ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~ (三元新)
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0話 始まりの終わり

これは、今作の主人公の過去物語…。全ての始まりにして終わりの悲しき記憶。


……と、見せかけた何か!とりあえず、これは主人公が転生するかなり前の過去話です! あんまり見てもおもしろくないから飛ばしても問題ないですよ!
本編は、プロローグからですよ〜。



※タイトル変更いたしました※


家が燃えている…

皆が燃えている…

 

家族も…友達も…皆…皆…燃えている…

 

なぜ…?どうして…?なんで皆燃えているの…?

僕がなにをしたの…。

 

なんで…、なんで?

 

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!!!

 

「ふははははははははは!!!燃えろ燃えろ!

全てを燃き尽くせ! 貴様らは邪魔なんだよ…。忌々しき力を持った人間の一族どもよ!! 貴様らは…我々の邪魔なんだ。この、屑が!!いつもいつも我々【カンピオーネ】の邪魔をしよって!

さぁ!お前ら!!ここの者達を一人残らず殺せ!! 虫一匹たりとも逃すなよ!」

 

『うおぉぉぉぉぉお!!』

 

目の前で、沢山の人と一匹の大きな体で人間の様に二本足でたっている、灰色の大狼がさけびながらいた。

 

「つばさ…!!早く逃げなさい!!お母さん達は大丈夫だから…ね?………お願い……早く…早く逃げなさい!!」

 

お母様が、血だらけになりながらも懸命に叫ぶ。

 

「そうだ…つばさ!!早く逃げなさい!!ここはお母さんとお父さんで食い止めておくから…!だから…早く逃げろ!!」

 

お父様が、刀をもちながら背中越しに叫んでくる。

 

 

……お母さん?…お父、さん…?

 

ダメだよ…お母さんもお父さんも…皆と別れたくないよ…!

 

「カンナ。つばさの事を…頼みます…。」

 

すると、突然僕の体が地面から浮いた。誰かに抱き抱えられたようで、その本人を見た。

 

「優香様…。わかりました…。このカンナ、この命にかけても!!お二人様の息子様を守って見せます…ッ!!」

 

――カンナ。家に使えるメイド長で僕の家庭教師であり師匠でもある専属メイドさん。

 

そんな彼女に僕は抱っこをされていた。

 

「あぁ…。俺たちの大事な息子を…頼みます…。カンナ殿…。」

 

お父さんが、微笑みながらカンナにそう言った。その両目は涙で濡れている。

 

「嫌だよ…。お父さん…お母さん…死んじゃヤダー!」

 

僕は懸命に、両親に手を伸ばした。すると、お母様が僕の手を優しく握ってくれた。

 

「つばさ…。強く生きなさい?恨んで敵をとろうなんて思わないでね…、あなたには……強く生きてほしいの…。だから…ね?強く幸せに生きて、私達の可愛いつばさ」

 

……お母様。

 

すると、今度はお父様が僕の手を同じように握ってくれる。

 

「そうだぞ…つばさ。お前は私達のぶんまで強くいきろ!!お前は――私達の自慢の息子だからな…!!」

 

お母様とお父様が優しい声で力強く言ってきた。

 

「「だから…強く生きなさい!!!!!!」」

 

お母様とお父様の顔は何かを決意した顔だった。

 

「それでは…、優香様…勇樹様…。今まで本当にありがとうございました…。このご恩一生忘れません!!この命に変えてもつばさ様を守ってみせます!どうか、ご武運を…。」

 

そう言って、カンナは僕を抱っこしたまま走り出した。

 

「見つけたぞ!!生き残りだ!」

 

突然、屋敷の扉が破壊され、1人の軽装の鎧をつけた男が入ってくるなり遠くへさけんでいた。

 

「早く行きなさい!!」

 

「そうだ!早く行けー!!」

 

お母様とお父様が急がすように叫んでくる。

 

「それでは…さようならです…!!」

 

カンナは辛そうな顔をしながらも軽くお礼してその場を走り出した。

 

「嫌だ…!!お父さん…お母さーん!!」

 

僕の手は両親には届かなかった。

 

―side out―

 

―――――――――――――――――――――――

 

ここはとある一族が隠れ住んでいた里。本来は自然に囲まれ平和で豊かな場所なのだが、いまはあちこちから火が灯り、人々の叫び声が聞こえてき、まさに地獄と化していた。

 

「ちっ…!!一人逃したか…貴様らぁ…!!」

 

すると、軍隊を引き連れた、リーダー格と思われしき立派な装備をした男が憤怒の表情で、自身の目の前に入る男女を見ていた。

 

「ここからは…誰一人として通しません…!!」

 

「あぁ!!この命、尽きようとも!!ここから先は絶対に通さないぞ…!!」

 

そこには、先ほどのメイドと小さな男の子を逃がした両親が敵に向かいさけんでいた。

 

「ふん…貴様ら二人でこの100人ちかくいる、神殺しの力を持つものを相手に出きるとでも?ふはははははは!!じつに笑わせてくれるぞ!!」

 

すると、リーダー格と思われる男が嘲笑うかのような笑い声でさけんでいた。

 

「えぇ…。私達じゃぁ…キツイかもしれません…。でも…この魔法なら…あなた達を全員一緒に連れていくことができますからね…。」

 

すると、母親と思われし人

 

「なに…?どういうことだ!!」

 

「それは…この無限封印を使うのだよ…!貴様をまきぞえにな!!」

 

「なんだと…!?貴様ら…!その魔法を使えば貴様らの命も消えるのだぞ…!?それでも…」

 

「えぇ…!そんなの百も承知!!私達二人の命であの子の未来が守れるなら…それも本望です!!」

 

「そうだ!!あの子は私達二人の希望なんだ!!この村の一族の最後の希望なんだ!!だから、あの子を守る為ならこの命捨てるのに十分な価値なんだよ!!だから…貴様らを全員一緒に…封印してくれるわ…!!」

 

「くそぅ…やめろーー!!!!!!」

 

「さぁ…!!最後の私達の力で…」

 

「お前らを…封印する!!」

 

「「我。この世に宿りし神を守護する者なり…汝。我等の声を聞きたまえ…!汝。我等の望みを叶えたまえ…!全ての悪を…全ての闇を…封印する!!

無限の力で…無限の光で…目の前の敵を封じろ…!!我。ここにあり!!神を守護する者の名において命じる!!我々の全ての敵を封印しろ!!」」

 

「「!!!無限封印!!!」」

 

時空が歪み全てが闇えと替わっていっていた…

 

「くそっ…!くそぉ…!!貴様ら…!!!たとえ、なん百年たとうと!!この身が朽ち果てようと!!!絶対…絶対…!!この恨み晴らしてみせようぞォォォォォォォッ!!」

 

そして、ソコには何もかも闇に包まれ…次元の間に無くなったのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つばさ様…あなたを……絶対に守ります…。必ず………」

 

 

 

 

そして、一人の少年とメイド服をきた女性を残してとある一族は歴史から消え滅んだのだった…。




今回は、前世の主人公の身に起きた出来事を書いてみました…。

そして、今回のこの出来事が後々本編に絡んでいきます…。どうぞ、乞うご期待!!


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プロローグ

何となく書いてみた!!


「うぅ…此処は何処だ……」

きずいたら俺は知らない場所にいた…

 

「何で…こんなところに」

 

其処は何にもなくただただ広い真っ白な空間だった…

 

「確か俺は……トラックにひかれそうになった子供を助けて…」

 

そう、俺はいつも通りの道を通って散歩をしていて信号待ちをし、信号が青になったので進もうとしたら…隣にいた子供が友達の所に行こうと走っていってたら…居眠り運転をしてたトラックがその子供に突っ込んでいき、その子供を守るため突き飛ばしたあと、確か意識が無くなったのか……………

 

あれ…、もしかして俺死んだ…?

 

 

『そうじゃ、お主はその子供を助けて死んだのじゃ』

 

そうか、俺…死んだのか…………

 

「って、あんた誰っ!!ていうかいつからそこいたの」

 

『うむ、わしの名はイザナギ…つまり神じゃよ。それといつからいたかと言う質問については、「確か俺は…」のところからじゃな。』

 

「ほぼ初めからじゃん……って…イザナギ!?」

 

『かっかっか、おんしは面白い反応するの~』

 

オッサン?がいきなり現れたらと思ったら日本神話で有名な神様の1柱、伊邪那岐命様でした、てか俺はやっぱり死んだのか~…と、言うことはここって地獄か天国なのかな~…それよりも、あの子供無事だったのかな?

 

『ふむ、あの子供なら無事じゃよ。今も元気にしとるし、おんしの葬式にも来ていて両親と一緒に「お兄ちゃん助けてくれてありがとうございます」何てことを言ったよ』

 

そうか、あの子供は無事だったのか…ならもう悔いはないな……

 

『おんし…何か勘違いしておらぬか?』

 

ん、何が?

 

『何がって…おんし、それでいいのか?そんな人生の終わりかたでいいのか?』

 

うん、いいよ。どうせ家族も皆死んじゃったし…メイドと二人で今まで暮らしてたかね、最後の最後に小さな未来ある子供の命を助けれたんだ。もう、ね…いいよ。満足だし…。ま~悔いがないとは嘘になるけどね…。

 

『ふむ。――なら、転生してみるか?』

 

転…生…?

 

『うむ!転生じゃよ!』

 

そっか~、転生かぁ……いいかも。

 

「今さらだけどね、1つ聞いていいですか」

 

『うん…?なんじゃ?』

 

「さっきから人の心読んでない…?」

 

『本当に今さらじゃな……』

 

うん、今さらですがなにか?

あ、そうだ、一番大事な事を聞き忘れてた…

 

「何処に転生するの?」

 

『ふむ…おんしらの世界で言うラノベと言う奴のハイスクールD×Dと言う世界じゃ!!』ドヤー!!

 

と、何かどや顔で言ってたがハイスクールD×Dか~…

かなり、俺読んでたな~。てか死亡フラグばっかの所じゃん…

 

『ふむ、所でおんしはどんな特典が良いのじゃ』

 

特典か! 何にしようかな~…とりあえず力は欲しいな!

 

「てなわけで、とりあえず力が欲しいな~」

 

『具体的にどんな力がよい』

 

「その世界でどんな事がおきても生きていけるぐらいの力!!あとは家族が欲しいな~、それとほかは神様が適当に決めてくれるとうれしいな~。ダメかな…?」

 

『ふむ…そんなんでいいんじゃな?なら特典はこちらで決めておくとしよう!!』

 

「うん!ありがとうございます!」

 

『かっかっか、なぁ~にお安いご用よ。では、転生させるぞい?』

 

「うん…、お願いします」

 

ふぁ~転生か~、楽しみだな~!

あっ!そうだ忘れるところだった!!

 

「ねぇ…神様?」

 

『ぬ?なんじゃ?まだあるのか?』

 

「その…ね…///」

 

 

 

「神様…いえ、イザナギ様…新しい人生をくれてありがとうございます!!この恩は一生忘れません。本当にありがとうございました!!」

 

『かっかっか、気にするな。ただの気まぐれよ…。おんしは新たな人生を楽しむが良いのじゃ!』

 

「はい!!」

 

『では、いってこい』

 

「いってきます」

 

こうして俺はハイスクールD×Dに転生するのだった…

 

 

 

イザナキside

 

さて、あの一族の最後の生き残りを転生出来たか…。

 

「ふぅ…。本当に良かったのか…?おんしは…」

 

「はい…。イザナキ様…これで良かったのです…。つばさ様には…幸せに暮らして欲しいので…。もう…あのような辛い過去を持たない…世界へ…」

 

「おんしは…寂しくないのか?」

 

「寂しいですよ…そりゃぁ…。でも、私はもう力がありません。もう…あの方々の約束を守れないのです…。だから…。イザナキ様に頼みにきたのです…。もう…私も…。思い残すのはありません…。これで…安らかに…眠れます…。どうか…どうか…。お幸せに……つばさ…様…………」

 

ドサッ…

そして一人の少女が幸せな顔で死んだのだった…。

 

「全く…。おんしは自分の幸せよりも…あの子の幸せを最後まで願うのだな…。お前はここで死ぬのはもったいない…。おんしもあの子と同じように幸せにならなくちゃぁいけないぞい…?それが、ワシの数少ない親友であり、あの子の両親の…最後の願いなのだからな…。お前のその命!!ワシが預かろう…!!ワシと共にあの子に会いに行くぞ…?麗しきやさしい心をもった少女……カンナよ…」

 

そしてワシは、一人の少女を神に転生させて…。ワシと共にあの子の転生先のハイスクールD×Dに行くのだった…。

 




いかがでしたか。

ちょっと変えて見ました…!!


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キャラ紹介

キャラ紹介だぁ~!

てか…チートだぁ~…!!


結城 翼 ゆうき つばさ

 

性別 男? 三男 兄弟姉妹で一番下

 

見た目 バカテスの木下秀吉をもっと女の子にした感じ 双子の優子の弟

 

身長 160cm

 

体重 43kg

 

・能力

【コピーする程度の能力】

一度見た事のある相手なら、生物であればなんでもコピーできる。姿や能力…そして、そのコピー対象となった生物の潜在能力をも完璧に使いこなす事ができる。

※ただし、生き物でも、虫や植物は無理で、ロボットや機械と呼ばれる者でも、生物型ロボットや生命体の機械であればコピー可能(例えばホムンクルスなど)。

取り合えず、命がある物ならばコピーできる。

 

【武具を創る程度の能力】

自分で武器や防具を作ることができる能力。つまり鍛冶師。

※能力を使う際の対象が武具というカテゴリーの中に入るのであれば、例えそれが神の武器である神器や神具、呪われし魔剣や妖刀、聖なる力を宿す聖剣や霊刀等などの普通では作成する事などむりな物でも、武具のカテゴリーなら作成及び再現&復元可能。条件として、実際に触れるか本物を視界におさめるか……この二つのどちらかをクリアしていたら能力が発動できる。

 

※しかし、前者は性能が同じだが姿形が全くの別物ができ、後者は見た目は同じだが中身が違う物が出来る可能性が高い。この二つの条件をクリアしたとき、初めて能力が完全に発動する。

 

※見た目は武器でも武具のカテゴリーにはいらなければ作成不可。

 

【大自然を操る程度の能力】

文字どおり、自然を操る程度の能力。自然に存在する物、自然のカテゴリーに入るものならなんでも操れる。

※時を止めたり、生命を生き返したりと、自然の概念に反則又は自然ではありえない現象のものは操る事ができない。

 

【呪いは受け付けない程度の能力】

単純に呪いが効かない程度体質。

※無効化できる呪いの力には上限あり。能力の上限を超えた呪いは、能力の対象外である。

 

・所持武具一覧

 

神器【祖龍の籠手】10秒毎に全ての能力を2倍にする

 

見た目は赤龍帝の籠手が白銀になった感じ

 

全てのドラゴンの王【祖龍】ミラルーツ(♀)が封じられている。

 

禁手化【祖龍の鎧】10秒毎に自身の全能力が3倍にしていき、最大1km以内にいる仲間と認めた全員の全能力を2倍にする事ができる。

しかし、強化できる能力はひとつ限りで、他の固有能力は全て同時に強化できるが、コピーした能力のみ制限され、鎧を着ける前に使用した能力のみ強化される。

 

見た目はミラルーツ装備が赤龍帝の鎧見たいになった感じ。

 

・常時スキル

 

『神龍』

神竜マスター・ドラゴンから教わった力。自らを神竜と同じ体質へと変え、更に神竜とは別の能力が合わさり新たな"神龍"へと変わるもの。力も普段の倍以上に跳ね上がり、かなりの強さを誇る。……しかし、この能力はとんでもなく力を使うため、週に一度使えたらいいほうだ。

翼や龍族はこれを"龍化"と呼んでいる。なお、"神竜"と"神龍"は似て非なるものである。

 

『厄神(祟神)』

翼の力が一つ、『大自然を操る程度の能力』と『呪いを受け付けない程度の能力』の二つの力が暴走した時に合わさり産まれた能力。この力が暴走するとただ無差別に周りに被害が及び、一番ひどい時には、小さいがかなりの武力を持っていた島国が島ごと消し飛んでしまった。今じゃ、その島国と島は地図上から消滅している。

そして『災厄(ディザスター)』と呼ばれる由縁となったもの。

 

『???』

まだ、謎に包まれた一つの能力。翼たち結城家のメンバーはこれを"神化"と呼んでいる。 能力を使うと、騎士の様な姿となるらしい。

 

NEW『???』

まだ、謎に包まれた能力。災厄の力が発動した時になる姿。こちらは"禍津化"と呼ばれており、脇が出ている黒い巫女服になる。それ以外にも、肌は病的までに白く、髪も白髪、目は赤くなり、顔から肩にかけて呪いの様な謎の模様が浮かび上がる。

 

 

 

結城 椿 ゆうき つばき

 

スリーサイズ 86/57/87

 

性別 女 (女体化)

 

見た目  腰まで伸びたロングヘヤー、眼は金色。胸のサイズは、アーシアよりは大きくゼノヴィアよりは小さい。形は、大きすぎず小さすぎなく、まさに美乳といった感じ。

 

性格 三姉妹の影響で少しお嬢様気質。料理が大好き。お世話好き。

 

好きなもの 可愛いもの。子供。甘い御菓子。自然。

 

嫌いなもの 虫。お化け。エッチなもの。変態(イッセーは平気)。家族や認めた人物以外の男性。

 

この姿になると、男の時のツバサよりも……いや、時と場合によっては下手すれば一般人よりもかなり弱くなる。

強さのレベルは魔力以外、イッセーよりも下。全てにおいて最弱。

女体化する条件は、自分の意思でなるか、体内の魔力が3分の1以下になると自然になる。

 

『禍津』

この能力は椿となった時の、ある時の暴走時の姿。一度、この姿になると、対象相手を確実に仕留めるまでひたすら暴走し続ける。その時に暴れた記憶は抜け落ち、暴走時の記憶は持っていない。この能力を使う時に、博麗の巫女服になってしまう。

結城家の兄弟姉妹たちはこの能力を"禍化"と読んでおり、裏の二つ名『禍巫女』と呼ばれる由縁となったもの。

⚠︎NEW ちなみに、博麗神社の四大巫女の一人『禍巫女』こと、2代目博麗の巫女『博麗 鈴華(ハクレイ リンカ)』という女性に、これと似た力を持っていた為弟子入りし、いまはこの姿を自在に操る事が出来るので、暴走することはない。男性時でも、使えるようになっている。そして、『博麗鈴華』本人により、2代目『禍巫女』となった。

 

『???』

まだ、謎に包まれたもう一つの能力。翼たち結城家のメンバーはこれを"神化"と呼んでいる。この姿になると、猫耳尻尾が生えてくる。

 

 

 

結城 優子 ゆうき ゆうこ

 

性別 女 三女

 

見た目 木下優子 双子のつばさの姉

 

身長 160cm

 

体重 ないしょ♪

 

スリーサイズ ないしょ♪

 

能力【どんな傷でも治す程度の能力】

 

神器【天嵐龍の籠手】5秒毎に自信の能力を2倍にする

三姫竜の一匹【天嵐龍】アマツマガツチ(♀)が封じられている。上限として、所有者の体力次第で倍化能力に限度がある。

 

禁手化【天嵐龍の羽衣】10秒毎に自身の能力を5倍にし仲間と認めたら者の全てを回復することができる。

さらに、水を自由に操ることができ、アマツマガツチの力である嵐を操る事もできる。

 

見た目はアマツマガツチ女性装備を羽衣化したやつ

 

『???』

まだ、謎に包まれたもう一つの能力。翼たち結城家のメンバーはこれを"神化"と呼んでいる

 

 

 

結城ナツル

 

性別 女 次女

 

見た目 け○ぷファーのなつる

 

身長 175cm

 

体重 教えません!

 

スリーサイズ 教えません!

 

能力【魔法を操る程度の能力】

 

神器【熾凍龍の籠手】5秒毎に自身の魔力を倍にする

三姫龍の一匹【熾凍龍(しとうりゅう)】ディスフィロア(♀)が封じられている。

体力次第で上限がきまる。

 

禁手化【熾凍龍の羽衣】10秒毎に自身の魔力を5倍にする。近くにいる仲間と認めた者の魔力を倍にできる。

仲間に譲渡時、最大の2割までしか譲渡できない。

 

見た目はディスフィロア装備を羽衣化したやつ

 

『???』

まだ、謎に包まれたもう一つの能力。翼たち結城家のメンバーはこれを"神化"と呼んでいる。魔道騎士の様な姿となる。

 

 

 

結城皐月 ゆうき さつき

 

性別 女 長女

 

見た目 黒神めだかの目は赤よりも赤い紅色

 

身長 176cm

 

体重 ないしょだ

 

スリーサイズ B98/W59/H87

 

能力【見た相手の能力を完全に自身の

力にする事のできる程度の能力】

※黒神めだかの異常性(アブノーマル)【完全(ジ・エンド)】と同じ。

 

神器【天廻龍の籠手】10秒毎に自身の身体能力を3倍にする。

体力次第で上限あり。

 

三姫龍の一匹【天廻龍】シャガルマガラが封じられている

 

禁手化【天廻龍の羽衣】5秒毎に自身の身体能力を5倍にし活性化させる500m以内にいる仲間と認めた者の身体能力を10分間の間、3倍にさせ活性化させれる。

 

見た目はシャガルマガラの装備を羽衣化したやつ

 

『???』

まだ、謎に包まれたもう一つの能力。翼たち結城家のメンバーはこれを"神化"と呼んでいる。 能力を開放すると、女騎士の様な姿となる。

 

 

 

結城 光輝 ゆうき こうき

 

性別 男 長男

 

見た目 かなりがたいがよく、髪は黒髪の短髪で、目が金色。がたいは史上最強の弟子ケンイチの風林寺隼人なみ。

 

身長 220cm

 

体重 230kg

 

能力【絶対防御】どんなもの(魔法・呪い・物理的攻撃・幻術(身体)など)でも防ぐ事ができる能力

※ON/OFF可能で、日常生活では基本的にoffしており、戦闘時も常にON状態ではない。

 

【絶対破壊】どんなものでも破壊する事ができる能力

※ON/OFF可能で普段はOFFにしている。必要な時のみONにしている。

 

神器【黒刻龍の籠手】10秒毎に自身の攻撃・防御・スピードが3倍になる

 

二帝龍【黒刻龍】UNKNOWN(アンノン)が封じられている。

 

見た目赤龍帝の籠手が黒色になった感じ

 

禁手化【黒刻龍の鎧】10秒毎に自身の攻撃・防御・スピードを2倍にし更に属性を変えて自信の武器に譲渡する事ができる。

 

見た目はアカム装備。

 

『???』

まだ、謎に包まれたもう一つの能力。翼たち結城家のメンバーはこれを"神化"と呼んでいる。

 

 

 

結城レイジ

 

性別 男 次男

 

見た目 シャ○ニ○グブ○ドのレイジ

 

身長 180cm

 

体重 72kg

 

能力【全ての精霊を操る程度の能力】

 

神器【黒狐龍の籠手】10秒毎に自身の全能力を倍にする

二帝龍の一匹【黒狐龍】ミ・ルが封じられている

 

見た目赤龍帝の籠手が漆黒になった感じ

 

禁手化【黒狐龍の鎧】20秒毎に自身の全能力を5倍にし自信の色(自然に溶け込んだり[ステルス機能])や属性を変えることができる。

 

『???』

まだ、謎に包まれたもう一つの能力。翼たち結城家のメンバーはこれを"神化"と呼んでいる。

 

 

三祖龍

3体の原初の龍のこと。始まりのドラゴンにしてドラゴン達の王でもある。

祖龍・黒龍・紅龍の3体がいる。

 

【祖龍】ミラルーツ(♀)

全てのドラゴンの祖にして王。夢幻や無限を遥かに超える力を持った最強のドラゴン。

結城 翼の相棒兼母親。ツバサの事を溺愛している。

擬人化できる。自由に神器から出れる事もできる。

 

 

三姫龍

三体の強大な力を持った雌のドラゴンで、その力は二天龍を遥かにしのぎ無限や夢幻に同等の力を持った古龍種と呼ばれるドラゴン中でも最上位に君臨するドラゴンである。

暇で仕方なく、興味本位で神器となる。そのため、元の姿に戻る事も可能。普段は自由にしているため、基本、擬人化して結城家でのんびりとすごしている。

使い魔としても働くため、何処にいても魔法陣で召喚可能。

 

【天嵐竜】アマツマガツチ(♀)

天山と呼ばれる山に住んでた龍で嵐と水を司る龍である。三姫龍の一体で回復系の力を持っている優いつのドラゴンである。

結城 皐月の相棒。基本的におっとりとしているが、怒ると怖い。

髪は白いろで腰より下まで伸びている。目は水色。

擬人化あり。

 

【熾凍龍】ディスフィロア(♀)

熾炎と凍氷を操るドラゴンで、三姫龍の一体で属性魔法系のものが最も得意なドラゴンである。

ナツルの相棒。普段は魔法陣の研究で、自室に篭ってる。

 

【天廻龍】シャガルマガラ(♀)

体術や幻術等の力を司る龍で、三姫龍の一体で身体強化や幻術といった色んな技を操るのが得意なドラゴンである。

優子の相棒。熱血漢な男勝りな性格のため、普段は体術及び武術のため、暇さえあればそれらの鍛錬を常にしている修行バカ。

 

 

二帝龍

黒き力を持った謎大きドラゴンでその力は【祖龍】ミラルーツに近い力を持っていると言われている。

更に、ドライグとアルビオンの気持ちを知るため、自ら神器となる。そのため、元の姿に戻る事も可能で、基本はそれぞれの使い魔をしている。普段は結城家でゆったりしている。

 

【黒狐龍】ミ・ル(♂)

二帝龍の一体でありとあらゆる属性と周囲の景色と同化する事により姿と気配を消すことができる。

隠密がとても得意で、基本的にレイジの周囲を飛び回り、レイジの身の安全を見守っていてレイジの身に危険があればそれの排除をしている。プライベート時は、あまり近づきすぎないように10km離れた所から見張っている。10kmまでなら、一蹴りで音も無く1秒もかからずに近づく事ができる。

結城レイジの相棒で使い魔。

 

【黒刻龍】UNKNOWN(アンノン)(♀)

見た目は漆黒のリオレイアだが、リオレイアではなく、全くの別種だというので〔未知なるもの〕と名前をつけられたのだという

自身の能力を活性化させることにより攻撃力、防御力、スピード力を大幅にUpさせることができる。

普段は、結城家で結城光輝と結城家のメイド長で妻の十六夜アイラの2人の間に生まれた娘を、2人の代わりに相手をしている。まだまだ小さいため1人にするのはできず、1番信頼できるアンノンことアノン(光輝命名)に光輝が頼んだ。

結城光輝の相棒で使い魔。

 




うわぁ~…
えらいことになった

身長等を追加しました

10/4 結城椿 『禍津』新たな情報を更新しました。
10/4 龍の情報を更新しました。


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キャラ紹介 その2

アリア・アルジェント

 

容姿 アーシアをそのまま大人なお姉さんにした感じ

 

アーシア・アルジェントの実の姉。ある時まで姉妹二人で暮らしていたが、そのある時に一人の男がきてアリアはアーシアの生活の為にその男に協力した。しかし、それは教会の非公式の実験で、その非人道的な実験のせいで数多くの子供達の命が奪われた。だが突然、廃棄処分ということで毒ガスをまかれ、残った子供は苦しみながら死んでいった。その中アリアは何人かの仲間達とともにその時知り合った、後の木場祐斗を逃がし、自分も死ぬつもりだった。

 しかし、偶然近くを通りかかっていたレイジがアリアを助けて施設も壊滅させた。

そのあと、アリアは命の恩人であるレイジに着いていこうと決心してずっと一緒に旅をしていた。徐々に憧れから恋愛感情へとかわり、一緒にいたレイジも同じ気持ちになり、後に二人は結婚することとなる。

 そして、コカビエル襲来の時に十数年振りの妹アーシアとの再会を果たし、いまは昔の様に……いやそれ以上に姉妹愛が深まり仲良くしている。

 

 

メイド長 十六夜アイラ

 

容姿 十六夜咲夜をもっとクールにし、髪を腰まで伸ばした感じ。胸は咲夜より少し大きめのEカップ

 

十六夜咲夜の実の姉。咲夜以上のメイドで、咲夜にメイドのなんたるかを叩き込んだ張本人。好きなものは家事と甘いものと可愛いもの。嫌いなものはエロい人。

 結城家の専属メイド長をしており、いつも忙しそうにしている。メイド長でもあり、結城家 現当主の結城 光輝の妻でもある。いつも真面目にするときはするが、変態で迷惑をかけている夫に頭を抱えている。

結城 翼(椿)の事を溺愛しており、休みの日とかはツバサを着せ替え人形したりして、心を癒している。

 

 そんな主人公でもあるツバサはアイラの忙しさを知っているため、その時だけは大人しくされるがままにしている。心だけではなく身体のケアの為にマッサージとかもやっている。

 

 

伝説の7人衆

 

いつも結城 翼(椿)を守っている地球連邦軍のエースの中のエース。7人とも伝説の英雄たちの子孫又は本人であり、結城家 当主の結城 光輝でさえ頭が上がらない人物達。

普段は表舞台に出ることが少なく、正体を知るものは地球連邦軍の中でも結城家 兄弟姉妹を覗けばほんの一握りの人数しかいない。でも、強さは折り紙つきでその実力だけは誰もが知っている。

 そして、ツバサは彼らの事を心の底から信頼しており、彼らの事を家族の様に大切に思っている

 

そして、何故そんな人物達がツバサを護るためにいるのかは、あとあと物語で語られる時がいずれ来るだろう………

 

 



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1話 運命は動き出す

さぁさぁはりきっていきましょう!!


「うぅ………ん…朝か」

 

俺は神様に転送してもらっんだけど~………赤ん坊からだったので、そこの話は飛ばしたよ~。だって…黒歴史だからね………。

 

「むぅ…知らない天井だ…」

 

……と、1度言ってみたかった事を言ってみたり!

 

さてさてお遊びはここまでで、これからどうしようか?

 

「とりあえず…動きますか…」

 

そんなこんなで何となく自分の部をあさってみた。すると、部屋にある円卓の机の上に当に一枚の手紙があった。……おかしいな?昨日までは無かったのに…。取り合えず読んでみるか………

 

なになに…

 

『やぁ(・ω・)ノお久しぶりじゃの~!わしじゃイザナギじゃ!!

おんしの特典についてだが~こんな感じじゃ』

 

ブォン!

 

突然映像が手紙から出てきて自身の能力と見た目、家族の能力について詳しく書かれていた。(キャラ紹介での説明)

……って、イザナギ様からの手紙!? な…なんで、今頃きたんだろう? もう生まれてから五年もたったのに…。

 

『とま~こんな感じでおんしの能力はおんしが前世で見てた東方projectの能力とモンハンのドラゴンの力をつけたぞい!あと、他には色々と原作知識を消さしてもらったぞい!

それと、おんしは今、何故今頃この手紙が来たのか?と思っているじゃろうが、理由は能力の力が強すぎて身体が持たんかったからじゃ。なので、身体が能力に耐えれるぐらいまでになったら、能力が入ってるこの手紙を送ろうと思ったのじゃ。

因みに、その能力はこの手紙を見たら自動的に身体に入ってるので、心配はいらんぞい!!

それと、わしの趣味としておんしの姿はぞくに言う男の娘にしたのじゃ~! 恨むなら適当でいいと言った自分自身に言うのじゃな。

 

ちなみにじゃが、なんでお主がいまの家族のいる所に転生したのかというとな……その家の、正確にはお主のお爺ちゃんとワシは親友での……ワシが頼んで転生させてもらったわい! てなわけでじゃ、あとは頑張れの!

 

PS,なおこの手紙を最後まで読むと自動で消去するぞい』

 

と、最後まで読み終わると突然手紙が燃えて跡形もなく消え去った…。

 

それにしても、あのお爺ちゃんとイザナギ様って親友――いや、イザナギ様って神様だから、神友になるのかな?……まぁ、いまはどうでもいいや。とりあえず、なんで家の家族のみんな――その中でも特に詳しく知っていたのがお爺ちゃん――が、俺が転生者だって事を知っていたのか、やっとわかったよ。

イザナギ様と交流があるのなら知っていてもおかしくはないよね。

 

本当に、ありがとうございます!!イザナギ様ーー!!

 

でも…まさか男の娘って………。そう言えばあまり良く見ませんでしたね…俺の姿って………。

 

俺は自身の姿が気になり、鏡の前に来て姿を見てみると…

 

髪は薄い茶色でエメラルドのような色した綺麗な目に体にでてる女性のような綺麗な括れができた体…

まさに見た目は絶世の超美少女だった…

 

「…………って、バカテスの木下秀吉じゃん!?」

 

しかも何で木下秀吉よりも女の子っぽい体になってるの!?…誰が嬉しくてこんな……トホホ

 

ま~…仕方ない…か。俺が悪いんだし

それに、能力がチートだからいっか

 

「でも、本当何しようかな~…」

 

そんな事を考えていると…

 

トントン

 

と、扉の叩く音が聞こえた…

 

「つー君起きてますか~」

 

誰かきたようだ…とりあえず返事はしないとな

 

「起きてますよ~」

 

「そうですか…。なら朝ごはんの準備が出来ているので降りてきて下さいね~」

 

お~!朝ごはんか!ちょうどお腹減ってたしラッキー

 

「わかったー!いまいくー!!」

 

とりあえず、私服に着替えて下に降りるか。

 

バタバタドタドタ…

 

「おっはよ〜! お兄ちゃん、お姉ちゃん♪」

 

「えぇ。おはようつー君」

「あらあら、おはようございますつー君」

「うふふ。おはようつー君」

「おう、おはようつー君」

「おはようつー君」

 

上からさつきお姉ちゃん、ナツルお姉ちゃん、優子お姉ちゃん、こうきお兄ちゃん、レイジお兄ちゃんの順で挨拶をしてきた

 

え、何でわかるかって?だって、そんなの家族だからに決まってるさ!

 

それにしても、家族…か……。前世では家族何てものは無いのも当然だったからな…。皆…あいつらに殺されちゃったから………。

 

――ううん。昔みたいに力が無いせいで家族がいなくなるなんてもう嫌だ!! 次こそ……自分の家族を守ってみせるんだから!!

 

 

 

 

 

 

新たな誓いを胸に刻み朝食をとるのだった…。




どうでしょうか…?
なかなか短いぶんだったな。


結構変えてみました!!


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2話 相棒との修業

のんびりと投稿中~♪


家族との朝食も終わり、現在はとある一部屋の無の間と言う修行場で神器の修行中なのである…。

 

無の間にはその名の通り何も無い真っ白な空間である。

最初はこの部屋を見つけたときかなり警戒したものの姉さん達に大丈夫だと言われたので、神器の修行をするときはこの部屋を使うようにしている。

 

具体的にどんな修行をしているのかと言うと座禅して精神統一し神器の中に入って、神器の主【祖龍】ミラルーツのミラと神器の扱い方や力のコントロールをしている…。

 

「ぅ~……なかなか力の調節が難しいよ、ミラ~」

 

『ほら、頑張りなさい。もうすぐで禁手化出来るんだから踏ん張りなさい。男の子でしょ!まぁ…見た目は超がつく程の美少女だけどね』

 

「それを言わないでよ、ミラ~」

 

目の前に人形になっていた【祖龍】ミラルーツのミラが俺の右手に着けている【祖龍の籠手】を撫でながら喋っていた。

そう、俺はあと少しで禁手化できるらしいがなかなか禁手化にならないんだよな~……

やっぱり簡単にはいかないか…。

 

にしても、相変わらず綺麗だなぁ…ミラって…。

腰まで伸びた白銀の髪にルビーのような赤い目をしていて、病気になったことが無いような位に綺麗な汚れの無い純白の決め細やかな裸で、更にスラッとした細い括れをしててスタイルも抜群で胸もかなりでかい(Gカップはあるのかなぁ?)腕も腰も足も細いし、胸元が大きく開いた、その…エ…エッチィ純白の薄着のドレスっぽい服装なので、いつも目の置き所に困る位の絶世の美女なのである…。

 

『……あら?嬉しいこと言ってくれるじゃない。それにうぶね~』ニヤニヤ

 

「だっ…だって。ミラくらいの絶世の美女なんてみたことないんだもん///」

 

「そ…それに、服がエッチィんだもん」ゴニョゴニョ

 

『うふふふふ…。相変わらず可愛いわ~。あなたは』

 

ナデナデ

 

「ふにぁ!?」

 

と、突然頭を撫でて来たのでかなり驚いて変な声をだしてしまった…。

 

『はぁ~可愛い!可愛いすぎるよ~。その反応~!』

 

ナデナデ

 

「ふぁ…ちょっ! ダ、ダメですよー!もう止めてください!! 恥ずかしすぎますから!!!それに話もできません!」

 

『ダ~メ。そんな可愛い反応するつばさが悪いんだよ〜』

 

ナデナデ

 

このあとなんだかんだで1時間位撫でられた…

撫でるだけで1時間って………

 

『ふ~…満足したわ。……それで、話ってなにかな?』

 

「うっ…うん。話って言うのはね、どうしてミラはこの神器の中に封印されたの?」

 

そうこの世界に転生してから特典として貰ったがずっと気になっていた事だった……。

 

『ん〜……そうねぇ』

 

『ただ、人間がどんなのか気になったからかな?』

 

えっ……どういうこと?

 

『私はね、全てのドラゴンの王でしょ?強大な力があったせいか、皆怖がって全然誰も近づいて来なかったのよ…。それに私以上に強い奴もいなかったしね~…。だからとても暇だった…暇だったからこそ、何もすることがないから気まぐれで人間界にきてたのよね、そして、そこで色んな人間を見てきたわ…。自分の欲のために生きる者、自分の事よりも仲間や家族を大切な人を守るために戦った者、人々の平和の為に自分の全てを捨てるもの…等々…、本当に沢山の人間を見ていく内に凄く人間と言う生き物に興味が抱いてね。そこからはいろいろとあって、いまはこうして自分で神器になって今にいたるのよ…。』

 

へ~……。そんな理由で神器にされてたのか

てっきり、不意討ちや極限に弱まっているところに神器に無理やり封印されたのかと思った~…うん。良かった良かった…

 

「そっかぁ…、そんな理由があったんだね~。でも、俺はミラの事怖くないよ。むしろむちゃくちゃ心の底から大好きだよ?ずっとずっと!一緒にいるから悲しまないで……ね?」

 

『うふふ…、ありがと…そんなにも嬉しい事を言ってくれたのはあなたが初めてよ。本当にありがとう…。あなたは本当に可愛い子だわ…。これからもよろしくね私のマスター』ニコッ

 

「うん!こちらこそお願いします。祖龍ミラルーツ様」

 

こうして更に自分の相棒と絆が深まったきがした…

すると、突然右手に着けていた【祖龍の籠手】が強く光りだした

 

「うわっ!…えっ?えっ…えっ?何が起きてるの…!!」

 

『――ッ!!もしかして…これってまさかッ…!!』

 

すると、右手に着けていた【祖龍の籠手】の光は更に強くなり俺の全身を包んだと思ったら光がおさまった。

すると、其処には全身から白銀のオーラを放ってる白銀の全身鎧を纏った俺がいた…………。

 

―――えっ、これってもしかして!?

 

「禁手化…」

 

『至ったわ……とうとう………とうとう禁手化に至ったわよつばさッ!――おめでとう!!』

 

「――うん!!ありがとう!……まさか…これで禁手化するなんて…」

 

『えぇ!私も驚きだわ…まさか絆が深まって禁手化するなんて…。それに普通の禁手化【祖龍の鎧】よりも…力が数倍に上がっているわ!そうねぇ…こんな名前はどうかしら?【祖龍と絆の鎧】ってね』

 

「うん、凄くいいよ!!!ミラと深い絆を作る事で至った禁手化【祖龍の絆の鎧】――とても、とっても素敵な名前だよ!ミラ~」

 

『うふふ。 私も喜んで貰えて嬉しいわ。それに新しい禁手化にも慣れたしね…』

 

これではれて、禁手化【祖龍の絆の鎧】をてに入れてなおかつミラとも絆を深めてとても嬉しい素敵な日になったのだった…




どうでしたか…?
急遽、禁手化を変えて見ました。

普通の禁手化【祖龍の鎧】はキャラ紹介の時と同じ能力ですが、今回新しくできた【祖龍の絆の鎧】は祖龍の鎧の能力に更にプラスして自信の受けた傷やダメージを瞬時に全回復して更に受けたダメージの分だけ力もアップするという能力も着けてみました。

更にこの【祖龍の絆の鎧】はミラとの絆が深まれば深まる程強くなります!!
しかしその逆もあり、ミラと喧嘩したりして絆に傷がついて壊れたり、ミラの主(俺)の心の均衡が壊れたり崩壊してなくなったりして、ミラとの繋がりが壊れたりすると一気に力を無くしてしまう大きなリスクがとむらう事になります。

そんな感じの設定でこれから書いていこうと思います♪どうか末永く見ていてください!!


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3話 猫又姉妹を助けます!!

主人公のチートさ半端ね~…!!

さて、今回から原作ブレイクDAZE!!キラ☆

あと、結城家の設定もかいてみました♪

さてと、最初に原作ブレイクするのは~…これだーーーーー!!


※追伸…ちょっとだけ、変えました。


あれから…数年がたつ。まだ皆に言っていない事がある。

 

俺の家“結城家”には秘密がある…。

 

表はかなりの大金持ちの超名家として有名だ………。

 

しかし、裏は……。

 

イザナギ様がこの世界の地球を守るために作られた組織…地球連邦軍と言われている、裏の世界では知らない人はいないと言われるぐらい強大な組織なのである!!

 

そして、俺ら結城家の兄弟姉妹は皆幹部でそれぞれの部隊を持っていてその部隊の隊長をやっているのだーーーー!!

 

そしてもちろん俺の部隊もあるわけだが、俺の部隊は2つ合体してあり、その名は地球連邦軍・特殊部隊特別調査班なのである!!ドヤ〜!

 

俺の部隊は主に人外に対しての戦闘や調査、又は人が行けないような場所の調査や探検等をやっている部隊なのだ。

 

そして、この組織をこの部隊をくれた大好きな祖父がいたんだけど、もうこの世にはいない…。アイツに殺されたから…。

 

まぁ…。こんな話をしても仕方ないですね。

 

で、今はのんきに町を散歩していたのだが妙な力の気配を感じてその気配がする方に走っているのだ…。

 

「なんだよ~…せっかくいい夜月だったから気分よく散歩していたのに、なんで変な気配がするんだよ~…まったく…」

 

俺は気分よく散歩していたのに、その邪魔をされたのと休暇中に仕事が増えたのにかなりイライラしながら走っていた。

てか、8歳の少年がひとりで夜の散歩をしてる時点でアウトな気がする…

少し走っていると人払いの結界が張られているのにきずき、その足を止めた…。

 

「は~…まったく…何で俺の回りはこうも事件が多いいのかね~…」

 

「にしても、この妙な気配はこの結界の中からか…よし、行きますか~!

せ~のっ――ていっ!!」

 

バキバキ…バキィーン!!

 

俺は腕を大きく降り下ろし結界を壊した…。

ありゃ…?案外脆かったなこの結界…素手で壊れちった…。

 

「さ~ってと…。何処の誰が~俺の一時の休暇を邪魔してくれたのかな〜。……うん?なんだあれ?」

 

少し遠くに見えた公園の森の奥に二人の少女とそれを取り囲む複数の男性が見えた…

その男性の一人がうつ伏せで倒れていた白髮の少女を守るように立っていた黒髪の少女に近づいていた…

 

『ふははは!!やっと追いつめたぞ?黒歌っ! ほら…、観念して俺の元に帰ってくるんだなぁ、そこに倒れている妹と一緒になぁ!!』

 

「誰が…あんたの言うことを…聞く…もんですか!

あんたは…私達姉妹を助ける代わりに私に自分の眷属になれって言って、妹には、手を出さないと約束したのに…!! 妹まで危険にさらすなんて酷いにゃ!だから…絶対に、戻るもんか!!――私が妹を守るんだから!!」

 

なるほどねぇ…つまり、あの黒髪と白髮の少女は姉妹で黒歌?っていう黒髪の人が姉で、その後ろで倒れている白髮の少女が妹か…。

 

それに、よく見たら姉妹達の頭とお尻に猫耳と二股の尻尾がついていた…、なるほどね…あの姉妹は妖怪の猫又だったのか!それにこの気配更に上の猫魈みたいだね…

それと、彼処にいる複数の男性どもは全員悪魔か…

話から察するに今喋ってたオッサンが主でその他が眷属なんだろうな。

そして、あの黒歌っていう猫又もどういう訳かしらんがあのオッサンの眷属になって、妹には手を出さないと約束したのに手を出してきたので主から逃走…

 

逃走に逃走をかねて限界が来てしまい今に至ると…

はっはぁ~ん…、話の内容から察するにあのオッサンはただの屑で、猫又姉妹のほうが被害者というわけね~……………。

 

―――よし…潰すか!

 

『そうか、なら仕方ない…ここで貴様をつbッ!!』

 

ドコン!!

ゴッシャーーーン!!

 

「ふ~…綺麗にぶっ飛んでいったな~!お陰ですっきりしたZE!」

 

ほんとすっきりしたわ~!いや~悪をぶっとばすのはやっぱり気持ちいいね~♪

うん…?何か猫又姉妹の姉の黒歌?が目を大きく見開いてこっちを見ている…

ま~…それもそうか…いきなり現れた同い年位の人間(笑)が悪魔の元主をぶっ飛ばしたからな~!そりゃ~びっくりだよね~。とりあえず喋ってみるか

 

「大丈夫?どこか怪我はない?」

 

「えッ!!あ…あぁ、うん。大丈夫だにゃ…大丈夫。」

 

ほっ…そりゃ良かった♪かなり衰弱しているみたいだけど、体には傷はついてなかったのが不幸中の幸いだったな

 

『き…貴様ぁ~!!いきなりなにをする!?人間の分際で!!』

 

《貴様!一体何処からきた!!》

 

《そうだ!!貴様は何者だ!!》

 

「別に…何処でもいいだろ?それと、貴様らごときに名乗る名などないです…とっととお帰りやがってください」

 

『貴様!?――ふん、人間の分際で生意気なことを…

にしても…よく見ればいい女じゃないか…。そうだなぁ…腰をふっておねだりして俺の女になるんだったら、命だけは助けてやろう!!人間!』

 

「……あ”?」

 

こいつ…今なんて言った?俺の女になれ?命だけは助けてやろう?ふざけてるのかこいつは?ふ~んそう…

 

コイツソンナニシニタイノカ。

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

「ふざけてるの?馬鹿なのてめぇ…。俺の女になれ?命だけは助けてやる?アホじゃないの?――いっぺん死んでみる?……いや、死んでろ!」

 

俺は拳を強く握り魔法でかなり濃い強力な光の聖なる力を付属させる。そして、俺はその聖なる魔力を悪魔に向かって解放した。

 

ズアアアアアアアッ!

 

そうしたら、目の前にいた悪魔達は跡形もなく消滅していた

 

「ふ~…終わった終わった。これでもう平和になったよな~」

 

「あ、そうだ!!ここで倒れている猫又姉妹をどうしよう?とりあえず家まで連れて行くか…。」

 

そうして俺はいつの間にか倒れていた猫又姉妹を魔方陣で俺の家まで送り、俺も自分の家に帰るのだった…。

 

―ツバサside out―

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

―黒歌side―

 

私はいま妹の白音を背負って一緒に逃げている。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…くっ!?…なかなかしぶといわね、あの屑は…」

 

――ッ!! あ、足がもう動かないにゃ………仕方ないこの公園の森で一晩を過ごすしか。とりあえず白音を木陰の下で寝かさないと…。ごめんね…白音。お姉ちゃんがしっかりしてなかったからこんな辛い事になってしまって…本当にごめんね…。

 

ガサガサ!!

 

――ッ!!もう見つかったの!?……くっ、もう体力がないのに…!

せめて白音だけでも逃がさないと…!!

 

 

『ふははは!!やっと追いつめたぞ?黒歌っ!! ほら…、観念して俺の元に帰ってくるんだなぁ!そこに倒れている妹と一緒にな!!』

 

「誰が…あんたの言うことを…聞く…もんですか!

あんたは…私達姉妹を助ける代わりに私に自分の眷属になれって言って、妹には…手を出さないと約束したのに…妹まで危険にさらすなんて酷いにゃ!!だから…絶対に、戻るもんか! 私が妹を守るんだから…!!」

 

そうだ…、こんな屑の所に帰るなら死んだほうがましだにゃ!!

でも、こんなことで死ぬのはもっと嫌…白音と一緒に幸せに暮らすのが私の夢だから!

 

絶対…絶対にこの夢が叶えるまで死ねない…死ぬことなんて許されない!!

 

 

『そうか、なら仕方ない…ここで貴様をつbッ!!』

 

ドコン!!

ゴッシャーーーン!!

 

「ふ~…綺麗にぶっ飛んでいったな~。お陰ですっきりしたZE!」

 

……えっ?な…何が起きてるの?何が起きたの? い、いきなりあの屑が消えたと思ったら…目の前に私達と同い年位の綺麗な美少女が目の前にいた

 

「大丈夫?どこか怪我はない?」

 

「えッ!!あ…あぁ、うん。大丈夫だよ…大丈夫。」

 

どうやら、私は少し驚きすぎてフリーズしていたようだ

 

『き…貴様ぁ~!!いきなりなにをする!!人間の分際で!!』

 

《貴様!一体何処からきた!!》

 

《そうだ!!貴様は何者だ!!》

 

「別に…何処でもいいだろ?それと、貴様らごときに名乗る名などないです…とっととお帰りやがってください」

 

『貴様!?――ふん、人間の分際で生意気なことを…

にしても…よく見ればいい女じゃないか…。そうだなぁ…腰をふっておねだりして俺の女になるんだったら、命だけは助けてやろう!!人間!』

 

「……あ”?」

 

彼女からとても低い声が聞こえたと思ったら…ものすごい悪寒が全身を駆け巡った…!

 

「ふざけてるの?馬鹿なのてめぇ…。俺の女になれ?命だけは助けてやる?アホじゃないの?――いっぺん死んでみる?……いや、死んでろ」

 

 

ゾクゥ…!!!

 

な…何あれ…!あんなに強い光の力なんて感じたことなんてないにゃ!?

あれは…危険すぎるにゃ!!

 

すると目の前の彼女は巨大な光の波動を放ちあの屑達を一瞬にして消し飛ばした…

 

あぁ…もう…逃げなくていいんだ…。

私はそう思って安心すると一気に疲れが来て体に力がはいらなくなりその場で意識が無くなった……………。

 

 

―黒歌 side out―




どうでしたか?今回は黒歌・白音の猫又姉妹を助けて見ました…♪

黒歌ははぐれになっておらず仮眷属として今回出てきていた屑の主と一緒にいました。
あとは、原作どうりみるみると仙術や妖術をマスターしていき強くなっていきました。そしてその主は黒歌に無理やり眷属にしようとさせ、更に妹の白音も眷属にしようとしました。

それが嫌で白音を連れて一緒に逃げだして、最後に俺に会って俺がその主と眷属を消し飛ばしたという流れにしてみました♪

次回もゆっくりと頑張っていきます♪

皆~♪ゆっくりしていってね♪

※どうでしたか?少しだけ変えました~。変えたのはあれから数年がたっているのと、家族に祖父がいたけど、もう死んでいると言うことです。



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4話 猫又姉妹を助けます!!其の2

どうも♪お久しぶりなのです♪

今回もはりきってヘタなりの頑張り具合で投稿していきます♪

それではどうぞ♪


―黒歌side―

 

「うぅ…ん…、ここはどこにゃん?」

 

私は目がさめると知らない部屋のふかふかのベットの上で寝ていた…。

確か私は…、あの屑の主から白音を連れて逃げていてけど限界がきて公園の森の中で休んでるとき、あの屑が来てしまい私は妹の白音だけでも助けようと頑張ろうとしたら、いきなり目の前に現れた少女があの屑を消し飛ばしたんだっけ…………。

 

「って!?そうよ!?白音は…!白音はどこにゃん!!」

 

私は、白音が怪我をしていたのを思いだしあわてていると扉が開いた…

するとそこには…青い髪を後でくくっていた綺麗な美少女がいた

 

「……あら?おきてたのね。ごめんね~。つー君を呼んでくるから待っててね?」

 

と言って、扉を閉めて何処かに行ってしまった…。

つー君って誰だろう?この家の主かな?私を助けてくれたあの少女だったりして…?まさか…ね…。

 

すると…また扉が開き誰が入ってきた、そこにいたのは………。

 

「意識が戻ったみたいだね。……おろ?そんな顔してどうしたの?」

 

そう…そこにはあの少女がいたのだった…。

 

―黒歌side out―

 

 

 

 

 

 

 

 

―つばさside―

 

俺はいま、猫又姉妹を寝かしていたなつる姉さんの部屋に来ていた…。

 

「大丈夫でしたか?あのまま貴女は相当体に疲労があったみたいで気絶してしまったのであなた達猫又姉妹を俺の家まで運んできました。」

 

そう…あのあと俺は気絶していた猫又姉妹を連れて家に帰ってきたのはいいが…、姉さん兄さん達にこんな時間に何処に行ってたのとその子達は誰なのと小一時間正座での説教をくらってしまっていたのだ…。とほほ………。

 

「あの時の…!でも、なんで私達を助けたにゃん?それに私の妹の白音は何処に行ったにゃん!!」

 

「はい。白音さん?なら隣のベットで寝てますよ?安心してください怪我も治してあげてますから。でも、あと数日は意識が戻らないでしょうね……。かなり疲労していましたから…。」

 

「そうなのかにゃん?私のせいで白音が……」

 

「それと、あなた達猫又姉妹を助けたのは、あの時いた悪魔達に襲われそうになってた所に、偶々とおりかかったので助けたにすぎないのですよ」

 

「そうにゃのか…。ありがとうにゃん…。でも、なんで私達が猫又って気づいたにゃん?」

 

なるほど…その質問をしますか…そんなの簡単な事です、なぜなら…。

 

「あなた達…今もですけど猫耳と二股の尻尾が生えてて妖力と仙術の力がでてたらわかりますって。」

 

「にゃッ!!」

 

お~お~。驚いていらっしゃる…。可愛いですね~。

っと、こんなことをしている場合じゃなかったんでした!!さっさと本題に入りますか

 

「所であなたのお名前は?」

 

「私?私の名前は黒歌11歳よ、横で寝てるのは妹の白音9歳よ…知ってると思うけど私達姉妹は猫又よ。」

 

「はい…。わかりました…。では、黒歌さん。あなたに――いや、あなた達姉妹に聞きます。これからどうしますか?」

 

そう…俺が聞きたかったのはこれだ…。流石に、俺は今は8歳なんだが、9歳と7歳の猫又姉妹をほっとくのは人としてどうかと思うので、聞いてみた…。

 

「私達は…親も死んで今まで白音と二人で暮らしてたにゃ…でも、あの悪魔のせいで私達は騙されてここにいた…。だから…宛はないにゃ…。」

 

「そう…ですか…。じゃ~選んで下さい!!

まず一つ目は、ここから出ていき白音さんと一緒に最初の生活に戻る。

次に二つ目は、俺の兄さんがサーゼクス・ルシファーと親友みたいなので、グレモリー家とも繋がりをもっているのです…。グレモリー家は純愛が深くて仲間を大切にすると聞きました。なので、グレモリー家にひきとられるか…。――そして最後に、この家で暮らすか…。

 

さぁ、決めてください!!」

 

俺はこんな事を言った…。しばらくの沈黙のあと…黒歌は喋りだした…。

 

「私達は…グレモリー家に行くわ…。でも、行くのは白音だけ…私はこの家からさって白音の目の前からもさるわ…………。私は…妹を巻き込んだ傷つけた、最低のお姉ちゃんだもの……もう…妹の前には出れないわ…。それにあなた達に助けて貰えたのにこれ以上迷惑もかけられないしね…。」

 

そう黒歌は喋っていた…。今まで辛い思いを一番してきた彼女が…妹を誰よりも大切にしていた彼女が…そんなことを悲しそうなでも決意をした顔でそう言った…。

でも、こんな事は悲しすぎる。また彼女が辛い選択をするなんて絶対駄目だ!だから俺は彼女目をを真っ直ぐにみて言った…

 

「わかりました…。妹の白音さんは、グレモリー家に保護してもらいましょう……。でも、あなたの願いは聞き取れません!!あなたは十分傷つきました…、これ以上傷つく事なんてないんです!!

それに俺がせっかく拾った命です!!そんなに罪滅ぼしをしたいのならここにいてください!!あなたがもう辛い選択を選ばなくてもいいんです。妹に対しての罪があるなら…ここで暮らして、生きて…。妹にもう一度会って謝ればいいんですよ!!貴女はもう家族ですから…」

 

俺は、彼女がもう辛い思いをしなくていいためにこんな提案をした…。彼女が拒否をしようとこれを変えるつもりは、毛頭ない!!だから…彼女を俺は家族に迎え入れようと思った………ただそれだけだよ。

 

「で…でも、あなた達の迷惑にもなるし…それに、不幸を呼ぶ女だし!!」

 

「そんなものいくらでもかけてください!不幸だって全部取り払ってあげますよ!!貴女は俺の家族になりました。だから家族なら遠慮は要りません…。むしろどんとこいです!!」

 

「本当に…。本当にいてもいいの?こんな私がいてもいいの…?」

 

「はい!いても良いですよ…。むしろいてください!!貴女は、もう家族ですから…。」

 

「う…うわあぁぁぁぁぁぁん!!」

 

彼女は大きな声でいままでたまってたものが落ちて泣いていた…。それを俺は優しく彼女を抱きしめ頭を撫でていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しして、泣き止んだ彼女は顔を真っ赤にしてうつむいていた。

 

「そ…それで私はどうしたらいいの…?」

 

「そうですね~…、あ!!なつる姉さん?」

 

「ん…?なに?つー君?」

 

「なつる姉さんって秘書が欲しいって言ってたよね…?」

 

「うん…。言ってるわよ今も…ってまさか…!」

 

「うん…。そのまさかだよ…!それでいいかな…?」

 

「えぇ…!!いいわよ!!むしろ大歓迎だわ~♪」

 

「だ…そうです黒歌さん♪貴女はいまからこのなつる姉さんの秘書として働いてもらいます♪いいですね…?」

 

「うん…わかったにゃ!!これからよろしくお願いしますにゃん!なつるさん」

 

「うんよろしくね黒歌!あと、私は貴女と同じ11歳だからなつるでいいわよ?私も黒歌ってよぶからね」

 

「わかったにゃん。じゃよろしくね?なつる」

 

「えぇ、改めてよろしくね。黒歌」

 

と…なんだかんだで黒歌が家族に加わった

 

「ところでずっと気になったんだけど、つー君って呼んでるけれどなんで君なのにゃ?女の子でしょ?」

 

黒歌の言葉に固まる俺と、笑いを必死に抑えるナツル姉さん。……ナツル姉さん失礼です

 

「な、なんで笑うにゃ?」

 

「ふふふ、ごめんなさい。ちょっと面白かったから。それはね黒歌。この子はこんな見た目だけれど歴とした男の子なのよ。……いや、男の娘かしら」

 

「え…えええええええ!?これで男の子だったのにゃ!?全然見えない…………これが噂に聞く男の子…いや男の娘なのね」

 

「そうなのよ、黒歌。だから、つー君の事も宜しくね?この子は甘えん坊だから」ボソ

 

「わかったにゃ」ボソ

 

最後の方だけなんか小さい声で言ってて聞こえなかったけれど、なんだかさっそく仲良くしていたのでそれでもいいと思う俺だった。

 

さてと…あれか二時間程姉さんと黒歌さんが今後について話し合いをし、今は長男のこうき兄さんの部屋にいる…。

そして、俺達(こうき兄さん含め)の目の前に魔方陣がある。

 

「黒歌さん?本当にいいんですか?妹さんのこと…?」

 

「うん…。いいんだにゃ。私は白音を傷つけた…どんな理由であってもこの事はかわりないにゃ…。だから白音のを傷つけた罪を私は背負い、この罪の意識が消えるまで私は白音にあわにゃいにゃん。白音と離れるのは、寂しいし悲しいけど私が決めたことなのにゃん。だから…お願いします…。」

 

「わかった…。兄さん?お願い。」

 

「了解…。」

 

ブウォン ピカッ!!

 

目の前にあった魔方陣が紅く光った!!そして、一瞬の光がおさまるとそこには、赤よりも紅い髪をもつイケメンの青年と銀髪のメイドがいた…。

 

「や~、こうき君久しぶりだね~。元気にしてたかい?」

 

「よう…!サーゼクス!いや~何時も通り元気だぜ俺はな!!」

 

はっはっはっと兄さんは高笑いをしていた…。この人誰なんだろう?サーゼクス?何処かで聞いたことがあるようなないような?

 

「おっと、そうだった…!お前に紹介するは…

冥界で悪魔をしきっている四大魔王の一人にして、最強の魔王…魔王サーゼクス・ルシファーと、横にいる銀髪のメイド服を着たメイドは、このサーゼクス・ルシファーの女王にして妻のグレイフィア・ルキフグスだ。」

 

「私が、魔王サーゼクス・ルシファーだ。そして、隣にいるのが私の女王にして妻のグレイフィアだ」

 

「グレイフィアです。」

 

と、紹介と挨拶をされた…。なるほど…どうりできいことがあるし、この膨大な魔力にも納得がいったよ。

 

「ところで、こうき君どうしたんだい突然呼び出して?」

 

「ちょっとサーゼクスに頼みたいことがあってね、グレモリー家に保護して貰いたいんだよこの子を…。」

 

そう言って、兄さんはお姫様抱っこをした白音をサーゼクスさんに渡した。

 

「この子は…?」

「うん…?あーこの子はな…。つばさ説明してやれ…。」

 

「わかった…。」

 

そう言い俺はうなずき、兄さんの後ろから一歩前に出て兄さんの隣にたった。

 

「君は…?」

 

「申し遅れました…。僕の名前は、結城つばさ。このこうき兄さんの弟であり、地球連邦軍・特殊部隊特別調査班・総隊長を務めさせてもらっています者です…。魔王サーゼクス・ルシファー様、どうぞよろしくお願いします…。」

 

俺は丁寧にお辞儀をして挨拶をした。

 

「そうか…。君がこうき君が話していた自慢の弟か…確かに自慢したくなるね…」

 

はい…?それはどう言うことなのでしょう…?

 

「はっはっはっ。だろう!そうだろう…?こいつはな見た目はこんなんだかかなり礼正しくて賢くて、それに凄く優しくも強い!!俺達の誇る弟だ!!」

 

なッ!!そ…そんなことをこの人に話していたの…!!はずかしいよ…もう…///

 

「にしても、本当に絶世の美少女にしか見えないのに、これで男の子とはね~…。いや、男の娘か。」

 

「はい…こう見えても男の子ですよ~。」

 

「だろう?だから言っただろうこれが俺達の弟でもあり妹でもある自慢の家族だ!!」

 

「いや~本当にね~また今度自分たちの妹と弟について熱く話そうじゃないか!!こうき君!!」

 

「おッ!いいね!!俺達の自慢の弟を熱く語ってやろうじゃぁ~ないか!!」

 

なッ!?そんな恥ずかしい事を話さなくて良いじゃないですか二人とも~!!

てか、サーゼクスさんにも妹さんがいるのか。苦労してそうだな~。色んな意味で…。

 

バシンッ!!

 

そんな事を考えていると何かで頭を叩く大きな音が聞こえた…。

 

「サーゼクス様!光輝様!少し落ち着いてくださいツバサ様が困っております!!」

 

するとそこには、頭を抱えて地面にうずくまる二人の男性と右手に1メートル程の大きなハリセンを持ったグレイフィアさんがいた…。

あのハリセン何処から出したのだろう…?

 

「すみません…。つばさ様…。我が主が五月蝿くなったのとあなた様のお兄様を叩いてしまいまして…。」

 

とても申し訳ないような顔をしてグレイフィアさんが謝ってきたのだ。

 

「いいんですよ、グレイフィアさん!むしろ有り難うございますこれで話ができます…。

とッ…とりあえず話をしますね…!///

黒歌さん来てください…。」

そう言って、慌てながら話を変えて黒歌をよんだ…。

 

「うん…。初めまして。魔王サーゼクス・ルシファー様。私はこの妹の白音の姉…黒歌と申します。そして、二人とも猫又で、その中でもレアな猫魈と言われる者です。

そんな私が、サーゼクス様に折り入って頼みたいことがありこの場に呼ばせてもらいました…。」

 

「……うん?黒歌…? あ〜、そう言えば上級悪魔のカムデスが[私の眷属を殺しあげく私にこのような大きな傷を負わして逃亡した、黒歌と言う猫又をS級はぐれ悪魔として指名手配してほしい]と言ってきたのだったな…。とう言うことは君がその黒歌君だね」

 

「えッ…!!」

 

「なんだとッ!!」

 

と…サーゼクスさんはそんなことを言った…。あのクズ黒歌をそこまで追い詰めたいのか…やはり殺して正解だったようだ!!

 

「ちょっと君に話があるんだが…」

 

「待ってください!!サーゼクス様!!」

 

俺は大声で叫んだ…。

 

「なんだい?つばさ君?」

 

「はい…、その上級悪魔に関してですが、その悪魔はここにいる黒歌と白音の猫又姉妹を助ける為に眷属になれと黒歌に言ったそうなんです…!!ですが、黒歌が頑張りに連れてその力をメキメキと伸ばしていきました…。だが、それを知ったとたん黒歌に無茶な力の拡大をしようとしたあげく、その妹の白音にも手を伸ばそうとしてその悪魔から逃げていました…!!

ですが、つい先日…黒歌達猫又姉妹は力尽きとある公園の中にある森の中で限界がきて、休んでいるところに奴等がまた黒歌を無理やり眷属にいれようとして襲われていたのです…!!」

 

「ふむ…、それで?」

 

「はい。それでたまたま散歩をしていた俺はその公園で人払いの結界が張られていたのにきずき、その結界を破壊したら、その悪魔に襲われそうなっていた猫又姉妹を発見して、その悪魔を殴り飛ばして助けました。」

 

「なるほど…。それでその悪魔は?」

 

「はい…、その悪魔は黒歌を襲おうとして更に、俺を奴隷にしようと眷属総出で襲ってきたので、眷属もろとも消し飛ばしました…。だから、黒歌は悪くありません!むしろ悪いのは全部あの悪魔ですし、その悪魔を殺したのは黒歌じゃなくて俺なんです!!それに、その妹も巻き込まれただけなので、グレモリー家に保護させてもらえないのでしょうか?今日会ったばっかりなのに信じてもらえるか分かりませんがお願いします!!」

 

俺は、地面に頭を勢いよくぶつけて土下座をした…

 

「なるほど…。事情はわかった…。黒歌だったね?君の妹の白音君をグレモリー家で保護させようとしよう」

 

「……えっ!? いいんですか…?でも、なんで?」

と…予想だもしない答えがかえってきたので間の抜けた声を出してしまった…。

 

「いや…なに…、あの上級悪魔には黒い噂しか流れてなくてそもそも信じてなかったのだよ…。しかし証拠も無いのに疑うのとは出来ないのでS級悪魔認定をしたのだが、それも消しておこう…。もう…不必要な物だからね…。」

 

「ありがとう。ございます!!サーゼクス様!!でも、なんで俺を信じてくれたのですか?」

 

「それはね…、君のお兄さんは僕の数少ない親友なのだよ…それに命の恩人だしね…。そんな彼が自慢そうに嬉しそうに君の事を話していたからね~。そんな君を疑うのことは、こうき君を疑うのことになるからね…。だから、君の事を信じるよ…。それに、君は嘘をつく人なのかい?そうでは無いだろう?だから私は君の事を信じるんだよ」

 

なんて事を言われた…。まさか兄さんがそんな事を言ってたなんてな~。家族に愛されるって良いことなんだな~。ふふふ…今度こうき兄さんに何か作ってあげよう

 

「ありがとございます!!サーゼクス様!!妹の白音をどうぞよろしくお願いしますにゃ!」

 

「わかったよ。黒歌君。でもきみはいいのかい?一緒にこなくて?」

 

「はい…、私は白音を傷つけてしまいました、辛い思いをさせてしまいました…。だからせめて、私はこの罪を背負い生きていこうと思ったんです。この罪が消えるまで、ここでこの人達と共に暮らして行きます!!そして罪が消えたときもう一度白音を迎えに行こうと思います…。それまで白音の事をお願いしますにゃん…」

 

「わかった…。それまでグレモリー家で保護させてもらおう…。グレイフィア頼む…。」

 

「わかりました。サーゼクス様。」

 

と、グレイフィアさんは白音を担いで帰ってしまった…。

そして、サーゼクス様は兄さんと少し話したあと、サーゼクス様も帰ろうとすると、黒歌が止めた…。

 

「どうしたんだい?黒歌君?」

 

「サーゼクス様?白音が目覚めたらこの手紙を渡してください(お姉ちゃんは少し力を制御するために旅に出ます、白音をもう巻き込みたくないのでグレモリー家に置いていくことを許してください…

でも心配しないでください…。必ず迎えに行きます。

お姉ちゃんは白音の事が大好きです。白音はどう思っているかわからないけど、私は白音が大好きです…。だから、白音が私の事を大好きでいてくれるならグレモリー家で待っててください!!必ず必ず白音の事を迎えに行きます…!!

それまで待っててください…黒歌より)…と、

白音にどうか伝えてくださいお願いします…!!」

 

「わかった…。必ず伝えようあなたの妹さんにね…。では、もういくよこうき君。」

 

「あぁ…またなサーゼクス」

 

「えぇ…また来てくださいサーゼクス様。その時はお茶も用意しておきましょう♪」

 

「えぇ、ありがとう。それとつばさ君?」

 

「はい?なんでしょう?サーゼクス様?」

 

「その、サーゼクス様はやめてもらえないかな?さすがに、こうき君の弟にそう呼ばれると歯がゆいのでね。サーゼクスと呼んでくれないかい?それかお兄さんでもいいよ!!」

 

お兄さんって、えらくフレンドリーな魔王様な事で…。もしかしたら、魔王様全員こんな感じなのかな~。まっとりあえず…

 

「はい、わかりました。さすがに魔王様相手にお兄さんはおかしいので呼べませんが、サーゼクスさんと呼ばせてもらいますよ…。」

 

「む~…。そうなのかそれは残念…。では、またお会いしようつばさ君」

 

そう言って笑いながら魔方陣から帰っていった…。

 

「じゃあ…黒歌、改めて自己紹介するから下のロビーに集まってこうき兄さんもなつる姉さんも。外の兄さん姉さん達が待ってるよ」

 

そう言い俺達は下に降りリビングに行くとそこには外の兄さん姉さん達が全員そろっていた。

 

そして、俺達結城家の紹介が始まった…。

 

「まずは、俺からだ。

俺の名前は結城光輝(ゆうきこうき)…地球連邦軍の総司令官と強襲戦闘部隊の隊長をやっている。この家族の中では最年長で長男でコイツらのお兄さんだ…!!

ま、呼び名は好きに呼んでくれ!!これからよろしくな!!」

 

「次は俺か、俺の名前は結城レイジ…。地球連邦軍の副総司令官と近距離特攻部隊隊長をやっている。この家族の中は兄さんの次に歳をとっているぞ。そして男子の中では次男だ…。

家の中ではレイジやレイ兄と呼ばれているが、俺も呼び名は好きに呼んでくれ!!これからよろしくな。」

 

「次は私か。私の名前は結城皐月(ゆうきさつき)よ!地球連邦軍の総合戦闘部隊の隊長をやっているわ。

総合部隊は簡単に説明すると、色んな武術や魔法や種族が合体した戦闘部隊なの。ま~、つばさの部隊があった部隊って思ってくれたらいいわ。

私は長女よもちろん兄さん達は私の上ね。私の呼び名も好きに呼んでいいわ。これからよろしくね」

 

「じゃぁ~。次は私か。改めまして、私の名前は結城ナツル。

私は地球連邦軍・総合魔法部隊隊長をやっていますわ。私は次女で、呼び名も好きに呼んでくださいね。よろしくお願ね!」

 

「私の名前は結城優子よ!

私は地球連邦軍・治療回復部隊の隊長をやっているよ。私は三女で、この姿から分かると思うけど…私とつばさは双子なの。私が姉でつばさが弟ね。呼び名も皆と同じね。これからよろしくお願いね~♪」

 

「じゃぁ~最後に…。改めまして!黒歌さん。僕の名前は結城翼! 地球連邦軍・特殊部隊特別調査班総隊長をやっています!この家族の中では一番下で更にゆうこ姉さんの双子の弟です。呼び名はつー君で愛称されています…!!貴方を家族として迎え入れますよろしくお願いします!

あと、こう見えても男ですので、間違えないでくださいね?」

 

「私の名前は黒歌。猫又で猫魈の妖術と仙術が得意な妖怪にゃん!ふつつか者ですがこれからよろしくお願いしますにゃん!!」

 

「「「「「「「よろしく(な)(ね)(お願いします)黒歌(さん)(ちゃん)」」」」」」」

 

「うん!!よろしくにゃん♪」

 

こうして…黒歌は無事結城の一員となるのだった♪

 

―つばさside out―

 

 

 

―黒歌side―

 

これで…私もこの結城家の一員となれたにゃ

 

白音に会いたいけど、今の私はダメダメにゃん…。だから、白音が自慢出来るような立派なお姉ちゃんになって見せるにゃん!!

明日から結城家の為にがんばらにゃいとにゃん!

 

 

にしても、驚いたにゃん…。女の子かと思ったら男の子だったなんて……。あの見た目で男の子なんて反則にゃん…

 

でも、それならこのドキドキは大丈夫だにゃん…。よし!つばさを振り向かすために、女も頑張って磨かないとにゃん!!///

 

―黒歌side out―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―魔王side―

 

ふむ…なかなかこうき君の弟君は、実に面白かった♪

そして、あの弟君は一目見ただけで強いと確信が出来た…。其れほど彼が強いと言うことか…。

彼が悪魔陣営に来てくれると嬉しいんだがね~。

 

「サーゼクス様。白音様が目覚めました。」

 

「そうなのかい?ありがとう。グレイフィア…。

さぁ、行こうか…。」

 

あの事を伝えなければいけないからね。あの弟君と黒歌君の願い…。しっかり守らなくてはね…。

 

―魔王side out―

 

 

 

 

 

 

―白音side―

 

 

「あれ…ここは…。」

私は確か森の中にいたはずなのに…。そういえば姉様は?

 

「やぁ。君が白音君だね…?」

誰かの声が聞こえたので、声がした方に顔を向けるとそこには、紅い髪の人と銀髪のメイドさんがいた

 

「私は魔王サーゼクス・ルシファーと言うものだよ。隣にいるのが私の女王・グレイフィアだ君に話たいことがある…。」

 

魔王様が私に話たいことがあるって一体なんでしょう ?

 

「君のお姉さんと話した…。」

 

「!!!?」

 

私は驚いた姉様と話したと言ったのだ。見た感じ姉様は此処にはいない!じゃぁ姉様は今何処に…!!

 

「君のお姉さんは君達姉妹を助けた人物に手助けをもらい、君のお姉さん…黒歌君は1人で旅に出たよ…。」

 

「えッ!!そんなッ!!姉様はッ!!」

姉様は私を置いて1人で旅に出たなんて…。黒歌姉様はやっぱり私が邪魔だったのかな…。私がいたから姉様は疲れて此処に置いていったのかな…。やっぱり姉様は私の事が嫌いなのかな…。

 

そう思うと…私の顔に一粒の涙がこぼれ落ちた…。

 

「それと、君のお姉さんから君が起きたら渡してくださいと頼まれた伝言が書かれた手紙があるんだ…。聞くかい?」

 

黒歌姉様からの伝言が? 一体なんだろう…。

 

「はい…聞きます…。」

 

「そうかい…。なら言うよ?

(お姉ちゃんは少し力を制御するために旅に出ます、白音をもう巻き込みたくないのでグレモリー家に置いていくことを許してください…

でも心配しないでください…。必ず迎えに行きます。お姉ちゃんは白音の事が大好きです。白音はどう思っているかわからないけど、私は白音が大好きです…。だから、白音が私の事を大好きでいてくれるならグレモリー家で待っててください!!必ず必ず白音の事を迎えに行きます…!!

それまで待っててください…。黒歌より)と…、君に渡してと言われた手紙を渡したよ…。君はこれからどうするのだい?」

 

姉様がそんな事を…………………!!姉様は、私の事が嫌いじゃなかった…。姉様は私の事が大好きだった…。姉様は必ず迎えに行きますと言ってくれた…。 なら、私が行う事はたったひとつ…

 

「私をグレモリー家においてください…!!私は姉様が戻るまでずっと…ずっと…待ち続けています!!姉様が約束を破った事は今までで一つもないです。だから…姉様が迎えにくるその日まで私は待ち続けたいんです…!!お願いします!!魔王様!!」

 

「わかった…!!君をグレモリー家に保護しよう♪これからよろく…白音さん?」

 

「はい…!!よろくお願いします!!サーゼクス・ルシファー様」

 

こうして私はグレモリー家に保護してもらうことになった…。

姉様…必ず迎えに来てくださいよ?早く来てくれないと姉様の事を本当に嫌いになってしまいますからね…♪

私の大好きで誇りに思ってるお姉ちゃん♪

 

―白音side out―

 

―???―

ふふふふふ………………!!

やっと…やっと見つけたぞつばさ…!!

貴様を…闇に覚醒させ我が下僕にしてやるぞ…

あの時は邪魔が入ったが今回は失敗するまい…。それまでのうのうと生きてるんだな…

――なぁ……つ・ば・さ

 

―???―

 




さ~、今回はこんな感じで終わらせました~。
僕的に黒歌・白音姉妹は仲良くしてほしかったし、白音は原作通りグレモリー眷属にいてほしかったのでこんな感じでやりました。

あと、黒歌は仙術を使って性別を見ることもできます。

はてさて…最後の奴は誰なんでしょうか…!!
最後の奴は今作の主人公の前世に関わる者ですが、まだ詳しくは言えません…!!
さ~、頑張って書いて行きますよでよろくお願いします…!!


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5話 堕天使の娘を助けました♪

今回は姫島編です…!!
さーはりきっていくぞーおー(棒)



俺は今、空を飛びながら地球連邦軍として、絶賛パトロール中なのだ。

 

えっ?見つからないのかって?大丈夫だよ♪そこに関しては、【無意識を操る程度の能力】ととある古龍種一匹の姿を消す能力で、例えどんな事が起きようと気配も消せるこの能力を使っていれば、大丈夫なのです!!ドヤッ!!

 

はー…。今日も今日で平和ですね~、この昼間は…。

夜になると物騒なのになんで昼間は平和なのでしょう?本当に平和だけど…暇ですね~。何か事件が起こってくれれば………っていけないいけない!!こんな考えをすると直ぐ現在になってしまうから考えを無くさないと…

 

『つばさ!近くにある神社に複数の力を持った男性と、二人の女性の気配が感じるわ!その女性の片方に堕天使の力が半分感じるわ!!

多分、その堕天使の力をもった人を殺すために襲おうとしているのでしょう…急いで助けに行くわよ!!』

 

はい…フラグ回収できました~! は~…思うんじゃなかったですね………でも、そんな事言ってる場合じゃもちろん無いよね。

さてと、急いで行きますか!早く空を飛ぶにはやはり…この人ですね!

 

コピー能力発動!!

 

『コピー能力…射命丸。』

 

俺の背中からカラスの翼が出てきた…よし、成功だ!

やっと、コピーした者の体や能力の一部分だけ自分に付属出来るようになったぜ♪今まででコピー能力を使うとそのコピーした者の姿も形も力も全てコピーしちゃうから、能力や力が大きいほど俺の身体にかなりの負担が付いて直ぐつかれてたが、これで力の節約とコピー能力の節約も両方解決出来たぜ!!

 

「さてと…早速行きましょうか…スピードはマッハ10だーーーーー!!」

 

ドゥッ!!

 

そして俺は衝撃波を一瞬出して、急いでその神社までいった…

 

―つばさside out―

 

 

 

 

―朱璃side―

 

私はあの人と出来た娘の朱乃とあの人の帰りを待ってると、刀や杖を持った僧服を着た人達が突然きて家を壊し回っていた…

 

くッ!あの人との娘を殺すつもりね絶対させるもんですか!!

 

「さぁ…朱璃、その子を渡して貰おうか。あの忌々しき邪悪な黒き天使の子なのだから。」

 

「この子は渡しません!!この子は大切な私の娘です!そして、あの人の大切で大事な娘!絶対に!絶対に渡しません!!」

 

「……やはり、貴様も黒き天使に心を穢されてしまったようだな。致し方あるまい…。死ね!」

 

1人の術者が刀を抜き放ち、切りかかってきた…。

 

「嫌ー!!母さまぁぁぁぁぁっ!」

 

あぁっ…ごめんなさい朱乃。貴方。私は先に逝きます…。朱乃?あの方を恨んじゃダメよ?貴方を大切にしている人だから…

 

そして、刀が目の前まで来たかと思ったら…。

 

「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

ドゴンッ!!

 

「ごばぁぁっ!!」

 

ズドーーーンッ!!

 

……えっ?

 

私はいきなりの事に固まった。

 

突然目の前に1人の子供が現れて刀を持った術者を蹴飛ばしたからだ。そして、その子供の背中からは黒い翼が生えていた。

あの子から生えてる黒い翼はなんだろう?堕天使…?でも、あの方の様な光の力が感じないわ………本当になんだろう? まさか……烏天狗?

でも妖気は感じない……じゃぁ、あの子は一体何者?

 

「きっさまぁぁッ!!一体何者だ!?それに黒い翼?まさか貴様もあの穢れた黒き天使だなぁぁぁぁぁあ!!殺す…殺してくれる!!殺れ、お前達!!」

 

「「「「「「「はっ!!」」」」」」」

 

ジャキン!!

 

ダメよ!!危ない!いくら何者か分からなくても、あの人数の大人の術者を相手に子供には、出来ないわ…!

 

「あなた、早く逃げなさい!?危ないわよ!!」

 

私は精一杯叫んだ…。すると子どもは私の方に顔を向けたあと、不敵に笑っていた。

 

「大丈夫ですよ…。それに、この程度の相手、いくらこようと無駄ですよ…。」

 

そう言いその子供は術者の中に突っ込み、一瞬にして数十人いたはずの術者を全て飛ばした

 

「くッ!!なんだなんなんだッ!!貴様はぁぁぁ!!くそぅ!!なら、この刀の錆にしてくれる!!!」

 

1人の術者が取り出した刀は、妖刀だった…。しかも怪しく赤く光る妖刀…まさか、あれは…!!

 

「ふ~ん…成る程…。それ…妖刀・紅桜ですね?」

 

「ほう…知っていたのか。いかにもこれは妖刀・紅桜、私の愛刀だ!!これで数々の人外を屠ってきた…!!貴様もその1人の刀の錆にしてくれるわぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

そう…その名は妖刀・紅桜。姫島家にあるとは、聞いてましたがまさか、彼が持っていたなんて…

だめ!!あの妖刀は危険過ぎる急いであの子を助けないと!!

 

「成る程…。でもね………確かに妖刀・紅桜は無類の力を持っています…。でも、あなたはただ振っているだけ……その妖刀・紅桜を扱いきれていませんよ?本当の妖刀使いの力を……見せてあげますよ!!!」

 

「こい…村正!!」

 

えッ村正ですって!?そんな…!!あの妖刀は500年前には折れて無くなったと聞いているのに…。それを何故…?

 

「な…に、妖刀・村正だとッ!?――バ、バカなッ!?その妖刀は500年前に折れて無くなったと聞いているんだぞ…!!そんな…ありえるわけがない!!」

 

「ふ~。そんな事言われましてもね…。そもそもこの妖刀は、折れていませんよ。徳川家の徳川家康が封印してほしいと結城家の歴代三代目当主に頼んだ物だったんでね…。そのあと、俺達結城家の三代目と家康様が混乱を防ぐためにありとあらゆる策を練り広めた歴史ですから…。

てか、そもそもそう簡単に折れるわけないじゃないですか。そもそもこの子は生きてますし、伊達に日本五大妖刀と呼ばれるうちの一本じゃありませんよ」

 

「なんだと?貴様のその言い方じゃ、まるで結城家の身内見たいなものだか?」

 

「ふぅ……。ここまで言って分からないのですか…。仕方ないですね…

名乗って上げますよ…。」

 

「俺の名は、結城翼(ツバサ)!!地球連邦軍・特殊部隊特別調査班総隊長。結城つばさだぁぁッ!!」

 

 

「な……ッ!!」

 

えっ?え……ッ!!そんなッ!!あの子が地球連邦軍の最強部隊…特殊部隊特別調査班の総隊長だなんて…!!

それで、この強さにも納得が行ったわ…

 

「くそ…くそぉ!!くそがぁぁーーー!!」

 

術者が紅桜を大きく振りかぶり子供に突撃していった

 

「ふん、その程度……恐れるに足らずです!!」

 

子供も村正を居合いの構えで手をそえ、一瞬でその刀を抜き放った…。

 

パキャァァンッ!!

 

「ぐッ……ごはぁッ!?…………」

 

ドサッ…

 

最後の術者も妖刀・紅桜を砕かれ地面に膝をつき倒れた…。

すごい…。あの一瞬で術者ごと妖刀・紅桜も砕くなんて……!

 

「ふぅ~終わった終わった…。」

 

その子供は疲れきったそしてやりきった顔でそんな事を呟いていた…

 

「朱乃ッ!!朱璃ッ!!無事かッ!!急いでくれアザゼル!!」

 

「バラキエル!少し落ち着け――ッ!?術者が全員殺られているぞッ!」

 

「なにッ!?……本当だ。一体誰が…?」

 

あの人とアザゼル様がきてくれた…。良かったあの人も無事でしたのね…。すると、驚いて固まっていた朱乃があの人の所に走っていった…。

 

「父様ぁぁ~!!」

 

「朱乃ぉぉぉッ!!無事だったか!!」

 

「はい!!あの娘が助けてくださいました」

 

「あの娘?」

 

と…あの人は私達を助けてくれたあの娘に視線を向けると、あの娘も築いたのかこちらを見た。

 

「きみが…?この子を助けてくれたのか?」

 

「はい!偶々通りかかったので助けました!駄目でしたか…?」

 

「いや…むしろありがとう!この子と妻を助けてくれて…本当にありがとう!!」

 

「俺からもお礼を言わせてもらう…こいつの親子を守ってくれてありがとうな!!」

 

「エヘヘ///気にしないでください。堕天使の総督さん…?」

 

「うん?…知っているのか?」

 

「はい…何とかく気配とアザゼルと言う名で分かりました!ま~…ほぼ勘ですがね~…。」

 

「そうか…なら、あっちの部屋で詳しく話そうか…。バラキエルッ!朱璃さんと朱乃ちゃんを介護したらお前も此方にこいよ!」

 

「わかった…。アザゼル」

 

そういって、夫は返事をした。そして、私の所に朱乃を連れてきた。

 

「朱璃…大丈夫か?すまない俺が遅かったばっかりに…ッ!!」

 

「いいえ…あなた…。私達は怪我もしてないしあの娘がきたおかげで無事だったわ。だから、気にしないで…?アザゼル様の所に行ってあげて?いいでしょ?朱乃ちゃんもいいよね?」

 

「はい!!お母様…!朱乃も怪我もしてないし、少し怖かったけど、あの娘のおかげで怖くなくなりました。だから、お父様もあのおじさんの所に行ってあげてください!私達はそれまでおとなしくしてますから!」

 

「わかった…。じゃぁ、朱璃…朱乃…またあとでな…?」

 

「「はいっ。」」

 

こうして夫もアザゼル様の所に行ったのだった…。

 

―朱璃side out―

 

 

 

 

―つばさside―

今俺は、二人の親子をたすけたあと、堕天使総督?とその助けた子の父親と二対一の状態で質問を受けていた…。

 

「それじゃぁ聞こうか…。で、お前は何者だ?それにその刀は妖刀か?そらもかなりの…。」

 

「はい…。この刀は妖刀。妖刀・村正です。」

 

「そして、俺の名は…地球連邦軍・特殊部隊特別調査班総隊長、結城翼です…。」

 

「なにッ!?村正だとッ!!それに結城つばさってお前……結城光輝(コウキ)の弟かッ!!」

 

あやや…兄さんを知っているのか…。

 

「はい…。結城光輝は俺の兄ですけど、兄さんの事を知っているのですか?」

 

「あぁ…、知ってるもなにも俺の数少ない悪友で飲み会仲間だ。それにそこにいるお前が助けた母子の父親のバラキエルもその一人だぜ?」

 

「えぇ…。あの人は凄く面白い人だからね、飲み会のときは、常に呼んでもらいお世話になってるよ」

 

「あぁ…!俺も神器の研究でかなり助かってるからな~。本当にお世話になりっぱなしだぜ…。なんせ対価は何も要らないときたもんだ…。だからせめてもの恩返しで神器の技術提供と金を渡しているんだよ…。」

 

「あぁ~ッ!あの神器のデータとお金はあなたでしたか…。ありがとうございます!結構助かっているんですよ!俺の部隊の増強に…」

 

「おぉ!地球連邦軍の最強部隊の力になっていたのか!!それは物凄く光栄だな!そいつはあげてて本当に良かったよ」

 

「いえいえ…こちらこそこれからよろしくお願いします…。堕天使総督アザゼル様?」

 

「おいおい、よしてくれよ。お前は光輝の弟なんだそんな敬語なんて使わずに普通に呼び捨てでいいよ…。俺もつばさって呼ぶからさ…!」

 

「わかったよ…アザゼル。俺もそう呼ぶよ…。」

 

「おう!よろしくな」

 

「では俺もバラキエルと呼んでもらいたい…、こちらもつばさと呼ぼう。」

 

「うん!よろしくね。バラキエル!」

 

そのあとは、他愛のない話をしたあと姫島家を後にしようと本殿の玄関前まできてたすると…皆が見送りに来てくれた…。

 

「先ほどは、助けていただきありがとうございます…。なんとお礼をもうしたらいいか…。」

 

「いいですよ、お礼なんて…。俺は偶々通ってきて、人として当たり前のことをしただけですからね。」

 

「ですが…!」

 

「いいんですって…。そんなにお礼がしたいなら~…そうですね…、バラキエルさんと仲良く末永く幸せでいてください。せっかく助けたのに家族がバラバラになるのは嫌ですからね。だから、それが俺に対してのお礼ですよ」

 

「そうですか…。なら、また来てくれますか?その時に私達家族総出で出迎えてもらいます。」

 

「あのね…。助けてくれてありがとう!それと、もう一回来てくれますか?私ももっといっぱい話をしたいから‥・お願いね?」

 

「私からもお願いします。朱乃の為にまた来てください…。いつでもおまちしてますから…。」

 

「そん時は、俺もいるぜ!」

 

「うん…。分かりました。これでも忙しいのでまた来るのはいつになるかわかりませんが、それでも必ず来ます。その時にいっぱい話をしましょう。では…これにて…!」

 

俺はカラスの翼を展開し、マッハ10で家まで飛びだった…。

 

衝撃波は封風結界で出ていませんよ?

 

―つばさside out―

 

 

 

―朱乃side―

 

あっ…行っちゃった…せめてもう少し話でもしたかったな~…。

 

「朱乃ちゃんどうしたの?」

 

「お母様…。いえ、もう少しお話をしたかったな~って思いまして…。」

 

「そうね…。でも、きっとまた会えるわ…。きっと必ずね?」

 

「はい…。そうですよね!きっとまた会えますね…」

 

「確かにな、彼女…いや、彼なら必ず会えるよ!次に会うまでに、朱乃は女を磨かないとな。そう思うだろう?朱璃」

 

「えぇ、そうですわねあなた…」

 

…?彼…?女の子じゃないの?

 

「うん…?どうした朱乃?あー…その顔、彼のこと女の子だと勘違いしてるな…まぁ~無理もないな?いいか朱乃?

あの子は見た目があんなんだが、れっきしとした男の子だぞ?朱璃は気を探ることで性別が分かるし、俺もアザゼルもあの子のお兄さんから話があったからわかったものの、もし話がなかったらきっと女の子と間違えてただろうな…。だからな?朱乃?お前があの子を好きになっても大丈夫だぞ?むしろ好きになってもいいぞ?」

 

そうなんだぁ!!男の子だったんだ…!見た目があんなんだから凄く女の子と思い込んでいた…。

てっきり、この胸のドキドキ感は危ないと思ってたのに…好きになっても大丈夫なんだよね?

よし…次に会うまでに女を磨こうっと!

 

「お父様!!お母様!!私女を磨きますわ!あの殿方にふさわしい妻に成れるように頑張ります!」

 

「えぇ、頑張って朱乃ちゃん!お母様も全力で手伝うわ!!」

 

「あぁ!頑張れ朱乃。お父様も応援するぞ!」

 

「はい!!お母様!お父様!姫島朱乃頑張りますわー!!」

 

待っててください!!つばさ様!あなたにふさわしい妻に成れるように頑張りますわ!

