生産者な魔王だって英雄になれる! (背の眼)
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プロローグ 終わり、そして始まる

どうも、初めまして!
背の目と申します!
一応処女作にございますが、小説家になろうにも投稿させていただいてます。
これからよろしくお願いいたしますm(__)m


そこにあるのは、燃え盛る炎 ひび割れた、クレーターがいくつもできている大地 転がる死体

そして、二つの影だけだった。

 

その影は、一人の女と一人の男

女は、きらびやかな銀髪に透き通るような白く綺麗な肌をし、6枚3対の白い翼を持つ

誰もが美しいと感じる女神のようで。

男は、漆黒の髪に屈強な身体、12枚6対の蝙蝠のような羽を持つ

誰もが恐れる悪魔のようで。

 

二人はお互いに悲しみや後悔といった負の感情のこもった瞳で見つめあっていた。

 

長い間続いた沈黙が破られた。

「ねえ、何故......こんなことになったのでしょう....」

沈黙を破ったのは女だった。

彼女は彼に尋ねた。

「さあな」

返ってきたの はそんな無愛想な言葉 だった。

男は、諦めた感じを漂わせ、

「だけどな、これも運命だったのかもしれんな」

その言葉に女は、

「そんなっ! だったら私達のしてきたことは一体なんだったのですか!! 他種族との共存を目指し、それを叶えようと必死に努力してきた・・・。なのに、何故! 私たちは戦争をしなければならなかったのですか!! 」

女は叫んだ。

涙を流しながら。

「そう、だな。なんだったんだろうな」

男は悲痛な顔をした。

それは、答えられない答えを求められたからだろうか。

それとも、愛する女が泣いているからだろうか。

多分両方だろう。

「でも、これだけは言える」

しかし、男は悲痛な顔を止め、笑顔をつくった。

「俺達がしてきたことは、決して無駄ではなかった。と」

その言葉、その笑顔に、今度は女が悲痛な表情を浮かべた。

「何故っ! 何故ですかっ!何故あなたはそんな顔ができるのですか!?」

女は哭く。

この世に絶望しているかのように。

「もうすぐあなたは死ぬのですよっ!!!」

死ぬ、何故そのような言葉が出るのか。

先程まで、飄々と話していた男のなる状況ではない。

女は、男の胸に視線を移す

そこには、一本の槍が刺さっていた。

黄金色で、質素では無いが華美でもなく

どこか、神秘性を帯びた、そんな槍だった。

「しかし、なんなのだ、この槍は。ただの槍とは思えないが....」

男の問いに女は答えた。

「その槍は、我々神が造った、最終兵器《神々の黄昏(ナグナロク)》たとえ魔王であるあなたでも急所に刺されば死ぬことは免れない」

女は目を伏せる。

自分がやったことであるがゆえにその後悔は隠しきれないのだろう。

「ああ、どうりで、俺が致命傷を受けるわけだ」

一方、男は苦笑いを浮かべた。

そのとき、

「ぐふっ!?」

男の口から多量の血が溢れだした。

「大丈夫ですか!?」

女は男に対し心配そうな表情を浮かべた。

「いや..、もう....駄目かもしれないな....」

男は笑顔を崩さない。

自分が惚れた女の不安を少しでも取り除こうという、男の優しさだろう。

「いやっ!死なないで!!お願いだから..いなくならないで....」

女は、顔を涙でぐちゃぐちゃにしながら男に寄り添う。

それは、自分が殺してしまうという罪悪感故か。

それとも、愛する者を無くしてしまう悲しさ故か。

「そんなに泣くな。せっかく綺麗な顔が台無しだ」

涙を手でそっと拭ってやる。

そして、

「最期ぐらい、お前の笑顔でおくってくれ」

女は、ぐちゃぐちゃになった顔を無理矢理笑顔に変え、

「ぐすっ....はい..」

女の表情に男も安心した顔をした。

「では、これでお別れだ」

男は動かない腕を無理矢理動かし、女の頭を撫で、

「さよならだ......ミーティア..」

男は女の名前を呼び、

「ええ、さよならです......ルシファー」

女もまた男の名前を呼ぶ。

そして、男の身体はナグナロクと一緒に光となって消えていった。

ミーティアはその光が消えるまで見守っていた。

「....ルシファー..」

愛しい男の名前を口にしたとき、

ーー絶対にお前の所まで迎えに行く。そのときまで待っててくれ。ーー

そんな声が聞こえた気がした。

「!!......はい、待ってます。いつまでも、ずっと....ずっと」

光が消えていった空を見上げなから、そう、呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ルシファーは、

「おぎゃゃゃゃーーーー!!(なんだこれはーーーー!!)」

......転生していた。




どうでしたか? 面白かったでしょうか?
いたらないところもありますが今後ともよろしくお願いします。

では!

コメントお待ちしておりますm(__)m


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一話 情報収集

どうも背の目です!
僕は今、受験生なので新しい話しを作る時間が限られて悲しいです( TДT)
まぁ、頑張って書くので応援よろしくお願いします!


では、本編どうぞ!


転生してから1ヶ月がたった。

これまででわかったことは、まず、俺が人間に転生していたことと俺の名前がルシファーからユーリ・バルトリウスに変わっていたこと、それに、俺の親がオルト・バルトリウスとマリア・バルトリウスという名前であること、ちなみにオルトが父で、マリアが母だ。

一応、この家は貴族らしい。

そして、魔王だった頃の能力が俺に備わっていたことだ。

だが、魔力の質は同じでも、魔力の量は違っていた。

それもそうだ。人には魔力が入る器がある。

その器以上の魔力が入れば器が壊れる。そうすれば、最悪、死んでしまう。

少し溢れるくらいならあまり問題では無いが、大量の魔力を注ぐと大変なことになる。

そんなわけで、今の魔力量は魔王だった頃から比べると微々たるものだった。

 

そして、今は

本を読んでいる!

自室を抜け出して、父の書籍を読み漁っているのだ。

なぜなら、

「(情報が足りない!)」

そう、ユーリが生きていたときから8000年も経っている。ということは、昔と今の情報が違うのは火を見るより明らかなのだ。

まあ、最初に本を読もうとしたとき、字が読めなくて焦ったが、今はもう大丈夫だ。

そんなことより、今は情報を集めよう。

そう思ったとき、

「ユーリ様!またオルト様の書室に入って、書物を散らかして。駄目ですよ!」

またか!

こいつはこの家のメイドだ。紫の髪で胸がでかく美少女だ。名前はリーシェだっか。

しかし、いつも俺の邪魔をする。確かに俺が悪いが、もっとゆっくり本を読みたいものだ。

これじゃあ、情報収集もままならん。

「オルト様に見つかる前に早く行きますよ。ユーリ様も怪我をされたらどうなさるんですか」

まあ、心配をしてくれているのだから嬉しくはあるがな。その心配が自分のため、と言うのが少なからず感じられるが。

そう、リーシェは、俺を見るときの目がたまに化け物を見るような目になる。

いつもではないということは、そこまで俺のことを嫌っていないと言うことか?

そのようなことを思いながらチラっと、リーシェの方を見ると、どうやら考え事をしているようだった。

「ばぶばぶ(仕方ない、行くか)」

俺は、よちよちと歩き始めた。

「あっ、お待ちください!ユーリ様!」

リーシェは俺のあとをついて来た。

 

本はどしたかって?

あとでリーシェが片付けてくれた。

こういう所はすごく感謝してる。

たとえ嫌われててもな。

 

だが、リーシェが化け物と思うのはわからくはない。

俺が元々人間だったなら、1ヶ月でよちよち歩きを始め、言葉も理解しているかもしれない。そんな子供が自分の近くにいたら怖がるのは別におかしくない。

 

 

 

 

まあ、そんなこんなで、1年が過ぎた。

よちよち歩きが立って歩けるようになり、言葉も少なからず話せるようになった。まだ、片言だが。

 

今日は、今まで見れなかった場所へ探検しようと思う。

今までよちよち歩きしか出来なかったからな、がらにもなく興奮しているのだ。

屋敷は2階建てになっているからよちよち歩きでは見に行けなかったが今は行けるのだ。

ということで出発だ!

 

 

 

 

ふむ、2階には衣装部屋やコレクション部屋があるのか。

 

ん?この部屋はまだ見てないな。

開けてみるか。

 

魔法を使って取ってを捻る。

ギィィィと音をたて、扉が開く。

開いたとたん。

 

ドゴォォォン

と音をたてて、ドアが吹き飛んだ。

あわてて目を閉じる。

「っ!?」

閉じていた目を開くと、そこには、

下着姿で、魔法陣を出しながら手をこちらに向ける母マリアだった。

「あら! ユーちゃんじゃない。あの人かと思って思わず攻撃しちゃった。ごめんなさいね。」

あの人とは、マリアの夫兼俺の父オルトのことだ。

いや! 自分の夫に対してドアが吹き飛ぶ攻撃を放つものではないだろう!

そう思った俺は悪くないはずだ。

「あの人、丈夫だから問題ないわ。勝手に人の更衣室を覗くなんて、万死に値するわ♪」

心を読まれた!?

「心なんて読んでないわよ」

やっぱり読んでいる!!

「顔にそう書いてあるのよ」

そんなに表情は変わってないはずだが....。

「自分の子供ですもの。わかるわ、そのくらい」

本当に母上にはいつまで経っても頭が上がらないな。

まだ1年しかたってないが。

「それよりも、ユーちゃん。怪我はなかった?」

「はい、だいじょうぶ、です」

「そう、ならよかった」

そう言いながら、胸を撫で下ろす。

笑顔を浮かべ、胸を撫で下ろす姿はとても綺麗で、つい見とれてしまった。

「あら、ユーちゃん。そんなに見つめて。

おかーさんの下着姿に興奮しちゃった?

おませさんねぇ」

ニヤニヤしながら俺の方を見ている。

ここは素直に答えよう。

「きれい、だとは、おもいました」

「あら、ありがとう」

口に手をあて、うふふ、と笑っていた。

「じゃあ、もう、いきます」

この場にいるとまたからかわれそうなので早く退散するとしよう。

「あら、気を付けて戻るのよ?」

「はい」

ということで、すたこらさっさー

 

 

 

自分の部屋に戻り一息入れる。

「ふぅー、あまりうごいてなかったはずなのになぜかつかれてしまった」

すごい眠気に襲われた。

少し寝るか。

ベッドに向かい、布団の中に入る。

そのまま、寝ようとしたとき、音が聞こえた。

 

ドゴォォォン!

「待ってくれマリア!その魔法はっ、ギャャャーーー!!」

ドカァァァァン!

「あなた、あれほど更衣室に入るときはノックをして、中に誰かいるか確認してから入れって、あれほど言ったわよね?」

バキャッ!

「だから、忘れてたって言って、グボラッ!」

グサッ!

「だから気を付けてって言ってるんでしょうがーーーーー!!」

ドゴォォォォォォン!!!

「ギャャャャャャャーーーー!!!」

ピチューーン

 

 

 

......なにやってるんだ、父上......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜

俺は夢を見た。

 

「ルシファー」

鈴のような声で誰かが呼んでいる

「起きて、ルシファー」

微睡みの中、俺は目を覚ました。

そうすると、目の前には

愛する人がいた。

「ミーティア?」

「?なにを言っているのですか?ずっと一緒に居たでしょう。あなたが、疲れた寝るなんて言うから、膝枕までしてあげてたのに、私を忘れるなんて」

ああ、拗ねてしまった。

だが、今までいつもしていた会話のような筈なのに、なぜか懐かしく感じてしまう。

「ミーティア、すまない。なぜか、長い夢を見ていた気がしたんだ。だから、頭がついていかなくてな」

「許しません!......どうしてもというなら頭を撫でてください」

そう言って頭をこちらに出してくる。

本当、可愛い奴だ。

「ほら、これでいいだろう?」

まるで、壊れやすい陶器のように優しく撫でる。

「ふにゅー」

気持ち良さそうな顔をする。

「はあ~、やっぱり貴方に撫でられると安心します」

「それはよかった」

嬉しそうに笑っていた。

俺もそれが嬉しかった。

だけど、幸福は長くは続かない。

それが、現実であっても、夢で....あっても。

「では、名残惜しいですが、そろそろお別れですね」

今、なんて言った?

