サトノダイヤモンドが砕けたら (逆しま茶)
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サトノダイヤモンドは砕けない

ごまだれ醤油様の『トレーナー試験難しすぎワロタwwwww』に触発されて書いた一発ネタです


 

 

 

 

 

 

 

『――――ああ、またダメだったのか』

『サトノはGⅠを勝てない、そういう運命なのかな』

『今度こそは、勝ってくれるかと思ったんだけどなぁ』

 

 

 

 

――――くやしかった。

 

 

 

 サトノ家のウマ娘たちが―――スタッフが、トレーナーが、お父さまがお母さまがお爺さまお婆さまが、どれだけ悔しい思いをしているか―――。

 

 それを、運命なんて言葉で終わらせたくなかった。

 

 

 

 

『――――ただ一度でいい。どうかサトノに栄光を』

『いいのよ。勝てなくてもいい、ただ元気に走り抜けてくれるだけで――――』

 

 

 

 

 いつも優しくて、誰よりも頼りになるお父さまが苦しむ姿を見た。

 厳しくも優しいお母さまが、どこか諦めたような色を宿していることに気づいてしまった。

 

 

 

 

 

 

(――――わたしが、がんばらなきゃ)

 

 

 

 

 サトノの至宝、サトノダイヤモンド。

 悲しい運命(ジンクス)を破り、みんなに喜んでほしい――――それが、いつからか彼女の“芯”になった。

 

 

 

 

 

『この子なら、あるいは―――』

 

 

 

 

 誰かが言った。

 幼少期でも明らかなポテンシャル、レースへの情熱、年齢に似合わぬ知性。

 

 この子なら、サトノダイヤモンドならばあるいは、サトノ家にGⅠ勝利をもたらしてくれるのではないか――――。そんな静かな、けれども確かな期待を、彼女もまた感じ取っていた。

 

 

 

 

 

 

 

『――――メジロマックイーンだ! メジロ家が再び春の天皇賞を勝利!』

 

 

 

 だからこそ、憧れだった。

 なかなか勝利できず、それでもメジロ家のステイヤーとして期待され、菊花賞と春の天皇賞の勝利という最高の形で応えた。マックイーンさんが。

 

 

 

 

 だから――――。

 

 

 

 

「いや、マックイーンは確かに強いけど勝つのはライスシャワーだね。スイーツ食べ放題を賭けてもいい」

「――――ぜっっったいマックイーンさんが勝ちます! それで初の三連覇です!」

 

 

 

 

 ………この人とは、ぜったい相容れない!

 黒髪黒目、ごく平凡な容姿のお兄さん。顔立ちは優しそうなのに意地悪な人だ! と、熱狂的なマックイーンのファンであるところのダイヤは思った。

 

 

 

「あわわわわ。お、落ち着いてダイヤちゃん」

「お前も落ち着け。どうした急に」

「そうだ、お前らしくないぞ」

 

 

 

「止めないでキタちゃん! だってこの人が!」

「……む。いやすまん。菊花賞のライスの扱いに正直納得できてなくてイラついてた」

 

 

 

「あっ……」

 

 

 

 

 

 素直に謝られると、それは確かに……と自省できる素直なダイヤであった。

 別にダイヤは菊花賞の時は特に関係ないのだが。

 

 

 

「メジロマックイーンは確かに強い。歴代最強ステイヤーと言ってもいい。だけど、それに勝つためだけに調整してきたライスシャワーは怖いぞ」

 

「―――それでもマックイーンさんは勝ちます!」

 

 

 

 

「そして更に俺は勝利を盤石な物にするべくライスシャワー応援団を結成した」

「ええっ!?」

「うそぉっ!?」

 

 

 

「ライスちゃーん! がんばってー!」

「ファイトです」

「さあテンション、アゲアゲでいくわよ~!」

「いっけー、マチタン! あとライスー!」

「なんでアタシまで連れてこられたんだろう……ああもう、頑張れ二人ともー!」

 

 

 

 

 

 ハルウララ、ミホノブルボンらを筆頭に有名ウマ娘たちがずらり。

 更に日頃のライスシャワーの不幸っぷりを知っている商店街の人やら何やら、とにかく応援に来てくれるように声をかけまくった。

 

 菊花賞でのあんまりな仕打ちに義憤に駆られた人も多く、マックイーンには劣るにせよそれなりの規模の応援団が結成されていた。

 

 

 

 

「そ、そんな……応援団なんて……そんな手がっ、で、でもマックイーンさんは負けませんから!」

「応援団は考えてなかったね、ダイヤちゃん…」

 

 

 

 

 

 負けた……。

 サトノダイヤモンド、初の敗北を悟った瞬間だった。

 

 

 

 でも、どうして応援団なんて――――。

 

 

 

 

 

 そんな疑問が解消される前に、レースは始まった。

 メジロマックイーンを真正面から打ち破るライスシャワー。沢山の夢が散って、それに負けじと歓声を上げる一団があって。

 

 

 

 

 

 

 祝福の声にどこか驚いたような、安堵したような―――誰よりも泣きそうな顔で、でも誰よりも幸せそうにそれに応えるライスシャワーを見て、青年は号泣していた。

 

 

 

 

「――――俺は、運命を変えたよ」

 

 

 

 

 

 不思議な言葉だった。

 自分も泣きそうだったのに、それより号泣しているヤバい人がいるせいで妙に冷静だった。

 

 

 

 

 

 その後もたびたびその人に会った。

 

 

 

 

「一年ぶりのレースでも、怪我を三度繰り返しても―――それでも帝王は勝つよ」

 

 

 

 

 テイオーさんが復活した有マ記念でも展開を読み切っていたし、実はすごい人なのかなと思ったらただのトレーナー志望の学生さん(留年中)だったり。

 

 そう、知っている人だったのだ。

 

 

 

 

 

 

――――だから、模擬レースを見に来たのに何も言いに来なかったり。

 

 

 更にトレーナーを決めるための面接を開いても無視してきたり。

 

 

 ならマックイーンさんが開いてくれたカジュアルパーティになら、と思ったのに――――。

 

 

 

 

 

「え、えーっと……ダイヤちゃん?」

「………………あっ、ごめんキタちゃん。どうかした?」

 

 

 

「え、えっとね……。あっ、そうだ! よくレース見に来てたお兄さんなんだけど、ちょうどさっき外で会って――――」

「……へぇ、キタちゃんには会いに来たんですね…?」

 

 

 

 

 

 私も共通の知り合いなのに…。

 というか模擬レースを観て何か言いたそうな顔だけしておいて何も言わないなんて、仮にも一緒にレースで盛り上がった仲なのにひどいのでは?

 

 そんな気持ちが出ていたのか、キタちゃんは意外そうな顔で言った。

 

 

 

「そういえば、ダイヤちゃんがそんなに拗ねるのって珍しいよね」

「……――――そう、かな?」

 

 

 

 

 そうかもしれない。

 でも―――。

 

 

 

「もしキタちゃんに無視されたら、もっと拗ねちゃうかも」

「ええっ、そんなことしないよー!」

 

 

 

 

 

 

 そう、キタちゃんよりはずっと……どうでもいいとは言わないけど、大事なわけじゃない。ヘンな人、というのが適切で。

 

 そう、ただちょっとカチンとくる人が、失礼なことをしてきたから気になっただけ。

 

 あの人の思う『運命』って何だったのか――――それを変えてどう思ったのか、なんて。そんなことが少しばかり気になっただけ。

 

 

 

 きっと、そうだ――――。

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

――――20XX年、地球のゲーセンはSE〇Aによって支配されていた――――。

 

 

 あらゆる経済競争が合理化されるこの資本主義の時代。

 科学の力では解決できない、魑魅魍魎(オタク)の求めるところに完璧に応えたそれを、人々はぱかプチと呼んだ――――!

 

 そう、ぱかプチによってSE〇Aはゲーセンを支配した。

 世はまさに、大ぱかプチ時代!

 

 

 

 

 というわけで持ち歩いていたライスシャワーのぱかプチを取り出し、トレセン学園で遭遇した野生のライスシャワーにサインペンと共に差し出す。

 

 

 

「――――サイン下さい」

「ふぇええっ!? ……あ、あれ……もしかして、お兄さま?」

 

 

 

 

「え?」

「ひゃっ!? ご、ごめんなさい、なんでもないの……!」

 

 

 

「えと、その……サインだよね! あ、でもライスがサインなんてしたらこの子も不幸にしちゃうかも……」

「サイン貰えると物凄く幸せだからできれば下さい」

 

 

 

「う、うん! その、ライスのなんかで良ければ……」

「ありがとう……」

 

 

「ううん、ライスこそ……いつも応援、ありがとう。お兄さま」

「?」

 

 

 

 

 もしかして菊花賞とか春天とか宝塚記念とか応援に行ったことに気づかれているのだろうか。

 いや流石に認知されてるわけないよな…。

 

 

 

 

 そんなわけでライスシャワーにお礼を言って別れ。

 これでも俺も新人トレーナーの端くれ。一応メジロ家のカジュアルパーティとやらにお邪魔しようかという思いが無くもない。

 

 けどメジロ家ってメジロブライト以降は長距離レースが廃れていく影響直撃するし……という“知識”由来のとんでもなく失礼なことを考えつつ回避の方向。

 

 

 

 

 

 

 思えばこの“知識”も便利なもので、勝ったのに祝福されなくて涙するライスシャワーとか、夢破れるトウカイテイオーとか、悲しみしかない映像を寄越してくるので打破するための手段も講じることができた。

 

 さすがに長距離レースが廃れるのはどうにもならなさそうだけど。

 ちょっとしたきっかけで知り合ったキタサンブラックとサトノダイヤモンドは気にならなくはないが、二人ともGⅠの栄冠を掴めるみたいなので俺みたいなのが何かする必要もないだろう。

 

 ダービーで『お前落鉄するZE☆ もっと腕にシルバー巻くとかさ!』くらいのアドバイスはしてもいいかもだが。

 

 

 

 まあそんなことしたらマカ……マカライト鉱石みたいな名前のウマが悲しみそうなので、できればほどほどに重賞勝てそうなウマ娘を担当してほどほどに良い感じに仕事したい。

 

 

 

 

 

 

 しかし、なんだ――――あのおっぱい凶器では?

 

 

 レースで周囲の当たりの強さに戸惑っていたとか、掛かりそうになってたとか、まあ気になるところは無きにしも非ずだが――――あのおっぱい見てると視線が吸い寄せられそうになるのでマトモにサトノダイヤモンドを見られないのである。

 

 

 トレーナーは教師なので、ウマ娘のおっぱいを見るようじゃ失格なのだ。

 

 

 

 

 できれば同期のクソ可愛い桐生院トレーナーとかとお近づきになりたい。生徒に手を出すようじゃ犯罪者。なのでサトノダイヤモンドには近づかない。

 

 

 

 

 

「うーん完璧な作戦」

「あれ、お兄さん? こんなところで何してるんですか? もうパーティ始まってますよ?」

 

 

 

 

「お、キタちゃん」

「はい、キタサンブラックです!」

 

 

 

 制服姿のキタちゃんは胸元に穴とかないし、なんというかヤの人に迫られそうな恐怖のお陰で特にアレな気持ちにならないので安心できる。

 

 

 

「ダイヤちゃんも会いたそうにしてましたし、一緒に行きましょう!」

「えぇー……。いや、俺はいいや。なんというか合わせる顔ないし……」

 

 

 

「? ダイヤちゃんと喧嘩でもしたんですか…?」

「喧嘩しかしてない気もするけど……ライバルだからあんまり近づきたくない的な?」

 

 

 

 

「なるほど……じゃあ仕方ないですね! あ、そういえばダイヤちゃんが模擬レースで走りにくかったって言ってたんですけど、アドバイスとかありますか?」

 

「いやライバルに聞くか?」

 

 

 

 

「あたしなら、はい」

「うーん。……じゃあもっと世間にもまれろ箱入りお嬢様。掛かってやんのって伝えてくれ」

 

 

 

 このくらいならいいかなー。

 そんな風に思いながら答えた。答えてしまった。

 

 

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

 

「――――採用です」

 

 

 

 

 

 翌日。

 制服姿でトレーナー室に乗り込んできたサトノダイヤモンドに、申請書を突き出された。

 

 

 

 

「辞退します」

 

 

 

「………」

「………」

 

 

 

 

 

 笑顔で見つめ合う。

 ちょっと青筋立ってるような気がする。ハハッ、ウケる。そんな風に現実逃避してみるが、現状は変わらず。

 

 

 

 

「理由を、聞かせていただけますか? 私の資質に不足がありますか?」

「いや、無いけど……でもほらアレだよ。むしろお前を負かす側に立ちたい的な」

 

 

 

「私はサトノの栄光のためなら、毒を飲み干して皿まで食らう覚悟があります」

「毒扱いかぁ」

 

 

 

「運命を変えた―――貴方がそう言った、あの宝塚記念――――いつだって勝ちウマを当てていた貴方が、あの時だけは必死だった。祈っていた」

 

「心の中ではいつも祈ってるけど」

 

 

 

 

 

 

 

「貴方は、運命を知っているから――――私が、勝てないから……だから、嫌なのですか」

 

 

 

 

 

 ずっとずっと、強いお嬢様だと思っていた。

 それはきっと、間違ってはいなかっただろう。どこまでも純粋な輝きを宿すダイヤモンド。磨かれれば至高の宝石となる原石。

 

 そして俺は、自分の知識を軽く見ていた。

 ライスシャワーの勝利を、トウカイテイオーの復活を、予想できないはずの、絶対はないレースを当て続けた俺が“選ばない”ということが――――ただでさえ重すぎる重圧に晒されていた女の子にとって、どういう意味に見えるのか。

 

 

 

 

 泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 何よりも固くて、綺麗で。でも本当は衝撃には弱いダイヤモンド。

 ひび割れて、涙を流す少女を見て初めて、俺は自分の愚かしさを自覚した。

 

 遊び半分で、この子の心を傷つけた罪を知った。

 

 

 

 

 

「……違うさ。君は、運命を変える必要なんてない。だから、俺なんて必要ないってだけの話だ」

 

「………それでも、今の私に一番に必要と思えるのは――――貴方です」

 

 

 

 

 

 ダイヤちゃんの背後、扉の向こうに笑顔のキタちゃんがいた。目が笑っていなかった。「断ったら東京湾に沈めますね」と言ってる気がする。

 

 

 

 

 

 

「わかったよ。なら、君が運命を変えるその時まで―――俺が、君のトレーナーだ」

 

「――――…はいっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




みんなも二次小説書いて♡
特にスズカさんの二次小説書いて♡


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未知のトライアル

 

とりあえずキリよくGⅠ勝つまではやります



 


 

 

 

 

 

 

 

『お父さま、お母さま。私のトレーナーはこの方ですっ! 素晴らしいご慧眼の持ち主で。ですからどうか承認を―――!』

『気持ちは分かるが、さすがに実力も見ずに、認めるわけにはいかない。したがって、ある試験を受けて貰おう。君には……いや、2人には』

 

 

 

 

 

 という流れで、芝2400でのメジロマックイーンとの模擬レース。身体ができあがっていない今のダイヤにそんな総合力を示させるのは正直なところ無理な話。2000mに照準を合わせて、それだけに徹することで覚悟を示す――――という流れのはずなのだが。

 

 

 

 

 

 

「お父さま、お母さま。というわけで、トレーナーを引き受けていただくことになりました」

「そうか。……では、ダイヤを――――どうかサトノの至宝を、よろしくお願いします」

 

 

 

 

 あれぇ?

 

 

 

「うそでしょ――――いや、ダイヤちゃんのお父さん! 見ず知らずのトレーナーに大事な娘さんを預けて良いんですか!?」

 

「いや、うん。まあ見ず知らずならばテストの一つでも受けてもらうところだが――――」

 

 

 

 

「そうですよね! 怪しげな新人トレーナーなんかには―――」

「とはいえ君の場合、カペラでアルバイトをしてもらっただろう?」

 

 

 

 

 調教助手ならぬ、アシスタントトレーナー。

 トレーナー試験に落ちて留年した俺は、ダイヤちゃんのコネによってサトノと縁が深いチームカペラでアルバイトをさせてもらい。その経験もあってなんとか試験に合格できたという流れがあったりする。

 

 なので実はダイヤちゃんのお父さんには頭が上がらなかったりするので余計に来たくなかったのだが―――。

 

 

 

「クラウン、アラジン、ノブレス――――皆、君を高く評価していたよ。それにライスシャワーやマルゼンスキー、ミホノブルボンらのスターウマ娘達ともつながりがあるとか」

 

「え。いや、まあちょっとした繋がりですが……」

 

 

 

「この業界、人の繋がりというのは貴重な物だ。その年でそれを理解しているのは十分に将来有望だと思うよ」

 

 

 

 

 この人いい人なんだよなぁ!

 くっ、なんかもう押し負ける気しかしないし、こうなったら――――。

 

 と、考えたところでめちゃめちゃイイ笑顔のダイヤがぐいぐいと出口に向けて押してきた。

 

 

 

「ありがとうございます、お父さま! さあ、トレーナーさん? 早速トレーニングについて相談させて下さいね!」

 

「くっ、ダイヤ!? ヤメロォ! ウマ娘のパワーで押すな! すみません失礼しましたぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「全く、娘の成長というのは早いものだな……」

 

 

 

 昔なら形振り構わず「この人がトレーナーさんです!」と押し通そうとしてきただろうに、今回は先に母親経由で説得してきた。

 

 

 

 

 

『……今回のトレーナー選抜トライアルで色々なトレーナーさんを見ました。GⅠの栄冠を手にした人も、過去有力なウマ娘を育てた人もいました。ですが――――“運命を変えられる”、そう私に思わせたのはあの人だけなんです』

 

『そうね。カペラのトレーナーからも推薦をもらっているし……良いのではないかしら?』

 

 

 

 

 

 突飛かつ独創的な練習を考案する傾向にあるも、確かに効果を認める―――そのなんともいえない独特な雰囲気。それにサトノ家の当主として多くの人間を見てきた身として、とあるトレーナーに近しいものを感じる。

 

 

 

 

 

「サトノのジンクスを……いや、あるいはもっと……だがしかし……」

 

 

 

 

 初めは喧嘩ばかりだったのに、いつの間にか年の離れた兄妹のような――――本人が自覚しているかはさておいて懐いた男をトレーナーにすると言われて正直、思うところはある。それでも娘の想いを優先するあたり、優しい父親で。

 

 

 

 

「――――だが結婚は認めん。少なくともGⅠを……いや、年度代表ウマ娘を取って引退するくらいでなければ……」

 

「でもあなた、ダイヤについてこられる殿方はあまりいないのでは……」

 

 

 

「…………」

「………ね?」

 

 

 

 

 ふとした思いつきでバレンタインに人間クレーンゲームを開催する娘である。

 まあ割と容赦なく周囲の人間を巻き込むし、その中に自分の手作りチョコを混ぜておくのはいいのだが、もし取られなかったら落ち込んだだろうと親としては気が気じゃなかった。

 

 

 

「くっ……だがダイヤを幸せにできると証明しなければ……」

「昔は天真爛漫だったあの子が、また元気を取り戻してくれたのは彼のお陰ですし……」

 

 

 

 

 

 それを言うと、天真爛漫の暴走特急にして手に負えなくしたのも件の彼なのだが。

 マッチポンプでは?

 まあダイヤが元々暴走特急なのがそもそもの始まりか…。

 

 

 

 親の苦悩は続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「――――さあ、トレーナーさん。まずは何の練習からいたしましょうか!」

「いややる気があるのは結構だけどさ……うーん、とりあえず目標は皐月賞でいいのか?」

 

 

 

「そうですね。デビュー時期によってはホープフルステークスなども視野に入れたいところですが―――…」

「まあ間に合わないだろ」

 

 

 

 成長が遅くて、本当はキタサンブラックと同じ年にデビューしたいのにと、主治医にゴネていたのは知っている。胸だけ立派に……げふんげふん。まあジュニア級はせいぜい2レースくらい走れればいいだろう。

 

 

 

 

「むむっ。間に合わせてくれてもいいんですよ?」

「変なリスク背負わせたくないから却下。で、まあ皐月賞だけど――――不利を受けにくい技術が欲しいかなぁ。サトイモは後方からだろうし」

 

 

 

 

 実際、他がヨレた不利を受けつつレコードでぶっちぎられて負けるだが。なければ勝ってた、とは言えないが勝っていたかもしれない。

 ふんす、と気合は十分らしいダイヤはまあ可愛らしいが――――。

 

 

 

 

「イモ……あの、トレーナーさん? 何ですか、その……」

「サト(ノダ)イ(ヤ)モ(ンド)だな」

 

 

 

 

 

 どっかの先頭民族と違って不利なんて普通にある。

 オペラオーの包囲網じゃあないが、外走らされてロスとか、前壁とか。徹底マークで実力を発揮できないとか。

 

 

 

「トレーナーさん、普通にダイヤって呼んでくれませんか…?」

「ダイヤル膝接手」

 

 

 

「……むぅー」

「ともかく、サトイモは実戦経験が足りない。必然的にそういう小手先の技術も足りない。仕方ないのでGⅠ級のウマ娘たちに併走をお願いしてきた」

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

「ハァーイ! 可愛い後輩ちゃんのためなら頑張っちゃうわよ?」

 

 

 

 

 まず一人目、マルゼンスキー。

 ライス応援団でも大活躍してくれたチョベリグなお姉さんだが、可愛がっているライスの春天で笑顔にした礼として何か協力してくれると言う話なので呼んでみた。

 

 

 

「えっと、ライス、がんばるね!」

 

 

 

 二人目、ライスシャワー。

 言わずと知れた最強ステイヤー、メジロマックイーンを打ち破った漆黒のステイヤー。なんでかお礼がしたいらしいので併走を頼んだ。

 

 

 

「わーい、みんなよろしくねー!」

 

 

 

 

 三人目、ハルウララ。

 なんか来た。

 

 

 

 

「全く仕方ないわね、この一流のキングの走り――――とくと参考にするがいいわ!」

 

 

 

 四人目、ウララの保護者?としてついてきたキングヘイロー。

 馬の方はともかくこっちのキングは割と助かる。

 

 

 

 

「オペレーション受諾。逃げであればお任せ下さい」

 

 

 

 五人目、なんかライスシャワーが連れて来てくれたミホノブルボン。

 対キタサンブラックを想定するなら割とアリ。

 

 

 

 

「いやー、なんか錚々たる面子が揃ったね」

 

 

 

 六人目、サトノクラウン。

 まあ普通に呼んだ。助かる。

 

 

 

 

「やはり人脈とは得難いもの―――サトノさん、順調のようですわね」

「ま、マックイーンさんっ!? も、もしかしてマックイーンさんも併走を!?」

 

 

 

 七人目……なんでマックイーンが!?

 

 

 

「少々目立っておりましたので、気になって――――ぜひ参加させていただきたいのですが」

 

 

 

 

 まあこの面々なら気になるか…。

 と、言いたいところだが多分自分を慕う後輩が気になったツンデレか何かだろう。

 

 

 

 

「で、マックイーンが走るなら僕も混ぜてもらおうかなー」

 

 

 

 

 トウカイテイオーが来た。トウカイテイオーが来た!?

 なんでここにテイオーが!?

