IS~白い閃光~ (aaaaand777)
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プロローグ
IS~白い閃光~ プロローグ1


企業連による本格的攻撃が開始され海上都市ラインアークは戦場となった。 待ち受けている答えを知る由もない彼はネクスト「ホワイト・グリント」で 戦闘にのぞむ。 そして、遂にホワイト・グリントとステイシスとフラジールが対峙する。


プロローグ 1 ラインアーク攻防戦

 

 

 

ここで企業間の経済戦争の中で大きなターニングポイントとなる戦闘が行われようとしていた。

企業連が反体制勢力であるラインアークの唯一の拠りどころであり、最大の戦力でもある

ホワイト・グリントへの本格的な攻撃を決定したのである。

 このミッションには、カラードランク1オッツダルヴァに加え、ランク17のCUBEまで

投入するというところが企業連が本気になった証拠だ。

 これでは、いくらホワイト・グリントがトップクラスの実力を持つネクストでも

十全な戦力にならないことは火を見るより明らかである。

 しかし、ホワイト・グリントを駆る彼はそれでも戦場へ向かった。

 

 

 

 

 海上都市ラインアークの近くに二つの影があった。一つはオッツダルヴァが搭乗リンクス

であるステイシスで、もう一つはCUBEが搭乗リンクスであるフラジールだ。

 

 

「政治屋どもリベルタリア気取りも今日までだな、貴様らには水底が似合いだ

 いけるな? フラジール」

 

 

「はい、そのつもりです」

 

 

 辛辣な言葉を吐いた男がオッツダルヴァで、淡泊に答えた男がCUBEだ。

 

 

「フン・・・それはよかった。じゃ、いこうか」

 

 

 その答えに最初からどうでもよかったというように返すと、オッツダルヴァは

ステイシスにOBを発動させた。

それに続いてCUBEもフラジールにOBを発動させる。

 

 

 そして、ラインアークの主権領域に差し掛かったと同時に通信が入った。

 

 

 

 

「ラインアークに対し、企業連の本格的な攻撃が開始されようとしています。

 この攻撃にはカラードランク1のステイシスに加え、ランク17のフラジールが

 投入されるという情報が入っています。この情報が確かなら

 いくらホワイト・グリントとアナタでも厳しい戦闘になると予想されます。

 そこで我々は、ストレイドにラインアーク防衛を依頼しました。

 カラードランクは31と低いですが、今までの実績を見る限り腕は確かです。

 アナタはストレイドと協働して敵ネクストの排除にあたって下さい。

 それでも厳しい状況には変わりないので、十分に注意して下さい」

 

 

 彼はオペレーターであるフィオナ・イェルネフェルトの通信を聞きながら以前あった

ラインアーク襲撃の事を思い出していた。

彼自身はその戦場にいなかったが、記録映像でその戦闘を見たのである。

 

 

(ストレイドというとアイツか、確かにアイツの腕なら僚機として十分だが、

 今回はそれでも厳しいな)

 

 

「ちゃんと話を聞いてるんですか?

 アナタが撃墜されればラインアークは最大の戦力を失い崩壊することになるでしょう。

 この戦闘にラインアークの命運がかかっているんです、集中して下さい、

 それに何か嫌な予感がします、気を付けて・・・」

 

 

 ブリーフィングの途中で上の空だったのがいけなかったのかフィオナから注意される。

 彼は「わかった」と短く答えると考えを中断し気持ちを戦闘に向け切り替え、

ブリーフィングルームから退出して自分の愛機へと向かう。

 デッキに到着するとそこに居る整備士と軽く言葉を交わしネクストに乗り込む。

コクピット内で愛機の準備が整ったことを確認するといつもと同じようにフィオナに通信を入れた。

 

 

「ホワイト・グリント出撃する」

 

 

 そう言うと、ジェネレーターとブースタに火をつけ、OBを発動させて戦場に向かった。

 

 

 

 

 

 僚機のストレイドと合流し敵ネクストがいると思われる地点へ向かうその道中で

フィオナがストレイドに向け通信を開いた。

 

 

「ホワイト・グリントオペレーター、フィオナ・イェルネフェルトです、

 ご協力に感謝します、共に幸運を」

 

 

「・・・・・・・」

 

 

 中々返答がないので何か問題でもあるのかと考えているとストレイドのオペレーターから通信が入る。

 

 

「すまないな、ソイツはあまり他人と話したがらないんだ、気に障ったなら謝る」

 

 

 それを聞いて彼は、自分もそんなに他人とよく話すような性格ではないが

このリンクスよりはマシだと思った。

 

 

「いえ大丈夫です、気にしないで下さい」

 

 

 そう言い終えると、すぐにフィオナは彼に通信を入れた。

 

 

「まもなく戦闘領域に入ります。戦闘に突入する前に敵ネクストに対し最終勧告を出します、

 それでも敵ネクストに交戦の意志が見られるようなら速やかにこれを排除して下さい」

 

 

「了解」

 

 

「・・・・・・」

 

 

 彼はフィオナの通信に短く返すと戦闘領域に突入して行った。

 

 

 ホワイト・グリントとストレイドが戦闘領域に突入すると、すぐにレーダーが二つのネクストを捉えた。それに対しフィオナがオープン回線で呼びかける。

 

 

「こちらホワイト・グリント、オペレーターです。

 貴方達は、ラインアークの主権領域を侵犯しています、速やかに退去して下さい。

 さもなければ、実力で排除します」

 

 

 敵ネクストはこの問いかけに対しすぐに返答をかえしてきた。

 

 

「フン、フィオナ・イェルネフェルトか。アナトリア失陥の元凶が、何を偉そうに」

 

 

 言葉を吐くのと同時に、オッツダルヴァはステイシスにOBを発動させこちらに向かってくる。

続いてCUBEもフラジールにOBを発動させる。

 

 

「・・・・・どうしても、戦うしかないのですね」

 

 

 その行動を見てフィオナは呟いた。

フィオナの言葉を聞きストレイドのオペレーターが指示を出す。

 

 

「ミッション開始。ホワイト・グリントと共同し、企業のネクストを撃破する。

 敵ネクスト、ステイシスおよびフラジールだ。

 ステイシス・・・ランク1、オッツダルヴァか、企業連も本気ということだな・・・」

 

 その通信を聞き終わると同時に、ホワイト・グリントとストレイドもOBを発動させ

敵ネクストの迎撃に向かう。

時速1000㎞以上で飛行する四機のネクストは急激に互いの距離を詰め、すれ違うと同時に

“ドヒャァ!”と音がし、四機は示し合わせたようにQBを使い急速にターンした。

その時の速度は時速2000kmを超えるもので常人では反応できる速度ではないが、リンクスである彼らは違った。

 

 ホワイト・グリントはターンしている一瞬の間に両腕のライフルを牽制のために撃つ。

ステイシスとフラジールはQBをもう一度使い回避し、すぐさまステイシスはレーザーバズーカで

フラジールはマシンガンで応戦する。

 それをホワイト・グリント、ストレイドの両機は火力の高いレーザーバズーカを避けることに集中しマシンガンのダメージは無視した。

そして回避に成功した両機はラインアークへの被害を避けるため海上に移動する。

 

 

「ホワイト・グリント・・・大袈裟な伝説も今日で終わりだ、進化の現実ってやつを教えてやる」

 

