ワンピースをテンプレで生きる (楯樰)
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序章
適当な始まり


やらかした。
多分次はもっとやらかす。


 気がついたらクソ不味い果実を飲み込んでいた件について。

 

 それからちょっとピリピリするんですけど。

 

 そして耳朶にピアス!? 上半身裸っ! ……あっ(察し)もうポルらなくてもいいや。

 

 自分エネルなんですねわかりま――

 

「――What's?」

 

 おっと、悪魔の実を喰ったエネルを恐れて両親らしき人達によって雲の上から落とされてしまったぁ! これはひどいっ!

 

 ……そしてエネルになったばかりの自分には雷になって飛べるわけもなく。

 

 あー青い海が近づいてくるよぉ~(白目)

 

 

 

 >>残念! エネル(憑依)の人生は此処で終わってしまった!

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「現代知識がある私に死角は無かった」

 

 海に浸かる瞬間、現状MAX二億ボルトの電圧を流して海水を電気分解した。

 

 九死に一生を得たにてござる。現在近くの島に海の中を歩いて漂着(笑)したでござる。

 

 雷を浴びて気絶し、死んでしまったお魚の皆様には冥福をお祈りいたします。……それからごちそうさまでした。

 

 そんなことより自分って言葉が私に自動変換される不思議! カリスマなんて発揮しなくていいのよ? 無駄にかっこつけなくてもいいのよ、マイボディ?

 

「……此処は何処(いずこ)か」

 

 おっと。一人称以外にも適応されるんですね、自動変換。

 

 それにしても人も居ないし、草木もない。あるのは一面砂浜のみ。

 

 ビルカ、だとかなんとかから落とされた自分はいったい何処にいるというのか。

 

 ……恐らくグランドラインというわけではないだろう。

 

 ゴロゴロの実の能力(曖昧)によれば磁場の乱れが無いし。

 

「こういった時こそ、我が能力の生きるとき!」

 

 要するに自らが磁石になればいい! あたいったら最強ね!

 

 ……地球もまた巨大な磁石! S極の方角がつまり北なわけだ!

 

 いや、まて。落ち着け、自分(エネル)

 

 月にも空気があるのだ。そしてグランドラインは磁気が乱れて磁石が使えない。

 

 ……ワンピースの世界に前の世界の物理法則を持ち込んで良いものか?

 

 いいや、否! よろしくない!

 

「とりあえず飛べばわかる(確信)」

 

 だがしかし現状自分は飛ぶことが出来ない。そう、つまり、

 

「……幼き我が身がどれほど憎い事か」

 

 成長の負担にならない程度に、能力の把握含めて修行あるのみだ。

 

 誰が二億ボルトが限界値と決めた? 限界は乗り越えるものである!

 

 目指せ光速! 2000倍程度なら乗り越えられよう!

 

 唯の人間の、某狩人の協会会長も0.1秒で拳を打ち出せれるようになったのだッ!

 

 できない道理はないッ!

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 そして当初7歳のエネルは無人島で生活を始めた。

 

 

 

 朝は日が昇る前に目を覚まし、出来るだけ抑えた放電を朝食前まで維持する。

 

 朝食は放電によって浜辺近くに浮いてきた魚たちを数匹引上げ、残りはショックを与えて海に帰す。

 

 昼食を取った後からが本番である。無心を心掛け、能力を使わずに行う正拳突き5000回。目標とする一万回には程遠いが、しかしそれでも幼い身では日付の変わり目まで時間がかかった。

 

 就寝前に魚を一匹。感謝をしつつ頂き自らを雷にすることを意識して現状で最大の出力で放電を行いながら事切れるようにして眠りにつく。

 

 

 

 このサイクルは少しづつ、少しづつ実を結んでいく。

 

 

 

 やがて放電の出力は電子を操る事から、当初の最大二億ボルトを遥かに超えて天井知らずに。

 

 心掛けていた無心は「純然な無心」へと変わり、必然のようにして心綱(マントラ)……「見聞色の覇気」を習得していた。正拳突き5000回はやり終えたとき、日は暮れなくなった。次は一万回への挑戦である。

 

 

 

 この時エネル、十歳。

 

 少し早い、重度の中二病。またの名を十四歳病を患っていた。

 

 その妄想は、いずれ世界へ猛威を振るう(わざ)の雛形である。

 

 

 

 エネル、十三歳。正拳突きを終えた時異変に気付く。

 

 武装色の覇気を纏い、一万回突き終えても日が暮れていない。

 

 その事に気づいたとき、同時にあることに気づき羞恥して悶えた。

 

 

 

 自らが中二病であったことに気が付いた。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「私は、私というやつは……っ!」

 

 ビリビリ娘の超電磁砲だとか、極小の雷になって人の身体を乗っ取る&操るとか。

 

 一体なーにを考えてんでしょうーか。

 

 死にたい。

 

「……いや、だがしかし海賊とは皆必殺技の名前を叫ぶものだったな」

 

 気合が入るとか、そんな理由もあるのだろうけど。

 

 ……うん。でも主人公勢みんな叫んでるよな。

 

 ……。

 

 よし、吹っ切れた。

 

 

 

「ヤハハハハハッ! 目指すぞ、頂点!! ならばこそ、虎穴に入らずんば虎子を得ずっ! ――六式を盗むぞ!」

 

 雷となって空を飛び、航海中であった海軍中将の体内へ侵入。

 

 身体で覚えたであろう六式の技術を、ちょっとした電気の応用で、盗んで逃げた。

 

 

 

 ――目指すは頂き。

 

 ――浪漫を求めて海に出る男達の到達点。

 

 

 

 ただ、手始めにこの世界独特のおっきい双丘(おっぱい)を拝みに行こう。

 

 仙人のように無心だったときとの反動って怖いね!

 




同じジャンプだから大丈夫だよね(ニッコリ)


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完全犯罪の幕挙げと幕引き

テンプレその一
・ゴルゴン三姉妹救出


 さて、強引に学んだ六式をマスターしたのだけど。

 

「それにしてもなんだ、この穢れた汚物は」

 

 今自分の足元には、頭にアンテナを生やした人間()がいた。

 

 そして銃を海軍の皆様に突きつけられているというこの状況。

 

 えー海の上飛んでたら、喧嘩売られて買っただけなんですけどー(棒)

 

 気づかれずに感電させて連絡用の電伝虫諸共気絶させただけなんですけどー(棒)

 

「貴様世界貴族を相手に汚物などと……!」

 

 わお。世界貴族()でしたのね。

 

「世の中、真実が常に優しいとは限らない。……時には嘘が優しさになる時もある。――世界貴族なんていないッ!」(キリッ

 

「「「「貴様は馬鹿かァーーーッ!!!」」」」

 

 何という息の合った総スカン。悲しいかな。

 

「でもそれが現実。……受け入れて、天竜人の格好をした此奴の身ぐるみ剥ごうではないか!」

 

「「「「あ」」」」

 

 ぽぽいのぽーいと着ていた宇宙服(笑)を脱がして中の汚物を海に投げ込む。

 

 発砲される前に海軍の方々には気絶、世界貴族を護衛していたという記憶を失くしてもらうことにした。

 

 

 

 ――ゴミ掃除をした後ってなんて清々しいのでしょう!

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 天竜人をついカッとなって処理した。反省もしていなければ後悔もしていないのだけれど。

 

 

 

 ――そんなゴミ掃除から五ヶ月が過ぎた。

 

 

 

 今はまだ天竜人行方不明、というニュースしか流れていないが何れ自分の事が海軍、世界政府に知れ渡るだろう。

 

 不思議な事に、「ワンピースの世界における歴史」が頭の中にあるのだ。

 

 ココヤシ村にナミとノジコを連れている元海兵の方を見ることが出来た。

 

 つまり、原作の始まる17年前だという事がわかっている。

 

 となるとだ。

 

「アマゾンリリーの姫たちを救うか」

 

 丁度同時期なのだ。三姉妹が奴隷になる時代と。

 

 

 

 海軍の掲げる正義なんてものは所詮まがい物。

 

 真の正義とは悪の様なもの。

 

 自分勝手で独りよがり。多数決の様なものなのだ。

 

 勝ち組のまたの名を正義であり、負け組がまた悪であり。

 

 

 

 故に利己的。故に同義。

 

 

 

 ――ならばこそ、なればこそ!

 

 

 

 万人が持つ、大衆の正義とはなんぞや?

 

 世界には不変として男と女が居る。

 

 そして大きく違いのある男と女に共通して存在する正義に「美」がある。

 

 醜を美と見る者も居るがそれもまた美である。

 

 個人個人の美意識というものに違いは有るために、小さなくくりとして美は正義成り得ない。

 

 むしろ争いを生む悪だ。

 

 だが、大きなくくりで見れば、他者多様の美意識でもって「美しい」と思う事に悪などない。

 

 美、という言葉は正しく正義と悪を内包するもの。

 

 人間の、否動物の本能と言って良い。

 

 

 

 本能こそが、「大局的正義」と言える。

 

 そして本能の一つには性欲も含むのだ。

 

 

 

 男子は特に、性欲に生きる者もいるだろう!

 

 すなわちエロスッ! 性欲――!

 

 

 

 貧乳巨乳、幼女に熟女。

 

 男が女体に抱くフェチズムに重きを占めるのは、そう、胸だ。

 

 

 

 おっぱいだ!

 

 

 

 そして爺婆が孫を可愛がるように。

 

 父母が息子娘を可愛がるように!

 

 子供が犬猫の小動物を可愛いと思うようにッ!

 

 

 

 可愛いという感情もまた「大局的正義」ッッ!!

 

 

 

 つまり男が女体に抱く正義とは!

 

 万人に理解される正義とは!

 

 

 

 おっぱいに可愛いこそ、世における絶対正義なのである――!

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 それは唐突だった。

 

 嗚呼、きっとこのまま誰かの手に売られてしまい、一生誰かに追従して生きなければならないのかと諦めていた。

 

 先ほど舞台の上に立ち、醜悪な身体を揺らして多額の金を入札した天竜人に三姉妹そろって買われて、道具のように扱われ死ぬのだと理解した。

 

 

 

 ――……理解したというのに。

 

 

 

「ヤハハハハ! ……ふむ、大丈夫か?」

 

「……」

 

 

 

 ――なんだ、この光景は。

 

 ……なんだ、この救いは。

 

 

 

 醜悪な心を持った者達は皆、泡を吹いて倒れている。

 

 それは内面外面変わらず、醜悪限りない天竜人も同じように。

 

 むしろ泡すら吹かず、死んでいるのではないかとさえ思われた。

 

 ……そして目の前には神々しい光を携えた男の人が居る。

 

 歳は同じくらいの少年だというのに、同じ少年には見えなかった。

 

 

 

 ――瞳は全てを悟り、確固たる道を見定めていた。

 

 

 

 これが所以だろう。

 

 

 

「呆けるな返事をしろ、少女たち」

 

「「「はっ!?」」」

 

 

 

 ――私が、私たちが見惚れてしまったのは。

 

 

 

「早く逃げるぞ。(じき)、海軍が来る。……天竜人を気絶させたのだ。祖国へ帰る前に問題者として処理されるわけにはいくまい」

 

 

 

 私たち三姉妹は捕えられていた他の奴隷たちと共に、床に開けられた穴を通って外に逃げた。

 

 私は抱えられ、姉様とソニアは担がれて。

 

 

 

 気が付いた時には別れの時が来ていた。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 場所はヤルキマン・マングローブで構成されたシャボンディ諸島の13番グローブ。シャッキ―のぼったくりBARで女店主、そして近隣に住んでいた先々々代九蛇の皇帝と話している。

 

 いやぁ、お年を召しているとはいえ――眼福ですっ!

 

 ニョン婆ことグロリオーサさんは……うん。なんも言えねぇ!

 

「それでは、私は失礼する」

 

「ええ。ちゃんと送り届けるわ」

 

「……すまニャかった」

 

 未来のおっぱいはちゃんと救った。

 

 加えて今は幼女じゃあないか。

 

 許すまじ、天竜人。

 

 ……あぁ、そういやまだ手に入れてないのか。

 

「ね、名無しの権兵衛の貴方はこれからどうするの?」

 

「……彼女ら、自衛のためには能力が必要だろう? 悪魔の実を手に入れてくる」

 

「ふ~ん……海賊ってわけじゃなさそうだけれど。どこに行くの?」

 

「済まないが言えない。……すぐ戻る」

 

 電子を撒いてレーダーにすれば簡単に見つかるだろ(適当)

 

 ……マリージョアにいた人間全員痺れさせて、目標の悪魔の実を含めて20個を拝借成功。

 

 見聞色からのサーチ&デストロイ余裕でした。

 

 それぞれ対応する悪魔の実を上げた三姉妹以外の方――海賊除く――も、祖国へ送ってくれるらしいので任せることにしてこの場から立ち去る。

 

 さて、一番グローブの方が騒がしいが何かあったのか?

 

 うん、知らんな!(すっとぼけ)

 

 

 




>>からの惚れられる
此処までテンプレ。


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銀>銅>金

テンプレその二
・空島の黄金の回収


「……そろそろ武器が欲しいな」

 

 海上に居た天竜人の船を襲撃していたらそんなことを思いついた。

 

 あと自分専用の船も欲しい。いい加減ゴミが乗っていた船に乗りたくないので。

 

 武器……エネルの武器といえば、やっぱり黄金だよね! のの様棒だよねっ!

 

 スカイピアの黄金を奪取するのも手だが、……どうしようか。

 

「……だが一番それが早いな」

 

 態々金塊を買うより手っ取り早いし。

 

 よし、空島に黄金奪いに行こうそうしよう。

 

 

 

 高電流をつくり、高電磁力を発生させてからの雷冶金(グローム・パドリング)で黄金の回収余裕でした。

 

 ……マクシム造れるんじゃなかろうか。

 

 造らないけれども。……むしろ船でなく、飛行機みたいに成形したらいいかもしれない。

 

「ヤハハハハ! ……よし、」

 

 巨大な鎧甲冑に成形しなおし、それを身にまとう。服、着ているモノと認識できれば肉体と同じく雷になれるに違いない。

 

 雷鳴を轟かせて、改めて成形するため空島から逃げ、慣れ親しんだ漂着した島に向かった。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 宇宙を奔る戦艦ヤマトのようにするか、インド神話に出てくるオーバーテクノロジーな船という名の飛行機にするか迷った結果、

 

 

 

 ――どっちも組み合わせたらいいんじゃね?

 

 

 

 という名案が思い付いた。

 

 そして完成したソレは漂着した島を陰で隠す程巨大。

 

 全部黄金なので……凄く、まぶしいです…!

 

 空気抵抗の少ない、四角錐を底辺対角線上で縦に切った黄金塊へ装飾を施し、収納可能な形だけの翼を持たせた。動力は自分の雷の発生による電磁投射砲方式。

 

 陸海空を自由に飛ぶコレの航行には、船の側面左右に後ろに向かって雷が迸り、夜に動かせば閃光が迸るという素敵仕様。

 

 武装に関しては完全に能力頼りだが、100メートル口径の多用途砲の二門の主砲から、雷という名の炎熱を纏った極太のビームを打ち出す、金塊をレールガンでうち出す等。

 

 色々とやらかした。機動兵器なロボットもよかったけど、移動手段が優先だ。

 

 既に物騒極まりないけれど。

 

 ……今度ロボットにも可変できるようにしておこう。

 

 ただし、動力も攻撃方法も全て能力頼りなため、自分が居なければ動かない欠陥兵器だ。いや、むしろただの黄金の塊りだ。

 

 

 

 だがッ、それがいい!

 

 

 

 選ばれしモノだけが使う事を許された至高の兵器。己が能力を持って初めてその真価を発揮する……。我こそが選ばれしモノ…! その事実に身は捩れ心湧きたつ、感動すら覚え――、

 

 

 

 ……ハッ、自分は一体何を。

 

 悪いものに取り憑かれていたのかもしれない。いや、むしろ取り憑いている側だというのに。

 

 二、三年の間。寝ずの試行錯誤をしたから……エネル、あなたつかれてるのよ。

 

 眠るため、造った黄金の舟『黄金の鎧(スヴァルナ・カヴァーチャ)』に中に乗り込み、持っている悪魔の実十七個を仕舞って、見つからないよう海の底へと沈んだ。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 眠っていたらまた二、三年過ぎていたでござる。

 

 肉体操作の出来る生命帰還のせいにござる。

 

「しくじったな……寝過ごしたというわけではないが」

 

 最後に見た新聞の日付から察するに現在、原作開始の11年前。

 

 特にこれといったイベントは起きる予定にはないが、どうしようか。

 

「ゴミ掃除をするか……? だが、うむ。面倒だ」

 

 天竜人とかいう罪人の掃除も正直そろそろめんどくさくなってきた。

 

 中将レベルでも、雷速での攻撃だと見聞色で予知できても避けられず気絶してしまうし。

 

 それでも正体ばれないように記憶消したりするのもだるい。

 

 完全犯罪を犯すのがヌルゲー&作業でしかないというのは如何なものか。

 

「……そういえば試運転していなかったか」

 

 そういやコレをまともに動かしてなかったことを思い出す。

 

 機構的には望んだところへ雷を流せば動くはずだけども……。

 

 

 

 黄金の鎧(スヴァルナ・カヴァーチャ)が予想以上だった件について。

 

 ちょっと凄すぎた。

 

 なんだ、コレ、雷と同じくらいスピード出るじゃん。理論的にはマッハ七のはずなのに。

 

「意味不明、理解不能だな」

 

 いや、むしろ嬉しいんだけどね。着ているモノと認識されたとしたら別に不思議ではないし。

 

 ……ただ、本当にそれが理由なのかを判断しかねる。

 

「うむ、まぁ良い。……このまま空の散策をするか」

 

 この世界ではまずオーバーテクノロジーの塊りである舟に乗り、雲の上の世界を楽しんだ。

 

「ヤハハハハハ! 人がゴミの様だなァ!」

 

 お世話になった無人島に向かって、二門の多用途砲から放った炎熱を纏った極雷『雷剣(ヴァジュラ)』を打った結果。

 

 島一つ吹き飛んで海底が抉れる威力を見せた(震え声)

 

 大規模な「ラ○ュタの雷」だったのが悪い。

 

 調子に乗ってやった。後悔はすれど反省はしない。

 

 

 

 テンション上がったまま空を高速機動で飛んでいたら九蛇の乗る海賊船を見つけた。

 

 これはもう成長したおっぱいを見に行くしかない(迫真)

 

 




>>からのチート兵装の開発
こ、ここまでテンプレ(白目)


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チョロインな蛇姫

テンプレその三
・マリーゴールドがハンコック並の美女になる


「――へ、蛇姫様! 何かがとんできます!」

 

「……なんじゃ、そのような事でわらわを呼ぶでない。今は忙しというのに…!」

 

「いえ、ですが…! ……っはい、失礼します……」

 

 

 

 記憶に残るあの少年の姿。私も、ソニアも。……そして姉様の記憶に深く刻みついているあの方。

 

 お慕いするあの殿方。

 

 ただ少々、姉様のは行き過ぎな気もするが。

 

 ――あの周囲を完全に圧倒する強さに惚れないわけがなかった。

 

 例えそれが悪魔の実による力だとしても、あの方の強さは『力』というものだけでないこと。……あの背中を思い返せば自ずとわかる。

 

 そしてあの強さに恋い焦がれていることを。

 

 

 

「あぁああ! お名前をお聞きしておけばよかったっ! ……はぁぁぁぁ」

 

「姉様……」

 

 

 

 ……己の身体を抱き、身悶えする姿はあまりも痛ましく。

 

 

 

「姉様、失礼します! マリー! 来たわよ!」

 

「……わかったわ、ソニア」

 

 

 

 シャッキー様と共に、女ヶ島まで送り届けて頂いたニョン婆様が心配するのもわかる。

 

 深いため息を吐き、今にも消えてしまいそうな儚い姿を見せる。

 

 恋い焦がれ死をしないか。かつての女帝たちのようにならないか。代々の女帝が行ってきた過ちを、繰り返してしまわれるのではないか。……ニョン婆さまは危惧していらっしゃる。

 

 妹の私たちにはやらねばならないことがある。

 

 我々、九蛇海賊団に仇なすのなら。私は、私たちはふり払わねばならない。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「九蛇の船を見つけて寄ってみたのだが……」

 

「何者だ! 貴様、分かっていながら何のつもりで来た!」

 

「海賊女帝となった者への祝いをな。……通らせてもらうぞ」

 

「待て! 待ちなさ――!」

 

 すっごい色っぽい格好のお姉さんたちがいっぱいだぁ(歓喜)

 

 道を開けてもらうため頭を下げたわけじゃないぞ? 有難いものを見せてもらった礼だぞ?

 

 雷になって矢先から逃れ、高速移動。目的の部屋の前へと向かった。

 

 

 

 扉の前には身体の大きい二人が……って。

 

「あ……」

 

「え…?」

 

「元気にしていたか? 少女ら」

 

 ボアの妹、その二人だった。

 

 赤髪の美人と緑髪の美人が口を開いて呆然としてるというのは、うーん。

 

「口の中に虫が入るぞ」

 

「あ……なんで貴方が此処に!」

 

「来ては駄目だったか?」

 

「い、いえそんなことはない……です……」

 

「……はい」

 

 顔を赤くさせて視線が泳いでいる。可愛い!

 

 一応、再会を喜んでくれているようだから、ほっとした。

 

「元気にしていたようだな、二人とも。……マリーゴールドとサンダーソニアだったか」

 

「「――――っっ!!」」

 

 バタン、と守っていた扉の中に逃げ出す様に入っていく。

 

 ……ううん? 嫌われた? ドン引き?

 

 あぁ、もうだめだ……さよならおっぱい。出来ることならまた来ておっぱい。

 

 もう自分は、そのおっぱいを触ることは出来ないのだろうけど。

 

 後ろに控えていた先程矢を向けていた者達へ断りを入れて部屋の中へはいった。

 

 

 

 >>エネルは深い悲しみに囚われた!

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「「「来た……!」」」

 

 

 

 名前を知ってもらえていたという理由で恥ずかしく、思わず逃げてしまったが、それはソニアも同じだったようで。侵入者から逃げ、護るべき部屋へ入ったことを怒られた。

 

 その姉様も事情を話せば喜色一面。三姉妹そろって顔を赤くさせているところを皆に見られてしまえば、色々と失ってしまうだろう。

 

 

 

 そして……入ってきたあの方の顔は先ほどの表情とは打って変わり、暗く沈んでいた。

 

 

 

「……何か嫌われるようなことをしたか?」

 

 

 

「「「……え」」」

 

 

 

 一度会っただけだというのに名前呼びは馴れなれしかったのではないか、加えて名を明かさずにいた事が気に障ったのではないか、ということを気にしていたようで。

 

 少しだけだが、近づき難かった印象が薄れた。

 

 

 

「べ、別にそういうわけではなくてですね!」

 

「む、むしろ大歓迎で…!」

 

「そう、か。ならばこれからは名前で呼ばせてもらうぞ」

 

「「はい!」」

 

「そうだな、マリーゴールドとサンダーソニア……マリーとソニアでいいか?」

 

 

 

 あまりの衝撃に息をのんだ。

 

 嗚呼、改めて。初めて焦がれた相手に名を、愛称で呼ばれることがっ……こんなにも嬉しい事だとは…っ!

 

 心の臓が鼓動を早め、風邪を引いたときのように頭がぼぅっと何もかんがえられなく……、

 

 

 

「ちょっと待てェええ!!」

 

 

 

 姉様が怒られた。ボーっとしていた思考がクリアに、冷や水をかけられたように熱引いていき。

 

 姉様の怒気に触れた今、寒気すら感じる。

 

 

 

「何故じゃ! 何故わらわが無視されておるのじゃあ! 海賊女帝と呼ばれる、絶世の美女と呼ばれるこのわらわより先に妹たちと――!」

 

「ハンコック」

 

「なんじゃ! ――って! い、今な、な、名前で…っ!」

 

「美しく、綺麗になったな。――七武海への参入と皇帝就任、おめでとう。名前の方が気楽でいいかと思ったのだが……うむ」

 

「い、いや! よいのじゃ! ……すす、好きにするがいい…!」

 

「む? そうか……よかった。さて、名乗り遅れてしまったが私の名は――」

 

 

 

 エネル。

 

 

 

「――と気安く呼んでくれ」

 

 

 

 何れ世に能力と、そして、その名を轟かせるだろうというのは、助けてもらった時に既に予感していた。

 

 

 

 怒っていた事を忘れ、金で出来た蛇のイヤリングをもらって嬉しそうにしていた姉様を「姉様って実はちょろいんじゃ」と思ったのはソニアとの秘密だ。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 黄金の鎧(スヴァルナ・カヴァーチャ)に乗り込み、海面から遥か上空にて頭を抱えた。

 

 引かれたわけじゃなかったからよかった……。

 

 それにしてもスゲーな、自動変換。前の自分だったらあんな事言えないぞ? どもってしまって何言ってるか絶対伝わらない。

 

 まぁ、乙女思考でチョロイン過ぎるハンコックは可愛かった! 慌てたソニアとか未だ美人なマリーとか可愛かったッ!

 

 すっげー、『( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!』 だったっ!

 

 ただ凄く言動が中二チックになるのが辛い(白目)

 

 うむ、とか言ってる見るに堪えない自分の姿を想像してしまって辛い(吐血)

 

 ……だけど、この自動変換のお蔭でおっぱいいっぱいの女ヶ島への出入りが可能になったというのだから我慢しよう。

 

 あぁ、あと体型が変わって欲しくないがために、マリーに「食べ過ぎはよくない。今の体型のまま、美しくなってくれ」と言ったから……うん、きっと今のまま美女になってくれるに違いない。

 

 ちゃんこ鍋はできるだけ食うなって言ったから十年後も痩せていてくれるはず!

 

 そのあとマリーが赤面して気絶したなんてことがあったが、儂は知らんぞ(すっとぼけ)

 

 

 




>>大体ちゃんこ鍋のせい
はいはいテンプレ、テンプレ。


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人の業

テンプレその四
・根底概念を覆すようなチート悪魔の実
・ロリっ子のオリキャラ(オリキャラ)

※今回鬱っぽいので注意。



 ……むむむ。

 

「……どうするか」

 

 目の前にあるコレの始末だ。

 

 悪魔の実、占めて17個。

 

 マリージョアの天竜人の邸宅。それも住人すら知らなかっただろう隠し扉の先にある埃の溜まった通路を抜けた先、地下室で厳重に封印されていたモノが四個ある。

 

 同じくマリージョアの天竜人邸宅から、一生借りることにした悪魔の実の図鑑には乗っていない。

 

 ……ということは、きっと世の中に出回ったらマズイんじゃなかろうか。

 

 能力吸収の出来るヤミヤミの実が図鑑に載っていたくらいだというのに、四個の記述は一つもない。

 

 ……でもこれって神様転生でよくある俺TUEEEオリジナル悪魔の実レベルで強くなれるようなモノじゃにゃい?

 

 自然系(ロギア)でいったらミズミズの実の能力者で水人間になれるとか。

 

 超人系(パラミシア)は……ありとあらゆるものを破壊できるだとか、空間だとか時間を操れるとか。

 

 動物系(ゾオン)でいえば、原作にもあったマルコのようなチート幻獣種だろうし。

 

 他の悪魔の実も、天竜人の趣味の一環で大金払って手に入れたモノだろうから相当だった。……なんとか四個の詳細が判らないかな。

 

「うむぅ……詳細、仔細、把握。いや」

 

 万物の声……見聞……うっ! 頭が…!

 

 ……まぁ、なんとなくやってみればいいかなぁ~とは思ってたけども。

 

 

 

「……まさかな、とは思っていたが、そのまさかだったわけだ」

 

 凄いよね、わかっちゃうんだもんね。

 

 見聞色の覇気(心網)の達人であるエネルに隙は無かった。

 

 で調べた結果、名前は人間がつけるものだから分かんなかったけど、大体の能力はわかった。

 

 ……一つは案の定、ロギア。海に愛された悪魔の実の能力だ。

 

 後三つは、それぞれ名づけるとしたら超人系(パラミシア)のユラユラの実、動物系(ゾオン)のイヌイヌの実の幻獣種。あともう一つも動物系(ゾオン)のトリトリの実、幻獣種だった。

 

 正直な所、悪魔の実を売ってしまおうかとも考えたがこの四つだけは駄目だ。

 

 この世の次の次くらいに警備が厳重な天竜人の住む場所に隠されていただけの事はある。

 

 他の実は……取っておこう。

 

 ほら、仲間に渡すこととかあるかもしれないし(白目)

 

 ……いや、そろそろ一人旅が寂しくなってきた(切実)

 

 寂しいなら九蛇の国にいけばいいじゃない、とは思ったけど、嫌な予感がするから却下。

 

 あの国での自分への評価はおそらくとんでもない。

 

 良かったとしても悪かったとしても、自分にとってはよろしくない評価なのは確か。

 

 皇帝とそのお付きに惚れられてるって、ルフィ君のような鈍感&コミュ力のない自分には難易度高杉なわけで。

 

 じゃあこの切ない気持ちをどうするかっていうと、……とりあえず天竜人掃除に行こうか。

 

 

 

「お前は奴隷を殺した事があるか?」

 

「ひ、ヒェエエエエエッ!」

 

「残念だったな、電伝虫は使えない。さあ私の問いに答えてみせろ。答える奴は良い天竜人だ! 答えない奴は悪い天竜人だ!」

 

「こ、こ! ――殺したぞえぇ!」

 

「答えたお前は良い天竜人だったようだな。……だが、天竜人は皆総じてゴミだッ!」

 

「は!? は、話が――」

 

 電流がゴミの身体を駆け巡り、失神させる。

 

 ゴミはゴミ箱に仕舞っちゃおうね~

 

 というわけで船にあった二つの水樽の中身を捨てて、上半身と下半身に被せて放置した。

 

「……さて、海兵の天竜人に関する記憶は消した、と。――これは奴隷か?」

 

 レーダーには購入したらしい奴隷の姿が。

 

 おっと、これは――

 

「女の幼子か。……虫唾が走るな、殺せば良かったか」

 

 イライラがふつふつと湧いてくる。

 

 ロリっ子を攫った人間もだが、買った奴らも許せん。子どもは守るべき存在だろうが。勝手にモノ扱いしてんじゃねーぞ畜生どもめ。

 

 あーホントに許すまじ、奴隷売買。

 

 と、いっても仕方ない。自分一人が言ったってなにもかわらない。

 

 ……この世界への不満もとりあえず。奴隷になってしまった子には会ってみないとだな。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 みんな、みんな殺されちゃった。

 

 おじいちゃんも、おばあちゃんも。お母さんもお父さんも。

 

 お姉ちゃんと友だちもいっしょだったけど、とちゅうで泣いてうるさいからって、友だちは殺されちゃった。

 

 お姉ちゃんはくさいおじさんたちに連れられていったあと、はだかになって帰ってきた。

 

 おしっこするところから白いおしっこみたいなのをおもらしして、ごめんねってわたしに言ってじぶんで死んじゃった。

 

 わたしはさいご、一人ぼっち。

 

 たいした金にならねぇなって、気持ちわるい人に連れてかれた。

 

 犬みたいに首輪をつけられた。

 

 おもくてしんどい。

 

 とろうとしたら死んじゃうんだって。

 

 だからとりたくてもとれなくて。

 

 わたしの番号がよばれて、たくさんの人の前に連れてかれた。

 

 お金をたくさんの人が言って、変な髪がたのおじさんが一番多いお金の数字をいった。

 

 わたしはそのおじさんに犬みたいに連れてかれて、きたときみたいに船にのせられた。

 

 鉄のにおいのするくさいへやに入れられて、わたしはじっとしていた。

 

 じっとしてないと殺されちゃうから。

 

 友だちみたいに殺されちゃうから。

 

 お父さん、お母さんみたいに殺されちゃうから。

 

 殺されちゃったらお話できない。なにもしゃべれない。

 

 殺されちゃうのはいやだけど、かなしくなって。

 

 あの変なおじさんに声がきこえないように泣いてた。

 

 

 

 ……とびらのひらく音がする。

 

 きっと泣いてるのがばれてわたしは殺されちゃうんだ。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「大丈夫か?」

 

「――殺すの?」

 

「……」

 

 え、なにそれ絶句。

 

 目が死んでいる以外はとても可愛らしいこの幼女。君はいったいどんな経験をしてきたというのか。

 

「いや、殺すものか……好き好んで殺人をやる馬鹿がどこにいる」

 

「お母さんも、お父さんも……友だちも殺されちゃった。いっしょにいたお姉ちゃんもじぶんで死んじゃった。……ううん。きっと殺されたんだ、あのくさい人たちに。だっておしっこの色が変だったから。きっと毒をうたれちゃったんだ」

 

「…………そうか」

 

 ちょっと過酷すぎじゃねぇ?(困惑)

 

 この子のお姉ちゃんは、おそらくそいうことがあったんだろう。口にするのも憚られるようなことをされてしまったんだろう。

 

 ……歳若い娘ならそういう事をされてしまってもおかしくない。

 

 むしろロリコンという変態すらいるこの時勢、この子も――されていたかもしれないことを考えると人間という生き物にぞっとする。

 

「あとで話は聞いてやる。船員たちが目を覚ます前にここから逃げるぞ。……その首輪もはずせるから死ぬことはない。……だから心配するな」

 

「……」

 

 

 

 ……そしていつの間にか自分に幼女が泣きつき、自分は抱いて慰めているという危ない構図が出来ていた。

 

 ろろろロリコンじゃねーし(震え声)

 

 

 




>>鳩「ゾオン系こそが悪魔の実最強の種だ」クルッポー
>>ただし大体凄惨な過去がある。
原作も同じような展開あるし大丈夫だろ(震え声)

ひらがな表記、読みにくかったらすみませんでした。
次回にもありますが、同時にロリっ子とはお別れです。

9/13 ひらがな表記が見にくい、との事で一部漢字に変更。
   字が読めなければ書き物として本末転倒になってしまうので。


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別れ

今回のテンプレ・無し



 この金髪幼女。名前はマリアで歳は今年で四歳。家族も居ない帰る場所もないという、助けてなかったら人生終了に王手かかってた。

 

 その境遇は、……うん、有りがちだけど凄く悲惨な話で聞くに堪えない。

 

 黄金の鎧(スヴァルナ・カヴァーチャ)に乗せてはいるが、電磁波が常時飛び交っているこの空間に生身の人間がいるのはあまりよろしくないはず。

 

 娘みたいな、癒しの存在が欲しいとは思っていたけれど、育児経験なんて皆無だから、勝手に助けて連れてきたのに無責任な話だが、男の自分が育てていくのは教育上よろしくない。それに加えてメンタルケアもしないといけないとなると、恐らくまともな教育を行うことができない。

 

「……そういうわけだ。私の知り合いのお姉さんたちの所へ」

 

「いやだ!」

 

「……」

 

 ……だというのにえらく懐かれてしまった。

 

 どうせいと? どないせいっちゅうねん!

