ザビ家の次男 (ヴィヴィオ)
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ロリコンになりました。

 今日も楽しくゲーム三昧! と思って目覚めたら……憑依転生していた事実を知り、はや数年。俺はサスロ・ザビとなっていた。ロボット兵器バンザーイといいたいが、死亡フラグ満載だし、生き残る為に手段を選べない。という訳で、死なない為に赤ん坊の頃からマルチタスクを練習し、4歳までに文字を覚えて技術書を読みあさり、身体を鍛えた。ザビ家の権力を利用しての恵まれた環境での英才教育を受けたのだ。

 現在はサイド3にはおらず、木星で開発と発展を行っている。情報機関? 知った事か。生き残るために幼少の頃から木星に行ってニュータイプと化したのさ。ついでにアクシズを改造してモビルアーマーの開発とクローン技術、ニュータイプ技術、エネルギー関連をメインに数十年間研究している。目指す場所が分かっており、未来の知識を持った俺とMIP社を含む研究者達をアクシズという檻に閉じ込めてガラパゴス化を巻き起こしてやった。これによって、モビルスーツは知らないが、モビルアーマーに関してはかなりの技術革新が起こっている。それに近場にヘリウム、セシウム等もいっぱいあるからミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉を作りたい放題。これを利用して必死に研究した。もちろん、本国では一般に殆ど技術を流さず極秘に研究している。こちらで報告した技術を問題無いと判断された物だけ劣化させて流用されている。本来なら監査など派遣されるが、そこはザビ家の次男である俺がトップなので問題ないし、ギレンの兄貴などには兵器データを公開したりしている。蜂起を79年に定め、皆で必死に準備をしている段階なのだ。

 そして、現在73年。26歳を過ぎて未だ独身なのだが……本国に戻って来たらいい加減嫁を取れと言われた訳だ。

 

「お前もいい年だ。嫁を取れ」

「そうですわ、お兄様」

「どうしてもか?」

「ああ。サスロ、お前は木星に入り浸っているが、いい加減にこちらを手伝ってくれ」

「だが断る! 兄貴の邪魔はしていないだろう」

「それはそうだがな」

「いいから、嫁を取れ。このさい貴族ならば誰でも構わん」

「誰でもいいんだな?」

「うむ」

 

 親父であるデギンと兄であるギレンに妹であるキシリアにテコ入れされたので考えてみる。嫁ですか、嫁ですよね。可愛い子がいいが、年齢的にまずい……いや、待て。ロリもいいじゃないか。この年代だとペドだけどな。

 

「では――」

 

 俺が言った事にもう反発されたが拒否し、こちらで開発したモビルスーツのジェネレーターの製造データを渡して納得させた。元々渡すつもりで帰って来たので、ちょうどいい。これで稼働時間が増えてだいぶ楽になるはずだ。

 

「ああ、まさかお兄様がロリコンだったなんて……」

「引くぞ……」

「はいはい」

 

 適当に流して頼んでおいた。その間に俺は没落したサハリン家へとやって来た。目的は決まっている。

 

「お待たせして申し訳ございません」

「構わん。こちらがアポも無しに来たのだからな」

「はっ」

「さて、サハリン家の現状は知っている。そこで私に協力してくれればザビ家の方で援助しよう?」

「本当ですか?」

「ああ。といっても、最初は俺個人での援助となる。俺と木星でモビルアーマーの開発をしてもらいたい」

「モビルアーマー……それに木星ですか」

「ああ、そうだ」

 

 急激に没落したサハリン家の当主となったギニアス・サハリン。

 

「それと協力してくれれば君の病を治せる可能性もある」

「っ」

「俺は木星でクローン技術の開発に勤しんでいてな。それを使えば悪い所を培養して入れ替える事もできる。妹や技術者を始めとした者達も全員連れてこればいい。向こうでの生活も保証する。悪い話ではないだろう?」

「それはそうですが……」

「俺はお前達の技術力を買っている。俺と契約して共に生き残ろうではないか」

「……開発して欲しい物のデータは?」

「これだ」

 

 アプサラスⅠからⅢの思い出せるだけのデータや仕様と実際にこっちで仮組みしたデータを書いた紙を渡す。

 

「これは……素晴らしい! 私が考えていたものと同じではないか! 問題点の解決も……」

「どうだろうか?」

「よろしくお願いする!」

「同志よ、よろしく頼む」

「こちらこそ!」

 

 ガシッと握手して俺とギニアスはアプサラスに付いて話しまくった。

 今日はサハリン家に泊まり、ノリス・パッカードや妹のアイナ・サハリンとも知り合った。直ぐに彼らには木星へと向かう準備をして貰う。

 

 

 ザビ家に戻り、情報機関を利用して1人の少女を探させる。探すのはマリオン・ウェルチ。彼女をさっさと確保しておきたい。まあ、ザビ家の権限を使えば直ぐに見つけられるだろう。

 自室で兄貴から回された仕事を片手間で行って設計図を書いているとドアがノックされた。

 

「入れ」

「失礼たします」

 

 リアルメイドが入ってくると、その後ろにピンク色の髪の毛をツインテールにした可愛らしい小さな女の子が入ってきた。

 

「は、初めまして……ハマーン・カーンです」

「よく来た。内容は理解しているな」

「は、はい……サスロ様の奥方になると……」

「そうだ。実際の式は数年後だがな。それと木星にも一緒に来てもらう」

「も、木星ですか……」

「ああ、そうだ」

 

 ロリハマーンこと、はにゃーんに近づいて抱き上げてソファーに座らせる。接触による感じから覚醒こそまだだが、ニュータイプである事は間違いない。どうせシャアが要らないというなら俺が貰ってしまえと思ったのだ。ハマーンは実際問題、強キャラだしな。おかっぱはあんまり好きになれないが、ツインテールの状態でこれから好みに教育すればいい。まだ6歳なのだし、木星で育てれば更に能力も上がるだろう。

 

「そ、その……よろしくお願いします」

「こちらこそよろしく頼む」

 

 それからハマーンの相手をしながらアクシズに関する仕事を行っていく。アクシズはマハラジャ・カーンではなく、俺が自分で作っているからだ。ザビ家としてもそっちの方がいいしな。

 

 

 2ヶ月後、俺達は数隻のグワジンに乗って火星と木星の間にあるアクシズへと向かった。マリオン・ウェルチも浮浪児になっていた所を拉致って来られたので問題はない。

 

「マリオン、遊ぼ」

「うん」

「気を付けろよ」

「は~い」

「はい」

 

 ハマーンの遊び相手としてもマリオンは連れてきて良かった。まあ、遊びといってもモビルスーツのシミュレーターをやって貰っているんだけどな。もちろん、アイナも一緒になって遊んでいるし、英才教育を施している。

 

「さて、子供達が行った所で私達は……」

「ああ、アプサラスの設計を行おう。まずこちらの技術だが……」

 

 ガンダリウムαとIフィールドジェネレーターなどの技術を伝えて行く。現在、俺はゼロ・ジ・アールの開発とクローン技術、ニュータイプ研究をメインに行っている。アステロイドベルトは資源が豊富だし、技術者も多数募集している。ガンダリウムに関しては特殊な重力下で従来のチタン系合金を精製する事で、様々な特性を有する事がわかっていたので時間をかけるだけで簡単に精製できた。β以降は現在研究中だ。

 

「ふむ。Iフィールドジェネレーターは必須だな」

「消費電力が大き過ぎるな。装甲はガンダリウムαでいいとして、対ビーム用にIフィールドも欲しい。ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉も追加するか」

「そうだな。しかし、これだと遅くなる。スラスターをもっと取り付けねば」

「では、ゼロ・ジ・アール用に開発中の大型スラスターを配備しよう」

「しかし、せっかの大型なのだからもっと火力を増やしたいな」

「これ以上の火力を持たせるのか?」

「やるなら徹底的にだ」

 

ギニアスの言葉ももっともだ。

 

「ふむ。ではエネルギーの関係からして太陽光でも……ソーラ・レイを作ってみるか?」

「なんだそれは?」

「シリンダー内に二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等を充填した炭酸ガスレーザーだ」

「面白そうだな」

「連邦は全自動で行うCAD=CAMシステムを使ってくるから、こっちも対抗できる物を作らねばならないと思っていた。ちょうどいいし研究してみるか?」

「アプサラスに搭載するかは置いておいて確かに作っておいたほうがいいな……」

 

 どう考えても物量を誇る地球連邦が勝つはずだ。始めからアクシズも参戦していればどうにかできるだろう。こちらは残り6年で準備を整える。

 

「ギニアス、ジオンはこのまま行けば確実に負ける。そうならない為にも我々は急がねばならない」

「そうだな。勝つ為に手段は選んでいられない。ノリス」

「ここに」

「アイナに戦闘技術をしっかりと叩き込んでくれ」

「よろしいのですか?」

「構わん」

「こちらもハマーン達を頼む。俺も教えるが、手が空くのは少ない」

「了解しました」

 

 ノリスに鍛えて貰えれば戦闘技術の習得は早いだろう。それに他にも手を打つべきだな。アムロ・レイやその家族、カミーユ・ビタンの暗殺とかな。覚醒する前ならば殺すのは容易いだろう。ガンダムに関しては奪取を狙ってみるのもいいかも知れない。

 

「どうした?」

「嫌、なんでもない。アプサラスはこれでいいだろう。こちらはゼロ・ジ・アールを完成させたい」

「宇宙専用の大型モビルアーマー……それもニュータイプ専用機か」

「といってもゼロ・ジ・アールに関してはほぼ完成しているから発展型となるノイエ・ジールというのを開発したい。ゼロ・ジ・アールはニュータイプに関する研究だけだし、意見を聞きたいくらいか」

「ニュータイプか。眉唾物ではないのか?」

「俺がそうだから実在する。自身を実験体にしてある程度は出来たが、やはりデータが足りん。だからこそ、ハマーンとマリオンを連れて来たのだが」

「あの2人もニュータイプだと?」

「そうだ。このシミュレーターの成績を見てみろ。初心者がこれだ」

「確かに凄いな……」

 

 シミュレーターとはいえ、初めての戦いで兵士を1対多数で撃破している。

 

「この設計図に書いてあるのがニュータイプ専用機ゼロ・ジ・アールか。アプサラスはニュータイプでなくても扱えるようにしておいた方が良さそうだ」

「そうだな。それとノイエ・ジールは一般人でも一応は使える」

「ふむ。どちらにしろ完成を急いだ方がいいだろう」

「そうだな。79年にはノイエ・ジールは完成させているのが望ましい」

「よし、未来の為に頑張ろうではないか」

「もちろんだ」

 

 木星に着くまでの間も木星から連れて来た技術者とギニアスが連れてきた技術者達と一緒に設計を行っていく。

 そういえば、ノイエ・ジールのパイロットを考えて居なかったな。アナベル・ガトーをこちらに引き込みたいものだ。今のうちに頼んでおくか。そうするとドズルに代わりをやらないとな。ビグザムもさっさと作るか。

 

 

 

 

 

 



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アクシズ

 

 サイド3を出発して木星へと向かうグワジンの中、ギニアス達との話し合いが終わった俺はハマーン達の様子を見に行く。ハマーン達はシミュレーターでノリスや兵士達と一緒にモビルスーツの練習を行っていた。この時代、まだジオンではモビルスーツは完成していないが、基礎構造などはできているし、そのデータを元にして訓練が行える。それにこのシミュレーターにはゼロ・ジ・アールのデータも入れてあるし、アプサラスのデータも追加した。

 

「どうだ?」

「難しいですな。ザクなどは比較的簡単に扱えるのですが、ゼロ・ジ・アールやアプサラスとなると……」

「パッカード大佐、君にはアイナが搭乗するアプサラスの護衛を頼みたい。ニュータイプでないとその性能を十全に発揮でないゼロ・ジ・アールは無理だが、その発展型のノイエ・ジールなら宇宙でも充分に使える。ゼロ・ジ・アールはその練習と思ってくれ」

「わかっています。モノにしてみせます」

「頼む」

「はっ」

 

 画面ではハマーンが乗るゼロ・ジ・アール対アイナが乗るアプサラスとマリオンが乗るゼロ・ジ・アールが戦闘を行っている。ハマーンは2対1だというのに2人相手に引けを取っていない。シャアのように完全に避けるのではなく、ダメージを負わない攻撃を感覚で見極めてIフィールドで防ぎ、攻撃を最小限の動きで避けて反撃のメガ粒子砲をお見舞いしている。

 

「アイナ様達は機体を使いきれておりませんな」

「まあ、無理もない。3人の戦いが終わったらしっかりと教えるか」

「是非にお願いしたい」

「任せてくれ」

 

 ハマーン達が終わり、出てくるのを待つ。

 

「サスロ様、どうでしたか!」

「ああ、良かったよ」

 

 近付いて来たハマーンの頭を撫でてやる。この頃のハマーンは本当に素直で可愛らしい。

 

「ただ、甘い点もある。だが、訓練時間から考えても充分な値だ」

「はい! もっと頑張りますから教えてくださいね」

「ああ。マリオンもアイナも良かったぞ。これから休憩して反省会をしよう」

「「「はい」」」

 

 それから仕様書には書いてない方法や技術の習得方法などを教えていく。特に作業をしながら別の事をして脳に負荷をかけマルチタスクを練習させる。それをグワジンの停止中にノーマルスーツを着せて宇宙空間で命綱一本で帰還するという訓練を行う。もちろん、発信機を取り付けて直ぐに救助できるようにしてある状態でだ。船の灯が漏れないように暗くした状態で宇宙を感じる能力を強化するこの訓練は確実に彼女達を成長させる。その訓練が終わった後、3人は誰かに引っ付いてくるのだが、これは仕方ないだろう。他の兵士達にもやらせたが、ノリス以外はかなり辛そうだった。だが、命の危険と精神的圧迫こそニュータイプの覚醒を促せる。ハマーンも戦場に出てより強く覚醒したのだから。

 

「マグネットコーティングやサイコフレームの用意もしないといけないな」

 

 訓練が終わり、夜になった。自室でこれからの事を考えているとノックされた。

 

「どうぞ」

「お邪魔します」

「ハマーンか、どうした?」

 

 やってきたのハマーンで、その姿はネグリジェだった。

 

「そ、その……妻になるから、一緒のベットで寝ないといけないって」

「それは……」

「それに怖くて……」

「そうか。じゃあ、寝るか」

「いいの? 仕事は……」

「構わんさ。おいで」

 

 ハマーンをベットに連れて行く。

 

「マリオンはどうした?」

「マリオンはアイナと一緒」

「そうか。そっちでも良かったのだが……」

「ここでいいよ」

「わかった」

 

 ハマーンに腕枕をしてやりながら一緒に眠る。流石に6歳のハマーンに手を出さないのでそのまま眠った。

 朝起きたら、ハマーンが起きるまで待って一緒に朝練をやって食事を取る。ハマーンは必死に俺と同じような訓練をしてくるので止めて特別メニューを与えた。彼女に触発されたのか、マリオンもアイナも必死に頑張ってくれる。そして、これは兵士達にも言える。子供が頑張って居るのに大人が頑張らないのはおかしいという事だ。原作みたいにアクシズを軟弱な兵士だけにするつもりは無いので徹底的に兵士達は鍛えさせて貰う。ブートキャンプだ。木星までは1年もかかるのだから。その間も考えてシミュレーター上ではるが、アプサラスとゼロ・ジ・アールの完成度を上げていく。それらをアクシズに送って作成と改良を行わせる。そして出てきた問題点を送って貰って更に改造を繰り返す。データ自体は秘匿回線であるし、暗号化も行ってある。所定の場所で解除しないとウイルスを送りつける方法でだ。ちなみに順番としてアプサラス、ゼロ・ジ・アールの順で行っている。

 間を見てハマーン達とも遊んであげて仲良くなり、世話をしていく。ギニアスもアイナとの仲を戻して時々一緒に居る。こんな感じで1年が過ぎてアクシズへと到着した。

 

 

 

 

 アクシズに到着し、ハマーン達に部屋を用意した後、パーティーを開いて皆に改めて紹介したらやはりというか、なんというか、ロリコンと言われた。まあ、顔に似合わずそれぞれ話し合って仲良くはしているからだが。まあ、それらが終わって早速、格納庫にやって来た。

 

「サスロ様、ゼロ・ジ・アールとアプサラス共に建造を完了しております」

「ハインツ、ご苦労」

「はっ」

 

 巨大な2つのモビルアーマー。小惑星1つを丸々専用ドックにした甲斐がある。

 

「テストは明日行うが、それ以外はどうだ?」

「現在、アクシズとモウサ、その他の小惑星の改良を完了。追加の小惑星の開発に移行しております」

「モビルスーツの生産ラインは?」

「こちらも作成を完了し、既にザクⅡの量産を開始しております」

「武装と材質は」

「武装はザクバズーカとヒートホーク、スタングレネードで、装甲の材質はガンダリウムαです。鹵獲防止用に自爆装置も用意してあります」

「パーフェクトだ、ハインツ」

「はっ」

 

 ザクはザクでも数段性能が強化されている。ジオンの優位は確実だろう。そういえば、脱出用にコアファイターみたいなのは取り付けた方がいいか。

 

「出来たモビルスーツの一部はこちらで訓練とし小惑星の開発に従事させろ」

「よろしいので?」

「構わんさ。どんどん改造してアクシズに連結させる。生産能力で我々は地球連邦に負けているからな」

「了解しました。しかし、木星に来た数十年前とは全然違いますね」

「当然だ。何の為に前倒しさせて戦艦などを送り込んだと思う」

「それもそうですね」

 

 木星調査団という名目の元、戦艦数隻を作成して開発用のアームと探査機などを積み込んで両親を説得してこちらにやって来た。それから数十年をかけて木星とアクシズの開発を行なったのだ。必要な資源はその辺にゴロゴロしているし、補給さえしっかりとしていればどうとでもなる。問題は人間の精神だ。何人も死んだが、皆ジオンの為に頑張ってくれた。

 

「ドロスとサダラーンは?」

「どちらも完成しています」

「では当初計画通りに両方を量産しろ」

「はっ」

 

 ドロスで宇宙空間における大量輸送を行い、サダラーンで地球圏内を移動してもらう。モビルスーツは76年には本国に送らねばならないが、ドロスに積めるだけ積めばいいだろう。それまではこちらで使用して開発に従事させる。小型のパワードスーツはあるが、やはり重機の代わりに使えるのが大きい。

 

「それと無人偵察機を木星の周りに飛ばしているな?」

「もちろんです。地球連邦の船は見つけ次第お知らせいたします」

「頼む」

 