 

 

 

「報酬はちみーでいいですか」

「え、奢ってくれるの? やったー! じゃあ固め濃いめ多めね!」

 

「トレーナーさん、どうしたんですか急に?」

 

 

 

 どうしたもこうしたもあるか。

 皐月賞といえば中山レース場2000m、上手いこと抜け出せなくて、不利を受けてそのまま負けるサトノダイヤモンドにとって一番必要かもしれない教師だぞ。

 

 

 

「いいかダイ――――サトイモ。ある程度以上の距離があるならメジロマックイーンのロングスパートが参考になる。けど、中山の短い直線でのあのトウカイテイオーの芸術的な抜け出しはマジでお前に一番必要なものだから」

 

「今ダイヤって言いかけましたよね?」

 

 

 

 

「GⅠ勝ててない今のお前なんてサトイモで十分だ。とりあえずクラシックの秋までにはイモは卒業するだろうけど――――それより早くなるかはお前の頑張り次第だ!」

「………むぅー。とりあえず皆さんにも報酬はご用意させて下さい」

 

 

 

 マックイーンはメロンパフェとかでいいんじゃなかろうか。

 というか基本的に女子は甘いものが好きなのでスイーツなら間違いない。例外もある。

 

 

 

 

「あ、マックイーンさん。すみません、垂れウマ回避がめちゃくちゃ巧そうなウオッカとか呼べませんか? スピカのトレーナーさんにはこっちからお願いしますから」

 

 

 

 スピカの後輩だし。マックイーンが呼んだら来てくれそう。

 

 

 

「……まあ、聞いてみるくらいは構いませんわ」

「ありがとうございます!」

 

 

 

 

 よっし、あとはスピカのトレーナーこと沖野トレに頼むだけだな!

 SSトレも友情トレーニングも、アプリウマ娘の育成要素らしいが―――そりゃあ先達がいるんだから教えて貰った方が強くなれるに決まっている。

 

 

 これならもしかしたら、もしかするかもしれない―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 メジロマックイーンにとってテイオーはライバルであり、走る理由でもある。が、それはそれとして自分を完膚なきまでに打ち破ったライスシャワーもまた、好敵手であると認めるところだ。

 

 彼女は彼女で、ミホノブルボンという一番のライバルがいるわけだが。

 

 

 

 

 まあそんなわけで、ライスシャワーとミホノブルボンどころかマルゼンスキーやらキングヘイローやらサトノクラウンやらと有名どころが模擬レースの準備をしていればそれはもう目立つ。

 

 何かのイベントか、と疑問に思うくらいにはメンバーが豪華すぎた。

 

 

 

 

「ライスさん、今日はどうしたんですの?」

「あ、マックイーンさん。えっと、実はね。お兄さまに担当の子のために模擬レースをしてほしいってお願いされて」

 

 

 

「???」

 

 

 

 仮にもGⅠウマ娘、マックイーンにも勝ったライスシャワーを併走に呼びつける…?

 けっこうとんでもないことをやらかしているのだが、何が変かというと、それだけならライスシャワーを顎で使うトレーナーに他の面々が怒りそうなものだが気にした様子がないところだろうか。

 

 ライバルであるミホノブルボンも、

 

 

「まあ、あの方は団長ですから」

「だんちょう」

 

 

 

 何の団なのか、と気になって視線をマルゼンスキーに向けると、他の説明不足を補うように丁寧に説明してくれた。

 要はライスシャワーの走りにしっかりと声援をくれるように、そのトレーナーは、まだ学生の頃にライスシャワー応援団を結成したのだとか。

 

 菊花賞で心無い観客によって傷つき、春の天皇賞を走りたがらなかったライスに走る決心をさせ―――ついでに同じ考えの同志を集めて声援を送った、と。

 

 

 

 

 ……春の天皇賞、前人未到の三連覇という条件であの空気を作ってしまったマックイーンとしては微妙に肩身が狭い思いである。

 そんなわけで、借りを返すというわけではないが一応参加しようと思い―――テイオーもついてきた。

 

 

 

 テイオーの方が歓迎されていたのはちょっと微妙な気持ちだったが。

 そこはサトノさんが喜んでくれたのでまあ…。

 

 

 

 

 

 ………しかしなんというか、こうして大勢で併走してみるとレースさながらの緊張感や駆け引きができて学びが多い。意外と盲点だったかもしれない。

 

 まあこんな豪華な面子を集められるのは、それこそスピカやリギルくらいのものかもしれないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





イチャイチャ成分まだですか……(セルフ供給失敗)

誰かダイヤちゃんとイチャイチャする話書いて♡


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キタちゃんから見たその人は


実家に帰ってるのでスマホから投稿です。打ちにくい…。


 

 

 

 

 

 

 あたしには大切な親友がいる。

 「お助け大将」なんて呼ばれるくらいには困っている人を放っておけないあたしのことをフォローしてくれたり、逆に時々とんでもないことをするダイヤちゃんに巻き込まれたり……。いつも冷静なようでいて、実のところ誰より意志が強いのがダイヤちゃん。

 

 そのダイヤちゃんが、初めて泣いているのを見たのはマックイーンさんが繫靭帯炎を発症したと聞いた時だ。

 

 

 

 ウマ娘なら誰でも聞いたことがあるその病は、オグリキャップさんという伝説のスターを除けばほぼ不治の病とされていて。……なんであの人復活できたんだろう?

 

 

 

 憧れの人の苦しみを想って涙を流すダイヤちゃんの気持ちは、あたしにも痛いくらい分かった。テイオーさんの骨折とか、菊花賞とか、骨折とか、春の天皇賞とか、骨折とか、宝塚記念とか………。それでも復活するのがテイオーさんなんだけど! テイオーさんはやっぱり強くて、カッコ良くて、最高の――――じゃなくて。

 

 

 

 

 ともかく悲しむダイヤちゃんに何も言えなかったあたし。それはダイヤちゃんの家の人たちも同じで。

 

 

 

 ある意味、他人という無責任な立場だからこそだろうか。

 妙に自信満々なその人に断言されると、なんとなく納得させられるような、奇妙な確信のようなものをその人は抱いていた。

 

 

 

 

 

『もう無理だ、と言われたテイオーの復活を信じているヤツがいるんだ。だからテイオーはターフに帰ってきた。まあマックイーンには無理かもだけど。信じてくれるファンもいないみたいだし』

 

『っ! わ、私だって信じたいです! でも、マックイーンさんが一番辛いのに……』

 

 

 

 

『まあ気持ちがなきゃ復帰しろなんて言われても辛いだけだろうな。でもさ、最高のライバルが奇跡の復活をして、黙って諦める性格なのか。メジロマックイーンは』

 

 

 

 

 

 有マ記念―――ビワハヤヒデが勝つだろうと思われたそのレース。三度も骨折し、一年ぶりの復帰レースでもなお、4番人気になったトウカイテイオー。人気はあった。けど、それはきっと彼女の元々の人気も込みの順位で。

 

 

 

 

『勝つよ、トウカイテイオーは。………それはそれとして、俺はライス応援するからキタちゃんこのテイオー応援グッズよろしくな』

 

 

 

 

 がくっときた。

 なんかいい感じのこと言ってるのに、締まらない人だった。

 

 ダイヤちゃんも呆れてジト目になっていた。

 

 

 

 

『だってテイオーが勝つし……ライスなんて5番人気だぞ。応援しなきゃ』

『むむむ。それはそうですけどぉ……お兄さん、ライスさんのこと大好きですよね』

 

 

『そりゃあファンだからな。キタちゃんだってテイオー以外応援しないだろ』

『それはまあ』

 

 

 

 

 結果は、知っての通り。

 テイオーさんが劇的な復活勝利を飾り――――それに負けじと、マックイーンさんも治療とリハビリに打ち込み始めた。

 

 ちなみにお兄さんの応援していたライスさんは5着で、何故か首を捻っていたけれど。

 

 

 

『あれ、ライスって5着だっけ? なんか掲示板外だったような……』

『ファンなのにひどくないですか…? さっきまで「うおおおライスが来た! ライス来た? あれ、ライス来てる!? ライスー!」とか大はしゃぎだったのに……』

 

 

 

 

 その後も『ライスは春天勝つよ』とか言っておきながら『なんか変だなー』とか言っていたり、春の天皇賞三連覇でマックイーンさんを超える最強ステイヤーと言われるようになると『あれなんでライス去年の春天勝ってたんだっけ?』と言い始めたり。

 

 まあそんなヘンテコなところのあるお兄さんではあるけれど、ライスさん以外の大きなレース結果はピタリと的中させることから、あたしとダイヤちゃんもレースの前は頼りにしていた。結果を当てるとウイニングライブが前の方で見れるので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはともかく、ダイヤちゃんもマックイーンさんの復活が見られて。お兄さんに言われてあたしと同じように手作りのお守りを渡していたらお礼も言われて大満足!

 

 それからだろうか。

 なんやかんやでお兄さんにダイヤちゃんが打ち解けたのは。

 

 

 

 

 レース後に寄り道してみんなでスイーツを食べたり、お兄さんの受験勉強の息抜きの名目で遊びに行ったり、あえなく受験に失敗したお兄さんのために、ダイヤちゃんがお父さんを説得してアルバイトで雇ったり―――。

 

 

 

 

『……別に、借りを返しただけですもんっ』

『うん、そうだね』

 

 

 

 

 いつもお淑やかにしてるから、拗ねたりツンツンしているダイヤちゃんも可愛いなーと思っていたり。

 

 

 

 

 

 

 

 そんなダイヤちゃんだから、トレーナーを選ぶと聞いた時に自然とあのお兄さんに頼むんだろうなぁと思った。あたしはテイオーさんがいるスピカに入れて貰ったけれど。ダイヤちゃんは乗り気じゃなかったし。

 

 

 

 

 だから、ダイヤちゃんの最初の模擬レースの時――。

 自然とあの人を探していたから、遠くの方でこちらを見ているのにも気づいた。

 

 

 

 

「あっ、お兄さんだ」

「えっ、本当!? キタちゃん、私大丈夫かな。変なところというか……からかわれたりしそうなところ、無い?」

 

 

 

 

「うんうん、大丈夫! いつものダイヤちゃんだよ!」

「いつもの……ううん、それはそれでなんとなく気になるような……」

 

 

 

 

 

 えー。ダイヤちゃんならいつでも可愛いのに…。

 心なしか気合が入りなおしたダイヤちゃんは、あたしとの模擬レースに臨んで。油断はこれっぽっちもしてなかったのに、ハナ差で差し切られて誇らしいような悲しいような…。

 

 

 

 

 

「まあキタちゃんはこれからだよ。大器晩成というか……どちらかというとマックイーンタイプ」

「マックイーンさんかぁ……ダイヤちゃんに聞かれたらちょっと拗ねられちゃうかも!?」

 

 

「かもなぁ。まあこれからだよ。気持ちさえあれば、君はもっともっと強くなる。あのゴールドシップを超えるくらいに」

「えっ。ゴルシさんかぁ………ゴルシさんかぁ……」

 

 

 

 

「あの人くっそ名ウマ娘だからな? 普段の言動はともかく」

「うぅ~、分かってはいるんですけど……もっとこう、「お祭り娘!」みたいな感じがいいです」

 

 

 

 

 そんなこんなで和やかに話している間に、ダイヤちゃんとサトノ家の人からトレーナー選抜試験の説明があり。

 

 

 

「うーん。さすがダイヤちゃん。大規模だなぁ……お兄さんも頑張って下さいね!」

「えっ? あー、俺はパス」

 

 

 

「ええっ!?」

「だってほらサトノのご令嬢なんてプレッシャー辛そうだし。気安すぎて逆にやりにくそうだし」

 

 

 

 安心させる意味では気安い方がいいだろうし、ダイヤちゃんなら指示を聞かなくて〜なんて心配もいらないだろうからいいことずくめな気がするけど…。

 

 

「もしかしてお兄さん、もう担当決めちゃった、とか…!?」

「いや、ないけど。キタちゃん、心抉るのやめて」

 

 

 

 良かった…。ダイヤちゃんに何も言わずに担当決めるなんてしたらどうなることか…。

 普段怒らない人が怒ると怖いらしいし。

 

 

「お兄さんは、ダイヤちゃんの走りは興味ないんですか?」

「えー。うーん、まああの差しのキレは好きだけど……キタちゃんに勝てるあたりかなりのものだし」

 

 

 

「あたしが基準なんですね」

「キタサンブラックだからな」

 

 

 

 なんだかラスボスみたいな扱いのような……って、それはないか。

 でもお兄さんだし……とりあえずダイヤちゃんのトレーナー選抜試験、受けるだけでも受けてくれるといいんだけど。

 

 

 

 

「というか、無視されたらダイヤちゃんが悲しむと思いますよ?」

「えー。コネで担当選びたくないし……最初のパートナーだぞ?」

 

 

「もしかしてトレーナーさん、ライスさんみたいな可愛い子を担当にしようと…!?」

「ないから。トレーナーは教師だから」

 

 

 

 でもドリームトロフィーリーグに行ってすぐ結婚したタマモクロスさんとか、愛の力で生涯無敗のとんでもない記録を打ち立てたサイレンススズカさんとか、割とトレセン学園ではけっこうあるような…?

 

 

 

 

「サイレンススズカのトレーナーはほら、なんかもうアレだし」

「みんなもトレーナーとそういう関係にーって、結構意識してるみたいですけど」

 

 

「そんなんだからトレセン学園は婚活会場とか言われるんだよ…」

「あはは…」

 

 

 

 まあみんな恋バナとか大好きだから…。

 ダイヤちゃんは……うーん。

 

 

「というわけで、試験受けましょう?」

「嫌だ。大丈夫だって、ダイヤなら放っておいてもGⅠ勝つから」

 

 

 

「うーん。じゃあダイヤちゃんに頼まれたら?」

「断る」

 

 

 

 お兄さんも結構頑固だからなぁ……ダイヤちゃんほどではないけど。

 これはもうダイヤちゃんが直接説得しないとどうにもならなそうだ。

 

 

 

 

 

 そんなことを考えてたら、ダイヤちゃんが泣かされてた。

 ………まあ、ちゃんとトレーナーになったみたいだし、今日のところは見逃してあげよう。

 

 

 

 

 



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トレーニング、始動!

 

 

 

 

 

 

――――担当トレーナーの仕事は多岐にわたる。

 

 

 

 担当ウマ娘の体調管理、練習メニューの構築、出走レースの考案、練習場所や道具の確保、各種申請など。

 

 マネージャーみたいなことまでするので、そりゃあ担当がいないウマ娘がトゥインクルシリーズに出走できないというのも頷ける。忙しすぎて学業と練習に加えて両立させるのが厳しすぎるのだ。

 

 

 

 特に樫本理事長代理みたいな管理主義のトレーナーに言わせると、学生が自分を完璧に管理するなんて無理なのでトレーナーが代わりに管理するべきとのことであり。睡眠時間から食事量までの管理が推奨されていたりもする。

 

 

 

 ダイヤ――――サトイモはそのあたりしっかりしているので、妙な暴走さえ始めなければ任せておいてもいい。

 

 

 とりあえず優先していることとしては、情報収集と練習メニューについて。アプリトレーナーかな?と思われるのは今のところサイレンススズカのトレーナーくらいで、クラシック無敗三冠からの海外でも無双して無敗十冠という明らかに意味不明なことをしている。そして担当と結婚している。チームリギルのサブトレでもあるし、ヤバすぎて誰も文句言えない。無敵か。

 

 ついでにネットでも愛を叫ぶトレーナーの動画がMAD素材として流通し、レースの時期になるとヤツの叫び声とともにサイレンススズカがどこからともなくぶち抜いていくMADが出てくる。なんでや工藤。

 

 

 

 

 

 他はほぼ“史実”通り――――なんか怪我で引退したはずのサニーブライアンが無事だったりするが、あとはライスシャワーが最強ステイヤーになってるくらいだ。

 なんか女性トレだったので噂のお姉さまだろうか。

 

 ダイヤのクラシック期の最大のライバルであるマカヒキと、あとなんかあの……レコードで皐月賞勝った……名前忘れたけど、聞けば多分思い出すはずのウマは全然見当たらないし、モブウマ娘になってるっぽいのでとりあえず大丈夫だろう。

 

 急にアプリトレーナーによって育成された頭サイレンススズカなウマ娘が出てきてぶっちぎられる心配は多分いらない。いらないよね?

 

 

 

 

 

 後の問題は真似してどうぞとばかりにサイレンススズカのトレーナーがアンクルを使ったプールトレーニングを公開していることだろうか。

 

 アンクルと青汁(ロイヤルビタージュース)!? メイクラことクライマックスに幽閉されたハズでは!? 自力で脱出を!?

 

 

 

 

 

 とはいえ実際アンクルつけてウマ娘を泳がせるのは簡単じゃない。

 安全対策もあるのだが、単純に死ぬほど辛いのでヒシミラクルみたいな普通の?ウマ娘だと嫌がってトレーニングにならないらしい。

 

 悪名高いロイヤルビタージュースも「そんなの飲まされるくらいなら休みます!」とキレるウマ娘が多いらしいし。ミホノブルボンもそうだが、スパルタトレーニングには適性があるのだろう。うん。なんかキタちゃんがエグいスパルタトレーニングしてる映像が脳裏を過った。なぜ崖登り…?

 

 

 

 

 

 笑顔で泳いで、水着でトレーナーとイチャついてるサイレンススズカのせいで何か勘違いしたウマ娘が続出して、そのまま呪われた練習法扱いになっているが。

 

 

 

 

 

 

「――――と、言うわけで。すみません他のアンクル無いでしょうか」

 

 

 

 

 やってきたのは覇者の魔窟やら日本近代レースの結晶、独占禁止法違反チーム、最近では(サイレンススズカが海外で勝ちまくったことで容認されつつあり)日本オールスターチームなんて言われたりするチームリギルの部室。

 生徒会特別顧問の称号を得て、何食わぬ顔でトレーナーに寄りかかっている最速の機能美こと栗毛のウマ娘がキャラ崩壊級のほわほわしたゆるーい笑顔なのを頑張ってスルーしつつ、そのトレーナーに直談判。

 

 

 

 

「あー、他のアンクルね。タキオンが作った速筋にアプローチするための瞬発練習に最適化されたスピードアンクルならあるんだけど……エアロバイクとセットなんだよね。スズカが走る練習ばっかりやりたがるし、プールのスタミナアンクルがあんな感じだから不評でさ」

 

「でもお兄さん、走る練習の方が気持ちいいですよ?」

 

 

 

 

「うん、スズカはそうだろうね。そんなわけで、気乗りしないならあんまり効果も出ないだろうしお勧めはできないかな…」

「いえ、是非お借りしたいです」

 

 

 

 このヤベートレーナーが使っているトレーニングなら、うまく使えればダイヤの助けになれるはず――――そんな想いが出ていたのか、サイレンススズカのトレーナーこと先輩は気まずそうにしつつ言った。

 

 

 

 

「まあ結局のところ、コイツが――――サイレンススズカが凄いだけだから。俺たちはウマ娘に才能と努力と運があると信じて、僅かに後押しするくらいしかできない。あまり思いつめすぎないようにな」

「お兄さ―――トレーナーさんはそう言いますけど、きっと大丈夫ですよ」

 

 

 

 

 急に大人びた雰囲気になったサイレンススズカにちょっと気圧されつつも、お礼を言ってスピードアンクルとエアロバイクの場所のメモを手にトレーナー室に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 するとちょうど授業が終わって着替えてきたのだろう、ジャージ姿のダイヤが興味深そうに練習メニュー案を眺めているところだった。

 ……うん。まあ説得は―――どうだろうか。変わった練習とか好きそうなイメージはあるけど、コイツも一応良いところのお嬢様だ。拒否された時の説得はちゃんと考えておかねば。

 

 

 

 

「サトイモー。ちょっと変わった練習用意したんだけどさ」

「変わった練習、ですか?」

 

 

 

「そうそう、サイレンススズカのトレーナーに頼んでアンクルを借りてな。騙されたと思って――」

「いいですよ、やりましょう!」

 

 

 

 

 満面の笑顔で頷かれた。

 俺のここへ来るまでの苦悩は一体なんだったのか。

 

 

 

「まだ詳細話してないんだけど!?」

「あ、それもそうですね。では、ご説明をお願いします」

 

 

 

 てへ、とおどけるダイヤ。無駄にかわい……あざとい。

 デコの♢流星に肉って書いてやろうかこのあざとさの権化め……。

 

 

 

「……うん。まあ単純に言うとアンクルを付けてエアロバイクをやる練習なんだけど。瞬発力の強化のために最適化されてるらしいから、スピードが重要な皐月賞に良いと思うんだ」

「―――はい! じゃあ早速参りましょう、トレーナーさん!」

 

 

 

「……まあいいや。たぶんめちゃ辛いと思うけど覚悟はしとけよ」

 

 

 

 

 何といっても世界一のウマ娘が使っていた(走りたがって使ってない)練習法だ。並大抵のものじゃないだろう。少なくともアンクル×プール練習はクソキツイと評判だし。

 

 

 

 

「――――覚悟なら、できています。サトノ家の悲願のために、なすべきことをなす。できるだけのことをする覚悟が」

 

「昔から、こうと決めたら絶対譲らない頑固っぷりだからな……。とりあえず俺が休めって言ったら休めよ」

 

 

 

 

 うん、どちらかというと手綱を引く心配をしておいた方がいいかもしれない。

 そんなこんなでアンクルを使ったスピード練習と、あとプールでのスタミナ練習も始まった―――。

 

 

 

 

 

 

 

「―――――っ!? お、重い…っ!? こ、こんな設定で――――いいえっ! ダイヤは負けません……!」

「(胸が揺れて目に毒なんだけど)」

 

 

 

 

 

「―――――っ、はぁっ、まだまだ――――っ!」

「(胸……じゃなくて体幹のブレが抑制できてきたな――――いや! ちゃんと脚で見よう。うん、そうしよう)」

 

 

 

 

「はぁぁぁああああ――――っ!」

「はい休憩! フォームがブレたら違う筋肉を鍛えることになる。本番で崩れたら勝てるものも勝てない――――落鉄しても動じない、強固な下肢と体幹を鍛えるんだ」

 

 

 

「……っ、はいっ!」

 

 

 

 落鉄しても動じないというのは流石に無茶ぶりだが、それでも想定して鍛えておけばまだマシなはず。……妙な鍛え方にならないように、あまり練習できないのは悩ましいが。

 

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

 

 

 

「(……やばい、胸の揺れ具合で体幹の乱れが分かるようになってきた気がする。これはサトノダイヤモンドとのトレーニングに活かせるかもしれない! ……いや活かせるけどさぁ)」

 

 

 

 

 絶対本人には言えないヤツ…。

 ダイヤの奴は「僅かな乱れも見抜いてくるなんて……」みたいな、ものすごーく珍しいことに尊敬の視線を感じるのだが。

 

 これバレたら白い目で見られるどころか処されるのでは?

 笑顔で去勢を迫ってくるダイヤ……無いとは言えないか……。トレーナーは宦官だった?