お別れ?

そんな....なんでだ..。

また、1人になるのか?

そんなのは、

「嫌だ」

「ルシファー....」

俺はミーティアの腕を掴んだ。

「ルシファー、貴方なら大丈夫。なぜなら、

貴方はもう、1人じゃないんですから」

そう言いながらミーティアは消えていった。

「行くな!行かないでくれ!」

ミーティアだけじゃない。他の物質もどんどん消えていき、最終的に全てが無くなり、世界は暗闇に襲われた。

「俺を、独りにしないでくれ......」

独りは嫌だ。

独りは怖い。

魔界を統べた魔王が情けないな。

でも無理だ。

そんなことを考えていたとき、声が聞こえた。

「ーーーさま!」

なんだ?この声は。

「ーーリ様!!」

また、聞こえた。

「ユーリ様!!!」

これは....俺の名前?

声がする方へ歩いていく。

そうすると、1つの光が見えた。

「ユーリ様!起きて下さい!」

その声と光がある方へ手を伸ばす

その瞬間、暗闇だった世界が光に包まれた。

 

 

 

 

「?ここは?」

閉じられていたであろう目を開ける。

すると、そこには、転生してから住んでいる屋敷の自分の部屋だった。

「そうか、ゆめ....だったのか」

安心するような、残念なような。よくわからない感覚に襲われた。

「ユーリ様、大丈夫でしたか?ずいぶんとうなされていたようですが」

声がした方を向くと、そこには、心配そうにこちらを見るリーシェだった。

何故、リーシェが俺に対してその様な表情をするのかがわからないが、それよりも

「なあ、ねているときにおれにはなしかけてきたのおまえか?」

リーシェは驚いたような顔をし、

「はい、とても苦しそうにされていたので僭越ながら起こさせていただきました。ご迷惑だったでしょうか?」

「いや、助かった、ありがとう」

リーシェは先ほどよりももっと驚いたような顔をしたあと、嬉しいそうに笑い

「はい、どういたしまして」

何故だ?こいつは俺を嫌っていたはずだが....。

まあ、いいか。

それよりも今は、

「もういちどねるか」

そう言うと

「....大丈夫なのですか?」

リーシェが心配そうに顔を歪めた。

「ああ、だいじょうぶだ」

「では、私も一緒に寝ます」

は?なにを言っているのだ?こいつは?

「は?なにを言っているのだ?こいつは?」

「ユーリ様、心の声が漏れています」

驚き過ぎて心の声が漏れてしまっていたようだ。

「どういうつもりだ?」

そう言うとリーシェは苦笑しながら、

「どういうつもりもなにも、ユーリ様がまた、うなされないように一緒に寝るのですよ」

本当になにを考えているのだ?こいつは?

まあ、今はそんなことどうでもいいか。

明日また、考えよう。

とりあえず

「寝るか」

「はい」

そう、今は寝よう。

明日もまた、頑張るめに....。




あ、メイドが…
何て言うかちょろい...
あれーなんでだろう
まあ、いいかww

そういうことで次もよろしくお願いします!
コメントお待ちしておりますm(__)m


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二話 幸せの在り方

 

私、リーシェは元々平民の出であった。

父、母、妹がいる4人家族だった。

みんなで、畑を耕したり、狩りに出掛けたり。

みんなで一致団結しないと食べるのもままならない。

そんな、貧乏で辛い生活だったが、それが私にはとても幸せだった。

だけど、そんな幸せは崩れさっていった。

父さんと母さんが私達を捨てたのだ。

暫くは木の実で大丈夫だったが、妹はまだ小さかったから、それだけの栄養では足りなかった。

そして、妹は栄養失調で死んでいった。

それから、私はスリをした。

私にはその才能があったらしく、それなりの額は稼げた。

そこにいいカモがきた。

ここの地域に住んでいる屋敷の人が歩いていた。とても綺麗な人で思わず見とれてしまうほどだった。

いや、そんなことはどうでもいい。

今は、あの人から金を盗むことだけをを考えよう。

忍び足で近づいてく。

今だ!

と手を伸ばしたとき誰かに腕を捕まれた。

その手の方を見ると、黒い燕尾服を着た人がいた。

どうして!?さっきまでいなかったのに!!

「セバス、放してあげなさい」

「かしこまりました。マリア様」

手を放される。

なぜ?どうして?

いきなり人が現れたことと手を放されたことが混乱して頭のでぐるぐる回っている。

「ねぇ、貴女は何故この様なことをしようとしたの?」

微笑みながら聞いてくる。

「生きる、ため」

「みんな、私のこと雇ってくれないから」

何故だろう。

勝手に言葉が出てしまった。

「そう、なら家で働かない?」

え?今、なんて言ったの?

働く?この人の家で?

「今、ちょうどメイドが欲しかったのよねぇ」

メイド....大きい家にいる女性の使用人のことだ。

「でも、私、汚いよ?」

「そんなの、洗えば落ちるわ」

どうしよう。どんどん目頭が熱くなってきた。

「私、何も出来ないよ?」

「いいわ、そんなの、少しづつ覚えていけばいいもの」

なんで、こんなに胸が温かいのだろう。

「わだじ、じあわぜでもいいのがなぁ」

「当たり前よ、貴女は幸せになる義務があるわ」

そう言いながら、私を抱き寄せてくれた。

目から涙が溢れてきた。

「うわぁぁぁぁん!ぐるしがっだ。ざみじがっだよ~!」

「ええ、苦しかったわね、寂しかったわね。でももう、大丈夫。貴女は独りではないわ。」

あの、捨てられてからずっと泣いていなかった。なのに、今までにないくらい泣いてしまった。

何故だろう、すごく

温かい。

そして、私は、また、幸せをてに入れた。

 

 

 

それからというもの、私は、メイドの仕事を沢山仕込まれた。

大変だったけれど、それ以上にとても楽しかった。

 

それから数年が過ぎた。

オルト様とマリア様の間に子供が産まれた。

私は、ユーリ様、あっ、ユーリ様と言うのはその生まれてきた子の名前なのですが

そのユーリ様の世話役を任せられた。

マリア様の子だ。一生懸命お世話しよう!

そして私は、ユーリ様の世話をして1ヶ月が経った。

ユーリ様は目を離すといつもどこかに行ってしまわれる。

生後1ヶ月しか経っていない子供がどうしてこんなに動けるのかと最初は困惑したが、そのうち慣れた。

そして今日も、

「あっ!またいなくなられた!」

はあ、今度はどこに行ってしまわれたのだろう。

そして、いろいろな所を探した。

キッチンやお風呂場、部屋中探してもいない。

もしや、あの場所では? とユーリ様がよく行かれる所に行く。

そこは、オルト様の書斎だ。

ユーリ様は、よくあの場所に行かれ、本を散らかしている。

さすがにユーリ様でも本は読めないと思うので、ただ散らかしているだけだと思いますが....

っと、考えているうちに目的地着きました。

そして、そっとドアを開けると

案の定、ユーリ様がそこにいた。

「ユーリ様!またオルト様の書斎に入って書物を散らかして。駄目ですよ!」

私はユーリ様を注意する。

ちゃんと、小さい頃から教育しないと大きくなってから駄目になってしまう。

振り向いたユーリ様は嫌そうな顔をした。

まあ、嫌そうな顔と言っても少し眉を潜めるくらいなのだが。

というか、この子は言葉を理解しているのだろうか。

もしそうだとしたら、もう天才を通り越して化け物だ。

まあ、それよりも今は、オルト様に見つかる前にここを出なければ。

「オルト様に見つかる前に早く行きますよ。ユーリ様も怪我をされたらどうなさるんですか」

まあ、確かに、生まれたときから笑わず、言葉を理解しているかもしれないような子だが、私に幸せを与えてくれたマリア様の子供なのだ、怪我でもしたら罪悪感で押し潰されそう。

「ばぶばぶ」

ユーリ様が先に行ってしまわれた。

「あっ、お待ちください!ユーリ様!」

私はユーリ様のあとを急いで追いかけた。

 

 

あっ、本!

あとで気が付いた私はユーリ様をお部屋に戻したあと急いで片付けに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

そして、1年が過ぎた。

ユーリ様は二足歩行するようになり、言葉もぎこちないが喋れるようになった。

本当に化け物じみてきましたね。

今、はそんなことよりも仕事をしなければ!

と、息込んだときにものすごい爆発音が聞こえた。

また、マリア様の更衣室にノックをせずに入られたのですね。オルト様....

「はあ~」

つい溜め息が出てしまった。

いけないいけない。セバスさんにこんなところ見られたらヤバい。

私はせっせと仕事を始めた。

 

 

 

そして、その日の夜。

ユーリ様がちゃんと寝ているかどうか確かめるためにユーリ様のお部屋に向かった。

おっと、もう、部屋の前についた。

ノックをして、部屋に入る。

「ユーリ様、入りますよ」

おや、電気が消えてる。

今日は大人しく寝ましたか。

よかった

そう思ったとき、ユーリ様がうなされ始めた。

「おれを、ひとりにしないでくれ.....」

っ!?

そっか、この子でも独りは怖いのか。

今まで、この子を恐れていた自分が馬鹿らしく思う。

なんか、親近感が沸いてきますね。

そして私は、あのときを思い出す。

マリア様に拾ってもらった日。

私が独りではなくなった日だ。

懐かしいですねぇ

いやいや、思い出に浸っている場合じゃないです!

早くユーリ様を起こさないと!

「ユーリ様!」

声をかけるが起きない。

もう1度!

「ユーリ様!!」

まだ起きない。

もっと大きな声で!

「ユーリ様!!!」

あ、もう少しで起きそう。

「ユーリ様!起きて下さい!」

すぅー、と瞼が開く。

「そうか、ゆめだったのか」

ユーリ様は複雑な表情を浮かべていた。

「ユーリ様、大丈夫でしたか?ずいぶんうなされていましたが」

すかさず、私はユーリ様に安否を聞く。

「なあ、ねているときにおれにはなしかけてきたのおまえか?」

驚いた、ユーリ様から私に話し掛けて来るなんて。

といっても、私の質問には答えてくれてないのですが....

「はい、とても苦しそうにされていたので僭越ながら起こさせていただきました。ご迷惑だったでしょうか?」

「いや、助かった、ありがとう」

口から心臓が出るのでないか、と思うほど驚いた。

それは、いつも無表情だったユーリ様が微笑んだのだ!