 

―朱乃side out―

 

 

―つばさside―

 

ブルッ!!

 

「ひゃうっ!……なんか悪寒が…」

 

『あら?…風邪?しっかり体調管理しときなさいよ?いざというときに倒れたら大変だからね』

 

「うん…。わかったよルーツ…。ありがとう…心配してくれて…。」

 

『いいわよ、あなたが私の主なんだから当然の事よ♪だから今日はここまでにして家で安静にしときなさいよ?わかった?』

 

「はーい♪」

 

うん…。最近は働き詰めだったからね~。少し疲れたのだろう…。今日はここまでにしてルーツの言うとおりおとなしく寝るとしますかね~。

 

―つばさside out―

 




いかがでしたか?今回はまたまた原作ブレイクをして姫島朱乃の母親の姫島朱璃を生かして、父親のバラキエルさんとも仲良しにしました♪

にしても…主人公の兄は何者なんでしょうね?顔が広すぎる…。

それと、こちらが主人公のヒロインです♪
ルーツ 確定
朱乃 確定
黒歌 確定

666(トライヘキサ)
オーフィス
グレートレット
ロスヴァイセ
白音
ヴァーリーTS(何となく?)

リアス・アーシア・イリナ・ゼノヴィア・ロスヴァイセはイッセーのハーレム要因です♪

はてさて、この先いったいどうなるのでしょうね?

それでは、また会いましょう…♪


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6話 色々あって家族が増えました♪

さぁさぁはりきって書きますか♪


あれから数年の月日が流れ…今俺は、16歳になっていた…。

 

この数年間は、本当にいろんなことがあったなぁ…。

 

姫島朱乃救出後…家に帰るとサツキ姉さんの説教と言う名のOHANASIをくらう

トラウマになり逆らえなくなる

黒歌が発情期になり襲われそうになる…

なんとか回避する

ルーツに誘われ、歴史から忘れさられし島にくる…。

流石にまた黙って行くと怒られるので数週間はいないと家族に伝えてきてる…。

そこではいろんな生き物達がいて、古龍種たちと会い仲良しになる。

そこで、クシャル・テオ・ナナ・キリン・ミオガルナ・ナバルデウス・レビディオラ・ルコディオラ・イナガミ等などの龍と使い魔と似たような誓約をする。

シャンティエン・アルバトリオン・グランミラオス・ガルバダオラに修行をつけてもらう。マジで死んじゃうかと思った(泣)

この島を守っていた三祖龍のミラバルカンとミラボレアスにも修行を付けてもらったあと、ルーツを頼むと任される

修行が終わり家に帰ると天使長ミカエル様と会う…。

ナンデインノ?

ミカエル様とも仲良しになり、依頼も受けるようになる。

てか、三大勢力のトップ陣と仲良くなっちゃったよ…。

姉さんと兄さん達に修行の成果と使い魔にしたドラゴン達を紹介した…。そして、もちろん驚かれた…。

寝てて、目が覚め気づくと何故か雲の上にいた…。いや、本当にここどこですか?

そこで、大きな城があったので入った…。

なんでやねん…!

そこで、巨大なドラゴンに会う…

そのドラゴンは自分の名を神竜 マスタードラゴンと言ったのだった…

え?これってドラ〇エの竜なんじゃ……

流石に、予想外でルーツも驚いていた…

(だって…神竜マスタードラゴンってドラゴンの神様で、伝説上のドラゴンで存在してるかもわからないドラゴンだったんだもん…。byルーツ)

マスタードラゴンいわく、ここは次元の間ににた世界で全ての世界を見ることができるらしい…。ただし、選ばれし者だけここにこれると言う…。

そして、俺は精神だけここに連れてこられたらしいのだ…。

そしたら突然、神竜マスタードラゴンから全てのドラゴンを統べるもの…ドラゴンマスターの称号を渡すため試練を受けさせられる…。

五つの試練を無事終えて…ドラゴンマスターの称号をもらった♪

その証拠に天空の鎧を貰う…。マスターいわく、この鎧さえあればドラゴン達は素直に言うことを聞いてくれて無闇に襲われないという。邪龍以外…。

(見た目はドラクエの天空の鎧で、天空の鎧の兜は顔が全部隠れて、形は赤龍帝の鎧の頭の部分に似ていて色は白、それに左右横に斜め上に伸びた小さな羽根が付いた感じ。)

はれて、目が覚めると其所は何時もの自分の部屋だった。すると、家族が部屋に集まっていて泣きつかれた…。

なつる姉さんいわく、3日間も目が覚めていなかったらしく、死んだのではないかとかなり心配をさせたらしい…。

心配かけてごめんなさい…

ことの理由を全て包み隠さず話すとかなり驚かれた…。当たりまえか…

天空の鎧も見せると、更に驚かれたが、つー君だからと納得された…。解せぬ…。

忘れられた島で使い魔にしたドラゴン達は皆人の姿をとれたので、改めて家族になった!

いろいろ修行を使い魔やルーツに付けて貰って、禁手化が全力を出しても一時間も持つようになった!

前までは全力を出さなくても10分が限界だった…。

新たに、アカムトルムとウカムルバスと出会って仲間になってくれた…。

人の姿になると両方雌だった。で、そのあと二人?に可愛いと言われながらもみくちゃにされた…。恥ずかしかった/////

ある日、家族の話してたら何となく思って「幻想郷ってないのかなぁ…」なんてことを喋ったら、さつき姉さんとなつる姉さんとゆうこ姉さんの三人が目を見開いたあと、三人でなにやらこしょこしょ話をしていた。

なんだろう?

次の日…さつき姉さんとなつる姉さんとゆうこ姉さんの三人に突然捕まり幻想郷に連れていかれる…。

マジであったの!?幻想郷!?

そこで…初めて本物の八雲紫と八雲藍・八雲ちぇんの八雲一家と出会う…。スゲー…マジで幻想郷だぁ…。

姉さん達は何度もここに来たことがあるらしく、幻想郷を見て回りながら幻想郷の人達?全員と仲良くなって友達にもなれた!

やったねつばさ!

なんやかんやで今にいたる…

 

はぁ…今思い返すと、なんだかとんでもないことがおきているんだね~…。

なんでかな~…。やっぱりドラゴンの力かな?ドラゴンは力を呼ぶもんね~…。

 

『ごめんなさいね…。私のせいで…。』

 

なんでルーツが謝ってるの?

 

『私がドラゴンだから、いろんな力を呼んでいるから、厄介事に巻き込んでしまってかなり迷惑かけてるから…。』

 

ん~……、別に迷惑はしてないよ?ルーツ…。だってルーツがいたから今の俺がいるんだよ?それにルーツのおかげで大切な家族を守れているし、新しい仲間が増えているんだよ…?今まで一度もルーツのことを迷惑だなんて思ったことはなんいだから♪

だからね、そんなにおちこまないで?だってルーツは俺の大切な家族なんだから…!

 

『本当に…?本当に本当?』

 

うん…、本当に本当だよ…?ルーツ大好き!!

 

『ふふ…、私がバカだったわ…!ありがとうつばさ…。そして、私も大好きよ…』

 

えへへ♪ニコッ

 

『///ッ///』

 

どうしたの…?ルーツ…?顔が真っ赤だよ…?大丈夫…?

 

『だっ…大丈夫よつばさ!///(あ…危ない…。可愛すぎて意識が停止していたわ…。)』

 

そう…?じゃぁ大丈夫だね

そうだ…。これからどうするの?ルーツ…?

 

『そうねぇ…。あ!そうだ!あなたに会わせたいドラゴンがいるのよ。そこにいきましょうか!』

 

俺に会わせたいドラゴン?へ~…!うん!わかったよ!じゃぁ早く行こうよ!

 

『えぇ、じゃぁ…禁手化して鎧を纏いなさい。今から行くとこは生身の体じゃぁ、消滅してしまうからね~…。』

 

え…!なにそれ怖い…

 

『次元の間にそのドラゴンはいるもの。あれから数百年か…懐かしいなぁ…。』

 

ふ~ん。わかったよ。じゃぁ禁手化するね~…!

っとその前に…普通の方?それとも絆の方?

 

『そうねぇ…。絆の方は力が安定してないから、普通の方にしときなさい。戦いに行くわけじゃないしね』

 

うん。わかった。じゃぁ次こそいくね?せ~の…

 

「バランス・ブレイク」

【BalanceBreaker:祖龍の鎧】

 

うし…。行こう、ルーツ

 

『えぇ!行きましょう。つばさ。場所は次元の間ね?私の力で穴を開けるからそこに入りなさい』

 

OK…!わかったよ!

 

『じゃ…開けるね?』ブウォンッ!!

 

すると、目の前に穴ができた…

 

「うっしゃぁ…!行きますか!!」

 

そして、俺は穴に入った…。

 

 

穴に入るとそこは…まるで万華鏡の中にいるようないろんな物が混じったような空間だった…

 

「ルーツぅ…なんか気持ち悪いよ~…ここ…。」

 

『スキマ妖怪のスキマの中よりは、ましでしょう?』

 

「うん…確かにましだね…。」

 

いや~……あれは、一種のトラウマだよ…マジで…!

だって中に入ると目玉がいっぱいなんだもん…。怖いしすごい見られてるかん半端なかったよ?本当…。

 

「はぁ…。でここからどうするの?ルーツ?」

 

『うん?あぁ…!なにか力を使ってみて?そしたら異変にきづいてあの子がくると思うから』

 

「はーい。わかったー!」

 

そして俺は、右手に手のひらサイズの黄色い魔力の球体を作り…投げた。すると~……

 

ドッガァァァァァァン…!

 

物凄い爆発が起きた…。今の技は【全てを壊す程度の能力】を使って、ドラクエのイオラ的な物を作ったのだ…!

 

「さて…。くるのかな~…」ワクワク!!

 

そして少したつと、2つの力の気配が感じた…。それもかなり強いな…。

 

『あら…?あの子もきてるじゃない…?珍しいわね…。二人が集まるなんて…?』

 

あの子?あの子って誰だろう?ってそう考えてたらもう目の前にいたし…。

 

「貴様か…?この次元の間で大きな爆発をさせたのわ…。」

 

「おまえ、何者?我達より強い…?」

 

『久々ね。オーフィス…グレートレット…。私よルーツよ…。覚えてる?』

 

「おぉ…!!久しいな!!ルーツ!」

 

「ん。久しいルーツ」

 

『二人とも相変わらずねぇ…。オーフィスももうちょっと感情込めて喋りなさいよ…。』

 

「これが我」

 

「ところでルーツよ?何故、お前のような奴が神器の中にいるのだ?」

 

『それはね…。色々あってね、私から頼んだのよ、神器に封印してねって…。』

 

「そうか…。でも、また会えて嬉しいぞ!ルーツよ!」

 

「ん…我も嬉しい…」

 

『私も、久々に会えて嬉しいわ。ところで頼みたいことがあるのだけれど、いいかな?』

 

「頼みたい事とはなんだ?お前の頼み事ならなんでもいいぞ♪」

 

『そう…。じゃぁ…この子の家族になってくれる?』

 

「…………え!!どういうことだ?ルーツ」

 

『この子はね、どうもねこの子は人外に好かれやすい体質なのよ…。その中でも特にドラゴンにすかれやすくってね、今も使い魔が皆古龍種だし、他の上位に存在する古龍種からも好かれちゃって、もうほとんどの古龍種と仲良しなのよ。そのせいでか、これまでいろんな者がこの子を襲ってきたわ。何とか私達で退けてきたけど、そろそろ限界がきているの…。

この子の兄弟姉妹達も、三姫龍や二帝龍などの大きな力を持ってるけど、忙しいから24時間いつも一緒にいるわけじゃぁないのよ…。

まだまだこの子自体は未熟だから、この子の修行もかねて、家族になってまだまだ未熟なこの子を二人で守って欲しいのよ…。ダメかな?』

 

「成る程…わかった…!!お前の頼み事引き受けよう!!いいなオーフィス?」

 

「ん、我も引き受ける」

 

「だそうだ…。お前の名前はなんだ?」

 

「は…はい!!俺の、じゃなかった……僕の名前は結城つばさです!!

地球連邦軍・特殊部隊特別調査班の総隊長をやっています!!まだまだ弱いですがよろしくお願いいたします!!」

 

「あぁ…よろしくなつばさ!……っと、自己紹介が遅くなったが、私が【赤龍真帝】グレートレッドのガイヤだ。そんでこっちの無表情の奴が……」

 

「我、【無限の龍(ウロボロスドラゴン)】オーフィスだ…。つばさ、よろしく?」

 

「はい!これからよろしくお願いいたします!ガイヤさん、オーフィスさん!」

 

「「よろしく(な)」」

 

 

『ありがとう、ふたりとも。これで、私の不安もなくなるわ』

 

こうして、新たに家族が増えることになるのだった

 

 

 

 

 

 




どうでしたか?新たに増えました♪グレートレットとオーフィスです♪

この二人?はヒロインになる予定なので頑張ってかこうと思っております!!


では、また♪


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番外編
番外編 メリークリスマス


⚠最終話が番外編だと見にくいと、コメントがありまして、【2015/12/27 04:01】の番外編を移動させました。⚠


みなさんどうでしたか?クリスマスは。三元神こと作者 は家族とクリスマスを過ごしました。毎年の如く家族と過ごすこの日は……ある意味最高で、やっぱり悲しい1日です。なんたって、家族のひとりでもあるお祖父ちゃんの命日がもうすぐ来るんだなぁ……なんて思ってしまうから……。

さて、そんな欝になるような話はさておき……みなさんはどの様なクリスマスを楽しみましたか?まぁ、リア充を見ていると、心の中で(・д・)チッ……なんて言ってしまいますが、リア充はリア充。僕らは僕らです。クリスマスなんて、楽しんだもの勝ちなんですよ。たとえ1人でもね。楽しめたらそれでよしです!

さて、今回はクリスマス編です。実は昨日のうちには更新したかったのですが、何故か家の電波が死んでいて更新が出来ませんでした。なので、昨日更新予定だったものを、今更新します。それではどうぞ!


ここは結城家のパーティー等をする大ホール。そこには数多くの人物達が集まっていた。

 

「MerryX'mas!」

 

『メリークリスマス!!!』パチパチパチ

 

今日は楽しいクリスマス。そんな日に、みんなパーティードレスやスーツを来てオシャレをした地球連邦軍の隊員達が楽しくはしゃいでいた。そんな中、結城家のメンバーが大きな舞台の上に集まっていて、綺麗に並んでいた。その真ん中にいた長男の結城光輝が前にでて、マイクを使い叫んだ。その同時に他の人達も叫んでいた。

 

 

「さて、みんな今日は楽しんでるな?」

 

『おおおおお!!』

 

光輝の呼び声に、本当に楽しそうに答える地球連邦軍のメンバー。

 

「さて、みんな毎年恒例のアレが来たぞ!準備はいいかなぁ?」

 

光輝の言葉に反応し、全員が一斉に服を脱ぐ。すると、そこにいたのはサンタコスをした地球連邦軍の隊員達だった。光輝たち結城家メンバーを見るとこちらも同じくサンタコスだったのだ。メイドたちもサンタ風メイド服へと変わっていた。

 

「さぁ、いまからお前達がやる事はいつもと同じ。各支部の近くにある子供の保護施設にプレゼントを上げるのが俺達の役目だ。彼らは俺達が戦場などで保護した身寄りのない子供たち。勿論、この島に住んでいる殆どがその子供たちだ。まぁ、お前達の息子や娘もいるが、やはり保護した子供の方が多いいだろう。そんな子供たちにプレゼントを渡す。それが毎年の役目だ。新人もいるだろうが、そこは先輩に聞いておけ。

さて、まず先にこの島にいる子供たち”全員”に渡そう。もちろん、自分の子供には自分でな。次は、世界中に散らばっている、俺達の作った子供保護施設とそれぞれの地域や国が作った子供保護施設にプレゼントを全員で配るぞ!もちろん俺達も参加する。

さぁ!お前達!!はりきって行こうじゃないか!!!」

 

『わぁあああああああ!!!!』

 

「それでは…………任務開始だ!!!!」

 

光輝の叫び声と同時に走り出す地球連邦軍。

 

「さて、俺達も行こうか?」

 

「そうだな。今年も頑張らなくてわな。」

 

「そうね。あと、幻想郷のメンバーも手伝ってくれるそうよ?」

 

「楽しみだね。朝を迎えた時の子供たちの笑顔がいまにも浮かぶわ」

 

「全くそうね。私達も頑張らなくちゃ。ねぇ、ツバサ」

 

「そうだね。優子姉さん。俺は日本と冥界の方も行かなくちゃならないから、一番忙しいよ。まぁ、能力を使うからまだ楽なんだけどね。それに、子供たちが喜ぶなら、それで充分さ」

 

「ははは、全員やる気満々だな。なら、行動開始だ!」

 

『了解!』

 

こうして、一斉に消える結城家メンバー。なかなか忙しそうである。

 

――――――――――――――――――――――

 

「さぁ〜て、サンタさんが来たよ〜」

 

「あらあら、みんなぐっすり寝ちゃって」

 

「ほっほっほっ。サンタっぽく参上!」

 

「おー忙しい忙しい!」

 

「明日が楽しみだぜ!」

 

「よっ、そっちはどうだ?」

 

「こっちは完了だ!他のを急がなくては」

 

「おお、すごく重い。しかし、子供たちの笑顔のために俺頑張る!」

 

「くっ!俺の足よ動け!子供たちが待っているのだ!」

 

「たとえこの身が滅びようとも、私は子供たちのために配り続ける!!」

 

「うおお!燃えてきたーーー」

 

「うおお!!萌えてきたーーー!!!!」

 

「おい!なんであの暑苦しいのとロリコンを幼女だらけの施設に向かわせた!」

 

「勝手にいってしまったのです!匂いを嗅ぎながら!」

 

「犬か!?」

 

「おい!こっちを誰か手伝ってくれ!人が足りない!」

 

「わかった!いますぐそちらに向かおう!」

 

「おーい!プレゼントが足りないぞ!誰か来てくれ!」

 

「はいはいはーい!」

 

「おい、なんだこれ?プレゼントなのか?」

 

「あっ、すまん間違えた。こっちが子供のだ。それ爆薬」

 

「なんだこのプレゼント。動くのだが……」

 

「え?中身クッキーだぞ?なんで動くんだよ」

 

「おい!それアイツが作ってたやつだぞ!」

 

「「なん…だと……!?」」

 

「えいさ!こいさっと!」

 

「いや〜!いい汗かくなぁ〜」

 

「父ちゃんがいまからプレゼントを配りに行くからなぁ!」

 

「早くしないと、あの子達起きちゃうわ!」

 

「よいしょ!よいしょ!」

 

ここはモニター室。その映像には各部隊メンバーが映っていた。そして、そこには執事服にメイド服を着た人物達がいた。

 

「あなたはそちらに、貴方がたはあちらを、そしてあなたは別働隊の支援に行ってください。さぁ、まだまだあります。キビキビと働いてくださいよ!」

 

『はい!』

 

数々のメンバーの動向をモニターで見て、そして指示をだしている結城家のメイド長。的確な指示で誘導し、もう配る予定地の70パーセントも終わっていた。流石は光輝の嫁であり最高のメイド長である。

 

その頃、光輝たち結城家メンバーは……

 

 

「ふぅ、こんなものかな?」

 

光輝はアメリカにて、結城家の施設にいる子供たちのプレゼントをひとりで運び終えていた。

 

「よし、次はあっちか。」

 

レイジも光輝と同じく、ロシアにある結城家の子供保護施設を1人でやっていた。

 

「ナツルはそっちに、優子はあっち、私はこっちに行くわ」

 

「わかった。皐月も頑張ってね」

 

「ナツルに皐月、わたしは先に行くわね!」

 

「ええ、二人とも気をつけてね!」

 

皐月、ナツル、優子の三姉妹は手分けして同じ地区を回っていた。

 

そしてツバサは……

 

「よし。あっちがこれでこっちがあれ、そんであれがこれでこれがあっちでそれがここ……ふむ、ざっと見て1万個か……多いいな。よし、スキマを使うか!」

 

そう言いながら、大量のプレゼントを隙間で落として、直接スキマで配っていた。その額には流石に多かったのか汗がでていた。

 

「流石は冥界だね。かなり広い……。ちょっとばかりきついよね」

 

そう言いながらも次々とプレゼントを配っていくツバサ。

 

「ふぅ、あともう少し……頑張らなくっちゃね!」

 

気合を入れて、また同じ作業を繰り返していた。

 

そんな毎年恒例のプレゼント配りも終を迎えてきた。

 

「――さて、これで最後か……」

 

ツバサは最後のプレゼントを配り終えた。

 

「よし、終わったね。――帰るか」

 

そう言ってスキマを使い結城家に帰ってきたツバサ。そこには、他のメンバーが全員揃っていた。その中には幻想郷組のメンバーもいた。

 

「ありゃりゃ、俺が最後だった?」

 

「おう。だが俺達もついさっき帰ってきたばかりだ。それにお前の所は一番多かったからな。助かったよありがとう。」

 

そう言ってツバサにお礼を言う光輝。すると、光輝がマイクを持って叫んだ。

 

「みんなぁ!!お疲れ様だ!!今日は本当にありがとう!凄く助かった!さて、みんなも疲れたろう。今日は存分に仕事のことを考えずに休み、このクリスマスパーティーは存分に楽しめ!乾杯!!!!」

 

『乾杯!!!!』

 

そして、忙しいクリスマスが終わり、また騒がしい1日となったのだった。




かなり簡潔でおわらせました。さて、次回の最新話はできれば今年中には出せたいな。


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番外編 大晦日

皆さん明けましておめでとうございます!!今年も頑張って投稿しますのでよろしくお願いいたします!!

そして、皆さん良いお年を~♪

⚠︎1月1日 0時0分にしていた投稿を、番外編に移しました。最新話は目次の一番下にあります。⚠︎


これはリアスさんに出合う少し前のお話である………。

 

 

 

日は12月31日…大晦日。今日は色んな人が紅白やガキ使を見ているだろう。しかし、俺の家―結城家は大晦日の夜~元旦にかけて二日間連続の大宴会をやるのだ。

 

現在の時刻は昼だ。今は大宴会の準備中だ。まぁ~、殆ど準備も終わり、あとは少し宴会場のセットをするだけだ。

 

「皆ー!もうすぐ時間だから早くするわよ~! あっ

!それはそっちにやって………あ~、それはそこでいいわよ。さぁ、皆急ぐわよ!!」

 

『はい!!皐月(さつき)様!』

 

今はさつき姉さんが結城家のメイド達を指示しながら大宴会の最終準備中だ。勿論、俺を含めて他の家族も皆で準備中だよ!

 

「ふぅ、忙しいな~。毎年毎年ね~」

 

「そうだね。でも、もうすぐ終わりかぁ~。長いようで短かったね」

 

「そうだね。ゆうこ姉さん」

 

俺は双子のゆうこ姉さんと一緒に大きな円卓形の机を持っている。流石に一人では持てない大きさなので手伝ってもらっている。

 

「さて…と、これで最後かな?」

 

俺は机を定位置に置き終わり、回りを見渡した。うん、皆も準備が出来たみたいだね。あとは、料理を運んで終了か

 

「さぁ、皆料理を運んでー!つーくん達もね~」

 

『はい!さつき様!!』

 

「はーい!」

 

「了~解♪さつき姉さ~ん」

 

さてと、これで最後だね!頑張って料理を運ばないとね♪

 

こうして俺達は全ての料理を30分程で置き終わったのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、現在の時間は夜の11時だ。どんどん色んな人が結城家に集まってきた。大体は地球連邦軍の部隊員達と俺の部隊員の幻想郷組、それに、堕天使総督のアザゼルさん、四大魔王のサーゼクスさん、セラフォルーさん、ファルビウムさん、アジュカさん、天使長のミカエルさん、熾天使のガブリエルさんが来ているんだ。

 

「今年はお疲れ様です。皆さん。」

 

「おう!お疲れ様!つーくんも頑張ったな」

 

「お疲れ様です。こうきさんにさつきさん」

 

「お疲れ様です。皆さん」

 

「おぉ、お疲れ様。ミカエルにガブリエル」

 

「ミカエルにガブリエル、お疲れ様ですね。」

 

「お疲れ様です皆さん」

 

「お疲れ様~☆皆さ~ん」

 

「お疲れ様。」

 

「お疲れ様~………Zzz」

 

「本当にお疲れ様です。皆さん。」

 

「皆、お疲れ様」

 

 

皆して、其々色んな挨拶をした。其々他の人にも挨拶をし終わったあと、こうき兄さんが皆が見渡せるステージに乗った。

そして、そこで兄さんはマイクを持って喋り出した。

 

 

「皆、今年は本当に…お疲れ様。毎年通りここ結城家にて年越しとお疲れ様を込めて大宴会を開かせてもらう。

今年はもうすぐ終わるが、皆は今年は色んな出来事が起きただろう。でも、その全部が良かったと思える事もあるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。しかしだ、今年に起きた出来事が来年同じ様に起きることはないと思う。だから、今年に起きた出来事は、辛いことも嬉しいことも全て感謝しよう。こうして出会えた事に全て感謝するんだ。

そして、今年はもうすぐ終わる。しかし、来年も俺達は世界の為に働くんだ。だから今回も確り休んでそして…大いに騒げ!!いいな!みんな!!」

 

『はい!』

 

「よし、それじゃぁ皆グラスを持て!!」

 

その一言に全員が飲み物の入ったグラスを持った。俺の様な未成年はガラスコップにジュースが入っている。

 

「よし、持ったな?みんなー!お疲れ様!!来年もよろしく頼むぜ!!! それじゃぁ、かんぱぁーい!!!!!!」

 

『かんぱぁーーーい!!!!!!』

 

全員の乾杯と共に今年が終わり、次の年になったのだった。

本当に楽しかったな♪そして、来年…今年も頑張るか!!



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番外編 女体化のお話

さて!今回は、みんなの主人公、結城翼ちゃんのストーリーだよ〜!

翼「俺の?……ってどんな話だよ」

まぁ〜、簡単に言うと、つばさちゃんが女の子――つまり、女体化する原因となったとある事件のお話だよ〜。たぶん、この作品を見てくれてる読者の人達も気になっていると思うからさ。てなわけでLet's go!

翼「なんで最後だけ英語?……まぁ、いいけどね」

翼&作者「『それじゃ、ゆっくりしていってね』」


―つばさ side―

今日は土曜日。学校がお休みの日だ。いつもなら悪魔の仕事が忙しい筈なのに、今日は珍しく悪魔の仕事がなかった。そんな暇な時間があり、俺と優子姉さん、それに夕麻 黒歌 カンナを合わせたオカ研メンバーとともにのんびりと部室でお茶をしていた。

 

「いや〜、平和っていいですね〜」

 

「ほんとよね〜」

 

「……なにをおふたりは言ってるんですか。まるで年寄りみたいですよ?」

 

俺と優子姉さんがそんなことを言ってると、夕麻がツッコミを入れてきた

 

「いや〜ね?だってさ、ココ最近本当に忙しかったんだもの。テロに誘拐に悪神に戦争に……と、本当に忙しかったんだから。たまにはこんなゆっくりとした時間が欲しいものだよ。」

 

「そうねぇ〜。最近は本当に忙しかったからね〜」

 

そんな話をしていたら、ふとイッセーがこんな質問をしてきた。

 

「そういえばつばさちゃん。俺さ、一つ気になった事があるんだけど、質問していいか?」

 

「いいですよ〜。どんな質問ですか?」

 

「ああ、それはな……なんでつばさちゃんは体の調子が悪くなったり魔力が枯渇したりしたら、女の子になるんだ?」

 

イッセーがいつもの調子でその質問をした瞬間。俺と優子姉さんと黒歌の空気が凍った。

 

それをいち早く感じ取った夕麻はかなり慌てていた。そして、次に空気を感じ取ったオカ研メンバー+イリナのみんなもオロオロとしだした。

 

「……イッセー。いや、兵藤一誠。」

 

すると、優子姉さんがイッセーを呼んだ。いつもの声だが、若干暗い。それに、顔を少し下に下げているため、目が見えないのが余計怖い

 

「は、はいぃぃぃ!!!」

 

イッセーは思わずその恐怖にビビっていた。

 

「いまの質問は無かったことにしなさい。いいわね? あなたに拒否権はないわよ?」

 

「……え? あ、でも、気になr「もう一度言うわ。忘れなさい。いますぐ。じゃないと……ね?」――あ、はい。忘れますすぐに忘れます!!」

 

優子姉さんの笑顔により、イッセーはガクガクと震えながら何度も頷いた。

 

そんな、優子姉さんと黒歌が殺気をほかのメンバーに放っている中、俺は口を開いた。

 

「そんなに気になります?イッセー」

 

「――え?あ、うん……て、あ」

 

イッセーはおもわず頷いてしまったため恐る恐る、優子姉さんの顔を見るとその笑顔はさっきよりも増していた。その事実を確認した後、すぐに前にいる俺に目を合わせてきた。

 

「……仕方が無いですね。別に隠すものでもありませんし。」

 

「つ、つばさ!?」

 

「ちょっ!本気かにゃ!?」

 

俺の言葉に驚く姉さんと黒歌。そんな2人に俺は笑いながら言う

 

「うん。どうせ、いつかは説明するつもりだったしね。それが遅いか早いかの違いだっただけだよ。……まぁ、正直いって、思い出したくないものも思い出しちゃうからあんまり話したくないけど、隠し事も嫌だしね。せっかく時間があるし話しちゃうよ」

 

「つばさ……でも」

 

まだ何か言おうとする姉さんを止める俺。

 

「いいよ。俺が好きで話すんだしね。」

 

俺は一度間を置いて、みんなを見渡した後話し出した。

 

「――そう。あれは13歳の夏だったかな」

 

―回想中―

 

ここは結城家の本家。実家だ。そんな実家にはいろんな便利な施設があるが、その中の一つ。戦闘ルームに俺はいた。

 

 

「おら! 龍介、いくぞ!」

 

「ふははは! 光輝様、御覚悟!」

 

ズドン! ドカン! ズガッ! ゴッ! ドスッ! ゴガン!

 

俺の目の前では、筋肉の塊2名。兄さんの結城光輝とその部下、三木龍介のふたりが素手でひたすら殴り合いをしているんだけど……

 

「「フハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」」

 

―――ズガガガガカガガガガガガガガ!!!!!!

 

「やりすぎだよ!? 戦闘ルームが無茶苦茶になってるじゃないか!」

 

ババシン!!!

 

俺は瞬時に懐からハリセンを出して、2人の頭を叩いた。

「む? なんだよつばさ。せっかくいい気分で戦ってたのに、なぜ邪魔をする」

 

光輝兄さんがこっちを見ながら不機嫌そうな顔と声で言った。

 

「……そんなの周りを見てから言ってよ。バカお兄様」

 

「む?」

 

俺に言われたので、光輝兄さんは周りを見ると……そこにはあちこちにクレーターが出来ていた。最初は平で何も無い場所の筈だったのに、あちこちにまるで流星群が落ちてきたかのようなくぼみが出来ていた。

 

「お、おふ」

 

光輝兄さんはこの状況におもわず変な声が出ていた。

 

「……まったく。これでわかったでしょ? もちろん――"ひとりで"直すよね?」

 

「―――え?」

 

また、変な顔……というよりも、驚いた顔をしていた。

 

「……え、いや、ちょ、流石にこれをひとりで直すのってのは〜「なにか?」――いえ、すんません。ひとりで頑張って直します。はい。」

 

光輝兄さんが何かを言ってきたので俺は笑顔で聞くと、光輝兄さんは素直に頷いてくれた。うん。素直な人は好きだよ?兄さん♪

 

「頑張って直してね〜。じゃないとご飯ないから」

 

「ええ!?そいつは酷いぞ!!」

 

「自業自得だよ。じゃ〜ね〜」

 

「あ!ちょ―――」

 

バタン。

 

俺は兄さんを無視して部屋をでていった。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

時刻は過ぎて現在は夜の7時。晩御飯の時間だ。光輝兄さんはどうやら晩御飯までには終わらせれたみたいで、リビングのソファーでのびている。そんな光輝兄さんを見つつ、俺はテレビを見ていた。

 

「……お前、本当に鬼畜だな。本気でしんどかったぞ」

 

光輝兄さんが喋りかけてきたので俺はそれに返した。

 

「そんなの知らないよ。そもそも、あれはやりすぎたお兄ちゃんたちが悪いんじゃん。前にも言ったけど自業自得だよね。」

 

「うぐっ! そ、それを言われると言い返せない……」

 

そんなこんなで落ち込む兄さんを放置して俺はテレビを見ていたのだった。

 

……2時間後

 

ご飯も食べ終わり、俺は鍛錬室で精神統一をしていた。

 

「……ふぅ。こんなものかな」

 

しばらく精神統一あと、汗を拭いて風呂に入ろうと思って立つと、一つの紙を見つけた。

 

「……なんだこれ?――ふむふむ。どうやらなにかの薬品の調合レシピかな? と、いうことは光輝兄さんのか。なら、光輝兄さんの研究部屋に行くか。」

 

俺は、そのメモをポケットに入れて、部屋を出たあと光輝兄さんの研究室へ足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

しばらく歩くと、目的の部屋に着いたので俺はノックをした。

 

「光輝兄さ〜ん。いる〜?」

 

返事がない。……どうやらいないようだ。

 

「なら、勝手に入るか」

 

ガチャ

 

俺は扉を開けて研究室に入った。

 

研究室にはあちこちに薬があり、その素材となっている植物や何かの骨の様なものがあちこちに散らばっていた。

 

――ここは、光輝兄さんが趣味で作っている薬の研究及び生産する専用の部屋だ。普段は誰も入らないが、俺はたまに届け物をしたり、こういった落し物をよくしているので研究室に入ったりする。光輝兄さんは普段、自室にいる時間よりもこの研究室にいる時間の方が多いので、俺は光輝兄さんを探す時はまずこの部屋にくるんだ。

 

「……さて。相変わらず散らかってるね〜。5日前に掃除した筈なのに、もう散らかってるよ。まるでゴミ屋敷だ。」

 

そんなことを思いつぶやきながらも、俺は兄さんがいつも座っている机にメモを置いた。

 

「まったく。今回はいったい何を作っているのやら。」

 

ほんと、今度は何を作るつもりなんだろう?

 

「……まぁ、いいや。そんなの光輝兄さんの勝手だし。でも、とりあえずこの部屋を片付けしますか」

 

……はぁ。面倒だけど、こんな散らかってるの見たら掃除したくなっちゃうじゃない。

 

そう思った俺は掃除をしていた。

 

「〜♪〜♪〜♪」

 

鼻歌を歌いながら掃除をしていた。

 

「〜♪〜♪――っ! 誰!?」

 

俺は異様な空気を感じ取り、その気配の元に視線を向けると……

 

カサカサカサ

 

「……?―――っ」

 

足音が聞こえる……この足音、もしかして……

 

カサカサカサカサカサカサ!!!

 

「――ッッッ!?」

 

その音が近づいてきた。……ま、まさか。

 

カサカサカサカサカサカサ―――キラン(✧_✧)

 

「――――ひぃぎゃゃゃゃゃ!!!」

 

俺の目の前にあの黒光りのGが現れた。しかもなんかでかい……(´;ω;`)

 

「ひゃああああ――」

 

ズルッ

 

「――あっ」

 

俺は慌てて避けようと動くと、足を滑らした。

 

そして――

 

ゴンっ!!

 

「――ふぎゅ!?」

 

俺は机に頭を勢いよくぶつけてしまった。

 

「―――ばたんきゅ〜」

 

そのまま気絶してしまった。

 

―side out―

 

―無 side―

 

結城翼が机に頭をぶつけた時、机にあったいくつかの薬が翼に落ちてきた。

 

カカタカタカタ……ガタッ

 

コンコココン! パリンッ! スッ――バシャッ!

 

いくつか薬が落ちた際、地面に落ちた衝撃で何個か割れたりする中で、一つだけ、つばさの頭の上で蓋が取れて中身が綺麗に降り掛かった。

 

その薬の入っていた瓶には……ドクロマークがついていた。それも奇妙なことに♡型の目をしたドクロが。

 

だが、デカイG+机に頭をぶつけたダブル衝撃で気絶している翼が気づくはずもなく、薬で濡れた状態で地面に横たわっている。

 

 

――つばさが気絶してから2時間後――

 

ガチャ。

 

突然、扉が開きそこからこの研究室の所有者である、結城光輝が入ってきた。

 

「……お? なんか片付いてんな。中途半端にだが。つばさがやってくれたのか? いや、しかし。あいつがこんな中途半端に終わらせるわけが―――ん?」

 

そこで光輝は気づいた。"部屋の隅にある机あたりだけやけに散らかっていることに"

 

光輝はそこに近づいた。……そして、初めて"それ"に気づいた。

 

そう、そこにはつばさが倒れていたのだ。

 

「――っ!?お、おい!つばさ!大丈夫か、返事しろ!」

 

光輝が慌てて駆け寄りつばさを揺さぶったり頬を叩くが反応がない。

 

「気絶している?……仕方が無い。汚れている服を着替えさせてコイツの部屋まで運んでやるか。」

 

そんな仕方が無いといいつつも、お姫様抱っこをしている光輝の顔はとてもニヤけていた。どうやら、つばさの寝顔をガン見しているようだ。

 

つばさの自室についた光輝は、服を寝巻きに着替えさせたあと、自身も自室に戻り、夜も遅いのでその日はねるのだった。

 

―side out―

 

―つばさ side―

 

――ん。ううん。……う、ここは? ――――俺の部屋か。

 

「……くっ。頭痛い。今何時だろう?」

 

時計を見ると、時間は14時。どうやら、あれからずいぶんと寝ていたみたいだ。日にち的に昨日気絶していたみたいだね。

 

「……うう。頭まだ痛いよ。それにしても肩がやけに重いな〜。いったい何だって―――」

 

ふにょん。

 

「……ん? ふにょん?」

 

俺は謎の違和感を感じて、違和感の原因である"胸"を触る……

 

ふにゅ

 

「……」

 

ふにゅふにゅ

 

「………」

 

ふにゅふにゅふにゅ

 

「………………」

 

な・ん・で・おっ・ぱ・い・あ・る・の!?

 

「ち、ちょちょちよちょっとおちつけ俺。うん。落ち着こうか、一旦落ちつきましょうか。きっとこれは気のせいだ。うん。これはきっとなにかの間違いだよね。俺ってば男だよ?女の子見たいな見た目だけども、それでも下は付いているからね。そうだよ。下は付いているんだ。だから、俺は男の子なんだよ。」

 

そういいながら手を下に下ろしてとある部分を触ると……

 

ちーーん

 

「………………ない。ないないないないないないない! あ、ああああアレがないぃぃぃぃぃ!?」

 

お、俺のアレが無くなっている……だと…!?

 

「う、嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

俺はおもわず叫んでしまった。な!なんで女の子になっちゃってるの!? しかもいま気づいたんだけどなんかちょっと声が普段よりソプラノ声になってるし!?

 

「ど、どうしたんだ!?つば…さ………」

 

「ど、どうしたの!?つばさ…………」

 

すると、ズダダダダと走る音が聞こえたら、長男の光輝兄さんと長女の皐月姉さんが部屋に入ってきて、固まった。

 

「ど、どうしたの?つばさ。……てか、本当につばさなの? 」

 

「本当につばさなのか?」

 

光輝兄さんと皐月姉さんが困惑した顔と声で聞いてくる。

 

 

「う、うん。正真正銘、あなたがたの弟改め妹の結城翼、その本人です。はい」

 

「そ、そう。……それにしても、ねぇ」

 

「な、なに? 皐月姉さん」

 

「これはまた……ずいぶんと可愛くなっちゃって。…………女の子もイイわね(ボソ」

 

――ゾクッ

 

な、なんだ!? と、突然、悪寒が…。き、気のせいかな?

 

「……ふふふ。そうね、女の子になっちゃったのなら、その口調は宜しくないわね。――よし。いまからお姉ちゃんと一緒に女の子の勉強しよっか♪い・ろ・い・ろ・ね?♪」

 

……あぁ。拝啓、お母様お父様…僕は今日、死んでしまいそうです。主に精神的に……。

 

――――――――――――――――――――――

 

あれからずいぶんと時間が経ちました。俺――いえ、私、結城翼 改め 結城椿は皐月お姉様のご指導の元、女の子のあり方を沢山覚えました。

 

「まあ、こんなものかな。……さて、椿が女の子になった原因だけれど……おい、そこの愚兄」

 

すると、皐月お姉様が光輝お兄様を愚兄と呼びながら光輝お兄様の方を振り向きました。

 

「ぐ、愚兄って……まあ、否定する言葉がないので何も言えないけど。……んで、どうしたんだ?皐月」

 

「どうしたもこうしたもないわ。翼がこんなになっちゃった原因って……絶対にこれだよね?」

 

そういいながら、皐月お姉様が取りだしたのは、瓶に♡型の眼をしたドクロマークがついた空瓶だった。

 

「……おう。確かにそれを作ったのは俺さ。簡単に説明すると、どんな者でも、簡単に美女又は美少女へ女体化する超すごい薬なのさ!」

 

「なるほどね………………―――ナイスよ!お兄様!! 」( *°∀°)و

 

「――ふっ。」(o´・ω-)b✧

 

皐月お姉様と光輝お兄様ふたりして何故かテンションが上がっている中、私と優子お姉様とナツルお姉様の3人は呆れ返っていた。

 

「……何をしているのかしら。あのふたりは」(;・∀・)

 

「ほんとよね…」ε-(´∀`; )

 

「皐月お姉様……」(;一_一)

 

そんなふたりを見ながら、1日がすぎるのだった。




気がつけば、お気に入り件数が700件を突破……感謝感激でございます!

みなさま、これからも頑張っていくのでよろしくお願いします!

……それと、この話はまだ続くよ〜!


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結城家の日常 その1

いろんなアニメや漫画を見ていてふと思いついたネタを題材として作りました! 原作の最新話はちょっと待ってね?

因みにこれは二話構成です。前半後半に分けて投稿します!

それでは、ゆっくりしていってね!


〜結城家の日常!〜

 

 

《肉の神王》

 

 

おっス! 俺の名は兵藤一誠、しがない高校二年生だぜ。ある日ひょんな事から悪魔に転生してからというもの、とても濃い日を過ごしている今日この頃。今日はある人物の家に、部長達リアス・グレモリー眷属と同じ悪魔仲間の匙元士郎が所属する生徒会、ソウナ・シトリー眷属の生徒会の方々と俺たちの顧問であるアザゼル先生を含めた一員がお呼ばれしていた。

 

その人物とは―――――

 

「やぁ、みなさん。ようこそ、我が家へ!」

 

そう、俺達の大切な仲間の1人、ツバサちゃんの実家だ。

 

本名は結城翼。結城家の三男にして、七兄弟いる末っ子だ。結城家が創った地球連邦軍の特殊部隊特別調査班の総隊長にして、結城家の巫女もやっている凄い子だ! まぁ、男だから厳密には『巫女』ではなく『覡(カンナギ)』なんだけどね。

 

――で、そんな俺達はある日いつもの部活動中にふと結城家の普段の日常が気になりツバサちゃんに話した。すると、たまたま一緒にいた結城家の長男である光輝さんに『なら、うち来るか?』と誘われたのでせっかくだし生徒会も誘って結城家の本家の方へ来たのだった。

 

 

「さ、どうぞ。あ、靴はここで脱いでね? スリッパはここに並べてるの好きに使ってもらっても構わないから。ハヤテ!あとの案内お願いね!」

 

「はい。かしこまりましたお坊ちゃま」

 

「うん。ちょっと残りの書類仕事終わらしてくるね!直ぐに追いかけるから! じゃっ!みんなそういう事で楽しんでってね」

 

タタタタター・・・・・と効果音が聞こえそうな勢いで走っていくツバサちゃん。

 

「ツバサ様〜!あまり急いで走られると転びますよ〜」

 

ハヤテさん?がツバサちゃんに手を振りながらそう叫ぶ。

 

「大丈夫〜! そんなドジはしn―――」

 

 

ツルッ

 

 

「へ?―――――ぇうッ!?」

 

 

盛大にコケた。それも顔から

 

 

すると、ツバサちゃんはプルプルし出すと、直ぐにすくっと立ち上がりこちらを振り向かずに叫ぶ。

 

 

「転んでないから。これはただ、気持ちよさそうな床にダイブしただけだから、決して服につまづいたとかそんな事ないから! だから転んだ事にかうんとしていないからな!!!」

 

 

そうしきり叫んだ後、ピューっと効果音がつきそうな勢いで走り消えていった。

 

「・・・・・ふぅ。皆様、驚かせて申し訳ございません。」

 

すると、ハヤテさんがこちらに頭を下げてきた。

 

「あ、いえいえ!驚きはしましたけれど全然気にしていませんから!」

 

俺達はハヤテさんにそういい頭を上げてもらおうとしていた。

 

「すみません。ツバサ様は普段は他の兄姉の皆様と違いしっかりとした人なのですが、家にいると何故かドジっ子属性が強化されましてあの様な事が度々おこるのです。もはや一種の呪いのようなものですね。まぁ、それはそれで愛らしい姿を見せてくれるので執事やメイド一同嬉しくは思うのですがね」

 

ハヤテさんはそう苦笑しながら言う。家ではしっかりしてるあのツバサちゃんもそんなポンコツなんだな。

 

「さて、ではこの家の案内へと進みますね」

 

そういい、ハヤテさんは俺達を連れてツバサちゃんの実家の案内を見て回った。

 

 

感想を言うと・・・・・とにかく凄かった。部長のご実家も凄かったけれど、ツバサちゃんの実家はもっと凄かったとだけ言っとく。とにかくいろいろと規格外でやべぇ。なんだよこの武家屋敷。とにかく広い、ただただ広い。しかも広いだけじゃなくて設備も凄い。訓練場とか屋内屋外問わずよすぎてやべぇ。終始アザゼル先生が興奮しっぱなしだった。しかも地下施設もあると来た。こっちは主に地球連邦軍の真の最終基地としてもつかわれているそうで、全世界にある基地に繋がっていてここから全ての部隊を指揮するらしい。ぶっちゃけ司令室の見た目はまんまロボット系のSFアニメの司令室だった。なんか未来すぎて言葉が出なかったとだけ言う。なんだよ、科学と魔法の融合でできた司令室って意味わかんねぇ。

 

因みにだが、屋外訓練場でチラッと見えた山にある建物の事を聞いたら、『あそこは翼様以外入れません。例えそれが光輝様達でも。あそこに入れるのは結城家の巫女か覡のお方だけですので。因みにその隣にある山には翼様達のお爺様とお祖母様が住んでおられる別荘がありますね』と言われた。ハヤテさんの言葉通り、かなり神聖な所っぽいので少し気になるが、それ以上にお爺さんやお婆さんが別居しているのに驚いた。一緒に住んでいないのだろうか?

 

「仲が悪い?・・・・・いえ、むしろいい方です。超がつくほどの溺愛っぷりで。ただ単に、お爺様が憧れの隠居生活と言うのをしてみたかったらしく、そのお爺様にお祖母様がついて行かれた感じですね」

 

理由はただの隠居だった。隠居生活が夢って・・・・・まぁ、夢は人それぞれだし何も言わないけどさぁ。そういえばツバサちゃんのご両親が見当たらない。どこにいるのだろうか?

 

「ツバサ様のご両親ですか・・・・・・・・・・あの方々は・・」

 

ハヤテさんが顔を暗くして悲しそうに言う・・・・・ま、まさか・・・死んで―――

 

「いまは新婚旅行と称して世界一周の度に出ておられます」

 

ズコーー! そのセリフに俺達はずっこけた。てっきり雰囲気的に死んでるものかと

 

「死ぬ?―――ハハハハハ! あのお二人方がそう簡単に死にますか。『氷の女帝』と『超問題児』のお二人が殺られるなんて万に一つもありませんよ。何せあの兄弟姉妹のご両親なのですよ? ないですないです」

 

そう笑いながら言われた。因みにご両親の写真を見せてもらったがかなりの美形だった。1人は黒髪黒目の大和撫子みたいな人でツリ目と腰まである長髪が印象的な人だ。それ以上に胸がすごくでかい、うん、いい。あと、なんかドSっぽい感じもした。もう1人の男の人は短髪でつんつん頭の人で、耳にはヘッドホンをつけていた。こっちもツリ目だった。・・・・・ツバサちゃんの目は誰に似たのだろうか。

 

「因みに母親の氷翠様は氷の神器使いで、この能力を使う時に瞳と髪が青く変色してとても綺麗な人になるのですが、何せこのお方は敵には容赦がなくとても残忍な人なので、敵にすると1番恐ろしいお方です。ですのでもしも出会っても怒らせないようにしてくださいね?」

 

ハヤテさんにそう言われ身震いする。恐ろしや。

 

 

そのあとも、いろいろと見て回ったが、今日1日では見て回れないとの事で泊まることになった。幸い今日は三連休の初日、まだあと2日ある。まさか泊まり込みになるとは思っていなかったが、ツバサちゃんが荷物を持ってきてね?と、言った意味がわかった。

 

なんやかんやで回っていると、何か大きな扉の前にたどり着いた。どうやらここは多目的ホールだそうで、主に音楽祭や劇、または何らかの発表会などでつかわれている部屋らしく、いまは光輝様が主催のボディビル大会をやっているらしい。

 

「ではツバサ様の所まで行きますか」

 

そうして案内された部屋はホールが上から見渡せる程の広い部屋でとても高そうなソファーや机があり、そこに並べられている物も素人目で見ても高そうな代物ばかりだった。

 

「ん?おぉ、お前ら来たか! ちょうどいい、今始まった所だ。立ってみてもいいしこうして座ってゆったり観てもいい。好きにくつろいでいてくれ」

 

レイジさんがニカッとした笑顔を見せてきた。いつも笑顔がツバサちゃんとは別の意味で本当に眩しい人だ。

 

「きんにくいっぱい」

 

・・・・・・・・・・隣のアリアさんは見なかった事にしよう

 

「お姉ちゃん」

 

アーシアがショックを受けたような顔をしていたが、レイジさんがアーシアの耳にコソコソと何かを吐くと、決意したかのような顔で『どんな事があろうと私のお姉ちゃんはただ1人だけです!』と言った。レイジさんはそんなアーシアを見て満足げだった。

 

「あの人は隠れ筋肉フェチだから気にしないで。因みに好みはレイジ兄さんのような無駄な筋肉を削ぎ落とした筋肉。そうだね、アリアさんの言葉を借りるなら『超筋肉(ザ・マッスル)』かな?」

 

超筋肉(ザ・マッスル)って何!? え、気にしたら負け? ア、ハイ。

 

しばらくして、ボディビルの審査が始まった。会場にいるお客さんはかなり盛り上がっているようだけれど、素人の俺たちからしたらわけがわからないぞ

 

「なら俺が簡単に説明しよう」

 

そう思っているとレイジさんが手を挙げ説明してくれた。

 

「今やっているのはフィジーク。ボディビルとは違い全身ではなく主に上半身だけを見て下半身は殆ど審査される事はないんだ。まぁ、もちろん審査基準はそれだけじゃないが、そこら辺は説明したところで素人からしたら一緒だから別にいいだろう。あとは大会ごとに規定のポーズでの審査だな。フロント・ダブル・バイセプス、フロント・ラット・スプレッド、サイドチェスト、バック・ダブル・バイセプス、バック・ラット・スプレッド、トライセプス、アブドミナル・アンド・サイ――これらが規定のポーズだ。これに含めてモスト・マスキュラーを入れる大会もある。 因みにいまの形はリラックスポーズ、所謂次のポーズをするための休憩期間って奴だな。何せ肉体美を見せる為には力を入れる。疲弊しきったものでは真の筋肉美を出しにくくなるしな」

 

そうレイジさんは語ってくれた。

 

「階級事に決勝ではフリーポーズという演目が行われる。自分の選んだ曲に合わせて自由なポージングをしていくんだ。もちろんこれでセンスも問われるから下手な物は選べないな。これが終われば次はポージングダウンだ。これは決勝進出者が一堂に会してポージングを行う事だ。俗に言う決勝戦だな」

 

そう丁寧に説明してくれるレイジさん。いま目下ではそのポージングダウンというのが行われている。音楽が流れながら司会者の命令によってリラックスポーズと規定のポーズを次々とやっていく。会場はおおいに盛り上がりとても楽しそうだ。

 

「ポーズダウンは大会でもっとも盛り上がる場面なんだ。」

 

「は、はぁぁぁ・・・・いぃ///」

 

レイジさんの横でアリアさんが目をハートにしてうっとりとしていた。

 

「アリア義姉さん」

 

ツバサちゃんはそんなアリアさんを残念な子を見る目をしていた。

 

すると、今度はライトアップされザワザワしだした。

 

「ここからは180プラスという階級だ」

 

「へぇ〜、さっきよりごつい人が沢山いますね! サイラオーグさんみたいな人がいっぱいだ・・・・・ん? 何人か出てきた?」

 

「このクラスは人数が多いからな、公平なジャッジが出来るように何人かに分けてグループ分けされてるのさ」

 

レイジさんの言葉通り、数人の人が前に出てライトアップされている中、各自いろんなポーズをしている。そんなポディビルダー相手に、テレビで見たような訳の分からない称号?や印象みたいな事をお客さんが叫びながら先程とは比べ物にならないほど盛り上がっていた。

 

「凄い迫力だね。流石は地球連邦軍の隊員の皆さんって感じかな?」

 

「応援は凄いディープだけどな」

 

木場と匙がそんな感想を述べていた。ふとさっきから大人しいアリアさんに目を向けると・・・・・

 

 

「キンニク・・キンニク・・キンニク・・・ハァハァ」

 

 

―――やべぇのを見た気がした。

 

「でも、優劣がわかりませんわね」

 

そういう朱乃さんに、レイジさんはうむといい頷いた。

 

「初心者では無理もないさ、ただ筋肉が大きいからいいって訳じゃない。全身の筋肉のバランス、肌ツヤの良さ、そしてポージングの美しさ。それらを総合して雌雄を決する。それが、ボディビルの真髄なのさ」

 

レイジさんは人差し指を天に高らかに上げそう語る。背後にキラキラとエフェクトが見えるのは気の所為だろうか?アリアさんもそのレイジさんの言葉に大きく頷いて、そんな二人を呆れた眼差しで見ているツバサちゃん。凄い温度差だ

 

「・・・・・ん? あれ?光輝兄さん?」

 

そう呟くツバサちゃん。目を会場に戻すと、なんと選手に混じって光輝さんがいた。光輝さんは他の選手と同じ全身裸体のブーメランパンツ一丁で佇んでいた。光輝さんの身体はごついと思っていたけれど、改めて見ると想像よりも大きかった。そんで俺でもわかる――あの人のアレもデカいと

 

『それではァ次の組、前へどうぞ』

 

光輝さんが前に出てきた

 

 

―――この時の事を俺は忘れない。いや、俺だけじゃない、この会場にい会わした人々はこう証言する

 

 

――――神を感じたと

 

 

 

 

 

光輝さんが、フロント・ダブル・バイセプスをポージングした瞬間

 

 

 

―――パァァァァァァァ

 

 

バリィ! バォン!

 

「―――喝ッッ!!!!!!!!」

 

パァァァン

 

 

「――ふんッ!!」

 

ズパァァン!

 

 

 

・・・・・なんと、次々と一斉に会場にいた人達の服が破裂し全裸になったのだ! 俺達はツバサちゃんが叫び、レイジさんが斬り裂いたおかげで防いだから全裸になるのは防げたけれど、会場はその出来事に放心していた。

 

 

「―――肉圧だ」

 

 

レイジさんがぽつりと言う。

 

「肉圧?」

 

「これ程までの肉圧を身につけていたとは、光輝、やるな」

 

レイジさんは猛獣のような鋭い目付きをしながら光輝さんを見ていた。・・・・・全裸で

 

「は、はぁぁぁぁぁあ////」

 

因みにアリアさんはいろんな意味で昇天して顔がもうとろけていた。

 

「え?肉圧?肉圧ってなに!?意味わかんないんだけど!? 本当になんなのこの家のお兄ちゃん達! 本気で意味不明なんだけど!! なんでポージングしただけで服破けるの! そんな変態チックな技はイッセーだけにしてよ!! もう変態はいらないぞ!?」

 

「いや、もう手遅れですお坊ちゃま」

 

「――ハッ!?そうだった、もう兄さん達は変態だったんだった!?」

 

『あああああ!』と頭を抱え叫びながら膝から崩れ落ちるツバサちゃん。そんな床に突っ伏しているツバサちゃんの背を撫でるハヤテさん。その目は慈悲で溢れていた。

 

 

ふと目線を戻すと、周りにいた他のマッチョ達がたじろいでいた。

 

『さぁ、俺を見ろ。真の筋肉は如何なるモノか魅せてやろう!』

 

 

会場に響く光輝さんの声。そして光輝さんは息を大きく吸い詠唱を始めた

 

 

『身体は筋肉で出来ている。

 

血潮は鉄分で、心は心臓。

 

幾度の鍛錬を超えて限界。

 

ただ一度の筋疲労は無く、ただ一度の肉離れは無し。

 

鍛え手はここに一人。

 

筋肉の丘で肉を鍛つ。

 

ならば我が脳髄に意味は要らず、この体は無限の筋肉で出来ていた。

 

【無限の筋製(アンリミテッド・マッスルワークス)】!!』

 

 

―――ァァァァアアン

 

 

一瞬の眩い閃光。あまりの眩しさに一瞬目をとじ、また目を開ける。するとそこに広がっていた景色は・・・・・

 

荒野のあちこちに落ちてある、まるでかなり年季の入った身体を鍛え上げる器材たちだった。

 

その景色を見た瞬間・・・・・会場の人や、マッチョ達は涙を流していた。

 

―――は?

 

「さぁ、よく見ておけみんな。ここに新たな王の誕生だぞ!」

 

興奮しっぱなしのレイジさんがそう熱く語る。すると―――

 

―――――ザッ!

 

―――――ザッ!!

 

―――――ザザッ!!!

 

マッチョ達が一斉に片膝をつきまるで騎士のような服従のポーズをして膝まづいているのだ!

 

「さぁ、降臨せよ、筋肉の神よ!――祝え!筋肉、筋肉、全てをしろしめす肉の王者! その誕生の瞬間を!!」

 

バッ!と両手を大きく広げるレイジさん。

 

「これが――肉の神王(ゴット・オブ・マッチョ)だ!」

 

レイジさんは両手を大きく広げとても嬉しそうに、そして興奮しながら叫んでいた。アリアさんは隣で涙を流しながらシスターが神に祈るかのように手を組み膝を折り祈っていた。

 

 

「・・・・・・・・もうヤダこの筋肉バカども」○| ̄|_

 

 

ツバサちゃんはそんな人達を見て膝から崩れ落ちて、両手両膝を地面に落として、ズーンと影を落としさめざめと泣いていた。そんな背中をぽんぽんと叩くハヤテさん。慈悲の目だけでなく、慈愛の目も含まれていたのだった。

 

 

 

 

《つばにゃん》

 

―三人称 side―

 

後に通称『肉の王誕生祭』と呼ばれるようになるアレから数分後、イッセー達はお客様専用のパーティルームに来ていた。

 

「どうだったかい?イッセーくん。なかなか楽しめただろう?」

 

レイジが片手にグラスに注いだ赤ワインを堪能しながら向かいに座るイッセーに問うた。レイジの隣では余程満足したのか肌が物凄くツヤツヤになっているアリアがニコニコと座っていた。

 

「はい。ただただ圧巻の一言です。ここまで凄いとは思っても見ませんでした」

 

「えぇ、イッセーの言う通り、まさかここまでの規模を誇っているだなんて・・・・・本当に凄いわ」

 

イッセーとリアスが心底驚いたかのような声音で言う。その言葉と表情にレイジは満足気に頷いた。

 

「ならよし。それなら俺もお前らをここに呼んだ甲斐があったてもんだ・・・・・・・・・・さて、と」

 

そう締めくくったレイジが少し真剣な顔をしながら視線を移す。つられ他のメンバーも視線を移すと

 

 

「つばさ甘やかすといいぞ」

 

 

「来てそうそう開口一番がそれか貴様は。だが許す!そして甘やかす!」

 

 

膝上に座られながらそんなことをのたまった黄緑色の美少女は、とても満足そうだった。

 

そして幸せそうだった。

 

 

「このたびは、お父様とお母様がご迷惑をおかけしまして……」

 

 

「ふむ、相変わらずながら、お前は子供らしくないな〜」

 

 

「うをーやめるのだ。ほっぺは引っ張るものでないぞ」

 

 

「うわ、もちもちだ」

 

 

そんな少女の頬っぺたをプニプニと軽く摘みながら『おぉ〜』と感心している翼。そして少女も嫌がるようなセリフを吐きつつ、その顔はとても嬉しそうだ。

 

 

「ミサキちゃんは相変わらず、レイジ兄さんに似て変に賢いなぁ〜。もっと子供らしくすればいいのに」

 

「一理ある。しかし親が親だから我がしっかりすべき、最近は奏と愛美の三人である薬品の研究中。これがその試作品」

 

 

ゴト――と机の上に置いたのは1つの瓶だった。透明なガラスで出来ており中身は澄んだ青色の液体が入っている。

 

 

「ま〜たこんな事をして・・・・・まったく仕方の無い子達だ。まだ小さいんだからこんな研究ばかりじゃなく、何度も言うけど子供らしい遊びをしなさい。例えばおままごととかさぁ」

 

 

「ならば、己を子供らしくしたければ全力で甘やかすといい。全力で甘やかされてみせる」

 

 

「言ったな〜。よーし、甘やかしちゃうぞそれー」

 

 

「わー、もっとかまえー」

 

 

ツバサは少女の脇を持ち座ったまま高い高いの体勢にして少女と戯れていた。

 

 

「まったく、ミサキちゃんはカナデちゃんとマナミちゃん同様、君たち三人娘は研究したりして大人らしい考えや行動してるなぁ〜と思えばこうした子供らしい甘え方で甘えてくるからなぁ。本当に不思議な子達だよ。特にこうして抱きつかれるの多いよね。なに? 抱きつくのが好きなの?」

 

 

「というより人のぬくもりが好き。あと綺麗な人や可愛い人も好き」

 

 

「真顔で言われると流石に恥ずかしいぞ?」

 

 

「事実だから仕方がない。だからつばさも好き」

 

 

「・・・・・まったく、そんな口説く口調までレイジ兄さんに似なくていいのに」

 

 

「我の父上だから仕方がない。それと、何よりもいっぱいぎゅーーっとしてくれる」

 

 

「ふふ、なんの〜。もっとぎゅーっとしてやるぞー」

 

 

「わはー!♪」

 

膝に向かい合うように座る少女に抱きつきギューっと抱きしめるツバサ。更に少女はそんなツバサの頬に自身の頬を合わせスリスリとすり合わせる。そんな二人の顔は実に幸せそうだった。

 

男子高校生と幼女の抱きしめ合う構図は、文字だけなら犯罪臭ただようが、実際の現場は、甘え上手な幼女が綺麗で可愛いお姉さんに甘えて、そして甘やかし上手なお姉さんがそんな幼女の願いを叶えるように存分に甘やかしている構図である。まさに平和の一言だった。

 

そんな二人の構図を見ていたメンバーは、もう癒しのオーラに当てられみな尊い目をして二人の様子を見ていた。

 

「相変わらずツバサが好きだな美咲わ」

 

「ええ、私達の娘は天才すぎる故にあまり他の人に関わりを持とうとしませんが、ツバサちゃんだけはそれこそ物心着いた時からいつも隙あらばベッタリしていましたからねぇ。まぁ、今よりも小さい時では私達以上に一緒にいましたから、それも自然の流れなのでしょうね。」

 

自身の娘の微笑ましい姿を見ながら呟く夫婦。そう、いまツバサに構ってもらっている娘は二人の子供なのだ。名前は結城美咲。生まれ持った能力者でもあり、僅か五歳という年齢である。

 

「つばさー結婚するがいい」

 

「おチビちゃんがそんなませたこと言わない。そんな事を言う悪い子はこうだ〜」

 

「わははは! こちょこちょはダメなのだ〜やめるのだ〜」

 

「ダーメ、やめないでーす」

 

 

そんな、二人の平和すぎる光景が映っている。

 

――しばらくして、満足したのか2人は落ち着き美咲はツバサの膝上から一旦降りると机の上に置いていた小さな瓶を持ち、それを空にかかげるように腕を上げた。

 

 

「これは試作品1号機『にゃんこ』。名前の察する通り猫になれる試験薬なのだぞ」

 

 

「へぇ〜猫になれるんだ」

 

 

「なれるといっても、猫耳としっぽが生えるだけの予定だがな」

 

 

「それでも凄いよ?って予定?」

 

 

「うむ。なにせまだ実験の途中。何より大事な生身での実用実験を試せていないの、誰か適任はいないものか・・・・・・・・・・チラッチラッ」

 

 

「チラッチラッて効果音を口に出しながらこちらを凝視して来る人なんて初めて見たよ?・・・・・全く仕方がない子だな。飲んであげるよ、その薬」

 

 

「本当か!やはりつばさに頼むのが一番だな!結婚しよう!!」

 

 

「はいはい。もっと大人になってからもう一度言ってね〜。さぁ、早く貸して?」

 

 

そう実に軽くあしらいながら薬を貰うツバサ。彼はその瓶の蓋をポンっと開けた。

 

 

「あれ?そう言えばツバサちゃんって薬が効きにくい体質なんじゃ?」

 

 

そんな中、イッセーがそう呟くと一瞬キョトンとした顔をしたツバサが軽く苦笑しイッセーの問に答えた。

 

 

「確かにそうだけど、イッセーはもうお忘れかな? 俺は自分の体質を能力で自由自在に操れるんだぜ? だから効きにくい体質を逆に薬に効きやすい体質に変えれることだってできるんだ。まぁ、元の体質以上の体質に変えることも出来ないし、何よりこの能力は女性時にはまったく使えなくなるっていうデメリットがあるけどね〜。」

 

 

「あぁ〜そうだったな、てか、いままで何で体質で毒とか無効化しないんだろうと思ってたらそんな理由があったんだなー。納得したわ」

 

 

イッセーはそう言いツバサちゃんにもう飲んでいいよと伝える。ツバサはコクンと小さく頷き、そしてその瓶の中身を一気に飲み干した

 

「・・・・・――〜ッ!?」

 

するとツバサが一瞬ビクンッと身体が小さくはねると同時にツバサの身体が発行し出す。

 

一瞬視界が奪われたイッセー達は、光が収まったあと眩んでいた視力がぼんやりと回復していくなら、完全に視界が回復しきったイッセー達の目に飛び込んできたものは・・・・・―――

 

 

『みゃあ』

 

 

―――ブワッ

 

 

イッセー達の間に一陣の風が噴いた気がした。

 

 

―三人称 side out―

 

 

―イッセー side―

 

俺たちの前にいまとんでもない者が存在している。

 

『みゃぁお』

 

そう、猫耳と尻尾を付けたツバサちゃんだ。いまはクシクシと目元を右手で擦り猫の真似をしている。・・・・・本当に猫になんてなってないよな?

 

「・・・・・ハッ! しまった、意識をいっしゅんうしなっていた。な、なんてはかいりょく。さすがつばさ、おそるべし」

 

そう言いながらふーと汗をかく美少女、美咲ちゃん。なんと、あのレイジさんとアリアさんの子供だそうだ。俺たちと出会う前から既に出来ていたという事実に驚きつつも、何となく納得はしていた。むしろ、結婚もしてこんだけラブラブイチャイチャとしているのにも関わらず子供がいない方が不自然で仕方がないほどだ。そんな二人の子供なのだが、かなりの天才児なようで、今回ツバサちゃんがこうなった原因を作った大元凶でもある。

 

 

「どうやら、意識も本物の猫と同等になるみたいだな。これは成功か?」

 

 

そんなツバサちゃんの反応を見ながらブツブツと呟く姿は、ちょっと怖いと思う。

 

 

――ぽふっ

 

 

そんな擬音と共にお腹辺りに重みと温かみが来る。全員がこちらを正確にはお腹辺りを凝視してくるので俺もその視線へ向けると

 

 

『みゃあ』

 

 

ツバサちゃんが抱きついていた

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・ファッ!?

 

 

「なっ! えっ、ちょっ、え?!」

 

 

『みゃあ?』

 

 

俺がパニクっているとツバサちゃんの顔が近くなる

 

 

「ちょっ! 近い近い近い!? 一旦離れよ、な!」

 

 

俺は少し強く押す感じでツバサちゃんの両肩を持ちどかす

 

 

『みゃあー・・・』

 

 

―――ッ! そんな切なそうな顔と声を出さないでくれぇぇぇぇえ!!! 罪悪感もあるけれど、レイジさんとアリアさんの殺気が凄いからァァァ。

 

 

『・・・・・』(´・-・。)

 

 

・・・・・? どうしたのだろうか、俺の手をジッと見て

 

すると、何を思ったのかツバサちゃんは俺の右手を両手で包みそして―――

 

 

『みゃあ♪』

 

 

―――俺の手のひらにツバサちゃんの頬がスリスリと擦り合わさった。

 

 

「《つ、ツバサニャァァァァァン!!!!!!》」

 

――ギュン!

 

 

そんな音が心臓から聞こえた。

 

 

『みゃあ、みゃあ』スリスリ

 

 

――あかん。死ねる

 

 

『――! みぁあ』

 

 

すると、ツバサちゃんは俺の手をはなし、今度は近くにいた木場の所に行った。

 

・・・・・危なかった。もう少しで悶死する所だった。

 

 

「な、何かな? ツバサちゃん」

 

木場が恐る恐る聞く。

 

するとツバサちゃんは何を思ったのか、木場の体中をクンクンと嗅ぎ回っていた。そんな中、木場は緊張してるのか、顔を赤くしながら固くなっている。それもそうだよなぁ。だって、つばさちゃんにむっちゃ近づかれてるんだもんなぁ。それもほぼゼロ距離で。

 

しばらく嗅ぎ回っていたツバサちゃんが、なんと大胆にも木場の膝の上に跨るように座ったのだ! これには木場も驚きより顔が真っ赤に染まる。いつか煙が出るのではないだろうか?

 

「つ、つばさちゃん?」

 

木場がそう読んだ瞬間

 

 

『みゃあ』コツン

 

 

木場のおでこと鼻を自分のおでこと鼻にくっつけたのだった。あと1ミリくらいでキスをする近さに来た瞬間

 

 

「〜〜〜ッッッ!!!―――きゅぅ」プシュー

 

 

声にならない悲鳴を上げ、目を回し頭から煙を吹きながらバタッとソファーに倒れた。

 

 

「木場ぁぁぁぁ!?だ、大丈夫か!?」

 

 

「きゅぅ〜」グルグルグル

 

 

俺は慌てて木場に駆け寄り抱き起こしたが・・・・・ダメだ! 意識が完全に飛んでやがる!

 

 

「な、なんですか。つばさ先輩」

 

 

子猫ちゃんの声が聞こえた。ま、まさか!

 

 

『みゃあ♪』チュッ

 

 

「はぅっ!」

ブフッ(*´ノi`)・:∴・:∴・:∴・:∴

 

 

小猫ちゃんの右頬にキスをした。瞬間、小猫ちゃんはボンッと音をだして鼻血をたらしながら後ろへと倒れる。

 

くっ、小猫ちゃんもやられたか!

 

 

『みゃあ♪みゃあ♪』ルンルン

 

 

「あ、あらあら。次は私ですの?」

 

 

今度は朱乃さんの所に

 

 

『みゃあ?』キラキラ

 

 

「い、いったいどうしm――」

 

 

『みゃあ』チューーーー

 

 

「〜〜ッ!?」

 

 

朱乃さんはツバサちゃんにキスをされた。それも唇に。そしてツバサちゃん・・・・・いや、つばにゃんは離れて朱乃さんに頬擦りしてからまた別の人の方へ移動する。

 

 

「・・・・・・・・・・ふふ」

 

 

ブシャァァァァ!!!(*´ii`)・:∴・:∴・:∴・:∴

 

 

朱乃さんは幸せそうな顔をして盛大に鼻血を出して倒れた。あぁ、朱乃さんまで。

 

 

『みゃあ』ウキウキ

 

 

「あっ、な、なんでしょうか」

 

 

次の標的はアーシアか!? やばい! アーシアにげ―――

 

 

『みゃぁん』

 

 

アーシアの頬っぺに顔をスリスリするツバにゃん。そして離れて

 

 

『みゃあ』ニッコーー

 

 

凄い眩しくも愛らしい笑顔でアーシアを見る。

 

 

「はうぅッ!?」キュ〜〜ン♡

 

 

アーシアは目をハートにさせ、頬を赤く染めながらゆっくりと後ろへと倒れた。

 

 

「アーシア!?」

 

 

俺は急いで駆け寄る

 

「アーシア、大丈夫か!」

 

「ツバサちゃん・・・・・可愛すぎます・・・・・」ガク

 

「ア、アーシアぁぁぁ!!」

 

アーシアまでやられてしまった! あとは部長とゼノヴィア、そして生徒会のメンバーだけだ

 

 

「くふっ」(*´ノi`)ポタポタ

 

 

「――ゼノヴィア!?」

 

ふと視線を向けると、ゼノヴィアが片膝を着いて片手を鼻に当て鼻血が落ちるのを耐えているが、手の隙間から滴り落ちている。

 

「ぜ、ゼノヴィア。大丈夫か?いったいいつやられたんだ」

 

本当にいつの間にやられたんだ

 

「くっ、私としたことが。みんながやられている中、いつでも来ても耐えてみせると意気込み挑戦したものの、ものの数秒で秒殺してしまった。猫と言うことで近くにあったボールを渡してどっかに遠ざけようとしたら、一度離れたと思えば振り返ってこちらに帰ってきたら、お礼のつもりか頬をペロリと舐められ、ニコリと鳴いて行ってしまった。しかも、イチゴの甘い香りがして、余計に変に意識してしまい、結果耐えられず敗北してご覧の有様さ」

 

お、おう。それはご愁傷さまだな。

 

「あら、何かしら?」

 

 

『みゃあ』ピト

 

笑顔で抱きつくつばにゃん。ぶ、部長が

 

「ぅ・・・・・ふふ、私と遊びたいの?」

 

―――た、耐えた、だと!?

 

『・・・・・・・』キラキラ

 

「な、なにかしら?」

 

つばにゃんの目がめっちゃキラキラしてるぞ、なにがおきるというのだ

 

『みゃあ』スリスリ

 

「あ、こら、ちょ、やめっ、やめなさい!」

 

なんと、つばにゃんは部長――リアスの頬に頬擦りし始めただ

 

 

『みゃあ♪』

 

「こ、こら、恥ずかしいから離れなさい」

 

リアスは優しく両手で離す、すると『みゃあ・・・』と悲しそうな目をしながら、しなッと耳と尻尾が下に垂れた。うっと胸を抑えるリアス。すると、意を決したかのような表情をして、つばにゃんののぼをこしょこしょと優しく撫で始めた。すると

 

 

『〜〜♪ゴロゴロ』

 

 

「―――――」キューーン

 

 

パタッ・・・・・・・・・・とリアスは静かに、そして幸せそうに倒れたのだった。

 

 

「・・・・・ふっ、グレモリー眷属はあと俺だけか」

 

 

するとつばにゃんは匙の方へと向いて

 

 

「お、おう!くるのか?しゃー!こい!!」

 

 

『みゃあ』プイッ

 

 

「がーーーん!」

 

 

匙の方を一瞬見ただけで不機嫌そうにプイッと顔をそらされた。それを見た生徒会のメンバーはシトリー先輩を含め全員それぞれ小さく笑う人もいれば、お構いなく笑う人もいれば、笑いを耐えようとして吹き出している人もいた。

 

 

『みゃあ』

 

 

ふと気がつくと目の前につばにゃんがいて・・・・・

 

 

『みゃあ』チュッ

 

 

唇に何か柔らかい感覚が一瞬感じた

 

 

『みゃあ♡』(///ω///)

 

 

ふとつばにゃんに視線を向けると、照れたように顔を赤くさせ、ちょっと目が潤んで気のせいか目の中央にハート型の模様が浮いてるように見える。

 

―――そして、俺の視界が真っ赤に染った。

 

 

―イッセー side out―

 

 

―レイジ side―

 

ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!

 

そんな効果音がついているような勢いで、きりもみ回転しながらちゅうに飛んでいくイッセー。飛び散った鼻血で皆とは別の意味で物理的に顔が真っ赤に染まっている。

 

「・・・・・やれやれ。どうやらあの薬、媚薬効果も含まれているみたいだが、愛娘よ。そこん所はどうなんだ?」

 

「――うむ。確かに薬の中に媚薬もいれたな!」

 

「なぜ入れたんだ?」

 

「つばさに飲ますためだ!」

 

「この大馬鹿者」

 

俺はバカ娘の頭にゲンコツを落とす。

 

ゴンッ

 

「痛い!?」

 

娘はあまりの痛さに蹲り、叩かれた部分に手を置いてプルプルと震えていた。

 

「痛いでは無いか、暴力は反対ぞ」

 

涙目をしながらこちらを見上げる愛娘。

 

「これはお前のせいだろ? 媚薬なんて入れやがってからに・・・・・それより、子供だけなのにそんな危ない物を使うんじゃない」

 

「む?こうきがくれたんだが?」

 

「・・・・・・・・・・あの愚兄め」

 

絶対に次会ったらしばく。

 

「で? 効果はいつまでだ」

 

「んー、たぶんあと10分ってところだな」

 

10分か・・・・・それまで持つかな?いや、持たねぇか

 

俺の目の前には倒れる骸が多数転がっていた。みんな文字通り萌死しているようだ。・・・・・いや、実際に死んでいる訳では無いが、もう死んでるようにしか見えんな。

 

はてさて、どうなる事やら。

 

 

俺はそう思いながら、目の前の惨状から目を逸らしつつ溜息をつくのだった。




妄想が膨らみすぎて気がついたら1万2千字超えていた。やべぇww 削りに削ってこれってwww


さて、では次回作はこれの後編だね。因みに次回の予定はショタ回だ! 原作にあった回をアレンジしたモノの予定だね!

ではこれにて、ばいばーい(* ̄▽ ̄)ノシ


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旧校舎のディアボロス
1話 学校に行くことになりました


さあさあ頑張って書きますか!!


ハロハロー♪皆大好き前世の男の娘、つばさちゃんだよ~♪

 

……………え……なにこの反応………………。仕方ないじゃん………お兄ちゃんに無理矢理されたんだから…シクシクシク…。

 

 

ぐすん…。ごめんなさい…。なんで今のこの状況になっているのかをお話しするね…。

 

 

 

グレートレットとオーフィスが家族になってから時はたち、現在おれは駒王町にきているの 。

 

なぜ駒王町にいるのかって?

 

それは…遡ること三年…いや数日前だったかな………。

 

 

―少年回想中…―

 

「んぅぅ!はぁ~…。やっと仕事終わったよ~…。さてと、そろそろ家にかえるか…。」

 

そして、俺は転移の魔法を使い、家に帰った。

 

「たっだいまぁ~!」

 

「あら?お帰りなさい、つー君」

 

「お帰り~!つー君!」

 

「お帰りにゃ~!つー君♪」

 

「おっ帰り~!!つー君♪」

 

「おっ?お帰り、つばさ」

 

「おう!やっと帰ってきたか!!つー君!」

 

「ははは、お邪魔してるよ?つばさ君」

 

「お帰りなさいませ。つばさ様。」

 

何時も通りの家族の挨拶の中に、な・ぜ・か・!魔王様こと、サーゼクス・ルシファー様とその妻でありメイドのグレイフィアさんがいた…!

 

「えぇ…と…。なんでサーゼクスさんとグレイフィアさんがいるんですか…?」

 

「ははは!いや~なに、今回はプライベートできたのだよ。ほら、前に家族の自慢話をしようと誘いをうけててね、仕事が思ってた以上に忙しくてできなかったのだよ。そして今日、久しぶりの休みができたのでね、今回来たのだよ!迷惑だったかい?」

 

「いえいえ!!そんなことないですよ!むしろ、来てくれてありがとうございます!サーゼクスさんとグレイフィアにもう一度お会いできて、僕は嬉しいです!」

 

「ははは!嬉しい事を言ってくれるね~、リーアたんもこんなに素直なら嬉しいのだがね~…」

 

「流石に、あの歳でその呼び名は恥ずかしいのでしょう。」

 

「む~。そうなのかい?」

 

「はい。そうでございます」

 

「そうなのかぁ…」

 

そう言い、サーゼクスさんは凄く落ち込んだ様子になってしまった…。どんだけ妹さんの事が好きなのだろう?ブラコン過ぎるだろう…全く。

 

「ふははは!大変だなぁ~、魔王もよ。まぁ、こっちは素直で可愛いぜ?うちのつー君はなぁ~。ふははははは!!」

 

はい…。人の事を言えませんでしたね…。こっちも物凄くブラコンだったのを忘れてましたよ…。はぁ~…。愛されて嬉しいんだけどなんだかなぁ~…

 

「ところで…。つばさ君は今何歳なのだい?ほとんど仕事をしてたみたいだけども、まさかとは思うけど、学校を一度も行った事なんてないよね…?」

 

「はい。え~と今は17歳ですね。あと、一度も行ってませんね?学校…。」

 

「……え?」

 

「そう言えば、行ってなかったな……お前。」

 

すると、こうき兄さんは今思い出したかのように言った。

まぁ~学校なんて、前世の時も行ってなかったな~。あっ!!そうそう、家族には、前世の転生者って言うことは喋っているよ?最初は驚かれたけど、それでも家族になってくれたんだ…。あの時は本当に嬉しかったな~♪

もうひとつ言うと、ここでの父親と母親は俺が生まれて少したって、俺が三歳の時に…、事故で死んでしまったの。お父様もお母様も凄く優しかったなぁ……。ま~…、今いる家族でも十分なんだけどね♪

 

でも…守るといったのに、家族を守れなかったのは悔しいね………。

 

 

「いやいや、学校は行くべきだよ!?流石に!いろいろな経験や勉強や友達もないんだよ?寂しくないのかい!」

 

「う~ん…。今まで家の中だったからね~…。この仕事だって、10歳の時に始めたからな~……。それに、勉強に関しては家のメイドや執事、姉さんや兄さん達に教えてもらっていたし、友達も皆、人外ばっかりだからねぇ~…。それに、俺が一般の生活をするなんてできないからね…。」

 

「それはダメだよつばさ君!!!」

 

ビクッ!!

 

いきなり大きな声で肩を掴められながら叫ばれると流石に驚いちゃうよ…。

 

「君だって、人なんだよ?ちょっと力が強いだけの子供なんだよ?学校はそれだけ子供にあたえるものが大きい物だし、学校でしかできない一生の思い出なんて凄く沢山あるんだからね!それだけ学校っていうものは、人生で大切な事なの!行かなきゃダメだよ絶対に!!!」

 

「そんな事いわれましても…。いくとこないし…。」

 

「それならば僕が理事長をしている駒王学園にきなよ!僕の妹のリアスとその眷属や、セラフォルーの妹のソーナとその眷属もいるからね~。きっと楽しい学園生活になると思うよ?」

 

「……そうなのですか?でも、俺はいろんな力をよんじゃうし…」

 

「大丈夫!僕がいるし、いざとなれば魔王四人で君を守るよ!それでいいだろう?光輝?」

 

「あぁ。俺達は全然良いぞ?なぁ、皆!!」

 

「「「「「「はい(にゃ)」」」」」」

 

「と…いうことだ。」

 

「ありがとう。光輝(コウキ)。」

 

「ふははは…。いいってことよ」

 

「本当に…いいの?俺が学校にいっても?迷惑にならないの?」

 

「大丈夫!!どんなに迷惑かけても気にしないよ!そこはなんとかするしね!」

 

「そうだぞ?つばさ。俺達だってお前を学校に行かしたかったのだよ…。ずっと俺たち家族以外で、友達と言えるやつがいないよ寂しくなるからな…。

それに、いざという時は俺達もお前を守るから…安心しろ!だから行ってこい!!初めての学校にな。」

 

「うん…わかった…。じゃぁ…行きます!!駒王学園に!サーゼクスさん?これから騒がしく時に迷惑をかけると思いますが…どうぞよろしくお願いいたします♪」

 

「うん、こちらこそよろしくね。じゃぁ早速入学申し込みを書いてもらおうか」

 

「おう、わかった。俺が書いとくからお前は休んでろ。流石に疲れただろうからな。」

 

「わかった…。ありがとうこうき兄さん。お言葉に甘えさせてもらうね~…」

 

そうして俺は意識がシャットアウトしたのだった…

 

―回想終了―

 

で、なんやかんやで駒王町に来たのはいいんだけど…。

 

―――ここどこなの~…(泣)

 

そもそも駒王学園って何処にあるんだよ~…

助けてよ~…サーゼクスさ~ん!!

 

「うぅ~…ここどこですの~…。駒王学園ってどこですの~…。てか、駒王町無駄に広すぎますの~…。」

 

一人で来たのはいいんだけど絶賛道に迷い中なのですよ…。

この年にもなってっていってもね?変な絵に×を書いただけの地図でどう行けというのですか!?全く………本当にマジでここからどうしよう。

 

ブブブブブ!!

 

……ありゃ?ケータイ鳴ってるし誰からでしょうか?

あっ、皐月(さつき)姉さんだ!

 

「……はい、もしもし~。絶賛迷子中のつー君ですよ~…」

 

『あらら…。やっぱり迷子になってたのね?全く…。光輝兄さんが適当にしたからそうなっちゃったので、此方でお仕置きしておいたわ。あと、優子と黒歌がそっちにいくから、少し待ってなさい?いいね!』

 

「は~い。ありがとう。さつき姉さん」

 

『ふふっ。いいよお礼なんてね。大したことわしてないからね…。あとは、優子と黒歌の言うことを聞いて行動しなさいね?じゃぁ頑張ってねぇ~♪』

 

ブチっ…プープープー…ピッ

 

ふ~よし…少しまつか…。

 

―5分後―

 

ピカッ!!

 

目の前にひとつの魔方陣が現れて、そこから2つの人影が出てきた…。

 

「ごめんね。つー君少し手間取っちゃった」

 

「ごめんなさいにゃ…。少し手間取っちゃったにゃ。」

 

「ううん。全く大丈夫だよ?ちゃんと来てくれたしね」

 

「そう?ありがとうね…。じゃぁ早速これから貴方がすむ家に行くわよ?荷物はもうその家において設置してあるから、心配しないでね~。それでは、黒歌お願いね」

 

「はいにゃ!ささ、この上に乗るにゃん!」

 

そうして俺は言われるがままに、魔方陣に乗った。

 

「それじゃぁ~出発にゃん♪」

 

ピカッ!!

 

一瞬の目映い光がおこり、光がやむとそこでみたものは……………。

 

「……え?でかくない?」

 

そう…。もう見た目が凄く大きな別荘だったのだ…。どこぞのお嬢様が暮らすような豪邸で、庭には噴水や花畑…小さな林や池などがあった。さらに、家の中はあまりにも豪華で、どれもこれも高い家具や道具や最新の物ばかりだった。一人暮らしであまりにも豪華すぎないかな~、これは……。

 

「まず家の説明をするね?構造は三階立てで地下5階まであって、地下にはトレーニングルームや武器庫や室内プールがあるわ。地上三階は一階がロビーや調理場や踊り場…あと、お風呂とかがあるわね。あっ…!お風呂は露天風呂や他に沢山の種類の温泉があるから楽しんでね♪

で、二階と三階は部屋で、二階に自分の部屋があって他に、二階は自分の部屋を抜いて20部屋あって、三階は30部屋あるからね~。友達や家族が増えたら使いなさいな。あと、各部屋に1台自動設備ロボットがいるから、掃除とかわその子にまかしなさいね~。なにか質問はないかしら?」

 

「ないよ!むしろなんか……うん。スゴいね…」

 

うん…本当に何も言うことないよ…スゴすぎて…

 

「じゃぁ~私も帰るから~。あとよろしくね~、黒歌ちゃん」

 

 

「わかったにゃ!優子!」

 

へ…?

 

「え?どういうことですか?黒歌さん?」

 

「つばさ――いえ、ご主人様。今日から貴方の身の回りの世話をさせていただきます。メイドの黒歌です。どうぞよろしくお願いいたしますにゃん!」

 

「え…えぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

俺はあまりにも予想外の出来事に頭の中が処理できなくなってしまうぐらい驚いているのだ…!でもどうして黒歌がメイドに?

 

「どうしてそんなに驚くにゃん?もかして…嫌だったかにゃん?」

 

ぐっ!!……涙目は反則ですよぅ~…

これじゃぁ~、ことわれないじゃないですか…

まぁ~最初から断るきなんてないでしたけどね~

 

「そんな事ないですよ黒歌さん!むしろこんな俺のためにご奉仕をさせてもらえるなんて申し訳ないくらいですのに…。良かったのですか?これで?」

 

「うん、いいのにゃん!むしろ私が自ら頼んだのにゃん!

だってずっと一緒にいられるもん…ボソボソ」

 

最後の方は聞こえなかったけど凄く嬉しそうなのでよしとしますか…。

 

「それじゃぁ黒歌さん?これから俺の事よろしくお願いいたします♪」

 

「こちらこそよろしくお願いいたしますにゃん!今日はもう遅いし駒王学園に行くのはまた明日にするにゃん。だから今日はもう寝るにゃん」

 

 

「そうだね…もう俺も眠いから寝るよ…。」

 

「そうなにゃん…。それじゃぁおやすみなさいにゃん。ご主人様…」

 

そうして、黒歌は俺の部屋から出ようとしたので俺は黒歌のメイド服のスカートを掴んだ…。

 

「ご主人様?どうかしたのかにゃん?」

 

今日は新しい発見がいっぱいだった…凄く楽しかった一日でもあった…。でも、今まで誰かと一緒に寝ることはなかったけど、家の中で一人になることをなかった…一人暮らしなんてもっとなかった…だから…ね…今日だけわね…?甘えても…いいよね…?

 

「あ…///あのね?黒歌…///その…///えっと…///いまは凄く…寂しくてしかたがないの………とても凄く心細いの…だから…ね?///いっ…一緒に、寝てくれない…かな?―――ダメ?///」

 

「ッ!!///(かっ…可愛い…)」

 

「………黒歌?」

 

「はッ!?い…いいよ!ご主人様!!むしろ一緒に寝るにゃん!」

 

「……本当?――ありがとう!!黒歌お姉ちゃん!///」

 

「……え?い、いま…いまなんて言ったの?ご主人様!!」

 

「え?黒歌お姉ちゃん…っていったよ?」

 

「その、もう一回呼んでくれる?」

 

「うん…、黒歌…お姉ちゃん♪」

 

―――――ずきゅぅぅぅん!!

 

「はにぁぁぁ!!///もうつー君は可愛すぎるにぁぁぁ!!早く一緒に寝るにゃん!寂しくないようにいっぱい甘えてもいいにゃん!!」

 

「うん!ありがとう♪じゃぁおやすみなさい!黒歌お姉ちゃん」

 

「うん、おやすみなさいつー君」

 

こうして俺は眠りにつくのでした




ちょっと寂しがりやな主人公を書いてみたらこうなっちゃいました…。

次から駒王学園に編入です♪乞うご期待ください…♪


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2話 初めての学校です!ワクワクです♪

やっとここまできましたか…。長いよ…。


さて、朝早く俺は起きて、朝の鍛練をしている…。

なんで鍛練するかって?そんなもん、簡単な理由だよ…。

いくら強いチートの力を持っていても、操れなければ宝の持ち腐れだからねぇ~…。

だから、そうならないためにも日々鍛練はおこたらないのです!!

それに、これは兄さんも姉さん達も同じで、腕を上げるため日々努力はしているんだよ?だから、最強と恐れられる部隊が出来るんだけどね…。

 

あっ…!!そうだ…。俺の能力の中に【一度触った伝説の武器や防具を新しく作りだしたり強化や直したりする程度の能力】があったじゃん?(キャラ紹介を参考)

 

で、今はどんな武器が作れるというと…。まずは…

約束された勝利の剣(エクスカリバー) ・ デュランダル・レオソード・サラティガ・グラム・青龍偃月刀(セイリュウエンゲツトウ)・如意棒(ニョイボウ)・村雨(ムラサメ)・村正(ムラマサ)・正宗(マサムネ)・ロンギヌス・ミョルニル・天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)・レーバティン・ガラボルグ・ゲイボルグ・ブリューナク・アロンダイト・バルムンク・オートクレール・倚天の剣(いてんのけん)&青紅の剣(せいこうのけん)【曹操が作らした剣】・天之尾羽張(アメノオハバキリ)・天羽々斬【アメノハバキリ】・七星剣・鬼丸国綱 【オニマルクニツナ】・菊一文字則宗【キクイチモンジノリムネ】・干将・莫耶・十握剣(トツカノツルギ)・ミストルティン・コールブラウンド…等々…!!