 

 マリアの出身の村を襲ったっていう海賊が、態々売るために連れていった理由もわかる。

 

 美幼女なんだ。それも将来魔性の女になりそうな雰囲気を持ったとびきりの美人さんなんだ。

 

 文化的に育児経験豊富なシングルマザーしかいない女ヶ島に預けようと提案しても瞳に涙を浮かべて断られる始末。

 

 無理に言う事をきかせる、というのもこの子の境遇も含めてやりたくない。

 

 ……でも此処はこの子の将来をちゃんと考えてハッキリと…!

 

 

 

「おとうさん、アレなに?」

 

「ああ、あそこはウォーターセブンという。船大工がたくさんいる島だ」

 

 

 

 おとうさん呼びには勝てなかったよ……。

 

 内心嬉しさのあまり泣いていたというのに、仕方がないなと頭を撫でる自動変換さんマジ万能。

 

 でも中二言動は止めてください死んでしまいます。

 

 ……と、まぁ、そんなことがあって。来たのはトムさんご存命のウォーターセブン。

 

 全ては娘になったマリアのため。

 

 最寄りの島でアルミナのような物質を見つけたので、大出力の雷でアルミニウムに精錬加工した。

 

 何に使うかというと、この子の生活空間をつくるため。電磁波を通さない物質で部屋を囲ってしまえばいいんじゃないか、と思いついてだ。

 

 早速造った部屋に取り付けたが、こどもを金属で囲まれた空間に住まわせるのってどうなん? と思い直し此処、ウォーターセブンに木材を買いに来たわけで。

 

 それにしても雷の電磁波と見聞色の組み合わせが最強すぎる件について。自然界の物質では最も伝導性の高い銀も見つけたという。

 

 ……アレ? これで宝探しすればよくね? これで定期的な収入元が出来るやん。

 

 やったね、エネル! かぞ――

 

「ねぇ、おとうさん。あれたべてみたい」

 

「ううん? ……ああ、あれか? どれ、一つくれ」

 

 水水肉だったけか。とろけるように美味いとかなんとか。

 

 表情を顔に出す事が少ないこの子も顔をとろけさせているから相当なのだろう。

 

 それに娘だと思ったら可愛くて仕方ない。

 

 きっと外伝の某野菜の王子様も娘にはこんな気持ちだったに違いない。

 

 ……あれ、なんかすごい名案思いついたんだけど、なんだったけ?

 

 まぁ、忘れるくらいだからどうでもいいことなんだろうさ!

 

 金を手に入れたときと同じように、手に入れた貴金属を電気分解で精錬して売り払ったので、それなりのお金が手元にある。

 

 それにしても雷の電磁波と見聞色の組み合わせが――

 

「おとうさん、おとうさん」

 

「……うむ? どうした?」

 

「ううん、よんでみただけ」

 

 なんですか、この生き物は。ちょっとうちの娘がかわいすぎて死ねそうなんですが!

 

 抱きしめようと思っても自動変換=サンが頭をなでるだけにとどめてしまうのが憎い…っ!

 

 おんぶか! それとも肩車がええんか!

 

 と、肩車が出来たので肩車をしたら両親のことを思いだしたらしく、頭の上で泣かれた。

 

 自分には慰めることしかできないのが辛い。

 

 ……やっぱり自分には子育てはできないと分かった。

 

 やはり、こういった子たちへの扱いになれているだろうハンコックたちの所へに引き渡すのが最善なのかもしれない。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「……ここにいるのが全員か」

 

「……うん」

 

 今のお父さんが、おはかを作ろうって言ってわたしのすんでた所へきた。

 

 言ってないのになんでむらの場所がわかったのかわからないけど、お父さんはすごい。

 

 ……わたしがあぶなくなった時に助けてくれたのが、今のお父さん。

 

 かみなりをあやつる事ができてすごいとおもう。

 

 ……むらで死んじゃったみんなには、むしがいっぱい集まっててすごい変なにおいを出してて。

 

 笑ったりおこったりしてたみんなの顔とくらべて、わたしはちょっと見ただけで目をそらししちゃった。

 

 野菜を売ってたおじさんが、お魚を売ってたおばさんがみんなすごいかおで死んでた。

 

 死んじゃうってこういうことなんだってわかって、かなしくなって。

 

 今のお父さんにたすけられなかったらわたしもあんな風になっちゃうのかなって。

 

 かなしくなって泣いたらおとうさんになぐさめられた。

 

「いつか人は死ぬ。それこそ雷にあたっても死んでしまうだろう。だが、だからといって死に囚われるのは愚かなことだ。……生きている者は生きることだけを考えればいい」

 

 そういってなぐさめてもらった。むずかしい言葉でよくわからないけど、死ぬことを考えるなって言われた気がする。

 

「私はな、マリア。人間は死んだら新しい人間に変わると思っている。……だからこれは死人を次の人生へ送り出す儀式だ」

 

 ――我はカミなり。

 

 ――天裂く雷鳴をマリアの父と母に。

 

 ――この村の鎮魂歌(レクイエム)としよう。

 

 お父さんは、そう言って『そらとぶふね』からかみなりを落とした。

 

 あめの代わりにかみなりがふっているみたいだった。

 

 みんながもえて、火が消えたあとには白いこながのこった。

 

 ふたりでがんばって集めて、お父さんが持ってきた四角い大きな石の下にうめた。

 

 おとうさんが文字を指でほっていく。

 

 わたしもやってみたけどかたくてできなかった。

 

 わたしじゃできないをふつうにやってしまうからお父さんはすごい。

 

「なにをほったの?」

 

「『マリアの父と母、村の人々。此処に生きた証しを残す』と掘った。……お前が大人になって、強くなったらまた訪れてみるといい」

 

「……うん」

 

「マリア」

 

「……なに、おとうさん」

 

 

 

 ――前に話した事、覚えているか?

 

 

 

 お父さんにはわたしをそだてるじしんが無いらしくって。

 

 だからわたしがもう少し大きくなるまで、知り合いのところへあずけるっていう話し。

 

 お父さんもほんとはいやだって言ってたから。

 

 だからわたしも、いやだったけどその知り合いのお姉さんのところに行くことにした。

 

 お父さんと会えなくなるわけじゃない。

 

 お父さんも「会いにいく」って言ったから、あっちに行ってもまたあえる。

 

 

 

 ……「にょうがしま」っていうところに連れて行かれて、お父さんが「マリー」って呼んでたきれいなお姉さんがでむかえてくれた。

 

 その人のかみの毛いがい、死んじゃったお母さんにそっくりで、思わずお母さんって呼んじゃったら、そのおんなの人てれちゃった。

 

 後ろにいた黒いかみの毛のこわそうなおんなの人と、緑色のかみの毛のお姉さんがくやしそうにしてたから、どうしたんだろうってお父さんにきいたら、こまった顔してた。

 

 それから、お父さんからせんべつにって『ユラユラの実』っていうあくまの実をもらった。

 

 こっそり教えてもらったら、『せかいの全てを生み出してあやつることが出来るようになる力』っていうのがつくみたい。

 

 おいしくないけどお父さんの目の前でぜんぶ食べきった。

 

 わたしはすききらいはしない、つよい子になるから。

 

 わたしがぜんぶ食べきったときのお父さんのびっくりした顔はおもしろかった。

 

 

 

 つぎにお父さんと会えるのはいつかな。

 

 

 




ロリっ子のオリキャラははご所望で無かった様子。
なんでや! ロリっ子にエネルのをお父さんって呼ばせたいやん…!

中の人がデレデレしちゃってるのに、いいお父さんにしか見えないエネルが見たかったんや!

誰に何と言われようと俺はこれを完結させるぜ(震え声)

9/13 ひらがな表記を漢字交じりに修正。


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公式チートな国王

テンプレその五
・雑食この上ない悪政王を仲間に
・原作者公認の悪魔の実の同時使用
・圧倒的カリスマ


 娘と別れるのがこんなに辛いものだったとは…っ!

 

 うぅ……!

 

 だが、あの子のことを思えばこその決断だった! そう思う事にするっ!

 

 ……三姉妹には女ヶ島への客人という扱いをお願いしたから、将来あの島から出るってことになっても問題が起きることは無いはずだけども……。

 

 ただ、お母さんって呼ばれてたマリーが空回りしないかが心配。

 

 今度行ったときちゃんこ鍋を食べてたら叱らないと(使命感)

 

 短い時間だったが、マリアと戯れていたことがみな懐かしい。

 

 寂寥感が半端でない。

 

「…………心地よいものだったな……」

 

 感慨深い時間だった。

 

 ……よし、元気出していこう。

 

 これから一年の間に起きる不幸な事件を起こさないようしていくのだ。

 

 うん。

 

 ……だけどちょっとその前に。

 

 

 

「ヤハハハハ! とんだ悪政を敷いているようだな!」

 

「誰だ貴様は!」

 

「んん、私か? ……我はカミなりっ! それ以上でもそれ以下でもない!」

 

「衛兵は! 衛兵は何処へ行った! ――チェス! クロマリーモ! ドルトンはっ…!」

 

「残念だが、この城の人間には眠ってもらっている。ドラム王国現国王ワポル! ……早速だが貴様の身体、有効活用させてもらおう」

 

「ひっ! や、やめろ! 俺様に触るな!」

 

 神経を伝う電気信号程の雷で頭の中の制御を乗っ取る。

 

 金を食べさせて全身の神経を金に置き換えて、電気の出力を間違えても大丈夫なように作り替える。

 

 手に入れたアルミナ、ガラスを食べさせて神経の周辺を薄くコーティング、内臓の造りも金に作り替えていく。

 

「さて、仕上げだ」

 

 神経を流れる電気信号程度の雷に変わり、体を乗っ取る。

 

「……成功だナ」

 

 むむむ、まだ喋り方がぎこちなかった。

 

「アー、あーいーイー……よし。慣れた。マハハハハハ!」

 

 まさか本当に服扱いになるとは思わなかったけど。……まぁ、念には念を。保険かけとこう。

 

「私自身を食べさせ……」

 

 顎だけを残して自分自身を食べさせ、動きにくい身体を、エネルの体をベースに『人体の黄金比』と称されるような身体へ変えていく。

 

 知識をみてまさかー、と思っていたけど出来ちゃうとは。

 

 これで自分はバクバクとゴロゴロの実の能力者になれた。

 

 ……見聞色で分かったことだがバクバクの実の能力は鍛えれば、口径摂取したモノを時間の概念が無い亜空間に蓄え、自由に操ることができるらしい。

 

 ただし食べたモノを覚えていないと取り出すことが出来なくなるし、能力を鍛えてなければ時間がたったモノを取り出すのに時間がかかる。

 

 ちょっとした雷の応用で完全記憶能力が備わっている自分(エネル)に隙は無かったな。

 

 ワポルがこれに気づいてたら原作でルフィたちにやられることは無かったろうに。

 

 というかヤミヤミより凄い気がするんですが。……いや、バクバクの実がチート過ぎるのか(白目)

 

 後はこのイケメンな顔に似合わない顎の成形だけど……狼を食べて腕から生やして顎を食べさせよう。

 

「さて、さっさと済ませようか」

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 気が付いたら私は冷たい床に横になっていた。

 

 他の兵士たちも同じようで何があったのかわからないという表情をしている。

 

 ……あんな王でも仕えるべき相手。様子を見に行かなければ……。

 

 

 

 ――だが、それは違う意味で裏切られた。

 

 

 

「ワポル、さま?」

 

「――どうした、ドルトン」

 

「い、いえ……お姿がお変わりの様で……」

 

「ああ、その事か。――少し、能力で変わってみたのだが……可笑しなところがあるか?」

 

 

 

 ――違った。……まずあの体が、二頭身のような体が違う。

 

 背は高く、顔もまた小さく。だらしなかった青い髪は綺麗に一つに纏めて、清潔に。威厳の欠片も感じなかったホワイトウォーキーのマントが似合っている。

 

 ――その出で立ちは、人体の黄金比ではないかとすら……!

 

 だが、それよりも決定的に違う部分がある…。

 

 ――……なによりも、身体からにじみ出る威圧感が! 雰囲気が! オーラが違ったッ!

 

 ――先代の、私が仕えたドラム王国国王をしのぐカリスマすら感じる…ッ!

 

 今のお姿こそ正しく王。王の中の王っ!

 

 ――この王こそ我が仕えるべきお方…!

 

 私は、感動のあまり体が勝手に動いたのだろうか。跪き、あのワポルに、いやワポル様へ敬礼をしていた。

 

 

 

「急にどうした」

 

「い、いえッ! 改めて、我が王への忠誠を誓っただけですッ!」

 

「ふむ……そうか。すまないな、今まで。私は愚かだった。王として恥ずべき行いばかりしてきた。――かつての己が恨めしい」

 

「……!」

 

 

 

 誰なんだ、この人は! まるで別人ではないか!

 

 だが、別人ではないことは確か! 今や嘗ての面影が見られるのは――いや、それすら美しく整形されているが、あのブリキで覆われた口元がその証!

 

 ……だが、私が眠っている間に何があった…? 何がこの方をここまで変えた…!?

 

 

 

「一体何が、……兵士全員の意識が途絶えたあの間に一体何があったのですか!」

 

「……何もない」

 

「な!? そんなわけが」

 

「いや、何もなかった。――まぁ、だが敢えて言うのならば」

 

 

 

 ――それは転んで頭を打ったのだ。

 

 

 

 そういって、ワポル様は「マハハハ」と穏やかに笑って答えられた。

 

 

 

 それからというものの、ワポル様は変わられた。

 

 まず手始めにと、悪政の種であったチェスとクロマリーモの二人を連れ、悪政を敷いていた事を民の元まで行き、地に額をつけて詫びた。

 

 ――どんな罰でも受けよう。私はそれだけのことをしたのだから。

 

 と言われ、民の皆に殴られ蹴られる事を良しとし、許してもらうまで何度も何度も、来る日も来る日も頭を下げてらした。

 

 ……己の過ちを悔やみ涙を流して。何度も何度も。

 

 その姿に感化されたチェスとクロマリーモの二人も我が王の後ろに続き、地に頭を下げた。

 

 ワポル様はその二人への民たちの怒りもその身一つで受けられた。

 

 何度殴られたか。何度蹴られた事か。身体を鋼鉄で覆っているからこそ、命を刈り取る凶刃にも凶弾にも耐えることが出来たから良かったが、あの方が能力を持っていなければ死んでいた事も何度かあった。

 

 次第に我が王を許す者も増えていき、やがて王を殴り、蹴るのは最後の一人となった。

 

 

 

 ――その者が王を許すと言った後のことは鮮明に覚えている。

 

 

 

「――この国を変えよう。私が変えて見せよう。雪に閉ざされたこの国を。人の心まで閉ざされているこの国を、蘇らせて見せる」

 

 ――ドルトン、チェス、クロマーリモ。

 

「……そしてこの場にいる者達よ。それを我が愛する、我が民たちへの贖罪とさせてくれ」

 

 

 

 誰かが挙げた声は伝染しやがて一つの大きな声に。

 

 ……私はその光景にこの国の明るい未来を見たのだ。

 

 

 




>>ただし、主人公がワポルそのものとして。
>>映画、エピソードオブチョッパー参照。
>>青髪マイルドけものどの。
え、テンプレじゃない…だと…!?

ちなみにこれは原作をこねくり回すスタイルです。
原作「らめぇ、らめなのぉおお!」

感想&評価ありがとうございます。
息抜きの作品にしか過ぎないですが励みになります。
誤字報告等を除き、感想返信をあまりしませんがご了承ください。


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四皇の片腕もってく近海の主

テンプレその六
・シャンクスの左腕
・見聞色の覇気



「ドルトン。お前を呼んだのは他でもない。私が留守にしている間国王代理となる役職、副王に任命する。私の次に自由がきく権限をもった役職だ」

 

「……はい?」

 

「私はやることが出来た。少し国から出るが、今年の世界会議の前には戻る。……下剋上を起こし、王になって世界会議に出たければそうしても良いぞ?」

 

「ちょ、ちょっとワポル様! 御冗談が過ぎます! それよりも何故私がそのような……」

 

「マハハハ! 冗談だ、冗談。だが、副王の話は冗談ではないからな。……チェス、クロマーリモ。私が居ない間のお前の仕えるべき相手はこのドルトンだ。わかったな」

 

「そ、そんな! 待ってください国王様!」

 

「では、三人とも後は頼んだ。……用済みの人間は表舞台から去るのが鉄則だ」

 

「まさか……ワポルさ――」

 

 

 

 ……Dr.くれはに頼み、大規模公的医療機関を山の麓に作り、これまた頭を下げて病院副院長と内政顧問官をお願いし。国の道路を整備、バクバクの能力で作った遮熱パイプを使った上下水道を整え……。

 

 とにかく思いつくがままに国を良くしようと努力した。

 

 

 

 そして出来たのがドラム医療大国。

 

 

 

 戸籍ができ、法が整備され、国民の忌憚のない意見を取り入れるための『円卓の間』を設立。

 

 そして何よりも国民は無理のない一定の税金を国に納め、国からの補助を受け、格安で医療を受けることが出来る、寒いこと以外は住みやすい国になった。

 

 寒いという欠点も今では下水処理に出るガスを集め、燃料とする暖房を各家庭に設置し、屋内の気温のコントロールも効くようになっている。

 

 加えて政務も、ある程度の事務処理はチェスとクロマーリモでも出来るから既に自分はご無用。

 

 国民からの失った信用の回復も、悪政を敷いていた落とし前もつけた。

 

 ワポルはこれでこの国ではただのお飾り。

 

 能力欲しさに体を奪った事と、国政の立て直しとでつり合いが取れているからこの国からワポルは消えても問題はない。

 

 既にワポルの意識は完全に消えてしまってるけど、大丈夫だろ(震え声)

 

 

 

 窓から飛び降り、身体の中に仕舞っていた黄金の鎧(スヴァルナ・カヴァーチャ)に乗り込んだ。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「やはり、この姿が落ち着くな」

 

 そもそも能力だけが欲しかったわけだし、ドラム以外でワポル(イケメン)にならなくても良かった。

 

 

 

 というわけで本来の姿に戻って、フーシャ村に行く前に寄り道を。娘の顔見たさに女ヶ島に行った。あと色っぽいおっぱいを見て、色々とやつれた精神を癒すために。

 

 だって冬島だからみんな厚着しておっぱいとか見れねーんだもん! 薄着している女性がDr.くれはだけっていう。……まぁ、歳の割にはNiceおっぱいだったけど。

 

 

 

 それにしてもこの身体の自動変換はワポルを取り込んでも相変わらずなようで。

 

 マリアが抱き付いてきたので抱きしめかえしてあげたかったというのに、なんだって自動変換=サンは微笑みと頭撫でるだけにとどめてしまうんですかねェ…? この身体が憎い…!

 

 そして案の定、マリーがちゃんこ鍋を食べさせて&食べていたのでやめさせた。

 

「豚になるぞ」って言葉は最強だと思うんだ(ゲス顔)

 

 一日くらいフーシャ村に行くのが遅くても大丈夫だろうと考えて女ヶ島の中を見て回って歩いた。

 

 マリアに手を引っ張られ、女ヶ島の街を案内してもらったのだけども。……色っぽい格好をしたお姉さん方には微笑ましいものを見る目で見られてたので、大手を振るって双丘を眺めることが出来なかった。

 

 まぁ、マリアが少しでも笑えるようになったことにほっこりと出来たので良しとする。

 

 

 

 ……で。

 

 一日のんびりしてたらやっちゃったんだぜ!

 

 

 

 急いでフーシャ村に向かって飛んでいたらレーダーの知覚範囲内に、シャンクスの左腕を食いちぎった直後の海王類らしき生物を発見。

 

 

 

 ――阻止しようと思ってたのに事後だったっていう。

 

 

 

 まぁ、でも治せないこともないので遠距離からの雷で仕留めて、口の中からシャンクスの腕を取り返した。

 

 流石、大気中に発生する静電気を操る雷様は格が違った。

 

 感動的なシーンでは空気を読んで登場しなかったんだぜ!

 

 気に入っちゃったんだぜ! ごめんねなんだぜ!

 

 

 

 ……さて、治すにはバクバクの実の能力を使うわけだけど。

 

 左腕の無くなったシャンクスを食べ、シャンクスの左腕も食べてくっつけるのだけの簡単なお仕事なんだけど。

 

 問題はシャンクスをいつ食べるか。

 

 ……。

 

 

 

 ……あれ、これ詰んでね?(困惑)

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 居酒屋に入り、腕に赤くにじんだ包帯を巻いているシャンクスに話しかける。

 

「邪魔して悪いが……少しいいか?」

 

「う~ん? なん……おぉ! 俺の腕じゃん! どうしたんだ? というかお前誰よ?」

 

 ……おおぅ。凄いね、覇王色の覇気。

 

 隠しているのが見聞色で分かるけど、とんでもねぇや。

 

 なんでか知らないけどワポルの奴が才能があって自分も使えるようになってるけど。

 

「少々二人で話がしたい。……少し来てくれないか」

 

「ん~……ま、いいけどよ。おーい、ちょっくら出かけてくるわー!」

 

「ちょっとシャンクスさん!」

 

「おう! なんかあったら呼べよセンチョー!」

 

 シャンクスを連れて外に出て、店の裏に回った。

 

「で、なんだって呼び出したのよ? あんたの事、見たことないんだが」

 

「名もない旅人だ。腕を治せる。ただ、それには少し目をつぶっていてもらいたい」

 

「おいおい! そりゃあ、ちょっとあんまりじゃないか。腕を持ってかれたときに俺はそれなりの覚悟をしたんだぜ?」

 

「まぁ、そうだろう。……だが、これも何かの縁。ちょうど私はお前の腕を見つけ、治す方法を持ち、そして出会えた。……この出会いの記念に治させてはくれないか?」

 

「ははーん……さてはお前能力者だな? 船も見えねェってこたぁここまで飛んできたか、走ってきたか。……此処の住人なわけがねぇしな。少なくともお前の様な強い奴はこの海では見かけねぇ」

 

 ……ばれてーら。

 

 まぁ、だけど此処で引き下がるわけにはいかない。

 

 意地でも治してやる。

 

「それは見てもらった通りだ。勿論医者というわけではない。あのゴムゴムの実を食べた子どもと同じように能力者だ。……手配書に載るような強者ではない、とだけ言っておこう」

 

「……海兵、ってわけじゃねーよな?」

 

「勿論。……一等兵以上の階級というわけでもない。敢えて言うが政府の犬でもないからな」

 

「あーわーってる分かってる。そんな雰囲気じゃねーのはわかるよ。それなりに出来るから。……でも お 断 り だ!」

 

「……」

 

 ……はぁ。

 

 実力行使はあまりしたくなかったけど、仕方ない。

 

「……上から来るぞ、気を付けろよ」

 

「? 何を言って――」

 

 近海の主の姿をした雷がシャンクスの頭上に現れ、残りの全身を飲み込んだ。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「――ったく、なんだって俺はこんな……はあぁぁぁあああああ?!」

 

 気を失って目を覚ますと腕が生えていた。

 

 な、何を言っているかわからねぇとおもうが俺も何を言っているのかわからない。

 

 頭がどうにかなりそうだ。超回復だとか、超医術だとかそんなちゃちなもんじゃ断じてねェ。

 

 もっと恐ろしいモノの片鱗を……って。

 

「あぁぁぁあああ! あの金ピカ棒か! 余計なことしやがってェ…!」

 

 ぜってーしばく。今度会ったらあの顔に一発ブチ込んでやる。

 

 ……それよりもアイツらにこの腕、何て説明しようか(汗)

 

 

 




>>「持ってかれたァあああ!」→バクバクしちゃおうねぇ~
>>思考の読み合いによる言葉の欠如。考えるんじゃない、感じるんだ!(キリッ
テンプレやね(にっこり)

近海の主はスタッフ(エネル)が美味しく頂きました。
主「(´・ω・`)」


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次代への礎

テンプレその七
・革命軍の勧誘
・フィッシャー・タイガーの救出



「……ふぅ」

 

 やった。やってやった! やりきったっ!

 

 威圧感が凄かったけど治したっ! よく頑張った自分!

 

 もう休んでもいいよね(フラグ)

 

 変なフラグ立ってそうだけど、もう疲れた…!

 

 あ、でもやらないといけないことがまだ沢山あるね(白目)

 

 世界会議(レヴェリー)にドクトル・ホグバックの想い人の救出(使命感)

 

 フィッシャー・タイガーが死ぬのも防がなきゃ(使命k)

 

 あぁ、あとグレイ・ターミナルの火災もか(使m)

 

 世界会議(レヴェリー)はまぁ……出ないとだめか()

 

 一応、お飾りとはいえワポルは王様なんだし(涙声)

 

 ……まずはドクトル・ホグバックの想い人、ビクトリア・シンドリーが生きているかどうかを確認しないと(たすてけ)

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「……大丈夫か」

 

「は、はい! あの、助けていただいてありがとうございました!」

 

「そうか。……ではな、舞台女優。足元には気を付けたほうがいいぞ」

 

「あ、あの! お名前を――!」

 

「名乗るような者では無い」

 

 

 

 シンドリー生存。

 

 

 

「……っ」

 

「……チクショウ、人間どもめ…!」

 

 

 

 フィッシャー・タイガー、死亡。

 

 

 

「グレイ・ターミナルを喰らいつくせば問題は無かったか」

 

 

 

 ゴア王国グレイ・ターミナル。

 

 バクバクとゴロゴロの能力の応用で住人含め地下に埋まっていたゴミを喰らい、天竜人訪問後返却。

 

 ゴミに埋もれていた貴金属及び悪魔の実、回収。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 ……終わった。あとは世界会議(レヴェリー)だけ。

 

 フィッシャー・タイガーは間に合わなかったよ……。

 

 張り込んでたのに、助けられなかったよ……。

 

 アレが一番精神的に堪えた。

 

 ついカッとなってゴア王国に来たゴミをポイしちゃったけど問題ないね(白目)

 

 息子が心配だからって来てた革命軍の勧誘と、勧誘してきたドラゴンさん諸共蹴っちゃったけど問題ないよね()

 

 ……気が乗らないけど、ドラムに戻ろう。

 

 

 

「――お待ちしておりました、ワポル様」

 

「ドルトン、お前という奴は……私の代わりに王に成ればいいものの。ご苦労だった。チェスにクロマーリモもご苦労。……何か問題はあったか?」

 

 ワポルの姿で王の私室に入るとドルトン、チェスとクロマーリモは傅き、敬礼をした。

 

「いえ、特には。ただ移住してくる住人が増え、住居に設置する上下水道の遮熱パイプが我々では造れず……。ガスパイプは何とかなったのですが……」

 

「余っていたパイプを鍛冶師に持って行ってもお手上げだとのことです……」

 

 あ、そうだった。配管設備はワポルお手製だったっけか。……まぁ、アレを造れっていうのは無理だよな。

 

「……わかった。私が後で造っておく。で、その新住人は?」

 

「現在は旧ドラム王国の建築様式の家に住んでもらっております」

 

「成るほど。……自らの行いのせいとはいえ、住民たちの反応が気がかりだ」

 

「? 特に問題は起こっておりませんが?」

 

「パイプが造れないという事は、王が不在だったということに他ならない。……国民たちは不安を抱いたことだろう。――今の暮らしには私という存在がいたからこそ、存在する。良い意味でも悪い意味でも、な」

 

 ワポルの今までの政治が悪かったからこそ、自分の政治が善政といわれるようになっている。

 

 そして国が住みやすい環境へ変わったのもまた、皮肉にも悪政を敷いていたワポルの能力のお蔭だ。

 

「しばらく国の大黒柱であった私が消えた事により、また元の国へ戻ってしまうのではないか、と国へ不信を抱いたものも居るのは当然だ。……実際に民衆からの声を聴いた」

 

「そんな……! 一体誰がそんなことを!」

 

「マハハハ。……言わぬよ。言われても当然だからな。別に不敬罪で処罰する必要はない。むしろ純粋な感想を言ってくれて有難くすら思うよ。……ドルトン。少しの間、王をやってみてどうだった?」

 

「そんな、突然なにを」

 

「いいから、……答えてみろ」

 

「王の心持が少し、わかった気がします。……ですが! 私にはとてもじゃありませんが王の務めは無理です! やはり、ワポル様こそが――」

 

「うむ、もうよい。二人はドルトンに仕えて、どう思った?」

 

 ドルトンの横にいるチェスとクロマーリモに聞く。

 

「……最初は違和感しか感じませんでしたが。ですが、ワポル様の次に善き王となられるかと」

 

「……右に同じく」

 

「お前たち!」

 

「だまれドルトン。……そうか。私が王であるべきだと、お前たちは思ってくれているのだな……。だが、己の過ちに気づき悔いたとはいえ……私には王というには自覚がなさすぎる。それは私の行いを見ていてわかっているだろう? ……国の象徴であり、国の運営にこそ力を注がねばならないというのに、……贖罪とはいえ、民のため人のために働きすぎていると。そうは思わなかったか?」

 

「それは王がお優しいからであって…!」

 

 優しいなぁ、ドルトンは。でもこれも全てはワポルという存在が為。

 

 自分(ワポル)が無茶苦茶にしてしまったこの国を治すためには、新たな政治体制を整えた上で、王が変わらないといけない。

 

「……国政にはな、時には残酷にならねばならぬ時がある。……余分な物を切り捨てるという行いもしなければならない。その余分な物が私だ。……私は今、優しすぎるのだ」

 

 だからこそ、はっきりと言わないと。

 

 不確定要素は消え、新たな善王になれと。

 

「ドルトン、お前は不甲斐ない私によく付き合ってくれた。……国を誰よりも想ってくれていたお前に、――この国を任せたい」

 

「「「……!」」」

 

「とはいえ、いきなり王に成れといわれても実感がわかないだろう。……次の世界会議(レヴェリー)まで私が表向きの王をやり、裏でドルトン。お前がこの国を統治し、王としての為すべきことを学ぶのだ。良いな?」

 

「……ワポル様!」

 

「…………すまないと思っている。唐突すぎることだろう。だが、悪政を敷いていた私には前科があるのだ。悪政を敷いていたという、その事実が。……何時、前の生活に戻ってしまうのではないか。何時、圧政に苦しむ日々がまた訪れるのではないか……そう憂う者達もこの国の民には少なからずいるのだ……」

 

「…………」

 

「判ってくれ……」

 

「……わかり……ました」

 

 ドルトンは心底納得いかない様子で。

 

 チェスとクロマリーモも納得のいかない表情を浮かべていた。

 

 

 

>>ワポル(エネル)は国王という役職をブン投げた!

