バカと俺達の召喚獣 (ターダン8)
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1学期試験召喚戦争編
プロローグ


4/22 訂正


 

 

楓「ゴホッゴホッ」

貴浩「……やっぱり俺も学校休む」

楓「駄目だよ兄さん。学校行って試験受けてきて」

貴浩「いや、でもなぁ……」

 

楓のことが心配だしな…

 

楓「私のことは気にしないで」

貴浩「……わかった。じゃあ学校に行くけど何かあったらすぐ連絡しろよ」

楓「……うん、兄さんいってらっしゃい。試験頑張ってね」

貴浩「ああ、じゃあ行って来る」

今日は文月学園のクラス分けの振り分け試験がある日である。

そして妹の楓が高熱を出してしまい昨日から寝込んでいるのである。

俺も休んで看病しようとしたのだが楓からのお願いで試験を受けることにした。

 

 

 

 

 

振り分け試験はA~Fクラスに分ける試験で

F→Aになるほど成績が良いとなっている。

しかし、試験を休むあるいは途中退出してしまうと0点となってしまい

自動的にFクラスとなってしまう。

よって楓は自動的にFクラスとなってしまった。

 

 

         ☆

 

そして俺は学園へ登校していると

 

秀吉「貴浩おはようなのじゃ」

優子・命「「貴浩君おはよう」」

貴浩「ああ、おはよう秀吉に優子に命」

と後ろから木下姉妹に声をかけられた。

秀吉「朝からどうしたのじゃ、暗い顔しておるようじゃが?」

貴浩「ああ、昨日から楓が熱出して寝込んでてな」

秀吉「なんじゃと!?」

 

命「それで楓ちゃんは大丈夫なんですか?」

貴浩「昨日よりは熱は下がったが、まだ熱が少しあるから今日は休ませてきた」

命「そうなんですね……」

と命は少し残念そうにしていた。

貴浩「大丈夫だ。多分明日には治っていると思うからさ」

命「……そうですよね」

貴浩「ちなみに命は体調大丈夫なのか?顔色が少し優れないような気がするが?」

命も楓と同じく生まれつき体が弱く体調を崩しやすかったりする。

命「はい、大丈夫ですよ」

優子「何かあったらすぐ言うのよ」

秀吉「そうじゃぞ、すぐに教えるのじゃぞ」

命「優姉・秀兄大丈夫だって」

貴浩「まあ俺は命と同じ試験教室だから何かあったら知らせるさ」

優子「ごめんね。貴浩君お願いするわ」

秀吉「すまぬの。よろしく頼むのじゃ」

貴浩「ああ、まかせろ」

俺と命は同じ試験教室で優子と秀吉は別の教室なのである。

 

 

 

教室前にたどり着くと

優子・秀吉「「じゃあ悪いけど命のこと頼むわね(のじゃ)」」

貴浩「了解。じゃあ、命試験頑張ろうな」

 

 

 

午後の試験中────まあそこそこできているな。

午前中もできただろうからCクラスには行けるか…?

そういえば命はどうだろうか?

午前中は大丈夫そうだったが…

そう思い命のほうを見てみると、いきなり命は倒れてしまった。

貴浩「命、大丈夫か!?」

俺はすぐ命の元へと駆け寄った。

教師「織村!!試験中だぞ、席につけ!

   席につかないのなら試験を0点にするぞ。

   そうなりたくなかったら早く席につけ」

貴浩「分かりました。0点にしたければどうぞお好きに。

   友達が倒れたままにするのは嫌なんで0点で大いに結構です」

教師「織村!!」

貴浩「じゃあ、自分は命を保健室に連れて行くので」

そういうと俺は命を抱えて教室を出て行った。

 

 

キーンコーンカンコーン♪

 

 

今、試験最後のチャイムがなった。

優子と秀吉にはメールをしているのでもう少ししたら来るだろう。

ガラッ

扉が開く音がしたので扉のほうを振り返ると

試験が終わって1分も経っていないのに

そこには優子と秀吉が息を荒げて入ってきた。

そこで俺と目があい、2人は命に駆け寄って行き

優子・秀吉「「命は大丈夫なの(かの)!?」」

貴浩「ああ、先生に見てもらったら軽い貧血だってさ」

優子「そ、そうなの。よ、良かった無事で」

 

秀吉「ヒヤッとしたのじゃ」

そう言うと2人は安心したようだった。

命「優姉・秀兄ごめんね。心配かけて」

優子「ううん、良いのよ。でも今度からはきつい時はちゃんと言うのよ」

命「貴浩君もごめんね。私のせいで試験が」

貴浩「ああ、気にしないで良いぞ。

   正直俺は楽しければクラスなんてどこでもいいんだ。

   それに楓も同じクラスだからな。正直こっちのほうがいいさ。

   それにどうせアイツもFクラスだろうし…

   それよりより本当に悪いな。体調が悪いのに気がつかなくてな。

   優子も秀吉も悪い。命のこと頼まれたのに……」

優子「ううん、気にしないで。それにこちらこそ、ごめんなさいね」

秀吉「そうじゃ、気にしないでほしいのじゃ。逆にありがとうなのじゃ」

そう言われ後は2人に任せて俺は保健室を出ていった



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新学期と新たな始まり

4/22 修正


俺たち兄妹がこの文月学園に入学して二度目の春が訪れた。

楓「兄さん早く行こう、遅刻するよ」

声をかけて来たのは俺の双子の妹の楓である。

貴浩「そうだな」

玄関を出て妹と一緒に学校に向かう。

学校へと続く坂を登って行ってくと見慣れた人物達がいた。

貴浩「おはよう」

楓「おはようございます」

俺と楓は前を歩いていた木下姉妹に声をかける

秀吉「おお、貴浩に楓おはようなのじゃ」

優子「楓に貴浩君おはよう」

命「楓ちゃん、貴浩君おはよう」

と秀吉・優子・命の順に挨拶してきた

貴浩「相変わらず3人とも仲が良いな」

優子・秀吉「「当たり前よ(じゃ)」」

 

そこで息を合わせたかのように優子と秀吉は答えた

貴浩「2人から愛されてるな」

命「うん…///]

そして俺たち5人は話しながら学校のほうへ向かって行った。

そうして校門の前にたどり着くと

西村「おはよう。木下姉妹・織村兄妹」

ドスの聞いた声が聞こえる。声のした方を見ると、

そこには浅黒い肌をしたいかにもスポーツマン然とした男が立っていた。

「「「「「おはようございます西村先生」」」」」

貴浩「おはようございます鉄じ──西村先生」

と軽く頭を下げ挨拶した。

西村「織村兄、今、鉄人って言わなかったか?」

貴浩「ははっ、気のせいですよ」

西村「ん、そうか」

ふう~やばかった。危うく『鉄人』と呼ぶところだった。

西村「まあいいか。ほら、受け取れ」

先生が俺たちに自分の名前が書かれた封筒を渡してきた。

一応頭を下げながら受け取り、その封を開けてなかを見てみると

『Fクラス』と書かれた紙が入っていた。

貴浩「まぁわかっていたけどな」

俺と命は途中退出、楓は欠席したので自動的にFクラスなのである

貴浩「優子と秀吉、どうだった?」

優子「Aクラスよ」

秀吉「Fクラスじゃな」

貴浩「やっぱり凄いな優子は、Aクラスかよ。さすがだな。

   秀吉はFクラスか。じゃあ今年1年も同じだな。よろしく」

秀吉「そうじゃな、よろしくなのじゃ」

楓「秀吉君よろしくね」

命「秀兄よろしくね」

貴浩「じゃ、行くか」

俺たちは靴を履き替え教室のある3階に向かった

3階にあがると『Aクラス』と書かれたプレートがあった

 

秀吉「ここが姉上の教室じゃな」

命「大きいですね」

貴浩「中も凄い設備だなこれは」

優子「じゃあ私はここで」

命「優姉、また後でね」

優子「うん、また後で。秀吉、命のこと頼むわよ」

秀吉「わかっているのじゃ」

貴浩「じゃあ俺たちも教室に行くか」

そして俺たちが『Fクラス』と書かれたプレートの教室の前に着くと

命「……ここだよね」

命が不安そうに尋ねてきた

秀吉「…そうじゃろうな。Fクラスと書かれているからの」

 

Aクラスと比べると本当にひどい状態である。

廃屋ではないかと思ってしまうくらいやばい

貴浩「まあ、とりあえず中に入ろうか」

俺は扉を開けて中を見ると、畳にちゃぶ台そして座布団が置いてあった。

そして教卓の方を見てみると、前に1人の男が立っていた。

貴浩「おはよう雄二」

雄二「ん、お前らか。おはよう」

秀吉「おはようなのじゃ雄二」

楓・命「「坂本君おはようございます」」

雄二「…そういや何で貴浩と楓と命がここにいるんだ?」

貴浩「楓は試験を休んで、俺と命は途中退出したからFクラスなんだ」

雄二「そういうことか」

そう言って雄二が納得すると

秀吉「で、雄二はそんな所で何をしとるのじゃ?」

雄二「ああ、暇だったんでここにクラスの奴らを見ていた」

そこで教室の中を見いてみると、結構な数のクラスメイトが座っていた。

秀吉「何でそんなことをしとるのじゃ?」

雄二「それはな、俺がここの代表だからだな」

貴浩「へぇ~雄二がFクラスの代表か」

雄二「そういうことだ。だからお前たちは俺の兵隊ってことだ」

貴浩「ふ~ん。で、話は変わるが席ってどうなってんだ?」

雄二「適当で好きな所に座れば良いんじゃねえか。決まってないみてえだしな」

貴浩「そうか…さすがFクラスといったところか」

 

そういい俺たちは適当に座った。

秀吉が廊下側の後ろから2番目の席で、命はその前の席、

俺は秀吉の後ろの席で、楓は命の隣の席に座った。

そしてしばらく秀吉たちと話していると明久が入ってきて、

担任と思われる先生が入ってきた。

福原「えーおはようございます。

   2年F組の担任の…福原慎です。よろしくお願いします」

といい、黒板に名前を書こうとしたいようだがチョークがないらしい。

チョークすら置いてないのか

福原「まず設備の説明をしましょう。

   卓袱台と座布団。えー不備があれば申し出てください。

   必要なものがあれば自分で調達してください」

  

……何このAクラスとの雲泥の差は

F「せんせー、俺の座布団綿がほとんど入っていません」

福原「我慢してください」

F「先生、俺の卓袱台の脚が折れてます」

福原「木工ボンドが支給されますので自分で直してください」

F「センセ、窓が割れてて風が寒いんですけど」

福原「わかりました。後でビニール袋とセロハンテープの支給を申請しておきましょう」

おいおい、ここって本当に教室かよ。

俺は今の対処を驚きながら聞いていた

 



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自己紹介

4/22 修正


福原「では自己紹介でも始めましょうか。そうですね、廊下側の人からお願いします」

 

 

 

命「き、木下命です。趣味は読書と料理です。

  Aクラスに私の姉の優子がそして同じクラスに兄の秀吉がいます。

  3人共々よろしくお願いします」

秀吉「先ほど紹介のあった木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。

   先ほど命が自己紹介したと思うが、

   ワシの妹じゃから妹共々よろしく頼むのじゃ。

   それと妹は体が弱いので 無理をさせないでほしいのじゃ。

   もう1つ、あらかじめ言っておくことじゃが、

   ワシは男じゃからの、決して女ではないからの!」

木下姉妹は3人とも身長も顔つきも似ているからな。

秀吉はよく女と間違えられるからな。

福原「次の方お願いします」

おっと、俺の番か

貴浩「織村貴浩です。楓の双子の兄になります。

   趣味はアニメ鑑賞やゲーム、料理、食べる事です。

   あらかじめ言っておきますが妹の楓を泣かせたり、

   手を出したりしたら血祭りにあげるのでよろしくお願いします」

俺はそういうと自分の席についた。

 

康太「・・・・・・土屋康太」

お、康太だ。相変わらず口数が少ないな。

康太とは去年同じクラスになってからの友達だ。

楓「先ほど兄さんから紹介があった織村楓です。

  私も秀吉君と同じ演劇部に所属しています。

  試験前日に体調を崩してしまい

  試験を受けることができなかったのでFクラスになりましたが、

  皆さん優しそうな方々なので兄さん共々よろしくお願いします」

本当にできた妹だなぁ~

F「楓ちゃん良い子やなぁ」

F「楓ちゃんかわいいなぁ」

F「楓ちゃん結婚してほしい」

 

おい誰だ、今楓にラブコールしたやつ。後でシバく。

島田「・・・・・です。海外育ちで日本語は読み書きが苦手です。

   趣味は吉井明久を殴ることです☆」

ん、この趣味は島田美波か。相変わらずの趣味だな。

 

明久は…っと、お、少し怯えてるや

明久「えーっと、吉井明久です。気軽に『ダーリン』って呼んでくださいね♪」

「「「「「ダァアーリィーン!!」」」」」(2-F男子全員-秀吉)

明久「・・・・・・失礼。忘れてください。とにかくよろしくお願い致します」

俺もノリで言ってみたが吐き気がする。

やはりノリで言うモノではないな。

 

その後も名前を告げるだけの単調な作業が続いていた時、

ガラリと教室のドアが開き、息を切らせて胸に手を当てている女子生徒が現れた。

姫路「あの、遅れて、すいま、せん・・・・・・」

「「「「「えっ」」」」」

 

誰からというわけでもなく、教室全体から驚いた声が上がる。

そりゃそうだろう。普通はビックリするだろう。

福原「ちょうど自己紹介をしている所なのであなたもお願いします」

姫路「はっ、はい。あの姫路瑞希といいます。よろしくお願いします」

F「はい!質問です!」

姫路「あっ、はっはい、なんですか?」

F「えーと、何でここにいるんですか?」

 

まあ言い方は失礼だがその質問はおそらく全員が聞きたいことである。

姫路は確か学年次席レベルだったはずだが……

姫路「そ、その…試験の最中に高熱を出してしまいまして…」

F「あぁ、なるほど俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに…」

F「あぁ化学だろ?アレは難しかった」

F「俺は弟が事故に遭ったと聞いてそれどころじゃなくてな…」

F「黙れ1人っ子」

F「前の晩彼女が寝かせてくれなくてさぁ」

F「今年1番の大嘘をありがとう」

これは想像以上に馬鹿ばっかりだな。

姫路「で、では1年間よろしくお願いしますッ!」

そう言うと姫路は楓の隣に座った。

明久が姫路に話しかけようとしているのが見えたので俺も近づいた。

明久「あの姫───」

 

雄二「姫路」

 

雄二が明久の言葉に割って入った

姫路「はっはい!何ですか?えーっと」

雄二「坂本だ。坂本雄二」

貴浩「俺は織村貴浩だ。よろしく」

そして俺も乱入。

 

姫路「あ、姫路です。よろしくお願いします」

雄二「もう体調は大丈夫なのか?」

明久「あっ、それは僕も気になる」

姫路「よ…吉井君!?」

雄二「明久がブサイクですまん」

貴浩「そして馬鹿ですまん」

姫路「そ、そんな!目もパッチリしてて顔のラインも細くて綺麗だし…そのむしろ…」

雄二「まぁ悪くはないか・・・そういや興味がある奴がいた気がするな」

明久「え?誰───」

 

姫路「そッそれって誰ですか!?」

明久の言葉に今度は姫路が割って入った

 

貴浩「あぁ…なんかそんな奴がいるって聞いたことがあるな。

   確か………久保…………利光(♂)だったはず」

雄二「おい、明久さめざめと泣くな」

福原「はいはいそこの人たち静かに・・・」

そう先生が教卓を叩いて俺達に注意すると教卓が崩れて壊れた。

…本当に大丈夫なのか、この教室。

俺は大丈夫だけど楓や命には少しばかしヤバイかもしれないな

 



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宣言

4/22 修正


福原「え~替えを用意してきます」

俺は先生が教室を出て行くのを確認して

貴浩「……雄二。少しいいか」

雄二「あ?」

明久「あ、僕も良いかな」

俺達はこっそり廊下に出た

雄二「んで、話ってなんだ」

貴浩「ああ、先に明久からで良いぞ」

明久「そう?じゃあ…この教室のことだよ」

雄二「…Fクラスか想像以上に酷いな」

明久「Aクラスは見た?」

雄二「あぁ凄かったな。あんな教室は見たことないな」

明久「そこで僕からの提案、『試召戦争』をやってみない?」

貴浩・雄二「「戦争…だと?」」

明久「うん!しかもAクラス相手に…」

雄二「…何が目的だ?」

明久「いや、だってあまりに酷い設備だからさ!」

貴浩「嘘だ!!」(ひぐらし風に)

雄二「勉強に興味がないお前に設備なんて関係ないだろ」

貴浩「それに明久はこの文月学園が『試験校だからこその学費の安さ』に

   興味があったんじゃないか?」

明久「あー、えーっとそれはその…」

雄二「姫路のためか?」

明久「べッ別にそんなワケじゃ!」

雄二「気にするな。俺もAクラス相手に試召戦争をやろうと思っていたところだ。

   で、貴浩はどうした?」

貴浩「ああ、俺も明久と同じで試召戦争を提案しようとしたんだ。

   今のままだと楓と命の2人が体調を崩すかもしれないしな」

雄二「まあお前はそんな理由だと思ったがな」

貴浩「そういう雄二は何で試召戦争をやろうと思ったんだ?」

雄二「世の中学力が全てじゃないってそんな証明をしてみたくてな。

   それにAクラスための秘策も思いついた」

そういうと雄二は教室に入って行ったので俺と明久も教室に入った。

そして先生が戻ってきて再び自己紹介を再開した

須川「須川亮です。よろしくお願いします。

   さて、ここで皆さんに聞いてもらいことがあります。

   俺はここにFFF団改めKMF団を設立することを宣言する!」

F「は?」

F「KMF団?なんだそれ?」

須川「では、説明しようKMF団とは、

   織村楓・木下命の両名を我らFクラス一同、全力で崇高し、

   他の男子から両名を守ることを目的とする。

   もちろん姫路さんや島田さん、木下秀吉などの女性に手を出した者は 

   異端者と認め我らの手によって正義の鉄槌を落とすことを宣言する」

と須川は意気揚揚に宣言した。

 

 

 ※簡単に言うと異端審問会・通称FFF団の元々の憲章に付け加え、

  容姿端麗な織村楓・木下命を女神として崇めるために設立したもの

 

 

貴浩「そんなもの誰もやらないだr──」

F「流石だぜ。須川」

F「あぁ、俺も仲間に入れてくれ」

F「楓様と命様は我らのクラスの聖母だ」

須川「皆、KMFの設立に協力してくれるか?」

「「「「「当たり前だ!!」」」」」

須川「皆、ありがとう。後で詳しく説明しよう」

……Fクラスって本当に馬鹿ばかりかよ。

まあ楓に近づく虫を排除してくれるのはありがたいか……

 

その時の楓と命はというと

楓・命「「・・・///」」

 

照れくさそうに下をむいていた。

それを聞いていた秀吉は

秀吉「これでよいのかの?確かに命のことを守ってはくれるみたいなのじゃが、

   しかし、命に変な噂がついたりでもしたら……」

 

1人にブツブツ囁いていた

 

 

 

福原「えーと、坂本君キミが最後ですよ。

   クラス代表でしたよね?前に出てきてください」

雄二「了解」

 

そう言い雄二は立ち上がり教卓の前に向かった

雄二「Fクラス代表の坂本雄二だ。代表でも坂本でも好きなように呼んでくれ。

   ゴホン。さて皆に1つ聞きたい」

さていよいよはじまるか

 

雄二「Aクラスは超豪華待遇らしいが……不満はないか?」

「「「「「大ありじゃあッ!!!」」」」」

雄二「だろう?俺だってこの現状は大いに不満だ」

F「いくら学費が安いからってこの設備はあんまりだ!」

F「Aクラスだって同じ学費だろ!?」

F「改善を要求する!!」

雄二「そこで代表としての提案だがFクラスはAクラスに対し

   『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う!」

 

雄二は宣戦布告した。

F「そんなの勝てるわけがないだろ?」

F「これ以上設備が落ちたらどうなるんだ」

F「姫路さんがいたら何もいらないい」

F「命タンがいるだけで僕は満足です」

F「楓様サイコー!そして好きです!」

貴浩・秀吉「「誰だ(じゃ)!楓(命)にラブコールした奴は!

       血祭りにしてやる(のじゃ)!」」

雄二「そんな事はない、必ず勝てる。いや俺が勝たせて見せる」

F「無理に決まってやるじゃん」

F「そう言われても何の根拠もないしなぁ・・・」

雄二「根拠ならあるさ。このクラスには勝つことのできる要素が揃っている」

雄二は自信ありげにそう宣言した

そして雄二は皆の前でその勝つ事のできる要素をしめそうとした



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観察処分者と特別処遇者

4/22 修正


雄二「今から勝つことのできるわけを証明してやる!」

 

雄二は教卓の前に立ちそう宣言すると

雄二「おい康太、いつまで姫路と楓、命のスカートを覗いているんだ」

康太「……!!」

そういうと康太は素早く立ち上がり首を横に振った。

楓・命・姫路「「「えっ!?」」」

 

姫路さんと楓、命は素早くスカートを押さえた。

雄二「土屋康太。こいつがあの有名な寡黙なる性職者ムッツリーニだ」

そういうと康太ことムッツリーニは激しい勢いで首を横に振った

F「馬鹿な……奴がそうだというのか?」

F「見ろ!まだ証拠を隠そうとしているぞ」

F「あぁ、ムッツリの名に恥じない姿だ」

さすがムッツリーニ。その名に恥じない姿だ。

だが楓のスカートを覗いたんだから後でOHANASIだな

雄二「それに姫路と織村楓の事は皆その実力をよく知っているはずだ」

楓・姫路「「え?私ですか?」」

 

そうだ。この2人は学年トップ10に入っているほどの実力がある。

雄二「ああ、ウチの主戦力だ期待している」

F「そうだ!俺達には姫路さんと楓さんがいる!」

F「彼女達ならAクラスにも引けをとらない!」

F「ああ、楓ちゃんさえいれば何もいらない」

本当に誰だ?さっきから楓に熱烈なラブコール送っている奴は……

雄二「それに木下秀吉だっている」

秀吉「ワシもか?」

F「演劇部のホープ!」

F「確かAクラスに木下優子っていう姉がいただろ」

雄二「ほかにも島田と木下命もいる」

島田「えっウチ?」

命「わ、私もですか?」

雄二「島田は数学だけならBクラスレベルを誇る。

   そして、木下命も現国と家庭科ならAクラスに匹敵するだけの実力がある」

 

命は文系だから文系科目はBクラスレベルあるからな。

体調を崩してFクラスにはいるが元々Cクラス並の成績を持ってるしな。

 

雄二「当然俺も全力を尽くす」

F「坂本って小学校の頃『神童』とか呼ばれてたんだろ」

F「確かになんかやれそうな気がしてきたぞ」

F「これはいけるんじゃないか!?」

F「よし!やってやろうじゃねーか!!」

今教室の士気が高まっていった──

雄二「それに吉井明久と織村貴浩だっている」

 

というとシーンと教室内は一気に静まりかえった。

F「誰だよその吉井明久と織村貴浩って」

F「それ以前にそんな奴らこのクラスにいたか?」

もう忘れらてる!?

貴浩「おい雄二!何でそこで俺らの名前をだした!?

   せっかく上がった士気が台無しじゃねぇか!!」

明久「だいたい僕は普通の人なんだから普通の扱いを……」

俺と明久が文句を言うと、雄二が睨み付けてきた。

雄二「そうか、知らないのなら教えてやる。

   こいつらの肩書きは『観察処分者』と『特別処遇者』だ!!」

 

F「確か観察処分者って『馬鹿の代名詞』じゃなかったっけ?」

明久「ちっ違うよ!!ちょっとお茶目な16歳の愛称で……」

明久は慌てて否定するが、

雄二「そうだ『馬鹿の代名詞』だ」

明久「肯定するなバカ雄二!!」

姫路「あのそれってどういうものなんですか?」

すると姫路が雄二に観察処分者について質問する。

雄二「観察処分者っていうのは具体的には教師の雑用係だな。

   力仕事とかの雑用を特例として物に触れるようになった召喚獣でこなすんだ」

命「それって凄いですね!試験召喚獣って見た目と違って力持ちらしいですしね」

 

命は、期待の眼差しを明久に向ける。

明久「あはは。そんな大したものじゃないよ。

   確かに僕なんかの点数でも召喚獣の力はかなり強いけど、

   その時受ける召喚獣の負担の何割かは僕にフィードバックされるんだ。

   しかも皆と同じで教師の監視下でしか呼び出せないし、僕にメリットもないしね」

F「おいおい…じゃあ召喚獣がやられたら本人も苦しいって事だろ?」

F「だよな…それならおいそれと召喚できないヤツがいるって事じゃん」

雄二「気にするな!明久はいてもいなくても大して変わらん雑魚だ」

雄二は気にもせず明久をズバッと捨てた。

明久「……雄二そこは僕をフォローするところだよね」

命「そうですよ坂本君。あんまり明久君の事悪く言ったら駄目だよ」

そこへ命がフォローを入れた

明久「命……ありがとう」

明久は本当にありがたそうに命に礼を言った。

雄二「んで、今度は特別処遇者の事なんだが……貴浩説明しろ」

貴浩「自分で言えよ面倒くさい。……わかった。じゃあ説明するぞ。

   簡単に言うと、俺って足に怪我って言うか障害があるって事で

   学園側が召喚獣の実験もかねて特別に用意してもらった制度なんだが、

   効果は明久の観察処分者とほとんど同じで、

   召喚獣の負担のフィードバックが少しばかし軽減されるぐらいで

   後はほとんど変わらないぞ」

F「それじゃあ、あんまり使えないじゃん」

 

と、あちこちで不安そうに囁き始めた。

雄二「いや、案外そうでもないぞ。

   明久に貴浩お前ら何回ぐらい召喚獣を操作した?」

明久「正確に数えた事無いけど…えっと…僕は3桁はあると思うよ」

貴浩「俺もそれぐらいはあるはずだ」

雄二「聞いたか、こいつらは召喚獣を使っていろんな雑用や実験をしてきている。 

   要するに、何度も召喚獣を使ってるから操作に慣れてるんだ。

   だから、細かい操作もできる。相手の防御してないところを攻撃したり、

   攻撃をいなしてカウンターを掛けたりとかな。

   細かな操作ができれば点数が上のやつとでも十分渡り合えるんだ。

   余程のことがない限り、同学年では攻撃が当たらない筈だ」

 

そうなんだよな。去年なんか訳もわからない実験に付き合わされたよなぁ。

F「なるほど…」

F「それって凄く有利じゃないか」

 

雄二の説明に納得するFクラスメンバー

雄二「とにかくだ!俺達の力の証明としてまずDクラスを制圧しようと思う。

   皆この境遇に大いに不満だろう?」

「「「「「当然だ!!」」」」」

雄二「なら全員筆を執れ!!出陣の準備だ!」

「「「「「おぉーーーーーッ!!」」」」」

雄二「俺達に必要なのは卓袱台ではない!Aクラスのシステムデスクだ!!」

「「「「「うおぉーーーーーッ!!」」」」」

「「「おッおーー///」」」

 

姫路・楓・命の3人も恥ずかしげに腕を振り上げていた。

そして、俺たちの戦いの幕が開いた。



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使者

4/22 修正


雄二「明久にはDクラスへの宣戦布告の死者になってもらう」

明久「ねぇ雄二、今使者の字が間違ってなかった?

   それに下位勢力の使者ってたいてい酷い目に遭うよね?」

雄二「大丈夫だ。騙されたと思って行って来い」

命「あ、あの。心配なので私も明久君と一緒に行きます」

 

命が立ち上がってそう言った。

明久「えっ?命、良いの?」

命「はい。一緒に行かせてください」

秀吉「命よ、そう無理を言うものじゃないのじゃ」

命「でも秀兄、明久君が心配で……」

秀吉「そうかもしれぬが……」

貴浩「命、明久と行ってくれば良いさ」

秀吉「なッ!貴浩よ。いきなり何を言いだすのじゃ?」

貴浩「でもよ秀吉。命って一度言い出したらもう意思は変わらないだろう」

秀吉「し、しかしじゃな」

貴浩「それに何かあっても絶対明久が自分の命に代えても命を守るはずさ。だろ明久?」

明久に尋ねるように聞いてみる

明久「うん、そうだね。絶対守るよ!」

貴浩「だってよ、秀吉」

秀吉「うぅ……わかったのじゃ。では明久よ、命をよろしく頼むのじゃ」

明久「うん。じゃあ命行こうか」

命「はい!」

そして2人はDクラスに向かって行った。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

しばらくすると

明久「ただいま雄二、Dクラスに宣戦布告してきたよ」

秀吉「大丈夫じゃったか命よ?怪我はないか?」

命「うん、大丈夫だよ秀兄。Dクラスの人たち優しかったよ」

 

秀吉は心配そうに命に駆け寄って行った

雄二「おい、明久ちょっといいか?」

明久「ん?どうしたの雄二?」

雄二「いや、ぶっちゃけお前が酷い目に遭うと思っていたんだが…」

明久「やっぱりそう思ってたんだね。…まあ…うん。

   僕1人なら絶対酷い目に遭ったね。

   でも命がいてくれたから無事ですんだんだ」

 

明久が無事だったのは、明久がやられる前に命が涙目でやめるようにしたらしい。

雄二「……チッ(無事だったか)」

明久「ねぇ今、舌打ちしなかった?」

雄二「さて、今からミーティングを行うぞ」

明久「あれ、今スルーされた?」

貴浩「じゃあ行こうぜ。明久もブツブツ言ってないで行くぞ」

秀吉「そうじゃな」

康太「……了解」

貴浩「おーい、ムッツリーニもう畳の後なら消えてるぞ」

康太「…………!!(ブンブン)」

秀吉「いや、今さら否定されてもの」

康太「…………!!(ブンブン)」

貴浩「大丈夫だ。ムッツリーニがHなのはよく知っているから」

康太「…………!!(ブンブン)」

貴浩「……ちなみに何色だった?」

康太「みずいろ・しろ・ピンク」

………即答か

貴浩「答えたって事は楓のを見たってことだな」

秀吉「命のもじゃな」

康太「…………!!(ブンブン)」

貴浩「さて、今はさすがにまずいだろうから。

   後でちょっとOHANASIいいかな?ってかいいな?」

秀吉「そうじゃな、ワシも後で一緒によいかの?」

康太「…………!!(ブンブン)」

俺と秀吉はムッツリーニの肩を掴みながら屋上へ向かっていった。



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ミーティング

4/22 修正


俺たちは屋上に集まってミーティングをはじめていた

雄二「明久、ちゃんと宣戦布告してきたんだな」

明久「一応、今日の午後に開戦予定と告げてきたきたけど」

島田「じゃあ先にお昼ご飯ってことね?」

雄二「そうなるな。明久今日ぐらいはまともな物食べろよ?」

明久「そう思うならパンでもおごってよ」

命「えっ、明久君ってお昼食べないんですか?」

命は驚いたように明久に尋ねた。

明久「いや…一応食べてるよ」

秀吉「…あれは食べてると言えるのかの?」

貴浩「……明久の主食って水と塩だろ?」

明久「失礼な!!僕をバカにするのも程がある!きちんと砂糖と油も食べてるよ!」

命「…そッそれは食べるとは言わないと思うよ明久君」

康太「…………正確には舐めるが正解」

明久「……」

そこで皆が明久を見る目が同情の眼差しになった

雄二「まっ、飯代を遊びに使い込むお前が悪いな」

明久「しッ仕送りが少ないんだよ!……趣味ってお金かかるから」

命「…あの…明久君、もしよかったら私がお弁当作ってきましょうか?」

明久「ゑ?いいの命?」

命「はっ、はい!明日のお昼でよければですが…」

姫路「なッなら私もお弁当作ってきましょうか?」

明久「え?姫路さんまで?塩と砂糖以外のものなんて久しぶりだよ!」

貴浩「良かったな明久。2人の手作り弁当じゃないか」

明久「うん!」

島田「…ふ~ん。命と瑞希って優しいんだね。吉井だけに作ってくるなんて」

姫路「えっあッいえ!その皆さんにも…」

雄二「俺たちも?良いのか?」

姫路「はい。嫌じゃなければ」

楓「なら人数が多いからデザートは私が作りますよ」

明久「楓も?」

楓「はい、だから命ちゃんと姫路さんはメインのほうをお願いします」

命・姫路「「はい、わかりました」」

貴浩「おぉ!明日の昼は豪華になりそうだな」

秀吉「そうじゃな。命の料理はおいしいからの」

康太「……楽しみ」

雄二「じゃあ明日の昼は3人に任せるとして。さて話を戻すぞ。試召戦争についてだ」

秀吉「雄二よ。1つ気になったんじゃがどうしてAでもEでもなくDクラスなんじゃ?」

雄二「色々理由はあるんだがEクラスは相手じゃないからだ。

   明久見てみろ。ここにいるメンバーを」

雄二が明久に集まったメンバーを見ろと言い、明久は全員の顔を見回し言うと、

明久「えーと、美少女が4人、バカが2人にムッツリが1人とシスコンが1人いるね」

雄二「誰が美少女だと!?」

明久「どうして、雄二が美少女に反応するの!?」

康太「…………(ポッ)」

明久「ムッツリーニまで!? どうしよう!?僕だけじゃツッコミ切れないよ!?」

美少女に雄二と康太が反応して明久は声を上げる。

秀吉「まぁまぁ皆落ち着くのじゃ」

貴浩「そうだ。一度落ち着け」

俺と秀吉で明久たちを落ち着かせると

雄二「ま、要するにだ」

コホンと咳払いして雄二が説明を再開する。

雄二「姫路や楓に問題のない今、正面からやりあってもEクラスには勝てる。

   Aクラスが目標である以上、Eクラスなんかと戦っても意味がないってことだ」

島田「? それならDクラスとは正面からぶつかると厳しいの?」

雄二「ああ。確実に勝てるとは言えないな」

明久「だったら、最初から目標のAクラスに挑もうよ」

雄二「初陣だからな。派手にやって今後の景気づけにしたいだろ?

   それに、さっき言いかけた打倒Aクラスの作戦における必要なプロセスだしな」

姫路「あ、あの~」

雄二「ん? どうした姫路」

姫路「えっと、その……吉井君と坂本君は前から試召戦争について話し合ってたんですか?」

雄二「ああ、それか。それはついさっき、姫路の為にって明久に相談されて――」

明久「それはそうと!」

明久タイミングが悪いぞ。少し聞こえたんじゃないか?

明久「さっきの話、Dクラスに勝てなかったら意味がないよ」

雄二「負けるわけないさ」

明久を笑い飛ばす雄二

雄二「お前らが俺に協力してくれるなら勝てる……いいか、お前ら。

   ウチのクラスは――最強だ」

島田「良いわね。 面白そうじゃない!」

命「秀兄、明久君一緒に頑張りましょうね」

秀吉「そうじゃな。Aクラスの連中を引きずり落としてやるかの」

康太「・・・・・・・・・・・・(グッ)」

姫路「が、頑張りますっ」

楓「兄さん一緒に頑張ろうね」

貴浩「まぁ面白そうだしな」

楓の為だしちょっと本気でやるかな

雄二「そうか。 それじゃ、作戦を説明しよう」

そして、俺達は勝利のため雄二の作戦に耳を傾けた



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【 設定 】

4/22 修正


~ 召喚戦争のルール ~

1、原則としてクラス対抗戦とする。

  各科目担当教師の立会いにより試験召喚システムが起動し召喚が可能となる。

  なお、総合科目の勝負については学年主任の立会いのもとでのみ可能。

  ★2年学年主任:高橋洋子

  ※西村 宗一に関しては全教科、総合科目での勝負の立会いを可能とする。

 

2、召喚獣は各人1体のみ所有。

  この召喚獣は該当科目において最も近い時期に受けたテストの点数に比例した力を持つ。

  総合科目については各教科最新の点数の和がこれにあたる。

  ※腕輪・ネックレス効果に関しては例外

 

 

3、召喚獣が消耗するとその割合に応じて点数も減算され、

  戦死に至ると0点となり、その戦争を行っている間は補習室にて

  補習を受講する義務を負う。

 

4、召喚獣はとどめを刺されて戦死しない限りは、

  テストを受けなおして点数を補充することで何度でも回復可能である。

 

5、相手が召喚獣を喚び出したにもかかわらず召喚を行わなかった場合と、

  敵前逃亡した場合は戦闘放棄とみたし、戦死者同様に補習室にて戦争終了まで補習を受ける。

  また名指しで指名したにも関わらず召喚しない、または逃亡した場合も同じ事が言える。

 

 

6、召喚可能範囲は、担当教師の半径10m程度(ただし個人差あり)。

  召喚フィールド内では1つの科目しか選択できない(選択科目を除く)。

  召喚フィールドが重なった場合、干渉を起こしフィールドが消えてしまう。

 

 

7、戦闘は召喚獣同士で行うこと。

  召喚者自身の戦闘行為は反則行為として処罰の対象となる。

 

8、戦争の勝敗は、クラス代表の敗北をもってのみ決定される。

  この勝敗に対し、教師が認めた勝負である限り、経緯や手段は不問とする。

  あくまでもテストの点数を用いた『戦争』であるという点を常に意識すること。

 

 

 

~ 試験科目について ~

 【 科目 】

  ○文系科目(3科目)

   ・現代国語 ・古典 ・現代社会

   

  ○理系科目(4科目)

   ・数学 ・化学 ・物理 ・生物

 

  ○歴史科目(2科目)

   ・世界史 ・日本史

 

  ○その他 

   ・英語 ・保健体育

   ・選択(家庭科・美術・音楽)

    ※選択科目に関してはどれか1つ選ぶ形。

 

 

以上、計12科目に設定しています。

選択科目に関しては筆記試験+実技試験(上限100点)の採点方法となり

実技試験に関しては学期ごとに行われる点数から変更はない。

回復試験では筆記のみ行うものとなる。

 

総合科目は上記の全ての点数の和とし、

召喚獣の腕輪は各教科400点以上の時に装備される。

総合科目では4800点の時装備される。



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Dクラス戦①

4/22 修正


開戦時間になり、Fクラス対Dクラスの試召戦争の火蓋は切って落とされた。

貴浩「ついに始まったようだな」

試召戦争の火蓋は切って落とされたのだが、

俺と楓、命、姫路の4人は回復試験験を受けていた。

というのも俺達は振分試験を欠席・途中退出したので0点扱いになっているので、

回復試験を受けて点数を確保しなければならないからだ。

貴浩「さっさと試験受けて戦線に加わらないとな」

楓「そうですね兄さん」

命「待っててくださいね。秀兄と明久君」

姫路「頑張ります」

「それでは、回復試験を始めます。準備はよろしいですか?」

「「「「はい」」」」

「それでは、始めてください」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

試験を受けてる最中

 

《ピンポンパンポーン》

 

《船越先生、船越先生》

 

この声は確か……須川だったか。放送を使ってどうするんだ。

 

《吉井明久が体育館裏で待っています》

 

《生徒と教師の垣根を越えた、男と女の大事な話があるそうです》

 

…明久。グッドラック!

 

明久「須川あああああああ!!」

 

放送直後に遠くで明久が叫んでる声が聞こえた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

貴浩「さて回復試験も受けたし戦線に行くとするか」

「「「はい」」」

Fクラスに戻ると雄二が護衛をつれて立っていた

雄二「よし、試験は終わったか。そろそろこちらも出るとするか」

するとそこへ明久が戻ってきた

明久「雄二、校内放送聞こえてた?」

雄二「ああ、バッチリな!」

明久「それよりも、須川君がどこにいるか知らない?」

貴浩「須川ならもう少ししたら、帰ってくるんじゃないか?」

雄二「ちなみにだが、さっきの放送を指示したのは俺だ。」

明久「シャァァアッ!」

雄二「お、船越先生」

凄いな明久。

雄二が船越先生の名をあげた瞬間に掃除用具のロッカーに入って行ったぞ。

雄二「さて、バカは放っておいて、そろそろ決着をつけにいくか」

秀吉「そうじゃな、ちらほらと下校している生徒の姿も見え始めたし、頃合じゃろう」

康太「・・・・・・・・・・(コクコク)」

雄二「おっしゃ!Dクラス代表の首を取りに行くぞ!」

F『『『『応っ!』』』』

やっと、戦えるぜ!  

せっかく回復試験を受けたんだから、戦わないとな!

命「あの~明久君。船越先生が来たっていうのは嘘みたいですよ」

そう命が言うと同時に

明「キシャアアアアアッ。逃がすか雄二ぃッ!!」

明久は奇声をあげて雄二を追いかけていった。

貴浩「……俺たちも行くか」

楓「……そうですね兄さん」

命「う、うん」

俺たちは苦笑いしながら戦場へ向かった



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Dクラス戦②

4/22 修正


俺達がDクラスとの戦場へと向かうと

 

貴浩「ん?…あそこいるのはDクラス代表の平賀か。

   作戦通り、俺たちは周りの近衛部隊を相手にするぞ。2人とも準備はいいか?」

楓・命「「はい」」

貴浩「Fクラス織村貴浩がDクラス近衛部隊に勝負をしかける」

楓「Fクラス織村楓がDクラス近衛部隊に勝負を挑みます」

命「Fクラス木下命がDクラス近衛部隊に勝負を挑みます」

「「「試獣召喚サモン」」」

叫んだ直後、足元に現れる魔方陣。

そして現れる黒い甲冑をまとい日本刀と拳銃を装備した俺の召喚獣。

楓「それが兄さんの召喚獣ですか?かっこいいですね」

貴浩「ありがとう楓。楓の召喚獣はかわいいな」

楓の召喚獣は着物を着ていて弓を装備していた。

貴「命の召喚獣もかわいいな」

 

命の召喚獣は巫女服と十文字槍を装備した召喚獣だった

命「ありがとうございます」

貴浩「じゃあ、やるか」

 

今はフィールドには現代国語が展開されている

【現代国語】     

 

Fクラス            Dクラス

  織村貴浩 143点    VS  近衛部隊×5人 平均 100点

  織村楓  395点

  木下命  295点

D「げぇ!?なんでFクラスなのにこんなに点数高いんだよ」

D「ひるむなっ!取り囲んで一気にたたくんだ!」

貴浩「じゃあ俺が前に出るから、2人共援護頼む」

楓「了解です兄さん」

命「わかったよ貴浩君」

今回の戦闘の目的は平賀から近衛部隊を引き離すこと。

もう1つは楓と命が召喚獣の操作に慣れることの2つだ。

 

 

俺達はDクラスの近衛部隊と戦闘を繰り広げている中、少しずつ後ろに後退していく

 

さて予定通りに近衛部隊はこちらに向かってきたな。

なぜ、引き離したかというと。

 

Fクラスの切り札の1つである──

貴浩「姫路そっちは任せたぞ」

D「は?」

やっぱりこいつ何を言ってるんだ、みたいな顔されるよな普通。

姫路「あ、あの…」

平賀「え?あ、姫路さん。どうしたの?Aクラスはこの廊下は通らなかったと思うけど」

姫路「いえ、そうじゃなくて……Fクラス姫路瑞希です。

   Dクラス平賀君に現代国語勝負を挑みます。」

平賀「……はぁ。どうも」

姫路「あの、えっと……さ、試獣召喚サモンです」

 

 

【現代国語】

 

 Fクラス          Dクラス

   姫路瑞希    VS    平賀源二

   339点          129点

 

 

平賀「え?あ、あれ?」

姫路「ご、ごめんなさいっ」

相手に反撃を一度も許さずにに一撃でDクラス代表を倒し、Dクラス戦は終わった。

F「「「「「うぉおおおおッ!!」」」」」

F「凄ぇよ!!本当にDクラスに勝てるなんて!」

F「これで畳や卓袱台ともおさらばだ!!」

 

F「やっぱり坂本は凄い奴だったんだな!!」

F「坂本万歳!!」

雄二「あーまあなんだ。そう褒められるとなんつーか……///

そういうと雄二は頭をポリポリかいて照れていた。

F「坂本!!握手してくれ!」

F「俺も」

明久「雄二!!」

雄二「ん?明久か」

明久「僕も雄二と握手を!!」

そう言って明久も雄二に駆け寄っていき

雄二に握手しようとする前に雄二が明久の手首を押さえた。

明久「雄二……握手なのになんで手首を押さえるのかな……!」

雄二「押さえるに決まっているだろうが…ッ!フンッ!!」

そう言って明久の腕を捻り上げると

明久「ぐあッ!!」

明久が悲鳴をあげると同時に包丁が床に落ちた

明久「・・・・・・」

雄二「・・・・・・」

明久「……雄二、皆で何かをやり遂げるって素晴らしいね」

明久は何事も無かったかのように雄二に話しかける。

 

雄二「・・・・・・」

明久「こんな素敵な事だなんて今まで知らな関節が折れるように痛いいッ!!」

明久が言っている途中で力強く腕を捻りあげた

雄二「……今何をしようとした?」

明久「もッもちろん勝利を祝うための握手を手首がもげるほどに痛いいッ!!」

雄二はさらに力強く関節を捻りあげた

雄二「おーい誰かペンチを持ってきてくれー」

さて面白そうだけどそろそろ止めるか。

そう思って雄二を止めようとしたら

命「もう坂本君!明久君をいじめちゃ駄目ですよ!

  それにペンチなんて何に使うんですか?」

そこへ俺が行く前に命が明久を助けに行った

雄二「簡単だ。爪をはがす。すぐに終わるから少し待て」

命「だ、駄目ですそんなことしちゃ駄目です!明久君が可哀想です!」

雄二「しかしだな命、こいつは俺を刺そうとしたんだぞ」

命「明久君がそんな酷いことするわけありません!なにかの間違いですよ、きっと!」

いや…雄二の言うとおり明久は雄二を刺そうとしたな。

命「もうやめてあげてください。お願いします」

と命が雄二に涙目かつ上目使いで頼み込むと

「「「「「ぐはッ」」」」」

 

それを見た男子達(俺・秀吉・雄二・明久除く)が鼻血をだしながらバタバタ倒れて行った。

俺・秀吉・雄二・明久も倒れてはいないが顔を真っ赤に染めていた。

命「駄目ですか?」

そう言ってもう一度頼み込む

雄二「わッわかったわかった。命に免じて今回は明久のことを許してやる///」

 

雄二はそう言って顔を背けた。

雄二が命に押し負けたのだ。

命「よかったね明久君♪」

うれしそうに明久のほうに振り向いた

明久「う、うん。ありがとう///」

秀吉「…なぜ。命は明久を・・・…(ボソッ)」

秀吉が何かブツブツ言っていたがあえてスルーすることにした。

しばらくして落ち着き、雄二とDクラスの平賀が戦後対談している



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Dクラス戦後

4/22 修正


雄二達が戦後対談している中、

もう俺達は必要ないみたいなので楓や秀吉、命と共に帰る支度をしている所だった。

貴浩「さて帰るとするか。皆はどうするんだ?」

秀吉「ワシは今日は部活が休みじゃから帰るとするかの」

楓「兄さん、私は明日皆さんにデザートを作る予定なので買い物してから帰りますね」

命「なら楓ちゃん私も一緒に買い物に行っても良いかな?」

楓「うん、もちろんですよ」

貴浩「なら楓、俺も行くぞ。荷物大変だろ?」

秀吉「ならワシも行くとするかの。良いかの?」

楓「はい、ではお願いします」

楓の了承がとれたので、帰り支度を済ませ教室を出ようとすると、

命「あっ!貴浩君待ってください。多分、優姉も一緒に行くと思うから」

楓「そうですね。なら兄さん、まずはAクラスに寄ってからですね」

秀吉「ではまず、Aクラスに行って姉上と合流するとするかの」

そう言うと俺達は優子がいるAクラス前に向かった。

秀吉「さて姉上はおるかの?」

扉を開けると優子は黄緑色の髪の女性と話しているようだったので

ひとまず俺たちはAクラスへと入って行った。

命「失礼します。優姉、迎えにきたよ」

と命は優子に向かって入って行った。

俺達も命を追うようにAクラスに入った。

入ってみても思ったがFクラスと比べると凄いというか格が違うと改めて実感する

貴浩「やっぱりAクラスって凄いな」

秀吉「そうじゃな。流石Aクラスという所じゃな」

そう会話しながら優子の所に近づいて行った

優子「あら命、わざわざ来てくれたの」

 

優子は俺達を見渡して聞いてきた

優子「どうしたの?皆してわざわざAクラスまで来て?」

秀吉「それはじゃな。明日命と楓が明日ワシらに弁当を作ってくれることになっての。

   帰りにその買い物に皆で行こうという風になったのじゃ」

優子「なんだ。そういうこと」

命「優姉大丈夫だよ。ちゃんと優姉の分を作るから」

優子「ありがとう命」

そういうと優子は命を抱きしめた。

命「優姉。恥ずかしいよ」

 

優子は命の言葉に気づき抱きついた手を緩めた

貴浩「ところで優子、隣の方は?」

優子「ん?この子は、私のクラスメイトで友達の工藤愛子よ」

愛子「今、優子から紹介があった工藤愛子だよ。よろしくね♪えっとキミ達は?」

凄い可愛い子だな。こんな人、同学年にいたっけ?

秀吉「ワシは2-Fの木下秀吉じゃ。よろしくなのじゃ」

愛子「木下って事は優子と命の姉妹?」

秀吉「そうじゃ、先に言っておくがワシは男じゃからな」

愛子「えっ!?男の子なんだ。女の子かと思っちゃたよ。ごめんね」

秀吉「いや、気にするでない。今度から間違えないでほしいのじゃ……本当に」

そういう秀吉にはなんか悲壮感が漂っていた

愛子「…うん、わかったよ。気をつけるよ。それでソコのキミは?」

貴浩「俺は2-Fの織村貴浩だ。そこにいる楓の双子の兄なんだ、よろしく」

愛子「楓のお兄さんなんだ。よろしくね」

貴浩「ん?楓のこと知っているのか?」

楓「兄さん、愛ちゃんとは去年同じクラスだったんだよ」

貴浩「あら?でも何回か楓のクラスには顔だしたことあるが

   工藤のこと見た記憶がないな?」

愛子「それはそうだよ。僕は1年の終わりごろ転入してきたんだもの。

   その時に楓と優子、命と知り合ったんだ」

貴浩「それはどおりで、見かけたことないなと思ったんだ」

楓「兄さん、愛ちゃんと話すのも良いけど買い物に行かないと」

貴浩「おっと!そうだった。ごめんごめん」

愛子「へぇー皆で買い物に行くんだ。僕もお邪魔して良いかな?」

楓・命「「良いですよ」」

貴浩「俺も良いと思うよ」

秀吉「ワシも良いのじゃ」

優子「私も良いと思うわ、さてじゃあ行きましょうか」

 

そういって俺達は6人で買い物に行くことになった

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

優子「とりあえず、私達の家の近くスーパーに行くってことでいいのかしら?」

貴浩「俺達は良いが、工藤は大丈夫なのか?家ってこっち方面にあるのか?」

愛子「うん、僕の家は優子の家の割と近くに住んでいるんだ。

   貴浩君と楓ちゃんの家は近くなの?」

貴浩「ああ、そうだな。高校に進学する少し前に

   俺らの親父が秀吉たちの両親と知り合いということもあって、

   秀吉たちの家のすぐ近くに引っ越したんだ。

   まあ秀吉たちと知り合ったのは入学して少し後だけどな。

   っていうか、俺のこともう名前で呼ぶんだ?」

愛子「うん、だって楓も同じ苗字なんだし名前で呼んだほうがわかりやすくないかな?

   それに皆、名前で呼んでたから、呼んだんだけど、駄目だった?」

工藤さんは上目遣いでそう聞いてきた。

その上目遣いは反則だろ

貴浩「うっ、いや…そんなことないぞ…いきなり名前で呼ばれたから驚いただけ…」

俺は慌てて答えた。

楓「…兄さん。照れてるの?」

貴浩「い、いやいや。照れてなんかいないぞ///」

命「貴浩君、顔が真っ赤だよ」

秀吉「そんな顔で否定されてものの」

貴浩「・・・///」

それから俺は皆から茶化されながら買い物をし、帰宅した。

 

 

 

そしてこれが不幸の始まりだったとは今の俺は思いもしなかった



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朝からの一騒動

4/22 修正


そしてこれが不幸の始まりだった

貴浩「はぁ、はぁ……撒けたか?」

F『いたぞ!織村だ!捕まえろ!』

F『『『うおぉおおお!!』』』

貴浩「げっ!?見つかった」

俺はすぐ様その場を駆け出し逃げ出した。

走るのは苦手なのに……何でこんなことになったんだ?

 

 

 

 

      ☆

 

 

 

 

 

【 織村家 】

 

楓「兄さん朝だよ。起きないと遅刻するよ」

貴浩「……あと30分…」

楓「もう、そんな事言ってちゃんと起きたことないよね兄さん」

楓はそう言うとお玉とフライパンをどこからか取り出し

楓「秘儀『死者の目覚め』!」

とフライパンとお玉を叩き鳴らした

 

カン! カン! カン! カン! カン! カン! カン! カン! 

 

貴浩「うおおおおおぉぉぉぉ!!!」

 

いきなりの爆音?に俺はベットから転げ落ちる。

楓「兄さんおはよう。顔洗ってから来てね」

と言い残し、俺の部屋から出て行った。

耳元で鳴らされたのでもう眠気が覚めしまったので着替えて顔を洗いに行く。

ちなみにこれは朝の恒例になりかけている。

楓「兄さん、ご飯の用意できたからお皿とか準備してもらってもいいですか?」

貴浩「了解」

俺は皿を並べるとそこに楓が料理を乗せていった。

今日の朝食は、食パンとトマトのスープとスクランブルエッグだ。

朝食はほとんど楓が作る。

本当は当番制だったんだが俺の寝起きが悪いので

いつのまにか楓が作るようになっていた。

もちろん楓の体調が優れない時は俺が作る。

家での家事は、食事は朝食は楓が作るが夕食は当番制で

俺が作る時は和食中心で、楓が作る時は洋食中心となる。

洗濯は楓がやっている。っというか俺にやらせてくれない、何故だろう?

したがって、ごみを捨てたり部屋の掃除は俺がやっている(楓の部屋以外)となっている。

食器を洗うのは2人で分担して行っている。

 

 

楓「兄さん学校行こう」

貴浩「あいさー」

 

俺達はいつも通り一緒に学校に向かった。

 

ここまでは普段通りだったのだが…扉をあけ教室に入ってみると…

紫色の衣装と覆面を身につけた奴らが凶器を持って教室の中に居座っていた。

貴浩「……何コレ?どういうこと?」

俺は恐る恐るそこにいる奴等に話しかけてみると…

須川『諸君。ここはどこだ?』

F『『『最後の審判を下す法廷だ』』』

須川『異端者には?』

F『『『死の鉄槌を!』』』

須川『男とは』

F『『『愛を捨て、哀に生きるもの!』』』

須川『命様と楓様とは?』

F『崇めるもの。そして我らがクラスの聖母様』

須川『宜しい。これより、KMF団による異端審問会を開催する』

貴浩「はっ?」

F『とりあえず……デストロイ!!』

 

いきなりそんなことを言いだし怪しい奴が殴りかかってきた。

俺は身の危険を案じて、ひとまず距離をとった。

貴浩「いきなりなんだよ!俺が何をした!?」

須川『こいつの罪状を読み上げよ』

F『はっ!須川会長。えー被告、

  織村貴浩は我が文月学園第2学年Fクラスの生徒であり、

  この者は我らが教理に反した疑いがある。

  昨日未明、この者は我が文月学園の女子生徒5名と一緒に楽しそうに帰るだけでなく

  スーパーで買い物を共にするという不埒な事を我らが同胞が目撃しています。

  今後充分な調査を行った後、甲に対する然るべき対応を・・・』

須川『御託はいい。結論を述べたまえ』

F『多くの女子とデートしてたので羨ましいであります』

須川『うむ。実にわかりやすい報告だ』

貴浩「それって昨日秀吉達と一緒に帰って──」

シュッ

今、何かが横を通り過ぎて行きゆっくりその方向を見てみると

カッターが壁に突き刺さっていた。

貴浩「・・・・・・」

須川『判決の時間だ』

貴浩「楓、荷物頼む!」

そう言い、俺は楓に鞄を投げ渡し教室から逃げ出した。

須川『追え!逃がすな』

F『我らKMF団の名にかけて貴浩を捕まえろ』

 

 

        ☆

 

 

 

そんなこんながあり現在に至っている。

さて、どうするかな?まだHRの時間まで結構あるしな。

それにこのまま逃げつづけても俺の足じゃいずれ捕まりそうだからな。

そう考えながらKMF団の奴らから逃げていると

愛子「あれ?貴浩君?」

 

誰かに呼ばれた気がして振り返ると、そこには工藤が立っていた。

愛子「僕達の教室前で何しているのかな?まさか僕に会いに来てくれたとか?」

貴浩「え、いや。そんなんじゃn──」

・・・・・・待てよ。このままAクラスで時間を稼ぐか。

まさかAクラスにいるとは思わないだろうし……よしそうしよう

貴浩「……うん、そうなんだ。工藤に少し用が会って来たんだ。

   ここじゃちょっとあれだからAクラスに入らせてもらっても良いか?」

愛子「え、本当なんだ。冗談でいったんだけどな(笑)」

貴浩「駄目か?少しでいいから頼む!」

 

早くしないとアイツらに見つかってしまう!

  

愛子「えっ?うーん、まぁいいよ。なら行こうか」

貴浩「ごめんな。ありがとう」

そうして俺は工藤とすぐにAクラスに向かい、中に入らせてもらってすぐ扉を閉めた。

 

すると遠くのほうから

F『そっちにいたか?』

F『こっちにはいねぇぞ!どこに行きやがった』

F『必ず奴を見つけ出せ!』

 

と俺を探す声が聞こえてきた。

危機一髪だった。そこで俺はようやく一息ついた。

愛子「で、貴浩君。僕に何の用が会ってわざわざ来てくれたのかな?」

あっ!そうだった。

えーっとどうするかな?とりあえず何か話さないと……

貴浩「……えっとな、昨日一緒に皆で帰って買い物に付き合ってくれただろ。

   そのお礼といってはなんだけど今度、弁当でも作ってこようかなぁ…

   と思ったんだが…どうだ?」

愛子「えっ?」

苦し紛れに1番無難な話かと思ったんだけど、失敗したか?

貴浩「やっぱりいきなりこんな事言ったら迷惑か?」

愛子「えっ、いや迷惑じゃないけど。

   でも昨日の事だったら僕がお願いして

   一緒に行ったんだから気にしなくてもいいのに」

貴浩「まぁそうなんだけど。

   一応、感謝の気持ちとこれから仲良くしようという意味を込めてな」

愛子「う~ん…じゃあ、そこまで言うのならお願いしようかな」

貴浩「了解。それと弁当の中身なんだけど、和食中心でも大丈夫かな?」

愛子「うん、大丈夫だよ」

貴浩「そうだ。ついでに携帯の番号とメアド教えてくれないか?」

  

愛子「わかったよ。赤外線で良いよね」

そしてお互いに携帯の番号とメアドを交換した。

 

 

【貴浩は工藤愛子の携帯の番号とメアドを獲得した】

 

 

貴浩「じゃあ、携帯の番号とメアドありがとな。弁当、早速明日作ってくるな」

愛子「楽しみにしてるね」

俺はそう言い残しAクラスを出てHRが始まる直前に教室に戻った。

教室に戻ると楓と秀吉と命が昨日の事について説得してくれていたので

何事もなく午前の授業を送ることができた。

 

 

だが、まだ不幸は終わってはいなかった



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地獄の昼休み

4/22 修正


やっと午前中の授業が終わったな。

今日は命と姫路が皆に弁当を作ってきてくれたんだよな。

それに楓のデザートだってあるしな。何を作ってきてくれたんだろうな?

朝、楓に聞いても内緒とか言われて教えてくれなかったしな

俺がそんなことを考えていると

雄二「よしッ昼飯食いに行くか!」

島田「あ、ウチも一緒していい?」

明久「じゃあ僕はソルトウォーターでも…」

姫路「あ、あの皆さん」

そこで姫路が恥ずかしそうに話し掛けてきた

姫路「え、えっと。おッお昼なんですけど、そのッ昨日の約束の……」

秀吉「おお、もしや弁当かの?」

姫路「はッはい、迷惑じゃなかったらどうぞ!」

明久「迷惑なもんか!ねッ雄二!」

雄二「あぁそうだな、ありがたい」

命「明久君、皆さん。あの私もお弁当作ってきたので皆で食べてくれないかな?」

楓「私もデザート作ってきたので皆さんがよろしければ、どうぞ」

貴浩「楓のデザートは俺が保証するぞ!本当においしいからな!」

秀吉「命の料理もじゃよ。我が家で1番料理が上手いからの」

康太「・・・・・・楽しみ」

明久「本当楽しみだなぁ。ありがとね命」

命「///」

島田「むー…ッ瑞希も命も楓も意外と積極的なのね…」

秀吉「せっかくのご馳走じゃしこんな教室ではなく屋上にでも行くかのう」

雄二「だったらお前ら先に行っててくれ」

明久「ん?雄二はどっか行くのか?」

雄二「飲み物でも買ってくる。全員お茶で良いよな?」

貴浩「ああ、良いと思うぞ」

島田「あッウチも行く!1人じゃ持ちきれないでしょ?」

雄二「きちんと俺達の分とっておけよ」

貴浩「大丈夫だって」

明久「じゃあ僕らも行こうか」

「「「「そうですね(じゃな)」」」」

俺達は屋上に向かって行った

 

 

        ☆

 

 

 

秀吉「天気が良くてなによりじゃ」

楓「そうですね」

貴浩「人もいないから貸切状態だな」

楓「それに日差しと風が気持ち良いですしね」

そう楓がいうと、姫路と命が料理を入れた重箱を中央に置いた

姫路「あんまり自信はないんですけど…」

そう言いつつ姫路さんは蓋を開けた

「「「おぉッ」」」

俺らは一声に歓声をあげた。旨そうだ。

姫路のにはから揚げやエビフライにおにぎりなど定番のメニューが入っていた。

命「わ、私のも」

 

そう言うと命も重箱の蓋をあけると

明久「こッこれは!!」

康太「・・・・・・こちらもおいしそう」

命の弁当も凄く旨そうだ。

命のにはアスパラ巻きや卵焼き、ポテトサラダ、おにぎりなどのメニューが入っていた。

明久「すごいよ2人共!!塩と砂糖以外の物がたくさん入っているよ」

命・姫「「よッ喜んでもらえて良かったです・・・」」

普段、明久はどんな食生活で過ごしているんだ・・・。

命「明久君や皆に栄養をつけてもらおうと思って張り切っちゃいましたっ」

貴浩「命は良い嫁になりそうだな」

命「///」

秀吉「なんじゃと!!命はまだ誰にもやらんぞ!!」

貴浩「い、いや…本気にするなよ。ただの褒め言葉だよ」

秀吉「む、すまぬ。つい動揺してしもうた」

明久「じゃあ、雄二たちには悪いけどお先にっと」

そう言い明久は箸をのばしていくと、

不意にその横から先にムッツリーニが姫路のエビフライを口の中に入れた

パクッ

明久「あッ!ずるいぞムッリーニ!!」

明久は先にムッツリーニ食べられたのが嫌だったのか文句を言っていたが、

バタン

 

ガタガタガタ

「「「「「「!?」」」」」」

 

エビフライを食べた直後、ムッリーニが豪快に倒れ、小刻みに震えだした。

「「「・・・・・・」」」

秀吉と明久と顔を見合わせる。

姫路「わわっ、土屋君!?」

 

姫路が慌てて、配ろうとした割り箸を取り落とす。

康太「・・・・・・・・・(ムクリ)」

ムッツリーニが起き上がった。

康太「・・・・・・・・・(グッ)」

そして姫路に向けて親指を立てる。多分『凄く美味しいぞ』と伝えたいんだろう。

姫路「あっお口に合いましたか?良かったです」

でもなムッツリーニ、それならなぜ足が未だにガクガク震えているんだ?

俺にはKO寸前のボクサーにしか見えないんだけど

姫路「良かったらどんどん食べてくださいね」

姫路が嬉しそうに勧めてくれると断れない。

むしろ、どんなにまずくても残さず食べてやる、という気にさえなってくる。

・・・でも俺には目を虚ろにして体を震わすムッツリーニが忘れられない。

貴浩(……なぁあれ、どう思う?)

 

俺達は姫路に聞こえないくらい小さい声で話し掛ける。

 

秀吉(……どう考えても演技には見えん)

明久(……だよね。ヤバイよね)

楓(…兄さんどうするの?)

命(…秀兄)

貴浩(まず、楓は姫路がこちらの会話に気づかれないようにしてほしい。

   命はムッリーニを見ててくれるか。こっちは俺達でどうにかしてみるから)

楓・命((わかりました))

 

そう言うと2人は言われた通りに動いてくれた

 

秀吉(で、貴浩よ。どうするつもりじゃ?)

貴浩(お前ら、身体は頑丈なほうか?)

明久(…正直胃袋には自信がないよ。食事の回数が少なすぎて退化してるから)

秀吉(・・・ならば、ここはワシに任せてもらおう)

勇気ある秀吉の台詞が囁かれる。

明久(そんな、危ないよ!)

秀吉(大丈夫じゃ。ワシは存外頑丈な胃袋をしていてな。

   ジャガイモの芽程度なら食ってもびくともせんのじゃ)

 

見かけによらずタフな内臓だなあ。ジャガイモの芽は毒だったはずだが

 

明久(でも秀吉が・・・)

秀吉(安心せい。ワシの鉄の胃袋を信じて――)

とても男らしい台詞を言おうとしたところで、

雄二「おう、待たせたな!へー、こりゃ旨そうじゃないか。どれどれ?」

 

雄二登場。

貴浩「おい!雄二。待t──」

止める間もなく素手で姫路のから揚げを口に放り込み、

パクッ

 

バタン・・・ガシャガシャン

 

ガタガタガタガタ

ジュースの缶をぶちまけて倒れた。

島田「さ、坂本!?ちょっと、どうしたの!?」

遅れてやってきた島田が雄二に駆け寄る。

 

・・・・・・・間違いない。コイツは本物だ・・・・・・。

激しく震える雄二を見ると明久と目線で会話していた。

これはいつも一緒にいる俺達だからこそできる技だ。

雄二「あ、足が攣ってな・・・・・・」

姫路が傷つかないようにウソをつく雄二。

貴浩「そうだな。ダッシュで階段を昇り降りしたんじゃないか」

秀吉「うむ、そうじゃな」

島田「そうなの?坂本ってこれ以上ないくらい鍛えられてると思うけど」

やばい、島田をどうにかしないと

明久「ところで島田さん。その手をついてるあたりにさ」

明久がビニールシートに腰を下ろしている島田の手を指差した

島田「ん?何?」

明久「さっきまで虫の死骸があったよ」

島田「えぇっ!?早く言ってよ!」

明久「ごめんごめん。とにかく手を洗ってきたほうがいいよ」

ナイスだ明久!!

島田「そうね。ちょっと行ってくる」

そうして島田が手を洗いにここを離れて行った。

雄二(明久今度はお前がいけ!)

明久(む、無理だよ!僕だったらきっと死んじゃう!)

秀吉(流石にワシもさっきの姿を見ては決意が鈍る・・・)

貴浩(…よし、なら俺が逝く)

明久(た、貴浩!?)

貴浩(だから…雄二・明久・秀吉貸し1つな)

明久・雄二((あぁわかった))

貴浩(最後に楓が作ったデザート、俺の分は残しておいてくれよ)

秀吉(了解なのじゃ)

明久(絶対残しておくよ)

貴浩(よし、いくぞ)

明久「あっ姫路さん、アレはなんだ!?」

明久が姫路の気を引いた瞬間、俺は姫路さんの弁当を口の中に流し込んだ。

2-F織村貴浩。逝っきまーす!

グフッ

 

バタ 

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

そして俺は雄二と秀吉の背に隠れて逝った。



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目覚めて

4/22 修正


俺が目を覚ましたのは、倒れてから30分たった後だった

楓「あっ、兄さん目が覚めました?」

秀吉「おぉ!大丈夫じゃったか。うわ言を言ってた時は心配したのじゃ」

雄二「貴浩、もう大丈夫なのか?」

貴浩「あぁ……多分大丈夫だと思う」

姫・島「「??」」

姫路と島田の2人はわけがわからず首を傾げていた

雄二「さて、それじゃあ次の作戦を伝えるぞ」

島田「次ってBクラスなの?」

雄二「ああ、そうだ」

島田「何度も聞いてるけど目標はAクラスじゃないの?」

雄二「正直に言おう。どんな作戦でもうちの戦力じゃAクラスには勝てやしない」

雄二らしくもない降伏宣言か……無理もないか、Aクラスは格が違うしな。

それに、優子も含め成績トップの10人は格が特に違うらしいからな。

雄二「どんな作戦でも代表を倒せない限り勝利はない…」

楓「それでは最終目標はBクラスに変えるって事ですか?」

雄二「いいや、そんな事はない。Aクラスをやる」

姫路「それってどういうことですか?」

雄二「クラス単位では勝てないと思う。だから一騎討ちに持ち込もうと思う」

明久「一騎討ちに?どうやって?」

雄二「Bクラスを使う。明久、下位クラスが負けたらどうなるか知っているな?」

明久「え!?えーと……」

そこへ命が素早く明久の耳元でどうなるか説明して明久はなんとか答える事ができた。

雄二「つまりはBクラスならCクラスの設備になるわけだ」

命「逆に上位クラスが負けると設備が入れ替わるんですよね?」

雄二「そうだ。そのシステムを利用して交渉する」

秀吉「交渉なんぞに応じてくれるかのう…」

雄二「交渉内容については考えてある。俺に任せてもらう」

秀吉「じゃがそれでも問題はあるじゃろう。そもそも一騎討ちで勝てるのじゃろうか?」

貴浩「それもそうだな。こちらに楓や姫路がいることは既に知られているだろうしな」

雄二「それに関しても考えがある…心配するな。

   とにかくBクラスをやるぞ!細かいことはその後だ」

貴浩「了解だ。雄二に任せる」

雄二「で、明久」

明久「ん?」

雄二「今日のテストが終わったらBクラスに行って宣戦布告して来い。

   時間は明日の正午からだ」

明久「こtー」

命「駄目ですよ坂本君。この前、明久君が行ったんですから

  今度は坂本君が行ってください!」

明久が断る前に横から命が軽く雄二を睨んで口出ししてきた。

雄二「しかしだな…」

命「駄目です!」

涙目になりながらも命は一歩も引こうとはしなかった。

貴浩「雄二、命がここまで言ってんだ。今回くらい聞いてやれよ」

秀吉「雄二よ…命がここまで頼んでおるのじゃ。

   ……まさか、雄二は命の願いを無碍にはせぬよの」

秀吉、笑っているけど目が怖んだが。

それになんか後ろから黒いオーラが見えるんだが・・・

雄二「わかった。わかった。明久の使者の件は取りやめる」

命「ほ、本当ですか!?」

そういうと、命はすぐ泣き止んだ。嘘泣きか?

雄二「はぁ~。じゃあひとまずは教室に戻るとするか」

そうして俺達は教室に戻り、俺は楓が作ってくれた

デザートのアップルパイを食べ午後の試験を受けた。



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協力

4/22 修正


午後は通常の授業を受けた後、

放課後Fクラスメンバーは残りDクラス戦で消費した教科の回復試験を受けた。

 

貴浩「ふぅ~。おわったー!」

 

試験が終わると俺は荷物をまとめ、いつものメンバーと帰ろうと仕度をする。

 

貴浩「明久、雄二、秀吉、ムッツリーニ帰ろうぜ」

 

メンバーに声をかける。

だいたいいつもこのメンバーで帰る。たまに、楓や命たちと帰ったりもする。

 

雄二「悪いな。俺は今日は用事があってな」

 

明久「あっ!僕もちょっと用事があって先に帰らないと行けないんだ」

 

康太「・・・・・・・同じく」

 

秀吉「すまぬの…今日は部活があって一緒には帰れんのじゃ」

 

貴浩「そうか。それなら仕方が無いな。ってことは楓も部活か」

 

楓「はい、兄さん。部活があるから帰り遅くなるね」

 

貴浩「了解。夕飯作って待ってるよ。秀吉、帰り楓のこと頼むな」

 

楓は秀吉と同じ演劇部に所属しているのと、

帰り道が同じなので、秀吉に一緒に帰ってもらっている。

本当は俺が迎えに行こうと思ってたのだが楓が来ないでなんて言うから仕方が無く…

 

秀吉「わかっておる。無事に家まで送り届けるとする」

 

貴浩「じゃあ、命一緒に帰るか?」

 

命「そうですね、じゃあ一緒に帰ろう」

 

秀吉と楓は部活に、明久とムッツリーニと雄二は用事があって帰って行った。

 

貴浩「じゃあ、俺達も帰るか?」

 

命「はい」

 

そうして2人は教室をでた

 

貴浩「そういえば、今日は優子が一緒じゃないけど良かったのか?」

 

命「えっと…優姉、今日は用事があるみたいで先に帰っちゃったんだ」

 

貴浩「そうか。いつも一緒に帰ってるんだと思った」

 

俺と命は他愛もない会話をしながら帰宅した。

 

 

 

      ☆

 

 

 

帰宅後、俺は着替えて明日の弁当の買い物に出かけた。

 

いつものスーパーに向かって弁当の材料を買って帰っていると、

先ほど別れた命が荷物を持っていたので声をかけることにした。

 

貴浩「よぉ!先ほどぶり」

 

命「あ、貴浩君」

 

貴浩「どうした。買い物帰りか?」

 

命「うん、そうだよ。貴浩君は?」

 

貴浩「俺も命と同じく買い物帰りだ。

   明日の弁当の材料とついでに学校で食べようと菓子を買ってきた」

 

俺はそう言って命が持っている買い物袋をみた。

 

貴浩「命は随分と買ってるけど、明久にでも弁当を作るつもりか」

 

俺は冗談で言ってみたのだが

 

命「えっ!?えっ!?なんでわかったんですか?貴浩君エスパーですか?」

 

貴浩「えっ…いや…ただ冗談で言ってみただけなんだが……明久に弁当ねぇ(ニヤニヤ)」

 

命「な、なんですか?」

 

貴浩「明日、Bクラスとの試召試験戦争だから栄養をつけさせようとしてるんだな」

 

命「は、はい。そうですよ。栄養をつけて頑張ってもらおうと思ってるんです」

 

命はそう言いながら目は泳いでいた

 

貴「そっか。明久の奴、喜ぶだろうな。

  そういえば、明久の奴、確か…パエリアとか肉じゃがが好物だったような」

 

俺はさりげなく明久の好物を口にした。すると───

 

命「ほ、本当ですか!?」

 

貴浩「あぁ、確かそう言ってた」

 

命「……よし(ボソッ)」

 

貴浩「ん、何か言った?」

 

命「いいえ。なんでもありません。

  そ、そういう貴浩君もなんか買った物やけに多くありません?」

 

貴浩「ん?ああ、3人分の弁当を作ろうとしてるからな」

 

命「3人分?貴浩君と楓ちゃん、あれ?あと1人誰ですか?」

 

貴浩「工藤だよ」

 

命「愛ちゃん?どうして愛ちゃんに作るの?」

 

貴浩「昨日、俺達の買い物につきあってもらっただろ。

   それと今日の朝Fクラスの男共に追われた時に

   Aクラスにかくまってもらったお礼もかねて」

 

命「そうなんですか……本当にそれだけですか?(ニヤニヤ)」

 

命はニコニコ笑いながらに聞いてきた

 

貴浩「それだけって?うーん…後はそうだな、これから宜しくの意味もかねてだな」

 

命「宜しくって?まさか付き合うってことですか」

 

命は迫力ありげにこっちに迫ってきた

 

貴浩「いやいや、友達としてだよ。

   会って2日で告白とか、どんだけ無節操なんだよ俺は」

 

命「なんだ。そうなんですか……つまんない(ボソッ)」

 

貴浩「おーい、今なんか最後に言わなかったか?」

 

命「いいえ。なにも言ってませんよ」

 

貴浩「そうか?ていうか、俺のことより命はどうなんだよ」

 

さっきの仕返しだといわんばかりに俺は質問した。

 

命「えっ?ど、どういうことですか?」

 

貴浩「明久のこと好きなのか、と聞いているんだ」

 

俺はど真ん中ストレートで聞いてやった。

ぶっちゃけ女性にこんなこと聞くのはどうだろうかとも思ったが、まあいいや。

 

命「わ、私が、明久君を、snこttnあrwknいよ///」

 

顔を真っ赤にして否定しているが、もう何言っているのかが滅茶苦茶だ。

ここまで動揺するか・・・。

 

貴浩「なんて言ってるかわからんが、まあ今の反応と態度見たらわかるけどな」

 

俺はニヤニヤしながら答えると

 

命「うっう~///」

 

顔を真っ赤に染めて既に少し涙目になってる。

これ以上やると泣き出しそうだ。

やばい、やり過ぎた。このままじゃあの過保護姉弟に殺される(汗)

 

貴浩「な、泣くなよ」

 

命「な、泣いてなんかいません」

 

そう言って俺から顔を背けた

 

貴浩「悪かったって、だから怒るなよ」

 

俺は手を合わせて謝る

 

命「怒っていません!」

 

完璧に怒っているな。仕方が無いか・・・

 

貴浩「はぁ~わかった。じゃあ命に協力してするから。もう怒るなよ」

 

・・・明久すまない

 

命「協力?」

 

貴浩「そう、協力。命が明久をおとすための」

 

命「お、おとす!?/////」

 

俺がそういうと命の顔が一瞬でゆであがった。

 

貴浩「そうだ、明久のこと好きなんだろ?」

 

その後、しばらくして無言で、

 

命「・・・・・・(コクン)」

 

と命はあきらめたようにうなずいた。

 

貴浩「なら俺が、命が明久の彼女になれるよう少しだけ手助けしてやるよ」

 

命「え?いいの?本当に?」

 

先ほどまで目に涙をためていた顔が一瞬で笑顔に変わった。

 

貴浩「あぁ、男に二言はない!」

 

命「じゃあ、じゃあ!お願いします!!」

 

貴浩「わかった。ただし、できるのは手助けまでだぞ」

 

命「はい、もちろんです」

 

貴浩「…だから、さっきのことは優子と秀吉には内緒の方向でお願いします」

 

俺は両手を合わせお願いする。

 

命「はい、わかりました。絶対に言いません。ですのでよろしくです」

 

貴浩「了解です!」

 

命「貴浩君約束ですよ」

 

さっきと打って変わって凄い嬉しそうに命は帰っていった

 

・・・・・・明久悪いな。俺はまだ死にたくなかったんだ(泣)

俺は明久を売るという事で自分の命をつなぐ事ができた。

 

そうして今日という1日は終わった。

 

 

【貴浩は命の恋路に協力することになった】

 

 

 

そして翌日

俺は珍しく早起きして、朝食と弁当の準備をしていた。

そこへ楓が起きてきた.

 

楓「兄さんおはよう」

 

貴「おはよう楓、お皿準備してもらって良いか。もうできるから」

 

楓「はい、わかりました」

 

そして、並べられた皿に料理を乗せて行った。

 

貴浩「じゃあ食べようか。いただきます」

 

楓「いただきます」

 

今日の朝は、ごはん、味噌汁、卵焼き、シャケの塩焼きだ。

俺が作ると大抵は和食になる。

ちなみに、昨日の夜に楓には工藤に弁当を作ることを伝えてある。

 

楓「兄さんのお弁当か。久しぶりだね」

 

そうなのだ。弁当は作る時は作るがほとんど楓が作る。

理由は簡単、俺が朝弱いから作ることがほとんど無い。

そんな雑談をしながら朝食を食べ、学校へ出かけた。

 

 

その登校途中、秀吉たちを見かけ共に学校に行くことにした。

そして、俺は命に近づいて秀吉たちに聞こえないような声で話し掛けた

 

貴浩(命、明久に弁当作ってきたのか?)

命(はい、でもどうやって渡せば良いのかわからなくて)

貴浩(そこは俺に任せろ)

 

昨日言った通り、俺は命の恋を応援することになったのだ。

 

貴浩(……そういえば、1つ気になったんだがいいか?)

命(はい?何ですか?)

貴浩(命が明久のこと好きなの、2人は知ってるのか?)

 

2人とは優子と秀吉のことである。

2人は命のことを溺愛しているから、気になってしまった。

 

命(い、いえ。教えてはいません。優姉も秀兄も優しいんですが…)

貴浩(あの2人だからな・・・)

 

お互い苦笑いした。

 

貴浩(わかった。なら今は2人には知られないようにしないとな)

命(すみません。お願いします)

 

そうしないと俺もだけど明久も2人からの制裁を受けるかもしれないしな。

時間の問題だろうけど……その時はその時だ。

 

すると

 

秀・優「「2人でいったい何を話しておるのかしら(かの)?」

 

そこで優子と秀吉から声をかけられ振り返ると、笑顔だが目が恐ろしかった。

 

貴浩「い、いや今日の試召戦争について話していたんだよ。なあ?」

 

俺はそこで命に同意を求めた。

 

命「そ、そうだよ」

 

秀「そうであったのか?」

 

貴浩「ああ、そうだ。ほら、命って体弱いから大丈夫なのかなって思ってな」

 

俺は2人にばれないように適当に話をした。

 

優子「そういえば……Fクラスって新学期早々に試召戦争を始めたんですものね」

 

貴浩「そうそう、それで今日からBクラス戦だからな」

 

秀吉「そういえば、そうだったかの」

 

命「うんうん。だから、そのことで貴浩君が心配してくてたんだよ」

 

優子「そうなの、ならいいんだけど」

 

そこから、会話をしながら学校へ向かった。……助かった。

 

そして、教室に着くとすぐ俺は工藤にメールした。

 

貴浩〔おはよう!もう教室にいるか?

   弁当作ってきたんだけど居るなら持って行くけど〕

 

とメールを打ち送信した。その数分後に返信がきた

 

愛子〔居るよ!待ってるね!(b^-°)〕

 

顔文字をつけて返ってきた。

そして俺は弁当を持ってAクラスへと向かった。

 

貴浩「失礼します。工藤さんはいますか?」

 

Aクラスの扉を開け、近くの女子生徒に尋ね、工藤を呼んでもらった

まぁいることはわかっているけど。

 

愛子「おはよう貴浩君」

 

貴浩「おはよう工藤。はい、これ約束の弁当」

 

そう言い工藤に弁当を渡す

 

愛子「わぁ!本当に作ってくれたんだね。うれしいな」

 

貴浩「じゃあ放課後、弁当箱取りにくるな」

 

愛子「うん、わかったよ」

 

俺は話短めにし、教室に戻っていった。

だって周りからの目線が怖かったんし……



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Bクラス戦前 部隊

4/22 修正


午前中、俺達は授業を受け終え

昼休みに入る前にFクラスはBクラス戦の打ち合わせをしていた。

 

雄二「さて皆、午後はBクラスとの試召戦争に突入するが殺る気は充分か?」

 

「「「「「「おぉおおおおおおおお」」」」」」

 

Fクラス男子の雄たけびが教室内に轟く。

 

雄二「今回の戦争は敵を教室に押し込むことが重要になる。

   その為、開戦直後の渡り廊下戦は絶対負けるわけにはいかない。

   それで、前回はそこまで役割というのを決めてはいなかったが

   今回からは部隊を決めようと思う。

   今から言う奴らは部隊の隊長とその副隊長だ。

   一度しかいわないから良く聞けよ」

 

雄二はそう言うと一度周りを見渡し、部隊を告げて言った。

 

雄二「まず1番隊隊長は吉井明久、その副隊長に木下命、部下として7名加えた計9名。

   1番隊の役割は主に最前線で戦ってもらうつもりだ。

   2番隊隊長は木下秀吉、副隊長に織村楓、部下として7名加えた計9名、

   2番隊には中堅として前線部隊の援護をしてもらう。

   次に3番隊隊長は織村貴浩、副隊長に近藤、部下として7名加えた計9名、

   3番隊は遊撃部隊だ。敵に奇襲をかけたりしてもらう。

   4番隊隊長は須川亮、副隊長に島田美波、部下として7名加えた計9名、

   4番隊は臨機応変に使うが、大体は味方の援護を行ってもらう。

   最後に俺を総大将にし、その近衛部隊として11名をおき、

   姫路とムッツリーニはその戦況に応じて使い分ける」

 

F「「「「「「了解」」」」」」

 

雄二「なら今からメシを食べ、戦争に備えろ。開始30分前に集合しろ。解散」

 

そして皆、飯を食べに散らばっていった。

 

そして俺は命に目で合図し明久に話し掛けた。

 

明久「さて、今日は贅沢にシュガーウォーターでも食べるとするかな」

 

いやいや、シュガーウォーターって、それよりも……

 

貴浩「おい、明久」

 

明久「ん?どうしたの貴浩?」

 

貴浩「お前そんなものなんか飲まずにちゃんと栄養つけろよな」

 

明久「だってそうは言っても今月お金がなくて」

 

俺は一度ため息をついた

 

貴浩「もうちょっと趣味にかかる金減らせよ……

   午後からBクラス戦なんだから栄養があるもの食べろよ」

 

明久「そういうなら、何かおごってよ」

 

貴浩「奢りはしないが、別のものを用意しておいた」

 

明久「なんかくれるの?」

 

明久は目を輝かせて、こっちに迫ってきた。

 

貴浩「俺がじゃない。命がだ」

 

俺はそういうとそばにいた命を明久の前に押し出す。

 

明久「え?命が?」

 

貴浩「あぁ…俺が昨日頼んでおいた。どうせこんなことになると予想してな」

 

命「はい、貴浩君に昨日頼まれて作ったんですけど…食べてくれますか?」

 

明久「も、もちろんだよ!命ありがとね」

 

命「い、いえ。明久君あの、一緒に食べても良いですか?」

 

明久「え、うん、もちろんだよ」

 

明久は物凄く上機嫌だった。

命も明久に弁当を食べてもらえるみたいで嬉しそうだった。

 

貴浩「それじゃあ、俺はここで」

 

俺は明久と命と離れ、自分の席で飯を食べた。

 

 

 

        ☆

 

 

 

雄二「さて、皆集まったな。開戦前に最終確認だ。

   まず姫路に前線に出てもらい、

   渡り廊下を俺達の手中に入れ、敵を教室に押し込む。姫路しっかり頼むぞ」

 

姫路「がッ頑張ります」

 

雄二「野郎共、きっちり死んで来い!」

 

《キーンコーンカーンコーン》

 

そこで開戦のチャイムが鳴り響いた

 

雄二「よし、行ってこい!!!目指すはシステムデスクだ」

 

F「「「「「うおぉおおおおおおお」」」」」

 

Fクラスの雄たけびのもと、Bクラスとの戦争が開始された。



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Bクラス戦 開戦

4/22 修正


今回は敵を教室内に押し込むのが目的なのでとにかく勢いが重要となる。

俺たちはほぼ全力でBクラスへと向かう廊下を駆け出した。

 

今回のこちらの主武器は数学。

Bクラスは比較的文系が多いのと、

数学の長谷川先生は召喚フィールドが広いというのが理由だ。

一気に勝負をかけたい時にはありがたい先生なのだ。

他にも家庭科や物理などの先生も連れてきている。

 

現在、明久率いる1番隊と俺が率いる3番隊の

2つの部隊が先行してBクラスに挑もうとしている。

 

F「いたぞ、Bクラスだ!」

 

F「高橋先生をつれているぞ!!」

 

FクラスとBクラスとでは総合点数に差があるから相手は一気にかたをつけるつもりか

 

B「生かして帰すなッ!!」

 

物騒な台詞を皮切りにBクラス戦が始まった。

 

Bクラス相手にFクラスの仲間が戦いを挑んで行った。

 

 

 

Bクラス 野中長男    VS   Fクラス  横溝浩二

 総合  1943点              762点

 

Bクラス 金田一祐子   VS   Fクラス  武藤啓太

 数学   159点               69点

 

Bクラス 里井真由子   VS   Fクラス  君島博

 数学   142点               72点

 

 

 

なっ!?なんて事だ。仲間がごみのようにやられていっている。

これ以上の損害を出さない為、俺は部隊長としてまわりに指示を出す

 

明久「貴浩、このままじゃやばいよ」

 

貴浩「わかっている!皆、絶対1人で戦うな。3~4人で挑むんだ」

 

俺が部隊に指示を出していると

 

姫路「お、遅れ、まし、た……ごめ、んな、さい……」

 

息を切らして姫路がやってきた。

 

B「来たぞ!姫路瑞希だ!」

 

明久「姫路さん、来たばかりで悪いんだけど・・・」

 

姫路「は、はい。行って、きます」

 

B「長谷川先生、Bクラス岩下律子です。Fクラス姫路瑞希さんに数学で勝負を挑みます!」

 

姫路「あ、長谷川先生。姫路瑞希です。よろしくお願いします」

 

早速勝負を仕掛けられてるな。向こうとしては早く潰しておきたい相手なんだろうな。

 

B「律子、私も手伝う」

 

その後ろから、さらにもう一人Bクラスの女子が召喚を始めた。

 

『試獣召喚(サモン)!』

 

すると、お互いの召喚獣が召喚された

 

明久「あれ?姫路さんの召喚獣アクセサリーなんてしてるんだね?」

 

姫路「あっはい数学は結構解けたので……」

 

B「そッそれって!?」

 

B「私たちで勝てるわけないじゃないっ!!」

 

姫路「じゃいきますね」

 

姫路がそう言うと左手を相手に向け熱線らしきものを照射し

相手を1人焼き殺し、熱線を運良くかわした相手は大きな剣で切り捨てた。

 

そこで俺は、秀吉率いる2番隊に指示を出した

 

秀吉「2番隊出るぞ。楓よ、よろしく頼むのじゃ」

 

楓「はい、秀吉君。2-F織村楓です。Bクラスに家庭科で勝負を挑みます」

 

B「Bクラス金田一祐子と里井真由子が勝負を受けます」

 

『試獣召喚(サモン)!』

 

さて、ここで何故家庭科の教師を連れてきたのか説明しよう。

 

家庭科は進学して行く上ではあまり成績に関係ないので皆あまり力を入れていない。

だけど、俺の妹は料理が得意という事もあり家庭科の成績も良い。

しかも家庭科は筆記試験(上限なし)と実技試験(100点満点)の両方で

採点がつくので点数が高いのだ。

 

 

どの位かと言うと

 

 

 

【家庭科】

 

Fクラス   織村楓   VS  金田一祐子・里井真由子

       678点       144点  153点

 

 

 

 

B「何あの点数!?」

 

B「私たちで勝てるわけないじゃないっ!!」

 

楓「では、いきます」

 

そういうと楓の召喚獣は2人の召喚獣に狙いを定め弓を放ち一撃で倒した。

 

そこで、Bクラスが慌てふためいた。

1分も経たないうちに4人も戦死してしまったのだから仕方がない。

 

楓・姫「「皆さん頑張ってくださいね」」

 

F「やってやるでぇーッ!!」

 

F「姫路さんサイコーッ!!」

 

F「楓様好きだー!!」

 

誰だ今ドサクサにまみれて告白したやつ!後で八つ裂きにしてやる!

 

秀吉「楓、お疲れ様なのじゃ」

 

命「楓ちゃん。お疲れ様」

 

楓「はい、ありがとうございます」

 

明久「姫路さん。ありがとう、とりあえず下がって」

 

姫路「あっはい!」

 

姫路を一度下げさせる理由は簡単、

いくら姫路が強いといっても何度も戦いつづければ傷を負い点数も下がってしまう。

それに、召喚獣の腕輪(特殊能力)はその威力の分消耗も激しいからだ。

 

貴浩「楓と姫路が敵を倒して今流れはこちらにある。

   今のうちに3人1組で敵を倒すんだ」

 

F「「「「「うおぉおおおおおお!!」」」」」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

今の勢いを持続させれば、

このまま徐々にBクラス内に追い込めるだろうと考えていると

 

秀吉「貴浩と明久よ。ワシらは一旦教室に戻るぞ」

 

明久「え?なんで?」

 

秀吉「それは、Bクラスの代表じゃが……『あの』根本らしい」

 

貴浩「根本って『あの』根本恭二(ねもときょうじ)か?」

 

秀吉「うむ。それにBクラスにはその根本の他に

   根城敦(ねじろあつし)もおるらしいからの」

 

根本恭二と根城敦というのはとにかく評判が悪い。

噂ではカンニングの常連だとか・・・。

目的のためなら手段を選ばないらしいが用心にこしたことはないな・・・。

 

貴浩「・・・根っこコンビか。なるほどな。戻ったほうがいいかもな」

 

根本と根城苗字の最初に根がつくので根っこコンビと呼んでいる

 

楓「兄さん教室にもどるの?」

 

貴浩「ん?ああ。ちょっとな」

 

楓「私もついて行っても良いですか?」

 

命「楓ちゃんが戻るなら私も」

 

秀吉「じゃあ、一緒に戻るとするかの」

 

明久「そうだね」

 

俺たちは部隊を近藤と須川にまかせ一度教室へと引き返した

 

 



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Bクラス戦 卑怯な行動

4/22 修正


貴浩「……うわ、これは酷いな」

 

秀吉「まさか…こうくるとはのう」

 

明久「……卑怯だね」

 

教室に引き返した俺たちを迎えたのは、

穴だらけになった卓袱台とヘシ折られたシャーペンや消しゴムだった。

 

明久「酷いね。これじゃ補給もままならない」

 

秀吉「うむ。地味じゃが点数に影響の出る嫌がらせじゃな」

 

俺たちは再び教室を見渡していると、楓と命がしゃがみ込んでいる姿が目に見えた

 

貴浩「楓・命どうしたんd───」

 

俺が2人に話し掛けようとして言葉が途切れた。

 

秀吉「ん?2人ともどうしたのじゃ───」

 

秀吉も心配に2人に声をかけると途中で言葉に詰まった。

 

なぜなら2人が泣いていたからだ。

 

楓「に、兄さん……私の鞄が……」

 

命「ひ、秀兄……」

 

見ると楓と命の鞄がズタズタに引き裂かれていたのだ。

よく見ると周りの何人かの鞄も引き裂かれていた。

 

明久「ここまでやるなんて」

 

雄二「まさか、ここまでされるとはな」

 

すると雄二が教室に入ってきた

 

貴・秀「「楓(命)を泣かせるとはあいつら(あやつら)覚悟できているだろうな(の)!」」

 

明久「……雄二。どうして教室がこんなことになっていることに気づかなかったの」

 

雄二「Bクラスから、16時までに決着がつかなかったら戦況を

   そのままにして続きは明日の午前9時に持ち越し。

   その間は試召戦争に関わる一切の行為を禁止するっていう

   協定の申し込みがあってな。調印の為に教室を空にしてしまった」

 

明久「それ承諾したんだ」

 

雄二「そうだ」

 

明久「でも体力勝負に持ち込んだほうがウチとしては有利じゃないの?」

 

雄二「楓・命・姫路以外は、な。

   あいつらを今日の戦闘は終了だろう。そうなると作戦の本番は明日になる。

   その時はクラス全体の戦闘力より、楓と姫路の戦闘力のほうが重要となる」

 

貴浩「明久。とりあえず俺たちは前線に戻るぞ。

   向こうでも何かされているかもしれないしな。秀吉と雄二は2人を頼む」

 

秀吉「了解した」

 

俺はそう言うと駆け足で戦場に戻って行った。

……Bクラスの奴らを八つ裂きにしてやる

 

 

 

        ☆

 

 

 

少しすると明久も追いついてきた。

 

明久「なんか、まだまだ色々やってそうだね」

 

貴浩「そうだな。この程度で終わるとは思えないしな。気を引き締めて行くぞ」

 

そういい戦場に戻ってみるとやはり問題が起きていた。

 

明久「待たせたね!戦況は!?」

 

須川「かなり不味い事になっている」

 

やはりこちらにも何かやっていたのか。根っこコンビめ。覚えていろよ。

 

ひとまず現状を聞いてみると島田が人質にされているらしい。

今度は人質か!どこまで卑怯なんだ!

 

貴浩「……ひとまず状況をみたい」

 

須川「それなら前に行こう。そこで敵は道を塞いでいる」

 

俺たちは須川に着いていき、部隊の人垣を抜けると須川が言った通りの状況だった

 

明久「島田さん!」

 

島田「よ、吉井!」

 

B「そこで止まれ!それ以上近寄るなら召喚獣に止めを刺して、

  この女を補習室送りにするぞ!」

 

島田を捕らえている敵の1人が俺たちを牽制してくる。

 

あいつら、わかっていないな。

島田に止めを刺した瞬間、お前らもすぐに補習室に送ってやるよ。

それに早くBクラスのヤツをぶちのめしたい。

 

楓を泣かせたんだ…覚悟はできているんだろうしな。

 

フッフフフ………

 

明久「総員突撃用意ぃーっ!!」

 

F「隊長それでいいのか!?」

 

おっ!明久も俺と同じ考えか?

 

B「ま、待て、吉井!コイツがなんで捕まったと思っている?」

 

明久「馬鹿だから」

 

島田「殺すわよ」

 

……違ったみたいだな

 

貴浩「……おい、お前ら。俺たちの教室や筆記道具を壊しておいて、

   次は人質をとるのか。覚悟はできているんだろうな?」

 

俺は殺気を込めて言うと

 

???「その話本当か?」

 

人質をとっているやつ等の後ろのほうから女性の声が聞こえた。

そうすると、2人の女性が姿を現した。



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Bクラス戦 Bクラスにもいい奴は居る

4/22 修正


???「その話本当か?」

 

人質をとっているヤツラの後ろのほうから女性の声が聞こえてきた。

 

すると、その後ろから2人の女性が姿を現した。

1人は茶髪ショートの女性で、

もう1人は薄い青色にショートヘアの女性…だが何故か軍服を着ている。

……えっ?何この人?どこかの軍の関係者か何か?

 

俺が疑問に思っていると

 

B「獅子川と五十嵐か。ちょうどいい。あいつらをやっつけてくれよ」

 

獅子川「ちょっと待て。僕はBクラスの獅子川蘭(ししがわらん)だ。

    そこの君、今言ってた話は本当なのか?」

 

貴浩「…ああ本当のことだ。先ほど教室に戻ってみたら随分とやられていた。

   それに現に今、俺達の仲間を人質にしているだろ?」

 

獅子川「・・・嘘は言ってないみたいだね」

 

五十嵐「蘭ちゃんどうするの?」

 

獅子川「僕に任せて。……先生、2-B獅子川蘭。

    物理で勝負を仕掛ける。『試獣召喚(サモン)』」

 

獅子川と名乗る女性が召喚獣を召喚したので対抗しようと俺も召喚する。

 

貴浩「2-F織村貴浩、『試獣召喚(サモン)』」

 

お互い召喚獣を召喚した。

 

俺は相手の召喚獣の動きに注意して様子を見ていると

獅子川の召喚獣が思ってもみない行動に出た。

 

それはなんと──

 

B「な、何するんだ!?」

 

B「俺たちは味方だろう!?」

 

人質をとっている味方の召喚獣を攻撃したのだ。

 

相手も獅子川さんの行動に驚いていた

 

獅子川「簡単な事だ!僕は戦う事が大好きなんだ。

    でもな、卑怯な事をする奴は大嫌いでね。だから殺ったんだよ」

 

B「そ、そんなことで」 

 

獅子川「邪魔だ。さっさと消えろ」

 

獅子川がそう言うと人質をとってた仲間に有無を言わさずとどめを刺す。

 

するといずこからか

 

鉄人「戦死者は補習!!」

 

鉄人が現れた

 

B「げぇ!?」

 

鉄人「人質をとった挙句に戦死するとは情けない。

   この戦争が終わるまで特別講義だ!

   何時間かかるかわからんがたっぷりと指導してやる」

 

B「たッ頼む!見逃してくれ!あんな拷問は耐えられない!」

 

鉄人「あれは立派な教育だ。終わる頃には趣味が勉強で尊敬する人が

   二宮金次郎といった理想的な生徒に仕上げてやろう」

 

B「鬼だ!誰か助けッ、イヤァアアア・・・」

 

2人は叫び声を残し、鉄人に連れて行かれた。

 

獅子川「悪いな。僕らのクラスの者が無礼な事をしてしまったな」

 

そう言うと島田を解放し、俺たちに謝ってくれた。

 

獅子川「クソっ、根本と根城のやろう。ふざけた事をしやがって。

    本当にすまないな。謝ってすむ問題じゃないだろうが、

    ただこれだけはわかってくれ。

    Bクラスに根本や根城みたいなクズしかいないと思わないでほしい」

 

五十嵐「私からも謝らせていただきます。本当に申し訳ありませんでした」

 

そういうと獅子川と五十嵐が頭を下げて謝ってくれた。

俺は明久達と顔を見合わせる。

 

貴浩「い、いや。気にしないでほしい。

   それよりこちらこそ礼を言いたい。島田を助けてくれてありがとう」

 

島田「先ほどはありがとうございました」

 

獅子川「元々こちらに非があるからな。すまなかった。

    戦争終了後にあいつらにちゃんと謝らせに行かせる」

 

貴浩「で、どうする?このまま勝負を続けるか?」

 

獅子川「あぁ、それは続けさせていただく。

    先ほども言ったが僕は戦う事が大好きでね。

    さぁ何人でもかかって来ると良いさ!!」

 

貴浩「後ろにいるあなたはどうします?」

 

獅子川「きらりは下がっていてくれ。僕1人で戦いたい」

 

五十嵐「わかったよ。蘭ちゃん」

 

お互いそう言うと少し距離を取り武器を構えた

 

明久「なら皆。これは戦争なんだ複数で取り囲んで戦うんだ!」

 

貴浩「……明久悪い。1対1でやらせてくれ」

 

明久「えっ?」

 

明久は驚いたように俺を見る

 

貴浩「悪いな。先ほど島田を助けてもらった礼もあるが……俺も戦う事が好きだしな」

 

明久「…わかったよ。貴浩に任せるよ」

 

須川「おい、いいのか吉井?」

 

明久「大丈夫だよ」

 

明久はそういうと皆を下がらせてくれた

 

貴浩「と言う訳だが、良いか獅子川?」

 

獅子川「いいぜ、じゃあやろうぜ!!」

 

貴浩「じゃあ、改めて・・・2-F 3番隊部隊長 織村貴浩!」

 

獅子川「2-B 獅子川一子」

 

貴・獅「「勝負を挑む!!」」

 

【物理】

 

2-B 獅子川一子   VS  2-F 織村貴浩

     187点           293点

 

 

俺の召喚獣は黒い和風の甲冑を身にまとい、左腰に日本刀を右腰に銃を装備している。

対する獅子川の召喚獣は着物にアイスホッケーのスティックの装備だった

 

獅子川「あんた、本当にFクラス?」

 

貴浩「そうだな。まぁ試験日に色々あってFクラスに行っただがな」

 

明久「……貴浩ってそこまで成績良かったんだ……」

 

貴浩「お前らと比べたらな」

 

獅子川「さてなら、楽しむとするか!!」

 

貴浩「そうだな!なら行くぞ!!」

 

そう言うと俺は召喚獣に刀を抜かせて相手に向かって突っ込ませた。

 

相手も俺の召喚獣に向かって走らせた。

そして、お互いの武器がぶつかり合った。

 

俺は武器がぶつかったと同時に、相手の召喚獣に向かって蹴りを入れて間合いを取る。

 

獅子川「やるね。ぶつかり合ったと同時に蹴りを入れるなんてな」

 

そこで少し獅子川の点数が減った。

 

獅子川「でも、まだまだ」

 

獅子川の召喚獣が再び俺に向かってきたので、紙一重で避け横っ腹に蹴りを入れる。

そこで、獅子川さんが武器を横振りしてきたので、今度はしゃがんで避ける

 

貴浩「そう簡単には当たらないな」

 

獅子川「まだまだ!!」

 

もう一度獅子川の召喚獣が迫ってくる。

俺は相手の攻撃を紙一重で避け相手の召喚獣の首を切り落とし決着をつけた。

 

貴浩「俺の勝ちだな」

 

獅子川「……強いな。まさかこうも一方的にやられるなんて思わなかったぜ」

 

貴浩「でも、楽しかったぞ獅子川」

 

獅子川「蘭でいい」

 

貴浩「え?」

 

獅子川「名前だ。お前は確か貴浩だったよな。これからは名前で呼ぶ。

    だから、お前も僕のことを名前で呼べ。いいな」

 

貴浩「えっ?ああ……」

 

獅子川「よし、じゃあな貴浩。今度は絶対負けねぇからな」

 

貴浩「今度やっても負けねぇから」

 

五十嵐「では、私も下がらせてもらいますが宜しいでしょうか」

 

貴浩「ああ、良いよ。皆、五十嵐には攻撃するなよ」

 

「「「了解」」」」

 

明久「よし、貴浩が獅子川さんを倒したし、僕たちもこのまま続くよ。

   このまま、一気にBクラス教室前まで行くよ」

 

F『うぉおおおおお!!』

 

そして、俺たちはBクラス前まで攻め入り今日の戦争は終わった




Bクラスにオリキャラ3名登場させました。
それが今後どのような展開になるのかお楽しみに


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Bクラス戦 罠

4/22 修正


協定通りBクラスとの試召戦争は16時で一度やめ、

戦況をそのままにして明日の9時に持ち越しとなった。

 

一応予定通りBクラス前まで進撃できたので明日はそこからとなる。

 

今は明日の事で話し合っている所だった。

すると、ムッツリーニがやってきて話に加わった。

 

今日の戦争ではムッリーニは戦線に出ず情報収集を任務としていた。

 

雄二「なに?Cクラスが試召戦争の用意を始めているだと?

   相手はAクラスか……いや…それはないだろうから。

   漁夫の利を狙うつもりか……いやらしい連中め」

 

つまり、この戦争の勝者と戦うつもりなのか。

疲弊している相手ならやりやすいだろうしな。

 

明久「雄二どうするの?」

 

雄二「そうだな……Cクラスと協定を結ぶか。

   Dクラスを攻め込ませるぞと脅せば俺たちに攻め込む気もなくなるだろ」

 

明久「それに、僕らが勝つなんて思ってもいないだろうしね」

 

雄二「よし、それじゃ今から行って来るか。秀吉と姫路は念のためここに残ってくれ」

 

姫路「はい、わかりました」

 

秀吉「なんじゃ?ワシは行かなくて良いのか?」

 

雄二「お前の顔を見られると万が一の場合にやろうとしている作戦に支障があるんでな」

 

秀吉「よくわからんが、雄二がそう言うのであれば従おう」

 

素直に引き下がる秀吉。まぁ雄二の事だ何か策があるのだろうな。

 

明久「じゃ行こうか。ちょっと人数が少なくて不安だけど」

 

秀吉と姫路を残して、

俺、明久、雄二、楓、命、ムッツリーニというメンバーでCクラスに向かう。

 

島田「あれ?吉井に坂本?どこか行くの?」

 

廊下に出ると島田と須川、近藤に会った。

 

貴浩「島田と須川、近藤。ちょうど良い。Cクラスまで付き合ってくれないか」

 

まさかとは思うけど、念のためにボディガードは多いほうがいいだろう。

楓と命を守る人材も必要だからな。

 

島田「んー、別にいいけど?」

 

須川「ああ、俺も大丈夫だ」

 

近藤「俺もいいぜ」

 

 

【貴浩は盾もとい仲間をゲットした】

 

 

秀吉「急がんとCクラス代表が帰ってしまうぞい」

 

明久「うん、そうだね。急がないと」

 

こうして更に島田と須川、近藤を加えた9人でCクラスへと向かう事になった。

 

 

 

         ☆

 

 

 

雄二「Fクラス代表の坂本雄二だ。このクラスの代表は?」

 

教室の扉を開くなり、雄二がそこにいる全員に告げる。

Cクラスにはまだかなりの人数が残っており、

ムッリーニの情報通り漁夫の利を狙って試召戦争の用意を始めているのだろう。

 

小山「私だけど、何かようかしら?」

 

俺たちの前に出てきたのはCクラスの代表の小山だった。

 

雄二「Fクラス代表としてクラス間交渉に来た。時間はあるか?」

 

小山「クラス間交渉?ふぅん……」

 

小山は雄二の言葉を聞いてなんだかいやらしい笑みを浮かべでいる

 

何か嫌な予感がするな

 

雄二「ああ。不可侵条約を結びたい」

 

小山「不可侵条約ねぇ……どうしようかしらね、根本君?」

 

小山は振り返り、教室の奥にいる人たちに声をかけた。

 

するとそこには、Bクラスの根本と根城がいた。

 

根本「当然却下。だって必要ないだろ?

   それに酷いじゃないかFクラスの皆さん。協定を破るなんて。

   試召戦争に関する行為を一切禁止したよな?」

 

根城「先に協定を破ったのはソッチだからな?これはお互い様、だよな」

 

根城が告げると同時にその取り巻きが動き出す。

 

その後ろには先ほどまで戦場にいた長谷川先生の姿があった

 

B「長谷川先生!Bクラス芳野が召喚を──」

 

須・近「「させるか!Fクラス須川(近藤)が受けて立つ!試獣召喚(サモン)!」

 

Bクラスが雄二に攻撃を仕掛ける前に、

間一髪で須川と近藤が身代わりとなるファインプレイを見せてくれた。

 

明久「僕らは協定違反なんてしていない!これはCクラスとFクラスの──」

 

貴浩「無駄だ明久!あいつらは条文の『試召戦争に関する行為』を盾に

   しらを切るに決まっている。だから、ここは逃げるぞ」

 

戦闘を行っている須川と近藤に背を向け

俺たちはCクラスから離脱しようと駆け出す

 

根本「逃がすな!坂本を討ち取れ!」

 

 

 

背後から根っこコンビの指示と複数の足音が聞こえる

 

 

 

はっきり言ってマズイな。

 

 

 

明日の戦争があるから楓と命は今は使えないし、2人の体力では追いつかれてしまう。

 

 

 

 

楓・命「「はぁ、はぁ、ふぅ・・・」」

 

貴浩「2人とも大丈夫か?」

 

廊下を走っていると、やはり楓と命が遅れだした。

 

体の弱い2人にこの全力疾走は厳しそうだ。とか言う俺もキツい…

 

命「あ、あの、さ、先に…行って、ください…」

 

息も絶え絶えに命が言うと楓も同じ事を口にした。

 

このままだと追いつかれてしまう。

だがここで置いて行くわけにはいかない。

 

明日の戦争のこともあるが、何より2人を置いて逃げる事なんてできないな。

 

仕方ないか、もう少し力を隠しておきたかったが……

 

俺は明久と目線を合わせると明久も俺と同じ考えらしい。

 

貴・明「「雄二!」」

 

雄二「なんだ2人共!」

 

明久「ここは、僕と貴浩が引き受ける!雄二は命と楓を連れて逃げてくれ」

 

俺たちはその場に立ち止まり振り向いて雄二に向かって親指を立てた

 

命「あ、明久君、私の事は、気に、しないで」

 

雄二「・・・わかった。ここは2人に任せる」

 

雄二が俺たちの要望に応じる。

さすが雄二だな。感情に流されず、今必要な処置を正しく把握している。

 

康太「・・・・・・(ピタッ)」

 

明久「いや、ムッツリーニも逃げてほしい。明日はムッリーニが戦争の鍵を握るから」

 

一瞬立ち止まったムッツリーニ。

気持ちはありがたいが明日は重要な役割があるはずだ。

ここで失うわけにはいかない。

 

康太「・・・・・・(グッ)」

 

ムッリーニは俺たちに親指を立てて走り去って行った。

 

貴浩「…さて、どうする明久?」

 

明久「うん。僕に考えがあるんだ。僕だって補習室に行きたくないしね」

 

貴浩「お前の策を信じてやるよ」

 

B『いたぞっ!Fクラスの吉井と織村だ』

 

B『ぶち殺せ!』

 

正面から追っ手がやってきた。長谷川先生も一緒だ。

 

明久「Bクラス!そこで止まるんだ」

 

相手の気勢を削ぐように、明久は強い口調で呼び止める

 

B「いい度胸だ。たった2人で食い止めようってか?」

 

Bクラスからの追っ手は5人ほどいる。

さて、明久の策とやらを信じてみますかね

 

明久「その前に長谷川先生に話がある」

 

長谷川先生に?何か脅迫するネタでもあるのか?

 

長谷川「なんですか、吉井君?」

 

明久「Bクラスが協定違反していることはご存知ですか?」

 

長谷川「話を聞く限り、休戦協定を破ったのはFクラスのようですが」

 

まあ、あの根っこコンビのことだからうまく言っているだろうしな。

さて明久の考えってヤツに期待するかな。

 

明久「・・・・・・万策、尽きたか・・・・・・」

 

貴・B『こいつ馬鹿だぁーっ!』

 

なんだよあんなの全然策じゃないだろうが、

コイツに期待した俺が馬鹿だった……Orz

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  

 

 

 

 

 

命「坂本君、明久君と貴浩君は大丈夫なんですか?」

 

雄二「もちろんだ。他のヤツならともかく、あの2人ならなんとかなる」

 

命「でも・・・」

 

雄二「貴浩はそこそこ勉強できる。明久は確かに勉強はできない。

   でもな、学力が低いからといって、全てが決まるわけじゃないだろう?」

 

命「そ、それは、どういうことですか?」

 

私が首を傾げると

 

雄二「明久も伊達に《観察処分者》なんて呼ばれないって事だ」



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Bクラス戦 本当の実力

4/22 修正


B『試獣召喚(サモン)!』

 

Bクラスの追っ手が声を揃えて召喚獣を呼び出す。

 

俺と明久は走って逃げてはいるがこの先は行き止まりだ。

戦闘に入るのは時間の問題だ。

 

貴浩「明久どうするんだ?」

 

明久「ど、どうするたって、どうしよう?」

 

貴浩「お前に期待した俺が馬鹿だったよ・・・」

 

明久「よし、こうしよう!まず貴浩が相手を引きつける。そして僕が──」

 

貴浩「却下だ!!」

 

明久「なんで?僕まだ途中までしか言ってないよ」

 

貴浩「どうせお前の事だ。俺がアイツらを相手している時に逃げるつもりだろ」

 

明久「(ギクッ)……そ、そんなことないよ」

 

っと、そんな馬鹿な話をしてたら行き止まりだ。

壁を背にして振り返るとBクラスの連中が走ってくるのが見えた。

 

B「ちょろちょろ逃げ回りやがって。疲れるだろうが!」

 

B「というか別にこいつらを追いかける必要はなかったんじゃないか?」

 

B「仕方ないだろ?こいつらに付き合ってて坂本達に逃げられちまったんだから」

 

B「さっさと片付けて帰らない?」

 

俺たちが逃げ切れないことがとわかると、

相手はやる気なさそうに好き勝手なことを言い始めた。

 

貴浩「……仕方がないか……もう少し秘密にしておきたがったが無理そうだな」

 

明久「え?貴浩どうしたの?」

 

貴浩「明久。今からの戦闘での俺の点数を

   周りの奴等に秘密にしておいて欲しいんだが……」

 

明久「え?う、うん。わかったよ」

 

貴浩「よし、なら明久!あいつらを迎え撃つぞ!!」

 

B「Fクラスごときが生意気な」

 

貴・明『試獣召喚(サモン)!』

 

 

 

【数学】

 

Fクラス             Bクラス

 吉井明久 & 織村貴浩  VS  モブ×4

  51点   587点      134点・159点・166点・143点  

 

  

「「「はぁあああああ!?」」」

 

B「な、なんだよあの点数!?Aクラスレベルじゃないか!?」

 

B「いやいやAクラスでもあれだけ取れるか!?」

 

B「なんであんなのがFクラスにいるんだよ!?」

 

明久「貴浩って?頭良かったの?」

 

貴浩「まあな。数学は得意科目だしな。

   明久は1番点数の低い奴を殺ってくれ、できるだろ?」

 

俺は笑みを浮かべながら明久に尋ねると

 

明久「ふっ余裕だね。貴浩もしくじるなよ」

 

貴浩「言ってろ。さて殺ろうかBクラスの諸君、死にたいやつからかかってこいや!!」

 

そう言うと俺と明久は敵に向かって走っていった

 

B「ふ、ふざけるな。こっちは3人がかりだぞ。取り囲んで叩け」

 

貴浩「甘い!」

 

俺は右腰に掛けられている銃を抜き相手に向かって放った。

そこで、点数差もありまず1人倒した。

 

B「え?え?」

 

貴浩「次は誰だ?」

 

敵は一瞬で倒された事に驚いていた。

次は馬鹿正直に真正面から向かってくる敵の攻撃を横にとんで避け、

銃で頭を打ち抜いた。これで、2人目。

 

B「一瞬で2人を倒しただと・・・」

 

もう1人は俺の背後から襲ってきたが余裕でかわし敵の背後に回り、蹴りを入れ

相手がバランスを崩したところで後ろから背中に伸びのり銃を向けると

 

貴浩「バイバイ♪」

 

ゼロ距離で胸を打ち抜いた。

この戦闘にさすがのBクラスの奴らも呆然と立ち尽くしていた。

 

その頃明久は─

 

B「ちっ仲間が全員やられちまったか。仕方がないコイツだけでも」

 

相手の召喚獣が明久の召喚獣に向かってきた。

 

明久「えい、足払いっ」

 

明久は召喚獣を走らせ、横から敵の足を引っ掛けた

 

明久「更にっ!」

 

敵に木刀を叩き込み、完全に体勢を崩させる。

 

明久「もういっちょう!!」

 

明久の召喚獣が勢い良く倒れこむ敵の召喚獣の後頭部を掴み地面に叩きつけた。

すると、ゴン、と硬い音が廊下に響いた。

 

B「・・・え?」

 

その場にいたBクラスの奴らの口から驚きの声が漏れる

 

 

Bクラス  モブ    VS   吉井明久

 数学   87点         51点

 

 

先ほどの戦闘での点数が表示される。

 

B「なんでだよ!俺のほうが点数が高いはずだろ!?

  なんであんな雑魚に一方的に点数が引かれてるんだよ!」

 

理由は簡単だ。俺と明久は特別処遇者と観察処分者だ。

だから他の人達と違って召喚獣の細かい動きが可能なんだ。

まあ俺より明久のほうが操作が上手いがな。

 

そこで明久の召喚獣はまだ倒れている敵の召喚獣を踏みつけ

 

明久「とどめ」

 

喉に木刀を突き刺して敵の召喚獣を倒した。

 

貴浩「余裕だったな」

 

明久「うん、そうだね」

 

貴浩「戦う前にも言ったがこの事は秘密にしとけよ。

   もし他の奴に言ったりばれたりしたら……」

 

明久「・・・したら?」

 

貴浩「お前のあの写真をばら撒く」

 

明久「そ、それだけはやめて!」

 

貴浩「大丈夫だ。バレなかったらいいんだよ。

   そうだなAクラス戦まで秘密にしとけばいいや」

 

明久「わ、わかったよ。だから、あの写真は……」

 

貴浩「わかってる。じゃあ契約終了だな。さて教室に戻ろうぜ」

 

明久「う、うん」

 

あの写真とは去年明久が色々あって女装させられた時の写真など

明久にとって恥ずかしい写真を俺が隠し持っているので交渉の時用いている。

もちろん、明久だけじゃなく他の人や女子の写真もある。

ただし、ムッツリーニとは違いローアングルとかからは撮ってはいない。

撮った写真は売りもしている。いい小遣い稼ぎになるからな。

もちろん、楓の写真は売っていない。だれが売るものか!

命の写真も売っていない。理由は優子と秀吉にばれた時が恐ろしいから。

ムッツリーニの商会にも2人の写真は売られていない。

俺が売るのをやめさせた。

最初は抵抗していたけど少しOHANASIしたら聞いてくれたよ。

ということでムッリーニ商会と同じようなものである。

まあ、ムッリーニと比べると良くはないけどな。

そして、盗撮や隠しカメラ・マイクなどは用いていない。

デジカメただ1つだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

明久と教室に戻ると

 

明久「ただいま!」

 

命「あ、明久君!無事だったんですね!」

 

戸を開けると命が明久に駆け寄ってきた。

 

明久「うん。これくらい余裕だったよ」

 

命「そ、そうなんですか。無事でよかったです」

 

貴浩「……おーい命さんや、明久だけじゃなく俺もいるんだけど…」

 

命「え?あ、えっと、貴浩君も無事で良かったです」

 

貴浩「……俺はついでか」

 

わかっている事なんだけどなんか無性に悲しいのだが……良いんだけどさ別に…

 

雄二「お。戻ったか。お疲れさん」

 

秀吉「無事じゃったようじゃな」

 

楓「兄さん。大丈夫だった?」

 

貴浩「ただいま。ああ大丈夫だよ」

 

すると楓と雄二と秀吉もやってきた。

楓が心配してくれただけで俺は嬉しいよ(泣)

 

雄二「さて、お前ら」

 

明久「ん?」

 

その場にいる全員を見渡して雄二が告げる

 

雄二「こうなった以上、Cクラスも敵だ。

   同盟戦が無い以上連戦という形になるが正直Bクラス戦の直後にCクラス戦はきつい」

 

まあ向こうもそれが狙いだろうからな。

俺たちが勝ったらまず間違いなく攻めて来るだろうな

 

そこで皆がどうするか悩んでいると

 

雄二「心配するな。向こうがその気ならこっちにだって考えがある」

 

明久「考え?」

 

雄二「ああ。明日の朝に実行する。目には目をだ」

 

この日はそれで解散となり、楓と秀吉は部活へ向かった。

 

俺は命とともに帰ることにし、命が優子と帰るらしいのでAクラスへと向かった



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Bクラス戦 黒化貴浩

4/22 修正


────翌日

 

雄二「今から昨日言っていた作戦を実行する!」

 

貴浩「作戦?」

 

明久「でも開戦時間より40分も前だよ?」

 

雄二「BクラスじゃないCクラスの方だ」

 

明久「あっ、なるほど。それで何するの?」

 

雄二「秀吉にコレを来てもらう」

 

そう言いだすと雄二はそばにあった紙袋から女子の制服を取り出した。

・・・ところで雄二。それをどうやって手に入れたんだ?

 

秀吉「別にかまわんがそれでどうするんじゃ?」

 

雄二「秀吉には『木下優子』としてAクラスの使者を装ってもらう」

 

そういうことか、秀吉と優子は良く似ているからな。

命も同じ事がいえるが、ある部分だけ決定的に違うからなあ……

 

雄二「というわけで秀吉用意してくれ」

 

雄二が秀吉に女子の制服を秀吉はその場で着替えを始める

着替えはとても早くなれているみたいだな。

秀吉は一瞬で着替えを終わらせた

 

貴浩「秀吉、着替えるの早いな」

 

康太「・・・・・・着替えるなら言って欲しかった」

 

明久「しっかり目に焼きつければ良かった」

 

ムッツリーニやF男子(俺と雄二以外)は泣きながら床を叩いていた。

写真を撮れなかったことがよほど悲しかったのであろう。

 

島田「秀吉はずるいわ」

 

姫路「秀吉君は大胆すぎます」

 

なんか姫路と島田が言っていたが無視するとしよう

 

秀吉「早く着替えるのは役者の基本じゃからの」

 

楓「そうですね。私も秀吉君には劣るけどそこそこ着替えるのは早いよ」

 

貴浩「……そうか。だが秀吉。普通この場で着替えるか?

   人数は少ないが女子もいるんだぞ」

 

秀吉「それはすまなかったのじゃ。次からは気をつけるとしよう。

   じゃが部活の演劇の時、舞台裏で着替えたりするから

   人目はあまり気にしていないのじゃ。演劇中の舞台裏は色々大変じゃからの」

 

貴浩「それでも今度からは気をつけろよ……ん?ちょっと待った。

   今の話を聞く限りじゃ楓も秀吉と同じように舞台裏で着替えてるのか?」

 

楓「はい、そうですね」

 

貴浩「ごめん雄二。俺、急用ができた。少し出るくる………秀吉、

   演劇部の男子メンバーの事教えてくれるかな。

   少しOHANASIしたいからさ」

 

秀吉「た、貴浩よ。落ち着くのじゃ。その禍々しいオーラをしまうんじゃ」

 

貴浩?「ダイジョウブダヨヒデヨシ。

    カエデノキガエヲミタヤツラノコトヲオシエテクレレバイイカラサ…

    …サアハヤクハナスンダ……デナイト」

 

秀吉「本当に落ち着くのじゃ!」

 

楓「兄さん落ち着いてください。

  男子には見られないようには対策ちゃんととっているから」

 

貴浩?「ソレハホントウカ?」

 

秀吉「本当じゃ。女子にはちゃんと着替える場所を確保しておるから

   とりあえずその邪悪なオーラを消して落ち着くのじゃ」

 

貴浩「そ、そうか。それなら安心した」

 

秀吉「こっちこそ安心したのじゃ」

 

ふぅ安心したよ。

もし楓の着替えを見たヤツがいるならころs──OHANASIしないといけないからな。

 

雄二「おい、そこ漫才してないでさっさと行くぞ。時間がなくなる」

 

明久「僕も行くよ」

 

楓「私も一緒に行きたいです。秀吉君の演技は勉強になりますから」

 

雄二「じゃあ来たい奴は行くぞ」

 

そして、雄二達はCクラスへと向かった。

 

 

      

今、教室に残っているのは

明久・雄二・秀吉・ムッリーニ・楓・命・姫路・島田以外である。

 

俺は向かってはいない。

 

理由は今からわかる。

俺は雄二達が教室を出て行ったのを確認すると教卓の前に立った

 

貴浩「さて、楓たちは行ったな。開戦前にFクラスの皆に聞く」

 

須川「ん?なんだ?」

 

貴浩「皆はあの『根本』のことを知っているだろうか?」

 

須川「あの、クソ野郎のことだろ」

 

貴浩「ああそうだ。あのクソ野郎はなんとCクラス代表の小山と付き合っているそうだ」

 

「「「「「何ぃいいいい!?」」」」」

 

貴浩「あの最低クソ野郎がCクラスの代表と…

   いや女性と付き合っている事は許される事だろうか?」

 

「「「「「断じて許してはいけない!!」」」」」

 

貴浩「そうだ!その通りだ!

   そして昨日、教室がBクラスの奴等に荒らされたのは知っているな」

 

F「ああ、それがどうしたんだ」

 

貴浩「1つ聞くがKMF団は、楓と命を泣かせた奴らはどうなるんだったかな?」

 

近藤「簡単だ。我々KMF団によって断罪されるに決まっているじゃないか」

 

須川「それがどうしたん──ま、まさか……」

 

貴浩「そのまさかだ須川。事もあろうかアイツラは俺達だけじゃなく2人にも手を出した。

   それで昨日の件で楓と命の筆記道具はともかく鞄までボロボロにされたのだ。 

   鞄についてだがムッツリーニが一応直しておいてはくれたが、

   その件で2人は涙を流したのだよ。それは許される事か!」

 

「「「「「許すべからず!!」」」」」

 

「「「「「断罪すべし!!」」」」」

 

貴浩「そうだ!許しすわけにはいかない!! 

   その諸悪の根源はBクラスの根本と根城の2名だ!!」

 

F「なんだと。あいつらが」

 

F「許してはおけねぇな」

 

貴浩「そうだ!しかも今日はBクラスとの戦争中だ! 

   その戦争中にもし『事故』がおきても問題ないよな?」

 

F「戦争中なので問題ありません!」

 

F「戦争に『事故』は付き物です!」

 

貴浩「そしておそらく雄二の事だ。今回も設備は交換しないだろう。

   それは俺たちの目標がAクラスだからだ。Bクラスの設備は今は必要じゃない。

   ただ、それだけでは皆の気は収まらないだろう。

   そこで俺は戦争終了後にあのゲス野郎2人には

   OHANASIが必要だと思うのだが皆の意見はどうだろうか?」

 

F「「「「「意義なし!!!」」」」」

 

貴浩「また、その報酬として楓に頼んで皆にクッキーを作ってくれるよう頼もうじゃないか。

   だからFクラスの皆、俺に力を貸してくれないか?」

 

「「「「「イエスマイロード!!」」」」」

 

貴浩「ありがとう。皆の協力に感謝する」

 

そこで俺はFクラスの皆と友情を深めた。

さすがFクラスこういう時は頼りになる

 

 

 

 

しばらくして雄二達が戻ってきた。



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Bクラス戦 教室前攻防戦

午前9時よりBクラス戦が再開された。

俺たちは昨日中断されたBクラス前という位置から進軍を開始した。

 

秀吉「ドアと壁をうまく使うんじゃ!戦線を拡大させるでないぞ」

 

秀吉の指示が飛ぶ

 

雄二曰く『敵を教室内に閉じ込めろ』とのこと。

 

そういうわけで指示どおり今は敵を閉じ込めている。

 

貴浩「皆、絶対1人で戦うな!周りと協力して敵を叩くんだ!」

 

秀吉「勝負は極力単教科で挑むのじゃ!補給も念入りに行うんじゃ!」

 

貴浩「無理をしすぎるなよ。危ないと感じたら下がるんだ」

 

秀吉「そうじゃ。いざとなったら命に回復してもらうのじゃ」

 

命の腕輪の能力は少し特殊で召喚獣の点数の回復ができるのだ。

なので、Bクラスから少し離れたところに護衛を数名つけて待機してもらっている。

 

最初は教室左側を秀吉率いる2番隊が、右側を明久率いる1番隊、

その後ろに俺が率いる3番隊と4番隊。

 

本来ならば4番隊は須川が隊長なのだが昨日のBクラスの不意打ちを受け、

殿(しんがり)を引き受けてくれ、戦死してしまい今日の戦争には参加できないので

姫路が率いる事になっているのだが、

先ほどから様子がおかしいので今は秀吉に隊を頼み、

姫路の所に明久を向かわせ様子を見てもらっている。

 

なので現在は秀吉が2・4番隊を俺が1・3番隊を指揮し敵を教室に押し込めている。

 

 

 

 

しばらくして

 

F「左側出入り口押し戻されています!」

 

F「古典の戦力が足りない!援軍を頼む」

 

そう聞こえ左側を見てみると少しずつ押し戻されている。

Bクラスは文系が多いので強力な個人戦力で流れを変えないと一気に突破されてしまう

 

明久「姫路さん、左側に援護を!」

 

姫路「あ、そ、そのっ…!」

 

先ほどから姫路の様子がおかしく動いてくれない

 

秀吉「楓よ、援護を頼めるか」

 

楓「はい、わかりました。織村楓。

  古典で勝負を仕掛けます『試獣召喚(サモン)!』」

 

 

【古典】

 

2-F  織村楓    VS   Bクラス  モブ×3

     430点              平均190点

 

 

楓「一気に狙い撃ちます『五月雨(さみだれ)』」

 

そう言うと楓の召喚獣が敵の召喚獣に向かって無数の矢を放った。

 

 

【古典】

 

2-F  織村楓    VS   Bクラス  モブ×3

     410点               0点

 

 

秀吉「楓よすまぬがもう少し頼めるかの」

 

楓「はい、わかりました!では腕輪を使います!」

 

楓がそういうと腕輪が光だし召喚獣の背中から銀色の翼が生えた。

 

秀吉「おお!綺麗じゃ!」

 

楓「ありがとうございます。では今度は空中から狙い撃ちます『五月雨(さみだれ)』」

 

今度が空を飛んだ状態で矢を複数放つ。

その矢が敵に刺さり倒れて行く。

 

それを数回撃ち終えたところで楓を下がらせる。

そう何度も撃てるものではないからだ。

 

秀吉「すまぬのじゃ。楓は一度下がるのじゃ」

 

秀吉は一度楓を下がらせる。

楓のあの技は点数を消費するのであまり乱用できないからだ。

そして腕輪を発動しているので点数が消費されるからでもある。

 

貴浩「明久!左の援護頼む」

 

明久「了解!」

 

明久は返事すると共に古典の竹中先生に近づいていき耳元で

 

明久「・・・・・・ヅラ、ずれてますよ(ボソッ)」

 

竹中「ッ!?」

 

頭を押さえて周囲を見渡す竹中先生。

いざと言う時の為の脅迫ネタの1つだ。まさかここで使う事になるとはな

 

竹中「少々席をはずします!」

 

狙いどおり竹中先生がその場を離れ古典のフィールドが解除される

 

秀吉「森田先生、物理のフィールドお願いするのじゃ」

 

そこで古典から物理へとフィールドが変わった。

 

秀吉「ここで2番隊から4番隊へと交代するのじゃ。

   そして2番隊で古典の消耗が激しいものは回復してくるんじゃ」

 

ひとまず左翼は大丈夫そうだな。

と俺が安心していると

 

F「隊長!」

 

貴浩「なんだ?どうした?」

 

F「右側の出入り口が数学から現国に変更されました!」

 

貴浩「数学教師の木内先生はどうした?」

 

F「Bクラス内に拉致された模様です」

 

やばいな。理系から文系の科目に切り替えられたか

 

貴浩「1番隊は交代、3番隊前に出るぞ」

 

先ほどまで数学でこちらが若干押していたが、

現国に変わった事で相手の得意科目となりこちらが引き始めた。

 

「「「了解」」」

 

貴浩「出撃する前にあえて言わせてもらう皆、死ぬなよ」

 

「「「はっ!!」」」

 

貴浩「3番隊突撃!!」

 

「「「了解」」」

 

・・・でもこのままじゃやばいな。自力の差で破られるな。

秀吉の方もきついだろうしな

 

貴浩「姫路こちらの援護頼めるか?」

 

姫路「は、はい。行きま・・・あっ・・・・」

 

姫路が返事の途中でうつむいてしまった。

先ほどからずっとこの調子だ。何かがおかしいな。

そう思いBクラスの教室内を覗いてみると、

窓際に腕を組んでこちらを見下ろす卑怯者である根本と根城の姿があった。

そこでようやく気が付いた。

おそらく姫路はあいつらに何か弱みを握られているんだろう。

だがどうする。今の状況ではこちらは何もできない。

すると明久から声をかけられた

 

明久「貴浩、秀吉!ちょっとここを任せるよ!」

 

貴浩「ん?」

 

秀吉「どうしたんじゃ明久?」

 

明久「ちょっとね。姫路さん調子が悪いんだったら命の所まで下がって良いよ」

 

姫路「・・・・・・はい」

 

おそらく明久も気づいたのだろう。なら明久に任せるとするか

 

貴浩「わかった。こっちは任せろ」

 

明久「じゃあ頼むよ」

 

明久はそう言うとFクラスの教室へ向かって行った。

 

秀吉「どうしたというのじゃ」

 

貴浩「何か策があるんだろうよ。秀吉、今は戦場に集中しよう」

 

今の明久の顔は久しぶりだな。頼れる時の顔だ。

こういう時の明久は頼れる。さて、明久が戻ってくるまで粘りますか

 

秀吉「ここが踏ん張りどころじゃ。皆頑張るんじゃ」

 

秀吉が皆に指示する

 

俺も明久に答えるため隊を指揮する。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

だが時間が経つにつれ状況は悪くなってきた

 

F「隊長こちらの右翼が突破されそうです」

 

貴浩「何だと?クソッ。後ろにいる1番隊から数名援護に出す。

   それまで持ちこたえろ。KMF団の意地をみせてやるんだ」

 

「「「「「うぉおおおお!!」」」」」

 

横溝「隊長!」

 

貴浩「どうした横溝?」

 

横溝「開戦前の約束は大丈夫でしょうか?」

 

貴浩「約束?ああ、クッキーの事か?」

 

俺はこの戦に勝利したら楓のクッキーをあげると約束したのを思い出した。

 

横溝「そうです」

 

貴浩「ああ、約束は守る」

 

横溝「わかりました。その言葉を信じます」

 

貴浩「それが、どうしたんだ?」

 

俺が聞き返すと横溝は答えた。

 

横溝「我々KMF団5名はこれより敵右翼に向け突攻をしかけます」

 

貴浩「な!?そんなことしたらお前らは地獄(ほしゅうしつ)行きだぞ!?」

 

横溝「それはもちろん覚悟の上です。

   我らの聖母様を悲しませたBクラスのクズ野郎を

   隊長たちが殺ってくれるならここで地獄(ほしゅうしつ)に行こうが、本望です!!」

 

「「「「私達も同じ意見です」」」」

 

貴浩「お前ら・・・」

 

横溝「約束もありますしね。

   これより我々5名は敵右翼に突攻をしかける。俺に続けぇ!!」

 

「「「「うぉおおおお!!」」」」

 

B「なんだ、こいつら補習が怖くないのか」

 

B「まさか相打ち覚悟なのかよ」

 

「「「「「我らが聖母様のためにぃいいい!!」」」」」

 

 

・・・・・・

 

 

F「隊長報告します。先ほどの横溝たち5名の突攻により

  敵のダメージは大きい模様です」

 

貴浩「わかった。・・・あえて言っただろうに死ぬなと。

   ……横溝達の死を無駄にするな!この気を逃すな!!

   1番隊・3番隊全員突撃だぁ!!」

 

F「「「「「うぉおおおおおおおおお!!!」」」」」

 

貴浩「俺も出る。『試獣召喚(サモン)!』」

 

 

【現代国語】

 

2-F  織村貴浩  VS  Bクラス  モブ男

     166点            178点

 

 

俺は点数では負けてはいるが、操作なら負けないので少しずつ点数を減らして敵を倒した。



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Bクラス戦決着 事故と不幸は蜜の味

4/22 修正


しばらく教室前で攻防戦を続けていると明久が戻ってきた。

そこには大将の雄二も一緒のようだ。

 

明久「ごめん。待たせたね」

 

楓「明久君が来たよ」

 

貴浩「待ちわびたぞ明久。でどうするんだ?」

 

明久「それは……(ゴニョゴニョ)……と言う訳なんだ」

 

俺達は明久の策を聞く。

 

貴浩「わかった。なら俺も協力するとしよう」

 

秀吉「そうじゃな。ならばここはワシらに任せるのじゃ」

 

貴浩「楓も来てもらえるか?」

 

楓「はい」

 

雄二「命、一度明久たちのたちの回復を頼む」

 

命「はい、わかりました」

 

俺たちは一度部隊を雄二に預け、命がいる所まで下がり点数を回復してもらった。

その前に俺は根っこコンビの立ち位置を確認してから命のところへ向かった

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

そして、俺・明久・島田・楓・あとFクラスメンバー×3名は

Bクラスの隣にあるDクラスに集まった。

 

そして

 

明久「貴浩、僕と勝負して欲しい」

 

貴浩「ああ、いいぜ」

 

明久「烏丸先生お願いします」

 

烏丸「2人とも本気なのかい?」

 

明久「もちろんです」

 

貴浩「この馬鹿とは一度決着をつけないといけないんです」

 

烏丸「それなら、Dクラスでやらなくてもいいじゃない?」

 

島田「仕方ないんですよ。この2人の召喚獣は特別だから。

   Fクラスだと教室が壊れちゃうんで」

 

烏丸「でもなぁー」

 

楓「お願いします。先生」

 

烏丸「しょうがない。可愛い女子高生の頼みじゃ断れないねぇ。承認するよ」

 

貴・明『試獣召喚(サモン)!』

 

明久「行けッ!」

 

そう言うと明久の召喚獣は壁を背にした俺の召喚獣に向かって走り出した。

俺はその攻撃を避けると、その攻撃が壁にあたった。

 

明久「ぐーぅッ!!」

 

貴浩「今度はこっち番だ」

 

俺は壁を背にしている明久の召喚獣を殴ろうと攻撃すると避けられ壁を殴りつけた。

 

貴浩「つぅ・・・ッ!」

 

貴・明「「まだまだぁ!!」」

 

お互いそう言うと先ほどと同じ行動を繰り返した

 

 

──作戦開始まであと少し

 

 

 

 

 

 

根本「お前らいい加減あきらめろよな。

   教室の出入り口に群がりやがって暑苦しい事この上ないっての」

 

雄二「どうした?軟弱なBクラス代表はそろそろギブアップか?」

 

根城「はぁ?ギブアップするのはそっちだろ?」

 

雄二「無用な心配だな」

 

ドンドン

 

根本「そうか?頼みの綱の姫路も調子が悪そうだぜ?」

 

雄二「お前ら相手じゃ役不足だからな。休ませておくさ」

 

根城「けっ!お前は相変わらず口だけは達者だな負け組み代表様よぉ」

 

雄二「負け組?それがFクラスのことならもうすぐお前が負け組代表だな」

 

ドンドン

 

根本「・・・さっきからドンドンとうるせぇな」

 

根城「それにこの暑さはなんだ。エアコンきいてんのか?おいッ窓全部開けとけよ!」

 

雄二「・・・・・・態勢を立て直す!一旦下がるぞ!」

 

根城「なんだよ!散々ふかしておきながら逃げるのか!」

 

根本「全員で一気に畳み掛けろ!!誰一人生きて帰すな!!」

 

雄二「頼むぞ2人共!!」

 

秀吉「根っこコンビの立ち位置は変わっておらぬのじゃ!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

雄二と秀吉の声が聞こえる

 

貴浩「明久そろそろだ」

 

明久「うん、わかっている」

 

烏丸「お前さんらは何をしようとしてるんだね?」

 

烏丸先生が俺たちの行動に疑問に思い尋ねてきた。

 

雄二「後は任せたぞお前等!!」

 

貴浩「明久、時間だ!」

 

明久「だぁあ──っしゃぁ──ッ!!!」

 

貴浩「くたばれや!!根っこコンビ!!」

 

お互い気合を入れ同時に壁を殴りつけた。

 

 

ドゴッォォォン!!!

 

 

物凄い音と共にBクラスとDクラスとの間の壁をぶち破った。

 

根本「ンなッ!?」

 

根城「ぐはっ」

 

F「くたばれ根本恭二」

 

根本「壁をぶっ壊すとかどういう神経してんだ!?」

 

俺たちは壊した壁を通りBクラスへと入っていった。

その壊れた破片が根城に直撃しているのを確認すると

 

島田「烏丸先生!Fクラス島田が──」

 

B「Bクラス近衛部隊が受けますッ!!」

 

根城「・・・痛ぇな」

 

チッ……意識が残っていたか。運のいいやつめ

 

根本「はッははッ!残念だったな。驚かせやがって!!」

 

明久「くっ…僕たちは周りの近衛部隊をやるよ」

 

貴・楓「Fクラス織村貴浩(楓)が

    根城(君)に勝負を挑む(挑みます)『試獣召喚(サモン)!』」

 

【世界史】

 

Fクラス 織村貴浩 & 織村楓   VS  Bクラス  根城敦

     242点   397点            173点

 

 

根城「な!?」

 

貴浩「楓は後ろから俺と皆の援護を頼む。あのゲス野郎は俺が殺るから」

 

根城「お前ごときにやられるかよ」

 

敵の召喚獣が俺の召喚獣目掛けて突っ込んできた。

俺は武器を抜き対抗する。

 

根城「お前等ごときが俺に勝てるかよ」

 

根城の召喚獣が武器を振るう

 

貴浩「そんなのやってみないとわからないぜ」

 

俺はその攻撃を後ろに飛んでかわし、右手に持った武器を左手に持ち替え

空いた右手で銃を取り出し敵の召喚獣に向かって発砲した

 

貴浩「狙い撃つぜっ!」

 

すると敵の召喚獣の足にあたり体勢をくずした。

 

貴浩「お前らはやってはいけないことをやったんだ。

   さぁお前の罪を数えるんだ!」

 

体勢を崩した敵の召喚獣に体当たりを食らわし、

左手の刀で首をはねとどめを刺した。

 

根城「馬鹿な。この俺がFクラスの雑魚にやられただと・・・」

 

そして俺は召喚獣を操り落ちている壁の破片を根城に向かって蹴飛ばした

 

根城「グハっ」

 

根城に破片がぶち当たり倒れた。

 

根本「・・・根城がやられたか。だがまだ近衛部隊がいるんだ。

   残念だったな。お前らの奇襲は失敗だッ!!」

 

根本までの距離は約20m・・・・・・

俺たちの周りには近衛部隊。

全員に取り囲まれた以上今、根本に近づく事はできない

 

・・・・・だが目的は達した。

 

ここで少し教科の特性について説明しよう

 

各教科の先生によってテストの結果に特徴が現れるんだが・・・

例えば、数学の木内先生や物理の森田先生、日本史のルーティ先生は採点が早い。

世界史の田中先生や生物のスタン先生は点数のつけ方が甘く、

数学の長谷川先生や英語のジュディス先生は召喚範囲が広い。

また、英語の遠藤先生や世界史の烏丸先生(通称レイブン先生)は

多少の事は寛容で見逃してくれる。

じゃあ保健体育の先生は、採点が早いわけでも甘いわけでもなく

召喚可能範囲が広いというわけでもない。

保健体育の特性、それは教科担当が体育教師であるが為の『並外れた行動力』である

すると、屋上よりロープを使って2人の人影が飛び込み、根本の前に降り立った。

 

 

スタッ

 

 

康太「・・・・・・Fクラス、土屋康太」

 

現れたのは同じFクラスのムッリーニと保健体育の鈴村先生だ。

 

根本「き、キサマは・・・・・・!」

 

康太「・・・・・・Bクラス根本恭二に保健体育で勝負を申し込む」

 

根本「ムッツリィニィーーッ!!」

 

康太「──試獣召喚(サモン)」

 

 

【保健体育】

 

Fクラス  土屋康太   VS   Bクラス  根本恭二

      441点              203点

 

 

ムッリーニの召喚獣は手にした小太刀を一閃し、一撃で敵を切り捨てる。

今ここに、Bクラス戦は終結した。



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Bクラス戦 撮影会

4/22 修正


秀吉「明久に貴浩よ。随分と思い切った行動じゃったのう」

 

明久「うぅ…痛いよう痛いよう…」

 

貴浩「…明久よりはフィードバックは少ないが…これは痛いな……」

 

命「明久君じっとしていて下さい。治療ができませんよ」

 

明久「あっうん。ごめんね」

 

秀吉「なんとも……お主らしい作戦じゃったな」

 

明久「でしょ?もっと褒めて!」

 

明久それ多分褒められてないぞ

 

秀吉「後先考えず自分を追い詰める男気あふれる素晴らしい作戦じゃな」

 

明久「・・・遠まわしに馬鹿って言ってない?」

 

貴浩「おっ気づいたか」

 

雄二「ま、それが明久の強みだからな」

 

命「で、でもかっこよかったですよ明久君」

 

明久「褒めてくれるのは命だけだよ(泣)」

 

雄二「さてと、それじゃ嬉し恥ずかしの戦後対談といくか。な、負け組代表?」

 

そして雄二は根本の前に立って言った。

俺もこのクズ野郎には恨みがあるので近づいた。

 

雄二「本来なら設備を明け渡してもらいお前らに素敵な卓袱台を

   プレゼントするところだが特別に免除してやらんでもない」

 

雄二がそう言いだすとBクラスのメンバーはざわつき始めた。

Fクラスには俺があらかじめ伝えてあるので動揺は無い。

 

根本「・・・条件はなんだ」

 

雄二「条件?それはお前さんとそこにいる根城次第だ」

 

根っこ「「お、俺たちだと?」」

 

雄二「ああ、お前らには散々好き勝手やってもらったし

   正直去年から目障りだったんだよな。

   そこでお前らBクラスに特別チャンスだ。

   Aクラスに試召戦争の準備ができていると宣言して来い。 

   そうすれば今回は設備は見逃してやる。

   ただし宣戦布告ではなく戦争の意志と準備があるだけ伝えるんだ」

 

根本「・・・それだけでいいのか」

 

雄二「あ──」

 

貴浩「それと」

 

雄二が何か言う前に俺が遮った

 

貴浩「今回の戦争で随分やってくれたからな。

   その分も入れて……そうだなぁ……根本と根城がコスプレして

   さっき雄二が言った通りにしてくれたら良いぞ」

 

雄二「お、おい」

 

貴浩「雄二……イイヨネ?」

 

雄二「……ああ……もちろんだ」

 

根っこ「「ばっ馬鹿なことを言うな!!この俺がそんなふざけた事を・・・ッ!」

 

B「「「「「Bクラス全員で必ず実行しよう!」」」」」

 

B「任せて必ずやらせるから!」

 

B「それだけで教室を守れるならやらないては無いな!!」

 

どんだけこの2人は人望が無いんだ。まあいいけど

 

雄二「んじゃ。決定だな」

 

獅子川「待った!」

 

そこで1人の女性から声が上がった

その人は昨日、俺と戦った獅子川蘭だった。

 

雄二「どうした?まだ不満があるのか?」

 

獅子川「不満はない。ただそれだけで良いのか?

    こちらは昨日随分と卑劣な手段を使ったらしいからね」

 

雄二「それもそうだな。だ、そうだが貴浩どうする?」

 

貴浩「そうだな。それだけじゃやっぱり生緩いよな。

   ならAクラスへ行った後に写真撮影会をしてから

   その後少しFクラス男性陣とOHANASIするということで良いかな」

 

獅子川「わかった」

 

根城「まっ待て。勝手に決めるな」

 

獅子川「だまれ!このゲス野郎」

 

そう言って獅子川が根城の鳩尾に拳を叩き込むと、根城が沈黙した。

 

貴浩「んじゃ、Bクラス代表も」

 

根本「くっやめろ!よっ寄るな!!」

 

獅子川「黙ってろ」

 

そう言うと鳩尾に拳をぶち込み沈黙させた

 

貴浩「ありがとう獅子川」

 

獅子川「おい、貴浩。昨日僕の事名前で呼べと言ったよな」

 

貴浩「あっ、そうだったな蘭」

 

獅子川「そうだ。僕はお前を次こそは倒すんだからな」

 

貴浩「その時はお手柔らかに。さて、着替えさせるか。明久は根本の方を頼む」

 

そう言うと俺は朝秀吉が着ていた女子の制服を明久に渡した。

 

明久「了解」

 

貴浩「さて、根城の方はどうするかな。

   着替えは雄二が持ってきた制服1つしかないからな」

 

獅子川「ならきらりの衣装を借りるか?」

 

貴浩「ん?持ってるのか?」

 

獅子川「ああ。きらりはコスプレが趣味だからな」

 

五十嵐「コスプレじゃないよ。将来のために着ているんだよ」

 

すると昨日、蘭と一緒にいた五十嵐だったっけ?がこちらに向かってきた。

 

獅子川「まあそんなのどっちでもいいだろ。で貴浩に何か衣装貸してやってくれ」

 

五十嵐「うーわかったよ。えっと織村君だったかな?」

 

貴浩「ああ」

 

五十嵐「どんな衣装がいいのかな?」

 

貴浩「……ちなみにどんな衣装があるんだ?」

 

五十嵐「今日はナース服に軍服や婦警服、学生服あとチャイナ服を持ってきていますよ」

 

貴浩「凄い衣装の数だな。しかも今日はって……」

 

五十嵐「毎日衣装を変えているんです」

 

F「まさか彼女があのコスプレ姫なのか」

 

そこで周りがざわつき始めた。主にFクラス男子だが

 

貴浩「今はひとまず学生服でいいや」

 

五十嵐「わかりました。ついでにですが私が着替えさせておきますね。

    蘭ちゃん手伝ってもらってもよろしいですか」

 

獅子川「了解だ」

 

貴浩「じゃあ折角だし可愛くしてあげて」

 

五十嵐「それは無理かも。土台が腐りすぎてますから無理だと思うし」

 

貴浩「まあそうだな。じゃあよろしく頼む。その後撮影会だからな」

 

獅子川「わかった。気絶させてでもやらせる」

 

その後、根本と根城の2人は女装させられた状態でAクラスに行き、

俺とムッリーニによる撮影会を行い、その後KMF団とOHANASIをした。

おそらく2人は一生忘れられない素敵な思い出を背負う事になるだろう。

 

 

俺は撮影会が終わった後、根っこコンビをKMF団に任せた。

その後、明久と共に職員室で先生方の親身な指導を受けたのは言うまでも無いだろう。

 

そして、最近の日課になりつつある明久と共に楓に勉強を教わり今日と言う1日が終わった。

 



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Aクラス戦前 嫉妬

4/22 修正


Bクラスとの戦争から3日後の朝──

 

いよいよAクラス戦を残すのみとなった俺たちは、

もうじきお別れになる予定のFクラスで最後の作戦の説明を受けていた。

 

雄二「まず皆に礼を言いたい。不可能だと言われていたのにも拘らず

   ここまで来れたのは他でもない皆の協力があってのことだ感謝している」

 

明久「ゆ、雄二どうしたの?らしくないよ?」

 

明久の言う通りだ。気味が悪いぞ。どういうことだ?

 

雄二「ああ、自分でもそう思う。だがこれは偽らざる俺の気持ちだ」

 

やっぱり気味が悪いな

 

雄二「ここまで来た以上絶対Aクラスにも勝ちたい……

   勝って生き残るには勉強が全てじゃない現実を教師どもに突きつけるんだ!!」

 

「「「おおーーッ!!」」」

 

F「そうだぁーーッ!!」

 

F「勉強だけじゃねぇんだーーッ!!」

 

最後に勝負に皆の気持ちが1つになっている。そんな気がした。

 

雄二「皆ありがとう。そして残るAクラスだが……

   これは一騎討ちで決着をつけたいと考えている」

 

F「どういうことだ?」

 

F「誰と誰が一騎討ちするんだ?」

 

F「それで本当に勝てんのか?」

 

雄二が教卓を叩いて黙らせる

 

雄二「落ち着いてくれ。それを今から説明する。一騎討ちをやるのは俺と翔子だ」

 

明久「馬鹿の雄二が学年主席の霧島さんに勝てるわけがな──」

 

シュッ

 

明久の顔のすぐ横をカッターが通り過ぎ畳に刺さっていた

 

雄二「次は耳だ」

 

明久を狙ってやったみたいだな

 

雄二「まあ明久の言うとおり確かに翔子は強い。

   まともにやりあえば勝ち目は無いかもしれない。

   だがそれはDクラス戦やBクラス戦も同じだったろ?

   まともにやりあえば俺たちに勝ち目はなかった」

 

確かにそうだな。

最初は勝てないと思っていた戦争を勝利に導いてきた雄二の言葉だ。

それを否定する人間はこのクラスにはいない

 

雄二「俺を信じてくれ。過去に神童とまで言われた力を、今皆に見せてやる」

 

「「「おおおぉーーーっ!!」」」

 

今Fクラス全員が雄二を信じている

 

雄二「具体的なやり方だが、一騎打ちではフィールドを限定するつもりだ」

 

秀吉「フィールド?何の教科でやるつもりじゃ?」

 

雄二「日本史だ。ただし内容を限定する。

   レベルは小学生程度方式の百点満点の上限あり。

   召喚獣勝負ではなく純粋な点数勝負となる」

 

小学生程度の満点ありだって?

それだと満点前提の勝負だから集中力が先に切れた方が負けになるな

 

明久「でも同点だったら延長戦だよ?

   そうなるとブランクのある雄二には厳しくない?」

 

雄二「おいおいあまり俺を舐めるなよ。

   いくらなんでもそこまで運に頼り切ったやり方を作戦と言うものか」

 

貴浩「どういうことだ?」

 

雄二「アイツなら集中なんかしなくてもこの程度のレベルのテストなら

   何の問題も無く満点をとるだろう。俺がこのやり方をとった理由は1つ。

   『ある問題』がでればアイツは確実に間違えるからだ」

 

なんだ?ある問題って?

 

雄二「その問題は『大化の改心』だ」

 

貴浩「小学生レベルとなると何年に起きたとかか?」

 

雄二「そうだ。その年号を問う問題が出たら俺たちの勝ちだ。

   大化の改心が起きたのは645年。

   こんな簡単な問題だって明久ですら間違えない」

 

明久「そうだよ。雄二そんな問題なら僕だって間違えないよ」

 

雄二「だが翔子は間違えるこれは確実だ。

   そうすれば俺達は勝って晴れてこの教室とおさらばって寸法だ」

 

姫路「あの坂本君」

 

雄二「ん?なんだ姫路」

 

姫路「霧島さんとはその・・・仲が良いんですか?」

 

そういえばさっきから名前で呼んでたりしたな

 

雄二「ああアイツとは幼馴染だ」

 

明久「総員狙えぇっ!!」

 

雄二「なっ!?なぜ明久の号令で皆が急に上履きを構える!?

   それに貴浩までどうした!?なんで明久たち側にいる!?」

 

明久「黙れ男の敵!!」

 

貴浩「そうだ!霧島と幼馴染だとなんて羨ましい!!

   俺の幼馴染はこの馬鹿なんだぞ!!」

 

俺だって男だ。幼馴染は女の子が良かったよ(泣)

 

明久「Aクラスの前にキサマを殺す!」

 

雄二「俺が一体何をしたと!?」

 

貴浩「遺言はそれだけか?」

 

明久「待つんだ須川君靴下はまだ早い、それは押さえつけた後に口に押し込むものだ」

 

須川「了解です。隊長」

 

我らが仇敵め。Fクラスの男子高校生44人分の靴下をとくと味わうがいい。

……俺だって女の子の幼馴染が欲しかったよ。

そしたら、フラグが立つじゃないか!

 

姫路「あの、吉井君」

 

明久「ん?なに、姫路さん」

 

姫路「吉井君は霧島さんが好みなんですか?」

 

明久「そりゃ、まぁ。美人だし」

 

そうだな。霧島さんは学園内でも上位の美しさだろうしな。

まぁ妹の楓の方が綺麗だがな!!

 

明久「え?なんで姫路さんは僕に向かって攻撃態勢を取るの?

   それと島田さんも僕に向かって教卓なんて物を投げようとしているの!?」

 

・・・なんか最近姫路が壊れてきたな。

命は床に手をついて落ち込んでるし・・・

 

秀吉「まあまあ。落ち着くのじゃ皆の衆」

 

パンパンと手を叩いて場を取り持つ秀吉

 

明久「む。秀吉は雄二が憎くないの?」

 

秀吉「冷静になって考えてみるが良い。相手は霧島翔子じゃぞ?

   男である雄二に興味があるとは思えんじゃろうが」

 

え?なんで?

 

秀吉「むしろ、興味があるとすれば・・・」

 

明久「・・・そうだね」

 

明久達の目線が女子(島田以外)に集まる

 

姫路「な、なんですか?」

 

楓「どうかしましたか?」

 

まさか、霧島が同姓愛かなにかと思ってるのか?

雄二の幼馴染で名前で呼んでるんだぞ。

おそらくフラグが立ってるに決まっているだろうよ!

 

雄二「とにかくっ俺と翔子は幼馴染で小さい頃間違えて嘘を教えていたんだ。

   アイツは一度教えた事は忘れない。だから今学年トップの座にいる」

 

それって凄くないか。

一度教えた事は忘れないって…普通にやったら絶対勝てないだろソレ

 

雄二「俺はそれを利用してアイツに勝つ。

   そしたら俺達の机は『システムデスクだ!』」

 



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Aクラス戦 宣戦布告

4/22 修正


Aクラス

 

優子「一騎討ち?」

 

雄二「ああ。Fクラスは試召戦争として、Aクラス代表に一騎討ちを申し込む」

 

恒例の宣戦布告

今回は代表である雄二を筆頭に俺や明久、秀吉、ムッツリーニ、楓、命、

姫路、島田というFクラス首脳陣勢揃いでAクラスに来ていた。

 

優子「何が狙いなの?」

 

現在、俺たちと交渉の席についているのは優子だ。

 

雄二「もちろん俺たちFクラスの勝利が狙いだ」

 

まあ優子が訝しいのも無理は無い。

底辺に位置する俺たちが一騎討ちで

学年トップの霧島に挑む事自体が不自然なのだから当然何か裏があると考えるだろう

 

優子「面倒な試召戦争を手軽に終わらせる事ができるのはありがたいけどね、

   だからと言ってわざわざリスクを犯す必要もないかな」

 

雄二「賢明だな」

 

予想通りの返事だ

 

雄二「ところで、Cクラスの連中との試召戦争はどうだった?」

 

優子「時間は取られたけど、それだけだったよ?何の問題もなし」

 

秀吉の挑発に乗り昨日Aクラスに乗り込んだCクラス。

その勝負は半日で決着がつき、CクラスはDクラスと同等の設備で授業を受けている

 

雄二「Bクラスとはやりあう気があるか?」

 

優子「Bクラスって・・・昨日来ていた『あの』・・・・・・」

 

雄二「ああ。アレが代表をやっているクラスだ。

   幸い宣戦布告はまだされていないようだが、さてさて。どうなることやら」

 

優子「でも、BクラスはFクラスと戦争して負けたのだから

   試召戦争はできないはずよね」

 

試召戦争の決まりごとの1つ、準備期間。

戦争に負けたクラスは準備期間を経ない限り戦争を申し込む事ができないのである。

 

雄二「知っているだろ?事情はどうあれ、対外的にはあの戦争は

   『和平交渉にて終結』って事になっていることを。

   だから規約にはなんの問題も無い」

 

これは設備を入れ替えなかったからこそできる方法だ。

 

優子「・・・・・・それって脅迫?」

 

雄二「人聞きが悪い。ただのお願いだよ」

 

なんだか雄二が悪役に見えるな

 

優子「うーん・・・・・・わかったよ。何を企んでいるか知らないけど、

   代表が負けるなんてありえないからね。その提案受けるわ」

 

貴浩「本当か?」

 

優子「だってあんな格好した人達がいるクラスと戦争なんて嫌よ・・・」

 

よほど昨日の根っこコンビの女装が気持ち悪かったんだろうな・・・同感するけど

 

優子「でも、こちらからも提案、

   代表同士じゃなくて……お互い7人ずつ選んで一騎討ちを

   7回で4回勝った方が勝ちって言うのならいいわよ」

 

雄二「なるほど。こっちから姫路が出てくる可能性を警戒しているんだな?」

 

優子「多分大丈夫だと思うけど代表の調子が悪かったら

   問題次第では万が一があるかもしれないし」

 

貴浩「わかった。それで良い」

 

雄二「お、おい貴浩。勝手に・・・」

 

貴浩「ぶっちゃけ俺も戦争したいしな」

 

雄二「ふぅ~、お前はまったく……わかった。そちらの条件を呑んでもいい。

   ただし、勝負の内容はこちらで決めさせてもらう。

   それくらいのハンデがあってもいいはずだ」

 

優子「え?うーん・・・」

 

霧島「・・・受けてもいい」

 

優子の後ろからAクラス代表の霧島翔子があらわれた

 

霧島「・・・雄二の提案を受けてもいい」

 

優子「あれ?代表いいの?」

 

霧島「・・・その代わり条件がある」

 

貴浩「条件?」

 

霧島「・・・うん」

 

霧島が軽く頷く

 

霧島「・・・負けたら何でも1つ言う事を聞く」

 

ん?どういうことだろう?まあ何か霧島にもあるのだろう。

俺が疑問に持ってると明久とムッツリーニが何か騒いでいたが無視する事にした。

良い予感がしなくてね・・・

 

優子「じゃあ、こうしましょう。勝負内容は7つの内4つ決めさせてあげる。

   3つはうちで決めさせて」

 

貴浩「雄二それでいいんじゃないのか」

 

雄二「ああ、そうだな。交渉成立だ」

 

明久「ゆッ雄二!!まだ姫路さんと楓が了承してないのにそんな勝手な!」

 

明久はさっきから何を言ってるんだ・・・

 

雄二「心配すんな。絶対姫路と楓に迷惑はかけない」

 

霧島「・・・・・・勝負はいつ?」

 

雄二「そうだな。13時からでいいか?」

 

霧島「・・・・・・わかった」

 

霧島って独特の雰囲気を持つ人だな。

話し方だけならムッリーニと似ているし。

 

雄二「よし。交渉は成立だ。一旦教室に戻るぞ」

 

貴浩「そうだな。皆にも報告しておかないとな」

 

交渉が終了し、Aクラスを後にする。

 

 

 

──Fクラス

 

雄二「───ということだ。

   Aクラスとは7対7の勝負で4勝した方が勝ちとなる。

   そこで今から相手の情報についてムッツリーニから報告がある」

 

雄二がそう言うとムッツリーニが教卓の前に立ち1枚の紙を見せてくれた

 

雄二「この紙に書いてあるのはAクラスの成績上位のヤツについてだ」

 

そこに書かれているのは

 

Aクラス上位成績者(新学期当初)

  霧島 翔子    久保 利光

  木下 優子    砂原 鈴歌

  工藤 愛子    椎名 雪

  佐藤 美穂    不知火 刀麻

  八神 なのは  

 

 

と書かれていた。

ん?一番下に書かれている人の名前どこかで見たことがあるような……

でも……まあおそらく気のせいだよな・・・。

 

雄二「おそらくAクラス戦ではこの9人から選ばれて出て来るだろう」

 

貴浩「1つ質問なんだが一番下に位置する人は学校では初めて目にする名前だが?

   確か去年の上位成績者の中にその名は無かったような気がするんだが…?」

 

康太「・・・・・・・・・今年転入してきたらしいから情報が無い」

 

楓「・・・あの兄さん?」

 

貴浩「何だ?」

 

楓が俺に近づいてきて話し掛けてきた

 

楓「多分、私の気のせいだと思うんだけど…」

 

貴浩「やっぱり楓も気になるあの八神って人が」

 

楓「もしかしたら私たちの従妹(いとこ)のなのはちゃんじゃ無いのかな?」

 

貴浩「俺もそうは思ったが……もしそうならアイツか親父からは連絡がくるはずだろ。

   でも、そんな連絡受けてないだろ?」

 

楓「確かにそうですよね。やっぱり私の勘違いですね」

 

貴浩「まあAクラス戦になったらわかるよ」

 

楓「そうですね」

 

俺が楓と話していたら

 

雄二「こちらのメンバーはAクラスに行ってから言う。

   さあAクラスに乗り込むぞ!」

 

F「「「「「うぉおおおおお!!!」」」」」

 

 

そしてFクラスとAクラスとの戦争がついに始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───俺の携帯に

 

 

  【1件のメールを受信】

 

 

俺はそれに気づかずAクラスへと向かった



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Aクラス戦 1試合目

4/22 修正


高橋「では、両名共準備は良いですか?」

 

今日はここ数日、戦争で何度もお世話になっている

Aクラス担任かつ学年主任の高橋先生が立会人を務める。

 

雄二「ああ」

 

霧島「・・・・・・問題ない」

 

一騎討ちの会場はAクラス。

こちらの方が広いし、廃屋のFクラスでは締まらないからな

 

高橋「それでは1人目どうぞ」

 

優子「あたしから行くわよ!」

 

向こうは秀吉と命の姉の木下優子。

 

対するこちらは

 

秀吉「ワシがやろう」

 

その弟の秀吉だ。さてどういう戦いになるかな

 

優子「ところでさ、秀吉」

 

秀吉「なんじゃ?姉上」

 

優子「Cクラスの小山さんって知ってる」

 

秀吉「はて誰じゃ?」

 

ん?Cクラスの小山さんってこの前秀吉が……

 

優子「じゃあいいや。その代わり、ちょっとこっちに来てくれる?」

 

秀吉「うん?ワシを廊下に連れ出してどうするんじゃ姉上?」

 

秀吉が廊下につれてかれる。

何か嫌な予感がしたので、楓を手招きして呼び廊下に近づいて行くと

 

秀吉「姉上、勝負は・・・・・・どうしてワシの腕を掴む?」

 

優子「アンタ、Cクラスで何してくれたのかしら?

   どうしてアタシがCクラスの人達を豚呼ばわりしている事になっているのかなぁ?」

 

廊下から2人の話し声が聞こえる

 

秀吉「はっはっは。それはじゃな、姉上の本性をワシなりに推測して……

   あ、姉上っ!ちがっ……その関節はそっちには曲がらなっ…!」

 

 

 

ガラガラガラ

 

 

 

扉を開けて優子が戻ってくる。

 

優子「秀吉は急用ができたから帰るって」

 

この時俺はガタガタと震えていた。

 

それは、1年の時少し命をからかい過ぎて涙目にさせてしまった所を

優子に見つかり関節と言う関節を曲げられたからだ。

 

今でもあの時の事を覚えている・・・

 

ちなみにではあるが貴浩は優子が腐女子であることは知らない。

知っているのは学園では家族である秀吉と命あと楓の3名だけである。

楓は去年から命と交友があり木下家に訪れたことがあり、その時偶々知ってしまったのである。

 

優子「まったく秀吉も演劇なんて遊びばっかりしないで勉強していれば

   成績だってもう少し上がったでしょうに。

   演劇なんてくだらないことばかりしているから」

 

 

プチッ

 

 

あれぇ?今どこかで血管が切れる音がしたような気が……

俺は恐る恐る後ろを振り返ると俺の後ろには……

 

優子「さて秀吉の代わりの人出してくれる?」

 

雄二「い、いや・・・。こちらの不戦p『待ってください』いで…?」

 

楓「私が秀吉君の代わりに出ます!」

 

俺の後ろには笑顔なのに目が笑ってない楓さんがいらっしゃった…

もしかして怒っていらっしゃる?・・・・・・

 

雄二「ま、待て。楓には……」

 

楓「良いですよね。坂本君?」

 

雄二の台詞途中に目線で「私がやる」といわんばかりに雄二を見ていた

 

雄二「・・・・・・ああ。任せる」

 

雄二は楓に反論する事ができず試合に出る事を認めた。

俺はこの時に廊下で倒れている秀吉を抱えAクラスに戻った

 

優子「楓が相手ね」

 

楓「優子さん。今さっきあ演劇の事をくだらないとか言いませんでした?」

 

優子「ええ、言ったけど。それが何か?」

 

楓「秀吉君に謝ってください。

  確かにCクラスのことで秀吉君はやりすぎたかも知れませんが

  それでなんで演劇の事まで侮辱されないといけないんですか!?」

 

優子「え?」

 

優子が楓の行動に驚いているようだ。

俺も正直驚いている。楓がここまで怒ることなんて滅多にないからだ。

 

するとそこで気絶していた秀吉が目を覚ました。・・・・・・復活がはやいな

 

楓「私もですが秀吉君は演劇に力をいれて頑張っています。

  将来も演劇の俳優になるという夢を私に教えてくれました。

  夢のために頑張ってる人を馬鹿にするのはたとえ優子さんでも許しません」

 

優子「許さないって、じゃあどうするの?」

 

楓「先ほども言いましたが秀吉君に謝って下さい」

 

優子「い、嫌よ。何で私がアイツに」

 

楓「それは優子さんが秀吉君の夢を馬鹿にしたからです。

  私は秀吉君の演技に憧れています。

  そして私も将来は演劇に関わる仕事に就きたいと思っています。

  では、逆に聞きますが優子さんは何か夢を持って勉学に挑んでいるんですか。

  夢を持たない人が夢に向かって努力している人を馬鹿にしないでください!」

 

優子「うっ・・・」

 

そこで優子は詰まった。

俺は楓がここまで怒るのを久しぶりに見たし、

初めて楓の夢についても知った

 

楓「だから、優子さんに勝って秀吉君に謝ってもらいます」

 

優子「わ、わかったわ。楓が勝ったら謝るわよ」

 

高橋「教科は何にしますか?」

 

優子「総合科目でお願いします」

 

楓・優子『試獣召喚(サモン)!』

 

 

【総合科目】

 

Aクラス  木下優子    VS   織村楓

      3641点        3946点

 

 

優子「え?」

 

F「点数高いな!」

 

A「学年次席レベルの点数じゃないか」

 

楓「優子さん行きます『剛烈』ッ!」  

 

楓の召喚獣は優子の召喚獣に狙いをさだめ強烈な一発を放つ。

優子の召喚獣はランスで矢を弾こうとするが矢の勢いが強く

反らすだけで精一杯で矢は肩に命中した。

あたった分点数が下がる。

 

木下優子  3221点

 

楓「まだです『五月雨』!」

 

再び優子の召喚獣に狙いを定め今度は複数の矢を同時に放った。

矢の範囲が広く逃げ出せないとわかると優子は目の前の矢を弾いていったが

矢が多すぎて何発かが命中する

 

 

木下優子  2686点

 

優子「クッ。今度はこちらの番よ」

 

すると優子の召喚獣はランスを楓の召喚獣に向けて突進してくる。

楓は牽制に矢を何発か放ちあたるがが優子の召喚獣の勢いは止まらず

楓の召喚獣の横腹に掠ってしまった

 

木下優子  2254点

織村楓   3423点

 

楓「まだです」

 

楓は優子の召喚獣から距離を取り矢を放つ。

優子も矢の攻撃を食らいながらも致命傷は避け楓に攻撃を入れていく

それが何度も続いていき

 

木下優子  854点

織村楓   2180点

 

優子の召喚獣が楓の召喚獣にランスを振り上げた

 

優子「これで!!」

 

楓「ま、まだです」

 

楓は間一髪避ける。

すると優子の召喚獣が先ほどの攻撃がよけられてしまい体勢を崩した。

 

楓「そこです。凄いのいきますよ『ワイルドギース』!!」

 

楓の召喚獣が至近距離で楓の召喚獣の持つ弓の技で最強の一撃を食らわせる。

 

そこで決着がついた。

 

【総合科目】

 

Aクラス  木下優子    VS   織村楓

        0点         2030点

 

 

高橋「勝者Fクラス」

 

F「「「「「うぉおおおお」」」」」

 

こうして楓の活躍により先に1勝を獲得した。

 

楓「私の勝ちです。約束どおり秀吉君に謝ってください」

 

優子「わかっているわ……秀吉、ごめんなさいねあなたの夢を馬鹿にしてしまって」

 

優子はそう言うと秀吉に頭を下げた

 

秀吉「い、いいのじゃよ姉上。今回の事はワシにも非があるからの。

   今回の事はお互い水を流そうではないか」

 

優子「ありがとうね。楓もごめんなさいね。

   まだ夢を持っていないあたしが夢に向かって頑張っている人を

   馬鹿にするなんていけなかったわね」

 

楓「い、いえ。わかってくれたなら良いんですよ・・・」

 

とその後も3人は話しているようで

俺が入る隙間が無かったので次の戦いに集中する事にした。

 



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Aクラス戦 2試合目

4/22 修正


高橋「では、次の方どうぞ」

 

命「次は私が行きますね」

 

?「じゃあ私が行こうかな」

 

Fクラスからは命がAクラスから出てきたのは見たことのある人物だった。

 

貴浩・楓「「なのは(ちゃん)!?」」

 

それは俺と楓の従妹(いとこ)である八神(やがみ)なのはだった。

 

なのは「久しぶりだね2人とも。お正月ぶりだね」

 

明久「貴浩?あの人の事知ってるの?」」

 

明久が俺達の事情を知らないので尋ねてきた

 

貴浩「知ってるも何も俺と楓の従妹だ」

 

するとFクラスの男子が騒ぎ出した。

 

F「「「「「なにぃぃぃぃ!?」」」」」

 

須川「あんな可愛い子がお前の従妹だと!そんなの信じられるか」

 

確かになのはは可愛しスタイルも悪くないけど…それ関係なくないか

 

楓「いつ来たんですか?」

 

なのは「来たのは今日の朝だよ」

 

貴浩「転入してくるなら連絡入れろよな。で叔父さんたちも来てるのか?」

 

なのは「お父さん達は来てないよ。私だけこっちに来たんだよ」

 

貴浩「そうなのか?なら何処に住むんだ?」

 

なのは「あれ叔父さんから聞いてない?

    私2人と一緒に住むことになってるんだよ。

    放課後荷物が家に届くはずだけど?」

 

楓「え?そんな事父さんから聞いてないんですけど。ねぇ兄さん?」

 

貴浩「ああ。今初めて聞いたんだが・・・」

 

なのは「あれ?叔父さんはメールするって言ってたんだけどな」

 

俺は何か嫌な予感がし、高橋先生に特別に許可をもらい携帯を開くと

一件のメールが受信していた。

そのメールを開くとそこに書かれたいたのは

 

 

 

 < 我が息子よ元気にしているかね。

   父さんと母さんはとても元気だよ☆

   で突然だが、今日からお前の従妹である八神さん家のなのはちゃんが

   一緒に住むことになったからよろしく頼む。

   その分の生活費をいつものように振り込んでるからよろしく!

   追伸:なのはちゃんに無理やり手を出すなよ。

      じゃあ、後の事はよろしく頼む!楓ちゃんにもよろしく! >

 

 

 

 

楓「兄さん?なんて書かれていたの?」

 

楓が俺に聞いてくると俺は携帯の画面を楓に見せてあげた

 

楓「本当ですね。今日からなのはちゃん私たちと一緒に住むことになるんですね」

 

俺は携帯を閉じてからしまうと

 

貴浩「あのクソ親父ぃいいいいいいいいいいい!!!!!

   こういうことはあらかじめ言っとけや!!!!!」

 

俺は心の底から叫んだ。

 

楓「ちょっと兄さん落ち着いて。父さんの事は今に始まったことじゃないでしょ」

 

俺の親父はいつも気まぐれで家を引っ越したのも理由が『今の場所に飽きた』だからだ。

そんな理由で住んでた家を売り払い、木下家近くに家を建てたのだし。

今海外にいるのも『海外に住んでみたい』という理由で母と共に海外に行った。

俺達はもう高校生になったこともあり海外には行かずに今の家に住んでいるのである。

 

なのは「ということでよろしくね2人共♪」

 

楓「こちらこそよろしくお願いしますねなのはちゃん」

 

貴浩「はぁ~まあこうなった以上は仕方がないか」

 

俺があきらめため息をついた時、

不意に後ろから殺気を感じすぐさま横に飛んで避けると

先ほどまで俺がいたところにはカッターが無数に刺さっていた。

 

貴浩「な!?」

 

俺は慌てて後ろを振り向くとそこには例の奴らがいやがった

 

須川『諸君。ここはどこだ?』

 

F『『『最後の審判を下す法廷だ』』』

 

須川『異端者には?』

 

F『『『死の鉄槌を!』』』

 

須川『男とは』

 

F『『『愛を捨て、哀に生きるもの!』』』

 

須川『宜しい。これより、KMF団による異端審問会を開催する』

 

やはりヤツラがいやがりましたよ

 

須川『こいつの罪状を読み上げよ』

 

F『はっ。須川会長。

  えー被告、織村貴浩は我が文月学園第2学年Fクラスの生徒であり、

  この者は我らが教理に反した疑いがある。本日未明、

  この者は我が文月学園に新しく転入してきた女子と・・・』

 

須川『御託はいい。結論を述べたまえ』

 

F『同棲するので羨ましいであります』

 

須川『うむ。実にわかりやすい報告だ。

   さて被告よ、何か最後に言い残す事はあるか?』

 

貴浩「なら1つ……そんな事で殺されてたまるものか!」

 

俺はそう言い残すとAクラスを飛び出し逃亡した。

 

須川「逃がすな!!」

 

F『了解!!』

 

KMF団も俺を追いかけるためAクラスを出て行ったのでAクラスには、

Aクラスの人達と雄二、明久、秀吉、ムッリーニ、楓、命、島田、姫路達が残った。

 

 

 

 

 

 

 

 ~楓SIDE~

 

 

高橋「……えー多少のアクシデントがありましたが続けます」

 

命「じゃあ行って来ます」

 

なのは「タカ君はあいかわらず面白いね。

    じゃあ、高橋先生科目は物理でお願いします」

 

なのは・命『試獣召喚(サモン)!』

 

【物理】

 

Aクラス  八神なのは   VS   木下命

       596点        132点

 

明久「何!?あの点数」

 

明久君をはじめAクラスのメンバーの方々もなのはちゃんの点数に驚いてます。

もちろん私も驚いてます。

成績が良いのは知ってましたがここまで高いなんて驚きました。

 

なのは「じゃあ行くよ。

    たしか400点以上の点数を取ると特殊な攻撃ができるんだったよね」

 

そういうとなのはちゃんは早速、腕輪の能力を使っていました。

なのはちゃんの召喚獣の杖から命ちゃんの召喚獣に向けて砲撃を放ち

命ちゃんの召喚獣はその光に飲み込まれて消えてしまいました

 

高橋「勝者Aクラス」

 

なのは「私の勝ちだね。えっと木下さんだったよね?」

 

命「はい、あ、私の事は名前の命で呼んでください。

  私には姉と兄がいて苗字だとわからなくなっちゃうから」

 

なのは「なら私もなのはって呼んでね命ちゃん」

 

命「あっはい。なのはちゃん」

 

そこで軽くお話した後命ちゃんが私たちの所に帰ってきました。

 

命「ごめんなさい皆さん。負けてしまいました」

 

明久「仕方ないよ。あの点差だとね」

 

秀吉「そうじゃぞ。明久の言う通りじゃ」

 

楓「そうですよ。気にしちゃ駄目だよ命ちゃん」

 

ガラッ

 

すると兄さんが帰ってきたみたいです

 

 

 

 

 

~貴浩SIDE~

 

貴浩「ふぅー、ただいま。あ、試合終わったんだね。で結果は?」

 

命「すみません。負けてしまいました」

 

貴浩「……そうか。ドンマイドンマイ」

 

明久「そういえばFクラスの皆は?」

 

貴浩「・・・・・・さあ知らないな?」

 

逃げてる最中に鉄人に出会い押し付けてきたのだが黙っておく事にする

 

 

 

さてここまでで2戦終了して1勝1敗の戦績だ。

お互い後3勝した方が勝ちとなる

 



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Aクラス戦 3試合目

4/22 修正


高橋「次の方どうぞ」

 

佐藤「私が出ます」

 

雄二「Aクラスからは佐藤か……よし。頼んだぞ、明久」

 

明久「え!?僕!?」

 

次は明久か

 

雄二「大丈夫だ。俺はお前を信じている」

 

自信たっぷりに言う雄二。

おそらく雄二の事だ信じてないだろうな

 

貴浩「明久、お前なら大丈夫だ」

 

楓「そうですよ明久君。頑張ってくださいね」

 

命「明久君頑張ってね」

 

明久「ふぅ……やれやれ僕に本気を出せってこと?」

 

貴浩「ああ。今まで隠してきたんだ。お前の本気見せてやれ」

 

A「おい、アイツって実は凄い奴なのか?」

 

F「いや、ジョークだろ?」

 

まあ普通は疑われるよな。

 

明久「じゃあ、科目は日本史でお願いします」

 

高橋「はい、わかりました」

 

明久・佐藤『試獣召喚(サモン)!』

 

 

【日本史】

 

Aクラス  佐藤美穂   VS   吉井明久

      326点        137点

 

 

雄二「何!?どういうことだ!?

   あの明久が3桁の点数までいくなんて!?」

 

康太「・・・・・・・ビックリ」

 

島田「まさか吉井カンニングでもしたんじゃ・・・」

 

命「あの皆さん言い過ぎでは…」

 

雄二「だが、あの明久だぞ」

 

明久「雄二!それどういう意味!?」

 

貴浩「言いすぎだぞお前ら。

   そりゃあ明久だって勉強すれば成績も上がるさ」

 

まあ覚えさせるのにとてもとても苦労したが・・・・・・

 

雄二「あいつが勉強するなんて思えない」

 

貴浩「それはまあ…俺たちと一緒に勉強したからな。

   それに俺や楓達が教えたんだから成績が上がってなかったら

   OHANASIする必要があったけど……」

 

雄二「何?どういうことだ」

 

貴浩「ココ最近夜に俺の家で夕飯つきで一緒に勉強したんだよ。

   この試召戦争に勝つためにな」

 

楓「そうですね。ここ毎日は一緒に勉強しましたね」

 

命「私も時々一緒に勉強しました」

 

秀吉「ワシも一緒に勉強させてもらったのじゃ」

 

貴浩「だからアイツの点数が伸びたんだよ」

 

明久「そういうこと。貴浩や楓たちのおかげだよ。

   さてと…じゃあ佐藤さんだったかな?行くよ!」

 

明久はそう言うと佐藤さんの召喚獣に突っ込んでいく。

 

明久の武器は木刀、佐藤さんの武器は鎖つきの鉄球だ。

懐に潜り込めば明久の方に部がある。

相手もがそれがわかっているみたいで

明久を近づけさせないように武器をを振るうがあたらない

その隙に明久は自慢の召喚獣の操作で近づいていき少しずつ点数を減らしていく。

 

雄二「まあ今の明久はメタルスライムぐらいの回避率があるからな」

 

明久「そんなに弱くないよ」

 

とツッコんできた。

そんなことをしたせいで佐藤の攻撃があたってしまった。

ギリギリ木刀で防御したおかげで戦死はしなかったが点数が減ってしまった。

 

佐藤美穂  231点

吉井明久   78点

 

明久「クッ、しまったな」

 

佐藤は明久の召喚獣に向かって攻撃してくる。

明久はその攻撃をしゃがんだり横に飛んだり木刀でそらしながら近づいていく

 

明久「だけどまだまだ」

 

明久は引かずに木刀で攻撃を入れていく

 

佐藤「そこです」

 

佐藤は大きく鉄球を振りあげた

 

明久「今だッ!」

 

それを好機だと思い明久が近づいて攻撃する。

佐藤さんもやらせまいと鉄球を急いで振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・そして決着がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久の召喚獣の木刀が佐藤さんの召喚獣の胸を貫いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤の鉄球が明久の召喚獣を叩き潰していた

 

 

 

 

 

高橋「そこまで。両者0点につき引き分けとします」

 

明久と佐藤との試合は引き分けと言う形で幕を閉じた

 

明久「……い、痛い。マジで痛いんだけど……

   ごめん。貴浩に雄二、勝てなかったよ」

 

雄二「いや、気にするな。正直なところお前が負けると思っていたのに

   引き分けに持ち込んだのだからこちらの儲けだ」

 

貴浩「ドンマイ明久。次は頑張れよ」

 

明久「うん、そうするよ」

 

命「明久君お疲れ様です。惜しかったですね」

 

明久「ごめんね。勝てると思ったんだけどな」

 

命「いえ、今日の明久君はかっこよかったですよ」

 

秀吉「そうじゃぞ明久。まさかあそこまで点数が上がっておるとは驚きじゃぞ。

   ワシも明久を見習ってもう少し勉強を頑張るのじゃ」

 

島田「それはウチも思った」

 

康太「・・・・・・・・・凄かった」

 

明久「うん。貴浩と楓、命たちのおかげだよ」

 

楓「いえ、私は少しアドバイスをしてだけですよ」

 

命「そうですよ。私は何もしていないよ」

 

貴浩「これからも頑張らないとな」

 

明久「そうだね。負けて悔しかったしね」

 

 

 

 

 

3戦目が終了し、今の成績は1勝1敗1分だ

残り4戦ある。次の戦いが重要になるだろう

 



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Aクラス戦 4試合目

4/22 修正


いつのまにか鉄人に捕まっていたFクラスのメンバーが戻ってきていた。

そして鉄人も監視も兼ねて勝負の行方を見るらしい。

 

高橋「4人目の方どうぞ」

 

康太「・・・・・・・・・(スクッ)」

 

ムッツリーニが立ち上がる。

ムッツリーニは科目選択に保健体育を選ぶだろう。

保健体育だけでムッツリーニは総合科目の点数のうち80%を占めている。

その単発勝負ならAクラスにだって負けはしないだろう

 

工藤「じゃ、僕が行こうかな」

 

Aクラスからは工藤が出てきた。

そういえば工藤の成績ってどうなんだ?

Aクラスだから高いとは思うが・・・・・・

 

愛子「1年の終わりに転入してきた工藤愛子です。よろしくね」

 

俺と目が会うと手を振ってきたので俺も軽く手を振り返した。

 

高橋「教科は何にしますか?」

 

高橋先生が尋ねてくる

 

康太「・・・・・・保健体育」

 

ムッツリーニの唯一にして最強の武器が選択される

 

工藤「土屋君だっけ?随分と保健体育が得意みたいだね?」

 

工藤がムッツリーニに話し掛ける。

 

工藤「でも、僕だってかなり得意なんだよ?……キミとは違って『実技』で、ね♪」

 

康太「・・・・・・・・じ、実技・・・(ブシュー)」

 

貴浩・明久「「ムッツリーーーーニィ!!」」

 

俺と明久は鼻血をだして倒れたムッリーニに駆け寄る。

ってか、工藤ってこう言うキャラだったのか?

 

明久「な、なんてことをするんだ」

 

工藤「そっちのキミ、吉井君だっけ?

   勉強苦手そうだし、保健体育でよかったら僕が教えてあげようか?

   もちろん『実技』でね♪」

 

明久・康太「「・・・・・・・・・(プシュー)」」

 

明久とムッツリーニがかなりの量の鼻血を出して倒れた。

とか言う俺も明久達ほどではないが少しだけ鼻血を出してしまった。

 

ってムッツリーニの鼻血の量はさすがにやばくないか!

 

命「あ、明久君!?」

 

島田「吉井には永遠にそんな機会来ないから保健体育の勉強も要らないわよ!」

 

姫路「そうです!永遠に必要がありません!」

 

と明久の後ろの方から島田さんと姫路さんが反論してきた。

命は鼻血を出している明久に対してどうして良いのかわからず

周りをキョロキョロ見渡していた

 

明久「・・・・・・・・・・」

 

貴浩「…2人とも。明久が死ぬほど哀しそうな顔をしているんだが…」

 

愛子「じゃあ貴浩君が一緒に勉強する?もちろん、『実技』で、ね♪」

 

康太「・・・・・・・・・(プシュー)」

 

次は俺に矛先が向いた。

ムッツリーニは鼻血で再び倒れてしまった。

 

俺がどうするかってそんなの決まっている・・・・・・

 

貴浩「よろしくお願いします!」

 

勢い良く頭を下げお願いしましたよ。

だって俺も男だもの。しょうがない反応だよね

 

楓「・・・・・・兄さん」

 

後ろから呆れられた様な楓の声が聞こえた

 

貴浩「はっ!いや、違うんだ楓。男ならこんな申し出を断れなくてだな」

 

高橋「そろそろ召喚してください」

 

あれだけのハプニングにも関わらず、高橋先生は冷静だった。

 

工藤「はーい。試獣召喚(サモン)っと」

 

康太「・・・・・・試獣召喚(サモン)」

 

ボトボトボトボト・・・・・・。

 

比重の高い液体の落ちる音。ムッツリーニの鼻血だ。

それに気づいた雄二が顔色を変える。

 

雄二「マズイ! ムッツリーニの奴、

   今さっきの発言で軽い貧血を起こしかけてやがる」

 

明久「ええぇーっ!」

 

貴浩「なに!?ムッツリーニ無理するな!棄権するんだ!」

 

康太「・・・・・・大丈夫だ、俺は、まだやれる」

 

拳を握って宣言するムッツリーニ。しかし、力んだ分、鼻血の勢いが増した。

その様子を見て、工藤が笑う。

 

工藤「フフッ、もうフラフラみたいだね? ムッツリーニくん?」

 

康太「・・・・・・俺は、負けない!」

 

不敵な態度の愛子に負けじと、胸を張るムッツリーニ。

だが、その胸元は、すでに鮮血で染めあがっていた。

 

工藤「・・・もう降参したら?」

 

康太「・・・・・・断る!」

 

毅然とした口調。鼻血が無ければさぞかし凛々しく見えるだろうに。

・・・・・・鼻血がなければ。

 

そこで召喚獣の点数が表示された。

 

【保健体育】

 

Aクラス  工藤愛子  VS  土屋康太

      446点      572点

 

 

驚愕するAクラスの面々。確かに、あんな点数は普通目を疑うだろう。

でもまあムッツリーニだしな、仕方ない。この一言で済ませられる

・・・本当に大した奴だと思うよ。

 

工藤「こ、こんなことって・・・!?」

 

康太「・・・・・・工藤愛子。お前では、俺には勝てない」

 

愛子「くっ…!ボ、ボクにだってプライドがあるんだよ!負けられないんだから!!」

 

肩を震わせる工藤と、勝利宣言をするムッツリーニ。

本来なら、ムッツリーニが圧倒的に有利だ。

だが今のムッツリーニは軽い貧血を起こしているから話は変わってくる

 

貴浩「ムッツリーニ棄権するんだ!今は立っているだけでもキツいんだろ」

 

俺はムッツリーニの前に立ち棄権するよう説得する。

 

康太「・・・・・・・大丈夫だ」

 

工藤「・・・ムッツリーニ君」

 

工藤がムッツリーニに話かける。なんか嫌な予感がする・・・

そこで俺は工藤が何かする前に俺はムッツリーニの前に立った。

 

康太「・・・・・・貴様の言う言葉など、聞く気は──」

 

愛子「ボク、今ノーブラだよ」

 

すると、工藤さんは制服のネクタイを取りそれを胸ポケットに入れ

制服の一番上のボタンを開けた

 

ぶぱっ!

 

貴浩「し、しまった!」

 

鼻血を出したムッツリーニを見て驚愕した。

まずい!ムッツリーニの弱点をついてくるとは

 

愛子「あ、あはは!やっぱりムッツリーニ君ってば案外ウブなんだね!!

   悪いけど、この勝負勝たせてもらうよ!!」

 

康太「・・・貴様の、胸など…!!(ブシャアアアァッ)」

 

貴浩「ム、ムッツリーニ!?」

 

俺はすぐにムッツリーニと工藤の間に入り、

ムッツリーニが工藤を見ないようにした。

 

雄二「高橋女史!工藤を止めろ、あれは精神的な攻撃だ!ルール違反だろう!?」

 

高橋「え!?えーとその・・・どうするべきなんでしょう?」

 

さすがの高橋先生も困惑していてストッパーにはなれそうもないな

 

秀吉「しっかりするのじゃムッツリーニ!!」

 

愛子「ボタン開けちゃったりして。あ、もう一つ開けてみようかな♪」

 

康太「・・・っ!!(ドバシャアアアアッ)」

 

F男「「「「「ムッツリーニィィィ!!」」」」」

 

見えていないのに想像だけでこれか。

やばい、鼻血の擬音が人間から出る音じゃなくなってきた!?

これは勝敗どころじゃない、このままだとムッツリーニの命が!!

 

愛子「ごめんね。勝てば官軍って奴だから、

   恨まないでねムッツリーニ君!……あっ」

 

変なテンションから、急に工藤さんの声が素に戻る。

 

ん?なんだ?何かあったのか?

ムッツリーニから工藤のほうへ目を向けると、

工藤が胸ポケットから落ちたネクタイ(制服の一部)を拾おうとしていたところだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・あれ?待てよ?この状況、やばくない?

 

 

 

今の工藤の状態を思い出してみよう。

彼女は今ノーブラで、制服のボタンを2つ外している状態だ。

元々上着の前は開いており、首元が見えていることから

シャツも着ていないことが判断できる。

 

そして俺の状態は?

 

ムッツリーニを少し下がらせ工藤を直に見せないように

ムッツリーニと工藤さんの前に立っている

 

そこで彼女が、前かがみになったらどうなる?

気づいた俺だったがもう遅かった。

 

前かがみになりながらこちらを向いて『?』という顔をしている工藤。

 

そしてその胸元から僅かにのぞいた隙間から、

 

 

 

 

 

生のおっ○い

 

 

 

 

 

ブシュー!

 

 

今度は俺が鼻血を噴出し倒れた。

 

明久・雄二「「貴浩!?」」

 

今度はいきなり倒れた俺を心配して明久と雄二が近づいてくる。

 

明久「どうしたんだの貴浩。いきなり倒れて」

 

貴浩「・・・・・・あ、明久、雄二」

 

雄二「どうした?何が起きたんだ!?」

 

どうやら俺以外には見えなかったそうだ。

工藤も何が起きたかわからないと『?』を出していた

そこで優子が気が付いたみたいで

 

優子「あ、愛子!?その制服!」

 

工藤「え?」

 

そこで工藤も気づいたみたいで慌ててボタンを閉じた。

雄二もその行動でで気づいたみたいだ

 

雄二「まさか、お、お前…」

 

貴浩「……り、理想郷は実在したんだな…」

 

明久「理想郷?雄二、何の事かわかる?」

 

明久は気づいてないみたいだ

 

雄二「・・・まあな……工藤は今さっきネクタイを拾おうとしたよな。

   で工藤はノーブラと言ってたよな」

 

明久「そうだね」

 

雄二「その時工藤は前かがみになったよな。その時の工藤の制服はどうなっていた?

   でその時、貴浩はどこにいた?」

 

明久「えっと、工藤さんはボタンを2つ外してて貴浩は……ま、まさか」

 

雄二「そのまさかだ。コイツは工藤の胸を生で見てしまったんだよ」

 

雄二がそう言うと工藤さんの顔が茹で上がったみたいに真っ赤になった。

明久も同じように顔が赤くなった。

 

・・・・・・そして問題が起きた。

その話をしていたのがムッツリーニの近くで話していたことだ。

そんな話を聞いていたムッツリーニは普通の人より想像力がある男だ。

どうなるかなんて簡単だ。

 

 

ぶぱっ

 

 

鼻血を噴出した。

 

「「「「「ムッツリーニぃいいいいいい!!?」」」」」

 

鼻血を噴出したムッリーニはまだ意識があるようだ。

だが、もう立ってはいられない様だ。

俺は鼻血を拭き明久の肩を借りて立ち上がり明久と雄二を見て目線で会話した。

おそらく俺の意図がわかったように雄二はムッツリーニを抱え

 

雄二「高橋先生。4戦目は棄権します」

 

と宣言した。

もうムッツリーニも限界に見えるからだ。

これ以上は本当に命が危ないと雄二と明久と共に判断したからだ。

ムッツリーニはまだやれると言わんばかりにこちらを見ていたが

無理やり雄二に担がれて下がらせた。

 

高橋「わ、わかりました。勝者Aクラス」

 

俺もすぐムッツリーニのところに駆け寄り手伝いをした。

ムッツリーニが輸血パックを大量に持っていたので大事には至らなかった。

何故そんなものを持っているのかは気にしないでおくが・・・・・・

ムッツリーニは今は奥のほうで眠っている。

命には問題ないようだ。

 

 

F「坂本!頼む、奴の敵を討ってくれ!」

 

F「俺の購入予定の写真の敵も!」

 

F「俺なんて抱き枕買ってたんだぞ!?それをAクラスの連中・・・許せねぇ!!」

 

「「「「俺達が消えちまった奴等にできるのは、

    Aクラスの設備を手に入れることだけだ!!」」」」

 

うわぁ・・・こいつら最低だな。Fクラスではムッリーニは死んだ扱いになってるな。

ちゃんとムッツリーニは生きてるし少しは心配しろよ。

ムッツリーニが不憫に思えた

 

 

工藤「…な、なんかボクが悪いみたいになってるけど

   …ボクだって、そ、その…貴浩君に見られたんだから(ボソッ)」

 

そして工藤がうつむいて顔を赤らめながらそんなことを呟いているのが聞こえた。

それを優子やなのはが励ましているようだ。

 

やばい、可愛いな。

 

さっきの生チチの威力も凄かったがこれもかなりの破壊力だ。

 

ひとまずデジカメで写真とっておこう

そして俺はカメラを取り出し工藤さんの顔を撮ったのだった。

 

 

 

ってか、俺事故とはいえ生チチを見たんだし謝らないといけないな

 

・・・というか謝るタイミング逃しちゃったしな。

 

後で謝るとしよう・・・・・・うんそうしよう。

 

 

そうして4戦目はこちらの棄権によりAクラスの勝利になった



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Aクラス戦 5試合目

4/22 修正


高橋「これでAクラスの2勝1敗1分ですね。次の方どうぞ」

 

高橋先生はまた先ほどのアクシデントを気にせず淡々と作業を進める

 

先ほどのアレを気にしないのか。

生徒1人が死ぬ寸前までいったのだが……違う意味で凄いな

 

姫路「あ、は、はいっ。私ですっ」

 

こちらからは当然姫路が出る。

Fクラスにいながら、Aクラスとまともに戦える人材だ。

それにもうこちらは崖っぷちなので負けるわけにはいかない。

 

?「それなら僕が相手をしよう」

 

Aクラスから歩み出たのは久保利光だった。

 

雄二「やはりきたか、学年次席」

 

そう。彼は姫路に次ぐ学年3位の実力の持ち主で、

振り分け試験を姫路がリタイアした今、彼は俺たちの学年で次席の座にいる。

 

雄二「ここが一番の問題どころだな。

   ここで負けると俺たちの勝利はなくなる」

 

確か久保の実力は姫路さんとほぼ互角だったはず・・・

総合科目の点差だと確か・・・・・・20点程度しか差が無かった気がする。

 

姫路の体調次第では負ける可能性があるな

 

高橋「科目はどうしますか?」

 

久保「総合科目でお願いします」

 

高橋「それでは始めてください」

 

久保・姫路「「試獣召喚(サモン)!」」

 

それぞれの召喚獣が呼び出されて・・・・・・一瞬で決着がついた。

 

 

【総合科目】

 

Aクラス  久保利光   VS   姫路瑞希

      3997点       4409点

 

 

A「マ、マジか!?」

 

A「いつの間にこんな実力を!?」

 

A「この点数、霧島翔子に匹敵するぞ・・・!」

 

F「姫路さん最高!!」

 

F「凄ぇ!学年次席を瞬殺かよ」

 

F「姫路さん好きだーーーー」

 

至るところから驚きの声が上がる。

姫路の成績が良いのは知っていたが、400点も差をつけるなんて・・・

最後何か別のアレがあった気がするが気にしないことにする。

 

久保「ぐっ・・・!姫路さん、どうやってそんなに強くなったんだ?」

 

久保が悔しそうに姫路に尋ねる。

つい最近まで拮抗していた実力がいつの間にかここまで離されたんだ。

気になるのも当然だろう

 

姫路「・・・私Fクラスの皆の事が好きです人の為に一生懸命な皆がいる、Fクラスが」

 

久保「Fクラスが好き?」

 

姫路「はい。だから、頑張れるんです」

 

姫路が嬉しそうに答える。

 

高橋「これで2勝2敗1分です」

 

高橋先生の表情にも若干の変化が見られた。これは珍しい。

よほど姫路さんの急成長に驚いたのだろう。

あるいは、FクラスがAクラス相手と渡り合ってる事に戸惑いも感じているのだろう。

 

残りは2戦を残すのみとなった。

さて、なら俺も少し本気を出すとするかな…楓と命のために…



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Aクラス戦 6戦目

4/22 修正


高橋「次の方どうぞ」

 

不知火「次は俺が行くぞ」

 

Aクラスからは不知火刀麻(しらぬいとうま)が出てくる。

この不知火刀麻もAクラスの成績トップ10に入る実力がある。

 

雄二「クッ!次は誰を出すか……」

 

雄二は悩んでいるようだった。

雄二の当初の計画では、楓・ムッツリーニ・姫路・雄二の4人で勝つつもりだったらしい。

だがムッツリーニが棄権した事で決め手に欠けている。

というのも俺の実力を隠している状態なので雄二が俺の本当の点数を知らないからだ。

 

科目の選択はFクラス側にはあるが……

島田は数学はBクラス並だが他の教科はFクラス並、

須川や近藤などのFクラスメンバーはやはりFクラス並だ。

 

雄二「……仕方がない……島田頼めるか」

 

島田「えっ?ウチが!?ウチの数学でもAクラスの上位の人には勝てないわよ」

 

そうだ島田の数学は良くて200点前半なのだ。

Aクラスのしかもトップ10相手だと不安である

 

雄二「すまない。きつい事をいうが勝ってきてくれ」

 

島田「吉井ぐらいの操作性があれば別だけどウチじゃ勝てないわよ」

 

雄二「そこを何とか頼む」

 

雄二もそれを承知で言ってきていることが顔を見ればわかる。

するとそこで明久と目が合うと俺は明久に向かって頷いた

 

貴浩「Fクラスからは俺が出る」

 

と雄二の意見を聞かず勝手に出て行った。

 

雄二「ちょっと待て貴浩。勝手に──」

 

明久「大丈夫だよ雄二。貴浩なら絶対勝てるよ」

 

と俺を止めようとした雄二を明久が止める

 

雄二「何故そう言いきれる。アイツの成績は良くてCクラス並なんだぞ!」

 

雄二がそういうのも当たり前だろう。

俺は実力を隠していたのだからな。

 

明久「大丈夫。貴浩を信じてよ」

 

明久が自信満々に答えた

 

不知火「吉井だっけか?コイツが俺に絶対勝てるって何を根拠に言っているだ?」

 

明久「まあ、それは戦う時のお楽しみにね。そうでしょ貴浩」

 

明久がこちらを見て言った

 

貴浩「ああ、そうだな」

 

明久「絶対勝てよ!」

 

楓「兄さん頑張ってね」

 

明久と楓の声援を受け、不知火の前まで来る。

 

貴浩「高橋先生。科目は数学でお願いします」

 

高橋「数学ですね。わかりました」

 

貴浩「えっーと、不知火だっけ?よろしく」

 

不知火「ああ、よろしくな。キミがどこまでやるか楽しみだ」

 

貴浩・不知火「「試獣召喚(サモン)!」」

 

 

【数学】

 

 Aクラス         Fクラス

   不知火刀麻  VS    織村貴浩

    326点        639点

 

 

A「何あの点数!?」

 

A「なんでFクラスにアレだけの点数持っている奴がいるんだよ」

 

優子「え?貴浩君って。あんなに成績良かったの?」

 

なのは「いや、私もはじめて知ったよ」

 

工藤「ビックリだよ」

 

F「アイツって凄かったんだ」

 

秀吉「なんじゃ!?あの点数は!?」

 

姫路「す、凄いですね」

 

島田「ウチの倍以上あるわね」

 

康太「・・・・・・・・・驚いた」

 

命「貴浩君って凄かったんだね」

 

雄二「まさか、貴浩がここまで成績が良いとは

   ……明久と楓はこのことを知っていたのか?」

 

明久「僕もこの前までは知らなかったよ」

 

楓「私は知っていましたよ。

  兄さんは元々私と同じくらいの成績を持ってましたから。

  兄さんは黙っていた方が面白そうだからっと言って隠してましたけど」

 

Aクラス・Fクラスの両方から驚きの声が聞こえる

 

不知火「織村だっけか?お前凄いんだな」

 

貴浩「貴浩で良い。妹がいるからわかりにくいからな。

   成績に関してはこんなに良いのは数学ぐらいだと思うぞ」

 

不知火「思うってなんだよ。他にもあるってことか。あと俺も刀麻で良いよ」

 

貴浩「わかった刀麻。成績については秘密って方向で」

 

刀麻「わかった。でも簡単には勝たせないぜ」

 

そういうと刀麻の召喚獣が向かってきた。

刀麻の召喚獣は袴に刀という装備をしていた。

 

そしてお互いの召喚獣がぶつかる。

 

貴浩「行くぞ!」

 

俺はそう言うと

 

貴浩「まずは足払い!」

 

刀麻の召喚獣の召喚獣の足をはらい体勢を崩したところを斬りかかる。

 

刀麻「なんの!」

 

刀麻の召喚獣は無理やり体を捻り攻撃の直撃を防いだ。

 

貴浩「まだだ」

 

刀麻の召喚獣は体勢を崩した状態で体を捻り

俺の攻撃を避けたので床に倒れた状態になっている。

俺はすかさず蹴りを入れ、刀麻の召喚獣を遠くに蹴り飛ばした。

 

刀麻「グッ」

 

刀麻の召喚獣の召喚獣は蹴られた反動で体勢を立て直し、

俺の召喚獣に向かって斬りつけていた。

俺はすれすれで攻撃をかわして腕輪の能力を発動した。

 

貴浩「『グラビトン!』」

 

俺がそう言うと刀麻の召喚獣は何かに押しつぶされるかのように

物凄い勢いで地面に倒れこんだ。

刀麻の召喚獣はその威力分点数が減った。

 

刀麻「な!?」

 

いきなり自分の召喚獣が何かに押しつぶされたように倒れたので

刀麻は驚いているようだ

 

貴浩「教えてやるよ。俺の腕輪の能力は【重力制御】だ」

 

刀麻「重力だと?」

 

貴浩「そう、重力」

 

俺が話していると刀麻の召喚獣が何とか立ち上がり

ゆっくりとだがこちらに向かってきた

 

刀麻「少し召喚獣に負荷がかかっているだけだろ。それぐらいなら何とかなるさ」

 

そこで、スピードを上げてこちらに武器を構え突っ込んできた。

 

俺はそれを横に移動して再び腕輪を使用した。

 

貴浩「『グラビトン』」

 

すると刀麻の召喚獣は止まる事ができずそのまま通り過ぎて行った。

 

刀麻「今度は何をしたんだ?」

 

貴浩「簡単だ。さっきは重力を加えたが今回はその逆、弱めたんだよ」

 

刀麻「そ、そんなこともできるのかよ」

 

雄二「ってか、なんで貴浩はあそこまで腕輪の能力を知っているんだ。

   あの腕輪の力は結構集中力を使うと思うんだが……」

 

すると雄二の疑問が聞こえたのでそれに答える

 

貴浩「それは、学園長の実験や先生達の手伝いの時に使っていたからな。

   その時に操作になれたんだよ。これも特別処遇者の利点の1つだよ」

 

俺は去年から主に学園長の実験を手伝ってきた(強制的)からここまで操作ができる。

 

貴浩「じゃあ終わらせるか」

 

刀麻「な、なんだと」

 

貴浩「行くぞ!!!『殺劇舞荒剣(サツゲキブコウケン)』」

 

刀麻「グッ!」

 

貴浩「おりゃりゃりゃりゃりゃ、おりゃぁ!!」

 

俺は剣や格闘による連続攻撃の後、敵を気で大きく吹き飛ばす

そこで刀麻の召喚獣の点数が0になり消滅した。

 

 

【数学】

 

Aクラス  不知火刀麻  VS  織村貴浩

         0点      514点

 

 

 

貴浩「俺の勝ちだな」

 

高橋「勝者Fクラス」

 

刀麻「はあ。ここまで一方的に負けるとは思わなかった。次やる時は勝たせてもらう」

 

貴浩「そのときはお手柔らかに」

 

俺と刀麻は互いに握手した

 

貴浩「そうだ。戦争終わったら携帯の番号教えてくれ。これから連絡するからさ」

 

刀麻「そうだな。貴浩のも教えてくれよな」

 

貴浩「もちろんさ」

 

そして俺は皆の所に戻った

 

明久「勝ったね」

 

貴浩「ああ、約束通り勝ったぞ」

 

そこで明久とハイタッチをした

 

雄二「まさか、あそこまで点数が高いとは思わなかったぞ」

 

秀吉「本当じゃ。驚いたぞい」

 

康太「・・・・・・・驚いた」

 

貴浩「まあな///」

 

皆の所に戻ると何度も驚きの声や褒められたりしたので少し照れくさかった



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Aクラス戦 最終戦

4/22 修正


高橋「最後の1人どうぞ」

 

霧島「・・・・・・はい」

 

Aクラスからはやはり代表の霧島が出てきた。

そして、俺たちのクラスからは当然──

 

雄二「俺の出番だな」

 

坂本雄二。コイツしかいないな。

 

高橋「教科はどうしますか」

 

雄二「教科は日本史、内容は小学生レベルで方式は百点満点の上限ありだ」

 

 

ざわ ざわ

 

 

雄二の宣言で先ほどまで静かだったAクラスにざわめきが起きる。

 

A「上限ありだって?」

 

A「しかも小学生レベル。満点確実じゃないか」

 

A「注意力と集中力の勝負になるぞ」

 

高橋「わかりました。そうなると問題を用意しなくてはいけませんね。

   少し待っていてください」

 

高橋先生はノートパソコンを閉じ、教室を出て行った。

そんな先生を見送りつつ俺たちは雄二に近づく

 

明久「雄二、あとは任せたよ」

 

明久と雄二が手を握る。

 

雄二「ああ。任された」

 

康太「・・・・・・後は任せる」

 

ムッツリーニが歩み寄り、親指を立てる。

 

秀吉「ここが正念場じゃ。頑張るのじゃよ」

 

島田「ここまで来たんだから頑張りなさいよ」

 

楓「頑張ってくださいね坂本君」

 

命「坂本君頑張ってね」

 

雄二「お前らには随分助けられた。感謝している」

 

雄二は皆から応援されそれに答える。

 

姫路「坂本君、あのことは、教えてくれてありがとうございました」

 

雄二「ああ。明久の事か。気にするな。後は頑張れよ」

 

うん?雄二と姫路が明久の事で何か言ってるな。

まあ別にいいか。今はそんなことよりこっちの試合のほうが大切だ。

 

貴浩「最後の最後でしくじるなよ雄二」

 

雄二「ああ。わかっている。もう少ししたらシステムデスクだ」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

高橋「では、最後の勝負、日本史を行います」

 

高橋先生がそう言うと雄二と霧島さんは教室を出て試験会場であるの視聴覚室に行った。

あと俺たちにできることは『あの問題』が出てくれることを祈るだけだ。

試験の様子はAクラスにある巨大モニターで見ることができる。

 

いよいよ試験が始まりそうだ。

 

楓「兄さんいよいよだね」

 

貴浩「そうだな」

 

命「これで、あの問題が出なかったら坂本君は・・・」

 

明久「負けるだろうね」

 

秀吉「もし出たならば」

 

明久「うん」

 

もし出たなら勝てるはずだ。

そして試験が開始された。

誰もが固唾を飲んで見守る中、ディスプレイに問題が表示される。

さて問題が出ているか・・・

 

 

《次の( )に正しい年号を記入しなさい》

 

 (  )年 平城京に遷都

 (  )年 平安京に遷都

 

 

流石に小学生レベルだ。今の明久でもこれぐらいは解ける。

 

 

 (  )年鎌倉幕府設立

 (  )年大化の改新

 

 

 

「「「あ・・・・・!」」」

 

出た

 

命「あ、明久君っ」

 

明久「うん」

 

秀吉「これで、ワシらは・・・・・・」

 

貴浩「ああ。これで俺たちの卓袱台が」

 

F『システムデスクに!』

 

揃ったFクラス皆の言葉

 

明久「最下層に位置した僕らの、歴史的な勝利だ!」

 

「「「うぉおおおお!」」」

 

教室を揺るがすようなFクラスの歓喜の声が上がる。

Aクラスの皆はそれが何かわからず戸惑っているみたいだ。

試験の結果は雄二と霧島が教室に帰ってきた時に開示されるらしい。

俺たちFクラスの皆は雄二の帰りを待ちわびた。

 

 

 

 

 

しばらくして雄二と霧島が戻ってくる。

2人が戻ってきた事で得点が表示された

 

 

<日本史勝負 限定テスト 100点満点>

 

 Aクラス  霧島翔子   97点

 

        VS

 

 Fクラス  坂本雄二   53点

 

 

 

俺たちFクラスとAクラスの戦争は〔 3勝3敗1分 〕という形になった。

 

そして雄二の元に流れ込む俺たち。

 

雄二「・・・・・・殺せ」

 

明久「良い覚悟だ、殺してやる!歯を食いしばれ」

 

姫路「吉井君、落ち着いてください!」

 

姫路が明久を食い止める

 

貴浩「覚悟はできたか?苦しむのは一瞬ですむ」

 

俺は雄二の元に行く前にムッツリーニからスタンガンを借りて手に持っている。

 

明久「だいたい、53点ってなんだよ!0点なら名前の書き忘れとかも

   考えられるのに、この点数だと・・・」

 

雄二「いかにも俺の全力だ」

 

明久「この阿呆がぁーっ!」

 

貴浩「そうだ!今の明久でもこのレベルなら100点は取れるぞ」

 

命「明久君も貴浩君も落ち着いてよ」

 

明久「くっ!なぜ止めるんだ命!この馬鹿には喉笛を引き裂くという体罰が必要なのに!」

 

楓「それって体罰じゃなくて処刑だと思いますが・・・」

 

楓と命が身体を張って俺たちを止める。

 

チッ……楓と命に救われたな雄二

 

高橋「7対7の対戦結果は、3勝3敗1引き分けとなりました。」

 

クールヴォイスの高橋教諭の声が響いた。

 

高橋「この後どうするのか、双方の代表者で話し合い、決めてください」

 



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Aクラス戦 戦後交渉①

4/22 修正


高橋「7対7の対戦結果は、3勝3敗1引き分けとなりました」

 

クールヴォイスの高橋女史の声が教室内に響いた。

 

高橋「この後どうするのか、双方の代表者で話し合い、決めてください」

 

雄二「とにかく行こう。みんな来てくれないか?」

 

雄二は、主だったメンバーを伴って、中央へ向かった。

 

雄二「待たせたか?」

 

優子「大して待ってないわよ。で?どうするの?続ける?それとも降伏する?」

 

開口一番に挑発してきたのは秀吉と命の姉である優子だった。

 

雄二「やれやれ、攻撃的だなAクラスは」

 

雄二はあきれたように肩をすくめる。そして射るように優子をにらむ。

 

雄二「降伏はしない」

 

優子「じゃあ、続行ね」

 

優子も強気に出る。

 

雄二「それは……」

 

貴浩「Fクラスは、Aクラスに和平交渉を申し込む」

 

雄二「おい、貴浩!」

 

言葉を遮られた雄二が俺をにらむ。しかし、俺はそれを無視して続ける。

 

貴浩「この提案は、双方にとって意味があると思うんだけどな」

 

優子「はあ?そんなものないわよ。こっちが譲歩する必要なんて……」

 

貴浩「本当にそれで良いのか?よく考えた方が良いと思うんだけどな?」

 

俺の言葉にいらつく優子。

 

霧島「・・・・・・少しいい?」

 

そこで霧島が尋ねてきた。

 

霧島「……なぜ、和平交渉を?」

 

貴浩「この状況での戦争続行は、お互いにデメリットしかないからな」

 

優子「デメリット?私達に何のデメリットがあるというの?」

 

貴浩「現状で戦争を続行した場合、正直どちらが勝ってもおかしくないだろう」

 

その内容に優子が噛みついた。

 

優子「何言ってるの?私達Aクラスが勝つに決まってるでしょ?」

 

なにをバカなと鼻で笑う。

優子の言葉に他のAクラスの生徒も同意する。

 

貴浩「よく分かっていないようだから詳しく説明するぞ」

 

しかし俺は動じることもなく続けた。これに優子は腹を立てる。

 

優子「なっ?!貴浩君私をバカにしるの!?」

 

霧島「・・・・・・優子落ち着いて」

 

霧島に注意され優子は黙った。

 

貴浩「高橋先生。確認したい事があるんですがよろしいですか?」

 

俺は高橋先生の方に振り向き質問する。

 

高橋「はい、何でしょうか?」

 

貴浩「先ほど私達は7試合したと思うんですが、

   その内の1戦で土屋康太が棄権しましたが

   それは敗北して0点扱いになったという事でしょうか?

   それでもしこのままAクラスと戦争を続けるとなると補習室送りになるんですか?」

 

高橋「……いえ、あの場合は違いますね。

   あの時は色々ありましたし、戦う前に棄権の宣言がありましたので、

   土屋君が補習室に行く事は無いでしょう。

   補習室に行くのは原則召喚獣の点数が0点になった人が行くものなので」

 

貴浩「わかりました。高橋先生ありがとうございます。

   まず、木下優子、佐藤美穂、久保利光、不知火刀麻、木下命、吉井明久」

 

俺は先ほどの勝負に出場したAクラス、Fクラスの一部の人間の名前を挙げた。

 

優子「・・・・・・私達が何?」

 

落ち着いた声で優子が聞いた。

俺は、特に感慨もなく答える。

 

貴浩「今挙げた6人は戦死者だ。つまり、戦争が終わるまで補習室行きだな」

 

優子「あっ…」

 

優子は声が出ない。

 

貴浩「加えて、八神なのは腕輪を使って一部点数を消費している」

 

優子「楓だって・・・」

 

優子は突破口を開こうと口を開ける。

 

貴浩「確かに楓は優子との勝負で点数を減らしているが、

   楓は回復試験を受ければ点数を回復できる」

 

優子「それなら八神さんだって同じことじゃない」

 

貴浩「確かにそうだが…先ほど本人が言ってたが今日転入した来たから

   基本的なことしか戦争についてわかっていない」

 

言われて、何かに気づいたように口を開く優子。

 

貴浩「なのはは腕輪を使うこともできるが初歩的な動きしかまだできない。

   それに引き換え楓は今までDクラス、Bクラスとの戦争で

   操作技術が普通の奴より上がっている状態だ。   

   そして俺たちFクラスは姫路は一瞬で決着をつけたし、

   ムッツリーニは先ほど高橋先生が言ったように戦死扱いじゃないから無傷。

   俺だって数学は少し減ったが他の教科は減っていない。

   つまりFクラスの腕輪持ちが4人いる状態だ。

   さてAクラスには代表である霧島となのは以外に何人腕輪持ちがいるかな?」

 

優子が何か言おうと口を開けるが

 

優子「ぐぅ……」

 

何も言えなくなる。

 

貴浩「そして、一番致命的なのはAクラス代表の霧島だ」

 

優子「代表が? なんで……」

 

いまいち掴めず聞き直すが、そこで優子が聞き返してきた

今の俺の発言の優子だけではなく他のAクラスの面々も首をかしげる。

 

貴浩「優子、霧島の日本史の点数は何点だ?」

 

優子「えっ?……さあ、暗記ものは得意だって聞いたから400点くらいは…」

 

軽く思案して答える優子。

 

霧島「・・・・・・優子」

 

優子「代表?」

 

ここで霧島さんが口を挟んだ。

 

霧島「・・・・・・今の私の日本史の点数はそんなにない」

 

優子「だ、代表?何を言って・・・」

 

優子は意味が分からないようで、首を傾げる。

見かねた俺がヒントを出す。

 

貴浩「優子、代表が受けた最新の日本史のテストはいつだ?」

 

優子「振り分け試験の時でしょ?」

 

貴浩「いや、さっき受けていただろう?」

 

優子「・・・あ」

 

優子の顔が青くなる。

 

霧島「・・・・・・今の私の日本史の点数は97点。

   総合科目も約300点ほど下がってる。たぶん今の姫路とあまり差はない」

 

霧島が淡々と述べる。

 

貴浩「加えてAクラス戦開始した時から今この場に砂原と椎名がいないよな?

