鬼畜な独裁者の物語 (おは)
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ある日

カリブ海に浮かぶ 小国トロピコ 人口2000人で有りながら

なぜか世界の先進国一員である奇妙な国である

 

そんなトロピコを治めるのは、終身大統領、陸軍大元帥、神の息子、人民の守護者という大層な肩書きを、四つも持っている男だった。

 

その男の名は、バルビエーリ・アルマスは、島が無人島とほとんど同じ状態だったのを

50年で先進国にまで発展させた優秀な人物だったが。その代償としてたくさんの個人的欠陥を持っていた。

 

欠陥のなかでも、特に悪いのは2だった。反逆者の頭蓋骨を使ってなぞの儀式をする事と

つまらない演説を、長々と話しつつけることだった。

 

 

そんな男の元で国民は繁栄を味わっていた。

 

そんなある日のこと

 

トロピコ共和国大統領宮殿

 

「プレジンデンデ。大変なことが起こりました」

 

と頭のゆるそうな男が、頭蓋骨と話していたバルビエーリに息を切らしながら言った。

 

「ぺヌルティーモ、なにを慌てているんだ?もしかいて島の近くになぞの陸地が現れた事なら、

君も知っている、ローランド君が教えてくれたよ」

 

バルビエーリは頭蓋骨を机に置くと執務室のカーテンを開けた。

そこには、カリブ海の孤島だったトロピコに無いはずの大地が永遠と続いていた。

 

「ペヌルティーモ、ロドリゲス将軍をすぐに呼んで来るんだ」

 

とバルビエールが言うとぺヌルティーモは急いで執務室から出て行った

 

 

しばらくして執務室にロドリゲス将軍とやってきた

 

「将軍、遅かったじゃないかいつもの君らしくないぞ。いつもの君ならこんな時には

誰よりも早く私の執務室に入ってくるだろうに」

 

バルビエーリは頭蓋骨をなでながらロドリゲスに言った

 

「司令官、島中が今回の出来事で混乱しておりまして。その混乱をせいで到着が

遅れました」

 

ロドリゲスは姿勢を正しながら言った

 

「将軍、ちゃんと処理はしたんだろうな」

 

「もちろんです司令官、すでに軍と警察は島の混乱を収拾のために行動しております」

 

「よし、将軍、私が君を呼んだのは君にやってほしい仕事がある」

 

「それは何でしょう。司令官」

 

「第一歩兵師団と第一機甲師団に、あの未知の大地の調査をさせろ」

 

「しかし、司令官。この異常について我々は何も分かっていません」

 

「将軍、君の心配は分かるが、この異変が何なのか私は知っているから安心をするんだ。」

 

それを聞いた。ロドリゲスは困惑した表情を浮かべながら、執務室から退室した

 

しばらくして

 

トロピコのすべての放送局が、夕方に大統領の特別放送を流すように指示されて

その準備に追われ始めていた。

 

国民は、この異変は何なのかという、説明が聞けるという安心感と。大統領のあまりにひどい演説を聞くと言う。絶望感と板ばさみとなりながら。夕方まで過ごすことにした。

 

そして、夕方。国民たちはすべてのラジオとテレビに大統領の声と老けた黒い顔を見た。

 

『親愛なる、国民の諸君、私はトロピコにおきた危機について話そう。それはトロピコがこれまでの文明化された世界から野蛮な別の世界に飛ばされたことだ。』

 

それを聞いたトロピコ国民は大いに驚いたが、誰も朝のような騒動は起こさなかった。

なぜなら昼ごろに布告された。違反者は即刻死刑と言う厳戒令施行されていたからだった。

 

『なぜ飛ばされたと諸君らは聞くだろ、その答えは簡単だ。神が私に話してくれた。

それは、この世界にはびこる異種族どもを滅ぼし!我らの同胞を文明化させることだ!』

 

とバルビエーリは絶叫した。



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上陸

混乱から一夜明けたトロピコ島のドックには15人の兵士と一台の装甲車が艀に乗り込んでいた。

彼らこそトロピコ軍の精鋭である第一歩兵師団と第一機甲師団である。

なぜ分隊ほどの人数なのに師団と呼ばれている理由はバルビエールの見栄のためだ。

 

第一歩兵師団

兵員10名

装備 AK74 RPK-74

 

第一機甲師団

兵員5名

装備 92式装輪装甲車

 

トロピコからエンジン付艀で出発してから10分後

部隊はトロピコ人は初となる異世界の大陸の上陸に成功した。

 

艀は部隊をおろすと船長が「どうかご無事で」と言った後にトロピコ島に帰っていった。

 

部隊の合同指揮官であるアラノ・シルベストレ中将は目の前に現れた未開のジャングルを

これは木こりがいないと何も出来ないぞ。と思いながら、兵士たちの準備をさせていた。

すると目の前のジャングルの木の揺れるとあたりからリザードマンが現れた。

 

「中将どうしますか、大統領は異種族は殺せと命令されました」

 

とその姿に驚きながら兵士の一人がアラノに聞いてきた。

 

アラノは連中の数が分からない中で攻撃を仕掛けるのは自殺行為だが、もし攻撃しなかったら

軍法会議にかけられて、即刻処刑だろう。それなら答えは簡単だ。

 

「少佐、あのトカゲを撃ち殺せ」

 

それを聞いた兵士はリザードマンがAK74の射程範囲に近づくと引き金を引いた。AK74から発射された弾丸は見事にトカゲの頭に命中し頭を吹き飛ばした。

 

アラノが見事に標的をしとめた兵士を褒めているとジャングルから今度は1000体以上の復讐に燃える。リザードマンが剣や槍を持って現れた。

 

 

「諸君、連中に近代戦闘というのを教えてやれ」

 

アラノは自分もAK74準備をしながら兵士たちを鼓舞した。

 

襲い掛かってくるリザードマンをアラノたちは、自分たちの持っていた小銃と機関銃、そして

装甲車の20ミリ機関砲で肉片に変えていった。

 

30分後

 

アラノたちが上陸した浜辺はリザードマンの血と肉片によって赤く染まり。かろうじて生き残っている、リザードマンたちの叫び声が時折聞こえる恐ろしい場所に様変わりした。

そんな中、その状況を作り出した本人たちは

 

「将軍やりましたね。我々は無傷、敵は全滅、完全な勝利です。私はあなたの下で働けて本当に幸せです」

 

「少佐、ここまでの技術の差があったら誰にだって出来るさ。そんなことより本国に木こりと弾薬の要請をしてくれ」

 

 

トロピコ島 大統領宮殿

 

「大統領、報告によりますと第一歩兵師団と第一機甲師団は共同で1000体以上のトカゲの怪物の殲滅に成功したようで」

 

ペヌルティーモは、自分がやったかのように、大げさな身振り手振りをしながら

バルビエールに報告していた。

 

「アラノに勲章をあげないとな。ところで何か他に言っていなかったか?」

 

バルビエールは執務室の机の上で手を組みながらペルヌティーモに聞いた

 

「あぁ大統領、弾薬と木こりの要請が来ております」

 

「なるほど、すぐに送ってくれ、ああそれと科学アカデミーの研究者が行きたいそうだから

それの準備もしておいてくれ」

 

バルビエールハそう伝えるとペヌルティーモは執務室のドアに頭をぶつけた後に部屋から出て行った。

 

2時間後 

 

日が傾いて美しい夕日の下で木こりと弾薬と科学者を乗せた艀が血まみれの海岸に上陸した。

 

「また会ったね船長。実はさっきも連中の襲撃があって、そのせいで弾が付きかけていたんだ」

 

と言いながらアラノは船長と握手をしていると。自分が頼んでいないものが目に入ってきた。

老人と言ってよいほどの姿をした男が、リザードマンの死体を見て狂喜乱舞している。という

あまり見たくない光景だった。

 

「・・・ああ。何をしているんだ。」

 

アラノは初老の男性に若干引きながらそう聞いた。

 

「何って、これを見て。君はなんとも思わないのか。いいかね、ここにある死体を調べれば

どれだけのことが分かるのか・・・」

 

と初老の博士はアラノに熱心に話し続けた結果

 

「わかった、わかった。確かにあなたの言うとおりだ。ただ、我々の目の届かない場所には

行かないでくださいよ」

 

やめさせようとしたアラノに、そう答えさせるほどだった。

 

木こり達がチェーンソーの準備をしているのを見ながら。アラノは気分転換にリザードマンを狙撃した兵士に、話しかけることにした。

 

「少佐、どうだ調子は?」

 

「ええ、将軍きれいな夕日を見ながら、一日の成果を見る。これ以上の楽しみはなかなかありませんよ」

 

「そうか、俺個人としてはあの死体の山が無いなら。もうすこし気分良く過ごせると思うんだがなぁ」

 

「将軍、この死体の山を作れと命令した。本人が言うとかなりおかしいですよ」

 

「はははは、確かにそうだな」

 

とアラノ達が喋っているとジャングルの木々がまた揺れた。

 

それを見たアラノは。海岸に散らばっている人々を、拡声器で艀のところにまで呼び戻すと

兵士達に攻撃の準備をさせた。

 

「また、トカゲだろうな。本当に懲りない連中だ。まあさっきまでの連中と同じようにしてやるから早く姿を見せろ」

 

と思っていると。アラノの予想と違ってジャングルから出てきたのは

二人の若い男を従えた老婆だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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大統領上陸

みんなもう知っていると思うけど主人公は外道です


夜の帳が下りて薄暗くなった海岸で、この世界の住人と初めての交流が行われようとしていた

その名誉を得る人物はさっきまで、リザードマンの死体に大興奮していた。白衣を着た老人だった。

 

「少佐、あの連中があの老人をどうするかをここで見物しようじゃないか」

 

アラノは装甲車の車体の上に座りながら部下の兵士に話し掛けた

 

「将軍、まずいですよ。もし彼が死んだら大変なことになりますよ」

 

「なぁに、あんな男木こり以下の価値しかないんだから。死んだって痛くも痒くもないぞ」

 

「知らないんですか将軍、あの人はトロピコで最も偉大な科学者、シェナイター・フォン・ベッカーですよ!」

 

それを聞いたアラノは顔が青くなりながら

 

「嘘だろう」

 

と聞き返した。

 

シェナイター・フォン・ベッカー 生物学兼原子力物理学の科学者。また元ナチス党員で親衛隊大佐

 

人道に対する罪で追われているところを、その才能を見込んだバルビエールが匿った

彼がトロピコに対してやったことは。核開発、宇宙開発、そして延命技術の三つである。

彼のおかげで、バルビエールは100歳になっても大統領として政務が出来るのである。

 

それほどの重要人物がもし原住民に殺されたらアラノだけではなく、彼の家族全員が処刑されるだろう

 

「少佐、今すぐ彼の保護をするんだ!」

 

とアラノは叫ぶと兵士たちを連れて原住民のところへ向かった。

 

当のシェナイターは三人の現状民の体見ると目を輝かせ

 