 

 

 

 




>>蹴る(物理)
>>出来ない。これによってアーロンコノミ諸島襲撃フラグが建ったよ! やったね、たえちゃん!(ry
張り込みという名の過労が原因ですた。(マモレナカッタ
時期がハッキリしてないのが悪いんや!

原作開始八年前が楽しみですね(ゲス顔)


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世界会議は踊る

『Film Z』を見ました。
ルフィに「やりたいようにやれ」って言われました。
やりたいようにやります。

テンプレその八
・赤犬を打ち負かす能力
・特殊能力付きのゾオン系悪魔の実幻獣種
・権力持ち原作キャラとのコネクション


「まさか動物系(ゾオン)以外の悪魔の実を機械に食べさせることが出来るとはな」

 

 ワポルが造ったと思われる、『ロイヤルドラムクラウン7連散弾ブリキング大砲』とかいう長ったらしい名前のドラム王国最終兵器が城の一番上にあった。

 

 ……7連散弾大砲(ショットキャノン)じゃ駄目だったん? ワポルくん?

 

 さて、この『ロイヤルドラムクラウン7連(ry』は、バクバクの実の力で悪魔の実を食べたらどうなるか、という実験での保険として食べた。

 

 悪魔の実の拒絶反応が出る前に、別のモノへ食べさせるために。

 

 準備は整い、いざ実食! とバクバクの能力で悪魔の実を食べればグレイターミナルの時と同様どうやらただ収納するだけのようで。

 

 収納した状態で体内から能力を吸収しようとしたら案の定、悪魔の実の小競り合いが発生。

 

 このままじゃヤバい、と爆裂死する前にこの『ロイヤル(ry』改め7連散弾大砲(ショットキャノン)と混ぜたら安定したのだけど……動物系みたいに悪魔の実に意思がないのか、単体を体から出しても変化しなかった。いや、むしろそっちの方が都合が良いので良しとする。

 

 道具に宿る能力をどう使っているかだが、まず前提に、バクバクの効果で取り込んだものは『体の一部であり、尚且つ孤立したもの』とされる。

 

 そして体内に取り入れた『悪魔の実が宿った道具』を『バクバクの実の能力で、宿った能力を引き出して使う』というプロセスで道具の能力を使える。……これには自分が道具が纏っているモノ……即ち()と認識されているのかもしれないが、そこんとこは謎。

 

 ただ、バクバクの実で他の能力を使うという事は逆に言えばバクバクの実の能力者の体内に無ければ使えないということ。

 

 世に出してはいけない悪魔の実を隠し、尚且つ使えるのならこれ以上の方法はない(確信)

 

「マハハハハ! だが、これで他の悪魔の実の能力も使える事がわかったぞ…!」

 

 世間に出回ったら味的な意味でなくマズい悪魔の実の一つ。

 

 自然系(ロギア)であるネツネツの実の熱人間はメラメラ、ヒエヒエといった温度を変化させる系能力の最上位に位置する能力で、熱というエネルギーの体現。

 

 その熱を操る範囲は、絶対零度である-273.15℃から1兆℃。

 

 ただ限界突破して1兆℃以上にも可能ではある……。

 

 ……というか熱というものには上限がなく実質無限なわけで。

 

 多分それ以上にすると超新星(スーパールーキー)とか比喩じゃない爆発が起きてこの星滅んじゃうだろうから――……なにかしらの抑止力でも働いてると思う(震え声)

 

「そうとなれば、あの2つの実も……いや、一つだけにしておくか」

 

 トリトリの実幻獣種の『モデル・ガルダ』を体内で新しく作った、金色の硬くそれでいて柔らかい形状記憶合金で出来た鎧に喰わせた。

 

 ……絶対に、此奴だけは自分から切り離したら駄目だ。

 

 動物系(ゾオン)の悪魔の実は意思らしきものがあるから尚の事。

 

 身体の一部として鎧の制御権が自分にあるが、野に放してしまえば何をするかわかったものじゃない。

 

 鎧を露出させるにしても皮膚という形で体から外れないようにしないと。

 

 だってエネルの遠すぎる親戚であろう――インドラさんの100倍強いし(白目)

 

 雷は効かず不老不死の肉体を持ち、その羽一枚で世界を支えられる神鳥という……もう、ね。

 

「逆に言えば体から出さない限り私は不死で不老だ! ヤハハハハハ! ……おっと」

 

 そう、逆に考えるんだ。外さなければいいじゃないって考えるんだ。

 

 ……つい取り乱して素が出てたな、危ない危ない。

 

 

 

 というか呪いの装備じゃないですかヤダー!

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「――ネフェルタリ・コブラ。久しぶりですな」

 

「!? ……あ、あぁ。……ドラムの王、ワポル。四年ぶりだな」

 

 一瞬、誰かわからなかった。……ドラムで悪政を働いていた王が人が変わったように善政を敷き始めたと、風のうわさで耳にはしていたが。姿まで変わっていようとは。

 

 姿は恐らく、過去好き放題であったとき戯れに食べた悪魔の実の能力だろう。……だが、何故今になってそのような事を。

 

 加えて、挨拶などロクにしない常識の欠如していたモノだったと認識していたせいか不意を突かれた。

 

 それにしても、纏う雰囲気が違う気がする。……強者か、もしくは覇者かというような……。

 

「最近、国の発展に力を入れているそうだが、……何かありましたか」

 

「……恥ずかしながら、少々転んで頭を打ってしまってな」

 

「は?」

 

 あっけらかんとこの男が言った言葉に口がふさがらない。

 

「マハハハハ……そのような顔、家臣には見せられませんぞ? ……転んで頭を打ち、その時、私がしていることは間違っているのではないか、とふと思ったのだ」

 

「……なるほど」

 

 そのような事があるのだろうか。

 

 いや、あるのだろう。

 

『人が空想できる全ての出来事は、起こりうる現実である。』

 

 とウィリー・ガロンが言ったように、……起こり得てもおかしくはない。

 

 会議を行う部屋へ、私はワポルと共に入る。

 

 ――この者を別人ではと思うのは私だけではなかったようだ。

 

 

 

 それから行われた会議の話題は革命家ドラゴンなるものが活動している話であったが、それよりもドラム王国が過去のモノになっているという話で占められた。

 

 名はドラム医療大国となり、その名の通り優れた医療を受けられること。

 

 点在して住んでいた国民を王城周辺に集め、家族、共に何処に住み、どのような職業をしているか等を記した戸籍なる物の存在。

 

 そしてなによりも私も含め驚いたのが、「王すら縛られる法」だった。

 

 聞いた一人の王が嘲笑う。

 

 その者も嘗てのドラムの王のように、人を人とも思わない王だった。

 

 そして「どうやらドラムの王は狂乱に走ったようだ」と嗤う声は伝染する。

 

 

 

「嗤う事かッ!」

 

 

 

 ドラムの王ワポルが叫ぶ。

 

 私も含め、気圧された。

 

 まるで兵が敬礼をするときのように、背筋が伸びた。

 

 嗤う声は鳴りやんでいた。

 

 

 

「――王もまた、一人間に過ぎない。人が過ちを犯す様に、王もまた過ちを犯す可能性はある」

 

 ――私自身がそうだったように。

 

「だからこそ、私も法に縛られるべきだと考えたのだ。――志していたモノを忘れぬように、忘れてはならない戒めとしてな。先ほど嗤った者達がいるようだが、……その者達に問いたい」

 

 ――王とは何だ、国とは何だ。

 

「王が国か? それとも土地が国か? ……違うだろう。王は人を統率し、畏敬を集める存在だ。王の為人(ひととなり)に自然と人は集まり、民となるのだ。……そして国となる」

 

 ――無知と侮る無かれ。

 

「民たちは見ているぞ。我らの行いを、政治を。……だからこそ己が私利私欲がために権力を振りかざす王は民に煙たがられ、国には革命が起きるのだ。革命家だ、ドラゴンだと危ぶむよりも、まずは自らの行いを見つめ直した方がよろしいのではないか?」

 

 

 

 ……本当に、この王になにがあったというのか。

 

 私には推し量れない。

 

 

 

「……と、まぁ私はこのように考えている。何か意見があるなら会議の後にでもお聞きしよう」

 

 

 

 淡々と語る言葉には覇気があった。

 

 有無を言わせぬ確固たる意志の乗った言葉。

 

 あの哂っていた者も、そのほかの者達も気圧され、圧倒されて何も言えなかった。

 

 私には共感こそすれど異論などない。

 

 

 

 ……会議が終わり、退室するあの王の背中を私は追いかけた。

 

 

 




>>スーパーノヴァ!
>>ギガフレア! のバカムートじゃないよ!
>>ただし、王様として。コブラと???

核の炎が1兆℃ほどだそうで太陽より熱いらしいです。
そしてガルダ(もしくはガルーダ)は「インドラの矢(核)」を使うだろうインドラさんの100倍強いそうです(白目)

感想、評価ありがとうございます。
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飢え

テンプレその九
・ゼフさんの足
・男の理想郷(あるかでぃあ)アマゾン・リリー
・電伝虫


 世界会議でムカついたから自分の考える最高の王様像を言ってやった。

 

 ……自動変換さん仕事しすぎだと思うの。

 

 あんなこと言ってる途中で過労死したら許さないんだからっ!(つんでれ)

 

 終わってから、やっちまったとか内心色々思いながらビクビクしてたら自分の知る善王の二人から声を掛けられたのには、不意打ち過ぎて驚いたわ。

 

 中々ユニークな人達だったけど、ありゃただの親バカだったな。

 

 どっちも娘自慢でムキになってとっつかみあいの喧嘩始めるんだもん。

 

 最後には酒の席になって、肩組んで「まったく娘っこは最高だぜ」って話になったから良かったけど。

 

 ま、ウチのマリアが一番かわいいと言ってやりましたけどね!

 

 あの二人喧嘩止めてまで笑われたけどね!

 

 ……それにしても、会議で話が出たけど世界政府という名のヤクザどもに天上金という名の上納金を払わなきゃいけないってのは理不尽すぎる。

 

 加えてその金をゴミに使わせるっていうんだから、ホントに碌でもない。

 

 しかも億単位の金額だし。

 

 そんな風に一か所の、世界の秘密を握っている場所に金を集めるから、奴隷制度とか無くならないんだってのに。

 

 でも人間オークションで一番金を落とすのはあのゴミどもで、金を落とさせるのが目的なのはわかる。

 

 天竜人に多くの金をださせようとあの場にはサクラがかなりの数居るのはわかってるけど、……それでも見世物にされ売られる立場を考えたら許せん。

 

 ……よし、辛気臭いこと考えるのはやめだ!

 

 さて、次に起こるのは赫足のゼフと子サンジ。

 

 クック海賊団の旗は覚えてるし、グランドラインから帰るところを追いかければいい。

 

 さ、ドラムに帰ろう。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「無人島でどうかしたのか、二人とも」

 

 

 

 一年間、グランドラインで俺は無傷だった。

 

 だが自然の力にはどうにも、人間は勝てないらしい。

 

 東の海という最弱の海で、客船を襲っていたところに嵐が起きたのだ。

 

 ――幾らグランドラインで猛者と言われようとも自然には勝てない。

 

 そう思い知らされ、食料もなく岩礁で出来たこの無人島で打ちひしがれていたところを俺と共に遭難した同じ夢を持つ生意気なガキは、青い髪の黄金に輝く鎧を着た男に助けられた。

 

 そして黄金の空を飛ぶ船に乗せられ、街のある近くの島に下ろされたのだ。

 

 助けられた礼にと、小僧には渡さなかった大袋の――食料の入っていない宝の袋を渡そうとしたが断られた。

 

 

 

 ――そうだな。今度、美味い飯でも奢ってくれないか?

 

 

 

 金より食い気。

 

 いや、あの鎧からすると金は腐るほど持っているのかもしれない。

 

 確かに今まで金持ちをたくさん見てきた。

 

 そんな連中から根こそぎ金目の物を盗んできた。

 

 金持ちは嫌いだ。平気で飯を残し、食材に感謝の一言も言やしない。

 

 だが、金持ちだろうアイツを。宝よりも飯を要求する奴を命の恩人を俺は嫌いになれなかった。

 

 あの金持ちに胸張ってご馳走するためにも、喰わずに済んだこの足あらって飯屋を開こう。

 

 

 

 ――だが、その前に、

 

 

 

「おいクソガキ、腹減ってるだろ。この宝で飯を食いに行くぞ」

 

「俺に食糧全部渡してカッコつけやがって……ガリガリじゃねーかぐそじじい゛…ッ!」

 

 ……漢が泣くんじゃねーよ、……ったく。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「……しまったな」

 

 追いかけると決意しておいて新聞の記事で、東の海を航海していた客船が嵐にあったって知ったっていう。

 

 加えてワポルのまま雷になって飛んで行ってしまったし。

 

 さらにさらにガルダの宿った鎧、「不老の黄金鎧(アムリタ・アヴァターラ)」を着ていたという始末。

 

 ついでにいうと遭難から90日以上経っていたし。

 

 どんだけうっかりしてるん、自分。

 

 子サンジに黄金の鎧着けてた痛い奴って思われたに違いない。

 

 ……ぐすん。

 

 でも落ち込んでもられない。これから一年、今年より多忙になるだろう。

 

 だって名無しの人もだが、名前のある人たちも殺される量が一際多い。

 

 過労死する前に癒されに行こう。

 

 いざゆかん! 我が理想郷! アマゾン・リリー!

 

 

 

「むぅ……!」

 

「……痛いぞ、マリア」

 

 娘がひどいです。

 

 覇気の乗った頭でお腹をぐりぐりしてくるんです。

 

 ……お父さんもお母さん欲しいのよ? ひとつなぎの大秘宝(おっぱい)手に入れたいんよ?

 

 でも一つのおっぱいに囚われたくないわけで。

 

 ゴルゴン三姉妹の形大きさ共に素晴らしいおっぱいだけに囚われたくは無いわけで。

 

 お前の友達でお姉ちゃんなマーガレットちゃんは、ちょっと手を出しにくいけど。

 

 光源氏計画とは言わないけど、将来有望な子はマークしてる。

 

 おっきくなったら一触りでいいから触らせてほしいね。

 

 ……というか武装色の覇気、いつの間にか纏えてたのねマリア。

 

 …………そんなわけないよね。

 

「ハンコック、ソニア」

 

「「……(ふい)」」

 

 覇気が使えるようになった犯人はあの二人か。

 

「疚しい事が無いならこっちを見ろ、お前たち」

 

「「……っっ!!」」

 

 顔を赤くさせてイヤンイヤンすんじゃないよ!

 

 あぁ! 胸の形が変わってて眼福だけどっ…!

 

「むぅうう!」

 

「どうしてそんなに怒ってるんだ。……話してくれないか?」

 

 ぷくって柔らかそうな頬っぺたを膨らませて、激おこですかマリアさん。それとも激おこぷんぷん丸ですか。

 

 突っつきたいくらい可愛いけど、なんかお父さん悲しい。

 

 ……多分、起こってる理由はアレだと思うけど。

 

「だってお父さん来てくれなかったんだもん! マリーお母さんも、すぐに来るすぐに来るって嘘ばっかりだったし! この島に来てくれたと思ったら他の人たち話してて来てくれないし!」

 

「……マリア、それはすまなかった。今度二人で遊びに行こうな、それで許してくれ。……だが、私がすぐにマリアの所に来なかったってわかったんだ」

 

「えへへ……んっとね、ハンコックとソニアお姉ちゃんに教わったハキ? で!」

 

「……お前たち、やはり見聞色の覇気まで」

 

「だって、マリアが妾には懐いてくれぬし……」

 

「マリーだけお母さんって言われてずるいなーって……ごめんなさい」

 

 まぁ、うん。惚れられてるなぁ、とは思ってたけど。

 

 まさか覇気の習得でご機嫌を取ろうとするなんて。

 

 マリアが可愛いから許すけど。

 

「はぁ……そういえばマリーは何処へ行った? 日帰りでこれから遊びにでも行こうと思うのだが」

 

「……それがずっと自分の部屋の隅で膝を抱えてて」

 

「……気づかなかんだのか?」

 

「……本当だ。何があった」

 

「……ちゃんこ鍋が食べれなくて、……禁断症状かなぁ」

 

「……なるほど。なら皆でちゃんこ鍋を食べるか」

 

 

 

「ちゃんこちゃんこちゃんこちゃんこ……でもエネルが豚になるって…! 豚は嫌豚は嫌豚は嫌ぁ…ッ!」

 

 

 

 この後五人でちゃんこを食べた。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「電伝虫を持って行ってはくれんか? これから忙しいと言ってたであろう? 声を聴くだけでも良い、妾は……」

 

「あ、あぁ勿論……うむ? ――嗚呼、そうだ! 電伝虫、電伝虫があった!」

 

「な、なんじゃ、一体……急に叫ぶものではないぞ! ……びっくりした」

 

「ハンコック! 映像電伝虫を親と子を六つ程揃えてくれないか!?」

 

「それは、構わんが……」

 

「頼んだぞ、ハンコック!」

 

「う、うむ……はっ! まさかこれが――!」

 

 電伝虫は電伝虫同士で念波という電波を発してる。

 

 それはこの青い星の反対側に行ったとしても届くのだ。

 

「――つまりマリーではなく、妾と夫婦になりたいと申すのじゃな! マリア、妾が今日から母に――」

 

「ハンコックはいやぁ!」

 

「( ;A;)」

 

 全力でマリアに拒絶されてその場に崩れ落ちてしまったハンコック、哀れ。

 

 でもこんなに拒絶されるなんて、お前一体マリアに何したんよ。

 

「……急に何を言っているんだ、ハンコック。まだまだ先の話をするな。……あとマリア。お前は言い過ぎだ」

 

「……ごめんなさい」

 

「(*´ω`*)」

 

 ……嬉しいからって、そんな顔しても流行らないし流行らせないからな。

 

 普段しないような顔だからギャップで可愛いけどッ!

 

 

 

「成功だな。……これで移動範囲が増えた」

 

 まさかと思って試してみたら出来るもんだね、うん。

 

 やってみないことにはわからないってことだ。

 

 電伝虫での会話にはタイムラグが存在せず、電伝虫の発している電波は世界中に届くという事。

 

 つまり電波に乗ればガルダの翼で移動、雷になって移動するよりも圧倒的に目的地への到達時間は短いということだ。

 

 速さ的には瞬間移動に近いんじゃないだろうか。

 

 乗っかる電波が映像電伝虫のものであれば、向こうの状況を予め知って移動することが出来る。

 

 そして公衆電伝虫の発する電波の周波数に合わせれば危険な状態へ陥った時、緊急の脱出手段にもなる。

 

 何故気づかなかったし。

 

 電伝虫が電波出してたのは知ってたのに。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 コノミ諸島、シモツキ村の道場倉庫、魚人島とウォーターセブンのよく見えるところにバクバクの実でカモフラージュさせた映像電伝虫の子を置いた。

 

 リク王にはワポルの姿で市販の電伝虫と一緒に直接渡し、ついでにコブラ王にも市販の電伝虫を渡した。

 

 映像電伝虫の親とリク王とコブラ王との電伝虫は自分がバクバクで食べて、持ち運びが便利に。

 

 

 

 よっしゃぁ! 数多のイベントたちよ、どっからでもかかってこいやァーッ!

 

 ……と、さっそく美少女が自宅倉庫の階段から足を踏み外してしまったようだから助けてくるぜ!

 

 

 




>>しょっぱなから足を落とす愚行……し……し……しませんでした。(コリャイッポントラレタゼ!
>>ただしアットホーム。
>>ワープ機能搭載(電気系ロギアの悪魔の実限定)

「さぁ、今日ご紹介する商品はこちら! ゴロゴロの実! ロギア系で最強とも噂されるこちらを何と! 今ならお値段お手頃の1980000000ベリーでお買い求めいただけます!」
「わーすごーい! でもちょっとものたりないかなー」
「そうでしょう、そうでしょう! ですが、今回! テレビをご覧になっているあなたに! な、なんとたった100ベリープラスしてお支払いいただくだけで、通常電伝虫六匹に加え、オプションのFAX電伝虫を三匹! それからそれから映像電伝虫を親を二匹、子を20匹! さらにさらに闇マーケットで高額取引がされている、黒と白、金と銀四種の電伝虫をプレゼントさせていただきます!」
「えー本当にいいんですかー!?」
「いいんです! 気になる電話番号はこちら! 0120-AAA-ZZZ! 0120-AAA-ZZZ! 電話番号のお間違えにご注意ください!」

- JOKER NET DOFLA -


と、茶番もほどほどに。
流石に一つも感想を返さないというのは申し訳なかったので、以下気になった(作者によって脚色された)感想返し。多分続きます。


>>AUOのかっこうしたエネルが思い浮かんだw
>>黄金の獣的エネルかっこいいんじゃないかな?


カリスマ溢れるお二方と顔芸がすごいエネルさんとが融合させたのが自動変換=サンです。
中の人=サンは中二病で無心になったり、悟り開いたせいで、
Justice, KAWAII!(英:可愛いは正義!)
Es gibt Gerechtigkeit in OPPAI!(独:正義はおっぱいに有り!)
とか言ってます。
俗にいう「カリスマと中二病が合わさって最強に見える」です。
ネーミングセンスがアレなのもこれのせいです。


>>2億ボルトの電圧で海水全部が電気分解


雷が海に落ちた仮定して、一瞬ですが海水は相当な量電気分解されているそうです。
連続的に雷が落ちている状況になれば勿論その電気分解は継続されるわけで。
最低に近いとはいえ海中で雷の発生が続けば、エネルの周りには酸素と水素が発生し続けることになり、海中の余分な物は重力に従って足元に落ちます。
この圧倒的なまでに超越的御都合理論がうーん、という人にはいい言葉を。

「考えるな! 感じろォッ!」


>>シャンクスを別の意味で食べてもいいんじゃよ? ……ゲフンゲフン(←


それはつまり、エネルさんが阿○さんの如くベンチに座ってツナギを下げればよかった、と?

俺は急に催したので店の裏手にあるトイレへ向かった。
ちらりとみたベンチにいい男が座っていた。
(ウホッ! いい男!)
そして、あろうことかその(エネル)はおもむろに、着ていたツナギを下げてこういった。
「やらないk――(以下検閲により削除)


>>1兆℃ってあーた、海干上がっとるがな!
>>限界分かるって、試してみたん?
>>ゼットンですねわかりますン! ウソップン!


レッドフィールド=サンとかと肩並べてそうな見聞色の達人エネルに隙は無かった(大真面目)



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生存と運送

テンプレその十
・くいな
・ベルメールさんとアーロン
・トムさん


「ありがとうございました!」

 

「礼には及ばん……。だが、父君には内密にな? 勝手に家に入ってしまっているのだからな……」

 

「は、はい!」

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 時期が判らなかったけど子ゾロの幼馴染、くいなは助けたぞ。

 

 ……実はたしぎと同一人物でした、なんてことはないはず。

 

 たしぎは子どもの時から眼鏡かけてたし。

 

 くいなは目が良かった。

 

 これが階段から足を踏み外して記憶を失くして、ってことになってたらもう知らない!

 

 くいなとたしぎは別人なんや…っ!

 

 ……と、丁度アーロンがコノミ諸島のオレンジ村に上陸したもよう。

 

 

 

 ベルメールさん助けにいこうか。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「ふん! くだらねぇ愛に」

 

「おい、何やってやがる」

 

「あぁん? ……な?!」

 

 

 

 肩を掴まれ振り返るとそこには、部下達が白目を剥いて縛られ担がれていた。

 

 ……何をいっているか……ってあれ、なんか拳が飛んできて……、

 

 

 

 ううぅ――あ? なんでシャーリーが此処に!?

 

 あ、あれはシャボンディパーク! なんでだ、ここはシャボンディ諸島…!

 

 何? 行こう? いや待てよシャーリー!

 

 どうして俺たち地上にいるんだ! おい、待てって――!

 

 

 

「目を覚ませ。アーロン」

 

「……は!?」

 

「にゅぅ……アーロンさん、俺たち捕まったんだ……」

 

「なに…? ……!?」

 

 

 

 俺の顔には影が掛かっていた。

 

 人型の影だった。

 

 逆光になり顔は見えなかった。

 

 

 

「アーロン、何故人を恨むんだ?」

 

「あぁ? 何故って、そりゃあ……!?!?」

 

 顔が見えた。

 

 

 

 ――よぉ、アーロン。元気にしてたか?

 

 

 

「なん、……タイの兄貴!?」

 

 

 

 なんだ、俺はまだ夢を見てるのか。

 

 目の前に死んじまったはずのタイの兄貴が……。

 

 

 

「ああそうだ。オレだ。ったくよぉ。お前、人さまにこんなことしてたら駄目だろうが」

 

「いや、だが! ……なんだってんだ、畜生! 確かに俺たちはタイの兄貴の遺体を海軍が持ち去るのを見たじゃねぇか……!」

 

 

 

 確かにコアラってガキを送り届けた後海軍に襲われて、兄貴は一人戦って、俺たちを逃がしてくれた。

 

 遠くからだが、海軍に殺されて連れ攫われるのを見た。これも確かだ。

 

 俺はそれから遺体だけでも奪い返そうと、仲間に迷惑かけねェように一人で海軍に挑んで捕まったってのに…!

 

 頭を殺した人間どもを憎いと思ったってのに……ッ!

 

 

 

「なんでいぎてんでだよぉアニキぃ…!!」

 

 

 

 ――あぁ、なんてことだ。情けないことに涙が止まらねぇ。

 

 

 

「なんだ、お前。俺に死んでて欲しかったのかよ……」

 

「ちげぇ! うれしくて、……ちきしょおぉ前がみれねぇ!」

 

 

 

 死んだと思った人が生きているということが、こんなに……。

 

 

 

「男がおめおめと泣くんじゃねぇよ。あの後な、俺は助けられたんだ。……ある人にな」

 

 

 

 ――頭は語る。

 

 一度死んだこと。

 

 海軍に連れ攫われて運ばれる途中悪魔の実の能力者が体を奪った事。

 

 その能力者に生き返らせてもらい、悪魔の実『サキサキの実』を食べさせられた事。

 

 ……でもそのせいで泳げなくなったこと。

 

 

 

「ま、泳げなくなったが、泳ぎの代用が効く能力をもらったから、別段悲しくもねえ!」

 

「……じゃ、じゃ本当に…!」

 

「生きてるっての! ああ、あとてめぇ! この人たちに謝りやがれ! なんだ、大人一匹10万ベリー、子供一匹5万ベリーっつぅのは! あぁん!?」

 

「っ! すまねぇっ! すまねぇェ!! ――あぁ、ちっくしょう! なんでとまらねぇんだ!」

 

 

 

 謝って謝って。

 

 ……あの殺そうとしていた厳つい女には笑って殴られ、許されて。

 

 

 

 ――でもそれ以上に、生きてるタイの頭に会えたことがうれしかった。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 ……原作とは違い、フィッシャー・タイガーは海軍の奇襲にあってその場で息絶え、海軍たちに連れ攫われた。

 

 その間、自分は少しの休憩と思って居眠りしていて、目が覚めたら残っていたのは血と海軍の撃った弾丸。

 

 やっちまったと思い、せめて故郷に遺体は返してやろうと海軍の船を襲撃。

 

 いつもの完全犯罪の方法で無かったことにし遺体だけ回収した。

 

 まぁ、勿論遺体も運ぶのが手間だったからバクバクしちゃったわけで。

 

 その時に出来るだけきれいな遺体で魚人島に返却しようと思ったら、死んだ臓器も生きてる状態になっちゃったわけで。

 

 それで身体の中で生き返ったタイガーに、ついでにベルメールさんを助けてもらおうと、マリージョアで手に入れた悪魔の実を食べさせてオレンジ村に送り届けたわけだ。

 

「……本当に、バクバクの実で大概のことが何とかできるあたりがな」

 

 身体の欠損を食事したもので補えるって辺りがね、もうね。

 

 補おうとして生き返らせたってね、人間やめてるね。

 

 いや、バクバクが出来るようになって排泄物らしきものがなくなった時点で人間やめてたや……。

 

 まさに、アイドルはおならもう○こもしないよ状態。

 

 

 

 ささ、次だ次。

 

 既に公開処刑が始まってトムさんと子フランキー、子アイスバーグが座ってる。

 

 ……うーん、助けるとしたら人目の付かないあのタイミングかな。

 

 それじゃあ、海列車を襲撃しに行こう。

 

 

 

 運転手以外痺れさせてからのトムさんバクバクするの余裕でした(ドヤ顔)

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「おい、起きろ。起きろって兄貴」

 

「うっ……うう……」

 

 

 

 ……此処は、魚人島?

 

 それに、コイツは……デン?

 

 なんだって弟のいる魚人島におれは居るんだ?

 

 

 

「兄貴、どうしてこんなところにいるんだ」

 

「わ、わからん……おれも何がどうなっているのやら」

 

「おいおい、もう痴呆か? 勘弁してくれよ」

 

「いや、おれはさっきまで裁判受けてて、有罪にされて……自分が造った海列車に乗ってたんだが……傷が、ねぇ」

 

 一体どうなってやがんだ…?

 

「そういや、さっきまでエネルとかいった神様チックな服装の男が居たんだが知り合いか、兄貴?」

 

「……? だれだ、そいつは……」

 

 知り合いにそんな奴……いねぇな。

 

「昔、丈夫な角材を買わせてもらった(よしみ)だ、といっていたぞ」

 

「角材? ……あ、あぁ! アイツか!」

 

 

 

 覚えてるぞ! 風貌に似合わず子どもを連れていた男!

 

 金は幾らでも払うから、と偶々持っていた宝樹アダムの角材を売ってやったあの男!

 

 角材だけ買って、帰っていったあの男ッ!