 

 オッツダルヴァはそう言うとステイシスをホワイト・グリントへ向け海上に出た。

ストレイドは何とか2対1の状況に持ち込もうと考え、ステイシスを追おうとするが

その意思を理解したフラジールによって阻まれてしまう。

 これによりホワイト・グリントはステイシスとの1対1を強いられてしまった。

この状況にストレイドは焦りホワイト・グリントの援護に向かおうとするが、

フラジールがぴったり自分の後ろに張り付いてきて思うように行動できない。

このことが益々ストレイドを焦らせていく。

それを見かねてか、オペレーターから通信が入った。

 

 

「何を焦っているんだ、目の前の敵に集中しろ。心配するなホワイト・グリントならたとえ

 ランク1が相手だろうと遅れはとらん」

 

 

 通信を聞きホワイト・グリントとステイシスが戦闘をしている空域に目をやる。

そこには凄まじい操縦技術で高機動戦を行う二機の姿があった。

常人には認識できない速度で戦闘を行う二機の姿は見惚れるくらいだった。

 すると、突然ストレイドのコクピット内に至近弾を知らせる警告音が鳴り響く。

ストレイドのリンクスは戦闘中に一瞬でも動きを止めていたことに愕然とし、肝を冷やした。

 

 

 

 

 

 ホワイト・グリントは腕部兵装のBFFライフル、背部兵装の分裂ミサイルを使い分け

ステイシスを攻撃するが、何度もQBを使用して回避される。

もちろんただ回避するだけでなく、突撃型ライフル、レーザーバズーカの射撃も織り交ぜている。

ホワイト・グリントも二段QBを使用して回避していくが、徐々に回避できない攻撃が現れ始めホワイト・グリントが押され始めた。

 

 

(さすがにランク1のリンクスは手強い、それに機動戦は軽量二脚のステイシスに分があるか)

 

 

 彼は戦闘が始まる前から軽量二脚のステイシスと中量二脚のホワイト・グリントでは

機動性で差が出るのは分かりきっていた。

だから二段QBを使用し差を埋めようとしていたのだが、オッツダルヴァも二段QBを使い始めた事によってそれは意味をなさなくなってしまった。

 二段QBはそう簡単にできる操縦技術ではないのだが、それを当たり前のように扱える事から

彼とオッツダルヴァの操縦能力の高さがうかがえる。

 

 

(このままじゃジリ貧か、それなら・・・・・)

 

 

 彼は何かを決意するとOBを発動させステイシスとの距離を詰め始めた。

OBの使用やステイシスからの攻撃による被弾でPAとAPが減少していくが

そんなことは気にも留めず接近する。

 ホワイト・グリントに緑の光が集束されていくのを見て接近の意図を理解したステイシスは攻撃をやめ離脱を試みるが、既に白い光が膨張し視界を埋めようとしていた。

 次の瞬間、視界を白い光が埋め尽くした。ホワイト・グリントがAAを使用したのである。

しかし、二機の戦闘に決着はついていなかった。

ステイシスはギリギリで離脱に成功し軽微の損傷を負っただけだったのである。

 

 

(やはりこの程度じゃ墜とせないか、だがそれは予想通りだ)

 

 

 彼は離脱したステイシスをロックし、ライフルのトリガーを引いた。

AAの衝撃により体勢を崩していたステイシスにそれは吸い込まれるように直撃する。

 その射撃によるダメージは大したものではなかったが打ち所が悪かった。

 

 

「メインブースターがイカれただと !狙ったか、ホワイト・グリント!」

 

 

 そう、彼はステイシスのメインブースターを狙い打ったのだ。

メインブースターを失ったネクストが飛行を続けていられる筈もなく下降を始める。

 そしてオッツダルヴァにとって最悪だったことはここが海上だということだ。

 

 

「よりによって海上で・・・クッ、ダメだ、飛べん!」

 

 

 相当な重量のネクストが水に浮いてられる筈もなく海に沈み、それは当然コクピットにも及ぶ。

 

 

「・・・浸水だと? 馬鹿な、これが私の最期と言うか! 認めん、認められるか、こんなこと!」

 

 

 オッツダルヴァは叫びながら、ステイシスと共に海の底へと落ちていった。

 

 

(なんとかうまくいったか・・・あとはフラジールを墜とすだけだな)

 

 

 彼は少し安堵し、フラジールと戦闘を行っているストレイドの援護に向かう。

ストレイドと合流しフラジールに攻撃する。

フラジールもマシンガンとチェインガンで反撃してくるが、どの武器も近距離で喰らわなければ

問題は無いのでストレイドとホワイト・グリントは中~遠距離を保ち攻撃を続ける。

 このままフラジールを撃墜して戦闘が終了すると思っているといきなりホワイト・グリントに異常が発生した。

 機体の制御がきかなくなったのだ。

 

 

(操縦不能!? ダメージを貰い過ぎたのか?)

 

 

 ステイシスに接近する際にPAで軽減できなかったダメージが大きかったのだ。

だから脅威にならない筈のマシンガンを数発喰らっただけで異常が発生してしまった。

 コントロールがきかなくなったホワイト・グリントは先程のステイシスと同じように海に沈む。

浸水が始まりコクピットの中には警告音が鳴り響き、遂にコクピットも浸水を始めた。

 そして、コクピット内は完全に水に浸かる。

 

 

「ホワイト・グリント、戦闘不能です・・・彼はもう、あなたの助けになれません、ごめんなさい」

 

 

 

 彼は視界が黒く染まり意識が薄らいでゆくなかで、フィオナの声を聞いたような気がした・・・

 

 




初投稿です!!
コメントなどよろしくお願いします(∩´∀`@)⊃


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IS~白い閃光~ プロローグ2

彼はラインアーク攻防戦で撃墜され海底に沈んだ。 二度と目を開くことはなかったはずが、彼は真白い空間で目覚める。 そこで見たものは・・・・・・


(此処はどこだ?)

 

 

 彼は混乱していた。

理由は自分が置かれている状況がまったく分からないからだ。

目覚めたら真白い空間に浮かんでいて、それはまるで宇宙空間の様な無重力空間だった。

 彼は最初は此処が海中だと思った、なぜならネクストと共に海に沈んだことが

彼の最期の記憶だからだ。

しかし、此処が海中ならこうして呼吸をし続けていることは不可能だと気付きその考えを放棄する。

 それに目の前にいる老人も存在するはずがない、と思ったからだ。

 

 

「考え事は終わったかの?」

 

 

 老人が話しかけてきたので、まだ多少困惑している頭をなんとか落ち着かせて、言葉を返す。

 

 

「此処はお前たちの言葉でいうあの世で、そして儂は神様じゃ」

 

 

(あの世に、神様だと・・・この爺ふざけてるのか、それとも痴呆か?)

 

 

 彼が老人の話を信用できず、訝しんでいると老人がまた声をかけてくる。

 

 

「失礼な奴じゃな儂はふざけておらんし、痴呆でもない、いたってまじめな話じゃ」

 

「!?」

 

 

(オレの考えを読んだ!? どうやって!?)

