ガンパレで普通の第一世代って (スティレット)
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1話

 入院中暇だったのでぽちぽち打ってました。懐かしいネタなのでうろ覚えと独自解釈が含まれる場合もございますが、それでもよろしければお付き合いください。


「ん?ここは?」

 

 俺は今、薄暗い路地裏で1年前まで普段着だった格好でぼんやりと立っていた。

 

 と、言うのも、大学で就活中に健康診断で癌が発覚。若いせいか進行も早く、治療もむなしく病室で寝たきりになっていたはずだったからだ。

 

 現在の俺の格好は無地の長袖シャツにポケットの付いたベストにジーンズ、それとベルトに付けたホルダーにスマホとイヤホン、ジャーキー。後ジーンズのポケットに財布が入っているのみで、1年前良くしていた格好だ。

 

 疑問もそこそこだが、今はなによりこの健康体がうれしい。自分の足で歩けるどころかとても体が軽いのだ。癌が発覚するまではオタをやりながら厨二病の延長で体を鍛えていた。趣味も高じればなんとやらと言う奴だ。

 

 胡散臭い路地裏でニヤニヤしながら肩を回したりピョンピョン跳んで体の調子を確かめていると、奥の方で何やら物音がした。

 

 ドサッと言う何かが崩れ落ちる音。面倒な臭いがするが、ここは生憎脇道が無く、不幸中の幸いなのは室外機やらビンケースの山で体を隠せると言うことだ。

 

 そっと物陰から覗くと、手術着のようなものを来た線の細い男がこちらに背を向けてなにやらごそごそしている。

 

 その髪型はどこかで見たことがあるな、と感じながらも一部始終を観察していたが、どうやら服を剥いでいるようだ。

 

 元来俺は空気が読めない。つまり、死体から物品を剥いでいるこの状況に対して理解が追いつかないのもあったが、頭の半分は他人事だったので冷静でもあった。

 

 完全に動かない制服の男の制服を剥いでそれを身に着けていく細身の男、路地裏のあちら側と死体を気にしていてこちらには完全に気が付いていない。制服と言いどこかで見たことがあるんだが……。

 

 そして全て着終わった男が胸のポケットに入っていた(らしい)手帳?証明書?を見て―――――。

 

 

 

 

 

「速水厚志。今日から僕は速水厚志だ」

 

 ガンパレの世界かよ!?

 

 

 

 健康体に戻って有頂天になってた俺はその言葉で絶望のどん底へ叩きつけられながらも、特にめまいとか起こさずに凍り付いてたおかげであっちゃんから気づかれずになんとかやり過ごすことが出来た。

 

 しかしいくら健康体とはいえ俺の体は無調整の第一世代。速水のあっちゃんが第六世代だとすると、このまま戦場に迷い込んだら死亡確定である。街中が戦場だったりするし。だがまだ希望はある。

 

 高機動幻想ガンパレードマーチ。通称ガンパレの一週目の主人公は速水厚志だが、あくまで彼は本作のヒロイン(誤植にあらず)であって、ヒーローである芝村舞は第一世代が死ぬほど頑張って本来全身骨折や内臓破裂するようなウォードレスや士魂号などを使いこなしていた。なので藁ほどの希望だが、俺も死ぬほど頑張ればこの先生き残ることはできるはず。せっかく手に入れた健康体。あの病室での毎日よりずっとマシなので、多少の肉体改造も辞さない。

 

 方針は決まった。ここの近場で問題児が集まる5121小隊に紛れ込むのだ。15年位前の知識だが名作だったので、まだ覚えている原作知識はあるし、内情が分かれば他より生存確率が高い。何より問題児が集まる部隊なので俺が紛れ込むと複数から探りを入れられるだろうが、それを差し引いてもメリットのほうが高い。整備兵の士気さえ維持してれば故障率の高い人型戦車でも高いレベルで運用できるし。

 

 結論が出たので、まず裸の死体を隠すことからはじめた。こいつが脱走兵かもしれないが、少なくともこいつを探しに来る奴は居ると思う。もはや身元不明の死体だが、最後に俺の役に立ってもらおう。

 

 ここは室外機が複数置かれていて、表通りに近いほうにビンケースが置かれている。なので死体をまず室外機の間に体育座りの格好で押し込み、俺はさらに奥の室外機と柱らしき壁の角に身を潜めた。

