってんだろ】

【落ち着け始原】

 

【けど、モンスターは先回りして索敵して一撃で仕留めるから被弾はゼロ、階段すら使わないで落とし穴でショートカット。 ……これ以上どうやってペース上げるんだ……?】

 

【知るもんか】

【知ってたら人間じゃない】

【なぁにこれぇ……】

【草】

 

「あ、これから光と音出るので気をつけてくださいね」

 

【はーい】

【はーい】

【はるおねーちゃーん】

 

【視聴者が幼女と化している】

【誰だってこんなの見続けたらなるよ?】

【それもそうだな】

 

僕は目を付けておいた場所へ一直線。

 

……これ、ちょっと腕がびりびりってなるし恐いんだけど、またるるさんみたいな人が居るかもって思うとやるしかないよね。

 

さっき他のパーティーの横を隠密で駆け抜けたけども、その人たちも「自分たちが1番近いから急がなきゃ」って言ってたし。

 

「まずは落とし穴の罠と地雷の罠が隣接してるところを見つけます」

 

【えっ】

【待って】

【待ってハルちゃん】

【やりたいことが分かっちゃったから待って】

 

「こういう広い部屋……モンスターがいっぱいいる部屋には高い確率であるので便利なんです」

 

【モンハウに喜々として突っ込んでる……】

【便利】

【便利ってなぁに?】

【なぁにこれぇ……】

 

【……けどモンスターたち、反応してない……?】

【ああ、さっきも別のパーティーの人たち、誰ひとりとしてハルちゃんに気が付いてなかったし……】

【隠密ってすごい】

 

【違うぞ、ハルちゃんがすごいだけなんだ】

【そうだぞ、普通は斥候職でも10メートル以内に入ったら気が付かれるもんだ】

 

ぐだぐだしてるモンスターたちを「これ全部倒してドロップほしいなー」って思いながら眺めて通り過ぎる。

 

ちなみにモンスターたちはレベルが高いほど臭い。

野生の臭いって感じになってくる。

 

こういう大部屋で密集してると、それはもうかなり。

 

【すげ、座ってるミノタウロスなんて初めて見た】

【あの、ワイバーンがつがいでいちゃいちゃしてるんですけど】

【なぁにこれぇ……】

 

【俺、起きてないモンハウとか初めて見たかも……】

【いや、多分世界初だぞこれ】

【草】

【えぇ……】

 

【多分今ごろ事務所すごいことになってるね】

【かわいそうだね】

【誰だ! こんなことしでかしたのは!】

 

【い、いずれそのうち誰かおかしなやつがこういうことしただろうから……】

【つまりハルちゃんはおかしいやつ?】

【やべーやつ】

【やべー幼女】

 

【ねえねえハルちゃんやっぱほんと人間? モンスターに育てられたとかダンジョンで生まれ育った野生児とかじゃない?】

【草】

【何も言えねぇ】

【否定できないところが難しいな】

 

「えいっ」

 

良い感じのポジションに着いた僕は、爆風の向きを計算して――爆発の罠を作動。

 

【「えいっ」かわいい】

【やってることはえげつないけどな】

【なんでこの子自分から地雷起動させてるの……?】

 

【これがタイパってやつか】

【コスパかも?】

【多分ちがうと思うよ】

【絶対ちがうと思う】

 

【悲報・くつろいでたモンスターたち、吹き飛ぶ】

【盛大にみんな宙を舞ってるね】

【綺麗だね】

【かわいそうだね】

 

【これが虐殺天使ってやつか……】

【ハルちゃん怖い】

【でも痺れるだろう?】

【ああ、俺の常識が破壊される衝撃でな】

【草】

 

「じゃ、爆風で下の階行きます」

 

【なるほど、爆発の罠→隣の落とし穴の罠の連続起動で加速つけながら落ちるのか……】

【自由落下から加速したな】

【宣言通りだね】

【偉いね】

 

【ああ、モンスターたちが舞う中をハルちゃんが落ちていく……】

【なぁにこれぇ……】

【地獄かな?】

【少なくともこの瞬間のここは紛れもなく地獄だね】

 

【深谷るる「ハルちゃんなにしてるの!?」】

【三日月えみ「……さすがに後でお説教しますね」】

 

【草】

【もはやるるちゃんたちが完全にただのネームド視聴者になってて草】

【有名配信者たちが傍観者になる配信……それがハルちゃんのヘッドショット配信だ】

【ああ……!】

 

【ねえねえ、RTAってこういうものだったっけ】

【いや、レギュレーションもクソもないから余裕で違反】

【記録は残らないけどこの配信は多分永遠に残るね……】

 

【絶対マネするやつ】

【出てくるか……?】

【こないな、うん】

【草】

 



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45話 『80Fダンジョン攻略RTA&救出作戦』3

【ハルちゃんが宙を舞いだして爆発音と光ばっかりになってるな】

【なぁにこれぇ……】

 

【これ、ここから見始めたら何が何だか分かんないだろ】

【今来た人用に書いていこうぜ】

【やさしい】

 

【まずハルちゃんはるるえみとお買い物中】

【おもむろに脱走】

【待って文脈がおかしい】

【何がおもむろなのか全然分かんない】

【ハルちゃんは文脈でさえヘッドショットかますからね、しょうがないね】

【草】

 

【救助要請のためだけど、保護者に何も言わない悪い子ハルちゃん】

【そうだよ、救助要請があったからなんだよ】

【でもやっぱりそこで脱走する意味が分かんない】

【考えるな、感じろ】

【草】

 

【で、装備品を普通にお店で買って普通に入るところまでは普通】

【まあ普通だね】

【その途中で救助要請出したパーティーメンバーの情報聞いたりしない落ち度はあるけど幼女だからしょうがない】

【ここまでも何とか理解できた】

 

【それでもっていざ救助要請対応RTA配信。 なお配信の理由は新しい機材を試したいから】

【かわいいよね】

【だから何でそうなる!?】

【だってハルちゃんだし……】

 

【一応るるえみへの連絡のためだって言ってたぞ、配信自体は】

【いや、んなのスマホで電話かメッセージ1本で済むじゃん……】

【それすら面倒くさがるのがハルちゃんだ】

【えぇ……】

【草】

 

【普段はちょっとおかしいハルちゃんの貴重な普通の装備で普通に走っての攻略】

【店売りの普通な装備で普通に走って……うん、理解できた】

 

【けど最初からおかしいもんだからヘッドショットで一切止まらずに進軍】

【だからそれが分からない】

【情報を投げつけるのはやめろ】

【草】

 

【だって事実なんだもん……】

【嘘じゃないもん……】

【ふぇぇ……】

【駄目だ、視聴者まで幼女になっている】

 

【かなりおかしいことに落とし穴の罠を探して歓喜なハルちゃん】

【んー? なんで落とし穴の罠で歓喜するのー?】

【やべーことに落とし穴の罠をわざと起動して階段降りる時間ショートカットし出すハルちゃん】

【えー? なんでそこまでタイム短縮したいのー?】

 

【良い子のみんなはマネしちゃ駄目だぞ!】

【安心しろ、下の階の状況次第じゃ10メートルのダイブを自分からしようとする人間などほとんどいない】

【ああ……】

【草】

 

【と言うか真っ暗な穴に飛び込めないよね、普通】

【普通なら足がすくんで無理だよね】

【下手すりゃ高いビルから飛び降りるより怖いよね】

【なんでできるんだろうね】

【ハルちゃんだからさ】

【そっかぁ……】

【なぁにこれぇ……(思考放棄】

 

【で、だいたい半分の階層をさくっとカットしたハルちゃん】

【ちなみにこの時点で、このレベルのダンジョンの攻略タイムとしてはワールドレコードをとっくに大きく突き放しています】

 

【お気軽に世界最高峰までヘッドショットかますハルちゃん】

【なぁにこれぇ……】

 

【ちょっと休憩したハルちゃん】

【かわいかったハルちゃん】

【ハルちゃんをかわいいって援護できたのはもはやここまで】

【草】

 

【え、まだなんかあるの……】

【あるよ?】

【あるんだ……】

【あの、ここまでで既に情報がカンストしてるんだけど】

 

【そこからは落とし穴の罠と爆発の罠が連続しているところを探します】

【探しました】

【なんで?】

【ちなみに最初はモンハウの中でした】

【モンハウの中でした】

【だからなんで?】

 

【どんだけ高い隠蔽スキルかは知りませんが、どのモンスターもだらけている超レアな映像が流れました】

【なんで……ああうん、そうなんだね……】

【草】

 

【モンスターたちかわいいね】

【かわいかったね】

【でももういない】

【モンスターたちかわいそう】

 

【ハルちゃん、おもむろにモンハウの中で大爆発を起こしました】

【起こしました】

【そっかぁ】

【宙に舞うモンスターたち】

【爆風のダメージで既に致命傷っぽい】

【そっかぁ……】

 