しかも、顔が整っているのと、月明かりがいい感じに射しているのでドキッとしてしまった。

うー、顔が赤いきがします。

「はい、どういたしまして」

かろうじて返事を返す。

ユーリ様はそんな私を気にもしない様子で

「もういちどねるか」

と言い出した。

「....大丈夫なのですか?」

私は、また、ユーリ様がうなされるのではないかと心配になる。

「ああ、だいじょうぶだ」

ユーリ様はそう言いますが、先ほどの寝言を聞いてから心配でならない。

「では、私も一緒に寝ます」

「は?なにをいっているのだ?こいつは?」

「ユーリ様、心の声が漏れています」

私の言葉にそれほど驚いたのか、心の声が漏れていた。

「どういうつもりだ?」

探るような目に私は苦笑いをした。

「どういうつもりもなにも、ユーリ様がまた、うなされないように一緒に寝るのですよ」

一応、本心だ。だけど、もうひとつがもう独りにはさせない、という気持ちが強い

「寝るか」

ユーリ様は諦めたようにはあー、と溜め息をついた。

「はい」

いつまでもお側にいます。ユーリ様。

 

 

 

といっても、ユーリ様の笑顔を見たときのあの気持ちはなんだったのだろう。

まあ、いずれわかるでしょう。

今は、とりあえず寝よう。

また、明日もユーリ様に使えるために....。





コメントお待ちしておりますm(__)m


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三話 素晴らしき愛

すみません投稿が遅くなってしまいましたm(__)m
この頃忙しくて(´д`|||)


まあ、そんなことより本編どうぞ!


ユーリ・バルトリウス

それが私達、マリア・バルトリウスとオルト・バルトリウスの子供。

子作りをはじめてから3年の月日がたって、ようやくできた、私達の最愛の子。

そんな大切な我が子だが、普通の子とは、少し違った。

 

確かに、産まれたときには泣いた。

だけれど、その泣き声は、普通の子とは違う泣き声だった。

何故、自分がここにいるのか。そんな驚きを秘めた泣き声だった。

まあ、私もオルトも気にはしていたが、あまり深くは考えなかった。

なぜなら、私達の子なのだから、どのような子でも愛そうと決めていた。

 

でも、ユーリはあまりお乳を飲みたがらなかった。

それが、すごく心配だった。

栄養失調で亡くなったりはしないか。

そんなことをいつも考えていた。

 

まあ、そんな考えも杞憂に終わり、1ヶ月が過ぎた。

栄養のことはもう離乳食になったからあまり心配はしなくなったけれど、次は、怪我の心配をすることになった。

 

ユーリは、よく動く子だ。

初めは、たった1ヶ月でよちよち歩きができるようになり、みんなで天才ではないか、と騒いだ。

 

だが、よちよち歩きでよく部屋を抜け出していた。

たまに、ドアの閉め忘れとかを見計らって、どこかに行ってしまうのだ。

オルトはそれを見て、

 

「おお、俺たちの息子は元気だなぁ!

よし! 大きくなったら剣術を教えよう!」

 

とかのんきなことを言っていたが、私は、どこかで怪我をしないか、と気が気ではなかった。

 

「リーシェ、ユーリのことをよく見張っといてね」

 

と頼んだものの

今度はリーシェの目を盗んでどこかに行くようになってしまった。

うーん、リーシェも家のメイドをさせていたから、気配には少なからず敏感なはずだけれど....。

ユーリの力は侮れない、ということだろうか。

 

 

ユーリは元々、魔力は高かった。それでも、子供にしては、だが。

それよりも、ユーリの魔力は質がとても高い。

それこそ、元聖女である私を優に越すぐらいの質なのだ。

ユーリは何かの生まれ変わりかもしれない。

それとも、先祖帰りか、どっちかだろう。

この例は、ありえない、と思うかもしれないが、別に少ないと言うだけでいないわけではない。

例えば、この国、バーミリオン王国の三大公爵家はそれぞれ、高位精霊と契約している。

精霊との契約は魂の契約(ソウル・エンゲージ)と呼ばれ、魂同士を結ぶことでパスを作り、高威力の魔法を放つことができる。

しかし、人間や獣人は、魔力と神に遣えているものが使える神力、体内のもう1つの力、気。

この3つしか使えず、

霊力、精霊独自の力が使えないため、魔力に置き換えて使う。

この技術は、相当難しいが、精霊と契約出来る者なら問題ないだろう。

まあ、それは置いておくとして。

この様に、精霊達と契約している者や先祖にその種以外の者と交えた者がいるなら、先祖帰りが産まれてもおかしくはない。

 

それに、私、マリア・バルトリウスは、元公爵家クルトサリス家の長女なのだ。

ちなみに、クルトサリス家は三大公爵家の1つである。

呼び名は、医界のクルラサス家

治癒と神聖術の魔法師を多く出しているため、こう呼ばれるようになった。

 

他には、

政治を牛耳っている。

政界のハンフリール家

 

学園などの教育機会を束ねている。

学界のシュバーラウク家

 

この3家は、そんな理由で先祖帰りが産まれやすい。

それでも少数だが。

 

 

ということはだ、ユーリは先祖帰りである可能性が高い。

 

「(また今度、実家に戻って調べて見ようかしら)」

 

 

 

 

 

 

 

実家に戻ることなく、一年が過ぎた。

 

今日は、出掛ける用があったので更衣室で着替えをしている。

 

「はあ~、なんで私も社交会に出なきゃいけないのよ~」

 

社交会は嫌いだ。

夫が居るにも関わらず、家名に釣られて、男どもがよってくる。

その相手が面倒臭いのだ。

 

「(いっそ、社交会で大暴れしてしまおうかしら、うふふ)」

 

マリアは黒い笑みを浮かべた。

そんなことを考えていると、

ギィィィと音をたて、扉が開く。

 

「(また、あの人かしら? いつもノックをしろと言っているのに、わからず屋ね)」

 

高速で魔法陣を組み立て

「大気を渦巻く風よ、我が敵、汝の力をもって打壊せ『ウィンド・トルネード』」

呪文を唱え、ドアに向かって放った。

ドゴォォォン

と音をたてて、ドアが吹き飛ぶ。

 

「っ!?」

 

あら?声がいつもと違う。

 

「あら! ユーちゃんじゃない。あの人かと思って思わず攻撃しちゃった。ごめんなさいね。」

 

危なかった。あの人の顔の高さを狙ってやったからよかったものの、股間だったら、ユーリに当たっていた。

ふむ、ユーちゃんが

自分の夫に対して攻撃をするな! とか考えてるわね。

 

「あの人、丈夫だから問題ないわ。勝手に人の更衣室を覗くなんて、万死に値するわ♪」

 

次は、心を読まれた!? ね。

「心なんて読んでないわよ」

 

すごく不思議そうな顔、いつもは無表情だから新鮮ね。

でも、そんなユーちゃんも、可愛いわ~。

いつも可愛いけど。

 

「顔にそう書いてあるのよ」

 

また、不思議そうな顔、うふふ

この顔癖になりそうね

 

「自分の子供ですもの。わかるわ、そのくらい。」

 

あ、いつものユーちゃんに戻った。

少し物足りない感じ。

 

「それよりも、ユーちゃん。怪我はなかった?」

 

「はい、だいじょうぶ、です」

 

「そう、ならよかった」

そう言いながら、胸を撫で下ろす。

本当によかった。

あら?ユーちゃんがこっちを見てるわ

ま、まさか!

 

「あら、ユーちゃん。そんなに見つめて。

おかーさんの下着姿に興奮しちゃった?

おませさんねぇ」

ニヤニヤしながらユーリを見る。

そうすると、

「きれい、だとは、おもいました」

「あら、ありがとう」

口に手をあて、うふふ、と笑っていた。

素直なのはいいのだけど、ちょっと面白みに欠けるわね。

まあ、嬉しかったけれど。

 

「じゃあ、もう、いきます」

 

ユーリは逃げるように出ていこうとする。

 

「あら、気を付けて戻るのよ?」

 

「はい」

 

ユーリが自室に帰るのを見送り、

 

「流れ行く風よ、汝の力をもって、爽やかな安らぎをもたらさん『ブリーズ・フロウ』」

 

魔法を巧みに操り、先ほどドアを吹き飛ばしたときに散らばった木の破片を集める。

 

次は、

 

「ああ、神よ。生活の神 キリガトスよ

我が生活に悪する物を直したまえ」

 

神聖術を発動する。

言葉自体は、ただのお祈りのようだが、神聖術が使えるものにとって、それは言霊に変わる。

 

「ふぅー、掃除も終わったし、着替えを再開しましょうか」

 

「マリア、そろそろできた....か..」

 

オルトが来てドアを開けた。

その瞬間、オルトの顔は青ざめた。

 

ドゴォォォン!

さっきと同じ魔法が放たれる。

「待ってくれマリア!その魔法はっ、ギャャャーーー!!」

ドカァァァァン!

「あなた、あれほど更衣室に入るときはノックをして、中に誰かいるか確認してから入れって、あれほど言ったわよね?」

バキャッ!

「だから、忘れてたって言って、グボラッ!」

グサッ!

「だから気を付けてって言ってるんでしょうがーーーーー!!」

ドゴォォォォォォン!!!

「ギャャャャャャャーーーー!!!」

ピチューーン

 

オルト・バルトリウス

享年25歳

 

「まだ死んどらんわ!!!」

 

にはならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

社交会

 

~~~~~~~~♪

 

クラッシックの音楽が流れる中

貴族達がダンスを踊ったり雑談をしたりしている。

その中でマリア達は隅で食事をとっていた。

 

「ねぇ、あなた」

 

「ん?どうした?マリア」

 

「やっぱり、私、ここ嫌いだわ」

 

マリアは、とても嫌そうな顔をする

オルトは、それに同意しているかのように、頷いた。

 

「まあ、ここは、汚い、ゴミの溜まり場だからな」

 

オルトは、他の貴族を見て言う。

 

「ええ、そうね」

 

マリアの顔は晴れない。

そこに独りの男がよってきた。

 

「こんばんは、マリア嬢」

 

「ええ、こんばんは、カルトリア卿」

満面な笑みの男に、マリアは苦笑いを返す。

オルトはその男に呆れた表情を浮かべる

そんなオルトに男は、睨み付けて、マリアに視線を向ける。

 

「相変わらず、お美しいですね」

 

「当たり前だ、俺の嫁なんだからな」

男の言葉に、オルトが返す。

 

「うるさい。黙っていろ。この平民上がりが」

男は、オルトを再度睨み付ける。

オルトは、気にした様子もなく、そっぽを向く。

 

「まあまあ、その辺で」

 

マリアがあわてて仲介に入る。

 

「ふん、マリア嬢に感謝しろ。平民上がり」

 

「ヘイヘイ」

 

男は、オルトの態度にイラつくが今度は我慢したようだ。

 

「そういえばマリア嬢、ご出産おめでとうございます」

 

「ええ、ありがとうございます」

 

そのあと少し会話が続き

 

「マリア嬢、ご提案なのですが、私のところに来ませんか? ご子息も一緒が良ければそれでも構いませんが」

 

「はい?」

 

この男は、マリアを自分の側室にしようとしているのだ。

まあ、子供は別にいらないが、どうしてもと言うなら。

とも言っている。

こんなに馬鹿げた話があるだろうか。

彼女には夫がいて、子供もいるのに自分の物にならないか。そんなこと許されるはずがない。

 

特にオルトが

 

「おい、てめぇ、人の嫁に手ぇ出そうとしてんじゃねぇよ」

 

「ふん、わざわざ、不気味な子供と一緒に私がもらってやると言っているんだ。ありがたく思え」

 

今、こいつ何て言った?

不気味な子?

私達の子が?

 

「それで、マリア嬢、どうですかな?」

 

「--よ」

 

「え?今、なんと?」

 

「嫌って言ったのよ!」

 

男はその言葉に同様した。

 

「いや、私のところにくれば、もっといい暮らしを「いらないわ」っ!?」

 

「別にいい暮らし何ていらない。私は今が幸せなの。

愛する夫がいて、信頼出来るメイドや執事がいて、そして、最愛の息子がいるのだから....」

 

「もう一度考えて下さい。今、返事を変えるならまだ間に合いますよ?」

 

男は粘ろうとする。

 

「くどいですよ。私は貴方なんかいらないって言っているのです」

 

「っ!「それに」....それに?」

 

「貴方のその醜い顔なんか2度と見たくない。早く何処かへいっていまえ」

 

私は口調を変え、男に言い放つ。

 

「っ!!?......もう、どうなっても知りませんよ。なんせ、大公家を敵にまわすんですからね」

 

男は、そう、言い捨てて帰っていった。

 

「マリア....」

 

オルトが心配そうにこっちを見ている。

 

「あなた、私達も帰りましょう」

 

マリアは、先に出口へ向かい。

 

「お、おう」

 

オルトは、マリアを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰りの馬車の中

 

「マリア」

 

「なに?あなた」

 

なんだろう。

マリアは、オルトがいつになく真剣な顔に驚きながら聞き返す。

 

「お前らは、絶対に俺が守ってやる。心配するな」

 

オルトは、安心させるように笑った。

 

「っ!?」

 

そう、そんなに顔に出ちゃってたのね。

さすがは、私が惚れた男....。

 

「ありがとう、なら、私があなたの傷を癒すわ」

 

「おう!そのときは頼むぜ」

 

そして、だんだんと、顔を近づけ、

唇を重ねた。

 

 

 

 

私達の息子は不気味なんかじゃない。

だって、私とこの人の最愛の息子だもの。

生まれ変わりかもしれなくても、

先祖帰りかもしれなくても、

たとえ、魔王だったとしても愛して見せる。

そう、今までも、そしてこれからも、ずっと....ずっと....

 

 

愛してるわ、ユーちゃん。




マリアさーーん!
かっけぇす!

ということで次回もお楽しみに!


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四話 過去の記憶

いきなりですがこの前学校の友達と話していて、

自分「はあー、顔もダメなのに声もダメとか泣ける」

友達「俺、お前の声聞いてると落ち着くけどな」

自分「え?」


・・・

はっ!ということで本編どうぞ!


満月の夜、社交会から帰ってきた俺は月見酒をしていた。

酒は、平民が飲むようなとても安い奴だ。

貴族である俺が、なぜそんな物を飲むかって?

そりゃあ、俺が元々、平民だからさ。

 

俺の爵位は、名誉爵と言って、貴族でない者が普通では出来ない、国に利益のあることをやることによって与えられる爵位のことだ。

その名誉爵の中の騎手爵を俺は与えられた。

何をしたかと言うと、単独でのドラゴンの殺傷。

つまり、自分一人でドラゴンを殺したのだ。

 

モンスターランク、モンスターの危険度を表したランクのことだが、F~SSSまであり、

F~Dは下級、CとBは中級、Aは、上級

そしてS~SSSまでが災害級と呼ばれている。

ドラゴンはその中でも、Sランク 災害級だ。

災害級はギルドの最上位ランカーの奴でさえも単独での殺傷は無理なのだ。

 

 

それならば、なぜ俺がドラゴンを殺したか、なぜ殺そうと思ったのか

少し昔話も含めて、説明しようか。

 

 

 

 

※※※※※※※

 

 

 

俺は、ある村の農家の子供だった。

毎日のように桑の振っていた。

 

15歳になったとき、俺は家を出た。

別に、村が嫌いになったわけじゃない。

ただ俺は、外の世界を見てみたかった

まあ、ずっと村に籠っていた籠っていたわけではなく、育った野菜や森に入って狩ってきた獣の皮などを売りに王都に行ったことがあった。

そのときだ。俺が村を出ようと思ったのは。

野菜や獣の皮を売り終わって、帰ろうとしたとき、門のあたりが騒がしいのに気が付いた。

俺は、気になったので近くに寄っていった。

 

「おじさん、何があったの?」

 

近くにいたおじさんに聞いてみた。

 

「ん? ああ、坊主、これはな、パーティー 空の監獄、Sランカーが二人にAランカーが三人の王都最強パーティーがワイバーンを狩ってきたからみんな見てんのさ」

 

「へえー」

 

俺はそのすごさがわかっていなかった。

でも、その姿は見たいと思った。

 

「んーっ、んーっ!」

 

精一杯背伸びをするが、人が多すぎて見えない。

少ししょんぼりした。

 

「ん? 坊主みたいのか?」

 

「うん、でも人が多くて見えない......」

 

落ち込んでる俺を見て、おじさんが

 

「しょうがねぇな、ほら、坊主、肩車してやるからこっち来い」

 

「いいの!?」

 

俺は目を輝かせた。

おじさんは苦笑いをしながら頷いた。

 

「やったー! おじさん、ありがとう!」

 

俺はおじさんの近くへ寄っていき、肩車をされた。

 

「よっこいしょっ、ほら見えるか?」

 

「ほぇー....」

 

言葉を失った。

傷の付いた鎧を纏い、様々な武器を持ってる人達がいた。

その姿は、まるで物語の英雄のようにかっこ良かった。

俺は、その輝かしい姿に見とれていた。

 

「な、すごいだろ?」

 

「うん、すごい..すごいよ....」

 

俺もいつかはこんな人達みたいになりたい

そうおもった。

 

 

それから、俺は毎日のように剣を振った。

朝起きたあと、仕事の合間、夜寝る前、

俺は剣を離さなかった。

 

俺は剣の才能があったのか、どんどん強くなっていった。

15歳のときには、村で俺に勝てる人はいなくなっていた。

そして、

村を出た。

最初は親に反対された。

だけど、村のため等と思ってもいないことを理由にして、納得させた。

 

 

王都に着いてから、すぐにギルドに向かった。

ギルドに着いたときはびっくりした、予想以上にでかかったからな

 

「ここがギルドかー、でかいな」

 

「よしっ!」

 

気合いを入れ直し、ギルドの中に入る

 

チリンチリン♪

 

ドアを開けた。

中はすごく賑わっていた。

 

「えーと、受付は......あ、あそこか」

 

走って受付のところまで行った。

 

「すみません」

 

「はい、なんでしょう」

 

受付の女性は笑顔で返してくれた。

少しドキッとしたのは内緒だ。

 

「えーと、ギルドに登録をしたいんですけど」

 

「はい、ギルド登録ですね。では、この紙に、名前、出身地、使う武器をお書き下さい」

 

「はい、わかりました」

 

名前には、オルト

出身地には、アリアンド村

武器には、剣

と書いていく。

 

「書き終わりました」

 

「はい、では、登録させていただきます。

ギルドカードを発行するのに銀貨1枚要りますが、お持ちですか?」

 

「あ、はい、持ってます」

 

袋から銀貨を1枚取り出す。

危ない、親から金貰っといて良かった~。

ちなみに、さっき渡した銀貨が貰った金だ。

 

 

金の基準として、

銅貨、銀貨、金貨、白金貨、聖金貨の5種類で、

銅貨が10枚で銀貨1枚

銀貨が10枚で金貨1枚

金貨が10枚で白金貨1枚

白金貨が10枚で聖金貨1枚

となっている。

 

 

 

俺はいろんな説明を受けて、その場をあとにした。

 

 

 

 

 

それから俺は、沢山依頼を受け、5年後にはAランクに達していた。

 

収入が安定してからは、親に仕送りも送っていた。おやじとお袋はすごく喜んでいて、俺も嬉しかった。

 

 

 

 

突然だが俺は今、教会にいる。

理由は、捨て子を拾ったのだ。

では、なぜそうなったのか。

 

それは、依頼を終え帰っている途中のことだった。

 

「はあー、今日の依頼も面倒だったな」

 

悪態をつきながら歩いていると路地裏から視線を感じた。

 

「ん?」

 

路地裏に視線を向けるボロボロの布切れを着ていて茶髪の汚れた一人の少女だった。

 

「おい、お前こんなところでどうした。親は?」

 

「....いない。お父さんもお母さんも私をおいて何処かに行っちゃった」

 

「.........」

 

...まぁ、予想していなかった訳ではない。

この王都ではよくある話だ。

税のせいなどで貧困に陥った者は子供を捨てるか奴隷に出すものが多い。

奴隷などは生きてるもの扱いではないためそれを予想して奴隷に出さなかったのだろう。

ある程度の仮定は立てたはいいが、この子はどうしようか。

俺が育てるっていうことも出来なくはないが 俺は、子供を育てれるような状況じゃない。

職業柄、いつ死ぬかわからないのだ。

女もいない身として、子供を育てる訳にはいかない。

んー、あ!そうだ、教会に行こう!

あそこは孤児院も並列にやっていたはずだ。

よし、そうと決まれば即行動だ。

 

「なあ、お前俺と一緒に来ないか?」

 

教会に預けに行くにしても身だしなみを整えた方がいいよな。

まず飯を食べさせて、服着替えさせるか。

 

「んー?なんで?」

 

「ああ、お前が寂しくない所に連れていこうと思ってな」

 

「寂しくない所?」

 

少女は首を傾げた。

 

「ああ、寂しくなくてとても暖かい所だ」

 

「んー、行くっ」

 

「よし、じゃあ俺についてこい」

 

「うんっ」

 

それから体を洗って服を着替えさせ飯を食わせた。

全部が終わったあとの時間が遅かったので今日は教会に行くのをやめて明日にした。

 

 

そして次の日

今教会の前にいる。

 

「すみませーん」

 

....返事がない。

今日はいないのか?

 

「すみませーーん!」

 

次はもっと大きな声で言った。

 

「はい! 今、行きます!」

 

それはすごく透き通った声だった。

静かな教会の中、声は反響しながら、俺の鼓膜に響かせた。

 

「すみません、子供達の世話をしていたものですから」

 