「ああ、少し体を確かめさせてもらってもいいかね?」

 

と困惑する原住民に聞いていた。

 

「わしらの質問に答えてくれたら、確かめてもいいが」

 

「それで、質問とは何なのだね。答えられる限りで答えるが?」

 

「おぬしたちは神の息子の軍隊かね?もし。紙の子の軍隊なら、神の子に合わせてほしい」

 

「神の息子だと。そんなやつがいたらすぐに解剖して・・・いや、いるぞ。わが国の総統・・・いや、大統領が神の息子と名乗っている」

 

それを聞いた老婆と二人の男はお互いに抱き合うと

 

「神に感謝を!」

 

と叫んだ。

 

ちょうどのその時。アラノたちがシェナイターのいる場所に到着した。顔が青くなっているアラノを見るとシェナイターは

 

「将軍どうしたのかね?まるで私の実験の前の被験者たちのような顔をしているが」

 

と。冗談なのか脅しなのか分からないことをおどけた声で言った。

 

「そ、それよりも。どうです。お体のほうは何もありませんでしたか」

 

アラノはさっきまでの威勢から、見ているほうが恥ずかしいほどに謙っていった。

 

「将軍、何を謙っているのだね。そんなことより彼らが我々の同胞なのか、抹殺すべき

異種族なのかを一緒に調べようではないか」

 

とシェナイターは笑いながら言った。

 

 

トロピコ島 大統領官邸

 

バルビエールはトロピコ島の夜景を眺めながら、自分が成し遂げた偉業の数々を思い出しながら

ラム酒を飲んでいた。

 

するとペヌルティーモが、そんなバルビエールの時間を壊すようにドアをあけると大声で叫んだ。

 

「大統領、シェナイター博士からの通信によりますと、我々の同胞が見つかったようです」

 

「本当か!それで彼らは何を言っているんだ?」

 

「なんでも、神の子に合わせてほしいとか」

 

「ほほう、やはり。神は私に使命を与えたのだな。ペヌルティーモ、我々の新しい同胞を迎いに行くぞ」

 

と言うとバルビエールは執務室から出た。

 

 

「何、大統領閣下がこの海岸にやってくるだと」

 

それを聞いたアラノは、装甲車に取り付けられた軍用電話叩きつけると、海岸にいる原住民を含めたすべての人間を集めると、バルビエールの訪問の準備をさせた。

 

あたりが完全に暗くなって、きれいな星空が海岸を覆い始めた頃

 

イカ釣り漁船のような明かりをつけた一艘のヨットが海岸にいる全員の目を痛めつけながらゆっくりと海岸に近づいていった。

 

ヨットが海岸に着くと、悪名高い大統領親衛隊の4人がしわくちゃの黒人の男と狐のような男を敬礼で迎えた。敬礼されている二人の男がバルビエールとペルヌティーモだ。

 

「将軍、君のためにバルビエールダイアモンド勲章を持ってきたぞ。これからもトロピコのために働いてくれ」

 

バルビエールが言うと将軍の背中を叩くと今度は兵士たちに向かって話し始めた

 

「兵士諸君、よく戦ってくれた。君たちは祖国の誇りだ。すでに特別手当を出しておいた休暇の時に家族と楽しんで来い」

 

それを聞いた兵下が歓喜の声をあげるとバルビエールは、リザードマンの死体いじりを再開しているシェナイターに

 

「博士、おみごとだな。君の勇気ある行動で私は新しい同胞を見つけられた。感謝する」

 

と言いながら、バルビエールはリザードマンの血で汚れたシェナイターと握手をすると。未知の

光景に戸惑っている。原住民たちに話しかけた。

 

「よく来た。トロピコの新しい同胞よ。私がトロピコの終身大統領にして、トロピコ陸軍大元帥ならびに、人民の守護者にして、神の息子である。バルビエーリ・アルマスだ」

 

と原住民たちに、自分の大層な肩書きを語った。

 

それを聞いた老婆はバルビエールの顔を見つめながら

「バルビエール様、わしらの部族オレを含めた。たくさんの部族は長年リザードマンたちに襲われ。奴隷にされてきました。そしてつい最近、あいつらは大挙してやってきて、わしらを襲うとわしらの部族の人間をたくさんさらっていきました。その中には私の孫も・・・」

 

と言うと老婆は泣き出してしまった。

 

「いやーつらかったろうな。よしよし。お前が言いたいことはこういうことだな。我々に奴隷達を解放することとトカゲどもを駆除することの二つだな。君達にも協力してもらうが必ずやりとげてみせよう」

 

と老婆を抱きながら。笑顔で原住民に語りかけていた。



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コンキスタドール

「・・・ああそうだ。最後にここに君の名前を書くから。君の名前を言ってくれ」

 

とシェナイターは、強制収容所仕込の登録術で次々と原住民達を、国家統計局員より速い速度で登録していった。

 

どうしてこのようなことになったかというと

 

バルビエールの会話後、原住民達は一度自分達の村に帰って仲間を呼んでくる。と言うと村に帰っていった。そして数日後。原住民達が全滅したと思っていた。アラノたちの目の前に、1万人を超えた、原住民が海岸にやってきたのだった。

 

 

そのあまりに多い人数のために、トロピコ各地から彼らに仕事を与えるために、さまざまな職業の人間が海岸にやってきた。そんな中アラノは、ジャングル進入に備えて500人の原住民の訓練をやっていた。

 

「糞ブタ、そんな撃ち方じゃ、何所にも当たらないぞ!もっと目標を狙え」

 

と言うとアラノは外した原住民を同じ分隊を集めると全員の顔を殴った後に

 

「お前ら、こいつと同じ分隊だな。腕立て伏せ100回だ」

 

「なぜ、俺たちがこいつのせいでそんなことしなくいけないんだ」

 

それを聞いた一人の原住民がアラノに反論すると。アラノはその原住民をおもっきり殴ると

 

「お前達は10人でひとつのチームだ!一人が起こしたことは全員で償わなくてはならない。

お前は、上官への反抗とチームを分裂させた。全員、腕立て伏せ200回」

 

と言うとアラノは部下の兵士を呼んで原住民達の腕立て伏せの監督をするように命令した。

 

「これで、十回目だな。即席にしてはなかなかよくやっているな。ただ・・・もう時間があまり無いかなら、少しの訓練で命が助かるなら、文句のひとつやふたつ、聞いてやるさ」

 

とアラノは葉巻を取り出しながら、一人つぶやいた。

 

なぜ時間がないかというと。それは、明日コンキスタドールを率いてジャングルに入れと、バルビエールに命令されているからだ。

 

 

バルビエールが言うには、コンキスタドールは少ない兵力で。アステカ、インカ二つの帝国を征服した。その精神と、なによりも兵器が発展したのだから。大丈夫ということだ。

 

その頃 原住民達の登録を終えた。シェナイターは原住民をやっているアラノを見つけると

 

「将軍、私も連れて行ってくれないか、私の知識は役に立つと思うが」

 

と頼み込んだ。

 

「博士、あなたの知識はは戦場では役に立たないと思いますが」

 

とアラノは呆れた口調で言った。

 

「将軍、確かに私の知識は戦場では役に立たないが。大量処刑の現場にいたから、すこしはリザードマンを絶滅させる事の役には立つ思うぞ」

 

とシェナイターは笑顔でとんでもない事を言った

 

「博士、あなたは科学者なんでしょう。なぜそのような場所に?」

 

とアラノは冷や汗をかきながら聞いた。

 

「将軍、私は『戦犯』の科学者なのだよ。そういうところに居なければ、戦犯になるはずが無いではないか」

 

とさっきより笑顔で語った

 

「やけにうれしそうに話すのですね。普通は話さないか、後悔しているように話しますが」

 

とアラノが聞くとシェナイターはさっきまでの笑顔から真顔になると

 

「そりゃ、私は後悔していないからな。それにこれからお前がやることは、それぐらいの精神じゃないと心が持たないぞ」

 

とアラノのことを諭した。

 

「なぜ、私にそこまで言うのですか?」

 

人のことに興味がなっそうなこの男が、なぜ気にかける事を言うのか疑問に思った。アラノが聞くと

 

「ノイローゼになった指揮官ほど、厄介なものは無いからな。私もこの部隊に入るのだから。昔みたいに部隊の指揮官がノイローザになって、ソ連軍の捕虜にされそうになるのは、いやだからな」

 

シェナイターまた笑顔になりながら、アラノの疑問に答えた。

 

「博士、わたしは入れるとはいってませんよ。たださえ足手まといが沢山居るのにこれ以上増やしたくないですからな」

 

 

「あー将軍、実はな。私がこの部隊と同行することを、総統・・・大統領閣下は承認しておるのだよ。それを断ると総統・・大統領閣下の心象が悪くなるぞ」

 

「博士、それを最初に言ってくれたら、うれしかったですなぁ。あなたと話す時間を訓練に使えて」

 

「将軍、それは私を部隊に入れるということですな」

 

「そうです、それ以外の選択肢は無いですから」

 

こうしてアラノに新しい足手まといがやってきた。

 

 

トロピコ島 大統領官邸

 

いつもならコンキスタドールの壮行会の、準備ををしているバルビエールだったが。原住民と取り残された、旅行者のせいで深刻化している。食糧問題の解決のために担当者たちと会議をしていた。

 

「・・・島中の農場を稼動させても、1万人しか養えないか」

 

「はい、大統領閣下。現在、わが国が養う必要がある人間が2万にもいますから、食料の配給制をして、食事の量を減らすし、新たな陸地の農地を作るまで我慢するこれしかありません」

 

と農業担当者が答えると

 

「大統領閣下、このあたりの海の魚介資源は豊富にあります。それを活用すればこの食料危機を解決する。大きな手助けとなります」

 

といつも農業担当者より下に見られていた。漁業担当者が自分の地位を上げるために提案した。

 

「その提案は、面白いが。この世界のどの魚が食べられるのかを我々は知らないぞ」

 

「大統領閣下、大丈夫です、その答えは我々の『新しい同胞』が知っているでしょうから、彼らに聞けばすぐに分かります」

 

「なるほど、いいだろう、ではそのようにやってくれ」

 

とバルビエールが言ったとき

 

「大統領閣下、よろしいですか。食糧問題の解決もいいですが、わが国の産業も危機的な状態です。それの解決をお願いします」

 

と話を聞いていた。産業担当者が手を上げて話に割り込んできた。

 

「産業も危機的状態か。まったくこんな状況は1969年のソ連侵攻危機以来だな」

 

とバルビエールはつぶやくと葉巻を吸った。

 

 

 

そして、翌日

 

海岸には515人のコンキスタドールたちと200名の支援中隊が整列をして、陸軍総司令官である。ロドリゲスから訓辞を受けていた

 

「諸君達は16世紀の英雄。エルナン・コルテス、フランシスコ・ピサロの魂を引き継いでいることを私は確信している。」

 

とロドリゲスの訓示が終わると。アラノ率いるコンキスタドールたちは、リザードマンの勢力圏となった。ジャングルの中に足を踏み入れた。

 