【そんな中を優雅に下へダイブするハルちゃん】

【は?】

【草】

【鬼神かな?】

【奇人だろ】

 

【天使だっつってんだろ】

【爆裂天使だね】

【殺戮の天使だよ】

【もうなんでもいいや】

【なぁにこれぇ……】

【草】

 

【そんで、地獄のような場面が延々と続いて今に至ります】

 

【ありがとう】

【いいよ】

【よく分かんなかったけど分かった】

【大丈夫だ、最初から見てた俺たちも理解はできていない】

【ただ追っているだけなんだ、それだけで充分なんだ】

【完璧に理解できる人類はハルちゃんしか居ないと思うよ】

 

【でもなんで途中から説明風?】

【じゃないと俺たち自身が正気か分からなくなったからに決まってるだろ!】

【それな】

【合いの手たちが壊れていくのがはっきり分かったな】

【かわいそうに】

 

【良かった……書いたのは現実だったみたいで……「それはあなたの想像上のハルちゃんなる存在ではないでしょうか」とか言われたら立ち直れないところだった……】

【草】

 

【分かる】

【わかりみしかない】

【同意しかできない】

【なぁにそれぇ……?】

【哀れな鳴き声に微妙なバリエーションあって草】

 

【三日月えみ「この度は……この度もうちのハルがご迷惑をおかけしております」】

【深谷るる「ハルちゃん……」】

 

【ああ、保護者たち】

【ようやく合流か】

 

【おい、るるちゃんは違うぞ】

【ああ済まん、呪い様保持者だったな】

 

【深谷るる「保持者って何!? なんか新しい呼び方されてるんだけど!?」】

【草】

【いじられるるるちゃんでほっとするな】

【ああ……】

【トリップしてた脳がちょっと回復した】

 

【るるちゃんの扱いで草】

【不幸が緩和されて普通に良い子になったはずなのに】

【だって今までの今までが今までだし……】

【それ言ったらハルちゃんが配信バレしたのだって……なぁ?】

 

【深谷るる「ちゃんと謝ったもん!」】

【草】

【ほら、ハルちゃんはほんと、良くも悪くもこだわらないから……】

 

【何しても怒らないだって?】

【閃いた   あ、ちょ*****】

 

【え?】

【まーた呪い様だよ】

【呪い様怖っ……】

 

ひと息ついてコメント欄。

 

始原さんたちしか居なかったころとは違ってすっごい速さで流れていくから拾い読み中。

 

またみんな適当な悪ノリしてる。

 

学生の人が多いのかな、それとも配信はこういうノリが必要なのかな。

うーん、まだ分かんない。

 

で、るるさんたちが居たから、多分視聴者さんたちから事情は伝わったんだろうってのが分かって安心。

 

でもるるさんが見てるっていう恐怖もちらっとある。

 

……大丈夫だよね?

 

「るるさんまた何か飛ばそうとしてるんですか」

 

【深谷るる「してないよ!?  ……多分」】

 

【草】

【自分で分かんないもんねぇ……】

【けどこれまででっかい不幸なかったし大丈夫なんじゃ?】

 

【いや、待て……思いついてしまった】

【まぁた何か繋がっちゃうの……?(畏怖】

【なぁにこれぇ……?(先行入力】

 

【それで?】

【ああ。 ……あのさ、ハルちゃんってば最初っからヒャッハーして落とし穴の罠踏みまくってただろ?】

 

【そうだな、ついでに近くのモンスタートレインしたりして巻き添えで落下ダメージで倒したりしてたな】

 

【そっか、こういうことしてるからレベルが……】

【スキルも爆上がりだよな……なんだよ、モンハウまとめて落下ダメージとか爆風で倒すって】

 

【あれは倒したって言うのか……?】

【倒したって言うか巻き添え事故って言うか……】

【もんすたーさんたちかわいそうです】

【草】

 

【でさ、途中からはそこに爆発の罠も加わったじゃん?】

【ああ、SNSにアップされた映像が暴力的なコンテンツとかで消されてたな……】

 

【ま、まあ、ハルちゃんの配信知らないAIさんなら間違いなくそう思うし……】

【普通の人だってそう思う。 誰だってそう思う】

【思わないのはハルちゃんただひとり】

 

【その、さ。 ……ハルちゃん、るるちゃんが来ての不幸の分、自分から踏み抜いたり爆破したりして消し飛ばしちゃってたんじゃね? って……】

 

【え】

【あっ】

【あえ?】

【えっ】

【ああ……】

【ああ……(諦観】

 

【悲報・呪い様、爆死】

【何十回もやられらたらなぁ……】

【草】

【呪い様かわいそう】

【呪い様消し飛んじゃった】

 

【まーた繋がってるよ……(通算3回目】

【まーだ他にも繋がりそう】

 

ちょっと体の状態確認してたけども、結構走り続けたから久しぶりに汗かいて息も上がってる。

 

それに、

 

「ふとももがじんじんしてるのでちょっと休憩です。 あ、腕も」

 

【!?】

【●REC】

【ふとももがじんじん】

【ふとももがじんじん】

【ふとももがじんじん】

 

【ハルちゃんハルちゃん、そういうの女の子が言っちゃいけない】

【そうじゃないとここみたいに男が反応しちゃう】

 

【でもハルちゃん、そういうのも気にしなさそう】

【天然ってすごいね】

【まぁ幼女だし気にする歳には遠そうだし……】

【ああ……】

 

【なぁにこれぇ……(歓喜】

【お前ら何でもかんでもそれ言ってたらいいって思ってない?】

【だって頭空っぽにしないと持たないもん】

【草】

 

「けど久しぶりに疲れてますね。 これくらいのは……前に、最低でも500階層? くらいのダンジョン潜ったぶりくらい?」

 

女の子になってからちょっとして、なんだかレベルアップした感覚のあった僕は……実際にそうなってるどころか★とかついちゃってたっぽいけどね……遠出したところで未踏破のダンジョンに潜った。

 

深いって聞いてたから3日分の用意はしてたけども、1週間かけても攻略できず。

 

モンスターとかはともかくで、単純に広すぎて遠すぎて大変だった。

 

食べものも飲みものも無くなって、1週間お風呂に入らなくってお酒も呑めない絶望の環境。

 

しょうがなくで泣く泣く撤退した記憶がある。

 

……いつか再挑戦してやる。

 

【ご……ひゃく……?】

【お前は何を言っているんだ】

【なぁにこれぇ……(畏怖】

【なぁにこれぇ……(混乱】

 

【ハルちゃん……さすがに冗談だよね?】

【フカシだよな?】

【ねぇ、そう言ってよぉ……】

【ふぇぇ……】

 

【たったひと言で同接150万全員させる幼女】

【ねぇ、それって本当に幼女?】

【ショタだったりしない?】

【姉御、最近よくコメントしてるな】

 

【三日月えみ「不勉強で申し訳ありませんが、確か国内のダンジョンで確認されています突破記録は」】

 

【250階層ですね、えみお母さん……】

【えぇ……】

【なぁにそれぇ……】

 

【あ、本当だぞこの話。 深すぎて電波が悪くなったのか、途中から配信が途切れ途切れになったから通しでの映像はないけど】

【ハルちゃんの代わりに始原が申請したけど「あり得ない」とか見る目の無い担当者から却下されたんだよなぁ】

 

【始原!】

【配信を観もせずに却下されてて草】

【いやだって、実際あり得ないって思うし……】

【見る目がないって言うか、ごく常識的な判断って言うか】

 

【あ、後でその配信のアーカイブ探さないと……】

【ハルちゃんってばほとんど全部のアーカイブそのまんまだから探すこと自体はできるんだよな】

【ただし、その数は3年分】

【始原、その日時とか分かる??】

 

スポーツドリンクと栄養補給なゼリーを飲み干していく。

 

……こういうときでも固形物取っちゃうと夕飯食べられないからね……なにしろ胃袋がちっちゃいから……。

 

【三日月えみ「事実関係確認のため、申し訳ありませんがこちらでハルのアーカイブを只今全て非表示にしました。 みなさんには深くお詫びいたします」】

 

【あら】

【えみちゃん手が早いねぇ】

【まぁハルちゃんが困るかもしれないからな】

【えみままー!】

 

【で、るるちゃんは何してるの?】

【深谷るる「私たちも今15層くらいを全力で追ってるよ!?」】

【三日月えみ「それでも全く追いつける気はしませんね」】

 

【草】

【知ってる】

【2人も配信してるもんね】

【ちょっといじわるしただけ☆】

【いつまでもこんな扱いのるるちゃん】

【不幸が薄れた分、完全ないじられキャラである】

 

【せっかくハルちゃん、休憩してるのに……配信アプリ、ちらっとでも見たのに……】

【何でこの子、ひとこと直接えみるるに相談しないの……】

【ほら、ハルちゃんは野良猫だから……】

 

【落とし穴使って飛び降りる猫】

【爆風でモンスターを爆死させる猫】

【ああうん、なんかもう猫ならありって気がしてきた……】

【そうだな、もうそれでいいや】

【なぁにこれぇ……(同意】

【草】



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46話 『ハルちゃん、唐突に救助要請RTA始める』

『悲報・ハルちゃん、唐突に救助要請RTA始める』1

 

訓練されたファンさん

悲報か朗報か迷ったけど取り急ぎ

 

訓練されたファンさん

確かに迷うな

 

訓練されたファンさん

衝撃とか絶望とかでもタイトル詐欺にならなさそう

 

訓練されたファンさん

確かに

 

訓練されたファンさん

でも開始すぐにトレンド入りしてるからあんま変わらなさそう

 

訓練されたファンさん

確かに

 

訓練されたファンさん

で、今日のおすすめハルちゃんは何だ?