 

 

 

「たはっ! たっはっ……!! ……!! ……!!」

 

「おいおい、どうした。頭でもぶつけたのか?」

 

「いやぁ、すまん!世の中には義理深い奴がいるもんだなってなぁ! ……そうかそうか。なら救われたこの命、大切にせにゃならんな……」

 

 すまんフランキー……アイスバーグ……。

 

 おれは少し雲隠れさせてもらうよ。

 

 恩を返すまでは死ぬわけにはいかんようだからな…!

 

 

 

「デン、どうすれば世間から見つからないと思う?」

 

「あぁ、そういやお尋ね者か兄貴は……痩せたらいいんじゃないか?」

 

「たっはっ! ……!! ……!! ……そうかっ!」

 

 たっは! ……!! そんなに太ってるか! おれはっ!

 

 

 




>>転落からのお姫様抱っこ(ふらぐ)
>>タイの兄貴おっとこまえー!
>>痩せたらばれんよ。筋肉つけたらもっとばれんよ。
テンプレ~(嘘)
原作の酷イベントは極力ぶち壊していくスタイルで。
原作「らめぇ! それ以上されたら壊れちゃうぅ~っ!!」

バクバクの実が万能すぎて扱いに困る。
エネルさん無双のはずが……いやバクバクを乗っ取る時点でチートだから大丈夫か。
そして前回の徹夜明けのテンションはおかしい。
作者、どうかしてたんや…っ!


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外道と救世主

テンプレその拾壱
・リク王家転覆計画の阻止



「フランキー少年は無事なようだな……」

 

 トムさんを魚人島に送り届けて、海列車に轢かれたフランキー君の無事を確認してドラムに帰還。

 

 円卓の間でドルトンを控えさせ、民たちとブレインストーミングを行って、住民たちの声を見聞色の覇気でもって本心を直接を聞く。

 

 

 

 人間というものは欲深く、そして聖書にもあるように怠惰なモノ。

 

 便利な物が増えてくればどんどん怠惰を受容していく。

 

 そして面倒という言葉を使い始める。

 

 

 

 過去、機械が生まれて会社が人間の雇用を減らしたのがいい例だ。

 

 

 

 それを防ぐために自分は、もう王はモノづくりを行わないと言った。

 

 だがそれでは国民たちは困惑するばかり。

 

 何を求めているかを聞き、求めているソレをどのように実現すればいいかを同じ立場となってアイディアを出し合い、導いてやる。

 

 

 

 だが、あくまで導くだけだ。

 

 

 

 王様におんぶにだっこだと、いなくなった時に何もできないだろうから。

 

 ……幸い、この世界ではベガパンク並みのオーバーテクノロジーである上下水道処理兼ガス生成装置は、バクバクの実でなければ扱えない物質を使って作ってあるため絶対に壊れることは無いし、つなぎ目も作らないように作ったからバラされて複製されることもない。

 

 まぁ、それを心配することは無い。地下深くに埋めてるから。

 

 多種多様なパイプとその他諸々のワポルお手製のモノも、資材があれば努力次第で作れるという設計図を職人たちには渡していて、そのおかげか当初ガス管しか作れなかった職人たちも遮熱パイプを作れるようになってきている。

 

 加えて国民たち自ら試行錯誤し、王の助言抜きで新しい発明品を作り始めている。

 

 いい傾向だ。

 

 

 

 ……ただ、ちょっと。

 

 

 

 ここ数年で医師だけじゃなくて技術者も増えてきてる気がするの。

 

 今行ってるブレインストーミングも、議題は「本当に国名が医療押しでいいのか」ということなの(震え声)

 

 ……ベガパンク呼ぼうかな。

 

 そしたら大手を振って技術大国の名も名乗れるし。

 

 現代知識を持っているとはいえ自分の発想にも限界がある。

 

 資金援助をせずとも、彼に望んでる資材を与えればいいわけだし。

 

 でも既に海軍に入ってるのか。

 

 むむむ……。

 

 あ、なんだ。簡単な事だった。

 

 ベガパンクの閃きをトレースするか、かつてのベガパンクの研究所から色々盗んでくればいい(迫真)

 

 ……というか、どっちもすればいいよね(ゲス顔)

 

 

 

 さて、設計図諸々は手に入れた。あとはベガパンクの頭の良さを……っと。

 

「……ドレスローザが危ない」

 

 右目の視界が変わり、寝室に置くよう頼んだ映像電伝虫が窓辺に座って不敵に笑う男を映す。

 

 全身の皮膚を不老の黄金鎧(アムリタ・アヴァターラ)に変え、エネルの姿でドフラミンゴとリク王の居る寝室へと向かった。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 クソッ! どういうこった…!

 

 リク王につけた寄生糸(パラサイト)が消えやがった……!

 

 一体何が起こってやがる…!

 

 ……少し早いが、兵士たちに寄生糸を……――あ?

 

 

 

「何もんだ、おめェ……」

 

 

 

 いやに輝く羽の生えた鎧を着た男が横に立っていた。

 

 

 

()()め、救世主といったところか。……なぁ、ドフラミンゴ?」

 

 ――こいつは危険だッ!!

 

 俺の事を知ってやがる…ッ!

 

「……!!」

 

「おっと、今何かしたか?」

 

 巻きつけた糸が焼け千切れるだと…?

 

「てめェ……ロギアか」

 

「ご名答。ちなみにお前の部下は既に居ない」

 

「……何だと? ……!!」

 

 アイツらに付けていた糸が今切れやがった…ッ!

 

 待機させてた場所はかなり離れてやがるってのに……どういうこった!

 

 コイツの能力はそこまで遠くを……ッ!!

 

「クソがッ! ……アイツらをどうした」

 

「腹の中だ。……あぁ、大丈夫だ、心配するな。死んでは居ない。ただ、こちらの要求に答えられないというなら、このまま消化しても構わんが……」

 

 

 

 は、腹の中だあ!?

 

 

 

「……ふざけてんのなら殺すぞ…!」

 

「ふざけてなどいないがな。……腹心のディアマンテだったか? ……ほら、他にもピーカ、トレーボル。あぁ、それとシュガーにジョーラ、セニョール・ピンクにラオ・G……マッハバイスとデリンジャー、そしてバッファローに……ベビー5は中々の美人だ。将来に期待が持てそうだと思うのだが。それに……ほう、モネもなかなか。……綺麗どころは抑えているのだな?」

 

 

 

 !?!?

 

 おい、どういうことだ……おれは夢でも見てんのか。

 

 あいつらの顔が……! この男の身体から生えて…ッ!

 

 しかも、腕に生えたベビー5とモネをこいつはまるで人のように撫でて……ッ!

 

 ……いや、落ち着けよドフラミンゴ。そんなわけがねぇだろ…?

 

 

 

「フッフッフッフッフッフ…! どうせ作り物だ……一人芝居だろう? エェ?」

 

「そうか、なら消化してしまおうか。……ベビー5は将来美人になるだろうに……残念だ。……いや、そうだ。綺麗どころのモネとベビー5だけはとっておこう……少々話を聞いてみるか。目を覚ませ、ベビー5」

 

「おい、何言って」

 

「んん……あれ、若様? なんだかちょっといつもと視界が……アレ、なんで眠くなって……」

 

「眠んじゃねェ! ベビー5!」

 

 

 

 喋った。アレはベビー5だった。

 

 確かにあの生首はベビー5で……なにが起こってやがんだ…ッ!

 

 

 

「……ふむ。だが、そうだな。記憶があるというのは厄介だ……。そうだ、ドフラミンゴという主が居たという記憶を消して、新しく人格を作り直してしまおうか」

 

「!! ――よせッ!!」

 

「…………作り物といったのはお前じゃないか。偽物なのだろう? 私が肉人形相手に一人芝居しているだけなのだろう?」

 

 

 

 だが、嘘を言っているようには見えねェ……!

 

 ……なんだ、こいつは! 人を喰らう超人系の能力を持ってるっていうのか!?

 

 熱系のロギアじゃねーのかよ…ッ!

 

 糸も熱で切れちまうんなら、寄生糸(パラサイト)も使えやしねェ……!!

 

 ……コイツの能力は何なんだッ!

 

 

 

「……わかった。要求を聞こうじゃないか、えぇ?」

 

「ヤハハハハ! 嗚呼、それでいい! 良い判断だ。……私としても、あまり外道なことはしたくなかったのでな? さて、私の要求は一つだ」

 

 

 

 ――金輪際ドレスローザに近寄るな。

 

 

 

「さぁ、どうする? あぁ、言っておくが今、この者たちの持っている能力を俺は使える……。例えばお前をオモチャに変えてしまっても構わないわけだ」

 

 !?

 

 喰った能力者の能力が使えるってのか…ッ!

 

 だが、そんな能力聞いたことも見たことも……!!

 

「……わかった。もう、この国には近づかねェ」

 

 だから、ソイツらを…!!

 

「あぁ、返そう。……だが、私という存在は居てはならないのでな」

 

 ――少々今日の記憶を消させてもらおう。

 

 

 

「……あぁ? 俺は一体、……昨日何をしてたか」

 

 目が覚めると船の自室だった。

 

 何かひどい悪夢をみていたような、気がする。

 

「どうしたんです、若?」

 

 起こしに来てくれたらしいモネの顔を眺めてしまう。

 

 ……夢、か。

 

 覚えていないが、モネが出てきていたような…。

 

「……いや。……それよりもモネ、アイツらを呼んでくれ。これからドレスローザを――」

 

 乗っ取ると。

 

 前々から計画していたソレはこの日を境に言えなくなった。

 

 

 

 ――金輪際ドレスローザに近寄るな。

 

 

 

 ……アイツらから訝しまれながらも、無人島を占領し開拓し新たな国を建国するように計画変更した。

 

 だが、あれから何かが違うと。

 

 記憶の無いあの日に何かがあったのでは、と。

 

 このオレが恐れて、自ら記憶に封をしたのでは、と……。

 

 ……ドレスローザに近づこうとする度にオレはそう思えてならなかった。

 

 

 




>>人質と脅しという交渉の果てに。
テンプレは作る物(迫真)
最近発覚したことでテンプレートが無いならテンプレを作ればいいじゃない。

なに? 主人公が外道に見えるって?
ヒント:天竜人

半分だけだとこんな穏便になります(白目)

PS.
予約ミスって投稿早まった……orz
次がまだできてないので今日の更新は無いと思われ(スマヌ)


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この父にしてこの子あり

テンプレその壱弐
・原作ではあまり触れられない生命帰還
・娘には弱い父親


 ドフラミンゴを気絶させ、ドレスローザを乗っ取ろうとしたあの日の記憶を消させてもらい、乗ってきたであろう船に目が覚めたとき違和感が無いよう運んだ。

 

 ……それにしても色々と酷かった。

 

「元気を出せ、我が友ワポル……いや、今はエネルか。すべてはこの国のためにやってくれたことなのだから、お前が気にすることは無い」

 

「そうだがなぁ。それにしてもアレはひどいと思うのよ。……まったく、どちらが悪役か」

 

 相手が家族と呼ぶような人たちを人質にとって要求飲ませて。

 

 どっちが悪者かわかったもんじゃねーなぁ……。

 

「だが、我々は救われた。この国を代表して、エネルを送ってくれたドラムの王、ワポルには感謝せんとな?」

 

「はぁ……受け取っておこう。ワポルとして」

 

「あぁ、だから気にするな」

 

 でも感謝されてるから自信を持とう。うん。

 

「そういえば、アレはなんだったのだ?」

 

「リク王、アレとは?」

 

「私があ奴に操られた後、巨大な口の様な雷が私を丸呑みにしたのは」

 

「あぁ、あれか。……私はな? 実はバクバクの実の能力者であり、ゴロゴロの実の能力者でもあるのだ」

 

「なんと!? ……ということは悪魔の実を二つ食べたのか!? ……よく生きているな……」

 

「まぁな。正確には違うが、そういうものだと思ってくれたらいい。そんな幽霊を見たような顔をするな。……バクバクの実は言ってしまえば食べたモノで身体を改造する能力。ゴロゴロの実は雷のロギアだ」

 

「……成るほどな。つまり身体の一部を口のあるモノに変え、雷に変え。それで私を丸呑みにしたと」

 

「概ねその通り。ご理解頂けたか?」

 

 今のところフーシャ村近海の主を整形して作った、広範囲を喰らいつくす対集団の『齧りつくモノ(ニーズヘッグ)』とドラム内にいた狼を整形した追尾性のある対一人の『神喰らう牙(ヴァナルガンド)』の二つで、リク王に使ったのが神喰らう牙(ヴァナルガンド)、ドンキホーテ一味に使ったのが齧りつくモノ(ニーズヘッグ)だ。

 

 

 

「……もしかしなくともお主相当強いんじゃね?」

 

「若しかしなくとも私は強いぞ? 海軍大将を軽くあしらう程度にはな! ヤハハハハハ!」

 

 

 

 それはそうと、プライベートのリク王はめっちゃフランクなんよね(遠い目)

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 今度来るときは娘を連れてくるように、と念を押された。

 

 連れて行きたいのは山々だけど、ワポルの子じゃないし。

 

 血は繋がっていないとは言ったけど別に気にしてなかったな、あれ。

 

 電伝虫のワープは控え、やつれた心を癒すために星を見ながら背中に生えたガルダの翼で海を飛び、女ヶ島へ帰る。

 

「生命帰還がこれほど便利なものとはな」

 

 動物系(ゾオン)の能力への恩恵がすごい。

 

 通常、腕が翼に変わるところ生命帰還を使えば背中から生やすことが出来るっていうのはありがたい。

 

 人間の長所である二足歩行と両手が器用というのは中々惜しいメリットだ。

 

 ……バイオフィードバック云々なんて小難しい言葉があるけど、その辺はヒトヒトの実を食べたトナカイ君に任せよう。

 

「はぁああああーあ……」

 

 国家転覆を回避するため動いたのが夜遅くだったから凄まじく眠い。

 

 あと精神的に参ってしまってるから余計に。

 

 だけども。

 

「空一面の快晴の星空の下……圧巻だな」

 

 空に広がる星空を前に眠気なんてすぐに吹っ飛ぶ。

 

 ま、癒されてすぐ眠くなってるわけだけど。

 

 ……あ、日の出。

 

 闇夜に慣れた目にはすこし眩しいかな。

 

「それにしてもこの羽、いつみても綺麗な輝きをしている」

 

 それ自体が発光してんじゃないの? というくらい太陽に反射して綺麗に光り輝いて。

 

 流石っす、ガルダ先輩! 讃えられるべきとされた火の神アグニと間違えられただけの事はあるっす!

 

 今年起こる、防がなきゃならない出来事は知り合いのそのまた知り合い、その奥さんの救出。

 

 ……はぁ、と深く息を吐きながら水平線から登る太陽を見て、唯一気の休まるアマゾン・リリーへ急いだ。

 

 

 

「エネル、貴方大丈夫? 凄い隈が出来ているけど……」

 

「あぁ、大丈夫だ。気にするな、単なる寝不足だ……少し休む」

 

「えぇ……無理はあまりしない方がいいわ」

 

「すまない、ありがとう」

 

 九蛇城のバルコニーからダイナミック帰宅。

 

 既に起きて鍛錬を始めていたマリーと出くわした。

 

 最近、凄く良い女になってきてるから目が合わせにくい。

 

 自動変換さんが強制的に相手の目を見るようにしてくれるから問題ないけど。

 

 それでも自分は恥ずかしいわ!

 

 そんなイイ女のマリーと一言二言交わして、眠っている娘の居る、自分と娘に宛がわれた部屋へ。

 

 くぅくぅと寝息を立てるマリアの寝顔を見て癒されていたら、寝台に辿り着けずそのままダウン。

 

 お父さん苦しい、といつの間にか自分が抱きしめて眠っていたらしい娘に叩かれて目が覚めた。

 

「もう! お父さんひどい!」

 

「……すまなかったマリア。お前が可愛かったから一緒に寝てしまったんだ。許してくれ」

 

「……むう」

 

 おこなの? という程度に頬っぺたを膨らましているマリアが可愛い。

 

 きっと目の中入れても痛くない。

 

 頭を撫でたら機嫌が治ったらしい。

 

 ……で、ちょっと違和感。

 

「それにしても大きくなったような……。少し前まで私の膝まではなかったろう?」

 

「だって私もう七歳だもん。……お父さんに助けてもらって三年経ったもん」

 

「……あぁ、そうだな」

 

 そうか。子供の成長は早いという事か。

 

 お父さんって寂しいなぁ……。

 

「……ねぇ、お父さん。ちょっといい?」

 

「ん、どうした?」

 

「……私ね、悪魔の実の能力も使えるようになったんだ。今はまだ全然だけど、でもそれでも三つの覇気も使えるようになったし、弓矢だって百発百中なんだ!」

 

 やっぱりマリアさん天賦の才をお持ちのようで。

 

 例の超人系(パラミシア)のユラユラの実はまさにチート、これぞチートと言わんばかりの能力だ。

 

 コレ、「ヒトヒトの実モデル神」とか名乗ってもおかしくないレベルの反則具合。

 

 その能力の概要は、決定されていない力(混沌)人間となり、決定されていない力(混沌)を生み、決定されていない力(混沌)へ戻し、決定されていない力(混沌)に指向性を与える、というもの。

 

 簡単に言えば創造と破壊を司っている能力だ。

 

 この能力を相手にしようと思うのなら理解するな、と近くに居れば助言させてもらう。

 

 まぁ、今相手にしようとする相手に助言はしない。

 

 マリア傷つけようとか考えようものなら、ケツに腕突っ込んで奥歯がたがた言わせちゃるけんのぉ……覚悟せぇよ…?

 

 ……ゴホン。

 

 まぁ早速意味不明、理解不能で理不尽極まりないモノだと思っていい。

 

 自分が使えばよかったのに……どうしてこんな厄介な能力を娘に上げたか。

 

 

 

 娘可愛さにだよ! 過保護で悪いか!

 

 

 

 一応、能力に驕り高ぶって助長した時には……育ての父として責任をもって止める。そのためにあの能力がある。

 

「だからお父さん! 私、お父さんについていきたいの!」

 

「連れていきたいが、……もう少しの間忙しい。だからできない。……今度また遊びに行こう。それで」

 

「うぅ…!! 違うの! ……おとうさんのばかぁ!」

 

 マリアは部屋から飛び出していく。

 

 ただ一人の父としてマリアの事が心配だから、と。

 

 まだあの子に判れというのは早いんだろう。

 

 傷つけでもしたらマリアの本当のお父さんとお母さんに申し訳ない。

 

 でもね? これだけは絶対わかって欲しい。

 

 お父さんに馬鹿って言っちゃダメだ。

 

 

 

 あと、納得できないからってそんなとこ覇気込めて殴らないで(切実)

 

 

 

 この後マリーに滅茶苦茶看病された。

 

 

 




>>ランブルボールなんてなかったんや…!
>>この後滅茶苦茶エネル顔。
逃げていったマリア。
マリア相手にお母さんしたいのにお姉ちゃんしちゃう次女のソニアお姉ちゃん。
そして遺憾なくエネルにその美人強度を発揮する末っ子のマリーお母さん。
そんな二人にハンカチ加えて嫉妬する長女のハンコック可愛い(確信)


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親しみを込めて

テンプレその壱参
・オトヒメ
・ホーディ・ジョーンズ
・稀によくみるチート悪魔の実


 リク王家転覆を防ぎ、目に入れても痛くない娘と溢れんばかりのおっぱい集う女ヶ島で精神的摩耗を回復させて、今度は海の底奥深くへ電伝虫の電波で移動。

 

 マイホームと言って良いほど安らぐアマゾン・リリーの次に心のオアシスとなっている、主に水辺で戯れるお姉さんたちが可愛い魚人島。

 

 だからこそ、人魚のお姉さんたちや魚人の方々の社会的地位を改善しようと頑張ったオトヒメさんを悲しませ、殺させるなんて出来んよね。

 

「あぁ、ちなみに犯人はホーディ・ジョーンズ。分かっていただろうに……オトヒメ、もう少し自分を大切にな」

 

「だ、だれですか!?」

 

 署名についた火をけし、火を消そうと屈んでいたオトヒメの耳元でささやいて掴んだ弾丸を地面に落とす。

 

 

 

 >>神喰らう牙(ヴァナルガンド)がホーディを襲う!

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 あれよあれよという間に竜宮城、玉座の間に案内された。

 

 あんなことがあった後だ。オトヒメさんは当分の間外出禁止らしい。

 

 シュンとしていた姿がなんとも……子供っぽいというか可愛らしい人みたいだ。

 

「エネルさん。助けていただき、何とお礼を言ったらよいか」

 

「わしからも礼をさせてほしいんじゃもん……。妻を助けてもらい、本当に感謝している……」

 

「気にするな、私はただ同じ人を助けたに過ぎない。目の前で危険にさらされている人が居て……偶々私が通りかかり、偶々守る力があったに過ぎないのだ」

 

「貴方の様な人が沢山いてくれれば……」

 

「うむ、それは私も常々思う。だが、それよりも。……オトヒメ。貴女が、私が喰らったホーディ・ジョーンズに気づいていなかったわけがないはずだが?」

 

 生まれた頃から見聞色の覇気を身に着け、誰よりも国民の本心を聞こうとその能力を使ってきた彼女が、あの距離にいたホーディに気づかないわけがない。

 

 むむ、と唸るネプチューン王の表情は険しい。

 

「本当なのか、オトヒメ?」

 

「はい……。誰かから敵意の視線を感じてはいたのです。……ですが、それも私の我が儘を快く思わない者も少なからず居るということ……。私は甘んじて、その者の行いを受け止めようと……」

 

「はぁ……オトヒメ。誰に対しても優しい性格もわしがお前を選んだ理由の一つ……。だが、その優しさのせいで自分が死んでしまっては元も子もないんじゃもん……」

 

「ですが、私の行いにはそれ相応の覚悟と代償が」

 

 ああ! もう我慢出来ん!

 

「オトヒメよ、少々私の話を聞いてもらえるか?」

 

「……はい、何でしょうか」

 

「私にも可愛い娘がいる。今年七歳になるまだ幼い娘だ。血は残念なことにつながっていない。……というのも、天竜人の奴隷として買われ、その天竜人が帰る途中で私が助けたのだ。……境遇は聞くに堪えなくてな。父も母も姉も、住んでいた村の人間は皆、海賊に殺されてしまい……挙句、人売りに売られてしまったのだ」

 

「……っ」

 

「あの子と出会ったとき、それは可哀そうだと思った。……真っ先に言った言葉が自分を殺すのか、だ。人が死ぬという事をまだ認識していなかったか、それとも感情を押し隠していたのかはわからないが……一切の表情を失っていたのだよ。人売りに売られる前、泣きわめけば殺されてしまう状況だったからだろう。海賊が人売りに売るまでに一緒にいたあの子の友達は殺されていたらしい。泣きわめき、喧しいという理由でな」

 

「それは……同じ人間なのに、ですか」

 

「あぁ、そうだ。同じ人間なのに、だ。……別に人間だけじゃない。欲に目がくらみ、自制の利かなくなった知性ある生き物は知る限りでは悪魔のようになってしまう……。人を人とも思わぬ外道にな。……だが、そういうことを私は言いたいんじゃない」

 

「では、なんでしょう」

 

「子には親が必要だ。抱きしめてやる母と、後ろから見守ってやる父が。其処に王だとか一般人だとかはない。娘のマリアには父と慕う私は居たが、母は居なかった。……今は母のように接してくれる者たちが周りに居て、やっとあの子は表情を取り戻す事が出来ている。……助けた仮初の父にしか過ぎない私にな? 我が儘をいって、甘えて、……笑顔を見せてくれるようになったのだ」

 

 ハンコックたちと知り合えていて本当に良かった。

 

 自分一人では絶対にあの笑顔は見れなかっただろう。

 

「オトヒメ、貴女は母だ……。もっと自分を大事にしなければならない。……例え己が王妃であろうと、あの四人の母親なのだ」

 

 後ろにいた、柱の陰から覗いている娘と同じ年頃の娘さんに近づき頭を撫でる。

 

 見知らぬ人間に頭を撫でられたせいか、少し体が震えていたが慣れてくれた様子。

 

 やっぱり、子供の笑顔は可愛いわ。

 

 だからこそ、この母親にはちょっときつく言わなきゃならない。

 

 

 

「……子に、親を失う悲しみを味あわせるな」

 

 

 

 オトヒメがこの後こちらに駆けてきたが、何かあったのだろうか(すっとぼけ)

 

 ありがとう、と良い笑顔でネプチューン王に感謝された。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 薄ら気持ち悪い噛ませ臭のするホオジロザメの魚人をバクバクして早数日。

 

 ネプチューン王に宴会を開いてもらい、数日飲んだり騒いだりしていた。

 

 娘さんのしらほし姫に凄く懐かれて、勿論断ったが「このまま宮仕えになってほしいです」といわれて困ったりもして。

 

 あとは丁度魚人の身体が欲しかったため、バクバクの実の能力で肉体のコピーが出来るか試したら出来たので、雷のちょっとした応用で良いジョーンズを作って返してあげたりもした(ゲス顔)

 

 確認したところ、逮捕されて牢獄に入れられたらしい。

 

 改心の余地が見られるので処刑だけは免れたもよう。

 

 

 

 良い事をした気分ですね!(キリッ

 

 

 

 勿論、本人……悪いジョーンズはそのまま使わせてもらう。

 

 不思議な事に魚人で能力者でなかった肉体は海に浸かっても力が抜けなかった。

 

 恐らく、バクバクの実の能力で取り込んでいるから『体の一部であり、尚且つ孤立したもの』というルールが適用されているんだろうけど。

 

 ただし、浸かった状態で能力を使うと力が抜ける。

 

 まぁ、使わなければいいのだから問題はない。

 

 そもそも自分は覇気に、六式をマスターしているんだから実の能力を使わなくても十分強かったや(諦観)

 

 それにしても六式と覇気の応用で矢武鮫(ヤブサメ)がYABUSAME強いね。

 

 バクバクの能力で白髪にしたり筋肉ムキムキにさせたりレベルの整形しただけで、軽く打ったYABUSAMEが、原作でエネルギーストロイド多量摂取した時ぐらいの威力出たんだもん。

 

 これだから、「能力者にはこれで勝つる! 人間は下等種族だ!」なんて言っちゃって魚人サイキョーとかいう風潮がホーディの中で出来たんだろうなぁ……。

 

 アーロンに唆されていたとはいえ思っちゃったんだろうなぁ……。

 

 実際には雷で電気分解してされてしまったり、食べられたり、冷凍保存されたり、蒸発させられたりするんだけどさ。

 

 加えてゴム人間には「うるせぇ!(ドン!)」されてしまうんだけどさ。

 

 ……まてよ?

 

 ホーディって実はアホの子じゃない?

 

 無知で偏った思考しか持ってない辺りが特に。

 

 ちょっと待て、アイツの事が段々可愛く……、

 

 

 

 無いね(吐血)

 

 

 

 ……女ヶ島に帰って残念美人で可愛いハンコックを苛めて癒されよう。

 

 エロじゃないよ? 頭撫でて焦らすだけだよ?

 

 

 

 《お前は、我らの声が聴けるのか》

 

 紅潮+涙目のハンコックで癒されて、次の事のために準備をしようとドラムへ向かってカームベルトの中を泳いでいたら、何処かから声が聞こえきました。

 

 返事をしたら超大型の海王類に絡まれました。

 

 

 

 ……なにコレ怖い。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 海王類の皆様と近海の主の姿になって一緒になって泳ぐくらい親しくなった後、ドラムの王城地下に作った隠し部屋で準備中。

 

 あの封印されてた悪魔の実の最後の一つを使うか否かで現在悩んでいる。

 

 他にもかなりの量、悪魔の実を自分は持っているわけなのだけど……そのマリージョアに隠されてた最後の悪魔の実除く、計23個にもそれなりに面白そうな悪魔の実も幾つかある。

 

 それをどうするかなのだけど……むむむ。

 

 ……最後に残った封印指定の悪魔の実というのがイヌイヌの実幻獣種の『モデル・化け狐』。

 

 食べれば不老ではなく、肉体は美しく寿命が永遠になるという素敵仕様と初めの尻尾は一本だが鍛えれば九尾だとか空狐だとか、天狐だとかになれるという上がり幅の大きい悪魔の実だ。

 

 神通力や妖術というような和製超能力が仕えるようにもなり……と言ったようにとにかくいろいろと凄い。

 

 こう、例のトリトリの実と二つ並べて説明したとして、全然凄さが伝わってこないかもしれないだろうけど……ありゃ別格なんだ。

 

 

 

 ガルダが規格外なんだ…ッ!

 

 

 

 言うなれば、手に入れた四つの悪魔の実を除く他の悪魔の実の能力が幼稚園児であれはガルダの能力は成人男性だ。

 

 戦ったとしても勝てる道理が見つからない。

 

 まさしくどうあがいても絶望。

 

 マリージョアでの封印度合いを考えてみれば、どんだけ世間に出したくないのっていうのが如実にわかる。

 

 

 

 まぁ、搦め手と努力を怠らなければこの化け狐でも勝てるのだから、今持ってるコイツもコイツで相当だろう。

 

 なんでも九尾には、大日如来と天照大御神とダキニ天の側面を持ってる稲荷明神で良妻賢母(自称)なんていうのが居るらしいから。

 

 ……さて、お分かりいただけただろうか?

 

 主神クラスが勢ぞろいということに!

 

 へへへ…! 足が震えてきやがったぜ!(マナーモード)

 

 まぁ、そんな狐(笑)とは当たり前のように別物だからいいんだけども。

 

 原作で何処で手に入れたかは知らないが、狐火の錦えもんさんの能力がこの能力の可能性がある。

 

 まぁ、その時はその時で能力を譲渡できるからいい。

 

 バクバクの実を使う方法もあるが、どうやら増えた尻尾を分けて化け狐の能力者の増殖をすることが出来るらしい。

 

 しかも分けた相手は自分の命令には絶対服従……という、なんとも言えない効果付き。

 

 多分これがこの能力が煙たがられた所以だと思うけど。

 

 

 

 ……さて、どうするかな。

 

 

 

 化け狐と……ちょっと気になっている超人系(パラミシア)悪魔の実が一つある。

 

 ちょっと悪魔の実の名称から、能力ははしたないように聞こえるが……とても使える能力だろう。

 

 

 

 まぁ、二つ使っていくという手もある。

 

 

 

 動物系(ゾオン)幻獣種には超人系(パラミシア)の要素も入ってるし……能力の一部だと言えばごまかしが利く。

 

 ただ、問題があるとすればこの悪魔の実が世に出回っていると知られてしまうこと。

 

 危険視していた他三つはコレといった目立つ特徴的な部分が無いから良いけど、入手先が限られてしまうから怪しまれる可能性がある。

 

 それにこれから行く場所ではおいそれと記憶の操作が出来ないし。

 

 

 

 まぁ、でも悩むくらいならやっちまった方が楽な気がする(ふらぐ)

 

 




>>助けたついでにしらほし姫(幼女)に懐かれる
>>あなたが落したのはこの悪いジョーンズですか? それともこちらの(ry
>>ワンピの二次小説は原作との能力被りが怖い(戒め)
原作キャラとの能力被りが怖い今日この頃。
変えてしまおうかと考えたりもしたけど、……やっぱりテンプレは外せないな(確信)
ゲームオリジナルキャラのパト(CV.TARAKO)って知ってるか?
化け狸らしいぜ(震え声)


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絶対正義

明日から忙しくなるので投稿です。
次も夜からかな。

テンプレその壱四
・海軍に入隊
・圧倒的かりちゅま
・地味なオリジナル悪魔の実


「では! これにて海軍本部、入隊式を終了する!」

 

「ふぅ~……疲れたなー」

 

「……!?」

 

 というわけで海軍に入軍ナウ。

 

 ただ、何処で顔が知れているかわからないので変装のためエネルをベースに高身長金髪イケメンのウルク君に変わったところ、自動変換さんがお休みなされました。

 

 え、どういうことなの? と焦ってエネルとワポルの姿に変わって確認したら、あっちの姿ではバリバリ活躍してくれました。

 

 ……ま、まぁ海軍さんの時用の姿ですしおすし。

 

「ちょっと君! ……敬礼しないと…!」

 

「ん? ……え、めっちゃ美人」

 

「ふぇ!?」

 

 注意されて言われた通り敬礼しつつ、隣からエエ匂いするなぁ、と思ってたら青い髪のエライ美人が其処におったんや。

 

 あ、慌てる姿超可愛い。ついでにいうとおっぱい!