結構の武器をコピーして作れたと思う…。あ…!!妖刀系や聖剣・魔剣の一部はコピーじゃなくて、そのまま持ってきたりした奴です…!!流石に神具や持ち主がいる武器(デュランダルやオートクレールやグラムやコールブラウンドや如意棒等々)は、流石にコピーなんだけどね~……!

 

まぁ…。コピーだけども俺の能力のお陰で、オリジナルと大差変わんないし、下手したらオリジナルを越えるから…、あんましオリジナルと戦っても大丈夫なんだけどね~。

 

さてと…。あまりにも話が脱線しすぎたね…。まぁ…。鍛練もここまでにして、初めての学校に行く準備をしますか!!

 

「つばさー!ご飯できたにゃー!!早く戻ってくるにゃ~」

 

お…?丁度ご飯もできたみたいだし行きますか…!!

 

「はぁ~い!今行くよ~」

 

そして、俺は五分ででシャワーを済ませて朝食を食べていた。

 

「今日から初めての学校だけども、大丈夫かにゃん?」

 

「うん…。少し…いや…かなり不安だけども、何とか頑張ってみるよ…。」

 

「そうかにゃん…。ま~…、つばさならすぐに仲良くなって友達もできるにゃん!これは、私が保証するにゃん…。だから、心配しないでいいにゃん!」

 

「えへへ///ありがとう!黒歌お姉ちゃん!俺、頑張ってくるよ勇気がでたしね」

 

「それは、良かったにゃん。さぁ…、早くご飯食べて初日から遅れないようにするにゃん!」

 

「はぁ~い!」

 

ご飯を食べ終わった俺は、サーゼクスさんが用意してくれた駒王学園の男子制服を着て、魔方陣の上にたった。

 

なぜ魔方陣にたつか…。それは、学校からじゃ歩いてはキツいので、学校近くの誰も通らない空き地に転送するのだ!!

 

「じゃ~、行くにゃん?準備はOKかにゃん?」

 

「うん、何時でもいいよ?黒歌姉さん」

 

「わかったにゃん。じゃぁ…いってらっしゃいにゃん!」

 

「うん!いってきます!」

 

そうして俺は魔方陣から消えた。

そして築いたら例の空き地に来ていた…

 

「さぁ…行くか…。」

 

ここから駒王学園まで徒歩5分だ…。まぁ…よくこんなところが築かれずに今まで放置だね…。だから…空き地になっているのかな…?まぁ…どうでもいいっか…。とりあえず、ここにどの種族にもきずかれないように人払いの結界にさらに【無意識を操る程度の能力】を使って結界を張っときますか…。

 

「おっと…もうこんな時間か…急いで行かなくちゃ…」

 

俺は時間が迫っていたので、走って駒王学園にいき、目的地の駒王学園についた…。

 

「へぇ!ここが駒王学園かぁ~…大きいなぁ…!」

 

うん!本当に大きな…!ちょっとパトロールとかで色んな学校を見てきたけど、すべてにおいて広いよ…。てか…入ったのはいいけど…職員室って何処だろう…?

 

「う~ん…。どうしよう…わかんないや…。」

 

本当にどうしようか…これじゃぁ俺のクラスとその担任がわかんないよ…。

 

「あら?あなたは誰ですか?見ない顔ですね?もしかして、今日転入してくる人ですか?」

 

突然後ろから声をかけられ、後ろを見ると髪はショートで眼鏡をかけていかにも真面目で、生徒会長をやっていてそうな人に話かけられた。

 

「あっ…。はい…。今日から転入する結城つばさと言うものです…。その…職員室がわからなくて迷ってたんで、よろしければ案内してくれますか?」

 

「そうでしたか…。良いですよ。案内しますね…。あと、私はこの学園の生徒会長をやっている3年生の支取蒼那です。これからよろしくお願いいたしますね…。つばささん。」

 

「はい。よろしくお願いいたします…。支取先輩!!」

 

「では、着いてきてください…。職員室はこちらです。」

 

そういわれ…俺は職員室まで案内され、ついたあと支取先輩とお礼を言ってわかれ、職員室でなんやかんやとこれからの話を聞いて、今はこれから自分のクラスになる部屋の前で立っている…。すると、教室の中から声が聞こえた…。

 

「おーしお前ら席につけー!!」

 

ガチャガチャ…ギギギギギ

 

「よし…皆席についたな…それでは、お前らにお知らせがある!!」

 

がやがや…

 

「このクラスに転入生が来たぞ!!」

 

『うぉぉぉぉぉぉぉッ!!』

 

転入生と言う単語だけで物凄い声が教室から聞こえた…。元気だね…。

 

「先生ー!!転入生は男ですか?女の子ですか?」

 

と、一人の声的に男子生徒かな?が男か女聞いていた…。

 

「うぅ~ん…。先生には判断出来ないですね…皆さんで判断してください…。それでは入ってきて良いですよ?」

 

そういわれて俺は、教室に入ったすると…。

 

『うぉぉぉぉぉぉぉ…ッ!!女の子しかも超美少女キターーーーーーー!!!!!!!!』

 

『か…可愛いィィィィィ!お人形さんみたいぃぃ!!』

 

予想外の物凄い声が教室から響いたので、結構びっくりしました…。

 

「ハイハイ…皆さん落ち着いてくださーい…。転入生が驚いているので静かにしてくださいねぇ…。」

 

「はっはい…!俺の名前は結城つばさです…。その…初めての学校なのでどうしたらいいかわからないので、仲良くしてくれると嬉しいです…!あと、こんな見た目ですが男の子です…!!その…これからよろしくお願いいたします!!」ペコツ

 

『お…男の子かよォォォ!!詐欺だぁぁ!!』

 

『男の娘キターーーーーーー!!』

 

な…なんか男子はzune状態で女子はさらにテンションが上がっていた…。なんで…?

 

「よ~しお前ら…。今から一時間は質問タイムだぜぇぇぇい!!お前らぁぁ!!質問しまくれやぁぁぁ!!」

 

『質問タイムキターーーーーーー!!』

 

先生の一言でさっきまでzune状態だった男子も復活し色んな質問をされた…。

どんな質問って…それは~、『好きな物はなに?』『どんな人が好き?』『何処から来たの?』『家族は何人?兄弟いるの?』『どうて、そんなに可愛いの?』『女性の体の何処が好きですか?』『どうして女の子じゃぁないんですか!!』『僕と結婚してください!!』『女の子の服を着てみてください!!』と…こんな感じの質問がきた…。で…?なんか途中から一部の男子が暴走しだして、変な質問ばかりきた…。てか最後の方は結婚してくださいってどういうことなのですか!!俺は男の子ですからね!!おかしいですからね!!まったく…。

 

ま~…そんな事はさておき、今日1日俺は先生やクラスの女子や男子に学校を案内されながら説明された…。なんでも、この学園には有名人がたくさんいるらしくて、

まず、二大お姉さまと呼ばれるリアス・グレモリー先輩と姫島朱乃先輩…。あれ…?もしかして、あの時助けたバラキエルさんの娘…?いや…まさかね…。

次に、学園のマスコット的存在の一年の塔城小猫さん…。

この学園のイケメンで全女子生徒の憧れで全男子の敵の木場祐斗さん

が…いい意味での超有名人らしいですね…。

 

ただし、悪い意味での有名人もいるらしくて、その男子生徒はよく、女子更衣室を覗いて着替えてるところをみたり、学校に堂々とエッチな物を大量に持ってきて、大きな声で下ネタ発言をしているらしいです…。そして付けられたあだ名が【エロ三人組】と呼ばれているみたいです…。そして、その【エロ三人組】がなんと!!俺と同じクラスにいるらしくて、先生や女子や他の男子から、絶対に近づいちゃダメだと言われました…。

 

まぁ~…、そんなこんなで急がしい1日を終えて、現在は放課後です…!俺は何しているかと言うと、クラスの自分の席でぐた~と伸びています…。

 

「はふぅ~…。流石に疲れました…。クラスの皆も帰ってしまいましたし…。俺も帰りますか…。」

 

帰る準備をしようと立ち上がろうとすると…ドアが開いて、職員室でみた掃除をしてた人がきた。

 

「あ…。ここにいましたかつばささん…。理事長が呼んでいましたよ?」

 

「あ…はい!わかりました。すぐにいきます!」

 

俺は、理事長が呼んでいるということで、今現在理事長室の前にいる。

 

コンコン「結城つばさです…。呼ばれて来ました。」

 

「どうぞ。入ってきてくれたまえ。」

 

ガチャン「失礼しま~す。どうしたんですか?サーゼクスさん?」

 

目の前に紅い長い髪をもった、現魔王サーゼクス・ルシファーがいた…。

 

「いやぁ~、どうだったかい?初日の感想は…?」

 

「はい…!!第一印象はすごく賑やかな所だなぁと思いました。来てみて凄くよかったと思います」

 

「はははは!そうかい。それはよかった!そうだ…1つ君に頼みたい事があるんだがいいかな?」

 

「はい?いいですよ?頼み事とは何ですか?」

 

「うん…それはね…」

 

そういい、サーゼクスさんは深呼吸してから口を開いた…

 

「キミに…妹の護衛を頼みたいんだよ…。いいかな?」

 

「護衛ですか?なぜ?」

 

「どうも、最近ここら付近に堕天使とはぐれ神父が活動しているらしんだよ…。もしもの時がきたら大変なんだけどね…、かといって僕がずっと見守る訳にもいかないし、でも、信用のできない者に任すのはできないから、キミにお願いしようと思ってね今回呼んだのだよ。それに、隠密でばれないように行動できる人がいいしね」

 

「そうでしたか…。」

 

「うん…お願いできるかい?」

 

「わかりました…。でも条件があります…。」

 

「わかった…。その条件というのはなんだい?」

 

「はい…。条件というのは、もしも護衛対象に見つかった場合サーゼクスさん自ら説明する事…。あと、俺が悪魔側の協力者と言うことだけ伝えること。それと、俺の事情を一切話さないこと…。これが条件です…。」

 

「わかったよ…。でもそれだけでいいのかい?お金とかはいらないのかい?」

 

「はい!いらないですよ。それに本当にやらなかったらいくらお金をだそうともしませんからね~」

 

「わかった…。じゃぁお願いするね?つばさ君…?」

 

「はい…!わかりました!!この結城つばさ…。地球連邦軍の名に懸けて、全力でやらせてもらいます!!」

 

こうして、おれはサーゼクスさんの妹の…リアス・グレモリーの護衛をする事になるのだった…。




いかがですか?また次回もこの感じで頑張っていきます!どうぞよろしくお願いいたします…。


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3話 堕天使?なんでここにいるの?

よし…頑張ります!


オッス…。俺の名前は兵藤一誠だ…。

俺は今物凄い体がダルい…。え…?何故ダルいのかって?そんなの俺が聞きたいよ…。

 

昨日までは何ともなかったのに今日朝起きると、体が凄くだるくて太陽がチクチクと痛かった…。

 

それはそうと、俺は今ある人物について聞き回っている…。その人物とは、天野夕麻ちゃんだ…。この子は俺の彼女だって、確かに昨日まで会ってたんだ…。でだ!俺は昨日初めての彼女と初めてのデートをしたんだよ!昨日は本当に楽しかった…。夕麻ちゃんとデパートで買い物したり、遊園地で遊んだり、映画を見たりと凄く普通のデートをしたんだ…。それは、凄く楽しくて思い出に残るものだったんだけども…。問題はそのあとなんだ…。

俺はある公園にきて噴水の前に夕麻ちゃんにお願いされたんだよ…。普通の高校生なら夕日が沈みかけて彼女と公園で二人きりでお願いされたら、勿論キスをお願いされると思うだろう…。勿論俺もそう思ったよ…でも、聞こえた声は…『死んでくれないかな?』って言われたんだ…!俺はその時思考が止まって固まっていたら、彼女の背中から黒い翼がはえてきて、そしたら、彼女が手元に光る槍をだしたんだ…そのあと俺に投げてきて、その光る槍がお腹を貫いたんだ…。俺は痛すぎてなにも考えられなかった…。彼女はその時セイなんとかって言ってたけど、俺はそれどころじゃなかった…。俺は、もう死ぬんだなと思ったよ…。その時俺は、あの紅い長い髪をもった先輩の横で死にたいと思った…。そしたら薄れていく意識のなかであの紅い髪が見えた気がした…。

 

そして、俺は意識を戻すと家のベットの上に何故かいたんだ…。俺は何でだろうと思い母親に聞いたら、普通に何時も道理に帰ってきたわよ?と言われた…。

そして、なんだかんだで今にいたる…。

俺は、悪友の松田と元浜に彼女(天野夕麻)よ事を聞いたら、知らないと言われた…。さらに、写真も見せようとしたらなくて、アドレスもなくなっていた…。なんで…?

 

「なぁ…?本当に夕麻ちゃんの事をマジで覚えてないのか?」

 

「だからさ、俺らそんな子知らないって。なぁ元浜?」

 

「何度も言うがそんな子紹介されていないし、お前に彼女とかありえない!」

 

「いや…確かに紹介したんだ…。俺の彼女天野夕麻ちゃんを…。」

 

―――――

「俺の彼女!!天野夕麻ちゃんだ!」

 

「天野夕麻です。よろしくね!」

 

「「…」」ギユー…

 

二人はお互いの頬をつねっていた…。すると松田が腕をあげてこっちにき…

 

ゴッ!!

 

「ゴバッ!」

 

俺は松田に、ラリアットを倉ってしまった…。

 

「どういうことだ!?こんな美少女が何でイッセーの彼女なんかに!?」

 

「世の中のシステムが反転したに違いない…」

 

「おまえらも彼女作れよ!!」ポン!

 

ブチ…!

 

そのあと俺はなにも覚えていない

 

―――――

 

「それが本当なら携帯にその子の記録があるはずだろう?」

 

「ない!誰かに消されたんだ。」

 

「そんなもん誰が消すんだよ…?」

 

確かに俺の携帯は俺意外触ってないし誰が消すんだよな…。考えてもしかたねー…!

 

「わーったよ!!松田ァ!DVD上演会だ!!ティッシュ5箱用意しとおけ!元浜ァ!腹が減ってはなんとやら!

買い物しだ!!」

 

「「ニヤリ!」」

 

「おお!それでこそイッセーだ!!」

 

「一緒に青春をエンジョイしようじゃないか!!」

 

こうして俺は松田と元浜と俺の三人組で紳士の会をする事になった…。

 

『きゃ~!センパーい』

 

『あぁ…いつみてもお美しいわ』

 

「なんだ?」

 

クラスの女子が外を見て騒いでいたので視線の先を見てみると…リアス先輩がいた…。

 

「おっ!リアス先輩だ!すっげー美人だよな~。」

 

「おぉ!!あいからわず素晴らしいプロモーションだ!!」

 

いつみても凄く綺麗な人だな…。でも、なんだかとても恐い感じもする…。この人には絶対に勝てない…。そんな感じがするのだ…すると、リアス先輩と目があった気がした…。

 

ドクンッ!!

 

な…なんだ!!いったいなにが起きたんだ!!リアス先輩を見ただけでこの鼓動の高鳴りは、なんなんだ?

 

「どうした?イッセー?」

 

「あ?あぁ…。なんでもない」

 

「そうか…。」

 

学校がおわり俺は今街を歩いてる…。さっきまで松田の家で賢者タイムをやっていたが、聞こえないはずの他の家の中の声がはっきり聞こえたり、夜で暗い筈なのに良く見えたり、さらに夜になると力が漲ってくる感じが最近強く感じるようになっている…。そう思いながら俺は適当に家まで歩いてた。

 

ゾワッ!!

 

なんだ?この嫌な感じ…

 

「これは数奇なものだ…。こんな場所で貴様のような存在に出会うのだものな…。」

 

突然後ろから声が聞こえたので、振り返るとそこには黒いスーツと帽子をかぶったいかにも怪しい人が立っていた…。

 

「(なんだこいつ?何言ってんだ?)」

 

「逃げ腰か?答えろ主は誰だ…?」

 

「(こいつマジで何言ってんだよ…!よし…こういう時は全力で逃げるに限る!!)」

 

俺はひたすら夢中に走ってた

 

「ハァ…ハァ…ハァ…。もうここまで来れば…。てかここ夕麻ちゃんと最後にきた公園…。」

 

「逃がすと思うか?」

 

「おまえの属している主の名を言え…。それともおまえ『はぐれ』か?」

 

すると、さっきの男が目の前にいた…!なんで…!てか羽…?この羽は、夕麻ちゃんと同じだ…

 

「主の気配もない…。やはり『はぐれ』かならば…。殺しても問題あるまい…!」

 

「(だから、『はぐれ』ってなんなんだよ…!てかこの展開って…!)」

 

すると、男は光る槍を手からだした…

 

「(殺される!!)」

 

ヒュッ

 

ドッ!!

 

「ゴボッ…」

 

俺のお腹にまた光る槍が刺さった…。く…痛い痛い痛い痛い痛い痛い…!

 

「(同じだ…夢と同じじゃねえか!)」

そして俺は槍を引き抜こうとすると…

 

ジュゥゥゥゥゥ!

 

熱っ!なんだよ!この槍物凄く熱いじゃねえか!!

 

「くっくっくっ。抜けないだろ?お前らにとって光は猛毒だからなぁ。しかたない…抜いてやろうか?」

 

グッ!!ブシャァ!!

 

「ァァァァァァァア――!!!!!!」

 

「悪かったなぁ…。痛い思いをさせてしまった…。どうやら僅かに急所を外したようだ…!」

 

笑いながら男はそう言った…。

 

「次は確実に……」

 

ニタァ

 

「殺してあげよう!!」

 

ヤバい!殺される!

 

ヒュッ

 

バキャァァァン!!

 

「なッ!!」

 

すると、男の持ってた槍は突然儚く割れた…。なにが起きたんだ…?今なにか飛んできたような…?

 

「えぇい…!なんだ!!なにが起きたんだ!!いったい何処から攻撃してきた…!!」

 

男は突然起きた出来事にかなり狼狽えていた…。当たり前か…何処から突然攻撃されればだれだってこうなるよな…。

 

「くッ!だが、次は確実に仕留めてやる!!」

 

や…ヤバい…今度こそ…

 

「その子に触れないでちょうだい。」

 

するとどこからともなく声がして振り返るとそこには…

 

「その真紅の髪は見覚えがあるな…。グレモリー家の者か…。」

 

「リアス・グレモリーよ。ごきげんよう落ちた天使さん?」

 

そう…。学園の二大お姉さまのひとりリアス先輩だった…!

 

「この子にちょっかい出すなら容赦しないわ。」

 

「これはこれは…。その者はそちらの眷属か。下僕は放し飼いにしないことだ…。私のような者が散歩がてらに狩ってしまうかもしれんぞ?」

 

「ご忠言痛み入るわ。でも、この町は私の管轄なの…、私の邪魔をしたらその時は容赦なくやらせてもらうわ!」

 

「その台詞…そっくり返そう!グレモリー家の次期当主よ…!我が名はドーナシーク!再びまみえない事を願う。」

 

そう言って男は何処かに飛んでいってしまった…。あぁ…

俺ももう限界だ…。意識…が…なく…。

 

そして俺は意識がなくなった。

 

―イッセーside out―

 

 

 

 

―つばさside―

 

俺は今、妙な魔力を感じてとある公園にいる…。

すると、公園には二人の男性がいて、ひとりは黒いスーツと帽子をかぶった翼が背中から生えた男性で、もう一人が…確か、学園で同じクラスでエロ三人組のひとりの兵藤一誠さんか…。

 

「(なにしてんだあの人ら?てか、この気配にあの翼、あのスーツきた人って堕天使か?)」

 

俺は魔力を探知して公園にきたのはいいけどなんか二人が話してたのでその様子を公園の森の中に気配を消して見ている…。すると、堕天使が兵藤一誠さんに向けて光の槍を投げて一誠さんのお腹に刺さった…!なにしてんだよ!!あいつ!!そして、堕天使は一誠さんに近づいてその刺さった槍をおもいっきり引っ張った…。勿論槍が抜けると血も一杯出てきて一誠さんは叫んだ…。

 

 

「悪かったなぁ…。痛い思いをさせてしまった…。どうやら僅かに急所を外したようだ…!」

 

すると堕天使はまた槍を出現させて…

 

「次は確実に…」

 

「殺してあげよう!!」

 

堕天使は槍を大きく振りかぶり投げようとしたので、俺はそれよりも早くクナイを投げた…すると…!

 

ヒュッ

 

バキャァァァン!!

 

クナイは、綺麗に目標まで物凄い早さで飛んでいき目標の光の槍を砕いた…。

 

「えぇい…!なんだ!!なにが起きたんだ!!いったい何処から攻撃してきた…!!」

 

その突然起きた出来事により、その光の槍を持っていた堕天使はかなり狼狽えていた…。ま…当然か…、いきなり突然何処から攻撃されればだれだってこうなるよな~…。ふん、いいきみだぜ!

 

「くッ!だが、次は確実に仕留めてやる!!」

 

おっと…。また投げるつもりか次も止めてやr…!うん…?あの魔方陣…。まさか…!!

 

「その子に触れないでちょうだい。」

 

魔方陣から出てきたのは、学園の二大お姉さまのひとりリアス・グレモリー先輩だ…。そして、あの魔王様サーゼクス・ルシファーの実の妹で、グレモリー家の次期当主でもある。ゆうしょ正しき悪魔貴族なのだ!!

 

 

「その真紅の髪は見覚えがあるな…。グレモリー家の者か…。」

 

「リアス・グレモリーよ。ごきげんよう落ちた天使さん?」

 

 

「この子にちょっかい出すなら容赦しないわ。」

 

「これはこれは…。その者はそちらの眷属か。下僕は放し飼いにしないことだ…。私のような者が散歩がてらに狩ってしまうかもしれんぞ?」

 

「ご忠言痛み入るわ。でも、この町は私の管轄なの…、私の邪魔をしたらその時は容赦なくやらせてもらうわ!」

 

「その台詞…そっくり返そう!グレモリー家の次期当主よ…!我が名はドーナシーク!再びまみえない事を願う。」

 

そう言い…堕天使は、何処かに飛んでいった…。てかあいつ逃げたな? ハァ~…まったく…。うん…?あっ…、一誠さん気絶しちゃった…。あぁ~リアス先輩困ってる見たい…。あっ…結局魔方陣で移動か…たぶん頭を持っててなにかしてたからきっとそこから一誠さんの家にいくのかな?まぁ…、ここから先は俺のでばんではないので、俺はとっとと帰りますか…。

 

そうして俺は、魔方陣を使い自分の家に帰ったのだった




どうでしたか?今回初めて一誠さんがでてきました…。次回も最初は一誠目線です…♪

では…また次回!!よろしくお願いします…♪


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4話 魔王様のお願いで監視してます!!

全然進まないなぁ…いや…、頑張って書きます!!




よう…。俺は兵藤一誠だ…。俺は今、いつの間にか部屋のベットの上に寝ていたようだが、ベットから落ちて今起きました…。

 

俺は昨日謎の黒い翼が生えた変質者に教われた…そこでいろいろあってお腹に大怪我をおったのだが…ない…。そう…ないんだよ傷が…。なんでないのかわからないし、どうなっているんだろう…?

 

「うぅん… 」

 

すると、隣のベットから声が聞こえてきたのでそっちにむくと…。え…?リアス先輩!!

 

なっ…!なんでリアス先輩が此処にいるの…!てかどうして裸!!てか俺も裸かよ!!まっ…まさか俺はいつの間にか卒業してしまったのか…!くそぅー!なっなんで覚えていないんだー!

 

く…お、落ち着け俺!!これは幻覚幻聴だ!きっとそうだそうに違いない!!イッセーきっとあなたは昨日のせいで疲れているのよ!そっそうだきっと目を積むるんだ俺よ!きっと目を積むって少したつとそこには何時もの風景が………。

 

チラ…?

 

「うぅーん」

 

ブーーーーー!!

 

グフォア…!リ…リアス先輩の生乳が…尻が…!だぁー!本物だよ!どうしてこうなった!全然覚えてねー!

 

「イッセーいるの!?あんたいつ帰ったの!ちょっと詳しく聞かせてもらいましょうか!」

 

「待ってくれ!今そっちに行くから!」

 

や…ヤバい!!こんな所を母さんに見られたら大変だ…!ど…どうにかしなければ…!ハッ!!そうかこの毛布でリアス先輩を隠せば…!

 

「うーん…朝?」

 

「ギャー先輩!とりあえずこの毛布を…!」

 

俺は先輩に毛布をかけようとしたら…おもいっきり毛布の先端を踏んでしまい、そのまま勢いで倒れていきリアス先輩の胸にだいぶしてしまった…!

そして自室の扉が勢い良く開き…母さんが入ってきた。

 

「イッセー!今度という今度h……」

 

「…あ、おはようございます。」

 

そして、一時の沈黙後

 

「…ハヤクシタク…シナサイネ」バタン

 

ドドドドドド!!

 

「お、お父さんッ!イッセーが!」

 

「なんだ母さん?あいつまた朝から一人エッチか?」

 

「美人なが…外国人と異性交流を…!」

 

「どうした母さん落ち着いて!!」

 

「国際的ィ!イッセーがァ!!」

 

下に勢い良くおりた母さんは父さんと騒いでいた…。

 

「あ…あなたのお家は朝から元気ね?」

 

「はい…そうですね…。あの~?先輩?」

 

「ん?何かしら?」

 

「おっ…おっぱいとか見えてます…。」

 

「ウフフ。見たければ見てもいいわ。」

 

ズギャーン!!

 

そ…!そんな日本語あったんですかーッ!?

く…生まれてきて良かったよ…母さん…父さん!ありがとう…!

 

「ところであなた…、お腹大丈夫?昨日刺された所は…。」

 

「そうだ…俺は昨日変なカラス野郎に…。あれは夢じゃ…」

 

「あれは夢じゃないわ…現実よ?」

 

「じゃ…じゃぁなんで俺は傷がないんですか!?確かにお腹に刺さった筈なのに…。」

 

「それは私が治したわ。致命傷だったけど、意外と頑丈だったみたいで一夜で治療できたの。」

 

「でもあんな傷がどうやって?」

 

「それは、私の魔力を分け与えたのよ?裸で抱き合ってね…。」

 

「おーなるほど…って!ええぇぇぇぇぇえ!?」

 

「な…ななななな…!」

 

「ふふ…可愛いわね。私はリアス・グレモリー、悪魔よ…!そして貴方のご主人様。よろしくね。兵藤一誠君?イッセーって読んでもいいかしら?」

 

「へっ…?えぇっ…??」

 

え…?魔力?悪魔?ご主人様?なんだ?いったいなんなんだ…!全然わかんねぇよ…。

 

「ふふふ。まぁ…そんなにいっぺんに言ってもわからないわよね…。今日の放課後に使いを出すわ。その人に着いて行って部室にきてね?」

 

「は…はい。わかりました…。」

 

使いを出す?まぁ…すぐに答えはわかるからそれまておとなしくまつか…。

 

「そう…。それよりも早く学校に行く準備ををしましょ?遅れるわよ?」

 

そう言われ…時間を見ると7;35分予鈴が8時で、授業の初めのチャイムが8;30分だ少し急がないと間に合わないな…。

 

「わかりました!!すぐに着替えるので少し待ってください…!」

 

「わかったわ…。早くするのよ?」

 

そうして俺は準備を開始した…。

 

 

―イッセーside out―

 

 

 

 

 

―つばさside―

 

ふあぁ~…。うぅ~…、凄く眠いですね…。何故そんなに眠たいかと聞かれますよ、昨日イッセーさんがドーナシークとか言う奴に襲われたじゃないですかぁ?

そのせいで、重症のイッセーさんをリアス先輩がイッセーさんの家まで連れていって一晩かけてイッセーさんの傷を治していたんですよね。その間…ずぅっとイッセーさんの家の回りを警戒してて一晩中起きていたせいで、一睡もしていないんですよ…。その後、家にシャワーを浴びに帰ると、家に一緒に暮らしている、黒歌に心配してたにゃと言いながら泣かれてしまいました…。

女の子を泣かしてしまうなんて男として最低ですね…。(見た目超がつく美少女ですけど…)

と…とりあえず、そんなこんなで学校に頑張ってきて、教室まできて寝てたんですが、何やら騒がしいので起きてしまいました…。どうしたんでしょうか…?とりあえずクラスの人に聞いて見ましょう…。

 

「あのぉ~…どうしたんですか?皆さん?」

 

「あっ…ゴメンね起こしちゃった?うーんとね、この学園の二大お姉さまのひとりリアス先輩は知ってるでしょ?」

 

「はい…。知っています。」

 

勿論…。悪魔でさらに魔王サーゼクスさんの実の妹だと言うこともね…。

 

「でね?このクラスに学園でも有名なエロ三人組のひとり兵藤一誠がいるじゃない?何と、その二人が並んで学校にきたのよ!?なんであんな奴の隣にお姉さまがいるのかしら?お姉さまが汚れてしまうわ…!」

 

「そうでしたか…。あの一誠さんが…。」

 

外を観ると自慢そうに歩く兵藤一誠さんといつもどうり優雅に歩くリアス先輩が二人揃って歩いていた。

あの一誠さんから悪魔の気配がしますね…。きっと、リアス先輩に悪魔にされていたのでしょう…。悪魔になったのは知っていましたが、あの様子だと今日聞かされるのでしょうね…。まぁ…俺は旧校舎にある【オカルト研究部】が見える木の上で様子を見るとしますかね…。

にしても、一誠さんも悪魔か~。この学園悪魔が多いいなぁ~。

 

「絶対つばさ君はイッセーみたいになっちゃ駄目だよ?わかった?」

 

「はい!わかりました!」

 

「うん、いいお返事でよろしい!」

 

そんな話をしていると一誠さんが教室に入ってきました…。するといきなりエロ三人組の二人松田さんと元浜さんが一誠さんをおもいっきり殴りました…。うわぁ~痛そうですね…。

 

「ハハハ…イッセー君?今のはどう言うことだい…?説明してもらおうか?」

 

「そうだ、貴様には説明義務がある!なぜ学園のアイドルのリアス先輩と一緒に学校にきたのだ!!」

 

そう言い、松田さんと元浜さんが一誠さんにさっきの事を質問しながら詰めよっていると、急に一誠さんは口元をニヤニヤとしだした…

 

「時に君たちナマ乳を見たことはあるかね?」

 

勝ち誇ったような顔でそんなことを言った…。そしたら二人は戦慄した顔をして四つん場になって地面に崩れ落ちた…。

 

この…変態め…。

 

そんな、朝の出来事があり今は放課後…。一誠さんは何故かそわそわしながら机の上でだら~んとしていた…。なにしてんの?あの人は…。そんな事を思ってると、突然『キャー』と言う歓声が起きたのでそこを見ると、うちのクラスに、学園のイケメンで全女子の憧れであり、全男子の敵と言われてる、2年生の木場祐斗さんがいた…。

 

「お取り込み中失礼。兵藤一誠君はいるかい?」

 

木場祐斗さんは一誠さんを探してるみたい…。どうしてだろう?あぁ…そういえばこの人も悪魔でしたね。と、言うことはこの人がリアス・グレモリー先輩の眷属なのかな?そして、俺は一誠さんの方を見ると…物凄いイヤな顔をしていた…。

 

「ああ…。俺が兵藤一誠だけど?イケメン様が何の御用かね…?」

 

そう言いながら、まるで怨敵を見るような顔で木場祐斗さんを睨んでいた。どんだけイケメンが嫌い何ですか…あなたは…。

 

「ははは、リアス先輩の使いできたんだけど…。一緒に来てもらってもいいかい?」

 

なるほどね…。やはりリアス先輩の使いでしたか…。となると、リアス先輩と同じ二大お姉さまのひとり3年生の姫島朱乃さんも、学園のマスコットの1年生の 塔城小猫さんも、リアス・グレモリーの眷属ということですね…。あっ…、ちなみに生徒会長の志取蒼那含め生徒会は皆ソーナ・シトリーの眷属悪魔ですよ?ソーナ・シトリーは四大魔王の一人セラフォルー・レビアタンの妹です…!

 

「リアス先輩の…。わかった。じゃぁ松田、元浜?そう言う事だから行ってくわ!」

 

「くそぉー!やっぱりリアス先輩と知り合いなのかよ!!」

 

「くっ…!あまりにも理不尽だ…!」

 

血の涙を流しながら嗚咽しているバカ二人がいます…。はぁ~…本当に呆れて何もいませんね…。

 

「イヤァーー!」

 

 すると、女子たちが突然悲鳴をあげる。

 

「そ、そんな木場くんと兵藤が一緒に歩くなんて!」

 

「汚れてしまうわ、木場くん!」

 

「木場くん×兵藤なんてカップリング許せない!」

 

「ううん、もしかしたら兵藤×木場くんかも!」

 

『それだッ!』

 

なんだか…世間でいうと腐女子の方々が騒いでいました…。ふぅ~…もしもあの時見つかっててここで一緒に来てと言われていたら、たぶんこの方々の餌食になっていたのでしょうね…。おぉ~こわいこわい。

 

さてと…、一誠さんが連れていかれた所で俺も行動にうつしましょうか…。

 

 

―つばさside out―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―イッセーside―

 

俺は腐女子の驚異から逃げきって今わ旧校舎にある『オカルト研究部』という部室にきている。

 

コンコン

 

「部長、一誠君を連れてきました。」

 

「そう、入って来てちょうだい?」

 

「失礼します」

 

「しっ…失礼します…。」

 

俺は部室の中に入るとそこには部屋のあちこちに変な文字を書いた、まるでゲームにでてくる魔方陣のような物がいっぱいあった。

 

ん…?あそこのソファーに座っている小型の少女は…!学園のマスコットでそのタイプが好きな人から密かに人気がある塔城小猫ちゃんじゃないか!!

 

「こちら、兵藤一誠くん」

 

「どうも…。」

 

 裕斗が俺を照会したので挨拶をする。

 

「あ、どうも」

 

 シャー。っとシャワーの音がすした。すると、そこにはシャワーがあって、カーテンの向こうに魅惑の女性のシルエットがあり、俺は思わず鼻の下と口元がニヤニヤしてしまった…。

 

「……いやらしい顔」

 

 塔城さんが俺に向けて呟く。

はい…、エロくてすみません!!

 

 ジャー。キュッ

 

 カーテンが開いた。どうやらリアス先輩はシャワーを浴び終え、着替えも終わったみたいだ。

 

「ゴメンなさい。昨夜、イッセーのお家にお泊りして、シャワーを浴びていなかったから、いま汗を流していたの」

 

「部長これを…」

 

「ありがとう朱乃」

 すると視界のさきでは朱乃さんがリアス先輩にタオルを渡していた…。って!姫島朱乃先輩!!あのリアス先輩と並ぶ学園の二大お姉さまにして、大和撫子で今わ絶滅種の黒髪ポニーテールのお姉さまじゃないか!!

なんだこの部活!こんなにも学園の有名人が勢揃いかよ!!

 

「これで全員揃ったわね。兵藤一誠くん。いえ、イッセー」

 

「は、はい」

 

「私たち、オカルト研究部はあなたを歓迎するわ」

 

「え、ああ、はい」

 

「悪魔としてね」

 

「え…?」

 

そこで、俺は色んな悪魔についての説明を受けた。昔から天使・堕天使・悪魔の三つ巴の争いが続いており今もそれが続いているという…。でも、一介の高校生がそんな事を信じる訳がないよな…。オカルト研究部ってそう言うことを調べる所なのか?

 

「いやいや、先輩、普通の男子高校生には、難易度の高い話ですよ?まず、そんな事あるわけが…」

 

「―天野夕麻」

 

「あの日、あなたは天野夕麻とデートしていたわね?」

 

「.....冗談なら、ここで終えてください。正直、その話はこうゆう雰囲気で話したくない」

 

俺のの声には、怒気がこもってた。でも仕方ない…俺にとってそれは腫れ物に近いからな…。

 

「天野夕麻、いえ、あれは堕天使。ある目的の為に、あなたに近づき、その目的果たしたからあなたの周囲から記憶と記録を全て消したのよ」

 

「目的ですか…?」

 

「そう…、イッセーあなたに宿ってた神器が、危険因子だったためあなたは殺されたの...」

 

「ちょと待ってください!!殺されたって...俺、こうして生きてますよ!?それに神器てなんですか!?」

 

「あのねイッセー、神器はね特定の人間の身に宿る規格外の力のことなのよ。例えば、歴史上に残る人物や世界的に活躍している人とかは、体に神器を有しているのよ?」

 

 

「大半は人間社会規模でしか機能しないものばかり、ところが、中には私たち悪魔や堕天使の存在を脅かすほどの力を持った神器があるの。イッセー、手を上にかざしてちょうだい」

 

俺はリアス先輩の言うとおり、左腕をあげる。

 

「目を閉じて、あなたの中で一番強いと感じる心の中で想像してちょうだい」

 

「い、一番強い存在...。ド、ドラグ・ソボールの空孫悟かな....」

 

そう…、ドラグ・ソボールは俺が小さい時に良く見てたテレビアニメで、あの技が出たらいいなと毎日練習したぐらいだ…。

 

俺はか○は○波を打つような構えをとって、あの言葉を言った!!

 

「ドラゴン波!!」

 

ピカッ!

 

突然俺の左腕が光だして光がやむと、そこには赤い籠手があった…。

 

「なんじゃ、こりゃぁぁぁぁ!!」

 

イッセーは、驚きのあまり、叫んだ。まー驚くだろうな....

 

「イッセー?それが貴方の神器よ?一回発動したら次は自分の意志で発動可能になるわ。」

 

へ~そうなんだ…。これが俺の神器か…。なんかカッコいいな♪

 

「そう、そしてその神器を危険視され、あなたは堕天使-天野夕麻に殺されたの」

 

「えっ…!でも俺は、こうして生きてますよ!?死んでないんじゃないですか!?」

 

するとリアス先輩は、ポケットから一枚の紙を取り出した。

 

「死ぬ間際にねあなたは私を呼んだのよ。この簡易用魔方陣でね、この簡易魔方陣は普段は私の使い魔が街に配っているんだけど、偶々貴方にそれが渡ったのよ。それでね、よほど強く願っていたのでしょうね。普段なら眷属の朱乃たちが呼ばれているはずなんだけど。」

 

「でも、私が召喚されたとき、あなたは、すでに死んでいたわ…そして、彼にあなたを、生き返させるか、決めさせたのよ。……悪魔としてね。」

 

「えっ.…」

 

 

「イッセーあなたは私、リアス・グレモリーの眷属として生まれ変わったの。私の下僕の悪魔として」

 

バッ!

 

俺以外全員、背中からコウモリみたいな翼が生えてきた。いや、俺の背中からも皆と同じ物が生えてきた…。触ってみたがちゃんと神経が通っているみたいだ…。マジか…俺ってとうとう人間やめたんだな。

 

 

「改めて紹介するわね。祐斗」

 

木場は俺に向けてスマイルする。死ね!!イケメン!!

 

「僕は木場祐斗。二人と同じ二年生ってことはわかっているよね。えーと、僕も悪魔です。よろしく」

 

「……一年生。……塔城小猫です。よろしくお願いします。……悪魔です。」

 

「三年生姫島朱乃ですわ。いちおう、研究部の副部長も兼任しております。今後もよろしくお願いします。これでも悪魔ですわ。うふふ」

 

そして最後にリアス先輩がしゃべった。

 

「そして、私がは彼らの主であり悪魔であるグレモリー家の次期当主リアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。これからよろしくね?イッセー。」

 

 

「はい!2年生の兵藤一誠です…!エロい物が大好きな高校生です!!これからよろしくお願いします!」

 

こうして、自己紹介も終わり、俺も晴れてオカルト研究部の部員になれました。

 

―イッセーside out―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―つばさside―

 

フッフッフ…!俺は今物凄く楽しんでいるのだ!なんで楽しんでいるって?それは…他人の秘密情報を普通に聞いているからだよ…!そう忍者みたいにね!!

何故にそのような事をしているのか…、それは簡単に説明すると、サーゼクスさんに呼ばれる→学園は楽しいか聞かれる→楽しいと答える→喜ばれる→突然お願してもいいかなと聞かれる→いいてすよと返事する→すると、自分の妹【リアス・グレモリー】の護衛を密かにやって欲しいと頼まれる。→二つ返事で返す。→今ここ…ってな感じですね…。

 

ま~…、そんなこんなで色々あり、今は忍者の様に影に隠れて監視をしているんですよ。

 

 

でも…、まさか一誠さんのあの赤い籠手って、もしかして【赤龍帝の籠手】ですかね?リアス先輩は、あの籠手を何処でもある普通の龍の籠手と思っているみたいですが何かが違うんですよね~…。まぁ~…今はまだ龍の紋章は出ていないのでわからないのわ仕方がないですかね…。

 

まぁなにわともあれ、俺の勘が当たれば、あれは伝説の二天龍の片方、赤龍帝・ドライグの魂が封じられている【赤龍帝の籠手】なんですよねぇ~。

まぁ~、もし俺の勘が当たればいいじゃないですかねぇ?

そしたら、リアス先輩に、強い伝説の龍の片割れが自分の眷属に付くことになるのですから、良かったと思いますね。なんだか、リアス先輩ならこれくらいの強い能力や武器を持った者達が眷属に入って、若手最強のチームを作りそうでこわいですね…。

てか、あの塔城小猫…。もしかして、白音さん?たぶん、見間違いじゃなければそうだと思うね…。まぁ~…いまは、いっか…

 

さぁてと、俺の仕事も終わりましたしさっさと家に帰りますか…!

 

「兵藤一誠さん?リアス先輩とその眷属さん?皆いい夢をみてくださいね?それではまた明日…。」

 

そう言い残し俺はその場を後にした。




いかがですしたか?今回もぐだぐだと頑張って書きました…。

次回もこの調子で頑張っていきます!!これからも、よろしくお願いいたします。


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5話 お仕事やります!!…正体バレちゃった!?

俺は今森の中にいる。何故森の中にいるかは、とあるはぐれ悪魔を討伐しにきたのだ。そのはぐれ悪魔はなんでも、人間を食べてその味を気に入ってしまい主人を殺して、数多くの人間を食べてるみたいなんだ!

 

 

「はぁ…。サーゼクスさんも人使いが荒いですよ、まったく…。まぁ…、学校に行けて今が楽しいのもサーゼクスさんのお陰だからねぇ~。かなり感謝してるし仕方ないか…。」

 

 

そう俺は今サーゼクスさんに『はぐれ悪魔のバイザーがこの街に来ているみたいなんだが…、どうもバイザーだけではないみたいでね…、S級はぐれ悪魔のバイソンと言うはぐれ悪魔が一緒にいてね?リアス達ではどうしようもできないからね、そちらの悪魔を討伐してきて欲しいんだよ。いいかな?』っと言われたのでね?二つ返事でひきうけたの。

 

まぁ~、退屈してたし、地球連邦軍の仕事も最近ないからねぇ~暇だったから丁度いいかな?

 

 

「ほ~う。またこの森に人間が入ってきたか。それに子供で女とわなぁ…。ククク!お前はどんな味がするんだろうなぁ~!!」

 

 

えぇ…と、このキモいのが…バイソン?

 

…………………ふむ、上半身が筋肉質でムキムキの世紀末の覇者見たいな体で顔が蛇見たいなキモい顔…、それに下半身がムカデ見たいな体…………。

 

 

キモォォォォォォオ!!何こいつ何こいつ!き、キモすぎる!!これは流石に生理的に無理な生き物だよぉ~ !うぅ……。こう言うタイプが一番嫌いなのに…くそぅ…しっかり確認しとけばよかったよ。くっ、あの人俺が蜘蛛とムカデとゴキブリが嫌いな事を知っててこんな奴を……!この恨み絶対張らしてやる…!!

 

 

 

「クククク!どうした?怯えたのか?まぁ、この姿を見て怯えない奴なんていないがなぁ…。それにしてもずいぶん可愛い顔をしているじゃないか…。こいつはただ食うのは勿体無いなぁ…。そうだ…お前の身体をバラバラにして遊んだ後に食べるとしよう。ククク…楽しみだなぁ~。」

 

 

うん…。無理!こんな奴は即刻この世から消すべきだ…!仕方ないか…。こんなやつに使いたくないが…触りたくもないのでさっさと殺そう…。

 

そうして俺は両手に【対刀“零”】を異空間から出した。この刀は右手に持つ刀が紅い色とオーラを出している、妖刀紅桜を短刀にした感じの刀で、左手に持つ刀は普通の短刀です。詳しくは戦○B○S○R○にでてくるとある忍が使う武器です。ちなみに手作りなのですよ

 

この異空間は俺のコピー能力でコピーした、「隙間を操る程度の能力」です!!ほかには、鎧も入ってて、鎧を着るときは換装っていいながら着用します。着用する際は、とあるギルドに出てきたティターニアと呼ばれた魔導士が使う魔法みたいな感じですね

 

 

 

「で…?それだけか?言いたいことは」

 

 

「貴様のその短刀…。なんだ?異様な力を感じるなぁ…。貴様は何者だ?」

 

 

「いえいえ…。名乗る程の者じゃぁ~ありませんよ…。ただ…言えるのは…。」

 

 

 

「お前を殺す者だよ?」

 

そして俺は、バイソンの懐に一瞬ではいり、そのまま上に右手に持つ短刀を切り上げる

 

ズシュ…!

 

「ぐ…ぐきゃぁぁぁぁぁ!?」

 

切れる音と共にバイソンの右腕が飛んでいった。

 

「ぐぅぅ!!くそが!!人間なんぞに俺が殺されるかぁ!!貴様はそのままぶっ殺してやる!」

 

バイソンは残った左手でどす黒い槍みたいな物を作り、それを俺に振って切ろうとしてるが、最大時速がマッハ5で動ける俺に当たるはずもなく闇雲にただ振ってるだけだ…。

 

「くそっ!くそっ!くそぉぉぉ!!何故当たらねぇ!?何なんだよ貴様はよぉぉぉ!」

 

「ふぅ…。この程度ですか…。飽きましたね…。さっさと殺してあげますよー。」

 

フッ…!

 

俺は、音速と同じ速さで相手の真上に飛んだ。バイソンからしたら突然消えたんだろうな。まぁ…。気づいたところでもう遅いですがね…

 

「疾風・颯(はやて)!!」

 

バイソンに20のも斬撃が襲い、バイソンは物凄く吹っ飛んでいった…。だが、俺は吹っ飛ばす場所を考えていなかった。なんせ、吹っ飛んだ先には…グレモリー眷属がいた場所だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―イッセーside―

俺は悪魔になって初めの仕事の二週間のチラシ配りを終えて、誓約を取る仕事に移ろうとしたのだが…。

俺には魔力が壊滅的にないらしく、悪魔なら赤ん坊でも通れる転位魔方陣で契約者の所に行けなかったのだ…。

そのせいで、俺は自転車で契約者の所に行っていたんだが、そこでミルたんとか言う世紀末の覇者見たいな化け物と会ったり、女のコスプレが大好きなオッサンに呼ばれたりと、なんで俺の所にはこんな変人ばっかりくるんだよ!!くそっ!綺麗なお姉さんに呼ばれてキャッキャウフフな事を夢みたのにぃ…!

 

そんな時に朱乃さんが部長にはぐれ悪魔?とか言う奴の討伐の依頼が来たからその悪魔の討伐をしに、近くの森に今は来ている。

 

 

「部長…?はぐれ悪魔ってなんですか?」

 

「そう言えば話してなかったわね。いいは、教えてあげる。はぐれ悪魔って言うのわね?自分の欲望の為に主人を裏切り悪行の限りを尽くした悪魔で、その悪魔の殆どが欲望にまみれて化け物と化した悪魔の事よ。」

 

 

「へぇ~。そうだったんですか。」

 

「そう。それとイッセー?今日は貴方は見学よ?いい機会だし悪魔の戦いかたを見ていなさい。ついでに下僕の特性も説明しておくわ。」

 

「特性?」

 

「そう。悪魔・堕天使・天使の三つどもえの関係は前に説明したわね?長い戦いの中でどの勢力も疲弊し、やがて戦争は勝者を生まず終結した。その時に悪魔も多くの純血を失い軍団を率いる事が出来なくなったの。このままでは行けないといい、そこで始まったのが【悪魔の駒(イーヴィル・ピース)】よ。イッセーはチェスを知っているかしら?」

 

 

「はい…、名前くらいは。将棋みたいなもんですよね?」

 

「チェスの駒には、王・女王・騎士・戦車・僧侶・兵士とあって、それぞれ特性が異なるよの。」

 

「これと同じように下僕悪魔にそれぞれ特性を授ける事で少数でもより強大な力を発揮できるようにしなの。今では悪魔の駒を使ってその強さを競う“レーティングゲーム”が爵位持ちの間で流行しているぐらいよ?」

 

「レーティングゲーム?」

 

「まぁ…、簡単に説明すれば、下僕を駒にして実際に戦う大掛かりなチェスね。でも、これが地位や爵位に影響するようになっていたの。」

 

 

「じゃあ俺もそのうちそのゲームにかり出されて戦うんですか?」

 

 

「私はまだ成熟した悪魔ではないから公式の大会には出場できないの。」

 

 

「僕達もまだ、出た事はないんだよ。」

 

「出場するには色々と条件もあるから、まぁしばらくはゲームすることはないと思うわ。」

 

「なるほど…。所で部長?俺の駒ってなんですか?」

 

「イッセーあなたは…っ!」

 

すると、部長は何かに気づいたみたいで森の奥に視線を向ける。他の皆もその部長が見ている方向に視線を向けていたので、俺も見た。

 

「血の匂い…」

 

小猫ちゃんが匂いに反応したら、奥から声が聞こえた。

 

 

「うまそうな匂いがするなぁ!不味そうな匂いもするなぁ!苦いのかな?甘いのかな?」

 

すると奥から上半身しん裸の女の人が現れた…!なんと全裸ですとぉぉぉ!

 

「うぉぉぉ!エロい!あんな露出狂がはぐれ悪魔なんですか!部長ぉぉぉ!」

 

「一誠君…」

 

「一誠先輩…。」

 

「あらあら…。一誠君ってば…」

 

「はぁ~。イッセー?よく見なさい彼女を…。」

 

そう言われ…、よく見ると、上半身は裸だが下半身がライオンの様な獣の体を持った化物だった。

 

「なっ…なんじゃありゃぁぁぁ!」

 

「一誠君?あれが主を殺してはぐれになった者の成れの果てだよ…。」

 

「く…ただの化物じゃないか…。」

 

「はぐれ悪魔バイザー!!貴方を消し飛ばしに来たわ!!」

 

「こざかしい小娘が…。その紅い髪の様に鮮血で染めてくれるわ!!」

 

バイザーは両手に長いランスの様な槍を持って襲ってきた。

 

「雑魚ほど洒落た台詞を吐くものね」

 

「きさまぁ!」

 

「祐斗!」

 

「はい!」

 

ザッ!

木場はバイザーの所に走って行った!

 

「イッセーさっきの続きをレクチャーするわ。祐斗の特性は“騎士”。騎士の特性はスピード、そして祐斗の最大の武器は、捉えきれないスピードと達人級の剣さばきによって繰り出される高速の斬撃よ!」

 

ズバズバ!

 

「ギエェェェェ!」

 

目に見えない速さで木場はバイザーの両腕を切って落とした…。すっすげー!全然木場が見えなかった…!あいついったいどれだけ早いんだよ!

 

 

「この小虫がァアアアア!」

 

すると、木場がいたと所に小猫ちゃんがいて、そのまま踏み潰されてしまった!!なっ!

 

「小猫ちゃん!!」

 

「くははは!!まずは一匹ぃ!」

 

「部長!小猫ちゃんがっ!」

 

「大丈夫よイッセー?小猫の役割は…“戦車”よ」

 

すると、バイザーの体が徐々に浮き上がっていき、すると、さっきまでバイザーが小猫ちゃんを踏み潰してた所に、両腕を上げてバイザーを持ち上げていた小猫ちゃんがいた…。えぇええええ!!なんでえええええ!!てかすげえぇええ!

 

「戦車の特性は…バカげたパワーと圧倒的な防御力よ!」

 

「くそがぁ!」

 

ブゥン!

バイザーの尻尾が小猫ちゃんをなぎはらい小猫ちゃんは壁に叩きつけられた。でも小猫ちゃんは何事もなかったかのように立ち上がった…。えぇぇ…。

 

「その程度の攻撃では小猫は倒れないわよ?」

 

さいですか…。

 

「ぶっ飛べ…」

 

ドンッ!!

 

小猫ちゃんはバイザーにパンチを入れてら小猫ちゃんはバイザーをぶっ飛ばした…。

ドンッ!!ってなんか物凄く重い音がしたんだけど…。小猫ちゃんが怖いよ…。

 

「そんな…。こんな小娘どもに…」

 

「弱……」

 

小猫ちゃんがボソっとそんな事を言っていた。小猫ちゃんには絶対に逆らわないでおこう…。

 

「最後は朱乃ね!」

 

「はい部長♪うふふ…どうしようかしら♪」

 

おぉ!最後は朱乃さんか!朱乃さんはどんな戦い方をするのだろうか気になるなぁ~!

 

「朱乃の役割は“女王”兵士・騎士・僧侶・戦車の全ての力を兼ね備えた無敵の副部長よ。」

 

へぇ~!そうなんだぁ…。やっぱり朱乃さんは凄いひとだなぁ。

 

「あらあら?まだ元気みたいですね…。そうなら、これならどうでしょうか?」

 

パリパリパリ

 

朱乃さんが右手に雷をまとったどうするんだろうか?

 

 

カッ!!バリバリバリバリバリ!!

 

「ギェェェェッ!!」

 

「それに、朱乃は魔力を使った攻撃が得意なのよ。」

 

「あらあらまだいけそうですわね。どこまで耐えられるかしら?」カッ!!

 

バリバリバリバリバリ!!

 

 

「ぐはぁァァァアッ……!」

 

「ちよ!!なんか朱乃さんがすっげー怖いんですけど!?」

 

「何より朱乃は…」

 

「究極のSよ!」

 

えぇぇ…!朱乃さんがSだと…!しかもドSを越える究極Sだなんて…!まっ…マジで怖いんですけど!?だって今もうっとりとした顔でおほほほほほって叫んでいるんですけどぉぉぉ!?

 

「大丈夫!副部長は味方にはとても優しいから。」

 

木場がそんな事を言ってきたが…。チラ…

 

「おほほほほ!!」カッ!!ズガガガガガガガガガ!!

 

「ガァァァァァ………………ッ!!」

 

「朱乃。もうやめなさい?イッセーが怖がっているわ。」

 

「あらあら、仕方ありませんわ。もの足りませんがトドメは部長におまかせしますわ♪」

 

「(やっぱりこえええええええええええ!!)」

 

俺がそんな事を思っていると、部長がバイザーの目の前にいた。

 

 

「はぐれ悪魔バイザー…。最後に言い残す事はあるかしら?」

 

「殺せ…」

 

「そう、それなら…消し飛びなさい!!」

 

ドッ!!

 

部長の手から黒い塊が出てきて、バイザーを跡形もなく消し飛ばした。あれが…、部長の力!そして………

これが悪魔の戦いか…!こん中で俺は上を目指すのかぁ…。

 

「終わりねみんな。ご苦労様!」

 

 

「ところで部長…?」

 

「ん?何かしら?」

 

 

「聞きそびれたんですけど、俺の駒ってなんですか?」

 

「ん?あぁ!イッセーの駒は…、兵士よ!」

 

うん…。一番したでしたのね…。俺のハーレムの道は険しく遠いいようだ…。

 

 

「さて、もうバイザーも消し飛したしみんな帰るわよ…!」

 

「はい!ぶt…」

 

ドッゴォォォォォンッ!!

 

すると何が吹っ飛んできて俺達の近くに落っこちた!!

なんだ!?いったい!?

 

「げほげほ…ッ!なっ…なに!?何が起きたの!?みんな大丈夫!?」

 

「げほっ!はい!大丈夫です部長。」

 

「こちらも、大丈夫ですわ」

 

「部長…私も大丈夫です…。」

 

「はい…部長…ッ!!部長は大丈夫ですか!?」

 

「私は大丈夫よイッセー。みんなも大丈夫ね?よかったわ…。」

 

ほっ…。みんなも部長も大丈夫だったのか…。それわよかった。でもいったい何が吹っ飛んできたんだ?

 

 

「ッ!!部長見てください!!」

 

どうした?木場がかなりあわてているみたいだけど?

 

「なッ!!この悪魔…。S級悪魔のバイソンだわッ!!」

 

「「「!?」」」

 

ん?S級?なんだそれ?

 

 

「あの~部長?S級悪魔ってなんですか?」

 

「え?あっえぇ…そうね、この際それも話すはイッセー。それぞれのはぐれ悪魔にはランクがついてるの。ランクわね?低い者でF級から、強い者でSS級の強さを持っているのよ。このランクは、高ければ高いほど強大な力を持ってたり犯罪者だったりするのよ。でも、規格外でSSS級なんて者もいるみたいだけど、まだ誰も会ったことも見たこともないらしいわ。まぁ…この話はおいといて、つまりこのランクが強さを示しているのわわかったよね?イッセー?」

 

「はい!わかりました!!」

 

「そう、それでこいつの名前がバイソン…S級はぐれ悪魔よ。

バイソンは自分の欲望の為に人間を生きたまま食べて、その際に自分の主人も食べてしまった外道の悪魔なのよ…。それもこいつはかなり強くてね?S級の中でもずば抜けていたらしいわ。今まで色んな悪魔や悪魔払い、賞金稼ぎなどがこの悪魔を襲ってきたけど、皆返り討ちに会って殺されたわ…。其れほどまでに強い悪魔なんだけども…どうしてこんなに傷だらけで死にかけているのかしら?」

 

な…ッ!!そんなに凶悪な悪魔なんかよ!!でも、たしかにこの悪魔…傷だらけで死にかけているみたいだ…。いったいどんな化物がこいつを殺ったのか?

 

 

「ぐぅ…。くそ…が…。この…俺…が、あんな…小娘に…遅れを…とる…なんて…!」

 

「はぐれ悪魔バイソン…!なぜ貴方が戸々にいるのかしら?それにどうして貴方が傷だらけなのかしら?答えなさいバイソン!!」

 

「ぐ…!その髪…お前は…グレモリーの…者、か!…ククク……まさか、グレモリー…の、管轄かだったとわな…。俺も…此処まで…か…。」

 

「そうね…貴方が私の管轄下に入ったじてんで貴方を消し飛ばしてあけるけど、いったい貴方は誰と戦っていたのかしら?」

 

「ク…ククク…ハハハハハ…。俺が…誰と、戦っていただと?…それは…あいつだ…!」

 

バイソンが指をさした方向に視線を向けるとそこには…、学園の絶世の美少女ならぬ男の娘…結城つばさちゃんがいた!!

なぜちゃんずけだって?だって見た目は超が付くぐらいの美少女だし、それにクラスや他のクラスや学年の人達みんな、ちゃん付けだからだよ…。

 

で…でもなんであの子がこんなところに!?

 

「はぁ…。うかつでした…。まさか、グレモリー眷属が大集合だなんて…。しくじりましたよぅ…」

 

 

うん?なんかぶつぶつ言ってるけどなんて言っているんだろう?

 

「あなた…?なぜこんなところに人間がいるのかしら?それに…貴方は何者?」

 

「うぅ~ん…。それは、明日でいいでもいいですか?今は、ソコの悪魔を狩らないといけないので…。さて…と、言い残す事はありますか?」

 

「貴様の名前を教えろ…。私を倒した者の名前をな…。」

 

「うん…。わかった…。俺の名前は結城つばさ…。駒王学園の二年生だよ?」

 

「そうか…。俺は今まで人間を食べてきた…しかし、そらだけではない、もうひとつ夢があった。死ぬときは自分より強い奴に殺されたいとな…。だから殺せ…。俺はそれで満足だ…。頼む…。」

 

「………」

 

つばさちゃんは黙ったままで目をつむって考えていた…そして、目を開けて喋ろうとした。

 

「わかりました…。あまり俺は命を無闇に取るのは好きではありません…。それが例えどんな犯罪者や人外でもです…。

でも、貴方がそれを望むのなら仕方ありません。苦しまないように…一瞬で終わらせます…。いいですね?」

 

「あぁ…。頼む…。」

 

「わかりました…。では…、さようなら…。」

 

「ふっ…。楽しかったぜ?ありがとうよ…。つばさ…」

 

「……はい。どうか、安らかにお眠りください…」

 

ザシュゥゥゥ!

ドシャ…

 

つばさはS級はぐれ悪魔バイソンを刀身が紅い色をしていて同じ色のオーラをまとった短刀を降り下ろし、バイソンを真っ二つにした。バイソンは、そのまま息絶えて砂となり消えた…。

 

 

「貴方は…人間なの?」

 

「はい。人間ですよ?まぁ…どっちかって言えば普通の人間よりも人外に近いですけどね…」

 

そう言いつばさちゃんが何処かに行こうとしたので部長が呼び止めた。

 

「ちょ…!あなたまちなさい!!どこにいくつもり!?止まりなさい!!」

 

「ふぅ…。リアス先輩?うるさいです…。今何時だと思っているのですか?まったく…。――本当、お兄さんと似ていますね?貴方は」

 

「え、あなた!お兄様を知っているの!?」

 

「はい…。凄く知ってます…。」

 

「そう…。じゃぁ…そのまま止まってくれるかしら?止まらないと…、強制的に捕まえるわよ?」

 

部長がそう言うと、いつの間にか木場に小猫ちゃんに朱乃さんがつばさちゃんの周りを囲んでた…!はっ…早い…。いつの間に朱乃さんらは、移動してたのか?さすがにこれは、逃げれないな…。

 

「はぁー…。だから、明日お話しますと言ったでしょ?それにあなた達じゃ俺を捕まえれませんよ?そう…あなた達じゃ…ね?」

 

「そう…。なら試してみる?祐斗!朱乃!小猫!捕まえなさい!!」

 

「「「はい!部長!」」」

 

いっせいに朱乃さん達がつばさちゃんを捕まえようとするがつばさちゃんはまったく動かずにいた…。なんで?なにがしたいんだ?

 

「はぁ…。だから、無理だと言ってますのに…。しかたありませんね…。少し止まってくださいな…。」

 

シュンッ!

 

いきなり目の前からつばさちゃんがきえた…!どこ行った…!すると朱乃さん達が突然倒れた…。なっ!!嘘だろ…!あの朱乃さん達が全員一瞬で殺られるなんて!

すると、後ろから足音が聞こえたので振り返ると、つばさちゃんがいた…。

 

「はぁ~、だから言ったでしょうに。あなた達じゃ、全ての実力的に俺を捕まえる事なんて出来ませんよ?それに、一誠さん?誰一人殺してませんからね?なんで罪のない人達を殺さないといけないんですか、まったく…。心配しなくても、ただ気絶しているだけですよ~…。」

 

そうか…そうだったのか…。てっきり俺は殺したんだと思ってた…って!

 

「なにナチュラルに人の心の中を聞いてるんだつばさちゃん!?」

 

「つばさちゃんって…………。まぁ…いいです。それは簡単な話、俺のコピーした能力のひとつに【心を見る程度の能力】を使っただけですよ?」

 

「チートだぁ…!」

 

「本当ね…。」

 

「そ、なので明日にしてくださいね?聞きたいことは明日聞きますよ…。」

 

「わかった…。明日、あなたに使いをだすわ。必ず来なさいよ?」

 

「わかってますよ…。俺は約束事は絶対に破りませんから…。では、お休みなさい。リアス先輩?」

 

「えぇ…。お休みなさい…つばさちゃん?」

 

「うぅ…。やっぱりリアス先輩もちゃん付けですか…。はぁ…もう定着しちゃっているのですね…。」

 

そうつぶやいて、つばさちゃんが闇えと消えて行った…。

いったいあの子は何だったのだろうか…?

 

「うぅん」

 

「あれ…?僕はいったいなにを?」

 

「あらあら…。負けてしまいましたわ…。」

 

「あら、みんな気がついたのね?今日はいろいろあったけどもとりあえず、あの子は明日部室に来るそうよ?祐斗?」

 

「はい、部長。」

 

「明日、あの子…つばさちゃんを連れて来てくれる?行きにくいと思うけどお願いね?」

 

「わかりました…。まさか僕が見切れない速さだったんで驚きましたけど、次は絶対に勝ちたいですね!」

 

「そうね…。次は絶対に勝ちましょう!!みんな!!」

 

『はい!!部長!!』

 

こうして、俺たちはひとつになって新な目標をかかげるのだった。

 

―イッセーside out―

 

 

 

 

 

―つばさside―

うぅ~んどうしましょう…。まさかこんなに早く見つかってしまうとわ、思いもしませんでした…。まぁ…ほとんど自業自得なんですが、隠密に長けた俺ですのでかなりショックですねぇ…。

とりあえず、サーゼクスさんに報告しますか…。はぁ~。

 

魔方陣が展開し、そこにサーゼクスがうつった 。

 

 

「おや?どうしたんだい?つばさ君。連絡なんて珍しい。」

 

「はい…。実は…」

 

俺は今日おきた出来事を包み隠さず全て話した。勿論グレモリー眷属に攻撃されて返り討ちにしたのもね?

 

「そうか…わかった。まさかこんなに早く見つかってしまうとわね…。」

 

「ごめんなさい…。サーゼクスさん…」シュン

 

「…ッ!!ハ…ハハハハ!な…なに気にしてないからね?仕方なかったから!!だから落ち込まないでくれたまえ!!そう大丈夫だから…ね?」

 

「本当…?」

 

キュンッ!

 

「う…うん!大丈夫だよ?僕もそっちにいってリアスに説明するから、心配しないでくれたまえ!つばさ君!!」

 

 

「えへへ…///ありがとう!サーゼクスさん!!」

 

ブパァー…

ドサ…!

 

すると突然サーゼクスさんが盛大な鼻血をふいて倒れた…。

サーゼクスさん?大丈夫?

 

 

「サ…サーゼクスさん!!大丈夫ですか!?」

 

「だ…大丈夫…だよ…つばさ君…。(やばい…可愛い)」

 

「わかりました…。あ!それと、やっぱり俺の事を全部話してください。地球連邦軍の事もね?」

 

「いいのかい?そこまで話して?」

 

「はい!いいんです。流石にこれから一緒にいる仲間になる人達に隠し事はなるべくしたいですからねぇ~…。」

 

「わかった…。君がそこまで言うのなら、明日リアス達に全てを話そう!!君もできるだけ喋ってね?」

 

「わかってますよ、サーゼクスさん」

 

「そうかい…。なら明日だね?楽しみにしとくよ?つばさ君…。」

 

「はい!ありがとうございます…。サーゼクスさん。そして、お休みなさい!」

 

「あぁ…お休みなさいつばさ君…。」

 

ブォン…

 

サーゼクスさんとの会話も終えて、明日に備えて寝る準備をして、ベットに入った。

 

「明日…か。覚悟を決めなくちゃね…。」

 

こうして俺は深い眠りについた…。

 

―つばさside out―

 

 

 

 

―サーゼクスside―

 

やぁ…。みんな久し振りだね…サーゼクス・ルシファーだよ

 

さて…今回予想よりも早く見つかってしまうという事がおきたのだが…、あれは、反則だと思うのだよ…。あんな可愛い生き物がいるとは、思ってもいないからねぇ…。本当に男の子なのだろうか…あの子は…。

 

まぁ…。そんな事はおいといて、まさかあの子が全てを話すなんて、いったいどうしたのかね?確か、あの子の兄であり僕の親友の結城こうきに聞いた話では、あの子は認めた者しか心を開いて正体を明かさないと聞いてるんだが、今回それを話すというのだ。

まさか、あの子が認めたと言うことなのかな?それなら、うれしいことなんだかねぇ…。

まぁ…それは明日わかる事だろうから、明日まで待つとしよう。

ふむ…明日が楽しみだね?つばさ君?

 

―サーゼクスside out―




遅くなってしまいました…。

今回は今までの中で一番長い文章になってしまいました…。
やはり、主人公は強いですね!!
ま~今回はこんな感じでしたが、次も頑張っていこうと思います…!どうか見守ってくださるとうれしいです。


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6話 魔王の妹さんと仲間になりました♪

相変わらす駄文な気がする…。き…きっとうまくなるさ~…。ハハハ…はぁ~。



俺は今日のこの日、とても面倒くさいと思った事は久し振りな気がする…。

なぜ、面倒くさいと思ったのか…、それは昨日、俺の不注意でサーゼクスさんの妹のリアス・グレモリーとその眷属を隠密で守護していたんだけど、バレました~。はぁ~。最悪なのですよ…

そして今日、リアス・グレモリーの拠点でもある旧校舎にある【オカルト研究部】にいって、説明しないとならないのですよ…。やっぱり面倒くさいですね。

 

 

「はふぅー…。今日は本当…に、憂鬱なのです。」

 

「おう?どうしたつばさちゃん?今日はそんなにだらけて?」

 

「そうだぞ?どうした、つばさちゃん?」

 

机の上でだらけていると、松田と元浜(さん付けは面倒なので心の中だけさん付けしない事にした)が、喋りかけてきた。

 

 

「松田さん?元浜さん?大丈夫ですよ…。俺は…。まぁ…心配してくれてありがとうごさいますね?」

 

「お…おう!大丈夫ならいいんだ!?」

 

「そ…そうそう!大丈夫なんならいいよ。は…ハハハハハハ!」

 

そう言い二人は慌ててクラスを出ていってしまった。なんでなんでしょうか?あんなに顔を赤くして?風邪かな?←自覚しろよ

 

そんな事があり、今は放課後です

嫌です…。面倒くさいです…。眠いです…。

 

「はぁ~」

 

「おう!つばさちゃん!やっと放課後だな!!もうすぐ木場がくるから待ちなよ?」

 

「わかってますよ…。一誠さん?」

 

「ハハ…」

 

ふむ…。まだ来ないのですか?遅すぎますよまったく…。『キャァァァ!木場君よォォオ!!』って来たようですね…。来るならもっと早く来てほしかったのですよ。

 

「結城つばさ君はいるかい?」

 

「ここにいますよ?」

 

「じゃぁ…、さっそくだけど僕についてきてくれるかい?部長がまってるんだ。」

 

「はぁーい」

 

「あと、一誠君もね?」

 

「わかってるよ!木場!」

 

そう言って教室を出ようとしたら、女子軍団が騒ぎだした。

 

「いやぁーん!木場君がつばさちゃんを連れていったわぁー」

 

「木場君×つばさちゃん?」

 

「てか、なんで兵藤も一緒にいるのよ?」

 

「はッ!!もしかすると…木場君と兵藤の二人が、つばさちゃんを……!」

 

『それだわァァァ!!』

 

「急いで帰って新しい薄い本を作らなくちゃ!!」

 

あぅ…。なんかまたややこしい事に巻き込まれている気がします…。

一誠さん…。顔がニヤけすぎです…。それに、涎出てるし…。なにエッチな事を想像しているのでしょうね?てか、此方に向かないでください!!

 

そんな事を思っていると、旧校舎についていた。旧校舎に入っていき少し歩いてると、目的地の【オカルト研究部】についた。悪魔なのに、オカルト研究部なんですね…。存在がオカルトなのに…。

 

コンコン

 

「部長…。彼?を連れてきました。」

 

「わかったわ、入ってちょうだい。」

 

ガチャン

 

そう言って部室の中に入ると、そこには悪魔文字で書かれた魔方陣が部屋の床にたくさんあった。てか、なんで“彼?”になるんてすか。“?”ってなんですか!“?”って!!俺はれっきしとした男の子です!!

見た目はあれだけども…

 

「いらっしゃい。つばささん?この【オカルト研究部】の部長。リアス・グレモリーよ。」

 

「駒王学園2年生の結城つばさです。」

 

「じぁ…単刀直入に言うわね?私たちは、悪魔よ。」

 

「知ってます…。」

 

 

「そうね…。昨日あの場にいたですもんね。貴方は…どこまで悪魔の事を知っているのかしら?」

 

それを聞きますか…。まぁ…サーゼクスさんに教えてもらいましたが、まだあの人は来ていないので、喋れませんね。早く来てください!!サーゼクスさ~ん!

 

 

「それは、純血悪魔は数が少なく増えにくいのと、悪魔が作った専用の駒、“悪魔の駒”で“レーティングゲーム”があると言うことぐらいですね。」

 

 

「そう…。ほとんど知っているじゃない。いったいどこで、知ったのかしら?」

 

 

「それは、まだお答えできません。」

 

「なぜかしら?」

 

「それも、お答えできません…」

 

「………………」

 

「……………」

 

二人は無言のまま見つめ会う…。まだ、諦めないのですか…。早く諦めてください

 

「はぁ~。いうつもりわないのね?わかったわ…。じゃぁ~次の質問ね?貴方は何者かしら…?」

 

 

おふぅ…。その質問が来ちゃいましたかぁ…。もーう…早く来てくださいよ。サーゼクスさ~ん!

 

「それわ……もう少し待ってもらえますか?もうすぐくると予想してるのですがぁ…」

 

「うん?いったい誰が来るのかしら?家族の人?」

 

「ま~、どっちかといえばそうですね。まぁ、俺ではなくて、貴方のですけどね?」

 

「えっ?それはいったいどう言う…ッ!!」

 

カッ!!

 

突然、部室に魔方陣が展開し光だした。お?この光は…。はぁ~。やっと来てくれましたね?サーゼクスさん…

 

 

「ふぅ…。遅くなってすまないね~?つばさ君?」

 

「お…お兄さま!?どうしてこちらに!?」

 

あはは、驚いてる驚いてる!まぁ…いきなり自分の兄であり、魔王でもある人がくれば、誰だって驚くだろうけどねぇ…。

 

「ははは!いやなに、つばさ君に呼ばれてね?急きょ急いできたのだよ。その子の説明をするためにね?」

 

「説明…?」

 

「そうだよ?リアス…。この子は、君たちを護衛するように僕が頼んだ人物だよ。」

 

「なッ!?どう言う事ですか!!お兄さま!!私はそんなの聞いておりません!!」

 

 

「そらね?この子は人間だ…。まぁ~ただの人間ではないけどね?とりあえず、君たちを守るように僕が直々にお願いしたのだよ。君達に見つからないようにね?

でもね、昨日この子が珍しく失敗してしまってね?急きょ、君たちにこの子の説明するためにここに来て、今にいたるのだよ?わかったかい?」

 

 

「はい…。とりあえずそれは、わかりましたわ。でも、この子は私たち悪魔を守れるほど強いのですか?確かに、昨日は負けてしまいましたがそれでも私たちよりも強いとは思わなかったのですが…。」

 

「いいかい?リアス?見た目だけで判断するなんて君らしくないよ?

それにこの子は強いよ?僕なんかよりもね?」

 

そうサーゼクスさんが話すと、グレモリー眷属が全員【一誠さん除く】が目を見開いて驚いていた。まぁ…、魔王に勝てた時点でもう、人間止めてる気がするけどね?

いや…、もうやめてるだろうな…。絶対…。

 

「嘘でしょう…、お兄さま…?」

 

 

「ははは…、本当だよリアス…。この僕が全力で本気をだしたのにもかかわらず、いくつかのかすり傷しか付けられなかったからねぇ…。そして僕は、重傷さ。いやぁ~、あれはびっくりしたよ?つばさ君?」

 

 

「それは、こちらの台詞ですよ?サーゼクスさん…。あんな力をもってたなんて、驚きましたよぉ~…。あの時は、避けるのでいっぱいいっぱいでしたもん。」

 

「ははは!余裕そうに見えてたのだけどもねぇ~?」

 

「いやいや…。うちの長男のあのバカ兄さんにかすり傷を負わせれる攻撃なんですよ?自分のあの力がどんだけ威力あると思ってるんですか…。なまはんかな攻撃では、バカ兄さんにかすり傷すら付かないのですよ?そんなの当たればいくら俺でも大ケガどころじゃぁすまないですよ?さすがに…。」

 

 

「ははは!そうだったね。彼には今までに何度か模擬戦をやったことはあるけど、一度も勝ったことないからね…」

 

そう話していると、とうの話と脱線してしまっておいてけぼりにされていた、グレモリー眷属が口を開けてポカーンと固まっていた。ありゃりゃ…、忘れてました…。ごめんなさい…

 

 

 

「うぅぅん…。すまないね。話が脱線してしまって。とりあえず、この子が何者かを知りたいのだね?リアス…?」

 

 

「え…?あっはい!そうですお兄さま…。この子の正体を知りたいのです。」

 

リアス先輩が言いおわると、サーゼクスさんがこちらに目だけを合わせて、「喋っていいんだね?」とうったえてきたので、念話で「いいですよ」といった。

 

「そうかい…。それではいうね?この子の正体は…………

 

地球連邦軍・特殊部隊特別調査班・総隊長をやっている、結城家の末っ子。結城翼くんだよ」

 

『え………!えぇぇぇぇぇえ!?』

 

一誠さん以外の皆さんが驚いてしまいましたね。まぁ…、裏の世界でこの名前を知らない人はいないですからねぇ。

 

 

「まぁ~、いろいろ暴露しちゃいましたが、それが俺です。あと、いろんな力と能力も持っていますが、それは後々教えますよ。

これから、よろしくお願いいたします!リアス先輩!」

 

「え…?あ、えぇ。これからよろしくねツバサ。

それじゃぁ…私たちもせっかくだし自己紹介するわ。祐斗!」

 

「はい、部長。僕の名前は木場祐斗。えぇと、悪魔です。よろしくね?つばささん!」

 

「1年…、塔城小猫です…。悪魔です…よろしくお願いします。」

 

「俺は同じクラスの兵藤一誠だ!最近悪魔になったばかりです!よろしくなつばさちゃん!」

 

「私は姫島朱乃。この部の副部長をやっておりますわ。悪魔です。よろしくお願いいたしますね?つばささん」

 

「最後に私ね。私の名は、リアス・グレモリー!この眷属の王で、爵位は公爵よ!

これからよろしくね?ツバサ!」

 

「はい。よろしくお願いいたします!!皆さん!!」

 

こうして、なんとか無事に俺の事は終りました…。はふぅ~………さすがに疲れましたよ~。早く家に帰って寝たいです…。

 

 

「ふむ…。仲良くするんだよ?リアス?。この子は私の親友の弟なのでね。決して悪魔に誘ってわダメだよ?まぁ…彼はスペックが高すぎて、私達四大魔王でも眷属にできなかったけどねぇ~。」

 

「えぇぇ…」

 

「まぁ、それはともかく仲良くしてくれればいいんだよ♪それに、この子はこう見えて凄い寂しがりやだから、できるだけ一緒にいてあげてね?リアス?」

 

「ちょッ!!///サーゼクスさん!?///なに、さらっと俺の秘密にしてた事を暴露しているんですかーーー!!///」

 

「ふふふ。わかりましたわお兄さま。ちゃんと仲良くして、ひとりぼっちにはしませんわ!いいわね!!皆?」

 

『はい、部長!』

 

「ははは!そうか、ありがとう。リアス。つばさ君も仲良くするんだよ?お兄さんが伝えろと言ってきたからね?」

 

「うぅ~///わかってますよ…それぐらい…///」

 

 

「はっはっは!相変わらず可愛い反応をするんだねキミは…。

それでは、私は帰るね?つばさ君?」

 

「はい。今日はありがとうございました!サーゼクスさん!!」

 

「それでは皆!!元気でねぇ~」

 

『はい!お元気で!サーゼクス様!!』

 

そう言いサーゼクスさんは魔方陣で帰っていった。

本当…ありがとうございました♪サーゼクスさん!!またまた、貸しがひとつ増えてしまいましたね?

必ずや、この貸しは返しますからね?サーゼクスさん

 

「ふぅ…。まさか本当にお兄さまと知り合い…だなんてね?しかも、あの史上最強で最大の組織と言われてる地球連邦軍で、さらに、その中でも異常なくらいの実力をもった者で創られた特殊部隊特別調査班の総隊長をやっているなんて…、貴方には驚かされてばかりだわ…。」

 

「えぇ。こんなんだからこそ、むやみやたらに情報を喋らなかったのですよ。ごめんなさい…。頼まれてたとはいえ、隠れて監視をしてて…。」

 

「いいわよ、そんな事。私達を思ってくれた結果がそれだったんだしね。それに、あのS級はぐれ悪魔バイソンを倒してくれたのも貴方だしね。すごく感謝をしてるわ。ありがとう、つばさ」

 

「そう言われると…、ありがたいです♪」

 

 

「ふふふ…。でも、まさかあなたが寂しがり屋だなんてねぇ~。以外だわぁ」

 

「うぅ…///し…しかたがないじゃないですか…///ひとりは苦手なんですから…。」

 

「ふふふ♪本当に可愛いわねあなた。」

 

「可愛いですわぁ~!こんな弟がいたら楽しそうですわね♪」

 

「確かに可愛いです…。つばさ先輩。」

 

「つばさ君…。僕達が君を一人にはしないから安心していいよ?心配しなくても大丈夫だからね?」

 

「そうだぞ?つばさちゃん!同じクラスだし、俺もつばさちゃんがひとりにならないようにするから、どんと、大船に乗ったつもりでいろ!俺が君を守ってやる♪」

 

「あ…///ありがとう…ございます…皆さん///」

 

 

こうして俺は、正式にオカルト研究部に入部した。これで俺もこの人達の仲間になれたんだね。ふふ…!!なんかこれからが楽しみですよ!

これからよろしくお願いいたしますね?グレモリー眷属の皆さん!




今回は正式にオカルト研究部に入部しました。

それでは…また次回で!あいましょう♪


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7話 二天龍の片割れ起こします

あれから少し時間がたち、オカルト研究部の皆さんとも仲良くなれた。にしても、何だか良いもんですね~。仲間って…。今まで俺は自分の部隊にいる人以外の仲間っていないもんでしたから、すごく新生でいいですよ

 

『うふふ、最近は凄く楽しそうね?つばさ』

 

あ!ルーツ起きてたんだ!久し振りだね~。2週間ぶり?

 

『そうね…。久し振りに凄く寝れたわ。ありがとうつばさ』

 

いやいや!いいですよ~。ルーツにはかなり世話になってたしね?

 

『ふふ…、優しいね?つばさわ…』

 

そんな事ないよ~ルーツ

 

「おーい?つばさちゃ~ん?聞こえてるかー?」

 

ルーツと話をしてたら、一誠さんの声が聞こえてきた…。

 

「あっはい?なんでしょうか?一誠さん?」

 

「いや…。なんかぼーっとしてたから大丈夫かなぁて思ったけど、大丈夫そうだね。」

 

「そうでしたか。心配かけましたね。」

 

「いいよいいよ、俺は気にしてないからな!!」

 

「はい、ありがとうございます」

 

ふ~。一誠さんは心配性ですね。本当に…、エロさえ無くせばモテると思ってるんですけどね~…。

本当にもったいない人ですよ…。

 

『あら?この気配…。なるほど…そう言うことね…。』

 

「(どうしたの?ルーツ?)」

 

『その子一誠君といったかしら?その子からドラゴンの気配がするの。それも懐かしいのがね?』

 

「(なら、聞いてみますか?)」

 

『えぇ。お願い。』

 

俺は一誠さんを呼ぶことにした。

 

「あっ!ちょっといいですか?」

 

「どうしたのつばさちゃん?」

 

「えっとですね…。一誠さん?あなた…なにかドラゴン系の力を持っていないですか?」

 

 

『ッ!!!?』

 

すると、皆の顔が驚愕につつまれた顔になり驚かれた…。なぜ?

 

「あなた…。わかったの?一誠の力を?」

 

「いえいえ…。うちの相棒がそう言っていただけですよ…?」

 

「相棒が?」

 

「そうです。」

 

「そう…。その相棒って誰かしら?」

 

「(って、言ってますけど?どうします?ルーツ…?)」

 

『いいわ…、私から話すわ。』

 

 

『こんにちは。リアス・グレモリーとその眷属の皆さん…。私の名前はルーツ。

皆からは、ドラゴンの祖先であり、王でもある【祖龍】ミラ・ルーツと呼ばれているわ。

そして、この子の相棒よ?よろしくね?リアス・グレモリーさん』

 

 

『『『なっ!?』』』

 

すると、皆さんは凄く驚いた顔をしていた。最近は驚いた顔を見るのも何回目でしたっけ?

 

『えぇと、一誠君だっけ?ドラゴンの力を持っている人は?』

 

 

「はい…。僕です…。」

 

『じぁ…、それを見してくれる?』

 

「はいわかりました。」

 

そう言って、一誠さんは【ブースデットギア】と叫んだ。

すると、左手に赤色の籠手が出現した。

へぇ~…、なるほどね~…。

確かに、微かにだけども“二天龍”の“赤龍帝・ドライグ”の気配がしますね。

 

『なるほどね…。やっぱりあなただったのね。ほら…、起きなさいドライグ。いつまで寝てるのよ…?』

 

だが返事は、返ってこなかった

 

『ドライグ………?……はぁ~……………。』

 

『ドライグ?起きないと……………

お仕置きするわよ?』

 

『すみません!起きます!!起きましたぁーーー!!

だから…!!お仕置きだけわ!やらないでぇぇ!!』

 

少し威圧をかけてルーツが呼ぶと、涙声で慌ててドライグが謝っていた……。うわぁ…、あの“二天龍”がものすごくビビってるよ…。やっぱり、ルーツは凄いんだね~…。

 

てか、ルーツのお仕置きってそんなに怖いのかな?

 

―――ブルルッ

 

――ぁ。だ、だめだ…、さつき姉さんのお仕置きを思い出してしまった…。あれは、ダメだよ…。本当に………。

 

 

「お、お前がこの籠手の中にいるドラゴンなのか…?」

 

『あぁ…、そうだ相棒よ。俺のなは、赤龍帝・ドライグ。二天龍と称されたドラゴンだ。』

 

『そうよ?今回の赤龍帝の籠手の所持者さん。あなたのこれからの相棒なんだから、仲良くしなさいね?わかった?ドライグもね?』

 

「『わか(りました)(った)』」

 

『ん、よろしい♪』

 

ルーツとドライグの話が終り、気がついて回りを見渡してみると、他の部員が固まっていた。あぁ…、すっかり忘れてましたよ。

 

「あっ…あなたがあの三大戦争で暴れまくった“二天龍”なの?」

 

『そうだ。俺はあの時白いのと喧嘩をしていて、三大勢力と神によって封印された…。あれからいくつもの所持者を見てきたが、まさかあなた様に会えるとは思ってませんでした…。ミラ・ルーツ様…。』

 

『ふふ…、そんなにかしこまらなくてわいいわよ?ドライグ。ドラゴンであり、二天龍の片割れなんだからもっとどしりとしてなさい。

それに、今わルーツとこの子に呼ばれているからあなたも、そう呼びなさい?いいわね?ドライグ?

それに、様もいらないから。』

 

『わかった。ルーツ。

そうだ、ルーツの所持者よ…』

 

突然、ドライグが、喋りかけてきたので少し驚いてしまった。いったいなんのようでしょうか?

 

「なんですか?ドライグさん?」

 

『いや、なに…。ルーツの所持者がどんなのか知りたいと思ったが…。ふむ、なかなかいい所持者だな…ルーツ。』

 

『ふっふ~ん。そうでしょ?さすがドライグね~。

この子は、優しくて可愛くて強くてそして、可愛いんだから!この子は、最高の私の相棒よ♪』

 

そのあとルーツは、俺が止めるまで俺のいいところをずっと話をしてた。

 

俺が止めると、『えぇ~…。まだ話足りたいのになぁー!ぶぅ~。』と、可愛く頬を膨らましていた。

 

あぶねぇ…。俺の話を喋っていた時は笑顔で可愛いと思っていたけど、これも凄く可愛いと思ってしまった…。俺ってばどんだけ依存してるんだろう…ルーツに…。まぁ~悪い気がしないからいいけどね?

てか…、危うく俺が止めなければ、黒歴史も暴露しかけたよ…。よかった~…止めて。

 

「ふぅ…。まぁ~いろいろありましたが、これが俺の相棒ですよ。リアス先輩。」

 

「えぇ…。わかったわ。また他の力も見してくれるかしら?」

 

「はい、いいですよ?また見せますね。」

 

そんな話をして、少し喋ったあと、俺は家に帰った。




今回は、ルーツに依存している主人公とお仕置きをされてトラウマになっているドライグを書いてみました。
あまり、上手くないですが頑張って書いていきます。


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8話 シスターを助けに行きます!!

なんとか頑張って考えて更新中~♪
まだまだ駄文だと思いますが…。頑張って書いていくのでよろしくお願いいたします…♪


パンッ!!

 

部室内でなにかを叩いた乾いた音が響いた…。

その音の原因は、リアス先輩が一誠先輩を叩いた音だそうだ…。

なぜ、一誠さんが叩かれたのかというと、とある理由で友達になったシスターを助けにこの駒王町にある教会に殴り込みに行くと言ったので、叩かれたのだ。

 

ある日…偶々街中を歩いていたら、目の前でシスターがこけたそうな、そのシスターは金色の長い髪をしていて、修道服をきたシスターで一誠さんの大好きな女性像にぴったりな人だったそうです。そこで、いろいろ聞いて、ここの教会に赴任してきたと言ってきたみたい…。そのあと、その教会に案内してた途中でケガした男の子を見つけて、その子のケガを淡い光で治したらしい。そして、その力の事を聞くと、顔を暗くしながら自分の過去を話した。

 

ざっくり説明すると、彼女は親に捨てられ修道院で育てられた。ある日、その回復の力に目覚めた。それが原因で『聖女』として奉られた。だがそんなある日…ケガした悪魔を治してしまい。それを見かけた聖職者に捕まり異端者と呼ばれ追放された。彼女からしたら、どんなものでも回復してあげる優しい心を持った、まさに“英雄”の一人ナイチンゲールに相応しい人物像なんだが、そんな彼女を教会の人々は彼女を『聖女』から『魔女』と呼ぶようになってしまった。それから、彼女はさらに孤独になってしまってた所に堕天使に誘われたらしい…。

 

それから日がたったある日、いつも通りで依頼人のもとえ向かっていると、その依頼人の家では、依頼人が逆さ十字架で無惨に殺されていたらしい。その殺した犯人が元・悪魔払いの“フリード・セルゼン”という、白髮のイカれ神父と会ってひと悶着のあと、そのシスター。名を“アーシア・アルジェント”が一誠さんをかばってそのイカれ神父に殴られまたひと悶着がっあったが、グレモリー眷属が駆けつけて、アーシアさん以外は帰ったそうです。

 

そして、次の日はアーシアさんをかばったさいに受けた光の弾丸でダメージを負って学校を休んでたそうで、自宅待機だったのですが、昨日の事が頭から離れずに、気持ちを切り替えるべく町に出てたそうです。ただ偶然にもそのアーシアさんと出会い、暫くハンバーガーを食べたりゲーセンでラッチュウと言うぬいぐるみを取ってあげたりと、散々遊んだそうです。だが、その夕方に一誠さんを殺した堕天使がアーシアさんを連れて行ったみたいです。

 

そして、ここに戻る訳ですが…。

俺の知らない間に随分と面倒な事を起こしているみたいですね…。本当に…厄介事を持ち込みますね…。一誠さんは…。

 

「何度言ったらわかるの?ダメなものはダメよ。あのシスターの救出は認められないわ」

 

「なら俺一人でも行きます。堕天使に拐われたアーシアは裏で何かされるに、違いありません!!だから俺は、友達のアーシアを助け行くんです。」

 

 

「あなたはわかっているの?行けば確実に殺されるわ。もう生き返ることはできないのよ?その、あなたの行動が私や他の部員にも多大な影響を及ぼすのよ! あなたはグレモリー眷属の悪魔なのよ! それを自覚しなさい!」

 

「俺はアーシア・アルジェントと友達になりました。アーシアは大事な友達です。俺は友達を見捨てられません!」

 

「あの子は元々神側の者。私たちとは最初から相容れない存在なの。いくら堕天使のもとへ降ったとしても私たち悪魔と敵同士であることは変わらないわ。」

 

あのリアス先輩がものすごく怒鳴っていた。自分の眷属を大切にしている人だからこそ、今回がどれ程危険な事かわかっているから、あんなに怒っているんだなぁ…。

でも、一誠さんも凄く頑固だね…。

 

「アーシアは今まで一人でいたんです!友達も家族と呼べる人もいないで、回りも彼女を捨てたんですよ…!それに、彼女は俺が悪魔なのにもかかわらず、俺をかばってくれたんです。それに彼女は『悪魔にも優しい人はいるんです』と言ってたんですよ?そんな誰にでも優しい心を持った彼女が敵なわけがないんです!!」

 

「だとしても私にとっては関係のない存在だわ。イッセー、彼女のことは忘れなさい?彼女は堕天使に、イッセーは悪魔にいるんだから。」

 

それでも、一誠さんは彼女を助けに行くと叫んで仕舞いには自分を眷属から外してくださいと、言うしまつ。リアス先輩がそんな事は絶対にさせない事くらいわかってるでしょうに…。全くもってバカなんですね…一誠さんは…。

そんな言い合いをしていると、朱乃さんがリアス先輩に耳打ちをしたあと、険しい顔になった。なにがあったのでしょうか?