 これで問題は残り少ないだろう。パイロットの育成問題もあるが、そちらも問題は無い。

 アクシズの最深部にある極秘研究所では現在、クローン技術を使っている。

 

「さてと、調子はどうかな……」

 

 無数に並ぶ培養槽の中では金色の髪の毛を持つ少女が漂っている。俺のデータだけで作成して居るので今から、ハマーンやマリオンのデータを入力する。遺伝子に関しては俺のを使用せずに友人の遺伝子を利用させて貰った。

 

「ふむ。やはり、ニュータイプ能力の劣化は防げないか。なら、別のアプローチを行おう」

 

 量子コンピュータと接続し、膨大な演算処理を行えるようにニューロチップを脳内に設置する。ニューロチップは脳神経 (ニューロン) の回路網 (ニューラルネットワーク) における信号伝達や情報処理の仕組みをまねてモデル化した素子で量子コンピューターと接続できれば人間の限界を超えた計算が容易くできる。例えば瞬時に攻撃の軌道を予測したりする事だ。高度になればゼロシステムのような未来予測すら可能だろう。

 長く戦えるように身体も頑丈にし、肉体の劣化も徹底的に押さえる。寿命を長くするように調整する。

 

「拒絶反応もあるだろうが、トライアンドエラーだ」

 

 実際、情報を入力した何体かは死亡したり廃人と化した。その子達を実験体にしてより精度の高い物を作成する。クローン体による人体実験を行なって経験値を蓄積してより良い完成度を目指す。シスターズとかも色々な技術を利用する。使い終わった実験体は分解して再度利用する。ちなみに少女にしている理由などは非常に簡単だ。男の身体など弄りまわしたくない。

 

「まあ、精神が生まれていたらできないな」

 

 意識を持つ前に急激に成長させて実験を行っている。それでも意識を持ってしまった子は丁重に管理して電脳空間で育成している。もちろん、軍事技術も教え込んでマスターである俺に逆らえないようにしてある。

 彼女達は肉体の技術が完成するまではこのままだ。完成すれば施した後、目覚めて貰う。

 

「まもなくこちらも完成するな。やはりニュータイプの数が増えたのはありがたい」

 

 こちらが完成すれば兵力の問題もある程度目処は立つ。運用機体も作成せねばならないが。

 

 

 

 次の日、パイロットスーツを作成する為に子供達はナタリー中尉に預け、俺はギニアス達技術班達と実験だ。

 

『準備完了しました。発進どうぞ』

「ゼロ・ジ・アール、サスロ・ザビ出る!」

 

 巨体が専用ドックから発進して宇宙を自由に飛びまわる。直ぐにもう一機出てくる。

 

『ノリス・パッカード、アプサラス出るぞ』

 

 高速で飛んでくるアプサラス。操縦者はノリス・パッカード大佐だ。アプサラスは元から宇宙空間でも使用できるように改造してあるので問題はない。

 

『二人共、問題なければそれぞれ試験を開始してくれ』

「『了解した』」

 

 俺達は耐久力や機動性のテスト、メガ粒子砲の威力などを確認していく。デブリの回避技術などを確かめつつ、数時間の実験を行う。実際に作って動かさないと問題が分からないからだ。それにお互いの機体にメガ粒子砲を撃ってIフィールドの効果を確認してみる。

 

『ジェネレーターの出力力は予想以上に消費しているな』

「ジェネレーター出力は元々大幅に大きく取ってあるから問題無い範囲だ」

『ですな。しかし、移動しながら射撃は辛いですな。なかなか命中しません』

『どちらかを自動制御にするという手段もあるが……』

「火器管制のシステムならこちらで俺の動きを元に作成しよう」

『軌道制御も自動だけでは危険ではありますから、どちらも用意して切り替え可能にすべきでしょうな。人が乗る必要はないかと思われるかもしれませんが、細かな場所はどうしても人が要りますので』

「そうだな。両方を用意しよう。パターン化された攻撃など回避は容易いからな。では、火器管制から行おう。的を出してくれ」

『わかった』

 

 両方の自動制御プログラムを作成して何度か試し、ノリス大佐のアプサラスとドックファイトを行う。こちらの攻撃を大量のスラスターで避けるし、瞬時にメガ粒子砲を撃ってくる。まあ、お互いにやってるのだが。それらが終わればシステムチャックとオーバーホールを行なって機体の損耗率を調べる。チェックが全て終われば稼働時間を調べる為にも小惑星の開発を手伝う。こちらに持って来る為にアプサラスとゼロ・ジ・アールの大型スラスターは便利だしな。兵士達もモビルスーツに乗って一生懸命に作業していく。

 作業が終わって帰還すればハマーン達が迎えてくれた。

 

「お疲れ様です、サスロ様」

「ああ、ありがとう。ハマーン達もそのパイロットスーツ、似合ってるぞ」

「えへへ」

 

 パイロットスーツ姿のハマーン達からタオルを受け取って休憩室に入る。子供達が飲み物を取ってくれたりと色々と世話をしてくれる。

 

「サスロ様、ゼロ・ジ・アールはどうでした?」

「ある程度完成した。後は今回見つかった修正点を直せば終わりだな」

「乗っても大丈夫ですか?」

「もちろんだ。いや、最初は一緒に乗るか」

「はい!」

 

 喜ぶハマーンの頭を撫でつつNT専用モビルスーツの開発も開始しようと思う。アプサラスは宇宙仕様にしてあるし、武装も増やしたい……いや、これってもうビグザムだよな。よし、ビグザムはなかった事にしてアプサラスとしよう。うん、それがいい。それと子供用の操縦席も用意しないといけないな。

 

 

 

 

 



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通信

 

 ハマーン・カーン

 

 

 結婚が決まり、3年。アクシズに来てから2年目の年を迎えた。U.C.76年に入ってアクシズはどんどん大きくなっていく。2年前から開発されていた小惑星が完成して接続されたから。モビルスーツやモビルアーマー、戦艦の生産ラインも年々増え続けている。そんな中、私はレーザー通信室で久しぶりに遊んで貰った近所のお姉ちゃんと話している。彼女とは家族のような付き合いをしている。

 

『元気にしてる?』

「うん。こっちは楽しくやってるよ」

『そう、ならいいんだけど……』

「ゼナさんこそ士官学校はどうなの?」

『楽しいわよ。それに好きな人も出来たし……』

「本当!?」

『ええ。ハマーンには悪いのだけど』

 

 ゼナさんに好きな人ができた。良かった。

 

「そんな事ないよ」

『でも……』

「自分から行くって言ったんだから気にしなくていいよ」

 

 私がサスロ様の所に行かなければ大変な事になるのは何となく理解できたから、自分から行くと言った。ザビ家の要請を断ればそれだけで殺される場合もあるらしいし、ギレン様ならセラーナ達を皆殺しにして私を連れて来るという事も平気でするってメイドさんが言ってたし。

 

『そう……でも、元気そうで良かったわ』

「うん。友達も居るし、ゼロ・ジ・アールとか動かすのも楽し――あっ」

『そのゼロなんとかってのは何かしら?』

「き、聞かなかった事にして。そっ、それより、セラは元気そう?」

『まあ、いいわ。セラは元気よ。そうそう、今度そっちに遊びに行くって言ってたわよ』

「本当!?」

『ええ。おじさん達も一緒にそちらに行くからね。私はこっちに残るけど』

「そうなんだ……でも、78年に出て79年にはそっちにサスロ様が行くらしいから、私も行くよ」

『楽しみにしているわ』

 

 セラやお父様達もこっちに来るんだ。少し楽しみ。レーザー通信でたまに話せるけど、やっぱり直接がいい。

 

『そうそう、サスロ様とはどうなっているの?』

「えっと、一緒に寝てるくらい……」

『寝てる!? 普通に寝てるだけよね?』

「? 寝るのに普通も違うのもあるの?」

『いえ、そうよね……なんでもないわ』

「変なお姉ちゃん」

 

 ゼナさんといっぱい話して、私はマリオン達の所にいく。マリオンとアイナは今日も実地で訓練している。2年間、ずっと訓練したお陰でアイナもサイコミュ装置を起動しなければゼロ・ジ・アールも使えるし、アプサラスに関しては使いこなせるようになっている。マリオンと私もニュータイプっていうのに覚醒して力も強くなっている。

 

「大丈夫です」

「こっちは直ぐに」

「お待たせ~」

 

 整備の人と話しているアイナとマリオン。

 

「ハマーン、パイロットスーツを着ないと駄目よ」

「うっ、わかった」

「後、薬も飲む」

「は~い」

 

 更衣室に向かってパイロットスーツを着る。可愛らしい猫耳みたなセンサーが付いた奴なので着るのは嫌じゃないけど、少しきつい。まあ、前よりも薬を飲んでからはきつくらないんだけど。ちなみにパイロットスーツは可愛くないって言ったら、サスロ様が作ってくれた。猫耳はバイオセンサーという機体のコントロールシステムの補佐を行う機能に特化したサイコミュ装置の試作型らしい。機体のサイコミュと合わせて難しい軌道も難なく行えるようになったから面白いんだよね。ザクじゃ物足りないくらいだし。

 着替え終わったら、今日の予定を確認する。ニュータイプ専用機、α・アジールとノイエ・ジールの開発テスト。ノイエ・ジールはゼロ・ジ・アールをニュータイプ以外にも使えるようにして、武装を増やして更に追加でスラスターを増やした汎用機。

ニュータイプ専用モビルスーツも作るって言ってたし、楽しみ。今日も頑張って働こう。

 

 

 

 

 

 執務室で仕事を行いながら施設の改造案を作っていく。クローンの生産用小惑星に居住区用の小惑星の開発。クローン技術に関しては一応完成といっていい。ロールアウトは目前で、経過も安定しているしニュータイプ能力も高い水準で習得している。後は訓練次第という所だ。なによりこのクローン達は一部を除いて意識が希薄で、管理個体によって運営される事になる。とあるのシスターズやモビルドールシステム、ビットのような感じになる。個は全、全は個という感じになれば素晴らしいが、これは理想だな。まあ、問題は他のも合わせてだが、人手が足りない事だ。

 

「提督、ギレン総帥から通信です」

「繋げ」

「はっ」

 

 待っていた連絡が入ったので直ぐに繋いで貰う。

 

『久しぶりだな、サスロ』

「2年ぶりか兄貴」

『そうだな。もう少しこまめに連絡を寄越せ。ガルマが会いたがっている』

「ガルマか……」

『そうだ。まあ、これは決定事項なのだが、そちらに今度お前の補佐としてマハラジャ・カーン達を送る事になった。この時、ガルマも名代としてそちらに向かう』

「それはまた……」

 

 ガルマが来るのか……一応、鍛えてやるか。シャアに殺させてやるのも勿体無いし、どうせなら専用機でも用意してやるか。しかし、ザクだと面白味は無いが、ノイエ・ジールでは運用に問題があるだろう。

 

『ザクの生産はどうなっている?』

「ザクのビームマシンガン装備なら800機、動作テストを終了してドロスで送れる」

『ドロス……空母か。搭載数は200……4機もあるのか?』

「既に生産させているからな。問題はパイロットとこちらの人手だ」

『ふむ。労働力が足りてないのか?』

「労働力自体はモビルスーツやパワードスーツでどうにかなっているが、やはり技術者が欲しいな」

『技術者か』

「確か、ジオニック社と負けた会社があったよな」

『ツィマッド社か』

 

 ツィマッド社はツダを作って評価を争って負けた会社だ。モビルアーマー制作が得意なMIP社(エム・アイ・ピー)は既に買収して技術者をこちらに連れ込んでいる。他にも兵器関連会社の連中は連れて来ている。

 

「アレを買収してこっちに送ってくれ。出来ればジオニック社の連中もだ」

『ジオニックに関しては希望者だけだな。ツィマッド社は問題無いだろう。ガルマが向かう時に向かわせる。それと教導機動大隊をそちらに向かわせるからザクを引渡して訓練してやれ。そちらの方が使い慣れているようだからな』

「わかった。戦艦も複数作ってあるからそれを動かす人員も頼む」

『任せておけ。我々の決起の時は近い。頼むぞ』

「もちろん。連邦には負けんよ」

 

 通信を切り、送られて来た航行予定表に目を通す。さて、これからどうするか。サダラーンは直ぐに動かせるのが5隻。迎えに行かせた方が速いな。護衛も用意すれば安全になるだろうしな。

 

「ハインツ」

「はっ」

「サダラーンを5隻、用意して本国に向かう航路を向かわせろ。本国から来る連中を途中で迎えるように」

「護衛と補給はどうしますか?」

「補給はドロスを向かわせるが、護衛はそうだな……」

 

 テーブルに備え付けられている通信機に番号を入力して呼び出す。

 

『どうしましたかな』

「ノリス、悪いがアイナ、ハマーン、マリオンを連れて本国から客を迎えに行ってくれ」

『機体はどうしますか?』

「ノイエ・ジールとゼロ・ジ・アールを持って行ってくれ。それと中間地点で演習を行なってくれ。彼らが来る頃にはドロスも付いているだろうから、練習させながらこちらに向かってきてくれ」

『対戦相手は私達ですかな』

「ああ。好きなだけ揉んでやれ。後、技術者やガルマも乗っているから、そいつらはサダラーンでこっちに送ってきてくれ」

『了解しました』

 

 ノリス大佐なら皆を任せても大丈夫だろう。こちらはその間にクローン達をロールアウトする。名前を決めないとな。しかし、書類がなくならい。

 

「ハインツ」

「なんですか?」

「この量はなんとかならないのか?」

「なりません。小惑星を次々に改造したり、新型機をどんどん作っているからですよ」

「いや、必要な事だしな。さっさとロールアウトさせるか」

「また何か怪しい事をしているんですか?」

「クローン達のロールアウトだよ」

「ああ、あの子達ですか。人形趣味やロリコンとか言われる原因の1つの……」

「うるさいよ。男のクローンなんてごめんだ」

「それは確かに。しかし、彼女達が予定通りの性能を発揮してくれればかなり楽ができますね」

「全くだ。ジオンの兵士不足を解消できる」

 

 まあ、食糧生産プラントの作成も完成して食料自給率もかなり上がったし、クローン技術を使った畜産で新鮮な肉も食えるようになった。昔は地獄だったが。

 

「さて、この書類をさっさと片付けるとしようか」

「そうですね」

 

 俺とハインツは必死に書類を処理していく。

 仕事や食事が終わり、夜ハマーン達と一緒にベットに入る。

 

「お姉ちゃん達が来るんだって」

「聞いたさ。早く会いたいだろ?」

「それはもちろん、でも……」

「迎えに行けるように手配した。行って来るといい」

「いいの?」

「ああ。ノリス大佐に率いて貰うから、彼の言う事はしっかり聞くんだぞ」

「アイナ達も?」

「そうだ」

「やった」

 

 喜ぶハマーンの頭を優しく撫でてあげながら軽くキスをする。

 

「あっ……」

「ほら、もう寝ろ。明日から準備で忙しいからな」

「うん……」

 

 ハマーンは顔を真っ赤にしながら眠っていく。戦争までのカウントダウンが聞こえてくる。本来の一年戦争には存在しない俺やハマーン達に技術が乱入して巻き起こす戦いはどうなるかなんてわからない。だけど、絶対に生き残ってやる。

 

 

 

 

 

 

 



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クローン姉妹

量子コンピューター関連を修正。
外部にある量子コンピューターにアクセスする機能を髪飾りにセット。


 

 

 ハマーン達がガルマや家族達に加えてツィマッド社の面々を迎えにサダラーンで出て行った。ギニアス達はノイエ・ジールの開発の為に偏向メガ粒子砲や有線クローアームの実験機としてブラウ・ブロの制作に取り掛かった。

 俺はクローン技術が完成したので、意識を持つ事に成功したクローンの肉体を出来る限り徹底的に強化して問題点を改善する。ニューロチップも脳に埋め込み生体コンピュータを作成する。頭部に小型化した量子コンピューターへのアクセス装置と小型化したサイコミュ装置を二等辺三角形のような髪飾りとして作成し、頭部に直接植え付ける。これはもちろん試験管の中で成長を加速させて問題が無いかもチェックし、出てきた問題は修正してある。この髪飾りには他の個体との通信や演算能力を共有したり、指示を出したりといったとあるのシスターズ達のようなシステムを再現している。そう、∀ガンダムで出てきたダイレクト・インター・フェイスに似ている。もちろん、こればかりは滅びる原因となるので拡大させる気はない。問題が無いように培養槽の中で調整した強化人間の彼女達だからこそ、大量の情報に耐えられる。自我が消失してしまう可能性すらある。月光蝶であるとかいう時代にはなって欲しくない。

 それにこの子達は機械と人の融合で生まれた新たな人類と言えるし、ある意味これもニュータイプの1つだろう。そんな事を考えながら培養槽に戻して経過を見る。

 しばらくしても問題が起きて死亡してしまった。ニューロチップと髪飾りに対して拒絶反応が起こってしまったようだ。可哀想だが、どうしようもない個体はリサイクルとして新たな肉体を作成する栄養源にする。意識が消失しただけの個体は残して別の個体に施していく。

 数週間掛けて成功体がようやく出来た。まあ、意識が無くなった個体が6体で、それ以外はリサイクルした。クローン技術自体は完成したが、機械との融合はまだまだ研究が必要そうだ。

 

「さて、お目覚めの時間だ」

 

 コンソールを操作して培養槽の1つから培養液を抜いていく。その中には可愛らしい9歳くらいの女の子が裸で漂っている。綺麗な金色の髪の毛をした膝まで伸ばし、染み一つない綺麗な肌を晒して、大きな青色の瞳は虚ろにした状態でぼうっとしている。やがて液体が全て抜けて培養槽の底にへたり込んだ。培養槽の蓋が同時に開いたので、中から濡れている女の子を抱き上げて診察台の上に乗せてタオルで拭いていく。

 

「ん……んん……」

 

 整った綺麗な顔立ちは人形のようだ。左右にある髪飾りに接続端子を挿入してシステチェックとメディカルチェックを行う。意識状態は睡眠状態で特に問題は見られない。与えて置いた知識も記録としてしっかりと保存されている。体調、システム共に問題無し。後は個体識別名称を設定し、マスター登録を行えばとりあえず完成だ。

 個体識別名称をマリナに設定し、苗字をシーリズ名称であるジャガーノートにする。マスターは俺に設定する。

 

「……個体識別名称、マリナ・ジャガーノート。マスター、サスロ・ザビ。遺伝子登録、開始……識別可能物、要求……」

 

 ジャガーノートシリーズには完直径10メートルを消し飛ばす自爆装置がセットされている。最悪は特攻兵器として、また機密保持の為にだ。それらを発動や解除する事などにマスター登録された者の遺伝子情報が最低でも必要としてある。