「あ、いえ、別にいいで....す....よ..」

 

声の方に振り向きながら答えた返事が途切れた。

そこにいた女性はまるで女神のようだった。

綺羅日やかで先が少しカールのかかった金髪、青い瞳、肌は決め細やかで雪のように白く、十人が十人、美人と認めるであろうほど美しかった。

決め手は、聖母のような笑みだった。

 

 

「..........」

 

見とれていた。ただ見とれていた。

いや、もう一目惚れしたと言っても過言ではない。

 

「?どうかしましたか?私の顔に何か付いていますか?」

 

俺がずっと黙って、彼女の顔を見ていたからであろう。

彼女は、心配そうな顔をして俺に聞いてきた。

 

「い、いや!何でもないでごじゃりまする!」

 

変な口調になってしまった。

今、顔がすごく赤くなっているだろう。

自分で赤くなった自分を想像するが、似合わないな。

20歳の大人、しかもむさい男の赤面とか誰得だよ、とか思う。

 

「ふふ、おかしなひと」

 

彼女は微笑んだ。

 

......その顔は反則だろう。

 

「それで、今日はどのようなご用ですか?」

 

あ、そうだった!

つい、彼女に見とれて本来の目的を忘れていた。

 

「あ、ああ、今日は、この子を預かって貰いに来たんだ。」

 

そう言いながら、子供を前に出す。

 

「この子ですか?」

 

彼女は不思議そうに首をかしげる。

そんな彼女も可愛いな!

でも、まあ、首をかしげる理由はわかる。

ここに来る前に、水で体を洗って、服も汚れていたから、新しいのをかってあげたのだ。

 

「ああ、捨て子らしくてな。一応、体を洗って、服を変えさせたんだが、

俺は、冒険者をしているから、いつ死ぬかわからない。嫁さんもいないから、子供を育てる訳にはいかなくてな」

 

俺の考えを彼女に伝えた。

彼女は、最初は驚いた様子を見せたものの、すぐに慈愛に満ちた表情に変わった。

 

「そうだったのですか。それは、ありがとうございます。神も、貴方を見て、喜んでいることでしょう」

 

綺麗なお辞儀をした。

様になってるな、と本気で思う。

 

「そりゃ、良かったよ」

 

「じゃあ、俺は、ここらで帰るよ」

 

「え、せっかくですから。もう少し、ゆっくりしてあってください」

 

「これから仕事なんだ。悪いな」

 

名残惜しいが、依頼を受けてから見つけた子供だったから、時間はあまりなく、もういかなくてはいけない。

 

「そうですか、残念ですが、しょうがないですね」

 

本当に残念そうだった。

すごく嬉しいけど彼女にそんな顔はしてほしくなかった。

だから、

 

「また、明日も来るから、そんな顔すんなよ」

 

彼女は、嬉しそうな顔をした。

 

「はい、ではお待ちしております」

 

「じゃあな、......えーと、名前なに?」

 

彼女は口を押さえながら笑い、

 

「マリア、です。覚えててくださいね?」

 

「俺はオルト。絶対に忘れないさ」

 

お互いに笑い、

 

「じゃあな、マリア、ちびっこ」

 

「はい、さよなら」

 

「ばいばーい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、2年の月日が経ち、その間に俺達は恋人になっていた。

 

 

すごく、幸せだった。

マリアと過ごす時間が、1分、1秒が幸せだった。

 

だけど、そんなある日、こんなことを聞いた。

村が誰かに襲われた、と。

 

俺は、すぐに村に戻った。

そして、

 

「なんだよ....これ..」

 

ボロボロになった村があった。

 

そうだ!おやじとお袋は!?

急いで、自分の家に向かった。

 

「おやじっ!お袋っ!」

 

バンッ!

と勢い良くドアを開けた。

そこに広がってたものは、

おやじとお袋の死体の転がった、血が飛び散った部屋だった。

 

「おやじ....お袋....」

 

俺はその場に倒れ込んだ。

 

「なんで....なんでだよ......

なんでなんだよ!!!」

 

床を叩いた。何度も何度も叩いた。

 

「クソッ!.........クソ....」

 

 

 

 

幸せのあとに必ず絶望は追ってくる。

それはまるで、死神のように......。




あー、オルトの家族がー(´д`|||)
自分で書いてて腹が立つ!




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五話 大切なものは

あの事件から数日、俺は自分の宿に籠りっぱなしだった。

電気を消して、布団にくるまり、ただ外の世界を拒絶していた。

誰が来ても、「入るな」の一点張り。

前にパーティーを組んだことがある奴等も心配して来てくれたが、帰れ、と追い返してしまった。

自分でも、何をやってるんだろう、と思いはしたが、でも、今は外とは関わりたくなかった。

 

コンコン

とノックがした。

誰だろう。

 

「オルト、私よ。マリアよ」

 

マリア...。

 

「悪いが、帰ってくれ」

 

俺は、マリアも突き放すのか。

本当に俺は馬鹿だ。

でも、マリアには絶対に今の姿を見られたくない。

あまり、身だしなみを整えない自分でも、今の自分は酷いのだ。

 

「......オルト、私、お別れを言いに来たの」

 

今、なんて言った?

お別れ?

誰と誰が?

頭が働かない。

何も考えられず、混乱するばかりだった。

 

「私ね、本当は貴族だったの。それで、許嫁がいてね。その人と今年の10月に結婚することになってるの。だから、

さよなら、オルト。愛していたわ」

 

タッタッタッ

と走り去る音が聞こえる。

 

俺は、また、大切な人を失うのか?

............そんなのは嫌だ!

もう、何も失いたくない!!

全部は、無理かもしれない。

けど、自分の手が届くものは守ってみせる!

 

 

 

 

俺は、身なりを整え宿を出る。

向かうのはギルドだ。

確か、マリアが結婚するのは今年の10月。

今は、7月。

あと3ヶ月しかない。

3ヶ月でなにができる。

考えろ俺!

 

............

 

あ、そうだ!

確か、貴族は貴族同士の決闘で、許嫁を奪うことができたはずだ。

だが、その決闘は、決闘を申し込まれた方が決闘開催の決定権を持つ。

だから、絶対に受けて貰えるとは限らない。

なら、こちらの立場を利用すればいい。

貴族は誰もが高いプライドを持つ。

そこにつけこめばいい。

よし、そうと決まればあとは貴族になるだけだ。

だが、貴族になるのは簡単じゃない。

それなりの成果が必要になる。

成果を挙げるには、その成果の元となる依頼をこなさなければならない。

そのためには、Sランクになる必要がある。

Sランクの最高難易度を一人でクリアすれば、王との会見ぐらい出来るだろう。

まずは、Sランクになろう。話はそこからだ。

 

 

 

2ヶ月の間、俺は休まずに依頼を受け続けた。

そして、ようやく俺はSランクになった。

 

 

本来なら、この短時間でSランクになるのは普通ではない。

だが、オルトにはには確信があった。

その確信とは、オルトに産まれた時からある力のことだ。

 

元々、俺は、この力があまり好きではなかった。

この力は、他人から与えられたものだ。俺は、自分の力で強くなりたかった。

だから、俺はこの力を使わずにここまで這い上がった。

だけど、

 

「これを、この力を、大切な人を守るために使わないでいつ使うんだ」

 

そうだ。今こそ、この力を使う時だ。

そう思った。

 

 

 

 

 

 

そして、俺はギルドに向かった。

 

中に入り、迷わずに依頼をとる。

 

 

「すまないが、これを頼むよ」

 

「はい、えーと、......レッドドラゴンの殺傷......一人で行かれるんですか?」

 

受付嬢が心配そうな顔を俺に向ける。

 

「ああ、一人でなきゃいけないんだ」

 

「そうですか......では、絶対に生き残って下さいね? そうでないと、許しませんから」

 

「わかった。絶対に生き残るよ」

 

俺は振り向き、歩き出す。

 

「行ってらっしゃい」

 

後ろからそう聞こえた。

 

--行ってきます。

 

 

 

 

 

 

 

それから、さらに1ヶ月が経った。

そして、今、教会では、

結婚式が行われていた。

 

 

「では、 汝 マルカスは、この女 マリアを妻とし、

良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、

病める時も健やかなる時も、

共に歩み、他の者に依らず、

死が二人を分かつまで、愛を誓い、

妻を想い、神聖なる婚姻の契約のもとに、

誓いますか?」

 

神父の言葉に、マリアの婚約者であるマルカスは、

 

「はい、誓います」

 

神父は頷き、マリアの方を見る。

 

「 汝 マリアは、この男 マルカスを夫とし、

良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、

病める時も健やかなる時も、共に歩み、

他の者に依らず、死が二人を分かつまで、

愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、

神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」

 

 

「......」

 

「新婦 マリア、早く誓いの言葉を」

 

「....はい、ちか「ちょっと待った!!!」っ!?」

 

誰かが言葉を遮った。

私は、その声の方を向いた。

 

「....オルト」

 

すごく嬉しかった。

オルトが私を助けに来てくれた。

それが、嬉しくて涙が出るぐらい嬉しかった。

 

 

 

「その結婚、ちょっと待ってもらおうか」

 

コツコツコツ

と、靴で音を鳴らしながらこちらに近寄って、私とマルカスの間に立った。

 

「なんのようかね、オルト君」

 

「おいなんで、お前が俺の名前を知ってやがる」

 

「それは、君がマリアの元恋人だったからさ。僕は、マリアのことなら何でも知っているからね」

 

オルトが、怪訝な顔をマルカスに向け、

マルカスは、オルトを嘲笑うかのように、言葉を吐き捨てた。

 

「もう一度聞く、なんのようかね?」

 

「俺と、マリアを賭けて決闘してほしい」

 

「「「な!?」」」

 

この会場にいる者達が皆、驚愕の声をあげる。

 

「おい、お前! 平民じゃ許嫁を賭けた決闘は行えない! そんなことも知らないのか!」

 

観客の男から最もな答が放たれた。

 

「俺が平民だから決闘ができない。そう言いたいんだな?」

 

「そうだ!」

 

オルトはニヤリと笑った。

何を考えてるの? オルト。

 

「それなら問題ないな」

 

「それはどういうことかね?」

 

次はマルカスがオルトに問う。

 

「本日を持ち、俺、冒険者オルトは、貴族 オルト・バルトリウスになった!」

 

 

「「「な!?」」」

 

会場は再び驚愕の声に包まれた。

 

「そんなのは出鱈目だ!陛下がお前なぞ貴族にするわけがない! 皆のもの、この者を追い出せ!!」

 

「ふん、これを見てもそんなことが言えるかな?」

 

そう言い、オルトは懐から一枚の紙を取り出した。

 

「これは、陛下が俺にくださった貴族になるための認証状だ」

 

「くっ!そんなわけがっ!?」

 

男はオルトから紙を奪い取った。

 

「そんな....本物だ..」

 

その言葉で会場内を沈黙にさせるのには十分だった。

 

「だが、お前が貴族になったとして、僕がその決闘を受けなければいいだけだ」

 

マルカスは勝ち誇ったように笑う。

だが、その表情は、

 

「へえ、貴族、それも伯爵家の人間が、逃げるのか?」

 

オルトの言葉により一瞬で歪められた。

 

「なに? もう一度言ってみろ」

 

「だから、伯爵家の人間が高々平民上がりであるこの俺から逃げるのかって言ったんだよ」

 

マルカスは険しい表情を浮かべ、

オルトは逆にニヤニヤさていた。

 

「......いいだろう。その決闘受けてやる」

 

「マルカス様!?」

 

観客の男が叫んだ。

 

「いけませんマルカス様!その男の口車に乗せられては!」

 

「おいお前、この僕が、あの平民上がりに負けるとでも?」

 

マルカスは男に殺気を放った。

 

「い、いえ、そのようなことはっ!」

 

男は怯えたように応え、

 

「なら、僕に口出しをするな!」

 

「は、はいぃぃ!」

 