 

 

「まったくうたぐり深い奴じゃ、神様にとって心を読むぐらい朝飯前じゃよ」

 

 

 老人の言葉を聞きやっと落ち着いていた頭をまた困惑に支配されることになったが

長年傭兵として最前線で戦い続けた事により培われた、強靭な精神力でなんとか持ち直した。

 

 

 

「此処があの世でアンタが神様だということは認めたうえで質問があるんだが、いいか?」

 

「(やっと認めおったか)質問とはなんじゃ?」

 

「オレはどうなったんだ?」

 

「簡単に言えばお前は死んだ、あの世にいるって時点で自分が死んだことぐらいわかってたじゃろ?」

 

「やっぱりか、まぁあの状況じゃ生きていられるわけないな」

 

 

 彼は自分の最期を思い出し死んだことに納得していた。

 だが、一つ気にかかることがありもう一度質問した。

 

 

「オレが沈んだ後、戦闘はどうなった?」

 

「それならストレイドじゃったか、そいつがフラジールを撃墜して戦闘が終了したぞ」

 

「そうか、ならよかった・・・で、オレはこれからどうなるんだ?」

 

「そのことについてなんじゃが、少し厄介なことになっておっての・・・」

 

「なにが厄介なんだ?」

 

「普通、人間は生まれた時から運命が決まっておっての、死ぬと新しい人間へ生まれ変わるんじゃが、お前は運命で決められていた死に方をしなかったのじゃ」

 

 

 彼はこの言葉を聞きまた困惑する。

しかし、そんなことは気にも留めず老人は話を続ける。

 

 

「つまり本来ならお前は生き残り救助されるはずだったんじゃがこちらの不手際で死亡させてしまったのだ こんなことは前代未聞なことで儂も対応に困っておっての、なのでとりあえずお前を此処に呼んで話をす ることにしたんじゃ」

 

「それじゃオレはお前らが犯したミスのせいで死んだってことか?」

 

「その通りじゃな、他に質問はあるか?」

 

「ふざけるな!!」

 

 

 彼は激昂し神を睨むが、神は気にせず話を続ける。

 

 

「起きてしまったことは仕方ないじゃろ?いくら神と言えど間違いはある、

 そんな過ぎてしまったことに目くじら立てるよりこれからのことを考える方が

 儂は建設的だと思うぞ」

 

「そんなことだと、お前にとっては些細なことでも、オレには重大なことだ!!」

 

「ギャーギャーうるさい奴じゃの、誰もこのまま消滅させるとは言うとらんだろ?」

 

 

「消滅だと!? どういうことだ!?」

 

 

「はて言ってなかったかの?お前は今いわゆる魂という状態じゃが、人間の魂は長い時間ここに

 存在することができん、しかもお前が生まれ変わるはずの人間はまだ存在していない、

 よって生まれ変われる人間が現れるまでの間ここに居れないお前は消滅するということじゃ」

 

 

「勝手に殺しといて、次は消滅だと? いい加減にしろ!!

 生まれ変わるのが無理なら、生き返ることはできないのか?」

 

 

「それは無理じゃ、お前はもう元居た世界で死亡が確認されておる

 死人がまた動き出したらおかしいじゃろ?」

 

「じゃあお前はオレにおとなしく消滅しろというのか!?」

 

「心配するなお前には転生というものをしてもらう」

 

「転生とはなんだ?どういうことになるんだ?」

 

「転生とはな大雑把に言うと別の世界に行って生きてもらうと言うことじゃ」

 

「別の世界とはどんな世界だ?」

 

「そうじゃな~お前の能力を最大限にいかす為にも元居た世界と似たような世界が望ましいの

 ちょっと待っとれ」

 

 

 神はそう言うと目を閉じ喋らなくなった。

 しばらくして閉じていた目を開くと彼に話しかけた。

 

 

「インフィニット・ストラトス、通称ISという兵器が存在する世界はどうじゃ?

 この兵器ならお前の居た世界のACと似ておるし、いいと思うぞ」

 

 

「そのISというやつがどのような兵器か説明してくれ」

 

 

「ISとは宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツじゃが、ある事件により宇宙進出よりも飛行パワード・スーツとして軍事運用されるようになった、ISの核となるコアと腕や脚などの部分 的な装甲であるISアーマーから形成されておる、その攻撃力、防御力、機  動力は非常に高い究極の機動兵器とされておる、それにシールドエネルギーによるバリヤーや『絶 対防御』であらゆる攻撃に対処でき、操縦者が生命の危機にさらされることはほとんどない、あと は武器を量子化させて保存できる特殊なデータ領域があり、操縦者の意志で自由に保存してある武 器を呼び出せること、ハイパーセンサーの採用によって、コンピューターよりも早く思考と判断が でき、実行へと移せるくらいじゃな」

 

 

「中々すごい兵器じゃないか」

 

 

「しかしISには致命的な欠陥があっての、女性にしか起動させられんのじゃ」

 

 

「は・・・・・・?」

 

 

「じゃから男には動かすことができんのじゃよ、それが原因でISのある世界は女尊男卑の

 風潮が広がっておる」

 

 

「そんな世界にオレは行きたくないぞ、お前はオレに女になれって言うのか?」

 

 

 話の最初は興味を惹かれたが、その続きを聞いた彼は難色をしめした。

 

 

「そんなわけないじゃろ、話は最後まで聞け、そこでお前には男でもISを起動させれる

 ようにしてやろう、それに加えてお前が望むISを一機くれてやる、これでどうじゃ?」

 

 

「それなら大丈夫だ、考えるから少し待ってくれ」

 

 

 彼はそう言うと、どのようなISを貰おうか考え始める。

 しばらくすると考えがまとまったのか彼は口を開いた。

 

 

「ならオレが死ぬ前に乗っていたネクスト『ホワイト・グリント』をISにしてくれ、

 ただし、性能は落とさずにだ」

 

「承知したぞ、じゃがコジマ粒子は周囲に害を与えるがどうする?」

 

「そこは神の力でどうにかならないのか?」

 

「仕方がないの、コジマ粒子を人体や環境に害を与えない物質に変えておく、

 それにサービスでお前の世界で存在した武器をすべて量子化して取り出せるようにしておこう」

 

「えらく太っ腹だな、本当にいいのか?」

 

「こちらに負い目があるからこれくらいは許容範囲内じゃ、容姿や身体能力はどうする?」

 

「このままで構わない」

 

 

 自分の見た目などにあまり関心がない彼は即答した。

それを聞いて神は彼の後ろに光る扉を出現させる。

 

 

「それなら後は、お前の後ろにある扉をくぐるだけじゃ」

 

「わかった」

 

 

 彼は短く答えるとその扉に向かう。

 そして、その光の中に消えて行った・・・・・・

 




やっとプロローグが終わりました(´Д`;)
今回は自分でも内容が酷いような気が・・・・・
次からはISの話に入れたらいいなぁと思います
コメントなどよろしくお願いします!!


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CHAPTER1
IS~白い閃光~ 第一話


神と名乗る老人によりISの世界に転生することになった彼はこれからどのように生きていいくのか
IS~白い閃光~やっと本編に突入です!!