 

「目覚めのキスって感じだな」

 

 口づけをして唾液を飲ませる。遺伝子情報まで色々とやったから女の子の身体は都合がいい。それに愛玩用というのも含まれている。まあ、ハマーン同様、まだ手を出す気はないが。

 

「……遺伝子情報、登録完了。

 system check……Zoning and Emotional Range Omitted System……error」

「スキップしろ」

 

 超高度な情報分析と状況予測を行い、毎秒毎瞬無数に計測される予測結果を脳に直接送って来るゼロシステム。これをアクシズ内部に設置した量子コンピューターで再現できないか試したが、やはりというか、容量不足だったようだ。名前はラプラスシステムとか名付けたいが、ラプラスの箱とかある訳だしそのままにした。

 

「system check complete

 Medical check……complete

 Starting start」

 

 起動を行うと虚ろだった大きな青い瞳に理性の光が灯り、瞳に様々な文章が流れている現状がコンソールに表示された。気温や温度など大気中の物質に始まり、周りの材質まで全て解析しているようだ。その間に手足を動かして調べていく。しばらくしてから身体を起こしてこちらを見詰めてくる。

 

「おはようございます、マスター」

「ああ、おはよう。身体に違和感とかは無いか?」

「問題無しと判断」

「では、着替えようか」

「了解」

 

 用意した服に着替えて貰う。服は黒い長袖で縁にフリルがある奴と、黒いレースのミニスカート、ガーダーベルトと黒いニーソックス。上に青い半袖のコートの軍服。右の胸元にはジオンのマークが有る。

 

「装着、完了」

「休憩は要るか?」

「必要無しと判断」

「では、まずは姉妹達を起動してみようか」

「了解。シスターズプログラム起動開始。ネットワーク形成……接続完了。シスターズ、起動シークエンス開始」

 

 保管して有った個体が培養槽の中で瞳を開けていく。意識はなく、瞳は虚ろなままだが各自で動いていく。

 

「起動完了。量子コンピューター、接続完了。生体コンピュータ並列接続開始。容量増加に伴い、Zoning and Emotional Range Omitted System、略称、ゼロシステム、限定起動を確認。負荷増大。緊急停止」

「ゼロシステムは後ほどでいい。それよりも培養槽から出すから動かしてみろ」

「了解」

 

 培養槽から出した女の子達はマリナの背後に控えるように整列する。

 

「各自、着替えさせろ」

「了解。任務開始」

 

 身体を拭いて着替えて行く彼女達を観察して問題無いかを調べる。サイコミュと形成されたネットワークを通してのマニュアルとオートでコントロールしている。人型ビット兵器といった感じだな。ミノフスキー通信も備え付けてあるからミノフスキー粒子散布化においても問題なく扱える。それにシスターズは互いに微々たるものだが念波を増幅する事も可能だ。ミノフスキー粒子散布化以外でもちゃんと通信ができるようにしてある。

 

「任務、完了。次の指示を要求」

 

 着替え終わった6人は普通のジオン軍の軍服ではなく、マリナと同じ服装だ。同じ顔で同じ姿をした7人の女の子。作っておいてなんだが、ある意味では凄い。どの個達も情報共有は行われているし、そういう意味では全てマリナなのだが。

 

「これからテストを行う。運動、知能、技術、全てだ」

「了解」

 

 実験室に移動して体力測定などを行う。どの個体も9歳児の肉体だというのに大人顔負けのデータを叩き出してくる。走り幅跳びでは10メートルも飛び上がり、数百キロのダンベルを片手で持ち上げる。マーシャルアーツの映像を見せれば解析して自らの技術として発展させる。身体能力に関してはまさに強化人間として素晴らしい値を叩き出し、超人認定間違いなしだ。

 知識面に関してはアクシズ内部のネットワークや特別な部屋でのみ繋がる外部ネットワークから学習し、どんどん知識を蓄える。技術面の知識も既にかなりのレベルで習得しているし、研究にも役立つ事が判明した。

 そして、何より――

 

「ハインツ、喜べ!」

「完成しましたか!」

「ああ、憎き敵に対して強力な助っ人だ!」

「おお……」

 

 書類整理から診断まで量子コンピューターが髪飾りを通して接続されているマリナ達は瞬時に判断して処理していくので速い速い。矛盾点やおかしな所を瞬時に見つけ出して返却ボックスに叩き入れて、問題無いのだけをこちらに回してくれる。マリナ達が判断できないものはそのままこちらに回ってくるが、それだけでもかなり早く終わるし、教えると直ぐに学習して応用までこなしてくれる。

 

「いやはや、これは助かります」

「じゃあ、この案を実行するか」

「え?」

「私達が利用する大容量演算装置」

「そうだ。小惑星を丸々量子コンピューターで埋め尽くし、並列接続させる」

「しょ、正気ですか?」

「もちろんだとも。演算領域が爆発的に増えれば情報を多角的に解析して予測でき、開発が捗るぞ」

「それはそうですが……」

「書類の処理はマリナ達に回せばいい」

「よし、やりますか」

「うむ」

「了解」

 

 言ってしまえばガンダムOOで出てきたヴェーダを開発するのだ。同じ量子コンピューターだから間違っては居ない。完成すれば更に開発が加速する。

 

「今日の仕事はこれで終わりですね。私はこれから他の部署を見て回ります」

「俺はマリナ達と残りのテストをしてくる」

「わかりました。明日もよろしくお願いします」

「了解」

 

 マリナを連れて射撃場へと向かう。射撃場で様々な銃を試して貰う。

 

「誤差、修正完了。狙い……撃つ!」

 

 拳銃から始まり、ガトリングに至るまで2度目から難なく扱い出すマリナ達。その次にサイコミュ搭載型のシミュレーターでビット兵器も問題なく使いこなした。実機で試したいが、ゼロ・ジ・アールはハマーン達が持って行って居るし、現在3機目を生産しているが、完成はまだだ。

 

「マスター、アレ、乗りたい」

「ザクか。最初はザクからでいいか」

 

 会話など活動しだしているとだんだんと喋るようになってきた。パイロットスーツはまだできていないので、ハマーンやマリオンの予備を着せるが、ヘルメットは専用のが必要なので無しになる。保険として小型酸素ボンベを持たせる。

 

「ギニアス、サイコミュ搭載のザクは何機ある?」

「サイコミュ搭載のは7機だな。バイオセンサー搭載機とファンネル試作型だな」

「ファンネル試作型はたしか巨大だよな」

「もちろん巨大だとも。モビルアーマー用のだからな。まだ小型化には至っていないからな」

「なら、バイオセンサー搭載機だけでいい。それを6機用意してくれ」

「わかった。実験機だから気を付けてくれよ」

「もちろんだ」

 

 生産されているザクⅡはザクII F2型を通常とし、指揮官用のザクII S型、高機動型ザクII、陸戦型ザクIIを生産している。一応、既に地球侵略の為に陸戦型も用意しておいた。どれも後期型だ。まあ、武装にビームライフルがまだ無いんだけどな。現在製作中だ。皆、大型のモビルアーマーでメガ粒子砲とかしか研究していなかったからな。大型化して火力をあげるのは得意でも、威力を出来る限り保ったまま小型化するのは得意じゃないんだ。ガラパゴス化の弊害だな。大型が最適化だと思ってしまっている。

 

「用意するように伝えたから9番格納庫に向かってくれ」

「了解」

「最適ルートを検索。検索完了。マスター、こっち」

「ああ」

 

 マリナと共に向かっていく。

 

「彼女達は誰なんだろうか?」

 

 ギニアスには今度紹介しよう。今は9番格納庫に移動する。そちらではバイオセンサーが装備されたニュータイプ専用高機動試験用ザクⅡが用意されて居た。武装はマシンガンとバズーカ、ヒートホークだ。

 

「じゃあ、説明を聞いてから搭乗して待機していろ」

「了解」

 

 マリナ達は整備兵に説明を聞いていく。俺は管制室に連絡を入れて出る事を伝える。

 

「提督、ハインツさんから内線が入っています」

「わかった。ありがとう」

「いえ、それでは」

 

 内線に出るとハインツが慌てた声を出して言ってきた。

 

「地球連邦所属の艦艇が網に掛かりました。木星から地球へ戻るようです」

「ナイスだ。これから丁度出撃する。サダラーンが1隻、外で作業をしていたな」

「はい。既に回してあります。ですのでお気をつけて」

「ああ」

 

 俺は内線を切ってザクの指揮官機に搭乗してザクを発進させる。

 

「マリナ、サダラーンに乗って移動する」

『了解』

 

 多少拙い動きで出てきたマリナ達は直ぐに動きが修正されて滑らかになっていく。サダラーンに着艦した後はそのままジュピトリスが発見された場所から予測航路の先に移動していく。

 

 

 

 

 

 




プルとプルツーはまだです。


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初戦闘

 

 

 

 

 マリナ達と共にサダラーンでジュピトリスの進路へ先回りを行い、サダラーンからザクで接近する。その為、カタパルトに移動する。

 

『ハッチオープン、発進どうぞ』

「サスロ・ザビ、出るっ!」

 

 カタパルトにより打ち出され、身体に心地よいGが掛かってくる。この体は子供の頃、いや、赤ん坊の時から筋トレとか行なっていたので大きく頑丈に作られている。パイロットスーツと合わせて生半可なGでは心地よく感じる。

 

『マリナ・ジャガーノート、コマンダー及びシスターズ1番から6番、ニュータイプ専用高機動試験用ザク、出る』

 

 マリナを先頭に7機のザクが出てくる。どれも整列してマリナの後ろに並び、指示を待っている。

 

『マスター、準備完了』

「目標はアステロイドベルトの先だ。ここを抜けるから、マリナ達は出来る限り付いてこい。サダラーンは離れてからミノフスキー粒子を散布し、迂回して来い」

『了解。これより追従する』

『了解。ご武運を』

 

 その言葉を聞いた後、少し進んだ先にあるアステロイドベルトに向かってアクセルを踏み込んでスラスター全開で突入する。小惑星群が視界一面に広がってくる。小惑星の大きさや配置を感覚で理解して航路を設定し、精密操作で駆け抜けていく。マリナ達に見せるようにしてだ。

 

『地形データ、軌道データ解析完了。速度50%で突入開始』

 

 マリナは1機ずつ順番に付いてこさせる。モビルスーツも、自身も高価な精密機械だという事を理解しているのか、速度を半分にした状態で俺の動きを模倣してたどたどしく機体を動かしている。

 

『誤差、修正完了。行動開始……クリア。次のステップに入る。75%……クリア。100%……誤差、確認。修正……完了』

 

 何度か小惑星にぶつかりそうになったり、蹴る事で免れたりしながらアステロイドベルトを進んでいくマリナ達はその軌道をどんどん精錬させていく。人間と生体コンピュータの融合に加えて外部の量子コンピューターが接続されている為、人間の学習能力を強化するプログラムを独自に組み上げたのかも知れない。成長する生体兵器……多大な犠牲を払って作ったが、本当に危険だな。

 

『マスター、これよりバイオセンサーの起動テストに入る。許可を』

「ああ、やってくれ」

『了解。バイオセンサー、起動。エラー、原因究明。究明終了。出力不足と断定。並列接続による増幅、開始。バイオセンサー、起動完了。運動性、出力、増大を確認。反応速度、向上確認。これよりテストを開始する』

 

 ニュータイプ高機動試験用ザクが縦横無尽にアステロイドベルト内を駆け抜けていく。だいたい30%くらいの性能アップか。

 

「そろそろ目標地点だ。速度を落とせ」

『了解』

 

 アステロイドベルトの出口が見えてきた。出口付近の小惑星に隠れながらミノフスキー粒子散布装置をセットして起動する。マリナ達にも手伝わせて通信をできなくしてやる。

 

『ミノフスキー粒子の散布、確認。量子コンピューター、接続切断』

「問題は?」

『戦闘行動、支障なし』

 

 量子コンピューターはあくまでアクシズに設置されている。ミノフスキー粒子が散布されれば長距離接続はできない。まあ、それまでに更新したプログラムや学習した技術はそのままだし、戻れば蓄積された経験を元に更新されるだろう。

 

「敵が来るまで待つとするか」

『了解。マスター、お腹すいた』

「そういえばご飯食べてないな。コクピットに非常用の携帯食があるからそれでも食べるといい」

『わかった』

 

 ポリポリと携帯食を齧りながら待つこと数十分。目的の巨大な戦艦を旗艦とした船団が近づいてきた。木星船団。地球連邦が独自に採掘を開始したジオンに利権を侵害されて焦り、作成した巨大戦艦とその護衛としてのマゼラン級戦艦。

 

『マスター、アレを落として問題無い?』

「ああ、大丈夫だ。だが、拿捕するつもりだ。地球連邦に“宇宙海賊”として膨大な身代金を要求する。もちろん、払えない額をな。そして、期日後処刑する。当然、ジオンは知らぬ存ぜぬで、むしろこちらも被害を被っていると廃艦を使ったデモンストレーションを流す。同時に人命優先で身代金を払って解放してもらったとな」

『私達、宇宙海賊?』

「今はな」

 

 これは簡単に言ってしまえば地球連邦は辺境まで行って仕事をしているのに助けてくれず、ジオンは助けてくれると思わせる事が出来る。政府に不信が募り、資源採取の為に志願する人が減るだろう。無理矢理に行かせても士気は下がるし、時間稼ぎにもなるからありがたい。

 

「誰一人として逃がすなよ。ザクを見られる訳にはいかないからな」

『了解。航行不能にする』

「デカ物以外は破壊してもいい。行くぞ!!」

『戦闘、開始』

 

 ザクのスラスター全開でジュピトリスと護衛船団に近づいて行く。武装はザクバズーカとザクマシンガン。

 相手側もこちらに気付いたようだが、遅い。メガ粒子砲やミサイルを撃ってくるが、それらを上下左右、立体機動で回避して接近する。セイバーフィッシュが出てくる時には既にある程度接近できている。セイバーフィッシュの機銃が発射されるが、機体を横にずらしてザクマシンガンを数発だけお見舞いする。これだけで簡単に穴が空いて爆殺する。

 

『4番から6番、戦闘機、撃破。1番から3番、マゼラン』

 

 マリナ達も統制の取れた行動でセイバーフィッシュをどんどん撃墜していく。その間に別の者達がマゼランのブリッジにザクバズーカを叩き込んで無力化する。

 護衛艦のマゼランはマリナに任せてジュピトリスへと向かう。放たれるミサイルランチャーはミノフスキー粒子で誘導が聞かずにほぼ外れる。命中しそうなのだけバルカンで打ち落とし、機銃とメガ粒子砲は回避する。艦橋に到着し、優先で通信を送る。

 

「降伏しろ」

『断る!!』

「では死ね」

 

 ブリッジにバズーカを構える。どうせ処刑するのだから、多少生き残りが入ればそれでいい。

 

『わ、わかった、降伏する!』

「では、停戦命令を出せ」

『あ、ああ……』

 

 直ぐに信号弾が上げられて戦闘が中断された。マリナ達は警戒したままで、こちらは指示を出して移動させる。

 

「ん? 一部のマゼランが離れていくようだが、どういう事だ?」

『わ、わからん!? 通信にも答えん!』

「そうか、マリナ。破壊しろ」

『まっ――』

『了解』

 

 命令を忠実に実行したマリナによって逃亡を測ったマゼランは撃沈される。シャア達、原作組のアクシズは見逃したが、俺はそんな甘い事をするつもりはない。

 

「こちらの指示に従わなければこうなる。理解したか?」

『わ、わかった……』

「では、来てもらおうか」

 

 近付いて来るサダラーンの姿を確認して、廃艦から使える物をを回収させる。もちろん、ミノフスキー粒子は散布したままでだ。作業の途中、追加でサダラーンの部隊がやって来た。

 

『提督、陸戦隊と運ぶ人員を用意しました』

「ご苦労。後は任せる」

『はっ!』

 

 ハインツ達が乗ってきたサダラーンがジュピトリスに接舷されて陸戦隊が乗り込んで行く。

 

「マリナ、何体か送り込んで性能を証明しておけ」

『了解』

 

 マリナを除いて6体がジュピトリスなどに乗り込んでいく。それを確認した後、俺達はサダラーンに帰投する。持って帰ったジュピトリスは即座に解析班に回して捕虜は調べるが、残念ながらシロッコは居なかった。それに殆どが精神に異常をきたしたりしていたので、実験体になってもらった。その他軍人は予定通りの行動に出る。民間人や子供などはアクシズで生活してもらう。逃げ出す事はさせないし、彼らは地球連邦が見捨てた事実を知ればこちらに入る可能性があるからだ。それと後ほど洗浄も行わなければならない。残留思念を排除してハマーン達を迎え入れねば。

 

 数ヶ月後、ジュピトリスのノウハウをドロスなどに転用し、生産ラインを増加させた。そして、ギニアス達がブラウ・ブロなどノイエ・ジールに必要な技術を完成させてノイエ・ジールの作成に入った。俺はシスターズの量産と小惑星を量子コンピューター化する作業に追われていた。ニュータイプ研究は他人に任せて、シスターズを数人を貸出してビットとファンネルの開発を行わせて置いた。

 

「それで、これはなんだ?」

 

 目の前に浮かぶ5メートル前後の巨大なプロトフィンファンネルにごつい機械が取り付けられたような物がふよふよと小型スラスターで浮いている。

 

「バスタービット。ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉を搭載。収束されたメガ粒子砲を放つ、サイコミュ兵器」

「メガ粒子砲を撃つのか!?」

「そう。ビームよりメガ粒子砲でいいじゃん。との事。火力、大きい」

「ビーム兵器はまだ掛かりそうか。しかし、これは……高価な代物だな」

「モビルスーツ、一機の動力炉、丸々使用」

「というか、Ⅰフィールドジェネレーターにすれば……いや、小型化は無理か」

「そちらも開発中。ジェミニは?」

「もうすぐ完成だな。ジュピトリスが採取していた資源は有効だった」

 

 生産ラインを量子コンピューターの部品作成に出来る限りあてたし、次々にロールアウトしてきたシスターズ達も量子コンピューターの組み立てに回した。お陰でジェミニと呼ばれる並列式超巨大量子コンピューターは完成した。問題は使いこなす為にはインターフェースとしてシスターズが大量に必要で、アクシズから動かせない事だ。むろん、膨大なエネルギーを消費するが、こちらはもう一つの小惑星をエネルギープラントとする事で解決している。この二つを合わせてジェミニと呼ぶ事が決定している。まあ、あれだ。簡単に言ってしまえば作ったのはいいが、演算領域や演算能力は莫大でもちまちま手動で入力してられないし、生体コンピュータ搭載のシスターズなら思考入力が可能だ。つまり、端末として各部署や開発部門にシスターズは求められる。特に開発部門は10体単位で寄越せと言ってきている。戦闘に出すなんてとんでもないという意見まで出てきている。実際に運用仕出したらこの意見は確実に出るだろうな。

 

 

 

 

 



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ジオンの本気

 

 

 

 

 迎えに行ったサダラーンがアクシズに帰還した。乗っていたのはガルマや技術者達なのだが、他にも色々と来たようだがとりあえず放置する。

 

「兄上、お久しぶりです」

「ガルマ、久しいな。それで、後ろの2人は?」

「こちらに行くように言われました」

「ああ」

 

 キシリアとドズルの2人が不貞腐れたような姿でいる。おそらくギレンの兄貴の仕業だろうが……なんでだ?