 

 ここからがこの世界に来てから最初のハードルだ。財布を持っているがおそらく使えないだろうから実質無一文だし、多目的結晶は多目的リングなどや身分証明書を持っていないため、捕まったらモルモットの可能性が高い。クローンじゃない第一世代とか貴重ってレベルじゃないらしいし。

 

 

 

 

 じっと身を潜めてから何時間経っただろうか。死体を隠した後、スマホの電源を入れてみたら1999年になってた。日付以外は俺が収集した音楽データや画像、日常での無駄知識など、特に変わらなかったので非常時に鳴り出しても困るし電源を切っておいた。時計はスマホに依存してたのでそのせいで分からない。

 

 体内時計だけで、ジャーキーをちびちびかじり飢えをごまかす。ジャーキーは塩っ気が強いのでかなり飢えてきたら気付けのようにかじる。

 

 

 

 さらに一昼夜経った。空腹は感じていなかったが、健康体になっただけで食事は病院時代の点滴だったのか催さなかった。いや、一度だけ小の方が来たので、ビンケースの裏で臭いを撒く意味で足しておいた。一般人なら臭いを忌諱して近寄ろうとはしないと思う。従業員が掃除を始めたらピンチだが。

 

 それから数時間。月の位置もかなり低くなって夜明け前に差し掛かった頃、ようやく事態が動いた。警邏なのか分からないが、兵が来たのだ。幸い手分けしてこの死体を捜しているらしく、一人だ。

 

 音を立てないようにゆっくりと立ち上がり、息を殺す。気配も消せてるといいなと、むしろそれが自然であるかのように無音で佇む。サバゲで待ち伏せするときに身につけた手だ。

 

 今兵が死体が反応が無い上に裸で座り込んでいるのを怪訝に思ったのか近寄ってくる。足音が死体の前で止まり、声をかけても反応が無いのをさらに訝しんだのか肩をゆすろうと左手を肩にかけようとしていた。

 

 そっと観していた俺は、兵が死体に触る瞬間に腕を首に巻きつける。学兵だったのか、抵抗が雑で右手に薄暗くてよく分からないものの武器を持っていたが、俺の手が手首を捻って武器を取り落とさせた。左手は死体に触ろうとしていてそちらに伸びていたが、俺の腕が巻きつけられたのを察知して咄嗟に引き剥がそうとしていた。

 

 だがそのまま俺は腕で絞め落とす。本当は首筋に一撃入れて失神されるのにあこがれたが、あれよりこっちのほうが得意だったからしょうがない。何より絞め落とされた経験もあるので要領は得ている。

 

 痙攣し、抵抗出来ずに窒息したのを確認。脱糞されなかったのは幸いだ。武器は拳銃だった。あぶねえ。

 

 その後、学兵さんからあっちゃんと同じように一式剥いで、裸にしたところで首の骨を折る。闘病生活で一時は悟りを開いたかのような感じだったが、末期になって見苦しく生に執着していた。そのせいかもはや俺は自分の命が最優先で、他人の命など二の次になっていた。

 

 

 

 死体がひとつ増えたところでその場で学兵の服をシャツの上から羽織っていく。学兵のサイズが大きいのでごまかせるし、ここで服をどうにか隠さないとばれる危険性が高いと判断した。

 

 後は最後の仕上げとして、学兵さんが所持していた私物を思われるナイフで多目的リングを着けてる方の手首を切断。スッと切れ込みを入れる。そこから丁寧に筋を切って、血が飛ばないように注意しながら肉を切断していった。

 

 骨に到達したところで、ナイフを折る勢いで峰を布越しに全体重を乗せ切断した。間接の軟骨部分が潰れ、改めて嫌な感触が手に残る。

 

 これでリングを手に入れた。結晶のほうじゃなくて助かったと思う。結晶だったら移植手術とかしなきゃいけないんじゃないかなと漠然と思った。

 

 こうして必要なものは全部手に入ったし、時間も足りないが最後にやるべきことがある。

 

 学兵さんの顔面を破壊して認識を困難にしなければならないのだ。

 

 この世界の科学力はクローンを作れるくらいには進んでいるので意味が無いかもしれないが、もし、人類も「消耗品」として考えられているのならば捜査は甘くなる。はず。

 