「ここは・・・」

 

 

 彼は目覚めた、それは朝に目が覚めるくらい自然にだ。

この様子だけを見たら、どこにでもあるような日常の風景だが、彼には普通ではなかった。

それもそのはずで、ここは彼が生きていた世界とは別の世界であり、全く知らない場所だからだ。

取り敢えず彼は、何故自分が眠っていたのかを思い出すことにした。

 

 

「オレはなんで眠っていたんだ? 確か爺に言われた通り光る扉をくぐったはず・・・」

 

 

 そうしてしばらく考えていると、扉をくぐったら急激な眠気に襲われた事を思い出した。

それを思い出すと、彼は不機嫌そうに呟いた。

 

 

「クソ爺が、ちゃんと説明くらいしとけ」

 

 

 ちなみに、彼が爺と読んでいる人物は神と呼ばれている存在で、

彼をこの世界に転生させた張本人である。

彼は、この状況を生んだ原因に毒を吐き終えると、嘆息をついた。

 いつまでもこうしている訳にもいかないので、自分の身の周りの状況などを確認する為に

立ち上がった。

そして、おそらく寝室であろう部屋から出て、自分が居る建造物を把握することにした。

 廊下に出てまっすぐ進むと、リビングとダイニングがあり、そこのテーブルの上に一枚の紙と薄く小さいノートのようなものとブレスレットが置いてあった。それは手紙らしく、それを読んだ彼は、愕然とした。

 

 

“これを読んでいるということは無事に転生できたということじゃな。状況がわからず混乱してる

 かも知れんから、簡単にお前の身辺状況をこれに書いておく。まず最初に、今のお前は、

 15歳の少年で、日本人じゃ。名前は『白井光』という。どうじゃ、いい名前じゃろ?

 儂の美的センスに感謝するがよい。次に、お前は、今から一週間後にIS学園に入学する事に

 なっておる。なので入学まで の一週間でISの操縦や、この世界の常識に馴れておくといいぞ。

 お前のIS『ホワイト・グリント』は、 テーブルの上に置いてあるブレスレットじゃ、

 大切にするようにな。それと生活に必要な金は一緒に置い てある通帳に入っておるそ。

 儂からの話は以上じゃ。お前の二度目の人生の幸運を祈る。”

 

 

 彼は、手紙を読み終わると同時にそれを握りつぶした。

そして洗面所に向かい鏡で自分の容姿を確認する。そこに写っていたのは、

明らかに生前の自分より若い自分の姿だった。

ここに来る前の自分はもう中年と呼ばれる年代に近かった。

下手したらオッサンと呼ばれてもおかしくない歳だった。それが10歳以上も若返ったら混乱

するのも仕方がない。

 彼は深い息を吐きだし、冷静になるために蛇口から水を出し顔を洗った。

洗い終え洗面所にあったタオルで顔を拭きもう一度鏡を見る。

そこには、やはり少年と思われるくらいの自分が写っている。

彼は、また嘆息をつきリビングに戻った。

 

 

 

 

 リビングに戻ると、テーブルの上に置いてあるブレスレットを手に取る。

それをしばらく眺め、どこにもおかしい所がない事を確認すると、左手に装着する。

それから生活用品、衣服、食材などがちゃんとあるか確かめ、必要なものは大体有る事を確認する。

そして生活する上で一番必要となる資金がどのくらいあるのかを確認する。

ここは日本という国らしく、この国の通貨の単位や価値はわからないが、

通帳という物に表記してある零の数を見れば生活の心配をする必要はないみたいだ。

 

 

「とりあえず、情報収集と資金調達だな」

 

 

 それだけの事を確かめると、彼は適当な服に着替え外出する事にした。

可能なだけこの世界の情報を知るためと、当面の生活に必要な資金を通帳から引き出すためだ。

玄関から外に出て、自分の住んでいる建造物を見て初めて一軒家に住んでいる事を知り、

彼は今日何度目になるかわからない嘆息をつく。

 

 

「一軒家に一人暮らしとか、どう考えてもおかしいだろ・・・」

 

 

 どのような考えで神は自分をこんな境遇に置いたのかと不満をこぼす。

また増えた不自然な状況に、少し重くなった足を引きずって彼は歩き出した。

 今居る場所は見る限り住宅が密集しているようなので市街地に向かう。

市街地に向かう道中、交通機関らしき物は見かけたが、今は手持ちがないので徒歩で向かうという

選択肢以外は存在しない。

 しかし、幸いな事に数キロ歩くと市街地に到着した。中々に栄えている街らしく、

ここなら目的が達成できそうと、少し安堵する。

とにかく、先立つ物が無いとどうにもならいので、まず銀行に向かい金を引き出すことにした。

 

 

 

 

 光は道行く人に銀行の場所を聞き、なんとかたどり着く事に成功する。

たどり着いたはいいが、当然光には金の引き出し方など分からないので受付にいる職員に

方法を聞く。説明を聞き、当面の生活資金を引き出し財布にしまう。

 次にこの世界の情報を集める為、銀行を後にする。そして、銀行に向かう途中で見かけた

書店らしき店に入り、雑誌らしい物を手に取り読み始める。

しかし、流石に雑誌では得られる情報が少ないので歴史書などを読む。

本を読みこの世界の事は大体わかってきた。この世界の科学や文化は自分が生前いた世界では

大昔にあたるようだ。だが生活面では、前いた世界と大差はないようなので安心した。

 知りたい情報も得る事が出来たので、店からでようとするとIS関係らしい雑誌を見つけたので、

手に取り読んでみる。

そこには、女性しか動かす事が出来ないと言われていたISを男性が動かしたと記事に載っていた。その男性の名は『織斑一夏』というらしい。彼が最初にISを起動させた男で、

自分と同じくIS学園に入学するとのことだった。その記事には織斑一夏の写真も載っていて、

その顔は同性である自分から見ても端正な顔立ちをしていた。

 記事を読み進めてみるとISの起動検査で発見された二人目の男性起動者の記事もあったが、

個人情報の保護か何かで写真や個人名は記載されておらず、IS学園に入学するとだけ書いてあった。光はこの人物が自分の事だとすぐわかった。

 

 

(名前や写真が公開されてたら外出どころじゃなかったな)

 

 

 光は、この時だけは神に感謝した。書店から出る事をやめた光はIS関連の書物を読みISに

ついての情報を集める事にした。

 しばらくして、一通り読み終わると、書店を後にする。読んだ書物からはISの開発者である

『篠ノ之束』の事や『白騎士事件』 『モンド・グロッソ』 ISの機体性能など色々な事が

わかった。

そして、自分のISである『ホワイト・グリント』の性能が現行のISから隔絶している事も知った。

 

 

(これはかなり不味いな・・・出処が不明で、しかも、かなり高性能のISを所持とか怪しすぎるだ ろ)

 

 

 光が所持している『ホワイト・グリント』はネクストをそのままISにしたような物なので、

武装の威力からしてケタが違う。

ISのシールドバリアーならハイレーザーライフルなら一発で、通常ライフルなら三~四発で吹き飛ぶだろう。それに加え時速1000km以上を叩きだすOB、

『瞬間加速』と言われるISの操縦技術で出せる速度を軽く上回るQB、極めつけはかなりの高威力を誇るAAまである。

 本当に異常なのはこれほどの機体を手足のように操れる光だ。

普通なら体が機体についていかないのだが、光は『リンクス』として身体を強化されているので、

身体能力などは、化物と言っていい。

それに、これほどの性能を持ったISを使用すれば、間違いなく注目されるだろう。

下手したら世界から追われる身になってもおかしくない。捕まれば解剖されてホルマリン漬けにされる可能性もあり、流石にそれは遠慮したい。

 光は、ホワイト・グリントの使用は可能な限り控えたたほうがいいかもしれない、と考えを整理すると帰宅するのを急いだ。

 