急いで客席にもどった。

 

「オルト・バルトリウス」

 

「なんだ」

 

二人は互いに睨み合っている。

 

「決闘は、1週間後、正午に第一アリーナで行う。

それで構わないな?」

 

「ああ」

 

マルカスはオルトの返事を聞いたあと、観客の方に向き、

 

「では、皆様、また、決闘の時にお会いしましょう」

 

そう言い残して去っていった。

 

他の貴族達も訳がわからないまま帰っていった。

そして、その場にいたのは、オルトとマリア、二人だけになった。

 

「オルトっ!」

 

「マリアっ!」

 

二人は熱い包容を交わした。

教会の光りが射し込む中、その二人の姿は、とても幻想的で綺麗だった。

どれだけ時が経っただろう。

そう思うぐらい長い包容だった。

しかし、二人の考えていることは同じだった。

もっと一緒にいたい。

この時が永遠に続けばいいのに、と

 

「ねえ、オルト」

 

「なんだ? マリア」

 

「本当に大丈夫なの? 認めたくないけどマルカスの腕は確かよ?」

 

マリアは本当に認めたくなさそうに、そして、険しい顔で言った。

 

「大丈夫、俺はあんなやつに負けたりしない」

 

「でも......」

 

オルトはマリアを諭すように言うが、マリアの表情は暗いままだ。

 

「本当に大丈夫だ。いざとなったらあの力を使うさ」

 

「えっ!? でもあなた、その力いやがってたのに....」

 

マリアはオルトの言葉に意外そうな顔をした。

それはそうだ。オルトがその力を嫌がってたから、今まで使わなかったのだ。

だから、マリアはその言葉に驚愕した。

 

「ああ、でも今はそんなこと言ってられない。

マリアを取り戻せるなら何でもやるさ」

 

「オルト......」

 

「だから、安心して俺に任せろ」

 

「うん、任せる」

 

二人はまた、抱きしめ合った。

 

 

 

 

 

--もう、絶対に離さない。--

 




あれー?
なんかオルトが主人公っぽい...


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六話 剣神の乱舞

 

決闘の日、当日 11時30分

オルトは、まだ来ていなかった。

 

「ふん、僕に恐れをなして逃げたか」

 

マリアはその姿を見ながら天に祈った。

 

「オルト......」

 

 

 

 

その時、オルトは、

 

「zzz....」

 

寝坊していた。

 

 

 

 

 

 

そして、11時50分

オルトはまだ来ていなかった。

 

「やはり、来ないか」

 

マルカスは振り返り帰ろうとした。

 

「待って!まだ時間じゃないでしょう!」

 

「ふん、この時間だ。もう来ないだろう」

 

マリアはマルカスを必死に止めるが、マルカスはそれを聞かず帰ろうとする。

 

「お願い!もう少しだけ待って!」

 

「しょうがない。今は、君に免じて待ってあげよう」

 

 

 

そして、約束の時間がきた。

 

「来ない、か」

 

「オルト......」

 

マルカスはつまらなそうに、マリアは悲しそうな顔をした。

 

 

「帰るぞ」

 

マルカスが帰ろうとした、その時、

 

「待った!!」

 

オルトは現れた。

 

「オルトっ!」

 

マリアは、顔を上げオルトを見る。

他の者も、突然現れたオルトに、色々な視線を向けた。

 

「オルト・バルトリウス、遅かったな」

 

「ん?ああ、悪い悪い、少し寝坊してな」

 

寝坊?こんな大事な時に?

 

「本当に君は身勝手なんだな」

 

「なに?」

 

マルカスの言葉にオルトは眉を潜めた。

 

「だってそうだろう? 僕の結婚式を中断させ、婚約者を賭けた決闘を申し込まれ、挙げ句に寝坊して遅れそうになった? ふざけるのも大概にしろ」

 

「......」

 

「なにも言い返せないか」

 

マルカスはふぅ、と息を吐き出しつけた。

 

「まあいい、早く決闘を始めよう。審判、開始の合図を」

 

「は、はい」

 

マルカスは審判であろう男に開始を促せる。

審判は、吃りながら応え、徐に手を上げる。

 

「いざ、尋常に...」

 

そして、その手を、

 

「始めっ!!」

 

降り下ろした。

 

「はあぁぁぁぁぁ!」

 

開始の合図同じに、マルカスはオルトに斬りかかった。

 

キィィィィン

 

と音を鳴らせ、火花を散らせる。

そのスピードは早く、その早さに会場は歓声で包まれた。

 

「ふん、流石に受け止めるか」

 

「当たり前......だ!!」

 

だが、オルトは、仮にもSランクの冒険者。

しかも、Sランクになったとき、剣を持たせたら誰にも負けないことから『剣神』という二つ名をつけられるほど剣がたつのだ。

そんなオルトがたかが少し早いくらいの剣で斬られる訳がない。

そして、オルトは剣を押し返し、反撃に転じる。

上段からの袈裟斬り、そこから、フェイントを入れながらの回転斬り。

オルトは、手を休めずにマルカスに斬りかかる。

 

「クッ! 平民上がりの分際で...!」

 

マルカスは悪態を付きながら、オルトから距離をとる。

そして、高速で魔法陣を組み立て、詠唱を始めた。

 

「灼熱の炎よ、汝の力を持って、我が敵を焼き払え!『フレイム・バーン』!」

 

マルカスは、下位魔法の上級にあたる魔法を放った。

 

「そんなもん、たたっ斬ってやる!」

 

対するオルトも、それに負けじと魔法を放とうとする。

 

「生命の源である水よ、汝の力を剣に宿し、我が敵を切断せよ!『アクア・スパーダ』!」

 

「「「な!?」」」

 

アリーナにいる者達は驚愕した。

何故ならオルトの使った魔法は付与魔法。

普通の魔法とは違うのだ。

ちなみに魔法とは、 体内にある魔力と言う力を外に出し、それを媒介にして様々な現象を起こすことである。

魔法の種類としては、まず事象魔法というものがあり、その中でも、火、水、土風が下級魔法となり、雷、氷、木、爆発が中級魔法となる。他に、光、闇、が上級魔法となり、最上級魔法が空間と時間である。

下級魔法は魔力があれば使えるが(強弱はある)、その派生である中級魔法は並みの努力では使えない。上級魔法は派生ではないため、努力では使えるようにはならない。そのため、生まれた時の才能で使えるかが決まる。最上級魔法は伝説の魔法とされ、使える者は現在ではほとんどいないとされている。

他にも、強化魔法、召喚魔法、治癒魔法、付与魔法、これらは特殊な技能がいるモノもある。他にも、様々な魔法があるが、国によって形式が違う。

 

この上げたなかで、オルトは特殊技能がいる付与魔法をやって見せたのだ。

しかも、元々平民の成り立て貴族が、だ。

 

そして、二人の放った魔法が衝突した。

マルカスの放った魔法が霧散し、オルトが放った魔法はそのまま威力を弱めることなく、マルカスの方に向かって行った。

 

「クッ!」

 

マルカスは辛うじて避ける。

 

「クソッ!! この僕がたかが平民上がりの魔法に負けるかあぁぁぁぁぁあ!!」

 

そして、マルカスはオルトに斬りかかった。

 

ブンッ ブンッ ブンッ

 

下手に剣を振る濁った音が聞こえる。

オルトが放った付与魔法がマルカスを相当焦らせているのだろう。

 

「クソッ! クソッ! クソッ!! なんで当たらないんだ!!」

 

「...そんな剣じゃ当たらねぇよ」

 

ドゴォ!

 

マルカスの腹を蹴る

 

「ぐぼはあぁぁ!」

 

マルカスは、10メートルほど吹き飛んだ。

 

「クッ...クソッ! 剣が駄目なら僕の最大魔法でっ!」

 

マルカスの最大魔法。

中級である爆発魔法 エクスプロージョンの上位に位置する魔法

『イムプルスス・エクスプロージョン』

それは、広範囲に爆発とそれから発せられる衝撃をメインとした全範囲破壊魔法

その魔法は、自分の周りを跡形も無く吹き飛ばす恐ろしい魔法だ。

 

「全てを破壊する灼熱の衝撃よ、汝の力を持って、我が敵を焼き尽くせ!『イムプルスス・エクスプロージョン』!!」

 

魔法が発せられた瞬間的、辺りが光りに覆われた。

 

そして、光りが無くなり、煙が晴れた。

そこには、マルカスを囲う結界が張ってあった。

 

「...これは..」

 

「間に合ってよかった...」

 

 

観客の方を見ると、魔法陣を書き、息を切らしているマリアがいた。

 

「マリアっ! 無事たったか!?」

 

 

マリアは切れている息を整え、それから話始めた。

 

「ええ、大丈夫よ」

 

「それはよかった。て言うかこれ、お前がやったんだよな?」

 

 

「そうよ、そしてそれは、神聖術 護法結界(エスクド・プロテクション)

中級魔法からなら容易く守れる結界よ」

 

「...すごいな」

 

「その代わり、すごく疲れるのよ? これ

 

「わざわざありがとな!」

 

「ええ、どういたしまして」

 

皆が唖然としているなか二人は話を進める。

 

 

そして、

 

ドゴォォォォォン!!!

 

と音がなり、結界が崩れていった。

 

 

「っ!? そんな...なんで? まだ効力はあるはずなのに..」

 

そう、まだ結界の効力は切れていない。

なら何故結界が破られたのか。

結界を破るには、中級魔法以上の威力があるもので結界を破壊するしかない。

 

「ふふ.....ふははははは!! この僕がこの程度の結界を破れない訳ないだろう! なぁ、マリアぁ」

 

崩れた結界から出てきたのは、黒い靄を纏ったマルカスだった。

 

「マルカス...貴方、その姿は..」

 

マリアは怪訝な顔をマルカスに向けた。

 

「すごいだろう? どんどん力が溢れてくるんだ」

 

「その力...まさか、悪魔の力ではないでしょうね」

 

「ほう、流石聖女なだけはある。そのとうりだよ」

 

アリーナにいるマルカスの家臣以外の者は驚愕した。

それもそうだろう。伯爵家の長男であるマルカスが悪魔と契約していたのだ。

 

「それほどの力、並の悪魔ではないでしょう。

貴方は、どうやってその力を得たのですか?」

 

マリアはその力の原因をマルカスに問いた。

 

「ああ、確かアリアンド村だったかな? そこの村人全員生け贄にしたら契約に応じてくれたよ」

 

「なっ!?」

 

その応えに、オルトは驚きの表情を隠しきれなかった。

何故なら、その村は、

 

 

オルトの故郷だったのだから。

 

 

「貴様か.....貴様が、俺の家族を、村の人達を....!!」

 

「ああ、君はあの村の出身だったね。

そう、僕がやったんだ。

ああ、そういえば、君の父親と母親なんだけどね、『オルト..オルト...』って死ぬ間際まで君の名前を呼んでたよ。

その姿は、とても滑稽で可笑しくて、つい笑ってしまったよ。そのせいでお腹かがいたかったよ」

 

ブチンッ

 

オルトの中で何かが切れた。

 

「マルカスゥゥゥゥゥウ!!!

貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

オルトは剣を取りだしマルカスに斬りかかった。

そのスピードは、先程の試合の中でも一番早い斬撃だった。

だが、マルカスはその剣を片手で持った剣で易々と受け止めた。

 

「遅い、遅いぞ。オルト・バルトリウス!」

 

マルカスは剣を押し返し、反撃に転じた。

その剣のスピードは凄まじく、先程のオルトの剣を凌駕していた。

 

「ほらほらほら!! 貴様の剣はそんなものか!!」

 

「クッ!」

 

マルカスの四方八方の剣さばきに、オルトは苦戦を強いられた。

 

「ふん、最後に私の最強の魔法で貴様の命を散らしてやる」

 

マルカスは、そう言いながら、魔法陣を組み立て、詠唱を始める。

 

「我、悪魔に見初められし者、彼の者の力よ、我の願いに基づき、憎き者に地獄の鉄槌を下したまえ『ヘイトレド・フォール・インフェルノ』」

 

マルカスが放った魔法は、赤黒く、大きな炎の玉だった。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

その魔法を見た観客は恐怖のあまりマリアを除いた全員が悲鳴を上げ逃げ出した。

 

そして、その魔法は、オルトの方へ向かっていった。

 

「クソッ!」

 

オルトも、大きく、避けることが出来ないと判断したのか、対抗して今ある全ての魔力を使い、自身の最強魔法を放った。

 

「生命の源の水よ、大気に渦巻く風よ、今、二つは一つと成りて、我が剣に宿り、我が敵を断絶せよ!『フルス・アルモニア・ウィンド・エルスパーダ』!!」

 