 正直気が進まない。でも、モルモットは嫌だし、元の世界に帰れるかも分からない。帰れたとしても、それが癌に冒された末期の体だったとしたらまだこちらの世界のほうがマシだ。

 

 希望があるとしたら岩田の中の人などと接触するしかないと思うが、来須の方はどうやって別の世界に渡ったのか分からない。それも自発的になのか偶発的になのか、そこまで覚えてないし偶発的にだったら何年待つのかも分からないのだ。

 

 新井木は来須のおっかけだったのでどうにかなりそうだが、確証がない。何よりこの先友好的に接することが出来るかどうかすら分からないのだ。不確定要素が多すぎて現段階ではどうしようもない。

 

 まずこの世界での地位を安定させなければいけない。だから必要なことは嫌でもしなければいけない。そう思わないと握ったナイフを取り落としてしまいそうだ。

 

 血生臭くなって来たこの路地裏で、先ほど使った布とその余りを学兵さんの顔に巻く。ちなみにこの布は学兵さんの肌着とパンツだ。

 

 そして、ナイフの柄頭で何度も殴打する。ハンマーに布を巻いて殴ると音が漏れにくいと聞いたことがあったので真似してみた。

 

 少なくともパンツの上に肌着を被せたおかげか血はそれほど飛び散らずにぐしゃぐしゃに出来た。後は布を剥ぎ取って室外機の裏にでも放り込んでおこう。

 

 これでまだ終わりではない。ようやく準備が整った。俺はその場から見た目だけ何食わぬ顔で速水厚志の出て行ったのと反対の方向の路地へ歩き出した。




リハビリも兼ねてるのでゆっくり書きます。


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2話

 難産でした。正直これでいいのかどうか迷いましたが、これで挙げてみようかと思います。


 あれから俺は、図書館へ行ってこの世界のプログラミングの勉強をしていた。

 

 この間襲った学兵さんの懐は意外と暖かかったが、それでも今後のことを考えると金が必要になる。そして、多目的リングの中身も書き換えなければいけないと思ったからだ。自分だけで出来るのならそれに越したことは無い。だが、できないのならばそれ相応の金などが必要だ。

 

 この世界のOSに窓やりんごと言った親切なものは無い。それだけ敷居が高いと言う事もあって、多目的結晶を埋め込んでいる割りに情報スキルを持ってるキャラクターは案外少なかった。それに『攻撃型電子妖精』や『情報収集セル』などは裏マーケットで売れたはず。だからこちらに需要があると思い、こうして勉強しているのだ。

 

 幸い俺はパソコンは一通り出来たのでそこまで苦手意識は無かった。プログラミングをやっていたので勉強に支障は無い。ただ、OSが旧式すぎて非常に面倒なのだ。

 

 何しろプログラミングをするにも10年以上開きがあると過去全て手打ちでやっていたことや、フリーソフトにすらあった、記述の間違っていたところなどにエラー文が出るなどと言った機能が無いに等しい。そもそもここには『コンピュータ』はあっても『パーソナルコンピュータ』は無いんじゃないか?多目的結晶やリングが普及してるおかげか、『ネットワークセル』でPDAや時計も兼ねてるようだし。ガンパレやガンオケで記憶に残ってる限りでもプレハブの1階や学校に備え付けられてたものだけだったし、俺ガンオケは白しかやってないけど。

 

 これならスマホをしかるべきところに売れば金になるんじゃね?って話になるんだが、出所を探られると結局困るのは俺なわけで、それならば多目的結晶やリングにアプリとしてセルを追加する形がベターなのかもしれない。

 

 そんなことを息抜きに考えながら勉強している。財布の中身は減っていく一方で、一刻も早く何か金になるものを、それも足の着きにくいものを作らなければ戸籍すら用意できないのだ。

 

 戸籍がないのに何で図書館に入れるかだって?借りないでずっと勉強してるからな。基本顔を覚えられないよう間隔を置いて勉強しに行き、空いてる日はひたすら筋トレなどの肉体強化やコンピュータの部品漁りだ。裏マーケットを発見した勢いで『熱血飲料ファイト』と『機動飲料ムーブ』を買って飲んだら何故か死に掛けた。考えてみたら第六世代の非戦闘員がHP100無かったりする世界で、俺は鍛えていた頃の体とは言え第一世代。つまり数値にするとHP50も無いんじゃないか?にも関わらず熱血飲料ファイトはHPの最大値を50も上げるのだ。初期のプレイヤーはこれを飲むだけでHPがブルーになったりする。