 

「実は、喧嘩ばかりしているので、兄上に纏めてもらうようにと……」

「面倒な……」

「まあ、頑張って」

 

 確かに原作でもただでさえ少ない戦力を別けてピンチに陥ってたよな。さて、どうするかな。

 

「これ、手紙」

「ふむ」

 

 手紙を確認すると、俺を元帥としてキシリアとドズル2人を自由に扱えとの事だった。父を除けば総帥としてギレンの兄貴が居るからナンバー2といえる。

 

「それで兄上、これからどうするのですか?」

「キシリア」

「なんですか?」

「お前、後方担当な。補給とか頼む」

「わかりました」

「ドズルは宇宙軍の指揮官を頼む」

「サスロの兄貴はどうするんだ?」

「俺は前線を色々と動く。それ以外の事は基本的に任せる。2人で協力しろよ。仲違いは負ける理由になるからな。ジオンの戦力は少ないからな」

 

 3人にしっかりとジオンと連邦の現状を教える事にする。少なくとも戦力を別ける事はさせない。それに最終決定権は俺が持っているしなんとかなる。ちなみに少しでも戦力が欲しいし、トップが前線に出るのは間違っているだろうが俺も前線に出る。ニュータイプはそれだけで戦力になるしな。

 

「では、教師として教えよう」

「ガルマもか?」

「ぜひお願いします」

「しかし、ガルマには……」

「いえ、できます!」

「まあ、頑張って貰おう。何、できなくても教え込むから問題無い」

 

 徹底的に教え込んで被害を減らす。それがベストだろう。コロニー落としをはさせないようにしないとな。虐殺も止めないといけない。シローが仲間になる可能性もあるしな。

 とりあえずジェミニによる教育コースを演算してプランを作成し、それを施していく。その間に技術者達と面談していく。今回、ジオニックも含めて本国に体裁を整える数を残して、それ以外の優秀な技術者達を全てこちらに寄越したようだ。軍人も殆ど送ってきている事からギレンの兄貴の本気度が伺える。

 さて、技術者を呼んで面接を行う。

 

「入れ」

「失礼します」

 

 数人が入ってくるが、原作のキャラを確認した。

 ジオンの名家であるカーウィン家の令嬢で、ソフトエンジニアとしての才能は超一流といわれるメイ・カーウィン。

 大きな目で頭皮は薄毛、頭髪もヒゲも黒い太ったアクの強いユダヤ系中年男性。ニュータイプの権威と言えるフラナガン・ロムと助手の老人。

 元はジオンのフラナガン機関所属だったが、ジオン製のモビルスーツでは対ニュータイプ兵器、EXAM研究に限界を感じたため、自らの開発したEXAMシステムを手土産に連邦に亡命した裏切り者、クルスト・モーゼス。こちらはモビルスーツに限界を感じただけで、感じさせなければいいのだ。もちろん、首輪は付けておくし、いざとなれば消す。

 

「では、それぞれ話を聞こうか。2人はニュータイプ研究でいいんだな?」

「もちろんだ」

「ええ」

「こちらに関しては貴重なデータもあるし、被検体に対する実験は勝手に行う事はできないと思え。まずはジェミニで計算してからになる。それで問題なければ実行に移す。ニュータイプは貴重だから理解してもらいたい。もちろん、こちらが手に入れたデータは君達に回す。問題無いな?」

「もちろんです」

「はい」

「では、最後に君達には首輪を付けてもらう。ニュータイプ研究に関しては最重要機密となる。もしもの場合を備えてこちらの技術者には全員、首輪を設置している」

「っ!?」

 

 メイは顔を青ざめさせたが、他の者達は納得した表情をしている。子供にはまだきついだろう。

 

「実際、どうなるのかのう?」

「普通にこれだな」

 

 首を切る動作をして見せる。

 

「なるほどの」

「さて、軽い方かそれとも……」

「か、帰っても……」

「残念ながらここに来た時点で数年は帰れないな。それに君は部署が違うから大丈夫さ」

「ほ」

「お嬢ちゃんの希望はどこなんじゃろ?」

「システムエンジニアです」

「裏切られたら問題はあるだろうが、そこまで手はまわらん。我々は常に人手が不足しているからな。という訳で、覚える事は多々あるだろうが、君には期待している」

「ありがとうございます!」

「もちろん、2人にもだ」

「うむ」

「はい」

 

 他の人達から話を聞きながら次々と面接を行い、人を分配していく。大量の人口増加により、食糧生産プラントも大忙しだ。

 ツィマッドやジオニックの科学者連中がドムの開発に乗り出し、戦艦専門の者達が地球用の輸送機や戦闘機の開発に乗り出した。

 

「戦いは数だよ、か。まさにその通りっと」

 

 その対策としてフラナガン博士達も参加してサイコミュ兵器として無人機を操れるようにできないかとお願いしておいた。後は一部の小惑星に地球と同じ重力をコロニーの技術で再現して耐久テストなど行う施設を作る。むろん、無人機でだ。重力を再現するのに大掛かりな施設で無茶な方法をとっている為、生身の人間では死んでしまう。もちろん、人の代わりになる人形を配置してデータは取るが。検証実験もせずにデータの上だけで作られた物ほど欠陥がおおいからな。ガトルやドップとか。

 どちらにしろ、大量に処理する物が増えたのでまた数ヶ月は書類やプレゼンテーションで忙しかった。

 

「こっちの処理が終わればハマーン達の帰還はもうすぐか。しかし、どうするかな」

「?」

 

 ベットの上で抱きつきながらマリナが小首を傾げる。マリナは常に俺の傍に控えて護衛もするので、寝所も一緒だ。最初は座ったり床でいいと言っていたが、ベットに引きずり込んだ。まあ、ハマーンも居なかったし、温もりが欲しかったのもある。愛玩用としても使えるようにしたからだが、スキンシップも普通に行ってくる。いらない知恵を回収したりしてだ。

 

「もうすぐ妻が帰って来るからな」

「問題、無い」

「そうか?」

「そう。排除する」

「いや、駄目だからな」

「再考を、願う」

「却下。仲良くするように」

「了解」

 

 喧嘩にならなければいいが。できれば仲良くして欲しいな。ハマーンって結構嫉妬深いし……いや、今ならまだいけるはずだ。頑張って教育しよう。うむ、それがいい。

 

 

 

 

 



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嫁と愛人、そしてオリジナル

 

 

 

 ハマーン達が大量の軍人達と戻って来た。それも懐かしい気配をさせながらだ。出迎えに出た俺に気付いたハマーンはゼロ・ジ・アールから飛び出て俺に抱きつこうとして――

 

「サスロ様っ――ふぎゃっ!?」

 

 割り込んだマリナによってクロスカウンターを決められて吹き飛んだ。

 

「マリナ……」

「なっ、何するのっ!?」

「マスターに危害を加える者の防止」

「加える気なんてないよ! だいたい、私はサスロ様の妻なんだから抱きつくくらい……」

「ぷい」

 

 マリナはそっぽを向いて俺の腕に抱きついて来た。そして、ハマーンの方を見ている。

 

「何してるの!?」

「っと」

 

 ハマーンももう片方の腕に抱きついてマリナを睨み付ける。なにげに互いにプレッシャーを放ち合い、周りの空気が重くなっている。スパロボ風に言うと、2人は既にニュータイプレベル6はいっているし、シャレにならない。

 

「貴方はなんなのよ!?」

「私はマリナ・ジャガーノート。マスターの目、マスターの手足」

「意味分からない、つまり敵……」

「やめい」

「「ひゃあっ」」

 

 2人を持ち上げてやる。

 

「仲良くしろ」

「でも……」

「了解。マスターの命令通りにする。私は誰かと違ってマスターに従順」

「なっ!? わ、わかった、仲良くする」

 

 ハマーンもどうにか納得したようで、そのまま2人を部屋に連れて行く。その間にハマーンの話を聞いたりした。部屋に着いた後、ハマーンはマリナの私物になんとも言えない表情をしたが、納得はしてくれたようだ。

 

「私が一番だからね。貴方は2番」

「了解。私はマスターの都合のいい女。愛人」

「あっ、それもなんかいい感じが……」

 

 2人が話していると、扉が開いてハマーンに似た少女が入ってきた。

 

「お姉ちゃん、見つけました」

「セラ……ごめん、忘れてた」

「もう……」

「サスロ様、私の妹のセラーナです」

「そうか、よろしくな」

「はい」

 

 セラーナの頭を撫でてやる。その後、彼女もマリナやハマーン同様にベットの上に乗せてやる。その後、俺は仕事をしに出る。外に出ると直ぐにマリナが遠くから走ってくる。

 

「仕事は?」

「問題、無し」

「そうか。じゃあ、護衛を頼む」

「了解」

 

 部屋の中で楽しそうに話しているハマーンやセラーナと一緒に居るマリナとは別で、彼女はシスターズの1体だ。記憶などはネットワークを通じて全てがマリナへと収束されているし、同時に操る事も問題無い。本当にネオ・ジオンの強化人間どころの話ではない。

 そんなマリナと共に一緒にアクシズにやって来た軍人達を呼び出す。1人目は髪の毛をオールバックにして後ろで結んでいる男性。

 

「失礼します。アナベル・ガトー大尉、入ります」

「よく来た。まずは掛けたまえ」

「はっ」

 

 アナベル・ガトー。ソロモンの悪夢という異名を得る事になるオールドタイプ最強の一角といえる存在だ。

 

「君のモビルスーツでの素晴らしい成績は聞いている」

「ありがとうございます」

「そんな君に話があるのだが、まずはマリナ、彼にお茶とお菓子を」

「了解」

「恐縮であります」

 

 マリナが紅茶とカステラを用意してくれた。甘さは控えめだが。

 

「食べながら聞いてくれ。私は君を高く買っていてね。君さえよければ元帥となった私の直属の部隊に参加して貰いたい」

「私が、ですか……」

「ああ。君には現在開発中の高機動モビルアーマー、ノイエ・ジールのテストパイロットを行ってもらいたい」

「テストパイロットですか……」

 

 難色を示すガトー。彼は前に出たいだろうしな。

 

「やって貰うのは実戦テスト。機体はこれ」

 

 マリナがガトーにノイエ・ジールの仕様書を渡す。

 

「読んでも?」

「いいが、もちろん機密事項だ。外部に漏らす事はならん」

「もちろんです」

 

 彼はどうにかしてこちらに引き入れたい人だ。一年戦争時代からノイエ・ジールを乗せればかなりの戦力アップが機体できるだろう。

 

「それで、どうだろうか? もちろん、テスト後はその機体を専用機にして貰って構わない」

「わかりました。お引き受けしたいのですが、一つお願いがあります」

 

 その言葉にマリナからプレッシャーが放たれるが、ガトーは気にせずに居る。この程度では問題無いという事か。

 

「なんだ?」

「はっ。同期のケリィ・レズナー大尉も私同様に参加させていただきたい。彼はモビルアーマー操縦技術は私以上でありますので、ご期待に添えるかと」

「ケリィ・レズナーか。いいだろう、許可する。マリナ、ノイエ・ジールを2機用意するように伝えてくれ」

「マスター、試作機が5機ある。問題無し」

「そうか。では、ガトー大尉。君は彼と共に第10ドックへと向かってくれ。そこにギニアス・サハリン技術少将が居る。彼の指示に従ってくれ」

「はっ!」

「案内は……マリナ」

「了解。直ぐに連れて行く」

 

 部屋の扉が開いてもう一人のマリナが入ってくる。

 

「同じ顔が2人、だと!?」

「彼女達は全て同一個体のクローンだと思ってくれていい。この子に伝えれば私に伝わる」

「わ、わかりました……」

「付いてくる」

「では、失礼します」

 

 ガトーが退出し、色々と軍人を呼び出して話を聞く。黒い三連星のガイア、オルデカ、マッシュにはドムとリック・ドムの開発にテストパイロットとして参加をするように要請した。ジョニー・ライデンなどにはジオニック達に作らせた高機動型ザクⅡを元にゲルググを開発するよう命令しておいたので、彼らの協力をお願いした。

 それらが終わり、最後にある意味では最大の人物を呼び出した。

 

「変な感覚の人が来る」

「そうか。まあ、そうだよな」

「?」

 

 小首を傾げるマリナ。少しすると不思議な何とも言えない感覚が近付いて来る。そして、扉がノックされた。

 

「空いている。入ってこい」

「失礼する」

 

 ヘルムに仮面を被った怪しい金髪が部屋に入ってきた。

 

「「……」」

 

 そして直ぐにマリナと睨み合う。その視線はどちらも露骨に警戒をしている。

 

「まあ、入って座れ」

「はっ」

 

 マリナは睨んだまま動かないので、俺が茶菓子などを用意していく。互いは殆ど動いていないがまあ、無理もないだろう。

 

「それにしても久しいな。数年ぶりか」

「……なんの事でしょうか? 私と貴方は初対面のはずですが……」

「そんなはずはない。お前とはもう随分前に合っているさ」

「……」

「しかし、よくぞ生き抜いてくれた。ジンバ・ラルに情報を流しただけの価値はあったようだ。アルテイシアも息災か? キャスバル」

「どなたかと勘違いされていませんか? 私はシャア・アズナブルです」

 

 いやはや、やはりそう簡単には素性を明かさないか。もちろん、手段も用意しているが。

 

「マリナ」

「DNAのほぼ一致。オリジナル、キャスバル・レム・ダイクンと認定」

「だそうだ」

「いえ、私は……」

「諦めろキャスバル。お前もわかっているようだが、このマリナにはアルテイシアを参考にキャスバルのDNAを使って作っている。言わばお前の女版だな」

「この感覚はそういう事かっ!?」

 

 キャスバルが直ぐに手を動かして銃を抜こうとするが、その前にマリナが殴り飛ばして壁に激突させる。そして即座に追撃をかけキャスバルの両腕を踏みつけて銃口をヘルメットの取れた顔に押し付けて制圧する。

 

「ぐっ……」

「動くな。マスターに対する危害はオリジナルでも許さない」

「お前らしくもないな。熱くなりすぎだ。自分のクローンが居てそんなに乱されたか?」

「……そのようだ」

「マリナ、離してやれ。彼は歳は離れているが友人だ」

「……」

「マリナ」

「マスター、危険」

「問題無い。またマリナが制圧すればいい事だ」

「了解」

 

 2度目でようやくおとなしく解放してくれた。キャスバルも大人しく座る。

 

「さて、話し合おうじゃないか」

「私には……」

「まあ、聞け。ジオン・ズム・ダイクンのやばさは理解できるだろう。あのままいけば、連邦と何の準備もできないまま戦争となり、我々は確実に負けていた。彼の犠牲のお陰で数年の時を得られたのだ」

「だが……」

「それとも皆で仲良く連邦に殺されるか? そして、残された民達は搾取される」

「当時、勝率0.245%」

「っ」

「だが、お前もこのままでは納得しないだろう。父親を殺されたんだからな。だから、お前も殺るというなら俺達の父親を殺せ。それには協力してやる。だが、他の者達は駄目だ。アイツ等はジオンには必要だ」

「父親を殺させるのに手を貸すというのか……」

「そうだ。親父はダイクンを止めるとはいえ、その後はやり過ぎではある。お前達の気が済むのなら構わない。もちろん、俺はダイクン派だろうがなんだろうが、有効な人材は使って正当に評価する。そうしなければ地球連邦に勝つなど不可能だからな」

 

 計画している通り、モビルスーツとモビルアーマーの高性能化による戦力の増加。そして、ニュータイプの確保に始まり、ジオン軍の一枚下。これさえ出来ればかなりの事が可能だろう。何よりジェミニによる地球連邦へのハッキングやクラッキングによる混乱を起こせば更に勝率は上がる。まあ、ジェミニには友軍を監視するという役割もあるがな。横流しを行ったり横領を行う奴が居ないはずがない。厳格な管理体制を敷いて出来る限りの事を行う。幸い、連邦の本拠地であるジャブローの場所もわかっているしな。

 

「キャスバル、どうする?」

「私に選べる選択などないだろう」

「無い」

「そうだな。だが、一応考えて見てくれ。これがジオン・ズム・ダイクンの録画だ」

「わかった」

 

 キャスバルに映像データを渡して隣に座ったマリナの頭を撫でる。

 

「自分のクローンが少女とは、不思議な感覚だな」

「生きている可能は半々だったのもあるが、いざとなった時の保険だな」

「まあ、いいさ。それで、これから私はどうすればいい?」

「キャスバル……いや、これは色々とまずいな。シャアでいいんだよな?」

「ああ、それで頼もう」

「では、シャアには非常に重要な事をお願いしたい」

「なんだ?」

「ニュータイプの研究だ。ジオンに居るニュータイプはハマーン達を除けば君達くらいだ」

「サスロ達はどうするんだ?」

「俺はハマーン達と旅行に出るつもりだ」

「旅行か。君の事は色々と聞いているよ。ロリコンの人形趣味だとな」

「うるさいわ」

 

 マリナはスリスリと俺に顔を擦りつけてくるので可愛がってやる。

 

「まあ、それだけではないんだろう?」

「もちろんだ。各サイドを回ってニュータイプと思われる存在をスカウトしていく」

 

 多少、強引な手段でもな。

 

「これからアクシズは忙しくなる。軍事教導もこちらで行うだろうし、士官学校の生徒も大半をこちらに連れて来ているらしいからな。訓練内容は……」

「そうだな。しかし、君がいなくても大丈夫なのか?」

「問題無い。シスターズが居る」

「シスターズとは?」

「この子達クローンの通称だよ。コマンダーと呼ばれる1個達が全ての個達を統一して操っている」

「それはまた……」

「問題はコマンダーがやられた場合なのだがな」

「それはそうだな。では、私はニュータイプ研究に協力しよう」

「ああ、それとナタリー技術官を君につける。世話をしてもらえ」

「了解した」

「ふむ。後、君にも帰ってきたら嫁をあてがってやろう」

「遠慮して――いや、ありがたく貰おうか」

 