 

 コレ、絶対正義じゃね?

 

「も、もう…! からかわないで……!」

 

「美人に美人と! 可愛いを可愛いと言って何が悪いッ! ……可愛いは正義だァッ!!」

 

「ひぃっ!?」

 

 

 

 困った顔を見たいと心が叫ぶ!

 

 可愛いは正義と人は言う!

 

 

 

 とか超天元突破しそうな勢いで考えていたら「正義だー正義だー正義だー……」という誰かの声がシンとしたマリンフォードの広場に山彦のように響いていた。

 

 ……あかんこれ(白目)

 

 

 

「誰だ今のは! ふざけたことを正義といった奴はッ!」

 

『……』

 

「出てこないか!」

 

「こ、この人」

 

『!! ……気のせいですッ!』

 

「!? やはり……そう、だよな……。これから海軍に入るというのに可愛いは正義等とぬかす奴が居る訳がない……」

 

 凄く息の合った返事で気圧された様子の将校はぶつぶつと何か言いながら去って行った。

 

 やったぜ!(困惑)

 

 

 

 ……式が終わって、なんであそこで周りの人たちが庇ってくれたのか、美人ちゃんとは反対側にいた同期君に聞いたところ、どうやらあの一言で「みな、真理にたどり着いたのよ」とか武士語で言われたで御座る。

 

 ……つまり可愛いは正義と認められたという事か……おっぱいも正義と布教しないと(使命感)

 

 

 

 今日は新兵同士の交流もかねて、大変料理のおいしい本部の食堂は貸し切りらしい。

 

 それで自分は一人、ボッチになって飯を食ってたら目の前の席にあのおっぱいで美人ちゃんで可愛いあの子が座った。

 

「……ねぇ、なんであんなこと言ったの? 私はアインよ」

 

「んー? そりゃ、だって海軍の掲げる正義より正義じゃん。何か自分可笑しなこと言ったか? ね、そこの同期君。みんなわかってたろ? だからかばってくれたんじゃないかな?」

 

「ああ! 確かに可愛いは」

 

『正義だ!』

 

 食堂で食事していた全員に声を揃って返事される。

 

 洗脳されとる。……した覚えないんだけど。

 

 馬鹿だこいつらみたいな顔しないでほしいの、アインちゃん。

 

「……というか、アイン?」

 

「え、うん。……そうよ?」

 

 マジか。

 

 映画の子か。

 

 ……いや、同期になるのは計算して入ったわけだけど。エンカウント早いね。

 

「唐突だけど悪魔の実の能力者じゃないよね?」

 

「ホントに唐突ね。……悪魔の実にはハズレも多いから、食べない方がいいと面接の時説明されなかった?」

 

「んにゃ。もう能力者だし、聞いてなかったかも。……何の能力か知りたい?」

 

「……何か嫌な予感がするから遠慮しとく」

 

 ちっ……なんでわかったし。

 

 この新米海兵のギルガ・E・ウルクが使えるという設定の能力は、例のイヌイヌの実とグレイ・ターミナルで発掘した悪魔の実。

 

 溜まったゴミの下の方に埋まっていたコイツはどうやら相当な年月世に出回ってないものらしく、図鑑に載ってなかった。

 

 見聞色で調べたところ、ゴロゴロの実でも出来るような能力だったけど、その難しさの事を考えると半端なく凄かった。

 

 自分は出来るけどね。

 

 ちなみに男ならスケスケの実の次に欲しい能力だろう。

 

 名称は「モミモミの実」。

 

 触った人間の感覚を操る超人系(パラミシア)の能力。

 

 基本はモミモミの実の能力者風を装って、実はその力は別の実の能力の一部でイヌイヌの実幻獣種モデル・化け狐の能力者なんだ……と、多重能力者だという事を隠す。

 

 正体バレを防ぐ二重の策だ。

 

 それにしても、……感覚ってことはだ。それ即ち神経なわけで。

 

 あんなことやこんなこと(意味深)が出来るというわけで……デュフフ(ゲス顔)

 

「……何て悪い顔……」

 

「え、悪い顔してた?」

 

「……むしろ悪いを通り越して怖かった……」

 

「何!? 怖がらせてしまった…だと…!? 自分はなんてことを……ギルティだッ! 裁判長! 自分に、自分に有罪判決をッ……!」

 

『怖がったアインが可愛いかったから教祖は無罪(ノットギルティ)!』

 

「裁判員の諸君! ありがとう……! ありがとう…っ!」

 

 アインにポカンとした表情(可愛い)をされてしまった。

 

 うん、まさか同期全員乗ってくれるとは自分も思ってなくてさ……。

 

 置いてけぼりにしてごめんね。

 

 あと、この同期で女の子ってアインだけなんだね。

 

 能力の夢が広がリング(マジキチスマイル)

 

 それにしても自動変換さんがいないとこんな風になるのね。

 

「……お前無しじゃ生きていけない体になってしまったようだ、どうしてくれる!」

 

「な、なに! いきなり、そんなこといわれても……困るって、言うか……その、あうぅ!」

 

 あ、独り言のつもりで声に出しただけなのだけど、勘違いされたみたい。

 

 ……というかウチのマリアの次の次の次くらいに可愛くね?

 

 体型を気にしてか、もそもそとサラダしか食べないアインをおかずに飯を食う!

 

 肉汁の滴る骨付き肉を丸呑みに!

 

 それを涎が垂れてきそうなくらい口を開けて羨ましそうに見てくるアイン。

 

 フォークに差した肉を物欲しそうなアインの口に突っ込み、豪快なバイキング形式で取ってきた隣二席を敷き詰めるくらい山の様に大量な昼食を腹に収めた。

 

 ……バクバクの実の能力って最高。

 

「海軍になんで痩せて綺麗な女の人が多いかっていうと、死ぬほど訓練が辛いからって話。さっき肉あげたけど、海軍でダイエットなんてしてたら死ぬぞ?」

 

「あ、うん……すごいのね、貴方。……名前は?」

 

「ギルガ・E・ウルク。可愛いは正義と謳う……一新米海兵さ」

 

 

 

 もう一通り食べて昼食後の運動に既存の六式の技を一通り、鉄塊を全身にかけて人目につかぬよう忍者走りで1000キロランニングに出た。

 

 これがこの世界じゃ普通なんだよね(震え声)

 

 1時間後の集合時間には間に合ったのでよかった、うん。

 

 

 




>>天使可愛いアインちゃんと同期。
>>正義を布教する程度の能力。
>>痛覚を消してバーサーカーになろうよ!
テンプレは造るもの・第二弾(戒め)
主人公の容姿は秘密(ヒント・名前)
EはエネルのEです。

↓では以下感想返し(ちょっと長いです)↓

>>期待
>>更新頑張ってくださいetc...

身に余るような沢山の応援&感想を頂きました。
また、お気に入りも沢山してくださったようで。
評価、感想も励みになっております。
ありがとうございます。

さて、どうやら先週の週間ランキングは二位だったようで。
クッソつまらないこんな小説が二位になんてなってていいものかと、戦々恐々としつつ書いてました。
既にランキングには乗ってないように思うのですが……ちょっと一安心。
ワンピースファンに喧嘩売ってそうな内容なんですもん。しかも息抜きで。……タグからして天竜人ファンには殺されそうですよねぇ。

色々とこれも皆さまのお蔭です。
さ、応援にお応えして息抜きがんばらないと(白目)


>>雷万能すぎぃ!ww
>>皆電気信号いじったら即終わりそうだよね。
※能力ゴロゴロの実、単体の時のコメント

お察しの方々は何人かいらっしゃるようで、絶縁体の方々(自然系の一部除く、ゴム人間のルフィ、ダイヤモンドジョズ等)には雷が効きません。
ですが、抵抗熱に変えてやれば攻撃可能です。
自然系の攻撃に覇気が乗せられれば問題は無かったのですが、考察するには情報不足なものでして、根拠のないオリジナル設定を持ち出すことが出来ず。

ま、超新星爆発起こせる熱量を出せるようになったので問題ないですね(にっこり)


>>こいつめだかボックスの言葉の重み使えるんじゃね
>>意識だけワポルの中で本体は別にいるってことでいいの?

本人が人の中に入れます。えぇ、はい。
中に入れるくらいですから電気信号操って、というのも出来るわけです。
例えば、逝きたくないのに「逝く! 逝っちゃうのぉ! らめぇ死んじゃうぅ…!」な状態にも出来るわけです。えぇ。
……ちなみに言葉通りの意味ですから、誤解されないように()

そんなことよりも今回、夢滾るような能力が出てきましたね!(意味深)


>>ワポル……?ヤツは能力消せないからヤミヤミの方が優秀な気がする。
>>ワポメタルはどうなるんでしょうか。
>>バクバクの実、よくよく考えれば人と人を合体させれるんだから、悪魔の実と悪魔の実を合体させたハイブリットな悪魔の実も作れるかもね。
>>少し疑問に思ったんだけど、今バクバクするとき、どこで食べてんの?

と、バクバクの能力に関して色々とご質問&感想をいただきました。
色々とオリジナル設定が出ていますが、一応根拠となるシーンだとかはあるんです。
一日の間に食べたモノを自在に操る→一日ってどこからどこまで?→ワポルはチェスに食べたモノを聞いてた→忘れて使えないだけじゃないのか。

合体させた人たちが海、海楼石に触れればどうなるのか→そういう生物という事で大丈夫なはず→全身が非能力である別の生物で覆われていたら大丈夫じゃね?→でも体の中に入ってる能力を使えば力が抜けるんじゃないだろうか。

とか色々。
そもそもバクバクの実はもっと最後の方のボスが持っててもおかしくない能力だったと思うんですよね。
ただ、使い手がカバだっただけで。
最高軟度と最高硬度を持ち合わせた矛盾を内包する物質に肉体を改造すれば良かったですし。
そしたらルフィにも勝てたかと。

それと余談。
ルフィにリジェクトダイヤルを使ってほしかったのは俺だけじゃないはず。

まだまだ設定が盛られていくバクバクの実ですが、これもまた御都合ですよね(遠い目)

……黒ひげがヤミヤミの実を手に入れてからドラム王国を襲った理由と、異形の身体だって呼ばれる理由からして、もしかしたら最大の原作破壊を起こしている可能性も否めない()


>>S極はSouthだから南だよ?

※この返答は雑学になります。知らなかった方が良かった、と思う方はご注意ください。作者の二の舞になる可能性があります※

ちょっと方位磁石を見てください。
Nが北ですね。
そしてこのNはN極のNでもあります。
N極と引き合うのはなんでしょう? そう、S極です。
めんどくさい事に、我らの住む地球を磁石と見立てると、南極がN極で北がS極と逆転してるんですよね。忌々しいことに。
このせいで昔、余談として教えられたことを覚えていて、テストで書いて100点を逃した覚えがあります(憤怒)

ps.二の舞を踏む→二の舞を演じる、なる
二の足は多少踏んでも大丈夫ですが、二の舞を演じたり、同じ轍を踏んだりしないようにしましょう。
ご指摘ありがとうございます。


>>○○を助けてあげて!

助けてあげたいけど所詮作者はにわかだから、忘れちゃうことがあると思うの。
そのときは思い出したように、助けたったという風にされると思うけど勘弁ね!(震え声)

くいなは危なかったぜ……。


↑感想返し此処まで↑

まだまだ感想をいただいているのでまたやります。


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驚きの柔らかさ

テンプレその壱五
・化け物染みた体力
・イケメン


「新人海兵諸君! これより体力テスト兼ねた訓練を始める! ……このグランドを30周だ!」

 

「「「「……」」」」

 

「どうした! はやくしないか!」

 

「「「「は、はい!」」」」

 

 一般人だった現新米海兵達への教官の指導が厳しすぎる件について。

 俺はまぁ、逸般人だったから出来るけどさ。

 

「ふむ、一周軽く20キロはあるであろう」「グランドを30周だってよ」「うわ、600キロだ……」「お前、できるか」「もうだめだぁ……おしまいだぁ……」「了解した、だが、やり過ぎてしまっても構わんのだろう?(震え声)」

 

 というな会話が少し離れたところから聞こえる。

 

「出来るぜ。楽勝だな」

 

『マジか教祖パネェ』

 

 おぉう。教官相手に返事してた時よりも声がそろってるんですけど。

 

 それよりも。

 

「……さっき食堂の時にも気になってたんだけどさ、なんで教祖とか自分呼ばれてんの?」

 

『そりゃ、だって俺たちに正義を教えてくれた人だからですよ』

 

「あ、そう……」

 

 マジで洗脳した覚えないんですけど。

 

 なんですか、この息の揃い具合は。既によく訓練された野郎どもですか、そうですか……。

 

 紅一点のアインは呆れた、というような顔をしてスタートラインに既についていた。

 

「こっら男ども! 意気込みは女にまけてるようだな! 貴様らは男として恥ずかしくないのか!」

 

「「「「サーイエッサー! 走ってくるであります!」」」」

 

 と全員スタートラインに着き、空砲の合図で飛び出した。

 

 

 

 一周目。

 

「おそいぞーアインー」

 

「きゃ! なんで、……貴方、後ろに! ……ッハ……いる、のよ!」

 

「そりゃ、お前より遅かったからに決まってるじゃん? じゃ、先行くなー」

 

 

 

 一周目。

 

「誰!? って……っは……貴方、……なんで、うしろから……っ!?」

 

「そりゃあアインがいつの間にかぬかしてたんだろ? 先行くわー」

 

 

 

 二周目。

 

「もう! さっきから! おしり、触って、るのっ……貴方でしょっ!」

 

「いや、だってアイン遅いんだもん。自分が何回追い越したか憶えてないの?」

 

「さ、三回…?」

 

「残念、360回。120回アインを抜かすごとに一回、アインの形がよくて柔らかそうなお尻を触ってる」

 

「っ!?!?」

 

 

 

 と、将校でも中尉レベルであろうの教官には見つからない速度でちょっと足が痛くなるくらいまで走った。

 

 こんな馬鹿げたことが出来るのも生命帰還のちょっとした応用技だ。

 

 多分走った距離は……144000キロかな。

 

 流石にバレて怒って泣かれてしまうだろうから、途中から触る時にお尻の感覚消させてもらってたけど。

 

 ……これ、エネルとワポルの姿で好き勝手出来なかったからだろうなぁ……。

 

 ちょっと自制利かなかったぜ。

 

 

 

 教官の将校が解散の号令をかけて従軍初日は終わる。

 

 ……それにしてもアインってスゲーな。

 

 トップ集団の中の一番前で走るなんて。次々と脱落者が出てたってのにね。

 

 俺はあれだ。アインで遊んでるのバレないよう、努力した。

 

 にしてもアインのお尻は癖になりそうだね(ゲス顔)

 

 ……おっと、アインがぶっ倒れている。

 

「アイン、大丈夫か?」

 

「……っ……っ! ばかぁ!」

 

「お、おう……」

 

「わたしのおしりさわった! なに、120回にいっかいって! わたしのことばかにして…! わたひが、おんなだから……おんなだからってばかにしてぇ……! ひっぐ……」

 

 あちゃー泣かせちゃったか。

 

「馬鹿にしてたつもりはないよ。ただ、逆に言うけど男の尻を触って喜ぶ馬鹿がどこにいるのさ。アインのお尻触って喜ぶ馬鹿なら此処にいるけどな」

 

「ぅう! だって、だってぇ!」

 

「だーから馬鹿にしてないって。……それよりも、今日はこれで終わりだったな。これから甘い物奢ってやるから、それで許せ」

 

「……許す…!」

 

 おい、ちょろいな! 許すんかい!

 

「立てるか?」

 

「……立てない。足痛い。運んで」

 

「はぁ、……はいはい」

 

 

 

 子どもみたいになってしまったアインを負ぶって、休憩時間の食後のランニングの時調べておいた美味しいとご近所で評判らしいアイスクリームを食べさせた。

 

 

 

 足が痛いせいか背中に背負われていたまま食べてたけど。

 

 どういう状況に置かれているか気づいて赤くなって食べてたけど。

 

 慌てられてアイス背中につけられたけど!

 

 

 

 可愛いかったのと、背中に当たるおっぱいとか太ももとか柔らかかったから問題なかったぜ!

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 足が痛いからと言う理由で私を背負っているコイツ。

 

 適当だし、初対面で美人だの、可愛いだのと言ってくれたコイツは嫌いだ。

 

 わ、私のお尻を触ったりしてくるとことかッ!

 

 でも、許すって言った手前……もう怒れない。

 

 それに、……今日は助けられた。

 

 

 

「ありがとう」

 

「はい?」

 

「その、昼食の時…! ……しっかり食べないと大変だって言って、お肉くれたじゃない? ……だから、そのありがとう」

 

「気にしてたのか?」

 

「そういうわけじゃないけど……訓練で走りきれたから」

 

「……なるほど」

 

 

 

 それっきり黙ってしまった。

 

 それにしてもこの格好は恥ずかしい……。

 

 さっきから人に見られてる。

 

「……ねぇ、もう下ろしてくれても」

 

「今は能力で痛みは消してるけど……筋肉痛酷くて立てないと思うぞ?」

 

「……嘘でしょ」

 

「嘘じゃないし。試しに降りてみるか?」

 

 と、下ろされたけど、言われた通り立つことが出来ず……悔しいけどまた乗せてもらうしかなかった。

 

「そら見ろ、言わんこっちゃない」

 

「うるさい!」

 

「はいはい、スマンスマン。……さ、はやく乗れって」

 

 また背中に負ぶわれた。

 

 うぅ……屈辱的。

 

 それにしても大きい……男の人って。

 

 

 

「海軍寮でいいんだよな?」

 

「……うん」

 

「? どうしたんだ? そんなしおらしい声出して」

 

「……なんでもない」

 

「そうか」

 

 ……はぁ。もう女だからって理由で後ろ向きになるのは止めようと思ったのに。

 

「ふーん。なるほどねー……」

 

「どうしたの?」

 

「いや、あそこでなんで泣いてたのか、ちょっと納得いってね」

 

「なに?」

 

「体力テストみたいな訓練終わって、泣いてたろ? ……まぁ、アインのお尻触った自分の所為だろうけどさ……。女だからって馬鹿にしてるって言ったじゃん? ……何か昔、男に馬鹿にされたりしたのか?」

 

「……」

 

 図星をつかれるとは思ってなかった。

 

「うーん。推理したところによると……このキュートなお尻と胸の事を馬鹿にされたとか」

 

「っっ!? ばか!」

 

 理由まで当てられて、さわりと撫でられた…!

 

 この失礼な背中を殴る。

 

「はっはっは! 痛くないけどなっ!」

 

「もうっ……死んでしまえ……!」

 

 120周走るごとに一回私にお尻を触ったっていうのは絶対嘘だ。

 

 振り向いた時には居なかったし、きっとなんだか仲がいい同期の協力で後ろに下がったに違いない。

 

 私が一周走っているの間に240回も抜かしただとか、嘘を吐いて私の事を馬鹿にしてるとしか考えられない。

 

「ひっどいなぁ……。まぁ自分はアインの事好きだから気にすんな」

 

「は、ふぇ!?」

 

「あ、や、そういう意味じゃなくてだ。こう、アインの柔らかいお尻とか、背中に当たってる胸とか、ね?」

 

「!? しねぇ……ばかぁ…!」

 

 うぅ。ホントに性質が悪い!

 

 アイスで汚れた制服もっと汚してやる。

 

「あ! 鼻水つけるな! きったねぇ!」

 

「なみだ! 鼻水じゃない!」

 

「はぁ……まぁ、許すからいいけどさ。でも、独身の男にそんな自分の体液つけて、あとで何に使われるかわかったもんじゃないぜ?」

 

 う、うわぁ……!

 

「こ、この変態! 痴漢!」

 

「嘘だよ! 嘘に決まってるでしょうが!」

 

 ぼそっと「多分」って付け加えたあたりが怖い。

 

 え、なにされるんだろう……。

 

 ……心配になってきた。

 

「……服貸して。明日、洗濯して返すから」

 

「やーだよ。精々何されるか怖がりながら明日を迎えるといいさ……へっへっへ」

 

「くぅっ……!」

 

「はっはっは! 何もしない何もしない……。ま、自分が言いたいのはだ」

 

 

 

 ――自信を持てばいい。

 

 

 

「それだけ。ダイエットしようなんて考えるなよー? アインの体型は理想的って言ってもいいし。食事を減らして無理したら死んでしまうぞ?」

 

「……」

 

 心配して言ってくれてる? ……やっぱりいい奴なのかもしれない。

 

「……それよりもこんな触り心地の良いモノを要らないなんていうのが許せん」

 

「ひゃん!」

 

 

 

 寮に着くまで滅茶苦茶太もも揉まれた。

 

 ……ちょっと見直したのにすぐこれだ。

 

 まったく。

 

 こんな奴、大嫌いだ。

 

 




>>生命帰還余裕ですた。
>>イケメンはセクハラしてもアイス一つで許される!(一体何ガメッシュなんだ……
さぁ、何回アインちゃんのお尻を触ったか当ててみよう!
これで手前が計算間違っとったら悲惨やな(諦観)

……なんや、文句あるんか。
イチャイチャ書きたかったんや!
ちょっとエッチな悪戯したかったんや!
ワイはやりたいようにやるで!(震え声)

感想と評価ありがとうございます。
それでは、次回もよろしくお願いします。


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招集

テンプレその壱六
・変態



 ――ある日の海軍、新兵訓練後風呂場。男湯にて。

 

「いいか! 可愛いは正義だ! ……そして我らが同胞よ! 男子諸君よ! ――おっぱいは好きか?」

 

『――ッッ!?』

 

 同期、聖王ギルガ・E・ウルクの言葉が雷電のように体を貫いた。

 

 なんだ、おっぱい……おっぱいとはアレか! 乳房であり、赤子が吸う……主に女性の膨らんだ胸の事…!

 

「いや、おっぱいに限らず! 女体を! 女性の性的特徴を貴殿らは好きか?! ……同期ビンズ。お前は確か鎖骨フェチだったな。……此処にアインの写真がある……。鎖骨、……ぺろぺろしたいよな?」

 

 あぁ、あぁ! なんと健康的で…! なんて美しい鎖骨なんだ……ッ!

 

『……ゴクリ』

 

 周りの奴らも俺と同じようだ。

 

 ……く、悔しいッ! 実に悔しい! 俺は、俺は鎖骨とは無縁の――尾てい骨フェチだというのにッッ!!

 

 それなのに、何故だ! 何故……こんなにも目で追ってしまいそうになるというのだ……! 舐めたい衝動に駆られてしまうのだッ!

 

 これでは、これでは……浮気になってしまう――! 誠実では居られなくなってしま――、

 

「まて、同胞たちよ。気持ちはわかる。……中にはうなじを好きだという奴もいるだろう。鍛えてもどうしてもプニプニとしてしまう二の腕が好きだという奴もいるだろう。そして先ほど、アインの鎖骨を見て己らのフェチズムが揺らいでしまったという奴も多いだろうと思う。……ロリだとか熟女だとか、婆だろうが赤子だろうが……お前たちの好きだという感情を、愛でることを! ……貶すつもりは、ない」

 

 淡々我らが聖王は語る。

 

「だが、我が同胞たちには伝えたいことがある。先ほど、鎖骨に揺れてしまいそうになった者達よ。――別に好きになってしまっても構わないのだ、ということを知って欲しい。全力で、渾身で、満身で。全身全霊、あらん限りの持てる力全てでもって……全てを愛せばいいということだ」

 

 ……。

 

 聖王の言葉はわかる。……それが出来ないから、俺たちは一つにフェチズムに囚われたのだ。

 

 

 

「諦めるな!」

 

 

 

 気づいたら俺たちは俯いていた。

 

「全てが守れないから……そんな風に諦め、一つを守ろうとした者に、諦めた者には何も守ることはできない! そして、全てを中途半端に守ろうとする者は一つすらも守れるわけがない…ッ! ……各々苦渋の選択をしてきたのかもしれない。だがな、諦めたらそこで何もかも終わってしまうッ!」

 

「鎖骨に揺れてしまったから浮気だと? 尾てい骨が好きだから、揺れてしまってはだめだと? ――そんな垣根崩してしまえ! 好きを好きだと言って何が悪いッ! 可愛いを可愛いと言って何が悪い! 悪くないのなら正義だ! だが悪いとされるなら悪でもいい! 悪すら正義に変えて、己らの芯を! 好きだという気合を! 根性見せてみろッッ!!」

 

「愛すのなら、全力で愛せばいいのだ。全力で全てを愛すつもりで、一つを愛せ。一つを愛すつもりで全てを愛すのだ。愛して、愛して……。身が朽ち果て、愛せなくなった時……その時こそ、愛せたと我々は言う事が出来る。そう、その時こそ我らは全力を尽くしたと言えるようになる」

 

 じん、と胸に来た。

 

 純粋に好きだという気持ちを、俺たちは偽っていたのだと。

 

 

 

 そして愛おしかったあの日の事を思い出した。

 

 

 

「もう一度、この鎖骨を見てくれ。……此奴をどう思う?」

 

『凄く! 舐めたいです!』

 

 

 

 自分に正直になろう。

 

 

 

「ではこちらだ。……今や、年老いてしまった海軍で大参謀と呼ばれるおつるさんの昔の写真だ。可愛いだろう?」

 

『可愛いです! 守りたい! その笑顔ッ!』

 

 

 

 偽ってどうするのだ。

 

 

 

「……どう思った?」

 

『凄く! おっぱいです!』

 

 

 

 なんの得がある。

 

 

 

「極秘裏に撮ったヒナ大尉の寝姿だ……このうなじを見てくれ、どう思う?」

 

『凄く! 美しいです!』

 

 

 

 人徳者という称号か。

 

 

 

「舐めたいな!」

 

『舐めたいです!』

 

 

 

 そんなもので飯が食えるか。

 

 

 

「可愛いは正義だ!」

 

『イエスッ! ジャスティス!』

 

 

 

 嘘をつくことは悪いことだと、死んでしまったお爺ちゃんが言っていた。

 

 

 

「おっぱいも鎖骨も、うなじも! 尾てい骨も正義だ!」

 

『イエェスッ! ジャスッティィイイスゥ!』

 

 

 

 正直者になれよと、死んだ婆さんが言っていた。

 

 

 

「この世の正義は世界政府の掲げる正義じゃない!」

 

『全てが正義! 悪など何処にも有りはしない!』

 

 

 

 海軍の正義とはなんだ。

 

 

 

「そうだッ! この世は正義であふれているッ!」

 

『我ら海軍! 正義を愛し! 正義を守る者!』

 

 

 

 天竜人が守るべきモノに横暴を振るう事を黙ってみることか。

 

 

 

「おっぱいと可愛いは絶対正義だ!」

 

『おっぱいと可愛いは絶対正義だ!』

 

 

 

 海賊が守るべきものを蹂躙するのを良しとすることか。

 

 

 

「フェチと可愛いも絶対正義だ!」

 

『フェチと可愛いも絶対正義だ!』

 

 

 

 そんなこと、……許すものか、許せるものか。

 

 

 

「『例え変態と罵られようとも、気持ち悪いとさげすまれようとも! 我ら海軍! その事実、一片の曇り無しッ! 正義を犯すモノに、――容赦はしないッ!』」

 

 この日、俺たちの掲げる正義は定まった。

 

 

 

 ――……これはアイン、ビンズ、ギルガ・E・ウルク含む十数余名が訓練艦への搭乗を命じられる前日の出来事である。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 ――訓練艦、初搭乗前でござる。

 

 一番初めに行った持久走を含めるその他体力テストの結果と、その他演習活動で優秀だった自分、アイン、鎖骨フェチのビンズが先輩方の乗る訓練艦への乗船を許可された。それと、何気にまともな船に乗るのは初めてだったり。

 

 アインへのスキンシップ(意味深)に力を注いでいた自分が選ばれたのは、どうやらその無駄に体力を使った数々のスキンシップ(意味深)を、遠くから訓練風景をサボり魔の青い雉の大将が見ていたらしく。

 

 訓練艦に乗るように、とその時訓練教官であった将校さんから怒りマークと共に指令書を渡された。

 

 にこっり笑顔で受け取ってしまって、殴られそうになったのは驚いたけど。

 

 鉄塊『剛』して受けてあげたけどね。腕が痛そうだったのに笑いをこらえるのが大変だったなぁ……。

 

 

 

 で、今現在、訓練艦を指揮する教官を待っている。

 

 隣に居るアインが凄い緊張してるんだよね。

 

「アイン、肩揉んであげようか?」

 

「結構です」

 

「緊張してるでしょ?」

 

「それでも結構です」

 

「あー、あー……らめぇ、変な声出ちゃう!」

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

「あぁん! ウルク! だめぇえ!」(ニヤニヤ

 

「わ、私の声でそんな……い、いやらしい声だすのやめて!!」

 

 必死な顔で赤面したアインをもっと苛めたくなるのは男の性だからしかたない。

 

 生命帰還で声帯模写余裕でした。

 

 クールビューティな女の子に悪戯したくなるのは、男の性だからしかたないね!(大事な事なので(ry

 

「そんなところ触っちゃらめぇ! いっひゃ――」

 

「そ、そんなことまで言ってないでしょ! ……他の人に変な誤解されるから止めてってば!」

 

「いや、この前肩揉んだときに言ってた。最後にはもっとしてぇ! って自分からおねだりしてたよね」

 

「あ、あ、あわわ……あー! あー! きーこーえーまーせーんー!」

 

 それにしてもおかしい。

 

 ……海軍に入る前まで捕まる様なことまでしようだなんて思わなかったのに。

 

 おっぱいも見るだけで満足してたし。

 

 エネルとワポル、ついでに言うと悪いジョーンズの姿でもこんなにセクハラはしなかった……というか出来なかった。

 

 もしかして無自覚にだけど溜まってる?

 

 でも、尻触ったりとか過度なボディタッチしてたら絶対捕まるぞ、自分。

 

 

 

「う、うるさいぞッ! 新人ども!!」

 

 

 

 あ、怒られた。

 

 ただ、無駄にエロい声で喘いでたせいか、ちょっと先輩たちが前かがみになってる。

 

「アイン、喘ぐなって。煩いってさ」

 

「……くぅっ!」

 

 その悔しそうな顔でごはん三杯は行けそうですわ(ゲス顔)

 

「ま、緊張ほぐれたろ?」

 

「不本意だけどね……。……うん、ありがと」

 

「……何このかわいい子、結婚しよ」

 

 ホント結婚したいわ。うん。

 

 できたらマリアのお母さんになってもらいたいわ。

 

 ……や、でもあの子はマリーに一番なついてるし……それにマリーも美人で可愛いしおっぱいだし。

 

 そろそろハンコック達を待たせるのは良くないだろう。でも、一人を選べとなったら、どうするかなぁ……。

 

「え!? その、……え?!」

 

「ん? どうしたんだ、アイン?」

 

「なんでもない……うん、なんでもないから」

 

「ん、そっか」

 

「……――むしろ嫌いよね。好きでもな……アレ? 違うの? 好きなの、私? え?」

 

 ……なんだか隣の子がぶつぶつ言って百面相してるんですけど。

 

 何かチラチラこっち見てきてるんですけども。うん?