ジャングル派遣隊

 

兵員715名

 

指揮官アラノ・シルベストレ

 

装備

 

92式装輪装甲車

多目的工作車

AK74、 RPK-74

37MM迫撃砲



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血まみれ博士と将軍

投稿に時間がかかってすみませんでした。


アラノたちは、もう半年の間リザードマンの王国を見つけ出そうとジャングルの中をさまよい続けていた。

道中、リザードマンの襲撃隊を殲滅したりなどしながら、ジャングルに点在する各部族をトロピコ共和国に忠誠を

誓わせ、各部族から提供された兵士を道先案内人と工兵隊に振り分けながら、今日も日光すら遮るぐらいに生い茂ったジャングルの中をライトを点けながら先遣隊が作った道を進んでいた。

 

「将軍、ここら一体にある植物のサンプルを取りたいのだが車を止めてくれないか」

 

シェナイターが揺れる車内でアラノにそういゆうと

 

「博士何所だかよく分からない場所で、車を止めたらどうなるかわからないですか?」

 

アラノはシェナイターに一部の軍人が覚える民間人の無知さをバカにする思いを持ちながら

哀れみ含んだ声で言うと

 

「将軍、わたしのことをバカにするのも良いが、我々が何のためにジャングルの真っ只中に思い出してらいかがかね?」

 

シェナイターはこのような非難は当たり前のように手馴れた手つきで受け流すとアラノに笑みを浮かべて聞き返した。

 

「大統領閣下が命じられたのはリザードマンを過去のコンキスタドールごとく殲滅することだ、それ...」

 

アラノが内心の動揺を抑えながら言うと

 

「将軍、思い出してくれたようだね。そう調査だ」

 

シェナイターが満面の笑みを浮かべて言った

 

「いいだろう分かった。護衛はするが安全は保障できんぞ」

 

アラノはそういうと装甲車を運転していた止めるように命令すると後部ハッチを開いてジャングルに足を踏み入れた

 

頭上高く枝を伸ばしている木々や動物達の鳴き声が遠く聞こえる中、シェナイターが自分の周りに生えている

植物の枝や葉を切り取りながら

 

「どうやら退屈しているようだね将軍、退屈しのぎに一つ面白い話をしてあげよう。古来人間は身近にある植物を

病気を治すために利用してきた。近代医学発展によって一般人は科学的に薬を合成していると思っているが一例に過ぎない。そう実際にはいまだに半数以上の薬品の製造開発に植物がかかわっているのだ」

 

とシェナイターが口調を興奮させながら言うのを

 

俺は別に薬がどうできるなんてどうでもいいだよ。そんなことよりさっさと手を動かして草でも何でも引き抜いて

この危険な場所からさっさと安全な装甲車の中に戻りたいんだよ。

 

と思っているとアラノは周りの空気がおかしいことに気づき

 

「博士、伏せろ」

 

と言ったとき風の刃がシェナイターの腹部を大きく大きく切り裂き血と内臓を撒き散らした。

 

クソォ、だからいったんだ。と思いながらアラノは自分の部下に刃が来た方向に命令しながら自分もピストルを打ち始めた。

 

 

アラノたちがしばらく銃をうっていると小さなうめき声のような聞こえた。

 

「銃を撃つな、止めろ止めろ」

 

それを聞いたアラノが部下に銃撃をやめさせてうめき声が聞こえる場所に近づくとそこには腹部から血を流した

小柄な女性が倒れていた。

 

こいつ、まさかエルフなのかトカゲ野郎がいるんだからエルフもいておかしくないが...ああクソォあのやろう俺の忠告も聞かないでくたばりやがった。大統領は俺のことを許さないだろうな。一人の将軍とやつの高寿命に関係ありそうな男どっちが重要なんて分かりきってるもんな、もしここが別の世界じゃなかったら家族を連れてアメリカに亡命しているのに...

 

とアラノが考え込んでいると

 

「将軍、我々は大物を見つけたようだね。これからどれほどの情報を引き出せるかと思うと、今に気絶してしまいそうだ」

 

それを聞いたアラノが振り返ると恐怖と驚きのあまり体が大きく震えるのを感じた。そこにいたのは腹部にパックリと大きく割れた傷口に、周りの細胞がまるで粘菌のように蠢きまわるという冒涜的な光景だった。

 

「何を震えているんだね将軍、この体は私の絶え間ない実験の結晶なのだよ、この体を作り上げるために

以下にさまざまな苦難を乗り越えてきたか...」

 

シェナイターは自分の世界に入り込み実験の苦難をクドクドとしゃべり始めた。

 

「大いなる意思に背くバケモノめ」

 

エルフの女性が息も絶え絶えに言うと

 

「将軍、どうやら震えは収まったようだね。では、さっそく君と君の部下達の手助けを頼もう。私の鞄をとってきてくれ」

 

シェナイターは悪魔のような笑みを浮かべながらアラノ言った。

 

 

トロピコ 大統領宮殿

 

バルビエールは彼専用に作られた宝石と金銀でできた玉座に腰掛けながら、漁獲高についての漁業担当者の報告を聞き終えると

農業担当者が報告をし始めた

 

「大統領閣下、旅行者の積極的活用によって私の部署のほうも当初の目標を上回る食糧供給を確保できる予定です

 

と農業担当者はバルビエールに言った。

 

農業担当者が行なった旅行者の積極的活用とは、トロピコ島内の旅行者達を軍と警察を使って強制的に集めると

年零例別関係なしに重労働を科し、食料をまともに配分しないという。悪魔のような所業をやったのだ。

当然の結果としてここ半年間で旅行者達は全員過労死か餓死したが、この問題のはまったく問題にならなかった。それは口減らし兼潜在的反政府住人の抹殺という結果としかバルビエールに捉えられたからだ。

 

「さて、次の議題だ。俺の国は新たな住民達の移住で資源を消費する速度が加速度的に早まった。

特に石油の消費が激しいこのままだと一年以内に枯渇する。そこでここ集まった者たちで

石油の規制、油田の探索、代替燃料の開発のいい案を考えてきてもらいたい。期限は一週間後だ。

バルビエールはそういって会議を終了した。

 

未知の大地ジャングル

 

「将軍、なかなかの才能に恵まれているね。大抵のやつは君の部下達のように怒り狂ったり、涙を流して謝ったり

したりするだが」

 

とシェナイターは血に染まった白衣とゴム手袋をひらひらさせながら白い歯を見せながら言った。

 

悲鳴を天空の音楽だといって聞き惚れている狂人に褒められても嬉しくもなんともないぞ、畜生ッ!なんで

人の皮を被った悪魔と一緒に行動しなくちゃいけないんだ。

 

とアラノはシェナイターによって規則正しく並べられた元はエルフの女性だった骨と肉と内臓を見ながら

深く深く思った。

 

「ところで将軍、彼女は何所から来たのか分かるかね?」

 

とシェナイターはアラノに尋ねた。

 

「さぁ、わたしも分かりませんね。唯一ついえることはあなたのことを傷つけた何かは、わが軍に障害になること

だけです」

 

とアラノが言うと

 

「将軍、その何かを探るのが私の使命なのだ。」

 

とシェナイターは心臓を解剖しながら答えた。

 

 

アラノたちはシェナイターの解剖が終わると装甲車に乗り込んだ。すると待機していた通信手が

 

「将軍、先遣隊からリザードマンの帝国の領域との境界に入ったとの報告が入りました」

 

ついにここまで来たか、リザードマン達の強さはこれまでの戦いで大体わかった。あいつらは近接戦はあいつらのほうが強いが、俺達の武器は銃だ問題にはならない。唯一の不安要素はエルフがどれぐらいの強さかわからないことだ。一応銃で傷つけられたからそこまでの脅威ではないはずだ、そう思おう。

 

と思いながらアラノは通信手に

 

「道先案内人に近隣に集落かあるかを尋ねるんだ、もし集落があればそこに、なければここに全部隊を集めろ

リザードマンの王国に行く前に全軍に対して演説を行ないたい」

 

リザードマンの帝国との国境に近い集落にすむムサンド族はリザードマンに毎年5人の若い子供を差し出して

かろうじて生き延びてきた。しかしそれに納得していないものも多くいるの事実だった。

 

レナ、レナ、レナ。ああ、何で僕じゃなくて君が連れ去られたいったんだ。父さんも父さんだ

レナが孤児だからって何でリザードマンにわたしたんだ。

 

と恋心を抱いていた少女をリザードマンに連れ去られたソドルド・ドンド少年もその一人だった

 

うん?木々が動いている。まさかリザードマンがまたやってきたのか、レナだけじゃなくてほかの誰かも

さらっていくのか

 

と思ったソドルドが弓矢を手に取ると、おかしな格好をしたもの達とそれに従うさまざまな色とりどりの装飾をした部族たちがやってきた。

 

アラノはもはや見慣れた混乱した村人達の顔を見ながら集まった兵士と村人に対して演説を始めた。

 

「兵士諸君、ここに集まった君達の中には私の顔を知らないものやともに戦う戦友たちの顔ことも知らなかったものもたくさんいることは知っている。ただ目的は一つだ!我々コンキスタドールは三日後リザードマン度ものねぐらえと侵攻して奪われたもの取り戻すのだ」

 

アラノが演説を終えると原住民兵から歓喜と一部の村人からの声援がとどろいた。そしてその声援を送ったものにはソルドルも含まれていた。



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集落殲滅

未知のジャングル 国境地帯

 

ジャングルをぬらすスコールが晴れた後コンキスタドールは達は92式装甲車を先頭に三日間駐留していたムサンド族の集落を後にした。

 

 

始まった、始まった。俺の始めてのいやトロピコ軍として始めての他国へ侵攻だ。将軍にとなったからには4、5人の分隊じゃなくて大軍を率いたいと思っていたがこんなことで率いるとは思っていなかったよ

 

「将軍、感慨ふけっているのもいいが、君の通信手が何か言いたそうだぞ」

 

シェナイターのしわがれたが声を聞いて、正気に戻ったアラノが通信手にたずねると

 

「閣下、大統領閣下が大統領親衛隊を連れてヘリでジャングルに向かったとの事です」

 

な...なんでこの間の悪いときにあの男は動くのだ、お前を護衛するために数が一人でも必要な侵攻隊から何人の人員を引き抜くはめになるのが分からないのか

 

憮然としているアラノを見ながら通信手は次の情報を伝えた

 

「大統領閣下を護衛する必要はないとのことです」

 

どうゆうことだ?リザードマンの軍勢を蹴散らすのが見るのが目的じゃなかったら。何のためにジャングルに向かったんだ。

 

 

未知のジャングル 上空

 

スコールのなかを一機のMi-24が爆音をとどろかせながら飛んでいた。兵員輸送のために設けられた兵員室にはトロピコ陸軍がうらやむほどの現代的装備をした大統領親衛隊と。きらびやかな勲章を右胸につけた豪華な軍服を身にまとったバルビエールが、特別に用意された香木の玉座に腰掛けていた。