 マリナが銃を持って脅しにかかったようだ。まあ、彼女なら問題無いだろう。ニュータイプの研究者達にはサイコフレームを開発するようにお願いもしてあるからな。シャアのお陰で完成すれば一年戦争で劣化ササビーが出せる。サイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップに関しては髪飾りなどで既に実用化している。後はコアとなる高出力のメイン・プロセッサを開発するだけだ。メイン・プロセッサさえ完成すれば装備も劣化させて通常の物を装備させれば、後は大型化するだけで今の技術でもおそらくササビーは製作可能だろう。

 

「では、期待してくれ。そういえばアルテイシアはどこにいる?」

「今は……」

「名前を変えてサイド7に確認している」

「「……」」

 

 俺の言葉にシャアが考えだしたが、直ぐにマリナが答えてしまった。まあ、マリナの力なら調べられても不思議じゃないな。ジェミニを使えば簡単だろう。セイラ・マスの情報などは伝えてあるからな。

 

「キャスバル、こちらに彼女を呼び寄せるぞ」

「頼む。その方が安全だろう」

「では、任されよう」

 

 ニュータイプ探しのついでに旅行といくか。この為に外装を偽装した商船を用意してある。積荷は緊急時用にザクと護衛のサダラーンだ。このサダラーンにはステルス装置の他にゼロ・ジ・アールを乗せておく。シスターズを乗せておけば単体で制圧可能だろう。商船にはジオンから何名か選んで連れて行く予定だが、俺が選んだのはある女性の部隊だ。潜入工作などはお手の物だろう。そう、彼女の名は――

 

 

 

 

 

 




シャアさんとの和解?
少なくとも敵対はしません。バレてしまってますし。


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重大な要素を発見

アルバイトで書く気力と時間があんまりないです!
士官学校じゃないようにしました。


 

 

 

「旅行の護衛及び雑務を任される事になった海兵隊所属、シーマ・ガラハウ少佐です。本日からよろしくお願いします」

「うむ。よろしく頼む」

「「お願いします」」

「……よろしく」

「はっ」

 

 船に乗り込んだ俺達に挨拶に訪れたシーマ少佐に俺を始め、旅行に一緒に行くハマーンとセラーナ、マリナが挨拶をした。マリオンはお留守番をしてガルマに操縦技術などを教えている。

 

「3人は先に部屋に行っておいてくれ」

「「「はい」」」

 

 子供達を見送った後、俺はシーマと共にブリッジに移動する。

 

「今回の任務、理解しているな」

「はっ。ニュータイプと思われる者達の回収ですね」

「そうだ。サダラーン2隻とグワジン2隻をシーマ少佐に与える。搭載機は高機動型ザクがメインだ。それともしもの時の為のゼロ・ジ・アールだな」

「我々には扱えませんが……」

「問題は無い。シスターズから1人を派遣して乗せる」

「了解しました。それで行き先はどちらに?」

「サイド7、サイド4に向かった後、地球に降りる」

「地球に、ですか」

「そうだ。その為にサダラーンには大気圏離脱用のブースターとステルス機器を搭載している。降下と離脱時にはジェミニからの援護も受けられる」

「つまり、見られた場合は……」

「証拠を残すな」

「はっ」

 

 目的はララァやアルテイシア達だが、まあなんとかなるだろう。ちなみに地球環境での基地建設やモビルスーツのテストも行う予定だ。

 シーマ少佐と色々と話した後、俺達は目的地へと向かう。

 

 

 

 

 シーマ

 

 

 

 

 やれやれ、この私がお偉方とお子様の子守とはね。まあ、新型艦も貰えるのだからよしとしようか。それにしてもここ数日は楽しいね。

 

「お嬢様方はどうだい?」

「どうもこうもありませんぜ。ありゃバケモンですわ」

「みたいだねえ」

 

 シミュレーターでうちの隊員と戦って貰ったのだけど、セラーナ以外ははっきり言って格が違う。たった一人で簡単に部隊を壊滅させやがる。セラーナも飲み込みが早く、ハマーンから教えて貰った事を直ぐに覚えている。これが天才って奴なのかね。それに回避技術がおかしい。まるで攻撃がわかっているように避ける。ニュータイプってのは本当にとんでもないね。

 

「まあ、一番ありえないのはマリナだろうけどね」

「ですねえ。流石はザビ家の人形使いの最高傑作ですか」

「こんなのがもっと量産されれば戦争は楽なんだろうけどね」

「やめてくだせえ。ゾッとしねえや」

「その通りだね」

 

 無数の攻撃を完全に読み切ってカウンターで的確に敵機を落としていく動きはまさに未来を予測する機械。一人一人の動きを完全に解析してやがる。

 

「では、これより反省会を始める」

 

 シミュレーターから出てきた兵士達が別のマリナの言葉に近づいていく。

 

「ここが駄目。この場合、回避行動は――」

 

 ダメだしされた隊員達は悔しそうにするが、的確なアドバイスのお陰で実力は着実に増えている。それも計測されたデータから限界まで求めるような厳しい内容だが、1つでも直せれば確実に実力はあがるので人気はある。

 

「シーマさん」

「なんだい?」

 

 ハマーンがこちらにセラーナと共にやって来た。

 

「サスロ様を喜ばす方法を知ってる?」

「男を喜ばす方法ねえ。そりゃぁ……まだ早いんじゃないかね」

「教えてください!」

「お願いします」

「お二人から頼まれたら仕方ないね。けど、絶対に内緒だ」

「「はい」」

「じゃあ、隣の休憩室にあるソファーの下に本が貼り付けてあるから読んでみな」

「ちょっ、少佐!」

「ああ、あたしは知らないよ。この子達が勝手に見つけて読むんだからね。それに設置した奴が悪いのさ」

「「ありがとうございます!」」

 

 2人は元気よく移動していく。そこにシミュレーターから出てきた方のマリナも合流していく。

 次の日の朝方、サスロ元帥がなんとも言えない表情をして3人に抱きつかれていたがあたしは知らない。

 

 

 

 目標であるサイド7に到着し、グワジンの外装に似せたサダラーンで入港した。あたし達の目的はセイラ・マスという女の拉致。手段を選ばずに拉致しろとのお達しだ。彼女の大まかなスケジュールはマリナを通してジェミニから貰っているので攫うタイミングも楽だ。彼女が自宅に入り、寝静まった頃に行動を開始する。

 

「1班、行きな」

「おう」

 

 数人の男があたしの指示で家の庭に侵入し、窓の一部のガラスをくり抜いて催眠ガスを流し込んで封鎖する。一旦離れ、時間が経って安全を確認した後、カードキーを玄関に押し当てて扉を開く。カードキーはセキュリティをマリナが突破して作った特別な物だ。

 

「全く、楽になったもんだ」

「ですね」

 

 少しして侵入した1班からセイラ・マスを確保したとの連絡が来た。彼女には催眠ガスを嗅がせた後、猿轡をさせて拘束して車に入れる。彼女の荷物を適当に纏めてから船に戻った。そんな私の前にサスロ元帥がハマーン達に加えてもう一人の女の子を連れて来た。流石はロリコンと名高いだけはあるって事かね?

 

「サスロ元帥、その子は?」

「孤児院から引き取ってきた。彼女もニュータイプの素質がある。セイラ・マスは?」

「問題なく」

「そうか。サラ、挨拶しなさい」

「サラ・ザビアロフ」

「あたしはシーマ・ガラハウだ。よろしく」

「はい」

 

 しかし、なんだろ、サスロ元帥ってピンクの髪の毛が好きなのかねえ?

 

 

 

 サスロ

 

 

 

 

 さて、サラを引き取る事は簡単だった。事前に連絡をしておいたし、援助もしてやったからな。前々から準備しておいたお陰でサラも従順なのでちょうどいい。次はサイド4に行く。

 サイド4でやる事は簡単だ。シロー・アマダのスカウトだ。こちらは高待遇で家族諸共一緒に来る事に同意してくれた。お陰でシローはアイナに渡せる。あの二人はベストカップルだろう。

 次に地球に行ってララァ・スンを確保。こちらは買い取った。後、地球に降りて色々とテストを行なった。一番の収穫はダメ元で日本の中国地方を探してみたら、ムラサメ研究所が既に存在し、そこにハッキングするとフォウ・ムラサメが実験体にされていた事だ。

 

「さて、この時代にいくら最古とはいえムラサメ研究所が存在し、既にニュータイプの研究を行っているか。これは俺のせいかも知れないな。それにこの子まで居るとは……どうなってんのかね」

 

 画面に映し出されているのはこの世界には存在しないはずの金色の髪の毛に紫色の瞳を持つ少女。確かに地球連邦軍所属の強化人間だった。フォウとの関係もある意味では同じ立ち位置として作られたのだからここに居るのも納得できる。

 

「エクステンデッドのステラ・ルーシェが居るという事は、ひょっとしてSEEDも混じってるのか? やばいな……どこまで入って居るかわからないが、地形や国に変更は無い。オーブ自体は無いしこれは確実だ。しかし、ここに来て不確定要素が……いや、突き進むだけだな。それよりも、ステラはSEED全作品でお気に入りだから手に入れないとな」

 

 俺は早速、シーマ達を呼び出して襲撃を行う事にした。結構は深夜。研究者諸共拉致し、必要なデータを回収する。研究所には自動返信プログラムをジェミニ経由で送りつけてここをジオンの基地に変えてしまう。元々研究所なので秘匿性もバッチリだしな。

 研究所でステラとフォウを手に入れた俺達は宇宙に大気圏離脱用ブースターを使って宇宙に戻った。

 宇宙に戻った俺はもう一度サイド7の事をジェミニに改めて調べてさせる。

 

「まさか……アムロ・レイとカミーユ・ビダンが居ないだと……」

「マスター、アムロ・レイとカミーユ・ビダンは存在している。痕跡を辿る?」

「頼む」

「了解。検索……完了。アムロ・レイは地球連邦軍、特殊技能研究所に居る。そのアムロ・レイと共にカミーユ・ビダンも一緒に居る」

「ちょっと待て!?」

「了解、待つ」

 

 どうなってんの?

 特殊技能研究所ってニュータイプ研究所だよな。

 やばいやばい、やばい!

 嫌な予感しかしねえ!!

 

「急いでアクシズに帰還する! マリナは今から言う奴を見つけ出せ!」

「了解」

 

 SEEDの人達を教えてマリナに住民票などから検索する。幸い、見付からなかった。だが、特殊技能研究所でカミーユとアムロに加えてガンダムを開発したアムロの父親達がモビルスーツを作っている事が判明した。時間がない。兵器群のより一層の強化が必要だな。肉体面でも強化するしかないな。プルシリーズの作成に入るか。この際、土台をシスターズを流用して作ろう。それにステラとフォウの強化を行おう。ムラサメの技術が手に入ったお陰である程度成長した状態でも脳にニューロチップを取り付ける目処も立ったしな。後はこれで実験を行うだけだ。

 

 

 

 

 

 

 




一応書いておきます。
サラちゃん5歳
カミーユ君8歳
フィウ6歳。
ステラ6歳。


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ば、馬鹿な……誰だコイツ

タイトル通り、キャラ崩壊


 

 アクシズに帰還した俺は直様アクシズを含める小惑星群を地球に向かわせる。来年の79年には到着する事になる。その間に最優先事項としてステラとフォウとサラの強化だ。彼女達の身長から特別仕様のパイロットスーツとコクピットを用意させている間に終わらせたい。まずは得られたデータとこちらの所持しているデータを使ってジェミニに計算させてクローンで実験を行う。ある程度成長した人間にニューロチップを埋め込んでどうなるかだ。副作用が出る事はわかっている。計算では能力を劣化させれば問題は無いはずだ。ジェミニに繋げられてゼロシステムを使えるだけだけで十分だ。

 数日かけてステラ達のクローンを作成して実験を繰り返して彼女達に適応させたニューロチップを作成。それから頭の一部を開いて埋め込む。他にも身体を強化して頑丈にしていく。幼い身でモビルスーツの全速力に応えられるように。

 本当はゆっくり成長を待つつもりだったが時間はないようだし手段は選ばない。それに彼女達にはサイコフレームを搭載したノイエ・ジールⅡに乗ってもらう予定だから強化は必要だ開発されたサイコフレームはMSサイズでは十分な出力が得られないので、更なる改良がなされるまではMAのような大型の機体の構造材として用いることにする。この一年で大型のを作成するのもありか。まあ、無理だろうけどな。

 

「ステラ達の専用モビルスーツも作らないとな」

 

 いっそモビルアーマーの内部にモビルスーツを搭載してみるか。モビルアーマーがやられたら装甲をパージして……コストが掛かりすぎるな。毎回パージしていたらいったいいくら掛かるやら。連邦はともかく、俺達の資源は限られているからな。

 

「サスロ様、成長させますか?」

「いや、そこまではいいだろう」

 

 他の研究員達も含めて研究を開始している。プルとプルツーを作る為に必要な人材だ。

 

「それよりもフォウやステラの調整を急ぐぞ」

「了解です」

 

 ニューロチップを埋め込み、調整し終わった後2人を寝かせる。フォウに関してはカミーユに対する対抗策になるだろう。相手がタイムトラベラーならだが。転生者や憑依者なら無理だが。

 

「残りの作業は我々が行っておきます。サスロ様はモビルスーツ開発部などに」

「わかった」

 

 女性の研究員達にステラ達を預けて移動する。

 モビルスーツ開発部では現在、ドム……リック・ドムとゲルググを開発している。一年戦争中、彼らはこの2機の開発を超短期間で成功させた天才達だ。それに加えてギニアス達を含めたジオンの科学者達。アクシズの豊富な資源とガラパゴス化によって遥かに進んだ特化技術を手に入れた。元が優秀な科学者達をジェミニがサポートし、色んな技術に転用して応用を行い全体的に進化させた。そんな事が行われれば色々と危険な進化を遂げている。

 

「それで、どうなったと?」

「宇宙用ドムでしたが、性能不足で宇宙用の汎用機の開発は中止し、後継機の開発を行う事にしました」

 

 メイの説明を聞きながら考える。ゲルググが実戦配備の遅れの為にリック・ドムが開発されたんだからな。ゲルググもザクの代わりに生産を開始したが、数が足りないのでザクも存在する。ザクに関してはまだ色々と使う……というか、一部が更に開発されてザクⅢとして開発されている。

 

「そうか。それで?」

「実際にテストを行なった所、リック・ドムⅡは充分にゲルググと張り合える機体となっています」

「ならばよし」

 

 ゲルググとリック・ドムⅡどちらを選ばせても問題無いようにする為と補給と修理の観点から出来る限り共通部品を使うように指示しておいたが、これくらいなら問題無いな。

 

「ニュータイプ専用機の開発は?」

「シュネー・ヴァイスの開発もしっかりと終わってるよ!」

「ファンネルの開発は終わったのか?」

「そっちも終わってこっちに送られて来たよ」

「そうか。なら早速実験するようにしよう。マリオン達に頼んでくれ」

「はい、わかりました。お願いしますね、マリオンちゃん」

「任せて」

「それじゃあ、頼む。ところでガルマは?」

「ん」

 

 マリオンが指差すと画面上でリック・ドムⅡがザクの兵士相手に大立ち回りを行っている。バズーカ砲やマシンガンの弾丸を避けて的確にビームバズーカで撃ち落としていく。その動きはニュータイプとは違うが、エースパイロット並だろうか。

 

「攻撃予測システムも問題無いみたいだねえ」

「予測システム?」

「ゼロシステムを元に作った奴だよ。ジェミニから常にデータが送られて来る状態でなら使用可能だからね」

「問題点は?」

「戦艦に子機を搭載する事で問題無いらしいよ」

「わかった。まあ、任せるか」

 

 俺はギニアス達に会いにいく。ギニアスの所ではキャスバルがノイエ・ジールⅡの実戦テストを行っていた。現在、78年の6月。もうすぐ戦争が始まるが、なんとか間に合ったようだ。

 

「これで戦争に勝てるな」

「ああ。準備は整っている。彼のお陰でノイエ・ジールⅡが完成したよ」

「ノイエ・ジールの方は?」

「そちらも完成している。Ⅱはニュータイプ専用機構を組み込んで改造するだけだからね」

 

 だけって、だけって言いやがったぞコイツ。さすがのチート技術者だ。

 

「そう言えばシローと言ったか、君が連れてきた男は」

「どうだ?」

「使える。指揮官としてもパイロットとしてもな。ただ、アイナとの仲は認めん」

 

 ああ、やっぱりそうなったんだな。シローのデータを探して調べると戦績が凄まじい事になっていた。コウ・ウラキとか目じゃない。今もノイエ・ジールⅡに乗ったキャスバルを相手にアイナとシローが乗るノイエ・ジールが高速で射撃戦闘を行なっている。一時も止まらずに正確な射撃を行うキャスバルに対してアイナとシローは連携で対応している。俺が研究所にこもった2,3ヶ月でここまでとは恐れ入る。

 

『くっ、やってくれる! だが、やられはせん!』

『くそっ!』

『シロー!』

 

 流石にキャスバルに2人は叶わないのだろうが、これからどんどん鍛えていけばいい。少し待ってキャスバルがこちらに来るのを待つ。ギニアスはアイナ達の元に向かった。

 

「待たせたかね」

 

 少しするとララァを連れたシャアがやって来た。ララァはシャアに付き従っているようだが。

 

「いや、大丈夫だ。それでアルテイシアの事なんだが……」

「アルテイシアの事だが……」

「どうするつもりだ?」

「彼女にはガルマの嫁になってもらう」

「おい、貴様っ」

 

 シスコンのキャスバルが俺の服を掴んでくる。

 

「待て、これはジオンが1つになる為に必要な事だ。ダイクン派とザビ派が統一する為には古来から用いられている政略結婚が重要だ」

「ぐっ……」

「どうしても嫌ならお前がキシリアと結婚してもいいぞ?」

「そ、それは……」

「しゃ、シャア……」

 

 キャスバルの服をつまんで不安そうにしているララァ。

 

「そ、相談する。時間をくれ」

「任せた。こちらは兄貴を説得するからな」

「父親は無視か……」

「どうせ消えるのだからな……では、出来る限り早い段階で返事をしてくれ」

「わかった」

 

 さて、後は兄貴の説得だな。まあ、こちらは大丈夫だろう。兄貴も理解しているはずだ。もし、理解していないなら……悪いが排除させて貰う。

 