 

 

 

 

 そしてダイヤは練習に集中しているからいいものの、乳揺れをガン見しているトレーナーとか傍から見たら事案でしかないんだよなぁ……。

 

 ……女性は視線に敏感っていうけど、流石に練習中なら気づかれてないよな? 大丈夫だよな? 少なくともダイヤはなんか嬉しそうだし大丈夫なはず―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の、サトノダイヤモンドの人生はいつもサトノ家の悲願と共にあった。

 サトノの至宝と呼ばれ、お父さまとお母さまのためにもと己を高めんとする日々―――お父さまとお母さまは優しいけれど、なおのこと自分を高めなければと思っていて。

 

 

 だからこそ、キタちゃんの――――そして、あの人の存在も大きくなったのだと思う。

 

 

 

 子どもらしく、一緒にレースで一喜一憂して。

 マックイーンさんに贈るお守りという、自分から一歩踏み出す切っ掛けをくれた人。

 

 

 意地悪で、悪ぶっていて、子どもっぽいのに、実は気配りばかりしていて。レースの結果を殆どいつも当てているのに、誰よりも一生懸命応援して。それに応えるように予想を覆すライスシャワーさん――――初めはマックイーンさんを破った好敵手だからなんとなく好きになれないと思っていたけれど。

 

 

 

 今思えば、子どもらしい独占欲だったのだろう。

 

 

 

 

 

『わたくしは……ダイヤは、ほんとうに――――お父さまとお母さまに寄せていただいている期待に、応えられるでしょうか――――』

 

 

 

 

 本当は、いつだって不安だった。

 だって、知っている人たちだ―――これまで走ってきたサトノ家の方々がどれだけ努力していたかを知っている。それでも勝てなかったのがGⅠで。

 

 

 

 

『大丈夫、お前なら必ず勝てるさ――――サトノダイヤモンド』

 

 

 

 

 根拠のない言葉だと思っていた。

 でもそこに込められたのは、期待ではなくて。

 

 いつだって形のない期待を背負っていた。それが当然だと思っていたし、それに応えたかった。

 

 

 

 

 でも、どこか優し気に微笑むあの人から向けられている感情は。

 きっと、信頼だった。そして同時に、あの人が当ててきたレース結果という実績が、いつの間にか根拠に変わる。

 

 

 

 

 

 

 

『お前はちょっと頑張りすぎなんだよ、キタちゃんほどお祭り娘にならなくてもいいけど、偶にはやりたいようにやればいい』

 

『ちょっ、お祭り娘を悪口みたいに!?』

 

 

 

 

 

 

 

 きっと、年上だからカッコつけたいとかそんな理由だったかもしれない。

 けれど、期待も何もない関係はとても居心地が良くて―――。それでも、必ず勝てるという信頼がほどよく私の背中を押してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、私もトレーナーさんを信じているから。

 ちょっと変わった練習でも、わざわざ世界一になったサイレンススズカさんのトレーナーさんにまで聞きに行って、少しでも勝てる可能性を上げてくれようとしているのだから文句なんて無い。

 

 この人は悪ぶっていても、頑張っている人が認められないのを何より嫌う人だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 肝心の練習中はなんとなく胸を見られているような気がして仕方のない人だなーと思ったけれど、的確にフォームの崩れを見抜いてくるあたり無駄な才能をしている。なんで胸を見ながらフォームも見れるのだろうか。

 

 

 

 ……まあその、かなり恥ずかしいですけれど。

 毒を食らわば皿までと言いましたし……必要経費……でしょうか? もともとそういう人なのは知っているのでそこまで――――嫌というわけじゃ、ないですし。

 

 

 

 ……………もしもGⅠ取れなかったら、責任取ってもらおうかなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








全然関係ない後書き



イクイノックス君つよい……応援してたけど強すぎて笑うしかなかったですね。
とんでもレコードでまさかの二次創作(ウマ娘自体が二次なら三次創作?)のワキちゃんより速いかもと思いましたが、よく考えたら秋天走ってなかったです


イクイノックス君のエクレアめっちゃ可愛くないです?



 


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珠玉のメイクデビュー




文字数減らしてある程度の更新ペースを維持する作戦







 

 

 

 

 

 

――――『RKSTポイント合計5億のデビュー戦!!』

 

 

 

 要は史実でいう落札額の事だと思うが、引退したトレーナーやウマ娘評論家などがウマ娘の能力を分析し、総合的な評価を数値化したものであるらしい。

 それが2億3000万ポイントのダイヤと、それを超えるポイントのウマ娘もいるのだとかでトゥインクルシリーズのメイクデビュー界隈では賑わいを見せていた。

 

 

 

 

 

「――――サトノダイヤモンドが来たぞ!」

「……今日は記者のみなさまが多いようですね」

 

 

 

 というかトレセン学園は一応学校なのだし、練習スペースの外とはいえ記者が気軽に入れるのはどうなのだろうか? 興行の側面が強いから仕方ないのか……?

 

 

 

 

「サトノダイヤモンドさん、お話を伺ってもよろしいでしょうか?」

 

 

 

 

 いや邪魔だけど……ちらりとダイヤに目線で問いかけると受けるみたいなので仕方なく、とりあえず取材の時間だけあらかじめ制限しておくことにする。

 

 

 

「すみませんが練習場所の時間もあるので3分以内でお願いします」

「ありがとうございます! デビュー戦高ポイントウマ娘対決となりましたが意気込みをお聞かせください!」

 

 

 

「まあ、そのような呼ばれ方をしているのですね。注目していただけるのはありがたいことです。評価に相応しいデビュー戦にいたします」

 

 

 

 落ち着いて答えるダイヤは流石に手慣れている。

 まあ落札額準拠なあたり高くても走らないなんてザラなので、本当に話のネタにされる程度だろう。

 

 

 

「プレッシャーはありますか?」

「それはみなさん同じですから」

 

 

 

「練習の手ごたえはいかがでしょうか」

「そうですね…。今のところ順調です。この調子を保てるよう精進してまいります」

 

 

 

 

 ほどほどのところで切り上げて練習用のトラックへ。

 僅かながら疲れてそうなダイヤに水のペットボトルを差し出す。

 

 

 

 

「ほら」

「ふぅ……あっ、ありがとうございます。えへ、ちょうど喉が渇いてしまって……どうしてわかったんですか?」

 

 

 

 

「まあ昔からサトイモがお茶出しのタイミング上手かったからな。参考にさせてもらっただけだ」

 

「そ、そうですか? ……あの、トレーナーさん? やっぱりいつも通りダイヤって呼びませんか?」

 

 

 

「呼び捨てにしたことは一度もないと思うが」

「……じゃあ一度試してみましょう? ね? ね?」

 

 

「やだ」

「むぅー」

 

 

 

 

 

 とりあえず変な緊張もしていないみたいだし、このくらいの注目度なら問題なさそうだ。

 もちろんGⅠになったりするとまた別なんだろうが……。

 

 サトノダイヤモンドはメイクデビューで負ける運命にない。

 これで負けたりしたらむしろ悪影響ということで潔くトレーナーを辞めた方がいいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

 

 そんなこんなで、デビュー戦当日――――。

 

 

 

 

「――――いよいよですね」

「そうだな。夢への第一歩――――もしメイクデビューで負けたりしても俺が責任を取ってやるから安心して走ってこい」

 

 

 

 クビが飛んでも、まあ中央トレーナーの称号があれば地方レースなら生きていけるかな…。そんなことを考えていたら、何故かダイヤがめちゃくちゃ嬉しそうな顔で振り返ってきた。

 

 

 

「えっ!? 責任……取って下さるのですか?」

「? まあそうだな、ダイ……サトイモがこんなところで負けるわけないけど」

 

 

 

 

 責任もって中央トレーナーを引退しよう。

 やっぱり平然としていても重圧はあったのか、急に血色がよくなったダイヤになんとなくまあこんなトレーナーでもいる意味あったのかなと思う。

 

 

 

 

「むぅ………そうですね。今は、その…トレーナーさんのその言葉が聞けただけでダイヤは嬉しいです」

 

 

 

 

 いやでも、やっぱり中央トレーナー辞めたら困りそうだな。

 まあ言ったからには負けたら責任取るけど、勝ってほしいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

 

 

 

『さあ最終直線に入って外から6番サトノダイヤモンド。200を切って堂々先頭に変わった。差が2バ身、3バ身と広がった。突き抜けたサトノダイヤモンド! これは強い! リードは4バ身ほどでデビュー勝ちゴールイン!』

 

 

「うわつよ」

 

 

 

 

 

 最終コーナーを回ってスルリと抜け出し、余裕を持ってリードを開きゴール。

 トウカイテイオー直々の抜け出し指導が良かったのか、はたまたマックイーンに教わった最終コーナーからの速度アップというかロングスパート?も良かったのか。

 

 まだまだ余力がありそうなダイヤにひとまず指導方針は間違ってなさそうに思える。

 

 

 

 

 

 

「――――トレーナーさんっ!! 私、ついにデビューしたんですね!」

 

 

 

 

 なんで体操着でこんなに胸がエラいことになってるんですかね。

 仕方ないので胸を見ないようダイヤの目をガン見しつつ鷹揚に頷く。

 

 

 

 

「ああ。期待以上だったぞ。レース運びも仕掛けどころも良かったし、最終直線での脚色も良かった。冷静に、余裕を持って勝ててたのも流石だ」

「え。……あ、その……ありがとうございます?」

 

 

 

 

「……珍しく褒めてるのに何だその反応」

「だって! トレーナーさんのことだから反省会からかなぁって」

 

 

 

 

 それは割と調子に乗りやすいサトイモにも問題があるのでは?

 お望みとあらば反省会をしてやりたいところだが――――まあ明日でいいだろう。

 

 どちらかというと自分の反省会を先にやらないといけないし。

 

 

 

「とりあえず今日はしっかり喜んでゆっくり休め。明日からまたバシバシ行くからな」

「はいっ」

 

 

 

 

 

 

 とりあえず想定よりもマークが厳しかったのは―――やはりGⅠウマ娘との模擬レースの噂が広まったせいだろうか。その模擬レースの効果もあってこのくらいなら楽勝できるからまだいいとして、下手を打てば肝心の皐月賞でマークに封殺される可能性もなくはない。

 

 何も考えずに迂闊に動きすぎた。

 どこかのサイレンススズカも、日本ダービーで大逃げ合戦したサニーブライアンに苦戦していた(ように見える)ことだし、後方からのレースになるダイヤなら更に顕著になるはず。

 

 

 

 

 

 

 

 ダイヤの意志の強さは良く知っている。

 GⅠに、サトノの家に懸ける想いも。まあ本質的には大好きな両親を喜ばせてやりたいのが一番なのだろうが――――名家のお嬢様として期待を背負い続けた彼女には、それに応えたいという願いがある。

 

 

 

 たとえ皐月賞で負けても、ダイヤは飲み込むだろう。

 ダービーで負けても、諦めたりはしないと信じている。けど、あの子の意志の強さがそれこそダイヤモンドのように硬くても――――それでも心はキタちゃんとバカやって笑って、レースの結果に一喜一憂して、ときどき暴走する普通の女の子だ。

 

 

 

 

 悲しませたくない。

 笑顔でいて欲しい――――宝塚記念で笑顔のライスを見れた時に、俺もああいうトレーナーになりたいと思った。

 

 あの時はただの観客でしかなかったけれど。俺にダイヤモンドの意志はないけれど。それでも、手を伸ばせば届く今ならば―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

「ダイヤちゃん、凄いレースだったね」

「そうかな、キタちゃん」

 

 

 

「うん、すっごかった! いいなー、あたしもあんな風にビューンって走るのもやってみたいなー」

「ふふっ、ありがとう。キタちゃんはどちらかというと先行だもんね」

 

 

 

 

 夜。寮の部屋でキタちゃんと話す。

 あつらえたように二人部屋になったのは運命かもなんて話したものだけれど、やっぱりキタちゃんと一緒だと安心できる。

 

 ……赤ちょうちんは、ちょっと、寝るときは眩しいけど。

 

 

 

 

「昔からダイヤちゃんの差し脚には勝てないからなぁ……そうするとぶちかまし先行でリードを取っておくしかないというか」

「キタちゃんはスタミナが凄いから……トレーナーさんがむしろもっと前でも楽しそうって言ってたよ?」

 

 

 

「ええっ、お兄さんが!? 逃げ、逃げかぁ……テイオーさんへの憧れはあるんだけど、やっぱり逃げの方が向いてるのかなぁ……ちょっとトレーナーさんにも相談してみよう!」

 

「うんうん。それがいいかも」

 

 

 

 

 

 

 そんな他愛もない会話をしながら、寝る準備を進めていく。

 届いたメイクデビュー勝利祝いのメッセージも一つ一つ返信し、お父さまとお母さまに報告の電話をして――――やっぱりお祝いしてもらうのは誰からでも嬉しいけれど、親しい相手ほどそれは大きくて。

 

 それはお父さまとお母さまであり、キタちゃんであり。

 そしてやっぱり、一緒にトレーニングしてきたトレーナーさんで。

 

 

 

 

 

 

『ああ。期待以上だったぞ』

 

 

 

 

 トレーナーさんの優しく褒める声と、昔からの癖なのか気安く頭を撫でてくる手を思い出す。

 子ども扱いされて拗ねる気持ちと、褒められて嬉しくなる気持ち。

 

 

 

 どうしても“サトノダイヤモンドらしく”いられないような気がするのが、もどかしくて、こそばゆいようで、でも不快じゃなくて。

 

 

 

 

『負けたら責任取ってやるよ』

 

 

 

 

「………うぅー……もうっ! トレーナーさんのバカっ!」

「ええーっ!?」

 

 

 

 

 

「あ、ごめんキタちゃん……」

「だ、大丈夫。びっくりしすぎちゃってごめんダイヤちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 眠れないのも、顔が少し赤いのも。

 きっと全部キタちゃんの赤ちょうちんの影響のはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






あとがき





描写の外で何かしらやらかす系♢トレーナー

本人は意識してないが、ダイヤとキタちゃんを褒める時は頭を撫でる癖がある。
責任を取るとはトレーナーを辞めること




お布団奪われる系前作トレーナー

スズカが頭を差し出してくると反射的に撫でる
責任を取るとは結婚して添い遂げること




スピカトレーナー

いいトモを見ると反射的に撫でさする癖がある
責任を取るとはウマ娘が満足するまで美味しいもので賠償すること。財布は死ぬ




 


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ライスとお兄さま

 

 

 

 

 

 

――――不幸なことには慣れていた。

 

 

 走ろうとしたら信号が全部赤信号になったり、お出かけしようとしたら雨になったり。

 ライスにとってはいつものことだから、気にしていなかったけれど。ライスの近くにいる人にとっては不幸なことで。

 

 誰かを不幸にしちゃうライスは、だからこそ『しあわせの青いバラ』に憧れたの。

 

 

 

 

『―――凄かったぞー、ライス!』

 

 

 

 

 初めてその人にあったのは、地元であった小さなレースで。

 お兄さまはきっと覚えていないかもしれないけれど、いっぱい応援してくれていたのも、勝てた時にすごく喜んでくれていたのも気づいていた。

 

 メイクデビューでも、その後のレースでも。全部のレースじゃなかったけど、ずっとライスを応援してくれていた。

 

 

 

 皐月賞でも、日本ダービーでも。

 あんなに強いブルボンさんじゃなくて、ライスを。皐月賞ではバックダンサーだったけれど、ダービーで2着になった時は青いサイリウムを振ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

―――そして、菊花賞でも。

 

 

 

 

 悪目立ちしていても、周りにどんな目で見られても、お兄さまは変わらなかった。

 たった一つだけの青い光。それがあったから、ライスはここに居てもいいんだって思えた。めいっぱい応援するお兄さまに釣られるように、まばらに増えた青色が、どれだけ嬉しかったかお兄さまには分からないかもしれないけれど。

 

 

 

 

『ライス出ます、天皇賞に。マックイーンさんにも負けません』

 

 

 

 

 

 誰に何と言われても良かった。しあわせの青いバラになれなくても、お兄さまの応援に応えたいと思った。

 

 

 

 

 だから―――だから、ね。

 お兄さまが、ウララちゃんが、マルゼンさんが、ブルボンさんが――――みんなが応援に来てくれて、精一杯声を出してくれて。本当に嬉しかったの。

 

 

 あの時、本当にしあわせの青いバラに近づけたみたいに感じたから。

 

 

 

 

 

 

 

 最強ステイヤーと呼ばれたマックイーンさんに勝って、今度はBNWでも最強と言われたビワハヤヒデさんに勝って春の天皇賞を連覇して。そして今度はライスが夢を叶える側になれた。

 

 春の天皇賞三連覇がかかったレース――――みんながライスの勝利を願っているなんて初めてで。マックイーンさんが背負っていた期待はライスには重くて。悩んでいたライスが偶然出会ったのが、トレセン学園でアシスタントトレーナーとして勉強しているお兄さまだった。

 

 

 

 

「GⅠが怖いか。そっか、ずっとずっと頑張ってきたもんな」

 

 

 

 ちょうどサトノ家の子が、GⅠに勝てないジンクスと期待に応えたい思いの板挟みになっていて。その相談に乗っていたのがお兄さまだった。

 ほんとはこっそり聞いちゃうのはいけないことだと思ったけれど、どうしても気になってしまって。

 

 

 

「うん。期待に応えられないのも、勝てないと努力が無駄になるかもしれなくて怖いか。そうだな、確かにそんな風に思うよな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 お兄さまは、ずっとお話を聞いていた。

 何が不安なのか、どうしてそう思ったのか。相槌を打って、一緒に悩んだ。

 

 それで最後に、笑顔で言った。

 

 

 

 

「――――勝てなくてもいい。お前の頑張りを、次に活かして勝てるようにするのが俺の……というかトレーナーの仕事だ。今のお前にできる分だけやればいいんだ。どうしてもダメだったら俺が一緒に泣いてやる」

 

 

 

 

「今のライスに、できる分だけ―――」

 

 

 

 

 期待を裏切っちゃったらどうしよう。せっかく応援してもらえるようになったのに、やっぱりライスはみんなを不幸にしちゃうんじゃないか。そう思ってた。

 

 

 でも、違った。

 

 

 

 少なくともお兄さまは、ライスが負けても失望したりしない。

 よく頑張ったねって。また頑張ろうって言ってくれる。本当にダメだったら、一緒に泣いてくれる。そう思えたから。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――――さあ春の天皇賞最後の直線に入って先頭はライスシャワーだ! 三連覇のかかるライスシャワー早くも先頭に立った! 大外からステージチャンプも上がってくる!』

 

 

 

 

 

 

 京都の直線が、今までよりもずっと長く感じた。

 もうライスの前には、目標になるブルボンさんはいない。マックイーンさんもいない。

 

 ついてく相手もなく、抜かれる側のプレッシャーを感じながら、それでも。

 

 

 

 

 

「ライスー――――!」

 

 

「頑張れ、ライスシャワー!」

「ライスちゃーん!」

「ライスさん!」

 

 

 

 

 

 目の前に目標になる人はいないけれど。

 でも、ゴールでお兄さまが待ってるから。

 

 

 

 

 声が背中を押す。

 想いが脚に宿る。

 

 ライスはもう、ヒールじゃない。

 

 

 

 

 

 ううん、ライスが気づいてなかっただけで。

 きっと、なれてたよね。お兄さまのヒーローに。

 

 

 

 

 

 

『――――ライスシャワーだ! ライスシャワー完全に先頭! 差が開いた! これは届かない! ライスシャワー先頭で今、ゴール! ミホノブルボンを、メジロマックイーンを、ビワハヤヒデを破った最強ステイヤーライスシャワー! 今ここに新たな伝説を打ち立てました! 恐らく、ミホノブルボン達も喜んでいることでしょう』

 

 

 

 

 

 

「―――ラーイース! ラーイスー!」

 

 

 

 

 

 笑顔で手を振ってくれる、マックイーンさんとブルボンさんと目が合って。小さく手を振り返すと観客席からすごい歓声があがってびっくりしてしまう。

 

 

 

 

 

「ふぇええ!?」

 

 

 

 

 困惑しながらもなんとかマックイーンさんやブルボンさんを思い出してぎこちなくファンサービスをすると、それでもみんな笑顔で喜んでくれて。

 

 お兄さまも先頭で泣きながら声を出してくれていた。

 

 

 

 

「うぅっ、良かったなライスシャワー……」

「団長もお疲れ様です。この後ライスさんのお疲れ様会があるのですが、団長も如何ですか」

 

 

 

 

 

――――ブルボンさんっ!? お兄さまを誘うの…!?

 

 

 

 

「……いや、急に知らない団長が来てもアレだし遠慮しとく。あ、そうだ。花束だけ渡しておいてくれるかな?」

 

 

 

 

 恥ずかしさ半分、期待半分くらいのライスの気持ちは残念ながらダメダメで。

 

 

 

 

「ライスさんも喜ぶと思いますが……というか、意外と応援は気づいているものですわよ? 特に貴方の場合、菊花賞もありますし」

「あれは目立っていましたね」

 

 

 

 

 マックイーンさん! そうだよね! 気づくよね!

 さすがマックイーンさん!

 

 うんうんと頷くブルボンさんの後押しもあって――――。

 

 

 

「でも遠慮しとく。とりあえずウイニングライブに全力で」

 

 

 

 

 

 そんなことないよ! って言いたかった。もし今ライスもお兄さまの近くにいたら言えたけど。でも今はターフの上で――――。

 ダメだった……やっぱりライス、ダメな子だ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 送られた花束は、青いバラだった。

 ありがとう、お兄さま。ライス、次の宝塚記念も頑張るね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

 

「お姉さま! 今日ね、ライスお兄さまに会えたの! サイン下さいって言われて……」

「え、噂のお兄さまに!?」

 

 

 

 

 

 私の担当、ライスにはお兄さまがいる。

 私が名誉お姉さま……特段血縁関係とかも無いのと同じで、ライスが素敵だなって思って勝手に呼んでいるだけみたいだけれど。

 

 

 メイクデビューどころか、地元のレースにも応援に来ていたらしい。私より古参というか、ライス公認のファン一号…?