 

まったく、蛆虫共がこの偉大かつ神聖な私がこの世界を救いにやってきたというのに、たかがそこらへんに生えている木ごときで石油の掘削の妨害をするとは...まぁ良い私は寛大だ。この私が連中の集落に光臨すれば連中も私の意向に従うだろう

 

「大統領閣下、まもなく目的地の村落です」

 

パイロットがそういってヘリの高度をだんだんと下げていった

 

「諸君、手筈どおりに行動してくれよ」

 

そう言うとバルビエールと大統領親衛隊は後部ハッチから村に降り立った。

 

「あなた様がバルビエール様ですか?」

 

なんだこの小娘は、この私に気軽に挨拶をするとなんて失礼なやつだ...よく見ると顔は良い様だ。もし、問題が平穏に解決できたら成長するのを待って私の妻の一人としておくか

 

「誰だお前は」

 

バルビエールのしわがれた声を聞いた少女は一瞬ビックとした後に

 

「私は族長の娘でぺナリナです。私の部族の言葉の意味では空といいますバルビエール様」

 

お前の名前の意味なぞ、どうでもいいことだ。私がわざわざこの貧相な場所に来たのは、お前達の部族が信じている木ごときのせいでせっかく発見した原油がほれないからだ。

 

「ぺナリナかいい名前だな。私は君のお父さんと大事な話をするためにここまでやってきたんだ。君のお父さんは何所にいるんだい?」

 

思いを知っていれば白々しいにもほどがある態度とって。バルビエールは少女に話し掛けるとそのことを知らない少女は満面の笑みでバルビエールの案内を始めた。

 

 

「ということはどうしても石油の掘削を許可しないということだな」

 

集落に作られた族長の家でバルビエールと族長は二時間以上に渡って御神木とされている木をめぐって話し合いを

続けていた。

 

「バルビエール様、何度も申しているようにあの木には特別な力を持っているのです。大いなる意思があの木お通じてこの地を守っているのです。ですからなにとぞお許しを」

 

気に入らない、気に入らない。お前達をリザードマンから救ったこの私に対する感謝の気持ちよりも、木ごときに感謝する気持ちが大きいこと。気に入らないお前達を救わなかった大いなる意思に対する信仰心が私に対する気持ちより大きいこと。お前達がその気なら私にも考えがあるのだよ。

 

「分かった、お前達の思いはこの私よく伝わった」

 

バルビエールは懐からコルトガバメントを引き抜くとすばやく族長と彼を護衛するものを撃ち殺し無線機を取り出すと

 

「諸君、交渉は失敗だ。手筈どおりこの村落にいる女子子供を含めて人間を撃ち殺せ」

 

と命令を下した。

 

命令を受けた大統領親衛隊はその悪名高さをこの地でも発揮した。懇願する妊婦の腹を切り裂きかろうじて生きていた胎児を突き殺し、弟を守ろうとした姉の目の前で弟を惨殺し絶望した姉も殺すという鬼畜の所業をしながら

バルビエールの命令を遂行していた。

 

「あ...アンタのせいでパパとママもみんなみんなみんなみんなッ!」

 

なんだ、この小うるさい奴は...あぁ、ぺナリナとかいうガキか死んでいないとは運がいいなぁ。、まぁその運もここまでだが。バルビエールはコルトガバメントを泣きじゃくるぺナリナに向け引き金を引いた。

 

 

「よくやった諸君、見事に当初の計画通りに事が進んだ。次はこいつらが崇めていた木を切り倒しに行くぞ」

 

バルビエールたちは村に火を放ったあと部族が崇めていた御神木に向かった。

 

木だ、木。ただ大きいだけでそこらに生えている木と何も変わらない。まったくこんな木ごときのために、寛大な私の申し出を蹴るとはおろかな連中だ。

 

果たしてそうでしょうか?バルビエール・アルマス。この世で最も醜い魂の持ち主

 

私の頭の中で語りかけているの誰だ?

 

あなたは答えを知っているはずですよ、バルビエール、あなたがこの世界に来たときに私はあなたに話し掛けましたから。

 

なら、なぜわたしのことを非難するのだ神よ、私はあなたのために忠実に職務を遂行してしているぞ。

 

あなたは、私に言ったことを曲解しています。私が言ったのは大災厄を防ぐためにこの世界のバランスを取るように言ったのです!このような虐殺をしろとは一言も言っておりませんよ!

 

バランスを取るためにはそれ相応の犠牲が必要なのだよ、この世界には蔓延っている亜人どもを駆逐し人類帝国を建設するためにはな。

 

わたしがおろかでした。あなたのような盲目な魂に世界の道理をおしえることをできると思っていたことを、覚悟してください。あなたの行いがその身に戻ってくることを

 

ふん、自分のことを信仰しているものたちを救わなかったやつが、くどくどと小ざかしい戯言を言う暇があったら

少しは救ったらどうだね。

 

なんだったんださっきのは。まぁ、考えたって私に分かるわけもないか。こうゆう事はシェナイターに任せるのが一番だ。

 

「諸君、この忌々しい木をさっさと切り倒せ」

 

バルビエールがそう命令すると大統領親衛隊はチェーンソーを使って木を切り倒した。

 

一仕事の終わりだ、こうゆう仕事が終わったときには珍味が食べたくなるな。せっかく別の世界に来たのだから地球では食べられなかったものにしよう。たとえばリザードマンのタマゴとかな。

 

 

一週間後 

 

リザードマン帝国 名前の分からない大都市

 

「タマゴだ、タマゴ。トカゲ共が持ち去る前に見つけ出すんだ。いいかぜったいタマゴを壊すなよ」

 

アラノは陥落させた都市の広場で装甲車の上に立ち部下達に卵を探すように命令を下していた。

 

 

アラノたちコンキスタドールはリザードマンの帝国に侵攻してからというもの破竹の勢いで進撃を繰り広げ、道中陥落させてきた都市から奴隷達を開放し。志願者で構成された総勢10万もの大軍をアラノは率いることになった。

ここまでは良かったものの、リザードマンの卵を取って来いというバルビエールの直接指令が自体を大きく変えた。リザードマン達は自分達の住処から逃げ出すときに一緒に卵を持っていってしまうために、人数が膨れ上がったコンキスタドールでは逃げるリザードマンに追いつくことは困難だった。よしんぼ追いつけてもリザードマンに恨みを持っている奴隷や原住民達はタマゴまで破壊してしまうのだ。

 

「将軍、そうあわてる必要もないだろう。このままわれわれが進撃していけば敵は逃げる先を失うのだからそこにたどり着けば大量のタマゴが見つかるぞ」

 

やしの木にストローさして旅行気分の男に言われて落ち着けるか!俺だってなそう思っているんだよ。ただあの野郎がタマゴをよこせ、タマゴをよこせと何でも何度も催促してくるんだ。最近はやつの側近のペヌルティーモまで出てきて忠誠心はあるのかという話題まで出して来るんだぞ。早く見つけたほうが俺の精神上いいじゃないか

 

「博士、あなたの方はどうなのですか、ずいぶんとくつろいでおられますが」

「将軍、私に事を襲ったあの力のなぞを追っているのだよ。ただ困ったことにサンプルが少なすぎるのだ。サンプルが見つかるまでしばらく休憩だ」

 

俺もタマゴさえ見つければ休憩できるのだがなぁ...んー?アレはまさかタマゴかそうだったらうれしいな

アラノが見つめていると一人の少年が、両手に二つの卵を抱えてアラノの装甲車にたどり着いた。

 

「これはリザードマンの卵か」

「はい、閣下」

「少年君の名前はなんだ」

「ムサンドです」

「ムサンドよくやった、私と一緒にいっぱいやろう」

 

ムサンドからタマゴを受け取ったアラノは頭を撫でながらそういった。

 



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建国

今回は短め


トロピコ 大統領宮殿

 

バルビエールは前線から届けられたリザーマンの卵で作られた、目玉焼きをみながら激怒をしていた。リザードマンのタマゴの目玉焼きが目の前にあるというのに、なぜ激怒しているかというと、バルビエールに届けられた卵は二つ

それなのにバルビエールに目の前の目玉焼きは一つのタマゴしか使っていなかったからだ。

 

「ペヌルティーモ君、どうゆうことだこれはなぜタマゴが一つしかないだ。私の目がおかしくなかったら卵は二つだったはずだろう」

 

「プレジデンテ。もう一つのタマゴは調べた結果生まれる少し前だったのです」

 

「ペヌルティーモ君それはそれでいいとは思わないかね。直ちにそのままの姿でもってくるんだ」

 

まずは、目玉焼きからだ。黄身の味は...薄いな。これなら鶏の卵を食べたほうが上手く感じる。白身はどうだ...これも淡白だ...美味くないな、卵を食べている気にはならない。

 

「ペヌルティーモ君、この目玉焼きを下げたまえ」

 

次はこのタマゴだ。羽化直前のリザードマンはどんな味が生んだ。さっきみたいな淡白な味だけは勘弁してもらいたいな。まずはこの出来上がりつつある肉から食べていくことにしよう...うん、血の味がほのかに甘い肉のうまみを引き立ていな。次はタマゴにたまったスープを飲もう程よい酸味と肉から出たうまみがちょうど良く混ざり合っている。これはいい食材だ、残念なのはリザードマンは絶滅させなくてはいけないことだな。

 

リザードマン帝国 首都

 

「諸君、よくここまでがんばってくれた。君達の英雄的活躍でリザードマンの首都までやってこれた。ここの戦いに勝利することができれば、君達は永遠にリザードマンの脅威を排除できる。」

 

アラノが装甲車にたって演説を終えると15万に膨れ上がったコンキスタドールたちの歓声が地にとどろいた。

 

この様子だと演説は成功だな。いよいよ最後の戦いだこの戦いに勝てば家族の元に帰れるぞ。早くここを陥落させたいな。陥落といえば頼んだ攻城用の重砲の到着はまだなのか!

 

「攻城用の重砲の輸送を頼んだはずだがそれはいつ届くのだ」

 

「閣下、問い合わせてみたところ。現在原油掘削のための資材運搬用に輸送トラックが回されたいるため、重砲の運搬は後回しにされているとの事です」

 

ふざけるな。攻城砲の大事さは普通に分かるはずだろうアレがあれば、犠牲を大きく減らせてもっと早く陥落だってさせられるんだ。

 

「ないのか、いつものように迫撃砲隊に支援射撃するように命令してくれ」

 

二日後

 

アラノ率いるコンキスタドールたちはリザードマンの強力な抵抗を撥ね退け首都の内部に進入することになった

 

 

「将軍、見たまえアレを!私の事を襲った風の刃と同じものだ。私を下ろせ下ろすんだ」

 

シェナイターはそう騒ぎながら装甲車の外に躍り出た。

 

 

「殺せ!殺せ!トカゲどもの親玉を打ち殺せこいつらの血で死んだ友たちの魂を慰めるだ!」

 

そうだ殺せ!あんなに可愛かった。レナをひどい姿になるまでもてあそんだ連中の親玉には当然の報いだ!