 

「大事な用事ができたわ。私と朱乃はこれから少し外へ出るわね」

 

すると、リアス先輩は朱乃さんと何処かに行こうとした。

 

「ぶ、部長、まだ話は終わって――」

 

「イッセー、あなたにいくつか話しておくことがあるわ。まず、ひとつ。あなたは『兵士』を弱い駒だと思っているわね?」

 

そう言われた一誠さんは小さく頷いた。普通はそう思うでしょうね…。でも…それは違うよ?

 

「それは大きな間違いよ。『兵士』には他の駒にはない特殊な力があるの。それが『プロモーション』よ。実際のチェス同様、『兵士』は相手陣地の最深部へ赴いたとき、昇格することができるの。『王』以外のすべての駒に変化することが可能なのよ。イッセー、あなたは私が『敵の陣地』と認めた場所の一番重要なところへ足を踏み入れたとき、『王』以外の駒に変ずることができるの」

 

そう…。その『プロモーション』を使えば兵士でもかなりの幅の力が使えるから、総合的にいえば、最強の駒なのですよ?

 

「それともうひとつ。神器について。イッセー、神器を使う際、これだけは覚えておいて」

 

そう言いながら、リアス先輩は一誠さんの頬を撫でて言った。 

 

「――想いなさい。神器は想いの力、思いのひとつで神器はかわるわ。あなたが悪魔でも、想いの力は消えないはずよ?その思いの力が強ければ強いほど、神器は必ず応えてくれるわ」

 

 想いですか。確かにそうですね。神器は、どんな物も思いのひとつでそれらは、変わりますからね。

 

「最後にイッセー、絶対にこれだけは忘れないこと。『兵士』でも『王』を取れるわ。これは、チェスの基本よ。それは悪魔の駒でも変わらない事実なの。あなたは、強くなれるわ。だから、強く思いなさい」

 

そう言って、リアス先輩は朱乃さんと何処かに言ってしまった。まぁ、行く前に横を通ったとき『イッセーを…、よろしくね?』と頼まれたんだけどねぇ~。

本当に…甘いんですから。グレモリー眷属は…。

すると、一誠さんは一人で何処かに行こうとしてた。

そしたら、木場さんが近づき口を開いた。

 

「イッセーくん、どうしても行くのかい?」

 

「あぁ…木場。俺は誰がなんと言おうと行く。例え部長に怒られようとも俺の気持ちはかわらないからな」

 

「一人でいくと死んじゃうよ?」

 

「わかってるよ!それでも俺は…」

 

「僕も行くよ。イッセーくん」

 

「えっ?」

 

「僕も、イッセーくんの仲間なんだよ?君を一人で行かせるわけにわいかないからね。」

 

「木場…。」

 

「私も行きます…。二人だけでは、心配なので。」

 

「ありがとう!小猫ちゃん!」

 

やはり、二人とも行ってしまいますか…。仕方ないですね~…

 

「はぁ…。やっぱり行くんですか?皆さん?」

 

「あぁ!俺は絶対にアーシアを助けるんだ!!」

 

「僕もイッセーくんを守らないと部長に怒られるからね。」

 

「私も二人が心配だから着いていくだけです…」

 

「ふぅ、仕方ないですね…まったく。俺も行きますよ…一誠さん。あなた達を守るのが本来の俺のお仕事ですからね。」

 

「ありがとう!つばさちゃん!!おっしゃそうと決まれば皆!!行くぜ!!」

 

『おうッ!!』

 

俺達は教会に殴り込みに行くことになりました!






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9話 な…何か嫌な予感が………

テストなので更新が遅れると思いますが…できるだけ更新をがんばります♪

今回はやっと教会に殴り込みに行きます!!本当に長かった…

それでは♪どうぞ!!


俺は今、アーシア・アルジェントさんを助けに、町外れの寂れた教会に来ている。

 

さてと、まず最初に今回の事件について『神の子を見守る者(グリゴリ)』の堕天使の未k…ゲフンゲフン、総督のアザゼルには電話を先にいれている。

 

その時、『あぁ~…。今回のその事については、俺達“グリゴリ”はまったく関与はしていないぞ。それについてはそちらに任せる。存分にやってくれていい。ただ…堕天使のレイナーレ・カラワーナ・ミッテルトの三人は生かしてくれないか?コイツらは堕天使にしとくには、優しい奴らなんだよ…。

コイツらの親は皆同じはぐれ悪魔に殺されいるんだよ…。コイツらが堕天したのも、そのはぐれ悪魔を殺したからなんだよ…。こいつらはただ誰かに愛して欲しかった…、ただ心の開ける家族が欲しかっただけなんだよ…。でも、俺は立場もありそれはできねぇ。だから…頼む…こいつらの支えになってくれないか?』と言われたんで、俺は「わかりましたよ…」と言った。いつもお世話になってるからそれぐらいわ…ね?

 

――と、言うことでどうやって攻略しましょうかね?この教会を…

 

「イッセーくん。これがこの教会の地図だよ。」

 

「サンキュー木場!でも、なんでこんなものをもっているんだ?」

 

「ははは、偶々だよイッセーくん。」

 

「そうか」

 

「それにイッセーくんの友達を助けるには必要になると思って持ってきたんだよ。僕は堕天使は好きじゃないからね…」

 

ふたりが話をしていたので聞いていたのですが、どうも木場祐斗さんは過去になにかあったようですね…。

まぁ…それはいつか木場祐斗さん自信が心を開いたときに言うでしょうけどね。一誠さんもなにか思うことがある顔ですが、聞かないみたいですねぇ~。ま…、それが一番いいでしょうね。

 

さて、それよりも教会の攻略をしますか…。

 

「木場さん?その地図を貸して貰えますか?」

 

「いいよ?はいどうぞ。」

 

フムフム…。なるほどね~、教会の広さはそこまで大きくないですが、気配を察するにこの教会には地下があるようですね…。それに、神父の気配が中にはいってすぐの所に一人感じます。ん…少し離れた所に堕天使と悪魔の気配がしますね…。この気配はリアス先輩と姫島先輩ですか。まぁ~…あの二人なら大丈夫でしょうね~

さ~てと…

 

「一誠さん、塔城さん、木場さん。この教会には入り口にはいってすぐにひとりいて、地下に神父が50人くらいと三人ほど、堕天使がいます。とりあえず入り口にいる神父はどうにかするとして~、下の神父達は俺と木場さんと塔城さんで倒し、一誠さんは堕天使をなんとかしてアーシアさんを助けてくださいね?」

 

「あぁ、わかった!絶対にアーシアを助け出してやる!!」

 

「わかったよ。それでいこうつばささん。」

 

「私もそれで賛成です…。」

 

「じぁ…行きますか。皆さん!!」

 

『はい!』

 

俺達は教会に殴り込みに行くことになりました!さぁ…!どんなことがおきるのでしょうね?

 

ギィィィッ

 

教会の扉を開けるとそこには、ボロボロの椅子に祭殿、頭のない女神像など…えらくボロボロなんですねここ…。すると、祭殿の奥から一人の神父の服を着た白髮の青年がきました…。誰でしょう?

 

「いやいや、再開だねぇ~糞悪魔くん?俺っちとしてわ一度会った悪魔は二度と会わないと言われているんですけどねぇ~。なんせ、俺が木っ端微塵のケチョンケチョンにしてやってるんだから。でも、君はあのとき逃げて生きてたんだよね~…まったくなんで生きてるんですかぁ?マジでムカつくんですけど~、本当に死んでくれないかな~屑悪魔くん?」

 

うわぁ~…あれが例のはぐれ神父ですか…?マジでイカれてますね。あれは殺すことを楽しんでいるタイプの人間ですね…。はぁ~ぁ…まさか日本にこんなタイプがまだいるなんて…。本当にダルいですね…。

 

「うるせぇ!てめぇなんざ興味なんてねぇんだよ!とっととそこをどきやがれ!」

 

「そんな事を言われてはい退きますなんて言うやつが何処にいるんですかぁ?マジで頭に虫がんいてるんじゃぁないですか~。

……ん?おぉ!可愛い美少女発見~!しかも人間じゃぁないですか!マジで可愛いむっちゃ俺好みだぜ♪悪魔にかたんしてるけども、殺すよりも俺の奴隷にしてやんよ!

……というわけで?悪魔さんたちさっさと死んでくれないかなぁ~?俺は悪魔さんたちをめったうちにしたあと、さっさとその子を連れて寝たいからさぁ。さっさと死ねやぁ!」

 

な、何なんですかあの人? 気持ち悪いです。生理的に無理です! ――よし、さっさと潰しましょう!そうしましょう!あんなやつがいたら社会が壊れてしまいます!

 

「てんめぇ~!俺達の天使を汚す事なんて絶対にさせねぇ!!絶対につばさちゃんは俺が守る!お前はここで俺がぶっとばしてやる!」

 

「やってみやがれ糞悪魔がぁぁぁ!」

 

「「うらぁ!!」」

 

あぁ…なんか一誠さんが怒りが爆発してしまいました。俺のために怒ってくれるのわうれしいてすが…、なんなのですか“俺達の天使”って…。うぅ~、もっと他のわなかったのですかぁ…。

 

でも、本当に熱いひとですね…。まぁ、だからこそ格好いい人なんですけどね~。俺が女の子だったら惚れてしまいますよ~。あ…、俺は女の子にもなれるんでした…。何故って?理由は力の暴走の影響で、性別が変わってしまった時があって、その時以来、性別が男と女の二つになってしまったのですよ…。

 

あっ、皆戦ってますね…あのいかれ神父と…

 

でも一誠さん達は早くも忘れていませんか?少なくとも俺は一誠さん達よりは、強いということを…。

 

「うぜぇです…」シュン!!

 

「え?」

 

ゴッ!ズドォォォォォォオン!!

 

『え?』

 

俺は、一瞬で走り込みイカれ神父をただ蹴り飛ばしました。

ただそれだけで、固まらないでくださいよまったくもぅ…

 

「はぁ…こんな所で時間を潰してる場合じゃぁないじゃないですか?早く行かないとておくれになりますよ~」

 

「え…あ、うん。そうだった早くアーシアを助けにいかないと!」

 

そう言って一誠さん達は地下へといった。さぁてと…あの神父はどうでしょうか…?

 

「………」チィーン

 

あぁ~…完全に伸びてますねこれ…。まぁ…いいでしょう、これで悪は滅びた…。

さて…俺も行きますか。

 

―ゾクッ!―

 

な…何なんですか!?この殺気は!いったいどこから…!

外側ですね…!

いったいこの殺気は何者なんでしょうね…

 

―side out―

 

 

 

―イッセーside―

 

「うりゃぁ!!アーシアァァァ!助けにきたぞぉぉ!」

 

「イッセー…さん…」

 

「フフフ…遅かったわねイッセーくん?もうこの子の力は私のものよ…!」

 

「イ…イヤアァァァァァア!!」

 

「く!アーシア!」

 

くそ!アーシアがあぶない!

 

「ここから先には行かせんぞ悪魔ども!」

 

ちぃ…邪魔だ!!神父ども!

 

「はぁぁ!グフゥ!」ズドォン!

 

「イッセーくん!早くいってここは僕達でくいとめるから!」

 

「そうです…早く行ってください…むしろじゃまです。」

 

「ありがとうふたりとも…!」

 

「行かせん!!」

 

「ハァァア!!魔剣造成(ソード・バース)!!」

 

ズガガガガガッ!

 

するとあちこちから剣が突然出てきて神父達はその剣がささり絶命した。

 

「アーシア!!」

 

俺は貼り付けにされていたアーシアを助け出した。

 

「イッセー…さん…」

 

「アーシアもう大丈夫だ…!助けにきたぞ?」

 

「ありがとう…ございます…イッセーさん…。私…イッセーさんに会えて…良かったです…。イッセーさんと…もっと…遊びたかった…。もっと…いろんな…事を…したかった…。」

 

「アーシア…!もっと…いろんな事をしよう?俺の友達も紹介するから…。松田と元浜っていって、ちょっとエロいけど凄くいいやつなんだよ!だから一緒にいこうぜ?学校にもよ…。」

 

「はい…、凄く…楽しみ…です…。私の…事を…忘れ…ないでください…。イッセー…さん…。皆…と…もっと…仲良く…したかっ…た……………」

 

「アーシア…?アーシアァァァ!!」

 

くそ…くそ…!アーシアがなにをしたんだよアーシアのなにが悪いんだよ…!くそ…くそ…!

 

 

「アハハ…なんでアーシアが死ぬんだよ…!」

 

「フフフ…!その子の神器は私の力になったのよ?これで私も…アザゼル様とシェムハザ様の寵愛を受けることができるわ…」

 

「かえせよ…」

 

「うん…?」

 

「かえせよ…!アーシアをぉぉぉ!!」

 

『Boost』

 

俺は飛び出したアイツを殴るために…

 

「おらぁ!!」

 

『Boost』

 

ガシャァァン

 

俺はレイナーレをぶっ飛ばした…。

 

「アハハハハハ…!無駄よ?この力があるかぎり私は無敵だわ…。貴方の攻撃なんて私にわ食らわないわ♪」

 

「くそ…!ドライグ!!俺の思いに答えてくれ…!俺に奴を殴るだけの力をくれぇぇぇ!!」

 

『わかった…!お前の思い!聞きうけた!』

 

『Boost』『Boost』『Boost』

 

俺の力がかなり上がった!!これなら…奴を殴れる!!

 

「な…なんなの!?あなたのその力!!上級悪魔なみの力じゃない!」

 

そうか…俺はそんなに力が上がっているのか…!なら…

 

「ぶっ飛べぇぇぇ!!」

 

「キャァァァ」

 

ズドォォォォォン !!

 

「やった…ぜ。」

 

「く…そんな…。私が…こんな奴に負ける…なんて…。」

 

「フフフ…レイナーレ様?いい格好ですね?」

 

すると、外から男の声が聞こえてそこをみると、あの時の男の堕天使“ドーナシーク”がいた…。

くそ…ここに来て援軍かよ…!

 

「ドーナシーク!助かったわ…私を助けなさい!!」

 

「なぜ、あなたのような奴を助けなきゃいかないんですか?この…役立たずが」

 

ドシュ…

 

「え…?」

 

ドサッ

 

ドーナシークは突然光の槍を出して…レイナーレに投げた。――な!?仲間じゃないのかよ!?

 

「コフッ!…ドーナ…シー…ク、な…何故…」

 

「ふん。簡単なこと…。なぜ中級堕天使のこの俺が下級堕天使の貴様の言うことを聞かなきゃならんのだ?」

 

バサッ!

 

すると、ドーナシークの翼は1対2枚から2対4枚になった…。

 

「そん…な…あなた…中級…堕天使…!」

 

「そうだ…。わかった?この屑が!!貴様なんて誰からも愛されずただ騙されて死んでいくだけなんだよ?雑魚め!」

 

そう言いながら、ドーナシークは寝ているレイナーレの腹を強く蹴飛ばした。

 

「あぐっ!………く、くそ」

 

レイナーレは痛みと悔しさのあまりに泣いていた…。こいつ…!

 

「て、てめぇ!! 仲間じゃねぇのかよ!」

 

「ふん…。知ったことか。俺には仲間なんぞいない。いるのは駒と道具だけだ。……そんな事より、俺がようがあるのはお前だ兵藤一誠!!貴様にうけた屈辱をはらしてやる!」

 

 

「さぁ!殺し合いの始まりだ!!」

 

そう言うとドーナシークは俺に突撃してきたのだった…。

 

 




どうでしょうか?
今回はこんな感じでやってみました。
次回は謎の敵と、ドーナシークと一誠さんの戦いをかきます!
それでは…また次回で♪


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10話 嫌な予感…的中です。そして決着です!

皆さんこんばんわ…♪どうもお久し振りなのですよ~♪
最近、自分の行きたかった専門学校に合格できて心に余裕ができたのですよ~♪ふぅ…♪よかったのです♪

今回は知ってる人は知っているとあるゲームキャラがでてくるのですよ~♪
気になる人は本編へレッツGO!なのです♪それではどうぞ~♪


―イッセーside―

「さぁ…殺し合いを始めようか!!」

 

そう言い、中級堕天使のドーナシークは光の槍を持って襲ってきた…。

 

「く…てめぇ!レイナーレは仲間じゃなかったのかよ!!」

 

「ふん…あのような雑魚を仲間だと思ったことなど一度もないわ。所詮は捨て駒…。捨て駒を殺して何が悪いのだ?」

 

「この…屑やろうがぁぁぁぁ!!」

 

「威勢だけは立派だな…」

 

ザシュ!ドコッ!ガギィン!

 

俺の赤龍帝の籠手とドーナシークの光の槍がぶつかる音が辺りに鳴り響く。

 

くそっ!中級堕天使なだけあって光の力がレイナーレよりも濃い…!

 

「ふははは!どうしたどうした?動きが鈍っているぞ?赤龍帝!」

 

「くぅ…!」

 

ガキィン!ガキャァン!ザクッ!

 

ブシャァァア!

 

「ぐぁぁぁあぁぁぁ!?」

 

俺の足に光の槍が刺さりさっきよりも全身を焼くような痛みが体を襲う…。

 

「ふはははははははは!!どうだ?痛いだろう!悪魔にとっては光は猛毒なのだからなぁ!!ましてや、中級堕天使の光の力は、そこに倒れている下級堕天使よりもな!」

 

「く…くそ…たてねぇ…!」

 

「ふふふふふ…。そうか、立てないか…。なら、ここで死ぬしかないな…。赤龍帝!!」

 

「貴様にうけたこの屈辱…。貴様の死を持って張らしてもらう!!死ねぇい!」

 

そう言ってドーナシークは光の槍を降り下ろす…。

ヤバイ…!避けられねぇ!!

 

「イッセーくん!!」

 

フオォンッ

ガキャァン!!

 

すると、突然目の前にひとが表れた。そいつは、学園の一番のイケメンでリアス先輩の“騎士”木場祐斗だった…。

 

「へっ…、悔しいが格好いいじゃねぇか…。木場ァ!」

 

「うん!助けにきたよ、イッセーくん!仲間だからね!」

 

「なに!邪魔をするな!!このくz…(ズドン)グフォアァ!?」

 

ズドォォォォォン

 

「そうです…。勝手にひとりで突っ込んでいかないでください。迷惑です…。」

 

「え?あ…。ごめんなさい…。」

 

やばい…。小猫ちゃんが来てくれて嬉しかったけど、怖えぇぇぇ!あの堕天使が綺麗に降っとんでいったよ!

 

ガラガラ…

 

「く…!グレモリー眷属どもか…。」

 

なぁ!無傷だと!そんな…、小猫ちゃんの攻撃が効いていないなんて!?

 

「む…。結構本気で殴ったのに…」

 

えぇ…。どんだけ強いんですか?怖すぎるだろう…。

 

「堕天使ドーナシークここから先は僕たちも参戦するよ?覚悟はいいかい?」

 

「くっくっくっ…。流石に三体一は厳しいな…。なら……。私の取っておきを使おうではないか!!」

 

ドクンッ!

 

ゴォォォォォ!!

 

「くはははは!力が…、力が漲ってくるぞぉぉお!!ふはははははははは!!」

 

なッ!?いきなりドーナシークの力が上がったぞ!!どうなってやがる!!

 

「くははは! どうだ?この圧倒的な力。貴様らはここで死ぬがいい!!」

 

そう言ったドーナシークは大きな光の槍を作った。なッ!なんだあれ!!2mはあるんじゃないかな?

 

「ちょこまかと動く貴様らはそこで大人しくしてもらおう。」

 

カッ!シュルルル――ガシ!!

 

「なッ!体が動けないッ!!」

 

「動けないです…」

 

木場と小猫ちゃんの体に光でできた鎖が地面から出てきて体を拘束してしまった

 

「木場!小猫ちゃん!」

 

「くっくっくっくっ…。これで貴様らは全員動けまい…。さぁ…俺が殺してあげよう!」

 

ドーナシークが光の槍を投げようと降りあげる!

 

ブゥゥゥゥゥン

 

やばい!!あの光の槍を食らったら俺たちは危ない!!

 

「死ねぇい!!」

 

ドカァァァン!

 

「ぐはぁ…!!」

 

「くははは!どうだ?痛いだろう?しかし、まだ今の攻撃で消滅しないとは、なかなか丈夫だな…。」

 

く…!!や…やべぇ…。意識が、もう…!

 

「ふむ…次で貴様らの息の根を止めてやろう…」

 

そう言ったドーナシークは、さっきよりも太く大きな光の槍を作った。

ヤバイ…!あんなのくらえば今度こそ危ない!!

 

「――ぐっ!」

「うぅ…」

「くそ…!動けねぇッ!」

 

木場も、小猫ちゃんも、俺も動けないか…。これは、本当にヤバイぜ…。ここまで…なのか…?

 

「く、くく…ふはははは!!死n――」

 

ズドォォォォォォォオォォォォォォン

 

『え…?』

 

な…なにがおきたんだ!?今さっき確かドーナシークは光の槍を投げようとしたけど、俺たちは動けなくて死ぬと思ったら、いきなり横から巨大なビームが光の槍と一緒にドーナシークを消し飛ばしやがった…!?

 

「い…今の攻撃はなんだい…?」

 

「わ…私にも、わかりません。」

 

「お…俺にもわかんねぇよ……」

 

いったい誰があんな強力な攻撃を………?

 

「ありゃりゃ…。相変わらずの威力ですね…。」

 

「フフフ、褒めても何もでないわよ?」

 

「褒めてないですよ…」

 

すると、声が聞こえてきたから声が聞こえてきた方へ目を向けると、さっきビームが飛んできた方に二人の男女が立っていた。

ひとりはつばさちゃん…、もうひとりは薄いピンク色の傘を持った緑色の髪で赤い目の綺麗で大人びた女性だった…。てか…あのおっぱいの大きなお姉さん誰ですか!?

 

―side out―

 

 

 

 

 

―つばさside―

 

いったいさっきの物凄い殺気は何なんですか!?いったいどれ程の巨大な力を持った人がいるんですか?

でも…この殺気は何処かで感じたことのあるようなぁ………?はッ!まさかあの人が!!いやいや……。あの人がいるわけないじゃないですか…、あの人はあちら側の人なんですよ?此方の世界にいるわけがないのですよ…。うん…。そう…いるわけないんです。ハハハハハ…

 

さて…、さっさと殺気を放った正体を見ませんとね~…。

 

『この、ば…化け物め!!何なんだよお前は!』

 

「フフフ…、どうしたのかしら?さっきの威勢は何処に言ったのかしらね~。ふふふふふ♪」

 

 

え…?あ…あるぇ~?ナンデアノヒトガイルノデスカ?ドウシテデスカ?

 

――マジで…マジでなんでいるんですかぁぁ!?“風見幽香(かざみゆうか)”さんがぁぁぁぁぁ!?

 

本当に懐かしい殺気ですよ…、なんでここにくるまで気づかなかったんですかぁぁぁあぁぁぁ!俺のバカヤロォォォォォォ!!

 

「うふふふふふふふふ。さぁさぁ…、逃げないと死んじゃうわよ~!」

 

ズドドドドドドドォォォン!!

 

『ギャァァァァァ!?』

 

あ…あはははは。うん…見つかる前に逃げなくてはね…。そう逃げないといけないんだよ!これは戦略的撤退なんだ!!よし…!

 

「それならば!!そく逃g――」

 

ガシッ!

 

「ゑ…?」

 

「あら?つばさちゃん――何処に行こうとしてるのかしら?」

 

ギギギギギ…

 

俺はまるで壊れたブリキのように後ろを振り向くと…そこには………。

 

究極の超ドSこと“風見幽香”さんが、とてもいい笑顔でいた………。

 

―――あ…俺死んだわ

 

「さぁ?答えなさい…」

 

「いや…。これにはふか~いわけがありまして…」

 

「嘘でしょ?」ニコニコ

 

「はい。怖かっただけなのです…。だからごめんなさい。許してください幽香さん」

 

俺は今の笑顔がとても恐ろしく見えたので迷わず謝った…。だって怖いもんは怖いもん!!

 

「はぁ~…。まったくあなたはいつも私を見ると逃げるわね」

 

「だってあの時…。笑顔で雑魚妖怪をさつき姉さんといたぶってたから…。流石に怖かったですよ…。」

 

「あぁ、あの時ね。ごめんなさいね?」

 

「いいですよ~もうね~。ところで、どうしてここにいるのですか?幽香さん?」

 

「あぁ~、それはね?紫に『幽香、あなたに力を貸して欲しいって、さつきからいわれたのよ。いいかしら?』って言われたから来たのよね」

 

「さつき姉さんが?」

 

「そうよ?なんでも、『最近、【禍の団(カオスブリゲード)】っていうテロリストがこの日本に来たっていう情報が入ってね?そんなテロリスト共をツバサだけに任せる訳にはいかないけど、私達の地球連邦軍はそもそも、他にも仕事があって手が話せないの。……あなた達幻想郷にも手伝って欲しいのよ…。お願い!どうか力を貸して?』って言われたのよ…。

それに、あの皐月が頭を下げてまで私達にお願いしてくるもんだから、承諾してしまったわ…。あの紫も承諾したんだから、私達も承諾しないわけにはいかないでしょ?だから、私や幻想郷の皆もあなた達に力を貸してあげるわね?」

 

「本当ですか!?あ…ありがとうございます!!」

 

「うふふ、いいのいいの。私達も好きでやっているからねぇ~。あと、私と幻想郷組の何人かがあなたの部隊に入ったから、よろしくね?つばさちゃん」

 

「うをぉぉぉぉ!!マジですか!?ありがとうございます!!そして、こちらこそよろしくお願いいたします!!」

 

マジですか~。だんだん俺の部隊がチートクラスに強化されている気がしますね…。気のせいでしょうか…?

 

「あら…?この気配は…。なんだか教会の方からとてつもない力を持った堕天使の気配がするわよ?あの中にいる悪魔は大丈夫なのかしら?」

 

「え……――ッ!?本当だ!!あの、幽香さん。お願いがあります!」

 

「お願い?それは、なにかしら?」

 

「はい!それは、あそこにいる悪魔達をを助けてください!」

 

「どうしてかしら?」

 

「それは…。俺の大切な友達だからです…。それと…」

 

「私達の大切な眷属だからです」

 

すると、突然声が聞こえてきて、声の聞こえた方にむくと、リアス先輩と朱乃先輩がそこにいた。

 

「あなた達は?」

 

「申し遅れましたわ。私の名前は、リアス・グレモリー。悪魔です。そして、グレモリー家の次期当主で、爵位は公爵ですわ。そして…隣にいるのが私の“女王”の…」

 

「姫島朱乃ですわ。よろしくお願いいたします。」

 

「そう…。あの悪魔はあなた達の眷属?」

 

「そうです。あそこにいる悪魔達は、私の大切な眷属で家族ですわ。だから、助けられるなら助けてください…。お願いいたします…。」

 

「私からもお願いいたしますわ…。」

 

あの二人が初対面の人にいきなり頭を下げてまでお願いするなんて…!まったく…あなたは本当に眷属には甘いんてすから…。

すると、風見幽香さんこと幽香さんがこっちに向いた。

 

「こう言っているけど…どうするの?あなたは?」

 

「お願いします…幽香さん!助けてください!!」

 

 

「ふぅ…。わかったわよ…。助けてあげるわ…。でも…今回だけですからね?」

 

「はい!ありがとうございます!!」ニコ

 

「…ッ!///も…もう。危ないから少し離れてなさい?そこの悪魔のお嬢ちゃんたちもね?じゃないと消滅するわよ?」

 

おろ?………なんだか少し顔が赤い気がしますね。気のせいでしょうか?まぁ…それよりも…。きっとあの技を使うのですね~…

 

「わかりました。……幽香さん。こっちはまかせてください結界は張っておきますので。」

 

「お願いね?」

 

「はい!と、言うわけで俺の後ろに来てください。リアス先輩、朱乃先輩」

 

「え?…えぇ、わかったわ。」

 

「わかりましたわ。」

 

「いいですよ~、幽香さん!存分に殺ってくださいな~!」

 

「うふふ、それじゃ、存分に殺らせてもらうわ。『スペル宣言』!!」

 

すると、幽香さんの手のひらに一枚のカードが出てきた。よ〜し!俺も!!

 

「『スペル宣言!!』」

 

「『夢符「二重結界」』」

 

すると、俺と先輩達の回りに囲むように四角い結界が重なって張られた。

 

「『魔砲「元祖マスタースパーク」』!!」

 

ズドォォォォォォォオォォォォォォン!!

 

幽香さんは手に持っていた傘の先から巨大なビーム砲が出てきた。

 

わはぁーーー!!相変わらずの威力ですね~。本当…。桁違いです…。

 

「ふぅ…、スッキリしたわ」

 

「あはは…。相変わらずの威力ですね…。」

 

「す…スゴすぎるわよ!?つばさ!?」

 

「ほ…本当に凄いですわね…。」

 

「先輩?あれでも、十分の一も出てませんよ?もしも、本気で撃ってたなら…ここらへん軽く消しとんでましたよ?」

 

『え…』

 

なんか、凄い驚いた顔でこっちを見られた…。まぁ…それが普通なんですけど~、あの幻想郷ですからね~。あそこでは常識にとらわれたらいけないのですよ…。うん…。

 

「あれで…。本気じゃないのかしら?」

 

「はい!」

 

「はぁ~…。あなたの回りはもしかして、こんなのばっかりなの?」

 

「まぁ…そう…ですね?」

 

「頭が痛いわ…」

 

「あはは…。すみません…」

 

いや~…、本当にすみませんね…。リアス先輩…。まだまだ、こんな人?と言うかこれよりも、常識はずれの人達が増えますよ?もしこれで、頭が痛いなら体が持ちませんよ~。

 

「さて…。そろそろ行きましょうか?つばさ?」

 

「は~い、リアス先輩~。ほら、幽香さんも行きましょうよ~!」

 

「あぁ…はいはい。まったく…、全然変わってないね?つばさちゃんは…。」

 

「なにがですか?」

 

「ふぅ…。子供っぽいところよ…。」

 

「うぅ…子供じゃないです!これでも17歳ですよーーー!」

 

「こんな17歳は、あなただけよ?」

 

「ひどぅい…」

 

「うふふ、う見てると、仲のいい姉弟ですわね。部長」

 

「ふふふ、本当にそうね。朱乃」

 

「さぁ…、さっさと行くわよ?つばさ…。」

 

「はぁ~い…」

 

そして、俺たちは教会にいる一誠さん達の所に向かった…。

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

さて…、教会に着いたのはいいんですけど、なんだか一誠さんに凄いつめられてます…。

 

「つばさちゃん!?その隣にいる綺麗なお姉さまは誰だよ!教えてくださいお願いします!!

そして、いまのビームはつばさちゃんがやったのか!?それとも、他の人がやったのか!?」

 

「あぁ、もう!!落ち着いてください一誠さん!この人は俺の姉さんのお友達なのですよ!そして、さっきのビームについてですけど、この人が撃ちました。」

 

「ま…マジですか!?そこの綺麗なお姉さまが……ん?てか、つばさちゃん?お姉さんいたのか?」

 

……あっ。しまった!? まだこの事は隠してたのに…!ついうっかり口がすべってしまったよ…

 

「おい!つばさちゃん!どうなんだ!?やっぱりつばさちゃん見たいに可愛いのか!?」

 

よりによって一番知ってほしくなかった人に知られてしまいましたね…。どうしましょう…。

 

「い…いますよ?ちゃんと…。俺は少なくともかなり綺麗で可愛いと思っていますよ?それぐらい自慢のお姉ちゃんですから」

 

そう…これは嘘偽りもなく俺はそう思ってるんだ…

 

「ふふふ、これをあの子達が聞いたら、顔を真っ赤にしてあなたを愛でまくりしてるね」

 

「ぜ…絶対に言わないでください~!!幽香さ~ん!!」

 

「うふふ♪どうしようかな~♪」ニヤニヤ

 

「うわぁ~!なんでもしますからお願いします~!」

 

すると、幽香さんの目がまるで獲物を見つけた獣のようになり、顔もかなりにやけてた。あれ…?もしかして俺…、一番言ってはいけない事を言いました…?

 

「そう…、なんでも言うことを聞くのね…?男の子に二言は無いよね?」ニコニコ

 

「はっはい…。ないです…」ブルブル

 

あはは…。俺…次こそ死んだね♪ハハハハハ…。

 

「そう…。それじゃぁ…、私の事をこらからお姉ちゃんかお姉さまと呼びなさい♪」

 

「ふぇ…?」

 

俺は余りにも予想外の答えに気の抜けた声を出してしまった…。だって風見幽香さんがあんな笑顔で目が獲物を見つけた獣のようになってたら、絶対に危険だったから、もっと恐ろしいものかと…

 

「それと、私の言うことは絶対ね?あなたに拒否権はないわ!」

 

はい…駄目でした…。ちょっと安心した俺がアホでした…。

 

「はい…。わかりました…。幽香さん…。」

 

「いまからよ?」

 

「う…///わ…わかりましたよー!言えばいいんでしょ言えば!!」

 

「ほら、言いなさい?つばさちゃん」

 

く…///こんな人の多いい場所で言うなんて…。ほら~!他の皆も、興味津々に見ているじゃないですかぁぁぁ!!てか、一誠さんなんでそんなに息が荒いんですか!?このド変態!

 

くぅ…!もうこうなったらもう腹をくくってやる!!

 

「ゆ…幽香…お姉ちゃん?///」

 

ブハァ…!

ドサッ!

 

殆どの人が鼻血を出して、一誠さんだけかなりの量の鼻血を出して倒れてしまった…。うぅ…///穴があったら入りたい。

 

「う…うん。いいわよつばさちゃん!これからそう呼びなさい!絶対ね?」

 

「うぅ…わかりましたよ!」

 

うぅ…鬱だ~…。あっ!それよりも!!

 

「あの~一誠さん?アーシアさんは?どうしたのでしょうか?」

 

「あっ……アーシアは…。死んじまった…」

 

「え…?」

 

そう言った一誠さんは、指を指した。その指を指した所には、幸せそうに眠った少女がいた…。これがアーシアさん…。神器のせいで『聖女』と奉られ悪魔を治してしまったために、『魔女』として追放された人…。

 

「アーシアは…助けられなかった!!俺は助けると言ったのにアーシアを助けられなかった…!俺は弱い自分を恨んだ…!アーシアを助けられなかった自分を恨んだ…!くそ…くそっ!」

 

「一誠さん…」

 

俺は一誠さんの気持ちが凄くわかる…。昔…俺も大好きな家族を助けられなかったから…。でも…、まだ終わっていませんよ?一誠さん…。そう…まだあれがあるじゃないですか…あれが…ね?

俺は視線を一誠からリアス先輩へと替えて、リアス先輩を見た。リアス先輩は俺の言いたい事がわかったのか一度軽く頷いて一誠さんの所に近づいた。

 

「イッセー?まだアーシアは助かるわ?アーシアの神器をアーシアに返してあげて?」

 

「どう言うことですか!?部長…!アーシアは…アーシアは生き返るのですか!?」

 

すると、リアス先輩はアーシアさんの神器と紅い色をした一つの駒を持った。

 

「イッセー?これがわかるかしら?」

 

「……アーシアの神器と…チェスの駒?」

 

「そうよ、これはねイッセー。『僧侶』の駒よ」

 

「この前悪魔の駒の説明したけど覚えてる?爵位持ちの悪魔が手にできる駒の数は、『兵士(ポーン)』が八つ、』騎士(ナイト)』、『戦車(ルーク)』、『僧侶(ビショップ)』の駒がそれぞれ二つずつ、『女王(クイーン)』がひとつの計一五体なの。いまは、『僧侶』の駒をひとつ使ってしまっているけれど、私にはもうひとつだけ『僧侶』の駒があるわ。」

 

ふむふむ…。なるほどね…。

 

「……この子の悪魔も癒せる回復力は凄いわ。前代未聞だけれど、私はこのシスターの子を転生させてみるわ。」

 

そう言ったリアス先輩は、アーシアさんの神器をアーシアさんの体の上に置くと、自然にアーシアさんの体の中に溶け込むように入った。それを見たリアス先輩は、いつの間にか朱乃先輩が描いた魔方陣の上にアーシアさんを乗せて、体の上に紅い『僧侶』の駒を乗せて、呪文を言いだした。

 

「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、アーシア・アルジェントよ。今再び我の下僕となるため、この地へ魂を帰還させ悪魔と成れ。汝、我が『僧侶』として、新たな生に歓喜せよ!」

 

すると、魔方陣が赤く輝きアーシアさんの体に乗せていた『僧侶』の駒が溶け込むように入った。すると…アーシアさんが目を覚ました…。

 

「あれ…?ここは…?私は死んだのでは…。」

 

すると、一誠さんが泣きながらアーシアさんに抱きついた…。

 

「アーシア…帰ろう…!俺達の家に…!」

 

リアス先輩が一誠さんに近づいた。

 

「イッセー?次はその子を守りなさい?先輩悪魔としてね?」

 

「はい…!部長!!」

 

ふふふ…、いい結果に終わりましたね?一誠さん♪

さ~てと…。あとは、あそこに倒れている女の堕天使とその回りにいる二人の女の堕天使をなんとかしませんとねぇ…。

 

 




どうでしたでしょうか…?今回は東方ProjectのドSお姉さんこと“風見幽香”さんを出して見ました♪
なぜ出したかというと、この人は好きな東方キャラなんですが、ゲーム内でボコボコにやられてちょっとトラウマになってしまったので、この主人公も少し苦手で“頭の上がらない人”として、今回登場させてみました。
いつか、他の東方Projectのキャラ達も頑張って出したいですね。それでは♪また次回会いましょ~ね~♪


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11話 やっぱり平和が一番だね♪

ふぅぃ~…やっと1巻が終わりますよ~♪
いゃ~長かった…。


さ~てと…。目の前にいるあの堕天使の三名はどうしましょうかね~?約一名死にかけてますけど…

 

「レイナーレ様!!しっかりしてください!!」

 

「そうっすよ!レイナーレ様!起きてください!!」

 

ありゃりゃ…。あの二人鼻水と涙をあんなに出して、顔がぐちゃぐちゃじゃないですか…。と…言うことは~、あの二人がミッテルトとカラワーナなのでしょうね…。どっちがカラワーナでミッテルトなのか分かりませんが、あんだけ泣いていると言うことはたぶんアザゼルが言った三名なんでしょうね…。

 

「ご…めん…ね…?私…が…ダメな…ばっ…かりに…あなた…達…に…辛い…思い…を…させ…ちゃって…」

 

「そんなことない…!私達は…!レイナーレ様がいたから辛くなかった…!レイナーレ様がいたから今の私達がいるんです!」

 

「そ…そうっすよ…!だから…!起きてください!!レイナーレ様!!皆でまた頑張っていきましょうよ!!」

 

「ご…めんな…さい…。私は…もう…だめ…みた…い…。もっ…と…皆…と…遊び…たかっ…たな…」

 

「ダメですよ!?レイナーレ様!!お願いします!死なないでください!!」

 

「そうっすよ…!死なないで…ください!!レイナーレ様ぁぁぁ!」

 

「ごめん…ね…。わた…し…」

 

なんだか…死にそうですね…もう…あの人は、あともう少しで死んでしまいますね~……。本当…に、めんどくさいですよ…。アザゼルにさえ頼まれなければふだん助けようとしませんのに…。

 

『うふふ…、あなたなら、絶対に助けてるわね~?あなたは悲しんでいる人がいれば、どんな人でも助けているもの…。本当に照れ屋さんね~?』

 

う…うるせぇです…。はぁ~もうわかりましたよ!…仕方ないですけど…助けてあげます…!

 

そして、俺は堕天使の所に近づいた。

 

「あのぉ~すみません…」

 

「なんだ貴様…!」

 

「そこに倒れている堕天使さん…貸してくれませんか?」

 

「貴様…!?レイナーレ様になにするつもりだ!!」

 

「そうっすよ…レイナーレ様は殺させない…!」

 

あり…? なんだか凄く勘違いされてますね…。あぁもう!時間がないのに…!

 

「違いますよ…!そこの堕天使…レイナーレを助けるんですよ…!」

 

「貴様…!?どう言うことだ!」

 

「あぁもう…!時間がないので説明はあとです…!」

 

そして俺は二人をレイナーレから離して回復魔法をかけた。

 

「ベホイミ!」

 

キュアーン…!

 

すると…みるみるうちにレイナーレの傷が癒えていった…。

 

「うぅ……あれ…?私の傷が…ない…!!」

 

「レイナーレ様?大丈夫ですか…?」

 

「レイナーレ様!大丈夫っすか!!」

 

すると、さっきまで見守っていた堕天使の二人がレイナーレに駆け寄り心配していた。

 

「え…えぇ…大丈夫よ…。その子が私の傷を癒してくれたから…。」

 

 

すると、二人が警戒しながら寄ってくると、いきなり頭を下げてきた…。え…!?なんで…!?

 

「その…先程は失礼した。我らが主、レイナーレ様を助けていただき誠にありがとうごさいます。」

 

「うちも、レイナーレ様を助けていただきありがとうっす」

 

すると、レイナーレも二人の近くまで近づいてきて頭を下げてきた…。

 

「私からもお礼を言うは…。傷を治してくれてありがとう…。」

 

「いや…、別にたいしたことはしてませんよ?ただ、傷ついてたから助けただけですよ…。」

 

「そう…でもなんで…?」

 

「それは…」

 

「私達もそこの堕天使を助けた事について理由を聞きたいわ」

 

すると、後ろから声が聞こえたかと思ったらリアス先輩とその眷属達がいた…。

 

「そうねぇ…私も聞きたいわ」

 

突如横から声が聞こえたかと思ったらいつの間にか隣に幽香さんが立っていた…!び…ビックリした~。

 

「あぁ…それはですね…」

 

「ある方にこの三人を生かしといてほしいと頼まれましてね…?だから、俺は助けました…。だから、この人達は殺させないですし、殺しません…。もし、この人達を殺すと言うのであれば…。俺が容赦しないですよ…?」

 

そう言った俺は、この場にいる人に向けて殺気を放った…。殆どの人が冷や汗をかきながら息も荒いと言うのに…、何故幽香さんは普通に平気なのでしょうか…?はぁ~…だてに最強の妖怪の一角はやっていませんね~。

 

「わっ…わかったわ…。だから、その殺気を閉まってくれないかしら?」

 

「おっと、失礼しました。」

 

そして俺は殺気をしまった。おぉ~皆凄い安心した顔でいますね~。

 

「はぁ~…相変わらずの殺気ね…。わかったわ。私達はその堕天使に手を出さないわ。わかったかしら?皆?」

 

『はい。部長。』

 

相変わらずの団結力ですね~。本当…あまちゃんですな~。まっ…だからグレモリー眷属なんですけど…。

 

「ところでつばさ?ひとつ聞いていいかしら?」

 

「はい…?なんでしょうか?」

 

聞きたいこと?なんでしょうかね~?

 

「あの方って誰かしら…?」

 

あぁ~…、それですか…。そうですよね…普通は気になりますよね…。でも、今ここで『あの方とは、堕天使の総督の事です♪』なんて言えませんし…どうしましょう?うぅ~ん…なにか良い案が~…。あっ…あった…!アイツを使えば良いんだ♪

 

「あの方っていうのは~…」

 

「言うのは?」

 

すると、眷属の皆も堕天使の三名も息を飲んで待っていた…。

 

「うちのバカ兄貴です!」

 

『はい?』

 

おぉ~皆コンマの差もなくハモりましたねー。いや~皆のキョトンとした顔…。面白いですね♪

 

「お…お兄さん?」

 

「はい、お兄さんです!」

 

「そ…そう…。あのお兄さんね…。はぁ~…心配していた私がバカだったわ…。」

 

「そうですね~、リアス先輩」

 

「ぶ…部長?つばさちゃんのお兄さんって?」

 

おろ…?そう言えば一誠さんには伝えてませんでしたか。まぁ~兄さんなら伝えてもいいか…♪同じ変態さんだし♪てか、他の皆さんも聞きたそうにしてますね~。そう言えばグレモリー眷属自体に詳しい事は伝えてませんでしたか…。俺が地球連邦軍の最強部隊の部隊長だと言う事以外をね…。まぁ~どうせ言うつもりでしたし、あとで結城家に送る堕天使三名もいるし、言いますか~♪

 

「つばさ?伝えていいの?」

 

すると、リアス先輩が困った用な顔で聞いてきた。

 

「はい!いいですよ~?リアス先輩」

 

「そう。わかったわ。じゃぁ皆聞いてくれる?」

 

リアス先輩がそう言うと一斉にグレモリー眷属+堕天使三名がリアス先輩の方へ体ごと顔を向けた。

 

「つばさのお兄さんって言うのは、言った通りの血の繋がったお兄様よ?それでいて、皆も悪魔になって裏を知ってから一度は聞いた事があると思うだろうけど、史上最強の軍隊…地球連邦軍の総司令官で、事実上史上最強の人間よ…?」

 

『え…えぇぇぇぇぇえぇぇぇぇ!?』

 

うははは!!むっちゃ驚いているよ!まぁ~普通に考えればそうなるよね~、にぁはははは!

ん?なんでリアス先輩がうちの兄さんの事と地球連邦軍の事を知ってるのかって?それはね~…。

前に俺の事がリアス先輩達グレモリー眷属にバレて、それの説明をしにサーゼクスさんが来て、説明したあと俺がリアス先輩達の部活『オカルト研究部』の仲間になったときがあったでしょ?実はね、サーゼクスさんが来た次の日に、リアス先輩と朱乃先輩と三人で部室で暇潰しのお茶をしてたのだけどね?そしたら突如魔方陣がきて何事かと思いきや…サーゼクスさんとグレイフィアさんが来たのよ…。勿論その時は俺も驚いたけど、すぐに冷静になってから『何故ここにきたのですか?』と聞くと、なんでもサーゼクスさんはリアス先輩とその懐刀であり親友でもある“女王”の朱乃先輩に俺の家族の事を紹介したいとの事でした。勿論俺はもっと信用してもらいたかったし、仲間にいれてくれたから喜んで紹介しますと言ったんだけどね。

そのあと、俺の家、結城家に行って、俺の兄さんと姉さん達を紹介したよ~。あと、地球連邦軍の事もね~。

あっ…でも、転生者の事と地球連邦軍の俺達の部隊のメンバーだけはまだ教えてないけどね~。まぁ~…なんやかんやあってリアス先輩と朱乃先輩は兄さんと姉さん達とスッゴク仲良しになったの。姉さん達については恋ばなをするくらいにね?

ただ…。レイジ兄さんは3年前から仕事でいなかったから、何も問題がなかったんだけども、こうき兄さんが大分はちゃいじゃってね~…。色々としすぎたのよ…。そのあと姉さん達にフルボッコされて、木に逆さに吊るされました…。まぁ~そんなこんなでリアス先輩と朱乃先輩は俺達の事を知っているって訳なのよ

 

「それって…部長…?もしたして、もしかすると…つばさちゃんも…ですか…?」

 

「えぇ。そうよ…?この子はこう見えても、その史上最強の軍の地球連邦軍の中でも最強の部隊…その名も地球連邦軍・特殊部隊特別調査班 総隊長をやっているのはしっているよね?ねぇ?朱乃?」

 

「うふふ、はい。そうですわ、部長。それともうひとつ。この子に二つ名があって、その二つ名が『黒き疾風の破壊者』や『黒巫女』なんて呼ばれていますわ」

 

「え…。えぇぇぇえぇぇぇ!?つばさちゃん思ってたよりすげぇぇぇ!?」

 

「ははは…。そういえば伝説になっている『黒巫女』『黒き疾風の破壊者』だったんだよね…。道理で強いわけだよ…。」

 

「確かに桁違いですね…」

 

「え…あの伝説の“破壊者”だったの…!?そんなの私達が勝てるわけないじゃない…!?」

 

「確かに…勝とうなんて無理ですね…。」

 

「本当っす…。」

 

んにゅ?なんでしょう…?伝説の破壊者って…?まぁ~あとでレイナーレさんに聞くとしますか…。その前に…

 

「えぇ~と、レイナーレさんでしたでしょうか?少し聞きたいことがあるのですが…」

 

「私?えぇ…レイナーレで合っているわよ。それで聞きたいこととは何かしら?」

 

「じゃぁ質問しますね…。あなた達三人はこれからどうするのですか…?もう、堕天使の組織“グリゴリ”には、帰れませんよ…?」

 

「え…。私は…どうもしないわ…。もう…私達に帰るとこなんてないんですもの…。私達三人の親ははぐれ悪魔に殺されたし…。そのはぐれ悪魔を殺して堕天使になってしまったけど…。下級堕天使と言うだけでバカにされてきたわ…。それであのバカにした堕天使どもを見返してアザゼル様とシェムハザ様に愛を貰おうとして…、その子のアーシアの神器を貰おうとしたけどその計画も失敗…。もう…私達に帰る場所なんてないわ…。」

 

「「レイナーレ様…」」

 

はぁ…本当…どんだけ絶望の人生をたどればそんな顔が出るのでしょうね…。本当にもう全てを諦めてしまっているのでしょうね。自分の夢も自分の命さえも…。

 

「はぁ~…あなた達…?何かってに諦めているのですか~?まったく…。俺がなんで助けたというのですか…。」

 

「え…?」

 

「分からない…。そんな顔をしてますね?ふぅ~…あなた達はまだ生きるのを諦めるには早いんですよ~?それに、一度も幸せのないまま死ぬなんて俺がさせるわけないじゃないですか…。それに、帰る場所なんてない…そんな事を言いましたね?」

 

「え…?うん…。事実にもう私達の居場所なんてどこにも…」

 

「ありますよ…」

 

「え…?」

 

「あると言ったんです…。そんなに居場所が欲しいなら俺があなた達の居場所になってあげますよ…?それに、俺だけではありません。ここにいる人も…そして…俺の家族、結城家の皆も…あなた達の家族になってあげますよ…♪もう…あなた達をバカにする人もいません…あなた達をいじめる人もいません…そしてあなた達が悲しむことも寂しい思いもすることもありません!!愛が欲しいならその愛を俺が…俺達があげますよ♪もう…あなた達はひとりじゃありませんから♪」

 

そう言った瞬間泣きそうな顔でレイナーレ達はうつむいた。

 

「でも…私…は…アーシアや…イッセー君に酷い事を…」

 

「って…言ってますけど?一誠さん?アーシアさん?」

 

俺は二人にかえすと二人は少し考えたあと顔をあげ口を開いた。

 

「レイナーレ…いや、天野夕麻ちゃん…。俺は確かに夕麻ちゃんに一度は殺された…。でも、そのお陰で今こうして部長や皆と会うことができたんだ。それに…、俺は覚えてるよ?夕麻ちゃんが俺を殺したあと…泣きながら俺に“ごめんなさい”って謝ってくれていたことを。」

 

へぇ~…そんなんだ…。

 

「そうです…レイナーレ様。私も確かにレイナーレ様に殺されてしまいました。でも、こうしてイッセーさんにも会えましたし皆さんともお友だちになれました。それに何よりも…、今までひとりぼっちで泣いていた私に…初めて声をかけてくれて…、私の初めての友達になってくれた、レイナーレ様達に感謝しました。私はレイナーレ様に会えたことを今も大切な思い出として残っています。レイナーレ様に会えたことを主にいつも感謝しました…。だから私はレイナーレ様を恨みませんし、許します…!そして、もう一度友達になってほしいです!!」

 

「と?言ってますが?レイナーレさん達?あなた達はそれでも…ひとりじゃないと言えますか…?」

 

「本当…に?本当に許してくれるの…?こんな私を…?」

 

「あぁ…!そうだぜ?夕麻ちゃん!もし本当に心まで悪に染まってたら、ドーナシーク見たいになってたし、何よりも俺を殺して泣いて謝るなんてないからね♪」

 

「そうですよ?レイナーレ様。またいっしょに遊んでくれますか?」

 

「うぅ…うわぁぁぁぁぁん!!」

 

「うぅ…レイナーレ様ぁぁぁ!」

 

「うわぁぁぁぁぁん!うわぁぁぁぁぁん!」

 

こうして俺は堕天使の三人を優しく抱き泣き止むまで待っていた…。

 

―――――――――――――――――――――――

 

あれからかなりの間人前で泣いてたせいか、泣き止んだあと三人は顔を赤くして下を向いていた。

 

「いつまで顔をうつむせにしてるのですか?」

 

「だって…恥ずかしんだもん…」

 

あら…可愛い。美少女よ普段見たことない顔を見るのは新鮮でいいものですね…。

 

「で…?これからどうします?」

 

「うん…決めたわ…。私達はいちからやり直すわ…。だから、これからよろしくね?」

 

「そうですか…。わかりました!自己紹介がまだでしたが、俺の名前は結城つばさです。それでは、これからよろしくお願いしますね。レイナーレさん」

 

「うん、よろしくね?つばさ!」

 

「「よろしくお願いします…つばさ!」」

 

こうして俺達は長い長い夜を無事に終わるのだった。




どうでしたか?こんな感じで終わらせてみました♪次回から焼き鳥編ですね♪どうやってやりましょうかね~♪

それではまた次回をお楽しみに~♪


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戦闘校舎のフェニックス
1話 なんか焼き鳥現れました……


さぁさぁ!焼き鳥編ですのー!!どんな事になるのでしょうね?
さぁレッツらGOー!



あの事件から数日がたった…。あのあと、レイナーレ達三人はリアスさんに今までの事を謝り許してもらったあと、結城家にメイドとして雇われた。そのあと、すぐに堕天使の総督“アザゼル”から手紙が届き『ありがとう。これから三人をよろしく頼む』と書いてあった。俺は、今回の事を話すなとアザゼルから言われてなかったので、結城家に戻ってレイナーレ達に今回の事をすべて話した。すると、レイナーレ達は『アザゼル総督は私達のことをそこまで見守ってくださたってたのですね…。』と嬉し泣きをしながら手を祈るように合わせ、アザゼルに名一杯の感謝をしていた。本当、アザゼルは見た目によらず優しい人なんですから…。

 

ついでに、リアス先輩から『先輩はいらないわ。部長かリアスって呼びなさい!ツバサ!』って言われたので、流石に先輩に対して呼び捨ては失礼なのでさんを付けて呼ぶようにしました。部長は呼びやすくていいんですけど、すごく寂しそうな顔をされるのでさんを付けて呼ぶようします。朱乃先輩にも同じ事を言われたので朱乃先輩もさんを付けて呼ぶようにします

 

「つばさ~?ごはんできたにゃ~、降りてくるにゃ~」

 

「は~い!黒歌姉さん~」

 

俺は今は学校に行く準備をして、黒歌姉さんと幽香さん…じゃなくて、幽香姉さんと暮らしています♪

 

「おっはよ~!黒歌姉さん、幽香s…姉さん」

 

「おはようにゃ~!つばさ」

 

「ふふ、おはよう。つばさ。あと、今“さん”付けしかてたでしょ?」

 

「――うっ! はい、言いかけました…」

 

「まぁ、いいわ。今日は機嫌がいいから次から気お付けなさい?」

 

「は~い」

 

こんな感じが今の朝の出来事だ。初めて今住んでる家に幽香姉さんを連れてきたとき、黒歌姉さんに散々質問された。ただ、紹介するとき幽香姉さんの名前を出したらとんでもなく驚かれた…。何でだろうと思って聞くと、なんでも、大昔に人里を荒らして人間を食べていた大妖怪がいたそんなんだけど、その妖怪は強すぎて誰も手も足も出なかったらしぃの…。ただ、そんなある日…その妖怪はいつも通り人里を荒らそうと目的の人里へ向かっている途中に、広い花畑に二人の子供の女の子がいて、食べようと近いたらしいの。勿論その女の子は逃げるよね?そして、その妖怪は女の子を追いかけようと花畑を踏み荒らしたらしぃの…。ただ…それがいけなかったのだろうね…。その大妖怪は突然現れたら一人の妖怪に手も足も出せずに一撃で倒されちゃったらしいのね…。そしてその大妖怪を倒した妖怪の名前が“風見幽香”。後に姿を消して、伝説の妖怪の一人として数えらるぐらい有名になってる妖怪なんだとさ。スゴいねースゴすぎて言葉がでないよー!ハハハハハ…。

 

まぁ…そんなこんなで今にいたるのですよ…。

 

「にゃ~、やっぱりつばさは可愛いにゃん」

 

「やっぱりそう思うよね?黒歌。あなたもわかっているじゃない」

 

「ふふん!だてにツバサにお姉ちゃんなんて呼ばれていないわ!あなただってわかっているじゃない!」

 

「私もよ、やっぱり最初から思ってたけど…私達って相性抜群ね。友達になれて嬉しいわ黒歌」

 

「こっちこそ!あなたみたいな有名人と友達になれて私は鼻が高いにゃん!これからよろしくにゃん、幽香」

 

「こっちこそよろしくね。黒歌」

 

あはは…本当に仲がよろしくて…。でも、そんなことよりも~…

 

「ああー、もう!いい加減離してください!!学校いけないですよ!遅れてしまうじゃないですか〜!」

 

「いいじゃない?私達が送ってあげるから…。ねぇ?黒歌?」

 

「そうにゃつばさ。私達が送ってあげるから大丈夫にゃん。だからもう少し愛でさせるにゃ」

 

「うわぁぁぁ!はーなーしーてー!!」

 

俺はそのあと一時間ほど愛でられて、宣言通り送ってもらったが…、回りの目がすごく気になった…。そのあと、教室に行くとクラスの皆から『あの人達は誰!?』と、沢山の質問攻めにあい、朝からどっと疲れた俺なのでした…。そして現在放課後です。俺達、俺・木場・イッセーと一緒に部室に行っていた。

え?なぜ“一誠さん”の名前が“イッセー”になっているって?それはね?あの事件のあと一誠さんから、『つばさちゃん!俺の事はこれからイッセーって呼んでくれ。皆からもそう呼ばれているから!それにさん付けもなしな?』って言われたからイッセーと呼ぶようにしたよ?木場さんも“さん”はいらないよ?っと言われたので木場と呼ぶようにしました

 

「なぁ…つばさちゃん?聞きたいことがあるんだけど?」

 

「なに?イッセー?」

 

「昨日な、部長が突然部屋に来て『イッセー!至急私の処女を貰ってちょうだい』なんて事を言われたんだよ…。」

 

「……へっ?」

 

いったい何の話かと思ったら突然どうしたのですかイッセーさん!?とうとう頭もおかしくなってしまったのですか!?あっ…。最初っからか…。

 

「うん?なんかすごくバカにされた気がする…」

 

あはは…。キノセイデスヨー

 

「まぁ…でな?続きがあるんだけど、そのあと俺は部長が突然そんな事を言うもんだからかなり戸惑っていたんだよ。そしたら部長が制服を脱ぎ出してブラジャーもとって、パンツ一丁で俺の上に馬乗りで乗ってたんだよ…。もちもん俺の息子もMAXでなもうウハウハだったよ…。」

 

イッセーさん…。

 

「ド変態…」

 

「ぐっ…ゲホンっ!。と、取りあえずだな、そのあと俺は理性が保てなくなり部長を襲おうとしたら、突然魔方陣が光ってさ、そこからナイスバディーのメイド服を着た銀髪の綺麗なお姉さんが現れたんだよ。そのあと、部長と少し話して『ごめんなさい。イッセー。詳しいことは明日話すわ。今日はこれで我慢してね?』って言って、俺のおデコにキスをしてきたんだよ。お姉さまにキスをされるのっていいね!すごく興奮しちゃったよ!ぐふふふふふ」

 

はぁ、この人は…まったく…

 

「死ねです。超ド変態」

 

「グファッ!」ドサッ!

 

あっ、倒れた。なんで倒れたのでしょうか?不思議ですね~。

……にしても、メイド服を着た銀髪の綺麗なお姉さん?うぅ〜ん。リアスさんで関係する人はただ一人…グレイフィアさんかな?でも、リアスさんがそんな事を言うなんて……もしかして、お家関係なのでしょうか?例えばですね~…そう!結婚とか!

 

「グフ…。そ、そんな事もあってな?最近部長が元気がないんだよ。誰かわかんないか?」

 

あっ…イッセーが復活した。

 

「そうだね…。あまりわかんないけど、部長の悩み事は家の事じゃないかな?」

 

「家の事?」

 

「そうだよ?まぁ、僕は流石にわかんないけどね?部長の懐刀でもある朱乃さんなら知っているんじゃないかな?」

 

ふむふむ…。確かに女王は常に王と一緒にいるもんですから、朱乃さんなら何か知っているでしょうね。

 

「そうかぁ…朱乃さんなら知ってるのかな?」

 

「そうだね。朱乃さんならなにか知って……」

 

すると、突然木場が部室の扉の前で止まった…。どうしたのでしょうか?

 

「どうした?木場?」

 

「いや…まさか僕がここまで来て初めて気配に気づくなんてね…。」

 

「?」

 

イッセーはまるで何を言ってるのかわかってませんね。まぁ…当たり前ですけどね…。てか木場さん?部室の扉の前で気づくなんて結構すごいと思いますよ?普通の下級悪魔で考えたらあの人の気配なんて隣にいても気づきませんからね~…。まぁ~俺は部室にあの人が来た時には気づきましたけどね~。

 

そんな事を思いながら俺達は部室の前まで来た。

 

「部長来ました」

 

「入って来なさい。」

 

「失礼します」

 

俺達は部室に入ると、異様な空気が漂っていた…。リアスさんはどこか不機嫌で、朱乃さんはいつも通りの笑顔だが冷たい感じがして怖い…。小猫ちゃんは部室の隅っこに行って大人しく縮こまっている。そして、部室には、このメンバーの他に、気配の主…イッセーいわくメイド服を着た銀髪の綺麗なお姉さんの、グレイフィアさんがいた。ふむ…やっぱりグレイフィアさんでしたね?あの気配は…。

 

「グレイフィアさん!お久しぶりですね」

 

「はい。ツバサ様。お久しぶりでございます。」

 

ふ~む。今は、仕事モードですか…。仕事モードとは俺が勝手に決めたグレイフィアさんのモードである!

 

「さて、全員揃ったわね?部活をする前に少し皆に話したいことがあるの…」

 

「お嬢様。私がお話ししましょうか?」

 

そう言ったグレイフィアにリアスさんは首を横に降り「いいわ」と言った。

 

「実はね…ッ!」

 

すると、突然部室に魔方陣が展開した…!

 

「(あの魔方陣グレモリー家の魔方陣ではありませんね…?じゃぁいったい誰の…。 )」

 

「―――フェニックスッ!!」

 

近くにいた木場がそう漏らした。

 

「(フェニックス?フェニックスってたしか…)」

 

 そう思った瞬間魔方陣から大量の炎が吹き荒れた。俺はすかさず水の壁の結界を部室全体にはり、部員とグレイフィアさんと部室を守った。

 

 え?グレイフィアさんは大丈夫だろうって?ノンノン!炎はお肌にあたりすぎると悪いのですよ?それに、熱いじゃぁないですか!グレイフィアさんはもしかしたらもしかしなくても熱くないと思いますが、一応と言うことで守りました。別にいいでしょう?

 

すると、魔方陣から、一人の男性が現れた。

 

「ふぅ、人間界は久しふりだ」

 

そこにいたのは、赤いスーツを着た一人の男。スーツを着崩れしているせいか、ネクタイもせずに胸までシャツをワイルドに開けていた。見た目の年齢は二十代前半かな?整った顔立ちではあるけど、どこか悪ガキっぽい影があるね。ポケットに手を突っ込んでるし…。なんと言うか…ちょいワルホスト見たいなひとですね…。

すると、そのホスト悪魔は部室を見渡したあとリアスさんを捉えると口元をにやけさせた。

 

「愛しのリアス。会いに来たぜ」

 

男はニヤニヤしながらそう言った…。何ですか?こいつ…




どうでした~?レイナーレ達三人は無事に生きてますよ~♪今は結城家で絶賛メイドの修行中なのです♪
さて、今回から始まりました焼き鳥編!!どうやってやろうか考え中の三元神なのです。

さぁ…次回はどんな展開になるのでしょうね~♪では♪また次回で会いましょう♪バイバ~イ♪


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2話 焼き鳥大変です

焼き鳥編を頑張っていきます…!


「さっそくだがリアス、式の会場を見に行こう。日取りも決まっているんだ、早め早めがいい」

 

そう言ったホスト悪魔はリアスさんの腕を平気に掴んだ。

 

「…放してちょうだい。ライザー」

 

低く迫力のある声でリアスさんはホスト悪魔の手を振り払った。

すると、イッセーがライザーの所にいった。なにする気なのでしょうか…?

 

「おい、あんた!部長に対して失礼だぞ。つーか、女の子にその態度はどうですか?」

 

「あ?誰、お前?」

 

「俺はリアス・グレモリーの『兵士』兵藤一誠だ!」

 

「ふーん。あっそ」

 

ホスト悪魔はイッセーを興味なさげに反応した。イッセーはその反応をみてズッコケた…。一人漫才してるのですか?

 

「つ…つーか、あんた誰よ?」

 

あ…俺もそれ気になってた。

 

「……おや? リアス、俺のこと下僕に話してないのか? つーか、俺を知らない奴がいるのか?最近の転生者?それにしたってよ。」

 

「あなたのことなんて話す必要ないわ」

 

リアスさんは少し怒気のある声でホスト悪魔に言った。

 

「あらら、相変わらず手厳しいね~。 」

 

ホスト悪魔は目元を引きつらせながら苦笑していた。すると、グレイフィアさんが一歩前にでた。

 

「兵藤一誠さま」

 

「は、はい」

 

「この方はライザー・フェニックスさま。純血の上級悪魔であり、古い家柄を持つフェニックス家のご三男であらせられます。そして、グレモリー家時期当主の婿殿でもあるのです」

 

 婿殿?あぁ、なるほどね…。やっぱりリアスさんの悩み事はこれですか…。まぁ…こんな奴と結婚なんて死んでも嫌ですもんね。てか、イッセーはまだ気づいていないようですね。

 

「リアスお嬢さまとご婚約されておられるのです」

 

「ええええええええええええええええええええええええええええええッッ!!」

 

グレイフィアさんの最後の言葉でやっと理解したイッセーはかなりの大声で叫んだ。てか、叫びすぎだよイッセー…。耳が良い方だから痛い…。

 

――――――――――――――――――――――

 

あれから、ライザーはリアスさんの体をベタベタと触りまくって、リアスさんに怒鳴られていた。そのあとは二人で悪魔の事とか純血の事とか家の事とか…色々言い争っていた。

 

――こいつ…気持ち悪いなぁ。

 

「あなたとは結婚しないは、ライザー。私は私が良いと思った者と結婚する。古い家柄の悪魔にだって、それぐらいの権利はあるわ」

 

まぁ~。たしかに、あるんでしょうけど…。悪魔の事となると、しかも名家ともなればそれを無視されてしまうのでしょうね。

 

「……俺もな、リアス。フェニックス家の看板背負った悪魔なんだよ。この名前に泥をかけられるわけにもいかないんだ。そもそも、俺はこんな狭くてボロい人間界なんかに来たくなかったしな。というか、俺は人間界があまり好きじゃない。この世界の炎と風は汚い。炎と風を司る悪魔としては、耐え難いんだよ!」

 

すると、ライザーの全身から炎がたちあがる 

 

「俺は君の下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れ帰るぞ」

 

「やってみなさい、ライザー。本当にそれをするならば私が貴方を消し飛ばしてあげる!」

 

部屋に二人の殺気と魔力がぶつかる。正に一触即発ですね。俺が動かないといけないのかな?

 

俺が動こうとした時……

 

「ツバサ様。さすがに、貴方様にこんなことまでやらせるわけにはいけません。今回は私に任せてください。これでもグレモリー家のメイド長ですので。」

 

そう言われた俺は動かないことにした。そうしたら、グレイフィアは俺に見えるように微笑んだあと二人のところまで歩いた。

 

ヤバイ!あの人の微笑みはダメですよ…。ただの不意討ちです…。本当、サーゼクスさんはいい奥さんをもらえましたね…。いいな~。俺もいつかあんなお嫁さんが欲しいなぁ。……おい、誰ですか? お嫁さんになるの?って言ったやからわ! 俺は男ですよ!?

 

「お嬢さま、ライザーさま、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら、私も黙って見ているわけにもいかなくなります。私はサーゼクスさまの名誉のためにも遠慮などしないつもりです」

 

そんな事を思っているとグレイフィアさんは二人よりも静がだけど大きく濃いい殺気をだした。うん…綺麗な薔薇ほど刺があるといいますけど、まさにグレイフィアさんがそうですね…。きっとサーゼクスさんは魔王の仕事をサボるたびこれよりも大きな殺気でおこられているのですね。おぉ、こわいこわい。

 

すると、さっきまで一触即発だった二人は冷や汗をかきながら、殺気と魔力を消した。まぁ…それが妥当ですよ。

 

「……最強の『女王』と称されるあなたにそんなこと言われたら、俺も流石に怖いよ。サーゼクスさまの眷族はバケモノ揃いと評判だから、俺も相手にしたくない」

 

そう言ったライザーは苦笑しながら答えた。まぁたしかにサーゼクスさんの眷属は一度全員に合った時がありましたが、あれは…けた違いですよ。本当に…うん。よくあそこまでのメンバーを揃えれましたね。あれも、サーゼクスさんの力なのかな? 人徳のなせる技だね。

 

「こうなることは、旦那様もフェニックス家の皆様もサーゼクス様もわかっておいででした。正直申し上げますと、これが最後の話合いの場だったのです。それをふまえてサーゼクス様は最終手段を取り入れることとしました。お嬢さま、ご自分の意志を押し通すのでしたら、ライザーさまと『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはいかがでしょうか?」

 

ほほう…、なるほどですね。つまり、レーティングゲームでリアスさんが勝てば結婚は無し。ライザーが勝てば即結婚と…。そんな感じですかね? しかし、俺はともかくリアスさんたちグレモリー眷属はライザーに勝つことは難しいでしょうね。ライザーはもう成熟した悪魔…だから、レーティングゲームもでています。グレイフィアさんに聞いたところ、ライザーは10戦中、8勝2敗なのですが…、その2敗はお得意様に勝たせてあげたらしいですから、実質全勝中なんですよね~。しかも、今全勝中なのは、フェニックス家の能力『不死』にあるのでしょうね。フェニックス家はその名のとおり、不死鳥です。倒しても倒しても回復して復活するという、戦う相手で一番面倒な相手ですね。

 

まぁ…俺はいままでいろんな『不死身』と呼ばれる者と戦ってきているので、ライザー程度の不死身はいつでも殺せますが…。グレモリー眷属には厳しいでしょうね…。

 

すると、ライザーは部室内を見渡し部員の数をみたあと、不適に笑った。

 

「なあ、リアス。まさか、ここにいる面子がキミの下僕なのか?」

 

「そうよ?だとしたらどうなの?」

 

それを聞いたライザーはくくくと笑いだした。なに笑ってんの?こいつ…。

 

「これじゃ、話にならないんじゃないか? キミの『女王』である『雷の巫女』ぐらいしか俺のかわいい下僕に対抗できそうにないな」

 

ライザーは指を鳴らした。突然魔方陣が光だし炎が吹き荒れる、すると数人の人影があらわれた。炎がやみそこにいたのは…、15人の女の子達だった。しかも…皆、美女美少女だった…。なにこいつ~。

 

「と、まあ、これが俺のかわいい下僕たちだ」

 

ライザーはまるで勝ち誇ったように言った。たしかに人数だけなら、グレモリー眷属は負けるでしょう…。でも…確か悪魔の駒は自分の眷属に転生させるとき、その転生者の実力により、駒の数が異なるんですよね?だとしたら、チェスの駒が全部で15個なので、一人一個ずつですか…。なるほどね…。ライザーは質よりも量を選んだのですか…。まぁ、もしかしたら、ただたんにハーレムを作っただけなんでしょうけど。 

 

「おい、リアス……。この下僕くん、俺を見て大号泣しているんだが」

 

ライザーは引きった顔でリアスさんに言った。俺はライザーの言った事が気になりイッセーの方にむくと、まるで、恨み人がいるような顔で血涙を流しながらライザーを睨んでいた…。

 

――なにしてんの?イッセー?

 

「その子の夢がハーレムなの。きっと、ライザーの下僕悪魔たちを見て感動したんだと思うわ。」

 

すると、それを見たリアスさんは呆れながらそう答えた…。確かにイッセーはそんな事を叫んでましたね。

 

「きもーい」

 

「ライザーさまー、このヒト、気持ち悪~い」

 

すると、ライザーの近くに立っていたおんなじ顔の女の子。双子かな?その女の子が心底気持ち悪そうに言っていた。確かに…キモいですね…イッセー。

 

 

「そう言うな、俺のかわいいおまえたち。上流階級の者を羨望の眼差しで見てくるのは下賤な輩の常さ。あいつらに俺とおまえたちが熱々なところを見せつけてやろう」

 

すると、ライザーは隣にいた、胸の大きな女性を自分に引き寄せ、その女性は『あ…』といった瞬間……。俺の視界が暗くなった。何故でしょうか?目の前が暗くなってさらになにも聞こえないです…。

そんな事を思っていると、頭になにかフニョンとした感触があった。あれ?これってもしかして…。イッセーの好きなあれ?俺は目隠しをしている人の気配を探ると、銀髪メイドのグレイフィアさんだった。

 

「グレイフィアさん?前が見えないのですが…」

 

「すみません。ツバサ様。あなたの教育上よろしくありませんので塞がせてもらっています。」

 

教育上よろしくない?ライザーはいったい何をしているのでしょうか…

 

「あの~イッセーさん?前が見えないのですが?」

 

「祐斗先輩…。前が見えないです。」

 

「「君たちの教育上悪いからね」」

 

すると、横の方でイッセーと木場の声がハモった気がした。

 

「お前じゃ、こんなこと一生できまい。下級悪魔くん」

 

すると、ライザーの声が聞こえたと思ったら目の前の視界が戻った。すると、ライザーに何かをされた女性は顔を赤くしていた。本当に何してたの?ライザー?

 

「俺が思っていること、そのまんま言うな!ちくしょう!『赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)』」

 

すると、イッセーは叫びながら赤龍帝の籠手をだした。

 

「お前みたいな女ったらしと部長は不釣合いだ! 焼き鳥野郎! ゲームなんざ必要ねぇさ! 俺がこの場で全員倒してやらぁ!」

 

う~ん…イッセー?確かにその意気込みは褒めてあげるけどもねぇ?あなたの実力ではまだライザー眷属の誰一人として倒せないですよ?

 

「ミラ、やれ」

 

「はい、ライザーさま」

 

ライザーがそう言うと、ミラと呼ばれた根をもった少女が目の前に走ってきているイッセーの所に走った。

すると、少女はイッセーに向けて根をつきだした。

 

「(あぁ、あれではイッセーがやられますね…。あの少女…、ライザー眷属の中では一番弱いみですね。あ…リアスさんが心配している…。はぁ、仕方ないですね…。手間をかけささるんだから。)」

 

少女の根がイッセーの腹に当たろうとした瞬間根は砕け散った。そう、俺が少女とイッセーの間にいき、根を砕いたからだ。

 

「え…?」

 

「なっ!」

 

少女とライザーは突然おこった出来事についていってないですね?グレイフィアさんは当たり前みたいな顔で、リアスさんとイッセーを含んだグレモリー眷属はまたか…みたいな感じの顔をしていた。

 

「き、貴様。何故ここに人間がいるんだ!それにいつからここにいた!」

 

「いつからって…。最初からいたけど?」

 

「な、なんだと?デタラメを言うな!」

 

「デタラメもなにも……。あ…。」

 

そう言えばライザーが来た瞬間 【無意識を操る程度の能力】でライザーと、あとで来た眷属に俺をわかんないようにしてたんだった。

 

「ライザー?この子は最初っから私達と一緒にいたわよ?まさかと思うけど…、気づいていなかったの?」

 

「ぐ…!」

 

リアスさんはバカにするように言って、ライザーは悔しそうに奥歯を噛んでいた。まぁ…リアスさんはこの能力は知っているので、バカにできますが朱乃さんを除いたグレモリー眷属はこの能力の事は知らないんですよね~。え?グレイフィアさん?もちろん知ってますよ?サーゼクスさんと一緒に家に遊びに来たときにこの“コピー能力”は教えましたからね~。他の能力はまだ教えておりません。だって、この能力だけでもチートだけなのに、他の能力もけた違いにチートですもの。

 

「ふん、まぁいい。おい…そこの人間!」

 

すると、ライザーは俺に向かって叫んできた。はぁ…なんですか?いったいなんでしょうか…。

 

「はい。なんでしょうか?」

 

「人間であるお前がなぜここにいるかはよしとしよう。……それに、よく見るとお前、かなり可愛いじゃないか。――よし、決めた!お前を俺の女にしてやる! さぁ、こっちにこい。お前をとことん可愛がってやるぞ?」

 

は?ふざけてんの?この人は…。俺…やっぱりこいつを殺s…

 

ーーーゾクンッ!!

 

ひゃぅ!?な、なんでしょうか、このすごい殺気。

すると、グレモリー眷属とグレイフィアさんから物凄い殺気がでていた。あ…、アーシアさんは出ていませんね…。よ、よかった~…。いや、実際は良くないけど良かったぁ。でもなんか…すごく怒ってるけど…。

 

「――ねぇ、ライザー?ふざけるのもいい加減にしてちょうだい。私の大事な友達を汚すき?」

 

「うふふふ…。さすがの私でもこの子を汚すのであれば容赦はしませんわよ?」

 

「僕らのアーシアと同じ癒しを奪うのなら…さすがの僕でもこれだけは見逃せませんね…」

 

「……殺す」

 

「つばささんを汚すのは主が許しても、私は許しません!つばささんは私の大事な友達ですから!」

 

「あぁ!俺らのつばさちゃんを汚すのならテメーをぶっ殺してやる!」

 

「な、なんなんだ!お前ら!そんなにその人間が大事なのか!?」

 

「「「「「「そう(だ)(よ)(です)」」」」」」

 

わぁお…。なんだか、俺の思ってた以上に愛されていましたね…。なんだか、最近皆がやたらと気にかけて優しくしてくれると思ったら、そんな事を思ってたんですね。嬉しく思うんですけど…。すごく恥ずかしい…です。

 

すると、グレイフィアさんがグレモリー眷属の皆よりも、少し前にライザーとリアスさんの喧嘩をとめたときよりも大きくなった殺気と魔力でライザーを睨んでいた。

 

「ライザー様。さすがの私でもこの子に手を出すのであればあなたを消さなければなりません。この子は我が主“サーゼクス・ルシファー”様の親友の大切なご家族でございます。同時に我が主の大切なお友達でもございます。

……もし、この子に手を出す事になりますと――貴方様を魔王の敵と判断し、サーゼクス様とその眷属によってあなたを本気で消しにきますので…。ですから、この子には手を出さないで下さいませ」

 

ライザーはグレイフィアさんの圧力にまけ冷や汗がかなりでていた。

 

て…えぇ!?俺が汚されるとサーゼクス様と眷属総出で俺を汚した奴を消しにくるの!?

 

うわぁ…そう考えたら今まであってきた奴でいったいこの世で何人消されているんだろう? てか、たぶん…サーゼクス様と眷属が消しにくるまえに、うちの兄さん姉さん達に先に消されそうだけど…。

 

「なっ!?――ぐっ…わ、わかりました。さすがにそれは怖いのでやめておきましょう…」

 

確かに怖いけど、男の癖にこのくらいの脅しでビビるとか――

 

「……チキン」

 

「なに?きさまなんていった…?」

 

おろ? かなり小さな声で言ったのに聞こえてたんだね。

 

「――チキン」

 

「おい……貴様は何が言いたい。さっきから何を言っているんだ!!」

 

お?ライザーの顔に青筋がたった。――ふふふ

 

「チキンと言ったんですよ?ライザーさん。このくらいの事でビビるとか…。チキンとしか言いようがないですよ。いや…焼き鳥でしたか?」

 

「――ぶふぅっ! や、焼き鳥!あーははは!…くくくっ!ダメだ!お腹がいたい…!ひーひー」

 

「――つばさっ。ふふ、面白すぎるわ…!」

 

「うふふふ…!さすがつばさちゃんですわね」

 

「イッセーくん…くく…さすがに…ふっ…笑いすぎるのは失礼だよ…ふふっ」

 

「ふふふ…さすがつばさ先輩です…くふ」

 

 

俺が焼き鳥と言った瞬間リアスさんとグレモリー眷属の皆が笑っていた。グレイフィアさんも顔は変わらないが肩を震わしていた。

 

 

「き…貴様ぁぁぁ!?俺が手を出さないと思って調子に乗りやがって!」

 

「別に調子には乗っていませんよ?それに、確かに俺を汚したら消されるんだろうけど~、グレイフィアさんは一言も怪我をさせると消しにくる…なんて言ってませんけど?」

 

「なに…」

 

本当に鳥頭…これくらいの事もわからないなんて…。

 

「くくく!そうか…。そうだったな!きさま…。名前はなんだ!」

 

「名前?名前は結城翼ですよ?」

 

「結城ツバサか…。わかった…。貴様、レーティングゲームにでろ!」

 

…………ほう

 

「――なっ!?なにいってるの!ライザー!!」

 

リアスさんは驚いた顔でライザーに叫んだ。

 

「この子は人間なのよ!?でれるわけが…」

 

「グレイフィアさん」

 

「はい。なんでしょうか?ライザー様。」

 

ライザーはグレイフィアさんを突然呼んだ。

 

「人間も出れるようにできますよね?」

 

「なるほど。つまりライザー様はつばさ様に仮眷属の駒を使ってレーティングゲームにださせると…。そう言うことですね?」

 

「そうです。例外ですがあれを使えばレーティングゲームに参加できるてしょうからね…。」

 

「わかりました…。サーゼクス様に聞いて参ります。」

 

そう言ってグレイフィアさんは部室の外に出た。

 

「――ライザー!あなた!」

 

「ふん。そこの人間が俺をバカにしたのが悪いのだ。それに公式に俺が勝てば俺はお前らを好きにできる…。と、言うことは…。俺がそこの人間に勝てば、そこの人間は俺の物となるのだ。だからいくら好きにして汚そうと、いくらサーゼクス様でも手を出さないからな!まぁ…この俺が人間ごときに負けるなんて事はないだろうがな!ははははは!」

 

「ライザー…ッ!!」

 

こいつ…本当に下衆ですね。こんな奴がいるなんて、ライザーのお兄さんとお父さんは頭を抱えてるでしょうね~…。何故俺がライザーのお兄さんとお父さんを知っているのかって?もちろん兄さんが知ってたから会っているのですよ。あ、もちろんリアスさんのお父さんとお母さんにもね!

にしても、ライザーはアホですね…。確かに俺に勝てばいくら魔王であるサーゼクスさんでも手を出さないでしょう…。しかし、悪魔のルールなんて俺ら結城家に関係ないですよ?つまり、サーゼクスさんは手を出さないけど兄さんと姉さん達は手を出せるということです。それに…

 

 

――――俺に勝てるとでも思っているんですか?

 

 

 

「サーゼクス様に連絡したところ、OKが出ました。つばさ様?レーティングゲームに参加しますか?」

 

「はい。もちろん受けてたちますよ?」

 

「わかりました。では、この事をサーゼクス様と両家の皆様に伝えさせてもらいます。では、私はこれで失礼いたします。そして、レーティングゲームは10日後にいたします。」

 

そう言ったグレイフィアさんは帰ってしまった。あーあ…、きっと両家とも驚くだろうなぁ~。俺が出ることに~。

 

「おい!つばさ!」

 

「なんですか?ライザーさん?」

 

「貴様をレーティングゲームでボロボロにしてやる。そして、俺が勝ったら貴様を身体と心が壊れるまで遊んでやる。たとえ嫌がってもな!」

 

「はぁ~…。お好きにどうぞ?勝てるのであれば…ね?」

 

「ふん。その余裕いつまでもつか…。そうだおいそこの『兵士』」

 

突然ライザーはイッセーを呼んだ。なぜでしょうか?

 

「俺の名前は兵藤一誠だ!」

 

「ふん、そんなのしらん…。リアスに恥をかかせるなよ、リアスの『兵士』。おまえの一撃がリアスの一撃なんだよ。わかったな。」

 

そう言い残してライザーとその眷属は魔方陣で帰っていった。ふぅ~…疲れましたぁ~。あの野郎…。絶対後悔させてあげるけどもね♪

 

「ごめんなさい。つばさ。私のせいで巻き込んでしまって…。」

 

「気にしないでいいですよ~、リアスさん。俺が勝手に首を突っ込んだに過ぎないですからね~。あと、俺も参加するんですから、眷属皆で勝ちましょうよ。あのライザーを皆でぶっ飛ばしましょう!」

 

「そうね…。そうよね!わかったわつばさ!絶対にこのゲームに勝ってライザーをぶっ飛ばしましょう!力をかしてね?皆!」

 

『はい!部長!』

 

こうして俺達は、焼き鳥のライザーと戦うことになったのだった。

 

―side out―

 

 

―サーゼクスside―

やぁ!魔王サーゼクス・ルシファーだよ。今僕の目の前にはグレイフィアがいる。今回のライザーとリアスの話し合いの結果の報告をしにきてるんだよ。

 

「これが、今回の結果でした。サーゼクスさま。」

 

「うん。ありがとうグレイフィア。さがっていいよ。」

 

「わかりました。サーゼクス様、今回つばさ様はどうなさるのですか?やはり光輝様と皐月様に連絡をいれてはどうでしょうか?」

 

「うん…。その事なんだけど、包み隠さず今回の事を話したら、OKが出てしまったよ…。なんでも『つーくんなら負ける要素がないな。その代わり、ライザーが潰されるだろうな』って皐月に言われたよ。隣にいた光輝も『心配するな。アイツが負けるということはない。むしろライザーの心配をしてろ。アイツはライザー…いや、フェニックスよりも凶悪で最悪な不死身どもと戦って倒しているからな…。だから、ライザーごときにつーくんは殺られんよ。』っていわれたんだよ…。なんて言うか、どうやってそんな育て上げたんだろうね」

 

「まぁ…あの方々ですからね。で…どうするんですか?サーゼクス様」

 

グレイフィアは苦笑しつつ聞いてきた。

 

「うーん…。制限をしたいところだけども、つばさの全力がまだわかんないんだよね、確かに私を殆ど無傷で倒した時も、本人いわく結構力を出したそうだが全力はだしてなかったしね。それに、無駄に制限かけるとあとあと面倒な事になるだろうし、そのままでいいよ。グレイフィア。」

 

「わかりました。そうさせていただきます。では、私はこれで…。」

 

そう言ったグレイフィアは部屋に出ていった…。ふぅ…さて、どんな結果になるのだろうね~今回のレーティングゲームは…

 

「つばさくん?君の戦い…楽しみにしておくよ?」

 

そう言った私は自分の仕事に戻るのだった。

 

 

 




どうですか~♪今回はこんな感じに終わらせました~。
いや~。焼き鳥編は難しいですよ。取り敢えず、焼き鳥は虐められるとおもいます。次回も乞うご期待です!バイバ~イ♪


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3話 修業です!お風呂です!!ハプニングです!?

今日は台風で電車が止まっていますね~…おぉこわいこわい。
今回は修業です!今回も頑張って書いていくので末永く見守ってくださると嬉しいです。それではゆっくりしていってくださいね♪


ハロハロ~!皆~、今日も元気一杯なつばさだよ~ん♪

と~…、冗談はさておき。

 昨日の夜にライザーとか言う焼き鳥野郎が来て、リアスさんとなんやかんやあって、レーティングゲームをすることになったの。そんで、俺も参加するはめになったのだが、俺…いや、俺達はリアスさん…グレモリー家の別荘に向かってるよ~。なぜ、向かってるのかというと~、リアスさんに一緒に鍛えてほしいと頼まれて、グレモリー眷属を鍛えるためにリアスさんの別荘を借りて、そこで修業をするので向かってるのですよ。

 

「お…重いよ…つばさちゃん」

 

俺の下で大きな荷物を持っているイッセーが「ひーひー」言いながら階段を上っていた。

 

「イッセー?俺が男の子だったからよかったけど、人にあまり、重たいなんて言ってはダメですよ?女性は怖いんですからね?」

 

「でも…つばさ…ちゃんが…乗っているからっ」

 

そう…俺は今、イッセーの荷物の上に乗っているのだ。イッセーの荷物はリアスさんとかの荷物も合わせて、イッセーの体長の2倍位の荷物を持たされているのだ。リアスさんいわく、体力が少なすぎるからもっと増やすために、荷物を増やしてさらに、俺も乗っているのだ。

 

「つばさちゃん?そう…いえば…、木場…と、小猫…ちゃんは、どこ?」

 

「木場と小猫ちゃんですか?それは…」

 

俺はイッセーの横にある森の中に視線を移した。するとそこには…

 

「祐斗先輩…。これだけあれば足りますか?」

 

「うん。ありがとう小猫ちゃん。僕もこんなに沢山取れたし、こんだけあれば今日の晩御飯は足りるね。」

 

木場と小猫ちゃんが山菜を採っていた。

 

「あそこで、山菜を採っていますよ?」

 

「山菜!?」

 

「そうです。山菜ですけど…、何でそんなに驚いているのです?」

 

「そりゃぁ…だって…俺は…こん…な…に、荷物を持っている…のに、木場と…小猫ちゃんは…山菜を…採っている…なんて…。」

 

「あぁ~、なるほどね…。つまりイッセーは自分は大きな荷物を持っているのに、他の二人は二人で仲良く山菜を採っている事にたいし、不公平だと言いたいのですね?」

 

「うっ!そう…です…!」

 

はぁ…イッセーはそうすぐに決めつけるんだから…。それに、いつから木場と小猫ちゃんは荷物を持っていないと思いましたか?木場と小猫ちゃんがいつ…イッセーよりも軽い荷物を持っていると誰が言いました?

 

「イッセー?もう一度、ふたりをよく見てください…。」

 

「なん…で…?」

 

すると、ふたりが俺とイッセーの方に歩いてきた。山菜が沢山入ったカゴに…、イッセーよりも大きな荷物を背負っているふたりが…。

 

「え…?」

 

「どうしたんだい?イッセーくん?」

 

「イッセー先輩…。いつまでのそのそと歩いているんですか…?」

 

イッセーは言葉が出ないみたいですね~。まぁ、そうでしょうね…。なんせ、木場はイッセーよりも少し大きくて、小猫ちゃんはイッセーの荷物よりも2倍位の差があるんですからね~。

 

「こら!イッセー!早くしなさい!おいていくわよ!」

 

「ふふ♪イッセーくん。先に上がってるね?」

 

「イッセー先輩。お先です。」

 

木場と小猫ちゃんはイッセーよりも大きな荷物とさらに山菜を持っているのにもかかわらず、すいすいと上がっていった。

 

「くっそ~!俺も負けてらんねーー!」

 

すると、イッセーはふたりに感化されたのか、いきなり力いっぱい踏み込んだ。

 

「うおぉぉぉぉぉ!!」

 

そのまま、イッセーは猛ダッシュで階段をかけ上った。イッセー…、別に無理あり上がっていくのはいいですけど…、まだこれから修業があるの忘れていませんか?