 

 

 

 

「というかアシスタントトレーナーやってたって聞いたけど、トレーナーなれたんだ」

「うん! 凄いよね、お兄さま!」

 

 

 

 

 ライスの笑顔が今日も眩しい…。

 最初はライスを騙す悪い男じゃないかと疑う気持ちもあったのだけれど。菊花賞でも必死に声援を送ってくれる姿には私も白旗を上げたものである。あれだけ一途に好かれたら嬉しいだろうなーと。

 

 春の天皇賞の応援団なんて、トレーナーになったら諸々の立場の関係もあってできないことなのでとても助かった。ライスの笑顔が尊い。

 

 菊花賞もトレーナーじゃなかったら青サイリウムを全力でぶん回していただろうに。

 というかキレちらかす自信があった―――実際はまあ悔しすぎて泣いてたけど。ごめんライス。

 

 

 

 

 

「……はっ、そうだ。じゃあトレーナー交流会でもやろっか。そこにライスがゲストで来るみたいな……」

「ふえええ!?」

 

 

 

「で、でもお兄さまに迷惑じゃ――――」

「お姉さまに任せなさい。迷惑にならないようにマトモなトレーナーを集めるから! 桐生院ちゃんに頼めば多分サイレンススズカのトレーナーも来てくれるし、その縁でおハナさんとかスピカのトレーナーも呼べるハズ……!」

 

 

 

 

「お姉さま、すごい…!」

「ふふん、ライスのお姉さまだもの!」

 

 

 

 

 

 

 

 そして――――決戦の火蓋は切られる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






どうでもいい後書き



♢トレーナー

もともとライスを推してたらマックイーン推しの♢と喧嘩になったので、ライスのファンとしてはかなり古参。地元でたまたま見たライスのレースにビビっときて“知識”こと前世の知識を思い出す。




ライスシャワー

春の天皇賞(対マックイーン)後にスランプになったりもせず、テイオーの有マでも善戦、史実では怪我で出られなかった春の天皇賞(ビワハヤヒデ)にも勝利。三連覇の偉業を成し遂げた最強ステイヤー。宝塚記念も勝った。つよい。




スズカトレーナー

前作?主人公。生徒に手を出すと犯罪なので、桐生院トレーナーと仲良くなりたかった時期があった。受験生のスズカを放って二人でカラオケに行ったのを未だに根に持たれている。ウマの記憶力は良い。



サイレンススズカ(ワキちゃん)

原作の寂しがり屋属性なサイレンススズカことワキちゃん(幼名)。
寂しがり屋すぎて不眠になり弥生賞でゲートを潜る。犬猫と一緒で匂いのついたもので安眠できるのではとトレーナーに思われた。ひどい。でも奪った布団が凄く良かったので枕も強請った。




おハナさん

常勝集団(比較的穏やかな表現)リギルの女ボス。昔の因縁?からかスピカトレに思わせぶりな態度をとることもしばしば



スピカトレ

沖スズはいいぞ。
正妻ポジのスズカさんもまたヨシ

 


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トレーナー交流会

 

スピカトレは設定画に西崎リョウと名前があったらしいですが、その後の公式からは特に発表が無く、採用されたか不明であり沖野トレーナーの方が認知度高いので沖野トレーナーにしています。

まあこの辺の匙加減は二次創作書いてるメリットとして許して♡



ちなみに前作?とは別時空なのでテイオーがスピカだったりします。



 

 

 

 

 

 

 

――――トレーナー同士の交流は、意外にも多い。

 

 

 もちろんレースでウマ娘が不利になるようなことは避けるが、最新の怪我予防だったりトレーニング方法の知見の交換だったり、あとは単純にお酒を飲んで騒ぎたいだけだったり。

 

 

 

「―――えー、ではサトノダイヤモンドのメイクデビュー勝利とハッピーミークのみやこS制覇を祝って――――かんぱーい!」

 

「「「かんぱーい!」」」

 

 

 

 

 

―――イカれたメンバーを紹介するぜ!

 

 

 まず今回の企画者であるライスシャワートレ(お姉さま)。

 ライスシャワーで春の天皇賞三連覇、宝塚記念勝利とエグいことをやってくれて、ライスの笑顔に貢献した偉人である。

 割とお酒が大好きでいつも飲み会やってるイメージがある。彼氏はいないらしい。

 

 

 

 

 そしてその友人である桐生院葵トレーナー。

 世間知らず、お嬢様、謎の身体能力と正統派に見せかけた暴走特急のダイヤよりよっぽどお嬢様している先輩である。ハッピーミークは今のところGⅠにこそ手が届かないが重賞戦線で活躍している秀才。

 

 

 

 そしてその同期であるサイレンススズカのトレーナー。

 サイレンススズカを幼少期から面倒見てたり、デビュー時点で某天才ジョッキーの大逃げ戦法を完成させてたり、無敗十冠達成させたり、レース中に告白したりと伝説の枚挙にいとまがない男。生けるMAD素材。

 

 

 

 で、そのスズカトレの友人でもあるスピカトレーナー。

 良い感じのトモを見ると撫でさするという犯罪でしかない悪癖を持ちつつも見逃されているくらいには腕利き、というか目利きのいいトレーナーである。変態かと思いきや生徒にそういう意味で手は出さないし。熱血で、根は真面目だし。でもなんかいつもウマ娘のためにお金を使っていて貧乏なイメージはある。

 

 

 

 

 そして俺、サトノダイヤモンドのトレーナー。

 ……なんか場違いな気がする! ダイヤは場違いじゃないというか、まあこの面子に入ってても全く問題ないけどさ。

 

 

 

 

 

 とりあえず一杯飲んだところで、お姉さまトレが言った。

 

 

 

「よーし今日は語るわよ! さあまず推しウマ娘談義からね!」

「もうできあがってんな……」

 

 

 

 

「はい言い出しっぺの私から! 今日勝ったサトノダイヤモンドね! 別に現役だから~ってだけじゃなくて、デビュー戦とは思えない落ち着いた走りと芸術的な抜け出しに鋭い末脚、ものすんごぉい優等生ね! 今後にも期待! はい次!」

 

「え、俺? じゃあハッピーミークかな。ダートマイルでも芝長距離でも走れる適応力が流石だから、まあここから何を目指すかに期待。熱い勝負でもいいし、狙えそうな栄冠を狙ってもいい。何でもできるだけにトレーナーは難しいだろうけど」

 

 

 

 

 

 ダイヤが高評価で嬉しい限り。

 スズカトレは浪漫の人かと思いきや意外と堅実派だったりする。ただちょっとサイレンススズカに脳を焼かれただけで。

 

 

 

「えっと、じゃあ次私ですか? そうですね、キタサンブラックの長距離のタフネスは素晴らしいと思います。強みが分かりやすいっていいなぁと……もちろん私の指導の問題で、ミークは凄い子ですけど!」

 

「で、俺か。あー、じゃあまあ無難というか釈迦に説法だがサイレンススズカの走りかな。スタートから突き放して競り合われても問題にしない上に最後まで垂れない。58秒で逃げて58秒で上がれば、そりゃ負けないよな」

 

 

 

 

 

 え、何。みんなそれぞれ褒め合う流れ?

 残りは……ライスか!

 

 

 

 

「じゃあ俺はライスシャワーで。菊花賞の走りもそうだけど、特に春の天皇賞でのマックイーンとの激戦はもうどっちも最高だった。小柄なのに気迫が伝わってくる走りというか、名だたるライバルとの死闘が応援したくなる」

 

「ふえぇええ!?」

 

 

 

 

 

 何故かライスがすごいタイミングで扉を開けて部屋に入ってきた。

 割烹着姿で、手に持ったお盆から手作りパン?を今にも落っことしそう。というかびっくりしすぎて飛び跳ねたのでパンもライスも宙を舞った。

 

 

 

 

「いえーいドッキリ大成功!」

「うわ危ねっ!?」

 

「ご、ごめんなさーい!?」

 

 

 

 

 咄嗟に、いやこれはトレーナーなら分かってもらえると思うのだが職業柄転びそうなウマ娘を見ると支えにいくようになってるというか―――ついつい抱き留めたライスの重み(軽い)を感じてつい動揺してしまう。

 

 

 

 

 というか本当にドッキリだったのか、ちゃんとライスが危なそうなら支えに入れるようにライスのトレーナーもすぐ近くにきていた。そしてお盆とパンをキャッチしていた。器用である。この世界やっぱりヒトも身体能力高いよね。

 

 

 あともしかしなくてもライスが来るタイミングでライスを褒めるように誘導されていた…!? 一流トレーナーは孔明か何かか。人間辞めてるな…。

 

 

 

 

「ご、ごめんなさいお兄さま!」

「いやこっちこそごめん。ゆっくり下ろすぞ」

 

 

 

 大変申し訳ないが怪我しないのが一番大事なので。

 ライスの腰ほっそ! とか、なんかいい香り(パン)する……とかまあ意識しないように気を付けつつ。

 

 

 

「へぇー、お兄さまかぁ」

「あ、お前もスズカにお兄さん呼びだもんな」

 

 

 

 

 へぇー、ふーん、と何故か意味深な雰囲気を醸し出すスズカトレ先輩。

 

 

 

「スズカに言わせるとトレーナーさんって何かしっくりこないらしいな」

「後はカレンチャンのお兄ちゃんか」

「スズカさんに並ぶトレーナー大好き勢ですね」

 

 

 

 

 何かを察したように観戦ムードになってるスズカ、スピカ、桐生院の三トレだがこの気まずい空気をなんとか打破してくれないものだろうか。

 

 

 

「怪我はないか?」

「…は、はいっ! その、お兄さまが受け止めてくれたから…………あ、ありがとう。お兄さま」

 

 

 

 遠慮がちに微笑むライスが健気カワイイ。

 なんていい子なんだ……ダイヤなら――――いやまあダイヤも同じような感じになるか? 隙が無いからそもそも抱き留める必要もないけど。キタちゃんは割とある。三階から落ちてきたりとか。

 

 

 

 

 

「えとえと、それでね――――。いつも応援ありがとう、お兄さま! その、お礼に頑張ってパンを焼いたから……もし迷惑じゃなかったら、食べてほしいなって」

 

「応援団のご神体として飾りたいくらいだが喜んで頂戴します」

 

 

 

「……っ、うん! あのね、ライスはいつも最初は何もつけないで食べるんだけど……最近はお姉さまと、ジャムも手作りしてるの」

 

「うめぇ。………うめぇ」

 

 

 

 

 やばい。

 うまい。ふわふわが押し寄せてくる。

 

 

 

 

「なんだか静かですね。食べてからはコメントも無いし、さっきまでと違う」

「ああ。語彙力は全部味覚に回してるのかもな」

 

 

 

「まあもうそんなの関係ないですけどね!」

「上機嫌だな……」

 

 

 

「そりゃあもう。私も胃袋掴まれたもん」

 

 

 

 ふわっふわじゃねーか。

 ライスも頑張ってたし、俺も(食レポ)頑張らないと。

 

 

 

 

「ああ……ライスが積み上げてきたものは全部無駄じゃなかった。尊い……」

 

「美味そうだなー。なあ、俺らも少し―――」

「やめましょう沖野先輩。ウマに蹴られます」

「私もミークに何か作ってあげようかなー……キャロットクッキーとか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――はっ!?」

 

 

 

 

 いつの間にか完食していた!?

 ジャムもパンもどっちも最高だった。ジャムの種類も豊富だったし、飽きることなく完食できてしまった。何故か脳裏に大量の白米と缶詰を差し出すライスが浮かんだような気がしたが。

 

 

 

 

 と、ここで控えめなノックとともに、今度はエプロン姿のサイレンススズカが入ってきた。山盛りのクッキーの皿を持って。なんか一際大きなハート型クッキー(にんじん色)があるが。

 

 

 

「こんばんは。お兄さんに聞いて、私も差し入れを持ってきました」

「あ、スズカ」

 

 

 

「ちょうどクッキーの生地は作ってあったので……お兄さん、差し入れOKなら言って下さいね?」

「いや俺もさっき知ったんだけど。というか早くない?」

 

 

 

「だってお兄さん、たまにあんまり食べないで帰ってきますし……準備はしてあるんですよ?」

「走ってきてない?」

 

 

 

「………えっと、少しだけ……?」

「目が泳いでるぞサイレンススズカ」

 

 

 

 

 なんてことを言いつつ、みんなでクッキーもつまむ。

 うん、美味い。しかもちょうどライスのジャムもあるので味変もできてお得。

 

 いつの間にかライスが隣に座っていて、その向こう側のお姉さまがぐいぐい押すせいでライスがこっちに押し込まれているのだが。どことは言わないが、ライスの身体の一部分がなんか柔らかいしふわふわなのだが。

 

 

 

 

「お、お姉さま!?」

「ライス、マークよ。徹底的にマークしてマーキングして勝負を決するの。はいお酌する!」

 

 

「ふえぇえぇ!? お、おおおお兄さまっ、これ―――ひゃぁ!?」

 

 

 

 

 こぼれそうになったお酒をなんとかうまい事グラスで受け止めることに成功。仕方ないのでそれを飲みほして―――けっこう強い酒じゃね!?

 

 

 

 

「ご、ごごごめんなさいっ!?」

「いやそこの酔っ払いが悪いから……ライスは大丈夫か? 怪我してないか? 不快だったら先輩にそこのトレーナー引っぺがしてもらうから」

 

 

 

 

「……う、ううん。ライスは大丈夫。………その、お兄さま、あったかいね」

 

 

 

 ちょっと伏し目がちに微笑んで小首を傾げるライス。

 

 

 

 はぁーーーっ!?

 何この癒し力……卑しかウマ娘は!?

 今まで何人の男を勘違いさせてきたんだこの可愛さでよぉ……!

 

 

 

 

「お兄さん、私もアレやりたいです」

「いつも似たようなことしてない?」

 

 

 

 

 で、何かイチャイチャしてるカップル(夫婦)もいるし……。

 助けを求めようとお姉さまを見る。サムズアップして酒を一気飲みしている。これはダメだ。

 

 

 ならば、と沖野先輩と桐生院トレーナーの方を見て――――。

 

 

 

 

「ミークのトレーニングか……そうだな、アイツが試していたが、やっぱり併走はいいかもな。相手を集めるのは大変かもだが……今度スピカの練習にも参加してみるか? ウチはダートとか短距離走れるヤツがいないからな」

 

「いいんですか? スピカとの合同練習は正直とてもありがたいです」

 

 

 

 

 けっこう真面目にトレーナーしてるじゃねぇか……。

 

 

 

 

 

「………お兄さま?」

 

 

 

 

 なんて声、出してやがる……ライスぅ……。

 いや、俺はお兄さまだぞ。こんくらいなんてこたぁねぇ……。

 

 

 

 

「……お兄さま、ライスなんかのために、本当にいつもありがとう。菊花賞の時も……本当に、うれしかったの」

 

 

 

 

 

 いや本当に認知されてたのか。

 僅かに目を潤ませて、それでも本当に嬉しそうなライスの笑顔にいつか感じた悔しさが消えていくのを感じる。

 

 

 

 

 

「……いいんだよ。俺はライスの走りに、頑張る姿に魅せられたから応援したかった。それだけだ。ライスが走り続ける限り、応援してるから」

 

「お兄さま………あの! あのね、ライス――――お兄さまのことが――――!」

 

 

 

 

 

「ちょっと待った―――――!」

「あ、ダ―――サトイモ」

 

 

 

 

 

 スパーン! と扉を撥ね開けて乱入してきたのは私服姿のダイヤで。

 何故か今にも泣きそうな目で頬を膨らませてこっちを睨んでいた。

 

 

 

 

「トレーナーさん!」

「どうした急に」

 

 

 

「どうしたもこうしたもありませんっ! どうして他の担当の人と抱き合ってるんですか!?」

 

 

 

 

 ……言われてみればほぼほぼ抱き合うような格好だった。

 これはしたり。いやなんでと言われれば完全に出来上がってるそこのトレーナーがぐいぐい押してくるからなのだが。

 

 

 

 

「え、っと、これはその……ライスがちゃんとお姉さまを止めなかったからで……」

「ぅっ………と、ともかく離れてくださいっ」

 

 

 

「うーん、ざんねーん」

 

 

 

 

 

 ぽいっと一応丁重に、けどそこはかとなく雑にはがされたお姉さまについてくようにライスも離れ。今度はダイヤが無言で隣に座った。

 ……いやその、前髪でよく見えないけど怒ってる?

 

 

 

 

「なんか昼ドラ始まったな」

「……これは……レースで決着をつける流れ…?」

 

 

 

「頭サイレンススズカかな」

「うそでしょ……お兄さんそれ気に入ったんですか…?」

 

 

 

 

 

 

「………ダメです」

「ダイ―――…サトイモ?」

 

 

 

 

「トレーナーさんは、私のトレーナーさんなんです。………サトノ家の悲願も、私の…………も………だから、私から離れちゃ……ダメなんです」

 

「イモ……」

 

 

 

 

 

 

「――――もうっ! イモって何ですか!? わ、私だって――――」

「!?」

 

 

 

 

 

 むぎゅっと押し付けられる柔らかい感触――――こ、これは!?

 なんで俺、ダイヤに腕を抱きしめられているのか。

 

 

 

 

 

 

 

 ………酒、飲みすぎたかなぁ……。

 

 

 

 

 

 色々ありすぎて眠くなってきた。

 もういっそ眠ってしまえ―――――何かダイヤが叫んでいるような気がしたが、そのままテーブルに突っ伏すように意識を手放した。

 

 

 

 

 

『トレーナーさんは―――――――――サトノ家に――――』

『――――ライスだって―――――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









勧誘系のあとがき







なんか仲間が増えたらしいですね

もっとだ……もっと書いて……♡



素晴らしい提案をしよう

貴方も二次創作作家にならないか?







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デートするとかしないとか

 

 

 

 

 

 

 

 

――――もしかして俺は、ライスとダイヤから憎からず思われているのだろうか。

 

 

 言われてみればダイヤにバレンタインでチョコレートを貰ったり(なぜかクレーンゲームだったが)したし、そもそもトレーナーになってくれと頼まれたのもそれなりに好感度が高かったからなのかもしれない。

 いやでも、子どもの頃から一緒にいるし……まだ中学生だし、特に意味もなく年上がカッコよく思えるだけかもしれない。

 

 

 ライスは、まあうん。菊花賞があんまりにあんまりだったので、感謝されるのは分かる。でもファンだから応援してただけであって、別に心が清らかなわけでもなし……ファンとして応援してる相手に好かれてるとか現実味はない。つまり勘違いでは?と、思ったのだが――――。

 

 

 

 

「……お、お兄さまっ! あのね、今度のお休みの日……ライスとお出かけ……してほしいなって。……ダメ、かな」

「えーーと。OK」

 

 

 

 

 反応に困っていると泣きそうになるライスに思わず頷いてしまう。

 

 

 

 

「……っ、ありがとう、お兄さま!」

 

 

 

 いや可愛すぎか?

 ライスの笑顔のためなら何でもするわ…。という気持ちになったところでこれデートじゃね? と気づく。ライスを見つめると、ちょっと不思議そうにしつつも微笑むライス。かわいい。

 

 そのまま連絡先を交換して、トテトテと嬉しそうに走って帰っていくライスを見送ったところでちょうど練習のためジャージ姿になったダイヤが戻ってきた。

 

 

 

 

「トレーナーさんっ! ずるいです! 私もトレーナーさんとお出かけを―――!」

「え? ああ、予備のシューズでも切らしたか?」

 

 

 

「―――デートです!」

「………デートかぁ」

 

 

 

 

 むんっ、と気合の入ったまなざしで見つめてくるダイヤだが――――いやだってコイツ中等部一年ぞ? 誕生日も1月末だからまだ12歳だぞ。その点ライスは18歳以上。トレセン学園の時間軸はなんかサザエさんとかコナン君ばりにおかしなことになってる気はするがそれはそれ。

 

 で、ライスはアウトはアウトなんだけど……でもライス泣かせてまで断るほどかというと、そうでもない。でも中学生はね、ほら……。

 

 

 

「ト、トレーナーさん…? 私に何かご不満が……?」

「いや流石に中学生とデートは犯罪じゃね?」

 

 

 

 

 ね。だってトレーナーは大学出てるから22歳以上で、更に俺は試験に落ちたので……まあ二十代半ばなわけだ。ダイヤとか年齢半分だからね。やはり犯罪では?

 

 

 

 

「……男の方は若い女性を好むと聞いたのですが……」

「いや生徒って時点でアウトだけど、追加で一定以下の年齢に手を出したら犯罪だからね」

 

 

 

 若いというか幼いんだよ胸以外。

 本格化ってすごい。メジロラモーヌが高等部? うそでしょ…。

 

 

 

 

「というかほら、俺とダイ……サトイモってそこまで何かあったわけでもないし……」

 

 

 

 

 うん、まあ一緒によく遊んではいたけどそれで好かれるか?というとノー。

 むしろ最近はダイヤにちょっと距離を取られてる感じすらあったし。

 

 

 

 

「…………つまり、既成事実が必要…?」

「俺が逮捕されるわ」

 

 

 

「で、では性格面でのご不満は? 直した方がいいところとか……実はその、こういうのがご迷惑とか……」

「いやまあ、素直なのはいいことだと思うぞ。可愛いし。むしろ遠慮がちなお前とか気味が悪いし……お互いに」

 

 

 

 

「そ、そうですか……」

 

 

 

 なんでちょっと嬉しそうなんだろか。

 ダイヤって実はMっ気がある?

 

 

 

 

「ではトレーナーさん。買い物にお付き合いいただきたいのですが」

「ん-、まあいいけど」

 

 

 

「トレーナーさん」

「うん?」

 

 

 

「――――覚悟、しておいてくださいね♪」

「何を!?」

 

 

 

 

 

 夜討ち朝駆け、切り捨て御免だろうか。

 一瞬何故か脳裏で「かたじけのうござる!」と太刀を振るうウララと、「無念なり~」と切られたっぽく倒れるライスが浮かんだが何の知識だコレ。アスランは既に少し錯乱している!

 

 

 

 

 

 

 

――――いやこれ俺二股かけてることになる!?

 

 

 

 そんなバカな……ライスシャワーもサトノダイヤモンドも新人トレーナーには高嶺の花のはず。もしかして気づいてないだけで俺も中央のトレーナーとして何かしらの一流要素が―――――無いな。

 

 

 しかしこんなチャンス一生にもう二度とないだろう。

 けど俺は、生徒に手を出すなんてそんなことは――――いやまあ卒業まで待てばいいのかもだけど。

 

 

 

 

 こ、こんな時どうすれば………誰か相談できる人は―――スズカさんのトレーナー? いやでもあの人は家族同然の幼馴染に夢を掴ませて世界に伝説刻み付けて結婚したからハードルが違うんだよなぁ!

 

 ライスのお姉さま? いやなんかくっつけようという意志を感じるし却下。

 サトノ家のおじさま? いや娘さんが私に惚れてるかもしれないんですがとかもし万が一にも自分が言われたら処すな。却下。

 

 

 

 

 

…………あと、相談できるのが――――。

 

 

 

 

 

 

 

「―――どうしたんですか、急に」

「お助けキタちゃんと見込んで頼みがある――――相談に乗って下さいお願いします」

 

 

 

 

 メッセージアプリで呼び出したキタちゃんにDO☆GE☆ZA。

 当然、流石のキタちゃんも跳ねて驚く。

 

 

 

「うえええーーー!? って、もしかしなくてもダイヤちゃんの…?」

 

 

 

 

 いやなんか察してた。

 

 

 

「うん。だって中学生にデートに誘われてもさ……犯罪じゃん? もし万が一告白とかされた時にね、なんかこう、うまくダイヤを傷つけずに断れないかなって」

 

「うわぁ……えぇ……無理じゃないですか? だってダイヤちゃんですよ?」

 

 

 

 

 それな!