 

黄金のリザードマン達を囲んでいた一人リザードマンに向けて剣を振ったとき、乾いた銃声が宮殿の中に響くと剣を振った男が頭から血を流して倒れていた。

 

「殺すなんていけないよ。こいつらは私のサンプルだ大事に扱わなくては」

 

シェナイターはMP40から立ち上る白い煙が顔にかかる中周囲をぞっとさせる笑顔で話し掛けた。

 

ダメだ、ダメだアレに戦いを挑んじゃダメだ、僕達のことをゴミを捨てるように殺すだけだ。僕達とは違う世界を生きている存在だ戦っちゃダメだ。レナごめんよ君の復讐を成し遂げられなくて、でもいつか必ず。いつか必ず成し遂げるから

 

シェナイターの異常さに気づいたソドルドたちが武器を下ろすと

 

「お前何者だ。なぜここにいる羽虫共と違って我らに敵意を示さない」

 

黄金のリザードマンの中でも赤い鶏冠をはやした存在が黄金の瞳を細めながらたずねた。

 

「私の言葉が分かるのかすばらしい!まったくもってすばらしいのだが、その質問に答える前に一つ質問をさせてもらいたい。あの風の刃を作り出したのは君たちかい?」

 

シェナイターは嬉しさに体を震わせながら黄金のリザードマンに聞き返した

 

「たかが羽虫ごときがこの俺に聞き返すとはだがわが家族のみを守るためだ質問に答えよう。いかにもあの風の刃はわが一族と大いなる存在に契約によって作り出されたものだ」

 

黄金のリザードマンはシェナイターの顔よく見て話すべきだった。もし、よく見て話してみればシェナイターの不気味にゆがんだ歓喜の表情を見て、ここで死ぬことによってこれから始まる悪夢の日々を回避できたろうから。

 

 

一週間後

 

本来ならば解散するはずのコンキスタドールたちは陥落させたリザードマンの首都にそのままの規模でとどまりトロピコ等から派遣されたバルビエール直属の歓迎隊の指導を受けていた。

 

まったく、あの男は俺の帰宅の邪魔をするのが大好きだな。今度はこの場所で重大発表を行なうから待機しろだとォ。まったくふざけやがって。それにしてもあの男自分の写真が大好きだな、もうあちこちに自分の写真とスローガンをベタベタと貼ってやがる。

 

そう思いながらアラノは歓迎隊の指導の下各部族の楽器を使って演奏の練習をしている部下達の姿を見ていた。

 

「閣下、大統領閣下がこの場所に来るまで30分をきりました、準備を整えたほうがよろしいかと」

 

副官から報告を受けたアラノは軍服を着替えるためにアジテーターが扇動を始めた広場から臨時司令部に向かっていった。

 

30分後

 

バルビエールのパレードの先頭が見え始めた。その先頭はバルビエールがやってきたことを示すために特注のサイレンを載せたジープだ。そのジープが過ぎ去ると彼を守るために武装をした装甲車、そしてその後ろに各部族の族長達が色鮮やかな衣装を着てオープントップの白塗りの高級車たちが煙を上げながら道を走り、そして最後に年代物のZIL-111が周囲を威圧しながら広場に入っていった。

 

アジテーターによって興奮の絶頂にあった広場は鳴り響くように「我々は望む真に偉大なる者の統治を!」「我々は望む圧制者を打ち破る剣を!」「我々は歌う真に公平たるものバルビエールのために」「トロピコに愛と平和を!」「バルビエールは栄光のシンボル」「バルビエールは平和の使者!」「救国の人バルビエール!愛の使者バルビエール!建国の人バルビエール!神の化身バルビエール!」

 

とバルビエールをたたえる言葉を発していた。その中を緑色の軍服にリザードマンの皮で来たマントを羽織ったバルビエールが一歩また一歩と元はリザードマンの皇帝のものだった玉座に近づいていった。

 

「諸君、ありがとう君たちの忠誠はよーく伝わった。私がこの地に光臨したのは一つの使命を果たすためだ。それはこの世界に蔓延る亜人どもを駆除することだ。だがそのためには今のトロピコの体制では不十分だ。そこで私はここに人類帝国の建国とその初代皇帝に就任することを宣言する」

 

ここにバルビエールによる人類帝国が建国された。




これで序章は終わり次の話から原作に介入していくよ


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遭遇

バルビエールが人類帝国を建国してから10年後

 

もともととトロピコ島に住んでいた住んでいた住人にとっては、やけに子供が生まれやすくなったことを除けば。トロピコ共和国が人類帝国に変わろうが別段変わりのない日々に過ぎなかった。しかし移転してからトロピコ共和国に加わった原住民達にとってはすべてが劇的に変わった激動の十年であった。

 

人類帝国首都バルビエールシティ 科学アカデミー

 

「博士、私に見せたいものとは何だね」

 

バルビエールはシェナイターに呼び出され科学アカデミーの実験室までやってきた。そこは半分に切った脳、目、輪切りにされた胴体などホルマリン漬けにされたシェナイターの実験サンプルが所狭しと並べられていた。

 

「総統...皇帝陛下、ついに魔法を抑制することができる装置を開発することに成功したぞ。これでお前の野望の大きな助けとなるだろうよ」

 

「ついに完成したか、それでもう一つのほうの実験はどうなっているんだ」

 

「魔力を肉体に付与するところまでは成功した。問題はより強力な魔力を与えようとすると、とたんに情緒不安定になって数日で廃人なるのだよ」

 

「博士分かった、近いうちに大量のサンプルを手に入る。それがお前の手助けになればいいな」

 

2時間後

 

バルビエールシティ 皇帝宮殿

 

「シェナイター博士から魔法を抑える装置の開発が成功したとの知らせが入った。そこで私はここにエルフどもの殲滅をする事を決めた。まず手始めに装置の量産を待っているあいだエルフどもの国を越えた場所にある人間国々

ハルケギニアと本格的に交流することからはじめよう。空軍大臣例の物の準備はできているか」

 

バルビエールは二万個もの宝石をちりばめた帝冠を頭に載せて担当者達に話し掛けた

 

「もちろんです陛下、ビバ・バルビエール号はいつでも出撃できます」

 

青い服に勲章をつけた空軍大臣は右胸を叩いてバルビエールの質問に答えた。

 

 

一週間後

 

ハルケギニア上空 トリステイン・ゲルマニア連合艦隊 戦列艦レドウタブール

 

スティックスとマニコルヌは当直の交換のさいに談笑をかわしていた。そこにアルビオンから立ち込める白い雲を割って一隻の灰色の巨大な三角形の物体が悠々と艦隊を見下ろしていた。

 

「スティック先輩、僕は寝ぼけているですかね。目の前に変な三角形が浮かんでいますけど」

 

マニコルヌは目を何度も何度もこすりながらスティックにたずねた。

 

「マニコルヌ君、僕にもアレが見える」

 

その質問にスティックは目を見開いて真っ青になった顔でこれが本当の出来事であることを伝えた。

 

 

 

トリステイン・ゲルマニア連合艦隊 旗艦ヴュセンタール号

 

「何だねアレは...アルビオンがあんなものを持っているなぞ聞いておらんぞ」

 

総司令官のド・ポワチエは狼狽していた。いや彼も含めてそう司令室にいるすべてのものが、いきなり現れた三角形の物体のせいで精神錯乱状態に陥っていた。しかしそれも無理はないアルビオン艦隊最大の戦列間であったレキシントン号の優に五倍はあろうなぞの物体が艦隊のすぐ目の前に浮かんでいるのだから。

 

「ポワチエ卿、まだアレがアルビオンの船とは決まってはおりませんぞ」

 

総指令室内ではまだ冷静さが残っていたハルデンベルグがド・ポワチエの冷静を取り戻そうと言ったとき

 

「アルビオン艦隊より通信!内容は『あの船はそちらの艦隊か?』とのことです」

 

総司令室の扉を開けて伝令が急いで駆けつけるとアルビオン艦隊からの通信を伝えた

 

「...伝令、アルビオン艦隊に伝えろ一時休戦だとな!」

 

 

ド・ポワチエからの通信を聞いたアルビオン艦隊の総司令官は直ちにそれを了承。こうして本来ならば会戦に入るはずだった。アルビオン艦隊とトリステイン・ゲルマニア連合艦隊は共同してなぞの物体に対処することを決めた。

 

人類帝国空軍 空中攻撃空母ビバ・バルビエール号

 

あぁ...ちくしょうなんで陸軍大将にもなって、なんで小間使いみたいな扱いを受ける羽目になるんだ。あそこにいるやつらもこんなよく分からない目にあって大変だろうなぁ同情するよ。ただもう少し欲を言うならばこんなところに艦隊を浮かべないで欲しかったな。そうすれば娘の卒業式の生の映像が見れたのに

 

「閣下、彼らに語りかけてください」

 

空軍士官がアラノに語りかけてきた。

 

 

トリステイン・ゲルマニア連合艦隊 旗艦ヴュセンタール号

 

「サイト、アレ一体何なの?あんななもの聞いたことがない」

 

そういってルイズは才人の胸に抱きついていた。いつものルイズだったらそんなこと頼まれてもしなかったろうが

いきなり現れた巨大な物体のせいで現れた不安が、日ごろのしがらみからルイズを解放していつも自分を救ってくれた。気になる少年に甘えることができるようになった。

 

「地球で見たSFの見た戦艦みたいな船だなぁでもルイズ。俺はどんなことがあっても守る」

 

才人は自分の思い人が自分に甘えている嬉しさと目の前にある脅威の結果。才能に恵まれていなかった詩的な言葉が口から出た。

 

その言葉を聴いたルイズは高鳴る鼓動が命じるままに静かに目を閉じて才人のキスを待っていると、雰囲気をぶち壊す声が部屋の中に入ってきた。

 

 

『...私の名前はアラノ・シルベストレ人類帝国の陸軍大将だ。なぜここまでやってきたかという陛下は、君たちハルケギニア諸国と交流するためだ』

 

放送が終わったとき、ルイズの胸の中にあったのは安心感とそれより大きな雰囲気を壊した放送に対するげんなりとした気分だった。そして放送が終わってキスの続きをしようとする空気の読めない才人に

 

「アンタ遅いのよ!」

 

といって鉄拳制裁を下した。

 

 

神聖アルビオン共和国首都ロンディニウム ハヴィランド宮殿

 

「ミス!ミス・シェフィード!どうすればいいのですか!どうすればいいのですか!」

 

神聖皇帝オリヴァー・クロムウェルは自分の秘書官であるシェフィードの足に子供のように抱きついて泣いていた。その様子はアルビオン王家を断絶させ、自分の帝国を築き上げた男の威厳などまったく無かった。野心家にあるまじき姿だがそれは仕方のないことだ。なぜならクロムウェルが皇帝に即位できたのはガリア王ジョセフの暇つぶしと即位させられたのだから。