風と水属性の合成付与魔法。

これが、オルトが寝坊して来た理由。

昨日までずっとこれの練習をしてきた。

夜遅くまで鍛錬していたせいで寝坊してしまったのだ。

だが、それまで一度も成功はしなかったが、今、ようやく成功した。

いや、土壇場で成功させたのだ。

 

 

だが、マルカスが放った魔法と衝突し、無惨にも消し飛んだ。

 

「ふはははは!所詮、貴様の魔法などその程度なのだ!」

 

マルカスは、オルトの消し飛んだ魔法を見て嘲笑った。

 

「消し飛べ! オルト・バルトリウス!!」

 

「いやー! オルトーー!!」

 

マルカスは、狂喜の笑みを浮かべ、マリアは悲しみのあまり叫んだ。

 

 

そして、マルカスの放った魔法がオルトに当たった。

 

 

「グガァァァァァア......!!」

 

オルトは、マルカスの放った魔法と一緒に、アリーナの壁に衝突した。

 

 

ドゴォォォォォォォォォォォ!!!

 

今までにない音がアリーナ全体に響いた。

 

オルトは、瓦礫に埋もれ、アリーナは静寂した。

 

「ふは、ふははははは!! 勝った!勝ったぞ!! 僕が勝ったんだ!!」

 

「そんな、オルト...オルトォ...」

 

マルカスが勝利の雄叫びを上げる中、マリアはその場にへたりこんだ。

オルトが死んだ。その言葉がマリアの頭の中を占めていた。

 

 

 

 

ガラッ

 

 

瓦礫から音が聞こえた。

 

 

マルカスとマリアが瓦礫の方を見る。

するとそこには、

 

オルトが立っていた。

 

「な...に..」

 

「オルトッ!!」

 

マルカスは先程までしていた狂喜の笑みを止め驚愕した。

マリアはオルトが生きていたことに喜びの声を上げる。

 

「まだだ、まだ...終ってねぇ....!!」

 

「何故だ...何故そこまでして立ち上がる!!」

 

「それは、家族の、村の人達の仇をとるため....愛する女を助けるためだ!!!」

 

オルトは叫び、意味嫌っていた力を解放する。

 

「戦神アルトリウスよ、 咎人に鉄槌を下すため汝の力、我に与えよ、さすれば、咎人の首を汝に捧げよう!」

 

オルトの体から神力が溢れ出す。

それはまるで、オルトの怒りを具現するが如く渦巻いていた。

 

「なんだそれは...なんだそれは!?」

 

 

「これは、皆の思いだ...!!

てめぇが殺してきた人の...皆の思いだ...!

てめぇが散々、助けを求めて来ては、踏みにじって来た人達の...思いだ!!

そして、マルカス、貴様が泣かしたマリアの思いなんだ!!!」

 

オルトは、神力で剣を造り出し、マルカスに歩み寄っていく。

 

「来るなぁ! 来るなぁぁ!!」

 

マルカスは、転けながらも逃げようとした。

 

「あの世で、死んだ人達に詫びろ!クソヤロォーーー!!!」

 

「グガァァァァァ!!!」

 

 

オルトは、剣を降り下ろした。

降り下ろした剣は、マルカスに当たったとたんに、黄金に輝く、光の柱ができた。

その光の柱は、天にまで届くほど高く昇った。

そして、マルカスは跡形も無く消え去った。

 

 

「はあ...はあ...はあ...」

 

 

バタンッ!

 

「っ!?オルトッ!」

 

オルトは力尽きたようにその場に倒れ込んだ。

マリアは、ハッとなり、オルトに駆け寄っていく。

 

「オルト!大丈夫!?オルト!!」

 

マリアは涙目になりながら、オルトに呼び掛けた。

 

 

「..マリ...ア..、俺.....やったよ...」

 

「うん! うん!! よくやったわ!本当によくやったわよ!!」

 

オルトは途切れ途切れの言葉で言った。

マリアは、その言葉に涙で顔をグチャグチャにしながら喜んだ。

 

「これ....で...お前...を..失わずに......すむ...」

 

そう言い残し、オルトは気を失った。

 

「オルトっ!? 大丈夫!? オルト!」

 

マリアは急いで、オルトが生きているか確認する。

 

「はあ~、よかった~。死んでたらどうしようかと思ったわ」

 

生きているとわかり、安堵の息をはいた。

 

「本当に、最後に絞まらないわねぇ」

 

マリアは、オルトに向けて呆れた笑みを浮かべる。

 

「でも、私のためにマルカスに向かって行った姿は、とてもかっこよかったわ。

ありがとう、オルト」

 

 

そして、マリアは、自身の唇をオルトの唇に重ねた。

その姿は、お姫様が騎士に褒美のキスをしているみたいで、童話の中にいるようでであった。

 

 

 

 

 

--永遠に貴方を愛しているわ、オルト--

 




オルトさーーん!
さすが俺の大好きなキャラ!




感想お待ちしております!


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七話 外への興味

sideユーリ

 

あれから幾度か春をむかえた。

今は、5歳だ。

それまでなにがあったかって?

まぁ、いろいろなことをしたな。

例えば魔法の練習をして、下級魔法は使えるようになった。

もともと魔法は得意分野だったこともあってそれほど時間はかからなかった。

しかし、からだ作りも忘れてはいけない。

魔法が得意だとしても接近されてしまえば負けるのは火を見るより明らかだ。

からだ作りをしていたらリーシェに見つかって父上と母上に報告された。

そのお陰で父上が稽古を付けてくれると言って今ではからだ作りの他にも剣術や武術も習っている。

父上はとても強かった。

本気を出せば魔族とだってやりあえるだろう。

まさか人間族にこれほど強い者がいたとは、と驚愕もしたほどだ。

 

そして、最大の収穫は、

 

俺の固有能力が使えるようになったことだ!

 

これは純粋に嬉しかった。

幾千、幾万もの時を共にしてきた能力だ。

それが少しだが使えるようになったのだ。

これが喜ばずしていられるか!

ゴホンゴホン、つい嬉しさのあまりに興奮してしまった。

 

まぁ、そんなこんなでここまでやって来た訳だが

未だに外に出してもらえない。

家の庭には出たことがあるが敷地の外には行ったことがないのだ。

なので今日、外に出れるように父上と母上に直談判するつもりだ。

今日の夕飯の時に頼んでみるか。

 

 

----------

 

そして、夕飯時になった。

父上と母上は雑談をしながらご飯を食べている。

俺は、ご飯を食べるのを止め、言った。

 

「あの父上、母上、お願いがあるのですが...」

 

『!?』

 

オルトとマリアはフォークとナイフを落とし驚愕の表情をユーリに向けた。

 

「ね、ねぇあなた」

 

「な、なぁマリア」

 

「も、もしかしてなのだけれど」

 

「も、もしかしてだが」

 

「ユーちゃんが...」

 

「ユーリが...」

 

『俺達(私達)にお願いをした!?』

 

......そんなに珍しかっただろうか。

まあ、確かに考えてみればこれまでちゃんとした頼みをしたことがなかったか。

オルトとマリアは未だ固まったままだった。

 

「......それで、いいのですか?」

 

『はっ!』

 

硬直がとけオルトとマリアはようやく動き出した。

 

「ええ!! いいわよ!! それで何が欲しいの?おもちゃ? 本? もしかして物語に出てくる聖剣かしら? ユーちゃんのためなら王宮から聖剣だって聖槍だって盗ってきてあげるわよ?」

 

母上がすごい形相で此方に迫ってきた。

父上も、

 

「おう!! いいぞ!! なんでも言え! 何が欲しい?? シーサーペントの剥製か? それともキマイラか?? いや、もしかしてドラゴンの剥製が欲しいのか!」

 

と意味のわからない暴走をしてきた。

母上、さすがに盗みは良くないだろう。

それに父上、何故剥製しかでてこない。

 

「いえ、そうではなくて...」

 

『なら、何が欲しいの(欲しいんだ)?』

 

「...外に..行ってみたいのです」

 

「...外に?」

 

マリアとオルトは首をかしげた。

お願いがまさか外に出たいだとは思わなかったのだろう。

 

「はい、この年になっても一度も街に行ったことがありません。なので、外の世界を見てみたいのです」

 

それからしばらくの沈黙が流れた。

そして、閉ざされていたマリアの口から言葉が発せられた。

 

「いいわよ」

 

マリアは、真剣な眼差しをユーリにむけた。

いつもののほほんとした口調ではなく、しっかりとした口調でだ。

 

「いいのですか?」

 

「ええ」

 

少し驚いた。

稽古等はつけてくれてたが、親バカ(失礼だが)である母上からこんなすぐに許可がもらえるとは思いもよらなかった。

嬉しい誤算というやつか。

 

「では、明日にでも行ってきてもいいのですか?」

 

「いいわよ。ねぇ、あなたもいいでしょう?」

 

「 ああ、別にいいんじゃないか?」

 

父上も許可を出してくれた。

これでようやく外に出られる。

そう考えると自然と頬が緩んだ。

 

「では、明日のために今日は早く寝ようと思います」

 

「ええ、わかったわ~。じゃあちゃんと寝るのよ~?」

 

いつもの口調に戻ったな。

少し、安心したのは気のせいだろうか。

 

「はい、ではお休みなさい」

 

そう言って、食堂を去った。

 

 

ユーリは部屋に着き明日の準備を始めた。

 

父上と母上の許可を得た。

なら、明日は念願の外の世界だ。

準備は、しっかりとしとかないとな。

外の世界だ。

何が起きるかわからない。

もしかしたら街に魔獣がいるかもしれない。※街に魔獣はいません。

 

............

 

よし、準備が出来た。

金に回復薬、剣にグローブ。

そして、いざというときの爆弾。

服は一応家のもので行こう。

もう一度確認をする。

 

「よし、忘れ物はないな」

 

荷物を部屋の隅に置きベッドに寝転がる。

 

「明日が楽しみだ」

 

何度言ったかわからない同じ言葉を口にした。

 

「寝るか」

 

早く寝て明日に備えよう。

ああ、楽しみだ。

 

 

ユーリsideout

 

 

 

 

 

マリアside

 

 

まさかユーちゃんが外に出たいって言うなんて...

 

「少し、縛りつけすぎたのかしら...」

 

そう思えざるえなかった。

何故ならこの五年間いつもユーリは自分でやって来たのだ。

それがいきなり外に出たいからといって他人を頼るだろうか。

いや、ないことはないのだがあまりに考えれることではなかった。

 

「ねぇオルト...」

 

「ん?どうした?」

 

マリアの呼び掛けにオルトが応じる。

 

「私ね、あの子が喜んでる姿を一度しか見たことないの」

 

「.........」

 

マリアは悲しそうな表情で顔を伏せた。

 

「その一度も私達が何かしたわけでもないのに...」

 

「.........」

 

オルトは沈黙を続けた。

それはなにを思ってそうしているかはわからないが彼なりに思うところがあるのだろうと思いマリアは話しを続けた。

 

「どうすればいいのかなぁ...」

 

「......なにもしなくていいじゃないか」

 

沈黙を貫いていたオルトが口を開いた。

 

「え?」

 

「俺達はオルトを信じて愛せばいいだけだ」

 

「でも、私はユーちゃんになにも...」

 

「マリア、俺達はあのとき誓ったはずだ。どんなことがあろうとユーリを愛すと」

 

そうだった。

あのとき誓ったじゃない。

そんな大切なことを私は忘れていた。

 

「私って馬鹿ね」

 

「ああ、大馬鹿者だ」

 

マリアの目から一筋の涙が零れた。

オルトはそんなマリアを抱き締める。

 

「私達も今日は早く寝ましょうか」

 

「ああ、そうだな」

 

二人は抱き締めながら食堂を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? 私空気?」

 

そして、メイドのリーシェだけがその場に残された。

作者《というか、居たんだな》

 

「居ましたよ!!」

 

いきなり独り言を言うリーシェであった。

 

「なんかひどい!?」

 




リーシェぇ
キャラがなんか安定しないな~
自分の文才のなさに悲しみを感じるこの頃
どうやったらうまく書けるかなぁ


次回もよろしくお願いします!


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八話 外の世界

遅くなってしまい申し訳ありません!!
ただでさえあまり面白くもないのにこんなに時間を開けたことをお許し下さいm(__)m
前にお伝えした受験の件ですが...