   何か理由があって休んでいるんだろ」

 

優子は何かに気づいたように口を開く

 

貴浩「去年の段階で成績上位10人の内、Fクラスに楓と姫路が2名いるから、

   残り8人は当然Aクラスにいるわけだけだ。

   もしここで戦争を続行するのならその8人の内、

   優子を含め4人が補習室送りになるし砂原と椎名が欠席でいなくて、

   なのははまだ召喚獣の操作には慣れていない。

   代表の霧島は先ほど言ったけど点数が減っている。

   上位成績の中で無傷なのは工藤ただ1人だけだ」

 

俺がそう言うと優子は黙り込む。

優子だけではなくAクラス全員が黙り込んだ。

 

貴浩「わかったか?今なら俺たちにも他のクラスにも勝機がある」

 

優子「でも、私たちは駄目でもまだAクラスにはたくさんメンバーがいるわ。

   Fクラスには負けないわよ」

 

貴浩「そうだな…普通なら勝てないだろうね。

   でもなウチのクラスの奴らが相打ち覚悟で挑んだらどうなるかな?」

 

優子「……どういうことよ」

 

貴浩「俺達Fクラスの面々は相打ち覚悟でAクラスに勝負を挑む事ができる」

 

Fクラスの皆には相打ちできたら楓のクッキーをあげるみたいな事を言えば

喜んでやってくれるだろうしな。

 

貴浩「それに俺の数学やムッリーニの保健体育は

   Aクラス相手でもそう簡単には負けやしない。

   島田の数学だってAクラス相手だとかなわないだろうが点数は減らせることはできる。

   それに、無傷の姫路がいるからな。そして雄二が考える策がある。

   その策のおかげで俺たちは上位クラスの

   B・Dクラスに勝つことができたんだからな。

   だから、戦ったらこちらが勝つ可能性だって充分にあるんだよ」

 

明久「ねえ貴浩。勝てる可能性があるなら戦えばいいんじゃないの」

 

雄二「それは無理だ明久」

 

明久「なんで?」

 

貴浩「理由は簡単だ。もしAクラスに勝ったとしても、

   その直後に他のクラスから戦争を挑まれると、

   いくら腕腕輪持ちがいてもこちらも疲労があって負けるだろうからな。

   Eクラス相手でも負けるだろう。それはAクラスにとっても同じ事だ」

 

優子「私たちがEクラス相手に負けるわけが無いじゃない!」

 

貴浩「確かにAクラスならEクラス相手なら疲労してても勝てるかもしれないが…

   他のクラスには別だろう?」

 

優子「他のクラス?」

 

貴浩「そうだ。俺たちFクラスはB・Dクラスと戦って勝利したけど

   和平交渉にて終結という形になっているから、

   Aクラスに負けたCクラス以外のクラスが戦争を申し込む事ができる」

 

優子「だ、だけど」

 

工藤「優子!」

 

工藤の大きな声に圧倒され、優子は黙った。

 

工藤「そう言って、僕たちはFクラスにここまで追い込まれたんだよ?」

 

霧島「・・・・・・愛子の言う通り」

 

霧島と工藤がうなだれるそれを見た俺のの目が光る。

そして俺は先ほどムッツリーニから借りたスタンガンをこっそり左手で持つ。

 

貴浩「このまま和平交渉になればB・Dクラスは

   Fクラスが睨みをきかせることができるからおいおいと戦争はできないだろう。 

   ただまあ、こちらからケンカふっかけておいて、

   戦争止めましょうじゃお互い納得いかないよな?」

 

そこで今までの雰囲気を壊すかのように俺が話し出す。

 

貴浩「そこで俺から3つ程提案なんだが・・・」

 

俺はヘラヘラ笑いながらそんなことを言い出した



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Aクラス戦 戦後交渉②

4/22 修正


貴浩「そこで俺から3つ程提案なんだけど・・・」

 

俺はヘラヘラ笑いながらそんなことを言い出す。

それには雄二も怪しい気配を感じたみたいで、しかめっ面で俺に訊ねる。

 

雄二「なんだ?貴浩、何を──」

 

俺は近づいてきた雄二に対して先ほど用意したスタンガンを喰らわせた。

 

ビリッ!

 

すると雄二は感電し気絶した。

 

霧島「・・・・・・提案って何?」

 

貴浩「1つ目は霧島が戦争前に言っていた事を聞く。

   確か『何でも1つ言う事を聞く』だったよな?」

 

明久「そ、そんな事勝手に決めたら駄目だよ貴浩。

   ちゃんと姫路さんや楓にも聞かないと・・・」

 

貴浩「大丈夫だ。おそらく2人には何の被害は出ない」

 

明久「そ、そうなの?」

 

貴浩「ああ、まあ俺の話を聞いとけよ」

 

霧島「・・・・・・・いいの?」

 

貴浩「ああ、全然かまわない。

   そして2つ目は俺たちFクラスは1ヶ月間はどのクラスにも戦争を持ち掛けない。

   またAクラスに至っては3ヶ月は持ち掛けない事にする」

 

優子「・・・・・・それで3つ目は?」

 

貴浩「3つ目は、毎回とは言わないがFクラスのメンバーを

   Aクラスの人たちと一緒に勉強させて欲しい。

   また、勉強をFクラスに教えに来て欲しい。っていうのがある」

 

優子「何それ?どういうこと?」

 

貴浩「ぶっちゃけ俺が戦争を始めた最大の理由は

   楓と命、姫路の3人の体調を思ってのことだ。

   それにFクラスの奴らが成績向上することは学園としても良い事だろ。

   だからAクラスに行って一緒に勉強させてもらうか、

   Aクラスから数名Fクラスに来てもらい勉強を教えて欲しいって事」

 

優子「それだと私たちにはメリットが無いと思うのだけど。

   それにFクラスの人達がきたら授業が妨害されると思うのだけど」

 

貴浩「ちゃんとAクラスにもメリットはあると思うぞ。

   まずFクラスのメンバーがAクラスの授業を妨害したら、

   今後許可なしにはAクラスへの入室を許可しないようにすればいい。

   Aクラスの人達がFクラスの奴等に勉強を教えるのは大変だろうけど、

   勉強は人に教えた方がより理解できるから

   Aクラスの人達の成績向上にも繋がるからな。

   それに個人的だが、優子は自分の目で秀吉や命の監視ができると思うけど

   Aクラスの人達はどうかな?」

 

俺が良い終わると周りが静まった

 

 

そして

 

 

霧島「・・・・・・私は織村の提案を受け入れてもいいと思う」

 

優子「だ、代表!?」

 

霧島「・・・・・・・・もしこのままFクラスと戦って勝っても

   他のクラスとの連戦になっていずれは負けてしまう可能性がある。

   それに始業式から1ヶ月も経たない内に

   私達Aクラスが負けたとならばAクラスの威厳を失ってしまうから、

   織村の案に乗った方がいいと思う」

 

工藤「僕も代表の意見に賛成かな」

 

霧島「・・・・・・優子」

 

優子「……代表、アタシたちは代表の決めたことなら従いますよ?

   アタシたちは代表のことを、霧島翔子を信じてますから。ねえ!?みんな!」

 

優子の声に、次々賛同の声をあげるAクラス生徒。

 

霧島「・・・・・・ありがとう、みんな」

 

霧島はお礼を言って、小さく微笑んだ。

 

Aクラスが話し合っている間に雄二が目を覚ます。

そこで俺は今まであった事を話した。

 

そして俺は頃合いを見て、口を挟んだ。

 

貴浩「交渉成立で良いか?」

 

霧島「・・・・・・それでかまわない」

 

貴浩「じゃあ、霧島1つ目の提案をどうぞ」

 

俺がそう言うと霧島が頷いた。

するとムッツリーニがカメラを取り出していた

 

霧島「・・・・・・それじゃあ・・・雄二、私と付き合って」

 

皆がいる場で霧島は雄二に告白した。

 

雄二「……やっぱりな。お前、まだあきらめてなかったのか」

 

霧島「・・・・・・私は諦めない。ずっと、雄二のことが好き」

 

俺は楓から何となくはそういう風な感じだと聞いていたので

大きくは驚かなかったが、やはり多少は驚いてはいる

 

雄二「その話は何度も断っただろ?他の男と付き合う気は無いのか?」

 

霧島「・・・・・・私には雄二しかいない。他の人なんて興味ない」

 

雄二「・・・拒否権は?」

 

霧島「・・・・・・ない。約束だから」

 

工藤「代表よかったね」

 

優子「おめでとう代表」

 

楓「翔子ちゃんおめでとう」

 

命「翔子ちゃん良かったね」

 

工藤や優子、楓や命が霧島に近づいてきた

 

霧島「・・・・・・ありがとう///」

 

霧島は少し照れくさそうだった。

 

貴浩「霧島おめでとう。雄二と仲良くな、2人の仲を応援するぞ。

   それに、俺でよかったら相談でもアドバイスもしてあげる。

   ・・・まあ俺にはそんな経験無いけどね」

 

霧島「・・・・・・織村もありがとう」

 

貴浩「あと霧島。俺のことは名前でいいよ。

   じゃあ3つ目の提案は来週からの実行でいいかな?」

 

霧島「・・・・・・わかった。それで良いと思う」

 

貴浩「了解。何かあったら俺に連してくれるかな。

   俺の電話番号は雄二が知ってるから」

 

霧島「・・・・・・わかった」

 

すると教室の隅に居た鉄人がこちらにやってくる。

 

西村「さて、Fクラスの皆。お遊びの時間は終わりだ」

 

明久「あれ?西村先生どうしたんですか?」

 

西村「ああ。今から我がFクラスに補習についての説明をしようかと思ってな」

 

貴浩「西村先生。今我がFクラスと言いましたが・・・」

 

西村「ああ、今度から福原先生に変わって俺に担任が変わるそうだ。

   これから1年、死に物狂いで勉強できるぞ」

 

F「「「「「何ぃいいいいいい!?」」」」」」

 

クラスの男子生徒全員から悲鳴があがる

 

西村「いいか。確かにお前等はよくやった。

   Fクラスがここまでくるとは正直思わなかった。

   でもな、いくら『学力が全てではない』と言っても、

   人生を渡っていく上では強力の武器の1つなんだ。

   だからないがしろにしてもいいものじゃない」

 

うわぁ、全て正論だから何も言い返せないな。これは・・・

 

西村「特に吉井、坂本、織村兄は念入りに監視してやる。

   なにせ、開校依頼は初の《観察処分者》とA級戦犯、要注意人物だからな」

 

貴浩「ちょっと待ってくださいよ。俺が何をしたというんですか!?」

 

西村「何をしただと?お前はこの間、

   吉井と一緒にBクラスとDクラスとの間に大きな穴を作っただろうが!!」

 

言い返せない

 

明・貴「「だけど、そうはいきませんよ(いかない)!

     なんとしても監視の目をかいくぐって

     今まで通り楽しい学園生活を過ぎしてみせる!」」

 

西村「・・・お前らには悔い改めるという発想はないのか」

 

鉄人のため息混じりの台詞。

 

西村「とりあえず明日・明後日は休日だから仕方ないとして

   来週からは授業とは別に補習の時間を設けてやろう。

   まあ休日はゆっくり休むといい」

 

鉄人は言い終わると教室を出て行った。

俺は鉄人に用があるので追いかけていった。

 

鉄人にあることの許可をもらい戻ってくると、

 

明久は島田と姫路と何か話しているのが聞こえた。

どうやらこの後どこかに行くらしい。

そして雄二はというと・・・

 

霧島「・・・・・・じゃあ雄二今からデートに行く」

 

雄二「な!?ま、待て翔子」

 

霧島「・・・・・・待たない」

 

貴浩「あ、ちょっと待って霧島。もう少しだけ雄二貸して」

 

俺は雄二に用があるので少しだけ待ってもらう

 

雄二「た、貴浩ありがとう」

 

霧島「・・・・・・」

 

霧島が俺を睨む。

 

貴浩「ちょっとだけだからさ」

 

俺は霧島にそう言うとFクラスのメンバーがいるほうに振り返る。

 

そしてFクラスのメンバーにある事を聞いた

 

貴浩「Fクラスの男子メンバーに聞くんだが、明日教室の大掃除をしようと思うんだが

   明日来れる奴はいるか?これは強制じゃないからな。

   来れる人だけ来て手伝って欲しいんだけだ。

   ちなみに今決まっている参加者は俺と明久、雄二、秀吉、ムッツリーニの5人だ」

 

俺がそう言うと、明久、雄二、秀吉、ムッツリーニは驚いた表情でこちらを振り向いた。

 

明久「ねえ貴浩。今初めて聞いたんだけど僕」

 

雄二「俺もだな」

 

秀吉「ワシもじゃ」

 

康太「・・・・・(コクコク)」

 

貴浩「それは今初めて言ったんだからな。手伝ってくれるよな」

 

秀吉「まあ良いがの」

 

康太「・・・・・・(コクコク)」

 

明久「まあ僕もいいけど」

 

雄二「・・・・・・翔子に付き合わされるよりはマシか(ボソ)」

 

貴浩「雄二は?」

 

雄二「まあ良いだろ。それより許可もらっているのか?」

 

貴浩「ああ。先ほど鉄人に許可をもらった。他は誰か手伝ってくれるか」

 

俺がFクラスのメンバーに聞くと須川と近藤が手伝ってくれると手を上げてくれた。

他のメンバーはやってはくれないようだったが・・・・・・



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Aクラス戦 戦後交渉後

4/22 修正


貴浩「じゃあ明日の午前10時にFクラスに集合って事でよろしく」

 

「「「「わかった(のじゃ)」」」」

 

そう言うとFクラスのメンバーは帰っていった。

明久は島田と姫路にどこか連れてかれそうになっていたので一声かけた。

 

貴浩「明久!今日も飯食いに来いよ。そうだな……7時ぐらいまでには来いよ」

 

最近は明久と勉強しているので夕飯も一緒に食べる事が多くなっている。

なので今の行動は俺にとっては当たり前のようになった。

ついでに一応助けて船を出しておく

 

明久「わ、わかった。7時だね。ちょっと姫路さん、島田さん引っ張らないd─」

 

明久が2人に連れられて教室を出て行った。

 

貴浩「霧島悪いけど明日は旦那借りるね。利子つけて返すから」

 

霧島「・・・・・・別にいい。明日私も手伝う」

 

貴浩「えっ?良いのか?手伝ってもらって」

 

霧島「・・・・・・良い。雄二と一緒に居たいから」

 

貴浩「そういうことか。じゃあお願いするね」

 

霧島「・・・・・・わかった。じゃあ雄二今からデートに行く」

 

雄二「し、翔子。ま、まて」

 

雄二は霧島に引きずられて出て行った

 

貴浩「悪いけど秀吉。明日手伝ってくれ」

 

秀吉「任せるのじゃ。掃除は得意な方じゃからの」

 

命「私も手伝うよ」

 

楓「兄さん私も」

 

貴浩「じゃあ2人には皆の分の弁当作ってきてもらってもいいか?

   材料費とかのお金は俺が出すから」

 

楓「はい、わかりました」

 

命「任せてください」

 

秀吉「そういえば姫路達は呼ばなくて良かったのかの?」

 

楓「そういえばそうですね」

 

貴浩「姫路を呼ばなかったのはただ単に明日の掃除は酷かなと思ってな。

   だってあのFクラスの教室の掃除だからな。

   体の弱い姫路や楓に命にはきついと思ってな。

   それで島田を呼んだら姫路だけ仲間はずれみたいで悪いだろ。

   だから、2人は呼ばなかったんだよ」

 

命「それで私たちは掃除ではなくて弁当を作るんですね」

 

貴浩「そういうこと」

 

優子「なら、姫路さんや島田さんにも料理を作らせたらいいじゃない」

 

優子がそう言うと、俺、秀吉、楓、命は震えだした。

 

秀吉「姉上よ。恐ろしい事を言うのではない」

 

命「そ、そうだよ優姉」

 

秀吉と命は優子にいいそる。

俺はあの時のフラッシュバックで物凄く身体を震えていた。

 

楓「に、兄さん。落ち着いてよ。大丈夫だから明日は私と命ちゃんで作るから」

 

と俺を励ましていてくれた。

あの時の料理はもう凄いとしか言いようがなかった

 

優子「う、うん。わかったから、もうその話はしないから2人とも落ち着いてよ」

 

優子や周りにいた工藤さん、なのは、刀麻は

なんのことだかわからないといったように首を傾げていた。

 

良いんだよ。皆はあの味を知らなくて・・・

 

刀麻「俺も明日手伝おうか?男手がほしんだろ?」

 

貴浩「マジで!じゃあ頼むよ!」

 

工藤「僕も手伝うよ。Fクラスって面白そうだしね」

 

優子「私も手伝ってあげるわ」

 

貴浩「本当か。助かる」

 

なのは「私も午後からで良かったら手伝うよ。

    午前中は今日届く荷物の整理したいから」

 

貴浩「良いのか?そっちが大変だろ?」

 

なのは「いざとなったらタカ君や楓ちゃんに手伝ってもらうから」

 

貴浩「ん?……ああ!!

   そういえば今日から一緒に住むんだったな。忘れてた」

 

楓「に、兄さん・・・」

 

なのは「そうだよ。これからよろしくね」

 

貴浩「なんか俺の周りの女子率が高くなったな」

 

工藤「良かったね。ハレームだよ」

 

秀吉「もしかしてワシは入っておらぬじゃろうな」

 

貴浩「当たり前だろ。秀吉は男だろ」

 

刀麻「えっ!?この人女性じゃないのか?」

 

なのは「え?女の子じゃなかったんだ」

 

するとなのはと刀麻が秀吉の性別に驚いているようだ

 

秀吉「ワシは男じゃ!!」

 

秀吉が大声をあげて宣言した

 

なのは「ごめんごめん。あまりに可愛くてつい」

 

刀麻「わ、悪い」

 

秀吉「…良いじゃよ…別に…言われ慣れておるからの」

 

秀吉がいじけてしまった。秀吉が不憫だなと感じてしまった

 

なのは「そういえば、同じ木下って名前だけど姉妹なの?」

 

となのはが質問してきたのでそちらは優子達に任せ、俺は秀吉を励ましに行った。

そして秀吉を励ました後、俺は工藤の前に行った。

 

そして

 

貴浩「すみませんでした!!」

 

俺はすぐさま頭を床に擦り付けながら土下座した。

 

工藤「な、なに?どうしたの?」

 

工藤は何の事だかわからず驚いているようだった。

 

貴浩「今さっき偶然にも工藤の胸を・・・///」

 

工藤「ッ!?///」

 

工藤さんも俺に言われて思い出したらしく顔を真っ赤にしている

 

貴浩「その見たってことで何か責任をとりたいのだけど・・・」

 

工藤「いや、いいよ別に。アレは僕の方にも責任があったし・・・」

 

貴浩「そういうわけにはいかない。

   さすがにあれは責任をとらないといけないし」

 

優子「なら貴浩君は愛子の言う事を1つ何でも聞くってのはどうかしら?

   さすがに女子の胸を見ておいて何もないっていうのは虫がよすぎるから」

 

貴浩「俺は工藤がそれで良いならそれで良い」

 

工藤「じゃあ優子の言った僕の言う事を何でも聞く事で許してあげるよ。

   だけど、今すぐじゃなくて良いかな?」

 

貴浩「ああ。それは工藤に任せる」

 

俺は工藤さんの言う事を1つ聞くという事であの件について責任をとるという事になった。

 

そして俺たちは一緒に明日の弁当の買い物をしてから帰った。

 

 

その前にに刀麻の電話番号などを登録しておいたがな

 

 

皆と別れてからはなのはの荷物がちょうど届き、

空いてる部屋に荷物を運び、なのはは楓と一緒に荷解きをしてから

明久が夕飯を食べに来てからなのはに明久の事を紹介したりして1日を過ごした

 

 

 

 

 

【刀麻の電話番号・メールアドレスを獲得した】

 

【なのはが一緒に住む事になった】




これで一応1学期試験召喚戦争編は終了です。
少し番外編をはさんで清涼祭編になります。

皆さんの応援・感想よろしくお願いします。


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キャラクター紹介
キャラクター紹介① 【主要オリキャラ】


始業式~オカルト編までのデータ。
2学期からは変更があり分だけ別に乗せる予定。


4/22 修正




織村貴浩(おりむらたかひろ)

 ・性別   男

 ・誕生日  9月10日 

 ・身体情報 165cm 50kg B型

       両足に傷あり。脂肪は少なく少し筋肉質。

 ・見た目 見た目はルドガーの髪を黒くした感じ。   

      CV:近藤 隆

         ※TOX2のルドガーやREBORN!の雲雀恭弥

 ・性格  ポジティブな性格で面白いことが好きで

      よく明久たちをからかっている。

      また競うこと戦うことが好きなので召喚戦争は率先して戦う。 

      人当たりが良いが妹を侮辱されることが大嫌い。

      (ちょっとシスコンぎみ)

      また、友達思いで侮辱されたりすると怒る。 

 ・趣味  食べることが大好き(特に甘いものや楓のデザート)

      アニメ鑑賞、料理、ゲーム。

 ・成績  得意科目:理系科目と日本史と保健体育

      苦手科目:英語

      ※本来ならAクラスに入ることができる成績だが

       隠していたほうが面白そうという理由で実力を出していない。

       実力を知ってるのは楓のみ

 

 ~ 備考 ~

  

   ・2-F所属

   ・現在は、一戸建ての家で双子の妹と二人暮らし。

    両親は共に仕事で海外にいる。家事はでき、料理は明久並の腕前

   ・小学校の時に交通事故にあい足に障害を持っている。

    (すぐに手術したので現在は普通に歩けたりするが傷跡は残っている)

    なので走るのは得意ではない。本人はそのことは気にしていない

    障害を持っているため、学園から『特別処遇者』に認定されている。

    ※観察処分者とほぼ同じであるが、

     体に受ける痛みのフィードバックが少しばかり小さい。

   ・明久とは小学生のころからの親友。

   ・身長が低いことがネック。

   ・シスコン気味なので妹へ対する恋愛対象には鋭いが、

    自分への恋愛感情にはかなり疎い

   ・ちなみに彼女いない歴=年齢なので本人曰く彼女は欲しい。

   ・力はそこそこ強く妹や友達が侮辱されたりすると

    さらに滅茶苦茶強くなる(雄二以上)

   ・写真の技術はムッリーニには及ばないがそこそこの腕を持つがあくまで趣味程度

   ・朝が弱く妹の楓に起こしてもらっている。

    睡眠を邪魔されると機嫌が悪くなる。時には暴走したりする。

    行事や妹の体調不良などがおきた時は早起き。

    また、寒いのが大の苦手。冬は大体コタツの中に入って動かない。

   ・明久・雄二・秀吉・ムッリーニとは去年クラスメイトで友達 

   ・高校入学する直前に秀吉の家の近所引っ越した(父親の気まぐれで)  

 

 〈 召喚獣 〉

   【1学期現在】

    服装:黒い甲冑(日本風)

    武器:日本刀と拳銃(総弾数8発)の各1つ

       ※拳銃はリロードに10秒かかる

        またリロード1回につき10点消費

    腕輪:『重力変化』

       重力のかけ方や使い方によって消費する点数が変わる。

       周囲に重力を加えたり、敵単体に重力を変化させたり、

       武器に重力付加したり、重力のによる砲撃を放つことも可能。

       使用者の想像力しだい

 

 

       

 

織村楓(おりむらかえで)

 ・性別   女

 ・誕生日  9月10日 

 ・身体情報 165cm ??kg AB型

       体が少し病弱

 ・見た目  見た目はISのシャルロットの髪を黒にしてロングヘアにした感じ。     

       CV:園崎未恵

          ※TOLのステラや

           ストライクウィッチーズ劇場版のゲルトルート・バルクホルン      

 ・性格  普段は誰にでも明るく優しいが怒ると物凄く怖い。

      また、友達思いで侮辱されたりすると怒る。 

 ・趣味  劇や映画を見ること。読書、料理(デザート中心)

 ・成績  得意科目:文系一般と英語、

      苦手科目:物理(それでも3桁は取れる)

      ※本来なら学年トップ10内に入る成績だが、

       試験前日から熱を出してしまい試験を受けていない

      

 ~ 備考 ~

 

    ・2-F所属

    ・貴浩の双子の妹

    ・演劇部に所属(小さい頃に母と劇を見に行った時感動し、興味を持ったから)

    ・将来の夢は演劇俳優になること

    ・しっかり者で家事は一通りできる。料理も得意(特に洋食やデザート系)  

    ・苦手なものはお化けと雷

    ・命と優子、翔子、愛子とは去年クラスメイトで友達

    

 〈 召喚獣 〉

   【1学期現在】

    服装:着物

    武器:弓

       ※放つ力などのよって攻撃方法を変える事が出来る。

    腕輪:『銀翼』

        銀色の翼を出して空を飛ぶことができる。

        他の召喚獣を抱えて飛ぶことも可能だが1体のみ。

        その場合は2倍点数を消費する。

        羽を飛ばし攻撃することも可能。

         

 

 

木下命(きのしたみこと)

 ・性別   女

 ・誕生日  6月25日 

 ・身体情報 148cm ??kg AB型

       体が少し病弱

 ・見た目  見た目は優子と秀吉にそっくり髪留めはつけていない。

       胸は姉の優子よりあり翔子より少し大きい感じ。

       CV:後藤麻衣 

          ※ましろ色シンフォニー (瓜生桜乃)

 ・性格  普段は誰にでも明るく優しい。

      怒ると無言になる。 

 ・趣味  読書や料理、ぬいぐるみ収集(部屋にたくさんある)

 ・成績  得意科目:家庭科や現国、古典

      苦手科目:数学(それでも3桁は取れる)

      ※本来ならCクラスレベルの実力を誇る。

      

 ~ 備考 ~

   ・2-F所属

   ・木下優子・秀吉の妹

   ・優子と秀吉を自慢の姉と兄と思っている。

    体が弱く体調を崩すことが多いので

    優子や秀吉に迷惑かけていることがコンプレックスで、

    2人の前では無理をしていまうことがある。

   ・一度決めたことは貫きとうす意思が強い(少し頑固者)

   ・楓や翔子、愛子とは去年クラスメイトで友達

   ・明久の事が好き

 〈 召喚獣 〉  

    服装:巫女服

    武器:十文字槍

    腕輪:回復

       範囲内(2m)の召喚獣の点数を全回復できる(自分は含めず)

       ※1回の召喚戦争で3回使用できる

         回復は召喚戦争始まった時の点数

         効果発動中は本人の召喚獣は動くことができない

         回復には自分を除く召喚獣の数×20秒+30秒

         例)召喚獣 5体

           5×20+30=130(2分10秒)

       ・自分の回復は1回の戦争で1度のみ(全回復)

 



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キャラクター紹介② 【既存キャラ】

既存キャラが出て行くうちに随時更新していく予定です。
また腕輪などの能力も出てき次第更新します。

こちらも始業式~オカルト編までのデータです。

4/23 修正


≪ Fクラス ≫

 

吉井明久(よしいあきひさ) 

 

性別  男

身長  原作と同じ

性格  原作とほぼ同じ

見た目 原作と同じ   

成績  得意科目:歴史科目

    苦手科目:古典

    ※原作より成績が少しずつ上がっていく

召喚獣 武器:木刀 

    装備:赤のインナーに黒の改造学ラン

    腕輪:『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』

       フィールド内にあらゆる「剣を形成する要素」が満たされており、

       明久が目視した刀や剣を結界内に登録し複製したり、

       想像した刀や剣も複製できる。

       これらを荒野に突き立つ無数の剣の一振りとして貯蔵できる。

       ただし、複製品の能力の強度とかは少し落ちる。

       それに剣や刀しか複製することはできない。

備考 

 ・観察処分者であるのは原作と変わらない。

  観察処分者なので召喚獣の操作は学園でも上位レベル。

 ・原作と同じく鈍感。

 ・料理はそこらの家庭料理では相手にならないほどの腕前。

  得意料理はパエリア

 ・好きな食べ物はパエリアと肉じゃがなど

 ・ゲームの腕も物凄く上手い。

  

 

 

 

坂本雄二(さかもとゆうじ)

 

性別  男

身長  原作と同じ

性格  原作とほぼ同じ。

    少しだけ明久に優しい

見た目 原作と同じ

成績  得意科目:理数系・日本史

    ※Aクラス戦で翔子に負けてから勉強するようになり

      成績は少しずつ上昇中。

召喚獣 武器:メリケンサック 

    装備:黒のインナーに白の改造学ラン

    腕輪:??? 

備考

 ・Fクラス代表

 ・幼少時代には「神童」の異名をとり、

  現在学年首席の地位を誇る翔子よりも高い学力を持っていたが、

  中学生時代に勉強を全くせず体を鍛えていたため現在は学力がかなり低下している。

 ・中学生時代は喧嘩で鳴らしていたため今も尚「悪鬼羅刹」の名で

  他校の不良達に恐れられている。

 ・明久たちとは1年の時に知り合いそれ以降、友人関係にある。

  原作と比べると少し優しくなったが明久の不幸を楽しんでいるところもある。

 

 

 

 

 

木下秀吉(きのしたひでよし)

 

性別  男

身長  原作と同じ

性格  原作とほぼ同じ

見た目 原作と同じ

成績  得意科目:現代国語・古典・音楽

    苦手科目:理系科目

    ※演劇をしているので現代国語だけは

     少し原作より点数が高くなっていっている。

召喚獣 武器:薙刀 

    装備:袴

    腕輪:??? 

備考 

 ・優子の弟で命の兄(3つ子)

 ・妹の命を溺愛している(シスコン)

 ・特技は声帯模写で女声も男声も自由自在

 ・将来の夢は演劇俳優

 ・演劇部に所属している。

 ・可憐な外見をしているので多くの人に女子と勘違いされ、

  最近では男女を越えた第3の性別『秀吉』とも言われるほど。

 ・一人称は「わし」で、語尾に「じゃ」をつけるなど古風な言い方が特徴

 ・可憐な外見に似合わずジャガイモの芽を食べても平気な「鉄の胃袋」を持っている  

 

 

 

 

 

土屋康太(つちやこうた)

 

性別  男

身長  原作と同じ

性格  原作とほぼ同じ。 

見た目 原作と同じ。

成績  得意科目:保健体育・家庭科

    苦手科目:それ以外

    ※保健体育のみ学年トップを誇っているが、

     残りの科目はFクラスの平均以下。

召喚獣 武器:小太刀二刀流 

    装備:忍び装束

    腕輪:『加速』

        召喚獣の速度を上げることができる。

        移動距離により消費点数が変わる。 

備考 

 ・並外れたスケベ心を持ち本心に実直な行動を取るが、

  それを絶対に認めないことから『ムッツリーニ(寡黙なる性識者)』の異名を取る。

 ・現代に蘇った忍者と称される「情報屋」で

  諜報(盗撮&盗聴等)・探索・暗殺・ピッキング技術に優れ裏方のエキスパート

 ・ほぼ全ての台詞の頭に「……」が付くほど寡黙な性格

 ・明久と同等のバカだが性に関する知識だけは豊富かつ貪欲で、

  しかし実際には妄想ですら致死レベルの鼻血を噴くほどウブ

 ・料理や裁縫などが得意で「紳士の嗜み」だが全ては下心の副産物

 

 

 

 

姫路と島田はあまり変更なし。

 

 

 

 

 

 

≪Aクラス≫

 

霧島翔子

 

性別  女

身長  原作と同じ

性格  原作とほぼ同じ 

見た目 原作と同じ

成績  平均的にどれも高得点を誇る。学年主席は伊達ではない。

召喚獣 武器:日本刀

    装備:武者鎧

    腕輪:??? 

備考

 ・Aクラスの代表で学年首席

 ・長い黒髪が印象的な寡黙な美少女で、

  神々しささえ漂うその美しさから男女問わず人気がある。

 ・幼馴染の雄二を想い続けている。

 ・家はかなりの資産家であり別荘やホテルの経営などをしている。

  また実家は世界でも5本の指に入るほどの実業家でもある。

 ・料理の腕はかなりあるが雄二に対してはだけは薬物を入れたりする。

 ・学年首席の名に恥じない学力を誇り、

  一度学んだことは決して忘れない程の記憶力を持つ。

 

 

 

 

 

木下優子

 

性別  女

身長  原作と同じ

性格  原作とほぼ同じだが、少し性格が丸くなった。     

見た目 原作と同じ

成績  得意科目は文系科目

    ※学園では優等生を演じているのでどの科目も平均的に点数が高い。

召喚獣 武器:ランス

    装備:西洋鎧

    腕輪:???

備考

 ・秀吉と命の姉。また妹の命を溺愛している

 ・明るく社交的で愛想の良い優等生

 ・Aクラス成績トップ10の1人

 ・家ではかなりのズボラで常に下着かジャージ姿

 ・隠れ腐女子(家には大量のBL本が溜め込まれている)

  ※このことは家族と楓しか知らない

 ・料理は下手

 ・貧乳(Aに近いB)で、本人はそのことを少し気にしている。

 ・楓とは去年クラスメイトで友達、貴浩とは家が近所なのと、

  秀吉との友達ということもあって友人の関係にある。

 

 

 

 

 

工藤愛子

 

性別  女

身長  原作と同じ

性格  原作とほぼ同じ 

見た目 原作と同じ

成績  得意科目:保健体育

    ※保健体育は女子では学年1の成績を誇る。

召喚獣 武器:大斧

    装備:セーラー服

    腕輪:『電撃』

       攻撃に電気属性を付加することができる。

       また、雷を使った攻撃を繰り出すことも可能。

       使用した力の威力、量によって消費点数が異なる。

備考

 ・ボーイッシュな容姿のボク少女

 ・1年生の終盤に転校してきた。

  その頃同じクラスだった命・楓・霧島・優子と知り合い友人となった。

 ・水泳部に所属

 ・奔放かつ賑やかな性格で他人をからかうのが好き

 ・スリーサイズはB78・W56・H79(自称)。スパッツを常備している。

 ・Aクラス成績トップ10の1人

 



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キャラクター紹介③ 【オリキャラ】

随時更新していく予定です。

新学期~オカルト編までのデータです。

4/24 修正


≪ Aクラス ≫

 

八神(やがみ) なのは

 ・性別   女

 ・誕生日  3月15日   

 ・身体情報 身長152cm O型

 ・見た目  リリカルなのはのなのは。

       CV:田村ゆかり

          ※リリカルなのはの高町なのはやイSの篠ノ之束      

 ・性格   明るく優しい性格で強い正義感を持ち前向き

 ・趣味   料理・読書

 ・成績   得意科目:理系科目、家庭科

       苦手科目:古典、保健体育

      

 ~ 備考 ~ 

  ・織村兄妹の従妹(いとこ)

  ・2年の新学期から数日遅れて引っ越してきて文月学園に転入してきた。

   織村家に一緒に住むことになるが、このことを織村兄妹は知らなかった。

  ・家庭的で料理が得意

  ・運動が少し苦手

  ・怒った時は、静かで鋭く重い怒り方をする(精神攻撃が多い)

  ・貴浩と楓とは小さい頃夏休み一緒に遊んでいた。

  ・貴浩と楓のことが好きで2人を傷つける奴は嫌い

  ・成績はよくAクラスのトップ10に入る実力を持つ。

  

 〈 召喚獣 〉

  ・服装:黒い騎士甲冑

  ・武器:杖

  ・腕輪:『砲撃』

      点数を消費してあらゆる砲撃を放つことが可能。

 

 

 

不知火 刀麻(しらぬい とうま)

 ・性別   男

 ・誕生日  11月25日   

 ・身体情報 身長168cm A型

 ・見た目  とある魔術の上条当麻。

       CV:阿部敦

          ※とある魔術の禁書目録の上条当麻や

            バクマンの真城最高      

 ・性格   友達思いで他人のために真剣に怒れるまっすぐな心根の持ち主

 ・趣味   料理・運動・昼寝

 ・成績   得意科目:現代国語や日本史

       苦手科目:英語

      

 ~ 備考 ~  

  ・料理の腕は上々で家庭的な面を持つ

  ・成績はよくAクラスのトップ10に入る実力を持つ

  ・放送部に所属している。

 〈 召喚獣 〉

  ・服装:袴

  ・武器:刀

  ・腕輪:『能力封じ』

      フィールド内全ての召喚獣の腕輪の能力を封じる(敵、味方含め)

      ※例外も存在する。

 

 

 

     

砂原 鈴歌(さはら すずか)

 ・性別   女

 ・誕生日  5月22日   

 ・身体情報 身長は158cm AB型

 ・見た目  TOX2のレイア・ロランド。

       髪の色は茶髪でツインテール。胸はDカップ

       CV:早見沙織

          ※TOXのレイア・ロランドや

           俺の妹がこんなに可愛いわけがないの新垣あやせ   

 ・性格   いつも明るく陽気で親しみやすい感じ

 ・趣味   情報収集・写真撮影

 ・成績   得意科目:現代国語や英語

       苦手科目:化学

      

 ~ 備考~ 

  ・新聞部に所属している。

  ・裏の顔は文月学園の情報屋。

  ・新聞部の取材ノートと情報屋ノートを常に持ち歩いている。

   情報料は現金ではなく依頼人本人の情報と交換している。

  ・将来の夢は世界に通用するジャーナリスト

  ・ムッツリーニのライバル的存在

  ・動体視力がよい

  ・成績はよくAクラスのトップ10に入る実力を持つ

  ・いつも凄いニックネームをつけて呼ぶ

   貴浩⇒ター君、明久⇒アッキー、雄二⇒ユウユウ、秀吉⇒ヒデやん

   康太⇒つっチン、楓⇒カエデン、命⇒ミコりん、姫路⇒ヒメっち

   島田⇒ミナミナ、翔子⇒しょこリン、優子⇒ゆうこリン、愛子⇒アイアイ

   刀麻⇒とっチン、なのは⇒なのなの、椎名⇒ユッキー などなど   

 

 〈 召喚獣 〉

  ・服装:スーツ

  ・武器:蛇行剣

  ・腕輪:『科目書換え』

      現在の召喚フィールドの科目を任意に書き換えることができる

      ただし、味方クラスが自分しかいないときは発動できない。

 

 

 

椎名 雪(しいな ゆき)

 ・性別   女

 ・誕生日  2月11日   

 ・身体情報 身長は143cm AB型

 ・見た目  TOX2のエリーゼ・ルタス。

       髪の色は薄い水色。胸はCカップ

       CV:早見沙織

          ※TOXのエリーゼ・ルタスや

           生徒会の一存(1期)の椎名真冬   

 ・性格   引っ込み思案で恥ずかしがり屋(特に男性に対して)

 ・趣味   ゲーム・アニメ鑑賞・読書(小説・漫画)

 ・成績   得意科目:現代国語や古典

       苦手科目:保健体育

      

 ~ 備考~   

  ・人見知りするタイプで初対面の男性には話しかけられても隠れてしまう。

  ・慣れればちゃんと交流をはかってくれる。

  ・運動が大の苦手

  ・嫌いなもの:雷、お化け

  ・ゲーセンにあるガンゲーム(銃型のコントローラーで撃つ奴)が特に大好きで

   それをはじめるとテンションが上がり、ハイになる。

   その影響でエアガンを持っても同じ効果が出る。

 

 〈 召喚獣 〉

  ・服装:騎士甲冑

  ・武器:拳銃(総弾数12発)

      ※拳銃はリロードに10秒かかる

       またリロード1回につき10点消費

  ・腕輪:『武器換装』

      好きな武器に換装することができる

 

 

 

 

≪Fクラス≫

 

羽鳥 光一(はとり こういち)

 ・性別   男

 ・誕生日  12月15日   

 ・身体情報 身長170cm A型

 ・見た目  戦国BASARAの佐助

       CV:子安 武人

          ワンピースの青キジやBASARAの佐助、

          TOAのジェイド・カーティス   

 ・性格   口は悪いが根はいいやつで友達思い。

 ・趣味   情報収集・運動

 ・成績   得意科目:文系科目

       苦手科目:家庭科

      

 ~ 備考 ~  

  ・世界有数の電機メーカー羽鳥グループの息子(次男)

  ・明久・貴浩・楓とは中学の時からの知り合い

   中学の時はいじめられっこで苛められていた所を

   明久と貴浩、楓の3人に救われ、以後3人に忠義をつくしている。

   3人に対して~殿と呼び敬語で話す。

  ・口は悪いが根はいいやつで友達思い。

   そのため自分が毒舌を吐いて悪役になることで

   友達のためになるのなら平気で友達の方を優先する。

   策略家で雄二と並ぶ頭のキレを誇る。

   ※3人とは仲が良くて、3人は光一の性格を把握している

  ・現代に生きる忍とも呼ばれるようになり身体面もかなり良い。

   また情報収集能力もムッツリーニ並である。

   ただし、ムッツリーニや砂原と違い、機械オンチなので

   すべて情報は自分の足で集めている

   携帯は電話とメールだけは貴浩たちのおかげでできるようになった。

  ・基本自分からはあまり動かないが3人に手を出すものなら容赦はしない

  ・3人を守る為に常に武器を隠し持っている

 

 〈 召喚獣 〉

  ・服装:忍装束

  ・武器:大型手裏剣×2

  ・腕輪:???

 

 

 

 

 

≪ Bクラス ≫

 

 

獅子川蘭(ししがわらん)

 ・性別   女

 ・誕生日  8月10日  

 ・身体情報 身長153cm O型

 ・見た目  胸は優子より少し大きいくらい。茶色の髪でショートヘア。

 ・性格   普段から男勝りな性格

 ・趣味   運動・訓練

 ・成績   得意科目:保健体育と生物、

       苦手科目:古典

      

 ~ 備考 ~

   ・一人称は「僕」

   ・試召戦争が始まると点数消費を度外視して敵の撃破のみに重きを

    置く戦闘狂になる乱戦状態となり熱くなると

    敵味方区別なく撃破してしまうこともある。

    だが凄く友達思いで、友達には攻撃しない。

   ・卑怯な戦法は大嫌い(よって根本や根城のことが大嫌い)

 〈 召喚獣 〉

  ・服装:着物

  ・武器:ホッケースティック

  ・腕輪:『反発』

      ・相手召喚獣本体以外の相手の召喚獣の武器や

       床と自分の召喚獣を任意に反発させる

       (床とは反発するが武器とは反発しないなど)

       床と反発させることによる高速移動や、

       相手の武器と反発させることによる緊急回避が可能。

      

 

 

五十嵐(いがらし)きらり

 ・性別   女

 ・誕生日  5月8日   

 ・身体情報 身長143cm A型

 ・見た目  癒し系。髪は薄い青色にショートヘア。

       胸は優子より少し大きいくらい。

 ・性格   温厚な性格でみんなに優しく面倒見が良い

 ・趣味   読書・観察・コスプレ・裁縫

 ・成績   得意科目:現代国語

       苦手科目:物理

      

 ~ 備考 ~

  ・大抵の事は謝ればすぐに許し後に引きずらない。

   人からの頼みをあまり断らない(断れないではない)。悪く言えばお人よし。

  ・このように人が良すぎるので親友は心配でよく注意されたりする

  ・保健委員所属

  ・教師からの雑用を嫌な顔一つせず引き受け、委員会のお願いも良く引き受ける。

   人がいいので頼まれた以上のことをするのもしばしば。

  ・手伝いを行うときはそれの延長上にあるような職業の制服を着て行う。

   保健委員の仕事ではナース服、生活指導の先生の見回りの手伝いなら婦警服等。

   嫌な顔せず手伝ってくれて、仕事も正確で早いので先生も強く注意できない。

  ・学校には勉強用具入れとは別の鞄(部活用みたいな)を持ってきており、

   その中には職業コスプレ用の衣装が数点入っている。

   使用頻度が高いナース服と婦警服は常に入れているが、

   その他は必要かもしれないと思ったものを何点か毎日入れ替えている。

   そのため、相応しい服が鞄にないこともある。

   そんなときは鞄を一生懸命あさったあと露骨にがっかりした様子を見せる。

   コスプレ癖の理由は将来なりたい職業が多くあるが

   全部になれないことは分かっているので、

   その職に就いたつもりで仕事することで擬似的に夢を叶えたいため。

  ・自分はコスプレとは思っておらず、

   周りにコスプレを頼まれても(ムッツリーニの撮影等)恥ずかしいからと断る。

   それでも、普段のコスプレの影響で写真のバリエーションが多く

   ムッツリ商会の売り上げでは上位に位置する。

  ・戦争中は軍服を着ている。召喚獣の装備とはミスマッチである

  

 〈 召喚獣 〉

  ・服装:ナース服

  ・武器:注射器(召喚獣の半分くらいの大きさ)

  ・腕輪:注射(他の召喚獣に注射し、点数を吸収する)〔1刺しで50点消費〕

 

 

 

根城敦(ねじろあつし)

 ・性別   男

 ・誕生日  11月10日  

 ・身体情報 身長171cm O型

 ・見た目  目つきが悪く、ガタイもそれなりにある。

       髪は紺色のオールバック

 ・成績   得意科目:現代社会・保健体育

       苦手科目:物理・化学

      

 ~ 備考 ~ 

  ・目標のためには手段は問わない

  ・狡賢く姑息。予想外な展開には弱い。根本とは気が合う仲。

  ・雄二とは中学が同じで何かとけんかを売る。

 〈 召喚獣 〉

  ・服装:紺色の西洋鎧

  ・武器:ハンマー

  ・腕輪:???

 



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キャラクター紹介④ 教師陣

今回は文月学園の教師紹介です。

オリジナル教師が数人います。

4/24 修正


~ 教師紹介 ~

 

藤堂 カヲル

  ・文月学園の学園長にして試験召喚システムの開発者。

   狡猾で年の分だけ駆け引きに長けており、

   自分の目的の為には教師や生徒をも欺く食わせ者。

   もともと研究者であるため教育者にあるまじき言動が目立つ。

  ・学園の性質上イメージの低下を極力避ける必要があるため、

   問題が起きたら解決よりも隠蔽を優先する。

   学園を自身の開発した発明品の実験場のように考えており、

   特に召喚システムに関してはトラブルで生じた事でも目新しい要素があれば

   データ収集と称して生徒に試運転させたり、行事にかこつけて衆目へ

   それを披露したがる子供のような面がある。

  

 

西村宗一(にしむらそういち)

  ・生活指導の鬼として恐れられる教師で、

   Aクラス戦後にFクラスの担任教師となる。

  ・通称「鉄人」

  ・趣味がトライアスロンという超肉体派教師

  ・生活指導室を根城にしており、「規律を乱すものには鉄拳制裁」という

   教育方針から全学年のほぼ全生徒に恐れられている

  ・試召戦争の時は補習室の管理をしており、戦死者は鬼の補習によって

   「趣味が勉強。尊敬するのは二宮金次郎」という理想的な生徒へ洗脳される

   (この補習は拷問であると恐れられている)

  ・またそのイメージとは裏腹にかなりの秀才でもあり、

   教師用テストでは学年主席や担当科目の教師以上の点数を取っている

   (前述の運動神経に加え、英語や物理の授業をしている描写もあるので、

    完全なる全科目対応オールラウンダーである)。その力は学年主任の高橋をも上回る。

   そのため試召戦争時は、通常の教師が自分の担当科目のフィールドを展開するのに

   対して学年主任同様に、いかなる科目のフィールドの展開が可能

  ・非常に厳しい反面、教師という職業に誇りを持ち生徒とは常に真摯な気持ちで

   向き合っている。また意外と几帳面で時間にも正確。

   生徒相談なども受け持つ気さくな面もある

  ・教師陣の中で5本の指に入るほどの操作技術をもつ。

 

高橋洋子(たかはしようこ)

  ・学年主任にして2-A担任。

  ・通称「高橋女史」。総合科目で8000点弱

  ・召喚獣の装備は軍服に鞭

  ・鉄人を除いて唯一【総合科目】のフィールドを展開できる。

 

大島武(おおしまたけし)

  ・【保健体育】担当の教師

  ・体育教師だけあって並外れた行動力を持つ

 

福原慎(ふくはらしん)

  ・前Fクラス担任。

  ・マイペースでうだつの上がらない初老の男性

  ・【現代社会】担当の教師

 

布施文博(ふせふみひろ)

  ・【化学】教師

 

船越(ふなこし)

  ・【数学】教師

  ・45歳独身。

   婚期を逃しついには単位を盾に生徒に交際を迫るようになった危険人物

 

木内(きのうち)

  ・【数学】教師

 

長谷川(はせがわ)

  ・【数学】教師

  ・他の先生より若干召喚フィールドが広い

 

竹中(たけなか)

  ・【古典】教師

  ・カツラをつけている

 

向井(むかい)

  ・【古典】教師

 

遠藤(えんどう)

  ・【英語】教師

  ・おおらかな性格で多少のことは見逃してくれる心優しい女性教師

 

竹内(たけうち)

  ・【現国】教師

 

寺井伸介(てらいしんすけ)

  ・【現国】教師

  

竹原(たけはら)

  ・教頭

 

 

< オリジナル教師 >

 

烏丸真紅朗(からすましんくろう)

  ・【世界史】の教師

  ・33歳独身・身長170cm。

  ・見た目はTOVのレイブン

  ・胡散臭さが服を着て歩いているような教師だが生徒からの信頼は高い(主に男子から)

  ・生徒からは『レイブン』と呼ばれて親しまれている。

  ・体育教師ではないが並外れた行動力を持つ。

  ・実の正体は国から文月学園の監視・捜査を目的に潜入したが、

   今では逆に学園を守るため学園長につくしている。

   仕事でのコードネームは「シュヴァーン」

  ・ジュディスに片思い中

  ・召喚獣の装備は騎士甲冑に変形機構をもつ弓を操り近距離と遠距離を器用にこなす。

  ・教師陣の中で5本の指に入るほどの操作技術をもつ。

 

 

ジュディス・クリスティナ

  ・【英語】の教師

  ・フランス出身でフランス語・英語・日本語をしゃべれる。

  ・29歳独身・身長175cm

  ・見た目はTOVのジュディス

  ・抜群のプロポーションをもつ美女

  ・活動的で好戦的な性格。気まぐれで奔放であり

   料理上手で特に手の掛かる料理が得意。ギャンブルにも滅法強い

  ・召喚獣の装備はTOVのジュディスと同じ(槍)

  ・教師陣の中で5本の指に入るほどの操作技術をもつ。

 

 

森田璃香(もりたりか)

  ・【物理】の教師

  ・25歳・身長150cm

  ・見た目はTOVのリタ

  ・教師としては優秀だが典型的な偏屈

  ・学園の召喚システムの管理の手伝いをしている。

  ・召喚獣の装備はTOVのリタと同じ(鞭)

 

 

鈴村瀬名(すずむらせな)

  ・【保健体育】担当の教師

  ・水泳部の顧問

  ・年齢:27歳 / 身長:171cm

  ・見た目はTOLのセネル

  ・召喚獣の装備はTOLのセネルと同じ(拳)

  ・教師陣の中で5本の指に入るほどの操作技術をもつ。

 

 

千葉琥珀(ちばこはく)

  ・【美術】の教師

  ・27歳・身長143cm

  ・童顔で低い身長なのがコンプレックス。

  ・見た目はTOHのベリル

  ・帽子(かぶり物)マニア。学校にいる時は帽子をかぶっている

  ・召喚獣の装備はTOHのベリルと同じ(巨大な筆)

 

 

スタン・デュナメス

  ・【生物】の教師

  ・イギリス出身で英語・日本語をしゃべれる

  ・29歳 / 身長172cm

  ・見た目はTODのスタン

  ・性格は純粋な正直者で熱血漢

  ・同僚のルーティとは夫婦でリリスとは兄妹の関係

  ・どの先生よりも親しみやすく生徒からの信頼は高い。

  ・特技はどこでも寝ることができる

   ※非常に低血圧で寝起きが悪く、一度眠ると起こすのは至難の業

  ・召喚獣の装備はTODのスタンと同じ(武器はディムロス)

  ・教師陣の中で5本の指に入るほどの操作技術をもつ。

 

 

ルーティ・デュナメス

  ・【日本史】の教師

  ・イギリス出身で英語・日本語をしゃべれる

  ・28歳 / 身長157cm

  ・見た目はTODのルーティ

  ・スタンの妻

  ・優しく面倒見の良い性格。ツンデレ的性格でもある(スタンに対して)

   生徒からの相談を聞いたりもする

  ・特技は骨董品の鑑定ができる

  ・召喚獣の装備はTODのルーティと同じ(武器はアトワイト)

 

 

リリス・デュナメス

  ・【家庭科】の教師

  ・イギリス出身で英語・日本語をしゃべれる

  ・27歳 / 身長155cm

  ・見た目はTODのリリス(髪型がポニーテール)

  ・スタンの妹

  ・料理が得意でプロ顔負けの腕前を持つ

  ・料理に対してだけは妥協しない(姫路の料理を断固否定)が

   そのほかのことに関しては優しく面倒見も良い

  ・召喚獣はエプロン姿にお玉とフライパンを武器にしている



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番外編
Fクラス大掃除


4/24 修正


───休日の朝

 

貴浩「じゃあ学校に行ってくる。人数多くて大変だろうケド命と一緒に弁当頼む。

   なのはも無理しなくて良いからな。時間があればでいいからさ」

 

俺は楓となのはに一声掛けてから荷物を持って学校へ向かった。

 

今日は昨日放課後に言ったようにFクラスの教室の大掃除をするのである。

あの教室のままではいずれ楓と命が倒れてしまう危険性があるからな

という事で、俺は皆より早めに学校へと向かった。

 

 

 

       ☆

 

 

 

貴浩「失礼します。鉄じ───西村先生いますか?」

 

俺は職員室の扉を開けて鉄人を呼んだ。

今日は休日にも関わらずかなりの先生が職員室の中にいた。

 

西村「どうした織村兄?」

 

貴浩「昨日放課後にお伝えしていたと思うんですが

   Fクラスの掃除をするという事で学校に来たということを伝えに来ました」

 

西村「そうだったな。わかった。まあ頑張る事だな。

   というかお前はいつもこうだと良いのだがな」

 

貴浩「自分はいつもこうですよ」

 

鉄人は今の俺の態度に呆れてため息をついた。

 

鉄人「まあ帰るときは俺に一言いれてから帰るんだぞ。

   あと、何か困った事があれば言って来い。

   先生達は職員室にいるからな。ただし、馬鹿な事だけはするなよ」

 

鉄人はそう言い終わると職員室の中に戻って行った。

俺もFクラスに向かって行った。

 

 

       ☆

 

 

そして10時になると皆揃っていた。

 

今日手伝ってくれるのは、

Fクラスからは明久に雄二、秀吉、ムッツリーニ、須川、近藤の俺を入れて7人、

Aクラスからは霧島に優子、工藤、刀麻、そして何故か久保や

昨日いなかった砂原と椎名の7人も参加してくれた。

 

貴浩「……どうして砂原と椎名が手伝ってくれるんだ?

   昨日いなかったから話しすら聞いてなかったと思うんだが…」

 

久保は昨日あの場にいたから手伝ってくれることはわからないでもないんだが

昨日いなかったはずの砂原と椎名がここにいることが気になる。

 

砂原「ター君そんなことは簡単だよ!

   私はツッチンほどじゃないけど情報網があるんだよ♪

   そして、こんな面白そうな情報をほおって置く事なんてできないんだよん♪

   だからユッキーと一緒に来たのさ♪」

 

相変わらず砂原は凄いニックネームで呼ぶなぁ。

ター君⇒俺、 ツッチン⇒ムッリーニ

 

貴浩「……わかった。じゃあ今日はよろしくな。

   そして、久保もわざわざありがとうな」

 

久保「いや、気にする事はないよ。今日は頑張らせてもらうとするよ」

 

久保がそう言うとチラチラと明久の方を見ていたが気にしないことにした。

 

貴浩「えっと、確か椎名だよな。今日はよろしく」

 

と俺がそう言いながら近づくと何故か砂原の後ろに隠れてしまった。

 

……あれ?俺何かしたかな?

 

俺は不思議に思って砂原を見ると

 

砂原「ごめんね。ユッキーは恥ずかしがり屋でね。

   相手が女の子ならまあ大丈夫なんだけど男の子だとちょっとね…」

 

砂原がそう言うと

 

椎名「……今日はよろしくです」

 

砂原の後ろの方でオドオドしながら挨拶してくれた。

 

須・近「「儚げな美少女来たぁあああああ!!」」

 

といきなり須川と近藤が叫んだので椎名さんが怯えてしまった

 

秀吉「これ、2人とも大声を出すでない。

   椎名が驚いているではないか。椎名よ大丈夫かの?」

 

そこで秀吉が出てきて先ほどの2人に注意すると

椎名さんを心配して近づいた

 

椎名「ありがとう。えっと……」

 

秀吉「ワシの名前は木下秀吉じゃ。そこにおる木下優子はワシの姉じゃ」

 

とそこで秀吉が椎名に名前を教える

 

椎名「ありがとう。秀吉さん」

 

貴浩「そうだな。掃除をする前に軽く自己紹介ぐらいしとくか」

 

そこで今いるメンバーで自己紹介をする事にして、

自己紹介が終わると、俺は持ってきていたゴム手袋とマスクを人数分配った。

多分大丈夫だと思いたいが念のために健康面に考慮してマスクを用意した。

 

貴浩「じゃあ、掃除を始めますか」

 

「「「おおぉ!!」」」

 

まず教室の窓を全開に開けてから教室内にある卓袱台や座布団教卓などを廊下に出した。

そして、女性陣には座布団を屋上で干してもらうように頼んで、男性陣は教室に残ってもらう。

 

貴浩「さて男性陣はこのいかにもやばそうな畳をどかしてみようと思う」

 

明久「ねぇ大丈夫なの?腐ってなんかないよね」

 

雄二「さすがに。それは無いと信じたいな」

 

やはり皆心配しているようだ

じっとしていてもしょうがないので俺たちは一斉に畳を持ち上げた。

 

すると・・・

 

秀吉「……腐っておるのじゃ」

 

康太「・・・・・・酷い」

 

貴浩「なんか今日掃除を実行して良かったと思うよ」

 

雄二「だな。まさかここまでとは…」

 

須川「織村が掃除を提案してなかったらと思うと……」

 

近藤「ぞっとするな…」

 

案の定というか畳は1/3程度腐っていた。

 

明久「このまま教室を放置してたら姫路さん達じゃなくても体調を崩したと思うな」

 

明久がそう言うと皆頷いた。

 

貴浩「じゃあひとまず腐っている畳は処分するという事にして残りの畳は一度干すか。

   で、教室の床を箒ではわいてから雑巾で拭くみたいなみたいな感じで良いか?」

 

俺が確認をとるように皆の方を振り向くと同意したように頷く。

 

貴浩「じゃあ分担するか。

   まず腐った畳を何処に処分すれば言いか先生に聞いてから処分する人が2人。

   次に、畳を屋上に持っていくのは2人、これは悪いけど女性陣にも手伝ってもらおう。

   で、次に教室を箒ではわく人が2人いればいいだろう。

   窓を拭く奴が1人コイツは他のサポートもしてもらうかな。 

   最後に雑巾で拭く人が2人になるかな。誰がどれするかはジャンケンで良いよな」

 

俺が皆に確認するとと皆頷いてくれた。

多分、役割の中で一番嫌なのが雑巾で拭く係だろうな。

皆おそらくしたくないんだろうな。

 

貴浩「じゃあ行くぞ。最初はグー、じゃんけん」

 

俺のかけ声のもとじゃんけんをした。そこで役割が決定した。

 

畳の処分をする係:ムッツリーニ、刀麻

畳を干す係:俺、秀吉

箒ではわく:明久、雄二

床雑巾で拭く:近藤、須川

サポート:久保

 

という風に決まった。

須川と近藤は絶叫していたがじゃんけんに負けたのが悪い。

 

貴浩「さてと分担してやりますかね」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

貴浩「須川に近藤。まあドンマイ。後でいい事あるさ」

 

俺はそう言い残すと秀吉と一緒に畳を屋上に運ぶため教室を出た。

畳の数は全部で50畳ぐらいある。そして畳が腐ってあるのを除くと

 

貴浩「持っていくのは30畳位か」

 

秀吉「結構あるのう」

 

貴浩「そうだな。じゃあ運ぶとするか」

 

秀吉「そうじゃな」

 

自慢じゃないが俺も秀吉も力はあまり無い。

俺は少し筋肉質ではあるがこれは楓を守る時だけ発揮されるので通常時は普通なんです…

という事で俺は秀吉と一緒に1畳づつ運ぶことにした。

 

まず1畳、屋上に畳を運ぶと、屋上にはFクラスの座布団が干されていた。

 

工藤「貴浩君に秀吉君。こっちは終わったよ」

 

と工藤達がこちらに寄ってきた。

 

霧島「・・・・・・終わった」

 

砂原「それで次は私たちは何をすれば良いのかな?」

 

貴浩「そうだな。俺と秀吉が畳を屋上に運んでくるからそれを運んで干してくれるか」

 

優子「それは良いけど。教室の方は手伝わなくて良いの?」

 

貴浩「それは良いさ。ってか行かない方が良い……本当に」

 

秀吉「そうじゃな。女性陣は教室には行かぬ方がよかろう」

 

工藤「どうしたの?もしかして畳が腐っていたりして」

 

工藤が笑いながら言ってくる

 

優子「流石にそれはないでしょ」

 

貴・秀「「・・・・・・・・」」

 

俺たちは工藤達から目を背けた

 

優子「え?うそ。本当だったの?」

 

砂原「流石だね。やっぱり面白い事が起きたよ」

 

椎名「……鈴ちゃん。いいすぎだと思うよ」

 

霧島「・・・・・・・それ本当?」

 

俺と秀吉は頷いた。

そこで、その話を止めて霧島と優子、椎名は屋上で畳を干すように頼んで、

工藤と砂原は俺と秀吉と一緒に畳を屋上に運ぶのを手伝ってもらった。

 

 

 

そんな事をしていたら楓と命となのはが弁当を持ってきてくれたので

休憩として全員で屋上で食べる事にした。

食事中、須川と近藤が涙を流しながら食べていたがそんなに嬉しかったのか…

 

 

食後は楓と命、なのはも加えて掃除を行い、ある程度は綺麗にする事ができた。

 

掃除が終わった所で解散した。

 

後の不備は俺がまとめて後日学園長のところに持っていく予定だ。



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試験戦争中の勉強会

4/24 修正


───2年になって試召戦争中のある日

 

貴浩「今日も勉強するぞ」

 

今日は俺の家で明久と勉強していた。

最近(試召戦争が始まってから)ではこれが日課になっている。

理由としては簡単で明久の成績向上が目的としている。

 

今日は俺と楓に加えに木下3姉妹と一緒に勉強をしている。

今、成績がやばいのは明久と秀吉の2人なので重点的に上げている最中だ。

 

楓と優子はAクラスの成績で、俺と命はCクラス並の成績。

(俺は楓以外には点数を隠している状態。理由はオリキャラ紹介で)

そして今は明久に勉強を皆で勉強を教えている最中だ。

秀吉は休憩中(ダウン中)である。

 

明久「じゃあ、皆よろしくお願いします」

 

教師役として俺、楓、優子、命の4名で教える事にしている。

 

命「私からは社会について教えるね」

 

明久「お願いします」

 

命が教えている間は俺たちも一緒に考える事にしている。

 

命「まず簡単な所から、794年に日本で起きた事はなんですか?」

 

これは語呂さえ覚えていれば簡単だろう。

 

明久「えっと、なくよ!泣くよだ!」

 

命「そうです」

 

明久「泣くよヒ○ラー理想郷!」

 

貴浩「どういう事だ!?」

 

明久の回答に思わずツッコんでしまった。

 

明久「ヒトラーが日本に理想郷を作って泣いた年だよね」

 

優子「すっごい歪んだ歴史ね」

 

ちなみに正解は【平安京遷都】

 

命「それじゃあ1192年は?」

 

明久「いい句になったね松尾芭蕉」

 

「「「「・・・・・・・」」」」

 

正解 【鎌倉幕府成立】

 

命「……うん、歴史は止めて地理にしよう」

 

諦めた!?

 

命「じゃあ都道府県からいくね。ここはどこですか?」

 

そして命が日本地図を指差して北海道を指差した。

 

明久「北海道」

 

命「安心しました。では次はここは?」

 

次は日本の東京を指差した

 

明久「TOKIO」

 

命「発音としては間違っていないんですがジャ○ーズ事務所っぽいですね」

 

命は続けて問題を出す

 

命「気を取り直してここは?」

 

次は四国の香川県を指差した

 

明久「この島の中で1番勢力が小さいけど大逆転を狙ってる所だよね」

 

命「香川県です」

 

明久「頑張るんだ香川!!」

 

優子「大きなお世話よ!!」

 

優子がツッコむ。

 

命「では次は世界に目を向けたいと思います。この国は?」

 

日本を指差した

 

明久「ジャぱん!」

 

貴浩「…正解だが一流のパン屋を目指す人が多そうなイントネーションだな」

 

命「じゃあここは?」

 

命はあきらめずオーストラリアを指差した

 

明久「ムー・大・陸っ!」

 

楓「伝説の大陸が地図に載っちゃいましたね…」

 

命「最後にここは?」

 

命は最後に南米のチリを指差した

 

明久「ちょっと待ってね。今、語呂を思い出すから…」

 

命「地図に語呂なんてあるんですか?明久君は凄いですね」

 

貴浩「そんなの無いからな。正気に戻るんだ命」

 

命がトリップしかけていた。

 

明久「思い出したよ!『運命をも貫く鋭い一撃で灰燼へと帰すがいい!』だからチリだね!」

 

命「そうです。凄いですよ明久君!」

 

貴浩「…合ってるけど語呂は合ってないよなそれ…」

 

……命の様子がおかしくなったので教師役強制交代。

 

楓「では今度は私が国語を教えます」

 

次は楓が教師役だ。ちなみに優子と秀吉は命についている。

 

楓「では漢字の読みについてです。これは〔将軍〕なんて読みますか?」

 

明久「バカにしないでよ楓。〔ショーグン〕でしょ」

 

楓「あっ、正解です。普通の読みは大丈夫そうですね」

 

明久「モチのロン!」

 

楓「では次はこれです〔流石〕」

 

明久「えっと、流れる石だから、〔ストーンストリーム〕!」

 

貴浩「何だ!?その魔法の技みたいな読み方は!」

 

楓「正解は〔さすが〕です。じゃあこれは〔五月雨〕はどうですか?」

 

明久「5月?」

 

楓「5月には不思議がいっぱいですから。ヒントは天気です」

 

明久「わかった。〔ハルマゲドン〕だね!」

 

楓「…ヒント聞いてましたか?」

 

明久「ハルマゲドンっと言えば5月の風物詩だよね?」

 

貴浩「終末戦争のオンパレードってどんな季節だよ!?」

 

明久「あれ?ゲームでは常識なんだけどな?」

 

楓「……正解は〔さみだれ〕です」

 

明久「さみだれ、さみだれ……?さみ だれ?」

 

楓「五月雨そのものを知らなかったんですね…キミ誰?みたいに言われましても…」

 

楓はそう言うと白旗と言わんばかりにこちらを見ていた。

 

優子「しょうがないわね。吉井君。次は私が数学を教えるわ」

 

明久「4649!」

 

優子「いいわよっ!わざわざ数字に答えなくても。

   今までの流れを見るからに吉井君は重要な基礎が抜けちゃっている傾向があるわね。

   だから、まずは九九を暗唱して貰いましょうか」

 

明久「優子さん!?僕だって九九ぐらいは余裕だよ。じゃあ言うよ。

   いんいちがいち、いんにがに、いんさんが……

   ……いんくがく、にいちがに、にぃにぃが死─」

 

優子「…何か今、お兄さんが死ななかったかしら?」

 

明久「何言ってるの?」

 

優子「あ…ごめんなさい。続けてちょうだい」

 

明久「えっと…にぃにぃが死、兄さんがろくでもない──」

 

優子「やっぱりお兄さんに何か合ったわよねぇ!?」

 

明久「さっきから何言ってるの?」

 

優子「ごめんなさい…何でもないわ…」

 

明久「兄さんがろくでもない、妊娠が発覚、にーごじゅう…にはちじゅうろく、

   肉重要、さんいちがさん、さんにがろく、サザンクロス」

 

優子…ツッコむの耐えてるな…

優子は自分の太ももをつねりながらツッコむのを耐えているのが見えた。

 

明久「三枝が師匠、産後駐屯、さぶろく懲役18年…新一が死、死人が8、

   資産が銃に獅子注目、死後移住──」

 

((((かなりの確立で物騒になってきてる!?))))

 

明久「ろくに職につかずに奥さん18なんですって、

   ロックシンガーに純真ささげているんですって、老後も散々ご苦労されたそうね」

 

((((と思ったら今度は会話になった!?))))

 

明久「…七三分けって21からだよね、死地に親戚が28人、七五三 十五…

   発破64人に被害、はっくしょーい…そして最後は『くくっ 8時祐一を殺す』

   どうかな。僕のオリジナル九九(くく)覚えやすいでしょ」

 

優子「その文章を覚えている明久君の頭脳は確かに評価に値するかもしれないわね…

   では、次は普通に問題出すわよ。

   問題、A君は千円札を持ってコンビニに買い物に行きました」

 

明久「待って!A君は千円で買い物なんて羨ましいよ」

 

貴浩「そんなことはどうでもいい!!」

 

優子「わかったわよ!500円で、A君はコンビニで100円のジュース2本と

   120円のパンを2つ買いました!さてお釣りはいくらでしょうか?」

 

明久「もったいないな。ジュースなんて買わず水道水で良いじゃない。

   ……いや雨水をためて飲むのも…」

 

優子「黙って計算しなさい!」

 

明久「わ、わかったよ……えっと…ここで繰り上がって因数分解して…」

 

優子「因数分解!?」

 

明久「Xが7万5千になるからYは4万2千と思いきやここで一度全て0になる!」

 

優子はその計算方法が気になって明久の後ろから覗いていた。

 

明久「答えは60円だね」

 

優子「っ!!………正解。

   ねえ貴浩君!なんで今ので正解するのよ!

   凄く間違ってる気がするのに正解されたらツッコメないじゃないのよ!?」

 

優子は小声かつ涙目で俺に突っかかってきた。

 

貴浩「よし、数学はこの辺にしておこうか」

 

明久「そうだね。数学は教わる事もなさそうだしね」

 

「「「「・・・・・」」」」

 

貴浩「じゃあ俺が保健体育について教えるぞ。では問題だ。

   人体の感覚機能について一般的に五感と呼ばれるものを言え」

 

明久「なんだぁ~そんなの簡単だよ。

   えっと……透視、サイコメトリー、テレパシー、予知、霊能力だよ!」

 

貴浩「何だその多才能力(マルチスキル)!?

   いや、そんなのはいいから味覚とか一般的なのを頼む」

 

明久「あ、そういう事。じゃあ、味覚、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、金角、銀角、牛角」

 

貴浩「西遊記の敵キャラ潜んでるだと!?そして焼肉屋の名前も!?

   …まあいいか。ではそれらはそれぞれ何処で感じるか?」

 

明久「舌、目、耳、肌、鼻、第六感だね!」

 

貴浩「超感覚(タネワレ)で敵の存在に気づいたんだな…」

 

俺は一度ため息をついて明久に言った。

 

貴浩「お前よく進級できたよな…いや良く入学できたよな本当に」

 

明久「え?どういうこと!?」

 

貴浩「今日教えてわかった事はお前が超絶バカだってことだな。

   もう時間が無いから、日本史に絞ってやるぞ。

   語呂は覚えているらしいからな。その語呂をひとまず叩き直す」

 

そうして秀吉は楓と命に任せ、俺と優子が明久に夜遅くまで日本史を叩き込んだ。

 

 

本当に戦争に勝てるのかがこの時だけは物凄く不安だった

 



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試験召喚戦争後の授業のこと

4/24 修正


Aクラスとの戦争が終わってから数日が経ったある日

 

俺たちFクラスのメンバーは時々Aクラスと合同で授業を行う事になった。

これは、Aクラスとの和平交渉で決めた事なので批判はない。

 

そして今日もAクラスで授業をさせてもらっていた。

といっても俺たちはAクラスの教室の後ろの方で卓袱台と座布団といった

Aクラスにはミスマッチな状態で授業を受けている状態だった。

 

さすがにFクラス総勢50人と元々いるAクラス50人。

合わせて100人のシステムデスクなんてあるわけないのでこういう扱いとなった。

 

Aクラスと授業を一緒に始めてまだ2日と立っていないが

Fクラスのメンバーは授業の妨害をせず静かに授業を受けていた?

(ほとんどが寝ているが…)

 

そんなある日、Aクラスでの自習の時間。

俺たちFクラスのメンバーも一緒に自習していた。

Aクラスの人達はそれぞれ先生からもらっている問題集を解いていたりしている。

一方Fクラスのメンバーは一部を除き寝ていた……。

 

雄二は霧島に勉強を教えてもらっているらしい。

最初は雄二は断っていたがAクラス戦でのあの点数だったことで

本人曰く「嫌だが仕方がなく教えてもらう」らしい。

しかし、こちらから見ると嫌そうには見えないのだが……

 

秀吉は楓から現国について学んでいるようだ。

元々楓はAクラス級の実力があるから秀吉に勉強を教えているようだ。

 

命は優子に捕まり、勉強を教えられている。

優子曰く、「私のそばにいれば害はないでしょう」らしい。

命はドンマイだな。優子の前では俺はサポートできない。

怖いから…自分の身が大事なんだ。

 

ムッツリーニは最初は工藤と保健体育の話をしていたが、

ムッツリーニが色んな意味で危なそうだったので、

なのはと代わって貰い保健体育以外の勉強を教えてもらっている。

 

島田は姫路に現国を教えてもらっている。

島田は日本語さえちゃんと読めれば成績は伸びるからだ。

 

そして俺と明久は2人で日本史の勉強をしていた。

日本史は明久の得意科目になりつつあるので重点的に伸ばしている。

俺も日本史は得意な方なので明久に教える事で点数を伸ばそうと考えている。

 

そして俺が明久と勉強していると

 

砂原「ヤッホーお二人さん!!勉強頑張っているかい?」

 

そこへ砂原やってきて明久に抱きついてきた。

 

明久「さ、砂原さん!?」

 

明久はいきなり後ろから抱きつかれて驚いているようだ。

 

砂原「なんだいアッキー?」

 

明久「な、何って、なんで僕に抱きついているのかな?////」

 

明久は顔を真っ赤にしながら尋ねる。なんて羨ましいんだ明久め…

 

砂原「ただのスキンシップだよアッキー♪

   それとも私以外の女の子の方が良かったのかな?」

 

砂原は明久に抱きついたままからかうように言った。

 

工藤「何々?何か面白いことしてるの?」

 

そこへ工藤まで現れた。

 

砂原「アイアイ、今はアッキーとお話しているだけだよ♪」

 

アイアイって工藤のことか?

 

明久「…えっと…工藤さんだっけ?」

 

工藤「そうだよ。キミは吉井君だったよね?」

 

工藤はニッと歯を見せて笑う。

ボーイッシュな雰囲気と相まって、その仕草はとても爽やかだった。

 

工藤「じゃあ、改めて自己紹介をさせてもらうね。Aクラスの工藤愛子だよ。

   趣味は水泳と音楽鑑賞で、スリーサイズは78・56・79、

   特技はパンチラで好きな食べ物はシュークリームだよ」

 

なんだ?最後に魅力的な言葉があったような。工藤のバストは78なのか。

生で見たが……俺があの時のことを思い出していると

 

工藤「ねぇ貴浩君?今何考えているのかな?

   まさか僕のを見た事でも思い出しているのかな?」

 

貴浩「ま、まさか。そんな事はしないよ(何故わかったんだ!?)」

 

工藤「そうだよね……そういえばあの時のお願いまだしていなかったね」

 

貴浩「え?あ、ああ…そうだな…」

 

俺は工藤のアレを見てしまったのでその責任をとって

工藤の頼みを何でも聞くという事になったのだ。

 

工藤「じゃあね今度の休日に僕の買い物に付き合ってよ」

 

貴浩「ん?そんな事で良いのか」

 

工藤「それとももっと凄いのが良いのかな?」

 

貴浩「買い物に付き合わせてください!!」

 

砂原「おっ!おもしろそうだね♪ならアッキー今度の休日私たちもデートしよう!」

 

砂原が工藤に便乗して明久にまだくっつきながら大きな声でデートに誘う。

 

……砂原そんな事大声で言ったら……

 

須川『諸君。ここはどこだ?』

 

『『『最後の審判を下す法廷だ』』』

 

須川『異端者には?』

 

『『『死の鉄槌を!』』』

 

須川『男とは』

 

『『『愛を捨て、哀に生きるもの!』』』

 

須川『宜しい。これより、KMF団による異端審問会を開催する』

 

やつらが起きやがりましたよ。さっきまで寝てたはずなのに…

 

須川『こいつの罪状を読み上げよ』

 

『はっ。須川会長。えー被告、吉井明久と織村貴浩の両名は

 我が文月学園第2学年Fクラスの生徒でありながら我らが教理に反した疑いがあります。

  本日未明、この者はAクラスの女子と・・・・・・』

 

須川『御託はいい。結論を述べたまえ』

 

『デートするので羨ましいであります』

 

須川『うむ。実にわかりやすい報告だ』

 

姫路「吉井君。先ほどの話詳しく教えてくれませんか?」

 

島田「そうね。キッチリ教えてほしいものね」

 

明久のすぐ後ろに姫路と島田の姿があった。

2人の後ろから禍々しいオーラが見えるのだが気のせいだろうか

 

須川「さて被告。何か言い残す事あるか」

 

明久「えっと……」

 

須川「ヒモなしバンジーか鉄人に愛の告白をするか、

   俺たちからジャーマンプレッシャーを受けるか、さあどれか選べ」

 

明久「どれも選んだら死んじゃうような……」

 

貴浩「そうだな」

 

姫路「大丈夫ですよ吉井君。私たちとOHANASIするだけですから」

 

島田「そうよアキ。さあこちらに来なさい」

 

砂原「駄目だよアッキーはこれから私とイチャイチャするんだから」

 

須川「総員かかれぇええええ!!」

 

砂原の余計な一言のせいで須川たちが一斉に明久に飛び掛かる。

俺は明久を助けるべくムッツリーニから借りたスタンガンを片手に立ち向った。

 

 

 

 

 

         ☆

 

  

 

 

 

貴・明「「ハァハァ・・・」」

 

俺と明久は暴走したFクラスメンバーを静かにした(気絶させた)

 

姫路「明久君~♪」

 

島田「アキ~♪」

 

2人が明久に近づいていこうとする。

 

命「美波ちゃん、姫路さん落ち着いてください。

  明久君やAクラスの皆さんの邪魔になっちゃいますよ」

 

島田「どきなさい命!ウチ達はアキに話があるんだから!!」

 

姫路「そうです!邪魔しないでください」

 

雄二「2人共うるさいぞ。Aクラスとの協定を忘れたのか?」

 

Aクラスとの協定の1つにAクラスで勉強する時は勉学の妨げになる行動をしない。

これを破ると今後許可なくAクラスに入る事が禁止されるのである。

 

島田「これはアキのせいなんだから」

 

姫路「そうです。ですから織村君も邪魔しないでください」

 

貴浩「…お前らいい加減にしとけよ」

 

2人が明久に近づこうとする。

 

優子「あなたたち静かにしなさい!!」

 

そこへ優子がやってきた。

 

貴浩「悪いな優子。皆の自習の邪魔をしてしまったな。

   約束どおり俺達は今後許可なくAクラスへの入室をやめる」

 

優子「…そうね。でも貴浩君と明久君は今回だけは不問とするわ」

 

明久「え?良いの?」

 

優子「ええ、今回はね。それに元はといえば鈴歌と愛子の2人に原因があるのだから」

 

砂原「ごめんね~つい面白くなって…」

 

優子「でも姫路さんと島田さんたちは約束通りAクラスへの入室を禁止するわよ」

 

姫路「な、なんでですか!?」

 

優子「何でってそれは、あなた達が騒いだからでしょう。

   それに命や坂本君が一度止めたのにかかわらずやめなかったでしょう」

 

そう優子が言うと姫路と島田は黙り込んだ。

 

そうして自習が終わると約束どおりFクラスのメンバーは

許可なくAクラスへの入室が禁止になった

そして今、AクラスにいるFクラスのメンバーは明久や雄二、秀吉、ムッツリーニ、

楓と命、そして俺を含めた7名にのみになった。

 

貴浩「悪かったな。自習の邪魔をしてしまって」

 

優子「良いわよ。元はといえば鈴歌と愛子の2人に原因があるのだから」

 

工藤「ごめんね。少しやりすぎたよ」

 

砂原「ごめんごめん」

 

明久「い、良いよ。気にしてないから」

 

工藤「話は変わるけど貴浩君。今度の休日買い物に付き合ってね」

 

いきなり工藤が話を戻してきた。

 

貴浩「ああ。わかったよ」

 

まあ約束だからな

 

命「……あの明久君。今度の休日私と買い物に付き合ってもらえませんか?」

 

明久「え?僕と?」

 

俺と工藤が話している横で命が明久に買い物の付き添いのお願いしていた。

 

優子「な、なに言っているの命!?」

 

秀吉「そ、そうじゃぞ!?買い物ならワシらが付き合うのじゃ!!」

 

命「料理についての買い物がしたいから料理がうまい明久君に付き合ってもらいたいの」

 

秀吉と優子が反対しているが命がそういうと言葉につまってしまった。

2人とも料理についてはあまりうまくないからな

 

明久「そういうことなら僕は良いよ」

 

命「本当ですか!?じゃあお願いします」

 

明久がそういうと命は嬉しそうに答えた。

まだ秀吉と優子の2人が納得していないようだったが・・・

 

そして向こうの方では雄二が霧島と何か言い争っているようだが気にしない事にしておく。

 

貴浩「今度の土曜日の10時にデパート前に待ち合わせで良いかな」

 

工藤「うん良いよ。じゃあよろしくね」

 

明久「僕達も貴浩たちと同じで良いかな?」

 

命「うん!!」

 

俺は土曜日に工藤の買い物に付き合う事になった。

明久と命も俺達と同じ場所に行くみたいだから命のサポートができたらするとしよう。

 

まあ何も起こらないと良いけど  



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ダブルデート?

今日は以前、工藤と約束した買い物に付き合う日だったりする。

まるでデートみたいだがそんなわけないだろうな。

そんなわけで俺は文月デパートに向かっているところだ。

 

その向かっている最中に明久を見つけた。

 

貴浩「よう明久!お前もこれから命と買い物か?」

 

明久「あっ、貴浩おはよう。うん、そうなんだ」

 

そして俺達は一緒に文月デパートまで行く事にした。

一応10時に待ち合わせにしているが

さすがに遅刻するわけには行かないので余裕を持って30分前には着くようにしている。

そして明久と向かっているとデパート前に工藤と命の姿が目に入った。

 

しかし2人の様子がおかしい。明久もその事に気づいたらしい。

 

「ねえお嬢さん方これから俺達とお茶でもしない?」

 

命「ひ、人を待っていますので…」

 

「まあそんな事いわずにさ」

 

工藤「や、やめてください」

 

ナンパしている男が2人の腕をつかんで逃がさないようにしているのが見えた。

 

貴浩「おい!俺達のツレに何か用か?」

 

明久「そうだね。さっさと手を離してもらえるかな」

 

俺達はすぐさま2人の元に駆け寄った。

 

「ちっ。男づれかよ」

 

そういうとナンパしていた男達は手を離してどこかに行った

 

明久「大丈夫命?」

 

貴浩「怪我とかはないか工藤?」

 

俺達は2人の安全を確認する

 

工藤「う、うん。大丈夫だよ」

 

命「う、うん。なんともないよ。あ、あの明久君助けてくれてありがとう」

 

明久「それなら良かった。ごめんね怖い思いさせちゃって」

 

命「い、いえ。気にしないでください。そ、それより明久君。早く買い物に行こうよ」

 

工藤「そうだね。貴浩君行こう」

 

貴浩「そうだな。じゃあ行くとするか。

   そうだ。どうせだし昼はどこかで4人で食べないか?」

 

明久「え?僕は良いけど・・・」

 

命「私も良いですよ」

 

工藤「僕も良いよ」

 

貴浩「なら、昼ごろ連絡するな」

 

俺はそういうと工藤と一緒に向かっていった。明久も命と行ったみたいだ。

 

貴浩「で?工藤買い物って何を買うんだ?」

 

工藤「う~んとね。まあ服とかかな」

 

貴浩「了解。じゃあ行こうか」

 

ちなみに今日の工藤の服装は薄い緑色のTシャツに紺色のショートパンツという格好だ。

 

そして女性用の服が置かれている場所に着くと工藤と一緒に服を見て回る。

正直俺に服の事を聞かれても困るんだが……

俺は服は着れれば良いタイプなので大体の服がユニシロの服だ。

ってかユニシロだっていい服あるんだぞ。

それに長持ちするし…

 

工藤「じゃあ貴浩君試着してくるね。覗いたら駄目だよ」

 

貴浩「なっ!?覗かねえよ!!」

 

工藤はそういうと服を持って試着室に向かっていった。

 

試着室の前に男が1人でいるのは非常に気まずいのだが……

 

そんなことを考えていると工藤が試着を終えて出てきた。

 

工藤「どうかな?僕に似合うかな?」

 

工藤は薄い黄色のシャツに薄ピンクのチェックのスカートという服だった。

 

貴浩「……に、似合ってると思う///」

 

工藤「本当に!なら次のやつに着替えるね」

 

その後も工藤のファッションショーは続いた。

その中から良かったものを買って丁度昼になったので明久たちと合流し食事にする事にした。

ちなみに工藤が買った服は俺が買ってあげた。

 

 

 

~ Side 命 ~

 

 

貴浩君と愛子ちゃんと別れて私は今

明久君と一緒にお話しながら色々なお店をみて回っていた

 

命「明久君は料理うまいですよね」

 

明久「そうかな?命の料理もかなりおいしいと思うけどね」

 

命「そ、そんな事ないですよ///」

 

明久「命はよく料理とかするの?」

 

命「…そうですね。両親が共働きで帰ってくるのが遅かったりするので

  私が作る事が多いですね」

 

明久「そうなんだ。優子さんと秀吉が羨ましいよ。

   命のおいしい料理が食べられるなんて」

 

命「そ、そんな///」

 

明久「僕もまた食べたいよ」

 

命「そ、それなら今度よろしければお弁当作ってきますよ」

 

明久「え?そんな悪いよ。気持ちはとても嬉しいけど大変でしょ」

 

命「そんなことありませんよ。優姉や秀兄にお弁当を作るから1人増えても変わりませんし」

 

明久「そ、そうかな。ならお言葉に甘えて今度お願いしようかな」

 

命「はい。その時は頑張りますね」

 

やった!よし少しずつで良いから頑張るぞ!

その後も明久君と一緒にお話しながら色々見て回った。

 

昼ごろになると貴浩君から連絡があったので一緒に食事をすることになった

 

 

~ Side 貴浩 ~

 

 

昼は工藤の要望で中華という事になった。

食事は皆で色々つつきながら食べた。

食事後は4人でどこかに行こうということで俺達は映画を見る事にした。

映画館に着くとそこには見た顔の人物達がいた。

 

霧島「……雄二、今日は何見る?」

 

俺・明「「えっ?」」

 

雄二「…俺の希望は、叶うのか?」

 

霧島「……じゃあ、『戦争と平和』―」

 

雄二「おい、それ昨日も見ただろ!」

 

霧島「2回見る」

 

雄二「いい加減に無駄だってことを覚えろ!」

 

霧島「……嫌なら、寝てても良い」

 

雄二「それは気絶って言う─―」

 

霧島「……ずっと一緒にいるのは同じだから、大丈夫」

  

そういうと霧島は雄二にスタンガンを押し当て気絶させると

 

霧島「……学生2枚2回分」

 

店員「はい。学生1枚気を失った学生1枚、無駄に2回分ですね」

 

貴・明「「……」」

 

工藤「代表達も来てたんだ」

 

明久「……雄二も大変だね」

 

貴浩「……ああ本当だな」

 

命「で、何見ようか?」

 

工藤「じゃあ、これ見る?1時間45分だよ」

 

貴浩「ああ、そうだな。それにしようか」

 

明久「学生4枚ください」

 

店員「はい」

 

工藤「あ、お金」

 

貴浩「俺が出すからいいよ」

 

工藤「ありがとう!」

 

明久「僕も命の分は出すよ」

 

命「え、でも…」

 

明久「お弁当のお礼だと思って、ね」

 

命「ありがとうございます」

 

俺達は券を買い中に入った。

 

 

~ Side ?? ~

 

 

「○○。お待たせ、状況は?」

 

「あ、○○ちゃん。映画を見に入りました」

 

「OK。どうする?一緒に入る?」

 

「そうですね、入りましょうか」

 

「学生2枚ください」

 

店員「はい」

 

 

~Side Out~

 

 

工藤「面白かったね」

 

貴浩「そうだな」

 

明久「次はどこ行く?」

 

工藤「う~ん、じゃあ『ラ・ぺディス』行く?なんかおいしいって有名らしいよ」

 

命「そうなんですか?少し気になります」

 

明久「なら、そこに行ってみようか」

 

 

 

        ☆ 

 

 

 

工藤「ここのクレープって美味しいね!」

 

命「うん。おいしいね明久君」

 

明久「本当だね(パクパク)」

 

貴浩「ああ本当だな。ここのはおいしいな」

 

ちなみに明久には俺が金を貸しているので映画代や食事代などが出せるのである。

 

貴浩「明久。そんな慌てなくても良いだろ」

 

明久「いや、久しぶりにクレープを食べたからつい」

 

工藤「吉井君っておもしろいね」

 

命「あの明久君。私の分のクレープ少し食べてみますか?」

 

明久「え?良いの?」

 

命「はい。食べ過ぎると…お肉がついちゃうから…」

 

明久「え?そうかな?命はスタイルが良いから気にしなくて良いと思うけどな」

 

命「え、ええ!?///」

 

明久の言葉に命は真っ赤になる

 

工藤「吉井君って女たらしだよね」

 

明久「え!?そんなことないよ」

 

明久は慌てる。命はまだ顔が真っ赤になっていた。

 

貴浩「……で、そこに隠れてる2人は何してんだ?」

 

「「(ビクッ)」」

 

明久「え?美波に姫路さん?何でここにいるの?」

 

姫路「いつから気づいたんですか?」

 

貴浩「映画館に入るころからかな?」

 

島田「(ガシィッ)」

 

明久「美波?なんで僕の腕を掴むのかな?」

 

島田「ねえアキ。こんなところで何をしているの?」

 

姫路「そうですね。何をされているんですか?」

 

明久「え?2人共?」

 

島田「今、命からクレープを食べさせてもらおうとしてなかった?」

 

姫路「そうですね。そんな不埒な事をしてはいけませんよ」

 

島田「じゃあそんなアキにはお仕置きが必要ね」

 

貴浩「ストップだ2人共!」

 

明久今のうちに。

俺はアイコンタクトで明久に伝える。

 

姫路「何ですか?織村君?今取り込み中なんですが」

 

島田「そうよ。今忙しいから後にして」

 

俺が2人の注意をこちらに向けていると

 

明久「命!逃げるよ!!」

 

明久は命の手を握り店を出て行った。

 

島田「な!?待ちなさいアキ」

 

貴浩「こらこら。何をしているんだ。店では静かにしないといけないぞ」

 

島田「ちょ。織村邪魔よ。どきなさい」

 

工藤「駄目だよ。それはできないよ」

 

俺と工藤は2人の前に立ち、明久たちのところに行かせない様にする。

 

姫路「なんで私達の邪魔をするんですか?」

 

このままじゃラチがあかないな……そういやこの店って確か……

工藤が2人を引きとめている間に俺は近くにいた店員を捕まえてある人物を呼んでもらった。

 

島田「とにかくどきなさいよ」

 

貴浩「そんなことより島田はここにいて大丈夫なのか?」

 

島田「どういう意味よ?」

 

貴浩「どういう意味ってそれは…」

 

清水「お姉様~」

 

貴浩「やっぱり清水がいたか」

 

なんか色々清水については明久から聞いた事があったんだよな。

 

島田「げ!?み、美春」

 

清水「お姉様。美春に会いに来てくれたのですね」

 

島田「そ、そんなわk──」

 

貴浩「何照れているんだ島田。わざわざ清水に会いに来たんだろ。

   良かったな清水。島田が遊びに来てくれて」

 

清水「確かあなたは……Fクラスの……

   それよりお姉さまが来ていることを教えてくれてありがとうですわ」

 

貴浩「いえいえ。ではでは2人ともごゆっくり」

 

俺はそういうと工藤を連れて店を出て行った。

 

島田「明日、覚えておきなさいよ!!」

 

店を出る時そんな声が聞こえた…怖すぎるわ!

もう2人はFクラスに染まってきたな。

 

その後俺は工藤さんを家まで送り届けて今日は家に帰った

 

 

~ Side 命 ~

 

 

まさか、2人がいるなんて驚きました。

でも貴浩君のおかげで何とか明久君のピンチを脱する事ができました。

 

そして今は私達は家の前にいます。

 

命「ふぅ、疲れたました」

 

明久「大丈夫命。ごめんね。ゴタゴタしてて」

 

命「い、いえ気にしないでください」

 

明久「…とりあえず、今日は終わりだね」

 

命「うん。ありがとう明久君。今日は楽しかったよ」

 

明久「僕も楽しかったよ。また機会があったら誘ってね」

 

命「あ、はい!!じゃあ、また学校で」

 

明「うん。また学校で」

 

そう言って、明久君と別れました。

帰ってくるまで明久君に手をつないでもらっちゃった///

 

 

ちなみに優姉と秀兄が着いて来なかったのは、

秀兄は楓に頼んでどこかに連れて行ってもらって、

優姉はついてきたら口をきかないといっておいたのでついてこなかったりします



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オリエンーテーリング大会

4/24 修正


命「文月学園主催お宝争奪オリエンテーリング大会ですか?」

 

張り紙に表示された情報に命が首をかしげる。

 

雄二「なんか豪華な賞品が出るらしいぞ」

 

雄二が賞品が書いてある紙をプリントアウトして持ってきた。

 

明久「結構豪華だね、学食の食券一年分とか、新作ゲームの引換券なんてのもあるね」

 

明久が賞品の一部を読み上げていく。

 

姫路「このシークレットアイテムってなんでしょう?」

 

姫路がシークレットアイテムの所を指さす。

 

島田「さあ?取ってからのお楽しみってことじゃない」

 

貴・楓「「おはよう(ございます)」」

 

皆がオリエンテーリングの話をしているところに織村兄妹登場。

 

貴浩「何の話をしてたんだ?」

 

明久「それはね……」

 

明久が貴浩にオリエンテーリング大会の事を話をした。

 

貴浩「オリエンテーリングね……何か裏がありそうだな」

 

明久「裏って?」

 

貴浩「予感がするだけ。気にすることもないだろうけど」

 

あの学園長が変な事考えてなければ良いけど。

その後鉄人が教室内に入ってきてHRが始まった。

 

西村「え~お前たちもすでに知ってるだろうが、

   今日はこれからオリエンテーリングがある念のためルールを復唱しておくぞ。

   ルールは、三人一組のチームとなり、

   謎をといて座標をわりだすと、引換券入りのカプセルがみつかる」

 

三人チームか、だれと組むかな?

 

西村「それとオリエンテーリング中は携帯電話は使用禁止なので覚えておくように」

 

それはカンニング防止のためだろうな

 

西村「それではグループを発表する」

 

グループはもう決めてあったのか。

 

F「神よ、どうか姫路さんとペアに」

 

F「楓様愛してる!」

 

F「命様抱かせてくれ!」

 

F「姫路さん結婚して!」

 

クラス内から祈りが聞こえる。

そろそろ皆に熱烈アタックをしている奴を付きとめたほうがよさそうだ。

そして鉄人がにグループをかいてある紙を貼りつける。

 

えーと俺は…明久と命とチームか。

他には雄二、秀吉、ムッツリーニチームと島田、姫路、楓チームか。

 

「「「「畜生ォォ!!」」」」

 

クラスメイトの絶叫が響わたる。

 

西村「問題児は一ヶ所に集めておいた。何をするかわからんからな」

 

そんな理由で決めたのか!?なんて失礼な!俺らが一体何をしたっていうんだ。

 

西村「それではこれが問題用紙だ」

 

「「「「なにぃーーっ!!?」」」」

 

まさかの問題用紙にクラスメイトが驚く。

これじゃあ問題が解けなきゃ景品が手に入れられないというわけか。

 

西村「これも授業の一環だ!真面目に取り組むように」

 

強制的にHRを終わらせられ、オリエンテーリングが開始された。

 

明久「貴浩の嫌な予感当たったね」

 

命「謎ってこういう事だったんですね」

 

今俺達は教室内で机を囲んで問題を解こうとしている最中だ。

 

貴浩「問題のX座標が横でY座標が縦、Z座標が高さを表しているってことか」

 

命「全部選択問題みたいだけど難しそうだね」

 

明久「なんだ、選択問題なんだ。それなら簡単だね」

 

貴浩「なんだ明久?お前選択問題得意だったのか?」

 

明久が選択問題を得意としてるとは知らなかったな。

 

明久「まかせてよ。自称、選択問題の魔術師と言われている僕に」

 

自称なら言われてるんじゃないだろ。不安が残るな。

 

明久「いくぞ!ストライカーシグマV!」

 

明久が鉛筆を構え転がす。

 

明久「……わかった!X座標652、Y座標237、Z座標は5!発見!

   ターゲットはあそこだ!!」

 

そう言って明久は窓の外を指さす。

 

命「……おもいっきり空中ですけど」

 

明久「あれ?」

 

貴浩「明久……その鉛筆はもう使うな!」

 

ボキッ!!

 

明久「ああ!ストライカーシグマVゥゥ!!」

 

貴浩「……先が思いやられるな」

 

それから一時間経つがいまだに当たりは見つからない。

 

明久「なかなか当たりは出ないね」

 

貴浩「そうだな…今度はこれでどうだ?」

 

俺が数学の問題を囲み場所を導き出す。

 

命「ここは…体育倉庫みたいですね」

 

明久「それじゃあ行ってみようよ」

 

俺達は体育倉庫に向かった。

 

明久「えっと、座標だとここだけど……あった!」

 

命「やったね明久君♪」

 

貴浩「中身見てみようぜ」

 

明久「そうだね、えっと…如月グラウンドパークプレオープンチケットだって」

 

今度オープンするっていうテーマパークのチケットか。

 

貴浩「ちょうどペアのようだし2人で行って来たらどうだ?」

 

命「え!?私が明久君と…」

 

明久「でも貴浩はいいの?誰かと行かないの?」

 

貴浩「俺には相手がいないからな。だから二人で行って来いよ。

   明久は命に勉強とか色々世話になってるんだから

   そのお礼もかねて遊んでくるといいさ」

 

明久「そうだね……命一緒に行く?」

 

命「う、うん。明久君がいいなら」

 

仲睦ましいことで。さて頑張れ命!

 

すると一つのグループが体育倉庫に入ってきた。

それは、砂原となのは、椎名のチームだった。

 

砂原「おお、ター君♪ここで会うとはなんという運命♪」

 

貴浩「なのはたちもここに取りにきたのか?」

 

なのは「そうだよ。ここで2つ目だよ」

 

明久「1つ目はなんだったの?」

 

砂原「学食の食券一年分だったぜ♪」

 

明久「あっ、いいな~それ」

 

なのは「ところでここの景品はなんだったの?」

 

貴浩「如月グラウンドパークプレオープンチケットだ」

 

なのは「そうなんだ。それはどうするの?」

 

貴浩「明久と命が行くつもりだけど」

 

なのは「そうなの…それなら見逃さないとね。2人の邪魔はしないよ」

 

貴浩「助かるよ。お前らと戦っても勝つのが難しいからな」

 

なのはが砂原たちを引き連れて出ていこうとする。

 

砂原「バイバイ、ミコりん♪アッキーとお幸せに♪」

 

命「鈴歌ちゃん!」

 

砂原が最後に命をからかいながら出ていった。

 

貴浩「気を取り直して次行くか」

 

明・命「「うん」」

 

あれから3問ほど解いたがすでに景品は取られた後だった。

今は理科準備室に向かっている。

 

明久「今度こそ2つ目の景品を手に入れるよ!」

 

命「気合い入ってるね明久君」

 

貴浩「自分で解いた問題だからじゃないか?」

 

命「そうかもですね」

 

明久「……あった!合ったよ!」

 

明久が手を振ってアピールしてくる。

 

貴浩「なにがでたんだ?」

 

明久「えっとね・・・商店街の商品券2万円分だって。貴浩いる?」

 

貴浩「いいのか?せっかく明久が自分で解いたのに」

 

明久「うん、僕たちはチケット貰ったしね。命もいいよね」

 

命「うん、大丈夫だよ。いつも貴浩君にはお世話になってるもん」

 

貴浩「それなら遠慮なく貰うとするさ」

 

少しは食事代の足しになるかな。

 

「早く早く、準備室ここだよ」

 

「待ってよ」

 

「…あ、貴方達Fクラスの…」

 

ちっ、鉢合わせしちまったかめんどくさいな。

 

「お宝を持ってるわね。出入口はここだけだし渡してもらうわよ」

 

貴浩「そう簡単にはやれないな」

 

「言ってなさい、ルーティ先生丁度良いところに。召喚許可を願います」

 

ルーティ「わかったわ、承認します」

 

日本史のフィールドが張られる。

 

「「「サモン!!!」」」

 

かけ声に答えて、三体の試験召喚獣が姿を現した。

 

貴浩「フィールドが日本史だったのを呪うんだな、いくぞ明久、命!」

 

明久「了解!」

 

命「うん!」

 

貴・明・命「「「サモン!!!」」」

 

俺たちの召喚獣も召喚される。

 

Cクラス×3 105&132&122点

 

Fクラス 織村貴浩&吉井明久&木下命 453&175&155点

 

遅れて全員の点が表示される。

 

「なっ!?なんなのあの点数!」

 

「ホントにFクラスなの!」

 

貴浩「さっさとおわらせるか」

 

明「そうだね」

 

「やあ!」

 

明久に向かって剣が振り下ろされる。

 

明「ほっと」

 

それをかわして、逆にその突進力を利用して相手の召喚獣の首に木刀を突き立てた。

 

「なんですって!?」

 

明久のやつさらに召喚獣の使い方が上手くなってるな。

Aクラスとの戦いで経験値たくさんもらったか?

他の二人も俺と命に一撃でやられて景品を守ることに成功した。

 

そして次に命が現代文の問題を解き俺達はFクラス横にある空き教室にきていた。

 

明久「確かここら辺だよね?」

 

明久が座標に記された場所を探していく。

 

命「あっコレじゃないですか?」

 

そこで命が棚の中に入っていた景品が入っている袋を取り出した。

 

貴浩「今度はなんだ?」

 

命「えっとですね…何か紙とネックレス?が入っていますね」

 

俺は命から紙を受け取ると

 

貴浩「えっと……コレはシークレットアイテムってヤツだな」

 

明久「えっ?本当に」

 

袋の中には説明書と3つのネックレスが入っていた。

『剣』『馬』『杖』をモチーフにしたネックレスが入っていた。

 

貴浩「ああ、ネックレスが3つあるだろ?

   そのネックレスは召喚獣の特殊アイテムらしいな。

   詳しい事は後で説明書を見るか」

 

明久「そうなんだ。でもシークレットていうんだから悪いものじゃないよね」

 

命「そうですね」

 

その3つのネックレスは

『剣』⇒明久

『馬』⇒貴浩

『杖』⇒命   というなった。

 

 

その後はとくに景品を得ることができず終了の時間になってしまった。

 

現在俺達は他の景品を引きかえて教室内にいた。

 

貴浩「はぁ~あんなに問題解いたのに結局手に入ったのは3つだけか」

 

島田「まだいいじゃない、ウチらなんて1つよ」

 

秀吉「ワシたちは2つだったのじゃ」

 

姫路たちは1つ、雄二たちは終了直前に屋上で見つけて2つ手に入れたようだ。

 

島田「ところであんたたちのそれ?」

 

島田が袋を指さす。雄二たちも俺達と同じような袋を持っていた。

 

雄二「わからん取りあえず開けてみるか」

 

秀吉「そうじゃな」

 

雄二が袋を開けて景品を取り出す。

中には『槍』『骸骨』『怪物』をモーチフにした3つのネックレスが入っていた。

 

楓「何でしょうこれ?」

 

明久「多分それシークレットアイテムだよ」

 

雄二「ん?なんでわかるんだ?」

 

貴浩「俺達もソレに似たの持ってるからな」

 

楓「兄さん達もシークレットアイテムを手に入れたんですね」

 

貴浩「まあな」

 

雄二「まあ設備を守るのに一役かいそうだな」

 

だな。結構便利そうだ。

 

姫路「あっそうでした。私タルト作ってきたんですけど3つしかないんですが

   皆さんいかがですか?」

 

そこで周りの空気が凍りついた。

 

貴浩「第1回!!」

 

明久「ガチンコ」

 

雄二「じゃんけん対決!!」

 

秀・康「「いえーーーーい!!」

 

俺たち男性陣は目を合わせじゃんけんで負けた3人が犠牲になる事を確認した。

もちろん、楓と命は参加させません。

 

雄二「いくぞ!!」

 

貴浩「最初はグーじゃんけん!!」

 

じゃんけんが終わると3人の屍があった。

明久、雄二、秀吉の3人がじゃんけんに負けたのだ。

 

楓と命に頼んで島田と姫路の気をそらしてもらい

俺とムッツリーニが3人の蘇生作業をしていたのは言う必要が無いだろう。

 

しばらくして、

 

貴浩「大丈夫か?」

 

俺は楓が買ってきたお茶を渡す

 

明久「僕、死んだおじいちゃんにあったよ」

 

雄二「…本当に凄い威力だな。あれは」

  

秀吉「今回はじめて姫路の料理を食べたがあれは凄いとしか言えんの」

 

3人は何とか蘇生に成功して蘇った。

 

そして、よろよろと歩く明久たちを家に送り届けて帰宅した。




にじファンとpixivで投稿した内容と変えてみました。


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シークレットアイテム 設定&説明

4/24 修正


シークレットアイテム

 学園長と物理の森田先生が共同開発してできた召喚獣強化アイテム。

 

 

~『剣』のネックレス~

  保有者:吉井明久

  発動すると任意で召喚獣の装備が白い騎士甲冑姿に変わる。

  発動キー『セイバー』

  【能力】・・・召喚獣が使用できる力

   ①約束された勝利の剣(エクスカリバー)

    召喚獣の点数を光に変換、集束・加速させることで運動量を増大させ、

    光の断層による「究極の斬撃」として放つ。

    攻撃判定があるのは光の斬撃の先端のみだが、

    その莫大な光の斬撃が通り過ぎた後には膨大な熱が発生するため、

    結果的に光の帯のように見える。威力・攻撃範囲ともに大きい。

    ●消費点数:100点

   ②全て遠き理想郷(アヴァロン)

    ネックレスの能力を発動すると自動的に能力が発動する。

    ある程度の腕輪の攻撃を減退させ受けるダメージを減らすことができる。

    また試験召喚戦争で1度だけ点数を戦争開始前の点数に回復することが出来る。

   ③使い魔(サーヴァント)召喚

    自身の召喚獣を召喚している時のみ召喚可能。

    サーヴァントは自我を持っており召喚者の指示に従ったり

    自分の意志で動くことが出来る。

    ☆セイバー:アルトリア(アーサー・ペンドラゴン)

         ・能力はfateのセイバーと同じ。

     ■保有スキル

      ・直感:A

       戦闘時、未来予知に近い形で危険を察知する能力。

      ・点数放出:A

       身体や武器に点数を纏わせて強化して戦う技能。

      ・カリスマ:B

       戦闘における統率・士気を司る天性の能力。

     ■点数

      詠唱あり⇒800点、総合科目では9600点

      詠唱なし⇒召喚獣と同じ点数。

     

 

~『槍』のネックレス~

  保有者:坂本雄二

  発動すると任意で召喚獣に赤と黄色の2つの槍が装備される。

  発動キー『ランサー』

  【能力】

   ①破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)

    刃が触れた対象の効果を打ち消す。

    貴浩や姫路の腕輪の攻撃やなのはの召喚獣のような魔術要素みたいな攻撃を

    打ち消すことができる。ムッツリーニの腕輪のような能力は消す事はできない。

    ●消費点数:50点

   ②必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)

    この槍で付けられた傷は、槍を破壊するか召喚者が戦死しない限り癒えることがない。

    つまり試験召喚戦争中はフィールドを出ても傷が治ることがない。

    腕を切り落とされたならその状態のままになる。

    試験召喚戦争が終結したら元に戻る。

    消費点数:80点

   ③使い魔(サーヴァント)召喚

    自身の召喚獣を召喚している時のみ召喚可能。

    サーヴァントは自我を持っており召喚者の指示に従ったり

    自分の意志で動くことが出来る。

    ☆ランサー:クー・フーリン

          ・能力はfateの5次のランサーと同じ。

     ■保有スキル

      ・戦闘続行:A

       往生際が悪く、瀕死の状態でも戦闘を続行するスキル。

       点数が0点になっても1分間なら行動することが可能。    

      ・仕切り直し:C

       戦闘から離脱する能力。

       自由に召喚フィールドから撤退することができる。

       サーヴァントなので召喚戦争のルールにて当てはまらないので

       戦死扱いにならない。

      ・矢よけの加護:B

       視界内からの飛び道具の攻撃への対処能力。

       ただし、超遠距離や広範囲攻撃には無効。

       ランサーの射的武器への耐性は“風切り音と敵の殺気”から軌道を読む。

       それに対して、セイバーは“風切り音と自らの直感”で投擲武器の軌道を読む。

     ■点数

      詠唱あり⇒700点、総合科目では8400点

      詠唱なし⇒召喚獣と同じ点数。

 

 

~『馬』のネックレス~

  保有者:織村貴浩

  発動すると任意で召喚獣の装備に紅いマントが追加される。

  発動キー『ライダー』

  【能力】

   ①王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)

    召喚獣の近衛兵団を独立サーヴァントとして召喚して師団規模の兵団で蹂躙する。

    師団の規模は1クラス分の規模となる。

    1体の点数は100点。総合科目だと1000点となる。

    ●消費点数:150点

   ②遥かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ)

    「神威の車輪」による、真名解放を伴う蹂躙走法。

    神牛の蹄と車輪による二重の攻撃に加え雷撃効果が付与されている。

    ※神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)

     二頭の飛蹄雷牛(ゴッド・ブル)が牽引するチャリオットであり、

     地面だけでなく、空までも自らの領域として駆け抜けることが可能。

    ●消費点数:30点

   ③使い魔(サーヴァント)召喚

    自身の召喚獣を召喚している時のみ召喚可能。

    サーヴァントは自我を持っており召喚者の指示に従ったり

    自分の意志で動くことが出来る。

    ☆ライダー:メドゥーサ

          ・能力はfateの5次のライダーと同じ。

     ■保有スキル

      ・魔眼:A+

       最高レベルの魔眼・キュベレイを保有。

       点数が低い者はほぼ無条件で石化されてしまう。

       高い点数を持つものでも、全能力値が低下する“重圧”をかけられてしまう。

       ※Eクラス以下の点数を持つと石化してしまう。   

      ・単独行動:C

       召喚者からの離れた場所に居ても現界していられる能力。

       よって召喚者とは違う召喚フィールドにいることができる。

      ・怪力:B

       一時的に筋力を増幅させる、魔物・魔獣が保有する能力。

       使用中は筋力をワンランク上昇させる。

       また使用中、召喚者の召喚獣も力が上昇する。

     ■点数

      詠唱あり⇒600点、総合科目では7200点

      詠唱なし⇒召喚獣と同じ点数。

           ※ただし600点以上にはならない。

  

    

~『杖』のネックレス~

  保有者:木下命

  発動すると任意で召喚獣に書物とナイフが装備される。

  発動キー『キャスター』

  【能力】

   ①破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)

    攻撃力は普通のナイフと同程度しかないが、

    敵の召喚獣をナイフで刺すと召喚者と召喚獣との操作を断ち切ることができ、

    刺した召喚獣を操作することができる。最大3体まで

   ②螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)

    それ自体が点数を持つ書。

    ネックレスの能力を発動したら自動的に召喚獣の手に

    この書物が持たされた状態になり点数が加点される。

    ●加算点数

     ・単体科目:+100点

     ・総合科目:+1200点

    また、点数を払う事で水の精霊を召喚する事ができる。

    召喚中の精霊は常時書からの点数供給がなければ現界を保ってはいられず、

    一瞬でも供給が途切れると消滅する。

    ●消費点数

     ・召喚時:50点

     ・現界:10点(10分間)         

      ※精霊が攻撃する時別に点数を消費する。

   

       

~『骸骨』のネックレス~

  保有者:土屋康太

  発動キー『アサシン』

  【能力】

   ①妄想幻像(ザバーニーヤ)

    召喚獣を分割に伴い自身の能力の分割を行い、

    別の個体として活動することを可能とする(最大30体まで)

    本体を除く分割した召喚獣はほぼ機械的な動きしかできない。

    自身の点数を「分割」する為、個体数は増えても力の総量は同じである。

    従って分割すればするほど一個体の能力は落ちていくが、

    スキルである「気配遮断」だけは衰えることが無く、

    これを最大限利用することで非常に優秀な「諜報組織」と化す。

    召喚者とは違う召喚フィールドに存在することが出来る。

    まさにムッツーニ向きの能力といえる。

    分割された個体が戦死すれば、その個体は還元されることはなく消滅する。

    持っている情報はフィードバックをかえして召喚者に情報共有できる。

    ●消費点数:0点

     ※フィードバック作用が観察処分者と同じようになる。

   ②気配遮断

    召喚獣の気配を遮断する。完全に気配を絶てば発見することは不可能になる。

    ただし、自ら攻撃を仕掛けると気配遮断のランクが低下する。

 

 

~『怪物』のネックレス~

  保有者:木下秀吉

  発動すると任意で召喚獣の装備が黒い騎士甲冑姿に変わる。

  発動キー『バーサーカー』

  【能力】

   ①無毀なる湖光(アロンダイト)

    絶対に刃が毀れることのない。武器破壊されることがない。

    全ての能力を1ランク上昇させることができる。

    ●消費点数:10点

   ②騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)

    手にした相手の武器をを自身の武器として扱う能力。

    腕輪の能力でも手に掴める物なら扱うことが出来る。

    ●消費点数:0点

   ③使い魔(サーヴァント)召喚

    自身の召喚獣を召喚している時のみ召喚可能。

    サーヴァントは自我を持っており召喚者の指示に従ったり

    自分の意志で動くことが出来る。

    ☆バーサーカー:ヘラクレス

         ・能力はfateの5次のバーサーカーと同じ。

     ■保有スキル

      ・戦闘続行:A

       往生際が悪く、瀕死の状態でも戦闘を続行するスキル。

       点数が0点になっても1分間なら行動することが可能。

      ・心眼(偽):B

       直感・第六感による危険回避。

      ・狂化:B

       能力を1づつランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。

     ■能力

      十二の試練(ゴッド・ハンド)

       蘇生魔術を重ね掛けすることで代替生命のストック11を有する

       (もとから持つ命と合わせて12回殺さないと死なない)。

     ■点数

      詠唱あり⇒500点、総合科目では6000点

      詠唱なし⇒召喚獣と同じ点数。

      召喚持続消費点数:30点(10分)

 

 

~『王』のネックレス~

  保有者:霧島翔子

  発動すると任意で召喚獣の装備が金の騎士甲冑姿に変わる。

  発動キー『キング』

  【能力】

   ①天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)

    かつて混沌とした世界から天地を分けた究極の一撃。

    「エア」「乖離剣」と呼ぶ。

    無銘にして究極の剣から放たれる空間切断。

    風の断層は擬似的な時空断層までも生み出す。

    尚、真名解放中に起こる風で武器が吹き散らされる為、

    「王の財宝」の武器射出との併用はできない。

    ●消費点数:150点

   ②王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

    バビロニアの宝物庫と、それに繋がる鍵剣。

    持ち主の蔵と空間を繋げる能力を持つ。

    蔵には召喚獣が持っている武器全て(教師含め)が入っている。

    ●消費点数:30点

   ③天の鎖(エルキドゥ) 

    数少ない「対召喚獣宝具」の一つで、

    相手の召喚獣の点数が高い相手(400点以上)ほど制約・拘束力が高まる。

    ただし、あくまでも「拘束」であるので、これ自体に対象を傷つける能力はない。

    点数が低いものにとっては少々頑丈な鎖。

    相手次第だが、対象を完全に無力化できるわけではない。

    消費点数:0点

    ※ただし召喚獣は1体までしか拘束できない。 

 

 

 

 

 

※ちなみに召喚獣の大きさはは大体腰から膝の間位の大きさで

 使い魔の大きさも同じほど。

 ただし、バーサーカー(ヘラクレス)だけは胸ぐらいまでの大きさがある。

 

※ネックレスを発動させている間は物理干渉ができるようになる。

 その時はフィードバック作用が特別処遇者の半分ほどつく。

 使い魔も物理干渉できる。

 

 

 

 

『詠唱』

 サーヴァント召喚能力があるネックレスのみ有効。

 以下の詠唱を告げるとサーヴァントの能力・点数を上昇させて召喚することができる。

 しかし、詠唱には召喚者の召喚獣を召喚している状態でないといけない。

 また詠唱中は召喚獣は全くの無防備状態になるので詠唱には危険が生じる。

 

 

基本的には以下の通りである。

 

素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する。

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

召喚システムの寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!




まだ何個かシークレットアイテムがあるので
公開され次第更新していきます。


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清涼祭
祭り好き


4/24 修正


俺達が通う文月学園は、

新学期最初の行事である『清涼祭』の準備が始まりつつあった。

なので色々な出し物の準備をすすめているクラスがほとんどである。

 

 

そして、2-Fクラスはと言うと──

 

 

須川「吉井!こいっ!」

 

明久「勝負だ、須川君!」

 

Fクラスメンバーの大半が準備もせずに野球をしていた。

 

また2-Fの教室では秀吉や楓、命、姫路、島田の5名が

ゆっくりと読書をしていたりと自由にしていた。

 

俺、織村貴浩はというと──

 

西村「お前ら、清涼祭の準備は……」

 

そこで教室の扉を開けて入ってきたのは鉄人こと西村先生と貴浩だった。

 

貴浩「秀吉。皆は?」

 

俺は先ほどまで色々と合って鉄人の所に行っていたのだ。

 

訳は後ほど…

 

秀吉「皆はグランドで野球をしておるぞ」

 

貴浩「何だと!?俺もやりたかった……」

 

俺が膝をついて落ち込む

 

西村「お前も、あいつらもまったく…」

 

鉄人は呆れる様にため息をつく

 

貴浩「……じゃあ先生。すみませんが呼んできてもらってもいいですか?

   呼んでいる間に清涼祭の準備をしときますので」

 

俺は鉄人にそう頼んだ。

 

実はと言うと俺はこのクラスの清涼祭の実行委員をしている。

理由は雄二がやる気が無かった事と俺が祭りとかが好きな事で俺が立候補してなった。

 

楽しい事大好きですから。

 

 

        ☆

 

 

しばらくすると、鉄人が皆を連れて戻ってきた

 

西村「この時期になって清涼祭に向けて動いてないのはウチのクラスだけだぞ!

   まったくお前達は……少しはまじめにやったらどうだ。

   今は織村兄が動いているだけじゃないか!」

 

明久「ん?貴浩。今何かしているの?」

 

今の鉄人の言葉に明久が疑問を持ち俺に尋ねてきた。

 

貴浩「ああ。今から言おうと思ってたんだが……」

 

俺は一息つくと

 

貴浩「今年、俺たちのクラスはAクラスと合同で出し物をすることになった」

 

「「「「「何ぃいいいい!?」」」」」

 

Fクラス全員から驚きの声が上がる。

 

雄二「どういうことだ?」

 

貴浩「前にこの教室を掃除した時なんだが、

   この教室があまりにも衛生状態がヤバいんで、

   さすがに客を入れて商売するのはまずいと思い、

   西村先生たちと相談してAクラスと一緒に出し物をする事になった」

 

雄二「理由はわかったが、何故Aクラスなんだ?」

 

貴浩「頼みやすかったからな。まあ他にも色々とあるが……」

 

優子とか霧島とか…………久保とか

 

明久「それでAクラスと一緒にするの?」

 

貴浩「ああ。頼んだら了承をもらえたからな」

 

雄二「よく了承をもらえたな」

 

貴浩「それは簡単だった。Fクラスと合同になれば休憩時間も増えるからな。

   清涼祭をより楽しむ事ができるからだって」

 

Aクラスの人達でもやっぱり高校生なので勉強ばかりではなく楽しみたいらしい

 

雄二「そんなこと独断で決めるなよ」

 

雄二はこの決定に不満があるらしい

 

貴浩「だって俺このクラスの学園祭実行委員だしな。

   それに皆もいいと思うんだけどな。

   これを理由にAクラスの女子と会話できたりするんだし、

   もしかしたら一緒に休憩して仲を深めることだできるかもしれないしな。

   皆にとっても悪くは無いと思うけどどうかな?」

 

「「「「「意義なし!!」」」」」

 

貴浩「というわけで、俺たちは特別にAクラスと合同で出し物をする。

   そんでもって、もう出し物は決まっている」

 

秀吉「もう決まっておるのか!?」

 

貴浩「ウチのクラスがモタモタしているからもうAクラスで決めてもらった」

 

明久「で、何をするの?」

 

貴浩「確か、メイド・執事喫茶だったな」

 

「メイドだと!?」

 

「最高だな」

 

貴浩「で、もう時間が無いからこっちでだいたいの役割とか決めたからな。

   ちなみに、この中の男子で料理が作れる奴は挙手してもらっていいか?」

 

俺が尋ねると、約10名ぐらいの男子が手を上げた

 

貴浩「今手を上げた男子は全員厨房担当で、

   その他の男子はホール担当で、明久と雄二と俺は両方とも担当で、

   そして雄二は俺の補助よろしく」

 

「「「「「了解」」」」」

 

雄二「ちょっと待て。何で俺が…」

 

雄二が反抗してきたが

 

貴浩「……やってくれたら霧島対策するぞ」

 

雄二「喜んでやろう」

 

一瞬で俺についてくれた

 

貴浩「で、女子は姫路と島田はホール担当で、

   楓と命は悪いけど両方担当してもらって良いか」

 

島田「わかったわ」

 

楓・命「「頑張ります」」

 

姫路「あの私も料理のお手伝いできますけど…」

 

貴浩「いや…姫路も島田も美人な方だからホールオンリーで頼みたいんだ」

 

姫路が爆弾発言してきたのでやんわりと断りを入れた。

そこで明久達から『ナイス』というアイコンタクトが目にはいる。

 

貴浩「それに、楓と命を厨房に入れるのには訳があるんだ」

 

姫路「訳ですか?」

 

貴浩「正直メイド服姿の楓と命を名前も知らないような男達に見せたくない!!

   これは優子も同じことを言ってたからな」

 

俺はきっぱりと宣言した

 

秀吉「それは貴浩の言うとおりじゃな」

 

貴浩「と言う事で、姫路はホール専門でどうかよろしく頼む」

 

姫路「はい、そういう事なら」

 

貴浩「じゃあ今からひとまずAクラスと合流するから、

   男性陣は装飾などの力仕事よろしく。ここで良い所見せるんだぞ。

   そしたら好感度が上がるかもしれないぞ。

   女性陣は優子の指示に従ってくれ。

   で、明久と雄二と秀吉は俺のサポートで、ムッツリーニは衣装についてよろしく頼む」

 

俺はそう言うと雄二と明久を連れて学園長室に向かった

この間行ったFクラスの不備について報告するつもりだ。



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妖怪との交渉

4/24 修正


俺達は学園長室へと向かうと

 

 

『……賞品の……として隠し……』

 

『……こそ……勝手に……如月ハイランド……』

 

 

学園長室前まで来ると、部屋から誰かが言い争っている声が聞こえてきたが

あまり関係なさそうなので気にしないことにした。

 

雄二「失礼しまーす!」

 

明久と雄二がドアをノックして学園長室に入っていく。

 

学園長「本当に失礼なガキどもだねぇ。普通は返事を待つものだと思うんだよ」

 

俺もずっと廊下に立っている訳にもいかないので中に入る。

 

教頭「やれやれ。取り込み中だというのに、とんだ来客ですね。

   これでは話を続けることもできません……まさか、貴女の差し金ですか?」

 

そう言ったのは教頭の竹原先生だ。

鋭い目つきに眼鏡をしていて、

クールな態度で一部の女子生徒に人気が高いらしいが俺はコイツの事が嫌いだ。

コイツの目は俺たちを見下しているような感じがするからだ。

 

学園長「馬鹿を言わないでおくれ。

    どうしてこのアタシがそんなセコい手を使わなきゃいけないのさ。

    負い目があるというわけでもないのに」

 

教頭「それはどうだか。学園長は隠し事がお得意のようですから」

 

学園長「さっきから言っているように隠し事なんて無いね。アンタの見当違いだよ」

 

教頭「……そうですか。そこまで否定されるならこの場はそういうことにしておきましょう」

 

そういって、竹原先生は部屋の隅を一瞬見てから、

 

教頭「それでは、この場は失礼させて頂きます」

 

なんだろう? 盗聴でもしているんだろうか?

まあ気にしないでおこう。

 

学園長「んで、ガキども。アンタらは何の用だい?」

 

雄二「今日は学園長にお話があって来ました」

 

流石の雄二もここは敬語なんだな、ま、当たり前か。

俺でも一応敬語を使っているんだ。本当は嫌だけど・・・

 

学園長「私はそれどころじゃないんでね。

    学園の経営に関することなら教頭の竹原に言いな。

    それと、まずは名前を名乗るのが社会の礼儀ってモンだ。覚えておきな」

 

雄二「俺は2年F組代表の坂本雄二。それでこちらにいるのが織村貴浩。

   最後に紹介するのは―――」

 

雄二は名前を名乗ってから明久を示して紹介する。

 

雄二「―――2年生を代表するバカです」

 

学園長「ほぅ……そうかい。アンタたちがFクラスの織村と坂本と吉井かい」

 

明久「ちょっと待って学園長! 僕はまだ名前を言ってませんよね!?」

 

そりゃあ、一応これでも学園長なんだから観察処分者の事ぐらいは知ってるだろうよ。

まあ俺は去年から実験とかに付き合っているから覚えているだろうけど。

 

学園長「気が変わったよ。話を聞いてやろうじゃないか」

 

雄二「ありがとうございます」

 

学園長「礼なんか言う暇があったらさっさと話しな、ウスノロ」

 

雄二「わかりました」

 

この性格は前から知ってたから特に気にしないが、

それよりもこれだけ罵倒されているのに落ち着いている雄二に驚いている。

 

雄二「Fクラスの設備について改善を要求しにきました」

 

学園長「そうかい。それは暇そうで羨ましいことだね」

 

雄二「今のFクラスの教室は、まるで学園長の脳みそのように穴だらけで、

   隙間風が吹き込んでくるような酷い状態です」

 

さすが雄二…少しずつメッキがはがれてきたな。

 

雄二「学園長のように戦国時代から生きている老いぼれならともかく、

   今の普通の高校生にこの状態は危険です。

   健康に害を及ぼす可能性が非常高いと思われます」

 

結構きれてるな

 

雄二「要するに、隙間風の吹き込むような教室のせいで体調を崩す生徒が出てくるから、

   さっさと直せクソババァ、というワケです」

 

さすがだぜ雄二。期待を裏切らない男だ。

 

学園長「…ふむ、丁度いいタイミングさね……」

 

何か言ったか、丁度いい?

 

学園長「よしよし。お前たちの言いたいことはよくわかった」

 

明久「え? それじゃ、直してもらえるんですね!」

 

学園長「却下だね」

 

明久「雄二、このババァをコンクリに詰めて海に捨ててこよう」

 

貴浩「明久何を言ってるんだ。

   そんなことしたら今後魚が食べられなくなるだろうが。

   だからここはこんがり焼いてから地中深くに埋めるんだよ」

 

もう俺も我慢しない。疲れた

 

雄二「まったく、このバカ共が失礼しました。

   どうか理由をお聞かせ願えますか? ババァ」

 

明久「そうですね。教えて下さい、ババァ」

 

貴浩「理由を教えてください ババァ」

 

学園長「お前たちは本当に聞かせてもらいたいと思っているのかい?」

 

学園長も呆れているが知った事ではない

 

学園長「理由も何も、設備に差をつけるのはこの学園の教育方針だからね。

    ガタガタ抜かすんじゃないよ、なまっちょろいガキども」

 

明久「それは困ります! そうなると、僕らはともかく身体の弱い子が倒れて」

 

学園長「―――と、いつもなら言っているんだけどね。可愛い生徒の頼みだ。

    こちらの頼みも聞くなら、相談に乗ってやろうじゃないか」

 

さっきの呟きからしてこうなるのは想定内だ。

それにババァが俺たちを可愛い生徒だって、気持ちが悪い。どうせ何かあるんだろう。

 

明久「その条件とはなんですか?」

 

黙っている雄二は気にせずに話を進めた。

 

学園長「清涼祭で行われる召喚大会は知ってるかい?」

 

貴浩「そうなんですか?今初めて知りました」

 

学園長「……まあ清涼祭で単体戦と2人1組のタッグマッチ戦の

    召喚大会が2試合行われるんだよ」

 

明久「そうなんですか」

 

学園長「じゃ、その優勝賞品は知ってるかい?」

 

明久「え? 優勝賞品?」

 

学園長「優勝者には正賞に賞状とトロフィーで、単体戦の優勝者には

    『深紅の腕輪』と『如月ハイランド プレオープンプレミアムペアチケット』、

    タッグマッチ優勝者には

    『黒金の腕輪』と『白金の腕輪』の2つの腕輪に

    『如月ハイランド プレオープンプレミアムペアチケット』を2枚渡すつもりだよ」

 

ペアチケットで雄二が反応していた。

 

明久「はぁ…。それと交換条件に何の関係が」

 

学園長「話は最後まで聞きな。慌てるナントカは貰いが少ないって言葉を知らないのかい?」

 

明久「知りません」

 

貴浩「威張って言うことじゃないぞ明久」

 

学園長「まあいいさ、この副賞のペアチケットなんだけど、

    ちょっと良からぬ噂を聞いてね。できれば回収したいのさ」

 

貴浩「回収?それなら、賞品に出さなければいいじゃないのか」

 

学園長「そうできるならしているさ。

    けどね、この話は教頭が進めたとは言え、

    文月学園として如月グループと行った正式な契約だ。

    今更覆すわけにはいかないんだよ」

 

確かに学園長は召喚システムの開発に手一杯だから

経営に関しては教頭に一任しているみたいだったな。

 

貴浩「契約する前に気付けよ。学園長なんだから」

 

学園長「うるさいガキだね。黒金の腕輪と白金の腕輪と深紅の腕輪で手一杯だったんだよ。

    それに、悪い噂を聞いたのは最近だしね」

 

学園長が眉をしかめます。

口調はアレですが、責任は感じているようだ。

 

明久「それで、悪い噂ってのは何ですか?」

 

学園長「つまらない内容なんだけどね、

    如月グループは如月ハイランドに一つのジンクスを作ろうとしているのさ。

    『ここを訪れたカップルは幸せになれる』っていうジンクスをね」

 

貴浩「それのどこが悪い噂なんだ? 良い話じゃないか」

 

学園長「そのジンクスを作る為に、プレミアムチケットを使ってやって来たカップルを

    結婚までコーディネイトするつもりらしい。

    企業として、多少強引な手段を用いてもね」

 

雄二「な、なんだと!?」

 

今まで黙っていた雄二が大声を上げた。

 

明久「どうしたのさ、雄二。そんなに慌てて」

 

雄二「慌てるに決まっているだろう! 今ババアが言ったことは、

   『プレオープンプレミアムチケットでやってきたカップルを

   如月グループの力で強引に結婚させる』ってことだぞ!?」

 

貴浩「いや、言い直さなくてもわかっているが」

 

学園長「そのカップルを出す候補が、我が文月学園ってわけさ」

 

雄二「クソっ!うちの学校は何故か美人揃いだし、

   試験召喚システムという話題性もたっぷりだからな。

   学生から結婚までいけばジンクスとしては申し分ないし、

   如月グループが目をつけるのも当然ってことか」

 

学園長「ふむ。流石は神童と呼ばれているだけはあるね。頭の回転はまずまずじゃないか」

 

学園長だからか、さっきから雄二や明久に詳しいな。

試召戦争とかで有名になったからか?

 

明久「雄二とりあえず落ち着きなよ。

   如月グループの計画は別にそこまで悪いことでもないし、

   第一僕らはその話を知っているんだから、行かなければ済む話じゃないか」

 

雄二「…絶対にアイツは参加して、優勝を狙ってくる……行けば結婚、

   行かなくても『約束破ったから』と結婚……。俺の、将来は……」

 

霧島は雄二に何て言ったんだ?そして雄二は何を約束したんだ?

 

学園長「ま、そんなワケで、本人の意思を無視して、

    うちの可愛い生徒の将来を決定しようって計画が気に入らないのさ」

 

本当は生徒を可愛いと思っていないだろ・・・

 

貴浩「つまり交換条件って言うのは―――」

 

学園長「そうさね。『召喚大会の賞品』と交換。それができるなら、

    教室の改修くらいしてやろうじゃないか」

 

明久のことだから強奪とか考えているんじゃないだろうな

 

学園長「無論、優勝者、準優勝者から強奪なんて真似はするんじゃないよ。

    譲ってもらうのも不可だ。私はお前たちに優勝をしろ、と言ってるんだからね」

 

出るからには優勝したいしな

 

明久「僕たちが優勝か準優勝したら、

   教室の改修と設備の向上を約束してくれるんですね?」

 

学園長「何を言ってるんだい。やってやるのは教室の改修だけ。

    設備についてはうちの教育方針だ。変える気はないよ」

 

明久。それは流石に欲張りすぎだ。

 

学園長「ただし、清涼祭で得た利益でなんとかしようっていうなら話は別だよ。

    特別に今回だけは勝手に設備を変更することに目を瞑ってやってもいい」

 

貴浩「わかりました。この話引き受けます」

 

学園長「そうかい。それなら交渉成立だね」

 

雄二「ただし、こちらからも提案がある」

 

話がまとまったから教室に戻ろうとしたら雄二が学園長に話しかけていた。

 

学園長「なんだい? 言ってみな」

 

雄二「召喚大会は形式はトーナメント制で、1回戦が数学だと2回戦は化学、

   といった具合に進めていくと聞いている」

 

学園長「それがどうかしたかい?」

 

雄二「対戦表が決まったら、その科目の指定を俺にやらせてもらいたい」

 

学園長「ふむ…いいだろう。点数の水増しとかだったら一蹴していたけど、

    それくらいなら協力しようじゃないか」

 

雄二「……ありがとうございます」

 

雄二には何か考えがあるんだろうな

 

学園長「さて。そこまで協力するんだ。当然召喚大会で、優勝できるんだろうね?」

 

雄二「無論だ。俺たちを誰だと思っている?」

 

2年の最低クラスの代表とバカ代表と戦バカだな

 

まあ冗談はさておいて、雄二はやる気全開のようだな。

 

明久「絶対に優勝して見せます。そっちこそ、約束を忘れないように!」

 

貴浩「やるからには優勝を狙わないとな」

 

学園長「それじゃ、任せたよ」

 

貴・雄・明「「「おうよっ!」」」

 

そういって俺達は学園長室を後にしてAクラスへと向かって行った。

 



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案を出そう!

4/24 修正


俺たちがAクラスに着くとAクラスでは少しずつ準備が進められていた。

 

優子「遅かったわね」

 

貴浩「悪いな。遅くなった」

 

優子「まあいいわよ。じゃあ手伝ってもらっても良い?」

 

貴浩「了解。じゃあさっき言った通りによろしく」

 

俺がそう言うと皆仕事しに行った。

 

霧島「……雄二遅い」

 

するといきなり雄二の背後から霧島さんが現れた

 

雄二「待て翔子。なぜ俺の頭を掴むんだ」

 

霧島「……遅かったからお仕置き」

 

霧島が雄二にアイアンクローしていた

 

貴浩「霧島ストップ!ひとまず雄二から手を放そう」

 

霧島「……このままじゃ駄目?」

 

貴浩「駄目だ。今は雄二が必要なので手を放してくれ」

 

そういうと霧島は嫌そうだったが雄二から手を放した

 

雄二「あ、ありがとう貴浩」

 

明久「僕たちは何をすればいいの?」

 

優子「それなんだけど。色々とやって欲しい事があるのでけど

   まずは喫茶に出す料理を決めようと思うんだけど」

 

明久「喫茶とかだとケーキとかクッキーが定番かな?」

 

優子「そうね。ただケーキといっても色々あるからね」

 

命「クッキーにも色々ありますしね」

 

貴浩「なら一度このクラスでアンケートを取ってみるか。

   で、その中から案を絞ってみよう」

 

優子「それがいいかもね」

 

貴浩「なら優子達は中の装飾や服のデザインを決めてもらってもいいか?

   ウチからはムッツリーニと秀吉、それと女性陣を

   そちらの班に入れてもらってもいいか?

   こっちは俺と明久がやるから、雄二は力仕事の方を指示してくれ?」

 

「「「「「問題なし」」」」」

 

そう言って皆各自の仕事に散って行った

 

明久「じゃあ僕達も動こうか」

 

明久がそう言うと俺たちも動き出した。

 

俺たちは喫茶店に出す料理が何がいいか案を聞く係りだ。

俺と明久は分担して聞く事にした。

 

周りの人達に案を聞いて最後に優子達に所に行った。

 

貴浩「なあ?喫茶店に出す料理は何が良い?」

 

優子「やっぱり無難にショートケーキかしらね」

 

楓「そうですね……私はショコラケーキとかも良いかなと思いますけど」

 

霧島「……クッキーも良いかもしれない」

 

命「私はシフォンケーキが良いかな」

 

皆が案を出してくれているので俺は言われたものをメモしていった。

そこで、椎名と目が合った。

 

貴浩「椎名は何かあるかな?」

 

椎名「……そうですね」

 

椎名は人見知りで最初合った時は砂原の後ろに隠れたりしたけど、

今では時々Aクラスに授業を受けに行くので話す回数も増えたこともあり、

そこまでは避けられなくはなったが、ある一定の距離に近づくと離れてしまう。

 

そんな事を考えていると椎名が案を出してくれた

 

椎名「……うまい棒」

 

砂原「ユッキーは面白い案をだすねぇ」

 

椎名「…おいしくて安いですから」

 

優子「でもうまい棒ってどうなの?」

 

椎「なら……うまい棒パンなんてどうでしょうか?」

 

貴浩「まあ案だからな。一応入れておく。他にはあるか?」

 

砂原「じゃあね。あんぱんなんてどう?」

 

楓「あんぱんですか?」

 

砂原「ただのあんぱんじゃないよん♪あんぱんエクスタシー(18禁版)!」

 

優子「どういう意味よ!?」

 

工藤「なんか面白そうだね」

 

康太「………18禁(ブシュー)」

 

秀吉「ムッツリーニよ。しっかりするのじゃ」

 

砂原「皆も知っての通り最近全年齢版から18禁版に転化することがあるよね。

   その例に則ってあんぱんにも革命を──」

 

命「そんなことしたら大人以外の人に売れないと思いますが…」

 

砂原「そこはほら、駆け引きだよ。見つかるか見つからないかの」

 

優子「いろんな意味での刺激なの!?」

 

貴浩「まあ、案だからメモはとるけど」

 

優子「とるの!?」

 

工藤「僕はシュークリームが良いな」

 

貴浩「シュークリームか。それは良いな」

 

命「そうですね」

 

優子「なら貴浩君。その中の案からいくつか絞ったものを

   皆に試食用に作ってきてくれるかしら」

 

貴浩「全員にか!?」

 

優子「当たり前じゃない。じゃないと皆も納得しないでしょうし」

 

貴浩「いやいや全員って…今このクラスには100名ほど居るんですが、

   そしたらプチサイズでもさすがに費用がかかるんですけど……」

 

それにそれだけの量だと時間も費用もかかるんですけど……

 

優子「それなら安心して費用なら多めに用意してあるから」

 

そこで優子から費用の金額が書かれた資料を見せてもらった。

それはまあ凄い。俺たちFクラスの当てられた金額の倍以上の金額だな。

 

優子「そこから、費用が出るから材料費は大丈夫よ。

   じゃあ今度にでも作ってきてもらっても良いかしら。その時は命を貸すから」

 

楓「その時は手伝うよ兄さん」

 

貴浩「わかった。その中から案を絞って作ってくる」

 

俺はそこ優子達と別れ明久と合流し案をまとめた。



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味見

4/24 修正


今日も俺たちはAクラスで清涼祭の準備をしていた。

 

そして俺と明久は昨日作ってきた喫茶店に出す用の食べ物を持ってきていた。

 

明久にはケーキ系を頼み、俺はそれ以外のものを作ってきた。

正直俺もケーキは作れるが楓や明久に比べると味が劣ってしまうので明久にケーキを頼んだ。

 

貴浩「優子、昨日言われた通り試食用に作ってきたぞ」

 

優子「もう作ってきたの?随分早いわね」

 

砂原「おぉ!ター君とアッキー早速作ってきたんだね!」

 

貴浩「まあ楓と命、なのはにも手伝ってもらったけどな」

 

砂原「それは楽しみだねぇ♪」

 

優子「なら一時休憩としようかしら」

 

優子はそう言うと皆は一時作業を止め集まってきた

 

明久「じゃあ僕はケーキを作ったから皆食べてみてよ」

 

貴浩「じゃあ俺も最初はクッキーを」

 

明久はそういうとショートケーキとショコラケーキ、シフォンケーキのプチサイズを出し、

俺はココアやオレンジ風味のクッキーなど5種類ぐらいのクッキーを出した。

 

砂原「じゃあター君にアッキーいただくね」

 

砂原がそう言うと明久が作ったケーキを食べる。

 

砂原「おぉ!おいしいよこれ」

 

砂原は感動したように声を出す。そういうと周りの人達も食べ始めた。

 

「おいしい」

 

「美味いなこれは」

 

「本当に美味しい」

 

と周りから美味しいと言う声が聞こえた。

作ってきて美味しいと言われるのは嬉しい。

 

周りがまだケーキやクッキーを食べているところで俺は椎名に近づいた。

 

貴浩「椎名が言ってたう○い棒パン野菜サラダ味だ。作ってきたから食べてみて」

 

俺はそう言うとコッペパンの真中を開いたところにうま○棒を

そのまま乗せたものを椎名に渡した。

 

椎名「これをですか…どうしても食べないといけませんか…?」

 

優子「……うま○棒パンも作ってきたんだ」

 

工藤「これはさすがに……」

 

貴浩「そりゃ試食してくれないと。一応案だったからな。

   それにコストもかからないし。皆も食べてみる?」

 

俺が周りにいた優子や工藤などに尋ねるが首を振って断られた。

 

椎名「……えーい。こ…これはッ…う○い棒のパサパサとパンのもふもふ、

   2つの交じりあった食感にパンの甘味と相反するうま○棒の濃い味が……

   やっぱり駄目です。流石にこれのリピーターにはなれません」

 

貴浩「だろうな。まあそうなると思って今度はお口直しにこれを」

 

椎名「これは…?」

 

貴浩「まあいいから食べてみてくれ」

 

俺はコッペパンを開いたところに何かを入れたものを

1口大の大きさにして椎名に渡した。

 

椎名「……美味しい……なんですか?これ」

 

貴浩「それもう○い棒パンだ」

 

椎名「本当ですか!?美味しいですよコレ」

 

優子「……私も食べてみていい?」

 

工藤「僕も食べてみたい」

 

雄二「俺も気になる」

 

と皆このう○い棒パンの味が気になり食べはじめた。

 

命「これは美味しいですね」

 

椎名「まさかここまで美味しくなるとは思いませんでした。

   これは狙える美味しさですよ織村君!」

 

貴浩「じゃあ一応候補入りだな。

   次は砂原が言っていたあんぱんエクスタシー(18禁)を作ってきた。

   これは2種類作ってきたから食べてみて」

 

砂原「おお!本当に作ってきたんだね。ギャグで言ってみたんだけどな。

   では作ってもらったんだからいただくとするよ」

 

優子「あなた、これ本当に作ってきたのね……でも、どこが18禁なの?」

 

貴浩「まあ食べてみてよ」

 

皆は少し不安ながらもあんぱんを口に入れた

 

刀麻「これは何処が18禁なんだ?」

 

刀麻があんぱんを食べてみたがわからないらしい。

他の皆も首を傾げていた。

 

康太「………これ赤ワインが入っている」

 

そんな中ムッツリーニがそう答える。

 

貴浩「よくわかったなムッツリーニ。正解。

   煮立てる時に入れる塩を減らして代わりに赤ワインを少しだけ混ぜたんだ。

   アルコールは完全に飛んでるから学生が食べても問題ないしな。

   あと、もう1種類の奴には、女性がデザートとして食べられるように

   パン生地もホットケーキ粉を元に甘めに作っているんだ」

 

雄二「…これは凄いな。高校生にはちょっとした刺激になるかもな」

 

砂原「これはウケると思うよ!」

 

貴浩「よしこれも候補の1つだな。

   最後に工藤さんが言ってたシュークリームを作ってた。

   まあこれは普通のシュークリームなんで」

 

そう言うと俺はプチシューを皆に渡した

 

「おいしい」

 

「もう1個ほしいな」

 

「うまいなこれは」

 

あちこちで評判があがる。

 

貴浩「工藤」

 

工藤「何?」

 

貴浩「はい、これ。昨日買い物に付き合ってくれたから」

 

俺はそう言うと普通サイズのシュークリームを工藤さんに渡した。

実はあの後工藤さんが買い物に付き合ってくれたのだった。

 

工藤「え?いいの?ありがとう」

 

そう工藤は言うと美味しそうに食べてくれた

 

優子「どれも美味しかったわね。でもそれだけに自信無くすわ……」

 

優子がそう言うと周りにいた女子もため息をついていた。

その後は俺と明久が作ってきたものを食べ終わると作業を開始した。

 

 

 

        ☆

 

 

 

しばらくして

 

貴浩「そういえば優子たちは召喚戦争に出るのか?」

 

俺はふとそう思い優子たちに聞くと

 

優子「私は代表と一緒に出るわよ」

 

翔子「…・・・・・・優子と一緒に出る」

 

島田「ウチも瑞希と出るわよ」

 

姫路「はい、頑張りたいと思います」

 

刀麻「俺は単体戦の方に出るな」

 

なのは「私は出ないかな。出し物の方を頑張りたいしね」

 

砂原「私もだね。その日は色々とあって忙しくてね」

 

椎名「私も出ません。人目が多いところはどうも苦手で…」

 

工藤「僕も出ないかな。で貴浩君は?」

 

貴浩「俺は単体戦の方に出るぞ。明久と雄二はタッグマッチの方に出るしな」

 

島田「あれ?アキ達も出るんだ」

 

明久「え?あ、うん。色々あってね」

 

島田「もしかして、賞品が目的とか……?」

 

明久「うーん。一応そういう事になるのかな」

 

島田「……誰と行くつもり?」

 

明久「ほぇ?」

 

島田の目付きが鋭くなった。

 

姫路「吉井君。私も知りたいです。誰と行くつもりなんですか?」

 

命「明久君……」

 

気づけば姫路まで戦闘モードになっている。

もうFクラスの空気に染まってきているな……

命も明久が誰と行くのか気になるみたいだな。

 

明久「誰と行くって言われても……」

 

明久が困ったように俺を見た。

仕方ない。ここは助け舟を出すとするか

 

雄二「明久は俺と行くつもりなんだ」

 

俺が明久に助け舟を出そうとすると雄二が答えた。

ただ雄二そんな事言って良かったのか?後でどうなっても知らないぞ。

 

姫路「え?坂本君とですか?」

 

それを聞いた姫路や島田、命は目を丸くして驚いていた。

 

霧島「……雄二。浮気は許さない」

 

やはりそこで霧島が出てきた。雄二は凄いな。

霧島がいる目の前でそんな事を言えるなんて…

 

雄二「し、翔子。落ち着け。まずは話をきk──ぎゃああああ」

 

雄二は霧島にスタンガンを押し付けられて気絶した。

そして雄二は霧島に引きづられて教室から出て行った。

 

島田「アキ。アンタはやっぱり木下よりも坂本の方が…」

 

姫路「吉井君。男の子なんですから、できれば女の子に興味を持った方が…」

 

命「明久君、私は信じてますからね」

 

明久「ちょっと皆待ってよ」

 

明久が皆をなだめようと頑張っている。

 

優子「やっぱり吉井君が受けなのかしら(ボソッ)」

 

何か優子がブツブツ言ってるが深入りしない方が身のためだろうな…

そして俺は明久を助けるべく明久の元に行き誤解を解いてから再び作業へと戻って行った。

 



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清涼祭開幕!

4/24 修正


清涼祭当日

 

優子「さてもうそろそろ始まるけど皆準備は出来てる?」

 

「「「「「おおー!!」」」」」

 

貴浩「忙しいと思うが皆頑張ってくれ!じゃあ皆今日は頑張っていこうか!」

 

「「「「「おおー!!」」」」」

 

そして清涼祭は始まった。

 

 

 

         ☆

 

 

 

『『お帰りなさいませ、ご主人様・お嬢様』』

 

AクラスではFクラス合同でメイド・執事喫茶をおこなっている。

始まったばかりだが凄く盛況のようだ。

 

明久「ふぇー、凄い客だね」

 

現在、明久は俺やムッツリーニ、雄二とともに厨房で働いている。

この間採用されたものを作らされている。

 

貴浩「そりゃあそうだろうな。

   Aクラスは清涼祭のパンフの1ページを丸々使ってるんだから、

   どんなところなのか見に来ようとするのは当たり前だろうよ。

   それに美女・美男子も多いからな」

 

俺は手を動かしながら説明する。

 

刀麻『6番テーブル、プチシュークリームセット2人前よろしく』

 

秀吉『こちら17番テーブル、ふわふわシフォンケーキ追加よろしく頼むぞい』

 

なのは『9番テーブル、うまい棒パンセットとクッキーセットをお願い』

 

工藤『こっちの15番テーブル、アンパンエクスタシーセットよろしく頼むよ』

 

貴浩「了解!もうすぐ俺は大会の時間だからこれ作り終わったら行くからここ頼むな。

   くれぐれも姫路をキッチンに入れないように」

 

雄二「了解っと。プチシュークリームセット2人前出来たぞ、持っていってくれ。

   ついでに俺も明久も大会があるから抜けるから楓と命をこっちにまわしてくれ」

 

康太「……了解。ここは任せろ」

 

どんどん注文が来る中、俺たちは仕事をこなしていっている。

今キッチンにいるのは俺と明久や雄二、ムッツリーニの他には

A・Fクラスのメンバーで料理ができるヤツが数名居る。

ホールに秀吉や楓、命、姫路、島田や

霧島や優子、工藤、なのは、砂原、椎名などである。

 

 

 

         ☆

 

 

 

そして、俺たちは区切りをつけ大会の会場まで行った。

ちなみに大会は決勝戦を含め全6回戦まである。

 

 

 

         ☆

 

 

 

会場につくと俺は明久と雄二と別れた。

お互い1回戦の会場が違うみたいだからな。

 

ジュディス「えーそれでは。試験召喚戦争大会シングルス戦1回戦を始めるわ」

 

校庭には大会用に作られた特設ステージ。そこで召喚大会が催される。

 

ジュディス「3回戦までは一般公開されないから、リラックスして戦うのよ」

 

今回立会いを務めるのは英語のジュディス先生。当然英語の勝負となる。

対戦相手は男子だった。確かEクラスの西郷だったかな?

 

ジュディス「ではお互い召喚してください」

 

貴浩・西郷「「試獣召喚(サモン)!」」

 

【英語】

 

Fクラス        Eクラス 

  織村貴浩   VS   西郷武

   57点        102点

 

向こうは俺と似たような装備で黒の甲冑で双剣を武器にしている。

 

ジュディス「では、始めてください」

 

そう告げると、ジュディス先生は俺たちから距離を取った。

対戦相手と向かい合い、勝負が始まる。

 

西郷「参る!」

 

相手はこちらに武器を構え迫ってきた。俺も武器を抜き突っ込ませる。

 

西郷「はあぁ!」

 

敵が手にしている剣を振り下ろしてくる。

俺はその動きに合わせ召喚獣を1歩だけ横に動かした。

 

西郷「このっ!」

 

避けられた為、もう片方の剣で横に振るってきた。

俺は距離を良く測り、小さく1歩後退した。

 

西郷「クソっ!」

 

ムキになり武器を振り回してくる。俺はそれを小さい動きでかわしていく。

相手は召喚獣の扱いに慣れていないようだ。

 

貴浩「そろそろやるか」

 

俺は相手の攻撃を避けざま刀を握り締め攻勢に転じた。

 

西郷「なぁ!?」

 

俺は峰で相手の甲冑の隙間を狙って攻撃する。

今回相手がEクラスで良かった。

今回は明久と話していたある実験をしてみたかったのでちょうど良かった。

 

そこで俺は相手と距離を取った。

俺は相手がすぐに近づいてこないのを確認すると実験を開始した。

 

まず刀に集中してからっと

 

貴浩「行くぞ。魔人剣!」

 

俺がそう言って刀を振るうとそこから斬撃が相手に向かっていった。

相手はその斬撃に切り裂かれ戦死した。

 

ジュディス「勝者、Fクラス織村君」

 

ジュディス先生が勝者の名を告げる。

とりあえず1回戦は突破だ。

 

ちなみに今俺がしたことは、刀に点数を集中する事で斬撃を相手に向けて放ったのだ。

多分これは同学年では俺か明久じゃないとできないだろう。

俺たちは他の人達と違って召喚獣を扱ってきているのでこう言う操作もできたのであろう。

これはフィードバックの作用があるので何処に力をためればいいのかがわかるのだ。

これを最初に明久が気づき今回試してみたら出来たと言うわけだ。

……簡単に言うとハ○ター×ハ○ターの念能力の操作みたいなものだ。

 

ちなみに学園長もとい妖怪ババア長からオリエンテーションで手に入れた

召喚獣教科ネックレスの大会での使用を禁止されている。

というのもアレは2年にしかにないので3年生が不利だし

手に入れれたい生徒も不利になるからというからだ。

 

俺の試合が終わったので明久達の試合を見に行こうと行ってみると

試合はすでに終わっており何故か2人は殴り合っていた。

 

貴浩「おい、そんなことしてないで教室に帰るぞ」

 

秀吉「3人ともここにおったのじゃな。

   殴り合いなんてしておらんで、急いでAクラスに戻ってくれぬかの?」

 

すると秀吉が大会の会場までやってきた

 

貴浩「どうしたんだ?何かあったのか?」

 

秀吉「うむ。少々面倒な客がおっての。すまぬが歩きながらで頼む」

 

明久「あ、うん。了解」

 

先を急ぐ秀吉に続き俺と明久と雄二。

どうやらトラブルが発生したと見て間違いないな

 

 



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邪魔するヤツにはOHANASI

4/24 修正


雄二「……営業妨害か」

 

歩いている雄二の目が鋭くなる。

学園長室に行った時と同じ目をしている。何か思うところがあるのだろう。

 

明久「まさか。そんなこと誰もしないよ」

 

秀吉「いや、それが雄二の言ったとおりなんじゃ」

 

貴浩「マジでか?優子や久保、なのは、砂原はどうしたんだ?

   あいつらがいれば解決するだろ?」

 

秀吉「姉上は大会に出ているのでおらぬ。

   久保と八神は今は休憩中で居らぬし、

   砂原に至っては何処にいるのかわからぬ」

 

貴浩「……そうか。なら他の人には難しいな」

 

雄二「相手はどこのどいつだ」

 

秀吉「うちの学年の3年じゃな」

 

しかもよりによって3年生か。

まったく生徒の中では1番大人なくせに……

すると教室近くとは言え、廊下までに響く大声が聞こえてきた。

 

秀吉「む。あの連中じゃな」

 

貴浩「あいつらか」

 

そこで営業妨害していたのは3人。いずれも男だ

1人は中肉中背の一般的な体格と小さなモヒカンという非一般的な髪型をしている。

もう1人は、175cmぐらいの普通の体格で、こちらは丸坊主だ。

最後の1人は中肉中背の一般的な体格でオールバックの髪型をしていた。

 

そこであの3人が大声で何か言っていた

 

「なんだ!?このまずい料理は」

 

「こんなものを出すなんて信じられねぇよ」

 

とクレームをつけていた。そこに

 

楓「兄さん戻ってきたんだね」

 

貴浩「ああ、今戻ったところだよ」

 

命「さっきからあのお客がクレームをつけててね。

  でもおいしくないわけないのにアレは楓が作ったんだから」

 

貴浩「何!?……楓の作った料理にクレームだと……」

 

楓「ごめんなさい兄さん。私の料理のせいでお店に迷惑をかけてしまって」

 

楓が申し訳なさそうに誤る。

 

貴浩「大丈夫だよ楓。楓の料理が不味いわけあるものか。あまり気にするな。

   ……そうだな…じゃあ少し早いけど休憩してきなよ。

   秀吉、順番が変わるが楓と一緒に休憩してきてくれ」

 

楓「で、でも…」

 

秀吉「そうじゃな。楓よせっかくの祭りじゃから一緒にいろいろ見に行くのじゃ」

 

秀吉に楓をまかせ休憩に行かせた。

……さて、あいつらにはOHANASIしないとな

 

貴浩「命とムッツリーニは厨房を、明久と椎名はホールを頼む。

   雄二は今から俺とアレを殺るよ(ニコッ)」

 

俺は親指をあの3人組のほうへ向ける。

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

         ☆

 

 

 

「まったくここの責任者は誰いないのか!ここの責任者をだ─ゴペッ!」

 

貴浩「私がココの責任者の1人の織村貴浩です。何かご不満な点はございましたか?」

 

俺はホテルのウエイターのように頭を下げる。ただし殴りつけた後にだが

 

「不満も何も、今連れが殴r─ゴペッ!」

 

次は雄二が殴る

 

貴浩「それは私達のモットーの『パンチから始まる交渉術』に対する冒涜ですか?」

 

「ふ、ふざけんなよこの野郎…!何が交渉術─ふぎゃあっ!」

 

「おい常村!この野郎。何を─ぎゃああ!」

 

雄二「そして『キックでつなぐ交渉術』です」

 

貴浩「ここの料理が口に合わないようなので、

   もしかすれば頭を強打すれば味覚が元に戻ればいいと思いましたので」

 

楓の料理を不味いとかぬかしやがったんだ。

味覚がおかしいに決まっている…って言うか万死に値する!

 

雄二「さて最後には『プロレス技で締める交渉術』が待っております」

 

常村「わ、わかった!こちらからはこの夏川と島村を出そう!

   俺は何もしないから交渉は不要だぞ!」

 

島村「ちょ、ちょっと待てや常村!お前、俺達を売ろうと言うのか!?」

 

慌てる坊主頭の夏川と呼ばれた男とオールバックの島村と呼ばれる男

 

貴浩「さて、まだ交渉を続けますか?」

 

常村「い、いや、もう充分だ。退散させてもらう」

 

常村(モヒカン)先輩が撤退を選ぶ。懸命な判断だが…

 

貴浩「そうですか。それなら───」

 

俺は大きく頷いた後、島村先輩の腰を掴む

 

島村「おいっ!俺もう何もしてないよな!?どうしてそんな大技を─げぶるぁっ!」

 

貴浩「───これで交渉は終了だな」

 

俺はバックドロップを決めて何も無かったように立ち上がる。

雄二も夏川(ボウズ)先輩に交渉を終わらせたようだ。

 

常村「お、覚えてろよっ!」

 

倒れた2人も引きずりながら去っていくモヒカン先輩。これで問題は片付いたな。

 

貴浩「明久あいつらの特徴覚えているか?」

 

明久「うん。あの常夏島トリオの事だね」

 

明久にしてはいいネーミングセンスだな

 

優子「なに!?何があったの!?」

 

そこで優子と霧島が帰ってきた。

 

霧島「……何があったの?」

 

命「営業妨害が起きたので貴浩君と雄二君が対処してくれたんです」

 

椎名「さっきから困ってたんです。

   そこで秀吉君に頼んで織村君たちを呼んできてもらったんです」

 

優子「そうだったの。私たちがいない間大変だったわね」

 

貴浩「もう終わった事だから仕事に戻ろう。

   お客様大変騒がしくして申し訳ありませんでした。

   ごゆっくりとお食事をお召し上がりくださいませ」

 

俺は一度客に頭を下げると他の皆も俺と同じように頭を下げた

  

『これが不味いって・・・・・・あいつら舌がおかしいんじゃないのか?』

 

『美味しいのにね』

 

『あ、こっちに紅茶とシフォンケーキお願い』

 

命「紅茶とシフォンケーキできましたよ」

 

明久「早っ!?」

 

霧島「……今行く」

 

貴浩「雄二、楓、霧島は厨房を、俺と明久、優子はホールを。

   ムッツリーニは撮影の方を頼む」

 

俺は皆に指示を出す。そして、そのまま注文を取る人、運ぶ人それぞれ仕事に戻った。

 

ちなみに撮影とは、お客が一緒に写りたいメイドor執事を選んで撮影すると言うものだ。

1回500円とぼったくりのような値段だが、

ウチは美男子・美少女(ほぼAクラスだが)が多いのでかなりの人気が出ている。

今のところ男子では久保や刀麻、明久などが撮られている。

まあ女子のほうは皆同じぐらい呼ばれているが、

楓と命の場合は何かと理由をつけて写真を撮らせない様にしている。

ちなみに俺も少しは呼ばれている……本当だぞ。嘘じゃないぞ。

 

 

 

 

 

それからは次の試合が来るまで仕事をしながら周りに

休憩の指示や材料の補充などの指示を出しながら仕事を進めた。

 

ホールは優子が中心となって指示しており、

厨房は俺か雄二が中心となって指示している。

 

途中で明久と雄二が大会に行ったので、配置を換えながら仕事をこなして行った。

 



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休憩①

4/24 修正


─── 楓 Side  ───

 

時間は少しさかのぼる。

 

今、私は兄さんから休憩をもらい秀吉君と一緒にいます。

それは先ほど私が作った料理にクレームが付けられたので

落ち込む私を気遣って休憩をくれたのでしょう。

 

秀吉「楓よ。先ほどのことは気にするでないぞ。

   楓の料理はとても美味しいのじゃのからな。それはワシが保証するぞ」

 

秀吉君は落ち込んでいる私を励まそうと声を掛けてくれた。

 

楓「……本当ですか?」

 

秀吉「本当じゃ!こんな事でワシは嘘はつかぬ!」

 

楓「秀吉君ありがとうございます」

 

私は励ましてくれた秀吉君に感謝を言う

 

秀吉「/////それよりもせっかくの清涼祭じゃ。今は楽しもうではないか」

 

楓「そうですね」

 

何故か秀吉君の顔が赤くなっていますがどうしたんでしょうか?

 

秀吉「さて何処に行くとするかの?」

 

楓「たくさんお店がありますからね」

 

秀吉「では、歩きながら決めるとするかの」

 

そう言って私と秀吉君は色々なお店を回っていきました。

 

 

 

 

 

       ★

 

  

 

 

 

俺は仕事をこなしていると大会に行っていた明久と雄二が帰ってきた。

 

貴浩「おかえり2人とも。試合はどうだった?」

 

明久「もちろん。勝って来たよ」

 

明久から試合について聞くと相手はBクラスの根本だったので、

前回撮った根本の女装写真集を盾に勝ったそうだ。

 

楓「すみません。今戻りました」

 

そこで楓と秀吉が休憩から帰ってきた。

話を聞くと2人で色々出店を回ったらしい。

 

あれ?俺が2人を休憩にさせたけどこれってデートじゃないのか?

まあ秀吉だから大丈夫だろうけど……

 

貴浩「なら2人が帰ってきたから今度は明久と命が休憩してくれ」

 

明久「えっ僕?僕はまだ良いよ。それなら先に雄二が休むと良いよ」

 

貴浩「そうはいかないんだよ。また問題が起きないとも限らないから

   せめて厨房には俺か雄二がいないとまずいからな。

   で、俺はもう少ししたら試合に出ないといけないからな。

   だから今の内に明久に休憩してもらいたい。

   命は楓と交代だな。今までホールと厨房を交代しながらやってもらったから

   疲れてきているだろうしな………まあ他にも理由はあるけど(ボソッ)」

 

明久「そういうことならわかったよ」

 

命「…なら明久君。私と一緒に休憩がてらどこか周りませんか?」

 

命がチャンスと思い明久に声を掛ける。

 

秀吉「命よ。いきなりそう言うのではない。

   明久は大会で疲れているのじゃからゆっくりさせるのじゃ」

 

優子「そうよ命。無理を言っては駄目よ」

 

秀吉と優子は命が自分達以外の人間。特に男と一緒に回らせたくないのだろう。

まあそうはさせないが…なんのために明久と休憩させると思ってる。

 

明久「優子さんに秀吉。僕なら大丈夫だから」

 

貴浩「そうだぞ2人とも。もしこれで命が1人で周って命の身に何かあったら嫌だろう。

   明久と一緒だったらボディガード役になるだろうしな」

 

優子「むぅ……それは嫌だけど」

 

貴浩「なら、今回は2人で休憩にさせる。良いな」

 

俺は有無を言わさず決定する

 

命「なら、明久君お願いするね」

 

明久「そうだね。なら一緒に回ろうか。

   優子さんに秀吉安心してよ。何か起きても絶対命の身は守るから」

 

そう言って明久と命は休憩に入った。

まだ優子と秀吉の2人は納得してないようだが……

 

貴浩「で…そこの2人!!抜け出そうとするな!」

 

俺がそう言うと島田と姫路は驚いたようにこちらを見た

 

島田「ウチも休憩が欲しいんだけど」

 

姫路「私もです」

 

貴浩「2人の休憩はまだだから仕事に戻れ!

   あとでちゃんと休憩は用意しているから安心して働いてくれ」

 

姫路「で、でも。命ちゃんが心配で…」

 

貴浩「大丈夫だ明久がついてるからな。

   2人は心配しないでいいから仕事に戻ってくれ。

   ……まあもし仕事を抜け出して2人の所に行ったら

   今後、俺とムッツリーニからは商品は二度と売らないからな」

 

俺もムッツリーニほどではないが写真を撮ったりしているので

それを販売している。もちろん本人の了承は得てやっているぞ。

 

島・姫「「……わかりました。仕事に戻ります」」

 

貴浩「で…お前もだ優子!勝手に抜け出そうとするな!

   俺はこれから大会で抜けるから厨房には雄二がいるから大丈夫だが

   ホールにはお前がいないと厳しいんだからな!

   だから、俺が戻るまで勝手に抜けるなよ!」

 

俺は念のため優子にも釘をさしておいた

 

貴浩「……ハァ」

 

俺はそこで思わずため息が出てしまう。

 

工藤「何か大変そうだね」

 

なのは「頑張ってタカ君」

 

砂原「本当にキミ達といると面白いよね♪」

 

椎名「もうそんな事を言ったら駄目だよスズちゃん。

   …えっと…織村君も色々と頑張ってね」

 

貴浩「ああ……頑張るよ。

   あの2人と優子と秀吉を見張っていておいてもらえるか。

   なんか抜け出しそうで不安でな」

 

工藤「うん。わかったよ。それぐらいなら僕たちに任せてよ」

 

砂原「了解でありますよ」

 

貴浩「じゃあ悪いが頼むな。なのはは厨房の方にまわってもらってもいいか」

 

なのは「わかったよ」

 

貴浩「雄二!厨房の方は任せるな」

 

雄二「おうっ!お前も試合頑張れよっ!」

 

俺は厨房を雄二となのはに任せ、大会へと向かって行った



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休憩②と貴浩の対戦相手

4/24 修正


~明久SIDE~

 

僕は貴浩に言われて休憩に入り

命と一緒に出店などを見て回っている最中である。

 

命「ごめんね明久君。

  せっかくの休憩だったのに私に付き合ってもらっちゃって」

 

明久「そんな事ないよ。命といると楽しいからね。

   それにせっかくのお祭りなんだから楽しもうよ」

 

命「わ、私といるとた、楽しい////」

 

僕がそういうと命の顔が赤くなった。

 

明久「どうしたの命?もしかして具合が悪くなったの?」

 

命「い、いえ。何でもないよ!」

 

命は顔を横に振りながらそう答えた

 

命「そんな事より明久君!時間も長くないから楽しもうよ!」

 

命はそういうと僕の手を掴んだ

 

命の手やわらかいな////

 

明久「う、うん、そうだね。じゃあどこに行こうか?」

 

その後は僕は命と手を繋いだまま占いやお化け屋敷などの出し物を見て回った。

 

お化け屋敷では命がビックリして

僕に抱きついてきた事は皆に内緒にしないと……

それにしても抱きつかれた時いい匂いしたな…それに胸が僕に当たって……

 

本当に命と一緒に見て回れて楽しかったな

 

そういえば僕確かオリエンテーリングの時のチケットで命と一緒に行く予定だったよね。

その時も今日みたいに楽しかったらいいな。

 

 

 

 

          ★

 

 

 

 

 

試合会場に向かっている最中

 

考えたら俺は忙しくて2回戦目である対戦相手のことを知らなかったので

次は誰が対戦相手なのか考えながら向かっていた。

会場には先ほど明久と話していた根っこコンビの片割れである根城がいた

 

貴浩「なんだ?次は誰が対戦相手なのかと思ったら根城だったのか」

 

根城「げぇ!?織村か!?お前が俺の相手か!」

 

俺の顔を見て顔を引き攣っている。

まあ、根本同様に色々やったからなぁ…

 

木内「それでは、試験召喚大会2回戦を始めてください」

 

今回の立会人は、数学の木内先生だ。

 

貴浩・根城「「試獣召喚(サモン)!」」

 

Fクラス  織村貴浩  VS  根城敦

 数学   630点      174点

 

互いの点数が表示される。

 

根城「なっ!?なんだよその点数は!?」

 

俺の数学の点数を見て驚く根城

そういえばコイツは俺の数学の点数は知らなかったな。

 

貴浩「さて、今回も恥ずかしい目にあわせるかな」

 

俺が冗談交じりにそう告げると

 

根城「や、やめろ。せ、先生!俺は棄権する!」

 

根城は俺と戦う前に棄権したので俺の勝利となった。

 

根城を見ると少し震えているように見えたが、前回少しやりすぎたか…

いや、楓を泣かせたんだからあれぐらいはまだぬるいな。

 

 

木内先生が勝利宣言をあげたので俺はAクラスへと戻って行った。



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チビッ子登場

4/24 修正


貴浩「ただいま……ってなんだ?あんまり客がいないな」

 

俺が大会に行った時にはかなりの数の客がいたのに戻ってみると

客の数がかなり少なかった。

 

秀吉「お、戻ってきたようじゃの」

 

あまり仕事が無いようで皆暇そうだ。

 

優子「で?勝ってきたの?」

 

貴浩「もちろん。そういえば雄二はどうした?見当たらないんだが」

 

康太「……トイレに行った」

 

貴浩「それよりこの客の少なさはどういう事だ?」

 

優子「わからないわ。あなたが試合に行って少ししてから客足が減ったのよ」

 

工藤「そうなんだよ。あの迷惑な客が来てからは妙な客は来てないしね」

 

貴浩「ってコトは、教室の外で何かが起きているということか?」

 

秀吉「かもしれんのう」

 

そうやって皆で悩んでいると

 

「お兄さん、すみませんです」

 

雄二「いや。気にするな、チビッ子」

 

「チビッ子じゃなくて葉月ですっ」

 

雄二と小さな女の子の声が聞こえた

 

秀吉「雄二が帰ってきたようじゃな」

 

すると雄二は小さい女の子を連れて戻ってきた

 

貴浩「雄二お帰り。その子は霧島との間の子か?随分と大きいな」

 

砂原「なに、なに。ユウユウとしょこリンの子だって?」

 

刀麻「お前……子持ちだったのか!?」

 

雄二「なっ!?そんな訳あるか!?」

 

工藤「えっ?違うの?」

 

雄二「違うわ!!このチビッ子はここに戻る途中にあってここまで連れて来ただけだ」

 

貴浩「えっ?雄二ってロリコンだったのか!?」

 

砂原「スクープだね。2-F坂本雄二はロリコンだった!?ってね」

 

雄二「おい砂原!何でそうなる!?俺はロリコンじゃねぇ!!」」

 

須川「これより異端審問k──」

 

霧島「………雄二。浮気は許さない」

 

須川が異端審問会を開く前に霧島が割って入った。

さすがの須川も霧島のオーラの前には黙るしかなかった。

 

雄二「待て翔子。あいつらの言う事を信じるな」

 

霧島がドンドン雄二に迫って行く。

少しやりすぎたか……流石にフォローするか

止めないとやばい事になるしな。この場が血で染まりそうだ。

 

貴浩「悪い悪い雄二。ちょっと悪ノリしすぎた。

   霧島落ち着け。雄二はロリコンじゃないから」

 

霧島「………本当?」

 

霧島は雄二に迫るのを止めてこちらを振り向いた

 

貴浩「ああ本当だとも。だって雄二は霧島にしか興味もってないからな」

 

雄二「△■○〒$□&(なにいってるんだ)!?」

 

秀吉「雄二よ。何を言っているのかわからぬぞ」

 

霧島「………雄二/////」

 

さてこっちはもういいとして

 

貴浩「さてキミはどうしてここに来たのかな?」

 

俺は小さい女の子に尋ねてみる。

すると周りにいた人達が集まってくる

 

葉月「あ、あの、葉月はお兄ちゃんを探しているんですっ」

 

なのは「お兄ちゃん?そのお兄ちゃんのお名前わかる?」

 

葉月「あぅ…わからないです……」

 

刀麻「家族の兄じゃないのか?それなら、特徴はわかるか?」

 

特徴がわかれば探し出せるかもしれないな

 

葉月「えっと……バカなお兄ちゃんでした!」

 

俺は周りを見渡して該当する人物を捜すが

 

貴浩「そうか……たくさん居るんだが」

 

そうこのクラスにはAクラスのほかにFクラスの人達もいるからバカはたくさんいる

 

葉月「あ、あのそうじゃなくて、その……」

 

工藤「まだ他に特徴があるのかな?」

 

葉月「その…すっごくバカなお兄ちゃんでした!」

 

「「「「「吉井だな」」」」」

 

Fクラスの俺と秀吉を除く全員の男子が宣言する

 

貴浩「ああ……もしかしたら明久かな?

   ごめんな葉月ちゃん。今そのお兄ちゃんここに居ないんだよ」

 

葉月「あぅ。そうなのですか…」

 

葉月ちゃんが落ち込む。

 

島田「あれ?葉月じゃないの?こんなところにどうしたの?」

 

そこへ島田が葉月ちゃんの元へやってきた

 

楓「美波ちゃん。その子と知り合いなんですか?」

 

島田「知り合いも何もウチの妹よ」

 

貴浩「島田の妹なのか?」

 

島田「そうよ」

 

葉月「お姉ちゃん!」

 

島田「どうしたの葉月?何かあったの?」

 

貴浩「葉月ちゃん曰く明久に会いに来たらしいぞ」

 

島田「アキに?そうなの葉月」

 

葉「はい、そうです」

 

貴浩「まあ葉月ちゃんの件は明久が帰ってきてからとして、

   まずこの客の少なさがどういう事なのか調べないとな。

   ムッツリーニと砂原、何か知ってるか?」

 

砂原「う~んとね、私の情報だと…

   どこかで私たちの料理がまずいって噂が流れているらしいよ」

 

康太「……どうもその情報は新校舎の何処かから流れているらしい」

 

貴浩「そうか……それが何処から流れているかわかるか?」

 

俺が2人に尋ねると2人は首を横に振った

 

貴浩「どうする?優子、雄二」

 

優子「今の情報だけじゃ何も言えないわね」

 

雄二「そうだな。情報が少なすぎる」

 

俺たちがどうするか考えていると

 

葉月「お兄ちゃん。葉月ここに来る途中で色々な話を聞いたよ」

 

と、そこで思わぬところから助け舟が出る

 

貴浩「葉月ちゃん。それを何処で聞いたかわかる?」

 

葉「えっと…確か色んな服を来ていて綺麗なお姉さんがいるお店──」

 

康太「……急いで行くべき」

 

雄二「そうだな。それはすぐに行くべきだな」

 

刀麻「土屋と坂本の言う通りだな」

 

それを聞いた瞬間、雄二とムッリーニ、刀麻は教室を飛び出していった。

後それを聞いていたA・Fクラスの男子全員(俺と秀吉、明久以外)も飛び出していった。

俺も行きたかったが少し気になる事があり考えていたら出遅れた。

 

明久にいたってはまだ命とデート中だが……

 

皆が出て行った教室では

 

秀吉「驚いたぞ。まさか皆行ってしまうとはの…」

 

優子「男って全く…」

 

なのは「にゃははは…」

 

霧島「………雄二許さない」

 

でもあいつら場所はわかるのか?

 

貴浩「うーん…ねぇ葉月ちゃんそれってどの変で聞いたの?」

 

葉月「ここのお部屋の近くです」

 

貴浩「ってことは同学年の教室ってことか」

 

優子「そういうことになるわね」

 

砂原「そういえば、ランランの所がコスプレ喫茶するって言ってたよ」

 

貴浩「ランラン?…中国人か?」

 

椎名「スズちゃん。ランランじゃわからないよ。

   ごめんね織村君。ランランて言うのはBクラスの獅子川蘭ちゃんのことなの」

 

貴浩「ああ。蘭のところか…ってことはBクラスだな」

 

砂原「ランランのこと知ってるの?」

 

貴浩「まあな。Bクラスと戦争した時に

   1対1で戦って勝利してからはライバルみたいなものかな」

 

砂原「そうなんだ。ター君が噂のライバルだったのかい?」

 

貴浩「噂がどうなのか知らないが…多分そうだな」

 

優子「その話は後にしなさい。今はお客をどうにかしないと」

 

貴浩「そうだな。砂原、一度蘭か五十嵐に連絡とってもらっていいか?」

 

砂原「了解さ!」

 

俺は砂原に頼んでBクラスに噂を流している奴がいるか確認してもらっている

 

貴浩「そうだな…島田と姫路は今のうち休憩して来て良いぞ。

   葉月ちゃんと一緒に遊んできなよ」

 

島田「え?良いの?」

 

優子「良いわよ。葉月ちゃんを1人にしちゃ可愛そうよ」

 

工藤「それに今はこの客の数だしね」

 

島田「じゃあお言葉に甘えるとするわね」

 

葉「わーい。お姉ちゃんと遊べるです」

 

姫路「私も一緒で良いんですか?」

 

貴浩「良いぞ。今のうち休憩してきなよ。大会もあって休めないだろうし」

 

優子「そうよ。島田と一緒にいってらっしゃい」

 

楓「こちらは私たちにまかせてください」

 

姫路「じゃあお言葉に甘えさせていただきます」

 

そうして島田と姫路は休憩に入り、

俺は雄二とムッツリーニ、刀麻を呼び出してどうするか考える事にした

 

雄二と霧島との間に一騒動あったのは言うまでもないが・・・・・

 

 

 

砂原が蘭に連絡をとってみるとBクラスに噂を流しているやつらが居る事がわかった。

 

貴浩「じゃあひとまず俺と雄二、刀麻の3人でBクラスに行って来るから、

   ここは、優子達に任せる」

 

優子「わかったわ。でもこの客の数じゃ接客といってもね…」

 

貴浩「そうだな……なら、ここにいる何人かに呼子になってもらって

   客を連れてきてもらえば良いんじゃないのか」

 

優子「それしかないわね。でも誰がするの?」

 

貴浩「そうだな……女子では工藤となのはと砂原、

   男子では久保が適任じゃないか?客受けしそうだし。

   あとその時に物理の森田先生をこのクラスに来るように伝えてきてくれ」

 

優子「そうね。その4人なら問題ないでしょうね。

   でもなんで森田先生を呼ぶ必要があるの?」

 

貴浩「まあ少し面白いことを思いついてな。そこはまあ秘密ということで」

 

優子「まあいいけど。じゃあ4人はお願いね」

 

工藤「僕は良いよ」

 

なのは「私も」

 

砂原「いっぱい呼んできちゃうぜ♪」

 

久保「僕も頑張るとしよう」

 

貴浩「厨房はムッツリーニと楓、霧島にお願いできるか?

   明久と命が帰ってきたら厨房に入るように言ってくれ」

 

康太「……(コクン)」

 

楓「任せてください兄さん」

 

霧島「・・・…わかった」

 

貴浩「後の人はホールを頼む」

 

優子「わかったわ。そっちは頼むわね」

 

貴・雄・刀「「「任せろ!」」」

 

俺達3人は妨害したヤツを排除するためにBクラスへと向かった



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これというのもアイツ等のせいだっ!

4/24 修正


俺たちは優子達に喫茶を任せ、

噂を流しているやつらがいるというBクラスへと向かった

 

蘭「おお貴浩か。鈴歌から聞いてる。今ちょうど中央の席に座った」

 

俺たちは蘭の後ろをついて行き中央の席を見た。

ちなみに蘭は警官のコスプレをしていた。

 

雄二「やはりあいつらか」

 

そこに居たのは先ほど交渉したばかりの常夏島トリオだった

 

刀麻「よし、行くか」

 

雄二「待て不知火」

 

雄二が行こうとする刀麻を止める

 

刀麻「どうした坂本。早くあいつらを止めないと」

 

雄二「駄目だ。こんなところで殴れば悪評がより広まってしまう」

 

刀麻「だがこうやって指をくわえて待つわけには行かないだろう」

 

雄二「わかっている。なあ獅子川って言ったよな」

 

蘭「何だ?」

 

雄二「予備のコスプレの服とかあるか?」

 

蘭「あるが、どうするんだ」

 

雄二「あいつらを追い払う」

 

蘭「まああいつらはさっきから迷惑だったからな。

  追い払ってくれるならありがたいが…」

 

雄二「ああ。追い払うから何か衣装を貸してくれ。女性物の衣装なら何でも良い」

 

乱「わかった。今準備しよう。おいきらり!

  予備の衣装あったよな?ちょっと持ってきてくれないか?」

 

五十嵐「うん、あるよ。じゃあ持ってくるね」

 

蘭がそう言うと近くにいた五十嵐が衣装を取りに行った。

五十嵐は初音ミクのコスプレだった。

その衣装どうやって手に入れたんだ?ってか何のために持ってるんだ?

 

貴浩「雄二。その衣装をどうするんだ?」

 

Aクラスから誰か来てもらって着て貰うのか?

 

雄二「簡単だ。着てもらう」

 

貴浩「誰が?」

 

雄二「お前だ」

 

貴浩「……はぁ?俺?」

 

あら?耳が悪くなったのかな。俺が女装するって。

いやいやいやいや、無いだろう。うん。俺の聞き間違いに違いない

 

雄二「貴浩お前が着るんだ」

 

やっぱり俺の聞き間違いじゃなかった

 

貴浩「嫌だ。雄二か刀麻が着れば良いだろうが!」

 

雄二「俺たちは着れないな。こんな体の女子は居ないだろうが!

   体格からみたらお前が適任なんだ。楓の為だと思い我慢しろ」

 

そこで楓の名を出すか。この野郎断れないじゃないかorz

 

貴浩「……わかったよ。俺がやれば良いんだろう」

 

雄二「そうだ。よろしく頼むな」

 

俺はしぶしぶ了承し、男子更衣室へと向かいそこで雄二から連絡を受けた秀吉と

五十嵐の手により女装させられた。

 

女装した俺の姿はDOGDAYSに出て来る高槻七海の格好だった。

 

刀麻「よく似合ってるじゃないか」

 

雄二「ああ。やらせた俺が言うのも何だがそっくりだぞ」

 

五十嵐「お似合ですよ織村君」

 

女装が褒められたってうれしくないやい。

ヅラやパッドまでつけられてしまったOrz

何故か本格的な衣装があり、武器までついているから驚きである。

 

貴浩「この棒って何で出来てるんだ?」

 

この衣装は正直スカートなので下がスースーして気持ちが悪い。

それにこの棒結構な重さがある。

 

五十嵐「それはレプリカだよ。衣装と棒も重さは本物そっくりにしてあるんだよ」

 

本当になぜ、こんな衣装を持っているんだキミは!

 

五十嵐「でもこだわりすぎて私も他の人も着れなかったんだよ」

 

貴浩「だろうな。俺だって本当は着たくないよ」

 

雄二「無駄話はやめて行くぞ」

 

俺は雄二の作戦どおりに行うため高槻七海の衣装で常夏島トリオに近づいた。

 

 

 

         ☆

 

 

 

常村「とにかくマズイ料理だったよな」

 

島村「そうだな。あんな料理を出すなんて信じられないよな」

 

あの連中、まだそんな会話を続けているのか。

お前らのせいで楓が傷ついたんだ。この聖剣でお前らを斬ってくれる。

 

貴浩「お客様(裏声)」

 

俺は静かに近づいていきこのクラスのウエイトレスであるかのように声を掛ける。

俺が近づいていくとき周りで何かざわめきが起きているが何かあったのだろうか?

 

夏川「なんだ。へぇーこんな子もいたのか」

 

島村「高槻七海のコスプレか。そっくりじゃねえか」

 

貴浩「お客様申し訳ありませんが足元を掃除しますので、少々よろしいでしょうか?(裏声)」

 

常村「掃除?さっさとすましてくれよ?」

 

3人が席から立ち上がる。

 

貴浩「きゃっ(裏声)」

 

俺はそれと同時に常村とかいう先輩にわざとぶつかり倒れる。

我ながら気持ち悪い悲鳴だな

 

雄二「おい、こんな可愛い少女を突き飛ばすとは何てやろうだ!」

 

そこで、雄二と刀麻が暴漢退治という名目で姿を現す

 

常村「何言ってんだ。ソイツが勝手にぶつかって倒れt──」

 

刀麻「何てやろうだ!女の子の所為にするなんて男としてあるまじき行為だな」

 

「そうだそうだ」

 

「その女の子に謝れ」

 

「俺たちが成敗してくれる」

 

本当はここで雄二と刀麻があいつらをやっつけるはずだったのだが、

ここに居たお客さんが雄二達と加わって一緒に制裁してくれている。

 

さて、じゃあ俺も参加しよう

 

貴浩「あの私も参加して宜しいですか?(裏声)」

 

「もちろんですとも」

 

そういうとお客さんが島村先輩の両手両足を逃がさないように拘束する。

 

貴浩「ありがとうございます。それじゃあ(裏声)」

 

俺は衣装に備え付けられている剣を抜く

 

島村「おい、ま、まさか。それで攻撃するわけじゃないよな……」

 

俺は一度微笑んで

 

貴浩「くたばれっ!!!!」

 

俺は思い切り棒を振り下ろした。

 

ドゴン!

 

物凄い音がしたな。もはや叩いてでる音ではなかったな……

その一撃で島村先輩は気絶してしまった。

 

貴浩「皆さんありがとうございました(裏声)」

 

一応お客さんに協力してもらったので礼をいい雄二達の元へ向かった。

 

するとまだ常夏コンビは健在していて、今さっき気絶した島村先輩を抱え出て行った。

しかも雄二と刀麻も3人を追いかけて出て行ってしまった。

 

貴浩「先ほどあの3人の方が言っていた喫茶店のことですが、

   私個人の意見ですけどはあそこの料理は美味しかったと思いますので

   よろしければ皆さんも一度召し上がりに行ってみてくださいね(裏声)」

 

俺は一応自分の店の宣伝をしてから蘭達の所へ行った

 

蘭「お疲れ!ありがとうな。あいつらを追っ払ってくれて」

 

貴浩「こちらこそ、協力してくれてありがとう。

   一度こっちの喫茶に顔出してくれよ。その時はサービスするからさ」

 

蘭「おう、わかった。行けたら行ってやるよ」

 

貴浩「さて、じゃあ着替えるとしますか。………俺の着替えは何処だ?」

 

あたりを見渡しても俺の着替えが見当たらない。

あれ?雄二達は俺の着替えを何処に置いたんだ?

 

五十嵐「着替えでしたら坂本君がAクラスに持っていきましたよ。

    そこの更衣室においておくとか言っていましたが」

 

へっ?

……ってことは俺はこの衣装のままAクラスへと向かわないといけないのか?

 

五十嵐「あと、その衣装ですが織村君に差し上げますね。

    衣装は着れてなおかつ似合う人が着ないといけませんから。

    織村君はその条件に当てはまりますので」

 

貴浩「え?い、いや、で、でも」

 

五十嵐「大事にしてくださいね。あっ私これから仕事なのでここで失礼しますね」

 

蘭「お、僕もだ。じゃあ貴浩。後は頑張れよ」

 

2人はそう言うと俺の前から去って行った。

 

俺にこの衣装をどうしろと……

 

それに俺はこの衣装のままAクラスへと戻らないといけないのかOrz

 

しかもAクラスの男子更衣室(中に作った)に行くにはホールを通らないといけない。

これも全て雄二のせいだ。覚えていろよ坂本雄二。

この恨みは必ず晴らしてやる・・・・・・・・

 

結局ここに居ても仕方がないので俺は泣く泣くAクラスへと戻って行った(泣



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召喚獣で喫茶!?

4/24 修正


俺はDOGDAYSの高槻七海のコスプレをしたままAクラスの教室の前まできていた。

 

正直に言うと入りたくはない!だが入らないと着替えれないのも事実。

俺の周りでは色々ざわついて来たので意を決して扉を開けて入った。

 

Aクラスへと入ると先ほどまで客が全然居なかったのに今はそこそこ客が来ていた。

 

今なら客がいるからなんとか誰にも気づかれずに更衣室にいけるか?

俺がそう思い更衣室まで行こうとすると

 

砂原「おかえりなさいませお嬢様」

 

早速見つかってしまった。

 

砂原「お席に案内しますね」

 

そう言うと砂原は席まで案内しようとする。

 

・・・・・おっ、もしかしてばれていない。

それなら席に近づいて更衣室に駆け込めばいいか。

 

俺がそんなことを考えながら砂原の後をついていく。

周りからは俺のコスプレが珍しいのか、俺を見てくる客が多い。

 

席に案内されている途中

 

楓「兄さん。戻ってきてたんですね?」

 

すると俺の前には楓が現れた。

 

楓「あの兄さん。どうしてそんな格好されているんですか?」

 

バレた!?

 

貴浩「に、兄さんとは誰の事でしょうか?私は──(裏声)」

 

楓「何で裏声で話してるんですか?今忙しいから遊んでないで手伝ってください」

 

やはり楓の目はごまかせないらしい。さすが俺の妹。

 

秀吉「お?貴浩戻ってきたのかの」

 

あげくの果てに秀吉まで来てしまった。

もう完璧にばれてしまった・・・・・Orz

 

砂原「えっ!?この子。ター君なの?へぇーわからなかったよ」

 

優子「えっ?これが貴浩君なの?」

 

明久「えっ?これ貴浩なの?DOGDAYSの高槻七海そっくりだよ」

 

やっぱり気づかれてなかったんだ。

 

霧島「………可愛い」

 

か、可愛いって・・・…全然嬉しくないな

 

椎名「凄いの来たぁああああああ!!」

 

椎名に至っては興奮しているし。

 

康太「・・・・・・・・・・・・・(パシャパシャ)」

 

貴浩「おい!ムッツリーニ!俺の惨めな姿の写真をとるな!」

 

この後も皆から何故か質問をくらってしまった。

早く着替えたいのに・・・・・・

 

「すみません」

 

そこでお客さんから声がかかる。

 

優子「はい、どうされましたかお嬢様?」

 

「そこにいらっしゃる方と写真を取らせていただきたいのですが・・・」

 

客から思わぬ要望が入る。

確かにウチは喫茶のほかに写真撮影(500円)を行っているので頼めばできるのだが・・・

 

優子「わかりましたお嬢様。今すぐ準備いたしますので少々お待ちくださいませ」

 

優子はお客にそう言うとこちらに振り返った

 

優子「じゃあ貴浩君。悪いけど今からその格好で仕事してね。

   これで今さっきの客が途絶えた分を取り戻すから」

 

貴浩「えっ?い、いや。ちょっとまt──」

 

優子「土屋君は撮影の方に専念してもらって良いかしら」

 

康太「………了解。任せろ上手く撮る」

 

優子「楓と命、八神さんそして代表は厨房をお願いできるかしら」

 

優子はどんどん皆に指示を出していく。

もうこれは決定だな・・・・・・・この衣装のまま仕事をしないといけないのか

この後は俺はこの衣装のままウエイターとして働いたり写真を撮られたりした。

 

 

 

 

そして写真撮影から開放されてると

 

優子「撮影ご苦労様。ちょうど今森田先生がきたところよ」

 

優子がそういうと物理の森田先生がこちらへやってきた。

 

森田「木下さん何のよう?正直今忙しいんだけど」

 

優子「私ではなく織村君が森田先生にお話があるそうなので」

 

森田「織村が?で、その織村はどこにいるのよ?」

 

優子「えっと先生の目の前に…」

 

優子が俺を指差して森田先生にそういうと

 

森田「えっ!?この子が織村だっての!?」

 

貴浩「・・・はい、そうです。

   先に言っておきますがコレは事情があってきているだけですので

   俺の趣味でこんなのを着ているわけではないのでそれだけはわかってください」

 

森田「・・・・・・そう、アンタも大変なのね。で、アタシに用って何かしら?」

 

貴浩「えっと…先生に相談があって、

   このネックレスって確か学園長と森田先生が共同で作られたんですよね」

 

俺はオリエンテーションで手に入れたネックレスを取り出した。

 

森田「ええ、そうよ。アタシと学園長で作ったわ」

 

貴浩「確かこの『馬』のネックレスの能力の1つに使い魔召喚ができましたよね。

   で、その使い魔は物に触れることもできましたよね?」

 

森田「ええ、出来るわね。・・・・・・アンタ面白いこと思いついたじゃない」

 

森田先生が俺の意図を読み取ってくれたらしい。

 

森田「いいわ。良いデータが手に入りそうだし協力してあげるわ。

   ただし、悪用しないことが条件よ」

 

貴浩「もちろん。そんなことしませんよ」

 

森田「わかったわ。じゃあフィールドを展開してあげるわ」

 

森田先生がそういうと何か箱型の物体を取り出し

それを床に置きスイッチを押すと物理の召喚フィールドが展開された。

 

優子「貴浩君何をするつもり?」

 

そこで優子が疑問をもちたずねてくる。

 

貴浩「まあ見てろって。じゃあ先生はじめますね」

 

森田「ええ、はじめて」

 

貴浩「では、まずは『試獣召喚(サモン)!!』」

 

ポンッ!

 

物理 織村貴浩 298点

 

俺の召喚獣が召喚される。

 

貴浩「続いて行きます。『ライダー』!!」

 

俺がそう告げると俺の召喚獣に紅いマントが装備される。

そして──

 

貴浩「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

   降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、

   王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

   閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

   閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。

   ただ、満たされる刻を破却する。――――告げる。

   汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

   召喚システムの寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

   誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、

   我は常世総ての悪を敷く者。

   汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

 

俺が詠唱を告げると召喚獣の横に新たな召喚の紋章が描かれ

そこからもう1体召喚獣が現れた。

 

馬≪召喚に従い参上しました。マスター御指示を≫

 

【 物理 】 

   織村貴浩 & ライダー

   298点   600点

 

明久「これって・・・・・・」

 

そこであたりを見渡すと優子だけではなく明久たちやお客も見学していた。

 

森田「召喚は成功ね」

 

貴浩「そうですね。じゃあ『ライダー』これ持てるか?」

 

俺はそういうとコップを1つとりライダーに手渡す。

 

馬≪コップですか?これなら普通に持てますが・・・?

  おそらくこれ以上の重さも持てます≫

 

ライダーは何の苦も無くコップを持ち上げる。

 

貴浩「よし、成功だな」

 

森田「そうみたいね。じゃあどコレは貸してあげるわ。

   これはアタシが開発した自動召喚フィールド装置よ。

   これなら好きなように召喚獣を召喚できるわ。

   ただし悪用しないことと後でちゃんと返すことが条件よ」

 

貴浩「了解です。ありがたくお借りします」

 

森田先生は俺の言葉を聞くと教室から出て行った。

 

貴浩「じゃあライダー。これから仕事だ。

   今から俺と一緒にホールで働くぞ」

 

馬≪マスターの指示とあれば≫

 

優子「そういうことね」

 

貴浩「ということでコレも売っていく。召喚獣がホールで働くなんて面白いだろ」

 

砂原「お~それは面白そうだね。じゃあ私が早速それを宣伝してくるよ」

 

貴浩「よろしく頼む。明久も頼む」

 

明久「あっ、うん」

 

明久も俺と同じように詠唱する

 

 

【 物理 】 

   吉井明久 & セイバー

    102点  800点

 

 

明久「でも貴浩。これ僕達が教室から離れると消えちゃうよ」

 

貴浩「明久のはそうだが俺のは大丈夫だ。

   俺のは違う召喚フィールドにいることが可能だから居続けたままでいられる」

 

明久「そうなんだ。なら安心だね」

 

優子「なんか凄いことになったけどこれなら先ほどのことを挽回できそうね。

   じゃあ貴浩君と吉井君はホールでお願いね」

 

貴浩「わかった。その前に着替えてきていいか?」

 

優子「今はダメよ。まだその格好でいなさい」

 

そして俺はコスプレした格好のまま自分の召喚獣を操作しつつ、

ライダーを見守りつつホールで働いていった。

 



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VS獅子川

優子「貴浩君確かもう大会の試合の時間だから行って来て良いわよ」

 

そう優子が言うと俺は時間を見る。

あと5分もしたら俺の試合じゃないか!?

 

貴浩「優子!何故もうちょっと早目に言わなかった!!

   着替える時間が無いじゃないか!?」

 

優子「ご、ごめんなさい。着替える時間を入れるの忘れてたのよ」

 

優子は目をそらしながら言った。

本当は着替えたいが着替えたら試合に間に合わないので、この衣装のままで向かった。

 

 

 

         ☆

 

 

 

会場へ向かうとそこには獅子川蘭の姿があった

 

蘭「今度の相手はやはり貴浩だったか。ってか…何でその衣装のままなんだよ!」

 

貴浩「……着替える時間が無かったんだよ」

 

3回戦まで観客が居なくて良かったよ。いたら心が折れてたよ…絶対

 

竹内「織村君はその格好でよろしいですか?」

 

貴浩「先生もう早く始めてください」

 

竹内「わ、わかりました。それでは3回戦始めてください」

 

蘭「試獣召喚(サモン)!」

 

貴浩「……試獣召喚(サモン)」

 

 

【現代文】

 

 Fクラス       Bクラス

  織村貴浩  VS   獅子川蘭

  270点       187点

 

 

お互いの召喚獣が召喚される。

俺はもうAクラス戦で点数を見せたのでもう点数を隠す事はしなくなった。

 

蘭「さすがだな貴浩。だが負けないぞ」

 

貴浩「悪いけど早く終わらせてもらうよ」

 

蘭「できるものならやってみろ!!」

 

乱の召喚獣が武器を構え迫ってくる。

 

俺は刀を抜き集中すると

 

貴浩「魔人剣!!」

 

1戦目でやったように斬撃を飛ばす。

蘭はその攻撃を喰らい点数が減った。

 

【現代文】

 獅子川蘭   142点

 

貴浩「まだだ!剛魔人剣!!」

 

俺は先ほどの攻撃の後すぐに蘭の召喚獣に近づき

先ほどの魔人剣より威力がある斬撃を放つ。

 

蘭はその攻撃を防御して防ぐが威力が高く点数を減らしてしまう。

 

【現代文】

 獅子川蘭 110点

 

貴浩「悪いな蘭。早く終わらせて着替えたいんだよ……俺の心が折れる前に」

 

蘭「チッ…さすが貴浩だな。召喚獣をここまで上手く操作できるなんて」

 

俺は蘭の攻撃をジャンプしたりしゃがんだりしてかわしていく。

今だに蘭の攻撃は当たっていない。

 

蘭「だがこのままじゃ終われないな。せめて一撃は入れてやる!」

 

蘭は再び俺に攻撃を仕掛けてくる。

俺はその攻撃を避けつづける。相手が武器を大きく振りかぶる。

 

貴浩「これで終わりだっ!」

 

俺はその攻撃を避け、蘭の召喚獣を叩き切った。

 

貴浩「ぐっ!?」

 

俺は蘭の召喚獣を倒した。

だが蘭もただではやられてはいなく、俺の召喚獣の左腕を切り落としていた。

 

 

【現代文】

Fクラス  織村貴浩  VS  獅子川蘭

      157点         0点

 

  

竹内「勝者Fクラス織村君!」

 

蘭「また勝てなかったか」

 

貴浩「まさか左腕を切り落とされるなんて思わなかったよ」

 

蘭「でも、負けは負けだ」

 

貴浩「今度戦う時は俺も危ないかもな」

 

俺は蘭と少し会話した後、今度こそ着替えるためAクラスへと戻った



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貴浩暴走

4/24 修正


俺がAクラスへと戻ると

そこには明久が女性客とセイバー(使い魔)と一緒に写真撮影している姿が見えた。

ライダーは楓と一緒に働いていた。

 

明久「あっ貴浩!おかえり。試合はどうだった?」

 

ホールで写真撮影をされていた明久がやってきた。

 

貴浩「少し危なかったな」

 

こっちが焦っていたのもあり最後の攻撃を急ぎすぎて左腕を切り落とせれた。

運が悪けりゃ負けていたかもしれない。

 

貴浩「明久はホールで仕事か?今さっき写真撮られてたみたいだが?」

 

明久「うん、そうなんだ。なんか結構呼ばれるのが多くてね。

   何で僕なんだろう?他にもいっぱい人居るのにね」

 

今の台詞を聞くと少し腹が立つ。

俺も写真はお願いされたが、その多くはこの衣装のおかげだからな・・・

 

貴浩「そういえば明久。雄二と刀麻が何処にいるか知らないか?」

 

明久「え?雄二と刀麻ならあそこにいるよ」

 

明久はホールを指差した。

どうやら2人は今ウエイターの仕事をしているらしい。

 

貴浩「ありがとう明久。俺ちょっと用があるから行くな」

 

明久「えっ貴浩?なんでそんなもの持ってるの?ってか用ってなに?」

 

俺は明久にそう言うとコスプレしたときにもらった棒を

持った状態で雄二と刀麻の元に歩み寄った。

 

貴浩「雄二、刀麻。あの常夏島トリオは?」

 

雄二「ん?貴浩か。まだ着替えていなかったんだな。

   あの3人ならすまないが取り逃がしてしまった」

 

貴浩「そうか……それは残念だな……じゃあ雄二…ここでくたばれやぁ!!」

 

俺はそう言うと雄二に向かって棒を振り下ろす。

 

雄二「おわっ!!」

 

間一髪のところで雄二が避けてしまう

 

貴浩「チッ…外したか……次は外さない……」

 

刀麻「…どうしたんだ貴浩?」

 

貴浩「お前も同罪じゃぁあああ!!」

 

今度は刀麻に向かって殴りかかる。

刀麻もすんでのところでかわしてしまう。

 

雄・刀「「俺たちが何をしたって言うんだよ!?」」

 

貴浩「2人がそれを言うか……お前らの……お前らのせいで俺はぁああああ!!」

 

再び俺は2人に斬りかかろうとするが、

近くにいた優子となのは、楓、工藤に止められてしまう。

 

なのは「ストップ!ストップ!」

 

貴浩「何故止める!!こいつらを八つ裂きにしないと俺の気がすまないのに!」

 

楓「止めてください兄さん。お客さんがいるんだよ」

 

クッ…仕方がないな…楓とお客の為だ…ここは引いてやる。

だがこれですむと思うなよ。

 

優子「私もやりすぎたと思うわ。ここまで気にしていたなんて。

   …だけどここは抑えて欲しいの」

 

工藤「貴浩君ここは抑えて」

 

貴浩「……わかった。すまなかった取り乱してしまった。

   じゃあ悪いが着替えてくる」

 

俺はこの場を優子に任せ着替えに行った。

 

俺が着替えている間に優子がお客に謝ってくれて、

秀吉が雄二たちに事情を説明してくれたようだ。

 

 

 

 

貴浩「悪い皆。気が動転してた……」

 

俺は先ほどのことを謝った

 

優子「本当よ、いきなり暴れだすからビックリしたわよ」

 

貴浩「大変申し訳なく思っております」

 

霧島「・・・・・・優子もうそれぐらいにする」

 

工藤「まあまあ優子もそれぐらいにしてあげなよ。

   僕達も調子に乗ってあの衣装のまま仕事をさせてしまったんだから同罪だよ」

 

優子「そ、そうね。私たちも悪かったわね。ごめんなさいね」

 

貴浩「いや、もういいよ。もう終わった事だし…」

 

なのは「じゃあこれで今さっきの件はおしまいってことで良いよね」

 

貴浩「ああ。じゃあ仕事に戻るとするよ」

 

優子「そうして頂戴」

 

貴浩「今日のシフト表みせてもらってもいいか?」

 

俺は楓からシフト表を受け取りまだ休憩していないメンバーを見た。

 

まだ休憩に入っていないのは

Aクラスだと霧島と優子、なのは、工藤、砂原、椎名、刀麻の7名、

Fクラスだと雄二とムッツリーニ、俺の3人だった。

 

 



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許したと思うなよ

4/24 修正


俺はシフト表を確認すると

 

貴浩「じゃあ霧島休憩入ってきて良いぞ」

 

霧島「・・・・・・・・良いの?」

 

貴浩「ああ、もちろん。こっちは俺たちに任せてくれ。

   だから雄二と2人で休憩してきて良いぞ」

 

雄二「な、なんで俺が!?」

 

そこで突然雄二の名を出したことで雄二がうろたえる。

本当に俺が許したと思っているのか?

 

貴浩「雄二もまだ休憩してきてないだろ。

   2人は試合もあるんだから今のうちに休憩しないとな。

   だから雄二…ちゃんと霧島をエスコートしてあげるんだぞ」

 

霧島「・・・・・・・・・織村はいい人」

 

貴浩「じゃあ楽しんできてくれ」

 

雄二「な!?、ま、翔子。あぁぁぁぁああ!!!!」

 

雄二は霧島に連れられて行った。

俺はそれを笑顔で手を振り見送った。

 

貴浩「ムッツリーニも休憩してきて良いぞ。

   今までずっと任せてたから大変だっただろ?」

 

俺や明久は試合などがあってここから離れたりしたが

ムッツリーニはずっとここで働いていたんだ。

さすがに疲れるだろう。

 

康太「・・・・・・・・・わかった」

 

ムッツリーニは頷くと休憩に入っていった

 

貴浩「じゃあ厨房は明久と楓、命、なのは、刀麻で頼む。

   後の主要メンバーはホールでよろしく」

 

俺は両方兼任で行うとするか

 

姫路「あ、私が厨房に入りましょうか」

 

貴・明・秀「「「ホールでお願いします(するのじゃ)!!」」」

 

姫路が厨房に入ろうとしたので3人で断りを入れた。

姫路が入ったらせっかく戻ってきた評判がまた悪くなってしまう。

 

葉月「あの馬鹿なお兄ちゃん。葉月もお手伝いしたいです」

 

明久「えっ?葉月ちゃんも手伝ってくれるの?」

 

葉月「うん!手伝うから、お姉ちゃん達が着ている服ちょうだい!」

 

あの年でなんていい子なんだ。涙が出てくるよ

 

明久「けど、ごめんね。気持ちは嬉しいけど、葉月ちゃんの分の制服は…」

 

明久が申し訳なさそうに言っていると

 

康太「・・・・・・・・・!!(チクチクチクチクチク)」

 

休憩に入っていたはずのムッツリーニが凄い勢いで裁縫していた。

 

明久「ム、ムッツリーニ!?確かさっきまでいなかったよね」

 

康太「・・・・・・・・・俺の嗅覚をなめるな」

 

秀吉「なぜじゃろう。物凄いかっこいい台詞なのじゃが、

   凄くかっこ悪い気がするぞい」

 

貴浩「じゃあ葉月ちゃんの分の制服はムッツリーニに任せるとして俺たちは仕事に戻ろう。

   島田は葉月ちゃんと一緒にいてあげて」

 

島田「えっ?ウチたちはもう少ししたら試合に出ないといけないから難しいかも」

 

貴浩「そうなのか。なら砂原一緒にいてあげて」

 

砂原「了解なのさター君!」

 

俺たちは砂原に葉月ちゃんを任せ仕事に戻った。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

しばらくしてから

俺たちは仕事を手伝っていたが試合の時間がきたので大会の会場へと向かった。

 

 

 

 

4試合目の試合は対戦相手が腹痛のため棄権したので俺の不戦勝となった。

 

 

 

明久と雄二のペアは4試合目で姫路と島田のペアとあたった。

その勝負は雄二の1人勝ちで終わった。

内容は古典の勝負で明久が姫路を抑えている間に雄二が明久もろとも

姫路を倒し、残った島田さんを倒したらしい。

 

 

 

 

 

次の俺の試合までには時間があるので仕事に専念する事にした。

俺の次の試合は5試合目なので、

準決勝ということなので少し準備が必要なので時間がかかるらしい。

 

仕事では俺と明久の2人がホールと厨房を交代しながら仕事し、

試合から戻ってきた姫路さんと島田さんにはホールに入って貰う。

ムッツリーニと雄二には厨房に入ってもらい、霧島もホールに入ってもらった。

 

そして次になのはと刀麻の2人に休憩に入ってもらった。

途中で試合に出る人がいたら場所を交代させながら仕事をこなしていった。

(もちろんの事、姫路は絶対厨房に入れないようにしている)

 

ライダーやセイバーはなるべくは出していたいが

俺と明久の場合、召喚獣を召喚した上での召喚なので

疲れもフィードバックされるので時間を決めて召喚している。

 

しばらく仕事をこなしていき、一通り客足が減ってきたので一度店を閉めて

全員で掃除をする事にした。

 

 

掃除だけなので教室には

工藤さん、楓、命、なのは、椎名さんたちに任せて

後の人は在庫の整理や確認などの作業にまわってもらった。

 

 

そして俺達はその間に試合となり会場へと向かっていった

 

先に明久と雄二の試合があるらしいので俺は試合を見ることにした



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明久&雄二VS優子&翔子

4/24 修正


~ 明久SIDE ~

 

 

瀬名「お待たせしました!これよりタッグマッチ戦準決勝を開始したいと思います!」

 

僕らが到着すると、審判を務める日本史の鈴村瀬名先生のアナウンスが流れた。 

 

瀬名「出場選手の入場です!」

 

まるで格闘技の入場みたいだと思いながらお客さん達の前に立つ。 

僕らの向かい側からは対戦相手の霧島さんと優子さんがやってきた。

 

明久「雄二作戦は?」

 

雄二「任せておけ。抜かりはない――頼むぞ秀吉っ!」

 

雄二が目の前の優子さんに向かって秀吉と呼びかける。

 

何を言っているんだろう?

確かに外見は秀吉に見えるけど

中身はAクラスに所属している秀吉のお姉さんのはず……って、そうか!

秀吉と木下さんが瓜二つだということを利用した、二人の入れ替わり作戦か!

やるじゃないか雄二!

 

だが、しかし

 

優子「ああ、秀吉なら……」

 

と、優子さんがステージ脇の一角を指差す。

 

明久「ひ、秀吉!? どうしてそんな姿に!」

 

そこには手足を縛られた秀吉がいた。

つまり雄二の策は失敗したということだ。

 

雄二「バ、バカな!」

 

霧島「・・・・・・雄二、邪魔しないで」

 

雄二「そうは行くか。俺はまだやりたい事がたくさんあるんだ!」

 

 

明久・雄二ペア VS 翔子・優子ペア

 

 

ペアチケット目当ての霧島さんは、その相手となる雄二を前にして悲しい顔をする。

 

霧島「雄二の考えてる事くらい、私にはお見通し」

 

秀吉「くっ……すまぬ、雄二。ドジを踏んだ……」

 

康太「・・・・・・・・・!!(パシャパシャパシャ)」

 

明久「撮影なんかしてないで、早く秀吉の縄をほどいてあげてよ!

   (その秀吉の写真、後で売って欲しい)」

 

雄二「明久、本音が混ざってるぞ?」

 

その後優子さんの降伏勧告があっている間にムッツリーニは即座に秀吉の縄を解いた。

僕はそこで貴浩と目線で会話しある行動に出る事にした。

 

明久(雄二、僕に考えがあるから、指示通りの台詞を言ってほしい)

 

と言った後に、多少のやり取りをして僕は雄二の背に身を隠す。

 

明久(翔子、俺の話を聞いてくれ)

雄二「翔子、俺の話を聞いてくれ」

明久(お前の気持ちは嬉しいが、俺には俺の考えがあるんだ)

雄二「お前の気持ちは嬉しいが、俺には俺の考えがあるんだ」

 

僕の指示通りに、雄二は棒読みにならない様気を付けてセリフを合わせる。

 

霧島「・・・・・・雄二の考え?」

 

明久(俺は自分の力でペアチケットを手に入れたい。

   そして、胸を張ってお前と幸せになりたいんだ!)

雄二「俺は自分の力でペアチケットを手に入れたい。

   そして、胸を張ってお前と幸せになりたい……って、ちょっと待て!」

 

霧島「・・・・・・雄二」

 

雄二が僕の方を慌てて向こうとするが、そうはさせない。

僕は強引に雄二の頭を押さえつける。

一方、霧島さんは雄二の台詞に、うっとりとした表情を浮かべ始めた。

 

明久(だから、ここは譲ってくれ。そして、優勝したら結婚しよう)

雄二「だっ、誰がそんな事言うかボケぇッ!!」

 

そこで貴浩がスタンガンを取りだし僕に放り投げる。

それを受け取ると雄二の首に最大出力でおしつけた。

 

明久「くたばれ」

 

雄二「くぺっ!?」

 

霧島「・・・・・・雄二?」

 

続きの台詞を待ち望む霧島さんに僕は貴浩は目配せし

 

貴浩(おい、秀吉)

秀吉(うむ、了解じゃ)

 

貴浩の指示に従い、秀吉がゆっくりと深呼吸。

 

雄二(秀吉)「だからここは譲ってくれ。そして優勝したら結婚しよう。愛している翔子」

 

本人と区別がつかない秀吉の声真似で、最後の台詞が紡がれた。

指示していないセリフまで追加となっていたが、この際気にしなかった。

 

霧島「・・・・・・雄二、私も愛している」

 

雄二「ま、待て……俺は、愛してなど……こぺっ!?」

 

僕は雄二の首をひねり、そのまま黙らせる。

 

明久「ふはははは!これで最強の敵は封じ込めた!残るは優子さんだけだよ!」

 

優子「ひ、卑怯な……!」

 

霧島さんは雄二の亡骸に抱きつき戦意喪失。

だが雄二の方も力なく項垂れており、とても戦える状態になかった。

 

貴浩「おーい明久、明日の決勝は頑張れよ!」

 

そこへ貴浩からの声援が聞こえてくる。

 

優子「貴浩君バカにしないで!アタシ1人でも吉井君に負けないはず! 

   行くわよ試獣召喚(サモン)!」

 

明久「僕だって負けられないよ試獣召喚(サモン)!」

 

 

【保健体育】

 

2-A   木下優子  VS  2-F 吉井明久

      321点          153点

 

 

 

優子「あら?吉井君成績上がったわね」

 

明久「それはそうだよ。ほぼ毎日貴浩たちに勉強を教えてもらってるもん」

 

まあ、あれだけ教えてもらっておいて点数が上がってなかったら

絶対貴浩からのOHANASIがあるだろうからね。それだけは回避しないと

 

優子「でも容赦しないわ。行くわよ」

 

明久「僕だって負けられないよ!!」

 

優子さんの召喚獣が向かってくる。

僕はその攻撃をかわし反撃に出る。

 

明久「魔人剣双牙(まじんけんそうが)!!」

 

2つの斬撃が優子さんの召喚獣に向かっていく。

 

優子「えっ?きゃあ!?」

 

斬撃は優子さんの召喚獣を切り裂いていく。

 

貴浩「さすが明久だな俺の攻撃より鋭い」

 

優子「何よ今の攻撃は?」

 

明久「まだだよ。獅子戦吼(ししせんこう)!!」

 

今後は物凄い衝撃波を解き放ち攻撃する。

 

優子「くっ!」

 

優子さんは防御するが吹っ飛ばされてしまう

 

明久「これでとどめだよ!爪竜連牙斬(そうりゅうれんがざん)!!」

 

僕の召喚獣は優子の召喚獣に近づき木刀で斬りつけていく。

その攻撃により優子さんの点数は0点になった。

 

明久「僕の勝ちだね優子さん」

 

明久がそういうと優子の召喚獣が消滅していった。

 

瀬名「勝者!坂本・吉井ペア!!」

 

鈴村先生が勝者をコールする。

この瞬間、試合を見ていた人たちから歓声があがる。

 

貴浩「さすが明久だな。まさかあそこまで技を出せるなんて」

 

秀吉「凄いのじゃ明久。まさか姉上に勝ってしまうとわの」

 

優子「ええ、本当に驚いたわ。あの動きは凄かったわよ明久君」

 

明久「いや、貴浩や秀吉のおかげで霧島さんを抑えてくれたから

   優子さんに集中して戦う事ができたからだよ」

 

秀吉「それでもあの点差なのに勝てたのは明久が凄かったからじゃぞ」

 

貴浩「そうだな。あの技のキレは凄かったぞ」

 

明久「皆ありがとう。……そういえば雄二は?」

 

優子「坂本君ならあそこで代表と一緒にいるけど?」

 

優子さんが指差したほうを見ると雄二が霧島さんに何か薬か何か飲まされるところだった。

 

貴浩「ちょ!?霧島ストップ!!」

 

明久「まだ雄二はこの後も必要だから薬は止めてあげて!!」

 

僕と貴浩はすぐさま雄二と霧島さんに近づき薬を飲ませる事を止めさせた。

 

危ない危ない、さすがにあんな薬を飲ませたらさすがの雄二でもやばいよ。

 

 

 

 

 

 

秀吉「さて、次は貴浩の番じゃぞ」

 

貴浩「ああそうだな。頑張るとするかな」

 

そして俺は舞台にあがる

ちなみに明久と雄二、秀吉は俺の試合を見ていくことになり

霧島さんと優子は教室に戻り掃除の手伝いをするらしい



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貴浩VS刀麻

4/24 修正


貴浩「さてと俺の相手は誰だ?」

 

明久と雄二の試合が終わったあと

今度は俺の準決勝の試合の番となり舞台に立っていた。

 

刀麻「俺だ」

 

俺の目の前に現れたのは刀麻だった。

 

貴浩「……刀麻が俺の相手か」

 

そうか…俺の相手は刀麻だったか・・・・・・

先ほどのコスプレの恨みを晴らしてやるぜ

 

刀麻「そうだ。前回の借りを返してやる」

 

瀬名「お待たせしました!これよりシングルス戦準決勝を開始したいと思います!」

 

貴・刀「「試獣召喚(サモン)!」」

 

 

【保健体育】

 

Aクラス 不知火刀麻  VS Fクラス 織村貴浩

      296点          439点

 

 

 

瀬名「それでは始めて下さい」

 

刀麻「……貴浩は保健体育まで高いのかよ」

 

貴浩「・・・・・・・さてヤルカ」

 

刀麻「・・・・・・なあ貴浩?気のせいじゃないと思うが…お前何か雰囲気違わないか?」

 

貴浩「ソンナコトハナイヨ。ジャアサッサト殺ルヨッ!!」

 

刀麻「やっぱりおかs──」

 

俺は刀麻がしゃべっている途中に攻撃をしかける。

 

刀麻「なっ、あぶなっ!?」

 

すんでのところで刀麻は俺の攻撃を避ける

 

貴浩「……ヨケルナヨ…コウゲキガアタラナイダロ…?」

 

刀麻「いや、普通避けるだろ。それよりどうしたって言うんだ!?

   もしかして着替えをもっていたったことか?」

 

貴浩「イヤイヤ、ソンナコトナイゾ。

   ケッシテサッキノコスプレノウラミトカジャゼンゼンナイカラナ。

   『グラビトン』!」

 

俺が腕輪を発動させると刀麻の召喚獣は床に倒れこんだ

 

貴浩「『グラビトン』『グラビトン』『グラビトン』『グラビトン』

   『グラビトン』『グラビトン』『グラビトン』『グラビトン』

   『グラビトン』『グラビトン』・・・・・・」

 

俺は何度も腕輪を発動させる。

もう刀麻の召喚獣は地面に埋まりこんでいた。

 

雄二「や、やりすぎだろ…」

 

明久「そうだね…」

 

貴浩「ケケケッ…マダダ、マダダヨ。マダオワッテイナイヨ」

 

秀吉「もう刀麻の点数はもう0点に近いんじゃが…」

 

刀麻「……鈴村先生ギブアップします」

 

俺がまだ続けようと思っていると刀麻が降参した

 

瀬名「勝者Fクラス織村!」

 

貴浩「・・・・・・モウオワリ?ツマラナイ、マダ殺ル」

 

明久「もう終わったんだよ貴浩。じゃあみんなのところに帰ろうよ。

   楓が待ってるよ、きっと」

 

明久の最後の一言を聞き正気に戻る。

 

貴浩「……そうだな。じゃあ戻るとするか」

 

 

 

俺から少し離れたところでは

 

 

 

秀吉「今回の貴浩は怖かったのじゃ」

 

雄二「ああ、そうだな」

 

刀麻「これからは貴浩は怒らせないようにしないとな……」

 

秀・雄「「そうだな(じゃな)」」

 

ひそかに貴浩を怒らせないことを誓っていた。



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誘拐!?

4/24 修正


明久「それより早い所皆のところに戻ろうよ」

 

雄二「そうだな。ところで楓や命、姫路や島田は教室にいるのか?」

 

明久「えっ?確認してないけどいるんじゃないの?」

 

いきなりの話題に、明久は少々戸惑う。

俺も雄二の発言に少し戸惑ってしまう。

 

雄二「多分、そろそろ仕掛けて来る筈だと思うんだが……」

 

康太「・・・・・・雄二」

 

教室の前に行くと、ドアの前に立っていたムッツリーニが俺達にに駆け寄る

 

雄二「ムッツリーニか。何かあったのか?」

 

康太「・・・・・・ウェイトレスが連れて行かれた」

 

貴・刀「「なっ!?」」

 

明久「えぇっ!?命達が!?」

 

予想外の事態に、俺と明久、秀吉は驚きの声を上げた。

ムッツリーニが言うには攫われたのは

楓と命、なのは、優子、霧島、島田姉妹、姫路達らしい

 

雄二「やはりな」

 

雄二は今回の事が予想できていたみたいだ

 

明久「ってそんな事より、命達は大丈夫なの!?どこに連れて行かれたの!?