そいて、無事に階段を上りきったイッセーは予想通り倒れた…。

 

「おぉ~い、イッセー。生きてますか~」

 

俺はイッセーを木の棒で突いた。

 

「…………」

 

だが、イッセーはピクリとも動かなかった。

 

「返事がない。ただの屍のようだ。」

 

「イッセー、つばさ。上がって来たなら早く着替えて………なにしてるのよ、つばさ?」

 

すると、先に上に上がっていたリアスさんがきて、俺が倒れているイッセーに木の棒で突いているのを何してるのと聞かれてきた。

 

「あ、リアスさん!わかりました~!あと、これは気にしないでください。ただ、後先考えず暴走して勝手に力尽きたイッセーを突いているだけですから」

 

「そう…なの?……まぁ、とりあえず早くしたくしなさい。特に貴方には皆を鍛えて貰わないといけないのだから。この10日間はお願いね?」

 

「はい、頑張りますよ~」

 

「そう。ありがとう。アーシア!」

 

「はい!」

 

「イッセーを回復してあげて?」

 

「はい!わかりました!」

 

そう言ったアーシアはイッセーに回復をかけて、しばらくしてイッセーは復活した。そして、着替えていない俺とイッセーはすぐさま着替えてリアスさん達がいる大きな庭に来ていた。

 

「ふぅ…。皆そろったわね!今日から10日後のレーティングゲームに向けて、みっちりと修業をするわ!このレーティングゲームは絶対に勝って…あのライザーを見返してやりましょう!」

 

『はい!!部長!!』

 

「今回の修業はつばさちゃんが手伝ってくれるわ。皆、つばさちゃんの指示を確り聞いてね?」

 

『はい!部長!』

 

「それでは、今回の修業の師範を任された結城つばさです。この10日間、あなた達をみっちりと鍛えて上げますので覚悟してくださいね?よろしくお願いします、みんな」

 

『よろしくお願いします!つばさちゃん!』

 

「じぁ~…その前に、今日は俺以外にあなた達を見てくれる人を呼びました~。どうぞ~来てください」

 

すると、林の奥から数人の人が現れた。

 

「つばさ?その子達は誰?」

 

「はい。リアスさん。この人達は皆俺の部隊の仲間ですよ?あ!自己紹介を………」

 

「いいよつばさ。私達が自分でするから。」

 

すると、一人の少女がそう言って前に出た。

 

「私の名前は藤原妹紅だ。よろしく。」

 

「私の名前は紅美鈴です。よろしくお願いします!」

 

「私の名前は魂魄妖夢です!よろしくお願いします」

 

「私は………まぁ…一度名前を言ってるけどもう一回言うわ。風見幽香よ。よろしく。」

 

「と、まぁ…今回のあなた達の修業を手伝ってくれる人達です!」

 

なぜこの人達がいるのか。それは、前に風見幽香さんが『他の幻想郷組の何人かがあなたの部隊に入るわね?』と言ってたのは覚えていますよね?それでなんですけど…、ライザーがオカルト研究部にきた2日前の日に幻想郷組が地球連邦軍にきたので、それぞれさつき姉さんとなつる姉さんが部隊分けをして、俺の部隊に幻想郷の数名がきたのだ。つっても殆どだけどね…。てなわけで、今回の修業で一人では無理があると考えて今回のメンバーで一番最適な人達を連れてきたってわけなのです。

 

「じぁ…まずは、リアスさんと朱乃さんには藤原妹紅さんと。小猫ちゃんは紅美鈴さんと。木場は魂魄妖夢さんと。そして、イッセーとアーシアには幽香お姉ちゃんと修業をしてください」

 

こうして俺は皆の修業を見ることになった。

 

――――――――――――――――――――――

まず最初は、木場祐斗からだね。

 

「木場さんでしたね?魂魄妖夢です。よろしくお願いします。妖夢とよんでください。」

 

「わかった。よろしく妖夢さん。」

 

「はい。よろしくお願いいたします。木場さん。」

 

ふむ…妖夢さんは、幻想郷には自分と同じ剣使いがいないから少し楽しそうですね。

 

「あ…そうだ、他の人は後で、俺が行くのでそれまで、自分の担当の人達と修業をしていてください。特にイッセーは、あなたの神器【赤龍帝の籠手】はこの能力は、自分の体力で決まるので、特に体力作りに励んでください…。いいですね?」

 

「わかったよ。つばさちゃん。」

 

「では…木場さん。此方に…」

 

「うん。」

 

俺は木場と妖夢を連れて皆と少し離れた、さっきよりも少し小さめの中庭にきた。

 

「じゃぁ、二人とも?お互いの力を試すために先に模擬戦をします。準備をしてください。」

 

二人はお互いの位置を確認して、お互い向かい合うように自分の獲物を構えた。

 

「よろしく。妖夢さん。あなたがどれだけ強いか楽しみだよ。」

 

「はい。私も楽しみです。私の他の剣士と戦えることを…。」

 

ふたりはお互い少し笑いあった。なんか楽しそうですね…。

 

「準備はいいですかふたりとも。」

 

「うん。いいよつばささん。」

 

「こちらもOKです。つばさ。」

 

「それでは、木場祐斗と魂魄妖夢の模擬戦を始めます…。始め!!」

 

俺の合図と共にふたりは切りあった。妖夢は刀を、木場は剣を…、お互いに違う武器を持った剣士が切りあっているのは面白いですね、なんか。

妖夢は木場の懐にはいり居合いを放つが木場はそれを紙一重でかわし、木場はそのままカウンター気味に剣を降り下ろすが妖夢はこれをわかっていたかのようにかわした。そのあと、ふたりの切りあいは激しさをまし、木場は悪魔の駒の能力を最大に使って『騎士』の特性(速さ)を上げる。スピードが最初よりも上がり、剣の手数も増やすが、妖夢も手数を増やしスピードも上げる。ふたりの戦いは最早達人どうしの戦いだ。あまりの速さで戦っている。この戦いは普通の人は絶対に見えないだろう。

 でも…それでも俺からしたら遅いけどね~。

 

すると、模擬戦をするためにかけたタイマーが鳴った。

 

「両者そこまで!」

 

先程まで戦っていたふたりは戦いをやめて息を荒くしていた。

 

「ははは…。まさか僕の速さについてこられる人がいるなんて…。やっぱり世界は広いね。」

 

「ふふ、私も久しぶりにあなたのような剣士と戦えて楽しかったですよ。」

 

お互いに笑いあいながら握手をした。てか、何だかんだ終わりの雰囲気が出ているのですが気のせいでしょうか?

 

「ふたりでいい感じで握手をするのは構いませんが…。目的は修業ですけど忘れていませんか?」

 

「「あ…」」

 

「はぁ…やっぱり忘れていましたね?まったく…。まぁいいでしょう…。とりあえず、妖夢さんどうでした?木場の実力は…」

 

妖夢は少し考える仕草をしたあと、口を開く

 

「そうですね。木場さんは剣の形と速さは申し分ないですが、それ以外はダメですね。まず、相手の攻撃の読みがあまいです。あと、剣があまりに正直過ぎます。剣筋が正直なのはいいのですが、それだと相手に読まれやすくなり、それで命取りになってしまう時があります。この場合、剣を相手に反応できないぐらいの速さで斬るか、フェイントをかけたり剣をふる軌道を変えるかですね。」

 

「なるほどね…。」

 

「ちょっと待って下さい」

 

すると、木場は手を上げて待ったをかけてきた。

 

「なんですか?木場さん?」

 

「その子は僕よりも強いのですか?」

 

「あぁ~そう言うことですね!はい!強いですよ♪なんせこの人は最強の剣士を目指す人ですし、何よりこの人の師匠がかなり強かったですもの。俺が知ってる剣士の中で一番強かったのですからね…。」

 

「え?そうなんですか?」

 

「はい、そうですよ。それに、あなたの師匠よりも遥かに強いですからね~。多分世界最強の剣士はあの人だと思っていますからね~。少なくとも俺はそう思っていますよ~。」

 

「え!?」

 

「まぁ…今回あなたは妖夢と戦いながら剣術と戦い方を盗んでれば、自然と強くなれますんで頑張ってくださいね~。それでは俺は他の皆さんの所にいきますね?妖夢さんあとの事をよろしくお願いいたします。木場をみっちりと鍛えてください。」

 

「わかりました。つばさ。今度また手合わせをお願いいたしますね?」

 

「はい!喜んで!」

 

そう言って俺はこの場を後にした。

 

――――――――――――――――――――――

「さぁてと…次は~…」

 

俺はいま別荘近くの森の中を歩いている。

 

「お?…いたいた!」

 

俺はとあるふたりを探すために森の中を歩いていたが目的のふたりを見つけた。それは…

 

「小猫ちゃんに美鈴さん、修業の方はどうですか?」

 

「あ、つばささん!この小猫ちゃんはすごくセンスがいいのですよ!なんせ、私の太極拳を覚えてさらに仙術を混ぜた技まで開発したんですよ?小猫ちゃんは」

 

「おぉ〜!美鈴さんの太極拳を覚えたのですか!スゴいですね~。それに仙術を使えるとは…、やはり猫又の中でも希少な猫魈はスゴいですね!」

 

「つばさ先輩!?私の正体をわかっていたのですか!?」

 

「はい、わかっていましたよ~。始めてあなたと出会った時からね~」

 

「つばさ先輩…なんで…」

 

「それはですね…、俺の部隊にあなたと同じ猫又の妖怪がふたりいるんですよ~。地球連邦軍では俺の部隊にいる猫又と合わせてふたりいますがね~。まぁ、その関係であなたとその猫又の子と同じ気の気配を感じたので猫又とわかりました。それに、普通の猫又よりも強い力を感じたので猫又の上位種の猫魈だとわかりました~。」

 

まっ…、実際は黒歌さんを助けたときに、貴女もいたのを覚えていただけなんですけどね~。そもそも、サーゼクスさんに小猫ちゃんこと、白音を預けるのを選択させたのは俺ですからね~。つっても決めたのは黒歌さんだけどね。

 

「そうですか…。相変わらずスゴいですね…。つばさ先輩は…。」

 

「あはは~。よく言われます。」

 

俺は苦笑しながら答えた。

 

「小猫ちゃんは大丈夫そうですね。このまま頑張ってください。小猫ちゃん。美鈴さんもこのままよろしくお願いいたしますね?」

 

「はい!わかっていますよ。つばささん。では…小猫ちゃん。次いきましょうか?」

 

「はい、美鈴先生」

 

あはは~、美鈴さんえらくなつかれていますね~。まぁ…このままいけば小猫ちゃんは大丈夫でしょうね~。それにしても、てっきり姉の件で仙術は怖がるかと思っていましたけど、あの楽しそうな顔は大丈夫そうですね~。黒歌が小猫は私のせいで仙術を使うのを怖がっていないかと心配していましたが、心配するだけ無駄なようですね。帰ったらこの事を伝えてあげましょうか

さてと…次は誰の所にいきましょうかね~。

 

――――――――――――――――――――――

「ぎゃぁぁぁ!!死ぬーーー!!」

 

ズドォォォォォンズドォォォォォンズドォォォォォン!!

 

俺はイッセーとアーシアの修業を見にきたのだがぁ…、何だかえらいことになっていますね…。

 

「あれ?つばささん来ていたのですか?」

 

すると、後ろにアーシアがたっていた。

 

「うん、イッセーとアーシアの修業の様子を見にきたのですが………えらいことになってますね…。」

 

「はい~。つばささんがイッセーさんに体力を増やすよう言われたあと、幽香さんが『まずは、あなたは体力をつけるために走りなさい!そして、走りながら余裕で私の攻撃を避けれるようにしなさい!!』と言われて、そのあとはずっとこれなのです。イッセーさんが怪我をして気絶したりすると、私が回復をして、イッセーさんが復活するとまた走りながら攻撃を避けれるということを繰り返しています。」

 

「あはは、スゴいハードでしたね……。」

 

俺とアーシアは苦笑気味に話をした。さぁ~てとー…

 

「アーシアはいま、どれくらい回復をできますか?」

 

「私はいまは、イッセーさんが怪我をするたび回復をしてたお陰か、殆どの命に関わる致命傷意外ならすぐ回復できるようになりました!」

 

「おふぅ…、なんだか思ってたよりも回復力が上がってましたね…。まぁ、このまま頑張ってください。あと、イッセーにも頑張ってねと伝えてくださいね?」

 

「はい、わかりました!つばささん」

 

こうして俺はイッセーとアーシアの修業場を後にした。

チュドォォォン

 

「ぎゃぁぁぁ!?」

 

死ぬなよ…。イッセー…。

 

――――――――――――――――――――――

さて…最後はリアスさんと朱乃さんの修業ですね♪どれどれ…。

 

「ほら、そこ!今の攻撃では不死鳥にはダメージが入らないぞ!もっと魔力を高めて狙いをさだめろ!!出ないといまのでお前らは死んでたぞ!!」

 

「く…、強いわね!さすがつばさの部隊にいる人だわ。」

 

「そうですわね…。正直ここまで強いとは、思っていませんでしたわ。」

 

「確かにそうね…。」

 

「こら!!喋っている余裕があるなら掛かってこい!出ないと此方からいくぞ!!」

 

「「はい!!」」

 

ズガァァァン ! ビシャァァァン! ドカァァァン!

 

おぉ…なんかこちらは派手ですね…。でも、やはりこのふたりは妹紅さんに手伝ってもらって正解でしたね。二人とも最初の頃よりも一回り魔力が上がっていますね。このままいけば、ライザーを倒せる位には強くなるでしょうね~。

さぁてと、このふたりは妹紅さんに任せておいて大丈夫でしょう。

 

さて、俺は皆のご飯でも作っておきましょうか~♪

 

――――――――――――――――――――――

あれから数時間がたって現在の時刻は午後9時だ。皆本当に真剣にやっていたのですね~。さて…、そろそろ修業から帰ってくるころなんですが…

 

「ふぅ…あら?いい臭いがするわね朱乃」

 

「あらあら、本当ですわね部長。とても食欲がわく臭いですわ」

 

「確かにな。この臭いでさらにお腹が減ってしまったよ。」

 

お?リアスさんと朱乃さんに妹紅さんが先に帰ってきましたか。

 

「おぉ!これはなんともいい臭いですね~。小猫ちゃん」

 

「はい…美鈴先生。私はすごくお腹がすきました。」

 

「はぁ~…このいい臭い…つばささんが料理を作ったのですね…」

 

「そうなのかい?確かにすごく美味しそうな臭いだね」

 

おぉ!他の皆さんも帰ってきましたか。てか、妖夢さん…。確かに…幽々子さんと妖夢さんに何度か料理を作った時がありますが、10回もいってませんよ?それだけで、俺が料理を作ったのがよくわかりますね…。

あとは、イッセーさん達か…。

 

「腹へった~。おぉ!!なんかいい臭いがする!!」

 

「本当ですね!イッセーさん!」

 

「本当ね…。この臭いはつばさが作ったわね。」

 

「なに!?つばさちゃんが!?料理を!?」

 

「本当ですか!幽香さん!」

 

「えぇ本当よ?あの子の料理を何度か食べた事があるからね。あの子は普段はめんどくさくと言ってあまり料理をしないけど、多分頑張っているあなた達のために作ったんでしょうね。あの子の料理を食べたら病みつきになってしまうぐらい美味しいわよ?私も久しぶりに食べれるからすごく楽しみだわ」

 

「おぉ!つばさちゃんの手料理!!」

 

「す…すごいです!さすがつばささんです!」

 

あ…そういえば、幽香さんはまだこっちにきて食べてませんでしたっけ。俺の料理を…。確かそうなると、幽香さんが俺の料理を食べたのは、3年くらい前の幻想郷での博麗神社の宴会以来ですね。まあ…そんなことよりも…

 

「さぁ、皆さん早く座ってくださいね~。ご飯は冷めないうちに食べるのが美味しいのですよ」

 

机の上には和食と洋食がずらりと沢山の種類の料理がならんでいた。さすがに宴会の時よりかは、料理の種類が少ないですがこれでも普通よりは大いいと思います…。おっと…。皆さん机の各席に座りましたね♪

 

「それでは皆さん、手を合わせてくださいね」

 

すると、皆は言われた通り手を合わせた。

 

「それでは…いただきます!」

 

『いただきます!』

 

ワイワイ ガチャガチャ

 

えらく皆さんはけっこう早く食べていますね

 

「美味しい!……こんなに美味しい料理を食べたのは始めてだわ」

 

「本当ですわね。すごく美味しいですわ」

 

「うん!つばさの料理を久しぶりに食べたけど、やっぱりうまい!」

 

「うぅーん、頬っぺたが落ちそうですね」

 

「はい!すごく美味しいです!」

 

「はぁ~、すごく幸せな気分になれますぅ~」

 

「…すごい!すごく美味しい!」

 

「うんまぁーーーい!!」

 

「すごく美味しいです!」

 

「ふぅ…。やっぱり美味しいわ~、つばさ」

 

皆から沢山誉められてしまいました。うぅ~!やっぱり端正込めて作った料理を誉められるのは、すごく嬉しいですね~。作ったかいがありますよ~♪

てか…イッセーと小猫ちゃんが物凄いスピードでご飯を食べていますね…。どんだけお腹が空いていたのでしょうか?

――――――――――――――――――――――

 

『ごちそう様でした』

 

あれから1時間ほどで、料理は全て綺麗に無くなった。えへへ、嬉しいですね♪

 

「さて、イッセーあなたに聞くけどどうだった?」

 

すると、一休憩したあと、リアスさんはイッセーに聞いた。イッセーは少し考えたあと暗い顔になった。

 

「自分が…一番弱かったです。」

 

「そうね…。この中では一番弱いわね。でもねイッセー…これだけは覚えていなさい?あなたは今は弱いけど、これから努力すれば必ず強くなるわ!だから諦めないで頑張りなさい!私の可愛いイッセー」

 

リアスさんは笑顔でイッセーにそう言った。イッセーは少し明るい顔になった。

 

「部長…。はい!頑張ります!俺…必ず強くなります!!」

 

イッセーは元気よく答えた。一様なにかふっ切れたようですね

 

「さて…今回の修業はここまでにして、温泉があるから入りましょうかみんな」

 

「お、温泉!?」

 

おぉ~、温泉があるんですか~。いいですね~!温泉楽しみです!!

 

てか、イッセーの目が変態モードになった。……はぁ~、まったくこの人は懲りないね~………はぁ~…。

 

「そんなにニヤニヤしてどうしたんですか?…先に言っときますが俺は覗きませんよ?イッセー…」

 

「ば…つばさちゃん!」

 

「僕も覗かないよ?イッセーくん」

 

「ちょ!?…木場まで!」

 

イッセーはすごくあわてた顔になった。本当に覗くき満載でしたね…。このド変態…。

 

「あら?イッセー私達の入浴を覗きたいの?なら一緒にはいる?」

 

……え!?ちょっ、リアスさん!?なに考えているんですか!?

 

「えぇ!いいんでかすか部長!」

 

「えぇ、いいわよ。ねぇ、朱乃?」

 

「私は構いませんわ。殿方のお背中を流したいと思っていましたもの」

 

「そう。アーシアはイッセーと入りたいわよね?」

 

朱乃さんは…ダメだと思ってた…。だって親があのふたりなんだもん!だけどアーシアなら…

 

「わ…私は…、その…入りたいです!」

 

アーシアぁぁぁ!!くそぅ…いや、まだ諦めないぞ!なんせ小猫ちゃんがいるから!

 

「ふふ、やっぱりね。小猫はどうする?」

 

「絶対イヤです」

 

小猫ちゃん…信じていたよ。君は此方の味方だって…。

 

「でも…つばさ先輩となら入ってもいいです……。」

 

…………え?小猫ちゃん?な…なにを言ってるのかな?

 

「ふふ、そうなのね。あと、他の人はどうする?」

 

はっ!そ、そうだ、まだ幻想郷組が残って―――

 

「私はどっちでもいいな…。」

 

「私はイヤです…。でも、ツバサとは久しぶりに一緒に入りたかったので構いません。」

 

「私も兵藤さんとはイヤですが、ツバサとなら全然構いません。てか、私も久しぶりに一緒に入りたいです。」

 

「そう…、決まりね。残念ねイッセー。」

 

「くそぉぉっ!!」

 

ふぅ…よかったぁ~。いや、俺の方は全然良くないけども、イッセーが女風呂に入る事は阻止できたよ~。

さすがに、男子二人で入るなんてそんなさみしいことはイヤですよ?

 

「残念でしたね。イッセー。じゃぁ俺らと一緒に男風呂にさっさといきましょうか!」

 

俺はショックで倒れていたイッセーを連れて男風呂に行こうとすると…首根っこ捕まれた。あれ…なんで?

 

「あら?あなたはこっちでしょう?」

 

「……ふえ?」

 

「なに驚いているのよ?皆あなたとなら大丈夫といってるでしょ?それに中には一緒に入りたいなんて人もいるのよ?それなのに入らないなんておかしいわよ。ねぇ、みんな」

 

『うんうん』

 

リアスさんの言葉にみんな頷いていた

 

「――はっ!い、いやいや。俺も一様これでも男の子ですよ?さすがに男子が女風呂に入るなんて……」

 

「つばさちゃん?」

 

すると、首根っこ掴んでいた幽香さんが笑顔で俺の名前を呼んできた…。あれ…これって逆らえないフラグ?

 

「な…なんでしょうか…幽香お姉ちゃん!」ガクガクブルブル

 

「ふふ…、あなたは私達と一緒にお風呂をはいるのよ?それに、あなたは見た目は超がつく美少女なんだから、大丈夫よ。それに…」

 

「そ…それに?」

 

幽香さんは間をおいて口を開いた…。

 

「あなたは私の命令に逆らったらダメよね?」

 

優香さんはとてもいい笑顔でこちらを見ている。

 

あ…オワタ…。すると、幽香さんは俺を肩に担ぎ上げ、そのまま風呂場にいった。

 

「ちょ…幽香お姉ちゃん!?おろしてー!」

 

「ダーメ、おろしたらあなたわ逃げるもの♪だから、私達と一緒に入りましょう」

 

「ちょ!?まって!?イッセーさん!木場さん助けてください!!」

 

俺は二人に助けを求めるがふたりはわざと知らないふりをしながら適当な事を喋っていた…。あ…あいつら覚えていろよーー!

 

「さぁさぁ、いきましょうか♪」

 

「や…ヘルプミーーーーーー!!」

 

俺の声が別荘に響いたのだった…。

 

――――――――――――――――――――――

俺は今…風呂場にきている。そこでは女子達が楽しそうに喋りながら服を脱いでいた…。

 

「(だめ…見たらダメだよ!!絶対だめなんだからね!?)」

 

俺は目をつむっている見ないように――――

 

「あら?あなたいつまで服を着ているのかしら?早く脱ぎなさい。」

 

デキマセンデシタ

 

「いや…でも~…」

 

「なんであなたは脱がないの…ってもしかして一人で脱げないの?」

 

「…え!?けっしてそんなことは――」

 

「しかたないわね、私たちが脱がしてあげるからおとなしくしなさい」

 

「ふえ!?……ちょっ!?まっ――」

 

「ほらほら~♪」

 

うわぁぁー!自分で脱げるのにー!!

 

「あら?リアス何しているのかしら?つばさは一人で脱がすのは難しいから、つばさを脱がすときは数人でやるのよ?わかった?みんな?」

 

『はい!』

 

あれ…これってピンチ?

 

すると数人が俺の服を剥ぎ取って俺は裸にされた。

 

……もちろん大事な所を隠しているよ?

 

「もう…なんで隠すのよ…。せっかくつばさのを見るチャンスだったのに…。」

 

「いや…さすがにね?ここだけは隠させて?幽香お姉ちゃん!」

 

「しかたないわね…。ほら入りましょうか」

 

ムニュン…。

 

「ひゃ!」

 

「うふふ…、可愛い声を出して…。初ですね~」

 

む…胸が!幽香さんの大きい胸がぁ…背中にぃ…!

 

カポーン

 

俺はなんやかんやでやっと風呂に浸かっている。ふぅ~、生き返る~。てか…見られてしまいましたよ…大事な部分を…。うぅ…でも、見てしまいましたよぉ…。家族以外の裸を…、みんなデカかったな~…ってイヤイヤ! なに考えているんですか!!俺は!?ダメですダメなんです、ダメなんですからね!!

 

でも、やっぱり大きかった…。とくに、妖夢さんに美鈴さんは昔俺が12才の時に一緒に入った時よりも胸とかいろいろ成長していたなぁ…。てか、あの時の幽々子さんのおっぱいがでかすぎた…。あの頃は純粋だったから気にしていなかったけども…。うぅ~…今思い出すとかなり恥ずかしい。なんで、あんなに普通に入れたの?昔の俺よ~!

 

うぅ、ダメだ…。耐性がないせいでかなりドキドキしているよ~…

 

「うふふ、つばさは本当に可愛いわね♪そんなに顔を赤くしないでいいのに。それに可愛いかったわよ?男の人のあそこは大きいと聞いていたけど…あなたのはちっちゃかったわね」

 

「うふふ、本当に可愛いかったですわ。いじりがいがありますわ」

 

「はわわ!は…始めて見ちゃいました…///」

 

「/////」ブクブク

 

「うん…温泉は気持ちいいな…」

 

「ふふふ、昔一緒に入った時と変わっていませんでしたね。てっきりあの頃は、あのお兄さんの影響ででエッチな少年に変わってしまうかと心配しましたが、良かったですよ。きっとあの三人が頑張って育て上げたのでしょうね」

 

「そうですね~。幽々子様も『あの可愛くて純粋な子がエッチな少年にならないか心配だわ~』って言ってましたが大丈夫でしたね。一応男の子なので煩悩はありますが、あの兵藤とかいう人見たいになっていないので良かったですよ。ねぇ?幽香さん。」

 

「そうねぇ~…。私は始めて一緒に入ったけども、やっぱり可愛くてしかたがないわ。この慌てている仕草も母性本能を刺激されてついつい可愛がってしまうわね」

 

うわぁぁん!みんな恥ずかしい事を言わないでよー!俺のSAN値はもうゼロなのですよー!それに頭に幽香さんの胸が当たってるー!うぅ…恥ずかしすぎて死んじゃいそう…。

 

「ふふふ……」

 

すると、幽香さんの両手が横腹にきた…。な…なにをするきで……?

 

ちょんっ……

 

「ひゃん!」

 

「どうしたのよつばさ?」

 

「うふふ。やっぱり敏感な所は変わってないわね」

 

「幽香?どういうこと?」

 

「それはね?この子は…」

 

「幽香お姉ちゃん!それ以上は言っちゃダメだよ!」

 

俺は慌てて振り向き幽香さんの口をふさいだが、すぐに横腹に置いてある幽香さんの手が横腹をくすぐる。

 

「ん!?ゆ…幽香お姉ちゃん!?」

 

「うふふ…、つばさが私の口をふさごうなんて百年早いわよ?」

 

こちょこちょ

 

「あはっ!…そこ…だめぇ!」

 

「うふふふふふ!」

 

こちょこちょ

 

「あひっ…にゃっ…うひ…ぁふ…あんっ―――も…もう…ダメェェェ!!」

 

俺はとうとう限界が来て……

 

「――にゃぁぁぁ!」

 

ばしゃん

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

俺は疲れきってそのまま幽香さんの胸に顔を埋めてしまった…。恥ずかしいけども…もう…ムリ…

 

「あらら…。少しやり過ぎたわね…。まぁこの子はこのように横腹がとっても弱いのよ。いじるときはこの横腹をいじればこんなに可愛いい反応をするのよ。今のこの子はすっごく可愛いいでしょ?」

 

『うん、可愛いい///』

 

ナデナデ

 

俺は頭を撫でられている気がした。なぜ気がしたか?だって…なんだか意識がなくなってくるんだもん…。

 

「あれ…?つーくん?いったいどうしたのよ?」

 

そして、そこ言葉を最後に俺の意識は落ちた。




どうでしたか?今回は修業に東方キャラをだしました♪もう少しして他のキャラを出そうと考えています♪

では、また次回会いましょう♪


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4話 レーティングゲーム開始前

昨日の台風は凄かったですね…(^_^;)家の回りに山も海や川もなくて良かったですよ…(;´∀`)

さて、頑張って書いていきましょうか♪ではどうぞなのです♪


あれから10日間が過ぎた…。あの風呂場事件のあと、俺は気がつくとベットの上に寝ていた。そのあと皆から“昨日はごめんなさい”と謝られた。俺は別に気にしていなかったので大丈夫と言ったらそのあとは凄く優しくされていた。あと、朱乃さんが昔俺が家族を助けた事を覚えていたらしく、物凄く感謝されたと同時にスキンシップがさらに激しくなった…。そして…あの日を合わせて10日間修業を頑張ってグレモリー眷属は予想以上に強くなってしまった…。あはは~なんか予想以上すぎてちょっと怖い…。どれぐらい強くなったというと…まずリアスさんと朱乃さんは魔力の威力と質を変えることができるようになった。リアスさんは本来の“滅びの魔力”がいままでただ射つだけだったが、質を変える事により滅びの魔力を鞭や弓などにして近距離から遠距離までの広範囲を攻撃したり盾に変えて自分を守ったりと、戦闘が幅広くなった。朱乃さんは自分の父親の“雷光のバラキエル”さんの雷光と、母親の“退魔師・姫島朱璃”さんの退魔の力を合わせて、対悪魔・対魔物用の切り札とも言える位の協力な力を手に入れました。

次に小猫ちゃんは美鈴さんに教えてもらった太極拳にさらに仙術と妖術を合わせた独自の拳法をあみだした。

木場は妖夢のお陰でスピードと技の切れが格段に上がり、俺が木場の神器「魔剣造成(ソードバース)」に不死殺しの魔剣と龍殺しの魔剣を作らせた。速さは音速に近いぐらいまで上がってしまった…。

アーシアはある程度の頭とか心臓を刺されたり射たれたりなどの以外の致命傷ならすぐに回復できるようになり、回復を飛ばせるようにもなった。

最後にイッセーは、幽香さんのお陰で、スピード・防御・パワーともに修業開始前より上がり、避けるだけならグレモリー眷属で一番上手くなった。速さはまぁまぁで10日前の木場の動きがわかる程度…。パワーは一様上がったが元々なかったためそこまで変わらない…、でも、俺の相棒のルーツの助けを借りて、神器「赤龍帝の籠手」の倍加が修業開始前は精々10回いくかどうかだったが、25回まで倍加を耐えれるようになった。あと3日くらいあったら30回までは倍加できるようになれたと思う…。

これを見る限り…強化しすぎたかな?まぁ…いいか♪

そして、俺たちは今ライザーとのレーティングゲーム開始前の準備及びリラックスをしている…。

 

「いいみんな。今日はレーティングゲームの日よ!今日の深夜12時にレーティングゲームが始まるわ…。つばさやつばさの仲間達にここまで鍛えてもらったんだから絶対に負けたらだめだからね?だから、皆で一人もリタイアせずにこの戦い絶対に勝ちましょう!」

 

『はい!!部長!』

 

そのあとは各自で自分なりのリラックスをしていた。小猫ちゃんはお菓子を食べていて、木場は剣を壁に掛けて腕を組んで立って壁にもたれて目をつむっている。リアスさんと朱乃さんはいつも通りお茶を飲みながら優雅にしている。イッセーとアーシアはどこかそわそわとしていて、落ち着かない様子だ…。俺?俺は~別にこういうのは慣れているから別にいつも通りだよ?

 

「イッセーにアーシア?あなた達はそわそわしすぎよ?少し落ち着きなさい…。」

 

「あうぅ~。すみません部長さん」

 

「すみません部長!ただ始めてなもんで緊張してしまって…。」

 

「はぁ…。まぁしかたがないわね。あなたはつい最近まで一般人だったのだからね。にしても、つばさはえらく落ち着いているわね?あなたは緊張してないの?」

 

「俺は別に…。それに、10歳のころからこの仕事をやっていましたからね~、よく戦争地帯や争い事に巻き込まれすぎて…もう慣れてしまいましたよ…。慣れって怖いもんですね…。」

 

「そう…。ごめんなさいね変なことを聴いて…。」

 

「にゃははは、大丈夫ですよ~。気にしないでくださいな。俺は姉さんや兄さん達がいたから心が壊れる事もありませんでしたし、つねにこの相棒のルーツもいましたしね~」

 

『あら?嬉しい事を言ってくれるじゃない』

 

「えへへ。それに…リアスさん達と会えて凄く良かったと思っていますしね。だから…絶対にこの戦い、勝ちましょう?みなさんと一緒に…ね?」

 

「そうね…。ありがとう。あなたの言う通り勝ちましょうね!」

 

「はい!リアスさん!」

 

俺は絶対に勝ってやる!この戦い…悪魔の事情なんて知ったことか!俺はリアスさんをあんな男に渡すなんて嫌だからね…。

 

『ルーツと相棒のつばさ…、今回は俺の相棒が世話になった…。礼を言う…。ありがとう。』

 

すると、突然イッセーの神器の中にいる“赤龍帝”ドライグがルーツにお礼をいってきた。確かにルーツも俺も手伝ったけど…、まさかあの二天龍のドライグがお礼をするなんて…ビックリですね。

 

『ふふふ…。あなたがお礼をするなんて、どういう風の吹き回しかしら?別に気にしなくていいわよ。私もこの子と一緒に戦うなら強くなってたほうがいいと思ってあなたの相棒の手伝いをしただけよ…?それに、あなたは二天龍の片割れなんだからもっとしゃきっとしてなさい?それがあなた達二天龍なのだからね…』

 

『ルーツさん…ありがとうごさいます!』

 

『ふふ、気にしないでいいわよ』

 

おぉ!あの赤龍帝ドライグがルーツをさん付けにして、さらに敬語になった!!やっぱりルーツすげーー!

 

『うふふ、褒めてもなにもでないわよ?つばさ』

 

わかってるよ~、ルーツ

 

俺はそんなやり取りをルーツとしていると、部室に魔方陣が現れてそこからグレイフィアさんが現れた。

 

「リアスさまとグレモリー眷属とつばささま…。開始十分前です。ここの魔方陣から戦闘フィールドへ転送されます。場所は異空間に作られた戦闘用の世界ですので、どんなに派手にやってくれても構いません。存分に力を発揮してください。皆様の準備はよろしいでしょうか。」

 

「えぇ…私達は準備はできてるわ!いつでも行けるわよ!つばさあなたはどうかしら?」

 

「俺もいつでも行けますよ~」

 

「そうですか。わかりました。」

 

すると、イッセーが突然前にでてリアスさんに質問をした。

 

「あのすみません部長。もう一人の『僧侶』がいないんですがどうするんですか?」

 

すると、グレモリー眷属(アーシアを覗く)が少し暗い顔になった。なんだか訳ありみたいですね…。

 

「残念だけど、もう一人の『僧侶』は参加できないわ。いずれ、そのことについても話すときがくるでしょうね。」

 

イッセーは何故かを聞きたそうにしていたが、俺が首を横に振ってイッセーはそれ以上聞くのをやめた。

 

「今回の『レーティングゲーム』は両家の皆さまも他の場所から中継でフィールドでの戦闘をご覧になります。我が主魔王ルシファーさまも今回の一戦を拝見されておられますのでそれをお忘れなきように。特につばさ様は…。」

 

「はーい、わかっていますよ~」

 

あはは~…ですよね~、やっぱりサーゼクスさんも見てるよね~当たり前か…。

すると、リアスさんは少し驚いたがすぐに真剣な顔になった。

 

「お兄さまが?……そう、お兄さまも直接見られるのね…」

 

あ~あ…やっぱり少し緊張してますね。まぁ…魔王でもあり兄でもある人が見ているんですから緊張もしてしまいますよね…。

 

すると、イッセーが驚いた顔になっていた。

 

「部長、いま魔王さまのことをお兄さまって…… え?俺の聞き間違いですよね?」

 

イッセーは歯切りが悪そうに質問した。すると、木場がイッセーの隣にきて口を開いた。

 

「聞き間違いじゃないよ?イッセーくん。部長のお兄さまは正真正銘魔王さまだよ。」

 

「え…えええええええええええええええ!?」

 

木場が真実を答えると物凄くイッセーは驚いた声をだした。

 

「うるさいですよ…イッセー…そんなことでいちいち驚かないでください…」

 

「いや…そんなことって…」

 

すると、グレイフィアさんが一歩前に出た。

 

「そろそろお時間です。皆さま、魔方陣のほうへ。なお、一度あちらへ移動しますと終了まで魔方陣での転移は不可能となります。」

 

お?もうすぐ始まりますかぁ~!

 

「さぁ!行くわよみんな!絶対あのライザーを倒しましょう!!」

 

『はい!部長!!』

 

「(ふふふ、ライザー!君をどうやって殺ろうかね……?)」

 

俺がそんなことを考えながらグレイフィアさんの横を通ると、グレイフィアさんが耳元に顔を近づけてきた。ち…近いよ~…

 

「つばささま?私とサーゼクスさまの妹を頼みます…。」ボソ

 

グレイフィアさんは俺だけに聞こえるように耳元で囁いた。

はは…グレイフィアさん…。あなたもやっぱり心配なんですね…

 

「大丈夫ですよ。心配しないでください。俺が…あのライザーをぶっ飛ばしてあげますから…」

 

俺がそう言ったとたん、グレイフィアさんは少し目を見開いて驚いたあと、すぐに笑顔になった。

 

「ふふふ…、お願いいたします…つばささま」

 

「はい、任せてください!」

 

俺はそう言って、魔方陣に乗り魔方陣が光だした…。

さぁライザー…!君を絶対にぶっ飛ばしてあげるからね?

こうして俺たちはレーティングゲームのステージに行くのだった…。




どうでしたか~♪次回からやっと焼き鳥とその眷属と戦います♪
てか、グレモリー眷属は改造しすぎましたね…!ライザーがカワイソウダナー(棒)

さて…また次回をお楽しみに~♪


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5話 レーティングゲーム始まりました

俺達は魔方陣に乗ってレーティングゲームの世界に来た…が、なんかおんなじ景色ですね…?もしかすると失敗?でもなんだか違和感が…

すると、ピーンポーン、パンポーンという放送の音が聞こえてきた。

 

『皆さま、このたびグレモリー家、フェニックス家の「レーティングゲーム」の審判役を担うこととなりました、グレモリー家の使用人グレイフィアでございます』

 

あ…グレイフィアさんだ

 

『さっそくですが、今回のバトルフィールドはリアスさまとライザーさまのご意見を参考にし、リアスさまが通う人間界の学び舎「駒王学園」のレプリカを異空間にご用意いたしました』

 

なるほどね…。つまりここは現実世界とは別の空間ということね。だから、なんだか変な違和感があったのね~

 

『両陣営、転移された先が『本陣』でございます。リアスさま本陣が旧校舎のオカルト研究部の部室。ライザーさまの『本陣』は新校舎の生徒会室。『兵士』の方は『プロモーション』をする際、相手の『本陣』の周囲まで赴いてください』

 

ふむふむ…つまり、ライザーの兵士が全員女王に昇格されるとやっかいですね~

 

『開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それでは、ゲームスタートです』

 

キーンコーンカンコーン…

 

うし!ゲームが始まりましたね♪さて、何処から攻め落としましょうか…

 

「みなさんこれを片方の耳に付けてください」

 

朱乃さんが光る緑色の小さな玉を渡してきた。これは?

 

「それは、通信機ですわ。それを付けて念じると起動しますのでそのあとは喋るだけでよろしいですわ」

 

「ありがとうごさいます朱乃さん」

 

「いえいえ」

 

すると、木場が突然地図を机の上に広げた。この地図は学校のですね…

 

「まず、祐斗と小猫でこの旧校舎裏の森にトラップを張ってちょうだい。それが終わり次第、各班で行動してもらうわよ!小猫、イッセー、つばさは体育館で敵を足止めしてちょうだい!祐斗は運動場にある部室棟で待機ね。」

 

「はい!部長!」

 

「さて、私のかわいい下僕悪魔たち。準備はいいかしら?敵は不死身のフェニックス家のなかでも有望視されている才児ライザー・フェニックスよ。さあ!私達の力を見せつけて、消し飛ばしてあげましょう!」

 

『はい!!』

 

こうして俺たちは行動を開始した。先に小猫ちゃんと木場で森にトラップを仕掛けたあと、それぞれに別れて行動した。密かになつる姉さん特製“起爆札”をトラップの中に紛れ込ませた。この札は生き物の熱に反応するタイプで、しかも仕掛けると景色に溶け込み見えなくなる。この札は敵が札の近くを通ると同時に起爆する札なのですよ。さぁ…いったいどんな獲物が掛かるのやら…

 

ズドォォォォォォン

 

『ライザー・フェニックスさまの「兵士」三名、リタイア』

 

お?早速“起爆札”の餌食になってしまいましたね…。相変わらずの威力ですよ。まったく…。

そんな事を思いながら進んでいると、目の前に体育館が見えた。俺らは体育館の裏に回り隠れて敵をまつ…。

 

「……!来ました!敵の数は4名です。」

 

すると、小猫ちゃんの言う通り敵が4人来た。

 

「グレモリー眷属隠れてないで出てきなさい!そこにいるのはわかっているのよ!」

 

一人の少女が叫び俺達は表に出た。そこにはチャイナドレスを着こんだ女性、どこの体操着かわからないけど、それを着こんだ双子と棍を持っている女の子。……確か、チャイナドレスを着こんだ女性が『戦車』。双子と棍を持っている小柄な子は『兵士』でしたよね。さっき、レーティングゲーム前に渡されたライザーの眷属の写真つきファイルに乗っていたので覚えていますよ。いや~阿求の【一度見たものを忘れない程度の能力】は便利ですね~

さて、相手は『戦車』一、『兵士』三ですね…。まぁ…こちらは、『兵士』一、『戦車』一、その為一、ですからね~。数的には彼方の方が多いいですけど、戦力は此方が上ですね。

 

「イッセー先輩は棍をもった少女を、つばさ先輩は双子の女の子を、私が『戦車』のあの人を相手するので、よろしくお願いします。」

 

「わかったよ!小猫ちゃん!」

 

「O.K.ですよ。小猫ちゃん!」

 

そして、俺達は小猫ちゃんの指示道理に相手を選んだ。

 

「小猫ちゃん!つばさちゃん!後でその子達も俺に相手をさせてくれ!新しく作った技を試したいんだ頼む!」

 

どうしたんでしょうか?急に?新しい技?いつの間に覚えたのでしょうか。まぁ…新しい技を自分で作るのはいいことですしね。仕方ないですが譲ってあげましょう。

 

「わかりましたよ。新しい技が何なのかわかりませんが、譲ってあげましょう。イッセー。」

 

「おぉ!サンキューつばさちゃん!よ~し、そうと決まれば早速始めるか…!」

 

そう言ったイッセーは棍をもった女の子と戦い始めた。さて…こちらも始めるとしますか。

 

「さ~てと…、こっちも始めましょうか?」

 

俺が構えをとると突然双子の少女の手のひらに魔方陣が展開し、そこからチェーンソーが出てきた。え…?チェーンソー…?

 

ドゥル!ドゥルルルルルルルルルルルルルル!!!!!!!

 

うわぁい…本物だぁ~…

 

「解体しまーす!」

 

「バラバラバラ!」

 

ギャギャギャギャギャギャ!

 

すると双子の少女が楽しそうにチェーンソー振り回しながらこっちに来た。あれは、さすがに痛そうですね…

 

俺は双子の少女を真っ正面から相手をし、チェーンソーを紙一重で全て避けながら戦っていた。

 

「なんで当たらないの!」

 

「当たってよー!」

 

「嫌ですよ…!」

 

俺はただただ避けるだけの作業。双子の少女は徐々に疲れが顔に出てきて、等々チェーンソーを振り回せなくなった。俺はそれが好機だと思い反撃に出た。

 

「すみませんね。一撃で終わらせてあげます!」

 

「コピー能力発動!!【星熊勇儀】!」

 

俺は勇義さんの力を借りた。頭に一本の角が出てきた。

 

「くらえ!」

 

俺は拳を振るった。

 

「くぅ…!」

 

「バラバラバラになっちゃえ!」

 

すると、双子の少女はチェーンソーを持ち俺にたいして降り下ろすが、意味ありませんよ?なんせ勇義さんの能力は【怪力乱神を持つ程度の能力】なのですから。てか、その前に鬼と呼ばれる種族ですから、この程度の武器では傷1つも付けることなんてできないけどね!

 

俺の拳がチェーンソーに当たった瞬間…、双子の持ってたチェーンソーは呆気なく粉々になった。

 

「え!?そ、そんな……」

 

「う…うそ!」

 

「嘘ではありませんよ…。これが事実ですから…。」

 

すると、双子の少女は地べたにペタンと座り込んでしまい、突然目から涙をポロポロと出しだした。…って、えぇ!?どうして泣くんですか!?うわぁー!どうしよう!!女の子泣かしたことが姉さん達にバレたら殺されるー!!

 

「うぅ…、やっぱり私達が小さいからライザー様も私達を呼んでくれないのかな…。」

 

「私達が小さいから“犠牲(サクリファイス)”にされちゃったのかな…。」

 

俺はその言葉を聞いて思った。サクリファイス…犠牲の駒、確かに戦いではサクリファスを使い駒を捨てることによって戦場の現状を変える戦法もあります…。でも、これによってその駒が確実に失われることは変わりません。リアスさんはこのサクリファスだけは絶対にしないと言い切りました。俺も同じ意見でしたので、内心安心したのは秘密です。でも、やはりライザーはサクリファスを平気でしてきましたか…。どうせ、実力も数もこっちの方が上だから何個か駒が減っても痛手はない、でも、実力がある者を犠牲には出来ないから、実力がない『兵士』を捨てるか……って考えなんでしょうね。

 

本物に――虫酸が走るぞ!あの種蒔き焼き鳥野郎!!

 

……と、その前にこの子達をなんとかしないと。

 

「うぅ…ライザーさまぁ…」

 

「私達が…小さいから…魅力が無くて…弱いから…」

 

「はぁ~…そんなことをないですよ…?二人とも動きもよくて、弱い事はありませんでしたよ?」

 

「え…?」

 

「ほ…本当?」

 

「はい、本当ですよ?あなた達は弱くなんてありませんよ。普通の下級悪魔と比べたら強い方ですよ?」

 

「で…でも、人間のあなたにかすり傷すら負わせずに負けた…。」

 

「うん…。手も足もだせずに呆気なく負けたよ…?」

 

「そりゃ~簡単な話であなた達と俺の実力は天と地の差がありますしね…。それにあなた達が手も足も出ないのは当たり前ですよ…。なんせこう見えて俺は、世界最強の部隊、地球連邦軍 特殊部隊・特別調査班 総隊長をやっていますからねぇ~。」

 

「……えっ!?あなたがあの伝説の部隊の隊長さん!?」

 

「う…うそ!?」

 

「嘘じゃないですよ~。証拠を見せましょうか?ほら!」

 

俺は地球連邦軍の象徴のマークが付いたバッチを見せる。そこには地球があり、二本の剣が交差したマークがあった。これが地球連邦軍の象徴とも言うべきマークなのだ!

 

「ほ…本物だ…」

 

「それじゃー勝てないのは当たり前か…」

 

「そうですよ…。それに…」

 

「「それに?」」

 

「あなた達は魅力がないと言いましたけど、魅力はありますよ?あなた達は普通に可愛いですよ?」

 

「か…可愛い…///」

 

「ほ、本当?///」

 

「はい!あと、今はまだ確かに小さいですが、大人になったときはきっと綺麗で美しい女性になると思いますよ。あなた達なら必ずね。だから、諦めないで頑張ってねくださいね?」

 

「う…うん!ありがとう!」

 

「ありがとうごさいます!えぇ…と」

 

「俺の名前は結城つばさ、こう見えても男だぜ?」

 

「……えぇ!?男の子だったの!女の子だとずっと思ってた。」

 

「うん…///でも、本当にありがとうごさいます♪つばささん」

 

「あ…ありがとうごさいます!」

 

「うん、どういたしまして!」ニコ

 

「「ッ!/////」」

 

「ん?どうかしましたか?」

 

「い…いえ///なにもないでしゅよ!」

 

「う…うん!」

 

「そう…ですか?」

 

「「そ…そうですよ~!」」

 

ふぅ~なんとか笑顔を取り戻せた見たいですね…。いや~危うく俺の命が無くなる所でしたよ~…あぶないあぶない…。でも、この双子も少しは心が癒えたかな?癒えてたら嬉しいんだけどね~…♪

 

「つばさちゃん!準備はできたから離れて!」

 

すると…イッセーが突然叫んできた。離れてて?いったい何をするのでしょうか?

俺は言われた通り離れると、イッセーの顔が変態モードになった。あの人!いったい何を…!

 

「ぐふふふ!剥ぎ取りごめん!」

 

すると、イッセーは自分と戦っていた棍をもった少女と小猫ちゃんが戦っていた『戦車』の女の子と双子の少女の服にポンと軽く触ると手を高らかに上げた。

 

「唸れ俺の性欲!!くらえ!俺の必殺技!!【洋服崩壊(ドレス・ブレイク)】!!」

 

バババババッ!!!!

 

イッセーが指を鳴らすと、棍使いの少女に双子の少女、チャイナ服の女性の服が全て弾けとんだ。そう…下着も全てだ…。

 

すると…女の子達は少し固まったあと、顔を耳まで真っ赤にした。

 

「「「「イ、イヤァァァァァァァァァァァァァァアアッッ!!!!」」」」

 

体育館に響き渡る女の子の悲鳴。四人ともその場にしゃがみ込んでしまった。なっ…!あの人は~…!

 

「どうだっ!これが俺の新必殺技『洋服崩壊』!」

 

「へ、変態!」

 

「ケダモノ!性欲の権化!」

 

「最低!女の敵!」

 

「……っふぇぇん」

 

「死ね…変態…」

 

「ちょっ!つばさちゃん!?」

 

棍をもった少女と双子の少女がイッセーを罵倒するなか、『戦車』の女の子は泣いていた…。あ~あ…泣かしてしまいましたね…。

 

「イッセー先輩…」

 

「な…なに?小猫ちゃん…」

 

すると、小猫ちゃんがジト目でイッセーを睨んだ…。こ…怖い…!

 

「サイテーです…死んでください…」

 

「ぐは…!」ドサ!

 

イッセーは深刻な精神的ダメージをくらい倒れた…。自業自得ですね…。

 

「えぇと…すみません。うちのメンバーがとんでもない変態でして。本当にごめんなさい。とりあえずこれを着ててください。」

 

俺は手元から全身を隠せるくらいの大きさの毛布を四枚出し、それを四人に渡した。

 

「あ…ありがとう。」

 

「「ありがとう…つばささん。」」

 

「ありがとうごさいます!」

 

ふぅ…とりあえず、ここはなんとかなりましたね~。さぁてと、イッセーをどうしようかな…?

 

『皆聞こえるかしら?それと無事?』

 

すると、耳に付けていた通信機からリアスさんの声が聞こえた。すると、朱乃さんの準備ができたのかな?

 

「はい…無事です。イッセー先輩以外は…」

 

小猫ちゃんがリアスさんに報告した。

 

『イッセーがどうしたの!?大丈夫なの!?』

 

「あぁ…リアスさん?イッセーは大丈夫ですよ~。ただ、変態な必殺技をあみ出してそれを使ってしまったために、小猫ちゃんに精神的ダメージをくらって倒れただけですよ~。」

 

『そ…そうなの?とりあえず無事ならいいわ。朱乃の準備が整ったわ。例の作戦通りにお願いね!』

 

「はい、わかりました。リアスさん。」

 

よしそれなら急いでここから離れなくては…。

 

「ほら…イッセー起きてください…何時まで寝てるのですか!」

 

「はっ!俺はいったい何を!」

 

「朱乃さんの準備ができました。例の作戦を発動しますので、急いでここから離れますよ?」

 

「お…おう、わかった!」

 

俺達は急いで体育館を後にしようと中央の出口に走った。

 

「なっ!逃げる気!ここは重要拠点のはずなのに!」

 

「ここにいるとあぶないのでね!避難させてもらいます!」

 

俺達は急いで中央口から体育館を脱出すると、次の瞬間―――!

 

カッ!――ドオォォォォォォォォオオオオンッッ!!!

 

一瞬の閃光の後、轟音とともに巨大な雷の柱が体育館へ降り注いだ。その影響で体育館が跡形もなく消し飛んだ。

 

「撃破(テイク)」

 

あはは…やっぱり朱乃さんの雷光の威力は父親並みにスゴいですね…。

 

『ライザー・フェニックスさまの『兵士』三名、『戦車』一名、戦闘不能』

 

審判のグレイフィアさんのアナウンスが響いた。

 

と、俺は不意に殺気を感じた。すると、少し離れた所に女性がいた。小猫ちゃんのいた場所から魔力の気配がした。ま…まずい!

 

ドンっ!

 

そう思い俺は小猫ちゃんを突飛ばした。

 

「ッ!つばさ先輩!なにを…」

 

ドカァァァン!!

 

そして、俺は爆発に巻き込まれた…。

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたか…?主人公が爆発に巻き込まれてしまいましたね~。いったい次回どの様な展開になるのでしょうか…♪どうぞ!おたのしみに~♪


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6話 レーティングゲーム頑張ってます

おっす!久しぶりだな、兵藤一誠ことイッセーだ!俺は今、部長の婚約者のライザーとか言う種蒔き焼き鳥野郎と部長の結婚をかけたレーティングゲームっていう戦いをやっているんだ。

で、そこで同じ部員で仲間でもある、学園のアイドル“結城つばさ”ちゃんがいるんだ。なんで、男なのにアイドルなんて呼ばれているのかというと、こいつは見た目が超美少女だからそう呼ばれているんだよ。誰にでも優しくて困った人がいたらすぐ助けてくれて、さらに頭もよく運動神経もかなりいい物凄い子なんだよ。で、このあだ名は本人は知らないみたいだ。で…話を戻すけどもその子もレーティングゲームを手伝ってくれているんだけど、さっきまで俺達は無事に作戦を終えて次に行こうとしたら、突然つばさちゃんが小猫ちゃんを突飛ばしたんだ、俺は“なにしてんだよ!つばさちゃん!”って言おうとした瞬間、つばさちゃんが爆発したんだよ。正確にいえば、小猫ちゃんが元々いた場所が爆発したんだ…。そこには大きなクレーターが出来ていて、中心から黒い煙がモクモクと空に上がっていた…。いったい誰がつばさちゃんを…!

 

「つばさ先輩…!」

 

小猫ちゃんがかなり泣きそうな顔で焦ってる、自分を守るために動いたせいで犠牲になってしまった事に。

 

「撃破」

 

すると、俺たちの上から声が聞こえてきた。上を見ると…空に女性が浮いていた。確か…あいつはライザーの『女王』!

しかも、俺達の目の前であの焼き鳥野郎と大人のディープキスをやってた奴だ…!!アイツがつばさちゃんを…!!

 

「ふふふ。獲物を狩るときは、獲物が何かをやり遂げた瞬間が一番隙だらけとなっていて狩りやすい。こちらは多少の駒を『犠牲』にしてもあなたたちをひとつ狩れば充分。ただでさえメンバーが少ないのですもの。それだけで大打撃でしょう?どうせ、私たちを倒してもライザーさまは倒せないんですもの。あがいても無駄よ?それに、たまたまあの人間は気づいてその子を助けたけども結局爆発に巻き込まれただけで、ただの無駄死にね。」

 

こいつ………!よくも…つばさちゃんを……!!

 

「てめー!!降りてきやがれ!!俺がテメーをぶっ飛ばしてやる!!」

 

「イッセー先輩!私もこいつをぶっ飛ばしてやります…!」

 

小猫ちゃん…

 

「あぁ…!小猫ちゃん!二人でこいつをぶっ飛ばしてやろう!」

 

「はい!」

 

「ふん…。あなた達は私に勝てないわよ?いくらあがこうとね?」

 

「へっ…!やってみないとわかんねぇだろ!!」

 

俺は『女王』に向かって飛びだそうとした時、突然冷たい殺気を感じた。な…!なんだ!この殺気は!

 

「ふぅ~…あぶないあぶない…。さすがにびっくりしてしまいましたよ…。いや~…流石の俺でもこれには驚きましたね~」

 

すると、声が聞こえてきた…。そう、爆発してクレーターができていた、中心から…。ま…まさか…!

 

すると、一陣の風がふいて煙が霧散して消えた。その霧散した煙の中から出てきたのは…、見た目がどこも傷どころか服でさえ焦げ目のないまったくの無傷のつばさちゃんだった…。

 

「って…!えええええええ!?無傷ぅぅぅ!?」

 

「え…?うそ…!」

 

小猫ちゃんも目を見開いて驚いていた。そりゃそうなるよね!?

 

「そ…そんな!?無傷なんて…!あなたはいったい何者なの!?いったいどうやったのよ!?」

 

すると、ライザーの『女王』が物凄く驚き焦りながらつばさちゃんに質問をしていた。それを聞いたつばさちゃんは少し間を置いたあと、“ふぅ”と短いため息をした。

 

「何故っていわれましても、別に何もしていませんよ?普通に諸にくらっただけですよ?」

 

 

「じゃあ何故無傷なのよ!あの攻撃をくらって無傷なんてあり得ないわ!!まさか!あなた『フェニックスの涙』を使っていたのね!」

 

フェニックスの涙?なんだそれ?

 

「別に『フェニックスの涙』なんて使っていませんよ?そもそも、持っていませんしね。それに……」

 

「それに…?」

 

つばさちゃんは少し間を置いて口を開いた。

 

「この程度の爆発では、俺に傷どころかかすり傷すら負わせませんよ~。それに、これと比べれば……いえ、比べるのも烏滸がましいですね。それ程までに天と地の差がありますから」

 

「(す…すげー!流石つばさちゃんだ!最強の名前はだてじゃないのか!てか…テオ・ナナ夫婦?なんだ?いったい誰なんだ?)」

 

『テオ・ナナ夫婦だと!?いや…しかし……あの夫婦がアイツと関わりがあるわけが…。だが…あいつの相棒がルーツだしな…いや…でも……ブツブツ』

 

俺はそんな事を思っているとドライグが突然驚いた声で独り言を喋っていた。どうしたんだ?ドライグは…?

 

 

ドカァァン

 

すると、突然爆発がおきた。うぉ…!?びっくりしたな…。爆発を起こした『女王』を見ると、顔に青筋を立てて物凄く怒った顔で片手をつき出すように構えていた。

 

 

「ふふふ…。ここまで侮辱されたのは初めてだわ…。私の爆発がそのテオ・ナナ夫婦とか言う者に劣っていると…?」

 

「うん、物凄く」

 

『女王』に質問されたつばさちゃんは笑顔で答えた。それを見た『女王』は、さらに青筋を立てて両手をつきだし魔力を高めた。ヤバイこの魔力は危険すぎる!!

 

「つばさ先輩!早く逃げてください!!」

 

「つばさちゃん!早く逃げろ!」

 

俺と小猫ちゃんはつばさちゃんに逃げろと叫んだ。やっぱり小猫ちゃんもこの魔力に気づいたのか。すると、それを聞いたつばさちゃんは不適に笑みをこぼした。

 

「ふぅ…心配しなくても大丈夫ですよ?この程度…。さぁ~きなさいな。焼き鳥眷属の『女王』さん?」

 

「なら、死になさい!!」

 

ドカァァァァァァァァァン!?

 

いままでよりも大きな爆発がおきた。だ…大丈夫かよ!?つばさちゃん!

 

「今度こそ、殺ったわね。」

 

あ…フラグが…

 

「誰を殺ったのです?」

 

ドン!

 

ドカァァァン!!

 

「……ッ!」

 

すると、つばさちゃんがいつの間にか『女王』の背後にいて、女王を地面に叩きつけた。な…!?いつの間に!?てか…浮いてるぅぅぅ!

 

「くぅ…あ…あなた!いつの間に後ろに!?」

 

すると『女王』は立ち上がった。

 

「ついさっきですよ?」

 

「え…?」

 

「いや~…流石にあの威力では服は持ちませんでしたね~、ほら、こんなにもボロボロですよ~。」

 

「な…!なんで無事なのよ!?私の最高の攻撃だったのよ!?」

 

『女王』がそう叫ぶとつばさちゃんは心底驚いた顔で『女王』を見ていた。なんで驚いてるんだ?まぁ確かにあの攻撃は凄かったからきっとそれに驚いて…

 

「え…?そうだったのですか?あの程度があなたの最高だったんですか!な~んだ…やっぱり雑魚じゃないですか…。ガッカリです…。あの程度だと、テオ・ナナ夫婦の足元にもおよびませんよ~。」

 

えええええええ!?そっちで驚いていたのぉぉぉ!てか…あれで足元におよばないって…、テオ・ナナ夫婦ってどんだけ凄い人なんだよぉぉぉ!

 

「そ…そんな…」

 

「はぁ~。あなたに本当の爆発っていうのを~…」

 

すると、つばさちゃんは手を上にかざす…。そしたら、地面で立っている『女王』の回りに小さな光る玉が十個くらい現れた。なんだあれ?

 

「教えてあげますよ!」

 

パチン…!

 

ズドドドドドドドドドドドドォォォォォォン!!!

 

つばさちゃんが指を鳴らした瞬間…、『女王』の回りにいた小さな光る玉が一斉に爆発した!な…なんじゃこりゃぁぁぁ!

 

「く………はっ………!」

 

『女王』の全身がさっきの爆発で血だらけになって、所々火傷もしていた。

 

「ふふ…、どうでしたか?本当の爆発ってのをその身にあびた感じわ」

 

突然『女王』は懐のポケットに手を入れて、そこから小さな瓶に液体が入った物を取りだし、蓋を開けてその中に入っていた液体を全て飲み干した。すると…みるみるうちに全身の傷が無くなり、全ての傷が回復した。な…!?

 

「ふふふ…。まさかこの私がこんな小娘にこれを使うはめになるなんてね…。」

 

「うん?それは確か…」

 

「これは『フェニックスの涙』よ。あなたもしっているでしょう?」

 

「えぇ…。やっぱり持っていたのですね。レーティングゲームでは各、陣営に必ず2つは支給されていますしね。」

 

そうか…あれが『フェニックスの涙』なのか…。あれ…まてよ…、確かつばさちゃんは今、各陣営に2つは支給されるって言ったけども俺達は持っているのか?

 

「あなた達も持っているでしょう?誰が持っているのよ?」

 

「さぁ~?誰が持っているのでしょうか?」

 

「し…知らないの?そう…、まぁいいわ!ここであなた達を全員倒すからね!あなたはあの攻撃力の魔力を放ったんだし、そう易々と連発できないだろうしね!」

 

た…確かに!あんな攻撃力を持つ攻撃を連発なんて魔力の関係上できないよね!流石につばさちゃんでも!できない…よね…?

 

「なんなら試しt…」

 

「あらあら。あなたの相手は私ですわよ?」

 

すると、聞きなれた声が聞こえてきた。あ…朱乃さんだ!

 

「あ…!朱乃さん。」

 

「つばさちゃん?ここは私に任せてくださいませ。すぐに終わらせて見せますわ。木場君の所に行ってくださいな。……それに、折角あなたに鍛えて貰ったのにただ見とくだけなんて嫌ですものね」

 

朱乃さんはニコニコしながらつばさちゃんに言っていた。

 

「わかりました。ここは任せますね?朱乃さん。」

 

「はい♪ありがとうごさいますわ。」

 

「イッセー!小猫ちゃん!早く木場の所に行きますよ!」

 

「おう!」

 

「わかりました。」

 

俺達は急いで木場の所に行こうと走っていたら、つばさちゃんが『あっ…そうだ!』と言って止まって朱乃さんの方へ振り向いた。

 

「朱乃さ~ん!無事に必ず来てくださいね~!そしたら、朱乃さんの言うことをなんでも一つ聞いてあげますから~!頑張ってくださいね~」

 

すると、突然朱乃さんの目がキランと光(った気がした) 、朱乃さんの魔力が格段に上がった。

 

「うふふ…うふふふふふふ!つばさちゃんが私の言うことをなんでも聞いてくれる!こんなチャンスは滅多にありませんわ!そうなったら、頑張って敵を殲滅させませんとね。うふふ…、どんなお願い…いや…命令をしましょうか……。うふふふふふふ…!」

 

「ひッ!」

 

あまりの迫力に『女王』が小さな悲鳴をあげていた。こ…怖ぇぇぇ!!俺も怖ぇよ!隣にいた小猫ちゃんも震えている…。くそ…つばさちゃんはなんてことを…!

 

ガクガクブルブル

 

俺はつばさちゃんを見ると、凄い量の冷や汗を出しながら物凄く震えていた。つばさちゃーーーん!!!

 

「つばさちゃん!どうしてそんなに震えるような約束をしたのだよ!」

 

「だ…だってぇ~!その方が朱乃さんのやる気もアップしてさらに勝負がつくのが早くなると思ったからぁ~!……っぐすん」

 

ドキン!

 

く…反則だ…!男の子なのに顔が超が付くほどの美少女なんだから、若干涙目でうつ向いているのは破壊力が凄い…!ぐぅ…!耐えろ俺の理性!俺の息子よ!つばさちゃんは見た目は美少女だけど男だ!俺は別の道には決していかないぞ!!うをぉぉぉぉおおお!

 

そのあと、数分後に何とか俺の理性はおさまった。ふぅ~あぶね~あぶね~…危うく別の道を歩む所だった。でも…つばさちゃんならいいかも…。もしも…つばさちゃんが本当に女の子だったら…ぐふ…ぐふふふふふ!

 

「……卑猥な妄想禁止」

 

「イッセー…。顔がキモいよ…?」

 

「え…!ご…ごめんなさい…」

 

あ…あぶね~…顔に出てしまっていた…。もしも…つばさちゃんのエッチな姿を想像してたなんてしたら……、あの松田と元浜のような結果に……ブルブル!!

だ…だめだ!思い出したくない!!あれは…本気でヤバイ…。と…取りあえず気を引き締めて今のレーティングゲームに集中しないと…!

 

そう思った俺はレーティングゲームに勝つことだけを考えると事にした。

 

―イッセーside out―

 

 

 

 

―つばさside―

う~ん…イッセーはいったい何を考えていたのでしょうか…?さっきまで俺に熱い視線を送っていたと思ったら涎を滴ながらニヤニヤと変態の顔になってしまったのでびっくりすると同時にかなり引きましたよ…。イッセーは何をまたエロい事を考えていたのでしょうか?まったく…戦い中だというのに呑気でブレない人ですね…

 

「みんな…此方だよ!」

 

すると…小さい声で木場が喋っていた。俺達は無事に木場と合流して、部室棟の裏の茂みに隠れている…。

 

「ここにいる敵は『騎士』、『戦車』、『僧侶』が一名ずつ。合計三名だよ」

 

ふーん。結構少ないですね…。てっきり残りの眷属総出で来てると思っていたのですが。

イッセーが手を握りながら木場の方を見ていた。

 

「木場は、こういうときでも冷静だよな。俺は慣れていないのに突然の戦いで緊張しすぎで手が震えてるぜ…。」

 

「イッセーくん。流石に僕だって、冷静なわけじゃないよ。これは部長の眷族悪魔としてのすべてをぶつけ合う勝負なんだ。今後の全てにも繋がる大事なね。僕は歓喜と共に恐怖しているこの手の感覚を忘れたくない。それに、僕だって戦いには慣れているけども、流石にレーティングゲームは初めてだからかなり緊張してるんだよ?だから、この緊張も、この張り詰めた空気も、すべて感じとって自分の糧にしようと思うよ…。」

 

すると、木場が手を見せてくれた。木場の手はフルフルと震えている。

 

「はは…!木場も震えているのかよ。俺だけじゃなかったんだな…。」

 

「そうだよ?イッセーくん。だから、お互いに強くなろう、イッセーくん!」

 

「おう!木場!」

 

そう言ってふたりは腕を組み合った。あはは~友情がさらに芽生えましたね~。

 

「んじゃ、女子が見て興奮するようなコンビネーションでも展開すっか」

 

「ハハハ!僕が『攻め』でいいのかな?」

 

「バカ!『攻め』なら俺だ!って、違ーう!死ねイケメン!」

 

すると、ふたりはそんなホモホモしい会話をしていた。あ…録音機を持ってきとけば良かった。

 

「さて…、そろそろ行こうか!」

 

木場が言った瞬間グラウンドから声が聞こえた。

 

「私はライザーさまに仕える『騎士』カーラマイン!こそこそと腹の探り合いをするのは飽きた!リアス・グレモリーの『騎士』よ、いざ尋常に剣を交えようではないか!」

 

そこには、野球部が使っているグラウンドに甲冑を装備している女性が立っていた。

 

「名乗られたからには『騎士』として出ないといけないね!」

 

すると、木場がグラウンドに出た。まったく、あの人は何をしているのですか…。本当…剣バカですね。とってもうちのレイジお兄ちゃんと似ていますね…。そう言えば…レイジお兄ちゃんと“雪姫”さんは元気にしているのでしょうか…。仕事で海外にいっていると聞いたので、元気にしてるといいですね~。久しぶりに会いたいな~…

俺はそう思いながら、他のイッセーと小猫ちゃんと一緒に木場の後を着いていった。

 

「僕はリアス・グレモリーさまの眷族、『騎士』木場祐斗」

 

「俺は『兵士』の兵藤一誠だ!」

 

「私は『戦車』の塔城小猫です」

 

「えーと、俺はわけあって参加することになった人間の結城つばさです。」

 

すると、甲冑を着た女性『騎士』のカーラマインが口元をつり上げた。嬉しそうだなぁー。

 

「リアス・グレモリーの眷属におまえたちのような戦士がいたことをうれしく思うぞ。堂々と真正面から出てくるなど、正気の沙汰ではないからな!さぁ…グレモリーの『騎士』よ尋常に勝負しようじゃないか!」

 

「個人的に僕も『騎士』として、尋常じゃない切りあいをしたかったのだよ!」

 

「こい!!グレモリーの騎士よ!!」

 

木場とカーラマインとか言う焼き鳥の『騎士』はそれぞれの剣を持って斬りあっていた。

 

「はぁ~…、暇だな~…」

 

「ふっ…ヒマそうだな」

 

「「ッ!」」

 

イッセーと小猫ちゃんが驚き、俺も声がした方を見ると、顔の半分にだけ仮面をつけた女性と綺麗なドレス姿のお姫様みたいな人がいた。てか、このドレスを着た人どっかで見たような~…。

 

「まったく、カーラマインったら頭の中まで剣剣剣なんですから。それに、カーラマインったら『兵士』を『犠牲』するときも渋い顔してましたし…。しかも、せっかくかわいい子を二人も見つけたと思ったらそちらの一人も剣バカだなんてついていませんわ………。そこの人間さん?」

 

「はい?なんでしょうか?」

 

「どうせ暇ですし、私とお茶をしませんこと?」

 

「え…?」

 

戦い場でお茶を?何を言っているのでしょうか?

 

「な…!アイツはなにいってんだ!」

 

イッセーも叫び困っていると、一緒にいた仮面の人が困り顔で教えてくれた。

 

「あー、気にしないでくれ、あの子は特殊なんだ。戦いも基本観戦しているだけなんだ。さっき彼女が言ったとおり、本当に君とお茶をしたいだけなんだよ。」

 

えぇ~。マジですか~。てか…特殊って?

 

「彼女は、いや、あのお方はレイヴェル・フェ二ックス。ライザーさまの妹君だ。」

 

「なんで、自分の妹を眷属にしてるんだよ…。あの焼き鳥野郎は妹にまで手を出してるのか?」

 

イッセーが嫌そうな顔をしながら質問した。

 

「ライザーさま曰く、『近親相姦っての?憧れたり、羨ましがる者多いじゃん?まあ、俺は妹萌えじゃないからカタチとして眷属悪魔ってことで』だそうだ」

 

うん…やっぱりただの変態ですね。これならまだイッセーの方がマシですよ。いや…マシ…なのかな…?マシ…だよね?イッセー?

それと、今思い出した…。そう言えばフェニックス家の当主と長男が来たとき『私達の妹はとてもしっかりしてて、頭が良くてね。凄く可愛いんだよ。これが私の妹の写真だよ、見てくれ!』なんて言われて見たことがありましたわ…。

 

「アイツ…!やっぱり部長と結婚なんて絶対にさせねぇ!」

 

「本当ですね…。それに…」

 

「?」

 

俺はライザーの妹“レイヴェル・フェニックス”と一緒に来ていた仮面の人に視線を向けた。すると、仮面の人もこちらに気づき首をかしげた。

 

「あなた達も…苦労しているのですね…。」

 

「く…そうなんだよ…。私達も、ライザー様には苦労してばっかりなんだ。」

 

「この戦いが終わったら愚痴を聞いてあげますよ。それで少しは気持ちも軽くなると思いますよ?」

 

「いいのか…?」

 

「はい!」

 

「ふふ…ありがとう。さて、そこの『兵士』!」

 

「は…はい!」

 

急に呼ばれたイッセーは上ずった声で返事をした。そのあと、その声をだしたイッセーは若干顔を赤くしていた。

 

「お前との勝負を申し込む!いいな?」

 

「おう!いつでもいいぜ!」

 

「ふっ…でわ、いくぞ!はぁ!!」

 

ドン!

 

ふたりの拳同士がぶつかりあった。あちらも戦闘を開始しちゃいましたね~。

 

「人間さん?いつになったら私とのお茶の返事を返してくださるのてすか?」

 

「あぁ、ごめんなさい。OKですよ?お茶をいただきます。小猫ちゃんは?」

 

「結構です…」

 

「だそうですよ?」

 

「わかりましたわ。では、こちらに座ってくださいませ。」

 

ライザーの妹レイヴェルはいつの間にか出ていた、お洒落なレストランやカフェテリアの外のベランダ席にあるような、白いテーブルと椅子を用意していた。そこのテーブルの上にはお洒落なティーカップセットがあり、横にはバケットがあった。

 

「さぁ、私とお茶をしながらお話をしませんこと?」

 

「はい。いいですよ?何を話しますか?」

 

俺はレイヴェルと向かい合うように座った。

 

「あなたは何故あの時お兄さまに対してあのような喧嘩を吹っ掛けるような事を言ったのです?」

 

あぁ~…あの時ですね。

 

「それは、ただあの種蒔き焼き鳥野郎が気にくわなかったし、それにありのままの真実をそのまま伝えただけですしね。」

 

「そうなのですか。では、何故あなたは悪魔でもないのに彼処にいたのですか?人間ですよね?」

 

「たまたまですね…。」

 

「でも、あなたはあのグレイフィア様ととても親しい関係でしたわよね?それに、お兄様が見せしめのように眷属とキスをしていた時にグレイフィア様が『あなたの教育上よろしくないので』なんて言いながら、あなたの目をふさぐ時点で、ただの知り合いなんてもんじゃないですよね?」

 

おふぅ~…しっかりと聞いていらっしゃってますね…。

 

「まぁ~そうですね~。」

 

ヤバイ…正体バレそう…。

 

「それに、お兄様があなたを誘った時もグレイフィア様が物凄く怒っていらっしゃって、その時に魔王様と魔王様の眷属が総出で消しにくると、おっしゃったんですよ?そうなれば、あなたは魔王様とその眷属の皆様とも親しい関係ということになりますよ?あなたはいったい何者なんですか?」

 

うわぁん…この子結構聞いてるよ~…!どうしよう…!いっそのことバラすか?この子なら大丈夫だよね?いや…でもな~…

 

「どうしたのですか?」

 

首をかしげて、顔を覗いてきた。ヤバイ…!もう招待をかくせないかも~…!

 

ズドォォォン

 

すると、グラウンドの方から爆発音が聞こえた。誰でしょうか?この爆発音は?

 

「くっ…」

 

 

『ライザー・フェ二ックスさまの『戦車』一名リタイヤ』

 

すると、グレイフィアさんの放送が流れる。ほ~う…。イッセーが倒したのですね♪やるじゃないですか♪

 

「ふ…!勝ってやったぜ!」

 

「おめでとうございます。頑張りましたね。イッセー!」

 

「おう!サンキューつばさちゃん!」

 

「サイテーの倒しかたでしたけどね…」

 

「ちょ…!小猫ちゃん!?」

 

なんでしょうか?サイテーの倒し方って?

 

「小猫ちゃん?いったいそれはなんですか?」

 

「それはですね…」

 

「言わないで!小猫ちゃーん!」

 

イッセーが叫ぶが小猫ちゃんは迷わず喋った。

 

「敵の服をあの技で消し飛ばして、羞恥心で大事な部分を隠すため座った隙を狙い、魔力の塊を放って相手を倒したのですよ」

 

なるほどね~…イッセー…あなたって人は…

 

「イッセー…」

 

「な…なに?」

 

「前言撤回します。サイテーの人ですねあなた……。

そして、死んでください」

 

「ぐは…!」ドサ!

 

今回二度目の撃沈…。イッセーは本当懲りないですね~…

 

「あら?イザベラ姉さんは殺られたの?」

 

「あ…!ライザー様を侮辱した人間がいるわよ!」

 

「本当だ!」

 

すると、残りの焼き鳥の眷属が集合した。えーと、『僧侶』一、『騎士』一、『兵士』二ですか…。

 

「く…まだいたのかよ!こうなったら全員相手をしてやる!」

 

「あら、あなたみたいな人に四人も必要ないですわ。ニィ、リィ」

 

「にゃ」

 

「にゃにゃ」

 

レイヴェルの一言で獣耳のふたりの少女が出てきた。これも姉妹ですか…。

 

 

「彼女たちは獣人の女戦戦士。体術は、それはそれは大したものですのよ?」

 

「へん!俺は負けないぜ!」

 

すると、ふたりの獣耳少女がイッセーに飛びかかる。イッセーは軽いフットワークで避けながら獣耳少女をあしらっている。

 

「あたらにゃい!」

 

「くそ~!」

 

「はん!その程度の攻撃じゃー、俺には届かないぜ!あの人の方がよっぽど早いぜ!」

 

あはは~、確かにそれぐらいの敵の攻撃を避けれなければ、今ごろ死んでいましたからね~。あなたは。ま~だからこそ俺はこういう事の為に、あの人をあなたに付けたんですけどね~。

 

「くらえ!!」

 

イッセーはふたりの獣耳少女の懐に入り、同時にパンチを入れてふたりを飛ばした。

 

『ライザー・フェニックス様の「兵士」二名、リタイア』

 

「なっ…!最初はあんなにも弱かったはずなのに!このたったの10日間でここまで動きがよくなるなんて!」

 

「へへ!この10日間で俺は何度も死にかけたからな!そりゃ~自然に強くもなるさ!」

 

まぁ…それで、強くならなかったらどうしようもなかったですけどね…。

 

「あなた達全員で掛かりなさい!」

 

「「はぁ!」」

 

すると、残りの二人もイッセーに飛びかかるが空中でふたりの動きが止まった。

 

「「え…?」」

 

ふたりは何がおきてるかわからないようだ…。まぁ…俺がふたりの時を止めているからね~。わかるわけがないけどな。

 

「なんだか知らねえが、今がチャンスだな!」

 

イッセーは赤龍帝の籠手に米粒くらいの小さな魔力の塊を作り出した。

 

「くらえ…ドラゴン・ショット!!」

 

すると、米粒サイズの魔力は籠手から離れると、大人が二人も入るほどの大きな塊へと変貌し、残りの眷属を包み込んだ。

 

『ライザー・フェニックス様の『僧侶』、『騎士』リタイア』

 

グレイフィアさんの放送がまた流れる。

 

『続いてライザー・フェニックス様の『騎士』リタイア』

 

ほぉ…木場が勝ちましたね…?

 

「ふぅ…倒せたよ。つばさちゃん。君のお陰で勝つことができたよ。」

 

「俺は何もしていませんけどね~」

 

すると、レイヴェルが焦りながらこっちにきた。

 

「あなた達はまだ諦めませんの?まだこちらには『女王』が残っていますし、それに、いくらあなた達でも“不死鳥”でもあるお兄様は倒せませんわよ?」

 

「いや?倒せるよ?俺ならね~。」

 

「本気で言ってますの?あなた…。人間ですよね?」

 

「うん…。そうだけどなにか問題でも?」

 

「それは…!」

 

『ライザー・フェニックス様の『女王』リタイア』

 

レイヴェルがなにかをいいかけた時、グレイフィアさんの放送が流れた。にゃははは~。やっぱり朱乃さんが勝てましたね~。

 

「なぁっ…!!」

 

「あはは~、やっぱりライザーの『女王』は負けましたね。」

 

「あらあら。思ってたよりも粘るので時間がかかってしまいましたわ。」

 

朱乃さんが戦い終わったのか、少し破けた制服をきて飛んできた。

 

「お疲れ様です朱乃さん」

 

「ありがとうございますわ。それよりも、リアスから連絡がきて、今は、アーシアちゃんを連れてライザーと学校の屋上で一騎討ちをしているみたいですわ。急いで行きませんと!」

 

「わかりました…。それでは皆さん屋上に行きましょうか!」

 

『はい!』

 

俺達は屋上へ向かおうとしたら、俺だけレイヴェルに肩を捕まれた。どうしたんでしょうか?忙いでいるのですが…

 

「どうしましたか?俺は今忙いでいるのですが…?」

 

「あなた達は本気でお兄様を倒そうとしているのですか?無謀にも程がありますわよ!特にあなたは人間なのですから、お兄様を倒すことなんてできませんことよ?」

 

なんだか、物凄くバカにされていますね…

 

「はぁ~…あなた達悪魔は人間を舐めすぎですよ…。それに、俺は人間でも、そんじゃそこらの一般人と一緒にしないでくださいよ…。」

 

「それはどう言う事ですの?」

 

レイヴェルが怪訝な顔で聞いてきた。はぁ~…正体を明かしましょうか…。

 

「俺は、これでも…地球連邦軍 特殊部隊・特別調査班 総隊長をやってますよ?それと、またの名を【黒巫女】なんて呼ばれていますよ?」

 

「なっ…!?」

 

レイヴェルが物凄く驚いた顔になった。まぁ…普通はそうなりますか…。

 

 

「では…!俺は急いでいるのでまた終わった後でお茶をしましょうね~」

 

そう言い残した俺は急いで学校の屋上に向かうのだった。




いかがでしたか?
いや~、なんて書こうか思い付かなくて更新が遅れましたが、何とか書けましたよ~。
それと、気づいた人もいるかもしれませんが、テオ・ナナ普通はあの古龍種達ですよ~♪
さぁて!!次回はVS焼き鳥野郎です!頑張って書いていこうと思います♪

では、また次回お会いしましょうね♪それではさようならです!


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7話 レーティングゲーム決着です!

今回はVS焼き鳥野郎ですね♪さぁ…!どうやって遊びましょうね~♪


―つばさside―

俺達は今、ライザー…焼き鳥野郎の所に来ている。今はリアスさんと一騎討ちをしているみたいなのですよ。今のところはリアスさんが押している見たいですね。そりゃ~妹紅さんに鍛えてもらって負けてたら、許しませんよ?でも、流石のリアスさんでもアーシアを守りながらはキツそうですね…。それに…他の人達も流石に初めてのレーティングゲームのせいもあって、かなりの疲労が体にきている見たいですね。いくら強く体を鍛えても、流石に心までは鍛える事はできませんからね~…。

 

「部長ー!兵藤一誠只今参りました!!」

 

「部長!僕も来ました!」

 

「部長…、私もきました。」

 

「部長、私もきましたわ」

 

「俺もきましたよ~、リアスさん。」

 

すると、リアスさんとアーシアはこちらには気づき、笑顔になった。

 

「ありがとう!みんな、助かったわ」

 

「みなさん!助かりました!!」

 

ふたりとも、少しボロボロですけどもまだいけますね?俺は少し見守っていましょうか…。流石にリアスさんとグレモリー眷属のゲームなのに、先に俺が一人勝ちをしてしまうと、顔がたちませんからね~。少し待ってタイミングを見てから手助けしますか。

 

「つばさちゃん!お前は手を出さないでくれ!俺達でこいつをぶっ飛ばしてやるから!」

 

「わかりましたよ…。頑張ってくださいね?グレモリー眷属の皆様」

 

「わかったわ!さぁ!私の可愛い眷属達!あのライザーをみんなで倒すわよ!」

 

『はい!部長!』

 

ライザー対グレモリー眷属の戦いが今始まった。

 

「くらえ!」

 

「はぁっ!」

 

ドっ! ザシュっ!

 

「くぅ…」

 

木場の剣とイッセーのパンチを諸にくらい怯むライザー。

 

「うふふふ、さぁあなたは何処まで耐えれますかしら?」

 

ズガガガガガガッ!

 

「アガガガガガガ!?」

 

ライザーは朱乃さんの雷光をまともにくらい黒焦げになるが、またすぐ回復した。相変わらずフェニックスなだけあってしぶといなー。

 

「落ちてください…」

 

小猫ちゃんは気の波動を纏った打撃技でライザーを叩く。手を開いた状態で指だけを折って手のひらに白色の気を纏って手をつきだしてライザーの腹に当てた…。

 

「グホォ!」

 

ライザーは吐血しながら地面に落ちていった。少しライザーの炎の翼がゆらいで小さくなった…。流石に朱乃さんの雷光の“光”と小猫の“仙術”を連続でくらってダメージが無いわけがないよね~。それでもまだ立ってるけどね…。

 

「ライザー!!くらいなさい!」

 

リアスさんは片手をだして手のひらにから物凄く大きな蛇みたいな物がライザーを襲った。

 

「ぐ…ぐあああああ!!」

 

ライザーはその蛇みたいな物に噛まれて体の右半身が綺麗になくなった…。

 

「ふふ…、妹紅さんに教えてもらった魔力の質を代えて威力も上げる、やり方を教わって自分で編み出した私の必殺技よ!」

 

はは…スゲーよリアスさん。確かに妹紅は魔力を自分で質や威力に量も調節したりして、スペルカードと合わせたり、接近戦の対術に使ったりと、かなりのバランスのとれた戦闘タイプなんですが…。まさか、あの妹紅さんが最も得意としてた、魔力の質を代えて動物見たいにし、更に威力も限界まで高めてそれを相手に放つ技を覚えるなんて…。リアスさんは生粋のウィザードタイプ何でしょうね~…。

すると、さっきまで右半身を無くして倒れていたライザーは立ち上がった。まだ立つのですか?

 

「く、流石に舐めすぎていたな…。だが、その程度では俺は倒せないぞ!!」

 

「な…まだ立つの?ライザー!」

 

「くくくく…、そうだ…貴様らでは俺を倒すことなんてできやしない!そこの人間だって、俺が怖くて何も攻撃をしてこないじゃないか!それに、貴様らはそろそろ限界がきているだろうしな!」

 

ライザーは高らかに笑っていた。確かにリアスさん達はもう魔力も底をつきかけていて、息も荒くなっていた。確かに修業でかなりの実力がついたが、やはりたったの10日間では、本当の意味では強くなれませんしね…。しかたがない…。俺が出ますか!!

 

「リアスさん達はもうさがってくださいな…。あとは、俺がやりますよー…」

 

「……え?ちょっと!つばさ!そんなあなた一人ではライザーを倒せないわよ!!私達に任せてあなたは休んでいなさい!!」

 

「はぁ~…リアスさんは俺の事を心配してくれるのはいいんですが、人の心配よりも先に、自分の心配をしてくださいよ。あなたはもう限界がきているんでしょ?グレモリー眷属のみなさんも、俺がわかってないとでも思いですか…?俺よりもあなた達が休むべきですよ?」

 

「でも、それでもライザーには…」

 

俺はリアスさんの口に指を当ててリアスさんを黙らせた。

 

「リアスさん?あなた…俺を何だと思っているのですか?自分で言うのもあれですが、俺はあなたの兄であり魔王でもあるサーゼクス・ルシファーよりも、強いんですよ?伊達に最強の部隊の総隊長をこの歳で勤めていませんよ?俺ならライザーを倒すことなんて簡単な事なんですよ…。だから、心配しないでくださいよ♪ちゃんと勝ちますからね?」

 

「もう…いくら言っても聞かないのね?」

 

「はい、聞きませんよ~」

 

「はぁ…わかったわ。でもこれだけは約束して。私は最初に言ったわよね?“眷属がひとりも欠けずにこのゲームを勝つ”と言うことを…。だから…絶対に勝ってきなさい!約束よ?」

 

「ふ…。はい、わかりました。この結城つばさ、あなた様の為に勝利を誓いましょう!」

 

「つばさちゃん!絶対に勝ってこいよ!」

 

「つばささん!無事に勝ってきて!」

 

「つばさ先輩…勝たないと怒ります。」

 

「うふふ、つばさちゃん?約束があるので、必ず無事に勝ってきてくださいね?」

 

みんなが、俺に応援をしてくれた。ふふふ…。本当に…甘いんですから…

 

「ありがとうございます!それでは…いってまいります!」

 

そして、俺はライザーの所に行った。

 

―――――――――――――――――――――――

 

「さぁ…ライザー!!てめーとの挑戦の約束を果たしに来てやったぜ!」

 

「ふん…。たかが人間風情がこの俺に逃げずに来たことは誉めてやろう…。しかしだ…。貴様は人間で俺は悪魔だ。それだけでも差があるというのに、更に俺は誇り高き不死鳥だ。この絶望的な状況で貴様が勝てる見込みはゼロに等しいぞ?今なら俺の物になるんだったら、お前だけは助けてやろうぞ?さぁ…どうする?」

 

「ふん!あんたは俺を舐めすぎですよ!あんたが俺に勝つ?はんっ!!冗談は顔だけにしてくださいよ。あんた程度で殺られるような俺ではないですからね…。それにフェニックス?不死鳥?あはは!!あんたみたいな種蒔き焼き鳥野郎が不死鳥だなんて笑える冗談ですよ…本当にね!それに…貴様程度の奴がフェニックスや不死鳥の名を語るな!!俺の知ってる不死鳥の方がよっぽど綺麗ですからね!!この種蒔き焼き鳥野郎が!」

 

すると、ライザーは顔に青筋を立てて憤怒の表情で体から炎を吹き出した。

 

「き…きさまぁぁ!!もう許さん!!貴様だけは泣いて詫びようともぶっ潰して体と心を壊してやる!!」

 

そう言ったライザーは俺に大きな炎の塊をなん十個も投げてきた。あっぶね~!リアスさん達の回りに強力な結界を貼っていなかったらどうなってたやら…。

 

「むむむ…ライザー?あなたは他の人達も巻き添えをするつもりですか?」

 

「ふん!!そんなものは知らん!!貴様を倒せるなら俺はどんな手を使ってでも貴様をぶっ潰してやる!!」

 

「本当の意味での鳥頭だな…。たく…。そうだ!木場?」

 

俺はあることを思いだし木場をよんだ。

 

「なんだい?つばささん?」

 

「うん…。前、あなたと妖夢が戦った時に妖夢が俺の早さと剣捌きを興奮しながらあなたに喋ってた時があったじゃないですか~。」

 

「あぁ~あったね…。いや~あのときの話は僕でも信じられなかったけども、あの人が言うんだから、信じちゃったよ。スゴく聞いてて気になってしまったしね」

 

「そうですか…なら…」

 

俺は一泊おいて口を開く…。

 

「見たくないですか?俺の剣捌きを…?」

 

すると、木場の顔が驚いた顔になり、すぐに好奇心の目になった。

 

「見たい!」

 

「あはは!正直な人ですね…。今日は特別ですからね?よ~く見ときなさいな!でないと……」

 

俺は両手に【対刀“零”】をだして、握った。

 

「見えませんよ?」

 

シュン

 

ザシュ!!

 

「ぐあああああ!!」

 

「え…!」

 

俺はライザーの懐に一瞬で入り対刀を振り上げライザーの右肩ごと腕を飛ばす。

 

「ほらほら、まだ始めたばっかりですよ?」

 

シュン!

 

ザシュ!

 

「くっ!」

 

ザシュ!

 

「ぐあ!」

 

ザンッ!

 

「つっ!」

 

ドシュッ!

 

「くはぁ…!」

 

ザク!

 

「うぐぁ…!」

 

ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ、ザク、ザシュ、ドシュ、ザシュ、ザシュ、ザンッ!、ザシャ、ゾシュ、ズバ!!

 

「…………………………ッッッッッッ!!!!!」

 

俺は肩、腰、腕、指、脚、足首、頭、背中、腹、顔等々…身体中の至るとこをを舞うように飛びながら切り裂いていく…。ライザーは余りの痛さに声に鳴らない声をだしていた。まぁ…わざと急所をずらしたり急所に当てたりして、ただ切るよりも激痛があるようにしているのですからね~。

あと、速さは精々雷が落ちる200m/s程度の速さで動いているので、魔王や妖夢くらいのレベルの人は余裕で見えて反応して追い付ける程度ですので、全然遅い方ですね~。←(ただの化け物)

 

すると、ライザーの炎は弱くなり、最初よりも小さくなっていた。が…突然ライザーのつきかけていた魔力が戻った。こいつ…フェニックスの涙を使いましたね…

 

「くぅ!まさか俺が貴様ごときにこれを使うはめになるなんてな…やはり、貴様だけは殺しておくべきだ!」

 

「死ねぇ!」

 

ゴォォォォォ!!

 

すると、俺の回りに炎の柱が出てきて俺を包んだ。はぁ…この程度の火力で炎なんですか?俺が今まで相手をしてきた炎を司る物の中で一番弱いんですけど…。

 

「くははは!!やっぱり手も足も出せずに死んだな!!ははははは!!」

 

「つ…つばさちゃーーーん!!」

 

なんかライザーが高笑いして、イッセーが叫んでる…。俺は普通に大丈夫なのにね?

 

「ふぅ…、仕方ない…。あれを使ってさっさと終わらせますか…。」

 

「旋風!【風塵壁】!」

 

ブワァァァ!!

 

俺の回りに小規模の竜巻がおこり、俺を包んでいた炎の柱が竜巻に飲まれて、竜巻と共に霧散した。それを見ていたライザーとグレモリー眷属の顔は驚愕に包まれていた。

 

「なっ!?何故貴様は無事なんだ!!」

 

「はぁー…。あの程度で殺られるなら、今頃なん十回も死んでいますよ?ハッキリ言いますと、俺が今まで戦ってきた炎を司る者で一番貴方が弱いんですよ?ライザー……いや…、焼き鳥さん?」

 

「き…貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ライザーは激怒し特大の炎の火柱を上げながら俺を睨んでいた。

 

「ふーん…。まだそんな力が有ったんだね?だったら俺もあれを使って終わらせてあ・げ・る!」

 

そして、俺は高らかに右手を上げて古龍種で崩龍と呼ばれ凍てつく氷の世界にいた、氷を司るドラゴンの名前を叫ぶ。

 

「コピー能力発動!!牙獣モード【ウカムルバス】!」

 

ゴォォォォォ!!