 

「司祭殿、少しは自分の頭で考えたらどう」

 

シェフィードは不甲斐無いクロムウェルの頭を踏みながら言った。

 

トリステイン王国首都トリスタニア王宮殿

 

「陛下、ド・ポワチエ将軍から緊急連絡です。内容は『わが軍、人類帝国攻撃空母ビバ・バルビールにより士気崩壊、現在同様の状態のアルビオン艦隊と一時休戦状態にあり』とのことです」

 

マザリーニ枢機卿は内心では信じられない思いを抱きながらも、自分が仕える年若き女王のために内心の動揺を隠してド・ポワチエ空の報告を伝えた。

 

「枢機卿、あなたも冗談を言うことができるのですね」

 

黒衣に身を包んだアンリエッタは恋人を失った悲しみで頬を濡らしてマザリーニのほうを向いていった。

 

「いえ、陛下これは冗談ではありません」

 

マザリーニは冗談であれば本当に良かったのにと思いながら、年若き女王の言葉を直した。

 

ゲルマニア帝国首都ウィンドボエナ

 

「人類帝国だとなんだこのふざけた名前はこの名前をつけた奴はとんだばか者だな」

 

ゲルマニア皇帝アルブレヒト3世はゲルマニア側の総司令官ハルデンベルグからの報告書を読みながら、おかしな名前をつけた人物をバカにしていた。

 

「陛下、問題はそのバカな名前をした国が恐るべき戦力を持っていることです」

 

彼の隣に立つ宰相が腰を引くしてて苦々しげな顔で言った。

 

「人類帝国の統治者が何の目的で動いているのかまったく分からんそれを知る時間。時間が必要だ!」

 

そう言うとアルブレヒト3世は玉座の肘掛をおもっきり叩いた

 

ロマリア皇国ロマリア大聖堂

 

「ジュリオ報告ありがとう。遂にバルビエールが動き始めたみたいだね。方針は前に君に話したとおりバルビエールとはエルフと戦うまでは協力する。そのあとはやつを殺すことだよ」

 

教皇エイジス32世ヴィットーリオ・セレヴァレは最も信頼できる手駒ジュリオと魔道具を使った遠距離通信で報告を受けていた。ロマリアは3年前に場違いな工芸品の発掘のときに人類帝国と接触交流を続け、子供のメイジと武器の交換を三度行なった。人類帝国からわたされた武器はロマリアの地価墓地に格納され、いざというときの戦力として大事に保管してある。そして人類帝国にわたったメイジはシェナイターの手によって実験され。貴重なデータとともにホルマルン漬けされて保管されている。

 

ガリア王国首都リュティスヴェルサルテイル宮殿

 

「ビダシャールこれがお前が言っていた世界の破壊者バルビエールの軍勢か、あの戦艦が一隻でハルケギニアの全軍は灰燼に帰すだろうな」

 

ガリア王国国王ジョセフは右手にワインを握りながらこの異常な事態にもかかわらず上機嫌だった。

 

「ジョセフ、奴はお前が思っている以上に危険で狂った男なんだぞ、評議会全体が保障している」

 

ビダシャールはそんなジョセフに忠告を言うと

 

「分かっている。お前がそこまで言う男ならさぞ張り合いがあるのだろうな」

 

シャルルよ、もしかした俺はお前に変わる存在を見つけられたかもしれない、エルフに狂っていると言われて自分のことを神と呼ばせている男なら思う存分楽しめるだろう、だからせいぜい失望させるなよバルビエール



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吸血鬼エルザ

非常にショッキングな内容が含まれています。覚悟して読んでください
このキチガイ主人公の描写に必要なことだったのです。


人類帝国 バルビエールシティ

 

この自分の名前を冠した町の中心部にある周囲にあった建物を取り壊して作った皇帝宮殿でバルビエールは

ペヌルティーモとある話をしていた。

 

「さて、これで私の光臨の舞台が整ったわけだが、ペヌルティーモ君、舞台に上がる前に何か精が付きそうな食材を食したい。たとえば血を吸う生き物を」

 

 

ガリア王国 リュティスプチ・トロワ

 

イザベラ・ド・ガリアはジョセフからまわされたある命令書を見て目を回した。その内容は依頼主は人類帝国皇帝秘書官ペヌルティーモ。依頼内容は貴国のさびえら村で猛威を振るっている吸血鬼の捕獲という内容だけだったら普通の依頼と同じようなものだが依頼主が人類帝国という。他国、それも一週間ほど前に突如として現れたなぞの国からというガリア建国以来始まっての出来事だった。

 

一体どうゆう経路をたどってお父様のところまで頼んできたのなかねぇ。まだまともな交流すらいないのに、一体誰を動かそうか。元素の兄弟は手が空いているけどあいつらは吸血鬼を見つけ出す任務に向いていない。地価水は...あたしに恥をかかせたら論外だ。ああ...いるじゃないか手が空いていてあたしの暇つぶしになる相手がさぁ

 

イザベラは吸血鬼捕獲任務を自分のいとこのシャルロットにやらせることにした。

 

2週間後

 

これが吸血鬼ねぇ、見た目は五歳ぐらいの子供にしか見えないのにシャルロットが言うにはあたしの二倍は生きている不思議なもんだねぇ。

 

イザベラが魔力をこめた縄で縛られている幼女を見ていると

 

「おねえちゃん、わたしのことを捕まえてどうするの?」

 

目に不安の色を浮かべて幼女はイザベラに聞いた。

 

「あたしはどうもしないよ。あたしはアンタのことを引き取りに来るやつらが来るまでの間預かるだけだよ」

 

「そうなんだ、死ぬならまともな死に方がしたいな、へんな実験に使われるんじゃなくて綺麗に死にたい」

 

「あんたが引き取られる人類帝国がなにをするかはあたしも知らないよでも...ほら、あんたのことを引き取りにだれかやってきた」

 

イザベラは引き渡し相手に連れられていく吸血鬼の幼女を見ながら、わたしも死ぬならエレーヌの手によって綺麗に死にたいね。

 

吸血鬼幼女エルザはガリアからロマリアの教皇の秘密諜報組織『銀の手』に引き渡されネフテル外縁部砂漠地帯で

人類帝国の小型機動艇と面会そこで、エルザの身柄と96式戦車の交換を行い。人類帝国の小型機動艇によって首都バルビエールシティに運ばれた。

 

 

二日後 

 

人類帝国バルビエールシティ皇帝宮殿

 

私の目の前に鉄格子がはめてある、でもこんな綺麗なところならへんな実験をしないはず。...だれかやってきた

しわくちゃでとってもおじいちゃんね。あ...鉄格子をあけてくれた。

 

「これが吸血鬼か、本当に人間そっくりだな遺伝的な差はどれほど有るのだろうか?」

 

痛い!私が暴れているのになんで逃げられないの?私が見てきた中で一番年寄りなおじいちゃんなのに

 

「博士!何をやっているんですか!食材を傷つけるとはせっかくの味が落ちるではありませんか」

 

えっ...

 

「...食材?」

 

「おいペヌルティーモ総統は何所にいる!食べるというせっかくのサンプルを無駄に消費をする非効率なやめさせる」

 

「博士!皇帝陛下の楽しみの一つである珍味をたべることなんですよ!それを邪魔されるとどれほどお怒りになるかあなたも知っているでしょう」

 

やだ...やだ。ここから逃げないと

 

「ペヌルティーモ、ここで死ぬか総統に合わせるかどっちにする?」

 

「博士!そういうペヌルティーモに銃を突きつけるのは良いが檻を見てみるんだ。家畜が逃げ出してわたしが捕まえる羽目になったではないか」

 

「はなせぇ!はなせぇ!はなせぇぇぇぇ!」

 

私がそういって逃げようとすると肌の黒いしわくちゃなおじいちゃんが私のおなかをおもっきり殴った。

 

「クソ!まったく家畜の分際でゲロを吐いて私の服を汚しやがった。自分が置かれた立場が分からない家畜は痛めつけなくてはいけないな。肉もやわらかくなるだろう」

 

そういうと黒い肌の悪魔はわたしの体中を蹴ったり殴ったりをし続けた。

 

「目覚めたかね?君は皇帝陛下の食材になることが決まったよ。本当は私の実験サンプルにしたかったんだが、君がゲロを吐いたせいで皇帝陛下はひどくご立腹でね。私の話を聞かなかったよ」

 

博士と呼ばれているしわくちゃなおじいちゃんは慈悲深い顔で、わたしがさっきまで死ぬよりもイヤだった実験体にできなかったことを悔しそうに離していた。

 

「食材にするなら何で殺さないの?あなた達人間はうしさんやぶたさんを食べるとき殺してから料理にするじゃない」

 

「殺さないで食べたほうが恐怖の味して美味いからだそうだ」

 

その言葉を聴いた私の心はバクンとはねた。あの悪魔が私が人間の少女を一番おいしく食べることと同じ事を考えていたから

 

「どうしたのだね?顔を真っ青にして何か私の言葉で君に強い精神的ショックを与える言葉でもあったのかね?」

 

もう死ぬ前だから懺悔をしてもいいかもしれない。大いなる意思にじゃなくてしわくちゃで私が嫌いなにんげんだけど。

 

「私達吸血鬼は本当はね。人間を殺すまで血をすう必要はないの」

 

それを聞いたおじいちゃんはノートを取り出して私の言った言葉を実験体6025号と書かれた場所に書き始めた。

 

「それなのにどうして。わたしがわざわざ私の正体がばれるかもしれないのに死ぬまで血を吸ったのはね。復讐だったの吸血鬼だけっていうだけで殺されたパパとママの...」

 

わたしは語り続けた。パパとママにお墓の前で人間に復讐することを、パパとママをいない私と違って両親がいる少女達を羨まして殺し続けたことを、いつに間にか復讐のためじゃなくて、ただ単に自分の欲のために行動を始めて。パパとママを殺す原因となったおろかな吸血鬼に成り下がったことを、放しているうちにわたしはパパとママが死ぬ前に言った言葉を思い出した。それは忘れていなければ生きていなかった言葉、私達が死んでも人間を愛しなさい彼らから糧を得ないと私達は生きられないって言ったことだった。

 

「これで私の悔恨は終わりよ人間さん。私の気分は晴れたもう死ぬのは怖くない、あの悪魔にわたしは屈しない!」

 

私が思っていたことをぜんぶ話すと博士はそのしわくちゃな顔を綻ばせてくれた。

 

「そうかそれは良かった。生態実験はできなかったが私も君たちの種族の生態が生態が分かったからまぁよしとしよう...ほら君の最後の舞台に連れて行くやつきたぞ。最後に一つ言っておこう。強い意思を持てば痛みは超越できる私の実験で証明済みだ」

 

わたしは博士の言った言葉を胸に人生最後の場所に向かった。

 

 

最高の料理だった、まるで血をそのまま飲んでいるかのような濃い血の味、だんだんと絶望に沈むのが分かる味の変化。ここ十年いや私の人生で最も美味い食べ物だった。

 