   相手はどんな連中!?」

 

雄二「落ち着け明久、これは予想の範疇だ」

 

明久「えっ?そうなの?」

 

雄二「ああ。もう一度俺達に直接何か仕掛けてくるか、

   あるいはまた喫茶店にちょっかい出してくるか、

   そのどちらかで妨害工作を仕掛けてくると予想できたからな」

 

“俺たちに”という言葉に、明久も秀吉も疑問を持つ。

だが、それよりも今回の事態を解決するのが先と、決定づけた。

 

明久「何だか、随分と物騒な予想をしてたんだね?」

 

刀麻「全くだ。誘拐なんて、流石に洒落じゃ済まないぞ?

   下手すれば警察沙汰だって言うのに」

 

康太「・・・・・・・行先はわかる」

 

と言って、ムッツリーニが取りだしたのはラジオの様な機械。

 

明久「何それ? ラジオみたいに見えるけど?」

 

康太「・・・・・・・盗聴の受信機」

 

耳を疑ったが、まあここは気にしない事に。

これで楓たちの居場所がわかるなら今はそれでいい

 

秀吉「あえて何でもっておるかは聞かないのじゃ」

 

雄二「さて、場所が分かるなら簡単だ。

   かる~くお姫様達を助け出すとするか」

 

貴浩「さて誰を誘拐したのか相手には後悔させてやらないとな」

 

秀吉「そうじゃな。貴浩の言うとおりじゃな」

 

明久「命達に何かあったら、正直召喚大会どころの騒ぎじゃないからね」

 

雄二「・・・・・・それが向こうの目的だろうがな」

 

明久「えっ?」

 

貴浩「少し待っててくれ。荷物を待ってくる」

 

俺は更衣室に行きある物を取りに戻った。

 

秀吉「ところで貴浩よ。何をとりに行ったのじゃ?」

 

貴浩「ムッツリーニからもらったスタンガンを取りにな。

   これで誘拐犯たちをブチのめす!!」

 

秀吉「その時はワシにも貸してくれぬか?」

 

明久「あっ!僕にも貸して」

 

貴浩「もちろんだとも!これで誘拐犯を血祭りにあげよう」

 

雄二「貴浩だけじゃなくまさか明久と秀吉までもが黒いオーラを纏うとはな」

 

刀麻「ああ、少し誘拐犯が気の毒に思えるぞ」

 

こうして俺達は優子たちが誘拐されたというカラオケ店まで向かった。

 

 

 

           ☆

 

 

 

雄二「さて作戦だが、ムッツリーニはタイミングを見て裏から助けてやってくれ」

 

康太「・・・・・・・・・わかった」

 

刀麻「となると、俺達がやる事は1つだな」

 

雄二「ああ。そう言う事だ」

 

貴浩「あいつらに死ぬ程後悔させてやる!!」

 

秀吉「いやいや貴浩よ!後悔させるだけでは生ぬるいのじゃ!!いっそ海に沈めぬか?」

 

明久「それも良いね。コンクリにつめて沈めようよ」

 

雄二「・・・・・・お、お前ら殺すなよ?」

 

貴・秀・明「「「なるべくそうなるといいな?」」」

 

雄二「何故疑問系なんだ!?」

 

 

 

          ☆

 

 

 

『さて、どうする? 坂本と織村と……吉井だったか?

 そいつら、この人質を盾にして呼びだすか?」

 

『待て。吉井ってのは知らないが、坂本と織村は下手に手を出すとマズい。

 坂本は中学自体は、相当鳴らしていたらしいしな』

 

『それに織村って、あの織村だろ?俺たちだけでそんな奴ら、どうやれってんだよ?』

 

『ああ。出来れば、事を構えたくはないんだが……」

 

『気持ちは分かるがそうもいかないだろ? 依頼はその3人を動けなくする事なんだから』

 

ムッツリーニの持っていた受信機からの、音楽に混じって聞こえる会話。

それを聞いて、3人は顔を見合わせる。

 

明久(雄二に貴浩、この連中って)

雄二(黒幕に依頼されたその辺のチンピラじゃないのか?)

貴浩(しかし、俺達を狙ってって・・・・・・)

 

ムッツリーニに案内された先は、文月学園から歩いて5分程のカラオケボックス。

そのパーティールームに連れていかれたらしい。

 

葉月『お、お姉ちゃん・・・・・・』

 

島田『アンタ達! いい加減葉月を離しなさいよ!!』

 

優子『そんな小さな子を人質にするなんて、恥ずかしいと思わないの!?」

 

泣きそうな葉月ちゃんの声と、島田と優子の怒鳴り声が次に響いてきた。

 

『お姉ちゃん、だってさ! かっわいぃー!』

 

その声を聞いて、明久が今にも部屋に入りそうな勢いになる。

 

雄二(待て明久、勝手に行動するな)

刀麻(まずは人質の救出が優先だ。ムッツリーニがうまくやってくれるからそれまで待とう)

明久(……わかったよ)

 

康太『・・・・・・灰皿をお取り換えいたします』

 

『おう。で、このオネーチャンたちどうする?ヤっちゃっていいの?』

 

『だったら俺は、コッチの巨乳チャンがいいなー!』

 

『あっ、ズリー!それなら俺、2番目ね!』

 

『俺はこっちの女がいいな。見た目が病弱そうでいいじゃん!』

 

『それにしても笑えたよな。特にこの黄緑の髪の奴とか散々注意してきたくせに

 軽く一発殴っただけで気絶しちまったんだぜ』

 

『他の奴もそうだったろ、ハハッ』

 

明久のボルテージが上がる中、刀麻と雄二が抑える。

俺とて手に持っているスタンガンをギリッと握りつぶしかねない勢いで握りしめていた。

 

『しかし、まさか似た顔が居るとは思わなかったな』

 

『ああ、木下命だろ?ビックリするほど瓜二つだわ。姉と一緒して可愛いと来たもんだ』

 

命『やっ!触らないで!』

 

優子『ちょっと、やめなさいよ!』

 

楓『やめてください!』

 

『あーもう、うっせェ女だな!』

 

ドン、という突き飛ばした音と、楓の悲鳴。

そのあと、まるで何かがテーブルを巻き込んで倒れたような音。

 

ガチャッ!

 

貴・明・秀「「「おじゃましまーす」」」

 

俺達はそのままドアを開け放ち部屋へ。

 

命「あ、明久君に、秀兄に貴浩君?」

 

島田「アキ……それに、織村も」

 

優子「貴浩君……」

 

楓「兄さん、秀吉君……」

 

不良に腕を掴まれている命と優子、そして倒れたテーブルの近くで尻もちをついている楓。

その突然の出来事に、皆驚いている様子。

 

「はァ?お前ら誰よ?」

 

明久「それでは失礼して……死にくされやぁぁっ!」

 

「ほごあぁぁぁぁっ!」

 

明久は思いきり近づいきた奴の股間をけり上げた。

 

「てっ、てめぇ! ヤスオに何しやがる!」

 

明久「イィッシャァァーー!!」

 

「ごぶぁっ!!」

 

その近くにいたチンピラが明久の顔面を殴り、

そのあと明久がハイキックを顔面に叩き込んだ。

 

明久「テメェら、良くも命たちに手をあげてくれたな!全員ぶち殺してやる!!」

 

「コイツ、吉井って野郎だ!」

 

「どうしてここが!?」

 

「とにかく、来ているならちょうど良い!ぶち殺せ!!」

 

貴・秀「誰をぶち殺すって(じゃと)!?」

 

貴浩「よくも楓を突き飛ばしてくれたな!?工藤にも酷いことしやがって!!

   そしてとっととその汚い手を優子から離しやがれ!!」

 

俺もそう言い放つと優子と命の手を掴んでいる男に向かって殴りつける。

 

秀吉「命、姉上、楓よ無事か!?

   よくもワシの大事な人たちに手をだしおったの!」 

 

殴りかかってきた奴の1人の顔面を秀吉が

俺が持ってきていた棒で思いきり殴りつけた。

 

「げっ!コイツ織村か!?」

 

「なにっ!?こいつがあの文月の『紅き死神』か!?」

 

懐かしいな。

アレは確か昔楓にナンパしてきた男達を殴りなおした時についたんだったな

 

雄二「やれやれ…このアホウ共が、少しは頭を使って行動しろってーーのっ!!」

 

「げぶっ!」

 

雄二「翔子!無事か!?」

 

霧島「・・・うん大丈夫」

 

その傍らで向かって来た相手を壁に叩きつける雄二。

そう言いながら、更に他の奴に拳をたたき込み今度は膝を鳩尾にめり込ませる。

 

「で、出たぞ! 坂本だ!」

 

「坂本まで来ていたのか!」

 

雄二を見て、チンピラが浮足立つ。

 

「坂本よぉ、この女がどうなってもいいのかぁ?」

 

向こうの1人が、なのはを羽交い絞めにしていた。

 

「良いか? 大人しくしていろよ? さもないと、ヒデェ傷を・・・」

 

康太「・・・・・・負うのはお前だ」

 

ビシッ!

 

ビリッ!

 

「あがぁっ!」

 

羽交い絞めにしていた男は、腹を抑えると同時に白目をむいて倒れた。

バイトのフリして先に侵入していたムッツリーニは瞬時に相手に詰め寄り

腹を蹴ったと同時になのはを助け出すと、スタンガンを押し当てたのだ。

 

康太「・・・・・・大丈夫か八神」

 

なのは「あ、ありがとう土屋君」

 

命「明久君っ!」

 

命が腕を広げて駆け寄っていく。

 

明久「命!」

 

「吉井ぃ! ヤスオをよくも!」

 

それに備え明久が腕を広げて構えた所に来たのは、チンピラのパンチだった。

 

刀麻「うわーっ…タイミング悪すぎだろ」

 

「な、何だこいつ? 血の涙流してるぞ……?」

 

鬼気迫る雰囲気で、そのチンピラをしばき始める明久。

 

明久「命ちょっと待ってて!こいつをシバき倒した後でもう一度…」

 

雄二「命に島田に姫路お前らもそこでにじっとしていろ!」

 

明久「雄二!キサマまで僕の邪魔をするのか!?」

 

貴浩「落ち着け明久!この場合しょうがないだろ? 

   刀麻女子を守れよ!そしたらさっきの件は完全に許してやる!!」

 

刀麻「任せろ!必ずやってみせる!」

 

雄二「くははははは! それにしても、ちょうど良いストレス発散の相手が出来たな!

   生まれて来た事を後悔させてやるぜぇぇッ!!」

 

貴浩「そうだな雄二!お前ら覚悟はできてるよなぁ!!

   今死ね!すぐ死ね!骨まで砕けろっ!

   誘拐したことを死ぬ程後悔させてやる!!」

 

刀麻「あーあ、雄二と貴浩の奴完璧キレてやがる。タイミングが悪かったな」

 

明久「確かに霧島さんに追い詰められてるこのタイミングで、雄二とケンカするなんてね」

 

秀吉「それに楓を攫ったのもアウトじゃな。貴浩が許すわけないのじゃ。

   じゃが今回は別に良かろう。命に手を出したのじゃ当たり前の報いじゃ」

 

刀麻「秀吉まで黒いぞ」

 

同情するような言葉だがその中に情はこめられていない。

なぜなら言葉とは裏腹に自分達も今痛めつけている相手に

容赦の念を込めず殴りつけているからである。

 

その後、女子を連れて学園へと戻った。



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真相

4/24 修正


誘拐騒ぎも一段落ついて

喫茶店の1日目が終了したAクラスにて、俺と明久と雄二と秀吉とムッリーニ。

そして・・・・・。

 

優子「で、いつまで待たせる気?」

 

優子が貸し切り状態の教室でお茶を飲んでいた。

巻き込まれた以上、事情を聞かないと帰らないと言ってきかないためである。

そして楓や命、なのは、霧島、工藤も一緒に居る状態だ。

さすがに島田姉妹と姫路は刀麻に頼んで家に帰ってもらった。

葉月ちゃんがいるので早めに帰らないと親が心配するだろうからな。

 

雄二「まあ待て。もうそろそろ来る頃だ」

 

秀吉「?来るって誰がじゃ?」

 

雄二「ババァだ」

 

明久「学園長(ババア)がかわざわざここに来るの?」

 

貴浩「あの学園長(ババア)がか!?」

 

優子「ちょっと待ちなさい!アンタ達なんて事を言うの!?」

 

工藤「そうだよ。いくらなんでもそれは失礼だよ」

 

普通に考えてその場にいないとは言え学園長をババア呼ばわりなど褒められた事ではない。

というより、普通にババア=学園長で通じる事に俺は驚いた。

 

貴浩「そう言えばさっき雄二が何か話してたな?あれはその事か」

 

明久「話ねぇ…ダメだよ雄二、一応相手は妖怪といえど目上の人なんだから、

   用事があるならこっちから行かないと」

 

優子「吉井君、一応は余計よ?」

 

貴浩「そうだぞ明久!一応じゃないアレは完全に妖怪だ!人間ではない!!」

 

明久「あっ、そっか!」

 

楓「突っ込むところははそこじゃないと思いますが……」

 

敬意もくそもない態度に、優子はツッコむ。

だが、誰一人気にする事もなく、話は続く。

 

雄二「用事もくそもこの一連の妨害の原因はあのババァにある筈だ。

   事情を説明させないと、気がすまん」

 

明久「ババァに原因が……えぇぇっ!?」

 

秀吉「何じゃと!? 」

 

貴浩「やっぱりか…」

 

優子「ちょっと待ちなさいよ。それに学園長がらみって、アンタ達一体何をしてるの!?」

 

明久「あ、あのババァ! 僕等に何か隠してたのか!」

 

貴浩「まあ、それは妖怪ババア長が来ればわかるだろうさ」

 

雄二「貴浩の言うとおりだ。ひとまず落ち着け明久」

 

明久「早く来い妖怪め!」

 

命「もう完全に妖怪よばわりなんですね・・・」

 

なのは「にゃはははは」

 

明久も怒りを隠せなかった。

その所為で命や楓達が危険な目に遭い、喫茶店の経営は苦労の一途。

仲間の命運がかかっている以上、文句を言わないと気が済まなくなった。

 

学園長「……やれやれ、態々来てやったのに、随分と御挨拶だねぇ、ガキ共が」

 

優子「あっ、が、学園長!」

 

優子達女性陣と秀吉はすぐさま立ち上がり学園長に礼をする。

 

雄二「来たかババァ」

 

貴浩「さて、どういう事か説明して貰うぞ?妖怪ババァ」

 

明久「出たな、諸悪の根源め!」

 

学園長「おやおや、いつの間にかアタシが黒幕扱いされてないかい?」

 

優子「ねえ秀吉、アタシがおかしい訳じゃないわよね?」

 

秀吉「奇遇じゃの、ワシもそう思っておったところじゃ姉上」

 

霧島「・・・・・・あの3人がおかしいだけ」

 

蚊帳の外の優子と秀吉は、そのまま黙る事にした。

 

雄二「確かに黒幕ではないだろうが、

   俺達に話すべき事を話してないのは十分な裏切りだと思うが?」

 

学園長「ふむ……やれやれ、賢しい奴だとは思っていたけど、

    まさかアタシの考えに気がつくとは思わなかったよ」

 

雄二「最初に取引を持ち掛けられた時からおかしいとは思っていたんだ。

   あの話だったら何も俺たちに頼む必要はない。

   もっと高得点を例えばそこにいる翔子や木下優子の様な高得点をたたき出せる

   優勝候補を使えば良いからな」

 

雄二の言葉を聞いて、学園長は周りを見回し霧島や優子の姿に気がついた。

 

学園長「ん?ああ、あんたが霧島翔子で木下優子かい?何でここにいるさね?」

 

貴浩「ここいる女子達は騒動に巻き込まれたんだよ。それで事情を聞かせろってうるさくてね」

 

学園長は成程ねと頷いた。

 

貴浩「話に戻るが…優勝者に後から事情を話して譲って貰うとかの手段も取れた筈だし」

 

雄二「なのに、俺達を擁立するなんて効率が悪すぎる」

 

雄二の言葉に、学園長は頷いた。それを見て俺は皆に事情を説明。

 

優子「成程ね、教室の改善ね……それで、教室の改修を条件に副賞の回収を?」

 

貴浩「まあ表向きはな?考えてみたら教育方針の前にまず生徒の健康状態が重要な筈だ。

   教育者側、増して学園の長が反対するなんてありえなかった」

 

明久「という事は、僕等を召喚大会に出場させる為に、ワザと渋ったと言う事だね?」

 

雄二「そう言う事だ。あの時俺がババァに1つの提案をしたのを、覚えているか?」

 

話が終わった処で、雄二が割り込んできた。

 

学園長「科目を決めさせろってヤツかい?成程ね、あれでアタシを試したってわけかい?」

 

雄二「ああ。めぼしい参加者全員に、同じような提案をしている可能性を考えてな。

   もしそうだとしたら、俺達だけが有利になるような話には乗ってこない」

 

明久「そうだよね。僕たちにとっては破格過ぎる条件だ。なのに、ババァは提案を呑んだ」

 

つまり、この3人が決勝に出なければ学園長が困ると言う事。

そして、学園長が困らなければならない連中が居る事につながる事も、

その3人の周りに起きている。

 

貴浩「じゃあ学園祭の喫茶店ごときで営業妨害が出たりして

   俺達が勝ち上がっては困る奴がいるってことか?」

 

雄二「ああ。それに何より、俺達の邪魔をしてくる連中が

   翔子たちを連れだしたのが決定的だった。ただの嫌がらせなら、ここまではしない」

 

優子「私も巻き込まれた事ね?…正直、どうなる事かわからなかったわ」

 

幼い少女も巻き込まれたと言う事もあり、流石に優子も悪寒を感じた。

下手をすると警察沙汰であることゆえに、尚更に。

 

学園長「そうかい。向こうはそこまで手段を選ばなかったのか……すまなかったね」

 

と言うと、突然学園長が明久達に頭を下げて来た。

その姿に、明久達も驚きを見せる。

 

学園長「アンタ達の点数だったら、集中力を乱す程度で勝手につぶれるだろうと

    最初は考えていたのだろうけど目論見が完全に潰されて、焦ったんだろうね」

 

雄二「さて、ここまであった以上話して貰いますぞ?あんたが俺達を選んだ真の目的を」

 

学園長「はぁ・・・アタシの無能をさらすような話だから、

    出来れば伏せておきたかったんだけどね・・・・・・」

 

だから、誰にも公言しないでほしい。そんな前置きをする学園長。

 

雄二「無能?じゃあアンタの目的は、チケットじゃなくて腕輪か?」

 

学園長「そうさね。アタシにとって、企業の目論見なんてどうでもいいのさ」

 

腕輪とは、優勝者に贈られる3種類の腕輪。

 

優勝者にはテストの点数を二分して2体の召喚獣を同時の呼びだせる腕輪。

そして教師なしで立会人になり科目指定をした上での召喚用フィールドを形成できる腕輪。

その2種類の“白金の腕輪”そして召喚獣の能力を向上させる腕輪の”深紅の腕輪”

 

学園長「そうさ。その腕輪を、アンタ達3人に勝ちとって貰いたかったのさ」

 

明久「僕たちが勝ち取る?回収してほしい訳じゃなくて?」

 

雄二「あのな…回収が目的だったら、俺たちに依頼する必要ないだろ? 

   そもそも、回収なんてマネは極力避けたいだろうし、な?」

 

明久「ねぇ雄二、どういう事?」

 

理解できなかったのか、明久が疑問を投げかける。

 

雄二「新技術は使って見せてナンボだってことだろ? 

   デモンストレーションもなしに回収なんてしたら、

   新技術の存在自体疑われるだろうから、このババァにしてみれば避けたいってことだ」

 

学園長「・・・・・・欠陥があったからさ」

 

貴浩「やっぱりか」

 

苦々しく顔をしからめる学園長。

技術屋にとって新技術の欠陥は耐え難い恥でありそれを生徒に明かすのだから無理もない。

 

ちなみに何故俺が予想できたのかはその腕輪の開発の実験台になったからだ

 

明久「欠陥?どんな欠陥です?」

 

学園長「入出力が一定水準を超えると、暴走を引き起こすんだよ。

    だからアンタ達が使うなら、暴走は起らずに済む」

 

雄二「成程な、だから得点の高い優勝候補を使わず

   俺達みたいな“優勝の可能性を持つ低得点者”が

   ババァにとっては理想的だったってことか」

 

優子「じゃあ、アタシ達がもし決勝に出てたら……」

 

知らないとは言え、自分達が暴走の引き金を引こうとしていた

…その事に、優子は顔を青ざめさせた。

 

明久「えーっと、つまり・・・・・?」

 

貴浩「つまり黒金の腕輪はバカにしか使えないってことだ。

   そしてババアが選んだバカが俺達って事」

 

明久「何だとババァ!!」

 

秀吉「説明されぬとわからん時点で、否定できないと思うんじゃが?」

 

秀吉のツッコミで、明久は苦々しい顔をした。

 

学園長「召喚フィールド作成用の方はある程度まで耐えられるんだけどねぇ

    もう片方の同時召喚用と召喚獣融合用は、

    現状だとBクラス程度で暴走する可能性がある。

    だからそっちは出来れば吉井専用にと」

 

明久「あのさ、これは褒められてると取っていいんだよね?」

 

貴浩「何を聞いてたんだよ明久は?Bクラス程度で暴走する可能性があるって事は、

   それ以下のバカにしか使えないってことだろ?」

 

明久「何だとババァ!!」

 

雄二「いい加減自分で気づけ!!それより、そうなると黒幕の正体は大体絞れてくるな」

 

貴浩「そうだな。明久にもわかりやすく言ってやると、

   腕輪の暴走を阻止されたら困る奴ら。

   つまり文月学園に生徒を取られた他校の経営者が絡んでると見ていい。

   後これは個人的な直観だけど、教頭の竹原も関与してる思う」

 

その言葉に、全員の視線が俺に集まった。

 

学園長「やはりそうだったかい…近隣の私立校に出入りしてたなんて話を聞いたが、

    最早間違いないさね」

 

明久「となると、僕等の邪魔をしてきた常夏島トリオや、例のチンピラは……」

 

雄二「教頭の差し金だろうな」

 

明久はふむふむ、と頷いてみてふと思う。

 

明久「あのさ…じゃあ僕たちは、文月学園の存続が掛かった問題に巻き込まれてたって事?」

 

雄二「そうなるな。試召戦争と試験召喚システムは、

   その特異な教育方針と制度で存在自体の是非が問われているシロモノだ。

   そんな状態で暴走なんて問題が起きたら、学校その物の存在意義も問われる」

 

学園長「騙していた事はすまなかったね。だが、目的は既に達成はされているんだ。

    このまま何もなければ、全てはまるく収まるんだよ」

 

確かに表向きは、既に目的は達成された。

だが、このまま向こう側が黙っているとも思えない以上、用心に越した事はない。

 

優子「はぁ…まさかアンタ達が、こんな事に巻き込まれてたなんてね」

 

明久「ごめんね、優子さん。でも……」

 

優子「良いわよ。事情はよくわかったから・・・

   それに皆の事、しっかり助け出したでしょ?だから良いわよ、それは」

 

と、優子は明久の肩をバンと叩いて、俺に駆け寄る。

 

貴浩「それじゃ、聞きたい事は聞けたし、もう帰ろうか」

 

雄二「そうだな。家に帰ってやる事もあるし・・・それに明日も早いしな」

 

学園長「それじゃアタシは学園長室に戻るとするかね」

 

学園長が静かに椅子から立ち上がる。

 

学園長「3人とも学園長としても個人としても、礼と謝罪をさせてもらうよ」

 

明久「はい」

 

そう言うと、学園長は出て行った。

 

貴浩「さて、俺達も帰るか」

 

雄二「ああ。そうだな。今日は俺達が女子を送って帰るか。

   もう何もないとは思うが用心しておいたほうがいい」

 

明久「そうだね」

 

貴浩「それじゃ優子に工藤さん、俺で悪いけどエスコートさせてもらうぞ?」

 

言わずもがな楓と命、なのはも一緒に帰る。

 

優子「ええ、そうさせてもらうわ」

 

工藤「うん、お願いするね」

 

貴浩「気にするなよ。困った時はお互い様さ。明久も一緒に帰ってくれるか」

 

明久「え!?僕も?」

 

貴浩「こっちは女子の人数が多いからな。秀吉もいるが心もとなくてな」

 

秀吉「そうじゃな…正直ワシの腕では護衛なんてできぬからの」

 

明久「そういうことなら良いよ」

 

貴浩「頼むな」

 

そうして俺達は家に帰り、学園祭初日は幕を閉じた。

 



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両手に花?

4/24 修正


誘拐事件から一夜明けた翌日の朝。

俺は楓となのは、木下3姉妹と工藤と共に学校に向かっていっている。

 

そこへ、

 

明久「おーい、貴浩!」

 

貴浩「明久!?どうしてこんな時間に学校に!」

 

明久「何でって、今日の大会のためにテストを受けにきたに決まってるじゃん。

   それより命達朝大丈夫だった?」

 

優子「私は、貴浩君と一緒に登校してきたけど特に問題なかったわ。

   それに何かあっても貴浩君と秀吉が守ってくれるだろうし」

 

工藤「僕も途中で貴浩君たちとあって一緒にきたよ。

   護衛されてるようで結構面白かった」

 

なのは「そうだね。タカ君が守ってくれるもの」

 

三者三様の答えが返ってきた。みんなあんな事があったのに強いな

 

明久「それなら良かった」

 

貴浩「明久今日の大会の為にしっかり勉強してきたのか?」

 

明久「もちろんだよ!」

 

命「さすが明久君です!」

 

意外そうな顔でみんなが明久を見ている(命以外)。

確かに前の明久だったらそんな事絶対しないと思うから無理もないけどな…

 

そのまま明久と一緒に学校へと向かった。

 

Aクラスに着くと

 

優子「さあ皆、清涼際2日も頑張りましょう!」

 

「「「「「うおぉおおお!!」」」」」

 

貴浩「今日のシフトの組み分けを発表するな」

 

雄二「それはちょっと待ってほしい」

 

俺がシフトを発表しようとすると雄二が間に入った。

 

明久「どうしたの雄二?」

 

雄二「いやなにシフトの事でな」

 

なのは「シフトがどうかしたの?」

 

雄二「昨日はほぼ全員が一度は休憩に入っているんだが、

   貴浩と木下長女、工藤の3人だけは昨日休憩に入っていない」

 

明久「えっ!?そうなの。てっきり休憩に入ってたんだと思っていたけど」

 

雄二「昨日は色々ゴタゴタしていてコイツらは休憩に入っていないんだ。

   だから3人には今から休憩に入ってもらってほしいんだ。

   さすがに昼の忙しい時間帯は手伝ってほしいからな。

   それに貴浩と俺と明久は午後から大会の決勝戦があるから

   それまでに1回休憩に入ってほしいんだ」

 

貴浩「そんなの別にいいよ。今日は忙しくなると思うしな」

 

明久「駄目だよ貴浩。昨日休憩に入っていないなら今から休憩に入って

   ゆっくりしてきてよ。それまでは僕達で頑張るからさ」

 

楓「そうだよ兄さん。明久君の言うとおりだよ」

 

貴浩「でもな……」

 

優子「でも皆に悪いし…」

 

工藤「そうだね…」

 

霧島「・・・・・・大丈夫優子、愛子。

   こっちは私達がいるからゆっくりしてきて」

 

命「そうですよ。こちらは私達に任せてください」

 

雄二「そういう事だ。ひとまず今はゆっくりして来い」

 

貴浩「……わかったよ。じゃあお言葉に甘えるとする」

 

優子「そうね。じゃあ代表、皆。お願いするわね」

 

工藤「じゃあ優子、貴浩君!せっかくだから一緒に周らない?」

 

優子「私は良いわよ」

 

貴浩「2人が俺なんかで良いならいいけど」

 

明久「じゃあ3人ともいってらっしゃい!」

 

命「貴浩君!ちゃんと優姉と愛ちゃんをエスコートするんだよ!」

 

俺は明久たちに見送られながら教室を出て行った。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

俺は休憩時間を用いて優子と工藤さんと一緒に清涼際の出し物を見て周っている最中だ。

でもなんで俺なんだろう?

2人ならモテるだろうから彼氏が居てもおかしくないのに

それに俺でなくても男はいるはずなのになんでだろ?

 

工藤「ねぇ、あそこのクレープでも食べない?」

 

貴浩「そうだな。じゃあ買いに行くか」

 

そこで俺達は1年生がやっているクレープ屋にいきクレープを頼んだ。

俺がチョコバナナで優子がストロベリー、工藤がピーチのクレープを頼んだ。

 

工藤「良いの貴浩君?クレープ代出してもらって?」

 

貴浩「気にすんな」

 

優子「ありがとうね」

 

貴浩「どういたしまして」

 

工藤「・・・・ねぇ貴浩君」

 

貴浩「どうしたんだ工藤?」

 

俺達がクレープを食べ終わって歩き回っていると工藤が話しかけていた

 

工藤「何で僕は苗字で呼ばれているのに

   優子の事は名前で呼び捨てなのかな?」

 

貴浩「ん?それは優子とは1年のときから知り合いだし、

   それに秀吉と命だけ呼び捨てで優子だけさんづけじゃ仲間外れみたいで嫌だろ。

   だから呼び捨てで呼んでいるんだ」

 

工藤「そうなんだ。なら僕の事も名前で呼んでよ!」

 

貴浩「えっ!?」

 

工藤「何?僕の事は名前で呼びたくないの?」

 

貴浩「そうじゃないけど」

 

優子「そうね。このままだと愛子を仲間はずれにしているみたいね」

 

貴浩「わ、わかったよ!じゃあ“愛子”でいいよな」

 

愛子「そうそう、それで良いよ」

 

貴浩「で、次はどこに行く?」

 

愛子「それなら僕、お化け屋敷に行きたいな」

 

貴浩「お化け屋敷?そんなのもやっているのか?」

 

優子「確か3年生がやっている見たいらしいね。それに結構人気があるらしいわよ」

 

貴浩「なら、そこに行って見るか」

 

愛子「うん!」

 

お化け屋敷をやっているところで受付のお姉さんにお金を支払う。

 

3年「いらっしゃいませ。あら?あなた両手に花で羨ましいですね」

 

貴浩「えっ!?」

 

3年「3名様ですね。ゆっくり楽しんできてくださいね」

 

そうして俺達は中に入っていく

 

貴浩「かなり凝ったお化け屋敷だな。遊園地とかにあるお化け屋敷そのものだぞ」

 

愛子「貴浩君、僕怖いよ♪」

 

とそこでいきなり愛子が俺の右腕に抱きついてきた。

 

貴浩「な!?何してるんだ愛子!?」

 

愛子「何って、怖いから貴浩君の右腕に掴まっているんだよ」

 

貴浩「いや、そうじゃなくてだな。

   ってか優子もなんで俺の左腕にくっついているんだ?」

 

優子「私も愛子と同じ理由よ。何?愛子は良くて私は駄目なのかしら?」

 

貴浩「そうじゃないけど」

 

優子「ならいいわよね」

 

愛子「貴浩君。両手に花状態だね」

 

貴浩「ははは・・・・・」

 

その後も腕に抱きつかれた状態でお化け屋敷を見て回った。

正直途中から殺気みたいなのがあったが気にしないでおこう。

さっきから2人が俺の腕に抱きついているから2人の胸があたっていて

今は理性を働かせるだけで精一杯なんだから。

 

でも2人ともとても可愛いんだけど

楓や命、なのはに比べると胸が少し物足りないような気が・・・・・・

 

優子「ねぇ貴浩?今何か失礼な事を考えなかったかしら?」

 

愛子「そうだね貴浩君?僕もそう思ったんだけど気のせいかな?」

 

貴浩「き、気のせいだ。2人が可愛いなと思っていただけだよ」

 

嘘は言ってない……嘘は

 

優・愛「「え!?////」」

 

2人を見てみると何故か顔を真っ赤に染めていた

 

貴浩「どうしたんだ2人とも?体調でも悪いのか?」

 

優子「な、なんでもないわよ!」

 

愛子「そ、そうだよ。何でもないから!」

 

貴浩「そうか?なら良いけど。でも気分が優れないならすぐに言ってな」

 

その後も色々な出し物を見て回り

Aクラスへと戻り喫茶に手伝いをして大会の試合が来るまで働いた

 



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シングルス戦決勝戦

4/24 修正


砂原《さあついに始まりました召喚大会決勝戦!!

   なおこの試合の実況を務めさせていただくよん♪

   2ーA所属の砂原鈴歌だよ。皆さんよろしくね♪》

 

『『『鈴歌ちゃーーーん愛してるーーーー!!』』』

 

へぇ~決勝戦は実況がつくのか。ってか砂原って人気あるんだな。

 

ルーティ『さて皆様。長らくお待たせ致しました!

   これより試験召喚システムによる召喚大会の決勝戦を行います!』

 

決勝の立会いを務める日本史のルーティ先生のアナウンスが鳴り響く。

決勝大会は先にシングルス戦を行い、その後でタッグマッチ戦を行うみたいだ。

 

砂原『出場選手の入場だよ!』

 

砂原の言葉で俺と明久、雄二が舞台へと上がる。

先に俺達を紹介するみたいだ。

 

ルーティ『まずはシングルス戦では2年Fクラス所属・織村貴浩君、

   そしてタッグマッチ戦では2年Fクラス所属・坂本雄二君と、

   同じくFクラス所属・吉井明久君です!皆様拍手でお迎えください!』

 

盛大な拍手。さすがの決勝戦だからお客さんが多いなぁ。

 

ルーティ『何と、最高成績のAクラスを抑えて決勝戦に進んだのは、

   2年生の最下級であるFクラスの生徒です!

   これはFクラスが最下級という認識を改める必要があるかもしれません!』

 

貴浩「ルーティ先生は嬉しいことを言ってくれるな」

 

明久「そうだね!頑張った甲斐があるよ」

 

ルーティ『そして対する選手は、シングルス戦では3年Aクラス所属・島村辰彦君

   タッグマッチ戦は3年Aクラス所属・夏川俊平君と、

   同じくAクラス所属・常村勇作君です!皆様こちらも拍手でお迎え下さい!』

 

拍手を受けながら入場。コールを受けて僕らの前に姿を現したのは、

昨日散々迷惑をかけてくれた例の常夏島トリオだ

 

ルーティ『出場選手が少ない3年生ですが、

   それでもきっちりと決勝戦に食い込んできました。

   さてさて、最年長の意地を見せることができるでしょうか!』

 

同じように拍手を受けながら、3人はゆっくりと俺達の前にやってきた。

 

ルーティ『それではルールを簡単に説明します。試験召喚獣とはテストの点数に比例した――』

 

アナウンスでルールの説明が入る。

俺達ははそれを無視して先輩たちと睨みあった。

 

雄二「ようセンパイ方。もうセコい小細工はネタ切れか?」

 

腕を組んで小馬鹿にしたような雄二の態度。

こういった仕草が様になる男だな。

 

夏川「お前らが公衆の面前で恥をかかないように、という優しい配慮だったんだがな。

   Fクラス程度のオツムじゃ理解できなかったか?」

 

貴浩「残念ながらあんたらの言葉なんてAクラス所属でも理解できないだろうな。

   まずは日本語を覚えてくるんだな。サル山の坊主大将」

 

常村「て、テメェ、先輩に向かって……!」

 

観客には聞こえない程度の小声で挑発合戦が行われている。

 

明久「先輩。1つ聞きたいことがあります」

 

島村「ぁんだ?」

 

明久「教頭先生に協力している理由はなんですか?」

 

そう聞くと、先輩たちは一瞬驚いた顔をする。

 

島村「……そうか。事情は理解してるってコトか」

 

明久「大体は。それでどうなんですか?」

 

島村「進学だよ。上手くやれば推薦状を書いてくれるらしいからな。

   そうすりゃ受験勉強とはおさらばだ」

 

明久「そうですか。そちらの2人も同じ理由ですか?」

 

夏川「まぁな」

 

常村「そういう事だ」

 

明久「……そうですか」

 

明久は小さく頷いて会話を打ち切る。

 

常村「本当は小細工なんて要らなかったんだよな。

   Aクラスの俺たちとFクラスのお前らじゃ、そもそもの実力が違い過ぎる」

 

雄二「そうか。それなのにわざわざご苦労なことだな。

   そんなに俺と明久、貴浩が怖かったのか?」

 

夏川「ハッ!言ってろ!お前らの勝ち方なんて

   相手の性格や弱味につけこんだ騙し討ちだろうが。

   俺たち相手じゃ何もできないだろ!」

 

ルーティ『それでは試合に入りましょう!ではシングルス戦からです。

   選手の方は前に、どうぞ!それ以外の方はリングから一度降りてください』

 

説明も終わり、審判役の先生が俺たちの間に立つ。

 

貴浩・島村「「試獣召喚(サモン)」」

 

掛け声をあげ、それぞれが分身を喚び出した。

 

向こうの装備はオーソドックスな斧と鎧。

高得点者の召喚獣らしく、質はかなり良さそうなものに見える

 

 

【日本史】

 3-A 島村辰彦  VS  2-F 織村貴浩 

     323点          492点

 

砂原『おっーと何だ?あの点数?さすがター君だね♪』

 

島村「な、なんだよその点数は!?」

 

貴浩「日本史は得意科目の1つだからな。

   ってか俺は元々Aクラス並みの成績なんだよ」

 

島村「チッ、理数系の教科なら問題ねぇのに」

 

貴浩「さあせっかくの祭りを邪魔をしたんだ。覚悟しろよ!」

 

俺は先輩の召喚獣に斬りかかっていく。

 

島村「そう簡単に当たるかよ!」

 

さすがは一応先輩だ。

俺達より1年早く操作しているだけある。だけど俺や明久には負けるな。

 

貴浩「魔人剣!」

 

俺の斬撃が先輩の召喚獣にあたる。

 

砂原「おっーと!ター君の召喚獣から何か斬撃みたいなのが飛んで行ったぞ」

 

島田「なにぃ!?それがお前の腕輪の力か!?」

 

全然違うけど

 

貴浩「もういっちょう、魔人剣!!」

 

今度は斧で斬撃の直撃を防ぐ。

 

島村「そう何度も直撃するか!」

 

貴浩「なら近づいて斬るだけだ」

 

そういうと何度か斬りつけ鍔迫り合いになった。

 

島村「なら仕方ねぇ。2年相手に大人げないが、経験の差ってやつを教えてやるよ!」

 

先輩の召喚獣が距離をとった。

 

島村「確かお前は特別処遇者とかいって物に触れられるんだよな」

 

なんだ?何をするつもりだ?

そういうと先輩は足元に落ちているリングの破片を蹴った。

 

貴浩「ッ!?」

 

その蹴った破片が俺の召喚獣の頭の部分にあたりよろめく。

 

砂原「おっーと、ター君どうした?急に動きが鈍ったぞ。

   その隙にシマタツ先輩が攻撃に行ったぁ!」

 

島村「だれがシマタツだっ!?……まあ今のうちに!」

 

貴浩「グゥ!?」

 

俺は咄嗟に後ろに下がったが胸のあたりに痛みが生じる。

先輩の攻撃が胸に少しかすったみたいだな。

まさか物に触れられるという発想からああいう攻撃をしかけてくるとは…

 

島村「チッ、仕留められなかったな。だが今ので点数がかなり減ったぜ」

 

 

【日本史】

 3-A 島村辰彦  VS  2-F 織村貴浩 

     210点          226点

 

 

砂原「今の攻撃で点数が大幅に減ってしまったぞ!

   このままシマタツ先輩が勝ってしまうのか?

   それともター君が反撃に出るのか?」

 

貴浩「そっちがそういう手を使うならもう容赦はしない!」

 

俺は先輩の召喚獣に突っ込んでいく。

 

島村「はっ!何を言ってやがる。また同じようにやってやるよ!」

 

貴浩「『グラビトン』」

 

俺は腕輪の能力『重力』っを使い先輩を中心に重力をかける。

俺の召喚獣は物に触れることができる。

つまりは物理的に干渉が出来るという事だ。

ならば腕輪の効果も同じ事が言える。

よって腕輪の能力により島村先輩自身に重力がかかっている状態になるわけだ。

 

島村「なっ!?何だこれは!?体が重い…」

 

貴浩「さっきのお返しだ!行くぞ!!『殺劇舞荒剣(サツゲキブコウケン)』」

 

島村「グッ!」

 

貴浩「おりゃりゃりゃりゃりゃ、おりゃぁ!!」

 

俺は剣や格闘による連続攻撃の後、敵を気で大きく吹き飛ばす。

※攻撃方法はスタンの殺劇舞荒剣です。

 

 

【日本史】

 3-A 島村辰彦  VS  2-F 織村貴浩 

       0点          206点

 

 

ルーティ「勝者 2年Fクラス 織村貴浩!!」

 

そこで会場から歓声があがる。

 

砂原「シングルス戦の勝者は2年Fクラスの織村貴浩だよ♪

   皆、勝者に拍手を送ってあげてねん♪」

 

再び歓声と拍手が鳴り響く

 

明久「やったね貴浩」

 

雄二「よくやったな」

 

貴浩「当たり前だ!!」

 

俺は明久と雄二にハイタッチする。

 

貴浩「次は2人の番だぞ。必ず勝てよ!」

 

雄二「わかっている」

 

明久「もちろんだよ」

 

貴浩「最後にあいつらの行動に注意しろよ」



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タッグマッチ戦決勝

4/24 修正


~ SIDE明久 ~

 

ルーティ『それでは次の試合に入りましょう!次はタッグマッチ戦です。

   選手の方は前に、どうぞ!それ以外の方はリングから一度降りてください』

 

明久・雄二・常夏「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

 

掛け声をあげ、それぞれが分身を喚び出した。向こうの装備はオーソドックスな剣と鎧。 

高得点者の召喚獣らしく、質はかなり良さそうなものに見える

 

【日本史】

 Aクラス・常村勇作 & 夏川俊平

      209点   197点

 

砂原『さすがAクラスですね。やはり点数が高い』

 

確かにAクラスに所属しているだけのことはある。

点数はかなりのものと言えるだろう。

 

夏川「どうした? 俺たちの点数見て腰が引けたか?」

 

常村「Fクラスじゃお目にかかれないような点数だからな。無理もないな」

 

誇らしげにディスプレイを示す先輩達。

反論はしない。確かに誇っても良いくらいの点数だ。

けど、こんな点数が取れるなら自分たちの実力で受験したらいいじゃないか。

それなのに、僕たちの人生で一度しかない高校2年生の学園祭を壊そうとした

――僕の大切な人たちに取り返しのつかないような酷いことをしようとした。

 

夏川「ホラ、観客の皆様に見せてみろよ。お前らの貧相な点数をよ」

 

常村「夏川。あまり苛めるなよ。どうせ直ぐに晒されるんだぜ?」

 

明久「……前に」

 

常村「ぁん?」

 

明久「前にクラスの子が言っていた」

 

夏川「何だ?晒し者にされた時の逃げ方でも教えてくれたのか?」

 

ギャハハハ、と笑う坊主先輩。

試召戦争の時、姫路さんが言ってくれた言葉が頭に浮かぶ。 

そう・・・・・・あの時、彼女はこう言っていた

 

明久「『好きな人の為なら頑張れる』って」

 

常村「ハァ?コイツ何言ってんだか」

 

明久「――僕も最近、心からそう思った」

 

 

【日本史】

 Fクラス・坂本雄二 & 吉井明久

      251点   269点

 

 

常夏「「なっ!?」」

 

砂原「おっーと!これは驚きだ!!

   まさかアッキーとユウユウがここまで点数が高いとは!?」

 

点数に表示されたディスプレイを見て2人の顔色が変わった。

 

明久「アンタらには小細工なしの実力勝負でブッ倒してやる!」

 

試験召喚獣が獲物を構える。 

 

戦闘開始だ。

 

明久「雄二。点数が上がったね」

 

雄二「まあ翔子に負けてから勉強しているからな

   それよりまさか明久が俺よりも点数が高いとはな。驚いたぞ!

   なおさら負けられないな」

 

明久「分かってる。貴浩たちのおかげでここまで頑張れたんだ。

   絶対負けるものか!!」

 

雄二「そうだな――行くぞっ」

 

先に動いたのは雄二の召喚獣だった。装備が軽い分、動きが速い。

 

常村「夏川!こっちは俺が引き受ける!」

 

明久「それじゃ、僕の相手は先輩ですね」

 

夏川「上等じゃねぇか!多少ヤマが当たったくらいで良い気になるなよ!」

 

正面から坊主先輩の召喚獣が剣を構えて突っ込んでくる

 

明久「先輩、取り乱しすぎですよ?

   ただの突撃じゃ避けてくれと言ってるようなもんですよっと…魔人剣!」

 

半身を右にずらし、小さな動きで相手の身体を避け、そのまま攻撃する。

 

夏川「っと、この……!」

 

攻撃をくらって体勢を崩した相手は、振り向きざまに横薙ぎの一撃を見舞ってきた

 

明久「ふっ!」

 

その一撃を小さく屈んでかわし、一呼吸の間に三度木刀を振るう

 

夏川「くぅっ!」

 

何とか剣で防御した坊主先輩は仕切り直すように大きく一歩下がった

 

夏川「テメェ、試召戦争じゃ100点程度だったくせに……!」

 

明久「今でもそんなもんですよ。この教科以外は、ね?」

 

夏川「野郎…!最初からこの勝負だけに絞ってやがったな……!」

 

明久「その通り。よく分かりましたね、先輩」

 

歯噛みする敵に対して木刀を四方から叩きつける。

これだけの点数を取っていたら木刀だって十分強い。

向こうの剣とぶつかり合っても折れたりはしない

 

雄二「どうした?顔色が悪いぜセンパイ?」

 

常村「お前ら、Fクラスのくせに……!」

 

近くから雄二とモヒカン先輩のやり取りが聞こえてくる。

身軽な雄二の召喚獣は素早く動き回ることで相手と互角に渡り合っているみたいだ。

 

夏川「仕方ねぇ。2年相手に大人げないが、経験の差ってやつを教えてやるよ!」

 

そう告げた坊主先輩は召喚獣を大きく飛び退って、

僕だけじゃなく坊主先輩本人からも距離を取らせた。 

使役する本人からも距離を取るなんて、一体何をしようと言うんだ?

見辛くなった分、戦闘がし難くなるはずなのに

 

夏川「お前の知らない戦い方があるんだよ」

 

戸惑う僕に対して意味ありげな坊主先輩の台詞。

そこまで言われると、嫌でも向こうの召喚獣の動きが気になる。

 

夏川「おおおぉぉっ!」

 

坊主先輩が力を込める。何をしてくるのか分からないけど、

とにかく相手を牽制s─――あっそういえば貴浩が……

 

貴浩『召喚獣ばかり目で追うと使役者の動きが読めないぞ。

   全体を見た方が召喚獣との戦いにおいて有利だ

   それにあいつらはセコイ手を使うかもしれないから注意しろよ』

 

そうだった。召喚獣ばかり注意してちゃマズかった。

意識を坊主先輩に向けるとこっちに向かっているのが分かった

……恐らく、僕に対して何かをするんだろう。ようし、それなら……

 

明久「いけっ!」

 

誘いに乗ったふりをして僕の召喚獣を敵に向かって走らせる。

 

夏川「そら、引っかかっt――なっ!?」

 

と、からかうような声を出そうとした坊主先輩は僕が目潰しをしようとする。

けど、僕がそれを手で制したので、驚愕の表情になった

 

明久「先輩、卑怯ですね?」

 

夏川「くそっ!」

 

坊主先輩はその場を離れて召喚獣を持ち場に置こうとする。

 

明久「させるか!!舞い踊れ!桜花千爛の花吹雪!彼岸!霞!八重!枝垂!」

 

貴浩の攻撃と似たように木刀と格闘を用いて連続で攻撃する

 

明久「これが僕のッ『殺劇舞荒拳(サツゲキブコウケン)』だぁ!!」

 

僕は最後に先輩の召喚獣を木刀で吹き飛ばす。

僕の声と会場の歓声が重なった瞬間だった

 

常村「っ!? 邪魔――!」

 

雄二の召喚獣に剣を振り下ろそうとしたモヒカン先輩の召喚獣の動きが一瞬鈍る。

その原因は、吹き飛ばされた坊主先輩の召喚獣。

それがモヒカン先輩の視界を遮ったのだ。

 

明久「雄二!!」

 

雄二「おう!」

 

常村「くそぉぉっ!お前ら如きに3年の俺が……!」

 

雄二「吹き飛べやぁあ!」

 

大威力の拳が叩きこまれて、モヒカン先輩の召喚獣が吹き飛んだ

 

ルーティ「坂本・吉井ペアの勝利です!」

 

モヒカン先輩の召喚獣の点数も0点になった

 

砂原『決まったっー!!優勝はアッキーとユウユウペアの2人だよぉ!!』

 

明久「いぃぃよっしゃぁああー!!」

 

先生と砂原さんの勝利宣言を受け、僕は最高の気分で叫んでいた。

 



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表彰式

大会会場・・・・

 

今表彰式が行われている。

ババァの話とかは軽く飛ばし俺と明久、雄二の3人は舞台の上に上がる。

 

学園長「まずはあんたからだね。シングルス戦優勝おめでとう、

    これが賞状と賞品の『深紅の腕輪』さ。発動キーは『ブラスト』だよ。

    これは召喚獣の能力を向上させることができる。

    では次にタッグマッチ戦優勝おめでとう、

    これが賞状と賞品の『白金の腕輪』と『黒金の腕輪』さ。

    坂本のは『召喚フィールド形成型』発動キーは『アウェイクン』

    これは教師の立会いがなくても

    召喚獣を召喚させるフィールドを形成する事ができる。

    そして、操作者も召喚できる腕輪だね

    吉井の方は『召喚獣同時召喚型』発動キーは『ダブル』

    この腕輪は自分の操作する召喚獣の数を2体増やす事ができるね」

 

へぇこの腕輪かなり便利そうだな

 

学園長「じゃあ、3人共デモンストレーション頼んだよ」

 

貴・明・雄「「「はい!」」」

 

雄二「まず俺だな『アウェイクン!』」

 

雄二を中心に召喚フィールドが展開される。

 

貴・明「じゃあ召喚するよ「「試獣召喚(サモン)!」」」

 

貴浩「ブラスト!」

 

明久「ダブル!」

 

キーと唱えると明久の召喚獣が2体に増える。

俺の方は召喚獣の体が少しピンク色に染まり

表示されている俺の点数が元の1,2倍上昇しているな

 

             現国

 2年Fクラス 吉井明久 56×2 点

 2年Fクラス 織村貴浩 157→188点

 

 パチパチパチと拍手が鳴りデモンストレーションは見事成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葉月「お兄ちゃん!すっっっごい格好よかったです!」

 

明久「ぐふっ!は、葉月ちゃん……今日も来てくれたんだね」

 

表彰式が終わって舞台から降りると葉月ちゃんが明久めがけて突っ込んできた

 

優子「3人とも、お疲れ様。凄かったわね」

 

明久「あはは。そうでもないよ」

 

葉月「お兄ちゃん、凄いです~っ!」

 

島田「葉月ってば。アキが困ってるわよ?」

 

島田が明久にグリグリと頭を押し付けている葉月ちゃんを見て苦笑をしている。

これ以上鳩尾を圧迫されると致命傷になりかねないので、

やんわりと葉月ちゃんの身体を遠ざける明久。

 

葉月ちゃんは不満げな表情を浮かべながらも大人しく従う

 

 

命「あの、明久君」

 

明「あ、命。僕の活躍見てくれた?」

 

命「はいっ!とっても素敵でしたよ!

  今度土屋君にビデオをコピーしてもらおうと思うくらい!」

 

明久「ビデオねぇ……ムッツリーニ、撮影なんかしていたの?」

 

命「はい。ずっと熱心に撮っていましたよ。ね?」

 

康太「・・・・・・・・・・・・(プイッ)」

 

目を逸らすムッツリーニ。

試合そっちのけでミニスカートの観客とかを撮影していたんだろうな

 

霧島「・・・・・・雄二も凄かった。前と比べたら点数が上がってた」

 

雄二「試召戦争の時に散々だったからな。あれ以来、

   特に日本史は重点的にやってきたからな」

 

霧島「・・・・・・さすが雄二」

 

愛子「貴浩君も凄かったね」

 

優子「そうね。まさかあそこまで強いなんて驚いたわ」

 

砂原「そうだね。ター君に勝てる生徒なんていないんじゃないかな?」

 

なのは「そうだね。あの点数に加えてあの操作技術だもんね」

 

秀吉「そうじゃの。貴浩に勝てるモノはおらぬじゃろうな」

 

明久「そうかな?僕は少なくとも貴浩に勝てるかもしれない方法は知ってるよ」

 

秀吉「ム、なんじゃその方法は?」

 

愛子「それは気になるね」

 

命「それってどんな方法なんですか?」

 

貴浩「・・・・・・・明久言うなよ」

 

明久「別に良いじゃん貴浩。簡単だよ。貴浩の苦手科目で戦えば勝てるし、

   貴浩の相手を楓にすれば貴浩は攻撃できないだろうから勝てるはずだよ」

 

優子「そうね、楓相手だったら貴浩は攻撃できないものね」

 

愛子「ねぇ吉井君?貴浩君に苦手科目とかあるの?」

 

雄二「確かにそれは気になるな。何が苦手なんだ貴浩は?」

 

明久「あるよ。それは──」

 

貴浩「明久それ以上言ったら今後お前には飯は出さんぞ」

 

明久「ごめん!僕忘れちゃった!」

 

雄二「身代わり早すぎだろ!!」

 

明久「だって僕の貴重な栄養源が……」

 

貴浩「まあもう雑談はやめて仕事に戻るぞ」

 

優子「そうね。じゃあ戻って仕事をするとしましょう」

 

姫路「あ、あの吉井君」

 

明久「ん?何、姫路さん?」

 

姫路「あ、あの、ですね……」

 

明「ん?」

 

明久と話している姫路がが身体の前で指をもじもじと動かしている

 

姫路「後夜祭の時、お話があるので駐輪場まできてください!」

 

顔を真っ赤にしてそう告げると、姫路はダッシュで業務に戻っていった

 

あら?姫路に一歩先を越されたみたいだな

 

貴浩「命。姫路が行動を起こしたけどお前はどうするんだ?」

 

命「わ、私は…」

 

貴浩「まあ、どうするかは任せるけどサポートだけはしてやるから」

 

俺はそういうと命の頭に一度手を置いてそういった

 

そして仕事へと戻っていった



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学園破壊

4/24 修正


〔ただいまの時刻をもって、清涼祭の一般公開を終了します。

 各生徒は速やかに撤収作業を行ってください〕

 

明久「お、終わった……」

 

命「終わりましたね」

 

秀吉「さすがに疲れたのう……」

 

楓「お疲れ様です秀吉君」

 

なのは「土屋君もお疲れ様でした。厨房に撮影と忙しかったですね」

 

康太「・・・・・・・・・・・・忙しいのは慣れてる」

 

優子「さすがに疲れたわね」

 

愛子「もうクタクタだよ」

 

放送を聞いて皆、足から力が抜けている。流石に疲れたな。

料理を作ったり、ホールにも出たりして忙しかったし。

 

明久「そう言えば、姫路さんのお父さんはどうしたんだろう?」

 

貴浩「ん?お父さんって何だ?」

 

明久「あれ?貴浩には言ってなかったっけ?」

 

そして俺は明久から姫路の転校の話を聞いた。

明久こういう大事な事は早めに話しておけよ

 

秀吉「後夜祭の後で話をしにいくと言っておったのう。結論はその時じゃな」

 

島田「じゃ、ウチらは着替えてくるわ」

 

女性陣達が更衣室に向かおうとします

 

明久「ええっ!? どうして!?」

 

貴浩「そうだ!何故着替えるんだ!?打ち上げまでその服装でいるんだ!!」

 

康太「・・・・・・・(コクコク)」

 

優子「どうしてって言われても……恥ずかしいからに決まってるでしょう!」

 

楓「さすがにこの服装で打ち上げは……」

 

愛子「僕もさすがに恥ずかしいな」

 

なのは「私もちょっと……」

 

命「すいません。すぐに戻りますので」

 

明久「待って! 皆、考え直すんだ!カムバーック!」

 

俺達の必死の説得?も虚しく、女性達は着替えのため去っていった。

ちなみに、葉月ちゃんはそのままの格好で帰っていったが正直、将来が不安だ。

 

雄二「おい明久と貴浩。遊んでないで学園長室に行くぞ」

 

雄二が呆れたような目で見てくる。

 

貴浩「ちぇ、わかったよ」

 

秀吉「学園長室じゃと?3人とも学園長に何か用でもあるのか?」

 

雄二「ちょっとした取引の精算だ。喫茶店が忙しくて行けなかったからな。

   遅くなったが今から行こうと思う」

 

一応、取引だからな。報告しに行かないとな

 

貴浩「秀吉とムッツリーニも一緒に行くか?」

 

康太「・・・・・・・・・・・・(コクコク)」

 

秀吉「そうじゃの。では行くとするかの」

 

そして、俺達は学園長室に向った。

 

明久「失礼しまーす」

 

雄二「邪魔するぞ」

 

貴浩「失礼」

 

ノックと挨拶をして学園長室の扉を開けます

 

秀吉「お主ら、全く敬意を払っておらん気がするのじゃが……」

 

明久「そう?きちんとノックをして挨拶したけど?」

 

あの学園長先生に敬意を払えるだけの威厳はないから別にいいだろ

 

学園長「アタシは前に返事を待つようにいったはずだがねぇ」

 

明久「あ、学園長。優勝の報告にきました」

 

学園長「言われなくても分かっているよ。

    アンタ達に賞状を渡したのは誰だと思ってるんだい」

 

貴・明「「妖怪」」

 

こんな学園長先生に敬意を払う意味はない

 

雄二「さて、これで問題は解決したな?」

 

学園長「ああ。感謝するよ、おかげでデモンストレーションも無事終わったからね」

 

来賓も満足していたと、嬉しそうに言う学園長。

 

明久「それで、腕輪は返却した方が良いですか?」

 

学園長「いや、それは後で良いさね。どうせすぐに不具合は直せないんだ」

 

ふと横にいる雄二を見るとが疑問符を浮かべていた。

 

貴浩「ん? どうした雄二」

 

雄二「そう言えば、どうしてあいつら俺達がババァと繋がっている事を知っていたんだ?」

 

貴浩「え?……そうだ!何であいつら……まさか!?」

 

明久「それじゃ学園長。これをゲットするっていう取引は成立しましたので、

   教室の改修をお願い……」

 

雄二「待て明久! その話はまずい!」

 

明久「え?」

 

俺と雄二は、それぞれ窓とドアに向け駆け出す。

 

康太「・・・・・・盗聴の気配」

 

雄二「やられたか!」

 

ドアを開け放った雄二が、逃げていく例の常夏島トリオを発見。

 

雄二「あいつら……追うぞ明久、貴浩!」

 

明久「ちょっ…どういう事!?」

 

雄二「常夏島トリオが、学園長室を盗聴してやがったんだ!」

 

明久「なんだって!?」

 

先程の会話を聞かれ、それを録音されていたら…それこそ文月学園は終わり。

その為、ムッツリーニと秀吉、俺と明久と雄二の2組に分かれ、捜索に走る。

 

雄二「それじゃまずは放送室を抑えるぞ!」

 

貴・明「「了解!」」

 

 

~放送室~

 

 

雄二「邪魔するぞ!」

 

「なっ、何だおまえらは!?」

 

明久「ダメだ!ここにいるのはタバコ吸ってるバカだけだし、

   置いてあるのは密かに学園祭で取引されてたアダルトDVDくらいだよ!」

 

雄二「よし、とりあえずタバコとDVDを押収して、先を急ぐぞ!」

 

明久「そうだね! 校則違反だもんね!」

 

「ど、どろぼう! 泥棒!!」

 

 

~廊下~

 

 

島田「あれ? アキに坂本、それに織村?そんなに急いでどうしたのよ?」

 

優子「ねえ貴浩、話があるんだけど・・・」

 

霧島「・・・・・・雄二」

 

明久「ごめん島田さん、優子さん、霧島さんちょっと急ぐんでまたあとで!」

 

貴浩「悪いな!」

 

優子「あ、待って!何か落としたわよ?えっと『女子高生緊縛物語』……何コレ?」

 

明久「逃げよう貴浩、雄二!何だか島田さんと優子さん、霧島さんを中心に、

   物凄い量の闘気の渦が見えるんだ!」

 

貴浩「いや、違う!あれは殺意だ、全力で逃げるぞ!!」

 

雄二「もちろんだ!」

 

優子「待ちなさい!アンタ達何でこんなものを持っているのよ!!」

 

島田「話を聞かせなさい、アキ!!」

 

霧島「・・・・・・雄二詳しく聞かせて」

 

貴・明「「うわぁっ! 追って来たぁ!!」」

 

 

~2-A教室~

 

 

愛子「あっ!貴浩君。もしかしてボクに会いに来てくれたのかな?」

 

貴浩「ごめん、先急ぐから」

 

愛子「そうなの? 残念だなあ、折角貴浩君の為に着替えようとしたのに」

 

貴浩「え!?そっそれって…」

 

明久「雄二、貴浩、ここにはいないから先を急ごう!」

 

貴浩「待て明久、こっちはこっちで大変な事になろうとしているんだ!」

 

明久「早く次行くよ」

 

貴浩「ま、待ってくれ」

 

校舎を探しても見つからず、俺、明久、雄二の3人は主に人目のつきにくい所へ。

 

雄二「マズいな……随分と時間をロスした」

 

明久「そうだね。あいつら一体どこに……ん?」

 

貴浩「何かあったのか?ってこれって?」

 

そこにあったのは、良くテレビに出てきそうな布に包まれた玉。

俗に言う、打ち上げ花火である。

 

貴浩「なんだ、ただの打ち上げ花火じゃないか」

 

明久「あれ?打ち上げのための大砲みたいなのがないけど?」

 

雄二「おいおい、花火も火薬の塊なんだから手違いで爆発なんてしゃれにもならないぜ?」

 

明久「流石試験校、お金があるね。こんなに大きな打ち上げ花火を用意しているなんて」

 

大きさから、2尺位ある。

 

雄二「感心してる場合か!? そろそろ向こうも何か動きだす筈だと……」

 

Prrrrrrr!

 

貴浩「もしもし?……っ!新校舎の屋上!」

 

新校舎の屋上を見始める。

 

貴浩「やべぇ!あいつら、屋上の放送設備を準備してやがる!!」

 

明久「なんだって!?」

 

現地点から屋上までは、流石に明久たちどころか鉄人でも不可能。

 

雄二「貴浩、秀吉達は?」

 

貴浩「部室連だ! そこからじゃ速くても5分はかかる!」

 

雄二「……だったら!」

 

雄二が腕輪をつけた腕を2人に突きつける。

そして、視線を二尺玉に向けてにやりと笑みを浮かべる。

 

貴浩「そうだな。やっぱりお前も考えたか?」

 

明久「だよね。他に方法はないよね?」

 

貴浩「よし、雄二。頼む!」

 

雄二「ああ……『アウェイクン』!」

 

貴・明「「試獣召喚(サモン)!」」

 

一方、屋上にて。

 

島村「夏川、そっちの準備は大丈夫か?」

 

夏川「大丈夫だ。へへっ、これが流れりゃ俺達の逆転勝利だな」

 

常村「そうだな。これで受験勉強なんかしなくても……おぉぉぉっ!!?」

 

夏川「なんだよ常村、何をそんなに驚いて……ゲぇッ!? ウソだろぉっ!?」

 

島村「とにかく伏せろぉぉっ!!」

 

 

ドォーーーン!! パラパラ……

 

 

貴浩「よし、スピーカー命中を確認!」

 

明久「流石は貴浩!」

 

雄二「続けていくぞ!」

 

雄二が2尺玉を運びライターを導火線に近づける。

 

そしてその2尺玉を、俺と明久の召喚獣は物質干渉能力を持っているので担ぎあげる。

没収品のライターで火を付け、そのまま……

 

明久「発射!」

 

召喚獣の投擲により、目標物へ。それは放送器具に直撃し、向こうの無力化を確認。

 

雄二「よし、これで向こうは何もできなくなったはずだ!」

 

明久「そっか! それじゃ、いい加減ここにいるのも危ないし……」

 

貴浩「そうだな。常夏島トリオに一発ブチ込んだら逃げるか?」

 

悪をやっつけるなら徹底的に。俺は2人が用意した玉を、召喚獣に担がせる。

 

貴浩「えーっと、少し動きまわってやがるな……よし、それじゃとどめの一撃!」

 

西村「貴様等ァッ! 何をやっているかァッ!」

 

貴浩「うわあっ!」

 

その声は、自身達の天敵、鉄人のドスの利いた怒鳴り声。

それにより制御を誤り……

 

ドォーーーンッ!!!

 

雄二「た、貴浩! 学校にぶち当たったぞ!?」

 

明久「ああっ!校舎がゴミの様だっ!?」

 

貴浩「しっ、しまった!俺とした事が!?」

 

砲弾は見事なまでに校舎の一角に命中し、もはや部屋の主壁も見当たらない。

 

布施「き、君たち!よりにも寄って、教頭室になんて事をしてくれたんだ!!」

 

貴浩「教頭室!?……ある意味ラッキーか」

 

西村「吉井に織村兄、坂本ぉっ!貴様ら、無事に帰る事が出来ると思うなよ!!」

 

3人にとってお馴染みの怒鳴り声。それを聞くなり、3人は散り散りに逃げだした。

 

西村「逃がすか!今日は絶対に帰らせん!!」

 

明久「違うんですよ先生!僕等は学園の存続のために!」

 

西村「存続だと!?バカを言え!たった今お前らが破壊したばかりだろうが!!」

 

貴浩「これには深い事情があるんだ!だからせめて話くらい聞いてくれ!!」

 

鉄人が大声を出すからなのだが、結局は逃げ回るしか手はなかった。

 

雄二「恩に着るぞ明久、貴浩! 鉄人を引きつけてくれるとは!」

 

貴浩「なっ!テメ雄二!こうなったら…誰か助けて!変態教師が襲ってくる!!」

 

明久「ひいいいっ!服をはがしてどこかに連れ込もうとしてくる!!」

 

西村「貴様らはよりにもよって、何という悲鳴を上げるんだ!!」

 

こうして彼らの学園祭最後の夜は、恐怖と耐久マラソンで飾られる事に。

そして彼らは学園中にその悪名を轟かせ、畏怖と軽蔑を持って挙げられる名となった。



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うちあげ

4/24 修正


明久「痛てて…随分と殴られたよ…」

 

雄二「くそっ、鉄人め。あの野郎は手加減を知らないのか?」

 

貴浩「やった事が事とはいえ、流石にこれはきつ過ぎだろ。あの鉄鬼が」

 

雄二「斬新なニューネームだな」

 

結局逃げきれず、捕まってしまった3人。

本当なら停学か最悪退学の筈だが、処分は厳重注意という拍子抜けするような内容。

ただし、相手が相手だけに、3人の顔の面積が倍になっていた。

 

雄二「ババァが手をまわしてくれたんだろうな」

 

明久「今回の処分の事?そうだろうね。

   そうじゃなければ、こんな軽い処分な訳ないもんね」

 

貴浩「まあババァに借りを作れたし、お互い助かった訳だからまあ良しとするか? 

   まあ感謝する気なんてないけどな」

 

明久「そうだよね。学園長が僕らを助けてくれるのは、ギブアンドテイクって奴だよね」

 

早めに解放されたのにも命中先が教頭室というのもある。

その修繕という理由でがさ入れが始まっている。

でも教頭はすでに行方をくらましているみたいだけどな。

 

明久「とにかく、問題は全部解決だね」

 

雄二「そうだな」

 

貴浩「さて、打ち上げに早く混ざろう。最後位は楽しく過ごす記憶が欲しい」

 

と、打ち上げが行われている公園へと急ぐ3人。

 

秀吉「む。やっと来たようじゃな? 遅かったのう」

 

康太「・・・・・・先にはじめておいた」

 

明久「ああ、ごめんごめん、ちょっと鉄人がしつこくてさ」

 

A・Fクラスの面々で、お菓子やジュースを持ちこんでの打ち上げ。

店でのそれと違い金はかからないがこれはこれで楽しい物。

 

秀吉「お主ら、もはや学園中で知らぬ者はおらん程の有名人になってしまったのう」

 

康太「・・・・・・(コクコク)」

 

砂原「そんな3人には『デストロイトリオ』ってあだ名がついたぐらいだしね」

 

雄二「不名誉な名だな」

 

優子「あれだけの事をやっておいて、退学どころか停学にすらならないんですもの。

   妙な噂が流れて当然でしょう?私だって気になるし」

 

と、話に割り込んできた優子が、明久と俺にジュースの入った紙コップを手渡す。

 

明久「ん、ありがと」

 

貴浩「ああ、サンキュ。それで、店の売り上げはどうだった?」

 

優子「そうね。すごいって程じゃなかったけど、

   たった2日間の稼ぎとしては、結構な額になったんじゃないかしら?」

 

雄二「ふむ、どれどれ…?」

 

優子が収支の書かれたノートを取り出し、雄二がそれを覗き込む。

それを見て、少々顔をしかめる。

 

雄二「この額だと、机といすは苦しいな。畳と卓袱台がせいぜいだ」

 

貴浩「やっぱりな…あの常夏島トリオさえいなけりゃ、

   もう少しましだったかもしれないけど」

 

明久「確かに、それが痛いよね…ところで、姫路さんは?」

 

周りのバカ騒ぎの中に、姫路の姿はいない。

彼女が転校する可能性もまだ否定しきれない以上、

早く確かめたいと言うのが明久の考えだろう。

 

貴浩「大丈夫だろ。俺達の3人の決勝の事があるし、

   多少だけど設備と環境の改善も行われるんだ」

 

雄二「そうだぞ明久、お前はただドーンと構えてればそれで良いんだ」

 

姫路「すいません。遅くなりました~!」

 

俺と雄二とのフォロー直後に、姫路の到着。

その嬉しそうな様子からみて、結果はわかりきっていた。

 

島田「あ、瑞樹。どうだった?」

 

姫路「はいっ!お父さんも分かってくれました!美波ちゃんの協力のおかげです!」

 

その言葉を聞いて、ホッと一息つく明久。

 

雄二「ほらな?」

 

どうやら姫路は転校しなくていいらしいな

 

砂原「これより『清涼祭A・Fクラス人気投票ランキング』の結果を発表するよォ!

   覚悟はいいかな皆ぁ!!」

 

「「「「「イエーーーーーーーー!」」」」」

 

パフパフパフ

 

明久「なんかノリいいね。想像してたAクラスと全く違うんだけど!」

 

楓「そうですね。少し驚きました」

 

今、俺の周りには明久と楓、命、、秀吉、優子、愛子、島田、姫路がいる。

雄二は霧島さんに捕まっていてしまい連れ去られた。

 

貴浩「ああ、Aクラスとの今回の交渉の時、

   こういうときぐらい楽しめ、みたいなこと言ったら大体の奴が吹っ切れた」

 

優子「そうだったわね」

 

「勉強なんてやってられかぁ!」

 

明久「何かとてつもない事いってる人もいるね」

 

貴浩「ああ、色々抱えてたんだろうな。

   発散できるとこが出来て完全に吹っ切れたみたいだな」

 

砂原『……メニューについてはここまでだよ。

   次、お待ちかね、人気のあったウエイター、ウエイトレスのランキング

   行くよォ!まずウエイターから。10位――――』

 

明久「何かこれだけ見てるとFクラスを想像するよ」

 

命「そうですね。私たちのクラスはにぎやかですからね」

 

貴浩「実際、Fクラスじゃなくてもこのくらいならやると思うけどな。

   …命、今のうちに明久ともっと話しかけたらどうだ?

   もっと仲良くなれるかもしれないぞ」

 

命「そうだね。じゃあ早速明久君に話しかけて―――」

 

砂『第4位はアッキーだ!話も掛け易く笑顔がたまらないと評判だったそうだよ♪』

 

「「「「「うおおおお!」」」」」

 

命「おめでとう明久君」

 

明久「…何か呼ばれたけど行った方がいいのかな?」

 

貴浩「うるせぇ!さっさと行って友達でも彼女でも作ってこいよ!

   そんでもう帰ってくんな!」

 

明久「ひどっ!どうしたのいきなり」

 

まさか明久がこれほどまで人気があるとはな 

 

砂原『第3位はヒデヒデだ!笑顔が可愛くてたまらないと評判だったそうだよ♪』

 

秀吉「おっ!ワシもか?」

 

楓「凄いですね秀吉君」

 

優子「やるじゃない秀吉」

 

秀吉「じゃが可愛いとは少し複雑じゃのう」

 

貴浩「いいから秀吉もさっさと行って来い!」

 

秀吉「どうしたのじゃ貴浩は?」

 

こ、これでいつもいるメンバーは俺以外呼ばれたな。

雄二は8位で、刀麻が7位、ムッツリーニは5位だったしな。

何故俺だけ呼ばれないんだ・・・・orz

 

 

砂原『第2位はター君だ!カッコよくて頼りになりそうと評判だったそうだよ♪』

 

貴浩「マ、マジでぇぇぇ!?」

 

やべ、超嬉しいんだけど

 

楓「兄さんおめでとう」

 

愛子「よかったね貴浩君」

 

優子「おめでとう」

 

なのは「よかったねタカ君」

 

砂原『そして念願の第1位は――――久保利光ゥうう!

   理性にあふれる姿に女子はみんなメロメロだァ!次ウエイトレス行くぞ¥よォ!』

 

「「「「「うおおおおおお!!」」」」」

 

そんなこんなで数十分後・・・・

ちなみに女子の順位は

1位:砂原、2位:愛子、3位:なのは 4位:楓 5位:命

6位:優子 7位:椎名 8位:姫路 となった

 

やはり楓は人気があるな。あまりホールに出してないのにこれか・・・・・

 

貴浩「はぁー、つっかれた。」

 

でも、Aクラスとの仲良くなれたしいい1日だったな。

さて明日からも頑張らないと。

明久は命と話しているみたいだし俺はどうするかなと考えていると

 

愛子「ねぇってば!」

 

貴浩「うわっ!びっくりした。驚かすなよ愛子」

 

愛子「さっきからずっと呼んでたんだけど」

 

愛子がムスっとした顔をしてこっちを見ている。

 

貴浩「ごめんごめん、で何か用?」

 

愛子「怖い人たちに攫われた時、助けてくれたの貴浩君たちなんでしょ。

   だからお礼がしたくて」

 

そういうことか。確かに助けに行ったけど・・・

頭に血が上っていたからなあまり覚えていないんだよな

 

貴浩「別にお礼なんていいよ。

   それにその時頭に血が上ってたみたいであんまり覚えていないんだ」

 

愛子「そうなんだ。じゃあ『俺の女によくも手を出してくれたな、ぶっ飛ばしてやる!』

   って言ったのも覚えてないの?」

 

貴浩「なっ!?俺そんなこといったのか!?」

 

みんなに聞かれてたら恥ずかしくてもうあわせられる顔がない!

 

愛子「あはは、冗談だよ冗談。本当にからかいがいがあるね貴浩君は。

   それより優勝したけどグランドパークのチケットどうするの?」

 

優子「あっ!?私も気になるわね」

 

すると優子も俺のもとへやってきた

 

貴浩「チケットは人にあげるかな。俺は使い道ないしな」

 

優子「ふ、ふーん。そうなの」

 

愛子「…そうなんだ」

 

優子「……私を誘ってくれないのかしら(ボソッ)」

 

愛子「……僕を誘ってくれないのかな(ボソッ)」

 

どうしたんだろ2人共?落ち込んでいるみたいだけど

ま、いいか。さて明久から雄二と明久の分のチケットをもらってくるか。

もちろん明久から貰うのは大会の分であってオリエンテーションのチケットは貰わないがな

 

 

SIDE IN 明久

 

 

命「駄目れすっ!明久君は渡しません!」

 

姫路「命ちゃんこそ放してください!」

 

明久「痛たたたっ腕がぁっ!」

 

命と姫路さんに両腕を引っ張られてる。何でこんなことに…

 

-5分前-

 

命「お待たせ~」

 

姫路さんがジュースを買いに行っている間に命がやってきた

 

島田「お疲れ命。はい、ジュース」

 

命「ありがとう美波ちゃん」

 

美波から紙コップを受け取り、それを一気に飲む

 

美波「そういえばアキ。1つ言っておきたいことがあるんだけど…」

 

明久「ん?何?」

 

美波「昨日、変な連中から助け───」

 

命「明久君♪!」

 

美波「み、命!何してるのよ!」

 

突然命に抱きつかれた

 

命「んにゅ~」

 

命が僕の胸に顔をうずめて気持ち良さそうにしてる。やばい…可愛い。

 

姫路「命ちゃん!何をしてるんれすかっ!」

 

姫路さんがジュースを抱えながら走ってきた。ん?れすって…まさか2人共酔ってる?

 

姫路「放してくらさい命ちゃん!」

 

命「いやらよ!引っ張らないれよ!」

 

そんなこんなで今に至る。こういう時は…

 

明久「止めて2人共!僕の為に争わないで!」

 

これで…

 

『『『『『何だとぉぉぉっ!』』』』』

 

あれ?

 

『姫路さんと木下三女が吉井を巡って争ってるぞ!』

 

『くそぉっ!堂々と二股かけやがって…異端審問会の準備をしろ!』

 

『『『Yes!! Boss!!』』』

 

逆効果だったようだ

 

命「邪魔れすぅ!」

 

『『『『『みぎゃぁぁぁっ!』』』』』

 

命がそこらにあった棒を振りまわすとと皆が断末魔の悲鳴をあげて倒れた。

あれ?美波と姫路さんまで倒れてる。これって…2人っきり?

 

命「明久君~」

 

明久「ん?何?」

 

命「私ね…明久君の…ことが…スゥ」

 

明久「み、命?何?僕が何?って寝てるぅぅっ!?」

 

寝ちゃったのか……なんて言おうとしたのか気になるな

あ…この後どうしよう?

 

その後は貴浩に助けてもらいました




~腕輪設定~

< 腕輪 >

~白金の腕輪~

 【同時召喚型】
   ・使用者の点数を二分してもう一体召喚獣を呼び出す機能を持つ。
    ただし主獣(メイン)と副獣(ダブル)の2体の動きを
    1人で制御しなければならないため
    操作には多大な集中力を要し長時間の使用は厳しい。
   ・欠点:Bクラス並みの点数程度(総合で)で暴走するおそれがある。
   ・起動キーは「二重召喚『ダブル』」
   ・所有者:吉井明久

 【代理召喚型】
   ・使用者の点数によって範囲が変る召喚可能場(フィールド)を作成する機能を持つ。
    そのため教師の立ち合い無く召喚獣を召喚することが可能。
    操作者も自分の召喚獣を召喚することができる。
    また、操作者の任意でフィールドを形成できたり消すことができる。
   ・欠点:使用する教科はランダムで設定される。
       起動するためには点数を消費する。
    ※1回の召喚フィールドを召喚するのに30点消費。    
   ・起動キーは「起動『アウェイクン』」
   ・所有者:雄二

~深紅の腕輪~

 【召喚獣開放型】
   ・召喚獣の力を解放することで30分間、
    全ての能力(力やスピード)を2倍にすることができる。 
    またその時点数は1.2倍上がる
    ただし、一定時間経過後は元々の点数に戻りそこから元々の点数の1/4引かれる。
    例)元々の召喚獣の点数:400点 
      開放すると480点になり、一定時間経過後は300点となる
   ・起動キーは「起動『ブラスト』」
   ・また、もう1段階力を開放する事ができる。
    それは10分間、全ての能力を4倍まで上げることができ点数も2倍上がる。
    ただし、一定時間経過後は元々の点数に戻り元々の点数の半分が引かれる。
   ・起動キーは「起動『フルブラスト』」
   ・欠点:点数による制限はないが召喚者のフィードバックの作用が現れる
       そのフィードバックは2倍程度上昇
       ・普通の生徒ならフィードバックの作用:20%
        (明久と同等のフィードバック)
       ・明久:40% 、貴浩:20%
       ※ただしこれは『ブラスト』の場合で
        『フルブラスト』だとその2倍上昇する。
        操作者にとって諸刃の刃の腕輪
   ・所有者:織村貴浩




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番外編②
転入生


4/25 修正


西村「まずHRを始める前に転入生を紹介する」

 

須川「質問です!女子ですか?」

 

西村「男子だ」

 

F「…なんだ男子か」

 

一瞬で転入生に興味がなくなったようだ。さすがFクラス

 

西村「入ってきていいぞ」

 

ガララ

 

教室に入ってきたのは俺が見知った顔だった。

 

貴・明「「光一!?」」

 

楓「光一君?」

 

光一「お久しぶりです。貴浩殿、明久殿、楓殿」

 

光一は軽く俺達に挨拶をすると皆のほうに振り返った。

 

西村「今日からFクラスのメンバーになる、では羽鳥、自己紹介を」

 

光一「羽鳥光一だ。よろしく頼む。まずはじめに言っておく。

   明久殿、貴浩殿、楓殿に手を出す輩は容赦はしない」

 

光一は相変わらずだな

 

命「・・・あの質問なんですが良いですか?」

 

光一「何だ?」

 

命「え、えっと……」

 

貴浩「おい光一。怖がらせるな。命は俺や明久の友達だ」

 

光一「む、それはすまなかった。すまない」

 

命「い、いえ。気にしてませんから」

 

光一「で、・・・命だったか?質問とは何だ?」

 

命「あ、えっと。明久君たちとはどんな関係なんですか?」

 

光一「3人は俺の恩人だ」

 

命「お、恩人ですか」

 

明久「恩人だなんて大げさだよ」

 

貴浩「そうだ。俺達は当たり前の事をしただけだ」

 

光一「俺にはそれがとても嬉しかったんだ」

 

明久「そう・・・?まあこれからよろしくね」

 

貴浩「そうだな。よろしく」

 

楓「光一君よろしくね」

 

光一「よろしく頼む」

 

西村「じゃあ羽鳥は吉井の前に座れ」

 

鉄人がそういうと光一は明久の隣に座った

 

 

 

ちなみに今の席順は(多少省略させてもらってます)

 

 

 

 姫路 島田

       楓  命

       光一 秀吉

    雄二 明久 貴浩

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

昼休み

 

 

 

貴浩「光一。お前を皆を紹介しておく」

 

光一「わざわざすみません」

 

俺は軽く光一に紹介する

 

命「木下命です。羽鳥君よろしくね」

 

光一「よろしく頼む」

 

秀吉「次はワシじゃ。木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。

   命はワシの妹じゃ。兄妹ともどもよろしくなのじゃ。

   言っておくがワシは男じゃからな」

 

光一「嘘だろ?女じゃないのか。女っぽいから女かと思った」

 

秀吉「……やはりか。わかっていても落ち込むの」

 

光一「仕方ねえだろ。見た目が女ぽいんだから。

   ってか、もうあきらめてんじゃないのか」

 

雄二「・・・おい、言いすぎじゃねぇか?」

 

光一「なんだお前は?」

 

雄二「俺は坂本雄二だ。一応ここのクラスの代表だ」

 

光一「ああ。お前が元神童の坂本か、今ここにいるって事は落ちぶれたもんだな」

 

雄二「なんだと!?」

 

光一「事実だろ」

 

命「ねえ明久君。良いの?このままで。さすがに言いすぎだと思うけど…」

 

明久「うん、大丈夫だと思うよ。光一は根は優しいからね」

 

楓「そうですね。今も2人のことを思って言ってるんだと思うし」

 

貴浩「さすがに今のままはやばいな。おい光一。ちょっと言いすぎだな」

 

光一「…申し訳ありません」

 

貴浩「もうその態度には慣れたから俺達はそれでいいが・・・

   雄二たちはお前とは初対面なんだ。

   だからまだお前がどういう奴かわからないんだ。

   だからもう少し親身になってくれ。

   で、さっきのことだが、光一は秀吉をどうすれば男に見えると思うんだ?」

 

光一「そうですね・・・髪型を変えるだけで男らしくなると思います」

 

貴浩「なら最初からそれを言おうな。だってさ秀吉・・・」

 

秀吉「髪型を変えるか・・・…どのように変えれば良いのじゃろうか?」

 

貴浩「光一」

 

光一「了解」

 

光一は秀吉を連れて出て行った。その間に雄二のファローを・・・

 

貴浩「雄二」

 

雄二「・・・なんだ?」

 

貴浩「多分、光一が言いたかったのは

   今のままで良いのかって言いたかったんだと思うぞ」

 

雄二「・・・・・・どういうことだ?」

 

貴浩「今の現状に甘えて勉強せず堕落していっていいのかって事だろう。

   雄二は元々神童とか言われてたんだから勉強すれば

   Aクラストップ並の点数が取れると思ったから

   あんな事を言ったんだと思う」

 

雄二「……そうか」

 

明久「光一は他人にはほぼ無関心だけど、根はいいやつで友達思いだしね。

   まあ、そのため自分が毒舌を吐いて悪役になることで

   友達のためになるのなら平気で友達の方を優先する人だからね」

 

楓「そうですね・・・本当に変わってませんね・・・」

 

そこへ光一が秀吉を連れて帰ってきた。

秀吉の髪型はバカテス9.5巻のカラー絵の髪型になっていた。

 

貴浩「随分雰囲気が変わったな」

 

楓「前よりもかっこよくなりましたね」

 

秀吉「そ、そうかの////」

 

光一「木下、坂本。先ほどは言い過ぎた。すまない」

 

雄二「もう気にするな。俺は気にしてない」

 

秀吉「そうじゃな。逆にありがたいかったのじゃ」

 

その後は何の問題もなく自己紹介は進んだ。

 

貴浩「次は光一の番だ」

 

光一「俺は朝の朝礼で言ったとおりだ」

 

明久「いや、もうちょっとさ・・・何かあるでしょ」

 

雄二「なぁ、1つ聞いていいか?羽鳥って……まさかあの羽鳥か?」

 

貴浩「多分、雄二が思っているとおり光一は

   あの世界で有名な電機メーカーの羽鳥グループの息子、次男坊だ」

 

雄二「げ!?マジか!?」

 

康太「・・・・・・・・・俺のカメラも羽鳥製のものだ」

 

明久「やっぱり皆ビックリするよね」

 

光一「まあそういうことだ。

   何か欲しい物があれば相談したいでは準備しよう」

 

楓「私達の家にある電化製品は全て光一君からもらったんですよ」

 

雄二「全部!?」

 

秀吉「先ほどから気になったのじゃが、

   何故羽鳥は貴浩達3人に対しては態度が違うのかの?」

 

光一「貴浩殿と楓殿は俺の命の恩人だからな」

 

島田「命の恩人?」

 

光一「ああ、そうだ。

   嫌味じゃないが・・・俺は羽鳥の息子だから正直金には困らない。

   それで中学の時にいじめられていてな。

   それに金持ちの子というのもあって友達がいなくてな…」

 

雄二「いじめられた?お前を見ていると強そうに見えるが?」

 

明久「まあ光一は中学の時は今とは全然違っていたからね」

 

貴浩「そんな体でしかも気も小さかったからいじめの標的にされていたんだ」

 

光一「それでいじめられている時に貴浩殿と明久殿が助けてくれたんだ。

   他のヤツらは見て見ぬフリをしていたのに3人は俺を助けてくれた。

   それからも3人が俺の事を守ってくれたし、

   俺のことを友と呼んでくれたんだ。だから俺には恩があるんだ。

   3人がいなかったら今の俺はなかったと思う。

   だから今度は俺が3人のことを助けるんだ」

 

貴浩「まあ、あまり無茶するなよ」

 

明久「そうだよ。僕たちは友達なんだから」

 

楓「そうですよ。これからよろしくね」

 

光一「わかりました」

 

貴浩「で、今からはコイツらも友達だ。皆一癖あるがいいヤツラだぞ」

 

雄二「お前がそれを言うか?」

 

秀吉「では改めてよろしくなのじゃ。ワシのことは名前で呼んでほしいのじゃ」

 

命「よろしくね。私のことも名前で呼んでください」

 

康太「・・・・・・・・よろしく」

 

雄二「まあ、よろしくな」

 

姫路「よろしくお願いします」

 

島田「よろしくね」

 

光一「こちらこそよろしく頼む」

 

 

 

 

        ☆

 

 

 

 

 

余談

 

貴浩「なあ光一」

 

光一「何でしょうか貴浩殿?」

 

貴浩「お前のところで……(ゴニョゴニョ)・・・・・・って用意できるか?」

 

光一「任せてください。必ずご期待にそえる様尽力を尽くします」

 

貴浩「よろしく頼むな」

 

放課後、貴浩と光一の2人は何か話しているようだったが

その事がわかるのは後の話でという事で

 



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明久ラブレター事件(前編)

4/25 修正


~SIDE IN 明久~

 

明久「う~ん・・・・・・ありえない登校時間だ」

 

晴れ渡る空。澄んだ空気。暖かな日差し

いつもより一時間早いだけで、混み合うはずの通学路はガラリと様相を変えて、

人気のない爽やかな散歩道のような雰囲気になっている。

 

明久「早起きは三文の徳って言うし、何かイイコトがあるといいなぁ~」

 

今朝、僕は2時間も早く目を覚ましたため、

早めの朝食をすましてジョギングがてら学校へと向かっている。

 

明久「さてさて、こんな時間から何をしようかな――ん?」

 

校門の近くに見知った後ろ姿があった。

刈り揃えられた髪に浅黒い肌、無骨なシルエット。あれは鉄人だ

 

明久「先生、おはようございまーす」

 

西村「おう、おはよう!部活の朝練か?感心だ――」

 

僕を見て、動きが止まった

 

明久「先生?」

 

西村「――すまん。間違えた」

 

明久「人違いですか?いやそんな、別に謝る必要なんて」

 

西村「吉井、こんな早朝に学校に来て、今度は何を企んでいる」

 

そう言って爽やかな笑顔から一転、警戒心をあらわにした表情になった

 

明久「鉄人・…間違えたのは接する態度ですか?」

 

西村「すまん、すまん。だが、警戒するのは教師として当然のことだ勘弁してくれ」

 

明久「もう良いですよ」

 

西村「それはそうと丁度良かった。『観察処分者』のお前がいるなら手間が省けるからな」

 

明久「げっ!?『観察処分者』ってことは、また力仕事ですか?」

 

西村「そういうことだ。古くなったサッカーのゴールを撤去してくれ」

 

明久「やれやれ。早起きなんてするんじゃなかったなぁ……」

 

西村「後悔するのは早起きではなく、

   観察処分を受けたお前の態度だということに気づくべきだと思うがな」

 

西村先生は呆れたように僕の顔を見てため息をつきます

 

明久「うぅ・・・・・・僕はそんなに悪いことなんてしていないのに・・・・・・」

 

西村「どの口でそんなことが言えるんだ。いいからグラウンドに来い」

 

明久「へーいへい」

 

僕は鉄人について行き校庭へと向かう。

 

西村「吉井、頼んだ」

 

明久「了解です――――試獣召喚(サモン)」

 

明兄は西村先生の立会いの下、試験召喚獣を喚び出す

 

西村「それじゃ、そのゴールを持たせて」

 

明久「はいよ」

 

西村「街外れの産廃場まで行ってこい」

 

明久「何キロあると思ってんですか!?」

 

西村「もちろん冗談だ。

   吉井、ゴールネットを外して校門前に邪魔にならないように置いておけば良い」

 

明久「何だ、ビックリした~」

 

西村「お前らが破壊した校舎の修繕費用を考えれば、その程度の罰も当然だと思うがな」

 

明久「ぅぐ・・・・・・」

 

西村「外したネットは別口で処分するから、とりあえずは体育用具室にでも置いといてくれ」

 

明久「はぁ・・・・・・今日も一日イイコトなんてなさそうだなぁ・・・・・・」

 

僕はそう呟きながら召喚獣を操作してネットを外していく。

ゴールを運び終えると朝のHRの時間寸前になってしまった。

外したネットを体育用具室に運んでいる時間はないから、

一旦教室に持っていくことにしよう。僕は少し遅れて昇降口へ行き靴箱を開くと

 

明久「なっ何じゃこりゃぁぁっ!?」

 

僕の下駄箱の中には手紙らしきものが入っていた。

これはもしやラブレターなのかな?

 

雄二「どうした、明久」

 

明久「おわぁぁっ!」

 

雄二に声を掛けられて、咄嗟にをポケットに隠す。

 

明久「あ、ああ。雄二か。おはよう」

 

雄二「おう。で明久どうしたんだいきなり奇声をあげて」

 

やばい。これは雄二に知られるわけにはいかない

 

明久「あ、時間がぎりぎりだね。雄二急ごう」

 

雄二「お、もうそんな時間か。校内にいるのに遅刻にされても癪だな」

 

明久「そうだね」

 

僕と雄二はチャイムがなる前に教室に行くことができた。

その後すぐにチャイムがなり鉄人が入ってきて出席を取り始めました。

 

 

 ~ SIDE OUT 明久 ~

 

 

 

「工藤」 「はい」

 

「久保」 「はい」

 

「近藤」 「はい」

 

「斉藤」 「はい」

 

淡々と進む毎朝の恒例行事。

鉄人の呼び声にクラスの皆さんは眠そうに返事をしている

 

「坂本」

 

雄二「・・・・・・・・・・・・・・・・・・明久がラブレターを貰ったようだ」

 

「「「「「殺せぇぇっ!!」」」」」

 

明久「ゆ、雄二!いきなり何てことを言いだすのさ!」

 

雄二は小声だったのにもかかわらず、クラスの皆は聞こえていたようだ。

その証拠に怒号が飛び交っている。

ここの奴等は他人の幸せを許さないみたいだな。

 

西村「お前らっ!静かにしろ!」

 

すぐに西村先生の一括が入る。だが・・・・・・男子は殺気ダダ漏れだ

 

西村「それでは出席確認を続けるぞ」

 

出席簿を捲る音が教室内に響きます

 

「手塚」 「吉井コロス」

 

ピクッ

 

「藤堂」 「吉井コロス」

 

ピクピクッ

 

「戸沢」 「吉井コロス」

 

ピクピクピクッ

 

明久「皆落ち着くんだ!何故だか返事が『吉井コロス』に変わっているよ!」

 

西村「吉井、静にしろ!」

 

明久「先生、ここで注意すべき相手は僕じゃないでしょう!?

   このままだとクラスの皆は僕に殴る蹴るの暴行を加えてしまいますよ!?」

 

鉄人は俺の殺気に気づいたのか何も言わずに、出席確認を続けた。

 

「新田」 「吉井コロス」

 

ピクピクピクピクッ

 

「布田」 「吉井マジ殺す」

 

クピクピクピクピクッ

 

「根岸」 「吉井ブチ殺す」

 

プッツン

 

「織村兄」 「お前らをコロス」

 

俺はムッツリーニから貰ったスタンガンを取り出す

 

「羽鳥」  「皆殺しにしてやる」

 

光一は隠し持っていたクナイや手裏剣などを取り出す

 

「「「「「・・・・・・・・・・・(忘れてたぁぁぁぁ!!!!)」」」」」

 

殺気を出していた男子達は殺気の代わりに冷や汗をだらだらと流し始めた

 

西村「よし。遅刻欠席はなしだな。今日も一日勉学に励むように」

 

出席簿を閉じて教室を後にしようとする西村先生

 

「「「「「待って先生!行かないで!可愛い生徒を見殺しにしないで!」」」」」

 

皆は必死に鉄人を呼びとめる。死にはしないぞ皆

 

西村「お前ら、勘違いするな」

 

鉄人が扉に手をかけたまま告げた。

 

西村「自業自得だ」

 

「「「「「そんなぁぁぁぁぁ」」」」」

 

西村「授業は真面目に受けるように」

 

「「「「「「先生待って! せんせーい!」」」」」

 

そう告げると鉄人は教室を出ていった。皆、絶望した顔をしているな。

 

とりあえず

 

貴浩「お前ら。こっちにいらっしゃ~い」

 

俺と光一は立ち上がり武器を構えて手招きする。

その後教室で何があったか言うまでもないだろう。

 

 

 

 

貴浩「まったく、あいつらメンドくさいな」

 

光一「まったくですね」

 

秀吉「ご苦労様なのじゃ」

 

雄二「あいつらもバカだな。2人がいる状態でこんな事をするなんて」

 

明久「仕方ないよ。このクラスにいるんだもの」

 

雄二「明久にしては正論だな」

 

貴浩「元々は雄二のせいだろうが」

 

雄二「だが明久がラブレターをもらったんだぞ。なんか悔しいじゃねえか」

 

貴浩「確かに」

 

明久「え?そこ納得しちゃうの!?」

 

貴・雄「「当たり前だろ?」」

 

明久「2人して酷いよ!!」

 

雄二「まあ冗談は半分として、明久ラブレターもう見たのか?」

 

明久「半分冗談って残り半分は?」

 

貴浩「で?もう読んだのか?」

 

姫路「明久君もう読んだんですか?」

 

島田「どうなのアキ!?」

 

明久「まだ読んでないよ。昼休みに読もうと思ってるよ」

 

貴浩「そうか」

 

むぅ複雑だな。俺としては命を応援している分なぁ

 

光一「そうでした貴浩殿。例の物が出来ましたので持ってきました」

 

貴浩「マジでか!!ありがとう光一」

 

俺は光一から風呂敷を受け取る。

 

光一「いえ、このような事であればいつでも言ってください」

 

明久「ん?貴浩、光治どうかしたの?」

 

貴浩「いや、なんでもないぞ明久。気にするな。……そうだ明久。ちょっといいか」

 

明久「ん?なに?」

 

俺は明久を連れて皆から離れると

 

貴浩「お前いつ命とグランドパークに行くんだ?・・・・・・まさか忘れてはないよな」

 

明久「あ!?」

 

貴浩「やっぱり忘れてたか」

 

明久「うっ」

 

貴浩「まあいいや。今週の休日に行って来い」

 

明久「そうだね。さすがにこれ以上伸ばすのは拙いよね。今週の休日に行くとするよ」

 

貴浩「そうしろ。まあ命には俺のほうから言っておくから」

 

明久「いつもありがとう。そういえば貴浩。

   清涼祭の時に僕と雄二の分のチケットあげたけど誰かと行くの?」

 

貴浩「いや、これはあげる人がいるからその人にあげるんだ。

   それに俺にはそんな相手いないしな」

 

明久「そうなんだ」

 

貴浩「まあ気にするな」

 

そういうと俺は自分の席へと戻った。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

俺は1枚チケットを取り出して眺めていた。

しかし、このチケットどうするかな?

明久にはああ言ったが霧島に1枚あげて

もう1枚はなのはが欲しいって言ってたからあと1枚残ってるんだよな。

 

と考えていると

 

秀吉「浮かない顔しておるがどうしたのじゃ」

 

貴浩「ああ、秀吉か」

 

姫路「どうしたんですか?」

 

島田「どうしたの織村?」

 

秀吉、姫路、島田の3人が声をかけてきた。

 

貴浩「姫路に島田か。ちょっとな」

 

姫路「それってグランドパークのペアチケットですか?」

 

貴浩「そうだよ。これをどうしようか考えているところだ」

 

姫・島「「もしよろしければ(良かったら)そのチケットm──」」

 

秀吉「そのチケット、ワシにくれぬか?」

 

姫路と島田の言葉をさえぎり秀吉が尋ねてくる。

 

貴浩「ん?ほしいのか。良いけど誰と行くんだ?」

 

秀吉「ぶ、部活のメンバーとじゃ」

 

貴浩「そうか。ついに秀吉にも好きな女性ができたか。

   良いぞチケットやるよ。その人と楽しんでこいよ」

 

俺はチケットを秀吉にあげる。

それが後で後悔することになるとは今は思わなかった。

 

姫・島「「ああっ!!」」

 

秀吉「ありがとうなのじゃ貴浩よ」

 

貴浩「まあ気にするな。そのかわりうまくいったらその人のこと紹介してくれよ」

   

これで明久と命がくっついてもこれを使えば秀吉を抑える事ができるか

 

秀吉「(お主が知っておる人物なのじゃが今は黙っておくとするかの)わかったのじゃ」

 

何故か姫路と島田がうな垂れていたがどうしたのであろうか?

おそらく明久と行きたかったんだろうがそうさせるわけにはいかない。

明久は命と行くからな。2人には今回はあきらめてもらおう



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明久ラブレター事件(後編)

4/25 修正


~SIDE IN 明久~

 

Fクラスの皆の嫉妬はまだ続いていた。

僕たちはそれに気づかずにいた。

 

 

 

 

授業が終わり教師が教室を後にすると今から昼休みとなるので

命や楓、雄二、秀吉、ムッツリーニ、光一は屋上で昼を食べるという事で教室を出て行った。

貴浩は少しばかし用事があるので皆とは別行動となるって言ってた。

 

僕は少し遅れてからいく。もらったラブレターを見たいしね。

そして皆の姿が見えなくなった瞬間、僕はクラスメイトに取り囲まれた。

 

明久「え…えっと?みんなどうしたの?」

 

須川「なあ吉井。やっぱ納得いかねえんだよ、お前がラブレターを貰うなんてな」

 

クラスメイトの皆からそういう声が聞こえてくる。

 

明久「えっ!?みんなあきらめたんじゃ……」

 

僕は焦り始める

 

近藤「あれは、織村と羽鳥がいたからできなかっただけだ!」

 

周囲から殺気が膨れ上がる。

 

須川「俺達は気づいたんだよ。あいつらに気づかれなきゃ問題ないってな……」

 

すべて屁理屈だよね。

 

姫路「みなさんやめてくださいっ!」

 

割り込む声は、姫路さんだった。

 

明久「姫路さん、君は味方なんだね? ありがとう」

 

さすが姫路さんだ理解してくれるんだね。

僕は姫路さんを味方と思い手紙を取り出し、席を立とうとすると

 

姫路「いえ、先に私と美波ちゃんとOHANASIをしてからですよ。

   皆さん良いですよね?」

 

明久「え!?」

 

あれ?おかしいな。もしかして・・・・・・

 

姫路「・・・・・・明久君、それが例の手紙ですか?」

 

明久「え?何のことかな?僕は手紙なんて持っていないよ」

 

僕はすぐさまポケットに手紙を隠してとぼけてみた。

そして立ち去ろうとする僕の肩を誰かが掴んでいた。

 

島田「アキ?どこにいくつもり?」

 

げぇ!美波だ

 

明久「な、なにかな?僕はこれから命や雄二たちと昼飯を食べに行くだけよ」

 

僕は美波の腕を振り払い教室から飛び出た 

 

島田「待ちなさいアキ!逃がさないんだから」

 

姫路「明久君にはそんなもの必要ありません。それをこっちに渡して下さいっ!!」

 

須川「ハッ!?ターゲットが逃げたぞ!追うんだっ!」

 

いち早く復帰した須川が叫ぶと、

男子たちは即座に再起動し、雄叫びをあげて追跡をはじめた。

 

『逃がすな! 追撃隊を組織しろ!』

 

『手紙を奪え!』

 

『サーチアンドデェースっ!』

 

姫路「待ってください明久君。OHANASI中ですよ!」

 

島田「待ちなさいアキ!」

 

僕の逃亡劇が始まった。

なんか2年になってから逃げ回る回数が増えたような気が・・・・・・ 

 

 

 

 

 

『G班!そっちに逃げたぞ!』

 

『C斑とF斑もやられたそうだ、敵が1人だとしても甘く見るな!』

 

「「「「了解!!」」」」

 

『隊長!先回りしていたA班とE班との連絡が途絶えました』

 

『なにぃ!?ならB班とH班を回せ』

 

『いたぞ!吉井だ!用具室に逃げ込んだぞ!』

 

団員の1人が僕を発見したようだ。

 

ガララッ!

 

おもむろに扉が開けられる。

 

「へへへ…追い詰めたぞ吉井」

 

「貴様だけ幸せになろうなんて不届きせんばん」

 

「今ならその手紙を引き裂いたあと、紐無しバンジーの刑で済ませてやる。

 わかったら手紙を渡すんだ」

 

今の言葉を聞いて素直に渡すと思っているのだろうか。

 

明久「嫌だね、欲しかったら自力で奪って見れば?」

 

「「「「いい度胸だ!!」」」」

 

挑発に乗って一カ所しかない扉から侵入してくる団員たち。

 

明久「……今だ!!」

 

「「「「ッッ!!?」」」」

 

ふふ、驚いたところでもうおそい。

 

団員の頭上からサッカーゴールのネットがふってくる。

 

「くっ…このネットビショビショに濡れてやがる」

 

「落ち着け!ネットの端に近いほうから脱出して行くんだ!」

 

そんな隙は与えない!

 

明久「バイバイみんな♪」

 

明久はそう言うと、僕は貴浩から貰ったスタンガンを皆に向けて投げつけた。

 

「お、お前たち急いで……」

 

叫び声を上げるが時すでに遅い。無情にも投げられた物体は濡れたネットに着弾した。

 

「「「「ギャアアァァッッ!!」」」」

 

クラスメイトの叫び声が用具室に響き渡る。

 

明久「ふん、人の幸せの邪魔をするからさ」

 

そう言うと明久はその場を後にした。

 

『どこだ?確かにこっちに来たはずだが』

 

『気をつけろ。きっと近くに潜んでいるぞ』

 

『A、C、E、Fに続きG部隊もやられたそうだ。油断はするなよ』

 

明久「人の恋路の邪魔をしようとするからそんな目にあうのさ!」

 

『おのれ吉井!裏切りものめ!』

 

『覚えていろ!お前の幸せを必ずぶち壊す!』

 

 

 

 

 

 

 

その頃、命たちは……

 

命「おそいですね明久君」

 

秀吉「そうじゃな」

 

雄二「何か起きたんだろうな。ムッツリーニわかるか?」

 

康太「・・・・・・・・・朝のラブレターの件で追いかけまわされている」

 

光一「何だと!?」

 

命「明久君は無事なんですか!?」

 

康太「・・・・・・・・今のところは大丈夫」

 

光一「あいつら、今度はもっと痛めつめてやる」

 

楓「落ち着いてください光一君」

 

雄二「さてしょうがないな。明久を助けに行くか」

 

光一「当たり前だ」

 

雄二「秀吉と楓、命はここにいてくれ。ムッツリーニ、光治いくぞ」

 

光一「言われなくてもいくさ」

 

康太「・・・・・・・・(コクン)」

 

 

 

 

 

 

そのころの明久は……

 

「「「「くたばれ吉井ィィ!!」」」」

 

明久「だれがくたばるか!」

 

現在食堂内を逃げ回っていた。

 

明久「くそ、食堂内なら襲ってこないと思ったのに」

 

明久は人が多くいる食堂ならば、

襲ってくることを自重するだろうと予想したが、それは間違いだった。

 

『きゃあ!』

 

『おわあ!』

 

『俺のカレーが!!』

 

周りの人に迷惑かけすぎだ!ごめんなさい、関係のない皆さん。

 

ガッシャーン

 

『ああ!!俺のパフェが!!』

 

ん、なんか聞き覚えのある声が。

 

「なんてことしてくれたんだ!俺のパフェが全部丸々毀れたじゃねーか!!

 週1でしか食べる事ができないんだぞ!!」

 

「「「「ちょ、まっ、ギャアアアァァァ!!」」」」

 

アレ、今のは銀さん?・・・・・・・・・・まあ気のせいだよね

 

明久「ふ~だいぶ片付いたかな……」

 

FFF団の追撃を逃れた僕は現在旧校舎から屋上にあがる階段の前にいた。

 

明久「やっぱりここは屋上に……ッッ殺気!!」

 

殺気を感じ明久が飛びのいた所には、シャーペンなどが付き刺さっていた。

 

明久「やっぱりムッツリーニか」

 

ムッツリーニは再びシャーペンなどを投げつける。

・・・ただしそれは僕ではなく後ろから追ってきていた人たちにあたる

 

康太「・・・・・・早く行け屋上なら安全だ」

 

明久「え!?ムッツリーニ?」

 

康太「・・・・・・・・異端審問会は他人の幸せを許さない。

   だがお前に手を出すと後が怖い(ガクガクブルブル)だからここは俺に任せろ」

 

F「チッ、なら覚悟しろムッツリーニ!!」

 

シュッ

 

相手の目の横をカッターが通過する

 

康太「次は目を狙う……」

 

F「よ、よし、撤退だ」

 

ここにいた追跡部隊はムッツリーニのおかげで何とかしのげたので屋上に向かった。

他のFクラスのメンバーは雄二と光一がやっつけてくれたらしい。

 

秀吉「大変じゃったの明久」

 

命「明久君無事ですか?怪我とかない?」

 

秀吉と命が慰めてくれる。ああ、癒されるよ。この2人は僕の心のオアシスだよ

 

雄二「ところで明久、ラブレターはどうした?」

 

明久「え?もちろんここに……あれ、あれ!あれれ!!ない!ないよ!」

 

まさか逃げ回ってる最中に落とした!嘘初めてもらったラブレターなのに・・・

 

雄二「結局明久は報われない運命なんだな」

 

明久「うう…………(シクシク)」

 

光一「落ち込まないでください明久殿、次がありますよ」

 

明久「……うん」

 

その後僕は命に弁当を分けてもらい昼休みを過ごした

その時命がほっとしていたのは言うまでもないだろう。

 

 



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明久ラブレター事件(裏側)

4/25 修正


明久が異端審問会の連中に追いかけられている時、貴浩はAクラスにきていた。

 

愛子「あれ貴浩君だ。どうしたの?もしかして僕に会いに来てくれたのかな?」

 

貴浩「え!?ち、違う!」

 

優子「愛子、貴浩をからかわないの」

 

愛子「はーい」

 

貴浩「・・・・・霧島いるか?」

 

優子「代表?代表なら・・・」

 

霧島「・・・・・・・・・なに?」

 

貴浩「うわっ!?」

 

俺の後ろからいきなり現れるとは、本当にムッツリーニに行動が似ているな。

 

霧島「・・・・・・・・どうしたの織村?」

 

貴浩「ああ、霧島にプレゼントがあってな」

 

砂原「何々プレゼント?駄目だよター君。

   しょこリンにはユウユウという旦那さんがいるんだからね。

   はっ!?まさか愛人関係になるとか?」

 

椎名「ちょっと鈴ちゃん落ち着こうよ。ごめんね織村君」

 

すると霧島だけでなく、砂原や椎名、なのは、刀麻まで俺の所に集まってきた。

 

貴浩「残念ながら雄二の奥さんだから取りもしないし愛人になりたいわけでもない」

 

砂原「なーんだつまんない」

 

刀麻「・・・・・・つまらないって」

 

優子「・・・・・・貴浩×坂本君もありね(ボソッ)」

 

何か優子がブツブツ言ってるが・・・

 

貴浩「そんな事より。はい、霧島これあげる」

 

俺はグランドパークのチケットをあげる

 

椎名「これって如月グランドパークのペアチケットですよね?」

 

貴浩「そうだな。俺には使い道ないから霧島にあげるよ。

   これで雄二と行ってきなよ」

 

優子「良かったわね代表」

 

なのは「良かったね翔子ちゃん」

 

霧島「・・・・・・・ありがとう。本当に織村はいい人。

   困った事があったら私に言うといい、手伝うから」

 

貴浩「その時は頼むとするさ」

 

砂原「でもター君良かったの?ター君ならモテそうだから

   声掛けたら誰か来そうだけどねん♪特にあの2人はねん♪」

 

貴浩「でも誰も俺なんかといかないだろ。ってか2人って誰のことだ?」

 

優子「あ、あなたが気にする必要はないわよ////」

 

愛子「そ、そうだよ。気にしちゃダメだよ////」

 

優子「・・・・・・・私なら行くのに(ボソッ)」

 

愛子「・・・・・・・僕に言ってくれたら一緒に行くのに(ボソッ)」

 

なのは「タカ君って鈍いね」

 

貴浩「え?なに?なのは」

 

なのは「なんでもないよ」

 

貴浩「それにその日は霧島さんのサポートする予定だからな。

   おそらく雄二のヤツは逃げ出そうとするからな。それを阻止してやる」

 

刀麻「それはおもしろそうだな。俺も手伝うぞ」

 

砂原「なら私も手伝うよん♪」

 

椎名「・・・鈴ちゃんが手伝うなら私も」

 

愛子「なら僕も手伝うよ」

 

優子「アタシも手伝うとするわ。代表の為よ」

 

霧島「・・・・・・皆ありがとう」

 

貴浩「なら霧島は雄二と腕を組んだりしないとな」

 

霧島「・・・・・・どうすればいいの?」

 

愛子「こうな風にやるんだよ」

 

愛子がそういうと俺の腕に手を回してきた

 

砂原「そうそう。それで胸を押し当てると喜ぶよん♪」

 

その逆側では砂原さんが俺の腕にくっついて胸を押し当ててきた。

やべ、気持ちいい。前に優子と愛子に抱きつかれたけどそれ以上に凄いな。

 

優子「貴浩。今、失礼な事考えてたわよね」

 

貴浩「え!?い、いえ、そんなことは、ぎゃあああああ」

 

俺の腕の関節をはずされた。

 

優子「ふん、失礼な事を考えていたからよ」

 

貴浩「うぅ、い、痛い。・・・・・・よっと」

 

俺は自分で関節をはめなおす

 

刀麻「・・・・・・お前凄いな。自分で関節はめなおすとは」

 

貴浩「ん?これって皆できるんじゃないのか?

   Fクラスの男子は全員できるぞ。秀吉だってできるしな」

 

刀麻「普通そんな事できねえよ」

 

砂原「さあしょこリン。ター君相手に実践してみよう」

 

霧島「・・・・・・わかった」

 

貴浩「え?何故俺?」

 

砂原「おもし───ゲフン。言いだしっぺだからだよん♪

   さあしょこリン行くんだ!」

 

霧島「・・・・・・・(コクン)」

 

貴浩「絶対面白そうって言おうとしt──痛ぁいたいいたい!」

 

霧島が俺の腕の関節を決めてきた

 

なのは「ちょっと翔子ちゃん、違うよそうじゃなくて」

 

貴浩「た、助かったよ。なのは」

 

霧島「・・・・・・難しい」

 

愛子「代表練習しようよ」

 

霧島は俺から離れてなのはと椎名、砂原に教えてもらっているみたいだ。

その間に俺は愛子や優子、刀麻と昼飯を食べていると

 

刀麻「何か廊下のほうが騒がしくないか?」

 

愛子「そうだね。何かあったのかな?」

 

そこで愛子が教室の扉を開けてみると

 

『吉井は見つかったか!!』

 

『どこに行きやがった吉井のヤツ』

 

『探せ!必ずヤツを見つけ出すんだ!!』

 

『A班とE班は回り込んで挟み撃ちにするんだ!』

 

Fクラスのやつらが明久を探していた。おそらくラブレターの件で探してるんだろうな

 

優子「アレってFクラスの人たちよね」

 

貴浩「ああ」

 

刀麻「いつもああなのか?」

 

貴浩「そうだな。ってか今日の朝も俺は追いかけられたぞ」

 

刀麻「なんで?」

 

貴浩「楓と木下3姉妹となのは、愛子と登校しているのを奴らに見つかってな。

   男1人で美少女と朝から一緒に来るなんて羨ましいとか言ってな。

   まあ可愛いのは否定しないが秀吉は男だから男1人じゃないいんだが」

 

刀麻「・・・朝から大変だな」

 

優・愛「「・・・・・・・か、可愛い////」」

 

貴浩「ああ、結構大変だな・・・・・・さてなら行くか」

 

愛子「どこに行くの?」

 

貴浩「あいつらを始末してくる」

 

そう言って俺は廊下にでると

 

貴浩「おいお前らまだ懲りてないようだな」

 

F「げぇ!?織村だ」

 

F「死神がきやがった」

 

F「俺達は吉井に用があるんだそこをどけ!」

 

姫路「そうです。私たちは吉井君に用があるんです!」

 

島田「そうよ。今アンタは関係ないわよ!」

 

貴浩「うるせぇな。昼休みぐらいゆっくりさせろや!」

 

バキッ

 

俺はすぐ近くにいたヤツを殴る

 

F「ぷべらッ」

 

F「ひぃ」

 

F「臆するなあいつは今、武器を持ってない」

 

F「そ、そうだな」

 

貴浩「誰が武器を持っていないって?」

 

俺は今日、光一からもらった風呂敷を広げるとそこには頼んでおいた物があった。

 

F「ト、トンファーだと!?」

 

貴浩「そうだ。これからお前らを始末するための武器だ」

 

F「ひ、ひるむな。全員でかかれ!!」

 

貴浩「うざい!」

 

 

ドコッ

 

バキッ  

 

 

 

それから5分後

 

 

 

貴浩「さてまだやるか?」

 

F「て、撤退だ」

 

そこでようやく諦めて逃げていった。

いつの間にか姫路と島田の姿がなかったがまあいいだろう。

それに女子に手を出したくないし

俺はトンファーを学ランにしまうとAクラスへと戻った。

 

砂原「さすがター君だね。ター君の周りは話題がいっぱいだよ。

   今度ター君に密着取材するかな。面白そうだしねん♪」

 

貴浩「・・・・・・やめてくれ」

 

優子「あなたも大変なのね」

 

愛子「・・・・・はははは(苦)」

 

その後もゆっくりAクラスで過ごす事はできなかった。

砂原からからかわれ、再び異端審問会の介入などで全然ゆっくりできなかった。

理由はAクラスの女子といるが見つかったからだ。



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如月グランドパーク編
何故お前がココに!?


4/25 修正


坂本家 

 

~ SIDE IN 雄二 ~

 

とある休日の朝。俺が目を覚ますと、

 

翔子「・・・・・雄二、おはよう」

 

目の前に翔子がいた。

 

翔子「・・・・・今日はいい天気」

 

雄二「ん?ああ、そうみたいだな」

 

カーテンを開けると強い光に目を細める。

そして再びと幼なじみの姿を見る。

今日は休日だからか、さすがにいつもの制服姿ではなかった。

寝ぼけているのかもしれない。眠気を振り払うように頭を大きく振って、翔子に向き直る。

 

雄二「あらためて、おはよう。翔子」

 

翔子「・・・・・うん。おはよう雄二」

 

雄二「よいしょ、っと―――――」

 

そういえば、どうして翔子が俺の部屋にいるんだ?

今日はコイツと何かの約束をしていたっけ?

寝起きのためか本調子ではないが頭で記憶をさかのぼる。

ダメだ。全く覚えがない。なら約束ではないだろう。

だとすると・・・・・・ほかの理由を考えて、1つの結論にたどり着く。

そうか、そういうことか。

 

雄二「悪い翔子。俺の携帯とってくれ」

 

翔子「・・・・・電話でもするの?」

 

雄二「ああ、そうだ」

 

翔子が渡してくれた携帯を操作し番号を押す。

コイツがここにいること。それは・・・

 

雄二「ああもしもし?警察ですか?」

 

 

 不法侵入しかない。

 

 

ドドドドドドドドドド! 

 

ガチャッ!

 

雄二「おふくろっ!どういうことだっ!」

 

雄二母「あら雄二。おはよう」

 

キッチンに駆け込むと、おふくろは洗い物をしながら朝の挨拶をしてきた。

 

雄二「おはようじゃねぇっ!どうして翔子が俺の部屋にいるんだ!

   おかげで俺は警察のオッサンに二次元と三次元の区別が出来ない

   妄想野郎と思われちまっただろうが!」

 

幼なじみが無断で俺を起こしに部屋に入ってきた、と告げたときの

相手の反応は俺の心に深い傷を残してくれた。

寝ぼけていたとはいえ、一生の不覚だ。

 

雄二母「・・・え?」

 

俺の言葉をうけて、おふくろが何度か大きな瞳を瞬かせる。

 

雄二母「翔子ちゃんが・・・・・・?」

 

おふくろが頬に手を当てて困ったような顔をしている。

この態度だと、もしや翔子単独の行動か?おふくろの手引きじゃなかったのか?

もしそうだとしたら、いきなり朝から怒鳴るのは悪かったかもしれない。

 

雄二「ああ、いや、怒鳴って悪かった。俺はてっきりおふくろが

   アイツを勝手に俺の部屋に上げたものだと――――」

 

雄二母「もう、翔子ちゃんってば奥手ねぇ。

    折角お膳立てしてあげたのに何もしないでいるなんて

    勿体な―――あら雄二、どうしてお母さんの顔を鷲掴みにするのかしら?」

 

雄二「やっぱり、アンタのせいか・・・!」

 

この母親には一度きっかり常識を教えてやるべきだろう。

 

翔子「・・・・・雄二。お義母さんを虐めちゃダメ」

 

雄二「止めるな翔子。俺は息子としてこの母親の再教育をしないといけないんだ」

 

遅れて現れた翔子が俺の腕を掴んで邪魔してくる。

なんとなく、翔子の言う『お母さん』の発言が普通と違うような気がするが、

今は気にしてはいけない。というかツッコんではいけない気がする

 

翔子「・・・・・・言うことを聞かないと、この本をお義母さんと一緒に読む」

 

雄二「ま、待てっ!それは女子の読むものじゃない!早くこっちに寄越すんだ!」

 

翔子が取り出したのはA4サイズの冊子。

くっ、よりにもよってあの本か!

ムッツリーニですら唸らせた至高の1冊が見つかるなんて最悪の事態だ!

っていうかどうやって見つけ出したんだ!?

一緒に暮らしているおふくろでさえわからないような場所に隠したはずだぞ!?

 

雄二母「あら翔子ちゃん。それは雄二が日本史の資料集の表紙をかぶせて

    机の2番目の引き出しの2重底の下に隠してある秘密の本じゃない?」

 

雄二「わ、わかった。おふくろは開放しよう」

 

言われた通りアイアンクローを取りやめる。なんて汚い脅迫なんだ。

てかおふくろにもバレていたのか

 

翔子「・・・・・そう。それなら、この本は―――――――」

 

くそっ。取り返したら今度こそ絶対に見つからないように隠してやる。

鍵でもつけて厳重に――――

 

翔子「燃やすだけで許してあげる」

 

雄二「すまん翔子。どう考えてもそれは許された時の対応じゃない」

 

普通は許してくれたらその本を返してくれるはずだ。

 

翔子「・・・・・じゃあ、この本を燃やしても許さない」

 

雄二「燃やさないという選択肢はないのか!?」

 

雄二母「ふふっ。相変わらず二人は仲良しねぇ」

 

小学校からの付き合うになるが、たまにコイツの考えについていけなくなる。

解放したおふくろはおふくろで特に慌てた様子もなく、

最後の洗い物を終えてエプロンで手を吹いていた。なんともマイペースな母親だ。

 

雄二「俺にはこれが仲の良い光景とは全然思えないんだが・・・・・・」

 

雄二母「あら、そうかしら?」

 

雄二「やれやれ・・・・。んで、どうして翔子が来てるんだ?」

 

翔子「・・・・・約束」

 

雄二「約束?今日俺となにか約束をしていたか?」

 

そんなもの俺はした覚えがないんだが

 

翔子「・・・・・うん」

 

いつもの調子で頷いてポケットから小さな紙切れを取り出す翔子。

どうやら何かのチケットのようだ。え~っと・・・・・

 

雄二母「あら。如月グランドパークのオープンチケット?

    しかもプレミアムって書いてあるから特別なチケットなんじゃないの?

    凄いわ翔子ちゃん、よくこんなもの手に入ったわね~」

 

翔子「・・・・・優しい人がくれた」

 

雄二母「そう。良かったわね。あら、雄二?どこに電話してるの?」

 

雄二「ちょっと最低のゲス野郎に用ができたんだ」

 

携帯電話の番号通知をOFFにして明久の番号を呼び出す。

呼び出し音の後、敵は軽快な声で電話に出た。

 

明久『はいもしもし?どちらさまですか?』

 

雄二「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キサマヲコロス」

 

明久『えっ!?なになに!?本当に誰!?メチャクチャ怖―――――』

 

電話の向こうで狼狽する声を聞きながら通話を切ると、少しだけ気分が晴れた。

 

ちなみにこの件は明久は全く関係なしです。犯人はもちろんあの人です。

 

翔子「・・・・・・・・雄二、行こう?」

 

雄二「絶対に嫌だ」

 

翔子が俺の手をそっと握ってくる。

これが普通のアミューズメントパーク程度なら考えても良かったのだが、

これは如月グループの企みが裏に存在する危険な企画だ。

そんなものに翔子と参加なんて言ったら、そのまま結婚まで持ち込まれてしまう。

なんとしてもそれだけは避けなければならない。

 

雄二母「あら。どうしてそんなに嫌がるの?

    翔子ちゃんと一緒に行ってきたらいいじゃない」

 

雄二「・・・・・・色々と事情があるんだ」

 

翔子「・・・・・・私は、雄二と一緒に行きたい」

 

とはいえ、いい加減ビシッと断っておかないといけないな。

今日こそはっきりと『翔子、俺のことは諦めてくれ』と言ってやろう。

俺は大きく息を吸うと

 

雄二「翔子」

 

翔子「イヤ」

 

雄二「俺のこと・・・」

 

早い!早すぎる!まだ名前の部分しか言ってないというのに!

 

雄二「だ、だがな、翔子」

 

翔子「・・・・・どうしても行きたくないなら・・・」

 

俺の言葉を遮り、翔子はバックから何かの冊子を取り出した。

 

それは―――

 

翔子「選んで」

 

――結婚式場案内のパンフだった。

 

雄二「すまん。話の流れがさっぱりわからない」

 

翔子「・・・・・約束を破ったら即挙式って誓ってくれた」

 

なんか契約の内容が変わっていないか?

 

雄二母「お母さんはハワイとかの海外がいいな」

 

雄二「おふくろ。アンタはどうしてそんなにマイペースなんだ」

 

翔子「・・・・・雄二。早く選んで、予約するから」

 

雄二母「あっ!ヨーロッパもいいわね。雄二、どこがいいかしら?」

 

雄二「くっ!」

 

どちらを選んでも結婚の話がチラつくという恐ろしいこの状況。

だが、この程度の困難に屈する俺ではない!

なんとかして脱出をしなければ俺の人生が・・・・・・・・



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俺は無力だ

4/25 修正


雄二「・・・・・・俺は・・・・・無力だ・・・・」

 

電車とバスで2時間ほどかけ、俺と翔子は如月グランドパークの前にいた。

こ、これは仕方がなかったんだ!翔子1人だけならまだしも、

おふくろまで面白がって結婚の話を進めだしたのが悪いんだ!

あの妙な雰囲気から逃れるために出かけてしまった俺を誰が責められようか!

明久の野郎覚えてやがれぇ!!

 

翔子「・・・・・やっとついた」

 

嬉しそうにアミューズメントパークを見ている翔子。

・・・・・・ふむ。そんな姿を見ると連れてきた甲斐もあるかもしれないな。

うん、そういうことにしよう。

 

雄二「よし。それじゃ、翔子」

 

翔子「・・・・うん」

 

雄二「帰ろう」

 

ミシッ。

 

翔子「・・・・ダメ。絶対に入る」

 

雄二「はっはっは。翔子、俺の肘関節はそっち側に曲がらないぞ?」

 

肘を極めてきた翔子に脂汗を流しながら笑いかける。

まずい。指先の感覚がなくなってきた。

 

翔子「・・・・・恋人同士は皆こうしてる」

 

雄二「待て翔子!お前は腕を組むという仲睦まじい行為と

   サブミッションを同様に考えてないか!?」

 

そこへ

 

明久「あれ雄二?雄二たちも来てたんだね」

 

命「翔子ちゃんたちも来てたんですね、って何やってるの翔子ちゃん!?」

 

そこには、明久と命がいた。

命のセリフからするにこいつらはどうやら客としてきたようだ。

明久たちがいるってことは翔子にチケットを渡したのは別のヤツか

・・・・・だとしたら、翔子にチケットを渡したのは・・・・貴浩か。

・・・あの野郎、ただじゃおかねぇ。

 

命が翔子を向こうに連れて行き、腕組のやり方を教えている。

 

雄二「明久、お前も命と一緒に来たのか

   話を結婚まで確か進められるんだろ、来てよかったのか」

 

明久「いや、僕のはオリエンテーションのチケットだからその話はないよ。

   チケットは貴浩が僕達にくれるって言うから2人できたんだ」

 

しまった、その手があったのか!

命からのレクチャーが終わったのか翔子は俺の隣に戻ってくる。

・・・・・良かった、今度は普通に手を組んでいる・・・・まあ少し恥ずかしいがな///

 

命「うん、似合ってるよ2人とも。

  あれ?坂本君どうしたの顔赤くして、もしかして照れてる?」

 

命が冷やかしてくる、それに明久の野郎も後ろの方でニヤニヤしてるし。

・・・・こいつら

 

雄二「なんだ、お前らはやらなくていいのか?

   お前、翔子をうらやましそうに見てるが・・・」

 

明久「えぇっ!///い、いやその僕達はそんな関係じゃないし///」

 

命と明久は俺の言葉に驚いていて、動揺している。いい気味だ。

ちなみに、翔子は命に対して踏ん反り返っている。

こういうときに合わせてくれるのは翔子のいいとこだな。

 

雄二「じゃあな明久、命。俺達は先に行ってる。」

 

翔子「・・・・・・中でまた会えたら、よろしく」

 

俺と翔子はそれだけ行って、入場口のほうへ向かう。

プレオープンという限定的な期間であるため、特に待つ事もなく入り口の方へ行けた。

 

 

 ~ SIDE OUT 雄二 ~

 

 

 

 

 

時間は少しさかのぼる

 

さて今日は雄二と霧島が如月グランドパークに行く日だ。

そして明久と命も行く事になつている。さて4人をサポートするように頑張るかな。

 

貴浩「じゃあ楓、なのは。俺は出かけるからな」

 

楓「兄さん、いってらっしゃい」

 

なのは「いってらっしゃーい」

 

貴浩「2人も今日は出かけるんだろ?」

 

楓「はい、今日は部活の友達と遊びに行くんです」

 

貴浩「気をつけてな。何かあったらすぐ連絡するんだぞ」

 

楓「大丈夫ですよ兄さん。心配しすぎです」

 

貴浩「そ、そうか」

 

なのは「さて私も行くとしようかな」

 

貴浩「なのはも楽しんでこいよ」

 

なのは「そうするね」

 

貴浩「じゃあいってくる」

 

さて、じゃあ待ち合わせ場所に行きますか

 

 

 ~ SIDE IN 明久 ~

 

 

僕は今日、命とグランドパークまで一緒に遊びに行く。

貴浩に言われたとおりさすがに遅れるわけには行かないからね。

お金だって今日はある。

最近は貴浩の家でご飯を食べたり勉強してるからあまりゲームを買ってないんだよね。

 

明久「もう駅までついちゃったな。まだ時間は8時20分か」

 

9時に待ち合わせだったからね。もう命はいるかな?

 

明久「流石にまだ来てないよね」

 

僕は駅の前にある噴水の前で命を待つ。・・・・・・待つ事20分

 

命「明久君、ごめんね待たせちゃって」

 

僕をみつけた命が駆け寄ってくる。

走ると危ないよと言おうとすると命が地面に躓いてこけそうになっていた。

僕は命がこける前に手を掴んで起こしてあげる

 

明久「大丈夫命?怪我とかない?でも急に走ったら危ないよ」

 

命「明久君のおかげで怪我はないです。だって楽しみで・・・・つい、」

 

まあ、しょうがないか。命もそれだけ楽しみだったって事だし悪い気はしないしね。

 

ハッ殺気!?気のせいだよね。

 

明久「少しぐらい早く行っても問題ないだろうし、行こうか命」

 

命「う、うん/////」

 

僕は命の手を握りながら駅へと向かった。

僕はこのとき思っても見なかった。これから起こる事を・・・・・・

 

 

 

 

???「・・・・・・チラリと見えたチケットから如月グランドパークと思われます。

    ・・・後は頼みます」

 

 

 ~ SIDE OUT 明久 ~

 

 

 

俺達は雄二と霧島を応援するため影からサポートしようとしている。

今回手伝ってくれるのは、優子・愛子・光一・刀麻・砂原・椎名だ。

 

しかし参ったな。まさかこんな事になるなんて、

 

光一「どうかしましたか貴浩殿?」

 

貴浩「・・・・・あっちを見てみろ」

 

ちなみに光一・刀麻には命が明久に好意を向けている事を教え、

俺が手助けしていることを教えた上で手伝ってもらっている。

だから今日、明久と命がデートなのは俺と光一、刀麻の3人しかいない。

 

刀麻「どうした貴浩?あっちに何かあるのか?」

 

刀麻と光一は俺が指差したほうを見る

 

刀麻「げぇ!?・・・・・・・・・そういうことかよ」

 

俺たちが向いているほうには、Fクラスのメンバー、島田、姫路がいる。

変装して準備は万全といったところだ。

はぁ、とにかく明久が命の邪魔をさせないようにしないとな・・・・

ただあの中にムッツリーニがいないのが気になるが・・・

 

貴浩「・・・・・・・・光一」

 

光一「なんでしょうか?」

 

貴浩「Fクラスのやつらを消せ」

 

光一「了解!」

 

俺は光一に指示を出すと光一は俺達の前から姿を消した。

 

刀麻「消せって・・・・」

 

貴浩「雄二と霧島、明久と命たちのためだ」

 

光一があいつらの前にいくと

 

「うっぎゃあああああああああああああ!!」

 

おお凄い。流石だ。

お得意の武器でFクラスのやつらははノックアウトだ。

いつの間にか姫路と島田の2人はどこかに行ってしまったが、良いか・・・

 

貴浩「じゃあ俺達も移動するか」

 

俺達は光一が手配した乗り物でグランドパークへと向かった。

 

ちなみにヘリで・・・・



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抗えない雄二

4/25 修正


「いらっしゃいマセ!如月グランドパークへようこソ!」

 

その男は日本人ではないのか、若干訛りの混じった口調で俺たちに笑顔を振りまいた。

顔立ちはアジア系っぽいので日本人かどうかはよくわからないが。

 

「本日はプレオープンなのデスが、チケットはお持ちですか?」

 

翔子「・・・・・はい」

 

翔子がポケットから例のチケットを取り出す。

 

「拝見しマース」

 

係員はそのチケットを受け取って俺たちの顔を見ると、笑顔のまま一瞬固まった。

翔子がそんな係員の様子を見て不安そうに表情を曇らせる。

 

翔子「・・・・そのチケット、使えないの・・・?」

 

「イエイエ、そんなコトないデスよ?デスが、ちょっとお待ちくだサーイ」

 

係員はポケットから携帯電話を取り出し、俺たちに背を向けてどこかに電話をし始めた。

 

「――――私だ。例の連中が来た。声が違うからこっちだ。

 ウエディングシフトの用意を始めろ。確実に仕留める」

 

雄二「おいコラ。なんだその不穏当な会話は」

 

この係員、急に目の色が変わりやがったぞ。まさか例のジンクスを作るための工作員か?

・・・・・・ん?明久以外にも来ているヤツらがいるのか?

 

翔子「・・・・ウエディングシフト?」

 

翔子が首をかしげている。

如月グランドパークの企みを知らないコイツにはよくわからない単語だろうな。

ってか知らないでいて欲しい

 

「気にしないデくだサーイ。コッチの話デース」

 

雄二「アンタ、さっき流暢に日本語話してなかったか?」

 

「オーウ。ニホンゴむつかしくてワカりまセーン」

 

取り繕ったように元の雰囲気に戻る係員。あからさまに怪しい。

 

雄二「ところで、そのウエディングシフトとやらは必要ないぞ。

   入場だけさせてくれたらあとは放っておいてくれていい」

 

もはや潔いとも言えるネーミングのおかげで、

向こうのやろうとしていることはよくわかった。

だが、そんなものに乗る気はない!そうしないと、俺の人生がっ!

 

「そんなコト言わずニ、お世話させてくだサーイ。

 トッテモ豪華なおもてナシさせていただきマース」

 

雄二「不要だ」

 

「そこをナントカお願いしマース」

 

雄二「ダメだ」

 

「この通りデース」

 

雄二「却下だ」

 

「断ればアナタの実家に腐ったザリガニを送りマース」

 

雄二「やめろっ!そんなことされたら我が家は食中毒で大変なことになってしまう!」

 

あの母親は間違いなく伊勢海老だと勘違いして食卓にあげるだろう。

なんて恐ろしい脅迫をしてくれんだ、この似非外国人め・・・・!

 

「では、マズ最初に記念写真を撮りますヨ?」

 

翔子「・・・・記念写真?」

 

「ハイ。サイコーにお似合いのお二人の愛のメモリーを残しマース」

 

翔子「・・・・・・・・雄二と、お似合い・・・・(ポッ)」

 

翔子は似非外国人の言葉に頬を赤らめていた。

 

???「お待たせしました。カメラです」

 

そこに帽子を目深にかぶったスタッフがカメラを片手に現れた。

うん?なんだか見覚えのあるヤツだな。帽子で顔を隠しているのが怪しいが……

 

「アナタが持ってきてクレたのデスか。わざわざありがとうございマス。助かりマース」

 

似非野郎が礼を言いながらカメラを受け取る。やはり妙だ。

こういった場所のスタッフが客の前で同僚に丁寧な礼を言うだろうか?

ってかコイツ帽子を深く被っているが見たことあるような気がする。

しかもあの歩き方―――――ふむ。少し試してみるか。

 

雄二「悪いがちょっといいか」

 

「わかりまシタ」

 

雄二「そういえば今日、翔子と電車に乗ってる時に楓がいたな。

   そして楓は変な男にナンパされていたっけ?」

 

貴浩「なんだとぉ!!ソイツはドコのどいつだ!!

   おい雄二そいつらの事詳しく・・・・・・・・・し、しまった」

 

やはりコイツか。楓のことを出せばすぐわかると思ったからな。

 

雄二「今の話は嘘だ。で貴浩。なんでテメェがここにいるんだ?」

 

「彼はココのスタッフのエリザベート・マリオ(三十五歳)通称イスカンダルでース。

 あなたの言うオリムラナントカさんではありまセーン」

 

雄二「黙れ!人種性別年齢氏名全てにおいて堂々と嘘をつくな!

   しかもどう考えてもその名前で通称イスカンダルはないだろ!!

   ってかイスカンダルって英雄の名前じゃねぇか!!」

 

貴浩「チッ、もうバレたか」

 

雄二「おいこの野郎。テメェ何してくれてんだ?」

 

俺は貴浩の胸倉を掴む

 

貴浩「おいおい、そう怒るなよ。それに今さっきまで霧島に

   腕を組まれていて悪い気分じゃなかっただろ(ニヤニヤ)」

 

雄二「ッ!!」

 

コイツいつから見てやがった

 

貴浩「まあ今日は楽しめよ雄二。じゃあ霧島彼氏と仲良くね」

 

霧島「・・・・・・(コクン)」

 

そういうと貴浩は走り去って言った。

貴浩がいたって事は他のヤツらもいるな。なら・・・・

 

雄二「翔子、すまんがちょっと我慢してくれ」

 

翔子「・・・・・???」

 

きょとんとしている翔子のスカートを掴み、軽く捲り上げる。

下着が見えるか見えないかというギリギリの高さまでスカートが持ち上がった。

 

雄二「……何!?ムッツリーニがいないだと!ヤツなら今のに反応するはずなのに!」

 

翔子「・・・・・・雄二、えっち」

 

翔子が少し怒ったような顔で俺を見ていた。

 

雄二「なっ!?ち、違うぞ翔子!俺はお前の下着になんか微塵も興味がないっ!」

 

翔子「・・・・・それはそれで、困る」

 

雄二「ぐぁああああっ!理不尽だぁあっ!」

 

翔子の握力で俺の頭蓋が軋む音が聞こえてきた。

 

「でハ、写真を撮りマース」

 

翔子「・・・待って」

 

翔子は係員にそういうと俺の頭の頭から手を離すと手を組んで俺にくっついた

 

翔子「・・・・・もういい」

 

「はい、チーズ」

 

近くでフラッシュが焚かれ、ピピッという電子音が聞こえてきた。

 

「スグに印刷しマース。そのまま待っていてくだサイ」

 

翔子「・・・・わかった。このまま待ってる」

 

正直恥ずかしいんだが///

 

「―――――はい、どうゾ」

 

ほどなくして似非野郎が写真を持ってきた。それと同時に開放される俺。

翔子は嬉しそうに写真を受け取った。

 

翔子「・・・・ありがとう。・・・・雄二、見て。私たちの思い出」

 

翔子が俺に写真を見せてくれる。

 

雄二「…なんだ、この写真は」

 

写っているのは俺と腕を組んで写っている翔子。そして――――

 

「サービスで加工も入れておきまシタ」

 

その2人を囲うようなハートマークと『私達、結婚します』という文字。

未来を祝福する天使が飛び回っている。

この写真をみると本当に結婚してしまうみたいじゃないか!

 

「コレをパークの写真館に飾っても良いデスか?」

 

雄二「キサマ正気か!?コレを飾られたら俺はもう言い逃れが出来ないじゃないか!」

 

翔子「・・・・雄二、照れてる?」

 

雄二「うっ///」

 

印刷された写真を見てると、

 

『あぁっ!写真撮影してる!アタシらも撮ってもらおーよ!』

 

『オレたちの結婚の記念に、か?そうだな。おい係員。オレたちも写ってやんよ』

 

いかにもチンピラのようなカップルがやってきた。

 

「すいまセン。こちらは特別企画でスので……」

 

似非野郎が断ろうとする。

どうやらあの写真撮影は

例のウエディングシフトとやらの一環で、俺たちだけが対象なのだろう。

 

『あぁっ!?いいじゃねーか!オレたちゃオキャクサマだぞコルァ!』

 

『きゃーっ。リョータ、かっこいーっ!』

 

男が下から睨みつけるように似非野郎を威嚇し始める。

絵に描いたようなチンピラだな。その姿を見て喜ぶ女もどうかと思うが。

あいつらを見ていると本当に翔子が良く見えてくる。

・・・・・・・・・・はっ!俺は何を考えていたんだ

 

『だいたいよぉ、あんなダッセぇジャリどもよりも

 オレたちを写した方がココの評判的にも良くねぇ?』

 

『そうよっ!あんなアタマの悪そうなオトコよりもリョータの方が

 100倍カッコイイんだからぁ!』

 

とりあえずチンピラカップルが係員の注意を引いている間に逃げるとするか。

 

翔子「・・・・(ツカツカツカ)」

 

雄二「っておい翔子。どこに行くんだ」

 

急に勢いよく歩きだした翔子の腕を掴んで引き止める。

 

翔子「・・・・・あの2人、雄二のことを悪く言ったから」

 

雄二「あのなぁ・・・その程度のことでイチイチ目くじら立てていたらキリがないぞ?」

 

正直あんな連中に何を言われても気にならないし、何より視界に入れておくだけでも不愉快だ。

まあ、翔子怒ってくれた事に悪い気持ちはしなかったがな

 

雄二「行くぞ、翔子」

 

翔子「・・・・雄二がそう言うのなら」

 

翔子もその光景は嫌だったようで、促すと渋々ついてきた。

 

雄二「さて。それじゃ、テキトーに回ってみるか」

 

翔子「・・・・楽しみ」

 

園内には前評判通りの最新アトラクションが沢山あった。

3Dの体感アトラクションから絶叫マシーン、

コーヒーカップやメリーゴーランド、観覧車など、

知っているアトラクションは全て揃っているようだ。

中には見た目だけでは想像もつかないようなものまである。

 

雄二「映画館でもあれば楽なんだがな」

 

翔子「・・・・・・折角一緒にいるんだから、そんなのはダメ」

 

翔子に却下されたので、仕方なく面倒が少なくて

妙な雰囲気にならないようなアトラクションを探す。

すると、そんな俺たちにヒョコヒョコと着ぐるみが近寄ってきた。

確か命が持っていたキツネのキーホルダーのキャラクターだ。

 

『お兄さんたち、フィーが面白いアトラクションを紹介してあげるよ?』

 

着ぐるみから聞こえてくるのは若い女の声。

ボイスチェンジャーなどを搭載していないのか、その声は普通の人間の声だった。

 

雄二「じゃあ、フィーとやら。お前のオススメを教えてもらえるか?」

 

『あ。う、うんっ。フィーのオススメはねっ、向こうに見えるお化け屋敷だよっ』

 

フィーとかいう狐の手が噴水を挟んだ向こう側に見える建物を示す。

ふむ。廃病院を改造したとかいう例のアレか。

 

雄二「そうか、ありがとう」

 

『いえいえっ。楽しんできてねっ』

 

翔子「よし翔子。お化け屋敷以外のアトラクションに行くぞ」

 

翔子の背中をおして歩き出す。すると慌てたように俺の腕をつかんできた。

 

『ままま待って下さいっ!どうしてオススメ以外のところに行くんですか!?』

 

雄二「どうしてもクソもあるか。お前もあの似非外国人の仲間だろう?

   だったら、お化け屋敷には余計な仕掛けが施されているのは明白だ。

   わざわざそんなところに行く気はない」

 

『そ、そんなの困りますっ!お願いですからお化け屋敷に行ってください!』

 

雄二「断る」

 

そのお願いとやらの為に残りの人生を捧げる気はない!

断固として否定し、俺は自由を謳歌するんだ!

・・・・今更だが、なんか聞き覚えのある声だ。

気のせいか、クラスメイトの優等生に思えてならない。こいつも確認しておくか。

 

雄二「そういえば、明久が命と一緒にここに来ていたぞ」

 

姫路『えぇっ、明久君が!?それはどこで見たんですか!?』

 

本当にこいつらは、揃いも揃って・・・。

 

雄二「おい姫路。アルバイトか?」

 

姫路『そんな事より、明久君をどこで見たんですか!教えてください!!』

 

姫路からはいつも以上の強い殺気が感じられる。

まさか姫路までここまで堕ちるとはさすがFクラスというべきか・・・・・・

少し明久に同情するな

 

そんな姫路の対応をしていると、姫路の方から携帯の音が鳴る。

 

姫路『もしもし、美波ちゃんですか。・・・・・明久君が!?

   ・・・・はい、分かりました!すぐ行きます!』

 

こいつ等はまともに仕事を行う気はないのか!?

姫路は電話を切るとすぐにこの場から消え去った。

・・・・・あいつ、確か運動苦手なんじゃなかったのか?

 

「ハイ、すいまセーン。お待タせしまシタ。チョッと撮影二手間取ってシマいましタ」

 

そうこうしていると、さらに面倒なヤツが現れた。さっきの似非野郎だ。

もう追いついてきたのか。ん?撮影?

 

「なんだ?さっきのバカップルでも撮影したのか?」

 

「イエ。アノあと、モウ1組みのプレミアムチケットの方タチがキテ、

 そちラの方々ヲ撮影しまシた」

 

雄二「は?何だと。俺達以外に2組来ているのか?いったい誰が・・・」

 

「お話はソレで終わりですカ?では坂本雄二サン、お化け屋敷に行って下サイ」

 

雄二「前後の文に脈絡がないからな。それにイヤだと言っているだろうが」

 

そんな危険地帯に自ら踏み込む気はない。

 

「断れバ、アナタの実家にプチプチの梱包材を大量に送りマース」

 

雄二「やめろっ!そんなことされたら我が家の家事が全て滞ってしまう!」

 

あのおふくろは全ての梱包材を潰し終わるまで他のことは何もしないだろう。

なんて地味かつ微妙な嫌がらせをしてくれるんだ・・・・・!

 

俺は翔子のほうをみてみると

 

貴浩「霧島。お化け屋敷は雄二に抱きつき放題だよ?」

 

貴浩のヤツが翔子に何か吹き込んでいた

 

翔子「・・・・雄二。お化け屋敷に行きたい」

 

雄二「汚いぞ貴浩、翔子を罠にハメようなんて!!」

 

翔子「・・・・・大丈夫」

 

油断している隙に翔子に腕を組まれた。これじゃあいろんな意味で抵抗できない!

 

貴浩「計画通り(ニヤッ)」

 

「では、こちらにサインして下サーイ」

 

似非野郎が取り出したのは何かの書類とボールペン。なんだコレは?

 

「ただの誓約書デース」

 

誓約書が必要なお化け屋敷ってなんだ。そんなに危険なのか?

 

雄二「だがまぁ、面白そうではあるな」

 

誓約書が必要ということはスリルに満ちているということでもあるだろう。

それはそれで面白いかもしれない。

少し楽しみになってので、ボールペンを受け取って書類に手をかける。

 

 【誓約書】

1.私、坂本雄二は霧島翔子を妻として生涯愛し、苦楽を共にすることを誓います。

2.婚礼の式場には如月グランドパークを利用することを誓います。

3.どのような事態になろうとも、離縁しないことを誓います。

 

翔子「・・・・はい雄二。実印」

 

貴浩「朱肉はこちらです」

 

雄二「俺だけかっ!?俺だけがこの状況をおかしいと思っているのか!?」

 

こいつらは全員正気じゃない。

 

「冗談でス。誓約書はいいので中に入って下サイ」

 

翔子「・・・・・・うん。冗談」

 

貴浩「もちろん冗談だ」

 

雄二「カーボン紙を入れて写しまで用意しているくせに冗談と言い張るのか」

 

色々といってやりたいことはあるが、この連中に常識を求めるのも酷というものだろう。

 

「それデハ、邪魔になりそうなノデその大きなカバンをお預かりしマース」

 

翔子「・・・・お願い」

 

翔子が似非野郎にバックを渡す。そういえばヤケに荷物が大きいな。

 

翔子「・・・・零れちゃうから、横にしないで欲しい」

 

「このカバンをですカ?わかりまシタ。気をつけマース」

 

零れる?あの鞄に何が入っているんだ?

 

「デハ、行ってらっシャいマセ」

 

翔子「・・・・・雄二、行こう」

 

雄二「く、クソ!」

 

抵抗空しく、お化け屋敷の扉の前に立たされる。演出なのか、

その扉は横開きの自動ドアでありながら電気が入っていないようで

手動で開けるようになっていた。

 

『私だ。お化け屋敷にターゲットが入った。あの人達考案の作戦を実行しろ』

 

あの人達と言うと、貴浩達のことか?

いや、あいつはそういうところは正常だからきっとの島田や姫路たちだろう。

あいつらは俺と翔子の関係を見ていて羨ましがっていた奴らだからな。

いったいどんなものになっているかはわからんが、

あいつら如きの策に引っかかってたまるか!



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恐怖のお化け屋敷

4/25 修正


お化け屋敷内

 

薄暗い廊下を翔子と二人で歩く。

カツン、カツンと廊下は足音を必要以上に大きく鳴らしているような気がした。

 

雄二「さすがに廃病院を改造しただけのことはあるな。雰囲気満点だ」

 

翔子「・・・・ちょっと怖い」

 

雄二「こういうのにあまりビビらないお前が怖がるなんて、珍しいな」

 

翔子「・・・・そうかも」

 

時折、壁に貼られている《順路》というポスターに従って進んでいく。

一階は特に何が起こるというわけでもなく、二階に上がり、

少し進んだ廊下で初めて何かの演出が顔を出した。

 

【―――じの方が――――――よりも―――――】

 

冷たい風に乗って幽かに聞こえる声。ふむ。怨嗟の声の演出か?

 

翔子「・・・・・この声、雄二・・・・?」

 

雄二「ん?そうなのか?」

 

これは俺の声そっくりだな。秀吉に声真似でもさせたのだろうか。

確かに自分の声が聞こえてくるなんて怖いといえば怖いが、

あいつらにしては普通の演出だと――――――

 

【姫路の方が翔子より好みだな。胸も大きいし】

 

翔子「・・・・雄二。覚悟、できてる?」

 

雄二「怖ぇっ!翔子が般若のような形相に!確かにこれはスリル満点の演出だ!」

 

なんて恐ろしいことを考えてるんだあいつら!!

まさか俺を生かしてここから出さないつもりか!?

と言うか、今の翔子はこないだの貴浩並の迫力だぞ!? 

 

なんてビビっていると、バンッと背中で何かの仕掛けが作動する音が聞こえた。

よっしゃ!ナイス演出!助かったぜ!

 

雄二「翔子!何か出てきたぞ!」

 

音のしたほうに首を向けると、そこにはさっきまで何もなかったはずなのに、

突如あるものが現れていた。それは―――――

 

翔子「・・・・気がきいてる」

 

・・・釘バット?

 

雄二「畜生っ!よりにもよって処刑道具まで容姿してくるとは!

   全く趣旨は違うが最強に恐ろしいお化け屋敷だっ!」

 

翔子「・・・・雄二。逃がさない」

 

釘バットを持った幼なじみに追いかけられるという斬新なアトラクションを

1時間あまり楽しむ羽目になった。

しかし、島田と姫路はコレで俺と翔子がくっつくと思っているのか・・・・?

貴浩は何故あいつらを止めようとしなかったんだ・・・・・

 

なんとか落ち着いた翔子を連れて俺はお化け屋敷を出た。

 

「お疲れサマでシタ。どうでシたカ?結婚したくなりまシタか?」

 

雄二「アレで結婚を結びつけて考えることが出来るのはお前と島田と姫路ぐらいだろうな」

 

絆どころか溝が深まった気分だ。

 

「オカしいデスね?危機的状況に陥っタ二人の男女ハ、

 強い絆デ結ばれルという話なのデスが・・・・」

 

雄二「襲い来る危機が結ばれるべき相手自身でなければそうなるかもしれないが・・・・・」

 

この似非野郎、きっと前の明久となら同レベルのアレなヤツだろう。

 

貴浩「すまない雄二。まさかあの2人がこんな事をしてるとは思わなかった。

   一応霧島には説明しておいたからこれからはまた楽しんでくれ」

 

雄二「なんだ貴浩?やけに素直だな」

 

貴浩「そりゃ、今回は楽しんでもらえるように仕組んでるんだからな。

   それに今日は霧島からはあまり暴力は受けてないだろ?」

 

そういえばそうだな

 

貴浩「ということで2人で楽しんでくれ」

 

そうか貴浩のおかげで翔子が大人しいのか。おかげで少し安心した部分もある。

これなら死にもの狂いで脱出するような真似はしなくてもよさそうだ。

・・・・面倒なので、できればすぐにでも帰りたいが。

 

翔子「・・・・そろそろ、お昼」

 

翔子が噴水の上の法を見ながら呟いた。

そこにある大時計は午後1時過ぎを示していた。そろそろ昼飯か。

 

翔子「・・・・・あの、私のバッグ・・・」

 

「デハ、豪華なランチを用意してありマスので、こちらにいらして下サイ」

 

似非野郎がスタスタと歩き出す。昼飯も用意してあるのか。

さすがはプレミアムチケットだな。

 

雄二「翔子、どうした?」

 

翔子「・・・・・なんでも、ない」

 

雄二「???」

 

一瞬寂しげな顔をしていたような・・・・・?

 

翔子「・・・・・雄二。急がないとはぐれる」

 

雄二「お、おう」

 

俺たちがついてくるという自信があるのか、似非野郎の姿が随分と遠くに見える。

まぁ、豪華な昼飯と聞いたからにはご馳走になるつもりではあるが。



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俺だけ独り身?

4/25 修正


時間は少しさかのぼり、

 

雄二と別れた僕は命とどこを回るか相談していた

 

明久「さて、どこから回る命?」

 

命「えっと、いっぱいあるから迷うね?

  そういえば乗ってみたいのがあったんだけどそれでもいいかな?」

 

明久「もちろん!それじゃいこうか」

 

と、言ってそのアトラクションに行く前に外国人の男が近づいてくる。

 

「オーウ、そこのカップルさん?写真なんかどうですか」

 

僕達はカップルなんかではばいんだけど///

でもカップルに見られるのか////

 

命「写真だって!記念だし撮ろうよ明久君」

 

明久「そ、そうだね。って命!?///なにやって―――」

 

「でハ、撮りマース。はい、チーズ」 

 

その瞬間、ピピッというシャッター音がなる。

撮った写真を見せてもらうとそこには、

腕を組んででカメラに向かってピースしている命と

突然腕を組まれて顔を赤くしている僕が写っていた。

 

「スグに印刷しマース。そのまま待っていてくだサイ」

 

外国人の男はどこかにいってしまう。あれを印刷するのか・・・・恥ずかしい///

というか、もしあれが姫路さんや美波、優子さんや秀吉の手に渡ったら

・・・・僕はその場で死ぬのかもしれないな。

写真撮影って来た人達全員にやってるのかな?

そうとしか考えられないよね、だって僕達は結婚の件はないはずだし・・・・

 

「お待たせしまシタ―――――サービスで加工も入れておきまシタ」

 

どれどれと僕達は写真を覗きこむ。

その写真に写っているのは先ほど説明した状態の2人と

その2人と囲うようなハートマークと『私達、結婚します』という文字、

それに未来を祝福する天使が飛び回っている。

・・・・どうしてこうなったんだ・・・・・・・orz

 

明久「あのすいません。結婚までのプロデュースはこのチケットではないはずですが」

 

「アア。それはアチラにいる方カラ頼まれたので。この写真とアト、

 ウエディングドレス、タキシードを着てでの撮影をおこなう事にシマシタ。

 それとこの写真をパークの写真館に飾っても良いデスか?」

 

向こうには貴浩が見えた。

しかも命の姉である優子さんまで・・・・・・・僕殺されるのかな?

それにこの写真を飾るだって?思い出としてとっておくならともかく冗談じゃない!!

死へのカウントダウンじゃないか!!

 

明久「やめてください。それとそのフレーム───」

 

命「いいですよ。ただそのフレームは恥ずかしいので外してくださいね」

 

明久「ってなにいってるの命!?」

 

「OK、分かりました。ありがトウございマース。

 (貴浩さんの言うとおりでしたね、ニヤニヤ)

 それでは、後ほどウエディング体験の方に移りタイト思うので、

 後でスタッフを向かわせマス」

 

命「はい♪(明久君とウエディング体験ヤッタ♪)」

 

明久「命・・・どうしたの?ちょっと浮かれてるみたいだけど」

 

命「えっ!///い、いやなんでもないよ///気にしないで明久君」

 

すると

 

秀吉「明久ではないか。それに・・・・・・・命じゃと!?」

 

優子さんの次には秀吉が現れた。アレ?今日で僕死ぬのかな

 

命「ひ、秀兄!?どうしてここに?それに楓ちゃんも」

 

明久「楓もいるんだ!?」

 

アレ?これって拙くない。確か近くに貴浩が・・・・・

貴浩がいたほうを見ると、

貴浩は、光一と刀麻に、優子は、工藤さんによって押さえられていた

 

楓「命ちゃんも明久君と来てたんだね」

 

命「うん、まさか楓ちゃんも来てるなんて驚いたよ」

 

楓「私もだよ。ところでこの事、優子ちゃんと秀吉君には話してるの?」

 

命「うぅ・・・・話していないよ」

 

秀吉「そうじゃ!どういうことじゃ命よ!ワシと姉上は聞いておらぬぞ!!」

 

楓「落ち着いてください秀吉君。

  それなら私たちも兄さんに黙ってきてますからお相子ですよ」

 

秀吉「む・・・そうじゃな」

 

明久「あ、あの秀吉と楓?」

 

秀吉「なんじゃ明久!?」

 

明久「凄く言いにくんだけど・・・」

 

楓「どうしたんですか明久君?」

 

明久「いや、あちらをご覧ください」

 

秀吉「なんじゃ?あちらになにか───」

 

僕は貴浩たちがいるほうを指差した

 

楓「に、兄さん」

 

秀吉「・・・た、貴浩じゃと」

 

命「優姉・・・」

 

明久「ごめん。さっきから居たんだけど言い出せなくて」

 

 

~ SIDE OUT 明久 ~

 

 

貴浩「やあ秀吉君。どうしたのかな?こんなところで(ニコ)」

 

優子「こんにちは明久君。どうしたのかしら?こんなところで(ニコ)」

 

貴・優「「で?もしかして楓(命)とデートなのかな?」」

 

俺と優子は黒いオーラを纏いながら質問する

 

明・秀「「え、えっと・・・・・・」」

 

ああ、僕と秀吉はここで死ぬのか

 

楓「・・・・・・あ、あの、に、兄さん・・・」

 

貴浩「・・・まあいいや。今は見逃してやる。ただし秀吉!!」

 

秀吉「は、はい!!」

 

俺は秀吉の肩をKARUKU掴んで

 

貴浩「帰ったら説明よろしく!」

 

秀吉「も、もちろんじゃ」

 

貴浩「で?楓も後で話聞くからな」

 

楓「・・・・・・はい」

 

貴浩「秀吉!!」

 

秀吉「はい!!」

 

貴浩「今日は楓を頼むぞ」

 

秀・楓「「え!?」」

 

貴浩「どうした?任せてはいけないのか?」

 

秀吉「任せるのじゃ!楓と楽しんでくるのじゃ」

 

貴浩「・・・・・そうしてくれ」

 

愛子「あれ?それで良いの?」

 

貴浩「・・・・・・良いさ。せっかく遊びに来てるんだ。楽しまなきゃ損だろ」

 

愛子「へぇーそうなんだ。貴浩君って優しいね」

 

貴浩「なぁ!?////そ、そんな事より優子を止めるぞ」

 

愛子「了~解!」

 

 

 

優子「明久君。これはどういうことかしら?」

 

命「えっと・・・優姉?落ち着いて」

 

優子「命は少し黙ってなさい!私は今明久君と話しているの!!

   で、どういうこと明久君?」

 

明久「えっと、オリエンテーションの景品でペアチケットが当たったので

   同じ班だった命と行こうと思いまして誘いました」

 

優子「・・・・・・そう・・・・・」

 

明久「えっと優子さん?」

 

命「優姉?」

 

貴浩「さあ2人ともさっさと楽しんで来い!」

 

明久「え?でも・・・・」

 

貴浩「なにか?秀吉たちにも言ったけどせっかく遊びに来ているんだ。楽しんで来い!」

 

愛子「そうだよ2人共。今は楽しまなきゃ損だよ」

 

貴浩「良いだろ優子」

 

優子「・・・・・・わかったわよ。明久君。ちゃんと命のことを楽しませてね」

 

明久「はい!!行こ命!」

 

命「はい!!」

 

明久と命、秀吉と楓を見送ると

 

貴浩「行ったか。さてこちらも仕事にm───」

 

俺は言葉を失った。

 

愛子「どうしたの貴浩君?」

 

優子「どうしたって言うの?」

 

俺が見た方向にはなのはと・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

ムッツリーニが手を繋いで歩いていた

 

貴浩「ムッツリーニ!?」

 

康太「!?」

 

ムッツリーニが俺を見て逃げようとしたので

 

貴浩「逃がすか!!」

 

俺はすぐさま仕込みトンファーで捕まえる

 

愛子「なのはちゃんがムッツリーニ君と来てるとは驚きだよ」

 

優子「本当よ。どうしたの?」

 

なのは「えっと、清涼祭の時、私たち誘拐されたでしょ、

    その時に私を助けてくれたのが土屋君なの。だからそのお礼にと思って誘ったの」

 

貴浩「そういやそうだったな。それでか今回の事、誘ったのに来なかったのは」

 

康太「・・・・・・・・・・・・八神がどうしてもと言ったからだ」

 

貴浩「ふーん。なのはとのデート楽しんでこいよ」

 

康太「・・・・・・・・・・・・デートじゃない」

 

貴浩「手を繋いでいたのに?」

 

康太「・・・・・・・・・・・それは仕方がなくだ」

 

貴浩「まあそういうことにしとこうか。

   悪いな2人の邪魔をして、じゃあ楽しんでこいよ」

 

なのは「うん。そうするね。じゃあいこう土屋君」

 

康太「・・・・・(コクン)」

 

なのはとムッツリーニを見送る。

 

貴浩「まさかの組合せだったな」

 

愛子「そうだね。さすがにアレは驚いたよ」

 

優子「そうね。まさか土屋君とは驚きね」

 

貴浩「そうだな。さて俺達も仕事に戻るか」

 

俺は優子と愛子と別れ雄二達の元へと向かった

 

・・・・・・アレ?いつものメンバーで独り身って今俺だけじゃないかOrz

 

その後、俺は落ち込みながらもお化け屋敷へと向かった



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幸せと不幸と救世主

4/25 修正


~ SIDE IN 明久 ~

 

僕と命はグランドパークの中にあるパーティー会場のような所に来ていた。

そこで僕はタキシードに命はウエディングドレスに着替えさせられてる。

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

明久「ああ、すいません。ありがとうございます」

 

たまにスタッフとこんな感じで話す。

・・・・流石にこの年で着せられるというのは恥ずかしいけど。

着方が分からないのだからしょうがない。

 

そうこうしているうちに終わったみたいだ。

 

椎名「とってもお似合いですよ」

 

といってスタッフの1人が鏡を持ってきてくれる。

あのスタッフってAクラスの椎名さんだよね?

そこに写っているのは純白のタキシードを着た僕だった。

 

その後、椎名さんに隣のスタジオに連れて行かれる。

 

椎名「それではここでお待ち下さい」

 

そう言われ僕はここで待つ。待っている間にいろいろな事を考えていた。

これからの事、優子さんと秀吉の事、

皆がいるということから美波たちも来ているということ

・・・・・・・・・・・ああ、もう考える事が多すぎて上手くまとまらない!

って僕本当に今日で死ぬのかも

 

優子「あら、明久君。もう着替え終わってたの?」

 

明久「げぇ!?ゆ、優子さん、丁度今来たところだよ。

   ・・・・・・それよりどうしたの?ボーイの格好なんかして」

 

優子さんが奥の方からやってくる。そんな事より1つ疑問が出てくる

・・・・どうしてボーイの格好をしているんだろうか

 

優子「これね、本当は秀吉が着るはずだったんだけど秀吉が楓とデートしているから。

   それで秀吉の代わりにこれを着て、代表たちのところに行くのよ。

   と言ってもまだ時間はあるんだけどね」

 

と、優子さんは少し困った顔をして事情を説明してくれる。

そういえば秀吉は楓とデートしてるんだった。

ってアレ?僕は今、命とデート?してるのに大丈夫なのかな?

 

優子「あ、そうだ明久君。今、命を見てきたけど羨ま──ゲフン、

   可愛くなってたわよ。さすがは命よね、それじゃあね」

 

明久「え!?優子さん?」

 

命「明久君!!」

 

僕は後ろから聞こえてきた声に反応する。そこにいたのは・・・・・

 

命「・・・・・・・・・・・に、似合うかな/////」

 

そこには純白のドレスを着た命がいた。

 

 

明久「・・・・・・・・・・・ぜ、全然変じゃないよ、むしろ似合ってるよ」

 

ふぅ~・・・・・もうアウトだよ、完全に見蕩れていたよ僕。

 

命「ホント!?良かった」

 

「ソレでは、とりマース。二人ともモット近づいてクダサーイ」

 

写真を撮るのは、先ほどここに案内したあの外国人らしい。

・・・・どうもこの人しっかりした日本語話せそうなんだよなぁ

外国人の人に言われ、僕達は少しくっつく。

でも命はなぜか僕に密着してきた

 

「でハ撮りマース。はい、チーズ。・・・・・OKでース。

 次は・・・・・新郎さん、新婦さんをお姫様抱っこしてクダサーイ」

 

ええ!?何でそこまでやるの!?・・・・・・・・・貴浩か!カクゴシテオイテネ

 

命「明久君どうしたんですか?やってくれないの?」

 

明久「って、命はいいの!?」

 

僕なんかとこんな写真を撮って恥ずかしくないのかな?

 

命「う、うん。少し恥ずかしいけど///記念ですし/////」

 

明久「・・・・・・・・分かったよ。僕も男だ、覚悟を決めるよ」

 

命「きゃあ///・・・・・あ、明久君私重くない?」

 

明久「うん。全然大丈夫」

 

そう言うと、命が僕の首に手を回してくる//////

・・・やばい、恥ずかしさとか色々あってこのまま倒れそう

 

「でハ撮りマース。はい、チーズ・・・・・・・OKでース。

 印刷をしてくるのでその間に着替えて置いてください」

 

それだけ言って外国人はどこかに行ってしまう。

あれは流石に写真館に飾らないよね・・・・

 

明久「分かりました。それじゃ着替えよっか、命」

 

命「うん、そうだね。」

                     

あの後、あの外国人に印刷した写真を見せてもらった。

あれは本当に他人には見せられない//////

あの写真には流石に命も顔が真っ赤になっていた。

2人のポーズはさっき説明したとおり、ちなみに今回撮った写真は全部、1枚ずつ手渡された。

・・・持って帰ったら、絶対に誰にもに見つからないところに保管しておかないと!!

これは僕の宝物だ

 

明久「・・・・・・早く行こうか命」

 

命「・・・・・・そ、そうだね」

 

今、2人とも顔が真っ赤になっている。

・・・・・・うう、気まずい。もしこんなところを雄二たちに見られたら

 

貴浩「おお、明久と命!どうだった?写真撮影」

 

からかわれる事間違いなしだろう。とにかく、貴浩たちに見つからないうちに

 

貴浩「その様子だと・・・ある意味大成功って訳だな。良かった良かった」

 

明・命「「貴浩(君)!?」」

 

貴浩「ったく、今頃気づいたのか」

 

命も貴浩がいたことに驚く。どうやら命も何か考え事をしていたようだ。

とりあえず目の前の貴浩に思いっきり殺意をぶつける。

 

明久「貴浩、一体僕に何の恨みがあってこんな事をやったのかな?」

 

貴浩「いや、おもしr──ゲフン、2人の記念にと思ってな。

   写真は見たが2人ともお似合いだな(ニヤニヤ)」

 

明久「っ!?////////」

 

すでに見られていたの!?貴浩に弱みを握られてしまったじゃないか!

 

貴浩「まあ良いじゃないか。正直まんざらでもないだろ。

   それに俺がいなかったらお前、優子と秀吉に殺されているぞ」

 

明久「ッ!!」

 

そうだった

 

貴浩「まあ俺が今来た理由はな。襲いかかってくる奴らが来るだろうから、

   それからお前らを守るためにきたんだ。

   ・・・・・ああ、ちなみにあの写真は写真館に飾るってさ」

 

明久「なんだって!?それじゃあもしここに友達が来たときとか困るよ」

 

それに僕を襲う人っていったらFクラスの皆じゃないか!!

なおさら飾るわけにはいかないよ

 

島田「アキ?命とあんな写真を撮るなんて覚悟は出来てるわよね」

 

明久「ってもう来た!?」

 

しかもよりによって美波!?・・・・このままじゃ姫路さんもここに来て、

この場で処刑されるのも時間の問題か!・・・・・何とか命だけでも逃がさないと!

 

島田「アキ、もう瑞希なら電話で連絡したわよ。さあ覚悟しなさいアキ!」

 

姫路「待ってください美波ちゃん!・・・・私にも殺らせてください!」

 

あ、姫路さんまで来た。もう終わりだorz。

・・・・・どうして僕はこんなにも2人に嫌われているんだろう、僕何かやったかな?

 

貴浩「ちっ、もうきやがったのか。仕方ない明久!

   命を連れてここから逃げろ!ここは俺が食い止める!お前は先に行けっ!」

 

明久「貴浩もいきなり何言ってるの!?そのセリフ完全に死亡フラグだよね!?」

 

貴浩「・・・・・・1度言ってみたかったんだ」

 

とは言え、確かにここは逃げないと僕には死しか訪れない。

でも貴浩を見捨てるしかないのか!?

 

光一「安心してください、俺もいますから」

 

明久「光一!」

 

貴浩の隣にいつのまにか光一が現れていた。

 

貴浩「ここは俺達に任せろ。だからいけ!明久!!生き延びるんだ明久!!」

 

明久「・・・・・大げさすぎる気もするけどありがとう、2人とも!・・・・命逃げるよ!」

 

命「う、うん」

 

僕は命の手を引っ張ってその場から逃げだした。



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撃退

4/25 修正


貴浩「明久たちも逃げたみたいだな。どうする?島田、姫路ここは通さないぞ」

 

ここで倒せばおそらく今日は邪魔できないだろう

 

姫路「ど、どうして織村くんは、私達の邪魔をするんですか」

 

島田「そうよ!命の味方ばっかして、それに羽鳥も!」

 

目の前の女子2人は抗議してくる。

全くこいつらは・・・少しは自分達の行動から明久がどう思ってるかとか

想像できないんだろうかな

 

貴浩「どうしてってお前らが明久たちの邪魔をしたからだろう?

   しかも今回の件は前のオリエンテーションで手に入れたチケットで遊びに来ているんだ。

   それをお前らがどうこう言ういわれは無いだろ」

 

光一「俺は命の味方はしていない。俺は明久殿に害なす者を排除するだけだ。

   今回はお前らがそれに当たるから邪魔をしているんだ」

 

こういうとき光一は頼りになるな

 

島田「・・・・・・どうしてもどかないのね」

 

姫路「そこをどいてください。今ならまだ追いつけますから」

 

貴浩「行かせる訳無いだろ。光一やってくれ」

 

光一「はっ」

 

俺は光一に指示を出すと光一は姫路に向かって吹き矢を飛ばした。

 

俺は光一特製のトンファーを取り出し

島田に押し付けるとスタンガン機能を発動させ、気絶させた。

 

バタン×2

 

光一の吹き矢によって姫路は倒れて眠っていた。

吹き矢には睡眠薬がつけられていたのであろう

 

貴浩「じゃあ光一。2人をしばってどこかに放り込んどいて。

   明久たちの邪魔にならないように。

   もちろん他のお客さんの迷惑にもならないようにな」

 

光一「了解いたしました」

 

さてこれで明久たちは大丈夫かな。では次の持ち場に移動するかな

 

 

 

~ SIDE IN 秀吉 ~

 

 

 

ワシと楓はグランドパークの中にあるパーティー会場のような所に来ておる。

そこでワシはタキシードに楓はウエディングドレスに着替えさせられておる。

 

「とってもお似合いですよ」

 

といってスタッフの1人が鏡を持ってきてくれる。

とりあえず、着させてくれたスタッフにお礼を言う。

その後隣のスタジオに連れて行かれる。

まだ楓は来ておらぬがカメラの方の準備はできてるみたいだ

 

「それではここでお待ち下さい」

 

スタッフの人にそう言われワシはここで待つ。

 

貴浩「秀吉もう着替え終わってたのか?」

 

秀吉「貴浩!?・・・・・それよりどうしたのじゃ?こんな所で?

   しかもボーイの格好をしておるが」

 

貴浩が奥の方からやってくる。やばいの貴浩と2人きりか・・・・・・

 

貴浩「これか、本当はお前が着るはずだったんだけどな。

   楓とデートしてるみたいだから俺が着てるんだ。

   この後雄二と霧島が来るからなと言ってもまだ時間はあるんだが」

 

と、貴浩は少し困った顔をして事情を説明してくれる。

なおさら気まずいのじゃが・・・・・

 

貴浩「そう気をはるな。今は何もしない。今秀吉に手を出したら楓が悲しむからな。

   さっきも言ったが今は楽しんどけ」

 

と貴浩がワシの今の状況に気がついたようじゃ。

 

貴浩「あ、そうだ秀吉。今、楓を見てきたけど可愛くなってたぞ。

   あまり見蕩れないようにな・それと欲情して襲うなよ。

   もし襲った場合は殺すからな。それじゃあ」

 

秀吉「ブッ!?いきなり何言っておるのじゃお主は!?」

 

楓「秀吉君」

 

ワシは後ろから聞こえてきた声に反応する。そこにおったのは・・・・・

 

楓「・・・・・・・・へ、変じゃないでしょうか?/////」

 

そこには純白のドレスを着た楓がいた。

 

秀吉「・・・・・・・・・・・・・ハッ!ぜ、全然変じゃないのじゃ、似合っておるぞ」

 

完全に見蕩れておったなワシは・・・・・凄い威力じゃな

 

楓「本当ですか!?良かったです」

 

「ソレでは、とりマース。二人ともモット近づいてクダサーイ」

 

写真を撮るのは、入場ゲートにおった外国人らしい。

・・・・どうもコヤツはしっかりした日本語話せそうなんじゃが・・・・・。

外国人の人に言われ、ワシ達は少しくっつく。

・・・な、なんで楓はこんなに密着してくるのかの!?

 

「でハ撮りマース。はい、チーズ。・・・・・OKでース。

 次は・・・・・新郎さん、新婦さんをお姫様抱っこしてクダサーイ」

 

ええ!?そこまでやるのかの!?

向こうを見てみると姉上と工藤の姿が見えた。

おそらくあの2人の差し金じゃろうか。

 

楓「どうしたんですか秀吉君?やってはくれないんでしょうか?」

 

秀吉「って、楓は良いのか!?」

 

ワシとこんな写真を撮って恥ずかしくないのか?

 

楓「は、はい。さすがに恥ずかしいですけど///」

 

秀吉「・・・・・・・・分かった。ワシも男じゃ、覚悟を決める。・・・よっと」

 

楓「ひゃあ///・・・・・ひ、秀吉君重くないですか?」

 

秀吉「全然大丈夫じゃ」

 

そう言うと、楓はワシの首に手を回してくる//////

・・・やばいの、恥ずかしさとか色々あってこのまま倒れそうじゃ

 

「でハ撮りマース。はい、チーズ・・・・・・・OKでース。

 印刷をしてくるのでその間に着替えて置いてください」

 

それだけ言って外国人はどこかに行ってしまう。

あれは流石に写真館に飾らない・・・・。うん、そう願おうとするかの

 

秀吉「了解したのじゃ。それじゃ早く着替えるとするかの楓」

 

楓「はい、そうですね」

 

                      

 

 

あの後、あの外国人に印刷した写真を見せてもらった。

あれは本当に他人には見せられない//////////////////////////。

あの写真には流石に楓も顔が真っ赤になっておった。

ちなみに今回撮った写真は全部、1枚ずつワシと楓に手渡された。

・・・・・・・・・・持って帰ったら、絶対に皆に見つからないところに

厳重に保管しておかないとまずいのじゃ!!

 

秀吉「・・・・・・早く行くとするかの楓」

 

楓「・・・・・・そうですね」

 

今、2人とも顔が真っ赤になっている。・・・・・・うう、気まずいのじゃ。

もしこんなところを皆に見られたら・・・・・

 

優子「秀吉!どうだった?写真撮影はその様子だと・・・・大成功って訳ね」

 

秀・楓「「姉上(優子ちゃん)!?」」

 

優子「今頃気づいたの!?さっきからいたのに」

 

そういえば写真撮影の時からおったの・・・・・

 

優子「で秀吉?これからあなたたちどうするの?

   お昼まだでしょ?それならもうじきしたらレストランのほうで

   豪華な食事が出るみたいだから行ってみたらどう?」

 

秀吉「そうなのか?どうする楓?」

 

楓「どうせですし行ってみましょうよ秀吉君」

 

秀吉「そうじゃな」

 

優子「なら今から案内するわ」

 

そしてワシと楓は姉上の後についていった



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2人の行動

4/25 修正


~ SIDE IN 明久 ~

 

明久「ここまで来ればもう大丈夫かな。命大丈夫?」

 

命「う、うん何とか。」

 

貴浩たちが姫路さん達の足止めをしてくれたお陰で、なんとか逃げ切れた。

貴浩と光一には本当に感謝するべきだよね

 

明久「とりあえず、貴浩の言ってた僕達のあの写真が飾られてるっていう

   写真館にいってみようか」

 

あの写真はさすがに他の人に見せたくないし

 

命「そ、そうですね・・・・・・」

 

写真館に来て、スタッフにその写真が飾られているところに

連れて行くよう頼む・・・はずだったのだがその必要は無かった。なぜなら・・・

 

明久「なにこの大きさ・・・・・・」

 

命「これ、絶対に来た人の目に付くよね・・・・・・」

 

僕らのあの写真は、写真館の入り口にでっかくしたものを飾られていた。

僕だけじゃなく秀吉と楓の写真も張られていた。

 

「どうかなさいましたか、お客様」

 

明久「どうかなさいましたかじゃないですよ!どうして写真が大きく飾られているんですか!?

   そもそも僕達カップルとかそういうんじゃないんですから、

   今すぐ取り外してください!」

 

隣で命がなんかうな垂れてるけど今はそんな事気にしない!

 

「私はこの写真を担当したわけではないので良くは知りませんが

 お二人とも、どちらもそう嫌がってるようには見えないのですが

 ・・・・・・むしろ、うれしそうな」

 

明・命「「//////////」」

 

僕と命は顔が真っ赤になる。

 

「・・・・・・・わかりました。少々惜しいですが、

 この写真はすぐこちらで撤去させていただきます」

 

明久「ほ、本当ですか!?」

 

その後お礼をいい外に出る・・・・・・・これからどうしようかな。

雄二たちのウエディング体験までにはまだ時間があるし、

だったら命の言ってたアトラクションでにでも行こうか。

 

明久「ねえ命、この辺で命が遊びたいって言ってたアトラクションある?」

 

命「うーんと、ね。・・・・・・・あれ!」

 

僕は命の指差した方を見る。そこにあったのは・・・・・・・・

ジェットコースターであることは間違いなさそうだ。

 

命「このジェットコースターはね、

  1回宙返りしてる間にはコースターが5回転するんだって。

  それに7万本の米松で組み上げた壮大な美しさを誇る、

  日本初の木製コースターなんだよ!!」

 

明久「ちょ、何!?その多さ!?気持ち悪くなる事間違いなよね!?

   それに木製って色んな意味で怖いよ!」

 

普通の絶叫系なら乗れない事は無いけど、そんなものに乗れるはずが無い!

 

命「早くいこうよ明久君♪」

 

明久「ま、まって、まだ心の準備が―――――」

 

命に無理やり引っ張られる形になってそのジェットコースターに乗る事になった。

 

命・明「「キャアアアアアア♪(ギャアアアアアアア!?)!?」」

 

・・・・・・・・・

 

命「明久君、大丈夫?」

 

明久「な、何とか」

 

正直、あれはきつかった

 

命「まだ、翔子ちゃんたちのには時間あるからもう1つ何かやっていかない?」

 

明久「・・・今のと同じような絶叫系を乗るのだけは勘弁して」

 

命「明久君って意外と絶叫系駄目だったんだね。

  折角来たんだから2人で楽しまなきゃ意味ないし・・・・・あ、だったらあれならどうかな?」

 

明久「・・・・観覧車?」

 

男女2人で乗るって絶対カップルとかがする事だよね?

それと、どうして命はこんなにも積極的なの?いつもの命とは思えないよ・・・・・・

 

命「まだ『ヴィーナス』とか『メリーゴーランド』色々ありますがどれがいいですか?」

 

明久「観覧車がいいです。さぁ行こうか命」

 

命「はい♪」

 

そういうことで、僕達は観覧車に乗る事になった。

 

 

 

観覧車の結果はある意味では最高で最悪だった。

なぜかというとなぜか命が僕の隣に座って腕を組んで来るんだもん、

・・・・・・恥ずかしさというものを考えないならここまではよいのだが、

それを降りた時に楓と一緒にいた秀吉や貴浩と一緒に仕事をしていた優子さんに

見られてしまった。僕もう今日で死ぬのかな?

 

明久「そろそろ昼時だし雄二達のウエディング体験、見に行こうか」

 

命「うんっ!」

 

命は元気よくうなずいてくれる、本当にこの笑顔はかわいいな。

ん?なんか向こうの方で騒いでいる人たちがいる、どうしたんだろう?

 

『今このアトラクションに乗れないってのはどういうことだ!

 俺達オキャクサマだぞ、なめてんのかコルァ!』

 

『きゃーっ。リョータ、かっこいーっ!』

 

『で、ですから本日はプレオープンなので乗れる時間が決まっているんです!』

 

あのスタッフさん大変そうだなぁ。あのバカップルは・・・・

 

命「ん?どうかしたの明久君?」

 

明久「いや、ちょっとね」

 

その場であのバカップルのことを話し、僕たちは雄二たちのいるパーティー会場に向かった

 

 

 

 

 

~ SIDE IN 雄二 ~

 

しばらく歩くと、小洒落たレストランが見えてきた。

 

「コチラでランチをお楽しみ下サイ」

 

そう言って似非野郎が案内したのはパーティー会場のような広間だった。

そこら中に丸テーブルが設置されており、前方にはステージとテーブルが用意されている。

この雰囲気、レストランというより――――

 

翔子「・・・・・クイズ会場?」

 

そう。一応丸テーブルの上には豪華な料理が用意されているが、

TVでよく観るクイズ会場のような雰囲気になっていた。

 

「いらっしゃいませ。坂本雄二様、翔子様」

 

スタッフが現れ、俺たちを席に案内する。

・・・・・コイツも見覚えのある面だな、オイ。

 

雄二「秀吉。スタッフの真似事か?」

 

秀吉?「秀吉?なんのことでしょうか?」

 

顔色一つ変えずに切り返してくるクラスメイト。

こいつ、役者モードになってやがるな。こうなるとそう簡単に化けの皮は剥がせない。

それならば、貴浩の時とは別に道具を使うとしよう。

 

雄二「違うと言うなら、確認させてもらうぞ」

 

携帯電話を取り出し、アドレス帳から『木下秀吉』を呼び出す。

着信音は・・・・・違うところから鳴った。

向こうのほうを見ると秀吉と楓の姿が見えた

 

雄二「なっ!?どういうことだ!?」

 

優子「ふっ甘いわね、坂本君。いくらボーイの格好をしてたって男とは限らないでしょう?」

 

この声、秀吉の姉の木下優子か!

 

翔子「・・・・・・・・・優子?」

 

秀吉「そうよ代表。全く秀吉が楓とデートだからって何で私がこんな役を・・・・・」

 

なにやらぶつぶつ言っている、ん?デート?・・・・・・貴浩のヤツ良いのかこれは?

 

雄二「おい、木下姉。お前は貴浩たちみたいに誤魔化したりしないのか?

   それに、秀吉がデートってどういうことだ?」

 

優子「当たり前じゃない、貴浩や姫路さんがばれているのにわざわざ隠す必要も無いわ。

   あらやだ、代表が隣にいるのに秀吉か楓の事が気になるの?」

 

おい、やめてくれ。そんな言い方をしたら・・・・・・

 

翔子「・・・・・・雄二は友達思いだから大丈夫」

 

と思ったら貴浩のおかげで今日は大丈夫そうだな。今回は感謝だな・・・

 

優子「代表、坂本君。席に案内するわ」

 

木下姉に連れられて会場の中を移動する。

 

愛子「お客様は未成年だということなので、こちらを用意させて頂きました」

 

席に着くと、今度は工藤がグラスにノンアルコールのシャンパンを注いでくる。

ラベルが見えるように持っているあたり、勉強しているみたいだ。さすがAクラスだ。

 

刀麻「オードブルでございます」

 

グラスを置くと、すかさず運ばれてくる料理。

豪華な、という前置きは間違いないようで、

慣れない料理に苦笑しながらナイフとフォークを手に取ることになった。

もっとも翔子や光一はこういった席にはなれてるかもしれないが。

って今度は刀麻か。FクラスのやつよりAクラスのメンバーのほうが多いじゃないのか?

 

そしてデザートも食べ終え、ここには特に何の仕掛けもないのか、

と安堵しかけたその時。

 

砂原《皆様、本日は如月グランドパークのプレオープンイベントにご参加いただき、

   誠にありがとうございます!》

 

会場に大きくアナウンスの声が響き渡った。この声は砂原とかいうヤツだったか

 

砂原《なんと、本日ですが、この会場には結婚を前提としてお付き合いを始めよう

   としている高校生のカップルがいらっしゃっているのです!》

 

飲んだ水が少しだけ鼻から逆流した。

 

砂原《そこで、当如月グループとしてはそんなお二人を応援する為の催しを企画させて頂きました!

   題して、【如月グランドパークウエディング体験】プレゼントクイズ!》

 

出入口を封鎖する重々しい音が聞こえてくる。退路を断つとは・・・・貴浩め。

俺の行動パターンは予測済みということか・・・・・・!

 

砂原《本企画の内容は至ってシンプル。こちらの出題するクイズに答えて頂き、

   見事5問正解したら弊社が提供する最高級のウエディングプランを体験して頂けるというものです!

   もちろん、ご本人様の希望によってはそのまま入籍ということでも

   問題ありませんが》

 

大問題だバカ野郎!

 

砂原《それでは、坂本雄二さん&霧島翔子さん!前方のステージへとお進み下さい》

 

ご丁寧にも司会が俺たちの席を示してくれたおかげで、

レストランにいる観客が一斉にこちらへと目を向けた。

 

翔子「・・・・・ウエデイング体験・・・・・頑張る・・・・!」

 

雄二「落ち着け翔子。そういったものはだな、

   きちんと双方の合意の下に痛だだだだだっ!

   耳が千切れるっ!行く!行くから放してくれっ!」

 

ただの体験だと自分に言い聞かせ、渋々と壇上に上がる。

スタッフ(椎名と貴浩)の誘導の下、俺と翔子は解答者席へと案内された。

 

 

 

~ SIDE OUT 雄二 ~



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雄二と翔子のウエディング体験

4/25 修正


砂原《それでは【如月グランドパークウエディング】プレゼントクイズを始めます!》

 

俺と翔子の間に大きなボタンが1つ設置されている。

コレをおしてから解答するというオーソドックスなシステムのようだ。

正解したらプレゼント、ということは、間違え続けたら無効になるのだろう。

それなら俺が間違え続けるとするか・・・

 

砂原《ではあ、第一問!》

 

ボタンに手を伸ばす用意をし、問題を待つ。さて、どんな問題が来るんだ?

 

砂原《坂本雄二さんと翔子さんの結婚記念日はいつでしょうかっ?》

 

・・・・・・おかしい。問題文の意味がわからない。

 

―――――ピンポーン!

 

し、しまった。油断しているうちに翔子が勝手にボタンを!

だが、いくらコイツでも正解の存在しない問題に答えなんて―――

 

砂原《はいっ!答えをどうぞっ!》

 

翔子「・・・・毎日が記念日」

 

雄二「やめてくれ翔子!恥ずかしさのあまり死んでしまいそうだ!」

 

砂原《お見事!正解です!》

 

しかも正解!?砂原を睨みつける。

すると、砂原は観客に見えない角度で、俺に向かって片目を瞑ってきた。

さては・・・・・出来レースかっ!

そこまでして俺たちにウエディング体験とやらをさせたいのか!?

いいだろう。それならば俺は間違えて見せよう!

 

砂原《第二問!お二人の結婚式はどちらで挙げられるでしょうかっ?》

 

――――ピンポーン!と素早くボタンを押し、マイクに口を寄せる。

不正解を出すなんて、造作もないこと!

 

砂原《はいっ!答えをどうぞっ!》

 

雄二「鯖の味噌煮!」

 

砂原《正解です!》

 

雄二「なにぃっ!?」

 

馬鹿な!?場所を聞かれたのに鯖の味噌煮が正解なのか!?

 

砂原《お2人の挙式は当園にある如月グランドホテル・鳳凰の間、

   別名【鯖の味噌煮】で行われる予定です!》

 

雄二「待ていっ!絶対その別名はこの場で命名しただろ!強引にも程があるぞ!」

 

砂原《第三問!お2人の出会いはどこでしょうかっ?》

 

ダメだ、聞いてねぇ・・・・・!だが、向こうのやり口はわかった。

今度は確実に間違えてみせる。翔子が動くより早くボタンを押し、間違った解答を―――――

 

翔子「・・・・・させない」

 

ブスッ

 

雄二「ぎゃあぁぁぁ!?目が、目がぁっ!」

 

――――ピンポーン!

 

砂原《はい、解答をどうぞ!》

 

翔子「・・・・小学校」

 

砂原《正解です!お2人は小学校からの長い付き合いで

   今日の結婚までに至るという、なんとも仲睦まじい幼なじみなのです!》

 

今、俺が目を突かれたのは見えてないのか!?

どこをどう見たら仲睦まじいという言葉が出てくるんだ!

問題を聞いてから動き出すようでは遅すぎるようだ。

翔子の妨害が間に合わないタイミングで解答する必要がある。

 

砂原《第四問に参ります!》

 

――――ピンポーン!

 

問題文が読み上げられるよりも先にボタンを押し、

妨害が入る前に解答を済ませる!どんな問題が来るかはわからんが、

【わかりません】と解答したら100%間違いになるはず!

 

雄二「――――わかり」

 

砂原《正解です!それでは最終問題です!》

 

うぉっ!?俺の解答を無視したぞ!?問題を無視した仕返しか!?

もはや間違えることは不可能だ、と諦めそうになったその時

 

『ちょっとおかしくな~い?アタシらも結婚する予定なのに、

 どうしてそんなコーコーセーだけがトクベツ扱いなワケ~?』

 

不愉快な口調の救いの神が現れた。その場の全員が声の主を探る。

すると、彼らは呼ばれてもいないのにステージのすぐ近くまで歩み寄ってきていた。

 

砂原『あの、お客様。イベントの最中ですので、どうか――――』

 

『あぁっ!?グダグダとうるせーんだよ!オレたちはオキャクサマだぞコルァ!』

 

どこかで見た連中だと思ったら、入場口で似非野郎に絡んでいたチンピラどもか。

 

『アタシらもウエディング体験ってヤツ、やってみたいんだけど~?』

 

砂原『で、ですが――――』

 

『ゴチャゴチャ抜かすなってんだコルァ!

 オレたちもクイズに参加してやるって言ってんだボケがっ!』

 

『うんうんっ!じゃあ、こうしよーよ!アタシらがあの二人に問題出すから、

 答えられたらあの二人の勝ち、間違えたらアタシらの勝ちってコトで!』

 

慌てるスタッフや貴浩たちをよそに、そのカップルはズカズカと壇上に上がり、

設置してあるマイクの一つをひったくる。これはチャンスだ。

この連中が相手なら間違えられることができる。

あとは翔子の妨害を邪魔しておけば・・・・!

 

翔子「・・・・・・ゆ、雄二・・・・・・?」

 

解答者席の陰で翔子の手を握る。これで目潰しは出来ない。

あとは向こうの問題に間違えるだけだ!

 

『じゃあ、問題だ』

 

チンピラがわざわざ巻き舌の聞き取りにくい発音で言う。

 

『ヨーロッパの首都はどこだか答えろっ!』

 

雄二「・・・・・・・・・・・・・・」

 

言葉を、失った。

 

『オラ、答えろよ。わかんねぇのか?』

 

確かにわからないと言えばわからない。俺の記憶では、

ヨーロッパは国というカテゴリーに属していたことは一度もないのだから。

その首都を答えるなんて不可能だ。

 

砂原《・・・・・・坂本雄二さん、翔子さん。おめでとうございます。

   【如月グランドパークウエディング体験】をプレゼントいたします》

 

『おい待てよ!こいつら答えられなかっただろ!?

 オレたちの勝ちじゃねぇかコルァ!』

 

『マジありえなくない!?この司会バカなんじゃないの!?』

 

バカップルがぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる中、ステージの幕が下りてくる。

前の明久以上、またはFクラス以上のバカがいるとは世界って広いもんだな・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「おメデとうございマス。ウェディング体験が当たるなんテ、ラッキーでスね」

 

翔子「・・・・・・凄く嬉しい」

 

雄二「そういえば翔子。お前の持ってきた鞄は何が入っているんだ?

   随分と大きいが」

 

翔子「・・・・・・別に、なんでも・・・・・」

 

翔子が少し困ったように答える。何かあるのだろうか?

 

「翔子サン、ウェディング体験の準備があるノデ、

 このスタッフについていってもらえマスか?」

 

いきなり似非野郎の後ろから女性のスタッフが歩み出て頭を下げる。

いかにも業界人といった風貌の人だ。

 

「初めまして。貴方のドレスのコーディネートを担当させて頂きます。

 一生の思い出になるようなイベントにする為、お手伝いをさせてください。」

 

そう言ってスタッフは翔子に笑顔を向けた。おいおい、随分と本格的だな。

まさかスタイリストまでつけてくるとは。

となると、如月ハイランドの狙いはアトラクションじゃなくて最初から

このウェディング体験だったってことか。

どうやら今からの時間を目一杯使って結婚式の擬似体験をさせてくるようだ。

 

雄二「ってことは、俺は長い時間待たされるのか?」

 

ドレスを着てメイクをするってことは数時間もかかるような大作業になるだろう。

その間俺は何していればいいんだ?

 

「ご安心下サイ。如月グループの誇る新しい技術を使うノデ、

 メイク等にアマリ時間は掛かりませーン。それに・・・・・」

 

新技術?そんな物使って大丈夫なのか?

それになんだ!?嫌な予感がする。

 

「坂本雄二サンは逃亡を考えるだろうカラ、

 コレで気絶させてカラ着替えさせるように、とある方らの指示デース」

 

そういって野郎が取り出したのは、スタンガン

 

雄二「た、たかひろぉぉぉぉぉ!!」

 

「少しガマンして下サーイ」

 

首の後ろでバチンッと大きな音が響き、俺は意識を失った。



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ウエディング体験②

4/25 修正


砂原《それではいよいよ本日のメインイベント、ウエディング体験です!

   皆様、まずは新郎の入場を拍手でお迎えください!》

 

ここで盛大な拍手が聞こえる

 

刀麻「坂本雄二さん、お願いします」

 

舞台袖でスタッフ(刀麻)が耳打ちしてきた。

コイツをブチのめして逃げてやろうか。

 

刀麻「抵抗したら、海栗とタワシの活け作りを雄二の実家に送るぞ」

 

くっ。そんな物を送られたら、

あの母親はきっと全部海栗だと勘違いしてタワシにも手を出してしまう……!

 

雄二「やれやれ・・・・・・。まぁ、あくまでもただの体験だしな。

   適当に付き合ってさっさと終わらせるか・・・・・・」

 

油断を誘うため、刀麻に聞こえるように諦めの言葉を呟く。

 

恐らくこいつらの狙いは、指輪交換から誓いのキスまでの一連のシーンだ。

それらを大々的にメディアに発表することで、

俺と翔子を世間的に結婚させるつもりだろう。

 

確かに世間でそういった目で見られてしまえば、

違うやつと歩いているだけで何を言われるかわかったもんじゃない。

 

いやらしいが巧いやり方だ。

 

だがそれなら、俺は誓いの言葉に入るまでの間に脱走したらいい。

 

好都合にも衆目の前だ。ちょっと大げさに仮病でも使ってやれば、

相手側も式を断念せざるを得ないだろう。

 

この場を逃れたらあとはどうとでもなる。

 

刀麻「さァ、どうぞ」

 

雄二「あいよ」

 

小さな階段を昇る。

そのままステージに上がると、その光景に一瞬眩暈がした。

 

雄二「おいおい・・・・・・なんだよこのセット・・・・・・」

 

数え切れないスポットライトにライブステージのような観客席。

スモークの設備はおろかバルーンや花火の用意までしてあるように見える。

向こうにある電飾なんていくらかかってるか見当もつかん。

 

砂原《それでは新郎のプロフィールの紹介を――――――》

 

ん?俺のプロフィール紹介か。まるで本物の結婚式みたいだな。

目的のシーン以外の部分もきちんとしているようだ。さっきのクイズもそうだが、

きっと貴浩たちにでも聞いて細かく下調べを――――

 

砂原《―――――省略します》

 

手ぇ抜きすぎだろ。

 

『ま、紹介なんていらねぇよな』

 

『興味ナシ~』

 

『ここがオレたちの結婚式に仕えるかどうかが問題だからな』

 

『だよね~』

 

最前列に座っている連中からそんな声が聞こえてきた。

声の主は・・・・さっきクイズ会場で騒いでいたチンピラどもか。

しかし、最前列に座っているのに大声で会話とは。

外観に相応しいマナーの持ち主だな。

 

砂原《・・・・・他のお客様のご迷惑になりますので、

   大声での私語はご遠慮頂けるようお願い致します》

 

『コレ、アタシらのこと言ってんの~?』

 

『違ぇだろ。オレらはなんたってオキャクサマだぜ?』

 

『だよね~っ』

 

『ま、俺たちのことだとしても気にすんなよ。

 要は俺たちの気分がいいか悪いかってのが問題だろ?

 それに俺はあの有名な羽鳥グループの社員だぞ!!これ重要じゃない?』

 

『うんうん!リョータ、イイコト言うね!』

 

調子に乗って下卑た笑い声が一層大きく響きわたる。

主催側のイベントの邪魔になる要因は排除したいだろうに

――――やっぱりあれだけ騒ぐ連中だと手を出せないだろうな。

宣伝目的でやっているのに悪評を流されたら意味がないから仕方ないな。

ってか羽鳥の社員か。それはご愁傷様だな。

 

砂原《――――それでは、いよいよ新婦のご登場です!》

 

心なしか音量が上がったBGMとアナウンスが流れ、

同時に会場の電気が全て消えた。シモークが足元に立ちこめ、

否応なしに雰囲気が盛り上がる。・・・・・・ははっ。

コレで翔子に花嫁衣装が似合っていなければ興さめもいいところだな。

脱出はもう少し待つとしよう。折角来たんだ。

翔子のドレス姿くらい見ておくのも一興だ。

そんなことを考えながら待っていると、目が暗がりになれるよりも早く、

一条のスポットライトが点された。

 

砂原《本イベントの主役、霧島翔子さんです!》

 

アナウンスと同時に更に幾筋ものスポットライトが壇上の一点のみを照らし出す。

暗闇から一転して輝き出す壇上に、思わず目を瞑ってしまう。

そして、再び目を開けた時に飛び込んできた姿に俺は一瞬、言葉を失った。

幼い頃からの知り合いでありながらも今日この場で初めて出会ったような、

そんな感覚を抱かせるほどの見違えた姿。

彼女は花嫁と呼ぶに相応しくたおやかに佇んでいる。あれは・・・・・誰だ?

 

『・・・・・・・・綺麗』

 

静まり返った会場から溜息と共に洩れ出た、誰のものともわからない台詞。

だが、その言葉は何にも阻まれることなく壇上の俺のところまで届いてきた。

余程入念に制作したのか、純白のドレスは皺一つ浮かべることなく着こなされている。

スカートの裾は床にすらない限界の長さに設定されているようで、

アイツがステージの中央まで歩いてくる間、一度も床に触れることはなかった。

 

翔子「・・・・雄二・・・・・」

 

ヴェールの下に素顔を隠し、シルクの衣装に身を包む幼なじみが、

どこか不安げにこちらを見上げている。

胸元に掲げている小さなブーケが所在なげに揺れた。

 

雄二「翔子、か・・・・・・?」

 

翔子「・・・・・うん」

 

頭の中が真っ白になり、いわずもがなの質問が口をついて出た。

あまりの変わりように、確認せずにはいられなかったのかもしれない。

動揺する俺に、翔子は恥ずかしげに問いかける。

 

翔子「・・・・・・どう・・・・・?私、お嫁さんに見える?」

 

コイツが見知らぬ少女に見えたせいか、会場の雰囲気に飲まれたのか、

それとものかの要因か。俺は考えを巡らせることもなく勢いで返事をしてしまった。

 

雄二「ああ、大丈夫だ。とても似合ってるぞ、翔子」

 

先ほど頭に浮かんだ言葉なんて既にどこかへと飛んでいた。

似合っている、なんて言葉を付け加えられただけでも上出来だと思う。

 

翔子「・・・・・雄二・・・・・」

 

翔子は小さな声で俺の名を呼び、ブーケを抱え直した。

そして、その場で動きを止める。

 

雄二「お、おい。翔子・・・・・・?」

 

なんだ?様子がおかしい。俺の返事が何かマズかったか?

駆け寄るべきか、一瞬迷う。

すると、俺が迷ってる間に、翔子は再び言葉を紡いだ。

 

翔子「・・・・・嬉しい・・・・・」

 

目の前で少女が俯き、ブーケに顔を伏せる。

そして、それ以上は言葉を発することなく静かに震え出した。

 

砂原《ど、どうしたのでしょうか?

   花嫁が泣いているように見えますが・・・・・・?》

 

仕事を思い出したかのようにアナウンスが入る。泣いている?

言われてみて初めて気づく。俯いて肩を震わせて―――――翔子は静かに泣いていた。

 

雄二「お、おい。どうした・・・・・?」

 

ヴェールとブーケが邪魔で表情が見えない。なぜ急に泣き出したんだ?

会場から静寂が消え、観客の間に少しずつざわめきが生まれ出す。

そんな中、彼女は小さな、だがはっきりと聞き取れる声で呟いた。

 

翔子「・・・・・・ずっと夢だったから」

 

涙混じりのかすれた声。

 

砂原《夢、ですか?》

 

翔子「・・・・・・小さな頃からずっと・・・・・・夢だったから

   ・・・・。私と雄二、2人で結婚式を挙げること・・・・・。

   私が雄二のお嫁さんになること・・・・。

   私1人だけじゃ、絶対に叶わない、小さな頃からの私の夢・・・・・」

 

口数の少ない翔子が懸命に紡ぐ言葉は、俺に形容し難い何かの感情を喚起した。

幼い頃のある出来事がきっかけで抱かれた、コイツの俺への想い。

それは罪悪感と責任感からくる勘違いなはずなのに

―――――コイツはどうしてここまで強い気持ちを抱けるのだろうか。

 

翔子「・・・・・だから・・・・・本当に嬉しい・・・・・。

   他の誰でもなく、雄二と一緒にこうしていられることが・・・・」

 

そこまで言って、あとは言葉にすることができずに翔子は静かに泣いた。

 

砂原《どうやら嬉し泣きのようですね。花嫁は相当に一途な方のようです。

   さて、花婿はこの告白にどう応えるのでしょうか?》

 

どう応える?そんなものは決まっている。

場所がどこであろうと、時間がいつであろうと、俺がやるべきことはただ一つ。

コイツの勘違いを正してやることだ。頭ではそう考えている。

それなのに――――不思議なことに俺の口はあの言葉を紡ぐことが出来ずにいた。

 

雄二「翔子。俺は―――――」

 

『あーあ、つまんなーい!』

 

何かを言いかけたところで、観客から大きな声があがる。

俺は慌てて口を噤んだ。よくわからないが、どこかでホッとしている自分がいる。

ということは、これは俺にとって天の助けなのか。

 

『マジつまんないこのイベントぉ~。人のノロケなんてどうでもいいからぁ、

 早く演出とか見せてくれな~い?』

 

『だよな~。お前らのことなんてどうでもいいっての』

 

どうやら俺の窮地を救ってくれたのは最前列に陣取る馬鹿二人組みのようだ。

会場が静まり返っていたおかげで発言者がはっきりとわかる。

 

『ってか、お嫁さんが夢です、って。オマエいくつだよ?なに?キャラ作り?

 ここのスタッフの脚本?バカみてぇ。ぶっちゃけキモいんだよ!』

 

『純愛ごっこでもやってんの?

 そんなもん観るために貴重な時間割いてるんじゃないんだケドぉ~。

 あのオンナ、マジでアタマおかしいんじゃない?ギャグにしか思えないんだケドぉ』

 

『そっか!コレってコントじゃねぇ?あんなキモい夢、

 ずっと持ってるヤツなんていねぇもんな!・・・・・ゲフッ!てめぇ何しやがる!』

 

『リュ、リュータ、大丈夫!いきなり何すんのよアンタ!』

 

口々に文句を言い、翔子を指さして笑い始める2人組。

すると、そこに男の方を殴りかかった奴が1人。

それは俺が知ってる限り最も馬鹿なヤツ・・・・・・・明久だった

 

明久「・・・・・・・に・・・・・・・・・・・・のか?」

 

『ああん?何言ってんだよお前。』

 

明久「てめぇらに霧島さんの夢を笑える資格があるのかって言ってんだよ!」

 

それだけ言って、明久はもう一回起き上がった男を殴りつける

 

明久「霧島さんはな、この時をずっと待ってたんだぞ!

   あっちの馬鹿な新郎に心の中でずっと積もってた思いを打ち明ける日を!

   何年もかけて育っていったその大切な夢を

   お前らが馬鹿にして霧島さんを傷つけたんだ!」

 

『ハッ、用はここが俺達に使えるかどうか、それさえ確認できりゃあそれで良いんだよ!

 あんな女の事情なんて知った事か!』

 

明久「なんだと!」

 

砂原《お、お客様、落ち着いてください!》

 

命「落ち着いてよ、明久君!」

 

貴浩「今はひとまず落ち着くんだ明久!」

 

あの野郎・・・・俺と翔子の間に何があったかも知らないで・・・・・・。

・・・・・・・・・・・あの時からだな、俺が変わったのは。

ただ学力だけがすべてじゃない。

それを証明するために俺は神童から悪鬼羅刹になった。

そんなことのために学力であろうが、地位であろうが、

・・・・翔子への気持ちであろうが俺はそれまでのすべてを捨てた。

 

・・・・・なんだ、俺があいつから逃げているだけじゃないか。

あいつは俺に気持ちを伝えたいために追いかけてくる。

それから逃げ続けているだけ、ろくに向き合ってやらないで。

そしてあいつは今、俺に気持ちを伝えた。だったら俺は・・・・・・

 

砂原《は、花嫁さん?花嫁さんはどちらに行かれたのですかっ?》

 

チンピラどもと明久が暴れている席から翔子の方に目を向ける。

だが、この短い時間の間に翔子は壇上から姿を消していた。

さっきまで立っていた場所にブーケとヴェールを残して。ヴェールを拾い上げる。

それは羽根のように軽いはずなのに、

涙で湿って少し重くなっていた。

 

雄二「・・・・・・・俺が翔子に言わなくちゃならない事・・・そんなもん決まってる!」

 



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ウエディング体験(裏)

4/25 修正


~ SIDE IN 明久 ~

 

命「ねぇ、明久君、会場ってここで良いんだよね?」

 

命「うん、貴浩から聞いたんだけどここのはずだよ・・・・・・・・・多分」

 

僕らが不思議そうにそこをみている・・・・・・・・・・クイズ会場?

でも、他のお客さんも来ているのでここで間違いはなさそうだ。

 

「いらっしゃいませ、お2人様でよろしいでしょうか?席へご案内します」

 

明久「あ、はい」

 

僕と命は案内人に連れられて会場の中を移動する。

 

光一「お客様は未成年だと思いますので、こちらを用意させて頂きました」

 

席に着くと、ボーイの格好をした光一がグラスにノンアルコールのシャンパンを注いでくれる。

おお、しっかりラベルが見えるように持っている。

凄いな光一はこれも勉強したのかな。

 

光一「オードブルでございます」

 

グラスを置くと、すかさず運ばれてくる料理。

それは豪華絢爛という言葉にふさわしい物だった。

ただナイフとかフォークってあんまり使い慣れてないんだよなぁ。

今度マナーとかもしっかり勉強しようかな

 

命「なんか食べにくいね」

 

明久「しょうがないよ、僕達高校生でこういう場所には

   特に縁とかも無いんだしさ。でも霧島さんや光一とかだったらなれてるかもね」

 

しばらく食べ続けていると・・・・・・・・

 

雄二『―――――――――――――にしぎゃあああああああああああああ!!!』

 

・・・・・・ん?

 

命「今の声・・・・・・・・坂本君だよね・・・・・・・・・」

 

明久「・・・・そうだね、きっと霧島さんが怒るような事でもやったんじゃない?」

 

命「・・・・そうかもしれないね」

 

 

 

 

 

ふう、食べた食べた。周りをよく見てみると、さっきの外国人たち、

アトラクションに乗っていたカップル、と色々な人たちが集まっていた。

・・・・・・・FFF団に関わりを持つ人や姫路さんや美波はいないみたいだ。

よかったぁ、僕達だけならともかく霧島さんの邪魔なんて

今回だけはさせたくないからね。おっ始まるみたいだ。

 

砂原《皆様、本日は如月グランドパークのプレオープンイベントに

   ご参加いただき、誠にありがとうございます!なんと、本日ですが、

   この会場には結婚を前提としてお付き合いを始めようとしている

   高校生のカップルがいらっしゃっているのです!――――――――――》

 

明久「ようやく始まったね命」

 

雄二たちは、スタッフの人たちに誘導されて解答者の席のようなところに登った。

 

 

 

 

 

砂原《――――正解です!それでは最終問題です!》

 

明久「・・・・・・・命どう思う?」

 

命「・・・うーん、これを考えた人は本当にこれで結びつくと思ってるのかな?」

 

はっきりいって同感だ。今までの問題はすべて出来レースだろう、

結婚式場が鯖の味噌煮って・・・・・・・流石に雄二が不憫になってきた。

そして最後の問題に移ろうとしたとき・・・・・

 

『ちょっとおかしくな~い?アタシらも結婚する予定なのに、

 どうしてそんなコーコーセーだけがトクベツ扱いなワケ~?』

 

砂原『あの、お客様。イベントの最中ですので、どうか――――』

 

『あぁっ!?グダグダとうるせーんだよ!オレたちはオキャクサマだぞコルァ!』

 

不愉快な口調のやつらがづかづかと、ステージに上がる。

あの時のバカップルだ・・・・・・

 

『アタシらもウエディング体験ってヤツ、やってみたいんだけど~?』

 

砂原『で、ですが――――』

 

『ゴチャゴチャ抜かすなってんだコルァ!

 オレたちもクイズに参加してやるって言ってんだボケがっ!』

 

明久「・・・・・あのバカップル・・・」

 

命「お、落ち着いて明久君」

 

明久「・・・・・・・・・分かったよ」 

 

『うんうんっ!じゃあ、こうしよーよ!アタシらがあの二人に問題出すから、

 答えられたらあの二人の勝ち、間違えたらアタシらの勝ちってコトで!』

 

なんだか勝手に話をどんどん進めていってるバカップル。

そもそも、お前らはそんなこと言える立場じゃねーだろうが。

・・・・・おっと危ない、声にでそうだった

 

『じゃあ、問題だ』

 

バカップルの男の方がわざわざ巻き舌の聞き取りにくい発音で言う。

・・・・・・・雄二絶対間違えるんじゃねぇぞ!

 

『ヨーロッパの首都はどこだか答えろっ!』

 

明久「・・・・・・・・・・・・・・」

 

言葉を、失った。

 

『オラ、答えろよ。わかんねぇのか?』

 

いや、その解答は百人中百人がわからないよね。

なぜなら僕の悪い記憶でも、ヨーロッパは国というカテゴリーに属してはいないはず。

だから、その首都を答えろだなんて不可能なはずだ。

 

砂原《・・・・・・坂本雄二さん、翔子さん。おめでとうございます。

   【如月グランドパークウエディング体験】をプレゼントいたします》

 

『おい待てよ!こいつら答えられなかっただろ!?

 オレたちの勝ちじゃねぇかコルァ!』

 

『マジありえなくない!?この司会バカなんじゃないの!?』

 

やばいこの人たち、多分だけど昔の僕より馬鹿だ・・・・・早くなんとかしないと

 

 

 

 

砂原《それではいよいよ本日のメインイベント、ウエディング体験です!

   皆様、まずは新郎の入場を拍手でお迎えください!》

 

そうアナウンスが言うと、周りの人たちのほとんどが拍手をしていた。

 

砂原《それでは新郎のプロフィールの紹介を――――――》

 

命「へぇ、結構本格的なんだね。貴浩君たちにでも聞いたのかな?」

 

明久「多分そうだろうね・・・・・どんな風に捏造されてるかは分からないけど・・・・」

 

砂原《―――――省略します》

 

捏造以前の問題だった、手ぇ抜きすぎでしょ。

 

『ま、紹介なんていらねぇよな』

 

『興味ナシ~』

 

『ここがオレたちの結婚式に仕えるかどうかが問題だからな』

 

『だよね~』

 

前の方からこんな声が聞こえる。一応それにスタッフも注意は呼びかけているようだが・・・・・・

 

砂原《・・・・・他のお客様のご迷惑になりますので、

   大声での私語はご遠慮頂けるようお願い致します》

 

『コレ、アタシらのこと言ってんの~?』

 

『違ぇだろ。オレらはなんたってオキャクサマだぜ?』

 

『だよね~っ』

 

『ま、俺たちのことだとしても気にすんなよ。

 要は俺たちの気分がいいか悪いかってのが問題だろ?

 それに俺はあの有名な羽鳥グループの社員だぞ!!これ重要じゃない?』

 

『うんうん!リョータ、イイコト言うね!』

 

反省とかする気は全くないみたいだ・・・・・・・あいつらっ!

・・・・・・・・・・・・・・・・と、手に力を入れたとたん

その手が命の手に押さえられる

 

命「だ、駄目だよ明久君。・・・・・・・確かに私も許せないけど、

  それで折角のイベントが中止になったら・・・・・・・・」

 

明久「・・・・・・・そうだね」

 

僕は少し手を緩める、それと同時にアナウンスがなる。

 

砂原《――――それでは、いよいよ新婦のご登場です!》

 

心なしか音量が上がったBGMとアナウンスが流れ、

同時に会場の電気が全て消えた。シモークが足元に立ちこめ霧島さんがあらわれた

 

砂原《本イベントの主役、霧島翔子さんです!》

 

アナウンスと同時に更に幾筋ものスポットライトが壇上の一点のみを照らし出す。

暗闇から一転して輝き出す壇上に、思わず目を瞑ってしまう。

少しずつ目を開けるとその光の中央には花嫁と呼ぶに相応しい姿の霧島さんがいた。

 

命「・・・・・・・・綺麗」

 

隣にいる命の口から言葉が漏れる。

霧島さんの来ているそのドレスは雄二のところに辿り着くまでの間、

床に触れる事は無かった。・・・・・・・・・・・・・綺麗とか、

麗しいとかぐらいじゃ言葉が足りないと、僕は思う。

 

砂原《ど、どうしたのでしょうか?花嫁が泣いているように見えますが・・・・・・?》

 

雄二『お、おい。どうした・・・・・?』

 

霧島さんが涙を流した事に少々不安になる雄二。

 

翔子『・・・・・・ずっと夢だったから』

 

砂原《夢、ですか?》

 

翔子『・・・・・・小さな頃からずっと・・・・・・夢だったから・・・・。

   私と雄二、2人で結婚式を挙げること・・・・・。

   私が雄二のお嫁さんになること・・・・。私1人だけじゃ、

   絶対に叶わない、小さな頃からの私の夢・・・・・・・

   だから・・・・・本当に嬉しい・・・・・。他の誰でもなく、

   雄二と一緒にこうしていられることが・・・・』

 

砂原《どうやら嬉し泣きのようですね。花嫁は相当に一途な方のようです。

   さて、花婿はこの告白にどう応えるのでしょうか?》

 

普段口数の少ない霧島さんが雄二に伝えるため言った事。

 

雄二『翔子。俺は―――――』

 

『あーあ、つまんなーい!』

この言葉が一瞬この場を止めた

 

『マジつまんないこのイベントぉ~。人のノロケなんてどうでもいいからぁ、

 早く演出とか見せてくれな~い?』

 

『だよな~。お前らのことなんてどうでもいいっての』

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なに?こいつらなに言ってるの?

それじゃあお前らに映ってるのは霧島さんじゃなくて、

最初から演出だけだったと。・・・・・・・・・・調子に乗るなよ!

 

命「あ、明久君、ちょ、ちょっと」

 

ガタッと、席から立ち上がり、その2人に近づいていく。

命、止めようとしないで、こいつらが全部悪いんだから・・・・

 

『ってか、お嫁さんが夢です、って。オマエいくつだよ?なに?キャラ作り?

 ここのスタッフの脚本?バカみてぇ。ぶっちゃけキモいんだよ!』

 

『純愛ごっこでもやってんの?そんなもん観るために

 貴重な時間割いてるんじゃないんだケドぉ~。

 あのオンナ、マジでアタマおかしいんじゃない?

 ギャグにしか思えないんだケドぉ』

 

『そっか!コレってコントじゃねぇ?あんなキモい夢、

 ずっと持ってるヤツなんていねぇもんな!

 ・・・・・ゲフッ!、てめぇ何しやがる!』

 

『リュ、リュータ、大丈夫!いきなり何すんのよアンタ!』

 

いつまでたっても罵声をはき続けるこいつら。まずは男の方を殴る。

 

明久「・・・・・・・に・・・・・・・・・・・・のか?」

 

『ああん?何言ってんだよお前。』

 

明久「てめぇらに霧島さんの夢を笑えるほどの夢があるのかって言ってんだよ!」

 

起き上がって近づいてきた男をさらにもう一発殴り飛ばす。

 

明久「霧島さんはな、この時をずっと待ってたんだぞ!

   あっちの馬鹿な新郎に心の中でずっと積もってた思いを打ち明ける日を!

   何年もかけて育っていった、

   その大切な夢をお前らが馬鹿にして霧島さんを傷つけたんだ!」

 

許せない、人が今からつかもうとしてる幸せを踏みにじり、貶すなんて!