 

俺の回りに凍てつく寒さの吹雪が舞った。そこから出てきた俺は見た目が変わっていた。その見た目は目は蒼く、肌が雪のように白くて、腰まで伸びた白い髪が光の反射でキラキラと美しく光っており、まるで幻想の如く誰もが見惚れる美しい姿だそうだ。←(お姉ちゃんとお兄ちゃんがそう言っていた)

 

「さて…。あなたは何処まで耐えれますか?」

 

俺は手元に氷の刃を形成しそれを強化してその武器をもった。

 

「【崩刀ウコトカムルバス】!」

 

その大きな太刀の用な武器は両刃でノコギリの用な刃をしていて、大きさはさながら太刀よりも、大剣に近い物だった。

 

「さぁ…ライザー!行きますよ!!」

 

俺はライザーに駆け寄った!

 

「せい!」

 

ザンッ!

 

「ぐはぁ!!」

 

俺はライザーに太刀を上から降りおろす用に切った

 

「とぉ~りぁ!」

 

ズシュッ!

 

「ギァァァア!!」

 

今度は下から斜め上に切ったら、ライザーの胸を切り裂きながら左腕が肩ごと切れて吹っ飛んでいった。ありゃりゃ。痛そ~。

 

「まだまだ~!そぉーれ!」

 

ズン!!

 

「うぐぁぁぁぁぁ!!」

 

そのまま下に剣を下ろして突き刺すように構えて腹を突き刺した。

 

「そのまま~……てい♪」

 

ズシャァァァ!!

 

「ギュァァァアァァァ!?」

 

俺は容赦なく思いっきり引っ張った。太刀は両刃がノコギリの用になってるから嫌な音をたてながら抜けた。おぉ…グロイグロイ。

 

「ぐ…あぁ…。」

 

ライザーの炎はもうなくなる寸前だった。しかし、ライザーはいきなり炎の柱を自分のまわり放ち自分を隠すように炎の柱を上げた。すると、すぐにライザーが出てきたと思ったら、ライザーの傷と炎はまた元通りになっていた。フェニックスの涙をまた使ったな?あいつ…。あれ?まてよ?確かライザーは既にフェニックスの涙一個を使っている…。もう一個はライザーの『女王』が使っているから、ルール上は二個以上はフェニックスの涙を持てないはずでは…。そう言えば、リアスさんにさっき聞いたところ、『いえ…?私達はフェニックスの涙なんて貰ってないわよ?』なんて言ってたっけ…。と…いうことは~。あいつ…。渡さなかったな…?フェニックスの涙を…。どうせ、父親に『リアスには俺が渡しておきましょう』なんて言いながら、心の中では『負けるのだからすぐに負けれるように俺が持っておこう』なんて思って持ってたのだろうな。

 

「くくくく!!ははははは!!やっぱり貴様はこの程度じゃないか!!所詮は人間だ!俺には勝てないんだよ…。くくくく!あはははははははははは!!」

 

「つばさ…」

 

リアスさんが物凄く心配そうに見ていた。ふふ…。

 

「大丈夫ですよ…。リアスさん。俺は絶対に勝ちますよ。だから…信じてくださいな」

 

「うん…わかったわ…。あなたを信じるわ…。」

 

「ふふふ、ありがとうございます」

 

さぁ~てと…、ライザーには、俺のとっておきの必殺技で倒してあげますよ。さぁ…あなたはこれを食らってどんな顔になるのでしょうね~。ふふふふふふ♪

 

「ライザー…。あなたは本当にアホですよ…。あなたは…。選択を…ミスしましたね」

 

「……なに?どういうことだ!!」

 

「次の…この一撃で、終わらせてあげますね!」

 

「ふん、ほざけ。人間 がぁぁぁぁぁ!!!」

 

ライザーは今まで一番大きさな炎の塊を作った。そして、それを俺に目掛けて投げてきた。

 

「くははははは!!死ねぇぇぇ!!」

 

「つばさ…!逃げてぇぇぇ!!」

 

『つばさ(ちゃん)(さん)(先輩)!!』

 

皆が叫んでる…。でも…大丈夫ですよ♪この程度の炎…俺の必殺技の前では無意味ですからね…

そして、俺は手を合わせて合掌した。

 

「全てを凍らす無限の力よ…。万物全てを氷に染めよ!!この世の全てを奪う白き氷の死の世界を造り出せ!!」

 

俺が呪文を言うと、このレーティングゲームの世界の全てに白い霧が立ち込める…

 

「究極奥儀!!【絶対零度】!!」

 

シュゥゥゥゥゥ…パキィィィィィィィン!!

 

そして…この空間の全てが氷の世界に変わった…。

 

『ライザー・フェニックス様の戦闘不能を確認。よってこの勝負リアス・グレモリー様の勝利です』

 

「え?…うそ………やったわ…、勝てたわ!」

 

『い…やったぁぁぁ!!』

 

グレイフィアさんのアナウンスでリアスさんの勝利が確定して、リアスさんとグレモリー眷属の皆が喜んでた…。

 

「つばさ…。ありがとう…!貴方のお陰でライザーに勝てたわ…。それに…貴方のこの力はスゴすぎるわね…。」

 

「あぁ!スゴいぜ!つばさちゃん!」

 

「スゴすぎますよ…つばさ先輩……」

 

「ははは、流石だね。つばささん」

 

「あらあら、流石つばさちゃんですわ」

 

「す…スゴかったです!つばささん!」

 

えへへ…。皆からスゴいって言われるのは嬉しいな~♪でもね…、この必殺技はあんまり多用ができないの…。なぜなら…。物凄く魔力を消費して、物凄く疲れと体温の急激な低下による眠気が物凄いからね~。

 

「えへへ…ありがとう…ごさいます…。でも…俺も…そろ…そろ…げん…かい…です…よ~…」

 

ドサッ!

 

『つばさ(ちゃん)(さん)(先輩)!?』

 

そして、俺の意識がブラックアウトしたのだった…。

 

―side out―

 

 

 

―サーゼクスside―

やぁ、魔王サーゼクス・ルシファーだよ。僕は今リアスの婚約をかけたレーティングゲームをフェニックス家の現当主とグレモリー家の現当主とゆったりと見ていたんだが、今回はつばさちゃんが出ると言うことで内心どうなるかと、ワクワクしながら見ていたんだが、あの子は本当にスゴいね…。

 

「ねぇねぇ、サーゼクスちゃん!つばさちゃんの戦っている所を初めて見たけども、スゴすぎない?私物凄く興奮しているんだけど!☆さっすがあの皐月とナツルの弟くんね☆」

 

私の横で愉快なしゃべり方をしている女性がもう一人の魔王セラフォルー・レビアタンだ。なぜ彼女がいるかというと、ツバサちゃんが出るといったら『私も見たい!!』と言って一緒に見ているのだよ。

 

「ハハハハハ!まだあの子は本気の“ほ”の時もだしていないよ。あの子の本気は一度見たことがあるけども、あれは凄いってもんじゃ足りないぐらい、凄かったよ。」

 

「へぇ~!そうなんだ!私もあの子の本気を見てみたいな☆」

 

「おや?サーゼクス。あのツバサ君はあれでもまだ本気をだしていないのかね?」

 

「はい。そうですよ父上。あの子は基本的に認めた相手しか本気を出さないそうなんで、まだまだ力をだしていませんね。」

 

「ははは!グレモリー卿。私もあの子の戦いを見るのは初めてだが、あの子はあの最強の部隊の総隊長をやっているのですぞ?そんな彼があの程度ではないと思いますぞ?」

 

「ははははは!そうなのかい?確かにあの兄弟姉妹だからね。強いのは当たり前か!ふははは!」

 

 

さて、ツバサちゃんはいったいどんな感じでここを乗り越えるのかな?

 

――――――――――――――――――――――

あれから、時間がたっていまつばさちゃんがライザーとの一騎討ちをやっているところだ…。

 

『あははは!正直な人ですね。今日は特別ですからね?よ~く見ときなさいな!でないと…』

 

すると、彼は日本の忍者刀を取り出した。その忍者刀は片方が刀身が全て赤い色をして紅いオーラを纏った短刀と、刀身が銀色でキラキラした風のオーラを纏った短刀だった。

 

『見えませんよ?』

 

シュン!

 

ザシュッ!

 

『ぐあああああ!!』

 

なっ!は…速い!流石だね…。あの兄弟姉妹が誰一人として勝てない究極の速さをもつあのこからしたら遅いけども、それでも雷の落ちる速度の200m/sぐらいの速さはでているんじゃないかな?

 

「な…!!ツバサくんはあんなに早かったのか!?」

 

「確かに『騎士』の駒を使ってもあの速さで動ける奴は悪魔でそうそういないだろうね…」

 

 

「スゴイ☆さすがツバサちゃんね☆」

 

「ははは! あれでもまだ、あの子にしたら遅いんですよ?なんせ、あの子の本気の速さは私も見えないし、あの子の兄弟姉妹でさえ、反応するのがやっとなぐらい速いですからね。」

 

「うむ、やっぱりあの兄弟姉妹だね。」

 

「そうですな…」

 

「そうですねー☆」

 

グレモリー卿、フェニックス卿、セラフォルーはなにかを悟ったような顔で語っていた。

 

『コピー能力発動!!牙獣モード【ウカムルバス】!』

 

ゴォォォォォ!!

 

突然つばさちゃんの回りに荒れ狂う吹雪が舞った。そして、吹雪が止んで、そこから出てきたのは、目は蒼く、肌が雪のように白くて、腰まで伸びた白い髪が光の反射でキラキラと美しく光っており、まるで幻想の如く誰もが見惚れるとても美しい姿のつばさちゃんだった。

 

「キレイ…///」

 

セラフォルーが顔をほんのりと赤くしながら呟いていた。あぁ…確かに凄く綺麗だ…。

 

『さて…。あなたは何処まで耐えれますか?』

 

『【崩刀ウコトカムルバス】!』

 

すると、つばさちゃんの手に大きな太刀の用な武器が出てきて、両刃でノコギリの用な刃をしており、大きさはさながら太刀よりも、大剣に近い武器だった。

 

「(彼はあんな凶悪そうな武器を持っていたんだね。)」

 

その後は、彼の一方的な攻撃だった。なんともグロい攻撃の光景で私達は結構引いてしまった。そして…私達は気づいた。あの子は今物凄く怒っていることに…。すると、一方的に殺られていたライザーくんが炎の柱に包まれたと思ったら、魔力と傷が全て完治していた。おかしい…確か、ライザーくんの所のフェニックスの涙は既に2個とも使っているはずなのに…。

 

「うん…?なぜライザーは回復出来たのだ?あやつのフェニックスの涙はもうないはずなのに…。」

 

「フェニックス卿…。一つお聞きしたいことが…。」

 

「なんでしょうか?サーゼクス様?」

 

「リアスにはフェニックスの涙は渡っていますか?」

 

「リアス様にですか?確か、リアス様のフェニックスの涙はライザーが『私が責任をもって渡しておきましょう』と言ってライザーに渡したのですが…。まさか…!!」

 

「はい。そのまさかでしょう。」

 

「あのバカ息子め…!!」

 

さて…ライザーくんは完全復活したけども、後はどうするのかな?つばさちゃんは?

 

『ライザー…。あなたは本当にアホですよ…。あなたは…。選択を…ミスしましたね』

 

『なに…?どういうことだ!!』

 

『次の…この一撃で、終わらせてあげますね!』

 

『ふんっ…!!ほざけ…!人間がぁぁぁぁぁ!!!』

 

おっと…。そろそろ決着がつくようだね。ライザーは特大の炎の塊を作ってつばさちゃんに投げつけた。

 

「あのバカ!!つばさくんを殺すつもりなのか!」

 

すると、フェニックス卿は驚いてライザーに向かって叫んでいた。確かに強力な攻撃だけども、つばさちゃんのあの落ち着きよう…、いったい何を狙っているのかな?

突然つばさちゃんは持っていた武器を地面に置いて手を合わせて合掌した。何をするつもりなのだろうか?

 

『全てを凍らす無限の力よ…。万物全てを氷に染めよ!!この世の全てを奪う白き氷の死の世界を造り出せ!!』

 

つばさちゃんが呪文を唱えると、レーティングゲームの世界の全てに白い霧が立ち込めた。な…なんだね!この膨大な魔力の量は!!

 

『究極奥儀!!【絶対零度】!!』

 

シュゥゥゥゥゥ…パキィィィィィィィン!!

 

そしたら…この空間の全てが氷の世界に変わった…。

 

『ライザー・フェニックス様の戦闘不能を確認。よってこの勝負リアス・グレモリー様の勝利です』

 

グレイフィアの放送が鳴り響く。す…凄い。あの技は私も初めて見た。セラフォルーも氷を司る悪魔だが、あの技はセラフォルー並かそれ以上の力があると思う。

 

「ふふふ…。さすが結城家のあの兄弟姉妹の一番末っ子ですな…。桁が違いすぎる。流石に私達も欲を出しすぎたようだ。この婚約の権はなかったことにしよう。」

 

「そうですな。そうしましょう…。私達も流石に欲を出しすぎましたね。」

 

「わかりました。リアスにもそう伝えておきましょう。」

 

 

いや~、やっぱりスゴいね…ツバサちゃんは。さてと、祝いにいかなくては。勝者をね?

 

こうして俺達はツバサちゃんの戦いを見るのを終わるのだった。

 

 

 

 



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8話 番外編 使い魔取りに行くそうです!

今回は生徒会編です♪それではどうぞ~♪


焼き鳥をぶっ倒してからはや数日…。あれからは色々大変だったな~…。リアスさんがイッセーを好きになってキスをするは、それを見たアーシアが頬を膨らまして拗ねてリアスさんに『私も負けません』と宣戦布告じみた事を言ったり、朱乃さんのスキンシップが激しくなったり…、木場と小猫ちゃんが空気になりかけたり…………いろいろありましたね。そして、今は学校で時間は昼休みです♪

 

「うぅーん!…はふぅ~。やっぱりこの平和な時間が落ち着きますね~。」

 

「うん。そうだね~つばさちゃん…。」

 

俺の席の隣で座っているのはイッセーだ。少し席替えをして、一番運動場側の窓際の列に松田、元浜、イッセーの順番で変態三人組が固まって座っていて、その隣の列に俺が前から三番目の席に座っている。

 

「よう!イッセー!今日も暇そうだな。」

 

「そうだぞ。あのエロの根源と言われたお前が覗きをしないなんて!!今日はいったいどうしたんだ!」

 

「ちょっ!お前らな~…」

 

「相変わらずですね…。あなた達は…。」

 

本当にこの三人組は仲が良くて…。これが俗に言う悪友とか言う奴ですかね。

 

「あ…それとイッセー気を付けろよ?お前変な噂が流れているからな。」

 

「へ…変な噂!?いったいどんなのだ?」

 

すると、松田と元浜がニヤけた顔になった。あ…絶対変な事を考えてる顔だ…

 

「美少女をとっかえひっかえしている鬼畜野獣イッセー。二大お姉さまであるリアス先輩、姫島先輩の秘密を握り、裏で鬼畜三昧のエロプレイを強制し、『ふふふ、普段は気品あふれるお嬢様方が、俺の前では卑しい顔をしやがって!このメ○○○どもがっ!』と罵っては乱行に次ぐ乱行!」

 

「うぉぉぉぉぉぉぉおおおい!!!なんじゃそりゃぁぁぁぁぁあああ!!!」

 

あはは…やっぱり嫌な予感が的中しましたよ。どうせこの人たちが回した噂だろうですけどね~。

 

 

「まだ続きはあるぞ?……ついには学園のマスコットである小猫ちゃんのロリボディにまでその毒牙は向けられる。小さな体を壊しかねない激しい性行為は天井知らず。まだ未成熟の体を貪る一匹のケダモノ。『……先輩……もう、やめてください』と切ない声も野獣の耳には届かず。その貪欲なまでの性衝動は、転校したての一人の聖女にまで――。転校初日にアーシアちゃんへ襲い掛かり、『日本語と日本の文化、俺が放課後の特別補習で教え込んでやろう』と黄昏の時間に一人の聖女を堕落させていく……。ついには自分の家へと天使を囲い、狭い世界で始まる終わりのない調教。鬼畜イッセーの美少女食いは止まらない――。とまあ、こんな感じか?」

 

「そ…そんな!」

 

ありゃりゃ…イッセーが四つん場になって沈んじゃった。すると、何処からともなく女子の声が聞こえた。

 

ヒソヒソ『見て。野獣よ。あいつのせいでお姉さまが…!』

 

『見ちゃダメ!私達まで犯されるわ…!』

 

『やだ!キモい…』

 

あ~ぁ…イッセーの株がだだ下がりですね~。まぁ…元々下がる以外ないんですけどね。

 

「まあ、俺たちが流しているんだがな」

 

「うんうん」

 

やっぱり…。

 

「てめ~ら!!」

 

「あと、木場とイッセーのホモ疑惑もあるぞ?」

 

「きゃー受け攻めどっち!って一部の女子の間で人気になってるぞ?」

 

「なっ!」

 

「まぁ、それも俺達が流したがな!」

 

ガシッ…

 

「「ん?」」

 

すると、イッセーは松田と元浜の頭を鷲掴みして二人を何処かに連れていった…。何をするつもりなのてしょうか?俺は耳を澄まして屋上から声が聞こえたので聞いた。

 

『うん…お前ら言い残すことは?』

 

『イッセー…お前だけいい思いなんてずりーんだよ!なぜ!イッセーはあんなに美女と囲まれているのに、同じ変態の俺らは一切の美女がないんだよ!』

 

『そうだぞ!!イッセー!てめーはこれくらいしないと俺らの腹の虫が収まらないんだ…。死ね!イッセー!』

 

『そうか…それが最後の言葉か…。テメーらが死ねー!』

 

『『ぎゃぁぁぁ!!』』

 

うん…聞かなかったことにしよう。俺はそのまま寝た。

 

―――――――――――――――――――――

現在は放課後…。今俺とグレモリー眷属はいつも通りオカルト研究部でお茶をしていた。

 

コンコン

 

「失礼します。」

 

すると、オカルト研究部に誰かが来た。それは、生徒会だった。

 

「せ…生徒会長?どうしてここに!」

 

「生徒会長さんがどうしてここに?」

 

そう、今目の前にいる人はこの駒王学園の生徒会長の支取蒼奈(しとりそうな)先輩だ。

眼鏡を付けていて、日本人離れの美貌を持ち、知的でスレンダーな女性だ。

 

「何だ?リアス先輩、もしかして俺たちのことを兵藤たちに話していないんですか?同じ悪魔なのに、気づかない方もおかしいけどさ」

 

「サジ、基本的に私たちは『表』の生活以外ではお互い干渉しないことになっているのだから仕方ないのよ。それに彼らは悪魔になって日が浅いわ。兵藤君たちは当然の反応をしているだけ」

 

「この学園の生徒会長、支取蒼那さまの真実のお名前はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主さまですわ」

 

すると、朱乃さんがイッセーに分かりやすく説明した。なるほどね~、今回は悪魔として来たってわけですか。

 

「それと、久しぶりですねつばささん。あなたがここにきて理事長室に案内した時以来ですか。」

 

「はい、お久しぶりです。蒼那先輩、あの時は本当にお世話になりました。ありがとうございます!」

 

俺はお辞儀をしてお礼した。

 

「ふふ、いいのですよ。生徒が困っているなら助けるのが生徒会長の勤めですから。それに、あなたのあの時の迷子になってオロオロとしていた姿は可愛かったですよ?」

 

「ちょっ!///言わないで下さい!!」

 

すると、後ろから朱乃さんの何かの気配がした。

 

「うふふふ、これでまた一つ、弄るネタを見つけましたわ」

 

うわ~ん!朱乃さんが怖いですよー!!

 

「生徒会長は部長と同じ貴族なんですか?」

 

すると、イッセーが蒼那先輩に聞いた。ナイスです!イッセー!

 

「はい、シトリー家もグレモリー家やフェニックス家と同様、大昔で生き残った七十二柱の一つです。

 今、この学校は実質グレモリー家が実権を握っていますが、『表』の生活では生徒会、『裏』の生活ではオカルト研究部で、昼と夜で学園での分担を分けたのです。」

 

なるほど、つまり学園は『表』が生徒会で、『裏』がグレモリー眷属で動くことにより平和な生活をおくることができると言うことですね。ありがとうございます♪

すると、生徒会の中にたった一人いたサジと呼ばれた男子が前に出てきた。

 

「そうだぜ?会長と俺達シトリー眷属が日中動き回ってるからこそ、平和な学園生活を送れてるんだ。それだけは覚えておいてくれてもバチは当たらないぜ?

ちなみに俺の名前は匙元士郎(さじげんしろう)。二年生で会長の『兵士』だ!」

 

「おおっ!同学年で俺と同じ『兵士』か!」

 

イッセーが物凄く嬉しそうに匙に向かって手を伸ばした。しかし、匙は物凄く嫌な顔をしてから『はぁ~…』とため息をした。

 

「俺としては、変態三人組の一人であるおまえと同じなんてのが酷くプライド傷つくんだけどな……」

 

「なっ、なんだよ!」

 

「あ…やっぱり問題になってるんだ。」

 

「そうだぜ!てか…なんで人間のつばさちゃんがここにいるんだ?お前悪魔じゃないだろう?」

 

なんか…バカにされた。

 

「てめっ!つばさちゃんをバカにするんじゃねぇ!」

 

「おっ?やるのか?こう見えても俺は駒4つ消費の『兵士』だ。それに、最近悪魔になったばかりの兵藤や人間のつばさちゃんなんぞに負けるかよ!」

 

なんか、挑発している匙がいた。この人はバカなのかな?『兵士』四つ程度じゃ勝てませんよ?てか、たとえイッセーが『兵士』一つだったとしても、【赤龍帝の籠手】を持ち、風見幽香さんの地獄の特訓を生き抜いた人に勝てるわけがありませんよ。……たぶん

 

「サジ、お止めなさい」

 

すると、蒼那先輩が匙に向かって注意した。

 

「し、しかし、会長!」

 

「今日ここに来たのは、この学園を根城にする上級悪魔同士、最近下僕にした悪魔を紹介し合うためです。

 つまり、あなたとリアスのところの兵藤くん、アルジェントさん、そして協力者であるつばささんを会わせるための会合です。

 私の眷属なら、私に恥をかかせないこと。それに今のあなたでは兵藤君に勝てません。『兵士(ポーン)』の駒を8つ消費したのは伊達ではないのです。それに――――――――――」

 

蒼那先輩の視線がグレモリー眷属と生徒会のメンバーを見たあと視線が俺に移る。

 

「サジ、つばさちゃんは今のあなたでは兵藤君と戦うよりも絶対に勝てません。フェニックスの三男を一人で倒したのは彼なんですから。

彼女…いや、彼はあの世界最強と言われている地球連邦軍の中でも一番強い最強の部隊…地球連邦軍 特殊部隊・特別調査班の総隊長をやっているんですよ?それに、あの四大魔王様が勝てなかった相手ですので、ここにいる私達では手も足もでずに全滅してしまいます。」

 

『なっ…!?』

 

蒼那先輩の説明で生徒会メンバーがかなり驚いていた。そりゃ~そんなりますよね~。

 

「嘘だろ…兵藤が『兵士』8つ!?ていうか、ライザー・フェニックスをつばさちゃんが一人で倒したなんて!?………俺はてっきり木場か姫島先輩がリアス先輩を助けたものだと…………」

 

匙は生徒会のメンバーなの中で一番驚いていた。

すると、蒼那先輩は俺らに頭を下げてきた。

 

「ごめんなさい、兵藤一誠くん、アーシア・アルジェントさん、つばささん。うちの眷属はあなたたちより実績はないので、失礼な部分が多いのですが、よろしければ同じ新人悪魔同士、仲良くしてあげてください」

 

「俺は別に良いですよ?匙さんが仲良くなる気があるなら俺は構いませんし。ねぇ?アーシア?」

 

俺はアーシアに話をふった。

 

「は、はい!わたしも仲良くしたいです!」

 

「ありがとうございます。サジ。」

 

「は、はい!……よろしく」

 

不満がある様で渋々と一誠と握手をした。

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

「アーシアさんなら、大歓迎だよ!!」

 

アーシアさんにはえらく上機嫌で…。この人…もしかしてイッセーと同類の人じゃないでしょうか?まぁ…とりあえず俺も~

 

「匙さん?これからよろしくお願いしますね。」

 

「あぁ!よろしくな!つばさちゃん!いやぁ~、学園のアイドルのつばさちゃんと仲良くだけでも嬉しいのに…、まさか……俺の憧れの部隊の隊長と仲良く慣れるなんて…悪魔になって良かったよ!!」

 

すると、匙さんが嬉し泣きをしながら言った。

 

「憧れの部隊?俺の部隊がですか?」

 

「おう!俺が悪魔になってから会長に地球連邦軍の話を聞いた時に、地球の平和の為に色んな国を渡り戦争や紛争。それに、はぐれ悪魔やはぐれ神父の退治など……、様々な功績を持っていて、会長いわく悪魔の世界では人気の軍なんだぜ?悪魔で知らない人はいないぐらいにな!そのなかでも人気なのが、つばさちゃんの部隊なんだよ!」

 

「へ~、そうなんだ~。」

 

なんだか恥ずかしいですね。俺は当たり前の事をやってたんですが、それで憧れの的になっているなんて…嬉しいですが恥ずかしいですよ…

 

「それで…蒼那先輩が来たのは新人悪魔の紹介だけではないのでしょう?」

 

すると、蒼那先輩は少し驚いた顔になって直ぐ元の冷静な顔になった。

 

「さすがつばささんね。そう、私達はそれだけの為にきたのではないわ。リアス?」

 

蒼那先輩はリアスさんに視線を向けた。

 

「わかったわ、ソーナ。皆聞いて。今から使い魔を取りに行くわよ!」

 

ほ~う、使い魔ですか…!

 

「つ…使い魔ですか?」

 

「会長?使い魔ってどういうことですか?」

 

そのあと、蒼那先輩とリアスさんによる使い魔講座が始まった。匙さんとイッセーとアーシアは真剣にその話を聞いていた。そのあと色々あり、グレモリー眷属の使い魔の紹介をした。リアスさんがコウモリ、朱乃さんが小鬼、小猫ちゃんが白猫、木場が小鳥だった。俺?俺は~ドラゴンだな。まぁ…まだ見してないけど。

 

「さて、使い魔の説明と紹介もしたし、皆!使い魔の森へ行くわよ!」

 

『おーー!』

 

あはは~!みんな楽しそうですね~。すると、蒼那先輩が俺に近いてきた。

 

「どうしたんですか?蒼那先輩?」

 

「はい。ライザーの時はありがとうございました。私の友のリアスを助けてくれて。」

 

「あぁ~。その事ですね。別にいいですよ~?俺はアイツが嫌いだったからぶっ倒しただけですから。」

 

「ふふ、そうですか。それでもお礼をさせて下さい。ありがとう。」

 

「どういたしまして。」

 

「あと、蒼那先輩と言うのは呼びにくいですから、ソーナと読んでください。いいですね?」

 

「わかりましたよ。ソーナさん」

 

「よろしい。これからよろしくお願いしますね?」

 

「はい!」

 

 

こうして、俺達は魔方陣に乗って使い魔探しに行くのだった。






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9話 番外編その2 ニュルニュル…やぁ……

使い魔編です♪


俺とグレモリー眷属&詞シトリー眷属は今、使い魔の森へ来ていた。

 

「ここは悪魔が使役する使い魔のたくさん住みついている森なのよ。ここで今日、イッセーとアーシアには使い魔を手に入れてもらうわ」

 

リアスさんが説明をした。なるほどね、悪魔はここで使い魔を探すのか。

 

「ゲットだぜ!」

 

「キャッ!」

 

「なっなんだ!」

 

「おい!兵藤あそこ!」

 

匙(仲良くなって匙に『“さん”をつけなくていい、いや付けないで俺の名前を読んでください!お願いします!!』ってお願いされて匙になった)の指を指す方向に、帽子を深く被ってラフな格好をした男がいた。何あれ……。

 

「俺の名前はマダラタウンのザトゥージ!使い魔マスターを目指して修行中の悪魔だ!」

 

悪魔…なのかな?全然悪魔に見えない…。どっちかっていうと変質者だよね?

 

「ザトゥージさん、例の子たちを連れてきたわ」

 

すると、ザトゥージさん?がこっちを見てた。

 

「へえ。男子が二人に金髪の美少女さん。それに……人間とは珍しいぜ。しかもかなりの美少女だ!」

 

なんか、目が怖いです。

 

「この子は人間だけども、私達よりも強いわよ?それに、彼女じゃなくて彼よ?」

 

「な、なにぃぃぃ!?その見た目で男なのか!?世界はひろいんだぜ…」

 

ザトゥージさんが驚いたあと、なにか悟った顔になった。

 

「そうよね…、この見た目なのに男の子なのよね。なんで男の子に生まれたのよ?」

 

『確かに!』

 

リアスさんが聞いた時に女性陣が一斉に頷いた。泣いちゃいますよ…?

 

「そんなの知りませんよ!!」

 

「とりあえず、ザトゥージさん?この子達の使い魔を選んでくれるかしら?」

 

「OK!任せてくれ!俺にかかればどんな使い魔でも即日ゲットだぜ!」

 この人は、やけに「ゲット」のとこ強調しますね。なにかあるのでしょうか?あ…魔理沙でもここまで強調しませんよ?あくまでも普通に“DAZE!”って言ってますしね…。

 

「彼は使い魔に関してのプロフェッショナルよ。今日は彼にアドバイスをもらいながら、この森で使い魔を手に入れるのよ」

 

 イッセーの使い魔ってどんなのになるんでしょうね~♪やっぱりドラゴンかな~♪あ…でも、イッセーだから変なの選びそうだ。

 

「さて、どんな使い魔がご所望かな?強いの?速いの?それとも毒持ちとか?」

 

ザトゥージさんがイッセーとアーシアと匙に聞いた。

 

「いきなり毒持ちとか危険極まりないこと言わないでくださいよ。ところで、ザトゥージさんはどんなのがオススメなんですかね?」

 

イッセーが質問すると、ザトゥージさんはニヤリとしながらカタログを取り出してきた。すると、彼が指指すのは見開きいっぱいに迫力のある絵で描かれた一匹の獰猛そうなドラゴンがのっていた。

 

「俺のオススメはこれだ!龍王の一角――『天魔の業龍』ティアマット!伝説のドラゴンだぜ!龍王唯一のメスでもある!いまだかつてゲットされたことはないぜ?なんでも魔王並みに強いって話だからな!」

 

へぇ~、そんなのいるんだ。

 

「あら?イッセーこのドラゴンを使い魔にしてみなさい?きっと、ドラゴン同士で相性いいわよ?」

 

「そうですねサジ?あなたもこのドラゴンを使い魔にしてみなさい」

 

「無理っスよ!お、俺を殺す気ですか!部長!」

 

「そうですよ!会長!兵藤はともかくなんで俺まで!」

 

隣で匙とイッセーが主と他の眷属にからかわれながらこのドラゴンを使い魔にしてみろとか言われていた。大変ですね~、『兵士』って。

 

『へぇ~。あの子は今、こんな所にいたのね。懐かしいわ~』

 

どうしたの?ルーツぅ~?あの子って誰?もしかして、あのカタログにのっているドラゴン?

 

『そうよ。あの子…ティアマットのティアは、私の事を姉様なんて言って、会うたびに甘えてきたわ。私もついつい妹のように可愛がったからね~。私が孤独で神に神器に封印してもらってから、一度もあの子には会っていなかったわね。あの子に黙っていなくなってしまったから、恨んでないといいのだけども…』

 

大丈夫だよルーツ、俺の勘だけども嫌いになってないと思うよ?なんせ、あのグレードレッドとオーフィスが恨んでいなかったんだから、大丈夫だよ?だから、そんなに落ち込まないで?俺も着いているからさ。ね?

 

『ふふ…。ありがとうつばさ。あなたのお陰で気持ちが軽くなったわ。そうね、くよくよしていても仕方がないから、もし会ったら謝ればいいものね』

 

良かった~、ルーツが元気になってくれた。

 

『ありがとう、心配してくれてね。あ、そうだ!あなたに伝えなくちゃいけないことがあるのよ。』

 

伝えたいこと?なに?それ?

 

『あの子はね?ドライグ…【赤龍帝】ドライグの事が、かなり嫌いなのよ。もしかしたら、あの子兵藤一誠が危ないわね。』

 

ありゃ~そんなんだ~。でも…なんでドライグの事が嫌いなの?

 

『それはぁ…言えないわ。ご免なさいね?女の子のプライベートの事なのよ』

 

うぅ~、そうなんだ。それは仕方がないね。女の子のプライベートなら俺は聞けないね。

 

『本当にご免なさいね?つばさ。』

 

別に良いよ、それくらいね~

 

『ありがとう』

 

「さて、皆着いてこい!俺が使い魔の探すのを手伝ってやるんだぜ!」

 

ザトゥージさんが皆を連れて何処かに行こうとしたので、俺も着いて行くことにした。

 

――――――――――――――――――――――

 

「いいかい、この泉には精霊が集まるんだ」

 

現在俺たちは泉近くの物陰に姿を隠しています。なんでも、ここには水の精霊『ウンディーネ』が住み着いているらしくて、可愛い使い魔が欲しいというイッセーと匙の願いによりゲットしにきました。顔が二人ともイヤらしい顔になっていた。やっぱり匙も同類なのですか…。それにしても、ウンディーネか~。俺は何度か見たことがありますのでいいですけども、あの精霊は本当に綺麗で美しいですよね~。ここの精霊もやっぱり美しいのでしょうか?

 

「おっ、泉が輝きだした。ウンディーネが姿を現すぞ」

 

ザトゥージが指差してそう言う。泉が光だし、皆が視線を向けると、そこには―――――

 

漢がいた。もう一度言いますね?男ではないですよ?漢です。

鍛え抜かれた身体は二メートルはあろうか、岩石のような拳、分厚い胸板、鋼のような脚をしていた。まるで、数々の戦を勝ち抜いてきた歴戦の猛者のような風格だった。

 

「「な、なんじゃありゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

イッセーと匙の叫びが森に響く。まぁ…期待していたふたりからしたら、かなりの衝撃でしょうね。

 

「ザ、ザトゥージさん…ウンディーネって、全部あんなんなのですか?」

 

すると、匙がザトゥージさんに聞いた。

 

「うーん、ウンディーネも縄張り争いが絶えないようだからね。腕っ節が強くないと生きていけないんだよ。」

 

「へぇ…大変ですね。精霊も…。」

 

俺は素直に感想を述べた。これが弱肉強食の世界なんですね。

 

「それと、あれは女性型だぞ?」

 

あっ…やっぱり女性なんだ。そうだよね~、ウンディーネは女性しかいないのに、男性だったらよけいに驚いてしまいますよ。

 

「やめて! これ以上俺の夢を壊さないでくれ!」

 

「くそ!せっかく美女と会えると思ったのに!!」

 

イッセーと匙が地に膝をつき、無念の涙を流していた。それを心配そうに慰めるアーシア。二人とも…なんかアホですね…

 

―――――――――――――――――――――

あれから、少したって色々と使い魔の森を見て回っていた。これといった使い魔が見つからず、今も森の一本道を歩いている。あと、シトリー眷属の匙と副会長の椿姫と主のソーナさん以外は用事が出来て帰ってしまった。

 

「全然いいのが見つかりませんね~。イッセーに匙にアーシアの使い魔が…」

 

「そうね、一人ぐらい使い魔を見つけてもいいのだけどもね。」

 

「ですね~」

 

俺がリアスさんと話をしていたら、ザトゥージさんがいきなり止まった。

 

「おい!あれを見ろ!」

 

ザトゥージさんが指を指すとそこには青色のちっちゃいドラゴンがいた。あれは…

 

「ド、ドラゴン!!」

 

「へぇ~、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)の子供ですか」

 

そう…蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)と呼ばれる、二天龍や五大龍王とまでわいかないが、上位のドラゴンの中では強い雷を操るドラゴンなのだ。

 

「私も見るのは初めてだわ」

 

「そう!アイツの名前は蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)だ!上位のドラゴンの中では最強のドラゴンだぜ!ゲットするなら今だぜ?成熟したらゲットは無理だからな。」

 

そらね~仮にもドラゴンですもん。しかも上位の中でも上にいるね~。

 

「イッセー君は赤龍帝の力を持ってますし、相性は良いんじゃないかしら?」

 

「なるほど!!よし!!蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)、君に決め…」

 

俺は何かの気配を感じて上を見た。すると、突然ネバネバした物体が落ちてきた。こ…コイツらは…!!

「キャアッ!?」

 

「ッ!?アーシアッ!!」

 

アーシアの方を見ると、アーシアに何やらゲル状の物が襲っていた。

よく見ると、他の女性陣も襲っていた。

 

「な…!!コイツらはスライムだ!」

 

ザトゥージさんが叫んだ。やっぱりぃぃぃ!!

 

「ッ!!…ウ、ウワッ!?…」

 

木場が剣で迎撃しようとしたが、顔にスライムの一体が張り付き、視界を潰されていた。

 

「…あらあら…はしたないですわ…」

 

「…ちょッ!?…コラッ!!…」

 

「…ふ…服がッ!?…」

 

「…ヌルヌル…キモ…」

 

「ッッッッッ!!」

 

「か…会長!」

 

女性陣の服はスライムで溶かされて肌がさらけ出されていた。

 

「コ…コイツ!!」

 

木場の目に張り付いたスライムは剥がれず仕舞いで剣を振り回していた。俺?俺は気配を感じたから、なんとかよけれたよ。気配が微弱過ぎてあと一歩回避が遅れていたら、俺もあんな女性陣の用になりかけていたよ…。てか、一度襲われてひどい目にあったことがあったから、なんとか避けられたんだけどね~。男なのにあんな目に会うなんて…。

 

「コ、コレはッ!!何て素敵な展開ッ!!…ウオッ!?…」

 

イッセーがガン見していたが、小猫ちゃんのに殴り倒された。

 

「…見ないでください…」

 

「コイツは女性の服を食べる奴等で害はないが、使い魔の森の厄介者として扱われているぞ?」

 

ザトゥージさんは鼻血を出しながら説明をしていた。はぁ~まったく…。これも変態か…。見た目通りのね…

 

「仕方ないです…。女性陣の皆さん!絶対にそこから動かないで下さい!今からコレを駆逐します!!」

 

「なっ…!つばさちゃん!?」

 

イッセーの叫び声が聞こえたけどもこの際は無視ですね!俺は魔力を全身に行き渡せ、その魔力を電属性へと変換する…。そして―――――

 

 

それを一気に解き放つ!!

 

「くらえ!!【電撃球の衝撃波(サンダー・ボルト・インパクト)】!!」

 

バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!!!!!!!!!

 

俺の回りの半径1kmにドーム上の半円球の雷の電撃が辺りになった。その電撃はスライムだけを燃やし尽くした。

 

「あらあら、ありがとうございましたわ。」

 

「ありがとう、つばさ。助かったわ。」

 

「あ、ありがとうございました!つばささん!」

 

「…………つばさ先輩、ありがとうございました」

 

「ありがとうございます。つばささん。」

 

「つばささん?私も、ありがとうございました。」

 

女性陣がお礼を行ってきたので俺は『いいですよ』といって返した。

すると、イッセーが何かを守るように抱き抱えていた。何を守って…

 

「あぁ!!イッセーまだ持っていたんですか!?スライム!!それを此方に渡して下さい!!滅します!!」

 

「嫌だ!!コイツは絶対に渡さない!!俺はコイツを使い魔にするんだ!!」

 

「イッセー…それを渡しなさい。それは害になるものなの。今すぐこの世から滅っさなくてはいけないわ!それと、使い魔はもっと慎重に考えなさい!」

 

「……………………」

 

イッセーは考え込んだ。

 

「考えましたッ!!やはり使い魔にしますッ!!」

 

たったの3秒で答えた。イッセーがそれを物凄く決意した表情でいった。どんだけそれを使い魔にしたいんですかあなたは!!

 

「イッセー…いい加減に…ッッッ!?」

 

俺はイッセーからスライムを取ろうと手を伸ばすと、突然ニュルニュルとした触手が腕に絡まってきた。

 

「コイツ………なっ!!」

 

俺は絡まってきた触手を切ろうとしたが、もう片方の腕と両足に絡まってきて、両手両足を絡められて、大の字の形で縛られている状態になった。

 

「コイツら!いい加減に…!……ふひゃん!!」

 

俺はもう一度雷撃球の衝撃波を放とうとしたが、突然触手が増えてきて、背中をニュルンと撫でてきた。

 

「ひう…!や…やめ…いゃん!」

 

触手が身体中をなめ回すようにニュルニュルとした感触が全身を襲う。

 

「俺は…男…ひんっ!…なの…に…ひゃん!…なん…うぅん!!…で、こん…な…ふぇ!…こと…にぃ!……ふひゃん…!?」

 

もう…離れてよー!!

 

「あらあら、凄くイヤらしいですわ///」

 

「そ…そうね///男の子とわかっていても見た目が美少女だから、物凄く見ている此方も恥ずかしくなってくるわ///さすが『絶世の男の娘』って呼ばれているだけわあるわね!」

 

「はわ…はわわわわわ///!」

 

「………つばさ先輩……エッチぃです///」

 

「え、えぇ。スゴいですね…///」

 

「か…会長///」

 

「こ…これは…///」

 

「僕は紳士だ…!こんなのを見てはダメだ!でも…、ちょっとだけなら」

 

「つばさちゃん!///グッジョブ!」

 

「兵藤!!エロすぎるな!」

 

「匙…!」

 

「兵藤…!」

 

ガシッ!!

 

女性陣は顔を赤くして見ていて、ザトゥージさんは鼻血を木場は鼻血を耐えながら見るか見ないか悶えていた。そして、イッセーと匙は鼻血を出しながら抱き合っていた。そんなことよりも、早く助けて下さいよ!!

 

「こい…つ…らっ!…ぅん…いい…か…ひぃん!…げ…んに……ひひゃん!?」

 

すると、触手は俺の敏感で弱点でもある横腹に太もも首筋をくすぐるようにニュルニュルした触手が動く。ゾクゾクとする物が俺の身体中を駆け巡る。

 

「ニュルニュル………やぁ~……」

 

ニュルニュル…嫌いです……エッチぃの嫌いです!あぅ……やぁ~…!も…もう…俺ぇ…………

 

「ひゃ…あ…ぅん…!も…もう………ダメェェェ!!」

 

ズバババババババンッ!!

 

突然、俺の体についていた触手はバラバラにされた。

そして、俺は重力に逆らえずに落ちた…

 

ドサッ!

 

「ふぇ…?」

 

俺は地面に落ちると思ったが何者かによって受け止められたようだ。誰だろう…?

俺は顔を上げるとそこにいたのは………

 

「つばさ様。大丈夫ですか?」

 

鋼龍(こうりゅう)クシャルダオラのクシャルだった…。

えっ…?なんでここにいるの!?

 

「ク…クシャル?どうしてここに…?」

 

「ルーツ様から先程、あなた様が大勢のひとの前で屈辱な事を去れていると聞き、馳せ参じました。」

 

『助かったわ。クシャル。貴方がこの子の使い魔で良かったと本当に思ったわ。』

 

「あ…ありがとう。クシャル…ルーツ…。」

 

「『どういたしまして。つばさ(様)』」

 

でも…、相変わらず綺麗な人だなぁ…。髪は濃くて明るい銀髪で腰まで伸びていて、顔は妹紅さんに似ているけど、目が金色だ。スタイルも抜群で胸も大きく、リアスさんと朱乃さんよりも上だ。それに笑顔がとっても似合う人です。あと、妹紅見たいな顔だし、むっちゃカッコいいから…。凄くドキッとしてしまいます。まぁ…幸い女の人なので、このドキッとする気持ちは大丈夫ですけどね…。男だったら危ないですよ。

そのあと、元に戻ったグレモリー眷属シトリー眷属は、イッセーが今度は触手も持っていたんで、それを引きはなそうと頑張っていた。

 

「…退きなさい、イッセー…こんな生き物は焼いてしまうに限るわ…」

 

「嫌ですッ!!コイツらはまさしく俺と出会う為、この世に生を受けたに違いありませんッ!!」

 

そう言うとイッセーは触手を守ろうとして手を離した隙にアーシアに張り付いたスライムと持ってきた触手を抱き抱えた。

 

「イ…イッセーさん!///」

 

「ああッ!!スラ太郎!!触手丸!!我が相棒よッ!!」

 

「もう名前まで…」

 

「森の厄介者をここまで欲しがる悪魔は初めてだぜぃ。全く世界ってヤツは広いぜぃ」

 

「…普段は良い子なのよ。でも、あまりにも欲望に正直過ぎる体質で…」

 

「部長!!そんな可哀想な子を見る目をしないでくださいッ!!コイツらを使って、俺は雄々しく羽ばたきます!!」

 

そりゃぁ、見ますよ…?普通は…

 

バリッ。

 

「ウアアアアアッアアアッ!!!!!!!!」

 

プスプス。

 

「…な…何が…?」

 

突然、イッセーとスライムと触手を雷撃が襲った。

 

「蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)の雷撃ですね。」

 

クシャルがそう言った。すると、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)の子供はアーシアの肩に乗った。

 

「どうやらアーシアの事を気に入って、襲い掛かっているスライムと触手を焼き払ったみたいね。ちなみにイッセーの事も敵と判断したみたいね。」

 

「と言う事はつまり…」

 

「決まりだな!!美少女、使い魔ゲットだぜぃ!!」

 

「うおおおッ!!スラ太郎ー!!触手丸ー!!カムバァァァクッ!!」

 

イッセーが叫んでいた。当たり前ですね。あんなもんを使い魔にしようとした人が悪いですよ。

 

「テェメェ~!!よくも俺の相棒をぉ…!絶対に許さん!!」

 

イッセーは【赤龍帝の籠手】を出して、物凄い怒りのオーラを出しながらスプライトドラゴンの幼竜に向かっていった。だけども、スプライトドラゴンはヒラリとイッセーのパンチを避けてイッセーに雷撃を放つ。

 

「グババババババ!?」

 

プスプス

 

あ~あ…。アホですね…イッセー。

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「ア、アーシア・アルジェントの名において命ず!!な、汝、我が使い魔として、契約に応じよ!!」

 

あれから色々とあったが、アーシアの使い魔の契約が終了した。

そして、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)の子供はアーシアにじゃれつきだした。

 

「くすぐったいですラッセー君」

 

「ラッセー?」

 

「はい、電撃を放つ子ですし、あの、イッセーさんのお名前も頂いちゃいました」

 

なるほど。アーシアらしい名前じゃないですか♪

 

「さっきはよくも…『バリバリッ!』ギャァァァ!!」

 

近づいてきたイッセーをまた雷を落とす。ついでに木場と匙もやられた。なんででしょうか?

 

「あ…いい忘れていたんだが、ドラゴンは雄は他の雄が嫌いだ。だから、他の雄がくると攻撃を食らうからな?まぁ…なぜか一人攻撃去れていないが…」

 

すると、皆が視線を此方に向けてきた。まぁ…ドラゴンに好かれやすい体質だし、ドラゴンマスターだから、攻撃は去れないのは当たり前なんですけどね~…。

すると、スプライトドラゴンのラッセーが此方に飛んできた。どうしたんだろう?

 

「ん…?どうしたの?ラッセー」

 

「クー?」

 

あぁ、この子…。さっきの事を心配してくれてたんだ…。

 

「うん、もう大丈夫だよ?ありがとうね、心配してくれて」

 

俺は優しく幼竜の頭を撫でて上げた。

 

「クーー♪」

 

スプライトドラゴンの幼竜は嬉そうに俺にジャレてきた。

 

「あはは♪くすぐったいよ~♪ラッセー」

 

「スゴいんだぜ…!あんなにドラゴンに好かれた奴は初めて見たんだぜ…!」

 

そりゃぁそうでしょうに…!俺みたいな奴は普通はいませんからね~

 

「ところでつばさ?さっきから気になっていたのだけども…、隣の人はいったい誰なの?」

 

すると、リアスさんが俺の隣にいたクシャルの事を質問してきた。他の人達も聞きたそうですね。

 

「(クシャル…、あなたの事を伝えてもいいですか?)」

 

「(はい、いいですよ?あなた様のお好きなように)」

 

「(ありがとう)」

 

俺はクシャルの許可をもらい喋る事にした。

 

「この隣にいる人の名前はクシャルです♪こう見えてもドラゴンなんですよ?」

 

「ド…ドラゴン!?」

 

「はい、ドラゴンです。そして、その名は………」

 

俺は一拍おいてその名を言った。

 

「鋼龍(こうりゅう)クシャルダオラです!」

 

『なっ…なんだと!?鋼龍クシャルダオラだと!?』

 

すると、突然【赤龍帝の籠手】からドライグの叫び声が聞こえてきた。あ…やっぱり知ってたんだ。

 

「ドライグ?どうしたんだよ?それにこの人の事を知っているのか?いったいこの綺麗な人は誰なんだよ?」

 

『ん…?そ、そうか…。相棒達は知らなかったんだよな…。そいつの名前は鋼龍クシャルダオラ…。別名風翔龍(ふうしょうりゅう)と呼ばれた風を操るドラゴンなのだよ。コイツの鱗は本当に硬くてな…、我ら二天龍でさえ、傷を付けるのがやっとなぐらい硬かったからな…。コイツを含めた大昔からいるドラゴンの事を我々は古龍と呼んでいた。それに、コイツら古龍は本当に強くてな?中にはグレートレッドやオーフィスよりも強大な力を持った奴もいるらしいがな…。』

 

「「「「「「「え…えぇぇぇえぇぇぇ!?」」」」」」」

 

俺以外の人の叫び声が森に響く。そりゃぁそうなりますわな…。

 

 

「うむ…。私は鋼龍クシャルダオラだ。私はつばさ様の使い魔です。我が主は私の事をクシャルと呼んでいます。これからよろしく頼みますね?悪魔の皆様」

 

『よろしくお願いします!』

 

みんなは、クシャルの挨拶に戸惑いながらも挨拶を返してくれた。そのあとはクシャルと皆が色んな質問をしたりして、仲良くなった。よかったよかったです♪

 

すると、一陣の風が俺たちを包んだ。その風は次第に強くなっていった。すると、空の上には青と銀色に輝く龍が、俺たちを見下ろしていた。

 

『あら…?ティアマットじゃない!』

 

へぇ~…!あれがティアマットですか…。カタログで見たよりも綺麗ですね~

 

「おい木場ァァァァッ!おまえが俺にいけるとか言ってたから来ちまったじゃねえかよ!てめぇがハントしてこいよぉぉぉぉッ!!」

 

すると、イッセーが物凄く叫んでいた。イッセーの隣にいた匙も顔を真っ青にして震えている。いや…イッセーさん?仮にも五大龍王最強なんですよ?いくら木場でも無理ですよ?

 

「この森では、たまにティアマットを使い魔にしようとする奴らもいてな。あの龍王にとって、この森に入って使い魔を探してる奴らみんな、敵だと思うぜ……」

 

わぁお…それは危ないですね~…。特にイッセーが…

 

『おい…!そこのお前!!赤龍帝だな?』

 

「えっ!なんでわかったんだ!?」

 

『なぜ!ここにいるんだ!ドライグ!』

 

『い…いや!これには深いわけが…!』

 

『知らん!貴様を潰す!!』

 

すると、ティアマットはイッセーにブレスをはいて攻撃をしたが、それを俺が防いだ。

 

『ほおぅ…貴様…?何者だ?』

 

「俺ですか?俺は~…」

 

『ティア?久しぶりね。私よ?ルーツよ』

 

『なっ!?ミ…ミラ姉様!?ほ…本当にミラ姉様なのですか!?』

 

おぉ~!あのティアマットが物凄く驚いている…。

 

『ご免なさいね…?突然いなくなってしまって。』

 

『ミ…ミラ姉様…。本当に…本当に…よかった…。生きてました…。もう一度…会えましたよ…、うぅ…うわぁぁぁん!!』

 

おふぅ…どうしよう…なんか物凄く泣いちゃってるよ…。

 

そのあと、ティアマットは一時間ほど泣いていて、その間はルーツが頑張って慰めていた。うん…なんか大変だった。色々と…。

 

「えぇと…、大丈夫ですか?」

 

『ぐすん…、うん…もう大丈夫だ…。ところでお前は誰なんだ?』

 

「あぁ…えぇと、俺の名前は結城つばさです。相棒のルーツの現所持者で、使い魔は隣にいる、鋼龍クシャルダオラです。よろしくお願いします。」

 

『そうか…。なぁ、つばさっていったか…?』

 

「はい?なんでしょうか?」

 

『私を…使い魔にしてくれないか?』

 

すると、突然ティアマットが使い魔にしてほしいと頼んできた。これはビックリですね。

 

「どうして、突然?」

 

『私はな、この使い魔の森で生きていたんだが、この使い魔の森にきて、私を欲しがる連中は皆私の力を求める者ばかりで、心底嫌だったんだ…。でも、今日お前を遠くから見ていたときに、懐かしい気配をして近づいていたんだ。そしたら、急に出てきたクシャルダオラとスプライトドラゴンの子供にかなり、懐かれていたのを見て、物凄く好かれているんだなと思ったんだ。だから、お前といる方が今よりも楽しめる気がしてな。だから私を使い魔にしてほしい…。いいか?』

 

なるほどね…。俺はいいんですけども…

 

「ルーツ…。いいですか?」

 

『えぇ…!私からもお願いするわ。この子を使い魔にしてあげて』

 

「わかりました。貴方を俺の使い魔にします。でも、ひとつ条件があります。」

 

『条件?それはなんだ?』

 

「はい♪条件とは、俺は使い魔としてこきは使いませんからね?貴方を俺の家族として扱います。だから、わがままも言ってくれても構いませんし、敬語も入らないです…。つまり、俺の事を信頼してください♪いいですね?」

 

すると、ティアマットは物凄く驚いた顔になったあと、少し笑って笑顔になった。

 

『くふふふ…あはははは♪何を言われるかと思ったが、使い魔としてではなく家族として迎え入れたいとは…、やっぱりお前を選んでよかったよ!わかった。これからもよろしくな!つばさ』

 

「はい、よろしくお願いしますね。ティアマットさん!」

 

『ふふふ、私の事はティアでいいよ。私もつばさと呼ぶからさ』

 

「はい!わかりました、ティア」

 

こうして、俺の新しい家族ができた。うふふふ、嬉しいですね~

 

「ふふふ、さすがつばさね。まさかあのティアマットを使い魔にするなんてね。」

 

「うふふふ、さすがつばささんですわ」

 

「す…すごいです!つばささん!」

 

「………さすが、つばさ先輩です」

 

「はは…、やっぱりすごいね君は。」

 

「これが…つばささんですか。凄い以外の言葉が出ませんね」

 

「そうですね…、会長…。」

 

「すげぇ…!!さすがは伝説の部隊の総隊長だ!」

 

皆の凄いと言った感想を聞いて、少し恥ずかしく感じる俺です…。うぅ~…この場から早く帰りたいですよ。

 

「さて…あとは、イッセーと匙だけね?」

 

「そうですね。リアス。何時になったらこの二人の使い魔は見つかるのでしょうね。」

 

そう言ったあと、俺達は2時間ぐらい探したが、結局ふたりの使い魔は見つからずに今日は終わるのだった。2時間の間に変なモンスターをイッセーと匙が使い魔にしようとしたが、俺達に跡形もなく消されていた。そのあと、エッチなモンスターを使い魔にしようとしたふたりは罰として、学校の全ての大掃除をさせられる事となった。

ドンマイですね…。イッセー…匙…。頑張って下さいね…?

 

こうして、俺達の使い魔探しは終わるのでした♪

 

 




どうでしたか?今回はティアマットとルーツの関係と、主人公の使い魔の一人でもある鋼龍クシャルダオラを出させました♪クシャルダオラは話の内容でわかると思いますが、女性ですね。

今回はクシャルだけでしたが、後々他の使い魔のドラゴン達を出したいと思っています!!

それでは…また次回で会いましょう♪さようなら~♪


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月光校庭のエクスカリバー
1話 球技大会です♪……木場、大丈夫かな?


遅くなりましたが、今回から聖剣編です♪地球連邦軍も本格的に活動する予定です!頑張って書いていくので、暖かく見守ってくれると嬉しいです!

それでは、どうぞ~♪


あれからはや数日…。あのエッチな触手のせいで皆の前で物凄く恥をかいて死にたくなった俺なのですよ~…、あれのせいで、皆に俺の弱点を知られてしまって…、朱乃さんが物凄く怖かった(泣)

 

朱乃さんが俺が言うことをなんでもひとつだけ聞くという約束はまだ決まってないからまだ後で決めると言ってきたので、『いいですよ』と答えた。じゃないとなんか怖かったから…。

そして今は、イッセーの家でオカルト研究部の部活動をしています。なぜって?なんでも『旧校舎を月一回掃除を使い魔にさせているから使えないのよ』って言うことで、一番来やすいイッセーの家になったのです…。で…、今は何をしてるのかと言うと~…………

 

 

 

 

「で、こっちが小学生のイッセーなのよ!」

 

「あらあら、全裸で海に」

 

「ちょっ!朱乃さん!?母さんも見せないでー!」

 

「……イッセー先輩の赤裸々な過去」

 

「小猫ちゃんも見ないでぇぇぇぇぇぇ!」

 

今現在、イッセーのお母さんがアルバムー<と言う名の黒歴史>を持ってきたので皆で見ていた。

 

「あははは♪イッセーは昔からエッチな人だったんだね?こんな海水浴場の砂で女性の胸の形をした砂山を作るなんてね。……変態さ~ん」

 

「やめてぇぇぇ!!見ないでつばさちゃぁぁぁん!!」

 

イッセーが必死になって皆からアルバムを取ろうとしている。でも取り返せないイッセー…。勿論俺からも♪さすがに、あの時に俺だけあんな恥ずかしい目にあったんだから、イッセーもこれくらい我慢してください。さて、リアスさんはいったいどうしてるのでしょうか?

 

「……幼い頃のイッセー幼い頃のイッセー幼い頃のイッセー幼い頃のイッセー……」

 

おふぅ…、どうしよう。リアスさんがイッセーの子供の頃の写真を見ながら顔を真っ赤にしてなんか呟いてる…。怖いですよ?リアスさん…。

 

「私もなんとなく、部長さんの気持ちがわかります!」

 

リアスさんの手をとるアーシアはその瞳はランランと輝いていた。アーシアまで…

 

「ハハハ、いいじゃないか。もう少しイッセーくんのアルバムを楽しませてよ」

 

隣ではイッセーが木場から必死にアルバムを取ろうとしたいるが木場がそれを軽快に躱していた。すると木場が突然顔を変えて、あるページを食い込むように見ていた。

 

「イッセーくん…、これに見覚えは?」

 

「うーん、いや、ガキの頃すぎて覚えてないけどな……」

 

俺は気になって覗いてみると、そこにはイッセーの幼稚園時代の写真があった。写真にはイッセーだけじゃなく、同い年に見える園児とそのお父さんらしき人が写りこんでいた。そして…、そのお父さんの手には剣が握られていた。あれ?この剣ってもしかして………

 

「こんなことがあるんだね。思いもかけない場所で見かけるなんて……」

 

「これは聖剣だよ」

 

やっぱりか…。なんだか、めんどくさい事がおきそうですね。

 

――――――――――――――――――――――

昨日の出来事があったが、俺達は今は野球の練習をしている。

 

カキーン

 

「オーライオーライ」

 

リアスさんが打って飛んでいった野球ボールをイッセーがキャッチした。そして笑顔で親指を立てる部長。

 

「来週は駒王学園球技大会よ。部活対抗戦、負けるわけにはいかないわ」

 

もうすぐ、学校行事があってそれの部活対抗戦で野球があるので、俺たちオカ研も旧校舎の裏手で練習しています。

俺も、部員なので今回は参加してます♪

 

「次はノックよ! さあ皆! グローブをはめたらグラウンドにばらけなさい!」

 

なんだか何時も以上に元気ですね~。リアスさん。

 

「部長はこの手のイベントが大好きですからね」

 

すると、朱乃さんが話しかけてきた。

 

「へぇ~、そうだったんですか。なんだか、リアスさんらしいですね」

 

「そうですわね」

 

朱乃さんと話をしていると、今度は木場にボールを打とうとリアスさんが構えてた。

 

「次、祐斗!行くわよ!」

 

 カーン!

 

ボールは木場の方へ綺麗に飛んでいった。ボールは木場の頭に落ちるくらいの取りやすいボールだった。

 

「……」

 

コン。

 

うつむいていた木場の頭部にボールが落ちてしまった。あれ?何時もの木場なら普通に取れたはずのボールなのに…。

 

「木場?大丈夫か?」

 

「祐斗、最近ボケっとしててあなたらしくないわよ?」

 

「すみません。次から気を付けます。」

 

イッセーとリアスさんからの言葉に素直に謝る木場。

昨日の写真を見てから木場は、なんだか心ここにあらずって感じですね…。やっぱりあの“聖剣”となにか深い関わりがあるのでしょうか…?これは少し調べるしつようがありますね。それと、最近になって感じてる“聖なる波動”の正体も調べましょうか…。はぁ~…。なんだか大きな事件が起きそうな予感がしますね~。

 

―つばさside out―

 

―――――――――――――――――――――

―イッセーside―

久しぶりだな!俺だ、イッセーだ!俺達は今、何をしてるのかと言うと…

 

「狙え!兵藤を狙うんだ!」

 

「うおおおおおっ!てめぇら、ふざけんなぁぁぁぁ!」

 

俺は今、叫びながら剛速球をよけている。

球技大会が開始され部活対抗戦も開始されたわけだけど、雨のせいで野球からドッチボールに変更されたんだが、俺ら『オカルト研究部』の初めの対戦相手が野球部だったんだが、開始早々俺しか狙われていない…。まあ、理由は簡単なんだけどな。

 

部長――駒王学園の二大お姉さまの一人。大人気の学園のアイドル。当てたら全学年に狙われる。当てられない。

 

 朱乃さん――部長と同じく二大お姉さまの一人。学園のアイドル。部長と同じで当てると狙われる。当てられない。

 

 アーシア――二年生ナンバー1の癒し系天然美少女。しかも金髪。当てたら可哀想…。当てられない。

 

 小猫ちゃん――学園のマスコット的なロリロリ少女。見た目はか弱い女の子。当てたら可哀想。当てられない

 

 木場――全男子の敵だが、女子にとってあこがれのプリンスぶっちぎりトップであるため、当てたら女子に恨まれる。当てられない。

 

つばさちゃん――全学年の弟(妹)的存在。そして、皆の癒し。当てたら可哀想だし、当てると全学年+先生方に狙われる。当てられない。(俺の考えられること……もしも、当てた場合、当てた奴は絶対につばさちゃんに物理的に消されるな……うん。)

 

そして俺ことイッセー――当てたれるのはコイツだけ。いや、むしろ当てろ!!コイツだけなんで美男美女(美少女)の部活にいるんだよ!!こんな変態はこの世から消すべきだ!!いな…消してしまえぇぇぇぇ!!!

 

てな感じで狙われています…。

 

「死ねぇぇぇ!兵藤ぅぅぅぅぅ!!」

 

「兵藤死ねぇぇぇ!そしてアーシアちゃんブルマ最高ぉぉぉ!」

 

「皆!あの野獣を倒してしまって!お姉様や木場くん、天使のアーシアちゃんにマスコットの小猫ちゃん。それに私達のつばさちゃんをあの汚れから救って!」

 

「キャァーー!素敵です!お姉様ぁ~!あと、つばさちゃーーん!今日もかわゆいよ~♪そして死ね!野獣!」

 

「同士たちよ、よく聞け!!あの野獣(イッセー)を倒してオカルト研究部を救うのだ!!そして、当てるのは下半身か頭だ!それ以外は当たり判定はないと思え!!いいな!?」

 

「つばさちゃぁぁぁん!!ブルマ最高だよぉぉぉぉぉ!!俺と結婚してくださぁぁぁい!!」

 

「ダメよ!!つばさちゃんは私達の嫁よ!!あんた達野獣の男子に渡すもんですか!!つばさちゃんが汚れるわ!!!」

 

「うおぉぉ!!俺達の天使アーシアさんを救うのだぁぁあ!!そして、アーシアを下さい!!」

 

「アーシアたん…つばさたん…ハァハァ…ジュルリ」

 

……って、おい!?なんか最後の奴かなり危ないぞ!?大丈夫なのかよ、この学校!!それと、アーシアは誰にも渡さん!!そんなのお兄さんが許しません!!うちのクラスのつばさちゃんも絶対渡さんぞ!!とくに男子にはな!

にしても……、皆もこの会話で気付いた奴もいると思うが、そう…つばさちゃんが…あの、ブルマを着てるんだよ!なんでも、朱乃さんの約束ごとでブルマを着るはめになったのだとよ。くそぅ!男だとわかっているのに似合いすぎてもう…ニヤケがとまんねぇ!!

……はっ!ゴホンゴホン!!ダ…ダメだダメだ!今は目の前の敵に集中しないとな!

 

「おっしゃぁ!!こいやーーー!!!」

 

こうなったら、俺だけでも勝ってやるぜ!!

 

―side out―

 

――――――――――――――――――――――

―つばさside―

今は野球部とドッチボールで戦っています。皆はイッセーのみを狙って、それをイッセーが全力回避で避けるというのを、ループになってます。にしても…

 

「うぅ~…ブルマっていうのは足が太ももまで見えて、物凄く恥ずかしい物なんですね。よく女性の方はこんなのもを履けますよね…。スースーするよ~……うぅ~///」

 

俺はいま、朱乃さんとの約束ごとで、昨日の最後の練習を終えたあとに、朱乃さんが『なんでも言うことを聞くと言う約束が決まりましたわ。明日はブルマで活動してくださいね♪』なんて言われた。正直、どんな恐ろしい物がくるのか不安だったけれども、これくらいの約束で終わったので、正直よかった~っと思う俺がいました。さて、そろそろ戦況が変わりそうだと、勘が言っているのですが…。

 

 

「もうヤケだ!女子に恨まれてもいい!消え失せろイケメンめぇええええっ!」

 

すると、野球部の一人が女子に嫌われることよりイケメンを憎む気持ちが勝ったのか、木場に向かってボールを投げた。いや、いつもの木場なら簡単に回避するはずだけども―

 

「・・・・・・」

 

木場はどこかボーとしていた。はぁ…やっぱり

 

「何やってんだよ木場!」

 

すると、叫んだイッセーが木場に真っ直ぐ向かってきているボールを体を張って受け止めようよするが、その軌道が大きくズレて、フォークボールのように降下していくボールは、勢いだけは衰えず、イッセーの下腹部へ――

 

ドォォォォォンッ!

 

「――ッ!?」

 

イッセーから言葉にならない悲鳴が上がる。直撃したボールが転がり、イッセーの足元で止まった。いまも眼前では悶え苦しむイッセーの姿があり、そこに駆け寄る部員のみんな。

うわぁ…さすがにあれは痛いですね…南無~

 

「ぶ、部長……。た、玉が、俺の……玉がぁ……」

 

「ボールならあるわ!よくやってくれたわね、イッセー!」

 

リアスさんがそう叫ぶが、リアスさん…イッセーの言ってる玉は別の玉なんですよ?

 

「あらあら、部長。そうではなくて、違うボールが大変なことになっているようですわよ?」

 

朱乃さんがイッセーの現状を再確認させる。ようやく事態を理解したのか、リアスさんはアーシアへと叫んだ。

 

「アーシア!あなたの力が必要よ!悪いのだけれど、物影で回復してあげてちょうだい!!」

 

「は、はい。イッセーさん、一体どこをケガしたんですか?」

 

「アーシア?それを聞いたらダメだよ。とりあえず、大事な所なの。だから、物陰で治療に専念してあげね?」

 

俺がそれだけ言うと、アーシアは簡単に納得してくれた。よくわかってはいなかったみたいだけど。

 

「小猫、人の見えないところまでイッセーを連れてってあげてね」

 

「……了解しました」

 

「ぶ、部長、お、お役に立てなくて……」

 

「いいのよ、イッセー。あなたはよくやってくれたわ。後は私たちに任せなさい」

 

聞き終えたイッセーは小猫ちゃんに襟元を摑まれ護護送中よろしくずりずりと運ばれていった。

頑張って…イッセー。

 

「さあ、始めるわよ!イッセーの弔い合戦!」

 

そのあと、ものの数十秒で相手チーム全員を外野へと送り込んだのであった。

 

『オカルト研究部の勝利です!』

 

『オカルト研究部』が勝ったという放送がなった。ふぅ~…よかったよかった…。

 

――――――――――――――――――――――

パン!

 

球技大会が終わり外はすっかり雨模様になっているなか雨音に混じって乾いた音が部室に響いた…

叩かれたのは…木場だった。

 

「どう?少しは目が覚めたかしら」

 

リアスさんはかなり怒っていた。今日の球技大会はオカルト研究部の優勝で終わったけど、木場は終始ボケーとしていた。試合中も部長さんが怒っていたが木場はどうでもよさそうにしていたほどに。

頬を叩かれた木場は無表情で、無言だった。

 

「もういいですか?球技大会も終わりました。球技の練習もしなくてもいいでしょうし、夜の時間まで休ませてもらってもいいですよね?少し疲れましたので普段の部活は休ませてください。昼間は申し訳ありませんでした。どうにも調子が悪かったみたいです」

 

「木場、おまえマジで最近変だぞ?」

 

「キミには関係ないよ」

 

イッセーが問うが、木場は冷たく返してきた。

 

「俺だって心配しちまうよ」

 

イッセーの言葉に木場は苦笑する。

 

「心配?誰が誰をだい?基本、利己的なのが悪魔の生き方だと思うけど?まあ、主に従わなかった僕が今回は悪かったと思っているよ」

 

いつもと違う木場。いつもはイッセーが無茶を言って、木場が落ち着かせる方だが、今は逆だ。

 

「木場、お前がなんでそうなっているのかは知らねえが俺たちは仲間だろう?助けあってこその仲間じゃないのか?」

 

「仲間か・・・・・君は熱いね。イッセー君、僕はね、ここのところ、基本的なことを思い出していたんだよ」

 

「基本的なこと?」

 

「ああ、そうさ。僕が何のために戦っているか、を」

 

木場は一旦間をおいて口を開いた…

 

「そう…僕は復讐のために生きている。聖剣エクスカリバー。それを破壊するのが僕の戦う意味だ」

 

そのあと、木場は直ぐに部室を出ていってしまったのだった。

 

――――――――――――――――――――――

「聖剣計画…か」

 

俺達はあのあと、リアスさんが少しだけ木場の話をしてくれた。

数年前キリスト教内で人工的に聖剣エクスカリバーが扱えるものを育てる計画が存在していた、木場もエクスカリバーと適応するために、人工的に養成を受けた者の一人でも、木場は聖剣に適応できなかった。それどころか木場と同じ養成された者は全員適応できなかったという理由で殺処分されたらしい。そして、木場はそのなかの最後の生き残りだったみたいだ。

 

「はぁ~…、やっぱり面倒事がありそうだなぁ…。」

 

俺は面倒事があることに深いため息をついた。でも………

 

「復讐…か…」

 

復讐…それは恨みを憎しみを、それを植え付けた張本人に倍返しで返すもの…。過去に、俺は好きだったお爺ちゃんを殺された…。そして、更にその過去、つまり前世の時に両親もあいつらのせいで失った…。でもその時は復讐をしようと思ったが、あの人が側に居てくれたから俺は復讐をしようと思わなかった。お爺ちゃんが死んだときも同じ様に復讐を誓ったけど、お兄ちゃんとお姉ちゃん達のお陰で、復讐にとりつかれないですんだ。

俺は知っている…。復讐をしても、失ったものは帰ってこないことを…。復讐をしても、ただただ…悲しいことを…。復讐をしても、何も意味がないと言うことを…。復讐をしても、なにも残らないことを………。

 

だから俺は復讐はしない…。たとえどんなことがあっても絶対に…。それが、今のお兄さんやお姉ちゃん達家族と前世の両親と大好きだった“あの人”との約束だから…。

 

「さて…、なんだか俺の勘が物凄くこの国を巻き込んでしまうような大きな事件が起こると働いてる…。だとしたら、地球連邦軍が動く時も近いかもしれませんね…。」

 

そう…もしかしたら、地球連邦軍が本格的に動く時がくるかも知れないですね…。

 

「よし!久しぶりに一旦実家に戻って、今回の起きてる事を調べましょうか」

 

俺は決意をして、実家に戻ろうと思うのだった。




どうでしたか…?今回で初めて地球連邦軍が活動出来るかもしれないですね♪さてさて、この物語はどうなるのやら…。さて、次回は実家に戻るのと聖剣使いとオカルト研究部の接触です♪楽しみにそれまでゆっくり待っててくれると嬉しいです!

それでは…また次回で会いましょう♪さようなら~♪


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2話 久しぶりの実家なのです

さぁ~てと…実家に帰ってきたのも久しぶりですね~。にしても本当にでかいな~家が。実家の場所は、地図にのっていないとある無人島にあります。大きさはどれぐらいかというと、オーストラリアの約5倍ぐらいですね。この無人島は特殊な結界で守られており、ここに入るには結城家の兄さんか姉さん達が教えた一つのルート以外で入ることは出来ません。

さて…話はここまでにしてさっさと家に入らないと。

 

「ただいま~!」

 

『お帰りなさいませつばさ様!』

 

すると、玄関に1000人のメイドが出迎えてくれた。

 

ちなみに、メイドさんと執事さんを合わせてだいたい5000人位いたはずですね。

 

「つばさ様。お帰りなさいませ。」

 

すると、黒髪の髪を腰まで伸ばして、目が金色で体が細く胸も大きくて、かなりのプロポーションで、十六夜咲夜が来ているようなメイド服をきた、メイドが出迎えてくれた。

 

「はい!アイラさんも久しぶりですね。元気にしていましたか?」

 

この人の名前はアイラ。結城家のメイド長をやっている人だ。

 

「はい。私達は元気でやっておりました。」

 

「そうですか。ならよかったです!所でメイド長の仕事はどうですか?」

 

「はい。いつも通り平和にやっていますよ?あと、つばさ様が前送ってきた堕天使の三名は頑張ってメイドをやっております。」

 

「そうですか。あと、姉さんや兄さん達は何処にいます?」

 

「皐月(サツキ)様、ナツル様、優子(ユウコ)様はリビングでお茶をしております。こうき様は研究室で新たな薬の研究をしております。」

 

なにしてんだろう…光輝(コウキ)兄さん。

 

「そうですか。わかりました。じゃまた頑張ってくださいね?」

 

「はい。つばさ様も頑張ってください。あと、荷物は私達がつばさ様の自室に持って行きますのでつばさ様はゆっくりとしていてください。」

 

「そうですか?ありがとうございます。ならお言葉に甘えますね。あとのメイドの皆さんも頑張ってくださいね~」

 

『はい!ありがとうございます!つばさ様!』

 

こうして俺は急いでリビングに向かうのだった。

 

 

 

 

リビングに着くと、机の各自分の席に座ってさつき姉さん達が話をしながらお茶をしていた。

 

「ただいま~!」

 

「ん?お帰り、つーくん」

 

「お帰りなさい。つーくん」

 

「おかえりー!つーくん!」

 

さつき姉さん、ナツル姉さん、ゆうこ姉さんの順番で挨拶を返して来てくれた。

 

「うん!姉さん達は元気そうでよかったよ。」

 

 

「うふふ。私達が元気がない時なんてないわよ。ねぇ?皆」

 

『そうね!』

 

あはは!相変わらず仲良しで!

 

「あら?つーくんじゃない。久しぶりね」

 

「あらら~?本当だわ~。つーくんじゃない。久しぶりね~」

 

すると、隣から声が聞こえてきた。そこを向くと…

 

「あぁ!紫さん!幽々子さん!どうもお久しぶりです!元気にしてましたか?」

 

「えぇ、勿論よ。私達も元気にしてましたわ。ねぇ、幽々子」

 

「そうねぇ~。私達が元気が無くなるなんてことがあるのかしらね~」

 

そう…俺の目の前には幻想郷の創立者にして、二つ名が“妖怪の賢者”の【スキマ妖怪】八雲紫さんと、二つ名が【西行寺の亡霊少女】西行寺幽々子さんだった。

 

「まさか、二人に久しぶりに会えたのでびっくりしましたけど、嬉しいです!」

 

「そうね。私達も久しぶりに会って嬉しいわ」

 

「そうね~、つーくんに会えて私も嬉しいわよ~」

 

そう言うと二人が近づいてきた。うぅ~、やっぱり二人がそろってお話をすると、どうしても緊張してしまいます…。

 

「あらあら。相変わらず私達と話をしていて緊張するのは治ってないみたいね」

 

「うふふ、本当だわ~。鼓動も早くて相変わらず可愛い反応をするわよね~」

 

「うぅ~、だって、紫さんも幽々子さんも物凄く綺麗だし、大人なお姉さんって感じでどうしても、緊張してしまうんですもん…。」

 

すると、紫さんと幽々子さんは目を見開いたあと、すぐに笑顔になって、顔を少し赤くしながらクスクスと笑っていた。俺ってなにか変なことを言ったかな?

 

「本当…、嬉しいことを言ってくれるんだから。本当に可愛いわね~」

 

「さすがつーくんだわ~」

 

そう言った二人が俺を挟むようにして抱きついてきて、頭を撫でられた。うわぁー!胸が無茶苦茶当たってるよー!

 

「あわ…あわわわわわ!///」

 

「うふふ、本当に可愛い反応をするわよね。本当に初心だわ~」

 

「やっぱりこれでも男の子だもんね~。顔も赤くなっちゃって~。可愛いわね~」

 

俺はそのあと、兄さんがくるまでの30分間は頭を撫でられていた。うぅ…恥ずかしかった。

 

突然さつき姉さんがみんなが見える位置にたった。

 

「さて、皆揃ったわね?今から会議を始めるわよ…?良いわねみんな」

 

『はい!』

 

すると、リビングの電気が消えて暗くなり、部屋に付いてたプロジェクターのスイッチを押すと、大型スクリーンが出てきて、数々の映像が流れた。その映像を説明しながら、さつき姉さんは『禍の団(カオス・ブリゲード)』の説明をしていた。説明内容は主に、テロ組織の説明、総員の人数と種族、あとは、カオスブリゲード内の部隊の構成人数と其々の幹部の名前と写真を説明していた。うぅーん…一番やっかいなのは『英雄派』でしょうかね。

 

「ふぅ…これで以上よ。たしかこれだけだったかよね?龍美?」

 

さつき姉さんは龍美と呼ばれる少女に聞いた。

 

「ん。我がグレートレッドを倒して静寂を得るために作った組織はこれが全部…。我が知って情報はそれだけ。」

 

龍美と呼ばれた少女はそう言った。そう…気づいている人はわかると思うが、この少女は【無限の龍神】オーフィスだ。

 

「ありがとう、龍美…」

 

ナデナデ

 

「ん…」

 

龍美は姉さんに誉められて、頭を撫でられていた。それを気持ち良さそうな顔でじっとしていた。オーフィスこと龍美は結城家の家族になってから、かなり日がたったけど、日に日に感情が豊かになって、大分感情が表にでてわかりやすくなっている。

 

「貴方は今はそのテロ組織にいないの?」

 

すると、紫さんが聞いてきた。確かに…俺も気になるな…。

 

「ん…。我がこの家の家族になって、グレートレッドとも仲良しになれた。我は静寂よりも楽しいものを見つけたから、あの組織を抜けてきた。その為に力を3分の1置いてきたけども。」

 

オーフィス…。お前はいいやつだな…。こんな純粋な子を利用しようとしたテロ組織は潰さないとね…

 

『そうね…つーくん。貴方の言うとおりこのテロ組織は絶対に潰さないとね。私の可愛い妹を利用したんですもの…、それ相当の覚悟はしてもらわないと…ね?』

 

うわぁ…ルーツがいつも以上に殺る気だよ~…。まぁ…俺もだけどね

 

「貴方は後悔してないの?」

 

すると、紫さんがまた質問した。

 

「ん。我はつーくんと出会い友達になった。この家族に入って楽しい事をいっぱい知った。グレートレッドのガイヤと仲良しになれた。ミラやガイヤのような頼もしい優しいお姉ちゃんが出来た。それに、つーくんとも仲良しの家族になれた。だから………、つーくんやこの家族やガイヤと一緒にいられるなら全然後悔なんてしてない。むしろとても嬉しい」

 

ニコッ

 

龍美は物凄い笑顔でそう答えた。うぅ…あのオーフィスがここまで感情が豊かになったなんて…!それにこんなにも俺達の事を想ってくれてたなんて…!くぅ…!涙が止まらないよ~

 

『うぅ…、オーフィスが…オーフィスがぁ…!こんなにも感情がでてるなんてぇ~…こんなにも、私達の事を思ってくれてたなんて…、お姉ちゃんは…お姉ちゃんは嬉しすぎて涙が止まらないよぉ…!』グスン

 

ルーツも感動のあまり泣いていた。他の皆も泣いていた。勿論紫さんも幽々子さんも

 

「うぅ…龍美…、つらかったろう?苦しかったろう?もう大丈夫だからな?今は、私達が着いているから…。あのテロ組織め…!こんなにも可愛い私達の妹を騙して利用しようとしたなんて万死に値するぞ!!絶対に潰して龍美の力を取り戻してやる!」

 

すると、紅い髪を腰まで伸ばして同じ色の紅い瞳をした誰もが羨む、かなりのプロモーションの女性がいた。そう…【赤龍真帝】グレートレッドのガイヤだ。

 

『そうよね!ガイヤ!私達でこの子の力を奪え返しましょう!!絶対にあんな奴等に使わしたらダメなのよ!!』

 

「はい!ミラ姉さん!私達で龍美の力を取り戻してやりましょう!」

 

あはは…なんだか、いつも以上に意気投合してるよ…、本当に大好きだね~龍美の事が。ドラゴンもシスコンになるんだね~。

 

「ところで、貴方はどうして戻ってきたの?」

 

さつき姉さんが聞いてきた。あ…忘れてた…

 

「えっとね~?今ね、リアスさんの眷属の中に木場祐斗っていう人がいるんだけども、聖剣計画の生き残りらしくて、聖剣にかなりの恨みを持ってるの。それ同時に駒王町に複数の聖剣の波動が感じたからそれの調査をしようと思ってね~。それと、俺の勘が大きな事件が起きると働いたから、調査のついでに俺の部隊を今住んでる別荘に移そうかな~と思って今回帰ってきたのですよ~」

 

「なるほどねぇ…、貴方の勘は霊夢と同じぐらい当たるから、その勘もあたるのでしょうね。わかったわ。貴方の部隊を動かすのを許可します。存分に働いてくださいね?」

 

「おぉ!ありがとうございます!」

 

よっしゃあ!これで更に動きやすくなったぜ!

すると、さつき姉さんが浮かない顔をしていた。

 

「それに聖剣計画か…。その計画の事なんだけども、実はレイジ兄さんが昔にね、部隊を引き連れてそれの調査をしてた時があったのよ。その時に一人の少女を助けたらしくてね?それの報告書が此方に届いてたから、私達で調査をしたのよ。その計画に関しては私達が調査を終わってその資料があるからそれを見なさい?だから、貴方は駒王町にある聖剣の波動の調査に行きなさい?いいわね。」

 

さつき姉さんがそう言った…。

 

「おぉ~!ありがとう!いつもいつもゴメンね?迷惑かけて……」

 

「いいのいいの、此くらいは私達は気にしないわ。ねぇみんな」

 

「そうそう、お姉ちゃん達にまかせなさい?弟は大人しく姉の言うことを聞いていればいいし、いっぱい甘えてなさい!それが私達の仕事よ」

 

「そうだよ!つーくんの頼みならいつでも私達は手を貸すわよ?家族は支えあってこそが家族だからね~!」

 

「そうだぜ、つばさ。お前は俺達の大事な家族だ…。家族の頼みくらい聞いて手伝うのが当たり前…。だから気にするな。」

 

お兄ちゃん…お姉ちゃん……ふふ、本当に嬉しいな♪こんな家族がいてくれて

 

「あら?私と幽々子も貴方の部隊に入るんだから手伝うわよ?あと、私の式もね?」

 

「そうね~、私達も貴方の部隊に入るから妖夢と一緒にこれからよろしくね~」

 

「本当ですか!?あ、ありがとうございます!!紫さん!幽々子さん!」

 

うわぁ~!スゲー!!紫さんと幽々子さんが俺の部隊に入ってくれるなんて!

ん…?と言うことは、俺の部隊にいる幻想郷組は…、霊夢、魔理沙、アリス、美鈴、レミリア、フラン、咲夜、八雲一家、幽々子、妖夢、慧音、妹紅、因幡てゐ、永琳、うどんげ、蓬莱山輝夜

、萃香、幽香、小町、四季映姫ヤマザナドゥ、射命丸文、早苗、勇義、さとり、こいし、お空、茨華仙が俺の部隊に入ってると。

あとの幻想郷組は、まず…、さつき姉さんの部隊にルーミアとチルノを含めた種族が妖精の妖怪達(リリーを除く)、メディスン・メランコリー、キスメ、ヤマメ、パルスィ、にとり、犬走椛、八坂神奈子、洩矢諏訪子、永江衣玖、比那名居天子、綿月姉妹が入ってます。

次にナツル姉さんの部隊には、パチュリーと小悪魔、星蓮船組が入ってます。

最後に、ゆうこ姉さんの部隊には、リリー、プリズムリバー三姉妹、リグル、ミスティア、はたて、火焔猫燐、神霊廟組、こころ、輝針城組が部隊に入った。

 

本当に、魔改造の地球連邦軍だなぁ~。

そんな事を考えていた俺たが、リビングに突然魔方陣が展開して、そこから金色で十二枚の翼をもった青年が表れた。その人は天使長ミカエルさんだ…

 

「あれ?ミカエルさんじゃないですか…、いったいどうしたんですか?」

 

すると、ミカエルさんが突然頭を下げた。なぜに!?

 

「申し訳ありません!どうか…どうか、私達に力を貸してください!お願いします!」

 

……え?え?力を貸してください?申し訳ありません?ちょっとちょっとどういうことですか!?いきなり過ぎてわかりませんよー!?

 

「ミカエルさん?どういう事かしら?一から説明してください。」

 

すると、さつき姉さんが優しくミカエルさんに質問した。ミカエルさんは顔を上げて答えた。

 

「はい…、先日、天使側と教会側で協力して管理していた、聖剣“エクスカリバー”が盗まれました。」

 

聖剣エクスカリバーが盗まれた?聖剣“エクスカリバー”は大昔の戦争で壊れて、砕けた欠片を集めて新しく七つの聖剣へと生まれ変わったんでしたよね?

確か~、カトリック教会本部、ヴァチカン及びプロテスタント、正教会に保管、管理されていたんでしたっけ?そんで、その聖剣の名前がたしか~…

 

『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』破壊だけにに特化した破壊の能力をもった聖剣。

 

『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』所持者の思いひとつでどんな物にも形を変えることができる擬態の能力をもった聖剣。

 

『透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)』。刃を透明にし相手を切り刻むことができる透明の能力をもった聖剣。

 

『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』。速さを上げて高速の斬撃を繰り出せる速さに特化した聖剣。

 

『夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)』。幻術で相手を惑わせたり、相手の夢を支配することができる幻術を得意とした聖剣。

 

『祝福の聖剣(エクスカリバー・ブレッシング)』。所持者の聖なる力を上げる能力を持っていて、七つあるエクスカリバーの中で一番聖なる力が強い聖剣ですね。

 

最後に行方不明となっている―――

『支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)』。生物やら魔法を意のままに支配することができる支配の能力を持つ聖剣ですね。

 

「なるほどねぇ、どのエクスカリバーが盗まれたの?」

 

さつき姉さんが質問した。

 

「はい…、『天閃の聖剣』と『透明の聖剣』と『夢幻の聖剣』です。残っているのは、『破壊の聖剣』『擬態の聖剣』ですね。『支配の聖剣』はいまだに見つかっておりません。」

 

ふーん…、て…あれ?一本足りなくないかな?

 

「ミカエルさん。『祝福の聖剣』はどうしたんですか?」

 

俺は思った事を聞いた。

 

「はい…、それが『祝福の聖剣』は『支配の聖剣』と同じく行方不明何ですよ…。私達の不祥事で起きてしまった聖剣計画という事件で、その時に使われていた聖剣が『祝福の聖剣』なんです。」

 

「聖剣計画って…あの?」

 

姉さん達はレイジ兄さんに送られて来ていた資料を読んでいるので内容はわかっているみたいだ。俺はリアスさんから少し聞いて、更に姉さんから貰った資料をもう見終わっているので知っています。

 

「はい。その時に使われていたのですが、事件が発覚して調査に行ったところ…あったのは大量のこどものの名前が掘ってあったお墓と、研究室内に研究者と兵士の死体がありました。その時の研究者と兵士に関しては何者かによって切り刻まれたようでした。そのあとに、『祝福の聖剣』を探しましたが何処にも見つからず、結局わからないまま終わってしまいました。」

 

そうでしたか。兄さんの資料には、『助けた少女は聖剣“エクスカリバー”を持っていた』と書かれてあったので、十中八九それが『祝福の聖剣』何でしょうね~。あと、その切り刻まれた死体も兄さんの仕業でしょうね。

 

「ミカエルさん…、その死体とお墓に関してですけど、今は外国で仕事をしているレイジ兄さんがやったんだと思います。あと、『祝福の聖剣』に関しても、なんでも兄さんが助けた少女が聖剣エクスカリバーを持っていたと調査書に書いてあったので、心配ないと思いますよ?」

 

すると、ミカエルさんが物凄く驚いた顔になったと思ったら直ぐに安心した顔になった。

 

「そうでしたか。レイジさんがあの事件を解決してくれていたのですね。ありがとうございます。」

 

「いいですよ~、別に~」

 

俺はそう返した。

 

「あと、今回の事件の事なんですが、教会側は駒王町に聖剣使いの二人を派遣しました。『破壊の聖剣』と『擬態の聖剣』です。」

 

へぇ…なるほどねぇ…。あっそうだ…

 

「ところで盗んだ相手は誰ですか?」

 

すると、ミカエルさんは更に申し訳なさそうな顔になって答えた

 

「堕天使コカビエルです。」

 

たしか、古の戦いから生き残る堕天使の幹部のひとりで、聖書にも記された者でしたね。アザゼルいわく、戦闘狂でしたっけ?そうなれば、俺の勘はコカビエルは戦争がしたくて堪らない、だから、聖剣を盗んで戦争を起こそう!!みたいな考えなんでしょうね…。

 

「コカビエルは昔から戦争が大好きでした。今回のこの事件もコカビエルが戦争を起こすために独断で動いたんでしょう。あのアザゼルは昔から戦争があまり好きではありませんでしたからね…。

ので、今回の私が頼む依頼は、この事件で盗まれた聖剣を取り戻してください。最悪聖剣の核だけでも取り返してくださればいいです。あと、流石に二人だけでは聖剣の奪取は無理だと思うので、できればその二人を助けてくれますでしょうか…、お願いします…」

 

そう言ったミカエルさんは頭を下げた。

 

「わかりました。俺がこの依頼を受けましょう!!俺の初めての学校生活を壊されるのは嫌ですからね♪」

 

「ありがとうございます…。つばさ様…。私はこれで帰らせて貰います。本当に迷惑をかけてすみませんでした。」

 

「大丈夫ですよ?いつもお世話になってますしね!」

 

そうかなりお世話になってる。特に聖なる武器系統で…。

 

「ありがとうございます。つばさ様。貴方のお心遣いに感謝します。それではまた今度。」

 

そう言ってミカエルさんは帰っていった。相変わらず忙しい人だな~。

 

「ゴメンね?私達がするはずなんだけど、貴方に任せてしまって…。」

 

「いいよ、さっきさつき姉さんが言ったんだよ?家族は差さえあってこそ家族なんだって。どから此くらいは大丈夫だよ。もしもの時は姉さん達に頼むしね。その時は…お願いね?」

 

すると、さっきまで暗かったさつき姉さんの顔は明るくなった。

 

「うん…ありがとうつばさ。その時は、私達も力を貸すわよ?絶対にね!」

 

「えへへ!ありがとう。じゃ…行ってくるね!」

 

「行ってらっしゃい、つーくん!」

 

「頑張ってね~!つーく~ん!」

 

「ファイトだぞー!つーくん!」

 

「頑張ってこい!つばさ!!」

 

「行ってらっしゃいませ。つばさ様。武運をお祈りします♪」

 

『行ってらっしゃいませ!つばさ様!』

 

「うん…!みんなー!行ってきま~す!!」

 

こうして俺は、新たな戦いを胸に、駒王学園へと足を運ぶのだった。

 




どうでしたか?頑張って書いたらこうなりました。

さて、次回はオカルト研究部に聖剣コンビ接触&VS聖剣コンビです。お楽しみに~♪


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3話 面倒事がおきてます…

あれから、超瞬間移動魔法【ルーラ】で駒王学園の旧校舎前にきました。勿論、いつも通りに【無意識を操る程度の能力】を使ってます。

さ~てと…、部室前に来たまではいいんですが……、何だか駒王学園に来てから聖剣のオーラがあちこちから感じますね…。二つはこの部室の中から、あと四つ駒王学園の少し離れた場所から感じますね。……ん?四つ?おかしいですね…、たしか、盗まれた聖剣は三つでその内派遣された聖剣使いが持っているのが二つですから、最高でも五つしかないはずですのに、う~ん…、謎が深まってしまいましたか。まぁ、それはあとにしましょうか。とりあえず部室に入らないとね~。

 

コンコン

 

「失礼しますね~」

 

すると、いつものメンバーの他に、ローブのような物を着た二人の女性が二人いた。片方は栗毛の女性で、もう片方は緑色のメッシュを髪に入れている青髪の女性だ。あと、後者は十字架を胸に下げている。

 

「うん?グレモリー、こいつは誰だ?」

 

すると、メッシュの女性はリアスさんに聞いた。お前こそ誰なのよ…

 

「こら!ゼノヴィア!そんな口で聞いたらダメだよ!!」

 

すると、栗毛の女性はメッシュの女性を注意した。そうか…メッシュの女性はゼノヴィアって言うんだね?よし、覚えた。

 

「その子は私達の協力者よ?勿論私達の正体も知ってるわ。」

 

リアスさんは柔らかく答えたが、目が笑っていなかった。コ、コワイナ~(棒)

あと…、物凄く木場から濃い殺気が二人に対して出ているのですが…。やっぱりまだ怨んでそうですね…。あの聖剣の事を…。まぁ…、そう簡単に消えはしませんよね、怨みって…。

 

「そうか…。なら、今回私達が来た理由を話そう。イリナ頼む」

 

「わかったわ。」

 

ゼノヴィアは栗毛の女性にふった。栗毛の女性はイリナね…、うし、覚えました。

 

「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、プロテスタント側、正教会側に保管、管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われました」

 

「奪われたって……一つじゃなかったのか?」

 

すると、イッセーが疑問をいった。まぁ~確かにそうなりますな

 

「ゴメンなさいね。私の下僕に悪魔に成り立ての子がいるから、エクスカリバーの説明込みで話を進めてもいいかしら?」

 

 リアスさんがそうイリナに提案した。イリナはそれにひとつ頷き話を続けた。

 

「イッセーくん、エクスカリバーは大昔の戦争で折れたのよ。今は、全部で七つあるわ」

 

「いまはこのような姿さ」

 

 ゼノヴィアが傍らに置いていた、布に巻かれた長い物体の布を取る。

現れたのは一本の長剣だった。たしかあれは…

 

「これが、私が所持している、折れた七本の一つ…『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』。カトリックが管理している」

 

ゼノヴィアは紹介し終わって、再び布でエクスカリバーを覆った。

 

イリナの方を見ると、何やら長い紐のようなものを懐から取り出してきた。

それがうねうねと動き出て、形を変えていき、一本の日本刀と化した。

 

「私の方は『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』。こんな風にカタチを自由にできるから、持ち運びにすっごく便利なんだから。このようにエクスカリバーはそれぞれ特殊な力を有しているの。こちらはプロテスタント側が管理しているわ」

 

イリナは自慢げにいった。

 

「イリナ…悪魔にわざわざエクスカリバーの能力をしゃべる必要もないだろう?」

 

「あら、ゼノヴィア。いくら悪魔だからといっても信頼関係を築かなければ、この場ではしょうがないでしょう?それに私の剣は能力を知られたからといって、この悪魔の皆さんに後れを取るなんてことはないわ」

 

自信満々に言うイリナ。うわぁ~…、一番最初に死んじゃうパターンの奴だ…。

 

「奪った連中は日本に逃れ、この地に持ち運んだって話だ。だから今回私達が派遣された」

 

そうなのですか…。でも二人だけで戦うのかな?