 鋼の意志となんなら天衣無縫とか持ってそうなウマ娘だし。

 

 徹底的に振らないとダメなんだろうけど、担当を振るとかもうギクシャクする気しかしないぞ! それでダイヤがGⅠ取れなかったりしたら申し訳なさ過ぎて腹を切ってお詫びいたします。

 

 

 

 

「というかキタちゃん、俺ダイヤに好かれる要素ある?」

「………」

 

 

 

 うわぁ、本気で言ってるんですかこの人。みたいな顔で見られた。

 普段のキタちゃんなら絶対しなそうな顔なので正直傷ついた。

 

 

 

「本気で言ってるんですか?」

「割と」

 

 

 

「ダイヤちゃんって、いつも期待に応えたくて頑張ってるじゃないですか」

「うん」

 

 

 

「負けず嫌いだし、弱みは見せないように頑張ってるし、マックイーンさんの繫靭帯炎の時くらいです。ダイヤちゃんが弱ってたのは」

「そうだったな」

 

 

 

「その時慰めてあげたの、お兄さんですよね?」

「そうだっけ」

 

 

 

 

 いや正直覚えてない。

 キタちゃんの顔がなんかもう渋~い感じになっちゃってるけどこれはどういう感情なのだろう。

 

 

 

「ダイヤちゃんが子どもらしく振舞えるように、クリスマスパーティを主催してくれたりとか」

「そりゃあ年長者として当然のことというか……」

 

 

 

「誰よりもダイヤちゃんがGⅠ勝てるって信じてますし」

「えっ」

 

 

 

 信じてるというか、知ってるけど。

 でもそんなこと言ったことも無いハズ。

 

 

 

 

「いやあれだけ分かりやすかったら、あたしでも分かりますよ。トレーナー試験合格したとき、ダイヤちゃん嬉しそうでしたよ」

「おぉぅ……」

 

 

 

 

 

 とはいえ、まだ中学生だし……麻疹みたいなものだと思って諦めてもらうしか―――。

 と、何かスッとキタちゃんから差し出される紙が。

 

 なになに。婚約のすすめ?

 

 

 

「なにこれ」

「婚約のすすめです」

 

 

 

「いや、そんなの許されたのサイレンススズカくらいじゃ――――」

「じゃあ、ダイヤちゃんが無敗の三冠ウマ娘になったら婚約してくれますか?」

 

 

 

 

 思わずまじまじとキタちゃんの目を見返す。

 ……ガチだこの子。

 

 

 

「ダイヤちゃんの幸せのためなら、キタサンブラック―――鬼にもなります」

「………無敗の三冠はさ、もうジンクスとかそんなレベルじゃないぞ?」

 

 

 

 

 あのミホノブルボンや、ナリタブライアン、トウカイテイオーでさえ無敗の三冠は叶わなかった。それを、皐月賞とダービーで涙をのんだばかりの、キタちゃんが分かっていないわけがない―――のだけれど。

 

 

 

 

「………なんでそこまで?」

「お兄さんってほんっっとうに鈍いですよね! もうあたしから言えることは何もないので! ちゃんとダイヤちゃんと話してくださいね! それじゃあ!」

 

 

 

 

 シュタタタ、とそのまま全力の逃げを打ったキタちゃん。

 無論、ヒトでしかない俺に追いつけるはずもなく。

 

 

 

「いやちょっと待って!?」

 

 

 

 こっちから無敗の三冠取ったら婚約してやるよ、とかどんだけ上から目線なのかという問題が何も解決してないぞ!?

 

 

 

 

 

 








次回、ライスとデート(たぶん)


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ライスとデート

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――お兄さまっ!」

 

 

 

 天気は雨が降りそうなどんよりとした曇り―――まあライスの不幸っぷりからそうなるだろうなと思っていたので、水族館である。

 もし雨が降っても大丈夫だし、冬場でも安心。なんとなくライスはクラゲとかそういうのも好きそうなイメージあるし。

 

 なんとなくアプリで見た“知識”はある例の私服(かわいい)ライス。もしかして効くかなと思って買っておいたお守りが良かったのか、特に遅刻などもなく到着したので一安心。

 

 

 

「……ごめんなさい、待ったよね…?」

「いいよ、俺が楽しみで早く来すぎただけだし。じゃあ行こうか」

 

 

 

「……うん! あ、お兄さま、チケット―――」

「はいよ」

 

 

 

 もちろん待ってる間に買ってあるが。

 

 

 

「……ええっ!? ……あ、じゃあチケット代―――」

「悪いけど初めてのデートくらいは俺の自尊心のために奢られてくれ」

 

 

 

 

 こんなんでも一応中央トレセンのトレーナー。給料はそれなりにいいのだ。使う暇ないけど。

 ライスの方が稼いでる気はするけど、それでも年上として男として見栄を張りたい。せめて初デートくらいは。

 

 まあライスはけっこう申し訳なさそうな顔だけど。

 

 

 

 

「……うんっ。あ、でもね! ライスお弁当作ってきたの!」

「ありがとう。それは楽しみだ」

 

 

 

 

 ついでに弁当が台無しになるアクシデントも警戒しておくべきか。

 と、そこでライスがそっと服の袖を掴んできた。小さく小首を傾げる動作つきで。

 

 

 

 

「お兄さま、その……ダメかな?」

 

 

 

 

 かわいい。

 はいもう何でも掴んでください、と言うべきところだが袖は持ちにくそうなので、止む無く――――決してライスに陥落したわけではないけれど、そっと手を繋ぐ。

 

 

 

 

「転ぶといけないから、エスコートさせてくれ」

「……うんっ、ありがとう、お兄さま…!」

 

 

 

 

 かわいい(かわいい)。

 もうこれライスが彼女になってくれたら幸せなんじゃ――――殺気!?

 

 素早く振り返るが、誰もいない。少なくとも見知らぬ通行人がいるくらいだ。

 

 

 

 でもなんとなく嫌な予感がするのでキタちゃんにメッセージを送ってみる。

 

 

 

 

『キタちゃん、今ってダイヤと一緒にいたりする?』

『いますよー。電話ですか? 代わります?』

 

 

 

 ……ダイヤじゃなかったか。

 じゃあもしかしてライスのファンとかだろうか。それはまあ殺気の一つも飛ばそうと言うもの。もし危害を加えてくるようなら対暴れウマ用の護身術が火を噴くが。

 

 

 

 

『いや、ごめん。一緒に居るならいいんだ。ダイヤのことよろしく』

『まあ、あたしはダイヤちゃんの親友ですから』

 

 

 

 

 

 

 何か気になる気もするが、今はライスとデート中なので。

 入場口を通ると最初にあったのは水槽の中を通るようなエスカレーターで。周囲を魚に囲まれた空間になんとなく日常から離れた空気を感じる。

 

 

 

「わぁ、すごい…! お兄さま、お魚さんがいっぱい……あっ、エイさんだぁ…!」

 

 

 

 ぱあっと輝くような笑顔になるライスは可愛い。

 ついつい魚よりライスに視線が惹きつけられてしまうのだが、とりあえずデートを楽しんでもらえればいいだろう。

 

 

 

 

「お兄さま、イルカさんが手を振ってるの…! すごくかわいいよ!」

「ライスが可愛いからかな」

 

 

 

 

「……お兄さま!? そ、そんな………そんなこと、ないよ?」

「いやあるけど」

 

 

 

「でも、本当にそうなら――――お兄さまにそう思ってもらえるなら、ライスも嬉しいな」

 

 

 

 

 ぎゅっと少しだけ強く握られた手をなるべく意識しないようにしつつ、とりあえずの目的であるイルカショーへ。絶対に濡れるのが目に見えているので、合羽も用意しておく。

 

 

 

 

 でもやっぱりびしょ濡れになって。合羽を着ていたのに顔はしっかり濡れるあたりライスは筋金入りだと思う。俺もだが。

 くせ毛がストレートになったライスが可愛いとかちょっと幽霊っぽいとか、そんなくだらないことで笑って。

 

 濡れても死守した弁当箱から食べた山盛りの弁当(好きな物が分からないので沢山つくったらしい)を、頑張ってちょっとずつ食べて(残りはライスが全部平らげた)。

 

 

 

 

 

 

 

「……ライス、すごく楽しかったよ。ありがとう、お兄さま」

「俺も楽しかった。次のドリームトロフィーリーグのレース、応援してる」

 

 

 

 

 帰り道。

 トレセン学園の近くまで歩いてきたところで、これ以上は目立つので分かれて帰ろうかと思ったその時だった。

 

 

 

 

「が、がんばるぞ、おー!」

「どうした急に」

 

 

 

 

 

 もう帰るだけだろう、と言うのは流石にボケ過ぎだろうか。

 レースの出走前くらいの真剣さ、なんなら春天のオーラすら見えそうなライスが振り返って言った。

 

 

 

 

「………お兄さま、あのね。ライス、本当は春の天皇賞に出たくないって思ってたの」

「……ライス?」

 

 

 

 

 

 それは――――知っている。

 菊花賞で声援を貰えなくて、ブルボンの三冠を阻んだ刺客と呼ばれたライスシャワーは、今度はまたメジロマックイーンの三連覇を阻むことで誰かの夢を壊してしまうとレースに出たがらなかった――――そして、テイオーやブルボンの説得で出走を決めた、ハズ。

 

 

 

 

 

「でも、お兄さまが居てくれるって思ったから―――菊花賞で、お兄さまのサイリウムが見えて、ライスはここにいて良いんだって思えたから――――だから走れたの」

 

 

 

 

「………ライスね、お兄さまが―――いつも優しくて、一生懸命で、いつもライスのことを応援してくれたお兄さまのことが―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――好きです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――ごめん」

 

 

 

 

「ライスは、俺の憧れだ。ステイヤーとして、無敗の三冠ウマ娘に迫ったブルボンにすら走り勝ってみせた。どんなに苦しくても走り抜けた。誰も勝てないと思ったマックイーンにすら勝った。不幸にも、どんな強敵にも、長い距離にも負けない君のその心根を、根性を、優しさを、俺は尊敬してる」

 

 

 

 

「でも―――約束したんだ。夢を叶えるって、誰よりも期待を背負って、それでも負けないように踏ん張ってる子に頼られたんだ」

 

 

 

「あの子の夢を叶えるまで、俺は止まれないから。――――だから、ごめん」

 

 

 

 

 

 

 

 頭を下げる。

 いつの間にか振り出した雨の中で、ライスは濡れた頬を拭って微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

「うん。―――ライスも、そんなお兄さまが好きだから」

「ライス――――」

 

 

 

 

「―――でもね。嬉しかったの。雨が降っても、水にぬれても、不幸なんて感じなかった。お兄さまが居てくれて、笑ってくれたから――――だからそれでも、ライスはお兄さまが好きなの――――お兄さまが、ライスにとってのヒーローだから」

 

 

 

 

 

 

「ずっと待ってます。お兄さまが振り向いてくれるまで、諦めないから。だから――――」

 

 

 

 

 

 

 

 頭を下げたままの俺に、ライスがそっと身体を寄せる。

 柔らかなものが頬に触れて、そのまま走り去っていく。

 

 きっと二人とも振り返らなくて。

 何故かきっと、二人とも泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

「――――何、してるんだろうなぁ……俺」

 

 

 

 

 

 

 

 泣かせたくなんて無かった。

 二人とも、裏切りたくなんてなかったのに――――。

 

 

 もう一度、ダイヤとこんなやり取りをするのかと思うと何もかも投げ出してしまいたくなるけれど。それでも。

 

 全部終わったその時に、こんな男でも好きだと言ってくれると、そんな勝手な希望を抱いてもいいのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 












どうでもいい後書き









うわあああなんか告白されたああああ!?
断りやがったあああああ!?

こいつやっぱり中央トレーナーですね()




次回、ダイヤとデート(予定)

ちょっと仕事が忙しいので更新遅れるかもしれません。三連勤いぇいいぇーぃ!
モチベはあるんですけどね! こちらも書かねば無作法と(以下略)


 


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ダイヤとデート?



こちらも書かねば無作法というもの




なんか早く書けました。これが執筆追い比べの力…!?

読者♡書いて♡ 追い比べして♡



 

 

 

 

 

 

 

――――ライスに告白された。断った。

 

 

 

 まあ元々ファンとGⅠウマ娘という間柄、どうなっても大差はない。ないったらない。

 

 

 

 

『――――ずっと待ってます』

 

 

 

 

 寝る前やふとした拍子に思い出す、気丈に微笑むライスの顔。

 しかしここで折れたら無駄にライスを悲しませただけのクソに成り下がってしまう。最早退路はなく、俺にできるのはこの道を信じて走り抜けることだけ。

 

 目が覚めれば仕事に打ち込み、雑念があれば更なる仕事で押し流す。

 

 

 

 ダイヤは、もしかしたら気づいていたのかもしれないが何も言わなかった。

 そんな心遣いがありがたくも情けない。

 

 

 

 

 しかし一難去ってまた一難。

 今度はダイヤとのデートの約束がある。

 

 告白されたら『お前が夢を叶えるまで遊んでる余裕はない』とでも言うしかないだろう。そりゃあダイヤの事は大事に思ってるが、お子様だし…。まだ12歳の相手に本気になるようではトレーナーなんて務まらない。

 

 とはいえ『そういう対象に見れない』とバッサリ切るとそれはそれでダイヤのメンタルに影響がないと言い切れない。史実より戦績が悪化してGⅠ勝てない可能性だってあるのだ。

 

 

 

 そんなわけで、胃が痛い日々を過ごしていたのだが―――。

 

 

 

 

 

「――――どうしてデート先がゲームセンターなんですか!?」

「だって好きだろ?」

 

 

 

 ちゃんとSE〇Aのゲームセンターを選んだのだから許してほしい。

 

 

 

「……好き、ですけど! でも初デートなんですよ!?」

「他の候補だと……サトイモ畑とか?」

 

 

 

 

 お出かけなら散々しただろ、海とか山とか遊園地とか。

 と言いたいところだが気分の問題というのはその通りだろう。

 

 

 

「12月にですか!? もうそれただの畑です!」

 

 

 

 

 なんてぶつくさ言っていたのだが――――。

 

 

 

 

 

「トレーナーさんっ、見てください! 最新のぱかプチです! 特別な衣装のオルフェーヴルさんにジェンティルドンナさん……これは取るしかありません!」

「あ、うん」

 

 

 

 

 やっぱり好きじゃねーか。

 最新機種にとりついたかと思うと、百円玉が詰め込まれた専用の財布らしきものを取り出して――――あ、もう落とした。

 

 そうして瞬く間に目当てのぱかプチを掻っ攫っていくSE〇Aのご令嬢。

 確率機(一定確率でちゃんとアームが掴んでくれるが普段は貧弱)に唸ったり、二人でああでもないこうでもないと言いながら巨大サクラバクシンオーぬいぐるみを攻略したり。

 

 

 

 

 こうしていると子どもの頃に戻ったような、ただ楽しいだけの時間で。

 アームを当てて景品の箱を回転させて落としたりと、何かプロっぽい技を使い始めたダイヤを応援したり、トレーナーで鍛えた観察眼で弱点を分析して教えたりと無駄に暴れまくった。

 

 そうして一通りゲームセンターを遊び尽くしたところで、不意にダイヤが呟いた。

 

 

 

 

 

「―――キタちゃんも、ぱかプチになるのかなぁ」

「どうした急に――――いや、まあなるだろうなキタサンブラックなら」

 

 

 

 

 ぱかプチになる基本は、GⅠを2勝すること。アイドルホースぬいぐるみかな?

 例外もあるらしいが、基本はそれだ。なのでアプリではぱかプチがあったカノープスはぱかプチが無かったりする。無節操だと作り切れないから仕方ないね。

 

 もちろん、GⅠを勝ったことがないサトノ家のぱかプチも無い。

 最近では投票で勝ったウマ娘は特別に作成されるなんて話もあるみたいだが、ぱかプチは一つの憧れなのだ。

 

 

 

 有マでは勝てないだろうが、春の天皇賞では勝つはず。

 親友が先にGⅠを勝利して、先に進んでいる状況――――歯がゆいだろうそれに、ダイヤは小さく呟いた。

 

 

 

 

「じゃあ、沢山とってキタちゃんをびっくりさせてあげないと。トレーナーさんにも大きなキタちゃんを取ってあげますね」

「そうだな。キタちゃん飾っとくと縁起良さそうだし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱり強いよ、ダイヤは。

 サトノ家の悲願のために真っ直ぐで、好きなことにも真っ直ぐで。窮屈そうなのに、誰よりも楽しんで生きている姿は、それこそ宝石のように輝いている。

 

 

 

 この輝きを、曇らせたくないと強く願う。

 

 

 

 

 

 

「――――…私も、勝ちますから。サトノ家のためだけじゃない。私を信じてくれるトレーナーさんのためにも――――貴方のためにも、私が勝ちます」

 

「俺のことは気にするな、って言いたいところだが」

 

 

 

「私がしたいんです。受け取ってもらいますから」

「なら、ありがたく貰っておこうかな」

 

 

 

 まあ、こんな俺にも感謝してくれるのはダイヤの良いところ。

 あんまり断るのも失礼だろうし、くれるなら受け取る。

 

 

 

 

「……トレーナーさんは、欲しいものはないんですか?」

 

 

 

 

 

 

 ――――…不安げな声だった。

 

 

 

 ダイヤらしくない、と言ってしまえばそれまでだけれど。

 俺のために気を使ってくれるのは素直に嬉しい。

 

 

 

 

「いいんだよ、いつも通りでいい。お前が素直に楽しんでれば、俺だって楽しんでるさ。いつだって、そうだっただろう?」

 

 

 

 

 キタちゃんに振り回されて二人でがっくりと肩を落としたり、三人でギャーギャー騒いだり、あるいは二人で必死になって後始末をしたり。ダイヤの暴走をキタちゃんと必死に宥めたり、後始末したり、駆けずり回ったり。

 

 退屈しようがないくらいには、賑やかだった。

 思うままに輝くダイヤは面白可愛かったし、キタちゃんにも元気をもらっていた。

 

 

 

 

「……そう、ですね。貴方はそういう方でした」

「そうそう」

 

 

 

 

 なんとなく二人でゲームセンターを離れて。

 すぐ近くにあった公園を歩く。どこか遠くで子どものはしゃいでいる声がするけれど、少なくとも目に見える範囲には人はまばらで。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………皐月賞、必ず勝ちますね」

「……おう」

 

 

 

 

 

 普段のダイヤからも、ジンクスを打ち破るという気概は大いに感じていたのだが。

 それよりもなお、“重み”のある声だった。それに、なんとなく流れを察しつつももう止める術は持たない。

 

 ライスとデートしたことは、恐らく知っているのだ。

 避けようがなかったのだろう。

 

 

 

 

 

「皐月賞と、日本ダービーと、菊花賞で勝てたら――――大事な話があります」

「……そうか」

 

 

 

 

 

 

 

 何と言っていいのか分からなかったけれど、一つだけ。

 どうしてもそれだけは聞いておきたいと思った。

 

 

 

 

 

「なあ、サトイモ」

「あ、それまだ続けるんですね……」

 

 

 

「だってまだGⅠ勝ってないだろ。……で。それが、お前の夢でいいのか?」

 

 

 

 

 

 もっと、大事なことがあるんじゃないのか。

 サトノ家にGⅠ勝利をもたらすことでもいい。キタちゃんに勝つことでもいい。凱旋門賞で、日本に新しい栄冠を――――なんか先頭民族が先に達成したけど――――もたらすのでもいい。

 

 

 

 

 そのメッセージは伝わったのだろう。

 耳をしょげさせたダイヤは、年頃の少女らしい拗ねた顔で言った。

 

 

 

 

「……だって、素直で良いって言ってくれたのは貴方じゃないですか」

 

 

 

 

 

 そう言われると何も返せないのだが。

 

 

 

 

 

「夢を叶えたら、トレーナーさんもついてくるなら幸せだなって思いませんか?」

「それ俺視点だとサトイモ貰えるのか……サツマイモの方が―――」

 

 

 

 

「ダメだったら、結婚できる年齢まで我慢します」

 

 

 

 

 いや諦めないのかよ。

 完全に負けたら諦める流れじゃなかっただろうか。

 

 

 

 

「いやそれまで俺が待てないと思うけど?」

 

 

 

 

「………待ってくれないんですか?」

「うん。まあ、多分」

 

 

 

 

 

 

「……とりあえず、無敗の三冠ウマ娘になれたら婚約してくれますか?」

「やだ」

 

 

 

 

 スッ、と一瞬真顔になったダイヤはどこかで見たような妙にあざといポーズをとりつつ笑顔で言った。

 

 

 

 

「――――婚約(さいよう)です♡」

「可愛く言ってもダメなものはダメ」

 

 

 

 

「とりあえず皐月賞で勝ったら宣言しますね♡」

「振るぞ」

 

 

 

「泣きます」

「……やめろマジで」

 

 

 

 

 

 いや、皐月賞は勝てないハズ。そのハズなんだ。

 ちょっと併走でバリバリ鍛えているけど――――でも、何だろうか。この子がそれで幸せなら、この賭けに負けてもいいかな、と。そう思ってしまう自分もいるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










どうでもよくはないけど特に意味はない後書き













ところで今更ですがこの話は短編なのでそろそろ最終回です

本当は10話以内に完結予定だったのですが、こんなにも長く時間がかかってしまった……

次回作のモチベのためにも読者♡ 書いて♡




 


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皐月賞前日まで

 

 

 

 

 

 

 

 

――――お父さまにもお母さまにも、『勝て』と言われたことはなく、いつも親として優しく接してくれる。

 

 多忙な中、ウマ娘界の発展のために尽くしてきた“ご褒美”としての栄誉を届けたい。そう、思っていた。それだけでいいと思っていた。

 

 

 

 

 でも、違った。

 

 

 

 

「ダイヤちゃん……」

「………」

 

 

 

 水族館前で待ち合わせて、デート。

 トレーナーさんと、ライスシャワーさんが楽しそうに手を繋いで歩く姿に感じたのは、悲しみでも、悔しさでも、ましてや怒りでもなかった。

 

 

 

 

「………苦しいよ、キタちゃん。私、どうして――――」

 

 

 

 

 

 いつだって頼りにしていた。

 年上で、レースに関して話しやすい男の人だったから――――たぶん最初はそれだけのことだった。でもその積み重ねで、少しずつ距離が縮まって。寄りかかって、知らぬ間に支えられていた。

 

 

 

 

「……テイオーさんが言ってたんだ。恋はダービーだって。早さでも強さでもない、運が無いと勝てないって」

 

 

 

 

 でも、出走しなければ絶対に勝てない。

 勝てるのは唯一人。でも、それでも勝ちたいと多くのウマ娘が焦がれるレース。

 

 

 

 

「………ダイヤちゃんは、凄いよ。サトノ家の栄冠のために、いつだって頑張ってて。あたしだって、ダイヤちゃんならダイヤちゃんのお父さんお母さんの夢も叶えられると思う。――――けど! ダイヤちゃんの夢の為にも、走って良いと思う」

 

 

「………私の、夢……」

 

 

 

 

 

 

 夢というほどでもないのかもしれない。

 でも、漠然と、ずっと一緒にいてくれると思っていた。キタちゃんも、トレーナーさんも。

 

 

 

 

「トレーナーさんだって! ライスさんが宝塚記念を勝った時――――予想を超えた時に、本当に喜んでた! ダイヤちゃんにだって――――ううん、ダイヤちゃんならできるはずだよ!」

 

 

 

 

 

 そうだ、トレーナーさんは言っていた。『GⅠ勝ててない今のお前なんてサトイモで十分だ。とりあえずクラシックの秋までにはイモは卒業するだろうけど――――それより早くなるかはお前の頑張り次第だ』と。意味するところは一つ。皐月賞も、ダービーも、取りこぼすということ。

 