 

『ハッ、用はここが俺達に使えるかどうか、

 それさえ確認できりゃあそれで良いんだよ!あんな女の事情なんて知った事か!』

 

明久「なんだと!」

 

僕はもう1回殴ろうとするけど、それは貴浩や命に止められる 

 

砂原《お、お客様、落ち着いてください!》

 

命「落ち着いてよ明久君!」

 

明久「放してくれ!こいつら、こいつらだけは!―――――クペッ!」

 

僕の意識はここで途絶えた。

 

貴浩「はぁ、全く。・・・・・少しは落ち着けよ明久」



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雄二の行動

4/25 修正


~ SIDE IN 雄二 ~

 

《霧島さん?霧島翔子さーんっ!皆さん、花嫁を捜して下さい!》

 

スタッフがドタバタと駆け出す。

・・・・・・・ふむ。どうやらこのイベントは中止のようだな。

 

「さ、坂本雄二さん!霧島さんを一緒に捜して下さい!」

 

スタッフが1人、息を切らせてこちらにやってくる。

俺にアイツの行き先に心当たりがないか聞きたいのだろう。

 

雄二「悪いが、パスだ。面倒だし、便所にも行きたいしな」

 

「え?ちょ、ちょっと、坂本さん・・・・・!」

 

俺はスタッフを無視して出て行く

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

『・・・・・・・・クソォ、あのガキども・・・・・』

 

『リョータ、大丈夫だってすぐいいとこ見つかるよ』

 

『ああ、そうだな。俺ならすぐにいいとこ見つかるな』

 

それじゃ、とっとと用を済ませるか。

ゆっくりと歩み寄り、背後から声をかける。

 

雄二「なぁ、アンタら」

 

『ぁあ?ぁんだよ?』

 

2人組が真っ茶色な顔をこちらに向けてくる。

きちんと礼をしておかないとな。

 

『リョータ。コイツ、さっきのオトコじゃない?』

 

『みてぇだな。お前もさっきのガキどものお友達か?・・・・・んで、

 その新郎サマがオレたちになんか用か、あァ!?』

 

男の方が一歩前に出て、威嚇するような仕草を見せた。

 

雄二「いや。大したようじゃないんだが―――――」

 

借り物上着を脱ぎ、タイを緩める。不思議なことに、

身体は準備運動を必要としないほどに温まっていた。

 

雄二「―――ちょっとそこまでツラぁ貸せやぁ!!!」

 

 

       

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

             

雄二「よっ。随分と待たせてくれたな」

 

翔子「・・・・・雄二」

 

如月グランドパークの中にあるホテルの前で待つことしばし。

玄関から翔子がトボトボと俯きがちに出てきた。

 

雄二「さて。それじゃ、帰るとすっか」

 

似非野郎から受け取っておいた翔子の鞄を担ぎ直して、駅に向かって歩き出す。

 

翔子「・・・・・・・」

 

翔子はなにも言わず、静かに俺の少し後ろをついてきた。

夕暮れの中、黙々と駅に続く道を歩く。どのくらいそうしていたのだろうか。

如月グランドパークを出てあえて人気のない道を歩いていると、

翔子が聞き取れるからどうかギリギリの小さな声で呟いた。

 

翔子「・・・・・雄二」

 

雄二「ん、なんだ?」

 

翔子「・・・・・私の夢、変なの・・・・・・?」

 

例のバカップルに笑われたことをずっと気にしているのだろう。

翔子は足を止めていた。俯いているから表情は見えないが、長い付き合いだ。

どんな顔をしてるかぐらい見なくてもわかる。

 

雄二「まぁ、あまり一般的ではないかもしれないな」

 

俺は少し言葉を選んでからそう答えた。

 

翔子「・・・・・・・・・・・・・・」

 

再び黙り込む翔子。さっきの言葉を鵜呑みにするなら、

こいつは7年という時間をずっと揺るぎない夢を抱いて生きていたということになる。

それがあんな大勢の前で笑われ、否定された。

今の心情がどのようなものなのか、正直俺には想像もつかない。

だが、どこにもコイツが傷つく必要なんてない。

おかしいのはコイツの勘違いだけで、

1人の人間を長い間想い続けるという行為は胸を張れる誇らしいことのはずだ。

だから、これくらいは伝えてやりたい。

全てが間違いなのではなく、気持ちを抱く対象を勘違いしていただけで、

夢自体はおかしなものではないということを。

 

雄二「けどな、俺は・・・・・・・俺はお前の夢を絶対に笑わない。

   お前の夢は、大きく胸を貼れる、誰にも負けない立派なものだ。

   ――――まあ、相手を間違えていなければの話だけどな?」

 

翔子「・・・・・・・ゆう、じ・・・・・・」

 

雄二「翔子、よく聞け。お前の俺に対する気持ちは、

   過去の話に対する責任感を勘違いしたものだ。」

 

7年も前に起こった出来事。

 

翔子が俺に好意と勘違いした気持ちを抱くようになったきっかけ。

 

・・・・・・・今でもずっと、あの時のことを後悔している。

もっとうまくやれたんじゃないか、と。あんなことがあったせいで、

コイツは俺のようなロクデナシに時間を費やすことになってしまった。

 

雄二「だからお前がそうなった責任は俺にある」

 

翔子「・・・・・・雄二・・・・・・・?」

 

翔子が不思議そうにこちらを見上げる。

そりゃあそうだ、俺がこんな事言うなんてあまりないからな。

こいつはしっかり俺と向き合って本心を伝えてくれた。

だったら俺も向き合ってしっかり本心を伝えてやる。

・・・・・・・それは俺が生涯こいつにしか言わない言葉!

 

雄二「翔子!俺と付き合え!!俺はお前のことが好きだ!!

   その責任をしっかり取ってやる!」

 

俺の言葉に翔子は少し戸惑う。・・・・・そして翔子の口が開く

 

翔子「・・・・・ほ、本当?」

 

雄二「ああ。これは1つも嘘の混じっていない俺の本心だ」

 

翔子「・・・・・・・・」

 

翔子が黙る。あんな事が逢った後だから自分が傷つかないように

言ってくれているとでも思っているのだろうか。

そう思われているとしたら心外だな。

・・・・・・そうだこれを渡すのを忘れてた。

 

翔子「っ!・・・・・これ・・・・・・さっきのヴェール・・・・・・」

 

会場で拾っておいた物を俯く翔子に被せてやる。

折角の体験だったんだ、これくらいの思い出は残しておいてやりたいよな。

っとそうだった、もう1つ――――

 

雄二「それと、翔子。・・・・・・弁当、旨かったぞ。

   ただ俺は良く食うからこれだけだとお前の分がなくなっちまうからな、

   今度はもうちょっと多めに作ってくれ」

 

翔子「・・・・・私のお弁当・・・・気付いて・・・・・くれたんだ・・・・・」

 

雄二「当たり前だ。さて。さっさと帰るぞ。遅くなると色々誤解されるからな」

 

俺はまた前を向いて歩き出す。・・・・・・・・今の顔はきっと真っ赤だろう///

良くあんなセリフを言えたな俺////

 

翔子「・・・・・・・雄二」

 

雄二「特におふくろの奴は、いくら言っても――――」

 

翔子「雄二っ!」

 

ここ最近では記憶にない翔子の大きな声を聞いて、思わず立ち止まってしまう。

 

雄二「な、なんだ?」

 

翔子「――――私、やっぱり何も間違っていなかった!」

 

俺は顔が赤くなったまま振り向く。

すると、満面の笑みを浮かべる幼なじみが俺に抱きついてきた。

 

 

 ~ SIDE OUT 雄二 ~

 

 

貴浩「はぁ、全く。・・・・・少しは落ち着け明久」

 

こいつはもうちょっと頭を使うとかしないのか。

こんなとこで暴れたって意味ねぇのに・・・まあこれが明久の良いところなんだけどな

 

「ちょっと、ダレよ~、アンタ」

 

命「た、貴浩君。なにやってるの!?」

 

貴浩「ん?この馬鹿が何の意味も無くそっちの男を殴ったからな。その制裁って事で」

 

といっても、こっちの馬鹿2人に手を貸すわけでもないからな。

それだけは分かっていてほしいな命

 

貴浩「優子、愛子。命と明久を連れて先行っててくれ。

   俺と光一はこいつらに話があるから」

 

優子「わかったわ。行きましょう命」

 

優子と愛子が命と気絶した明久を連れて出て行く。

 

貴浩「・・・・・・さてと、そっちの男。確か羽鳥グループで働いているんだったよな」

 

「はっ、俺はな天下の電機メーカーの羽鳥グループで働いてんだよ!

 いいか、お前らみたいなガキじゃぜってぇ入れねぇところだ」

 

「そうよ、リュータはねぇ羽鳥グループで働いているのよ」

 

それは日本でも五本指に入る大企業・・・・・羽鳥財閥。

また、その大企業の中の1つに霧島財閥も存在する。

この馬鹿2人はとんでもないところ相手に凄い事やったな

 

貴浩「ちなみにだが・・・さっきの新婦さんは、

   今言ってた日本で5本指に入る霧島財閥の社長のお孫さんだぜ。

   そして俺の隣にいる男はお前らがさっきから言ってた羽鳥財閥、社長の息子だ」

 

「「なっ!?」」

 

光一「このことは詳しく会社に伝えさせたもらう」

 

貴浩「お前も残念だよな。さっきから注意してやったのに。

   お客様のご迷惑になりますって。それをお前らは聞かなかったんだもんな。

   それに、ビデオ撮る人もいるぐらいだから音源なんてすぐ採取できるし、

   それを聞かせりゃあ、速達でクビの知らせが届くだろうな。

   それにそんなことしなくてもここに光一がいたからそれを伝えたらそれですむけどな」

 

俺の言葉を聞くとバカップルはそそくさと外に向かって行った。

 

ふぅ、とりあえずこれでこの男ももう終わりだな。

・・・・・雄二がもういなくなったことを考えると外で待ち伏せか。

まあこいつらの自業自得だな。

 

「くっそぉ・・・・・・・・」

 

男は地面を叩いてから、とぼとぼと出口に向かって歩いていく。

女の方もそれについていく・・・・・・・・そっちは地獄の三丁目だぞ・・・

 

貴浩「光一。後は頼むな」

 

光一「了解」  



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明久と秀吉のその後

4/25 修正


~ SIDE IN 命 ~

 

気絶した明久君を寝かせるために敷地内にあるホテルに来ています。

その1室で明久君をベットに横にさせたはいいものの、

一緒にきていたなのはちゃんと土屋君はすぐ帰っちゃうし、

秀兄と楓ちゃんもさっきまでいたけど帰っちゃったし、貴浩君や優姉、愛子ちゃんも帰っちゃた。

最後に貴浩君が『襲うなよ』とか言ってたけど・・・・・・

私がそんな事するわけが無いじゃないですか・・・・・・・多分

 

明久「・・・・・・う、うーん」

 

命「明久君、起きた?」

 

命「・・・・・・・み、命?・・・・・・・・・・そうだ、あいつら!」

 

さっきの事思い出したみたい・・・・・って早くとめないと!

 

命「落ち着いて明久君。もう大丈夫だから。それにもう私達以外帰っちゃったよ」

 

明久「そっか・・・・・・・・・じゃあ、もう帰ろうか。居てもしょうがないし」

 

命「そうだね帰ろうか」

 

その後は明久君に手を繋いで帰りました。

 

~ SIDE OUT 命~

 

 

 

 

 

 

~ SIDE IN 楓 ~

 

 

兄さんたちとと別れた後、私と秀吉君ははジェットコースターや観覧車、

買い物を楽しみ、その後は結婚の衣装をきて写真をとられ

レストランで食事をたべ、雄二君と翔子ちゃんの体験ウエディングを見ました。

そこで秀吉君にマスコットのぬいぐるみを買ってもらいました////

 

秀吉「今日は楽しめたかの楓?」

 

楓「はい、秀吉君と一緒に遊べて楽しかったですよ。

  ・・・・・・でも最後は少し残念でしたけど」

 

翔子ちゃんは大丈夫でしょうか?心配ですね。

 

秀吉「そうじゃな。ワシも楓と一緒に遊べて楽しかったのじゃ」

 

楓「翔子ちゃんは大丈夫でしょうか?」

 

秀吉「おそらく大丈夫じゃろう。貴浩と光一が何かしておったし、雄二もおるからの。

   もしかしたらこれで雄二と霧島はカップルになっておるかもしれんの」

 

そうですね。兄さんと光一君がいましたから大丈夫ですよね

それに坂本君がサポートしてますよね

 

楓「そうかもしれませんね」

 

 

しばらく秀吉君と歩いていると秀吉君が思いつめた顔をしていました

 

 

楓「どうしたんですか秀吉君?」

 

秀吉「な、なんでもないのじゃ!!」

 

秀吉君は慌てた様に手を振って誤魔化しています

 

楓「本当にどうかしたんですか秀吉君?悩み事なら私でよければ相談にのりますよ」

 

秀吉「本当に大丈夫じゃからの」

 

楓「そうですか。何かあったら私に言ってくださいね。相談にのりますから」

 

秀吉君が何も言わないならこれ以上は私は何も言いません。

秀吉君を困らせたくないですしね。

 

 

 

 

 

その後またしばらく歩いていると

 

秀吉「・・・・・・楓よ」

 

楓「なんですか秀吉君?」

 

秀吉「いきなりこのような事を言うと驚くかも知れぬが・・・・・」

 

楓「どうしたんですか?いきなり・・・?」

 

秀吉君が決意を込めたような顔をしてますね

 

秀吉「楓よ!ワシと付き合ってもらえぬじゃろうか!!」

 

楓「へぇ!?////」

 

私の聞き間違いでしょうか?

今、秀吉君が私に・・・こ、告白したみたいに聞こえましたが・・・/////

 

楓「す、すみません。もう一度言ってもらっても良いですか?聞き取れなくて・・・・」

 

秀吉「も、もう一度かの・・・・」

 

私がそういうと再び秀吉君が決意を込めて

 

秀吉『ワシは楓の事が好きじゃ!ワシと付き合ってもらえぬじゃろうか!!』

 

やっぱり私の聞き間違いじゃなかったみたいです。

秀吉君が私のことを////本当に秀吉君が私のことを////

 

秀吉「あの楓?どうかしたのかの?」

 

楓「え!?////あ、はい」

 

秀吉「で、どうなのじゃ?」

 

楓「・・・・・・・私なんかで良いのなら・・・・・・喜んで」

 

秀吉「ほ、本当かの!?う、嬉しいのじゃ!」

 

秀吉君がまるで子供のように喜んでいますね。

私も嬉しいですけど/////

 

楓「はい、不束者ですがこれからよろしくお願いします////」

 

秀吉「こちらこそよろしく頼むのじゃ////」

 

楓「あの・・・それで秀吉君。お願いがあるんですが良いですか?」

 

秀吉「ワシに出来る事ならなんでも言ってほしいのじゃ」

 

楓「これからヒデ君って呼んでも良いですか?」

 

秀吉「ヒデ君?」

 

楓「はい、私だけの呼び名が欲しかったので駄目でしょうか?」

 

秀吉「全然大丈夫じゃぞ!むしろそのほうが良いのじゃ!!」

 

楓「良かった。改めてこれからよろしくお願いしますねヒデ君////」

 

秀吉「よろしくなのじゃ////」

 

楓「ではこれから兄さんに今日の事を話さないといけませんね」

 

秀吉「うっ・・・そうじゃった。じゃが楓のためじゃ頑張るとするかの!」

 

楓「はい、頑張ってくださいねヒデ君」

 

そうして私はヒデ君の彼女になりました。

この後は兄さんに今日の事を話さないといけませんね。

大丈夫でしょうか?少し心配です

 

 

 ~ SIDE OUT 楓 ~

 

 

 

 

 

 

 

 

今、俺の家には俺と優子、愛子そして明久に命、楓に秀吉がいる。

なのはは自分の部屋にいてもらっている。

 

貴浩「さて秀吉、何故俺に嘘をついてまで楓と出かけたのかな?

   ・・・・・・・確かに秀吉は演劇部の部員と行くって言ってたから

   楓も部員の1人だから嘘じゃないけどさ。なんで正直に言わなかった?」

 

秀吉「そ、それは・・・・・ワシが楓と行きたいとお主に頼んでも

   断られると思って言わなかったのじゃ」

 

貴浩「ふーん、そうか」

 

秀吉「お主に嘘をついて楓と遊びに行ったのは悪いと思っておる。

   すまなかったのじゃ」

 

貴浩「・・・・・・・まあ今回は良いけど、今度からはちゃんと言ってくれよ。

   ・・・・・・・色々心配だからな」

 

まあ秀吉だから他の男子とは違って楓に変な事はしないだろうからな。

と安心していると

 

秀吉「わかったのじゃ。以後気をつけるのじゃ」

 

楓「良かったですねヒデ君」

 

貴浩「ヒデ君?」

 

愛子「あれあれ?何か2人ともいつもと雰囲気が違うような気がするけど?」

 

秀吉「え、えっとのぅ。ワシと楓は今日から付き合うことになったのじゃ」

 

「「「「「え?えっええええええええええ!?」」」」」

 

貴浩「な、なんだと!?か、か、楓!!その話は本当なのか!!??」

 

楓「はい、本当ですよ。私はヒデ君とお付き合いすることになりました」

 

ま、マジか・・・・・・orz

 

明久「た、貴浩!?気をしっかり持つんだ!」

 

貴浩「あ、明久。俺、今何か幻聴が聞こえたような気が・・・・」

 

明久「・・・・・残念だけど幻聴じゃないよ」

 

貴浩「っ!」

 

向こうでは楓と秀吉は皆(俺と明久以外)から祝福されている。

み、認めるしかないのか・・・・・・

 

明久「貴浩?」

 

貴浩「・・・・・・・・・・・・秀吉」

 

秀吉「・・・なんじゃろうか?」

 

秀吉は緊張しながら返事をする。

 

貴浩「少し2人で話がしたいんだが良いか?」

 

秀吉「わ、わかったのじゃ」

 

俺は秀吉を連れ自分の部屋に向かった

 

 

 

俺の部屋につき扉を閉める。

 

貴浩「率直に聞く。楓の事が本当に好きなんだな?」

 

秀吉「当たり前じゃ!!こんな事で嘘はつかぬ!

   Aクラスの試召戦争の時、姉上に演劇の事を馬鹿にされた事を

   楓がワシなんかのために姉上に向かっていってくれたのじゃ。

   その時ワシは嬉しかったのじゃ。楓があそこまで演劇に対して

   怒ってくれたことに。ワシの選んだ演劇という道は

   間違っていなかったと感じさせてもらったのじゃ」

 

貴浩「・・・・・・そうか」

 

秀吉「た、貴浩?」

 

貴浩「・・・・・・・・・・わかった。これから楓のことをよろしく頼むな!」

 

俺は秀吉に土下座をして頼む

 

秀吉「た、貴浩!ん、何を!顔を上げるのじゃ」

 

貴浩「楓は俺の双子の妹だ。だから妹の幸せを願っているんだ。

   秀吉なら楓のことを幸せにしてくれると思ったし、

   それに楓が秀吉に好意を向けていたのは前からなんとなくではあるがわかってたからな。

   だから、楓のことどうかよろしく頼むな。

   だが・・・・・・もし、楓の事を泣かせでもしたらどうなるかはわかるよな?」

 

秀吉「貴浩・・・任せるのじゃ!!楓のことはワシが幸せにするのじゃ!」

 

貴浩「よろしく頼むな。じゃあ皆のもとに戻るか」

 

俺は秀吉との話を終え皆のもとに戻った

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

優子「もう秀吉との話は終わったの?」

 

貴浩「ああ、終わったよ。今後の秀吉に期待するさ」

 

愛子「それって?」

 

秀吉「貴浩がワシと楓の交際を認めてくれたのじゃ」

 

優子「それ本当?良かったわね楓」

 

楓「はい!」

 

優子「でもよくあなたが認めたわね」

 

貴浩「・・・・まあ相手が秀吉だから大丈夫だと思ったからな。

   まあ楓を泣かせでもしたらOHANASIが必要だけどな」

 

愛子「そうなんだ」

 

貴浩「じゃあ次は明久たちの番だけど、優子どうするんだ?」

 

優子「・・・・・・どうもしないわよ。それに貴浩が秀吉の事を許したんだから

   私が吉井君にどうこう言えるわけ無いじゃない!そこまで器はせまくないわよ」

 

貴浩「だそうだ明久」

 

明久「よ、良かった」

 

優子「でも、そうね、何も罰が無いのはアレだから、

   何か夕飯でも作ってもらおうかしら」

 

愛子「それはいいかも!秀吉君と楓のお祝いもかねてだね」

 

貴浩「そうだな。じゃあ明久1人じゃ大変だから俺も手伝うぞ」

 

その後は俺と明久で料理を作り皆で盛り上がりながら過ごしていった。



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その後

4/25 修正


それから週明けの学校で。

 

雄二「おい、貴浩!」

 

貴浩「ん?おはよう、雄二。どうしたんだ?」

 

雄二「如月ハイランドでは随分と色々とやってくれたな」

 

貴浩「あははっ。結果オーライだっただろ。

   ついに霧島に告白したみたいだしな(ボソッ)」

 

俺は雄二に近づき皆に聞こえないよう耳元でそう呟いた。

 

雄二「なぁ!?なんでそれをお前が知ってやがる!?」

 

貴浩「霧島から聞いた」

 

雄二「翔子からだと!?どうやって聞いたんだ?」

 

貴浩「電話で。最近は霧島にアドバイスとかしてたからな。

   その次の日に教えてくれたよ。大丈夫、皆には内緒にしとくから(ボソッ)」

 

雄二「……そうか」

 

貴浩「まあこれから頑張れよ」

 

俺は雄二の肩に軽く手をおく。

 

雄二「ところで、お前にプレゼントがある」

 

貴浩「え?なになに?食べ物?ゲーム?お金?」

 

雄二「違う、映画のペアチケットだ。

   気になる相手がいれば(・・・・・・・・・・)一緒に行くといい」

 

雄二が取り出したのは映画のペアチケットだった。

だがそれは男女ペアでないといけない物だった。

 

貴浩「ペアチケット?う~ん、そんなものもらっても使い道に困るんだが・・・」

   

雄二「それじゃあな」

 

雄二は強引に俺の手の中にチケットを握らせて席から離れていった。

 

貴浩「これどうしようかな」

 

俺が雄二からもらったチケットを眺めていると

 

明久「どうしたの貴浩?それって映画のペアチケット?」

 

貴浩「そうなんだよな。俺が今見たい映画はタイバニとかのアニメだしな」

   

明久「あっ僕も見たいな。面白そうだし」

 

貴浩「ただ、それを女子と見るのもなぁ」

 

明久「確かにそうだよね。ウチの女子でアニメ好きはいないだろうしね」

 

そうだよな。一応、ここは進学校な訳だしな・・・・・

 

貴浩「明久にあげてもな。お前行かずに換金するだろうしな・・・」

 

明久「そうだね。僕が映画のペアチケットを持ってもね・・・」

 

俺が明久と映画のペアチケットの話をしていると

そこに凄い形相の姫路と島田がやってきた。

 

島田「あ、アキっ!そういえば、ウチ週末に映画を観たいとおもっていたんだけど――」

 

姫路「あ、明久君っ!私も丁度観たい映画があったんですけど!」

 

明久「へぇ?なになに?どうして2人ともそんなに殺気だってるの!?

   それにこのチケットは僕のじゃないよ!貴浩のだからね。

   それに映画が見たいなら2人で行って来なよ。

   僕は今はアニメの映画が見たいだけだし、それに今、正直金欠なんだよね」

 

貴浩「またか明久。お前浪費しすぎだろ」

 

明久「仕方ないじゃないか。僕の周りには誘惑が多くて・・・・・。

   それにこの前のグランドパークで命に人形とかプレゼントしたから(ボソッ)」

 

貴浩「まあそれなら仕方がないか・・・」

 

姫路「あの、織村君。そのチケットどうするつもりですか?」

 

島田「もし使わないな───」

 

貴浩「そうだな。とりあえず誰か誘ってみるか」

 

明久「頑張ってね貴浩」

 

貴浩「そうだな。最悪の場合は明久に女装してもらって映画に行くかな」

 

明久「いやだよ!そんなの!!」

 

貴浩「半分冗談だ。ところで島田。今何か言ってなかったか?」

 

明久「半分ってなに?ねぇ?」

 

島田「え?いや、なんでもないわよ」

 

貴浩「それならいいが」

 

さてなら誰を誘うかな。

できればアニメのほうが見たいがそんな趣味の女子いないだろうしな。

俺はひとまずチケットを鞄にいれて明久たちと雑談を始めた。



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プール編
食べ物は大切に


4/28 修正


“雄二&霧島幸せ大作戦”から1週間後。

 

いつも通りに平穏な週末の夜、

俺は久しぶりに雄二と一緒に明久の家に泊まりで遊びに来ていた。

 

明久「あれ?雄二、何か買って来たの?」

 

雄二「食いものだ。お前の家には碌な物がないからな。

   最近は少しはマシになったが…それでもな…」

 

貴浩「まあ確かに、あっても良くてパンの耳や白米、最低で砂糖と油だからな」

 

明久「少しずつだけど、生活は改善してるよ? 

   いつまでも貴浩に迷惑かけるわけにもいかないし」

 

雄二は買って来た物をテーブルに置き、俺も自分で用意した物を準備し始める。

 

ちなみに俺のメニューは、

 

・紅茶

・親子丼

 

明久「へぇ~っ。差し入れなんて、随分気がきくね」

 

続いて雄二が取り出したのは、以下のメニュー

 

・コーラ

・サイダー

・カップラーメン

・カップ焼きそば

 

それを見て、明久は摂取できるカロリーに喜ぶ。

ちなみに明久の勘では、雄二はやきそばとコーラを選ぶと当たりを付けていた。

 

明久「それで、雄二はどっちにするの?」

 

雄二「俺か?俺はコーラとサイダーとラーメンとやきそばだ」

 

貴浩「全部だな」

 

明久「雄二キサマ!僕に割り箸しか食べさせない気だな!?」

 

そのセリフに、流石に俺も雄二も若干引いた。

 

雄二「待て!割り箸だけでも食おうとするお前の思考に一瞬引いたぞ!?」

 

貴浩「確かにビニール袋よりは、食べ物に近いのは事実だが……」

 

雄二「というか、割り箸がないと俺は素手でラーメン食うはめになるだろうが。

   心配せんでも、お前の分もちゃんと買って来てある」

 

と、1つ目の下敷きになっている、2つめのビニール袋に明久は気がついた。

 

明久「なんだ、やっぱり僕の分も買って来てくれてたんじゃないか」

 

雄二「まぁな。先週末は世話になったからな、感謝の気持ちだ」

 

明久「え?僕は何もしてないんだけどな。でもありがたく頂くよ」

 

下敷きになっていた袋を受け取り、その中にある物を喜々として取り出す明久。

 

・こんにゃくゼリー

・ダイエットコーラ

・ところてん

 

明久「僕の貴重な栄養源がぁーっ!」

 

全てカロリー0のダイエットメニューであった。

 

雄二「気にするな。俺の感謝の気持ちだ」

 

明久「くそっ! 全然感謝していないな!?」

 

明久がダイエットコーラを取り出し、構える。

 

雄二「うるせぇ!!」

 

対する雄二は、普通のコーラとサイダーを構える。

明久はそれを見て不敵に笑い、コーラを取り出す。

 

明久「……やる気、雄二?」

 

雄二「ああ。お前とは決着を付ける必要があると思っていた所だ」

 

明久「僕もだ。日頃の恨み晴らさせてもらう」

 

互いに相手を睨みつけ、牽制し合っている。

ここで下手な動きを見せれば命取りになる、まさに一色即発の空気。

 

……ピチョン

 

明・雄「「……っ!!」」

 

その音をきっかけに、2人は一斉に動き出す。

静から動へ、にらみ合いから闘いへと動く。

ちなみに俺は食べ物を粗末に扱いたくないので離れて食事中…

 

 

シャカシャカシャカシャカ(2人がペットボトルを振る音)

 

 

ブシャアアアアアアアアア(お互いに向けて炭酸飲料を射出する音)

 

 

バたバタバタバタバタ(2人が目を抑えてのた打ち回る音)

 

 

明・雄「「目が、目がぁぁぁああっ!」」

 

2人して炭酸が目にしみるのか、苦しみにのたうちまわり始めた。

 

雄二「やってくれるじゃねぇか、明久!」

 

明久「雄二こそ、流石は僕がライバルと認めた男だ!」

 

そして雄二はやきそば、明久はところてんを武器にして闘いへと身をゆだねていく。

 

 

 

――しばらくお待ちください――

 

 

 

明久「……雄二、一時休戦にしない?」

 

雄二「……そうだな。この戦いはあまりにも不毛だ」

 

貴浩「終わったのか?ってか食べ物は大事にしようぜ」

 

2人とも、互いの食べ物でべたべたになっていた。

 

雄二「明久、シャワー借りるぞ?」

 

明久「うん。タオルは適当なの使っていいよ」

 

雄二「言われなくてもそうする」

 

そう言うと、気持ち悪そうに来ているシャツをつまみながら雄二が脱衣所へと消えていく。

続いて、バサバサと景気良く衣服が脱ぎ捨てる音が聞こえてきた。

 

貴浩「そういえば明久、ガスは大丈夫なのか?」

 

確か俺が前に明久の家に泊まりに来た時──

 

明久「あっ、払うの忘れてた」

 

雄二『ほわぁぁーっ!!』

 

ガスが止まっていたことがあった

 

ガチャッ! 

 

ズカズカズカ

 

雄二「……もっと早く思い出せやコラ」

 

腰にタオルを巻いた雄二は、寒さで全身に鳥肌を立てていた。

 

明久「ごめんごめん。えっとね、心臓に近い位置にいきなり冷水を当てると体に悪いから、

   まずは手や足の先にかけてから徐々に心臓へと……」

 

雄二「誰が冷水シャワーの浴び方を説明しろって言った!?」

 

明久「何熱くなってるのさ雄二。そうだ、冷たいシャワーでも浴びて冷静に」

 

雄二「浴びたから熱くなってるんだボケ!……くそっ、このままじゃ風邪ひいちまう」

 

貴浩「けど、湯が出ない事実は変わらないだろ?」

 

週末で、しかも時間は遅い。

だからガス会社はもうやっておらず、どんなに急いでも明日以降になる。

 

雄二「やれやれ……仕方ない、2人とも外へ出るぞ」

 

貴浩「外?俺か雄二の家にでも行くのか?」

 

雄二「それでもいいけどな。どうせならシャワーだけじゃなくてプールもある所に行こうぜ」

 

近くにそんな場所なんてあったか?

 

雄二「ああ。シャワーもプールもあって、ここから近くて、

   尚且つ金もかからないところがあるだろうが」

 

貴浩「え?そんな好条件が……ああっ、あそこか」

 

明久「オッケー、すぐに用意するよ。水着はどうするの?

   貴浩は僕のサイズが合うから貸すけど?」

 

雄二「トランクスで泳ぐさ。水着と大して変わらないだろ」

 

貴浩「じゃあ貸してくれ」

 

手早くすまして、3人は戸締りをした後に外へ。そして目的地へと駈けだして行った。

 

 

 

 

 

 

 

その2時間後

 

西村「……で、何か言い訳はあるか?」

 

場所は文月学園の宿直室にて。

3人は揃いもそろって、鉄人こと西村教諭の説教を受けていた。

 

貴・明・雄「「「こいつ(ら)が悪いんです!」」」

 

綺麗にハモる俺達3人の声。

 

明久「雄二がまともな差し入れを持ってこないからだろ!」

 

雄二「ガス代を払い忘れていたお前が悪い!」

 

明久「水が出るだけマシだろ!」

 

雄二「水すら出ない事もあるのか!?」

 

貴浩「おい落ち着けよお前ら!」

 

目の前でボルテージが上がっている鉄人を見て、俺は焦って2人を止めようとする。

 

西村「…………もういい。よくわかった」

 

と、その様子に呆れ果てた鉄人は、額に手を当てため息をついた。

2人は特に気にはしなかったが、

俺にはそれが嵐の前兆のように思えてならなかった。

 

明久「わかってもらえました? それは良かったです」

 

雄二「んじゃ、わかって貰えたところでそろそろ帰るか。いい加減時間も遅いしな」

 

貴浩「そっそうだな。それじゃ、失礼しま……ぐえっ!」

 

頭を下げて出て行こうとした3人の首を、その太い腕ですごい力で締め付けられ、

3人は下手な抵抗をすれば首の骨を折られかねないぐらいだ。

自己防衛本能が弾きだした答えに、大人しくなる。

 

西村「そう急ぐ事もないだろう3人とも。

   帰るのは恒例のヤツをやってからでも遅くはないよな?」

 

貴浩「あっ……やっぱり……」

 

明久「そっそうですね……是非、そうさせてもらいます……」

 

雄二「お、俺も、そうさせてもらおう……」

 

こうして、3人は朝まで鉄拳付きの補習を受ける羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 

明久「てな事があって、おかげで散々な週末だったよ」

 

週明けの教室、朝のHRが始まるまでの時間。

いつものメンバーで卓袱台を囲い、降りかかった不幸についての説明。

 

秀吉「そうじゃったか。それは災難じゃったのぅ……」

 

気遣うように柔らかな表情を浮かべる秀吉。

 

雄二「おまけに今週末はプールの罰掃除とくれば、気が滅入るな」

 

康太「…………重労働」

 

ムッツリーニが明久の隣で、ボソリと呟いた。

 

明久「だよね。あんな広い所を掃除なんて、何か褒美が欲しい位だよ」

 

貴浩「褒美という程じゃないが掃除をするのなら

   プールを自由に使っても良いと鉄人に言われたぞ?」

 

明久「え?そうなの?」

 

貴浩「ああ。だから秀吉とムッツリーニも、今週末にプールに来ないか?」

 

折角の貸し切りなら、と早速2人を誘い始める。

まず最初にムッツリーニが頷こうとして……

 

貴浩「ただし掃除を手伝ってもらうけどな」

 

康太「…………」

 

貴浩「なあ雄二、皆にも声をかけておくな。

   それとムッツリーニ。ちゃんとなのはも呼ぶからな」

 

ムッツリ「…………ブラシと洗剤を用意しておけ」

 

俺の言葉に動きを止めたが、後のフォローにあっさりと頷いた。

 

秀吉「うむ、そうじゃな。貸し切りのプールなぞ、

   こんな時でなければ中々体験できんじゃろうし、

   相伴させてもらうかの。無論、ワシも掃除を手伝おう

   ……………それに楓の水着が見られるのじゃ(ボソッ)」

 

明久「え?結構大変だと思うけど、いいの?」

 

秀吉「うむ、お安いご用じゃ」

 

と、快諾する秀吉。

でも最後、なんかおかしな事が聞こえた気がしたが気のせいだよな

 

光一「すみません。私は今週は用事がありまして……」

 

明久「それは残念だね。次回は一緒に楽しもうね」

 

光一「その時はよろしくお願いします」

 

貴浩「んじゃ、後は……おーい命に楓、そして姫路に島田。ちょっといいか?」

 

命「どうしたの貴浩君?」

 

楓「兄さんなんでしょうか?」

 

島田「どうしたの織村? 何か用?」

 

姫路「呼びましたか、織村君?」

 

まずは命、楓、島田が、それに続いて姫路もやってくる。

 

貴浩「4人とも今週末は暇か?

   学校のプールを貸し切りで使えるんだけど、良かったらどうかな?」

 

「「「「え……?」」」」

 

プール、という単語で4人が一瞬ビクンと反応する。

 

明久「あ、もしかして4人とも予定があったりする?」

 

命「いえ、何も予定はないので、参加させてください」

 

楓「私も予定はないです。……ヒデ君が行くのなら行きますよ」

 

何気に仲良いな……兄さん少し寂しいよ……

 

島田「い、いや、別に予定はないんだけど。その、どうしようかな……?

   プールって言うと、やっぱり水着だし……」

 

姫路「そ、そうですよね。水着ですよね……その、えっと……」

 

島田は自らの胸部へ、姫路は腹部へとそれぞれ視線を送った。

水着となれば、色々と見られる訳なので自身の悩みの個所が晒されるのに、

少々躊躇いを感じているらしい。

 

貴浩「ってことは命と楓は参加だな。島田と姫路はどうする?

   無理には誘わないが……」

 

雄二「で、どうするんだ2人とも?」

 

島田「い、行くわ! その、イロイロと準備をして……」

 

姫路「そ、そうですね。準備は大事ですよね」

 

複雑そうな顔をしつつ、2人は一応肯定の意を示した。

 

秀吉「貴浩よ、姉上を誘わんのかの?」

 

貴浩「Aクラスだと優子に愛子に霧島、なのは、刀麻は誘おうかなと思っている」

 

秀吉「それなら良いのじゃが……」

 

どうしたんだ?優子に何かあったっけ?

あっそうか!秀吉と命を呼ぶのに1人仲間外れにしたら可愛そうだもんな。

秀吉は命だけじゃなく優子にも優しいんだな。これぞ姉妹愛か!

 

秀吉「……なにか勘違いされておる気がするが…」

 

貴浩「さて、雄二、霧島にはお前から声をかけておけよ?」

 

雄二「言われなくてもそのつもりだ」

 

明久「あれ?随分と素直な返事だね?」

 

雄二が意外な返事をしたことに明久は疑問を感じている。

まあ雄二と霧島は正式に付き合う事になったのだから当たり前だろうな

 

雄二「とにかく、全員オッケーなようだな。んじゃ、

   土曜の朝10時に校門前で待ち合わせだ、水着とタオルを忘れるなよ。

   Aクラスには貴浩から話しておけよ」

 

雄二のシメの台詞と同時に、鉄人が教室のドアを開ける音が響いた。



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着替え

4/28 修正


そしてその週末。

 

明久「おはよー。絶好のプール日和だね」

 

雲1つない快晴の青空の下、明久は校門に立つ俺と楓と木下3姉妹と姫路、なのはと愛子。

 

貴浩「よう明久。今日は目いっぱい楽しもうな?」

 

秀吉「おはようじゃ明久、良い天気じゃな」

 

命「おはよう明久君。今日は楽しもうね」

 

楓「おはようございます明久君。今日は本当にいい天気ですよね」

 

姫路「おはようございます明久君、今日は良い1日になりそうですね」

 

なのは「おはよう明久君」

 

優子「おはよう明久君」

 

愛子「おはよう吉井君。今日はよろしくね」

 

明久「あれ?なんで優子さんや工藤さんが?」

 

貴浩「お前話聞いてたか?優子や愛子も呼ぶって言っただろうが」

 

優子「そういうことよ。折角だから連れて来て貰ったのよ」

 

愛子「そうだよ。今日はよろしくねっ!」

 

明久「そうなんだ。じゃあ折角だし、目いっぱい楽しまないとね」

 

そして、或る人影に気がつく。

 

明久「ムッツリーニ、おは……」

 

康太「…………!!(カチャカチャカチャ)」

 

鬼気迫る表情で、カメラの手入れをしているムッツリーニ。

彼にしてみれば、ここは絶好の撮影チャンスでもある。

明久に構う暇などないと言わんばかりに、カメラに集中していた。

 

貴浩「ムッツリーニ、準備は良いけど無駄になるだろ?」

 

康太「…………なぜ?」

 

貴浩「いや。だってムッツリーニはどうせ鼻血で倒れるだろうし」

 

明久「そうだよね。チャイナドレスどころか、葉月ちゃんの着替えですら

   鼻血の海に沈む位だもん」

 

という明久の言葉に、ムッツリーニは肩をすくめて見せた。

そして大きなスポーツバッグを手に取り、2人の前に突きつける。

 

康太「…………甘く見て貰っちゃ困る」

 

と言いながら、そのスポーツバッグを開けて2人に見せる。

 

康太「…………輸血の準備は万全」

 

貴浩「どこで手に入れたかは聞かないが、ある意味準備が良いな?」

 

明久「うん、最初から鼻血の予防を諦めてる当たりが男らしいよね」

 

鞄いっぱいに入っていた携行用の血液パックをみて、

とりあえず救急車は必要ないなと思う2人だった。

 

優子「……つくづく、異常なメンバーね」

 

姫路「まあまあ。趣味は異様かもしれませんが、良い人たちですよ?」

 

優子「……姫路さんも、すっかり馴染んでるわね?」

 

“朱に交われば紅くなる” 

 

その言葉を実感した優子だった。

 

明久「準備と言えば、秀吉は新品の水着を買うとか言ってたよね?

   忘れずに買って来たの?」

 

秀吉「うむ、無論じゃ。ちなみに買って来た水着じゃが……」

 

康太「…………!!(くわっ!)」

 

秀吉の言葉にムッツリーニが目をむく。当然明久も表にこそ出さないが、興味津々。

 

秀吉「……トランクスタイプじゃ」

 

明・康「「バカなぁぁぁああっ!!」」

 

優子「……何してるのかしら?」

 

貴浩「Fクラスは女子が4人しかいないからある意味飢えてる状態なんだよ。

   増して秀吉は優子と命と瓜二つの童顔の女顔で、しかもスリムと来てるんだから」

 

状況についていけない優子に、俺が呆れながら事情説明。

 

砂原「やぁ皆おはよう♪今日はよろしくね♪」

 

椎名「おはようございます。今日はよろしくです」

 

刀麻「おはよ。今日はよろしくな」

 

砂原、椎名、刀麻も到着したようだ

 

……タタタタタッ!

 

葉月「バカなお兄ちゃん、おはようですっ!」

 

明久「わわっ!?」

 

島田「もう葉月ってば、アキがビックリしてるでしょ?」

 

明久の背中に、葉月が飛び付いた。

 

明久「あれ?葉月ちゃん、久しぶりだね」

 

天真爛漫を体現してるように笑う少女、島田葉月。

明久を好いており、婚約者を自称する少女。

 

葉月「バカなお兄ちゃんは冷たいですっ。酷いですっ。

   どうして葉月は呼んでくれないんですか?」

 

明久「あ、うん。ごめんね葉月ちゃん」

 

貴浩「呼んだら呼んだで、明久がどこぞのある人物に八つ裂きにされるだろうがな」

 

優子「……どうしてFクラスはこうも常識を足蹴にする人達ばかりなのかしら?」

 

なのは「にゃはははは」

 

ボソリと呟いた光一の台詞に、正直自分の常識を疑い始める優子だった。

なのはも苦笑いするしかないみたいだ

 

島田「家を出る準備をしていたら葉月に見つかっちゃって。

   どうしてもついてくるって駄々こねて聞かないもんだから……」

 

と、島田がため息交じりに呟く。

 

貴浩「別にいいと思うけどな?飛び入りがあって困る理由もないし」

 

島田「それもそうだけど……あれ?坂本はまだ来てないの?

   ウチが最後だと思ったのに」

 

楓「いえ、もう来てますよ?今翔子ちゃんと一緒に職員室に鍵を借りに行って

  ……あ、丁度戻ってきたみたいです」

 

楓の説明の最中に、校舎の方から雄二と翔子が歩いてきた。

 

明久「おはよう雄二、霧島さん」

 

雄二「おう。きちんと遅れずに来たようだな」

 

翔子「……皆おはよう」

 

葉月「でっかいお兄さん、おはようです」

 

雄二の粗野な外見に物怖じもせず、元気よく挨拶をする葉月。

 

雄二「ん?ちびっ子に砂原や椎名も来たのか?」

 

葉月「ちびっ子じゃないですっ、葉月ですっ!」

 

砂原「折角だからね♪」

 

椎名「鈴ちゃんが行くから私も」

 

雄二「んじゃ、早速着替えるとするか。

   女子更衣室のカギは翔子に預けてあるからついて行ってくれ。

   着替えたらプールサイドに集合だ」

 

雄二の言葉に従い、一旦メンバーは男女に分かれる。

楓と命、姫路と美波、優子と愛子、砂原さんと椎名さんは霧島さんに。

俺と明久とムッツリーニと秀吉と刀麻と葉月は雄二に。

 

明久「……ん?こらこら、葉月ちゃんと秀吉は向こうでしょ?

   霧島さんについて行かないとダメだよ」

 

葉月「えへへ。冗談ですっ」

 

秀吉「ワシは冗談じゃないのじゃが……?」

 

完全に女として認識されてる事に、改めて実感した秀吉だった。

 

島田「ほら、遊んでないで行くわよ葉月、木下」

 

秀吉「し、島田!?ついにお主までそんな目でワシを見るように!?」

 

優子「ちょっと島田さん!秀吉は……」

 

姫路「あの……それなら、木下君は1人でどこか別の場所で

   着替えるっていうのはどうですか?」

 

と、おずおずと手を挙げて提案する瑞希。

というより、自分の常識がことごとく無視されてる事に、頭を抱える優子。

 

優子「……秀吉、あんた女って認識されてるって言う話、本当なのね?」

 

楓「ヒデ君……」

 

秀吉「なぜじゃ、最近は光一のおかげで男らしくなってきておるというのにOrz」

 

貴浩「……しょうがないな。

   なら俺と秀吉は別の場所で着替えるから先に行っておいてくれ」

 

雄二「それがいいな」

 

優子「さ、早く着替えましょ? 時間がもったいないし」

 

明久「そうだね。じゃあまた後で」

 

そこで皆と別れ着替えに向かった



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パラダイス

4/28 修正


プールサイドにて。

 

貴浩「やっぱり女子はまだ着替え終わっていないか」

 

明久「そうみたいだね」

 

康太「…………(コクリ)」

 

雄二「ま、女性が準備に時間がかかるってのは、当然だからな」

 

刀麻「ところで秀吉は?」

 

貴浩「まだ着替えてる。俺が着替えている時もまだ落ち込んでいたからな。

   俺が着替え終わった時に何とか気を取り戻したみたいだから、俺は先に来たわけ」

 

雄二「……秀吉も大変だな」

 

明久「ムッツリーニ、心の準備は良いかい?」

 

康太「…………まかせろ。すでにイメージトレーニング512パターン済ましてある」

 

その言葉に俺と明久が、目を見開いて驚愕する。

 

康太「…………そして512パターンの出血を確認した」

 

明久「……致死率100%だね」

 

力強い康太の言葉に、明久の目が虚ろになる。

 

雄二「ん?誰か来たみたいだな」

 

不意に雄二が呟き、全員が顔を向けると小さな人影が駆け寄ってくるのが見えた。

その姿は紺色の水着を着た少女、葉月ちゃんが……

 

炭酸飲料の蓋を開けたような音と共に、康太の鼻下に、赤く細い線が刻まれる。

 

康太「…………弁護士を呼んで欲しい」

 

鼻血を垂らしながら呟くムッツリーニ。それを聞いて俺と明久が苦笑いする。

 

葉月「お兄ちゃんたち、お待たせですっ」

 

息を弾ませ駆け寄ってきた葉月の姿を見て、明久が微笑む。

 

貴浩「懲役は2年で済みそうだな、ムッツリーニ」

 

康太「…………実刑はやむをえない(ポタポタポタ)」

 

雄二「というかムッツリーニ、小学生相手に鼻血垂らすな」

 

雄二は康太にツッコむ。それを聞いて明久が苦笑い。

と、さらなる人影が更衣室から飛び出してくる。

 

島田「こ、こらぁあっ?!お姉ちゃんのソレ、

   勝手に持って行っちゃあダメでしょっ?!返しなさい葉月っ!?」

 

明久「ソレ?……何のことだろ?」

 

葉月「あぅっ、ズレちゃいました」

 

ムッツリーニを動揺させていた、小学生とは思えない胸のふくらみ。

それがいつの間にか、そのふくらみがおなかの方へ行っている。

 

明久「ん?今美波が返しなさいって言っていたのは、葉月ちゃんが付けている胸パッ……」

 

島田「この1撃に、ウチの全てを賭けるわ……!」

 

貴浩「落ち着け島田。その1撃で明久の記憶諸共に存在すら消し去りかねない」

 

と、明久と島田の間に入って、俺は島田を宥める。

 

優子「そうよ島田さん、折角のプールで暴力沙汰なんて起こす物じゃないわ」

 

愛子「そうだよ島田さん」

 

明久「あっ、優子さん、工藤さん。その水着、似合うね」

 

優子「そっそう?///」

 

愛子「ありがとう吉井君///」

 

と、いつの間にか来ていた優子と愛子も同様になだめる。

ついでだが、明久に褒められて頬を赤らめた。

もしかしてこの2人も明久の事が?…明久はもてるな…チクショーめ、羨ましい…

 

島田「うぅ……折角用意して来たのに、葉月のバカ」

 

貴浩「スレンダーにはスレンダーの良さってものがある物なんだよ、そうだろ明久?」

 

明久「まあ、そうだね。手も足も胸もバストもほっそりしてて、

   凄くきれいだと脚の親指が踏みぬかれた様に痛いいいい!!」

 

島田「今ウチの胸が小さいって2回言わなかった!?」

 

うっかり発言をした明久は、島田に思いきり足を踏みつけられていた。

俺はそれより、優子の薄い緑のワンピースと

愛子は下はジーンズを短くカットしたようなパンツで

上は普通の水着だけどおそらく水泳部の水着とサイズがだいぶ違うのか、

日焼けの境界線が見えてしまい目を奪われている。

 

優子「……何よ、じろじろ見て」

 

貴浩「え?あっ、悪い」

 

男というのは、特に女性の水着姿に見惚れるものである。

 

愛子「もしかして僕と優子の水着姿に見とれてたのかな?」

 

貴浩「●☆♪▼◇$(2人共最高だっ)!」

 

愛子「貴浩君何言ってるのかわからないよ」

 

優子「……のよ?」

 

貴浩「え?」

 

優子「だからアタシの水着の……」

 

雄二「ぐああああああっ!目が、目がぁっ!!」

 

優子の蚊の泣くような声を遮るかのように、雄二の悲鳴が響き渡った。

俺と優子、愛子が何事かと思い見てみると、そこには目を潰されのた打ち回る雄二の姿。

そして手をチョキにしている、大人しめな白のビキニに水着用のミニスカートを

組み合わせた格好の霧島が立っていた。

 

島田「すごいわ……坂本の目を潰す仕草まで綺麗だなんて」

 

明久「うん……あの姿を見られるのなら、雄二の目なんて惜しくないね」

 

雄二「そりゃお前らに実害がないからな!」

 

優子「……代表まで」

 

Fクラスではなく、Aクラスの代表である霧島さんの行動に、尚更疑問を持つ優子だった。

しかしのた打ち回る雄二を見て、俺は霧島さんに駆け寄る。

 

貴浩「霧島、雄二の目を潰したら水着の感想が聞けないぞ?」

 

翔子「・・・・・・それは失敗だった」

 

貴浩「というか、目を潰さなくても塞げばよかったんじゃないか?」

 

翔子「・・・・・・ふさぐ・・・・そう」

 

と、何か思いついたのか、頷いて雄二の元へ。

 

楓「すみません。お待たせしました」

 

命「ごめんね。待ちましたか?」

 

明久「●☆♪▼◇(2人共最高だよっ)!」

 

貴浩「●☆♪▼◇(落ち着け明久)!」

 

刀麻「お前ら2人とも落ち着けよ!」

 

明久「2人とも似合ってるよ」

 

命「ありがとう明久君」

 

楓「兄さん、ヒデ君は?」

 

貴浩「ん?ああ、お前の彼氏さんはまだ着替え中だ」

 

楓「に、兄さん////」

 

貴浩「さて……後は姫路となのは、秀吉、砂原と椎名ってところか」

 

優子「……」

 

ふと、姫路の名を出してから落ち込む優子を見て、俺は疑問に思う。

 

貴浩「ん?どうした優子?」

 

優子「“人生は戦い、力こそが正義”……この学園の正義を今日初めて呪ったわ」

 

貴浩「は?」

 

訳がわからない……といった表情で優子を見る俺。

そこへ……

 

姫路「すみません! 背中の紐を結ぶのに、時間がかかっちゃって……!」

 

なのは「ごめんね皆。ちょっと遅れちゃった」

 

駆け足でこちらに来る姫路の姿があった。

それを見て、大量の出血をして倒れるムッツリーニと、それと同様に出血多量で倒れた明久。

 

そして……

 

島田「Worauf fur einem Standard hat Gott jene unterschieden, die haden,

   und jene. Die nicht haben!? Was war fur mich ungenugend!

   (神様は何を基準に、持つ人と持たざる人を区別しているの!?

    ウチに何が足りないっていうのよ!)」

 

貴浩「……えーっと、英語、じゃないな。ドイツ語か?」

 

優子「確か島田さんって、ドイツからの帰国子女だったわね?

   今度教えてもらおうかしら?」

 

聞き慣れない言語に戸惑うが、何となく言っている事が実感が出来た俺と優子だった。

 

貴浩「確かにあれはすごいな……さて、後は秀吉に砂原と椎名だな」

 

愛子「本当にアレは凄いね」

 

優子「……何だか遊ぶ前から疲れる展開ばかりね。

   これで秀吉まで妙な事したら、本気で骨の2、30本は覚悟して貰わないと」

 

優子も十分非常識だ……と言ったら俺のの骨がやられてしまうんじゃないかと

思い俺は口を閉じた。

秀吉もトランクスだと言ってた事を思い出し、まあこれ以上刺激する事はないはずだと……。

 

秀吉「遅れてすまぬ。着替えはさほど手間取らんかったのじゃが、

   落ち込んでいた時間が長くてはの」

 

思っていたが、それは見事なまでに裏切られた。

 

明久「☆●◆▽□♪◎×(ううん、そんなに待ってないよ秀吉)」

 

刀麻「落ち着け明久、ここは地球だぞ」

 

秀吉の格好は、確かにトランクスである。

ただし、構成は美波と同じようなスポーツタイプであり、

上は肌に張り付く様なショートタンクトップ。

下は飾り気のない普通のパンツの上に、

ショートパンツのようなズボンを一番上のボタンを外した状態で重ねている。

 

……つまりは、女物のトランクスタイプ。

 

貴浩「お前も落ち着け優子!秀吉に悪気はない筈なんだ!!……多分」

 

優子「離しなさい貴浩!あのバカの格好もそうだけど何でアタシよりも評価が高いのよ!?」

 

明久の態度が火に油を注いだのか、今にも秀吉を血祭りにあげんばかりに優子が暴れだす。

俺はとっさに優子を羽交い絞めにして、それを止めようとする。

 

貴浩「ちょっ、誰か抑えるの手伝ってくれ!!

   というか秀吉、お前男物と女物の区別位つけろよ!!」

 

秀吉「ち、違うのじゃ!ワシは本当に男物を買った筈なのじゃ!

   きちんと店員にも“普通のトランクスタイプが欲しい”と言ったのじゃぞ!?」

 

貴浩「上がある時点でおかしい事に気付けよ!……今度は俺も着いていくから」

 

雄二「何だ……?一体、何が起こってるんだ?」

 

翔子「雄二」

 

雄二「わっ! なっ、何だ!?この柔らかい感触は、一体!? 

   ……って翔子!? お前、何してやがる!?」

 

翔子「目隠し」

 

雄二「何で抱きかかえてやるんだ!!?」

 

まだプールにすら入っていないというのに、カオスがその場を支配した。

 

そして、そのカオスもようやく落ち着いたころ。

 

砂原「ごめんねぇ皆お待たせ!」

 

椎名「お待たせしました」

 

そこへ砂原さんと椎名さんがやってきた

 

貴・明・雄・刀「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」

 

康太「・・・・・・・・・・・・・・・(ドバドバ)」

 

俺たちは砂原の水着をみて見とれていた。

椎名は薄い水色のワンピースの水着で砂原は赤のビキニだった。

色が色だけに凄く目についてしまう。

 

砂原「あらぁ?もしかして私に見とれていたのかな♪」

 

俺たちは一斉に顔を背けた。

 

砂原「でどうなのかな?ター君、アッキー?」

 

しかもよりにもよって俺と明久に照準をあわせてきやがった。

雄二と刀麻にしろよと思っていると刀麻の姿はなく(おそらく逃げた)

雄二は霧島さんにより捕まっていた。

 

島田「アキ~覚悟しなさいよ!」

 

姫路「明久君少しOHANASIが」

 

命「鈴歌ちゃんスタイル良くていいなぁ」

 

命は砂原のスタイルにみとれており、姫路と島田は明久に制裁を加えようとしていた。

 

砂原「で、どうなのかな?ター君?」

 

もうターゲットを俺に定めたか

 

貴浩「……いいんじゃないか。似合ってると思うよ。椎名も似合ってるよ」

 

椎名「どうもです」

 

砂原「ありがとねん♪さてター君をからかった事だし泳ごうかな」

 

貴浩「はぁっ……」

 

俺はプールに入る前に大半の体力を費やす事となり(ツッコミとかで)

飛び込むことはせずゆっくりとプールに入った。

それを見て、勢いよく飛びこんだ明久は俺に近寄った。

 

明久「お疲れだね、貴浩?」

 

貴浩「そりゃあな……」

 

何となく俺の苦労を、身体(にしみ込まれた痛み)的に共感してしまう明久だった。

 

 



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水中鬼

4/28 修正


姫路「あの、明久君に織村君」

 

そこへ、梯子を使ってゆっくりと水に入ってきた姫路が近くにやってきた。

 

明久「ん?なに、姫路さん」

 

姫路「2人は水泳は得意ですか?」

 

明久「あ、うん。僕も貴浩もそれなりに泳げるよ?」

 

姫路「実は私、全然泳げないんです」

 

明久「あ、そうなの?」

 

命「私もあまり泳ぐの上手くないんですよね」

 

楓「私もです」

 

俺たちにしてみれば、凄い速さで泳ぐ3人の姿は想像できなかった。

そもそも身体が弱いと知っているので、運動自体が出来る印象は持ってない。

 

島田「ん? 瑞希って水泳苦手なの?」

 

秀吉「楓よ、水泳が苦手なのかの?」

 

優子「失礼だけど、確かに3人は運動ができるようには見えないわね」

 

姫路「はい、恥ずかしいんですけど、水に浮く位しかできなくて……」

 

命「私は少しは泳げるんですがあまり……」

 

楓「私も命ちゃんと同じぐらいです」

 

島田「そう言う事なら、いつも勉強を教えてもらっているお礼に、

   ウチが瑞樹に泳ぎを教えてあげよっか?」

 

ちょっと得意気に、美波が胸を張る。

常日頃より教わってばかりの為、意趣返しが嬉しいらしい。

 

優子「それじゃ、アタシも教えてあげるわ」

 

姫路「は、はいっ! よろしくお願いします!」

 

そのやり取りを聞いて、2人はほほ笑んだ。

勉強ではAクラスの瑞希が、Fクラスの美波にいつも教えてあげている立場。

ちなみに優子も、Aクラスレベル。

 

明久「なら楓は秀吉に習ってきなよ。秀吉は彼氏なんだから。少しぐらい甘えたら」

 

秀吉「そうじゃな////ワシでよければ指導するぞい」

 

楓「ではお願いしますねヒデ君」

 

貴浩「命は愛子が教えてあげなよ……厳しく」

 

愛子「良いよ。これでも水泳部に所属しているからね。じゃあ頑張ろう命。

   ……厳しくやるからね」

 

命「はい、お願いします。って厳しくですか!?」

 

明久「頑張ってね命」

 

命「は、はい」

 

なぜ明久にその役を任せなかったのかは、

近くに姫路と島田がいるからここで血のプールに染めたくなかったからだ。

 

明久「こうしてみると、美波がAで姫路さんがFみたいだよね」

 

貴浩「当然、優子や愛子もAだな」

 

と、2人が何となくそう口走った処で……

 

愛・優・島「「「寄せてあげればB位ある(わ)よっ!!」」」

 

貴・明「「ぐべぁっ!?」」

 

明久は島田に、俺は優子に三角絞めをかけられ、

そこから互いの頭をぶつけるように捻りあげられた。

 

愛・優・島「「「……来年には、きっと」」」

 

貴浩「なっ……何の話だ?水泳の事なのに寄せてあげるって、意味がわからないんだが?」

 

愛・優・島「「「え?……ああ、そう言う事?」」」

 

明久「3人とも、何だと思ったの?」

 

折り重なるように浮かぶ明久と俺の言葉に、3人は口を噤んだ。

 

翔子「……雄二、ちなみに私はCクラス」

 

雄二「? 何を言っているんだおまえは?」

 

その遠くでは、雄二と翔子は(2人にとって)不思議な会話をしていた

ちなみに2人どころか雄二にもわからなかったが、

ただ1人ムッツリーニは目を輝かせている。

向こうのほうでは秀吉が楓に教えてあげていた。

 

島田「……わかったわ瑞希。あんたが泳げない理由」

 

姫路「え? 何ですか?」

 

島田「その大きな浮き輪をずっと付けているから、いつまでたっても泳げないのよ!

   外しなさい! そしてウチに寄越しなさい!!」

 

優子「出来れば、アタシも欲しいわね」

 

姫路「え? ええ!?」

 

俺と明久は、その様子を見て近くにいると危ない(色々な意味で)と判断し移動した

 

貴浩「そ、それじゃ俺達、向こうに行ってるから」

 

明久「頑張ってね」

 

姫路「あ、明久君に織村君っ。なんだか美波ちゃんと木下さんがとっても怖いですっ!」

 

島田「ふふふ……瑞樹、それは無駄な脂肪の塊なのよ?

   だから、いっぱい運動して燃焼させましょうね?」

 

優子「ええ。脂肪は運動で燃焼するものだから、ね?」

 

姫路「み、美波ちゃんに木下さん。あまりいい事ばかりでもないですよ?

   肩が凝って大変ですし……」

 

優・島「「それでもいいの! 肩こり位我慢するわ!」」

 

その2人のセリフには、魂が込められていた。

 

葉月「お兄ちゃん達っ」

 

明久「わぷっ!?あっ、葉月ちゃん」

 

そこへ明久の背に葉月が乗ってきて、明久はこらえきれず沈んでしまう。

 

明久「どうしたの?一緒に遊ぶ?」

 

葉月「はい!“水中鬼”をするです」

 

貴浩「水中鬼?……水中でやる鬼ごっこか?」

 

聞いたことない遊びに、2人は首を傾げる。

名称から推測した考えに、面白さを感じる2人だった。

 

葉月「違うですっ。水中鬼は、鬼になった人がそうでない人を追い掛けるです。

   それで鬼が他の人を水の中に引きずり込んで、溺れさせたら勝ちです」

 

貴浩「鬼だ!それは確かに鬼だ!」

 

明久「というか、溺れさせちゃダメだよ。危ないから」

 

葉月「あぅ……ダメですか?」

 

ちょっと不満そうに、葉月が頬を膨らませる。

俺と明久は互いに顔を見合わせ、

どれだけ危険かを教えてあげる必要があるなと伝え合う。

 

貴浩「じゃあ見ててね? 霧島!」

 

明久「え?霧島さんを?……ああ、成程ね」

 

翔子「……何?」

 

俺が呼ぶや否や、すぐに来てくれる翔子。彼女は運動もできる為、泳ぎも上手い。

とりあえず明久が前に出て、説明をすることに

 

明久「雄二と水中鬼って遊びをやって見せてほしいんだ。

   ルールは簡単で、雄二を水中に引きずり込んで、

   溺れさせた後で人工呼吸をしたら霧島さんの勝ち」

 

翔子「……行ってくる」

 

小さくうなづくと、翔子は魚雷のように静かに、そして速く雄二に水中から接近していく。

とりあえず、俺は雄二に向けて合掌した。

 

雄二「お?何だ?いきなり足が……おわぁっ!?だ、誰だ!?

   誰が俺を水中に(ガボガボガボ)」

 

翔子「……雄二、早くおぼれて」

 

雄二「ぶはぁっ!しょ、翔子!?何をトチ狂って……!(ガボガボガボ)」

 

それを見ていた俺と明久は頷きあって、葉月ちゃんに一言。

 

貴浩「ね? 危ないでしょ?」

 

葉月「はいです……葉月、水中鬼は諦めるです……」

 

砂原「なになに?何面白そうな事してるの?」

 

明久「あっ砂原さん」

 

貴浩「葉月ちゃんに水中鬼の怖さを雄二を使って教えてたんだ」

 

砂原「そっか、それは面白そうだねん」

 

貴浩「じゃあ砂原もやってくればいいんじゃない」

 

砂原「そうだねん♪」

 

明久「でも僕達を狙わないでよ」

 

砂原「あら残念♪」

 

貴浩「あ、危ねぇな…」

 

明久「じゃあ砂原さんも葉月ちゃんと一緒に遊ぼうよ」

 

葉月「綺麗なお姉ちゃんよろしくです」

 

砂原「綺麗と言われちゃ断れないねん♪」

 

貴浩「じゃあビーチボール持ってきてるからとって来るな」

 

俺が早速プールサイドに向かおうとしたところで、騒ぎの中心が近づいてきた。

 

雄二「明久に貴浩っ!テメェラの差し金だな!?」

 

明久「うわっ!ダメだよ霧島さん!きちんと捕まえておいてくれないと!」

 

貴浩「早くしてくれ!俺達がおぼれさせれられて雄二に人工呼吸されちまう!!」

 

翔子「……ごめん。雄二、浮気は許さない」

 

葉月「わっ、お兄ちゃん達、泳ぐの取っても速いですっ」

 

俺と明久と雄二と翔子の水中鬼、スタート。

 

しばらくして

 

砂原「じゃあ私は日焼け止めでも塗ろうかな。ター君手伝ってくれる?」

 

貴浩「なにっ!?」

 

砂原「あははっ、冗談だよん。それじゃ、手伝いたかったらいつでも来てね?」

 

と言い残し、去って行った。

 

貴浩「何で俺が名指しだったんだ?(雄二、明久、刀麻聞いたか?)」

 

雄二「もしかして砂原って、貴浩に気があるとかじゃないか?(ああ、本人公認だしな)」

 

明久「良かったじゃない貴浩(うん。男として、行かない訳にはいかないよね)」

 

刀麻「うらやましいぜ貴浩(愚問だな)」

 

と、4人で笑いあう。そこへ、俺に迫る殺気。

 

優子「ねえ貴浩、さっき水中鬼がどうとかって言ってたわよね?」

 

愛子「そうだ貴浩君、水中鬼ってどんな遊びなのかな?」

 

貴浩「え?ああ、そうだけど……え?ちょっと待て」

 

俺はすぐさま危険を察知して逃げようとしたが思ったより

2人の反応が早くて水の中に引きずり込まれてしまった。

それを見て、明久と雄二と刀麻は……。

 

明久「ゆっ、優子さん、工藤さん本気でそんな事やったら貴浩が死んじゃうから!!」

 

雄二「俺には迷いもなく翔子を嗾けたよな!?……まあいい。さて」

 

翔子「……雄二、今動いたら捻り潰すから」

 

刀麻「明久!今はしゃべってないで2人を止めないと!」

 

明久「わかってたよ!優子さん、なんか動かなくなってるから落ち着いて!!」

 

その後、砂原が日焼け止めを塗り終わった時には、

ベンチで横になっている俺の姿があった。

そばでは明久や近くで休んでいた椎名を伴い、本気で心配そうな顔で看病していた。

 

貴浩「悪いな明久、椎名さん」

 

明久「これぐらいなんでもないよ。いつも貴浩には世話になってるからね」

 

椎名「……私もです。あまり体を動かすのは苦手ですから、ここでゲームをしてましたし」

 

貴浩「そうか・・・・・・ところで何のゲームをしてるんだ?」

 

椎名「モン○ン3です」

 

明久「あっ、椎名さんもしてるんだ。面白いよねモン○ン」

 

貴浩「そうだな。俺はモン○ン2Gからだけど面白いよな」

 

椎名「2人もされてるんですね」

 

明久「うん、学校に持ってきて昼休みとかにやってるよ」

 

貴浩「ああ、俺たちのほかにもムッツリーニや雄二、秀吉、命もやってるよ。

   時々刀麻もきてやってるし」

 

椎名「学校でやってるんですか?」

 

明久「うん、昼休みだから先生達も来ないしね」

 

椎名「羨ましいです。私もやりたいです」

 

貴浩「じゃあ今度ウチのクラス来なよ。一緒にやろうぜ」

 

明久「そうだね。同じAクラスの刀麻も来てるんだしおいでよ」

 

椎名「そうですね。じゃあお言葉に甘えて今度行きますね」

 

貴浩「今度やるとき呼びに行くな」

 

そこに

 

雄二「おっ、貴浩無事だったか」

 

貴浩「なんとかな」

 

雄二「チッ・・・・・そういえば俺があげた映画のペアチケットどうしたんだ?」

 

優・愛「「え?映画のチケットがどうしたの?」」

 

貴浩「ああ、雄二から映画のチケットをもらったんだが俺が今見たい映画がアニメでな」

 

明久「タイバニだったよね」

 

貴浩「そうそう。俺の周りにアニメ好きな女子いないからな。

   せっかく雄二からタダで映画が見れるんだからな。最悪明久を女装させていくかな」

 

雄二「そういや、お前はそういうヤツだったな」

 

明久「貴浩。僕、女装したくないんだけど……」

 

優子「そういえば貴浩はアニメとか好きだったわね・・・」

 

愛子「アニメとかは僕は見ないな・・・」

 

椎名「タイバニの映画ですか?」

 

明久「あれ?椎名さん知ってるの?」

 

椎名「もちろんです!アニメ全部見ました!」

 

貴浩「見たんだ。それって砂原も?」

 

砂原「私はあんまりアニメは見ないんだよね」

 

椎名「駄目ですよ鈴ちゃん。アニメは素晴らしいですから!

   アニメは日本の誇るべき文化なんですから」

 

貴浩「そうだ椎名。タイバニの映画は見た?」

 

椎名「まだ見てないです」

 

貴浩「良かったら一緒に見に行くか?」

 

優・愛「「えっ!?」」

 

椎名「良いんですか?」

 

貴浩「良いよ。タダだしな」

 

椎名「ヤッホーです。最近グッズとか買って金欠で映画はあきらめてたんですけど良かったです」

 

明久「そうだよね。グッズとかゲームとかってお金かかるよね」

 

貴浩「そうなんだよな。俺もバイトしてないと買えないもんな」

 

椎名「では織村君。一緒に行っても良いですか?」

 

貴浩「もちろんだ」

 

明久「僕も自費で行っていいかな?映画見たかったんだよね」

 

貴浩「俺は良いけど椎名は?」

 

椎名「私もかまいませんよ。それにまさか近くにアニメ仲間がいるとは思いませんでしたし」

 

貴浩「俺もだ。じゃあ今度の休日な」

 

椎名「はいです」

 

明久「了解」

 

俺たちがアニメの話をしている間

 

優子「アタシも見てみようかしら」

 

愛子「ボクも見てみようかな?貴浩君の趣味を知っておきたいし」

 

と2人が囁いていた事を俺は知らなかった。



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血に染まるプール

4/28 修正


貴浩「さて、これからどうする?」

 

明久「そうだね。少しお腹すいてきたし、何か食べない?」

 

雄二「じゃあ誰か何か買いに……」

 

姫路「あ、それなら……」

 

そこで姫路が、何かを思い出したかのようにポンっと手を打つ。

そして嬉しそうに、あるバスケットを取り出した。

 

雄二「っ!・・・姫路、そのバスケットには何が入ってるんだ?」

 

姫路「実は、今朝作ったワッフルが4つほど」

 

優子「あら、おいしそうね」

 

愛子「うん、ボクも食べたいな」

 

なのは「美味しそうだね」

 

砂原「本当だねん」

 

と、何も知らないAクラス4人は無邪気に喜ぶ。

だがしかし、その威力を知る者たちにとっては鬼門だった。

それからアイコンタクトを送って……

 

雄二「第1回っ!」

 

明久「最速王者決定戦っ!」

 

貴浩「ガチンコっ!水泳対決っ!!」

 

秀・康「「イェーッ!!」」

 

雄二「明久、ルール説明だ」

 

明久「オッケー。ルールはとっても簡単、

   ここのプールを往復して最初のゴールした人の勝ちという、

   誰にでもわかる普通の水泳勝負だよ」

 

愛子「へぇ~、面白そうだね。それじゃ、ボクが判定してあげるよ。

   優勝者は、ボクの保健体育“実践”講座って事で」

 

康太「・・・・・・・・・実践(ブシュー)!!」

 

ムッツリーニは鼻血を吹きだして倒れた。

 

もちろん敗者の4人は姫路の殺人ワッフルの餌食に

 

愛子「じゃあ、行くよ!」

 

1位と2位だけが殺人ワッフルを食べる事を逃れるという事になっている。

 

そこで、俺は考える。

ムッツリーニは出血で弱っており、秀吉に体力で負ける事はない。

おそらく雄二と明久も同じ考えだろう。なら2人は勝手につぶしあってくれる。

となると、残る脅威は……

 

愛子「よーい、スタートっ!」

 

貴・明・雄「「「くたばれぇぇっ!!!」」」

 

愛子の合図と同時に、俺と明久と雄二と刀麻はとび蹴りを互いに放った。

俺は刀麻に明久は雄二に、雄二は明久に刀麻は俺に

 

雄二「明久、テメエ卑怯な真似してくれるじゃねえか!この恥知らずが!!」

 

明久「その言葉、そっくりそのまま返してやる!!」

 

刀麻「何するんだ貴浩、危ないじゃないか!」

 

貴浩「避けるなよ刀麻っ!」

 

愛子「あのさ4人とも、取っ組み合いも良いけど、

   秀吉君、ムッツリーニ君はそろそろ折り返しだよ?」

 

ふと見てみると、秀吉、ムッツリーニの順ですでに折り返しが行われていた

 

雄二「そうは行くかっ!俺はムッツリーニを止める。

   貴浩と明久は秀吉をやれ!!」

 

貴・明・「「了解!」」

 

プールに飛び込み、雄二はムッツリーニに、俺と明久は秀吉を止めるべく立ちふさがる。

 

優子「……もはや水泳対決じゃないわね」

 

なのは「なんでこうなってるのかな?」

 

砂原「やっぱりター君やアッキーたちといると楽しくていいやぁ」

 

その様子を見ていた優子となのはは、呆れたようにそう言った。

砂原は笑っていたが

 

秀吉「な、何じゃ貴浩に明久!? お主らは隣じゃろう!?」

 

明久「ダメだよ秀吉!ここは通さない!」

 

貴浩「そうだ。お前も道連れにしてやる」

 

脇を抜けて先に進もうとする秀吉にしがみつく俺と明久。

水中だとうまく捕まえられず、難儀する。

 

秀吉「貴浩に明久、離すのじゃ!」

 

貴浩「お前も道連れじゃぁあ!」

 

明久「逃がすもんかぁぁあっ!!」

 

ズルッ!

 

明久「……? なんだろう?」

 

明久その場に足をついて、手に残った物を確認し始める。

 

姫路「あ、明久君! 何をしているんですか!?」

 

明久「え? ……もしかしてこれって、秀吉の……?」

 

秀吉「んむ? そう言えば胸元が涼しいのう」

 

ゆっくりと振り向いた先には、上に来ていた秀吉の水着が無くなっていた。

それもそのはず、その上の水着は明久の手にある。

 

康太「…………死してなお、一片の悔いなし……!!」

 

上の水着が無くなった秀吉とムッツリーニを中心に朱に染まっていく水面

 

刀麻「うおっ! 大丈夫かムッツリーニ!?この出血量はマジでヤバくないか!?」

 

康太「…………構わない。むしろ本望……!」

 

貴浩「おい、大丈夫かムッツリーニ!?気をしっかりもつんだ!」

 

なのは「わああっ!土屋君が大変な事に!?

    血がものすごい勢いで出ているんだけど!」

 

雄二「とっとにかく、俺は輸血パックを持ってくるから、

   明久は早く秀吉に水着を返してやれ!!」

 

明久「わ、わかったよ」

 

島田「き、木下っ!早く胸を隠しなさい!土屋の血が止まらないから!」

 

秀吉「いいいイヤじゃっ! ワシは男なのじゃ!胸を隠す必要はないのじゃ!」

 

姫路「木下君、わがままを言っちゃダメです! 土屋君が死んじゃいます!」

 

優子「もう……最後の最後まで、どうしてこうなの」

 

楓「……ヒデ君」

 

翔子「………愛子。救急車の手配、頼める?」

 

愛子「わかったよ。すぐ連絡するよ」

 

砂原「さすがター君やムッツン達だね。一緒にいて飽きないよ♪」

 

葉月「バカなお兄ちゃん達、いつも楽しそうで羨ましいです」

 

 

結局、ムッツリーニは何度も峠を迎えながら、

皆と救急隊員の懸命な延命措置で命を取り留めた。

 

 

その週明けの朝

 

 

西村「……吉井、織村兄、坂本、ちょっと聞きたいことがある」

 

現れるなり朝の挨拶もせず、鉄人が3人を低い声で呼びとめた。

 

貴浩「だが断る!」

 

明久「黙秘します」

 

雄二「言う事なんて何1つない」

 

3人はそれに対し、拒否の姿勢を取る。

すると、鉄人はプルプルと震え始めた。

 

西村「……どうして……どうして掃除を命じた筈なのにプールが血で汚れるんだ!?

   鉄拳をくれてやるから、生活指導室で詳しい話を聞かせろ!!」

 

響くは、教室中を揺るがすような大音響。

それに対し、苦労した3人は心外と言わんばかりに抗議をする。

 

雄二「説教なんて冗談じゃねぇ!むしろ死人を出さなかったことを

   褒めてもらいたい位だ!」

 

貴浩「その扱いはあんまりだ!俺達は俺達で大変だったんだ!!」

 

明久「そうですよ!本当に危ないところだったんですからね!」

 

西村「黙れ!お前達の日本語はさっぱりわからん!!」

 

雄二「この暴力教師め!逃げるぞ明久、貴浩!」

 

貴・明「「了解!」」

 

西村「貴様ら、今度は反省分とプール掃除では済まさんぞっ!!」

 

必死に逃げ出す3人。

 

愛子「あれ?またあの3人西村先生に追われてるよ」

 

優子「多分、あの事じゃない?まあ今回は事情を知ってるだけに同情するけどね」

 

翔子「………捕まった」

 

その様子を見るAクラスの眼前では、鉄人に担がれ生活指導室へと連行される3人。

その後、殴りながら3人から事情を聴いた鉄人は一言。

 

西村「……今度の強化合宿の風呂は、木下を別にする必要がある様だな」

 

等と呟いた。

 

 

ちなみに映画には椎名と明久の3人で行った。

見た映画はもちろんタイバニだ。

映画見た後は俺の家でモン○ン3rdして遊んだ。

モン○ン時は命も呼んで4人で狩った。

 



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強化合宿編
脅迫事件


4/29 修正




雄二「翔子」

 

翔子「……隠し事なんてしていない」

 

雄二「まだ何も言っていないぞ?」

 

翔子「……誘導尋問は卑怯」

 

雄二「今度、誘導尋問の意味を辞書で調べて来い。んで、今背中に隠した物はなんだ?」

 

翔子「……別に何も」

 

雄二「翔子、手をつなごう」

 

翔子「うん」

 

雄二「よっと……ふむ、MP3プレーヤーか」

 

翔子「……雄二、酷い……」

 

雄二「機械オンチのお前がどうしてこんなものを……。何が入ってるんだ?」

 

翔子「……普通の音楽」

 

 

――ピッ

 

《優勝したら結婚しよう。愛している。翔子》

 

 

雄二「…………」

 

翔子「……普通の音楽」

 

雄二「これは削除して明日返すからな」

 

翔子「……まだお父さんに聞かせてないのに酷い……。手もつないでくれないし……」

 

雄二「お父さんってキサマ――これをネタに俺を脅迫する気か?」

 

翔子「……そうじゃない。お父さんに聞かせて結婚の話を進めてもらうだけ」

 

雄二「翔子病院に行こう。今ならまだ2、3発シバいてもらえば治るかもしれない」

 

翔子「……子供はまだできてないと思う」

 

雄二「行くのは精神科だ!――ん?ポケットにも何か隠してないか?」

 

翔子「……これは大したものじゃない」

 

雄二「え?、なになに!『私と雄二の子供の名前リスト』か。……ちょっと待てやコラ」

 

翔子「……お勧めは、最後に書いてある私たちの名前を組み合わせたやつ」

 

雄二「『しょうこ』と『ゆうじ』で『しょうゆ』か。……なぜそこを組み合わせるんだ」

 

翔子「……きっと味のある子に育つと思う」

 

雄二「俺には捻くれ者に育つ未来しか見えない」

 

翔子「……ちなみに、男の子だったら『こしょう』が良い」

 

雄二「『しょうゆ』って女の名前だったのか……」

 

 

 

 

         ★

 

 

 

 

次の日、めずらしく秀吉と2人でいつもより少し早い時間に登校していた。

 

貴浩「ん?今朝は早いな明久」

 

教室に足を踏み入れると、もう明久がいた

 

明久「おはよう貴浩。なんか早く目が覚めちゃってね」

 

秀吉「おはようじゃ。明日からの強化合宿で浮かれてるのじゃろ」

 

明久「あはは。そうかもしれないね」

 

俺は自分の席に鞄を下ろしながら明久と秀吉と話す

 

秀吉「学力強化が目的とは言え、また皆で泊まりがけなのじゃ。

   楽しみになるのは仕方がないじゃろうな。

   むろん、わしとて胸が躍っておるしの(楓に毎日会えるしのう)」

 

明久「やだなぁ。胸が躍るって言うほど大きくないくせに」

 

秀吉「いや、わしの胸は大きくなっては困るのじゃが・・・・・・」

 

貴浩「明久、あまり秀吉をいじるなよ」

 

明久「わかってるよ、冗談だって。秀吉は楓と付き合ってるもんね」

 

俺たちが荷物をロッカーに入れていると

 

カサ、と手の先に何かが触れる感触がした

 

貴浩「ん?何だ?」

 

とりだして見ると手紙らしきものが入っていた

 

≪ 織村貴浩様へ ≫

 

宛て名の欄に俺の名前が書いてある

 

貴浩「っ!!」

 

ま、まさか・・・・・・俺にラブレター?明久も俺と同じような反応をしていた。

 

秀吉「ん?どうしたのじゃ貴浩に明久?」

 

お、お、落ち着け、落ち着くんだ俺。

万が一俺がこんな手紙をもらっている事が発覚したら、

ここのクラスメイト達は嫉妬に狂って間違いなく俺を処刑しようとするだろう。

しかも最近は楓や木下姉妹、愛子と一緒に登校する事が多いから何かと

目につけられているし・・・・・・ここはとにかく平静を装うんだ!

 

貴浩「ドウシタヒデヨシ?」

 

明久「What's up, Hideyoshi? Everything goes so well」

 

秀吉「異常事態じゃな」

 

バカな! 一瞬でバレるとは!?

 

明久「さ、流石は秀吉・・・僕の完璧な演技を一瞬で見破るなんて・・・・・・」

 

貴浩「さすが秀吉だな。楓の彼氏だけあるな」

 

秀吉「いや、演技以前に言語の問題なのじゃが・・・・・・」

 

貴浩「と、とにかく大したことじゃないから、見なかった事にしてくれないか?」

 

俺と明久は秀吉の肩を軽く(・・)掴んでお願いする

 

秀吉「ふ、2人がそういうのであれば深くは問わんが・・・・・・」

 

秀吉は疑いの表情を浮かべるものの、この場は引いてくれた。

さすが楓の彼氏だ。俺の目は間違ってなかったな。

 

明久「ありがとう助かるよ! それじゃっ!」

 

貴浩「すまんな秀吉!じゃあな!」

 

俺達は見えないように手紙を懐にしまい、ダッシュで教室を後にした。

尾行の気配がないから、クラスの皆にはバレずにすんだと見て良さそうだ

 

貴浩「もしかすると、俺にもいよいよ春が・・・・・・!」

 

はやる気持ちを抑え、早足で階段を昇る

 

貴浩「よいしょっ――と」

 

屋上へと続く重い鉄扉を押し開くと、

その向こうには澄み渡る青空が広がっていた。

なぜか明久もいたが今は気にしない。明久から少し距離を置く。

 

貴浩「これ、誰がくれたんだろうか?」

 

強い日差しから逃れるように涼しげな日陰に腰をおろし、懐から手紙を取り出した

差出人の名前は封筒には書かれていない。

一体どんな子が、どんな想いを込めて俺にこの手紙を送ってくれたのだろうか

ゆっくりと手紙の封に手をかける。

緊張しているせいか、中身を取り出すのに少しだけ手間取った

 

そして、手紙の内容を見ると――

 

≪あなたの秘密を握っています≫ ←明久

 

≪あなたの秘密を握り、天罰を下します≫ ←俺

 

俺を脅かす脅迫文だった

 

貴・明「「最悪じゃーーーーーっっ!!」」

 

俺にとっての春は、まだまだ遠かった。

 

 

         ☆

 

 

秀吉「2人とも。一体何があったのじゃ?」

 

教室に戻った俺と明久を見て、秀吉が心配そうに声をかけてきた

 

明久「べ、別に何でもないよ。あははっ」

 

貴浩「そうだぞ、別に何でもない。はははっ」

 

ラブレターだと思っていた手紙が実は脅迫状だったなんて、そんなの恥ずかしくて言えるか。

俺のプライドにかけて、ここは是が非でも隠し通しておきたいところだ。

 

島田「ウソばっかり。さっき窓から妙な叫び声が聞こえてきたし、何か隠してるでしょ?」

 

明久「あ、美波。おはよう」

 

島田「おはようアキ。それで、何を隠しているのかしら? まさか・・・・・・」

 

島田の目がいつもより更に吊りあがる。攻撃態勢まであと一歩の状態だ

 

明久「やだなぁ美波。本当に何も隠してなんか」

 

貴浩「そうだぞ島田。いきなり疑うのはよくないぞ」

 

島田「まさか、ラブレターをもらったなんて言わないわよね?」

 

明久「美波、言葉に気をつけるんだ。

   ラブレターという単語に反応して皆が僕に向かってカッターを構えている」

 

相変わらず恐ろしいクラスメイト達だ。

級友を刺殺するかのように構えるなんて普通じゃない。

俺は念のため光一から貰った仕込みトンファーを構えておく。

 

島田「で、アキ。何があったの?」

 

明久「じ、実は、今朝僕宛てに脅迫文が届いていたんだ」

 

貴浩「俺もだ」

 

島田「そうなの?大変じゃない・・・・・・」

 

秀吉「して、その脅迫状にはなんて書いてあったんのじゃ?」

 

怪訝に思っていると秀吉が声をかけてきた

 

明久「これには『あなたの傍にいる異性にこれ以上近づかないこと』って書いてあるんだ」

 

秀吉「ふむ。その文面から察するに、

   手紙の主は明久の近くにおる異性に対してなんらかの強い気持ちを抱いておるな。

   大方嫉妬じゃろうが・・・」

 

貴浩「俺のは『あなたの傍にいる男性にこれ以上近づかない事。

これを聞き入れてくれなければ天罰を下す』って書かれていたな」

 

秀吉「それはなんじゃろうの?」

 

貴浩「だよな」

 

島田「それで何をネタに脅迫を受けてるの?」

 

明久「あ、そういえばまだ知らないや。えっと・・・

   『この忠告を聞き入れない場合、同封されている写真を公表します』か。

   写真って、こっちの封筒に入っているやつかな?」

 

丁度写真が入るようなサイズの封筒が同封されていたので、その中身を改める。

そこに入っていたのは、三枚の写真だった

1枚目を手にとって確認する。写っていたのは――女性物の着物姿の明久

 

明久「こ、これは!?」

 

島田「アキ、可愛いわね///////(これ欲しいわ)」

 

明久「これって去年罰ゲームできた衣装だよね」

 

貴浩「そうだな。なんでその写真がここに?」

 

秀吉「で貴浩のには何が入っていたのじゃ?」

 

貴浩「えっと俺のには──」

 

明久と同じように写真が入っていた。

写っていたのは──清涼祭の時に着たコスプレ姿の俺だった。

思わずため息が出てしまう。何なんだ、一体・・・

でも、こんなものが写されているのなら誰にも見えないようにした方が良いだろう。

そんなわけで、俺以外には見えないように隠しながら2枚目を見る。

2枚目に移っていたのは――涙目姿でいるコスプレした俺。

明久も俺と同じように2枚目を誰にも見せないように見ていたが

 

貴・明「「・・・・・・・・・・・・」」

 

島田「アキ、織村?」

 

秀吉「どうしたのじゃ?」

 

貴・明「「・・・・・・何これ、何これ、何これ、何これ・・・・・・」」

 

島田「あ、アキ、織村!?」

 

秀吉「自我が崩壊するほどのものが映っておったのか!?」

 

大丈夫! これは偽造されたものだ! 強迫なんか怖くないさ!

 

気合を入れて3枚目。写っていたのは――コスプレを着替えている俺の姿

 

貴・明「「もういやぁぁぁっっ!」」

 

島田「何!?」

 

秀吉「一体何が写っておったのじゃ!?」

 

明久「見ないで!こんなに汚れた僕の写真を見ないでぇっ!」

 

貴浩「俺を見るなぁああああ!」

 

島田「よ、よく分からないけど落ち着きなさい!皆が注目してるわよ!」

 

言われてみると周囲の視線が痛い。落ち着こう。今注目を集めるのはかなりまずい

 

貴浩「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・恐ろしい威力だった。

   ・・・・・・これは俺を死に追い詰めるための卑劣な計略と

   言っても過言じゃないな・・・・・・」

 

明久「そうだね・・・・・・」

 

島田「そんなに凄い写真だったの?」

 

秀吉「考えすぎではないかのう。着物姿くらい、人間一度は着るものじゃ」

 

イヤ、明久のは着物姿だが俺のはコスプレ姿だぞ。

これだけ見たらかなり痛い人じゃないか!!

 

姫路「明久君、木下君、美波ちゃん、織村君おはようございます」

 

後ろから姫路の声が聞こえてきた

 

明久「この声は――やっぱり姫路さんか。おはよう」

 

島田「瑞希、おはよう」

 

織村「おはよう姫路」

 

秀吉「おはよう。今朝は遅かったんじゃな」

 

姫路「はい。途中で忘れ物に気がついて一度家に帰ったのでギリギリになっちゃいました」

 

秀吉「そうじゃ。先ほどの写真が騒ぐほどの物ではないと姫路に

   証明してもらうとしようかの。姫路、少々良いか?」

 

姫路さんと島田を見て、秀吉が急にそんな事を言いだした

 

姫路「はい、何でしょうか?」

 

秀吉「うむ。姫路に質問なのじゃが。

   明久の女性物の着物姿の写真があったらどう思うかのう?」

 

正直、その切り込み方はどうかと思うが・・・

 

姫路「う~ん、そうですね・・・・・・」

 

姫路がここで嫌悪感を現すようなら、

俺達の写真の公表は何としても避けないといけない。

最近下落気味な俺達の評価のためにも!!

 

姫路「もしそんな写真があったら――とりあえず、スキャナーを買います」

 

意気込む俺達をよそに、姫路の口から漏れた答えはちょっと変わったものだった。

 

明久「へ?スキャナー?何で?」

 

姫路「そうしないと、明久君の魅力を全世界にWEBで発信できないじゃないですか」

 

島田「それはいい考えね」

 

秀吉「明久、落ち着くのじゃ! 飛び降りなんて早まった真似をするでない!」

 

貴浩「気持ちはわかるがまだ死ぬのは早すぎる!」

 

明久「放して2人共!僕はもう生きていける気がしないんだ!」

 

秀吉「そ、そうじゃ!光一とムッツリーニじゃ!

   2人ならばこの手の話には詳しいはずじゃ!事情を説明して――」

 

明久「笑われる?」

 

貴浩「全世界へWEB発信?」

 

秀吉「違う!事情を説明して脅迫犯を見つけ出してもらうのじゃ!」

 

明久「おおっ! なるほど!」

 

そうか!まだ諦めるには早かった!

情報収集や盗撮のエキスパートとも呼ばれる

光一とムッツリーニなら脅迫犯を突き止められるかもしれない!

そうすればこの写真を取り戻すことだって・・・・・・

 

明久「ナイスアドバイスだよ秀吉!!」

 

貴浩「さすがは楓が選んだ彼氏なだけある」

 

早速相談しようと光一とムッツリーニを探す。

すると、教室の隅で小さくなって誰かと話をしている奴の姿が見えた。

そこには光一の姿も見える

 

明久「それじゃ、僕たちはムッツリーニに話があるから!」

 

姫路と島田と秀吉に手をあげて教室の隅へと向かう

 

姫路「ところで、明久君の着物姿がどうとか・・・・・・」

 

島田「ちょっと、アキ」

 

秀吉「姫路と島田!わしと話でもせんかの!?」

 

後ろでは秀吉が姫路と島田を足止めしてくれていた。

 

明久「助けてムッツリーニ、光一!僕たちの名誉の危機なんだ!」

 

貴浩「そうなんだムッツリーニ、光一、俺達を助けてくれ!!」

 

ムッツリーニと光一のいる席に倒れこむように駆け寄る。

すると、僕の行く手を遮るように大きな身体が邪魔をしてきた

 

雄二「後にしろ。今は俺が先約だ」

 

貴浩「ん、雄二?」

 

目的地に先に陣取っていたのは雄二だった。

いつものツンツン頭が少し萎れているように見えるが何かあったんだろうか?

 

明久「ムッツリーニに光一に、何の話?」

 

康太「・・・・・・・・・・・・雄二の結婚が近いらしい」

 

明久「雄二と霧島さんの結婚?僕はてっきり婚前旅行もすんだから、

   もう子供ができた事にされているのかと」

 

貴浩「そうかもしれないな」

 

雄二「・・・・・・明久、貴浩。笑えない冗談はよせ」

 

え?何、笑えないのか?

 

明久「僕達の方も大変だけど、一応雄二の方が先だからね。雄二に何があったの?」

 

雄二「・・・・・・実は今朝、翔子がMP3プレーヤーを隠し持っていたんだ」

 

貴浩「MP3プレーヤー?それくらい別に良いんじゃないのか?

   雄二だって前に学校に持ってきてたし」

 

その後、鉄人に没収されてたけど

 

雄二「いや、アイツは結構な機械オンチだからな。

   そんな物を持っていて、しかも学校に持ってくるなんて不自然なんだ」

 

霧島は光一と同じで機械オンチなのか。

 

雄二「そこで怪しく思って没収してみたんだが、

   そこには捏造された俺のプロポーズが録音されていたんだ。

   それに婚約の証拠として父親に聞かせるつもりのようだ」

 

明久「へぇ~、それは災難だったね」

 

雄二「MP3プレーヤーは没収したが、中身は恐らくコピーだろうし、

   オリジナルを消さない事には・・・・・・」

 

貴浩「・・・・・・・・・・・・」

 

雄二「そんなわけで、ムッツリーニと光一にはその台詞を録音した犯人を

   突き止めてもらいたい。さっきも言ったようにアイツは機械オンチだから、

   きっと機械に長けた実行犯がいるはずなんだ」

 

光一「明久殿と貴浩殿は?」

 

と、光一とムッツリーニが俺達の方を向いてきた。

今度は俺達の事情を聞いてくれるみたいだ。

あまり長々と言いたい話でもないし、端的に説明しよう

 

明久「実は、僕の着物姿(女性物)とウェディングドレス姿の写真が

   全世界にWEB配信されそうなんだ」

 

光一「・・・・・・・・・・・・何があったのですか?」

 

貴浩「それはさすがにはしょりすぎだろ・・・・・・」

 

その疑問はもっともだ。

 

―――――――――――――――説明中―――――――――――――――

 

明久「そんなわけで、その写真を作った犯人を突き止めて欲しいんだ」

 

貴浩「俺も明久と同じだ」

 

雄二「何だ。2人も俺と同じような境遇か」

 

康太「・・・・・・・・・・・・脅迫の被害者同士」

 

光一「お二人にこんな事をするとは許さねぇ」

 

貴浩「こんな事で仲間ができてもな・・・・・」

 

そうやってそれぞれの説明を終えたところで、

ガラガラと教室の扉が開く音が響いた。どうやら鉄人がやってきたみたいだ

 

西村「遅くなってすまないな。強化合宿のしおりのおかげで手間取ってしまった。

   HRを始めるから席についてくれ」

 

そう告げる鉄人は手に大きな箱を抱えていた。

きっと今言っていた強化合宿のしおりが入っているのだろう

 

康太「・・・・・・・・・・・・とにかく、調べておく」

 

光一「俺の方でも調べておきます」

 

雄二「すまん。報酬に今度お前の気に入りそうな本を持ってくる」

 

明久「僕も最近、仕入れた秘蔵の写真を十枚持ってくるよ。

   光一には今度ご飯でも作るよ」

 

貴浩「俺もムッツリーニには秘蔵本を持ってくる。光一は何か飯でも作るさ」

 

康太「・・・・・・・・・・・・必ず調べ上げておく」

 

光一「必ず成し遂げます」

 

光一もムッツリーニも快く引き受けてくれたので、

鉄人に睨まれないうちに素早く席に戻る。

俺と明久と雄二は特に目をつけられているので、

こういった時くらいは目立たないようにしないと身体がもたない

 

西村「さて、明日から始まる『学力強化合宿』だが、

   だいたいのことは今配っている強化合宿のしおりに書いてあるので

   確認しておくように。まぁ旅行に行くわけではないので、

   勉強道具と着替えさえ用意してあれば特に問題はないはずだが」

 

前の席から順番に冊子が回されてきた。

 

西村「集合の時間と場所だけはくれぐれも間違えないように」

 

鉄人のドスのきいた声が響き渡る。

確かに集合時間と場所を間違えたらシャレにならないな。

学力強化が目的とはいえ皆で泊まり込みのイベントに参加できないなんて寂し過ぎるしな。

きちんとチャックしておくか。

パラパラと冊子を捲って集合時間と書かれている部分を探す

 

今回俺達が向かうのは卯月高原という少し洒落た避暑地で、

この街からは車だとだいたい4時間くらい、

電車とバスの乗り継ぎで行くから5時間くらいかかるところだ。

 

西村「特に他のクラスの集合場所と間違えるなよ。クラスごとでそれぞれ違うからな」

 

Aクラスはきっとリムジンバスとかで快適に向かうんだろう。

そうなると俺達はやっぱり狭い通常のバスだろうか。

もしかすると補助席や吊り革かもしれない

 

西村「いいか、他のクラスと違って我々Fクラスは現地集合――」

 

『『『『『案内すらないのかよっ!?』』』』』

 

あまりの扱いに全級友が涙した。

 

鉄人は残りの伝達事項を伝え教室を出て行く。

現地集合はあまりにひどいので俺は鉄人の後を追った。

 

貴浩「鉄人先生!話があるんだけど」

 

西村「鉄人と言うな。で織村兄、話とはなんだ?」

 

貴浩「強化合宿の話なんですが」

 

西村「なんだ?」

 

貴浩「それなんですけど…知り合いの車で行く事って許可ってとれますか?」

 

西村「…まあそうだな。それならいいだろう」

 

貴浩「ありがとうございます。あともう1つあるんですが」

 

西村「今度はなんだ?」

 

貴浩「合宿初日って移動日ってことで自由日なんですよね?」

 

西村「まあそういうことになってるがそれがどうした?」

 

貴浩「せっかく卯月高原に行くんで外でまあ楽しみたいなと思いまして・・・」

 

西村「なにをするつもりだ?」

 

貴浩「まあしいて言うなら外でBBQとかしたいななんて思っていたり・・・

   後片付けとかはちゃんとしますよ。もちろんごみも全て持ち帰ります」

 

西村「・・・・・・バカなことはしないと言えるか?」

 

貴浩「・・・・・・もちろんですよ」

 

西村「最初の間が気になるがまあ良いだろう。許可してやろう」

 

貴浩「おぉ!さすが鉄人!話がわかる!」

 

俺はそう鉄人に告げると教室に戻った。

 

 

       ☆

 

 

教室に戻ると

 

雄二「貴浩どこ行ってたんだ?」

 

貴浩「合宿の事で鉄人と交渉しに」

 

明久「鉄人と?」

 

貴浩「ああ、さすがに現地集合ってのはきついからな。金額的にも」

 

秀吉「確かに卯月高原じゃと金額の負担が大きいの」

 

貴浩「ということでさ光一、頼みがあるんだが」

 

光一「わかりました。クラス全員が乗れるバスを手配しておきますね」

 

貴浩「さすが光一。話が早い」

 

楓「ありがとうございますね光一君」

 

貴浩「あとは初日だけだがあっちについたら少しBBQの許可をもらった」

 

雄二「・・・・・・よくそんな許可取れたな」

 

貴浩「ダメ元で言ったら許可もらえた」

 

明久「それならいくら勉強合宿って言っても楽しくなりそうだね」

 

こうして俺達は合宿初日どうするかを話合った。



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移動中での出来事

4/29 修正


バスに乗ってから大体2時間くらいで見慣れない景色になってきた。

 

光一「あと2時間くらいだそうです」

 

光一があとどれくらいで目的地につくかを教えてくれる。

本来ならFクラスは現地集合なのだが

光一がバスを手配してくれたので皆それに乗って合宿場へと向かっていた。

その件はすでに担任である鉄人こと西村先生に許可をもらっているのでなんの問題もない。

 

貴浩「2時間か。眠くもないし、何するかな・・・」

 

いつもならP○Pとかのゲーム機を持ってきてるが今回は持ってきていない。

持って来たら確実に鉄人に没収されるからな。でもトランプは持ってきている。

 

ちなみに他のFクラスメンバーは雑談していたり寝ていたりしていた。

 

雄二「本当に凄いな。光一は」

 

命「ですよね。バス一台を私達のために借りる事ができるなんて」

 

ちなみに今バスの席は

 

─────   ─────

命  明久 通 俺  光一   

      路

姫路 島田   秀吉 楓   

─────   ─────

康太 雄二

  

 

という風になっている。

 

明久「あれ美波?何読んでいるの?」

 

島田が何かの本を読んでいることに気が付いた明久が声をかける。

 

島田「ん、これ?これは心理テストの本。

   100円均一で売ってたから買ってみたんだけど、意外と面白いの」

 

明久「へぇ~面白そうだね。美波、僕にその問題出してよ」

 

貴浩「あ、俺もいいか」

 

島田「うん。いいわよ」

 

島田はそう答え、適当にページを捲る。

 

島田「それじゃいくわよ。

   『次の色でイメージする異性を挙げて下さい。緑 オレンジ 青』

   それぞれ似合うと思う人の名前を言ってもらえる?」

 

明久「えっと・・・・・・って美波。そんな怖い顔で睨み付けられてると答えにくいんだけど」

 

島田「べ、別にそんなわけじゃ……!いいから早く答えなさい!」

 

明久「……順番に『緑→美波 オレンジ→姫路さんと楓 青→命』って感じかな」

 

貴浩「俺は『緑→砂原と椎名 オレンジ→命と楓 青→優子と愛子』だな」

 

ビリィッ!

 

島田の手元から凄い音がした。

 

明久「み、美波……?どうしたの?」

 

島田「どうしてウチが緑で命が青なのか、説明してもらえる?」

 

明久「ど、どうしてと仰られましても……」

 

島田はなんか知らないけど凄く怒ってるな。

 

島田「怒らないから正直に言ってみて?」

 

明久「前に下着がライトグリーンだったから」

 

島田「瑞希、窓開けて」

 

明久「捨てる気!?僕を窓から捨てる気!?」

 

雄二「島田。窓からゴミを捨てるな」

 

明久「雄二。美波を止めてくれてありがとう。

   でも、今サラッと僕をゴミ扱いしたよね?」

 

島田「いいのよ。ゴミじゃなくてクズだから」

 

明久「どうしよう。僕、ここまで酷い扱いを受けるのは久しぶりだよ」

 

雄二「クズはきちんてクズカゴに入れるべきだ」

 

明久「そして雄二もクズを否定しないんだね……」

 

命「2人とも流石に言い過ぎですよ。明久君が可哀想です」

 

明久「ああ!僕のことを心配してくれるのは命だけだよ!」

 

命「あ、明久君。顔が近いです////」

 

そして突然、雄二が島田から本を奪い

 

雄二「どれどれ?緑は『友達』、オレンジは『元気の源』、青は・・・なるほどなぁ」

 

それを見てにやつく雄二

 

島田「か、返しなさいよ!」

 

島田が雄二から本を奪い返す。

 

楓「私は兄さんの元気の源なんですね」

 

貴浩「当たり前だろ!!」

 

命「私もなんですね」

 

貴浩「それは・・・・・・命を見てたら面白いからな」

 

命「それって・・・どうなんですかね」

 

秀吉「それでは青はなんなのじゃ?」

 

島田「絶対に教えない・・・・・・第2問目行くわよ。

   『一から十の数字で、今あなたが思い浮かべた数字を順番に

    2つ挙げて下さい』だって。どう?」

 

雄二「俺は5・6だな」

 

貴浩「俺は7・8だな」

 

秀吉「ワシは2・7じゃな」

 

明久「僕は1・4かな」

 

楓「私は3・8ですね」

 

命「私は2・9です」

 

姫路「私は3・9です」

 

それぞれの答えを聞いた後、島田はゆっくりとページを捲くった

 

島田「『最初に思い浮かべた数字はいつもまわりに

    見せているあなたの顔を表します』だって。それぞれ――」

 

島田が順番に指を差しながら

 

雄二→「クールでシニカル」

貴浩→「明るく陽気」

秀吉→「落ち着いた常識人」

明久→「死になさい」

楓→「温厚で慎重」

命→「落ち着いた常識人」

姫路→「温厚で慎重」

 

と、告げた

 

雄二「ふむ。 なるほどな」

 

秀吉「常識人とは嬉しいのう」

 

貴浩「俺もだな」

 

命「私もですね」

 

姫路「温厚で慎重ですか~」

 

楓「私も温厚で慎重なんですね」

 

明久「何で僕だけ罵倒されてるのさ!?」

 

口々に感想を述べている俺達

 

島田「それで『次に思い浮かべた数字はあなたがあまり見せない本当の顔』

   だって。それぞれ――」

 

さっきと同じように島田が順番に指を差して

 

雄二→「公平で優しい人」

貴浩→「努力家」

秀吉→「色香の強い人」

僕→「惨たらしく死になさい」

楓→「努力家」

命→「意志の強い人」

姫路さん→「意志の強い人」

 

雄二「秀吉は色っぽいのか」

 

貴浩「確かに命と姫路は意志が強いそうだな」

 

明久「ねぇ、僕の罵倒エスカレートしてなかった?」

 

秀吉「楓と貴浩は努力家なんじゃな」

 

楓「坂本君は公平で優しいんですね」

 

そんな感じでその後も何問か心理テストをやっていると、

 

康太「…………(トントン)」

 

明久「あ、ムッツリーニ。おはよう」

 

秀吉「目が覚めたようじゃな」

 

康太「…………空腹で起きた」

 

貴浩「あれ?もうそんな時間か?」

 

ムッツリーニに言われて携帯電話で時間を確認すると。

時刻は13時10分。

いつの間にかお昼過ぎになっていたようだ。

 

秀吉「確かに良い頃合じゃの。そろそろ昼にせんか?」

 

楓「そうですね。あまり遅くなると夕飯が入らなくなりますしね」

 

命「そうですね」

 

雄二「だな。バーベッキューするつもりだから腹を空けておかないといけないしな」

 

姫路「あ、お昼ですね。それなら―――」

 

そういいながら姫路が傍らに置いてある鞄から何かを取り出そうとする。

 

姫路「―――実は、お弁当を作ってきたんです。良かったら……」

 

雄二「姫路。悪いが俺も自分で作ってきたんだ」

 

康太「…………調達済み」

 

貴浩「俺も自分で作ってきたんだ」

 

明久「僕も今日は作ってきたんだ。光一の分も含めてね」

 

光一「明久殿、かたじけない」

 

秀吉「すまぬ。ワシは楓に作ってもらっておるからの」

 

楓「はい。私はヒデ君の分も作ってきたので」

 

明久「楓は本当にいい彼女だよね。秀吉が羨ましいよ」

 

楓「ありがとうございます明久君」

 

姫路「そうなんですか」

 

島田「なら皆で弁当をわけない?」

 

島田の一言で俺達は震える。

光一は何のことだがわからず首をかしげている。

そして寝ていたはずのFクラスメンバーの目線がこちらに向かっていた。

もちろんそれには殺気が含まれていた。

 

俺は瞬時に俺の旅行バックからトランプを取り出すと明久たちと目をあわせる

 

雄二「第1回っ!」

 

明久「ガチンコっ!」

 

貴浩「トランプ大富豪対決っ!」

 

秀・康「「イェーッ!!」」

 

雄二「明久、ルール説明だ」

 

明久「オッケー。ルールはとっても簡単、

   貴浩が持ってきているトランプで大富豪をするだけだよ。

   8切り、11バックはあり」

 

暗黙の了解で大貧民が責任を持って姫路の料理を食べなければならないというものだ。

 

 

 

          ☆

 

 

 

勝負の結果、大富豪は光一、富豪は俺、平民は雄二と秀吉

そして貧民はムッツリーニ、大貧民が明久となった。

 

明久「・・・・・・なんてこった」

 

貴浩「一応、治療道具は光一に頼んでおいてそろえてあるから安心しろ」

 

姫路の料理を食べた明久はもちろん逝った。

明久は光一と席を変わり寝ているということにしている。

また明久に襲い掛かろうとしたFクラスメンバーは

姫路の料理を食べてからの明久の様子を見て今回はお咎めなしという方向に決まったらしい。

 

 

           ☆

 

 

合宿所についた俺達は

雄二たちに明久たちの蘇生を任せ、俺は鉄人の元へ到着の報告しにいった。

 

貴浩「鉄村先生。Fクラス全員到着しました」

 

西村「ああ、わかった。報告ご苦労。それと今、鉄人と西村を混ぜて呼んだだろ」

 

貴浩「いえ、気のせいですよ」

 

西村「それならいいが」

 

貴浩「なら自分たちは自由にしてますね」

 

西村「あまり大騒ぎするなよ」

 

貴浩「善処します」

 

俺はそういって

 

貴浩「さて、そうだ。脅迫の件で砂原や刀麻にも協力してもらうか」

 

俺は携帯を取り出し2人にあとで部屋に来るようメールして部屋へと戻っていった。

 

それがはじまりだとは誰も思わなかった。

 



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自由行動

4/29 修正


 ~ SIDE IN 明久 ~

 

雄二「明久、起きたか!良かった……電気ショックが効いた様だな」

 

光一「これで一安心だな……」

 

光一と雄二は心底安心しきった顔で、AEDをしまい始める。

 

明久「所で雄二、ここは合宿所?」

 

雄二「ああ、そうだ。全く贅沢な学校だな。

   この旅館、文月学園が買い取って合宿所に作り変えたらしいぞ」

 

8人位寝れそうな広い部屋だが、

この部屋にはいつものメンバー6人なのでより気楽に使える。

 

秀吉「明久、無事じゃったか!よかった

   ……お主がうわごとで前世の罪を懺悔意思始めた時には、正直もうダメじゃと……」

 

雄二「あれは確かに焦った」

 

秀吉が胸をなでおろし、雄二がそれに同意を示す。

 

明久「あれ貴浩は?」

 

光一「貴浩殿は、西村先生の元にいっています」

 

明久「鉄人のところに?」

 

雄二「まあな。全員到着した事の報告だ」

 

明久「そうなんだ」

 

ガチャ

 

貴浩「おっ、明久目が覚めたか。体調大丈夫か?」

 

明久「うん、大丈夫だよ」

 

貴浩「ならAクラスの皆も来ていることだし外に行くか!」

 

外で遊ぶと言う事で俺達だけではなく

Aクラスの優子や愛子、霧島たちなどを誘っておいた。

 

明久「だね。時間もあることだし楽しまないとね」

 

 

         ☆

 

 

愛子「山だ!!」

 

砂原「自然だっ!!」

 

明久「そして…貴浩だー!!」

 

明久の掛け声の元、明久、砂原、愛子の3人が抱きついてきた。

 

貴浩「何故に!?ってかなんで抱きつく!?」

 

砂原「ん~?気分?」

 

貴浩「・・・・・・気分かよ」

 

今この場にはFクラスからは

貴浩、明久、雄二、秀吉、ムッツリーニ、光一、楓、命、姫路、島田と

Aクラスから

霧島、優子、愛子、刀麻、なのは、椎名、砂原が来ていた。

 

楓「それにしても今日は晴れて良かったですね」

 

命「絶好の天気ですね」

 

優子「そうね(私も抱きつけばよかったわ)」

 

明久「でもこういうの小学校の遠足を思い出すよね」

 

刀麻「そうだな。でもたまにはこういうのも良いよな」

 

姫路「皆さんとこうして遊べるのは楽しいですよね」

 

島田「そうね。ウチも楽しみだわ」

 

貴浩「ああ、そうだな。こうして皆との楽しい思い出があれば

   明日からも何とか生きていける」

 

雄二「・・・昨日までのお前に何があったんだ?」

 

砂原「お~!芝生が良い感じだね」

 

貴浩「芝生を見ると寝ころりたくなるな」

 

俺はそういうとゴロリと芝生に寝転んだ。

 

愛子「独特のふかふか感だよね」

 

康太「・・・・・・草の絨毯ってところ」

 

姫路「でも所々チクチクするところがありますよね」

 

霧島「・・・・・それはそれで醍醐味」

 

貴浩「針の絨毯って所か」

 

雄二「そりゃあ剣山だろ」

 

命「そんなところで寝転がったらザクザクですよっ!?」

 

刀麻「やっぱ、こういうところでの王道はキャッチボールだな!」

 

なのは「あれ?ミットがないよ?」

 

明久「忘れてきたの?」

 

雄二「硬球を素手では無理だろ」

 

砂原「心のキャッチボールにミットはいらないんだよ♪」

 

刀麻「素心でキャッチボールってことか!」

 

光一「素心って」

 

貴浩「なら刀麻いくぞ!」

 

ビュッ!

 

刀麻「遠慮はいらねぇバッチコ──」

 

俺は刀麻に向かってボールを投げる。

 

パァァァーン!!

 

刀麻「・・・・・・心が痛い」

 

貴浩「それは手だ」

 

刀麻は手を押さえ芝生に倒れた。

 

雄二「やっぱりキャッチーボールは無理だな。他には何があるんだ?」

 

霧島「・・・・・・バトミントンやフリスビーがある」

 

優子「フリスビーって懐かしいわね」

 

貴浩「ああ、昔よく卓袱台をフリスビーみたく投げてたもんな」

 

優子「なにそれ!?その独創的な卓袱台返し!?」

 

貴浩「『こんな美味しいものご馳走さまぁ!!』って言いながら」

 

椎名「美味しかったのに投げるんですか?」

 

貴浩「亭主関白だったんだ」

 

雄二「亭主腕白の間違いだろ」

 

優子「亭主腕白!?初めて聞いたわよ」

 

貴浩「とまあ冗談はおいといて」

 

愛子「あっ、冗談だったんだ」

 

貴浩「よしっ!明久、雄二勝負だ!落として方が負けだ!」

 

明久「いいね。いいよ勝負だ」

 

雄二「おう、受けてたつ」

 

そこで俺と明久、雄二の3人は距離をとると

 

ヒュン!  パシッ!

 

ヒュン!  パシッ!

 

ヒュン!  パシッ!

 

とフリスビーを始めたのだが

 

秀吉「のう・・・アレはなんという遊びなんじゃ?」

 

楓「多分フリスビーですよね」

 

愛子「あんなにも高速で動くフリスビー始めて見たんだけど?」

 

そう。3人のフリスビーは眼にも止まらぬスピードに繰り広げられていた。

 

光一「慣れれば皆もあんな風にできるぞ」

 

命「無理ですよ。絶対に無理です」

 

刀麻「だよな」

 

結局勝負はつかないまま終えた。ってか終えられた。優子たちが怖いって言うから。

 

そして俺達は次に川辺に移動した。

そこで男衆がバーベッキューの準備をしていると

 

霧島「・・・・・・水綺麗」

 

優子「そうね。透き通って見えるわ」

 

命「冷たいですね」

 

愛子「気持ちいいね」

 

女子が川に足をつけて遊んでいる姿を見て

 

明久「来て良かったね」

 

雄二「ああ、そうだな」

 

康太「・・・・・・いい絵になる」

 

康太はカメラを取り出し撮影を始めていた。

 

貴浩「イヤッホー!」  

 

そして俺は大声で叫んでいた。

 

秀吉「いきなり大声をださんでくれ!」

 

貴浩「いやぁ~つい。鉄人に提案してよかったぜ」

 

明久「うん・・・貴浩に感謝だよ」

 

砂原「おーい!」

 

そこで砂原の声が聞こえてきたので声の方向を見ると

 

砂原「天然の橋だよ!」

 

岩と岩の間に架かっていた木の上で飛び跳ねていた。

 

光一「あんまりはしゃぐと危ねえぞ」

 

光一が注意すると

 

砂原「大丈夫!大丈──」

 

バキッ

 

明久「あっ」

 

光一の注意も意味無く木が折れ

 

バチャン!

 

砂原は川に落ちた。

 

砂原「うおっ!?」

 

雄二「あははははっ」

 

刀麻「本当に落ちたぞ」

 

貴浩「おいおい。大丈夫か?」

 

俺は念のために用意しておいたバスタオルを持って砂原の元へ向かった。

 

砂原「ひどい目にあったよ」

 

貴浩「だから光一が注意したろ」

 

砂原「反省してるよ。それとタオルありがとね」

 

貴浩「まあ反省してればいいさ」

 

明久「じゃあそろそろバーベッキューの準備しようか」

 

雄二「だな。せっかく川にいるんだし魚も捕まえてみるか?」

 

なのは「でもどうやって捕まえるの?」

 

光一「釣竿なら準備している」

 

光一はそういうと人数分の釣竿を出してくれる。

 

貴浩「よーし、盛大に釣ってやるか!」

 

刀麻「おいエサをつけないのか?」

 

貴浩「そういうのは現地調達でいいんだよ。岩の下には虫がいるしな!

   で、この虫を針につけて釣り開始。

   ・・・・・そしてヒット!!いきなりヤマメゲット!」

 

明久「全力で満喫してるね、まるで野生児だよ」

 

貴浩「そう褒めるなよ」

 

明久「褒めてないよ」

 

優子「ねぇ貴浩。隣いいかしら?釣りって初めてだから教えて欲しいのだけど」

 

愛子「あっ僕もいいかな?」

 

砂原「あっ私も一緒に」

 

椎名「私も教えて欲しいです」

 

貴浩「ん?いいぞ。まずは針に虫を──」

 

俺は4人に釣りを教えながら魚を釣っていく。

 

雄二「なら皆が魚を取っている間に俺が焚き火できそうな木でも採って来る」

 

霧島「・・・・・・雄二が行くなら私も行く」

 

雄二「ん?そうか、なら一緒に行くか」

 

秀吉「雄二よ2人だけでは大変じゃろう。ワシも手伝うのじゃ」

 

楓「ヒデ君が行くなら私も手伝います」

 

明久「じゃあ僕は調理の下拵えとかしてるね」

 

命「なら私も手伝いますよ明久君」

 

明久「そう?ならお願いするね」

 

康太「・・・・・・俺も手伝う」

 

なのは「私も手伝うよ」

 

明久「なら4人でやろうか」

 

姫路「わ、私もお手伝いしますよ」

 

とそこで姫路が明久を手伝おうとする。

そこで俺達に緊張が走るが──

 

光一「下拵えには4人もいれば大丈夫だ。これ以上いると返って邪魔になる。

   姫路は魚でも釣っててくれ」

 

姫路「・・・はい、そうですか」

 

光一のおかげで危機は去った。

 

貴浩「なあ光一。ちょっとコレ使ってみてくれないか?」

 

俺は魚を釣っていた光一のところへ行くと

 

刀麻「何だコレ?串か?」

 

近くにいた刀麻が?を出していた

 

貴浩「いやぁ~光一ならこれ投げて魚を捕まえられるかなと思ってな」

 

刀麻「いやいやさすがに無理だろ」

 

光一「・・・・・・やってみましょう」

 

そういうって光一は立ち上がり串を持つと魚に狙いを定め

 

ビシュッ!

 

串を魚に向かって投げると見事に串が魚に刺さった。

 

刀麻「おいおいおいおいおい!マジかよ!?」

 

貴浩「正直冗談で言ったんだが本当に出来るとは」

 

この後光一のおかげで魚を20匹ほど捕まえた。

 

砂原「バーベキュー♪バーベキュー♪」

 

刀麻「貴浩と光一のおかげで凄い量の肉や魚があるな」

 

康太「………肉も牛、豚、鳥が揃ってる」

 

明久「お肉いっぱい食べるぞ!」

 

なのは「それしても本当に凄い量だよね」

 

俺と光一たちが川で捕獲した魚と

光一の所があらかじめ用意しておいてくれた肉や野菜が大量に用意されていた。

 

愛子「でも美味しそうだね」

 

優子「そうね。でも全部食べきれるかしら?余るんじゃない?」

 

楓「余ったら先生達に話して保存しておくしかないですよね」

 

雄二「そうか?これならちょうどいい気がするが?」

 

命「この量が・・・ちょうどいいですか?」

 

椎名「……凄いです」

 

砂原「父さーん!まーだー!お腹すいたよん♪」

 

優子・愛子「「お父さん!?」

 

貴浩「もうできるからもう少し待ってくれ」

 

ちなみに明久たちが下準備をしてくれていたので俺が肉や魚を焼いている。

 

明久「って今の砂原さんの発言には何も言わないんだね」

 

砂原「そうだねん。正直ツッコミ待ちったんだけどね」

 

椎名「……鈴ちゃん」

 

貴浩「ま~食事時だし良いんじゃないか?やっぱり食事は楽しく食べないとな」

 

明久「だってさ…優子さんに工藤さん」

 

優子「じゃ…じゃあ…」

 

すると優子と愛子が俺のほうにやってくると

 

優子・愛子「「……お、お父さん////」」

 

貴浩「ん?なんだい母さん」

 

俺はそれをノリで返事すると

 

優子・愛子「「っ!!??////////////////」」

 

2人は顔を真っ赤にさせて走っていった

 

貴浩「どうしたんだ2人は?」

 

雄二「今のを無自覚でやるか…コイツは」

 

雄二は呆れた顔でそういうが俺には何がなにやらわからない

 

翔子「……雄二」

 

雄二「なんだ翔子」

 

翔子「…………私のこともお母さんと呼んでもいい。

   私も雄二のことをお父さんって呼ぶから」

 

雄二「待つんだ翔子。まだ俺達は籍を入れてない」

 

翔子「・・・・・・大丈夫。それは時間の問題」

 

今の俺のやりとりで霧島が雄二のことをお父さんと呼ぶようになった。

雄二は抵抗しているがどこまで持つだろうか。

 

ちなみに今のやりとりで雄二と霧島だけではなく

秀吉と楓、ムッツリーニとなのはも同じようなことになっていた。

 

それを微笑ましそうに見ているのが明久、光一と命、椎名、砂原、刀麻、

そして嫉妬の目で明久をみているのが姫路と島田だったりする。

 

貴浩「さて、いちゃつくのもいいが焼けたぞ」

 

砂原「おおっ!ついに焼けたんだねん♪1番手いただきっ♪」

 

刀麻「させるか1番手は俺だ」

 

康太「………1番は譲らない」

 

明久「あっずるいぞ!僕だって!」

 

貴浩「誰が1番なんて別に良いだろ…いっぱいあるんだから焦らずに食べろよ」

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

砂原「う~ん♪美味しい♪」

 

椎名「はい、とても美味しいです」

 

刀麻「やっぱり外で食べると美味しいな」

 

島田「外で食べるのもいいわね」

 

命「そうだね。ここは空気もいいからより美味しく感じます」

 

雄二「やっぱりバーベキューは最高だな」

 

翔子「……雄二、量ならたくさんあるからそんなにガッつかなくても大丈夫」

 

秀吉「それにしても色んな種類があるからどれから食べるか迷ってしまうの」

 

楓「そうですね。食べ過ぎたらお肉がついちゃいそうですね」

 

秀吉「楓なら大丈夫じゃよ」

 

なのは「康太君。美味しいね」

 

康太「・・・・・・ああ」

 

なのは「康太君。あ~ん////」

 

康太「……あ~ん////」

 

明久「うん♪美味しいね」

 

命「そうですね明久君。あっ明久君。口元にお肉がついてますよ?」

 

明久「えっ本当?ドコ?」

 

命「動かないでください…えっと…はい取れました」

 

命が手で明久の口元についてた肉片をとってあげる。

 

明久「ありがとう命////」

 

命「どういたしまして////」

 

姫路「……羨ましいです」

 

島田「……アキ」

 

それを遠くから姫路と島田が羨ましそうに食べながら見ている。

 

椎名「織村君…食べてます?焼くの代わりましょうか」

 

貴浩「もち!ちゃんと焼きながら食べてる。こっちは気にせず食べていいぞ」

 

優子「・・・・・・」

 

愛子「・・・・・・」

 

貴浩「おーい!こっちも焼けたぞ!」

 

雄二「よっしゃ!いただくぜ」

 

優子「貴浩」

 

貴浩「ん?」

 

優子「あ~ん////」

 

貴浩「ども。あ~ん」

 

優子「どう?美味しい?」

 

貴浩「ああ、美味しかったぞ優子。ありがとう」

 

優子「ど、どういたしまして////」

 

貴浩「魚も焼けたぞ」

 

明久「魚も美味しそうだね」

 

愛子「貴浩君」

 

貴浩「ん?今度は愛子か?」

 

愛子「あ~ん////」

 

貴浩「あ~ん。うん美味しい。ありがとう愛子」

 

愛子「ど、どういたしまして////」

 

貴浩「2人ともありがとうな。

   でも2人もちゃんと食べてくれよな。じゃないと無くなるぞ」

 

優子「えっ?結構な量があったと思うけど……」

 

雄二「肉!肉!次も肉!」

 

明久「あっ!雄二!肉食べすぎだよ!僕だって」

 

刀麻「お前ら肉食べすぎだろ!」

 

光一「そういう刀麻だって肉ばかり食ってるだろ」

 

愛子「3人ともお肉しか食べてないね」

 

命「3人ともちゃんと野菜も食べないと。栄養が偏ってしまうよ」

 

明久「大丈夫っ!ちゃんと肉・肉・魚・肉・野菜、

   肉・肉・魚・肉・野菜ってリズム良く食べるから」

 

優子「肉が多い気がするけど」

 

雄二「じゃあ俺は、牛・牛・豚・魚・鳥・牛・牛・豚・鳥だな」

 

愛子「それ肉がほとんどだよね」

 

貴浩「野菜を食え、野菜を!」

 

砂原「意外とター君ってバランス良く食べてるよね」

 

貴浩「まー普段作ってるからな…でも俺だって野菜とかよりは肉とか魚のほうが好きだぞ」

 

こうして俺達は楽しみながら食事を終え合宿場へと戻った。

 



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盗撮事件!?

前話でのネタわかった方はいるでしょうか?
ある漫画のネタをやってみました。

4/29 驟雨性


明久「ふぅ~食べた。食べた。お腹いっぱいだよ」

 

雄二「ああ、肉に魚と結構食べたしな」

 

秀吉「あとは風呂に入るだけじゃな」

 

明久「そうだね。貴浩が戻ってきてから行こうか」

 

貴浩は一応鉄人のところに報告をしに行っていた。

 

明久「そういえばムッツリーニはどこに言ったの?覗き?盗撮?それに光一もいないよね」

 

秀吉「友人に対してそんなセリフがサラッと出て来るのはどうかと思うのじゃが……」

 

ガチャッ!

 

康太「…………ただいま」

 

光一「今戻った」

 

そこへ、ムッツリーニと光一が戻ってきた。

 

康太「…………情報が手に入った」

 

光一「すみませんが自分のほうでは何にも・・・」

 

明久「そうなんだ、気にしないで光一」

 

雄二「ああ、光一にはバスとか色々手配してもらったから仕方が無いしな。

   それでムッツリーニ、お前は随分早いな」

 

康太「…………昨日、犯人が使ったと思われる道具の痕跡を見つけた」

 

雄二「へぇっ、流石だな。それで、犯人はわかったのか?」

 

康太「…………(フルフル)」

 

雄二が尋ねると、ムッツリーニは申し訳なさそうに首を振った。

 

康太「…………すまない」

 

雄二「気にするな。協力してくれるだけでも感謝している」

 

康太「…………“犯人は女生徒で、お尻に火傷の痕がある”という事しかわからなかった」

 

雄・光「「お前は一体何を調べたんだ」」

 

雄二と光一が、ほぼ同時に突っ込みを入れた。

 

康太「…………校内に網を張った」

 

雄二「網? 盗聴器でも仕掛けたのか?」

 

康太「…………(コク)」

 

それから、ムッツリーニが用意した小型録音機が取り出され、

そこに収められた会話が流れ始める。

 

<……らっしゃい>

<雄二のプロポーズを、もう1つお願い>

<毎度。二度目だから安くするよ>

<……値段はどうでも良いから、早く>

<流石はお嬢様、太っ腹だね。それじゃ明日……と言いたいところだけど、

 明日からは強化合宿だから、引き渡しは来週の月曜で>

<……わかった。我慢する>

 

秀吉「片方は、霧島で間違いないじゃろうな」

 

明久「だよね。雄二のプロポーズを欲しがる上にお嬢様と来て、

   この独特の話し方とくればね」

 

雄二「もう動いていたのかって事も驚きだが、強化合宿があって助かった……」

 

光一「けど、タイムリミットが伸びただけだ。で、さっきの犯人のヒントは?」

 

ムッツリーニが機械を操作し、続いて録音機から声が。

 

<相変わらずすごい写真ですね。こんな写真を撮っているのがバレたら、

 酷い目に遭うんじゃないですか?>

<ここだけの話、前に一度母親にバレてね>

<大丈夫だったんですか?>

<文字通り尻にお灸を据えられたよ。全く、いつの時代の罰なんだか>

<それはまた……>

<おかげで未だに火傷の痕が残ってるよ。乙女に対してひどいと思わないかい?>

 

雄二「成程ね、それで尻に火傷のあとか」

 

康太「…………わかったのはこれだけ」

 

確かに、特定できる情報である事は間違いない。……だが。

 

雄二「でも、有力でもないぞ?

   場所が場所だけに確かめようとしたら間違いなく犯罪だ」

 

明久「だよね。スカートを捲くってまわったとそしても、わからない可能性があるし」

 

康太「・・・・・・・・・・赤外線カメラでも火傷の痕なんて映らない」

 

秀吉「事情を知っておっても、とんでもない会話じゃのう」

 

最もである。

 

光一「……夜中に俺とムッツリーニで忍び込むか?気配を消す術なら自信がある」

 

康太「…………任せておけ」

 

と言って、ムッツリーニはある物を取り出した。

 

雄二「……何だこれは?」

 

康太「…………証拠を抑える為のカメラと、闇の中で近付く為の服。

   光一の分も用意してある」

 

ムッツリーニが取り出したのは黒ずくめの全身タイツだった。

 

光一「断固遠慮する!」

 

明久「……僕が警官だったら、迷わず逮捕してるね」

 

雄二「……言い逃れは出来ないな」

 

秀吉「……そうじゃな」

 

と、皆の意見で却下となった。ムッツリーニは、多少ショックを受けている。

 

明久「そうだ! もうすぐお風呂の時間だし、

   秀吉に見てきてもらえば良いじゃないか」

 

秀吉「明久。何故にワシが女子風呂に入ることが前提になっておるのじゃ?」

 

雄二「それは無理だ明久」

 

雄二がしおりを放り投げ、明久に寄越した。

 

明久「どうして無理なのさ?」

 

雄二「見てみろ」

 

 

~ 合宿所での入浴について ~

 

・男子ABCクラス…20:00~21:00 大浴場(男)

・男子DEFクラス…21:00~22:00 大浴場(男)

・女子ABCクラス…20:00~21:00 大浴場(女)

・女子DEFクラス…21:00~22:00 大浴場(女)

・Fクラス木下秀吉…22:00~23:00 大浴場(男)

 ※ただし木下秀吉が認めた男子なら一緒に入る事を許可する

 

 

明久「……コレじゃ秀吉に見て来て貰う事は出来ないね」

 

雄二「そう言う事だ」

 

秀吉「どうしてワシだけが扱いが違うのじゃ!?」

 

雄二「あー……そう言えば前、鉄人が強化合宿で秀吉は風呂をどうとか言ってたっけ?」

 

ふと、プール騒動で指導された時、そう言う事を言っていた事を思い出した雄二。

 

光一「楓殿や命、姫路と島田に事情を話して、探してもらえば良い気がするが」

 

明・雄「「そうか、その手があった!」」

 

秀吉「何故ワシより先に思い浮かばんのじゃ!?」

 

……ドバン!

 

小山「全員手を頭の後ろに組んで伏せなさい!」

 

すごい勢いで部屋の扉があけ放たれ、女子がぞろぞろと入って来た。

 

秀吉「な、何事じゃ!?」

 

島田「木下と羽鳥はこっちへ!そっちのバカ3人は抵抗をやめなさい!」

 

中林「逃げられると思わないことね!外ももう包囲はしてあるわ!」

 

先頭に立つ美波と確かEクラス代表が、

とっさに窓から脱出しようとした僕達の機先を制した。

 

秀吉「何故お主らは咄嗟の行動で窓に向かえるのじゃ……?」

 

光一「それで、一体何の様だ?こんな時間にいきなり」

 

雄二「全くだ。仰々しくぞろぞろと、一体何の真似だ?」

 

小山「よくもまぁ、そんなシラが切れるものね。

   貴方達が犯人だってことくらい、すぐわかるというのに」

 

そこへ出て来て高圧的に言い放ったのは、確かCクラスの代表だ。

その後ろでは、大勢の女子たちも腕を組んでうんうんと頷いている。

 

明久「確か、Cクラス代表の小山さんだっけ?どうしたの?」

 

雄二「それより犯人って何の事だ?俺達は部屋にいたが」

 

小山「そんな嘘が通用するとでも思ってるの!? コレの事よ!」

 

小山が僕らの前に何かを突き付けて来た。

 

明久「……何これ?」

 

康太「…………CCDカメラと小型集音マイク」

 

ムッツリーニが答えた。

 

島田「女子風呂の脱衣所に設置されていたの」

 

ふむふむ。 コレが女子風呂の脱衣所に――

 

明久「え!?それって盗撮じゃないか!一体誰がそんなことを」

 

小山「とぼけないで。あなたたち以外に誰がこんなことをするっていうの?」

 

この台詞を聞いて、秀吉が小山さんの前に歩み出た

 

秀吉「違う!ワシらはそんな事をしておらん!覗きや盗撮なんてそんな真似は――」

 

明久「そうだよ!僕らはそんな事はしない!」

 

康太「・・・・・・・・・・・・!!(コクコク)」

 

秀吉の反論に合わせて前に出た僕とムッツリーニを冷ややかに見る小山さん

 

小山「そんな真似は?」

 

秀吉「・・・・・・否定・・・・・・できん・・・・・・っ!」

 

明久「ええっ!? 信頼足りなくない!?」

 

僕とムッツリーニが同じ扱いだという事実に少しだけ涙が出た。

 

康太「・・・・・・・・・・俺達はそんな事やっていない。

   それにそんなショボイ物は使わない」

 

光一「おい康太、それじゃ逆効果だぞ」

 

姫路「まさか、本当に明久君達がこんなことをしていたなんて・・・・・・」

 

殺気立つ女子の中から1人悲しそうな声をあげたのは姫路さんだった。

そうやって言われると信頼を裏切ったみたいで辛い。

でも、本当に身に覚えがないんだ!

 

島田「アキ・・・・・・信じていたのに、どうしてこんな事を・・・・・・」

 

明久「美波。信じていたなら拷問器具は用意してこないよね?」

 

ちなみに彼女から信頼のかけらも感じられない

 

明久「姫路さん、違うんだ!本当に僕らは――」

 

姫路「もう怒りました!よりによってお夕飯を欲張って食べちゃった時に

   覗きをしようなんて・・・・・・!い、いつもはもう少しその、スリムなんですからねっ!?」

 

島田「う、ウチだっていつもはもう少し胸が大きいんだからね!?」

 

明久「それはウソ」

 

雄二「し、翔子、俺を信じてくれ!俺はやっていない!」

 

霧島「・・・・・・本当?」

 

雄二「ああ、本当だ!!」

 

霧島「・・・・・・わかった。なら雄二を信じる」

 

中林「なっ!?霧島さんどういうことよ!」

 

霧島「・・・・・・織村が言ってた雄二が好きなら雄二の事を信じろって

   だから私は雄二のことを信じるだけ」

 

雄二「・・・・・翔子」

 

命「私も明久君のことを信じてます。

  だから美波ちゃん、瑞希ちゃんやめてください」

 

楓「そうですよ。翔子ちゃんと命ちゃんの言うとおりですよ」

 

中林「こいつたち以外に誰がこんなことをするっていうの?」

 

島田「そうよ」

 

姫路「土屋君もいますから否定できません」

 

小山「皆、やっておしまい」

 

素早い動きで周りを取り囲まれ、僕ら3人は石畳の上に座らされた。

これは大ピンチだ!光一も秀吉も女子に抑えられているし

雄二とムッツリーニは拷問を受けてる最中だし

 

島田「さて。真実を認めるまでたっぷりと可愛がってあげるからね?」

 

美波のS気質が全開だ。これはご機嫌を撮っておかないと命かかわる!

 

明久「あのね。僕、今まで美波ほどの巨乳が見たことがぎゃぁああああっ!」

 

島田「まずは一枚目ね」

 

褒めたのに! 頑張って褒めたのに重石が僕の膝の上にっ!

 

姫路「明久君。まさか、美波ちゃんの胸、見たんですか・・・・・・?」

 

明久「あははっ。やだなぁ。優しい姫路さんは

   そんな重そうな物を僕の上に載せたりなんてしないよね」

 

ドスッ

 

明久「ぎゃあぁあああ!!痛い痛い」

 

 

         ☆

 

 

その後もしばらく美波と姫路さんたちからオシオキをうけていた

 

明久「うぅ、僕やっていないのに・・・・・」

 

やばい、意識が薄れてきたよ。

ムッツリーニはすでにボロボロの状態で倒れているし、

雄二も僕と同じでもう限界だ。

 

すると

 

ドカッ!!!×2

 

部屋の扉の方と壁から何かが壊れるような音がした。

そちらも見てみると

全身から何か黒いオーラをだした貴浩が扉を殴れつけて立っているのと

女子を振り払って壁を殴りつけている光一の姿が見えた。

そして僕は意識から手を離した。





これからも応援よろしくお願いします。皆さんの感想お持ちしています


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貴浩激怒

4/29 修正


俺は部屋に戻ると目を疑った。

最初は部屋の前に女子が大勢いたので何事かと驚いたが、

その雰囲気が嫌悪の雰囲気なので女子をかき分けて部屋に入ると

明久と雄二、ムッツリーニがボロボロの状態で倒れている姿が目に入った。

 

ドカッ!!!

 

俺は思い切り左腕で部屋の扉を殴りつける。

少し強く殴り過ぎて扉に俺の拳がめり込んだ。

 

すると皆俺に気づいた様で俺のほうを見た。

そして何人かが俺のほうを見て後ずさった。

 

貴浩「・・・・・・おい、これはどういうことだ!

   何で明久たちがボロボロの状態になっているんだ!!」

 

小山「り、理由は簡単よ。こいつらがコレを使って覗こうとしたからよ」

 

小山がそういうとCCDカメラと小型集音マイクを取り出して俺に見せ付けた。

 

貴浩「コレは?」

 

光一「コレが女子のお風呂の脱衣所に隠されていたらしい。

   それで俺達が犯人だと決めつけやってきた」

 

光一が説明してくれる。

 

島田「そうよ。だからそんなことするのは土屋しかいないでしょ」

 

貴浩「それが絶対ムッツリーニのだという証拠でもあるのか?

   まさかソレが見つかっただけでこんな事しているわけじゃないよな?」

 

俺は殺気を込めて女子に聞いている途中で

 

砂原「さぁター君来てやったぜぇ…えっ?」

 

優子「どうしたの?え?何これ?」

 

愛子「コレどうしたの?」

 

そこへ脅迫状の件で相談しようと呼んでいた優子と愛子、砂原、椎名と刀麻がやってきた。

さすがの砂原もこの雰囲気を感じて畏まった。

 

貴浩「で、どうなんだ!!」

 

小山「え、い、いえ、で、でも同じクラスの島田さんがそう発言してるのよ」

 

貴浩「つまりは確信はないがソレが見つかったから

   それがムッツリーニのぽいからボコボコにしたってことか・・・」

 

バキッ!!

 

俺は再び拳に力を入れると扉を貫通しその衝撃で扉が壊れ外れてしまう。

その拍子に俺の拳が扉から外れ拳からは血が流れる。

 

貴浩「ふざけんなよっ!!確証が無ぇのにやってんじゃねぇよ!!!!

   それにそんな安物、買おうと思えば誰にも買える!!

   俺だって持ってるし、そこにいる砂原だって持ってる!だろ砂原」

 

砂原「う、うん。私も持ってるよ」

 

貴浩「だそうだ。なるべく女子には手を出したくなかったが、

   まだこれ以上やるというなら容赦しねぇぞ!!

   俺も本気でやらせてもらうからな」

 

俺は光一からもらったトンファーを殺気を出しながらとりだす。

 

「「「「「ひっ!?」」」」」

 

貴浩「確かにFクラスということだけ疑ってしまうのは仕方が無いことだがな、

   俺達はここについてすぐについさっきまで外で遊んでいたんだ!!

   それは鉄人に聞けば教えてくれるさ!!!

   他のFクラスのヤツラも今まで鉄人が監視していたらしいからそんな事できねえよ!!」

 

光一「た、貴浩殿、落ち着いてください」

 

楓「に、兄さん落ち着いて」

 

秀吉「た、貴浩。少し落ち着くのじゃ」

 

刀麻「さすがに手を出すのはマズイって」

 

光一と秀吉、刀麻が俺の手足を掴んで押さえつける。

 

翔子「・・・・・・鈴歌。先生呼んできて」

 

砂原「わ、わかった」

 

貴浩「で、島田!!姫路!!」

 

島・姫「「は、はいっ」」

 

貴浩「お前らは俺達と一緒にいたはずだよな?

   ならこんなことできないってわかるはずだろうが!!!

   それを何だ!!お前らが率先して明久たちに手を出してんじゃねぇよ!!

明久を信じてないのか!!」

 

俺がそういうと今さら気づいたように2人は下を向く。

 

貴浩「・・・・・そうか、普段は照れ隠しで明久をボコボコに

   してるんだと思ったが俺の勘違いだったようだな」

 

島・姫「「えっ?」」

 

そこで2人は顔を挙げ俺のほうを見る。

 

貴浩「お前らは明久を殺したいほど憎かったんだな。

   だから信じていないんだな!それなら納得できる。

   なら俺は遠慮せず命の応援に専念できる。

   今まではお前らが明久に好意を寄せているもんだと思い、

   少し遠慮してたが、もう遠慮はなんてしねぇ!!」

 

姫路「ど、どうしてそうなるんですか!?」

 

島田「そ、そうよ。ウチ達はアキの監視をしてるだけよ」

 

貴浩「今のお前らを見てそうしか思えねえよ!!!

   それにな明久はお前らの何だ!!所有物か?違うだろうが!!

   何が監視だ!!明久が何しようとお前らには関係ねぇだろうが!!!

   前々から思ってたが今、はっきり言わせて貰うけどお前らかなりウゼェ!!

   今後俺や明久に近づくな!!目障りだ!!!」

 

西村「・・・・・・これはどういうことだ」

 

そこへ砂原が鉄人を連れて戻ってきた。

 

貴浩「光一、刀麻、霧島。悪い、鉄人に話しておいてくれないか。

   命に楓、秀吉、椎名は悪いけど明久たちを頼む」

 

光一「貴浩殿は?」

 

貴浩「・・・・・・気分が悪い。外で風に当たってくる。で、そこの女子ども!

   今回が初めてだからこれ以上は言わないが明久たちには後でちゃんと謝っておけよ。

   それで今回はお前らは許してやるが、島田と姫路については知らん!勝手にしろ!!

   俺は2人を許す気にはなれん!!」

 

俺はそういうと部屋から出て行った。

 

 

 

         ☆

 

 

 

俺は1人芝に寝転がり風に当たっていると

 

優子「こんなところにいたのね」

 

愛子「やっと見つけたよ」

 

優子と愛子がこっちに駆け寄ってきた

 

貴浩「・・・・・・どうした2人共」

 

優子「どうした、じゃないわよ。

   アナタに呼ばれて部屋に行ったらあんななことになってるじゃない」

 

愛子「だから貴浩君が心配になって探してたんだよ」

 

優子「それにあなた手怪我してるんでしょ」

 

貴浩「ん?本当だな。今まで気づかなかったな」

 

優子にそういわれ右手を見てみると血が流れ出ていた事に気づいた。

 

優子「じゃあ手出してなさい。治療するから」

 

優子は治療箱を取り出して治療を始める

 

貴浩「悪いな2人とも」

 

優子「いいえ、どういたしまして」

 

貴浩「・・・・・・2人は俺達を疑わないのか?」

 

優子「アナタはアタシたちをバカにしてるの?」

 

愛子「そうだよ。僕達だって貴浩君たちと一緒に居たんだから」

 

貴浩「まあそうだけど・・・」

 

優子「それにね貴浩とは1年の付き合いなのよ。

   アナタがそんなことしないってわかるわよ」

 

愛子「僕もまだ優子たちほど付き合いは長くは無いけど

   貴浩君・・・それに吉井君たちがあんな事するなんて思ってないよ」

 

貴浩「ありがとう」

 

優子「それにね。楓が入るお風呂にアナタが隠しカメラを仕掛けるわけ無いわよ」

 

愛子「だね。それにムッツリーニ君もなのはちゃんにゾッコンみたいだしね」

 

貴浩「ハハッ・・・それもそうだな」

 

優子「はい、治療終わったわよ」

 

貴浩「ありがとう優子」

 

愛子「そういえばボク達を呼んでたけどどうしたの?」

 

貴浩「明久たちもそろそろ目を覚ますだろうから皆の前で言うさ」

 

愛子「そうなんだ。じゃあ部屋に戻ろう」

 

貴浩「そうだな、このままじゃ2人が風邪引いてしまうかもしれないな」

 

そこで俺達3人は部屋へと戻った。

 

部屋に戻ると意識を戻した明久たちや霧島達がいた。

 

部屋と言っても俺が扉を壊したので別の部屋に移動したが。

今度の部屋は前の部屋より広くなっていた。

空いてる部屋が他に無かったらしい。これはこれでラッキーだな。

 

まあ後で鉄人に説教をもらったのは言うまでも無いが・・・



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作戦!

4/29 修正


明久や雄二たちが意識を取り戻したので、

優子や愛子、霧島たちがいるので話をする事にした。

 

話とは俺と明久の脅迫の件である。

雄二の件は何とか霧島さんを説得させた。

 

優子「そう、そんな事があったのね」

 

貴浩「今、ムッツリーニと光一に頼んで探ってもらってるんだが

   手が足りないから砂原にも手伝ってもらおうかなと思ってな」

 

砂原「そういうことなら了解だよ!」

 

秀吉「しかし、アレは本当に酷い濡れ衣じゃったのう

   ……何故だかワシは被害者扱いじゃったのも解せぬが」

 

楓「ヒデ君、ドンマイです」

 

明久「ホント、酷い誤解だったよ」

 

康太「…………見つかるようなヘマはしないのに」

 

刀麻「ムッツリーニその返事は危ないぞ」

 

光一「ん?貴浩殿に雄二、どうしたんですか?さっきから黙ってますが?」

 

光一が話しかけると、決意したかのように立ち上がる雄二。

 

雄二「……上等じゃねえか」

 

明久「え? 雄二?」

 

貴浩「・・・だな」

 

突然雄二は、怒りを目に宿し怒鳴るように言い放つ。

俺も雄二に同調する。

 

秀吉「どうするつもりじゃ」

 

雄二「真犯人を捕まえてやる」

 

貴浩「さすがにやられたままじゃな・・・腹の虫がおさまらねぇ・・・」

 

命「でもどうやるんですか?」

 

貴浩「俺の考えじゃまだ女子風呂の更衣室に隠しカメラが隠されているはずだ」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

雄二「やはりお前もそう思うか・・・」

 

貴浩「なら女子にはもう1つの隠しカメラを探しだしてもらうか」

 

雄二「そして俺達は女子風呂へと向かう」

 

明久「な、何言ってるの雄二!?」

 

雄二の一言に皆が驚愕する

 

雄二「まあ落ち着け。おそらく犯人は今回の事でこれで俺達が女子風呂を

   覗くと考えているはずだ。ならそれを逆手に取る」

 

なのは「どうするの?」

 

雄二「まず、今からFクラスメンバーで女子風呂へと突撃する真似をする。

   実際はおそらく教師が見張ってるだろうからそこで進撃を停止する。

   そうしたら明日にはこの噂を犯人が聞くだろう」

 

明久「それで?」

 

雄二「そこでおそらく向こうからもう1度覗きをしないかの誘いが来るだろうから

   それに乗りそこで光一、ムッツリーニ、砂原たちに犯人を突き止めてもらう」

 

明久「でもそれで犯人達がでてくるかな?」

 

貴浩「おそらく出てくる。犯人は俺達に罪を着せて

   自分達に非がでないようにしているし、犯人たちは覗くのが目的だろうから」

 

明久「でもこのままだと僕達も危なくない?」

 

雄二「それは先に翔子や木下姉たちに鉄人に話をしておいてもらう。

   それにこれは最終日まで続くはずだからな。

   犯人は必ず最終日までには姿を現す。そこで最終日は俺達は反旗を翻す。

   先に教師に説明しているから退学にはならないだろう」

 

明久「でも女子には反感を買うんじゃない」

 

貴浩「それは事前に女子には話しておけばいい」

 

雄二「そういう事だ。なら行くぞ」

 

明久「了解」

 

貴浩「じゃあムッツリーニと光一、砂原は情報収集頼むな」

 

康太「・・・・・・・・・任せろ」

 

光一「任せてください」

 

砂原「了解だね」

 

貴浩「じゃあ霧島さん、優子、愛子、なのは、椎名、鉄人に説明よろしく」

 

優・愛・な「「「任せて(よ)」」」

 

椎名「うん」

 

貴浩「・・・そうだ楓、命。このことは絶対に姫路と島田に話すなよ」

 

命「え?話さないの?」

 

貴浩「ああ、少し考えがあるからな」

 

命「うん、わかったよ」

 

楓「兄さんがそう言うなら・・・それに私も少なからず2人には怒ってますので・・・」

 

明久「じゃあ貴浩行こう」

 

貴浩「了解!刀麻も行くか?」

 

刀麻「もちろんだ!友として協力するぜ」

 

 



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VS教師陣①

4/30 修正


場所は女子風呂へと続く廊下

 

音をたてない様に靴もスリッパもはかず、靴下でその場を駆け出していると

 

布施「君達、止まりなさい!」

 

レイブン「そこまでだよ」

 

その前方から、化学教師の布施先生と世界史の烏丸先生ことレイブンが姿を現した。

 

布施「更衣室にカメラが設置されていたと聞いて警戒していたら

   ……まさか本当に覗き犯がやってくるとは思いませんでした」

 

レイブン「さすがにここから先は行かせられないわよん」

 

秀吉「どうするのじゃ?」

 

秀吉の言葉に、雄二は躊躇いもなく……

 

雄二「構わん!ブチのめせ!」

 

布施「そこはかまいなさい坂本君!私たちは一応教師ですよ!?」

 

刀麻「了解!」

 

布施「不知火君も、了解じゃないでしょう!あなたはAクラスの生徒ですよね」

 

明久「この前の補習の恨み、受けて貰ういます」

 

布施「ひぃぃぃいいっ! さ、サモンッ!」

 

そこで、突如現れた小さな体が明久の腕をはじいた。

 

明久「…………っ!」

 

雄二「しょ、召喚獣だと!?しかも今……教師用の召喚獣は、物に触れるのか!?」

 

あまり成績の良くない生徒が呼びだしても、人の数倍の力を持つ召喚獣。

教師の点でならその力は計り知れないが、

普通は“観察処分者”である明久の召喚獣以外は、物に触れる事は出来ない筈である。

 

レイブン「吉井が観察処分者に認定されるまでは、雑用は自分達でやっていたからね。

     だから物質干渉ができる方が都合が良いのさ」

 

貴浩「なら、布施先生は雄二と刀麻と秀吉が、俺と明久がレイブンをやる。

   明久、俺が召喚獣を相手にするからお前はレイブンをぶちのめせ!」

 

明久「了解」

 

レイブン「了解じゃないよ!何怖い事言ってるんだい、お2人は!?」

 

貴浩「雄二、召喚獣が物理干渉できるって事はフィードバックも作用するはずだ。

   だから召喚獣を殺れば一石二丁だ」

 

雄二「そうか!わかった」

 

布施「いや、わからないでください!!」

 

そこはよくババアの実験の手伝いをしてたからババアから聞いたことだ。

 

布施「でも負けるわけにはいきません『試獣召喚(サモン)!』」

 

レイブン「『試獣召喚(サモン)!』」

 

雄・秀・刀「「「『試獣召喚(サモン)!』」」」

 

貴・明「「『試獣召喚(サモン)!』」」

 

≪ 化学 ≫

                

布施先生    589点   VS    坂本雄二    182点

                     木下秀吉     96点  

                     不知火刀麻   253点

 

 

≪ 世界史 ≫

 

烏丸先生    652点   VS    織村貴浩    401点

                     吉井明久    215点

 

 

 

 

刀麻「げぇ!?なんだあの点数は?」

 

明久「まさか点数を操作したとか?」

 

雄二「レイブンならそうかもしれないな」

 

レイブン「・・・・・・俺って信用ないのね」

 

秀吉「でもどうするのじゃ、点数で負けておるぞ」

 

雄二「人数はこちらのほうが上だ。数の差で押し通せ」

 

貴浩「なら行くぞ明久!」

 

明久「了解!」

 

貴浩「グラビトン!!」

 

俺は腕輪の能力を使いレイウンごと押しつぶす。

今回はたまたま世界史で400点超えたが・・・・・・・次回はどうだろうな。

 

貴浩「今のうちだ明久」

 

明久「わかったよ!いくよレイブン!『殺劇』!!」

 

明久の召喚獣が木刀を投げ捨て一気にレイブンの召喚獣の後ろをとり

拳と蹴りによる連激を浴びせる。

 

明久「はっ!せいっ!はぁ!せやっ!はぁぁぁ!!『舞荒拳(サツゲキブコウケン)』!!」

 

最後に力を込めた拳で殴り突つけた。

 

レイブン「ッ!キクねこれは・・・・・」

 

明久は上手く俺のほうへとレイブンの召喚獣を飛ばしてきた

 

貴浩「なら俺も『殺劇舞荒剣(サツゲキブコウケン)』!!」

 

明久の技に続いて俺も技を繰り出す。

 

貴浩「おりゃりゃりゃりゃりゃ、おりゃぁ!!」

 

貴・明「「トドメッ!!」」

 

俺と明久は吹っ飛んだレイブンの召喚獣に前後から刀と拳を突き刺した。

これでレイブンの召喚獣は消滅した。

 

レイブン「っ!!」

 

布施「烏丸先生!?」

 

貴浩「こっちは終わりだ。明久は雄二たちの援護を」

 

明久「うん、わかった」

 

明久にそういうと俺はレイブンい近づいた

 

貴浩「レイブン、なんで手を抜いたんですか?」

 

いかに俺たちでも教師相手だと普通はこうはいかない。

こう簡単にいったのは先生が手を抜いた以外考えられない。

 

レイブン「う~ん。今日は調子が悪くてね」

 

貴浩「・・・・・・・・そうですか。ならコレで」

 

俺は自分の召喚獣の腕にナルトの螺旋丸位の大きさの重力の玉を生成する

 

レイブン「え?それどうするつもり?」

 

貴浩「もちろん、決まってますよ・・・・・くたばれ!!」

 

俺はレイブンの腹にその玉で殴りつけた。

その威力でレイブンは気絶した。

 




明久のはTOXのジュードの殺劇舞荒拳で
貴浩のはTODのスタンの殺劇舞荒剣でした。


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VS教師陣②

4/30 修正


俺がレイブンを召喚獣の攻撃で気絶させる

 

貴浩「レイブン!Fクラス、織村貴浩が討ちとった!!」

 

布施「烏丸先生!?大丈夫ですか!?」

 

雄二「余所見して余裕だな」

 

布施「え?うわぁ!」

 

布施先生がレイブンに気を取られ、召喚獣が倒されてしまう

 

雄二「よし、明久トドメを」

 

明久「了解!」

 

明久がトドメをさそうとすると別の召喚獣が召喚された。

 

そして

 

???「リリスラッシュ!」

 

突然現れた召喚獣に明久の召喚獣が吹き飛ばされる。

 

雄二「誰だ!?」

 

召喚獣が現れたほうをみると

 

そこには生物のスタン先生、日本史のルーティ先生、家庭科のリリス先生、

英語のジュディス先生、物理の森田先生も5人の先生たちがいた。

  

森田「何やってるのよ烏丸先生は?情けないわね」

 

ジュディス「それだけこの子達が手ごわいってことでしょ」

 

スタン「へぇ~彼らが俺と同じ技を使う事ができる生徒か」

 

ルーティ「ちょっとスタン感心してないの」

 

リリス「大丈夫でしたか布施先生」

 

布施「はい、おかげ様でなんとか・・・」

 

5人の先生は布施先生に近づく。

 

貴浩「・・・・・さすがに5人の教師相手だときついぞ」

 

雄二「だが、これは逃げられないだろうな」

 

刀麻「だな。ならやるしかないだろう」

 

貴浩「じゃあ難しいだろうが1人1殺を目標で」

 

明久「頑張らないとね」

 

秀吉「もう目的が変わってる気がするがのう」

 

雄二「今日の目的は達したからいいだろう。

   それに貴浩と刀麻がやる気マンマンだしな」

 

秀吉「まあやれるだけやってみるかの」

 

ジュディス「あら?やる気満々ね。私そういう子好きよ」

 

森田「・・・・・・メンドクサいわね」

 

スタン「俺、あの織村ってヤツとやりたいな」

 

ジュディス先生とスタン先生は好戦的だが森田先生はメンドクサそうだ

 

貴浩「自分をご指名ですか。なんか嬉しいですね。

   スタン先生は教師の中でも操作技術が高いらしいですしね」

 

ジュディス「あら?スタン先生。その子は私も目をつけていたのに」

 

スタン「ジュディス先生もですか?」

 

ジュディス「でもスタン先生に譲るとするわ。

      私は・・・そうね・・・吉井君にしようかしら。彼も面白そうだし」

 

明久「僕の相手はジュディス先生ですか。

   僕の相手がこんな綺麗な先生で光栄ですね」

 

ジュディス「嬉しい事いってくれるわね」

 

雄二「なら俺達もやるぞ」

 

スタン「ルーティ。日本史のフィールド展開してもらっていいか?」

 

雄二「俺達の得意科目でいいのか?」

 

ジュディス「そうじゃないと面白くないでしょ」

 

刀麻「あとでそれを後悔させてあげますよ」

 

貴・明・雄・秀・刀「「「「「試獣召喚(サモン)」」」」」

 

ス・ジュ・リ・森・ル「「「「「試獣召喚(サモン)」」」」」

 

 ≪日本史≫

 

織村貴浩   592点       スタン先生    592点 

           

吉井明久   275点       ジュディス先生  532点

 

坂本雄二   384点   VS  リリス先生    632点

   

不知火刀麻  473点       ルーティ先生   953点

 

木下秀吉   133点       森田先生     603点

 

 

 

 

貴浩「なら行きますよスタン先生!」

 

スタン「来い!織村!!」

 

吉井「では行きますよ。ジュディス先生」

 

ジュディス「私を楽しませてね」

 

俺と明久は先生と戦う事に集中しているが・・・・・・

 

雄・刀・秀「「「なんだよ(じゃ)!!あの点数は!?」」」

 

雄二たちは先生達の点数に驚いていた

 

ルーティ「一応担当科目だしね」

 

森田「コレくらいとれて当たり前よ」

 

リリス「では、いきますよ」

 

再び教師陣との戦いが始まった



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VS教師陣③

4/30 修正


離れたところでお互いに教師陣と戦闘が繰り広げられていた

 

貴浩「魔人剣!!」

 

スタン「魔人剣!!」

 

お互いに同じ技を繰り出し相殺していく。

 

スタン「さすが織村というべきかな」

 

貴浩「お褒め頂きありがとうございますっと」

 

何度かこれと同じ事を繰り返していく。

 

スタン「これじゃラチがあかないな・・・・・・なら」

 

そこでスタン先生は腕輪を発動させる

 

スタン「ファイアボール」

 

スタン先生がそういうと4つの火の玉がこちらに向かってくる

 

貴浩「げぇ!?」

 

俺はそれを銃を使って2発消し残りの2発はギリギリで避ける。

 

スタン「そこだ!紅蓮剣!!」

 

するとすぐ後ろにスタン先生が迫ってきており何とか先生の攻撃を防ぐが、

炎が纏われておりダメージを喰らってしまう。

 

貴浩「熱っ!」

 

スタン「今のでやられないか」

 

貴浩「今度はこちらの番です」

 

俺は再び重力場を手のひらに形成する

 

貴浩「重力丸」

 

はい、螺旋丸のパクリです。

 

スタン「っ!!」

 

直撃はしなかったがかすりはした。

 

スタン「さすがだね。君以外の生徒は皆終わったというのにな」

 

スタン先生がそういうので俺は周りを見てみると

 

 ≪日本史≫

 

織村貴浩   501点       スタン先生    492点 

           

吉井明久     0点       ジュディス先生  220点

 

坂本雄二     0点   VS  リリス先生    602点

   

不知火刀麻    0点       ルーティ先生   900点

 

木下秀吉     0点       森田先生     532点

 

 

 

皆いつの間にかに戦死していた。

 

ルーティ「ジュディス先生、随分点数が減ったわね」

 

ジュディス「何気に彼が手強くてね」

 

森田「私は一撃で片付けたわ」

 

リリス「いきなり奥義なんてだすんですもの。ビックリしましたよ。

    おかげで私も少し点数が減ったじゃないですか」

 

森田「ごめんごめん」

 

ルーティ「で、後はスタンだけよ。まだ終わらないの?」

 

スタン「いや、彼思ってたより凄いよ」

 

森田「早くしなさいよね。じゃないと私がやるわよ」

 

スタン「ま、待ってよ。よしなら行くぞ、フィラフルフレア!」

 

上空から先ほどより大きな炎が数発迫ってくる。

あれはさすがに拳銃じゃ無理だな。なら。

俺は両手を胸の前におき迫ってくる炎に向けて手を伸ばすと

 

貴浩「グラビトンノヴァ!!」

 

俺の両腕から一直線に重力で精製されたビームを発射した。

その攻撃により先生の攻撃は消滅した。

 

これ、威力は高いけど点数消費が激しいんだよな。

 

 

織村貴浩   401点       スタン先生    462点

 

 

今ので差が開いたな。

 

なら今度は

 

貴浩「行きます!『殺劇舞荒剣(サツゲキブコウケン)』!!」

 

スタン「なら俺も『殺劇舞荒剣(サツゲキブコウケン)』!!」

 

お互い同じ技で対抗する

 

貴・ス「「おりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ」」

 

少しずつ俺の召喚獣が押されてきた。

フィードバック作用があるからわかるがスタン先生の技のほうが威力があるし、

腕輪の力で炎を纏っている分こちらが不利だ。

 

スタン「これで終わりかな?」

 

貴浩「っ!?」

 

スタン「おりゃりゃりゃりゃりゃ、おりゃぁ!!」

 

俺はスタン先生の技に押し負け俺の召喚獣は消滅した。

 

 

織村貴浩   0点       スタン先生    142点

 

 

貴浩「はぁ~負けたか」

 

スタン「お疲れ織村。勝負楽しかったぞ」

 

貴浩「自分もです。ありがとうございました」

 

鉄人「さて、勝負が終わったことで戦死者は補習だ。

   それに覗きをしようとするとはそんな生徒にはより厳しく指導してやる」

 

貴浩「げぇ!?忘れてた」

 

その後は鉄人につかまり俺達は補習室で指導をくらった。

まあ優子や愛子たちが先に説明しておいてくれたから

覗きの件は何もお咎めがなかったが、

俺は部屋に穴を開けた件で皆とは別に説教をくらった。

 



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合宿本来の目的

4/30 修正


そして夜は明けて、強化合宿本番。

 

翔子「……雄二。一緒に勉強できてうれしい」

 

雄二「待て翔子、当然の様に俺の膝の上に座ろうとするな。

   クラスの連中が靴を脱いで俺を狙っている」

 

強化合宿ではAクラスとFクラスは同じ部屋で合同で勉強をしている。

 

明久「雄二も素直じゃないね」

 

貴浩「仕方がないさ。恥ずかしんだろうよ雄二は」

 

秀吉「そうじゃな。しかし、折角のAクラスとの合同学習だというのに何故自習なのじゃ?」

 

秀吉はふと疑問に思い口にする。

 

明久「それもそうだね」

 

ふと、秀吉が疑問を口にした。それに明久も賛同する。

 

貴浩「簡単な事だ。この合宿の趣旨は“モチベーションの向上”だ。

   分かるように言うと、Aクラスは“Fクラスの様になるまい”、

   Fクラスは“Aクラスの様になりたい”と思わせて意欲を向上させるのが目的だな」

 

明久「そっか。だから授業をやらないんだね」

 

貴浩「そう言う事。さて勉強するなら教えてやれるぞ?

   一応名目は強化合宿だからな。でも秀吉には楓がいるか。なら、おーい楓」

 

秀吉「なっ////」

 

楓「何ですか?兄さん」

 

楓が俺に呼ばれやってくる

 

貴浩「今からさ、秀吉に勉強教えてくれ?」

 

楓「ヒデ君にですか。良いですよ!じゃあヒデ君向こうで一緒に頑張りましょう」

 

秀吉「うむ、よろしく頼むのじゃ////」

 

貴浩「それと楓。後で少しいいか。昨日のことでな」

 

楓「はい、わかりました。その時は命ちゃんも呼びますね」

 

貴浩「よろしく。じゃあ雄二は霧島に教わるみたいだから

   俺は明久とムッツリーニに教えるとするか」

 

 

ちなみに光一は羽鳥財閥の息子ということもあり、成績はAクラスです。

そして今は情報収集中───

 

 

康太「・・・・・・・・・・・よろしく頼む」

 

明久「じゃあよろしくね貴浩」

 

貴浩「じゃあ今はとりあえず俺の得意科目の数学を教えるか。

   まあ因数分解はさすがにわかるよな?」

 

明久「・・・・・・」

 

康太「・・・・・・(プイ)」

 

貴浩「ま、まじか・・・・・・良く入学できたな!?

   ってか待て!お前らの数学の点数はいくらだ!?」

 

そこへ

 

愛子「あ、貴浩君と吉井君とムッツリーニ君だ。

   代表もここにいる事だしボクもここにしようかな?」

 

愛子が近くの席に座った。

 

貴浩「愛子か。じゃあ一緒にやらないか?」

 

愛子「うん。それじゃあ何の勉強するの?パンチラの勉強でもする?」

 

明久「パンチラの授業ってなに?」

 

康太「・・・・・・・・・・パンチラ(ブシュー)」

 

明久の言う事も最もだ。ってかムッツリーニお前大丈夫か?

 

愛子「あ、なんなら、ここで披露して見せよっか?

   貴浩君も居る事だし、サービスするよ?」

 

明久「えっえええぇぇぇぇ!!」

 

愛子が立ち上がり、スカートのすそをつまみ始める。

明久は手で顔を隠すが、指の隙間からソレを見つめる。

 

明久「あれ?どうしたのムッツリーニ。

   普段はエロが大好きなはずなのに、随分冷静だね」

 

貴浩「確かにそうだな。どうしたムッツリーニ?

   エロが大好物なお前が大人しいとは気味が悪いな」

 

明久「僕ですらこんなにドキドキしてるっていうのに」

 

貴浩「そうだぞ。俺だってドキドキしてるんだぞ」

 

康太「…………騙されるな」

 

そこへ、ムッツリーニが意味深な言葉を告げて来た。

 

貴浩「本当にどうしたんだムッツリーニ?お前がエロが大好きなのに

   こんな美味そうなイベントに乗らないなんて熱でもあるのか?」

 

康太「…………奴はスパッツをはいている」

 

明久「そ、そんな!?工藤さん、僕を騙したね!?」

 

貴浩「そんな!?愛子、俺たちの純情を返すんだ」

 

愛子「ごめんね。2人とも。お詫びに面白いもの見せてあげるよ」

 

といって、ある物を取り出した。

 

明久「何?」

 

康太「…………小型録音機」

 

愛子「うん。コレ、すごく面白いんだ。たとえば……」

 

 

――ピッ! 

 

<工藤さん><僕><こんなにドキドキしている>

 

 

明久「わあああああああっ!僕そんな事言ってないよ!?

   変なものを再生しないでよ!!」

 

貴浩「ダメだぞ愛子。そんな事したら明久が可愛そうだろ」

 

愛子「ごめんごめん。じゃあ次は……」

 

 

ピッ!

 

<愛子><大好き><俺><こんなにドキドキしているんだ>

 

 

貴浩「うわぁあああああっ!俺もそんな事言ってないよな!!

   だから今すぐに消すんだ!!」

 

優子「ねぇ貴浩。今、面白い事聞いた気がするんだけど」

 

貴浩「げっ!?優子」

 

優子「どういうことかしら」

 

 

ピッ

 

<優子><大好き><俺><こんなにドキドキしているんだ>

 

 

貴浩「おぉい!!愛子!!もうやめてくれっ!!」

 

優子「えっ///いきなりそんな事言われても」

 

 

――ピッ!

 

<愛子><優子><が><欲しい><美味そう>

 <だから><今すぐ><一緒に><やらないか>

 

 

貴浩「っておいいいいいっ!!」

 

なんだよコレ?変態発言じゃないか!?

 

明久「工藤さん、貴浩をいじめすぎだよ」

 

愛子「ね、面白いでしょ?」

 

面白いとかそういう問題じゃねぇ……

 

俺達のやり取りは、教室中の注目を浴びていた。

 

久保「君達、少し静かにしてくれないか?」

 

明久「あ、ごめん」

 

明久が久保をはじめ、この部屋にいる全員に頭を下げる。

 

久保「吉井君か。とにかく気を付けてくれ。

   まったく、“織村貴浩”をはじめとして姫路さんといい島田さんといい、

   Fクラスは危険人物が多くて困る」

 

久保はそういうと自分の席へと戻っていった。

 

 



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明久とムッツリーニの成績

4/30 修正


貴浩「さて、話が脱線しすぎだが勉強でもするか」

 

俺は久保に注意された事もあり話を戻す。

 

優子「ならアタシも一緒にいいかしら?」

 

命「あっ、貴浩君。私も一緒に良いですか」

 

なのは「わたしもいいかな」

 

そこで優子と命、なのはの3人がこちらにやってきた。

 

貴浩「いいぞ。そういえば3人とも数学とかの理系科目はどうなんだ?

   理系なら俺が教えられるが・・・・・・」

 

この合宿では各生徒に一番最近受けたテストの点数を書いた紙が配られている。

 

俺はそこで3人から成績表を見せてもらうことにした。

明久とムッツリーニは出し渋ったので無理やり奪い取ったが・・・

 

 

 

    織村貴浩  吉井明久  土屋康太   木下命  

数学  739点   54点   32点    55点 

化学  415点   44点   21点   128点 

物理  626点   61点   41点   141点 

生物  468点   66点   51点   137点

 

 

    木下優子  工藤愛子  なのは

数学  392点  257点  451点

化学  341点  242点  385点

物理  363点  319点  601点

生物  311点  296点  312点

 

 

 

明久「やっぱり貴浩は凄いね。全部400点台だ」

 

康太「・・・・・・・・凄すぎる」

 

命「私はもう少し数学を頑張らないと・・・・・」

 

なのは「私も理系だから数学は得意なほうだけどタカ君と比べるとね」

 

愛子「今度から理系は貴浩君に習おうかな?そしたら成績が伸びるかな?」

 

優子「アタシもそうしようかしら?」

 

貴浩「それは別にかまわないが・・・・・・まず一言。

   明久、ムッツリーニ何なんだあの点数は!?ひどいだろアレは!?

   ・・・・・・・ちょっと待て。お前ら他の点数はどうなってんだ!?」

 

俺は2人の点数の酷さ驚きの声をあげる

 

康太「・・・・・・・・貴浩は凄い」

 

明久「貴浩が凄いんだ!」

 

貴浩「凄いじゃない!!なんだよ!あの点数は!?」

 

康太「・・・・・・・・・・俺の全力だ」

 

明久「この時はたまたま僕のストライカーΣが不調で」

 

貴浩「ムッツリーニはあれが全力!?

   で、明久お前はまだそんなものを使ってんのか!」

 

ベキッ!!

 

明久「ああ、僕のストライカーΣがぁ!!」

 

貴浩「そんなもの使うな!実力で取れ!!」

 

俺は明久とムッツリーニの他の教科の点数も無理やり見てみると

 

      吉井明久     土屋康太

 

現代国語  121点      71点

古典      9点      11点

日本史   386点      87点

世界史   228点      69点

現代社会   64点      91点 

英語     61点      61点

保健体育  110点     581点

 

※家庭科は乗せていません

 

 

愛子「うわぁ!またムッツリーニ君に保健体育で負けたよ」

 

命「明久君、日本史と世界史は点数が高いですね」

 

優子「アタシが吉井君に日本史で負けてるなんて・・・・・」

 

貴浩「なんか色々凄いな。お前ら・・・・・」

 

康太「・・・・・・・保健体育なら誰にも負けない」

 

 

 

その後は、あきれながら明久とムッツリーニに数学を教えた。

もちろん他の皆にも教えてあげた。

ただ明久とムッツリーニに関しては厳しく教えてあげた。

途中で雄二と霧島も参加した。

 

 

愛子「そういえば、貴浩君たち先生たち相手に大暴れしたんだって?」

 

貴浩「うーん、ただ、レイブンを気絶させただけだけどな」

 

明久「布施先生はやり損ねたけどね」

 

雄二「まさか、あの後あそこで教師が5人も現れるとは思わなかったがな」

 

貴浩「スタン先生は強かったな、最後は押し負けたしな」

 

明久「そうだよね。ジュディス先生も強かったしね」

 

優子「貴浩でも負ける事があるのね」

 

貴浩「今度は勝ってやる」

 

雄二「貴浩、あくまで作戦の事を忘れるなよ」

 

貴浩「それはもちろん忘れないが負けたままってのは嫌でね」

 

愛子「貴浩君たちが昨日覗こうとして先生達を倒した事、結構有名になって来てるよ」

 

雄二「それも作戦の内だからな」

 

貴浩「だけど今のままじゃ先生たちに勝てないのも事実だろうな」

 

雄二「結構弱音発言だな」

 

貴浩「戦ってみてわかったが先生たち全然本気出してないからな」

 

明久「そうだよね。なら雄二の腕輪で練習してみない?」

 

貴浩「練習か・・・いいなそれ」

 

雄二「・・・・・・確かにこれから先もまた教師と戦うことにもなるだろうし

   今後の試験召喚戦争にも活かせそうだしな」

 

貴浩「なら、練習するってことで決定だな」

 

そこで時間があるときに操作の練習をすることになった。

 

貴浩「そろそろ各クラスの女子たちとの話し合いの時間か」

 

須川「おーい、坂本!今、Eクラスのヤツラから覗きに参加しないか、

   言われたんだが一応代表に報告しておいたほうがいいと思ってな」

 

雄二「そうか、なら俺が行くからFクラスのメンバーを集めておいてくれ!

   貴浩そっちは任せるぞ」

 

貴浩「了解!」

 

俺は隠しカメラの犯人を捕まえるため女子にも協力してもらうために

今から女子の代表を集めての話し合いとなる



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俺達の作戦会議(女子との)

5/1 修正


優子「皆揃っているわね。これから隠しカメラの犯人を捕まえるための会議を行うわ」

 

今この場には、Aクラスからは霧島と優子、砂原、

Bクラスからは蘭に五十嵐、Cクラスからは小山に、Dクラスからは清水、

Eクラスからは中林、Fクラスからは俺と明久、楓、命が集まっている。

 

清水「いったい何のための会議ですの? 隠しカメラは昨日見つけたはずですわ」

 

砂原「それがねぇ、あの後ター君たちの指示でもう一度脱衣所を調べたらね、

   もう1つ隠しカメラが見つかったんだよん」

 

貴浩「だから昨日のはダミーだな」

   

蘭「そういや、なんで貴浩がいるんだ?」

 

貴浩「それりゃ昨日、女子達に犯人扱いされたからな。

   真犯人を見つめだしころs──(ゲフン)反省させるためだ」

 

今の俺の発言に小山と中林が体を震わせる。

女子たちは朝一で明久たちの元に訪れ謝罪したらしいので今はもう許している。

2度目は知らないがな。

 

明久「だから僕達も協力して犯人を捕まえようとしているんだ。

   犯人は今、覗き仲間を増やしているみたいだからね」

 

優子「だからFクラスの人たちは、犯人がわかるまで

   覗きの手助けをするフリをして見つけてもらう作戦よ」

 

五十嵐「で、でも、犯人を見つけることができるのかな」

 

明久「そうだね。犯人は男か同姓愛者の女子しかいないね」

 

貴浩「ん?同姓愛者」

 

同姓愛者か・・・・・・その発想はなかったな・・・

・・・・・・なら、もしかすると・・・・・・いや・・・でも・・・まあ・・・試してみるか・・・

 

明久「ん?どうしたの貴浩?」

 

貴浩「・・・・・・なあ、清水って同姓愛者って噂だったよな。

   しかもウチのクラスの島田の事を愛してたはずだったような気がするが」

 

明久「あっ! そうだね。確かDクラス戦の時も美波に迫っていたよね」

 

そこで皆の目線が清水へと向かう

 

貴浩「質問していいか? 昨日カメラが見つかった時、お前何してた?」

 

清水「その時間は入浴時間だったので美春はお風呂場にいましたわ」

 

中林「そういえば、カメラを見つけたのも清水さんだったわね」

 

命「そういえばそうでしたね」

 

清水「み、美春を疑ってますの?」

 

貴浩「少しな。だから試させて貰う」

 

俺は持ってきていた大きめ鞄からある機械を取り出した。

 

霧島「・・・・・・それ何?」

 

貴浩「ああ、嘘発見器だ。昨日、光一に頼んで今日届いたものだ」

 

優子「それを使って調べるのね」

 

蘭「ってか、なんでそんなものがあるんだ?」

 

貴浩「光一…つまり羽鳥財閥が警察から依頼されて作ってみたんだと。

   で、それを無理言って借りたわけ」

 

命「それって凄いですよね」

 

貴浩「ああ、じゃあまずは明久につけてみる。皆に信じてもらうためにな」

 

俺はそういうとその機械を頭と腕に取り付けた。

 

貴浩「これは脈波とかの信号を受けて反応するんだ。

   反応したら音がなる仕組みになっている。

   じゃあ明久、質問にはすべて『いいえ』で答えろ」

 

明久「うん、わかった」

 

貴浩「お前は料理ができる」

 

明久「いいえ」  ブー!!

 

貴浩「こんな風に嘘をついたら音がなる。次は、お前は男である」

 

明久「いいえ」  ブー!!

 

貴浩「昨日、俺と一緒にレイブンの召喚獣をたおした」

 

明久「いいえ」  ブー!!

 

貴浩「昨日女子の風呂場に隠しカメラをしかけた」

 

明久「いいえ」  シーン

 

貴浩「こんな感じだ。じゃあ今度は俺がつけるから質問してくれ」

 

明久「わかったよ」

 

そこで俺は明久から機械を受け取るとそれを装着する。

 

明久「じゃあ、あなたは女である」

 

貴浩「いいえ」  シーン

 

明久「楓に手を出した男でも許してあげる」

 

貴浩「いいえ」  ブーーーーーー!!!

 

優子「凄い反応ね」

 

楓「に、兄さん・・・・」

 

明久「昨日、女子風呂にカメラを仕掛けた」

 

貴浩「いいえ」  シーーン

 

明久「昨日、僕とレイブンの召喚獣を倒した後に、直接レイブンをぶっ飛ばした」

 

貴浩「いいえ」  ブーー!

 

蘭「あの噂は本当だったのか」

 

優子「最後にいいかしら。

   ・・・・・・あなた犯人を見つけたら本当に・・・・・・殺さないわよね」

 

貴浩「・・・・・・いいえ」    ブーーーーーーーーーー!!!!

 

「「「「「・・・・・・・」」」」」

 

貴浩「・・・・・・・・・・(プイ)」

 

楓「に、兄さん」

 

貴浩「・・・・・・ま、まあ、こんなものだ。なら清水これをつけてみろ」

 

清水「な、なんで美春がそんなものをつけないといけませんの」

 

貴浩「お前にかけられた疑いを無くすためだ。それとも何か?

   やはりお前が犯人なのか?」

 

清水「ち、違いますわ」

 

貴浩「仕方ないな。なあ蘭、清水さんにコレつけてくれ」

 

蘭「わかった」

 

蘭は俺から機械を受け取ると、清水に装着させた。

 

貴浩「お前は男である」

 

清水「いいえ」    シーン

 

貴浩「よし、お前は島田を愛している」

 

美春「・・・いいえ」  ブーーーーーー!!!

 

小山「凄い反応ね」

 

貴浩「なら本題だ。お前は昨日脱衣所にカメラを隠した」

 

清水「・・・・・・・・いいえ」  ブーー!!

 

優子「し、清水さん」

 

貴浩「・・・・・・もう1つ。お前は明久に合宿が始まる前に手紙を送った」

 

清水「・・・・・・・・いいえ」  ブーーー!!

 

貴浩「やはり、お前が犯人だったか」

 

清水「み、美春はやっていませんわ。

   そこの豚になんて脅迫状なんて送っていませんわ!!」

 

命「・・・・・・脅迫状・・・?」

 

清水「あっ!?」

 

貴浩「墓穴をほったな。俺は手紙と言っただけで脅迫状とは一言も言ってないぞ」

 

清水「ひ、卑怯ですわ」

 

優子「清水さん、あなた最低よ」

 

霧島「・・・・・・先生を呼んでくる」

 

その後、逃げ出そうとした清水をスタンガンで気絶させてから

鉄人たちがやってきたので清水を連れて行った。

 

西村「これで事件は解決だな」

 

砂原「それがその・・・・・・」

 

貴浩「鉄人。あの後砂原たちに頼んで脱衣所をもう一度調べてもらったら

   2つカメラが見つかったんだ。機種が違ったことから犯人はもう1人いるはずだ」

 

西村「なんだと!?」

 

小山「嘘!?」

 

砂原「これがそのカメラです」

 

そこで砂原は昨日見つけたカメラを鉄人に渡した。

 

貴浩「だから、俺達Fクラスはこのまま作戦を実行していくから女子にも手伝って欲しいんだ」

 

小山「どうすればいいの?」

 

貴浩「簡単な事だ。これはただ俺達の保身を守って欲しいだけだ」

 

蘭「保身?」

 

貴浩「一応、鉄人には優子たちから事情を説明してもらったが、

   覗きの手助けみたいなことをするわけだからな。

   このままだと俺達には処分が下るだろうから、その時に助けて欲しいんだ」

 

西村「お前らは覗きはしないんだな」

 

明久「当たり前ですよ。なら試してみますよ」

 

明久がそういうと俺のほうに振り向いた

 

明久「もし、男達が楓の入浴を覗いたらどうするの?」

 

貴浩「殺す!地獄の先まで追い詰めてやる!!そして死ぬより恐ろしい事を・・・・・・」

 

明久「これでどうですか鉄人」

 

西村「そ、そうか・・・・・・この分なら安心か・・・

   なら俺からも手助けはしておいてやろう。

   ところで吉井と織村兄。今また鉄人と言ったよな」

 

明久「気のせいですよ」

 

貴浩「・・・・・ドントマインド」

 

優子「そういうことだからアタシたちも手伝うわ」

 

霧島「・・・・・・・・織村には世話になってるから」

 

砂原「私にも任せてよん♪犯人を見つけてあげる♪」

 

命「私も手伝います」

 

楓「私も」

 

小・中「「私達も手伝うわ。それであの昨日の事を許してくれると・・・・・・」」

 

貴浩「昨日のこと? ああ、もう明久たちには謝ったんだろ。

   ならもう俺は怒ってないぞ・・・・・2度目はないけどな」

 

五十嵐「私も微弱ながらお手伝いしますね」

 

蘭「僕もだ。ところで貴浩?教師って強いのか?」

 

貴浩「ああ、もちろん強いぞ。点数もあるし操作技術もあるしな。

   昨日見た中では特にスタン先生とジュディス先生が強かったな。

   全然歯が立たなかったな」

 

蘭「そうなのか。貴浩がそこまで言うのか」

 

命「貴浩君、美波ちゃんと瑞希ちゃんにはこのことは」

 

貴浩「絶対言うな。少し考えがあるからな・・・・・これが最後にチャンスだ」

 

楓「わかりました。兄さんがそういうなら黙っておきますね」

 

貴浩「じゃあ、明久。雄二たちの所に戻るぞ。そうだ霧島に優子。

   もし俺達と出会ったら敵対関係に見えるよう戦ってくれ」

 

霧島「・・・・・・わかった」

 

優子「ええ、わかったわ」

 

貴浩「悪いな」

 

そして皆の下に戻っていった



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VS教師陣④ 貴浩ピンチ!?

5/1 修正


そして2日目の入浴時間

 

雄二「よし、Fクラスの皆よく集まってくれたな。

   これよりさっき言ってたとおり女子風呂を覗く真似をする」

 

「「「「「了解っ!!」」」」」

 

雄二「ただし真似であって本当に覗くなよ!

   俺達は俺達に疑いをかけた犯人を捕まえるために動くんだ」

 

「「「「「おおぅ!!!!!」」」」」

 

 

――ドドドドドドッ!

 

 

F『おおおおおおっ!障害は排除だーっ!』

 

F『邪魔するヤツは誰であれブチ殺せーっ!』

 

殺気だった状態のFクラスのメンバーは待ち伏せしていた女子や先生に向かっていく。

 

……凄いな、演技だと知っていても凄い迫力だな。これなら犯人を騙せる。

 

また、今回は雄二が他の男子を煽っている。

EクラスとDクラスの男たちも来ているので簡単には止められない。

昨日レイブンを倒したという噂が流れえていたのですんなり了承がとれたのだ。

 

布施「大変です!変態が編隊を組んでやってきました!」

 

教師「西村先生の言うとおり来ましたか・・・・・・承認します!試獣召喚(サモン)!」

 

須川「ここは俺達に任せろ!!お前達は先進め!!」

 

貴浩「悪いな、須川!!」

 

須川「昨日レイブンと布施をやったんだろ。今日も頑張れよ」

 

貴浩「ああ、やってやるよ!」

 

 

 

      ☆

 

 

 

俺達が先に進むと

 

高橋「そこまでですよ」

 

俺達の前に高橋先生が現れた。

そこには高橋先生だけじゃなく、ジュディス先生、リリス先生、

そして保健体育の鈴村先生、美術の千葉先生の5人の先生に加え、

霧島と優子に愛子、蘭、五十嵐さん、楓、命。

そして、島田、姫路あと複数の女子が現れた。

 

F「ここで最終難関かよ!」

 

E「もう無理だ」

 

明久「皆!最後まで諦めずに戦うんだ!!」

 

島田「やっぱりアキ来たのね。オシオキ決定ね」

 

姫路「もう許しませんよ明久君。そんな明久君にはオシオキが必要です」

 

明久「美波、姫路さん・・・・・・・」

 

高橋「吉井君、織村君。あなたには失望しました。

   少しは見所のある子だと思っていたのですが」

 

まあ先生たちには鉄人ぐらいにしか伝えてないからな。

あとで他の先生にも言ってもらわないとな。

レイブンはどうかわからないが・・・・・・

 

島田「さあ、アキ大人しくやられなさい」

 

姫路「そうですよ明久君」

 

貴浩「・・・・・・・・・・・・・・不合格だな(ボソッ)」

 

雄二「どうした貴浩?」

 

貴浩「いや、なんでもない。皆は姫路と島田等女子生徒を中心にやってくれ。

   俺達が先生と戦うから時間を稼いでくれ!『試獣召喚(サモン)』!!」

 

「「「「「了解っ!!」」」」」

 

ジュディス「あら? 頼もしいわね織村君。

      じゃあ今日は私と戦ってもらおうかしら『試獣召喚(サモン)』!!」

 

明久「えっ?や、やばい!皆、貴浩を助けるんだ!!早く!!」

 

光一「どうしたのですか明久殿?」

 

雄二「慌ててどうしたんだ明久?」

 

秀吉「そうじゃぞ明久よ、貴浩がそう簡単には負けるわけないのじゃ」

 

F「そうだぜ吉井。織村は今や学年最強といっても良いほどの強さを持ってるだろ?」

 

明久「違うよ。このままじゃ・・・・・・」

 

刀麻「どうしたというんだ?」

 

優子「なんで明久君は慌ててるのかしら?」

 

愛子「僕にはわからないよ」

 

明久「だって・・・・・・」

 

≪ 英語 ≫

 

 織村貴浩   VS  ジュディス先生

  43点          765点

 

 

明久「・・・・・・・英語って貴浩の苦手科目だもん・・・・・」

 

皆(明久・楓以外)「「「「「えっ!?」」」」」

 

貴浩「・・・・・・・・・やべっ」

 

優子「・・・・・・貴浩にも苦手科目あってのね」

 

愛子「でも少し安心したよ」

 

明久「安心しないでよ!」

 

「「「「「今すぐ織村を助けるんだぁ!!!!」」」」」

 

島田「今のうちですよ先生」

 

島田を中心に複数の女子が俺に攻撃を仕掛ける。

 

貴浩「とぅ やぁ ほっ」

 

俺は得意の召喚獣の操作で攻撃をかわしていくが反撃に移ることができない。

 

ジュディス「・・・・・・・・」

 

皆が俺を助けようとする前にジュディス先生がフィールドを消す。

 

島田「先生どうしてフィールドを消したんですか!?」

 

ジュディス「だってそれじゃ面白くないんですもの。

      高橋先生フィールド展開してもらって良いですか?」

 

高橋「・・・・しょうがないですね。わかりました」

 

高橋先生はため息をつきながらも総合科目のフィールドを展開する。

 

ジュディス「じゃあ楽しみましょう」

 

貴浩「良いんですかフィールドを変えて?英語なら簡単に俺を倒せますよ?」

 

ジュディス「いいのよ。そんなあなたを倒しても嬉しくないもの。

      倒すなら全力のあなたを倒したいもの」

 

貴浩「ありがとうございますジュディス先生。でも簡単には負けませんよ」

 

明久「僕達も行くよ」

 

姫路「私達もです」

 

 

『『『『『試獣召喚(サモン)!!』』』』』

 

 

≪総合科目≫

 

 織村貴浩 4532点  坂本雄二 2124点  土屋康太 1098点

 吉井明久 1723点  木下秀吉 1271点  不知火刀麻 3218点

 羽鳥光一 4271点

 

      VS

        

 姫路瑞希 4421点  島田美波 851点   木下命 1521点  

 織村楓  4514点  獅子川蘭 2051点  五十嵐きらり 2172点

 霧島翔子 5142点  木下優子 3841点  工藤愛子 3694点

 

      &

 

 高橋洋子 7791点  ジュディス 5321点  リリス 5491点

 鈴村瀬名 4727点  千葉琥珀 4671点

 

 

 

貴浩「それで、秀吉!ムッツリーニ!光一!刀麻!

   悪いが少し時間をかせいでくれ!他の男子の皆も援護頼む!

   明久!雄二!あのネックレスの力を使うぞ」

 

明久「ネックレス?・・・ああ、アレか!わかったよ」

 

雄二「そうだな。皆時間稼ぎを頼む!」

 

刀麻「任せろ!」

 

光一「任せてください。誰にも邪魔はさせません!」

 

高橋「何をする気かわかりませんがさせませんよ」

 

高橋先生が俺達3人に攻撃を仕掛けようとする。

 

光一「させねえ!!」

 

そこへ光一が間にはいって防いでくれる。

 

光一「今のウチに早く! 男子ども! 3人の盾になれっ!」

 

「「「「「おうっ!!」」」」」

 

貴浩「悪い。じゃあ明久、雄二やるぞ」

 

俺が2人にそういうと

 

「「「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

   降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、

   王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

   閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

   閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

   繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する。

   ――――告げる。

   汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

   召喚システムの寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

   誓いを此処に。

   我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。

   汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!」」」

 

俺達がそう告げると新たに召喚獣が召喚される。

 

 セイバー 9600点

 ライダー 7200点

 ランサー 8400点

 

 

ライダー「マスター指示を」

 

貴浩「よしっ!じゃあ、俺の援護を頼む」

 

ライダー「わかりました」

 

ランサー「おい雄二。あいつらが戦闘態勢ってことは俺の敵ってことでいいんだなっ!」

 

雄二「ああ!ランサー思い切り暴れろっ!」

 

ランサー「おうよっ!」

 

セイバー「明久」

 

明久「なにセイバー?」

 

セイバー「お腹が空きました」

 

明久「お願いセイバー空気呼んで!」

 

 

これより激戦が始まるかも?



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VS教師陣⑤ 仲間割れ!?

5/1 修正


俺達は互いに召喚獣を召喚する。周りの女子も召喚を始める。

男子(+使い魔)VS女子&教師 の戦いが今、始ろうとしていた。

 

ジュディス「じゃあいくわよ織村君」

 

島田「手伝います先生」

 

姫路「私もです」

 

ジュディス「え?ちょ───」

 

ジュディス先生が何か言う前に姫路と島田が俺と明久に攻撃を仕掛けてくる。

それに続いて回りにいた女子も攻撃を始める。

 

貴浩「ちっ、各自散開!!」

 

固まっていてはやられてしまうので

近くにいたFクラスのメンバーたちも戦いを始める。

 

俺は姫路と島田、女子と戦っていると

 

貴浩「……これはやっかいだな」

 

明久「貴浩危ない!!」

 

貴浩「え?」

 

俺は明久の声で咄嗟に右によけるとそこには高橋先生の鞭での攻撃があった。

 

高橋「油断禁物ですよ織村君、あなたを倒せば指揮が下がりますからね」

 

高橋先生は俺に攻撃を仕掛けてくる。

他にも周りの女子からの攻撃がくるので避けるのだけで精一杯だ。

 

明久「貴浩!セイバー貴浩を援護して」

 

セイバー「わかりました」

 

そこで明久がネックレスの力で召喚した使い魔(サーヴァント)に指示してくれ

セイバーが高橋先生の攻撃を防いでくれる。

 

セイバー「高橋女史。これもマスターの指示なので」

 

高橋「っ!これはやっかいですね」

 

貴浩「助かった明久!これならいける!ライダー浅く広く敵に攻撃を!」

 

ライダーにそう指示するとライダーが鎖を使い敵に攻撃していく。

そして俺は銃を構えると傷ついた敵に攻撃して数人戦死させる。

 

雄二「ランサー!お前も頼む!」

 

ランサー「おうよっ!相手が女子なのが気が引けるが」

 

雄二「そこは我慢してくれ」

 

雄二もランサーに指示す。

 

雄二「女子生徒はやはりそこまで強くないんだが教師と翔子たちがやっかいだな」

 

光一「なら周りの女子生徒は俺が受け持つから教師と楓殿たちを頼む」

 

雄二「わかった」

 

刀麻「なら俺が霧島たちを抑えるだけ抑えてみる。そのスキに教師を頼むぞ」

 

貴浩「すまない刀麻、雄二!!」

 

雄二「いくぞ!!」

 

俺と明久、雄二、秀吉、ムッツリーニはまずは教師を倒すべく向かうが、

やはり敵の数が多く簡単にはいかない。

 

雄二「それでもきついな」

 

光一と刀麻、残りの男子メンバーが大部分を押さえてくれてるとはいえ、

まだこちらにも敵が大勢いるので苦戦している。そこで俺達は目線を合わせる。

 

鈴村「余所見は厳禁だ!!」

 

雄二「なっ!『ランサー』!!」

 

雄二は咄嗟にネックレスのもう1つの力を発動し

2つの槍を具現化し鈴村先生の直撃の攻撃を防ぐ。

 

鈴村「まだだ、ジュディス先生!!」

 

ジュディス「ごめんなさいね」

 

今度は雄二の後ろからジュディス先生が槍を構えて突撃してくる。

 

雄二「や、やられる。………だが切り札はある。『明久☆シールド』!!」

 

明久「え?」

 

雄二がそう言うのと同時に

明久の召喚獣をジュディス先生の召喚獣のほうへと蹴飛ばした。

それがジュディス先生の召喚獣にぶつかり結果攻撃を防いだ。

 

雄二「これがFクラス代表に与えられた『明久☆シールド』だ!!」

 

明久「殴るよ雄二!!ってか痛いんだけど!って敵がこっちに!?『セイバー』!!」

 

明久が雄二のほうに気を向いていると

姫路と島田の2人が直接明久に攻撃しようと迫ってきていた。

 

そこで明久が雄二と同じようにネックレスの力を使って

明久の召喚獣の装備が白の騎士甲冑姿へと変化する。

 

明久「これで防御力が少しは──」

 

雄二「なに、逃がさん!」

 

そこで雄二が明久の召喚獣を踏みつけ逃がさないようにする。

それは自分への盾にするかのように

 

明久「雄二ぃいいい!!!邪魔するなぁあああ!!!!!」

 

貴浩「明久!!」

 

明久「え?うわぁ」

 

雄二のせいで明久が島田の攻撃にかすってしまう。

 

秀吉「これはご愁傷さまじゃな」

 

康太「・・・・・(コクコク)」

 

雄二「敵の数が多すぎる!なら『明久シールド』!!」

 

明久「させるか!!」

 

雄二「なに!?強制解除されただと!?」

 

明久「なら僕の新装備『シールド雄二』!!」

 

雄二「なに!?」

 

今度は明久が雄二の召喚獣を盾にする。

明久はその間に『魔人剣』で攻撃する。

 

雄二「ぐぁあああ!!!」

 

明久「いけるねこの新装備」

 

雄二「明久ぁああああ!!」

 

秀吉「何やっておるお主らは!」

 

貴浩「でもあの2人のおかげで敵の数が減ってきたぜ」

 

姫路「油断は禁物ですよ」

 

高橋「そうですね」

 

そこに高橋先生と姫路が攻撃を仕掛けてきた。

しかも姫路は腕輪で

 

貴浩「はっ!!」

 

俺は秀吉の召喚獣を踏み台代わりにし上へ飛び

 

貴浩「『グラビトン』」

 

そのまま腕輪を使って秀吉の召喚獣を地面に押し潰して2人の攻撃をかわした。

 

秀吉「なんじゃと!?」

 

貴浩「あぶねぇ。あぶねぇ」

 

秀吉「貴浩!!許さないのじゃ!!」

 

秀吉が今の俺の行動に怒り俺に攻撃してくる。

雄二も今は女子ではなく明久に攻撃を仕掛けている。召喚獣と本人相手に。

明久も応戦して対峙している。

 

島田「な、なに?、きゃあ!?」

 

島田が俺の撃った流れ弾に当たる。

 

リリス「何してるんですかあなた達は・・・・・」

 

リリス先生が俺達の行動にあきれる。

 

秀吉「早いのじゃ」

 

貴浩「この程度の攻撃」

 

俺は秀吉の攻撃を軽く避けていく。

 

明久と雄二のほうも同じようで明久が『魔人剣』で攻撃するが

雄二に避けられてしまっていたが今、放った攻撃が雄二に当たってしまう。

 

雄二「明久ぁあああ!!!」

 

貴浩「ご愁傷様だな!はっははは」

 

先生たちは俺達の行動に呆れて果ててしまい行動を停止している。

 

・・・・・・・ってか俺達以外は皆、行動を停止していた。

セイバーとランサーさえ俺達の行動に呆気をとられていた。

 

優子「何やってるのかしら・・・・」

 

愛子「なんだろうね、仲間割れかな?」

 

翔子「……わからない」

 

優子や愛子、霧島は俺達の行動がわかっていない模様。

こんなの簡単だろ・・・・・・・・・仲間割れだぁ!!!

 

 

今の現状、俺&明久 VS 雄二&秀吉

 

 

雄二「うるせぇぞこの野郎!!」

 

貴浩「そんな攻撃当たるかよ!」

 

雄二「っ!」

 

明久「雄二は召喚獣の操作は全くの素人だね」

 

貴浩「俺達相手に勝てる訳ねぇだろうぉおおお!!!!」

 

秀吉「なんじゃと!?」

 

再び秀吉が攻撃してくるが

 

明久「秀吉、そんな攻撃あたらないよ」

 

俺と明久は秀吉の攻撃をかわして行く。

俺も秀吉に銃で攻撃していくが秀吉に当たらず敵(女子)に当たっていく。

今度は明久が『魔人剣』で雄二に攻撃する。

そして雄二は明久の攻撃を避け高橋先生の前に移動する。

 

貴浩「ちっ!当たらねぇな。なら『ブラスト』発動!!」

 

俺の召喚獣が薄いピンク色に染まる。

 

愛子「あれって!?」

 

優子「召喚獣の体の色が変わった?」

 

俺は清涼祭でもらった腕輪を発動させる

 

貴浩「雄二行くぞ!!」

 

雄二「来い!」

 

俺は身体能力が向上した召喚獣を雄二の召喚獣の方向へ向けて突撃する。

 

貴浩VS雄二 その結末は・・・・・・・・?



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VS教師陣⑥ 愛と勇気と地位と謀略とだまし討ち!?

5/1 修正


俺は雄二の召喚獣に攻撃を加えるため腕輪で強化した状態で魔人剣を放つ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・これで目的は達した。

 

 

雄二は俺の攻撃をかわすと、

その攻撃は雄二の召喚獣の後ろにいた高橋先生の召喚獣に直撃した。

 

貴浩「『グラビトン』!!」

 

そして俺はすぐさま腕輪を発動させ高橋先生の召喚獣に重力をかけ動きを封じる。

 

貴浩「今だ!!ムッツリーニ!!」

 

康太「………了解!!」

 

そこでムッツリーニの召喚獣が高橋先生の召喚獣の真上から

降りてきて高橋先生の右腕を切り落とした。

 

高橋「っ!!」

 

明久「作戦通りだね雄二!」

 

雄二「ああ!良くやってくれたムッツリーニ!」

 

康太「……皆が気を引いてくれたからできたんだ。

   それにライダーのおかげでもある」

 

ライダー「私は康太をただ高橋女史の召喚獣の真上に運んだだけですよ」

 

貴浩「ライダーも良くやってくれた」

 

高橋「今までの仲間割れは演技だというのですか!?」

 

そう今までの行動は演技だったのだ。

 

敵の数が多い上に高橋先生のあの点数だ。

それに高橋先生以外にも教師がいる。だからまともにやっても勝ち目が薄い。

そこで途中で俺達にのみできる目線での会話で

俺と明久、雄二、秀吉の4人で仲間割れをしてるフリをして、

その途中でライダーにムッツリーニの召喚獣を高橋先生の召喚獣の真上に

連れて行ってもらうよう指示する。

ムッツリーニはネックレスの力『気配遮断』を使い隠密行動に徹し

チャンスがくるまで待ってもらった。

後は雄二か秀吉が高橋先生の召喚獣のまん前に立てばいい。

その後は俺が攻撃するフリをして後ろにいる高橋先生に攻撃し、

腕輪の力を発動し高橋先生の召喚獣の周りの重力をかける。

 

そしたらムッツリーニの召喚獣が真上から降りてきて高橋先生を攻撃すればいい。

ムッツリーニの点数が低かろうと真上から無防備な状態な相手に、

しかも重力も加わった攻撃だ。その威力はハンパではないからな。

 

 

≪ 総合科目 ≫

  高橋洋子 2719点  ※右腕なし

 

 

雄二「今だ!貴浩!トドメをさせ!」

 

貴浩「任せろ!『重力丸』!!」

 

俺はすぐ近くにいる高橋先生に攻撃を当てる。

高橋先生は防ごうとするが右腕がムッツリーニによって切り落とされているので

防ぐ事ができず、俺の攻撃が直撃した。

 

 

≪ 総合科目 ≫

 

 織村貴浩 4200点  VS 高橋洋子  0点

 土屋康太 1098点

 

 

 

貴浩「Fクラス、織村貴浩!高橋先生を討ち取ったぁ!!!!」

 

「「「「「おおぉお!!!凄ぇえええ!!!!」」」」」

 

F「本当に先生を倒したぞ!!」

 

F「しかも高橋先生だぞ!!」

 

貴浩「俺達の武器は!」

 

秀吉「愛と」

 

明久「勇気と」

 

雄二「地位と」

 

康太「謀略と」

 

貴浩「だまし討ち!」

 

優子「……最後は最低ね…」

 

楓「に、兄さん…」

 

高橋「・・・・・すみません皆さん。油断してしまいました」

 

鈴村「仕方ない。まさかアレが演技だとは思わなかったからな」

 

リリス「そうですよ。あとは私達に任せてください」

 

貴浩「よし、この調子で先生達を倒すぞ!!皆は他を抑えてくれ!!」

 

F「任せろ!!」

 

F「俺達だってやってやる」

 

F「やってやるぜぇええええ!!!」

 

貴浩「明久、雄二。少し俺は別の相手をやるから先生達を抑えていてくれ」

 

雄二「わかった」

 

明久「了解」

 

鈴村「そう簡単にはいかないぞ」

 

康太「………俺が相手だ」

 

鈴村「土屋が相手か。良いだろう、お前の得意としている保健体育でやってやる。

   ついて来い!!」

 

 

≪ 保健体育 ≫

 

  鈴村瀬名 698点  VS  土屋康太 589点

 

 

鈴村「教師に挑む度胸は買ってやるが……あまり教師を───舐めるなよ」

 

康太「……負けない」

 

鈴村先生とムッツリーニは高橋先生のフィールドから出ると保健体育で戦い始めた。

 

 

 

千葉「なに鈴村先生は勝手にやっているんだよ!」

 

明久「先生の相手は僕ですよ。せっかくですし先生の教科でやりましょうよ」

 

千葉「なんだとぉ! 生意気だよ! いいよ、受けて立つよ!!」

 

明久と千葉先生も高橋先生のフィールドから出ると美術・家庭科で戦い始めた。

 

 

≪ 家庭科・美術 ≫

 

  千葉琥珀 589点  VS  吉井明久 491点

 

 

秀吉「では、ジュディス先生とリリス先生はワシらがお相手いたす」

 

雄二「この前みたいに簡単にはいかねえぞ」

 

≪総合科目≫

 

 坂本雄二 2124点   VS  ジュディス 5321点  

 木下秀吉 1271点       リリス   5491点

 

 

それぞれで戦いが始まっていく。

 

 

 

 

その時、俺はというと

 

貴浩「お前らの相手は俺がしてやるよ姫路、島田!!」

 

≪ 総合科目 ≫

 

  織村貴浩 4200点  VS  姫路瑞希 4221点

                  島田美波  451点

 

 

島田「ウチら相手を1人でやるっていうの!」

 

姫路「いくら織村君でも私達2人相手に勝てるわけないじゃないですか!」

 

貴浩「余裕だよ。お前らごときを相手するのは」

 

俺はそう言うとすぐ様島田に攻撃を仕掛ける。

 

島田「そう簡単にはやられないわよ」

 

島田は応戦しようと武器を構えて突進してくる

 

貴浩「………」

 

俺は島田の攻撃を余裕でかわしそのまま胸を貫いた。

 

貴浩「そう簡単には何だって?」

 

島田「う、うそ、こんなあっさり」

 

姫路「み、美波ちゃん!!」

 

俺は今度は姫路に攻撃を仕掛ける。

さすがに真正面から行ったので受け止められるが

 

貴浩「『重刀』!」

 

俺は刀自身に重力を加え、攻撃力を上げる

 

姫路「えっ!?」

 

姫路はその攻撃に耐えられず武器を落としてしまう。

 

貴浩「終わりだ」

 

俺はすぐ様、重力を解除して姫路の召喚獣の首をはねた。

 

貴浩「……弱いな」

 

島田「何なのよアンタは!」

 

姫路「そうです。なんで私達の邪魔をするんですか?」

 

島田「ウチらは覗きをしようとしたアキにお仕置しないといけないのに!!」

 

貴浩「………完全に不合格だな」

 

姫・島「「えっ!?」」

 

貴浩「お前らもう今後明久に近づくな」

 

島田「な、なんでよ!?」

 

姫路「そうです。理由を教えてください!」

 

貴浩「理由?良いよ。教えてやるよ!

   今回の事は最終確認だったんだがお前らは見事に期待を裏切ってくれたよ。

   お前らは今回の件で、何故明久に事情を聞かなかった。

   それどころかお前らがやったことは事情を聞くどころか先に攻撃を仕掛けてきた。

   ってことはお前らは明久の事を全然信用してないって事だ。

   そんなヤツが明久の近くにいて欲しくない!いや、俺達の近くにいて欲しくない!!」

 

島田「っ!で、でも」

 

姫路「でも、それなら翔子ちゃんや木下さん達だって同じじゃないですか!?」

 

貴浩「あいつらは俺達の事情を知っているからな。

   それとあいつらをお前ら2人と一緒にするな!!

   あいつらはまず先に事情を聞いてきたし手を出していない。

   霧島にいたっては雄二を信じ守ろうとしたんだ!

   それと今回の件であいつらが誰かに手をあげたか?

   上げてねぇだろうが!!召喚しただけで攻撃は一切していないだろうが

   そんなヤツらとお前らを一緒にすんじゃねぇ!!」

 

島・姫「「ひっ!!」」

 

俺は声を上げ怒鳴る。

 

貴浩「目障りだ!!今後俺達に近づくな!!さっさと目の前から消えろ!!」

 

姫路「そ、そんな…」

 

俺は泣き出した2人を放って雄二たちの元へ向かう。

 



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VS教師陣⑦ 激戦

5/1 修正


俺は苦戦しているであろう雄二と秀吉を助けるため2人の元に向かった。

 

雄二「待ってたぜ貴浩」

 

秀吉「なんとか持ちこたえたのじゃ」

 

雄二と秀吉はFクラスのメンバーと共に戦っており

何とか2人の教師の攻撃を防いでいた。

 

≪総合科目≫

 

 坂本雄二 1691点     VS  ジュディス 4800点  

 木下秀吉  956点          リリス  4749点

 ランサー 7000点         女子生徒  平均1500点×10人

 織村貴浩 4200点

 Fクラス  平均600点×15人

 

貴浩「凄いじゃないか!

   耐えてるだけじゃなく点数も少し減らしているじゃないか」

 

雄二「ランサーが俺達を援護してくれててるおかげだ」

 

ランサー「あの教師2人相当手ごわいぜ。だがそれがおもしれぇ」

 

秀吉「ワシらもお主らばかり活躍させられないからの」

 

須川「俺達の存在も忘れるなよ!」

 

貴浩「じゃあこれから反撃だな」

 

近藤「俺達も行くぜ!!」

 

そこへ周りの女子をなんとか抑えたFクラスメンバー10人も参戦した。

 

F「お前達ばかり活躍させないぜ!!」

 

そこですぐさまFクラスメンバーが教師に向かって突撃したが、

 

リリス「そう簡単にはいきませんよ!」

 

F「この数だ!負けやしないぜ!!」

 

Fクラスメンバー10人が勢い良くリリス先生の召喚獣に向かっていく。

 

リリス「それはそれとしてとりあえず超奥義!」

 

リリス先生が突撃してくるFクラスメンバーの前に立ち、腕輪を光らせると

 

リリス「『サンダーソード』!!」

 

すると、目の前のFクラスメンバー10人の召喚獣を全て消滅させた。

数人腕輪の力に直撃したヤツもいたが・・・・・・まあFクラスのヤツだから大丈夫だろう。

 

F「う、嘘だろ!一瞬でか!?」

 

ランサー「へぇ~やるじゃねぇか。なら俺も負けてられねぇな。

     『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)』!!」

 

ランサーは1度空中へ飛び上がり槍を女子生徒達に投げ放つ。

それは炸裂弾のような一撃で女子生徒の召喚獣を吹き飛ばし消滅させた。

 

「「「「「嘘っ!?」」」」」

 

リリス「っ!?ならもう一発!!」

 

F「や、やばい」

 

F「今のもう一発かよ!」

 

貴浩「迎え撃つ!」

 

さすがにもう1発喰らうのはまずいので俺は皆の前に立つ。

 

リリス「『サンダーソード』!!」

 

貴浩「『グラビトンノヴァ』!!」

 

お互い腕輪を発動し攻撃する。その攻撃は相殺され消えていく。

 

雄二「よくやった貴浩!」

 

貴浩「だが、今ので点数がかなり減ってしまったぞ」

 

雄二「それは向こうも同じだ」

 

 

≪総合科目≫

 

 坂本雄二 1691点   VS  ジュディス 4800点  

 木下秀吉  956点       リリス   4549点

 織村貴浩 4000点

 ランサー 6000点

 

 

ジュディス「織村君、私と戦いましょう!」

 

そこへすかさずジュディス先生が俺に攻撃を仕掛けてくる。

 

貴浩「っ!!」

 

俺はたまらずに距離をとろうとするが、

ジュディス先生は逃がしてくれず壁に追い込まれてしまった。

 

よほど俺と戦いたいのか?まあイヤではないけど・・・・

 

秀吉「貴浩!」

 

リリス「あなた達の相手は私よ」

 

雄二「チッ!」

 

貴浩「こっちは何とかしてみる!雄二と秀吉はリリス先生を頼む」

 

正直、腕輪と召喚獣の操作でこちらも集中力が限界に近い

 

ジュディス「私を楽しませてね」

 

貴浩「ご期待に添えられるかわかりませんがね」

 

貴浩VSジュディス先生、雄二&秀吉VSリリス先生の戦いが今始まる。



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VS教師陣⑧ 貴浩VSジュディス

5/1 修正


俺とジュディス先生はお互いに武器を構え対峙する

 

貴浩「『魔人剣』!!」

 

ジュディス「甘いわよ、『尖月』!!」

 

ジュディス先生は槍を突き上げ飛びあがり

 

ジュディス「『残月』!!」

 

空中から膝から落下して攻撃してきた。

 

貴浩「っ!なら『風牙絶咬』!!」

 

高速の踏み込みで、威力の高い一突きを浴びせる。

 

貴浩「そこからの『封神雀華』!!」

 

払い、納刀しながらの打撃へと流れるような連撃を食らわせる。

 

ジュディス「ッ!」

 

貴浩「まだまだ!」

 

俺はそのまま攻撃を続けていく。

 

ジュディス「甘いわよ」

 

ジュディス先生も負けずと攻撃をしてくる。

 

貴浩「魔人剣連牙!!」

 

ジュディス「やるわね!なら少し本気で行くわよ。来たれ雷…裁きを受けよ!!」

      

ジュディス先生は腕輪を発動し攻撃を仕掛けてくる。

その腕輪の攻撃で周りに雷が舞い落ちる。

 

貴浩「っ!!」

 

俺はすぐさま腕輪を発動し重力壁を発動させ攻撃をやわらげる。

 

ジュディス「!『煌華、月衝閃』!!いかがかしら?」

 

貴浩「ぐはっ!」

 

俺はジュディス先生の攻撃を食らい膝をつく。

こういう時、フィードバックがあるからかなりきつい……

 

≪総合科目≫

 

 織村貴浩 9点 VS  ジュディス 581点  

 

 

ジュディス「あら?まだ残っていたのね。本当に面白いわね!」 

 

なんとか直撃は防げたけどもう体がボロボロだ……もう次で勝負がつくな……

 

ジュディス「次で最後かしら?」

 

貴浩「そうですね……『ブラスト』」

 

俺は召喚獣とは別の腕輪を発動させる

 

  9点 → 11点

 

 

ジュディス「それは確か清涼祭の時の腕輪だったかしら」

 

貴浩「そうですよ。なら最後の攻撃いきます!」

 

俺は瞬時に先生に近づいていき

 

貴浩「全てを切り裂く!『獣破(じゅうは)! 轟衝斬(ごうしょうざん)!!」

 

抜刀状態の居合いから横に薙ぎ払い剣を持ち直し、勢いよく斬り上げた。

 

ジュディス「これは驚いたわね」

 

俺の攻撃は武器で塞がれてしまった。

だが何とか武器は真っ二つに斬れることができた。

 

ジュディス「今のは危なかったわ。でもこれでおしまいね!」

 

ジュディス先生は刃があるほうでトドメをさそうと突き刺そうとしてきた。

 

貴浩「まだだ!!『フルブラスト』!!」

 

俺はもう一段階、腕輪を発動する。

11点 → 18点

すると俺の召喚獣の体が真っ赤に染まる。  

 

ジュディス「何をするかわからないけど、コレで終わりよ!」

 

突き刺そうと攻撃をするが、すでにそこに俺の召喚獣の姿は無かった。

 

貴浩「これで決める!閃け、鮮烈なる刃! 

   無辺の闇を鋭く切り裂き、仇為すモノを微塵に砕く!

   これで!!『漸毅狼影陣(ざんこうろうえいじん)!!』」

 

俺は四方から斬撃の刃を食らわせる。

 

貴浩「お、俺の、か、勝ち、です、ね」

 

≪総合科目≫

 

 織村貴浩 18点 VS  ジュディス 0点



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VS教師陣⑨ 決着

5/1 修正


ジュディス「最後の最後で油断したわね。本当に凄いわね。

      でも楽しかったわ。また次もやりましょうね」

 

貴浩「……もうしばらくはいいですね。そういえば皆はどうなったんだ?」

 

俺は周りを見てみると

 

「千葉先生が押されてるわ」

 

「援護しないと」

 

千葉先生が明久に押されている姿を見て周りに居た女子が加勢しようとするが

 

セイバー「明久の邪魔はさせない!」

 

それをセイバーが防いでいた。

どうやら明久の勝負の邪魔をさせないようにセイバーが立ち振る舞っているようだ。

 

明久「これでおわりっ!!」

 

明久が木刀を振るい千葉先生の召喚獣の消滅させる

 

千葉「この私が・・・・・・」

 

 

 

 

         ☆

 

 

 

 

ムッツリーニ「・・・・・・・・・なんだと」

 

鈴村「甘いな土屋。確かにお前の腕輪は脅威だが動きが丸わかりだ。

   そんな動きじゃ俺には勝てない」

 

ムッツリーニ「・・・・・・・・・くそっ」

 

ムッツリーニは鈴村先生に負けたみたいだ。

明久は点数は減っているが千葉先生に勝ったみたいだな。

 

ムッツリーニと千葉先生は負けたことが悔しいみたいで肩を落とし落ち込んでいた。

 

 

 

            ☆

 

 

 

雄二と秀吉は

 

リリス「これで終わりよ!『サンダーソート』!!」

 

雄二「くそっ!」

 

リリス先生が腕輪を発動させ攻撃を放つ。

雄二と秀吉はその攻撃を間一髪避ける。

 

秀吉「雄二このままじゃ負けるのじゃ」

 

雄二「わかってる!ランサー頼めるか」

 

ランサー「しょうがねぇな」

 

ランサーはそういうとリリス先生に向かっていく。

 

ランサー「先生には恨みはねぇが・・・その心臓、貰い受ける―――!

     『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』!!」

 

ランサーの一撃がリリス先生の召喚獣の心臓を貫き消滅した。

 

決着がついたようだな。

 

≪総合科目≫

 

 坂本雄二  20点   VS  リリス 0点  

 木下秀吉  16点       

 ランサー 5000点

 

どうやら、雄二と秀吉が勝ったらしい。

 

貴浩「残りは鈴村先生だけだな」

 

教師陣の中で残るのは鈴村先生だけだ。俺達は勝利を確信していると

 

西村「お前らそこまでだ!!」

 

明久「げっ!?鉄人!?」

 

そこで鉄人こと西村先生とスタン先生、森田先生が現れた。

 

雄二「ここで鉄人かよ!」

 

秀吉「それに森田先生とスタン先生もおるぞい」

 

貴浩「さすがにこれはヤバ過ぎるな」

 

明久「それにまだ霧島さんたちもいるし・・・ここまでかな」

 

スタン「さすが織村だな。ジュディス先生を倒すなんて凄いよ」

 

ジュディス「負けちゃったわ。今度は私が勝つわ」

 

鈴村「まさか俺以外の先生が負けてしまうなんてな」

 

森田「さっさと片付けましょうか」

 

そこで先生たちが召喚獣を出そうとする。

 

霧島「・・・・・・・・・待ってください。ここは私が」

 

西村「ん?霧島がか?」

 

霧島「・・・・・・・・・はい。これでも学年主席ですから」

 

そこに霧島が待ったをかけ一人こちらに向かってきた。

 

≪総合科目≫

 

 坂本雄二  20点   VS  霧島翔子  5142点  

 木下秀吉  16点

 ランサー 5000点    

 織村貴浩  18点(強化中)

 ライダー 6000点

 吉井明久  512点

 セイバー 7000点

 

 

ランサー「譲ちゃん1人で俺達を相手にする気か?」

 

霧島「・・・・・・うん。今の皆の点数なら私1人で大丈夫」

 

セイバー「凄い自信ですね」

 

霧島「・・・・・・それに雄二や織村たちだけじゃないから」

 

ん?なにがだ?

 

霧島「・・・・・・私だって持ってる」

 

持ってる?なにを・・・?