 

 

 

「ゼファー教官がいらっしゃったぞ!」

 

 ま、アインの事はほっとこう。

 

 それよりも大事な事がある。

 

 

 

 ――……気を引き締めていこうか。

 

 

 




>>変態じゃないよ。仮に変態だとしても変態という名の海軍だよ。
テンプレしてるよね(錯乱)

カリスマ溢れるお二方の姿では行動が制限されてしまいます。
独身の男がシないわけないじゃないですか。でもしなかったんです。出来なかったんです。だってカリスマが落ちちゃうから。
九蛇の三姉妹も迫られるけどやんわり断って手付かずです。

Q.つまりどうなったの?
A.壊れた。その結果がアインへの仕打ちです。



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死亡

テンプレその壱七
・海軍を辞めました


 襲ってきた能力者の海賊を掴んで訓練艦から落ちたら死んでしまったことにされてしまった件について。

 

 正直、Zフラグを圧し折ってしまうのは目的ついでだったため、自分の仮初の姿が死んだとしても、そんなに気にすることは無い。

 

「ギルガ・E・ウルクは死んだのだ。……もう居ない」

 

 見聞色で見たアインの悲しんでいる姿は結構来るものがあったが、ウルク君には早々に死んでもらった方が都合が良かった。

 

 

 

 全ては襲撃者の海賊への対処に化け狐を使ってしまったため。

 

 化け狐の能力が世間に出ていることが知られた。

 

 

 

 きっとあのまま生きて帰っていれば五老星あたりの人間に尋問されていただろう。

 

 海軍でのエネルやワポルでは出来なかった生活も中々楽しかったから、ちょっと名残惜し……いや、溜まってるだろう欲求に抗えなかったから、自動変換というストッパーはついてる方がいいに決まってる(自戒)

 

 あの子の肉付の良い身体を見て箍が外れたんだろう。

 

 本当に何時捕まってもおかしくなかったし。

 

 あの能力とあの姿は封印しよう。

 

 きっとあのモミモミの実の能力が抑制されてた性欲を解き放ったんだ。

 

 それにしても、ホントに変換抜きでは生きていけない体になったかもしれないな(震え声)

 

 

 

 

 

 ま、目的であるベガパンクの脳味噌の造りもトレースしたし、海軍とはこれでおさらばだ。

 

 それでいい。

 

 

 

 ……ただ、これだけ置いていくか。

 

 ちょっとした置き土産にはなるだろう。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 訓練艦に海賊が攻めてきた。

 

 ゼファー先生と一人の海兵が奮闘したお蔭で私たちは死傷者ゼロ。

 

 そして海賊と共に海に落ちたその海兵を除く全員は無傷で本部へ帰還。

 

 

 

 一名は浮上して来ず……二階級特進を果たし海軍を辞めた。

 

 

 

「訓練中に会った脅威へ奮闘し、他の訓練生と元海軍大将ゼファー殿を救った、亡くなったギルガ・E・ウルク一等兵に黙祷!」

 

『……』

 

「……何でよ! ……何で、死んじゃうの……!」

 

 棺桶には誰も居ないというのに、どうしようもない怒りが抑えきれない。

 

 思い返してもムカつく奴だった。

 

 一々癪に障る奴だった。

 

「……まだ許してない、のに…!」

 

 お調子者で何をしたいのか判らない奴だった。

 

「……お尻とか胸とか触ってきたりする変態なのに……! ……なんで死んじゃったのっ……」

 

 私の身体をまるで自分のモノのようにまさぐるアイツが嫌いだった。

 

 ――嫌いだったはずなのに、私はどうしてこうも惹かれてしまったのだろう。

 

 出会いも別れも最悪だなんて。

 

「かえってきてよ……殴られてよ……」

 

 怒っているはずなのに――胸に穴が空いたように悲しかった。

 

 

 

「……?」

 

 寮に戻るとベッドの上に妙な色と形をした果実があった。

 

 ――自分はどうかしていた、ごめん。お詫びにはならないと思うけど

 

 そんなメッセージとこの実……モサモサの実の説明が添えられて。

 

 

 

 その実がほんの少しだけ齧ったら美味しく感じたのは気のせいだろう。

 

 残りを食べたら泣くほど不味かったのだから。

 

 

 

 ……アイツに影響されていたビンズの元にも悪魔の実があったらしい。

 

 モドモドの実というらしかった。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「これは一体……。……どうしたのだ、ドルトン」

 

「ワポル様、国民たちからの嘆願書です。まずは目を通して頂きたく」

 

「……いや、いい。内容はわかった。国民たちはお前ではなく私を選んだ、ということだな。違うか?」

 

「はい。……これはただの嘆願書ではありません。ワポル様が行ってきた贖罪……その行いへの正当な評価です」

 

「……ふむ」

 

「ですから、どうか! どうかこの国を見守っていただきたい! まだ、この国にはあなたが必要なのですッ!」

 

 半年ほど空けたドラムに帰って早々、玉座の間には夥しい量の嘆願書があった。

 

 それはどれも自分に王を辞めて欲しくないというもの。

 

 恐らくドルトンが住民に声を掛けたのだろう。

 

 どうしましょう(困惑)

 

 半民主化して、ドルトンの奴にその他(まつりごと)全部任せようと思ったのに。

 

 自分が居ない間に何かしているなとは思っていたけど、こんなことをしていようとは。

 

「ドルトン。私は言ったぞ……私はこの国には必要ない存在なのだとな。……国民は自ら考え、国の改善をすることが出来る。もし誰か一人が過ちを犯しそうになれば、それはまた別の誰かが正してくれる。それでも駄目なら王という客観的な存在が正してやればいいと。……四年間、円卓の会議を見てわからなかったわけではなかろう」

 

「っ……ですがそれでもっ! 国民は貴方という存在を、好ましく思っているのですッ! かつての貴方がどれほどの事をしてきたことか、皆忘れたわけではありません! ……ですが、あの時の王は! 自ら頭を下げ、国民に対し謝ったではありませんか! 雪の降り積もる地面に膝をつけ、額をつけてッ!……その時我々国民は、この王ならこの国を良くしてくれる! この王なら我らを良い方向へと導いてくれる! そう直感したのです! ……だというのに、来年の世界会議で『私は王を退位する』などと…ッ!」

 

「……そう、か」

 

 まさか。

 

 まさか、そこまで思われているとは。

 

 精々「あぁ、あの駄王は変わったのだな」程度にしか認識されていないとばかり。

 

 ……便利設備を整えて、ちょっと見直したぜ! 程度にしか思われてないと思ったのに。

 

「私が副王になり、国政に携わって学んだのは国を運営する事だけではありません……。……私では王の足元にも及ばないという事が判ったのです。王の御期待に応えることが出来ないと。王の代わりにはなれないと! ……そう、感じたのです。――ですから、どうか!」

 

 ドルトンは膝をつき、手を床に。

 

 これは……させちゃあいかんだろう。

 

 ああだ、こうだと言っていながら、王様を辞めるのは結局は全部自分の我が儘に過ぎないんだから。

 

「止せ、ドルトン。……お前がそんなことをする必要はない。むしろソレは私がしなければならないのだ。……私は未だ、嘗ての己と何ら変わっていないのだろうな」

 

「ワポル様! 頭を上げて……」

 

「……いや、己の不徳の致すところだ。私の覚悟が足らなかったのだろう。許してくれ……」

 

「頭をお上げください! 一国の王が家臣に気を遣う事などないのです! それに、……風の噂で聞きました。ワポル様はエネルという者に姿を偽り、各地を救って回っていると。初めて国を出ていかれたときもそうだったのでしょう?」

 

 おぉう。……なんでバレてんのさ。

 

 バレるようなことした覚えないんだけどなぁ。

 

 ましてやエネルがワポルと……あ。

 

「あいつだな、リク王の奴……。はぁ……バレてしまっているのなら、もう私が辞める必要は無くなったではないか」

 

「では、やはり……」

 

「ああ、私はエネルという……仮の姿ではないな。今の私はエネルという人間でもあり、ワポルという人間でもあるのだ。そしてあの日、私が変わったのはそのエネルを喰ったため」

 

「は? ……ど、どういうことで?」

 

「転んだという理由で人格までも変わるわけがないだろう? 要らぬ混乱を招くだろうと言っていなかったがな。あの時、皆が気絶していた間に、この城へやってきたエネルという男を喰ってやった。……喰ってしまったのだ。今の私はその者と共存しておりエネルの影響が強く出ているにすぎない。自ら変わったのではないのだ。……失望したか?」

 

 むしろエネルがワポルを乗っ取ってますけど。

 

 正確にはワポルの人格は無くなっちゃってますがね!

 

「……なるほど。ようやく理解が追いつきました。納得こそすれど、あなたが良い方向へと変わったことには違いありません。寧ろその者には、というのも可笑しな話ですが……感謝しなければ」

 

「ありがとう、ドルトン。……さて、バレてしまったのだ。もう一つの私を見せ、バクバクの実……その真の能力を見せよう。そしてこれからの事の相談だ。チェスとクロマーリモを呼べ」

 

「ハッ!」

 

 はぁ……まぁ、何時かバレるだろうとは覚悟してたけど、まさかリク王がばらすなんて。

 

 九蛇の面々にも言ってなかったし、知っていると言えばあの人しかいない。

 

 三姉妹とマリアにも後で行って教えるとして。

 

 ちょっと考えていることを実行に移そう。

 

 

 

 ……さぁ、忙しくなってきたぞ(白目)

 

 

 




>>二階級特進。
セクハラから恋が始まるような気がしたが、そんなことは無かったぜ。


……やりたいようにやった結果が今回の海軍編での惨事。
カリスマばっかりでているエネル(ワポル)の中の人の本性というか。
所詮中の人は中二を患っているだけの良くも悪くも一般人だった、と認識してもらえれば。

 多数の「こいつは駄目だ」という感想が無かったら詰まらなく、ゲスな主人公がお送りする海軍編を突っ走っていたかもしれなかった。
 感想で揺れてしまうのもどうなのか、とも思いましたが、読み返してみて「このまま続けたらあかんな」と。
 ストックが無かったことになりましたが、まぁ、あれもただ変態しているだけだったので。落ちるところまで落ちても良かったですが断念いたしました。
 ……本当に感想有難う御座います。

 一度、海軍に入ったという過程を消してZフラグと二年後の謎の七武海の一人フラグを消してしまおうかとも思いました。

 ですが、オリ主が海軍に入るというテンプレ。
 やりたいことの布石としてやっておかなければならない部分があったので消せなかった。

 というか自分の失敗を無かったことになんて出来ませんでした。
 やりたいようにやってるこんな作品でも、一本何かは通さなきゃと思っていたので。

 あの子が悪いわけではありませんが、今回のことは戒めとさせていただきます。
 では、偉大なる言葉を残したクマの言葉の(もじ)りで締めさせてもらいましょう。

「私もまた大きいおっぱいにおどらされただけの犠牲者の一人にすぎないのだ」


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覚悟とケジメ

テンプレその壱八
・結婚


 ――ワポルとエネル、それぞれ自分に近しい者達に自分の正体を告げてから半年がたった。

 

 ベガパンクの書いた設計図と彼の頭の良さを貰ったおかげで、ドラムは技術力が発展。

 

 また、王という役職は消えてワポルは皇帝となり、副王だったドルトンは総理となり。

 

 

 

 ――医療含む科学技術力が向上したこの国はドラム帝国に名を改めた。

 

 

 

 まぁ、やってることは戦後の日本と一緒なんですけどね。

 

 ただ、日本の天皇にあたる皇帝である自分に発言力があるだけで。

 

 あとは大体国民の意思を尊重する民主主義制度の国に近い。

 

 

 

 半年の間に何があったかだけど、ケジメを付けた。

 

 まぁ言ってしまえば結婚した。

 

 それに伴い、女ヶ島アマゾン・リリーとドラム帝国が友好関係を結ぶことになったのだけど……伴侶は推して知るべし、というほどでもない。

 

 結婚相手はボアの三姉妹。

 

 ただ、お互い立場があるので別居状態。

 

 継続して自分はドラム、彼女たちはアマゾン・リリーに住んでいる。

 

 結婚する意味なかったんじゃない? と思うが、まぁそこは気持ちの問題。

 

 この結婚で起きた問題といえば、ハンコックが自分の事を母と呼ぶようにマリアに強請して、マリアが癇癪を起したことぐらいかな。

 

 娘の癇癪で冬島だったこの国が一時の間夏島に変わるんだから、凄いよね(白目)

 

 親バカでもちゃんと叱った。うん。……叱れたと思いたい。

 

 まぁ、気候を調節して日本に近い四季を創ることを思いついたんだけど。

 

 そうまでして母と呼ばれないハンコックは泣いてた。

 

 ソニアは……まぁ、姉のポジションが安定してるからって言って呼び方はソニアお姉ちゃんだけど。

 

 安定のマリーはお母さんでした。

 

 ……。

 

 

 

 三人とも重婚オッケーな雰囲気だったから誰か一人って選べなかったんだ(諦観)

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 今年は世界会議と何があったか……と思ったら、どうやら怪我をしたヒトヒトの実を食べた青っ鼻のトナカイをヤブ医者改め、化学技術開発のヒルルクさんが拾い、Dr.くれはが治したらしい。

 

 そのトニートニー・チョッパーと名付けられたトナカイがヒルルクに連れてこられた。

 

 本物だぁ~と内心喜んでいたら、動物としての本能が働いたのか怖がられ気絶されるという。

 

 ……どういうことなの? 動物として自分の中にいるガルダと化け狐を察知でもしたの?

 

 それでも直接話したいがために、気絶した彼を預かり膝の上に乗せて起きるのを待った。

 

 

 

「んん~……おれは、いった……エェエエエエエ!!??」

 

 お、起きた。

 

「……膝の上での寝心地如何だったかな」

 

「や、や、止めろ! お、おれを食べてもおいしくないぞ!」

 

「食べぬよ。そこまで食事に困っているわけではない。……それに私はただの人間だぞ?」

 

 誰がトナカイを好き好んで食べるもんか。

 

 それにチョッパーを食べたらどんな所から刺客が送られてくるかわかったもんじゃないしな(震え声)

 

 え、原作で食べかけてたカバ? アイツは良い奴だったよ……。

 

「あ、ホントだ……――って怖い怖い怖いぃぃいい!」

 

「私の中に居るモノだろう? 幻獣種を二つ食べている。動物的本能が働いているのだろうさ。……ほら、見たまえ」

 

 改築され仄かに光るLEDライトのシャンデリアで照らされ、常用し始めた鎧から生える翼が光り輝き、金毛の狐の九尾は絹織物の様に光を反射しながらユラユラと揺れ動く。

 

「綺麗……」

 

「そういってくれるとありがたい。恐らく、この世界の誰よりも私は化け物だからな」

 

 自分で言うのもアレだけど神々しいとすら思う。

 

 ……まあ、生まれたとき神々が炎神アグニと間違えて崇めた神鳥だからね(遠い目)

 

 九尾も九尾で色香で王様堕落させて傾国させたり、色々と主神がごった煮にされるくらいだもんね()

 

 神々しくなかったらなんなのって話。

 

「さて、……見惚れるのもそれくらいにしてだ。ヒトの可能性を内包したトナカイ、チョッパー」

 

「はっ……はい!」

 

「しばらくはヒルルクと共に生活するがいい。そのうち民たちもお前の存在に慣れるだろう。そしてこの国でやりたいことを見つけてくれ。幸い、技術も医療もこの国はそろっているのでな。医者になるも良し、科学者になるも良し。はたまた両方になっても良し。……この国はお前を歓迎しよう」

 

「……おれは」

 

「化け物? 結構。お前より化け物らしい人間は其処らじゅうにいる。むしろ人間こそ、この世界で一番の化け物かもしれないのだが。……暇があれば生命帰還を教えよう。それを使えばより人間らしくなれる。そして良ければ、……偶に娘の相手をしてやってくれないか?」

 

「……わかった。ありがとう……えっと、名前は」

 

「ドラム帝国、皇帝ワポルだ。次に会う時を楽しみにしているぞ。トニートニー・チョッパー」

 

 皇帝だという事に今気が付いたらしいチョッパーは呆然とした表情で玉座の間から出ていった。

 

 

 

「――……あの人、いい人だった。……また来いって」

 

「エッエッエッエ! そりゃあそうさ! あの方は何よりも、誰よりも! 俺たちの事を心配してくれる人だからな!」

 

「……」

 

「どうした?」

 

「おれ、勉強するよ。勉強してヒルルクみたいな化学者にも、くれはみたいな医者にもなりたい……。あの人が言ったんだ! おれには人の可能性が詰まってるって!」

 

「そいつはすげぇや! あの方がそう言ったならきっとお前は成功するぞ!」

 

「うん!」

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 同じゾオン系の能力者のドルトンとチョッパーに生命帰還の指導をした後。

 

 三姉妹との結婚に際し、正式な皇女になったマリアが部屋に入ってきた。

 

「お父さん!」

 

「どうした、マリア」

 

「うん! 見て、これ!」

 

「……雷になれるようになったのか。……すごいな」

 

「お父さんとお揃い!」

 

「ああ、そうだな」

 

「……えへへ」

 

 最近、成長速度が早すぎる(震え声)

 

 この前は光だったしヤミヤミの能力も再現していた。

 

 ゴロゴロの実の能力が泣いてるよ、マリア。

 

 お父さん形無しだよ……。

 

 でも嬉しそうならそれでと頭を撫でてる自分は親馬鹿(確定)

 

「そうだ。……近くマリージョアで世界会議がなのだが……一緒に行くか? 待っているだけでつまらないと思うが……」

 

「ううん! 一緒に行く!」

 

 まだまだ子供だ。

 

 だけども、徐々に物が判ってきたため自分の身に何があったのかっていうのを認識し始めた。

 

 実の父ではないということと、自分が置かれている立場……三姉妹の間に子供が出来れば王位継承権は下がるということも幼いながらにしてちゃんとわかっている。

 

「お父さん……。私なら大丈夫だから。……何時かは向き合わないと」

 

「……別に私が居ない間、お母さんたちと一緒に居てもいいんだぞ?」

 

「ううん。……早い方がいいと思うの。だから一緒に行く」

 

 強い子だなぁ……一体誰に似たのか。

 

 きっと死んだ本当の両親だろう。

 

 もしくは母と慕ってるマリーか。

 

 自分は……まぁ、まずないけど。

 

「とはいえ先の話だ。……今日は特にすることもないのだが、ハンコック達の所へ遊びに行くか?」

 

「? お父さん、最近何もしてないみたいだけど……?」

 

 うぐぅ。

 

「…………見聞色で国民の生活を見守っている」

 

「嘘じゃないだろうけど、他に何もしてないよねお父さん」

 

 じ、ジト目が心のグサグサとくるね(涙目)

 

 民主化して円卓の会議もドルトンに任せてしまっている現在。

 

 新しい便利機械のアイディアを出すこと以外、ほとんどすること無くなってるんよね(白目)

 

 他にやっている事と言えば趣味で、城の地下からマインでクラフターな跳躍1メートルのおっさんよろしく直下堀をして鉱石資源を発掘している程度だし。

 

 この国の最大戦力と言っても襲われなければなんの意味もないし。

 

 ……NEOニートみたいになってるから仕事してないと言われても否定できんぞ(震え声)

 

「はぁ……お父さんのこんな姿知ったらきっとみんな失望するよ?」

 

「そうだな……。……少し出てくる」

 

「うん、いってらっしゃい」

 

 兵士の訓練に交じって鈍っていた体を動かしてきた。

 

 こいよ、兵士たち! 全身武装して掛かってこい!

 

 と、鎧と同じ物質で造ったのの様棒・(あらため)でする棒術で稽古をつけて。

 

 略奪していく事しか考えてないモーガニアの海賊船が寄港しかけていたので、守備隊に任せず自ら死なない程度に懲らしめ、食糧雑貨を買わせて国へ金を落とさせて。

 

 感覚を取り戻してきたところでエネルの姿にチェンジ。

 

 

 

 それから世界会議前のマリージョアに行って奴隷を解放するため、奴隷たちを全員バクバクと一飲みに。

 

 焼き付けられていた、天かける龍の蹄とかいうふざけたモノを消してそれぞれの国へ三日かけて帰した。

 

 

 

 首輪はちゃんと持ち主の首に返してあげました(にっこり)

 

 

 

 ……はぁ。

 

 荒んだ心を嫁たちに癒してもらおう、そうしよう。

 

 

 




>>決められなくてハーレム化
テンプレしてねぇなと最近思う(真顔)

ストックが消えたので明日の更新は夜です。
最大の失敗は海軍で紳士の欠片もない変態になったこと(戒め)
……しなきゃ良かった。
多分これからは思い出したように天竜……ゴミ掃除をすると思います(迫真)


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親馬鹿二人に爺馬鹿一人

テンプレその壱九
・原作キャラと友達になる
・堂々と天竜人を罵倒


「えっと、私はアラバスタの王女ネフェルタリ・ビビって言います。10歳です」

 

「私はドラムこうじょ? のマリアです。一個下の9歳です。……えー、大きい貴女は?」

 

「しらほしです。その、あまりお友達とか作ったことないのでどうすれば……」

 

「手を出して」

 

「? こう、ですか?」

 

 マリアの身長では見上げるくらい大きいしらほし姫に手を伸ばす。

 

 しらほし姫が出した手を握って、マリアはにんまりと笑った。

 

「はい、握手! これで友だちになれたよ!」

 

「そ、そうですか?」

 

「うん!」

 

「あ、わ、私も! レベッカっていうの!」

 

 ……えぇ子や……マリアえぇ子や……

 

 お父さん嬉しいで! ほかの子たちも可愛いいなぁ!

 

 ……それぞれ年の近い娘、孫が居るとのことなので連れてこようという話になっていたのでマリージョアに連れてきた。

 

 王族という立場、必然的にしがらみとなる友達という存在は中々作れない。

 

 でも小っちゃい子供たちに友達が居ないっていうのはとてもじゃないが見ていられない。

 

 別の国の王族と友達に、というのも色々と問題はあるだろうがアラバスタを除けば、お隣の国というほど近いわけでもないので問題は無いだろう、と思う……。思いたい。

 

 ……将来、国単位の友好関係に発展することかもしれない、というのが建前でリク王は城で住むようになった娘夫婦のお孫さんを連れてきたらしい。

 

 ……にしても可愛いなぁ……。

 

「口元がニヤけていますな、ワポル殿」

 

「……おっと」

 

 ニヤニヤとコブラさん笑ってるけどさ。

 

 自分も娘の姿を見てニヤニヤしてるんでしょう? えぇ?

 

「前回の世界会議であのような演説をしたワポルも娘には弱いか……」

 

「……アレは自分の目指す理想の王を言ったまでだ。というよりも、私の事を言う二人も人の事は言えないと思うが?」

 

「「……おっと」」

 

「お三方は仲がよろしいのですね……」

 

「まぁ、皆親馬鹿なのだ。……すまないな、人族の王が馬鹿で」

 

「「誰がバカだ!」」

 

「喧嘩するほど仲がいいと言いますからね……ふふふ」

 

 むさ苦しい男三人に交じっている女性が一人。

 

 場違いの様に居るが、そこらの王よりも胆の座っている魚人島王妃のオトヒメさん。

 

 ……旦那さんはぎっくり腰で来れなかったとか、なんとか。

 

 今度行くことがあったら治してあげよう(提案)

 

「それで、……お聞きしたいことがあったのですが……どうして魚人族の世界会議への参加に賛同してくださったので?」

 

「ワポルに賛同してくれと頼まれたからな」

 

「うむ、同じく」

 

 丸投げしやがったな、あの二人。

 

「……ではワポルさまはどうして」

 

「……私は子を大切にしろとは言ったが、反対しているとは言っていないが?」

 

「!? 何故、貴方がそれを……!?」

 

 シーッ! と唇に指をあてて口を塞ぐ。

 

 ……人妻に何やってるの、自分(困惑)

 

 ネプチューン王にバレタラコロサレルヨ?

 

「アレは私の仮の姿だ。くれぐれも内密に。……しらほし姫には特に内緒で頼む」

 

「は、はい。それは勿論……――あ! そうです! そうでした! ……ワポルさま、船大工のトムとタイガーの件、有難う御座いました。トムが礼を言いたいと言っておりましたので一度あちらのお姿で魚人島にいらして下さい」

 

「了解した。いずれあの二人にも顔を見せなければと思っていたところだ……と、どうしたマリア」

 

「……お父さん、オトヒメさんに何をしているの?」

 

 疚しい気持ちは無かったけど、気分は浮気現場を見られた夫の心境。

 

 ニッコリ笑顔が怖いよ(ガクブル)

 

「心配するな。向こうの姿で少々面識があったのだ。……それで少し話していただけだ」

 

「そう。……流石に他の人の奥さんに手を出すのは宜しくないと思うので、やめてくださいね皇帝ワポル。では控室で世界会議が終わるまで私はビビたちと遊んでいますので」

 

「……なんで他人行儀なのだ……」

 

 何時の間にそんな怖い笑顔が出来るようになったん(震え声)

 

 ……とてとて、と駆けていった娘にお父さんビビったよ。

 

 

 

 ビビだけに(ドヤ顔)

 

 

 

 あかん、コブラ王に睨まれた。

 

「中々、強かなお嬢さんですね……あと、私は夫一筋なので」

 

「オトヒメも娘の冗談に乗らないでくれ……頭が痛い」

 

 あぁ、オトヒメさんに笑われた。

 

「こいつめ、海賊女帝にその妹たちという偉く美人の嫁をもらったくせに」

 

「加えて人妻にも手を出そうとは……罪深き奴よ」

 

「……いい加減怒ってもいいだろう? ん?」

 

 

 

 このあと滅茶苦茶喧嘩した。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 イルシアの王が発言の許可を取り、おもむろに一枚の写真を提示する。

 

南の海(サウス・ブルー)のセントウレアの国が革命家ドラゴンの手によって滅亡した。――前回申したように、奴の率いる革命軍が何時我々の国へ押し入ってくるか判らない……。何れ、我々世界政府の巨大な敵になるだろうことは必至だろう」

 

「イルシアの王よ。セントウレアで革命が起き、滅亡したのは国民が王に不満があったからだ。……違うか?」

 

「ドラムのワポルの言う通りだ。……だが、国民は国に所属する者達。国の決定には素直に従えばいいではないか?」

 

「……はぁ。だから私は前回の世界会議で言ったではないか。王も国民も同じ人間だと。我らと同じようにモノを考える事が出来、国民は我らの事を見ていると。そして一度自分たちの在り方を省みては、と私は提案したはずだぞ。そもそも国が正しくあるのなら、革命軍に目を付けられることは無いと思うのだが……」

 

「何故、我々統治者が被支配者である国民のご機嫌伺いをしなければならない! ……バカばかしい」

 

「……セントウレアといえば、前回、私が自らを法で縛ったと言ったとき『乱心したか』と一笑していたが。……革命軍に滅亡されたというならあの国と王には滅ぼされるだけの理由があったのだろう? 国民が充足した生活をしていれば、統治者である王に何の不満も抱くものではないと思うのだが?」

 

「――!」

 

 半年前のマリージョアから奴隷が一人残らず消えたという事件についてただの報告に近い論議も終えた。

 

 まぁ、奴隷については居なくなってくれた方が良いという共通認識だ。

 

 中にはそうは思わない王も居るだろうが……。 ……恐らくあの皇帝の仕業なので何も言わなかった。

 

 ドルトンにバラしたな、と怒られてしまったしな。

 

 ……それにしても嗚呼なんと不毛なことか、話にならない。他国の王も革命軍の危険性を訴えるだけで誰もが対策案を考えようとしない。

 

 見ろ、ワポルの顔を。退屈そうで面倒臭そうな顔を。

 

 ……四方の海最弱の東の海に生まれたという魚人と人間が共存する街。其処を初めとして、魚人や人魚たちの地上への移民を行いたいと言う、歴史上初参加となった魚人島代表のオトヒメの話のほうがよほど興味深い。よほど有意義だ。

 

 そしてなによりも未来がある。

 

 夢と嗤ったものが多かった。世界会議(レヴェリー)というこの場で言う者が居なかったが、魚類の癖にと内心で嘲笑い、蔑みの表情を浮かべている者も居た。

 

 ……コブラもまた私と同じ思いなのだろう。

 

 些細な事ですら戦争の引き金となるこの場で、仮面を被る者が多いのも仕方がない事だろう。だが、それでは何も発展しないのだ。

 

 会議は踊るまま何も進まない。

 

 良い意味で変わり果てた国の大恩人ワポルと、遠い地に住まうコブラの心持ちに似通ったものを感じなければ、このような不毛な会議に出る必要はないというのに。

 

「――……流石、言う事が違いますなドラム帝国の皇帝ワポルは」

 

「――はて、それはどういう意味で」

 

 ワポルの斜め前にいた王が口を開いた。

 

 ワポルの問いに覇気は感じない。だが、空気が死んだように感じた。

 

「どういう意味? ――本当に分からないのか? 世界政府を創った偉大なる20人の王。その偉大なる王たちが残した国――『王国』という名と存在にあやかり、我々もまた『王国』と名乗っているのではないか! ――だが、貴方は! 政府加盟国にありながらドラム王国から医療大国へと変え、今度は『帝国』と名乗り、自らも王ではなく『皇帝』と名乗っている! ……しかもだ。半年ほど前だったか、海賊女帝を妻に迎えたそうじゃないか。幾ら王下七武海と言えど相手は海賊。海賊を妻にするとは、王としての自覚はお有りか!? しかも血の繋がらない市井の子供を――」

 

 流石に言い過ぎだろう。滅多に表情に出さないが、血の繋がらないはずの娘を心の底から愛し、その愛故にあの三人を妻に娶ったあのワポルが黙っていない。

 

 

 

「黙れ」

 

 

 

 ――と、思っていたら案の定黙っていなかった。

 

 あの皇帝は視線と言葉と共に発する覇王色の覇気でその王を気絶しない程度に黙らせていた。

 

 

 

 ……自国を帝国という名に変え、皇帝と名乗るようになった理由は聞いた。

 

『第一皇妃となったボア・ハンコックはアマゾン・リリーの女帝を兼ねている。その夫である自分が王というのは如何なものか』

 

 という理由がワポルが皇帝と名乗るようになった理由だ。

 

 ――名を変えればアマゾン・リリーを守る王下七武海の『海賊女帝』という立場に影響が出るため、ボア・ハンコックの名はそのままにしなければならない、という事も実はあった。

 

 とはいえ『王国』を『帝国』と変え、『国王』が『皇帝』と名乗れば面倒な事が起きることはわかっていたことだ。まぁ、それは自分たちが没した後……後の海賊女帝と関係の薄くなる二国の因果関係明確に見せるため、と考えての事なのかはハッキリとわからないが。

 

 

 

「はぁ……」

 

 沈黙を破ったのは沈黙を作ったワポルの吐く息だった。

 

 深く重い溜息だった。

 

「――お前のような王に私の考えが解るわけが無いだろう。古いしきたりであるとか、国名ごときを気にするお前たち――天竜人と同じく、国民を人とも思わない奴らに言っても無駄だと、今分かった」

 

 丁度私とコブラ、オトヒメを除いた王たちを気絶させないギリギリで重圧が掛かっている。

 

 そして、

 

「まぁ、私が皇帝と名乗る理由が知りたいのなら教えてやろう。まず、――何故に天竜人(ゴミ)共の祖先が見捨てた『王国』と『王』を、私たちの国と私が名乗らなければならない」

 

 ……とんでもない爆弾が落とされた。

 

 ゴミってあーた。

 

 え、お前そんなこと言ってなかったくね?

 

 わしはどうなってもしらんぞ?