 

 ちなみに寝床は幻獣共生派と間違われても困るので、廃墟とかではなく廃墟手前の地区で疎開したりして管理がゆるくなってるアパートを借りている。幻獣が浸透してくる危険地域だけあって敷金も礼金も無かった。前の借り主が家具などをそのままにしてあったので、ありがたく使わせてもらってる。管理人も疎開しているので、契約した後は振り込んでおけばなんとかなる。

 

 

 

 そんなこんなで勉強が終わった。先ほども言ったが平行して家でセルなどを作る用のコンピュータも調達しなければならなかったので、度々戦場跡や廃墟へ行ってパーツの調達をしなければいけなかった。とにかく金が無いんだ。多少のリスクを考慮しても住むよりは漁りに行くだけの方が滞在時間的に安全だと思う。

 

 足りない細々としたものは裏マーケットなどに顔を出してパーツ集めを終わらせ、作ったプログラムの第一号は『ブレインハレルヤ』だった。ネットワークセル?あれは俺の中でプロバイダみたいなもんだからノーカン。

 

 これは魔界探偵風に言うと電子ドラッグで、戦場でも使われてるとか使われてないとか。確か地味にヨーコさんが持ってたはず。

 

 これを幸薄そうな兵隊さんや、何もかもが嫌になった感じの人に格安で提供しようとも思ったけど、これって売却値が25万なんだよね。危ない橋渡るより素直に売ったほうがいいだろう、常識的に考えて。

 

 ただ、それだけだと戸籍とか買えないからね。そのためにも物々交換した。とある情熱の枯れてしまった愛好家達と。

 

 この世界には『ソックスハンター』と言う者共が居る。所謂臭いフェチだ。ただ、度し難いのは、常人だったら嘔吐するようなビンテージ物の靴下の臭い、いや、匂いを嗅いで戦闘力に転化し、限定的にとはいえ生身で幻獣すら屠れる。どこに出しても恥ずかしい変態共だが、意外に勢力が大きく馬鹿に出来ないので金以外に通用するものとして集めている。ちなみに裏マーケットの店主や偉い人もソックスハンターだったりする。

 

 ただし、ある意味無敵なソックスハンターにも敵が居ないわけではない。それは『風紀委員』だ。字の如く、説明不要。ただし、幻獣相手に生身でやりあうような連中相手に手段を選んでられないらしく、実銃ブッパも奴らの日常である。

 

 情報収集セルで調べたリストには載っているが、狩人として再起不能な為優先順位が低い方々に再び蘇ってもらうため、ブレインハレルヤに多少の改良を加え、彼らの靴下と交換した訳だ。改良内容はブレインハレルヤを使用中に靴下の匂いを吸うと、脳が徐々に靴下の匂いで得られる多幸感を思い出すと言うものだ。その代わり脳が慣れてくると多幸感が薄れる。再び情熱が得られるか依存症になるかはそいつ次第。改良のヒントのレシピは情報収集セルを使った。きたかぜゾンビ(ヘリ寄生型幻獣)1機より高い発言力を引き出す情報端末マジパネェ。

 

 ちなみに今日で2週目の終わり、ようやく目星を付けた額に到達した。ジョギング中公園のゴミ箱に山吹色のお菓子が捨てられてたのも大きかったな。靴下の貯蔵も十分だ。ただし、裏マーケットの主人の嗜好が分からないので靴下1組ずつジップロックもどきに入れ、それをアタッシュケースに入れてある。金は懐の財布。色々間違っている。でも仕方が無い。持って行くしか無いか。

 

 

 

「何の用だ」

 

 相変わらず無愛想である。ただし、調達する腕は本物で、焼きそばパンから人型戦車『士魂号』用バズーカまで売ってる。

 

「単刀直入に言う。戸籍が欲しい。それと、尚敬高校に5121小隊ってあるだろ?あそこで学兵をやりたい」

 