 

訓練されたファンさん

救助要請RTAだよ

 

訓練されたファンさん

救助要請RTA……

 

訓練されたファンさん

救助要請RTA?

 

訓練されたファンさん

救助要請RTAって何だ……?

 

訓練されたファンさん

さぁ……?

 

訓練されたファンさん

言ってて分からないのかよ草

 

訓練されたファンさん

まぁハルちゃんのすることだし

 

訓練されたファンさん

言葉の意味は分かるんだけど理解はしたくない

 

訓練されたファンさん

だって普通はしないもん

 

訓練されたファンさん

そもそも普通は思いつかない

 

訓練されたファンさん

しようとも思わないよね

 

訓練されたファンさん

だってハルちゃんだよ?

 

訓練されたファンさん

ハルちゃんだしなぁ……

 

訓練されたファンさん

あの幼女だもんねぇ……

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

とりあえず流れ。 ハルちゃん、ショッピング中に救助要請受ける

 

訓練されたファンさん

ハルちゃんお買い物するんだ……

 

訓練されたファンさん

俺、ハルちゃんってばてっきりダンジョンにしか興味が無いかと……

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

まぁ実際ダンジョン内で過ごしてる時間が桁違いだし……

 

訓練されたファンさん

で、オフだったもんだから装備も何も無し

 

訓練されたファンさん

まぁた素潜りぃ?

 

訓練されたファンさん

なぁにこれぇ?

 

訓練されたファンさん

違う、なんと入り口の店で普通の装備を普通に買ったんだと

 

訓練されたファンさん

それ偽ハルちゃんじゃない?

 

訓練されたファンさん

何かの間違いだろ

 

訓練されたファンさん

あり得ないと思う

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

普通のことをして普通に信じてもらえないハルちゃん草

 

訓練されたファンさん

だってハルちゃんだし……

 

訓練されたファンさん

ちなみに配信してる理由は「買い物に来てたるるえみから逃げた→お店でおニューの配信機材見つけた→欲しい!」だぞ

 

訓練されたファンさん

なんで逃げるの……?

 

訓練されたファンさん

ああ、親に反対されるからこっそり買いに行く的な……?

 

訓練されたファンさん

ハルちゃん子供!

 

訓練されたファンさん

合法とかなんとか言ってるけど、多分この子本当に幼女だし……

 

訓練されたファンさん

だよなぁ、学生じゃなきゃ学校どうしたって感じだし

 

訓練されたファンさん

やめろ

 

訓練されたファンさん

やめろ

 

訓練されたファンさん

それは俺に効く

 

訓練されたファンさん

学校くらい行けよ草

 

訓練されたファンさん

良いんだ、俺にはハルちゃんが居る

 

訓練されたファンさん

でもそのハルちゃん、お前のことは認識してないよ?

 

訓練されたファンさん

 

 

訓練されたファンさん

 

 

訓練されたファンさん

 

 

訓練されたファンさん

む、むごい……

 

訓練されたファンさん

で、ハルちゃんだから詳しい情報とか聞く前に「僕が1番にたどり着けば良いですよね」的な感じで落とし穴の罠使いながらRTA始めたわけだ

 

訓練されたファンさん

えっ

 

訓練されたファンさん

ちょっと待って

 

訓練されたファンさん

なんか繋がってない……文脈繋がって無くない?

 

訓練されたファンさん

えぇ……

 

訓練されたファンさん

なぁにこれぇ……(納得

 

訓練されたファンさん

でもなんかもう慣れたよ

 

訓練されたファンさん

ああ、慣れたな

 

訓練されたファンさん

ハルちゃんなら俺たちの想像もできないことを平気でやってのけるって

 

訓練されたファンさん

言葉は通じてるのに一切わかんなぁい……

 

訓練されたファンさん

なおその犠牲は高レベルでスキルのある視聴者たち、あと事務所の職員さんたちだ

 

訓練されたファンさん

職員さんたちかわいそう……

 

訓練されたファンさん

今夜は泊まり込みだな

 

訓練されたファンさん

えみちゃんたちは?

 

訓練されたファンさん

ちゃんとハルちゃんのこと見張ってて?

 

訓練されたファンさん

保護者でしょ?

 

訓練されたファンさん

るるちゃんは?

 

訓練されたファンさん

るるちゃんは……うん……

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

でも幼女だからきっと、見つからないように逃げちゃうし……

 

訓練されたファンさん

野良猫だもんな、完全に

 

訓練されたファンさん

野良猫ハルちゃん

 

訓練されたファンさん

野良猫ハルちゃん飼いたい

 

訓練されたファンさん

通報?

 

訓練されたファンさん

やめて

 

訓練されたファンさん

姉御かと思って本気でびびっただろ! 本当に止めろ!!!

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

姉御とか言うFOEよ

 

 

『悲報・ハルちゃん、唐突に救助要請RTA始める』2

 

 

訓練されたファンさん

あ、ほら、また飛び込むぞ

 

訓練されたファンさん

ひぇっ

 

訓練されたファンさん

うわぁ……

 

訓練されたファンさん

ヒュンってする

 

訓練されたファンさん

なぁにこれぇ……

 

訓練されたファンさん

ハルちゃんとか言うちょっとおかしい子、本当に地面を撃って地面を落として飛び込んでる……

 

訓練されたファンさん

えぇ……

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

草しか生えない

 

訓練されたファンさん

もうどうにでもなーれ☆

 

訓練されたファンさん

でっかい黒い穴に飛び込むのって人類なら恐れるって思ってたんだけど違うんだな……

 

訓練されたファンさん

本能じゃなかったんだね

 

訓練されたファンさん

だってハルちゃん人間じゃないし

 

訓練されたファンさん

天使だもんな!

 

訓練されたファンさん

天使(人間なら100%回避する罠をわざと撃ち抜いて利用するちょっとおかしいの

 

訓練されたファンさん

で、それ以外の普通の時間は珍しいことに小走りで普通にヘッドショットしかしないと

 

訓練されたファンさん

普通って何だっけ……?

 

訓練されたファンさん

なんだろうね……?

 

訓練されたファンさん

て言うかこの着地の仕方何よ

 

訓練されたファンさん

知らない、こんな飛び降り方なんて知らない

 

訓練されたファンさん

地面が迫ってきてぶつかるって思ったら急に画面が……

 

訓練されたファンさん

こんなの知るもんか

 

訓練されたファンさん

知ってたまるか

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

この子、何メートルの高さから頭から飛び降りて、しかも着地する寸前にお手々出したと思ったらかるぅく降りて立ち上がってる……

 

訓練されたファンさん

これは夢だ、夢なんだ

 

訓練されたファンさん

気持ちは分かる

 

訓練されたファンさん

わかりみが深すぎる

 

訓練されたファンさん

がんばって

 

訓練されたファンさん

がんばれない、脳が理解を拒むんだ

 

訓練されたファンさん

もうだめだ

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

ああ、着地したと思ったら周りながら銃を乱射……

 

訓練されたファンさん

ハルちゃんの配信で珍しいモンスターさんたちだよ!

 

訓練されたファンさん

しかし奴らは全員居なくなった!

 

訓練されたファンさん

モンスターさんかわいそう

 

訓練されたファンさん

一切の動きすら許されないモンスターさんたちかわいそう

 

訓練されたファンさん

唯一のモーションが断末魔だもんなぁ……

 

訓練されたファンさん

ちらっと映ってるラビット系でさえ反応できてなくて笑うしかない

 

訓練されたファンさん

ウサギさんたちかわいそう

 

訓練されたファンさん

地面に落ちてる包丁が悲しいね

 

訓練されたファンさん

悲しい

 

訓練されたファンさん

「あれって投げナイフにちょうど良いんですけど残念です」

 

訓練されたファンさん

えぇ……

 

訓練されたファンさん

もはやモンスターを素材か何かとしか見てないハルちゃん

 

訓練されたファンさん

オブジェクトとして認識してるのが唯一の救いだね……

 

訓練されたファンさん

どうしてこんなことに

 

訓練されたファンさん

誰かが救助要請出したからだよ

 

訓練されたファンさん

じゃあそいつが元凶?