「く、黒いです……この人、危険です……」

「知っている。それに我々の……ジオンの味方だ」

「はい」

 

 おっと、思念が漏れていたか。気を付けないとな。

 

「おう、兄貴」

「ドズルか、どうした?」

「ちょっと聞いてくれ。実は士官学校の生徒であるゼナとな……」

「付き合っているのか?」

「ああ、知っていたのか。それで結婚しようという話になってな……ギレンの兄貴を説得するの手伝ってくれ」

「いいぞ。どうせキシリアかガルマにダイクンの子供と結婚してもらうつもりだ。問題無い」

「え? 生きてたのか?」

「そうだ。既に確保した。いい加減、ザビとダイクンの軋轢を解消する。任せておけ」

「わかった。頼むぜ。それでよ、話は変わるが研究班が開発したビグザムを貰っていいか?」

「結局作ったのか。構わないから持っていけ」

「助かる」

 

 後少しで本国であるジオン公国に到着する。向こうに付けばハマーン達も12歳になるし、結婚してしまおう。戦争になる前にしておいた方がいいだろう。ついでにドズルやガルマの結婚式も行えばいいだろう。これで士気も上がるだろうしな。ああ、親父には連邦の暗殺という形で死んでもらおう。

 

 

 

 

 

 ギレン

 

 

 

 執務室で1人、サスロの報告を聞いて私は考える。

 

「ふむ。確かに効率的ではあるな。我々スペースノイドの地位確立の為には重要な事だ。地球連邦との戦いは電撃作戦でしか勝ち目が薄いのも事実。確執が無くなるならばその方がいいだろう」

 

 結婚式の前に父上には病死して貰おうか。いや、毒で衰弱させてキャスバルに止めをささせた方がいいか。結婚式の後にでもな。アクシズの連中は私がいうのもなんだが、本当に逝かれている連中が多い。サスロを筆頭にしてだが。連中は真にジオンの為を思ってくれているのだし、今回の案は素晴らしい。ダイクンは排除せねばならなかったが、今のジオンならば問題無い。それと活躍した奴等に褒賞を与えねば。特にサハリン家の事なども手を出した方がいいな。

 

「しかし、随分と甘くなったものだな、私も。だが、悪くはない。全てはジオンとスペースノイドの為に。ふむ。どうせなら国をあげて結婚式をするか……地球連邦も招待し、結婚式の終了と同時に暗殺させるというのも素晴らしいか」

 

 秘書に連絡を入れて準備を行わせる。サスロが送ってきた金髪の子供だが、優秀で使える。

 

「ギレン様、予算と式場の手配が終了しました」

「うむ。ついでに軍監などを動かして不正を行っている奴とスパイ共を排除しろ」

「了解。排除した後の指示は……何時もの通り」

「そうだ」

「了解。任務を開始する」

 

 不正を行っている物は捕縛した後、資産を没収して強制労働かアクシズへの実験体行きだが、スパイは脳をスキャンし、身体情報を記憶してから生産プラントの資源に変換する。定時連絡の方法などが分かれば身体情報から読み込んで作成した偽物の映像が受け答えをしてくれる。既に何人も処理しているから手際は疑っていない。まあ、脳をスキャンすると死んでしまうのが難点だがな。

 

「さて、私は演説内容でも考えておくか」

 

 しかし、軍部の事をほぼ考えないでいいのは楽だな。サスロに任せておけばいいというのは気が楽だ。ドズルもキシリアも仲が悪いから任せきる事ができない。ガルマはまだ幼い。そう考えるとサスロが居てくれて助かったな。感謝の気持ちも込めて式は盛大にしてやるか。

 

 

 

 

 

 



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ハマーン様、決意する!

 

 

 ハマーン・カーン

 

 

 

 私はセラーナとマリナと一緒に見つけた本の通りサスロ様にご奉仕した。眠っているサスロ様の、その、アレを舐めたりしたの。起きたサスロ様は混乱していたけど、そのままマリナとセラーナと一緒に押し込んだ。シーマさんに相談したらその方がいいって言ってたし。これと同時に毎日皆で好きや少女好きと耳元で囁き続けた。すると数ヶ月後には抵抗しなくなって身を任せてくれた。更に時間が経つと手を出してくれるようになった。最後まではしてもらっていないけど。

 

「さて、会議を始めます」

「うん」

「議題はこの子達についてです」

「よろしくお願いします」

「よろしく」

「ん」

 

 新しい3人の女の子。サラとフォウ、ステラ。特にステラはサスロ様にべったり。強化された弊害だと聞いている。でも、上下関係はしっかりと教え込まないといけない。というわけで色々と話していく。すんなりと私とマリナの言うことは聞いてくれる。そのように最低限、調整されているらしい。

 

「じゃあ、後はよろしく。私はちょっと連絡してくるから」

「任せる」

 

 私は部屋から出て通信室へと向かう。途中で兵士に合うけど私は基本的に顔パスなので気にせずいける。通信室に着いたら本国に通信を入れて要件を伝えると直ぐにある人が映し出される。事前にマリナを通して連絡を入れてある。本当にシスターズネットワークは便利だよね。

 

「ギレン様、この度は……」

『必要ない。これからお前もザビ家の一員になるのだからな。それで、要件はなんだ?』

「はい、サスロ様と戦争前に結婚する為に戸籍を少々弄って欲しいのです」

『ふむ。確かにその方がいいか。戦時中により特例で認めるつもりだったが、よかろう。こちらで処理しておく』

「お願いします。それとマリナ達の事も……」

『アレは無理だ。戸籍を弄るにも元が無い。用意する為に動いているが、時間が掛かる。まあ、戦争となれば戸籍の習得は容易い。実績を上げさせれば特にな』

「分かりました」

『それとお前にはサスロが暴走した場合、止めて貰いたい。必要ないとは思うがな』

「もちろんです。夫を正すのは妻の役目ですから」

 

 今のアクシズの技術力の進歩とか、はっきり言って異常だってお父様が言っていた。倫理観も無視してひたすら技術的発展を行なって来たアクシズ。本国から送られて来た軍人を進歩した技術で作成された兵器に慣れさせてそのデータを元に新たな機体やシステムなどを高速で作成し、修正していく。ジェミニのお陰でもあるらしいけど、一週間ごとに技術が更新される魔窟アクシズと言われているのはサスロ様を筆頭にした科学者達のせいだと思う。そんな人達が暴走したら大変な事になるってわかってる。

 

『では、そちらはよろしく頼む。私は準備をしておこう』

「よろしくお願いします」

 

 通信を切って私はサスロ様の元へと向かう。サスロ様は今、モビルスーツを作っている。作っているモビルスーツはジオンを象徴する物らしい。

 

「サスロ様」

「ハマーンか、どうした?」

「はい。それがジオングですか?」

「そうだ。MSN-02ジオング。高機動タイプだ」

「足は無いんですか?」

「足は飾りだ。それが偉い人には……」

「え? サスロ様は偉い人ですよね?」

「そうだな。うん、なんでもない」

 

 脚部を無くし、高機動ブースターやスラスターを増設して宇宙空間専用の機体として作られているみたい。それにサイコフレームも搭載しているみたい。そのせいでザクより5メートル以上も大きくなっているとの事。

 

「ファンネルは装備させないんですか?」

「させるさ。首、胸部、腰、両腕が分離し、ファンネルの代わりになる。ある機体を参考にしたが、扱いは難しいだろうな」

「面白そうですね」

「乗ってみるか?」

「いいんですか?」

「ああ。どうせ他にも色々と機体は作っているからな」

 

 どれだけ作ってるんですか……ここの技術者達はやっぱりおかしい。

 

「これの他には何を作ってるんですか?」

「今、作成しているクローンの子専用機としてクィン・マンサと俺の親衛隊で使おうと思っているサザビーだろ。あと、俺専用機としてシナンジュを作成している。シナンジュは間に合わないだろうけどな」

「……よく作れますね」

「俺は概要を教えれば後はシスターズがジェミニを使って優先して作ってくれる。こちらに数十人は割いているからな」

 

 よく考えたら、ジェミニにアクシズの全技術が集積されて効率化良く強化、運用されているんでした。それらを余すことなく利用する事ができるシスターズが作り出す機体はアクシズの全技術を収束させた機体という事だし、おかしいのは納得できちゃった。

 

「凄いですね」

「ふふふ、どうだ素晴らしいだろう!」

「ええ、ですが……私の専用機は?」

 

 服を掴んで上目遣いで見上げてみる。

 

「うっ……ハマーンには俺と同じ機体をあげるからな」

「シナンジュですか?」

「うむ。キュベレイも考えたが、アレは機体性能が……火力が低いからな」

「セラーナやマリナには?」

「セラーナにはゼロ・ジ・アールとノイエ・ジールの後継機α・アジールを用意する予定だ。マリナはシスターズが居るから適当にだな。むしろ、専用の戦艦を作成している」

「戦艦ですか?」

「そうだ。俺達の旗艦になる」

「それは楽しみですね」

 

 マリナ専用の戦艦……絶対に普通じゃないです。

 

「サスロ元帥、ギニアス技術将校より通信です」

「む、ギニアスか。繋げ」

「はっ」

 

 ギニアスさんが興奮した状態で満面の笑顔をしていた。絶対にへんな事があった。

 

「どうした?」

『聞いてくれ親友よ! 遂に完成したぞ!』

「何がだ?」

『アプサラスだ! アプサラス!』

「いや、あれは既に完成しているだろう」

「ですよね」

 

 確か、Ⅲまでテストを行なって残りは地球で行う事になっていたはず。

 

『アプサラスⅣだよ、Ⅳ!』

「待てこら! お前、確かコロニーレーザーやソーラ・レイに変わる地球攻撃用兵器の設計を任せていたよな。コロニー落としをしない為に」

『うむ。だから作ったぞ! 小惑星を丸々アプサラスに改造し、大型化に次ぐ大型化で超長距離射撃が行え、計算上の威力は艦隊を一撃で呑み込み、背後の拠点を攻撃できるのだ!』

「エネルギーと操縦はどうする気だ!」

『シスターズを使い、サイコミュでほぼ全自動で行う。材質にもサイコフレームをふんだんに使用しているからな』

「データの更新が早いと思ったら……」

『既にサイコフレームの小型化を行えるだけのデータは集めたぞ。今、ジェミニが設計図を作成している。まあ、あれだ。起動実験を行うから、シスターズを貸してくれ。何、100人くらいで済む』

「100人って、全体で397人しか居ないのだが……まあ、使えなければそれまでだしな。本国にこれ以上近づけば実験もそうそうできんか」

「あの、あの大きさでモビルアーマーなのですか? もう、そんなレベルじゃないですよね」

「だな。機動要塞だよな」

『当然、動き回るからな。大量のスラスターやブースターが取り付けてある。問題は太陽光をエネルギーとして使って撃つからな。太陽光が当たる位置にあれば連射とはいかないまでも短い感覚で撃つ事ができる』

「まあ、しばらくは使用禁止だな」

「ですね」

『何故だ!?』

「被害を考えてください、被害を!」

『くっ……まあ、いい。切り札はあった方がいいだろう。それに内部にはモビルアーマー工廠もある。生産拠点としても使える』

 

 本当にギニアスさんはとんでもないな。病気が治ってから精力的に働いていると思ったらこれだし。アイナ、大丈夫かな?

 

「なら、こっちの開発を手伝って貰おうか」

『わかった。私の副官にグレミー・トトというのも連れて行く』

「グレミーか、わかった」

『うむ。そちらで開発中の機体にえらく興味をそそられたらしいからな。っと、そろそろ時間だ。私はこれからアイナと食事をしてくる。では』

「ああ、行ってこい」

「いってらっしゃい。アイナによろしくお願いします」

『うむ』

 

 ギニアスさんとの通信が終わって、サスロ様が何とも言えない表情をしている。

 

「大丈夫なんですか?」

「ああ、問題無い。それに開発が加速するしな」

「そうですか……あっ、一つお願いがあります」

「なんだ? 俺にできる事ならできる限り叶えてやるが……」

「じゃあ、私とセラーナにもニューロチップを埋め込んでください」

「ニューロチップを?」

「はい。これからできる事はしておきたいです。戦争になるのですから、使える技術は使わないと」

「わかった。セラーナも納得しているならいいだろう。俺もここをギニアス達に任せられるなら一緒にニューロチップを付けても大丈夫だろう。それに2人や皆にだけ危険な事をさせるのも問題だからな」

「サスロ様……ですが、それは……」

「大丈夫だ。いざとなればスキャニングしてクローンを作成するようにジェミニに指示を出してある。何の問題も無い」

「はい」

 

 スキャニング? また変な技術が……魔窟すぎよ、アクシズ。それから、私とセラーナもサスロ様と一緒にマリナ達、シスターズにニューロチップを取り付けてもらい髪飾りを貰いました。ツインテールにはこれでしようと思う。ニュータイプ能力の底上げもできたのでより強力になれた。それにしても、脳内に高性能コンピュータがあるというのは非常に便利だった。テストも楽チンだし。それに身体も強化してもらえたので無茶な軌道もできるようになったらしい。これで戦争は勝てるはず!

それと聞いた話では既に科学者の人達は殆どニューロチップを装着しているらしい。ジェミニの子機として技術の収束とそれによって起こるブレイクスルーの為に大喜びらしい。本当に怖い。私達がしっかりしないとアクシズは魔王城みたいになってしまう。

 

 

 

 




巨大機動要塞型モビルアーマー・アプサラスⅣ!
量子コンピュータとサイコミュ装置をふんだんに使用した決戦兵器!
強力なニュータイプがおらず、人力で動かすには1万人ほど必要だという変なモビルアーマー。無論、バスタービットも完備しており、自力でエネルギーチャージの時間を稼ぐというとんでも仕様。ミーティア? なにそれってレベルの兵器です。
ごめんなさい、やり過ぎですよね。でも、大型兵器って破壊される運命なのです。撃っても1、2回が限度なのでよ!


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はにゃーん様、結婚式と襲われるの巻

 

 

 

 

 

 宇宙世紀78年、12月後半。アクシズ及びアクシズに連結された多数の小惑星群がサイド3に到着した。後発部隊として拿捕したジュピトリスを量産し、資源の移送を行っている。何より、アプサラスⅣによる小惑星の牽引を行って大量の資源をサイド3へ持ち込む予定だ。予想以上の高スペックであるアプサラスⅣを使ったとんでもない輸送計画である。まあ、キシリアより提案された時は驚いたが補給は問題無いという事だ。

 さて、ジオン本国に到着したのだが、既に俺とハマーンの結婚を始め、色々と情報を出して式の準備が整っているので直ぐに式典を始めた。こちらに来るまでにハマーンのウエディングドレスなど必要なものは全て用意したしな。

 そして、今は代々的にギレンの兄貴がテレビの前で情報を流している。

 

「諸君、本日は皆に目出度い知らせを行う。ジオン・ズム・ダイクンとトア・ダイクンの遺児、キャスバル・レム・ダイクンとアルテイシア・ソム・ダイクンが見つかった」

 

キャスバル達の事から始まり、ガルマとアルテイシアの事に移っていく。彼らが本物である事もDNAの証明書付きで表示し、経緯などを嘘と本当を織り交ぜて本当の事として話していくギレンの兄貴。

 

「我が弟、ガルマ・ザビとアルテイシア・ソム・ダイクン。サスロ・ザビとハマーン・カーン、セラーナ・カーンが本日、結婚しジオンは一つになる。これはジオンの栄光への道の始まりである!」

 

人々を先導するのは流石だ。世界中に発信されたこの言葉でジオンが一つになったと思われるだろう。実際に今までの功績を反映していなかったダイクン派達にも利子をつけての昇進や昇給を与えている。優秀な人材はどんどん上に行けるという事だ。これはアースノイドやルノリアンも同じだ。

 

「若輩であるが、私も皆と力を合わせ今は亡き父の残したスペースノイドの自治の為、力の限りを尽くす事を約束しよう」

 

キャスバルにマイクが代わり、彼も演説をしていく。そして、この件の最後には2人で熱い握手を交わす。

 

「あの、これからお願いしますね」

「ああ、任せてくれ。僕は君を全力で幸せにしてみせる」

「はい」

 

アルテイシアとガルマ2人の仲も問題無いようだ。アルテイシア自身も生き別れた家族であるキャスバルと再開し、怯えながら隠れて暮らす事も無く堂々と本来の名前を名乗れる環境を手に入れた事と、ガルマの優しさに触れて満更でもないようだ。それにジオン国民の為だという事もあるしな。

 

「サスロ様」

 

声に振り返ると純白のウエディングドレスを着たハマーンがやって来た。その後ろにはセラーナや成長したステラ達も居る。ハマーンや俺にニューロチップを埋め込むついでに流石にプル達と同じ10歳くらいには成長させた。これから戦争をさせるのだから一桁では長時間の戦闘に支障ありという事が技術部からデータが提出されたからだ。強化した肉体とはいえ限度があるのだ。コクピットやパイロットスーツも成長に合わせて規格を変更しないといけないという問題もあるしそれに合わせて成長しにくくなるように調整しておいた。老化遅延の技術だが問題無いだろう。

 

「綺麗だ、似合っているぞハマーン、セラーナ」

「あ、ありがとうございます」

 

髪の毛を下ろして純白のウェディングドレスに身を包んだハマーンとセラーナは凄く可愛かった。褒めてやると真っ赤になって俯くのもまたいい。姉妹同時に娶るというある意味では凄い事を行うのだ。

 

「ステラも着たい」

「あ、私も」

「確かに着てみたい」

「うん」

 

ステラ、セラーナ、フォウ、サラの順に同意していく。セラーナを除く彼女達もドレスだが、マリナだけは何時もの軍服を着ていて周りを警戒している。今回の式典には地球連邦からも人を呼んでいるのだ。

 

「マリナ、準備は?」

「問題、確認できず。全て順調と判断。ネズミも把握」

「ネズミ、嫌い。潰す」

「ステラ、ネズミの意味が違うからね」

「?」

「この場合はスパイって事だよ」

「スパイ……敵、潰さなきゃ」

「間違ってはいない」

 

物騒な会話だと思うが仕方ない。何が起こるかわからないのだ。そんな事を考えていると2人の演説が終わり、本格的な結婚式へと移っていく。主役である俺とハマーンはマリナ達を連れて式場へと向かう。

ズムシティに作られた巨大な礼拝堂でカメラが入った前で、俺とハマーン、セラーナは神父の言葉に誓って口付けを交わす。その次にガルマとアルテイシアだ。俺とガルマは互いの相手をお姫様抱っこにして外に出て国民全てに夫婦になった事を示す。俺は片手に一人ずつ。ガルマは両手でだ。ガルマに関してはパワーアシストを使っているが。