 

 

 

 帰宅して夕食を食べ終わりしばらくすると、電話の音が鳴り響いた。

光はこの世界に電話を掛けてくるような知り合いがいるのか、と思ったが、いつまでも鳴っている電話をそのままにしておくのも面倒なので、電話に出る事にした。

 

 

「はい、白井です」

 

 

 電話にでて簡単に答えると、受話器の向こうから女性の声が聞こえてきた。

 

 

「ふむ、白井光で間違いないな?」

 

「ええ、そうですが」

 

 

 この女性は誰だと思っていると、向こうからまた声が聞こえた。

 

 

「私は織斑千冬という、IS学園で教師をしている」

 

 

 その名前を聞いて、光は本に書いてあった内容を思い出していた。

 

 

(たしか・・・第一回モンド・グロッソで総合優勝と格闘部門を優勝した人物だったな、第二回の決勝戦では棄権したんだったか)

 

 

「それで要件なんだが、白井はまだIS受験を受けてないだろ? だから明日IS学園まで来れない

 かということなんだが」

 

「明日IS学園に行くのは問題ないんですが、IS受験とは何です?」

 

 

 とりあえず、教師だというので敬語で対応する事にする。

 実はIS学園の場所すらわからないのだが、光は受験内容の確認を優先した。

 

 

「IS受験では、簡単に言うとIS学園の教師とISを使用して模擬戦を行ってもらう、本来なら以前あった試験日にやるものなんだが、白井は試験日の後に行われた起動検査で発見されたのでな、急遽このような形で試験を行うことになった」

 

「わかりました、何時にそちらに向かえばいいんです?」

 

「そうだな、午後一時には試験を開始するからそれまでに到着するように、

 ああ、それとそのまま学園の寮に入ってもらうので準備を忘れないようにな」

 

「わかりました、寮に入る準備をしてIS学園に午後一時までに到着すればいいんですね」

 

 

 そう言って電話を切り、明日の準備をする為に大きめのカバンを探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 午前八時三十分に、昨日の夜に準備した大きめのボストンバック一つに収まった荷物を持ち、

一日しか過ごしていない我が家を後にする。

そして、近くの駅に向かい、駅員にIS学園への道順を聞いて切符を購入しモノレールに乗り込だ。

 生前では経験した事なかった、穏やかなモノレールでの旅を楽しみつつ、IS学園に向かう。

午前十一時にはIS学園の近場の駅に着いた。

 試験の時間まで余裕があるので、早めの昼食をとりIS学園に向かう。

そして、午前十二時五十分にIS学園に到着し、門の前でこれからどうするか考えていると、

突然声を掛けられた。

 

 

「お前が、白井光だな?」

 

 

 昨晩、電話越しに聞いた声が聞こえたので、声のした方を見るとそこには、一人の女性がいた。

一見するとスタイルも良く美人だが、鋭い吊り目とその雰囲気が、光に厳しい人なのだろうな、という印象を与えた。

 

 

「はい、織斑千冬さんですよね?」

 

「ああ、早速で悪いがこちらに来てくれ、入学前で忙しくてな、すぐに試験に取り掛かる」

 

 

 そう言って千冬は、光を試験を行うアリーナへと案内する。

そしてアリーナに着くと千冬は、こちらに振り向き話しかけてきた。

 

 

「さて・・・すまないが人手が足りないのでな、試験の相手は私だ、

 ここにある訓練機のラファール・リヴァイブか打鉄の好きな方を選べ」

 

 

 そう言うと、すぐに千冬は打鉄に乗り込む。

しかし光は、二機のISを見て考える。たしか、打鉄もラファール・リヴァイブも性能は安定していてそこまでの差はないはずだ。

なので光は、操縦しやすくて汎用性が高く、それにより操縦者を選ばない事と、多様性役割切り替えを両立しているラファール・リヴァイブを選択した。

 相手は、いくら訓練機と言えど、『ブリュンヒルデ』と呼ばれるほどの使い手である。

しかも光は、ISに乗って戦闘を行うのは、今回が初めてだ。だからどのような戦況になっても対応できるようにという理由があった。

 光がラファール・リヴァイブに乗り込むと、千冬が声をかけてくる。

 

 

「準備はできたようだな、それでは始めるか」

 

「ああ、始めるタイミングはそちらに任せる」

 

 

 光は戦闘に向け気持ちを切り替える。

 千冬は、先ほどまでとは雰囲気が変わった光に、少し驚きながらも開始を宣言すした。

 

 

「では、始めだ!!」

 

 

 千冬は、そう言うと打鉄に近接ブレードを装備させ、ラファール・リヴァイブに向かって

直進させた。

 光は、その接近を許すまいとラファール・リヴァイブに後退をかけさせながら五十一経口ライフルを射つ。

それでも千冬は、接近をやめず、ライフルの弾をブレードで弾く、または回避しながら弾幕の間を

縫う様にしてくる。

 これを見た光は、接近されるのは仕方ないとし、ラファール・リヴァイブに近接ブレードを

装備させて、打鉄と切り結んだ。

 ここまでは互いに素晴らしい動きと言えるが、模擬戦を行っている当事者達は困惑していた。

 

 

(やはり、ネクストとISの操縦は勝手が違うか、まだ慣れるのには時間がかかる!)

 

(この動きに反応する! コイツは本当にISに乗るのは初めてなのか?)

 

 

 光は、ネクストとISの操縦性の違いに戸惑っていた。

 ネクストは、コクピット内で操作するのに対し、ISは自分で動かなければならないのだ。

動かす事に慣れて、自分で動く事に慣れていない事が、光の操縦技術を発揮する妨げになっていた。

 一方で、千冬は光の操縦技術に驚いていた。

手を抜いていると言っても、IS操縦の初心者に反応出来る動きでは無いはずだ。

それを、目の前の男は接近されると見ると素早く後退をかけながら射撃、それが無駄だと判断するといなや、瞬時に近接ブレードを装備して切り結んで見せたのだ。

それは初心者が出来る動きではなかった。

 二機は、何度か切り結ぶと、どちらともなしに距離を取った。

 

 

(この動きにも反応するか、面白い・・・なら)

 

 

「白井、この動きにも反応できるかな」

 

 

 千冬はそう言うとまた打鉄を直進させた。

光はそれを見て、後退をかけながらライフルで応戦しようとするが、それは先ほどの直進とは

違った。打鉄の姿が直進してくる途中で消えたのだ。

そして、消えたと思った瞬間、目の前に現れたのである。

 光はようやく自分がミスを犯した事に気づいた。

 

 

(しまった! 迎撃は無理だ、回避!!)

 

 

 光は、瞬時に回避行動に移る。

 

 

「もらった!!」

 

 

 千冬は、ラファール・リヴァイブへの直撃を確信して快哉を叫ぶ。

そして近接ブレードを振り抜いた。

 

 




第一話です(・∀・)
今回は千冬さんとの模擬戦!
中途半端な所で終わってしまい、すいませんm( _ _ )m
コメントなどよろしくお願いします!!


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IS~白い閃光~ 第二話

千冬さんとの模擬戦も遂に決着!!
これから光の楽しい学園生活が始まるはず・・・・・・
IS~白い閃光~第二話です!