 

ランサー「なにっ!?」

 

するとそこで突然、何も無い場所から鎖がでてきてランサーを縛りつける。

 

雄二「なんだ突然!?ランサー鎖に縛られただと!?」

 

そこで俺は霧島から首からぶら下げてるモノに目がいった。

 

貴浩「霧島・・・お前が首からぶら下がってるものって」

 

霧島「・・・・・・・・・・そう。私もオリエンテーションの時手に入れた」

 

そう。霧島の首からぶら下がっていたものは

俺や明久、雄二たちと同じで金色の王冠のネックレスだった。

 

霧島「・・・・・・・・・その鎖は『天の鎖(エルキドゥ)』

   召喚獣の動きを封じ縛ることができる鎖。

   そして『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』」

 

霧島が新たなキーワードを告げると霧島の召喚獣の周りに無数の武器が現れる。

 

霧島「・・・・・・これで終わり」

 

霧島がそういうと無数の武器が射出されランサーや俺達の召喚獣に突き刺さっていく。

セイバーとライダーは傷つきながらも致命傷を避けていくが

 

 ≪総合科目≫

 

 坂本雄二   0点   VS  霧島翔子  4042点  

 木下秀吉   0点

 ランサー   0点    

 織村貴浩   0点

 ライダー 3200点

 吉井明久   0点

 セイバー 4100点

 

その攻撃により、俺達の召喚獣は一瞬で消滅した。

ライダーとセイバーも俺達の召喚獣が消滅したことで具現化できなくなり姿を消した。

 

貴浩「ぎゃあああああぁぁぁぁ!!!何コレ?凄い体が痛いんだけど!?」

 

明久「だ、大丈夫!!貴浩!!」

 

俺の召喚獣はまだ自身の腕輪の能力が続いていたので

腕輪の欠陥によりフィードバック効果が通常の4倍になっていたことで

今の霧島の攻撃により、体が悲鳴を上げている。

 

そしてあまりの痛さに俺は意識を手放した。

 

霧島「・・・・・・・・・あれ?やりすぎた?」

 

雄二「やりすぎだ!今すぐ貴浩を救護室へ連れて行かないと」

 

その後俺は救護室で治療されて、部屋へと戻っていった

 



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合宿の夜と朝

5/2 修正


貴浩「まさか霧島がネックレスの所有者だったなんてな・・・」

 

明久「そうだね。しかもあの点数にあの能力…凄すぎだよ」

 

雄二「だが、翔子のおかげで俺達が翔子たちと組んでいるとは思われないだろうな」

 

貴浩「だな。後は光一たちが犯人を突き止めてくれるのを待つだけだ」

 

康太「・・・・・・・・・」

 

貴浩「ん?どうしたムッツリーニ?難しい顔なんかして」

 

康太「・・・・・・貴浩、明久頼みがある。俺に召喚獣の操作について教えてくれ」

 

明久「どうしたのいきなり?」

 

康太「・・・・・・昨日、今日の戦闘で思っていたことだが

   結局のところ教師を倒したのは貴浩と明久の2人だ。俺は何もできていない」

 

雄二「ムッツリーニの言う事もわかるな。

   俺もランサーに任せてばかりで何も出来ていないしな」

 

秀吉「ワシもそうじゃな」

 

康太「・・・・・・鈴村先生と戦った時、正直俺は自分の力を過信していた。

   この腕輪があれば負けることは無いと・・・」

 

貴浩「だが、結果はボロ負けだったわけだ」

 

康太「・・・・・・ああ、だから俺はもっと強くなりたい」

 

雄二「俺もだ。このまま何も出来ずに終わりって言うのは好きじゃねぇしな」

 

秀吉「ワシもじゃ。ワシも皆の力になりたいのじゃ」

 

貴浩「・・・わかった。じゃあ今から練習するか。

   時間が無いから明久は雄二に、俺がムッツリーニと秀吉に教えるぞ」

 

明久「うん、わかったよ」

 

こうして俺達は雄二が清涼祭でGETした腕輪を使い

夜遅くまで召喚獣の操作練習を行った。

 

 

 

そして朝。

 

 

 

明久が目を覚ますと寝てる秀吉が目の前にいて、

衝動で口付けしようとして……。

 

明久「夢オチ!? がっかりだよ畜生!」

 

という生殺しな夢を見たショックで大声を挙げた。

 

しかも目の前には秀吉ではなく雄二の顔があった。

 

今の明久の声で秀吉やムッツリーニ、光一も目を覚ました

 

秀吉「んむ?……なんじゃ? 雄二はまた自分の布団から離れた場所で寝ておったのか?」

 

明久「秀吉、またってどういう事?」

 

秀吉「いや、別に大したことではないのじゃが……雄二は寝像が大層悪い様でのう。

   明け方はワシの布団の中に入ってきておって……やめるのじゃ明久!

   花瓶を振りかざしてどうするつもりなのじゃ!?」

 

明久「殴る!コイツの耳からドス黒い血が出るまで殴り続ける!」

 

ガチャッ!

 

西村「おいお前ら! 起床の時間だ……ぞ……?」

 

明久「死ね雄二! 死んで詫びるんだ! あるいは法廷に出頭するんだ!」

 

雄二「何だ!? 朝からいきなり明久がキまっているぞ!? 持病か!?」

 

光一「明久殿落ち着いてください!」

 

秀吉「明久落ち着くのじゃ!

   西村先生、すまぬがこやつを取り押さえるのを手伝って頂きたい!」

 

康太「…………(コクコク)」

 

西村「……お前らは朝から何をやっているんだ」

 

花瓶を雄二にたたきつけようとする明久と、

それを取り押さえようとする光一と秀吉とムッツリーニ。

その光景に、朝から呆れてものが言えなくなった鉄人だった。

 

西村「で、そこの男はなんでこの状況で眠っていられるんだ」

 

貴浩「Zzz…」

 

そこにはまだ爆睡中の貴浩の姿があった。

 

明久「あっ、まだ寝てたんだ。貴浩は」

 

西村「おい、さっさとおきんか織村兄!!」

 

鉄人が貴浩の布団を剥ぎ取るが貴浩はまだ起きていなかった。

 

秀吉「凄いのう貴浩は、先ほどまでの騒ぎなどがあったのに起きないとは」

 

西村「コラっ!! おきんか織村!!」

 

明久「西村先生、今のままじゃ当分貴浩は起きませんよ。

   今から専門家を呼ぶんで少し待ってください」

 

そこで明久は携帯を取り出しある人物へと電話した。

 

その人物とは────

 

楓「失礼します」

 

秀吉「おはようなのじゃ楓よ。ところでどうしたのじゃ、男子部屋まで来て」

 

楓「おはようございますヒデ君、皆さん。それは明久君に呼ばれたので」

 

明久「楓、じゃあ貴浩をよろしくね」

 

楓「…はい、わかりました」

 

西村「織村妹は何をするつもりだ?」

 

明久「見てればわかりますよ。あとそれと心の準備をしてたほうがいいですよ」

 

明久はそういうと耳を塞いでいた。

光一も明久と同じように手で耳を塞いでいた

 

雄二「明久、これから何が──」

 

楓「では、いきますね」

 

楓はそういうといつの間にかにフライパンとお玉をたりだし

 

楓「死者の目覚めっ!!!!」

 

ジャン! ジャン! ジャン! ジャン!   お玉とフライパンを叩きあわせた音

 

貴浩「ん?……おはよう楓、皆」

 

のっそりと貴浩が目をさました

 

秀吉「す、凄い音じゃの……」

 

雄二「ああ、耳鳴りが凄いんだが」

 

明久「だから言ったでしょ? 心の準備をしてたほうがいいって」

 

雄二「それだけで分かるか!!」

 

楓「兄さんおはようございます。では私はこれで失礼しますね」

 

明久「楓ありがとうね」

 

秀吉「このために楓を呼んだのじゃな」

 

西村「……本当にお前達は……」

 

 

 

           ☆

 

 

 

そして自習時間

 

俺達は朝の貴浩の件で話していた。

 

愛子「朝からそんな事があったんだね。本当に面白いね貴浩君は」

 

秀吉「あの音はもはや攻撃なのじゃ」

 

貴浩「そうか? 俺はいい目覚ましになんだがな」

 

優子「楓も朝から大変ね」

 

楓「もう慣れましたよ」

 

明久「僕は最初のころは本当にあの音には驚いたよ」

 

雄二「ってか、俺は明久に朝から襲われそうになったんだが…」

 

刀麻「何やったんだ雄二?」

 

雄二「わからん」

 

刀麻「なぜ襲ったんだ明久?」

 

明久「僕が目を覚ましたら目の前に雄二の顔があったんだよ!

   直前までいい夢を見てなのに起きたらこんなブサイクの顔だよ!

   殴りつけるしかないじゃないか!!」

 

貴・刀「「なるほど!! それはそうだな!!」」

 

雄二「納得するな!!」

 

翔子「……大丈夫。雄二がカッコいいのは私が知ってるから」

 

雄二「ん、そうか///」

 

いきなり翔子に言われた雄二の顔が赤く染まる。

 

貴浩「雄二、顔真っ赤だぞ」

 

明久「いいよね雄二は。そんな事をいってくれる人がいて。

   僕にはそんな人いないからね」

 

貴浩「俺もだな。そんなヤツがいたらいいな」

 

明久「そうだね」

 

雄二「お前らそれ本当にそう思ってるのか?」

 

雄二が驚いたように俺達に聞く。

 

明久「え? 当たり前じゃないか! 僕にそんな人いるわけないじゃないか!」

 

貴浩「いたら会ってみたいな」

 

俺と明久は同時に返答した。

 

明・貴「「えっ?」」

 

明久「貴浩にはいるじゃない。まさか気づいていないの?」

 

貴浩「明久にだっているだろ。まさかまだ気づいていないのか?」

 

貴・明「「誰が俺(僕)に好意を向けているって言うんだ!?」」

 

貴浩「明久にはみk───」

 

明久「貴浩には優──」

 

俺達が同時に相手の名前を言おうとすると

 

優・愛・命「「「うわぁアアあああああああ!!!!!」」」

 

優子と愛子、命の3人の声によってかき消された。

 

そして俺は命に、明久は優子と愛子によって連れて行かれた。

 

 

貴浩&命

 

 

命「貴浩君は何言おうとしているの!?」

 

貴浩「悪ぃ。つい口が滑りそうになった」

 

命「もう気をつけてよ」

 

貴浩「ああ、気をつけるよ。

   …ってか命が明久に告白したらいいんじゃないのか?」

 

命「こ、告白!?わ、私にはまだ早いよ」

 

貴浩「早くしないと他のヤツに明久を取られるぞ。

   明久のヤツ、清涼祭の時から人気が出ているからな」

 

命「え?そうなの?」

 

貴浩「ああ、明久は料理が上手いし顔も悪くないからな。

   今まで人気がなかったほうが不思議なんだよ」

 

命「そうなんですか」

 

貴浩「急かす訳じゃないが命も早く決めたほうがいいぞ」

 

命「うん・・・・」

 

そうして俺と命は雄二たちの元へと戻った。

 

 

明久&優子&愛子

 

 

愛子「吉井君は何言おうとしてたの?」

 

明久「え? それは優子さんと工藤さんが貴浩のことが好きだって事を・・・」

 

愛子「うわぁあああ。もういいよ! そこでストップ!!」

 

優子「明久君はいつからその…私達が…貴浩の事を好きってことに気づいたの?」

 

明久「僕が気づいたのは清涼祭の時、貴浩たちが休憩から帰ってきたときからかな」

 

優子「結構前から気づいていたのね」

 

愛子「なんだか恥ずかしいね」

 

明久「で、2人は貴浩に告白しないの?」

 

愛子「告白はまだかな。まずは貴浩君に僕達の気持ちに気づいて欲しいからね」

 

優子「それとなくは少しずつ行動はとってるのだけど…」

 

明久「気づいてくれないんだね。でも早くしないと他の人に取られるかもよ」

 

優・愛「「え?」」

 

明久「貴浩は昔から女子に人気があるからね。

   ただ貴浩が鈍感なだけで気づいていないだけだけど。

   だから早めに行動したほうがいいよ。僕でよかったら応援するから」

 

優子「え? そう、ならお願いしようかしら」

 

愛子「吉井君これからよろしくね」

 

明久「僕も貴浩が幸せになるなら手伝うよ」

 

明久たちも話を終え雄二たちの元へと戻った。

 

 

 

 

貴浩「で、雄二、作戦のほうはどうなっているんだ?」

 

雄二「今、ムッツリーニと光一、砂原に探らせている」

 

しばらくすると、

 

光一「戻った。昨日、高橋先生やジュディス先生たち教師陣や女子生徒を倒した噂が

   広まって全学年の男子が覗きに参加するらしい」

 

雄二「なに? もう全員なのか?」

 

光一「ああ、昨日の戦闘が思ってたより好評でな。皆、乗り気らしい」

 

明久「まあ、一昨日から女子生徒だけでなく教師も倒してるからね」

 

秀吉「そうじゃな」

 

雄二「で、犯人の方はわかったのか?」

 

光一「それは康太と砂原が突き止めたみたいだ」

 

貴浩「それは本当か?」

 

康太「……(コクン)」

 

砂原「うん、犯人はね(ごにょごにょごにょ)だよ」

 

雄二「あいつらが犯人か。よくもやってくれたな」

 

康太「・・・・・・ただ、それは覗きの犯人であって貴浩の脅迫の犯人ではない」

 

貴浩「・・・そうか、でも覗きの犯人が見つかっただけよしとするか」

 

雄二「なら砂原。翔子たちを呼んできてくれ」

 

その後、Aクラスから霧島と優子、愛子、なのは、刀麻、砂原、椎名、

Bクラスから蘭と五十嵐、Cクラスから小山、Dクラスは玉野、Eクラスからは中林、

Fクラスは俺、雄二、明久、秀吉、ムッツリーニ、楓、命を呼び作戦会議を開いた。

 

そして今夜、決戦が始まる。



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最終決戦①

5/2 修正


雄二「よし、じゃあこれから最後の決戦を仕掛けるぞ。

   光一は例の犯人たちの動向を探ってくれ、動いたら連絡を頼む」

 

光一「わかった」

 

雄二「今回は途中で裏切るからあまり女子や先生を倒しすぎるなよ。

   そして今から部隊を5つに分ける。

   1班は俺、2班は明久、3班はムッツリーニ、4班は秀吉、5班は貴浩だ。

   そして、2Fを俺と秀吉の部隊が、1Fを貴浩の部隊が、

   大浴場に続く廊下を明久とムッツリーニの部隊が

   まずは攻めるフリをして途中で反旗を翻す」

 

明久「わかったよ」

 

雄二「1番貴浩がきついかもしれないが、俺達がたどり着くまで耐えてくれ」

 

貴浩「雄二、別に倒してしまっても構わないんだろ?(ニヤッ)」

 

雄二「ああ、かまわないぜ(ニヤッ)」

 

秀吉「反旗を翻すのは、その犯人が姿を現した時で良いのじゃな」

 

雄二「ああ、あいつらは自分の保身を大事にしているだろうからな。

   おそらく、明久とムッツリーニが1Fを抜けたら姿を現すだろう。

   その時が反撃の時間だ!」

 

刀麻「なあ雄二?俺は誰を援護すればいいんだ?」

 

刀麻は唯一Aクラス男子の協力者なので、俺達みたいに指揮する部隊がいない。

 

雄二「本当は貴浩についてほしいが、刀麻は明久たちの部隊についてくれ。

   一応女子生徒の代表核には話を通してはいるが、

   話を聞いていない女子もいるだろうし、教師にも鉄人以外には話していないからな。

   第1目標は明久とムッツリーニの部隊を大浴場前の廊下にたどり着かせる事だ。

   それに男子を1人でも女子風呂内部に侵入させてもいけない」

 

刀麻「わかった」

 

雄二「それで教師の布陣だが、おそらく・・・

   3Fを布施先生や遠藤先生が固めているだろう。

   2Fは森田先生やレイブン、ジュディス先生、

   1Fは高橋女史にスタン先生、ルーティ先生、リリス先生、

   そして、大浴場前に鉄人や鈴村先生が固めているはずだ」

 

秀吉「それを聞くと貴浩の部隊が一番きついじゃろうな」

 

明久「いや、2Fもきついと思うよ」

 

貴浩「そうかもしれないが、今回は教師を倒す事が目的じゃないからな」

 

雄二「さっきも言ったが倒しすぎてもダメだ、

   倒さなすぎてもいけない。犯人に疑われたらアウトだからな。

   それに明久とムッツリーニを大浴場前に連れていかないといけないからな」

 

明久「ねえ雄二。どうやって犯人が現れた事を僕達に知らせるの?」

 

雄二「なに、それはちゃんと準備してある。

   ヤツらが現れたらある放送を流してもらう手はずになっているからな」

 

貴浩「じゃあ、その放送が流れるまで耐えればいいんだな」

 

雄二「そうだ。それじゃあ、真犯人退治に行くぞ!」

 

貴浩「そして明日はゆっくり風呂に入りたい・・・・・」

 

秀吉「まぁの。最後位はゆっくりしたいの」

 

雄二「そのためにも今日ケリをつけるぞ」

 

貴浩「そうだな。さてとやりますか!」

 

秀吉「皆、準備は良いかの」

 

明久「皆、頑張ろう!」

 

刀麻「仕方ないな」

 

光一「覚悟しろよ!」

 

康太「・・・・・・頑張る」

 

雄二「野郎共ぉ出陣だぁ!!!!!」

 

「「「「「「おおおおぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」

 

 

 

         ☆

 

 

 

2FではすでにDクラスの男子と女子達が戦闘をしていた。

 

「やっぱりきたわね覗きの主犯格!」

 

「ここは通さないわ!」

 

明久「予想通り守備部隊がいるね」

 

森田「悪いけどここは通さないわよ!」

 

ジュディス「ごめんなさいね」

 

雄二の予想通りここには、森田先生とジュディス先生、レイブンがいた。

一つ予想外なのは何故か霧島がいたことだが、おそらく霧島は大丈夫だろう。

 

雄二「よし、ここは作戦通り俺と秀吉の部隊で抑える。皆は先に行けっ!!」

 

そういうと雄二と秀吉の部隊が盾となって俺達に道を作ってくれる。

 

貴浩「行くぞっ!!」

 

明久「頼むよ雄二、秀吉!」

 

森田「そうはさせないわ!レイブン先生!!」

 

そこで俺達の前にレイブン先生が現れる。

 

貴浩「レイブンに構うな。突っ込め!!」

 

俺の指示通り、皆レイブンと戦闘することなく通り抜ける事ができた。

俺も通り抜けようとすると、レイブンが俺の横までやってきて

 

烏丸「犯人見つかる良いね(ボソッ)」

 

貴浩「なっ!?」

 

突然、俺にそんな事を言ってきた。俺は脚を止める

なんで、知っているんだろうか・・・・教師には鉄人しか言ってないはずだが

 

烏丸「偶然聞いてしまってね・・・・まあ応援するよ(ボソッ)」

 

俺達は小声で会話する。

 

貴浩「先生は俺達の味方ってことですか?」

 

烏丸「今回はね」

 

貴浩「そうですか」

 

烏丸「早く行きなよ」

 

貴浩「わかりました」

 

俺はレイブンに軽く頭を下げると1Fへと降りていった。

 

 



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最終決戦②

5/2 修正


1Fに降りてみると

そこには、すでにA・B・Cの男子と女子生徒・教師陣との戦闘を繰り広げられていた。

 

高橋「やはり来ましたね織村君」

 

スタン「待ってたよ織村」

 

ルーティ「ここまでよ。ここから先へは行かせないわよ」

 

リリス「あなた達は厳しく指導してあげるから」

 

そこには雄二の予想通り4人の教師がいた。

 

まあ・・・今回の目的は教師を倒す事ではないからな・・・

 

明久「教師勢ぞろいだね・・・」

 

刀麻「そうだな。さすがにこれはきついな・・・」

 

貴浩「明久! ムッツリーニ! ここは俺たちに任せて行け!!

   刀麻も明久たちの援護を頼む」

 

俺は明久たちの前にたち先に進むよう促す。

 

明久「わかったよ」

 

康太「・・・・・・・頼む」

 

刀麻「頼んだぞ貴浩!」

 

リリス「簡単には行かせません『サンダーソード』!!」

 

明久たちが抜けようとすると

リリス先生の攻撃で盾となっていたCクラス男子が数人やられた。

 

姫路「行かせませんよ明久君!」

 

島田「そんなに覗きたいのねアキ!」

 

そこへ今度は姫路と島田が姿を現す。

まだ懲りてないのかこの2人は・・・・・・もう面倒臭いなコイツら・・・

それと同時に優子と愛子の姿も見える。

ちなみに楓と命は入浴中だ。

2人も最初は作戦に参加すると言っていたが俺と秀吉が猛反対した。

理由は危ない目に会わせたくないから。

風呂は誰にも覗かせないから大丈夫だろうしな。

 

明久「っ!!」

 

明久たちが足を止めようとすると

 

貴浩「そのまま進め!!『試獣召喚(サモン)』!!」

 

 

≪ 総合科目 ≫

 

  織村貴浩 4892点  

 

    VS 

 

  高橋女史 8217点 & スタン 4992点

  ルーティ 5791点 & リリス 5486点

  姫路瑞希 4972点 & 島田美波 931点

  木下優子 3992点 & 工藤愛子 3729点

 

 

貴浩「行けっ!!明久、ムッツリーニ、刀麻!!」

 

明久「う、うん」

 

貴浩「行って(俺達の)未来を切り開いてくれ!!」

 

姫路「そうはさせません!!」

 

姫路が明久たちに腕輪を発動させようとする。

 

貴浩「須川!!」

 

須川「了解!!KMF団シールド!!」

 

須川がそういうと数人のFクラスメンバーが盾となり

明久たちへの攻撃を身をもって防いでくれた。

 

リリス「なら、『サンダーソード』!!」

 

今度はリリス先生が腕輪を再び使い襲い掛かってくる。

 

貴浩「やらせない!!『グラビトンノヴァ』!!」

 

俺も腕輪を発動させ攻撃を相殺させる。

 

明久「ありがとう貴浩!!」

 

そこでようやく明久たちが大浴場へと続く階段を下っていく。

 

貴浩「須川、近藤!!これ以上敵を通すなよ!!」

 

須・近「「了解!!」」

 

これから各階で激戦が始まる



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最終決戦③ 連絡待ち

5/2 修正


姫路「邪魔ですよ織村君!!」

 

島田「そこをどきなさい織村!!」

 

島田と姫路が俺に攻撃を仕掛けてくる

 

貴浩「・・・・・・」

 

俺は2人の攻撃を軽くかわしていく

 

貴浩「まず島田からだな・・・・・・封神雀華(ふうじんじゅっか)!!」

 

俺は島田の召喚獣に向かって刀を払い、

納刀しながらの打撃へと流れるような連撃をあびせる。

そこで点数差もあり一瞬で島田の召喚獣が消滅する。

 

島田「え!?うそ!?」

 

貴浩「次は姫路、紫電滅天翔!」

 

俺は前進しながら連続突きを繰り出し斬り上げる。

(ちなみに本当のテイルズの技なら電撃を帯びていますがこの技にはないです)

 

貴浩「とどめ、すべてを切り裂く『獣破轟衝斬(じゅうはごうしょうざん)』!!」

 

俺は抜刀した状態で姫路の召喚獣に近づき、

居合いから刀で横に薙ぎ払い刀を持ち直し、勢いよく斬り上げた。

さすがに姫路の点数でも攻撃が直撃したので消滅した。

 

貴浩「よし、まず2人討ち取った!!」

 

「すげぇ、一瞬で2人をやったよ」

 

「しかもあの姫路相手だぜ」

 

「これで理想郷(アガルタ)に近づけるな」

 

「ああ、確かコイツらは昨日、高橋女史を打ち倒したらしいからな」

 

あちこちで男子達が声を上げる。これで一応男子達の指揮は上がったな。

 

須川「良かったのか? あの2人を倒して、作戦に支障はないのか?(ボソッ)」

 

貴浩「大丈夫だ。あの2人は敵だからな。さあ皆、踏ん張るんだ!!」

 

『『『『『おお!!!』』』』』

 

高橋「これ以上の失態はしませんよ」

 

スタン「さすが織村だな。だがこれ以上は通しはしないぞ!」

 

A・B・C男子たちと教師・女子連合が戦いが激しくなる。

 

貴浩「よし須川、近藤。俺達の部隊を少し下がらせろ(ボソッ)」

 

近藤「わかった(ボソッ)」

 

須川「戦力を温存するんだな(ボソッ)」

 

貴浩「さて、あとは現れるのを待つだけか・・・・・」

 

 

 

~ 2F ~

 

 

 

雄二「皆、粘れ!!粘れば俺達の勝ちだ!!」

 

『『『『『おう!!!』』』』』

 

ジュディス「簡単にはやられないわよ」

 

2Fでも3Fからやって来たEクラス男子達が加わり激戦と化している。

 

森田「あ~!!もううざいわね!一気に蹴散らすわ!

   『スパイラルフレア』!!」

 

森田先生が腕輪の力を使い巨大な炎が男子生徒の召喚獣に向かっていく。

 

雄二「そうはさせねぇ!!『ランサー』!!」

 

雄二がキーワードを告げるとネックレスが輝き

雄二の召喚獣に2つの槍が装備される。

 

雄二「『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』!!」

 

雄二が槍を振るうと巨大な炎がかき消される。

 

森田「なっ!?」

 

雄二「よしっ!これなら森田先生の腕輪に対抗できるな」

 

そう雄二のネックレスの能力の1つ『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』は

相手の魔術要素みたいな攻撃を打ち消すことができる。

なので森田先生には相性最悪の力なのである。

 

秀吉「ナイスじゃ雄二!!皆ここが踏ん張りどころじゃ!!

   ・・・雄二よ、あとは犯人が現れるのを待つだけじゃな」

 

雄二「ああ、頼むぞ明久」

 

 

~ 女子大浴場前 ~

 

 

明久「よし、目的地に到着したね」

 

西村「吉井よくここまで来れたな」

 

明久「鉄人!」

 

僕達の前には鉄人と鈴村先生、それになのは、数人の女子生徒がいた。

 

刀麻「どうする明久?まだ連絡はないが・・・・」

 

明久「…連絡があるまで戦うよ」

 

刀麻「わかった!」

 

康太「・・・・・・鈴村先生の相手は俺がやる」

 

明久「わかったよムッツリーニ。じゃあ僕は鉄人だね」

 

刀麻「なら俺はなのはの相手──」

 

康太「・・・・・・八神を相手にしたら後ろから刺す」

 

刀麻の後ろでそうムッツリーニが呟く。

 

刀麻「・・・はやめて、まわりの女子を相手するか・・・・・」

 

康太「・・・・・・ならいい」

 

明久「ムッツリーニ完全になのはの事好きだよね」

 

康太「・・・・・・そんな事実はない(ブンブン)////」

 

ムッツリーニは顔を真っ赤にさせながら否定する

 

なのは「えっ!そうなの・・・・・・ガッカリ」

 

康太「!?」

 

明久「あっ、なのはを落ち込ませたよ」

 

康太「・・・・・・(オロオロ)」

 

なのは「なんて嘘だよ土屋君♪」

 

康太「・・・・・・・心臓に悪い」

 

鈴村「ゲフン・・・・・・・もういいか?」

 

明久「あっ!?忘れてた!よし、行くぞ鉄人!!」

 

康太「・・・・・・今度は負けない『試獣召喚(サモン)』」

 

鈴村「教師が生徒に負けるわけにはいかないからな『試獣召喚(サモン)』」

 

 

 ≪ 保健体育 ≫  

  

  土屋康太 774点  VS  鈴村瀬名 698点

   

 

鈴村「なに!?」

 

土屋「・・・・・・言ったはずだ。負けないと」

 

鈴村「っ!」

 

そこでムッツリーニと鈴村先生の戦闘が始まった。

 

明久「鉄人いきますよ『試獣召喚(サモン)』!!」

 

 

 ≪ 総合科目 ≫

   

  吉井明久 2962点

 

 

西村「ほう、かなり点数が伸びたじゃないか」

 

明久「それは貴浩たちのおかげですよ」

 

今度は僕と鉄人の戦闘が始まった。

鉄人は色々あって今は自分の召喚獣を持っていないらしいので自分の体で戦っている。

召喚獣の動きについてこれるなんて化け物だよ!

 

刀麻や他のAクラスの男子と一緒に女子と戦っている。

 

あとは連絡を待つだけだ・・・・・・



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作戦開始っ!!

5/2 修正


~大浴場前~

 

 

康太VS鈴村

 

 

鈴村「確かに昨日のお前と比べると点数は高いが、教師がそう簡単に負けるわけにはいかない!」

 

康太「・・・・・・俺もなのはの前では負けられない。昨日の借りは返してやる」

 

ムッツリーニと鈴村先生の召喚獣が激しくぶつかり合う。

 

鈴村「確かにお前の動きは早い。目では追いきれない。

   だが、直線的だから真正面に立たなければどうということはない!」

 

ムッツリーニは腕輪の能力を発動させた時は直線的な動きでしか動いていなかったのだ。

  

その事を鈴村先生に知られているので腕輪の力を発動しても動きが見切られてしまっている。

徐々にムッツリーニの召喚獣が押され始めてきた。

 

康太「・・・・・・確かにそうだ。俺は今まで直線的な動きしかしてこなかった」

 

鈴村「だろうな。ではこれで終わりにしよう!」

 

鈴村先生はこれで終わりだと言わんばかりに召喚獣を特攻させてきた。

 

康太「……だが、俺は昨日までの俺とは違う!」

 

康太が再び腕輪を発動させる。

 

鈴村「その腕輪は俺にはきかない!」

 

康太「・・・・・・甘い」

 

康太の召喚獣が鈴村先生の召喚獣の左腕を切り落とす。

 

鈴村「なっ!?」

 

康太は腕輪を発動させているが、今までと違い加速途中に急停止し方向を変えたのだ。

 

康太「・・・・・・俺がいつまでも同じ戦法をすると思うなよ」

 

康太は今までは直線的な動きしか出来なかった。

だが、昨日の教師との戦いでこのままではいけないと思い貴浩に操作を学んでいたのだ。

 

康太「・・・・・・これで決める!

   閃け、鮮烈なる刃! 無辺の闇を鋭く切り裂き、仇為すモノを微塵に砕く!

   これで!!『漸毅狼影陣(ざんこうろうえいじん)!!』」

 

今までの康太の動きとは違い四方八方に動いて見せ鈴村先生をかく乱しながら

四方から斬撃の刃を喰らわせ、最後に召喚獣を押し倒し首元に小太刀を当てた。

 

康太「…俺の勝ちだ」

 

鈴村「…お前を甘く見すぎたか。さあトドメをさせ」

 

康太「…それはしない。そろそろ合図がくるだろうしな」

 

鈴村「合図だと?」

 

康太と鈴村の勝負は康太の勝ちで収まった。

 

 

 

~ 1F ~

 

 

 

今、貴浩は優子と愛子の対峙していた。

 

優子「さすが貴浩ね。攻撃が当たらないわ」

 

愛子「2人がかりなのにね」

 

貴浩「前より召喚獣の操作が上手くなってるな。そこのバカ2人よりは凄いぞ。

   でもそれじゃあ俺には勝てないけどな」

 

といってもお互い本気で戦ってないけどな・・・・

 

早く合図が来ないのか と待っていると

 

 

≪ピンポンパンポーン≫

 

 

そこで放送のチャイムがなる

 

「「「「来たぁあああああ!!!!!」」」」

 

チャイムがなると待ってましたと言わんばかりにFクラス男子メンバーが叫んだ。

 

砂原≪皆ぁ! お待たせしたねん♪ 作戦開始だよん♪≫

 

スタン「・・・この声は?」

 

高橋「・・・この声は砂原さんですね。あなた達は今度は何を考えているのですか?」

 

貴浩「これからすぐわかりますよ」

 

俺はそういうと優子と愛子から離れて

 

貴浩「お前ら俺を少し守れっ!!」

 

リリス「そうはさせませんっ!」

 

俺は使い魔召喚の詠唱をするため男子にそう声をかける。

女子や教師はそれをさせまいと攻撃をましてくる。

 

そして男子が盾となって時間を稼いでくれたおかげで無事ライダーを召喚することができた。

 

貴浩「行くぞぉ!!全軍突撃ぃ!!」

 

「「「「うおおおぉぉぉぉぉ!!!!」」」」

 

全男子の咆哮の声が聞こえる。

おそらく雄二や明久も同じことをしたのだろう。

 

男子達はこれが何の作戦かも知らずに我先へと突破しようとする。

 

そして・・・・・

 

貴浩「今だ!」

 

俺が合図すると無防備になっている男子の背中からFクラスメンバーが攻撃を加える。

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

いきなりの俺たちの攻撃にA・B・Cクラスの男子と

教員達、また事情を知らない女子達が驚きを見せる。

 

貴浩「これより俺達Fクラスは女性軍の味方をする!!」

 

「「「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」

 

「なんだと!?」

 

「裏切るつもりか!」

 

貴浩「裏切るも何もこれが俺達の最初からの目的だからな」

 

「どういうことだ!?」

 

貴浩「なに、最初から俺達Fクラスは覗きなんかしようと思っていなかったのさ。   さてと昨日は霧島に力を見せてもらったからな。

   今度は俺が見せるとしよう。『ライダー』そして『神威の車輪』」

 

俺はネックレスのキーワードを告げると召喚獣の装備に紅いマントが追加される。

そして召喚獣は二頭の飛蹄雷牛(ゴッド・ブル)が牽引するチャリオットに立っていた。

 

貴浩「では見せてやろう!『王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)』!!」

 

俺がそう告げると俺の召喚獣の周りに約1クラス分の数となる召喚獣が姿を現す。

 

優子「な、なによこれ!?」

 

愛子「物凄い数の召喚獣が現れたよ!?」

 

貴浩「見よ!俺の無双の軍勢を!これが俺のネックレスの力だっ!!

   ・・・・・・さて、須川、近藤。こいつらは今からここを突破して

   我らが女神であられる楓と命の入浴を覗こうとしているんだがどうする?」

 

近藤「ふっ、そんなこと言わなくてもわかるだろ」

 

須川「我らが女神に手を出そうとするものは何人たりとも許しはしない。

   それが俺達──」

 

「「「「「異端審問会!!!」」」」」

 

いつもの黒いコートを着た集団が男子達の前に現れる。

・・・・・・なぜか釘バットや鎌などの凶器を持って。俺は仕込みトンファーを。

 

正直、楓と命を入浴させた理由の1つにコレも含むんだが・・・

 

貴浩「皆、我等が女神に手を出そうとする輩を許しておくべきか」

 

「「「「「否! 否! 否!!」」」」」

 

貴浩「異端者をコロs──(ゲフン)成敗しろ!!」

 

「「「「「おおおおぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」

 

「今、コロスって言わなかったか!?」

 

「それに危ないモノもってるだろうが!?」

 

貴浩「気のせいだ。なあ須川?」

 

須川「気のせいだな」

 

貴浩「これは聖書だよな?」

 

近藤「ああ、これは俺達の聖書だな」

 

貴浩「では男子諸君。数でも力でも俺達のほうが勝る。

   お前らっ!あいつ等を蹂躙せよ!!」

 

「「「「「おおおぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」」」

 

「え?ちょっ、待て!?」

 

俺の掛け声で俺の召喚獣と使い魔たち

そしてFクラス男子がA・B・C男子に突撃していく。

 

・・・・・・・・・・・・Fクラスは生身で

 

 

優子「な、なんか本当に凄いわねFクラスは・・・・・」

 

愛子「う、うん。さすがというべきかな」

 

優子「それにしても貴浩は凄いわね」

 

愛子「うん、正直勝てる気がしないよ」

 

貴浩「2人ともなに呆けてるんだ? 俺達も行こうぜ」

 

俺が突撃しようとすると

 

高橋「待ってください。これはどういうことか説明してください」

 

優子「それは私達が説明します」

 

高橋先生が状況がわからずたずねてきたので優子と愛子が説明してくれる。

 

貴浩「優子と愛子にここは任せて。俺も敵を片付けるか。

   ライダー今まで力を抑えさせていて悪かったな。

   今日はもういい思う存分暴れろ」

 

ライダー「はい、そのつもりです」

 

俺は教師達の説明を優子と愛子に任せ戦場へと向かった。



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それぞれの戦い!

5/2 修正


貴浩「さすがに数が多いか」

 

それもそうだ。この階にはA・B・Cクラスの男子が勢ぞろいしているのだ。

 

貴浩「だいたい・・・そうだな・・・150人って所か」

 

おそらくまた増えていくだろう。

上の階で雄二たちが下へどんどん男子を追いやる作戦だからここが最終ラインになる予定だしな。

 

ライダー「マスター・・・」

 

ライダーが心配して声をかけてくれる。

 

貴浩「少しきついがライダー付き合ってくれるな?」

 

ライダー「もちろんです。私はマスターについていきますよ」

 

貴浩「よしっ! ならでかい花火を打ち上げますか!!

   ライダー! 遠慮はいらん! 最初からギアをあげていけっ!!

   あと自分の判断で動いていい! 点数は気にするなっ!」

 

俺はライダーにそう指示し

 

貴浩「『グラビトンノヴァ』!!」

 

ライダー「『騎英の手綱(ベルレフォーン)』!!」

 

俺は腕輪を発動し敵を掃討する。

ライダーもペガサスを召喚し上空へ駆け上がり

流星のごとき光を放って突貫していき敵を圧倒する。

 

愛子「・・・・・・わぁお!凄いや・・・」

 

優子「えぇ、私達もできる限り頑張りましょう」

 

そして貴浩とライダーがこじ開けた道を後ろから優子や愛子たちが続いていく。

 

しばらく敵を倒していると

 

スタン「事情は聴いたよ織村」

 

ルーティ「もうややこしいことして・・・ちゃんとアタシたちにも相談しなさいよね」

 

スタン先生とルーティ先生が援護に駆けつけてくれた。

 

貴浩「すみません。でもこれで最後ですから」

 

ルーティ「ならさっさと片付けるわよ。スタンやるわよ」

 

スタン「ああ!織村良く見ておいて、これから俺達がすることを」

 

貴浩「えっ?」

 

スタン先生はそういうとルーティ先生の隣に立ち

 

スタン「いくよルーティ」

 

ルーティ「準備バッチリよ!」

 

スタン「やってやるぜ!」

 

スタン先生がそういうと同時に上空に赤と青の魔方陣みたいなものが現れる。

 

ルーティ「派手に行くわよ!」

 

スタン「おりゃりゃりゃりゃ!!」

 

ルーティ「飲み込めっ!」

 

スタン・ルーティ「「レインティブ・オリオン!!」」

 

その直後、その魔方陣から炎と水のレーザーが敵に向かって降り注いでいき

召喚獣を跡形も無く姿を消した。

 

貴浩「す、すげぇ」

 

スタン「見てたかい。これが俺とルーティの力の一部だよ」

 

貴浩「まだこの先があるんですか?」

 

スタン「ああ、まあコレはルーティとの技だから他の先生とは違うものができるけどね」

 

貴浩「相手によって違うんですか・・・」

 

スタン「コレを織村に見てもらったのは、

    お前なら俺達と同じように共鳴技ができると思ったからだ」

 

貴浩「共鳴技?」

 

スタン「ああ、これは誰にでも出来るわけじゃない。

    これを使うには召喚技術が高く、召喚者同士の仲がいいことでできる技なんだ」

 

貴浩「・・・・・・それが共鳴技」

 

スタン「俺は織村なら使えると思ったから教えた。

    今度俺と戦う時は楽しみにしてるよ」

 

スタン先生はそういうとルーティ先生と一緒に他の生徒の援護に向かった。

 

貴浩「共鳴技か。めっちゃ面白そうじゃねぇか。

   ・・・とその前にまずはこちらを終わらせるか」

 

俺はひとまず共鳴技についてのことをおいておきある人物の元へ向かった。

 

貴浩「よぉ!そんなところで何をしてるんだ?」

 

俺は物陰に隠れているヤツに向かってそう言った。

 

貴浩「お前の正体はもうわかってるんだよ。さっさと出て来い久保利光!!」

 

久保「・・・・・・ばれていたのか」

 

俺が名を呼ぶと久保が俺の前から姿を現す。

 

貴浩「まさか俺への脅迫状の犯人がお前だったとはな。少し驚いたよ」

 

久保「何故僕だと思ったのかな?」

 

貴浩「最初は俺の周りには美女が多いからな。

   だから普通に男子からの嫉みによるものだと思っていたが、

   それならそばにいるもの人に近づくなと書かず女子に近づくなと書くはずだ。

   でもそうしなかったのは女子ではなく男子に近づいて欲しくなかったんだ。

   で、次は女子が俺に送ったのかとも思ったが

   他の男子にはなく俺にしか手紙が来なかったから分からなかったんだが、

   この合宿での隠しカメラの事件で1人目の犯人が清水だったんだ。

   それで気がついた。もしかしたら同姓愛者のヤツが犯人じゃないかってな。

   それで以上のことが該当するのがお前しか見つからなかったんだよ。

   お前には明久の写真を売った事があるからな」

 

久保「・・・・そうかい。それで・・・・」

 

貴浩「じゃあおとなしく捕まれ」

 

久保「いやだね。僕は君を倒して吉井君の隣には僕が立つんだ」

 

貴浩「お前は・・・明久のことが好きなのか?」

 

久保「ああ、好きだ!この気持ちに偽りは無い!

   吉井君のそばに居たいんだ。それなのに吉井君の隣にはずっと君がいる。

   僕が吉井君のパートナーになるんだ!

   だから僕は君を倒すんだ!『試獣召喚(サモン)』!!」

 

貴浩「チッ『試獣召喚(サモン)』!!」

 

 

 ≪ 総合科目 ≫

 

   織村貴浩      VS   久保利光 

    3092点          3976点

 

 

 

久保「先ほどの戦いで点数が減っているようだね」

 

貴浩「そうだな。が俺は負けやしねぇよ!!」

 

そして俺と久保が戦闘を開始する。

 

 

 

 

 ~ 2F ~

 

 

 

砂原の放送が聞こえてから

 

秀吉「雄二は犯人のところに挨拶にいってくるがよい。

   ここはワシに任せると良い。随分我慢したのじゃ。

   ワシも今日は力を思う存分振るうのじゃ!!」

 

雄二「ああ、任せるぞ秀吉」

 

雄二はそういうと犯人のところへ向かっていった。

秀吉は雄二を見送ると同時に詠唱を唱える。

そして秀吉の召喚獣の横に新たな召喚フィールドが現れ

一際大きな使い魔(サーヴァント)が姿を現した。

 

バーサーカー「●●●●●●●●●●!!」

 

秀吉「バーサーカーよ、随分待たせたの。今宵は共に暴れようぞ!」

 

「な、なんだ!?あの召喚獣!?」

 

「でかい!でかすぎだろ!?」

 

普通の召喚獣は膝ぐらいの高さがあるかないかの大きさだが、

バーサーカーの大きさは異常で秀吉の胸までの大きさがあった。

 

 

秀吉「お主らはこれから楓と命がおる浴場を覗こうとする不届き者じゃ。

   これよりワシらが成敗してくれよう!」

 

バーサーカー「●●●●●●●●●●!!」

 

秀吉がそういうと共にバーサーカーが男子の群れに突っ込んでいく。

バーサーカーが武器である巨大な石斧を振るうたびに召喚獣が吹き飛んでいく。

 

バーサーカー「●●●●●●●●●●!!」

 

「あんなのに勝てるわけねぇよ!!」

 

「ま、まて。あれは木下が召喚したんだ。なら木下をやれば消えるはずだ」

 

「そ、そうか。なら木下覚悟っ!」

 

男子はバーサーカーに敵わないとみて秀吉に攻撃をしかけようとするが

 

烏丸「そうはさせないよ」

 

レイブンが秀吉に向かってくる召喚獣を矢で動きを封じていく。

 

秀吉「烏丸先生助かるのじゃ。このまま相手の動きを封じてくれると助かるのじゃ」

 

烏丸「封じるだけでいいのかい?」

 

秀吉「うむ。ワシだって貴浩に鍛えられたんじゃ。行くぞ」

 

秀吉がそういうとネックレスの力を使い黒い騎士甲冑姿へと変わる。

そして烏丸先生が動きを封じた敵をまずは自身の武器である薙刀で切り裂き、

その反動を使って薙刀を敵に投げ、敵の召喚獣を貫く。

秀吉の召喚獣は倒れている相手の召喚獣の武器を奪い取ると

それを巧みに使い敵を倒していく。

秀吉は敵の武器を奪い取っていきそれを使って敵を倒していく。

 

これは秀吉のネックレスの力

『騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)』によるものだ。

これは手にした相手の武器をを自身の武器として扱う能力で

相手が消滅しようと自分が持っている間は消えずに使用することができる。

ここまで上手く相手の武器を奪い取ることができるのは

明久と貴浩に召喚獣の操作をならったこともできる理由でもあるが、

秀吉は元々の集中力が高いので相手の動きをよく観察して

その動きをある程度予想することでこのようなことができている。

 

 

2Fは秀吉を中心に男子を1Fへと押し込んでいっていった

 

 

      ☆

 

 

雄二は隠しカメラの犯人の1人の前まできた。

 

雄二「よう根城」

 

根城「坂本!」

 

雄二「さて、ここで大人しく捕まってくれるとありがたいんだけどな」

 

根城「そうはいくか!」

 

根城はそういうと隠し持っていた木刀をとりだし構えた。

 

雄二「・・・・・・やれやれ、丸腰の相手に武器か?」

 

根城「貴様にはこれぐらいじゃなきゃ敵わないからな」

 

雄二「・・・・・・まぁ良い。さて殺ろうか!」

 

根城「ク・・・・・・ッ!い、 行くぞ!」

 

雄二「ああ、来な」

 

根城「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

そして雄二と根城の戦いが切って落とされた

 

 

 

 

 ~ 大浴場前 ~

 

 

???「もう少しだ・・・・・・」

 

もう少しで女子の裸が見れるぜ!

俺はまわりにいる男子達を押しのけ進んでいくと

 

明久「そうは問屋が卸さないよ根本君」

 

根本「!? よ、吉井・・・・・・」

 

大浴場の一歩手前に吉井が目を瞑って佇んでいた。

 

明久「・・・・・・根本君、何故こんな事をするんだ?

   なんで僕達と陥れようとしたんだ」

 

根本「決まっている。俺はお前らに復讐するためだ!

   お前らのせいで俺は友香と別れてしまったんだ!!」

 

明久「それは根本君が卑怯な真似をしたからだよ」

 

根本「う、うるせぇ!! お前らが悪いんだ!!

   おい、お前ら! 吉井を殺るんだ! そしたら女子風呂までもう少しだ!」

 

なのは「ここから先にはいかせないよ」

 

そこでなのはが現れ、男子達の召喚獣を倒していく。

 

根本「相手は女だ。殴るなり蹴るなりしてから通れ!! そしたら目的地はすぐそこだ!!」

 

「「「「「おお!!」」」」

 

明久「な、なのは危ない!」

 

なのは「え?」

 

なのはが他の男子の召喚獣を倒しているところへ

根本の言葉を聴いた男子達がなのはに殴りかかろうとする。

 

なのはは自分が殴られると思い目を閉じる。

 

だが、時間がたっても殴られはしなかった。

 

なのはが目を開けてみるとそこには

 

康太「・・・・・・なのはに手をだすな!」

 

ムッツリーニがなのはの前に立ち、殴りかかろうとした男子を倒していた。

 

刀麻「おいおい、女子に手を出そうとするなんて最低だな」

 

西村「お前らは厳しく指導したほうがいいな」

 

鈴村「教育的指導が必要なようだな」

 

そして横から刀麻と鉄人、鈴村先生が現れ男子達を倒していく。

 

明久「ここまでだよ根本君」

 

根本「何だと!!」

 

明久の言葉に根本は明久に殴りかかる。

しかし、明久は召喚獣で受け止めたがフィードバックが

起こるはずの明久には何一つダメージが起きない。

 

根本「何だと!?」

 

明久「・・・・・・君の拳なんて僕にフィードバックを起こさせるだけの

   ダメージはないみたいだね?」

 

根本「クッ!」

 

根本は一歩下がって体制を整える。

 

明久「根本君・・・・・・君は僕の友達を陥れた!だから僕が君を倒す!!」

 

根本「何ぃ!」

 

そして明久と根本の戦いが切って落とされた。



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貴浩VS久保

5/2 修正


 ~ 1F ~

 

カン! キィン! キィン!

 

久保「ふん!」

 

貴浩「はっ!」

 

俺と久保は数度、打ち合うとお互い距離を取る。

 

貴浩「さすがAクラスだな。でもお前には負けられない!」

 

俺は久保の召喚獣に足を引っ掛けて倒すと左手で銃を構えた。

 

貴浩「久保、お前の負けだ」

 

久保「・・・・・・ああそうだねっと言うと思ったかい!」

 

貴浩「ッ!?」

 

久保が懐から何かを俺の目に向かって投げてきた。 目潰しか!?

 

久保「ふふふははははは。油断したね、織村君!!」

 

貴浩「っ!!」

 

そこで俺は胸に痛みを感じる。

今ので俺の召喚獣が攻撃を受けたみたいだ。

 

≪ 総合科目 ≫

 

   織村貴浩      VS   久保利光 

    725点          1761点

 

 

久保「さてこれで終わりだよ。これで吉井君の隣は僕のものだ」

 

貴浩「っ油断したぜ。まさかこんな手まで使ってくるとわな。

   だがまだだ!言っただろ俺は負けねえよ。

   こんな卑怯な手を使ったお前にはな」

 

久保「くっ」

 

貴浩「久保、こんな勝ち方をして明久の隣にいたいのか?

   それに明久の隣は俺のもんでもねえし、お前のものでもねえよ!」

 

久保「・・・・・・」

 

貴浩「それになこんな方法で明久の隣にいることが本当にお前が望んでた関係なのか!?

   違うだろ。お前が望んでいる関係は対等な対場で笑い合える関係だろうが!

   それにな別に俺がいたからお前が明久の友達になれねえんじゃねえよ!

   お前が明久のところに向かっていかないからだろうが!いい加減に目を覚ませぇ!!」

 

俺は召喚獣の持っていた刀を前に向けて、久保の召喚獣の心臓部に突き刺した。

それと同時に久保の召喚獣は消える。

 

≪ 総合科目 ≫

 

   織村貴浩      VS   久保利光 

    725点            0点

 

 

久保「・・・・・すまないことをしてしまったね織村君」

 

貴浩「自分の間違いに気づいたんだそれでいい。

   ・・・・・・・それより、久保、あの写真誰から買ったんだ?」

 

久保「こういうのは言ってはいけないんだけど・・・・・・Dクラスの清水さんだよ」

 

・・・・清水か。あいつもムッツリーニみたいに隠し撮りをしているのか。

 

久保「もちろん、あの写真は全て処分するよ」

 

貴浩「ああ、頼むぜ」

 

久保「・・・・・・・・・では、僕はこれで・・・」

 

貴浩「…待てよ久保。今度明久とAクラスに遊びに行くからな。

   そこでお前がどう行動するかは任せる・・・・」

 

久保「ありがとう。今回は本当にすまなかったね」

 

さて、これで終わったな。

久保が話がわかってくれて助かった。

これで姫路や島田みたいだったら色々大変だったな。

さて、後は明久と雄二たちだな。

俺は残りの男子達を始末するかな・・・・・



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雄二の戦い

5/2 修正


~ 2F ~

 

貴浩が久保と戦っていた時・・・・・・

 

根城「はっ!」

 

雄二「よっと」

 

俺は根城の攻撃をよけながら苦笑していた。

 

根城「クッ!ニヤニヤしやがって!」

 

雄二「ん?ああ、すまんな。お前の攻撃が遅くてな、つい」

 

根城「うるせぇ!お前のそういうとこが昔から嫌いだ・・・・・・」

 

雄二「はは、分かっているさ」

 

根城と俺は中学校からの知り合いだ。

 

こいつは中学時代、翔子に惚れており何かと俺に喧嘩を売ってきたんだ。

……まあ全部返り討ちにしてるがな。

 

根城「今度こそ霧島を俺のものにしてやるんだ!」

 

雄二「翔子の気持ちを確かめずにか?」

 

根城「ふん! そんなのは関係ないな!」

 

雄二「・・・・・・クソが(ボソッ)」

 

根城「何か言った――クッ!!」

 

殺気をただ漏れにすると根城はたじろぐ。

おっと、危ない危ない。 昔の自分に戻るところだったぜ。

 

根城「・・・・・・さすが悪鬼羅刹と呼ばれた坂本だな・・・・・・」

 

雄二「お前は俺には勝てないし、翔子もお前のものにはならない(ニヤッ)」

 

根城「何だと!?」

 

雄二「もう翔子は俺の女でな。他の男なんかにはやらねえよ」

 

根城「っ!? だ、黙れぇええ!!」

 

雄二「じゃあな根城!」

 

俺は全神経を集中して拳をヤツの腹に叩きこんだ。

 

根城「グハッ! な、何故俺がお前に・・・・・・(バタリ)」

 

雄二「・・・・・・・・・・・・中学生時代の自分に戻っただけだ(ボソッ)」

 

根城は壁に叩きつけられ気絶した

 

雄二「やれやれ、悪鬼羅刹は卒業したんだがな・・・・・・よっと」

 

俺は苦笑しながら気絶した根城を引きずって秀吉たちと合流した。

 

翔子「・・・・・・雄二」

 

雄二「翔子か?」

 

翔子「・・・・・・終わった?」

 

雄二「こっちはな」

 

根城を倒した後、翔子がやってきた。

 

翔子「・・・・・・ゆう(ポン)――?」

 

雄二「大丈夫だ・・・・・・中学校の頃の俺には戻ってない」

 

翔子「・・・・・・うん」

 

雄二「さて秀吉、貴浩たちと合流だな(ぐいぐい)――ん?」

 

俺の隣で翔子が腕の裾を引っ張る

 

翔子「・・・・・・雄二、話がある」

 

雄二「ああ、分かった・・・・・・秀吉、すまんが根城を頼む」

 

秀吉「ああ、こちらはワシに任せるのじゃ。バーサーカーよ。もう一暴れじゃ」

 

バーサーカー「●●●●●●●●●●!!」

 

秀吉はそういうと俺から根城を受け取り

バーサーカーとともに戦場へと戻っていった。

 

雄二「それで話ってなんだ?」

 

翔子「・・・・・・織村にね。雄二をもう少し信じてあげてって言われたの」

 

雄二「・・・・・・それで?」

 

翔子は如月ハイランドで見せた弱々しい表情をする

 

翔子「・・・・・・今まで酷い事してたこと謝ろうと思って」

 

雄二「・・・・・・・・・・・・」

 

翔子「・・・・・・それで(ぽん)――?」

 

俺は翔子が何か言う前に頭の上に軽く手をおく

 

雄二「酷い事なんてしてたか?俺は何の事だか分からんぞ?」

 

翔子「・・・・・・で、でも」

 

雄二「俺は酷い事をされた覚えがない。それでいいんじゃないのか」

 

翔子「・・・・・・う、うん」

 

雄二「!!」

 

翔子は俺の言葉に笑顔でそう言う。

おっと、危ない、危ない・・・・・・理性が跳ぶかと思った。

 

雄二「よし、貴浩たちと合流するか」

 

翔子「・・・・・・雄二」

 

雄二「ん――んん!?」

 

翔子「・・・・・・許してくれてありがとう////// 先に行く」

 

雄二「あ、ああ・・・・・・」

 

翔子に呼ばれて振り返るといきなりキスをされた。

俺は翔子の行動に唖然となってしまう。

そして、翔子が恥ずかしそうに1Fへと向かっていくのを見ることしかできなかった。



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明久の戦い

5/2 修正


~ 大浴場前 ~

 

貴浩と雄二が戦っている時・・・・・・・

 

根本「この!」

 

明久「甘いよ!」

 

根本君が僕の召喚獣目掛けて拳を振り下ろそうとするが

僕はそれを少ない動作で避ける。

 

明久「・・・・・・根本君、もう諦めたらどうだい?」

 

根本「お前の後ろには俺の理想郷(アガルタ)が待っているんだ! 誰が諦めるか!」

 

明久「僕は君を止めて見せる! この先にはいかせない。命や楓がいるからね」

 

根本「止めてみろ! ハッ!」

 

根本君は蹴りで召喚獣を倒そうとするが、

僕は少ない動きでかわして木刀で軸足を叩きつける

 

根本「グッ! おら!」

 

明久「よっと」

 

軸足を叩くと根本君はのけ反るが

それを利用して召喚獣に拳を叩きこもうとしたが僕はそれを避ける。

 

明久「根本君、もう一度言うよ。諦めたらどう?」

 

根本「ハァ、ハァ、ハァ。 ぬかせ・・・・・・」

 

根本君は息を切らせながらもその姿勢は崩さない

 

根本「吉井・・・・・・お前は見たくないのか?」

 

明久「・・・・・・何を?」

 

根本「織村妹や木下三女の裸だ・・・・・・!」

 

明久「・・・・・・見たくないというのは嘘だね。

   ・・・・・・でも、覗きなんてまねはしたくない!」

 

根本君がそう尋ねたので僕は目を瞑りながら自分の考えを述べる。

 

しかし、それがいけなかった

 

根本「・・・・・・ふ、ふふ、はははははははは」

 

明久「しまった!!」

 

僕の召喚獣を掴んだ根本君は高らかに笑った。

 

くっ、油断した

 

根本「吉井・・・・・・そこをどけ!」

 

明久「・・・・・・いやだ」

 

根本「そうか・・・・・・では!(ドカッ)」

 

明久「グハッ!」

 

召喚獣を盾に根本君が命令したが僕は拒否した。

すると、根本君は口端を持ち上げて召喚獣目掛けて

メリケンサック(いつの間にか付けていた)で殴ってきた。

僕はそのフィードバックにより膝をついてしまう

 

根本「さぁ、そこをどけ!」

 

明久「・・・・・・いやだ!」

 

根本「そうか・・・・・・なら、倒れるまで殴るまでだ!」

 

そういうと根本君は召喚獣を殴っていく。

僕はフィードバックで青痣を作っていった。

 

ふと根本君の後ろを見ると、

このフィールドを展開している鉄人やムッツリーニが助けようとしているのが見えた

 

明久「〈僕は大丈夫です〉」

 

西村「〈・・・・・・そうか・・・・・・なら頑張ってみろ!〉」

 

明久「〈はい!〉」

 

僕は鉄人たちにアイコンタクトで大丈夫というと、分かってくれたみたいだ

 

明久「根本君、僕は何度叩かれても倒れるつもりはないよ・・・・・・」

 

根本「何・・・・・・?」

 

明久「僕はね・・・・・・こんな卑怯な事をしたくないんだ。

   特に命の前では!『二重召喚っ(ダブル)』!」

 

根本「!!」

 

喚び声に応じて現れた分身に驚いて根本君が召喚獣を手放す

 

明久「根本君、勝負はこれからだよ」

 

2体の召喚獣に構えを取らせ、挟み込むように移動させる。

主獣(メイン)は右から、副獣(ダブル)は左からそれぞれ木刀を繰り出した

 

根本「ちっ、くぅっ・・・・・・!」

 

まったく逆の方向から訪れる攻撃に対して根本君の体勢が崩れる。

すかさず2体同時にガラあきの膝にローを放つ

 

根本「ぐうっ!」

 

拳、蹴り、木刀を駆使して左右から根本君に攻撃を加える僕の召喚獣

 

根本「く、くそーーーーーーっ!」

 

明久「根本君、僕はこれからある部分を狙っていくからね」

 

根本君が2体目掛けて拳で攻撃するが、

それを避けながらローと見せかけて金的狙いに変化するキック。

足元を狙ったと見せかけて股間を突きにいく木刀。

鳩尾狙いから下腹部狙いに軌道を修正した拳。

これら全ては、たった一度の急所攻撃の為に・・・・・・

 

根本「ちっ!それはしゃれにならねぇぞ!」

 

根本君の表情がゆがむ。

脇腹狙いから金的蹴り、肘を取ると見せかけて股間に肘鉄、

ストレートに急所突きなど

 

気がつくと、向こうは防御に手一杯になっていた。

 

明久「悶絶しろ、根本君!」

 

副獣(ダブル)が力を溜めて大きく拳を振う。

 

根本「や、やめろーーーーーっ!」

 

根本君はその動きを見て股間のガードを固めた

 

明久「何て、ウソだよ」

 

その瞬間、主獣(メイン)を動かして副獣(ダブル)を踏み台に根本君の背後へと跳ばせる。

今の予備動作はフェイク。 本命はこっちの主獣(メイン)だ!

 

根本「しまっ――」

 

明久「もらったぁぁーっ!」

 

下段防御に回した腕は頭部に至るまでに時間がかかり間に合わない。

僕の召喚獣の手刀が服部君の無防備な首へと吸い込まれて

 

根本「ぐぅ・・・・・・っ!」

 

ドサリ、と重い音を立て、根本君はゆっくりと床に倒れ伏した。

 

明久「はぁ、はぁ、はぁ」

 

よ、良かった。これで命のほうは大丈夫だね。

 

康太「・・・・・・・お疲れ明久」

 

明久「うん、ムッツリーニも刀麻もお疲れ」

 

刀麻「もうここの男子達は制圧したからあとは貴浩たちのところだな」

 

明久「うんそうだね。あっそうだムッツリーニ。

   根本君と根城君にはプレゼントが必要だと思うんだけど(ニヤっ)」

 

康太「・・・・・・・任せろ(ニヤッ)」

 

しっかりお礼はしないとね。

 

僕達は根本君を連れて貴浩たちの元へと向かった。

 

 



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貴浩暴走

5/2 修正


~ 1F ~

 

俺は久保を倒した後、優子や愛子たち女性陣や

スタン先生たち教師達と力を合わせ男子達を倒していると、

不意に殺気を感じて俺は瞬時にその場から飛び退いた。

 

優子「どうしたの貴浩?」

 

愛子「そうだよいきなり飛びのいて」

 

優子と愛子は俺の行動を不思議に思い首を傾げる。

 

貴浩「・・・」

 

俺は殺気を感じた方向を見ると1人の男子が腕を組んで立っていた。

 

西郷「待ちわびたぞ少年!!」

 

貴浩「・・・・・・誰だお前は?」

 

なんか見たことがあるような気がする奴だが・・・誰だったか?

 

西郷「私の名は西郷武(さいごうたけし)。貴様に1度敗れた男だ!」

 

貴浩「で、俺に負けたヤツがなんのようだ?やはり女子風呂でも覗くつもりか?」

 

西郷「そんなものには興味は無い!!」

 

貴浩「はぁ?」

 

そこへ明久や雄二たちが合流した。

 

明久「これどういう状況なの?」

 

雄二「わからねぇ。俺も今来たばかりだからな」

 

明久と雄二たちは今の状況がわからず首を傾げていた。

 

西郷「私は君という存在に心を奪われたものだ!!」

 

貴浩「はぁ!?」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

西郷の発言に俺だけでなくこの場に居た皆が驚く。

 

西郷「逢いたかった!逢いたかったぞ!織村貴浩!!」

 

貴浩「え、い、いや、俺、そんな趣味は持ち合わせていないんだが・・・」

 

俺は気味が悪くなり召喚獣を攻撃するが避けられてしまう。

 

≪ 総合科目 ≫

 

  Fクラス 織村貴浩  VS  Eクラス 西郷武 

       600点           1251点

 

 

秀吉「貴浩、かなり点数が減ってるおるのじゃ」

 

愛子「そうだね。犯人を倒した後に大勢の人数相手に戦ったからね」

 

西郷「卑怯者と罵られようがかまわない!貴方は私がヤるんだ!」

 

貴浩「ひっ!」

 

明久「・・・・・・なんか変な意味に聞こえるんだけど」

 

雄二「・・・・・・お前もか・・・俺もだ」

 

西郷の発言に俺は少しずつ後に下がってしまう。

 

西郷「清涼祭の召喚大会で敗れたあの日から貴様の事を考えていた。これはまさしく愛だ!!!」

 

貴浩「キモい!!近寄るな!!」

 

お互い武器を構え攻撃していき鍔迫り合いになる。

 

西郷「私は純粋に貴方という──」

 

貴浩「お前は歪んでいる」

 

西郷「だから私は貴方という存在に──」

 

貴浩「絶対違う!! ってか違ってくれ!!」

 

西郷「何度言えばわかるコレが恋で──」

 

貴浩「そんなのが恋であるもんかぁあああああ!!!」

 

1度距離をとる。もとい離れる。ってか近寄りたくない。

 

西郷「ラチがあかんな。では私が勝って証明させてもらう!」

 

貴浩「近寄るなぁああああ!!!!!! うわあぁあああああああああ!!!」

 

俺は無意識に2つの腕輪を発動させ、

『フルブラスト』状態で、特大の『グラビトンノヴァ』を前方に向けて放とうとした。

 

明久「た、貴浩!ストップ!!」

 

雄二「やめろぉ!!」

 

明久と雄二は前方にあるものに気づき貴浩に攻撃を停止するようにうながすが、

動揺している貴浩にはその言葉が聞こえず西郷に向けて攻撃した。

 

西郷「なんだと!?またこの私が・・・・・」

 

その攻撃は西郷の召喚獣に直撃した。

 

 

ドカーーン!!    

 

 

そしてそのままその後ろにある柱に直撃してしまった。

攻撃が直撃した柱は音を立て崩れた。

 

貴浩「あれ?」

 

明久「ああああああああ」

 

秀吉「こ、これはまずいのではないか?」

 

雄二「ああ、これはまずいな」

 

康太「・・・・・・まだ教師にはばれていない」

 

貴浩「いやはやこれは凄いな・・・・・」

 

俺は壊れた壁をみてそういうと

 

刀麻「罪の意識すら持つ気がないのか!?」

 

貴浩「俺が悪いみたいに言うな!! あいつがキモいことを言うからだろ!!」

 

優子「・・・これはどうしようもないわね」

 

愛子「・・・うん」

 

翔子「・・・・・・どうしよう」



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明久の作戦

5/2 修正


明久「・・・・・・そうだ!」

 

そこで明久が皆に見合わせする。

貴浩が壊した柱を見ていた明久が何かを閃いたようだ。

 

「「「「!!!!!!!!」」」」

 

俺達は明久と目を合わせると明久の作戦内容を理解した。

 

雄二「なるほど、そういうことか。明久ナイスな発想だ!!」

 

康太「・・・・・・・・さすが明久」

 

秀吉「このような策を思いつくとは明久も悪知恵が働くのう」

 

刀麻「どうしたんだ雄二?」

 

刀麻や優子たちAクラスの面々は訳もわからず首を傾げていた。

これは俺達Fクラスメンバー(男子)だけが使えるアイコントクトでの会話だ。

 

 

 

≪自作自演タイム≫

 

 

貴浩「・・・・・・了解!うわぁああああああ!!!!

   よくも、よくも、こんな事をしてくれたな根っこコンビ!!」

 

俺は1度廊下の壁を強く叩き声を震わせながら言った。

 

根っこ「「へっ?」」

 

丁度気絶していた2人が目をさます。

 

明久「覗きが上手く行かなかったからって西郷君と一緒に合宿所の柱を壊すなんて」

 

根っこ「「なっ!?」」

 

西郷「なんだと!?」

 

そう。明久の作戦とは全ての責任をこの3人に押し付けようということだった。

 

秀吉「最低の輩じゃのう」

 

根城「この惨状はお前らが──」

 

根城が何か話そうとしてるが

 

明久「雄二!」

 

雄二「了解!『アウェイクン』!!」

 

雄二は腕輪を発動させる。

 

明久「『セイバー』!!」

 

すぐさま明久はネックレスの力を発動させセイバーを召喚する。

 

セイバー「『エクスカリバー』!!」

 

根城「──が引きお──ぎゃあぁぁぁぁ」

 

喋ろうとした根城をセイバーのエクスカリバーで制裁! 

 

明久「手間をかけさせないでよ」

 

 

 必殺口封じ☆

 

 

雄二「人のせいにしようとするとは最低だな。ムッツリーニ!!」

 

康太「・・・・・・任せろ」

 

ムッツリーニはどこからか持ってきたパソコンを取り出し、

何故か先ほどの映像を撮って少し修正?して

貴浩が壊した壁をまるで根っこコンビが壊したように映像を作り変えた。

 

しかも・・・・・

 

根本(秀)「覗きが上手くいかなかった腹いせだぁ!!」

 

西郷(秀)「私も加勢しよう」

 

と秀吉のものまねで音声も収録。

 

雄二「この情報を教師たちや生徒達にに流せ」

 

貴浩「本当にナイスだ明久!」

 

雄二「あとはこいつらを気絶させて反抗しないようにしないとな」

 

根っこ「「や、やめろ」」

 

西郷「やめたまえ」

 

俺達はジリジリと3人に近寄っていき、近くの部屋につれこみ少しした撮影会を開いた。

西郷だけは軽くボコって気絶出せただけだが。

・・・・・・だってあまり近寄くにいたくないし。

 

 

その後、教師達に映像つきで3人を引き渡した。

 

貴浩「ふぅ~」

 

明久「危なかったね」

 

雄二「ナイス発想だったぞ明久」

 

秀吉「そうじゃな。これで貴浩は安心じゃな」

 

明久「貴浩を守るためだもん」

 

康太「・・・・・・映像も完璧」

 

刀麻「・・・・・・お前らは本当に凄いな」

 

優子「・・・・・・あ、あなたたち・・・あんなことをして何も感じないの?」

 

さすがに俺達の行動にAクラスの優子や刀麻たちは引いていた。

 

貴浩「感じてはいるさ」

 

明久「そうだね。恨んでもらってもかまわないよ」

 

秀吉「だがの友達は見捨てられぬのじゃ」

 

なのは「でも・・・・・これは・・・・」

 

愛子「ねぇさすがに・・・・」

 

翔子「・・・・・・少しやりすぎ」

 

康太「・・・・・・けど」

 

貴浩「これが俺達」

 

貴・明・雄・秀・康「「「「「『Fクラス』だぁ!!!!」」」」」

 

刀麻「・・・・・・・最低だな」

 

優子「・・・・・・それなら納得ね」

 

刀麻「え!?」

 

翔子「・・・・・・それなら納得できる」

 

なのは「そうだね」

 

愛子「なんか少しずつ慣れて来たしね」

 

刀麻「おい、お前ら正気に戻れ!」

 

こうして今夜は男子達を退治して覗き事件は終了した。

柱の件はあの3人に押し付けて・・・・・・・

 

そして明日は4日目、明日こそはゆっくり入浴ができるか?

 

 

 



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最終日

5/2 修正


今日で合宿最後の勉強となる。

 

といっても昨日の覗きの件でFクラス男子と刀麻以外の男子は

別の校舎で鉄人監視のもと自習が行われている。

もちろん清水も同じ扱いである。

 

明久「脅迫状の犯人も見つかったし、覗きの犯人も捕まったからもう安心だね」

 

雄二「そうだな。翔子の件も貴浩のおかげでなんとかなったしな」

 

秀吉「今日はのんびりお風呂に入れるのじゃ」

 

貴浩「そうだな。最後ぐらいゆっくり入りたいぜ」

 

康太「・・・・・・秀吉とお風呂(ブシュー)」

 

秀吉の風呂という単語でムッツリーニが鼻血をふきだす。

 

貴浩「おーい! ムッツリーニ大丈夫か? 雄二いつもの頼む」

 

雄二「ああ、わかった」

 

俺達はすぐさま救急セットを持ち出し輸血を始めた。

はじめて数分でムッツリーニが意識を取り戻す。

 

刀麻「・・・・・・いつみても見事な手際だな」

 

貴浩「まあ、日常茶飯事だからな」

 

明久「そうだね。ほぼ毎日倒れてるから慣れちゃったよ」

 

刀麻「そんな状況に慣れたくないな・・・・・・ってか本当に凄いな」

 

優子「Fクラスだもの」

 

愛子「そうだねFクラスだから不思議じゃないね」

 

刀麻「・・・・・・お前らも順応してきたな」

 

すると雄二が俺のほうを手招きしている姿が見えたので俺は雄二に近寄る。

 

雄二「で、お前これから姫路と島田に対してはどうするんだ?

   一応お前が任せて欲しいと言ってたから放置しておいたが・・・」

 

貴浩「ああ、あの2人か。まあ勝手にすれば良いと思うぜ。

   もう俺からは呆れて何も言いたくないからはただの同級生という事で俺は扱っていく。

   雄二たちがどう扱うかは任せるがな。

   ただ、明久に手を出そうとした時は遠慮なく殺らせてもらう」

 

雄二「・・・わかった」

 

雄二はそれを聞くと皆の元へと戻った。

 

 

 

       ☆

 

 

 

雄二「そういえば今日の昼は外でカレーを作るんだったか?」

 

明久「そういえばしおりにそんな事書いてあったね」

 

秀吉「そういえばそうじゃったな」

 

貴浩「確か合宿で俺達も騒いだからFクラスメンバー(男子)で作るんだったな」

 

これがこの合宿で騒ぎを起こした俺達への罰だった。

さすがにあれだけの事をしておいたので罰が何もないということはなかった。

 

雄二「なら人数も多いことだしそろそろ準備に取り掛かるか」

 

食事は2年全女子(清水を除く)と俺達Fクラスメンバーと刀麻、

そして教師分を作らないといけないのでかなりの量になる。

 

覗きメンバーは自分達で作らされるらしい。

 

 

 

調理場

 

 

 

楓「あの兄さん。私達も手伝いますよ」

 

命「うん、そうだよ。私達だってFクラスだし」

 

明久「気持ちだけで充分だよ。

   ただ2人が手伝ったら姫路さんまで手伝っちゃいそうだからね」

 

秀吉「それは勘弁して欲しいのじゃ」

 

貴浩「だから2人はゆっくりしてていいぞ」

 

雄二「さて、量が多いから分担して作るぞ」

 

貴浩「じゃあ具材を切り分ける班と調理する班、

   火をおこし、皿などを準備する班の3つに分かれるか」

 

秀吉「ワシは楓に少し習った事があるから切り分ける位の事はできるのじゃ」

 

光一「すみません。自分も料理は全然で・・・・・・」

 

刀麻「俺は料理はそこそこ出来るぞ」

 

雄二「なら、具材を切り分ける班が秀吉を中心に、準備する班が光一を中心に、

   調理のほうは、甘口を貴浩に、中辛を明久・康太に、

   辛口を俺と刀麻を中心に別れて作るぞ」

 

刀麻「ってか甘口っているか?やっぱカレーはせめて中辛からだろ?」

 

雄二「まあ俺は辛口派だな」

 

明久「僕は中辛程度かな」

 

康太「・・・・・・・俺も」

 

光一「俺も中辛かな」

 

貴浩「いや、カレーは甘口で充分だろ」

 

秀吉「ワシも甘口のほうが好きじゃの」

 

刀麻「ってか貴浩は甘口派なのか?てっきり辛口派かと・・・・・」

 

貴浩「辛口も食べれない事はないが、俺って甘党なんだよな」

 

刀麻「そうなのか?少し意外だな」

 

雄二「さておしゃべりはここまでにして準備に取掛かるぞ!」

 

『『『『『了~解!!』』』』』

 

 

 

じゃあ作るとするかな。

 

近藤「なあ織斑。作り方教えてもらってもいいか?

   お前の作ったヤツはおいしいからな」

 

須川「俺も! 中華は得意だが、カレーはあまり作らなくてな」

 

貴浩「いいぜ。じゃあ作りながら言うからな。

   まずは秀吉たちが切ったにんじん、玉ねぎ、じゃがいもを、

   フライパンでニンニクと一緒にいためてる。

   もちろん焦がさないようにな。

   それでいためた野菜を水をいれたカレー鍋に入れるっと」

 

近藤「うん、それで」

 

貴浩「次は豚肉は小麦粉をまぶしてサラダ油をひいたフライパンでいためる。

   少しカリカリ感が出来る感じに」

 

須川「こんなものか?」

 

貴浩「そうそう。それぐらい。で、豚肉をカレー鍋にいれ弱火で1時間煮込む。

   蒸発した水分の量だけ水を足しすのを忘れないように」

 

 

1時間後

 

 

貴浩「で最後にルーをいれて弱火で20分煮て完成なんだけど。

   隠し味にコレとアレを入れる」

 

須川「え?コレとアレを入れるのか?」

 

近藤「おいしいのか?」

 

貴浩「なら少し味見してみるか?」

 

俺はお玉でルーを少し掬い味見用の小皿にのせ味見をさせた。

 

貴浩「どうだ?」

 

須・近「「う、うめぇ!!」」

 

近藤「甘口ってバカにしてたけどコレはうまいな」

 

須川「さっきの隠し味を入れただけでこんなに変わるのか!?」

 

貴浩「だろ。甘口はカレー本来の味を楽しめるからな」

 

俺達ができたと同じくらいに皆のほうでもできたみたいだな。

 

 

 

         ☆

 

 

 

俺達はみなの前にカレーを並べていく。

 

西村「ほう。これをお前らが作ったのか?」

 

明久「そうですよ。鉄人のは雄二と刀麻が作ったのだけど・・・」

 

リリス「これはたのしみですね」

 

貴浩「なんかリリス先生に食べてもらうのか緊張しますね」

 

リリス先生は甘口を食べるので少し緊張する。

先生が家庭科の教師であるって言うのもあるが、リリス先生の料理の腕はプロレベルだからな。

 

リリス「大丈夫! ちゃんと評価してあげるから」

 

貴浩「お手柔らかに」

 

明久「じゃあ僕達も席に着こうよ」

 

俺達は全員に配り終えると自分達の席についた。

 

貴浩「じゃあ食べるか」

 

『『『『『いただきます!』』』』』

 

楓「やっぱり兄さんのカレーはおいしいですね」

 

命「明久君たちが作ったカレーも美味しいですよ」

 

翔子「・・・・・・・雄二が作ったのもおいしい」

 

あちこちで美味しいという声が上がっている。

 

愛子「美味しいけど何か凹むね」

 

優子「・・・そうね。ここまでおいしいとね」

 

美味しいという声が上がると同時に各所で女子が落ち込んでいる。

なんでだろ?

 

なのは「康太君もかなり料理上手いんだね」

 

康太「・・・・・・・コレくらい一般常識」

 

秀吉「うッ!」

 

楓「ヒデ君はこれから一緒に頑張ろうね」

 

康太の一言で少し落ち込んだ秀吉を楓が励ます。

仲むつましいな・・・・・・・ってか羨ましい。

 

カレーを食べ終わると(ちなみに3杯食べました)

 

リリス「織村君。おいしかったよ。

    コレ隠し味にチョコレートとパイナップルを入れなかった?」

 

貴浩「さすがですね先生。そうですよ。

   チョコレートとパイナップルを細かく切り刻んで入れてコクを出してみました」

 

明久「貴浩はチョコレートとパイナップルを入れたんだ。僕は無難にりんごを入れたよ」

 

雄二「俺はコーヒーだな」

 

リリス「皆、一工夫してるのね。これは次の試験も楽しみね」

 

その後は食後という事もありゆっくり休んでいたら

何故か女子達がやってきた。

料理についてのアドバイスをしてほしいという事らしい。

 

まあ、別にかまわないけど・・・・・・ということで結局ゆっくり休めなかったな。

 

 

 

 

 

 

貴浩「さて、今日はゆっくり風呂に入るかな」

 

秀吉「のう貴浩よ。ワシと一緒に入ってくれぬか?1人ではさすがに寂しくての」

 

貴浩「そういや、秀吉だけ時間帯は違ったな」

 

秀吉「そうなのじゃ。せっかくの合宿じゃから友達と入りたいのじゃ」

 

雄二「なら楓と入れb──」

 

貴浩「何か言ったか雄二?」

 

俺は雄二にトンファーを向ける。

 

雄二「な、なんでもない」

 

貴浩「・・・・・・それならいい」

 

俺は雄二からトンファーを下げる。

いくら恋人同士であろうとそんな事はさせない。

 

秀吉「で、どうかのう?」

 

貴浩「ああ、いいぜ。なら明久たちも一緒に入ろうぜ」

 

明久「え? どうせ男子は僕達しかいないから当たり前じゃない」

 

雄二「それは少し違うぞ明久。

   俺達の他にもFクラスのメンバーがいるだろうが、

   それを秀吉と入ったら暴動が起きるぞ」

 

明久「そうだったね。最後くらいゆっくり入りたいしね」

 

貴浩「だからムッツリーニも鼻血出すなよ」

 

康太「・・・・・・大丈夫」

 

ちなみにもう明久とムッツリーニは秀吉を男として見る様になった。

 

方法は簡単、秀吉の下半身を見せただけだ。

その時の2人は凄く絶望していたがな。

 

そして俺達の入浴時間。

先にFクラスメンバーに入ってもらい、後の時間俺達の貸切というわけだ。

 

雄二「じゃあ、入りに行こうぜ」

 

貴浩「そうだな」

 

秀吉「了解じゃ!」

 

浴場につくと

 

貴浩「今にしても思うとここの風呂ってこんなに広かったんだな」

 

明久「そうだね。昨日まで目的のためにゆっくり入れなかったしね」

 

雄二「まぁ最後ぐらいゆっくり入れそうだな」

 

刀麻「そういえば隣は女湯だったな」

 

康太「・・・・・・女湯」

 

貴浩「鼻血出すなよムッツリーニ。風呂を赤に染めたくないぞ」

 

康太「・・・・・・ま、まだ大丈夫」

 

光一「ま、まだって・・・・・・」

 

秀吉「確かこの時間帯じゃと姉上や工藤たちが入っておるのう」

 

明久「そうなんだ」

 

刀麻「なら向こうも俺達が入ってるの知ってるんじゃないか?」

 

貴浩「もしかしたら呼んだら返事したりしてな」

 

雄二「まさか、さすがに返事するヤツいないだろ」

 

貴浩「じゃあ、やってみるか」

 

刀麻「え?マジか?」

 

貴浩「誰の名前呼んでみようか?無難に霧島かなのは、砂原あたりか?」

 

明久「なんでその3人?」

 

貴浩「砂原は呼んだら面白がって返事しそうだし、

   なのはと霧島は彼氏がこっちにいるからな」

 

明久「あ~それなら納得」

 

雄二「翔子はやめてくれ頼む」

 

康太「・・・・・・俺も」

 

刀麻「さすがに呼ぶのはやめようぜ」

 

貴浩「わかったよ」

 

結局今回は悪ふざけせずゆっくり風呂に入った。

 

 

最終日は光一が頼んだリムジンバスに乗り帰宅した。

もう乗る機会なんかないだろうが・・・・・・・

 

 

― 処分通知 ―

 

文月学園第2学年全男子生徒(Fクラス男子とAクラス不知火を除く)と

2年Dクラス清水

 

上記の者達全員を1週間の停学処分とする

 

文月学園学園長 藤堂カヲル

 

 

 

 

 

 

ついムラッと来てやった。

今は心の底から後悔している



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システム異常編
男子停学処分1日目


5/2 修正


文月学園学園長室。

 

学園長「あのクソガキ共め! やっぱり騒ぎを起こしたじゃないか!!」

 

高橋「そうですね。でもFクラスの生徒のおかげで覗きについての件は解決しましたが……」

 

学園長「全く……吉井と織村の校舎の壁の破壊に教頭室爆破に続いて、

    今度は2年男子の学年全体での覗き、それに清水の隠しカメラに、

    合宿所の柱を破壊とは、あいつらは何かバカやらないと気が済まないのかね!?」

 

すごく不機嫌の学園長と、ソレを宥める高橋女史。

それもその筈である。

 

学園長「全く……まあ、もうすぐ学会に試験召喚システムのお披露目がある訳だし、

    ここで何とか挽回したいねえ」

 

高橋「……心中お察しします」

 

学園長「そう言う意味じゃ、ほとんどの男子を停学処分にして正解だったよ。

    まあ吉井と織村がいれば何か問題がおきても大丈夫かもしれないしね……」

 

高橋「それは彼らが観察処分者と特別処遇者だからですか?」

 

学園長「そうさね。……まあ大人しくしてくれたらの話だがね」

 

 

ヴィーッ! ヴィーッ!

 

 

高橋「何事ですか!?」

 

学園長「……何かあった様だね」

 

高橋「っ! フィールドが!?」

 

学園長「やれやれ、バカ共なしでもトラブルは等しくやってくるか」

 

 

???

 

 

???「……清涼祭での目論見は潰された物の、校舎の破壊に爆破、

    そして学年全体の覗きとくれば評判は下落の一途。

    ここで召喚システムに問題を起こせば、学園長の失脚は確実になる」

 

1人の男が、サーバールームを目指していた。

 

???「さて、パスワードは……」

 

厳重な電子ロックが解除され、サーバールームの扉が開く。

そしてその中に入り……

 

???「くそっ、手間をかけさせてくれるじゃないか」

 

中枢の端末を操作し始めるが、そこでパスワード認証画面が。

 

???「っ! またセキュリティか。パスワードは……」

 

軽快な手さばきで入力するが、次の瞬間エラー画面が。

ソレを受けて警報が鳴り響き、その男はその場を走り去ろうと……。

 

 

パキンッ!

 

 

走り去ろうした所で、ケーブルに足を引っ掛けてしまい、それが外れてしまう。

男はそれに構わず、その場を立ち去ると同時にサーバールームの扉が閉まる。

 

???「……作戦は失敗か」

 

そこで、召喚フィールドが学園全体を覆い尽くした。

 

 

2年の男子(一部を除く)停学処分1日目

 

 

教室にて。

 

貴浩「これから1週間、男子って俺達しかいないんだよな」

 

明久「そうだね。って言っても僕達はFクラスだからあんまり関係ないよね」

 

貴浩「まぁな。俺達のクラスのほとんどが男子だからな」

 

光一「人数が少ないから授業は2クラス合同で行うみたいだがな」

 

秀吉「とういことはワシらはEクラスと授業と言う事じゃろうか?」

 

雄二「いや、確か俺達はAクラスと合同みたいだぞ」

 

貴浩「へぇ~Aクラスとか・・・・・・・・・・・・なんで?」

 

明久「そうだよね。普通はEクラスなのになんでAクラスなの?」

 

雄二「理由は強化合宿の時と同じだな」

 

貴浩「ああ、そういうことか」

 

明久「だったらムッツリーニと雄二は良かったね。

   好きな人と一緒に勉強できるんだもんね」

 

雄二「なっ!?」

 

康太「フルフルフルフル」

 

明久の発言に驚きを見せる雄二とムッツリーニの2人。

 

光一「そういう点だったら秀吉と楓殿はいつも幸せだよな」

 

秀吉「そうじゃな。楓がいつもおるからワシは幸せじゃな」

 

楓「ひ、ヒデ君////」

 

貴浩「・・・・・・聞いててなんだが少しイラっとくるな」

 

明久「まあまあ貴浩落ち着いてよ。

   Aクラスと一緒ってコトは強化合宿みたいに自習なのかな?」

 

雄二「そうだろーな。さすがに半数近くの生徒がいない間に授業は進めないだろう」

 

明久「なら貴浩。また勉強教えてよ」

 

貴浩「んー、今回は断る」

 

明久「え?なんで?」

 

貴浩「今回は命にでも文系教科でも教えてもらえ」

 

命「わ、私ですか!?」

 

貴浩「合宿の時は理系中心だったからな。文系なら楓か命が適任だ。

   だが楓は秀吉に教えるだろうからな」

 

明久「あれ?それなら姫路さんでも──」

 

貴浩「命のほうが適任だ!!」

 

明久「貴浩がそう言うなら…なら命。よろしくね」

 

命「は、はい!よろしくです明久君」

 

雄二「(やはり姫路と島田の事を許していないか。まあ仕方ないか)」

 

俺は命の方に近づいて

 

貴浩「チャンスはやったんだ。頑張れよ(ボソッ)」

 

命「はい、いつもありがとうございます」

 

そこへ、朝のHRの時間になり鉄人がやってきた。

 

西村「皆も知っていると思うが今日から1週間半数近くの

   2年の生徒が停学処分となっているので、授業のカリュキュラムを変更する。

   FクラスはAクラスにて合同で授業を受けてもらう。

   基本的に自習となるがしっかり勉強するように」

 

鉄人の話のあと俺達は豪華設備のAクラスへと向かった。

 

 



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Aクラスにて

5/2 修正


Aクラスにて各自、好きな席に座り勉強を始めた。

明久は命と、雄二は翔子と、秀吉は楓と、康太はなのはと

姫路と島田は明久の席から離れて座っている。(俺の睨みにより)

 

俺は・・・・

 

貴浩「……なんでこうなった……?」

 

なぜか俺の周りには明久や雄二たちではなく

 

「あの~織村君。ここ教えて欲しいんだけどいいかな?」

 

「ねぇ織村君。ここの数式なんだけど~」

 

「この間の料理についてなんだけど・・・」

 

砂原「ね~ター君。何か面白そうなネタ無い?」

 

「私はここなんだけど─」

 

「今度は私の番よ!で、織村君。ここの計算なんだけど─」

 

Aクラスの女子に囲まれていた。

1人おかしいのがいたが・・・・・・

 

明久「なんか貴浩、Aクラス女子に囲まれているね」

 

命「大変そうですね」

 

雄二「大方、合宿の時の点数を皆が知ったんで教えてもらおうってとこだろうな。

   それに貴浩は顔も悪くないし、基本誰にでも優しいからな」

 

秀吉「それは言えておるのじゃ」

 

雄二「でトドメに。合宿最後の料理だ。あれで人気が出ないほうがおかしい」

 

明久「そうだね。で、優子さんと工藤さんは貴浩のところ行かなくて良いの?

   このままだと貴浩、誰かに告白されちゃうよ」

 

優子「うっ」

 

愛子「やっぱりそうだよね」

 

秀吉「逃げてばかりでは行かんぞ姉上と工藤。

   今は大丈夫じゃが。いつ貴浩の心が動くか分からないのじゃ」

 

楓「そうですよ2人とも」

 

命「頑張ってお姉ちゃん、愛ちゃん」

 

優子「う、うん・・・・・・・・って

   あなたたちもアタシたちの好きな人・・・・・」

 

秀・楓・命「「「知って(おる)るよ」」」

 

愛子「僕達ってそんなに顔に出てたのかな?」

 

明久「顔っていうか、行動に出まくりだったよ」

 

優・愛「「/////////」」

 

明久「鈍感な貴浩だから気づいてないけど、皆気づいているよ」

 

雄二「お前が言うか?」

 

明久「え?」

 

雄二「まあ明久たちの言うとおりだな。

   振り向いて欲しければ行動あるのみだ!」

 

翔子「…私のように」

 

刀麻「なんか説得力あるな」

 

明久「ってか今の貴浩危ないんじゃ──」

 

明久が貴浩の身を案じていると

 

須川『諸君。ここはどこだ?』

 

F『『『最後の審判を下す法廷だ』』』

 

須川『異端者には?』

 

F『『『死の鉄槌を!』』』

 

須川『男とは』

 

F『『『愛を捨て、哀に生きるもの!』』』

 

須川『宜しい。これより、KMF団による異端審問会を開催する』

 

貴浩「なにぃ!?」

 

F『とりあえす・・・デストロイ』

 

いきなりそんなことを言いだし殴りかかってきた。

俺は身の危険を案じて、ひとまず距離をとった。

 

貴「いきなりなんだ!俺達は同士だろ!?」

 

近藤「だまれ男の敵め!」

 

須川『こいつの罪状を読み上げよ』

 

F『はっ。須川会長。えー被告、織村貴浩は

  我が文月学園第2学年Fクラスの生徒でありながら、

  この者は我らが教理に反した疑いがあります。

  現在この者は我が文月学園のAクラス女子生徒数十名と一緒に勉強するという──』

 

須川『御託はいい。結論を述べたまえ』

 

F『女子に囲まれているので羨ましいであります』

 

須川『うむ。実にわかりやすい報告だ』

 

貴浩「いや、ま、待ってって」

 

シュッ

 

何かが横を通り過ぎて行った。

ゆっくりその方向を見てみるとカッターが壁に突き刺さっていた。

 

須川『判決の時間だ』

 

貴浩「チクショー」

 

そう言い、俺はすぐさまAクラスから逃げ出した。

 

須『追え!逃がすな』

 

F『我らKMF団の名にかけて貴浩を捕まえろ』

 

明久「やっぱりか」

 

雄二「大変だな貴浩は」

 

刀麻「いつもああなのかFクラスは?」

 

明・雄「「うん(ああ)」」

 

刀麻の質問に即答する2人。

 

優子「って、悠長に話しているけど貴浩君は大丈夫なの!?」

 

愛子「そうだよ。早く助けないと!」

 

雄二「ああ、それなら大丈夫だろう」

 

秀吉「そうじゃな」

 

明久「あと10分もすれば戻ってくるよ」

 

優・愛「「え!?」」

 

 

10分後

 

 

貴浩「ハァハァ……疲れた」

 

楓「お疲れ様です兄さん」

 

雄二「いつも大変だな」

 

貴浩「お互いな」

 

雄二「だな」

 

俺と雄二、明久の3人はFクラスのヤツらに追いかけられているからな。

 

優子「本当に帰ってきたわね」

 

愛子「でも疲れているみたいだよ」

 

明久「2人とも。はい、これを貴浩に持っていってあげなよ」

 

明久は優子と愛子にスポーツドリンクとタオルを渡した。

 

明久「貴浩は走り回ったり応戦したりして疲れているからこれでも渡してきなよ。

   これで少しでも好感度をあげるといいと思うよ」

 

愛子「え?」

 

優子「良いの?」

 

明久「うん、前言ったじゃないか。僕も手伝うって」

 

愛・優「「ありがとう吉井君(明久君)」」

 

そうして2人は明久から物を受け取り貴浩の元へと向かっていった。

 

命「明久君優しいんですね」

 

明久「まあ、貴浩のためかな。でもこれで好感度上がるかな」

 

命「少しは上がるんじゃないかな?」

 

明久「そうだよね」

 

雄二「でも明久が良くこんな事思いついたな」

 

明久「ああ、これは前に僕が皆に追われてた時、

   命がやってくれたからね。それを真似しただけだよ」

 

命「/////」

 

明久「(あれ?それなら命の行動って……ま、そんなことあるわけないか)」

 

明久が命の行動に疑問を持つと思いきやいつもの天然でスルー。

 

貴浩「はぁ~マジで疲れたぜ。優子に愛子2人共ありがとうなコレ。本当に気が効くな」

 

優子「別にいいのよ。気にしないで」

 

愛子「そうだよ」

 

貴浩「ってせっかくの自習なのに勉強なんてもったいな。なぁ明久ゲームやろうぜ」

 

俺はそういうと鞄からP○Pを取り出した。

 

明久「あっ!いいね」

 

俺に続いて明久もゲームを取り出す。

 

雄二「俺も混ぜろよ」

 

秀吉「ワシも休憩がてらやるのじゃ」

 

明久に続いて雄二と秀吉もゲーム機を取り出した。

 

そしてやるゲームはモン○ン3rd

 

雄二「で、何を狩りに行くんだ?」

 

貴浩「俺はアルバに行きたいな。アイツの翼膜が欲しいんだ。何回も行くんだが出なくてな」

 

秀吉「ちゃんと部位破壊しておるのか?」

 

貴浩「当たり前だ」

 

明久「物欲センサーだね」

 

雄二「だな。アレは本当にやっかいだよな」

 

貴浩「だろ。で、皆は何に行きたいんだ?」

 

秀吉「ワシは火竜じゃな。紅玉が欲しくてのう」

 

雄二「俺はディアブロ黒の上質な黒巻き角だな」

 

明久「僕はジョーかな?素材が全体的に欲しくて」

 

貴浩「今のだけ聞くとどれもメンドイな」

 

そこへ

 

優子「ってあなたたち何普通にゲームをしようとしてるのよ」

 

刀麻「一応自習中だぞ」

 

明久「まぁいいじゃない。息抜きだよ」

 

刀麻「いや、よくないだろ」

 

明久「それにAクラスの人だって……」

 

刀麻は明久の視線の先を見てみると

 

貴浩「椎名もやるだろ?」

 

椎名「もちろんです!」

 

なのは「私もする!」

 

康太「……俺も忘れてもらっては困る」

 

命「私も少し息抜きに……」

 

明久「ね?」

 

刀麻「椎名に八神……」

 

優子「命まで……」

 

結局、優子と刀麻の意見を押し切り8人でゲームをすることになった。



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修理の手伝い

5/2 修正


しばらくゲームをして遊んでいると

 

 

≪ピンポンパンポーン≫

 

 

放送のチャイムが聞こえた。

 

 

《2年Fクラス。織村貴浩君、吉井明久君、至急学園長室までお越しください》

 

 

何故か俺と明久が呼び出しを食らった。

 

楓「兄さん何したの?」

 

貴浩「ん?なんだろう?見に覚えがありすぎてわからねぇ。

   今さっきFクラスのヤツらから逃げ回っている時に窓割った事か?

   それともドアを壊した事か?それとも…」

 

命「やりすぎだよ」

 

明久「まさかこの前の合宿所でのことがバレたのかな」

 

雄二「それは無いだろう。

   もしそうなら俺や秀吉、ムッツリーニも呼ばれているだろうしな」

 

貴浩「まぁいいや。とりあえずババアのところまで行ってみるか。行こうぜ明久」

 

明久「了解。でもババアの顔なんて見たくないなぁ」

 

貴浩「それは言うな明久。俺だってババァのところに自分から行きたくねぇよ」

 

愛子「学園長をババア呼ばわりって…」

 

優子「さすがにそれは学園長に失礼でしょ」

 

とりあえず俺と明久は学園長室まで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園長室

 

貴浩「で、俺と明久をいきなり呼びだしたのはなんでだ?」

 

いきなりの呼び出しで学園長室へと訪れたのは、5名の男子生徒。

織村貴浩と吉井明久、坂本雄二、木下秀吉、土屋康太。

 

学園長「…確か織村と吉井しか呼んでないはずだが・・・まあいいね。

    問題が発生したからあんた達に働いて貰おうって事さね」

 

雄二「どういうことだ?」

 

高橋「それは──」

 

と、一歩前に出たのは高橋女史。

 

高橋「実は先程、学園内に侵入者があったのです」

 

明久「侵入者!?」

 

貴浩「まさか、召喚システムのデータでも盗みに来たのか?」

 

学園長「そうじゃないさね。実は清涼祭での校舎破壊にこの前の合宿での覗き騒ぎで、

    学園の評判がガタ落ちでね」

 

その言葉に、俺と明久、雄二は目をそらした。

ついでに言うと、学園長も3人を刺す様な眼で見ている。

 

貴浩「ん?って覗きの件は俺達が防いだじゃねえか!?」

 

学園長「でもそれを1番最初に行動に起こしたのはお前らじゃないかい!」

 

明久「うっ・・・それをいわれると」

 

学園長「だからその汚名返上として、学会に召喚システムのお披露目をする事になってたのさ」

 

雄二「イメージアップ戦略か。涙ぐましいな」

 

貴浩「ご苦労様です」

 

学園長「……このガキどもにはもう1度、この学園の最高権力者が誰かという事を、

    教えてやる必要がある様だねえ」

 

学園長は高橋女史になだめられて話に戻る。

 

高橋「それでは、話に戻りますよ?」

 

貴・雄「「……はい」」

 

キラリとメガネを光らせ、睨みつける高橋女史。

それには流石に2人も肯定をもって応えるほかなかった。

高橋先生は意外と怖かった。

 

貴浩「じゃあこの状況は、その学会のお披露目を狙った奴の仕業ってことか?」

 

明久「えーっと、どういう事?」

 

雄二「学会にシステムのお披露目をして、

   イメージアップを謀ろうってのがババァ長の……」

 

高橋「坂本君?」

 

雄二「……学園長の狙いってことだから、それを邪魔しようって奴等が居るってことだろ。

   学園祭の時の様に」

 

学園祭において、腕輪の暴走を一般観衆の前で引き起こし、

文月学園存続を脅かそうという動きがあった。

……が3人の活躍によって、それは免れたが。

 

明久「じゃあこの状況は、その侵入者の仕業って事ですか?」

 

森田「そうね。まあシステム自体には問題はないけど、

   ハードの方に問題が発生したみたいでね」

 

そこで森田先生が事情を説明する。

 

貴浩「じゃあ修理すれば元に戻るって事じゃないか。

   何で俺達を呼び付けるんだよ?俺達にそんな高度な修理をさせようってか?」

 

学園長「あんたたちなんかにそんなことさせないよ。

    サーバールームの防犯システムにアクセス出来なくて扉が開かないんだよ。

    電源を落とそうにも、無停電電源装置があるから一月は機能するさね」

 

となると、壁を壊して中に入るしかない……が。

 

雄二「その学会のお披露目とやらがあるから、派手な事は無理ってわけだ」

 

明久「壁に穴があいてるなんて、いくらなんでも非常識だよね」

 

森田「だから、その修理の為にアンタ達を呼んだのよ。

   システムのコアに近い教師用召喚獣は、

   完全にフリーズしていて召喚ができないのよ。

   生徒の召喚獣は暴走状態にあって制御ができないの」

 

高橋「ですから、吉井君と織村君に頼むしかないのです」

 

明久と貴浩が、顔を見合わせる。

その他の3人も、疑問符を浮かべた。

 

森田「観察処分者、特別処遇者のベース召喚獣はシステムの別領域で走ってるから、

   他の生徒と違って暴走の影響を受けてないのよ」

 

貴浩「じゃあ、現状で唯一召喚獣を使える俺達に召喚システムの修理をやれってことか?」

 

学園長「その通りさね。不具合のある教師フィールドじゃまともに召喚は出来ないから……」

 

学園長は腕輪を1つ机の上に置く。

 

学園長「これはそこの坂本がもっている腕輪とほぼ同じ能力の腕輪だよ」

 

雄二「ってことは俺の腕輪とこの腕輪を使うんだな」

 

学園長「そういうことだよ」

 

秀吉「じゃが、この腕輪は使用しても大丈夫なのじゃろうか?」

 

森田「それは大丈夫よ。さすがにそれは実験済みよ」

 

そして話し合いの結果、机に置かれた腕輪は秀吉が使用することになった。

 

明久「その前に、回復試験を受けさせてもらえますか?

   僕達覗き騒動で点数消費したままなので」

 

高橋「では、こちらへ」

 

貴浩と明久と秀吉の3人は高橋女史に連れられ外へ出た。。

雄二とムッツリーニは学園長室に残った。

 

そして、空き教室へと向かう途中。

 

愛子「あっ!貴浩君に吉井君に秀吉君!」

 

明久「あっ、工藤さんに命に楓に皆!どうしたの?」

 

命「大丈夫ですか明久君」

 

島田「アキ!」

 

姫路「明久君!」

 

貴浩「おい(ギロッ)」

 

島・姫「「ひっ!」」

 

皆は俺と明久が心配で来たらしい。

何故島田と姫路が来たのかは分からないが

 

刀麻「で、どうだったんだ?」

 

明久「えっと、詳しくは高橋先生から聞いてくれるかな。

   僕達これから試験を受けないといけないから」

 

貴浩「それじゃ、俺たちは回復試験受けないといけないから、これで」

 

と、高橋女史に伴なわれて去る3人

 

島田「……ねえ、瑞希」

 

姫路「はい……やっぱり誤解はすぐ解きたいです」

 

2人を見送った姫路と島田は、どこかへと駈けだした。

 

 

 

一方、学園長室にて。

 

雄二「それで学園長。侵入者の処分はどうするんだ?」

 

森田「内密に処理するしかないわね。セキュリティの問題まで暴露されたら、

   お披露目以前の問題だからね」

 

学園長「森田先生の言うとおりだよ」

 

雄二「それは教師の中に内通者がいるかもしれないからか?」

 

雄二の進言に、学園長と森田先生は表情を変えた。

 

雄二「召喚システムのサーバールームは学園の中枢同然だ。

   なのにどうして侵入者が、誰にも見つからずに簡単にサーバールーム内部に入れた?

   しかもお披露目とやらが控えた時期と重なっている辺り、手際があまりにも良過ぎる」

 

学園長「……本当にアンタは頭が回るねえ」

 

どの道、密告者の存在自体もスキャンダルとしては十分。

ただでさえ評判が下がってきてるのだからな。

 

雄二「となると、急いだ方が良いな。内通者が居るとしたら、この状況は格好の餌食だ」

 

学園長「そうさね。まぁ一応手は打ってるけどね

    それにあのコンビなら、上手く行くんだろ?」

 

雄二「ああ。明久と貴浩のコンビなら上手くいく。断言しても良い!

   一応俺のほうでも人を使って調べておく。

   だがこういう時に光一が休みなのが痛いな。

   あいつの情報収集力はかなり頼りになるのに」

 

そう光一は今日に限って家の用事で学校に来ていない。

光一がいればもう少し簡単に内通者を見つけ出す事も可能だろうし、

学園のシステム回復にも少しは協力できるのだが

 

雄二「・・・・・・まあいないのなら仕方がないか。

   まだこちらにはムッツリーニがいるからな」

 

森田「頼むわね」

 

雄二「了解。さーて俺も試験受けてくるかね」

 

雄二の指示によりムッツリーニには内密に内通者について調べてもらう事にした。

 

そして、作戦が始まる



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作戦開始

5/2 修正


サーバールーム前にて。

補充テストが終わり、俺と明久、雄二と秀吉が配置につく。

 

明久「じゃあ行こうか」

 

貴浩「ああ。指定は数学で頼む」

 

雄二「了解『アウェイクン』」

 

秀吉「了解じゃ『アウェイクン』」

 

雄二と秀吉のキーワードを受けて、白金の腕輪が起動。

ソレを中心に、数学の召喚フィールドが展開される。

 

貴浩「さて、行くぞ明久!『試験召喚獣召喚(サモン)!!』

 

明久「うん!『試験召喚獣召喚(サモン)!!』」

 

 

Fクラス ≪ 数学 ≫

  織村貴浩  &  吉井明久

  799点     139点

 

 

貴浩「悪いな明久。俺の得意科目にして」

 

明久「別にいいよ。それにしても点数高いね」

 

貴浩「そうか?まぁいい。じゃ、行くぞ」

 

作戦内容はいたって簡単。

システム冷却用の通気口から侵入して故障個所を探しての修復という単純な作業

 

……だが。

 

明久「っ!」

 

俺達が先を進んでいくと突如召喚獣が数体現れた。

 

≪ 数学 ≫ 

Eクラス 

  中林宏美 & 三上良子 

   99点    87点

 

Bクラス 

  菊入真由美 & 岩下律子

   179点   163点

 

 

貴浩「どうやら中に入って欲しくないらしいな」

 

明久「そうみたいだね」

 

お互い武器を構え、暴走召喚獣と相対する明久と貴浩の召喚獣。

 

明久「でも」

 

そして明久の召喚獣が駆け出し、貴浩の召喚獣も後に続く。

 

貴・明「「俺(僕)達のコンビは最強だ!」」

 

貴浩と明久の召喚獣がお互い1体を真っ二つに切り裂さいた。

これでEクラスの2人を倒した。

 

貴・明「「魔人剣!」」

 

お互いに魔人剣を放つ。

 

貴浩「明久!」

 

明久「うん!」

 

貴・明「「魔人連牙斬!!」」

 

2人の魔神剣を交互に繰り出した後、とどめの一撃で2人同時に衝撃波を発生させた。

 

この攻撃によりBクラスの2人を切り裂いた。

 

明久「上手くできたね」

 

貴浩「正直ぶっつけ本番だから、不安だったが出来るもんだな」

 

明久「この調子で攻撃合わせて行こうね」

 

これは明久と貴浩だからできる技だ。

お互いの召喚技術も高く、意志を通じ合う事が出来るからこその技である。

 

雄二「2人共凄いな」

 

秀吉「さすがと言うべきじゃな」

 

優子「本当に凄いわね2人は」

 

愛子「本当に凄いよ。普通あんな事できないよ」

 

すると、また奥から召喚獣が現れる。

 

 

≪ 数学 ≫

Bクラス 金田一祐子 162点

Cクラス 入江真美  136点    Dクラス 玉野美紀 113点

Eクラス 手越夢   101点    Eクラス 今野梓   94点

 

 

貴浩「チッ!数が多いな」

 

明久「だけど!」

 

貴・明「「獅子戦吼!!」」

 

お互いに獅子の形の闘気を発射し、敵をはじき飛ばす。

 

貴・明「「獅子爆撃!!」」

 

先ほどより大きい闘気を発射し、敵をはじき飛ばした。

 

明久「貴浩!」

 

貴浩「おう!」

 

それと同時に召喚獣を飛び上がらせる。

明久は俺の召喚獣が飛んだのと同時に敵に向かっていき敵の1体を上空へ殴り飛ばす。

その飛ばした方向には俺の召喚獣がいて飛んできた敵を斬り下ろす。

斬り下ろした同時に明久の召喚獣が突っ込んでくる。

俺の召喚獣も敵を挟み込むように向かっていき

 

貴・明「「虎牙破斬・咢(こがはざん・あぎと)!!」」

 

挟み込んだ敵を切り裂く。

 

貴浩「負けないな!」

 

明久「負けるはずないよ」

 

俺と明久は息を合わせ次々と暴走召喚獣を倒しながら進んでいく。




最近TOX2をやっている作者です。
今日やっと裏ダンジョンの影クレス&影スタンを倒し終えました。
・・・強くて疲れた・・・・・・

自分的にですがTOX2のキャラではルドガーにジュード、レイア、ノヴァが好きですね。
もちろん他のキャラも好きですよ。

これからもテイルズ技のコラボを出していきたいと思います。
応援・感想宜しく願いします。


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絶体絶命

5/2 修正


俺と明久は息を合わせ次々と暴走召喚獣を倒しながら進んでいくが、

 

貴浩「コレじゃキリがないな。一旦別れて中でもう一度落ち合うぞ!」

 

明久「うん!じゃあサーバールームで!」

 

俺と明久の召喚獣は、それぞれの追手を振り切って通気口の中へ入っていく。

それを追う暴走召喚獣達だが、魔人剣で追い払う。

 

俺と明久は、ムッツリーニの用意したカメラの映像受信装置を装着し、起動させた。

毎度ながら何故そんなものを持っているのかは聞かない。

 

貴浩「さて、ならナビを頼むぞ?」

 

愛子『了解!任せてよ』

 

優子『アタシと愛子に任せなさい』

 

ここからは完全に自分の目では見えないので

別室で待機しているメンバーに誘導してもらう。

俺の通信機器から聞こえてくるのは、愛子と優子の声。俺のナビゲートはこの2名。

明久のは……

 

姫路『よろしくお願いします』

 

島田『ナビゲートしてあげるんだから、しっかりしなさいよアキ?』

 

明久「もちろんだよ」

 

姫路と島田であった……正直不安しかない。

 

高橋「本当に大丈夫なのでしょうか?」

 

森田「任せるしかないわよ。現状でどうにか出来るのもあのバカ共だけなんだからね」

 

そして敵をドンドン倒していくと……

 

≪数学≫

 

Fクラス 吉井明久  VS  Aクラス 安東知美 

     159点           314点

 

Fクラス 織村貴浩  VS  Aクラス 斉藤理子   

     656点           295点

 

たった2体で全暴走召喚獣と戦う様な状況だけに、

少しずつ点数も体力も消耗していた。しかもAクラスの暴走召喚獣も現れ始めた。

カメラを通しての戦い、観察処分者の処理によるフィードバック。

明久や貴浩も長時間におよぶフィードバックによる疲労にはまだ慣れてはいない。

合宿の時でもそこまで長く召喚していないし、あっても1対1の状況だった。

しかし、今回は今までと全く違う感覚内での戦いの分もあるし、相手も複数いる状態だ。

しかもいつ出てくるのかも分からない状況だ。2人に疲労も蓄積されていく。

 

貴浩「ふぅ」

 

ここで俺は一息つく

 

優子「大丈夫、貴浩?」

 

貴浩「ああ……さすがに少し疲れてきたな」

 

愛子「あともう少しでサーバールームのフロアだよ。頑張って」

 

貴浩「ああ、さてもう一踏ん張りだな。頑張るとしますかね」

 

点数こそ勝っていたものの、先へ進むにつれ徐々に精度も落ちてきていた。

 

貴浩「これで霧島や姫路らAクラスレベルがでてきたら、勝てる自信ないぞ?」

 

今までの戦いではB~Eクラスのメンバーが中心で出てきたので何とかなったが、

まだあまりAクラスとFクラスの暴走召喚獣とは出会っていなかったのが気がかりだ。

しかもまだ成績トップ10に入るメンバーが出てきていない。

 

明久「あっ、僕の召喚獣はもうすぐサーバールームだ」

 

貴浩「俺もだな……って何!?」

 

2人して別々の場所からサーバールームへと進入したのだが、

 

≪数学≫

 

Fクラス

 織村貴浩  601点  &  吉井明久 109点

 

       VS

 

Aクラス            Fクラス

 霧島翔子  591点      坂本雄二 299点

 木下優子  379点      土屋康太  45点

 工藤愛子  332点      木下秀吉  55点

 八神なのは 405点      木下命  198点

 不知火刀麻 400点      織村楓  354点

 砂原鈴歌  331点      羽鳥光一 393点

 椎名雪   219点      姫路瑞希 425点

 久保利光  298点      島田美波 189点

 Aクラスモブ×20人      Fクラスモブ×30人  

     平均250点          平均50点

 

 

俺達の前には最悪の状況を目のあたりにしていた。

 

貴浩「待ち伏せだと!?しかも2年成績上位陣じゃねぇか!?

   それにAクラスのヤツラが固まってでてくるだと!?」

 

明久「こっちはFクラスの皆だよ!」

 

雄二「よりにも寄って、こんなところで!」

 

AクラスとFクラスの暴走召喚獣が俺と明久の召喚獣目掛けて突進してくる。

お互い迎え撃つべく武器を構え迎撃するしていく。

 

優子「貴浩!右から久保君が武器を振りかぶってくるわ」

 

貴浩「了解、右だな!」

 

愛子「今度は後ろから代表が迫ってきてるよ」

 

貴浩「了解!」

 

俺は優子と愛子のサポートにより上手く敵の攻撃を回避していく。

ムッツリーニから小型のカメラを借りてつけてはいるが、

真正面しか見えないので、苦戦するかと思われていたが、

優子と愛子の2人のサポートのおかげで上手く立ちまわれている。

そのおかげでAクラスのモブを2人倒すことができた。

だが、明久のほうは……

 

姫路「明久君、左です」   島田「アキ右よ!」

 

明久「え?え?ちょっ、同時に言わないでよ!っ!」

 

明久は姫路と島田と息が合わずギリギリの戦いをしていた。

 

雄二「姫路! 島田! ちゃんと明久のサポートしろ!」

 

そこへ雄二の激がとぶが姫路と島田の2人には聞こえていないようだった。

それを見かねた俺は

 

貴浩「だから不安だったんだよ!」

 

俺は明久の援護に向かおうと急に方向転換する。

 

優子「貴浩!そっちは危ないわ!」

 

貴浩「え?」

 

そこで少し周りを見ていなかったのが悪かった。

 

ザクッ!

 

貴浩「ぐあっ!」

 

俺の召喚獣は後ろから攻撃を受けてしまう。

普段ならこんな事にはならないだろうが、今回は戦い方が違う上に相手もやっかいだ。

さすがにAクラスとあって今までの敵とは動きが違う。

Fクラスも今まで激戦を繰りぬけてきただけありAクラス並の動きをしている。

 

貴浩「だが、そう簡単にやられるかよ!『グラビトン!』」

 

俺は腕輪を発動させサーバールーム全体に重力を発生させる。

 

貴浩「森田先生! 1つ聞きますがネックレスの方は不具合は生じていないんですか?」

 

俺はネックレスの力を発動する前にシステムの不具合がなかったのか聞く。

 

森田「多分ね・・・そっちも教師用とは別の領域でやってるから不具合はでないはず。

   だけど絶対大丈夫とは言い切れないわ」

 

貴浩「わかりました。『ライダー』!!」

 

俺は森田先生からそれを確認するとライダーを召喚する。

 

貴浩「ライダー。体とかに不具合無いか?」

 

召喚したライダー自身に不具合が無いか確認する。

 

ライダー「大丈夫ですマスター。どこにも異常は見られません」

 

貴浩「そうか。ならあいつらを蹴散らすぞ」

 

ライダー「はいっ!」

 

貴浩「明久。一気にいくぞ!『フルブラスト』」

 

明久「うん」

 

貴浩「まずは霧島からだ。さすがにあの点数はキツいからな」

 

明久「僕は姫路さんだね『ダブル』!!アンド『セイバー』!!」

 

俺はもう1つの腕輪を発動させ、一気に勝負を決めようとした。

明久も武器を構えそして腕輪を発動させセイバーを召喚し、

点数の高い姫路の召喚獣へと迫っていく。

 

その時だった。   パキィン!!

 

俺が発生させた重力場と明久の副獣が突然かき消された。

 

貴浩「なぁ!? 俺の重力場が消えただと!?」

 

明久「僕の召喚獣もだ!」

 

優子「何が起きたの?」

 

突然の事で俺たちは動揺してしまう。

その瞬間、霧島の召喚獣の攻撃を喰らってしまう。

 

貴浩「ぐぅ、しまった!だがなぜだ!?

   俺の重力場も消えてるし『フルブラスト』も消えてるぞ」

 

重力場だけでなくフルブラストも消えていた。

俺の腕輪の力が消えているようだった。

 

明久「僕のもだ」

 

明久のほうを見てみると明久の腕輪の能力も消えていた。

 

刀麻「しまった!」

 

そこで刀麻が突然声をあげる。

 

雄二「どうしたんだ刀麻?」

 

刀麻「おそらく俺の召喚獣の腕輪の力だ。

   俺の召喚獣の腕輪の力は『能力封じ』なんだ。

   だから貴浩と明久が発生させた腕輪の能力は消えたんだ」

 

秀吉「なんじゃと!?」

 

愛子「それなら貴浩君と吉井君は腕輪なしで戦わないといけないの?」

 

貴浩「それは本当か刀麻!」

 

刀麻「ああ」

 

刀麻の腕輪の力で俺と明久は腕輪なしで戦わないといけないらしい。

だが刀麻の腕輪でもネックレスで召喚したライダーとセイバーは消えていなかった。

多分ライダーは能力の1つ『単独行動』があるから消えずにいられるんだろうが、

ならセイバーはなんで消えないんだ・・・・・・

 

雄二「まさか暴走召喚獣が腕輪を発動させるとはな」

 

命「アレなんですか!?」

 

そこで命が見たものは

 

楓「セイバーが黒くなっています」

 

明久が召喚したセイバーの姿が黒くなっており装備も変わっていた。

※青セイバーからオルタセイバーに変わった

 

そして黒セイバーがゆっくり動き出したかと思えば突然明久へ襲い掛かってきた。

 

明久「えっ!? な、なんで!?」

 

明久は黒セイバーの攻撃を咄嗟に木刀をだして防ぐが威力があり吹き飛ばされてしまう。

 

森田「・・・・・・これは暴走してるわね」

 

雄二「なんだと!?不具合はでないはずじゃなかったのか!?」

 

森田「アタシだって驚いてるわよ。でも現に暴走してる。

   多分、観察処分者のシステムとネックレスのシステムで誤作動が生じたのね。

   理由はわからないけど・・・」

 

その間にも貴浩と明久は窮地に追いやられていた。

貴浩の召喚獣の左腕が霧島の召喚獣に刺し貫かれ刀麻の攻撃により切り裂かれる。

 

そして、貴浩の腕にフィードバックが

 

貴浩「グゥウウウ!!!!」

 

優子「貴浩!?」

 

愛子「貴浩君!?」

 

明久「貴浩大丈夫!?」

 

秀吉「明久よ!余所見をするでない!」

 

明久「え!?」

 

明久のほうには姫路と島田を中心に襲い掛かってきた。

 

明久「ひっ、姫路さんに、美波……」

 

命「島田さんなんとかコントロールできないんですか?」

 

島田『ダメ! コントロールできない!』

 

命「そっそんな……」

 

美波の召喚獣が突進し、明久の召喚獣の武器を弾く。

姫路の召喚獣がガラ空きとなった腹を大剣で刺し貫いた。

 

明久「ぐああああああっ!!」

 

姫路『明久君!?』

 

姫路の召喚獣は刺したままの状態で横に大きく振り回し壁のほうへと投げつけた。

 

バン!

 

明久の召喚獣は剣が刺さったまま壁に激突し、床に落ちる。

それに続く様に、島田の召喚獣が明久の召喚獣を踏みつけ殴りつけていた。

それからはわざとトドメをささなかったかのように殴る蹴るの攻撃が続いていく。

 

明久「うああっ! ぐっ、ああああああ!!」

 

貴浩「明久! うぐっ!?」

 

俺はなんとか片腕でAクラスモブたちを数人片付け、

明久を助けに行こうとしたが椎名の召喚獣によって両足を撃ち抜かれた。

運の悪い事に椎名の召喚獣の武器はライフルであり今は相性最悪の武器だった。

そこへ久保の召喚獣と霧島の召喚獣が迫ってくる。

 

攻撃を防ぎたくても片腕はすでになく両足も撃ち抜かれ身動きが取れない。

 

雄二「……姫路、島田、本当にお前らコントロール出来ないのか?」

 

島田『ちょっと坂本、何でウチ等を疑うのよ!?』

 

姫路『そうです! 私達はあんな酷い事なんてしません!!』

 

秀吉「……思いきり普段の光景とデジャヴがあり過ぎるぞい」

 

雄二「……俺もそう思う」

 

雄二や秀吉ですら、暴走召喚獣の行動にデジャヴを感じ取っていた。

 

ドサッ!

 

雄二「あ、明久!?」

 

命「明久君!?」

 

刀麻「やべえ、すぐに保健室へ!!」

 

明久は姫路と島田の攻撃によるフィードバックに耐えきれず、その場で崩れ落ちた。

 

優子『あれって、姫路さんの腕輪!?』

 

刀麻『それにセイバーのエクスカリバーも!?』

 

命『明久君!逃げて!!』

 

雄二「だ、だめだ。明久は気絶していて動かねぇ」

 

貴浩「チッ! ライダー明久を助けろ!」

 

明久を助けに行きたいが暴走召喚獣が周りを固めているので動くに動けない。

なのでライダーに明久の召喚獣を助けるよう指示する。

そして姫路の召喚獣が腕輪をつけた手を掲げ、明久の召喚獣を狙う。

セイバーのエクスカリバーと姫路の腕輪が輝き熱線が放たれる直前、

ライダーが明久の召喚獣を抱え攻撃をかわしていた。

 

貴浩「ライダー! 明久を連れてすぐさまこの場を離脱しろ!」

 

明久が気絶している状態なので召喚獣はピクリとも動かない。

そんな状態でここにいてもリンチに合うのが目に見えている。

ライダーも頷くとともに明久の召喚獣を抱え部屋から脱出した。

 

貴浩「雄二! すぐさまフィールドを数学以外に変えてくれ!」

 

雄二「わ、わかった!」

 

雄二はすぐさまフィールドを切り替える。

 

≪物理≫

 

Fクラス

 織村貴浩  471点  &  吉井明久 53点

 ライダー  471点      

 

   VS

 

Aクラス            Fクラス

 霧島翔子  451点      坂本雄二 257点

 木下優子  329点      土屋康太  37点

 工藤愛子  292点      木下秀吉  49点

 八神なのは 375点      木下命  158点

 不知火刀麻 290点      織村楓  267点

 砂原鈴歌  241点      羽鳥光一 333点

 椎名雪   259点      姫路瑞希 361点

 久保利光  218点      島田美波  79点

 Aクラスモブ×15人      Fクラスモブ×25人  

     平均250点          平均50点

 

 

雄二「フィールドを変えたがどうするんだ?

   お前の今の状態じゃ意味が無いぞ」

 

俺の召喚獣は左腕が切り落とされ両足も撃ち抜かれた状態だ。

それに相手の数・・・勝つのは0に近い。

 

貴浩「ああ、勝てるとは思ってないが最後まで悪あがきはしてやる」

 

そして俺は雄二にあるアイコンタクトを送る。

 

雄二「お、おい! 貴浩! なにするつもりだ!?」

 

秀吉「ど、どうしたのじゃ雄二?」

 

いきなり顔色を変えた雄二に秀吉が驚く。

 

貴浩「物理なら腕輪が使えるな。さて最後の悪あがきいきますかっ!!」

 

俺は右腕で銃を構え雑魚から片付けていく。

 

貴浩「せめて刀麻だけは片付けておきたいが」

 

だが俺の召喚獣に暴走召喚獣が迫ってきて串刺しにされる。

 

貴浩「ここまでか・・・だがもう少し持ってくれよ『フルブラスト』!!」

 

俺は串刺しにされた状態で腕輪を発動させる。

 

貴浩「ぐふっ!!」

 

俺自身にフィードバックとして痛みが返ってくる。

 

優子『貴浩!!』

 

愛子『貴浩君!!』

 

貴浩「『グラビトン』!!」

 

ここで重力をかけまくる。

 

貴浩「知ってるか?高重力をかけまくると発生するもの。

   それは・・・『ブラックホール』!今俺に出来る最強の技だ」

 

俺は腕輪の力でブラックホールを発生させる。

そのブラックホールで暴走召喚獣を飲み込んでいく。

 

貴浩「…………ここまでだな」

 

そして俺の召喚獣自身もブラックホールに飲み込まると同時に、意識を手放した。

 

高橋「……作戦失敗、ですね」

 

学園長「……やれやれ、仕切りなおしだね」

 

 



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失敗

5/2 修正


試験召喚システム修理作業、暴走召喚獣の妨害により失敗

 

織村貴浩、吉井明久の召喚獣2体による撃破合計、100体

内訳は、Aクラス15名、Bクラス12名、

    Cクラス13名、Dクラス15名、

    Eクラス10名、Fクラス25名。

 

高橋「以上が、作戦の結果報告です」

 

学園長「ああ……しかしあのバカ共、たった2人でよくここまで倒せたね」

 

森田「まぁ仮に教師を倒していないわね。 

   条件を限定したら1クラスは簡単に制圧できるわね」

 

撃破した暴走召喚獣の名簿を見て、呆れつつも感心する学園長。

高橋女史と森田先生も、そのスコアに多少満足そうな表情を見せる。

 

学園長「で、あのガキ共は?」

 

高橋「まだ二人とも意識を取り戻してはいません」

 

学園長「その辺りは無理ないさね。あれを見ればね」

 

揃いもそろって、Aクラス級のリンチともいえる猛攻を受けた以上、

そのフィードバックで多々で済む訳がない。

 

学園長「……しかし暴走してたとは思えないほど、

    個人を狙ったかのような猛攻だったねえ」

 

高橋「……見ていて痛々しい事この上ありませんでした」

 

森田「さすがに見ていて気分がよくないわ」

 

学園長「やれやれ……今から延期して貰う為の言い訳でも考えておくかね」

 

時は放課後、学会へのお披露目は明日の午後2:00からになっている。

修理や準備などの時間を考慮した場合を考えると、時間は刻一刻と迫っていた。

 

~保健室~

 

明久「うっ……うぅ……ここは……」

 

命「あ、明久君!?気がついたんですね!よ、良かった」

 

島田「あっ、気がついたアキ?」

 

姫路「よかった……心配してたんですよ?明久君」

 

明久が気がつくと、看病していた命と島田と姫路が安著の声を挙げる。

そこで、何があったかを思い出した明久は……。

 

明久「うっ、うん。ありがとう……」

 

明久は先ほどの件があり島田と姫路から少しだけ距離をとる。

 

島田「……予想していたとは言え、やっぱりこうなるのね」

 

姫路「……何だか明久君の私達への評価は酷くなる一方です」

 

雄二(仕方ないだろ。自業自得だ)

 

秀吉(そうじゃな。自業自得じゃの)

 

刀麻「目が覚めたか明久。大丈夫か?」

 

明久「う、うん・・・大丈夫だよ・・・それより貴浩は?」

 

雄二「貴浩はまだ寝ている。今は木下長女や工藤が様子を見てる」

 

刀麻「まだ目覚めないだろうな。明久を庇って暴走召喚獣たちを相手にしたし、

   最後のあの攻撃だしな」

 

明久「それってどういうこと?」

 

そこで明久が気絶してからのことを雄二が説明する。

 

明久「・・・・・・」

 

秀吉「なにはともあれ、目が覚めて良かったぞい」

 

なのは「明久君もタカ君のおかげでこの程度ですんだしね。

    もし腕輪の攻撃が直撃してたらと思うと・・・・・」

 

雄二「……さすがにあれはいくらなんでも、

   暴走してるにしては不自然な事だから仕方ないな」

 

疑われた姫路と島田にしてみれば、不本意この上なかったのだが、

今までの行動を見てみても『自業自得』という言葉しか皆には思い浮かばない。

 

雄二「で、起きていきなりで申し訳ないがどうする?続けるのか?」

 

明久「……」

 

秀吉「雄二よ。今その話は酷ではないのかの」

 

雄二「そう思うのは仕方がないが時間がないんだ。で、どうする?」

 

明久「もちろん続けるよ。このままじゃ終われないし

   貴浩の行動を無駄にできないしね」

 

命「あ、明久君大丈夫なんですか?」

 

明久「うん、大丈夫だよ命。それにまだ諦めたくないしね」

 

雄二「なら、寝起きですぐはきついだろうが、回復試験受けるぞ?

   さっきババァ長に聞いたが、学会へのお披露目とやらは明日の午後2時かららしい。

   で、準備や修理の時間を含めると12時までがタイムリミットだな」

 

明久「じゃあ、それまでに何とかしないと」

 

雄二「ああ。ババァは最悪キャンセルも考えてるだろうが、

   そんな事すれば評判は更にガタ落ちだ。

   最悪、俺等全員が転校という事になるだろうな」

 

事が事だけに、全員が深刻な表情となる。

 

雄二「で、もう今日は時間が遅い」

 

明久「え?」

 

明久が窓の外を見てみるともう夕方になっていた。

 

雄二「だから、今から3人は回復試験を受けて明日の朝からもう一度作戦開始になる。

   そしてそれがラストチャンスだ」

 

3人というのは明久のことはもちろんのこと、雄二と秀吉も含まれる。

2人は戦闘はしていないが腕輪を長時間発動しているので点数が減っていたのだ。

 

明久「うん、わかったよ。僕も本気でやらないとね

 

そして3人は試験を受け今日は帰宅した。



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ラストミッション

5/2 修正


~そして翌日の朝~

 

森田「さぁアンタたち準備はいい?」

 

明久「はい、大丈夫です」

 

雄二「ああ……ってちょっと待ってくれ。忘れるところだった」

 

森田「何を忘れてたのよ?」

 

雄二「姫路と島田、明久のナビゲーター代われ」

 

姫路・島田「「えっ?」」

 

2人は明久のナビゲートをしようと準備していたが雄二の言葉で、動きが止まる。

 

雄二「明久のナビゲートは違うヤツに頼むから、お前らはやらなくていいわ」

 

島田「な、なんでよ?」

 

姫路「そうです! 納得できません!!」

 

雄二「理由は簡単だ。昨日のナビを見てたんだが・・・正直お粗末すぎる。

   木下長女と工藤は貴浩の動きや見えない部分を

   指示したりしてサポートしてたが、お前らのは………正直サポートは言えねえ」

 

森田「まぁ確かにそうね」

 

姫路「も、森田先生!?」

 

雄二の意見に森田先生も肯定したことに姫路が驚きを見せる。

 

森田「昨日の見てたけどアンタたちのはスポーツ観戦と同じよ。

   で、アナタたちがサポートしてから吉井の操作技術は低下したのがわかったわ。

   合宿の時の吉井ならあそこまで簡単にはやられないわよ。

   伊達に学年1の操作技術をもっていないわね」

 

明久「え?僕、今森田先生にほめられたの?」

 

刀麻「ああ、そうだな。褒められたな。凄いことだぞ」

 

島田「じゃ、じゃあウチら以外に誰がアキのサポートするのよ!」

 

雄二「まあ・・・そうだな。1人は木下三女だな」

 

命「えっ?私ですか?む、無理ですよ。私じゃ明久君のサポートなんてできませんよ」

 

命が雄二に近づいてきて首を振る続ける。

 

雄二「大丈夫だ。お前はよく明久たちと一緒にゲームしてるだろ?」

 

命「してますけど……」

 

雄二「それと同じように明久をサポートしてやればいい」

 

命「大丈夫でしょうか?」

 

雄二「大丈夫だ。お前ならできるさ」

 

命「……出来る限り頑張ります」

 

雄二「おう、頑張れよ」

 

楓「命ちゃんならできますよ頑張ってくださいね」

 

姫路「もう1人はどうするんですか?

   まさか命ちゃん1人でやらせるわけないですよね?」

 

雄二「当たり前だ。さすがにそんな事はしないさ」

 

島田「なら──」

 

雄二「だから助っ人を呼んでる」

 

 

ガラッ

 

 

そこへ誰かが扉を開けて入ってきた。

 

雄二「遅かったな久保」

 

そう、ここへ入ってきたのは久保利光だった。

 

久保「遅れてすまない。だがいいのだろうか? 停学中の僕が来ても・・・」

 

雄二「大丈夫だ。ちゃんと許可はもらっている」

 

森田「そうね。本来ならダメなんだろうけど事情が事情だしね。

   今日の朝、学園長から許可をもらってるから問題ないわ」

 

久保「で、いきなり僕を呼び出して何のようだい?

   電話でサポートしてほしいと言っていたけど?」

 

雄二「ああ、久保には明久のナビゲーターをやってもらいたい」

 

久保「ナビゲーター?」

 

そこで雄二は久保の簡単にこの件について説明した

 

久保「なるほど。なら僕は吉井君のサポートをすればいいんだね」

 

雄二「そのとおりだ」

 

久保「だが本当に僕で良いのかい? 僕は合宿で織村君を──」

 

雄二「良いに決まってるから呼んだんだ。

   それに貴浩からもしもの時は久保を頼むって言われてたからな。

   それを生かすかは殺すかはお前に任せる」

 

久保「ありがとう。なら精一杯頑張らせてもらうよ」

 

雄二「というわけだ。明久のサポートには命と久保が入る」

 

秀吉「世界史フィールド……アウェイクン!」

 

秀吉の腕輪が、召喚フィールドを展開。

 

まずは秀吉が腕輪を展開する。

雄二の腕輪はサーバールームで日本史を展開してもらう手筈になっている。

それなら、いくら行くまでに点数が消費していようが、

サーバールーム前で科目を変えるので、点数は高いままで戦闘を望む事ができる。

 

そして、行動開始!

 

≪世界史≫ Fクラス

        吉井明久

        292点

 

雄二「明久! 1人で大変だろうが頑張れよ」

 

明久「うん!貴浩の行動を無駄にしないためにも頑張るよ。

   って早速来たみたいだね」

 

Bクラス 根本恭二 187点

     根城敦  181点

 

明久「なんだ?根っこコンビか。なら楽勝だね」

 

明久はそういうと一気に駆け出していき、一閃し消滅させた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

明久は暴走召喚獣を倒しながら進んでいく。

 

明久「さて、そろそろサーバールームだよ」

 

雄二「こちらの準備は出来てるぞ」

 

明久「じゃあ、お願いね」

 

そして当初の作戦通り、

まずは雄二が日本史のフィールドを形成する。

 

そして明久が雄二のフィールドに入ったのを確認して、

楓がフィールドを閉じ、腕輪を秀吉に渡し秀吉がフィールドを形成する。

 

サーバールーム内は意外と広いので2人分の

フィールドがないと戦うのが狭くてきつくなるので、

雄二と秀吉のフィールドが必要となる。

 

 

≪日本史≫

  吉井明久

  453点

 

 

雄二「………明久なんだ?その点数は?」

 

秀吉「400点越えじゃと!?あの明久が!?」

 

島田「あのアキがあんな高い点数出すなんて!?」

 

命「凄いです。さすが明久君です!!」

 

優子「アタシよりも点数が高いなんて……」

 

久保「さすが吉井君だね。僕も頑張らないと」

 

愛子「久保君の言うとおりだね。僕達も頑張らないといけないね」

 

優子「そうね。勉強も……恋愛も(ボソっ)」

 

ここにいる全員が明久の点数をみて驚愕の声をあげる。

 

明久「アハハハ、さすがにこの作戦は失敗するわけには行かないからね。

   だから昨日の試験では世界史と日本史以外のテストは捨てて、

   この2科目だけに集中したんだ。

   それに貴浩の分まで頑張らないといけないしね」

 

命「それでもその点数は凄いですよ」

 

刀麻「俺も驚いたな」

 

雄二「明久がそこまで頑張ったんだ。俺も頑張らないとな」

 

翔子「…………雄二ならできる」

 

雄二「ああ、そうだな。

   昨日、貴浩のおかげで刀麻の召喚獣は倒せたがまだ敵は多い油断するなよ」

 

ここまで来るのに、前回サーバールームにいたヤツらの召喚獣はいなかった。

 

明久「……まぁサーバールームの中で待ってるわけだろうね」

 

明久は前回敗れた場所である召喚獣はサーバールームへ入りそして、周りを見回した。

そしたら予想通り、昨日の召喚獣たちが勢ぞろいしていた。

ただ少し違ったのは、昨日2人が倒した召喚獣はいなかったことだ。

 

明久「じゃあ、行くよ!ラストミッションだ!!」

 

 

≪日本史≫

 

Aクラス 

 霧島翔子  556点

 木下優子  389点

 工藤愛子  332点

 八神なのは 295点

 久保利光  391点

 Aクラスモブ×5人 平均280点

 

 

Fクラス

 坂本雄二  288点 

 土屋康太   55点

 木下秀吉   65点

 姫路瑞希  395点

 島田美波   39点

 黒セイバー 400点

 Fクラスモブ×5人 平均 50点  

 

 

雄二「貴浩のおかげで大分数が減ってるがまだきついのは確かだな。

   それに黒セイバーまでいやがる」

 

明久「大丈夫!あとは僕に任せて

   命!久保君!僕ののサポートお願いね!」

 

久保「任せてほしい。ちゃんと指示を出すよ」

 

命「明久君頑張ってくださいね!」

 

明久「うん!よしっ、いくぞっ!!」

 

そして、戦いの火蓋が落とされた。

 



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明久奮闘

5/2 修正


明久「貴浩のおかげで大分敵の数が減ってるし、

   刀麻の召喚獣もいないから思い切り戦えるよ!」

 

僕は武器を暴走召喚獣たちへ向かっていく。

 

まずはモブ達からだ。

人数を減らさない事にはどうにもならないからね。

 

明久「『セイバー』!!」

 

僕はネックレスにキーワードを告げる。

すると僕の召喚獣はセイバーそっくりの白の騎士甲冑姿へと変化する。

 

明久「一気に蹴散らすよ『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』!!」

 

僕の武器から大きな光の斬撃が放たれる。

そこにいた暴走召喚獣たちはその光に飲み込まれ消滅した。

 

僕のネックレスの力はただ【セイバー】を召喚できるだけじゃない。

【セイバー(アルトリア)】の『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』を

使うことが出来るんだ。

昨日は刀麻がいたからネックレスの力が使えなかったけどね。

 

 

≪日本史≫    

 吉井明久 353点  VS  霧島翔子  356点

                坂本雄二  288点 

                姫路瑞希  395点

                島田美波   39点

                黒セイバー 400点

   

今の攻撃でかなりの数が減ったけどまだ雄二に霧島さん、姫路さんと高得点者が残ってるや。

でも霧島さんは今の攻撃で少し点数が減ったから良しとするかな。

 

黒セイバー「『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』」

 

すると今度は黒セイバーも同じ攻撃を繰り出した。

僕はすぐさま回避したので攻撃に当たらなかったけど・・・

 

刀麻「おいおい相手もマジかよ」

 

なのは「しかもまだ代表や坂本君、姫路さんもいるから」

 

皆、そこで不安になるが

 

明久「大丈夫!まだ手はある!『ライダー』!!」

 

そこで明久の横に貴浩の使い魔(サーヴァント)であるライダー(メデューサ)が召喚される。

 

刀麻「なんで明久がライダーを召喚できるんだ!?」

 

明久「まだ貴浩目が覚めてないから悪いけど勝手に借りちゃった。

   貴浩のライダーは暴走しなさそうだったしね。

   どうせ黒セイバーを倒すのに一苦労すると思ってね」

 

刀麻「おいおい、いいのかそれで」

 

明久「貴浩の看病をしてる優子さんと工藤さんには一言言ってから借りたよ。

   非常時だしね。貴浩も許してくれるはずだよ」

 

刀麻「まあ・・・いいか」

 

明久「じゃあ悪いけどライダー力を貸してくれる」

 

ライダー「もちろんです明久。昨日のマスターの無念も晴らしたいですし」

 

明久「じゃあいくよ!!」

 

   

≪日本史≫    

 吉井明久 353点      霧島翔子  356点

 ライダー 353点      坂本雄二  288点 

                姫路瑞希  395点

                島田美波   39点

                黒セイバー 300点

 

 

明久が再び構えを取ると黒セイバーも同じ構えを取り

 

明・黒「「「『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』!!」」

 

2体の召喚獣から同じ攻撃が放たれる。

2人の攻撃はぶつかると最初は互角のように見えたが徐々に明久のほうが押され始めてきた。

 

明久「ぐぅ・・・やっぱりオリジナルには負けちゃうか」

 

徐々に明久の召喚獣が威力におされ後退していく

 

ライダー「まだです!「『騎英の手綱(ベルレフォーン)』!!」

 

押されていた明久の攻撃にライダーの攻撃も加わる。

これで形勢が逆転した。

明久とライダーの攻撃が黒セイバーの攻撃を飲み込み

その後ろに居た黒セイバーや他の暴走召喚獣を消滅させた。

 

雄二「よしっ!作戦は成功だな。明久よくやった!

   あとは修理をするだけだ」

 

明久「そうだね」

 

僕たちはそこで一安心かと思っていたが

 

久保「吉井君っ!危ないっ!!」

 

久保君の咄嗟の言葉に反応し後方へと回避すると、

僕の召喚獣がいたところには2つのクレーターが出来ていた。

そしてそのクレーターにはある2つの召喚獣の姿があった。

 



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決着

5/2 修正


クレータには姫路さんと島田さんの召喚獣の姿があった。

どうやら僕とライダーの攻撃を回避したらしい。

 

そして、2人の召喚獣はかなり違っていた。

2人の召喚獣は装備が悪魔の様な装飾へと禍々しく変貌していて、

武器も禍々しく変貌し、尻尾も黒く鋭利な武器を思わせる様相だったからだ。

 

明久「……なんか、ヤバそうなんだけど?」

 

刀麻「そうだなって……何ィっ!?」

 

そこで2人の召喚獣の点数が表示される。

 

<日本史>

 姫路瑞希  400点

 島田美波  400点

 

何故か2人の召喚獣は400点と表示されていた。

 

明久「……どうやら、ここが正念場みたいだね」

 

そういうと2人の召喚獣が襲ってくる。

 

雄二「……やばいな」

 

これをスクリーンでみていた雄二がつぶやく。

 

雄二「このままだとまた作戦失敗だな」

 

楓「そうですね。今現状で戦えるのは明久君だけですしね」

 

ライダーは先ほどの攻撃のあとで姿を消した。

やはり貴浩が本当の所有者なので僕が使うと消費点数が大きかったみたいだ。

 

なのは「それに明久君はさっきの技で点数が300をきっちゃったからね」

 

秀吉「ならフィールドを変えたら良いのではないか?」

 

そこで秀吉がそう提案する。

 

命「そっか!フィールドを変えたら点数も元に戻りますしね」

 

雄二「それは無理だ」

 

刀麻「えっ?なんでだ?」

 

雄二「それはフィールドを変える時間が無い事もあるが、

   それ以前にこれ以上フィールドを展開することが難しい。

   だから持ってあと30分だろう。なのにフィールドを変えたら10分も持たない。

   それにな、明久が歴史科目以外で今より高得点になるとは思えない」

 

刀麻「そ、そうだな・・・」

 

雄二「だから明久に頑張ってもらうしかないんだ」

 

命「……ここまでなのかな」

 

命が少し諦めたようにいうと

 

明久「まだだよっ!!」

 

明久が声をあげる。

 

明久「僕は絶対に諦めないっ! こんな事で転校するなんて嫌だっ!!」

 

命「……明久君」

 

明久「それに僕にだって腕輪がある」

 

明久がそういうと明久についている黒金の腕輪ではなく召喚獣の腕輪が金色に光りだす。

 

明久「行くよ『ソード』ッ!!」

 

明久がキーワードを述べると、明久の召喚獣が一瞬光を上げる。

 

光が晴れ終わるとそこには、

赤い外套を纏い髪の毛の部分が白色にかわった明久の召喚獣の姿があった。

 

久保「あれが吉井君の腕輪の力……」

 

雄二「明久の召喚獣の姿がかわっただけのように見えるが……」

 

明久「まだだよ雄二。僕の腕輪の力はこれからだよ『複製(トレース)ON』」

 

命「明久君の召喚獣のまわりに剣が浮いてます…」

 

明久が再びキーワードを述べると、

命の言うとおり明久の周りに6本の剣が浮いていた。

 

剣の種類は、片刃の短剣2本、片刃の直剣2本、

片刃で、持ち手が刃に埋め込まれている形の直刀1本、

両刃で二股のようになっている剣が1本の合計6本だ。

 

明久「いくぞっ!」

 

そういうと片刃の短剣と片刃の直剣を1本ずつ片手で持つと、

姫路と島田の召喚獣に向かっていたった。

 

明久「これがラストバトルだっ!」

 

腕輪を発動させると2人の暴走召喚獣と相対している。

 

何が凄いかというと、あの2人の暴走召喚獣を相手に

腕輪を発動して出てきた6本の剣を上手く使い明久はまだ傷1つ受けていなかった。

しかもその戦い方はまるで踊っているように見えた。

 

久保「凄いな吉井君は……」

 

秀吉「そうじゃな。アレは舞のようにみえるのじゃ」

 

雄二「ああ、俺も正直驚いている。

   まさか明久が腕輪を取っただけじゃなく、あそこまで戦えるなんて」

 

今の明久の動きに皆が驚き感心していた。

 

雄二「おそらくあいつは学年1の操作技術を持つだろうな」

 

命「凄いです明久君!」

 

楓「あっ!相手の様子が」

 

楓がそういうと島田さんの暴走召喚獣の攻撃が少し雑になってきていた。

今までの攻撃があたらないのが気に入らないのか、攻撃が大降りになってきていた。

 

僕はそれも見逃さず、大振りになってガラ空きになった胴体に剣を突き立てて攻撃した。

それが急所を貫いたので島田さんの召喚獣が消滅する。

 

あとは姫路さんの召喚獣だけとなった。

 

 

 

 

 

 

 

僕は姫路さんの暴走召喚獣と向き合った。

 

<日本史>

 

  吉井明久    VS    姫路瑞希

  233点          400点

 

僕の召喚獣は腕輪の使用によって20点消費しているだけ。

 

すると相手が武器を構えて突撃してきた。

そのスピードは姫路さんとは思えないくらい物凄く速かった。

けど僕は負けるわけにはいかない。

それに合宿で先生達相手に戦った経験がある。

いくら速いと言ってもバカ正直な突進に当たりはしない!

相手の突進方向、構え、武器の形状から繰り出される攻撃を予測する。

相手の狙いは武器のリーチを生かした横払いのようだ。

しかも見た様子、島田さんの召喚獣がやられて少し焦っており

防御を考えていないように見える。

 

明久「ふぅ……」

 

僕は小さく息を吐き、コースを予想して相手の攻撃を屈んで避ける。

これはいくら点数をあげようができない技術だ。

しかも相手はシステムが操作しているんだからなおさらだ。

だからこういう技術で負ける訳はない!!

 

相手が空振りした大剣を豪腕で引き戻し、今度は大上段に振りかぶる。

あの姿勢だと間違いなく振り下ろしだろう。

いくら力が強くてもそんなに振りが大きいと避けるのは難しくない。

 

僕は一歩だけ横に動かすと、相手の腕を目がけて剣を振るう。

 

<日本史>

 

  吉井明久    VS    姫路瑞希

  233点          350点

 

そして僕はすぐさま飛び下がる。

今の攻撃で姫路さんの召喚獣の右腕が切り落とされていた。

 

命「す、凄いです……」

 

明久「さて時間もやばそうだし、これで決めるよ」

 

明久が時間を見ると、

雄二と秀吉のフィールド形成時間が残り5分なのに気づいた。

 

すると、明久のまわりに浮かんでいた剣が1つに合わさった。

 

久保「剣が合体した………」

 

明久「じゃあ、これで終わりだ!」

 

明久が剣をもち相手に向かって走り出す。

姫路の召喚獣もなんとか片手で横払いの攻撃を繰り出すが、

明久はそれを再び屈んでかわし、剣で姫路の召喚獣を切り裂いた。

 

<日本史>

 

  吉井明久    VS    姫路瑞希

  233点            0点

 

そして今の攻撃で姫路の召喚獣も消滅した。

 



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鉄人の実力

5/2 修正


秀吉「明久が勝ったのじゃ!!」

 

命「す、凄いです明久君っ!!」

 

僕が姫路さんの召喚獣を倒すと周りから歓喜の声があがる。

 

雄二「よくやったな明久。驚いたぞ!」

 

楓「凄かったですよ明久君」

 

翔子「……吉井凄かった」

 

久保「吉井君見事だったよ。正直見ていてハラハラしたけど、本当に凄かったよ」

 

明久「そ、そうかな。無我夢中だったから……」

 

命「凄いですよ明久君!私感動しちゃいました!!」

 

貴浩「本当に凄かったな明久」

 

明久「えっ?」

 

僕が振り返るとそこには貴浩の姿が目にはいった。

 

 

 

      ☆

 

 

 

貴浩「最後のところしか見れなかったが見事なもんだなお前は。

   さすが学年1の操作技術を持つだけあるか」

 

俺はそういいながら明久のほうへと向かっていく。

その後ろに優子と愛子の2人が続く。

 

明久「もう大丈夫なの貴浩?」

 

貴浩「ああ、随分寝てたみたいだしな。今は何とも無い」

 

明久「そっか・・・それなら良かった」

 

貴浩「後は俺に任せてお前はゆっくりしてろ」

 

俺は召喚獣を召喚して愛子と優子のサポートの元で

学園長の指示でシステムの修理を行っていた。

 

そしてケーブルの接続が完了。

そこで学園長が防犯システムの主導権を取り戻し、扉が開かれた。

 

明久「やれやれ、これで一安心だね」

 

貴浩「ああ……とりあえずはな」

 

学園長「さて、すぐに修理に入るとするかね」

 

そして学園長はどこかへ連絡を。

 

雄二「で、ババァ長」

 

高橋「坂本君?」

 

雄二「……学園長、アイツから連絡はありましたか?」

 

学園長「今こっちに向かってるとのことだよ」

 

雄二「そうですか」

 

雄二は貴浩に目配せをすると、貴浩が頷く。

他の皆は、ソレをみて疑問符を浮かべていた。

 

そして……

 

鉄人「吉井、織村、まさかお前達を褒める日が来るとは思わなかった」

 

鉄人をはじめとする教師陣と、試験召喚システム開発技術者達のご到着。

 

貴浩「今回俺は何もしてないぞ。褒めるなら明久だな」

 

明久「いやいや、貴浩のおかげだよ。

   僕1人だったら昨日の時点で終了してたよ」

 

鉄人「とにかくお前達2人とも良くやってくれた」

 

明久「そう思うなら、補習を免除してくれると嬉しいんですけど…」

 

鉄人「それとこれとは話は別だ。まあ今回の功績をたたえ、今週は免除してやろう。

   だが来週からは厳しく行うぞ」

 

ソレを聞いて、多少だが報われた様な気がした。

 

鉄人「なにはともあれ、良くやってくれた」

 

フィードバックによる疲労とダメージで座り込んでる

俺と明久の頭に、鉄人は手を置き乱暴に撫でまわす。

 

貴浩「……なんか、変な感じだな」

 

明久「うん……いつも怒鳴られてばかりだから、なんだか新鮮な感じというか」

 

だが、満更でもない感じの2人。

 

鉄人「さて、後は俺達の仕事だ」

 

という発言を受けて、周りの教師と開発メンバーたちが動きを見せる。

 

いざ修理にと……

 

雄二「ちょっと待て!」

 

入ろうとしたところで、雄二が遮った。

 

鉄人「どうした坂本?」

 

雄二「ちょっと腑に落ちない事があるんでな。

   それをハッキリさせるまで、ここに誰かを入れる訳にはいかない」

 

それを受けて、教師陣も開発陣もどよめく。

鉄人も雄二を止めようとした者の、その真剣そのものの顔を見て黙る事に。

 

鉄人「……どういう事だ?」

 

雄二「まず、この騒ぎの根本からだ。この騒ぎは侵入者によるものだと聞いている」

 

鉄人「その通りだ」

 

雄二「だが、おかしいと思わないか?

   学会発表を控えたこの日に、しかも学園の心臓部ともいえるサーバールームに、

   誰にも気づかれず侵入者が入るなんて、幾らなんでも手際が良すぎる」

 

その通りだと、大半が頷いた。

そして、ある結論にたどり着く。

 

ジュディス「坂本君は私達、教師の中に手引きした内通者がいるかもしれないと言うのね」

 

雄二「そうだ。ウチの学園の醜聞なんて、近隣の私立校にとっては格好の餌だ。

   当然、それを利用してのお小遣い稼ぎをしようなんて企む奴がいてもおかしくないだろ?」

 

康太「…………そう言う事」

 

光一「そういう事だ」

 

その声に、その場全員がその音源を見る。

そこには、1人の教師の背にスタンガンを構えるムッツリーニと光一の姿があった。

 

教師「土屋!羽鳥!キサマら、何を……」

 

雄二「証拠は揃ったのか?」

 

康太「…………(コク)」

 

光一「もちろんだ」

 

ムッツリーニがMP3プレイヤーと写真を取り出し、雄二に渡した。

雄二はそれを再生する。

 

『……りま……た。では……はい』

 

多少音質の悪く、ノイズ交じりの声。

しかし、それが鮮明になっていき……

 

『ええ。このままいけば確実に学園長は失脚、文月学園は信用をなくすでしょう。

 では、礼金はいつも通りの口座によろしくお願いします』

 

ハッキリと、その教師の声でそう告げられた。

 

鉄人「……滝川先生、これは一体どういう事ですかな?」

 

鉄人がずいっと前に出て、その教師に問いかける。

 

滝川「でっ、でたらめです!」

 

烏丸「コレを見ても、そう言えるのかな?」

 

今度は烏丸先生が現れ、とある写真をつき付けた。

そこには、裏門で見知らぬ男を中に誘うその教師の姿が。

 

烏丸「さっき侵入者も捕らえさせてもらったよ。

   そしてそいつが全て白状したよ。証言からも、間違いないよ」

 

鉄人「……残念です。では、少々大人しくして貰います」

 

滝川「くっ……サモン!」

 

追い詰められ、その教師はフィールドと共に召喚獣を展開。

ムッツリーニと光一も流石に深追いはせず、すぐにその教師から離れた。

 

明久「あっ! 召喚フィールド!?」

 

貴浩「よりによって英語かよ!?」

 

鉄人「吉井、織村下がっていろ!」

 

威風堂々と立ちふさがる鉄人。

 

明久「ちょっ、待った鉄人! いくら鉄人でも、教師の召喚獣相手に生身は……」

 

鉄人「ふん、テストは受けてあるわ、バカ者が!サモン!」

 

<英語>

 

補習教師 西村宗一 898点

 

     VS

 

英語教師 滝川敏則 528点

 

 

 

「「「「「……は?」」」」」

 

鉄人の召喚獣は、一方的に敵召喚獣を葬り去った。

その光景に、俺達はあっけにとられる。

 

明久「うっそ!? 鉄人って、あんなに頭いいの!?」

 

貴浩「まっ、マジか!?鉄人が頭いいなんて!?」

 

雄二「あのヤロ、バケモンか!?」

 

秀吉「さっ、流石にこれは意外だったぞい」

 

その後、無意味にも駆け出し逃げようとしたが、

鈴村先生、烏丸先生、スタン先生、鉄人に囲まれ簡単に捕縛された。

ってか逃げても鉄人の体力にかなう訳もないだろうな。

 

問題は完全解決となり、試験召喚システムもお披露目には間に合うとのこと。

 

貴浩「ま、これで万事解決だな」

 

明久「そうだね。何だか今日は疲れちゃったよ」

 

雄二「そうだな。さて、さっさと帰るか。予期せぬ事態だったしな」

 

秀吉「うむっ。今日はしっかりと休む事にしようかの」

 

康太「………(コクコク)」

 

これで、文月学園の危機は解決した。

 

姫路「明久君、ちょっとお話が……」

 

島田「アキ、今日はこれから……」

 

サァァァッ……! (明久の血の気が引く音)

 

ダッ!      (明久が必死で駆け出す音)

 

……1人の少年と2人の少女達との間に、大きな溝を作って……

 

島田「ちょっ、待ってよアキ!だから、あれは違うって言ってるでしょ!?」

 

姫路「あれは違うんです!私達は本当に酷い事をしようとした訳じゃないんです!!」

 

雄二「あの2人には言っちゃあ悪いが、こりゃしばらくは面白くなりそうだな」

 

秀吉「今回は流石に、何とも言えんぞい」

 

康太「…………不運な事故」

 

貴浩「…………どうでもいい」

 

俺はそういい残し先に帰宅した………さすがに疲れた。

 



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番外編③
動く人物


5/2 修正


システムの異常を何とか直し、学会へのお披露目も無事に終え、

それから2週間後。

 

現在、皆で屋上にて食事していた。

 

秀吉「楓の料理は本当に美味しいのう」

 

楓「そう言ってもらえると嬉しいです」

 

雄二「待て翔子!なんで俺の弁当が怪しげな色を放っているんだ」

 

翔子「………雄二の目の錯覚。さぁ食べて」

 

雄二「絶対目の錯覚じゃねぇだろ!!」

 

なのは「康太君。味はどうかな?」

 

康太「………美味しい」

 

なのは「良かった!康太君のために作ってきたんだ♪」

 

康太「………ありがとう////」

 

明久「なんだろう?この敗北感は……」

 

貴浩「仕方ないだろ。アレが彼女持ちの特権だ」

 

明久「………羨ましい」

 

秀吉は楓に、雄二は霧島に、ムッツリーニはなのはにそれぞれ弁当を作ってきたらしい。

明久は自分の弁当を、俺は売店で買ってきたパンを……

 

貴浩「明久その卵焼き1つくれ」

 

明久「いいけど……なんで貴浩はパンなの?」

 

貴浩「楓が俺の分を作り忘れてな……」

 

命「楓ちゃんが?珍しい失敗ですね」

 

貴浩「最近結構こんなことが多い……兄として悲しい」

 

明久「貴浩はいいかげん楓離れしないとね。いつか楓が結婚したらどうなるんだろ?」

 

貴浩「楓が結婚だと!?楓にはそんなのまだ早すぎる!!

   秀吉、俺はそこまでは許してないぞ!!」

 

命「ちょっと貴浩君!落ち着いてよ!

  まだヒデ兄とは彼氏彼女の関係なんだから、あと数年結婚は早いよ!」

 

貴浩「あと数年か……秀吉がいなくなれば……」

 

明久「ちょ!?貴浩落ち着くんだ!!」

 

命「そうだよ!なに考えようとしてるの!」

 

明久「貴浩落ち着くんだ!てい!」

 

ベシッ

 

貴浩「はっ!俺は今なにを」

 

俺は明久に叩かれ正気を取り戻す。

 

明久「少し暴走してただけだよ。はい、卵焼きあげるから」

 

命「私からもあげますので」

 

貴浩「あぁ、悪い」

 

優子「貴浩なにしてるのよ。少しは落ち着きなさい」

 

貴浩「落ち着けだと!!なら優子。

   もし命がどっかの男と結婚するとしたらどうするんだ?」

 

優子「コロ……………殺すわ」

 

愛子「今言い直そうとしたけどダメだったね」

 

命「優姉!」

 

その後再び暴走し始めた貴浩と優子を明久と命、愛子が何とか収めると

 

貴浩「ゴホンっ!まぁ明久。雄二たちみたいになりたかったら

   彼女でも作ることだな。そしたらああ慣れるぞ」

 

明久「……そうなんだろうけど、でも僕には無理だよ。

   僕なんか誰も好意を持ってくれないし」

 

貴浩「……まだ気づかないのか?鈍感なヤツ」

 

明久「ふぇ?何か言った?」

 

貴浩「いや、何にも」

 

優子「それをアナタが言う?」

 

愛子「そうだね。貴浩君も鈍感だよね」

 

貴浩「俺が鈍感?そんなわけないだろ。なぁ命」

 

命「アハハハ」

 

貴浩「なに!?命もそう思ってるのか!?ちょっとショックだな」

 

俺はそういいながら命の頭を撫で回しまくる。

 

命「ちょっと貴浩君!?何するんですか!?髪がぐちゃぐちゃになったじゃないですか!?」

 

貴浩「おぉ!悪い悪い。ついやってしまった。

   だが悪気はあったんだ。許してくれ」

 

命「完全にイジメだよねコレ」

 

明久「(貴浩と命仲良いよなぁ。もしかして2人とも……)」

 

貴浩が命で遊んでる時、明久はとんでもない勘違いをしていた。

 

貴浩「さて、そろそろ昼休みが終わるな。片付けて教室に戻るとするか」

 

優子「そうしましょう」

 

そして俺たちは食べたものを片付けて教室に戻る途中、貴浩は命に近づき小声で

 

貴浩「なぁ命。良いのか?

   今日も思ったが明久のヤツ多分一生お前の思いに気づかないぞ」

 

命「そ、そうですかね?」

 

貴浩「気づかないのならもうお前から明久に告白してしまえよ」

 

命「ふぇっ!?」

 

貴浩「明久からが無理なら命から行くしかないだろ」

 

命「そ、そうかもしれないけど……」

 

貴浩「ならお前は。今のままの関係でいいのか?

   もしかしたら他のヤツが先に明久に告白するかもしれないぞ」

 

命「そ、それはイヤです・・・」

 

貴浩「ならな」

 

命「……わ、わかりました。私から告白します」

 

貴浩「おっ!さすがだな。ならっ!」

 

俺は命の言葉を聞くや否や明久の元に向かい、

 

貴浩「明久。今日の放課後ちょっと屋上に行ってくれ」

 

明久「えっ屋上。なんで?」

 

貴浩「ちょっとな」

 

明久「? まぁいいけど。放課後に屋上だね」

 

貴浩「ああ、絶対だぞ」

 

俺は明久にそういうと再び命の元に戻った。

 

貴浩「というわけで今日の放課後屋上な」

 

命「ちょっと!? 何言ってるの貴浩君!」

 

貴浩「命のことだ。どうせズルズル告白を伸ばしそうだからな」

 

命「……うっ! そうかもしれないけど……」

 

貴浩「ということだ。頑張れ」

 

命「はぁ~。わかったよ。私頑張る!」

 

貴浩「その意気だ」

 



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告白

5/2 修正


~ 放課後 ~

 

明久「えっと貴浩。放課後になったから屋上に行けば良いんだよね」

 

貴浩「ああ、屋上に行って少し待っててくれ。

   ただし1人で行けよ。これは絶対だからな」

 

明久「なにがあるのかわからないけど。わかったよ」

 

明久はそれだけ聞くと教室を出て行った。

 

貴浩「じゃあ、命後は頑張れよ!俺が出来るのはここまでだ。応援してるからな」

 

命「は、はい。き、緊張します」

 

貴浩「まぁ、きっと大丈夫だ。自分を信じろ」

 

命「はい!じゃあ行ってきますね」

 

貴浩「おう!」

 

命はそういうと教室を出て行った。

 

貴浩「さて、結果は明日聞くかな。明久も命に気がありそうだから大丈夫だろうしな」

 

俺は帰り支度をすませ教室を出ようすると、

 

鉄人「ん? 織村か?」

 

貴浩「鉄人? なんですか? Fクラスに用ですか?」

 

鉄人「鉄人言うな! まぁ吉井にな」

 

貴浩「それって・・・・・・雑用ですか?」

 

鉄人「ああ、そうだ。ところで教室に吉井はいるか?」

 

よりによって明久に用事かよ……仕方が無いか・・・

 

俺は明久と命の邪魔をさせないため行動する。

 

貴浩「明久は今はいませんよ。ですから今日は自分が明久の代わりに雑用しますよ」

 

鉄人「ん? そうか? なら頼むとしよう」

 

貴浩「は~い、了解で~す」

 

俺は鉄人の後に続いていった。

 

 

~明久SIDE~

 

 

貴浩に言われ屋上に向かっていると

 

島田「ねぇアキ。ドコ行くの?」

 

明久「あ、美波! それに姫路さんもどうしたの?」

 

話しかけてきたのは美波と姫路さんの2人だった。

 

姫路「明久君このあと用事があったりしますか?」

 

島田「この後ウチらと一緒に映画でもどう?」

 

明久「ごめんね2人!僕屋上に行かないといけないんだ」

 

姫路「屋上にですか?」

 

明久「うん、貴浩が放課後1人で屋上に行って欲しいって言ってたから」

 

島田「うっ…織村が……」

 

姫路「それは仕方がありませんね……」

 

島田「(どうする瑞希?)」

姫路「(今回は諦めましょう美波ちゃん。織村君に睨まれるとやっかいですから)」

島田「(そうね)」

 

美波と姫路さんが何か言ってるけどどうしたんだろ?

 

明久「じゃあ、僕は行くね。じゃあね2人とも!」

 

僕はそういうと屋上に向かっていった。

 

 

[ 屋上 ]

 

 

僕は貴浩に言われた通り1人で屋上で待っている。

 

貴浩はなんで僕を屋上に呼び出したんだろ?

 

明久「…………………」

 

うん 暇だいざとなったらやることないなぁ~。

いつも貴浩たちと一緒だったから1人でやることがないや

 

……そういえば貴浩と命って仲が良いよね。

思ってたけど2人ともお互いの事が好きなのかな。

命は貴浩とよく一緒にいたりするし内緒話したりしているみたいだから、

やっぱり貴浩のことが好きなんだろうな。

僕としては少し胸がモヤモヤするけど……

でも、貴浩は僕の親友で、僕と違って頭もいいしカッコイイし頼りになるし。

お似合いのカップルになりそうだな。

僕には止める権利がないし、むしろ後を押してやるべきだよね。

 

明久「よしっ!」

 

これでいい これでいいんだ

 

命「何が“よしっ!”なの?」

 

明久「うわぁっ! びっくりした! 命、いつの間に?」

 

命「ついさっきだよ」

 

明久「そ、そうなんだ」

 

命「あのね明久君に話があるんだけど……」

 

明久「話? どうしたの?」

 

命「うん、あのね……そのぅ…実はね……」

 

明久「???」

 

命「明久君、好きです! 私とつき合ってください!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・へっ?

 

 

 

今なんて? 

 

好き? 

 

つき合う?

 

命が?

 

僕に?

 

告白された?

 

 

……考えられることは1つ

 

 

明久「ドッキリ?」

 

命「…………」

 

えっ何? いくらなんでもそれはないって目は?

 

命「鈍感なのはわかってたけど、まさかここまでなんて……さすがにショックです」

 

明久「……ごめんなさい」

 

すごい罪悪感が……でも罰ゲームやドッキリとかじゃないとすると

まさかホントにーーーー

 

明久「………命はホントに僕が好きなの?」

 

命「うん////」

 

命が僕を好きだなんて……命は貴浩のことが好きなはずなのに……

あっ!もしかしてお姉さんの優子さんが貴浩のことを好きだから、

貴浩のことを諦めたのかな。そうなんだろうな……きっと!

じゃなかったら僕なんかを好きになるわけないしね。

 

命「明久君?」

 

明久「あ、なに?」

 

命「あの…返事を聞かせてもらってもいいですか?」

 

返事……ああ、そうか、命は僕に告白したんだっけ。

でもそれは偽りの告白なんだよね。

命が好きなのは僕じゃなく貴浩なんだ!

命は僕が1人だから仕方が無く僕に告白したに違いないんだ。

だから僕の答えは決まっている。

 

明久「えっと……ごめん」

 

命「えっ?」

 

明久「命の気持ちは偽りだよ。命が本当に好きなのは僕なんかじゃないよ」

 

命「え、わ、私は…明久君のことが……」

 

明久「ごめん!」

 

僕はそういうと命をおいて屋上から出て行った。

僕は命のためを思っていったのに胸が痛むのは何でだろう。

そして僕は一人で家に帰った。

 

 

~明久SIDEEND~

 

 

貴浩「ったく鉄人め! 仕事手伝わせすぎだろ」

 

俺が帰るころにはもうあたりは暗くなっていた。

鉄人の手伝いをしていて今帰っている途中だった。

 

そして帰宅途中、見知った背中を見つけ俺は近づいてた。

 

貴浩「よぉ! 命どうだった?」

 

俺が見つけた人物は命だった。

 

貴浩「命どうだったん……どうしたんだ命?」

 

命「…………あっ貴浩君………」

 

命はえらく落ち込んでいた。

そして泣いたあとも見えた。

 

貴浩「一体どうしたんだ?明久はどうした?」

 

命「……私ね…明久君に振られちゃった……」

 

貴浩「はぁ!? 明久がふった!? なんでだ!?」

 

明久が命を振っただと・・・俺が見る限りお互い好印象なイメージしかなかったが・・・

 

貴浩「……とりあえず何があったのか話せるか?」

 

命「うん………」

 

俺は命に屋上でのことを聞いた。

 

命「私の何がダメだったのかな……」

 

貴浩「………明久のバカやろうが……命…今日はウチに泊まるといい。

   優子と秀吉には上手く言っておくから」

 

命「・・・・・・えっ?」

 

貴浩「さすがに今の状態のお前を帰すのは気が引けるし、

   それが秀吉と優子に知られるとメンドクサくなりそうだからな」

 

命「……良いんですか?」

 

貴浩「ああ、もちろんだ!命だってそっちのほうがいいだろ」

 

命「……はい」

 

貴浩「それにまた作戦考えないとな」

 

命「えっ?」

 

貴浩「まさか、もう諦めた気じゃないよな?

   あいつの事だ。おそらく勘違いしてるだろうしな。

   それともお前が明久を思う気持ちはそんなものだったのか?」

 

命「……私諦めきれません!」

 

貴浩「それでこそ命だな。じゃあ帰って作戦会議だ!」

 

命「はいっ!!」

 

そして俺は優子と秀吉に連絡をいれ、命を家に泊めて作戦を練った。

 

さてと少し本気になるか・・・・・・



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貴浩VS明久!? そして・・・

5/2 修正


~翌日の昼休み~

 

貴浩「明久今いいか?」

 

明久「……え?うん、どうしたの?」

 

今日は明久は朝から元気がないように見える。

 

貴浩「お前に伝えたいことがあってな」

 

明久「……伝えたい事?」

 

貴浩「ちょっとここじゃ話しづらいから屋上で」

 

明久「えっ?……お、屋上?」

 

貴浩「ああ、何か都合が悪いか?」

 

明久「え?…い、いや…大丈夫だよ」

 

俺は明久を連れて屋上へと向かう。教室を出るときある人物達に合図してから……

 

 

~屋上~

 

 

明久「で、話ってなんなの?」

 

貴浩「ああ、それはな。お前昨日命を振ったんだろ」

 

明久「っ!?」

 

貴浩「やはりか……それでな。少しお前に話があってな」

 

明久「……それで僕に何のようなの?」

 

貴浩「俺はお前が命に好意を持ってると勘違いしてたんだ。

   でも、昨日それが間違いだとわかったんだ」

 

明久「……それがなに……」

 

貴浩「だから今日、俺は命に告白しようと思うんだ。俺は命のことが好きだからな」

 

明久「……そうなんだ」

 

貴浩「だから親友のお前に告白するところを見てて欲しいんだ。

   俺1人だと逃げ出してしまいそうだからな」

 

明久「……それで…僕は…何をすればいいの?」

 

貴浩「あそこの影に隠れてただ見ていて欲しいんだ。

   それでもし俺が逃げ出そうとしたら捕まえて欲しい」

 

明久「…………わかったよ」

 

貴浩「もう呼び出しているから隠れてもらっても良いか?」

 

明久「………うん、頑張ってね」

 

明久はそういうと屋上に繋がる扉の近くの物陰に隠れてくれた。

 

 

~明久SIDE~

 

 

僕は貴浩に言われたとおり物陰に身を隠した。これも貴浩と命の幸せのためだ。

上手くやらないと……でもなんでだろう……胸が締めつめられるように痛いや

身を隠して隠れていると、扉が開く音がしたのでそちらを見てみると命がいた。

 

明久「………命」

 

そして命が貴浩の前に行くと貴浩が命と会話を始めた。

いよいよ貴浩が命に告白するんだろう。これは僕にとっても嬉しいことだ。

なのにさっきから胸の痛みが治まらないや……なんでだろ?病気かな?

 

僕が少し考え事をしていると

 

貴浩「なんでだ!?」

 

貴浩の声が聞こえそちらに目を向けると貴浩と命が口論しているように見えた。

僕は2人の話が聞こえるような場所に移動する。

 

貴浩「なんで俺じゃダメなんだよ!?」

 

命「……ごめんなさい……」

 

貴浩「俺は明久とは違う!俺ならアイツみたいにお前を悲しませる事はしない!」

 

話をきくかぎり貴浩は命に振られたらしい

でもなんで? 命は貴浩のことが好きなはずなのになんで断るんだろう?

 

命「……ごめんなさい……」

 

命はそういうと扉に向かって行こうとするが、貴浩が命の手を掴んで行くのを止めた。

貴浩はいつもと様子がおかしいように見える。

 

貴浩「待てよ!チッ、仕方が無いな。ならお前を無理やりにでも俺の女にしてやるよ」

 

すると、貴浩は命の前に立ちいきなりキスをしたように見えた。

見えたというのは僕からの位置だと貴浩の背中があって命の顔が見えないけど

あの行動はキスしているように見えたからだ。

そこで命は勢いよく貴浩は突き飛ばす。

 

命「な、なにするの!?……ファーストキスだったのに……」

 

そこで命が泣いているのがわかった……貴浩!何しているんだよ!!

 

貴浩「別にいいじゃねぇか。俺の女になるんだからよ」

 

そこで貴浩はまた命の腕を掴む。

命はそれを嫌そうに振り払おうとするが振りほどけない。

 

命「い、イヤ……た、助けて……明久君!」

 

命のその言葉を聞き、僕は突然飛び出し、

 

バキッ

 

貴浩「グッ!!」

 

貴浩の顔を思い切り殴りつけた。

 

 

~明久SIDEEND~

 

 

命「……あ、明久君」

 

貴浩「イテェな。なにしやがる明久!!」

 

明久「なにしやがるじゃないよ!! 貴浩こそ命に何してるんだよ!!」

 

明久は俺に怒りをあらわにしていた。

 

貴浩「何って? それは見ていたんだから分かるだろ。命を俺の女にしたんだよ」

 

明久「あんな無理やりな方法で自分の女にしたのかよ!」

 

貴浩「別に方法は関係ないだろ」

 

明久「でも、アレはおかしいだろ!!」

 

貴浩「明久には関係ないだろ。命を振ったオマエには」

 

明久「……確かに僕は昨日、命の告白を断ったよ。

   でもそれは貴浩と命がお似合いのカップルだと思ったからだよ」

 

貴浩「なら邪魔するなよな」

 

明久「でも!」

 

バキッ

 

貴浩「っ!?」

 

再び明久が貴浩を殴り飛ばす。

 

明久「今の貴浩を見ていてそんなことを思えない!」

 

貴浩「テメェ!何しやがる!!」

 

バキッ

 

明久「グゥ!!」

 

今度は俺が明久を殴り飛ばす。

 

明久「このっ!!」

 

貴浩「ガハッ!!……このっ!!」

 

 

バキッ  ドゴッ  バキッ  メキッ 

 

 

貴浩と明久の殴り合いが続く。

 

貴浩「……お前は命を振ったんだから別にいいだろうが!!」

 

明久「それは命のことを思っての事だ!!」

 

貴浩「ならお前が幸せにしても良かったんじゃねえのか?」

 

明久「それは、僕より貴浩のほうがお似合いだと思ったからだ!!」

 

貴浩「それならっ!!」

 

明久「僕より貴浩のほうが命のことを幸せにしてくれると思ったんだ!!」

 

貴浩「なら、俺に任せてろよ!!」

 

明久「今の貴浩はそう思えない!! それに正直僕は逃げていたんだ!!」

 

貴浩「………」

 

明久「僕は自分の想いから逃げていたんだ。そしてようやく気づいたんだ!

   僕は本当は命の事が好きだったんだ!」

 

命「………明久君」

 

貴浩「………そうか」

 

明久「だから命を泣かせた貴浩を許せない!!」

 

貴浩「ならどうする?」

 

明久「僕は貴浩を倒す!!」

 

バキッ!!!

 

明久はそういうと貴浩の顔目掛け全力で殴りつけた。

すると貴浩の体が数メートル吹っ飛んでいった。

 

 

~明久SIDE~

 

 

明久「ハァ……ハァ……」

 

僕は命のほうを振り向くと

 

明久「命昨日は本当にゴメン! 今日改めて自分の気持ちに気づいたんだ。

   昨日の今日で可笑しいけど・・・命!僕と付き合ってください!!」

 

僕は土下座して昨日のことを謝り、そしてそのまま告白した。

 

命「………明久君。本当に私でいいの? 姫路さんや島田さんじゃなくて?」

 

明久「え? 姫路さんに美波? なんで2人が? それに2人は関係ないよ。

   僕は命が好きなんだ! それに2人は僕の友達だからそれ以上には思ってないよ」

 

命「……私なんかでよかったらお願いします」

 

明久「え? 本当!? や、やったー!!」

 

命「で、でも!! 条件があります!!」

 

明久「じょ、条件?」

 

命「はい! 私昨日振られてとても落ち込みました。だから罰をあたえます!!」

 

明久「うっ……昨日は本当にごめんなさい。で、でも、罰って何かな?」

 

命「じゃあ、正座して目を瞑って歯を食いしばってください」

 

明久「え? 何するつもりなの?」

 

もしかして僕殴られるのかな?

まぁ当然だよね…昨日僕はそれだけのことをしたんだし…

 

命「良いから早くしてください!!」

 

明久「は、はい!」

 

僕は返事と同時に命が言う通りに行動した。

いったい僕は何をされるんだろう?

僕がそう考えていると、突然僕の口にやわらかいものがふれた。

僕は目を開けて見てみると何をされたのかがわかった。

僕の目の前には命の顔があった。僕は命にキスをされていた。

 

命「……これが明久君の罰です////」

 

命は顔を真っ赤にさせてそういった。

 

明久「え?/////」

 

命「私のファーストキスをあげたんだから、ちゃんと責任とってくださいね////」

 

明久「えっ?…えっ? えぇえええ!? ファーストキス!? でも今さっき貴浩と……」

 

命「アレですか。あれは……」

 

すると僕の後ろから声がする。

 

貴浩「芝居だよ」

 

すると、こちらをニヤニヤしながら見ている貴浩の姿があった。

 

 

~明久SIDEEND~

 

 

明久「し、芝居?」

 

命「うん……ごめんね明久君」

 

貴浩「こうでもしいないとお前自分に正直になれないだろうからな」

 

明久「って事はキスは……」

 

命「うんしてないよ。だから明久君にしたのが初めてだよ////」

 

明久「////じゃ、じゃあ、あの涙は……」

 

命「アレも演技だよ。私は優姉と秀兄の妹だよ。涙を流すぐらいならできちゃうよ」

 

明久「え、えぇ~。じゃあじゃあ貴浩と命がよく一緒にいたのは?」」

 

貴浩「命がお前のことが好きだっていってたから相談にのってたんだよ。

   お前は勘違いしてたけどな。でもまあ2人とも良かった。おめでとさん!」

 

命「貴浩君ありがとう」

 

明久「あ、ありがとう!それと殴ってごめん!」

 

貴浩「気にするな。じゃあこれから2人とも頑張れよ。

   何かあったら相談にのってやるからさ。

   じゃあ、命はさっそく明久の彼女として治療してやるんだな。

   さすがにその顔じゃ授業受けにくいだろ」

 

明久「なら貴浩も一緒に」

 

貴浩「バーカ! お前は今は彼女である命の事を考えておけば良いんだよ。

   俺は自分で勝手にやるからさ」

 

明久「うん、わかったよ。貴浩本当にありがとう!

   じゃあ治療お願いね命。それとこれからよろしくね////」

 

命「うん!////」

 

2人はそういうと屋上を出て行き保健室へと向かっていった。

 

 

 

 

         ☆

 

 

 

 

明久と命が出て行き、屋上には俺1人

 

貴浩「ふぅ~痛って~な明久のやろう。本気で殴りやがって……」

 

でもこれで良かったんだな。2人とも幸せにな。

ってこれで俺の周りで1人身は俺だけか………悲しい

 

楓「兄さん」

 

1人感傷に浸っていると俺を呼ぶ声が聞こえ振り向くとそこには楓の姿があった。

 

貴浩「どうした楓?」

 

楓「さき程明久君と命ちゃんが仲良く保健室に行ってる所をみたので

  無事に成功したみたいですね」

 

貴浩「ああ、大成功だ」

 

楓には昨日の昼間に事情を話しておいたのだ。

それで今回の屋上でのイベントに秀吉が介入しないようにしてもらっていたのだ。

 

楓「2人共幸せそうだったね」

 

貴浩「ようやく想いが伝わったんだ。そりゃ嬉しいだろ。

   お前と秀吉も似たようなもんだぞ」

 

楓「そうかな?」

 

貴浩「ああ、そうだぞ。ちょい秀吉が憎いけど楓が幸せそうだからいいけどさ」

 

楓「………ねぇ兄さん。本当に良かったの?」

 

貴浩「……何がだ?」

 

楓「兄さん本当は命ちゃんのこと好きだったんじゃあ……」

 

貴浩「いいんだよ楓・・・・・・いいんだよ。明久に殴られてスッキリしたところだしな」

 

楓「………兄さん」

 

貴浩「気にするなよ楓。お前は秀吉の事を考えればいいんだ」

 

楓「わかりました!」

 

貴浩「……ハッキリ返事するなぁ~。……少しくらいは兄ちゃんの事も考えてくれよ」

 

楓「え~どうしよっかな~」

 

貴浩「か、楓!?」

 

楓「もちろん冗談ですよ。じゃあさっそく兄さんの治療しないとね」

 

貴浩「頼むわ」

 

これは織村兄妹しかしらない真実だったりする。



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期末試験編
何があった?


5/2 修正


翔子「……雄二」

 

雄二「なんだ翔子?」

 

翔子「……携帯電話を見せて欲しい」

 

雄二「どうした?なんでいきなりそんなことを言い出すんだ?」

 

翔子「……昨日、TVで言ってたから」

 

雄二「TVで?何を?」

 

翔子「……浮気の痕跡は携帯電話に残っていることが多いって」

 

雄二「ほほぅ」

 

翔子「……だから、見せて」

 

雄二「断る」

 

翔子「……歯を食い縛って欲しい」

 

雄二「待て! 今途中経過が色々飛んだぞ!? いきなりグーか!? グーで来る気か!?」

 

翔子「……見せてくれる?」

 

雄二「あー……いや、それがだな、今日はたまたま家に忘れてぎゃぁああっ!目が、目がぁぁっ!」

 

翔子「……最初からこうするべきだった」

 

雄二「…結局…目突きじゃねぇか! 歯を食い縛れってのは何だったんだ!

   フェイクだったのか畜生!」

 

翔子「……雄二。手をどけて。携帯電話が取れない」

 

雄二「わ、渡さねぇぞ!お前なんかに奪われてたまるか!」

 

翔子「……抵抗するなら、ズボンとトランクスごと持っていく」

 

雄二「トラ……っ!? 百歩譲ってズボンはまだしも、トランクスは関係ないだろ!?

   お前は下半身裸の状態で登校しろと言うのか!?」

 

翔子「……男の子は裸にYシャツ一枚だけの格好が大好きってお義母さんから聞いた」

 

雄二「違う! 好きだからって自分がなりたいワケじゃねぇ!

   そこはかなり大事なところだから間違えんな!」

 

翔子「……それに、私も雄二のその姿を見てみたい」

 

雄二「お前は変態か!?」

 

翔子「……変態じゃない。私には、雄二の成長を確認する義務があるというだけ」

 

雄二「ええい、ベルトに手を伸ばすな! ズボンのホックを外そうとするな!

   わかった! 渡す! 携帯電話を渡すから!」

 

翔子「……………そう」

 

雄二「翔子。なぜそこで露骨にがっかりした顔をするんだ」

 

翔子「……それじゃあ、携帯電話を見せて」

 

雄二「やれやれ……。頼むから壊してくれるなよ、機械音痴」

 

翔子「……努力する」

 

雄二「そうしてくれ」

 

翔子「………………」

 

雄二「どうだ? 何も面白いものはないだろ?

   わかったらおとなしく携帯を返し……だから待て!

   なぜ俺のズボンに手をかける!?携帯はもう渡してあるだろ!?」

 

翔子「……私より、吉井と織村の方がメールも着信も多い」

 

雄二「あん?それがどうかしたのか?」

 

翔子「……つまり、雄二の浮気相手は吉井と織村ということになる」

 

雄二「いや、ならないだろ」

 

翔子「……だから、お仕置き」

 

雄二「どうして俺の周りには性別の違いを些細なことと考える連中が多いんだ……?

   いいか翔子、メールの内容をよく見てみろ、ただの遊びの連絡だろ?」

 

翔子「……でも」

 

Pipipipi

 

雄二「っと、メールか。今のは俺の携帯だよな?

   確認するから携帯を……いや、違うな。

   携帯よりも先に、ルパンもビックリの手際で抜き取った俺のベルトを返すんだ」

 

翔子「……ダメ。返さない」

 

雄二「は? 何で……ってうぉぃっ!? 今度は更にズボンを取る気なのか!?

   ここは天下の往来だと……いやいやわかった! 俺も大人だ。

   千歩譲ってズボンは渡してやってもいい。だからせめて、せめてトランクスだけは…!」

 

翔子「……ダメ」

 

雄二「お前は正気か!?自分が何をしているのかわかっているのか!?」

 

翔子「……浮気は、絶対に、許さない……!」

 

雄二「畜生!さっきのメールには何が書いてあったんだ!?」

 

 

【Message From 吉井明久】

 

雄二の家に泊めてもらえないかな。今夜はちょっと……帰りたくないんだ。

 

 

 

 

           ☆

 

 

 

 

明久と命がカップルになってもう2週間が過ぎていた。

だが正直今までと何も変わっていなかった。

変わったことがあるといえば命が明久に作ってくる弁当の数が少し増えた事。

というのもまだ明久と命の関係を誰にも伝えていないからだ。

知っているのは俺と楓、なのはの3人である。

俺たちはどうやって優子と秀吉を納得させるのかを考えているのだが未だに案が出てなかったりする。

ってか俺自身が明久と命をくっつけたので俺の仕事は終了的感じだったりするのも理由の1つだ。

 

そして俺は1人登校中だったりする。

 

貴浩「さすがに今の状況はマズイよな……さっさと優子と秀吉に打ち明けないと

   手を繋ぐ事すらできないぞあいつ等……」

 

でも一応くっつけた責任があるので少しは考えていたりしていた。

その考え事中に雄二を見つけたが、1つだけおかしな点があった。

 

貴浩「よう雄二」

 

とりあえず声をかけてみる。

 

雄二「貴浩か? 奇遇だな。珍しいな1人か?」

 

貴浩「まぁな。俺だって1人の時くらいあるさ。

   そっちこそ、下半身トランクス姿で登校なんて……」

 

そう、何故か雄二は往来で下半身がトランクス姿だった。

 

雄二「これを見ろ」

 

雄二が俺に見せたのは携帯のメール。明久からのようだった。

 

 

【Message From 吉井明久】

 

雄二の家に泊めてもらえないかな。今夜はちょっと……帰りたくないんだ。

 

 

貴浩「……明久に何があったんだ?」

 

雄二「んなの俺が知るか! これを翔子に見られたせいで浮気の証拠だとか

   罰だとかで俺はズボンも持っていかれちまったんだ!」

 

貴浩「……全く意味不明な経緯だが……お前と霧島ならありうる状況だな。

   まぁ後で俺が霧島のところ行って取り返してくるわ」

 

雄二「……すまない」

 

その後はお互い無言で学校まで歩き続ける。

当然、周囲からの視線を浴びながら……

 

「おい見ろよ、坂本のヤツ下半身パンツ一丁だぞ」

 

「マジかよ……最近女装には見慣れたと思っていたが、あれはさらに引くわな……」

 

「つーか、そんなやつと隣歩いて登校する織村もある意味勇者だよな」

 

俺はとりあえず雄二から少し距離をとってから再び元のペースで歩き出すが、

それに合わせるように雄二も俺の隣について歩く。

 

貴浩「悪い雄二。大変言い難いことがあるんだが」

 

雄二「何も言うな」

 

貴浩「俺に近寄らないでくれ、一生」

 

雄二「さすがに一生はないだろ!」

 

貴浩「冗談だ。とりあえず俺の体操着でも着てろ」

 

雄二「あるなら早く貸してくれよ」

 

貴浩「聞いてこなかったから」

 

雄二「っ! まぁいい借りるぞ」

 

貴浩「どーぞ」

 

俺は袋に入った体操着(短パン)を雄二に渡し、それを受け取ると物陰に隠れて着替えた。

 

貴浩「じゃあ行こうぜ」

 

雄二「ああ、ありがとう貴浩。本当に助かった。色んな意味で」

 

貴浩「貸し1な」

 

雄二「…わかった」

 

そして着替えた雄二と共に学校へと向かった。



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帰りたくないんだ!!

5/5 修正


そして教室について荷物を整理していると

 

明久「おはよ……って雄二、どうしたの?

   なんで今日はズボンが体育用のハーフパンツになってるの?」

 

元凶と思われる明久が呑気に教室に入ってきた。

 

雄二「テメェのせいだ明久! テメェのせいで

   俺は、下半身超クールビズ仕様で登校する羽目に……!

   死んで償えこのクソ野郎!」

 

明久「えぇぇっ!? いきなりどうしたの!? 一体何があったのさ!?」

 

貴浩「明久、とりあえず雄二に謝罪するべきだと思うぞ」

 

明久「貴浩までどういうことなの!?」

 

雄二「黙れ! 死ね! 制服をよこせ!」

 

貴浩「落ち着け雄二。霧島のところに行ってお前の制服を返してもらうからさ」

 

まだ明久は何がなんだか分かっていないようだ。

どうやって説明すれば良いのやら……

 

F「おい、知ってるか?坂本の話」

 

F「ああ。なんでも裸Yシャツで登校してきたらしいな」

 

F「まったく、流石としか言いようがないな……最近女装は見慣れてきたが、

  アレには度肝を抜かれたぜ……」

 

聞こえてきたのはクラスの連中の話し声。

 

雄二「……………」

 

明久「……………」

 

貴浩「ということだ明久」

 

これで俺が説明する手間は省けただろう。

 

明久「雄二……何か辛いことがあるなら、相談に乗るからさ……!」

 

雄二「ち、違う! 俺は自分から進んでそんな格好になったわけじゃない!

   あと、トランクスは死守したからギリギリでセーフなはずだ!」

 

貴浩「往来のど真ん中でトランクス姿の時点で充分アウトだろ。

   ってか俺がいなかったらお前通報されてたぞ」

 

明久「そんなこと言っちゃだめだよ貴浩!

   辛いことがあって、雄二の精神はギリギリのところまでいっちゃたんだよね……」

 

雄二「だから違うと言ってるだろうが!

   お前が送ってきたメールを翔子に見られたせいでズボンを奪われたんだボケ!」

 

既に雄二は興奮状態だった。

 

明久「何を言ってるのさ雄二。いくら霧島さんでも、

   男からのメールくらいでそんなことをするわけないじゃないか」

 

明久は霧島の底なしの嫉妬深さをわかっていないようだ。

まぁ俺も少しは改善されたと思っていたんだけどな……

 

雄二「いや正直、お前の文章はかなり際どい感じだったと思うぞ……」

 

貴浩「正直俺も流石にアレは引いたな」

 

命「際どいとか引くとかって、どんなメールだったの?」

 

突然声をかけてきたのは命だった。

そして命と近くにいた姫路がやってくる。

 

明久「別にただの頼みごとのメールのはずだけど?」

 

雄二「ほほぅ。そう思うのなら、俺に送った文面を大きな声で読み上げてみろ」

 

明久「? 別にいいけど?」

 

明久は疑問符を浮かべながらも、雄二の携帯の履歴を見る。

 

明久「えっと、それじゃ……ゴホンっ」

 

明久は無意味な咳払いをして大きな声で読み上げる。

 

明久「雄二の家に泊めてもらえないかな。今夜はちょっと……帰りたくないんだ!」

 

ガラッ

 

明久が身の毛のよだつ台詞を言った瞬間、音をたてて教室の扉が開かれた。

 

島田「……………」

 

扉の向こうにいたのは、島田だった。

 

島田「ウチにはアキの本心がわからないっ!」

 

明久「え!? 何!? なんで美波は登場と同時に退場しているの!?」

 

雄二「あいつもよりにもよって最悪のタイミングで登場したな……」

 

貴浩「俺にとっては最高のタイミングだがな」

 

姫路「な、なんてことを言うんですか明久君っ!

   そうこうことはもっと、その……大人になってからですっ!」

 

姫路が何を想像しているかはだいたいわかるが、それは生涯することではない。

だって男同士だろ……ってかもう姫路も完全にFクラスに染まっているな…

まぁ別に俺としては姫路と島田が明久をどう思おうと関係ないがな。

 

楓「相変わらず私たちのクラスは賑やかですね」

 

秀吉「そうじゃな。先程明久が走り去って行ったと思ったら、

   今度は島田が教室から飛び出して行くとは。何があったのじゃ?」

 

そこに今度は楓と秀吉登場。

秀吉台詞からして明久と秀吉は教室に入るまでに一度会ったようだ。

 

命「何があったの明久君?」

 

明久「いや、別に何もないけど」

 

貴浩「いや、ありまくりだっただろ……」

 

命「どうしたの? 私にも秘密なの? それはちょっと寂しいかな……」

 

こころもち目を伏せる命。つくづく明久を特別に想っているようだ。

それでこそカップルにした甲斐があるな

 

雄二「聞いてくれ。実はこのバカがこんな時間から公序良俗に反するような発言をしたんだ」

 

秀吉「明久……。お主、朝っぱらから助平なことを言っておったのか?」

 

明久「ち、違うよ! 僕はそんなムッツリーニみたいな真似はしないよ!」

 

康太「………失礼な」

 

後ろからムッとしたような呟き声が聞こえてくる。

後ろにムッツリーニが立っていた。

 

貴浩「ムッツリーニか。随分と荷物が多いみたいだな」

 

その両手には学校の鞄の他に大きな包みやら袋やらを提げていた。

 

康太「………ただの枕カバー」

 

明久「枕カバー? そのわりには包みが大き過ぎない?」

 

康太「………そんなことはない」

 

首を振って否定するムッツリーニ。

この否定のポーズはむしろ何かを隠していると言っているようなものだ。

 

明久「ごめんムッツリーニ。ちょっと中身を見せてね」

 

康太「………あ」

 

荷物のせいで動きの鈍いムッツリーニから明久が包みを一つ奪い取る。

どうせ変な物が入ってるに違いないだろうが。

中から出てきたのは、等身大の明久がプリントされた白い布(セーラー服着用)

 

貴浩「ムッツリーニ。これは何なんだ?」

 

康太「………ただの抱き枕カバー」

 

明久「ただのじゃないっ! 枕カバーと抱き枕カバーには

   大きな隔たりがあるということをよく覚えておくんだ!

   っていうかどうして僕の写真なの!?」

 

康太「………世の中には、マニアというものがいる」

 

明久「何を言っているのさ!

   僕の抱き枕カバーなんかを欲しがる人なんてどこにも……」

 

姫路「あっそれは……(ボソッ)」

 

姫路が何かブツブツ言ってるな。

さてはアレは姫路が頼んだヤツか……

ムッツリーニに言って明久グッズを売らないようにしないとな。

じゃないと命が不便すぎる……

 

貴浩「はぁ……とにかくムッツリーニ。

   とりあえずその抱き枕カバーはあとで没収するからな。その後話がある」

 

楓「ところで先程は何を話されていたんですか?」

 

明久「あ。えっと、何の話をしてたっけ?」

 

インパクトのある話が連続していたせいなのか明久は最初の話を忘れていたようだ。

 

雄二「俺が明久にトランクス姿での登校を強要された、という話だ」

 

秀吉「明久、お主……」

 

命「明久君……私信じてるからね…」

 

明久「雄二っ!わざと誤解を招くような言い方をしないように!」

 

貴浩「秀吉も命もそんなの鵜呑みにするなって」

 

色々と肝心な説明の部分が飛んでいた。

 

雄二「まぁ、それは冗談だが……。要するに、明久が送ってきたメールのせいで

   翔子が何かを勘ぐって、それが原因で俺が酷い目に遭ったって話だ」

 

秀吉「メール? それは今朝の明久の様子がおかしいのと何か関係があるのかの?」

 

明久の様子がおかしい?秀吉が妙なことを言い出す。

 

姫路「明久君の様子、ですか……?

   そう言われてみれば、今朝はいつもより顔色がいいですね。

   制服も糊まで利いてパリッとしていますし、寝癖もないですし……」

 

雄二「確かにおかしいな。顔色がいいのはまだわからんでもないが、

   制服がきちんとしているのは妙だ」

 

貴浩「偶然かもしれないが、今日は割りと余裕を持って登校してきたんだな」

 

彼女ができて生活態度を改善したんだろうな。

 

康太「………明久らしくない」

 

徐々におかしな点が見つかっていく。

 

明久「た、たまにはそういう気分の日もあるんだよ!

   それよりチャイムが鳴るよ! 鉄人が来る前に席につかないと!

   んじゃ、そういうことでっ!」

 

そう言って明久はその場を無理矢理に逃れる。

 

貴浩「あいつ、今の強引に話を切り上げたよな?」

 

命「ですね……」

 

「「「怪しい……」」」

 

当の明久は俺達の視線を無視して席で授業の準備を始めた。



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保健室へGO!!

5/5 修正


『吉井。保健室に行ってきなさい』

 

この台詞を、午前中の4つの授業で7回も聞いた。

確かに明久が真面目にノートを取っていたらこの学園の教師は皆、正気を疑うだろう。

 

明久「まったく失礼だな……」

 

明久の不満そうな声が聞こえてくる。

悪いが俺も教師達の気持ちに大いに賛成だ。

そんなことを思いながら昼休みの用意をしていると島田がやってきた。

 

島田「アキ、何かあったの?朝から様子が変みたいだけど」

 

本気で心配そうに声をかけてくる。

島田も教師達と同じ心境なのだろう。

 

明久「別になんでもないよ。ちょっと真面目に勉強に取り組んでみようと思っただけで」

 

雄二「今……明久らしくない台詞が聞こえなかったか?」

 

島田「多分幻聴よ。そしてアキ。おでこ出しなさい。今熱を測るから」

 

明久「だからどうして皆似たようなリアクションを取るんだろう……?」

 

呆れている明久に、島田が手を伸ばしてくる。

 

明久「って、これはダメだっ!」

 

島田「きゃっ」

 

明久が突然飛び退いたせいで島田が小さく悲鳴をあげていた。

 

島田「こらっ! 何よそのリアクションは!

   人が折角心配して熱を測ってあげてようとしたのに!」

 

明久「ご、ごめん! 色々と事情があるんだ!」

 

島田「事情?何よそれ?」

 

まあ明久は命と付き合ってるんだからな。

他の女子にそんな事されたくないよな・・・・・・特に姫路と島田にはな・・・

 

島田は明久に疑わしげな視線を送る。

 

明久「う……。えっと……。そ、それより、まずはお昼にしようよ!

   昼休みなんて短いんだからさ!」

 

朝と同様他の話で無理矢理話題を逸らそうとする明久。

 

貴浩「まあそうだな。飯にでもしようぜ」

 

明久の提案で昼飯を食べることになる。

 

島田「え!? アキ、お弁当を持ってくるなんて、一体どうしたの!?」

 

雄二「今日は塩と水……お前の言うところにソルトウォーターじゃないのか?」

 

姫路「えぇっ!? 明久君がお弁当を!?」

 

明久「いや、そこまで驚かなくても……僕だって人間なんだがら、

   たまには栄養を取らないと死んじゃうし。

   それにいつも命にお願いしてばかりじゃ悪いしね」

 

命「私は全然構いませんけど……」

 

姫路「それはそうでしょうけど……でも、今日はいつもと違いませんか?」

 

島田「そうね。アキが食べるとしたら大抵は買ってきたお弁当なのに、

   今日は手作りみたいに見えるわね」

 

2人がじろじろと明久の弁当を見ている。

 

姫路「明久君。どうして今日は手作りのお弁当なんですか?」

 

姫路が首を傾げて訊いてくる。

 

島田「まさか、誰かに作ってもらったのかしら?」

 

島田の目が細くなっている。あれは攻撃態勢だ。

 

貴浩「もしかして、自分で作って来たのか?」

 

明久「うん。そうだけど……」

 

島田「嘘ね」

 

姫路「嘘ですね」

 

何故か全然信用しない2人。

 

島田「だって、アキに料理なんてできるわけがねいもの。

   正直に言いなさい。誰かに作ってもらったんでしょう?」

 

姫路「随分と上手なお弁当ですね……。

   明久君の周りでこんなに上手にお弁当を作れる人っていうと」

 

島田「坂本と土屋と織村ね」

 

明久が喋る間もなく2人は勝手に結論をつけていく。

ってか明久が料理できるのこいつら忘れてんのか?

 

明久「やれやれ……2人の想像に任せるよ」

 

明久も説明するのが面倒になったのか肩をすくめてそう言う。

 

島田「想像通りって……アキはもうそんなに汚れちゃってるの!?」

 

明久「え!? 待って! 美波は僕で一体何を想像したの!?

   あと、どうして姫路さんは一瞬で顔が真っ赤になっていの!?」

 

貴浩「こいつらの想像力はムッツリーニ並だな……」

 

明久もいちいち相手にするべきじゃない。

 

康太「・・・・・・・・・心外な」

 

島田「そう言えば、今朝も坂本に『今夜は帰りたくない』なんて

   メールを送ってたわよね」

 

姫路「そうですね。そうなると、やっぱり明久君と坂本君は……」

 

またおかしな想像を勝手に始める2人。

 

翔子「……やっぱり、雄二の浮気相手は吉井だった」

 

そこへいきなり霧島が登場。

 

明久「って霧島さん、いつの間に!?」

 

翔子「……ついさっき来たところ。優子と愛子もいる」

 

霧島の後ろには確かに優子と愛子もいた。

 

貴浩「お前らまでどうしたんだ?」

 

愛子「何って昼休みに遊びに来るといえば

   一緒にお昼ご飯食べに来たに決まってるよ」

 

貴浩「確かにそうだが、霧島はなんだかそれだけじゃない気がするんだが……」

 

優子「代表は坂本君にズボンを返しに来たというのもあるのよ」

 

優子はそうは言うが今の霧島から見え隠れする殺気は

明らかに弁当やズボンだけではない気がする。

 

楓「翔子ちゃん。雄二君に何か用事ですか?」

 

翔子「(こくり)……一緒にお昼を食べるのと

   貴浩に言われた通り雄二にズボンを返すつもりだった」

 

霧島が腕にかけているのは雄二の制服のズボン。

だが、やはり今の霧島にはズボンや弁当以外の目的を含んだ殺気が見て取れる。

 

雄二「ん? 翔子か? そうか。やっと制服を返す気になったんだな」

 

翔子「……浮気にはお仕置きが必要」

 

だが雄二は今非常な立場にあるのだった。

雄二はそんなことに気づくこともなく霧島の前に立ってしまった。

 

雄二「やれやれ。これでやっとまともな服装に……ん?

   なぜズボンを離さないんだ翔子?」

 

翔子「……雄二」

 

雄二「なんだ」

 

翔子「……私は雄二に酷いことをしたくない」

 

雄二「酷いことをしたくない? よくわからんが、それは良い心がけだな」

 

翔子「……だから、先に警告する」

 

雄二「何を?」

 

翔子「……おとなしく、私にトランクスを頂戴」

 

ダッ

 

雄二、猛ダッシュ

 

明久「あはは。雄二ってばバカだなぁ」

 

貴浩「おい、霧島落ち着けよ!」

 

俺は雄二を追いかける霧島を追いかけ、なんとか霧島を落ち着かせることができたが、

それだけで今日の昼休みが終わってしまった。

 



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明久の家へGO!

5/5 修正


今日も全ての授業が終わって、終業のチャイムが鳴り響く。

 

明久「貴浩、雄二。ちょっといい?」

 

帰り支度を始めていると明久が俺と雄二に声をかけてきた。

 

雄二「ん?どうした明久」

 

貴浩「遊びの話か?」

 

明久「いや、そうじゃないよ。今日なんだけどさ、雄二か貴浩の家に泊めてくれない?

   それで、期末テストの出題範囲の勉強を教えて欲しいんだ」

 

ザワッ

 

明久がそう言った瞬間、教室にざわめきが広がった。

 

F「おい……聞いたか、今の……?」

 

F「確かに聞いたぜ。俄かには信じがたいことだが……」

 

F「まさか、アイツらがな……」

 

F「ああ。まさかあの吉井と坂本が……」

 

F「「「「「期末テストの存在を知っているなんて……」」」」」

 

いやいや、いくら明久でも期末テストの存在くらい知ってるだろ…

 

雄二「勉強を教えて欲しいだと?」

 

明久「うん」

 

貴浩「……ついにお前もまじめになったのか……」

 

雄二「やれやれ……お前はまだ七の段が覚えられないのか」

 

明久「待って! 僕は一度も九九の暗唱に不安があるなんて言った覚えはないよ!?

   分数の掛け算だってきちんとできるからね!?」

 

雄二「ああそうか。三角形の面積の求め方に躓いているところだったよな」

 

明久「(底辺)×(高さ)÷2=(三角形の面積)!

   いい加減僕をバカ扱いするのはやめなさい!」

 

貴浩「よしよし、よくできたぞ明久。さすがにこれ間違えたら殴ろうかと思ったぞ」

 

明久「……アハハハ」

 

姫路「あの、明久君」

 

そこに姫路が鞄を抱えてやってきた。

 

明久「なに、姫路さん?」

 

姫路「あのですね、九九の覚え方にはコツがあるんですけど、」

 

明久「言えるからね!? いくら僕でも九九くらいはきちんと言えるからね!?」

 

かなり心配そうな姫路の表情。

まあ以前コイツに九九のを言わせたがアレは凄かったな……色んな意味で……

詳しくは【試験戦争中の勉強会】を読んで下さい。

 

秀吉「しかし、急にどうしたのじゃ?

   明久が勉強なぞ、特別な理由でもない限り考え難いのじゃが」

 

近くに座っていた秀吉が特別な理由というところで姫路に意味深な目線を送る。

 

明久「いや、ホラ。さっき雄二が説明したじゃないか。

   『試験召喚システムのデータがリセットされる』とか、

   『期末テストの結果が悪いと夏期講習がある』って

   木刀と学ランなんて装備をそろそろ卒業したいし、

   夏休みも満喫したいし、頑張ってみようかな~なんて」

 

貴浩「そういや、お前はあの後、雄二と同じように学園長室に逃げてこんだらしいな」

 

あの後姫路が恐怖の料理を取り出したので学園長室に逃げ込んだらしい。

雄二は霧島から逃れるために逃げ込んだ。

 

貴浩「試召戦争が2学期まで禁止と召喚獣の装備が

   リセットされるとかの話を聞いたみたいだが……」

 

康太「………明久らしくない」

 

命「そうでしょうか?」

 

楓「明久君だって真面目に取り組む事だってありますよ」

 

島田「アキがその程度の理由で勉強をするなんて思えないわね」

 

貴浩「えっ、そうか?今の話聞いて俄然やる気でたぞ?」

 

雄二「それはお前だからだろ・・・明久がそうとは思えないんだよ!」

 

命「あの明久君。私で良かったら……一緒にお勉強、しませんか?」

 

命がおずおずといった感じで手を挙げる。

明久と付き合い始めてから少しずつ積極的になってきたな命は…

 

明久「命の家に泊めてもらうわけにはいかないしなぁ……」

 

命「えっ? 明久君、私の家に来たいんですか?」

 

勉強を教わりに行くだけで家に泊まることが前提なのが引っかかるな。

 

秀吉「どういうことじゃ明久? 詳しく話が聞きたいのう」

 

秀吉から黒いオーラが出てるぞ

 

貴浩「落ち着け秀吉。怖い怖い」

 

雄二「それはそうと明久。朝から気になっていたんだが、

   どうして俺の家に泊まりたがる? 自分の家に何かあったのか?」

 

明久「あー、えっと、実は」

 

雄二「嘘をつくな」

 

明久「急に勉強に目覚めて……って、早いよ! まだ何も言ってないのに!」

 

雄二「まぁ、次の試召戦争のこともあるし、勉強くらい教えてやらんでもないが」

 

明久「え?ホント?」

 

貴浩「ただし、お前の家で、だ。その方がやり易いだろ」

 

言った後、雄二はよそを向いて小声で

 

雄二「我が家にはあの母親がいるからな……」

 

と呟いた。

 

明久「って、僕の家はダメだよ!今日はちょっと、その、都合が悪いんだ!」

 

貴浩「都合が悪いって、何かあるのか?」

 

明久「う、うん。実は今日、家に改装工事の業者が」

 

雄二「嘘つけ。本当なら今日はお前の家でボクシングゲームをやる予定だったろうが。

   改装業者が来るはずないだろ」

 

貴浩「マジで!? 俺呼ばれてねぇぞ!? 俺だけハブるなよ明久」

 

雄二「お前はちょっと黙ってろ」

 

明久「じゃなくて、家の鍵を落としちゃって」

 

貴浩「マンションなんだから管理人に言えば開けてもらえるだろう」

 

明久「でもなくて、家が火事になっちゃって」

 

雄二「火事に遭ったのに弁当用意してシャツにアイロンまでかけてきたのか?

   お前どんだけ余裕なんだよ?」

 

明久「あー、えっと、他には他には」

 

雄二「いい加減にしろ。お前の嘘は底が浅いんだよ」

 

貴浩「正直に言ったほうが楽になるぞ」

 

明久「ぐ……」

 

俺と雄二に言い切られて明久が押し黙る。

何かを隠そうとしているのが見え見えだ。

だがそれが後ほど後悔するとは今は思ってもいなかった。

 

明久「わかったよ。今日はおとなしく家に帰るよ……」

 

明久が鞄を担いで立ち上がると、秀吉が背を向けた明久の肩を掴んでいた。

 

秀吉「待つのじゃ明久。何をそこまで隠しておるのじゃ?」

 

明久「うぇっ!? いや、別に何も!」

 

貴浩「今の反応はやっぱり何かあるみたいだな」

 

雄二「何かあるのかわからんが、このバカがそこまで隠そうとすることか……。

   面白そうだな」

 

いやらしい目で笑う雄二。

 

雄二「よし。確認しに行ってみるか」

 

明久「ちょ、ちょっと雄二!?何言ってるのさ!?」

 

島田「そうね。アキの新しい一面が見られるかもしれないし」

 

姫路「私も興味あります」

 

康太「………家宅捜査」

 

秀吉「テスト期間で部活もないし、ワシも行ってみようかの」

 

気がつけばいつのも面子が全員明久の家に行こうとしている。

 

命「秀兄も皆もだめだよ! 明久君が嫌がってるんだから無理やりは悪いよ」

 

明久「……命、僕の味方は君だけだよ。本当にありがとう……

   それに今日は僕の家はダメなんだ! その、凄く散らかっているから!」

 

姫路「あの、それならお手伝いしますけど?綺麗にしないとお勉強に集中できませんし」

 

姫路はお人好しなのか単に明久の家に行きたいのかどっちなんだろう?

 

明久「でも、散らかっているのは2000冊以上のエロ本なんだ!」

 

康太「…………任せておけ(グッ)」

 

明久「しまった! 更にムッツリーニの興味を煽る結果に!?もの凄い逆効果だ!」

 

貴浩「……バカだろ」

 

雄二「よし、それじゃ意見もまとまったことだし、明久の家に行くか」

 

皆(命・楓以外)「「「おーっ」」」

 

明久「やめてーっ!」

 

貴浩「諦めろ明久。こうなったらコイツらは何が何でもお前の家に行くつもりだぞ」

 

抵抗をする明久だったが、結局は首根っこを捕まれて俺たちに連行される形になっていた。

 



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隠したいもの

5/5 修正


雄二「何があるんだろうな」

 

秀吉「ムッツリーニと違って明久は滅多に隠し事なんてせんからな。

   何があるのか楽しみじゃな」

 

貴浩「明久の場合、隠し事ができないと言うのが正しいだろうけどな」

 

命「そこが明久君のいいところの1つなんだよ」

 

秀吉「命はやけに明久の味方をするのう?」

 

命「そ、そんなことないよ」

 

秀吉「そうかのう。じゃが……」

 

楓「ヒデ君。あまり女の子の事知ろうとしちゃダメだよ。

  それがたとえ兄妹でもだよ」

 

秀吉「・・・・・・そうじゃな。楓のいうとおりじゃの」

 

雄二「秀吉は楓には反論すらしないな」

 

秀吉「楓じゃからな。楓は間違った事は言わぬからの」

 

康太「………俺に隠し事なんて何もない」

 

貴浩「女物の下着に興味はあるか、ムッツリーニ」

 

康太「………あるわけがない」

 

秀吉「流石に隠し事になれておるだけあるの。嘘も堂に入ったものじゃ」

 

康太「………!(ブンブン)」

 

貴浩「諦めろムッツリーニ。皆もう気づいてるから」

 

家に向かう途中。明久以外の面子は楽しそうに会話をしながら歩いていた。

 

姫路「でも、なんでしょうね?明久君がそこまで隠すものって」

 

秀吉「そうじゃな……急に手作りの弁当をもってきたこと、

   Yシャツにはアイロンがかかっておったことなども合わせて考えると……」

 

雄二「女でもできたか」

 

明久・命「「(ビクッ!!)」」

 

貴浩「・・・・・・何でそうなるんだよ?」

 

おいおい雄二何を言いやがる。

まだ2人のことは秀吉にはバレるわけにはいかないんだぞ。

でも……言った方が楽になるか……?

 

雄二に一言に、皆の目が目を見開いた。

 

島田「あ、アキッ!どういうこと!?説明しなさい!」

 

貴浩「騒ぐな島田。雄二が勝手に言っただけだろ

   それにそれが事実だったとしてもオマエには関係ないだろ」

 

秀吉「む、むぅ……明久に伴侶か……。友人としては祝うべきなのじゃが、

   なんだが釈然とせんというか、妬ましいというか……」

 

貴浩「おい秀吉。それは楓じゃもの足りないってことか?」

 

楓「えっ? ヒデ君そうなの?」

 

秀吉「そ、そんなわけあるわけないじゃろ!! ワシは今楓と一緒に居れて幸せじゃ!!」

 

雄二「お~どうどうと言うな秀吉」

 

秀吉「////」

 

康太「…………裏切り者…………っ!」

 

貴浩「ムッツリーニ、明久と何の約束をして何を裏切られたと言うんだ?

   それにお前はなのはと付き合ってるだろ」

 

康太「/////」

 

そうこうしているうちに明久の住むと思われるマンションに到着。

 

雄二「ま、中に入れば全部わかるだろ。ほら明久。鍵を出せ」

 

明久「ヤだね」

 

ここまできて悪足掻きをする明久。

 

雄二「明久。裸Yシャツの苦しみ、味わってみるか?」

 

明久「え!? 待って! 途中のステップがたくさん飛んでない!?」

 

康太「…………涙目で上目遣いだとありがたい」

 

明久「ムッツリーニ!? ポーズの指定を出して何する気!? 売るの!?

   抱き枕!? リバーシブルで裏面は秀吉!?」

 

秀吉「なぜそこでワシを巻き込むのじゃ!?」

 

貴浩「男子女子とわず人気あるからな2人は」

 

秀吉「それは嬉しくないのじゃ!!」

 

明久「わかったよ!開けるよ!開ければいいんでしょ!」

 

貴浩「玄関の前に来て家の鍵を開けるのにどんだけ時間がかかるんだよ?」

 

島田「本当に彼女がいるのかしら……」

 

秀吉「少々緊張するのう……」

 

姫路「大丈夫です。そんなこと、ありません……っ」

 

命「そういえば明久君の家にあがるの初めてです!! どうしよう!!」

 

楓「命ちゃん落ち着いて」

 

明久「後悔してもしらないよ……色々と(ボソッ)」

 

最後明久がボソッと何か言ってたが何だ? 後悔しても知らないってなんだ?

そこで明久は玄関のドアを開けた。

 

明久「それじゃ、あがってよ」

 

明久は俺たちを招きいれて、リビングに続くドアを開け放つ。

そしてその直後、俺達の視界に飛び込んできた物が。

 

「「「……………」」」

 

それは、室内に干された……ブラジャーだった。

 

明久「いきなりフォローできない証拠がぁーっ!?」

 

貴浩「……ま、まさか…」

 

明久は慌てて洗濯物を回収する。そしてゆっくりと俺達の方を振り返る。

 

島田「……もうこれ以上ないくらいの物的証拠ね……!」

 

秀吉「そ、そうじゃな……」

 

康太「…………殺したいほど、妬ましい………!!」

 

島田たちが勝手に感想を言っていたが……俺にはいやな予感がする

 

明久「え、えっと、これは!」

 

そんな中、一人落ち着いたままの姫路が笑顔で明久に歩み寄ってこう言った。

 

姫路「ダメじゃないですか、明久君」

 

明久「え?何が?」

 

姫路「あのブラ、明久君にはサイズが合っていませんよ?」

 

「「「「コイツ認めない気だ!」」」」

 

予想を遥かに超えた意見に思わずツッコんでしまった。

 

明久「姫路さん、これは僕のじゃなくて!」

 

姫路「あら?これは……」

 

明久が弁明しようとすると、姫路の視線はリビングの卓上に向いていた。

そこにあったのは化粧用のコットンパフだった。

 

姫路「ハンペンですね」

 

「「「「ハンペェン!?」」」」

 

化粧用のコットンパフをハンペンと言い切るとは、

姫路はそこまで明久に彼女が出来ることを認めない気なのか?

さらに姫路の目線は食卓の上に置かれていた弁当に向かれた、

見た目からしておそらくヘルシー弁当とか言うのだろうけど。

 

姫路「……………」

 

明久「ひ、姫路さん……?どうしたの……?そのお弁当が何か……?」

 

姫路「しくしくしく……」

 

明久「ぅえぇっ!? どうして急に泣き出すの!?」

 

何故か俺には姫路の涙が安く見える。

 

姫路「もう否定し切れません……」

 

貴浩「ちょっと待て! どうして女物の下着も化粧品もセーフなのに

   弁当でアウトになるんだ!?」

 

明久「はぁ……。もうこうなったら仕方がないよね……。

   正直に言うよ。実は今、姉さんが帰ってきているんだ……」

 

俺の予想通りだった。……玲さんが帰ってきてたのか。

なら俺がとる行動は1つ

 

貴浩「明久。俺、急用ができたから帰るわ。勉強ガンバレ」

 

俺はそう告げると振り返りすぐさまリビングから出ようとするが

 

明久「逃がすかぁ!! もう貴浩も道連れだ!! さあ僕と一緒に苦しもう!!」

 

明久が俺も逃がすまいと腰にタックルをかまししがみついてきた。

 

貴浩「い、イヤだ! 俺はまだ死にたくない!!」

 

明久「僕だってそうだよ! 貴浩僕の一生のお願いだ。貴浩も僕の家に一緒に住んで!!」

 

貴浩「いくらお前の頼みでも玲さんがらみは絶対無理だ!!」

 

楓「兄さん騒がしいですよ。明久君、玲さんが帰ってきたんですね」

 

明久「……う、うん」

 

命「明久君、お姉さんがいたんですね」

 

島田「そ、そうよね。アキに彼女なんているわけないもんね」

 

康太「…………早とちりだった」

 

秀吉「ホッとしたぞい」

 

それぞれが胸を撫で下ろす。

 

姫路「そうですか。明久君にはお姉さんがいたんですね。良かったです……」

 

明久「まぁ、そんなわけだからお弁当とか制服とかもきちんとしていたんだよ。

   わかってもらえた?」

 

今になってわかる明久が家にいたくない理由が

 

雄二「待て明久」

 

俺がそんなことを考えていると雄二が何か疑問を感じたらしく明久を呼ぶ。

 

明久「な、何かな雄二?」

 

雄二「お前に姉がいるのはわかった。だが、それだけでなぜ家に帰るのを嫌がる?

   それにあの貴浩があそこまで嫌がるのが気になる」

 

島田「そうよね。そのお姉さんの存在を隠そうとしている事も妙だし」

 

姫路「あ、そういえばそうですね」

 

秀吉「確かにおかしいのう」

 

康太「…………(こくこく)」

 

島田「何かまだ隠してるのかしら?」

 

雄二の台詞を聞いて皆が同じように疑問を抱きだす。

 

雄二「明久。もう全部ゲロッて楽になれよ。な?」

 

雄二がポンポンと明久の肩を叩く。

 

明久「実は……僕の姉さんは、かなり、その……珍妙な人格をしているというか

   ……常識がないというか……だから一緒にいると大変で、色々と減点とかもされるし、

   それで家に帰りたくなくて……」

 

貴浩「ああ……そうなんだよ。俺と楓は明久とは幼馴染だからな。

   それがイヤっていうくらい知ってるんだよ……あの人はもう…大変なんだよ」

 

俺が多分一番避けたい人物だ。

 

命「明久君だけじゃなく貴浩君まで非常識って言うなんて、どれだけ……?」

 

秀吉「むぅ……。恐ろしくはあるが、気になるのう……」

 

康太「…………是非会ってみたい」

 

姫路「そうですね。会ってみたいです」

 

そしてその場にいる皆が明久の姉に興味を抱く。

 

雄二「あー……、なんだ。お前ら、そういう下世話な興味は良くないぞ。

   誰にだって、隠したい姉とか母親とか、そんなもんがいるモンだからな」

 

隠したい母を持つ雄二が助け舟を出す。

 

明久「ゆ、雄二…………!ありがとう」

 

ガチャッ

 

その時、玄関のドアの開く音が聞こえた。



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明久の姉

5/5 修正


玲「あら……?買い物に行っている間に帰って来ていたのですね、アキくん」

 

玄関の方からは玲さん声が聞こえる。

 

明久「うわわわわっ! か、帰ってきた! 皆、早く避難を……」

 

貴浩「これじゃあもう逃げられないな。覚悟を決めるか……」

 

命「明久君のお姉さんですか……? どんな方でしょうか?」

 

島田「う、ウチ、きちんと挨拶できるかな……?」

 

明久「ダメだ! 会う気満々だ!」

 

皆がリビングの扉を見つめて明久の姉が姿を現すのを待っている中、

明久と貴浩はひたすら祈り事をしていた。

 

玲「あら。お客さんですか。ようこそいらっしゃいました。

  狭いですが、ゆっくりとしていった下さいね」

 

そう挨拶をしてきたのは玲さんだった。

 

「「「「お、お邪魔してます……」」」」

 

玲「失礼しました。自己紹介がまだでしたね。私は吉井玲といいます。

  皆さん、こんな出来の悪い弟と仲良くしてくれて、どうもありがとうございます」

 

深々とお辞儀をする玲さん。

 

雄二「ああ、どうも。俺は坂本雄二。明久のクラスメイトです」

 

我に返った雄二が慌てて頭を下げる。

どうでもいいが、雄二の敬語なんて清涼祭のとき以来だ。

 

康太「…………土屋康太です」

 

続いてムッツリーニ。

 

玲「はじめまして。雄二くんに康太くん」

 

笑顔で返す玲さん。そこに雄二が小声で明久に話しかけてきた。

あれ?あの人本当に俺が知ってる玲さんか?

 

雄二(おい明久。普通の姉貴じゃないか。これでおかしいと言うなんて、

   お前はどれだけ贅沢者なんだ。俺なんか、俺なんか……っ!)

貴浩(落ち着けよ雄二)

明久(あはは……。ふ、普通でしょ?