 

訓練されたファンさん

いや、そいつをダンジョンに留まらせているのはモンスターだ

 

訓練されたファンさん

つまりモンスターさんたち、自分で自分の首を?

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

人間に近い形したFOEに目を付けられた時点でどうあがいても詰むから……

 

 

『悲報・ハルちゃん、唐突に救助要請RTA始める』5

 

 

訓練されたファンさん

配信開始から1時間か

 

訓練されたファンさん

実に濃密な1時間だった

 

訓練されたファンさん

もう職場で誰も電話取らないよ

 

訓練されたファンさん

お前んとこそんなに自由なの!?

 

訓練されたファンさん

いや、俺のクラスでも先生がかじりついて自習だ

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

それでいいの……?

 

訓練されたファンさん

良いんじゃない?

 

訓練されたファンさん

そっかぁ……

 

訓練されたファンさん

ハルちゃんの視聴者とかファン層って特殊らしいな

 

訓練されたファンさん

あー、男か女か確定してないのもあるけど

 

訓練されたファンさん

子供だからってのもあってお年寄りにもえらく多いらしい

 

訓練されたファンさん

完全に孫扱いで草

 

訓練されたファンさん

つまりめっちゃ長文&難しい言葉づかいなコメントでの投げ銭は爺さん婆さんからのお小遣い?

 

訓練されたファンさん

みんなのアイドルだね

 

訓練されたファンさん

みんなの妹とか弟じゃね?

 

訓練されたファンさん

今49層らしい

 

訓練されたファンさん

あの、そのダンジョン、上位ランカーレベル推奨、中級者までは入り口で追い払われるってWikiに書いてあるんですけど……

 

訓練されたファンさん

えぇ……

 

訓練されたファンさん

ま、まあ、ハルちゃん自身も文句の着けようが無い上級者だし……

 

訓練されたファンさん

ハルちゃんでダメなら誰でもダメだし……

 

訓練されたファンさん

それでも普通は臨時パーティーでも組むけどね……

 

訓練されたファンさん

とことんぼっち気質なのがハルちゃんだから……

 

訓練されたファンさん

ぼっちじゃなきゃひとりでたのしいだんじょんぴくにっくとかしない

 

訓練されたファンさん

 

 

『悲報・ハルちゃん、唐突に救助要請RTA始める』3

 

 

訓練されたファンさん

むしろぼっちだからこそここまで好き勝手できるとも言えるな

 

訓練されたファンさん

ぼっちじゃなかったら誰がこんなことするんだよ

 

訓練されたファンさん

え、知らない

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

てことは瞬殺されてるけど出てくるモンスターって

 

訓練されたファンさん

ああ、1匹ずつでも……本来は数人がかりで何分もかかる相手だ

 

訓練されたファンさん

しかも普通は戦闘後治療とか必要って言うね

 

訓練されたファンさん

だから高レベルのパーティーって、なれたらそれだけですごい人気で一生安泰って言われてるんだもんな

 

訓練されたファンさん

でも多分その人たち、今ごろ初心に戻ってるよ

 

訓練されたファンさん

ああ、最近初心者ダンジョンで高レベルのやつらが出没してるって言うしな

 

訓練されたファンさん

しかもスキル身に付けるためにすぐに倒したりしないで、ひとりで延々モンスターの攻撃躱したりしてるらしい

 

訓練されたファンさん

なにそれこわい

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

ハルちゃん……罪な子……

 

訓練されたファンさん

ハルちゃんはもう少し周りを見るべき

 

訓練されたファンさん

無理じゃない?

 

訓練されたファンさん

無理だろ

 

訓練されたファンさん

無理じゃないかな

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

1ヶ月後にはみんなのレベルとかスキルがおかしいくらい強化されそう

 

訓練されたファンさん

少なくとも平均値は上がるな

 

訓練されたファンさん

平均値のマジックってやつだな

 

訓練されたファンさん

けど1時間走りながら潜っても水分補給しかしないハルちゃん

 

訓練されたファンさん

ついでに言えば何回も落とし穴から飛び降りてな

 

訓練されたファンさん

なぁにこれぇ……

 

訓練されたファンさん

ああ、漫画とか老師ポジとかは少ない消費でなんでも軽々できるっていう……

 

訓練されたファンさん

老師どころか幼女なのにな

 

訓練されたファンさん

でもその幼女、各地の高レベルとか斥候職の師匠だぞ?

 

訓練されたファンさん

老師!

 

訓練されたファンさん

幼女老師……斬新すぎる

 

訓練されたファンさん

ほら、ファンタジーだと幼女に見えるけど……ってエルフ的なの多いから……

 

訓練されたファンさん

 

 

訓練されたファンさん

とりあえずで要救助者は無事らしいな

 

訓練されたファンさん

でもコメントちらっとしか見ないもんだから分かってないハルちゃん

 

訓練されたファンさん

そうしてRTAは進む

 

訓練されたファンさん

なおレギュレーション違反しかしてないため評価はされない模様

 

訓練されたファンさん

いや、評価はされるだろ  「ハルちゃん」っていう特別枠ってことで

 

訓練されたファンさん

ああ……

 

訓練されたファンさん

本来は必要無いRTAのはずなのにね……

 

訓練されたファンさん

ま、まぁ、ダンジョンじゃ何が起きるか分からないし……

 

訓練されたファンさん

実際、助ける人が危なくなるかもだし……

 

訓練されたファンさん

だからと言って床ぶち抜いて飛び降りる必要は?

 

訓練されたファンさん

ない

 

訓練されたファンさん

ないな

 

訓練されたファンさん

ないかもしれない

 

訓練されたファンさん

危ないから絶対にしないでって言われるよね、普通は

 

訓練されたファンさん

普通ならな

 

訓練されたファンさん

でもハルちゃんだよ?

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

悲報・ハルちゃん、まだまだ準備運動だった

 

訓練されたファンさん

なぁにこれぇ……

 

訓練されたファンさん

テンプレじゃなく本当に何これ……

 

訓練されたファンさん

この子ちょっとおかしい

 

訓練されたファンさん

ちょっとか?

 

訓練されたファンさん

相当に

 

訓練されたファンさん

ダンジョン協会から名指しで「あの子のこと真似しちゃいけません!」って言われる子

 

訓練されたファンさん

それがハルちゃんだ

 

訓練されたファンさん

だって無理だし……

 

訓練されたファンさん

無理だよな

 

訓練されたファンさん

うん、人間には無理だよ

 

訓練されたファンさん

もしかして:やっぱりハルちゃんは天使

 

訓練されたファンさん

人外ならもう天使しかないじゃない!

 

訓練されたファンさん

それな

 

 

訓練されたファンさん

えぇ……

 

訓練されたファンさん

なにこの子、自爆して加速しながら落ちだした……

 

訓練されたファンさん

なぁにこれぇ……(n回目

 

訓練されたファンさん

本当に何だよこれ……

 

訓練されたファンさん

こんなことできるの?

 

訓練されたファンさん

できるもんか

 

訓練されたファンさん

じゃあやってみたら? 無理だよ?

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

うん、これは天使だわ    絶対に人じゃないって意味で

 

訓練されたファンさん

多分普通の人なら爆発の瞬間でHPがごりって削れてリストバンドで入り口からの救急車or常駐の救護班

 

訓練されたファンさん

だよなぁ

 

訓練されたファンさん

こっちはまだ良いけど、配信画面のコメントはみんな錯乱してるな

 

訓練されたファンさん

そりゃあするだろうよ

 

訓練されたファンさん

これ本当に生配信? 編集動画とかCGじゃない?

 

訓練されたファンさん

おう、タイムスタンプ見てみな

 

訓練されたファンさん

ごめん

 

訓練されたファンさん

いいよ

 

訓練されたファンさん

でも編集って思ってた方が精神安定上は良いよね

 

訓練されたファンさん

間違いなくな

 

訓練されたファンさん

ハルちゃんのおかしさにドン引きするあまりに平和すぎるコメント欄

 

訓練されたファンさん

人はやべーやつを目の当たりにすると冷静になれるからな

 

訓練されたファンさん

人って団結できると仲良くなれるよね

 

訓練されたファンさん

ああ、天使の所業だもんな

 

訓練されたファンさん

見ろよ、るるえみもろくにコメントできなくなってる

 

訓練されたファンさん

そうだろうよ

 

訓練されたファンさん

えみちゃんでも無理なんだ、るるちゃんも無理だろ

 

訓練されたファンさん

と言うか心配のあまりに心臓止まってそう

 

訓練されたファンさん

かわいそう

 

訓練されたファンさん

だめでしょハルちゃん、保護者に心配かけちゃ!

 

訓練されたファンさん

でもその行動原理が人助けってことで怒るに怒れなさそう

 

訓練されたファンさん

かわいそう

 

訓練されたファンさん

なんかところどころコメントがバグるな

 

訓練されたファンさん

るるちゃんが見てるし

 

訓練されたファンさん

るる様が見てる

 

訓練されたファンさん

こわっ……

 

訓練されたファンさん

おい、絶壁とか言うなよな。 そうしたら********

 

訓練されたファンさん

え?