「もらった!!」

 

 

 光の意表をついて発動した『瞬時加速』、それによりまんまと自分の術中にはまった光の姿。

それを見て千冬は、勝利を確信していた。それは仕方のない事かも知れない。

彼女が今まで戦ってきた敵の中には、国家代表と言われるような強者もいたが、その強者でさえ

ここまで完璧に決まった瞬時加速からの攻撃を回避する事は、不可能に近いからだ。

ましてや、今相対している敵はIS操縦においては素人で、しかも射撃体勢に入っていたのである。

ここまでの状況を見て、回避出来ると考える方が可笑しい。

 だから彼女は、快哉を叫びながら近接ブレードを振り抜いた。が、千冬の一撃が

ラファール・リヴァイブを捉える事はなかった。

 忘れてはいけないのは、光は普通の人間ではなく『リンクス』という強化された人間だという事だ。彼の超人的な反射神経を持ってすれば、回避は十分可能なのだ。

 光は回避に成功すると、すぐさまこちらも近接ブレードを抜いて斬りかかろうとしたが、それはできなかった。何故ならラファール・リヴァイブが、光の反応速度についていけてないからだ。

 だから光は、その場から離脱しながら、ライフルを連射した。

その射撃は予想外の出来事により離脱が遅れた千冬に、連続して命中する。

 しかし、それは決定打にはならず、打鉄のシールドエネルギーを削るだけにとどまった。

その事が光を苛立たせた。

 

 

 

 

 一方で千冬は、目の前の少年が取った行動に舌を巻いていた。

光は、国家代表レベルでも回避が不可能な攻撃を避けて見せたのだ。

しかも、回避した直後に素早く離脱し、射撃までしてきた。

 いつまでも動揺している訳にもいかないので、千冬もその場から離脱したがその間に何発かのライフルの直撃を受けて、シールドエネルギーが削られた。

 その事実に、千冬は戦慄する。

 

 

 

(何という正確な射撃だ、それに反応速度も馬鹿げている!)

 

 

 千冬は体勢を立て直すともう一度接近を試みる。

 それを見て、光は距離を一定に保つようにしながらライフルを射つ。

模擬戦の最初には、回避出来たそれが次々と打鉄を掠める。

光がISの操縦に慣れてきた事により射撃が正確になったからだ。

 射撃戦に徹されては、勝ち目は無いと見た千冬は、瞬時加速を使い近接ブレードで斬りかかる。だが、それすらも光は回避する。

もう光は、瞬時加速が直線的な動きしか出来ない事を見抜いていた。そして自身も瞬時加速を使い打鉄に近接戦闘を仕掛けて見せた。

 もしこれが通常の瞬時加速だったら、千冬は回避または迎撃する事が出来ただろう。

しかし、光は瞬時加速の途中で軌道を変えたのだ。その光景にまた千冬は困惑する。

 その隙を光が見逃すはずもなく、ラファール・リヴァイブに持たせたブレードを打鉄に振り下ろす。その一撃は打鉄のシールドエネルギーを削り取るのに十分だった。

 

 

「ここまでだな」

 

 

 千冬が模擬戦の終了を告げて、ISの展開を解く。

 光もそれに習い、ISの展開を解いた。

 

 

「とてもISの操縦が初めてとは思えんな、どこかで訓練でもしていたのか?」

 

「いやいや、正真正銘ISを操縦するのは初めてですよ」

 

 

 千冬からの質問に、光は当たり障りがないように答える。

 それでも納得がいかないのか、千冬はまた口を開く。

 

 

「それにしては凄まじい動きだった気がするが?」

 

「ただ必死だっただけです、勘弁して下さい、

 それよりも、寮の場所と自分の部屋を教えてくれませんか?

 流石に疲れたので休みたいんですが」

 

 

 光は、この問答は面倒だと思い話題を変える。

千冬はそのお茶を濁す様な答えに釈然としないものを覚えるが、

一応納得して見せて光の質問に答えた。

 

 

「そうか、とりあえずお前の部屋の鍵とこの学園の地図だ、

 今日はゆっくり休め、それとお前の部屋に参考書が置いてある筈だ、

 これは入学前必読になっている、学園が始まるまでの間に必ず読め、いいな?」

 

「わかりました、それじゃ失礼します」

 

 

 そう言って光はアリーナを後にした。

 

 

 

 

 

 

 寮にある自分の部屋にたどり着いた光は鞄を置き、荷物と一緒に入れておいたブレスレットを左手首に装着すると、荷解きを始めた。持ってきた荷物は、最低限の生活用品だけだったのですぐにそれはすんだ。

 荷解きを終えた光は、改めて部屋を見た。国立と言うだけはあって、中々いい部屋だと思う。

ふと、机の上に目をやると、分厚くて大きな本が置いてある事に気づいた。

これが織斑千冬の言っていた参考書だなと当たりをつけると、表紙を開いてみる。

一目見ただけで分かる程、そこには膨大な数の文字が書かれてあったが、このくらいなら入学までには読めそうだと、光は思った。夕食まではまだ時間も有り、特にやる事もないので参考書を読む事にする。

 しばらく参考書を読み進めると、面白い物を発見した。

それはIS学園特記事項というもので、全55項存在する学園の特例事項である。

その中の

 

『第21項 本学園における生徒はその在学中において

 ありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。

 本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする。』

 

 という文章が光の興味を引いた。

この事項通りなら、ホワイト・グリントを使用しても大丈夫だと考えたからである。

 これなら例えホワイト・グリントを使用して注目を浴び自分の不利な状況になろうとも、

最低でも三年は身の振り方を考える猶予があるという事になる。これで光は、精神的にかなり楽になった。誰しも何の対策も無しにいきなり世界から追われる身になるよりは、

ある程度の時間の中で対策を考えられた方がいいだろう。それは光も例外ではなかった。

 それに光が安堵した理由がもう一つある。

それはISという兵器に対し、絶望していたからだ。

この絶望は、書店でIS関連の書物を読んだ時から始まっていた。

そして、今日ISに初めて乗り模擬戦をした事によって、より明確な物になった。

 ISという兵器がネクストに比べると脆弱過ぎるのだ。

条件が揃えば、ノーマルACがネクストACを倒すという事例があるので、一概にISがネクストより脆弱とは言えないのだが、光はISが下手をしたらノーマルACより脆弱な兵器だと思った。

それは光が乗ったISが訓練機だったからというのもあるかも知れない。

 しかし、明らかにISの動きが自分の意志に追いついていないのだ。

ネクストにおいては通常の動きなのだが、ISではオーバー・アクションになってしまい、

ISの駆動系が悲鳴を上げる。

 これが通常の兵器ならまだいいのだが、ISはパワードスーツであり自身の体に装着して使用する。いうなれば、自分の体を兵器とするのだ。しかし、ISの駆動系が光の意志に追いつかず、ISと光の間にタイムラグが生じてしまう。これが光に自分の手足が自由に動かないと感じさせる。

 この感覚はネクストに乗っていた頃にはなかったもので、光はこの感覚が歯痒くて仕方なかった。何せ光は、生前はネクストを操るリンクスとして戦場を駆る存在だったのだ。

 光にとって自分の反応についてこれず、ましてや、足を引っ張るような兵器は問題外なのだ。

やはり戦場を知る存在としては、自分の意志についてくる兵器が好ましかった。

 