   だから、もう気が済んだら帰ったほうがいいと思うよ?)

 

俺と雄二と明久の会話をよそに、挨拶は続く。次は秀吉のようだ。

 

秀吉「ワシは木下秀吉じゃ。よしなに。初対面の者にはよく間違われるのじゃが、

   ワシは女ではなく……」

 

玲「ええ。男の子ですよね? 秀吉君、ようこそいらっしゃいました」

 

秀吉「…………っっ!!」

 

その言葉を聞いて、秀吉が驚いたように玲さんの顔を見上げた。

 

秀吉「わ、ワシを一目で男だとわかってくれたのは、

   貴浩や楓、家族を除けば主様だけじゃ……!」

 

相当嬉しいのか秀吉が感動していた。

 

玲「勿論わかりますよ。だって」

 

微笑を浮かべて答える。

 

玲「だって、うちのバカでブサイクで甲斐性なしの弟に、

  女の子の友達なんてできるわけがありませんから」

 

やっぱり俺が知ってる玲さんだった。

 

玲「ですから、こちらの3人も男の子ですよね?」

 

あっさりと言ってのけた。

 

明久「ちょ、ちょっと姉さん!? 出会い頭になんて失礼なことを言うのさ!

   3人ともきちんと女の子だからね!?」

 

貴浩「そうですよ! 玲さんいきなり失礼でしょそれは!!」

 

玲「あら? タカくんに楓さんお久しぶりですね。お元気にされていましたか?」

 

楓「玲さんお久しぶりです。玲さんこそお元気にされていましたか?」

 

玲「えぇ、私は元気でしたよ。それと………女の子ですか……?まさかアキくんは、

  家に女の子を連れて来るようになっていたのですか……?」

 

明久「あ、あの、姉さん。これには深い深~い事情があって……」

 

貴浩「そうですよ玲さん。明久の言うとおりこれは深い事情があって……」

 

玲「……そうですか。女の子でしたか。変なことを言ってごめんなさい」

 

明久「実は……って。あれ?」

 

と思ったらあっさりと自分の間違いを認めて命と姫路と島田に謝っていた。

 

玲「どうかしましたか、アキくん? タカくん」

 

明久「あ、いや……。姉さん、怒っていないのかな~、って思って」

 

玲「? あなたは何を言っているのです? どうして姉さんが怒る必要があるんですか?」

 

貴浩「だよな~。さすがにもう明久は高校生だから……」

 

玲「ところでアキくんタカくん」

 

明久「ん? 何?」

 

玲「お客様も大勢いらっしゃるようですし、

  2人が楽しみにしていたお医者さんごっこは明日でもいいですよね?」

 

いきなり世迷言を言い出していた!

 

明久「ね、姉さん何言ってんの!?

   まるで僕が日常的に実の姉とお医者さんごっこを

   嗜んでいるかのような物言いはやめてよ!

   僕は姉さんとそんなことをする気はサラサラないからね!?」

 

貴浩「俺だって同じだ! ってか久しぶりにあったのにいきなりそれか!?」

 

姫路「あ、明久君……。お姉さんとお医者さんごっこって……」

 

島田「アキ……血の繋がった、実のお姉さんが相手って、法律違反なのよ……?」

 

明久「姉さん! お説教はあとでいくらでも受けるから、さっきの台詞を訂正してよ!」

 

貴浩「そうだ! すぐ訂正してくれ! このままじゃ変な誤解を生んでしまうだろ!」

 

玲「何を慌てているのですか2人共。

  それより、昨日アキくんに渡した姉さんナース服がどこあるか知りませんか?」

 

明久「このタイミングでそんなことを聞くなぁーっ!!」

 

貴浩「明久よく隠した! ナイス!!」

 

玲「それと、不純異性交遊の現行犯として減点を150ほど追加します」

 

明久「150!? 多すぎるよ! まだ何もしていないのに!」

 

玲「……『まだ』?……200に変更します」

 

明久「ふぎゃぁああっ! 姉さんのバカぁーっ!」

 

雄二「……すまん、明久。さっきの言葉は訂正させてもらう」

 

明久「うん……ありがとう雄二……僕、生まれて初めて雄二に癒された気がするよ……」

 

玲「ごめんなさい。話がそれてしまいましたね。

  貴女方3人の名前を伺っても宜しいでしょうか?」

 

姫路「あ、はい。申し遅れてすいません。私は姫路瑞希といいます。

   明久君のクラスメイトです」

 

島田「ウチは島田美波です。アキとは……友達です」

 

そう言ったが島田は友達ではなくガールフレンドだとでも言いたかったようだ。

もっとも明久はすでに彼女もちだがな。

 

命「初めまして木下命といいます。そこの秀吉の妹になります。

  そして明久君とは……」

 

一瞬命が言葉を区切って明久と俺を見た。

あ~ここで彼女だなんていえば凄い事になるな……絶対

 

命「明久君とは友達です。よろしくお願いします」

 

玲「………瑞希さんに美波さんに命さんですね。初めまして」

 

明久「ところで姉さんは何をしに出掛けていたの?」

 

玲「お夕食の買い物に行っていました」

 

手に提げていた袋を見てみると、中にはアサリやベーコンなどの食材が見えた。

それにしても2人分にしては明らかに分量が多すぎる気がするな。

 

明久「あれ? でも、随分と量が多いね」

 

明久もそれに気づいたようだ。

 

玲「いいえ。その量であっています」

 

明久の指摘に対して少し不機嫌そうに反論する玲さん。

 

玲「折角皆さんがいらっしゃったことですし、

  お夕食を一緒にいかがでしょうか?大したおもてなしはできませんが」

 

どうあっても分量の間違いを認める気はないようだ。

 

雄二「それじゃ、ありがたく好意に甘えさせてもらうとするかな」

 

康太「…………御馳走になる」

 

秀吉「迷惑でなければワシも是非相伴にさせて頂きたい」

 

島田「ウチも御馳走になろうかな」

 

姫路「じゃ、じゃあ、私も」

 

貴浩「じゃあ俺も」

 

楓「兄さんがいるなら私も」

 

全員が首を縦に振り、大人数での夕食が決定した。

 

玲「それはよかったです。ではアキくん、タカくんお願いしますね」

 

明久「うん。了解」

 

明久は姉の手から材料の入った袋を受け取る。

 

貴浩「……一応俺は客人だと思うんですが……仕方がないか玲さんだし……」

 

俺もしぶしぶながら明久を手伝う事に

 

島田「あれ? アキが作るの?」

 

明久「うん。そうだけど」

 

姫路「明久君って、お料理ができたんですか?」

 

どうやらまだ姫路と島田にとって明久は料理のできないイメージがあるらしいな。

 

明久「今日のお昼にも言ったじゃないか。あのお弁当は僕が作ったって」

 

島田「そ、そういえばそんなことも……」

 

姫路「確かに言ってはいましたけど……」

 

それでも2人は納得がいかないようだ。

 

雄二「そう不自然なことでもないだろう?俺だって料理くらい作るしな」

 

康太「…………紳士の嗜み」

 

貴浩「俺だって出来るしな。ってか俺以上に明久の料理は上手いと思うぞ」

 

明久「そ、そんなことないよ」

 

命「でも明久君の料理は美味しいですよ」

 

秀吉「わ、ワシは、その……あまり得意では……」

 

楓「ヒデ君は私が教えてあげますね」

 

秀吉「すまぬの楓」

 

明久「貴浩とムッツリーニはともかく、

   雄二はやっぱり家で夕飯作って覚えたタイプでしょ?」

 

雄二「おう。その通りだが……やっぱりってのはどうしてだ?」

 

明久「あはは。だって、雄二って家の中では一番地位が低そうだもん」

 

雄二「? お前は何を言っているんだ?」

 

貴浩「ああ、明久の家では飯って家の中で

   一番立場の弱い人が作るってことになっているからな」

 

「「「「……………」」」」

 

皆は明久を哀れむような目で見るしかなかった。

 

玲「母の方針で、我が家ではそういうことになっています」

 

まあ吉井家では母親が最大の権力者だからな。

 

命「そ、そうなんですか……」

 

島田「アキのお母さんって、なんだかパワフルな人っぽいわね……」

 

秀吉「普通は立場に関係なく、作れる人が作るもんなのじゃが……」

 

貴浩「この家は特殊なんだよ」

 

明久「え!? 普通の家では違うの!? おのれ母さん!

   よくも今までずっと僕を騙し続けてくれたな!?」

 

雄二「んじゃ、ちょっと早いが先に夕飯の支度から始めるか。明久、手伝うぞ」

 

康太「…………協力する」

 

貴浩「さっさと作ろうぜ」

 

明久「あ、うん。ありがと三人とも」

 

姫路「あのっ、それなら私もっ」

 

「「「「いや、女子は座ってていいから」」」」

 

姫路「は、はぁ……そうですか……」

 

姫路に料理をさせたら大惨事になってしまうからな

 



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明久の・・・・・・ポッ

5/5 修正


そんなこんなで夕飯を作りながら玲さんが来た経緯を聞いた。

なんでも明久の生活態度のチェックに来たらしい……

先ほどの減点分振り分け試験の時より明久の成績が上がっていなければ

玲さんが明久の家に居座る事になり明久の独り暮らしは幕を閉じてしまうのだ……。

雄二は明久が独り暮らしの方が何かと都合がいいから

明久の普段の行動を隠すことに積極的に協力するらしい。

俺も玲さんは正直苦手なので協力するつもりだ。

そもそも明久の成績は上がっているのだがそれを報告してなかったのと、

前回、学園のシステムを直すために受けた試験で日本史と世界史以外の教科を

捨てていたらしいので他の教科の点数が低いかったたので帰ってきたらしい。

なんて事を考えながら作業に没頭していると――

 

玲『良ければアルバムでも見ますか? アキ君の小さな時の写真ですけど』

 

姫路『え? いいんですか?』

 

秀吉『面白そうじゃな』

 

楓『私は知ってますよ』

 

命『そういえば楓ちゃんも明久君とは幼馴染でしたね』

 

島田『アキの小さな頃ってどんな顔してたのかしら』

 

玲『それでは持ってきますね。少し待っていてください』

 

アルバム公開か……やっぱり定番だな。

 

玲『お待たせしました。これがアキ君の2歳の時のお風呂の写真です』

 

姫路『す、すっごく可愛いです!』

 

秀吉『うむ、愛らしいのう』

 

島田『素直そうでかわいいわね~』

 

命『……可愛いです』

 

楓『……なんでお風呂の写真なんですか?』

 

………

 

玲『それでこっちがアキくんが4歳の時のお風呂の写真です』

 

島田『あははっ! アキってばお風呂の中で寝てるわ』

 

姫路『よっぽど気持ち良かったんですね』

 

秀吉『無邪気な寝顔じゃのう』

 

命『本当だ……可愛いですね……』

 

楓『………』

 

玲『そしてこっちがアキくんが7歳の時のお風呂の写真で――』

 

姫路『小学生の頃ですね。懐かしいです』

 

秀吉『かなり背丈も伸びておるのう』

 

命『あれ? お風呂の写真しか見てないような気が……』

 

ってかなんでさっきから風呂の写真ばっかなんだ?他にも色々とあるだろ……

 

玲『さらにこちらがアキくんの10歳の時のお風呂の写真です』

 

楓『ええええ!? ちょっと待ってください!』

 

明久「待った! 姉さん! どうしてさっきからお風呂の写真ばかりなの!?」

 

明久がキッチンから声を張り上げる。楓もさすがに声をあげる。

 

玲『そしてこれがアキくんの昨夜のお風呂の写真です』

 

島田・姫路『『……………(ゴクリ)』』

 

命『………………明久君の裸/////』

 

楓『2人とも見る気ですか!? って命も想像しないの!!』

 

明久「このバカ姉がぁーっ!! いつの間にそんな写真を!? さては着替えか!?

   脱衣所に着替えを持ってきた時かっ!?」

 

雄二「明久、鍋から目を離すな。吹きこぼれるぞ」

 

明久「離せ、雄二! あのバカ姉を一刻も早く止めないと僕の社会的立場が……!」

 

雄二「料理を舐めるな。いいからおとなしく鍋を見ていろ」

 

明久「離せーっ! 雄二のバカーっ!」

 

……………やっぱり俺この人苦手だ……

 

 

 

        ☆

 

 

 

貴浩「みんな待たせたな。夕飯が出来たぞ」

 

玲「ありがとうございます。お客さんなのにお手伝いまでさせてしまって」

 

雄二「いや、気にしないでくれ。料理は嫌いじゃないからな」

 

貴浩「俺の場合はほぼ強制だった気が……」

 

姫路「あ、ありがとうございます……(ポッ)」

 

島田「お、おいしそうね……(ポッ)」

 

明久「姫路さん、美波、どうして僕の顔を見て赤面してるの?」

 

命「……明久君////」

 

明久「命まで!? どうしたのさ命!?」

 

さては見たな……

 

玲「アキくん、あなたはどうしてそんなに落着きが無いのですか。

  リビングにまであなたの声が響いてましたよ」

 

明久「姉さんの行動が原因だからね!?」

貴浩「玲さんが原因ですからね!?」

 

俺と明久がほぼ同時に突っ込む。

 

玲「ほらまたそうやって大きな声を出して……タカくんもですよ。

  2人ともカルシウムが足りないのではないですか?」

 

そう言って玲さんは明久の分のパエリアの皿を引いて煮干の入った袋を置いた……。

 

玲「アキくんはこれを食べてください」

 

明久「何それ!? 僕の夕飯は煮干だけなの!?

   カルシウム不足だって言ってるけどこれってただのイジメだよね!?」

 

貴浩「酷すぎだろ玲さん」

 

明久「姉さん……前から思っていたけど……。姉さんは僕の事が嫌いなの……?」

 

玲「何を言っているのですかアキくん。

  姉さんがアキくんを嫌う訳ないでしょう? むしろその逆です」

 

明久「え? 逆ってことは?」

 

玲「無論大好きです」

 

明久「そ、そうなんだ……」

 

玲「はい。姉さんはアキくんの事を愛しています」

 

ここまでならいい姉なんだがな……

 

玲「――1人の異性として……」

 

玲さんの愛は重いんだよ……

 

明久「最後の一言は冗談だよね!? むしろ嫌いでいてくれた方がありがたいんだけど!?」

 

玲「日本の諺にこういう言葉があります」

 

明久「何!? また余計な事を言うの!?」

 

玲「バカな子ほどかわいい、と」

 

雄二「諦めろ、明久。世界でこの人ほどお前を愛している人はいないぞ」

 

明久「待って! それは僕が世界で一番バカだって思われてるってことなの!?」

 

島田「う、ウチだってアキの事世界で一番バカだって思っているわ!」

 

姫路「わ、私だって! この世界で明久君ほどバカな子はいないと確信しています!」

 

命「大丈夫ですよ明久君。私は明久君の努力を知ってますから」

 

明久「……命……僕の味方は命と貴浩と楓だけだよ」

 

本当に明久が不憫に感じてきた。まぁ今は命がいるから大丈夫か。

もしいなかったら飛び降りしそうな感じだけどな

 



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HAPPY!!

5/5 修正


「「「「「いっただきまーす」」」」」

 

その後明久をなんとか落ち着かせ宥めて夕飯食べていた。

 

秀吉「む。これはまた美味い物じゃな」

 

雄二「口に合って何よりだ」

 

明久「そう言って貰えると作ったかいがあるよ」

 

康太「……………(コクリ)」

 

貴浩「喜んでもらえたんなら良かった」

 

楓「皆さん料理お上手ですね」

 

命「私ももう少し練習しないとなぁ」

 

明久「命の料理も美味しいと思うけどな」

 

秀吉「そうじゃぞ。命の料理も明久たちに劣らず美味しいのじゃ」

 

ふと視線を姫路と島田に移すと2人ともあまり箸が進んでいないようだった。

 

明久「あれ2人ともパエリアは苦手だった?」

 

島田「う……。いや、嫌いじゃないし、凄く美味しいんだけど……」

 

姫路「だからこそ落ち込むと言いますか……」

 

まぁ2人よりは腕はいいからな。それに姫路の料理は殺人レベルだからな

 

玲「確かに上手に出来ていますね。残念です」

 

明久「偉そうに言うなあ。自分は料理全然ダメなくせに」

 

貴浩「確かに玲さんは昔から料理はダメだったもんなぁ」

 

玲「何を言うのですアキくんタカくん。

  姉さんだって2人の知らないところで成長しているんですよ」

 

楓「さすが玲さんですね」

 

明久「ふ~ん、どのように成長したのさ?」

 

玲「胸がEカップになりました」

 

貴浩「料理の腕じゃないのか!?」

 

明久「それにあんたに恥じらいという概念はないのか!?」

 

玲「わかりました。それではアキくんとタカくんの前だけで言うことにしましょう」

 

貴浩「そう言う意味じゃないからな!! って言うかなんでオレと明久の前だけで?」

 

玲「まあ、冗談は置いておいて――」

 

貴浩「本当に冗談なのか? 信じていいのか!? 冗談って信じていいのか!?」

 

雄二「こんなに動揺する貴浩を見るとは……」

 

玲「料理の勉強もしましたよ」

 

明久「あ、そうなの?」

 

玲「はい。ついにタワシとウニの違いがわかるようになりました」

 

貴浩「……えっ?」

 

玲「ところで皆さん、家の愚弟の学校生活はどんな感じでしょうか?

  例えば成績や異性関係(・・・・)とか」

 

やたらと異性関係を強調してきたな。

チッ…まだ命のことをまだ皆の前で話すわけにはいかないな。

そこで俺は明久と命と楓の3人にアイコンタクトを送る。

 

命「えっと・・・明久君は凄く頑張っていると思います。最近は成績も伸びてきていますし」

 

楓「そうですね。新学期と比べると驚くべき成績の上がり方ですね」

 

雄二「確かにな。日本史の点数は度肝を抜かれたぞ」

 

貴浩「まあ今まで要領が悪かったってことだな」

 

玲「そうですか・・・・・・それで異性関係は?」

 

姫路「え、えっと、それは……よく分かりません……。異性関係(・・・・)は」

 

島田「そ、そうね……。ウチもあまり知らないです。異性関係(・・・・)は」

 

2人とも異性関係を強調する……まあ、そうだよな。

真っ先に知りたいのは姫路と島田だろうしな……だが、ここで言うわけにはまだいかない。

 

秀吉「異性関係のう……」

 

玲「秀吉君は何かご存知でしょうか?」

 

やばい。

俺は秀吉が何か言う前に楓にアイコンタクトを送る。

 

秀吉「そうじゃな……。何か、となると」

 

楓「ヒデ君あーん////」

 

秀吉「んむ? あ、あーん、じゃ////」

 

モギュモギュモギュ……

 

楓がキノコを刺したフォークを差し出し秀吉に食べさせた。

食べている間に話す事をよしとしないのか、玲さんは黙って食い終わるのを待っている。

 

玲「秀吉君。それで――」

 

楓「はいヒデ君、あーん」

 

秀吉「あーん、じゃ」

 

モギュモギュモギュ……

 

玲「秀吉君。先ほどの話を――」

 

楓「ヒデ君、あーん」

 

秀吉「あーん、じゃ」

 

モギュモギュモギュ……

 

玲「秀吉く――」

 

楓「あーん」

 

秀吉「あーん、じゃ」

 

玲「あの楓さん。秀吉君とお話したいのですが」

 

明久「仕方ないよ姉さん。秀吉と楓は付き合ってるんだから」

 

玲「そうだったんですか…まあいいでしょう。

  2人の邪魔をするわけにはいきませんしね」

 

貴浩「そうですよ」

 

玲「そう言えば言い忘れていました。

  明日から姉さんの食事は用意しなくて結構ですよ」

 

明久「え? そうなの?」

 

玲「はい。こちらで済ましておかなければならない仕事があって

  明日から土曜日か日曜日くらいまでは帰りが遅くなりそうです」

 

明久がやたらと嬉しそうな顔をしている。

よっぽど玲さんの行動に手を焼いていたのだろう……まあ俺もそっちのほうが嬉しいが…

 

玲「アキくん、タカくんなにやら嬉しそうな顔をしてますが」

 

明久「ぅえ!?い、いや、そんなことないよっ!

   せっかく帰ってきた姉さんがいなくなるのは凄く残念だよ!」

 

貴浩「そ、そんなことないですよ。そうか寂しいですね」

 

玲「英語で言ってみてください」

 

明久・貴浩「「Happy」」

 

命「それ…幸せって意味ですよ」

 

玲「………………」

 

明久「あっ! 痛っ! 姉さ……っ! 食事中にビンタは……っ!」

 

貴浩「やめてくれ玲さん! 暴力反対っ!!」

 

食事を終え後片付けを手早く終わらせてリビングで勉強の準備に取り掛かっていた。

 

玲「皆さん、お勉強ですか? それなら良い物がありますよ」

 

命「良い物ですか?」

 

貴浩「………いい予感がしないんだが」

 

玲「はい。今日部屋を片付けていて見つけました。

  参考書という物なのですが、役に立つかもしれませんので」

 

そう言って玲さんは一冊の本をテーブルの上に置いた。

 

命「ありがとうございます。使わせて頂き――」

 

命はそう言いかけて固まってしまった……そこに置いてあった本は――

 

 

【女子高生 魅惑の大胆写真集】

 

 

玲「アキくんの部屋で見つけました」

 

明久「僕のトップシークレットがーーーーっ!!」

 

玲「保健体育の参考書としてどうぞ」

 

命「あわわわわわ……!」

 

命が顔を真っ赤にして処理落ちを起こしかけている……

さあ、勉強の時間だ!張り切って『保健体育』を勉強しようか!

 

姫路「そ、それじゃあ、あくまでお勉強の参考書として……」

 

島田「そ、そうね。ウチもちょっと勉強しておこうかしら……」

 

明久「ちょ……! 無理に姉さんのセクハラに付き合わなくていいんだよ!?」

 

貴浩「明久あえて言わせてもらう! 俺は今無性に『保健体育』の勉強がしたくて仕方ない!」

 

明久「やめてーーっ! 煽らないでーーっ!」

 

楓「……兄さん」

 

楓から軽蔑の目線が送られる。

 

貴浩「……ってのは冗談で真面目に勉強しないとな」

 

仕方ないじゃん楓。俺だって男なんだし……でも参考書はちゃっかり懐に回収

 

玲「アキくんの部屋にあった他の参考書も確認させてもらいましたが、

  アキくんはバストサイズが大きく、ポニーテールの女子という範囲を

  重点的に学習する傾向がありますね」

 

明久「冷静に考察を述べないで! いくら言い方を変えて取り繕っても

   それが僕の趣味嗜好だってバレちゃうから!」

 

命「……ポニーテールですか……それならできるかな」

 

明久「……み、命?」

 

康太「…………明久、残り1999冊は?」

 

明久・貴浩「「2000冊のエロ本の存在を信じていたの(か)!?」」

 

雄二「明久、貴浩、エロ本の話は置いてといてさっさと勉強を始めようぜ」

 

いい加減収拾が付かなくなってきたので雄二が話を進める。

確かにもう時間が無い。女子がいるからあまり遅くなってしまうのも拙いだろう。

悪ふざけはここまでにして真面目に勉強をしようか。

 

玲「よろしければ私がお勉強を見て差し上げましょうか?」

 

命「え? お姉さんがですか?」

 

玲「はい。日本ではなくアメリカのボストンにある大学ではありますが、

  大学の教育課程は昨年修了しました。少しはお役にたてるかと」

 

ああ、そういえば玲さんは……

 

雄二「ぼ、ボストンの大学だと……!? まさか世界に名高いハーバード――」

 

玲「よくご存じですね。その通りです」

 

「「「「「えええええええええ!?」」」」」

 

楓「玲さん昔から頭良かったですからね」

 

貴浩「料理の腕もあればよかったのにな」

 

玲「なにか言いましたかタカくん?」

 

貴浩「イイエナンニモ」

 

雄二「なるほど、出涸らしか……」

 

明久「雄二、その発言の真意を聞かせてもらえないかな?」

 

貴浩「思っていても誰も言わないことをわざわざ言わなくてもいいだろ!

   明久の気持ちも考えろ!」

 

明久「やめて貴浩! そっちのほうが余計に傷つくよ!」

 

貴浩「あ、悪い。つい本音が……」

 

雄二「まあ、それは置いといてそう言うことなら教えてもらおうぜ。

   本場の英語とかこっちの教師じゃ知らないことも色々知っていそうだしな」

 

康太「…………頼もしい」

 

貴浩「えぇ~英語~俺苦手なんだけど」

 

楓「兄さんだからこそ勉強しないと」

 

貴浩「まぁそうだな。少しでも点数上げるか」

 

玲「わかりました。それでは英語あたりから始めましょうか」

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

その日は夜の10時まで玲さんの講義を聞き、解散となった。

本当に勉強になったと思いたい。

 



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雄二宅

5/5 修正


翌日の放課後……今日は雄二の家で勉強会をすることになった。

期末テストの勉強で気合いが入ってるようで

いつものメンツが全員参加ということになった。

雄二の言った『幸い今日は御袋もいないことだしな』と言う一言が気になったが……

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「「「「「お邪魔します!」」」」」

 

明久「ねえ、雄二以外には誰もいないの?」

 

雄二「ああ。親父は仕事でお袋は高校の同級生と温泉旅行らしい。

   だから何も気兼ねせずにゆっくりとしていてくれ」

 

雄二がリビングのドアを開ける。

 

するとそこには――

 

ガチャッ

 

雄二母「…………………………(プチプチプチプチ……)」

 

一心不乱に商品などの梱包に使うプチプチを潰している女性がいた……

脇を見れば潰したプチプチが山のように積み上げてある……

いったいこの人は何をやっているんだ……?

いや、プチプチを潰してるのは見たらわかるけどさ……

 

雄二「…………」

 

――パタン

 

雄二が何も言わずにドアを閉める……

血の気の引いた顔は見ていて痛々しかった……

 

明久「ゆ、雄二……? さっきのプチプチを潰していた人って……」

 

雄二「……赤の他人だ」

 

島田「さ、坂本の母親なの……? なんだか随分すごい量を潰していたわね……」

 

光一「あれほどの量だ。費やした時間はおそらく1時間や2時間ではないだろうな」

 

康太「…………凄い集中力」

 

姫路「坂本君のお母さんはそう言うお仕事をされているんでしょうか?」

 

楓「姫路さんそんな仕事はありませんよ」

 

雄二「恐らく精神に疾患のある患者が何らかの手段でこの家に侵入したに違いない。

   なにせ、俺のお袋は温泉旅行に行ってるはずなんだからな」

 

貴浩「その言い訳は少し無理がないか?」

 

雄二「うるさい……!」

 

雄二母「あら、もうこんな時間。さっき雄二を送り出したばかりだと思ったのに……。

    続きはお昼を食べてからにしましょう」

 

バンッ!

 

雄二「おふくろっ! 何やってんだ!?」

 

雄二がついに耐えられなくなったようで、部屋に踏み込んだ。

 

雄二母「あら、雄二。お帰りなさい」

 

雄二「おかえりじゃねえっ! 何で家にいるんだ!?

   今日は泊まりで温泉旅行じゃなかったのかよ!?」

 

雄二母「それがね、お母さん日にち間違えちゃったみたいなの。

    7月と10月ってパッと見ると文字が似てるから困るわね」

 

雄二「どこが似てるんだ!? 数字の形どころか文字数すら違うじゃねえか!?」

 

雄二母「こら、雄二。またお母さんを天然ボケの女子大生扱いしてっ」

 

雄二「さらっと図々しいセリフを抜かすな!

   あんたの黄金期は10年以上前に終わっている!」

 

雄二母「あら、雄二のお友達かしら?」

 

雄二「話を聞けぇっ!」

 

もはや何も言うまい……雄二も大変なんだな……明久も雄二も家族のことで苦労してるんだな。

 

雪乃「皆さん、いらっしゃい。いつもうちの雄二がお世話になっております。

   私はこの子の母親の雪乃と申します」

 

凄く若く見えるな……一体年齢はいくつ位なんだろう……?他のみんなも驚いている……

 

雄二「み、皆、とりあえずお袋は見なかったことにして、俺の部屋に来てくれ」

 

明久「そ、それじゃあお邪魔します」

 

雪乃さんは『お茶を持っていきますね』と言う声がリビングから聞こえた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

貴浩「そういや久しぶりに雄二の部屋に来たな」

 

秀吉「ワシもじゃな」

 

康太「…………同じく」

 

明久「そうだよね」

 

島田「え? アンタ達よく来てるんじゃないの?」

 

明久「大抵は僕か貴浩の家に集まってるからね」

 

主に集まるときは俺か明久の家に集まっている。

広さといい、場所といい手ごろだからその方が色々とやり易いからだ。

明久達だけ相手だったら気を使う必要がないからな。

 

光一「それはそうと雄二……やっぱりこれは少し無理がないか?」

 

雄二「そうだな……」

 

さすがに雄二の部屋に10人すし詰めで勉強は少しばかりキツイ物がある……

 

明久「居間じゃダメかな?」

 

雄二「ダメじゃないが、お袋がいるからな。勉強にならない可能性が高い」

 

貴浩「雄二にも霧島以外の弱点があったんだな」

 

Prrrrrr Prrrrrr♪

 

島田「あ、ウチの携帯ね。ちょっとゴメン」

 

島田が携帯を取り出して、耳にあてた。

 

島田「もしもし? あ、Mut――お母さん。

   どうしたの?……うん。……うん。……そう、わかったわ」

 

明久「美波、どうしたの?」

 

島田「うん……。母親が急な仕事が入って家にいられなくなっちゃったみたい」

 

明久「あ、そうなの? それじゃあ葉月ちゃんは今家に1人ってこと?」

 

島田「そうね。だから悪いけどウチは帰るわ勉強はまた今度ね」

 

雄二「待て、島田。それなら会場をお前の家に変更しないか?」

 

島田「え? ウチの家?」

 

秀吉「それは良いのう。島田の妹とは全員顔見知りじゃし、

   ちょうど雄二の部屋は手狭じゃったし」

 

姫路「葉月ちゃんとも会えますしね」

 

明久「美波さえよければ、どうかな?」

 

島田「じゃ、じゃあ、ウチの家にしましょうか……

   あっ!でもさすがにこの人数じゃ少しキツイかも……」

 

貴浩「それなら俺たちは帰るわ」

 

明久「えっ? なんで?」

 

貴浩「さすがにこんな大人数で行くわけにはいかないしな。

   それに昨日、なのはを家に1人にしたからな。

   今日は夕飯は一緒に食べないとな」

 

命「ごめんなさい、私もです。昨日優姉1人だったから……」

 

貴浩「だから明久たちは行って来いよ。

   葉月ちゃんも明久には会いたいだろうしな」

 

明久「うん、そうだね」

 

雄二「仕方ない。今回は別れて勉強するか」

 

話し合いの結果、

 

島田の家には、

明久 雄二 秀吉 楓 姫路の5人が

 

楓は姫路と島田の監視役として

 

俺の家に

康太 命 光一の3人がくることになり優子と愛子の2人が合流することに

 

本当は明久と命を一緒にしたかったが……優子がそれを許さないだろう。

ムッツリーニがウチにくるのはなのは目当てだ。

 

雄二「そこまでだ! そうと決まれば早速移動だ! 

   さあ、行こう! 今すぐ行こう! チビッ子一人じゃ寂しいだろうからな!」

 

雄二は凄い勢いで捲し立てる。そんなに慌てなくてもいいだろうに……

玄関に向かい靴を履いていると台所から雄二と雪乃さんの会話が聞こえてきた。

 

雄二『お袋、ちょっと出かけてくる。

   夕飯は昨日の残りがあるからそれを温めて食べてくれ』

 

雪乃『あら、もう行っちゃうの? お茶用意しているところだったのに』

 

雄二『悪い。ちょっと事情が変わったんだ。

   ……ところで、その麺つゆボトルは一体何に使うつもりなんだ?』

 

雪乃『麺つゆ? あらら……。てっきり、アイスコーヒーだとばかり』

 

雄二『お袋……。色や匂いで気付いてくれとは言わないから、

   せめてラベルで気付いてくれ』

 

雄二……お前の家も大変なんだな。

 

そして今回は二手に分かれての勉強会になった。

 



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勉強会

5/5 修正


明久と別れ俺の家に着くと

 

なのは「お帰り! あれ? 康太君も一緒なんだ?」

 

貴浩「ああ、ムッツリーニがどうしてもなのはと会いたいって言うからさ」

 

康太「・・・・・・・・・!?」

 

俺がそういうとムッツリーニは驚いたような顔をする。

 

なのは「そうなんだ康太君。嬉しいな」

 

康太「・・・・・・・・・まぁ嘘でもないし(ボソッ)」

 

貴浩「へぇ~(ニヤニヤ)」

 

康太「・・・・・・・・・なんだ」

 

貴浩「いや、なんでもないさ」

 

愛子「僕たちも一緒でいいのかな?」

 

今この家には

俺と康太、命、光一、なのは、優子、愛子がいる。

 

貴浩「別に構わないさ」

 

優子「ならお邪魔するわね」

 

貴浩「さて今日は優秀なAクラスの生徒が3人もいるし光一もいるからな。

   ムッツリーニと命は鍛えられることができるな」

 

命「うん、頑張るよ!」

 

康太「・・・・・・・・・俺も頑張る」

 

光一「康太、先に言っておくが今日は保健体育の勉強は一切しないからな。

   お前の場合、保健体育以外は正直言って目も当てられない点数だからな」

 

康太「・・・・・・・・・・・・・・努力する」

 

なのは「私がちゃんと教えてあげるね」

 

康太「・・・・・・・・・ありがとう」

 

愛子「いいなぁ・・・なのは。少し羨ましいよ…」

 

優子「えぇ…」

 

なのはがムッツリーニに物理・化学を

光一が現代文・古典を命に

そして俺は優子と愛子の2人に英語(強制的に)に勉強を教えた。

 

 

 

~明久SIDE IN~

 

島田「ただいまー。葉月、いる?」

 

玄関の扉を開けて美波が呼びかけると、

 

葉月「わわっ、お姉ちゃんですかっ。お、お帰りなさいですっ」

 

廊下に面した部屋から、葉月ちゃんが勢い良く飛び出してきた。

 

島田「?葉月、今お姉ちゃんの部屋から出てこなかった?」

 

どうやら今葉月ちゃんが飛び出してきた部屋が美波の部屋らしい。

 

葉月「あ、あぅ……。実はその……1人で寂しかったから、

   お姉ちゃんの部屋に行って……」

 

島田「ぬいぐるみでも取ってこようと思ったの?

   それくらい、お姉ちゃんは別に怒らないのに」

 

葉月「そ、そうですか?お姉ちゃん、ありがとですっ」

 

そして葉月ちゃんの頭を撫でる美波。

 

明久「葉月ちゃん、こんにちは」

 

葉月「あっ! バカなお兄ちゃんっ!」

 

僕の姿を見せるなり、勢いよく腰にしがみつく。

そしてそのまま額を僕の腹に当てていた。

だけどおでこが的確に鳩尾に食い込んでいんだけど……

 

楓「こんにちわ、葉月ちゃん。お邪魔しますね」

 

雄二「邪魔するぞちびっ子」

 

葉月「わぁっ。綺麗なお姉ちゃんや大きいお兄ちゃん達まで。

   今日はお客さんがいっぱいですっ」

 

葉月は僕たちを見ると、満面の笑みどころか全身で喜びを表現していた。

 

島田「ほらほら、葉月。アキから離れなさい。皆が中に入れないでしょ?」

 

葉月「あ、はいです。それじゃ、バカなお兄ちゃんたち、こっちにどうぞっ」

 

明久「っとと、そんなに引っ張らなくても大丈……ん?」

 

葉月に手を引かれる僕に付いてきながら廊下を歩いていくと、

その途中にある部屋のドアが開いていて中が少し見える。

所狭しと並べられているぬいぐるみ。

そして、その中央では如月ハイランドの

マスコットキャラクターのノインが写真たてを抱えている。

何故かオランウータンの写真が入っているのかは謎だけど……

 

島田「ちょ、ちょっとアキっっ!?」

 

明久「ほぇ?」

 

僕が美波の声に振り返ると、その瞬間に脳天・鼻先・下顎の三箇所を攻撃され、

バランスを崩したところで両手首の関節が一瞬で外されていた。

 

島田「何見てるのよ!?」

 

それは地獄です。

 

島田「いい? この部屋は絶っっっ対に、入ったらダメだからねっ!」

 

美波は大慌てで扉を閉める。

やっぱりオランウータンの写真が飾ってあるのが恥ずかしいのかな?

 

雄二「リビングはこっちでいいのか?」

 

葉月「はいですっ。こっちですっ」

 

ちなみに、雄二は自分の家から出ていつもの調子を取り戻していた模様。

 

島田「取り合えず適当に座ってもらえる? 今テーブルをもってくるから」

 

僕たちを通すと、美波が勉強道具を広げるテーブルを取りに行こうとする。

 

葉月「? お姉ちゃん、テーブルなんて何するです? トランプですか?」

 

その様子を見て、事情を知らない葉月ちゃんが首を傾げていた。

 

島田「葉月。今日はお姉ちゃんたちはね、ウチでテストのお勉強をするの」

 

美波がそう言うと、葉月ちゃんは少し寂しげに目を伏せた。

 

葉月「あぅ……テストのお勉強ですか……。

   それじゃあ、葉月は自分のお部屋でおとなしくしているです……」

 

察しが良く、葉月ちゃんは僕達が何か言う前に勉強の邪魔になるまいと

部屋を出て行こうしようとする。

 

明久「待って葉月ちゃん。良かったら、僕らと一緒にお勉強しよっか?

   学校の問題とか、予習とかはないかな?」

 

葉月「えっ? 葉月も一緒にお勉強していいですかっ?」

 

一転して表情が明るくなる。

 

明久「勿論だよ。ね」

 

雄二「まぁ、ちびっ子なら邪魔になるような事もないだろうしな」

 

楓「はい。葉月ちゃんはいい子ですからね」

 

姫路「葉月ちゃん。一緒にお勉強しましょうね」

 

秀吉「ワシはあまり教えたてやれることもないかもしれんが、

   一緒に勉強するのは大歓迎じゃ」

 

葉月「葉月、一緒にお勉強をしたいです」

 

雄二「おう。それなら勉強道具を持ってくるといい」

 

葉月「はいですっ」

 

軽い足音を立ててリビングを出て行く葉月。

ただ一緒に勉強するだけなのに随分と嬉しそうだった。

 

雄二「さてと。それじゃ、テーブルを持ってくるんだろ?手伝うぞ島田」

 

島田「あ、大丈夫よ。ウチ一人で」

 

雄二「そうか。まぁ、誰かの写真でも飾ってあるのなら、

   下手に歩き回られたくないだろうから無理に手伝おうとは言わないがな」

 

島田「ななな何言ってんのよ坂本!?

   あんたまさか、さっき部屋の中が見えてたの!?」

 

雄二「いや、ジョークのつもりだったんだが……」

 

秀吉「島田は存外乙女じゃな」

 

雄二「ところで、テーブルはいいとして夕食はどうする?」

 

楓「何か作りましょうか?」

 

明久「僕は別にいいけど」

 

時刻は現在午後五時。何かを作るのなら買い物に行かないと遅くなってしまう。

 

島田「今日はピザでも取りましょ。作る時間が勿体無いし」

 

楓「そうですね。特に明久君は頑張らないといけませんから、

  ご飯を作る時間が勿体無いですしね」

 

秀吉「なんじゃ。ワシはてっきり島田が手料理を振舞うのかとおもっておったのじゃが」

 

島田「昨夜、プライドを打ち砕かれたからちょっと、ね……」

 

秀吉「なるほどのぅ」

 

島田「ほら、いいから皆適当に座ってて。今テーブルを持ってくるから」

 

美波が一旦リビングを退室して、

入れ替わりに葉月が両手に勉強道具を抱えて戻ってきた。

 

葉月「お待たせしましたですっ」

 

明久「葉月ちゃん、やる気いっぱいだね」

 

葉月「はいですっ。あ、バカなお兄ちゃん、ここへどうぞです」

 

葉月は勉強道具をリビングテーブルに置くと、

カーペットの上にクッションを置いた。僕にここに座ってほしいと言うことか。

 

秀吉「相変わらず仲慎ましいのう」

 

楓「そうですね」

 

そんな2人を見ていると、葉月ちゃんは僕の膝の上に乗っかっていた。

そこに丁度美波が戻ってきた。

 

島田「お待たせ。このテーブルをそっちに……ってコラ葉月っ。何してるのっ」

 

葉月「えへへー。葉月はここでお勉強するです」

 

島田「ダメ。アキのお勉強の邪魔になっちゃうでしょ?」

 

美波が姉らしく注意する。

 

明久「美波。僕なら別に大丈夫だよ。葉月ちゃんなら小柄だし」

 

葉月「バカなお兄ちゃん、優しいです」

 

島田「それならいいけど……アキ。変な気は持ってないわよね?」

 

姫路「明久君。万が一変なことをしたら、大変なことになりますからね?」

 

明久「?そんな事思っても無いけど?」

 

それに僕にはもう命という彼女がいるしね。

 

楓「じゃあ早く勉強始めましょうか。時間が勿体無いですし」

 

秀吉「楓の言う通りじゃな」

 

そうやって準備を整えて、僕達は葉月ちゃんを交えて勉強をすることになった。

 

 



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葉月ちゃんの寝言

5/5 修正


2時間ほど勉強をした後に、ピザを食べてからまた勉強。

僕たちにしては特にトラブルもなく時間が進み……

 

雄二「ん? もうこんな時間か。そろそろ今日は終わりにするか」

 

気がつくと、時計は九時半を指していた。

 

秀吉「なんじゃあっという間じゃったな」

 

楓「たくさん勉強することができましたね」

 

姫路「すっかり暗くなってますね」

 

雄二の一言に皆がペンを置く。

今日は雄二、楓、姫路さんが教え役となって

勉強を教えることになって結構勉強は進んだ。

 

雄二「あとはまた今度にするとして、今日は帰るとするか」

 

姫路「そうですね。美波ちゃん、今日はありがとうございました」

 

島田「あ、ううん。こっちこそ色々とありがとう。

   ほら葉月、お礼を言いなさ……葉月?」

 

葉月「Zzzz……」

 

明久「あはは。疲れちゃったみたいだね」

 

葉月ちゃんはいつの間にか僕の膝の上で眠っていた。

 

島田「もう、葉月ってば……アキ、悪いけどこっちにきてもらえる?」

 

明久「あ、うん。そうしたいんだけど……」

 

楓「葉月ちゃん、明久君ののシャツを握り締めてますね」

 

島田「こら葉月、起きなさい。アキが帰れないでしょ?」

 

美波が葉月ちゃんの肩を叩く。

 

葉月「んぅ……」

 

しかし葉月ちゃんは少しだけ目を開けて、

 

葉月「帰っちゃ、嫌です……」

 

そう言って更にシャツを握り締めた。

 

島田「葉月。あんまり我儘言うとお姉ちゃん怒るからね」

 

そう言う美波の口調が少しだけ強くなっていた。

 

葉月「……お姉ちゃんには、わからないです……」

 

島田「え?何が?」

 

葉月「……お姉ちゃんは、いつも一緒にいられるからいいです……。

   でも、葉月はこういう時しか、バカなお兄ちゃんと一緒にいられないです……」

 

寝ぼけているからこそ聞けた葉月ちゃんの本音に皆は顔を見合わせていた

 

明久「美波。もし良かったら、僕はもう少しここで勉強していってもいいかな?」

 

島田「え?」

 

雄二「だな。今のチビッ子の台詞を聞いたら、明久は残るべきだよな」

 

秀吉「そうじゃな。明久よ、モテる男は辛いのう」

 

雄二たちは明久をからかうが明久は別に嫌そうでもなさそうだった。

 

島田「そ、それじゃあ、悪いけどもう少し葉月に付き合ってもらえる?」

 

明久「うん」

 

美波の許可が下りたので僕はもう少しここで勉強を続けていくことになった。

 

姫路「あ、あのっ、それなら私も……っ!」

 

明久「え? 姫路さんはダメだよ。女の子があまり遅い時間に出歩いちゃ危ないからね。

   雄二にでも送ってもらって早く帰らないと」

 

姫路「でも、心配なんです。その、イロイロと……」

 

明久「心配なのはわかるけど」

 

姫路「いいえっ。明久君は私が何を心配しているのか全然わかていませんっ」

 

明久「???」

 

秀吉「ならワシが楓を責任持って家に送り届けるのじゃ」

 

楓「ヒデ君お願いしますね」

 

雄二「なら姫路を送るのは俺だな」

 

姫路「あの、やっぱり私も……っ!」

 

それでも尚、食い下がる姫路さん。

 

明久「いくら言っても、ダメなものはだめだからね姫路さん」

 

姫路「でもでもっ」

 

明久「でもも何もないよ。最近は危ない人も多いんだからね?

   こういったことはきちんとしないと」

 

雄二「諦めろ姫路。こうなると明久は考えを曲げないぞ」

 

姫路「……うぅ……。そんなぁ……」

 

雄二「それじゃ、島田。今日はありがとうな」

 

秀吉「大勢で押しかけてすまんかったのう」

 

楓「ではまた明日。学校で」

 

姫路「美波ちゃん、ありがとうございました……」

 

いまだ納得のできてない様子の姫路さんを含めて皆が挨拶をして玄関に向かう。

 

明久「じゃ、また明日。皆」

 

僕はあの通りの状態なので、座ったまま秀吉や楓たちに挨拶をする。

 

島田「待って、外まで送るわ」

 

美波は立ち上がって俺たちについてくる。

 

こうして雄二たちは美波の家を出て行き、今日の勉強会はお開きとなった。

 

 

 

          ☆

 

 

 

明久「姫路さん、昨日は大丈夫だった?」

 

翌日の昼休み。俺達は皆で卓袱台をくっつけて弁当を食べていた。

明久も玲さんのおかげで弁当を用意している。

 

姫路「それが……凄く怒られてしまいました……」

 

姫路がしゅんと俯く。

聞いた話では島田の家で勉強会が終わった後ずっと駄々をこねて明久を待っていたらしい。

 

姫路「おかげで週末までの間学校以外は外出禁止にされてしまいました……」

 

雄二「自業自得だろ。全く、電話の一つぐらい出てやれば姫路の両親だって安心しただろうに」

 

姫路「そうですよね……。反省しています……」

 

秀吉「なんじゃ。明久はともかく、雄二と姫路はあの後すぐに家に帰ったのではないのか?」

 

明久「僕が帰るときになってもまだ2人とも美波の家の近くにいたよね?」

 

雄二「ああ。帰るには帰ったんだが、姫路が色々と駄々をこねてくれてな」

 

姫路「す、すみません……」

 

肩身が狭そうに身を縮める姫路。

どうせあの後も明久と島田と2人きりで何をしてるのか気になって、

雄二に無理を言って戻ろうとしたんだろう。

 

貴浩「雄二もお疲れ様」

 

雄二「まあな」

 

明久「でも雄二も大変だよね」

 

雄二「ん? 俺の親は何も言わないから大丈夫だぞ?」

 

明久「いや、そうじゃなくてさ」

 

雄二「なんだよ」

 

明久「2日連続で女の子と夜遅くまで出かけている上に、

   昨日は途中までだけど姫路さんと夜道を2人きりでしょ?

   霧島さんは怒らないの?」

 

雄二の表情が『やってしまった』と言わんばかりに引き攣っていた。

 

雄二「ま、まぁ、大丈夫だろ。バレなければなんの問題も・・・」

 

翔子「……雄二。今の話、向こうで詳しく聞かせて」

 

いつの間にか雄二の後ろにいた霧島にすぐにばれてしまう。

 

雄二「まぁ待て翔子。お前は勘違いしている。

   お前の考えているようなことは何も起きていないぞ」

 

翔子「……うん。言い訳は向こうでゆっくりと聞かせてもらう」

 

雄二&霧島退場。

 

pipipipi!!

 

その直後明久の携帯のメール着信音が鳴り響いた。

明久は携帯電話を取り出してメールを開く。

その直後、涙を流して俺の方を振り向く。

 

明久「た、貴浩……これ……」

 

貴浩「なんだよどうした……メールぐらいで何泣いてんだよ?」

 

俺は明久の携帯のメールを読んでみる。

 

 

【Message From 坂本雄二】

 

     たすてけ

 

 

おそらく『助けて』と打とうとしたんだろう。

それだけわかった俺は特に何も思うことなく明久に携帯を返した。

 

秀吉「ふむ。こうなると放課後の勉強会は厳しそうじゃのな」

 

貴浩「なら今日は俺の家で勉強するか。

   参加するのは明久はもちろんだが秀吉と命たちはどうする?」

 

命「私は大丈夫ですよ」

 

秀吉「ワシもじゃな」

 

康太「・・・・・・・・・俺も大丈夫」

 

光一「俺は難しいです。週末まで家のことで忙しいんです。

   週末にならないと時間があけられません」

 

明久「まあ光一は家のことがあるもんね。仕方が無いよ」

 

島田「ごめんウチは今日は難しいのよ」

 

貴浩「なら後で優子と愛子にも連絡するとするか」

 

そんなとき、また霧島が今度は明久の後ろに近づいてた。

 

翔子「……吉井」

 

明久「ぅわっ!」

 

明久はそれに気付いてなかったようで驚きの声をあげる。

 

明久「き、霧島さんか。びっくりした……。どうかしたの?」

 

翔子「……勉強に困ってる?」

 

明久「あ、うん。そうなんだよ」

 

翔子「……勉強なら、私も協力する」

 

明久「え?協力って?」

 

翔子「……週末に、皆で私の家に泊まりに来るといい」

 

明久「いいの、霧島さんっ?」

 

翔子「(こくり)……吉井にはいつかお礼をしたいと思っていた」

 

秀吉「皆で、ということはワシらも良いのかの?」

 

翔子「……勿論」

 

光一「週末ってことなら俺も行けそうだな」

 

そしていつもの面子の参加が決定。

 

明久「雄二は参加できるのかな?」

 

恐らく大丈夫だろうが、この場にいないのでそれはわからない。

そんな明久の質問に、雄二の代わりに霧島が答えた。

 

翔子「……大丈夫」

 

明久「あ、そうなの?」

 

貴浩「霧島の誘いで俺達が参加するんだから雄二も参加するに決まってるよな?」

 

翔子「……その頃には、きっと退院している」

 

明久「そっか……それは良かった」

 

貴浩「退院ってなんだよ……?」

 

そして週末は霧島宅で勉強会をすることになった。

もちろん放課後は明久たちが俺の家に来て勉強会となった。

 

 



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住む世界が違う

5/5 修正


明久「ここが霧島さんの家……?」

 

貴浩「俺も正直驚いてる」

 

楓「はい…凄いですね」

 

貴浩「光一は来た事あるんだよな?」

 

光一「霧島家とウチは交流がありますしね」

 

明久「僕達とは世界が違うよ」

 

何度か取引関係で出向いた光一の案内で、

織村兄妹と明久は初めて見る霧島家に驚いていた。

 

家が金持ちだとは聞いていた物の、やはり百聞は一見にしかず。

光一の実家も凄いものだがこれもまた凄い。

 

ある程度落ち着いた所で玄関で呼び鈴を鳴らす。

 

翔子「……織村、吉井、楓、光一、いらっしゃい」

 

貴浩「今日は世話になる霧島」

 

楓「今日はよろしくお願いしますね霧島さん」

 

明久「今日はよろしくお願いするね」

 

光一「今日は仕事抜きでよろしく頼む」

 

翔子「……わかった」

 

翔子の案内で家の中へ。

 

楓「へぇ・・・たくさん部屋があるんですね」

 

明久「すごいね。僕も一度でいいからこんな豪邸に住んでみたいよ」

 

貴浩「全くだな。だけど本当に部屋の数が多いな」

 

俺がそういうと霧島が指差ししながらそれぞれの部屋の紹介してくれる。

本が並んでるのが書斎で、スクリーンがあるのがシアタールーム。

 

そして……

 

貴浩「俺の気のせいか? 見るからに鉄格子の部屋が見えるんだが…」

 

翔子「……あそこは雄二の部屋」

 

貴浩「雄二! 逃げろ!!」

 

明久「……霧島雄二になる日も近いね」

 

楓「…それは冗談に聞こえませんね」

 

光一「それはおいといて勉強部屋にでも行きましょう。皆来てるのか?」

 

翔子「……あなた達が最後」

 

通された勉強部屋には、

優子、秀吉、命、愛子、康太、なのは、姫路、島田、

砂原、刀麻、椎名が揃っていた。

まだ雄二の姿は見えない。

 

姫路「あっ、吉井君に織村君に楓ちゃんに羽鳥君」

 

まず声をかけてきたのは、

なぜか髪型をポニーテールにしている姫路。

 

明久「あれ? 姫路さん何故髪型変えてるの?」

 

姫路「あ……あの、それは、勉強のために……」

 

貴浩「ふ~ん。で、なんで砂原たちまでいるんだ?」

 

俺はそこにいて当然という顔をした砂原に質問した。

 

椎名「す、すみません…鈴歌ちゃんが無理を言って」

 

貴浩「いや、謝る事は全然ないけど……」

 

砂原「ちっちっちっ甘いよター君。

   面白そうなところに現れるのが私だよん♪」

 

光一「つまりはどこかで話を聞いて霧島に頼んだんだな」

 

砂原「そーいうこと♪アッキーやター君たちがいるんだから

   絶対面白いことになるしね」

 

貴浩「一応名目は勉強会だからな」

 

刀麻「まぁ俺達でよければ手伝うからさ」

 

貴浩「まあ確かにAクラスの人たちがいるからかなり楽できるな」

 

明久「ところで命、工藤さんとムッツリーニはなにしてるの?」

 

貴浩「そうだな。かなり口論してるみたいだが?」

 

命「えっと…何でも第二次性徴を実感した出来事っていう議論が

  講じてああなっちゃったらしくて」

 

愛子『ムッツリーニ君は頭でものを考え過ぎだよ!

   “百聞は一見にしかず”って諺を知らないの?』

 

康太『…………十分なシミュレーションもなく実践に挑むのは愚の骨頂』

 

愛子『そうやって考えてばかりだから、すぐに血をふいて倒れちゃうんだよ。

   そもそも貴浩君だって知識は実践を介さないと身にならないって考えなんだから』

 

康太『…………それもまた事実ではある。でも俺は何を言われても信念を曲げる気はない』

 

そんな話をしていたので俺は深く関わらないようにした。

 

そして時間が時間なので、そろそろ勉強会を始めようと言う流れになった処で……

 

明久「あれ? ねえ貴浩、雄二は?」

 

貴浩「雄二?……そう言えば見てないな。どうしたんだ?」

 

翔子「……雄二を連れて来た」

 

ドサッ!

 

絨毯の上に、ロープでぐるぐる巻きの芋虫状態の雄二が転がされた。

 

雄二「ん? 明久に貴浩? どうしてお前達がここに居るんだ?」

 

明久「……ああ、うん。霧島さんのご好意でね。

   皆で泊り込みで勉強会を開く事になったんだよ」

 

貴浩「霧島から何も聞いてないのか?」

 

雄二「ああ、何も聞いてない。いつもの様に気を失って、目が覚めたらここに居ただけだ」

 

俺は雄二のロープを解きながら、会話は進んめていく。

 

貴浩「霧島、雄二の着替えと勉強道具は?」

 

翔子「……大丈夫、準備は万全」

 

貴浩「……ツッコンだら負けか?」

 

こうして、少々騒がしくも勉強会は始まった。



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愛子とムッツリーニと保健体育雑談

5/5 修正


愛子「それは違うよ!世論調査では成人女性の68%以上が…」

 

康太「……違わない。世界保健機関の調査結果では成人男性の72%が賛同している」

 

愛子とムッツリーニが保健体育で熱論している。

 

愛子「またそうやって屁理屈を…!」

 

康太「…屁理屈じゃなくて事実。」

 

愛子「くぅ…! こうなったら今度のテストでムッツリーニ君を抜いて

   ボクの方が正しいって証明してみせるからね!」

 

康太「……学年1位の座は揺るがない」

 

愛子「そうやって憎たらしいこと言って…ムッツリーニ君なんてこうだよっ!(ピラッ)」

 

愛子はそういうとムッツリーニの隣で勉強していたなのはのスカートを軽くめくる。

 

なのは「きゃああああ////」

 

康太「……卑劣な……!!(プシャァァア)」

 

なのは「なにするの愛子ちゃん!!」

 

愛子はなのはを巻き込んで再びムッツリーニと保健体育の勉強に戻った。

 

明久「貴浩……」

 

貴浩「ん? どうした明久」

 

明久「ここなんだけど……」

 

命「あっ貴浩君。私も同じところが……」

 

椎名「……私もです」

 

その時、俺はと言うと明久と命、椎名に勉強を教えていた。

 

貴浩「でも、結構わかるようなってきたな2人とも。

   椎名もAクラスだから飲み込みが早いな」

 

明久「それはもう貴浩に鍛えられたからね」

 

命「私もですよ。特に理系科目は貴浩君のおかげで成績が上がってきてますし」

 

椎名「織村君の教え方が良いんです」

 

貴浩「それはなによりだ。教えた甲斐があったもんだ」

 

 

 

      ☆

 

 

 

刀麻「おい島田。貴浩たちの方ばかり見ていないで集中しろ」

 

雄二「お前の国語は今のFクラスでも下位なんだからな。 

   せめて2桁は取れるようになってもらわないと

   2学期の試召戦争でしかけられた時に困る」

 

島田「う…わ、分かってるわよ!でも、その…物理や化学も、ちょっと自信がなくて」

 

雄二「大丈夫だ。お前の物理や化学はは全体からみれば酷いがFクラスとしては普通だ。 

   それよりも弱点を強化しろ。お前は問題文が読めたら即戦力なんだから。 

   現国のほうが効率的なはずだ」

 

刀麻「そうだな。問題文が読めるか読めないかでは全然変わってくるからな」

 

島田「うぅ…。今のままで良いのに…」

 

島田は雄二と刀麻の2人がかりで国語を教わっていた。

 

雄二「ダメだ! 設備を維持する為には必要なことなんだよ」

 

大掃除と清涼祭の売り上げで結構まともになってきてはいる。

 

島田「そ、それはそうだけど・・・」

 

雄二「…まぁ良い。次の問題だ。【『はべり』の已然形を用いた例文】を書いてみろ。」

 

島田「以前食べたケーキはベリーデリシャスでした」

 

雄二「お前、ちょっとそこに正座しろ…」

 

刀麻「前途多難だな……」

 

 

 

       ☆

 

 

 

一方、楓と秀吉はというと

 

楓「ヒデ君も大分成績が上がってきましたね」

 

秀吉「楓のおかげじゃ。楓の教え方がいいからのう。凄くわかりやすいのじゃ」

 

楓「この調子で頑張りましょうね」

 

秀吉「わかったのじゃ」

 

2人は仲良く勉強していた。

優子は霧島や光一、姫路と静かに勉強していた。

 

 

 

 

そして再び愛子たちを見てみると

 

愛子「ムッツリーニ君。流石にこの問題は分からないでしょ?」

 

康太「……中一で70%。中二で87%。中三で99%」

 

愛子「どうして、こんな事まで知ってるの!?」

 

康太「……そんなの一般常識」

 

愛子「うぅ…正攻法で勝てる気がしなくなってきたよ…」

 

康太「…工藤はまだまだ甘い」

 

砂原「なんか面白そうだね。私も混ぜてね」

 

愛子「……こ、こうなったら。あのね、ムッツリーニ君。知ってるかな…」

 

康太「…?」

 

愛子「なのはの胸が大きくなってるんだって」

 

康太「っ!?(ボタボタボタ)」

 

なのは「っ!?//////」

 

愛子「この前体育の時間着替えてる時、なのはが言ってたんだ」

 

砂原「そうだねん。しかもナノナノの胸って形がいいんだよね」

 

愛子「そうそう。それがどうしてかってそれはね

   …実は(ボソボソ)って感じのマッサージを

   いつも(ゴニョゴニョ)ってなるまで、毎晩毎晩・・・」

 

なのは「あ、愛子ちゃん!!鈴歌ちゃん!!/////それは内緒って言ったよね!!////」

 

康太「……殺す気か!(ブシャァァア)だが情報ありがとう(グッ)」

 

ムッツリーニは鼻血を噴き出しながらも親指をたてていた。

 

なのは「康太君も何言ってるの!?って大丈夫なの!?凄い量だよ」

 

愛子「殺すだなんて人聞きわるいなぁ」

 

砂原「そうだよん。私はただ情報を教えただけだよん♪」

 

愛子「それに別にボクは、ムッツリーニ君が出血多量が原因でテストで

   実力が出せなくなるといいのに、何て事も考えてないし。

   それにムッツリーニ君も嬉しい情報だよね」

 

康太「……この程度のハンデ、どうという事はない」

 

愛子「ふ~ん。そんな事言うんだ?」

 

康太「……お前には、負けない」

 

愛子「そこまで言うなら遠慮無く…それで、さっきのなのはの話の続きだけど、

   (モニョモニョ)を身体が熱くなるまでやるんだよ」

 

砂原「そして最後には(ホニャホニャ)を使って(ヒソヒソ)を・・・」

 

康太「…死んで…たまるか…!(ダバダバダバ)」

 

このままだとムッツリーニが死んでしまう。

 

貴浩「愛子」

 

愛子「ん?どうしたの貴浩君」

 

貴浩「お前はこっちで一緒に勉強しような。砂原も勉強に戻れ」

 

砂原「了解♪」

 

俺は愛子と砂原の2人をムッツリーニから引き離すように連れて行く。

 

なのは「大丈夫康太君!」

 

康太「……だ、大丈夫!(ガクっ)」

 

なのは「康太君ーーーーーーーー!!!!!!」

 

貴浩「やりすぎだ」

 

愛子「テヘッ」

 

砂原「テヘペロ♪」

 

貴浩「笑ってごまかすな」

 

そして2人の監視を含め明久たちと一緒に勉強を始めた。

ムッツリーニはなのはに任せて



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勝負と鈍感といじめ(笑)

5/5 修正


勉強を始めて3時間経ったので

今度は霧島に明久と命に文系科目全般を頼み

楓と椎名と砂原が秀吉と島田に現代文と古典を(+砂原の監視)

光一が雄二に理系科目をなのはがムッツリーニに物理を教えており

 

その中で残った俺と優子、愛子、刀麻は模擬テスト勝負をしていた。

愛子とムッツリーニをこれ以上一緒に勉強させないためでもある。

 

      織村貴浩   木下優子   工藤愛子  不知火刀麻

現代国語  215点   395点   354点   412点   

古典    141点   357点   312点   290点  

世界史   329点   302点   312点   291点      

日本史   597点   323点   321点   549点

現代社会  154点   356点   251点   251点

数学    762点   331点   291点   301点

物理    512点   319点   246点   271点

化学    442点   303点   245点   224点

生物    452点   312点   413点   256点

英語     73点   382点   356点   104点 

保健体育  455点   302点   496点   323点

 

総合点数 4132点  3682点  3587点  3272点

      

※今回は選択科目である家庭科と美術は試験してないので

 総合点数は総合科目よりかは少し点数が下がっています。

 

 

優子「ダメね。やっぱり理系科目じゃ全く貴浩に叶わないわ」

 

愛子「僕も同じだよ」

 

貴浩「優子は総合的に点数がいいよな。愛子の場合は保健体育と生物が高いな。

   刀麻は現代文と日本史が高いな」

 

刀麻「まだ貴浩に日本史で負けてるか……ってか総合点数でも負けてるし。

   なんでお前Fクラスなんだよ……」

 

優子「アタシもよ。その点数でなんでFクラスなのよ。

   それにしても愛子点数伸びてきたわね。もう少しで追いつかれそうね」

 

愛子「まだまだ優子には勝てないよ。

   不知火君も点数伸びたよね。選択科目抜きでも

   僕とは500点以上差があったはずなのに」

 

刀麻「まぁ貴浩に負けてから頑張ったからな……でもまだまだだな」

 

貴浩「俺はまだ伸ばすぞ。理系はある程度伸びたから次は文系科目だな。

   英語も点数上がったし」

 

優子「えっ? あれで?」

 

愛子「強化合宿の時と変わらない気がするけど?」

 

優子「えっと・・・貴浩は確か吉井君のお姉さんに英語の勉強を教わったんじゃないの?」

 

愛子「確かそう言ってたよね。

   吉井君のお姉さんはハーバードを卒業したって言ってたし」

 

優子と愛子には初日の勉強会について話してある。

 

刀麻「マジで!? それでこの点数か!?」

 

貴浩「な、なにを言う! ほら強化合宿のときより15点も上がってるだろ!!」

 

 

英語

 強化合宿時   →   現在

   43点       73点

 

 

優子「たったそれだけしか上がっていないじゃないの!!」

 

刀麻「俺も英語は苦手なほうだけどそれでもなんとか3桁いったぞ」

 

貴浩「……英語なんてできなくていいんだよ俺日本人だし」

 

愛子「それだったら新婚旅行のとき困るよ? 海外に行けないよ?」

 

貴浩「それは大丈夫!」

 

優子「どういうことよ?」

 

貴浩「新婚旅行は国内ですませれば良いだけだ!

   それにもし海外に行ってもボディランゲージで何とかなるだろ」

 

刀麻「うわぁ……」

 

貴浩「おい刀麻引くなよ……それに新婚旅行って言ってもな。

   それ行くのに結婚しないと駄目だろ」

 

刀麻「まあそうなるな」

 

貴浩「となると彼女を見つけないといけないよな」

 

刀麻「まあ見合いとかしないのであればそうなるな」

 

貴浩「だろ。なら俺は当分無いな」

 

刀麻「何で?」

 

貴浩「だって俺を好きになる女子なんて少なくとも学園内にはいないだろ」

 

刀麻「はぁ~!?」

 

刀麻は俺の発言に大声で驚く。

 

貴浩「な、いきなり大声出すなよ。ビックリするだろうか」

 

刀麻「悪い……ってか貴浩はそれ本気で思ってるのか?」

 

貴浩「? 当たり前だろ」

 

刀麻「なあお前殴っていいか?いや殴らせろ!!」

 

貴浩「なんでだよ!?」

 

刀麻「なんでもクソもあるか!」

 

優子「………まだアタシ達の想いに気づいてないのね(ボソッ)」

 

愛子「……うん、ちょっと悲しいよね(ボソッ)」

 

貴浩「ん? どうしたんだ2人共。なんで落ち込んでいるんだ?」

 

優子・愛子「「なんでもない!!」」

 

貴浩「な、なんだよ。そんな大声出すこと無いだろ」

 

命「まだ気づいてもらってないんだ」

 

明久「鈍感すぎだよ貴浩」

 

楓「・・・・・・・・・」

 

優子「話は戻るけど貴浩の英語は残念すぎるわ」

 

愛子「そうだね。だから英語の勉強始めようね」

 

貴浩「えっ!? できれば遠慮したい……」

 

優子「問答無用よ!」

 

愛子「じゃあ頑張ろうね」

 

貴浩「NOoooooooooooo!!!」

 

やる気満々の優子と愛子に、絶叫しながらも準備を始める俺。

刀麻の野郎は逃げやがった。

 

俺が優子と愛子に英語の勉強と言う名のいじめをうけてしばらくすると

 

翔子「……そろそろ夕食だから、別の部屋に来て」

 

雄二「ん?もうそんな時間か。じゃあ一先ず中断するか」

 

優子「そうね。代表の言う通りね」

 

愛子「ところで代表の家ってどんな料理が出るのかな?」

 

貴浩「やっと……終わった」

 

明久「これだけ金持ちなんだから、

   満漢全席とかフランス料理のフルコースでも出たりしてね」

 

家が家なので、全員楽しみにしながら翔子に続いた。

 

 



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食事と高級食材と模擬試験?

5/5 修正


俺達は雑談しながら霧島に続いていく

 

貴浩「……あ、頭が痛い…」

 

優子「どれだけ英語が苦手なのよ」

 

貴浩「でも……前よりは解けるようになったはず…」

 

なのは「お疲れ様。康太君も頑張ったもんね」

 

康太「……なのは助かる」

 

なのは「これくらい別にどうって事ないよ」

 

愛子「ムッツリーニ君。また後でじっくりボクとお勉強しようね」

 

康太「……断る」

 

愛子「大丈夫。なのはも一緒だからさ」

 

なのは「今度は何するつもりなの?」

 

愛子「もちろん保健体育の勉強」

 

貴浩「愛子?」

 

愛子「何でもないよ!」

 

なのは「ター君助かるよ」

 

翔子「……この部屋」

 

先頭の霧島が1つの部屋の前で立ち止まる。

そして、その部屋の扉を開けると、良い匂いは一層強くなった

 

貴浩「す、凄っ!?」

 

明久「わぁ」

 

秀吉「これはまた、贅沢じゃな」

 

一般家庭ではあまり見かけないようなサイズのダイニングテーブルに

北京ダックやチンジャオロースやホイコーロー、八宝菜に麻婆豆腐といった

中華系料理が所狭しと中央の大皿に盛られている。

しかもそれぞれの席に置いてある小さな蓋付きの茶碗のようなものは、

もしや高級食材の定番、ツバメの巣?らしきものもまであった。

とても遊びに来た友人の為に用意される夕飯だとは思えないくらいに豪華さだ。

なんか申し訳がない気がしていた。

 

秀吉「ところで、ここで食事を摂るのはワシらだけかの?霧島の家族はおらんのか?」

 

翔子「……うん。私たちだけ」

 

雄二「翔子の家はそれぞれが自由に暮らしているからな」

 

雄二が翔子の言葉に付け足す。

 

翔子「……うん。だから気兼ねしないで好きに過ごして欲しい」

 

雄二って何かと言いながら霧島の事知ってるな。普段は照れているのだろう。

 

翔子「……それじゃ、適当に座って」

 

言われた通り手近な席に座る。うん、美味しそうだ。

 

「「「「「「「「「「いただきまーす。」」」」」」」」」」

 

秀吉「これはまた、絶品じゃな…!」

 

楓「はいっ!これはおいしいですね」

 

姫路「お、美味しいです…!うぅ…また食べ過ぎちゃいます…」

 

命「おいしいですね明久君」

 

明久「うん、こんな料理が食べられるなんて幸せだよ」

 

砂原「これはこれは……見事だね♪記念に写真とっておこっと♪」

 

砂原はカメラをドコからとも無く取り出し豪華な料理を撮り始める。

 

優子「本当においしいわね」

 

愛子「代表羨ましいな。こんな料理が食べられるなんて」

 

貴浩「確かに……光一も似たようなものか?」

 

光一「そうですね。俺も同じ様なものですね。

   お望みならばメイドに言って持って行かせますよ?」

 

貴浩「それはいいや。たまに食べるから美味しく感じるだろうしな。

   それにこんな美味しいものばかり食べてたら自分の料理が悲しく感じてくる」

 

光一「俺は貴浩や明久の料理好きですよ」

 

貴浩「それはありがとう。素直に感謝しとくよ」

 

雄二「ってか今メイドって聞こえたんだが?」

 

康太「………そこのところ詳しく聞きたい」

 

光一「ん? ああ、一応ウチは大企業だからな。家に数十人の従者がいるだけだ」

 

雄二「………マジか?」

 

貴浩「マジマジ。しかも光一専用のメイドや執事がいるからもっと驚きだぞ」

 

明久「うん、僕もメイドや執事なんてその時始めて見たよ。本当にいるなんてね」

 

砂原「なになに? 面白そうだねん♪ 私も混ぜて♪」

 

そうして談笑しながら食事を続けた。

 

優子「これ美味しいわね」

 

愛子「うん、でも何の料理だろう?」

 

貴浩「多分ツバメの巣のスープだな。これ高級食材だぞ。

   俺もテレビとかで見たことはあるけどまさか目の前にあって食べられるなんてな」

 

滅多に食べられない高級食材に舌鼓を打ち、

最後に締めとなるデザートの杏仁豆腐を味わっているところで霧島が雄二に話しかける。

 

翔子「……雄二」

 

雄二「何だ翔子?」

 

翔子「……勉強の進み具合はどう?」

 

雄二「光一のおかげでまったくもって順調だ。心配はいらねぇ」

 

雄二は島田に勉強を教えていただけでなく光一に勉強を教えてもらっていた。

 

翔子「……本当に?」

 

雄二「ああ。次のテストではお前に勝っちまうかもしれないぞ?」

 

翔子「……そう」

 

雄二「そうしたら……俺が学年トップになるわけだな」

 

雄二凄い自信だな

 

翔子「……そこまで言うのなら」

 

雄二「ん?」

 

翔子「……勝負する?」

 

霧島にしては珍しく挑発的だ。

 

雄二「勝負だと?」

 

翔子「……うん。雄二がどの程度できるようになったのか見てあげる」

 

雄二「ほう…随分と上からの目線で言ってくれるじゃねぇか」

 

霧島、雄二を乗せるのがうまいな。

 

翔子「……実際に、私の方が上だから。それに学年主席は伊達じゃない」

 

雄二「くっ。上等だ! 勝負でも何でもしてやろうじゃねぇか! 

   本当の実力の違いってヤツを見てやらぁ!」

 

がんばれ雄二。一応、応援だけはしておく

 

翔子「……分かった。それなら、この後に出題範囲の簡単な復習試験で勝負」

 

雄二「おうよ! 今までの俺と思うなよ!」

 

翔子「……それで、私が勝ったら、雄二は今夜私と一緒に寝る」

 

雄二「は?」

 

…うん?俺の聞き間違いか?

 

翔子「……だから私が勝ったら、雄二は私と一緒に寝る」

 

雄二「なに言ってるんだお前/////!!」

 

砂原「………ねぇアッキー」

 

明久「どうしたの砂原さん?」

 

なんか嫌な予感が……

 

砂原「今日一緒に寝よう♪」

 

やはり爆弾を投下してきた。

 

島田「瑞希ナイフ取って。包丁か鈍器でもいいわ」

 

やはり島田と姫路は………

 

翔子「……代わりに、雄二が勝ったら吉井と織村と一緒に寝るのを許してあげる」

 

雄二「驚くほど俺のメリットがねぇぞ!?」

 

あのさ、男同士なんだから許すも何もないと思うんだが……

 

愛子「良いな~。そういうの、面白そうだよね。僕も何かやりたいなぁ」

 

様子を見ていた愛子が笑顔で割り込んできた。何故か俺のほうを見て

 

優子「…………もう強引に行ったほうがいいかしら(ボソッ)」

 

翔子「……愛子も勝負する?」

 

愛子「それも良いけど、折角だからさ試験を皆で受けてその点数で部屋割りを決めない?」

 

砂原「それは面白そうだねん♪」

 

光一「砂原は面白ければ良いだけだろ」

 

砂原「その通り!!」

 

貴浩「威張るな!」

 

椎名「鈴歌ちゃん……」

 

優子「…それいいわね」

 

貴浩「えっ?」

 

優子の発言に驚く俺の後に

 

姫路「はい、勝負です!」

 

島田「そうね! が、頑張るわ」

 

姫路と島田は同意する。

 

貴浩「……お前らはどうするんだ?」

 

楓「えっ? 私?…私は…試験は受けますよ……部屋割りは別として」

 

椎名「……私も試験だけなら……」

 

命「…私も……明久君を困らせたくないし(ボソッ)」

 

翔子「……じゃあ、まだ開けていない新品の模擬試験を持ってくる」

 

雄二「待て翔子! 俺はまだ承諾してないぞ!」

 

翔子「……これは決定事項。さっき雄二は勝負するって言った。反対意見は認めない」

 

雄二「ぐ…! そ、それはそうだが……」

 

……雄二はとことん霧島と相性悪いな…

 

雄二「っと、すまん翔子! 服にかからなかったか?」

 

すると雄二が霧島にコップに入ってたジュースをこぼして少しかかってしまった。

 

翔子「……大丈夫」

 

雄二「いや、大丈夫じゃない。お前には見え辛いかもしれないが、

   服の裾のその辺にかかったみたいだ」

 

翔子「……なら、着替えてくる」

 

雄二「そうした方がいいだろう…それなら、ちょっと早いが先に風呂にしないか?

   腹ごなしも兼ねてな」

 

翔子「…分かった。それなら先にお風呂にする」

 

貴浩「なら模擬試験はその後になるな」

 

雄二「ああ、さすがに食後は一休憩ほしいからな」

 

雄二の場合は何か違う意図がある気がする。

 

翔子「……うん」

 

楓「じゃあ私達も入ってくるね」

 

貴浩「そうするといい」

 

明久「レディファーストだね」

 

命「翔子ちゃんのところだからやっぱりお風呂も広いのかな?」

 

椎名「どうでしょうか?でも楽しみですね」

 

愛子「覗く時は気づかれない様にね」

 

いや、覗かないから。

 

島田「アキ、覗いたらわかってるでしょうね!?」

 

姫路「そうですよ!」

 

別にお前らのことは覗かないだろ…

 

優子「じゃあ行くわよ」

 

砂原「楽しみだねん。色々と」

 

俺はまだ残された食事をほお張りながら女子たちを見送った。



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食後と覗き?と協力

5/5 修正


雄二「さて、行くか」

 

食事を食べ終わり片付けた後、

女子が風呂からあがるまで部屋で食後の休憩中、雄二が突然立ち上がる。

 

貴浩「どこに行くんだ?」

 

康太「・・・・・・覗きなら、任せておけ」

 

明久「覗きって…雄二…」

 

秀吉「お主ら…風呂には楓と命がいるのじゃぞ。ワシが行かせるとでも?」

 

光一「ああ、秀吉の言うとおりだ」

 

明久「……今回僕も同じ意見だね」

 

貴浩「もし、そうならお前らブチのめすぞ?」

 

風呂には楓だけじゃなく命や優子、愛子それに砂原や椎名、霧島だっているんだ。

そいつらに迷惑かける訳にはいかない。

ついでに姫路と島田もいるからな……

 

刀麻「お、おい黒いオーラが見えるんだが……」

 

雄二「ち、違うバカ!!お、俺が行こうと言っているのは翔子の部屋だ」

 

明久「えっ? 何で?」

 

霧島の部屋? ま、まさか……

 

貴浩「雄二……最低だな……」

 

雄二「おい貴浩…何考えてるんだ?」

 

貴浩「えっ? だって雄二これから霧島の部屋の物を物色しに行くんだろ。

   そして気になったものをこっそり持って帰るんだろ?」

 

雄二「ち、違うわっ!! そんな変態なことするかっ!!

   ってお前俺がそうなことすると思ってたのか!?」

 

貴浩「ジョウダンジョウダンデスヨ。ハハハハ」

 

雄二「なんか棒読み臭ぇがまあいい。翔子の部屋に行くのは、

   さっきの話にあった模擬試験の問題を盗み出すためだ」

 

……やっぱりか

 

貴浩「正直俺としては盗む必要なんてないけどな」

 

康太「・・・・・・それより、覗きが大事」

 

明久「それは違う気がするよムッツリーニ」

 

貴浩「ムッツリーニなのはの体が見たいなら本人に言え」

 

康太「・・・・・・ブンブン////」

 

明久「正直僕もどこまでやれるのか試してみたいからあまり賛成できないなぁ」

 

雄二「本当にそう思うか?」

 

明久「雄二何が言いたいのさ」

 

雄二「予想されるテストの順位を考えろ。上位の人間から相手を選んでいくとなると」

 

1、霧島 2、姫路 3、楓  4、貴浩 5、八神 6、優子 

7、光一 8、砂原 9、愛子 10、刀麻 11、椎名 12、雄二 

13、命  14、明久 15、秀吉 16、康太 17、島田

 

光一「という順位になると予想されるな。

   明久と命、秀吉、康太は今までの勉強会で成績が上がってるはずだから

   少し変わるかもしれないが……」

 

明久「霧島さんは雄二を選ぶとして…」

 

光一「八神はムッツリーニだろうな」

 

康太「・・・・・・まさか」

 

ムッツリーニは驚きながらも納得している感じだ。

 

貴浩「ふむ・・・まあ雄二……今回も助けてやるよ」

 

雄二「本当か!?」

 

貴浩「さすがに俺も今回の試験は真面目に受けてるからな。 

   それに明久にとっても重要なことだからな。

   玲さんが残るか残らないかが明久の成績によって決まってしまうんだ。

   だから協力してやる」

 

雄二「ありがとう」

 

刀麻「だがどうするつもりなんだ?」

 

貴浩「いや、簡単な話…試験前だから余計なことするなって言うだけだな。

   まあ霧島には雄二が負けたら後日1日買い物に付き合うって言うがな」

 

雄二「お、おい…」

 

貴浩「そっちのほうがいいだろ? もし一緒に寝て何かあって一生縛られるより

   1日自由が無くなるほうがマシだろ?」

 

雄二「た、確かに……」

 

貴浩「霧島さえ押さえればあんな約束なくなるしな」

 

光一「そうですね。砂原は面白がってるだけだし、

   楓、命、椎名はあまり乗り気じゃない。

   優子も工藤もAクラスだけあり常識はある。

   問題は姫路と島田だが……」

 

貴浩「もし暴走したら外に放り出せばいいさ」

 

雄二「相変わらず2人には厳しいな」

 

貴浩「……まあそうだろ。俺はまだ完全にあいつらのこと信用してないからな」

 

その後は女子が風呂から上がるまで持ってきていたトランプで遊んでいた。

 



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男女と恋バナと期末試験

5/5 修正


俺達が風呂から上がった後、霧島に先ほどのことを伝えて普通の試験勝負となった。

試験は国語、数学、英語、理科、社会の5教科の勝負となった。

ちなみに国語は現国・古典が、理科は化学・物理・生物が

社会は現代社会・歴史系が混ざったもので全て100点満点の問題である。

 

結果は・・・・・・

1、霧島・・・・・・500点 

2、楓・・・・・・・491点

3、姫路・・・・・・483点

4、優子・・・・・・451点 

5、光一・・・・・・442点 

6、貴浩・・・・・・437点 

6、八神・・・・・・437点

8、砂原・・・・・・431点

9、愛子・・・・・・412点

10、椎名・・・・・・411点

11、刀麻・・・・・・391点

12、雄二・・・・・・389点

13、命・・・・・・・369点

14、明久・・・・・・312点

15、秀吉・・・・・・309点

16、康太・・・・・・259点

17、島田・・・・・・201点

 

 

となった。俺は6位となった。やはり英語がネックになった。

それに上限があるから点数が下がるな。

こういう時は優子や光一のように全てが平均的に高いヤツがいいな。

 

そして部屋割りは

【男子部屋1】 貴浩・明久・光一・秀吉

【男子部屋2】 雄二・康太・刀麻

【女子部屋1】 霧島・優子・愛子・なのは・命

【女子部屋2】 砂原・椎名・姫路・島田

という風になった。

 

 

 

 

 

【女子部屋】

 

アタシ達は貴浩たち男子と別れて

女性陣は1つの部屋に集まって雑談をしていた。

 

椎名「代表、あのヴェールって坂本君からもらったんですか?」

 

翔子「・・・・・・うん」

 

優子「坂本君も何かと言いながらも満更でもないのね」

 

意外と坂本君も代表のことを思っているのね……羨ましいわ

 

愛子「それで楓となのはは秀吉君とムッツリーニ君とはどこまでいったの?」

 

楓「えっ、な、なんですか急に!?////」

 

なのは「そうだよ。どこまでって何がですか!?////」

 

愛子「それはねぇ~もちろん~」

 

砂原「率直に聞くねん♪キスしたの?」

 

楓・なのは「「ッ!?//////」」

 

優子「それは気になるわね。で、どうなの?」

 

愛子ナイスよ。正直アタシも楓と秀吉の関係が気になっていたのよね。

もしかしたら将来義妹ができるかもしれないのだから。

 

翔子「・・・・・・私も気になる」

 

命「・・・・・・私も少し」

 

姫路「気になりますね。付き合い始めてから結構経ちますしね」

 

島田「……参考になりそうだし……」

 

楓「命ちゃんまで!?」

 

皆がなのはと楓に注目する。

 

愛子「さあ白状しちゃいなよ」

 

なのは「わ、私はまだ……////手を繋いで歩いただけだよ」

 

愛子「へぇ~意外。ムッツリーニ君って積極的に見えるんだけどな」

 

愛子の言うとおり意外ね。土屋君って意外と奥手なのかしら

 

優子「それで楓は?」

 

楓「………1回だけなら////」

 

命「えっ?」

 

砂原「おぉ~」

 

愛子「さすが~」

 

椎名「す、凄いです」

 

姫路「楓ちゃん積極的ですね」

 

島田「ウチも見習わないと」

 

さすが楓ね……それにしても秀吉も意外と根性座っているのね。

 

なのは「わ、私達のことより…そういえば鈴歌ちゃんや雪ちゃんは好きな人いないの?」

 

なのはが鈴歌と雪に矛先を変える。

 

愛子「あっ、そういえばそうだね。どうなの? 気になる男の子っているの?」

 

砂原「私? う~ん。気になる男子はいるかな?」

 

優子「えっ? いるの?」

 

砂原「気になってるのはター君とアッキーだね」

 

「「「「「「えっ?」」」」」」

 

砂原の発言に皆が驚きの声を上げる。

 

なのは「……鈴歌ちゃん。タカ君と明久君が気になるの?」

 

……まさか愛子だけじゃなく鈴歌まで貴浩に……

 

砂原「うん♪ だって2人とも話題に事足りないんだもん♪」

 

優子「そ、そういうことなのね」

 

少しビックリしたじゃない

 

愛子「ちょっとビックリしたね」

 

翔子「……好きな男子はいないの?」

 

砂原「そうだね~。う~ん、今はいないかな?

   今は部活とかで忙しいしそれが楽しいからね。別にいいんだよん♪」

 

翔子「……そう」

 

なのは「そういえば雪ちゃんってタカ君とは仲いいよね。

    結構一緒に遊んでいるところ見るけど」

 

砂原「そういえばそうだねん。ユッキーって人見知りするタイプなのに

   結構ター君と仲いいよね。確かこの前映画にも行ってたし

   買い物も一緒に行ってなかったっけ?」

 

優子・愛子「「えっ?」」

 

えっソレ本当なの?

 

椎名「そうですね。貴浩君とは一緒に映画も見ましたし買い物にも行きましたね。

   あとは貴浩君の家で遊んだりしましたね」

 

命「そうなの?」

 

翔子「・・・・・・意外」

 

姫路「参考なんですがどのような映画を見たり買い物をされたんですか?」

 

椎名「えっとですね。映画はアニメとかが多いですね。

   買い物もグッズ集めとか一緒にゲームとかしましたね。

   やはり同じ趣味の方がいると楽しいです。

   鈴ちゃんも同じ趣味を持ってたら良かったんですが……」

 

砂原「アハハハ……私はそういうのはね……」

 

アタシや愛子より一緒に遊んでないかしら?

……ってそういえばアタシ……貴浩と2人でどこかに行ったことないわね。

いつも楓や秀吉、命、吉井君がいたものね。

 

楓「そういえばそうでしたね。この間も泊りがけでゲームしてましたしね」

 

優子「泊りがけで!?」

 

まさかそこまでっ!?アタシも泊まったこともないのに……

 

椎名「はいですっ!寝袋持参しましたっ!」

 

楓「今も寝袋は私達の家に置いてますしね。

  それにあの時は明久君と雄二君もいましたね」

 

椎名「はいですっ!やはりモ●ハンしてると時間が経つのを忘れちゃうのです。

   気がついたら朝でした」

 

楓「私が寝る前と起きた時と同じ位置でしたからね。さすがに驚きましたよ」

 

椎名「ですから貴浩君とは同じ趣味で気が合う友達ですね♪

   試験後もゲームする約束です♪」

 

優子「……話を聞く限りではまだ大丈夫みたいね」

 

愛子「……うん、でもこのままだと…危ないね」

 

椎名「?」

 

多分アタシの一番の障害になりそうね……そして女子部屋では話は続いていった。

 

 

 

 

 

 

【男子部屋】

 

刀麻「ところで雄二は代表と、秀吉は楓と康太は八神と付き合ってるんだよな?」

 

雄二「ん? どうしたいきなり?」

 

俺達男子は集まってトランプをして遊んでいるとふと刀麻が突然そんなことを聞いてきた。

 

刀麻「いや…まあ…少し気になってな」

 

明久「なにが?」

 

刀麻「……3人はどこまでいったんだ?」

 

なるほど…そういうことか・・・

 

雄二「はぁ?」

 

貴浩「確かにそれは気になるな。よし……3人とも詳しく話そうじゃないか」

 

俺は手に持っていたトランプを置き3人に詰め寄っていく。

 

雄二「……お、俺は何もしてねぇよ」

 

光一「そういえば雄二は霧島に合宿の時キスされてなかったか?」

 

雄二「○☆hfy8wくゃ!?////」

 

光一の発言に顔を真っ赤にさせ何か言おうとしているが正直何を言ってるのかわからない

 

雄二「み、見てたのか……////」

 

光一「まあ偶然なんだがな」

 

雄二「チックショー恥ずかしい////」

 

ほう…あの合宿でそんなことがあったのか…俺はアレだったというのに……

 

明久「秀吉とムッツリーニは?」

 

康太「・・・・・・俺はまだ手を繋ぐ程度」

 

貴浩「マジか? ムッツリーニって結構奥手なんだな」

 

康太「・・・・・・」

 

刀麻「秀吉はどうなんだ?……って貴浩それじゃ聞きづらいだろ?少しは気を落ち着かせろ」

 

貴浩「お、おう…悪い。さぁ秀吉…楓とどこまで言ったんだ? 正直に話すんだ」

 

俺は秀吉の肩を俺なりに優しく(・・・・)掴む

 

刀麻「だから落ち着け。雄二、光一抑えるの手伝ってくれ」

 

雄二・光一「「了解」」

 

貴浩「だ、大丈夫だ! 俺は何もするつもりは無い! ……はず……だから」

 

刀麻「それじゃあ全然説得力ねえよ!」

 

明久「あいかわらず貴浩は楓に関しては凄いね」

 

秀吉「……ワシは1度だけじゃが……キスしたのじゃ」

 

貴浩「な、な、な………」

 

刀麻「おお、秀吉は意外と積極的だな」

 

貴浩「………まさか秀吉……それ以上はしてないよな?」

 

秀吉「あ、当たり前じゃ!!////」

 

そうか・・・まだ・・・そこまでの関係なのか・・・・・・

 

貴浩「……それならまだ大丈夫か。

   ・・・・・・それに今ならアレ話しても大丈夫か(ボソッ)」

 

雄二「ん? 何か言ったか?」

 

貴浩「いや、何も…そういえば光一や刀麻はどうなんだ? 好きなヤツいないのか?」

 

光一「俺は好きな人っていうか……許嫁がいますし」

 

康太「・・・・・・・やはりいたのか」

 

明久「大企業の息子だもんね。いて当たり前か」

 

刀麻「俺は……いるぞ」

 

雄二「おっ、いるのか? 誰なんだ?」

 

おっ驚きだな。一体誰なんだ?

 

刀麻「俺は……砂原のことが気になっているんだ……」

 

貴浩「砂原か…やっぱりあの性格がいいのか?」

 

刀麻「ああ、アイツの楽しそうなところが気になってるんだ」

 

へぇ~意外って言えば意外だが……まあお似合いなのかもな

 

秀吉「告白はしないのかの?」

 

刀麻「ああ……まだしない。多分今しても振られそうだしな」

 

貴浩「……そうか。まあ応援してやるよ」

 

刀麻「ありがとう。ところで明久と貴浩はどうなんだ?」

 

明久「えっ、僕は……」

 

明久は俺のほうを1度見ると

 

貴浩「雄二、光一、刀麻。秀吉を捕まえておけよ」

 

俺は3人にそう指示する

 

雄二「ん? なんかわからんがわかった」

 

光一「了解。秀吉、大人しくしろ」

 

秀吉「な、なんじゃ!? 何をするつもりじゃ」

 

3人が秀吉をガッシリ捕まえる。

 

貴浩「お前らには話しておくが明久は命と付き合ってるぞ」

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

明久「ちょっと貴浩!? なんでいきなりバラしちゃうの!?」

 

秀吉「そ、それは本当かの?」

 

明久「あ~うん…姉さんが帰ってくる前なんだけどその時から一応命と付き合ってるよ」

 

秀吉「な、なんじゃと……」

 

貴浩「ま、今まで内緒にしてたけどな」

 

雄二「それは気づかなかったな」

 

康太「・・・・・・驚いた」

 

雄二「だがなんで今教えたんだ?」

 

貴浩「ん~今なら大丈夫かなって思ってな。だけどまだ女子連中には内緒だぞ」

 

話したら姫路と島田がまた暴走するかもしれないし

シスコンの優子も暴れるかもしれないからな

 

刀麻「ああ」

 

光一「俺達以外に知ってる人はほかにいるんですか?」

 

貴浩「俺達以外なら楓となのはが知ってるぞ」

 

秀吉「楓もじゃと!?」

 

康太「・・・・・・なのはもか」

 

貴浩「俺達兄妹が協力したからな。ちなみに俺は新学期すぐからずっと協力してたがな」

 

雄二「結構前からだな」

 

貴浩「まあな」

 

秀吉「そうじゃったか……ふむ。明久よ」

 

明久「な、なにかな秀吉?」

 

秀吉「そう緊張するでない……命をよろしく頼むのじゃ」

 

明久「えっ?」

 

光一「意外だな。明久は攻め立てると思ってたんだが」

 

秀吉「ワシは命の幸せを願っておるだけじゃ。

   最近命の機嫌がすこぶる良いのでな。何かあったとは思っていたのじゃが

   まさか明久と付き合っておるとはの」

 

明久「秀吉……」

 

秀吉「じゃから明久よ。命のことをよろしく頼むのじゃ」

 

明久「あっ、うん。任せてよ秀吉」

 

おお意外と上手くまとまったな。

 

雄二「さて後は貴浩だけだな」

 

貴浩「えっ、俺か?」

 

俺は何も無いんだけどな。

しいて言うなら失恋したことだが・・・…それは話す事でもないだろうしな

 

明久「ねぇ貴浩。聞きたいんだけど工藤さんと優子さんのことどう思ってるの?」

 

雄二「ストレートに聞くな明久」

 

明久「うん。貴浩にはこういう風に聞いたほうがいいと思って」

 

雄二「確かにそうかもな」

 

貴浩「優子と愛子か。2人ともかなり可愛いいほうだと思うぞ」

 

刀麻「なら」

 

貴浩「でも2人とも好きな男いるだろ?」

 

「「「「えっ?」」」」

 

貴浩「俺なら嬉しいが……俺なんか好きになるわけ無いだろうし・・・」

 

雄二「ならもし……2人がお前のこと好きっていえばどちらと付き合うんだ?」

 

貴浩「そんなことにならないと思うが……過程の話ならそうだな…

   不純だが両方と付き合うか付き合わないかのどちらかだな。

   2人ともいい女だからどちらか選べないな。

   俺、意外と奥手で優柔不断なのかもしれんな」

 

明久「そうなんだ」

 

貴浩「まあそんなことにはならないと思うけどな」

 

明久「そう……」

 

そしてもう夜も遅くなったので部屋に戻って寝ることにした。

 

 

 

 

 

         ☆

 

 

 

 

 

         ☆

 

 

 

 

 

そして期末試験当日

 

「では筆記用具を置いてください」

 

俺はペンを置く……やっと全教科終了か……

 

明久「疲れた……」

 

貴浩「まったくだ……」

 

秀吉「勉強会をしたおかげで結構解けたのじゃ」

 

康太「・・・・・・・・・同じく」

 

楓「やった甲斐がありましたね」

 

命「私も今回は大分できましたね」

 

雄二「俺もだな。今回のできなら翔子に……」

 

貴浩・明久「「無理だな(だね)。」」

 

雄二「勝て……って、いきなり否定すんじゃねえ!!」

 

貴浩「本当にそう思うのか?」

 

雄二「………もしかしたら……勝てるかもしれねえな」

 

貴浩「一気に自信無くしたな」

 

命「明久君はどうだったの?」

 

明久「多分過去最高点に行ったかも……」

 

雄二「まああれだけ勉強したらな」

 

秀吉「おそらく勉強会をした皆、成績は上がっておるじゃのうな」

 

康太「・・・・・・・・・俺も伸びたはず」

 

楓「そういう兄さんはどうなんですか?」

 

貴浩「俺もできたと思うぜ」

 

雄二「英語はどうだったんだ?」

 

貴浩「………………大丈夫なはず」

 

明久「貴浩もあまり自信ないんだね」

 

貴浩「良いんだよ!あとは結果待ちなだけだ!」

 

秀吉「そうじゃな。結果をまつとするかの」

 

 

 

 

 

 

~結果(Fクラス)~

 

織村貴浩

 総合科目 4831点

 

吉井明久 

 総合科目 2152点

 

坂本雄二

 総合科目 2792点

 

木下秀吉

 総合科目 1741点

 

土屋康太

 総合科目 1599点

 

木下命

 総合科目 2012点

 

織村楓

 総合科目 4974点

 

姫路瑞希

 総合科目 4651点

 

島田美波

 総合科目 982点

 

 




少し長くなりました。
これで一応期末試験編は終了です。


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番外編④
強制連行と恋バナと学内放送


今回は番外編です。

なんか突拍子に描きたくなったので描いてみました。

では番外編をどうぞ


5/5 修正


とある日の昼休み

 

俺たちはいつものメンバーでAクラスにて昼飯を食べていると

 

刀麻「おーい、貴浩。ちょっと来てくれー」

 

突然刀麻が俺の元へやってきた。

 

貴浩「なんだ?」

 

刀麻「ちょっと俺についてきてくれ」

 

俺は刀麻の後に続くように教室を出て行った。

 

明久「どうしたんだろ?」

 

優子「何かあったのかしら?」

 

 

 

       ☆

 

 

 

新野『こーんにちはーお昼の放送の時間です』

 

この文月学園では週1で昼休みの時間にラジオが流れていたりする。

 

新野『今日は風邪で休んだアンチクショーの代わりに突発ゲストに──』

 

愛子「あれ?今日は相方さんは休みなんだね」

 

秀吉「ということは今日はラジオは無しかの?」

 

楓「そうかもしれませんね」

 

新野『放送部員の1人の不知火刀麻と──』

 

明久「そういえば刀麻って放送部員なんだったっけ?」

 

刀麻は放送部に所属していたりする。

 

雄二「初耳だな」

 

砂原「私は知ってたよん♪とっちんから情報渡したりもらったりしてるからねん」

 

もちろん砂原さんは新聞部に所属している。

 

新野『ドナドナ(強制連行)された不知火刀麻の友人の織村貴浩と

   ラジオでお馴染み新野すみれでお送りします」

 

優子・愛子「「ブッ!!」」

 

明久「えっ?」

 

今の放送を聴き優子さんと工藤さんが噴き出してしまう。

正直僕も驚いている。

 

命「貴浩君ですか?」

 

新野『今週はスペシャルということでよろしければ教室のテレビ映像でお楽しみください』

 

砂原「見たい人は挙手してねん♪」

 

バッ

 

そこで砂原が皆に確認するとAクラスにいた全員が手を上げる

 

砂原「満場一致だねん。ぽっちとね♪」

 

するとテレビ画面に貴浩たち3人が映し出された。

 

刀麻『んじゃま~飛び入りゲストのトークなんて退屈だろうからコーナー行こうぜ』

 

新野『そんなことないと思いますが、では人気のお悩み相談~♪』

 

貴浩『無難なコーナーだな』

 

新野『このコーナーはお悩みに対して私達が切り捨てたり笑い転げたり

   泣き崩れたりしていくコーナーです』

 

貴浩『解決する気ねぇのかよっ!?』

 

新野『冗談です。勿論解決もやぶさかではありません』

 

貴浩『いや、ちゃんと悩みに答えてあげようぜ』

 

新野『お悩み遭難コーナー』

 

貴浩『救助しろ!』

 

新野『では早速【気になるあの人の落とし方を教えてください】』

 

刀麻『そうだな・・・まずは屋上に呼ぶ』

 

貴浩『意外とベタだな』

 

刀麻『夕焼けと下校する生徒を見下ろしながら

   高鳴る胸の鼓動を抑えてそっと彼の背中を───押す。すると落ちます』

 

貴浩『そりゃ落ちるだろ』

 

新野『落としドコロが違いますよねっ!?』

 

刀麻『衝撃的な告白だろ?』

 

貴浩『身も心もな』

 

刀麻『あとは最後に一言付け加えるとさらに効果的になる』

 

貴浩『相手は眼下で地面にめり込んでいるぞ』

 

刀麻『わたし……本気よ』

 

「「「「「怖っっっ!!!」」」」」

 

刀麻『これで君の気持ちが本気で伝わるはずだぜ☆』

 

貴浩『伝えた先に未来がねぇよ』

 

新野『皆は真似しちゃだめだよ!!』

 

刀麻『じゃあ素直に屋上で<あなたを落とします>って告白はどうよ』

 

新野『なんだか告白の言葉が脅迫の言葉に聞こえますよ』

 

刀麻『一斉一代の告白はやっぱインパクトないとな』

 

貴浩『そんな告白一代も残すな!』

 

刀麻『告白じゃなくて告別の言葉になったりしてな。はははッ』

 

貴浩『なんに別れを告げるんだ?』

 

刀麻『昨日までの自分にサヨナラ』

 

貴浩『なんだそりゃ?』

 

新野『間違いなく恋にさよならですっ!!』

 

貴浩『・・・気を取り直して次行こうぜ』

 

新野『そうですね。次は【好きな人がにぶちんでアピールしても悉くスルーされます。

   この困難に立ち向かう案を是非ご教授ください】』

 

刀麻『にぶちんかー』

 

貴浩『にぶいのかー』

 

新野『にぶちんですか』

 

刀麻と新野は1度こちらを見てから

 

新野『難しい問題ですね』

 

刀麻『ああ難解だ』

 

貴浩『なぁ、なんでこっちを見た』

 

新野『にぶちんの人にはストレートで言うのが良いと思いますけどねー』

 

刀麻『そうだな…当てはまる人物がここにいることだし──試しだ!

   にぶちーにストレートを投げてチェックしようぜ』

 

貴浩『君が好きだ』

 

新野『スッ、ストライク!!////』

 

刀麻『役が逆だっ!!!………って絶妙でのタイミングのボケに我を失ってツッコンでしまった』

 

新野『でも「好きだ」じゃアピールじゃなくて告白になっちゃいますねー』

 

貴浩『というかさ、もっと自然に好きな人のために何かしてあげたいって気持ちで

   行動すればきっと魅力に気づいてくれると思うけどな』

 

新野『なんか乙女として負けた気分になります』

 

刀麻『ドンマイ』

 

貴浩『あくまで俺の意見だぞ』

 

 

 

~教室~

 

椎名「貴浩君と不知火君の恋バナトークって新鮮ですよね」

 

なのは「そうだね」

 

雄二「まあ普通男同士ならこんな話滅多にするもんじゃねーしな」

 

 

 

~放送室~

 

新野『そろそろ時間みたいですね。お二人とも今日はありがとうございました』

 

刀麻『困ったときはまた頼ってくれてもいいぜ。

   同じ放送部員だしな』

 

貴浩『聞いてる人が楽しめたかは別だがな』

 

新野『いえいえ楽しく進行させていただきました。

   今後お二人が恋に迷った時は是非相談に来て──』

 

貴浩・刀麻『『こないぞ』』

 

新野『即答ですかーー!?』

 

刀麻『むしろ新野が恋迷宮入りしたら相談してもいいぜ』

 

新野『いえ、刀麻君に相談したら失恋コースを亜失速でぶっちしそうなので遠慮します』

 

新野は手でばってんマークを作りながら遠慮した。

 

貴浩『コースアウトして相手跳ね飛ばしそうだな』

 

刀麻『友達が冷たいのだが相談にのってくれないか?』

 

新野『ではでは最後に織村君に締めの一言を貰って終わりにしたいと思います』

 

刀麻『あれスルー?まあいいけど…じゃあ貴浩レッツゴー』

 

貴浩『なんだその振り?』

 

新野『食欲に身を委ねる事無く飽くなき美への探求を胸に

   今日もお昼を迎える健気な女の子達に嬉し恥ずかしストロベリーな一言をどうぞ』

 

貴浩『なんだその無茶振りは…んー………【明日の君は今日より綺麗だね】////』

 

 

「「「「ブーーーーーーーッ!!!!」」」」

 

 

新野『ということで今週は新野と不知火と織村の3人でお送りしました。

   それでは午後の教師のラリホーにご注意ください。ではまた次回』

 

 

 

 

 

このラジオの後、保健室に数多くの女子が運ばれていたのは余談だ。

 




さて皆さん、今回の番外編はいかがだったでしょうか?

なんとか頑張って更新していきたいとおもいますので

応援の程何卒宜しくお願いします。


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当たりとはずれと王様ゲーム

5/8 修正


場所は2年Fクラス…そこは明かりもなく暗い室内。

 

そこで1つの卓袱台を真剣な顔で囲うのは…

貴浩、明久、楓、命、雄二、秀吉、ムッツリーニ、

光一、姫路、島田のFクラスメンバーに加え

霧島、優子、愛子、砂原、椎名、刀麻のAクラスメンバーを加えた16人。

 

雄二「王様ゲーム!」

 

「「「「イエ―――イ!!」」」」

 

雄二の一言に周りのテンションが上がる。

 

雄二「明久、ルールの説明を頼む!」

 

明久「了解。ここに1~15番の数字と『王』と書かれたクジがあります。

   この『王』のクジを引いた人は他の1~15番の人に命令ができます。

   例えば1番が王の肩を揉むとか、2番が3番にしっぺをするとか、

   後番号は見せたり、見てはいけません。そして王様の命令は……」

 

「「「「絶対!!」」」」

 

全員が一斉に声を揃えた。

 

貴浩「それじゃあ、始めるぞ!!」

 

俺が言ったと同時に、一斉に皆が手を伸ばしクジを引く。

 

雄二「さて、覚悟は良いか?」

 

優子「問題ないわ」

 

光一「始めた時からしている」

 

椎名「ドキドキしますね」

 

明久「いくよ、せーのっ!」

 

「「「「「王様だーれだ!?」」」」」

 

しばらくの沈黙の後、

 

雄二「よっしゃっ!」

 

くっ、7番か…雄二が王様みたいだな。ガッツポーズをとってるし…

 

雄二「それじゃあ命令だ。そうだな……4番と5番と6番が」

 

自身の番号を宣言され、身構える明久とムッツリーニと刀麻。

 

雄二「鉄人に。そして7番」

 

そして俺が少し反応してしまう。

 

雄二「7番はジュディス先生に『好きです、付き合って下さい』と、告って来い!」

 

と、ニヤニヤしながら宣言した。

 

「「「「キサマァァァ!!」」」」

 

なんて命令するんだ!?

 

明久「そんなことしたら、完全に変態じゃないか!!」

 

康太「・・・・・・不名誉な!!」

 

刀麻「しかもよりにもよって鉄人だと!」

 

貴浩「俺は洒落にならないぞ!!」

 

島田「ダメよ、アキ!さっき自分で説明したばかりでしょ?」

 

愛子「そうだよ、4人とも」

 

「「「「王様の命令は・・・」」」」

 

「「「「・・・絶対・・・!」」」」

 

血の涙が出そうだ!!

 

「「「「ダ―――ッシュ!」」」」

 

砂原「行ってらっしゃーい♪」

 

数分後

 

明・刀・康「「「・・・・・・ただいま」」」

 

貴浩「・・・・・・・・・・・・」

 

命「あっ、お帰りなさい」

 

明久とムッツリーニ、刀麻は首から

『私は教師をからかった事を反省しています』と書かれたプラカードを下げていた。

そして貴浩は意気消沈して帰ってきた。

 

雄二「明久たちは予想通りだな……で貴浩はどうしたんだ?」

 

優子「かなり疲れてるみたいね」

 

椎名「何があったのでしょうか?」

 

貴浩「……何故か『良いですよ。付き合いましょう』と言ってきたのだが……」

 

優子「えっ?」

 

貴浩「まあそれは冗談だって分かってくれてたみたいだから良いんだが……

   それをよりにもよって船越先生に見つかってな……」

 

秀吉「……それは…」

 

貴浩「その後追い掛け回されてな……」

 

一応近所のお兄さんを紹介して逃げてきたけど

 

雄二「そ、そうか。それは大変だったな……」

 

明久「雄二、絶対に後悔させてやる…!」

 

康太「…………覚えていろ」

 

刀麻「この恨み忘れやしない」

 

貴浩「やったらやり返される……その言葉の意味を教えてやる」

 

雄二「やれるものならやってみろよ」

 

雄二に復讐を誓う俺達。

 

貴浩「二回戦!行くぞおおおおおっ!」

 

「「「イエ――――イ!!」」」

 

貴浩「せーのっ!」

 

「「「「王様!だ~れだ!」」」」

 

愛子「あっ、ボクだね」

 

次は工藤かか。さてどんな命令を下してくるんだろうか?

 

愛子「それじゃあ……2番が4番に5番が8番に10番が12番のホッペにチュー♪」

 

姫路「ホントですかぁぁぁぁぁっ!?」

 

なのは「えっ!?」

 

貴浩「まじか!?」

 

どうしたんだろうか姫路のヤツは?テンションがやけに高いな

どうやら姫路だけじゃなくなのはも選ばれたみたいだな。

そして俺も・・・俺の番号は10番相手は誰だ?

 

砂原「2番と5番、12番は誰なのかなん♪?」

 

姫路「あ、吉井君…吉井君のクジの番号は2番…ですよね…?」

 

明久「姫路さん…」

 

明久はゆっくりと自分のクジを見せる。

そこに書いてあった番号は12番。

 

姫路「え…?」

 

島田「…(トントン)」

 

すると島田が姫路の肩をたたくと、

 

島田・・・2番

 

姫路「あ…ああ…」

 

島田「いらっしゃい…瑞希…」

 

ちなみに5番はムッツリーニだった。

ムッツリーニは顔を真っ赤にさせながらなのはの頬にキスしていた。

 

康太「・・・・・・//////」

 

なのは「////」

 

砂原「あれ? ター君が10番でアッキーが12番ってことは……」

 

貴浩・明久「「あっ」」

 

砂原の発言に今さら気づく俺達

 

命「ええーー!!」

 

貴浩「……マジかよ……」

 

刀麻「2人ともドンマイ」

 

 

 

―――しばらくお待ちください―――

 

 

 

貴浩「なんで俺ばかり……」

 

姫路「わかりました。そういうちょっとHな罰ゲームもありなんですね?

   それならもう! 私だって…! 容赦しません…!!」

 

秀吉「普通は女の子はいやらしい罰ゲームを嫌がる物なのじゃが…」

 

雄二「秀吉、もっともなツッコミだけどあんまり意味が無いと思うぞ?」

 

秀吉「なぜじゃ?」

 

貴浩「あの2人だからな」

 

秀吉「納得がいったのじゃ……」

 

こうしてまだまだ王様ゲームは続いていく。

 

姫路「いきますよ!せーの!」

 

「「「「王様だ~れだ!!」」」」

 

光一「俺だ」

 

今度は光一か。

 

光一「じゃあ5番は11番に、8番は13番に、9番は10番に膝枕をしろ」

 

明久「11番は僕だね」

 

秀吉「ワシは13番じゃな」

 

刀麻「おっ!俺10番だな」

 

椎名「5番、8番、9番はだれでしょうか?」

 

命「…私ですね」

 

楓「私もです」

 

命は5番、楓は8番と書いた紙を出し、ちょっと動くと、

 

楓「はい」

 

命「……どうぞ////」

 

膝を指す。

 

島田「アキ!!」

 

姫路「吉井君!!」

 

雄二「お前ら王様の命令は絶対だからな。邪魔するなよ」

 

明久「えっと…じゃあお願い…」

 

命「…うん////」

 

秀吉「では楓よ…よろしくなのじゃ////」

 

楓「はい…どうぞ////」

 

なのは「それで9番は誰なのかな」

 

貴浩「………俺だ……」

 

なんで俺ばかり当たるんだ…

 

刀麻「なんで男なんだー!!不幸だー!!」

 

貴浩「俺だって不幸だよ!!」

 

光一「すみません貴浩殿・・・」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

明久、命、秀吉、楓の4人は顔を真っ赤にさせてていた。

俺は可笑しいな。教室にいるのに雨が振ってて前が見えねーや

 

刀麻「……それでは四回戦だ、せーの…」

 

「「「王様だーれだ!?」」」

 

一斉にクジを引く……さて次は誰だ?

 

皆「「「「………………」」」」

 

流れる沈黙……

 

翔子「…………」

 

クールな……いや、クールを通り越し吹雪を思わせる雰囲気でクジを見せつける。

そこに書かれていたのは『王』の文字。

 

雄二「…………!? すまんが急用が!!」

 

貴浩・明久・康太・刀麻「「「「逃がすかぁ!!」」」」

 

雄二「ぐわあっ!!」

 

雄二が脱走を企てるや否や、俺達が雄二を捕獲した。

 

貴浩「さあ王様、ご命令を!」

 

雄二「うぐぐっ、やっやめろ!離しやがれえぇぇ!」

 

翔子「……うん」

 

4人がかりで雄二の腕や足を掴み身動きを封じる。

 

雄二「いっ、嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!! やめろ!!」

 

翔子「……じゃあ、4番の雄二は後で私とデートする」

 

雄二「はっ?」

 

って霧島は雄二の番号がわかるのか?ってか番号あってるのか?

 

明久「霧島さんそれで良いの?」

 

翔子「……うん」

 

命「それより、坂本君の番号は4番ですか?」

 

雄二「あぁ、4番だ」

 

前の霧島なら過激な事をしかねないが、今は大丈夫そうだな。

まあ今に限ってはつまらないがな・・・チッ!

 

雄二「おい、今変な事考えなかったか?」

 

貴浩「気のせいだ」

 

 



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ポッキーゲームと焼失と王様ゲーム

5/8 修正


翔子「……五回戦……」

 

「「「王様だーれだ!?」」」

 

一斉にクジを引く……さて次は誰だ?

 

楓「あ・・・私ですね」

 

楓か。楓ならまともな命令を出すだろう・・・それで俺の番号は……9番か

 

楓「………なら9番が2番にデコピンをする」

 

秀吉「楓らしい優しい命令じゃな」

 

貴浩「俺が9番だな。さて誰が2番だ?」

 

雄二「ん? 俺が2番だな」

 

貴浩「なに? 雄二だと?」

 

雄二「…………!? すまんが急用が!!」

 

明久・康太・刀麻「「「「逃がすかぁ!!」」」」

 

雄二「ぐわあっ!!」

 

再び雄二が脱走を企てるや否や、明久達が雄二を捕獲した。

 

明久「さあ貴浩、王様の命令遂行してください!」

 

刀麻「さっきのは何もなかったからな」

 

康太「・・・・・・・・・最初の恨み」

 

雄二「うぐぐっ、やっやめろ! 離しやがれえぇぇ!」

 

貴浩「さてと……雄二……覚悟はできたか?」

 

俺は雄二にジリジリと近づいていく。

雄二は逃げようともがくが明久たちによって逃げ出せない状態になっていた。

 

優子「……どこまで本気なのよ……」

 

貴浩「俺のこの指に全てをかける!そして今までの鬱憤もこめる!」

 

雄二「まっ、待てっ──」

 

ドッゴーーーーーーーーーン!!!

 

俺の最高の一撃が雄二のデコに決まった。

 

貴浩「ふぅ~少しはスッキリした」

 

愛子「今完全にデコピンで出る音じゃなかったよね・・・?」

 

椎名「凄い音でしたね」

 

砂原「記念に写真1枚とってあげるね♪」

 

刀麻「じゃあ次だな」

 

「「「「王様!だ~れだ!」」」」

 

砂原「私だねん♪」

 

貴浩「げっ!? 砂原かよ……嫌な予感がするな……」

 

砂原「なんだよ。ひどいこと言うな~。

   じゃあ、8番と9番、1番と6番がポッキーゲーム!!」

 

貴浩「なんだと!?」

 

雄二「ここでソレがくるのか」

 

明久「ポッキーゲームって確か両端から食べていくゲームだよね」

 

光一「王道っていえば王道だよな」

 

砂原「さて番号を呼ばれたのは誰かなん♪」

 

そういえば俺は何番だ?

 

貴浩「えっーと、俺は1番か………1番だと!?」

 

光一「良かったじゃないですか」

 

貴浩「いや、まだ分からんぞ。今までの流れで行くと相手は男だという可能性がでかい」

 

雄二「今日の貴浩は不運続きだからな」

 

貴浩「最初の不運はお前のせいだけどな」

 

優子「……貴浩が1番ね。6番当たれ(ボソッ)」

 

愛子「……貴浩君は1番か…6番当たって(ボソッ)」

 

優子と愛子は誰にも気づかれないよう小声でそうつぶやき自分の番号を見ると

 

優子「……8番(ガクッ)」

 

優子は11番と書かれたクジを見て肩を落とした。

 

愛子「ボクは……6番だ!」

 

優子「えっ嘘!?」

 

愛子「ごめんね優子。でもこればかりは運だからね」

 

優子「くっ」

 

愛子がガッポーズをとり優子が落ち込む

 

命「あれ? 愛子ちゃんそれ6番じゃないよ」

 

命が愛子のクジを見てそう告げる

 

愛子「えっ?」

 

楓「本当ですね。それ9番ですよ。数字の下に・が書かれてますから」

 

愛子「そ、そんな~」

 

優子「ということはアタシは愛子とするわけね」

 

愛子「そうなるね」

 

康太「・・・・・・・・・女同士////(プシューーー)」

 

明久「2人ともドンマイだね」

 

雄二「なら誰が6番なんだ?」

 

康太「……なのはじゃないよな?」

 

なのは「私じゃないよ。私は12番だもん」

 

貴浩「……まさか刀麻じゃないよな」

 

翔子「……今までの流れではありえるかも」

 

俺は恐る恐る刀麻に尋ねると

 

刀麻「ああ、俺じゃないぜ。俺は5番だからな」

 

貴浩「よ、良かった。これで相手が男という可能性が消えたな。助かったぜ。マジで」

 

明久「なら相手は誰なんだろう?」

 

椎名「………私です」

 

そこで椎名がおずおずと手を挙げる。

 

優子・愛子「「えっ!?」」

 

椎名「……私が6番です////」

 

貴浩「……マジか?」

 

椎名「マジです」

 

貴浩「……男じゃなくて嬉しいけど相手が女だと逆にキツイな。

   なんか罪悪感が出てくるぞ」

 

砂原「これは面白い展開になったねん♪」

 

雄二「まあ王様の命令は絶対だから覚悟するんだな」

 

貴浩「……まあ椎名。俺じゃ嫌かもしれんけどよろしくな。

   恨むなら砂原を恨んでくれ」

 

椎名「……嫌ってわけでもないんですけど恥ずかしいです」

 

優子「なんでこういうときに限って私じゃないのかしら」

 

愛子「そうだね」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

貴浩「予想以上に恥ずかしかったな////」

 

椎名「・・・・・・//////」

 

もちろん途中で折れた。いや折った。さすがにキスなんてできるわけないだろ。

 

優子「……こんな命令でも良いのね」

 

愛子「そうだね。失敗したな。今度王様になったら……」

 

雄二「それじゃあ、ラスト。せーの!」

 

「「「「王様!だ~れだ!」」」」

 

明久「よし、僕だ!!」

 

最後は明久がで取った!!

 

明久「んじゃ、1番から16番までの全員は……」

 

「「「……(ゴクッ)」」」

 

明久「隠し持ってる僕らの女装写真・コスプレ写真を焼き捨てる!!」

 

明久が言ってる事はムッツリーニ商会や砂原が時々販売している写真の中に

明久の女装写真や俺が清涼祭の時にコスプレ写真が売られていたりしているので

それを全て捨てろということだ。

 

「「「「そ、そんなああああぁぁぁ!?」」」」

 

貴浩「それは名案だな!」

 

俺も清涼祭でとられたあのコスプレ写真を消去したいし

 

姫路「そんなのひどいです!!あんまりです!!」

 

島田「そうよアキ、それにそれだと木下の写真まで燃やすことになるのよ!?」

 

明久「本人が嫌がってるし別にいいと思うよ。

   もう僕には必要ないものだしね。それに楓にも悪いしね」

 

楓「ありがとうございます明久君」

 

貴浩「ってか優子と愛子まで驚くとはな」

 

愛子「えっ、あははは」

 

貴浩「……まさかお前ら……」

 

優子「……つい出来心で」

 

貴浩「捨てなさい!」

 

愛子・優子「「……はい」」

 

明久「さぁ!!おとなしく写真を出すんだ!!」

 

姫路・島田「「い、いやぁぁぁあ!!!!」」

 

 

【写真を処理中】

 

 

命「凄いですね……」

 

刀麻「何時の間に撮ったんだよこれ…」

 

光一「つうか没収作業したら明久と貴浩のBL本が……」

 

光一がそういうと床に没収したBL本が並べられる。

そこには貴浩×明久、貴浩×雄二、明久×雄二、明久×康太、貴浩×刀麻

 

明久「うわぁ・・・結構あるね」

 

ムッツリーニ「・・・・・・・・・俺のもある」

 

貴浩「よし、燃やすついでに書いた奴調べてくれ」

 

光一「当たり前です」

 

部屋の隅で島田は膝を抱え、姫路は目が虚ろとなっていた。

 

貴浩「処理活動は続けるとして・・・」

 

他にもムッツリーニや砂原からも取り上げた写真を燃やしながら、

 

明久「とりあえず……」

 

「「「解散!!」」」

 

こうして、王様ゲームは終了した。

 



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オカルト編
失敗と本質と妖怪召喚獣


5/8 修正


【学園長室】

 

現在、学園長室には学園長はもちろんのこと

鉄人を含めた教師数人が今起きている出来事の頭を悩ませていた。

 

鉄人「……学園長。コレはなんですか?」

 

鉄人が代表として学園長に問うと、

 

学園長「そう非難がましい目をするんじゃないよ西村先生。

    ちょっとシステムの調整に失敗しただけじゃないか」

 

鉄人「……これのどこがちょっとですか?」

 

学園長「ちょっと見てくれが悪いだけさね」

 

鉄人「そうですか……」

 

リリス「これで少しですか……」

 

学園長「ああ、そうさね」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

学園長「…もうすぐ、夏、だねぇ…」

 

高橋「学園長、遠い目をしても無駄ですよ」

 

ルーティ「で、コレどうするですか?」

 

スタン「さすがにコレはマズイですよね」

 

学園長「わかってるよ。それじゃ、復旧作業進めるから森田先生手伝っておくれ」

 

森田「それは構わないけど。これが生徒に発覚したらどうするつもりよ?」

 

ジュディス「そうね。コレがばれたら少しマズイ事になりそうね」

 

学園長「どうもこうもないさね。問題は見てくれだけだからね。

    ガキ共が騒ごうが、特に気にする必要もない」

 

鉄人「ということは?」

 

学園長「なるようになる、ってだけさ」

 

森田「やれやれ・・・これだから、この学校は・・・」

 

 

 

 

        ☆

 

 

 

 

 

期末試験から数日経ったある日の事。

 

貴浩「そういえばさ召喚獣の装備は一度リセットされたんだろ?

   どう変わったのか見てみたいんだが」

 

雄二「そういうやそんな事言ってたな」

 

明久「じゃあ。一度、召喚獣を呼び出してみようよ。

   皆がどんな装備になっているのか気になるし。

   僕も自分の装備がどう変わったのかも気になるしね」

 

雄二「そうだな。戦力の把握は試召戦争に必要不可欠だ。 

   幸いにも廊下にレイブンがいることだし、召喚許可をもらって確認しようぜ」

 

貴浩「じゃあ早速……おーいレイブン!」

 

烏丸「ん? どうしたのかな? 俺ッちになんか用かな?」

 

俺が呼ぶとレイブンはすぐに来てくれた。

 

命「すいません。ちょっと先生にお願いがあるんですが」

 

烏丸「お願いだって?いいよ!聞いてあげるよ!」

 

命「少し召喚許可をもらいたいだけですから」

 

烏丸「あー……」

 

ん? どうしたんだろう・・・

 

烏丸「まぁ、君達なら問題ないだろうからね……いいよ、承認しちゃう」

 

歯切れが悪いというか・・・もしかしてまた問題があったのだろうか?

 

明久「それじゃ、サモン!」

 

明久率先して召喚獣を呼びだす。

 

そして……

 

「「「「え?」」」」」

 

現れた召喚獣に、全員が目を疑った。

いつもなら学ランに木刀と言った装備のデフォルメされた明久。

その筈なのに、白銀の甲冑に身を包んだ、一振りの大剣を携えた騎士が姿を現したのだ。

それもデフォルメではなく、殆ど召喚者と変わらない姿と大きさで。

 

雄二「おいおい……明久のくせに、妙に贅沢な装備じゃないか?

   それに随分とでかいな。試召戦争が本物の戦争みたいになりそうじゃないか」

 

秀吉「そうじゃな。これならば、本物の人間とさして変わらんからの」

 

貴浩「確かに明久は今回の試験で大分成績が上がったがここまでとはな」

 

雄二「だが所詮は明久だな。こんなブサイクじゃ、甲冑に着られてるもいい所だ」

 

雄二が明久の召喚獣の頭を軽く小突くと

 

明久「あ、痛っ!」

 

その叩かれた頭は首から離れ、ゆっくりと重力に従って地面に落下。

胴体から離れた首が転がり、何度も回転した後に動きを止めた。

 

命「きゃぁぁぁーっ!?」

 

明久「えぇぇっ!?な、何コレ!?

   僕の召喚獣がいきなりお茶の間にお見せ出来ない姿になってるんだけど!?」

 

雄二「ん? ああ、すまん。そんなに強く叩いたつもりはなかったんだが……

   待ってろ、今ホッチキス持ってくる」

 

貴浩「いやいや、そういう問題じゃないだろ。ん?」

 

ふと、召喚獣を見ると一向に消える様子を見せない。

戦闘不能になったら、すぐに消滅してしまう筈のそれは未だに顕在していた。

 

貴浩「明久、ちょっと召喚獣を動かしてみろ」

 

明久「え? あっ、戦闘不能って訳じゃないみたいだね」

 

光一「どうやら首は外れる物の、戦闘不能という訳ではみたいだな」

 

秀吉「ど、どういうことじゃ!?」

 

貴浩「……レイブン……どういうことだ?」

 

烏丸「……織村…まあ見ての通りだね」

 

光一「って事は学園長が何かミスしたってことですね」

 

なにやってんだあの妖怪長は……しかし……

 

楓「…これ多分ですけど試験召喚システムって確か、

  科学技術とオカルトと偶然で成り立ってますから、

  オカルト的な要素が色濃く出てるんじゃないでしょうか」

 

貴浩「……そうだろうな……」

 

明久「何やってるんだ…あの人は…」

 

命「でもどういう基準でこうなったんでしょうか?」

 

烏丸「学園長の話を聞く限りでは、どうも召喚者の特徴や本質から

   喚び出される妖怪が決定されるらしい」

 

明久「じゃあ僕の場合、騎士道精神が……」

 

貴浩「そんな訳がないな。首なし騎士(デュラハン)てことは、頭がない。

   つまりバカという方が妥当だな。

   いくら成績が上がってもお前の本質はそういうことって事だ」

 

試験召喚システムにまで“バカ”認定された明久は、どこか遠い目をしていた。

 

秀吉「では次はワシが召喚してみるのじゃ。サモン!!」

 

そう言って現れたのは・・・

 

『ポンッ!!』(猫又)

 

秀吉の召喚獣は猫又のようだ。

 

雄二「どうやら秀吉の特徴は『可愛い』ということらしいな。」

 

秀吉「つ、ついにわしは召喚システムにまでそんな扱いを・・・」

 

貴浩「ドンマイ」

 

楓「あまり落ち込まないでくださいヒデ君」

 

秀吉「楓よ…ありがとうなのじゃ」

 

須川「ならば、俺たちも!!」

 

近藤「俺達の本質はなんといってもジェントルマンだからな。 

   酷い召喚獣なんかが出てくるわけがない。」

 

FFF団は自信満々に言うと、

 

「「「「「サモン!!」」」」」

 

『ポンッ!』(ゾンビの山)

 

楓・命「「きゃあぁぁぁ!!」」

 

貴浩「なるほど『性根が腐ってる』だな」

 

姫路「では、私も・・・サモンッ!!」

 

姫路の召喚獣か・・・

 

『ポンッ』(サキュバス)

 

姫路「きゃぁああああっ!?」

 

姫路は召喚獣を隠すようにして立った。

 

光一「で、どういうチョイスなんだろな」

 

雄二「胸がでかいってことじゃないのか?」

 

姫路「うわああああん!」

 

光一の言葉に、雄二が何のためらいもなく言ってのけた。

 

楓「『大胆』じゃないでしょうか? 時々姫路さんってとんでもない事を天然でやるし」

 

姫路「うぅ…」

 

島田「ふふっ。瑞希ってば、可哀想に。 

   そんな大きな胸をしているからあんな格好の召喚獣が出てきちゃうのよ」

 

姫路「うぅ…あんまりです…」

 

雄二「じゃあ次は島田だな? 戦乙女や雪女みたいなのが出てきたりしてな」

 

貴浩「確かに島田は好戦的だからな。そう言った戦闘タイプのが出てきそうだな」

 

島田「じゃあ、サモン!!」

 

『・・・ゴゴゴゴゴ!』(ぬりかべ)

 

雄二「……さて、ムッツリーニはどうなんだ?」

 

明久「……そうだね、呼んでみてよ」

 

雄二と明久は何も見なかったようにムッツリーニのほうを振り向く。

 

康太「・・・・・・サモン」

 

ムッツリーニの近くに、血色の悪いマント姿の少年が現れた。

その姿から察するに、ヴァンパイア。

 

光一「成程、確かにいつも血を欲してるイメージがあるからな」

 

明久「若い女が好きという点も酷似してるよね」

 

島田「ねえアキ…」

 

明久「……何?」

 

島田「…この召喚獣、ウチに何を言いたいのかしら…」

 

貴浩「『胸がない』つまり『ペッタンコ=平たい』だろ?」

 

明久「貴浩!?」

 

楓「兄さん!?」

 

島田「(グサッ!!)・・・OTL」

 

あ、落ち込んだか。

 

楓「わ、私も出してみますね、サモン」

 

次は楓が召喚獣を召喚した。

 

『ポンッ』(ティターニア)

 

貴浩「…これは妖精か?」

 

康太「・・・・・・おそらくティターニアだと思う」

 

命「そのティターニアって何ですか?」

 

康太「・・・・・・確かシェイクスピアの戯曲

   【真夏の夜の夢】に登場する妖精の女王の事だったはず」

 

秀吉「おお、それは楓にお似合いの召喚獣じゃな」

 

貴浩「確かに…妖精ってのも同意できるな」

 

秀吉「うむ、貴浩の言うとおりじゃの」

 

命「じゃあ次は私がやってみますね。サモン」

 

『ポンッ』(ウンディーネ)

 

命「これは?」

 

貴浩「これはまさかウンディーネか?」

 

明久「僕もそう思ったよ」

 

楓「そのウンディーネっていうのはどういうものなんですか?」

 

レイブン「確かウンディーネは美しい女性の姿をした水の精霊で人間の男性との

     恋愛譚も多くて心優しい女性が死後変身するという一説があるらしいね」

 

秀吉「心優しいか命らしいではないか」

 

明久「うん、命にピッタリだと思うよ」

 

命「明久君ありがとう」

 

貴浩「俺もやってみるか、サモン!」

 

『ポンッ』(ウリエル)

 

焔の剣をもった天使が現れた。

 

貴浩「……天使?」

 

楓「天使みたいですね」

 

烏丸「これはもしかしてウリエルかもしれないね」

 

明久「それはどういう天使なんですか?」

 

烏丸「確か…7大天使の1人で、懺悔の天使として現われ、

   神を冒涜する者を永久の業火で焼き、不敬者を舌で吊り上げて火であぶり、

   地獄の罪人たちを散々苦しめるという説や

   ウリエルという名前は、「神の光」「神の炎」を意味してたと思うよ」

 

雄二「それを聞くと納得できるな」

 

明久「どういうこと?」

 

雄二「神を冒涜する者を永久の業火で焼き、不敬者を舌で吊り上げて火であぶり、

   地獄の罪人たちを散々苦しめるというというのは貴浩では神=楓に該当するんだ」

 

明久「あ~それなら納得だね。

   つまり楓を冒涜したりするヤツを苦しめるってことだもんね」

 

貴浩「いや~照れるな」

 

楓「いや照れないでくださいよ」

 

光一「じゃあ俺も…サモン」

 

『ポンッ』(死神)

 

明久「死神?」

 

光一「まあ妥当なところかな」

 

雄二「まあ光一は認めたヤツ(貴浩や明久、楓)に手を出すと残虐になるからな」

 

明久「で、雄二はどうなのかな?」

 

雄二「そうだな、サモン!」

 

雄二の呼び声に答え、現れる召喚獣。

鍛え上げられた肉体を露わにした、下にズボンをはいてるだけの姿。

そして・・・

 

貴浩「また手ぶらだな」

 

どうやら今回も、ゲンコツという攻撃方法らしい。

 

明久「で、一体何の妖怪なのこれは? ズボンだけっていう、

   今までより退化してる装備なのはともかくとして、これだと変態だね」

 

雄二「おい明久、ちょっとツラ貸せや」

 

貴浩「だが雄二コレ、何か言い返せるとこあるか?」

 

雄二「くっ……ねえな」

 

俺の発言を聞き自分の召喚獣をみて返す言葉が見つからなかった。

 

秀吉「まあまあ落ち着くのじゃ」

 

そこで、雄二の召喚獣がぶるぶると身ぶるいを始めた。

その口が大きく裂け、全身からすごい勢いで毛が生えてくる。

 

明久「なるほど狼男か。じゃあ雄二の特徴は野性だね」

 

命「でっでも、満月でもないのに変身って、おかしくないですか?」

 

貴浩「それはアレのせいじゃないか?」

 

雄二の召喚獣の目線を辿ると、そこには未だほったらかしの明久の召喚獣の首が転がっていた。

 

貴浩「やっぱり皆、何気にお似合いの召喚獣だな」

 

しかし・・・なんともまぁ・・・俺が天使となぁ

意外だったな・・・俺は死神とかそういう風な感じだと思ったんだが・・・

まあこれはこれでありか・・・・・

 

貴浩「さて、じゃあこの事を聞きに妖怪長のところに行くか」

 

明久「そうだね」

 

そして俺達は学園長室へと向かって行った。




貴浩→ウリエル
楓→ティターニア
命→ウンディーネ
明久→デュラハーン
雄二→狼男
秀吉→猫又
ムッツリーニ→ヴァンパイア
光一→死神
姫路→サキュバス
島田→ぬりかべ
Fクラスの面々→ゾンビ(腐っている)

という感じにしてみました。

オリキャラが多いと考えるのが大変でしたOTL


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肝試しとPRと試作腕輪

5/8 修正


貴浩「失礼します」

 

学園長「ん? 織村兄に吉井に坂本かい…なんだい何のようさね。今忙しいんだが?」

 

学園長室に俺と雄二と明久が入ると

そこには学園長と森田先生、高橋先生が何やら作業をしていた

 

貴浩「いや、今回の召喚獣ですが……アレなんですか?」

 

学園長「……どうやら知ってしまったようだね」

 

森田「そうみたいね。でどうやって知ったのかしら?」

 

雄二「なに、偶々レイブン…烏丸先生が居たから召喚許可を頂いて召喚したんだ」

 

森田「まったくあのバカは……」

 

高橋「仕方がありませんよ。どっちにしろ坂本君と木下君は

   召喚獣を召喚する腕輪を持ってましたから時間の問題でしょう」

 

貴浩「あれ直るんですか?」

 

森田「……もう知ってるみたいだから言うけど、直るのには時間がかかるわね」

 

学園長「今回調整に失敗してオカルトの部分が強くでたからね」

 

明久「大変ですね」

 

雄二「ってか珍しく素直だな。誤魔化すと思ったんだが」

 

森田「あんた達はもうあの召喚獣を見たんだから言い訳が聞かないでしょう。

   なら素直に言ったほうが早いわ」

 

明久「でもこれってマズくないですか?

   これでまた問題になることも考えられるんじゃ?」

 

確かに明久の言うとおりだ。

この前のシステムの異常からまだそこまで日にちが経っていないのにコレだ。

それでまた学園に問題ありと言われたらたまったもんじゃない。

 

高橋「確かにそうですね。ですから今急いで修復作業に取り掛かっているんです」

 

そうだな…なら……

 

貴浩「なら、コレを利用すればいいんじゃないですか?」

 

学園長「……どういうことだい?」

 

俺の言葉に作業をしながら話していた先生達の手が止まる。

 

貴浩「この状況ってすぐには直らないんですよね」

 

学園長「そうさね」

 

貴浩「なら、このままの状態にしておくんです」

 

雄二「なんだと?」

 

森田「どういうつもりよ?」

 

俺の発言にこの場に居る全員が首を傾げる。

 

貴浩「もうすぐ夏だから、肝試しにはもってこいの季節が近いじゃないですか。

   だからその為に召喚獣を妖怪仕様にカスタマイズしたと言うんです。

   そしてコレを夏休みの間も持続させておいて

   夏休みにある学園紹介とかで使用するとかも言えば皆も納得するでしょうし」

 

雄二「そういうことか。つまりサプライズとして知らせようとするんだな。

   ついでにそれで召喚獣の戦闘とかをビデオとかで録画するのもいいかもな」

 

貴浩「そういうこと。そしてその間にいつでも元に戻せるようにすればいいんですよ。

   これなら学園のPRもできて誤魔化せもしますから一石二鳥ですしね」

 

森田「確かに織村の言う通りね。そっちのほうが安全ね」

 

ここにきてのシステムの不調など、マイナス要素にしかならないからね。

それでもし転校とかの騒ぎになったらたまったもんじゃない。

 

学園長「じゃあ織村の案を貰って早速肝試しの企画をまとめるかね。

    召喚獣らしく、点数を使っての勝負を盛り込んだ企画も含めて」

 

貴浩「そうですね」

 

学園長「なら詳しいことが決まったらあんた達にも手伝ってもらうからね」

 

貴浩「わかりました」

 

ぶっちゃけそれならあわよくば夏休みにある補習も潰せるかもしれないし

 

明久「では、失礼します」

 

学園長「そうだ。少し待ちな」

 

ん? 俺達が学園長室から出ようとすると学園長に止められた。

 

雄二「なんだ?」

 

学園長「いや坂本には用は無いよ。

    用があるのは織村と吉井、アンタらだよ」

 

ん?俺と明久だと?何かやったかな?

 

学園長「アンタらの腕輪を1度返してもらうよ」

 

明久「えっ!? 何でですか?」

 

学園長「吉井は今回の期末で相当点数が上がったみたいだしね。

    今のアンタの点数だと暴走する危険性があるからね。

    そして織村のは、さすがにその腕輪の副作用は危なすぎるからね。

    少し修理してみるのさ」

 

貴浩「そういうことですか。確かに俺の腕輪の失陥はフィードバックの倍増ですからね」

 

明久「僕の腕輪は確かBクラス並の点数だと暴走する恐れがあるんだよね」

 

学園長「今までは何とか問題にはならなかったが、今後はどうなるか分からないからね」

 

貴浩「そういうことなら」

 

明久「僕も」

 

俺と明久は腕輪を学園長に渡す。

 

学園長「で、ついでにコレを渡しておくよ」

 

学園長がそういうと俺に青色の明久に灰色の腕輪を渡した

 

貴浩「これは?」

 

学園長「コレは試作品の腕輪さね。織村の腕輪の能力は『融合』さね」

 

雄二「効果はなんだ?」

 

学園長「織村に渡すから織村の召喚獣と他の人の召喚獣の融合だね。

    点数は織村の点数+相手の点数で、融合人数制限は一応なしだね」

 

雄二「ありえない能力だな」

 

学園長「ただ欠点として、1つ、相手の同意が必要。

    2つ目に点数が0になった時融合した相手も補習になる。ってとこだね」

 

雄二「貴浩にはあまり縁のない欠点だな」

 

明久「そうだね。点数も高いし操作能力もあるしね」

 

森田「で、吉井に渡したのは武器チェンジの腕輪ね」

 

明久「ってことは僕の武器をかえることができるんですね」

 

森田「ええ、アンタの召喚獣の操作技術は高いから、

   多数の武器をどれだけ扱えるのかデータが欲しくてね」

 

学園長「というわけで腕輪が直るまでその腕輪を使っておくれ。

    ついでに言うと多くのデータを取っておいておくれ」

 

貴浩「わかりました。一応自分特別処遇者ですから、

   そういう実験の手伝いもしないといけませんしね」

 

明久「僕もいいですよ。僕もいろんな武器を使ってみたかったですし」

 

学園「わかってくれたならいいさね。では帰っていい」

 

そして俺達は教室へと向かった。

 



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失念と恐怖と改装作業

5/8 修正


~翌日~

 

学園長から召喚獣についての説明、そして1週間後に肝試しをすることが決定した。

そのため一時試験戦争は中止となった。

 

貴浩「でも胆試しか…俺が提案しておいてなんだが…」

 

秀吉「どうしたのじゃ貴浩よ?浮かない顔をしておるが?」

 

貴浩「ああ…1週間後肝試しすることになっただろ?」

 

秀吉「そうじゃな。それがどうしたのじゃ?」

 

貴浩「1つ問題があってな…楓ってお化けとか苦手なんだよ…」

 

秀吉「なんじゃと!?」

 

貴浩「・・・だからな」

 

自分で提案しておきながら自分で首をしめるって・・・最悪だな

 

秀吉「そうじゃったか…じゃが安心するといい。

   楓にはワシがついておる。楓が怖い思いをせぬようにしてみせるのじゃ」

 

貴浩「……そうだな。秀吉に任せるとするか。さて……」

 

『おーい! 誰かそこの釘をとってくれー!』

 

『暗幕足りないぞ! 誰か先生に言って借りて来い!』

 

『ねぇ、ここの装飾って涸れ井戸だけでいいのー?』

 

現在、文月学園の新校舎・旧校舎の3階は肝試しのための改装作業で大いに賑わっている。

 

秀吉「それにしてもこれはまた、凄い騒ぎじゃな」

 

砂原「そうだねん♪ 織村君のおかげだねん♪」

 

貴浩「なんでそれを知ってるんだ?」

 

砂原「私の情報網をなめちゃいかんぜよ♪」

 

明久「それにしても、まさかAクラスまで協力してくれるとは思わなかったよ」

 

優子「Aクラスといっても私たちもあなた達と同じ高校生よ。

   勉強ばっかりでは息がつまるもの。

   それに期末試験も終わったばかりだし、渡りに船と言ったところよ」

 

そこへ明久の隣に来ていた優子が明久の問いに答える。

 

明久「そりゃそっか。遊びより勉強が好きな高校生なんてそうそういないよね」

 

秀吉「そうじゃな」

 

姫路「わ、私はできれば、肝試しよりはお勉強の方が……」

 

楓「私もそこまでは言いませんけど…」

 

島田「だ、大丈夫よ瑞希。どうせ周りは全部作り物なんだし、

   お化けはウチらの召喚獣なんだから、怖いことなんて一つもないわ」

 

姫路「それはそうですけど、それでもやっぱり苦手です・・・・・・」

 

楓「私も苦手です」

 

砂原「私も苦手だよん♪」

 

貴浩「嘘だっ!!」

 

砂原の発言につい大声で否定してしまう。

 

砂原「あれ? すぐにばれちゃった?」

 

貴浩「当たり前だ。すぐに気づくわ!」

 

砂原「まぁまいいけどねん。で、ミナミナはどうなの?」

 

島田「ウチ!? う、ウチはこんなもの、

   怖くも何ともないから目を瞑っていても平気なんだから!」

 

命「あの、島田さん……? 目を瞑るのは怖がっている証拠ですよ……」

 

島田「な、何よアキ、織村その目は!

   ウチの言ってることが信用できないって言うの!?」

 

明久「う~ん……だって、さっきから美波は怖がっているようにしか見えないからさ」

 

島田「じょ、冗談じゃないわ! 怖いわけないじゃない!」

 

これ以上ないってくらい動揺しているが?

 

砂原「そう言えば、噂で聞いたんだけどねん♪」

 

楓「……」

 

姫路「?」

 

島田「な、何よ」

 

砂原「この学校の建っている場所って……実はワケありらしいよ」

 

姫路「わ、ワケありって何ですか・・・・・・?」

 

楓とその隣にいる島田と姫路が砂原の発言に不安げにしている。

 

砂原「あははっ。それはね――本当にお化けが出るんだってさぁああああっ!」

 

姫路「きゃぁあああっ」

 

と、これは砂原の声に驚いた姫路の悲鳴

 

楓・島田「「いやぁあああっ!」」

 

そしてこれは、同じく驚いている楓と島田の悲鳴

 

明久「みぎゃぁああっ!」

 

ちなみにこれは、驚いた姫路と島田が勢いよく飛びついてきたおかげで

頸椎と背骨に深刻なダメージを受けた明久の悲鳴。

 

明久「美波、姫路さん……砂原さんの冗談だから、離して……くれないかな……?」

 

解放してもらえないと明久の命に関わるぞ。

 

島田「う、うそ……っ!だって、ウチには聞こえてくるもの……!」

 

姫路「そ、そうです。『呪います、殺します』って……!」

 

そんな台詞、どこからも聞こえてなんて――

 

清水「吉井明久……!お姉さまと抱き合うなんて、どこまでも憎たらしい男です……!

   呪います……!殺します……!」

 

視界の隅に縦ロールの髪型をした小柄な女の子が映った。

彼女はDクラス所属の清水美春。

女の子なのに同性の島田に恋心を抱いてしまっている困った人間だ。

……どうやら明久を呪い殺したいほど妬ましいようだ

 

楓「ひ、ヒデ君……っ!私にも聞こえるんですが……っ!」

 

清水の声が聞こえたのか、楓も怯えた様子で秀吉を見ている。

周りは肝試しのために薄暗い状態だし、これは怖いかもしれないな。

 

康太「・・・・・・・・・・・・明久、貴浩」

 

「「「きゃぁあああーっ!」」」

 

3人の悲鳴と同時にコキュッと小気味良い音が明久の腰部から聞こえてきた。

恐らくこの音は腰骨から聞こえてはいけない音だろうな。

 

楓「だ、誰かと思ったら土屋君ですか……驚かさないでください……」

 

姫路「まったくです……驚きましたよ……」

 

島田「ま、まったくよ……おかげでアキの腰がおかしな方を向いちゃったじゃない」

 

康太「・・・・・・・・・・・・ごめん」

 

申し訳なさそうに謝るムッツリーニ。

 

貴浩「おい明久。大丈夫か!? 今治すからな(ゴキッ)」

 

愛子「ははは(苦笑)大丈夫だった、吉井君?」

 

明久「うん、大丈夫だよ工藤さん。貴浩もありがとうね。で、ムッツリーニ。僕に何か用?」

 

明久は苦笑しながらも心配してくれる工藤さんに返事しながらムッツリーニに尋ねる。

 

貴浩「で、俺と明久に何のようだ?」

 

康太「…………向こうのロッカーを動かして欲しい」

 

ムッツリーニがAクラスの教室の隅に置いてある大きなロッカーを指差した。 

流石はAクラス。収納スペースといい俺達の物とは比べようがないほど立派なロッカーだ。

確かにあれを人の力で動かすのは難しいだろう。アレを動かすとなると召喚獣の力が必要だろう。

しかも動かすのは教師か観察処分者の明久か特別処遇者の俺しかいないだろう。

 

明久「分かったよ。それじゃ、召喚許可を」

 

康太「・・・・・・・・・・・・もう頼んである」

 

ムッツリーニの後ろの方にスタン先生の姿が見えた。

こういう雑用の時だと先生の許可もスムーズで助かる

 

スタン「2人ともいつでもいいぞ」

 

明久「OK!んじゃ、試獣召喚っ(サモン)」

 

貴浩「じゃあ俺も試獣召喚っ(サモン)」

 

今までの召喚獣と違って手足が長いから、こういった作業の時は便利かもしれないな。

召喚獣を動かして目的のロッカーの前に立たせる

 

愛子「貴浩君の召喚獣って天使なんだ」

 

優子「そうみたいね。似合ってるわね」

 

貴浩「どもども」

 

俺はそういうとロッカーの前に向かう

 

貴浩「このロッカーをどけたらいいんだな?」

 

康太「・・・・・・・・・・・・(コクリ)」

 

明久「じゃあ貴浩。一緒にいくよ」

 

ロッカーのサイズが思ったより大きかったので2人がかりで持ち上げる事にした。

指示を受けた召喚獣がロッカーに手をかけた時、

明久の召喚獣の頭がコロリと外れてしまった。

 

「「「・・・・・・・・・・・・っ!?」」」

 

楓と姫路と島田が息をのむ様子が見て取れた。

確かに今の薄暗い教室の中でこの光景はちょっと怖いな。

 

明久「頭が外れちゃうと不便だなぁ・・・・・・」

 

康太「・・・・・・・・・・・・ガムテープで固定するとか?」

 

明久「う~ん……一旦消すとまたテープを貼らなきゃいけないなんて面倒だし、

   折角の肝試しなんだから首が外れないと意味がないし……このままでいいや」

 

それに夏休みの企画が終わったら召喚獣は元に戻されるだろうから、

今しか味わえないこの感覚を楽しむ事にしよう

 

明久「じゃあ動かすよ――よいしょっと」

 

貴浩「了解」

 

頭を床に転がしておいて両手でがっしりとロッカーを掴ませる。

人の何倍もの力を持つ召喚獣はその重たげなロッカーを抱えあげた。

 

明久「あとはこのロッカーを向こうに持って行って――痛ぁっ!

   何!? 突然頭に激痛が!?」

 

貴浩「どうした明久?」

 

いきなり明久が手で頭を押さえ始めたので明久の召喚獣の頭を見てみると

 

清水「ブタ野郎のクセにお姉さま方の抱擁を受けた罪……死しt――(シュッ)」

 

見てみると、明久の召喚獣の頭を清水さんが思いっきり踏みつけていた。

俺はそれを見てすぐさま明久の召喚獣の頭を取り戻す。

 

貴浩「……何をしているんだ清水……」

 

清水「ぶ、豚野郎!それを私に返しなさい!」

 

貴浩「……誰がお前に渡すか。お前にはお仕置きが必要だな。命……明久の顔を頼む」

 

命「あ、うん・・・・・・分かったよ」

 

貴浩「では、行くぞ(シュッ)」

 

命にアキヒサの召喚獣の頭をあずけた俺は清水を連れてOHANASIしに行った。



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変態と八つ当たりと勝負

5/8 修正


俺は清水とのOHANASIが終わった後クラスに戻り再び作業を始めていると

 

常夏島「「「お前らうるせぇんだよ!!」」」

 

――3人の三年生が怒鳴りこんできた。ん? あの3人は……

 

常村「騒がしいと思ったらやっぱりまたお前か! 吉井!」

 

夏川「お前はつくづく目障りなヤツだな……!」

 

島村「さすが学園初の観察処分者だな」

 

なんだ・・・常夏島トリオか・・・・・・

 

明久「変t――変態先輩でしたっけ?」

 

夏川「おい!? 今言い直そうとしたくせに

   俺達の顔を確認して言い直すのをやめなかったか!?」

 

常村「お前! 俺達を心の底から変態だと思っているだろ!

   常村と夏川と島村だ! いい加減名前くらい覚えろ!」

 

貴浩「それで常夏島先輩。どうしたんですか?」

 

島村「テメェら……個人を覚えられないからってまとめやがったな……」

 

貴浩「いえいえ違いますよ。覚える価値がないのでまとめただけですよ」

 

常村「それはそれで最悪じゃねえか!?」

 

夏川「っていうかお前らうるせぇんだよ! 俺達への当てつけかコラ!」

 

島村「夏期講習に集中できねぇだろうが!」

 

明久「えっ、すいません、上の階まで響いているとh――」

 

貴浩「明久、謝る必要はないぞ。この変態の言いがかりだからな」

 

雄二「そうだな。貴浩の言うとおりだな」

 

明久「え? 貴浩に雄二。言いがかりってどういうこと?」

 

貴浩「俺たちが騒がしいのは認めるが、

   これだってれっきとした試験召喚獣を使った勉強の一つだ。しかも学園長公認のな」

 

雄二「それに何よりここは新校舎だ。旧校舎ならともかく、

   試召戦争という騒ぎを前提として作った新校舎で、

   下の階の騒ぎ声が上の階の扉を閉めた教室の中にまで聞こえるわけがあるわけがない」

 

明久「あ、そっか」

 

貴浩「要するに、この常夏島は。勉強に飽きてフラフラしているところで

   俺達が何か楽しげなことをしているのに気がついて八つ当たりしにきたってわけだ」

 

俺がそういうと常夏島はバツが悪そうに目を逸らした。

 

島村「それじゃあ言わせてもらうがよ! お前らは迷惑極まりないんだよ!

   学年全体での覗き騒ぎに、挙句の果てには2年生男子が全員停学だぞ!?

   この学校の評判が落ちて俺たち3年までバカだと思われたらどうしてくれんだ!

   内申に響くじゃねぇか!」

 

貴浩「何を言っていてんだ?」

 

常村「あぁっ?」

 

貴浩「学年全体の覗き騒ぎではなく、A~Eクラス男子の覗きだ。

   俺達Fクラスは関係ねえよ。まあ刀麻は除くがな」

 

命「貴浩君、それフォローにはなってないですよ?(苦笑)」

 

貴浩「フォローなんてしてないぞ?覗きを行ったのは事実だしな」

 

雄二「まあ貴浩の言うとおりだが常夏島が的外れなことを言ってるのは確かだな」

 

常夏島「「「何だと!?」」」

 

常夏島が怒りの表情でこちらを見てくる。俺は我関せずといった表情で

 

貴浩「確かに文月学園のイメージが落ちたのは事実だが…

   それが直接的に内申に響くわけではないよな。

   内申っていうのは教師がその人の学習活動や学校生活についてを書く文書のことだ。

   だから、お前らがしっかりしてれば内申には響かないんだよ。

   それに文月学園のイメージはこの肝試しが成功すれば上がるしな。

   それにお前らには言われたくないな。清涼祭の時この学園を陥れようとしたお前らには」

 

常夏島「「「ぐっ!」」」」

 

島村「・・・・・・ッメぇら上等じゃねぇk――」

 

西村「喝ッ!」

 

「「「っ!?」」」

 

貴浩「あ、鉄人」

 

島村先輩が怒鳴ろうとした時、鉄人の声が聞こえて先輩は動きを止めた。

ところで何で鉄人がここにいるんだ?学園長先生と一緒みたいだが・・・

 

西村「織村兄…鉄人言うな」

 

優子「どうされたんですか学園長、西村先生」

 

学園長「私と西村先生は少し様子を見に来ただけさね。で、何をモメているんだい?」

 

学園長は周りを見て、そう聞いてきたので

 

優子「それはですね。こちらの先輩方(・・・)が―――」

 

優子が代表して事の顛末を説明してくれる

 

学園長「ふぅそういうことかい……まぁいいよ。

    それじゃあここは私の顔を立てて怒りを納めて欲しいね」

 

「「「あ、はい・・・・・・」」」」

 

さすがのこの3人も学園長に直々にそんな事を言われたら頷くしかない。

 

島村「だ、だが・・・・・・」

 

学園長「これだと2年生と3年生の間に遺恨が残ってしまうね。

    そうさねぇ……なら、3年生もこの肝試しに参加したらどうだい?」

 

常夏島「「「なっ!」」」

 

学園長「ふぅ……。では、こうしようかね。

    ジャリ共、明日の夏期講習・補習の最終日は全員参加の肝試しにするよ」

 

常夏島「「「な・・・・・・っ!?」」

 

学園長先生がやれやれといった感じでそういう通達をすると、

常夏島(クズ)トリオが目を白黒させる。

 

学園長「これはあくまでも補習と夏期講習の仕上げだからね。

    補習と講習の参加者は余すことなく全員参加すること。いいね」

 

そう告げると、学園長は颯爽と教室出て行った。

 

貴浩「そういう事らしいですよ先輩♪ 楽しくやりましょうね?

   清涼祭の時のは水に流して、ね?」

 

夏川「グッ……お、お前らなんざと仲良くやるつもりはねぇ……」

 

雄二「だろうな。俺たちもお前らは気にくわないしな。ってことで、こういうのはどうだ?」

 

常村「あぁ?」

 

雄二「驚かす側と脅かされる側にわかれて勝負をする。適当な罰ゲームでもつけて、な」

 

島村「2年と3年で分かれて、ってことか」

 

雄二「ああ。それなら仲良くやる必要は全くないだろう?」

 

常村「悪かねぇな。当然俺たち3年が驚かす側だよな?

   俺たちはお前らにお灸を据えてやる必要があるんだからな」

 

雄二「ああ。別にそれで構わない」

 

島村「決まりだな……ルールと負けた方への罰は?」

 

雄二「コレが最初俺達と学園側が予定していたルールだ。文句があれば一応聞くが?」

 

そう言って雄二が取り出したのはA4サイズのプリント。

俺達も受け取ったプリントに目を通してみる。

 

えっと、内容は――

 

①2人一組での行動が必須。1人だけになった場合のチェックポイント通過は認めない。

 ※1人になっても失格ではない

②2人のうちのどちらかが悲鳴をあげてしまったら、両者とも失格とする

③チェックポイントはA~Fの各クラスに1つずつ。 合計6ヶ所とする

④チェックポイントでは各ポイントを守る代表者2名(クラス代表でなくても可)と

 召喚獣で勝負する。撃破でチェックポイント通過扱いとなる

⑤一組でもチェックポイントを全て通過できれば驚かされる側、

 通過者を一組も出さなければ驚かす側の勝利とする

⑥驚かす側の一般生徒は召喚獣でのバトルは認めない。あくまでも驚かすだけとする

⑦召喚時に必要となる教師は各クラスに一名ずつ配置する

⑧通過の確認用として驚かされる側はカメラを携帯する

⑨設備への手出しを禁止する

 

 

 

明久「へぇ~、結構凝ったルールだね。 面白そうだね」

 

雄二「あとはこれに設備を壊した時の代償を追加する予定だ」

 

常村「おい坂本。この悲鳴の定義はどうなっている?」

 

雄二「そこは声の大きさで判別するつもりだ。

   カメラを携帯させるからそこから拾う音声が一定値を超えたら失格になる」

 

夏川「そんな事ができんのか?」

 

康太「・・・・・・・・・・・・問題ない」

 

砂原「問題ないよ」

 

ムッツリーニと砂原が親指を立てる。さすがだな。

 

島村「チェックポイントの勝負科目はどう決める?」

 

雄二「それについてはお互いに2つずつ科目を指定ってことでどうだ?」

 

島村「2つずつ? 3つずつじゃないのか?」

 

雄二「ああ。もう既に数学と現国と教師には話をしてしまってるんだ。

   受験で選択され易いその2つならそこまで有利不利もないし問題ないだろ?」

 

A~Fクラスなので、チェックポイントは全部で6つ。

そのうち2つは現代国語と数学で決定済みで、残り4つをそれぞれが選ぶということになる。

 

夏川「坂本よぉ。それよりさっさと負けた側の罰を聞かせろよ」

 

雄二「そうだな。負けた側は2学期にある体育祭の準備や片付けを

   相手の分まで引き受ける、ってことでどうだ?」

 

2学期に予定されている体育祭。

それは結構大掛かりなイベントで、準備も片付けもそれなりに手がかかる。

 

島村「随分とヌルい提案じゃねぇか。さては、勝つ自信がねぇな?」

 

貴浩「はぁ……。本当に馬鹿だな」

 

島村「何だと!?」

 

雄二「貴浩の言う通りだな」

 

貴浩「この勝負は皆には伝えていない。

   それなのに、重い罰ゲームを相談なしに決めて学年全体から

   顰蹙(ひんしゅく)を買いたいんですか?」

 

島村「……けっ」

 

雄二「そう逸るなよ先輩。勝負がしたいのなら先輩達はチェックポイントにいてくれたらいい。

   個人的な勝負をするからな?」

 

常村「チェックポイントで直接対決か……面白れぇ。その話、乗ったぜ」

 

貴浩「それじゃ、勝負はその時ってことで。楽しみにしてますよ、先輩?」

 

島村「クズどもが。年上の怖さを思い知らせてやる」

 

……面倒な準備作業のある脅かし役を押し付けられても気付かないなんて、本当にバカだな。

 

さて続きでもやるか

 

 



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腹いせと不問とペア相手

5/8 修正


明久「うわ…何か、凄いことになったね…」

 

秀吉「そうじゃな…ここまでやるとなれば、

   学園側もかなりの投資が必要じゃったんじゃろうに…」

 

お化け屋敷と化した教室を覗いて見て、正直驚いた。 

薄暗い雰囲気といい、外観からでも伝わってくるほどに

複雑そうな構造といい、まさかここまでなるとは…

 

雄二「とりあえず、これは3年側も結構本気だな。 

   相手も講習最終日くらいはハメを外したかったってところか?」

 

姫路「こ、ここまで頑張ってくれなくても良かったんですけど…」

 

島田「そ、そうよね。頑張りすぎよね」

 

楓「うぅ…」

 

秀吉「楓よ大丈夫かの?」

 

楓「…大丈夫ですよ……」

 

貴浩「雄二。確か俺達は体育館に集合だったよな?」

 

雄二「ああ。3年はA~Fクラスの教室、俺達は体育館でそれぞれ準備。 

   開始時刻になったら1組目のメンバーから順次Fクラスに入っていく寸法だ」

 

康太「……カメラの準備もできている」

 

ムッツリーニが大きな鞄を掲げてみせた。

あの中には何台かのカメラが入っているようで、

俺達はそのカメラを持って中を進んでいくらしい。

不正チェックと通過の証拠、あとは待っている人を退屈させないためだとか、

色々と理由があってカメラを使うことになっている。

 

貴浩「俺達の準備はカメラとモニターの用意と……組み合せ作りだな」

 

明久「そっか。組み合わせを決めてなかったよね」

 

俺達は話をしながら旧校舎の空き教室へと入る。

 

貴浩「で、雄二。ペアはどうするんだ?」

 

雄二「組み合わせは折角だから、極力男女のペアになるようにするか。

   その方が盛り上がるだろ。」

 

貴浩「………本音は?」

 

雄二「翔子とペア組むように脅された腹いせに全員を巻き込んでやろうと思った。

   正直、俺と翔子だけ男女ペアなんて恥ずかしいからな」

 

腹いせかよ!?

しかし…だれと組むか…こういう時、明久たちはいいよなペアが決まってるから。

 

「「「織村君」」」

 

突然周りにいた女子が俺に詰め寄ってくる

 

貴浩「ん? なんだ?」

 

「「「私と組んでください(組んで)」」」

 

貴浩「はい?」

 

ん? 俺の聞き間違いか?そうだ…そうに違いない

 

『須川会長。我等の意に反し女子と組もうとする輩が…』

 

『『『異端者に死を!』』』

 

ソレを嗅ぎつけない程甘くはない。

それがFFF団こと、異端審問会のメンバーである。

だが対策はある。

 

貴浩「なあお前ら…もし俺を処刑するとならばお前達も同じことになるぞ?」

 

須川「どういうことだ?」

 

貴浩「さっき雄二が言っただろ“男女ペア”って。 

   ならもしここで俺に手を出したら自分達にも降りかかってくるんじゃないか?

   折角今回女子と楽しめるかもしれないのにそのチャンスを自分の手で潰すのか?」

 

須川「よしっ!今回の件は不問とする。皆もよいか?」

 

『『『意義なし』』』

 

ふっ…簡単だったな。

 

明久「ねえ雄二。ペアもそうだけど。

   皆が居るんならもう1度ルールを伝えたほうが良いんじゃない?」

 

雄二「ん? そうだな。じゃあ皆、今回のルールを確認しておくぞ」

 

 

≪ 肝試し ルール ≫

 ・2人1組での行動が必須、1人だけになった場合のチェックポイント通過は認めない。

  (1人になっても失格ではない)

 ・2人の内、どちらかが悲鳴を上げれば両者とも失格。

 ・失格していなかったら途中でペアの交代もあり。

 ・チェックポイントは、各クラス合計6か所。

 ・チェックポイントでは、ポイントを守る代表者2名と召喚獣で勝負。

  (クラス代表でなくても可)。撃破でチェックポイント通過扱いとなる。

 ・一組でもチェックポイントを全て通過出来れば脅かされる側、

  通過者を1組も出さなければ脅かす側の勝利。

 ・脅かす側の一般生徒は、召喚獣でのバトルを認めない。

  あくまで脅かすだけとする。

 ・召喚時に必要となる教師は各クラスに1名ずつ配置する。

 ・通過の確認用として脅かされる側はカメラを携帯する。

 ・設備への手出しは禁止(一般公開する為)

 

 Fクラス 現代国語 

 Eクラス 英語

 Dクラス 保健体育

 Cクラス 数学

 Bクラス 世界史

 Aクラス 物理

 

 

 

雄二「ってな感じだな。皆よくルールを覚えておけよ」

 

明久「それで貴浩はペアどうするの?」

 

貴浩「どうするかな? そういう明久は命とだろ?」

 

明久「うん、一緒に頑張ろうね命」

 

命「はいっ、少し怖いですけど頑張ります!」

 

貴浩「いいね。相手がいるヤツは…俺はどうするかな?」

 

優子「それならアタシと……」

 

愛子「それなら僕と……」

 

貴浩「ってか俺はそれよりこの腕輪を試してみたいな」

 

命「何ですかその腕輪?」

 

貴浩「ああ、これか。これは召喚獣同士の融合が可能となる腕輪だな」

 

命「融合ですか。凄いですねソレは」

 

貴浩「だろ。まあペアはとりあえず状況を見てから組むさ」

 

明久「そう…」

 

優・愛「「……」」

 

貴浩「ん? どうした二人とも」

 

優子「何でも無いわ」

 

愛子「まさかの貴浩君の選択にビックリだよ」

 

貴浩「?」

 

そこへ

 

清水「お姉様っ! 肝試しのペアでしたら、美春が立候補します!」

 

島田「み、美春!?」

 

清水「さぁ、お姉さま! 美春とペアを!!」

 

島田「もうっ!離れなさい美春!ウチはアンタと組む気なんてなくて…」

 

そこで島田の目線が明久に向いた。

 

島田「悪いわね美春。ウチ、実はアキと組むことになってるの。

   だから、またの機会にしてもらえる?」

 

明久の腕を掴もうと島田は手を伸ばすが

 

島田「えっ?」

 

その手は空をきり明久の手は命の手へと向かった。

 

明久「ごめん美波。僕、命と組む事にしたんだ。だからペアは他の人に頼んでね」

 

清水「だそうですよ美波お姉様! そんなブタ野郎より私と……」

 

島田「い、嫌よ!」

 

島田はそういうとその場を物凄い勢いで逃げ出していった

 

翔子「……雄二、肝試しなんて怖い」

 

雄二「ウソつけ。怖がってると言うのは、ああいうのを言うんだ」

 

姫路「……でもやっぱり、肝試しなんて怖いです」

 

楓「やはり目の前にすると少し……」

 

雄二の指差した方向には、これからやる事を思い出して震えてる女子2人。

 

翔子「……成程。ゆ、雄二、私、怖い」

 

雄二「思いっきり棒読みじゃねえが──ぎゃああああああっ!!!」

 

貴浩「おーい霧島。やりすぎるなよ」

 

雄二「そこは助けてくれよ!」

 

貴浩「なんだろ…ペアがいるヤツを今日は助けたいと思えない」

 

康太「・・・・・・鈍感」

 

貴浩「何か言ったか?」

 

康太「・・・・・・何も言ってない」

 

こうして、学年肝試し勝負が幕を開けた。



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妖怪と開始とFクラスクオリティ

5/8 修正


現在は待機場所である体育館に2年皆が集まって大型のモニタで観戦していた。

さすがに一学年が集まるので教室では狭いので待機場所は体育館になったのだ。

 

明久「本当にお金掛けてるね」

 

貴浩「召喚獣を用いた肝試しだからな。そこらのお化け屋敷じゃ比較にならんだろ」

 

雄二「システムの宣伝にもなるし、

   あのババァ長にしてみれば調整失敗さまさまって所……」

 

学園長「聞き捨てならないセリフだねえ」

 

そこへ割り込んできた声。ふと、3人が振り向くと……

 

貴浩「なんだ? 誰の召喚獣だコレは?」

 

雄二「見間違えるのも無理もないがこれはババァだ。失礼だろ」

 

明久「雄二も失礼だよ。学園長だって好きで妖怪みたいな姿をしてる訳じゃないんだから」

 

学園長「3人とも失礼だよクソジャリ共!!」

 

「「「「「……すみません、学園長」」」」」

 

3人の漫才に怒る学園長に、楓と命、優子と愛子、翔子が揃って謝った。

他の生徒は苦笑いしながら俺達を見ていた。

 

貴浩「で、どうしたんです?」

 

学園長「様子を見に来たのさ。2年3年とも血の気が多いみたいだからね」

 

貴浩「……否定はできないな。まあ自分の案だから上手くいけば良いですけどね」

 

雄二「さて、そろそろ始めるか」

 

肝試しの様子は、プラズマディスプレイにて表示される事になっている。

 

学園長「肝試しなんて久しぶりだねえ。

    アタシの若い頃なんか、墓場を通ってのチェックポイントに……」

 

明久「ババァ長、人類の歴史を語ってないでこっち来てください」

 

貴浩「違うぞ明久。それは実話だぞ。だって妖怪なんだから」

 

明久「あ。そっか。ババアは脅かす側だもんね」

 

学園長「アンタらは……」

 

いざ、肝試し開始

 

『ね、ねぇ……あの角、怪しくない……?』

 

『そ、そうだな……何かでてきそうだよな……』

 

設置したモニターから、

先兵として出撃したDクラス男女ペアの送ってくる映像と音声が流れてくる。

演出の為に光量が絞られていて、ボヤけた感じのその画は、

体育館で見ていても結構なスリルがあった。

 

『そ、それじゃ、俺が先に行くから』

 

『うん……』

 

カメラが見るからに怪しい曲がり角を中心に、周囲を映していく。

カメラを構えた2人は、入念な警戒態勢を取りながらそちらへと歩を進めていった。

 

姫路「み、美波ちゃん……あの影、何かいる様に見えませんか?」

 

島田「きき気の所為よ瑞希。何も映ってないわ」

 

島田と姫路が、手を取り合ってモニターを遠目から見ている。

そして、カメラが曲がり角の向こう側を映し出し、身構える面々。

しかしカメラには、その先に続くただの道を映し出しただけだった……が

 

『『ギャアアアアアアっ!!』』

 

「「きゃああああああっ!!」」

 

その次の瞬間、向こうから大きな悲鳴が響き島田と姫路が同時に悲鳴を上げる。

それに合わせて、各クラス面々の女子も悲鳴を上げた。

 

康太「…………失格」

 

ムッツリーニが用意してある機材を指差して呟く。

 

『ち、血まみれの生首が、壁から突然出てきやがった……』

 

『後ろにいきなり口裂け女が居るなんて……』

 

そんなつぶやきが聞こえてくる。

 

光一「……どうやら、向こうもカメラを通じてこちらの様子が見えてるらしい」

 

明久「え? そうなの?」

 

光一がそう呟くのに、明久が疑問を投げかける。

それに貴浩と雄二も参加しての談議が始まった。

 

貴浩「でないと、カメラの使用なんて俺達にとって有利だろ。

   少なくとも、何があるかが俺たち後発組に自然にわかる」

 

光一「貴浩殿の言う通りだ。向こうも見ていたとしたら、

   標的がどの位置でどの辺に注意を払ってるかが分かるからな」

 

雄二「それに向こう側としてもタイミングが取りやすい上に、

   視覚から襲いかかるのも簡単だ」

 

明久「あっ、そっか。おまけに僕と貴浩以外の召喚獣は物に触れないから、

   障害物を通り抜けて急襲掛けられるね」

 

刀麻「成程な。何台も固定カメラを設置しなくとも、

   俺達自身が情報を与えているのか。

   それは向こうもさぞかしやりやすいだろうな」

 

モニターでは既に、2、3組目の悲鳴が上がり、失格となった。

最初からこれでは、勝負の先が思いやられる。

 

貴浩「だからと言って、失格になり過ぎると後々のチェックポイントが辛いな」

 

明久「確かにね。数が減ればそれだけ危険性は増すわけだし」

 

雄二「だったらコッチも手を打つか。須川&福村ペア、朝倉&有働ペア出番だ!」

 

雄二がその場に座ったまま声をあげると、

 

『行ってくるぜ!』

 

『カメラは俺が持つぞ!』

 

時間をずらして突入する為、朝倉&有働ペアは待機。

須川&福村ペアがカメラを構え、2人は何の躊躇もなくスタスタと歩を進めていく

 

楓「あ、こうやって何でもないかのように映して貰うと先ほどよりも怖くなくて助かりますね」

 

命「そうですね。これならまだいいですね」

 

普通に警戒してる人のカメラワークより、

こうやって無警戒でどんどん進んでいく方が怖くない。

それにこうやってずんずん進まれると、脅かす側もタイミングが取りづらい。

 

『おっ、あそこだったか? 何かでるって場所』

 

『だな』

 

立て続けに3ペアがやられた曲がり角を映し出す。

2人がカメラを構えたまま曲がり角を曲がり、何気なく横を移すと……

 

「「きゃああああーっ!」」

 

そこには、血みどろの生首が浮いていた。

そしてそのままカメラはさらに動き、背後を映し出す。

そこに居たのは、耳まで口が裂けているキミが悪い女のひと。

 

「「「「きゃあああああっ! きゃああああああっ!!」」」」

 

もう各クラスのほぼ全員が悲鳴をあげていた。

けれど……。

 

『おっ、この人少し口は大きいけど美人じゃないか?』

 

『いやいや、こっちの方が美人だろ。

 首から下がないからスタイルはわからないけど、血を洗い流したらきれいな筈だ』

 

さすがFクラスというべきか冷静に相手を見定めていた。

 

明久「やっぱりね」

 

貴浩「さすがFクラスだな」

 

刀麻「こういう時は頼もしいな」

 

島田「な、なんでアイツらあんなに平気そうなのよ!?

   アキ達も! 怖くないの!?」

 

明久「いや、だって……」

 

明久は俺と雄二とムッツリーニに目配せをして頷く。それに答える様に、3人は頷いた。

 

明久「別に命の危険がある訳じゃないからね」

 

貴浩「姫路と島田が明久にしてる拷問とか、

   FFF団の行動からすればまだ可愛いもんだろ」

 

雄二「グロい物はFクラスで散々見慣れてるしな」

 

康太「…………あの程度、殺されかけている明久に比べれば大したことはない」

 

今更流血程度で驚くような繊細な神経の持ち主などFクラス男子には存在しないからである。

 

『それにしても暗いな・・・何かに躓いて転びそうだ。』

 

『それなら丁度良い物あるわ。あそこにある明かりを借りて行きましょう。』

 

装飾品として飾られている提灯が映し出される。 

二人が拝借しようと近づいて行った。

 

【――ボンッ】

 

「「「きゃぁあああーっ!!」」」

 

突如、提灯に鬼のような顔が現れて、寸法のおかしな手足が生える。 

あれは提灯お化けだろうな。なるほど。セットの中に召喚獣を紛れ込ませていたのか。 

上手い演出だなぁ。

 

『ん?これ掴めないぞ?』

 

『召喚獣なら掴めるでだろ。サモン。』

 

そんな向こうの粋な演出も意に介さず、

一人の喚びだした召喚獣に提灯お化けを持たせて先に進み始めた・・・

手足をバタバタと動かしている提灯お化けがちょっとだけ可哀想な気がする・・・

 

優子「な、なんか…かなりシュールな光景ね…」

 

愛子「そ、そうだね…」

 

砂原「さすがFクラスだね。話題性に事欠かないよ」

 

椎名「それお褒めてないよ」

 

貴浩「まあそれがFクラスクオリティだからな」

 

なのは「それっていいのかな?」

 

翔子「……雄二。怖いから手をつないで欲しい」

 

雄二「黙れ、翔子。お前は全然怖がってなかっただろ」

 

翔子「……怖くて声が出なかった。」

 

雄二「嘘はいけないな、悲鳴を上げるタイミングを計り損ねただけだろ」

 

明久「雄二、2人のおかげで相手の仕掛けが分かったね。」

 

雄二「そうだな。あいつ等がチェックポイントまで行くのも時間の問題だろうぜ。」

 

ほかの人達のカメラも大分先へと進んでいた。 

後発の何組かは来るものが分かっていても驚いて失格になったりもしていたけど、

概ね順調に2年生の侵攻は進んでいく。 

しかしそれはあらぬ形で崩れた。

 

『あー、畜生。何でこの俺が須川なんかと……』

 

『お前がモテないから悪いんだろ』

 

モニターから、不快そうな会話が響いてくる。まあ普通は女子と楽しむべき肝試しが、

よりにも寄ってFクラス男子と組む羽目になったら不満だろう。

 

『なんだと須川……? お前だって声かけて全滅してただろうが』

 

『ち、違う! あれは別に断られた訳じゃない!

 向こうには向こうの事情があったんだ!俺がモテない訳じゃない!

 上手くいけば、織村の様に声を掛けられてる筈なんだ!』

 

『俺だってそうだ! 俺はモテない訳じゃない! タイミングが悪いだけなんだ!』

 

康太「……失格」

 

雄二「アイツらは何をやってるんだ……?」

 

貴浩「……感心しようとした俺がバカだった」

 

アトラクションに驚く事もなく進んでいた2人はあっさりと失格。

……それも、頭の悪い言いあいにより。

 

貴浩「けどまあ、朝倉と有働がまだいるんだし、

   チェックポイントまでの仕掛けはわかるだろ」

 

雄二「そうだな。それが終わったら、貴浩に行って貰う」

 

貴浩「ん? 俺が?」

 

愛子「……チャンスかも(ボソッ)」

 

優子「……チャンスね(ボソッ)」

 

ここで俺がか? まあ雄二だから何か考えがあるんだろうな

 

雄二「まあ妥当だろ。お前の新しい腕輪の力も見ておきたいしな。

   それにおそらくチェックポイントには……」

 

そして、ついに2人のカメラが開けた場所を映し出した。 

その場所の中心には2年生の2人と、現代国語の寺井先生が待ち構えていた。

 

『どうやら、チェックポイントみたいだな。』

 

『ま、順調だな』

 

『『『『サモン!!』』』』

 

俺達がモニター越しに見守る中、先生の許可の下でそれぞれの召喚獣が喚びだされ、

その点数が表示された。 まずは3年生側の点数が明らかになる。

 

 

【現代国語】

 

3ーA モブA    モブB

    232点 & 264点 

 

 

『『ちょっとまt──』』

 

光一「やはりAクラスの人が来たな」

 

『──おい、話が──』

 

雄二「3年は予備校に通っている人達も多いだろうから、

   きっちり成績優秀な人を用意してきたな」

 

『『・・・・・・orz』』

 

普段俺や霧島等の点数をよく見るせいで勘違いするが、

普通は200点を超えるだけでも胸を張れるくらい凄い成績だ。

つまり、画面に映っている先輩たちは成績の良い人達ってことだ。

そして、対するこちら、2年生側の成績は・・・

 

2-F 朝倉正弘  &  有働住吉

      44点 &    49点

 

やはりFクラスだけあって、一瞬でやられていた。

 

貴浩「そういうことか。なら俺が行くのが納得だ」

 

雄二「そういうことだ。お前の点数と操作技術なら勝てるだろ」

 

貴浩「まあ、頑張るとするぜ」



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有名と融合と攻略

5/8 修正


雄二「さて、操作技術の高い貴浩と……そうだな……現代国語が得意な椎名に行かせる」

 

優子「えっ?」

 

愛子「嘘!?」

 

椎名「私ですか?」

 

雄二がそういうと優子と愛子は驚きの声をあげ

椎名は自分が呼ばれるとは思っていなく聞き返す。

 

雄二「ああ、翔子と砂原に聞いたんだが椎名は現代国語は腕輪持ちって聞いてるからな。

   なら貴浩の操作技術と合わされば勝てるだろうからな」

 

貴浩「了解。さていくか椎名」

 

椎名「はい、ではよろしくお願いします」

 

俺と椎名ペアが出ていく時、怨念の視線が集中していた。

それの多くはFクラスの男子だろうが…

何故か優子と愛子や女子連中が落ち込んでいたが何故だろうか?

 

 

 

        ☆

 

 

 

チェックポイントに進んでいく中

 

貴浩「そういえばあまり椎名は怖がってないよな」

 

椎名「コレくらいならへっちゃらです。これならバ○オのほうが怖いですよ」

 

貴浩「いやいや…さすがにアレと比べたら……」

 

もしコレをアレレベルにしたら今驚いてる連中は失神モノだぞ。

ってかそんなレベルだと一般公開できないだろうよ。

そんな雑談をしながら進んでいくとチェックポイントにたどり着く。

 

貴浩「じゃあ椎名行くぞ」

 

椎名「はいです」

 

「「試獣召喚(サモン)」」

 

 

【現代国語】

 

2-F  織村貴浩  &  椎名雪

     292点     412点

 

     

貴浩「おお、さすが点数高いな。それに腕輪もあるしな。

   それに召喚獣の姿は雪女か?」

 

椎名の召喚獣は雪女の姿をしていた。

 

椎名「そうみたいですね。そういう織村君のは天使ですか?」

 

貴浩「ああ、そうみたいだ。ウリエルっていう天使らしいぞ」

 

3年「さすがだな。Fクラスなのにその点数か」

 

3年「2年のエースは凄いな」

 

貴浩「あれ? 俺のことご存知なんですか先輩方は?」

 

3年「ああ、お前のことは有名だぞ。

   何たって清涼祭の召喚獣個人戦で優勝したり、

   教科合宿で教師相手に立ち回ったらしいじゃないか」

 

貴浩「あらま」

 

まさか強化合宿の件まで知ってるとは……

 

3年「さてでは勝負と行きますね」

 

貴浩「わかりました」

 

それを合図に勝負が始まった。

 

3年生方の召喚獣はいったん木綿と猫娘みたいな召喚獣だ。

 

貴浩「……そういえば椎名。召喚獣の腕輪って使えるのか?」

 

俺は戦闘中ふと気になり椎名に聞いてみる。

実際、椎名は400点以上あるので腕輪持ちに値するからな

 

椎名「腕輪自体はありますね。ではやってみますね」

 

椎名がそういうと雪女の腕につけられている腕輪が光りだす。

そして、雪女から氷の息吹みたいな攻撃が繰り出される。

 

3年「おわっ!?」

 

3年「なんだ!? 召喚獣の足が地面にくっついてるぞ!?」

 

貴浩「……召喚獣にちなんだ能力に変わるみたいだな」

 

椎名「そうみたいですね。私の元々の能力は武器の変換ですからね」

 

貴浩「それはそれで便利だな」

 

明久が今持っている腕輪と同じ能力か。

 

椎名「はい! 私は気に入ったます!」

 

貴浩「なら俺も腕輪使うか。椎名召喚獣借りていいか?」

 

俺は妖怪長から貸してもらった腕輪を使うため椎名に尋ねる。

 

椎名「……なんだかわかりませんがどうぞ。使ってください」

 

貴浩「ではお言葉に甘えて『融合(ユニゾン)』!!」

 

俺はキーワードを告げると俺と椎名の召喚獣が融合した。

その姿は、俺の召喚獣(天使)をベースにしており

髪型が椎名の召喚獣と同じストレートヘアーにかわり羽も氷の羽へと変化した。

 

 

織村貴浩(+椎名雪) 694点

 

 

3年「なんだその姿と点数は?」

 

3年「しかも召喚獣が融合しただと!?」

 

椎名「こ、これは凄いです。融合しましたよ! 私感動しました!!」

 

貴浩「こうなるのか……しかも腕輪付か。なら一気にいくか!」

 

俺は腕輪を発動させると右腕に装備していた剣から炎が燃え上がり

羽からは氷の破片が出現した。

そしてそのまま炎の剣で相手を切り裂き氷の破片を射出して相手にトドメをさした。

 

貴浩「よしっ! 俺達の勝ちだな」

 

椎名「はいそうですねっ! 勝利の鍵は友情と努力と──」

 

貴浩「運だな」

 

椎名「運ですか!?」

 

貴浩「まあ冗談だけどな」

 

そこで俺と椎名はハイタッチを決めチェックポイントを通過し皆のところへ戻っていった。

 

Fクラス攻略完了。

俺と椎名は一旦待機所に戻り、次のEクラスに向けての作戦会議が始まった。

 

貴浩「ただいま」

 

椎名「ただいまです」

 

砂原「二人ともおかえりん♪」

 

なのは「タカ君も雪ちゃんも凄かったですよ」

 

刀麻「ああ、アレは本当に凄かったぞ」

 

俺と椎名は帰ってくるなり皆から賞賛された。

 

貴浩「さてと、次のEクラスだが……」

 

雄二「明久、行って来きたらいいんじゃないか?」

 

明久「う~ん。そうだね。そうしようかな?」

 

貴浩「いや、明久は少し待って欲しい」

 

雄二が明久に提案し明久もそれを受けようとしていたところで俺が待ったをかける。

 

雄二「どうした貴浩?」

 

貴浩「明久と雄二はなるべく出るのを避けて欲しい」

 

刀麻「なんでだ?」

 

貴浩「2人は予約があるだろ。あの常夏にな。

   あの2組はおそらくAクラスにいるはずだ。

   だからその前までに脱落になったら話にならないだろ」

 

雄二「そういうことか」

 

刀麻「それなら心配いらないんじゃないか?

   明久と雄二なら滅多なことが無い限り叫ばないと思うし」

 

貴浩「確かに俺達なら滅多なことが無い限り声は出さないだろうが

   ペアの相手は絶対とは言えないだろ……まあ霧島は大丈夫だろうけど」

 

光一「確かにそうだな。もしもということがあるしまだ始まったばかりだからな」

 

貴浩「そういうことだ」

 

雄二「ならEクラスは……」

 

「「「俺たちに任せとけ!」」」

 

そこでFクラスの面々が前に出る

 

雄二「……一応そのつもりだ。まだ始まったばかりだからな。

   数を減らすわけにはいかないしな」

 

明久「それでチェックポイントはどうするの?」

 

雄二「そうだな。Eクラスは英語のチェックポイントがあるからな。まあ砂原は確定だな」

 

砂原「OKだよ!英語は得意だからねん♪で、相手は誰なのかな?」

 

雄二「成績や操作技術を考えれば貴浩や刀麻、明久、光一なんだが、

   貴浩と刀麻、光一は英語の点数は低いからな。

   明久もさっきの話からするともう少し後になるな。

   まあ相方は今のところは保留だな」

 

砂原「そうなんだね♪ まあ楽しみにしているよ」  

   

そこで俺達は出発したメンバーたちの状況をみるため画面に目を向けた。

 



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汚物と悲鳴と気分不快

5/8 修正


明久「雄二。今のところは順調そうだね」

 

雄二「そうだな」

 

周りが墓場なだけで今のとこ何も仕掛けはなかった。

声がでたとしても失格レベルには至らない小さな声だ。問題ないってところだな。

 

明久「……何もしてこないね」

 

秀吉「ということは、向こうもそろそろ動きを見せる頃合いということじゃな?」

 

雄二「ああ。向こうもこっちの様子は筒抜けだからな」

 

貴浩「何かしらの方法で落としにかかってくるだろうな」

 

お互いにカメラを通じて状況を把握できる分、臨機応変な対応が可能になる。 

向こうが順調ならこっちが、こっちが順調なら向こうが手を打つのは当然だ。

 

命「そうなると、今度は何をしてくるのかな?」

 

雄二「さぁな? 見当もつかない…」

 

雄二が言葉を途中で句切ってモニターに身体を向けた

 

優子「何か雰囲気が変わったわね」

 

愛子「そうだね。暗くて分かり難いけど……どうも広い場所にでたように見えるよ」

 

愛子の言う通り、カメラは薄暗いながらも広い空間を映しだしていた。

 

なのは「けど、何も仕掛けがなさそうに見えるけど……」

 

なんだかいやな予感がするな……

 

砂原「広めの空間だけのようだね♪ 

   あとは…中央の上部に照明設備らきしものが見えるくらいだよ」

 

更に目を凝らしてモニターの映像を見る。 

確かに天井の辺りにケーブルのようなものが見える。 

 

『何だか不気味だな』

 

『ああ。よく分からねぇけど、ヤバい感じがするね』

 

近くにいたペアも周りの雰囲気に気が付いたみたいだね。

 

翔子「……人」

 

モニターには、暗闇の空間の中央に誰かが静かに佇む影が映しだされていた。 

あれが向こうの仕掛けだろうか。いや、囮の可能性もある。

何もない広い空間と見せかけて、本命は後ろからの奇襲なんてことだって充分に考えられる。

 

『突っ立っていても仕方がない。先に進むぞ』

 

『分かった』

 

2人が歩を進め、カメラもそれに伴って暗闇の奥を映しださんと移動していく。 

そして、2人が空間の中央まであと三歩、といったところで

『バン』と荒々しく照明のスイッチが入る音が響き渡る。

 

暗闇から一転して光の溢れだしたモニターの中央には、

常夏島トリオの1人である変態先輩こと夏川先輩がスポットライトを浴びて静かに佇んでいた…

 

 

 

 

 

全身フリルだらけの、ゴシックロリータファッションで。 

 

 

 

 

 

『『『『『ぎゃぁああああーーっ!!』』』』』

 

 

モニターの内外問わず、そこら中から響き渡る悲鳴。 

 

命「えっ//////?」

 

楓「へっ//////?」

 

明久と秀吉は命と楓を抱きしめるようにして夏川先輩(オブツ)を見えないようにした。

 

雄二「坊主野郎めっ! やってくれやがったな!!」

 

雄二が叫び。

 

貴浩「汚いっ! やり方も汚ければ映っている絵面も汚い!」

 

だめだ!! すごい吐き気がする!!

 

姫路「きゃぁああ!? お化け!いや、お化けじゃないですけど、お化けより怖いです!」

 

島田「うぅぅぅっ! 夢に見る・・・!」

 

優子「うっ…前に見た根本君よりひどいわ…」

 

愛子「優子…そんなこと言わないでよ…おかげで思い出しちゃっよ」

 

椎名「気持ち悪いです」

 

命「え、えっ!? 何が起きてるの!? 明久君/////!?」

 

楓「何が起きたんですか!? ってそれよりヒデ君////!?」

 

アレを見たものは全員気分不快をおこしていた。

命と楓はわけがわからないと質問してるが見せるわけにいかない。ナイスだ明久!秀吉!

 

翔子「……気持ち悪い」

 

雄二「…翔子大丈夫か?」

 

翔子「……大丈夫」

 

秀吉「あれは流石にわしも耐えられん…! じゃが楓には見せるわけにはいかぬ!」

 

明久「そうだね。あんなもの見せるわけにはいかないよね」

 

貴浩「畜生!! なんてもん見せやがるんだ!!」

 

明久「命に見せないで正解だけど、ダメージがひどいよ…」

 

命「////////」

 

ほかのみんなもこのグロ画像に悲鳴は避けられなかった。と言うか一部失神してる。

 

『何だ? 今、こっちの方から何か聞こえなかったか?』

 

『ああ。 間違いない。 そこで悲鳴g・・・・・・』

 

 

ギャァァァァァァァアアアアアアア!!!!-

 

 

はっ! しまった!! 悲鳴が呼び水になってマズいことになっている!

 

明久「雄二!! 早く手を打たないと全滅する!」

 

雄二「く・・・! 無理だ!」

 

貴浩「あいつら既に突入しているんだ! もう助けようがない!」

 

刀麻「何っ!? 奴らを見捨てるしかないって言うのか!?」

 

そう俺達は何もできず、モニターを見続けることしかできない。 ゴメン、皆!!

 

『ぎゃぁああーっ! 誰か、誰か助k・・・』

 

『嫌だ! 嫌だ嫌だ嫌だ! 頼むからここからだしてくれ!』

 

『助けてくれ! それができないならせめ殺してくれ!』

 

『いやぁぁぁぁああ!!!!!!??????』

 

『奇g&p$#~*krt!?』

 

『アァッー!!!!』

 

康太「・・・・・・・・・・突入部隊・・・全滅・・・」

 

戦力は全て壊滅。モニター越しに見ていた俺達でもこのダメージだ。

直接、見てしまった彼らは、当分社会復帰できないだろう・・・おのれ! 何て惨いことを!

 

貴浩「ここの被害は?」

 

光一「男子一部、そして女子の過半数が…」

 

「坂本!仇を・・・! アイツらの仇を討ってくれ!」

 

「このまま負けたら、散っていったアイツらを申し訳がたたねぇよ・・・!」

 

「あんなの酷すぎる!」

 

Fクラスの生徒だけでなく他のクラスの皆までもが涙ながらに訴えてきた。

 

雄二「分かってる!向こうがそうくるならこっちだって全力だ! 

   こちらからは、ムッツリーニ&八神ペア、貴浩&工藤ペア、

   そして刀麻&砂原ペアの3組を投入するぞ!!」

 

ムッツリーニとなのは、俺と愛子、刀麻と砂原のペアか。

 

貴浩「さすが雄二だな。こんな手を打つとはな」

 

雄二「ああ、こっちだってやりかえさないとな」

 

愛子「だってさ。よろしくね、貴浩君」

 

貴浩「おう!」

 

なのは「康太君。よろしくね」

 

康太「・・・・・・(コクリ)なのはは俺が守る」

 

なのは「//////」

 

砂原「カッコイイねムッツンは」

 

貴浩「刀麻。これ持ってくの手伝ってくれ」

 

刀麻「ん? なんだこのでかい鞄は?」

 

貴浩「まあ必要な道具だな。それより良かったな砂原とペアで」

 

刀麻「…ああ////」

 

雄二「頼んだぞ、6人とも。何としてもアレを突破し、Eクラスをクリアしてくれ」

 

雄二が俺達の目を見て話しかける。 

教室の広さを考慮すると、坊主を突破したら残りはチェックポイントだけのはず。

俺とムッツリーニ、砂原の3人は雄二の意図を読み取り頷き

愛子、なのは、刀麻の3人は好きな相手と行けることで頭が一杯だった。



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撮影と対策と効果抜群!

5/8 修正


貴浩「もうそろそろか・・・」

 

俺達3組は件の場所に近づいていく。 

来ると分かっていても耐えがたい恐怖が周りを包んでいた。 

 

なのは「やっぱり覚悟していても気分が……」

 

康太「・・・・・・・・・大丈夫かなのは?嫌なら戻ってもいいが?」

 

怖がるなのはに声をかけるムッツリーニ。

 

なのは「大丈夫だよ康太君。心配してくれてありがとう」

 

康太「・・・・・・・・・コレくらい当たり前だ////」

 

砂原「ムッツン照れてるのかなん♪」

 

康太「・・・・・・・・・照れてなんかいない(ブンブン)」

 

刀麻「さっきのじゃ全然否定できないぞ」

 

愛子「ねえ貴浩君。あの先だっけ? さっきの面白い人が待ってるのって」

 

貴浩「ああ…そうだな。ムッツリーニ、砂原」

 

康太「・・・・・・準備はできている」

 

砂原「こっちもOKだよ♪」

 

俺は砂原とムッツリーニに合図を出し俺は刀麻に預けていた荷物からあるモノを取り出す。

 

なのは「やっぱりまた真っ暗になってるね」

 

刀麻「突然現れる効果があるだろうからな。

   タイミングを見計らってスポットライトを入れるんだろ」

 

闇の中でカメラがぼんやりと人影を映す。

 

貴浩「そろそろくるぞ」

 

すると、

 

『バンッ!』(スポットライトのスイッチが入る音)

 

『ドンッ!』(俺が刀麻に持たせていた大きな鏡をおく音)

 

『くせfgtwz;:あ、!!』(坊主先輩が嘔吐する音)

 

『パシャ!パシャ!』(ムッツリーニと砂原がカメラで写真をとる音)

 

 

効果抜群だ!!

 

 

夏川「て、てめぇ! 何てものを見せやがる! 思わず吐いちまったじゃねぇか!

   ってか何写真撮っているんだよ! 撮るんじゃねえ!」

 

それを自分で言うか。

 

康太「・・・・・・吐いたことは恥じゃない。それは人として当然のこと」

 

夏川「くそっ。想像を絶する気持ち悪さに自分で驚いたぜ……。

   道理で着つけをやった連中が頑なに鏡を見せてくれねぇわけだ」

 

きっと彼らもすごい吐き気におそわれてただろう・・・

 

愛子「貴浩君。この先輩、ちょっと面白いね。

   来世でなら知り合い程度になってあげてもいいかなって思っちゃうよ」

 

砂原「それは同感だね。こんな面白い先輩は記事にしないと(パシャパシャ)」

 

夏川「ちょっと待てお前ら! 俺の現世を全面否定してねぇか!? 

   っていうか生まれ変わっても知り合い止まりかよ! いつまで写真を撮っていやがる!」

 

貴浩「あ、すみません。俺の友人が失礼を言って。

   ですがあまり喋らないでください、歩く卑猥物先輩」

 

なのは「だめだよタカ君。人の趣味はそれぞれなんだから」

 

夏川「純粋な悪意しか見られねぇよ! っておい!

   これは決して俺の趣味じゃないからな!!」

 

なのは「えっ!?」

 

夏川「なに本気で驚いてるんだよ! ってかその写真どうするつもりだ!」

 

康太「・・・・・・海外のホンモノサイトにUPする」

 

砂原「学園新聞に載せるんだよ♪」

 

夏川「じょ、冗談じゃねぇ! 覚えてろっ!!」

 

坊主先輩はダッシュでその場から去っていった。

これでEクラス最大の脅威は取り除かれただろう。

 

刀麻「あの鞄にはこの鏡が入っていたのか」

 

康太「・・・・・・先に進む」

 

愛子「多分チェックポイントまであとちょっとだよね」

 

貴浩「そうだな」

 

俺達はと変態先輩が向かっていった方向に歩き出す。 

パーティションで作られた通路を少し歩くと、その先では3年生らしき人が2人待っていた。 

予想通りさっきの仕掛けに場所を取り過ぎたようでチェックポイントはすぐ傍にあった。

チェックポイントで対峙している4人はそれぞれ召喚獣を喚び出すところだった

こちらからは愛子と砂原の2人が出る。

 

『『『『サモン!!』』』』

 

砂原の召喚獣は烏天狗で、愛子のはのっぺらぼうだった。 

後ろから見たらどちらも普通の人にしか見えない。

一方、3年生の方はミイラ男とフランケンというラインナップ。 

どちらもメジャーなお化けだから一目でそれと分かる。 

 

 

英語

モブC  303点 &  モブD  301点

 

 

点数は300を超えている。さすがAクラスに入るだけあるな。

 

貴浩「二人とも相手の点数が高いけど頑張れよ!」

 

愛子「うん! 貴浩君の前だし頑張るよ!」

 

砂原「私もやるからにはやるよ!」

 

対する砂原と愛子の点数が表示される。

 

英語

 

工藤愛子  356点 & 砂原鈴歌 468点

 

さすがこちらもAクラス点数が高い。

瞬きすら許されないような刹那の後、

ミイラ男とフランケンは敵と一度も組み合うことなく地に臥した。 

 

なのは「な、今何が起きたの!?」

 

刀麻「わからない。一瞬眩しいと思ったらいつの間にかに終わってた」

 

貴浩「砂原の方はカメラのフラッシュで視界を塞いでからフランケンを切り裂いて、

   愛子は一瞬で全裸になってミイラ男をボコボコにしてまた服を着ていた」

 

刀麻・なのは「「えっ?」」」

 

貴浩「ついでに言うとムッツリーニはその一瞬で出血・止血・輸血を終わらせていた」

 

なのは「康太君も見たんだ…ちょっとOHANASIしようか」

 

康太「・・・・・・・・・そんな事実無い」

 

貴浩「おい、なのはにムッツリーニ夫婦喧嘩は後にして皆のところに戻るぞ」

 

俺達はEクラスを攻略し皆のところに戻った。

そして次のDクラスだが科目が保健体育だったので

ムッツリーニと愛子がそのまま進み何の問題も無く攻略することが出来た。

 

E・Dクラスを突破し、そのまま引き続きムッツリーニと愛子が

クラスの教室をスタスタと2人が歩いていく。 

俺やなのは、刀麻、砂原は明久たちの元へと戻っていた。

先に進んだ2人は、普通のお化けに対してなんら臆することなく先へ先へと進んでいった。

 

刀麻「順調だな。このままあの2人で全部突破できそうだけど、そう問屋が卸さないか?」

 

雄二「そうだな。あちらもムッツリーニの正体に気がついただろうしな。

   そろそろ対策を打ってくるはずだ」

 

刀麻が雄二に言うと雄二も頷いて答えた。

 

雄二「3年生はムッツリーニって名前は知らなくても

   『保健体育が異様に得意なスケベがいる』ってことくらいは知っているはずだ」

 

貴浩「ああ。そうなると、弱点もバレている可能性が高いし、

   それにムッツリーニの点数じゃ突破は難しいだろう。今の2人の役目は偵察だな」

 

そうこう話していると2人の持つカメラが薄明かりの下に佇む女の人の姿を捉えていた。

恐らくあの人が『ムッツリーニ対策』だろうな・・・

 

康太『・・・!(くわっ)』

 

愛子『ムッツリーニ君? 何をそんなに真剣な顔を…って、なるほどね…』

 

徐々にその人の姿がはっきりと見えてくる。

その女の人は髪を結い上げた切れ長の目の綺麗な美人が色っぽく着物を着崩していた。

 

「「「「「眼福じゃぁぁぁぁっ!」」」」」

 

後ろから男子の歓喜の声が上がる。

クールな表情や長い手足。タイプで言うと霧島が一番近い。

そんな人が着物を着崩して色っぽく立っているのだから、皆が叫ぶのも無理はないだろうな。

 

翔子「・・・・・・雄二」

 

雄二「なんだ、翔子。何が映っているんだ?」

 

翔子「・・・・・・私だって、着物を着たらあんな感じになる」

 

雄二「えっと、言ってることの意味が分からないんだが。とにかく目隠しは外してくれないか?」

 

霧島が目隠しをしたまま、ムッとして膨れている。 

自分と同じタイプの人に対抗意識を燃やしているみたいだ。

 

翔子「・・・・・・雄二、結婚式にどちらを着たほうが良い?」

 

雄二「ん? ドレスと着物? まぁ、誰と結婚するかはおいといて、

   悩むくらいなら両方着るって選択肢も…」

 

翔子「・・・じゃあ、着物とドレスの両方着る」

 

雄二「? そうか」

 

康太『・・・この程度・・・で・・・この俺・・・がっ!』

 

愛子『・・・ムッツリーニ君。足にきてるみたいだケド?』

 

康太『・・・(ブンブンブン)』

 

予想通りムッツリーニがいきなりグロッキーになっている。 

それを直接見ても何とか耐えている。しかしあの先輩・・・どこかで見たような・・・

 

なのは「康太君……後でOHANASIだよ」

 

俺の横では真っ黒なオーラを放つなのはがじっと画面を見ていた。

ムッツリーニ……ドンマイ・・・俺にはどうすることもできない

 

小暮『ようこそいらっしゃいました、御二方。私、3年A組所属の小暮葵と申します』

 

愛子『小暮先輩ですか。こんにちは。僕は2ーAの工藤愛子です。

   その着物似合ってますね』

 

小暮『ありがとうございます。こう見えてもわたくし、茶道部に所属しておりますので』

 

愛子『あ、そっか。茶道って着物でやるんだもんね。 

   その服装はユニフォームみたいだもんだよね。ちょっと着方はエッチだけど』

 

小暮『はい。ユニフォームを着ているのです』

 

愛子『そうですか。それじゃ、ボクたち先を急ぐので』

 

小暮『そして、実はわたくし・・・』

 

愛子『?なんですか?まだ何か?』

 

そういえば小暮先輩ってたしか・・・

 

小暮『新体操部にも所属しておりますの。』

 

部活を掛け持ちしてる人だ。(ムッツリーニ情報)

はだけだけられた着物は完全に脱ぎ捨てられ、

その下からは、レオタードを身に纏う小暮先輩が現れた。

 

康太『!!(ブシャァァァァア!!!!』

 

『土屋康太、音声レベルおよびモニター画像全て赤! 失格です!』

 

翔子「・・・雄二、見ちゃダメ」

 

雄二「見えないからな?」

 

命「明久君も見ちゃダメです」

 

明久「目隠しされてるから見えないんだけど」

 

明久と雄二は画面が見えないように命と霧島に目隠しをされていた。

 

『大変だ! 土屋が危険だ! 助けに行ってくる!』

 

『一人じゃ危険だ! 俺も行く!』

 

『待て! 俺だって土屋が心配だ!』

 

『俺も行くぜ! 仲間を見捨てるわけにはいかないからな!』

 

男子の一部が独断専行を始めていた。

 

『『『『『うぉおおおぉぉっ! 新体操――っっ!!』』』』』

 

秀吉「…突入と同時に全員失格したようじゃな…」

 

優子「何でうちの学校の男どもってこうもバカだらけなのかしらね…

   …ところで貴浩は小暮先輩を見てなんとも思わないの?」

 

貴浩「俺か? まあ先輩は魅力的な人だとは思うぞ」

 

優子「……そう」

 

次々と失格になっていく仲間たち(男子のみ)。

しかもそれはFクラス男子だけではなく他クラスの男子も大勢混ざっていた



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雄二と貴浩と一工夫

5/8 修正


3年の小暮先輩によりこちらの男子勢のほとんどがアウトになっていく。

 

明久「雄二、これはヤバいね」

 

雄二「そうだな。このまま放っておいたら男子はほとんど全滅してしまう」

 

貴浩「と言うかもう全滅寸前だぞ」

 

周りを見渡すと男子はもう数えられる程度しかいなかった。

しかも女性陣も先ほどの夏川汚物を見たせいで半数近くがリタイア気味だ。

 

雄二「状況を打開するために、何か手を打たないといけないな」

 

雄二は考え込むようにした後、

 

雄二「よし木下姉と貴浩、秀吉と楓、明久と命の3ペアで行ってくれ。

   お前らならあそこを突破できるだろうし」

 

秀吉「了解じゃ」

 

楓「……怖いですけどヒデ君と一緒なら」

 

優子「はぁ、仕方が無いわね。わかったわ」

 

貴浩「了解。それに数学だから俺の土俵だしな」

 

明久「了解。命一緒に頑張ろうね」

 

命「はい!明久君と一緒なら頑張ります!」

 

雄二「貴浩ちょっと良いか」

 

雄二は俺と明久を呼び寄せると

 

貴浩「どうした雄二?」

 

雄二「貴浩には悪いがチェックポイントの前で物陰に隠れて時間が経ってから進んでくれ」

 

貴浩「ん? どういうことだ?」

 

雄二「まあアレを見てみろ」

 

雄二が指差した方向を見てみると

 

姫路「美波ちゃん!」

 

島田「ええ分かってるわ瑞希! アキの監視をしないといけないもんね」

 

姫路「ええ、明久君が命ちゃんにいけないことをするかもしれませんしね」

 

島田「アキにはOHANASIが必要ね」

 

姫路と島田がまたおかしなことをする気満々だった。

 

貴浩「……そういうことか。了解。チェックポイントはあいつらに任せると言う訳だな。

 

雄二「そういうことだ。姫路と島田なら科目も数学だし大丈夫だろうしな」

 

貴浩「了解。じゃあ雄二、俺はもう一工夫加えてくるさ」

 

雄二「おう!」

 

俺は雄二にそう告げるとある人物の元へ向かった

 

貴浩「よう!」

 

俺が向かった人物とは

 

清水「……なんの様ですのこのブタ野郎」

 

清水の元だった。

 

貴浩「いきなり罵倒かよ……こんな時ぐらい仲良くいこうぜ」

 

清水「……仲良くですって……アナタのせいで美春は……」

 

貴浩「合宿でのことは自業自得だろ。

   そんなことよりお前に良い話を持ってきたんだが……」

 

清水「そんな戯言聞くつもりありませんわ」

 

貴浩「そうか…なら仕方が無いな。お前と島田の中を取り繕おうと思ったんだが、

   余計なお世話だったみたいだな」

 

清水「……待ちなさい……話だけなら聞いてもあげますわ」

 

貴浩「……そうか。なら話すが雄二が皆に言ったように

   これから俺や明久たちが突入するのは知ってるよな」

 

清水「それがどうしたというのですか?」

 

貴浩「ああ…それで島田たちが俺達の後をついてくる気らしいんだ」

 

俺は島田たちが居る方向を指差しながら言う

 

貴浩「もうお前も気づいているだろうが島田は明久のことが好きだってのはわかるな」

 

清水「……認めたくはありませんが」

 

貴浩「お前には話しておくがな。明久は優子と秀吉の妹の命と付き合っているんだよ」

 

清水「……それは本当ですの?」

 

貴浩「ああ、本当だ。だから今あいつらの邪魔をしてほしくない。

   で、今現在島田たちが邪魔しようとしているってのはわかるか?」

 

清水「・・・・・・」

 

貴浩「で、俺の話というのは簡単にいうとお前の応援だな」

 

清水「美春の応援ですか?」

 

貴浩「ああ、お前が島田と上手くいけば明久たちに害は及ばないだろ。

   その時にはお前が島田の傍にいるんだからな」

 

清水「……まあそうなりますわね」

 

貴浩「だろ?で島田って肝試しとかダメらしい。

   それなのに今からしかも自分から行こうとしている。

   アイツが耐えられると思うか?」

 

清水「それは……」

 

貴浩「そこでお前の出番だ。お前も島田の後ろをついていくんだ。

   そこで島田が怯えているところにお前が登場すれば

   お前の好感度が上がるんじゃないか?

   俺達は途中で隠れるからあとは姫路はお前のもう1人のペアに任せて

   お前は島田と肝試しを楽しむといい。

   もしかしたら島田が怯えてお前に抱きついてくるかもしれないぞ」

 

清水「抱きつく……ハァ……ハァ……いいですわ。アナタの話に乗りましょう」

 

貴浩「おう助かる。じゃあ俺達が身を隠してから楽しんでくれ」

 

清水「分かりましたわ」

 

俺は清水にそういうと皆のところへ戻りCクラスへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清水「さてなら誰かとペアを組まないといけませんね」

 

???「それなら私が立候補するよ」

 

清水「アナタは・・・」

 

???「なに、君の邪魔はしないよ。私には僕の目的があるからね」

 

清水「まあいいですわ。くれぐれも美春の邪魔はしないでくださいね」

 

???「ああ、安心してくれ」

 

こうして清水にもペア相手ができた。

 




さて清水のペア相手は誰なのでしょうか?


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我慢と作戦と本気の悲鳴

5/8 修正


優子「こういうの好きじゃないんだけどね……まあ貴浩と一緒だからいいけどね(ボソッ)」

 

楓「……うっやっぱり怖いですね」

 

秀吉「…大丈夫じゃ楓よ。怖いのならワシの手を握っても良いぞ」

 

楓「……それじゃあお言葉に甘えて」

 

楓はそういうと秀吉の手をしっかり握った。

 

優子「良かったわね楓…それより秀吉。顔がにやけているわよ」

 

秀吉「はっ!」

 

貴浩「……ここは我慢、我慢」

 

明久「……なんかこのままじゃ貴浩が失格しそうだよ」

 

優子「違う意味で貴浩が失格しそうね……なら」

 

命「どうするの優姉?」

 

優子はそういうと俺に近づいてきて

 

ギュッ

 

貴浩「えっ?」

 

優子「あたしも少し怖いから手を繋いでもいいわよね?」

 

いきなり俺の手を握ってきた。

 

貴浩「えっ? まあいいけど……」

 

明久「じゃあ命。僕たちも手を繋ごうか?」

 

命「えっ、でも…それじゃ気づかれるよ?」

 

明久「大丈夫だって。この中って結構暗いし木下さんは貴浩のほうに集中してるしね」

 

命「な、ならお言葉に甘えて」

 

明久と命も手を繋いだ。

そして進んでいくと例の先輩のところに辿り着いていた

 

小暮「あら? あなた方は…そうですか。女の子同士の組み合わせできましたか。

   それにもうお付き合いされてる方もいるみたいですしね。

   また1人だけの男性の方にもあまり効果がないみたいですね。 

   それでしたら、わたくしにはできることはありませんね。どうぞお通り下さい」

 

貴浩「じゃあ、お言葉に甘えて進ませてもらうかな」

 

優子「ええ、そうね」

 

明久「……手を離すの忘れてたね////」

 

命「……うん////」

 

楓「行きましょうヒデ君」

 

秀吉「納得いかぬのじゃ。ワシは男じゃというのに」

 

言葉の通り、小暮先輩は脇に避けて道を譲ってくれた。何の抵抗もなく

 

小暮「それにしても無反応というのは正直少しショックですね。

   これでもスタイルには自信があるほうなんですが」

 

貴浩「確かに小暮先輩はとても魅力的だとは思いますよ。

   正直言うと皆と同じように叫びたい気持ちはありますし

   もう少し見ていたい気もしますが

   ……これ以上は何か大事なものを失うような気がしたんです」

 

小暮「……そうですか。ではどうぞお通りください」

 

そして俺達は小暮先輩を抜けて進んでいった。

 

明久「何だか随分あっさりと通過さてくれたね」

 

楓「そうですね」

 

命「あとはチェックポイントだけかな?」

 

優子「そうね後は大丈夫でしょう。チェックポイントは数学が得意な貴浩がいるんだし」

 

秀吉「そうじゃな。貴浩がおれば百人力じゃ」

 

貴浩「あまり俺を頼りすぎるなよ…俺としてはまだ後ろに問題が残っているんだが

   さて何処で隠れるかな(ボソッ)」

 

俺はさりげなく後ろのほうを見てみると姫路と島田がついて来るのが見えた。

その後ろは見えないが清水がついてきているだろう。

 

明久「どうしたの貴浩?」

 

貴浩「どうもしないぞ。さて先に進もうぜ。でも何が起こるかわからないから慎重にな」

 

そうして小暮先輩がいた場所を通過して少ししたところまで進んでいくと

常夏島トリオのもう1人・・・変態先輩が立っていた。 

モヒカン先輩は普通に突っ立っているだけだった。

見たところ何もおかしな道具はないように見える。

 

貴浩「……何が目的だ?」

 

明久「わからないね。さっさと抜けたほうがいいと思うよ。あまり命に見せていたくないしね」

 

そして俺達はそのまま先輩の横を通り過ぎようとすると

 

常村「きたか、木下秀吉。待っていたぞ」

 

秀吉「何じゃ? ワシを待っていた?どういうことじゃ?」

 

貴浩「秀吉、無視して行くぞ。じゃないと変態が映る」

 

秀吉「う、うむ」

 

常村「おい、なんだ今の発言は! ま、まぁいい、待て。

   時間は取らせねぇ・・・良いか、木下秀吉」

 

秀吉「……何じゃ?」

 

モヒカン先輩が真剣な顔で一歩近づき、そしてはっきりと間違えのない口調で秀吉に告げた

 

常村「俺は・・・お前のことが好きなんだ」

 

「「「「!!!!!!」」」」

 

秀吉「■■■■■■■■」

 

その日、俺たちは生まれて初めて、秀吉の本気の悲鳴を耳にした。

 

秀吉「……できればワシと楓でCクラスを突破したかったのじゃが・・・」

 

貴浩「いや、あれは仕方がないと思うぞ……」

 

楓「そうですよヒデ君」

 

明久「そうだよ秀吉。アレは人間なら仕方が無い反応だよ」

 

優子「そうね。アタシも聞いてるだけでも気分が……」

 

貴浩「まあとりあえず楓と一緒に雄二たちのところへ帰ってくれ。

   あまり楓を長く居させるわけには行かないしな」

 

秀吉「そうじゃな…では戻るとするかの楓」

 

そして秀吉と楓はこの場を後にした。俺達は前へと進んでいった。

 

貴浩「さて、そろそろか」

 

明久「そうだね。もうそろそろチェックポイントだろうね」

 

貴浩「じゃあ明久、優子、命ちょっとあそこに身を隠すぞ」

 

明久「えっ? なんで?」

 

貴浩「作戦の1つだ」

 

俺達は曲がり角の隅のほうにあった死角に隠れると

 

島田「アキ。こんなところに命と入って何をするつもりかしら?」

 

姫路「そうですね。吉井君にはオシオキが必要ですね」

 

2人は俺達が隠れていることに気づかず通り過ぎていった。

 

優子「えっ? なんであの2人が?」

 

貴浩「つけて来たんだろうさ」

 

そしてそのすぐ後を

 

清水「お姉様♪すぐに追いつきますわ!」

 

久保「少し落ち着きたまえ清水さん。

   このままでは追いつく前に失格になってしまうよ」

 

清水「はっ!そうでしたわ。いけないいけない」

 

久保「・・・・・・さて、吉井君のためにもあの2人をどうにかしないとね」

 

清水「何か言いました?」

 

久保「いや何も。先に進むとしよう」

 

島田と姫路が通ったすぐ後に清水と久保が通っていった。

その時久保がこちらを1度見てそのまま進んでいった。

 

明久「あれって清水さんと久保君だよね」

 

貴浩「……ああ、清水がいるのはわかっていたが

   まさか久保が清水のペアになってるとは予想外だったな」

 

まあ久保にも何か考えがあるんだろうしな。

 

優子「でも貴浩。清水さんが着いて来てるのは知ってたのね?」

 

貴浩「まあな。島田たちがついてくるの分かってたから清水をたきつけた。

   だが久保が一緒とは驚きだったが……」

 

命「それより4人が先に行ったってことはチェックポイントは任せるって事ですよね」

 

貴浩「だな。まあ姫路がいるから大丈夫だろう。科目も数学だし島田も大丈夫だろう」

 

明久「じゃあ僕たちは戻ろうか。ここにいても意味なさそうだしね」

 

命「そうですね」

 

優子「でも残念ね。せっかく貴浩とペアで戦えると思ってたのに」

 

貴浩「まあそう言うなよ。ちなみに優子のオカルト召喚獣ってなんだ?」

 

命「私も気になります」

 

優子「アタシ? ちなみに吉井君と命はどうなの?」

 

明久「………僕はデュラハンだよ」

 

命「私は水の精霊のウンディーネですね」

 

貴浩「俺は見たと思うが天使のウリエルだな」

 

優子「……アタシは九尾の妖狐よ」

 

貴浩「おっ! なんか強そうだな」

 

明久「そうだね。某漫画でも九尾ってかなり強そうだしね」

 

命「さすが優姉ですね」

 

優子「そうかしら?」

 

俺達は姫路たちにチェックポイントを任して雄二たちの元へと戻った。



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バカと応援とチェックポイント(B)

5/8 修正


雄二たちの元へ戻ると

 

雄二「お疲れさん」

 

貴浩「まあ何もしてないけどな。それよりチェックポイントは?」

 

雄二「ああ、なんなく突破したぞ。

   今もBクラスを明久を探しながら進んでいるぞ」

 

Cクラスのチェックポイントの科目は数学だったので一瞬で蹴りがついたらしい。

 

光一「チェックポイントを通過した時点で誰も前に居ない事に気づかないのか?」

 

貴浩「俺としてはそっちのほうがいいけどな」

 

光一「それもそうだな」

 

雄二「で、今は清水たちが姫路たちと合流して進んでいる」

 

貴浩「おっ! 清水は島田に追いついたか」

 

雄二「お前にしては結構酷い事するよな。島田に清水をあてがうなんて」

 

貴浩「そうか? 俺は清水を応援しただけだぞ(笑)」

 

刀麻「うわっ…凄い笑顔してるよコイツ」

 

明久「あっ姫路さんたちがチェックポイントについたみたいだよ」

 

明久の言葉で画面を見てみると

姫路たち4人がBクラスのチェックポイントについていた。

相手は常夏島トリオの一人の島村と誰かはしらない先輩が立っていた。

 

島田『あれ?もうチェックポイント? アキはどこにいるのよ!?』

 

姫路『吉井君はどこにいるのでしょうか? 早くしないと命ちゃんが大変です』

 

久保『まだ気づいていないんだね二人とも』

 

清水『お姉様。あんな豚野郎のことなんて考えず美春のことを考えてください』

 

3年『なんだこいつ等?』

 

島村『俺が知るかよ』

 

姫路『あの~すみません先輩方。吉井君たちはここに来ましたか?』

 

島村『はっ? 吉井だと? 来るわけ無いだろ。

   ってかお前らが先にBクラスのチェックポイントを通過したんだから

   前に誰もいるわけねぇだろ』

 

3年『それに吉井たちは途中で戻ってたぞ』

 

島田『えっ!? 嘘!? いつの間に!?』

 

3年『じゃあさっそく勝負するか』

 

『試獣召喚(サモン)』

 

【世界史】

3年

 島村辰彦  423点

 3年モブ  351点

 

勝負は一瞬でついた。

 

理由は簡単。

姫路と島田は明久がいないことに今さら気づき落胆しており勝負にすらならなかったからだ。

清水も点数差がありあっさりやられてしまう。

久保はさすがAクラスだけあり粘りはしたが2対1ということもあり

相手の点数を少し減らしたが戦死した。

 

雄二「Bクラスにはあの先輩がいるわけか」

 

明久「点数は驚いたね。まさかあの先輩は400点超えてるなんて」

 

貴浩「さて、なら俺が行くか……相手は俺待ちだろうし」

 

雄二「そうか…ペアはどうする?」

 

貴浩「そうだな。島村先輩の相方を押さえてくれる奴がいいな」

 

明久「ってことは世界史がAクラス並みの人だね」

 

雄二「なら木下優子でいいだろ。木下なら成績も高いし操作技術も悪くないからな」

 

貴浩「了解! じゃあ行くか優子」

 

優子「ええ、よろしく貴浩」

 

愛子「……いいな優子」

 

そして俺は優子とBクラスのチェックポイントにつくと

 

島村「よぉ織村。待ってたぜ」

 

貴浩「そうですか。それはお待たせして悪かったですね。

   では話はやめて勝負といきましょうか」

 

「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

 

【世界史】

 

 2年

  Fクラス  織村貴浩  402点

  Aクラス  木下優子  376点

 

        VS

 3年

  Aクラス  島村辰彦  413点

  Aクラス  3年モブ  311点

 

 

俺の召喚獣は天使、優子の召喚獣は九尾

島村の召喚獣は鬼、相方の召喚獣はフランケンシュタイン

 

貴浩「じゃあ優子。もう1人のほうを頼むぞ。

   俺は先約の島村先輩のほうを相手する」

 

優子「ええ、貴浩頑張ってね」

 

貴浩「ああ」

 

島村「なに戦う前に女といちゃついてんだよ」

 

貴浩「別にいちゃついてないだろ。目悪いのか?