 

訓練されたファンさん

は?

 

訓練されたファンさん

ところでハルちゃんはどうしたかな!

 

訓練されたファンさん

……そうだな! ハルちゃんの話だもんな!

 

訓練されたファンさん

るるちゃんはとてもかわいいこですおっぱいもおおきいですゆるしてください

 

訓練されたファンさん

るるちゃんはすてきなおんなのこです

 

訓練されたファンさん

露骨に話を逸らす流れ

 

訓練されたファンさん

「ふとももがじんじんしてる」

 

訓練されたファンさん

じんじん

 

訓練されたファンさん

まーた素材提供してるよハルちゃん

 

訓練されたファンさん

ダメでしょ、大きくて気持ち悪いお兄さんたちが喜ぶこと言っちゃ!

 

訓練されたファンさん

多分お姉様たちも喜んでるよ

 

訓練されたファンさん

あの人たちは……うん、見なかったことにすれば良いから……

 

訓練されたファンさん

迂闊に手を出すな、勝手にコラ作って来て投げつけられるぞ

 

訓練されたファンさん

 

訓練されたファンさん

ま、まあ……るるちゃんと違ってホーミングして来ないし……

 

 

訓練されたファンさん

えっ

 

訓練されたファンさん

500層

 

訓練されたファンさん

ごひゃく!?

 

訓練されたファンさん

悲報・ハルちゃん、まさかのギネスに届いてた

 

訓練されたファンさん

でも何にも言わないから誰にも気づかれなかった

 

訓練されたファンさん

かわいそう

 

訓練されたファンさん

かわいそうか?

 

訓練されたファンさん

そうでもなかった

 

訓練されたファンさん

だって多分その理由、「だってめんどくさいですし」だぞ?

 

訓練されたファンさん

言う言う、絶対言う

 

訓練されたファンさん

脳内再生された

 

訓練されたファンさん



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47話 『80Fダンジョン攻略RTA&救出作戦』4

かちゃかちゃと銃を確認。

 

普段と違うやつだからちゃんとしとかないとね。

道具は大事。

 

【良かった、ようやく俺が知ってる行動が出て来た】

【他にもあるだろ】

【ああうん、呼吸してるとか】

【お前はハルちゃんのこと何だと思ってるんだ】

【草】

 

「……やっぱり市販品は駄目ですね。 いえ、性能とかじゃなくて手入れがめんどくさくって」

 

スナイパーにとって、銃とかは相棒ってやつだ。

それくらい大切なもの。

 

だから僕の扱いに耐えられるのとかを普段から持ち歩いてるんだけど……まぁね、あんなの町中でしょってたらお巡りさんだからね……。

 

【あの、ハルちゃんの持ってるそのスナイパーライフル……そこのダンジョンのショップで売ってる最高ランクの、百数十万のなんだけど……】

 

【え、そんなにお高いの、ハルちゃんぽんって買っちゃったの?】

【ま、まぁ、経費で落とせるから……】

【あと救助要請のお礼もあるはずだから……】

 

【経費……書類の提出、電話対応、訪問、監査……うっ頭が】

【おい、今度はどっかの会計担当まで被害受けたぞ】

【草】

【事務所の会計担当さんかわいそう】

【みんなかわいそう】

 

「時間があれば近いやつは石で処理できたんですけど、今回はあーるてぃーえーってやつですからしょうがないです」

 

【あーるてぃーえーかわいい】

【微妙に舌っ足らずなのがかわいい】

 

【けど石で処理するんだって】

【ハルちゃん怖い……】

【知ってるだろ?】

【うん】

【ファンからも断言されてて草】

【だってハルちゃんだよ?】

 

かっちゃんって銃を用意して立ち上がって、コンディションが戻っていることを確認。

 

よし。

 

「じゃあ、この直下にでっかいモンスターさんと人ひとりの気配があるので。 リストバンドでも次の階層ってありますし、今回も落とし穴ありますから奇襲します」

 

【えっ】

【あ、ハルちゃんそう言えば下の階層のモンスターとか分かるんでしたね……】

【ああ、非常識すぎて忘れてたな……】

【なぁにこれぇ……】

 

【カウント班!】

【79階層。 爆発落とし穴コンボは3階層に1回だったぞ】

【助かる】

 

【えっと、そのダンジョンのレベル的に70階層台のモンスター、平均レベル的に上位陣のパーティーでも危ないって……】

 

【だってハルちゃんだし】

【ハルちゃんだぞ?】

【ハルちゃんだよ?】

【そうだった、ごめん。 俺、何言ってんだろうな】

【ちょっと頭冷やしてくるか……】

 

【落ち着け、お前らが正しいんだ】

【ハルちゃんだけが何かおかしいんだよね】

【草】

【そうだよね……ハルちゃんの配信見てるといろいろ感覚おかしくなるよねぇ……】

【常識とは……Wiki情報とは……講習で習ったこととは……】

 

「じゃ、また落ちます」

 

【はーい】

【はーい】

 

【「落ちます」とか言うワードよ】

【だってもう今日だけで何十回聞きましたし】

【もはや誰も止めない】

【なぁに、爆発落とし穴コンボに比べたら何でもないさ】

 

たんっ。

 

僕がその「落とし穴の罠のコア」を撃ち抜くと、がこっと足元の地面が崩落する。

 

【あー、上から暗闇が降ってくる感覚にも慣れたなぁ】

【慣れちゃいけない気がする……】

【これって飛び降りて頭から突っ込む視点だしねぇ……】

【そっか、急降下爆撃ってこういう……】

【なぁにこれぇ……(納得】

 

かちゃっと真上――真下に銃口を向けて構える。

 

……下に1匹だけ居るモンスターは、おっきい。

 

おっきいってことは表皮からコアまでの距離が長いってことで、動かれるとずれることも多い。

 

誰かが、あのときのるるさんみたいかもしれないんだ。

一瞬で仕留めないと、ね。

 

【あれ、ハルちゃん……今までみたいに最初着地じゃ……】

【ああ、ボスモンスターだからな】

【それ、ハルちゃん気づいてそう?】

【気づいてるだろ。 だって下の階層の状況分かるんだぞ?】

【それもそうだな】

 

【だから言ったろ、急降下爆撃って】

【まるで映画のワンシーンだな】

【それもラストのな】

【あの、配信の大半がラストな場面ばっかりなんですが】

 

ひゅうううと風切り音。

 

無音。

 

暗闇。

 

……そうして明るくなってきた先には……。

 

「……いぬ?」

 

【犬!】

【違うぞ、ケルベロスだぞ】

【そうだね、頭がみっつもあるね……】

【えぇ……】

 

【えっと、この階層のレベル的にあのケルベロス、ほぼ最高ランクなんじゃ……?】

【SSSランクってやつだな】

【あー、あのドラゴンと同じくらいか】

 

【けど安心してみていられるな】

【ああ、だってハルちゃんだからな】

【むしろあのわんこを哀れむべき】

 

【けど近い! 近いよ!】

【まるで顔が3つあるわんこが降ってくるね】

【そりゃあ頭から落ちてるからな、ハルちゃんが】

【やっぱこの子ちょっとおかしい……】

【ちょっとか?】

【草】

 

えーっと……この犬のコアどこだっけ……前1回戦ったような覚えがあるんだけど。

 

あ、そうだ。

 

「あの犬たちのコア、普通に心臓の位置ですから簡単なんです」

 

【わんこのことは意外にも普通に犬って呼ぶハルちゃん】

【普通……?】

【簡単……?】

【かんたんってなんだろー】

【かわいそうに、頭が溶けたか】

 

【ま、まあ、頭を1つずつ倒すよりは良い……?】

【それを普通と言い切るハルちゃんよ】

【ハルちゃんだからな】

 

がうがうっと吠えている犬たち。

 

あれだよね、犬たちって気配消してても結構僕のことなんとなく分かっちゃうらしくって、駅からアパートへの通り道にいるバカ犬によく吠えられるんだよね。

 

男のときには吠えられなかったのになぁ……おのれバカ犬。

 

いつか服従させてモフらせる。

 

「いつも吠えられてる恨み」

 

【草】

【吠えられてるんだ……】

【なんで?】

【小さくて弱そう……に見えるからじゃ?】

 

【は?】

【なにそのわんこ、本能で戦力差分かんないの?】

【野生失ってて草】

【確かにそのわんこ、完全に野生の勘失ってる】

 

【……もしかして逆じゃね? ハルちゃんの脅威でめっちゃおびえて吠えてたり?】

【ああ……】

【本能さん、ちゃんとしてた】

 

【そりゃそうだよな、爆殺の天使だもん】

【まーた繋がっちゃったよ】

【草】

【通算何回目だよこれ】

 