 

「私の縄張りは出来事が豊富ね。それでエクスカリバーを奪ったのは?」

 

「グレゴリの幹部、コカビエルだ」

 

「コカビエル……。古の戦いから生き残る堕天使の幹部……。聖書にも記された者の名前が出されるとはね」

 

むぅー…やっぱり、二人で戦うのはただの自殺行為だよね?

 

「私達の依頼、いや、注文とは………。

 堕天使のエクスカリバー争奪の戦いにこの町に巣食う悪魔が一切介入してこない事。つまり、そちらに今回の事件に関わるなと言いに来た」

 

ふー…ん。教会のあのクソじじい共は、相変わらず頭が固いんだなー…。いくらなんでも無理だよ?自分達の不始末をたったの二人で片付けるなんて…。いや…、寧ろいざというときの捨てゴマにするつもりなの?

あのお馬鹿さん達は、いったい誰を相手しようとしてるのかな?舐めすぎだろう?堕天使の幹部――それも聖書にのる程の古の強者だっていうのにさ~。

 

「ずいぶんな言い方ね?」

 

リアスさんがキレ気味で聞いた。そりゃーイラッてくるよね~。こんないわれかたじゃ…。

 

 

「本部は悪魔と堕天使が手を組む可能性があると見ているからね」

 

「私は堕天使などと手を組まないわよ。絶対によ。グレモリーの名にかけて、魔王の顔に泥を塗るような真似はしないわ!」

 

すると、ゼノヴィアは少し笑った。

 

「ふ…、それが聞けただけでも十分さ。そもそも私は魔王を親族にもつグレモリーが堕天使と手を組むなんて思っていなかったからな」

 

ゼノヴィアはそう言った。はぁ…、相変わらずの上から目線ですね~。

 

すると、リアスさんは何かに気づいたような顔になった。

 

「そういえば、正教会からの派遣は?まさかあなたたち二人で堕天使の幹部から聖剣を取り戻すつもりではないでしょう?」

 

「いや、私たち二人のみだ」

 

「はぁ…。あなた達は堕天使の幹部…、それも古からいて聖書にのる物とたった二人で戦うのというのですか?あまりにも無謀すぎません?」

 

俺はそう思い二人に言った。

 

「そうよ?私達はもとよりそのつもりで来ているわ。ねぇ?ゼノヴィア」

 

「私もイリナと同意見だが、出来るだけ死にたくはないな」

 

俺と同じこの歳で、そんなことを言うなんて、やっぱり教会は狂っていますね。本当に…。あ…、俺もこの覚悟の事に関しては人のことは言えませんね…。

 

「………死ぬ覚悟でこの日本に来たというの?相変わらず、あなた逹の信仰は常軌を逸しているのね。」

 

すると、リアスさんは哀れみの顔で聞いた。

 

「我々の信仰をバカにしないでちょうだい、リアス・グレモリー。ね、ゼノヴィア」

 

「そうだな、イリナ。………それに教会は堕天使に利用されるぐらいなら、エクスカリバーを破壊しても構わないと決定した。

 だから、私達の役目は最低でもエクスカリバーを堕天使の手からなくす事だ。そのためなら、私達は死んでもいいのさ。エクスカリバーに対抗出来るのは同じエクスカリバーだけだよ。」

 

ミカエルさんと同じ聖剣の核だけでも回収か…。でも、死んだら意味なくないかな?

 

「さて、言いたいことは伝えたし、そろそろおいとまさせてもらおうかな」

 

「そうね」

 

二人は同時に立ち上がった。どうやら二人はやっと出ていく見たいですね。ふぅ~…、正直木場の殺気が凄かったから、木場を止める気満々で準備と警戒をしてたけども、暴れなくて良かった~。これならもう、大丈夫ですよ…ね?

 

「兵藤一誠の家で出会ったとき、もしやと思ったが、『魔女』アーシア・アルジェントか?まさか、この地で会おうとは」

 

「あなたが、噂になっていたと言う元聖女さん?

 悪魔・堕天使も癒す力を持っていたらしいわね?

追放されてから、何処かに流れたと言うけど、悪魔になるなんてね……。大丈夫、貴方の信仰者には言わないわ。悪魔になっているなんて悲しいですもんね」

 

「………あ、あの………わ、私は………」

 

アーシアは二人の言葉に複雑極まりない表情をしていた。

 

「しかし、悪魔か。『聖女』と呼ばれていた者。堕ちるところまで堕ちるものだな。まだ我らの神を信じているのか?」

 

「ゼノヴィア。悪魔になった彼女が主を信仰しているはずないでしょう?

 

「いや、その子から信仰の匂い・・・香りがする。抽象的な言い方かもしれないが、私はそういうのに敏感でね。背信行為をする輩でも罪の意識を感じながら、信仰心を忘れない者もいる。それと同じものをこの子から伝わってくるんだよ」

 

イリナは興味深そうにアーシアさんを見る

 

「そうなの?アーシアさんは悪魔になってその身でも主を信じているのかしら?」

 

アーシアは悲しそうな表情をした。

 

「・・・・捨てきれないだけです。ずっと、信じてきたのですから・・・」

 

それを聞き、ゼノヴィアが布に包まれたものを取りだし『破壊の聖剣』を突き出した

 

「そうか。それならば、いますぐ私たちに斬られるといい。今なら神の名の下に断罪しよう。罪深くても、我らの神なら救いの手を差し伸べてくださるはずだ」

 

…………イッタイナニヲイッテイルノカナ?コノオバカサンタチワ

 

「アーシアに近づいたら、俺が許さない。あんた、アーシアを魔女だと言ったな?」

 

すると、イッセーがアーシアを庇うように前に出た。

 

「そうだ。少なくとも今の彼女は聖女ではなく魔女と呼ばれるだけの存在ではあると思うが?」

 

「ふざけるなッ!救いを求めていた彼女を誰一人助けなかったんだろう!?アーシアの優しさを理解出来ない連中なんか、ただのバカ野郎だ!

 友達になってくれる奴もいないなんて、そんなの間違っている!」

 

「『聖女』に友達が必要だと思うか? 大切なのは分け隔てない慈悲と慈愛だ。他者に友情と愛情を求めたとき、『聖女』は終わる。彼女は神からの愛だけがあれば生きていけた筈なんだ。つまり、それを求めたアーシア・アルジェントには『聖女』の資格は無かったのだろう」

 

 当然のように言うゼノヴィア。相変わらずの狂った信仰ですね…。まったく理解できないな……。って言う俺も、一応、教会でたま~に『聖女』をやっているんですけどね~……あははは~

 

「いや…、そもそも、アーシア・アルジェント…君には最初から『聖女』の資格が無かったのかもしれないな…。でなければ、『魔女』と呼ばれ、この様な野蛮な悪魔にならなかったのだからな。―――きみは一度、君と同じ『聖女』であり、“伝説の聖女”と呼ばれている『慈愛の聖女』様を見習え。あの御方はきっと同じ『聖女』である君が悪魔になったと聞けば、嘆き悲しむだろう。まさに聖女の“鏡”とも言えるあの御方だ。その名の通り、あの御方はとてもお優しい……もしも君が、もっと見習っていればいまのように悪魔にならなかったと思うがな」

 

ゼノヴィアがアーシアにそう言った。

 

―――…あ、その人は………まぁ、いっか…。

 

――――だって…

 

「(その“慈愛の聖女様”が自分だなんて言えるわけないもんね~…)」

 

いや…、本当に言えるわけがないもん…

 

「その『慈愛の聖女』かなんだか知らねぇーけどよ!自分たちで勝手に『聖女』にして、少しでも求めていた者と違ったから、見限るのか?アーシアの苦しみを誰もわからなかったくせに!」

 

 イッセーは怒気をはらみ声を上げた。あの人の中は、アーシアのことを想うばかりに生まれた怒りで一杯なんだろうな。本当にやさしく熱い人だね。

 

 だが、そんなイッセーにゼノヴィアはまるで怯んだ様子が見られない。

 

「さっきから聞いていれば。キミはアーシアの何だ?」

 

 その問いに、イッセーは即答する。

 

「家族だ。友達だ。仲間だ。だから、アーシアを助ける!アーシアを守る! おまえたちがアーシアに手を出すなら、俺はおまえら全員敵に回してでも戦うぜ!!」

 

イッセーは迷わず言い切った。あはは!さっすがイッセーだね。じゃ~俺も手伝ってあげるよ…

 

「さすがイッセーだね、イッセーはこの中の誰よりも一番熱く、家族と仲間思いの人だね

俺もこの勝負手伝ってあげるよ。教会には今一度その考えと信仰が間違ってると思い知らせないと行けないから…ね?」

 

じゃないと、頑張って恥を忍んで聖女なんかやってないもん!

 

「それは私たち――我らの教会すべてへの挑戦か?

一介の悪魔にすぎない者が、大きな口を叩くな。グレモリー、教育不足では?」

 

「イッセー、お止め――」

 

「部長!止めないでください。こんな奴等は絶対に勝たないといけないんです!お願いします!!」

 

イッセーはまっすぐな眼でそう言った。

 

「そうですよリアスさん。俺はこんな奴等は許しませんからね…。まぁ、俺は人っ子ひとりぐらいも助けれない神様なんて信仰をする意味が全くないし神様なんて認めないからね~。それなら、俺が知ってる神様のほうが、よっぽど神様らしくっていいですね」

 

……と、バカにしてみる。

 

「な、なんですって!?私たちのことならともかく私たちの主まで侮辱するなんて!」

 

「…………いいだろう。表に出ろ。断罪してくれる」

 

俺らがまさに一発触発する瞬間…、木場が割り込んできた。

 

「ちょうどいい。僕も相手になろう」

 

特大の殺気を体から発して、木場は剣を携えてた。

 

「誰だ、キミは?」

 

緑メッシュの問いかけに木場は不敵に笑った。

 

「きみたちの先輩だよ。失敗作だったそうだけどね」

 

その瞬間、この部室内に無数の魔剣が出現していた。

 

―――――――――――――――――――――

聖剣使いに喧嘩を売った俺達は今球技大会の練習した場所にいる。その周辺に部長さんたちが魔力の結界を発生し、結界の外で俺を見守っていた。俺はこっそりと結界を強化した。だって俺も出るしね♪

そして俺達の目の前で怒りを露にするゼノヴィアとイリナの二人はエクスカリバーを解き放っている。すると、木場が話しかけてきた。

 

「今回は僕に譲ってもらえないかな?つばささん」

 

「何故ですか?」

 

「僕は復讐をしたいんだ…、僕の僕達の人生を命を全て奪ったあの聖剣を壊すためにね」

 

そう言った木場の目は、完全に復讐者の目だった。木場…、復讐はなにも生まないよ?ただただ、悲しみがふえるだけなのに…。まぁ…これに関しては自分で気づかないといけないので、俺はなんにも言えませんけどね…。

 

「わかりました。でも、あなたが負けると俺が変わりますからね?」

 

「ありがとうつばささん。それと、心配しないで、あなたの番は回ってこないから…。」

 

木場はそう言ってゼノヴィアの前にいって、ゼノヴィアと木場の戦いが始まった。はぁ…今の木場では勝つ要素はゼロですね…。

 

さて、イッセーの方はどうなっているのでしょうか?

 

 

「イッセー君。本当にやるの?」

 

「当たり前だ! アーシアの事を悪く言われたまま黙ってられるか!」

 

「そう…やっぱり戦う運命なのね。私は、聖剣の適性があってイギリスに渡り帰ってきたけれども、そしたら、昔のお友達が悪魔になっていたんですもん。…あぁなんて罪深い…私とこのエクスカリバーでその罪を裁いてあげるわ!」

 

「死んでもごめんだ!」

 

イッセーとイリナも戦いを始めて、ゼノヴィアVS木場&イリナVSイッセーの戦いが始まったのだった。

俺はおとなしく見ようとしたが、急にトイレに行きたくなってしまったので、リアスさんの所にいった。

 

「あ…あの~…リアス…さん?その~…トイレに…行って、いいですか?」

 

すると、リアスさんは少しキョトンとしたあとクスリと笑って笑顔で見てきた。

 

「えぇ、いってらっしゃい。直ぐに戻って来るのよ?」

 

「うぅ…すみません、直ぐに戻って来ます…!」

 

こうして俺は急いでトイレに行くのだった。

 

 

――――――――――――――――――――――

さて…、トイレに帰ってきたのはいいけれども、イッセーがぶっ倒れていた。それにアーシアと小猫ちゃんもいないのに気づいて、近くにいた朱乃さんに聞いたら、イッセーはイリナに【洋服崩壊(ドレス・ブレイク)】を放とうとしたが、小猫ちゃんがそれの効果を暴露させて、イリナは突進してきたイッセーを避けて足をかけて転ばそうとしたが、イッセーは思った以上に粘り、そのせいでその勢いのままアーシアと小猫ちゃんのいた場所に突っ込んでしまい、そのひょうしに二人に触れて【洋服崩壊(ドレス・ブレイク)】を発動してしまい、二人の服を全て崩壊させた。そのあと怒った小猫ちゃんはイッセーを仙術で身体強化して攻撃力を上げた全力のパンチをイッセーの腹にボディーブローをしてイッセーはあえなく撃沈した。そのあと、二人で着替えをしに行って、俺がきたと言うことらしい。

イッセー…なにしてんだよ…全く。

 

これは少しお説教が必要なようですね。慧音さんを呼びましょうか?それとも、映姫さんがいいでしょうか?……そんなことしたら、イッセーが真っ白に燃え尽きそうだね…。映姫さんを呼ぶのだけは止めてあげよう…。

 

まぁ、とりあえず木場の方を見ないといけませんね…

 

「その聖剣の破壊力と僕の魔剣の破壊力!どちらが上か勝負だ!」

 

 木場の手に現れたのは、巨大な一本の剣。禍々しいオーラを放つその剣を、木場は両手で構える。そして、それを勢いよく振り始める。

 

「……バカなのですか?あなたの強みはそこじゃないでしょうに…」

 

 俺がついこぼした言葉と、ゼノヴィアが落胆する姿が重なる。

 

「残念だ。選択を間違えたな」

 

ガギィィィン!

 

 激しい金属音。巨大な刀身が宙を舞う。やっぱり、ダメだよな。折れたのは、祐斗の魔剣だった。

 

「キミの武器は多彩な魔剣とその俊足だ。巨大な剣を持つには筋力不足であり、自慢の動きを封じることにもなる。破壊力を求める?キミの特性上、それは不要なものだろう?そんなことっもわからないか君は」

 

 言い終えた直後、祐斗の腹部に聖剣の柄頭が深く抉りこむ。

 

「ガハッ」

 

 

あーあ~やっぱりやられた~…。まぁ~仕方ないよね、あんな勝負に出た時点で負けだったんだしね~。

 

まぁ、いいや。さ~てと…、そろそろ俺も出ようかね~。

 

「次の相手はお前か…。今なら主の事をバカにしたことを謝れば命だけは助けてやるぞ?」

 

「いや…、全く謝るきないし…、それに、あなた達と戦って負ける要素もないしね~。(これでもいくつもの死線を乗り越えてるんだもん。あなた達程度の実力では倒されないもん。……たとえ、ゼノヴィアさんの中にある、その“強力な聖剣”を使ったとしても…ね)」

 

すると、ゼノヴィアとイリナの顔に青筋がたった。

 

「ほう…、言ってくれるな…。ならば貴様のその余裕を壊してやろう!主を侮辱したことを後悔させてやる!」

 

「この罪人に神の裁きを!アーメン!!」

 

すると、ゼノヴィアとイリナが俺に向かってきた。はぁ…特効好きだなぁ~、みんな…。

 

俺はそう思ったあと、右手に日本刀を出し、それを抜いた。その日本刀は刀身が全て黒く刀についてる波模様が赤い色をした漆黒の刀だった。

 

「さぁ…、あなた達はこの“黒刀『秋水』”に勝てるのかな?まぁ、無理でしょうけどね~」

 

そしたら、ゼノヴィアが先に俺の前にきて『破壊の聖剣』を構えていた。

 

「……ふん。貴様のその刀、私の『破壊の聖剣』の前では無に等しい!くらえ!!」

 

そして、ゼノヴィアは『破壊の聖剣』を上にあげて、そのまま降り下ろしてきた。それを俺は………

 

ガキャァァァン!!

 

普通に受け止めた。

 

「なっ!?」

 

ゼノヴィアは『破壊の聖剣』を受け止められた事に酷く動揺してた。ふ…甘いですね

 

「隙ありです!」

 

キィィィン!ドコッ!

 

「うぐぅ………っ!!」

 

俺は『破壊の聖剣』とのつばぜり合いから刀に力を入れて、聖剣を凪ぎ払いゼノヴィアの右腹を刀の峰で打った。つまり、峰打ちですね。

 

「ゼノヴィア!!よくもやってくれたわね!くらいなさい!!」

 

すると、横から鞭の様に『擬態の聖剣』を飛ばしてきたが、俺はそれを軽く右に受け流したあと、それを手を能力で強化して掴んだ。

 

「え…?」

 

そしてそれを、思いっきり引っ張って、イリナを上に投げ飛ばした。

 

 

「キャァァァァァ!!」

 

ズドォォン!

 

イリナは空に飛んだあと、地面に叩きつけられた。俺はこっそりと風をだして、イリナの地面に墜落する衝撃を軽減した。これで動けない程度に体にダメージがあるでしょう。

 

「う…くぅ…!」

 

イリナは痛そうに地面に倒れていた。

 

「イリ…ナ!く…くそ…!負けて…たまるかぁぁぁぁぁ!!」

 

ゼノヴィアは『破壊の聖剣』を両手で持って突進してきた。またそれですか…。少しは頭を使ってくださいよ…。

 

「おおぉぉぉぉぉ!!」

 

キャイィィィン!

 

俺はゼノヴィアの聖剣をまたうけた。そして、そのあとなんどか剣の打ち合いをしたあと、二人は同時にさがった。

 

「次で…決める!!」

 

「こい…!ゼノヴィア!」

 

「「うおぉぉぉぉぉ!!」」

 

ギャキャァァァァァァン!!

 

俺とゼノヴィアの剣があたった。

 

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン………グサッ

 

勝ったのは俺だった。ゼノヴィアの『破壊の聖剣』は俺が飛ばして綺麗にぐるぐると宙を舞いながら地面に刺さった。今俺はゼノヴィアの首筋に“黒刀『秋水』”の先を当ててるとことだ。

 

「う………、私の…負けだ…。」

 

「ふぅ…、なかなか楽しかったですよ?ゼノヴィアさん。また、やりましょうね~」

 

俺はゼノヴィアに手を差しのべた。するとゼノヴィアは少し驚いたあと微笑んだ。

 

「ふふ…、あぁ!また、お願いする!えぇと…」

 

「つばさですよ~」

 

「そうか…、ではつばさ、またやろう!次は絶対に勝つからな!」

 

「望むところなのですよ!……それと、さっきはバカにしてごめんなさい」

 

「ふふ、いいさ。此方も悪かったしな。すまん」

 

「なら、お互い様ですね」

 

「……ふ、そうだな」

 

俺はゼノヴィアと握手をした。

 

「ゼノヴィア~助けて~動けないの~」

 

すると、横からイリナの声が聞こえた。あぁ…そういえば忘れてました…。

 

「仕方ないな。ほら肩をかせ、私が立たしてやろう」

 

「うぅ…ありがとう。ゼノヴィア」

 

「ひとつだけ言おう。『白い龍』(バニシング・ドラゴン)はすでに目覚めているぞ」

 

イリナはゼノヴィアに立たしてしてもらったあと、二人はリアスさんに今回の要件を守るようにと言ったあと、二人は行ってしまった。なんだから直ぐに会いそうな気がしますけどね…

 

結界の外へ目を向けると、居なくなっていた小猫とアーシアの姿も見える。それと同時に、木場とリアスさんがもめている様子も見てとれた。

 いまにも木場はここを離れ、聖剣を追ってしまいそうに見える。

 

「私のもとを離れるなんてことは許さないわ!あなたはグレモリー眷族の『騎士』なのよ。『はぐれ』になってもらっては困るの。留まりなさい!祐斗!」

 

「……部長…僕は、同志たちのおかげであそこから逃げ出せた。だからこそ、彼らの恨みを魔剣に込めないといけないんです……。だから、復讐を果たすまで僕は抜けます」

 

そう言い残した木場はリアスさんから離れ俺の横を通っていった。

 

「祐斗……どうして……」

 

リアスさんは悲しそうな顔をして、木場が消えた場所を見ていた。木場…、あなたにはまだ、帰れる場所があるのですから、早くその事に気づいてくれるのを待ちますよ?早く戻って来てくださいね…

 

俺はその日が来るのを信じていますから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼノヴィア…、あの子強かったね。まさか私達がこんなにもあっさりと負けちゃうなんてね」

 

「そうだな…、確かにあの子は強かった。それに見てくれこれを…」

 

駒王学園の帰り、ゼノヴィアとイリナは先程の戦いの話をしていた。ゼノヴィアは隣を歩くイリナに、『破壊の聖剣』を見せる。

 

「えっ!これって……」

 

 どうやらそれだけで、イリナも理解できたようだ。

 

「そうだ。たった一度目の接触でこれだ。もしもあのまま続けていたら、次の攻撃でこれは壊れていただろう…。流石に、他の聖剣奪還前に使い物にならなくなっては困るところだったね」

 

「そういう、ことだったのね」

 

「あぁ、そう言うことだ。それに―――」

 

「…?それに…なに?」

 

「いや、なんでもない…」

 

ゼノヴィアはふと考えていた。

 

「(あの、一瞬の交差した瞬間…アイツは『貴女の中にある“本当の聖剣”は使わないのですか?』なんて言ってきた。――アイツは、私の力を全て見切っていたのだ。――――彼女を敵に回すと怖すぎるな…)」

 

そんな事を考えていたのだった。

 

そして、ゼノヴィアとイリナはもう一度、破壊の聖剣を、つばさとせり合った部分を見返す。

 その箇所には、大きな亀裂が入っていた。ゼノヴィアは『破壊の聖剣』を静かに布に包んだ。

 

―――ツバサを最後まで“女の子”と勘違いしながら……




どうでしたか?今回も頑張って書きました。次回からも頑張って書いていくので、それまで末永く待っててください♪

それではまた次回で会いましょう♪それではバイバーイ♪


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4話 聖剣破壊は大変です。え…お兄ちゃん?

お気に入りが200件を越えました!見ていてくださっている皆さんどうもありがとうございます!!

それでは、本編をどうぞ♪


さて…、昨日の戦いで木場がどっかに行ってしまってから、昨日の聖剣の事を考えている。

 

「はぁー…、謎の聖剣の詳報はいまだわからずか…。」

 

そう…、昨日の俺が感じた聖剣の数は6つだった。盗まれた聖剣が3つ、ゼノヴィアとイリナの持ってる2つで、最高でも5つのはずなのだ。でも、聖剣の聖なる波動は全部で6つ感じる。今は何故か感じないが、昨日からちょくちょく謎の聖剣の波動を感じる時があるのだ。だから俺は、今も駒王町を歩き回っているのだが、全くの情報がない…。俺の部隊は別の調査で今はいないのだ…。だから俺が探しているのだがぁ………、全くの収穫がゼロなのだ…。はぁ~。嫌になるなぁ~

 

<~♪~♪~♪>

ブブブブブ!

 

すると、俺のスマホが鳴り出した。誰だろう…?

 

<―兵藤一誠―>

 

あっ、イッセーからだ。

 

ピッ

 

「はい。もしも~し」

 

『つばさちゃん?ちょっと〇〇にあるファミレスに来てくれないか?話したいことがあるから』

 

話したいこと?もしかして、なにか企んでいるのでしょうか…?まぁ…とりあえず行きましょうか

 

「わかりました。それでは行きますね~」

 

『おう!じゃぁな!』

 

ピッ

 

俺は、イッセーとの電話を終えて、ファミレスに行くのだった。

 

―つばさside out―

 

 

――――――――――――――――――――――

―イッセーside―

俺達はいま、ゼノヴィアとイリナととある交渉をするために二人を探しに町を歩いていた。すぐ近くの駅前の道でお金をくださいと叫んでいた二人を見つけてしまった。どうも、イリナが詐欺にあい持ち金が全て無くなってしまって、お金をくれと叫んでいたらしい。二人がお腹を空いていたようで、近くのファミレスに案内して二人を奢る感じでファミレスに俺たちはいる。

そしていま…

 

ガツガツ、パクパク、モグモグ。

 

「うまい!日本の食事はうまいな!」

 

「うんうん!これよ!これが故郷の味なのよ!」

 

よほど、お腹が空いているのか二人はファミレスのメニューを全て頼み勢い良く食べている。どんだけ腹を空かしていたんだよ…

 

「はふぅー、ご馳走さまでした。ああ、主よ。心やさしき人間に祝福を」

 

胸で十字を切るイリナ。

 

『はうっ!!』

 

俺と、小猫、匙を頭痛が襲い、三人とも頭へ手を当てた。

うぐぅ…、俺達は悪魔だから目の前で十字を切られると軽くダメージを受けちまうんだぜ。

 

「あー、ゴメンなさい。つい十字を切ってしまったわ」

 

テヘペロッてするイリナ。く…可愛いなぁおい!

 

「それで、私達に接触した理由は?」

 

「単刀直入言えば、エクスカリバーの破壊に協力したい」

 

俺は、今回の要件を迷わずに言った。断れるかもしれないけども、木場のために絶対にこの要件を成功させないといけないんだ!

 

「そうだな。一本ぐらい任せてもいいだろう。破壊できるのであればね。ただし、そちらの正体がバレないようにしてくれ。こちらもそつらと関わりを持っているように上にも敵にも思われたくはない」

 

あっさりと許可を出した……いいのか?

 

「ゼノヴィア、相手はイッセーくんとはいえ悪魔なのよ?」

 

「正直言って、私達だけでは聖剣三本とコカビエルの戦闘は辛い」

 

「それはわかるわ!!でも・・・」

 

どうも、イリナは協力はしたくない様な顔をしているな。

 

「最低でも私達は三本のエクスカリバーを破壊して逃げ帰ればいい。私達のエクスカリバーが奪われるぐらいなら、自らの手で破壊すればいい。

それに、奥の手を使ったとしても、無事に任務を終える事はゼロに等しいしな」

 

「それでも、私達は覚悟を決めてこの国に来たはずよ!」

 

「上にも任務遂行して来いといわれたが、自己犠牲に等しい」

 

「それこそ、信徒の本懐じゃないの」

 

「気が変わったのさ。私の信仰は柔軟でね、いつでもベストな形で動き出す」

 

「前から思っていたけど、信仰心が微妙におかしいわ!!」

 

「否定はしない。 だが、任務を遂行して無事帰る事が本当の信仰と信じる。 生きて、これからも主のために戦う。違うか?」

 

「違わないわ、でも・・・・」

 

「だからこそ、悪魔の力は借りない。代わりにドラゴンの力を借りる。上も"ドラゴン"の力を借りるなとは言っていない」

 

はは…なるほどな、悪魔の力を借りるのではなくて、ドラゴンの力を借りる…か。

 

「ありがとう。それと、あと二人この事を伝えたい奴がいるんだけどいいか?」

 

「二人か?まぁ、多いい事にに越したことはないからな。いいぞ」

 

「サンキュー」

 

プルループルルー

 

ピッ

 

『はい。もしもーし』

 

「つばさちゃん?ちょっと〇〇にあるファミレスに来てくれないか?話したいことがあるか」

 

『わかりました。それでは行きますね~』

 

「おう!じゃぁな!」

 

うし!つばさちゃんはなんとか大丈夫だな。あとは木場か…。電話出てくれるといいんだけどな~

 

―イッセーside out―

 

 

 

 

―つばさside―

さてさて、やっとファミレスに着きましたよ。流石に遠かった…。やっぱりファミレスのあるところの反対側の方にいたせいですごくここまで来るのに時間がかかってしまいいましたね。イッセーは怒っていないでしょうか…

 

 

「おー!つばさちゃん、こっちこっち!」

 

はいると、イッセーが叫んで読んでいた。こんな場所で大声を出さないでくださいよ…。恥ずかしいな~

 

とりあえずイッセーのいた席にいくと、そこにイッセー、小猫、匙、ゼノヴィア、イリナ、そして木場がいた。なにこのメンバー…?

 

「遅くなってごめんね…、まった?」

 

「大丈夫だよ、いまから調度話をするところだったからね」

 

「そうですか。なら話と言うのはなんですか?」

 

「それは…」

 

ざっくり言うと、聖剣を破壊するのを手伝うから協力してと言うことだそうです…。

 

「いいですよ?俺は、別にね。てか、元々俺もこの聖剣を敵さんから奪い返すのをするつもりでしたしね~」

 

だってさぁ~、ミカエルさんが頭を下げてまで地球連邦軍にお願いしたんだぜ?これを断るなんてできるわけないじゃん

 

「そうだったのか?なら話が早いな、ありがとうつばさちゃん」

 

「………話は分かったよ。正直言うと、エクスカリバー使いに破壊を承認されるのは遺憾だけどね」

 

木場は嘆息しながらコーヒーに口をつけていた。やっぱり不機嫌だね…

 

「随分な言い様だな。そちらが『はぐれ』だったら、問答無用で斬り捨てているところだ」

 

共同戦線前なのに一触即発の空気になってしまっている。止めてよね…そんなこと…

 

「やはり、"聖剣計画"の事で恨みを持っているのね?エクスカリバーと教会に・・・」

 

「当然だよ」

 

「でもね、木場くん。あの計画のおかげで聖剣使いの研究は飛躍的に伸びたわ。

 だからこそ、私やゼノヴィアみたいに聖剣と呼応出来る使い手が誕生したの。」

 

「だからと言って、計画失敗と断じて被験者のほぼ全員を始末するのが許されると思っているのか?」

 

木場はイリナに憎悪の眼差しを向ける。確かに、神に仕える信徒が非道過ぎる"聖剣計画"を野放しにしたのはいけなかったよね~

 

「その事件は、私達の間でも最大級に嫌悪されたものだ。処分を決定した当時の責任者は信仰に問題があるとされて異端の烙印を押された。今では堕天使側の住人だ。」

 

「堕天使側に?その者の名は?」

 

「バルパー・ガリレイ。"皆殺しの大司教"と呼ばれた男だ」

 

仇敵の名前を聞いた木場の目に決意みたいな物が生まれた。

聖剣計画の当事者、目標が分かっただけでも、木場にとっては大きな前進である事は間違いないようだな。

 

「僕も情報を提供した方が良いようだね。

 先日、エクスカリバーを持った者に襲撃されて、その際、神父を1人殺害していたよ。

 やられたのはそちらの者だろうね」

 

すると、どういう訳か木場が先に接触をしていたと話をした。なるほど、少しは協力する気ではいるようだね。

 

「フリード・セルゼン、この名に覚えは?」

 

確か、アーシアの件で完全に敵対している白髪神父だった。あの時は油断してたところを思いっきり蹴り飛ばしてあげたけど、人間にしては頑丈だったな~。あ…いや…、こうに兄さんがいたわ…。

 

「フリード・セルゼン、元ヴァチカン法王庁直属のエクソシスト。13歳でエクソシストとなった天才で悪魔や魔獣を次々と滅していく功績は大きかったわ」

 

イリナがフリードの経歴を言うと、ゼノヴィアが続けて言う。

 

「だが奴はあまりにやり過ぎた。同胞すらも手にかけたのだからね。フリードには信仰心なんてものは最初から無かった。あったのはバケモノへの敵対意識と殺意、そして、異常なまでの戦闘執着。異端にかけられるのも時間の問題だった」

 

確かに、悪魔どころか人間や天使までも殺害してしまいそうな狂気神父だしね。悪魔等を異常なまでに殺すと言う執着心が見られたし、あの男は殺すのに快楽をもった一番面倒な感じがしたからね~。

 

「フリードは奪った聖剣を使って同胞を手にかけていたのか。あの時、処理班が始末できなかったツケが私達が払うとはな・・・」

 

忌々しそうに言うゼノヴィア、無理もないよ、戦う事で喜びを感じる様な男だからな……。

 

「とりあえず、エクスカリバー破壊の共同戦線といこう」

 

ゼノヴィアはペンを取り出して、メモ用紙に連絡先を書き記す。

 

「何かあったらそこへ連絡をくれ」

 

「サンキュー。なら、俺達の携帯番号も教えておこう。常備しているからな」

 

「イッセーくんのケータイ番号はおばさまからいただいているわ」

 

「マジかよ、母さん!勝手な事を!」

 

「あははは!どんまいイッセー。あ、そうそう!これは俺の連絡先ね~」

 

俺も自分の連絡先を記したメモを渡した。用意してて良かった。

 

「ありがとう。ではこれで私達は失礼するよ。あと、ご飯ありがとう」

 

「それじゃ~バイバイ。イッセーくん。ご飯奢ってくれてありがとうね~!」

 

そう言った二人はファミレスから出ていってしまった。へ~、イッセーは奢ってあげたんだ~、やッさしぃ~

 

「……イッセーくん。どうして、こんなことを?」

 

「ま、仲間だしな。それに俺は前にも助けられてるわけだから、今回は俺の番かなって」

 

イッセーは迷わずにすぐに木場の質問に答えた。

 

 

「……祐斗先輩。私は、先輩がいなくなるのは……寂しいです……お手伝いしますから、だから……いなくならないで」

 

小猫も木場に言った。少し寂しげに表情を崩しながらも、祐斗の袖を掴み離そうとしない。これには祐斗もとっさに突き放せなかったのか、苦笑いする。

 

「ははは。まいったね。小猫ちゃんにそんなこと言われたら、僕も無視できないよ。今回は皆の好意に甘えさせてもらおうかな

 みんなのおかげで真の敵もわかったしね。でも、やるからには絶対に壊す!」

 

あっ、いつもの笑顔に戻ってきたようですね。その表情を見て、小猫も安堵したのか、小さく微笑んだ。か…可愛いい

 

「よし! 俺らエクスカリバー破壊団結成だ! がんばっていこうぜ!そして、奪われたエクスカリバーとフリードの野郎をぶっ飛ばそうぜ!!」 

 

気合の入った声を上げるイッセー。

 

「……あの、俺も?」

 

 俺たち三人がイッセーのあとに続いて手を突き出そうとしたそのとき、匙が聞いてきた。

 

「つーか、結構俺って蚊帳の外なんだけどさ……。結局、木場とエクスカリバーが関係あるんだ?わけがわからないんだが」

 

なるほど、匙は祐斗の事情を知らずにここまで連れて来られたのかな?可愛そうに…

 

「………少し話そうか」

 

木場は自分の過去を語った。

カトリック教会が秘密裏に計画した"聖剣計画"。

集められたのは剣に関する才能と神器を所有した少年少女は来る日も来る日も非人道的な実験ばかり、自由を奪われ、"人間"として扱われず、木場たち幼い子供達の"生"すらも無い。

彼らは、ただ生きて"神"に愛される事を信じていたのに、待っていたのが・・・"処分"という残酷な結末だった。その処分は毒ガスを使ってゆっくりと苦しみながら殺すという、残虐な殺し方だった。

でも、その処分をされているなか木場だけは逃がそうとその名も無き子供達は頑張って大人達に楯突いた。そして、木場は逃げるなか毒ガスの毒により逃げていた途中の森の中で力尽きてしまい、近くを通ったリアスさんに命を助けてもらったという。

 

「僕は同志たちの無念を晴らす為に、彼らの死を無駄にしない為に、エクスカリバーよりも強いと言う事を証明しなくてはいけないんだ。」

 

そうか…、やっぱり木場はそんな風に思っているんだね…。確かにあの事件はレイジ兄さんの調べた調査書を見る限りでもヘドがでるぐらい怒り狂ってしまうようなやつでした。でも…、本当にその子供達はあなたに復讐を望んでいるのでしょうか…?少なくとも俺は思ってないと思うんですがね…。

 

すると、すすり泣く声が聞こえたのでその声の元を辿ると、匙だった。匙は顔を涙と鼻水で顔をグチャグチャにしていた。

 

「木場ぁ!辛かっただろう!きつかっただろう!畜生!この世には神も仏もいないのかよぉぉぉ!俺はぁぁぁぁ、非常にお前に同情している!」

 

匙は物凄い大声で涙を流しながら叫んでいた。ふぅ…、人避けと防音の結界を張っていて良かったぁ…。

 

「良し!俺も覚悟を決めたぜ!!会長のお叱りも後でしっかりと受けてやる!! 

正直イケメンのお前のことがちょっといけすかなかったが、そういうことなら話は別だ!! 全面的に協力するぜ!! だからお前も救ってくれたリアス先輩を裏切るな!!」

 

おぉ~、まるでイッセーみたいに熱いところがある奴ですね~!

 

「よし、良い機会だ!!実は俺にはある目標があるんだ!!

それは……!ソーナ会長とできちゃった結婚することだ!!」

 

匙は突然自信満々に話し出した。だが、祐斗、小猫の視線が冷たくなったのは言うまでもない。

でも、一誠は同志を見つけたのか、涙を流していた。

 

「匙!!聞け!!俺の目標は部長の乳を揉み、吸う事だ!!」

 

変態の似た者同士…

 

「お、お前、解っているのか!?上級悪魔のご主人様のお乳に触れることが、どれほど大きな目標かということを!!?」

 

「いや、できる!!実際、俺は部長の胸を揉んだ事がある!!」

 

匙は驚愕の眼差しで、震えているイッセーの手を見つめていた。

警察呼んでいいかな…?あ…、地球連邦軍も一応警察だったわ。

 

「な、なんだと!?そんな事が可能なのか!?嘘じゃないよな!?」

 

「嘘じゃない…、確かに今は遠い目標だが、諦めなければ必ず叶うんだよ!!だから、匙も諦めなければ必ずその夢は叶うんだ!」

 

「そうか…、諦めずに頑張ればいいんだな!」

 

「そうだぜ!」

 

今この二人の間に、同志、戦友、いや…、もっと深い絆が生まれたんだろうな。語っているのは物凄く最低な目標だけどね…。

 

「………あはは」

 

祐斗は乾いた笑い。

 

「………やっばり最低です」

 

小猫ちゃんは冷めたジト目ではいていた。

 

「死にやがれです…。変態ども…。」

 

俺はあの使い魔の森事件で二人が俺のあの恥ずかしい姿を見て興奮していた事は知っているので、本気で思った事を口にしたのだった。

はぁ~……、本当に大丈夫何だろうか…?このメンバーで…………。心配だなぁ~………

 

 

――――――――――――――――――――――

俺達は今、町を歩いている。昨日のファミレスで聖剣破壊団を結成したあと、ゼノヴィアから悪魔が着ても大丈夫な神父の服とシスターの服をもらい、それを顔が隠れるまで深く被っている。

そして、その状態でフリードを探しているのだ。

 

「………今日も収穫はなし、か」

 

破壊団を結成してから、数日が過ぎた。でも、未だにフリードを見つけていない。

 

「なぁ、一誠…、そろそろ部長たち気づいているんじゃないかな?最近会長がなにかを探ってるんだよ…」

 

「あぁ、こっちも部長がなにかを探ってるんだよ…、俺達の行動が気づかれるのは時間の問題だろうな」

 

そんな事を話していた時、木場は歩みを止めた。ビシビシと感じる殺意………。来ましたか…!

 

「上だ!」

 

匙が叫んだ、全員上を見上げると神父が長剣を振り下ろしながら降ってきた。

 

「神父の一団にご加護あれってね!」

 

ギィィィィィン―――!!

 

木場が素早く魔剣を取り出して、フリードの一撃を防いだ。流石だね。

 

「フリード!」

 

「その声はイッセーくんかい?へぇぇ!これは珍妙な再開劇でござんすなね!どうだい?ドラゴンパワーはアップはしたかい?そろそろ殺していい?」

 

すると、フリードがイッセーに向かって走ってきた

 

「伸びろ、ラインよ!」

 

匙の手の甲にはデフォルト化されたトカゲの顔らしきものが装着されていてそいつの口からベロが伸びフリード目掛けて飛んでいく。ん…?あれからドラゴンの気配が微かにする…。何だろう?

 

「うぜぇっス!」

 

聖剣で薙ぎ払おうとするがトカゲのベロは軌道を変え下に落ちフリードの右足に巻きついた。

フリードは斬ろうとするが実体がないかのようにすり抜けた。

 

「そいつはちょっとやそっとじゃ斬れないぜ。木場!これでそいつは逃げらねねぇ!存分にやっちまえ!」

 

 

「ありがたい!」

 

へぇ~…、便利な奴だなぁ。たぶん能力はあれだけじゃないんだろうね

 

木場は二刀の魔剣を作りフリードを攻め立てていた

 

「チッ!『光喰剣(ホーリー・イレイザー)』だけじゃないってか!もしかして『魔剣創造(ソード・バース)』でございますか!わーお、レア神器を持っているとはなかなか罪なお方ですこと!だが、俺様の持ってるエクスカリバーちゃんはそんじょそこらの魔剣くんでは」

 

ガキィィン!

 

「相手になりませんぜ!!」

 

破砕音を立てて、木場の魔剣が二刀とも砕け散る。ヤバイです!くそ…こうなったら!

 

 

「小猫ちゃん!例のあれをやってください!!」

 

「……ッ!わかりました」

 

小猫ちゃんは俺の言うことがわかってイッセーのもとに走った。そして、小猫ちゃんは無言で頷きイッセーを持ち上げる

 

「………イッセー先輩。祐斗先輩を頼みます」

 

小猫ちゃんはそのままイッセーを木場に向かって豪快に投げた

 

「うおおおおおっ!?小猫ちゃぁぁぁぁぁん!つばさちゃぁぁぁん!俺は便利アイテムじゃないんだよぉぉぉッ!」

 

イッセーが力を溜めてそれを小猫ちゃんが投げるという、俺がイッセーに内緒で小猫ちゃんと考えた作戦DAZE☆

頑張ってね、イッセー!

 

「くそっ、こうなったらしょうがねぇ!木場ぁぁぁぁぁ! 譲渡すっからなぁぁぁ!」

 

「うわっ! イッセーくん!?」

 

イッセーが祐斗に飛びつき、神器を発動させた。

 

『Transfer!!』

 

 音声が発せられ、祐斗に力が流れ込んでいく。よし…!作戦成功です!

 

「……もらった以上は使うしかない!『魔剣創造』ッッ!」

 

 周囲一帯に刃が咲き乱れ、あらゆるところから魔刃が出現する。

 

「チィィィ!」

 

舌打ちをしながらもフリードは自身に向かってくる魔剣を横薙ぎに破壊していく。だが、木場のだした魔剣は四方八方からフリードに飛んでいく。

 

「うっは!これはおもしろいサーカス芸だね!でもでも、俺さまスピード勝負なら負けないんだよぉぉぉッ!この腐れ悪魔がぁぁぁ!」

 

キン!キィン!キィィィン!

 

フリードは『天閃の聖剣』の力を使って全ての魔剣を破壊してしまった。もぅ…しぶといですね、まったく…

 

「俺さまのエクスカリバーは『天閃の聖剣』!速度だけなら、負けないんだよッッ!」

 

フリードのもつ聖剣の切っ先がブレだし、ついに消え去った!そして周囲の魔剣をすべて破壊したフリードが木場に向かって斬りかかろうとしたが

 

「やらせるかよ!」

 

匙がトカゲのベロを使ってフリードの体勢を崩した。同時トカゲのベロが淡い光を放ち始める。それは、フリードから匙のほうへ流れていた

 

「………これは!クッソ!俺っちの力を吸収するのかよ!」

 

「へっ!どうだ!これが俺の神器!『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』だ!こいつに繋がれた以上、おまえさんの力は俺の神器に吸収され続ける!そう、ぶっ倒れるまでな!」

 

へぇ…!便利な奴だね。でも、相手にしたらめんどくさそうだけども、たぶん吸える量も決まっているだろうし、今は驚異はないですね。

 

「木場!文句言ってられない!とりあえず、そいつを倒せ!エクスカリバー問題はその次でいいだろう!こいつ、マジで危ねぇ!こうして敵対しているだけで危ない気をビシビシ感じるしよ!このまま放置してたんじゃ、俺や会長にまで害がありそうだ!俺の神器で力を吸収して弱らせるから、一気に叩け!」

 

確かに匙の言う通りあいつは危ないこの場で始末した方がいいでしょうね。木場は複雑な表情をしたが匙の提案に乗った。

 

「…………不本意だけど、ここでキミを始末するのには同意する。奪われたエクスカリバーはあと二本ある。そちらの使い手に期待させてもらうよ」」

 

「ハッ!他の使い手さんより俺さまのほうが強いんだぜ?いいんかい?俺を殺したら満足できる聖剣バトルはなくなるぜ?」

 

うーん…。まだフリードの余裕が気になります…。それに近くに聖剣のオーラを感じるので仲間がいるのでしょうか?

 

ヒュンッ!

 

「ふん…」

 

キャィン!

 

あぶないあぶない…。危うく当たるところでしたよ。光の弾ですかね?さっきのわ…

 

 

「「うぉぉぉお!!」」

 

すると、突然二人の男が近くの茂みから出てきた。二人の男の手には残りの聖剣がにぎかれていた。

 

「二人の相手はこの俺ですよ!!」

 

キャィィィン

 

俺は、両手に妖刀をとりだした。右手に妖刀“村雨”、左手に妖刀“村正”をとりだした。

 

ギギギギギギ…

 

ふぅ…なんとか間に合ったね…。

 

「ほう、『魔剣創造』か?使い手の技量によって無類の強さを発揮する神器だ」

 

 すると、突然、第三者からの声が届いた。見れば、神父の格好をしたじいさんだ。

 

「……バルパーのじいさんか」

 

 なに?あいつが、そうなのか?やっぱり、今回の一件と繋がってたのですね……。

 

「フリード。何をしている」

 

「いやねぇ、このトカゲのベロが邪魔で逃げられねぇんスよ!」

 

「ふん。聖剣の使い方がまだ不十分ではないか。おまえに渡した『因子』をもっと有効活用してくれたまえ。体に流れる聖なる因子を聖剣に込めろ。そうすれば斬れ味は増す」

 

「へいへい!」 

 

すると、今度はいともあっさり切断される。 しまった!

 

「じゃぁ…、さようなら!魔剣使いくん!」

 

すると、フリードは木場に向かって『天閃の聖剣』を降り下ろした。ヤバイ!!木場!

 

 

「ぐ……!」

 

 

「ヒャッハァァァ!!死ねぇぇぇ!!」

 

「木場ぁぁぁ!!」

 

ビュンッ!!

 

ガキャァァァァァン!!

 

 

「なんですと!?」

 

すると、フリードの剣を突然誰かがきて、受け止めた。そして、それを止めた人物は………

 

「よう…、つばさ。久しぶりだな!元気にしてたか?」

 

そこには、レイジ兄さんがいた…。




今回に初めて主人公のもう一人のお兄さんが登場しました!
さて、次回はどんな展開になるのやら…。乞うご期待ください♪


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5話 やっぱりレイジお兄ちゃんは優しいです♪

俺達の目の前にはレイジ兄さんがいる…。あれ…?何でいるの…?外国で仕事をしてたんじゃないの!?

 

 

「レ…レイジお兄ちゃん!!な…何で!どうしてここに?」

 

すると、フリードと鍔迫り合いをしながらレイジ兄さんは不適に笑った。

 

「んん?なに…、仕事が終わって調度今日帰って来たところなんだよ。久しぶりにお前に会おうと帰ったら家にいないときたもんだ。だから、こうきやさつき達に聞くと学校に行ってると聞いたんでな。それで、此方に来たってわけよ。そしたら、なんかピンチになってるんで助けたってわけさ…。」

 

うぅ~…、お兄ちゃぁ~ん。

 

「ありがとう…、お兄ちゃん。とりあえず、目の前にいる二人の神父が今回の敵で、片方は兄さんも知ってるやつだよ!」

 

すると、レイジ兄さんの目線がバルパー・ガリレイの方に向いた。

 

「あぁ…、わかっているさ。何せ会ったのは5年ぶりだからな…。」

 

「おいおい!俺っちを無視しないでくれるかなぁ~!この糞野郎!テメーのドタマを切り刻んでやんよ!」

 

「はん!!殺れるもんならやってみろ!」

 

そう言った二人は一端離れたあと、物凄いスピードで剣を交え始めた。

 

ギャイン! キャァン! キィィン! ギャカァン! ガキィン!

 

「どうした?さっきの威勢が無くなってるぞ?」

 

「くぅ…、くそが!!」

 

すると、レイジ兄さんがフリードを押し始めた。流石だね♪二つ名が【剣聖王】と呼ばれるだけはあるねぇ~♪それに…、レイジ兄さんの持ってる刀もただの刀じゃないしね…

 

 

「よし!雪姫!一気に決めるぞ!!」

 

レイジ兄さんは持ってる刀に向かって叫んだ。

 

『了解した!レイジ!』

 

すると、レイジ兄さんの持ってる刀から声が聞こえた。ふふふ、やっぱりね

 

「なんですと!?何処から声が聞こえるんですか!?」

 

あ…フリードめっちゃ驚いてる…。まぁ…普通はそうなるね

 

「くらえ!【零式刀技“砕”】!」

 

ズガガガガガガガガガガ!!

 

「ぐはぁ……!!」

 

レイジ兄さんは一度に15連撃を同時に放った。その衝撃でフリードは飛ばされ壁に叩きつけられた。

 

「く…!フリード!一度撤退だ!!」

 

「チッ!バルパーの爺さんの言う通りだな!ここは一端撤退させてもらうぜ!そして、次は絶対テメーをぶっ頃してやるからな!!覚えてやがれ!!」

 

パァァァン!

 

う…!フリードのやつめ!閃光玉を投げやがったな!

 

「逃がさん!」

 

すると、突然ゼノヴィアが俺の横を通りすぎた。いつの間に…!イッセーか?連絡したのは…

 

「追うぞ、イリナ」

 

「うん!」

 

「僕も追わせてもらう!逃がすか、バルパー・ガリレイ!」

 

ふたりと木場はフリード達を追いかけて行ってしまった。取り残された俺たちは戦闘態勢を解き、息を整えていると………、後ろから物凄い威圧感を感じた

 

「力の流れが不規則になっていると思ったら…………」

 

「これは、困ったものね」

 

聞き覚えのある声に俺たちは振り返ると

 

「イッセー、どういうこと?説明してもらうわよ」

 

イッセーの顔が一気に青ざめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………エクスカリバー破壊ってあなたたちね」

 

額に手を当て、きわめて機嫌のよろしくないリアスさん。俺たちは今、近くの公園の噴水の前で正座させられている。横を見てみると

 

「サジ。あなたはこんなにも勝手なことをしていたのですね。本当に困った子です」

 

「あぅぅ………す、すみません、会長………」

 

危険なほど顔を青くしている匙がいる。そんなに怖いんだな…ソーナさん。これからは気をつけておこう

 

「祐斗はそのバルパーを追っていったのね」

 

「はい。ゼノヴィアとイリナも一緒だと思います。……な、何かあったら連絡をよこしてくれると思うのですが……」

 

「復讐の権化と化そた祐斗が悠長に電話をよこすかしら?イッセー…?」

 

「う……はい」

 

リ…リアスさんが怖いよぉ…。

 

「どうして、こんなことを?」

 

「………祐斗先輩がいなくなるのは嫌です」

 

小猫ちゃんは正直に口にした。部長さんはそれを聞き、怒りより困惑の表情をした。

 

「イッセー?あなたは何故?」

 

「木場には早く何時もの木場になってほしかったからです」

 

イッセーも素直に謝っていると…

 

「あなたには反省が必要ですね」

 

「うわぁぁぁぁん!ゴメンなさいゴメンなさい!会長、許してくださぁぁぁい!」

 

「ダメです。お尻千叩きです」

 

ベシッ!ベシッ!と魔力のこもった手で尻を叩かれといる匙がいた。うわぁ~…、痛そうだなぁ…。

 

その後のリアスさんの話は部長さんの使い魔で木場を探索し、見つけ次第、全員で迎えに行くこと俺たちはそれに返事をした。

 

「………バカな子たちね。本当に、心配ばかりかけて…………」

 

リアスさんはイッセーと小猫ちゃんを優しく抱き締めた。俺?俺はぁ…、リアスさんに密かに【無意識を操る程度の能力】を使って抱き締められるのから逃れた。だって恥ずかしいもん…

 

「うわぁぁぁん!会長ぉぉぉ!あっちはいい感じに終わってますけどぉぉぉ!」

 

「よそはよそ。うちはうちです」

 

匙……、どんまいです…。

 

「さて、イッセー、つばさ。お尻を出しなさい」

 

ニッコリ微笑む部長さんの右手が紅いオーラに包まれた

 

「下僕の躾は主の仕事。あなた達もお尻千叩きよ」

 

 

うわぁー…、って俺も!?

 

「え?え?リ…リアスさん?俺もですか!?」

 

「えぇ、そうよ?当たり前じゃない」

 

えぇ~…、当たり前じゃないって

 

「いや…、今回俺は、イッセー達に頼まれたので協力する形で動いていただけですよ?それに元々俺は、今回のこの事件は地球連邦軍の部隊の隊長として動いているので、はっきり言うと関係ないですよ?それに、依頼をされて動いてますし…」

 

「そうなの?じゃぁ~依頼主って誰かしら?」

 

「むぅ~…、あんまり情報を漏らしたくありませんが…。この際仕方ありませんね。耳を貸してください…」

 

「耳を?いいわよ」

 

俺は、リアスさんの許可をもらい顔をリアスさんの耳に近づけた。

 

「天使長ミカエル様です…」ゴニョゴニョ

 

「えぇ!!本当なの!?」

 

リアスさんは余りの驚きで大声をだした。うぅ…耳がキーンってなったぁ~(泣)

 

「は…はい、本当ですよ?だから、俺は少し前からあまり部活に顔を出していませんでしたでしょ?」

 

「確かにそうね…。わかったわ。貴方の事は許してあげる。仕事ならしかたがないものね。しかも、地球連邦軍だしね」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「どういたしまして。さぁ…とういうことで、イッセー?お尻を出しなさい?」

 

再びリアスさんは手に紅い魔力を纏いながらイッセーにゆっくりと近づいていった。

 

「…え!ちょ…!ギ…ギャァァァァァァァァ!?」

 

そのあとイッセーは千回もおしり叩きをやられた。そして、イッセーのお尻は死んだ。

 

「ふぅ…、さて、ところで質問なんだけど…、貴方の横にいる人はどちら様かしら?」

 

横にいる人?あぁ…、そう言えばレイジ兄さんだけはまだ紹介していませんでしたね。

 

「リアスさん、この方が俺が話をしていたもう一人の兄、次男のレイジ兄さんです。今日帰って来たそうですよ」

 

「おう!紹介されたつばさの兄で次男のレイジだ!よろしくな!」

 

すると、レイジ兄さんは一歩前に出て挨拶をした。

 

「あら。貴方がそうでしたのね。初めまして、私はリアス・グレモリーともうします。悪魔ですわ。隣にいるのが女王の姫島朱乃です。よろしくお願いします」

 

「姫島朱乃ですわ。よろしくお願いします」

 

「私はソーナ・シトリーです。駒王学園の生徒会長をやっております。そして、リアスと同じく悪魔ですよろしくお願いします」

 

リアスさん、朱乃さん、ソーナさんが順番に挨拶をした。ふぅ…これでひと安心かな?

 

『レイジ、私も紹介しろ』

 

「おぉ、そうだったな。雪姫!」

 

レイジ兄さんが叫ぶとレイジ兄さんが持っていた刀が光だした。すると、そこからフリフリのドレスの様な物をきた、黒髪ショートの女性があらわれた。これをみたリアスさん達は突然の出来事に驚いていた。

あたりまえだね…、目の前で突然刀が光だしたと思えば人になってるんだから。

 

「ふむ。私の名前は雪姫だ。そして、レイジのパートナーである。よろしく頼むぞ」

 

 

「こいつの名前は雪姫だ。こう見えて、かなり高位の精霊で、精霊の中では【精霊姫】と呼ばれている。そして、同時に俺の相棒だ!雪姫共々よろしくな!」

 

そのあと、リアスさん達は驚きつつもレイジ兄さんと話をして、仲良くなった。いやぁ~良かったな~

 

「ところで何をしてたんだ?つばさ?」

 

「……ん?いやぁ~、どうも、教会から聖剣が盗まれたみたいで、それの回収又は破壊の依頼をされて今は動いているのですよ。盗んだ相手は堕天使のコカビエルで、手助けしているのがさっき戦った、フリードとバルパー・ガリレイだよ~」

 

「そうか…、聖剣計画の奴だな?まさかしぶとく生きているとわな。わかった。今から俺と雪姫も手伝うぞ」

 

「おぉ!ありがとう!お兄ちゃん!」

 

 

それから、なんやかんやで話をして、これからどうするかとかを決めて今日は解散することになった。レイジ兄さんは俺の家に泊まるらしく、暫くは兄さんと遊べるので少しワクワクしている自分である。

さぁ…て、いったいどんな事がこれからおきてしまうのでしょうか…、怖いなぁ…本当なに…



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6話 コカビエルとの激戦です!!

あれから少したち、レイジ兄さんと俺は、俺の今住んでる家にいる。

 

「でも、まさか兄さんが帰って来てたなんて今でもビックリですよ」

 

すると、レイジ兄さんは、ハハハハと笑った

 

「すまんな、お前をビックリさせたくてお前だけには連絡を入れてなかったんだよ」

 

「と…いうことは、他の兄さんと姉さん達は知ってたっていうこと?」

 

「そうだ」

 

どや顔でそんな事を言われた。なんか腹立つな~この顔…

 

「まぁ…いいや、ところでさっきから横にいる人は誰なのですか?」

 

そう…、レイジ兄さんと並ぶ感じで横にひとりの女性がいた。服はシスター服を着ていて、顔はフードを深くまで被ってるから見えない。見た目は胸も大きくてリアスさんと朱乃さんに負けないくらいのプロモーションをしてる。

 

「おう、そうだったな。こいつは俺の右腕となってる仲間だ!こいつの名は…」

 

「レイジ様…、私が自分で言いますわ」

 

すると、シスターの人はレイジ兄さんを止めた。様付けてるんだ…。

すると、シスターの人はフードをとった。その顔は大人びているが、何処か誰かと似ている…。誰に似ているんだろう?物凄く最近会った人と似てるんだけどな~…。うぅ~ん…

 

「私の名前は、アリア・アルジェントです。この人…レイジ様の右腕をやらせてもらっています。よろしくお願いいたします」

 

シスターの人は綺麗なお辞儀をして挨拶をしてくれた。アリア・アルジェント…。あぁ…!もしかして似てると思ったのって、アーシアさんだったんだ!名前にもアルジェントが付いているから、アーシアのお姉さんなのかな?

 

「はい!よろしくお願いします。それと、ひとつ聞いてもいいですか?」

 

「はい?何でしょうか?」

 

「アーシア・アルジェントのお姉さんですか?」

 

すると、アリア・アルジェント…アリアさんの顔が物凄く驚いた顔になった。やっぱりそうなんだ

 

「アーシアを知っているのですか!?アーシアは今どこに!!」

 

アリアさんは必死な顔で俺の肩を掴んで迫ってきた。あうぅ~…、揺らさないでぇ~

 

「まてまて、アリア!そんな揺さぶったらつー君が喋れんだろう」

 

「も…申し訳ありません。でも、アーシアの事を知っているのですか?」

 

そう言いながら手を肩から離してくれた。ふぅ…揺られすぎて、ちょっと気持ち悪いぜ…

 

 

「はい…、知っていますよ。ところであなたはアーシアとどう言うご関係で?」

 

すると、アリアさんは少し沈んだ暗い顔になってしまった。

 

「私は、アーシアの血の繋がった姉です…。ある事件があり、その時に離ればなれになってしまいました。」

 

「ある事件ですか?いったいそれは何なのです…?」

 

俺は質問すると、さっきよりも更に暗い沈んだ顔になってしまった…。ありゃ…、聞かなきゃ良かったかも…

 

「あ…あの…、話したくなければ無理に話さなくてもいいんですよ?俺は、アーシアとどう言う関係かを知りたかっただけですから」

 

「いえ…、これは私が話したいので聞いてください…。それに、アーシアの関係を話すとなれば私の過去も話すことになりますから…」

 

そう言ったアリアさんは深い深呼吸をしたあと、口を重々しく開く

 

「私達姉妹は、ある小さな村で両親や村の人達と共に仲良く暮らしていました…。私達の村は小さいながらも明るい村で、不自由な事をありましたがそれでも、楽しい村でした。私達姉妹はそこで仲良く楽しく、平和に暮らしていたのですが…、ある時その平和は突然崩れさってしまいました…。

ある時、私達姉妹は何時ものように村から少し離れた森の中にある花畑で遊んでいたのですが…、突然何かが爆発する音が聞こえてきて、私達は驚いきました。すると、村の方から煙が上がってきていて、私はアーシアを置いて村の方角に走りました。

…………でも、そこに待っていたものは…、村が燃えて、村の人達が死んでいる、光景でした…。私は気持ち悪くて思わず吐いてしまいました。私は慌てて両親を探していると、両親が教会が着る黒い戦闘服を着ていて、謎の大きな獣と戦っていました。

その時に私は音をたててしまい、それに気づいた大きな獣は私に襲いかかってきました。その事に気づいた両親は、大きな獣を止めて戦いながら、『早く逃げろ!!』『私達はいいからあなた達で逃げなさい!』と…、言われて私はアーシアの元へ逃げました。

アーシアはまだ花畑にいたので、私はアーシアの手を掴みながらただひたすら遠くに逃げていました。

それか数日逃げた後に、それから私は、両親に教えてもらった剣術を鍛練しながら両親を殺した者を探すために、ひたすら探しました。」

 

アリアさんのその目には復讐者の様な暗い目と表情をしていた。

 

「ただ、ある時に突然神父とあい、その神父は私に『貴方が私とくれば、あなたの妹さんは無事に平和に暮らせますし、あなたの復讐も叶えられます。』とその神父は言ってきました。だから私は神父について行くことにし、その神父はアーシアを教会の施設に預けて、私はその神父についていくので、アーシアと離ればなれになりました。

それから、私はある施設に連れていかれて、そこで私は強くなるはずだったのです…。

でも……、現実は残酷なものでした…。その施設には沢山の私よりも少し年下の子供達がいました。その施設では、ある剣の適合をさせるための実験をやる施設でした。そこでは毎日、非人道的な実験を繰り返し繰り返しやっていき、誰かが一人一人いなくなっても、子供達は聖歌を口ずさみながら、これが終われば自由になれると言って励ましてきました。

ですが………、ある日突然言い渡されたのが私達の“殺処分”でした。突然私達がいた部屋にガスマスクを付けた大人達が入ってきました。すると、大人達は毒ガスを撒き散らして、私達はその毒ガスのせいで血を吐きながら苦しみました…。他の子供達が死ぬなかで、私はまだ動けたある一人の少年を他の動ける子供達と協力して外へと逃がしました…。私の他は毒ガスや大人達に殴られたりして死んでいきました。そして、最後に私だけが残ってしまい、大人達は私に近づいてきて私は死ぬ覚悟をしました。でも………」

 

すると、アリアさんは先程までに暗かった表情が一変して希望を見つけたような明るい顔になった。

 

 

「その時に突然光がさしこみました…。私は何事かと思うと、目の前の大人達は突然倒れてきました…。すると、目の前には男の子が一人だけ立っていました。その男の子は私に近づいてきて、目の前で止まりました。私は突然起こった出来事に、何がなんだかわからずに、頭が混乱していました。と、目の前にいた男の子は突然手を差しのべてきて、優しい声でこう言いました。『大丈夫だったか?』と。私は更に混乱してしまい、訳がわからなくなっていましたが、ただ、わかった事がひとつだけありました。この人は私を助けてくれたのだと。私は、主に心の底から感謝しました。私は今まで、両親と村と住む場所を奪われてしまい、神を怨んでいましたが、この事件のお陰で私は神を感謝しました。そのあとは、私はその男の子と一緒に施設から出て、私は毒に体を侵されていましたが、その男の子のお陰で体内から毒を完全にとにのぞけれて、私は一命をとりとめました。

そこで、私は決めました。命を救ってくれたその男の子に私の命を授けとようと、私はずっとついていこうと。私はその事件のお陰で彼に会えたことを心の底から感謝しました。その男の子のお陰でいまの私がいると思います。

これが、私とアーシアの関係であり、私の過去です。」

 

そう言い終わったアリアさんは何処か吹っ切れて清々しい顔になっていた。

俺はこの人のこの顔を見て、こんな過去を持ってるのに強い人なんだなぁ~と、思わされた俺であった。

 

「もしかして……、その男の子って……」

 

俺は、レイジ兄さんを見た

 

「はい…、その男の子とはお察しの通りレイジ様です。」

 

アリアさんの顔は物凄く笑顔だった。ふーん…、アリアさんの顔が少し赤くなってると言うことは、兄さんに惚れちゃってるな…。ふふふ~

 

「俺はあの時に、たまたま近くを通っていたら、怪しい建物があるなぁ~と思って入ったら、殺しの現場にあうんだもんな~。だから俺はその施設にいた奴を片っ端から倒していって、生存者がいないか探した結果、アリアと出会ったってわけさ。だから、俺は助けた。目の前で助けられる命があるのに助けないのは、俺の志を無視することだったからなぁ…。」

 

そう言ったレイジ兄さんは何処か懐かしむ様な顔になっていた。

 

「その日から俺はこいつと、俺の部隊の仲間達と一緒に世界中を回っていたんだよ。それから俺とこいつは両方想い人になって、愛し合っているのさ…」

 

なんか突然変な話になったよ!?

 

「俺は、神に感謝をしたぜ…。こんな綺麗な人を俺と出会わせた事をな…」

 

「レイジ様…」

 

「アリア…」

 

すると、ふたりの顔が徐々に近づいていき……

 

チュッ

 

ふたりの唇が重なって、キスをした。

 

「んぅ…」

 

「う…ん…」

 

ふたりは更に深くキスをしていた。

うぅ~…あぁ~……。ふたりとも俺がいること忘れてないかなぁ~?見てる此方はスゴく恥ずかしんだけどなぁ~…。てか…、これが皐月姉さんが言ってた、“大人のキス”ってやつなのかな…///

うわぁ~…、恥ずかしいようぅ~…

 

「「ぷはぁ…」」

 

「相変わらず綺麗だぜ?アリア…、大好きだぜ」

 

「嬉しい!私も大好きだよ?レイジ…」

 

そして、ふたりは見つめあう。

 

「アリア…」

 

「レイジィ…」

 

ふたりはまたキスをしようとした…。って…まてぇーい!///

 

「はいはい…そこまでですよ、熱々のお二人様…、愛し合うのはいいことなんですが、せめて他の人…、てか弟がいる前でしないでくださいよ…。すっ~ごく居づらいんですからね……///」

 

「ははは、わり~わり~。何時ものようにしてたから、ついな?」

 

「ご免なさい、つばさ様。私も何時ものようにしていまして、つい…」

 

ふたりは、笑顔で答えた

 

「まったくもぉ~…。次からは気をつけてくださいよ?お二人さん」

 

「「はい。わか(ったよ)(りましたわ)」」

 

ふぅ…、まったくこのふたりは…。……うん?

 

「あのー…、アリアさん?あなたから聖剣のオーラが感じるのですが何故ですか?」

 

そう…、何故かアリアさんの体から聖剣のオーラが感じるのだ…。そう…、俺が探していたもうひとつの謎の聖剣のオーラが……。

 

「あらあら…、レイジ様?」

 

「いいぞ。つばさなら大丈夫だ。と…いうより気づくと思っていたさ」

 

すると、アリアさんはレイジ兄さんの言葉に頷いたあと、アリアさんの手元から魔方陣が出てきた。

すると、その魔方陣から、一本の剣が出てきてアリアさんは其を手に持った。もしかして…、それって!

 

「アリアさん!それってもしかして聖剣?……それも、エクスカリバー」

 

「はい。聖剣(エクスカリバー)です。それもこの世に7つになった聖剣がひとつ…。『祝福の聖剣(エクスカリバー・ブレッシング)』です」

 

「おぉ~!これが『祝福の聖剣』かぁ!初めてみたよ!『支配の聖剣』以外なら見たんだけどね~。やっぱり、この聖剣が一番聖剣らしく、聖なるオーラが強いね~」

 

アリアさんは少し驚いた顔になった

 

「他の聖剣を見たことがあるのですか?」

 

「ありますよ?てか、いまこの駒王町にあなたのも合わせて『支配の聖剣』以外全て揃ってますよ~。あと、他の有名な聖剣なら、造っていま手元に殆どそろっていますしね~」

 

アリアさんは物凄く驚いた顔になった

 

「そうなのですか!?」

 

「そーなのだ~」

 

「マジか…」

 

「マジかって…、レイジ兄さんは知ってるでしょうに…」

 

「あ…、ばれた?」ニヤリ

 

「はぁ…バレバレなのですよ…」

 

三人でそんな話をしていると、突然大きな気配を感じた

 

「兄さん!!」

 

「わかってる!行くぞ!つばさ、アリア!」

 

「「はい!」」

 

そして、俺らはその気配の元へ急ぐのだった。

無事でいてくださいよ!みんな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達三人は気配の元へたどり着いた。そこは俺が通っている駒王学園だったのだ。そこには結界がはられていて、校門前にソーナさんとその眷属の生徒会メンバーがいた。

 

「ソーナさん!状況はどうなっているのですか?」

 

すると、ソーナさんはこちらに気づいて振り向いた。

 

「つばささん。はい、今はこの結界の中でリアス達がコカビエルと戦っています!」

 

「わかりました!ソーナさん達はそのまま結界をはってください!俺とレイジ兄さん達はこの結界の中でリアスさん達の手助けをやってきます!」

 

「はい!わかりました。気おつけてぐださい」

 

「はい。ありがとうございます!」

 

こうして俺らは結界の中に入った

 

―つばさside out―

 

 

 

 

―イッセーside―

 

「リアス、学園は私たちの結界で覆っています。余程のことがない限り、外への被害はありません」

 

会長が部長に現状報告してくれていた。

 

匙は、会長の眷属とともに結界を張り続ける作業に入るみたいだな。

 

「これは最小限に抑える為のモノです。正直言ってコカビエルが本気を出せば、学園だけでなくこの地方都市そのものが崩壊します。さらに言うなら、すでにその準備に入っている模様なのです。校庭で力を解放しつつあるコカビエルの姿を、私の下僕が捉えました」

 

学園内を見ると、淡い青色の結界が張ってあった。

 

「ありがとう、ソーナ。あとは私たちが何とかするわ」

 

「リアス、相手は桁違いの化け物ですよ?いくらつばさちゃんたちが協力してくれるとはいえ、勝てる可能性は低いわ。今からでも遅くない、あなたのお兄さまへ連絡をしないと」

 

「あなただって、お姉さまを呼ばなかったじゃない」

 

 

「私のところは……。あなたのお兄さまはあなたを愛している。サーゼクスさまなら、必ず動いてくれます。だから――」

 

「すでにサーゼクス様に打診しましたわ」

 

二人の会話を遮って、朱乃さんが言う。

 

「朱乃!」

 

「リアス、あなたがサーゼクスさまにご迷惑をおかけしたくないのはわかるわ。けれど、ソーナの言うとおり幹部が来た以上、あなた個人で解決できるレベルを超えているわ。魔王様の力を借りましょう」

 

初めてみたかも…、朱乃さんが真剣な顔で部長のことをリアスって読んでいるのを…

部長は大きな息を吐き、静かにうなずいた。

 

「わかったわ。あなたの言う通りね。お兄様がこられるのはいつかしら?」

 

その言葉に朱乃さんは顔を何時ものニコニコ笑顔になった。

 

「サーゼクス様は一時間程で来るそうですわ」

 

一時間…、かなりキツいな、一時間も俺達は耐えれるだろうか…。いや…耐えれるだろうかじゃない!耐えるんだ!!あの風見幽香さんとの修行と比べたらこんなもんは楽なもんだぜ!!

 

「わかったわ。一時間頑張って耐えましょう!みんな、絶対に生きて帰って何時もの部活を頑張るわよ!いいわね!」

 

『はい!』

 

あぁ、そうさ!俺達の学園は絶対に壊させねぇ!それに、皆で明日からまた楽しく部活をするんだ!だから絶対に負けてたまるもんかよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺たちは正門から堂々と入り込む。

 

「――っ」

 

俺は校庭に入った瞬間、異様な光景を目の前にして言葉を失った。

 

校庭の中央に四本の剣が神々しい光を発しながら、宙に浮いている。それを中心に怪しい魔方陣が校舎全体に描かれている。

 

そこにいたのは初老の男性…、バルパー・ガリレイだった。

 

「バルパー。あとどれぐらいでエクスカリバーは統合する?」

 

「ッッ!」

 

空中から聞こえた声!全員が空へ視線を向けた時、月光を浴びるコカビエルの姿があった。

 

宙に浮いている椅子に腰をかけ、俺たちを見下ろしていた。

 

「五分もいらんよ、コカビエル」

 

「そうか。では、頼むぞ」

 

コカビエルの視線は俺達に移し

 

「サーゼクスは来るのか?それともセラフォルーか?」

 

「お兄さまとレヴィアタンさまの代わりに私たちが………」

 

ドォォォオオオオオオオオンッ!

 

爆音が辺り一帯に爆風とともに広がりその先にあったはずの体育館がなくなっていた。

 

なんだよあの威力!?やっべぇぇぇぇ!?

 

「つまらん。まあいい。余興にはなるか」

 

突然コカビエルは片手前につきだした。そしたら、俺達の回りに魔方陣が展開する

 

「さて、地獄から連れてきた俺のペットの遊んでもらおうかな」

 

コカビエルが指を鳴らすと闇夜の奥から三つ首の犬みたいな奴だった。

 

「ケルベロス!」

 

ケルベロス?なんだそれ?

 

「あの、部長!ケルベロスってなんですか?」

 

「ケルベロスは地獄の番犬の異名を持つ生物なの本来なら地獄………冥界へ続く門の周辺に住んでいるんだけどまさか人間界に連れてくるなんて」

 

「ヤバいんですか?」

 

「やるしかないわね。イッセーはブーステット・ギアでパワーを溜めておいて。私たちが相手するから」

 

 

「わかりました!」

 

俺達はケルベロスと戦って優勢的に思えた。

しかし………

 

「きゃぁ!!」

 

アーシアの近くに一体のケルベロスがいた。

 

そいつはアーシア目がけて突進していたんだ!

 

「クソっ!!」

 

俺はアーシアの目の前に立ちはだかって、壁となった。そしてケルベロスは口を大きくあけて襲いかかってくる

 

「(ヤバイ!!)」

 

ギャオォォォォオオオッッ!!!

 

苦しそうに悲鳴を上げるケルベロス。目の前にいたのは――。

 

「加勢に来たぞ」

 

ゼノヴィアだった。

 

「聖剣の一撃。魔物に無類のダメージを与える」

 

そう言いながらケルベロスの胴体を斬りかかった

 

その瞬間ケルベロスの体は塵芥と化して、宙へ霧散した。

 

「ほう。ケルベロスを一撃か、貴様はおもしろそうだ」

 

「完成だ」

 

バルパーの声に俺は視線をバルパーに向けると四本のエクスカリバーがあり得ないほどに光を発していた。

 

「四本のエクスカリバーが一本になる」

 

神々しい光が校庭全域に広がり、その光が終わったとき四本のエクスカリバーが青白いオーラを放つ一本の聖剣になっていた。

 

「エクスカリバーが一本になった光で、下の術式も完成した。あと二十分もしないうちにこの町が崩壊するだろう。解除するにはコカビエルを倒すしかない」

 

 

嘘だろ!サーゼクス様がくるまでに間に合わない…!

 

 

「ふん…。だが…、なら次はこの数ならどうかな?」

 

 

すると、また目の前に魔方陣が展開しそこからケルベロスが現れた。見たところ、さっきよりも数が多く、20匹はいると思う…。くぅ…!コカビエルの前にこんなにも力を使うなんて…!

それに、時間がないって言うのによ!!

 

 

「殺れ…」

 

ギャオォォォォォン!!

 

 

20匹ものケルベロスが一斉に襲いかかってきた。

 

 

「くそ!次こそヤバイぞ!」

 

 

俺達は殺られると思ったが……

 

 

ズバン!ズババババババババババババ!!

 

一斉に20匹ものケルベロスの胴体や首がバラバラに切り刻まれて、全て塵になった。

 

いったい何が起きてるんだ?

 

すると、人影が見えた。そこにいたのは………

 

「ふぅ~……、皆さん遅くなってごめんなさい。俺達も加勢します!よろしくお願いしますね?」

 

俺らの救世主のつばさちゃんがいた…!

 

「さぁ!皆さん!!まだ諦めたらダメですよ!!諦めずに勝つ気持ちを持ってください!

皆さんなら絶対に勝ちます!!

だから……、だから、諦めないでください!!」

 

 

諦めたらダメです…か…。あぁ!つばさちゃんの言う通りだな!

 

すると、さっきまで少し不安になってた皆の目に、光が灯った。よし!これなら行けるぞ!!

 

「皆さんまだ戦えますね…?なら……!皆さんの学園生活を守るために、頑張って絶対に勝ちますしょう!いいですね!!」

 

『はい!!』

 

こうして俺達の戦いはさらに激戦となるのだった。



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7話 コカビエル……絶対許さない

さて…、ケルベロスが増えてグレモリー眷属がピンチだったので兄さんと協力して、助けたのはいいんだけども…、聖剣が合体してしまったね。しかも、なんか爆発する魔方陣が完成しちゃったし…。まぁ…、魔方陣の方は壊せるから放置して~、とりあえずあの爺をぶっ倒しますか…。

 

「フリード!」

 

「はいな、ボス」

 

コカビエルから名を呼ばれて暗闇の中から出てきたのは……白髪のイカレ神父だ。

 

「そのエクスカリバーを使え。最後の余興だ。四本の力を得たエクスカリバーで戦ってみせろ」

 

「ヘイヘイ。まーたく、俺のボスは人使いが荒くてさぁ。でもでも!チョー素敵仕様になったエクスカリバーちゃんを使えるなんて光栄の極み、みたいな?ちょっくら悪魔でもチョッパーしますかね!」

 

イカレた笑みを見せながら、フリードが校庭のエクスカリバーを握った。

 

「くくく……」

 

バルパーは嬉しそうに、狂った笑いをしていた。

相変わらずああ言う奴が笑ってると、本当に腹が立つよ…。

 

「バルパー・ガリレイ。僕は『聖剣計画』の生き残りだ。いや、正確にはあなたに殺されて転生した悪魔だ」

 

木場がバルパーに話始める。

 

「ん? そうか、貴様、私の研究の実験体か!」

 

バルパーは心底楽しそうな嘲笑を浮かべる。

 

「くくく、そうか、そうだったのか。……実はな、私は、聖剣が好きなのだよ。幼いころから本を読み、それに興奮したものだ」

 

 昔を懐かしんでいるのか、バルパーの目はここではないどこかを見つめていた。

 

「だが、私には聖剣使いとしての適性がなかった。あの時の絶望はキミたちにはわからないだろう。だからこそ、聖剣を使える者を生み出そうなどと考えたのだ」

 

 バルパーは天を仰ぎ、大きく両手を広げながら前へと進む。

 

「身寄りのない少年少女を使い、どうすれば聖剣が使えるようになるのか調べ上げた。その結果、実験体には聖剣を使えるほどではないが、聖剣を使うために必要な因子が集まっていることに気付いたのだよ」

 

 ・・・因子?

 

「だからこそ、発想を変換したのだ。因子が足りなくて聖剣が使えないのなら、その分だけ因子を補充することができれば・・・とな」

 

「読めたぞ。イリナ達が祝福を受けるとき、入れられたのは・・・」

 

 バルパーの言葉にゼノヴィアが得心する。

 

 人工聖剣使いになるときに、入れられるもの………?

なるほど…、そう言うことか…

 

「そうさ。数多くの被験者から抽出した因子を結晶化し、それを適性がある者に移植したのだ! こんな風にな」

 

すると、バルパーの手元には青く光る結晶があった

 

「この球体は被験者の因子を結晶化させた物だ。三つほどフリードたちに使ってしまったがね。つまり、これが最後のひとつだ」

 

バルパーは腹が立つような笑みを浮かべて木場を見ていた。

 

この………外道が……!

 

「バルパー・ガリレイ。自分の研究、自分の欲望のために、どれだけの命をもてあそんだんだ……」

 

「そもそも、実験材料として利用価値のなくなった者をわざわざ生かしておく必要がどこにあるのだ?

実験には必ず犠牲が付き物だと言うのがわからなかったのか?……まあ、ミカエルの奴なら確かに殺したりはしないだろうがな。」

 

本当に……、バルパー・ガリレイとか言う糞爺は俺達を何処まで怒らしたら気がすむのだろうか……

 

 

「おい…、バルパー、此方を向きな」

 

すると、レイジ兄さんが、アリアさんを横に連れてバルパーを呼んだ

アリアさんは俺と初めてあった格好をしている。

 

「バルパー…、私は貴方に殺された、被験者のひとりです…。」

 

「……貴様らは誰だ?」

 

すると、アリアさんはフードを脱いだ

 

「私の名前は、アリア・アルジェント。貴方に殺されかけた、ゆういつの生き残りです」

 

「俺の名前は、結城レイジ。地球連邦軍 副総司令官。そして、貴様の実験場所を跡形もなく切り刻んだ者だよ!」

 

すると、バルパーは物凄く驚いた顔になった。同時に木場とアーシアもバルパー以上に驚いた顔になる。まぁ…、二人とも関係者だから当たり前か…。とくに、アーシアなんて実のお姉ちゃんだしね。

 

「貴様が私の実験場を壊した張本人か…。くくくく…、まぁ、よい。貴様らはどうせここで朽ち果てるのだからなぁ!」

 

「それに、この因子の結晶はもう用済みだ、貴様にくれてやる」

 

バルパーは手に持っていた結晶を投げた。それは木場の足元に転がっていき、木場は屈みこみ、手に取った。

 哀しそうに、愛しそうに、懐かしそうに、その結晶を撫でていた。

 

「……皆……」

 

木場の頬に涙が伝ったとき、結晶が淡い光を発し始めた。そしてその光は各所からポツポツと浮いてきて人の形となった。あれって…、霊魂…?

 

「皆!僕は・・・・僕は!」

 

なるほどね…、彼らは木場と同じ聖剣計画に身を投じられ処分された者たちなんだ。

 

「…ずっと……ずっと、思っていたんだ。僕が、僕だけが生きていていいのかって……。

僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な暮らしを過ごしていいのかって……」

 

霊魂の少年の一人が微笑みながら、木場に何か訴える。

 

………『自分たちのことはもういい。キミだけでも生きてくれ』…か。木場がどれだけ愛されていたかよくわかったよ。

 

それが伝わったのか、木場の双眸から涙が溢れる。

 

「――聖歌」

 

 アーシアがそう呟いた。

 

 少年少女たちと共に、木場も口ずさみだした。

 

『僕らは、一人ではダメだった』

『私たちは聖剣を扱える因子が足りなかった。けど――』

『皆が集まれば、きっとだいじょうぶ』

『聖剣を受け入れるんだ』

『怖くなんてない』

『たとえ、神がいなくても――』

『神が見ていなくても――』

『僕たちの心はいつだって――』

「――ひとつだ」

 

 彼らの魂が大きなひとつの光となって、木場のもとへ降りてくる。

 やさしく神々しい光が木場を包む。

 

『つー君…』

 

すると、ルーツが喋りかけてきた。なに?ルーツ?

 

『貴方もわかるでしょ?この力の気配を……、思いの力を……』

 

力…?あぁ~…、そう言うことか…。うん。感じてるよ…。木場が至ったことを…。

 

そう…

 

『禁手(バランス・ブレイク)』になったことを……

 

「バルパー・ガリレイ。あなたを滅ぼさない限り、第二、第三の僕たちが生を無視される」

 

「ふん。研究に犠牲はつきものだと昔から言うではないか。ただそれだけのことだぞ?」

 

何をわけのわからないことを……

 

「木場ァァァァァッッ!フリードの野郎とエクスカリバーをぶっ叩けェェェェ!」

 

突然イッセーが叫ぶ

 

「お前はリアス・グレモリー眷属の『騎士』で、俺の仲間だ!俺のダチなんだよ!

戦え木場ァァァァァッッ!あいつらの想いを無駄にすんなァァァァッ!」

 

「祐斗!やりなさい!自分で決着をつけるの!エクスカリバーを越えなさい!あなたはこのリアス・グレモリーの眷属なのだから!私の『騎士』はエクスカリバーごときに負けはしないわ!」

 

「祐斗くん!信じてますわよ!」

 

イッセーに続いてリアスさんに朱乃さんが叫んだ。

 

「……祐斗先輩!」

 

「ファイトです!」

 

小猫ちゃん、アーシアも叫ぶ。

 

「ユートくん…!」

 

すると、アリアさんは木場に叫ぶ

 

「あの時、私達は貴方だけでも逃がしたかった。貴方だけでも幸せに生きてほしかった。でも、結果は貴方はただ私達の為に復讐をしようとした、復讐者になってしまっていた。

でも、これだけは覚えておいて?私達は貴方の事は恨んでないし、あの時は貴方に生きてほしかったから逃がしたのよ。だから…、自分を責めないで?私達がついているから…ね?」

 

「アリアさん……!」

 

木場の瞳に一筋の涙が流れ落ち、木場はその涙をふいたあと、決心した顔になる

 

「――僕は剣になる。部長、仲間たちの剣となる! 今こそ僕の想いに応えてくれッ! 魔剣創造ッッ!」

 

木場が叫ぶ

 

「魔剣創造(ソード・バース)の禁手、双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)!! 聖と魔の力を有する聖魔剣の力、その身で受けてみろ!」

 

 

なるほど…、聖と魔…、相反する2つの性質をまじあわせた剣ですか…。なるほどね~…、あの、教会が信仰している、神器を作った聖書の神が死んだからできたものですね…

 

「ハハハ!なに泣いてんだよ?幽霊ちゃんたちと戦場のど真ん中で楽しく歌っちゃってさ。ウザいったらありゃしない。もう最悪。俺的にあの歌が大嫌いなんスよ。聞くだけで玉のお肌がガサついちゃう!もう嫌!もう限界!てめえを切り刻んで気分落ち着かさせてもらいますよ!この四本統合させた聖剣ちゃんで!」

 

フリードが木場にめがけて走り出した…

 

ギィィィィン!

 

競り合いが、フリードのエクスカリバーを覆うオーラが木場の剣によってかき消されていく

 

「ッ!本家本元の聖剣を凌駕すんのかよ!この駄剣が!?」

 

驚愕の声を出すフリード。ばーか。

 

「それが真のエクスカリバーならば、勝てなかっただろうね。でも、そのエクスカリバーでは、僕と、同志たちの想いは絶てない!」

 

「チィ!伸びろォォォォ!」

 

うねりながらフリードの聖剣が木場を襲う

 

だが、四方八方の攻撃を木場はなんなく全て防いだ

 

「なんでさ!なんで当たらねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!無敵の聖剣さまなんだろう!昔から最強伝説を語り継いできたんじゃねぇのかよぉぉぉ!」

 

ギィン!ギン!ギィィィン!

 

木場はフリードの攻撃をすべていなした。

 

「-ーーッ!」

 

フリードは目元を引きつらせていた

 

「そうだ。そのままにしておけよ」

 

横殴りにゼノヴィアが介入し、左手で聖剣を持ち、右手を宙に広げた

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシオス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」

 

空間が歪む、そして

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する。デュランダル!」

 

「貴様!エクスカリバーの使い手じゃなかったのか!?」

 

バルパーは物凄く驚いた顔になった。

へぇ~…!デュランダルは誰が持ってるのかと思ってたけどもまさか、ゼノヴィアが持ってたなんてね。ゼノヴィアの内にある聖剣はわかってたけども、まさかデュランダルだったなんてね~。こりゃ~驚いたよ…。

 

「残念。私はもともと聖剣デュランダルの使い手だ。エクスカリバーの使い手も兼任していたにすぎない」

 

エクスカリバーとの二刀流か…。なかなかやるね~。

 

「バカな!私の研究ではデュランダルを扱える領域まで達していないぞ!?」

 

「それはそうだろう。私は人工聖剣使いと違って数少ない天然ものだ」

 

 

なるほどね~、まさかゼノヴィアは天然物の聖剣使いだったんだね~。どおりで、イリナとゼノヴィアの聖なるオーラが違っていたんだね~。

 

「そんなのアリですかぁぁぁ!?ここにきてのチョー展開!クソッタレのクソビッチが!そんな設定いらねぇんだよォォォォ!」

 

フリードはゼノヴィアへ向けて斬りかかるが

 

ガキィィィィン!

 

たった一薙で枝分かれした聖剣を砕いた

 

「マジかよ!伝説のエクスカリバーちゃんが木端微塵!?これはひどい!」

 

木場が殺気の弱まったフリードに突っ込んだ。

フリードは木場の聖魔剣をエクスカリバーで受け止めようとするが

 

バキィィィン

 

儚い金属音が鳴り響く。聖剣エクスカリバーが砕け散る音だ。

 

「見ててくれたかい?僕らの力は、エクスカリバーを越えたよ」

 

聖剣を砕いた勢いで、木場がフリードを切ろうとしたが、フリードは間一髪で避けた。

 

「こんなところで死んでたまるか!逃げてy…」

 

ガシィ!