 

 

 




>>そんな娘の成長を見守る親馬鹿。
>>世界会議の中心でゴミと叫ぶ。
残念だけどこれもまたテンプレなのよね(吐息)

↓ちょっと感想返し↓

>>訓練中のボディタッチ(意味深)の回数について&主人公(ゲス)
初め1200とかいう数字が出てた。20割ってなかったんや。
で、30周目は239回しか抜かしてないので59回ですね。
主人公ゲスいね(遠い目)
連行されるときはク○吉と同じセリフを吐いて行くと思われ。

>>モドモドとモサモサの実が逆
わざとです。
あと、見聞色の達人が詳しく調べたので出来ることの幅が広がってます(にっこり)

>>九尾について
タマモカワイイデス
上り幅広すぎてワロエない。宝具もヤバすぎてゲームバランス崩れる。
まぁ、エロ狐でも賢母(自称)でも良いよね!
可愛いは正g(ry

>>ドフラミンゴ関連
モネとベビー5は欲しいよね。
外道には外道をという意味で外道メッシュを復活させるか否かで迷う。
多分、出たとしても何時かしようと思う夜話かな(暗黒微笑)

>>エ□エ□の実
安直すぎるのもアレなので、ちょっと捻って出てくるかと。
何れ書く夜話で。

>>フラグの粉砕☆玉砕☆大喝采
きっと大丈夫だろ(震え声)

>>テンプレ
テンプレを敢えて外れていくというテンプレ!(白目)

>>数々の応援
有難う御座います。
感想評価がガソリンになってます。
でも息抜き作品が山田かつてない沢山の方々に見られていて微妙な心境。
毎日更新は切らしたくないから、さくしゃがんばりゅの(死んだ魚の目)

それでは、次回もよろしくお願いします。


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ゴミはゴミ箱に入れないと(使命感)

テンプレその弐拾
・腹黒いCP
・恋する人魚姫


 ああ、もう、面倒臭いですわ。

 

 なに、この天竜人候補。

 

 今すぐにでもこの劣化天竜人の老害お掃除したいわ(迫真)

 

「私が皇帝を名乗るのは、王を名乗りたくないからだ。……王とは、前言ったように民にとって崇め奉られるような存在に。神が如き存在であらなければならない。だが、私たちは所詮人間だ。人間は神になれるわけがない。……神になれぬのなら、王を名乗る資格はない」

 

 それなのにあのゴミどもは自らが神様のように振る舞いやがって。

 

 ……自分も大概好き勝手やっているけど、ふざけんなって一発ぶん殴りたい。後で殴ろう。

 

 そうだ、マリアのトラウマもついでに克服させよう(名案)

 

「この場にいる者達に王を名乗る資格はあるか? ……世界政府を創った20人の王たちはアラバスタの一人を除き、皆自国を捨てたのだぞ? そのような者達を偉大なる王と崇め奉るのはさて、如何なものか」

 

 まぁ、ドルトンに丸投げしようとしていた自分が言えることじゃないけども(遠い目)

 

「……ただの独裁者ならば。民の事を考えぬようでは我々は王ではない。人が付いてこないような政治を取る人間は王を名乗る資格はない」

 

 でも中には善政を敷いている王も居る。

 

 原作と友人というフィルターを通してみているから、本当に良い王様なのかはわからないけど。

 

「ネプチューン王、コブラ王、リク王は私が知る限りでは善き王だ。王と名乗っても問題はないだろう。……だが、私は王ではない。だからこそ皇帝を名乗るのだ。好き勝手にしか出来ない、海賊と何ら変わりない皇帝をな。……ご指摘の通り、海賊女帝を妻に迎えるくらいだ。私が野蛮だという事は認めよう」

 

 そう、自分は王じゃない。

 

 統治者を続けるとは言ったものの政が面倒になって、結局国民任せ総理任せにした愚か者で、覚悟の足らない未熟者だ。

 

 だけども、そんな自分にも許せんことが幾つかある。

 

「……だがな、妻たちと娘。そして我が帝国を……我が家族を貶めるようであれば、貴殿らの持つ全てを滅ぼしに行くから覚悟しておけ……良いな?」

 

 ハンコック達とマリアを侮辱した老害に向けていた覇王色の覇気をほんの少し強めて気絶させた。

 

 

 

 世界会議が終わり、頭を抱える。

 

「はぁ……やってしまった。ついカッとなってしまった……反省と後悔しかない」

 

「世界会議の場であのようなことを言うとは……よくやった!」

 

「あぁ、よくやった!」

 

「お二方は不謹慎です! お気持ちはわかりますが、……少々やり過ぎたようですね」

 

「……うむ」

 

「確かにな」

 

 つい、本音が出てしまった。ゴミって言っちゃったよぉ……。

 

 ……でもちょっとすっきりした。

 

「……アレでは除名処分を受けてしまってもおかしくはない。いや、確実に世界政府加盟国から除名になるだろう」

 

「「さみしくなるな……」」

 

 声をそろえて残念がってくれるのは嬉しいが、なんでそんなに愉快そうに見てるのかな二人とも。

 

「まぁ、また個人的に会えばいい。……まだまだ国は盤石な体制を取れていないというのに……もうしばらく政府の庇護下に入っていれば」

 

「確か、魚人島の移民の件を受けるために開発を進めているのだったな……」

 

「……本当に、ありがとうございます。……ワポル様にはなんとお礼を申し上げたらよいか。……ですが、大丈夫なのでしょうか?」

 

「……ああ。魚人、人魚の受け入れについての体制は年内には終わる。問題なのはまだ国の防衛力が不確かであること。そして危険因子としてバスターコールを受けてしまうのが恐ろしいのだ」

 

 特に疚しいことはしていないけれど。まぁ、強いていればベガパンクの発明と国で行っている発明が被っているという珍事があるくらいか。

 

 ……証拠がないから検挙しようが無い。

 

 いや、奴らにとって証拠は作るものか。

 

「徹底的に入国審査をしなければな。……サイファーポールの工作員の連中が来ていてもおかしくない」

 

「まて、何処からサイファーポールが出てきた?」

 

「あ、うむ……すまない、独り言だ。……まぁ、バスターコール自体は問題ないのだが、事後処理が面倒なのだ。……仮にオハラの時に来た赤犬を海に沈めてしまったとして、他国からの評価と沈めてしまった海軍の船の弁償と……ちなみに一隻幾らすると思う?」

 

「いや……そんな事が心配か?」

 

「ああ」

 

 世界政府と全面戦争になれば……まぁ、勝てるとは思うけど、国を人質に取られたらどうなるかわからない。

 

 仮に勝ったとしてもその後の世間から風当たりが恐ろしいものになることは間違いない。

 

 というか娘を人質にでも取られたらガルダ解き放つかも(震え声)

 

 そんなことにならないためにも国防力をもっと上げないと(使命感)

 

 まぁ、マリアも強いから人質になることはまずないと思うけど。

 

 最終手段、国の開発には力を出さないとな。

 

「はぁ……子供たちを迎えに行こう。……ゴミクズがあの子たちを奴隷にしようとしてマリアに返り討ちにされている。……面倒だ、向こうの姿で掃除してくる」

 

「もう自重しなくなったのだな」

 

「……もう疲れた」

 

 

 

 なるようにしかならんね()

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 マリアが気絶させていた天竜人を電気ショックで叩き起こして、子ども達には見せられないのでマリージョアの知り合い以外全生物を気絶させる。

 

 子ども達に親三人がついているのを確認してゴミを引き摺り屋外へ出る。

 

「私はエネルだ! さぁ私はなんだ! 言ってみろぉ!」

 

「え、エネルだえぇ!」

 

「残念だったな! 我はカミなり! ゴミに我が名を呼ばれたくもない! この燃えないゴミめ!」

 

「あばばばばば!」

 

 自我と記憶をフォーマットさせてこのゴミの収集所に遠投した。

 

 記憶を失い自分が天竜人だったという事も忘れたかもしれないけど、問題ないな!

 

 廃人になっていようと問題なし!(ゲス顔)

 

 あぁ、ゴミ掃除っていろんな事を忘れることが出来て清々しいですわ(爽快感)

 

 ……また奴隷が増えていたのでバクバクして首輪を持ち主に返してから、控室に戻るとマリアがすっ飛んできた。

 

「お父さん! やっつけたよ! みんな守れた!」

 

「……よくやったな」

 

「うん!」

 

 頭を撫でてやると恥ずかしそうにするお年頃のマリアは天使(真理)

 

「エネルさん?」

 

「あ、しらほし姫!」

 

「……しまった」

 

 余りにも清々しくてオトヒメさんに連れていかれていた、しらほし姫の事を忘れていた。

 

 そういや自分、好かれてたね(諦観)

 

「エネルさんですよね! あれからずっと会いたかったです! それにしてもどうして……あれ、マリアさんのお父さんはワポル様では……」

 

「……お父さん?」

 

 娘の視線が冷たくなってくよぉ……!

 

「少し前にオトヒメを救った事があってな? その時この姿で」

 

「むぅううううう!」

 

 あ、これ「カム着火インフェルノォォォオオオウ」レベルですわ。

 

 覇気を纏わせた蹴りが股関節に入ってもおかしくないわ(震え声)

 

「マリアのお父さんはワポルさまで? マリアが今お父さんって言ったのはエネルさんで……頭がくらくらしてきました、お母さま……」

 

「後で説明してあげます……話してもよろしいですね?」

 

「……うむ、構わない」

 

 バレないようにと思っていたのにバレてしまったね。仕方ないね。

 

 

 

「お父さんの馬鹿!」

 

「ま、マリア……それは、駄目だと……言っただろう……?」

 

「あ……ご、ごめんなさい!」

 

 ――ぁ!(悶絶)

 

 

 




>>スパンダム「証拠はつくるモノ(キリッ」
>>相手が友達のお父さんって……なんだか危ないにおいがプンプンするぜ!
ねぇ、助けて…テンプレが息してないの…(落涙)

パトラッシュ、僕もう疲れたよ。なんだかとても眠いんだ(徹夜明け)
パトラッシュ「でも予約投稿だろ」
なん…だと…!


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退治する者への呼び声

テンプレその弐参
・チート無双


 この国に四季が生まれてから初めて四季が一巡りして、一年が経った。

 

 やはり一昨年に比べて体調を崩す人が多かったが、それは既に理解していてもらった事なので、むしろ冬しかなかったこの島に四季が出来るので楽しみだったという国民が多かったことが幸いした。

 

 まぁ格安で病院に掛かることが出来るというのも賛成された一因かな。

 

 

 

 また、シャボンディ諸島周辺に見られるシャボンを人工的に再現することに成功したため、足に変化できない人魚たちへの対応も終了。

 

 来年から本格的に魚人島からの移民を受け入れることが出来る。

 

 偏に国民たちの理解があったために、実行できるんだけど……。

 

 ……頭が柔らかくないとやっていけない研究者気質の職人や開発者、科学者たちが多いとはいえ、円卓での会議で賛同を得て民衆に認められなければならないというのに。

 

 

 

 自分が円卓の間で行う定例会議で提案したら即決だったんですが(困惑)

 

 

 

 不思議に思って、なんでえ? とドルトンに聞けば「信頼しているからですよ」との一言。

 

 我々のために提案してくれている、という認識がされているとかなんとか。

 

 ……どれだけ自分信用されてるの(白目)

 

 あれだけ悪政敷いてたワポルが信用されるのは全部自動変換さんのおかげやね。

 

 自分のお蔭じゃまずないからね(遠い目)

 

「……だが、まずはこれをどうにかせねば」

 

 島を丸々ドーム状の防音防護壁で守っているから国に被害は出てないけど……あいつらまた来た(溜息)

 

 

 

 今年に入って二回目のバスターコールなう。

 

 

 

「お父さん!」

 

 うきうきとした様子で娘が入ってきた。

 

「マリアは此処で留守番だ。いいな? 絶対出てくるな?」

 

「えぇー……」

 

 やっぱりか、わが娘よ。

 

 えぇーじゃないよ、えぇーじゃ。

 

「はぁ……では、仕事を与える。国内に居る世界政府のスパイを捕まえ、捕縛後見張っていてくれ。……かなり重要な仕事だからな? 抜かったら駄目だぞ?」

 

「はーい!」

 

 ゆら、とマリアの姿が揺らいで消えた。

 

 ……マリアが出てくとオーバーキルになっちゃうからね。仕方ないね。

 

 この前なんか軍艦が木の小舟になっちゃったからね。

 

 娘が強すぎてお父さんの立場が無いよ(白目)

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「――全艦砲撃用意! 目標は皇帝ワポル! ――撃てェ!!」

 

 

 

 ドラム帝国の皇帝のワポルはドームををすり抜けるように、金色に輝く鎧を纏って現れ、身体を冷気と雷に変えて自国を後ろに空に滞空していた。

 

 海軍の軍艦五隻から一点に向かって巨大な鉛玉が飛来する。

 

 

 

「ふむ、この程度か」

 

 

 

 迫る砲弾。ワポルの顔にあるのは既知が如しという諦観。

 

 

 

 ――砲弾は緩やかに振るわれた錫杖によって海に落とされる。

 

 

 

 まるで舞い落ちる木の葉のように振るい落とされた鉛。

 

 炸裂する仕掛けを施されていたソレは音もなく海に落ちた。

 

 

 

 余りにも一瞬。その光景、余りにも信じがたく。

 

 

 

 一種の神々しさを携えたワポルの姿、動きの一挙一動に何名かの海兵が感嘆の声を上げた直後、暴風が海軍の五隻の軍艦を襲った。

 

 

 

「っ……まさかぁ……風圧ってわけじゃあないよねぇ……?」

 

 海軍大将、黄猿が呟く。いつもの間延びした声には若干の焦りがあった。

 

「もしかして此処の皇帝さま、実は相当な実力者なんじゃないの?」

 

「ちっ……忌々しいのォ。なんじゃあ、ただの能力者じゃあないっちゅうわけか」

 

 

 

 ……二度目のドラム帝国へのバスターコール。今回は中将だけでなく海軍三大将も来ていた。

 

 

 

 一度目のバスターコールでは海軍の軍艦が全て木の小舟に変わった。

 

 六式の仕える将校は月歩により海上に落ちることを逃れたが、大半の海兵は海へと落とされてしまった。海水温が高かったために凍死、温度差によるショック死を免れたことは不幸中の幸いだろう。……本来冬島であるドラム周辺海域の温度が高いというのも異常だったのだが、それよりも異常な事が起きたために忘れられていた。

 

 落ちてしまった海兵の安全を一先ず確かめた後、将校たちは島を覆うドーム上の防護壁の破壊に試みたが、六式による攻撃は通用せず。覇気を乗せた攻撃も通さず。

 

 まるで一つの山に攻撃を仕掛けている気分だった、とある中将は語る。

 

 幾ら攻撃しようともびくともしない上に、見聞色で調べてみれば理解し難い金属で構成されており、土の中にまで防護壁が続いている。

 

 これは駄目だ、と誰もが不落の壁に達観し、一度目のバスターコールは撤退という形で幕を下ろした。

 

『今度はそうはいかない』

 

 ……二度目のバスターコール。

 

 海軍元帥仏のセンゴクが下した判断により、海軍三大将は投入された。

 

 

 

 ドラムの皇帝ワポルは優雅に、尊大に、大胆に。六式の月歩のように空を踏みしめ海軍の軍艦へと進む。

 

 

 

 ――我が道に一切の障害は在らず。

 

 

 

 海軍の事を敵とも見ていないのか、それとも自信の強さを信じて疑わないのか。

 

 将校以下の海兵たちは圧倒され身動きを取れずにいた。

 

八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)…!」

 

 誰もが沈黙している中、その沈黙を破るかのように攻撃仕掛けたのは黄猿。

 

 無数の光弾。熱量を伴うために実際の光に比べれば遅く、だが常人であれば速過ぎる速度を伴い空を歩く皇帝ワポルへと殺到する。

 

 

 

「……自然現象である限り光は熱で屈折する」

 

 

 

 確かに聞こえたその言葉に黄猿は首を傾げる。

 

 覇気を帯びているであろう光弾はワポルの手前で揺らぎ、避けるように通り過ぎていく。

 

「おやおやぁ……これは……。どういうことかねェ……」

 

 何が起こったのか。その場に物理学者でもいれば陽炎の現象と同じだとわかるだろうが、生憎とこの場には居ない。

 

 

 

「次は此方側からで()いな」

 

 シャリン。

 

 

 

 錫杖の金輪が海上に冷たく鳴り響く。

 

 ゆっくりと振り上げられた手の先にあるのは巨大な積乱雲。

 

 

 

 シャリン。

 

 

 

 冬島ではまず見られないそれが突然発生してたことに疑問を抱くのは束の間の事。凝縮され雲の中で静電気が蓄えられたそれは雷雲となる。

 

 

 

 シャリン。

 

 

 

 雷雲が形を変えていく。

 

 最初に口が生まれ、歯が生まれ。

 

 

 

 ――シャリン。

 

 

 

 次に鼻に髭。

 

 

 

 ――シャリン。

 

 

 

 角と鱗。

 

 

 

 ――――シャリン。

 

 

 

 腕、足……徐々に形を変えた雷雲は、巨大な冷気を携えた龍に。

 

 

 

『グォォォォォ――!』

 

 

 

 雷が轟き嘶いた。

 

 巨大な龍。さながらそれはドラム帝国を守らんとする龍神の如く。

 

 頬を皇帝ワポルに寄せて付き従い「この者こそ我が主也」と宙にとぐろを巻いて。

 

「ちょっとこれは……不味いんじゃねぇの!」

 

「海軍大将が臆して如何するんじゃぁ――焼き尽くさんとなぁ!!」

 

 三大将が攻撃に構えた。

 

 

 

「飲み乾せ、『零抵抗(ゼロレジスト)雷迎龍(ジャムブウル)』」

 

 

 

 回避する間もなく、抵抗を許すこともなく海軍に迫り来る巨大な口。

 

 赤犬が溶岩を打ち上げようとも、凍らされて全て呑み込まれ。

 

 黄猿がヤルキマンマングローブを炭化させる程の蹴りを幾ら放とうとも、全て虚空へと掻き消える。

 

 青雉は龍がただの雷で無く冷気でもあることを悟り、為す術無しと不動のまま。

 

 海すら抉り取るように三大将の乗る軍艦一隻が――。

 

 そして残る四隻も――

 

 

 

 海には船底に付けられていた海楼石だけが残され、それもまた海に沈んでいった。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 おおお……。

 

「お父さん、大丈夫?」

 

「すまない、マリア。……大丈夫じゃないが、気にしなくていい。気持ちの問題だ……」

 

 城に帰って来て早々に気が付いた。

 

 調子に乗り過ぎた(白目)

 

 ネツネツで作っておいた雲と冷気、ゴロゴロによる発生する雷の制御と、ネツネツによる冷気で低抵抗化、バクバクの呑みこみの融合技が形にはまり過ぎていたのが悪い。

 

 凄くッすっきり! したけどさッ!(歓喜)

 

 ……後になったらめっちゃ恥ずかしい。穴があったら入りたい。

 

「元気出して、お父さん」

 

「……よし、もう大丈夫だ」

 

 マリアのお蔭で元気出た(単純)

 

 流石我が天使、格が違った。もう元気出た。大天使ですわ。

 

 別に厨な感じで痛くても良いんだよ。

 

 そうだよ。ポジティブシンキングに行こう。

 

 

 

 ……あ。

 

 

 

「お父さん!?」

 

「そうだ……そうだったッ!」

 

 あることに気づいて膝をつき頭を抱える。

 

 ……そういや三大将丸呑みにしてた。

 

 

 

 あはははー……絶対面倒臭い(確信)

 

 

 




>>海軍「……」(ぬとねの区別がつかなそうな顔)
テンプレした!(歓喜)

態々危険なカームベルトを軍艦五隻で来た後の絶望感。
仏のセンゴクはキレていい。


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交渉という脅迫と……

テンプレその弐弐
・何番煎じかわからないバクバクの応用性の高さ
・ニコポ&ナデポ


 バスターコールという名の小規模戦争の終結後、防護壁が島の内部に格納され、一日ぶりに太陽を浴びることが出来た。

 

 迷惑をかけた国民に「申し訳なかった」とマリアと一緒に謝りに行って……少しお小言を貰ってしまったが、最終的には国民全員には笑って許してもらえた。

 

 

 

 ――全力賭して守るものを守ろう。例えそれが険しい茨の道であろうとも、国という名の一つの家族ぐらいは守って見せよう。……だからどうか。平穏を享受できるその日が来るまで、皆には迷惑を掛けることもあるかしれないが許してほしい。

 

 

 

 と、世界会議から帰ってきた後行った演説で理解と納得をしてもらっていた事が無かったら自分は国民からの信用を失い国は瓦解していたかもしれない。

 

 ……そんな杞憂もしなくていいよう、正直もうバスターコールは勘弁してほしい。

 

 ただ、心情的にもうどうにでもなれと既に吹っ切れていたというのもあって比較的心にゆとりはあるけど。

 

 

 

 でも政治的なこともあるからやっぱり面倒なのよね(白目)

 

 

 

 翌日の新聞に「海軍の軍艦五隻 行方不明」とだけ銘打った一面が飾られ、世界政府の戦力である海軍が戦力の大半を占める三大将を投入した上で、一国の人間に負けたことは記されていなかった。

 

 世界政府側の権威を維持するためにした仕方がない事とはいえ、バスターコールを受けた側としてはちょっとどころじゃない不満があるわけで。

 

 主に心労的な意味で疲れたわけで。

 

「大将たち海軍とマリアが捕縛したCP(サイファーポール)の工作員を返してあげるから、今後世界政府その他諸々は干渉をしてこないで」という要求の電話を一つした。

 

 言ってしまえば「ドラムには、例え何があろうとも今後は不干渉でお願いね」という事。

 

 まぁ、「全面戦争なんて物騒な選択をしたらその時点でマリージョアを落す」と脅し文句を言ったからだと思う。

 

 世界政府から返ってきた答えは物凄く渋々といったような返事だった。

 

 これには「表沙汰にしてないだけで、数回マリージョアは襲われているだろう?」と言ったことも影響してるのかも。

 

 

 

 出来るわけないと思ったら大間違いですから(にっこり)

 

 

 

 ……ただ、捕食した海軍達その他諸々の引き渡しの前に。

 

 

 

 バクバクで大将二人のピカピカとマグマグの実の能力は引き抜かせてもらった。

 

 単純な話、能力だけを抜き取って別の物質に移植した。バクバク余裕ですた(キリッ

 

 まぁ、二回もバスターコールしてきたんだからそれ相応の対価を貰うくらい良いだろ(適当)

 

 いや、負けた後能力失ったなんて知らんし? というかそんなこと有りえるの?

 

 能力使えなくなったからと文句付けられても困る(すっとぼけ)

 

 

 

 それにしてもまさか昇進してあの船に乗っていたとは思わなかった。

 

 将校服を羽織ったアインとビンズ。

 

 恐らくモドモドの実の能力で防護壁を作成される前に戻して、攻めて入るつもりだったんだろうけど……そう思うと結構危なかった。

 

 能力者すら美味しく食べるバクバクが無かったらと思うと……(震え声)

 

 まぁ、今は一応能力を奪って抵抗できないようにしているから大丈夫のはずだし。

 

 さて、と。

 

「マリア。これから私は海軍の人間と話をする……外で待っていてくれ」

 

「うん、わかった。……あ、ちょっと心配だからお母さんたちの所行ってくるね」

 

「すまない、頼んだ。……それから気を付けてな」

 

「……うん!」

 

 

 

 よし、二人と話そう。

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 肌に冷たさを感じて目が覚めた。

 

「……ここは……」

 

 あの巨大な口に飲み込まれてからの記憶が無い。

 

 私たちは殺されたんじゃなかった……?

 

「アイン、目が覚めたのだな。どうやら我らは捕虜になってしまったらしい。恐らく、ここは目標のドラム帝国内であろう」

 

「ビンズ……。ということは負けたのね……」

 

 それにしてもおかしな話だ。他にも捕虜として生かしておくべき、最適な人間はいくらでもいただろう。

 

 今回の作戦に一兵卒は一切存在せず、軍艦を動かし指揮していたのは本部将校達。

 

 大将三人が出ているため階級以上の強さを持つ英雄ガープさんは参加せず。

 

 大参謀のおつるさんといった裏方指揮の方々も乗船しなかったが、それでも参加した本部で将校と呼ばれるに値する者達は私たちを含め200人は超えていた。

 

 軍艦は一度目の経験からそもそも乗り捨てるというのが作戦の中に入っていたので一等兵以下は今作戦には要らなかったのだ。

 

 軍艦が小舟に変わってしまったような現場で、また同じ現象が起きないとは限らない。もし軍艦が使い物にならないのなら大将青雉、大将赤犬が足場を作り、攻め込む手筈となっていた。

 

 何故生かされた捕虜が私とビンズだけなのだろうか。

 

 それに……

 

「……なんで私たちは縛られてもいないの? それに此処はどう考えても人を閉じ込めておくような場所じゃない」

 

「うむ……気にはなっていたが、拙者もよくわからん……」

 

 此処は多分、謁見をするような場所だ。

 

 

 

 ――目が覚めたようだな。

 

 

 

 声はバルコニーから響いてきた。

 

 脳に直接響いてくるようなこの声の主は誰か。

 

 分からないというわけではないけれど……理解が及ばない。

 

 何故、真っ先に狙われる身のこの国の統治者が私たちの前に堂々と存在しているのか。

 

 室内に入ってきた男は、この世のものではないと見紛うほどに整った姿をしていた。

 

 ドラム帝国、皇帝ワポル。

 

 嘗て悪政を敷き、ある日を契機に善政を敷く王へと変わり。

 

 世界会議の一年前に自らを皇帝と呼ぶようになった男。

 

「そう身構えるな。取って食おうというわけではない――安心したまえ」

 

 安心しろと言われて安心してしまう。

 

 考えるよりも前に、目の前の人物は敵ではないと安心してしまった。

 

 ……もし、そうなら。

 

 私は既に負けているということ。

 

 この圧倒的な存在感の前に私は屈してしまっているっ……!

 

 男は玉座に腰かけた。

 

「まず海軍は敗戦した。そして敗戦からは既に三日経っている。戦後の処理も終え、四日後に君たち海兵を世界政府に返すことが決定しているのだが……此処までに何か質問はあるかな?」

 

「……。つまり生きているのは私たちだけではないわけ?」

 

「アイン! ……口には気を付けたほうが……!」

 

「その通りだ。海軍大将もその他中将、大佐もみな生きている。……まぁ、生殺与奪は握らせてもらっているがな」

 

 表情を変化させず、淡々と語るこの男に私は反発したいのだろうか。

 

 口調が自然と荒くなってしまう。

 

「自分が何をしているか、貴方はわかっているの?」

 

「わかっているとも。世界政府の行いに嫌気が差し行動に移した……」

 

 

 

 ――ただそれだけのことだが?

 

 

 

 たったそれだけで。

 

 この世界を運営する世界政府の敵になるようなことを世界会議という公的な場で言えるのだろうか。

 

 ……いや、言えるのだろう。

 

「貴方は、狂っている……」

 

「なんとでも言うがいい。世界の在り様に疑問を抱かない人間にとって、私が狂っているというのも間違いではない」

 

 ……。

 

「天竜人を守ろうとする奴らからしてみれば、私は異様で理解し難いモノだ」

 

 守ろうだなんて思ったことは無い。

 

「お前たちは考えたことがないのか? 人を人とも思わない連中の醜い姿を見た事があるのなら」

 

 ……それは私自身思ったこと。実際に見て感じたことだ。

 

「天竜人なんて、誰が敬うというの……」

 

「!? アイン……!」

 

 シャボンディ諸島で見せられた、前を横切ったという理由で子供が天竜人に銃で撃ち殺される光景を。

 

 市民を危険から守るはずの私たちが黙ってみることしかできなかった屈辱を。

 

「……敬ったりするわけがないッ!! なんだってあんな奴らを私たちが守らないといけない…! 私は何の為に海軍に」

 

「アイン! 落ち着け! それでは奴の思うつぼであるぞ!」

 

「ッ……」

 

 私がこうなることを分かって言ったのか。

 

 目の前の男は黙って私を見つめたまま、眉ひとつ動かさない。

 

 ……嵌められたのか……。

 

「まぁ、そうだろうと思って聞いたのだ……。少々趣味が悪かったな、すまないことをした。……兎も角、シャボンディ諸島で海軍の言う正義がどれほどおかしいモノかわかっただろう? アイン、ビンズ」

 

 あれ? ……名前、言ったっけ。

 

 言った? うん……。言った。

 

 私とビンズ、互いに名前を呼んでいた。

 

「む? あぁ、これを見ないとわからないか……。アレは私の仮初の姿なのだ。といっても二度と使わぬ姿だが……。アインには色々と申し訳ない事をしたからな……思い出したくもないだろう」

 

「え……」

 

 男の背中から金毛の尻尾が覗く。

 

 もう一本、二本、三本と。五本、七本、九本と増えて。

 

 ……アイツのだ。セクハラばかりしてきたアイツが……隠していた能力。

 

「ウルクは生きて……生きて何処かで……」

 

「……? アイン?」

 

 アイツは海に落ちて沈んだけれど……でも、生きてるって思いたかった。

 

 生きていると思わないと、心が挫けそうだった。

 

 あんな悪魔の実、置いていくとしたらきっと訓練艦から帰って来ていないと置く機会なんてない。

 

「……でもそんな……そんなことって……」

 

 でも此処に、アイツの能力を持った男が居る。

 

 悪魔の実の能力者は同時期に存在しない……つまり、本当にアイツは死んで悪魔の実が新しく生まれたという事。

 

 もう殴れないとわかって悔しくて。

 

 もういつものようにセクハラしてこないんだとわかって何故か寂しくて。

 

 ……腹が立つけれど、何故か愛おしい存在になった男はもう死んでしまったのだと、

 

 

 

 ――勘違いするな。

 

 

 

「あ」

 

 腰を抱かれ、顎を持ち上げられていた。

 

 

 

「私は此処に居る……」

 

 

 

 ――だから泣いてくれるな。

 

 

 

「……やはり、お前が私の前で泣くのは辛いのだ」

 

 

 

 そういって彼は私の頬を伝う涙を手袋で拭う。

 

 終始表情を変えなかった男が、困ったような笑みを浮かべた。

 

 

 

 ――ギルガ・E・ウルクは別人のように変わって生きていたということ。

 

 余りにも変わり過ぎている彼を認識するのに、時間を要したのは至極当たり前の事だったと思いたい。

 

 

 




>>エースの死亡フラグがバッキバッキに折れたよ! やったねルフィ! 家族が減らないよ!
>>あおがみ まいるど けものどの による おとめげーむ のせかい !
テンプレしてないっ!(悲嘆)

一日空いてしまった。
思った以上に書く時間が取れなかった。
くぅ……毎日更新が途切れてしもうた……悔しいのぅ悔しいのぅ!

感想評価有難う御座います。励みになります。
息抜き作品が自分の他の作品よりも閲覧数の伸びが良く、評価を多数もらっているという嬉しいような悲しい様な複雑な心境でございます。

……こうなったら全力で息抜きするしかないか。


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英雄と犯罪者

テンプレその弐参
・チョロインの方が物語のヒロイン的には好かれるという今の風潮に私は小一時間ほど(ry
・海楼石製の道具
・覇王色の覇気同士のぶつかり合い


 アインとビンズの二人には、自分がギルガ・E・ウルクと同一人物である証明に他の人では知らないような事を話し、何とか信じてもらった。

 

 その過程でアインにしてきた数々の事を頭を下げて謝り、言い訳にしかならないとはいえ、どうしてやっちゃってたかを話して解ってもらった。

 

 でも「そんなに気にしていないから……むしろ」とか赤面しながら言ってた理由を説明してほしいの(白目)

 

 まぁ大体、行動を大胆にしてしまう自動変換さんのせい()

 

 なんでアイン口説いたん? ねぇ、なんでぇ?