さっきまでとは違って、下に構えているのは両手……の先の銃。

 

【あ、お洒落なブレスレット】

【あとシャツの袖もお洒落】

【そう言えば手首から手前が映るのって滅多にないから新鮮】

 

【え、私この服知ってるけど……こんなダンジョンなんかに着てくるような服じゃ……】

 

「コツは吠えるのとかに怯えないで狙うことです」

 

かちゃりと合う照準。

 

その先のコア。

 

【はーい】

【はーい】

【分かるけど実戦できませーん】

 

【ボスフロアだから20メートルあるかもしれない天井から落下して】

【しかも頭から落ちてる状態で冷静に銃構えながらアドバイスする余裕なんてないでーす】

 

【草】

【なんか視聴者のレベル落ちてない?】

【だって俺たち幼女以下だぞ?】

【未満だな】

 

【つまりショタの巣窟ね!!】

【姉御ステイ】

 

たあんっ。

 

「これで良し」

 

【「ぎゃいんっ」】

【わんこかわいそう】

【まーたワンショットだよ……】

 

【他愛無し……】

【かっこいい】

【でもやってることは人間止めてる】

【て、天使だから……】

 

【そういえばさ、こういうときにいちいち湧いてきてた外国語の弾幕最近無いな】

【なんでも規制が掛かったんだとよ】

【まぁ、国内のコメントだけで画面重いからなぁ……】

 

【他の配信よりも煽りとかかなり少ないし……やっぱ相当がんばってるよな、事務所】

【その分そいつらSNSとか掲示板で暴れてるけどな】

【でもそいつら「幼女相手に何言ってんの?」でだいたい黙るぞ?】

【草】

 

コアを撃ち抜かれたモンスターは、1分2分はそのまま残る。

理由は分かってないらしいけどね。

 

でもるるさんのときのことを考えると、どこに居るか分からない要救助者のためにも地面に伏せる格好にさせた方が良さそう。

 

……もうとっくにお腹の中とかぺちゃんことかじゃないよね?

 

まぁリストバンドが壊れたりでもしなければその時点で助かってるし、もし壊れてたりしたら悲しいけど残念だから諦めよう。

 

「このば……いぬ、ちょっと危ないので地面に押し付けます」

 

僕は銃を背中に回して両腕を突き出す。

 

【ば?】

【もしかして:ばかいぬ】

【!!!!!】

【バカ犬! バカ犬って言ってハルちゃん!!!】

 

「こうやってると空が降って来るみたいですね」

 

【冷静すぎるハルちゃん】

【普通の人は空が降って来るみたいとか言わないよね】

【そんな経験無いもんな】

【ハルちゃん……こんな無茶何回してるんだろ……】

 

【配信では初めてだ】

【マジか】

【じゃあこれハルちゃんの初ダイブ?】

【初ライブ的な感覚で言うな】

【草】

 

感覚を研ぎ澄ませて目を閉じる。

 

――数秒して両手に触れる生暖かい感覚。

 

「ひれ伏せ」

 

【わんっ!】

【わんっ!】

【はっはっはっ】

 

【三日月えみ「*******」】

【えみお姉ちゃんどうした!?】

【危ないとか書き込もうとしてNGワード?】

 

ずんっと押し込まれる僕の腕。

広がる衝撃波。

 

【見せられないよ!】

【すげー、配信画面自動でモザイク掛かってる】

【そんなにスプラッターなのか……】

 

【ま、まあ、20メートルくらいかもしれない高さからの落下エネルギー乗せた攻撃だから……】

【と言うかどんな攻撃よ】

【あれだろ、落ちるたびに地面弾いて着地してたアレ】

 

【つまりはパリィか】

【ちょっと違うだろうけどそんな感じ?】

【違う、そんな受け流し技じゃない】

【おい、ハルちゃんと普通の人間を一緒にするな。 頭が溶けるぞ】

【ふぇぇ……】

【なぁにこれぇ……】

 

「ふぅ」

 

ずっと下向いてたから頭がくらくらするし、姿勢制御とか連続での落下で相当に魔力を使ってる。

 

……るるさん助けたときのからちょっとは回復したって思ったのになぁ、また出だしに戻っちゃった。

 

「あ、そう言えば発売したばっかりって言うこれすごいんですよ。 体の好きな場所に吸着できて滅多に落ちないのは僕が何回も飛び降りて分かると思うんですけど」

 

【ハルちゃん元気だな】

【元気すぎない?】

【急に早口】

【ああ、ハルちゃん機材マニアとかそんな感じ……】

 

「あとあと、AI搭載してるので目の前のぐろいのとか見えてませんよね?」

 

【OK】

【綺麗にモザイク掛かってる】

【これなら配信BANされないね】

【たまにあるからなぁ】

【普通はそこまでモンスターにダメージ与えられないし……】

 

「大丈夫みたいですね」

 

【深谷るる「ハルちゃーん! スマホマナーモードマナーモード!」】

 

「で、これのすごいところは」

 

【この幼女ダメだ、肝心なところでるるちゃん見てない】

【草】

【るるちゃんタイミング悪すぎて草】

【るるちゃんかわいそう】

 

「登録した人以外の顔とか声が映った場合、お互いの個人情報になりそうな……顔とか装備、体つきとか会話も自動でごまかしてくれるんですって」

 

【え?】

【そんなの出たの!?】

【いや、そこまで高性能なのは……】

【って言うかあったとしてもとんでもないお値段じゃ?】

 

なんか「他の人には内緒なんだけどね」って店員さんが妙にいわくありげに言ってたからそのことは黙っとこ。

 

「だから――あ、助けなきゃ」

 

【草】

【うわぁ急に戻るな】

【一瞬で声音とかスピードが戻って草】

【オンオフ激しいハルちゃん】

 

【スン……ってこういうのなのか……】

【これで完全に無意識でやってるからすごいよな】

【けど助ける人大丈夫? ぺちゃんこになってない?】

 

【おいやめろ】

【そうだそうだ、るるちゃんが居るってことは呪い様が!】

【深谷るる「私のせいでそんなことにならないよ!?」】

【草】

【るるちゃん、ことハルちゃん関係では完全にいじられだね】

 

とっとっと犬から離れて周りを見渡す。

 

「これだけ広いですからどっかに隠れて――後方172度の方向36メートル先から50キロくらいの反応」

 

さっと腰を落として銃口を。

 

【ひぇっ】

【何今の声】

【ハルちゃんこわぁい……】

 

【なぁにこれぇ……(じょぼぼぼ】

【ハルちゃんの本気モード……ああうん、ついさっきまで本気でさえなかったのね……】

 

【三日月えみ「***********」】

【深谷るる「ハルちゃん……?」】

 

『……あ、わ、私、人です! ……じゃない、えっと、ダンジョン潜ってて……』

 

その声を認識してすぐに構えた銃と魔力での強化を解く。

 

よかった、生きてて……ぺちゃんこかって思ったよ。

 

【ん?】

【何語?】

【あれ、ちょっと遅れて日本語?】

【あー、同時翻訳】

 

立ち上がってちょっと待つ僕。

 

――暗がりの中から浮かんで来たのは、魔力で白銀に光る髪の毛。

 

装備はぱっと見てもいいやつで傷も少なく、HPもMPも余裕そうな――女の子。

 

『……ありがとうございますっ……!』

 

そんな彼女が駆け寄ってきて、僕にぎゅっと抱きついてきた。

 

【キマシ】

【タワー!】

【女の子!】

【ハルちゃんとダブルで女の子】

 

【いい……】

【ああ、実にいい……】

【しかもカメラが自動的に飛んで……え?】

 

【どうでも良いじゃないか、自立型ドローンなんだろ】

【銀髪の女の子が金髪のハルちゃん抱きしめてる姿が見られているんだから……】

 

【\50000】

【\30000】

 

【配信機材のカンパもしなきゃな】

【助かって良かったって言う感動と百合の美しさが】

【なぁにこれぇ……(歓喜】

 

【深谷るる「……ハルちゃん」】

【三日月えみ「******」】

 

【さっきからえみちゃんのコメントことごとくNGで草】

【でも良かったね……】

【ああ……】

 

【ちょっと期待してたけど、さすがにるるちゃんみたいなことにはならなくてさ】

【そこかよ】

【草】

【まぁあれだけのことは起きないだろ、呪い様でもなし】

【だーから召喚の儀はやめろって】

 

ふぅ。

 

なんかぎゅってされてて良い匂いだけど、とりあえず助けられたね。

後はここで待つか一緒に上がって行けば良いんだし、もう大丈夫。

 

【深谷るる「……………………………………」】

 

【るるちゃん?】

【なんか怖いよ?】



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48話 『80Fダンジョン攻略RTA&救出作戦』5

頭が3つある犬を倒してしばし。

 

僕は助けた子に抱きつかれてたけども、その子の新しい香りが遠のいていく。

 

【あーあ、塔が崩れちゃった】

【これがバベルの塔か……】

【尊かった百合が別たれた】

【もうおしまいだ】

【草】

【お前らは何を言っているんだ】

 

【深谷るる「……………………………………」】

 

【るるちゃん怖いんだけど……】

【多分音声認識で入力してて切り忘れてるんだろ、気にすんな】

【あー、こっち急いでるもんなぁ】

 

この体になって1年経った最近はよく女の子たちに抱きつかれる。

 

最初は気恥ずかしいやら年下過ぎる子たちの女の子な感覚でどきどきするやらくらくらするやらだったけども、せっかく慣れたところだったからもうちょっと……ってのはちょっとやばい思考回路、うん。

 

『ご、ごめんなさい……恩人に抱きついたりしてしまって……』

『いえ、別にいいですけど』

 

僕の中での女の子のサンプルが少なすぎるせいで、てっきり初対面で抱きつくのは普通なのかって思ってた。

 

けども急に真っ赤になって後ずさったところからして、こういうのは普通じゃないっぽい?