 ダービーも、落とす。

 ちょうど恋のダービーの話をしたこともあり、ライスシャワーさんと楽しそうにするトレーナーさんの顔が浮かぶ。

 

 

 苦しい。

 寂しさ――――いや、切なさで胸が苦しい。

 

 それを自覚して、じわりと目頭が熱くなる。

 

 

 

 

 

 

「……負けたく、ないよ………勝ちたいよぉ……」

「――――あたしだって……ダイヤちゃんならお兄さんとピッタリだって―――ダイヤちゃんに賭けたんだから! お願い、ダイヤちゃん―――走って!」

 

 

 

 

 

「でも、もう――――」

 

 

 

 

 もう、無理だよ。

 ライスシャワーさんがトレーナーのことが大好きなことくらい、すぐにわかる。トレーナーさんが、どれだけライスシャワーさんを応援してきたのか、私たちが一番良く分かっている。告白を断る理由なんて、ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

『………ライスね、お兄さまが―――いつも優しくて、一生懸命で、いつもライスのことを応援してくれたお兄さまのことが―――』

 

 

 

 

 

 

 

 動けなかった。

 ダメだと割って入りたかった。

 

 でも、そんなことをしても嫌われるだけで、何の意味もないんじゃないかって。

 

 

 

 

 

 

 

『――――好きです』

 

 

 

 

 

 

 私は――――。

 

 

 

 

 

 

 

『――――ごめん』

 

 

 

 

 

 

『でも―――約束したんだ。夢を叶えるって、誰よりも期待を背負って、それでも負けないように踏ん張ってる子に頼られたんだ』

 

 

 

『あの子の夢を叶えるまで、俺は止まれないから。――――だから、ごめん』

 

 

 

 

 

 

「――――――ひっく、ぅ、ぅぇぇ………」

 

 

 

 

 

 断る理由なんて、無いはずだった。

 私のために負担を掛けたと思った。なのに、断ってくれたのが嬉しくて、安堵して。そんな心の私の夢を叶えたいと言ってくれたのが申し訳なくて。

 

 嬉しくて、安堵して、悔しくて、空しくて。

 

 

 

 夢が叶わなければ一緒に居てくれるのか、なんて思ってしまった自分が心底嫌で。

 

 

 

 

 

―――――だから決めた。

 

 

 

 

 

 まことしやかに囁かれる『無敗の三冠ウマ娘になれば結婚してもいい』という、ジンクス――――先例(ジンクス)にあやかる。

 

 

 

 

 

 

 あの人が『勝てない』と言って覆した、唯一人のウマ娘。それに並ぶには、私も覆すしかない。あの人の予想(うんめい)を。あの人のお陰で勝ったのだと言ったライスシャワーさんに、想い(きもち)は負けていないと証明するために。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――勝ちたい。

 

 

 

 

 

―――――ずっと一緒に居るために、勝ちたい。レースに、恋に、想いに。

 

 

 

 

 

 

 目標が定まったことで、逆に気持ちは落ち着いた。

 ゲームセンターでのデートはちょっとどうかと思うけれど、まだ子どもだと思われているということだろう。それでも構わない。油断している間に差し切る。

 

 

 

 一方的にでも“婚約”という言葉を投げつけて、意識してもらう。

 

 

 

 ダービーならば、駆け引きも重要――――それを教えてくれた張本人に実践するのは妙な感じだけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 練習に打ち込み、トレーナーさんも、ライスシャワーさんも特に動きはなかった。

 それが、一生に一度のクラシックレースがある私のためだというのは分かっている。ある意味ハンデを貰ったような形で、それができるくらいには差があるのは分かる。

 

 

 

 

 でも、勝ちたい。

 譲りたくない。必死の思いは、練習するにはちょうどよくて。かつてなく捗った練習に、皐月賞まではあっという間だった。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「――――というわけで、台風が来るのは分かってるからあらかじめ現地入りするぞ」

「あ、お父さまがサトノ家系列のホテルを取って下さったみたいです」

 

 

 

 

 嵐を心配したトレーナーさんの提案で前日には現地に行くことになり。普通はメンタル面の負担を考慮してあまりやらないらしいのだが、きっとその判断は間違っていないだろうと思われた。

 

 

 

――――最上級のスイートルーム。

 

 

 

 

 どうしてもトレーナーさんが良いのだと、お父さまに泣きついたらこうなった。「普段我儘を言わないダイヤのために何でも叶えてあげたいがよりによって同衾とは」とお父さまは泣いていた。お母さまに慰められていたので大丈夫だと思いたい。

 

 

 

 

「もちろん二人用なので、トレーナーさんもご一緒にどうぞ」

「………他の部屋は?」

 

 

 

「満室みたいです♡」

「じゃあ野宿かな……」

 

 

 

「でもトレーナーさん、私のメンタルのために一緒に居て下さるべきでは…?」

「……鋼のメンタルが何か言ってるな……?」

 

 

 

 

 でもほら、間違いがなければいいですよね?

 と説得すると妙なことをしたら警察呼んでしょっ引かれるからな、俺が。と言われたがなんとか了承してもらえた。……前からなんだかんだと一緒に寝てましたもんね。

 

 よし、こうなったらお風呂でも攻め込もう。

 

 

 

 

「あ、トレーナーさん。お背中お流ししますね♪」

「はいはい」

 

 

 

「そうおっしゃらずに――――え?」

「そう来ると思ったぞ」

 

 

 

 

 

 平然とした顔で身体を洗っているトレーナーさんに、何か負けた気持ちになる。

 『お前みたいなお子様が俺の理性に勝てると思うな』と煽られているような気がする。

 

 ……むむむ。

 

 

 

 

 

 背中を流して、さりげなく胸を押し付けてみたりしたのだけれど。

 鍛えられた背中に無駄にドキドキしてしまっただけで、何の反応も無かった。

 

 

 

 

「なあ、サトイモ」

「な、なんですか? 当ててるんですよ?」

 

 

 

 

 

 ………こ、こうなったらうっかりタオルが外れてしまうとか―――。などと考え始めたあたりで、優しく頭を撫でられる。

 

 

 

 

 

 

 

「………えっと、あの…?」

「…………ごめんな。無駄に不安にさせた気がする」

 

 

 

 

 

 何故かそのまま抱きしめられたところで、自分の身体が冷え切っていたことに気づいた。

 

 

 

 

「とりあえず温まってから考えよう」

「………はい」

 

 

 

 

 別にハダカで温め合うぞ! なんてちょっとエッチな漫画でありそうな展開もなく。

 タオルを巻いたまま二人でも十分に広い湯舟に浸かる。

 

 

 

 

「とりあえず、クラシック三冠が終わるまでは大人しくしてろ」

「………はーい」

 

 

 

 なんとなく子どもに戻った気分で頬を膨らませると、いつもみたいに優しく頭を撫でられる。

 

 

 

「その後なら、ちゃんと考えてやる」

「え、結婚をですか」

 

 

 

「ちゃんと考えてから振ってやる」

「………振られちゃうんですか」

 

 

 

「しおらしくされると調子が狂うんだけど……今のダイヤに手を出すとマジで逮捕されるの。オーケー?」

「良くはないですが、理解しました」

 

 

 

 婚約してれば一応アウトよりのセーフなのでは?

 なんて思わなくもないけれど。

 

 

 

 

「………じゃあ皐月賞に勝てるように、今夜は一緒に寝てください」

「まさかの先払いか。負けたら借金だな」

 

 

 

 

「負債は頑張ってお返ししますね。私個人だとあまりお支払いできるものもないのですが―――」

「アレな漫画の導入みたいだな」

 

 

 

「トレーナーさんのお部屋にあったヤツですね。キタちゃんと見ました」

「……何してんのお前ぇ!?」

 

 

 

「…………女の子に悪いことを教えたお詫びに、サトノ家で働いてくださいね?」

「牢屋に入った方がいいんじゃないかな」

 

 

 

 

 

 くだらないことを話しながら、お風呂を出て。ぴったりくっついて寝る。

 胸が当たろうがさして気にした様子もないトレーナーさんにムキになってみたが、いつの間にか眠ってしまって――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皐月賞に、お前が勝てたのなら――――俺が本当にトレーナーで良かったのか、明日には分かるさ」

 

 

 

 

 

 

 小さく呟く声に、返事はしなかったけれど。

 でも、これまでのどの理由よりも強く勝ちたいと願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







トレーナー「責任(退職)とらないとなぁ」
ダイヤ「責任(結婚)とってくださいね」




 


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決戦、皐月賞!

 

 

 

 

 

 

『さあクラシック初戦、皐月賞のファンファーレです――――こんなにも盛り上がる、ファンのボルテージ。久々ですね』

『そうですね、スタート時間が近づくと天気も良くなってきました』

 

 

『中山の2000のコースはどう見ますか』

『スタートしてから1コーナーまで少し距離があるので、そこまでの位置取りがポイントでしょうか』

 

 

 

『果たしてサトノダイヤモンド11番、そして3番のツウカア。そして16番のジュニア王者リオンディーズ。3強と言われてはいますが、この三人の位置取りがどうなるか――――今、ここまで3戦3勝のサトノダイヤモンドがゲートイン』

 

 

 

 

 

 

 

『―――――今、スタートしました! 三強の位置取りは―――サトノダイヤモンドがやや前! リオンディーズ前に行く、ツウカアは後方から!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 強風を嫌ってか、レースの緊張と合わせて神経質になった子がゲートインを嫌がる。

 そんな中でもほどよい緊張が身体を包んでいた。

 

 

 

――――1番人気。

 

 

 

 これまでの走りが一番に支持されているという、嬉しさ。独特の緊張感。

 これに勝てばサトノ家のジンクスを破れるという思い――――勝たなければ、どこか思いつめたようなトレーナーさんに応えられないという想い。

 

 

 

 一生に一度しかないクラシックレース。その初戦。

 

 

 

 

(大丈夫。私は、このためにずっと頑張ってきたんだもの)

 

 

 

 

 GⅠ級の一流ウマ娘たちと練習を積み重ねて来た。

 アンクルを使った辛い、投げ出したくなるトレーニングにも耐えてきた。

 

 相手は、強い。3強と呼ばれるライバルに加えて、例年なら主役と言われるだけの役者がそろっているとされる。

 

 

 

 トレーナーさんが気にしていたのは、ツウカアとディヴィニティー。どちらも後方から来るだろうと言うトレーナーさんの予想。

 ハイペース、後方からの追い上げ、そして抜け出す時の紛れ。懸念事項も頭に入っている。大丈夫、勝てる―――。

 

 

 

 

 

 

 

『―――――今、スタートしました! 三強の位置取りは―――サトノダイヤモンドがやや前! リオンディーズ前に行く、ツウカアは後方から!』

 

 

 

 

 

 

 

 スタートはうまくいき、前に出る子たちに引きずられないようにある程度抑える。

 1コーナー時点で先団がやや多く、ペースが早くなるのを感じつつ中団に控える。

 

 

 

 

 

 

(やっぱり予想よりもマークが多い――――包まれないようにしないと)

 

 

 

 

 一番人気であり、他の子にとっても一度しかないクラシック。

 飲み込まれそうな気迫はしかし、普段から一緒に走らされているライスシャワーさんやキングヘイローさん達一流のウマ娘には及ばない。

 

 冷静に、包まれないように距離のロスを覚悟でやや外を回る。

 

 

 

 

『さあリオンディーズが単独の二番手! サトノダイヤモンドが中団! ツウカア後方! 前半1000メートルを通過してタイムは58秒4! さあ3強のポジションは分かれました。そして早くもリオンディーズ先頭で最終コーナーを回る!』

 

 

 

 

(大丈夫、キタちゃんの逃げの方がずっと怖い。十分追い越せる――――)

 

 

 

 

 現シニア級の菊花賞ウマ娘と比べるのはアレかもしれないけれど。

 このペースなら前方は持たないはず。持ったらもう全力で走るしかないけれど。注意すべきは――――後方!

 

 

 

 

 

 

 

 やや速いペース、不気味に脚を溜めているツウカアとディヴィニティー。

 でも先に抜け出して、十分な脚があれば押し切れる。それだけのスタミナも、スピードも、私とトレーナーさんは準備してきたから――――!

 

 

 

 

 

(――――いける!)

 

 

 

 

 蹄鉄が大地を抉り、一気に加速する。

 マックイーンさんのロングスパートと、トウカイテイオーさん直伝の抜け出し。再現度は高くないけれど、合わせれば十二分に強力な武器になると、トレーナーさんにも認めてもらった加速。

 

 

 

「っ、負けるかああ!」

 

 

 

 

 

 先頭のリオンディーズを、外から追うエアスピネル。その更に外から差し切ろうとするが必死なのは向こうも同じ。抜かれまいと粘るエアスピネルだが、まだあと200メートルほどある。十分に差し切れる――――。

 

 

 

 

 

 

「――――きゃあっ!?」

「――――――――え」

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、内にいたリオンディーズがヨレた。

 激突されそうになったエアスピネルがなんとか避けようとして――――外にいた私に接触。押し出されるように外によろけて失速する。

 

 

 

 

 

『ヨレたリオンディーズ、避けたエアスピネルとサトノダイヤモンドが接触! ―――――外から! 外からディヴィニティー!』

 

 

 

 

 

 

 

 激しい衝撃に息が詰まりながらも、辛うじて転倒せずに持ちこたえる。

 怪我は――――きっと大丈夫。まだ、走れる。走らないと―――。

 

 

 けれど、外からディヴィニティーが飛び出してくる。

 どうにか加速しなおして―――ダメ、体勢を立て直さないと――――どうやって追いつけば――――この速度、体勢、エアスピネルを避けてからなんとか―――こんな、こんなことで――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―――――ツウカアはどうか!? ディヴィニティー先頭! ディヴィニティーが一気に先頭に躍り出る!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実況の声が、観客席の悲鳴が、どこか遠くのことのように聞こえる。

 乱れた呼吸が戻らない。脚が、重い。

 

 

 

 

 

『―――――サトノ家はGⅠ勝てないからな』

 

 

 

 

 

――――嫌だ。嫌。私は、必ず――――。

 

 

 

 

 

『いいんだよ、ダイヤ。勝てなくたっていいんだ』

 

 

 

 

 

―――――違う。そんな、優しいけれど哀しそうな顔のお父さまを見たいんじゃない。

 

 

 

 

『いいのよ、無事に帰ってきてくれれば』

 

 

 

 

―――――お母さまの、喜ぶ顔がみたいのに―――。

 

 

 

 

 でも、浮かぶのは諦めたような顔ばかり。

 それはそうだ、サトノ家は、GⅠに勝てたことがないのだから。

 

 

 

 

 

 

―――――もう、ダメなの?

 

 

 

 

 

 なんとか2着には、そんな想いに縋って――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何もかも遠く離れたような、思考の闇の中で。

 それでも不思議とその声ははっきりと聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――ダイヤ! サトノダイヤモンド!」

 

 

 

 

 

 

 

「走れぇええええ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつだって、結果を知っているから――――いつだって冷静で。どこか冷めていた。

 トウカイテイオーの復活の時も、楽しそうに応援していたけれど―――それでも、勝つと知っているからこその落ち着きがあって。

 

 ライスシャワーさんの時も大喜びしていたけれど、それでも。

 声を枯らして、必死に叫ぶのは。きっと初めて見た。

 

 

 

 

 GⅠに勝つまで名前は呼ばないなんて、言っていたのに。

 絶対に勝て、とばかりに盛大に叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

「――――ダイヤちゃん! いっけぇええええ!」

 

 

 

 

 キタちゃんが声を張り上げて叫んでいる。

 

 

 

 

「頑張って、まだ差し切れる!」

 

 

 

 

 ライスシャワーさんが、声を振り絞って叫んでいる。

 

 

 

 

「根性です! ――――つべこべ考えずに走りなさい!」

 

 

 

 ミホノブルボンさんが、イメージにないくらいの強い口調で叫ぶ。

 

 

 

 

「まだ負けてない!」

「これは勝ちの途中!」

 

 

 

 よく見知った二人の男性も。

 

 

 

 

「さあ、かっ飛ばすのよ!」

「一流の、サトノ家の走りを見せつけてやりなさい!」

「がんばれ~!」

 

 

 

 

 マルゼンスキーさん、キングヘイローさん、ハルウララさん。

 練習に来てくれたみんな。

 

 

 

 

 

 

「――――ぅ、ぁあああああっ!」

 

 

 

 

 

 温かなものが、想いを感じる。

 諦めかけた脚に力が宿る―――。

 

 

 

 

 

 

『――――内からサトノダイヤモンド! 先頭に躍り出たディヴィニティーを猛追! 更に後方からツウカア! あと100!』

 

 

 

 

 

 脚が軽い―――呼吸は嘘みたいに楽になった。

 後は、絶対に差し切る――――!

 

 

 

 

 

「―――――差し切れ、ダイヤーーーッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 声に押されるように、並んだ瞬間――――そこが、ゴールだった。

 

 

 

 

 

 

『先頭ディヴィニティー! サトノダイヤモンドが一気に並びかける―――! ツウカア届かないか! ディヴィニティー先頭! ディヴィニティー! サトノダイヤモンド――――

――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『これは―――――外ディヴィニティーか、内サトノダイヤモンドか!? 全く分かりません! ほぼ同時にゴールしたように見えました――――写真判定! 決着は写真判定です!』

 

 

 

 

 

 僅かに乱れた息を整えて、1着を争ったディヴィニティーと目を合わせる。互いに不安が色濃く出た表情で、なんとなく笑い合って握手する。ヨレと接触で謝罪に来た子たちとも気にしないよう謝罪を受け入れて。

 

 

 

 

 今までのどんな時より長く感じた数分間の後――――表示されたのは、1着11番だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『――――出ました。1着は11番サトノダイヤモンド! 無敗の皐月賞ウマ娘の誕生です!』

 

 

 

 

 

 

 

――――歓声が爆発した。

 

 

 

 

 

 熱に押されるように、観客席にいたトレーナーさんに抱き着く。

 嫌がられるか、はたまた避けられないかという不安に反して、しっかりと抱き返されて少しだけ動揺する。

 

 

 

 

 

「――――よくやったな、ダイヤ。サトノ家の悲願、果たせたじゃないか」

「……ありがとう、ございますっ! トレーナーさんのお陰です!」

 

 

 

 

 

 

 そのまま惜しむように、ゆっくりと離れ――――。

 

 

 

 

 

 

 

 ると見せかけて跳びついて。

 むぎゅりと胸が当たるのも気にせず。いつか、ライスシャワーさんがしたのと反対の頬にそっと唇を寄せた。

 

 

 

 

 

 

―――――憧れていたキスの味は、トレーナーさんが泣いていたのか、ちょっとしょっぱかった。

 

 

 

 

 

「な、な、な――――」

「―――――私のお礼(気持ち)です♡」

 

 

 

 

 

 

 観客席は阿鼻叫喚になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










たった一つの迷いを捨てて、鉄のジンクス叩いて砕く。
サトイモーンがやらねば誰がやる―――。



サトノダイヤモンドが(ジンクスを)砕けたら。
あるいは、ジンクスを砕いたダイヤがハジケる物語。




そんなわけで本編完結で、エピローグになります。
ダイヤルート、ライスルートがあるのですがどっちを先に書くかアンケートにてご協力ください。どっちも書きますが、票数が多いと気合が入ります。



 


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【ダイヤED】ダイヤモンドの輝き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――無敗の皐月賞ウマ娘、トレーナーにキス!?

 

 

――――サトノダイヤモンド、ついにサトノ家のジンクスを破りGⅠ初勝利! その影にはトレーナーとの熱愛!?

 

 

――――接触、進路を塞がれてもレコード決着! サトノダイヤモンドはサイレンススズカの再来となるか!? サイレンススズカの圧倒的ゴールインレコード!

 

 

 

 

 

「うごごごご………何なのだ、これは! どうしたらいいんだぁ…?」

 

 

 

 

 最初の記事が一番直截的でヤベーかなと思ったら、写真は泣きながら抱き着くダイヤの写真で「感極まったんだろうなぁ」と微笑ましくなる内容。あえてタイトルと落差を付けているのかダイヤの背負っていた重圧の話も盛り込んだりしている。ちな月刊トゥインクル。

 二番目の記事はもうなんか熱愛疑惑について語っており、チームカペラでアシスタントトレーナーをしていたことも書かれている。どっから拾ってきたんだ…。

 三番目の記事はサイレンススズカの(恋愛的な意味で)再来みたいな記事であり、もうなんか週刊誌ですかねという感じ。ゴールインって結婚の方かい!

 

 

 

 

 

 

「――――婚約です!」

「どうした急に」

 

 

 

「婚約すれば大丈夫ですよ、トレーナーさん。世間の皆様もきっとわかって下さいます」

「俺がロリコンだってことを?」

 

 

 

 キラッキラしたサトノの至宝な笑顔をばら撒くダイヤは今日も元気だ。

 GⅠの夢、サトノ家のジンクスを砕いて解き放たれたサトイモは、もうなんか暴走機関車と化していた。

 

 具体的には婚約を迫ってきたり、隣に座って身体を寄せてきたり、胸を当ててきたり。いつからトレーナー室はそういうお店になったのか。

 

 

 

 

「むぅ。私はもう子どもじゃないですよ?」

「いやジンクス破ろうと色々やってるあたりお子様だからな」

 

 

 

 だいたいこちとら二十歳を超えても自分の精神お子様っぷりに悩んでいるのだ。仕事で辛いとすぐメンタルやられそうだし、胸元見えそうだとつい見ちゃうし。頑張ってる横顔とか美人だなーと見惚れることもある。自分の思考が子どもと大して変わらないと気づけないダイヤはお子様で十分。

 

 

 

 でもな、正直期待してたんだ。

 GⅠ勝って、ダイヤも一つ大人になって、大人しくなるんじゃないかなって。

 

 

 

 

 

―――――だがサトノダイヤモンドは、砕けた。

 

 

 

 ぶっちゃければ遠慮がなくなった。

 あれ、トレーナーさん別に口だけで嫌がってないし大丈夫かも? みたいな気づきを得てしまったのか、既に外堀を埋められて土俵際に追い込まれ、まわしを剝ぎ取られて取ったどーされているような気がする。

 

 

 

 

 流し目(口笛並みにへたっぴ)とともにスッと腕を絡めてくるダイヤ。

 胸当たってるんだけど。

 

 

 

 

「――――つまり私を自分好みに染めたい、と…?」

「遠慮がちで淑やかなお嬢様が好み」

 

 

 

 

 

 腕が離れた。

 危ないところだった。めっちゃ疑う目で見てくるが、嘘はついてないぞ。遠慮がちで淑やかなお嬢様が、自分にだけ頑張ってアピールしてくるのいいよね。……今の状況? 割とそうだけどそう思えないあたり天性の才能だと思うぞサトイモ。

 

 

 

 

 

「…………いつもの私みたいな?」

「…………………………うーん。いや、メジロアルダン」

 

 

 

「アルダンさんってけっこう押しが強いような……」

「覚悟決まってるよな」

 

 

 

 

 瞬間、むすーっと頬を膨らませたダイヤに頭を抱き寄せられ。

 当然のように吸い込まれる先は胸。母性の塊とかなんとかいうけど結局は脂肪分なんだよ。やわらかいしなんかめっちゃいい匂いするけど、脂肪の塊だから大丈夫。これはダイヤの腹。食べ過ぎ二段腹。はちみー自棄飲み腹。

 

 

 

 

「――――私だって覚悟くらいあります! GⅠはもう勝ってサトノ家の悲願は果たしたので、必要とあらば今すぐにでもトレーナーさんと添い遂げる覚悟です!」

 

「むぐ、むぐぐぐぐ(いややめようね)」

 

 

 

 

 

 ギブ、ギブ、と腕を叩くとなんとか解放される。

 (少なくとも表面上は)平然としている俺を見て、ついでに下半身のある部分あたりを見てダイヤは愕然としたように言った。

 

 

 

 

 

「そんな……私の無駄に育ったおっぱいが効かないなんて……」

「おっぱい言うな」

 

 

 

 俺の中のダイヤちゃんイメージを崩さないでくれ。

 レースに勝って、喜んではしゃいでたダイヤは可愛かったぞ。

 

 

 

「トレーナーさんってもしかして……ロリコン?」

「もしそうならお前とか好みドストライクだっただろうな」

 

 

 

「じゃあ両想いですね♡」

「話聞いてた?」

 

 

 

「じゃあトレーナーさん。無敗の三冠ウマ娘になったら一緒に温泉旅行に行きたいんですが、いいですよね?」

 

 

 

 

 にっこり笑顔がかわいい。が、言ってる内容は可愛くないぞ。

 

 

 

 

「負けた時メンタル崩壊しないで地道に新しい恋を探すならいいよ」

「――――それは、私への挑戦(ジンクス)ですか?」

 

 

 

 

 いやお前ジンクスの意味おかしくない?