 

 ……泣いているのを見ていられないというのは本音だったけどさ。 

 

 床に頭打ち付けて後悔したくなるくらいクサい言葉で口説いていたとはいえ、その辺は流石人体の黄金比。

 

 アインが恋する乙女の顔になってたね。やっちゃったね。

 

 

 

 娘と嫁の反応が怖いね()

 

 

 

 またマリアに金的されそうでヒュンてする。

 

 覇気とか鉄塊で防げたとしてもガード貫通してくるから困る。

 

 覇気でそもそも自然系に触れるし。

 

 あとヤミヤミだとか、どこぞのツンツンへアーの不幸少年よろしく能力無効化してくるし。

 

 加えて六式も覚えているから威力高いし。

 

 自然系の能力4つも持ってるけど自然系の直接攻撃無効なんてなかったんや。

 

 

 

 まぁアインについて云々はバレた時の事だからいいとして(震え声)

 

 

 

 ……とか思ってたら案の定、引き渡しまでの間にマリアにバレた。

 

 そして娘からの密告でハンコック達にもバレて。

 

 急遽ハンコック達が来てアインを別室に連れていった後、なんでか知らないけどアインは顔を合わせようとしないし、三人も三人で滅茶苦茶笑顔だったのがこわかった()

 

 マリアが女ヶ島の様子を見に行った時、丁度アマゾン・リリーをCP(サイファーポール)の強襲部隊が攻めて来て。マリアがソイツらをフルボッコにしたことが原因だと思いたい。

 

 別に愛人作ってもいいんじゃよ? とか意地の悪い顔で後々言われそうな気がしないでもないけど、きっと気のせい(ふらぐ)

 

 

 

 でもまぁ、なんやかんやありながらも既にバスターコールから期日の七日目。

 

 

 

 アインとビンズには、一つ二つ海軍本部でやってもらうお願いをして。

 

 引き渡しの際に二人だけ外に出ているというのも疑惑をもたれてしまうのでもう一度バクバクさせてもらい、能力を二人に返してマリンフォードのオリス広場に雷速で飛んで海軍の方々を返却。

 

 案の定、奇襲を受けて海楼石入りの銃弾で撃たれそうになったけど、紙絵で回避余裕だったぜ(ドヤ顔)

 

 ……まぁちょっと当たったけど、ワポルお手製の不壊金属で作った不死の黄金鎧(アムリタ・アヴァターラ)が皮膚だったからこれといった問題はなかったよ?

 

 海楼石の手錠もつけられたけど生命帰還で腕からすり抜けたし。

 

 そのあと、割と正義という悪に取り憑かれていないガープ中将と覇気を纏った拳と錫杖による殴り合いに発展したけどリーチ的な差で圧勝した。

 

 まぁ、でも一撃でも喰らってたらヤバかったかもしれん()

 

「武力行使という応え。覚えておくぞ」とカッとなって捨て台詞を吐いて逃走。

 

 そしてカッとなったついでにマリージョアを帰る足で襲撃。

 

 安定の全員痺れさせて気絶。

 

 からの奴隷がまた増えていたので奴隷の方々をバクバクで回収、焼印を消して。

 

 付いていた首輪をゴミに付け替えて、今度はマリージョアにあった首輪の鍵は全て電磁加速砲の応用で物理的に星にしてやった。

 

 いい加減分かればいいのに、なんで奴隷集めたがるのかわかりまちぇぇええええええん! しにまちぇ……あ、だめだ。

 

 トラックの前で轢かれそうになってる先生やったつもりが化け狐の親戚の某式神スッパの天狐になってた。

 

 丁度空狐から天狐になろうとしてるから洒落ならん。

 

 止めよう。

 

 自分にCPの鳩の人みたいな脱衣癖は無い(威圧)

 

 

 

 マリージョアの清掃から帰る前に、本来の姿なはずなのに今ではすっかりお忍び用の姿となったエネルの格好で、前々から呼ばれていた魚人島にお邪魔したらこれまたすっかり変わり果ててしまった船大工のトムと遭遇。

 

 なんでも魚人空手と柔術を習い始めたらしく、フィッシャー・タイガーに負けてないくらいの筋肉質な体型に変わっていた。

 

 

 

 とりあえず人間変われば変われるものと勉強した!

 

 あれじゃあ絶対に世界政府から見つかりっこないね。

 

 見聞色の覇気で「あ、同一人物だ」とやっとわかるくらいだもの。

 

 

 

 ……正直誰かわかりませんでしたごめんなさい。

 

 今度お礼に船を造ってくれるらしい。やったね!(ふらぐ)

 

 

 

 そういえば、とフィッシャー・タイガーで思い出した事。

 

 コノミ諸島の元ココヤシ村を中心に魚人と人間の共存する街が出来たという話。

 

「そういやそんなこともあったなぁ」と思い出して、偶然の産物でしかないというのに恩義を感じてくれているフィッシャー・タイガーにも会いに行こうと思ったけど、ちょっと自国に来客者がくるという急用ができた。

 

 これがまた、帰って自分が対応しないといけない相手で。

 

 面倒臭い相手なわけで。

 

 

 

 ……色々蹴った相手だからちょっと顔合わせ辛いんよね(冷や汗)

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「――……革命軍、我が国に一体何の用だ?」

 

『――?!』

 

 

 

 振って掛かる声と重圧。

 

 降りてきたその者の姿をしっかりと視認できたのは幾人か。

 

 一人の男によって発せられる覇気で空気そのものが質量を持ったように重い。

 

 ……視認したとしてもこの存在感にやられてしまった仲間も多い。

 

 嗚呼、船に乗っていた者は皆気絶してしまったか。

 

 今いるメンバーの中で思考できているのはくま、イワンコフぐらいだろう。

 

 だが、くまも危ない。

 

 

 

 あの『暴君くま』と世間から恐れられるバーソロミュー・くまが、カマバッカ王国の(女王)エンポリオ・イワンコフが臣下の敬礼のように膝をついている……。

 

 ――世間から見れば賊軍の将でしかない、このおれまでも……!

 

 

 

 ……この男と我々、一体どれほど力量に差があるというのか。

 

 

 

「ドラム帝国、皇帝ワポルとお見受けする。……出来れば、その覇気を仕舞ってくれないか……」

 

「革命家ドラゴン。噂は度々耳にしていた。……だが、何よりも先に入国手続きを済ませてくれ。一応、決まりなのでな」

 

「……ああ、わかった」

 

 

 

 刻々と圧力は増し、ついにくまが意識を失った。

 

 

 

 出された書類にサインをして、一刻も早くこの覇気から逃れるように手続きを済ませる。

 

 

 

 圧力が消失した。

 

 

 

 くまだけでなく、イワンコフも呼吸を忘れていたようで荒い呼吸をしていた。

 

 覇気である程度の強さを推し量ることは出来るが……何処にこのような男が隠れていたのか。

 

 この強さは一朝一夕のものではないだろう。

 

 

 

「ふむ、成るほどな。一時の休息と。――はたしてそれが本当なのかどうか……。だがまぁ、……信じようか」

 

 ――ようこそ、ドラム帝国へ。

 

「歓迎しよう。革命家ドラゴンとその一行。国の来賓と皆には説明しておく。幾らか監視を付けさせてもらうことが条件だが……。――来国の真の理由も問いたい。幾人か連れて城に来るといい」

 

「……あ、ああ……」

 

 

 

 歓迎すると言ったこの国の皇帝は背を向け、去っていく。

 

 困ったものだ。あの皇帝には何もかもお見通しというわけか。

 

 ――この国の最大戦力であり、神への信仰に近き。

 

 民意を尊重し、民に寄り添い、民を守る王の中の王。

 

 話によれば、自らは王ではないと言って皇帝と名乗っているらしいが……真意のほどは定かではない。

 

 そして……

 

「世界政府と全面戦争を起こすことを厭わぬ芯の強さ。……情報で見る以上の傑物だな」

 

「化け物ね……どうするっチャブル」

 

「――……面と向かい、話してみてからだ……。……望みは薄いだろうが」

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

「何処かでひどい勘違いを受けているような気がするのだが……」

 

 多分気のせい。

 

 言われてたとしても多分顔に変な刺青入れた人が言ってるだけだと思う(白目)

 

 神経に電流流して跪かせたのが失敗だったのかもしれんね(後悔)

 

 

 




>>そんなチョロインなアイン(寒気)
>>紙絵と生命帰還で大体何とかなる。
>>える、『言葉の重み』って知ってるか?
さぁ、みんな! この中で一つテンプレじゃないものがあるよ! 探してみよう!(ハハッ!

書く時間が取れなさ過ぎて巻いてしまった。
肉弾戦の戦闘描写書き辛くて息抜きじゃないもん! 息抜きしたいもん!
すたっぷ(ry
まぁ、書きたいけど時間が無いというのが本当のところ。
ストック作りたいと思うのでまた二日ほど空くかも。堪忍してぇな!

感想評価ありがとうございます。
励みになってます。
それでは。


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父から娘へ

テンプレその弐四
・古代兵器
・オリキャラ
・エターナるという名の一時更新停止


 革命軍がドラムを訪れた目的は他でもなく世界政府に反逆の狼煙を上げたドラム帝国との友好を持つため。

 

 しかし、結果的に言えばドラゴン率いる革命軍はドラム帝国の下に入り、革命軍は遠征軍と陸軍の二つの部隊に編成されてしまった。

 

 総理兼陸軍元帥であるドルトン率いる陸軍に、革命軍の裏方で動いていた人間が統合され。

 

 遠征軍は革命軍の時と変わらず各国にて革命活動を続けているが、ドラム帝国に属したことでドラム帝国の掲げる「人の為に為す善行」という革命における免罪符と休息地を得た。

 

 そして世界政府に世界最大の犯罪者集団とされた革命軍は事実上解散することとなる。

 

 

 

 遠征軍と名を改めた革命軍が改めて活動を始めて一年後。

 

 世界の各地で起こすべき革命が為されていたその後。

 

 白ひげ"エドワード・ニューゲート"がドラムに来訪。

 

 皇帝ワポル及びドラム帝国第四皇女の手により、白ひげ海賊団の各隊長格以下戦闘員と起きた小規模な争いにドラム帝国が勝利をおさめた。

 

 交渉の末、白ひげ海賊団は国の定めた「民間船に対する海賊行為を行わない」等比較的緩いルールの下完全なピースメインの海賊団となり、更に帝国海軍として一定の賃金を支払い雇われたことで海賊団という肩書きは消える。

 

 とはいえ、海賊団という名が消えただけであり白ひげのシマとなっていた国々、村々はそのまま。

 

 四皇の一人、白ひげという存在にドラム帝国という存在が付いたことにより、白ひげのシマは間接的ながらドラム帝国の支配領となり、みかじめ料は税収と名を変えたのみ。

 

 然程白ひげのシマについての問題や混乱は発生しなかった。

 

 尚、この白ひげ海賊団改めドラム帝国海軍ホワイトビアードは基本帝国内に駐在することは無く、新世界にて世界政府海軍に変わる治安維持を目的としている。

 

 つまり皇帝ワポルに負けたとはいえ新世界を統べる四皇の名は変わらず。寧ろワポルに負けたことにより、全盛期程にまでエドワード・ニューゲートは体力気力ともに回復していたためカイドウ、シャーロット・リンリンと抗争が起きるが、圧勝という結果を残した。

 

 

 

 そしてバスターコールを受けて三年後。

 

 

 

 魚人と人魚の受け入れを始めとして、当初から変わらない世界最先端の医療と国民への保障制度。

 

 海軍のベガパンクに並ぶ新技術の発明・開発に際して、二足歩行の可能なロボットの実現と飛行機の出現。

 

 そして陸海だけではなく世界発の空軍の誕生とプルトン、ポセイドン、ゼウスの三つの古代兵器を中心とした陸海空軍の存在。

 

 ドラム帝国は着実に繁栄し、戦力を手に入れていた。

 

 

 

 しかし全てが全て上手く行ったわけではない。

 

 

 

 完全な世界政府への宣戦布告を行い、ドラム帝国と世界政府は完全に敵対関係となった。

 

 だが、世界政府の主力の大半である海軍は、ある将校二人と教官の一人が主だって海軍大将青雉を含む数百人を引き連れ離反を起こしてドラム帝国に亡命、さらには残る大将二人も何らかの原因で能力者ではなくなったことにより大幅に戦力を失った。

 

 未だ戦争らしきものは起こっていないが一触即発の冷戦状態が続いている。

 

 あるとすればドラム帝国海軍との小競り合い程度のことだが、それでも世界政府とドラム帝国の対立は、ドラム帝国と友好を結んだ国々への世界政府の圧力が大きくなることとなり、各国には遠征軍と海軍の分隊が常駐しなければならなくなっている。

 

 

 

 ドラム帝国の持つという三つの古代兵器もまた大きな問題の種であった。

 

 

 

 知る者はその存在を知っているが、影も形も見当たらないそれを信じろというのも酷な事。「ドラム帝国が力の誇示の為に嘯いているだけではないか」という噂されている。

 

 そのため、好奇心旺盛で蛮勇な海賊たちがその真意を突き止めようと島を襲撃しようとするが海王類に船を木端微塵に破壊されてしまう事が度々起こる。

 

 実際にはドラム帝国周辺海域には凪の帯(カームベルト)に住んでいるはずの大型海王類が住み着くようになり、少しずつ皇帝ワポルの悪魔の実の能力で島が大きくなっているためその大きさは島の半分程だが、国民が「ノア」と呼ぶ巨大な船が島の周辺に沈んでいる。

 

 この二つを古代兵器の要素の一つと知るのは、ポセイドンである魚人島のお姫様の家族。そしてもう一人のポセイドンのドラム帝国皇帝ワポルと近しい者のみだ。

 

 ちなみにだがゼウスは何処からともなくワポルが発見し、プルトンは匿名でドラム帝国にプレゼントされたという話が城内にて広まっている。

 

 

 

 そんな色々とあった前回の世界会議から四年が経った。

 

 この間には国勢だけではなく、生きた骸骨の音楽家が国内では活動したり、帝国陸軍には竜を討ったというワの国の侍が特別顧問として雇われ。

 

 皇帝ワポルがクラハドールという名の男を執事に雇い、「オハラの悪魔」らしき女を考古学者として国に招いたり。

 

 第三、第二、第一皇妃の順に皇女が生まれたりなどといった、日常レベルで目出度いことも。

 

 

 

 比較的平穏にドラム帝国が影響力を世界に伸ばしていた。

 

 

 

 ――現在、バスターコールと白ひげ海賊団等との交戦にて活躍していたマリアはというと……

 

 

 

 Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

 ドラム帝国第四皇女のマリア13歳改め下町の少女メアリ13歳。

 

 そんな身分を偽っている私メアリさん。今、家出しているの。

 

 そして、今私がいるのは東の海。革命軍改めドラム帝国遠征軍によって変わったゴア王国のフーシャ村。

 

「はぁ……お父さん心配してるかなぁ……」

 

 心配性なお父さんのことだ。絶対している。

 

 まぁ、でも「旅に出ます、探さないでください」って書置き残したし大丈夫だと思う……思いたい。

 

 私の捜索のために軍部を動かしたりはしないとは思うけど……。

 

 自信ないなぁ……。お父さんならやりそうだもんなぁ……。

 

 

 

 うぅ……軍で思いだしたけど、お父さんの手癖の悪さには困ったものだ。

 

 今ではクザンさん、ビンズさんに腕にごっつい武器を付けたゼファーさんと一緒にドラム帝国海軍本隊で活動してる、世界政府の海軍から亡命してきたアインさん。

 

 彼女も結局お嫁さんにしちゃったし。

 

 一応弁えては居るんだろうけど……なんというか色々と色香を振りまき過ぎだと思う。

 

 元々のちょっと怖い感じのお父さんはそんなことなかったのに……今の姿になってなんだが凄くスケコマシ。

 

 友達のしらほしちゃんもお父さんに恋しちゃってるって、なんだかとても友達としても娘としても複雑だしさ。

 

 そりゃあネプチューン王が決闘申込みに来ても仕方ないよ……。

 

 まぁ、お父さんがカッコいいのはわかるけど……。

 

 ……でもお父さんは私の前では色々と残念だからね。

 

 やれやれって娘の私としては肩を竦めたい。

 

 

 

 まぁ、でも今なら立場上、公の場では出来なかったそんな事も存分に出来る。

 

 

 

「私はじゆーだぁー!」

 

「じゆーだぁー!」

 

 可愛い妹たちが生まれて私は第四皇女になったから、国にとっては然程必要じゃなくなった。

 

 だから今までちょっと憧れのあった海賊という名の冒険者になってもいいわけだ。

 

 無論海賊と言ってもピースフルで。……私から家族を奪ったモーガニアの海賊なんてのはこの世から消し飛べばいいと思う。というか私が消したげる。

 

 ……本当はお父さんと一緒に海を冒険したかったけど、それは我が儘だ。

 

 お父さん、国から離れられなくなっちゃったから……残念だなぁ……。

 

 うん、元気出そう。

 

 さて、私と同じように海に向かって叫ぶ隣の子は誰だろう。

 

「私はメアリ。ねぇ、きみは?」

 

「おれはモンキー・D・ルフィ! 海賊王になる男だ!」

 

 ドラゴンさんの……っとこれは内緒だったっけ。

 

 あの人、かなり不器用な人だからなぁ……。顔見せてあげればいいのに。

 

 それにしても……ルフィ君は海賊になりたいんだ。いや海賊王になりたいのか。

 

 ……よし、決めた。

 

「じゃあルフィ!」

 

「おう、なんだ!」

 

 

 

 ――私と一緒に海賊王になろう!

 

 

 




>>自主制作もしくはプレゼント。
>>ただし女オリ主。
>>息抜きのエターナる。復活する。
主人公交代のお知らせと長かった序章の終了。
そして次章の本章からNot息抜き作品です。

二日空くと言っときながら遅れてしまい申し訳ない。
そして急な展開になってしまったことに驚きを隠せないかと思われます。
でもやりたいことはやった、というかこれからが本番というか。
「エネルに憑依したオリ主がシリアス展開を全力で阻止して、やりたい放題やった」
というテンプレートがされた後の、ワンピースの世界を生きる女オリ主マリアちゃんの話になります。
ワンピースをテンプレートで生きるっていうね。

ちょっと長いですが、此処まで書いた感想を書かせてもらおうかと思います。
つまらん内容ですが見ていってくれると幸いです。












 この息抜き作品で読んでくれた方々に私が問いかけたかったことは「テンプレって何?」ということ。
 テンプレって要するに「見飽きた」であるとか「予想のつく展開」であるとか。「御都合展開」というのも一つのテンプレ。
 頭空っぽにして純粋に二次創作小説を楽しんで読めていた、この界隈に手を付け始めた頃。テンプレという概念は私たち読者の中には無かったと思う。

 ちょっと愚痴っぽくなるけど前回の更新の後、深夜辺りから一気に☆1の評価が連続して沢山はいった。あとお気に入りも。まぁ、今までそんなことなかったから驚いて。なんでかなぁ、と思って調べてみたらある場所(一応伏せる)でこの作品が晒されていたわけだ。
 その場所っていうのがテンプレという概念を地雷要素と考える。ある意味ご都合的な展開に見飽きちゃったような、作者の文章力の高低で良作駄作を考えるレベルの高い読者が集まっているような場所だった。
 確かにそこで良作ってされているような作品は面白かった。納得の赤評価。
 逆に駄作とされるようなものは、粗筋も導入部分も切って張ったかのようなテンプレートだったけど、でもそのテンプレっていうのはいろんな人が面白いと思って使っている一種の舞台装置で、本来なら引き込まれるくらい面白いはずなんだ。……でも飽きたから面白くないと感じてしまう不思議。
 そんな風な考え方を持っている人たちが良作ってしていたSSは物語の展開にアップダウンあって、常に絶頂にいる(何でもかんでも成功する等)ような展開の物は少なかった。まぁ、簡単にいえばご都合主義のような作品は少なかったということ。
 この作品は確かに何でもかんでも成功してるようなご都合に塗れた駄作含まれる。登場させるキャラクターに……一部例外あるとはいえ、不幸な目にあってほしくないという、正しく私のご都合で出来ている。
 でも、ご都合っていうのは一概に絶頂に居るだけではなく、最底辺を進み続ける――主人公、もしくはその他のキャラクターに不幸な展開が続く――というのも作者のご都合じゃないかな。そして何でもかんでも上手く行くのもご都合。
 なら物語に緩急あるのも作者のご都合ではないのだろうか。……だって作者の都合で不幸になるキャラクター、幸せになるキャラクターが居るんだから。
 まぁ、そういう皮肉を込めて「ご都合」なのだろうけど。

 そのご都合やテンプレっていうのを悪い事か聞くと、悪いと答える人が何人いるだろうか。

 この作品のタイトルを見て、内容を見て面白いと感想をくれた人も居れば、「くそ以下の糞、つまらない」だとか「まじでつまんね」と前回の更新の後、一評価と一言をくれた人も居る。前述した場所の住人と思われ。
 まぁ、読み手によって一とつけるか九と付けるか変わってくる作品目指してたから、つまらないというのも正しい評価。面白いと言っていただけるのも良かったですが、「つまらない」という率直な意見も聞きたかった。

 正しく計画通り。

 ……あ、数に限りある10評価くれた方有難う御座います。めっちゃ嬉しかったです。
 それと作者マゾじゃないから、いいね?

 一応この作品は一区切りを迎えますが、まだ続きます。だって、投げっぱなしのジャーマンはアカンでしょ?
 でも、他の書いてるやつが更新止まってるのでなんとかしてから。
 以後、更新不定期になりますがご勘弁のほどを……。

 少ないとはいえ「チーポケ」を、「黒歌が」を待ってくれている人も居るので。
 許してヒヤシンス。

 さよならは言いません。
 では、また会う時まで皆さまお元気で。

 ※マリアの年齢をミスしていたので11→13に修正。


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破章
「おかえり」「いってきます」


取りあえず一話だけ。
向こうで息が詰まりそうなので。

前のあとがきで云々言ってたけど要は、ここからの話はナルトで言うところのボルト的な話だと思ってくれれば良い。蛇足も蛇足よ。

まぁエネルサイドでも時々話を進めるから安心して(安心できるとは言ってない)


「ヤハハハハ! 脆い、脆い。練度が足りぬのではないか!」

 

「うぅ………おにちく」

 

「エネル様ホントおにちく」

 

「ほう、お前達はまだそんな軽口を叩ける余裕があるようだな。望み通り鍛えてやろう」

 

「「「「いやぁあああああ!!!!」」」」

 

床に転がる兵士達を練習用の棍で掬い上げて打ち上げていく。我流でしかない棒術も中々様になってきたとおもうのだけど、どうだろう。

 

ぐわーとか言いつつ飛んでいるのでまだ余裕あるな(にっこり)

 

いやぁ、最近出来るようになった分身は便利ですねぇ(唐突)

 

事務処理の効率化を図るために思考分割したら出来るようになったんだけど、使える能力は体を共にしてるエネルとワポルのゴロゴロとバクバクの能力だけだが、感覚が共有しているので諜報活動にも使える。お忍びには大変便利。

 

お忍びといってもエネルって名前の食客なんですけどね。エネルさん主に戦闘の指導係やってますよ。

 

ご覧の通り白髭海賊団のクルー達相手に無双ゲーですが何か?

 

いやー白髭のおじさんに頼まれたんだから仕方ないよねぇ!

 

 

 

―――と、中々に気骨の入った奴が若干一名いたようだ。すすけたローブで全身すっぽり隠して果敢に向かってくる。さっきまで居たかな、こんな奴。

 

逆立ちしてからの覇気を纏わせた回転蹴りを始めとした、卓越した足技の妙技に隙を作って攻撃を誘ってくるような戦い方はハンコックたちに似た何かを感じる。かといって、大胆にそして果敢に攻撃を仕掛けてくる事もあって、マリーゴールドやサンダーソニアのようでもある。ローブから覗く手足は女のものと見受けられるが、革命軍に居るあの娘でもないとなると―――

 

 

 

「―――やっぱり強いなぁ! ただいまっ!! おと―――じゃなかった。エネルさん!!」

 

 

 

「っ―――! これはこれは第四皇女さま。旅から帰られたのですかな?」

 

といってとどめの一撃といわんばかりのライダーキックをかましてきた愛娘を練習用の棍で受け止めて力を流す。

 

家出したと思ったら帰ってきて早々何してきてるの? メッチャ心配したんやで? 夜も寝られない日が一ヶ月くらい続いたんやで? 可愛い子には旅させろっていうけど迎えに行こうかとどれほど考えたか分かってる?

 

というか怪我させちゃったらどうするんだ!(親バカ)

 

一応エネルさんはこの国ではこうした体裁をとっているから表だっては謙らないといけないんで。マリアちゃんそんな不機嫌になっちゃやーよ。

 

色々言いたいことはあるけどおかえり。電伝虫でどこにいたかとか実は知っていたけど、こうして元気な姿を直接目で見られて何よりです。

 

「マリアで良いでしょ、………エネルさんはお客さんなんだから。継承権も立場も低い、私相手にそんな謙遜しなくても、ね?」

 

「しかし、居候の身なのでね。公私は弁えるとも。皆の前では示しがつかんでしょう」

 

「………みんなって言っても気絶させちゃってるのに何言ってるの?」

 

「ああして気絶したふりをして虎視眈々と私の隙を狙っているのだろう。さっさと立ち上がって来てはどうかね?」

 

「「「「………」」」」

 

ああ、これはあかんな。白目むいてダウンしてるや。

 

そっとしておこう。娘からの冷ややかな目が痛いですね。知ってる。

 

「………城には一度戻ったのか?」

 

「ううん、二つあるからどっちに行こうかと迷ったので。近いからこっちに来てみた」

 

どうせ分身でも出来るようになったんでしょう、とちょっと生意気な風に肩をすくめてみせる娘可愛い(超親馬鹿)

 

 

 

Ξ-Ξ-Ξ-Ξ

 

 

 

立ち話も何だということで先に雷速で城に戻ったつもりが、マリアちゃん出待ち。顔に抱きついてくるのはやめなさい。血が繋がってない娘とは言えそろそろいい歳した女の子でしょうが。女の子らしくなってきた娘の柔らかい触感にお父さん気まずい!

 

エロの権化なの知ってるでしょ! 優柔不断なのもあるけど、アインから色々やらかした話聞いてたでしょーが!

 

「………よさぬか」

 

「ふふふふーん」

 

確信犯め! 可愛いなチキショウ!

 

そしてそれは今日も態度におくびにも出ない。自動変換さん仕事しすぎぃ!

 

謁見の間でワポルやってる自分と二人で相手するのもややこしいのでエネルの自分を元に戻す。

 

「あ………お父さん消えちゃった」

 

「あれも私であろうに。消えたわけではなかろう?」

 

「………。でも私にとってのお父さんは」

 

多感なお年頃の女の子はよくわからんので、名残惜しそうにするマリアが理解できない。エネルの姿でも、ワポルの姿でも自分は自分だし。………ギルガ君? 知らない子ですね。

 

「それで、どうしたのだ? 恋しくなったから、というだけではないのだろう?」

 

「あ、うん。………私、海賊になります。その、ルフィ君………ドラゴンさんの息子さんと一緒に海賊王目指そうって」

 

「………」

 

ちょっと照れた風に言う愛娘。

 

うーん。ちょっと何言ってるのかわからない。

 

「も、勿論ピースメインで、モーガニアになるつもりなんてこれっぽっちもないんだけど………」

 

「そうか………―――ダメだ」

 

「どうしッ―――!! 身分も隠すよ! マリアだなんて名乗りをあげるつもりなんてさらさらない!」

 

「………マリア」

 

「迷惑は掛けるかもしれないけど、元々私は孤児(みなしご)なんだから―――」

 

「………。マリア」

 

 

 

「っっっ! ごめんなさいっ! 別に、そんなことが言いたいんじゃなくて………! やりたいの! 私が、初めてやりたいことなの! 自分で考えて、自分でやろうって!」

 

 

 

………気持ちはよくわかった。考えもなしに言った訳じゃないのか。

 

「誰にも言伝することなく、書置きだけを残して出ていったときはどうしようかと思ったが」

 

「それは、………ごめんなさい」

 

「まぁ良い。確かにどういうことかと一時は悲しくもあったが、それもまた人の世の理だ。何時の日か子は巣立つ。それが偶々マリアにとって早かったというだけのこと。子離れをしなければならない、ということだろう」

 

「それじゃ―――」

 

ゆっくりと立ち上がって、仕舞っていたのの様棒・(あらため)を手に取る。

 

「―――でもダメだ。少なくとも、お前が出ていって二年間………。何を得て、何を学んだのかを知らねば、到底許すことなど出来ない」

 

………まぁ、自動変換さんが色々と建前らしきものを代弁してくれてるけど、ぶっちゃけた話ただの八つ当たり。

 

 

 

だってズルいじゃん! ルフィと海賊王を目指して冒険の旅に出るとかずるい! おれだってマリアと風来坊っぽく旅がしたかったんじゃあ! おのれルフィ!

 

くそ、自分が選択してなったとはいえ、ドラム帝国皇帝という立場が今以上に鬱陶しいと思ったことないぞ!

 

出来る事なら、おとーさんも連れてってと素直に言いたい。でも出来ない。自動変換さんも仕事する。そう、これが現実。

 

パチンとマリアは両頬を叩いて………あーあ、あんなに赤くしちゃって。

 

「うっし、覚悟完了っ!! 覚悟の程、しっかりと見てもらうからねっ!」

 

マリアの周囲が揺らめく。虚空から現れた武装色の覇気を纏った足裏を棒術で弾き、距離をとるが、その都度その都度、マリアは転移して追いかけてきて、脚撃を仕掛けてくる。やっぱり厄介だな、ユラユラの実の能力は。

 

加えてボアの三姉妹仕込みの技量。やはり強い。エネルの卓越した見聞色の覇気で分かるが七武海にも通じるぞ、これ。

 

ちょっと無駄な思考を省かないと不味いな―――

 

 

 

―――結果だけ言うと、なんとか親としての尊厳は守られたとだけ。

 

髪の色を除いて、出会ったころのマリアそっくりになってきたマリーゴールドとの娘、アンジュに交ぜてとせがまれたので、これを止めるために停戦。流石に五歳になったとはいえ悪影響を考えると止めざるえない。

四歳、三歳と続くサンダーソニアとハンコックとの娘たち、トレニアとストックも興味津々な様子で見てたし。

 

建築物に被害が出ることを考慮して海上に特設した島に戦闘を移していたというのに、冷静になって見渡してみると島全壊。二人だけ他のジャンプ作品の世界に来たんじゃないかと焦った。マリンフォード頂上戦争なんて目じゃないくらいの影響が出てた。だというのに、皇女様と皇帝様なら仕方ない、と寛容な国民たちマジ仏様。

 

一応、悪魔の実の能力は過剰戦力になりかねないので、極力使わないようにと約束して電伝虫を一匹持たせた。

 

行ってきますと抱きついてきたマリアを抱きしめ返して、娘の旅の無事を祈る。………今度はちゃんと送り出せそうだ。

 

「何時でも帰ってこい。私は此処にいる」

 

「―――! いってきますっ………!」

 

「………ああ」

 

少しの揺らぎと一滴の涙を残してマリアは行った。

 

つい先程まで自分の胸ほどの高さにあったマリアの頭を思い出し、月日の流れを噛みしめる。

 

 

 

………子供達の所に戻ろう。辛気臭いのはやっぱ駄目だなぁ。




ちょっと大人になったマリアちゃんは今170㎝ぐらい。胸の大きさはワンピース初期のナミぐらい(重要)


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