 

……いや、るるさん、えみさん、九島さんとこの子っていうたったの4人だ、本当のところは分からなさそう……。

 

女の子経験が無いって悲しいね。

しかも無いまま僕まで女の子になっちゃってるって言うね。

 

……この体だから少なくとも「うわっ、気持ち悪い男に抱きついちゃった」っていう反応じゃないのだけは確実で、ちょっぴり安心。

 

もしそうなったら?

 

もし、せっかく助けた子が「本当に感謝してるけど気持ち悪いです」とか言ってきたら?

 

……ダンジョンに1ヶ月くらい引きこもりそう……男は純情なんだ。

 

そんな彼女はしばらく離れてぷるぷるしてたけども、恐る恐るこっちへ戻って来る様子。

 

『私は……配信中なんですね……それならリリィと呼んでください』

 

『リリさんですか、よろしく……あ、配信切ります? 一応最新のなので、搭載AIがあなたの見た目とか声とか話す内容誤魔化してくれてるはずですけど』

 

『私はリリィ……いえ、リリで構いません。 親しみを込めてそう呼ばれることも……それでしたら配信も結構ですけれど、ええと』

 

【あー、それでなんか変な感じなのか】

【最新式はすごいなぁ】

 

【スマホひとつか安い機材なら数千円で配信できるところを3ケタ万円だし、プロ用なんだろうな】

【確かにハルちゃんの声も微妙に変わってるし……でも良いなこれ】

【配信に間違って映っちゃうとか切り忘れの事故とかなくなりそう】

 

【それを無くすなんてとんでもない!】

【お前それるるちゃんに絡まれたハルちゃんに対して】

【ごめんなさい】

【許して】

【草】

 

『その機種……あの、あなたのお名前を伺っても?』

『えっと、ハルって言います』

 

『はるぁっ!?』

 

『?』

 

どしたの?

唇噛んだ?

 

【草】

【どうしたのこの子、急に叫んで】

【いやまあハルちゃんって多分今いちばん有名な存在だし】

【あー、見た目でまさかって思ってたけど本人だったとか】

【偽ハルちゃんたちが大量発生する程度には人気だもんなぁ】

 

またさらに数十秒固まる子を、見るともなく見上げる。

 

るるさんよりははるかに大きいけどもえみさんや九島さんよりは結構小さいし、なにより軽装とは言っても鎧を着てるから柔らかくは無かったけども、そのへんはちゃんと力加減効いてたから痛くはなかった子。

 

はー、銀色の髪の毛って綺麗だなぁ。

 

……多分今の僕の髪の毛触ったりしてる子たちにとってはそう映ってるんだろうね。

 

ちょっと複雑。

 

何が複雑って?

 

……アニメでしか見たことないような綺麗な髪の毛の女の子を目の前から、しかも下から見上げてるってのと、同時に「僕の髪の毛の方が綺麗だ」って思考が並行してること。

 

……やっぱ侵食されてるよね……僕の自意識。

せめて男でいられているうちに戻りたい。

 

まかり間違って男が好きになったりしたら死ぬ。

ダンジョンの最下層目指したりしてのたれ死ぬ。

 

『アルさん……ではなくてハルさんですよね。 ごめんなさい、母国語だと間違えやすくって』

『あー、それで何かびっくりしてたんですか』

 

いくつかの言語で最初のHは発音しないってのがある。

他にもJとか独特の発音だったりするよね。

 

そういう意味ではハルって名前、わかりにくいって人もいるのかな。

海外旅行行ってたときも僕の名前のこと「はるみ」じゃなくて「あるみ」って言われてたし。

 

アルミって何だ。

奥歯で噛んだらぴりってするんだぞ。

 

『気にしてないから良いですよ』

『ありがとうございます……本当に素敵な方なのですね』

 

【なんか言葉づかい綺麗だよなこの子】

【顔はAIっぽいのにされてるけど……美醜とか反映されるのかな】

 

【つまりハルちゃんが自分のこと設定しない限り、万が一映ってもハルちゃんの顔は分からない!?】

【そうなるのか?】

 

【でもその方が良いかも。 だって外とか出られなさそうだし】

【いろいろ妄想できるしな】

【ショタって言う幻想も維持できて姉御勢力もにっこり】

 

この子……リリさんの背丈は今の僕より頭1個分高い。

 

おっきいえみさんと同じくらいだから160とか170行くんじゃないかな?

 

まぁ欧米の人って女の子でも背が高いみたいだし気にしないけどね。

なにしろ下から見上げると胸部の膨らみがはっきり分かるし。

 

『……あの、もうひとつ伺っても? ……ハルさんは、私の言語……話し慣れていらっしゃるようですが、以前は住まわれて?』

 

ん?

 

『え? あ、はい……一時期住んでた、かも?』

『……………………………………そう、ですか』

 

話の流れ的に……んん?

 

【えっ】

【ハルちゃん外国語しゃべってるの!?】

【何これ、まさかの同時通訳!?】

【しかも声までほぼ完全に再現してるよな?】

 

【この力の抜けたかわいい声は間違いなくハルちゃんで】

【この脱力しきっててちょっと舌っ足らずなところがある話し方もまさしくハルちゃん】

 

【あー、高いだけはあるのな、機材】

【すげぇ】

【ラグがないどころか言われなきゃ気づかないとかすごくね?】

 

「一時期住んでた」って言っても……良ーく耳を澄ませてみるとフランス語とイタリア語が耳に入ってた気がしてきたから「あー、そういや夏休みまるまる行った年あったっけなー」って思い出しただけ。

 

でもなんで僕、ここまで普通に聞けてるし話せてるんだろ。

僕の外国語なんてカタコトどころか定型文だったはずなのに?

 

……………………………………。

 

……まさかこれも、この体のせい……だよねぇ。

 

なんかちょっと怖い、けど便利。

 

悩ましいね。

 

何が悩ましいって、この体のままなら通訳とか翻訳とかっていうお仕事あるじゃんって思っちゃうから。

 

でもある日急に男に戻って使えなくなるって考えるとお仕事としてはだめかなぁ。

 

【と言うかこの子、リリちゃんって本当に銀髪なのな】

【金髪のハルちゃん、銀髪のリリちゃん】

【……良い】

【ああ……】

 

【お前らるるハル推しじゃなかったの?】

【いや、俺たちはハルちゃん推しだが】

【いつもるるちゃんが抱きついてたからとりあえず押しただけ】

 

【百合の裏切り者め】

【処す? 処す?】

【おねショタらなら何でも良いから早く!!】

【うわぁ……】

 

『ケガとかは?』

『ありません。 私の付き添いの方々は怪我をされてしまいましたけれども……』

 

『あー、その人たちなら上で手当て受けてましたから大丈夫ですよ』

『ありがとうございます……っ!』

『いえ、別に僕がしたわけじゃないですし』

 

けどこの子、日本語しゃべれないんでしょ?

何であの人たちと……普通の日本人だったような?

 

『あの方たちは……知人の紹介で護衛をしてくださっていたのです。 中のおひとりが英語ならお話しできて……落石から私を守るためにある方のリストバンドが破損してしまって、それで』

 

『ひとりが逃げられなくなったんですね』

 

最近よくリストバンドが壊れてる気がするけども、これってかなり頑丈だったはず。

 

なんでも車にひかれても壊れたりしないし海に潜っても壊れないしってうたい文句だし。

 

……るるさんのせいじゃないよね?

 

信じて良いよね?