 そのうちなんでもガンダムガンダムで話すガンダム馬鹿みたいなジンクスバカにならない? 俺がジンクスだ! 貴様はジンクスではない! 貴様はジンクスだ、私がそう判断した…。

 

 

 

 

 

「じゃあ無敗の二冠ウマ娘になったら、一緒にショッピングに行って私のお出かけセットを全部選んで下さい♡」

「まあそのくらいなら………」

 

 

 

 

 全部? まあ女子の買い物は長いって言うし、罰ゲームにはちょうどいいだろう。なんかニッコニコでボイスレコーダーの録音を確認してるのが気になるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――――強い! サトノダイヤモンド強い! 完全に抜け出した! 後方から一気にツウカアが上がってくるがこれはもう届きそうにありません! これがサトノ家の、新たな日本の至宝! 無敗の二冠ウマ娘の走りだ! サトノダイヤモンド一着! 秋の京都へ、伝説は続きます!』

 

 

 

 

「勝因ですか? ――――…そうですね、トレーナーさんとの信頼関係でしょうか。私が重圧に負けないよういつも献身的に支えて下さって。私も少しでもお返し出来たらと思っているのですが、トレーナーさんは「ダイヤは子どもだから気にしなくていい」と。嬉しくはあり、悔しくもあるのです。早く大人と認めてもらえたらな、と。そのためにも無敗の三冠ウマ娘となり少しでも恩返しをして、大人だと認めてもらいたくて――――あ、トレーナーさん! どうしましたか? ハグですか、どうぞ♡」

 

 

 

 

 

 や、やめろおおおお!?

 

 ダービー勝利後のインタビューでなんかとんでもないものを垂れ流し始めたダイヤをなんとか阻止しようと慌てて近づくと、キス待ち顔でハグ要求してくるダイヤ。

 

 ダービー勝利後である。

 これでハグ拒否なんてしようものなら血も涙もねぇと流石に大顰蹙。でもさりげなく俺の方からハグしようとしてるような口ぶりだし、逃げ場もない。悪魔かな?

 

 

 

 

 

 

 今度は満面の笑みで抱き着くダイヤが新聞を飾った。

 

 

 

 

 

 

―――――――ジンクスブレイカー、サトノダイヤモンド! 無敗二冠達成! 目指すはトレーナーに捧げる三冠!?

 

 

 

―――――――サイレンススズカの再来! サトノダイヤモンドは無敗三冠なるか。海外雄飛も期待!?

 

 

 

―――――――ダービー圧倒! サトノダイヤモンドはもう誰にも止められないのか!? 圧倒的な実力と、トレーナーとの関係の相関に迫る!

 

 

 

 

 

 

 世間様もダイヤのガチっぷりに『あっ、これネタにできねぇわ』と悟ったのか早々に放棄。何せ強い。とんでもなく強い。そしてこれで取材()で体調を崩したオグリキャップのようなことになっては堪らないと、URAが某サイレンススズカの時と同様に感動の再現ドラマなんかをサトノ家監修で作ったものだからもう誰にも止められない。

 

 強い走り、大胆な告白、そしてめちゃくちゃ可愛いサトノダイヤモンドは、世間の支持をがっちり掴んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――採用です♡」

「いやあの、ダイヤ……」

 

 

 

 

 ダービー勝利のご褒美。『お出かけセット』を買いに来たのは良かった。

 お出かけ用の服とか、靴とか、靴下とか、帽子とか。水着も、まあいい。良くはないけど。でも下着はアウトじゃね?

 

 

 そして何をいうでもなく、合わせて見せた時の俺の反応(してないつもり)で選んでやがるし……。ちょっとエッチすぎませんその下着? スケスケだぞ。

 

 

 

 

「俺が落ち着かないから、そっちの勝負服っぽい柄のにしない?」

「……しょ、勝負下着ですか? ………はい」

 

 

 

「言ってないが。どうした急に照れないでくれるか?」

「じゃ、じゃあこれにします! ………楽しみにまってますね?」

 

 

 

「おいサトイモ」

 

 

 

 

 

 

 ルンルン気分でレジに向かうサトイモ。

 エロ下着を持ってかれるよりはいいけど、店員に「はっ、サトノダイヤモンドさんが遂に勝負に…!?」みたいな顔されてるぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

『―――――サトノダイヤモンド、サトノダイヤモンドが早くも先頭! 最終直線に入ってサトノダイヤモンドが早くも先頭! まだ離す! まだ引き離す! 強い! 強すぎる! 二番手を完全に引き離した! これが新たな伝説の始まりだ! サトノダイヤモンド、無敗三冠達成!』

 

 

 

 

「今の想いを誰に伝えたいですか?」

「――――トレーナーさんです」

 

 

 

 

「サトノ家はGⅠを勝てないというジンクスを破り、そのまま無敗の三冠達成となりました。一番苦しかったレースはどれでしょうか」

「やはり皐月賞ですね。重圧に負けないよう必死に堪えていましたが、独りではきっと耐えられなかったと思います。皆様の、そしてトレーナーさんの応援のお陰で勝てたと思っています――――あっ、トレーナーさーん!」

 

 

 

 

 

 

 

 モウヤメルンダッ!

 止めないと延々と惚気を垂れ流すダイヤに堪らず出てきてしまうが、コレ狙ってやってるよね?

 

 

 

 

 

 

「次の目標は何でしょうか」

「そうですね。キタちゃん―――私の大事な親友とのレースでしょうか。勝って、私は前に進みます―――いいえ、勝たないと進めないから」

 

 

 

 

 

 どうした急に真面目になって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ともあれ、無敗の三冠――――想いの力で運命を覆した以上、俺も覚悟を決めなければならないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――この圧倒的なまでの攻勢に耐え抜く覚悟をな!

 

 

 

 うおおおカレンチャンのお兄ちゃん俺に力を貸してくれぇええええ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――混浴です♡」

「知ってた」

 

 

 

 まあ温泉旅行と言われて、わざわざダイヤが用意するくらいだから部屋風呂で混浴だろうなって。でも流石サトノグループ、いい温泉用意するなぁ。

 

 屋外露天風呂でありながら、本日貸し切り。

 タオルで身体を隠しただけのダイヤが露天風呂で待ち構えていたが、そんなことだろうと思ったので冷静に身体を洗っていく。

 

 

 

 

「あ、あれ……? ってトレーナーさん!? お背中、お流しします!」

「うん、ありがとう」

 

 

 

 

 

 あー、自分で背中流すより汚れが落ちるような気がするわー。

 何を思ったか自分の手を泡立てて洗ってくるダイヤのお陰ですべすべである。

 

 

 

 

「ど、どうですか? 痒いところとか、固いところとかありませんか?」

「ないよー」

 

 

 

 そのままガチガチに固くなってるダイヤの背中も洗ってやり、二人で湯舟に浸かる。

 

 

 

 

 

 

 かぽーん。

 

 

 

 

 なぜ鹿威しがこんなところに。

 とかなんとか考えていると、ダイヤが不安げな声で言った。

 

 

 

 

 

「……その、ご迷惑……でしたか?」

「ん-。まあそんなに捨て身にならないで欲しいなとは思ってる」

 

 

 

 

 

 

「………だってトレーナーさん、全然振り向いてくれないんですもん」

「大人しくしてろ中学生」

 

 

 

「据え膳食わぬは男の恥というジンクスが……」

「膳じゃないだろ。まだイモだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 破っちまえそんなジンクス。

 ずーん、と暗くなったダイヤを横目に見て。……胸でっか。浮いてね?

 

 ………細い肩だ。ここに、どれだけの重圧が乗っていたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「………サトノ家のジンクス。皆が悲しそうだから絶対破って見せるって言ってたな」

「トレーナーさん……?」

 

 

 

 

 まだ小学生の頃だったか。

 遊びたい盛りだし、実際走ってレースに勝つのが楽しかったのも、褒められて嬉しかったのもあると思う。

 

 

 

 

 

 

「でも、テイオーの怪我で泣くキタちゃんを励ましたり。昔から子どもらしくないくらいには優しくて、意志が強くて」

 

 

 

 

 

 

「いつも期待に応えてばかりだから、やりたいことを我慢してないか心配だった。背伸びして、意地張って、それでも意地を貫き通せる固さがあって。だからこそ、いつか砕けてしまうんじゃないかって心配だった」

 

 

 

 

 

「――――守ってやりたいと、ずっと想ってたんだ」

「トレーナー、さん…?」

 

 

 

 

 

 なんでクソ難しい中央のトレーナー資格を取ったのか。

 自分でもよく分かっていなかったけれど。本当は、君が夢を叶えるのを近くで見たかったんだろう。

 

 ジンクスを破ってあげられる自信もなくて、ただ運命に任せていればなんとかなると思って、そんな勇気も持てなかったけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、本当は嬉しかった。君に必要だと言ってもらえて。………なあ、ダイヤ。いつも一生懸命で、負けず嫌いで、誰よりも輝いて(楽しんで)る、君のことが好きだよ」

 

 

「…………ほんとは、わたしに、興味なんてないのかなって……」

 

 

 

 

 

「いやあるけどね」

「…………いつも、いつもいつも! 子ども扱いばっかりして! おっぱいだっていつも見てるのに触らないし!」

 

 

 

 

「いつもは見てない」

「見てます! ………ぐすっ、恥ずかしかったのに……ハダカにだってなったのに………こっちを見てもくれないし……っ!」

 

 

 

 

「だって見たら耐えきれる自信ないし」

「耐えなくていいんですっ! ばか! トレーナーさんのバカ! ばかばかぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 あふれた想いを涙にして零しながら、抱き着いて泣くダイヤを宥めるように撫でる。

 

 

 

 

 

 

 

「……結婚できる年齢になってもダイヤの気が変わってなかったら結婚しようか」

「…………じゃあ、それでいいので指輪ください」

 

 

 

 

「ポテトリングでもいい?」

「縁日でもらったヤツならまだ取ってありますけど」

 

 

 

 

 それはポテトリングじゃなくてあれじゃん。子どもダイヤに強請られて渡したら左手の薬指に嵌められてダイヤのお父さんに凄い顔されたおもちゃの指輪じゃん。まだあるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ俺の一番好きな宝石………ダイヤモンドでいいかな」

「…………………採用ですっ」

 

 

 

 

 

 

 せっかくの笑顔も涙でぐしゃぐしゃで。

 でも、それなのに今までのどんな時よりも、ダイヤモンドは輝いて見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

















読む必要性はないあとがき









というわけでダイヤエンド完結です

あとは黒いバックでうまぴょい伝説を流しましょう







アニメ見ましたが、本当は重圧で苦しんでたダイヤちゃん解釈一致で良かった……泣いた。こっちのダイヤちゃんあんまりレースの重圧感じてなさそうなので、このトレーナーもいた意味はあったんでしょう。何度も泣かせてますが。





あとはライスエンド書いて終わり!




読者も好きなキャラの二次書いて♡ トレーナーに愛叫ばせて♡
推しのカワイイをぶつけるだけである程度形になるしいけるいける











いちおう真面目な後書き2




とりあえず書き始めた切っ掛けは名言した通り、ごまだれ醤油様のダイヤ二次(あとアニメ)なんですが。

皆様の温かかな感想、評価のお陰でこの一発ネタもまあそれなりに仕上がったのではないかと思っています。実際楽しかったです。ありがとうございました。




ライス編を続けて書くと脳が破壊されるので暫し待たれよ

 


 


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ライスED

 

 

 

 

 

 

 

 それは、ダイヤのクラシックレースもいち段落ついた頃のこと。

 いつものように練習の手伝い―――のハズが、準備やらスポーツドリンクの用意やら、実質的にアシスタントトレーナーみたいなことをしてくれていたライスのある発言に思わず聞き返した。

 

 

 

「――――レースを辞める?」

「うん、ライスももう十分走ったから……お姉さまと話して、引退することにしたの」

 

 

 

「そっか。まあ十分頑張ってきたもんな」

「……えっと、それでね………」

 

 

 

 

 ……まあ、大体何の話から予測がつくのだが。

 

 一度告白されて振った手前、どの面下げて話を振れるのかというところもあり。

 そのままなあなあで流れるかと思ってたのだが。

 

 

 

 

「……お兄さまは――――ダイヤさんとのこと、どうするの……?」

 

 

 

 

 いや本当に。

 そこをどうするのかが一番の問題だ。

 

 ダイヤのことが好きか嫌いかで言えば間違いなく好き、多分けっこう好きだが、中学生相手に恋とかそういうのは流石に無い。でもあれだけ好かれているのに、きっぱり振れるだけの決断力が無いのであった。

 

 

 

 

「………あいつはまだ、子どもだから。受け入れるわけにもいかないし、かといって他の子と~って言うのもなんかこう、不誠実なのかなって」

 

「やっぱり、お兄さまはお兄さまだ。困っている人、放っておけないもんね」

 

 

 

 

 穏やかに笑っていたライスは、そう言って表情を真剣なものに変える。

 

 

 

 

 

「……じゃお兄さま、お願いがあるの」

「うん」

 

 

 

 

「ダイヤさんが卒業するまでの間――――ライスと、付き合って下さい」

「……いや、それは――――」

 

 

 

 

 確かに卒業生なら、まあ在校生より圧倒的に問題は少ない。

 でもクラシックレースは終わったとはいえ、ダイヤを担当しながら彼女……問題が起こる気しかしない。第一、そんな代わりみたいな――――。

 

 

 

 

 

 

「………お兄さまが、ライスのこと好きじゃないならいいの。諦めるから。でも―――でもね。ライスは、お兄さまのこと大好きだよ」

 

 

 

 

 

「菊花賞の後、春の天皇賞まで。本当に辛かったの。お兄さまがいなかったら、きっと走り抜けなかった。――――最後の、宝塚記念も」

 

 

 

 

 

 本来なら、ライスシャワーが予後不良になった宝塚記念。

 祈ることしかできなかった俺に、そんな価値が本当にあるとは思えなくて。担当トレーナーの手柄としか思っていなかったけれど。

 

 ライスがそう言うなら、俺にも何かできたことがあったのかもしれない。

 

 

 

 

「ライスは、レースで誰かを笑顔にしたかったから。だから、私を笑顔にしてくれたお兄さまが、私にとってやっぱり一番大好きな人なの――――」

 

 

 

 

 

 

 

「――――だから、ライスにチャンスを下さい。必ず、お兄さまを差し切ってみせるから」

 

 

 

 

 

 差し切られる気しかしないけども。

 ………ダイヤに、なんて言うかなぁ。

 

 けれど、ついこの間実質振ってしまった推しにここまで言わせてしまって断れるわけもなく。

 

 

 

 

「………じゃあ、こちらこそお願いします。もし嫌になったらいつでも言ってくれていいからな?」

「―――――うんっ、ありがとう、お兄さま!」

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ついてく、ついてく……」

 

 

 

 

 というわけで、ライスはアシスタントトレーナーとして働きつつ絵本を描くことになった。

 

 ついてくついてく言ってるが、実際は手を繋いでいるのでそんなにマークされてる感じはない。でも家までついてきた。

 

 

 

 

「―――ライス、ここで暮らすね!」

「いやテントは流石にちょっと……家に入って下さい」

 

 

 

 

 

 庭にテント建てないで!?

 ゆるキャンですか? でもその、ライスさん目からオーラ出てるしゆるくないよ。それもまた可愛いけど。

 

 フクキタルにラッキーアイテムはテント、ラッキースポットが親しい人の庭と言われたらしい。フクキタルお前誰かの回し者じゃね…?

 

 そもそもフクキタルの占いに誘われたのはサイレンススズカに呼び止められたかららしいが。………あの、先輩? もしかして俺嵌められてます?

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お兄さま! お背中おながししまひゅ!」

「ライスー!? 無茶するなライス!」

 

 

 

 

 夜にはタオルを巻いただけのライスが真っ赤な顔で突撃してきたり。

 

 

 

「ひゃああ!?」

「ぐわあああ!?」

 

 

 

 

 

 つるーん、と石鹸で滑ったライスがすっぽんぽんでダイブしてきたりとか。

 

 

 

 

 

 

「おはよう、お兄さま!」

 

 

 

 

 朝から割烹着でパンを焼いてくれているライスがめちゃくちゃ可愛かったり。

 

 

 

 

 

「お兄さま、クッキー焼いてみたの……味見してもらってもいい?」

 

 

 

 

 味見といいつつ沢山クッキー焼いてくれたり。

 

 

 

 

 

「今日もお疲れさま、お兄さま!」

 

 

 

 

 

 

 今日も今日とてライスの作ってくれる和食が美味い――――はっ!?

 いつの間にか胃をがっつりと掌握されている……だと。

 

 

 

 

 

 

 

 職場が同じなので一緒に仕事に行き、ブルボンがマスター(トレーナー)にべっとりでトレーナーが困っている話とか、ウララとキングの心温まるエピソードとか、その日あった何気ない話をしながら通勤。

 

 仕事を終えると、自主トレーニングをして待っていたライスと合流して帰宅。

 

 

 

 

 ライスがご飯を作ってくれている間に、持ち帰ってきた仕事をこなし。

 ご飯を食べて、お皿を洗いながら今日あった嬉しいことや、愚痴までいかないまでも困ったことなど話して。

 

 

 いつの間にかすっかり一緒に入るようになってしまったお風呂に入り。

 ライスの髪を乾かして、ブラッシングして。

 

 

 

 

 

「………そういえばお兄さま。今日はね、ライス不幸なことが一度もなかったの!」

「お、おう? そうなのか」

 

 

 

 相変わらず赤信号には引っかかるのだが……まあライスがそう言うならそうなのだろう。

 

 

 

 

「うん! お兄さまのお陰で、ライス毎日幸せなんだ。ふやふやになっちゃいそう……」

 

 

 

 

 正直なところ、ライスにそんなに言ってもらえるほどのことはしてあげられてないのだが。でも一人でいると長い赤信号も、二人でいれば気にならない。

 気にしないでいるうちに、いつの間にか以前ほど――――全部の赤信号に引っかかるなんてことは無くなってきた気がする。

 

 

 

 

「赤信号さんも、ないとお兄さまとお話する時間がなくなっちゃうけど……でもお兄さま、早くついたらその分ライスとお話ししてくれるでしょう?」

「まあ、うん」

 

 

 

 「ふえぇえ!? もうついちゃった……」とか涙目で言われて放置できるほど鬼にはなれない。赤信号に全部引っかかるつもりで出たら一度も引っかからないとかいう、幸運なんだけどある意味不幸な状態。

 そう考えると本当に凄まじい不幸っぷりだが、ライスの気の持ちようが変わったからだろうか。

 

 

 

 

「お兄さまが居れば、ライス……幸せだよ」

「……ありがとな」

 

 

 

 

 

 

 

 その日は、ライスが不意にDVDを見始めた。

 何かと思えばライスの出走した菊花賞の映像で、ブルボンとのレースに胸躍らせて二人で「ペースが」だの「やっぱりここでブルボンさんが」だの「現役ライスも可愛い」だの、やいやい言いながら眺めていたのだが――――。

 

 

 

 

「いやー、やっぱりいいレースだったな」

「うん。今考えるとあの時のライス、まだペース配分とか完璧じゃなかったから………」

 

 

 

 

 

 次はウイニングライブ――――そっとリモコンで飛ばして次の春の天皇賞に変えようとするのだが、ライスの小さな手に止められる。

 

 

 

 

「……ライス、お兄さまの応援がみたいの」

「若気の至りを!?」

 

 

 

「うん。だってすごくカッコ良かったから」

 

 

 

 

 

 そうだろうか?

 そうかなぁ……。そうこうしている内に映像は始まってしまい。赤一色の観客席に、一本だけ青いサイリウムが見える。そういえば最前列だったっけか。

 

 

 ひどく安堵したように、儚げに微笑むライスに胸が締め付けられる。

 

 

 

 

 

「……これを見た時、思ったの。ライスのなりたかった―――しあわせの青いバラみたいだって」

 

 

 

 

 

 

「ねえ、お兄さま。見て」

 

 

 

 

 

 一人では勇気が出せなくても。

 必死に輝いている青いバラに勇気をもらったかのように、ぽつりぽつりと青い光が増えていく。

 

 

 

 

「嬉しかった――――ほんとうに、うれしかったの」

 

 

 

 

 

 ライブが終わる時には、まばらではあったが確かに見える青い光。

 先頭で必死にライスを応援していたから、全然気づいていなかったけれど。

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、ライスに勇気をもらったんだ。怖くても、辛くても、頑張れる君に。周りと違っても、ステイヤーとして誰よりも輝いた君に。だから、俺にとってのしあわせの青いバラは、君だよ。ライスシャワー」

 

 

『――――歓喜と祝福の声になる日は必ず来ます。だって貴女は、ライスシャワーなんですから』

 

 

 

 

 

 

 

「ライス、なれたのかな。お兄さまの、しあわせの青いバラに」

 

 

 

 

 

 

 

 場面が切り替わる。

 マックイーンと応援を二分した(贔屓目)天皇賞春、マックイーンのファンの声も受け継ぎ、ビワハヤヒデと死闘を繰り広げた二度目の天皇賞春、最強のステイヤーとしての名声を不動のものとし、声援に後押しされて大記録を樹立した三度目の天皇賞春。

 

 歓喜と祝福の声に包まれた宝塚記念。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ。――――だって俺は今、ライスのお陰でしあわせだよ」

「――――うんっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そっと唇が触れ合い。

 祝福の声に包まれながら、ライスシャワーは微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 























あとがき








完結です。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

色々ありましたが、送る言葉はやはり一つでしょう。













うまぴょい♪ うまぴょい♪







嘘です



読者♡書いて♡








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掲示板回





完結と言いましたが、読者が書いてくれたので追加じゃあ!
とりあえず希望のあった掲示板




匿名でレビュー書けないので前書きにて失礼
今回書いた理由なので許して下さい多分お兄さまが何でもしますから


読者♡読んで♡


上毛三山様の
『道化を演じるサクラバクシンオーとホラ吹きトレーナー』

簡単に言うと賢さ補正高いサクラバクシンオーと、共犯者(になってしまった)トレーナーの話。
原作とアプリのストーリーを踏襲しつつ、綺麗に肉付けされてて正直好きです

文字数も多くないので読みやすいですが、それでいてしっかりとキャラが伝わってきますので今後の展開にも期待







【目指せ】サトノダイヤモンドを応援するスレ【ジンクス打破】

 

1:名無しのファン

このスレはサトノ家の至宝、サトノダイヤモンドを応援するスレです。

別の推しを応援したい方は別スレへ。

 

 

2:名無しのファン

建て乙

 

3:名無しのファン

ダイヤちゃん可愛い

 

え、中学生…?