 一店主がなんで軍に口出し出来るかだって?この人さっき言ってた偉い人と繋がりがあるんだよ。主に靴下で。

 

「帰れ」

 

 即答である。

 

「こちらとしてもはした金で請け負ってもらおうとは思ってない」

 

 あくまで感情を込めず、まずは小さめの鞄を取り出す。

 

 主人の鼻がぴくりと動く。そりゃそうだ。こっちはジップロックに入れてないからな。

 

「安く見られたものだ」

 

 そう言いつつも視線の端には鞄が入っている。

 

「それは前金代わりだ」

 

「倍持って来い。ちゃんと選別してからな」

 

「ならば話は早い」

 

 こう言って先ほどの鞄の3倍程の大きさのアタッシュケースを出す。熱心な人は毎日欲しがったからな。特製ブレインハレルヤ。上官の靴下だろうが持って来たよ。代わりに上官の靴下は新しい靴下と交換だけど。

 

 そうして男女無差別だが、年齢性別履いた日にちが別々の靴下を丁寧に1セットずつジップロックもどきに梱包してあるのだ。その分スペース食ってるが、ヤクのように寿司詰めしている。非常にシュールか、理解すれば常人にはとても汚らわしく思えるだろう。

 

 それを見た主人はーーー。

 

「いいだろう。交渉成立だ」

 

 ニヤリと笑った気がした。

 

「それで、お前は今からソックスーーー」

 

「あ、すいません。人それぞれフェティシズムはあると思いますけど、俺は違うんで」

 

 さっきより目に見えて無愛想になった。殺意すら篭ってそう。

 

「ものの良し悪しはあなた方の反応を見て判別しますんで、ビジネスライクにお願いします」

 

 裏切られた気分なのだろう。だがしかし、俺は売る。お前らは買う。売買内容が金じゃなくても正当な取引だし言質は取ったし仮にも店の主人なので文句は受け付けない。

 

 ここで口調を戻す。

 

「一応素養のあった者からの物だからそれなりの品だとは思う。余剰分は口止め料とでも思ってくれ」

 

 あいつら10日ものをすごく興奮してまくし立ててくるからな。ブレインハレルヤ欲しさに必死にも見えたが、逆に言うと10日ものの靴下でも多幸感が味わえなくなってた狩人たちへの電子ドラックの効きがやばい。戦場の前線だとそこら辺ゆるくなるのかね?ヒロポンももともとは戦争中「疲労がポンと取れる」から来たとか、正露丸の元の名前は露西亜を制すると書いて「制露丸」だったとか。「靴下の芳しさが蘇った!」とか最初ドン引きしたけど。靴下の為に靴下を売る狩人ェ……。

 

「まあ、いい。分かった。用件はそれだけか?」

 

「出来るだけ早く頼む。可能ならば小隊が顔合わせする前くらいまでに」

 

「無茶を言ってくれる」

 

「聞いてくれれば金銭的な意味でもひいきにする」

 

 死にかけたけど一日気絶した後の2本目はなんとか耐えたから今後も熱血飲料ファイトは入荷次第買う。無いと詰むし。ちなみにゲーム内では牛乳でもHPは少しだけ上がるけど、この世界の牛乳は第一世代の舞ちゃんが飲んでも無害な強化プラスチック入りだが、流石に食品は無理だと悟った。飯食っても体力は即回復しないんだよ。

 

「やるだけやってやる。間に合わない場合は諦めろ」

 

「構わない。では、失礼した」

 

 んじゃ、一段落済んだしぼちぼち『テレパスセル』の試作とついでに買った互尊をパワーオフにしたまま動けるか試してみるかね。出力上げると複雑骨折するらしいからリミッターかけて少しずつ動かさなきゃいけないし、装着するとすごくかゆいらしいからそこも改良案出さないといかん。あとブレインハレルヤメインでしか調べてないから他の作れる自信ない。情報にメタ張り過ぎた。いい情報なのはおそらくブータと思われる赤いちゃんちゃんこ来たデカイ猫を餌付けしながらこう、一緒に瞑想の真似事してたらいつの間にか虚空から花束出せるようになってた。これで「テレポートセル」と組み合わせながら注意してれば5121小隊にもぐりこむまではなんとかごまかせるだろう。武功を立てたらおいそれと手出しできなくなると思うし。




くさい(確信)


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