バルビエールは爪楊枝で歯についたかすを取りながら最高の料理を食べたことに感動していた。

 




別のSSの続きをかけるまでお休み。


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諸侯会議

なぜこちら側が早く書けるのだろうか


ラグドリアン湖 ガリアトリステイン間に広がるハルケギニア一大きな湖で水の精霊が独自の文化を気づいている。その湖のガリア側旧オルレアン大公家の領地にハルケギニアの大小を問わず各国の王や大公果ては独立伯、独立市長にいたるまでの指導者達が豪華な天幕を立てて湖に浮かぶ小高い丘ほどの高さを持つ、巨大空母を眺めていた。

 

「いやはや、あのような巨大なフネに戦いを挑みたくはないですな」

 

ガリア両用艦隊の艦隊参謀リュジニャン子爵は艦隊指令クラヴィル卿にサンドウィッチをつまみながら話し掛けた

 

「リュジニャン君あのフネはただ巨大なだけじゃないぞ。あのフネに乗っていたアラノ将軍が言うには船体はチタン合金、武装はレーザーにミサイルを積んでいるとのことだ」

「ちたんごうきん、みさいる、れーざー。なんですかそれは」

「さぁ、私も詳しいことは分からないがなんでもチタン合金は木の数百倍の防御力、レーザーは光を集めて敵に打つものらしい。ミサイルは敵に向かって攻撃ができるらしい」

「それがぜんぶ本当なら戦い方が変わりますね」

「そして、古い戦いしか知らない我らはお払い箱か。やってられないよリュジニャン君」

 

クラヴィル卿はそういうとスピリッツを仰いだ。

 

空中攻撃空母ビバ・バルビエール

 

「ペヌルティーモ君、アジテータに演説を始めさせろ。もちろんサクラも一緒にな」

 

バルビエールは長さが10メートルはある実験の結果リザードマン帝国の皇族であることが分かった。黄金のリザードマンの皮で作られたマントを使用人たちにつけさせているとバルビエールの頭に声が響いた。

 

貴様わが一族を裏切り!よくもあのような苦しみを苦しみを与えてくれたな!貴様にわが一族のすべての苦しみを与えてから殺してやる!

 

家畜の分際でうるさいやつだな。マントになったお前達が万物の霊長である人間の最高位の存在である私にかなうわけがないだろう。まったくお前たち含めてあの吸血鬼の小娘、反逆者のローランド君、あの原住民の小娘のペネリネ。その他私が殺したものたちはなぜ夜な夜な私の夢に出てきて恨み辛みをいうんだ。普通は感謝の言葉いうのではないのか!まぁそのことが分からないかえら貴様らは死んだんだ。そのことが分かったら私の頭から出て行け

 

とバルビエールが言うとマントが彼の首を閉めようとしたがすぐに動きが止まった。

 

 

ハルケギニア最強の国であるガリアによって湖畔に諸侯会議の会場が作られていた。その内容は豪奢にして巨大まさにガリアを象徴していた。規格外の存在であるビバ・バルビエールがなければ参加者が孫にまで語り継ぐほどだっただろう。

 

諸侯会議場

 

「陛下、お気持ちは分かりますがここは冷静にならなくてはなりません」

 

マザリーニはすぐにでも復讐相手に復讐をはじめそうなアンリエッタの耳元で落ち着くように告げた。彼自身も

神聖皇帝オリヴァー・クロムウェルのそばにいる。ワルドー子爵を見たときに杖を彼に向けて女王への不忠、伝統あるグリフォン隊を解体させた責任。それをおもっきり言いたかった。しかしそれがあまりにも統治者として無責任であることをマザリーニは知っていた。

 

「あの男がウェールズ様の敵だとしてもですか」

 

マザリーニはアンリエッタの憎しみの深さを知っていても国家のために止めなくてはいけないと言うことをすでに決めていた。それは国のために感情を殺すことはアンリエッタが統治者として生きていくために絶対に必要なことだからだ。

 

「そうです陛下、あなた様が女王になったからには必要なことなのです」

 

マザリーニが耳元で告げるとアンリエッタは

 

「分かりましたマザリーニ。わたしは女王になりました。強くなければいけませんウェールズ様との約束ですもの」

 

といって頷いた。

 

 

なんだこいつら。このわたしのことをじろじろじろとめずらしい動物のように見やがって、まぁいいここに居る連中も一人残らずこの私に跪くだ。これぐらいことは許してやろう。

 

「あなたが人類帝国皇帝バルビエール様ですか?わたしはトリステイン王国アンリエッタ女王直属女官ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです」

 

ほーこれは美しい。胸がないのがおしいがほかは顔体つき滑らかそうな肌すべてが高水準だ。ぜひとも私の妻にしなくては。まずはこの少女がほかの男のおんなではないことを確かめなくてはな。

 

「そうだ私が人類帝国の皇帝バルビエールだ。ところでルイズ君。君は結婚しているかね?」

 

バルビエールがそうたずねるとルイズはカーと真っ赤に顔を染めると

 

「い、いえ結婚はしていないです陛下」

 

よーし、これで私の障害は消えた。わたしは権力も富みもそして自慢の竿も持っている。これで落ちない奴はいない。もし好きの男が居てもいつものようにそいつを殺せば問題は解決する。

 

「なら、私の妻にならないかお前がほしいものをなんだってあげるぞ」

 

バルビエールがルイズを口説いていると

 

「おいやめろよ!ルイズが迷惑しているだろ」

 

なんだこいつ騎士気取りで私の邪魔をするとは命が惜しくないようだな...ん。

 

「お前ここの人間じゃないな。顔のつくりがまったく違う」

 

バルビエールはルイズを口説いてきたのを邪魔した少年。才人に不機嫌な声で言った。

 

「お前だって黒人じゃないかってまさかお前もこっちから来たのか」

 

こいつも服装からなにやら見ると私同じ場所から来たみたいだな。たぶん東洋人だろう何所の国はしらんがな

 

「そうだ少年。私も君と同じ世界からやってきた東洋人だろう何所の国だ」

「日本」

「あー日本かすまんが私は良く知らない。後でここを通るシェナイター博士なら話に乗ると思うぞ。奴は日本に少なからぬ縁があるからな」

 

バルビエールがどうでもよさそうに答えると

 

「サイト、なんてことしたのよ!相手は皇帝よ皇帝失礼じゃないの!」

「なにすんだよルイズ!こいつがお前のことを妻にするとかいったから助けてやったのに」

 

サイトという小僧に怒っているようだがありゃかなり好きだな。見れば分かる表情やら何やらが好きな男に向かって喋っている女の姿そのものだ。だが俺は必ずこいつを手に入れて記念すべき150人目の妻にする。

 

「気にするな。それよりもわたしのことを諸侯会議が行なわれる場所に連れて行ってくれないか」

 

バルビエールがそういうとルイズは白い豪奢な衣装を整えてから

 

「このような姿を申し訳ありません陛下。こちらです」

 

ルイズはバルビエールを案内した。

 

 

ここかここか、周りにいる連中すべたから高貴な雰囲気がただよってきているな。こればかりはいかに私が完璧超人であろうとも手に入れられない。一流の高貴さは生まれながらにして人の上に立つものでないと手に入らん。いや、一人だけ高貴さの輪から外れている奴がいるな。お前だオリヴァー・クロムウェル。確かアルビオン王家を断絶させ自分の帝国を作り上げた男だよな。それにしてはそういう人間の独特の雰囲気がまったくないな。この男は誰かの傀儡だ。誰だアルビオン諸侯か?いや、俺だったらこんな男に王座は渡さんこれは海外だな。戦争をしたトリステイン、ゲルマニア、力のない小国を除くと。残るはわが友ヴィットーリオのロマリアか無能王ジョセフのガリアだな。さてどっちだ?・・・んあの女美しい。誰だ確かめに行かなくては。

 

「ご婦人あなたのお名前は?」

 

バルビエールは諸侯会議所に入ってすぐ諸侯達のなんだこいつはという目線をまったく気にせず、目的の女性へ突き進んでいた。

 

「あっあ。私の名前はイザベラ・ド・ガリア、ガリア王国の国の王女ですがあなたは」

 

イザベラは突然現れた。枯れたとしか言いようのないしわくちゃな黒い顔の醜い男が混乱しながらどうにか淑女の

仮面を外さずにいられた。

 

顔を見るにこの女気が強そうだな。気が強い女を征服するのもいいものだ。さてこの女ガリアの王女と言ったな。ガリア王ジョセフよ見ず知らずの男が自分の娘を妻にといったらどういう反応をみせる。

 

「私の名前はバルビエールですイザベラ殿、あなたの美しさはまるで天空の天使のようだ。どうだね私の妻にならないか」

 

その場にいるもののすべてが凍りついた。どう見ても80歳はくだらない老人が肩膝を突いて初対面の女性にプロポーズしたのだから当たり前の結果であるが。例外はバルビエールの恐ろしさを知っているヴィットーリオともう一人。

 

「よかったなイザベラ、良い縁談が見つかったぞ」

 

それはイザベラの父親であるジョセフその人だった。困惑するイザベラをよそに

 

「ここにガリア王であるジョセフ・ド・ガリアはガリア王国王女イザベラ・ド・ガリアと人類帝国皇帝バルビエール・アルマス婚約を宣言する」

 

ジョセフは諸侯達の前で婚約の宣言をやってのけ。これにはヴィットーリオも含めて諸侯達は乾いた笑いが自然とでるのに任せるしかなかった。

 

これはこれはいい物を見れた。ジョセフという男無能王というあざけりとは違ってかなりの怪物だな。自分の娘をゴミだとしか思っていない。何かに取り付かれた狂気を持っているぞ。わが友ヴィットーリオと同じくめんどくさい相手の一人だな。

 

「父上とでも言いましょうかジョセフ王」

「いや、よばなくていいぞバルビエール。面白いものを見れた御礼だ」

 

バルビエールとジョセフはお互いにそういうとそれぞれの席に座った。

 

私の石の隣はトリステイン王国か、あの美しき女王わたしのことをありえないもののように見ているぞ。すまないなルイズ150人目の妻はイザベラに決まった、君は端数で我慢しなくてはならない。ほかにも美しい女がいるいい場所だが、ここに来た本題を果さなくては

 

「さて、ここに集まった皆さんに私がこのハルケギニアに光臨した理由を話そう。それはここにいる諸侯達全員の連合軍を組織しエルフ共を抹殺することだ」

 

それを聞いた会場は別の意味で凍りついた。それはハルケギニアの住人にとってエルフと戦い続けても適わなかった唯一のものだからだ。過去に編成された聖地奪還軍はすべて大損害を受けて敗北、最後の聖地奪還軍に至っては教皇がとらわれるという事態まで発生した。それを明らかに頭がおかしい男がもう一度やろうというのだから当然である。

 