   いや、頭が悪いんだったな。すまないすまない」

 

島村「先輩に向かってなんて口聞いてくれてんだ!? 少しは先輩を敬えよ!」

 

貴浩「無理ですね。アンタを先輩なんて思ってないからな。

   そんな行動すらとってないしな」

 

島村「ちっ、その減らず口黙らせてやるよっ!」

 

そういうと島村先輩の召喚獣が俺に向かってやってくる。

俺はその攻撃を難なくかわし一刀のもとに胴を斬りさいた。

 

貴浩「なんだ?もう終わりかあっけないな」

 

俺はそういうと振り返り優子のほうを見てみると

優子も相手の召喚獣を九尾の尾で締め上げて倒していた。

 

 

 



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天使と鬼と暴露

5/8 修正


貴浩「本当にあっけなかったな」

 

島村「クックク…それはどうかな?」

 

貴浩「どういうこと──ぐっ!」

 

俺は島村先輩の言葉がわからず振り向いたその時わき腹に痛みが走った。

そこで俺が目にしたのは俺の召喚獣が真っ二つにしたはずの島村の召喚獣の姿だった。

しかも2体で

 

島村「油断したな織村。俺の召喚獣の腕輪の力を使ったのよ。

   この召喚獣の能力は『分裂』だ。相手から斬られたりすると分裂するんだ。

   まあ大きさと点数は分散しちまうがな」

 

貴浩「ってことは斬れば斬るほど数が増えるって事か。やっかいな能力だな」

 

分裂して現れた召喚獣は子鬼ってところか

 

島村「そらっ行くぞ!」

 

そういうと島村先輩は分裂した召喚獣で俺を攻撃してくる。

 

貴浩「っ!」

 

俺はその攻撃をかわしたり剣で防ぐなどして防ぐが

防げない攻撃は斬って防ぐなどして対処していく。

だが斬ってしまうとでドンドン数が増えていく一方だった。

 

島村「どうした!どうした!威勢が良かったのは最初だけか?」

 

すでに島村の召喚獣は10体に分裂しておりもう避けるのが難しくなってきた。

 

【世界史】

 

 2年

  Fクラス  織村貴浩  291点

  Aクラス  木下優子  346点

 

        VS

 3年

  Aクラス  島村辰彦  39点×10体

  Aクラス  3年モブ    0点

 

 

 

 

優子「貴浩っ! 大丈夫!?」

 

貴浩「大丈夫だ優子。こっちは大丈夫だから自分の身を守ってくれ」

 

優子「そう、わかったわ」

 

島村「けっ! なに余裕こいて女と話してんだよ! その女もなんでこんな男がいいのかね。

   この女も頭が可笑しいのか? こんな男がいいなんて笑ってしまうぜ。

   良かったら俺と付き合わないか?」

 

優子「訂正しなさい! 貴浩はアナタと違って数千倍いい男よ!

   アナタみたいな男こちらから願い下げよ!」

 

島村「チッ、生意気な女だな! お前から倒してやるよ!」

 

島村先輩が優子に標的を変え攻撃しようとするが

 

貴浩「それはさせない! 優子には手を出させないぜ」

 

島村「織村か! ならまずはお前からだ! まあ今のお前は俺に何も出来ずにいるがな」

 

貴浩「それはどうかな?」

 

島村「どういうことだ?」

 

貴浩「お前の分裂した召喚獣は明久のダブルの腕輪と違って

   簡単な命令しかできないんだろ? 動きが雑だぜ」

 

島村「それがわかったところでどうしたっていうんだよ。

   お前の召喚獣では俺の召喚獣は倒せない!」

 

貴浩「確かに俺の剣では数を増やすだけだな」

 

島村「そういうことだ」

 

貴浩「だが俺の攻撃はそれだけじゃないぜ」

 

島村「なにっ?」

 

俺はそういうと腕輪の力を発動させる。

 

貴浩「俺の召喚獣は7大天使の1人で、懺悔の天使として現われ、

   神を冒涜する者を永久の業火で焼き、不敬者を舌で吊り上げて火であぶり、

   地獄の罪人たちを散々苦しめるというらしい。ウリエルという名前は、

   「神の光」「神の炎」を意味してる。そしてその能力は『炎』だ。

   いくら剣で斬られて大丈夫でも燃やされたらどうなるかな?」

 

島村「くっ!?」

 

貴浩「その反応だと燃やされるのはまずいみたいだな。なら燃えろ!」

 

俺はそういうと剣を炎で纏い分裂した召喚獣を焼き斬る。

すると島村の召喚獣は分裂せず消滅した。

 

島村「くそっ! だがこちらはまだ9体いるんだ!」

 

貴浩「全て焼き尽くすのみ!」

 

俺は右手で剣を振るい敵を焼き斬り

左手で炎を具現化して炎で焼き払う。

そして最後の1体になる。

 

島村「な、何故だ…何故俺がコイツなんかに……」

 

貴浩「じゃあな先輩」

 

俺は最後の1体を剣で焼き斬った。

 

優子「お疲れ様貴浩」

 

貴浩「ああ、お疲れさん。じゃあ戻るか」

 

そして俺と優子はBクラスを突破し皆の元へ戻った。

 

俺と優子はBクラスを突破し明久や雄二の元へ戻ると

 

明久「お疲れ様貴浩! 優子さん!」

 

雄二「お前らのおかげで残すはAクラスだけだな」

 

貴浩「……腕輪の能力には驚いたな。それにしてもあいつがあそこまで点数があるとはな」

 

光一「おそらく残りの常夏も点数が高いだろう」

   

刀麻「腕輪持ちと想定したほうがいいな」

 

貴浩「どうだ明久に雄二? 勝ち目はありそうか?」

 

雄二「正直微妙だな。相手の点数がどれほど高いかにもよるが

   翔子はともかく俺の物理の点数は200点前後程度だからな。

   召喚獣の操作も向こうの方が1年長くやってるから良くて五分って所だろう」

 

明久「僕も物理は自信ないよ200点もいってないよ」

 

貴浩「……だろうな。お前が得意なのは歴史系だしな」

 

雄二「まあ……策が無い事はないからな。

   貴浩はここまで頑張ったんだ。後は俺達に任せろ!」

 

貴浩「そうか。なら頑張れよ」

 

翔子「……雄二は私が守る」

 

明久「じゃあ行こうか命」

 

命「はいっ! どこまでやれるか分かりませんが頑張ります!」

 

優子「……ねぇ? アタシの気のせいかしら

   命と明久君なんか仲が良すぎな気がするんだけど……」

 

貴浩「優子…ちょいこっち来ような。4人とも頑張れよ」

 

優子が2人の仲を探る前に手をとり

明久たちとは別の方向へ引っ張り明久たちを見送った。

俺は少し離れたところまで優子を連れて行く。

 

愛子「……貴浩君いつまで優子の手を握ってるのかな?」

 

貴浩「ん? ああ悪い」

 

優子「あっ……もうちょっと繋いでて欲しかったのに(ボソッ)」

 

愛子「ダメだよ優子……僕だってしてほしいんだから」

 

貴浩「?」

 

優子「……ところで貴浩。明久君と命のことで何か知ってるのかしら?」

 

愛子「あっそれ僕も気になる」

 

貴浩「ああ……それはだな……」

 

もうここらでぶっちゃけたほうがいいか。

隠し続けるのは難しそうだし今後の事を考えたらな。

 

貴浩「言ってなかったが2人は付き合ってるんだ」

 

愛子・姫路・島田「「「えっええええええええ!!!!!」」」

 

俺の言葉に話を聞いていた愛子と偶然俺達のそばにいた姫路と島田が驚く。

優子はというと

 

優子「ツキアッテル? ナニソレ? ドウイウコトカシラ貴浩?」

 

般若が具現化せんばかりのオーラをだしていた。

 

姫路「織村君その話本当なんですか!?」

 

島田「本当の事を話しなさい!!」

 

本当にこの2人はうるさいな・・・・・・今はお前らよりコッチだな

 

貴浩「お、落ち着けよ優子。さっき言ったとおり明久と命は付き合ってるんだ。

   彼氏彼女の関係なんだよ」

 

優子「どういうことよ!? いつ!? いつからつきあってるの!?」

 

貴浩「付き合い始めたのは確か……召喚獣のシステム異常が起きた後だな。

   期末試験が始まる前には付き合ってたぞ」

 

優子「う、うそ…そんなに前から付き合ってたの……ってなんで貴浩は知ってるのかしら?」

 

貴浩「……優子怒らないか?」

 

優子「怒らないから話なさい!」

 

貴浩「ぶっちゃけると俺が2人のキューピットだったりする」

 

優子「さあ覚悟いいかしら貴浩?」

 

優子の顔が般若に変わった。

 

貴浩「ま、まて優子! 怒らない約束だろ?」

 

今のままじゃ俺が殺されちまう

 

優子「アンタが犯人なら話は別よ!!」

 

愛子「落ち着こうよ優子!」

 

俺に殴りかかろうとした優子を愛子が後ろから羽交い絞めで止めてくれる。

 

島田「それより……一体どういうことかしら……? 命と付き合ってるって本当……?」

 

姫路「もしそうだとすれば明久君にはオシオキガヒツヨウデスネ……?」

 

バキバキと拳を鳴らす島田とバットを持つ姫路。

共にドス黒い殺気を醸し出す島田と姫路はAクラスへ向かった明久を追おうとしている。

 

貴浩「待てよ姫路に島田」

 

そんな危険な2人を明久と命のところに行かせる訳にはいかない。

まあ行かせても別いいのだがそっちのほうがより2人の絆が深まるかもしれないし。

ただ今回は状況が状況なのでやはり行かせられない。

俺は姫路と島田の前に立ちふさがる。

 

島田「どいて織村! ウチはすぐにアキを処刑しないといけないの!」

 

姫路「そうですっ! 落ち着いてなんかいられませんっ!」

 

貴浩「……お前らマジでうざい」

 

島田・姫路「「っ!?」」

 

貴浩「別にいいだろ? 明久はお前らの彼氏じゃねえんだし、

   明久が誰と付き合おうが勝手じゃねぇか」

   

島田「そ、それは……っ」

 

姫路 「でも……っ!」

 

貴浩「それとも何か? 自分と付き合わなきゃいけないっていうのか?

   ハッ! 笑わせる。ハッキリ言ってやろうか姫路に島田!

   お前らは明久にフラレたんだよ!」

 

島田・姫路「「・・・・・・・・・」」

 

俺がそういうと姫路と島田は糸が切れたように床に膝をついて崩れた。

 

愛子「貴浩君もう少し優しく言ったほうが……」

 

貴浩「良いんだよあいつらなら」

 

愛子「厳しいんだね」

 

貴浩「……まあそういうことだ優子。明久と命は付き合ってるんだ。

   そして今幸せなんだよ。だから邪魔しないでくれな」

 

楓「私からもお願いします!」

 

秀吉「姉上よワシからもお願いするのじゃ」

 

優子「秀吉まで!?」

 

優子はまさか秀吉からも言われるとは思わず驚きの声をあげる。

 

秀吉「ワシも姉上と同じ気持ちじゃったが

   命の事を思うと今の関係がいい気がするのじゃ。

   今の命は毎日が楽しそうじゃしの」

 

貴浩「黙っていたことは謝る! だから2人のことは──」

 

優子「いいわよもう……アタシが悪かったわ。命に依存しすぎだみたいね。

   秀吉の言うとおりよ。今、命は幸せみたいだしね。

   アタシも応援しないとね。でも……あとでちゃんと2人から話して貰わないとね」

 

貴浩「それはもちろんだな」

 

そしてなんとか優子に明久と命の関係を伝え承諾を得ることができた。

ハァ・・・疲れた。なんで俺がこんな事を……まあ2人のためだし別にいいか。

後は任せたぞ明久、雄二。



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罠とクズ人間と2人の覚悟

5/8 修正


僕と命、雄二と霧島さんのペアは現在Aクラス攻略のためチェックポイントを目指していた。

 

翔子「……雄二。怖かったら私に抱きついても良いから」

 

雄二「断る!……ってか普通に考えたら逆だろ…」

 

翔子「……私は怖い物が凄く苦手だからずっと雄二にくっついている」

 

雄二「……まあ本当に怖かったらそうしてくれ。だが翔子・・・お前別に怖くないだろ」

 

翔子「……凄く怖い」

 

雄二「……ハァ」

 

雄二と翔子が歩くすぐ後ろを僕と命が歩いていた。

 

命「・・・・・・(ビクッ)」

 

明久「命大丈夫?」

 

先ほどから命は僕の腕に抱きついたまま状態だった…

 

明久「ごめんね。僕に付き合ってもらって」

 

僕は1度立ち止まり命にそう声をかけた。

 

命「あ、良いんですよ明久君。それよりごめんね。歩きにくいよね」

 

明久「いや、大丈夫だよ命」

 

正直役得ってヤツだし

それに僕は命の彼氏なんだしコレくらいわけないよ

 

命「本当……ダメだね私」

 

明久「えっ?」

 

どうしたんだろ?

 

命「私…決めたのに…明久君を支えようって…」

 

明久「……」

 

命「いつも…私の心配してくれる明久君を…支えようと思ってたのに……

  頼られようと思ってるのに……」

 

明久「命…」

 

命「あっ……ごめんね。気にしないでね」

 

明久「…もう僕は命を頼ってるよ」

 

命「えっ?」

 

明久「いつも……僕は命に救われているよ」

 

命「でも…私は…何も……」

 

明久「命……僕は命がただそばに居てくれたりするだけで幸せなんだ。

   ただ、一緒に居てくれるだけでもいいんだ」

 

命「…明久君…ありがとう」

 

明久「こちらこそありがとうね。

   さてこんな所でいつまでも話してないで、先に進もうか」

 

命「そうだね」

 

そして僕と命は先を行く雄二と霧島さんに追いつくため足を進めた。

さて前を行く雄二たちはどうかな? 僕は視線を前にすると

 

翔子「・・・・・・雄二。怖いからくっついた方が良い」

 

雄二「大丈夫だ俺もお前もコレ如きでは怖がらない。

   それに俺はカメラで手が塞がっている」

 

翔子「・・・・・・じゃあ、これで大丈夫」

 

雄二「いや、カメラを持ってほしいって意味じゃなかったんだけだが・・・」

 

翔子「・・・・・・でも、くっついてないと怖い」

 

雄二「嘘をつけ。お前がこの手のもにビビらないことくらい百も承知だ。 

   オマケにさっきからずっと何もでてきていないしな」

 

翔子「・・・・・・待って、雄二」

 

雄二と霧島さんはいちゃついていた。

 

明久「雄二って何かと霧島さんに言ってるけど仲いいね」

 

命「そうですね。坂本君は文句言いながらも

  翔子ちゃんを無理やり離そうとはしてないしね」

 

でもおかしいな?

ここまで来て仕掛けがまったくと言っていいほどない。

今までのことを考えると怪しいよね。これも作戦かな?

そう考えていると、

 

命「!!」

 

明久「命!!」

 

急に照明が消え、辺りは真っ暗になった。

まさか照明が落ちるなんて・・・下手に動けないね……命は大丈夫かな?

こんな事なら手を繋いでおけば良かったよ。

 

すると照明がつき、目の前に居たのは…赤毛のゴリラこと──

 

明久「雄二?」

 

雄二だった。

 

雄二「なるほど。翔子対策か…」

 

明久「なるほどね…本人が怖がらないなら相方を…ってことだね」

 

そうだよね。雄二と霧島さんのペアならどんなことでも耐えられそうだしね。

僕も伊達にFクラスにいるわけじゃないからグロテスクなものでも大丈夫だけど

命は強いわけではないしね。

 

雄二「まあ、そんなわけで俺達は奴らの作戦にまんまと嵌まっちまったわけだ」

 

明久「けど雄二なら対策できたんじゃないの?」

 

雄二「正直言うとな……お化け屋敷で翔子と2人きりでいるとな……

   釘バットを持って追いかけられたのを思い出すんだ……」

 

明久「……それなら仕方が無いね」

 

確か如月グランドパークのお化け屋敷で

美波の案でお化け屋敷の時酷い目にあったんだよね。

(内容は知らないけど)で霧島さんに追い掛け回されたらしい。

 

雄二「それにしても…」

 

明久「どうかしたの?」

 

雄二「未だに命の悲鳴が聞こえてこないな」

 

明久「そうだね。こんな所でゆっくり話してる場合じゃなかった。

   急いで命のところに行かないと!」

 

雄二が言ったとおり命の悲鳴が聞こえてこない。聞こえてきてもおかしくないのに・・・

僕と雄二は先を急いでいくと

 

明久「いたっ!」

 

命と霧島さんが居た場所はAクラスのチェックポイントだった。

 

夏川「げっ! こいつら失格にならなかったじゃねえか!

   あいつ等何ミスしてんだよ。どうすんだよ、常村!?」

 

常村「どうするもこうするもないだろ…こうなったら勝負するしかないだろ。

   あのクズ共より余程しんどそうだけどな」

 

夏川「全く…吉井と坂本をボコる前にとんだ邪魔が入ったな。

   島村も織村をボコるの失敗してやがるし、

   こいつらもここまで連れてくるようにミスった奴はよぉ」

 

常村「まったくだ。やれやれ…この2人、掃き溜めに鶴ってやつか? 

   あんなカスどもとつるんでいるなんて勿体ないな」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

雄二「明久抑えろ」

 

明久「……わかってるよ。雄二だって抑えてよね」

 

雄二「……ああ」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

夏川「そもそもあんなクズ共が学校にいるから俺達は…」

 

翔子「……雄二達はクズじゃない」

 

常村「あ?」

 

翔子「……雄二達はクズじゃない」

 

夏川「そうは言っても、事実は事実だろ? 

   すぐに問題を起こすし、教師には目ぇつけられてるし、

   部活で功績を残している訳でもないし、

   成績だってクラスの最底辺のFクラスだ。

   あれをクズって呼ばずになんて呼べってんだ?」

 

常村「まったく、本当にあいつらは学校の面汚しだ。

   どうせ清涼祭の時はカンニングでもしたんだろ?

   人に迷惑をかける事しか出来ないなら大人しくゴミ溜めで埋まって─」

 

命「・・・だ・・・さい・・・」

 

常夏「「あ?」」

 

命「黙ってください!」

 

夏川「んだテメエ…!なんか文句でもあんのか!?」

 

命「確かに…先輩方の言う通りFクラスの成績は良くないし、

  色々問題も起こしてしまったかもしれませんけど……

  明久君と坂本君は先輩方と違って優しいんです!

  それに……先輩方にそんなことを言える権利があるんですか?

  清涼祭でのクラス妨害をしていた先輩方が!」

 

常村「っせえな!お前こそアイツラがどんだけ頭が悪いのか知らねえんじゃねえのか!? 

   ちょっと成績や素行を調べればわかる事じゃねえか!

   中にはマシな奴がいるみてェだろうけど」

 

命「2人は間違いなく先輩方よりも頭がいいと思ってます!

  素行だってそこまで悪くありません!」

 

夏川「ど、どうせカンニングだろ!!」

 

命「明久君たちはそんなことはしません!」

  それにFクラスの試験監督は西村先生です。

  先生相手に先輩方はカンニングなんて出来るんですか?」

 

確かに監督教師は鉄人だったね。まああれでもウチの担任だしね

 

常村「うるせぇんだよ!あんなカス共の事情なんて知ったことかよ!」

 

命「はっきり言います!先輩達は最低の人間です!!」

 

夏川「なんだとっ!!」

 

常村「まあ待てよ夏川。こいつら今大声出したから失格だ」

 

夏川「ああ。そうだな。こいつはラッキーかもな」

 

常村「って事だ!さっさと失せろ!」

 

翔子「・・・・・・言われるまでもない。こんな人達に雄二と吉井の良さなんてわかる訳ない」

 

命「……そうですね」

 

命と霧島さんはAクラスの出口に向かった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

明久「……雄二、僕達、優しいらしいよ?」

 

僕は壁にもたれながらそういうと、

 

雄二「初耳だな。俺もFクラスの奴らほどじゃないにしろ、

   自分も立派なクズだと思ってたんだが…」

 

明久「そうだよね。僕も…自分がダメ人間だって自覚はあったんだけど」

 

っていうかクラスメイトの殆どがダメ人間だ。

 

明久「まったく…あんなに頑張ったのに、僕達の為に台無しにしちゃうなんて…」

 

雄二「勿体ねえ…」

 

明久「そうだよね」

 

本当に勿体ない……あんなに一生懸命頑張っていたのに。

それに──

 

雄二「んじゃ、行くか明久」

 

明久「そうだね、雄二」

 

泣いていた

 

雄二「正直肝試しなんて遊びだ。本気でやる必要なんてない。けどな…」

 

明久「うん…」

 

明久・雄二「「ここから先は本気だ。クソ野郎ども!!」」

 

命を泣かせたんだ・・・

 

僕等はチェックポイントまで向かう。

覚悟しろよ・・・?愚図せんぱい達・・・



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不具合と自信と真の力

5/8 修正


雄二「待たせたな、先輩」

 

常村「遅かったじゃねぇか坂本。

   格下が目上の人間をあまり待たせるもんじゃねぇぞ」

 

雄二「あら、それは悪かったな。ちょっと用があったんだ。

   日々忙しいセンパイ方は時間が重要ってか?」

 

夏川「当たり前だろ。お前らみたいなバカどもとは違うんだよ。」

 

僕と雄二がチェックポイントに足を踏み入れると

常夏変態コンビは揃っていやらしい笑みを浮かべた。

自分たちが圧倒的に優位な立場にあるという余裕の表情だ。

 

夏川「ところで昨日、お前ら『個人的な勝負をする』って言ってたよな? 

   それって当然、何か賭けるんだろ?」

 

勝利を確信しているようで、坊主頭の…変態(なつかわ)先輩は挑発するように

雄二と僕を交互に睨みつけた。 

その後ろではソフトモヒカンの常村先輩もニヤニヤと笑っている。 

ここで僕らが賭けに乗ってくるとは思っていないようだ。 

多分、僕らが約束を反故にして逃げた、

と罵倒してやろうということを二人は考えているのだろう。

でも・・・・・・

 

明久「良いですよ。約束ですから。この勝負は罰ゲームありにしましょう」

 

僕は笑顔で答えることにした。

雄二も僕の返答に笑みを浮かべていた。

 

常夏「「くっ・・・!?」」

 

常夏コンビは少し後ずさってしまった。

おそらく予想外の返答で驚いているのだろう。

 

常村「そ、そうか。お前らがそう言うなら乗ってやろうじゃねぇか・・・!」

 

夏川「それで罰ゲームは何にするんだ?」

 

気を取り直して姿勢を整える常夏コンビ。

 

明久「『負けた方は勝った方の言うことを何でも聞く』って言うのはどうですか?」

 

常夏「「んだと・・・?」」

 

2人の顔色が変わる。僕の提案がよほど予想外だったのだろう。

 

夏川「てめぇ、何か企んでやがるな・・・?」

 

常村「よっぽど自信があるみてぇじゃねぇか。」

 

雄二「おや? センパイ方は自身がないようで?

   俺たちはあなた達が言う格下で、しかも底辺の人間なのになぁ?」

 

訝しく僕らを睨みつける常夏コンビに対して、

雄二が挑発するかのように心底バカにした態度で話しかける。 

 

明久「自信? ありますよ? 貴方達に勝つのは簡単ですから」

 

常村「分かった! お前らが何位を企んでいるのか知らねぇが、どうせ猿知恵だろうからな…!」

 

夏川「ぶちのめしてやる」

 

常村「よっぽど自信があるみたいだしな?」

 

雄二「さあ、どうでしょうね?」

 

夏川「さっき坂本がカメラを使ってクラスの連中に言っていた

   『日本史史の教師を呼んでおけ』ってのとなにか関係がありそうだな」

 

雄二はAクラスに入ってカメラを使って待機していた貴浩に

日本史の先生を呼ぶようにしてしていたのだ。

 

雄二「まぁ気にすんなよ、センパイ。

   最近召喚システムの調子が悪いみたいだからな。念の為ってやつだ」

 

常村「……まぁいいだろ。お前らが何企んでるか知らねえが、

   どうせ猿知恵だろうからな――試獣召喚(サモン)!」

 

夏川「ぶちのめしてやる。試獣召喚(サモン)!」

 

常夏コンビはいきり立って召喚獣を呼ぶが、

2人の召喚獣である牛頭と馬頭は一向に現れる様子は無かった。

 

夏川「ぁあ? なんだ? 出て来ねえぞ?」

 

常村「なんだこれ? どういうことだ?」

 

教師「おかしいですね。本当に不調でしょうか?」

 

突然起きた不可解な現象に教室内にいた物理の教師も首をかしげている。

 

雄二「いや、先生。気にしなくていいですよ。

   理由は分からないが、物理だけが不調になっているみたいですから。

   仕方が無いから、俺が“念のため”呼んでおいた

   日本史の先生に頼んで勝負って事にしましょう」

 

そう、この不可解な現象が起きた原因は雄二が持つ

フィールド精製型の白銀の腕輪の能力で【干渉】を起こしたからである。

点数差の開きが激しい物理より、差の少ない日本史で勝負しようというのが雄二の考えだった。

 

常村「な……! 坂本、てめえ……!」

 

雄二「んん?どうかしましたか、センパイ?

   日々忙しいセンパイ方には時間が無いんスよね?

   だったら他の先生が来るのを待たせるなんてそんなの申し訳ないじゃないですか?

   ほら、ちょうど日本史のルーティ先生も来たみたいですし」

 

常村が雄二に噛み付くが当の雄二は

その様子を見てもどこ吹く風といった様子で挑発的な口調を崩さない。

それを見て常夏コンビは顔を真っ赤にして怒り狂っていた。

 

夏川「上等だ! てめえらクズ共相手にはちょうどいいハンデだ! やってやんよ!」

 

常夏コンビが召喚獣を喚びだそうとすると、

雄二は僕から少し距離をとった。

 

常村「なんだ、坂本。逃げだす準備か?」

 

雄二「いや、そんなことしないさ。ただこいつの逆鱗に巻き込まれたくないんでね」

 

雄二はそういいながら僕を指差した。

 

夏川「そんなに俺達が怖いのかよ? 『キャー、僕ちゃんこわ~い』ってか?」

 

常夏「「ぎゃははははは!」」

 

ゲスの笑いが響く。笑い声すらも聞いていたくないな。

 

雄二「どうとでも言ってろ。はっきり言ってお前らに未来なんてないからな」

 

常村「な!?舐めんじゃねえぞ!!」

 

明久「じゃあいきますか…」

 

明久・雄二・常夏「「「「サモン!!」」」」

 

 

【 日本史 】

  2-F            3-A

  吉井明久 485点      常夏勇作 212点 

  坂本雄二 427点      夏川俊平 208点

 

 

常村「な!! 何だその点数!?」

 

夏川「か、カンニングだろ!?」

 

常夏は僕と雄二の点数を見て驚きの声をあげる

 

雄二「言っただろお前らに未来はねぇと……

   まあ俺もまさか明久の点数がここまで上がってるとは驚いているがな」

 

明久「僕だって驚いてるんだよ。

   だって4月まではFクラス最下位の点数だったのに

   ここまで成績が上がったんだよ。これも命や貴浩たちのおかげだよ」

 

常村「だ、だが俺達はお前らより1年多く召喚獣を操作してるんだ…」

 

明久「その考え甘いですよ? 今回は本気でいきますよ。

   ……『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』」

 

僕がそういうと召喚フィールドが風景が一変した。

その風景は、燃えさかる炎と、無数の剣が大地に突き立つ一面の荒野が広がり、

空には回転する巨大な歯車が存在していた。

 

夏川「な、なんだよこれは!?」

 

その光景に常夏コンビだけでなく雄二やルーティ先生まで驚いていた。

 

明久「……これが僕の腕輪の力だよ」

 

雄二「……お前の腕輪だと?お前の力は『ソード』じゃなかったか?」

 

そう、僕は前に1度腕輪を発動させたことがある。

 

明久「ああ…あれは僕の腕輪の力の一部だよ。『ソード』」

 

僕がキーワードを述べると、召喚獣暴走時に発動した力がでてくる。

 

雄二「それはわかったが…この風景はなんだ?これもお前の腕輪の力なのか?」

 

雄二が再び質問してくる。

 

ルーティ「そうね。それは私も気になるところだわ。

     召喚フィールドの風景が変わってしまう腕輪なんて聞いたこと無いしね」

 

これにはルーティ先生も同じ意見のようだ。

 

明久「んー? これは僕も正直予想外なんだよね。

   多分これは僕が観察処分者だから腕輪にもフィードバックが作用したんだと思うよ。

   それで風景が変わったんじゃないかな。詳しいことは僕もわからないよ」

 

雄二「なんだ……まあそういうことなら納得できるか……とことん観察処分者は色々と凄いな」

 

明久「じゃあ簡単にこの力を説明してあげる。

   この腕輪は『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』

   このフィールド内には、あらゆる「剣を形成する要素」が満たされていて、

   僕が目視した刀や剣を結界内に登録し複製したり、僕が想像した刀や剣も複製できるんだ。

   これらを荒野に突き立つ無数の剣の一振りとして貯蔵してるんだ。

   ただし、複製品の能力の強度とかは少し落ちちゃうけどね。

   それに剣や刀しか複製することはできないし」

 

雄二「……それでもチートすぎる能力だな」

 

常村「おいおい、それを俺達の前でしゃべるなんて余裕だな吉井」

 

明久「それはそうですよ。言ったでしょセンパイ。

   あなた達を倒すなんて余裕だって」

 

夏川「へっ! いつまでその減らず口が開けるかな」

 

明久「さて覚悟はできたかクズ野郎ども」

 



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バカと内申点とお礼

5/8 修正


常村「おらっ!!」

 

夏川「死ね!!」

 

牛頭と馬頭が同時に襲い掛かってくるけどどうでもいい。

僕と雄二は召還獣を操り、攻撃をかわす。

 

僕は『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』で

複製した剣を両手で取り牛頭の左腕を切り落とす。

 

雄二も馬頭の攻撃をかわし右ストレートを顔面にぶち込む。

 

常村「な…なんだと…」

 

夏川「どういうことだ!? なんでお前ら如きになんで攻撃がかわされるんだよ。

   お前の召喚獣実は吉井が操作してるんじゃないのか!?」

 

雄二「妙な言いがかりはやめろよセンパイ。

   そんなことできるわけがないだろ?」

 

夏川「じゃあどうなってんだ!

   観察処分者の吉井ならともなく召喚獣の操作の少ない坂本がかわせる訳ないだろ!?」

   

常村「それにしても吉井はなんで俺の攻撃が1回あたらないんだよ!

   インチキでもしてるんじゃないのか!?」

 

雄二「先輩知ってるか?」

 

夏川「なんだってんだ!!」

 

雄二「バカってのは面白いよなセンパイ。

   1つのことに夢中になると、それに対してとんでもない集中力を発揮しやがる。

   空手バカとか剣道バカなんて呼ばれてる連中もいるが、

   そこで言われるバカってのは『物事に集中するヤツ』っていう褒め言葉だよな」

 

常村「っるせぇ!何が言いてぇんだ!」

 

雄二「まぁ、要するに、だ……木下妹を泣かされた時から、

   コイツはスイッチが入っていたってことだ」

 

僕と雄二の召喚獣の中間地点に牛頭と馬頭が構えている。

その二体目がけて、僕は剣とある物を投げつける。

 

常夏「「っ!?」」

 

それを屈んで避けていた2体の上の弱点であるデュラハンの頭が通過した。

それを雄二が前に走りながら受け取り、

両手で弱点をがばうように抱えながら方から突っ込む。

 

常村「ぐ……ぅ……っ!」

 

屈んだせいで踏ん張りの利かない牛頭は後ろの馬頭にぶつかるように倒れる。

そして、馬頭の前には両手に大剣を構え、全力で振りかぶる僕の召喚獣が待っていた。

 

常村「う……そ、だろ……?」

 

とっさに攻撃を防ごうとするがそれをさせまいと雄二の召喚獣が武器を蹴り上げる。

そしてデュラハンの一撃は、馬頭の身体を上下に分断した。

 

夏川 「ふざけるな! どうしてこの状況で俺たちが……!」

 

馬頭の亡骸を踏みつけるようにして立ち上がる牛頭。

しかし、その行動はこの段階に至っては一手遅かった。

今度は雄二が僕の召喚獣の弱点である頭をわざと見せつけるように牛頭の頭上へと放り投げる。

突然物を投げられたせいで敵の意識が上に向いている間に、

雄二は牛頭の身体を副獣で踏みつけ自由を奪う。

そして僕は相手に剣先を向けていた。これで相手はもう動けない。

 

雄二「勝負ありだな、センパイ?」

 

常村「……っ!この野郎……っ」

 

明久「つまらなかった試合でしたよ」

 

そしてここで勝負がついた。

 

明久「賭けは僕達の勝ちです、先輩」

 

夏川「くっ! て、てめぇら…!」

 

常村「けっ。俺達に…何をやらせようってんだ」

 

敗北を認め、忌々しげに吐き捨てる常夏先輩。

この連中にやらせたいことは、ただ1つだけだ。

 

明久「命と霧島さんに謝ってください…」

 

夏川「…それだけかよ?」

 

明久「後はそうですね……おめでとうございますって言っておきますね」

 

雄二「ああ、そうだな。俺からも言っておくか。センパイ方おめでとさん」

 

常夏「「は?」」

 

わからないなら言ってあげるよ。

 

明久「おめでとう。はれて先輩方は……内申点はほぼ無くなりましたね」

 

常夏「「な、何を言って・・・」」

 

雄二「知らなかったか? このお化け屋敷の様子はリアルタイムで先生達が見てるんだよ。

   もちろんババア長も含めてな」

 

明久「それに現にルーティ先生たちの居る前であそこまで

   言ってるんですから言い逃れはできませんしね」

 

雄二「さて…あんだけの暴言を吐く生徒に…先生達はどう思うでしょうね…」

 

常村「お前ら…」

 

明久「はっきりいっといてやる…」

 

僕は立ち上がろうとした先輩達の襟首を掴むと、

 

明久「コレはアンタ達の自業自得だ。

   清涼祭での妨害、今回の意味不明な因縁の吹っ掛け…

   そしてあの暴言。自分の行動ぐらい責任をとるのは当たり前だ」

 

ましてや・・・

 

明久「お前らは命を泣かせたんだ…コレだけですんだだけいいと思えよ…

   もし…また命になんかして来ようものなら…」

 

ゴッ

 

僕が思い切り壁を殴りつける

 

常夏「「ひっ!!!」」

 

明久「ホントの恐怖って物をみせてやる……」

 

雄二「おぉ…さすがに今回は怒ってるな。だがまあ明久今回はそこまでにしておけ。

   これ以上やると色々面倒になるからな」

 

明久「そうだね……それと雄二ありがとう。今回はサポートに徹してくれて」

 

雄二「俺もいい加減怒ってたからな。お前のおかげでスッキリした」

 

明久「そっか」

 

こうしてこの勝負は2年の勝利に終わった。

 

 

 

 

お化け屋敷も成功し・・・

 

『いやー、結構面白かったな。装飾もかなり大掛かりだったし』

 

『流石は学園あげての騒ぎってところだよな。盆休みの間の一般開放も来てみるかな』

 

『先生たちがお化け役やってたりするんだろ?高橋先生の召喚獣とか気になるよな』

 

『俺は森田先生やリリス先生、ジュディス先生の召喚獣も気になるぜ』

 

『それは気になるな』

 

『鉄人が出てきたらどうする?』

 

『・・・そ、それは大丈夫だろ・・・一般開放なんだから、

 人様に見せられる召喚獣を出すはずだから・・・』

 

『そうあって欲しいもんだな・・・』

 

肝試し終了後、補習と夏期講習の最終日という解放感や

片付けは必要ないという学園長のお達しもあって、

下校していく皆は晴れ晴れとした顔をしていた。

勝負で負けた三年生たちは若干悔しそうではあったけど・・・

 

翔子「・・・吉井」

 

明久「何、霧島さん?」

 

翔子「・・・屋上に行って。話があるそうだから・・・」

 

明久「?」

 

翔子「・・・早く。命がいるから」

 

明久「命が?了解!ありがと霧島さん」

 

翔子「・・・うん」

 

僕は屋上にむかう事にした。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

雄二「どういう心境の変化だ?」

 

翔子「・・・私は、ああやって、怖くても一生懸命になって頑張る人が好きだから。」

 

雄二「…そうかよ」

 

翔子「・・・うん、凄く好き。」

 

雄二「何故それで俺の方を見る。

   俺には怖い物もなければ、頑張るなんて殊勝な態度もないぞ」

 

翔子「・・・じゃあ、そう言うことにしておいてあげる」

 

雄二「何か引っ掛かる言い方だな」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

屋上に着くと、

 

命「あ……明久君…」

 

明久「そろそろ帰ろうか。明日からは本当の夏休みだし」

 

命「そうですね」

 

明久「実はさ、貴浩や光一と話してるんだけどさ、皆で海に行こうって言っているんだ。 

   車も光一の所が出してくれるみたいだし、皆で一緒に行こうよ。」

 

命「それは楽しみですね」

 

明久「うん。楽しい夏休みになるよ。きっと」

 

命「……さっき…」

 

明久「ん?」

 

命「さっき、先輩達が謝りにきたんだ」

 

明久「あ、そうなんだ」

 

命「ありがとう明久君」

 

明久「なんのことかな?僕は何もしてないよ。でも…驚いたな~」

 

命「なにが?」

 

明久「まさか命があそこまでするなんてね。

   さっき先輩たちを相手に啖呵を切ったの、凄く格好良かったよ」

 

命「見てたんですか!?言わないでください、後で後悔したんだよ」

 

明久「僕は結構そういう命の性格も含めて好きだけどね」

 

命「・・・・・・」

 

明久「どうかした?」

 

命「ううん、なんでもないよ」

 

明久「そう? じゃあ帰ろうか」

 

命「明久君・・・」

 

明久「なn・・・『チュッ』!!!!?????」

 

え? えっ? 命の顔が・・・目の前に・・・

 

命「今日のお礼です////さ、帰ろう!」

 

命は顔赤くしてそのまま屋上から出て行った・・・

 

明久「えっ、今のって…命ちょっと待ってよ」

 

僕は命を追いかけるようにして屋上を後にした。

 

 

 



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夏休み編
海と旅行と夏休み


5/8 修正


肝試しが終了し俺達は夏休みを充実していた。

と言っても俺は明久や雄二たちと1日中ゲームしていたりしただけだけど。

そして俺達は今、光一の使用人の運転するバスに揺られて海に向かっている

どうして海に向かっているかといえば、

 

それは数週間前のこと・・・

 

 

 

 

『海?』

今日は最後の補習(Fクラスのみ)の日なので学校に来てる。

そしてAクラスから霧島や優子、愛子、久保、刀麻、砂原、椎名たちも

自己学習しに一緒にFクラスの補講を受けていた。

 

そして休み時間に

貴浩と明久がふと皆に、みんなで海に行かない?っと聞いてきたのだ

明久「うん、光一がね、夏休みどこにも行けないのは寂しいからって

   海につれてってくれるらしいんだ」

 

貴浩「それで皆も一緒にどうかなって思ってな。宿と車も準備してくれるらしいし」

 

明久「でも、皆の都合があえばだけど……」

 

雄二「そりゃあ、ありがたいな。行こうぜ」

翔子「・・・・・・雄二が行くなら行きたい」

 

楓「そうですね。皆で遊びに行くの楽しそうですしね」

 

秀吉「そうじゃな。皆で海に遊びにいけるとは楽しみじゃ」

 

命「いいですね海。今年は熱くなりそうですし丁度いいですね」

 

康太「・・・・・・行かない理由が無い」

 

なのは「康太君が行くなら私も行きたいですっ!」

砂原「なら私も行くよん♪ こんな面白そうなこと見逃せないよ!」

 

椎名「……私も行きたいです」

貴浩「後は優子と愛子、久保に姫路、島田だな。どうする?」

俺はまだ答えていないメンバーに聞くと

 

愛子「もちろんボクも行くよ♪」

貴浩「あ、愛子!? なんで抱きつく!? 離れろ////」

すると愛子が俺に後ろから抱きつきながら参加する事を言う。

 

優子「アタシも参加するわ。アタシだって楽しみたいし」

貴浩「……うん、行くのは分かったがなんで優子は俺の手を握ってるんだ?」

 

優子は何故か俺の手を繋ぎながらそう言っていたのだ。

明久「……貴浩鈍感(ボソッ)」

 

姫路「そうですね。皆で遊びに行きたいですし」

島田「いいわね、うちも行きたいわ」

 

明久「うん、じゃああとは久保君だけかな?」

久保「……僕は……」

 

貴浩「一緒に遊びに行こうぜ久保。

   折角の夏休みなんだ。少しくらい羽を伸ばしても罰はあたらないだろ」

 

久保「貴浩君……うん、じゃあ僕も参加しようかな」

貴浩「決まりだな」

 

優子「それよりこんな大人数大丈夫なの?」

 

全員で18人もいるからな

 

明久「それはそうだね。大丈夫光一?」

 

光一「それは大丈夫ですよ。安心してください」

 

 

 

 

 

そして冒頭に戻る・・・

なのは「康太君、気分悪いなら寝てる?」

目的地の別荘まで光一の自家用バスで言ってる最中、

ムッツリーニがバス酔いを起こしていたので隣に座っていたなのはが

自分の膝をポンポンと叩き頭をそこに乗せるよう促す。

 

ムッツリーニは乗り物に酔いしやすいからな…強化合宿のときも電車で酔っていたし……

康太「……すまない。ありがとう」

コテンっとムッツリーニが横になってなのはの膝に頭を乗せる

貴浩「クッ……見せつけてくれるじゃないか……」

愛子「羨ましいな……」

優子「ええ…そうね……」

 

ちなみに席は───

 

          運転席 

 

 

 愛子・優子| |貴浩・光一

 

 命 ・明久|通|康太・なのは 

 

 翔子・雄二|路|椎名・砂原

 

 刀麻・久保| |秀吉・楓

 

 姫路・島田| |

 

 

 

     後ろは荷物

 

 

 

という感じだ。

 

優子と愛子もなのはの好意を羨ましそうに見ている。

 

明久「2人もさっさと貴浩に想いを伝えないと貴浩は気づかないよ。

   まぁこの旅行中がチャンスだよね」

優子・愛子「「・・・」」

翔子「・・・・・・私も雄二に膝枕する」

雄二「ちょ?! 翔子、俺は…」

砂原「代表~膝枕ってするのもいいですけどしてもらうってのも悪くないと思うよん♪」

翔子「!・・・なるほど、流石、鈴歌」

砂原「いえいえ~」

雄二「おい、砂原!……はぁ…まぁこれくらいならいいか…」

雄二もだいぶ霧島に甘くなってきたな……もうゴールは近いのかもしれないな。

楓「どんなところなんでしょうね?楽しみですね」

楓が楽しみっといった感じに話し出す

 

久保「羽鳥君、僕達がこれから行くところはどういうところなんだい?」

光一「まだ内緒だ」

 

秀吉「まぁつまりは着いてからのお楽しみ、というわけじゃな」

明久「そうだね。聞いたら楽しみが半減しちゃうから

   これ以上は聞かないでおこうか…」

貴浩「さて……どんな旅行になるのか楽しみだ」

 



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別荘とカオスとリア中

5/8 修正


咲「皆様お待たせしました。ここが皆様に宿泊していただく宿になります」

 

光一のメイド(専属)の村谷咲さんが運転するバスに乗り数時間、

俺達は光一の家が所有するリゾートにありそうな感じの建物に到着した。

 

どうやらココが光一の別荘らしい。

大きさは…恐らく俺の住んでいる家よりもでかい。これでもビックリなんだが光一曰く

 

光一「本当はもっと大きな所を借りたかったんですけど、

   一番小さい所のここしか借りられなくて……」

 

と言うことらしいからまたビックリだ…これで充分です。充分すぎます

正直、こんな所にタダで滞在していいのだろうか…?

俺たちは罪悪感丸出しで別荘の中に入った。

 

砂原「おぉー! すごーい」

 

命「わぁー、すっごーいです」

 

明久「…うわー」

 

玄関の扉を開けると、海の見える広々としたリビングが広がっていた。

…俺は一瞬旅番組でも見ているんじゃないかと錯覚してしまう。

 

刀麻「これは凄いな」

 

雄二「…ああ見事なものだ」

 

貴浩「……本当にタダで泊っていいのか?」

 

俺は恐る恐る確認してみることにした。

いやだってコレ・・・ここまで凄いのがくるとは思ってなかったし・・・

 

光一「もちろんです!だって別荘ですから…」

 

光一には本当に感謝しなければならないと感じた瞬間であった。

 

優子「…ん?これは……」

 

どうやら優子が何かに気付いたらしい。

 

貴浩「どうした優子?」

 

優子「ほら、これ…」

 

優子の指差す方を見てみると、高そうな果物が盛られた器があった。

高そう…というか見たことないようなモノまであるな……。

 

光一「あっ! すみません。何もしておかなくていいって言っておいたんですけど……」

 

貴浩「えっ?」

 

俺は思わず声を発してしまった。

 

―――他にも、大富豪の家にありそうな天井付きのベッドがある部屋があったり、

冷蔵庫には高そうな食材が鮮度を保った状態で入っていたり、

……ああこの家には俺たちが到底味わえないような世界が広がっている。

 

そして、なんでだろう。俺の住んでいる環境がちっぽけに見えてきた……。

 

雄二「今回は光一に感謝して、皆荷物部屋に運んで海行かないか。時間勿体ないしな」

 

明久「それもそうだね」

 

そして俺達は荷物を部屋に運び着替えて海へ向かった。

 

着替えて約20分。

 

 

明久「雄二、やっぱり僕らは待たされるんだね」

 

雄二「そりゃそうだろ。女子は色々時間がかかるからな」

 

康太「……こっちはこっちで、機材の準備に時間がかかる」

 

明久「貴浩も遅いね。何やってんだろう」

 

雄二「あいつなら秀吉と一緒に来るさ。そう言ってたからな」

 

貴浩『あ、アイツらいたぞ秀吉』

 

秀吉『そのようじゃな。お~いお主ら~!』

 

『あ、あなたなんていう格好をしてるのですか!?』

 

秀吉『む? 監視員の方じゃな。そんなに血相を変えてどうしたのじゃ?』

 

『何であなたは上を着てないんですか!?』

 

秀吉『当たり前じゃろう。普通男物の水着に上はなかろう』

 

貴浩『こう見えてもこいつは男ですよ。決して女子ではないですよ』

 

『私の目の黒いうちはそんな冗談は聞きません!』

 

貴浩『いやいや、マジで。男子だから!冗談なんて言いませんよ』

 

秀吉『そうじゃぞ』

 

『いいから、上着を着てください!! 海水浴場でそんな格好をしていたら ー 』

 

貴浩『はぁ……秀吉、この人聞きそうにないぞ。とりあえず、俺の上着を着ておけ』

 

秀吉『仕方あるまい』

 

『途中で脱いだりしてもわかりますからね!』

 

貴浩『そこまで監視しなくてもいいだろ』

 

秀吉はどうやったっても男子として見られないらしい。

 

雄二「秀吉も大変だな」

 

明久「そうだね。ところでまだ命たちはこないのかな?」

 

今砂浜にいるのは男子メンバーのみで、女子はまだ着替えている途中だ。

 

貴浩「なんだ明久? そんなに命の水着がみたいのか?」

 

明久「そ、そ、そんなことは////」

 

貴浩「ま、女子は着替えとかに時間がかかるからな………それより最近……どうだ」

 

明久「なに!? その接し方がわからない父親みたいなフリ!?」

 

そして女子がくるまでパラソルを立てたり遊ぶ準備や準備運動をしながら待ってると

 

砂原「皆! 待たせたねん♪」

 

砂原を筆頭に女子メンバーがやってきた。

 

明久「ねえ貴浩…僕今かなり幸せだよ」

 

貴浩「言わなくてもわかるぞ明久。俺も同じだからな」

 

今俺達の目の前には楽園が広がっていた。

 

愛子「どうかな貴浩君? 僕と優子の水着姿は?」

 

愛子は下がジーンズをカットしたパンツの水着を着て、

上は青の普通の水着だが水泳部の水着とサイズがだいぶ違うのか、

日焼けの境界線が見えてしまい目を奪われている。

優子は青のビキニに、パレオを巻いた優子が恥ずかしそうにしている。

 

貴浩「●☆♪▼◇$(2人共最高だっ)!」

愛子「えっと…貴浩君。何言ってるのかわからないよ」

優子「……のよ?」

貴浩「えっ?」

優子「だからアタシの水着の……」

雄二「ぐああああああっ! 目が、目がぁっ!!」

優子の蚊の泣くような声を遮るかのように、雄二の悲鳴が響き渡った。

俺と優子、愛子が何事かと思い見てみると、そこには目を潰されのた打ち回る雄二の姿。

そして手をチョキにしている、大人しめな白のビキニに水着用の

ミニスカートを組み合わせた格好の霧島が立っていた。

貴浩「おーい霧島、だから雄二の目を潰したら水着の感想が聞けないぞ?」

翔子「・・・・・・失敗」

貴浩「別に目を潰さなくても他に目を塞ぐ方法はあるだろ……」

翔子「・・・・・・ふさぐ・・・・そう」

と、何か思いついたのか、頷いて雄二の元へ。

楓「すみません。お待たせしました」

命「ごめんね。待ちましたか?」

楓と命は同じワンピースタイプの水着で

楓は黄緑色で命は水色の水着だった。

 

明久「●☆♪▼◇(最高だよっ命)!」

秀吉「●☆♪▼◇(最高じゃ楓)!」

 

刀麻「明久に秀吉…それじゃ何を言ってるかわからないぞ」

貴浩「うん、2人の言うとおりだな」

刀麻「わかるのか!?」

 

貴浩「モチ!」

 

椎名「お待たせしてすみません」

 

砂原「ねえ、私の水着姿はどうかな?」

 

椎名は白色のワンピースの水着で

砂原さんは紫のビキニだ。色が色だけに凄く目についてしまう。

砂原の一言で男衆は即座に顔を背けた。

 

砂原「あらぁ? もしかして私に見とれていたのかな♪

   でどうなのかな?ター君、アッキー?」

しかもよりにもよって俺と明久に照準をあわせてきやがった。

刀麻は砂原の水着姿を目の当たりにして地面に伏せており雄二はすでに霧島により捕まっていた。

島田「アキー覚悟しなさいよ!」

姫路「明久君少しOHANASIが」

貴浩「……いや、もうお前らは関係ないだろ」

 

命「鈴歌ちゃんスタイル良くていいなぁ…私も…」

命は砂原さんのスタイルにみとれており、姫路と島田は明久に制裁を加えようとしていた。

 

砂原「で、どうなのかな?ター君?」

もうターゲットを俺に定めたか

貴浩「正直に言うぞ。似合ってると思うよ。椎名も似合ってるよ」

椎名「どうもです」

砂原「ありがとねん♪ さてター君をからかった事だし泳ごうかな」

貴浩「……お前は相変わらずだな」

明久「ん? そういえば何か静かだと思ったらムッツリーニは?」

 

貴浩「ああ、ムッツリーニなら─」

 

俺はムッツリーニのほうを指差すと

 

康太「……(ササッ)」

 

愛子「ムッツリーニ君、なのはを撮りたいのなら堂々と撮ればいいじゃない」

 

康太「……勘違いするな工藤愛子」

 

愛子「え?どういうこと?」

 

康太「……俺はなのは水着など微塵も興味は(ダバダバダバ)これは日射病のせい」

 

雄二「お、頑張ったなムッツリーニ。38秒だぞ」

 

明久「鼻血の我慢記録更新だね」

 

光一「ついに30秒を超えたか・・・凄い成果じゃないか」

 

久保「いやいや、そんなこと言ってないで助けてあげないのかい?」

 

優子「このままだと土屋君が──」

 

明久「あ、優子さん、あなたも近づくと ー 」

 

康太「……(ダバダバ)日差しが熱くなってきた」

 

優子「ちょ、ちょっと。鼻血が噴水みたいだけど」

 

なのは「大丈夫なの康太くん!?」

 

康太「……最近の日射病はタチが悪い」

 

明久「ムッツリーニ」

 

康太「……」

 

貴浩「海に来てそうそうカオスだな」

 

雄二「お、やっと来たか」

 

貴浩「水着でここまでなったか。どんだけ興奮してんだか」

 

明久「主に八神さんのだろうね」

 

なのは「え? そうなの?」

 

康太「……そんな事実は確認されていない」

 

雄二「ムッツリーニの嘘はバレバレだからな」

 

貴浩「自分の彼女なんだから隠さなくてもいいのにな」

 

優子「そういえば秀吉、その上着って貴浩のじゃないの?」

 

貴浩「ああ、俺のだ。監視員がうるさくてな」

 

優子「どういうこと?」

 

貴浩「秀吉を男だと信用してくれなくてな……だから上着を着せてないとな」

 

優子「ああ、そういうこと……苦労してるのね」

 

砂原「ところでアッキー。命ちゃんの姿はどうなのかな?」

 

明久「似合っててかわいいよ命」

 

命「////」

 

貴浩「今日は特に暑いですな~刀麻さんや」

 

刀麻「ビーチが蒸発しそうだな貴浩」

 

砂原「さすがというべきなのかなアッキーは」

 

明久「ってか命なら何着ても可愛いに決まってるけどね。僕の自慢の彼女だよ」

 

命「///////////////」

 

砂原「そんなセリフをこうもどうどうと言うなんて……」

 

貴浩「リア中爆発しろ!!」

 

明久「えっ!? なんで貴浩」

 

久保「今はそっとしてあげようよ吉井君」

 

明久「う、うん」

 

砂原「さてそんなター君を励ますとしますか」

 

刀麻「だな。おーい貴浩。悪いけどオイル塗ってくれないか?」

 

貴浩「自分でしろ」

 

なにが嬉しくて男にオイル塗らなきゃいけないんだ

 

砂原「ねえター君。オイル塗ってーー」

 

貴浩「・・・椎名にやってもらえよ」

 

正直塗りたいと思ったが・・・ここは我慢だ

 

椎名「あの…貴浩君。お、お、オイルを……ってやっぱり無理だよ鈴ちゃん」

 

貴浩「砂原…お前は何をやらせてるんだよ!?」

 

砂原「てへ♪」

 

雄二「こんなところでいるよりさっさと海で泳がないか」

 

貴浩「だな」



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ハントとスイカ割りとウルトラショット

5/8 修正


皆が各々自由に過ごす中、俺はというと

 

貴浩「獲ったどー!!」

 

光一の別荘にあったのを見つけメイドの咲さんに許可をもらい

モリを片手に魚をハンティングしていた。

 

愛子「おーい、貴浩君!」

 

遠くの方から俺を呼ぶ声がしたので、俺は魚を探すのをやめ声のする方へ泳いで行った。

 

刀麻「なあ…何を書いたんだ?」

 

刀麻を見てみると、

砂浜に描かれた鳥の地上絵の真ん中に顔だけ出して生き埋めにされていた。

他の皆はその姿を大爆笑している。俺も思わず笑ってしまう

 

貴浩「……こ、これ、誰がや、やったんだ?」

 

俺は笑いをこらえ質問した。

 

砂原「ハハハ、もちろん私だよ♪ あとアッキーやミコリンも手伝ってくれたよ」

 

砂原がゲラゲラ笑いながらそう言った。

俺はそう思うと近くの木陰においてある荷物の中からカメラを取り出し

今の刀麻の状況を写真におさめた。

 

優子「そういえば貴浩は何をしてたの?」

 

愛子「そういえばそうだね。姿が見えなかったしね」

 

貴浩「ん、俺か? 光一の別荘にあったモリで魚とってた。見るか?」

 

俺はカゴの中に入っている魚などを見せた。

 

雄二「おぉ凄いな。大漁じゃねーか」

 

久保「本当だね。これはウツボだね」

 

椎名「こっちはタコさんですね」

 

命「貝もたくさんいますよ」

 

康太「・・・・・・さすが」

 

明久「これどうするの?」

 

貴浩「もちろん食べる。今日の晩飯になるかなと思ってな」

 

なのは「えっ? ウツボって食べられるの?」

 

康太「・・・・・・一応食べられる。意外と美味しいらしい」

 

貴浩「さて狩猟はこれぐらいにして皆と遊ぶか」

 

そして俺は捕まえた魚などを逃がさないよう海につけてから

皆のところへ向かっているとふと砂浜にいる椎名と砂原をみつけた。

 

貴浩「おっ! 砂原が埋まってる」

 

砂原が頭だけだして砂に埋まっていた。

 

椎名「貴浩君も一緒にどうですか?」

 

砂原「カモーン! ター君♪」

 

貴浩「おー! じゃあ、お言葉に甘えて」

 

椎名「はいっ! 一緒に砂をかけましょう」

 

 

ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ

 

 

砂原「あの~重くなってきたんだけど……」

 

ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ

 

俺と椎名はドンドン砂をかけていき

 

優子「あっ! 貴浩こんなところにいたの──って何よコレ!?」

 

優子が見たのは

 

砂原「重っ重っ! い、息が、息ができない! HELP! HELP!」

 

体子ども一人分ほどある高さまでの砂が砂原の上に覆っていた。

 

貴浩「ふぅ~、一仕事終えたな」

 

椎名「そうですね」

 

優子「いやいや、やりすぎでしょ!」

 

今の砂原の姿を写真に収めてからかかっている砂を排除した。

 

砂原を砂から救出した後

俺達はスイカ割をすることになったのだが──

 

なのは「スイカってどこにあるの?」

 

光一「海で冷やしてる」

 

砂原「じゃあ私が取ってくるよん」

 

貴浩「じゃあ俺達はスイカ割りの準備でもしておくか」

 

雄二「そうだな。俺は割る棒でも準備してくる」

 

明久「じゃあ僕は割った後食べられるようシートでも敷いて置くね」

 

各々がスイカ割りの準備をしていき

 

砂原「スイカ取ってきたよん♪」

 

砂原がスイカを皆に見せ付けるように高々く持ちあげて走っている姿が目に見えた。

 

なのは「鈴歌ちゃん走ったら危ないよ」

 

椎名「鈴ちゃん足元危ない!」

 

なのはと椎名が砂原に注意を促すが

 

砂原「大丈夫♪大丈──」

 

砂原は2人の忠告をあまり聞かずに走ってきていると

 

コケッ

 

砂原「あっ!?」

 

ビュン!

 

足元にあった石ころに躓き、手に持ったいたスイカが物凄い勢いで──

 

久保「貴浩君危ないっ!」

 

貴浩「へっ?」

 

ちょうど後ろを向いていた俺に向かってきた。

 

ズガッン!

 

貴浩「うべっ!?」

 

迫ってくるスイカを避ける事ができずに俺の頭にウルトラショットした。

 

砂原「あっ! やべっ!! 割っちゃった♪」

 

雄二「どっちをだ?」

 

康太「・・・・・・両方」

 

明久「スイカ駄目になったね」

 

愛子「いやいや!そんなことより貴浩君のことを心配しようよ!」

 

優子「貴浩大丈夫?」

 

貴浩「……なんとか大丈夫」

 

その後俺の頭で割った(砕けた)スイカは皆でおいしく頂きました。

 

その後、少々泳いだ後。

 

雄二「そろそろ昼時か」

 

久保「そういえば、もうそんな時間だね」

 

雄二「昼飯も調達せねばならんな」

 

明久「え? 塩水がいっぱいあるじゃない」

 

康太「……ご飯にならない」

 

雄二「平然とその答えが返せるお前がすごい」

 

秀吉「海の家とかにある焼きそばとかもいいのう」

 

貴浩「そうだな~どうしたムッツリーニ?」

 

康太「……あれ」

 

ムッツリーニの指差す方を見てみる。

 

『可愛い子ばっかりだね~君たちどっから来たの?』

 

『あ、いえ、私たちは・・・』

 

『そっちの綺麗なお姉さんも俺たちと一緒に遊ばない?』

 

雄二「ナンパか」

 

貴浩「あのメンツなら仕方ないだろ。しかし面倒だな」

 

康太「……始末する?」

 

そう言って取り出したのはスタンガン。

海で使用ということになると一歩間違えれば死の危険も訪れる。

 

貴浩「優子や霧島がいるんだから大丈夫だろ」

 

その後俺が言ったとおり優子と霧島の2人がナンパは撃退された。

 



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乙女心と逆ナンと独り身

5/8 修正


明久「ねぇ貴浩、雄二」

 

雄二「なんだ?」

 

明久「そういえばさ、やけに周りからの視線が軽くなったのは気のせいかな」

 

雄二「奇遇だな。俺もそう思う」

 

貴浩「そりゃあ嫉妬だろうな。俺達みたいな中の下のような奴らと、

   上玉すぎる女性陣が一緒にいるんだから」

 

刀麻「確かに。文月学園には何でああも美人ぞろいなんだろうな」

 

久保「確かにそれに吉井君や貴浩君の周りの女子は特にレベルが高いよ」

 

明久「偶然じゃないの?」

 

貴浩「そうかもしれないが、俺達もまだそういう視線で見られるっていうのは嫌だな。

   どうにかして釣り合わないといけないだろうな」

 

刀麻「そういえばムッツリーニはどうしたんだ?」

 

雄二「カメラのレンズの洗浄に行った」

 

貴浩「どのみち鼻血で汚れるのにな」

 

明久「それでも動くのがムッツリーニだからね」

 

刀麻「確かに」

 

愛子「お待たせ~」

 

明久「あ、おかえり、結構時間かかったね」

 

雄二「海の家はそんなに混んでいたのか?」

 

優子「そこまで混んでいたわけではないんだけど」

 

貴浩「?」

 

優子「また、ナンパに出会ってね」

 

貴浩「そうか……ご苦労さんです」

 

刀麻「乙です」

 

と言って、荷物を受け取ろうとすると

 

愛子「全く……皆、乙女心がわかってないね」

 

優子「ちょっと冷たすぎない?」

 

翔子「…もうちょっと心配すべき」

 

姫路「そうですよ」

 

島田「酷いわね」

 

貴浩「そうは言われてもな・・・」

 

優子「もうちょっと嫉妬はすべき」

 

愛子「そうだよね。少しぐらいは嫉妬してほしいよ」

 

貴浩「優子なら断れるからな」

 

俺が優子と愛子と話していると、雄二と明久は何故かヒートアップしていた。

雄二は翔子と明久は姫路と島田に

 

雄二(なんか理不尽に怒られた気がするぜ)

明久(何で僕たちがモテないんだ・・・僕達一応彼女持ちなんだよ)

雄二(自分たちがナンパされたくらいで調子に乗りやがって)

明久(ホントだよ。僕たちだって出来るってことを証明しないと)

雄二(そうだな)

 

貴浩「……ムッツリーニ?………」

 

そして俺の視線の先には……

 

?『よかったら一枚撮ってくれない?』

康太『……別に構わない』

?『本当?ありがとっ♪』

?『この子も可愛いから一緒に撮ろうよ』

 

貴浩「ム、ムッツリーニが逆ナンだと!?」

 

刀麻「な、なんだって!?」

 

雄二「馬鹿も休み休み言えと──」

 

明久「そうだよ。ムッツリーニが逆ナンなんて──」

 

?『写真撮るの上手』

?『すごいっ! むちゃくちゃ綺麗じゃない!!』

康太『……一般技能』

?『照れちゃって可愛い~!!』

 

明・雄「「グハッ……む、ムッツリーニが逆ナンされてる」」

 

刀麻「なあ雄二」

 

雄二「なんだ?」

 

刀麻「もしかして、このメンバーの中でモテないのって俺たちだけ?」

 

雄二「な、何を言ってるんだ」

 

明久「だけど……」

 

雄二「俺たちも見返してやらないとな」

 

刀麻「ああ! 当たり前だ!!」

 

明久「うんっ! 貴浩一緒に行こう」

 

貴浩「ん? どこに行くんだ?」

 

明久「実は・・・(略)・・・ 」

 

貴浩「お前ら………せっかくこのメンバーで来てるんだから、海を楽しめよ」

 

雄二「でもな、あいつらは・・・」

 

貴浩「それに見つかったらどうなると思う?」

 

雄二「DEATH」

 

明久「海の底」

 

貴浩「分かればいい。そんなつまらないことで悩まずに、

   雄二は霧島と、明久は命ともっと仲良くなれるようにしろよ」

 

刀麻「俺は?」

 

貴浩「・・・・・・・・・ガンバっ!」

 

刀麻「なんか俺の扱い酷くないか!?」

 

貴浩「だってな・・・明久と雄二、秀吉、ムッツリーニは彼女持ちだし。

   光一だって婚約者がいるみたいだしな。

   ここで独り身なのは俺と刀麻、多分久保の3人だけだぞ」

 

刀麻「・・・ぐっ」

 

その後、昼ごはんを食ったり、

6VS6のビーチボールをしたり、明久、雄二たちとマジ泳ぎしたり・・・

そんなことをしてたら、日も傾いてきていた。

 

光一「そろそろ戻るか。それにどうやらこの先の神社でお祭りがあるらしいし」

 

明久「え、そうなの?」

 

命「それは楽しみです」

 

貴浩「なら着替えて皆で行こうぜ」

 

そして全員、別荘に戻って着替え始めたのであった。



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着替えと浴衣とサービス

5/8 修正


男の方は、着替えは10分ほどで終わったのだが、

女の方は時間がかかるみたいで、30分経ってもまだ姿は見当たらない。

 

明久「そんなに時間かかるものかな?」

 

雄二「水着の時より長いんじゃないか?」

 

久保「女性は着替えとかには時間がかかるからね」

 

秀吉「そうじゃのう」

 

康太「……カメラの準備終わった」

 

刀麻「・・・それにしてもよく浴衣なんて用意していたな」

 

光一「皆が来るんだから準備しておいたんだ」

 

貴浩「浴衣って俺初めて着るな」

 

明久「僕もだよ。浴衣なんて普段着ないもんね」

 

そしてどうやらタイミングを見計らってか知らんが、女性陣が一気に現れた。

 

「「「お待たせ~」」」

 

やはり女子も浴衣姿で。

 

雄二「そんなもん用意してたのか」

 

康太「……時間がかかるのも納得」

 

秀吉「それにしても楓はいつも輝いておる」

 

楓「あ、ありがとうございますヒデ君」

 

明久「全員似合ってるよ!」

 

久保「うん、吉井君の言うとおりだね」

 

貴浩「…………」

 

青、紫、赤、ピンク、白に花柄など、女性陣はあらゆる浴衣で登場してきた。

 

明久「へぇ~髪型も変えているから、印象が随分違うね」

 

命「そ、そうですか?」

 

命の髪型はいつものおろした髪型ではなくポニーテールの髪型にしていた。

 

光一「ってか命は髪伸びたよな」

 

秀吉「そうじゃな。前はショートじゃったのに今は背中まで伸びておるしのう」

 

命「ちょっとイメージチェンジしてみたんだよ。明久君・・・似合いますか?」

 

明久「もちろんだよ命! 最高です!!」

 

刀麻「ってか本当によく浴衣とか準備できたよな」

 

愛子「これ全部光一君のメイドさんが用意してくれたんです」

 

雄二「凄いな。光一のところは」

 

島田「ウチ、浴衣初めて着るかも?」

 

姫路「海外育ちですからね」

 

島田「歩きにくいわね」

 

貴浩「…………(ジーッ)」

 

優子「アタシもあんまり浴衣って着ないから少し違和感あるわね」

 

愛子「僕もだよ・・・って貴浩君どうしたの?」

 

貴浩の視線に気づいた愛子が尋ねてくる。

 

貴浩「い、いや……」

 

砂原「あっ! もしかしてター君、ゆうこリンとアイアイに見とれてたんじゃないの?」

 

貴浩「なっ……さ、砂原!」

 

優子「そ、そう? 似合ってるのかしら?」

 

愛子「どう? 似合ってる?」

 

貴浩「あ、ああ。とても似合ってるぞ」

 

砂原「ありゃ? なんだ・・・あっさりしてるよ。面白くないよ」

 

椎名「もう・・・鈴ちゃんは・・・ごめんね貴浩君」

 

貴浩「いいさ別に。もう慣れた。椎名も浴衣似合ってるぞ」

 

椎名「ありがとうございます」

 

明久「それにしても皆浴衣が良く似合ってるよね」

 

砂原「男の子の浴衣って新鮮だよねん♪」

 

なのは「確かにそうだね」

 

貴浩「まあ普段と違って結構胸元が開いてるからな。ということで──」

 

俺はそういうと明久のそばに向かい

 

貴浩「浴衣サービス」

 

俺はそういうと共に明久の浴衣の胸元をはだけさせる。

 

明久「ちょっと貴浩!? 何するのさ!?」

 

貴浩「いやぁ~サービスシーン入れようと思ってさ」

 

明久「誰得なのさ」

 

明久そういうが命はもちろん姫路、島田には効果あったみたいだぞ。

砂原もニヤついてるし

 

雄二「さて、もう祭りも始まってるみたいだし、早く行こうぜ」

 

全「は~い」

 

明久「って、どこに行ってるの?」

 

咲「車で祭り会場へ向かいます」

 

明久「あれ?そんなに遠かったの?」

 

咲「いえ、一応着替えを持っていきますので」

 

明久「あ、そうなんですか?」

 

光一「一応、浴衣が汚れた時のために」

 

雄二「それじゃ、夏の風物詩を楽しみに!」

 

貴浩「お前はただ屋台を食い尽くしたいだけだろ・・・まあ俺も同意見だけど」」

 

康太「……いいショットが撮れるのを期待する」

 



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屋台と食べ物と金魚掬い

5/8 修正


命「明久君、たこ焼きです」

 

明久「ありがとう命」

 

翔子「…雄二、焼き鳥」

 

雄二「サンキュー」

 

なのは「ハイ、康太君、やきそばだよ。アーン」

 

康太「……自分で食べられる////」

 

なのは「食べさせたいの///」

 

康太「……じゃあ遠慮なく////」

 

楓「ヒデ君りんご飴買ってきました」

 

秀吉「すまぬの楓」

 

楓「私がそうしたかったのでいいんですよ」

 

秀吉「ありがとうなのじゃ」

 

貴浩「たこ焼き買ってきたぞ」

 

刀麻「おっ! 1ついただきっ!」

 

貴浩「いいぞ。優子と愛子もどうだ?」

 

砂原「いやいや、ゆうこリンとアイアイはたこ焼きより

   ター君のあ~んがほしいんだよね」

 

優子「・・・そんなことないわよ」

 

愛子「・・・鈴歌ちゃんの勘違いだよ」

 

貴浩「2人ともいらないのか? なら椎名はいるか?」

 

椎名「1つ頂いてもいいですか?」

 

貴浩「いいぞ。ほらっ」

 

俺は爪楊枝で1つたこ焼きを取ってあげそのまま椎名に食べさせようとする。

 

優・愛「「あっ!」」

 

椎名「あ~」

 

椎名も口をあけたこ焼きを食べようとするが

 

貴浩「あっ」

 

ひょい

 

椎名「ん?」

 

食べる直前にたこ焼きを遠ざけた。

 

椎名「・・・・・・////」

 

砂原「お約束だね!」

 

椎名「・・・貴浩君いじわるです」

 

貴浩「い、いや、意地悪でやったんじゃなくてな。

   中がアツアツだから少し冷ましたほうがいいと思って」

 

椎名「・・・本当ですか?」

 

貴浩「もちろん、ほら」

 

椎名「あ~ん、パクッ・・・・・・うん、美味しいです♪」

 

貴浩「そうか、それなら良かった」

 

優子「・・・・・・」

 

愛子「・・・・・・いいなぁ」

 

刀麻「おーい! あっちに金魚掬いやってるぜ。明久、雄二、貴浩、勝負しないか?」

 

貴浩「のった!」

 

明久「受けてたつ!」

 

雄二「金魚すくいって、お前ら子供かよ」

 

貴浩「じゃあ雄二はしないんだな」

 

明久「なら3人で勝負!」

 

 

 

         ☆

 

 

 

刀麻「・・・・・・う~ん、言ってみたが難しいな」

 

勝負を始めてすぐ刀麻が挑戦したがすぐにポイがやぶれてしまった。

 

雄二「下手糞だなお前」

 

刀麻「くっ・・・言い返せない」

 

貴浩「甘いな刀麻。見よ! この繊細なポイ捌きから生まれる金魚フライハイ!!」

 

俺はポイを上手く使い金魚を高く掬いあげる。

 

刀麻「飛ばすなっ!!」

 

雄二「金魚も嫌がってないように見えるぞ」

 

愛子「心無しか生き生きして見えるよ」

 

刀麻「金魚! 嫌がれよ!!」

 

貴浩「続いて、金魚スピン!!」

 

先ほどと同じように高く掬い上げると同時に回転を加える。

 

刀麻「やめいっ!!」

 

明久「なら、僕もするかな」

 

そこで明久もポイを構え金魚を入れる容器を構え始めようとすると

 

ベリッ   ポチャン

 

明久「えっ?」

 

貴浩「はっ?」

 

そこにはあろう事か金魚が自らポイを破り明久の容器に入っていく。

まるでサーカスの輪くぐりのようだ。

 

ポチャン  ポチャン  ポチャン

 

そして最初の1匹に続き2匹3匹と続くように明久の容器に入っていく。

 

久保「これは・・・吉井君凄いね」

 

刀麻「金魚掬いの概念壊すなよっ!!」

 

貴浩「勝負にならないぞコレ」

 

明久「僕の意図じゃないんだけど・・・それにさっきの貴浩のスピンに言われたくないよ」

 

そして明久の容器に入りきれないほどの金魚が入っていた。

最終的には明久は2匹ほどもらいそれを命にプレゼントした。

俺も5匹捕まえたので優子、愛子、椎名の3人に1匹ずつプレゼントした。

残り2匹は家で飼うつもりだ。



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射的と花火と三途の川

5/8 修正


刀麻「よしっ! じゃあ、次はアレやろうぜ!」

 

刀麻が指差した先には、拳銃で景品を落とすやつ=射的!

 

雄二「いいだろう」

 

貴浩「俺にアレで勝負を挑もうってか?」

 

明久「もちろん」

 

雄二「自信があるみたいだな」

 

光一「俺もやってみるか」

 

貴浩「じゃあせっかくだし皆でするか」

 

俺達は射的屋の前にいくと

 

貴浩「ライフルにハンドガン、スリングショットか」

 

明久「色々種類があるね」

 

雄二「色々あった方が面白いな」

 

砂原「バズーカはないのかな?」

 

刀麻「散るわっ!!」

 

貴浩「何が?」

 

雄二「コルクか屋台だろ」

 

命「それにしても可愛いぬいぐるみだとなんだか撃ち難いよね」

 

楓「確かにそうですね。撃つのに抵抗がありますよね」

 

砂原「君の為なら撃てる♪」

 

刀麻「責任転嫁した!」

 

貴浩「俺のためなら撃てる」

 

雄二「清々しいな」

 

明久「僕にかまわず撃て」

 

久保「そのセリフはいいかもしれないね」

 

砂原「じゃあ躊躇いがちのミコりんとカエデンにここでアドバイスだよん♪」

 

命「本当ですか?」

 

砂原「では、ユッキーよろしくっ!」

 

椎名「では、まずあの可愛いぬいぐるみに銃口を向け良く狙います」

 

命「はい」

 

椎名「あとは簡単です。躊躇わず手にした銃口の引き金を引いてください。そしたら──」

 

貴浩「ぬいぐるみに風穴が開く」

 

命「ええぇぇぇぇ!?」

 

明久「開かないよ! もう貴浩、命のそんな冗談言わないでよね」

 

貴浩「いや悪い悪い。つい言ってしまった」

 

優子「命、何か欲しい景品があるの?」

 

命「えっ?・・・・・・あのぬいぐるみが欲しいかな?」

 

そこで命が指差したのは巨大な猫のぬいぐるみだった。

 

刀麻「あれか? やけにでかいな」

 

久保「あれは倒せるものなんだろうか・・・?」

 

命「やっぱり無理ですよね」

 

明久「・・・・・・貴浩、椎名さんちょっといい?」

 

椎名「アレを狙うんですね」

 

貴浩「了解!」

 

そういうと椎名はライフルを俺と明久はハンドガンを2丁を手にすると

 

ターン!

 

銃声がした後、巨大な猫のぬいぐるみが倒れる。

 

明久「はい、命」

 

明久は取った景品を命へとプレゼントする。

 

命「あ、ありがとう明久君」

 

明久「どういたしまして。貴浩と椎名さんもありがとうね」

 

貴浩「ああいうのは協力撃ちでいけるもんだからな」

 

椎名「そうですね」

 

優子「今、銃声が1つしか聞こえなかったんだけど?」

 

愛子「うん、僕もだよ。銃声が1つにって・・・そんなことできるの?」

 

貴浩「う~ん、まあできたな」

 

まあ、俺達の3人はよくゲーセンとかでガンゲーとかしてるからできるようになったんだよな。

 

その後も俺、明久、椎名に加えて雄二や光一も参加し次々に景品を落としていった。

そして次に移動するころにはもうほとんどの景品が落としていた。

ついでに言うと射的屋の店長が泣いていた。

 

そして屋台を楽しんだ後俺達は花火を見ることにした。

 

ドーン! ドーン!

 

雄二「それにしても花火を見れるなんて運がいいな」

 

久保「それは僕達の日頃の行いがいいからかもしれないね」

 

明久「やっぱり花火って迫力あるよね」

 

貴浩「それにこの距離だしな。迫力もあるな」

 

普段は家から見える花火ぐらいしか見ないからな。

 

優子「色とりどりで綺麗ね」

 

愛子「大きさや形も色々あって面白いね」

 

貴浩「それに、あの音」

 

椎名「どーんって音ですよね」

 

貴浩「いや、打ち上げたあとのあの気の抜ける音」

 

優子・愛子「「そっち!?」」

 

だってあの音だぞ。気が抜けちまうよ

 

雄二「確かに、なんか脱力するよな」

 

砂原「そうだよね。確かに心もとない音だよねん」

 

光一「だが、そういうのも含めて聞くのがわびさびなんじゃないのか」

 

明久「そうだね。何の音も無くいきなり爆発音ってのも違う気がするし」

 

翔子「・・・・・・そう考えると爆発には音が必要」

 

貴浩「だが、もっと緊張感とか欲しい気もするけど」

 

楓「風切音でも緊張感があると思いますけど」

 

砂原「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

そこで砂原が花火が打ちあがると同時に悲鳴に似た声を出す

 

刀麻「なぜ断末魔!?」

 

砂原「緊張感でたでしょ♪」

 

明久「緊張感はでたかもしれないけどわびさびはどこいったの?」

 

貴浩「・・・・・・話は変わるが、家から見る時は気づかなかったが、模様花火って色々あるんだな」

 

愛子「フルーツや動物の形とか色々あって可愛いよね」

 

明久「もしリクエストできるなら何がいいかな?」

 

姫路「うさぎさんとか可愛いですよね」

 

命「確かにうさぎだと可愛いだろうね」

 

砂原「うさぎさん空に散ってしまうだね」

 

姫路・命「「・・・・・・・!?」」

 

雄二「砂原それはないだろ」

 

砂原「じょ、冗談だよ、冗談」

 

雄二「砂原のは冗談としてピクトドラムとか面白そうだよね」

 

明久「シンプルに人とか」

 

貴浩「なんか味があるよな」

 

翔子「・・・・・・夜空にピクト」

 

砂原「その人の横に爆弾を」

 

刀麻「逃げろー!」

 

貴浩「からの散った後」

 

命「ピクトさん!?」

 

明久「そして敬礼してるピクトだね」

 

雄二「無茶しやがって」

 

その後も盛り上がりながら花火を見ていき別荘へと戻った。

別荘に戻り居間で腰を下ろそうとしたら

 

貴浩「さてと……雄二、どうしたんだ?」

 

雄二「いや、腹減ったなと思ってな」

 

明久「そうだね。僕もお腹空いてきたね」

 

康太「……同じく」

 

姫路「そういえば、私、朝家で──」

 

ゾクッ・・・・・・なんだ? 今の悪寒はなんだ!?

 

姫路「ミナサンノタメニクッキーヲヤイテキタ──」

 

明久「雄二、確かここの近くの海水浴場って」

 

雄二「ああそうだ。貝がたくさん取れる」

 

貴浩「貝以外にも色々取れるぞ」

 

秀吉「では早速取りに行くのじゃ」

 

雄二「ほかの何も入らなくなるくらいまでとろうぜ!」

 

康太「……(コクコク)」

 

5人はダッシュで海岸を走って貝を取るのに必死であった。

 

久保「あれ? 貴浩君たちは……?」

 

島田「元気ねアキたちは」

 

楓「あ、あの姫路さん・・・そのクッキーどうしたんですか?」

 

姫路「はい。家に置き忘れてきちゃいました。残念です」

 

翔子「・・・・・残念」

 

命・楓「・・・・・・(ホッ)」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

椎名「みなさん、いい顔で眠っていますね」

 

優子「本当ね、昨日貝取りに行って帰ってきたと思ったらすぐ寝て」

 

愛子「起きて、朝ごはん食べたと思ったら、また寝ちゃったね」

 

砂原「そんなことしたら太ちゃうよ」

 

姫路「皆さんが寝てしまったせいで、今朝の私たちの手作りの朝食の感想が聞けませんでした」

 

楓・命「「ごめんなさい皆さん」」

 

5人が夢の中、三途の川付近で再会していたのはまた別の話……

 



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体育祭編
参考書とスポ根ドラマと持ち物検査


5/12 修正


雄二「翔子」

 

翔子「・・・・・・」

 

雄二「翔子」

 

翔子「・・・・・・」

 

雄二「おい翔子」

 

翔子「・・・・・・あ・・・・・・ごめんなさい。何、雄二?」

 

雄二「出せ」

 

翔子「・・・・・・えっと・・・多分、無理」

 

雄二「無理じゃない。いいから出してこっちに寄越すんだ」

 

翔子「・・・・・・でも・・・」

 

雄二「でもじゃない。早く出せ」

 

翔子「・・・・・・でも・・・まだ妊娠してないから」

 

雄二「待ってくれ。今会話に必要なステップが凄い飛ばされた気がする」

 

翔子「・・・???」

 

雄二「なんでそこで疑問顔ができるんだよ…。

   お前は俺が何を出せと言ってると思ったんだ?」

 

翔子「・・・・・・母乳」

 

雄二「OK。主語述語じゃなくて、

   問題なのはコミュニケーション能力だということがよくわかった」

 

翔子「・・・・・・違うの?」

 

雄二「違いすぎる。一体何を考えたらそんな答えが返ってくるんだ」

 

翔子「・・・・・・結婚後の私達の家庭を考えていた」

 

雄二「そうか結婚後の家庭か。なるほどな。

   それならあんな回答が返ってきてもおかしいだろ。やっぱり」

 

翔子「・・・・・・それで雄二なに?」

 

雄二「俺の質問は流すのかよ・・・まったく・・・まぁ面倒だからいい。

   俺が出せって言ったのはお前が持ってるでかい袋だよ」

 

翔子「・・・・・・これは何でもない」

 

雄二「翔子。お前のために指輪を買ってきたんだ。手を出してくれ」

 

翔子「・・・・・・嬉しい」

 

雄二「よっと。全く指輪と言われて躊躇い無く左手を差し出すあたりが、

   恐ろしいというかなんというか・・・。

   えーっと、どれどれ中身は・・・ウェデイング雑誌に、催眠術の本に、

   犬のしつけ方の本───ちょっと待てコラ」

 

翔子「・・・・・・返して」

 

雄二「誰が返すか!俺の身の安全のためにこれは預かっておく」

 

翔子「・・・・・・困る。それはなのはに貸してあげる約束をした本もあるのに」

 

雄二「八神にか?ちなみにどの本を?」

 

翔子「・・・・・・催眠術の本を」

 

雄二「約束を破るのはよくないな。これは返してやろう」

 

翔子「・・・・・・ありがとう」

 

雄二「俺もアイツラの幸せを考えているんだからな」

 

翔子「・・・・・・じゃあ私も雄二と築く幸せな家庭について考える」

 

雄二「そこは考えなくてもいい。まだそんな考えにいたるのは早い」

 

翔子「・・・・・・告白・・・プロポーズ・・・結婚式・・・新婚旅行・・・」

 

雄二「おい翔子。ダメだ・・・まったく聞いてねぇ・・・。トリップしてやがる。

   あっ。そういうやお袋からお前に渡しておくよう頼まれてたものがあったんだよな。

   確か端のほつれた部分を直しておいた、だかなんだかって」

 

翔子「・・・・・・おめでた・・・一人目の出産・・・・・・」

 

雄二「おい翔子。この袋の中に入れておくからな」

 

翔子「・・・・・・名前はしょうゆ・・・・・・女の子」

 

雄二「おい聞いてるのか? まぁいいか入れておくぞ」

 

翔子「・・・・・・あっ返してくれてありがとう」

 

雄二「ちゃんと渡してやれよ」

 

翔子「・・・・・・放課後になったら、そうする」

 

 

 

 

 

 

 

目の前で腕を組み、静かに俺達Fクラス生徒一同(一部除く)を見ている鉄人。

つまり担任である西村先生相手に、

Fクラスの代表である坂本雄二と織村貴浩は諭すようにゆっくり語りかけていた。

 

雄二「───だからと言って戦争が必要であると言ってるわけじゃない。

   戦争というものは多くの死者を出し、それは同種族を殺すという、

   生物にとって本能に逆らう最大のタブーを犯し続ける愚考そのものだ」

 

貴浩「だが、それが愚考であっても、そこから学び取れることだって少なからず存在する。

   それは、『知的好奇心は具体的な目的を持つことで、より良い結果へと繋がり易い』

   という事実だ。ここまで言えばあとは先生にも分かってもらえるはずだが」

 

そこで今まで黙って俺と雄二の話を聞いていた先生が始めて反応を見せた。

 

鉄人「坂本、織村兄。お前らが言わんとするしていることは伝わってきた。

   確かにお前らの言う通り、知的好奇心は目的の有無でその存在が変わってくる。

   それはその通りだ。・・・・・・だが・・・」

 

鉄人が腕を組み、俺達全員にはっきり告げる。

 

鉄人「───没収したエロ本の返却は認めんぞ」

 

「「「ちくしょぉおおおーっ!!!!」」」

 

俺達Fクラス男子一同(秀吉と光一を除く)は鉄人の無慈悲な言葉に涙を流して絶叫した。

新学期早々、眠たい目を擦って必死に登校してきた俺達を出迎えたのは、

非情ともいえる教師陣の抜き打ち持ち物検査。抵抗する暇さえ与えず取り押さえられた俺達は、

せめてもの抵抗で鉄人に没収品の返却を要求する演説を行っていた。

 

明久「どうしてですか西村先生!さっきの演説を聞いていたでしょう!?

   僕達が“保健体育”という科目の学習に対する知的好奇心を高める為には

   “エロ本の内容の理解”という本能に根ざした具体的な目的が必要なんです!」

 

鉄人「学習しなければ理解できん程高度なエロ本を読むな。お前は何歳だ」

 

明久「何歳だ、なんて!知識を求める心に年齢は関係ないはずです!」

 

鉄人「よく見ろ。思いっきり成人指定と書いてあるだろうが」

 

ぐうぅ・・・っ!ああ言えばこう言う教師め・・・!

 

『お願いします、西村先生!俺達にその本を返してください!』

 

『僕らには───僕らには、その本が必要なんです!』

 

『お願いです!俺達に、保健体育の勉強をさせて下さい!』

 

『西村先生、お願いします!』

 

『『『お願いします!』』』

 

鉄人「黙れ。一瞬スポ根ドラマと見紛うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」

 

クラスの男子皆の心を込めた願いも鉄人には届かない。

なんて冷たい教師なんだ。

 

明久「それなら先生。こう考えてもらえませんか。

   アレはエロ本じゃなくて、保健体育の不足部分を補っている参考書だと」

 

鉄人「全員きちんと準備をして授業に臨むように。朝のHRを終わる」

 

とりつく島もない。このままじゃ俺達の貴重なお宝が・・・!

 

明久「ええい! こうなりゃ実力行使だ! 僕らの貴重な参考書(エロ本)のため、

   命を懸けて戦うんだ!」

 

「「「おおーっ!!」」」

 

立ち上がって鉄人を取り囲む。この人数差だ。いくら相手が人外の化物でも、

俺達が負けるはずは無い!

 

鉄人「ほほぅ・・・。キサマら、良い度胸だな」

 

そんな危機的状況でも、一切の動揺を見せない鉄人。

 

貴浩「全員、かかれぇーっ!」

 

「「「うおおおぉぉーっ!」」」

 

恨み募る怨敵に対し、俺達は拳を固め飛びかかった。



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夢と希望と復讐劇

新年明けましておめでとうございます。

今年も“バカと俺達の召喚獣”をどうかよろしくお願いします。

今年もどうか良い年でありますように


5/12 修正


雄二「あの野郎・・・絶対人間じゃねぇ・・・・・・」

 

先ほどまで俺と共に鉄人に熱弁をふるっていた雄二が苦々しく呟く。

喧嘩慣れしている友は、一本背負いで強かに床に叩きつけられた腰をずっとさすっていた。

 

明久「だよね・・・どうして46人の男子高校生相手にして、

   たった1人で戦えるんだろう・・・・・・」

 

貴浩「本当は人間の皮を被った化物なんじゃないのか・・・・・・」

 

俺と明久も床に伏せながらそう呟く。

俺と明久も続くように突撃したが召喚獣を出す前に明久は肩固めで、俺は巴投げで悶絶させられた。

 

康太「・・・・・・あの動き、人間兵器レベル」

 

ムッツリーニもスタンガンを持って特攻したが、武器を奪われえて逆にその電撃で沈められた。

 

島田「アンタらって、こういう時は凄い結束力を発揮するわね」

 

明久「統率力って、そんなに統制とれてた?」

 

命「統制っていうか・・・男子生徒の皆さんが、どうして1人残らず・・・・

  ああいう本を持ってきてるんですか?////」

 

命はそういいながら顔が少し赤くなっていた。

おそらく俺達の没収された本が目に入ってしまったんだろう。

 

貴浩「まぁ、それは男子には色々あるんだよ」

 

楓「兄さん・・・・・・あんな本を持ってくる事情ってなんですか?」

 

よりにもよって夏休み明け直後のこの時期。

ムッツリ商会主催の『収穫報告祭(夏)』のタイミングで

抜き打ちの持ち物検査が仕掛けてくるなんて。教師の情報網も侮れないな。

 

姫路「でも没収されたのは仕方がないと思います。その・・・・・・ああいう本は

   明久君たちにはまだ早いと思いますから・・・・・・」

 

明久「うぅ・・・そうは言っても、やっぱり納得いかないよ・・・・・・」

 

秀吉「持ち物検査など久しくやっていなかったからの。油断するのも無理からぬ事なのじゃ」

 

島田「確かに凄い不意打ちだったわね。ウチも細々した物を沢山没収されちゃったわ。

   DVDとか、雑誌とか、抱き枕とか・・・・・・」

 

姫路「そうですね・・・私も色々没収されちゃいました・・・・・・。

   CDとか、小説とか、抱き枕とか・・・・・・」

 

光一「お前らも没収されたのか・・・楓もですか?」

 

楓「演劇に使おうと思っていた小物類を少し・・・・・・」

 

秀吉「ワシも楓と似た様なものじゃな」

 

康太「・・・・・・・持ち物検査について警戒をすっかり忘れていた」

 

雄二「学年全体での一斉持ち物検査だからな・・・。

   夏休みの俺達がいない間に打ち合わせでもしてたんだろうな」

 

明久「まったく、先生達もやることが汚いな・・・」

 

貴浩「だがまぁ、携帯が没収されなかったことが唯一の救いだな・・・」

 

雄二「授業中に鳴ったり使ったりしたら没収だがな」

 

秀吉「して、明久と貴浩は何も没収されたのじゃ?」

 

明久「えーっと、本にゲームに、(命の水着や浴衣)写真とか・・・」

 

貴浩「俺は、本にゲーム、大量のお菓子、(優子や愛子、椎名の水着・浴衣)写真だな・・・」

 

命「写真までも没収されたんですか? 先生達も容赦ないですね」

 

明久「まったくだよ・・・今日の朝、ムッツリーニから買ったばかりだから。

   まだ殆ど見ていないのに」

 

貴浩「俺もだ。せっかく買ったのに・・・・・・雄二も何かやられたのか?」

 

雄二「俺はまたMP3プレイヤーだ。一昨日では新譜を入れておいたのに、

   それも全部パァだ。くそっ」

 

明久「ってことはムッツリーニはやっぱりカメラ?」

 

康太「・・・・・・(コクリ)」

 

沈んだ様子で肯定するムッツリーニ。

撮ってる内容が内容だしな・・・没収されるか・・・

 

康太「・・・・・・データの入ったメモリごと没収されたから、再販もできない」

 

「「「えぇぇ!?」」」

 

そ、そんな!? 当分再販されないだと!?

 

明久「どういうことさムッツリーニ!いつもバックアップを撮ってるんんじゃないの?」

 

貴浩「・・・・・・まさか・・・容量がありすぎてサルベージに時間がかかるのか?」

 

康太「・・・・・・その通りだ」

 

ムッツリーニの発言を聞きクラスのあちこちで悲鳴が聞こえる。

 

明久「さてどうする雄二・・・・・・やる?」

 

雄二「そうだな。こんな横暴を許したら今後の学園生活に支障が出るな・・・。

   よしっ! やるぞ明久! 教師ども・・・とくに鉄人が出払った昼休みに

   職員室に忍び込み、俺達の夢と希望を取り戻すんだ!」

 

貴浩「もちろん俺も行くぞっ! 夢と希望を取り戻すためにな」

 

康太「・・・・・・3人だけを戦わせはしない」

 

『待ちなっ、お前ら!』

 

『俺達を忘れてもらっちゃ困るぜ』

 

『へへっ・・・・・・。俺達、仲間だろ?』

 

気づけば俺やムッツリーニだけでなく

先ほど鉄人に叩きのめされた男子生徒が全員立ち上がっていた。

 

命「あっ、あの。皆さん落ち着いてください」

 

と、そこで命から静止の声が割って入る。

 

明久「み、命・・・?」

 

命「明久君、貴浩君、坂本君、それに皆さん・・・・・・。

  やっぱりそういうのって、良くないと思います」

 

明久「そういうのって・・・忍ぶ込むって話?」

 

命「・・・はい、そうです。やっぱり忍び込むっていうのはダメだと思います。

  そういうのはズルイと思います」

 

明久「・・・・・・どうする雄二。命にここまで言われたら・・・」

 

雄二「あ~・・・・・・。どうするも何も考え直すしかないな」

 

命「皆さん、わかってくれたんですね」

 

貴浩「命の言いたい事は良く分かった。つまりこういうことだろう?

   ───こそこそ忍び込むような真似はせず、鉄人を殺って堂々と奪い取れ、と」

 

命「はいっ、そうです!」

 

楓「いやいや、それも全然違いますからね」

 

そんなわけで俺達は昼休の職員室に急襲を決行することになった。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

だが・・・・・・俺達は結果的に惨敗した。

職員室に辿り着くとそこには教師陣が召喚獣を召喚して待ち伏せしていたのだ。

そして、その反省の意味も込められたプレゼント(問題集)が渡された。

 

貴浩「くそっ・・・やられた・・・・・・・そういえばすぐに体育祭だな」

 

雄二「そうだな・・・。体育祭ってことは・・・・・・アレがあるな」

 

明久「アレがあるね」

 

そこで俺達3人はニヤリと笑みを浮かべる。

 

雄二「思えばこの五ヶ月。いや、入学以来の一年後ヶ月。

   俺達はここの教師陣には随分と酷い目に遭わされてきた」

 

明久「廊下に正座させられたり、補習室に監禁されたり、聖典(エロ本)を没収されたり、

   酷い教室の設備に押し込められたりしたよね」

 

貴浩「だが、もうすぐやってくる体育祭。そこで俺達は復習することが出来るんだ!」

 

『おうっ! やってやろうじゃねぇか!』

 

『去年は勝手がわからなかったが、今年はそうはいかねぇ!』

 

『あの鬼教師どもめ・・・! 目に物を見せてくれる!』

 

至る所から威勢のいい声があがる。

 

雄二「いいかお前らっ! こんなチャンスはまたとない! 

   今までの学園生活で、罵倒され虐げられてきたこの鬱憤。

   この機に晴らさずしていつ晴らす!」

 

『そうだっ! 恨みを晴らせっ!』

 

『この機に乗じて仇を討てっ!』

 

『ダサクサに紛れて奴らを痛みつけろっ!』

 

そう。こんなチャンス滅多にない。

仇敵ともいえる教師陣を交流試合という隠れ蓑を使って攻撃できるという、復習のチャンスは。

 

雄二「全員今は牙を研げ。地に臥し恥辱に耐え、チャンスの為に力を溜めろ。

   今この時は、真に敵を討つ時ではない。復讐するべき時期は体育祭。

   親睦競技という名の下に、接触事故を装って復讐を果たす。

   いいか、俺達の狙いは───」

 

 

『『『生徒・教師交流野球だ!』』』

 

 

全員が声を揃えて拳を挙げる。

見ていろよ鉄人、ババア共教師陣め・・・!

交流野球にかこつけて、必ず聖典(エロ本)と食べ物(お菓子)の仇を討ってやるからな・・・!

食べ物の恨み、思い知らせてくれる・・・・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

      『連絡事項』

 

   文月学園体育祭 親睦競技

     生徒・教師交流野球

 

 上記の項目に対し来年は実施事項を変更し、

  “競技に召喚獣を用いるもの”とする

 

 

 

 

 

 

 

『『『『ババァーーーーっっ!!!!』』』』



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ババァとクソと提案

5/12 修正


「「「ババァーーーーっっ!!!!」」」

 

学園長室の扉を開け放ち俺と明久、雄二は同時に叫び声を上げた。

 

学園長「なんだいクソジャリども。朝っぱらからうるさいねぇ」

 

耳を押さえて顔をしかめる妖怪ババア。

俺達は掴みかからんばかりの勢い詰め寄った。

折角昨日、聖典を没収された恨みを溜め込んで交流野球で一気に教師陣にぶつけようと

意気込んでいたと言うのに・・・今日朝、学校に来てみるといきなりこの通知だ。

俺達が怒鳴り込むのも仕方がないだろう。

 

明久「どうして今年から急に交流野球で召喚獣を使うなんて言い出すんですか!?

   これだと先生たちを痛みつけて復讐できないじゃないですか!」

 

学園長「・・・・・・アンタが今言った台詞が、そのまま召喚獣に変更した理由の

    説明になると思うんだけどねぇ・・・・・・」

 

明久「この野球大会の為に、僕らがどれだけ故意に見えないラフプレーの練習をしてきたのか、

   僕らがどれだけ努力を重ねてきたのか、学園長は何も知らないから・・・

   そんな冷たいことを言えるんですよ!」

 

学園長「その努力は別の方向に向けなクソガキ」

 

雄二「けっ。この変更、どうせまた例のごとく召喚獣システムのPRが目的だろうが・・・・・・・。

   肝心のシステムの制御はできるようになったのか?」

 

学園長「肝試しのときや夏休みはともかく、今は完全に制御してあるさね。

    そうでなければ召喚獣に野球をやらせるなんて不可能だろう?」

 

言われて瞬間考える。

そうは言っても、肝試しの時は狙ってやったんじゃなく

調整に失敗してああなったはずだ・・・。

もしかして今回も調整に失敗したんじゃないだろうか・・・・・・。

 

学園長「待ちなクソガキども。なんだいその顔は。

    まさか、アタシが調整に失敗して偶然野球仕様になって

    それを都合良く使ってるんじゃないかって、なんて思ってるんじゃないだろうね」

 

まさにその通りだ。

 

学園長「ふん。アンタらがどう思っているのか知らないないけど、

    野球用に組み替えるなんてのは並みの労力じゃないんだよ。

    フィールドの広さの拡張、バットやボールの設定に、

    ボールが仮想体の構築もしなきゃならない。

    それこそ、完全に制御できていなければ実行できない内容なのさ」

 

明久「つまり、上手く制御できるようになったから、

   皆に見せびらかしたかたってことかな」

 

学園長「・・・・・・・・・」

 

明久の発言で妖怪ババアの表情が固まった。

 

貴浩「明久。もうちょい気を使えよ。図星突かれてババアが凍りついただろうが」

 

学園長「ち、違うさねっ!これはあくまでも1つの教育機関の長として、

    生徒たちと教師の間に心温まる交流をだね」

 

貴浩「あー、そうですねー、流石ですよ」

 

雄二「あー、そうだなー、教師の鑑だな」

 

明久「凄いですねー、尊敬しちゃいますねー」

 

学園長「本当に腹立たしいガキどもさね!」

 

見え見えの嘘はお互い様だと思うがな

 

雄二「だが、そういうことなら野球のルール変更を白紙に戻すことも可能だよな。

   なんせ変更理由がババァの自慢ってだけなんだからな」

 

明久「そうだよね。野球のルールを戻してください」

 

学園長「却下だね」

 

「「「どうして!?」」」

 

学園長「そこまで人をバカにしておきながらどうして断られないと思えるんだい!?

    それに、暴言がなくても今さら変更は変更は無理だね。

    この通り、プログラムも既に発注しちまったからね」

 

明久「そんな・・・・・・僕らの同意もなしに、勝手に話をここまで進めるなんて・・・・・・」

 

学園長「バカ言うんじゃないよ。どうしてアンタらにご意見を伺う必要があるんだい?」

 

貴浩「確かに今からまた変更ってわけにはいかないだろうな・・・。

   だが、これはあまりに教師チームと生徒チームに差がないか?」

 

学園長「差っていうのは召喚獣の強さの違いかい?

    ハッ、何を言ってるんだか・・・それにアンタと吉井には殆ど差がないだろ。

    それに、いつもの戦闘じゃなくて、今回は野球じゃないか。

    力があるだけで勝てるっていうなら、

    今頃野球選手は全員ボディビルダーで埋まってるだろうに」

 

明久「でも・・・」

 

学園長「それに、この文月学園は試験的かつ実践的な新学校だよ!

    点数の差が力の差になって何が悪いさね」

 

明久「それでも、こんなに差があったら野球なんてやる気がなくなっちゃいます!

   やっぱりルールの変更を──」

 

雄二「あー、待て明久。それはできないってさっきも言っただろうが」

 

明久「でも雄二。これじゃあ」

 

雄二「まあ確かにこれじゃあやる気が出てこないのも事実だ。だからどうだろう学園長。

   俺達がやる気を出せるように、何か賞品を用意してもらえないだろうか?」

 

学園長「これはまた、随分とくだらない提案をしてきたもんだね。

    そんなもの、急に言われて準備できるわけないだろう?」

 

雄二「いや、用意する必要もないし、費用もかからない。

   俺達が教師チームに勝てたら、持ち物検査で没収された物を返してもらう。

   それが賞品ということでどうだ?」

 

学園長「・・・・・・なるほど、名より実を取ろうってわけかい」

 

雄二「復讐ができるのならそうしてもいいが、ルール変更が決定事項となったのなら、

   ゴネても仕方がないからな。それなら実益を得られる可能性に賭けた方がいい」

 

貴浩「妖怪ババアも流石にあの問答無用な持ち物検査については、

   生徒に限らず教師陣にも色々言われたんだろ?」

 

学園長「・・・・・・フン。没収されるのが嫌なら、不要品なんかもってくるんじゃないよ。

    学校をなんだと思っているんだい」

 

雄二「そんな批判が出ているからこその提案だ。

   これを呑んでくれたらルール変更の話に大人しく従うし、

   チャンスを与える事で没収に対する不満だって抑えられる。

   悪い話じゃないはずだが?」

 

学園長「進むべき方向がわからないから不満が爆発するってことかい。

    『没収品を取り戻せる機会がある』と提示してやることで、

    その後結果として取り戻せなくても、その怒りの矛先をアタシら

    “教師陣”から“試合に負けた自分たち”に向けさせようと」

 

雄二「ま、そういうことだ。何もせずに一方的に奪われるというのは、

   人間誰でも嫌なもんだからな。一度でもチャンスがあって、

   自分で行動した上での結果なら意外と受け入れられるもんだ」

 

貴浩「という雄二からの提案だが、どうだ妖怪ババァ?」

 

明久「お願いしますババァ」

 

学園長「そうさねぇ・・・・・・。コレに関しては、取引というよりアンタらのお願いだからね。

    そんな態度で頼まれても、快く首を縦には振れないさね」

 

思わず『妖怪クソババァ』などという所だったがここは我慢だ・・・

 

明久「と言うと、どういうことですか?」

 

学園長「目上の人間をババァ呼ばわりするようなガキどもの頼みは聞けないってことさ」

 

なるほどな。ババア呼ばわりされるのが気に入らなかったのか。

それなら言い直すとしよう。

 

明久「なるほどそれは失礼しましたクソ」

 

貴浩「確かに妖怪クソの言うとおりですね。以後気をつけます」

 

学園長「待ちなガキども。アタシはクソババァからババァの部分を

    外せって言ったんじゃないからね」

 

妖怪クソが顔を歪ませる。なんて注文が多いんだ。

 

貴浩「で、どうなんだ?」

 

学園長「・・・・・・・そうだね。何か問題を起こされるよりはマシだからね。

    仕方がないね。その提案、呑んでやろうじゃないか」

 

雄二「そうか。それは助かる」

 

その後は雄二と学園長の2人がお互いを罵倒しながら召喚野球大会のルールを書き出していった。

 

 



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規則と隠し場所と確認

『召喚野球大会規則』

 

●各イニングでは必ず授業科目の中から1つを用いて勝負する事。

 

●各試合において、同種の科目を別イニングで再び用いる事は認めない。

 

●立会いは試合に参加しない教師が務めること。

 また、試合中に立会いの教師が移動してはいけない。

 

●召喚フィールド(召喚野球仕様)の有効圏外へ打球が飛んだ場合、

 フェアであればホームラン、その他の場合はファール。

 

●試合は5回までの攻防までとし、同点である場合は7回まで延長。

 それでも勝負がつかない場合は引き分けとする。

 

●事前に出場メンバー表を提出する事。ここに記載されていない者の

 試合への介入は一切認めない。尚、これはベンチ入りの人員および

 立会いの教師も含む。

 

●人数構成は基本ポジション各1名とベンチ入り3名の計12名とする。

 

●進行においては体育祭本種目を優先とする。

 競技の時間が重なりそうな場合は事前にメンバー登録の変更を行っておくこと。

 

●その他のルールは公認野球規則に準ずる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

交渉を終えFクラスに戻る途中

 

明久「雄二、さっきの話なんだけど」

 

雄二「召喚野球の話か?」

 

明久「うん、アレってさ、一見合理的な判断に見えたけど・・・・・・それって、

   僕らに勝てる可能性があればって話だよね?」

 

確かに、雄二が交渉で勝ち取ったのは、『俺達が勝てば没収品を返してもらう』という賞品だ。

賞品、そう、つまり勝ったらもらえる物の賞品だ。

一見合理的な判断に見えるものの、実際はそうでない。

テストの点数を使った勝負で、

俺達Fクラスが教師チームに勝つことの出来る可能性は限りなく少ないだろう。

 

雄二「お前の言うとおりだ。結局あの話は勝てなきゃなんの意味を持たない。

   それがわかっているからこそ、ババァも乗ってきたのだろうな」

 

明久「そうだよね。僕らの点数じゃよほどのことがなきゃ・・・」

 

雄二「ま、そりゃそうだ。普通のやり方じゃ勝てないだろうな」

 

教師と俺達の点数では天と地との差があるしな。

 

貴浩「で、雄二。今度はどんな作戦を考えたんだ?

   雄二の事だ、絶対何か意図があるんだろ?」

 

雄二「貴浩の言うとおりだ。ルールを利用するつもりだが───まぁそれはやってからのお楽しみだな」

 

明久「けど雄二がそこまで頑張るなんて、没収されたのはMP3だけじゃなさそうだね。

   他には何を?」

 

雄二「特級品の写真集を3冊ほど持って行かれた・・・・・・」

 

貴浩「3冊って・・・よくあの霧島相手に隠し持っていられたな・・・」

 

雄二「本棚の下や天井裏、完全防水して熱帯魚の水槽の底に沈めたりと、色々と苦労したからな。

   お前らはどうしてるんだ?明久だってあの姉さんがいるから厳しいんじゃないのか?」

 

明久「僕は引き出しを2重底にして保管したり、あとは貴浩の部屋に置いてるよ」

 

雄二「貴浩の部屋だと?」

 

明久「うん、やっぱり僕の姉さんも鋭いところがあるから隠す場所に限りがあるからね。

   その点、貴浩の部屋なら遊びに行くついでに取りにいけるしね」

 

雄二「だが、それだと楓や八神とかに見つからないのか?」

 

貴浩「ん~意外と大丈夫だな。楓もなのはも玲さんや霧島と違って常識は持ってるからな。

   勝手に部屋を物色しないからな」

 

雄二「・・・それは、羨ましいかぎりだ」

 

明久「ってか雄二のそれは、見たい時に取り出せるレベルじゃないよね」

 

雄二「そこまでしなけりゃ守りきれねぇし、そこまでして守る価値のある逸品だったんだ」

 

貴浩「そうか、そこまでの物なら是非見てみたかったな」

 

翔子「・・・・・・私も」

 

いつの間にかに俺の隣にいた霧島と頷き合う。

一体どんな物なんだろうか、これは一刻も早く取り戻す必要があるな。

 

貴浩「・・・・・・・・・」

 

明久「・・・・・・・・・」

 

貴浩「じゃあ雄二、そういうことで。俺と明久は邪魔者みたいだから、霧島と2人で仲良く」

 

明久「うん、そうだね。邪魔するのはいけないよね」

 

雄二「待て貴浩、明久。この状況で俺を置いて逃げるな」

 

そこから逃げだそうする俺と明久の腕を雄二が強く掴む。

・・・・・・ここで雄二のとばっちりをくいたくないしな。

 

翔子「・・・・・・雄二を甘く見ていた。

   今後は水槽や植木鉢、雄二が入浴中の浴室の中まで詳しく探す」

 

雄二「オイ待て。最後の1つは確実に目的が操作じゃないだろ」

 

翔子「・・・・・・私には、雄二の成長を確認する義務があるから」

 

ふ~ん、成長を確認する義務か・・・・・・いや、おかしいだろそれ・・・・・・ん?

待てよ。成長を確認ということは、

 

貴浩「なぁ霧島」

 

翔子「・・・・・・なに?」

 

貴浩「もしかして、霧島は雄二と風呂に入ったことがあるのか?」

 

翔子「・・・・・・中学に入るまで」

 

「「ィッシャアアーーーっ!!」」

 

雄二「っぶねぇーーっ!」

 

ちぃっ!避けやがったか!

俺と明久の渾身のストレートとハイキックを避けるとは、さすが悪鬼羅刹と呼ばれるだけあるな

 

雄二「落ち着け貴浩、明久。中学に入るまでと言っても高学年になった頃には全く」

 

翔子「・・・・・・私の胸が大きくなってからは、数回しか」

 

「「だらっしゃぁあああーーっ!!」」

 

雄二「ぅおおおおおっ!?今お前ら本気で殺す気だっただろ!?

   ってか貴浩は妹の楓や従妹の八神と入ったことぐらいあるだろ!?」

 

貴浩「黙れ!!確かに入ったことはあるがそれは小学校低学年の頃だっ!

   それに楓は家族でなのはも家族みたいなものだっ!

   お前と一緒にするなっ!しかも高学年まで入っていただとっ!許さん!」

 

明久「黙れ邪教徒・・・。誰もが踏み入れぬ事の許されぬ、

   遥か遠き聖域を汚す異端者め・・・。その罪、死をもって贖うべし」

 

須川「吉井の言うとおり!その罪、死をもって贖うべし。それが──」

 

『『『───我ら、異端審問会』』』

 

雄二「ちょ、ちょっと待て!?お前らいつの間に現れたんだ!?

   さっきまで気配すらなかっただろ!?

   風呂といっても別に何かあったわけでもぎゃっあああっ!」

 

「「・・・・・・あ~・・・・・・」」

 

翔子「・・・・・・あ・・・・・・雄二」

 

俺と明久はいきなり異端審問会が現れたことに驚いたまま、雄二が連れて行かれるのを見ていた。

ちなみに俺と明久は異端審問会を抜けている。

楓と命に何かあった場合は力を貸すが・・・

 

貴浩「ん?どうした霧島、雄二に何か用だったのか?」

 

翔子「・・・・・・さっき話してた『野球で勝てば没収品返却』って話を詳しく聞きたくて」

 

明久「あ~、そのことね」

 

貴浩「簡単に言えば、今度の体育祭で行われる教師・生徒交流召喚野球大会で優勝すれば、

   没収されたものを取り返すことができるってことだ」

 

翔子「・・・・・・そういうこと・・・うん、わかった。ありがとう」

 

霧島はお礼と言うと早足で自分のクラスへと戻っていった。

霧島も何か没収されたのだろうか?

 



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打順と守備位置と対戦相手

5/12 修正


『───時より、第2グラウンドにて召喚野球を行います。参加する生徒は───』

 

校舎に取り付けられたスピーカーからアナウンスが響き渡る。

そんなこんなで、気がつけば体育祭当日。

退屈な開催式も無事に終えて、グラウンドの一部を

仕切って作られた自分たちの席を離れ、俺達は野球大会の行われる会場へと向かっていた。

 

明久「雄二。最初の対戦相手はどこだっけ?」

 

雄二「確か一回戦は同学年の隣のクラスが相手という話だったから、Eクラスのはずだ。

   ほら、コイツが対戦表だ」

 

雄二がA4サイズの紙を渡してくる。そこには櫓状の対戦表が書かれていた。

Eクラスか・・・Eクラスというとアイツがいるのか・・・会いたくねぇな・・・・・・

 

明久「そういえば・・・Eクラスの代表ってどんな人だったっけ?

   それにEクラスって野球で勝負しても大丈夫? 何も危険はない?」

 

正直、俺にはEクラスにアイツがいる時点で危険だ。

 

雄二「ん~・・・・・・。まぁ大丈夫だろ。さっきちょっと代表同士で

   挨拶した限りだと、対応も可愛いもんだったしな」

 

Eクラス代表っていうと・・・確か・・・中林だったか・・・まぁ確かに可愛い部類に入るだろうな。

 

明久「え? 本当? どんな感じの子なの?」

 

雄二「『押忍! 自分はEクラス代表の中林であります!

    本日は絶対に勝たせて頂くであります!』って感じで」

 

明久「ソイツきっと全身筋肉質だよね!? 絶対可愛くないよね!?」

 

まあ確かに雄二の言うとおりなら明久の言うとおりだな。

 

貴浩「安心しろ明久。Eクラスの代表はそんな奴じゃない。

   Eクラスの代表は確か女子テニス部のエースをやってる中林っていう女子だ。

   性格は、そうだなぁ・・・島田に近い感じじゃないか?」

 

明久「外見は?」

 

雄二「鉄人に近───冗談だ明久。ダッシュで逃げるなよ」

 

明久「雄二の冗談は心臓に悪いんだよ」

 

貴浩「鉄人みたいな女子がいたら俺、拳銃持っててもすぐさま逃げ出す自信あるぞ」

 

秀吉「お主ら全然話が進まん。結局Eクラスはどういった連中なのじゃ?」

 

貴浩「Eクラスは一言で表すと『体育会系クラス』だな」

 

明久「体育会系クラス?」

 

雄二「そうだ。部活を中心に学園生活を送っているヤツが殆どだ。

   部活に打ち込んでいるせいで成績が悪い連中ばかりだが、

   体力や運動神経はかなりのもんだ。ちなみに、あの西郷もEクラスに所属している」

 

明久「西郷君って確か合宿の時貴浩に迫ってた人だよね」

 

貴浩「思い出させるな明久。今、思い出しても気持ち悪い。

   まあそれはおいといて、体力も運動神経もほぼ互角で

   点数は総合的にはこちらが負けるかもしれないが、

   やるのは野球だ。9人しか出れないならこちらにも勝ち目は充分ある」

 

雄二「貴浩の言うとおりだ。こっちには貴浩や明久の操作技術に加え、

   貴浩、楓、姫路とAクラス成績保有者もいる。

   それに俺に秀吉、ムッツリーニはお前らのおかげでだいぶ操作技術が向上したからな。

   Eクラスにはガチでぶつかっていくぞ」

 

西郷「ならばこちらも全力でぶつかるのみよ!」

 

そこで対戦相手であるEクラス代表の中林と西郷がやってきた。

 

西郷「こんな機会でまた織村と会えるなんてこれは運命だろう」

 

うげっ・・・気持ち悪ぃ

 

西郷「もうこれは神が私と織村を結び合わせようとしているに違いない」

 

貴浩「なあ雄二、明久。コイツ、殺っていいかな?」

 

雄二「気持ちは分らなくはないが、今は試合前だ落ち着け」

 

中林「西郷は黙っていて! ごめんなさいね、ウチのクラスの者が迷惑かけて」

 

明久「それは別にいいけど、なるべく早く西郷君を連れて行ってくれると助かるかな。

   貴浩が暴走する前に」

 

中林「そ、そうね・・・なら、正々堂々勝負しましょう」

 

中林は一言そういうと西郷を引きずれながらEクラスのベンチへ向かっていった。

 

貴浩「・・・・・・今から憂鬱だ」

 

明久「貴浩頑張ろうよ」

 

溜息を吐きながら、とりあえず召喚獣を喚びだす準備を始めることにする。

この試合の1回は──向井先生がグラウンドにいるってことは古典勝負ってことだな。

 

雄二「さて、そろそろ守備位置と打順を発表するか。おーい、全員聞いてくれ」

 

雄二が声をかけると同時に試合に参加するクラスメイトが集まってくる。

 

雄二「基本の守備位置と打順はこんな感じだ」

 

 

1番 ファースト  木下秀吉 

2番 ショート   土屋康太(ムッツリーニ)

3番 ピッチャー  吉井明久

4番 キャッチャー 坂本雄二

5番 ライト    姫路瑞希

6番 センター   織村貴浩

7番 セカンド   島田美波

8番 サード    須川亮   

9番 レフト    福村幸平

 

ベンチ  織村楓、木下命、近藤吉宗

 

 

明久「ねぇ雄二。僕がピッチャーでいいの?

   雄二か貴浩、楓、姫路さんのほうが良くない?」

 

まあ普通に考えれば、召喚獣を使うなら純粋に高得点保有者が望ましいのだが──

 

貴浩「明久、よく考えてみろ。俺達の誰かがピッチャーやって捕れるキャッチャーいるか?」

 

明久「そっか。生身の人間と違って、召喚獣は他の人の十倍以上の力の差、

   とかあったりするもんね。そういうことなら仕方がないね」

 

秀吉「ならば楓や姫路が投げて雄二か貴浩が捕るのではダメじゃろうか」

 

そこで秀吉が手を上げて質問すると、俺と雄二が答えるより先に楓と姫路が反応した。

 

楓「す、すみません。私、野球のルールとかは知っているんですが

  やったことがなくて・・・・・・」

 

姫路「私も、野球とか全然分らなくて・・・・・・。実際にやったこともないですし・・・・・・」

 

もし、2人が投げて上手くミットに収めれなかった場合は、昇天するだろうな

 

雄二「だ、そうだ。そういうわけだから、今後はともかく、

   1回戦はルールの把握をしてもらう。状況によっては配置変更するけどな」

 

なるほど、そのために俺がセンターなわけか。

姫路のフォローを俺がするわけだな。

 

雄二「以上だ。何か質問は?」

 

雄二が全員を見渡す。それ以上何も質問は出なかった。

そして、自然と雄二を中心に円陣が出来上がる。

すると雄二は全員を鼓舞するように大きく声を上げる。

 

雄二「よし。それじゃ──いくぞテメェら、覚悟はいいか!」

 

「「「おうっ!」」」

 

雄二「目指すは決勝、仇敵教師チーム!ヤツらを蹴散らし、

   その首を散っていった戦友(エロ本)の墓前に捧げてやるのが目的だ!」

 

「「「おうっ!」」」

 

雄二「やるぞテメェら!俺の──俺たちの、かけがえのない仲間(エロ本)の弔い合戦だ!」

 

「「「おっしゃぁーーーっ!!」」」

 

男子全員に炎が灯る。

 

命「え、えーっと・・・・・・こうしてると、なんだか・・・・・・」

 

楓「そうですね・・・私たちまで疑われちゃいそうですね・・・」

 

秀吉「ワシも別にエロ本などは持ち込んでおらんのじゃが・・・」



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ど真ん中とピンチと試合開始

5/12 修正


~明久SIDE~

 

 

『プレイボール』

 

主審を務める寺井先生の声がグラウンドに響き渡り、ゲームが始まる。

 

「しゃーっす!試獣召喚(サモン)っ」

 

 

【古典】

 Fクラス      VS   Eクラス

 吉井明久 71点       園村俊哉 117点

 

 

ちなみにこの試合は

1回は古典、2回は数学、3回は化学、4回は英語、5回で保健体育になっている。

 

 

明久≪そんなど真ん中なんて、大丈夫?≫

 

雄二が1球目にミットが示した場所はど真ん中だった。

僕は疑問に思いいつものアイコンタクトで雄二に確認すると

 

雄二≪大丈夫だ。向こうもなれない召喚獣を使っての一球目だ。

   様子を見てくるに決まっているからな≫

 

明久≪ふむふむ。なるほどね≫

 

そういうことならど真ん中という指示も頷ける。

いっそのこと力を抜いた緩い球を投げてみようかな。

どうせストライクがもらえるのなら力を温存しているほうが良いし。

 

明久≪じゃあいくよ雄二≫

 

雄二≪おう。来い明久≫

 

雄二の指示通りのコースの球を投げる。

 

キンッ

 

『ホームラーーン』

 

雄二「ちゃんと投げろボケがぁーー!」

 

明久「ちゃんと指示しろクズがぁーー!」

 

ボールは甲高い音をたて、青空へと消えていった。

 

貴浩「お前ら・・・いくらなんでも運動会系のメンツに

   ど真ん中のスローボールなんてどうなんだよ・・・」

 

雄二≪てめぇ明久。次ミスったら脛バット喰らわしてやる≫

 

明久≪雄二こそ、次ミスったら脛バットを叩き込んでやる≫

 

サインを確認して、2番バッターへ第1球を投げる。

 

キンッ

 

「「バットをよこせぇっ!!」」

 

僕と雄二がベンチに向かって要求する。

 

須川「ええいこのバカ野郎どもが! もうお前らには任せておけねぇ!」

 

福村「そもそも吉井と坂本に任せた俺たちがバカだった!」

 

須川「こうなりゃ、ここから先は俺が投げる! ピッチャー交代だ吉井!」

 

福村「それならボールは俺が捕るっ! キャッチャー交代だ坂本!」

 

 

キンッ

 

 

【Eクラス 3  VS  Fクラス 0】

 

 

 

~貴浩SIDE~

 

雄二「・・・・・・やべぇ。いきなり大ピンチだ・・・」

 

明久「いやピンチっていうか点数取られまくった後なんだけど・・・」

 

立て続けにホームランを打たれ3点も取られてしまい、

タイムを取ってマウンドで作戦会議。

 

貴浩「お前ら何やってんだよ・・・1回に3点ってバカだろ・・・」

 

「「・・・・・・面目ない」」

 

貴浩「ピッチャーは俺がする。キャッチャーは雄二、

   センターは明久がしろ」

 

明久「貴浩がピッチャーするの? 雄二がキャッチャーで大丈夫なの?」

 

貴浩「大丈夫だ。古典なら正直そこまで点数高くないからな」

 

雄二「・・・わかった。とにかく一旦仕切りなおしだ」

 

方向を決めて、各自持ち場に戻る。

配置につき、バッターが構えるのを待つ。

次のバッターは4番だ。気を締めないとな。

 

西郷「おぉ、ピッチャーが織村とは・・・これはもう運命に違いない・・・」

 

Eクラスの4番は西郷だった。

 

雄二≪貴浩、4番は西郷だが落ち着いて投げろよ≫

 

貴浩≪大丈夫だ雄二。全力で投げるからな≫

 

俺は雄二とアイコンタクトをすませ第1球を投げる。

 

ゴスッ

 

『デットボール。一塁へ』

 

西郷「何故だっ織村!? 何故そんな仕打ちをするんだっ!?

   だが、私はこんな事諦めないぞっ! 私とお前との愛はこんなものではないはずだっ!」

 

「落ち着け西郷! 折角勝ってるのにお前の行動でノーゲームにするのは勿体無い」

 

暴れる西郷をEクラスの男子が必死に宥めている。

今更ながら帽子を取り一応謝っておく。

 

貴浩≪・・・・・・さて、遊びは終わりだ。真面目にいくか≫

 

雄二≪ってことはさっきのは狙ってやったのか・・・≫

 

貴浩≪・・・・・・ソンナコトナイデスヨ≫

 

1度深呼吸をしてから、雄二の構えたミットにボールを投げる。

すると、相手は他のヤツらがホームランを打ったというプレッシャーもあり、

打ちにくい球に手を出していき、5番、6番、7番からアウトを奪い攻守交代する。

 

さて、次はこっちの番だ。

 



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男らしさとデットボールとホームラン

5/12 修正


雄二「よし! さっきはちょっとしたハプニングがあったが、だいたい計算通りだ!

   さっさと点を取ってブッ倒すぞ!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

雄二の言葉に全員に拳を掲げて応える。

 

貴浩「トップバッターは秀吉か。頑張れよ」

 

楓「ヒデ君、頑張ってくださいね」

 

秀吉「任せておくのじゃ」

 

『木下。まずはアンタを討ち取って波に乗らせてもらうわよ!』

 

マウンド上ではピッチャーを務める中林が闘士を燃やしている。

体育会系の連中が多いクラスの代表だけあって、ノリもそんな感じらしい。

 

秀吉がバッターボックスに入ったのを確認してから、中林がボールを投げる。

 

『ボール』

 

『ボール』

 

一球、二球と続きボールはストライクゾーンから外れる。

 

『ストライク』

 

三球目にストライクをとるが、どうもコースが定まらないようで中林は顔を歪めていた。

そのまま投球が続き、2ストライク、2ボールとなった状態で初めて秀吉が動く。

 

『ファール』

 

あまり気のないスイングで、ボールにバットを当てるだけ。

俗に言うカットってヤツだ。

 

明久「ねぇ貴浩。あのスイングだと秀吉は」

 

貴浩「ああ、おそらくフォアボール狙いだな」

 

その後も中林が投げるボールをカットしていき、2ストライク、3ボールとなる。

 

中林「く・・・! いやらしいやり方してくれるわね・・・・・・

   思いっきり振ってきなさい木下! 勝負よ!」

 

秀吉「すまぬが、それはできん。なにせ、0対3という状況じゃ。

   5回までしかない以上、ワシらは確実に点数を返さねばならぬからの」

 

中林「何よ! 私が怖いの!? フォアボールなんか狙わないで、

   ちゃんとヒットで塁に出なさいよ!」

 

秀吉「なんと挑発しようが無駄じゃ無駄じゃ。

   ワシはワシの仕事をしっかりこなすだけじゃからな」

 

中林「く・・・っ!いいから勝負しなさいよ───男らしく!」

 

秀吉「・・・・・・・・・・・・男らしく、じゃと」

 

『─────トライクッ!バッターアウト』

 

楓「ドンマイですヒデ君。次頑張ってくださいね」

 

秀吉「すまぬお主ら。無理じゃった」

 

明久「いや、まぁ仕方がないけど・・・どうして最後だけ大降りだったの?」

 

秀吉「気にするでない。ワシにも色々譲れんものがあるんじゃ」

 

明久「ふ~ん・・・・・・?」

 

秀吉がアウトになったから次は2番のムッツリーニか。

 

 

【古典】

 Fクラス      VS   Eクラス

 土屋康太 42点       中林宏美 105点

 

 

明久「どうしようか。僕にはコールド負けの光景まで見えるんだけど」

 

雄二「奇遇だな明久。俺もだ」

 

貴浩「・・・・・・まだ大丈夫だろ・・・あと4回あるからそれまでに逆転すればいいんだ」

 

明久「すでにこの回は諦めてるんだね」

 

『アウト!』

 

そんなこと言ってる間にムッツリーニがアウトになる。

これで2アウトか・・・次は3番だから、明久か。

 

明久「よし、ここは一発、でかいのかましてくるか!」

 

雄二「おう、期待してるぞ明久」

 

明久「任しておけっ」

 

どん、と胸を叩いて明久がバッターボックスに入る。

まあ明久なら、塁に出てくれるだろう。

 

ゴスッ

 

『───デットボール。一塁へ』

 

明久「痛みがっ! 顔が陥没したような痛みがぁっ!」

 

初球からデットボール。

俺と明久の召喚獣はフィードバックがあるから召喚獣に受けた痛みは

何割かで自分に返ってくる。そして今現在、明久が地面に転がっている。

マウンド上から中林が申し訳なさそうに明久に謝っていた。

 

中林「ごめんさなさいね吉井君。次は気をつけるわ」

 

西郷「よくやったぞ中林。吉井がいなくなれば織村は・・・・・・フフフッ・・・

   中林、吉井の打席は全てデットボールで頼むぞ」

 

吉井「アンタ最悪だっ! 西郷君、僕に何の恨みがあるんだっ!」

 

中林「黙りなさい西郷っ! 本当にごめんざなさいね吉井君」

 

そう言いながら、明久は痛む身体を引きずって一塁へ向かった。

 

雄二「さて。ここで真打の登場というワケだな」

 

そして今度は4番の雄二が打者となる。

 

 

 

【古典】

 Fクラス       VS   Eクラス

 坂本雄二 216点       中林宏美 105点

 

 

 

両者の点数が表示される。

今の雄二なら点数も高いし、召喚獣操作技術も上がってるから

Eクラス相手なら問題ないだろう。

 

中林「う・・・。コイツも怖いけど次はあの姫路だし、その後も織村君だし・・・

   ここは勝負で・・・・・・行くわよ、Fクラス代表!」

 

2アウトランナー一塁の状況。

中林が振りかぶって一球目を投げる。その球はミットへと向かっていき──

 

雄二「あらよっとぉーっ!」

 

キィン、と甲高い音を奏でて宙を飛んでいった。

球の行方を見守るまでもない、アレはホームランだ。

 

【Eクラス 3  VS  Fクラス 2】

 

明久と雄二がホームへ還り、2得点。これで1点差だ。

 



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出迎えと点差とフォアボール

5/12 修正


中林「くっ・・・・・・さすが、Fクラスの代表ね・・・・・・」

 

西郷「ふむ・・・中林、次は坂本にもぶつけるしかないな」

 

「「普通に敬遠しろ!」」

 

貴浩「雄二、お疲れさん」

 

康太「・・・・・・・・・ナイバッチ」

 

秀吉「さすがじゃな、雄二」

 

楓「凄かったですよ坂本君」

 

ベンチに帰ってきた雄二を、皆で出迎える。

 

命「明久君、次の打席は頑張ってね」

 

明久「・・・命。うん、僕頑張るよ」

 

デットボールを受けた明久にも命が出迎える。

 

秀吉「さて、次からの打順は姫路、貴浩じゃな。

   ここはホームランを打って一気に逆転といきたいところじゃが」

 

島田「う~ん・・・。それは瑞希には厳しいかもしれないわね・・・・・・。

   点数はいいけど、あの通り運動神経はあまり良くないから」

 

それは島田の言うとおりだろうな。

 

雄二「そう思って、俺も姫路には無理して打たないでもいいと言ってある」

 

明久「ってことはフォアボール狙いってことだね」

 

雄二「ああ。なにせあの点数だからな。満塁なら兎も角、

   そうでないなら向こうも無理して勝負に出ないだろう」

 

命「そして、次は貴浩君だから大丈夫ですよ。同点にはしてくれますよね」

 

雄二「・・・・・・そうだといいがな」

 

『ボール。フォアボール。一塁へ』

 

そうしている間に姫路はフォアボールで一塁へと進む。

 

貴浩「お願いします。試獣召喚(サモン)」

 

 

【古典】

 Fクラス       VS   Eクラス

 織村貴浩 174点       中林宏美 105点

 

 

明久「ねぇ雄二。さつき言葉を濁してたけどどうしたの?」

 

雄二「ああ。おそらくだが貴浩は───」

 

『ボール。フォアボール。一塁へ』

 

雄二「フォアボールだな」

 

明久「あっ、本当だ」

 

秀吉「しかし、何故勝負しなかったんじゃろうか?

   点数差もそこまである様には見えぬが」

 

雄二「確かに点数はBクラス並の点数だが、貴浩には並外れた召喚獣の操作技術があるからな。

   それを向こうの代表も知ってるはずだろうからな」

 

明久「それって合宿の時の事だよね」

 

雄二「ああ、あそこまで教師相手に大立ち回りしたんだ。

   ばれていない方が可笑しい」

 

秀吉「じゃが、これでランナーが一塁二塁じゃ。チャンスじゃな」

 

明久「えっーと、7番は、確か・・・・・・」

 

島田「うぅ・・・・・・ウチの番ね・・・・・・」

 

明久「あれ? 美波って野球苦手なの?」

 

島田「ううん、苦手って訳ではないんだけど・・・ちょっとね・・・」

 

明久「???」

 

溜息を吐きながら島田がバッターボックスに立つ。

 

 

【古典】

 Fクラス       VS   Eクラス

 島田美波   6点       中林宏美 105点

 

 

雄二「さぁ守備だ! きっちり守るぞ!」

 

「「「おうっ!」」」

 

島田「ウチまだ打ってないんだけど!?」

 

そんな島田の叫びも虚しく、サードゴロに終わり攻守交替となった。

 

とにかく、これで1回の攻防は終了だ。

2回の数学勝負となった。俺はマウンドへと向かっていくと

 

雄二「待て貴浩。この回のピッチャーはお前じゃない」

 

マウンドに上がろうとしたところで雄二に呼び止められる。

 

明久「あれ、貴浩じゃないの? この回は数学だから貴浩でいった方がいいんじゃないの?」

 

雄二「貴浩が投げたらキャッチャーが消し飛ぶわっ!

   この回は島田がピッチャーでキャッチャーが貴浩だ」

 

明久「あっ、そっか。貴浩の数学の点数じゃ誰も補給できないもんね。

   それに美波の数学はBクラス並の点数だから抑えられるだろうしね」

 

島田「そういうこと。ここはウチに任せて」

 

 

【数学】 Fクラス      

 島田美波  193点  &  織村貴浩  792点

 

 

明久「・・・うん、貴浩の点数じゃ掠っただけで戦死しちゃいそうだね」

 

雄二「だろ。上手く捕球できても消し飛ぶな」

 

貴浩「・・・・・・チッ、ここで西郷に当たればよかったのに(ボソッ)」

 

明久「ねぇ今何かいった?」

 

貴浩「・・・なんでもないぞ」

 

この回は点数差もあり3人で抑えることができた。

 



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0点と盗塁と最終回

5/12 修正


明久「お疲れ、美波。ナイスピッチ」

 

島田「ありがとうアキ。さっき打つ方で活躍できなかった分、

   守備で活躍しないとね」

 

清水『お姉様! 最高です! 格好良すぎです! そんなお姉さまを見ているだけで、

   美春は・・・美春は・・・』

 

スタンドからDクラス女子の応援が聞こえてくる。

 

貴浩「さて、次は8番からだから須川からだな」

 

須川は意気揚々でバッターボックスに立ったがセカンドゴロでアウト。

続く福村、秀吉も凡退して、無得点で交代となった。

 

 

 

そしてお互い得点を挙げられないまま三、四回が終わる。

 

 

 

迎えた最終回。科目は保健体育ということなので──

 

貴浩「雄二。俺がピッチャーでムッツリーニがキャッチャーでいいよな」

 

雄二「ああ、それで行ってくれ」

 

明久「2人の保健体育の点数ならこの回の守備は安心だね」

 

そこで話をやめ各自ポジションにつく。

 

そうして何の苦も無く二者連続三振にしてめる。

 

西郷「ここで再び私との対決とは胸が躍るぞ、織村!」

 

 

【保健体育】

 Fクラス      VS   Eクラス

 織村貴浩 597点      西郷武  152点

 

 

俺は振りかぶりムッツリーニが構えるミット───

 

西郷「来い、織村!」

 

───ではなく西郷の召喚獣の頭部に投げた。

 

キュボッ!

 

西郷「・・・・・・・はっ?」

 

俺が投げた球は西郷の召喚獣の頭を吹き飛ばしていた。

 

【保健体育】

 Fクラス      VS   Eクラス

 織村貴浩 597点      西郷武  0点

 

 

『西郷武、戦死!』

 

西郷「な、なんと!?」

 

中林「えっ? えーっと、この場合は戦死扱いってことだから補習室行きってことですよね」

 

『はいっ、そういうことになります』

 

西郷「な、何故だぁぁああああ!?」

 

その後、鉄人が現れ西郷を補習室へと連れて行った。

 

『バッターアウト! チェンジ!』

 

西郷の後のバッターを三振に抑え攻守交替になる。

 

 

 

 

雄二「さぁ逆転するぞお前ら!この回は誰からだ!」

 

秀吉「ワシからじゃな」

 

打順は先ほどの回で丁度二巡して、この回は再び秀吉に戻っている。

 

貴浩「頼むぞ秀吉。塁に出てくれよ」

 

明久「秀吉ならできるよ。頑張って」

 

雄二「絶対に打ってくれ」

 

康太「・・・・・・期待している」

 

「木下、石にかじりついても打つんだ!」

 

「気合を入れてくれ木下! お前にかかっているんだ」

 

「そうだ!頑張ってくれ! そして、なんとしても打ってくれ!」

 

「う、うむ。努力はするが────」

 

「「「俺たちの、エロ本の為に!」」」

 

秀吉「・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

『ストライク、バッターアウッ!』

 

 

 

明久「どうしたのさ秀吉! スイングに力が入っていなかったよ!?」

 

秀吉「あの激励で力を奪われてしまっての・・・」

 

貴浩「まぁ気を落とすな。次はムッツリーニの番だな。

   必ず良い結果がでるだろうな」

 

康太「・・・・・・行ってくる」

 

ムッツリーニがバッターボックスに入る。

 

 

【保健体育】

 Fクラス      VS   Eクラス

 土屋康太 797点      古河あゆみ  102点

 

 

この圧倒的な差だ。さすがムッツリーニだ。

 

『ボール。フォアボール』

 

康太「・・・・・・・・・(コクリ)」

 

やはり、ムッツリーニはフォアボールになる。

あの点差だ。予想できた事だ。

 

貴浩「明久・・・わかってるよな」

 

明久「もちろん」

 

次のバッターである明久がバッターボックスに入る。

 

 

【保健体育】

 Fクラス      VS   Eクラス

 吉井明久 137点      古河あゆみ  102点

 

 

明久がバッターボックスに入るのを確認すると

相手ピッチャーが第一球を投げる。

ピッチャーが投げたと同時にムッツリーニが2塁を目指し駆け出していた。

そして、明久もムッツリーニを援護するため、敢えて高めにバットを空振りする。

キャッチャーが球を受けて、即座に二塁へと返球しようとする。

 

明久「・・・え・・・?ギリギリ・・・?ムッツリーニが?」

 

明久がわざとキャッチャーに聞こえるように声を出す。

そして二塁に向けてキャッチャーが球を投げる。

これで作戦は成功した。

 

康太「・・・・・・かかった」

 

突如、ムッツリーニの召喚獣の動きが一気に加速する。

先ほどまで力を抑えていたのだ。

 

「は、速ぇっ!」

 

ムッツリーニの召喚獣はすでに二塁をベースを踏み、三塁に向かっていた。

そこでキャッチャーが投げた球が二塁に到達する。

ムッツリーニが手を抜いていたのは三塁に送球されないためだ。

 

「サードっ!」

 

「わかってらぁ!」

 

セカンドは即座にサードへと送球する。

 

康太「・・・・・・加速」

 

ムッツリーニが腕輪を発動させる。

 

ボールがサードに到達した頃には、

ムッツリーニはホームベースの上を駆け抜けて生還したムッツリーニがいた。

 

「「「おっしゃあーーーっ!!」」」

 

Fクラスベンチから歓声が湧きあがる。これで3対3だ。

 

貴浩「よしっ、このままの流れで一気に勝つぞ。

   明久、雄二、2人で決めてこいよな」

 

明久「もちろん!」

 

雄二「後は俺と明久に任せろっ!」

 

その後、明久が二塁打で塁に出ると、雄二が外野前にヒットを放つ。

明久は雄二が打つと同時に走り出していたので、それがサヨナラとなりFクラスの勝利となった。

 



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クジ引きとパートナーと二人三脚

5/12 修正


Eクラスとの試合が終わった後、中央グラウンドに向かう。

そこを見てみると、クラスの連中が妙な箱の前で騒いでるのが見えた。

 

 

『頼む・・・! なんとか最高のパートナーを・・・!』

 

『いいから早く引けよ。後がつかえているんだから』

 

『わかってるから急かすなよ!・・・よし。これだ───チクショーーー!!』

 

『『『っしゃぁああーっ! ざまぁ見やがれぇーっ!』』』

 

 

貴浩「なぁ、アレは何をしてるんだ?」

 

雄二「ん? あれはタダのくじ引きだが」

 

明久「うん、それは見たらわかるよ。そうじゃなくて、何のくじ引きなの?」

 

光一「あれは次の種目の2人3脚のくじ引きですよ。

   ペアを決める為のくじ引きをやっていつんです」

 

明久「ふ~ん、そうなんだ」

 

秀吉「なんじゃ。随分と落ち着いてるではないか?」

 

貴浩「だってこれ、どうせ男女別だろ?」

 

明久「なら、僕は誰と組んでも───」

 

雄二「男女混合だな」

 

貴浩「今決まっている男女ペアは誰だ!?」

 

明久「誰を血祭りにあげる貴浩?」

 

貴浩「決まってるだろ明久」

 

明久「そうだね。質問する必要はないよね」

 

雄二「落ち着けバカ共」

 

光一「今決まってるのは、秀吉と楓殿のペアぐらいで、残りは男子ペアしか決まっていません」

 

貴浩「楓のペアは秀吉か・・・なら、別にいいか・・・

   ただ、秀吉、スケベェなことしたら分かってるだろうな?」

 

秀吉「な、な、何をいっておるんじゃ!? 観衆がいる前でそんな事するわけなかろう!」

 

貴浩「・・・そうだよな」

 

明久「楓以外にはペアは決まっていないんだね」

 

康太「・・・・・・決まっていたらあんな大騒ぎしない」

 

明久「あ、そっか」

 

貴浩「だから祈りながらクジを引いているんだな」

 

明久「ってかよく、雄二とムッツリーニが許可できたよね」

 

雄二「俺達は反対したんだが周りの連中の勢いが凄すぎてな」

 

貴浩「・・・ドンマイ2人とも。何かあっても霧島となのはのフォローはしておいてやるよ」

 

康太「・・・・・・よろしく頼む」

 

雄二「まぁ、こんな競技より俺は野球のほうが重要だがな」

 

貴浩「それは確かにな」

 

明久「そういえば、次の対戦相手は決まったの?」

 

光一「まだ試合中で延長戦に入ってます。上手くいけば不戦勝になるかもしれませんね」

 

貴浩「じゃあ、一応試合があると仮定した上で作戦を考えておくか」

 

雄二たちと打順や守備位置を決めていく。そうやって話していくと

 

命「あの・・・明久君は何番でしたか?」

 

不意に後ろから命から声がかけられた。その後ろには姫路と島田の姿が見える。

 

明久「えっ? ああ、クジ引きのこと? まだ引いていないよ」

 

命「あっ、そうなんですか?」

 

貴浩「そういえば、まだ引いていなかったな」

 

明久「そうだね。なら引きにいかないとね」

 

姫路「あ、あのっ。明久君っ!」

 

島田「ちょっと待ってアキ!」

 

明久「なに? どうしたの?」

 

姫路「いえ、あの、その、なんというかですね・・・私は7番なんですけど・・・」

 

島田「う、ウチは6番なんだけど・・・」

 

「「絶対その番号を引かないで(下さい)っ!!」」

 

貴浩「嫌われてるな明久(笑)」

 

明久「そ、そうみたいだね・・・」

 

貴浩「命は何番だったんだ?」

 

命「私は3番です」

 

貴浩「だ、そうだ明久」

 

そこでクジ引きの箱を持った須川がやってくる。

 

須川「さあ吉井、織村。運命のクジを引くんだ」

 

先に明久がクジを引く

 

明久「えーっと・・・3ば」

 

須川「殺れ」

 

「「「イエス、ハイエロファント」」」

 

明久「バカな!? もう囲まれた!?」

 

貴浩「良かったな命」

 

命「うん」

 

明久「だが、全員かかってこいやっ!! 僕は死んでもこのクジを守ってみせるっ!」

 

「「「生きて帰れると思うなよっ!!」」」

 

そこで明久のクジをかけてのバトルが繰り広げられていた。

その間に俺はクジを引いておく。

 

貴浩「えっと、俺は9番だな。俺の相方は誰だ?」

 

楓「まだ9番は出ていなかったと思います」

 

貴浩「そうなのか?」

 

光一「俺もクジを引いておくか」

 

次に光一がクジを引くと6番と書かれていた。なので光一と島田のペアが決まった。

残るクジは7番と9番のクジで雄二とムッツリーニがまだ引いていなかった。

そしてムッツリーニがクジを引く。

 

康太「・・・・・・・・・9番」

 

雄二「さらばだっ!」

 

「逃がすなっ! 坂本を捕らえて血祭りにあげろ!」

 

「「「おおおーっ!」」」

 

この間、わずか1秒未満。ムッツリーニが俺のペアと決まった瞬間に、

残った雄二と姫路のペアが自動的に決定した。

そして、雄二を処刑しようとクラスに皆が雄二を追いかける。

 

翔子「・・・・・・浮気は許さない」

 

雄二の顔面に、いつの間にかに現れた霧島の細い指が食い込んでいく。

 

愛子「やっぱり代表、ここにいたんだね」

 

優子「いきなり姿が消えるからビックリしたわ」

 

貴浩「ん? 愛子に優子か、どうしたんだ?」

 

優子「いきなり代表が姿を消したから、ここじゃないかと思ってきたら」

 

貴浩「案の定ここにいた訳だな。さて、霧島いい加減雄二の頭から手を放してやれよ。

   雄二は浮気なんてしてないから安心しろ」

 

霧島「・・・・・・本当?」

 

貴浩「ああ、本当だ。今回は偶々クジ引きの結果で姫路とペアになっただけだ」

 

霧島「・・・・・・・・・わかった。織村に免じて許してあげる」

 

そこで霧島が雄二から手を放す。

 

霧島「・・・・・・ところで雄二。お義母さん、何か預かってない?」

 

雄二「ん? お袋から? ああ。あれなら」

 

霧島「・・・・・・あれなら?」

 

雄二「持ち物検査の日に、お前が持っていた袋の中に入れておいた」

 

霧島「・・・・・・袋って?」

 

雄二「催眠術の本とかが入っていたやつだ」

 

霧島「・・・・・・本当に?」

 

雄二「本当だ」

 

霧島「・・・・・・嘘じゃ、ない・・・・?」

 

雄二「嘘じゃない」

 

霧島「・・・・・・・・・」

 

雄二「どうした翔子。それがどうかしたのか?」

 

霧島「・・・・・・んて・・・・・・とを・・・」

 

雄二「だから、どうしたと───」

 

霧島「・・・・・・なんてことを、してくれたの・・・っ!」

 

雄二「ぎゃぁあああっ! 死ぬ程痛ぇええっ!」

 

再び雄二の頭に霧島の指が食い込んでいく。

 

霧島「・・・・・・あの袋、中身ごと全部没収されたのに」

 

雄二「ぐぎゃああーーぁぁ・・・・・・」

 

バキュッと乾いた音がしたかと思うと、雄二は力なくその場に横たわった。

 

霧島「・・・・・・雄二のバカ」

 

そんな雄二を捨て置いて、霧島は走り去ってしまった。

 

貴浩「どうしたんだ霧島は?」

 

愛子「代表、持ち物検査の時大事な物を没収されたみたいだから」

 

優子「結構大事にしていたものらしいわ」

 

貴浩「それを没収された訳か」

 

愛子「うん、そういうことだね。じゃあボクたちは代表を追いかけるとするよ」

 

愛子がそういうと優子とともに霧島を追いかけていった。

 

明久「だってさ雄二」

 

雄二「・・・預けた物、ねぇ・・・お袋に預けた、となると───まさか、婚姻届の同意書かっ!」

 

貴浩「お前も苦労しているな」

 

雄二「危なかった・・・そういうことなら、あの持ち物検査に感謝してもふぐぅっ!」

 

再びドサリとその場に倒れる雄二。

その後ろでは、クラスメイトの皆がスタンガンを持っていた

 

『連れて行け』

 

『『『ハッ』』』

 

ぐったりとした雄二が担ぎ上げられ、そのまま校舎裏へと連れて行かれた。

 

貴浩「・・・とりあえず、俺のパートナーはムッツリーニかよろしくなっ!」

 

康太「・・・・・・宜しく」

 

島田「ウチは羽鳥とペアよね。宜しく頼むわ」

 

光一「らしいな。まあ宜しく」

 

明久「僕は命とペアだね。宜しくね」

 

命「はいっ! こちらこそ宜しくね」

 

姫路「私は坂本君とペアですか・・・脚を引っ張っちゃわないか心配です」

 

貴浩「多分、その心配は必要ないだろうな」

 

結局の組み合わせは、【俺&ムッツリーニ】【明久&命】

【秀吉&楓】【死体&姫路】【光一&島田】ってことになるな。

 

貴浩「そうだな・・・なあ、光一、折角だし勝負しないか?」

 

光一「ん? 勝負ですか?」

 

貴浩「ああ、俺とムッツリーニと。確か一回で各クラス二組ずつの出場だっただろ」

 

光一「ああ、いいですよ。それで勝負するか」

 

明久「あっ、僕も勝負したいな」

 

貴浩「いや、明久は無理だろ。命のこと考えろよ」

 

明久「あっ、そうだよね」

 

楓と命は身体があまり強くないから競争とかは苦手だからな。

今回みたいな二人三脚でもきついだろう。

 

貴浩「よしっ、なら負けたやつは罰ゲームだな」

 

光一「罰ゲーム?」

 

貴浩「負けたほうは昼飯をおごるでどうだ?」

 

光一「いいと思います。それで勝負です」

 

『これより、第2学年の二人三脚を行います。2年生の生徒はスタート位置に集合してください』

 

丁度そこで響き渡る集合のアナウンス。

 

多くの参加者が並んでざわめくスタート地点。

約束どおり、俺とムッツリーニ、光一と島田のペアは同じ組に並ぶ。

 

『位置について!容易──』

 

合図とともに前のペアが走り出す。次は俺たちの番だ。

 

貴浩「やるぞムッツリーニ。やるからにはトップでゴールしようぜ」

 

康太「・・・・・・もちろんだ(コクン)」

 

光一「いくぞ島田」

 

島田「もちろん。・・・ここでアキに良い所みせるんだから(ボソッ)」

 

清水「わかりました。美春も頑張ります」

 

固唾を呑んでスタートを待つ。さて、いよいよ勝負だな。

 

『次の組。位置について!用意───』

 

パァンという乾いた音と同時に、俺とムッツリーニは動き出した。

徐々にペースを上げていき、トップスピードに乗る。

ペアがムッツリーニということもあり、何の問題もなく走り続けていく。

これが二人三脚であることを忘れてしまうほどの、何の差し障りも感じない疾走感。

誰も隣にいないと思わせてしまうほどの一体感。

完全に呼吸も合ったペアは、その存在すら忘れさせる。

だからなのだろうか

 

『あのチーム・・・。なんで三人四脚になってんだ・・・?』

 

島田が光一のほかに、清水とも脚を縛られていることに気づいていないのは。

 

島田『え!?あ、あれ!?美春!?ちょっとアンタ何してんのよ!』

 

清水『ああ、お姉様・・・・・・密着しても決して存在を感じさせない、

   その奥ゆかしいお胸がたまりません・・・』

 

島田『ドサクサに紛れてどこ触ってんのよ!さっさと離れなさい!

   この勝負で、ウチは良い所を見せないといけないんだから!』

 

清水『何を言ってるんですか!美春はお姉様の為を思ってこそ、

   こんな行動に出ているのです!』

 

島田『これのどこがウチの為よ!ウチのことを思うなら───

   ってちょっとぉぉぉっ!?今アンタ背中に手を回してホックが外さなかった!?』

 

清水『大丈夫です!お姉様なら固定しなくても何の邪魔にもなりませんから!』

 

島田『アンタ後で覚えておきなさいよ!』

 

清水『はいっ! この感触、絶対忘れませんっ!』

 

島田『そういうことを言ってんじゃないのよ!』

 

光一『ハァ・・・・・・くだらない・・・』

 

気がつけば俺達はトップでゴールしていた。勝負は一応俺たちの勝ちのようだが・・・・・・

 

貴浩「今回の勝負は無効だな」

 

光一「良いんですか?」

 

貴浩「清水の乱入がなければどうなっていたのか分からなかったしな」

 

康太「・・・・・・・・・(クタッ)」

 

隣では人知れず、ムッツリーニが鼻血を出して倒れていた。

 



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不戦勝と準決勝とスポーツマンシップ

5/12 修正


3-E対3-Fの試合は結局勝負がつかず、俺たちの不戦勝となった。

 

そして

 

貴浩「いよいよ準決勝か」

 

明久「確か僕たちの相手は3-Aだっけ?」

 

雄二「ああ、あの常夏島トリオがいるクラスだ」

 

秀吉「んむ? ということは2-Aは負けたということじゃな」

 

光一「そうなるな」

 

明久「負けたってあの霧島さんがいるのに?」

 

雄二「ん~・・・まぁ姫路程じゃないが、アイツも野球はそこまで詳しくないからな。

   その辺が原因で負けたんじゃないか」

 

貴浩「そうなんだろうか? 霧島以外にも優子や愛子に椎名、刀麻、砂原、久保が

   いるからそう簡単には負けないと思うんだが・・・」

 

秀吉「3年にも霧島クラスがおったのかもしれんの」

 

貴浩「・・・そう考えるのが妥当か・・・」

 

光一「今は考えるのはやめましょう。目の前の敵に集中しないと」

 

明久「そうだね。会ってみたら分かるだろうし」

 

貴浩「で、雄二。この試合はどんな作戦でいくんだ?」

 

雄二「ああ、正直。3-Aが相手と言っても2-Aが負けるとは思っていなかったからな。

   殆ど作戦なんて考えていないが───」

 

そういいながらも雄二のことだ何か策があるんだろうが

 

雄二「────奴らの召喚獣を殺そうと思う」

 

秀吉「もう既にスポーツマンシップという概念は消え失せておるようじゃな・・・」

 

命「ひどい作戦ですね」

 

貴浩「おいおい、雄二さすがにそれはマズイだろ。

   常夏島トリオならいくら殺ってもいいが、他の先輩達に迷惑だろ」

 

雄二「・・・確かに・・・そうだな。狙うなら常夏島トリオにしておくか」

 

明久「そうだね。で、乱闘で常夏島トリオを再起不能にするんだね」

 

光一「どうせなら、召喚獣だけでなく本体の方も再起不能にしたいな」

 

康太「・・・・・・どうやって始末する?」

 

楓「なんで皆さん、躊躇いもなくその作戦が受け入れられるんですか・・・?」

 

貴浩「乱闘じゃなくてもなくてもいいだろ。

   他にも殺す手段は直接攻撃以外にもあるからな」

 

明久「そっか。タックルしたりデットボールを狙ってもいいしね」

 

康太「・・・・・・振り切ったバットを相手に投げつけてもいい」

 

貴浩「さすが、理解が早くて助かる」

 

秀吉「お主ら本当に外道じゃな!」

 

島田「アンタらねぇ・・・そんなことして、相手に『卑怯だ!』って、

   文句言われても知らないわよ?」

 

卑怯? 文句? お前は何を言っているんだ?

 

明久「ふふっ、わかっていないなぁ美波は」

 

雄二「全くだ。島田には俺たちのスポーツマンシップが全然伝わっていないらしい」

 

康太「・・・・・・理解不能」

 

貴浩「だな。こんなの常識だろ」

 

俺達は肩を竦めてみせる。

やれやれ本当に勉強不足すぎるな。

 

島田「な、なによアンタら。何が言いたいのよ」

 

明久「いいかい、美波」

 

戸惑う島田に、諭すように4人で一斉に告げる。

 

「「「「卑怯汚いは敗者の戯言」」」」

 

島田「アンタら最低過ぎるわっ!」

 

これは勝負の鉄則だ。

 

秀吉「んむ? じゃが、向こうの召喚獣を行動不能にしたところで、

   こちらの勝ちになるわけではなかろう。そのあたりはどうするのじゃ」

 

雄二「相手は3年だからな。持ち物検査が俺達2年しか行われなかった以上、

   向こうの優勝に対するモチベーションはこっちほど高くないだろう」

 

貴浩「だから、そのモチベーションの差を利用するわけだな」

 

秀吉「そうは言われてもの」

 

命「そ、それなら、わざわざ行動不能にしなくても」

 

貴浩「行動不能にするのは、ただの俺たちの気まぐれだ」

 

命「・・・・・・本当に最低ですね」

 

それ以上の作戦の説明もなく、俺達はとりあえず試合が行われるグラウンドへと向かっていった。

 



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ボウズと変態と先輩

5/12 修正


『───トライッ!バッターアウッ』

 

 

審判のコールが響き渡り、1番打者の近藤が帰ってくる。

 

須川「どうだった近藤?」

 

近藤「ダメだ。全く見当たらない」

 

須川「そうか・・・」

 

近藤「どこを探しても、この前のエロい浴衣姿の先輩が見つからない」

 

須川「そうか・・・本当に・・・残念だ・・・・・・」

 

続く須川もあっけなく三振に終わる。

 

ちなみに打順と守備位置はこんな感じだ。

 

 

1番 サード    近藤吉宗 

2番 ファースト  須川亮 

3番 ピッチャー  吉井明久

4番 ショート   坂本雄二

5番 キャッチャー 織村貴浩    

6番 センター   土屋康太(ムッツリーニ)

7番 セカンド   羽鳥光一

8番 ライト    織村楓  

9番 レフト    木下命

 

ベンチ 木下秀吉、姫路瑞希、島田美波

 

 

夏川「テメェで3つ目の三振だな、吉井明久」

 

バッターボックスに入る明久に坊主先輩がそう告げる。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   3-A

 吉井明久 118点       夏川俊平 244点

 

 

少しして点数が表示される。

少しは点数は上がったが点数差が大きいな。

 

明久「そう簡単には負けませんよ、変川先輩」

 

夏川「おい待て。今俺の名前と変態という単語を混ぜて斬新な苗字を作らなかったか」

 

明久「あ、すみません。変態先輩」

 

夏川「違う! 俺は変態に統一しろと言ってるんじゃねぇ!

   夏川に統一しろっていってるんだよ!」

 

明久「すみません。どうにも紛らわしくて」

 

夏川「紛らわしくねぇよ! “夏川”と“変態”だぞ!?

   共通点は文字数ぐらいしかねぇよ!」

 

明久「まぁまぁ、そう熱くならないで下さい夏川変態」

 

夏川「響きが似てるからって今度は“先輩”と“変態”間違えんなぁーっ!

   テメェ、吉井明久・・・! 絶対に殺す!」

 

坊主先輩の召喚獣が第一球を振りかぶって投げる。

 

『ストライッ!』

 

最初からど真ん中に直球、明久は手を出さず見送る。

 

夏川「へっ、手が出せないようだな」

 

キャッチャーから返球されたボールを受け取り、第二球目を投げる。

 

『ストライク!』

 

またしてもど真ん中直球。

 

夏川「なんだ。随分大人しいじゃねぇか」

 

明久「様子を見てるんですよ。次でぶっ飛ばすために」

 

夏川「様子見? ハッ! 正直に言えよ。本当は単純に手も足も出ないだけなんだろ?」

 

明久「・・・・・・」

 

明久はそんな挑発に乗らず次の球に備える。

 

夏川「けっ。ジーッとボールばかり見やがって。男気のねぇ連中だな。

   そんじゃ、コイツでトドメだ」

 

ピッチャーが第3球を振りかぶって投げてくる。

明久はその動きに合わせて、召喚獣にバットを全力で振らせた。

 

空中を滑るように明久の頭めがけて放たれるボールと、

それと交差するように敵の顔面めがけて放たれるこちらの金属バット。

互いに全力をこめた必殺の投擲は、緊張の一瞬を経て相手へと到達する。

 

「「───って危なぁーっ!!」」

 

向こうの投げたボールは明久の召喚獣のこめかみを、

明久が投げたバットは向こうの鼻先を掠めて飛んでいった。

 

「「おのれ卑怯なっ!!」」

 

『どっちもでしょうが』

 

あの野郎!二球続けてど真ん中に投げてきたと思ったら、明久の頭めがけて投げてきやがって!

咄嗟に明久が避けたから良かったが、大惨事になるところだっただろうが!

バカなのに余計バカになるだろうがっ!

 

『ストライク。バッターアウト』

 

今の明久の投擲行動がスイングと判断されて、三振となる。

これで3アウトなのでチェンジだ。

 

明久「ごめん。これで警戒させちゃったかもしれない」

 

雄二「気にするな。今の失敗はピッチングで取り戻せば良い」

 

康太「・・・・・・・・・皆でフォローするから心配ない」

 

光一「康太の言うとおりです。俺達もフォローするから心配いりません」

 

貴浩「そうだぞ明久。野球はチームプレイが大切だ。俺達をもっと頼れよ」

 

秀吉「一見普通の会話に聞こえるが中身は最悪じゃな・・・」

 

島田「コイツら、スポーツマンシップって言葉知らないのかしら・・・」

 

姫路「警戒とか、敬遠とか、野球って色々な専門用語があるんですね」

 

雄二「よしっ。じゃあいくぞ。野郎共、きっちり打ち取れ!」

 

「「「っしゃぁーっ!!」」」

 

雄二「貴浩、お前をキャッチャーにした理由は分かっているな?」

 

貴浩「もちろんだとも」

 

雄二「よしっ、それならいい」

 

雄二とそう言葉を交わすと俺達は守備位置についた。

 



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事故と乱闘騒ぎと召喚獣設定

5/12 修正


3年最初のバッターは常夏島トリオじゃないな・・・なら正々堂々勝負しないとな。

 

貴浩「掘田先輩でしたよね、よろしくお願いします」

 

俺は先輩に頭を下げ挨拶をする。

 

堀田「お前は・・・確か・・・織村か・・・ウチのクラスのモンが迷惑かけるな。

   あいつ等のせいでこちらも迷惑してるんだけどな」

 

貴浩「いえいえ、先輩方は何もしていないじゃないですか。

   私達も他の先輩方に迷惑をおかけして申し訳ないと思っています。

   では、あまりおしゃべりしていると怒られるのでいきますね」

 

堀田「おう、かかって来い!」

 

 

【現代国語】

 2-F        VS    3-A

 吉井明久 118点        堀田雅俊 217点

 

 

貴浩≪前に言ったように常夏島トリオ以外には普通に勝負する。

   あとこの点差だとどれだけ飛ばされるのかも見ておきたいしな≫

 

毎度お馴染みのアイコンタクト。

明久が了解という頷きを見せてから、投球指示を出す。

まずは外角低めの直球だ。

 

『ットライッ!』

 

先輩もまずは一球目はじっくり見てきた。

こっちの球威と速度確認したのだろう。

点数も表示されているわけで、向こうがこちらを脅威と

思うべき要素はないと思っているだろう。

だけど、先輩。あまりこちらを舐めない方が良いですよ。

 

俺は明久に返球し二球目の指示を出す。

そして明久が振りかぶり、第二球目を振りかぶり投げる。

 

二球目は外角高めにボールが向かってくる。

相手も今度もバットを振ってくるが、ボールがバットに当たる直前にククッとボールが曲がる。

カキン、と小気味良い音をたてて宙へ上がるボール。

相手もまさか変化球がくるとは思ってもいなかった様子だ。

高く上がったボールは特にそのまま伸びる事もなく、前進した光一にキャッチされて終わった。

 

堀田「く・・・っ!」

 

悔しげに先輩がベンチに戻っていく。

 

常村「よし。俺の出番だな。試獣召喚(サモン)っ」

 

 

【現代国語】

 2-F       VS    3-A

 吉井明久 118点       常村勇作 223点

 

 

常夏島トリオの1人で、先ほどキャッチャーをしていたソフトモヒカン頭の先輩だ。

こっちも一応、Aクラスだけあって点数も高い。

 

常村「さてと。吉井に坂本に織村・・・! 溜まりに溜まった今までの屈辱、

   きっちり利子つけて返してもらうぜ・・・っ!」

 

モヒカン先輩が俺達を睨みつけてくる。

正直、自業自得だと思うのだが・・・まあ、この先輩たちに言っても無駄なだけか・・・

 

貴浩≪一球目は外していくぞ≫

 

俺はミットを構える。その場所は、バットの届かないくらいの外角だ。

明久が大きく振りかぶり第1球を投げる。

すると、モヒカン先輩はわざとらしいほど大きくバットを空振った。

 

常村「っと、手が滑った!」

 

空振ったと思われたバットが止まらずに回転して俺の召喚獣に放り投げてきた。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   3-A

 織村貴浩 277点      常村勇作 223点

 

 

常村「なっ!?」

 

貴浩「危ないですね先輩」

 

俺は放り投げられたバットを左腕で防ぎ、ボールは右手でキャッチした。

やはり、バットを素手で防いだのと、いくら明久の点数でも素手でボールを取るのは

少し無茶だったので点数が減ってしまったようだ。

 

常村「わ、悪いな織村。わざとじゃないんだが」

 

審判の姿を横目で見ながら確認しながら俺に声をかけるモヒカン先輩。

今のが故意だと判断されたら退場になる。

モヒカン先輩はそれを恐れて心にもない謝辞の言葉を口にしたのだろう。

 

貴浩「・・・いや、気にする事はないですよ。スポーツに事故はつきものですから」

 

常村「そうか、織村は心が広いな」

 

貴浩「いやいや、それほどでもないさ」

 

そして、俺は右手で掴んでいたボールを明久へと返球した。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   3-A

 織村貴浩 277点      常村勇作 151点

 

 

まあ、投げた時にボールがスッポ抜けてモヒカン先輩の召喚獣に衝突したけど。

 

貴浩「すみません先輩。先ほどの捕球でまだ手が痺れていたらしく、

   ボールがスッポ抜けてしまいました。けど、スポーツに事故はつきものですからね?」

 

常村「く・・・っ! そ、そうだな。このくらい笑って許してやるよ」

 

こめかみに青筋を浮かべんばかりのモヒカン先輩。

掴みかかりたいけど審判の手前仕方なく堪えている、といった感じだろう。

 

『君達。試合に集中しないさい。小競り合いするようなら2人とも退場にしますよ』

 

「「・・・・・・」」

 

審判の先生に咎められ、それ以上何も言えずそれぞれの役割に戻る。

今度は遮ることなく明久にボールを返球する。

 

投球する前に雄二の合図を確認する。

 

雄二≪そろそろ仕掛けるぞ≫

 

貴浩≪了解≫

 

雄二からついにきた攻撃の合図。俺は明久に合図を出す。

 

常村「来い、吉井」

 

モヒカン先輩が身体をマウンドに向けて開いた状態で構えている。

あの構え・・・ピッチャーに向かってでも、キャッチャーに向かってでも、

バットを投げやすい姿勢だが───多分、向こうの狙いは俺だろう。

先ほどのやり取りで相当ムカついてる筈だからな。

 

バッターとの間に緊迫した空気が流れる中、明久が投球を行った。

 

バッターの脳天目指して飛んでいくボールと、キャッチャー目がけて振り切られるバット。

互いの渾身の一撃は、それぞれの目標に対して吸い込まれるように命中した。

 

『───デットボール』

 

てん、てん、とボールが地面に転がる。

そして、俺たちの攻撃の結果が表示される。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   3-A

 織村貴浩 107点      常村勇作 32点

 

 

雄二「明久テメェ! あと少しじゃねぇか! しっかり殺れよ!」

 

お互いに100点は点数が引かれていた。

 

常村『っていうかテメェら、今のわざとだろ! 先輩に向かって良い度胸じゃねぇか!』

 

雄二『何言ってやがる! そっちが先に仕掛けてきたんだろうが!

   肝試しに負けたのを根に持ちやがって! 器が小せぇぞ先輩!』

 

島村『んだと!? 上等だ! こうなりゃ野球なんて面倒な事やってねぇで、直接───』

 

貴浩『望むところだ。元々お前ら3人は気にくわなかったんだ。ここらで一発───』

 

常夏島トリオと俺達Fクラス男子との間で声が上がる。

元々お互い良い感情を抱いていない相手だ。

こうした事で敵意が強まるのは仕方がないな。

これも雄二の目論見通り、そろそろ乱闘の開始だろう・・・

 

学園長「おやめバカどもっ!」

 

そこで、しわがれた声が割って入ってきた。

 

学園長「やれやれ、つくづく救えないガキどもさね・・・。

    どうして召喚獣勝負にまでしてやったのに、おとなしくできないんだい」

 

そう言って額を押さえているのは、毎度お馴染みの妖怪ババァこと学園長だった。

 

雄二「なんだババァ。何をしに来たんだ?」

 

学園長「学園長と呼びなクソガキ。

    まったく・・・組み合わせを聞いて人がちょい様子を見に来たらこのざまかい。

    折角、来賓だって召喚野球に満足してくれたんだ。

    この後におよんでアンタらがバカやって評判を落とすんじゃないよ」

 

夏川『止めないで下さい学園長! 2-Fのクズどもに礼儀と常識ってヤツを

   叩き込む必要があるんです!』

 

島村『そうだ! 2-Fのクズどもなんて社会のゴミなんですよ!

   だから、俺達が教育してやる必要があるんです!』   

 

雄二『こっちこそもう我慢ならねぇ! 人のことを散々バカにしやがって!

   ババァ! この先輩面したカスどもを殺らせて下さい!』

 

貴浩『お前らが人の事をとにかく言える立場じゃねぇだろうが!』

 

学園長「だからお止めって言っているんだよ! クソガキども!」

 

言い争う前に学園長が再び一喝を浴びせる。

流石に年の功というべきか。その場にいる全員が黙り込んだ。

 

学園長「本当に、このガキどもときたら・・・。召喚獣の痛みが返って来ないから、

    そんな短絡的に乱闘へと雪崩れ込むのかねぇ・・・」

 

呆れたように頭を振り、俺達を見てしばらく考え込む学園長。

そして、意を決したように腰に手を当て、こんなことを告げてきた。

 

学園長「よし、決めたよ。この試合だけ、召喚獣の設定を変えてやろうじゃないか」

 

「「「は?」」」

 

その場の全員が異口同音に聞き返す。

 

学園長「今回だけ、全員に痛みがフィードバックするようにしてやるって言ってんだよ。

    そうしたら、乱闘なんかせずにまともに試合をするだろう?」

 

召喚獣に痛みがフィードバックする───

要するに、皆の召喚獣が俺や明久と同じような設定になるってことだよな。

 

学園長「じゃあ、そういうことだよ。全員真面目にしっかり野球をやりな」

 

そう言って手を振ると、学園長は校舎に向かって歩き去っていった。

 



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守備交代と肩慣らしと死亡報告

明久「えーっと・・・」

 

貴浩「すみませんタイムで」

 

そこで、俺は今更ながらもタイムを審判に申請し、正式に試合を中断した。

ここで一度作戦会議が必要だろう。

マウンド付近に出場メンバーが全員集合する。

 

明久「どうする雄二? 乱闘の目論見が崩されたよ」

 

雄二「・・・正直、この展開は予想外だが、問題ない。このまま試合続行だ」

 

貴浩「そうか・・・わかった。なら楓と命を交代させてくれ。2人には危険だからな」

 

楓「大丈夫ですよ兄さん」

 

貴浩「しかし───楓?」

 

俺が振り返った先に楓は立っていたのだが

 

楓「明久君、私とピッチャー交代してくれませんか?」

 

楓から黒いオーラが出ているのが見える。

 

明久「え、えっ? か、楓?」

 

明久も楓の状態に気づいたようだ。

 

楓「変わってくれますよね?」

 

明久「もちろんです!」

 

明久は敬礼して楓の申し出を了承する。

 

雄二「大丈夫なのか楓?」

 

楓「大丈夫だと思います。私も少々あの先輩方には怒っていますので・・・」

 

雄二「そ、そうか・・・まあ無理しないようにな」

 

楓「はい。では、兄さんキャッチャーお願いしますね」

 

貴浩「えっ? お、俺がですか? 正直点数が下がっているのでできれば変わって欲しいなと───」

 

楓「お願いしますね兄さん」

 

貴浩「・・・・・・はい」

 

楓にそう強く言われ俺は頷くしか選択肢がなかった。

 

雄二「・・・・・・なぁ明久。楓から凄い覇気を感じたんだが・・・」

 

明久「・・・うん、そうだね・・・楓って優しいし友達思いだから、

   貴浩や僕、雄二や皆が侮辱されてるのが黙っていられなくなったんだと思うよ」

 

雄二「それにしても・・・あの楓が・・・あそこまでなるなんてな・・・」

 

明久「うん、僕も数回しか見たことないけど楓って怒ると物凄く怖いんだよね」

 

雄二「ってことはアレだな。普段優しいやつに限って怒ると物凄く怖くなるってヤツだな」

 

明久「そうなるね」

 

そして、楓がピッチャーに明久がライトに守備を変更した。

 

楓「では、兄さん。よろしくお願いしますね」

 

貴浩「・・・来い。まあ無理はするなよ」

 

楓「では、ばっちり受け止めてくださいね」

 

1アウト、ランナー一塁で試合が再開される。

 

島村「へっ。何の小細工を考えたかしらねぇが、俺には通用しないってことを教えてやるよ。

   試獣召喚(サモン)ッ」

 

向こうの3番打者、オールバック先輩がバッターボックスで召喚を始める。

 

楓「では、私も、試獣召喚(サモン)ッ」

 

楓もマウンドに立って召喚獣を呼び出す。

投手と打者、それぞれの点数が遅れて表示される。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   3-A

 織村楓 497点       島村辰彦 292点

 

 

島村「げっ!? なんだ、あの点数は!?」

 

オールバック先輩が楓の点数を見て驚く。

さすが楓だ・・・一学期の期末試験で学年次席になっただけの点数がある。

 

島村「くそっ。高城と佐伯抜きでやるのはキツイかもしれねぇば・・・」

 

悔しそうに先輩が呟く。

高城? 佐伯? どこかで聞いたことがあるような名だが・・・覚えていないな。

 

楓「じゃあ、兄さん。よろしくお願いします」

 

そういって楓が投球モーションに入ろうとする。

・・・・・・って、ちょっと待て!

確か、楓の点数は【497点】俺の点数は【107点】だ。

楓が投げた球を俺の点数で捕球できるかっ!

上手く捕球できても点数が減るだろうし、

少しでも失敗すればあの点差だ、フィードバックがハンパでないはずがない。

 

貴浩「ちょっと待った、楓!」

 

楓「? どうかしましたか兄さん?」

 

早速投げようとする楓を慌てて止める。

 

貴浩「ほら、一塁にランナーがいるだろ?

   まずはソイツに盗塁されないように牽制球を投げてくれないか」

 

一塁にいるランナーは別にベースから離れていないが、

これは楓の肩慣らしと球の速度を見てみたいのがあったりする。

 

楓「牽制球ですね。確か一塁にボールを投げれば良いんですよね」

 

貴浩「そうそう。じゃあ一塁にいる須川にボールを投げてみてくれ」

 

楓「わかりました。それでは───」

 

楓の召喚獣が腕を振り上げ、投球の構えを取った。

 

楓「やぁ───っ!」

 

 

───キュボッ

 

 

貴浩「・・・・・・・・・は?」

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   2-F        3-A

 織村楓 497点       須川亮 DEAD & 常村勇作 DEAD

 

 

立て続けに2件の死亡報告。

ドサリ、と重いものが倒れた音が重なった。

 



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危険球と戦死とキメ顔

5/12 修正


一塁に立っていたランナーのモヒカン先輩と、守備をしていた須川も、

2人とも仲良く上半身が消し飛んでいた。

 

 

『『ぎぃやぁああああーっっ!! 身体が! 身体が痛ぇえええっ!!』』

 

 

遅れて召喚者の二人が悲鳴を上げる。

どうやら召喚獣の設定変更はバッチリのようだ。

二人たち仲良くフィードバックによる痛みでのたうち回っていた。

 

楓「あ・・・! すみませんっ! どれくらいの力加減で投げていいのかわからなくて!」

 

楓が頭を下げて謝る。だが、当人達はそれどころじゃないみたいだが。

 

『負傷退場者の交代要員を出してください』

 

審判の先生がクールに交代を促した。

苦しむ二人をそれぞれ運び出し、向こうは男性の先輩を代走に出し、

こちらからは、須川の変わりに秀吉がファーストに入った。

 

楓「うぅ・・・失敗してしまいました。

  ・・・まさか、須川君まで巻き込んでしまうなんて・・・(ボソッ)」

 

一撃で二人を葬り去ったことに大使、楓が申し訳なさそうにしているように見える。

・・・・・・最後、何か呟いていたが、俺には何も聞こえない。

聞こえてないったら聞こえていない。

 

雄二「気にするな楓。ただ全力で投げればいいんだ」

 

楓「はい・・・」

 

雄二「大丈夫だ。キャッチャーはお前の兄だ。

   絶対にフォローしてくれるさ。貴浩の事、信じろよ」

 

楓「はいっ! そうですね・・・兄さんなら大丈夫ですよね」

 

雄二「ああ、お前の兄だからな」

 

雄二・・・お前、今のを見て俺にキャッチャーを続けされるのか!?

さっきのを見ていたが確かにボールは須川の構えるミットの収まっていた───

だが、収まったボールは勢いを止めずにミットを突き破り2人の上半身を消し飛ばしたんだぞ。

 

楓「では、いきますよ兄さん」

 

ダメだ、楓!

 

楓「え、えい─っ!」

 

夏川『ん? は───なんでっ!?』

 

楓の可愛い声と共に投げられたボールは、目にも止まらぬ速さで───

次打席の用意をしていたボウズ先輩の頭部を直撃した。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   3-A

 織村楓 497点       夏川俊平 DEAD

 

 

ボウズ先輩はそのまま帰らぬ人へとなった。これで犠牲者は3人目だ。

 

島村「し、審判っ! あれは危険球じゃないのか!? 退場モンだろ!」

 

雄二「おいおい、酷いこと言うなよ先輩。

   楓のあの姿を見たら、わざとじゃないってわかるだろ?」

 

楓「ほ、本当にごめんなさいっ!

  私ピッチャーなんて初めてで、緊張してしまいまして・・・!」

 

楓が3年のベンチに駆け寄り頭を必死に下げて謝っている姿が見える。

あの姿を見たらわざとだと思う人はいないだろう。

ただ・・・まぁ・・・おそらくわざとなんだろうけど・・・

 

島村「ふ、ふざけんな坂本ぉっ!

   故意じゃないにしても許されないっもんがあるだろうがっ!」

 

明久「黙ってくださいクソ先輩。先生、よく考えてくださいよ。

   苦手でも努力してクラス行事に一生懸命に参加する楓と、

   神聖なスポーツに悪意を持ち込む卑怯で愚劣で不細工な先輩。

   先生はどちらを信用して応援してくれますか?」

 

『プレイッ!』

 

島村「審ぱぁん!?」

 

「おい島村! なんてこと言いやがる! この子を見たらわざとじゃないってわかるだろうが!」

 

「ここまで謝ってくれてるんだ許してやれよ」

 

「ってか、そもそもお前らが揉めなければこんな事にはならなかったんだよ!」

 

「お前らのせいで俺達にも被害がでるじゃねぇか!」

 

「そうだ! そうだ! 逆にお前らが後輩に謝れよ!」

 

無常に告げられた審判役の教師の声の後に続き、

チームメイトである先輩達からも罵声の声が聞こえる!

 

島村「おい織村! あの女、お前の妹なんだろ? どうにかしろ!

   このままじゃお前まで死ぬぞ!」

 

貴浩「・・・先輩、教えておきますね」

 

島村「な、なんだよ・・・?」

 

貴浩「ああなった楓はいくら俺でも止められません。だから、一緒に死にましょう先輩」

 

島村「なに清ました顔で言ってやがる!? もうちょっと抗えよお前!」

 

貴浩「先輩、諦めが肝心な時もありますよ。そして今回がその時でもあります!(キリッ)」

 

島村「なに今度はキメ顔で言ってんだっ!?」

 

貴浩「だって仕方がないじゃないですか!

   ああなった楓を止められる事なんて出来ないんだからさ!」

 

楓「うぅ・・・操作が難しいですね。もっと力を込めたら良いんでしょうか?」

 

マウンドに戻った楓が溢した台詞に、思わず冷や汗が流れる。

なんだと・・・さっきのでまだ本気の投球じゃないのか・・・?

 

 



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獲物と生とギブアップ

楓「今度こそ、目標のところへ」

 

楓が投げた球は、俺と先輩の間を通り過ぎていった。

 

「「・・・・・・えっ?」」

 

俺も先輩もボールに反応することができず、ただ呆然と立ち過ごしていた。

 

『ボール』

 

審判がボールを宣言する。

いやいや、もうボールとかストライクとか関係ない。

ってかさっきの球に、まったく反応できなかったし。

ボールが指先から離れたと思ったらもう俺と先輩の間を通り抜けていったんだぞ・・・

 

島村「替えろ坂本! あのピッチャーを今すぐ替えろっ!!」

 

雄二「何を言うんだ先輩。徐々に狙いがシャープになってきてるというのに」

 

島村「その狙いがキャッチャーミットだと思えねぇんだよ!」

 

それは俺も同感だ。絶対先輩を狙っているだろう。

 

楓「うぅ・・・難しいですね。

  兄さんを信用しないと、それにもっと集中しないといけませんね・・・」

 

そして、戻されたボールを握りしめて、更に驚くべき行動に出た楓。

あ、あの楓様・・・な、なにをなさっているのでしょうか?

 

島村「ちょ、ちょっと待て! あのピッチャー目を瞑ってねぇか!?」

 

雄二「違う。アレは信頼関係の現れだ」

 

明久「そうだよ。キャッチャーである貴浩を信じてるからこそできる技だよ」

 

秀吉「それにあれはおそらく精神統一の一種じゃ。

   楓はああすることで物凄く集中力が増すのじゃ」

 

島村「だからって目ぇ瞑ったらそのリードが全くわからねぇだろうが!」

 

光一「それは大丈夫だ。楓殿と貴浩殿は兄妹だから、目を瞑っていても相手のことがわかるんだ。

   それに達人は目で見えなくても気配で獲も──相手の居場所を探り当てることができる。

   楓殿ならそれくらいできても不思議じゃない」

 

島村「居場所を探り当ててどうするんだよ! 必要なのはストライクゾーンだろ!?

   ってかお前今、獲物って言いかけなかったか!?」

 

明久「光一に変な言いがかりをつけないで下さいよ獲物先輩」

 

島村「言っただろ!? 今思いっきり獲物先輩って言っただろ!?」

 

その獲物と呼ばれる中にまさか俺は入っていないよな・・・信じていいよな楓。

 

秀吉「先輩うるさいぞ。楓が集中できないではないか」

 

楓「すぅ・・・はぁ・・・すぅ・・・はぁ・・・大丈夫。私なら目標に投げられます」

 

秀吉「大丈夫じゃ楓。臆さず投げるといいのじゃ」

 

雄二「ああ、自分と貴浩を信じろ」

 

明久「楓ならきっとできるよ」

 

楓「はいっ!」

 

貴浩「お前らぁああ!!」

 

もう既に俺の言葉もサインも届かないだろう。

 

貴浩「し、仕方がない。楓が投げた瞬間に思い切り横に飛ぼう。

   運がよければ助かるはずだ・・・」

 

島村「き、きたねぇぞ織村。1人だけ助かろうってか!

   ってか、さっきまでお前諦めてただろうが!」

 

貴浩「すみません先輩。俺は生きなきゃいけないんだっ!」

 

島村「さっきと言った事と違うじゃねぇか!?」

 

貴浩「俺は生きるんだ!」

 

楓「行きますよ兄さん!」

 

投げる直前、楓が目を見開いて全力でボールを叩き込んできた。

俺はそれと同時に先輩がいる方向とは逆方向に横っ飛びする。

 

 

そしてボールは、

 

全力で、

 

大威力で、

 

超剛速球を。

 

 

 

───オールバック先輩の、召喚獣の頭に。

 

 

貴浩「・・・・・・・・・うわぁ・・・・・・・」

 

皆さんは、初夏に花を咲かせる、ザクロという果物をご存知だろうか。

甘くて少し酸味のある、鮮やかな赤い果物だ。

木になって熟したそれは、たまに収穫される事なく地面に落下して、

道路上で潰れていたりする。赤い果肉と果汁を、辺り一面に飛び散らせて。

今俺の目の前に映る打者の姿は、なぜかそんな光景を彷彿させた。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   3-A

 織村楓 497点       島村辰彦 DEAD

 

 

島村「ひでぇ、よ・・・・あの女、絶対・・・悪魔だよ・・・」

 

無残な姿に変わり果てた自らの召喚獣の隣で、痛みで意識を失いかけた先輩が倒れている。

何を失礼な。楓は悪魔なんかじゃない女神だ。

だから今のは女神からの天罰なんだ。

 

『バッター、ネクスト』

 

審判が淡々と次の打者を促す。

3-Aのベンチを見てみると先ほどの光景を見て

殆どのメンバーが下を向いて審判から目を背けていた。

 

『へいへい、バッタービビッてる!』

 

どこからかヤジが聞こえてくる。

ふっ・・・。びびっているのがバッターだけだと思うなよ。

さっきまではわざと狙っていたからあんな投球だったが、今度からは真面目に投げるだろう。

そう、俺のキャッチャーミットに目がけて投げてくるはずだ。

そうならば、俺も須川と同じ目にあうのが目に見えている。

 

『『『3-A、ギブアップします!』』』

 

そこで、3-Aベンチからギブアップ宣言が聞こえる。

な、なんとか生き残ることができたか・・・先輩ナイスな判断でした・・・お互いに・・・

 

 

2名の打者に対してデットボール2つ、犠牲者4名、

傷害率200%を叩き込んだFクラス投手、織村楓は試合後、俺たちの隣でこう語った。

 

楓「これで、少しは反省してくれると嬉しいですが・・・

  また同じような事になればもう少し本気でやらないといけないですから」

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

 

今回の教訓

【絶対、何があっても楓は怒らせてはいけない】

 

 



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時間稼ぎと弁当と昼休み

5/12 修正


貴浩「お前ら・・・どんだけ怖かったと思ってんだ・・・」

 

明久「ごめん、ごめん。ちょっと調子に乗っちゃった」

 

雄二「お前なら大丈夫だと思ってな。悪いやりすぎた」

 

姫路「あの皆さん・・・」

 

ところ変わって2-F待機場所。現在は昼休みを迎えていた。

 

雄二「そもそも俺は『3年は持ち物検査を受けていないから、

   再試験を受けてまで試合を続けようと思わないだろう』と考えていただけだ。

   あのババアが余計な介入をしなければこんなことにはならなかったんだぞ」

 

姫路「あの坂本君・・・」

 

秀吉「流石に学園長もやりすぎたと思ったようじゃの。

   あの後すぐ元の仕様に戻すと言っておったぞ」

 

康太「・・・・・・惨劇だった」

 

姫路「あの、木下君、土屋君・・・」

 

貴浩「ってか、俺の場合は元からフィードバックがあったんだがな」

 

姫路「あの織村君・・・」

 

貴浩「で、午後の勝負は───」

 

姫路「あのっ! 皆さんっ!」

 

必死に目を逸らし続けて現実から、ついに逃げ切れなくなる。

俺達5人は今にも泣き出さんとする表情で、声の主に返事をした。

 

「「「「「・・・・・・・・・はい」」」」」

 

姫路「実は私、お弁当を作ってきたんですけど・・・」

 

姫路が大きな包みを取り出す。

姫路がそれを手にして歩いている姿が遠くから見えた時、

迫りくる死の気配で何を手にしているのかわかっていた。

なので、楓と命に弁当を持ってきてもらうため時間稼ぎをしていたのだが、駄目だったようだ。

 

雄二「ま、まぁ、とりあえず座るといい」

 

姫路と島田に場所を譲る為に立ち上がる雄二。そしてそのまま踵を返して、

 

雄二「んじゃ、俺は飲み物を買ってくる」

 

明久「いやいや、雄二は座ってなよ。僕が買ってくるから」

 

秀吉「そう言わず、ここはワシに任せるのじゃ」

 

康太「・・・・・・俺が行く」

 

貴浩「・・・・・・・・・」

 

ジリッ

 

雄二「ははっ。無理するなよ明久。飲み物を買ってくるには金がいるだろ」

 

ジリッ

 

明久「大丈夫だよ、最近は結構余裕あるから。命とデートするため貯めているからね。

   何より、使いっ走りといえば僕、僕といえば使いっ走り。

   これ以上の適任はいないと思うんだ」

 

ジリッ

 

秀吉「待つのじゃ。使い走り歴15年。姉上にこき使われ続けるワシのキャリアを舐めるでない。

   明久よりよほど洗礼された使い走りをご覧に入れよう」

 

ジリッ

 

康太「・・・・・・違う。必要ななのは速さ。

   【闇を裂く疾風迅雷の使い走り】と呼ばれた俺こそが、適任」

 

ジリッ

 

雄二「テメェら、上等じゃねぇか! この俺の本気の使い走りに勝てると思うなよ」

 

明久「何言ってるのさ! 僕の使いっ走りがずっと凄いに決まってるじゃないか!

   雑魚どもは引っ込んでるべきだ!」

 

秀吉「雑魚とは心外じゃな。このワシの使い走りを見もせずに、

   よくもそんなことが言えたものじゃ」

 

康太「・・・・・・いいから黙って俺に行かせろ・・・!」

 

ジリッ

 

島田「あ、飲み物ならウチが用意してきたけど?」

 

「「「「・・・・・・ああ・・・・・・そうですか・・・・・」」」」

 

島田「それじゃ、座らせてもらうわね」

 

雄二「・・・諦めるしかないか・・・・・・ところで貴浩、どこに行く気だ」

 

明久「さぁ、おいで貴浩」

 

貴浩「・・・チッ」

 

4人が揉めてる間に逃げ出すつもりだったのに、ちゃんと気づいていたのか。

 

貴浩「はぁ・・・で、今日はどんな弁当なんだ?」

 

秀吉「う、うむ。た、楽しみ、じゃなぁ・・・」

 

明久「まったくだね。あはは、そういえば命たち遅いね」

 

雄二「もうそろそろ戻ってくるだろ」

 

貴浩「まさか、楓と命の身に何かあったんじゃ」

 

明久「それは大変だ。今すぐ向かわないと!」

 

雄二「まぁ待て。二人には光一がついてるから大丈夫だ」

 

貴浩「・・・・・逃げれなかったか(ボソッ)」

 

島田「あれ? 瑞希、なんだか今日は量が少ないんじゃない?」

 

姫路の弁当を見てみるといつもと比べて少ないな。

 

姫路「あ、はい。実は、また失敗しちゃたんです。

   本当はおにぎりの他にちゃんとおかずを作っていたんですけど・・・」

 

それは正直俺達にとっては生き残る確立が上がったので助かるが。

 

姫路「美波ちゃんもどうですか?」

 

島田「そう?じゃあ、お言葉に甘えて」

 

「「「「「あっ!」」」」」

 

俺達が制止するよりも早く、島田が姫路のおにぎりを口に放り込んだ。

俺達が息を呑んで見守る中、島田がもぐもぐと口を動かす。

・・・・・・ん?まさか、なんともないのか・・・・・・?

 

島田「うん。普通のおにぎりだけど、美味しいわよ瑞希」

 

姫路「そうですか。良かったです」

 

貴浩「なぁ姫路。このおにぎりはどうやって作ったんだ?」

 

姫路「特に何もしていないですよ。炊いてあったご飯に、

   お塩を振ってから俵型に握って、海苔を巻いただけです」

 

なるほどな。その作り方なら、どうやっても異常な食べ物は出来ないだろう。

島田が無事なのはそういう理由か。

なら、普通に食べて大丈夫だな。

 

楓「お待たせしました。姫路さんもお弁当作ってきたんですね」

 

そこへ楓と命、光一の3人が弁当を持って戻ってきた。

 

明久「結構遅かったね。心配したよ」

 

命「ごめんね明久君。優姉のところに寄ってからきたから?」

 

秀吉「姉上のところに?」

 

命「うん、どうせなら一緒に食べないかな、と思ったんで」

 

貴浩「そうだな。そっちのほうが楽しそうだしな」

 

楓「皆さん、少ししてから来られるそうなので先に食べててくださいとの事でした」

 

明久「そうなんだ。ならお言葉に甘えて食べてようか」

 

命「たくさん作ってきたので、皆さん遠慮せず食べてください」

 

島田「あっ、ウチも作ってきたから、良かったら皆で食べて・・・」

 

雄二「おっ、島田もか。これだけあれば翔子たちが来ても足りるな」

 

光一「島田のはサンドイッチか」

 

島田「さ、サンドイッチなら、その余っても、家で食べられるし」

 

清水『・・・羨ましいです・・・お姉さまの手作り弁当・・・じゅるり』

 

ん? この気配は・・・・・どこぞの2-D所属の女子の声が聞こえる。

 

島田「この気配は・・・美春ねっ!?」

 

清水『く・・・っ! 気づかれましたか! こうなれば──奇襲は諦めて突撃です!

   お姉様ぁああーっ!』

 

島田「ウチはアンタに構ってる暇はなにのよっ!」

 

土煙をあげて突撃してくる清水から逃れるように、

島田は慌てて立ち上がり反対方向へと駆け出した。おお、速い速い。どちらも頑張れ(笑)

 

貴浩「・・・そういえば飲み物ってどこにあるんだ?」

 

明久「そういえばそうだね? 確か美波が持ってるって言ってたよね」

 

秀吉「じゃが、駆け出していったからの」

 

貴浩「仕方がない。買って来るか・・・皆、何でもいいよな?」

 

雄二「ゲテモノ以外なら何でもいいぞ」

 

貴浩「・・・チッ」

 

雄二「おい待てやコラ。何買って来る気だった」

 

明久「あっ、貴浩。僕も一緒に行くよ。

   霧島さんたちの分も買っておいたほうがいいと思うし」

 

貴浩「助かる。数が数だからな」

 

楓「兄さん、明久君。お願いしますね」

 

貴浩「じゃあ、少し待っててくれ。なるべく早く買ってくるから」

 

俺と明久は席を立ち校舎へと向かって走り出す。

でないと楓と命の弁当がなくなってしまうかもしれないからな。

多分、残しておいてくれるとは思うけど・・・



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事故とザクロと怒り

5/12 修正


 

久保「うん? 吉井君に織村君じゃないか」

 

愛子「あっ、貴浩君に吉井君だ」

 

優子「あら? 本当ね」

 

明久「あ。優子さんに工藤さんに久保君」

 

貴浩「どうしたんだ3人とも? 珍しい組み合わせだな」

 

3人がいたのは自販機の前だ。

 

優子「今から貴方たちのところに向かうつもりだったところよ」

 

久保「じゃんけんで負けちゃってね。今から飲み物を買って合流しようとしたところだよ」

 

貴浩「奇遇だな。俺達も飲み物を買いに来たところだ。ついでだから、一緒に行くか」

 

愛子「そうだね。どうせ向かう先は一緒だしね」

 

俺達は適当に人数分の飲み物を買い、皆のところに戻っていく。

 

久保「そういえば、Fクラスは3-Aに野球大会で勝ったそうだね」

 

貴浩「勝った──って言っていいのかはわからないが、一応決勝には進んだぞ」

 

久保「そうか。なんにせよ、たいしたもんだよ」

 

貴浩「そういえば久保たちは調子が悪かったのか?

   正直、お前らが勝ってくると思ってたんだぞ。

   それとも、正式競技のほうに皆出でてたのか?」

 

久保「いや、そうでもない。少なくとも代表や木下さんに工藤さんはやる気満々だったよ」

 

貴浩「へぇ~、優子と愛子もか? 意外だな。二人とも何か没収されたのか?」

 

愛子「うん、ちょっとね・・・」

 

優子「学業に関係ないものを持ってきた私達が悪いのは分ってるんだけど・・・」

 

貴浩「ふ~ん、結構大事な物なんだな」

 

明久「2人とも、まさかアレを没収されちゃったとか・・・なんて、ないよね?」

 

優子「・・・・・・そのまさかよ」

 

貴浩「ん? アレってなんだ?」

 

愛子「貴浩君は気にしなくていいんだよ」

 

明久「そ、それより、急がないとお昼が無くなっちゃうよ」

 

貴浩「それはマズいな。急がないとな」

 

そして、途中で霧島も一緒に皆のところに戻ると───

 

 

『犯人はにぎりめ─────』

 

 

地面にそんな言葉を残し、秀吉が倒れていた。

 

姫路「いっぱい食べてくださいね」

 

雄二「は、はは、は・・・・・・はははははは・・・・・・」

 

康太「・・・・・・・・・(ガタガタガタガタ)」

 

楓「ヒデ君! しっかりしてください!」

 

命「秀兄、起きて!」

 

笑顔の姫路の前に、雄二とムッツリーニが怯えている。

楓と命は必死に秀吉の蘇生を行っていた。

何が起きたか瞬時に理解した。

おそらく、おにぎりの中に姫路の特別製が紛れていたのだろう。

 

なら、姫路には悪いが───

 

貴浩「おーっと! 足がもつれてしまったぁ!!」

 

と、大げさに姫路の弁当に向かって転げ込み、弁当を巻き込んで倒れた。

 

貴浩「いててぇ・・・悪いな、姫路。足がもつれてしまって」

 

優子「何やってるのよアナタは」

 

姫路「気にしないでください織村君」

 

貴浩「本当に悪いな」

 

事情を知らない優子たちは俺の行動に呆れていたが

事情をしってるメンバーたちからじゃナイスと言わんばかりの表情をしていた。

 

 

その後は楓と命、島田が持ってきた弁当を食べていった。

 

皆で弁当を食べていると

 

姫路「そういえば、私ちょっと珍しい果物を頂いたので、持ってきちゃいました」

 

久保「珍しい果物? それは楽しみだ」

 

雄二「確かに、そう言われると期待しちまうな」

 

康太「・・・・・・なんだろう」

 

愛子「楽しみだね」

 

姫路「はい。えっと───」

 

姫路が弁当箱の蓋に手をかけ、中身を披露してくれる。

 

姫路「───ザクロを持ってきましたっ」

 

優子「へぇ~ザクロって食べた事ないのよね。どんな味なのかしら?」

 

なのは「私もだよ。楽しみだね」

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

ザクロは、まるで島村先輩が使っていた召喚獣の成れの果てによく似ていた。

 

 

 

 

 

 

 

翔子「・・・・・・・・・」

 

貴浩「ん? どうした霧島?」

 

そういえば静かだと思っていたが、霧島と雄二の絡みがなかったからか。

それになんだか、霧島は随分と元気が無い様に見える。

 

雄二「おい翔子、どうかしたのか?」

 

翔子「・・・・・・雄二・・・」

 

雄二が話しかけても力の無い返事をするだけ。

 

翔子「・・・・・・野球、負けちゃった・・・」

 

雄二「ああ、そうらしいな」

 

雄二「まぁ、代わりに俺らが勝ったから安心しろ。仇は討った」

 

偉そうにいう雄二。仇討ちなんて微塵もなかっただろうに

 

翔子「・・・・・・でも、私の没収品、返してもらえない」

 

優子「・・・それは私もね・・・」

 

愛子「・・・僕もだよ・・・」

 

3人ともよほど大事な物を没収されたらしいな。

俺達はなんて不純な理由で野球をやっているんだろうな。

 

雄二「没収品って、お前な・・・」

 

呆れたように額を押さえる雄二。

 

翔子「・・・・・・結婚式まで大事に保管しておくつもりだったのに・・・」

 

霧島が沈んだ声で言うと。

 

雄二「バカ言うな。あんなもん、没収されなくても、見つけたら俺が捨ててやる」

 

雄二がいつもの調子でそう応える。

 

翔子「・・・・・・え・・・・・・?」

 

なぜか霧島が驚いたように顔を上げる。

けど雄二はそんな霧島の様子はあまり気にせず、更に言葉を続けた。

 

雄二「いや。『・・・・・・え・・・・・・?』じゃないだろ。

   あんな物を没収された程度でそこまでショックを受けるなよ」

 

雄二のその言葉に今度は優子や愛子、なのは、久保まで驚きの表情を浮かべる。

 

翔子「・・・・・・あんな物。って・・・・・・」

 

雄二「そうやってつまらない物の没収で凹むくらいなら、

   常夏島トリオ如きを相手に負けたことをだな───」

 

良い気になって霧島に説教を垂れようとする雄二。

 

そこに、

 

翔子「・・・・・・・・・・・・・・っ!!」

 

 

────パシンッ

 

 

乾いた平手の音が響き渡った。

 

翔子「・・・・・・つまらない物なんかじゃ、ない・・・っ!」

 

霧島が目に涙を溜めて、唇を噛んでいる。

 

・・・・・・これは一体どういうことだ・・・?

 

翔子「・・・・・・雄二にだけは、そんな事言って欲しくなかった!」

 

霧島はそういうとこちらに背を向け走り去ってしまった。

 

優子「代表!」

 

優子や愛子、なのは、久保も霧島の後を追いかけていく。

 

楓「えっ? 翔子ちゃん・・・?」

 

俺達は霧島の行動に驚き、動きが遅れていた。

 

貴浩「・・・と、とりあえず、楓と命も優子たちと一緒に霧島のほうを頼む」

 

楓「はい、わかりました」

 

楓が返事をすると命と一緒に霧島が走り去って行った方へ向かって行った。

 

光一「・・・・・・まさか、あの霧島があそこまで怒るなんてな」

 

雄二「・・・・・・翔子のヤツ・・・!なにが『つまらないものじゃない』だ!

   俺本人がまだ同意していない婚姻届なんか、

   つまらない物以外の何物でもないだろうがっ!」

 

雄二が怒りを顕に大きく叫ぶ。

 

雄二「俺にだけは言われたくないって、俺だから言うんじゃねぇか!

   こっちはまだ承知していないんだぞ!」

 

明久「う~ん・・・。まぁ確かに、霧島さんにとっては大事でも、

   まだ同意していない婚姻届けとかであんなに怒られてもね・・・」

 

う~ん・・・本当に婚姻届なのか?

それなら、なんで優子や愛子、なのは、それに久保まで驚きの表情を浮かべたのだろうか?

まさか俺達は、とんでもない勘違いをしているのか?

でも、雄二が婚姻届って言うんだから間違いはないと思うが・・・

 

その後もしばらく、雄二は野犬のように吠え続ける。

俺達はそれを宥めながら、召喚野球大会決勝の舞台であるグラウンドへ向かって行った。

 

 



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キツさと意外と決勝戦

5/12 修正


『これより生徒・教師交流野球決勝戦を始めます。皆さん、整列してください』

 

ベンチメンバーも含めて全員でグラウンド中央に駆け寄って整列する。

三塁側ベンチからは教師陣が歩いてやってきて、俺達と向かい合うように並んだ。

 

『プレイボール!』

 

『『『おねっしゃーーす!!』』』

 

一斉に頭を下げて、各自守備位置へ。

こちらは後攻。まずは守備からだ。

 

ちなみにこちらの打順とメンバーは

 

 

1番 サード    近藤吉宗 

2番 ショート   福村幸平 

3番 ファースト  木下秀吉  

4番 センター   織村貴浩  

5番 セカンド   木下命     

6番 レフト    羽鳥光一

7番 ピッチャー  吉井明久 

8番 キャッチャー 坂本雄二  

9番 ライト    織村楓

 

ベンチ 土屋康太(ムッツリーニ)、須川亮、横溝浩二

 

 

 

対する教師陣の布陣はというと

 

 

1番 セカンド   烏丸真紅朗(レイブン)    

2番 ファースト  布施文博 

3番 ライト    高橋洋子  

4番 キャッチャー 西村宗一  

5番 ショート   鈴村瀬名    

6番 サード    スタン・デュナメス

7番 ピッチャー  大島武

8番 レフト    寺井伸介

9番 センター   ジュディス・クリスティナ

 

ベンチ 船越、竹中、長谷川

 

 

 

烏丸「さてと・・・野球なんて、久しぶりだねぇ・・・試獣戦争(サモン)」

 

教師チームのトップバッターであるレイブン先生がバッターボックスに入る。

 

 

【世界史】

 2-F       VS   教師陣

 吉井明久 292点      烏丸真紅朗 654点

 

 

ある程度は予想していたとはいえ、これはやはりキツイな。

明久のあの点数でも2倍の差があるぞ。

 

明久が第1球を投げる。

外角高めに外した直球が雄二のミットに向かっていく。

まずは様子見だとわかる球だが───

 

烏丸「やっぱり一球目は外してきたね・・・よっと」

 

レイブンは予想通りと言わんばかりにバットを振る。

カァンと音を立て、ライト前にボールが落ちる。

 

烏丸「まずは進塁っと」

 

布施「はは・・・。野球なんて、20年ぶりでしょうかね──試獣戦争(サモン)」

 

次に2番手として布施先生がバッターボックスに入る。

 

 

【世界史】

 2-F       VS   教師陣

 吉井明久 292点      布施文博 334点

 

 

雄二≪アウトコース 低め 遅い球≫

 

雄二が明久に投球指示を出す。

明久は雄二の言うとおりにボールを投げる。

 

『ストライク!』

 

布施先生は動かなかった。

さっきのレイブンは操作技術が高いから一球目からバットを振ってきたが、

普通は様子を見てくるだろう。

当の本人ですら随分と野球をやっていないのだ。

それを召喚獣にやらせるのだから、慎重にもなるだろう。

 

雄二≪インコース 高めに外す 遅い球≫

 

二球目の指示はボール球だ。

 

布施「・・・・・・っ」

 

『ボール』

 

布施先生ピクッと反応しつつも、なんとか堪えてその球を見逃した。

これでカウントは1ストライク、1ボール。

 

雄二≪インコースギリギリ 低め フォーク≫

 

明久が第三球目を投げた───

 

雄二『ってすっぽ抜けてるじゃねぇかーっ!』

 

ボールは見るからに明久の手からすっぽ抜けて、ひょろひょろとボールが飛んでいく。

 

布施「っ!? っとと、と・・・」

 

そのボールを見て何故か布施先生はフォームを崩しつつバットを振ってくる。

ん?どうしたんだ?

バットの先に掠るように当たったボールは、勢いよく宙に上がっていく。

 

『アウトっ!』

 

打ち上げられた球はレフトフライとなり、まず1アウト。

スッポ抜けで肝を冷やしたが、結果オーライだろう。

 

布施「やれやれ・・・あまりに良い球が来たので焦ってしまいました・・・」

 

1アウト、ランナー1塁。そして迎えるバッターは──

 

高橋「宜しくお願いします」

 

学年主任を務める才女、高橋女史だ。

 

高橋「お手柔らかに、吉井君。───試獣戦争(サモン)」

 

 

 

【世界史】

 2-F       VS   教師陣

 吉井明久 292点      高橋洋子 834点

 

 

 

『『『ぶほぉっ!』』』

 

守備陣が一斉に吹き出す。

800点オーバーって、なんで担当教師のレイブンより高いんだよ!?

 

雄二≪勝負にならねぇ。敬遠するぞ≫

 

雄二は明久に敬遠の指示を出す。まぁ懸命な判断だろう。

 

明久≪雄二。ここは勝負だよ。高橋先生は野球に慣れていない≫

 

明久が雄二にアイコンタクトで高橋先生の手を見るように伝える。

高橋先生はバットを持つ右手と左手の位置が逆になっていた。

雄二もそれに気づき、キャッチャーミットと構えなおす。

 

西村『高橋先生。手が逆だな。それだと打ち難いはずだ』

 

高橋「ああ、どうりで・・・アドバイスありがとうございます西村先生」

 

雄二≪アウトコース 高めに外す 直球≫

 

明久が雄二の指示通り投げようと、セットポジションに入ったその時。

 

高橋「ええと、こうでしたか」

 

高橋先生が姿勢を変え、バントの構えを取った。

 

『ストライク!』

 

コースを外しておいたので、バットに当たることなく白球がミットに収まる。

送りバント狙いか・・・?相手はまがりなりにも教師チームだ。

そんなにアウトを取らせてくれるはずがあるわけない、ということは──

 

雄二≪ここは黙って遅らせて、アウトを1つもらうぞ≫

 

明久が雄二の指示通りに投球しようとする直前

 

貴浩「明久! これは罠だっ!」

 

俺の言葉は一歩遅くすでにボールは明久の手から離れてキャッチャーミットに向かっていた。

 

高橋「ここで、こう・・・」

 

ゴン、と硬い音が響いた。

一応、バントということには変わりはないが───

 

貴浩「プッシュバントかっ!」

 

バントはバントでもプッシュのほうだ。

送りバントと違い、これはヒット狙いのバントだ。

明久とサードの近藤はバントと思って前に飛び出していたので、

その二人の間を低い軌道でボールが抜けていく。

 

福村「任せろっ!」

 

ボールの行方は、ショートを守る福村の真正面だった。

身体の正面にきっちりグラブを構えて、捕球姿勢に入る福村。

センターである俺とレフトの光一が念のためにカバーに入る。

そして、ボールを受けてファーストに送球をしようとして

 

福村「ごぶるぁあっ!?」

 

「「「んだとぉっ!?」」」

 

ボールと一緒に、福村の召喚獣が吹っ飛んでくる。

な、なんだと!? 今のはプッシュと言ってもバントだろ!?

それがどうして福村の召喚獣が吹っ飛んでいくほどの威力が出るんだ!?

俺と光一もまさか召喚獣ごと飛んでくるとは思ってなく、動き出すのに遅れてしまう。

光一が福村を追いかけ、俺は中継に入るため動き出す。

 

『高橋先生、あれなら二塁まで行けます!』

 

高橋「二塁ですか。わかりました」

 

冷静に頷く高橋先生。

そして、その直後。高橋先生凄い勢いで召喚獣を走らせ、二塁へと向かわせた。

 

 

 

一直線に。

 

 

マウンドの上を突っ切って。

 

 

 

『『『・・・・・・・・・は?』』』

 

 

ランナーのレイブンを含め、その場にいる全員の目が点になった。

 

『・・・バッター、アウト』

 

審判が高橋先生の凡退を宣言する。

 

『高橋先生・・・。アウトなので、ベンチに戻ってください・・・』

 

高橋『なぜですか』

 

『そういうものなんです・・・』

 

どうやら高橋先生は野球のルールをしらないようだ。

以外といえば以外だが・・・・・・まぁとりあえず・・・

 

貴浩『ほい・・・タッチアウト』

 

烏丸『えっ?』

 

ついでに一・二塁間で高橋先生の行動に驚き棒立ちになっていたレイブンからもアウトを取る。

全員が呆然としている間に、こっそり光一からボールを受け取り俺は行動を起こしていた。

 

 

【世界史】

 2-F       VS   教師陣

 福村幸平 DEAD      高橋洋子 834点

 

 

ちなみに、福村の召喚獣は静かに天に召されていた。

福村が召喚獣が戦死したことで須川が変わりに出る。

そして、ショートに俺がセンターに光一、須川がレフトに入る。

でないとバントであの威力だ。

俺か光一ぐらいじゃないと同じ事の繰り返すことになる。

 

 



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交代と敬遠とホームラン

5/12 修正


近藤「んじゃ、行ってくるぞ」

 

貴浩「頼むぞ近藤」

 

こちらのトップバッターの近藤がバッターボックスに立つ。

向こうのピッチャーは保健体育の大島先生で、キャッチャーは鉄人という組み合わせだ。

 

貴浩「ライトに飛ばせたら、まだチャンスがあるかもな」

 

先ほどの高橋先生の行動を見ていたら何とかなるんじゃないかと思ってしまう。

 

雄二「ああ、そうかもな」

 

明久「ああ、この試合どうなるんだろう・・・?」

 

と、雄二と明久と話している間に、

近藤、須川の二人が三球三振に終わり、秀吉も粘っていたがサードゴロに倒れた。

 

再び守備位置につくFクラスメンバー。

2回の科目は現代国語なので、まだ明久がピッチャーを続けている。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   教師陣

 吉井明久 121点      西村宗一 741点

 

 

相手は俺たちの担任かつ補習指導の鉄人だ。

だが、この点数ってなんだ?

てっきり頭はそこまでと思っていたのにこれか・・・

 

雄二≪敬遠するぞ≫

 

明久≪OK雄二≫

 

雄二が明久に敬遠の指示が出されていた。

まあ、あの点数で鉄人の運動神経だ。妥当な考えだろう。

 

雄二がストライクゾーンの外にキャッチャーミットを構える。

 

『ボール』

 

鉄人は明久が投げた一球目を見逃した。

 

鉄人『・・・・・・これは、坂本の指示か?』

 

雄二『そうだが、何か?』

 

鉄人『・・・そうか、お前達は勉強は苦手でも、

   こういったことはわかっているものだと思っていたんだがな・・・。

   まだまだ教育が必要だということか』

 

雄二『? 何を言ってるんだ。敬遠くらい、勝負の世界では常識だろう。

   この程度のことで文句を言うとは───』

 

鉄人『いいや。そういうことを言ってるんじゃない。

   ・・・いいか、坂本。教師として1つ言っておくぞ』

 

鉄人と雄二が会話している中、明久が雄二のキャッチャーミットに目がけて投げる。

 

鉄人『───何事もやるなら徹底的にやれ!』

 

ガギン、と豪快な音を立て、一瞬で視界からボールが消え去る。

行方を目で追う必要も無い。

 

『ホームラン!』

 

鉄人『・・・・・・フン』

 

鉄人の召喚獣が淡々と各ベースを回っていく。

 

雄二『く・・・』

 

雄二が悔しそうに唇を噛んでるのがショートからでもわかる。

これは、まださっきのことを考えているなアイツ。

 

明久「タイム!」

 

明久が咄嗟にタイムを申請し、雄二のところに駆け寄る。

おそらく明久も雄二の状態に気づいたのだろう。

 

『プレイ』

 

しばらく明久と雄二が話して、明久がマウンドに戻ると試合が再開する。

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   教師陣

 吉井明久 121点      鈴村瀬名 349点

 

 

雄二≪インコース 低め 直球≫

 

雄二の指示は一般的に打ちにくいと言われるインコースか。

低めに投げるのは、長打を避ける為だろう。

明久が第1球を構え、ミット目がけて思い切り投げ込んだ。

 

カッキーン!

 

明久が投げた球を鈴村先生は躊躇せずバットを振る。

ボールは見事レフトフェンスに直撃する。

 

鈴村「まぁ・・・こんなものか・・・」

 

ボールが二塁へ到達する頃には悠々と鈴村先生の召喚獣は二塁へ到着していた。

 

スタン「次は俺の番だな。試獣召喚(サモン)」

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   教師陣

 吉井明久 121点      スタン・デュナメス 319点

 

 

次はスタン先生か・・・先生も召喚獣の操作技術は相当なものだ。

注意していないといけないな。

 

雄二≪アウトコース 低め 直球≫

 

雄二が明久の投球指示を出す。

明久は雄二の指示を受け取り、第1球を投げる。

 

カッキーン!!

 

明久が投げた球をスタン先生は躊躇することなくバットを振った。

ボールは確認するまでも無かった。

 

『ホームラン』

 

スタン「上出来だな」

 

鉄人に続いてスタン先生もホームラン。

これで3対0だ。

 

続く寺井先生は三振に打ち取り、

ジュディス先生、烏丸先生を何とか凡打で打ち取り交代となった。

 

なんとか失点を3点に抑えることができた。

ここから巻き返さないといけないな。



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呆然と策とファインプレイ

5/12 修正


明久「さぁ皆。今度はこっちの番だよ! そろそろ流れを引き込もう!」

 

「「「おうっ!!」」」

 

貴浩「打席は俺からだな」

 

そして俺は打席へと向かう

 

 

【現代国語】

 2-F       VS   教師陣

 織村貴浩 281点      大島武 249点

 

 

 

貴浩「おりゃ!」

 

カッキーン

 

大島先生が外角高め目がけて投げきた球を打ち返す。

打球はピッチャーの足元を抜ける。

 

誰もがヒットと疑わなかったが──

 

パシッ

 

貴浩「ま、マジかよ…」

 

ピッチャーライナーで抜けたと思われた打球に

ショートの鈴村先生がファインプレイを見せ打球を捕球した。

そして、グラブトスでセカンドのレイブンにトスし、一塁へ送球する。

 

『アウト!』

 

続く命は三振、光一も鉄壁のセカンド・ショートの守備陣の前にアウトに終わった。

 

明久「さぁ皆、今度は守備だ。もう1点も入れられないよう頑張ろう」

 

「「「おー……」」」

 

貴浩「皆、守備に行く前に聞いてくれ。

   先生達の点数も脅威だが、その上操作技術も高いのがわかるだろう。

   だからここで守備の交代をするぞ」

 

命「守備交代ですか?」

 

貴浩「ああ、以下の通りに守備を交代する」

 

ピッチャー  織村楓

キャッチャー 羽鳥光一

ファースト  須川亮

セカンド   吉井明久

サード    坂本雄二

ショート   近藤吉宗

センター   織村貴浩

レフト    木下秀吉

ライト    木下命

 

楓「私がピッチャーですか?」

 

貴浩「ああ、先生達に対抗するには高い点数じゃないと難しい。

   だから、学年次席レベルの楓なら何とかなる可能性が大きい」

 

明久「だから、光一がキャッチャーなんだね」

 

貴浩「ああ、俺か光一じゃないと捕球できないからな」

 

秀吉「じゃが、もし楓の球が打たれた時はどうするつもりなんじゃ?」

 

貴浩「もちろん策はある。だから秀吉をレフトに明久をセカンドにおいたんだ」

 

明久「? どういうこと?」

 

貴浩「つまり・・・・・・で・・・・・・する」

 

秀吉「なんと破天荒な発想を・・・」

 

雄二「そんな曲芸が実戦で出来るのか?」

 

貴浩「俺と明久、秀吉なら可能なはずだ」

 

光一「試してみる価値はありますね」

 

俺達は話し合いを終えると各自守備位置についた。

 

教師チームは2番の布施先生からだった。

楓が一球目を投げるが甘めに来た球をレフト前に打ち返される。

 

そして、次に迎えるのは

 

高橋「宜しくお願いします」

 

学年主任を務める才女、高橋先生だ。

ここからが正念場だ。

 

高橋「今度はうまくやります」

 

高橋先生はかなりバットを短く持って構えを取る。

高橋先生の点数だ。バットに当たりさえすればヒット性の当たりになるからな。

 

楓はアウトコース高めにボールを投げる。

 

高橋「まぁ、予想通りですね」

 

突如、高橋先生の召喚獣が思い切り腕を伸ばした。

コースを読まれ、あえなく楓の球が打たれてしまった。

 

スタン『高橋先生! 今度はきちんと一塁から順に回ってください』

 

高橋「わかっています。同じミスは、二度と犯しません」

 

高橋先生の召喚獣が点数に比例した速さで一塁ベースを踏み、

続いて二塁・三塁を物凄い速さでベースを回って行く。

だが、速すぎて───

 

『高橋先生・・・アウト、です・・・』

 

高橋「なぜですか」

 

速すぎて前の走者を追い抜かしたからだ。

 

『『『・・・・・・』』』

 

見ている全員が言葉を失った。

 

貴浩「近藤!」

 

俺はすぐさまボールを近藤へとボールを投げる。

近藤はボールを受け取ると2・3塁間に立ちつくしていた布施先生をタッチする。

 

布施「あっ」

 

高橋先生の行動にまたもや呆然としていた布施先生もアウトにする。

よし、これで2アウトだ。

 

 



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策とファインプレーと虚しさ

5/12 修正


再びの高橋先生の珍プレーにより現在、

 

2アウト、ランナーなし

 

そして続くバッターは

 

西村「色々守備を変えたようだな。なら真っ向から打ち破るだけだ」

 

4番の西村先生こと鉄人だ。

先ほどホームランを打たれたので充分用心しないといけない。

 

俺は念のために先ほどの策のため全員にサインを出しておく。

そして皆がサインに気づき首を振る。

 

そして楓が内角高めにボールを投げる。

 

西村「フンっ!」

 

カッキーン!