 

 

 

 

 

 ある程度まで参考書を読み終え、顔を上げて時間を見ると夕食を摂るには、丁度いい時間になっていた。織斑千冬から貰った学園の地図を見て食堂の位置を確認すると、早速向かうことにする。

 しかし、ここで光は見落としていた事があった。それは自分が世にも珍しい男性のIS操縦者だという事だ。

 いくら学園が始まる前だからと言っても、全寮制なので少なからず生徒はいる。

しかも此処はIS学園なのだ、学園に残っている生徒は全員女性だ。

なので、必然的に唯一の男性の光に視線が集まるのである。

その視線は、好奇心からくるもの、光を値踏みするものなど様々だ。

光にとってそれは、居心地の良いものではなかった。

 

 

(こんなのが、学園が始まるまで続くのか・・・・・・)

 

 

 光は、この時学園が始まりもう一人の男性操縦者である織斑一夏が来るまでは、

最低限でしか部屋から出ない事を心に決めた。

この世界に来て何度目か分らない、大きな嘆息を吐く。

 そして、周りから聞こえてくる話し声や、絡みついてくるような視線を耐えながら

重い足取りで食堂へ向かうのだった。

 

 




戦闘描写も難しいですが、日常生活の描写も難しいですね(´Д`;)
悪い点などの指摘を戴けると嬉しいです
コメントなどよろしくお願いします!!


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IS~白い閃光~ キャラ設定

  白井 光(しらい こう)

 

 

◆身長177cm

 

◆体重65kg

 

◆年齢16歳

 

◆性別 男

 

◆容姿 黒髪、黒目の日本人で割と整った顔をしている。

 

 

 本編の主人公。「リンクス戦争の英雄」と呼ばれる伝説のリンクス。

ラインアーク攻防戦で死亡し、神と名乗る人物に『インフィニット・ストラトス』の世界へ転生させられる。戦闘中は極端に口数が少なくなり、最低限の事しか喋らなくなる。

 ネクストを操縦する事が出来るリンクスになる為、体を強化されており、桁外れの戦闘能力を有している。

長く傭兵をしていた為、戦場や戦闘という物を熟知している。

 

 

◆所有しているIS

 

 ホワイト・グリント

 

 光が元いた世界で搭乗していたネクストをISにしたもの。(ネクストをISにしたと言うより、ISと同じサイズのネクストと言った方が正しい)コジマ粒子によるデメリットは神という人物により、無くなっている。

 従来のISを隔絶した性能を持っており、ホワイト・グリントの武器を量子化して保存できる特殊なデータ領域には、光が元いた世界で、ネクストが使用していたほとんどの兵器が収納されている。その中にはVOBも含まれる。この機体はネクストと同じ構造をしているので、ISの世界では光以外操縦する事が出来ない。

 

 




久しぶりの更新です(´Д`;)
リアルが忙しいので中々時間が取れませんでした。
今回は設定だけですが、近々本編を投稿したいと思います。
感想、コメントなどよろしくお願いします!!


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IS~白い閃光~ 第三話

やっと本編です(´Д`;)
更新遅れてすみませんでしたm(_)m


「全員揃ってますねー。それじゃあSHRを始めますよー」

 

 

 クラス全体を見渡しながらその女性は声をかける。

 山田真耶、IS学園の教師で、このクラスの副担任である。

 身長が生徒とさほど変わらない真耶が微笑んでいる姿は、実年齢より幼いという印象を与える。さらにサイズの合っていない服を着ていることと、大きめな黒縁眼鏡が若干ずれていることも相まって、余計にそう感じられた。

 

 

「それでは皆さん、一年間よろしくお願いしますね」

 

「………」

 

 

 しかし、真耶の言葉に答える生徒はいなかった。何故なら言葉にし難い緊張感が教室内を支配していたからだ。

 誰からも答えを得られなかった彼女は、少しうろたえながらも自身の役割を果たそうとする。

 

 

「じゃ、じゃあ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で」

 

 

 この言葉を聞き、出席番号の一番若い生徒が自己紹介を始める。真耶はそれを見て、少し安堵した。

 それは、彼女が自身の教師としての力量に少し不安を持っていることもあるが、今年のIS学園の入学生の中には、例年にない異例があるからだ。そのことが彼女をより一層不安にさせるのだ。

 そして、何人かの自己紹介が終わり、一人目の異例である織斑一夏の順番となった。

 だが、一夏は、幼馴染である篠ノ之箒に視線を向けていて気づかなかった。

 

 

「……くん。織斑一夏くんっ」

 

「は、はいっ!?」

 

 

 真耶に呼びかけられ、一夏は、声を裏返しながら答える。それが余計に生徒からの注目を集めた。

 

 

「あっ、あの、お、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる? 怒ってるかな? ゴメンね、ゴメンね! でもね、あのね、自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。だからね、ご、ゴメンね? 自己紹介してくれるかな? だ、ダメかな」

 

 

 一夏の返事を聞き、真耶は頭を何度も下げながら、かなりの低姿勢で一夏に問いかける。一夏は、その姿を見て罪悪感が湧いてきたのか、宥めようとする。

 

 

「いや、あの、そんなに謝らなくても……っていうか自己紹介しますから、先生落ち着いてください」

 

「ほ、本当? 本当ですか? 本当ですね? や、約束ですよ。絶対ですよ!」

 

 

 一夏の言葉を聞いて感激でもしたのだろうか、真耶は彼の手を取り熱心に詰め寄る。

それがまた注目を集めた。一夏は、何とか真耶に離れてもらい、自己紹介をする為、立ち上がり後ろを振り返る。

 振り返った彼は、集められていた視線と向き合うことになた。一夏は今までは背中で感じるだけだった視線を初めて正面から見たのだ。その視線には、好奇心や期待などが含まれていた。

 

 

「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

 

 一夏は、たじろぎながらも自己紹介をし、礼儀的に頭を下げて、上げる。

 しかし、視線の主達はそれで満足しなかった。まだ何かを期待しているような視線を一夏に向けていた。

 

 

「………………(――――えーと)」

 

 

 そのような視線を向けられて、一夏は焦った。これは彼女たちの身勝手な期待で、彼は何も悪くはないのだが、こうもあからさまな視線を向けられると、自分が悪いのではないかと思ってしまう。

 一夏はせめてもの救いを求め、もう一度箒の方を見てみるが、目をそらされる。

 

 

「以上です」

 

 

 見事に期待を裏切られたのか、数名の女子が、がたたっと音を立ててずっこけた。

 

 

「あのー……」

 

 

 一夏の背後から涙声のような声で、真耶が声をかける。

 すると、パアンッ! という鋭い音が聞こえて、一夏の頭部に痛みが走った。

 

 

「いっ――――!?」

 

 

 この時、一夏の頭の中にはある事がよぎっていた。この叩き方が自分のよく知る人物と似ているように感じたのだ。

 

 

「…………」

 

 

 一夏がおそるおそる振り向くと、そこには自分の頭の中に浮かんだ通りの人物がいた。

 黒のスーツとタイトスカートに身を包んだ、彼の姉の織斑千冬である。

 

 

「げえっ、関羽!?」

 

 

 一夏が声を上げると、また、パアンッ! という鋭い音が響いた。

 

 

「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」

 

 