あ、ちょっと信じられなくなりそう……。

 

『彼らは、言葉ができない私のための道案内と、念のための警護をしてくださっていました。 ボスフロアに着いた途端の出来事でしたから、私がとっさに判断して命令し、私のものを装着して戻ってもらいました』

 

『ほへー、だから平気そうなんですね。 でもそれじゃなんであの犬倒してなかったんですか?』

 

【草】

【犬って草】

【ハルちゃんの言い方かわいいね】

【でもハルちゃん、君、そのわんこにひどいことしたよね?】

【まぁしょせんはモンスターだし……】

 

『……お恥ずかしい話なのですが』

『マイクオフにします?』

『いえ、良いのです……その』

 

まだ冷え切ってなかった顔が、また真っ赤になる。

肌の色が薄いと本当に真っ赤になるよね。

 

『……家で飼っている犬と、似ていたので……』

 

『あー』

 

【草】

【あるある】

【よくあるよな】

 

【ペット飼ってると犬とか猫とか鳥系のモンスター倒せない人多いよねぇ】

【俺もできないから分かる】

【分かる】

【俺も。 普段は他のメンバーに頼んでるし】

【そういう意味でもソロってなかなかできないんだよなぁ……】

 

【深谷るる「……………………………………」】

 

【あの、さっきからるるちゃんが怖いんですが……】

 

ぱっと見でも装備も良いものだし、ちゃんと使っているのに傷も少ない。

 

ひとりじゃさすがに無理でもこの階層のレベルなら多分楽々なんだろう。

 

『でもペットに似てるならしょうがないですね』

『お恥ずかしい限りです……』

 

【かわいい】

【AI補正で似てはいても別人になってるんだよね……でもかわいい】

【ぺろぺろ】

【お前ハルちゃんをぺろぺろしろよ】

【もちろんしているが?】

【うわぁ……】

 

【でもハルちゃんってそういうのないよね?】

【ハルちゃんは「にわとりさん」とか「くまさん」とか言いながら一瞬で屠るから……】

【天使みたいなのに冷酷……やはり虐殺天使……】

 

ペットは家族って言うし、しょうがないよね。

 

分かるよ。

飼ったことないけども。

 

『ボスも倒して安全になりましたけど……ごめんなさい、僕、急がなきゃって思って予備のリストバンドとか持って来てないので』

 

『ええ、お邪魔にならないようにご一緒させてください』

『あ、その前に宝箱良いですか? あ、でもこれはリリさんの』

『いえ、私は助けていただいただけですから……』

 

ここまでなんにも拾ってこなかったからなぁ……ほっとしたら急に何か拾いたくなったんだ。

 

『あっちです』って教えてくれた宝箱へ歩いて行く僕。

 

……なぜか1歩離れた感じで着いてくるリリさん。

 

この子、結構人と距離取るよね。

つまりは僕と似ているってことで良い子だ。

 

【深谷るる「……………………………………」】

 

【るるちゃーん、音声認識ー】

【るるちゃんがマジでじっと見てる気がしてきた】

【るるちゃんが見てる】

【止めろ、マジで怖いだろ】

【怖くて草も生えない】

 

【配信見てるけど、えみちゃんもるるちゃんも普通にハルちゃんたちのとこ目指して降りてるし、本当に切り忘れっぽいな】

 

【切り忘れっていうと事故しか思い浮かばない】

【だーから止めろって】

【いたずらに呪い様を刺激するなよ】

【だってそう思うじゃん?】

【まあそうだけどさ】

 

完全にモンスターがいないフロアってちょっとほっとするよね。

 

いくらきのこが生えていてじめじめしているところが好きな僕だって、やっぱり万が一があり得るモンスターがいるのといないのとじゃ全然違うもん。

 

『ハルさん。 ダンジョンを出ましたらきちんとしたお礼を』

『これで良いって、この宝箱で。 救助要請はお互い様だし』

『でも……』

『本当なら来るはずなかったんです。 ね?』

『…………はい』

 

【ハルちゃん良い子】

【ほんといい子】

【だけど平気で爆殺するんだよね】

【無邪気って怖いね】

【心が震えてきた】

【引き返せ、そっちの道は供給がなくて茨だぞ】

 

 

 

 

「そこまでレベルの高いダンジョンでなくて良かったですね」

「うん……」

 

えみとるるは一途ハルを追いつつも、配信をしながら読み上げで視聴者からハルたちの情報を得るという方法を取っていた。

 

「それに、今日は珍しくるるもトラップに引っかかったりしませんし」

「うん……」

 

配信向けの「お姉さん」なキャラで話しかけるえみに、無反応に近いるる。

 

――やっぱりハルのことが心配なのかしら。

 

いつになく静かなるるを見つつも、聞けばきちんと返事を返すしいつも以上に効率よく進めている以上邪魔はしないようにと配慮しているえみ。

 

「ハルさん、これで2回目ですね。 この前はるるを助けて……」

 

『――ほんと、いいですから』

『いえ、そういう訳にも参りません。 せめてこんばんは家のシェフの経営する――』

 

――同時に開いていたハルの配信から聞こえてきてしまった、その声。

 

それで、るるの中の何かが静かに動いた。

 

 

 

 

【深谷るる「シズメ」】

【深谷るる「シズメシズメシズメシズメシズメ」】

 

【ひぇっ……】

【るるちゃん!?】

【え】

【何これ】

 

【もしかして:呪い様】

【もー、お前らが召喚の儀するからー】

【いや、マジで怖いんだけど】

 

んー、これはあれだ、るるさんたちで1回あった、YESって言わないとループする会話だ……しょうがない。

 

『夕飯ですか。 るるさんたちも一緒なら良いですよ』

『ええ、もちろんです。 だって私はハルさんに』

 

がこんっ。

 

『えっ』

『え?』

 

宝箱を開けた僕たち。

 

周囲に罠が無いのを確認するために地面に膝ついてた僕と、ちょっとだけ離れてしゃがみ込むようにしていたリリさん。

 

その、何もなかったはずの足場が空洞になっていて、下は闇になっていて。

 

『あ、またこのパターン』

 

僕たちは――「ダンジョンの最下層」からさらに下へと吸い込まれた。

 

 

【『80Fダンジョン攻略RTA&救出作戦』】

【『80Fダンジョン攻略RTA&救出作戦』】

【『80Fダンジョン攻略RTA&救出作戦』】

【『80Fダンジョン攻略RTA&救出作戦』】

 

 

【『250Fダンジョン脱出RTA』】

 

【え】

【え、ちょ】

【あの、配信タイトルまでいきなり変わってるんだけど】

【250階層って】

【バグ……だよな】

 

【と言うか落とし穴!?】

【ハルちゃん逃げて! 逃げ――――】



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49話 『250Fダンジョン脱出RTA』1

「――それは本当なんですか!? ハルさんがっ……!」

 

【本当だよえみちゃん……】

【まさかボスフロアで……】

【あれより下がないからボスフロアなはずだろ?】

 

【でも実際ハルちゃんたち落ちたぞ!?】

【まさか宝箱のトラップ……】

【あのハルちゃんが見落とすか!?】

【……それはないな。 じゃあ、まさか本当にるるちゃんの――】

 

「……うそ。 うそ」

「るる、しっかり……!」

 

あまりに急なことで理解が追いつかない頭。

それを無理矢理に動かして事情を把握しようと努めるえみ。

 

「……ハルさんの配信、すぐに切断を――できない!? 何故ですか!」

 

【これやばくね?】

【そういう演出……じゃないよな】

【当たり前だろ、お前もハルちゃんのとこで見てたんだろ】

【そうだけどさ、なんか信じられなくて……】

 

「……せめて配信のタイトルを……それも、できない。 事務所からのアクセスそのものが……そう、ですか」

 

えみがマネージャーに連絡を試みるも、事態の悪さが余計に分かってしまう。

 

【なあ、これって】

【やっぱ呪い様じゃ】

 

るるの頭の中でぐるぐると回っていたその考えが、視聴者から届いてしまう。

 

「っ!」

 

【おい、今自動読み上げ中だぞ。 るるちゃんが】

【けどさ、こんな事故なんてそうそう起きるもんじゃないし】

 

「……事務所の方で、コメントの管理。 申し訳ありませんがお願いします」

 

手元の端末で、急ぐためにと読み上げさせていたコメントが止まる。

 

いつの間にかに崩れ落ちていたるるを、えみが優しく抱きしめ。

 

「……大丈夫。 ハルさんなら、きっと」

「……………………………………うん」

 

【なかないで】

【泣かしたやつは後で土下座な】

【ハルちゃんが気にしてないって言ってたんだ、るるちゃんのせいってのは禁止な】

 

【けどるるちゃんのせいじゃないとすると】

【だから違うって】

【落ち着け】

 

【最下層……じゃないけど、ダンジョンが崩落することはたまにあるだろ。 ダンジョンは魔力でできてるから、できてから時間が経つにつれて脆くなるって】

 

【ああ、俺も見たことある。 ……床の一部が抜けただけだけどな】

【壁が剥がれるとか天井が崩れるとかあるもんな】

【だから一般人とかレベルの低い初心者はヘルメットが義務なんだし】

 

【でも最下層だろ? ボスモンスターのわんこも居たし、崩落するような劣化にはまだまだ……】

【だから事故だって。 それにハルちゃんなら大丈夫だって】

 

つい最近も見たようなるるの落ち込みよ