 

レフトにホームラン性のボールが飛んでいく。

 

教師陣と試合を見ている観客がホームランだと思っていると──

 

光一「外野!」

 

打たれたと同時にセンターにいた貴浩がレフトの秀吉の召喚獣に向かって走っていく。

 

貴浩「秀吉任せるぞ」

 

秀吉「ああ、任せるのじゃ! さぁ来い!」

 

秀吉の召喚獣がバレーボールのレシーブの体勢をとる。

 

秀吉「腕に力を集中して……インパクトの瞬間に解放……じゃったな」

 

そこに貴浩がダッシュで走っていき

 

秀吉「そりゃっ!!!」

 

秀吉の腕を踏みきり台として貴浩が跳躍した。

 

貴浩「よしっ! 成功!!」

 

貴浩の召喚獣が上空にあるボールを捕球する。

 

命「凄いです。あんな上空にあるボールを捕るなんて」

 

明久「貴浩かっこいい!」

 

楓「でもあれ降りる時、どうするんですかね……」

 

光一「それぐらいは大丈夫だと思いますよ」

 

貴浩「よっと!!」

 

体を回転させつつ地面に綺麗に着地する。

 

『バッターアウト!!』

 

西村「フム。流石というべきか・・・やはり織村の操作技術はズバ抜けているな」

 

貴浩「よしっこれで3アウトだ。今度はこっちの反撃だ」

 

これで3アウトとなり、俺たちの攻撃へとなる。

 

 

 

貴浩「なんとか先生たちの攻撃を凌いだんだ。この回でせめて1点は返すぞ!」

 

明久「そうだね。さすがに3点差はきついからね」

 

命「次のバッターって誰だっけ?」

 

秀吉「光一でアウトになったから明久からじゃな」

 

光一「期待してます明久殿」

 

楓「頑張ってくださいね明久君」

 

貴浩「まずはお前が塁に出ないことには話しにならんからな」

 

明久「うん、わかったよ。じゃあ行って来る」

 

命「頑張ってね明久君」

 

明久「命・・・ありがとう! 頑張ってくるよ!」

 

命「はい。応援してるよ」

 

明久「よしっ! この打席を命に捧げるよ!」

 

明久が意気揚々と打席に向かい、ピッチャーをしっかり視界に入れた。

 

 

『デットボール』

 

 

明久「ぎにゃぁぁああ! 手が! 手が! 左の手首からの感覚がぁああっ!」

 

大島「すまない吉井・・・。力加減を間違えてしまったようだ・・・」

 

気合を入れて明久が身を乗り出していたら、

いきなりの大島先生の失投で・・・デットボールか・・・

 

命「えっ、えーっと・・・・・・捧げると言われても・・・・・・

  み、身をていして塁に出たんですね。さすがです明久君!」

 

貴浩「無理して受け止めなくて良いと思うぞ。

   まぁ、とりあえず明久が進塁したんだ。次は雄二だぞ」

 

雄二「・・・ああ」

 

そして雄二がバッターボックスに入る。

 

【物理】

 2-F       VS   教師陣

 坂本雄二 209点      大島武 279点

 

 

大島「今度は失投しないよう気をつけないとな」

 

大島先生の召喚獣が投球姿勢を取り、ボールを投げ放つ。

コースもど真ん中で球速も普通だ。

先ほどのデットボールの後なので加減したになったのだろう。

でも・・・これは絶好球だ!

 

雄二「・・・・・・っ」

 

雄二がその球を見てピクッと動き───見送った。

 

『ストライク』

 

結果、ストライクカウントを1つ増やした。

 

楓「どうしたんでしょうか坂本君? 今の打つチャンスだと思っていたんですが?」

 

貴浩「・・・おそらく、先ほどのことが頭から離れていないんだろうな。

   だから、さっきから集中力が散漫になってたんだろうな」

 

そして、大島先生が2球目を投げる。

 

ボールはインコース低め、ギリギリストライクゾーンに入ってるかどうかだ。

 

雄二「こ・・・の・・・っ!」

 

先ほどと同じように一瞬身体を震わせて、そこからバットを動かした。

カッンと半端な音を響かせて、ボールがピッチャー前に転がる。

 

大島先生は捕球すると2塁へと送球する。

 

『アウト』

 

そしてレイブンが捕球した球を1塁へと投げる。

 

『アウト』

 

走者と打者であった明久と雄二がアウトになり2アウトとなった。

 

雄二「くそぉっ!」

 

雄二がベンチに戻ると悔しげに吠えた。

 

続くバッターである楓はショート前のゴロとなりアウトとなり交代となった。

 

 



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勘違いとカツと意気込み

楓「すみません・・・」

 

楓がアウトをなり、これで3アウトとなり再び攻守が交代する。

3回が終わって、スコアは0対3。

スコア上では3点差だが、試合運びは最悪だ。

こちらは明久がデットボールで塁に出ただけで後は全て打ち取られている。

 

そろそろ逆転劇に仕掛けたいところだが、肝心の雄二がこの調子だからな

 

明久「雄二。気分は───」

 

雄二「あぁ?」

 

貴浩「まったく・・・雄二ももう少し大人になれよ。

   霧島だって人間だ。機嫌の悪い時もあるさ」

 

雄二「何が機嫌の悪い時があるだ!そんなもんで納得できるか!」

 

火に油を注いだがごとく、更に怒りを燃やす雄二。

 

雄二「だいたい、どうして俺が、本人の同意も無いまだない紙切れ1枚没収された程度で、

   あそこまで怒られなきゃならないんだ!」

 

と、何度目かの遠吠えを始める。

 

楓「えっ?紙切れ、ですか?」

 

そこで話が聞こえていたらしい楓と命が首を傾げていた。

 

雄二「なんだ楓、命。人の大事なものを紙切れ呼ばわりするな、とでも言いたいのか?」

 

命「いえ、そうじゃないけど・・・紙切れっていうのが聞いた話と違うなと思って・・・」

 

明久「命、楓。どういうこと?」

 

楓「はい。私たちは、翔子ちゃんが没収されたものは、

  如月グラウンドパークで坂本君からもらったヴェールだって聞きましたけど・・・」

 

命「はい、私も優姉たちからそう聞きましたよ」

 

「「「・・・・・・・・・は?」」」

 

2人の思いも寄らぬ台詞に、俺と明久まで一緒になって聞き返してしまった。

 

ヴェールっていうとアレか、

結婚式の時の花嫁衣装で、頭にかけるあの薄い布のことだよな。

確か如月グラウンドパークのウェディング体験の時もらったんだよな。

 

楓「前に翔子ちゃんが嬉しそうにお話ししてくれました。

  翔子ちゃんが大勢の前で夢を笑われた後で、坂本君が

  『俺はお前の夢を笑わない』っていいながらプレゼントしてくれた、

大切なヴェールだって」

 

命「私もお泊り会をしたときに幸せそうに言ってたのを覚えてます。

  凄く嬉しそうだったのが印象的だったので覚えてますよ。

  それだけ大事なものが没収されたんですよね・・・それはショックですよね・・・」

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

俺たち3人は2人が話した真実に言葉を失っていた。

 

明久「・・・・・・雄二・・・。なんてバカなことを・・・」

 

楓「雄二君・・・知らなかったんですか?」

 

雄二「・・・・・・知らなかった」

 

こうなると話は変わってくる。

勘違いだからどちらが悪いとかは言わないが、どちらに同情するかと言われたら、

間違いなく霧島に対してだろう。知らないとはいえそれだけのことを雄二はやってしまっている。

茫然自失の雄二に対して、俺は目を覚まさせるように声を掛ける。

 

貴浩「さて雄二。どうする?このままだと没収品は返ってこないぞ」

 

このまま試合に負けたら没収品は返ってこない。

それが自分の宝物でも、誰かの大切なものでも

 

雄二「どうするもこうするも・・・。きっちり守って、点数を取って勝つだけだ」

 

秀吉「そうは言うが雄二よ。次は5番の鈴村先生からじゃぞ?

   先ほどの貴浩の作戦は上手くいったが次も上手くいくとは限らぬ。

   さすがに無策で挑んで無事に済むとは思えぬ」

 

光一「それに点を取るといってもこちらのヒットは今だ0だぞ。

   こちらは3点負けている状態なんだ。そっちの策を練らんといけんだろ」

 

ここで秀吉と光一も会話に加わる。

2人の言うとうりここで0点に抑えられても点数を取れないんじゃ意味が無い。

 

横目で雄二を見るが、いまいち機能していないだろう頭で策を模索しているのがわかる。

 

すると、明久が雄二の横に立つ。

 

雄二「・・・なんだ明──」

 

バキッ

 

横に明久が来た事に遅れて気づいた雄二が振り向くと同時に明久が雄二の顔を殴る。

 

雄二「な、何をしやがるテメェっ!?」

 

明久「目さめた?」

 

雄二「あ?何を言ってる?」

 

明久「言葉の通りだよ。いつもより難しい顔してたからね。

   これで目がさめてくれると助かるよ。だって僕たちはバカだからね。

   今の状況だったら雄二の賢い頭が必要だからね。

   いつまでも気が抜けた状態でいてもらっても困るし。

   僕たちは勝つためにここまでやってきたんだ。

   雄二は僕達のリーダーでしょ、ならシャキとしないと。

   そして僕たちに命令してよ。僕たちは雄二の言うとおりに動くからさ」

 

雄二「・・・明久・・・お前・・・」

 

明久「もう、僕にこんな事させないでよね。ああ、恥ずかしい。

   じゃあ、雄二。僕たちに策を頂戴。

   僕たちはそれを実行して見せるから。今までもそうやってきたでしょ」

 

貴浩「確かに、明久の言うとおりだな。雄二、お前は俺たちの代表なんだ。

   癪だが俺たちはお前の手足、駒なんだ。さぁ指示をだせ」

 

楓「そうですね。指示をください雄二君」

 

命「うん、私たちにできることなら何でもするよ」

 

秀吉「そうじゃな。雄二、ワシらに命令を」

 

光一「目を覚ました代表の指示なら従ってやる」

 

雄二「・・・お前ら・・・・・・わかった。

   悪いが時間くれないか。策を練りたい」

 

貴浩「あいよ。時間はどれだけいる?」

 

雄二「せめて俺たちの攻撃まで時間をくれ」

 

明久「なら、この回の守備は僕達で受け持てば良いんだね」

 

雄二「すまない」

 

明久「わかったよ。それが指示なら僕たちは従う」

 

貴浩「さて、雄二をサードに置いたままとするならどうするかな。

   次は鈴村先生にスタン先生だ。生半可な策は通じないぞ?」

 

明久「簡単だよ、そんなこと」

 

秀吉「どうするつもりじゃ明久?」

 

明久「ピッチャーを貴浩に交代する」

 

秀吉「貴浩にじゃと?確かに貴浩の点数なら凡打にすることが可能かもしれぬが・・・・」

 

貴浩「誰が捕球するんだ?」

 

光一「さすがに俺の操作技術じゃ楓の球は取れても貴浩の球は厳しいものがあるぞ」

 

明久「僕がキャッチャーをする」

 

秀吉「明久が?」

 

貴浩「・・・・・・任せて良いのか?」

 

確かに4回は日本史だから明久の点数も高い事には高いが俺もその分点数が高い。

しかも、明久の場合フィードバックがあるから

捕り損ねた場合は悲惨な事に繋がる可能性がある。

 

明久「うん、任せて。僕の操作技術なら捕れる。いや、捕ってみせる」

 

貴浩「・・・・・・わかった。

   なら、皆何度もすまないが守備位置交代だ。

   ピッチャーが俺で、キャッチャーが明久、センターに光一、セカンドに楓だ。

   お前ら、この回をまず0点に抑えるぞ!!」

 

「「「おおぉぉおお!!」」」

 

4回表3点ビハインド。まだまだ勝負はこれからだ!!

 

 



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勘違いとカツと意気込み

5/12 修正


楓「すみません・・・」

 

楓がアウトをなり、これで3アウトとなり再び攻守が交代する。

3回が終わって、スコアは0対3。

スコア上では3点差だが、試合運びは最悪だ。

こちらは明久がデットボールで塁に出ただけで後は全て打ち取られている。

 

そろそろ逆転劇に仕掛けたいところだが、肝心の雄二がこの調子だからな

 

明久「雄二。気分は───」

 

雄二「あぁ?」

 

貴浩「まったく・・・雄二ももう少し大人になれよ。

   霧島だって人間だ。機嫌の悪い時もあるさ」

 

雄二「何が機嫌の悪い時があるだ! そんなもんで納得できるか!」

 

火に油を注いだがごとく、更に怒りを燃やす雄二。

 

雄二「だいたい、どうして俺が、本人の同意も無いまだない紙切れ1枚没収された程度で、

   あそこまで怒られなきゃならないんだ!」

 

と、何度目かの遠吠えを始める。

 

楓「えっ? 紙切れ、ですか?」

 

そこで話が聞こえていたらしい楓と命が首を傾げていた。

 

雄二「なんだ楓、命。人の大事なものを紙切れ呼ばわりするな、とでも言いたいのか?」

 

命「いえ、そうじゃないけど・・・紙切れっていうのが聞いた話と違うなと思って・・・」

 

明久「命、楓。どういうこと?」

 

楓「はい。私たちは、翔子ちゃんが没収されたものは、

  如月グラウンドパークで坂本君からもらったヴェールだって聞きましたけど・・・」

 

命「はい、私も優姉たちからそう聞きましたよ」

 

「「「・・・・・・・・・は?」」」

 

2人の思いも寄らぬ台詞に、俺と明久まで一緒になって聞き返してしまった。

 

ヴェールっていうとアレか、

結婚式の時の花嫁衣装で、頭にかけるあの薄い布のことだよな。

確か如月グラウンドパークのウェディング体験の時もらったんだよな。

 

楓「前に翔子ちゃんが嬉しそうにお話ししてくれました。

  翔子ちゃんが大勢の前で夢を笑われた後で、坂本君が

  『俺はお前の夢を笑わない』っていいながらプレゼントしてくれた、

大切なヴェールだって」

 

命「私もお泊り会をしたときに幸せそうに言ってたのを覚えてます。

  凄く嬉しそうだったのが印象的だったので覚えてますよ。

  それだけ大事なものが没収されたんですよね・・・それはショックですよね・・・」

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

俺たち3人は2人が話した真実に言葉を失っていた。

 

明久「・・・・・・雄二・・・。なんてバカなことを・・・」

 

楓「坂本君・・・知らなかったんですか?」

 

雄二「・・・・・・知らなかった」

 

こうなると話は変わってくる。

勘違いだからどちらが悪いとかは言わないが、

どちらに同情するかと言われたら、間違いなく霧島に対してだろう。

知らないとはいえそれだけのことを雄二はやってしまっている。

茫然自失の雄二に対して、俺は目を覚まさせるように声を掛ける。

 

貴浩「さて雄二。どうする? このままだと没収品は返ってこないぞ」

 

このまま試合に負けたら没収品は返ってこない。

それが自分の宝物でも、誰かの大切なものでも

 

雄二「どうするもこうするも・・・。きっちり守って、点数を取って勝つだけだ」

 

秀吉「そうは言うが雄二よ。次は5番の鈴村先生からじゃぞ?

   先ほどの貴浩の作戦は上手くいったが次も上手くいくとは限らぬ。

   さすがに無策で挑んで無事に済むとは思えぬ」

 

光一「それに点を取るといってもこちらのヒットは今だ0だぞ。

   こちらは3点負けている状態なんだ。そっちの策を練らんといけんだろ」

 

ここで秀吉と光一も会話に加わる。

2人の言うとうりここで0点に抑えられても点数を取れないんじゃ意味が無い。

 

横目で雄二を見るが、いまいち機能していないだろう頭で策を模索しているのがわかる。

 

すると、明久が雄二の横に立つ。

 

雄二「・・・なんだ明──」

 

バキッ

 

横に明久が来た事に遅れて気づいた雄二が振り向くと同時に明久が雄二の顔を殴る。

 

雄二「な、何をしやがるテメェっ!?」

 

明久「目さめた?」

 

雄二「あ? 何を言ってる?」

 

明久「言葉の通りだよ。いつもより難しい顔してたからね。

   これで目がさめてくれると助かるよ。だって僕たちはバカだからね。

   今の状況だったら雄二の賢い頭が必要だからね。

   いつまでも気が抜けた状態でいてもらっても困るし。

   僕たちは勝つためにここまでやってきたんだ。

   雄二は僕達のリーダーでしょ、ならシャキとしないと。

   そして僕たちに命令してよ。僕たちは雄二の言うとおりに動くからさ」

 

雄二「・・・明久・・・お前・・・」

 

明久「もう、僕にこんな事させないでよね。ああ、恥ずかしい。

   じゃあ、雄二。僕たちに策を頂戴。

   僕たちはそれを実行して見せるから。今までもそうやってきたでしょ」

 

貴浩「確かに、明久の言うとおりだな。雄二、お前は俺たちの代表なんだ。

   癪だが俺たちはお前の手足、駒なんだ。さぁ指示をだせ」

 

楓「そうですね。指示をください雄二君」

 

命「うん、私たちにできることなら何でもするよ」

 

秀吉「そうじゃな。雄二、ワシらに命令を」

 

光一「目を覚ました代表の指示なら従ってやる」

 

雄二「・・・お前ら・・・・・・わかった。

   悪いが時間くれないか。策を練りたい」

 

貴浩「あいよ。時間はどれだけいる?」

 

雄二「せめて俺たちの攻撃まで時間をくれ」

 

明久「なら、この回の守備は僕達で受け持てば良いんだね」

 

雄二「すまない」

 

明久「わかったよ。それが指示なら僕たちは従う」

 

貴浩「さて、雄二をサードに置いたままとするならどうするかな。

   次は鈴村先生にスタン先生だ。生半可な策は通じないぞ?」

 

明久「簡単だよ、そんなこと」

 

秀吉「どうするつもりじゃ明久?」

 

明久「ピッチャーを貴浩に交代する」

 

秀吉「貴浩にじゃと? 確かに貴浩の操作技術と点数なら凡打にすることが可能かもしれぬが・・・・」

 

貴浩「誰が捕球するんだ?」

 

光一「さすがに俺の操作技術じゃ楓殿の球は取れても貴浩の球は厳しいものがあります」

 

明久「僕がキャッチャーをする」

 

秀吉「明久が?」

 

貴浩「・・・・・・任せて良いのか?」

 

確かに4回は日本史だから明久の点数も高い事には高いが俺もその分点数が高い。

しかも、明久の場合フィードバックがあるから

捕り損ねた場合は悲惨な事に繋がる可能性がある。

 

明久「うん、任せて。僕の操作技術なら捕れる。いや、捕ってみせる」

 

貴浩「・・・・・・わかった。

   なら、皆何度もすまないが守備位置交代だ。

   ピッチャーが俺で、キャッチャーが明久、センターに光一、セカンドに楓だ。

   お前ら、この回をまず0点に抑えるぞ!!」

 

「「「おおぉぉおお!!」」」

 

4回表3点ビハインド。まだまだ勝負はこれからだ!!

 

 



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勝負と敬遠と三振

5/12 修正


『プレイ』

 

試合が再開される。

ピッチャーは俺、キャッチャーは明久。

迎えるバッターは5番、保健体育教師の鈴村先生だ。

 

≪ど真ん中、ストレートでいくぞ≫

 

≪了解≫

 

俺の召喚獣が投球モーションに入り、その1球目を力強く投げる。

 

ズバン!

 

とミットから乾いた音が鳴り響く。

ミットの音が聞こえたという事は明久は無事捕球できたということだな。

 

   

【日本史】

 2-F       &   2-F

 織村貴浩 632点      吉井明久 459点

 

 

『ストライク』

 

少し遅れて審判のコール。

鈴村先生は俺の球に反応できずにいた。

これでも日本史は得意科目の1つだ。

それを全力で投げているんだ。そう簡単には打たれてなるものか。

 

明久「ナイスボール! このまま遠慮せず全力で」

 

貴浩「ああ! 捕球ミスするなよ!」

 

明久「モチ!」

 

≪外角 低め フォークですぐいくぞ≫

 

俺はボールを受け取るとすぐにアイコンタクトを送り、すぐさま投球する。

俺の球は指示したとおりにミットに到達する。

 

『ス、ストライッ!』

 

≪危ないじゃないか! すぐに投げるからさすがに焦ったよ≫

 

明久がボールを返球しながらアイコンタクトを送る。

 

≪ぬるいこというな。お前が言ったんだろ。遠慮せず投げろって≫

 

≪・・・上等! 絶対に捕ってみせるよ≫

 

≪頼むぜ。最後は内角 高め ストレートいくぞ≫

 

貴浩「さて、先生方。手前勝手ですみませんが、こっちも色々事情が変わりましてね」

 

俺はそう口にすると共に3球目を振りかぶる。

その直後、明久が構えていたミットにズドンっと重い音を立てボールが収まっていた。

 

『ストライク、バッターアウッ!』

 

これで三球三振。まずはアウト1つだ。

 

貴浩「これから先、誰も塁には出しませんよ」

 

さて、残り二つ。頑張っていきますか!

 

スタン「鈴村先生どうでした? 彼の球は?」

 

鈴村「ああ、たいしたもんだ。最後の球なんか手が出せなかった」

 

スタン「さすが織村ですね」

 

鈴村「スタン先生、心してかかったほうがいい」

 

スタン「ええ、わかってます。やるからには俺も全力でいきますよ」

 

スタン先生が鈴村先生と会話した後、バッターボックスに入る。

 

スタン「さあ来い織村! 俺も全力でいくぞ!」

 

明久≪どうする貴浩? 敬遠する?

   ここで無理しなくてもその後の2人で勝負したほうが安全じゃない?≫

 

貴浩≪いや、ここは勝負する。スタン先生を打ち取って完全に流れをこちらに引き込む≫

 

明久≪了解≫

 

貴浩≪まずは内角、普通、ストレートでいくぞ≫

 

俺はアイコントクトを送り投球する。

 

ズバン!

 

『ストライク!』

 

スタン先生は1球見送った。

 

スタン「直に見るとかなり速いな」

 

貴浩≪外角 低め スライダー≫

 

俺はボールを受け取るとすぐにアイコンタクトを送り、ボールを投げる。

 

スタン「ハッ」

 

キィン!

 

投げた球はスタン先生が振ったバットに当たる。

その打球は1塁線の外にバウンドする。

 

スタン「う~ん、振り遅れたか」

 

貴浩≪内角 低め フォーク≫

 

再びボールを受け取るとすぐに間髪いれずに投球に入る。

 

カキィーーン!

 

「「「!?」」」

 

投げた球はレフト線に飛んでいく。この高さならホームランだ。

 

貴浩「きれろー!」

 

ボールはレフトのポールの外側を通過し観客席に入る。

 

ふぅ~危ない。もう少しでホームランだった。

 

スタン「ん~、今度は少し速かったか・・・でも次は打つ」

 

スタン先生から凄い気迫が伝わってくるのがわかる。

生半可なコースや球を投げたら打たれる。

やはり、明久の言う通り敬遠したほうがいいか

・・・ここで無理しても・・・ピンチになるだけだ

 

秀吉「貴浩! 後ろは任せるのじゃ!

   どんなライナーが来ても体を張って受け止めるのじゃ!」

 

光一「守備は俺たちに任せて、投球に集中してくれ!」

 

俺が悩んでいると守備陣から声が上がる。

 

楓「兄さん、守備は私たちが何とかしますから全力で投げてください」

 

命「そうだよ。守備は任せて! それに貴浩君がもし打たれても私たちは非難しないよ」

 

光一「俺たちは貴浩を信じてます! だから全力で投げてください!」

 

明久「そうだよ貴浩! 貴浩はただ全力で僕のミット目掛けて投げてよ!」

 

少し気弱になってたみたいだ。

 

パァン!

 

俺は自分の顔を思い切り叩いて活を入れる。

 

そして、明久にアイコンタクトで指示し、4球目を投げた。

 

ズバンッ!!

 

直後、ストライクゾーンど真ん中に構えたミットの中に、

最高速度のストレートが突き刺さっていた。

 

『ストライク!バッターアウト!』

 

スタン「・・・まさか、まだ球速が上がるなんて・・・お見事だよ」

 

続く大島先生も三球三振に打ち取り、これで3アウトとなり交代だ。

さて、雄二のヤツは策を考えついたかな。

 

 

 

 

 

 

 

雄二「皆、よく守りきってくれた。こっちの攻撃はあと二回!

   きっちり点数をもぎ取って、俺らのお宝を取り戻すぞ!」

 

「「「おうっ!!」」」

 

この守備の間にいつもの調子を取り戻したようだ。

やはり雄二はこうでないと・・・雄二じゃなきゃこのFクラスのバカ軍団を引っ張っていけないだろ。

 

雄二「向こうにゃ点数では負けてるが運動能力じゃ決して負けてねぇ!

   若さってもんを見せてやれ!」

 

「「「おうっ!!」」」

 

雄二「これから先、俺はさっきまでのような腑抜けたような行動はしねぇ! 全力を出す!

   だから・・・・・・お前らも協力してくれ! 没収された大事な物を取り戻すために!合言葉は───」

 

「「「Get back ERO‐BOOK!!」」」

 

雄二「反撃行くぞお前ら!」

 

「「「っしゃぁーーっ!!」」」

 

いつもの雄二の鼓舞に否が応にも力が入る。

 

貴浩「で、雄二。策はあるのか?」

 

雄二「当たり前だ。何のためにお前らに時間をもらったと思っている」

 

貴浩「どんな策だ?」

 

雄二「なに、ルールに乗っ取った方法だ」

 

貴浩「ルールに・・・?・・・・・・あぁ、そういうことか、了解」

 

明久「なになに?どういう作戦なの?」

 

貴浩「後で教えてやるよ」

 

雄二「近藤、須川、秀吉!」

 

雄二が次の打順から始まる3人の打者の名前を呼ぶ。

呼ばれた3人は、それぞれ雄二の前に集まった。

 

雄二「作戦だ。いいか? どうせこのまままともに向こうとやりあったところで

   いくら貴浩や楓、光一の高得点者がいたところで勝ち目は少ねぇ。だから───」

   

そこで雄二が皆に作戦を伝える。

それをベンチで控えているメンバーに伝え、ある行動をとる。

 

明久「ってことはその作戦を実行するまでの時間を稼げばいいんだね」

 

雄二「ああ、そういうことだ」

 

秀吉「うむ、了解じゃ」

 

須川「エロほ───参考書のためだ。時間稼ぎくらいいくらでもやってやるさ」

 

近藤「その代わり、次の回はしくじるなよ」

 

三人は首を縦に振り、快く了承してくれる。

折角の出番で活躍できるのに、それでも時間を稼いでくれるなんて、

Fクラスのメンバーなんだとつくづく実感するな。

 

 

『エロ本、エロ本、エロ本・・・・・・』

 

『抱き枕、写真集、シャワーカーテン・・・・・・』

 

 

・・・・・・本当に、Fクラスのメンバーだなぁ・・・

 

 

『プレイッ!』

 

バッターボックスに入るまでの時間を反則にならない程度まで引き延ばし、

1番打者である近藤が召喚獣に構えを取らせる。

バットを短く持って、カットを続けて時間を稼いでくれる。

 

貴浩「雄二、仕込みはできてるのか?」

 

雄二「バッチリだ。クラスの連中にもちゃんと指示を出してある。

   あとは時期が来るのを待つだけだ」

 

明久「そうなんだ。3人には粘ってもらわないとね」

 

俺たちは雄二と話し合いながら、祈るように試合を見守る。

相手は教師チームら。時間稼ぎすら上手くいくかどうかわからない。

 

『ストライッ!バッターアウト!』

 

近藤「ぐ・・・」

 

気が付けば近藤は追い込まれ、何とか食い下がるも、敢え無く三振に終わった。

 

続く須川もカウントをフル使って粘りに粘るも、絶妙なコースに剛速球を叩き込まれて凡退。

残るバッターは秀吉1人になった。

 

明久「そろそろ来てもいいと思うんだけど・・・」

 

雄二「あと少しだ。あと少しで始まる。頑張ってくれ秀吉・・・!」

 

貴浩「今の秀吉の技術ならできるはずだ・・・頑張れよ秀吉」

 

『ファール!』

 

話している間にも試合は続いていく。

コンパクトにバットを振り続ける秀吉は、必死に食らいついていた。

校舎に掲げられてる時計が、午後2時28分を指している。

秒針が無いせいか、時間が過ぎるのがゆっくりに感じられる。

残り2分がやけに長く感じる。

 

『ファール!』

 

今ので20球は超えただろう。

カウントは2ストライク2ボール。向こうはまだボール球を投げてくる余裕があるのに対し

こちらは一球たりともミスはできない。

流石にこう何度も先生の球をカットを続けていると、秀吉の集中力も落ちてくるだろう。

 

光一「まだか・・・まだなのか・・・」

 

貴浩「あと少しのはずなんだ。頑張ってくれ秀吉」

 

今の俺たちには祈る事しかできない。

 

カキン

 

『ファール』

 

ボールが投げられるたびに、背中に冷たい汗が流れる。

いつ秀吉が打ち取られてもおかしくない。

手に汗を握り、俺は次の打者なのでネクストバッターサークルで待機し、

時期の到来を心待ちにしていると───

 

康太「・・・・・・・・・来た」

 

雄二「っ!!」

 

雄二がムッツリーニの言葉に反応して校舎に取り付けられたスピーカーを見る。

 

 

『───ジジ・・・・・・ジ・・・・・・』

 

そのスピーカーからノイズ混じりの音が聞こえる。

 

雄二「来たかっ!」

 

雄二が嬉しそうに声をあげる。

そして一瞬送れて、アナウンスが響き渡った。

 

『これより、中央グラウンドにて、借り物競争が始まります。出場選手の皆さんは、所定の場所に───』

 

『『『来たぁっ!!』』』

 

クラス皆の声が重なる。

その直後、秀吉が打ち上げた球を捕球されて、ついにアウトになってしまう。

これでチェンジだが・・・・・・目的は果たした。

 

 

 



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策と優先順位と保健体育実技

5/12 修正


秀吉「やれやれ・・・・・・。どうやら上手くいったようじゃの・・・・・・」

 

雄二「ああ、よくやってくれた3人とも」

 

高橋『? 彼らはどうしたんでしょうか?

   アウトになったのに、何か良い事でもあったのでしょうか?』

 

スタン『どうなんだろう?』

 

烏丸『もしかして何か策でもあったのかもしれないねぇ』

 

西村『あいつらのことだ。また何か企んでいるのでしょう』

 

鈴村『もし、そうなら真正面からそれを潰すだけだ』

 

先生たちが訝しげに俺たちのほうを見ている。

確かに俺たちの4回の攻撃は終わった。

けどこれも全ては次の回の策のための伏線だ。

最終回、そこの攻撃で俺たちは勝利をもぎ取ってみせる。

 

西村「吉井、坂本、織村兄。何を喜んでいるのか知らんが、守備につく準備をしろ」

 

貴浩「わかりました。でもその前に円陣を組ませてください」

 

西村「円陣だと・・・まぁそれくらいならいいが・・・早く済ませなさい」

 

貴浩「どもです」

 

正直円陣なんて組まなくてもいいけど時間を少しでも稼いどくか。

 

そして俺たちはベンチ前に集まる。

 

するとそこで辺りを見渡すと遠くから駆けつけてくる人影が見えた。

来たッ!あれは俺たちFクラスのクラスメイトたちだ!

 

西村「なんだアイツらは。あんなに急いで───」

 

鉄人がこちらに走ってくるFクラスの生徒を見つけて疑問符を浮かべる。

そんな中、クラスメイト達は野球場にいる立ち合いの先生たちに大声で叫んだ。

 

『遠藤先生!借り物競争です!すいませんが一緒に来てくださいっ!』

 

遠藤『えっ?でも私ここでこれからリーディングの立ち合いを』

 

『ジュディス先生!自分も借り物競争で先生が必要なんです。一緒に来てください!』

 

ジュディス「あら?私これからバッターなんだけど・・・?」

 

『『いいから来て下さい!』』

 

遠藤『えっ、でも───』

 

『なんと言おうとダメですよ!今日は野球より体育祭が優先されるんですからっ!』

 

『『『───っ!?』』』

 

先生方が目を見張ったのがわかる。

そう。ルールで事前に決まっている。

野球はあくまで交流が目的。優先されるべきは体育祭の本種目、と

 

遠藤『あ、えっと・・・すいませんっ。そういうわけで、ちょっと行ってきますっ!』

 

ジュディス『そういうことなら私も行かないといけないわね』

 

『『先生、急いで!』』

 

立ち合いの遠藤先生と、

次の打者であるジュディス先生が手を引かれグラウンドから去っていく。

 

西村「それなら仕方が無い。ベンチで待機している先生の科目で代わりを──』

 

『長谷川先生!来て下さい!』

 

『竹中先生、お願いします!』

 

ベンチにいる先生が三人の内二人にも声がかかる。

頼んでいるのは全てFクラスの生徒だ。

残っている船越先生は先ほど去って行ったジュディス先生の代わりに

試合に出ないといけないので、これで手空きの先生はいなくなった。

 

西村「坂本。これは貴様の作戦か」

 

雄二「さぁ、どうでしょうね?」

 

西村「とぼけるな。先ほどからここに来ている生徒は全員Fクラスの人間だろうが」

 

雄二「はは。偶然じゃないですか?」

 

もちろん偶然なわけがない。

さっき雄二が策を思いついた時ベンチにいたムッツリーニに頼んで

Fクラスの仲間に伝えておいてもらったのだ。

おそらく借りてくる紙の中に別のことが書かれているだろう。

 

雄二「これで立ち合いの先生はいなくなったな、鉄人」

 

西村「ならば仕方が無い。さっきの回、立ち合いをしたルーティ先生にまた頼んで」

 

雄二「おっと、それはルール違反だ。事前に決めただろう?

   “同じ科目は二度使わない”と」

 

西村「ならばどうしろと言うんだ。立ち合いの教師は他にいない。

   試合に参加している教師は立ち合いができない。

   どうしろというつもりだ?」

 

鉄人が俺たちを交互に鋭い目で見る。

俺たちがこれを利用して、勝負を無効試合に持ち込もうとしている、とでも思っているのだろうか。

いやいや、そんなことしてどうするんだ。

無効になったところで、俺たちに何の得もしない。

 

貴浩「鉄じ───西村先生。まだ他にも勝負できる科目があるじゃないですか」

 

西村「だから何を言っているんだ織村兄。

   さっきから立ち合いの教師がいないと」

 

明久「西村先生違いますよ。立ち合いの教師がいなくても勝負が可能な科目が

   残っていると言うんですよ」

 

これが、雄二が考えた作戦だ。

 

貴浩「えぇ、5回の勝負は保健体育の───実技で勝負といきましょう」

 

テストの点数勝負じゃない。

実際に俺たちの身体を使う体育。これだって立派な授業科目の1つだ。

野球の実技で、教師チームを打ち負かす!

 

雄二「さぁ全員、グローブをつけろ! 5回の勝負はハードだぞ」

 

命「あっ、待ってください。私、土屋君と交代しますね」

 

楓「私も横溝君と交代します。私の身体じゃこれからは少し厳しいので」

 

命「うん、私も同じ理由かな。それにこの勝負負けられないからね。

  皆、頑張ってね」

 

確かに、楓と命は身体が生まれつき強くない。ここで倒れられては大変だ。

それに男子と違って野球に触れている時間に差があるだろうし。

 

康太「・・・・・・わかった。後は任せろ」

 

横溝「ああ、行ってくるぜ」

 

貴浩「あとは俺たちに任せろ」

 

そして全員が野球部から拝借してきたグローブを装着する。

こうして、最終回。たった一回だけの、教師と生徒の野球大会が幕を開けた。

 

 

 



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最終回と糸口と反撃開始

5/12 修正


雄二「っしゃー!しまっていくぞー!」

 

「「「うおぉおおー!」」」

 

ピッチャーは明久、キャッチャーは雄二、そして俺はサードに入る。

相手は先ほどジュディス先生の代わりに出場する船越先生からだ。

 

雄二≪外角 高め ストレート≫

 

雄二の指示どおり明久がボールを投げる。

草野球レベルのピッチングとはいえ、

運動不足の先生たちに打たれるほどおれたちのは柔ではない。

 

『バッターアウト! チェンジ!』

 

そして3つアウトをとり交代となる。

さすがに烏丸先生にはヒットを打たれたが他の3人を三振に打ち取った。

 

秀吉「鉄人や鈴村先生たちが相手でなくて助かったの」

 

貴浩「ああ、烏丸先生に打たれた時はヒヤッとしたがな」

 

明久「ジュディス先生が借り物競争に向かってくれて助かったね」

 

貴浩「あの先生のことだから何となく俺たちの策をわかってて行ったぽい気がするけどな」

 

雄二「とりあえず結果オーライだ。

   さて・・・・・・残すところは俺たちの攻撃だけとなった」

 

現在の状況は相変わらず、0対3で、今は最終回。

俺たちに残されたのはたった1回の攻撃チャンスだ。

 

雄二「3点取って追いついてもダメだ。

   ここで逆転できなきゃ、俺たちは負ける。延長戦になったら勝ち目はねぇ」

 

延長戦になったら借り物競争で出て行った先生たちも戻ってくる。

そしたらまた、点数を使った競技に戻ってしまう。

そうなれば俺たちの勝利は無くなるだろう。

 

雄二「この一回が、俺たちの正念場だ。何が何でも4点もぎ取れ。いいか絶対勝つぞ」

 

「「「おうっ!」」」

 

皆の気合は充分だ。打順は4番の俺からか・・・先生たちの守備位置は・・・・・・

 

 ピッチャー  大島武

 キャッチャー 西村宗一

 ファースト  スタン・デュナメス

 セカンド   烏丸真紅朗(レイブン)    

 サード    布施文博

 ショート   鈴村瀬名

 センター   寺井伸介 

 レフト    船越照子

 ライト    高橋洋子  

   

ジュディス先生の代わりに船越先生が入り、寺井先生と、

スタン先生と布施先生がポジション交代か。

 

さて、勝つための糸口は見えた。

あとは前に進むだけだな。

 

明久「確か貴浩からだよね」

 

貴浩「ああ、塁に出るから繋げてくれよ」

 

俺はバットを担いで打席に向かった。

 

西村「やってくれたな織村。まかかこのような手を使うとはな」

 

貴浩「まぁいいじゃないですか。例年通りならこういう形だったんですし。

   それに負けられない理由ができましたので」

 

西村「そこまでして没収されたものを取り返したいのか」

 

貴浩「まあ、そうですね。自分は正直どっちでも良いですけど・・・

   ある友達の物だけは取り返したいんですよ」

 

西村「ふむ・・・そうか。なら俺たちに勝って取り戻すんだな」

 

貴浩「言われなくても勝って取り戻しますよ」

 

『プレイ』

 

雄二『キャッチャーは鉄人のままか。クロスプレーを警戒してやがるな』

 

明久『まぁ仕返しがどうのって騒いでたからね』

 

正直鉄人がキャッチャーでありがたい、

鉄人がピッチャーをやったら打てるかどうかわからないからな。

 

大島先生が一球目を振りかぶり、景気よくその腕を振り下ろす。

ボールはうねりを上げて、キャッチャー目掛けて飛んでくる。

 

『ストライク』

 

俺はまず一球目を見逃した。

やはり体育教師だけあって球が速い。

だけどこの速さなら打てないことはない。

 

大島先生はキャッチャーからボールを受け取り2球目を投げてくる。

球は外角高めに投げられる。

 

俺はある方向に打つようにバットを振った──

 

カッキーン!

 

振ったバットにボールがあたりライト方向に飛んでいく。

俺は打ったと同時に全力で走り出す。

 

西村「高橋先生ッ!」

 

鉄人がライトの守備をしている高橋先生に声をかける。

高橋先生はぎこちない動きながらボールを追っていく。

そして、ボールはライトフェンスに直撃し、転がっていく。

高橋先生が転がっていくボールを捕球した時には、すでに俺は二塁到着間際だった。

 

俺は高橋先生がボールを確認するのを確認する。

 

烏丸「高橋先生っ!」

 

高橋先生は中継に入っていた烏丸先生を確認してボールを投げる。

高橋先生がボールを投げようとしたのを確認し二塁ベースを踏み三塁へと走り出す。

 

高橋「っ!?」

 

高橋先生は俺の行動に反応し、慌ててボールを烏丸先生に投げるが軌道がそれてしまう。

烏丸先生はそれたボールを追いかけ捕球すると三塁に向かって送球する。

俺は三塁に向かってヘッドスライディングで飛び込む。

三塁にいた布施先生が烏丸先生からの球を受け取り俺にタッチする。判定は──

 

『セーフ!』

 

審判の判定はセーフだった。

 

貴浩「よっしゃーっ!!」

 

危ない危ない。高橋先生の所が穴だと思って狙ったが、

思いのほかレイブンの送球が良かった。危うくアウトになるところだった。

こうして先頭打者である俺は3塁打を放ち得点圏にランナーを進めることができた。

 



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貴浩とムッツリーニと強行作戦

5/12 修正


雄二「よくやった貴浩」

 

光一「守備の穴をついた作戦だな」

 

明久「そうだね。高橋先生、あんまり野球に詳しくないみたいだったからね」

 

秀吉「次はムッツリーニじゃな」

 

康太「・・・・・・・・・貴浩に続く」

 

ムッツリーニがバットを担いでバッターボックスに入る。

 

大島先生が一球目を振りかぶり、景気よくその腕を振り下ろす。

ボールはうねりを上げて、キャッチャー目掛けて飛んでくる。

 

康太「・・・・・・っ!(ブン)」

 

『ストライク』

 

ムッツリーニはボールの1個分下で、空振りする。

 

康太「・・・・・・(スッ)」

 

ムッツリーニがバットを構え直す。

大島先生は鉄人とのサインのやり取りを終えると2球目を投げてくる。

ストレートと大差ない速度で迫るボールが、バッターの手前で横方向に変化する。

 

あれは・・・スライダーか。

 

康太「・・・・・・っ!(ブン)」

 

『ストライク』

 

ムッツリーニは2球目も空振りし、これで2ストライク。後がなくなる。

 

西村「ナイスピッチ、大島先生」

 

鉄人がボールを大島先生に投げ受け取る。

大島先生がボールを投げる。今度はカーブだ。

 

『ボール』

 

審判がボールを宣告する。

 

『タイム』

 

そこでムッツリーニが一度タイムを取り靴紐を結び直す。

そして、ムッツリーニが俺の方を若干向きバットで2回肩を叩いた。

 

アレは・・・・・・そういうことか・・・・・・了解・・・信じるぞ。

 

俺は了解の意味を込め、右手の親指と小指を立てて顔の前で数回振る。

ムッツリーニはそれを確認するとバッターボックスに入る。

 

『プレイ』

 

振りかぶっての4球目。

俺は大島先生が投球したと同時に全力で走り出す。

ボールは直球を内角に投げ込まれていた。

 

康太「・・・・・・いけ・・・・・・っ!」

 

とそこで、ムッツリーニが構えを変えた。

高橋先生が見せたものと同じ行動。プッシュバントだ。

ピッチャーの横を抜けて、サード前に転がるボール。

サードは布施先生が守っている。

布施先生が運動神経がいいなんて話は聞いた事がない。

それに俺が走り出した事で慌てているのがわかる。

 

布施「っと、ととっ」

 

転がってきたボールを拾う布施先生。

そしてホームに慌てて送球する。

 

『セーフ』

 

しかし、時はすでに遅く俺はホームを駆け抜けており勢い余って転んでいた。

 

そしてボールを捕球した鉄人は1塁へすぐさま送球するがまたしても時遅く、

ムッツリーニは1塁へ到達していた。

 

『セーフ』

 

2人ともセーフとなり、ついに1点を返した。

これで1対3だ。残り3点

 

楓「兄さん大丈夫ですか。最後派手に転んでましたけど?」

 

貴浩「いててっ、全力で走ってたからな。派手に転んだな。少し恥ずかしいなコレは。

   でもこれで1点返したな」

 

雄二「よくやった貴浩、ムッツリーニ」

 

明久「でも驚いたよ。まさかホームスクイズかけるなんて。

   失敗したら2アウトだよ」

 

貴浩「そこはムッツリーニを信じるしかないさ。

   ムッツリーニなら失敗しないだろうしな」

 

光一「さて、俺も続かないと」

 

続いてのバッターは光一。

光一は一球目から降っていき見事ライト前にヒットを放ちランナー1塁2塁となった。

 

 

 

 



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声援とチャンスとお膳立て

そして、ノーアウト、ランナー1塁2塁の場面で明久だ。

 

命「頑張ってくださいね明久君。応援しています」

 

明久「ありがとう。期待に応えられるかどうかわからないけど、僕なりに頑張るよ」

 

命の声援を受け、明久はそう返答にバッターボックスに向かった。

 

西村「ここで吉井か。面白い場面で出てきたな」

 

キャッチャーを務める鉄人が明久に話し掛けてくる。

 

明久「ここでヒットを打ってランナーを全員返還したら、

   ちょっとしたヒーローですよね」

 

西村「女子の応援があるんだ。お前はここで打ちたいだろうが───

   こっちも教師のプライドがある。そう簡単には譲ってやれんな」

 

明久「譲ってもらえるなんて最初から思っていませんよ」

 

鉄人にそう応えて明久はバットを構える。

 

『ボール』

 

一球目はボール球。

ストライクから入ってこない辺り少しは警戒しているようだ。

 

西村「1球目から振ってくると思ったんだがな」

 

明久「女子の前で格好つけると思ったんですか」

 

西村「まぁ、そんなところだ」

 

鉄人が大島先生にボールを戻す。僕はバットを構え直す。

 

『ストライク』

 

2球目は外角低めの直球だ。

僕は黙ってボールを見逃した。

 

『ボール』

 

3球目にも僕はバットを振らなかった。

 

西村「どうした吉井。バットを振らないのか?」

 

明久「いや、まだ2点差あるんで慎重になっているんですよ。

   それに・・・作戦もありますし」

 

『ボール』

 

4球目、僕はバットを振らなかった。

そしてまたしてもボール。

これでカウントは1ストライク3ボールだ。

 

明久「これで甘いボールが来てくれるとありがたいんですけど」

 

西村「これも振らないか。いいのか吉井。振らないとヒーローになれないぞ」

 

明久「まあ、ここで借りを返すのも悪くないと思うので」

 

西村「借りだと?・・・どういうことだ?」

 

明久「そうですね・・・僕だったら凄く悔しいんですよね。

   大切なものが懸かった大事な勝負なのに自分が何もできずにいるなんて」

 

西村「何を言っているんだ?」

 

明久「自分の譲れないものを、他人に任せる事のやるせなさというか、

   憤りというか、納得のいかない感じというか・・・・・・」

 

西村「お前の言わん事はわからないでもないが

   ・・・それがなんでコレに繋がるか理解できん」

 

鉄人が大島先生にボールを返球する

 

明久「上手くは説明できないんですけど、要するに───」

 

西村「要するに───」

 

そして5球目、ストライクゾーン真ん中に目掛けてボールが飛んでくる。

今回はコントロールを重視した球なのか球速は先ほどより速く感じられない。

変化球でもなさそうだし、これは打ち頃だ。

これなら打てる!いや、打つ!

 

カッキーン!

 

僕はバットを振った。

 

明久「今日の主役は僕じゃないってことです」

 

僕が打った打球は再びライト方向に飛んでいった。

僕がヒットしたからランナーはそれぞれ進塁。

これでランナー満塁だ。さて、雄二最高のお膳立てはできたはずだよ。

 

 



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仕込みと決着と胴上げ

5/12 修正


明久がヒットを放ったのでノーアウトランナー満塁のチャンスだ。

 

俺は教師陣の守備の目を向けるとセンターがライトよりに近づくているのが見えた。

貴浩と光一、明久の3人が狙ってライトに打ったから警戒が増したようだ。

ライトに守備を固めてきたな。これじゃあライトに打つのもきついな。

 

貴浩「さて、雄二。明久も無事進塁したな。

   これで明久の貸しが1つ減ったんじゃないか?」

 

雄二「へっ、ほざけ。アイツへの貸しが一体いくつあると思ってるんだ」

 

貴浩「そりゃそうだ・・・・・・あとは任せたぞ。俺たちの仕込みは終えたんだ」

 

雄二「わかってる。後は任せろ」

 

雄二は俺とハイタッチしてからバッターボックスに向かう。

 

雄二がどっしりとバットを構えて、相手の投球を待つ。

 

カウントはノーアウト、ランナー満塁だ。

残り3点、ランナーを一掃すれば逆転勝利だ。

これは最高のお膳立てだぞ。キッチリ決めろよ雄二。

 

大島先生はランナーを見回し、ゆっくり投球を始める。

一球目が、大島先生の手から離れた。

 

『───ト─ライッ!』

 

ストライクの宣告が高らかに響く。

ベンチから見てもかなりの球速なのがわかる。

ノーアウトランナーが満塁なので、闘志がより増したのだろう。

 

『ボールッ』

 

二球目は低めに外れたボール。

雄二は手を出すことなく見送る。これでカウントは1-1だ。

誰もが固唾を飲んで見守る三球目。

雄二が後ろ足に体重を乗せ、一気に爆発できるように溜めを作る。

そして、大島先生が大きく身体を乗り出して、腕を振り抜いた。

唸りを上げてバッターに迫る速球。

軸足に体重を移し、身体全体でバットを振る雄二。

 

───キィンッ!

 

快音がグラウンドに響いた。

 

「「「────っ!!」」」

 

その瞬間、ムッツリーニ、光一、明久の3人が全力で次の塁に向かって全力で走り出す。

 

打球の行方はセンターとレフトの奥の方にボールが飛んでいく。

ライト寄りに守っていたセンターの寺井先生が慌ててボールを追っていく。

これが俺たちによる仕込だ。ただ単に穴であるライトを狙っていただけではない。

守備が少しでもライトよりに守りを固めるようにするための策だ。

 

その間に3塁にいた光一はホームに帰還し、

ムッツリーニも3塁を蹴りホームを、そして明久も2塁を蹴り3塁を目指していた。

 

寺井「鈴村先生っ!」

 

ボールを拾った寺井先生は中継に入った鈴村先生にボールを託したようだ。

その間に、ムッツリーニがホームを踏む。これで3対3同点だ。

 

そして鈴村先生がボールを受け取り、

ホームベースを守る鉄人の元に投げようとしたところで、

明久は3塁を蹴りホームを目指した。

 

『『『吉井っ!?』』』

 

「やべぇ吉井ーっ! いったん戻れ!」

 

「そうだ。とりあえず同点になったんだ。まだ挽回できる!」

 

いや、今は、まだノーアウトだが、あの教師陣だ。

地力の差からいってここで同点なら俺たちの負けだろう。

 

明久は必死にホームを目指す。ホームベースまであと少しだ。

 

そこで、鉄人がボールを受け取った。

ベースに飛び込もうとする明久を前に、向こうはブロックの体勢。

これはクロスプレイになるかもしれない。

体当たりでボールを零せば明久の勝ち。完全にブロックをしたら鉄人の勝ち。

 

明久「っっっ!!」

 

明久が姿勢を低くし、前のめりになって衝突に備える。

鉄人も同じように衝突に負けないように体重を前にかけようとした。

 

その時

 

明久「───っ!」

 

明久は身体を横にずらし、回り込むように鉄人の前から姿を消した。

 

西村「っ!? く───っ!」

 

衝突に備えて体重を前に残した鉄人は咄嗟の明久の行動についていけない。

動きが遅れたその一瞬で、明久は身体を前に投げ出して必死に腕をホームベースに伸ばした。

 

土煙が上がり、居合わせた全員が息を呑む。

 

そして審判が結果を高らかに告げた。

 

『───セーーフ! ホームイン!! サヨナラ2-Fのサヨナラ勝利です!!』

 

「「「いよっしゃぁああーっ!!!」」」

 

Fクラスベンチが全員立ち上がって鬨の声をあげた。

 

雄二「よくやった明久!」

 

明久「よかったね雄二」

 

雄二「・・・ああ、ありがとよ」

 

貴浩「よっしゃー! 皆、果敢にホームに帰還した明久を命がけ胴上げだーっ!!」

 

「「「おおおーっ!!」」」

 

そこで明久を囲うように皆が集まる

 

明久「わっ!・・・はははっ・・・・・・ん・・・命がけ?」

 

「「「ワッショイ! ワッショイ!」」」

 

明久「ってわーーーー! 死ぬ死ぬ死ぬ! この高さはやばいって!」

 

俺たちは明久を数mの高さまで空へ投げ出されていた。

 

「「「ワッショイ! ワッショイ!」」」

 

明久「いやーっ! おろしてーー!」

 

命「ああ、明久君!」

 

「「「ワッショイ! ワッショイ!」」」

 

明久「たすけてー!」

 

「「「横ワッショイ!」」」

 

最後に上ではなく横に向かって投げ出す。

 

「「「吉井ー、吉井ー」」」

 

明久「・・・・・・何この仕打ち。頑張って帰還したのに・・・ガクッ」

 

命「わー! 明久君! 明久君! 大丈夫!」

 

投げ出された明久の元に命が急いで駆け寄っていく。

 

貴浩「明久の癖に調子に乗るな・・・ペッ」

 

楓「いや、兄さんから胴上げしてましたよね」

 

貴浩「てへぺろっ♪」

 

楓「笑って誤魔化さないでください」

 

貴浩「つい、ムシャクシャしてやった・・・だが反省はしない」

 

楓「それ・・・性質が悪くないですか・・・」

 

貴浩「・・・・・・よしっ! 次は雄二だっ! 皆かかれーっ!!」

 

「「「おおおーっ!!」」」

 

雄二「い、いや、俺は遠慮───おわっ!」

 

今度は雄二を取り囲み胴上げを繰り広げる。

 

「「「ワッショイ! ワッショイ!」」」

 

雄二「お、おい!」

 

「「「ワッショイ! ワッショイ!」」」

 

雄二「お、おい、やめろっ! おろせ!」

 

数回命がけの胴上げを繰り広げたところでやめる。

 

そして最後にきちんと整列し

 

『2年Fクラス対、教師チーム。4対3で2-Fの勝利です!』

 

『『『ありがとうございましたッ!!!』』』

 

こうして俺たちの野球大会は幕を閉じた。

 

 

 

 



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閉会式と返却と落胆

5/12 修正


『───体育祭総合優勝、3-D。代表者は前へ』

 

『はいっ!』

 

野球大会を終えて、最終種目のクラス対抗リレーの後は閉会式。

俺たちはグラウンドに整列して、優勝クラスのたちの表彰を見守っていた。

ちなみに俺たちFクラスの順位は、学年3位、全体では8位。

途中まではそこそこ良かったんだが、借り物競争での無得点が響き、

最後のクラス対抗リレーで追い上げを見せたのだがこの結果に終わってしまったが、

 

『───生徒・教師交流召喚獣野球。優勝、2-F』

 

俺たちはこっちのほうで優勝を目指していたのでかなり嬉しい結果だ。

クラスの皆も小声ながらも嬉しそうに騒いでいた。

 

『───それでは、これにて文月学園体育祭を終了します』

 

各競技の優勝クラス発表と学園長のありがたい?話も終わり、これで全プログラムは終了。

俺たちFクラスの生徒は、他のクラスの生徒が帰宅する中鉄人のもとへと集まっていた。

 

『さあ、俺たちのお宝を返してもらおうか!』

 

『俺のDVD!俺の写真集!俺の抱き枕!』

 

『俺の聖典(エロ本)!俺の宝物(エロ本)!俺の参考書(エロ本)!』

 

口々に没収品の返還を要求するクラスメイトたち。

鉄人はそんな俺たちは見ながらため息をつき、

 

西村「・・・・・・まぁ、約束は約束だ。没収品は返還しよう」

 

と仕方なさそうに言った。

 

『『『よっしゃあー!』』』

 

西村「では、この紙に没収された品と名前を書いて提出しろ。1両日中には返還する」

 

『『『はーい』』』

 

こう言うときだけ返事のいいFクラスの皆。

こぞって鉄人かわ紙を受け取って没収されたものを書いていく。

そして、俺は鉄人のもとへある確認をするため近づく。

 

貴浩「鉄…西村先生。確認したいんですけど」

 

西村「なんだ織村兄?」

 

貴浩「これって別に他のクラスの人に渡して、

   自分の代わりに没収品を返還してもらってもいいんですよね?」

 

西村「ああ、もちろんだ。その場合はお前の物は返ってこないが良いんだな」

 

貴浩「ええ、その確認が取りたかったので」

 

西村「お前も変わったヤツだ。他人の物のために頑張るなんてな。

   ここの連中にも見習ってもらいたいものだ。

   俺は職員室にいると思うから、職員室に持ってくればいい」

 

貴浩「ありがとうございます」

 

俺はそこで鉄人から返却用紙を受け取り、ある場所へと向かおうとすると

 

命「あ、あの貴浩君。これも一緒にいいですか?」

 

そこで命が俺のところに駆け寄ってきて命の分の返却用紙を俺に差し出した。

 

貴浩「俺が何処に行くのかわかるようだな。

   でも、いいのか命。お前の用紙だろそれ?」

 

命「はい、貴浩君がどこにいくかは何となく予想できますよ。

  それに私はたいした物は没収されてませんし」

 

貴浩「あら、それは優等生だこと。じゃ、ありがたくもらっていくさ」

 

俺は命の分の返却用紙を受け取り、ある人物たちの元へと向かおうとすると

 

雄二「おい、貴浩」

 

再び声が掛けられ足を止める。

 

貴浩「・・・なんだ雄二・・・?」

 

雄二「・・・・・・・・・」

 

貴浩「どうした? 用が無いなら俺は行くぞ」

 

雄二「・・・・・・頼みがある」

 

貴浩「なんだ・・・?」

 

雄二「・・・・・・これを翔子に届けてくれないか・・・?」

 

雄二が出してきたのは返却用紙だった。

 

貴浩「断る。自分で行け」

 

雄二「・・・・・・そこを何とか・・・・・・頼む」

 

雄二が頭を下げてまで頼み込んでくる。

確かにあんな勘違いしたんだ。顔を合わせにくいったら合わせにくいよな。

 

貴浩「はぁ~わかった。だが、今日中には自分から霧島のところに顔出して謝れよ」

 

まあ少しくらい時間をおいたほうが雄二にとってはいいか・・・

 

雄二「・・・・・・ああ、わかっている。すまないが頼む」

 

貴浩「あいよ」

 

俺は雄二の分の用紙も受け取った。

俺もとことん甘いよな・・・まずは霧島のところに向かうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は皆より一足先にこの場を離れ霧島がいると思われるAクラスへと向かった。

 

ガララ

 

俺はAクラスの扉を開けると

やはり、そこには落ち込んでいる霧島と優子、愛子の3人の姿が見えた。

 

貴浩「よぉ3人とも。お疲れさん」

 

俺は3人に声をかけて近づいていく。

 

優子「ああ、貴浩。野球優勝おめでとう」

 

愛子「凄い活躍したんだってね。噂聞いたよ」

 

貴浩「もう噂が流れてんのか? 早いな。

   ・・・・・・霧島はまだ落ち込んでるみたいだな」

 

翔子「・・・・・・・・・あっ、織村…どうしたの?」

 

優子「そういえば、何か用なの?」

 

貴浩「酷い言い草だな。まあいいや。ほれ霧島」

 

俺は雄二から受け取った用紙を霧島に差し出す。

 

霧島「・・・・・・・・・これは?」

 

貴浩「没収品の返却用紙だ」

 

「「「っ!?」」」

 

3人は驚いたように用紙に目を向ける。

 

貴浩「この紙に没収された物と自分の名前を書いて鉄人の元に持っていけば、

   没収された物が帰って来るんだと。ちなみにこれは雄二からだ」

 

翔子「っ!?・・・・・・・・・雄二から・・・?」

 

貴浩「ああ、後でアイツも霧島に顔を出すと思うけどな。

   今はその・・・自分の行動が恥ずかしくてお前の前に出れないそうだ。

   あと・・・・・悪いな。楓と命に事情を聞いた。雄二も俺たちも勘違いしていてな。

   すまなかった。もっと早く誤解を解いておけば良かった」

 

翔子「・・・・・・・・・教えてくれてありがとう貴浩」

 

貴浩「いや、これ位は別にな。あと、優子、愛子もほれ」

 

今度は俺の分と命の分の用紙を2人に渡す。

 

優子「えっ? これって・・・」

 

愛子「いいの? ボク達に・・・」

 

貴浩「ああ、1枚は俺で、もう1枚は命の分だ。命に感謝しとけよ。

   それに2人も何か大事なものが没収されたんだろ?

   正直、俺も命もたいした物は取られていないからな」

 

まぁ俺の参考書が消えるだけだからな。

参考書ならまた買えばすむことだし・・・・・

 

愛子「あ、ありがとう貴浩君!」

 

優子「・・・・・・ありがとう」   

   

貴浩「それじゃあ霧島。後で雄二が謝りに来るだろうから、その時は」

 

翔子「・・・・・・・・・うん、私も雄二に謝る。私がちゃんと言わなかったから・・・」

 

貴浩「いいや、違う。今回は雄二に非がある。だから霧島が謝るのは最後でいい」

 

翔子「・・・・・・? どうして?」

 

貴浩「アイツが決め付けてたのが悪いからな。

   だから霧島は事情を知らないフリをして───」

 

翔子「・・・・・・うん」

 

愛子「どうするつもりなの?」

 

貴浩「お詫びの印に、キスでもしてもらえ」

 

「「「えぇっ!?」」」

 

貴浩「このくらいさせないとな。

   じゃなかったら何のためにわざわざ俺が用紙を霧島に渡した意味が無いだろ」

 

愛子「策士だ。策士がここにいるよ」

 

優子「・・・・・・意外と腹黒いわね」

 

貴浩「まぁな。一応、俺は霧島の恋の手助けをしているわけだからな」

 

愛子「・・・・・・・・・それなら自分への恋にも気づいて欲しいよ(ボソッ)」

 

優子「・・・・・・・・・そうね。なんで人の恋心とかには敏感なのに、

   自分への好意には気づかないのかしら(ボソッ)」

 

貴浩「ん? どうしたんだ2人とも? ブツブツ言って」

 

愛子「なんでもないよ(プイ)」

 

優子「なんでもないわ(プイ)」

 

貴浩「ん? なんなんだ一体? 俺が何かやったか?」

 

翔子「・・・・・・・・・貴浩は早く自分の好意に気づいた方がいい」

 

貴浩「行為? 何か変な行動したかな? まあいいか。

   じゃあ霧島。折角のチャンスなんだから頑張れよ」

 

翔子「・・・・・・うん、頑張っちぇみる」

 

優子「代表・・・・・・緊張していませんか・・・」

 

愛子「緊張している代表も可愛い」

 

翔子「・・・・・・・・・///」

 

貴浩「まぁ頑張れよ。それと鉄人は職員室にいるだろうから今日中に

   没収されたもの書いて持っていけよ」

 

翔子「・・・・・・織村。わざわざありがとう」

 

愛子「あっ、貴浩君。ちょっと待ってもらってもいい。折角だから一緒に帰ろうよ」

 

優子「そうね。折角なんだし」

 

貴浩「ん? そうか。なら荷物まとめて校門前で待っとくわ」

 

優子「ええ、わかったわ。すぐに書いて行くから」

 

貴浩「ゆっくりでいいぞ。俺もゆっくり行くから」

 

 

 

 

 

しばらくして、途中であった命と一緒に校門で優子と愛子を待っていると

 

命「あっ、優姉と愛子ちゃんだ・・・あれ? なんか落ち込んでるように見えるけど」

 

貴浩「そうだな。どうしたんだろうな?」

 

愛子「・・・・・・ごめん、お待たせ」

 

優子「待たせて悪かったわね」

 

命「2人ともどうしたの? そういえば没収された物は帰ってきた?」

 

愛子「・・・それなんだけどね。後日家の方に郵送するって・・・」

 

命「えぇ!? そうなの!?」

 

貴浩「自宅に郵送か・・・学校もめんどくさい事するな。

   でも帰ってくるなら良かったじゃないか。

   ウチのクラスの連中はヤバイだろうけど、

   優子と愛子はそういう危ないものを没収されたわけじゃないんだろ?」

 

命「確かに・・・・私たちのクラスの人達のは家に送られたら酷い事になりますよね」

 

優子「何か・・・それはすぐに想像つくけど・・・」

 

愛子「確かにボク達の物はそんな如何わしいモノじゃないけどさ・・・」

 

貴浩「なら、いいじゃないか。そう、落ち込むなよ」

 

優子「アレから日が経ってるからすぐに渡したかったのに・・・」

 

愛子「まあ、ボク達が学業に必要の無いものを持っていったのが悪いんだけど・・・」

 

貴浩「・・・・・・よほど、重要なものだったのか?」

 

命「そうだね・・・2人にとっては重要なものだよ」

 

貴浩「・・・・・・そうなのか・・・?」

 

その後、落ち込む2人を励ますためケーキをご馳走してあげた。

 

 




これで体育祭編はこれで終了です。
次回からは番外編をやっていこうと思います。
ただいま執筆中ですけど(笑)


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番外編⑤
体育祭後と合同授業と嫌味?


5/12 修正


体育祭、週明けの学校──その休憩時間。

 

俺は次の授業がAクラスとの合同授業のため荷物を準備をしていた。

Aクラスとは1学期の試験召喚戦争での条約で、時々一緒に授業を合同で行っている。

その後ウチのクラスの連中が騒ぎを起こして一部の人物たちを残して

立ち入り禁止になったのだが……うちのFクラスの奴らも前と違って

あまり騒がなくなったのでこんなことができるようになった。

 

まぁ、俺が勉強できるやつはモテる、みたいなことを言ったら

Aクラス女子がいる前では勉強しているフリをしているので

教師陣も授業妨害しないという事もあり、許可してくれてる。

 

まあ理由は不純だが、結果オーライだろう。

 

すると、

 

雄二「おい、貴浩!」

 

貴浩「ん? おはよう、雄二。ちゃんと霧島に謝ったか?」

 

雄二「ん、ま、まあ、あの時は助かった、すまねぇ。

   もうちゃんと翔子には頭を下げて謝った」

 

貴浩「そうか、それなら良かった」

 

雄二「で、お前っ! 翔子に何吹き込みやがったっ!!」

 

貴浩「あははっ。結果オーライだっただろ」

 

雄二「っ!?////」

 

貴浩「ん? その反応だと。何かやったのか?

   ま、まさか…お前、一足早く大人の階段をのぼったのかっ!?」

 

雄二「ば、馬鹿言うんじゃんねぇ!? しかも大声でそんなこと言うなっ!

   ヤツラが俺に殺気向けてるじゃねぇか!?」

 

周りを見てみると皆が凶器を構え雄二を睨みつけている。

 

貴浩「うん……大声で言うことではなかったな…すまない。

   で、どこまで言ったんだ?ん?」

 

雄二「……た、たいしたことはしてねぇよ……」

 

貴浩「ふぅ~ん。まあ、そういうことにしておくか。

   ついに雄二が一足先に大人になってしまったのか……

   これで雄二と霧島はとりあえず大丈夫だろうから、次は明久と命だな」

 

雄二「先ほどの発言についてはあとで追求するが……お前自分のことは良いのか?」

 

貴浩「……俺はお前らと違って独り身だからな。

   4月までは明久も雄二も秀吉もムッツリーニも同じ独り身仲間だったのに、

   俺を残して去っていってしまったんだもんな……」

 

雄二「……何か嫌な言い方だな。

   だが、お前にも寄ってくる女が1人や2人いるだろう?」

 

貴浩「はぁ? いねぇよそんなヤツ?

   何言ってんの? 嫌味か? 嫌味なのか? あぁん?」

 

雄二「そんなわけねぇだろうが」

 

貴浩「お前だって本心では俺だけ独り身だって笑ってるんだろ」

 

雄二「どうなったらそんな考えにいきつくんだ!? おい、正気に戻れ!」

 

雄二が俺の肩に手を置き、揺さぶってくる。

 

貴浩「何言ってるんだ雄二。俺はいつだって正気だぜ。

   俺ほど正気でいられる人間なんてこの世にはいねぇよ。リア充死ね」

   

雄二「今のお前が正気だとは今の発言聞いても思えねぇよ!」

 

貴浩「雄二、言っておくが俺にだって女はいるんだぜ」

 

雄二「……な、なに?」

 

貴浩「画面の向こうに。中二最高っ! ヒャッホッー!!」

 

雄二「目を覚ませ貴浩!」

 

より一層雄二が俺の肩を強く揺さぶる。

 

雄二とバカなことをしていると

 

楓「兄さんにお客さんが来てますよ」

 

と、楓から声がかけられる。

どうやら、俺に客人のようだ。

 

貴浩「んー? 楓、お客って誰?」

 

楓「えーっと、確か放送部の新野さんですよ」

 

貴浩「うぃー。じゃあ雄二。ちょっと行って来る。

   先Aクラスに行っておいてくれ。ついでに俺の荷物ヨロ!」

 

雄二「おー了解」

 

 



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焼きそばパンとラジオとポイズン

5/12 修正


貴浩「ただいま帰りました雄二様。お荷物ありがとうございました」

 

俺は新野との話を終えAクラスにいる雄二の元へ向かう。

 

雄二「……なんだ…それは? 凄ぇ気持ち悪ぃんだが・・・」

 

貴浩「…俺も悪ふざけで言ってみたんだが想像以上に気持ち悪かった」

 

明久「あっ、貴浩。さっき廊下に出て話してたけどどうしたの?」

 

貴浩「あ~また昼のラジオに出て欲しいんだと」

 

雄二「あ~そういうことか」

 

明久「大変だね。頑張ってね」

 

貴浩「だから、今日の昼は俺抜きでヨロ。

   邪魔者がいなくて嬉しいだろ。1人身の俺がいなくて楽だろ?」

 

明久「どうしたの貴浩? なんかいつもと違う気がするけど」

 

雄二「さっきからこうなんだよ・・・・・・ならさっさろお前も女作れ」

 

貴浩「それができたら苦労はしない。ハァ~もういっそのこと男でも良いかな~」

 

明久「雄二っ! 今のままじゃヤバイよ。色んな意味でっ!」

 

雄二「ああ、そうだな。何か早めに手を打たないと危ねぇ!」

 

貴浩「っと、それは冗談として・・・・・・そういや2人とも知ってるか?」

 

明久「なにを?」

 

刀麻「どうしたんだ?」

 

そこへ一応Aクラスの不知火刀麻がやってくる。っと言っても隣の席なんだがな。

 

雄二「しょーもねぇことじゃねぇだろうな」

 

貴浩「チッチッチッ。聞いて驚け!

   なんと今日、購買で焼きそばパンが50円で売られるらしい」

 

「「「安っ!?」」」

 

砂原「おぉ! ター君もそれを聞いてたんだねん♪

   教えてあげようと思ってたのに。ブ~♪」

 

刀麻「どこでそんな情報を仕入れたんだ?」

 

貴浩「さっき新野から教えてもらった]

 

砂原「なーんだ。にいちんからか。でも、買うのは無理じゃない」

 

刀麻「まぁ、そうだろうな。人気商品だしな」

 

貴浩「雄二、明久どうする?」

 

明久「それを僕達に聞く?」

 

雄二「そんなの決まってるだろ」

 

貴浩「だな」

 

ゴゴゴゴゴッ!!!!

 

砂原「なんか3人から凄いオーラが出ているよ・・・」

 

刀麻「お前ら焼きそばパン好きなのか?」

 

明久「嫌いじゃないね。しかも値段が安いことが特に良い」

 

貴浩「好物の1つです」

 

雄二「それだけ安けりゃ、多めに買える」

 

刀麻「まー買うのは難しいだろうが頑張ってくれ」

 

そして4現目の授業が始まった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「それじゃ、今日の授業はここまで」

 

貴浩「刀麻、俺の荷物よろしく」

 

刀麻「ん?」

 

俺は刀麻に荷物を預ける。

 

「起立ー」

 

ガタッ      全員が席を立つ。

 

ガラッ      貴浩が窓を開ける。

 

「気をつけ──」

 

窓の取っ手部分に俺が足を乗せる。

 

「礼──」

 

その次の瞬間、俺は窓から飛び降りる。

 

刀麻「飛んだーっ!!」

 

刀麻は俺たちが飛び降りた瞬間、窓に駆け寄り下を見る。

 

優子「えっ? 嘘っ!」

 

優子もそれを見ておりすぐに窓に駆け寄る。

 

優子「よ、良かった。無事みたいね」

 

愛子「まさか飛び降りるなんてね」

 

雄二「しまった。出遅れたっ!」

 

命「いつから勝負みたいになってるんですか?」

 

明久「だが、まだ負けてないよっ!」

 

椎名「でもこの距離じゃ追いつくのは──」

 

明久「とうっ!」

 

雄二「よっと!」

 

明久と雄二も貴浩と同じように窓から飛び降りる。

 

椎名「──えぇぇぇえええええ!!! 2人とも飛び降りましたよ!?」

 

刀麻「すげぇなアイツら。なんの躊躇も無く飛び降りやがったぞ」

 

康太「・・・・・・驚く事ではない。Fクラスの男子なら誰でもできる芸当」

 

秀吉「いや、ワシにはできんのじゃが・・・・・・」

 

刀麻「いや、それでも秀吉以外の男連中はできるのかよ。色んな意味でレベルが違うな・・・」

 

 

しばらくして

 

 

雄二「おうっ!帰ったぜ!」

 

雄二が両手に大量の焼きそばパンを大量に入れた袋を4つほど抱えて戻ってきた。

 

刀麻「お、お前買いすぎだろっ!」

 

雄二「勘違いするな。これは貴浩と明久の分も含めてだ」

 

刀麻「あ~なるほど・・・・・・それでも多いわっ!」

 

雄二「まぁ、そうだろうな。3人で焼きそばパン全て買い占めたからな」

 

刀麻「お前ら最低だなっ!他の奴らにも残してやれよ」

 

雄二「出遅れたヤツが悪い」

 

命「ところで雄二君。明久君はどうしたの?」

 

雄二「ん?ああ、明久なら貴浩にどっか連れ去れれていったな。そのうち帰ってくるだろ」

 

そこへ

 

新野『こーんにちはーお昼の放送の時間でーす!

   パーソナリティマイクパスをする女、新野すみれです!』

 

この文月学園では週1で昼休みの時間にラジオが流れていたりする。

そして今週の今日がその時間だったりする。

 

新野『今日は腹痛で休んだアンチクショーの代わりに突発ゲストに──』

 

愛子「あれ?今日はまた相方さんは休みなんだね」

 

貴浩『さきほど焼きそばパンを買い占めた1人。

   放送部員でもない無関係な男、織村貴浩と──』

 

雄二「そういや、貴浩が出てくれって頼まれてたな」

 

砂原「おっ! ター君か! 人気者じゃないかい」

 

刀麻「あれ? 俺放送部員なのにそんなこと聞いてないぞ?」

 

明久『購買で貴浩にアブダクション(強制連行)された貴浩の友人の吉井明久』

 

新野『今日はこの3人でラジオでお送りします」

 

命「あ、明久君!?」

 

雄二「あ~明久が連れられた理由はコレか」

 

優子「また、貴浩がでるのね」

 

愛子「前のが良かったのかな」

 

刀麻「普通、こういうのって放送部員の俺に話し来ないか?」

 

砂原「ドンマイとっちん(笑)」

 

新野『今週もスペシャルということでよろしければ教室のテレビ映像でお楽しみください』

 

砂原「見たい人は挙手してねん♪」

 

バッ

 

そこにいた全員が手を上げる

 

砂原「満場一致だねん。ぽっちとね♪」

 

貴浩『こんなこと聞くの今じゃ遅いかもしれないが、俺たちで良かったのか?』

 

明久『僕にいたっては話すらなかったけど?』

 

新野『もちろんです!前回の放送が好評で織村君にはまた出演して欲しいという願いが

   きてまして、こんなお便りも来てるんですよ』

 

貴浩『どんなんだっけ?』

 

新野『前回のお話しを聞いた後日、告白しようと相手を屋上に呼んだところ成功したそうです』

  

貴浩『屋上で好きだらけの相手を落とすやつか』

 

明久『まさか実践したわけじゃないよね?』

 

新野『情報では、現在自他共に認めるバカップルらしいですが、

   屋上に呼び出した彼の第一声は──「お、落とさないでくれ・・・!」だそうです』

 

『『命乞いだ!!』』

 

新野『ではでは、お悩み遭難コーナーに参りましょうか』

 

貴浩『いつの間にかにそれコーナータイトルになっているんだな』

 

新野『好きな人に───』

 

貴浩『ふむ』

 

新野『伝えたい事も伝えられない、こんな世の中じゃ───』

 

『『ポイズン』』

 

新野『では、次──』

 

明久『って、ノリでやっちゃったけど、今のでいいの!?』

 

新野『むしろ今以上の回答はないですね』

 

明久『まぁ、今のは相談って言うより訴えみたいだったしね』

 

貴浩『個人の悩みが世界規模の責任転換されてるがな。 

   だから、世界に訴える前に個人に伝えるべきという事だな』

 

新野『つまり好きな人に向かって───』

 

『『ポイズン』』

 

明久『・・・状態異常になりそうだよね。一種の呪文だよ』

 

新野『では次、告白の心得があれば教えてください』

 

明久『告白の心得ねぇ・・・・・・躊躇わない!振り向かない!・・・とか』

 

新野『それは刑事です。どちらかといえば恋はスリル』

 

明久『あー・・・ショック』

 

貴浩『刺すザマス』

 

新野『駄目ザマス』

 

明久『それじゃサスペンスに変わるよ』

 

新野『次のお便り・・・【女子のハートをくすぐるコツをぜひ!】とありますが──』

 

貴浩『コツとかそういうもんじゃないと思うが』

 

新野『女の子はそんな簡単じゃないのです!甘く見てもらっては困ります!!』

 

新野が机を叩きそう応える。

 

新野『ワザとらしいのは逆効果といっても過言ではありません』

 

貴浩『なるほど、乙女の機微というヤツ───』

 

新野『心臓にコークスクリューぶち込みたくなります』

 

貴浩『───とは程遠いな』

 

明久『キュン OR(か) DIE(死か)!?』

 

新野『見え透いたアプローチなんかでキュンとさせられるとは思わない事です』

 

明久『そういうこのなの?じゃあ試しに貴浩、新野さんを褒めてみてよ』

 

貴浩『普通に褒めればいいよな』

 

新野『ふふん、その勝負受けて立ちましょう。

   キュンキュンされられるもんならさせて───』

 

貴浩『新野はかわいいな』

 

新野『はぁーーーーーーん!!////』

 

明久『一発撃沈』

 

貴浩『少しは耐えようぜ』

 

 

その直前の教室では

 

 

砂原「にいちんは身構えてるからいくらター君でも難しいかなん♪」

 

なのは「タカ君はそういうの狙っていうのできないぽいしね」

 

愛子「でもちゃんと言ってくれたら嬉しいよね」

 

優子「それを好きな人に言ってくれるのが1番嬉しいんだけど」

 

雄二「それはまぁ・・・当分無いだろうな。アイツのことだ。自分からは動かないぞ」

 

「「やっぱり・・・」」

 

椎名「・・・と、ところで、貴浩君は新野さんになんて言う───」

 

貴浩『新野はかわいいな』

 

ブッ!

 

雄二「まさか、ストレートに言うとは・・・少しふいちまった」

 

砂原「これこそキュンとしてDIE」

 

椎名「なんか聞いてたら私も恥ずかしいです」

 

翔子「・・・・・・・・・シンプルな言葉の方がくる時はくる」

 

愛子「これって貴浩君だからこうなのかな?」

 

優子「言う人によって違うんじゃない?」

 

秀吉「そうじゃな・・・刀麻とかはどうじゃ?」

 

楓「不知火君なら兄さんとはまた違ったタイプだからいいかもしれませんね」

 

刀麻「ん?なんだ?」

 

命「あ、不知火君。今の貴浩君の真似して鈴歌ちゃんを褒めてあげて!」

 

雄二「うぉっ、凄いピンポイントで指名したな命のヤツ」

 

康太「・・・・・・・・・これは面白い」

 

刀麻「お、おう。砂原はかわ・・・かわ・・・・・・かわ・・・かわ・・・・・・うそ////」

 

愛子「不知火君アウトー!」

 

刀麻「言えるかーっ!!////」

 

雄二「お前は良く頑張った。ほら、1個焼きそばパンをやるよ」

 

康太「・・・・・・・・・お前は頑張った。砂原の写真をプレゼントしてやる」

 

刀麻「そんな同情はやめてくれーっ!!」

 

 

再び放送室

 

 

新野『なんでもっと凝った台詞でこないんですかーー!?』

 

貴浩『そう言われてもな』

 

明久『っていうか、新野さんくるとわかっていたのに瞬殺されたよね』

 

新野『変化球を警戒してたのにキャッチャーに風穴を開ける威力の

   ど真ん中レーザーを放たれたんですぅ』

 

明久『あー確かにそうかもしれないね』

 

新野『女子の皆さんに申し訳ない・・・・・・』

 

明久『あっ、代表戦だったんだ』

 

貴浩『まぁそう気を落とすなって───キュンキュン放送部員』

 

明久『今ここにマイクパスに変わる称号が』

 

新野『その称号はいらないです!!恥ずかしい!

   負けっぱなしは女の沽券にかかわるので私からもいかせてもらいます』

 

貴浩『ん?そうか』

 

新野『織村君の皆が気がつかないようなさりげない優しさ、私素敵だなって思います』

 

貴浩『そんなことないと思うぞ。

   でも友達のそういうところに気がつく新野はもっと素敵だと思うけどな』

 

新野『////』

 

明久『あ~あ』

 

新野『ハッ!もーーー!!次だ!次のお便りに行きますよ!!』

 

明久『カウンターされてどうするの』

 

貴浩『イェイ』

 

新野『今日は男子2人がいることですしこんな質問も、

   【ズバリどんな時、女子にぐっときますか?】

   しぐさ、シチュエーションでもいいですよ』

 

明久『んーそうだなぁ・・・・・・』

 

貴浩『まぁ大抵の男は女に優しく、刺されたらころりといきそうだけどな』

 

新野『そりゃ逝きますよ!』

 

明久『「さ」が1つ増えてえらいことになってるよ』

 

新野『男子はあれにぐっとくるんじゃないですか?』

 

明久『あれ?』

 

新野『女の子が恥ずかしそうにはにかみながら、

   上目遣いで口元に握った両手を持っていく───』

 

貴浩『ピーカブーか!まっ○のうち!まっ○のうち!だな』

 

明久『そこから繋がる未来が怖いよ!!』

 

新野『と、そろそろ時間のようですね』

 

明久『なんだかんだであっというまの時間だったね』

 

新野『次回は女性ゲストも招いて織村君をきゅんきゅんさせたいところです』

 

貴浩『いつでも挑んでかまわないぞ』

 

明久『でもそんな簡単にてれこれさせられるとは思わないなぁ。

   だって、にぶ貴浩のレッテルを貼られすぎて七夕の短冊みたいになるほどだからね』

 

新野『くふふっーー!!』

 

貴浩『どんなだ。それどっちかというとお前のことだろ』

 

明久『ふぅ~』

 

貴浩『おいなんだ。そのやれやれみたいな仕草は』

 

新野『ではでは、今日の統括といきましょう』

 

貴浩『スルーか・・・まあいいけど・・・』

 

明久『統括?』

 

貴浩『気になる人には───』

 

新野『キュンキュンされるためにワザとらしく素直な気持ちをもって───』

 

貴浩『ピーカブースタイルで間合いを詰めながらころりと刺すように───』

 

『『ポイズン』』

 

明久『・・・・・・』

 

新野『恋する皆にはこの心得を送ります』

 

明久『僕は受け取り拒否を推奨するよ』

 

新野『ということで今週は新野と織村と吉井の3人でお送りしました。

   それでは午後の教師のスリプルにご注意ください。ではまた次回』

 



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クレーンとホッケーとゲームセンター

5/12 修正


放課後、集まったメンバーでゲーセンへと向かった。

 

【 ゲームセンター 対戦ゲーム 】

 

刀麻「よっしゃ、なら早速明久にリベンジだ。今日は圧勝してやる!」

 

明久「今日は命や姫路さんたちがいるから1回勝負だよ」

 

そこで明久と刀麻が格ゲーで対戦するため席に着く

 

優子「ねぇ貴浩」

 

貴浩「ん? どうしたんだ優子」

 

優子「明久君って強いの?」

 

貴浩「見てたらわかるさ」

 

レディ ファイト!

 

刀麻「いくz……なぁ!? 1フレームで複雑なコンボ技を成功!?

   回避できねぇ!なぁ!? そこから追い討ちだと!?

   人間業じゃねぇ…人間の反射速度で出来る事じゃねぇぞ!?

   ってか気絶した! しかも即死技!? 容赦ねぇーーーーー!!!」

 

 

KO! PERFECT!!

 

 

愛子「一瞬だったね」

 

刀麻「明久いつの間に……」

 

明久「刀麻…弱いね…」

 

刀麻「うるせぇ!!」

 

 

 

【 クレーンゲーム 】   

 

 

 

砂原「ん? どうしたヒメっち」

 

愛子「これはクレーンゲームだね」

 

姫路「あ、いえ…可愛らしいぬいぐるみがたくさんあるなぁーって思いまして」

 

島田「そうね。可愛いのがいっぱいあるわね」

 

姫路「でも、こういうものって取れるものなんですか?」

 

椎名「んー?そうですね…慣れと見極めができれば…」

 

島田「皆は取れるほうなの?」

 

なのは「私はイマイチかな」

 

砂原「私は全然だねんゲームは」

 

愛子「僕もあんまり取れないね」

 

優子「私も本当に時々しか取れないわね」

 

楓「こういうのって結構兄さんが得意でしたよね」

 

椎名「そういえば前、織村君の家行ったとき色々景品あったね」

 

命「明久君はどうですか?」

 

明久「んー僕もまあ取れるほうだけどクレーンゲームじゃあ貴浩にはかなわないよ」

 

雄二「確かに貴浩はクレーンゲームは得意だよな」

 

雄二はそういいながら貴浩を指差すと

 

貴浩「今日も大量だな」

 

両手に抱えきれないほどのぬいぐるみや景品を獲得した貴浩の姿があった。

しかも頭にも数個載せてる状態だ。

 

女子「「「メルヘンだ(です)!!」」」

 

雄二「さすが貴浩だな。よくもまぁそこまで取れるものだ」

 

刀麻「ああ、これは経営側も涙目確実だな」

 

島田「意外と取れるものなのね」

 

砂原「あれはいきすぎだけどね」

 

貴浩「お前らもやってみたらどうだ?」

 

姫路「そうですね!何事にも挑戦ですよね」

 

貴浩「経験な」

 

そして姫路は1つのクレーンゲームの前に立ちコインをいれ

ボタンを押しながら横へスライドさせていき、1度そこで手を離し

 

カチ カチ カチ カチ

 

何度も横のボタンを連打し

 

姫路「横に動かなくなっちゃいました」

 

明久「姫路さん面白すぎだよ」

 

姫路「なんで動かないんですか?」

 

貴浩「面白い生き物がいるぞここに」

 

なのは「本当に初めてなんだね」

 

明久「…命?」

 

そこで明久が命があるクレーンゲームを見ていることに気づき

 

命「……」

 

ポン

 

命「あっ」

 

明久「アレが欲しいの命?」

 

命「……うん」

 

明久「わかった。じゃあ僕が取ってあげるよ」

 

 

ガタン

 

 

明久「ゲット! 取りやすい状態で良かったよ」

 

明久は取ったウサギの景品を雛にあげると

 

命「……ありがとう」

 

 

 

【 エアホッケー 】

 

 

 

椎名「誰か、エアホッケーで勝負しませんか?」

 

貴浩「おお、やるか」

 

姫路「私は遠慮しておきます」

 

明久「でもこれ4人用だよ」

 

雄二「ならばタッグ戦で決まりだな」

 

貴浩「異議なし!」

 

そしてペアは

 

明久&雄二ペア   貴浩&椎名ペア

 

 

 

ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ

 

 

パシッ

 

 

貴浩「明久、明久…少し良いか?」

 

明久「なに?」

 

椎名「隙ありっ!」

 

カッ 

 

パシッ

 

雄二「おい」

 

貴浩と椎名のだましうち攻撃を雄二がしっかり止め

 

明久「審判!今のプレイの判定は!?」

 

砂原「続行!」

 

明久「流した!?」

 

 【再開】

 

雄二「ふっ!」

 

カッ!

 

椎名「てぃ!」

 

カッ!

 

明久「はっ!」

 

カッ!

 

貴浩「ふっ!」

 

 

カッ!

 

 

ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ

 

 

ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ

 

 

ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ

 

 

ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ ガッ

 

 

 

優子「いつまで続くのコレ?」

 

愛子「こんなエアホッケーはじめて見たよ」

 

カッ

 

椎名「あっ!!しまった!ミスショットです!」

 

すると椎名がミスショットしたパックが明久と雄二にたどり着く前で止まってしまう

 

「「??」」

 

明久「すべり悪くない?」

 

雄二「空気が出てねぇな…多分時間切れか」

 

貴浩「制限時間なんてあったのか!?」

 

椎名「知らなかった」

 

明久「僕も」

 

優子「ならいつもはどんな風に終わっていたのよ」

 

貴浩「どちらかにパックが入ったら」

 

愛子「接戦しすぎだよ」

 

翔子「・・・・・・・・・4人とも凄い」

 

椎名「結局勝負つかなかったね」

 

明久「白熱したけど次回に持ち越しだね」

 

雄二「そうだ」

 

椎名「空気出てないけどパックどうする?」

 

貴浩「とりあえず入るまでやるか」

 

椎名「やっ!」

 

 

ガッ ガッ ガッ

 

 

貴浩「なんの!」

 

 

ガッ ガッ ガッ

 

 

明久「貴浩たちが終わったら優子さんたちもやってみたら?」

 

優子「あれを見たあとじゃあねぇ……」

 

愛子「うん、さすがに…やめておくよ」

 

姫路「あんな速度、見ているだけで恐ろしいです」

 

秀吉「そんな感想はじめて聞いのじゃ」

 

刀麻「確かにあの試合は凄かったしな」

 

雄二「俺達はアレが当たり前だからな」

 

優子「さすがというところね」

 

その後は皆で一通り見てゲームセンターを後にした。

 



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プレゼントと寒がりと鈍感男

5/12 修正


そして、ゲームセンターを後にした俺たちは

夕飯を皆で食べようという事になり、俺の家に集合する事になった。

 

明久と命、楓と秀吉は一応適当に食材をを買ってくるとのこと。

他の皆も家に一度荷物を置きに戻ったり何か適当な具材を買いに向かった。

 

俺はというと先に家に帰り下準備をするため優子と愛子と帰っていた。

 

愛子「あ、あの貴浩君」

 

優子「ちょっといいかしら貴浩」

 

貴浩「ん? どうした? なにか忘れ物でもしたのか?」

 

家に帰ってる途中優子と愛子に呼ばれたので振り返るとなにか言いたそうな様子だった。

 

愛子「忘れ物とは違うけど・・・」

 

優子「えっと・・・・・・」

 

なんだ、歯切れが悪いな?

 

貴浩「もしかして俺がいたらできないことか?」

 

優子「そうじゃないわ。えっと、コレ」

 

愛子「僕も」

 

優子と愛子がそう言って出してきたのは可愛くラッピングされた袋だった。

 

貴浩「コレは・・・・・・?」

 

優子「確か貴浩って9月10日が誕生日だったはずよね」

 

貴浩「あ~そういえばそうだったな。楓にぬいぐるみプレゼントしたっけ。

   ってことはコレを俺に?」

 

愛子「・・・・・・うん。随分遅くなってごめんね。

   言い訳するわけじゃないけど・・・・・・これ学校に持っていったとき没収されちゃって・・・」

 

優子「ごめんなさい」

 

貴浩「気にするなよ。それにしても嬉しいな。

   女子からのプレゼントなんて楓やなのは、玲さん以外からは小学校以来だな。

   何が入ってるんだ。今開けてもいいか?」

 

優子「ええ、ただ喜ぶかはわからないけど・・・」

 

俺はもらった物を袋から取り出すとそこには

黒のニット帽と、白のラインが入った黒のマフラーが入っていた。

 

優子「楓に聞いたんだけど貴浩、寒さに弱いって聞いたから・・・」

 

愛子「時期はまだ随分早いけど・・・」

 

貴浩「ありがとう2人とも。マジで助かる。

   楓から聞いてるからわかるだろうけど俺マジで寒いの苦手なんだよな」

 

俺本当に寒いの苦手なんだよな。

物凄い量の厚着するし、去年なんか雄二なんかが驚いていたっけ?

まるで雪だるまって言われたな……

 

そこで俺は2人からもらったマフラーとニット帽をつけてみる

 

貴浩「似合ってるか?」

 

優子「ええ、似合ってるわ」

 

愛子「うん、似合ってるよ」

 

貴浩「2人のセンスが良かったんだな。

   2人ともありがとう。大切にするな」

 

優子「そう言ってもらえると助かるわ」

 

愛子「うん、大事にしてね」

 

貴浩「そういえば2人って誕生日いつなんだ?

   ……もしかしてもう過ぎてたりするのか?」

 

優子「え、えぇ・・・・・・私は6月だったわ・・・・・・」

 

愛子「僕は7月だったかな・・・・・・」

 

貴浩「ご、ごめん」

 

うわぁ、俺格好悪いな・・・Orz

 

そういえば秀吉も6月だったよな。なら優子も同じハズじゃないか・・・・・・

 

優子「き、気にしないで貴浩。私たちは気にしてないから」

 

愛子「そうだよ。僕も優子も気にしてないから落ち込まないでよ。

   ・・・・・・・・・あっ、そうだ!折角だから貴浩君がゲームセンターで取ったぬいぐるみ頂戴」

 

優子「いいわねそれ。それが私たちのプレゼントってことで」

 

貴浩「えっ?いいのかコレで?」

 

愛子「良いの!ただし貴浩君が選んでね」

 

2人がそれでいいのならいいが・・・・・・さて何にするか?

優子と愛子だろ。

今あるぬいぐるみは黒ねずみ、白猫、犬、きつね、たぬき、狼、ペンギンってところか

 

貴浩「じゃあ、優子は犬とペンギンで、愛子は白猫とたぬきかな」

 

優子「2個も良いの?」

 

貴浩「ああ、もしかして2個もあると邪魔か?」

 

優子「そんなことないわ。じゃあありがたく頂くわね」

 

愛子「返してって言われても返さないからね」

 

貴浩「ああ、かなり遅くなったけど誕生日おめでとう」

 

愛子「うん、ありがとう」

 

優子「これで、少しは私達の気持ちに気づいてくれたかしら」

 

愛子「さすがの貴浩君でも気づくはずだよ」

 

貴浩「じゃあ、早く帰って準備するか」

 

「「ええっ!?」」

 

貴浩「ん?どうかしたか?」

 

優子「まさか、まだ私達の想いに気づかないなんて……」

 

愛子「鈍感すぎだよ貴浩君?」

 

貴浩「?」

 

何故か頬を膨らませた優子と愛子が

俺の後ろに下がりながらブツブツ言っているが何だろうか?

 



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葬式ムードと妙案と選択

5/12 修正


雄二「で、どうするんだ貴浩?」

 

貴浩「どうするって言われてもなぁ…」

 

明久「まあ姫路さんに料理させないようにすれば問題ないんじゃないかな?」

 

秀吉「そうじゃな。他のメンバーなら料理に薬品を入れるなんて考え起こさぬじゃろうし」

 

光一「霧島もこんな時に薬品は入れないだろうしな」

 

康太「・・・・・・・・・だが、俺たちには何もできない」

 

「「「「「ハァ~」」」」」

 

刀麻「どうしたんだお前らため息なんかついて?

   女子の手料理が食べられるんだぞ。いいことじゃないか」

 

そう、今キッチンに立っているのは全員女子だ。

『キッチンは女の戦場』と言われ俺たち男子連中は追い出されてしまった。

料理のできる楓と命がいるから大丈夫だとは思うが・・・・・・

 

姫路「あの織村君」

 

貴浩「ん? どうした姫路?」

 

そこへ姫路がキッチンから顔を出してくる。何かあったのか?

 

姫路「ちょっと道具を探しているんですけど・・・」

 

貴浩「ああ、何がいるんだ?」

 

そりゃそうだよな。人の家だから何がどこにあるのかわかるわけ無いよな。

どうやら楓は優子や愛子、砂原、椎名と料理しているようだし。

ただ、命の様子が少しおかしいような気がするんだが・・・・・・何故だろう嫌な予感がする。

 

姫路「えっと・・・・・・瞬間接着剤を探しているんです」

 

今、俺は料理の定義を根底から崩されつつある。

 

秀吉「もう駄目じゃ・・・・・・ワシはここで死ぬんじゃ・・・・・・」

 

雄二「くそっ・・・俺にはまだやりたいことがたくさんあるんだ・・・・・・」

 

明久「ああ、僕の人生もここまでか・・・・・・でも最後に皆と一緒に死ねるならそれも・・・・・・」

 

康太「・・・・・・生きたい。もっと・・・・・・」

 

刀麻「・・・・・・あれ?今俺おかしなことを耳にしたんだが・・・・・・気のせいだよな・・・」

 

光一「今のうちに救急車を呼ぶべきか・・・・・・」

 

今の姫路の発言を聞いて俺の友達から葬式ムードが漂い始める。

皆、まだ諦めるのは早い!まだ修正する事が可能なはずだ。

 

貴浩「なぁ姫路。わかってると思うが料理に瞬間接着剤を入れるのはかなり危険なことだ」

 

姫路「? 何を言っているんですか?お料理に瞬間接着剤を入れたら大変じゃないですか」

    

貴浩「だよなっ!それくらいは常識だよな」

 

今の姫路の発言を聞き葬式ムードが払拭されていく。

 

貴浩「ならなんでそんなものが必要なんだ?」

 

姫路「はい。えっと、ブイヤベースを作っていたら、

   圧力鍋が真ん中から破裂しちゃいまして・・・・・・」

 

「「「「「さらばだっ!」」」」」

 

貴浩「待てやコラっ! 逃がしてなるか! 光一アイツらを逃がすな!」

 

光一「了解」

 

逃げ出す4人を光一と2人がかりで捕まえる。

 

貴浩「ちょい鍋を見てくる」

 

そして俺は姫路が壊した鍋を見ることにした。

 

貴浩「・・・・・・うわぁ・・・俺初めて見たぞ・・・鍋がこんな風に壊れてるところ見るの」

 

見てみると鍋の底から割れていて下が見える状態になっていた。

ってか人の家の鍋壊すか普通……

 

命「ごめんね貴浩君。見てたはずなんだけど・・・少し目を離した隙にこのありさまで・・・」

 

ああ、命の顔色が悪かった理由がわかった。

 

貴浩「ああ、大丈夫。食べる前に気づくことが出来たんだからこれはこれでOKだ。

   怪我とかしてないな?」

 

命「うん、大丈夫だよ」

 

俺は壊れた鍋と破片、中に入っていた料理を別々の袋にいれ、

あとで光一が頼んでおいた業者に回収してもらった。

 

島田「あれ、瑞希?どうしたの?」

 

姫路「料理に失敗しちゃいまして・・・・・・」

 

その失敗が鍋の破壊なんて気づかないだろうな。

 

翔子「・・・・・・・・・失敗は成功の母」

 

愛子「僕はあんまり料理についてわからないけど、きっと次はうまくいくよ」

 

優子「ええ、最初は誰でも失敗するものよ」

 

なのは「そうだよ。だから諦めず頑張ろう」

 

楓「兄さん・・・もしかして・・・・・・」

 

貴浩「ああ、そのもしかしてだ・・・・・・」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

姫路「そうですね。皆さんありがとうございます」

 

このままではマズイ・・・また料理されたら今回は鍋ですんだが

今度はキッチン・・・いや、俺たちの身が危ない。

 

そこで居間にいる明久たちを見てみると

『なんとかしろ』といわんばかりの目線をしている。

そんなこと言われなくれてもわかっている。

 

貴浩「なあ、時間もなくなってきたことだし、それに大勢いるから鍋にしないか?」

 

椎名「鍋ですか?」

 

貴浩「ああ、大勢いるし、海鮮類も冷蔵庫に入ってるからな。

   それに鍋なら時間も問題ないだろう」

 

姫路「お鍋ですか。わかりました。それなら今すぐ料理を始めますね」

 

問題はその製作者が必殺料理人ってことだ。

 

雄二「あー姫路。鍋なら俺が得意だから、任せてくれるか?」

 

姫路「ダ──」

 

明久「何を言ってるんだ雄二。鍋といったら僕。僕といったら鍋。それくらい常識でしょ」

 

康太「・・・・・・いいや、鍋の事なら俺以上に詳しいものは誰もいない」

 

貴浩「お前ら何言ってるんだ。ここは鍋奉行の俺に任せるのが普通だろう」

 

雄二「いやいや、鍋は俺の専門分野だ。俺に任せとけ」

 

明久「何を言ってるんだ雄二。僕に任せとけばいいんだよ」

 

康太「・・・・・・・・・お前もふざけた事言うな。俺が鍋を作る」

 

貴浩「いやいや、もうここは俺が作るってことで・・・・・・」

 

姫路に主導権を握らせないために俺たちは次々に言い合う。

 

砂原「なら、闇鍋なんてどうかな♪」

 

と、そこで砂原が可笑しな発言をかます。

 

楓「闇鍋ですか?」

 

砂原「うん♪確か闇鍋って鍋の中でもメジャーなものなんだよね」

 

貴浩「いや、砂原それは───」

 

それは違うと言いかけて思い直す。

これ・・・・・・もしかして結構いい案じゃないか?

 

今から男子勢が短時間で料理を作ると言ったとしても、

姫路は何らかの手段で料理を作るかもしれない。

 

だが、闇鍋となれば話は変わる。

アレはその場で鍋の中に食材を入れるだけのものだから、手伝いも何も関係が無い。

そもそも料理の腕が関係ないのだから、危険なものが出来上がる事が無い。

 

念にために鍋を2つ用意しておいて2つのグループの別々の物を作るとも言えば、

もし姫路が危険物を片方の鍋に入れたとしてももう片方は無事なわけだから

そちらを食べればいい。

 

明久、雄二、秀吉、ムッツリーニ、楓、命、光一の7人に目線を送る。

どうやら皆も俺の案に賛成のようだ。

 

優子「あのね鈴歌。闇鍋って言うのは普通の鍋料理と違って───」

 

秀吉「それはいいのう!闇鍋とは面白い提案じゃ!」

 

楓「そうですね。人数も多いことですし面白そうですね」

 

雄二「そうだな。闇鍋は鍋の中の鍋だよな」

 

康太「・・・・・・・・・闇鍋最高・・・」

 

命「砂原さん面白い提案ですよ本当に」

 

貴浩「たまには砂原もいい提案するじゃないか」

 

光一「ああ、見直した」

 

一斉に賛同して優子の声を掻き消す。

ここは闇鍋こそ正しい選択だ。皆の命を守るにはこれが最善の選択なんだ。

 

愛子「闇鍋って僕も興味あるな~。やったことないよ」

 

翔子「・・・・・・・・・私もやってみたいかも」

 

なのは「そうだね。人数も揃ってるから面白いかもしれないね」

 

刀麻「俺も一度闇鍋してみたかったんだよな」

 

貴浩「あっ、そうだ。カセットコンロ1つしかないから優子貸してくれないか?」

 

優子「ええ、いいけど・・・2個もいるの?」

 

雄二「ああ、コレだけ人数がいるんだ。

   なら闇鍋も2種類作ってみるもの面白そうじゃないか?」

 

椎名「そうですね。えっと・・・17人いますからだいたい8人で1つの鍋を作るんですね」

 

楓「はい、17人じゃ入れる具が多くなるかもしれませんが

  8人ならちょうどいいぐらいだと思いますよ」

 

命「それに皆が何を入れるかわかりませんから変わった味になるかもしれませんしね」

 

貴浩「そういうことだ。なら明久、命と一緒に取りに行ってくれないか?」

 

明久「うん、命行こっ」

 

命「うん」

 

よし、さりげなく鍋を2つ作る事に成功したな。

あとはグループ分けだ。

 

光一「あとはグループ分けだが・・・

   ここは家主である貴浩に決めてもらうのが妥当じゃないか?」

 

刀麻「そうだな。こんな大勢で押しかけてるんだし」

 

愛子「僕は貴浩君でいいと思うよ」

 

砂原「私も、ター君なら面白い班分けにしてくれそうだし」

 

そういうことで俺が班分けすることに決まった。

光一ナイス発言、そして刀麻ナイスアシスト!

 

さて、班かどうするかな。

 

 ≪ 料理経験者 ≫

   貴浩、楓、明久、命、雄二、霧島、康太、なのは、島田、刀麻

 

 ≪ 料理経験無しもしくは少ない ≫

   秀吉、優子、愛子、光一、椎名、砂原

 

 ≪ 要注意人物 ≫

   姫路

 

 

ってところか。

 

貴浩「A班は俺に楓、優子、愛子、なのは、椎名、砂原、刀麻、命の9名、

   B班は明久、雄二、ムッツリーニ、秀吉、光一、姫路、島田、霧島の8名だ」

 

A班は常識があるメンバーで固めたから酷い鍋にはならないだろう。

砂原が面白がって何を入れるか心配だが……

 

班分けを決めた後机の移動など食事の準備を男性陣が行い、

女性陣は作りかけの料理に向かった。

姫路は楓に監視してもらっている。

 



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味と間接と脅威

バカテス11巻発売を記念して本日投稿いたしました!

5/12 修正


島田「お待たせ。オードブル出来たわよ」

 

翔子「………お待たせ」

 

準備を終えリビングで待っていると島田と霧島が大きな大皿を持ってやってきた。

 

島田「カルパチョにしてみたんだけど」

 

「「「おおっ」」」

 

雄二「島田って魚捌けたのか?」

 

島田「ううん、ウチは椎名さんと一緒にソースと盛り付けだけ」

 

椎名「魚なんて捌けませんから魚をおろしたのは代表ですよ」

 

明久「へぇ~霧島さんって魚も捌けるんだ」

 

霧島「………花嫁修業の一環」

 

貴浩「だってよ雄二。頼れる奥さんだこと」

 

雄二「………うるせぇ」

 

愛子「それで、こっちは牡蠣の酒蒸しと海鮮サラダだよ」

 

遅れて愛子となのはがテーブルに器を持ってくる。

殻付で蒸し上げられた牡蠣とエビやタコが入ったサラダだ。

 

愛子「もっとも僕は野菜を洗って盛り付けただけなんだけどね。

   あとはなのはがやってくれたんだ」

 

なのは「愛子ちゃんも手伝ってくれたからこんなに美味しそうにできたんだよ」

 

貴浩「そうだぞ愛子。それだけでも充分だ。ところで優子は何を作ったんだ?」

 

優子「アタシ達はおにぎりよ。やっぱりお米がないのは寂しいからね。

   でもご飯って言うのは味気ないからおにぎりにしてみたのよ」

 

砂原「でもただのおにぎりじゃないよん♪

   中に何か具材が入ってるからそれは食べてからのお楽しみにね♪」

 

刀麻「中に何が入ってるか楽しみだな」

 

雄二「じゃあ、全員揃った事だし食べるとするか」

 

秀吉「そうじゃな。代わりにワシらはジュースでも……」

 

命「あ、待って秀兄。優姉と一緒に飲み物も作っておいたんだ。今持ってくるね」

 

明久「僕も手伝うよ」

 

そういえばさっきミキサーの音がしてたな。

 

命「はい、特製フレッシュジュースです」

 

キッチンから明久と命がグラスに注いだジュースを持ってきた。

 

優子「はい、貴浩」

 

貴浩「ありがとう」

 

各自にジュースがいきわたる。

 

貴浩「それじゃ、かんぱーい」

 

「「「「「かんぱーい」」」」」

 

乾杯の声をあげてから、グラスをゆっくり口に運ぶ。

すると、絞りたての果実の甘酸っぱい香りが鼻孔に漂ってきた。

何種類か果物を混ぜたんだろうか。色々な香りがする。

フレッシュジュースなんて滅多に飲まないからな。

それに命と優子が折角作ってくれたんだじっくり味わうとしよう。

グラスを傾けて口に含み舌の上で転がす。

それは良く知った味のようでありながら、

今まで飲んだことの無い独特の風味でもあった。

酸味が強くコクがあり、それで刺激的な…

 

貴浩「・・・・・・・・・」

 

そんなタバスコの味わい。

 

貴浩「甘くて辛っ!何コレッ!?甘いのに辛い!?何コレ?嫌がらせか?」

 

床の上で転がりまわる俺。何故こんな目に……

 

優子「あれ?ごめんなさい。貴浩のことを考えていたら自然とタバスコ入れちゃってたわ」

 

愛子「ああ、それは仕方が無いね。自然な事だもん」

 

雄二「なんだ。貴浩のだけ特別製か」

 

秀吉「姉上は貴浩思いじゃな」

 

康太「………手が自然に動いたなら仕方が無い」

 

明久「良かったね貴浩」

 

貴浩「良くねぇよ!あと仕方が無くでもねぇからなっ!」

 

完全に油断した敵は姫路だけかと思ったが、

まさか優子がこんな行動をするなんて……俺が何かしたか?

 

それより何か飲み物を! 何か飲み物!

 

貴浩「雄二!俺にジュースを」

 

雄二「何言ってんだ貴浩。それじゃ間接キスになるだろう?」

 

貴浩「何言ってんだ!?今までそんなの気にしたことねぇだろが!

   なら、明久!ムッツリーニ!」

 

明久「ごめん。もう全部飲んじゃった」

 

康太「……俺も飲んだ」

 

貴浩「クソッ……なら秀吉」

 

優子「あら、秀吉。まだジュース飲み終わってないじゃない。

   まさか私と命が作ったジュースを誰かにあげるなんてしないでしょううね」

 

秀吉「もちろんじゃ。姉上と命が作ってくれたもの誰にもあげぬのじゃ」

 

貴浩「秀吉もか……光一と刀麻は……」

 

2人のほうを見てみると丁度飲み終わってしまったところだった。

 

貴浩「クソッ……辛い……」

 

優子「もう、しょうがないわ───」

 

椎名「貴浩君。私のでよければいいですよ」

 

優子の台詞を遮り椎名が俺に向けてジュースが残ったグラスをこちらに差し出してくる。

 

貴浩「いいのか?じゃあ、ありがたく貰うぞ」

 

椎名「はい、どうぞ。遠慮せず飲んでください」

 

俺は椎名からグラスを受け取るとすぐさま残ったジュースを飲んだ。

 

「「あぁ!?」」

 

俺は飲み終えたグラスを机におき

 

貴浩「ふぅ~助かった椎名。ありがとうな」

 

椎名「いえいえ、どういたしましてです」

 

すると皆が呆然としながら俺と椎名を見ていた。

楓だけがこちらを見ずにゆっくりとジュースを飲んでいるが…

ん?一体どうしたんだ?

 

砂原「あ、あのユッキー?」

 

椎名「なんですか鈴歌ちゃん?」

 

砂原「普通に今ター君にジュース渡してたけど……」

 

椎名「はい、それがどうかしましたか?」

 

砂原「え、いや……間接キスだけど……いいの……?」

 

貴浩「ああ、そういうことか」

 

椎名「ん?……別に良いんじゃないですか間接キスぐらい?」

 

砂原「えぇ!?いいの!?ユッキー熱無い?」

 

椎名「何でですか!?熱も風邪も引いてません。至って平常です!」

 

砂原「ええ、でも…?」

 

翔子「………確か椎名って男子が苦手だったはず」

 

椎名「はい、今でも苦手ですよ。でもここにいる方たちならもう大丈夫です!」

 

命「でも、貴浩君と間接キスしたんですよね?それはなんとも無いんですか?」

 

椎名「ああ、そういうことですか。はい、貴浩君相手なら別に気にしませんけど?」

 

椎名は命から問いにシレっと応える。

 

愛子「嘘っ!?なんで!?」

 

椎名「だって貴浩君とは間接キスなら何回かありますし……」

 

「「「「「ええぇぇ!?」」」」」

 

明久「た、貴浩、それ本当なの?」

 

貴浩「まあ……本当だな」

 

優子「……嘘」

 

光一「さっきから楓は黙ってますが、そのこと知ってたのか?」

 

楓「はい、知ってますし見たこともありますよ」

 

雄二「マジか……」

 

愛子「えぇ、な、なんで?」

 

貴浩「確か椎名が俺の家に遊びに来た時だな。

   楓も含めてゲームをしてた時か、適当にグラスを置いといたせいで

   どれがどのコップ使ってたのかわからなくなってな。

   とりあえず近くにあったグラスを使って飲んだんだが、 

   後々、それが椎名が使っていたグラスだとわかってた。

   それ以降はあまり気にしないで飲んでるよな」

 

椎名「はい、最初は恥ずかしかったですけど、

   考えたら高々間接ですから別に騒ぐ必要もないかなぁと思いまして、

   それにジュースですから飲んだら吸収されるわけですからね」

 

刀麻「確かにその通りだけど……」

 

雄二「そう簡単に割り切れるとは……」

 

椎名「もうこの話は終了です!早く鍋を食べましょうよ!」

 

明久「そ、そうだね。じゃあ鍋の準備しようか」

 

優子「ねぇ……愛子」

 

愛子「……なに優子」

 

優子「これは喜んでいいのか悲しむべきなのかどうなのかしら?」

 

愛子「うん、難しいよね。今の話しぶりからすると

   雪は貴浩君に好意は抱いてないと思うけど、もし抱いたら……」

 

優子「ええ、一番の脅威になるでしょうね」

 

「「ハァ~」」




いや、今回のバカテス11巻も大変面白かったです。

まだ購入されていない方は是非読んでみてください。
大変面白かったですから。

そして私は限定版を買ったのでドラマCDがついていたんですが、
それが明久たちが『バイトする話』と『ババアの実験でこども召喚獣の話』だったので
最高に面白かったです。


では、これからも応援よろしくお願いします


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ルールと食材選びと対策

5/12 修正


命「それでは、お鍋の用意を始めますね」

 

命と明久が持ってきたカセットコンロとウチにあったコンロの2つをテーブルの中央に並べる。

 

前菜を片付けて、いよいよメインの闇鍋が始まろうとしていた。

ではここで、恒例のルール説明だ。

 

①素材は食べられるものであること

②一度箸をつけた料理は必ず食べきること。

③用いる食材は各自1種類のみ(ただし、最初の出汁取りの昆布は別)

④各グループずつで作られた鍋に最低一度は箸をつける。

 

本来なら事前に準備していた材料を入れるんだが今日はそんな時間も無いので、

現在、我が家にある食材のみを使用するというルール。

これなら死につながるような物が混入されることない。

つまり命にかかわる危険なことは───

 

姫路「そう言えば私、調味料と一緒に具材も持ってきたんですよ」

 

ピシッ───

 

姫路の発言に一部の人達に旋律が走る。

 

迂闊だった・・・そういえば何で鍋が壊れたのか考えれば

何か危険物を持ってきていることを忘れていた。

 

島田「食材は1人ずつ、他の人に見えないように持ってくるということで良いのよね?」

 

光一「ああ、見えたら面白くないからな」

 

優子「それで、貴浩の言ったグループに別れて別々の鍋で作るのよね」

 

貴浩「ああ、そのとおりだ」

 

愛子「えっと、それじゃあボクから持ってくるね~」

 

そう言って、一番手の愛子が台所に消えていった。

続いて、優子、島田、砂原、椎名、霧島、楓、命が続いていく。

 

秀吉「次はワシじゃな」

 

緊張した面持ちで秀吉が立ち上がり、しばらくしてから何かを携えて戻ってきた。

 

康太「・・・・・・・・・行ってくる」

 

更にムッツリーニ、雄二、刀麻、光一、明久も何か持ってきて、元の位置に戻る。

さて、最後は俺の番か。

 

翔子『・・・・・・どんな味になるんだろう』

 

優子『ちょっと怖いわね』

 

愛子『そう?ボクは楽しみだけど?』

 

命『私は違う意味であちらの鍋が怖いですね』

 

楓『そうですね。でもいつもより酷い事にはならないですよね』

 

何も知らない女性陣(楓、命除く)の後ろを通り、キッチンへ向かう。

 

貴浩「さてと、それじゃあ何を持っていくとするかな」

 

いくら皆が持っていったものがわからないと言ったとしても、

ここはウチのキッチンだ。

昨日の夕食は俺が作ったから中になんの食材や材料があったかは覚えている。

とりあえず、戸棚から見てみるとするか。

 

戸棚、流し台、調味料入れなどを確認する。

ふむふむ、なくなっているのは

 

 

①タバスコ(新品)

②タバスコ(使いかけ)

③タバスコ(ピザのおまけ)

④マヨネーズ

⑤一味唐辛子

⑥鷹のツメ

 

 

貴浩「なぜだぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

何故殆どのヤツが辛いもの系統を持っていくんだ。

どんだけ辛党なんだよ!ってか鍋にマヨネーズってどうなんだ!?

ってか何故調味料に片寄るんだ!?食材をいれようぜ、鍋なんだしさ!!

 

優子『どうしたの貴浩?』

 

俺の絶叫を聞いて優子が声をかけてくる。

いけない、いけない。こんな事で取り乱してはいけない。

「大丈夫」と一声かけ食材選びを始める。

 

今度は冷蔵庫を開け何が無くなったり減っているか確認してみるとみると───

 

長ネギ、人参、豆腐×2、コンニャク、白菜、椎茸、豚肉、チョコレート

 

・・・・・・・・・・・・ん?何だ、今確認した中に可笑しな物がなかったか?

 

もう一度確認しよう。

 

長ネギ、人参、豆腐×2、コンニャク、白菜、椎茸、大根、チョコレート・・・・・

 

・・・チョコレート!?何故そんなものをチョイスしたんだ!?

 

誰だ、これを選んだやつ!?

 

甘いものと辛いものが混ざる可能性がでやがった。

おそらく、これは砂原か椎名のどちらかなはず、

残りは料理にそんなものを入れるわけが無いだろう。

まあ、闇鍋としてはいい選択なんだろう。

 

で、明久達だが長ネギ、人参、豆腐、コンニャクだろう。

一見、食材としてはごくありきたりに思える選択だと普通は思うだろう。

だが、それは表向きの考えだ。

 

長ネギは・・・薬効成分が含まれている。

ということは、長ネギで防壁を作りながら、念のために自分の身を守ろうという作戦だな。

 

人参は、流し台を見てみると皮を切っているのがわかる。

そして人参の先端や破片を切り捨ててあるのも見えた。

ってことは人参をある程度を大きさで四角の形で切ったのだろう。

これも防壁代わりにするつもりだろう。

 

豆腐は・・・・・・まるまる2丁無くなっていたのでそれぞれ1丁ずつ使ったのだろう。

コンニャクも無くなってるのも見てわかったので、

おそらく豆腐とコンニャク、そして先ほどの人参の3つを合わせ、

バリケードを作り、強度を増してるのだろう。

 

なので裏では姫路の具材をそれで囲って周りに侵食するのを防ぐのが目的だろう。

なんて上手い作戦だ。そしてナイス協力プレイだ。

これならそちらの鍋に手をつけてもバリケードがあるから安心だ。

 

じゃあ、俺たちの鍋にアレを入れるとするか。

 

俺はある食材を手にとり少し加工して席に戻った。

さて、どんな鍋になるのか楽しみだ。

 

 

 



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投入と審判と悲鳴

5/12 修正


グツグツと美味しそうな音を立てて鍋が煮えている。

テーブルに2つのカセットコンロに2つの大きな土鍋。

中身は出汁を取るために入れた昆布以外は何も入っていない状態だ。

 

楓「それでは、電気を消しますね」

 

楓の声と同時に、パチン、とスイッチを押す軽い音がした。

カーテンが閉められたリビングの中に、コンロの火だけがゆらめく。

こちら側の鍋ではお気楽に始まろうとしていたが、

明久達の鍋では生死をかけた戦いが始まろうとしていた。

 

愛子「ボクから入れるね~」

 

光一「こちらは俺から入れるぞ」

 

こちらの鍋は愛子から、向こうの鍋は光一から具材を投入した。

鍋に具材を中に入れた音が部屋に響いた。

 

椎名「何を入れたんでしょうね?ドキドキします」

 

続いて、こちらの鍋に、優子、なのは、椎名、刀麻、砂原、楓、命が順に入れていく。

あちら側の鍋では、島田、霧島、秀吉、ムッツリーニ、雄二、明久と順に入れていき

残りは俺と姫路だけとなる。

 

貴浩「さて、俺も入れるか」

 

俺は先ほど冷蔵庫から取り出した食材、豚肉をとりだし中に入れていく。

やはり、鍋には肉がないとな。誰も肉に手を出していない見たいだったし。

そして豚肉をゆっくり鍋に投入して蓋を閉じる。

 

愛子「うわぁ~。皆が何を入れたかわからないからドキドキするね」

 

優子「ええ、ちょっと食べるのが怖いわね」

 

砂原「このドキドキ感が逆にいいかもだよ♪」

 

なのは「そうですね。たまにはこういうのも面白いかも」

 

刀麻「まさか、料理でここまで緊張するなんてな」

 

椎名「はい、少しどんな料理が出来上がるのか楽しみです」

 

命「こちらの料理はまあ食べれる状態ですよね」

 

楓「はい、兄さんがそう班分けしてますからね」

 

貴浩「こちらの鍋は闇鍋らしい鍋が出来上がるはずだ・・・向こうは・・・」

 

向こうの側を見てみると、いよいよ姫路が具材をいれるところだった。

俺と楓、命は全神経を耳に集中してどんな投入音がするのか耳を研ぎ澄ます。

それは俺たちだけでなく明久たちにも言えることだった。

 

そして姫路の食材が鍋に投入された。

 

トポ、トポ・・・

 

音から察するに投入物は固体より液体に近い。ゼリー状の何かだろうか。

だが、明久達が協力して姫路の前にバリケードを作ってるはずだ。

その中に手を出さなければ何にも問題は無いはず。

 

雄二「それじゃあ、もう一度火をつけて煮込むぞ」

 

室内に小さな明かりが灯り、静寂の時間が流れた。

 

 

 

       ☆

 

 

 

鍋が煮えるまでの待ち時間が、ゆっくり過ぎた。

 

明久「そろそろ良い頃合だね。火を消そうか」

 

命「そうですね。そろそろ良いでしょうね」

 

しばらくしてから、コンロのガスが絞られ部屋の中に三度暗闇が訪れた。

 

優子「いよいよね・・・」

 

翔子「・・・・・・ドキドキする」

 

愛子「どんな味がするのかな~」

 

砂原「楽しみだね」

 

ちょっと緊張しながらどこか楽しそうにしている女性陣。

 

楓「では、開けてみますね」

 

島田「じゃあ、こっちも開けるわね」

 

鍋掴みを手に楓と島田が鍋の蓋をゆっくり持ち上げる。

すると、タバスコの臭気が漂ってきた。

これはどちらの鍋からもタバスコの匂いがする。

ってことはやはりどちらの鍋にもタバスコが投入されたわけか。

 

「「「うっ・・・・・・」」」

 

女性陣が顔を歪める気配。

 

明久「それじゃあ、いよいよ闇鍋スタートだね」

 

雄二「よしっ!やってやるぜっ!」

 

貴浩「じゃあ、まず明久達の鍋から一口食べるとするか」

 

俺はお玉を手にとり明久達の鍋にゆっくり入れていく。

明久も俺に続くよう、お玉を手に取り鍋にゆっくり入れる。

雄二達も俺と明久のお玉をじっくり静観していた。

 

さてと、零さないように取り出すか。

 

 

どろり    ←溶解した人参、コンニャク、豆腐が混ざったやつの欠片

 

 

「「「・・・・・・・・・・・・」」」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・は?

 

一瞬思考が停止する。いやいや、これは何かの見間違えだろう。

俺の頭の中で姫路×料理=危険物という方程式ができてるからそう勝手に認識しただけだ。

きっとそうに違いない。暗くてよく見えないからそう思っただけだ。

一応規則なので俺は器によそったモノを入れる。

そして、まだお玉をあげていない明久の方を見る。

 

 

どろり    ←溶解した人参、コンニャク、豆腐が混ざったやつの欠片

 

 

「「大事な防壁がぁーっ!?」」

 

「な、何よ!?いきなりどうしたのよ貴浩に明久君!?」

 

暗闇の中、突然絶叫した俺と明久に優子が驚いていた。

 

なんで、明久たちが作ったバリケードが溶けているんだ!?

何と反応したんだ?どうして鍋物なのに化学反応が起きてるんだ!?

 

雄二「恐ろしいなヤツだ姫路・・・俺たちの策なんか通用する相手じゃないってことか・・・・・・」

 

まさか防壁ごと破壊してくるなんて。

アイツの考えは明久達の策を簡単に覆してしまうなんて。

 

命「明久君・・・・・・」

 

明久「いや、気にしないでいいよ命・・・。所詮僕らは奪われる側の存在だったんだ・・・・・・」

 

貴浩「ああ、俺たちの考えが浅かったんだな・・・」

 

愛子「何があったんだろ?」

 

余計な事は知らない方がいい。どうせ、今更知ったところで間に合わないし

 

優子「ま、まあいいわ。とにかく私も・・・・・・」

 

と手を伸ばす優子。

 

貴浩「待て、優子」

 

俺はそんな優子に止めてゆっくり指を組んだ。そして、厳かに言葉を紡ぎ出す。

 

貴浩「・・・・・・天にまします我らが父よ・・・・・・」

 

優子「? 貴浩、何冗談やってるのよ」

 

命「優姉!本気で祈って!私はお姉ちゃんを失いたくないの!」

 

明久、雄二、楓、ムッツリーニ、秀吉が無心に祈りを捧げている気配が伝わってくる。

俺たちの気持ちは一緒だ。

 

貴浩「────アーメン」

 

「「「「────アーメン」」」

 

十字を切って・・・・・・さて、いよいよ審判の時だな。

 

目が暗闇に慣れてきたので器を上げて中身を観察する。

温かい湯気と共に立ち上る臭気。なんだろうか。

この湯気はやけに目に染みるな。

 

秀吉「た、貴浩!?ワシには湯気が紫色に見えるのじゃが!?」

 

明久「ぐぅぅっ!目がっ!目がああぁぁぁぁっ!?」

 

楓「落ち着いてください明久君。引っ繰り返したら大惨事ですよっ!」

 

雄二「楓の言うとおりだ。お前の行動もわからないでもないが今はひとまず落ち着けっ!」

 

雄二が明久の腕を押さえつける。

 

島田「もうアキって何を遊んでるのよ」

 

砂原「さすがアッキーだね。いつも面白いね♪」

 

霧島「・・・・・・はしゃいでる」

 

愛子「吉井君たちは、いつも楽しそうだよね~」

 

椎名「はいっ!おかげで私もいつも楽しませてもらってます」

 

違うんだ。そうじゃないんだ・・・!

 

霧島「・・・・・・いただきます」

 

まずは霧島が先陣をきり少し汁を啜った。さて、どうだ・・・?大丈夫なのか・・・・・・?

 

霧島「・・・・・・臭いほど、変な味でもない」

 

雄二「翔子!?お前の声が直接脳に響いて来るんだが、

   魂はきちんと身体の中に入っているのか!?」

 

霧島の背中から白いボヤッとしたものが出てるように見える。

これって危険なんじゃないか!?

 

島田「アキも遊んでばかりいないで食べたら?いただきまーす」

 

愛子「ボクもいただきまーす」

 

砂原「じゃあ、私もいただくよん♪」

 

優子「そうね。私も頂くとするわ」

 

楓「・・・・・・そうですね。勇気をだして頂きます」

 

命「うん、大丈夫。貴浩君や明久君のおかげでいつもより致死性は低いはずだから」

 

そして今度は残りの女性陣が化学兵器を口にした。

 

「「「きゃぁぁあぁぁああ!!」」」

 

明久「えええぇ!?食べ物を口にして悲鳴をあげるなんておかしくない!?」

 

光一「ああ、普通の感想は『美味しい』か『不味い』の2択のはずだからな」

 

そして女性陣は一人残らず机に突っ伏して動かなくなった。

俺はすぐさま安否を確認する。

 

貴浩「大丈夫だ。呼吸と脈はある。意識を失ってるだけだ」

 

明久「ふぅ~良かった」

 

雄二「ってか姫路本人も倒れてるぞ。コイツ、本当に今までの料理味見してなかったんだな」

 

秀吉「一応念のために飲み物を用意しておくかの」

 

康太「・・・・・・・・・手伝う」

 

貴浩「お茶なら冷蔵庫に入ってるから容器ごと持ってきてくれていいぞ」

 

俺達は女性陣が目を覚めるのを祈るだけだった。

 



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目覚めと耐性と戦慄

5/12 修正


女性陣が姫路の具材が入った闇鍋を食べてから数分後

 

優子「うぅ……な、なんなの、あの味は……」

 

霧島「………食べ物とは思えない味」

 

愛子「ぼ、ボクもこれはちょっと……」

 

良かった……一命は取り留めたみたいだな。

 

砂原「提案したのは私だけど…まさか、こんな味になるなんて……」

 

命「これが姫路さんの料理なんですね……

  少ししか入れてないはずなのにこの威力なんて……」

 

楓「はい、少し甘く見てました。まさかここまでの威力だったなんて……

  それを兄さんや明久君たちは今日以上の破壊力あるお弁当を食べていたんですね……」

 

飲み物を手にして口直しをする女性陣。

そうやって落ち着いているのを待ってると、

 

愛子「じゃあ、次は貴浩君たちが食べる番だよね」

 

愛子がそんなことを言い出した。

 

砂原「そうだね。次は男子の番だよね。

   まあ、私達のを見たあとだから…よし、なら私達が食べさせてあげよう」

 

翔子「………鈴歌それいい案」

 

愛子「そうだね。僕達が食べさせてあげるよ」

 

砂原の発言で断る雰囲気で無くなる。

よし…ここはトイレとか言って一時離脱するか。

 

ガシッ

 

そんなことを考えていると後ろから誰かが俺を捕まえた気がする。

 

貴浩「え?」

 

椎名「ダメですよ、貴浩君。さあ愛子ちゃん、優子ちゃん。貴浩君に食べさせてください」

 

なにぃ、椎名だと!?お前は俺の味方じゃなかったのか!

 

愛子「良かったね貴浩君。雪に後ろから抱きつかれて。

   それにボクと優子の2人から食べさせてもらえるんだよ」

 

ああ、確かに女子に食べさせてもらえるのは嬉しいが、

 

優子「ナイスよ雪。そんなに照れなくてもいいのよ貴浩」

 

優子の言うとおり、少し照れはするが、

これが姫路の食材が入った料理でなきゃ最高なんだが……

 

そこで俺は周りに助けを求めるため辺りを見渡すと、

 

光一「………」

 

光一は自分から手を出し倒れていた。なんて男なんだお前は。カッコよすぎるぞ。

 

霧島「……雄二、あーん」

 

雄二「冗談じゃねぇ!俺は食わねぇし、倒れても人工呼吸なんざいらねぇ!」

 

雄二は霧島に迫られてるのが見てわかる。

 

なのは「少し恥ずかしいけど、はい、康太君、あ~ん」

 

康太「………(フルフル)」

 

なのは「やっぱり私が食べさせるのは嫌かな……」

 

康太「………」

 

ムッツリーニはなのはの発言を聞き、仕方が無く口を開く。

まあ、あんな発言をされたら断れないよな。

 

砂原「さあ、とっちん!口を開けるんだ!

   余り者のとっちんには私が食べさせてあげるよん♪」

 

刀麻「くっ……」

 

刀麻は好きな相手から食べさせてもらえる最高のポジだが、

先ほどの光景を見たあとなので素直に喜べないっていうのが現状だろうな。

 

命「はい、明久君。このこんにゃく少し溶けてますけど、

  これなら少しは大丈夫だと思うから……」

 

明久「その気遣いだけで嬉しいよ命……」

 

楓「葱なら少し殺菌作用があるから幾分は大丈夫だと思いますが…」

 

秀吉「うむ、大丈夫じゃ。楓の心遣い感謝するぞい」

 

事情を知ってる楓と命は被害が最小限ですむような手を使っていた。

ちなみに島田と姫路は明久と命の行動を恨めしそうに見ていた。

 

優子「貴浩、余所見なんかしないで早く口を開けなさい」

 

愛子「大丈夫。ボクと優子が人工呼吸してあげるから」

 

貴浩「いや、それ倒れる前提だよな!」

 

愛子「今だ!」

 

貴浩「ムゴッ」

 

そんなツッコミを入れた瞬間に優子と愛子の2人から口の中に劇物を押し込められる。

薄れいく意識の中で見たのは、仲間達の口の中に劇物が押し込まれる瞬間だった。

 

 

やられた…意識が……

 

 

愛子『じゃあ、最初にボクが手本を見せるからそのあと優子だよ』

 

優子『ええ、愛子。わかったわ』

 

 

もう…意識が……

 

 

霧島『……雄二。今から助けてあげる』

 

砂原『おーいとっちん。聞こえるか~い(ペシッペシッ)』

 

 

意識が…………なくならない。

 

 

貴浩「ん?全然平気だ」

 

明久「あっ、本当だ」

 

雄二「なんだ、たいしたことないじゃないか」

 

康太「………どうということはない」

 

秀吉「んむ?本当じゃな、辛いことには辛いが、そこまでないのう」

 

口にした俺と明久、雄二、ムッツリーニ、秀吉は意識を失うことなく平然としていた。

初めて口にした光一と刀麻は気絶していたが…

 

貴浩「おそらく耐性がついたんだろうな」

 

雄二「なるほど。事あるごとに口にしてきたからな」

 

康太「………複雑な気分」

 

タバスコと溶けた豆腐とコンニャクの混ざり合ったスープを絡めて

ニンジンや葱を食べたおかげでいつもより威力が下がっていたのだろう。

明久たちに感謝だな。

 

秀吉「それに楓の心配りがあったからのう」

 

明久「うん、そうだね。じゃあ光一と刀麻の2人の処置をしよう。

   2人は僕達と違って耐性ないだろうし」

 

貴浩「ああ、そうだな」

 

そして俺達は気絶している刀麻と光一の処置に取り掛かった。

 

優子「なんでアナタ達は平気なのよ…」

 

翔子「……理解できない」

 

愛子「貴浩君たちって味覚障害……?」

 

砂原「うはぁ~、これは驚きだね~」

 

命「ああ、明久君が無事で何よりです」

 

楓「はい、耐性ができるほど食べていたと言うのは複雑ですけど、無事なら何よりです」

 

優子達が平然としている俺達を見て戦慄していた。

 

 



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辛さと痛みと仕返し

5/12 修正


それから数分、皆があの劇物料理を食べて落ち着きを取り戻した頃、

 

明久「じゃあ、今度は貴浩たちの班の鍋でも食べようか」

 

雄二「そうだな。そっちの鍋はこっちみたいなことにはならないだろう」

 

そちらの鍋は姫路の劇物が入っているが、こちらの鍋にはそれはない。

それを考慮して班分けしたのだからそれはそうだろう。

まあ味が美味しいかどうかは別だが……

 

そこで優子たちを見てみると先ほどの鍋がよほど強烈だったのか、

こちらの鍋に手を出すのを躊躇していた。

 

貴浩「さっきは女性陣が先に食べたから今度は男性陣から食べるとするか」

 

秀吉「そうじゃな」

 

康太「………今度は俺達の番」

 

俺の台詞に続くように男性陣から賛成の台詞があがり、順番に器に掬っていく。

さて、劇物は入っていないだろうがどんな味なのだろうか?

あっちの鍋は姫路のアレが強烈だったから何が入っていたのかあまり覚えていないからな。

もしかしたらこちらにマヨネーズとチョコレートが入ってるかもしれない。

タバスコはかなりの高確率で入ってるだろうし……

 

皆が俺を見つめる中、俺は暗闇の中、口に入れる。

 

優子「……どうなの?」

 

……ふむ…適度の辛味とほんのりとした甘み、

そしてお肉と野菜の歯ごたえ……そして再び辛さ……

 

貴浩「辛っ!いや、痛っ!痛っ!」

 

辛いを通り越して痛い……この辛さは絶対タカの爪の辛さだ。

口に入れて噛んだ瞬間にわかった。

しかも丸々1本口に入れてるぞ!

 

貴浩「お、お茶くれ!」

 

愛子「う、うん」

 

俺はお茶をくれるよう促すと愛子がすぐに持ってきてくれる。

 

ゴクッ ゴクッ

 

貴浩「ふぅ~」

 

命「どうだった?」

 

貴浩「まあかなり辛かったけど美味しかったぞ」

 

明久「そこまで辛かったの?」

 

貴浩「ああ、おそらくだがタカの爪、丸々一本口に入れたぞ、俺」

 

刀麻「うわぁ…そりゃあ辛ぇよ…」

 

貴浩「でも食えないモノじゃないぞ」

 

俺はそういうと残りの男性陣が口に運ぶ。

 

明久「っ!辛っ!」

 

雄二「こ、これは、貴浩の言うとおり辛えな」

 

秀吉「ふむ、少し辛いことには辛いが美味しいのう」

 

康太「………肉と野菜がいい具合にできてる」

 

光一「…ああ、康太の言うとおりだな。だが、野菜の甘さの他に何か別の甘さが無いか…?」

 

刀麻「うげっ!?辛っ!」

 

おぉ、明久、雄二、刀麻がタカの爪に当たったか。

光一の発言を聞く限り俺の間違いじゃなかったか。

この鍋にタバスコとタカの爪、チョコレートが入っていることは確認できた。

そして食べた感じで豚肉と豆腐、ネギって感じか?

一口しか食べてないからコレくらいしかわからないな

 

雄二「まあ貴浩の言う通り、辛いことは辛いが美味いな」

 

貴浩「だろ?辛いけどな」

 

さてと、次は女性陣の番だな

 

明久「じゃあ、次はみんなの番だね」

 

明久がそう台詞を口にし命たちのほうを振り返ると

用意していたレンゲを使い命の口に運んでいく。

 

命「え、えぇ!?////あ、あの明久君な、なにを…?////」

 

命は明久の行動を理解できずあたふたとしていた。

この暗い中では行動ぐらいしかあまりわからないが顔が真っ赤になっているだろうな。

 

明久「ん?さっきのお返しだよ。さあ命、口を開けて」

 

明久はそう口にすると、さらにレンゲを命の口に近づける。

 

命「……あ~ん////」

 

どうやら命は観念したのか口を開けた。

ムッツリーニと秀吉も明久に続いた。

 

康太「………遠慮するな、なのは」

 

なのは「………あ~ん////」

 

秀吉「では、楓よ、少し熱いから気をつけるのじゃぞ」

 

楓「はい、あ~ん////」

 

そして雄二と刀麻はというと

 

刀麻「さあ、口を開けろ砂原。さっきのお返しをしてやるよ!」

 

砂原「い、いや~私は自分で食べれるから大丈夫だよ」

 

刀麻「まあまあ、そう遠慮するなって……」

 

さっき意外と多めに食べさせられたことの仕返しなのか

砂原にレンゲにを持って砂原に迫っていた。

 

翔子「……雄二、待ってる」

 

雄二「…これが暗くて助かったな…こんなところ誰にも見られたくねえし」

 

雄二の場合、霧島が雄二から食べさせてもらうのを待ってるみたいだな。

まあ、今回はからかうのは止すとするか。

姫路と島田の2人は明久と命を羨ましそうに見ていた。

 

では、俺もやるとするか

 

貴浩「さて、優子、愛子、椎名、さっきはどうもありがとうな。

   3人がかりで食べさせてくれて大変嬉しかったよ」

 

優子「そ、そう?だから…」

 

愛子「それならよ、良かったよ。だからね…」

 

椎名「はい、そうですね…ですから…」

 

俺は3人の台詞を遮り

 

貴浩「今度は俺が食べさせてやるよ」

 

俺は器とレンゲを持って3人に近づいていく。

三人もジリジリ後ろに後退してようとするが逃がさない。

まずは優子からにするか…

 

貴浩「さあ、口を開けるんだ。じゃないと火傷するぞ」

 

優子「うぅ////あ~ん////」

 

優子は恐る恐るレンゲを口に入れる。

 

愛子「ど、どう優子?」

 

優子「……美味しい…確かに辛いけど美味しいわね……それより恥ずかしかったけど…////」

 

貴浩「さすがにタカの爪は入れないように神経使いながら探したんだぞ。

   じゃあ、次は愛子だな」

 

愛子「えぇ!?////ぼ、僕もさせるの?優子だけじゃダメ?」

 

貴浩「ダメだ…優子、愛子が逃げないように捕まえておけ」

 

優子「ええ、もちろん。アタシだけ恥ずかしい目にあうのは割に合わないし…」

 

愛子「優子の裏切り者~っ!!」

 

貴浩「さあ、口を開けるんだ。じゃないと火傷するぞ」

 

愛子「う、うん////あ~ん////……あ、本当だ。美味しい」

 

貴浩「だろ、じゃあ最後に椎名だな」

 

椎名「わ、私は良いですよ…」

 

愛子「雪も遠慮しなくていいんだよ(ガシッ)」

 

優子「ええ、遠慮しなくていいのよ(ガシッ)」

 

椎名「あの~優子ちゃん、愛子ちゃん、そう言いながらなんで腕を掴んでるの?」

 

貴浩「よくやった二人とも、さあ、口を開けるんだ椎名。じゃないと火傷するぞ」

 

椎名「ええぃ!もう何でも来いですっ!パクッ!」

 

椎名は観念したのか躊躇うのをやめ、躊躇無くレンゲを口に入れる。

 

椎名「うぅ…か、辛いですっ……辛いのキライだからチョコ入れたのに…全然効果ないです…」

 

お前がチョコレートを入れた犯人か…

 

その後は普通に俺達の班の鍋を食べていった。

姫路の劇物が入った料理はさすがに誰も手をつけなかった。

その後の処理は光一に頼んでおいた専門業者に鍋ごと処理をお願いした。

こうして、食事会は幕を閉じ解散となった。

 



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過去編
過去話と馴れ初めと合格発表


皆様お待たせいたしましたっ!
ようやく修正作業も終わり今日から更新を再開したいと思います。
それで要望のありました貴浩や明久たちの過去、まあ1年の頃の話をしたいと思います。





あの闇鍋から2週間が過ぎたある日

 

椎名「ふぅ~今日も張り切っちゃいましたね。

   それにしても優子ちゃんも愛子ちゃんも操作上手くなりましたね」

 

貴浩「ああ、本当だな。

   ってか愛子はともかく優子がゲームするなんて驚きだな・・・」

 

今日は明久や雄二、ムッツリーニ、秀吉のいつものメンバーに加え、

命や優子、愛子、椎名、なのは、翔子が俺の家に遊びに来ていた。

そして最近になって優子と愛子がゲームを始めたという事もあり、

俺と椎名の2人で優子と愛子に協力して狩りゲーを行っている。

 

雄二「だな。木下姉は優等生ってイメージが強いからな。

   正直ゲームするイメージがつかめねぇな・・・」

 

優子「それはアタシだって息抜きするわよ・・・・・・

   少しでも貴浩と一緒にいるためでもあるんだけど・・・(ボソッ)」

 

愛子「そうだよね。僕達から動かないといけないからね・・・(ボソッ)」

 

明久「2人とも頑張ってね」

 

椎名「そういえば・・・吉井君と命ちゃん、秀吉君に楓ちゃんは付き合ってるんですよね・・・?」

 

明久「あ、うん・・・・・・そうだよ////」

 

命「・・・・・・はい////」

 

秀吉「そうじゃな///」

 

楓「そうですね。私とヒデ君はお付き合いしてますね。

  それがどうかしたんですか?」

 

椎名「い、いえ・・・楓ちゃんと命ちゃんは吉井君と秀吉君のどこが

   好きになったのか気になったてたんですよね」

 

なのは「あ、それ気になる。ちなみに馴れ初めっていつからなの?

    翔子ちゃんと坂本君は小学校からって聞いてるけど・・・4人はどうなの?」

 

翔子「・・・・・・貴浩は知ってるの?」

 

貴浩「まあ・・・だいたいは予想はつくな・・・・・・今考えたら俺がキューピットみたいだし・・・」

 

命「そうですね。正直、貴浩君のおかげで明久君の彼女になれたわけですし・・・」

 

貴浩「・・・・・・そうだな。時間もあるし少し話すとするか・・・

   愛子もいることだし・・・俺たちの馴れ初めから話すとするか・・・・・・」

 

 

 

 

 

          ★

 

 

 

 

          ★

 

 

 

 

 

まだ肌寒い3月。

俺達はとある高校に向かって歩いてた。

 

貴浩「……」

 

明久「ハァ…」

 

楓「………」

 

明久「ふぅ…」

 

貴浩「…………」

 

明久「ああぁ…」

 

貴浩「…おい」

 

明久「…なに?」

 

貴浩「さっきからうるさいんだが・・・」

 

俺は隣りを歩く明久に向かって言う。

 

明久「しかたないでしょ!! 緊張してるんだからさ!!

   心臓が破裂しそうな勢いなんだよ!!

   だから緊張してるんだよ! ビビってるんだよ!」

 

楓「…落ち着きましょうよ明久君。日本語がおかしいですよ・・・」

  

貴浩「楓の言うとおりだ。あと急にテンションあげんな…かなりウザいから」

 

明久「ウザいとか言わないでよ! 傷つくだろ!!

   ……はぁ、なんで2人はそんなに落ち着いてるの?

   今日が何の日か分かってるの?」

 

貴浩「高校の合格発表の日」

 

そう。今日は文月学園の合格発表の日だ。

 

明久「そうだよ! なのにそんなに落ち着いてるの!?

   普通は緊張するもんでしょ!!」

 

貴浩「俺と楓はお前と違って受かる自信あるしな」

 

明久「うわッ! ウザッ! 確かに僕は貴浩と楓に比べたら成績は良くないけどさ・・・」

 

楓「まぁそうですけど…ここまできたら腹くくるしかありませんよ・・・」

 

貴浩「楓の言うとおりだ。ほら、さっさっと行くぞ」

 

明久「ハァ。あいよ…」

 

今日は俺達が受験した高校の合格発表の日だ。

多くの中学生達が歓喜に湧いたり、悲しみに涙する日である。

だから普通は明久のように緊張するんだろうが、

俺と楓は普通に合格できる範囲だったし試験も解けたから大丈夫という自信がある。

 

そんなことを考えてたら高校に着いた。

 

明久「やばいよ~着いちまったよ。ヤバいよ? マジヤバいよ!!」

 

貴浩「何がヤバいんだ。いいかげんハラくくれバカ」

 

楓「そうですよ。それに大丈夫ですよ。

  それに明久君も勉強したんですから大丈夫ですよ」

 

今回の受験のために明久は俺と楓の2人がかりで勉強を教えた。

自慢じゃないが中学の時は成績は上位だったからな。

 

流石に合格発表の日とあって学生が多い。

おそらく合格したんだろう、友達同士抱き合って喜んでいる者、

嬉し涙を流している者、ケータイで笑顔で電話している者などがそこにはいた。

 

明久「ねえ貴浩君、お願いがあるんだけど…」

 

貴浩「……なんだよ?気持ち悪いな」

 

明久「僕の代わりに合否を見てきてッ!」

 

貴浩「はぁ~?何でだよ?自分で見ろよ」

 

明久「極度の緊張により足が動きません…」

 

貴浩「お前どんだけビビってんだよ…バカなこと言ってないで行くぞ。楓行こうか」

 

楓「はい」

 

ガシッ!

 

ズリズリ…

 

明久「ちょっ!? やめ、離して!」

 

バカなことを言っているバカの襟首を掴んで無理矢理、

合格発表が行われている掲示板に引きずっていく。

 

パッ

 

ドゴォ!

 

明久「うげッ!!」

 

掲示板に着いたので今まで引きずっていた明久(バカ)を離す。

 

明久「何するの!! イタいじゃないか!!」

 

貴浩「うるせェな。わざとだ。それにここまで運んでやったんだ、

   感謝されこそすれ恨まれる筋合いはないぞ」

 

となりでまだギャーギャー言ってるバカを放って俺は掲示板を覗く。

 

貴浩「さて俺の番号はっと…」

 

俺の番号は167番だ

 

貴浩「おっ、あったあった」

 

掲示板には俺の番号が書かれてあった。

 

貴浩「やっぱ受かってたな」

 

俺が思っていた通り、見事に合格していた。

 

貴浩「…で? 楓と明久はどうだったんだ?」

 

楓「はい、私は大丈夫でしたよ」

 

貴浩「で、明久は?」

 

明久「…まだ見てない…」

 

貴浩「早くしろよ」

 

明久「…怖い…」

 

貴浩「このビビりめ…」

 

明久「頼むよ! 一生のお願いだッ! 僕の代わりに見て!!」

 

貴浩「……こんなので一生の願いなんてするなよ。

   まぁ土下座でもしたら見てやっても…」

 

俺は悪ふざけでそういうと

 

ガバッ

 

明久「お願いします」

 

その場で土下座するバカ。こいつにはプライドはないのか…

 

楓「・・・・・・本当に土下座してますよ・・・」

 

貴浩「本当にするなよ……わかった…見るから、土下座やめろ。俺たちがハズいから」

 

さて、コイツは受かってんのかね…

 

明久の番号を探す…確か番号は179番だな。

 

番号を探す…

 

 

 

……………………………

 

 

 

ポンッ

 

 

貴浩「…明久」

 

明久の肩に手を置き、神妙な顔で俺は告げる。

 

明久「ど、どうだった…?」

 

楓「兄さん、どうでした?」

 

貴浩「……あのな…非常に言いづらいんだが……お前は…」

 

明久「…な、なに…?」

 

楓「え?・・・・・・うそですよね・・・」

 

貴浩「…残念ながら………………………………………………

   …………………………………受かってやがったぞ……」

 

明久「…そっかぁ…ダメだったんだ…まぁ仕方がないよね……

   これも運命………って受かってるんだ!!!!」

 

貴浩「おお~見事なノリツッコミだな。さすが明久」

 

明久「なんでそんな紛らわしいことするんだよッ!!!

   ていうか『残念ながら』っなんだ!!」

 

貴浩「そんなの決まってるだろ。面白いからしかないだろ」

 

楓「兄さん、今回のは性質が悪いですよ・・・」

 

貴浩「まぁそうだな・・・。良かったじゃないか無事合格出来て」

 

明久「ぐッ…まぁね…そっか合格したんだ僕……良かった

   ……………良かったよ! 貴浩! 楓!」

 

楓「良かったですね明久君」

 

貴浩「だな。小学校から高校まで同じとは・・・まあこれからもよろしくな」

 

さて、そろそろ退散するか。

まだ引っ越したばっかりで荷物整理しないといけないからな・・・

 

俺たちは帰ろうとすると、後ろから声が聞こえてくる。

 

秀吉「あ、姉上、命、ワシ受かっておるのじゃ!」

 

命「私もだよ。これでまた3人同じだね」

 

優子「そうね・・・また3人同じ学校ね・・・」

 

3人の男女の姿が目に入る。

どうやらあの3人も受かったようだな。

それにしても似てるなあの3人。姉妹か何かだろう。

あとどこかで見たことあるような・・・・・・う~ん、思い出せない・・・

 

明久「どうしたの貴浩?」

 

貴浩「いや、何でもない・・・そういえば明久も来週から一人暮らしが始まるんだろ?」

 

明久「うん、母さんも父さんも来週からアメリカに行くからね。

   貴浩たちは先週から新しい家に移ったんだよね」

 

楓「はい、まあウチの場合は父の気まぐれの引越しですけど・・・」

 

明久「気まぐれに引越しって・・・・・・お金あるよね・・・普通にできないよ・・・」

 

貴浩「まあ・・・嫌味じゃないがウチは両親が共働きだし・・・

   親父が貿易業やってるからな・・・・・・。

   で、親父は昨日からまた仕事でどっか行ったけどな・・・」

 

楓「母も今回は父についていきましたしね・・・・・・」

 

明久「ウチもだけど貴浩の所の親も結構放任主義だよね・・・・・・」

 

貴浩「まあ、そのほうが気が楽だけどな・・・」

 

楓「あ、今日もウチで夕ご飯で食べましょうね。合格祝いしましょう」

 

明久「あ、うん。じゃあ一度部屋に帰って荷物整理してから行くね」

 

貴浩「おう」

 

そうして夜、ウチの家で合格祝いと称し騒いだ。

 



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喧嘩と仲直りと友情

文月学園に入学して2週間が過ぎようとしていた。

 

俺と明久は同じクラスのDクラス、楓はAクラスになっていた。

最初は楓1人別クラスで心配したが早くも友人が出来たらしく兄としては一安心だ。

 

俺は部活に入らず今は校内を探索中・・・正直部活に入るか悩んでいたりする。

明久は部活に入っていない。

楓は入学してすぐに演劇部へ入部した。

楓の演劇にかける情熱は凄いからな

・・・・・・さて、今日は帰るとするか新作のゲームもまだ途中だし・・・

 

 

 

 

~1-Dの教室・放課後~

 

 

雄二「やれやれ……やってもいないことに文句ばかり抜かしやがって」

 

雄二は中学の頃は悪鬼羅刹と呼ばれていて少し性格が悪い。

 

俺は廊下を独りぐちる。そして1人で帰り支度をすませていると、

 

雄二「っと、と・・・・・・」

 

誰かの机にぶつかり中に入っていた教科書が落ちてしまった。

 

雄二「この時期からもうこのザマとは勉強熱心なヤツだな」

 

とりあえず落としてしまった教科書を拾おうと手を伸ばす。

そしてその惨状に気がついた。

 

雄二「・・・これは酷いものだな・・・・・・」

 

そこには表紙は破れ、ページはぐちゃぐちゃになっていた。

新品で受け取ったばかりなので普通に使用していればまずはこうならない。

 

その教科書を拾い裏表紙を見ると

そこには『島田美波』と名前が書かれているのがわかった。

彼女はドイツからの帰国子女でまだ日本語が上手く言えないみたいだった。

 

雄二「そういえばあいつ、初日にクラスの連中を『ブタ』呼ばわりしてたっけ」

 

おそろく本人は意味をよく理解せずに言ったのだろうが、

それに腹立てた連中がやったんだろうな・・・

 

雄二「・・・・・・まぁいいか。俺には関係のない事だ」

 

それをしばらく観察してから、机の中に戻そうとする。

 

その時だった

 

雄二「っ!?」

 

目の端に高速で動く何かが映った。

頭が判断する前に体が勝手に反応し、その場から大きく飛びのく。

間一髪で回避が間に合い、目の前の誰かの拳が通過する。

この時点でようやく、誰かが俺に殴りかかってきた、ということを理解した。

俺は体勢を立て直し、拳の主を見る。

 

そこには

 

明久「・・・・・・・・・・」

 

俺とは入学初日から因縁のある人物だった。

 

雄二「どういうつもりだ、テメェ」

 

静かに吉井に問いかける。

2人は互いを快く思っていなかった。

 

明久「………なに……やってんだよ……」

 

雄二「それを聞きたいのはこっちのほう──」

 

明久「オマエ、その子の席で何やってるんだって聞いてるんだよ!」

 

いつものマヌケな姿からは想像つかないような怒鳴り声をあげる吉井。

その視線は俺の右手へと向いていた。

・・・・・・正しくは俺の持ってるボロボロの教科書へと。

 

俺の脳内では今の状況を整理していた。

 

右手のボロボロの教科書・無人の教室

 

校内に流れる俺の風評・吉井の先ほどの台詞

 

それらから思い浮かぶ1つの結論。

 

雄二「・・・ま、まさか・・・・・・おい待て吉井。俺は」

 

明久「歯を食いしばりやがれこのクズ野郎っ!」

 

雄二「チッ、このバカ野郎が・・・・・・!落ち着け!これは俺がやったわけじゃねぇ!」

 

明久「ブチ殺す!」

 

雄二「人の話を聞きやがれ!」

 

吉井は完全に俺の話を聞いてない。

 

雄二「なら、ちょっくら相手してやらぁ!」

 

と、俺の言葉をかわきりに殴り合いが始まる。

 

明久「……絶対に……ぶっ飛ばす……!」

 

雄二「しつけぇな!まだやんのかよ!」

 

俺は吉井と殴りあいながら明久の事を考えていた。

 

なんでコイツは、諦めないんだ……?

俺とコイツじゃ、どっちが強いなんて一目瞭然だろ・・・

 

見ても解るが俺に比べ吉井のほうが傷が多かった。

 

雄二「いい加減にしろ、クソバカ野郎が!」

 

吉井と戦いながら小学校の頃の苦い思い出が蘇る。

 

明久「……可哀想……じゃんかよ……」

 

雄二「あァ!?」

 

俺は一瞬何を言ってるのかわからず聞き返す。

 

明久「可哀想だと思わないのかよ!あの子は日本に来て

   知り合いがいなくて、言葉がわからないのに、

   それでも1人で頑張っているんだぞ!

   どうしてそんな頑張っている子を虐めるんだよ!」

 

ボロボロのはずの吉井は、力の籠もった声でそう言った。

 

そんな吉井を見て前にも同じような状況を見ている気がした。

──いや、違うか。俺はコイツと違って逃げようと考えた。俺は我が身が大事だった。

 

だが、吉井は──

 

明久「オマエみたいなヤツ許せるもんか!」

 

ガツン!  と一際大きな音が響いた。

 

吉井は先ほどと比較にならないほどの勢いで吹き飛んだ。

 

そして俺も吉井の攻撃を食らい視界が揺らぐ

 

雄二「吉井! そんなに俺が気に入らないのならかかってきやがれ!

   2度と立てないくらい殴ってやらぁ!」

 

明久「言われるまでもない! オマエをぶっ飛ばして後悔させてやる!」

 

雄二「ごちゃごちゃうるせぇんだよ! この雑魚が!」

 

そしてお互いの拳が届く距離まで駆け寄ったところで

 

貴浩「そこまでだ!」 

 

康太「……そこまで」

 

明久・雄二「「っ!?」」

 

突如2人の前に人影が入ってきた。

 

 

 

            ☆

 

 

 

雄二の前に俺が出て拳を受け止め、ムッツリーニは明久の目の前にペン先を向けていた。

 

雄二「邪魔するな! テメェらには関係ないだろうが!」

 

康太「……それ以上暴れてもらっては困る」

 

貴浩「そうだ。土屋の言うとおりだ」

 

康太「………カメラが壊れる」

 

「「「……………はぁ?」」」

 

ムッツリーニの意味の分からない言葉に

雄二と明久だけではなくつい俺も一緒になって疑問符をあげた。

 

ムッツリーニはそういうと教室のスミに行きゴソゴソと何かを取り出した。

……あれはCCDカメラか? でもなんであんな所に?

 

貴浩「……おい、まさか盗撮か・・・?」

 

康太「・・・・・・・・・っ!(ブンブンブン)」

 

土屋はすごい勢いで否定している。

 

雄二「……けっ。なんだか気が削がれちまった。命拾いしたな吉井」

 

雄二はそう言うと鞄を肩に担ぎ明久に背を向ける。

 

明久「待てよこの野郎!」

 

雄二「ぐがっ!」

 

明久は帰ろうとする雄二の肩を掴んで殴りつける。

 

貴浩「おい! 明久落ち着けよ」

 

雄二「・・・・・・まだ続けたいようだな吉井」

 

再び一食触発の雰囲気にかわる。

 

貴浩「おい、お前らいい加減に──」

 

俺が2人をとめようとすると

 

???「キサマら、何をやっとるかっ!」

 

「「「っ!」」」

 

突如野太い声に阻まれた。

 

秀吉「どうじゃ? 頭は冷えたかの?」

 

そこには女顔で爺言葉を使う同級生、木下秀吉の姿があった。

 

貴浩「・・・・・・今の声もしかしてオマエか?」

 

秀吉「どうじゃ? 似ておったかの」

 

一時は秀吉に気をとられていると明久が雄二に殴りかかろうとしていた。

 

明久「離れて木下さんっ! くたばれ、この──」

 

雄二「けっ、ホントにしつこい野郎だ──」

 

貴浩「お互い良い加減にしとけよ」

 

ダン!!

 

俺は2人に前に出て2人の手を掴み床へと叩きつけた。

 

貴浩「さっきから言ってるよな。やめろって。ってかなんだこの状況は?

   荷物取りに戻ってきたら騒がしいんで覗いてみたら2人が殴り合ってるし」

 

明久「貴浩止めないで! 僕はこの外道をブチのめさないといけないから」

 

雄二「けっ、できるもんならやってみやがれ」

 

貴浩「なんだ2人とも、まだやる気なのか?

   それなら俺も本気でやらせてもらうが?」

 

これでも俺は中学の時、楓に言い寄ってくる男子連中を鎮めてきたんだ。

それなりの力は誇るぞ。

 

秀吉「まったく・・・・・・理由は知らんが、

   教室でコレ以上暴れられるのはワシもクラスメイトとして見逃せん。

   事情を聞かせて貰えんじゃろうか」

 

明久・雄二「「フンっ!」」

 

貴浩「すまないな……木下、土屋……こいつ等を止めるのを手伝ってくれてありがとう」

 

秀吉「よいのじゃ。ワシらはクラスメイトじゃろう」

 

康太「・・・・・・・・・自分のためだ」

 

貴浩「で、何が原因なんだ?」

 

だが、2人は何も喋ろうとしなかった。

 

秀吉「やれやれ参ったのう」

 

貴浩「これじゃあサッパリわからないぞ」

 

康太「・・・・・・(スッ)」

 

貴浩「ん? 何だこれは」

 

康太「・・・・・・・見るといい」

 

そんな中、土屋はカメラをいじり動画を見せてくれた。

 

秀吉「・・・・・・脚しか映っておらぬが?」

 

貴浩「・・・・・・土屋。やっぱり盗撮を・・・」

 

康太「・・・・・・・・・・・・(ブンブンブン)」

 

物凄い勢いで否定する土屋。

2人も不満気であるが動画を見ることにした。

 

その後動画を見ていくと放課後教室の掃除をしている時に

島田の教科書が落ちてしまい、掃除している人たちは

話に夢中で気づいていなく気づいた頃にはすでにボロボロの状況だった。

 

康太「・・・・・・・これが真相」

 

土屋が画面を操作して画面を消すと、

 

明久「ごごごごごごご、ごめんなさいっ!」

 

明久が突然、雄二に深々と頭を下げ謝りだした。

 

雄二「なんだ、いきなり」

 

明久「その、もう、なんてお詫びしていいか・・・・・・!

   とにかく坂本君気がすむまで僕を殴って」

 

雄二「いや。もうお前を殴る場所ねぇし」

 

明久「あ、そっか。えっと、それなら──」

 

貴浩「どうしたんだ明久。突然?」

 

明久「あ、うん。実は───」

 

つまり明久は雄二が島田の教科書をボロボロししたと勘違いしてこの惨状が出来上がったわけだ。

 

秀吉「しかし、坂本も坂本じゃな。きちんと説明したら良かったものを。

   あの様子じゃと説明しておらぬようじゃのう」

 

雄二「・・・・・・ふん!」

 

秀吉「何か事情があったのかのう?」

 

雄二「お前には言ってもわからねぇよ木下。んじゃ、用事が済んだから俺は帰るぞ」

 

明久「あ、うん。また明日、坂本君。それと、本当にゴメン」

 

雄二「けっ」

 

雄二は明久に背を向け再び鞄を肩に担ぐ。

 

明久「ねぇ貴浩、木下さん。新品の教科書ってどこに行けばもらえるか知ってる?」

 

貴浩「新品の教科書か・・・・・・」

 

正直、事情を話して教師に言えば大丈夫だろうが・・・黙ってるとしよう

 

秀吉「うん? いや、ワシは全然知らんが」

 

貴浩「明久。言っておくが木下は男だぞ」

 

明久「え?」

 

貴浩「いや、普通わかるだろ?」

 

秀吉「織村、お主はワシが男じゃとわかるのか?」

 

貴浩「はぁ? 当たり前だろ」

 

秀吉「よ、良かったのじゃ。皆、ワシのこと女子じゃと勘違いしておってのう」

 

貴浩「大変なんだな木下も。それより教科書だ。土屋はわかるか?」

 

康太「・・・・・・(フルフル)」

 

明久「そっか~。購買には売ってないかな?」

 

貴浩「購買には売ってないかもな。

   もしあったとしてもこの時間だともう閉まってるぞ」

 

明久「ならコピーして」

 

秀吉「何枚コピーするつもりじゃ・・・・・・」

 

康太「・・・・・そもそもきちんとした教科書にならない」

 

明久「じゃあ、アイロンをかけるとか」

 

貴浩「服じゃないんだから無理だろ」

 

明久「僕の教科書と入れ替えるとか」

 

秀吉「配布された日に全員名前を書いたじゃろうが。

   お主の名前が残っておっては入れ変えられんぞ」

 

康太「・・・・・・・根本的に解決していない」

 

明久「連帯責任で皆の教科書もボロボロにする」

 

秀吉「確かに島田の教科書は目立たなくなるかもしれんが・・・・・・」

 

貴浩「迷惑だろ」

 

明久「じゃあじゃあ」

 

雄二「あーもうっ! 頭悪いなテメェラは! んなもん教師に説明すればいいだろうが」

 

明久「あ、そっか。悪い事してるわけじゃないもんね」

 

秀吉「そういえばそうじゃな。坂本よ。よく教えてくれたのう」

 

康太「・・・・・・・・・盲点だった」

 

貴浩「さすが坂本。優しいな(ニヤニヤ)」

 

雄二(・・・コイツ最初から気づいてやがったな)

 

明久「あ、坂本君ありがとう。助かったよ」

 

雄二「・・・・・・」

 

坂本が教室から出ようと扉に手をかけると

 

西村「待て、坂本。ここで何をしている」

 

「「「「「っ!?」」」」

 

明久「筋肉教師・・・・・」

 

西村「西村先生と呼べ」

 

やばいな。今の状況は。

今の教室の状況に明久と雄二の傷跡がある。言い逃れはできない。

 

明久「先生すみませんっ」

 

西村「むぉっ!?」

 

そこで明久が上着を脱いで筋肉教師の顔にかぶせる

 

康太「・・・・・・失礼」

 

さらに康太がどこからか取り出したケーブルを上着の上から巻きつけ

簡単に取れないようにする。

 

秀吉「今のうちに。こっちからにげるのじゃ!」

 

木下が窓を開けそういうが、それは嘘だ。明久たちは扉から脱出し、身を隠す。

 

俺は囮役をかい、窓から地上に着地し逃走をはかる。

 

西村「待て、貴様ら! 逃がさんぞ」

 

筋肉教師はまんまと策にひっかかり俺を追いかける。

 

貴浩「うぉっ!? 外見に似あわず速ぇ!?」

 

あんなムキムキなのにあんなに速いんだ。

ゲームとかだとパワーキャラっていうのはスピードがないはずだろ!?

 

西村「待て織村兄っ! 詳しく事情を聞かせてもらうぞっ!」

 

いずれは捕まるだろうが今は捕まるわけにはいかない。

先ほど明久と雄二が自転車に乗って行くのが見えた。

理由はわからないが大事な事だろう。明久の顔をみてそれはすぐわかった。

なら俺の役目は時間を稼ぐ事だな。

 

楓「兄さん・・・?」

 

鉄人から逃げてる途中、楓の姿が目に入った。

隣には木下に良く似た女性と一緒にいたがアレは友達だろうか?

楓と話したいのは山々だが今は鉄人から逃げるのが優先だ。

 

俺はそのまま筋肉教師から逃げ続けたが1時間後につかまってしまった。

まあ時間は稼げただろう。

 

その後、結局明久たちも捕まったが教科書はなんとかなったみたいだ。

あの後教師が誤って新品の教科書を廃品回収にだしてしまったので、

それを明久と雄二が回収車を追いかけなんとか追いついて教科書を手に入れたみたいだ。

 

その件もあり明久と雄二は仲が良くなり、名前で呼び合うようになった。

もちろん、協力してくれた秀吉や康太。俺とも仲が良くなり名前で呼び合う仲になった。

 



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忘れ物と他クラス訪問と顔合わせ

~数日後、Dクラス~

 

午前の休憩時間

 

雄二「おい、貴浩、明久。Bクラスのやつらが購買のパンをかけて

   バスケやらないかって言ってるがどうする?」

 

明久「パン! やるやる。今月は食費がヤバかったんだだから助かるよ」

 

貴浩「もちろんやるさっ! 俺の漫画直伝の技を見せてやる!」

 

雄二「ならメンバー集めるか」

 

康太「・・・・・・手伝う」

 

秀吉「ワシも参加させてもらおうかの。なにやら楽しそうじゃ」

 

明久「メンバー決定だね」

 

雄二「ああ、時間は今日の昼休みだからな」

 

貴浩「了解。なら先に・・・・・・」

 

俺は席から立ち上がると

 

明久「ん? どこか行くの?」

 

貴浩「ああ、今日午後授業変更になってただろ?

   それをすっかり忘れててな。だから楓に教科書借りに行ってくる」

 

明久「ありゃ? 随分珍しいね」

 

貴浩「じゃあ行って来る」

 

 

 

~1-A~

 

 

 

ガラッ

 

 

俺はAクラスの教室の扉を開けて楓の姿を探す。

 

え~っと、楓はどこに・・・・・・っといたいた。

 

貴浩「楓~!」

 

俺は楓の姿を見つけ声をかける。

楓は同じクラスの友達と話しているようだった。

 

楓「あれ? どうかしたんですか兄さん・・・?」

 

貴浩「いや、今日の午後の授業変更になってた忘れててな。

   確か・・・楓1時間目現代国語って言ってた気がしたからさ。

   悪いんだけど教科書貸してくれないか?」

 

楓「珍しいですね兄さんが忘れ物するなんて・・・いいですよ。はい、どうぞ」

 

優子「楓・・・この人が楓のお兄さん・・・?」

 

すると楓の隣にいる女性から声がかけられる。

 

・・・・・・ん?秀吉に随分そっくりだな。

パッと見、髪留めと制服ぐらいしか見分けつかないな。

そこで楓の周りにいた人物達を見渡すと

先ほど楓に話し掛けてきた女性の他にもう一人秀吉にそっくりな女性が一人、

こちらは髪留めはしていなが先ほどの女性と違ってある部分だけが成長していた。

そしてもう一人、日本人形みたいな女性が楓の周りにいた。

 

楓「あ、皆に紹介しますね。兄さん」

 

貴浩「ああ、初めまして楓の双子の兄の織村貴浩だ。クラスはDクラス。

   楓ともどもよろしく頼む」

 

一応、周りにいた人物達に自己紹介をしておく。

 

優子「初めまして、アタシは木下優子よ。よろしく」

 

命「初めまして、私は優姉の妹の木下命です。よろしくお願いします」

 

翔子「・・・・・・霧島翔子、よろしく」

 

うん・・・見事に可愛い子勢揃いだな。もちろん楓を含めて・・・

そして楓が1番可愛い。クラス1・・・いや学内・・・学園1だな。

 

貴浩「こちらこそよろしく・・・ところで、そちらの女性2人はもしかして秀吉の姉妹か?」

 

優子「あら、秀吉を知ってるの?」

 

貴浩「ああ、秀吉と同じクラスで友達だからな・・・そうか・・・秀吉にも姉妹いたんだな・・・」

 

俺と似たようなものか・・・

 

楓「秀吉君なら私も知ってますよ。同じ演劇部に所属してますから・・・」

 

そういえば楓は演劇部に入ってたな・・・秀吉も演劇部に入ってるって言ってたし・・・

 

楓「そういえば・・・兄さん知ってますよね・・・

  優子さんたちの家って私たちの向かい側の家なんですよ」

 

貴浩「ん? そうなのか・・・? そういえば・・・俺の家の前の表札・・・木下って書いてた気がするな・・・」

 

まさか引っ越した先に高校のクラスメイトの家があるなんて滅多にある事でもないよな・・・

 

命「そういえば楓のお兄さん。この間、生活指導の西村先生に追いかけられてましたよね・・・?」

 

貴浩「ああ、見られてたのか。まあちょい色々あってな。

   あと俺のことは貴浩でいいぞ? 苗字だとまぎわらしいだろ」

 

命「そうですね・・・では貴浩君とお呼びしますね。

  私も名前で構いませんよ」

 

優子「そうね・・・私も優子でいいわ。これからよろしくね貴浩君」

 

貴浩「こちらこそよろしく・・・っと・・・そろそろ時間だな。楓、教科書借りてくな・・・。

   じゃあ皆さん、楓をよろしく」

 

俺は楓から借りた教科書を片手に教室に戻った。



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火事場力と頼みとシスコンぷり

 

昼のパンを賭けたバスケの試合は俺たちの勝利を幕を閉じた。

雄二は悪鬼羅刹と言われただけあり身体がぶつかってもびくともしないし、

明久もパンというカロリーのあるものが賞品となっているのでやけに凄い運動能力を見せ、

康太は持ち前の速さを活かし敵を翻弄し、

秀吉は・・・・・・まあ女子と見られたのか少し相手が躊躇っていたりしたのでパスを回してくれた。

俺も漫画のどこぞの影君みたくバスケットボールを殴ってパスしたり、

色黒ブルーみたいにトリッキーな格好でシュートを放ったりした。

まあシュートはまぐれで入ったぐらいだけど・・・・・・

あとボールを殴ってパスしたせいで手が痛いし身体も痛い・・・・・・

 

 

 

現在は楓と一緒に夕ご飯を食べている最中だ。

 

 

 

楓「・・・・・・そういえば兄さん。この間西村先生に追いかけられてましたよね」

 

ああ、明久と雄二の件の時のことか・・・・・・

 

貴浩「ああ、それがどうしたんだ?」

 

楓「・・・・・・いえ、命ちゃんが言ってましたけど、私も見てたんですよね・・・」

 

ああ、そういえば・・・今日楓に教科書借りに言った時、

秀吉の妹?の命が俺を見たって言ってたっけ・・・?

 

楓「それを見て思ったんですが、兄さん足速くなりました?

  あの走りを見る限り怪我する前と同じ位の速さに見えましたけど・・・?」

 

そのことか・・・・・・確かに俺は事故で足に怪我を負ってしまいそこまで速く走れないんだが・・・

 

貴浩「いや、多分、あの時だけだな。普段はあそこまで速くないぞ。

   おそらくなんだが・・・鉄人に掴まったら危ないという危険信号が出たんだろうな。

   で、あの時火事場の馬鹿力じゃないが、あそこまでの走りが出来たんだと思う」

 

正直俺も、鉄人から逃げてる時、

アレ? 俺走るの速くなった?

と思って今日のバスケに望んだんだが全然変わってなかったしな・・・・・・

 

実際、あの時鉄人に掴まって明久たちが掴まるまで俺1人、

生徒指導室という場所で鉄人に鍛えられたからな・・・

・・・あれは拷問に近いものだった・・・・・・今思い出しても身体が震えてしまう・・・

 

楓「そうなんですか・・・? そんなことで火事場の力が発揮されるなんて凄いですね」

 

貴浩「いやぁ~照れるな」

 

楓「いえ、兄さん・・・私褒めたませんよ・・・・・・あ、それと兄さんにお願いがあるんですが・・・」

 

貴浩「お願い? 良いよ、言ってみろよ。楓の願いなら出きる事なら何でも聞いてやるぞ」

 

遠慮なんてしなくて良いのにな・・・楓の願いなら何でも聞いてあげるのに・・・

 

俺はそう言いながら空のコップを手にとる。

 

楓「え、えっとですね・・・言いにくいんですが・・・・・・兄さん、もう迎えは結構ですので

  わざわざ迎えに来なくて良いですよ」

 

カラーン

 

俺の手からコップが床に落ちる。

コップはプラスチック製の物だったので割れずにすんだのだが・・・

 

貴浩「な、な、な、なんだって・・・? む、む、む、迎えがいらないだって・・・?

   ど、ど、ど、ど、どうしてだい楓・・・?」

 

コップが落ちた事なぞ気が付かず俺は動揺しながら楓に尋ねる。

 

楓「えっと・・・・・・毎日迎えに来られても・・・正直恥ずかしいですし・・・・・・

  それに私ももう高校生ですから1人で帰れますし・・・・・・」

 

な、なんだって俺と帰ることが恥ずかしいだって・・・・・・!?

俺は兄として可愛い可愛い楓が心配だから

楓の部活が終わる時間に学校に戻って一緒に帰ってるだけだというのに・・・・・・

 

貴浩「・・・・・・し、しかしだな楓・・・・・・も、もし・・・楓の身に何かあったら心配なんだよ・・・・・・」

 

楓「兄さんが私に優しいのはわかりますが・・・私ももう高校生なんですよ。

  兄さんが私のことを心配してそうしてくれてるのはわかりますけど・・・

  兄さんも私のことを気にせず友達と遊んでくれて良いんですよ?」

 

確かに・・・楓を優先にしてるから学校終わりは明久達と遊べるのは

楓の部活が終わる時間までだからな・・・・・・

 

楓「なので、明日からは迎えはいりませんので、よろしくお願いしますね兄さん。

  私のお願い聞いてくれるんですよね」

 

・・・・・・ぐぅ!

 

その一言で何も言葉を返すことができずその話はそこで終了してしまった。

 

 

 

            ☆

 

 

 

翌日、教室にて明久達に昨日の夜の話をすると・・・・・・

 

雄二「・・・・・・お前シスコンすぎだろ・・・」

 

康太「・・・・・・・・・いつも速く家に帰ると思ったいたがそんな理由があったとは・・・驚いた」

 

明久「まあ、貴浩は楓には凄く優しいからね。超がつくほどのシスコンぷりだよ」

 

貴浩「なんだよお前ら・・・」

 

秀吉「お主の気持ち、ワシにはよくわかるのう・・・」

 

貴浩「わかってくれるか秀吉!」

 

秀吉「うむ。確かにそれは心配で仕方が無い行動じゃ。

   もし命が何か部活をやっておったら貴浩と同じ行動をとっておったかもしれぬのう」

 

明久「・・・ってアレ? もしかして秀吉にも貴浩みたいに妹さんがいるの?」

 

秀吉「うむ。言っておらんかったがワシには姉上と妹はおるのじゃ。

   ワシの妹は可愛くてのう」

 

貴浩「確か三つ子なんだろ? 確か2人とも楓と同じクラスだったから覚えてる」

 

雄二「へぇ~三つ子か・・・珍しいな」

 

明久「どんな子だった?」

 

康太「・・・・・・・・・貴浩の妹のことも含め詳しく聞かせろ」

 

貴浩「秀吉の姉と妹は秀吉にそっくりだった。

   姉の方は少し凛々しい感じで、妹の方は少しおっとりした感じで胸があるほうだった。

   で、楓はほれ・・・こんな感じだ」

 

俺は財布の中に入れておいた一緒にとったプリクラをみせる。

 

貴浩「可愛いだろ。自慢の妹だ」

 

雄二「へぇ~双子っていうから貴浩に似てると思ったが結構可愛いじゃねぇか」

 

貴浩「だろ! あ、先に言っておくが・・・・・・楓に手を出したら殺すからな?

   いいな? 忠告したからな? 本当だぞ?

   康太・・・もし楓の写真を無許可で撮影・販売した日には明日を拝めると思うなよ・・・?」

 

俺は雄二と康太の肩を握りつぶすような力で掴む。

 

秀吉「それにはワシも同意見じゃな。姉上なら別に良いが命に手を出そうものなら・・・・・・」

 

秀吉も俺と同じように殺気を出しながら明久と雄二、康太に近づいていく。

 

雄二「い、いてぇよ。わかった! わかった! お前の妹には手は出さねぇよ!

   だから手を放してくれ!」

 

康太「・・・・・・・・・絶対無許可で撮らないから安心してくれ。

   だから、肩にある手を放してくれ・・・!」

 

貴浩「なんだと雄二!? それは楓が可愛くないってか!?

   テメェ殺すぞコラっ!!」

 

雄二「なんでそうなる!? ならなんて応えればいいんだよ!?」

 

明久「た、貴浩も落ち着いてよ。雄二は楓のこと可愛いって言ってたでしょ。

   ただ友達として接しようとしただけだよ。それなら良いんだよね?

   悪鬼羅刹っていわれた雄二が楓の友達になるんだから性質の悪いヤツが来ても大丈夫だよ。

   ムッツリーニも無許可で楓と秀吉の妹さんの写真をとらないっていってるんだからさ。

   だから貴浩も秀吉もその殺気抑えてよ。僕らだけじゃなく周りの皆も怯えてるよ」

 

明久の言われ周りを見てみると、震えている者や、冷や汗を流している者、腰を抜かしている者がいた。

 

貴浩「む・・・確かにそうだったな・・・・・・悪い。少し可笑しくなってた」

 

秀吉「うむ・・・すまぬの・・・少し熱くなっておった。頭を冷やさねばのう」

 

雄二「い、いや・・・俺は大丈夫だ」

 

康太「・・・・・・俺も大丈夫」

 

貴浩「本当に悪かった」

 

これは反省しないとな・・・どうにも楓のことになると少し熱くなってしまうな。

さて・・・・・・楓のことをどうにかしないとな・・・・・・今日から俺は迎えに行けないし・・・さて、どうするか・・・

・・・・・・ん? 確か秀吉は楓と同じ演劇部だったよな・・・それに家も正面だから帰り道も同じだ。

・・・・・・だが・・・しかし・・・でも・・・う~ん・・・仕方がないか・・・

 

貴浩「なあ、秀吉・・・」

 

秀吉「どうしたのじゃ?」

 

貴浩「頼みがあるんだが・・・部活が終わったら楓と一緒に帰ってくれないか?

   知ってると思うが俺の家はお前らの家の正面らしいからな。

   1人で帰らせるよりは秀吉がいれくれた方が安心だしな」

 

秀吉「そうじゃったのか? まさか貴浩の家と正面じゃったとは・・・気がつかなかったのう。

   帰る件は任せるのじゃ。貴浩の気持ちはわかるからのう。

   ワシに任せて欲しいのじゃ」

 

貴浩「本当か! よろしく頼む」

 

よし! さすが秀吉! 本当に俺の気持ちがわかるみたいだな。

それに秀吉なら狼になることはないだろうし・・・安心できるな。

 

だが、1年後にまさか楓と秀吉が彼氏彼女の関係になるとは今の俺には知る由もなかった。

 

 

 

貴浩が秀吉にお願いしている時、明久たちは

 

雄二「明久助かった。礼を言う」

 

明久「あ、うん。まあ前にも似たような光景があったからね・・・・・・」

 

康太「・・・・・・・・・それにしてもあの殺気秀吉も凄かったが・・・貴浩はその非ではなかった」

 

雄二「・・・ああ、貴浩の殺気には俺も冷や汗が出てしまったぞ・・・」

 

明久「・・・・・・ああ、仕方がないよ。だって貴浩は中学の時雄二ほどじゃないけど名あがってたからね・・・」

 

康太「・・・・・・それは、もしかして妹絡みなのか?」

 

明久「うん、まあ貴浩隠してるけど、そこそこの実力はあるからね。

   足を怪我してる分、僕より少し足は遅いけどでも力なら僕以上だね。

   で、楓絡みになると多分・・・雄二と同等かそれ以上だと思う・・・ただその前に凄い殺気を放つけどね・・・」

 

雄二「・・・・・・マジか・・・あまり妹絡みでちょっかい出さないほうがいいか」

 

明久「うん、自分の身が惜しいならそうしたほうがいいと思うよ」

 

という会話があったとかなかったとか・・・・・・



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愚痴と驚愕と試験前

すみません。間違えて違う場所に更新していました。


~下校中~

 

今日は秀吉も部活が休みなので

珍しくいつのもメンバーと一緒に帰っていた。

 

明久「今日も疲れたよ・・・」

 

秀吉「・・・ワシも疲れたのじゃ・・・」

 

康太「・・・・・・・・・最近授業のペースが速い」

 

帰りながら明久が授業についてのグチをもらす・・・

たしかにここ最近は授業のペースが速いから明久にはきついかもしれないな・・・

 

明久「正直ついていけないよ・・・」

 

秀吉「うむ・・・ワシもついていくだけで全然わからないのじゃ・・・」

 

康太「・・・・・・正直やばい・・・」

 

まあ・・・授業ペースが速くなくても変わらないと思うが・・・

 

雄二「・・・・・・確かに最近は授業のペース速いな」

 

貴浩「そういえば、期末テスト近かったな。だからだろうな授業のペース上げてるのは・・・

   面倒臭いが勉強しないわけにもかないしな……

   そういえば・・・文月学園の試験は特殊で試験時間内なら何問でも解けるんだよな?」

 

雄二「そうらしいな。2年からできる試験召喚戦争のためらしい。

   でも1学期の試験は上限100点の試験らしいぞ」

 

貴浩「そうなのか? なんだ少し期待してたのに」

 

雄二「明久や秀吉、ムッツリーニはアレだろうが・・・お前の成績どうなんだ?」

 

貴浩「まぁ…そこそこだな・・・」

 

明久「そっか~テストか~って、えぇ!? テストぉぉ!?」

 

貴浩「驚きすぎだろ……ってか反応も遅いな」

 

康太「・・・・・・・・・もうテストの時期か?」

 

雄二「正確に言えばあと2週間はあるけどな」

 

明久「あ、そうなんだ~僕ビックリしちゃったよ~」

 

明久「え!? 期末試験・・・?」

 

秀吉「もうそんな時期であったか」

 

康太「・・・・・・それならなおさらスピードを上げないで欲しい」

 

明久「だよね・・・ペースあげると試験範囲が広くなっちゃうじゃないか」

 

雄二「だが、そうしねえと後の試験の時より範囲が増えるぞ」

 

明久「げぇ・・・まあ・・・僕たちにはあんまり関係ないけどね・・・」

 

貴浩「いや・・・少しは勉強しろよな・・・?

   それにまだ日にちはあるから今から勉強しとけば大丈夫だろ」

 

秀吉「…もう期末試験じゃったか…せっかく演劇の練習が盛り上がってきたところじゃったのに・・・」

 

康太「………保健体育なら誰にも負けない」

 

明久「まあ・・・初めての試験だから緊張するよ」

 

貴浩「…お前今までまともに試験勉強なんてしたことなかっただろうが・・・

   唯一やったのはここの入試の時だけだろ?」

 

明久「そっか・・・なら大丈夫だね」

 

貴浩「いや…大丈夫じゃないが…………心配だな・・・」

 



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初試験と結果と励まし

 

~試験日当日~

 

 

カリカリ…

 

 

シャーペンが踊る音を奏でる。

 

 

 

 

7月下旬。

高校生になり初めてのテスト真っ最中。

ここ文月学園は中間試験が無く期末試験しかないのだ。

 

出そうなところをかなり絞って勉強したからな。

おっ! この問題もやったな・・・まあこの調子ならそこそこの点数を取れるかもしれないな・・・

 

 

カリカリカリカリ

 

 

まぁ、これならなんとかか?

 

一応見直ししておかないとな・・・・・・名前の書き忘れなんてしないようにしないとな・・・

 

 

 

 

 

       ☆

 

 

 

 

「「「………」」」

 

 

 

 

~テスト終了後~

 

 

俺の目の前には真っ白になった明久、秀吉、ムッツリーニの3人の姿があった。

 

貴浩「テスト…ダメだったのか?」

 

明久「…うん」

 

康太「………さっばり」

 

秀吉「…殆ど答えられなかったのじゃ…」

 

貴浩「・・・・・・・・・まあ、予想通りって言えば予想通りか・・・」

 

「「「……」」」

 

その一言を答え気力を尽くしてしまったかの様に再び黙り込む。

 

貴浩「そういえば雄二はテストどうだったんだ?」

 

俺の隣で呆れながら3人を眺めていた雄二に聞いてみた。

 

雄二「ん? 俺か? まあコイツらほど悪くねぇだろうな・・・お前は?」

 

貴浩「俺は数学は自信あるな。昔から理系科目は得意なんだよな。

   まあ後はテストが帰ってきてからのお楽しみだな」

 

雄二「そうだな。その時のコイツらの表情が楽しみだ」

 

貴浩「悪趣味だな雄二・・・だが、それは俺もだ!」

 

 

 

 

 

 

~テスト返却日~

 

教師から名前を呼ばれ次々とテストが返ってくる。

 

教師「織村」

 

俺の番までやってきていたので俺はテストを取りに行く。

 

結果は

国語:72点 数学:100点 英語:30点

社会:63点 理科86点

総合点数:351点

 

数学と理科はよくできたな・・・・・・やはり英語が悪いな・・・ま、いっか・・・

 

俺がテストの点数を見ているといつのまにかに明久が呼ばれたいた。

 

教師「吉井」

 

明久「ハヒィ!」

 

声裏返ってるぞ・・・明久は緊張してなのか手と足が一緒にでるという動作で教師の元に向かう。

 

そしてテストを貰い…

 

明久「……」

 

真っ白になった。

何点だったんだ? まさか赤点なのか?

 

ゆっくりした足取りで席に戻り席に倒れ伏した。

周りを見てみると明久だけでなく秀吉やムッツリーニ、他数名も同じように机に倒れ伏していた。

 

 

 

        ☆

 

 

 

貴浩「で、どうだった点数は? 俺は総合で351点だったぞ」

 

雄二「お、すげぇじゃねぇか! 7割ってんじゃねぇか。

   俺は303点だったぞ」

 

貴浩「雄二も6割いってるじゃん。

   ・・・・・・・・・で、そこで3人はどうだったんだ・・・?」

 

雄二「聞かなくても分かるけどな……」

 

貴浩「まぁな…………」

   

俺達が聞かなくても点数は悪かったらしい

・・・そして3人には追試が言い渡されたそうだ。

 

明久「・・・・・・追試になっちゃったね・・・」

 

秀吉「・・・仕方があるまい。赤点を取ってしまったからのう。

   高校にあがって勉強のレベルがあがったのう・・・」

 

康太「・・・・・・追試を頑張るしかない」

 

明久「はぁ~追試か・・・・・・」

 

ハァ~と3人が一斉に溜息を吐く。

 

貴浩「大丈夫だろ。今回は勉強の仕方が悪かっただけだろ?」

 

雄二「まあ、追試なんて頑張れば余裕だろ。問題もそこまでかわらないはずだしな」

 

貴浩「そうだな。頑張れば追試なんて余裕だろ」

 

俺と雄二が追試組を励ましてた。

 

「「「まあ勉強は全くしてなかったけど(せんかったがのう)…」」」

 

貴浩「励ましの言葉返せ!」

 

俺達の激励を自業自得な理由で返してきた。

 

 

……………

 

 

貴浩「何で勉強しなかったんだ?」

 

秀吉「いや~…しようと思ったんじゃが…

   途中で息抜きで演劇の台本を見ておったらいつの間にかに時間が過ぎておってのう・・・」

 

明久「あ~それはあるよね。部屋の掃除はかどったりするよね」

 

康太「・・・・・・・・・息抜きにデータの整理をしていたらキリがつかなかった」

 

明久「僕は息抜きにゲームしてて気づいたら朝だったんだ」

 

貴浩「……お前らは……」

 

もう3人の発言には呆れるしかなかった。

 

貴浩「ならさっさと帰って勉強しろ」

 

雄二「それで、追試はいつなんだ?」

 

明久「ん~とねぇ、1週間後」

 

貴浩「1週間後か…」

 

明久「1週間もあれば、大丈夫だよね」

 

秀吉「うむ、1週間もあれば大丈夫じゃろうな」

 

雄二「・・・・・・1週間しかないが正しいんだが?」

 

貴浩「まぁ・・・困った時は言ってくれれば助けてやるよ。

   まぁまじめにやってればだが……」

 

でも、頑張るとか言っときながら勉強しないタイプの人間だろう・・・

 



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紹介と非常事態と不法侵入

雄二「結構広いんだなお前の家」

 

貴浩「まあ・・・広いほうに入るんだろうな」

 

追試まであと2日と迫ってた日、

俺は自宅の居間で雄二と一緒にゲームをして遊んでいた。

俺と雄二は追試ないしな。

 

楓「兄さん、ただいま帰りました。あれ? お客さんですか?」

 

命「あ、貴浩君。お邪魔します」

 

貴浩「お、お帰り楓。いらっしゃい命。

   ああ、紹介するな・・・同じクラスの坂本雄二」

 

そこへ楓が帰ってきた。

その後ろには秀吉の妹の命も一緒のようだ。

 

楓「初めまして坂本さん。私は貴浩の妹の楓と言います。

  これからよろしくお願いしますね」

 

命「初めまして坂本さん。私はAクラスの木下命って言います。

  Dクラスにいる木下秀吉の妹です。よろしくお願いします」

 

雄二「これは丁寧にどうも・・・坂本雄二だ。

   俺の方もよろしく頼む・・・・・・へぇ~」

 

雄二は挨拶を交わすと楓と命の2人を眺める。

 

楓「あ、あの・・・どうかしましたか坂本さん?」

 

雄二「あ、悪い・・・いや・・・貴浩の妹のことは貴浩のことから良く聞いてたからな。

   なるほど・・・・・・これは貴浩が溺愛するのも無理がねぇなと思ってな」

 

貴浩「だろ! 俺の妹は可愛いだろ? でも手出したら殺すからな」

 

楓「に、兄さん!? い、一体学校で私のことをどう言ってるんですか?」

 

貴浩「いや・・・別に普通だが・・・?」

 

雄二「安心するといい貴浩の妹。別に変なことは言ってないさ。

   ただ・・・貴浩がシスコンだということがわかっただけだ。

   で、そちらが秀吉の妹か・・・・・・聞いてはいたがそっくりだな」

 

貴浩「だろ? しかもまだ姉がいるからな。

   で、遊びに来たんだろ? ゆっくりしていきなよ」

 

命「あ、はい」

 

楓「そういえば今日は明久君は来ていないんですか?」

 

貴浩「アイツはこの前の試験が悪くて追試だ。

   知ってると思うが秀吉も追試だな」

 

雄二「ちゃんと勉強やってるんだろうな・・・・・・」

 

楓「・・・・・・心配ですね」

 

命「・・・・・・秀兄・・・部屋に閉じこもってるけど・・・多分大丈夫なはず・・・」

 

するとそこへ

 

秀吉「…貴浩・・・すまぬ・・・助けて欲しいのじゃ」

 

丁度その話の人物の1人である秀吉が救済を求めてやって来た。

ってか普通に家に入ってきたな・・・チャイム鳴ってなかったと思うが・・・

 

命「えっ!? 勉強をしてたんじゃないの…?」

 

秀吉「む? み、命…!? それに織斑も」

 

雄二「……やっぱりか…」

 

貴浩「…だろうと思ってたけどな」

 

秀吉「・・・・・・すまぬ・・・」

 

貴浩「仕方が無い・・・楓に教えてもらえば確実に合格点取れるぞ」

 

雄二「ん? 成績いいのか妹は?」

 

貴浩「確か・・・今回学年で4位って言ってなかったっけ?」

 

楓「まあ・・・運が良かったので・・・」

 

雄二「マジか・・・成績良いんだな」

 

楓「いや そんな…」

 

恥ずかしそうに照れる楓。

 

バンッ!!

 

急に部室のドアが勢いよく開いた。

 

そこには…

 

明久「……」

 

康太「……」

 

楓「明久君?」

 

切羽詰まった表情の…明久とムッツリーニが立っていた。

 

明久「……た」

 

命「た?」

 

明久「助けて~!! タカエもんっ!!」

 

国民的な猫型ロボットの様な名を叫び、

その同居人の眼鏡少年みたいな声を出し俺に駆け寄ってきた。

 

とりあえず…

 

ドゴッ!

 

明久「ぎゃあっ!!」

 

不法侵入の件も兼ねて殴っておく。

 

明久「なにするんだ!!」

 

貴浩「悪い、つい手が出てしまった」

 

明久「そんな理由で!? あと本気で悪いと思ってるの!?」

 

貴浩「全く」

 

明久「そこは全力で思ってよ!!」

 

貴浩「うるせェな…落ち着けよ。命が驚いてるだろうが」

 

命「……」

 

急に現われて叫びをあげながら俺と話す明久にポカンとする命。

 

明久「・・・・・・え? 秀吉が2人?」

 

康太「・・・・・・・・これは、一体・・・・・・しかも1人の秀吉は胸が成長してるだと・・・!?」

 

明久「あ、本当だ!」

 

そういえばコイツらは命と会うのは初めてだったか・・・

ってか・・・一目見ただけで普通別人って気づかないか?

 

命「・・・・・・・・・えっと・・・?」」

 

貴浩「ああ、この鈍感そうな男は吉井明久。バカだから気をつけろ。

   で、こっちの気配の薄い男は土屋康太。変態だから気をつけろ」

 

命「あ、はい・・・・・・」

 

明久「ちょっと貴浩! なんて紹介をするんだ!?」

 

康太「・・・・・・・・・失礼だな」

 

貴浩「こちらは木下命だ。見てわかると思うが秀吉の妹だな」

 

命「よろしくお願いしますね」

 

明久「あ、うん。こちらこそよろしく」

 

康太「・・・・・・・・・よろしく」

 

貴浩「で? 突然押しかけてきて何の用だ?」

 

明久「あ! そうだった…助けてくれタカエもん」

 

康太「・・・・・・・・・非常事態なんだタカエもん」

 

貴浩「誰がタカエもんだ!」

 

明久「ヤバいんだって追試!! 全く勉強できないんだよ!!」

 

貴浩「だろうな。予想してた」

 

康太「・・・・・・・・・な、なら」

 

貴浩「頑張れ」

 

明久「ひどい!!」

 

康太「・・・・・・・・・見捨てる気か」

 

どうやら2人も秀吉同様、追試の勉強が出来なかったらしい。

そこで何故か俺に助けを求めてきたみたいだ。

 

秀吉「明久とムッツリーニもなんじゃな…」

 

明久「秀吉もなんだね・・・」

 

康太「・・・・・・似たもの同士」

 

うんうんと共感する3人。

 

楓「明久君追試だったんですね・・・・・・」

 

明久「ヘルプ ミー 貴浩!」

 

貴浩「しかたねェな…」

 

鞄から1枚の紙を取り出し、ある3文字を書く。それを明久に渡す。

 

明久「ナニコレ?」

 

智也「退学届。これに必要事項を記入し提出するんだ。

   そしたらもう勉強に悩む事はなくなるぞ」

 

明久「流石だタカえもん!! サンキュー!!」

 

 

バタンッ

 

 

俺手製の退学届を持ちリビングから出ていく。

 

命「え? え? い、良いんですか・・・?」

 

貴浩「まあ、見てろって」

 

本気で退学しそうな勢いで部室から出ていった明久を

命が心配そうにこちらに顔を向ける。

 

 

バンッ!!

 

 

明久「って退学するかァッ!!」

 

貴浩「ほらな?」

 

命「う、うん…」

 

見事なノリツッコミを披露し部室に戻って来るバカ。

やっぱコイツをからかうのは楽しいなぁ。

 

その後、急遽家で明久、康太、秀吉の3人に追試対策をすることになった。

3人とも弱音を吐きまくっていたが俺が手を出しながら(暴力により)

なんとかある程度の知識を叩き込んだ。

 



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追試結果とシスコンと提案

すみません。前回普通に投稿するのをわすれてました・・・・


 

追試から数日後、今日は俺の家で遊ぶため全員が集まっていた。

そして今日は楓と命の2人も家に来ている。

 

楓「そういえば明久君。今日は追試の返却日だったんですよね?

  結果はどうでしたか…?」

 

あ、そういえば今日は追試のテスト返しの日だったよな。

あいつらは大丈夫だったんだろうか?

手伝ったんだからダメだったではすまさないぞ…

 

雄二「どうだったんだ結果は?」

 

明久「僕は何とか大丈夫だったよ」

 

秀吉「ワシも大丈夫じゃったぞ」

 

康太「………俺も大丈夫だった」

 

全員追試には合格したみたいだな。

 

命「これで、追試は終わったんですね。お疲れ様でした」 

 

明久「ありがとう木下さん」

 

秀吉「織斑と命のおかげじゃな」

 

康太「・・・・・・・・・(コクコク)

 

楓「追試祝いというのは可笑しいですが・・・ケーキを焼いたので皆さんどうぞ。

  もしかしたら口に合わないかもしれませんが・・・・・・」

 

楓はそういうとキッチンから人数分に切り分けたケーキを持ってくる。

そういえば昨日夜作ってたっけ・・・

 

明久「本当!? これで僕のカロリーゲットだよ~」

 

命「・・・・・・カロリー?」

 

貴浩「・・・・・・また生活費を浪費してるのかよ・・・・・・」

 

明久「いや~最近面白いゲームばっかり出てくるからさ」

 

貴浩「それは否定しないが・・・・・・少しは貯金しろよ」

 

明久「・・・・・・うぅ・・・・・・善処します」

 

命「吉井君って1人暮らしされてるんですか?」

 

明久「え? うん、そうだよ。高校に入ってから1人暮らしだよ」

 

命「それって凄いですよね。1人暮らしって憧れますね」

 

明久「そうかな~。まあ自由が出来るからいいかもしれないね」

 

貴浩「で、自由過ぎて生活費を遊びに全てつぎ込んでるもんな」

 

明久「貴浩・・・余計な事を・・・」

 

命「え? そ、そうなんですか・・・? ならどうやって生活を・・・?」

 

明久「最近は水と塩、砂糖、オリーブオイルを食べてるかな」

 

その明久の一言で明久以外の全員が固まる。

 

雄二「・・・・・・お前・・・それは・・・酷いと聞いてはいたが・・・・・・」

 

康太「・・・・・・・・・酷すぎる」

 

秀吉「お主良く生きておるのう」

 

命「・・・・・・・・・え? 人間ってそれで生きていけるんですか?」

 

楓「普通はできないと思いますよ・・・」

 

貴浩「ああ、自業自得だが酷すぎるだろ」

 

明久「でも! 時々パン粉とかカップラーメンを切って食べたりしてるよ!」

 

命「パン粉を食べてるんですか!?」

 

明久「うん・・・卵は買えないからパン粉に水を加えたものを焼いただけだけど・・・」

 

貴浩「・・・・・・お前・・・無人島とかでも普通に生きていけそうだよな・・・」

 

雄二「・・・・・・明久のことは置いといて妹さんが作ったケーキでも頂くか。

   それにしても美味しそうだな」

 

康太「・・・・・・・・・見た目は店で売ってるのと遜色ない」

 

貴浩「フフン♪ 楓は良くできる妹だからな。

   食べてみても本当に美味しいんだぞ」

 

明久「それは言えてる。そこら辺の店のケーキよりも楓のほうが美味しい気がするし」

 

楓「それは大げさですよ・・・そういう兄さんや明久君のほうが私より美味しいですよ」

 

命「3人とも料理されるんですね」

 

貴浩「まあな・・・俺達は両親が海外に行ってるからな。

   だから自活できるようになったんだ。命はどうなんだ?」

 

命「私も料理は時々ですがしますよ」

 

秀吉「うむ、命の料理も絶品じゃぞ。まあワシと姉上は全然できぬがのう」

 

貴浩「まあ人には向き不向きがあるからな・・・俺だって出来ないものだってあるしな。

   ・・・そういえば追試を終えたってことは秀吉も部活に復帰か」

 

秀吉「うむ・・・明日から再び部活動再開じゃ。

   部活の皆には迷惑をかけたからのう・・・より一層頑張らないといけないのう」

 

楓「木下君は凄いんですよ。1年生で1番に秋に行われる学園祭の劇にでることが決まったんですよ」

 

雄二「1年で配役が決まってるのか・・・? それは凄いもんだな」

 

秀吉「そういう織村こそ配役が決まっておるではないか」

 

楓「私は端役ですから・・・」

 

貴浩「楓も出るのかカメラ持って見に行かないとな」

 

楓「兄さん気が早いですよ? それに私の出番は少しだけですから」

 

貴浩「何を言ってるんだ? 高校初出演の舞台だから記録に撮っておかないと・・・」

 

命「あ、それなら私も秀兄の活躍を撮っておかないと・・・」

 

明久「2人とも気が早すぎだよ・・・学園祭は10月だよ?」

 

康太「・・・・・・・・・まだ当分先のこと」

 

命「あ、つい・・・・・・///」

 

楓の初舞台だからつい焦ってしまった・・・いけないいけない

 

雄二「・・・まあ秀吉たちにとっては当分とは言えないか・・・・・・

   それまでに演劇をモノにしないといけないわけだしな・・・」

 

秀吉「そうじゃな・・・これからが大変になるじゃろう」

 

楓「あ、そのことで兄さんに話が・・・」

 

貴浩「ん?」

 

楓「これから部活も本格的になるので帰りが遅くなると思うので、

  迎えは結構ですので・・・・・・くれぐれも迎えに来ないでくださいね」

 

 

ガーーン!!

 

な、なんだって・・・・・・なんだって・・・・・・・なんだって・・・・・・・

 

明久「貴浩まだ楓の迎えに行ってたんだ・・・そろそろ妹離れしないと・・・」

 

雄二「なんだ? もしかしていつも楓の迎えに行ってるのか?」

 

貴浩「当たり前だ! 遅い時間に楓1人帰らせるわけには行かないだろ!

   もし誰かに襲われたらどうするんだ!?」

 

康太「・・・・・・・・・それでも限度が・・・」

 

秀吉「うむ・・・貴浩気持ちよくわかるのじゃ」

 

明久「わかるの!?」

 

秀吉「ワシだって部活がない日は命を一緒に帰るからのう。

   もし命の身に何かあったらと思うと・・・・・・」

 

貴浩「わかる! わかるぞ秀吉!」

 

雄二「いずれ彼氏ができた時どうするんだ?」

 

楓に彼氏だと・・・・・・?

 

貴浩「楓に彼氏などまだ早い! ってか認めてなるものか!!」

 

秀吉「そうじゃ! 命に虫は寄り付かせぬ!」

 

明久「2人ともシスコン過ぎでしょ・・・・・・これじゃ楓も木下さんも迷惑だと思うけど・・・」

 

貴浩「え? そ、そうなのか・・・?」

 

秀吉「命に限ってそんなことは・・・・・・」

 

楓「まあ少し・・・・・・迷惑ですね・・・・・・兄さんの気持ちは嬉しいんですけど・・・・・・」

 

命「うん、優姉や秀兄の心配もわかるんだけど・・・・・・少し迷惑かな・・・?

  いつも一緒だから・・・私個人の時間も少しは欲しいし・・・・・・」

 

 

ガガーン!!

 

 

俺と秀吉は膝と手をつき落ち込む。

 

貴浩「な、なんてことだ・・・・・・」

 

秀吉「ワシらの行為が迷惑じゃったとは・・・・・・」

 

雄二「凄い落ち込みようだな・・・」

 

明久「うん・・・・・・ねえ貴浩?」

 

貴浩「・・・・・・・・・なんだ明久?」

 

明久「楓の部活が終わった後、秀吉に送ってもらえば良いんじゃない?」

 

貴浩「・・・・・・・・・なんだと?」

 

明久「秀吉なら家も貴浩の家の近所だし、秀吉は男の娘だから大丈夫だと思うし・・・」

 

秀吉「ム・・・? 今男の子が違うように聞こえたんじゃが・・・・・・?」

 

貴浩「う~ん・・・・・・確かに・・・・・・秀吉なら同じ部活だしな・・・・・・

   家も近くだし・・・・・・楓に何かしてもすぐ手をだせるし・・・・・・

   まあ・・・・・・仕方がないか・・・・・・秀吉頼めるか?」

 

秀吉「・・・・・・途中不吉なことを行っておった気がするが・・・

   ワシは別に構わぬが・・・・・・織村は良いかの?」

 

楓「私は木下君が良いのなら・・・・・・それに演劇のお話もできますから・・・」

 

こうして明久の提案通り、楓が部活帰りは秀吉と帰ることになった。

まさか・・・この決断が1年後に2人が付き合うことになることの発端になるとは思わなかった。

 



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秋葉とオタクと夏休み

随分久しぶりの投稿です。



 

文月学園での初の夏休みのある日

 

貴浩「おぉ! ここが秋葉原か・・・・・・スゲェ!!」

 

明久「人がいっぱいいるね・・・凄い人ごみだね・・・」

 

貴浩「まるで人がごm───」

 

明久「はい、ストップ! それ言っちゃダメ!」

 

俺は明久と雄二、ムッツリーニのい4人で秋葉原に遊びに来ていた。

秀吉は夏休み中も部活らしく、今日も学園で演劇に励んでいる。

もちろん楓も部活だ。

 

雄二「さすが秋葉原だな。平日なのに物凄い人だな・・・」

 

康太「・・・・・・・・・それだけ良い物が揃ってる」

 

雄二「・・・・・・で、お前らは何を買いに来たんだ?

   正直、俺はお前らに連れてこられたわけだが・・・・・・」

 

康太「・・・・・・俺はカメラやパソコンなどを」

 

明久「僕と貴浩はもちろんアニメ商品やゲーセン廻りかな」

 

雄二「・・・・・・お前らは予想通りだな・・・・・・・・・ちなみに俺来る必要あったか?

   いきなり朝早く誘いに来て、わけもわからず連れて来られただが・・・?

   正直、お前らのせいで眠いんだが・・・・・・」

 

俺と明久、ムッツリーニの3人は事前に

秋葉原に遊びに行く予定を立てていたが雄二は違う。

いつものメンバーで行くのに雄二だけのけ者は可哀想だと行く直前に思い立ち、

朝早く(午前7時)に無理矢理起こし連れて来たのだ。

 

康太「・・・・・・・・・仲間はずれするのは悪いと思って」

 

直前に気づいて

 

明久「そうそう・・・だから雄二も誘おうって思って」

 

だから朝7時に起こして

 

貴浩「それに雄二も秋葉は初めてだろう?

   だから荷物も───ゴホン、案内しようと思ってな」

 

雄二「ああ、ありがとう。だが荷物持ちはしないからな」

 

「「「・・・・・・チッ」」」

 

雄二「おい・・・・・・なんで舌打ちした?」

 

貴浩「さぁ行こうか!」

 

「「了解」」

 

 

 

        ☆

 

 

 

俺達はまずムッツリーニのカメラを見に来ていた。

 

明久「カメラって色々あるよね・・・・・・」

 

雄二「確かに・・・・・・俺はあんまりカメラなんか使わないからよくわからないな」

 

貴浩「まあ俺も写真をとったりするけど・・・・・・あんまり詳しくしらないな。

   楓の写真撮れれば何でもいいし・・・・・・」

 

雄二「さすが貴浩だな。ブレないな・・・・・・」

 

康太「・・・・・・・・・まあ、詳しいやつなんてそんなにいないだろうけどな・・・」

 

俺達はムッツリーニの後を続くように店を回っていく。

 

康太「・・・・・・・・・良いものを買えた」

 

ムッツリーニはホカホカ顔で店をでる。

 

雄二「ムッツリーニの買い物でもう昼になったな・・・」

 

貴浩「まあ良い物見つけると何を買うか迷うからな。

   時間がかかるのも無理も無い」

 

明久「じゃあ、先にご飯にしようか」

 

とりあえず近くのラーメンを食べ、

次に俺と明久の店、アニメ・ゲーム、漫画などを買いに専門の店に向かう。

 

明久「おぉ~やっぱり秋葉は違うよね」

 

貴浩「ああ! 心躍るな」

 

雄二「・・・お前ら凄いにやけてるな」

 

貴浩「当たり前だ! 秋葉原はオタクの聖地だぞ!」

 

雄二「オタクと言っても色々あると思うが・・・」

 

明久「それだけ秋葉は凄いってことだよ!

   あ、貴浩! あそこ! 物語シリーズのフィギュア出てるよ!」

 

貴浩「マジだ!? あとで買うとするか。お、新しい漫画出てるぞ」

 

明久「え? 本当? これも買いだね」

 

俺と明久はカゴにドンドン商品を入れていく。

 

雄二「・・・・・・・・・お前ら凄いな」

 

貴浩「なに言ってるんだ? まだ序の口だぞ?」

 

明久「うんうん! 他の店に行けば他の特典とかあるしね」

 

康太「・・・・・・・・・これくらい秋葉の常識」

 

雄二「・・・・・・・・・・・・まじで凄いな」

 

雄二は俺達の行動に軽くひいていたが気にしない。

 

 

 

椎名『鈴ちゃん! このグッズも買いだよね! あ、アレも買いだよね!』

 

砂原『それ前の店でも買ってなかった?』

 

椎名『当たり前ですよ! 特典が違いますからね! 買わなきゃ損ですよ!』

 

砂原『そ、そうなの・・・?』

 

椎名『大丈夫です! 鈴ちゃんにもわかりやすく教えてあげるからね!』

 

砂原『いや~私は大丈夫かな~アハハハハ・・・・・・』

 

椎名『次はあっちの店です! ほら早く!』

 

砂原『・・・待ってよ~ユッキー・・・・・・私ついていくだけで必死なんだけど・・・』

 

 

 

向こうではグッズを買ってる女の子の姿が見える。

 

明久「あの子いい事言うね」

 

康太「・・・・・・ああ、特典が違うなら買うしかない」

 

雄二「へぇ~今は男だけじゃなく女もグッズとか買うんだな」

 

貴浩「まあな。それだけアニメが日本に浸透しているってわけだ。

   もはやアニメは日本が世界に誇れるモノだ!」

 

雄二「そ、そうか・・・」

 

その後は俺と明久の買い物で夕方まで過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

明久「ふぅ~たくさん買えたよね」

 

雄二「お前ら買いすぎだろ・・・

   ・・・ってか明久はそんなに買うから生活費が無くなるんだろうな。

   それにしても貴浩とムッツリーニはよく金があるな」

 

貴浩「俺は明久と違って貯金してるからな」

 

康太「・・・・・・・・・俺も収入とかあるからな」

 

俺達は両手に荷物をぶら下げた状態で帰っていた。

 

明久「まあ、僕も今月はお金ためといたから1週間後の生活費が振り込まれるまで、

   砂糖と塩と水で過ごせばいいだし・・・・・・ってあれ?」

 

雄二「ツッコミどころ多いが・・・・・・どうした?」

 

明久「あれ秀吉の妹さんじゃない? 地面にうずくまってるけど大丈夫かな?

   少し行ってくるね」

 

明久の視線の先に秀吉の妹、命の姿が見えた。

明久の言うとおり命が地面に蹲っている姿が見えた。

明久は命を心配して駆け寄っていく。

 

明久「・・・木下さん大丈夫? 気分でも悪いの?」

   

命「あ、吉井君・・・・・・すみません・・・少し目眩がして・・・」

 

明久「立てる?」

 

命「ちょっと難しいかも・・・もう少しこのままでいたら治ると思うから・・・」

 

貴浩「大丈夫か?」

 

明久「あ、貴浩。なんか目眩がしたんだって。

   少ししたら治るみたいだけど・・・・・・」

 

雄二「でももう夜遅いからな・・・」

 

康太「・・・・・・・・・家族も心配しているはず」

 

貴浩「確かに秀吉が発狂しているかもしれないしな」

 

明久「あははは・・・確かに・・・・・・じゃあ、僕が送ってくよ」

 

貴浩「それがいいかもな。このままにしておくのも悪いし」

 

雄二「じゃあ、貴浩と明久に任せるか」

 

康太「・・・・・・・・・2人なら大丈夫だろうし」

 

貴浩「だな。じゃあ雄二、ムッツリーニまた今度な」

 

そこで俺と明久は命を送り届けるため、雄二とムッツリーニと別れる。

 

明久「じゃあ、貴浩。荷物お願いできるかな? 僕が命を背負っていくから」

 

貴浩「了解。命を落とすなよ。落としたりしたらどうなるかわからないからな」

 

明久「うん。じゃあ、木下さん帰ろうか」

 

命「あ、えっと・・・・・・でも・・・悪いし・・・・・・」

 

貴浩「でも・・・これ以上遅くなると秀吉たちが心配するぞ」

 

命「あ、うん・・・それは確かに・・・・・・じゃあ、お願いするね///」

 

命は恥ずかしがりながらオズオズと明久の背中に乗る。

 

命「じゃ、じゃあ・・・お願いするね吉井君・・・////」

 

明久「うん・・・安心してね」

 

俺は自分の荷物と明久の荷物を持った状態で

明久は命を背負った状態で木下家に向かう。

 

 

 

 

 

明久「あ、ついたね」

 

ピンポーン♪

 

ガチャ

 

優子『は~い。どなたですか? って命!? アンタ何やってるのよ!』

 

ズカッ!!

 

貴浩「うがっ!?」

 

呼び鈴を押すと秀吉と命の姉の木下優子が出てくる。

そして命の姿を見るやいないや何故か俺の顔面に拳を叩き込んできた。

 

命「優姉!? なにやってるの!?」

 

優子「いや、なにって・・・・・・ってあら? 織村君そこで蹲って何してるの?」

 

殴った張本人が何を言う。

 

優子「・・・・・・それより吉井君だっけ? いつまで命を背負っているつもりなのかしら?

   ってかなんで命を背負ってるのかしら? 詳しく聞かせてもらえるかな?

   もちろん聞かせてくれるわよね? 当たり前よね?」

 

明久「・・・な、なんか怖いんだけど・・・」

 

命「優姉! 吉井君は途中で気分の悪くなった私を送ってくれたんだよ!」

 

優子「そ、そうなの・・・? ご、ごめんなさいね吉井君。つい・・・・・・」

 

明久「だ、大丈夫だよ・・・・・・」

 

命「ごめんね織村君・・・・・・」

 

明久「大丈夫貴浩?」

 

貴浩「い、いや・・・・・・大丈夫だ・・・・・・」

 

優子「ごめんなさいね織村君。つい命のことになると・・・・・・」

 

貴浩「・・・・・・まあ、わからないでもないが・・・・・・」

 

明久「貴浩はそうだよね・・・・・・あ、もう木下さんもう大丈夫?」

 

そこでやっと明久が背中から命をおろす。

 

命「あ、ありがとうございます吉井君。おかげで助かりました」

 

優子「わざわざありがとう。命を送ってくれて」

 

明久「あ、うん。まあ困った時はお互い様だよ」

 

その後、明久は俺の家に泊まった。

 



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新学期と残暑とお花植

あけましておめでとうございます・・・・・・って随分遅いか・・・・・・

亀更新ではありますがこれからも更新していくので応援よろしくお願いします。


 

 

ミーン… ミーン…

 

 

貴浩「あちぃな…」

 

明久「9月なのに何でこんなに暑いのかなぁ…」

 

貴浩「知るかよ…残暑だからだろ…」

 

本日9月中旬。

 

『どうした?』と地球に問い掛けたくなる様な暑さが続く。

 

俺は暑さが苦手なので(寒いのも苦手)参ってるなかで、明久と廊下を歩いていた。

 

ちなみに今の時間帯は放課後。

 

本来なら直帰で遊びに向かうのだが

本日は掃除当番の日だったのでしぶしぶだが残っていたのだ。

 

最初は明久と逃げ出そうとしたのだが鉄人に目をつけられて逃げることも出来ず、

イヤイヤながら掃除を終え鉄人に報告しに行っていたところだ。

 

で、職員室からの帰りの廊下をダラダラと牛歩しているところだ。

 

その時…

 

ガラッ

 

俺達の帰る途中にある教室のドアが開き、とある人物が出てきた。

 

優子「あら 織村君に吉井君じゃない」

 

貴浩「ん? こんな時間に何してるんだ?」

 

教室から出てきたのは木下優子だった。

普通なら帰ってると思うのだが…ってか俺ならすぐ帰る。

 

優子「少し勉強していたのよ」

 

明久「うへぇ~放課後も勉強してるんだ…凄いね…」

 

貴浩「…すげぇな~それにしてもアチィ」

 

優子「まあ時間を潰す間に勉強していただけよ。

   それより織村君、なんて格好してるの?」

 

貴浩「…ん…?」

 

俺を爪先から頭のてっぺんまで見て、

やはり呆れたような感じで言ってくる。

 

 

 

只今の格好。

 

夏用の制服。

 

ズボン。  脛ぐらいまで捲り上げ。

 

シャツ。  ボタン全開。 中に着ているTシャツを露出。

 

右手。   安物扇子。

 

織村貴浩 現在で出来限りのクールビズ中

 

 

 

貴浩「…何か問題でも?」

 

優子「ちゃんと着なさいよ制服」

 

貴浩「…クールビズです」

 

優子「いくらなんでもやり過ぎよ…」

 

貴浩「だってアチィし……」

 

優子「…少しは節度を持ちなさいよ……あなた達は何してたのよ?

   確か部活はしていなかったと思うけど…」

 

明久「今日は掃除当番でね。それで遅くなったんだ」

 

優子「そうだったの………ということはこれから空いてるわよね?」

 

なんか嫌な予感がするのは気のせいだろうか…?

 

明久「あっ! 僕大事な用があるんだった! じゅあね!」

 

シュタ!

 

明久は何かを察し一目散にこの場から脱出した。

 

貴浩「そういえば俺も──」

 

俺も明久に続くようにこの場から逃げ出そうとしたのだが

 

ガシッ

 

優子「織村君は暇よね。それはよかったわ」

 

いや、何も言っていないんだが……

 

優子「今日、命の代わりにスーパーの特売に行かないといけないのよ。

   だから荷物持ちが欲しかったのよ。

   織村君なら家が近いから丁度良かったわ」

 

やられた……肩を掴まえられているから逃げ出すこともできない。

いや…できなくもないが後が怖いからそんなことできないんだが…

 

貴浩「ハァ~了解了解。荷物持ちすれば良いんだろ? 帰るついでだしな」

 

優子「じゃあお願いね」

 

その後俺は優子に後に続いた。

 

 

 

  ★   ☆   ★   ☆   ★

 

 

 

ふぅ~なんか危ない気がしたからあの場から逃げたけど…

貴浩がこないってことは捕まったんだろうな~

ドンマイ貴浩。僕はこのまま帰るとするよ。

 

僕は貴浩を見捨てて1人帰ろうとしたところで花壇に目が向いた。

そこにある知り合いが目に付いたのでそこに向かうことにした。

 

明久「なにしてるの木下さん?」

 

命「え? 吉井君?」

 

花壇にいたのはさっき出合った木下優子さんの妹の木下命さんだ。

 

明久「こんにちは木下さん。花壇で何してるの?」

 

命「これ? これはね…花を植えてるんだよ」

 

明久「花を…?」

 

命「うん、ここね花が凄い荒れてたのが気になったから

  先生に許可もらって少しずつなおしてるんだ」

 

明久「……木下さんって凄いね」

 

命「え…? 私が…? 私全然凄くないよ!!」

 

明久「いや、凄いよ…だって気づいても普通こんなことしないよ。

   僕だったら普通に見過ごしちゃうもん」

 

命「それは気がついたから…」

 

明久「それが凄いよ。よし! なら僕も手伝うよ」

 

命「えぇ!? そんなの悪いよ!」

 

明久「良いの良いの! それに2人でやれば早く終わるしね」

 

命「……じゃあ、よろしくお願いします」

 

明久「了解! 任せておいてよ」

 

木下さんと一緒にある程度花を植えた。

その後、遅くなったので僕は木下さんを家まで送り届けた。

 

その途中で買い物袋を大量に持たされている貴浩と木下さんのお姉さんに出会い、

ひと悶着あったのは言うまでもない。



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