 トーン低めの声で千冬は言い放つ。一方で、一夏はまだ状況が飲み込めていなかった。

 彼にしてみれば、職業不詳の姉がここにいるのが不思議で仕方ないのだ。

 

 

「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」

 

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」

 

 

 千冬は、先ほど一夏にかけた声とは打って変わったような優しい声で、真耶の問いに答える。

 

 

「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと……」

 

 

 千冬から礼を言われたことで、真耶は照れながら言葉を返した。

 さっきの涙声はすっかりなりを潜めていた。

 

 

「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことをよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」

 

 

 教壇に立ち、クラスにいる生徒全員に向かって、千冬は宣言した。この物言いを聞き、一夏は間違いなく自分の姉だと確信する。

 しかし、はっきり言えば、これは暴言である。軍隊などの新兵訓練で、教官が新兵たちに向かって言う言葉なら、この言葉は適切かもしれない。だが、一教師が生徒にかける言葉ではない。

 一夏は、クラスの皆が困惑するだろうと思ったが、その予想は見事に外れた。

 

 

「キャ――――――――! 千冬様、本物の千冬様よ!」

 

「ずっとファンでした!」

 

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」

 

 

 織斑千冬の登場に教室の所々から黄色い歓声があがる。

 

 

「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しいです!」

 

「私、お姉様のためなら死ねます!」

 

 

 女生徒たちが口々に歓声をあげ続ける。その歓声の中には、結構危ない物もあった。

 その光景を千冬は、心底鬱陶しそうな顔で見る。

 

 

「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か? 私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」

 

 

 このような辛辣な言葉を聞いても、まだ歓声はやまない。むしろ先ほどより勢いを増した。

 

 

「きゃあああああっ! お姉様! もっと叱って! 罵って!」

 

「でも時には優しくして!」

 

「そしてつけあがらないように躾をして~!」

 

 

 さながら、自分たちの憧れのアイドルが目の前で決まり文句を言ったような反応である。

 千冬は、歓声を無視して一夏に話しかけた。

 

 

「で? 挨拶も満足にできんのか、お前は」

 

「いや、千冬姉、俺は――――」

 

 

 三度目の鋭い音が響く。

 

 

「織斑先生と呼べ」

 

「……はい、織斑先生」

 

 

 このやりとりで教室中に二人が姉弟であることがばれた。

 また教室が騒がしくなる。

 

 

「え……? 織斑くんって、あの千冬様の弟……?」

 

「それじゃあ、男で『IS』を使えるっていうのも、それが関係して……」

 

「ああっ、いいなぁ。変わってほしいなぁっ」

 

 

 千冬は、また騒がしくなった教室を見て嘆息を吐いた。

 

 

「静かにしろ、貴様たちが騒ぐから時間が少なくなってしまった。残りの者は簡潔に自己紹介をしろ」

 

 

 千冬が一喝すると、次の出席番号の生徒が自己紹介を始める。そして、遂に二人目の異例の順番になった。世界でISを使える二人目の男、白井光である。

 光は、向けられる視線に辟易しながら立ち上がり、自己紹介を始めた。

 

 

「白井光だ。一年間よろしく」

 

 

 一夏の時と同様に、もっと聞きたいといった視線を感じるが、簡潔でいいと指示が出ているので、光は気にせず席に着く。

 その後、自己紹介はつつがなく進み、最後の人が言い終わると、すぐにチャイムが鳴った。

 

 

「さあ、SHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ、私の言葉には返事をしろ」

 

 

 千冬の口からまたもや、暴言まがいの言葉が出た。

 

 

 

 

 

 

 一時間目のIS基礎理論の授業が終わり、休み時間を迎えていた。だが、教室内の異様な雰囲気は何も変わっていなかった。むしろ、他のクラスの女子、二、三年の先輩たちが廊下に詰めかけていることでさらに異様さが増していた。

 しかし、光や一夏に興味を示しているのに、誰も話しかけようとはしない。それは、女子同士が牽制しあい、妙な緊張感が生まれているからだ。

 この雰囲気に耐えられなくなった一夏は、自分と同じ境遇の男に話しかけることにした。

 

 

「はじめまして、織斑一夏だ。よろしく」

 

 

 一夏は、そう言って光に握手を求める。

 光は握手にこたえて、言葉を返した。

 

 

「ああ、白井光だ。よろしく、織斑」

 

「織斑って堅苦しいし織斑先生と被るから、一夏って呼んでくれよ。俺も光って呼ぶからさ」

 

「わかった、一夏」

 

 

 一夏は、光の反応を見て仲良くできそうだと思った。

 

 

「ホントに、光がいてよかったよ。俺一人だったら耐えれなかったぜ」

 

「確かに、この視線と雰囲気は鬱陶しいな」

 

 

 光の少し乱暴な言い方に、一夏は苦笑しながら頷いた。

 彼らがそのように共感しあっていると、そこに突然、乱入する者があらわれた。

 

 

「……ちょっといいか」

 

「え?」

 

「ん?」

 

 

 あの緊張感の中を抜け出してきたのかと思い、光と一夏が声がした方に目を向けると、そこには一夏の幼馴染の篠ノ之箒がいた。実に六年ぶりの再会である。

 

 

「……箒?」

 

「………」

 

 

 一夏が名前を呼んでみるが、彼女は一向に喋りださない。

 それを見かねた光は、一夏に彼女の紹介を促した。

 

 

「一夏、知り合いか?」

 

「あ、ああ。篠ノ之箒、俺の幼馴染だ」

 

「篠ノ之箒だ。よろしく頼む」

 

 

 光の質問を受け、一夏が箒を紹介する。

 

 

「白井光だ。こちらこそよろしく」

 

 

 紹介をうけ、光は無難に返事を返す。

 光は、彼女が不機嫌そうな目で一夏をずっと見ていることに気づき、大体のことを察した。

 

 

「それより篠ノ之、一夏に用があるんじゃないのか?」

 

「あ、ああ。い、一夏」

 

 

 箒はいきなり核心を突かれたことにより、動揺しながらも一夏に声をかける。

 

 

「廊下でいいか?」

 

 

 箒は一言だけ言って、一夏の返事も待たず、廊下に向かおうとする。

 

 

「悪いな、光。ちょっと行ってくる」

 

「いい。気にするな」

 

 

 一夏は、光に軽く謝る。

 

 

「早くしろ」

 

「お、おう」

 

 

 箒は中々来ない一夏にまた声をかけ、廊下に出る。一夏は、それに頼りない返事をして後を追った。

 一夏と箒が教室から出て行ったあとは、二人の話がどのような内容なのか興味を持った者が多かったらしく、教室に一人残った光に向けられる視線は減った。

 しかし、数が減ったと言っても、やはり気持ちがいいものではない。光は、早く授業が始まらないかと切に願っていた。

 そうしてしばらくすると、二時間目の開始を告げるチャイムが鳴り、廊下に集まっていた生徒は自分たちの教室に戻っていった。

 パアンッ! 廊下から四度目の鋭い音が聞こえた。

 

 




やっと本編を更新できました゚(゚´Д`゚)゚
キャラの口調にかなり不安が残ります・・・・・・
多分、次回は戦闘までいけるかなと思います。
ちなみに、みなさんはこの作品に恋愛要素って入れるべきと思いますか?
コメントなどよろしくお願いします!!


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