 

 

4:名無しのファン

サトノ家の至宝(ほぼ公式)

 

 

5:名無しのファン

サトノ家ってメジロ家とかシンボリ家と比べて地味だけど、ダイヤちゃんはガチ

 

 

6:名無しのファン

いやサトノ家のレースへの貢献っぷり舐めちゃいかんぞ。

 

GⅠ勝てないけど

 

 

7:名無しのファン

重要な家なんだよ。GⅠは勝てないだけで。

 

 

8:名無しのファン

そのダイヤちゃんはやっぱりチームカペラかな

 

 

9:名無しのファン

いやソロだぞ。……なんで?

 

 

10:名無しのファン

カペラがあんまりGⅠだけ勝てないから見限られた?

 

 

11:名無しのファン

ダイヤちゃんがいないとか鰻のないひつまぶしみたいなもん

 

 

12:名無しのファン

ただの米じゃねーか

 

13:名無しのファン

実はサトノダイヤモンドのトレーナーは新人だが、元カペラのアシスタントトレーナーだ。

所属していたサトノ家ウマ娘からの評判もけっこう良かった。

 

 

14:名無しのファン

どうした急に

 

15:名無しのファン

そして独り立ちしたトレーナーは、サトノダイヤモンドのトレーナー逆スカウト試験を受けず、合格者が出なかったことで採用された。

つまりサトノダイヤモンドからの逆指名ということだ

 

 

16:名無しのファン

ほんとにどうした急に

 

 

17:名無しのファン

なんかどっかで聞いたような展開

 

 

18:名無しのファン

どっかって?

 

19:名無しのファン

あれ、トレーナーで取り合いになったけど断固拒否して、結局逆指名されたトレーナーをリギルが拾った話

 

 

20:名無しのファン

あー、あれね

 

21:名無しのファン

また第二のサイレンススズカか……

 

 

22:名無しのファン

正直ちょっとトレーナーとイチャついたから第二のサイレンススズカとか、そういうの求めてないんぜ

 

 

23:名無しのファン

似てるっていうけど、サイレンススズカのヤバさが際立つだけだからな……。

 

 

24:名無しのファン

しかしダイヤちゃんは割とガチかもよ?

共通点

・幼馴染

・才能にあふれている

・逆指名

・トレーナーがそれなりに有名チームと関わっている

 

 

25:名無しのファン

リギルはそれなりじゃないが

 

 

26:名無しのファン

日本覇王チーム リギル

日本総大将チーム スピカ

世界最強 サイレンススズカ

GⅠとりてー カペラ、カノープス

 

 

27:名無しのファン

おハナさんの眼力はガチ

お兄さん×サイレンススズカを見出した偉人

 

 

28:名無しのファン

おハナさんはアベレージが無敵すぎるんだよね

 

 

29:名無しのファン

スピカもよくぞまあ無名でこれほどの綺羅星を集めたなって

 

 

30:名無しのファン

カペラはほぼサトノ家のチームだからな。強いっちゃ強いけど超一流には劣る

 

 

31:名無しのファン

ところでダイヤちゃん可愛くない? カワイイよね

 

 

32:名無しのファン

カワイイダイヤちゃん!

 

33:名無しのファン

最近トレーナーを露骨に好きなウマ娘が多くて推せない

 

 

34:名無しのファン

お前もトレーナーにならないか?

 

 

35:名無しのファン

無理です

 

36:名無しのファン

中央トレーナーとか変態しかいない

 

 

37:名無しのファン

逃げるな卑怯者!

 

 

38:名無しのファン

逃げる(サイレンススズカ)

 

 

39:名無しのファン

変態じゃないから無理かなーって…。

 

 

40:名無しのファン

サイレンススズカの逃げは真っ向勝負だろ。

真っ向勝負しかさせてもらえないけど

 

 

41:名無しのファン

ダイヤちゃんとキタちゃんてえてえ

 

 

42:名無しのファン

あの二人か。仲いいよね。同室なんだっけ

 

 

43:名無しのファン

だいたい一緒に居るしな。親友のキタちゃんは菊花賞勝ったぞ

 

 

44:名無しのファン

ところでメイクデビューの勝ち方つよくない?

 

 

45:名無しのファン

3億ポイント対決か。圧勝だったな

 

 

46:名無しのファン

一人だけなんかクラシック級のウマ娘が混じってるみたいな落ち着き具合。エグいキレの末脚。完勝だった

 

 

47:名無しのファン

今年のクラシックレース(GⅠ以外)は貰ったな……

 

 

48:名無しのファン

でもメイクデビューの勝ち方からして皐月賞一番人気でもおかしくないな。

 

 

49:名無しのファン

まだメイクデビューだけだから……。

 

 

50:名無しのファン

次走どうすんだっけ?

 

 

51:名無しのファン

プレオープンから重賞、皐月賞って言ったか。間に合うか?

 

 

52:名無しのファン

弥生賞は間に合わんかもな

 

 

53:名無しのファン

うーん、優先出走権欲しいね

 

 

54:名無しのファン

弥生賞直行は?

 

 

55:名無しのファン

弥生直行はキツイ

 

 

56:名無しのファン

>>54あれはサイレンススズカに中山2000のコースを覚えさせるためだし……

 

 

57:名無しのファン

あのトレーナー大概肝の据わりがおかしいからな。

普通弥生賞直行しないし、大逃げしないし、クラシック三冠からJC有マなんてクソローテしないし、いきなりドバイ行って凱旋門行ってアメリカ行かない。

 

 

58:名無しのファン

「スズカならいけると思いました」いやまあ……今ならそう思うけどね?

 

 

59:名無しのファン

とりあえずダイヤちゃんは堅実にいくのな

 

 

60:名無しのファン

ところでダイヤちゃんのトレーナー、ライスのお兄さまじゃね?

 

 

61:名無しのファン

お姉さまじゃなく?

 

 

62:名無しのファン

お姉さまって何? ファンの通称?

 

 

63:名無しのファン

ライスシャワーのお姉さまは、トレーナーのこと。ライスちゃんがそう呼んでたから。

お兄さまは、ときどきポロっと口を滑らせるライスちゃんの兄?のこと。応援団長のことという説が有力

 

 

64:名無しのファン

へー。応援団長認知されてるのか、珍しい。

余程派手なのか、何かやらかした?

 

 

65:名無しのファン

ライスの件はね……今では反省してる

 

 

66:名無しのファン

正直すまんかった。無敗の三冠に脳を焼かれていた

 

 

67:名無しのファン

テイオーの無念のリタイアを見た後で冷静じゃなかったんだ……すまんかった

 

 

68:名無しのファン

というかメジロマックイーンとビワハヤヒデを蹴散らすライスシャワーに京都3000で勝てってのが無理な話

 

 

69:名無しのファン

寒門の出、スプリンター向きでクラシックは無理と言われたブルボンが坂路で鍛えて無敗三冠って夢に皆焼かれてた

 

70:名無しのファン

つまり?

 

71:名無しのファン

ライスシャワーが菊花賞で勝った時、歓声がないどころかウイニングライブで皆ブルボンカラーだった

 

 

72:名無しのファン

ええ………ええ?(ドン引き)

 

 

73:名無しのファン

そんなイジメされたら泣くぞ

 

 

74:名無しのファン

クソでは?

 

75:名無しのファン

で、一人だけ必死にライス応援してたのが団長。

青いサイリウムに勇気づけられて、ウイニングライブ終わる時にはまばらだけど青色が増えてた。ライスちゃんは泣いた。

 

 

76:名無しのファン

その時からときどき零すのが「お兄さま」なんだよな

 

 

77:名無しのファン

なんならブルボンも悲しそうだったというか、ちょいオコだったよな

 

 

78:名無しのファン

なんだイイヤツじゃんお兄さまって

 

 

79:名無しのファン

と思うじゃん? まだ終わらん

 

 

80:名無しのファン

何かやらかしたのか?

 

 

81:名無しのファン

いや、今度は春天でマックイーンの三連覇阻止が掛かってたんだよ

 

82:名無しのファン

あっ(察し)

 

83:名無しのファン

お前らまさか……

 

 

84:名無しのファン

いや今度は大丈夫だった。

団長が有志を募ってライスシャワー応援団を結成したから

 

 

85:名無しのファン

何やってんだよ団長!

 

 

86:名無しのファン

なんだよ……けっこう集まるじゃねぇか……(応援団)

 

 

87:名無しのファン

何やってんだよ団長!

 

 

88:名無しのファン

ライス(の笑顔)を守んのは、俺の仕事だ…!

 

 

89:名無しのファン

それはそう

 

90:名無しのファン

死んだら何も守れない!

 

 

91:名無しのファン

想いだけで、何が守れるって言うんだ!

行動が伴い天下無双

 

 

92:名無しのファン

というわけで、春天で撮影された応援団の写真(ライスのトレーナーのブログ掲載)と、ダイヤちゃんのメイクデビュー勝利の記念撮影の比較

【画像】

 

 

 

93:名無しのファン

団長!?

 

94:名無しのファン

やっぱ団長じゃねーか!

 

 

95:名無しのファン

さすが中央トレーナーは就職前からやることが違うな……。

 

 

96:名無しのファン

なるほどね。これダイヤちゃんじゃなくてライスのガチ勢では?

 

 

97:名無しのファン

サトノ家のGⅠ勝てないっぷりからすると、この頭ヤベー団長の有能さで選んだ可能性の方が高いのでは?

 

 

98:名無しのファン

まあトレーナーってヤバい奴ほど有能な傾向あるよね。

 

タキオントレとか、サイレンススズカトレとか、スピカトレとか。

 

 

99:名無しのファン

カノープスのトレーナーヤバいヤツ説もあったな

 

 

100:名無しのファン

なんでやスズカさんのトレーナー関係ないやろ!

 

 

101:名無しのファン

>>100

・例の逃げ差しの考案者(本人はウマ娘おじさんのアイデアと主張)

・婚前旅行でドバイ、フランス、アメリカを蹂躙。

・叫ぶと教え子が加速するスキル持ち

・なお当時新人トレーナーであり、最初の担当がサイレンススズカ

 

 

102:名無しのファン

ヤベー奴だな

 

103:名無しのファン

光るモルモット君の方がヤバくね?

 

 

104:名無しのファン

モルモット君はタキオンの脚さえ頑丈なら年度代表ウマ娘獲ってた定期

 

 

105:名無しのファン

あと著名なトレーナーっていうと……

 

 

106:名無しのファン

とりあえずダイヤちゃんはフリーってことでOK?

 

 

107:名無しのファン

ウマ娘はアイドルじゃない定期

 

 

108:名無しのファン

やだいやだい! 例えトレーナーとくっつく可能性が高くても夢みたいんだい!

 

 

109:名無しのファン

GⅠウマ娘のトレーナー結婚率はめちゃ高いらしいがな

 

 

110:名無しのファン

つまりサトノ家のジンクス的にチャンスあり?

 

 

111:名無しのファン

さすがに引く

 

112:名無しのファン

ウマ娘ちゃんの笑顔の敵は成敗されるぞ

 

 

113:名無しのファン

まあくっそ可愛いウマ娘と結婚したってニュース見ると羨ましいよね。

 

トレーナー以外の芸能人とかと結婚すると「なんで?」ってなるけど

 

 

114:名無しのファン

ライスのファンとしては団長となら認めざるを得ない

 

 

115:名無しのファン

陸軍としては反対である!

 

 

116:名無しのファン

無敗の三冠取ったら結婚してもいいって、ばっちゃが言ってた

 

 

117:名無しのファン

まあ団長ならね

 

 

118:名無しのファン

>>116知らんのか、最近は凱旋門賞も加わったぞ

 

 

119:名無しのファン

もうジンクス破られたでしょ

 

 

120:名無しのファン

ダイヤちゃんまだ中学生だぞ……

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

400:名無しのファン

ついに皐月賞かー

 

 

401:名無しのファン

GⅠ勝てないジンクスを覆せるのか、サトノダイヤモンド一番人気

 

 

402:名無しのファン

一人だけやっぱオーラが違うんよね

 

 

403:名無しのファン

団長がライスシャワーとか呼んで合同練習してるらしいね

 

 

404:名無しのファン

GⅠウマ娘と併走!?

 

 

405:名無しのファン

まってそれは強い

 

 

406:名無しのファン

つまりリギルがやってるようなことか

 

 

407:名無しのファン

まあそれはそう

 

408:名無しのファン

リギルやべーな!

 

 

409:名無しのファン

誰が来てんの?

 

 

410:名無しのファン

強い部に強いヤツが集まる、それがリギル

 

 

411:名無しのファン

リギルさん独占禁止法引っかからないの…?

 

 

412:名無しのファン

噂だが

・ライスシャワー

・マルゼンスキー

・キングヘイロー

・ハルウララ

・ミホノブルボン

・キタサンブラック

・サトノクラウンほかサトノ家御一行様

 

 

413:名無しのファン

面子がGⅠレースより豪華では…?

 

 

414:名無しのファン

待ってくれ見たいぞその併走

 

 

415:名無しのファン

仁義なき乙女の戦いが始まりそうな予感

 

 

416:名無しのファン

でもリギルの方が……

 

 

417:名無しのファン

まあリギルと比べちゃいけない

 

 

418:名無しのファン

ライスシャワーとか明らかに団長への感謝の気持ちよな?

ブルボンはライバルのために一肌脱いで、マルゼンはなんかライスシャワーの姉貴分って聞いたことあるような

 

 

419:名無しのファン

キタサンブラックは親友、サトノ家御一行は親戚。ハルウララはライスシャワーの友人?で、その保護者がキング

 

 

420:名無しのファン

保護者ww

 

421:名無しのファン

保護者は芝

 

422:名無しのファン

面倒見いいからな、キング

 

 

423:名無しのファン

普通、自分と実力近い相手に手の内見せないよう併走しないじゃん?

離れてたら特に得もないし併走しないじゃん?

 

同じチームでもないとやらないよね

 

 

424:名無しのファン

頼まれたらなんでもしちゃいそうなライス……。

 

 

425:名無しのファン

押しに弱そうだからな

 

 

426:名無しのファン

団長なら大丈夫だろうけど

 

 

427:名無しのファン

ライスファンの団長への厚い信頼……

 

 

428:名無しのファン

団長がダイヤちゃんとくっつけば、って想いとライスちゃん見捨てるとか許せんという想いがある

 

心が二つある

 

 

429:名無しのファン

そろそろ出走だぞ

 

 

430:名無しのファン

親のファンファーレより聞いたファンファーレ

 

 

431:名無しのファン

もっと親のファンファーレ聞け

 

 

432:名無しのファン

頑張れダイヤちゃん

 

 

433:名無しのファン

一番人気 サトノダイヤモンド

二番人気 リオンディーズ

三番人気 ツウカア

 

 

434:名無しのファン

天候心配だったけどすっかり晴れたもんな

 

 

435:名無しのファン

現地風強い

 

436:名無しのファン

中山 芝右2000m 天候:晴 バ場:良

第76回 GⅠ 皐月賞

 

437:名無しのファン

強風と緊張でかなり興奮してるウマ娘もいるな

 

 

438:名無しのファン

スッとゲートインするダイヤちゃん流石の貫禄

 

 

439:名無しのファン

位置取りかー。やっぱりダイヤちゃん後方かな?

 

 

440:名無しのファン

これまでなら差しのはず

 

 

441:名無しのファン

いきなり逃げたりはしないと思うが

 

 

442:名無しのファン

さあスタート!

 

 

443:名無しのファン

よし、いいスタート!

 

 

444:名無しのファン

スタート良い

 

445:名無しのファン

まず第一関門突破

 

 

446:名無しのファン

妙なジンクスに負けないでほしい

 

 

447:名無しのファン

ゆるりと後方に下げるか

 

 

448:名無しのファン

リオンディーズ逃げるのか

 

 

449:名無しのファン

うーん、有力ウマ娘が逃げてちょっとペース早い?

 

 

450:名無しのファン

1000m 58秒台だから早い

 

 

451:名無しのファン

どっかのサイレンススズカのせいで感覚狂う

 

 

452:名無しのファン

うーん、このペースだと後方有利か

 

 

453:名無しのファン

中団のダイヤちゃんはまずまず?

 

 

454:名無しのファン

かなりペース早いからな。ツウカア有利か

 

 

455:名無しのファン

さあ最終コーナー近づく

 

 

456:名無しのファン

ここから

 

457:名無しのファン

中山の直線は短いぞ!

 

 

458:名無しのファン

リオンディーズ抜け出した!

 

 

459:名無しのファン

ダイヤちゃんちゃんいっけー!

 

 

460:名無しのファン

エアスピネルも粘る

 

 

461:名無しのファン

ハイペースだし前は持たないはず

 

 

462:名無しのファン

!?

 

 

463:名無しのファン

は!?

 

 

464:名無しのファン

接触!

 

 

465:名無しのファン

審議! 審議!

 

 

466:名無しのファン

やばい当たり方した

 

 

467:名無しのファン

後方からディヴィニティー!

 

 

468:名無しのファン

まず

 

 

469:名無しのファン

おわた

 

 

470:名無しのファン

くっそ

 

 

471:名無しのファン

ジンクスか

 

472:名無しのファン

ん!?

 

 

473:名無しのファン

ちょっ

 

 

474:名無しのファン

加速したああ!?

 

 

475:名無しのファン

今なんか叫んだよね現地

 

 

476:名無しのファン

ここから!?

 

477:名無しのファン

やれるのかダイヤちゃん

 

 

478:名無しのファン

先頭ディヴィニティー! 内からサトノダイヤモンド!

 

 

479:名無しのファン

いけ! まだいける!

 

 

480:名無しのファン

差せ! 差せえ!

 

 

481:名無しのファン

なんかキタサンとかライスとかブルボンの声聞こえたんだが現地

 

 

482:名無しのファン

叫べ!

 

483:名無しのファン

うおおおおおいける!

 

 

484:名無しのファン

どっちだ!?

 

485:名無しのファン

差した!?

 

486:名無しのファン

うおおおおやったか!?

 

 

487:名無しのファン

やったか!?

 

488:名無しのファン

え、これどっち?

 

 

489:名無しのファン

わからん……このリハクの(ry

 

 

490:名無しのファン

レコードじゃん!?

 

 

491:名無しのファン

そして写真判定

 

 

492:名無しのファン

ヨレたリオンディーズ、避けて接触したエアスピネルがダイヤちゃんに謝って「気にしなくていいよ」みたいな感じになってる

 

 

493:名無しのファン

いや大分がっつり当たった気がしたが

 

 

494:名無しのファン

よくあそこから追いついたよね

 

 

495:名無しのファン

現地、なんかトレーナーが叫んでたって話題だぞ

 

 

496:名無しのファン

あー、あの加速の時?

 

 

497:名無しのファン

何やってんだよ団長!

 

 

498:名無しのファン

きたあああああ!

 

 

499:名無しのファン

一着はサトノダイヤモンド!

 

 

500:名無しのファン

やった!? やりやがった!

 

 

501:名無しのファン

うおおおおお!

 

 

502:名無しのファン

勝った! ジンクス完!

 

 

503:名無しのファン

やりやがった!

 

 

504:名無しのファン

サトノ家GⅠ初勝利!

 

 

505:名無しのファン

あれで差し切ったの!?

 

 

506:名無しのファン

正直接触で負けたと思った

 

 

507:名無しのファン

めっちゃ嬉しそうなダイヤちゃん可愛い

 

 

508:名無しのファン

ん?

 

 

509:名無しのファン

おや

 

 

510:名無しのファン

ダイヤちゃんのようすが

 

 

511:名無しのファン

おめでとうううう!

 

 

512:名無しのファン

!?

 

 

513:名無しのファン

おうふ

 

 

514:名無しのファン

抱き着きましたねぇ!?

 

 

515:名無しのファン

まあGⅠ勝利なら抱き着くくらい普通だし(震え声)

 

 

516:名無しのファン

だがその胸部は豊満であった

 

 

517:名無しのファン

胸あたってる!

 

 

518:名無しのファン

あててんのよ

 

519:名無しのファン

チューしたぞ

 

520:名無しのファン

ほっぺ に チュー!

 

 

521:名無しのファン

これが勝利の女神ですか……

 

 

522:名無しのファン

うーん、今年の皐月賞ウマ娘は熱烈だな!

 

 

523:名無しのファン

観客席のライスちゃんがレースの時の気迫纏ってるんだけど……

 

 

524:名無しのファン

詳しく

 

525:名無しのファン

これはサイレンススズカの再来来るか…?(恋愛的な意味で)

 

 

526:名無しのファン

中学生で3年でくっついたらアウトなんだが?

 

 

527:名無しのファン

そりゃ団長にキスしたら温厚なライスちゃんだって怒るぞ

 

 

528:名無しのファン

恋のダービー始まったか

 

 

529:名無しのファン

あれなんでテイオーが歌ってるの?

 

 

530:名無しのファン

ああ!

 

531:名無しのファン

伝説って?

 

532:名無しのファン

16歳になったら結婚してくれるって言ったよね?

 

 

533:名無しのファン

うおおおおめでとう!

 

 

534:名無しのファン

サトノ家のお父さまも喜んでそう

 

そしてひっくり返ってそう

 

 

535:名無しのファン

ああ……

 

536:名無しのファン

娘が悲願を果たした!

 

娘が良く知らん男にチューした!

 

 

537:名無しのファン

そう書かれると酷いな

 

 

538:名無しのファン

悲喜こもごも

 

539:名無しのファン

良く知らん男ではないやろ

 

 

540:名無しのファン

何はともあれおめでとう!

 

 

541:名無しのファン

いやー、アクシデントにも負けない素晴らしい差し切り勝ちだったな(現実逃避)

 

542:名無しのファン

慌てるトレーナーの腕を抱きしめてご満悦なダイヤちゃん。これはガチ勢の仲間入りですわ

 

 

543:名無しのファン

インタビュー大丈夫かこれ?

 

 

544:名無しのファン

ダメみたいですね

 

 

545:名無しのファン

どどどどどーすんの?

 

 

546:名無しのファン

嫌じゃ! 無敗三冠取らないと結婚なんて嫌じゃ!

 

 

547:名無しのファン

無敗三冠取ったら結婚を認めよう

 

 

548:名無しのファン

いや団長はライスが嫁だが?

 

 

549:名無しのファン

次はダービーだな!

 

 

 

 

 

 



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