「バルビエール卿、勝算はあるのですか。卿の驚異的な軍事力があるのにもかかわらず、連合軍を組織しようというのはエルフがそれ以上の軍事力を持っている証明では]

 

ゲルマニア皇帝アルブレヒト3世が諸侯達を代弁してバルビエールに訪ねた。

 

「その質問はもっともだ。アルブレヒト殿、警備兵例のもをもってこい」

 

バルビエールが警備兵にそう命じると、警備兵達は布で覆われた円筒型の容器を10個運んで会場の中心に設置すると覆いを外した。それを見た諸侯達息を呑んだそこにあったのはホルマリン漬けにされた、倒すことができないとされたエルフ達の標本だった

 

「シェナイター博士に感謝してもらいたい。ご覧のとおり私の軍勢はエルフどもを倒すことができる。ではなぜ連合軍を組織するかといえば人類が一丸となって亜人どもを皆殺しにする。そこに象徴的な意味があるからだ」

 

とバルビエールがこぶしを掲げては言うとアルブレヒト3世は動揺しながら別の質問をした。

 

「だが、戦争が終わったばかりのわが国やトリステイン、アルビオン。都市同盟戦争で疲弊した都市国家軍は参戦する力がない」

 

アルブレヒト3世は要用を隠しながら言うと

 

「それに答える前に一つ質問がしたい。君たち諸侯が人の上に建つ資格の一つに良きブリミル教徒である事きいたのだがそれは本当かね」

 

それをきいたアルブレヒト3世はバルビエールの罠にかかったことを知りながらも言わざるを得ない状況に追い込まれたことを悟った。

 

「そ、そうだ」

 

バルビエールは醜い顔をゆがませながら

 

「エイジス32世殿、正しきブルミル教徒はエルフとの戦いに参加しないものなのですか?」

 

とバルビエールが教師に質問する生徒のような態度でヴィットーリオ聞くと

 

「エルフとの戦いは聖戦です。この戦いに参加しないものは主の教えに背くものであるばかりか、敵であるエルフに協力する異端者です」

 

バルビエールの質問にヴィットーリオは生真面目な教師に用に答えた。

 

「さて、ここにいる諸侯の中でエルフに協力する異端者はいないかね」

 

トバルビエールが会議にとどろく声で言うと誰も何も言わなかった。

 

「沈黙は賛成と受け取っておくよ。聖戦は半年後するということでいいかね?」

 

またとどろくような声できくと答えもまた沈黙だった。こうしてエルフとの戦いはバルビエールとヴィットーリオの共同作業によって、半年後に決まった。



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その夜

遅れた上に短くてすみません


ラドリアン湖  イザベラの天幕

 

いやだいやだいやだ!あんな頭おかしいのと結婚なんてしたくない。あたしが結婚したいのはあたしの苦しみを分かってくれてあたしを愛してくれる格好いい男だ。あんな醜い顔の125歳の149人も妻を持っている男なんかじゃない!それなのに何でお父様はあたしとあの男を結婚させるだ...お父様もあたしのことを愛していないから...違う!お父様は何か目的があるんだ。そうじゃないとそうじゃないとあたしこの世に生きている意味がないじゃない

 

「取り込み中のところが悪いが新婦の様子を見に新郎がやってきたぞ」

 

黒くてしわくちゃな醜い顔曲がった背中の男、あたしの婚約者になった忌々しい男バルビエーリ・アルマスガ私の目の前に立っていた。

 

「な、なんでここにお前がいるんだ。誰もここに入れないように次女や警備兵に言っておいたはずだよ!」

「私は神だ。神が好きな場所を行くこと止める法はないぞ、そうそう私がここに入るのを邪魔した愚か者は私のこぶしで黙らせた」

 

このいかれた狂人は自分のことを恐れ多くも自分のことを神だというと私の目の前で殴るまねをした。

 

「なんであたしの部屋にやってきたんだ。もしあたしの貞操をうばうなら。ここで、し、死んでやる」

「嫌がる女とやるのはそれはそれで愉しいのだが、今日ここに来たのはお前と夫婦の会話するために来たのだ。共通の話題が思いつかなかったが、あのクソ吸血鬼が言うにはお前に会ったことがあるそうだからそれが話題になるだろう」

 

あたしが覚悟を決めた言葉をまるで子供のいった冗談のように受け流しながら。狂人は私と夫婦の会話がしたいといって吸血鬼が共通の話題になるだろうと言った。あたしはそれに覚えがあった5歳くらいの小さな女の子、ろくに会話はできなかったけど私の心に強く刻まれていた。

 

「あの子になにをしたんだい、狂人のアンタだどうせろくなことをしていないだろ」

「おいおいおい、狂人?このようで最も優れている人間に対して何たる言い草だ。あのクソ吸血鬼は最も良い方法で利用した。存在してはならないものを私の血肉にするという誉れを与えたのだ」

 

あたしは固まった。この最低最悪のこの世に生きてはならないものは、あの子の事を生きているものが最も嫌がる方法で殺しその上それを最上の名誉だといった。あたしはそれをぜんぶ理解したとき激しい怒りが沸き起こった。

 

「この人でなし!あんな小さい女の子に悪魔のような仕打ちをして!あんたそれでも...」

 

そこまで言い終えたとき強い衝撃があたしの腹部を襲った。あまりの苦しさにあたしは夕食をぜんぶ吐き出した。悪魔は苦しんでいるあたしの髪をつかむと

 

「これはいけない、神である私に対する口の聞き方がなっていないではないか」

 

その姿はあたしがさっきまで感じていた醜さとは違った。今私の目の前にいるのは人のことをなんとも思わない人の皮を被った何か。機嫌を損ねたら私をいとも簡単に殺せる怪物がそこにいた。

 

「あ...あ、あ」

「そんなに私が怖いのかね?この程度のこともらすほどの痛みも恐怖もないはずだぞ...こんな状態では私の望む夫婦の会話などとてもできない。いいか明日も一度ここにやってくるそのときはもっと良い対応をするんだ。でないと本当の君に味わってもらうことになる」

 

そういい残してあたしの前から怪物は消えていった。残されたあたしは震える体を抑えるしかなかった。

 

 

たかが家畜ごときにあそこまで激怒するとは神である私の信仰心に掛けるやつだな。だがあの女には周りの全てに対して強い憎しみを持っている、それを開花させれば面白い奴になるかもしれない。従順な女に育てるか面白い奴に育てるかどちらにしようか...誰だ

 

「陛下、私はジャン・ジャリック・フランシス・ワルド申すものあなた様にお使いするために参りました」

 

こいつはあのクロムウェルの護衛としていた奴じゃないか。私の偉大さに心を打たれたのか

 

「なぜ私に使えようと思ったのだねワルド君、レコンキスタは君にいい待遇を与えてくれないのか」

「陛下、あなたさまの華麗な手口によって聖地解放軍が組織されるのをこの目で見てあなたこそが僕の真に使えるお方だと確信しました」

 

この男は聴いた話によると元トリステイン魔法衛士隊の体長をやっていたらしいではないか、それが敵であるレコンキスタと手組んでアルビオンの王子を殺したようだな。こんどはそのレコンキスタを裏切り私に仕えたいという

まぁ偉大な私に使えたくなるのは当然のことだ

 

「いいだろうワルド君私に仕えるのを認めよう。では最初の任務として私の部屋で君の知っている情報を話してもらおうか」

「仰せのとおりに陛下」

 

ジョセフの天幕

 

「ジョセフ!聖地解放軍が組織されたぞそれもあの男の手によってだ!」

 

秋の小麦のような流れる金髪と尖った耳を持つビダシャールはジョセフに祖国が戦争に巻き込まれる怒りに震えながらジョセフ詰め寄った。

 

「ビダシャールそんなに起こると早死にするぞ、俺が思うに父上が死んだ理由は配下に怒りすぎたからだからな」

 

ジョセフはビダシャールの怒りを道化が面白おかしく動いているのを見ているかのように笑いながら受け流した

 

「お前の冗談に付き合っている暇は無い!これは私たちの種族の問題だけじゃないんだぞ、この世界に住む全ての生きとし生けるもの全ての問題なんだ」

「安心しろビダシャール、バルビエールを殺す算段はもうつけた」

 

声を荒げるビダシャールの怒りを堪能したジョセフはゆったりと立ち上がるとビダシャールの肩に手を当てて

話した。

 

「それは本当かジョセフ」

「あの男はイザベラと結婚する会場は首都の大聖堂だ其処でやつを殺す」

 

そのとき、テントに大音量の南国のリズムと合唱の歌声が響き渡った

 

「自分のことを神と崇めさせる歌を流すとはあの男の傲慢さはとどまるところを知らないようだな」

 

ビダシャールはバルビエールを崇める言葉が次から次と、でてくる歌詞を聴きながら言葉を吐き捨てた。

 

 

「陛下、あの歌は何なのですか?」

「ワルド君あれはわたしへの賛歌だよ。神である私を賛美する曲があるのは当然のことではないか」

 

まったく、この私に使えるというのに私を賛美する歌に動揺するとは...んあいつは

 

「ルイズのそばに引っ付いている東洋人ではないか、どうしたのだねワルド君のことを睨みつけているが」

「じいさん、俺はルイズの嫌がることをやるお前のことを好きじゃないけど。お前の連れているワルドは姫様

を裏切って、裏切った相手のレコンキスタも裏切ってお前に付こうとしているんだぞ」

「何を言うかと思えばその程度のことか、いいかね。私とお前が言ったものたちは根本から違うのだ」

「じいさん、そんなにうぬぼれていると破滅するぞ」

 

この餓鬼、私の偉大さをまるで知らないくせに知ったような口をきくとはよほど頭がおかしいとみえる

 

「少年、お前もすぐに私の偉大さに気づくことになる。すぐにな。そのときお前はこの私に逆らったことを

震えながら謝ることになるだろう」

 

と言い残すとバルビールはワルドをつれてサイトの前から去っていった。

 

イザベラは夢を見ていた

 

あたしが空を見つめると巨大な竜が飛んでいた。堂々とした巨体金色の体を浮かばせ天空の雲ひとつ無い青々とした空を滑空していた。それはバルビエールだ。彼がイザベラの天幕に入ってきた姿だ。

 

あたしはリュティスの大通り流れる勇壮な音楽の中を馬車で通り過ぎていた。さまざまな身分のものがある一点を見つめている。それはバルビエールだ。彼の登場ととそれを見つめる者たちだ。

 

あたしはグラン・トロワの玉座に座るお父様を見ていた。つまらなそうに周囲を覗いている表情目の奥に見える冷酷さ。それはバルビエールだ。彼が諸侯会議の挨拶を聞いている表情だ。

 

あたしはグラン・トロワの庭園の中でシャルロットと遊んでいた。愛くるしい笑顔、リスのようにかわいい目。それはバルビエールだ。彼が聖戦の開始を始めたときの顔だ。

 

あたしが悪夢から目覚めたとき、自分の精神がバルビエールの邪悪などす黒いなにかにに絡めとられて居るのを悟った。

 

 

 

 

 



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