 

「おめでとう」

「ありがとうございます」

「ありがとう、父様」

「2人が同時に行くとは驚いているよ」

「私もお姉ちゃんと同じがいいからね」

「セラーナは本当にお姉ちゃんっ子だな。サスロ様、2人をよろしくお願いします」

「ええ、任せてください」

 

名前に関してはセラーナはそのままカーン家の性を名乗る。カーン家の跡継ぎが居なくなるからだ。何れは俺がそっちに行ってもいいが、今はまだザビの性の方が都合がいい。

それから挨拶回りなどを行ってその日は帰った。

初夜という事もあり、今日は2人だけだ。充分な愛撫をして楽しませて貰った。ハマーン達によってロリコン化された俺は途中から野獣になってしまってハマーンとセラーナがヘルプを呼んだ。ヘルプで呼ばれたマリナ達ともした。同人とかでプル達とやってる奴も居るんだ、うん、問題無い。

 

 

 

 

 

ハマーン

 

 

 

 

 

 男は獣という事を身を持って知ってしまった。よく考えたらあんな大きな身体を持つサスロ様に私とセラーナだけで挑むのに無理があった。私達はまるで玩具のように好き勝手に動かされてしまうし。だからさっさとニューロチップを通してマリナ達にヘルプを要請して乱交にしてもらった。絶倫だったサスロ様を相手にシスターズも投入して頑張った。やっぱり、戦いは数ね。

 

「ん~~っ!?」

 

サスロ様の体液塗れで寝ていたベットから起き上がると、アソコがジンジンして痛い。痛みを我慢して周りを見渡すと凄い事になっている。まさに獣……ううん、魔獣やケダモノに間違いない。

 

「でも、攻略完了と」

 

隣で寝ているサスロ様の頭を撫でた後、キスをしてから痛みを我慢してベットから出る。広い特注のベットなので他の子を起こさないように慎重に外に出る。

 

「目覚めたか」

「おはよう、マリナ」

「おはよう、ハマーン」

 

部屋の隅で背中を壁に預けて居るマリナ。服装は私と同じく裸で身体から液体を出しているけど気にせず武器を構えて警戒している。

 

「どうしたの?」

「今、追加の人員を呼んでいる。それまで警護は私との任務」

「ありがとう。でも、まずはシャワーを浴びて着替えようね」

「しかし……」

「綺麗な姿でサスロ様を起こした方がいいから」

「了解。シャワーを浴びる」

「じゃあ、一緒に浴びよう」

「その方が早い。合理的だ」

 

マリナと一緒に身体を洗って綺麗にする。やっぱり身体は痛いので着替えてからナタリーの所に向かった。

既にお昼くらいにはなっていたのでナタリーは起きていた。ナタリーは私の専属技術者件お姉ちゃんだ。

 

「ナタリー、痛み止め頂戴……って、居ない。仕方ないか……でも、用意はしてくれてる」

 

流石、ナタリー。助かる。彼女が用意してくれていた痛み止めを飲んで外に出る。ご飯の準備くらい妻がした方がいいしね。

 

外に出てタクシーに乗って買い物に向かう。到着すると向こう側から複数の男性が止まった車から降りて歩いて来た。その内の一人は見覚えがある。穏やかそうな外見でとてもハンサムな人だ。でも、外見とは違って中は真っ黒かな。

 

「これはこれはハマーン様ではないですか」

「貴方は地球連邦から来た特使の方ですね」

「はい。実に丁度良かった。ハマーン様、実は貴方に折り入ってお話しがあります」

「どのようなお話しでしょうか?」

「ええ、平和についての大事なお話しです。軍部を司るサスロ様の妻である貴方に是非とも聞いて頂きたいのです。貴方方の為にもなりますし、これから何処かに行かれるご様子。どうぞお送りいたします」

 

嘘臭い。というか、送るというのは嘘。小娘だから与し易いと思ったのかな。考えてる事も私を虜にしてサスロ様を操ろうとしているみたい。うん、俗物だね。さて、私の取れる選択肢は多くない。無理矢理車に連れ込まれる。他の人の迷惑にもなるし、抵抗はしない方が被害が少なくなる。普通ならどうしようもないんだろうけど……サスロ様の妻である私を見くびってもらっては困る。

 

ジェミニにアクセス。緊急事態により各種項目をスキップ。遠隔操作でプロトタイプ・キュベレイを起動。サイコミュシステム起動。試作型ファンネルを……これはまずいから試作型ソードビットをコロニー内部に放出。必要項目全てスキップ。

 

緊急シークエンスを発動させたからジェミニが録音や追跡など全部やってくれる。アクシズの技術力とサスロ様認定、ニュータイプレベル9を甘く見ては駄目。

 

「それでは参りましょうか」

「はい」

 

車に乗ると直ぐに動き出していく。

 

「我々が掴んだ情報ではまもなくジオン公国は戦争を始めるそうですね。我々地球連邦と30倍以上の差があるというのに正気とは思えません」

「そうですか? 詳しい事はわかりませんが、勝機があるから戦うのでしょう。それに連邦政府が融和策を行えば変わると思いますよ」

「いえ、ジオンの上層部はモビルスーツなどという玩具に夢を見ているのですよ。貴方のような美しいお嬢さんが戦争で悲惨な目に遭うのは耐えられない。是非とも私に協力して頂きたい」

 

顔を近づけてくる男性。何時、消そうかな。いや、生かしておいた方が価値がある? どうなんだろ。わからないならわかる人に聞けばいいよね。という事で、マリナ。ジェミニ経由で接続お願い。

直ぐに繋がって事情を理解した人から指示を貰う。私はその通りに話しながら学んでいく。

 

「ありがとうございます。それでも私のような小娘には止められませんよ」

「ええ、戦争を止めるのはこちらで行います。貴方には軍の配置状況を教えて頂くだけで構いません」

「分かりました。平和の為なら仕方ないですね」

「ええ。それとこれを差し上げましょう。楽しくなれる道具です」

「ありがとうございます」

 

私は手を差し出して握手して貰う。気持ち悪いけど、サスロ様の為、ジオンの為に我慢して耐える。だから、だから、私に全て見せろ、俗物!

 

「そういえば、連邦軍はどのような所に配置しているのですか? 戦争が起こると分かっているなら準備はしていますよね」

「はい。それはもう。月基地を拠点にしております」

(本当は既に迂回してサイド3左側奥にあるデブリ帯に隠れて艦隊が布陣している。こいつの情報さえ有れば直ぐにでもジオンを落としてやる)

 

ふーん、実験台には丁度いいかな。

 

「ありがとうございました。それでは私は戻りますね」

「まあ、待ってください。手伝ってくれる御礼を差し上げますよ」

「御礼、ですか?」

「ええ、あんな男よりとっても気持ちよくしてあげますよ」

「結構です、俗物」

「え?」

「要らないと言ったの。さっさと汚らわしい手を離せと言っている」

「小娘、貴様っ」

「これはセクハラですよ」

「ふふふふ、いいだろう、そっちがその気なら」

「あっ!?」

 

私は押し倒されて服を掴まれて破かれる――前に告げてあげる。

 

「ジェミニ、これより防衛に入る」

「なに? 頭でも狂ったか? あんな木偶の坊に抱かれるような奴だから――」

「刺し貫け」

 

車の天井や壁、ガラスを貫いてビームで作り上げた刀身を持つソードビットが侵入してきて男達を突き刺す。特使の男も腹部を刺し貫いてやった。

 

「ぐっ、ぎゃああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「これが血か……命を消すっていう事も早めに覚えた方がいいよね。安全な今なら」

「ぎ、ぎざま、これは……がっ!?」

「っ!?」

 

車に衝撃が走ったかと思うと急停止した。前の方を見ると大きな槍を上からボンネットをへこませながら突き刺しているマリナの姿が見えた。

 

「くそっ!?」

 

黒服の男達が銃を取り出して私に向けようとする。その瞬間、複数の場所から銃弾が撃ち込まれて貫かれる。一人か二人は私はもソードビットで殺した。身体は震えるけれど、殆どの操作をジェミニに預けているので、作戦に従って効率よく制圧してくれる。

 

「き、貴様ら、私にこのような事をしてっ、ただで済むと……」

「それはこっちのセリフだな」

 

言葉と同時に車の穴だらけの天井が吹き飛んだ。

 

「人の女に手を出そうとして生きて帰れると思うなよ」

「サスロ様っ!!」

「がっ!?」

 

私はソードビットをぶつけて男の下から抜け出してサスロ様に向かって飛び出す。サスロ様は私を優しく抱きしめてくれる。

 

「無茶しすぎだぞ、ハマーン」

「ごめんなさい。でも、場所はわかったよ」

「助かったが、今度からはせめてマリナをつけろ」

「わかった」

 

私の頭をクシャクシャと力強く撫でてくれる。やっぱり、男の人は守ってくれるくらいたくましくないと。

 

「お、お前達は終わりだ!! これで戦争は回避されない!」

「それがどうした。なあ、ハマーン」

「うん、もう準備できてるしね。あ、アイナ聞こえる?」

『聞こえてますよ』

「準備は?」

『出来ています。シローが座標をくれって言ってます』

「うん。エリア56ポイントX1356Y365に地球連邦軍の艦隊が隠れてる」

「なっ!? ば、馬鹿なっ!!」

『了解。シロー』

『入力は終わった。元帥閣下、指令を』

「撃て」

『『了解。発射シークエンス開始!』』

 

楽しそうにシローさんとアイナの声が聞こえてくる。

 

「な、何をしているっ!?」

「お前にも素晴らしい情報を見せてやるよ」

 

そう言ってサスロ様がアプサラスⅣの映像を見せてあげた。それも主砲を放つ所を。

 

「なっ、なんだこれは!? ま、まさか……」

「わざわざ敵しかおらず、民間人も居ない場所に布陣してくれているんだ。こちらから攻めて無駄に兵力を下げる必要もない。なら、まとめてご退場願うだけだ」

「うん、そっちの方が効率的だよね」

『それと貴様の痴態は全世界に放映した。同時に我々は地球連邦軍に対して宣戦布告を行なった。国民も怒りの感情が高まってくれているからな。こっちが用意した手段が無駄ではないか』

 

ギレンお兄様が通信に苛立ちながら割り込んできた。

 

「ジェミニより通達。別のプラントを提示」

『ふむ。なるほど、どうせ死んでもらうなら父上にも役に立って貰うか。ジオングは完成しているのだろうな?』

「もちろんだ。副座式にするのか?」

「イエス。前線に単騎で突入して貰い貴重なデータを得ます。その後、全メンバーに送信。より安全な性能アップがはかれます。なお、同乗するのはシスターズ1体で充分です」

『サスロ、これはそちらの領分だ。任せる』

「了解。技術班に連絡……いや、この際だ。アレを試すか。ニュータイプ研究班に連絡して生体兵器ポットの準備をさせろ。父上には文字通り、ジオンの守護者となってもらおう」

 

黒いです。真っ黒です。こんな小物よりもよっぽど身内の方が怖い。

 

「さて、それじゃあ戦争を始めようか」

「遂に、ですね」

「ああ、そうだ。数十年に渡って準備してきた未来を勝ち取る為の戦いを開始する」

 

私とセラーナのつなぎ用として作成されたプロトタイプキュベレイ、正式名称クインテット・キュベレイで沢山倒して皆を守ろう。そして、サスロ様が作り出したジオンの、アクシズの技術力が世界一だと連邦軍に教えてあげる。

 

 

 

 

 




ただのキュベレイじゃ面白くありませんって事でクインテット・キュベレイですよ。
このキュベレイは元々、量産型キュベレイを改修してシュペール・サイコミュ・システムという1人のパイロットで複数のMSを制御するシステムを搭載した人数が少ないジオンには持って来いの技術です。パイロットは本機をマスターMSとして、サブユニットを積んだ4機の量産型キュベレイをファンネルに見立て思念誘導するというとんでも技術!! しかし、パイロットには異常な負担がかかるため再三にわたって暴走事故を起こし、パイロットが廃人となったため計画は放棄された計画です。
いきなりこれは大丈夫かと思われるかも知れませんが、これ、シスターズシステムとほぼ同じなんですよね。一人で無理なら並列で。という事で姉妹で同じニュータイプになり、強化を受けたハマーンとセラーナの二人なら扱えると思います。膨大な情報の処理はニューロチップが処理しますし、それでも足りなければシスターズとジェミニが処理してくれます。という事で、いきなりこちらにしました。

現在、決まっている機体。
サスロ:大型ササビー(?)未定
ハマーン+セラーナ:クインテット・キュベレイ
マリナ+シスターズ:ゼロ・ジ・アール+ノイエ・ジールⅡ
ステラ:未定
フォウ:ゼロ・ジ・アール
サラ::高機動型ゲルググ
ガルマ:試作型ザクⅢ
マリオン:シュネー・ヴァイス
キャスバル:ノイエ・ジールⅡ
アイナ:ビグザム
シロー:ノイエ・ジール
ノリス:ノイエ・ジール
ガトー:ノイエ・ジール
デギン+シスターズ:グレート・ジオング
ドズル:ビグザム

ステラに何乗せよう!!


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さあ、私達の戦争を始めよう





 

 サスロ

 

 

 

 さて、こちらも事前に準備をしていたので早速、演説を行なった後、出撃した。ハマーンとセラーナの二人に演説させたら、はにゃーん様になっていた。マントとかも着せたからだが。それと軍部ではマスコットやアイドル扱いを受けだしている。

 さて、そんな事は置いておいて、今は月へとアプサラスⅣに乗って目指しているのだが……やはりぶつかるか。

 

「サスロ様……」

「ああ」

 

 月から圧迫するようなとんでもないプレッシャーが掛かってくる。このままではマズイ事になると直感が告げている。

 

「サスロ、これは作戦を変更した方がいいかもしれんぞ」

「そうだな。全軍に通達。本作戦を一時中断する。第一種戦闘態勢を発令するように」

「はっ」

 

 キャスバルの言葉に賛同して指示を出す。

 

「マリナ、直ぐにジェミニに不確定要素を織り込んで再計算させろ。それとアプラスⅣの主砲を含めて全てチャージさせろ」

「イエス、マスター。主砲のチャージは既に完了。それ以外、7割が完了」

「わかった」

 

 本来の作戦では高機動部隊の遊撃隊と本隊に別れて攻めるつもりだったが、これは止めた方がいいな。出来る限り被害を最小限にしてグラナダを制圧したかったが、諦めるとしよう。

 

「再計算終了。主砲を発射後、攻撃を仕掛ける。不確定要素として、ジェミニから月面に未確認機器の存在を確認との事」

「未確認機器か……調べられるか?」

「データが不足。プロテクト強固、時間必要」

「なら仕方ないか。準備が出来次第撃つ。ギニアスに繋いでくれ」

 

 アプサラスⅣの工場に居るギニアスに連絡を取る。そこではサザビーとクィン・マンサの開発が行われている。アクシズでは完成しきれなかったのだ。

 

「ギニアス、そっちはどうだ?」

『クィン・マンサに関してはプロトタイプが完成した。サザビーは調整中だ』

「出来る限り急いでくれ。それとプロトタイプのクィン・マンサに関してはステラを乗せる。一応、副座式にしておいてくれ。サザビーが出来るまでそちらで出る」

『了解した。それは直ぐに出来るからな』

「頼む」

 

 ギニアスとの通信を終えて、俺達は新たに提示された作戦の準備を行う。

 

「ハマーン達は先に向かっていてくれ」

「わかりました。セラ、ステラ、行くよ」

「うん」

「はい」

 

 残ったキャスバルと別働隊再編の話を行う。ドズルも呼んでだ。

 

「兄貴、もう一つ部隊を作るんだよな?」

「ああ。月面の裏側に艦隊のような熱源を確認した。そちらをドズル、ガルマを連れていってくれ。マリオンやフォウ、サラを付ける」

「わかった」

「私はこちらでいいのか?」

「ああ。奴が出てくるならガトー達も入れて確実に倒す」

「了解した」

 

 配置が決まり、準備が終われば戦争を開始する。その為に全軍に通信を開く。

 

「諸君、いよいよ待ちに待った時が来た。地球連邦は宇宙世紀が始まった時、宇宙に適応した新人類に対する権利を約束するという事を誓ったのにそれを履行していない。それどころか、連中はテロに見せかけてそれらを有耶無耶にし、我々を虐げ搾取している。このような事は断じて許されてはならぬ。今こそ我らは立ち上がり、愚かなる地球連邦に鉄槌を下し、くびきを引き抜き真の自由を得て新人類へとなろう。我々が求めた聖戦を始めよう。ジーク・ジオン!」

「「「「『『『ジーク・ジオン!!』』』」」」」

 

 至る所から歓声の叫び声が響く。

 

「裁きの光を放て」

「イエス、マスター。主砲、最大出力で発射」

 

 小惑星を丸々使って作られたアプサラスⅣの主砲、が全力で放たれる。その威力は凄まじく、グラナダを完膚なきまでに破壊する――はずだった。しかし、その一撃は光の壁によって防がれた。

 アプサラスⅣの攻撃を受け止めた物はこの時代には有り得ないはずの代物。ミノフスキー粒子をIフィールドで線ではなく面に展開したビームシールド。拠点防衛用として開発された物で小型化されてない事を願うしかない。どうやら相手は少なくともクロスボーンの時代の技術力を保有しているようだ。最悪の場合、俺と同じような存在が居るのかも知れない。

 

「解析完了。マスター、副砲の発射許可を」

「貫けるか?」

「問題無し」

「やれ」

「了解。誤差修正。収束砲撃による増幅を行う。発射」

 

 アプサラスⅣの他の砲門からもメガ粒子砲が発射される。計算されたそれらは主砲と合わさり、威力を増して光の壁へと命中し、ビームシールドに罅を入れていく。破壊できるのは時間の問題だろう。

 

「俺も出撃する。行くぞ」

「イエス、マスター。操作をシスターズに移行。完了」

 

 マリナを伴って格納庫へと向かう。途中で特注のパイロットスーツに着替えて走った。直ぐに開発部の格納庫に到着した。そして、目に入ったのは大きな機体。クィン・マンサのプロトタイプとして制作された黒い機体。

 

「ギニアス」

「来たか。セプテットはできていないが、これ単体でも充分に戦えるさ」

「そうか。ステラは?」

「あそこでグレミーに説明を受けている」

 

 見上げると、コクピット部分でグレミーとステラが楽しそうに話していた。俺とギニアスはそこに到着する。

 