なんと...








落ちました!!ヘ(≧▽≦ヘ)♪

いやー、まさか落ちるとは...
という訳でしてまた更新が遅くなります...本当にすみませんm(__)m

まあ、そんなことより本編をどうぞ!


 

 

 

金が少し入った小さな鞄と剣を持ち部屋を出る。

何故それだけかって?

それはリーシェに取り上げられたからだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「よし、行くか」

 

「待ってください、ユーリ様」

 

「なんだ?」

 

昨日の内に用意しておいた荷物を持って行こうとしたらリーシェに止められた。

なんかいつもこいつに邪魔されているような気がするのは俺だけなのだろうか。

 

「ユーリ様は今日どこに行かれるおつもりですか?」

 

「街だが? 聞いていなかったのか?」

 

「そういうことではないのです」

 

「ではなんだ?」

 

リーシェは深呼吸はして大きく息を吸い込んだ。

 

「では何故そのような格好をしているのですか!!!」

 

 

 

キーーーン

 

 

 

「うるさいぞ、リーシェ」

 

鼓膜が破れるかとおもった。

いきなり叫ばれるものではないな。

 

「それに、別に普通の格好だろう?」

 

ユーリは自分の格好を確認しながら言った。

金に回復薬、剣にグローブ。

そして、いざというときの爆弾。

別に、

 

 

「変ではないだろう?」

 

「いや、おかしいですから!!」

 

リーシェはユーリに指を指しながら言った。

別に変ではないだろう。

服は家の物だし剣とグローブも父上が俺にくれた物だ。

 

「ああ、そうか」

 

「! わかってくれましたか?」

 

「盾がなかったか」

 

「そういうことではありません!」

 

む、違ったか。

 

「ではなにが駄目なのだ?」

 

はあー、とリーシェは大きいため息をつく。

 

「今日は街に行くのですよね? それなら私も付いていきますので爆弾のような危険な代物を持っていかなくても大丈夫です」

 

「む、お前も付いてくるのか?」

 

「当たり前です。ユーリ様にもしもの事があったらどうするのですか」

 

別に大丈夫なのだが...

まあ、どうせ聞かないだろう。

 

 

「...そうか」

 

「お分かりいただけましたか」

 

ふぅー、とリーシェは安堵の息を吐く。

 

 

「では、爆弾を回収しますからね」

 

「......まぁ、仕方がないか」

 

 

 

-----------

 

 

こんなふうに取り上げられたわけだ。

まあ、街には魔獣がでないと母上が言っていたし大丈夫か。

あとは、盗賊どもだな。

俺に、いや俺の大切に手を出した時は生きているのを後悔させてやろう。(出ると決まったわけではない)

そんなことを考えていると玄関まで来ていた。

靴を履きドアに手を掛ける。

 

「ユーちゃん」

 

後から声が聞こえた。

まあ、こんな呼び方するのは一人しかいないか。

 

「母上?」

 

聞き返しながら振り返る。

そこには、母上と父上、それに執事のセバスまでいた。

 

「どうしました?」

 

何故いるのかわからない。

しかもみんな揃って...何かあるのか?

 

「ユーちゃん」

 

「ユーリ」

 

「ユーリ様」

 

俺の名前を呼ぶ。

皆の表情は、心配の色が出ているがそれよりも嬉しさの方が強かった。

次の言葉の待つ。

そして、

 

「「「行ってらっしゃい(ませ)。」」」

 

 

 

 

......この気持ち何だろうか。

いままで味わったことがない、この胸の空白が埋められていくかんじ。

魔界で生きて、魔王として君臨していた時には一度もなかったこの気持ち。

 

 

...ああ、そうか。

これが、家族というものか。

 

「...はい、行ってきます」

 

俺は、そう言い返し外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで今俺はリーシェと街を歩いている。

街は想像していたよりも賑やかで活気に溢れていた。

野菜や魚、肉の販売や飲食店などの呼び込みが多く、他にも子供たちのはしゃいでいる声も街中から聞こえてくる。

魔界の街は、これほど賑やかではなく、もっとじめっとしたかんじだった。

まあ、俺が街に行くと皆が静まりかえるのでそう思えただけかもしれないが...。

そんなことより

 

「この街はいいところだな」

 

「そうですね」

 

俺の独り言にすかさずリーシェが言葉を返す。

 

なんだか美味しそうな匂いがするな

これは...あそこの店か

この匂いはユーリたちから見て右斜め奥にある屋台からのものだった。

 

「リーシェ」

 

「はい、何でしょうか」

 

「あそこの店に行こう」

 

俺があの店を指差して言う。

 

「ユーリ様食べ歩きは行儀が悪いですよ。

それにそんなことをさせると私が奥様に怒られてしまいます」

 

「...別に少しぐらいいいではないか」

 

「駄目です」

 

「むぅ...」

 

リーシェは本当に融通がきかないな。

少しぐらいいいではないか。

 

「っ! わかりました。少しだけですよ?」

 

「!? いいのか?」

 

「.......はい」

 

まさかリーシェが許可を出してくれるとは...。

しかし、あの少しの間はなんだったのだろうか。

まあ、今はそんなことよりも店に行こう。

 

 

 

 

 

 

店の前に行き、30代前半ほどの男の店主に話しかけた。

 

「店主よ」

 

「ん? いらっしゃい。って貴族さま...。ここは貴族さまのようなお方が来るようなところではありませんが、何かご用で?」

 

俺を見たとたん急に態度を変えたな。

しかも、とても嫌そうな顔をして...。

貴族というのはそんな嫌われているのだろうか。

 

「それを2本ほどいただきたいのだが」

 

肉の塊が数個刺さった串を指差しながら言う。

そうすると 店主の顔は驚愕の色に染まった。

 

「あの、これは貴族さまが食べるようなものではないと思いますが?」

 

貴族が食べ歩きというのはそんなに珍しいのだろうか。

 

「いや、近くを歩いていたらとても旨そうな匂いがしてな。

匂いをたどったらこの店に着いたのだ。

それに、とても旨そうだと俺は思ったのだがな」

 

「......わかりました。二本でよろしいので?」

 

「ああ」

 

店主は不思議な表情をしながら串を二本新たに焼き始めた。

 

「そこの焼けているので構わないのだが」

 

「いえいえ、貴族さまに時間が経ったものを渡すわけにはいかないので」

 

ん? 気のせいだろうか店主のようすが少しかわって柔らかくなったような

まあ、気にしなくてもいいか

 

ふむ、焼くのに時間が掛かりそうだな

そんなことを思いながら空を仰いだ。

 

空は青く透き通っている。雲が斑に存在し、その雲がさまざまな形をしておりとても面白く感じた。

 

 

平和だな。

魔界ではあるはずのなかった光景。

空はこのように綺麗でなく、赤黒く、いつも雲に閉ざされている。

人間界では犯罪と言われる行為が毎日のように起き、平和とは程遠い世界。

 

 

もう一度言おう。

 

 

 

平和だ...。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユーリ様」

 

「ん?」

 

リーシェに呼ばれ思考を止め振り返る。

そうすると前を指さす。

どうやら串が焼けたようだ。

 

「お待たせしました、貴族さま」

 

「ふむ、ありがとう」

 

ほどよく焼けた旨そうな串を二本受け取り、一本をリーシェに渡す。

 

「あ、あの、ユーリ様。私は大丈夫ですのでユーリ様がお食べください」

 

「む、これはお前の分なのだ。お前が食べろ。そのために二本買ったのだ」

 

「で、ですが...」

 

ふむ、まだ拒むか...。

しかし、顔を見るに食べたくない訳ではないだろう。

なら

 

「いいから食べろ」

 

「フグッ!?」

 

少し跳んでリーシェの口に突っ込んだ。

 

モグモグ...ゴックン。

 

「どうだ? 旨いか?」

 

「...はい..美味しいです...」

 

「そうか、それはよかった。では俺もいただくとしよう」

 

パクっ

 

ん!? これは!

パリパリ焼き上がった皮に柔らかい肉、そして噛んだところからあふれでる肉汁...

 

「...旨いな」

 

これほどのものが街の屋台に出ているものなのか?

いや、多分そんなにないだろう

それにこの肉は何の肉だろうか

 

「店主よ」

 

「なんでしょうか」

 

「そなたが焼いた肉とても旨かった」

 

「...あ、ありがとうございます」

 

店主はまさか美味しいと言われると思っていなかったのか驚愕の表情を浮かべお礼を言った

 

「して、この肉は何の肉なのだ?」

 

「えー、それはコカトリス擬きです」

 

コカトリス...それは魔獣だ

 

 

魔獣とは、魔力を有する異形の生き物である。

その強さは千差万別、一般人でも集まれば勝てるものもいれば国ですら敵わないものもいる。

魔獣にはランクがつけられており、 F~SSSまである。F~Dは下級、CBは中級、Aは上級、S~SSSは災害級と呼ばれている。

例えば、下級の魔獣はゴブリンやコボルト、オークなどだ。

逆に、上級のAランクは、ドラゴンなどの伝説に登場するやつもいる。

そして、先ほど話に出てきたコカトリスは中級のCランク。

一般人である店主が倒せるような魔獣ではない。

 

 

「店主よ、それは魔獣なのか?」

 

「い、いえいえ!そんな俺みたいな一般人が...無理に決まってる!」

 

俺の問いに店主は慌てて否定する。

ふむ、ではなんだろう...。

8000年前にコカトリス擬き何てものは居なかった。

新しく生まれた新種か?

 

 

「ふむ、だが名前はコカトリスがつくのだろう?」

 

「ただ見た目が似てるからってつけられた名前ですよ。大きさも普通の鳥と一緒ですし」

 

「む、そうか」

 

 

やはり、まだまだ知らないことが多いようだな

まあ、これから知っていけばいいか

 

 

「そういえば、まだ金を払ってなかったな

いくらだ?」

 

「えー、銅貨2枚になります」

 

「ふむ、これでいいか?」

 

懐から銅貨を取り出し店主に渡す

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

「ではな、また来ることがあればよろしく頼むぞ」

 

「は、はい、またお越しくださいませ...」

 

 

 

では、他のところを見て回るとするか

 

「行くぞ、リーシェ」

 

「はい、わかりました」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

少しばかり歩いていると何もないところに着いた。

 

「む、何もないな。リーシェここはどこだ?」

 

「ここは平民の子供たちが遊ぶところですね。今は人がほとんどいないですが...」

 

ここが遊ぶところか...。

殺風景なところだな。

 

 

「ん? あそこにいるのは人か?」

 

「そのようですね」

 

数人の子供たちが少し離れたところにいた。

5人の子供が1人に向かって何かを投げている。

 

「.........」

 

ユーリは無言で子供たちの方に駆けていった。

 

「!?ユーリ様!?」

 

リーシェが驚いているようだが無視だ。

この光景は前にも見たことがある。

そのときは自分の立場上止めることができなかった。

そのときの助けてくれという眼差しから憎悪の眼差しに変わったときは結構くるものがあったな。

しかし、今はそれを止められる。

 

 

「そらぁぁ!!」

 

茶髪の男の子がしりもちをついている子に石を投げつけた。

 

パシッ!

 

ユーリは投げられた方の子の前に入り込み石を掴み取った。

そのあまりに唐突な出来事に他のものは呆然としていた。

 

「大丈夫か?」

 

ユーリは振り返りながらそう言った。

 

 

 

 




ようやくなんかユーリの主人公らしさが最後だけかいまみえましたね!
これからもっと出せるといいのですが...

更新は遅くなりますが一応次の話はいじめられッ子視点から始まります!
よければ見てくださいよろしくお願いいたしますm(__)m


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