「準備は出来ているか?」

「もちろんです。セプテットは所詮追加武装ですから、基本的にはこれで完成です」

「そうか、ご苦労だった。本来のパイロットももうまもなくロールアウトする。それに合わせるようにセプテットも急いでくれ」

「はっ」

「サスロ、早く行こ。ステラ、早く遊びたい」

「そうだな。ギニアス、サザビーを急いでくれよ。嫌な予感しかしない」

「ああ、任せてくれ。一応、アプサラスⅣは後退させておくぞ」

「それで頼む」

「うむ」

 

 コクピットに乗り込み、ニューロチップをジェミニに接続してクィン・マンサ本体に首に付けてある接続端子から伸びたコードを繋げる。それから動かし方をインストールする。ヘルメットは片側に置いておく。ステラもパイロットスーツは着ているが、ヘルメットは外している。

 

「ステラ、メイン操縦はお前だけだ。俺はあくまでサポートだから」

「うん、任せて」

「それじゃあ、行こうか」

「わかった。でも、その前に……んっ」

 

 ステラが口づけを強請って来たのでキスをしてから席に座ってシートベルトを締める。

 

「システム起動、ニューロチップ接続、ジェミニにアクセス……終わり。計器チェック開始……終わった」

「管制に報告だ」

「うん」

 

 ステラが次々に計器のスイッチを入れて起動させていく。その後、管制に連絡を入れてハッチを開いてもらう。カタパルトまで歩いて足をセットする。

 

『発信どうぞ』

「えっと」

「名前と機体名を言うんだ」

「じゃあ……ステラ・ルーシェ、クィン・マンサ、行く」

「サスロ・ザビ、出る」

 

 ハッチが開かれ、カタパルトが起動して機体浮き上がり、急激に加速して前に打ち出される。直ぐに周りを見ると指示した通りに次々とモビルスーツが出撃していく。

 

「ハマーン、セラーナ、お前達のザクを先行させろ」

『『はい!』』

 

 ドロスから大量のザクを改造したビットが放出される。それらを壁としてグラナダへと先行させる。アプサラスⅣの砲撃はビームシールドを破壊してグラナダの軍事施設に少なくない被害を与えた。

 

「『『来る!?』』」

 

 そして、破壊と同時に……連邦の白い悪魔が本当の意味で現れた。エースパイロット、アムロ・レイがガンダムに乗ってきたのだ。アムロから放たれるプレッシャーは凄まじく、もしかしたら逆襲のシャアの世界からの逆行アムロなのかも知れない。更にその背後には多数のジム。

 

「あの白いの、嫌い。ムカムカする。絶対、落とす!!」

「落ち着け、ステラ。アレは強い。生半可な手段では落とせない。冷静になれ」

「……うん……うん……我慢する……」

 

 ステラは殺された事を引き継いでいるのか? いや、わからないがどちらにしろ落ち着いてもらわないといけない。奴に殺させてやる訳にはいかないしな。

 

 

 

 

 



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連邦の白い悪魔

 

 

 

地球連邦軍高官

 

 

 

 ジオン軍の巨大な兵器の接近が確認された。ビームシールドが破られる保険も考えて地下深くにモビルスーツを移動させておいた。そのお陰でジオン軍の巨大兵器による攻撃でビームシールドは予想通りに破られた。ならばこちらも予定通り切り札を切るとしよう。

 

「全軍、これより我々グラナダ防衛軍はジオンに対する遅滞戦闘を行う。全艦主砲発射準備」

 

 私の声が響き、ドックに収められた艦隊が主砲を準備していく。

 

「ジオンにくれてやるくらいなら破壊して構わん。やれ」

 

 主砲によって塞がれた通路や天井を貫通させて大穴を開かせる。そこから切り札であるモビルスーツ隊を突撃させる。

 

「モビルスーツ隊、アムロ・レイ少佐を先頭に発進しろ」

 

旗艦のブリッチにあるモニターにコードの繋がれた黒いヘルメットを被った者達が映し出される。

 

『了解。アムロ・レイ、モビルスーツ隊出撃する!』

 

 大穴から宇宙へとガンダムを先頭に大量のジムが出撃していく。これで我が軍は無事に帰れる。

 

 

 

アムロ・レイ

 

 

 

「全員に告げる。敵のモビルスーツはこちら以上の性能を誇っている」

『事実なのでありますか?』

「そうだ。前線に居るザクはジムでも問題ないだろう。問題はゲルググやその他の新型機だ。各自、前のデータを渡していたが、上方修正しファイブマンセルであたれ」

『『了解』』

 

 この部隊に配属されてから、俺達は対モビルスーツ戦闘を徹底的に教え込まれてきた。5人で盾、攻撃、情報、支援、指揮と別れさせられた。少なくとも一般兵に負けるとは思えないほど訓練させられた。そんな集められた奴らの中で俺はトップクラスの実力を手に入れた。

 

『少佐、識別名、ザクが大量に来ます』

「了解した。これより俺が突っ込んで引っ掻き回す。お前達は乱れた所を殺れ」

『『はっ』』

 

 スラスターの出力をあげてガンダムで突撃すると同時に目の前に居る整然と整列したザクの軍団に違和感を覚える。

 

「なんだ、この違和感は……」

 

 整列したザクが順次構えたのはバズーカ。ザクバズーカであるなら単発なのだから恐れる必要も無いのだが……

 

「ちっ、全員散開しろ!」

 

 ザクが構えたバズーカが光った瞬間、直ぐに指示を出して回避行動に移る。次の瞬間には光の奔流が幾重にも放たれる。それも全て同じタイミングで面を制圧するような攻撃だ。まるで一つの意思に操られているような感じがする。

 

『第4、8、9、部隊全滅!』

『第12、65、73、89部隊も全滅しました!』

 

 報告を聞きながら嫌な予感がどんどん上がる。見れば、撃ったザクの後方のザクが、隙間からバズーカを出している。更に後ろのザクがバズーカを出している。微妙にずれこそすれ、それが5体1セットで数十体によってなされている。

 

『レイ少佐、いけるか?』

「中将、これはかなりきついですが……問題はありませ――」

『どうした?』

「高機動モビルアーマーが迂回してそちらに向かっています! 出るのを急いでください!」

『了解した』

 

 よもやノイエ・ジールすら生産に成功しているとは……ジオンめ、やってくれるな!

 微かなビームび隙間を回避行動を取りながら接近し、相手のビームバズーカを狙ってこちらのビームライフルを撃つ。連射する為に至近距離で配置されていたザクはビームでバズーカが誘爆し、周りごと吹き飛ばす。

 

「むっ、これは……」

 

 瞬時にザク達が散開しジム達に向けて砲撃を繰り返していくが、違和感の正体がわかった。

 

「無人機か! っ!?」

 

 遠方からビームが飛んでくる。回避と同時にただの兵士には避けられない絶対に命中する一撃を放つが、相手のゲルググはそれを避けながら高速で接近してくる。

 

「相手は俺と同じニュータイプか。いや、それだけではないな」

 

 ニュータイプとはいえど、拙い操縦の1機だけならば相手にならない。だが、飛来してくる複数の意思によって操られる無数の小型の自立型機動砲台によって操っているのが数人だと理解できる。更に突撃してくる巨大な兵器の存在が楽に勝たせてくれない。

 

『そこの白い機体よ! 私がお相手しよう!』

「ニュータイプじゃないな。何者だ」

『我が名はアナベル・ガトーだ!』

 

 何者かはわからないが相手に取って不足はない。ここで落とせばジオン軍の戦力を減らす事が出来る。

 

「っ!?」

 

 直ぐにシールドを上に向けて小型の自立型機動砲台の攻撃を防ぐ。すると強烈なプレッシャーが襲いかかってきた。

 

「この気配、何者だっ!!」

『ほう、私の気配を感じるか。君が何者かは知らないが、危険分子は排除させてもらおう』

「くっ……」

『ハマーン、セラーナ、ここは私達が引き受ける。君達はジムの始末を優先してくれ』

 

 これは厄介だ。だが、勝てない敵ではない。

 

「ザクが移動していく。操っているのはアイツか」

『何を安心している。お前はここで落とすと言っただろう。我々だけだと思わない事だ』

「何?」

 

 高速で飛来してくる物体を回避し、ビームサーベルで通り抜けざまに切ろうとするが、それからメガ粒子砲が放たれて慌てて回避する。それは他の物体と合体して一つの機体となった。

 

「……また新型か。ジオンは化け物か」

『これはグレートジオング。ジオンの象徴であり、我が父が乗っている。はじめまして、アムロ・レイ』

 

 続いて巨大機体が現れた。グレートジオングの次に緑の巨大な黄緑の機体。ジオンは本当に容赦していないな。作っている機体もそうだが、俺を潰す為にここまでの戦力を投入してくるか。

 

『俺はサスロ・ザビという。サラも含めてジオンの精鋭達だ。おとなしく武装を解除して投降してくれるなら悪いようにはしない』

「断る。その行動は参謀本部より許されていない。俺に出来るのは貴様らを殺すだけだ」

『……何?』

「そちらから出てきてくれるのはありがたい。ここで落とさせて貰おうか!」

『愚かな』

 

 バイオセンサーを発動させ、機体を加速させて黄緑色の機体に突撃する。胴部のメガ粒子砲が放たれる前に上昇して最初に現れた大型モビルアーマーにビームサーベルで斬る。

 

『速いっ!』

 

 残念ながらIフィールドで防がれたが、そのまま装甲を蹴って加速し、一番操縦技術の拙いゲルググに接近し、掴んでクィン・マンサに投げつける。赤い大型モビルアーマーから放たれた小型の自立型機動砲台をバルカンで撃ち落とし、グレートジオングと呼ばれた機体のビームを機体をずらす事で最小限の動きで避ける。黄緑色の巨大なビームサーベルが背後から迫るが、それを横にずれて回避。ビームライフルを首に添えて放つ。残念ながら身体を後ろに倒す事で回避された。だが、そのお陰で蹴って距離を取れた。

 

「しかし、こっちのビーム兵器ではどうしようもないな。何時までもこいつらの相手もしていられないが……本当にこのバリアが厄介だ」

 

 数センチの移動で2機の大型モビルアーマーから放たれるクローを回避してビームサーベルでまとめて切断する。

 

「仕留めきれないが、時間稼ぎはできるな」

 

 こちらのガンダムがもっと高性能であれば、どうにかなったのだが……これが限界か。先程の黄緑色の機体だって、あちらと同じ技術で作られたガンダムならば打ち取れたはずだ。

 

「中将、そちらはどうですか?」

『こちらは出る事ができたが、次々と落とされている。悪いが戦線を離脱する。レイ少佐も戻って来い』

「了解」

 

 仕方ない。大型モビルアーマーのスラスターだけ破壊してさっさと撤退するか。ゲルググと呼ばれる機体ならばむしろ追ってきてくれる方がありがたい。複雑な回避機動を行い、スラスターをバルカンで破壊。急いで戦域を離脱する。

 しかし、ただで逃がしてくれるはずがない。なのでコアファイターを分離させて機体を爆発させる。その風圧を加速に利用して離脱した。ガンダニュウム合金の散弾はさぞかし痛いだろうしな。

 

「特にゲルググをかばった黄緑色の機体は傷が大きいだろう。これで終わってくれると助かるんだがな……」

 

 全員に撤退命令を出し、俺達は離脱した。予想通りというか、遠隔操作されていたザクの動きが黄緑色の機体が負傷した事で動きが悪くなった。それが脱出を助けた要因だろう。まだ子供だからだろう。それが彼らの発したハマーンから予想できる存在だ。

 

「グラナダの爆破を行う。残存艦隊に集結し戻るぞ。今回の敗戦を糧にしろ」

『『了解!』』

 

 カミーユ達の方はどうなっているか分からないが、補給次第救援に向かうか。

 

 

 

 

 

 

 




アムロ強いよ、強すぎだよ


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暗躍する者達

 

 

 

 

 

 

地球にある連邦軍基地。その基地の一室で宇宙軍からの報告を受けている初老の男性が居た。

「それで、貴様はアムロ・レイや、カミーユ・ビダンを貸し与えたというのにろくな損害も与えずに敗北し、地球へ逃げて来たというのか?」

『もっ、申し訳ございません!』

「役立たずは我が組織にはいらぬ」

『おっ、お許し下さいっ!!』

「始末しろ」

男性の声が発すると同時に扉の向こうで銃声が響き、報告していた軍人は床に倒れて血だまりを作り出す。次に画面に映ったのは銃を持つ青髪の幼い少女だ。

『任務完了』

「カミーユやアムロと共に帰投しろ。二人は念の為、調整用のポッドに入れて運んでこい」

『任務了解』

通信を切り、男性は次の書類へと目を通していく。すぐに彼の傍に控えている軍服を着た数人のうち一人の少女が飲み物を差し出してくる。他の少女は書類を差し出してくる。彼女達は共通して幼く、瞳はどこか虚ろだ。しかし、男性は気にせず仕事をしていく。

「大佐です」

「通せ」

命令を受け、少女の一人が扉を開いて青年を迎え入れる。

「首尾はどうだ?」

「ムラサメ博士とレイ博士の協力の元、ガンダムMk-ⅢとサイコガンダムMk-IIのロールアウトが完了した。量産を既に開始している」

「Zガンダムはどうだ?」

「そちらもZプラスが完成し、Zは量産を開始している。現在はカミーユが試運転を行っている。こちらが我々が現在保有しているMSとMAだ」

渡された情報を確認する男性は不機嫌になる。

「足りんな。連中はこの技術の先を行っている」

「そればかりは仕方ない。木星を抑えられたのが痛い。今に思えば連中は何年も前から木星での活動を行っていたようだからな」

「ちっ、まあ一番の危険だと判断したアムロ・レイとカミーユ・ビダンはこちらが確保したのだからまだどうにかなるか」

「強化の洗脳、複製の方は問題ないのか?」

「そちらは問題ない。何年も前からムラサメ博士に人材と資金を大量に与えてあるからな」

男性は生まれて少ししてからサスロと同じように行動を起こしていた。実家の資産を運用し、莫大な富を生み出してはそれを投資しムラサメ博士など地球に存在したニュータイプ研究所に所属する者達を集めたのだ。そこでは、強化人間や洗脳の研究を行っている。そして、初期の実験体としてアムロ・レイ、カミーユ・ビダンが使われている。

「しかし、三号機……いや、アムロ・レイはもう廃棄しても問題ないのではないか?」

「あれはまだ使える。それに強化人間の数が十分とはいえん」

「ふむ。まともなニュータイプが1800人ではまだまだたりないか」

「少なくとも5桁は必要だ。それに宇宙をジオンに押さえられた」

「マスドライバーはまだこちらにあるだろうが、どうする?」

「連邦の寄生虫共に時間を稼いで貰う。なに、型落ちしたジムをくれてやればいいだろう」

「量産した訓練用ガンダムではなくか」

「ガンダムは素材にしてリサイクルする。特殊な合金を使っているのだろう?」

「確かにそうだ。節約せねばならぬとは……むっ」

青年が眉間に皺をよせ、背後を振り返る。

「どうした?」

「ネズミが進入したようだ」

青年は部屋に取り付けられた緊急用のボタンをおして基地内に警報を鳴り響かせる。

「金色の亡霊か」

「先程の通信を嗅ぎつけたのだろう。我々がここに居る事を知る者はごく微かだ。それで嗅ぎつけられるまでの時間は今までよりも格段にあった。これはつまり・・・・・」

「ふん。連邦内部の情報は筒抜けという事だろう。使えん連中だ」

「ネットワークを使わず、アナログで情報をやりとりするしかないのは仕方ないだろう」

男性は立ち上がり、青年と共に地下に移動していく。

「お前たちは相手をしてやれ」

「「「「はっ」」」」

控えていた少女たちはアサルトライフルを持って飛び出していく。遠くの方では爆発音が聞こえてくる。そんな中、彼等は地下にある潜水艇に乗って基地から逃げていく。

「金色の亡霊をまともに相手などしていられるか」

「殺しても復活してくるからな」

基地の自爆装置のスイッチを入れた後、そのまま潜水艇で海へと出て彼等の拠点である海底要塞へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 軍事基地では金色の髪の毛をした同じ顔の少女達が小型化されたレールガン、エレクトロマグネティック・ライフルとレーザーガトリングを持つ少女が立ち塞がる連邦軍兵士を持ち前の大火力で容赦なく殲滅していく。取り回しがききやすいエレクトロマグネティック・ライフルで歩兵を防壁ごと殲滅し、モビルスーツに対してはレーザーガトリングでコクピットを破壊する。連邦軍が扱うのは初期に近いジムである為にビームコーティングがされていない。

「くそっ、ジオンの亡霊めっ!!」

「近づかせるなっ! 自爆してくるぞっ!!」

彼女達は平気で銃弾の雨を避けたり撃ち落としたりしながら接近して的確に兵士を殺していく。万が一、まぐれで命中し動きが鈍った場合、突撃して敵陣で自爆するのだ。ジオンとの戦争が始まり、地球連邦軍の基地は彼女達の襲撃を何度も受けてきた。それも気付いた時には既に基地内部、それも奥深くに進入されていて手がつけられないくらい破壊される。そんな彼女達に対応するように男性の護衛をしていた少女達がアサルトライフルを撃ちながら特攻してくる。彼女達も爆弾を身にまとい自爆して金色の亡霊を止めていく。しかし、同じ強化人間とはいえ金色の亡霊に蓄積された戦闘記録という名のデータとバックアップツールに差があり、時間稼ぎ程度にしかできない。しかし、彼等からすれば失敗作である彼女達がどうなろうが痛くも痒くもないのだ。彼等にとって改造する人間は地球に腐るほど溢れているのだから。

「任務失敗」

「逃げられました」

「データリンク。自爆装置の起動を確認」

「停止処理を敢行。エラー。時間が足りません」

「私を除いて撤退許可を申請。受託確認。撤退開始せよ」

「撤退」

即座に基地から離れる為に背中に背負った箱を地面に降ろし、その上に乗る。箱から翼が出て、ジェット噴射で空を飛んで急激に離れていく。背後では基地が爆発して崩壊していく。残った少女は基地内に残されたデータを時間の許す限り根こそぎ奪ってネットワークにあげていた。

「マスターに緊急報告」

「地球連邦軍の背後にいる組織を確認」

「秘密結社、て……緊急回避」

報告を送ろうとした彼女達を背後から貫いたのは巨大なビームの光。それを放ったのはかなり遠くに居る巨大な金色のモビルスーツだった。

 

 

 

 




悩んだけど、敵はこいつらでいいよね!
もう変えないです。
アムロさん、カミーユさん、ごめんなさい!


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