 

「え…?」

 

フリードは地面から出てきた謎の植物の蔓によって足を捕まれてしまった。

まぁ…、俺が【ずべての大自然を操る程度の能力】を使って操っているんだけどねぇ~

 

「くくくく……、くふ……アハハハハハ!!」

 

すると、突然レイジ兄さんが笑いだした。そのせいで、皆の視線が兄さんに向けられた。

 

「何故笑っているのだ?貴様」

 

コカビエルが口を開いた。

 

「あははは………。ふぅ~…、ごめんごめん!ちよっとな……、デュランダルに聖魔剣にエクスカリバーと…、かなりの珍しい剣がここに揃っていたからついつい笑ってしまったんだよ。それに……」

 

レイジ兄さんはいったん間をあけて、また喋りだす

 

「その程度の聖剣でエクスカリバーなのか?笑わせてくれるな……。それでエクスカリバーなら、つばさが造るオリジナルの聖剣の方がよっぽど強力だな」

 

すると、皆が驚きにそまり、俺に視線がうつる。

なに言ってるのさ兄さん!!

 

「なに?貴様は聖剣を作れるのか?」

 

コカビエルが聞いてきた。

 

「作れますよ…、一応ね~…。」

 

「そうだ。それにバルパーっていったな?お前…、エクスカリバーが小さいころから好きだったんだろう?」

 

すると、レイジ兄さんはバルパーに質問した。

 

「確かにそうだが?それがどうしたというのだ?」

 

それを聞いた兄さんが不適な笑いをした

 

「じゃ~…、そんな貴様に質問をしよう。エクスカリバーの最初の持ち主は誰だ?」

 

アーサー王だよね?

 

「アーサーだ…」

 

「そう…、アーサー・ペンドラゴンだ。それじゃ~…、アーサー王は死ぬ前にエクスカリバーをどうしたんだ?」

 

エクスカリバーをどうしたか?たしか、湖に返したとかなんとか……。ふふ……、なるほどね…。そう言うことか。これでレイジ兄さんが何を伝えたいのか謎がとけたよ。

 

「アーサー王はエクスカリバーを魔法の湖に返したと伝承には残っているな」

 

「そうだ…。じゃぁ何故!お前がいま持っているエクスカリバーがここにあるのだ?」

 

「そんなものは簡単な事よ…、エクスカリバーは先の大戦で粉々になって、その欠片を回収した教会の錬金術師が七つのエクスカリバーに新しく姿を代えて……」

 

すると、バルパーは突然難しい顔になった。おや?やっと気づいたのかな?

 

 

「まて…、何故エクスカリバーは先の大戦に存在したのだ?確かエクスカリバーは伝承には泉に返したと記してあったのに何故存在する……。そもそも、エクスカリバーはアーサー王しか使えない物だったのに、先の大戦では、いったい誰が使っていたのだ?」

 

ふふふ。やっと気づいたのか。遅かったね

 

「ふぅ~…、やっと気づいたか…。そうだ…。エクスカリバーは泉に返したはずなのに先の大戦では存在して、そのエクスカリバーは壊れた。しかし…、普通エクスカリバーは折れないはずなんだ!だが、そのエクスカリバーは壊れた。

これでわかることはただひとつ…、元々先の大戦で存在していたエクスカリバーは偽物…、いや、本物に見立てたレプリカだったということだな。」

 

兄さんの言葉に他の皆が驚きを隠せずに唖然としていた。

 

「それに…、元々アーサー王が持ってた聖剣なら…、つばさが持ってるけどな!」

 

すると、レイジ兄さんは此方に向いてきた。

 

「つばさ…、お前の能力の解放を許可する。あれをだせ!」

 

あれ…ね~。

 

「……ふぅ、了解しました~」

 

そして俺は目の前に魔方陣を展開した。

 

「能力発動【あらゆる武器や防具を創る程度の能力】!」

 

そして俺は目の前に一本の聖剣を出した。その聖剣の名は……

 

「約束された勝利の剣……エクスカリバー!!」

 

俺は約束された勝利の剣(エクスカリバー)を召喚した。

それを初めて見た皆はさらに驚き、固まっている。

 

「な………何故だ!何故貴様がエクスカリバーを!!」

 

「それは俺が説明するぞ?こいつの能力…【あらゆる武器や防具を創る程度の能力】は、自分が見て直接触れた物をコピーして、そのオリジナルの物と全く同じ物を造ることが出来るんだよ。更に、その武器を強化したり改造・合成等をして新たにオリジナルを作り出す事も出来るんだ。そして、一から新たな武具を創ることも可能だ。たとえ、聖剣、魔剣、妖刀、そして神具や神滅具(ロンギヌス)クラスの神器(セイクリッド・ギア)だろうとな。

まぁ、こいつの能力の発動条件は触れないと発動しないが、一度でも触れれさえすれば伝説上の武器だろうが、神が使う神具だろうが、全く同じ物を造ることが出来るってわけさ。チートだろ?」

 

兄さんのその質問にたいしコカビエルを抜いた人達が一斉に頷いた。

 

「さて…、今回のことです貴様らは積んだと言うことだな…。真・エクスカリバーにデュランダル、聖魔剣と、お前らはこのメンバーに勝てるのかな?」

 

「くそったれが!この植物め!離しやがれ!」

 

フリードは懐に隠していたナイフで切ろうとするが、全く切れていない…。あたりまえ……、その植物の蔓は堅さが鋼と同じくらいあるしね。その植物は俺が能力を使って造ったオリジナル植物ですもの。

 

「エクスカリバーにディュランダル…それに、せ、聖魔剣だと……?あり得ない……。エクスカリバーにディュランダルだけでもあり得ないと言うのに…、聖魔剣はさらにあり得ない!聖と魔、反発しあう要素がまじり合うなんてことはあるわけがないのだ……いや、そうか!わかったぞ!聖と魔、それらをつかさどる存在のバランスが崩れているのなら説明がつく!つまり、魔王だけでなく、神も――」

 

ズンッ!

 

バルパーはなにかに気づいたと思ったら光の槍によって腹を貫かれかけた。俺は瞬時に光の槍を受け流し、その光の槍はバルパーの頬を掠り後ろの地面に刺さった。そして、バルパーはそのまま気絶した。

 

「ほう…、今の攻撃を受け流したか。まぁ、どうでもいい。バルパーお前は優秀だったよ。そこに思考が至ったのも優れているがゆえだろうな。だが、俺はお前がいなくても別にいいんだ。最初から一人でやれる」

 

「コカビエル……、貴様…!」

 

すると、レイジ兄さんがコカビエルに向かって叫けんだ

 

「限界まで赤龍帝の力を上げて、誰かに譲渡しろ」

 

それを聞きリアスさんは激昂する

 

「私たちのチャンスとでもいうの!?ふざけないで!」

 

「ふざけないで?ハハハふざけているのはお前たちのほうだ。俺に勝てると思っているのか?」

 

堕天使のプレシャーによってリアスさん達が少し震えていた。大丈夫な者は俺に、レイジ兄さんとアリアさんだけだ

 

 

「………イッセー。神器を」

 

リアスさんがイッセーに指示を出すとイッセーは神器を発動して力を溜めているとイッセーが

 

「きた!」

 

イッセーの籠手がいっそうに眩い光を発した

 

「で、誰に譲渡する?」

 

興味津々そうな口調でコカビエルが訊いてくる

 

「イッセー!」

 

「はい!」

 

リアスさんの呼びかけにイッセーは譲渡を始めリアスさんの魔力が膨れ上がった

 

「フハハハは!いいぞ!その魔力の波!俺に伝わる力の波動は最上級悪魔の魔力だ!もう少しで魔王クラスの魔力だぞ!リアス・グレモリー!おまえも兄に負け劣らずの才に恵まれているようだな!」

 

心底嬉しそうに笑っていやがる。

 

「消し飛べェェェェ!」

 

強大な魔力にコカビエルは両手を前に突き出して迎え撃とうとしていた。

 

「おもしろい!おもしろいぞ、魔王の妹!サーゼクスの妹!」

 

ドウゥウゥウゥゥゥンッッ!

 

リアスさんの放った魔力をコカビエルは真正面から受け止めそれに耐えた。しかし無傷じゃなかった

受け止めた手からは血が噴き出している。リアスさんは肩で息をしている

 

「雷光よ!」

 

朱乃さんは雷光を放つがコカビエルは黒い翼を羽ばたかせただけで消失させた。

 

「俺の邪魔をするか、バラキエルの力を宿す者よ」

 

「く…!」

 

朱乃さんは自分の攻撃がくらわなかったことにかなり悔しがっていた。

 

「しかし、仕えるべき主をなくしてまで、おまえたち神の信者と悪魔はよく戦う」

 

突然の謎の発言をコカビエルは発し始める

 

「…………どいうこと?」

 

リアスさんは怪訝そうな口調で訊く

 

「やめろぉぉぉ!!コカビエル!!」

 

レイジ兄さんが叫んだ

やっぱりレイジ兄さんもしってたんだ…

 

「フハハ、フハハハハハハハハ!そうだったな!そうだった!おまえたち下々まであれの真相は語られていなかったな!なら、ついでだ。教えてやるよ。先の三つどもえ戦争で四大魔王だけじゃなく、神もしんだのさ」

 

コカビエル……貴様!!

 

「知らなくても当然だ。神が死んだなどと、誰が言える?人間は神がいなくては心の均衡と定めた法も機能しない不完全な者の集まりだぞ?だからこの真相を知っているのはトップと一部の者たちだけだ。先ほどバルパーが気づいたようだが」

 

「………ウソだ。………ウソだ。主はいないのですか?主は死んでいる?では、私たちに与えられる愛は……」

 

「そんな……。私達の主は死んでいるのですか………

そ……そん…な……」

 

ドサッ

 

「アーシア!アーシアしっかりしろ!」

 

アーシアはあまりのショックで倒れてしまい、イッセーはアーシアを抱き抱えていた…

 

「ふはは!貴様らは俺をあのしませるだけの力はあるのかなぁ!」

 

「コカビエルゥゥゥ!!」

 

イッセーが叫んでコカビエルに突っ込んだ

 

「ふん!!」

 

ドン!

 

「ゴハッ!」

 

ドカァァァン!

 

イッセーはコカビエルにぶっ飛ばされて、学校に突っ込んだ。

 

俺の左右を駆け抜けていく二人がいた。木場とゼノヴィアだ。

 

「デュランダルと聖魔剣か!折れた聖剣よりよさそうだ!だがしかぁぁぁしッ!」

 

 先に突っ込んだゼノヴィアの一太刀は、コカビエルが創りだした光の剣で防がれる。

 その隙をつき、祐斗も聖魔剣で斬りかかるが、もう片方の手にも光の剣が創りだされ、二人の剣をさばいていく。

 

「そこ!」

 

 コカビエルの後方から、小猫が拳を打ち込もうとする。

 

「甘いわ!」

 

 黒い翼が刃物と化し、小猫の体を斬り刻む。

 

「ふん!弱い、弱いぞ!グレモリー眷属よ!」

 

すると、コカビエルの視線が小猫ちゃんに移った。やばい!

 

「そうだな、まずはゴミからそうじしなければな…、貴様からだ!!」

 

ヒュン!!

 

間に合わない!?

 

すると、小猫の前に一人の人影が立ちふさがって

 

ズシュゥゥゥ!!

 

「ぐふぅっ…!」

 

そこにいたのは、黒歌だった……。

 

―つばさside out―

 

 

 

―小猫side―

私達はコカビエルと戦っていました。ですが、コカビエルに挑んだ私達は呆気なくやられてしまい、私は動けませんでした。

すると、コカビエルは光の槍を投げてきました。私は動けなかったので、死んじゃうと思ったら……、目の前で、何故かお姉さまが刺されていました……。

え……?何故お姉さまが……?何故お姉さまが倒れているのですか?何故?どうして?

 

「ごふっ!…………白音………くふっ……大丈夫……だった?」

 

「ね、姉様……? 本当に姉様なの?」

 

「にゃ、にゃは……は……。そう……だよ?…間に……合っ…て、よかっ……た…。白……音……ケガ……は……な…い?」

 

「はい!ですが、姉様!!ど、どうしてここに!」

 

「そん……な、の…。ぐふっ! はぁはぁ。……白音の、事が……心配……がはっ!…だったから…に、決まって……かふっ!」

 

「姉様!?傷が…!血がいっぱいでて……!」

 

姉様の顔を見ると涙があふれていた。それに、しゃべりながら、姉様の口からは血が溢れ続けている。槍の刺さったお腹からも、血と共に煙が立ち上り始めている。

 

「にゃは…は……ごめん……ね…?こん……げほげほ……んな……お姉……かふっ……ちゃん…で………」

 

姉様の目から徐々に光が失われていく。それは間違い無く“死”へ近づいている証拠だった。

 

「もっ、と………白音……と……こふっ!………遊び……たかっ…たな……くふっ……。白、音……の……約束…ごぼっ!………守れ……そう…に……ない……ね……………」

 

姉様の目からは大粒の涙が流れていた。

 

「い、嫌……!嫌です!! 嘘です! 嘘ですよね姉様! 死なないで! 死なないでください姉様!」

 

せっかく再会出来たのに! 言いたい事だっていっぱいあるのに! また私を置いて行ってしまうんですか! もう嫌です! 一人ぼっちは嫌です!

 

「ごめん……ね……白……音…………………」

 

ドサ…

 

姉様の腕が力なく落ちた……。え………?姉……様……?

 

「姉様…?姉様ぁ!私を……私を一人にしないでください!姉様ぁ…死なないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

誰か……助けて……

 

「黒歌さん……、貴方は妹を迎えに行くんでしょう?こんなところでは絶対に死んだらダメなんですから!!」

 

「《ベホマズン》!!」

 

パアァァァァァ…

 

つばさ先輩が淡い光を当てる、みるみる内に姉様の傷が治っていき、姉様の顔色も良くなっていった。

 

「うぅ…、あれ……?私は……死んだんじゃ……」

 

「はぁー…、貴方は妹との約束を果たしてないでしょうに……ここで死んだら意味ないでしょ?

それに…、家族を目の前で失う訳にはいきませんしね…」

 

「つばさ……、ありがとー!」

 

すると、姉様はつばさ先輩に抱きついた。姉様……

 

「黒歌さん……、俺に抱きつくのはいいですが、先に白音さんにしてください。」

 

「わかったにゃん…。白音……」

 

「姉様…」

 

「ごめんにゃん……。迎えに来るのが遅くなっちゃったにゃん…。」

 

「姉様…いいんです………。姉様はちゃんと約束を守ってくれましたから……。姉様……お帰りなさい……」

 

「ただいま……白音……」

 

私は姉様に抱きついた。私の目からは嬉し涙が流れていた。

私はこの日を忘れない……。姉様にやっと会えた日を……。そして、私達を救ってくれたつばさ先輩の事を……

 

―小猫side out―

 

 

 

―つばさside―

 

今、俺の目の前では二人の猫又の姉妹が嬉し涙を流しながら抱き合っていた。

さて…と、黒歌も助けれたしいいかな、もう……。

 

 

「お兄ちゃん……、お願いがあるの……」

 

レイジ兄さんは此方を向いて頷いた。

 

「わかってるよ……、俺ももう……限界がきてるんだよ……、俺らの家族を……大切な人達を奪おうとした奴にな!」

 

「私も同じです……、私の大切な妹で家族のアーシアをあなたは傷つけた……。殺します!!」

 

レイジ兄さんとアリアさんは今までにないくらいの殺気を出していた。確かにさっきどさくさに紛れてコカビエルはアリアさんとアーシアを殺そうとしたからね……

 

本当……

 

「コカビエル……、お前はバカだな……。よりにもよって俺達を敵にまわしたのだから……。その身をもって償え!!」

 

「くっくっくっ!いい殺気だぞ!人間ども!

しかし…、人間ごときが俺に勝てるのかな?」

 

コカビエルは嘲笑うかのように俺達を見下した……。本当…、余計バカなことをしでかすな……

 

「コカビエルにひとつ忠告してやる」

 

「なんだ?」

 

俺と兄さんは息を合わせて喋りだした

 

「「お前は…、俺達に絶対に勝てない。俺達を怒らせた事を後悔しろ」」

 

「「貴様を滅する!!」」

 

 

シュンっ

 

レイジ兄さんは、見えない早さでコカビエルの後ろにたった

 

「なに!?」

 

「“零式秘技 清”!」

 

ザザザザザザン

 

「グハァァァ!?」

 

レイジ兄さんは水に波紋を作るが如く、軽やかな動きと剣さばきで起こした衝撃波でコカビエルを切り刻む

 

「“疾風斬・ハヤテ”」

 

ズババババババン

 

「グァァァァア!!」

 

俺は、音速の早さで、20連撃の斬撃をコカビエルの全身にくらわした

 

 

「ぐうぅ……!貴様ら人間ごときが嘗めたことを!」

 

 

「つばさ!アリア!」

 

「オッケー!」

 

「わかりました!」

 

すると、アリアさんの『祝福の聖剣』のオーラが大きくなり…

 

「くらいなさい!」

 

スガァァァァァァン!!

 

そのまま大きな聖なるオーラの刃を降り下ろした。

 

「ゴフゥッ!!」

 

 

「まだまだ!“零式秘技・響”」

 

「こっちも!“裂波斬”」

 

俺と兄さんは剣を高速で降り下ろしてできた、衝撃波の斬撃をコカビエルにぶっ飛ばした

 

 

ズバン!ズシァン!

 

「ごばっ!ぐぅ……!これくらい!」

 

すると、コカビエルは両手に3mを越えるであろうな巨大な槍をもった

 

「これでもくらえぇぇぇ!」

 

コカビエルは両手にもってた槍を放つ…。

はぁ…、無意味なことを……

 

 

「スペルガード発動!!」

 

俺は二枚のスペカを手にもった

 

「“神槍・スピア・ザ・グングニル”&“禁槍・レーバティン”」

 

右手にグングニルを左手にレーバティンをもった。

 

「そーーりゃぁ!」

 

ぶんっ!

 

俺はその2つの技を投げて…

 

ドカァァァン…

 

光の槍を跡形もなく粉砕した

 

「な…なに!?」

 

コカビエルは目の前でおきた出来事に唖然する

すると、コカビエルの回りに突然沢山のナイフが出てきた。

 

「“連続殺人ドール”」

 

ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザク

 

「ギャァァァァァァ!!!」

 

コカビエルの体にナイフが刺さりまくった。

 

「つばさ!これで決めるぞ!!」

 

「わかった!」

 

「レイジ様! つばさ様! これを受け取ってください!!」

 

すると、アリアさんが『祝福の聖剣』を俺達に構えると、聖剣から聖なるオーラが飛んできて、俺達を包み込んだ…。

 

「す…スゴい!!エクスカリバーの聖なる力が倍に上がったよ…!」

 

「ふふふ…!相変わらずの力だな…。サンキュー!アリア!!

さぁ…!これで決める!!」

 

そしたら、兄さんの力が倍に上がった。あの奥義を使うんだね!!

 

「くらえ!!“零式奥義・雪”」

 

レイジ兄さんは【霊刀・雪姫】を振り上げる。

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

パキィィィン……ドシュ!!

 

そしたら、直前上に鋭い氷山が発生して、そのままコカビエルを貫いた。

 

「ごはぁっ…」

 

俺は約束された勝利の剣(エクスカリバー)を天に向かってあげた。

 

「くらえ…!エクス……カリバーァァァァァ!!」

 

ズカァァァァァン

 

コカビエルに向かって巨大な光の波動が当たった。

 

「ぐふぅ!?」

 

む~、やはり光の波動ではあまりダメージが通っていませんね。やはり、古の堕天使の力は伊達ではありませんか…………なら!!

 

俺はコカビエルに向かって札をもった右手を構える

 

「コカビエル!これで最後だ…!!!」

 

そして、俺はこれを放った!

 

「ラストスペル発動!!」

 

「神符“夢想封印”」

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

「く………………は………………」

 

ドシャ…

 

グラウンドの中央に大きなクレーターができて、その中心にコカビエルが倒れている。

この、【神符“夢想封印”】は、今回のコカビエルのように破壊をしたりすることもできるが、普通に封印もできる。ちなみに、この夢想封印は俺がもってる封印術の中で一番強力だ。

ただ、このスペカは俺が使うと下手したら日本の3分の2が消し飛ぶか時空に封印されるかのどっちかになってしまうのだ。

だから、普段はあまり使わないし、使っても今回のようにかなり力を押さえている。

 

「コカビエル……、貴様の負けた原因は簡単だ……。

俺らを怒らせた……。ただ……それだけだ……」

 

「そうだよ……。コカビエル……。」

 

本当……、アホな人……。でも…、でも、まさか、この約束された勝利の剣(エクスカリバー)の力が上がるなんでね~…。アリアさんの『祝福の聖剣』の効果スゴいんだね~

まぁ…それは、さておき……

 

「さて……、そろそろ降りてきたらどうなんですか?白龍皇」

 

『え…!?』

 

俺と兄さんとアリアさん以外の人達は気づいていなかったようで、上を見た。

 

 

「あらら……、バレちゃっていたんだね。さっすが世界最強の部隊の総隊長をやってるだけは、あるんだね」

 

すると、空には白い全身鎧に身を包んだ奴がいた。

そう……、白龍皇だ……

 

「ふふふ。あなたは面白いね~。色んな力を感じるよ。妖力、魔力、霊力、聖なる力、ドラゴン等々……。本当に人間なの?」

 

「これでも、人間なのですよ~」

 

「ふふ…、そうなんだ」

 

すると、白龍皇はコカビエルの前に降りてきた

 

 

「はぁ~あ、あたしの宿敵くんと戦うのも楽しみにしてるけど、あなたとも一度戦いたいなぁ。でも――」

 

一度俺とイッセーに視線を向けるが、すぐに外し、コカビエルをもった。

 

 

「いまはこっちの回収が先。あーあ、あたしが倒すつもりでいたのに、コカビエル倒れちゃってるね……。残念だな~」

 

この人もしかして……、戦闘狂かな?

 

「あなたは何者なの…?」

 

すると、リアスさんが白龍皇に質問した。あれ……、俺って白龍皇っていった気がするんだけども………

 

「ん?私?白龍皇だよ?」

 

白龍皇と聞いた瞬間イッセーの顔が強ばった。

 

「アハハ、宿敵くん、大丈夫だよー?今日はあたし戦う気はないからね。先に回収が目的だからね。それに、キミたちとは戦いたいけど、宿敵くんはまだ全然弱いし、そこの女の子かな?とりあえずコカビエルを倒した君も疲れていそうだしね~。やるなら今度万全な状態で相手してほしいかな」

 

そう言い、光の翼を展開して空へ飛び立とうとする。てか……女の子って……

 

『無視か、白いの』

 

 だが、それを止める声が辺りに響く。発生源はイッセーの籠手か。埋め込まれた宝玉が光っている。

 

『起きていたのか、赤いの』

 

 それに呼応するように、白龍皇の鎧の宝玉も光りだした。

これはニ天龍の会話たね。

 

『せっかく出会ったのにこの状況ではな』

 

『いいさ、いずれ戦う運命だ。こういうこともある』

 

『しかし白いの。以前のような敵意が伝わってこないが?』

 

『赤いの、そちらこそ敵意が段違いに低いじゃないか』

 

『互いに、戦い以外の興味ができたということだろう』

 

『そういうことだ。こちらは独自に楽しむとするさ。たまには悪くないと思えてくるからな。また会おう、ドライグ』

 

『それもまた一興か。じゃあな、アルビオン』

 

 別れを告げた両者だったが、イッセーが納得していないと言わんばかりの顔で前に出た。

 

「おい!おまえ何者なんだよ!てか、おまえのせいで俺は部長のお乳が吸えないんだぞ!」

 

「うわぁ……戦ってた動機最低だね~。あ、でもでも、それで多少でも力上がるならアリなのかな?」

 

イッセーェ……

 

「最低な動機ですね……。イッセーさん……」

 

「うわぁぁぁ!ごめんなさいつばさちゃん!だから“さん”付けしながら後ろに下がらないでください!」

 

はぁ~……。全くこの人は……。

 

「あははは!本当に面白いね!あと、全部を知りたいならもっと強くなってね、宿敵くん。それと、キミの名前、教えてくれる?」

 

すると、白龍皇は俺の名前を聞いてきた。

 

「結城つばさだよ。白龍皇」

 

「そう…。つばさだね。また会おうね~!宿敵君につばさちゃん!

そして、楽しい楽しい戦いをしようね!」

 

そう言って、白龍皇は空の彼方に消えていった

はぁー…。やっぱり“ちゃん”付けなんだね……

 




『禁槍・レーバティン』は東方Projectのフランドール・スカーレットのスペルカード『レーバティン』を改造した物です。
普通ならこのスペカは炎の剣なのですが、主人公が遠距離の敵に向かって投げやすくするために改造した、炎の槍です。


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8話 全て終わりました♪そして頑張れサーゼクス

さて……、とりあえずコカビエルは白龍皇に連れて行かれたから大丈夫だとしてぇ……、これ…どうしよう……。

 

俺の目の前には俺と兄さんの攻撃の余波により、無惨に砕け散った学校と俺が最後に放った【神符“夢想封印”】によってできた大きなクレーターがあった。

 

「あはは……はぁ~……。やり過ぎたー…………」

 

はぁー…と俺は大きなため息をだしてこの光景を見ていた…。やっぱり自分が直さなくちゃいけないのかな~っと思ってる

 

「アリア…お姉ちゃん?……本当に…アリアお姉ちゃん…なの?」

 

すると、少し離れた場所でアリアさんとアーシアがいた。

 

「えぇ…。私よ?アーシア……。」

 

「お姉ちゃん……どうして…!」

 

「ごめんなさい…。アーシア……。私のせいであんなことになってしまって……。私はあの時は貴方の為にああするしかなかったの……。私はあの時にアーシアにかならず帰ってくると言ったけども、私はあの聖剣計画のせいで一度死んだわ……。だから、私は今まで身を隠していたの……。でも、そのせいで貴方との約束を守れなかった……。

私が貴方との約束の為にあの施設に行ったら……、あなたはもういなかった……。それで、貴方の事を聞いたら教会に連れて行かれたと聞いて、私は絶句した。

そして、私は教会に行って、いなかったから聞いたら……、『聖女』となっていたのに、『魔女』と呼ばれて異端者として、追放されたと聞いたとき、私は後悔したわ………、何故…、貴方の約束をもっと早く守れなかったのか……、私があの時にあの神父についていかなければこんなことにはなっていなかったのか…と……。

あなたには、私以上に辛い思いをさせてしまったわ……、恨んでもしかたがないわよね。でも、これだけは言わせて。ごめんなさい……。こんな言葉で許してもらえると思っていないけども…、本当にごめんなさい……」

 

そう言って、アリアさんはアーシアに深々と頭を下げた。そして、その体は微かにだが震えていた。

 

アーシアはアリアさんに近づいた

 

「アリアお姉ちゃん…………」

 

ガバッ

 

「えっ…?」

 

アーシアはアリアさんに突然抱きついたのだ…。

 

「アリアお姉ちゃん……。私は大丈夫だよ……。お姉ちゃんの事を恨んでないよ……。寧ろ……、お姉ちゃんにもう一度会えた……、また、お姉ちゃんと会えた………。私は……私は………それだけで……嬉しいの………!」

 

すると、アーシアは涙を流していた。

 

「私は……ね…?あの時…、お姉ちゃんが……帰ってくるって……言ったから…、ずっと……待ってたいました……。でも、いくら待っても…お姉ちゃんは……帰って……こなかった……。何故だろうと思っていたら……、私がお世話になってた施設に神父さん達が大勢きて、私に……、荷物をもってきてくれました……。私は何だろうと……思って、開けたら……。そこに入っていたのは………、お姉ちゃんのお気に入りだった、花の髪飾りでした…………。

その髪飾りは……、血がついていて……、少し赤く染まっていました……。私はどうして…?と…、思っていたら、その神父さん達が頭を下げてきて…、すると、私に髪飾りを渡してくれた、神父さんが『君のお姉さんを救えなかった……、すまない…!』って言って謝ってきました……。

その時に私は理解しました。……お姉ちゃんは死んじゃったんだと……。私は、ただただ泣いてしまいました……。お姉ちゃんがもう二度と帰ってこないと思ったから……。

それから、私は色々あって、この力が目覚めて、『聖女』として、活動していたり、ある時に傷ついた悪魔さんを助けてしまい、『魔女』と言われて追放されたり……、この町にきて、イッセーさんにあって、悪魔になったりと……。本当に辛くて、苦しい事がいっぱいありました。でも、それでも今は、幸せでいっぱいです。……イッセーさんや部長さんと出会って、いっぱいお話しして、学校に通っていっぱいお友達がたくさんできました…!

そしてなによりも…………………」

 

すると、アーシアさんはいったん間をおいて、アリアさんから離れて目を合わせて言った……。

 

「アリアお姉ちゃんともう一度と会えたから!」

 

アーシアのその顔は物凄く笑顔だった

 

「アーシア……!ありがとう…本当に、ありがとう…アーシアぁ…!」

 

「お姉ぇちゃん…!」

 

アリアさんはアーシアに抱きついて涙を流していた。アーシアはアリアを抱き返して涙を流したまま、二人で沢山泣いていた。

 

うぅ~……、良かったね!アーシア…アリアさん!本当によかったよぉ~。ぐすん。

 

「くぅ……、よかったなぁ!アリア…!」

 

そう言ったレイジ兄さんを見ると泣いていた。

 

「アーシアァ…良かったなぁ~……!お兄さんは嬉しいぞーー!!」

 

「うぅ…、アーシア…良かったわね…!」

 

「よかったですわね…!アーシアちゃん…」

 

「アーシアさん……本当によかったよ…」

 

「アーシア先輩……よかったですね…」

 

「うぅ……白音ェ…よかったにゃん……」

 

すると、グレモリー眷属+黒歌の皆が同じように泣いていた。

そりゃ~こんないい事があるのに泣かない人なんていないよね……!

 

それからしばらくして、サーゼクスさんが何名かの近衛兵を連れて駆けつけてきた。そっかぁ~、あれからもう一時間もたったんだねぇー。結構暴れていたから時間を気にしていなかったよ~。

 

「リアス!大丈夫だったかい!?つばさくんも!」

 

「はい。お兄様。私達は大丈夫でしたわ。つばさちゃんに助けてもらえましたので」

 

「そうなのかい?すまないね、つばさくん」

 

すると、サーゼクスさんがお礼をしてきた

 

「別にいいですよ…。当たり前の事をしたにすぎませんしね!それに、リアスさんを助けるのは、サーゼクスさんとの約束ですから!」

 

すると、サーゼクスさんは優しげで安心した顔になった

 

「そうか……、ありがとう…」

 

「おいおい…、サーゼクス…俺も手伝ったんだぜ?」

 

すると、サーゼクスさんはレイジ兄さんの顔を見て目を見開いて固まっていた。

 

「レ…レイジくん!?なんで君がいるの!?外国に仕事をしていたんじゃないのかい!」

 

「してたが、全部終わったんでな、つばさに会いにきたらコカビエルと戦っていたんだから俺も手伝ったってわけさ。」

 

「そうなのかい?すまないね…、君も巻き込んでしまって……」

 

サーゼクスさんの顔は物凄くすまなそうな顔になっていた

 

「ははは!気にすんな!それはお互い様だろ?それに、巻き込まれるのは慣れてるさ…」

 

レイジ兄さんは苦笑しながら答えた

 

「ははは…本当すまないね…」

 

サーゼクスさんも苦笑しながら答えた

 

 

「さて…!みんな!今日はお疲れさま!明日からまた学校よ!」

 

 

こうして、俺達は解散することになった。学校の悲惨な状態を残して……。……ってあれ…?いいの、かな?

……まぁ…いいか……。頑張れサーゼクスさん!!

 

―つばさside out―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―サーゼクスside―

 

ふぅ…、コカビエルが起こした事も驚いたが、それよりも、レイジが来ていたのはもっと驚いたよ…。

でも、相変わらず元気でよかったね。それに、つばさくんも嬉しそうだったし、よかったよ。

それにしても……

 

「この状態は…なんだい……?」

 

僕の目の前には無惨に砕け散った学校と大きなクレーターができたグラウンドがあった。

 

ははは…これを……僕が直すのかい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このあと、サーゼクス達は頑張って学校を直したのだった。

 




さて……、今回でコカビエル編は修了です♪

次回は番外編を書く予定です♪それではまた次回で会いましょう! バイバーイ♪


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9話 番外編 本拠の紹介だね♪

今回ら番外編です。話の舞台は主人公の部隊の本拠地でございます。ここで部隊の仲間達とのふれあいをする、お話です♪
それではどうぞ~


さて……、今日は休日だ。いったい何をしようかな~っと思ってたけども、何もすることがないので俺はとっても暇だ……。てなわけで…!たまには部隊の仲間との交流も大切だよね?

 

 

「さぁーて!やってまいりました!俺の部隊が使っている本拠地に!!」

 

そう…、俺は今はおれの部隊が日本で活動するための本拠地として使っている場所にきているのだ!

日本の京都の山あってかなりの山奥にたててある。さらに、バレないように特殊な結界と【無意識を操る程度の能力】を使って隠しています!

だから、そう簡単はみつからないのですよ!

 

「久しぶりにきましたね、この施設に…」

 

本当…久しぶりだなぁ…。最近忙しかったからなぁ~。アーシア助けたり、焼き鳥野郎をぶっ飛ばしたりしたからなぁ…。それに、なんだか最近…木場祐斗の復讐で聖剣を追ってはいるけども、まぁ…大丈夫でしょうね…!イッセー達がいるし……

そんなことよりも、さっさと入るか…

 

ギギィィィ……バタン!

 

「ただいまぁ~」

 

<はっ!つばさ様!お…お帰りなさいませ!いったい今日はどうしたのですか?わざわざつばさ様が本拠地にくるなんて…>

 

すると、一人の兵士が驚きつつも質問をしてきた

 

「ん~……、何となく……かな?」

 

<何となく…ですか?>

 

「うん。そうだよ?」

 

すると、兵士は短いため息を出したあと、苦笑いになった……。む~…なんだよ~、その反応は~…

 

<相変わらず変わりませんね……、つばさ様は……>

 

「いいもん…!俺はこれだから変わんなくても…」

 

<わかりました…。では、元々貴方の部隊の本拠地なのでですので、ごゆっくりしていってくださいませ。

 

では、これにて失礼いたします…>

 

兵士は軽くお辞儀をしてから、何処かに行ってしまった…。まぁ……、とりあえず歩くか

 

 

今、俺の部隊にいるメンバーは確か……、幻想郷組が、霊夢、魔理沙、アリス、美鈴、レミリア、フラン、咲夜、八雲一家、幽々子、妖夢、慧音、妹紅、因幡てゐ、永琳、うどんげ、蓬莱山輝夜、萃香、幽香、小町、四季映姫ヤマザナドゥ、射命丸文、早苗、勇義、さとり、こいし、お空、茨華仙でぇ~。

他のメンバーは…まぁ~…後程、紹介すると…思うかな?

 

とりあえず、他の人を探すか!

 

俺はトコトコとしばらく歩いていると、目の前に見知った人物達がいた

 

「おぉ~い!霊夢~! 魔理沙~! アリス~! おっ久ぁ~!」

 

すると、目の前にいた三人組が気づいて此方を見た。

 

「あら?つばさじゃない。珍しいわね、貴方がここにくるのって。」

 

「おお?つばさだな!久しぶりにみたんDAZE!」

 

「本当…、久しぶりね。」

 

「うん!久しぶり!三人とも。今日は久しぶりにきました~!」

 

「まぁ、あんたがいつこようが知ったこっちゃないけども、たまには私達の練習相手もしてよね?まぁ…今は幻想郷の仕事の方が忙しいから無理だけどね」

 

「いいですよ?それぐらいわね~。貴方はどうですか?」

 

「お?それはいいな!アリスはどうなんだ?」

 

「私もたまには、稽古をつけてほしいかな?」

 

「わかりました!じゃ~、また今度、あなたちがゆっくりしている時に、弾幕勝負をしましょうね~!」

 

「その時は、喜んで受けてたつわ!」

 

「私もDAZE!」

 

「私もね」

 

「んじゃ!また今度ね~!」

 

こうして、俺は三人と別れて、さらにうろちょろとするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、リビングに向かっている。リビングなら結構人が集まるからね~

 

「誰かいるかなぁ~?」

 

「あ…!お兄様だぁ!!」

 

ダダダダダダ……バフッ!

 

突然、俺の方に走ってきて、胸に飛び込んできた人がいた。

 

「おぉ~、久しぶりだな。フラン!」

 

「えへへ!久しぶり!お兄様。」

 

そう、俺に飛び込んできた人物は、フランドール・スカーレットのフランちゃんだ。

 

「こら、フラン!走りまわっちゃダメっていったでしょ?

それと、久しぶりね。つばさ」

 

「久しぶりですね。レミリアさん」

 

俺の目の前にいたのは、レミリア・スカーレット。フランのお姉ちゃんだ。

 

「え~……、お姉さま~少しくらいいいじゃない!だって、お兄様に久しぶりに会えたのよ?嬉しくて、走っちゃっても、しかたがないわよ」

 

ぶ~っと頬を少し膨らましながら、レミリアに向かって文句を言っていた。相変わらず可愛いなぁ~。フランは…。能力は怖いけど…

 

「まぁ…レミリアも許してやってくれ。たまにはな…。」

 

「むー……わかったわよ。たまには許してあげる。」

 

「本当!やったぁ!ありがとう!お姉様!お兄様!」

 

そう言ったフランは嬉しそうにはしゃぎまわっていた。それを、微笑ましそうにレミリアは見ていた。なんだかんだいいながら、本当フランのことを大事にしているんだなぁ……

 

「うん?おぉ!つばささんじゃないですか!久しぶりですね!」

 

「つばさ様…。お久しぶりにございます。」

 

すると、突然横から二人の声が聞こえてきた。

 

「あ…、咲夜さんに美鈴さん。久しぶりですね。何してたんですか?」

 

「はい!今日は咲夜さんと特訓を先程までしてて、いま終わってひと休憩をしているところです」

 

「へぇ~!鍛練を頑張るのは良いことですね。頑張ってくださいね~!応援していますね~

咲夜さんと美鈴さん!」

 

「はい!ありがとうございます!つばささん。部隊の名に恥じないように頑張っていきます!

それでは、私はまた鍛練をしてきますので!では……!」

 

そう言った美鈴さんはまた鍛練をしに、何処かに向かって走っていってしまった。たぶん、訓練所か外かな?

 

「つばさ様。私も美鈴の鍛練の手伝いをしに行ってまいります。つばさ様もまたいつか、弾幕勝負をお願いできますか?」

 

「それくらい、いつでもどうぞです」

 

そう言うと、咲夜さんは笑顔になった

 

「ありがとうございます。あと、今この本拠地にいるのは、八雲紫様、八雲藍様、八雲橙(ちぇん)様、幽々子様、妖夢様でございます。

あとの方々は幻想郷に帰っていますので、呼べば来るとは思いますが、今はいませんので。

では、私はこれで失礼いたします」

 

そう言った咲夜さんは美鈴のところに行くのだった。相変わらず忙しい人だな~…。でも、そっかぁ~…。殆ど帰っちゃってるんだ~…。まぁ~…、 自由にしていいよって言ったのは、俺だったしね~…。

 

「う~…どうしようか?」

 

「あら?どうしたのよ?そんなにショゲて。」

 

「うーん…、殆ど人がいないな~って思って……………って……え!?………」

 

俺はあわてて後ろを振り向く。そこにいたのは……

 

「二日振りね♪つばさ」

 

紫さんが、隙間から上半身だけを出して、後ろにいた…

 

「!!!!!?」

 

俺は驚きすぎて、声がでなかった

 

「もぉ~…驚きすぎよ?つばさ…」

 

「いや……、気を抜いていたのに突然後ろに人がいたら驚きますよ!?しかも、上半身だけだして!!」

 

「えぇ~、何時ものことじゃない、大袈裟ねぇ~」

 

く……、この人は~……

 

「にしても……、涙目をして驚いているつばさら可愛いわよ…?」

 

すると、ニヤニヤしながら此方を見ていた。って、俺はそんな顔になってるの!?は…恥ずかしい……

 

「うわぁー!見ないでください!!」

 

「あらあら…少しくらいいいじゃない。減るもんじゃないんだし。」

 

いやいや…!?減りますからね!?おもにSAN値が!

 

「紫様…、あんまりイタズラはよしてください。つばささんが困っているじゃありませんか…」

 

すると、紫さんの後ろから声が聞こえてきたと思ったら、そこにいたのは、九尾の藍さんと橙がいた

 

「藍さん、それに橙も、久しぶりですね」

 

「はい。久しぶりですね。つばささん」

 

「つばささん!お久しぶりでしゅ!」

 

俺が挨拶をしたら、二人は笑顔で返してくれた。本当俺の部隊の仲間達はみんな挨拶を必ず返してくれるから、いいわ~…

 

「あら?私は何時も通りのイタズラよ?」

 

すると、藍さんはため息をついてジト目で紫さんを見た

 

「それがいけないのですよ。まったく……いい加減止めてくださいよ……。」

 

「いいじゃない。脅かすのは妖怪のお仕事よ?」

 

「はぁ~……わかりましたよ。でも、少し自重してくださいね?紫様」

 

「わかったわよ」

 

紫さんのその顔は物凄く笑顔だが、同時にイタズラするき満々の顔だった

 

「あらら~?つばさじゃな~い。どうしたの~?こんなところにいて~」

 

「あ…、お久しぶりです。つばささん」

 

あ…、幽々子さんと妖夢だ

 

「お久しぶりです。幽々子さん、妖夢。っていっても、最近会いましたけどね…」

 

俺は苦笑いしながら答えた

 

「そうですね…。あの時の修行に会っていますもんね」

 

「私は~、紫と一緒の時に会っているけどね~」

 

そうですよ~

 

「あ…、そうだ~、紫~今からお風呂入るけども、一緒に行かな~い?」

 

「お風呂?そうね、いいわねお風呂。入りましょうか」

 

お風呂…か…。嫌な予感がするなぁ~…。よし…急いで家に帰ろう……

 

「あら…?つばさ…何処にいくのよ…」

 

ギクッ…

 

「い…いや~…そろそろ帰ろうかなぁ~って思いましてぇ~」

 

「お風呂…一緒に入りましょう?」

 

え…!やっぱり…?

 

「いや…流石に男と一緒に入るのわぁ…」

 

「私はかまわないわよ?藍は?」

 

「私もかまいません」

 

「私も一緒に入りたいでしゅ!」

 

「私は構わないわよ~」

 

「私も久しぶりに一緒にゆっくりと入りたいですね。」

 

そ…そんな!!仲間がいない…だと!?

 

「そう言うことよ…。ほら…一緒に入りましょうか♪」

 

紫さんが笑顔でよってきた…

うぅ~…!

 

「俺が耐えられませんよぉぉぉ…!!」

 

こうして俺は紫さんの能力を使って、全速力で家に帰るのだった

絶対無理だよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら…逃げられちゃったわ…。もう少しだったのに……」

 

 

「紫様もイタズラはよしてくださいとあれほど…」

 

「あら?私は本気だったわよ?籃も満更ではなかったでしょ?」

 

「いや…そうですけど……」

 

「私は一緒に入りたかったです…」

 

「私も久しぶりに一緒に入りたかったわ~」

 

「そうですね…(私は、あの時の修行中の時に一緒に入ったけども…、もう一回入りたかったな~。ゆっくりと…)」

 

「はぁ…しかたないわ…。今日は皆で入りましょうか。次こそはつばさも入れて皆で入るわよ!籃もいいよね?」

 

「はぁ…、ここまで一致ならいいですよ!私も入ります!!」

 

「じゃぁ~決まりね♪次こそはつばさを捕まえてでも、一緒に入るわよ!みんな~!」

 

『お~!』

 

 

 

こうして、仲良く女子同士でお風呂に入ったのだった。

 

主人公の運命はどうなってしまうのでしょうかね…。

 




どうでしたか?くだぐだな話でしたが、こんな感じが、部隊の何時もの風景です。

主人公は紫たちの手から逃れる事は出来るのでしょうか…?
三元神の私はハッキリ言って出来ません!!理由は簡単…、紫の能力から逃れる事なんて出来る訳がありませんから!!


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停止教室のヴァンパイア
1話 夏です!プールです!ハプニングです!


あのコカビエルとの戦いから数日が過ぎた。その数日の間にゼノヴィアがリアスさんの眷属となって、悪魔になっていた。

なんでも、神の不在の事を教会の上層部に話すと、異端の目になり、異端の烙印を押されて追放去れたのを、破れかぶれで悪魔になったそうなのだ。あともう一人いた、イリナさんは、あの時はコカビエルと戦いやられて、気絶をしていてイッセーの家で寝ていたから、偶々あの場にいなくて、神の不在の事は知らないそうだ。

そんな彼女にゼノヴィアは『破壊の聖剣』を俺はアリアさんに預かっていた『祝福の聖剣』をイリナさん渡して、イリナさんはその二つの聖剣と壊れて核だけになった聖剣を合わせて、合計6つの聖剣を教会の方へ持って帰っていったよだった。

 

そんなこんなで今は、部室にいるんだけどもぉ~……

 

 

「冗談じゃないわ!」

 

リアスさんは眉を吊り上げて怒りを露わにしているのだった。

 

「確かに悪魔、天使、堕天使の三すくみのトップ会談がこの町で執り行われるとはいえ、突然堕天使の総督が私の縄張りに侵入し、営業妨害していたなんて……!」

 

なんでも、堕天使の総督…アザゼルがイッセーに接触していたそうなのですよ。しかも、一般市民としてイッセーに悪魔の制約を結ぶふりして近づいていたそうだった。

 

 

「私のかわいいイッセーに手を出そうだなんて、万死に値するわ!アザゼルは神器に強い興味があると聞くし、きっとブーステッド・ギアが目当てね……。でもだいじょうぶよ、イッセー。私が絶対に守ってあげるわ」

 

うん……、なんと言うか、この過保護っぷりがサーゼクスさんと似ていて、本当に兄妹なんだなぁ~って思わされますね……

 

「だいじょうぶだよ、イッセーくん。僕がキミを守るからね」

 

「いや、あの、う、うれしいけどさ……。なんていうか、真顔でそんなこと男に言われると反応に困るぞ……」

 

「真顔で言うに決まってるじゃないか。キミは僕を助けてくれた。僕の大事な仲間だ。それに、問題ないよ。『禁手』となった僕の神器とイッセーくんのブーステッド・ギアが合わさればどんな危機でも乗り越えられるような気がするんだ。……ふふ、少し前まではこんなこと言うタイプではなかったんだけどね。けど、この感じは嫌じゃないんだ……。なぜか、胸のあたりが熱いんだ」

 

「……キ、キモいぞ、おまえ……。ち、近寄るな!ふ、触れるなぁー!」

 

うん……、頑張れ~…イッセー

 

「しかし、どうしたものかしら………。あちらの動きがわからない以上、こちらも動きづらいわ。相手は堕天使の総督。下手に接することもできないわね」

 

確かにねぇ…。でも、大丈夫と思いますよ?だってぇ~…アザゼルですし

 

「アザゼルは昔から、ああいう男だよ、リアス」

 

全員声のした方向へ視線を移すとそこには紅髪の男性がにこやかにほほ笑んでいた。

 

あ…!サーゼクスさんとグレイフィアさんだ

 

「お、お、お、お兄さま!?」

 

リアスさんはかなり驚て慌てていた。

 

「ああ、みんなもくつろいでくれ。今日はプライベートで来ている」

 

「久しぶりですね。サーゼクスさんにグレイフィアさん」

 

「ははは!久しぶりだね、つばさくん。まぁ…私と会ったのは数日ぶりだけどね」

 

「お久しぶりですね。つばささん。お元気そうでなによりです」

 

「えへへ~!元気だけがとりえですからねぇ~」

 

それが、俺ですもん。でも、何しにきたんでしょうか?

 

「お兄さま?ど、どうして、ここへ?」

 

すると、サーゼクスさんは一枚のプリント用紙を見せてくる。

 あれは確か、数日前に配られた――

「授業参観が近いのだろう?私も参加しようと思ってね。ぜひとも妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ」

 

そう、授業参観のお知らせプリントだ。

俺の所は、まぁ~…うん……くるな…絶対……。あの人達は、俺の情報だけは早いんだから知らないはずがないよね……。なんであんなに早いんだろう?どうなってんの兄さんと姉さん達の情報網はさぁ~………

 

「グ、グレイフィアね?お兄さまに伝えたのは」

 

「はい。学園からの報告はグレモリー眷属のスケジュールを任されている私のもとへ届きます。むろん、サーゼクスさまの『女王』でもありますので主へ報告いたしました」

 

「報告を受けた私は魔王職が激務であろうと、休暇を入れてでも妹の授業参観に参加したかったのだよ。安心しなさい。父上もちゃんとお越しになられる」

 

グレイフィアさんが部長の質問に答え、それにサーゼクスさんが答える。

 

「そ、そうではありません!お兄さまは魔王なのですよ?ほっぽり出してくるなんて!魔王が一悪魔を特別視されてはいけませんわ」

 

まぁ…、ごもっともです…。でも、もしかして、それだけが理由ではないと思うんだけどな~。

 

すると、リアスさんの言葉を聞いて首を横に振ったシスコン魔王さま。

 

「いやいや、これは仕事でもあるんだよ?リアス。実は三すくみの会談をこの学園で執り行おうと思っていてね。会場の下見に来たんだよ」

 

「――っ!ここで?本当に?」

 

「あぁ。この学園とはどうやら何かしらの縁があるようだ。私の妹であるおまえと、伝説の赤龍帝、聖魔剣使い、聖剣デュランダル使い、史上最強の部隊の総隊長をやっているつばさくん、魔王セラフォルー・レヴィアタンの妹が所属し、コカビエルと白龍皇が襲来してきた。これは偶然で片づけられない事象だ。さまざまな力が入り交じり、うねりとなっているのだろう。そのうねりを加速させているのは兵藤一誠くん……赤龍帝の力だと思うんだよ」

 

まぁ…確かにドラゴンは強くても弱くても色んな力を呼び寄せてしまいますからね~。

 

『そうそう!つばさに話さないといけけないことがあるのよ』

 

すると、ルーツが突然話しかけてきた

 

話さないといけないこと?なんだろう?

 

(なんです?話って)

 

『神器から出て自由に動けるようになったわ!つまり、自分の新しい肉体を持って、神器から出て自由に動けるようになったってわけなのよ!』

 

(本当ですか!ルーツ!おめでとう!)

 

おぉ…!これでルーツと一緒に遊ぶことができる!!

 

『うふふ、ありがとう、つばさ…。貴方のおかげだわ。あなたのおかげで、神器からでても、自由に動ける肉体を持つことができたわ。本当にありがとう…』

 

ルーツゥ…

 

(お礼を言うのは此方だよ…。ルーツがいたから今の俺がいるんだよ?ルーツがいたから大切な家族を…友達を…仲間を、守れているんだよ…。だから、ありがとう…!そして、これからもよろしくね!ルーツ!)

 

『えぇ…。此方こそ…よろしくね!つばさ!』

 

そのあと、俺はサーゼクスさんとルーツも参加して、色んな話をしていた。その時ルーツはドライグを弄っていた。そのあと、ドライグを何時までケンカをしているのかと、呆れながら怒っていた。その時のドライグの様子は叱られてシュンとした子供のようだった。

へぇ~、ドライグもやっぱり逆らえないんだな~。さすが、ルーツ

 

「さて、これ以上難しい話をここでしても仕方がない。うーむ、しかし、人間界に来たとはいえ、夜中だ。こんな時間に宿泊施設は空いているのだろうか?」

 

おー…もう、そんな時間だったのか~

 

「そ、それなら…」

 

イッセーは自分の家に来ませんか?とサーゼクスさんに言った。そして、そのままサーゼクスさんはイッセーの家に泊まる事になったのだった。

リアスさんのその時の慌てようはスゴかったな~。普段見せない姿って可愛いよね~

 

そんなこんなで、俺達の今日の部活は終り、解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日…、今日は生徒会から頼まれたプール掃除と言うことで、学校のプールに来ています!

 

「さて、今日は私たち限定のプール開きよ!」

 

そう、学校のプールの掃除をする代わりに、俺達オカルト研究部だけ先に使っていいと言われて、今日は皆張り切っているのだ。

 

「さぁ!皆、掃除をする前に水着に着替えてきなさい!」

 

『はい!部長!(リアスさん)』

 

こうして、俺達は男と女に別れて着替えに来たのはいいけど………、イッセーの視線がスゴく気になりますね…。

 

「イッセー…?先に言っときますが、覗かないでくださいね?

もし、覗いてしまった場合はぁ~………」

 

 

俺は右手に忍刀をだした

 

「ソギオトシマスヨ?」

 

俺は笑顔でイッセーに言った。イッセーは何故か顔を青くしてガクガクと下を押さえながら震えていた。

何故です?ただ、笑顔で削ぎ落とすって言っただけだったのに……

 

そして、少しして俺達男子組は着替え終わったので、女子組を待っている。え…?俺の水着?それは……

 

女子用のトランクス型のスポーツタイプで、上は肌に張り付くようなショートタンクトップ。下は普通のパンツ。その上にショートパンツのようなズボンを、一番上のボタンを外した状態で重ねている。

 

この水着は、黒歌さんにプールに行くと言ったら渡された水着なのです。男用の水着ではダメだと言われたので、この女用の水着を着るはめになってしまったのだ。うぅ~…なんでダメなんですかぁ~……、俺は男なんですけどぉ~……

 

「つ…つばさちゃん!グッジョブ……!」

 

気づくとイッセーが鼻血を左手で押さえながら、右手でサムズアップをしていた。

 

「イッセー……死んでください……今すぐに…」

 

イッセーを俺は思いっきり殴ってイッセーを気絶させた。ふぅ~…、スッキリしたんDAZE!キラッ☆

うん…、冗談はここまでにして、女性陣は遅いですね~。うぅ~ん……、このままだと遊ぶ時間がなくなってしまいますし…、俺一人でも掃除しようかな?魔法でなんとかなりますしね

 

「よし!そうと決まれば、そく始めましょうか」

 

「水流波!」

 

俺は水を能力で作り出したあと、プールの中にいれて渦をだした。ついでに浄化の魔法もかけて、汚れや苔を全て洗い流した。そのあと、その水を一滴も残さずに取り除いて、消滅させた。

すると、最初はスゴく汚くて掃除が大変そうだったプールはまるで、新しく新調したプールの様に綺麗になった。ふぅ~……、これで水をはったら完成ですね

 

そのあと、俺はプールに水をはり、女性陣を待った。

 

「「「「お待たせ(にゃ)~」」」」

 

女性陣が来たようですね

 

「ほら、イッセー。私の水着、どうかしら?」

 

 ブッ!

勢いよく鼻血を飛び散らせながら荒い息を漏らすイッセー。はぁー…イッセー、落ち着つこうよ。……って、いつ復活してたのさ…。また轟沈したけども…

 

「あらあら。部長ったら、張り切ってますわ。ところでつばさちゃん、私のほうはどうですか?」

 

「すごく似合ってますよ~。まぁ、少しばかり肌色成分多めで、目のやりどころに困りますけどね~…」

 

「うふふ、それは仕方ないですわ」

 

「イッセーさん、わ、私も着替えてきました」

 

振り向くと、そこにはアーシアと小猫ちゃんも着替えを終えていた。

 

「アーシア、かわいいぞ!お兄さんは感動だ!」

 

イッセーは涙を流し感動に浸っていた。保護者は大変ですね。小猫はイッセーを警戒しながらこっちに近づいてきた。

 

「つばさ先輩…どう…ですか?」

 

「うん!似合ってるよ?小猫ちゃん」

 

うん、学校の水着で白スクだけども、小猫ちゃんとすごく似合って可愛いね

 

「私のはどうかにゃん?」

 

すると、黒歌さんが話しかけてきたのでそっちを向くと……

 

「く…黒歌さん!?どうしたんですか!その格好は!」

 

黒歌さんの水着はV字型のきわどい水着だった。そして、物凄くギリギリだ。……何処とは言わないからね!?///

 

「にゃははは~!つばさのために買ったのにゃん!」

 

うぅ~!これじゃ~、目のやりどころに困りますよ~!何処を見たらいいんですか!

てか、似合いすぎて困るんだけど…

 

「で?似合ってるかにゃん?」

 

「に…似合っていますよ。黒歌さん。エロすぎるけど(小声)」

 

「にゃはは~!そうかにゃん。うれしいにゃん!」

 

そう言った黒歌さんは俺に抱きついてきた。む…胸があたってますよー!///

 

「さて、イッセー?」

 

すると、リアスさんはニッコリ微笑みイッセーに言った。

 

「悪いのだけれど…」

 

「はい?」

 

「アーシアの泳ぎの練習を手伝ってくれないかしら?」

 

「はい。いいですよ。部長!」

 

イッセーは物凄い笑顔で返事をしていた。また変な事を考えているんだろうな~

 

「白音も泳ぎの練習するにゃん!」

 

「よろしくお願いします。姉様」

 

黒歌も白音の泳ぎの練習を見るのか。うん。姉妹水いらずで仲良くしてて、いいですね…。

 

「くぅ~…!ふあぁ~…。天気がいいな~。よし、少し寝たら俺も泳ぐか♪」

 

俺は横になり、少し寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズガァァーン……ビシャァァーン……ズドォォーン……

 

 

んぁ…?なんだか、うるさいですね?いったい何をしているのでしょうか……?

 

俺はあまりのうるささに、起きてしまい、目を開けて見ると、リアスさんと朱乃さんがバトルをしていた。

え…?何してるのでしょうか?

 

 

「朱乃!なんであなたはイッセーの良さがわからないのよ!イッセーだってカッコいいしゃない!」

 

「リアス!つばさちゃんだってカッコいいし可愛いし、そして可愛いわ!とっても可愛いいのですわ!!!リアスの方こそわかっていないわよ!」

 

「なんですって!」

 

あ、あれ?……なんの言い争いをしているのでしょうか?

まぁ……、直に終ると思いますし、放っといても大丈夫……かな?

 

ビシャァァーン…!チュドォォーン!!

 

あ…ダメだ…。プールがもたないな…。しかたない…。無意識を操って止めさせるか…

 

俺はコピー能力【無意識を操る程度の能力】をリアスさんと朱乃さんに発動した。

 

「あれ?私は何をしていなのかしら?」

 

「あらあら?私も何をしていたのでしょうか?」

 

プールの破損を【時を操る程度の能力】で元に戻して無かった事にした。

とりあえず…、一件落着ですね。はぁー…疲れた。

 

「つばさ。お疲れさまにゃん」

 

すると、黒歌さんがペットボトルに入ったスポーツドリンクを渡していた。

 

「あ…、ありがとう。黒歌さん」

 

「にゃははは、別にいいにゃん」

 

俺は、ペットボトルのふたをとってスポーツドリンクを飲んだ。

 

「ゴク…ゴク…ぷはぁ~!生き返るぅ~…」

 

ふ~。よし…!プールに入るぞー!

 

「黒歌さん!小猫ちゃんと一緒に入って皆で遊びましょうよ!」

 

黒歌さんは笑顔になった。

 

「うん!いっぱいつばさと白音と遊ぶにゃん!」

 

ザブーーン…!

 

俺はプールに飛び込んだ。

 

「うひゃ~!つめた~い。でも、気持ちいいなぁ~」

 

「つばさの楽しそうな顔を久しぶりにみたにゃん」

 

「そうですか?」

 

「そうにゃん」

 

まぁ~、確かに最近は仕事ばっかりだったからな~。

 

「それより、遊びましょう?白音ちゃん!黒歌さん!!」

 

「「はい(にゃ)!」」

 

俺達三人は水をかけあったり、泳いだりしていた。途中で朱乃さん、イッセー、木場、リアスさん、ゼノヴィアとも集まってオカルト研究部+黒歌さんと俺を合わせて8人で遊びまくった。

 

 

「そーれ!」

 

「やったわね!リアス!お返しよ!」

 

「にゃははは!」

 

「姉様!変な所を触らないでください!」

 

「むー…、やはり、水着と言うものは変な感じだな」

 

「イ、イッセーさん!?大丈夫ですか!」

 

「イッセーくん?大丈夫かい?鼻血がスゴい出てるよ?」

 

「だ…大丈夫だ、アーシア、木場。問題ない」

 

皆それぞれの遊びをしていた。リアスさんと朱乃さんは水かけをしている。ゼノヴィアは自分の着ている水着を弄っていて、黒歌は小猫ちゃんの胸を揉んでいた。それを見たイッセーが鼻血を出しながら手で押さえて、それを心配そうに見ているアーシアと木場がいた。

 

イッセー…何してるのですか…

 

「ま…、皆楽しめていてるみたいで、いいか」

 

皆の楽しそうな笑顔……。やっぱり平和が一番だね♪

 

 

―つばさside out―

 

 

 

 

 

 

 

 

―イッセーside―

よう!みんな!久しぶりだな!

さて、俺達オカルト研究部は今、学校のプールで遊んでいる。

ちょっと、アーシアの泳ぎの練習を見ていたあと、部長と朱乃さんが戦い始めて、更衣室に逃げ込んだらゼノヴィアに捕まって子作りしようとせがまれたり、そのあと、部長に見つかって説教をくらったりと、色々あったが、今は幸せだ…。

部長と朱乃さんの水のかけあいで、おっぱいが揺れまくっているし、小猫ちゃんのお姉さんの黒歌さんが小猫ちゃんのおっぱいを揉みまくっている。くそ…、あの黒歌さんの水着もエロいが、おっぱいも揉まれて顔を赤くしている小猫ちゃんもエロい……!ぐはぁっ!…鼻血がとまんね~!

 

「イ、イッセーさん!?大丈夫ですか!」

 

「イッセーくん?大丈夫かい?スゴい出てるよ?」

 

すると、アーシアと木場が近づいてきて、心配そうに見ていた。

 

「だ…大丈夫だ、アーシア、木場。問題ない」

 

いや…、実際問題ありまくりだかな…

 

「ふっふふ~♪」

 

すると、隣で鼻歌を歌いながら上機嫌で泳いでいる、つばさちゃんがいた。

つばさちゃんの水着も女用のトランクスだから、容姿と合って、男なのにスゴく似合っているぜ!さすが、『絶世の男の娘(美少女)』と言われるだけはあるな…

 

「し~ろね!少し成長しているみたいだにゃん」

 

まだ、黒歌さんは小猫ちゃんの胸を揉んでいた。

 

「お…!お姉さま……いい加減に……」

 

すると、小猫ちゃんの右手に気のオーラが集まっていき…

 

「してくださぁぁぁい!!」

 

顔を真っ赤に染めながら、気のオーラの塊を放った。

 

「おっと、あぶないにゃん」

 

黒歌さんは綺麗に避けて…、その気の塊は俺の方に飛んできた。

 

「……って!やっべえええええ!?」

 

俺は慌てて泳いで横に逃げた!

 

ガッ!

 

うん?なんかにぶつかったけれども、気にしている暇はないぞ!

 

シュン!ズドォォーン!!

 

あ…あっぶねえええ!!少し顔をかすったけども、なんとか直撃はまぬがれたな……。ふぅ…、汗がスゴいな…。

 

(って……うん?なんだこれ? 水着?いったい誰の……)

 

俺は目の前にいた光景に思わず息を飲んでしまった……。

何故かって?それは……

 

 

「ふぇ…?」

 

 

目の前に上半身裸の少し顔を赤くしたつばさちゃんがいたからだ!

 

「ブハァァァァァァァァァ!!」

 

バシャァァァン!

 

ぐ……はぁ……な…なんて威力だ…!これは……とんでもない深刻なダメージを受けてしまったぜ……

 

「つばさちゃん!早く前を腕で隠しなさい!」

 

すると、部長の叫び声が聞こえた。

 

「え…?俺は男……」

 

「いいから早く!」

 

つばさちゃんは何かを言おうとしたが、部長に気圧されて言えなくなったみたいだ。く……俺はまだ…終わっていない!つばさちゃんの姿を最後まで見るんだぁぁぁ!!

 

「うおおぉぉぉぉぉ!!」

 

ザバァァン!

 

俺は勢いよく水中から上がると……

 

「うぅ…俺は男の子なのにぃ……」

 

腕を組んで胸を隠した状態で、涙目になって更に顔を赤くして此方を見ていたつばさちゃんがいた……

 

『ブハァァァァァァァァ』

 

すると、俺以外のメンバーが皆鼻血を勢いよく噴水の様にだして、倒れた。く……恐るべし……つばさちゃん……。わが人生……一変の悔いなし……ぐはぁ……。

 

 

―side out―

 

 

 

 

 

その日のプールは沢山の人の鼻血で赤く染まったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―つばさside―

うぅ~……!イッセーのせいで変な事が起きてしまいましたよ~!なんか、みんな鼻血を勢いよく出しながら倒れちゃったし…、イッセーなんて、なんかサムズアップしながら沈んでいったし……。

 

はぁ~……しかたないですね……。みんな気絶しちゃっているから、プールから回収しますか。

 

あ……、その前に上を着なくちゃ…。

 

 

こうして、俺は上の水着着たあと、倒れたみんなをプールから回収して、みんなの意識が回復するまで待つことになるのだった……。




と……言うわけで!今回はプール編でした!

さすが…主人公……、恐るべし破壊力だ……。うp主の私が倒れてしまうとはな……。グフゥ…!?

さて…、最後だけキャラ崩壊をちょっとだけしちゃいましたが、たまにやる程度ですので、楽しんでもらえたらいいなー…って、程度で書きました♪

さて、次回は参観日編です!もしかしたら、ルーツや他の古龍種達が擬人化で出てくるかも知れませんし、出てこないかも知れません…。では…、次回で会いましょう!お楽しみに~♪


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2話 参観日って………大変ですね…

さてさて、あのプール事件から少したつ。あの後俺は皆をプールから回収したのはいいけども、いきなり目の前にスキマが現れて、そのままスキマに連れ去られた。

スキマから出ると、そこは俺の家なのだった。あれ?なんで?紫さんは何がしたかったのだろうか

 

 

「うふふ。つばさは相変わらずの反応ね。もう少し驚いてもいいじゃない?」

 

すると、またもやスキマが現れて、今度は吸い込まれるのではなく、紫さん本人が出てきた。

 

「慣れましたからね…」

 

そう…、いったいどれ程このスキマに突然連れ去られたか……

 

「まぁ~、いいわ。それと、堕天使の総督さんが来てたわよ?」

 

堕天使の総督?あぁ~…アザゼルか…

 

「何故です?」

 

「なんだか、今回のことで三陣営の会議をおこなうそうだから、あなたも参加しなさいって。地球連邦軍として。」

 

なるほど…、そう言うことですか

 

「わかりました~。今回はそうしますね~」

 

ふむふむ…、つまり、俺達地球連邦軍は三陣営の中立として参加してくれと言うことですね。

 

「まぁ、私の話はここまでよ。あと、私は少し用事があるから幻想郷に一旦戻るわね?すぐに帰ってくるわ」

 

「わかりました」

 

そう言った紫さんは「じゃ~ね~」と言ってスキマに入って行ってしまった

うん。独りぼっちになっちゃった……。黒歌さんは小猫ちゃんの家にいるから、寂しいな~……

 

「む~……。とりあえず、お風呂に入って寝~よお」

 

俺はそのあと、お風呂に入ってパジャマに着替えてベットに寝転んだら、寝てしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その次の日の朝…何時もの学校です。なんでも、昨日は俺がいなくなったあと、イッセーはゼノヴィアに子作りしようとせがまれて、リアスさんとアーシアが怒っていて、その二人とついでに木場から逃げる様に脱出したらしい。その後、外に出たら出たらで白龍皇と出会ってしまい、戦闘になりかけると思ったが結局なにもなくて終わったみたいだ。

うん…、頑張ったね…イッセー。

 

とりあえず今日の出来事はこんぐらいかな?あとはいつも通りの生活だったし。

それにしても、もうすぐ参観日か~……。誰がくんるだろう?楽しみだけど…、恥ずかしいな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、数日がたち、参観日当日となった。今現在は皆でクラスでワイワイと楽しくお喋りをしている

 

「イッセー」

 

「何か用か?」

 

すると、イッセーの近くにいたゼノヴィアがイッセーに話かけていた。なんだろう?スゴく気になる…

 

そう思った俺はドラゴンマスターになった影響で強化された耳で、聞き耳をたてた。

ついでに、イッセーだけに、古明地さとりの能力【心を読む程度の能力】を使って心の中を見る。

 

「先日は突然あんなことを言って申し訳なかった」

 

「(あんなことって?……あぁ~、子作りのことか)」

 

「やはり、いきなりそんなことは難しいと思う……だからこそ――」

 

すると、もぞもぞとスカートのポケットから何かを取り出すゼノヴィア。

 

「まずはこれを用いて練習をしよう」

 

ポケットから取り出されたモノ――コンドームをイッセーの目の前…机の上に展開する。

 

すると、クラスの全員の視線がイッセーの机の上に集中した。

 

まぁ…普通はそうなりますね……

 

「(そうかそうだよな…、やっぱり最初はそれをつけてから――)」

 

「――って、んなもん出すなぁぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!!何を……何を大衆の前で取出しってんだよ!!」

 

突然の事態に取り乱すイッセー。

 

さっそくクラス中が騒ぎ出したけど、そんなことはお構いなしにゼノヴィアは続ける。

 

「私のいた世界では、これの使用にひと悶着あったが……やはりつけた方が日本のお国柄的にも都合がいいのだと思う」

 

「(そんな事どうでもいいんだよ!!ちきしょー!どうしてこうなった!)」

 

イッセーは心の中でorz状態になっている。イッセー…頑張って

 

「こういうものをこういうところで出すな!!時と場所を考えてくれ!!」

 

訴えるものの、ゼノヴィアは可愛く首をかしげている……わかっていないようですね。

 

てか……、コンドームって何に使うのでしょうか…?俺も詳しくは、知らないですよ…

 

「アーシアたちも使うといい。無計画な性交はお互い傷つくそうだ。男女の関係は難しいね」

 

そう言ってアーシアにコンドームを渡すゼノヴィア。

 

アーシアは『これ』が何に使うのか理解していないらしい。可愛く首をかしげて頭の上に(?)を浮かべている(気がする)。

 

「アーシア、それはね――」

 

わからないままでいいというのに、エロメガネっ娘こと桐生さんが間髪入れずにアーシアに耳打ちした。

 

「……きゅう」

 

あ…アーシアがお顔を真っ赤にして卒倒しちゃった。

 

「(アーシアァァァァァ!?)」

 

イッセーは面では声は出していないが、心の中では物凄い叫んでる。イッセー……叫びすぎだよ……

 

すると、桐生さんがイッセーに訊いる。

 

「でもいいのかな~?ゼノヴィアっちを抱いてしまったら、アーシアが――むぐっ!」

 

「あーあー、桐生さん?それ以上言わないでください!!」

 

 

アーシアは物凄い早さで桐生さんの口をふさいだ。

 

「……もう、アーシア。そろそろモーションかけないと、兵藤が大変なことになっちゃうって言ったでしょ?あいつの周りには強敵ばかり……うかうかしていると、食べられちゃうかもよ?」

 

 

「そ…それでも、言っちゃダメなんです!!」

 

アーシアは桐生さんに言われたけども、顔を真っ赤にしながら言っていた。

 

「(どうしたんだ?アーシアは……)」

 

鈍感な人だな~…。可愛そうにリアスさん…アーシア…。みんなの道は遠いな~

 

 

キーンコーンカンコーン…

 

ガラガラ…ピシャッ

 

「お前ら席につけー」

 

あ…先生が来た。確か…、今日の参観日は英語だったはず。よし…頑張ろっと!

 

 

 

 

 

少し、時が流れて今の授業は英語の時間だ。

いつも以上に気合の入った男性教諭が袋に包まれた長方形の物体を前列の生徒に配っていく。

 

「いいですかー、いま渡した紙粘土で好きなものを作ってみてください。動物でもいい。人でもいい。架空の存在でもいい。いま自分が脳に描いたありのままの表現を形作ってください。そういう英会話もある」

 

『ねぇよ!』

 

クラスの男子が一斉に叫んで否定する。うるさいですね…

 

 

「レッツトライ!」

 

そう言って先生が英語で言った。うぅ~…ん何を作ろうかな~

 

「ほら!早く!つーくんの授業が始まってるわ!早く行かないと終わっちゃう!!」

 

「皐月姉様…、落ち着いてください。まだ始まったばかりですわよ?」

 

「ナツル姉さん!そんなのんびりしていたらダメなのよ!つーくんの初めての学校の初めての授業参観なのよ?これを逃したらダメなんだから!この日の為に作ったこの最高画質でとれるカメラを――」

 

「はいはい、わかったから、落ち着いて二人とも。つーくんが困るじゃない…」

 

「相変わらずのシスコンぶりね…」

 

「貴方もじゃない、ルーツ♪」

 

「う…///」

 

そんな声が聞こえてきた…。あれ…?もしかしてもしかするとお姉ちゃん達が来たの…?

 

ガラガラ…

 

すると、四人の女性が教室に入ってきた。俺は気配でわかるから見なくてもいいが、クラスの人達は一斉に教室に入ってきた四人に目線がいく。

 

 

「スゴく綺麗な人達だな…。誰の親御さんだろうか?」

 

「いや、お姉さんだろう。どうみても。でも、誰の家族だよ…」

 

「つか、あのお姉さん達の体つきがスゲーぞ!!」

 

「本当だ…、ぐへへへ!」

 

「黒髪の人のスリーサイズはB98/W59/H87…だと!く…なんてけしからん!他の人は…(ゴンっ!)ぐえ!?」

 

「元浜!?どうしたんだ!!元浜ぁぁぁ!!!」

 

俺は皆に見えない早さで消しゴムを投げて元浜の意識を刈り取った。ふぅ~…、なんとか潰せたぞ。でも皐月姉さんのスリーサイズがバレちゃったよ……。うぅ~…ごめんなさい…。

 

「ねぇ、見てみて!あの黒髪の人。リアスお姉様や朱乃お姉様と同じプロモーション……いや、それ以上にスゴく綺麗だわ!」

 

「隣の水色の髪の人も負けないくらいのプロモーションだよ!」

 

「それと、銀髪の人…、リアスお姉様や朱乃お姉様…それに、あの人達よりもプロモーションがスゴいわ……。もう…なんだか神々しくて言葉がでない…」

 

「うんうん!それにしても、あの人達の中にいる茶色の髪の人って誰かに似てると思わない?」

 

「あ…そういえば、確かに誰かに似ているわ…」

 

ここまできたらわかるかな?皆俺の家族ってことを……

 

「うぅ~…ん…あ!わかった!」

 

「だれだれ?」

 

「つばさちゃんよ!ほら!特にあの茶色の髪の人と瓜二つじゃない!」

 

『ほ…本当だ~!!』

 

女子たちはかなりざわつき始めた。うん…目立っちゃうね……は…恥ずかしい…です…

 

すると、姉さん達の視線が俺に集まった。

 

「あっ!つーくんいた!お~い、つーく~ん!お姉ちゃん達が見に来たよ~!」

 

「つーくん!優子お姉ちゃんも見に来てあげたよ~!」

 

「はぁ…、ごめんね、つーくん。でも、私がいるから大丈夫よ!」

 

「頑張って、つーくん」

 

その言葉を聞いて、クラスの人達と親御さんまでもが俺に視線を向けてきた。

すると、隣に席に座っていたイッセーが聞いてきた。

 

「なぁ…つばさちゃん。あの人達って…、つばさちゃんのお姉さん達?」

 

「はい…、正真正銘、血の繋がった家族です。そして、全員、俺のお姉ちゃん達なのです」

 

俺の言葉を聞いてクラスの人達と親御さんは固まった。そして、一時の沈黙のあと……

 

『ええええええええええ!?』

 

クラスで大きな絶叫が響いた。うぅ~…うるさいです

 

「す…スゴい!!つばさちゃんのお姉さんに会えるなんて!!私いまなら死んでもいいわ!」

 

「スゴい!スゴいよ!!つばさちゃんの家族は綺麗な人達ばっかりじゃない!」

 

「なるほど…、つばさちゃんに似てる人はつばさちゃんのお姉さんなんだ。と…言うことは双子?」

 

「いいなぁ~。私もあんなお姉さんがいたらな~」

 

「私はつばさちゃんが欲しいわ」

 

『それ、賛成!!』

 

「こんだけ、綺麗な人達がお姉さんなら、つばさちゃんの容姿も頷けるよ…」

 

『うんうん!』

 

「つばさちゃんとお姉さん達がこのレベルって…つばさちゃん達のお母様はどれ程のレベルなんだろう…」

 

『確かに!』

 

女子と男子がかなり騒いでた。

 

すると、男性陣が俺によってきた。な…なんで?

 

「つばさちゃん!お姉さんをください!!」

 

「つばささん!幸せにしますので、お姉さんを一人ください!!」

 

「つばさちゃん。お姉さん貸して!いや、家に嫁にください!そして、つばさちゃん、是非俺の義妹に…!」

 

すると、変態三人組が血相を変えて他の男性を蹴散らしながら来た。

 

「つばさちゃん!お姉さんをください!!エッチがしたいから!」

 

「つばさちゃん!友達なら聞いてくれ!!お姉さんを皆ください!!」

 

「つばさちゃん!あの綺麗なお姉さん達を俺にくれ!!」

 

松田、元浜、イッセーの順番で俺に言ってきた。松田と元浜は論外として、イッセー…あとでこの事を、リアスさんに報告ね……

 

すると、少し離れた席でアーシアが頬を膨らましながら怒っていた。アーシアは可愛いな~。

 

「つばさちゃん!お姉さん……いや…!つばさちゃんをください!!」

 

「お姉さん…!つばさちゃんをボクにください!!」

 

「つばさちゃんのお姉さま!是非ともお宅の妹さんを僕のお嫁に!!!」

 

一斉に男性陣が俺に、お姉ちゃんをくれと言ってきた。てか…最後の三人!可笑しいぞ!! 俺は男だー!

 

「絶対ヤダ!!みんな、席に座ってなさい!!」

 

俺は怒鳴って男性陣をかく席に座らせた。ふぅ…静かになった。

俺は姉さん達の方を見る。すると、姉さん達はニコニコしながら暖かい目で此方を見ていた。は…恥ずかしい!!そんな目で見ないでよ~///

 

そんな事よりもなに作ろうかな?うぅ~…ん。あ…!そうだ!あの人をつ~くろっと!

 

俺は粘土である人達を作ることにした。

 

30分後……

 

よし!できた~!我ながらなかなかの作品ですね。

今、俺の目の前に仲良く手を繋いでいる三人の女性の人形がある。

 

『あ…、つばさ…もしかして、これって……』

 

すると、ルーツの声が頭の中に響くように念話で聞こえてきた。ルーツは俺の作った人形を見て驚いた顔になっていた。

 

(うん…、これはルーツ達の為に作ったやつだよ♪ルーツ、ガイヤ、龍美…。ルーツ達…姉妹の様に仲良くしている三人を人形で作ってみたの!どう…かな…?)

 

『つばさ……、嬉しい…嬉しいわ…!私は…お姉ちゃんわ!嬉しすぎて涙が止まらないわよ…!』

 

すると、後ろでルーツはニコニコしながら涙を流していて、右手に持ったハンカチで涙を拭いていた。

 

(ルーツ…、感動しすぎだよ……。恥ずかしいじゃないか…)

 

『だってぇ~…嬉しいいんだもん…。本当…ありがとうね…つばさ』

 

(どういたしまして!ルーツ)

 

「つ…つばささん!それはいったい…」

 

「あ…先生。これは、俺の家族の何時もの光景ですよ。この光景こそ、家族の究極の形ですかね。これが家族の大切さってやつですよね」

 

すると、先生に親御さんが皆涙を流していた。あ…あれ?どうしたのだろうか…?

 

「素晴らしい!!つばささん!あなたの様な綺麗な心を持った人がいてくれて私は感動したよ!確かに…家族はスゴく大切だ…、つばささんのこの作品こそ、家族の究極の形に違いない!!

皆さん…つばささんの家族を見習って、家族を大切にしてくださいね?」

 

『はい…先生!』

 

なんだか、クラスの人達の心が一つになった気がした。気のせいかな…?

 

その後…、イッセーがリアスさんの像を作った。細かいところまで完璧に再現していたので、ビックリしたのは内緒だ…。

その後…、クラスはそのリアス像をかけたオークション会場とかしたが、イッセーは誰にも売らずに逃げていった。

 

イッセー…、やっぱりお金よりも大事な物なんですね…。もし、お金でその細かいところまで完璧に再現してリアス像を譲っていたら、俺はその程度の心なのかぁ~って叫んで貴方をぶっ飛ばすところでしたよ…。いや~よかったよかった!

 

 

 



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3話 魔王少女様が現れました!

「よくできているわね……まるで、実物をそのまま小さくしたみたいだわ」

 

と、リアスさんがイッセーの作った紙粘土の像を微笑みながら触っていた。

 

「あらあら、さすが毎日部長のお体を見て触っているイッセーくんですわね」

 

「変態先輩…」

 

朱乃さんはニコニコしながら言っていて、小猫ちゃんは毒舌をはいていた。

 

あの授業が終わったあと、昼休みになって現在は、リアスさん、朱乃さん、イッセー、アーシア、黒歌、小猫ちゃん、俺のメンバーで喋りながら、休憩している。

 

ちょっと、お茶を買いに販売機の前にいったら、リアスさんと朱乃さんがいて、その後に黒歌と小猫ちゃんと鉢合わせた。

 

「ところで、部長。サーゼクスさまはいらっしゃったんですか?」

 

イッセーの質問にリアスさんは額に手を当てて答える。

 

「ええ、父も一緒に来たわ」

あ~……、そう言えばサーゼクスさんがそんなことを言ってたね…。

俺の所も大変だったな~。

 

「朱乃さんの所は誰がきたのですか?」

 

「私の所は母様が来てくださいましたわ」

 

あ~、姫島朱璃さんですか。そう言えば最近行ってませんでしたね、朱乃さんの実家に。また今度い~こおっと

 

「そうね、流石にあなたのお父様はこれないものね」

 

仕方ないでしょう、堕天使の幹部のひとりですし

 

「そうですわ。俺もいくぞー!って言ってましたけど、総督様の付き添いで行けなくて、かなり落ち込んでいましたわ。それに、流石に堕天使ですから、あまりこられると迷惑ですし、父様の事ですから絶対テンションが上がってうるさいと思いますわ。」

 

バラキエルさん…ドンマイです…

 

「つばさの所は誰が来たのかしら?」

 

すると、リアスさんが誰が来たのか聞いてきた。

 

「えぇ~と、結城三姉妹と……お付きの人ですね。」

 

あっぶねぇ~!危うくルーツの事をバラしかけた!まだ、ルーツが神器から自由に出れて行動できるなんて言えないからね

 

「そう…、あの人達がきたのね…」

 

「あらあら、大変だったんじゃないですか?」

 

「はい…、そうなのですよ……」

 

本当~、大変だったな~

 

「あの人達は何処に行ったのかしら?」

 

「授業が終わったあと、少し学校回ってくるね~って言って何処かに行ってしまいました」

 

「そう」

 

それから、たわいもない話をしていたら、木場が歩いてきた。

 

 

「あ、部長。それに皆も」

 

木場も飲み物買いに来たのかな?

 

「あら、祐斗。お茶?」

 

リアスさんが訊くと木場は廊下の先を指さす。

 

「いえ、何やら体育館で魔女っ子が撮影会をしていると聞いたもので、ちょっと見に行こうかなと思いまして」

 

魔女っ子?

 

木場の返答に全員首を傾げた。

 

てか、魔女っ子って……。いや…まさか…ね……

 

 

 

 

 

俺達はいま体育館にいる。ここで、例の魔女っ子が撮影会をしているそうだ。

カシャカシャとカメラの音がしているところを見ると木場の言う魔女っ子がいた。

 

あれは確か『魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ』だったな。そのコスプレかにしてもよく似ているな~。

 

てか……あの人って……

 

「なっ!」

 

リアスさんがコスプレの魔女っ子を見て驚いている。

やっぱり気づいた。と…言うことは、俺の見間違いでわないんだね。

 

「オラオラ!天下の往来で撮影会たーいい御身分だぜ!」

 

そんなことを言いながら匙や他の生徒会のメンバーが撮影現場に集まってきた。

 

「ほらほら、解散解散!今日は公開授業の日なんだぜ!こんなところで騒ぎを作るな!」

 

匙の言葉に撮影していた男子は渋々去っていった。残るのは俺たちと匙たちそして、コスプレ少女

 

「あんたもそんな格好をしないでくれ。って、もしかして親御さんですか?そうだとしても場に会う衣装ってものがあるでしょう。困りますよ」

 

「えー、だって、これが私の正装だもん☆」

 

魔女っ子は匙の注意に聞く耳を持たなかった。そして匙の後方の廊下からソーナさんと紅髪の男性二人が近づいてきた。

 

あ…、サーゼクスさんと、グレモリー卿だ。

 

「何事ですか?サジ、問題は簡潔に解決しなさいといつも言って―――」

 

「ソーナちゃん!見つけた☆」

 

魔女っ子は会長を見るなり嬉しそうに抱きついた。

 

ソーナさんに抱きついて、魔女っ子のコスプレをしているということは…、はぁ~…やっぱりセラフォルーさんですか…

 

そう思っているとサーゼクスさんが魔女っ子に声をかける。

 

「ああ、セラフォルーか。キミもここへ来ていたんだな」

 

やっぱりセラフォルーさんだ。

 

「レヴィアタンさまよ」

 

リアスさんの言葉にイッセーは一瞬理解できていない顔をしていた。匙を見てみると同じようだった。

 

あらら?あの二人はわかっていないんだ。てか、匙……、あなたの主のお姉さんは魔王って事を知っているでしょうに。何故気づいていなのですか。

 

「あのお方は現四大魔王のお一人、セラフォルー・レヴィアタンさま。そしてソーナのお姉さまよ」

 

「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッ!?」」

 

イッセーと匙の叫び声がシンクロして体育館にかなり響いてた。

 

「セラフォルーさま、お久しぶりです」

 

「あら、リアスちゃん☆おひさ~☆元気にしてましたか?」

 

相変わらず軽いな~、サーゼクスさん以上に~

 

「は、はい。おかげさまで。今日はソーナの授業参観に?」

 

「うん☆ソーナちゃんったら、酷いのよ。今日のこと、黙ってたんだから!もう!お姉ちゃん、ショックで天界に攻め込もうとしちゃったんだから☆」

 

そんなことで天界に戦争をするなよ!と心の中で思わずツッコンでしまった。

 

「イッセー、アーシア、つばさ。ごあいさつなさい」

 

「は、はじめまして、兵藤一誠。リアス・グレモリーさまの下僕『兵士(ポーン)』をやってます!よろしくお願いします!」

 

「は…はじめまして、アーシア・アルジェントです。私もリアス・グレモリー様の『僧侶(ビショップ)』をやっています!よろしくお願いいたします!」

 

イッセーとアーシアは緊張しながら自己紹介をしていた。

まぁ~、魔王の目の前だからあたりまえか~

 

「はじめまして☆私、魔王セラフォルー・レヴィアタンです☆『レヴィアたん』って呼んでね☆」

 

ピースサインを横向きでチョキにする魔王セラフォルーさま。二人の自己紹介にセラフォルーさんは変わらずの挨拶をした。うん…セラフォルーさんだね

 

「それと、お久しぶりね☆つーちゃん☆」

 

「つーちゃんって……。ゴホン…。お久しぶりですね。セラフォルーさん」

 

セラフォルーさんの挨拶に俺は笑顔でかえす。てか…、つーちゃんって……

 

「むぅ~、“さん”付けはいらないっていったじゃん!」

 

「そ…そんなことをいわれましても…」

 

「あなたは、あの人達の兄弟姉妹なのよ?もっと、フレンドリーでいいの☆だ・か・ら、セラフォルーって読んでね☆」

 

いや…よくないと思うけども……まぁ~仕方ないか……一回だけでも言っとこ

 

「わかりましたよ、セラフォルー」

 

そう言うと、セラフォルーさんは笑顔になった。

 

「うん!よろしい☆なんなら、お姉ちゃんって言ってもいいよ☆」

 

「それだけはやめときます!!」

 

俺は即答で答えた。だってセラフォルーさんにお姉ちゃんって言ったらなにがおきるかわかんないもん

 

「えぇ~、ケチ~」

 

なんですか…ケチって…

 

「ねぇ、サーゼクスちゃん。この子が噂のドライグくん?」

 

セラフォルーさんがサーゼクスさんにイッセーの事を聞いていた。

 

「そう彼らが『赤い龍』を宿す者、兵藤一誠くんだ」

 

サーゼクスさんもちゃん付けなんだね。さすがセラフォルーさんだね

 

「あらあら、グレモリーのおじさま」

 

「ふむ。セラフォルー殿。これはまた奇抜な衣装ですな。いささか魔王としてはどうかと思いますが………」

 

「あら、おじさま☆ご存じないのですか?いまこの国ではこれが流行りですのよ?」

 

「ほう、そうなのですか。これは私が無知だったようだ」

 

「ハハハハ、父上。信じてはなりませんよ」

 

などと会話をしているグレモリー親子とセラフォルーさん。

 

「あの~、部長。なんかすごい軽いノリなんですけど、俺の気のせいですか?」

 

「言うのを忘れていた いえ、言いたくなかったのだけど、現四大魔王さま方は、どなたもこんな感じよ。プライベートの時、軽いのよ、酷いぐらい」

 

ため息を吐きながらリアスさんが言う。うん…。リアスさん、家に来てもこの感じです

 

 

「あら?みんなどうしたの?こんなに集まって」

 

すると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。俺達の視線はその声の主に向いた。

 

そこには、結城三姉妹とルーツがいた。てか、ルーツの衣装がスーツになってる。か…カッコいい!!

 

「あ☆さつきちゃん、ナツルちゃん、ゆうこちゃん!おっ久~☆」

 

「やぁ!久しぶり。さつきちゃん、ナツルちゃん、ゆうこちゃん」

 

「久しぶりだね。さつきくん、ナツルくん、ゆうこくん」

 

 

セラフォルーさん、サーゼクスさん、グレモリー卿の順番で挨拶をした

 

「えぇ、お久しぶりですね。サーゼクス、セラフォルー、グレモリー卿」

 

「お久しぶりです。サーゼクスさん、セラフォルーさん、グレモリー卿」

 

「お久しぶりね。サーゼクス、セラフォルー、グレモリー卿」

 

姉さん達も挨拶をかえした。

 

「お久しぶりです。さつき様、ナツル様、ゆうこ様」

 

「お久しぶりですわ。さつき様、ナツル様、ゆうこ様」

 

すると、リアスさんと朱乃さんも挨拶をする。

 

「えぇ、お久しぶりね。リアス、朱乃。うちのつーくんがお世話になってるわ。ありがとう」

 

「いえいえ、さつき様。むしろ私達がお世話になっておりますわ。ねぇ?朱乃」

 

「えぇ、そうですわ。つばさちゃんにはスゴくお世話になって、助かっておりますわ」

 

「そう?ならいいけど」

 

「お姉様、心配なのはよろしいですが、つーくんもこれでも、男の子ですのよ?しっかり、やるときはやりますわ」

 

「そうそう。私達の可愛い弟だよ?あの兄さん達と違ってしっかりしてるんだから。人様に迷惑をかけるわけがないじゃない」

 

うぅ~…そんなこと言わないでよ~。恥ずかしい…

 

「そうですよ?つばさちゃんはスゴく優しくて頼りになる可愛い男の子ですわ」

 

「そうですわ。リアスの言う通り、みんなの弟なのですよ?学校でもそう呼ばれていますわ」

 

え…ちょ!朱乃さん!

 

「あら?そうなの?まぁ、あたりまえか、つーくんだもの…。ねぇ~?」

 

「「そうそう」」

 

ちょ…!なんですか!!それはー!お姉ちゃんたち…泣いちゃうよ?俺~…

 

「さつき、つーくんが困ってるにゃん。そろそろ、弄るのやめてあげてにゃん」

 

黒歌さぁ~ん……!ありがと~…

 

「あら、そうなの?なら、やめてあげましょうか」

 

ふぅ~、やっと終わったぁ~……うん?

 

気づくと、魔王とグレモリー卿とリアスさん、朱乃さん、黒歌さんを除いた他のメンバーがポカーンとしていた。

あ…忘れてた

 

「あ…あの、サーゼクスさま?その方々はどちら様でしょうか?」

 

すると、ソーナさんがサーゼクスさんに姉さん達の事を聞いていた

 

「そういえば、君達は知らなかったんだよね。

この方々はつばさくんのお姉さん達だよ。そして、地球連邦軍の其々の部隊の総隊長をやっていて、私達魔王の数少ない親友さ!」

 

『ええええええええええええええええええええええええええ!?』

 

サーゼクスさんの言葉にリアスさんと朱乃さん以外のメンバーの叫び声がかさなった。でも、イッセー、アーシア、ゼノヴィアは授業で驚いていたから姉ってことには驚いていなかったけど、魔王の親友ってことに驚いているようだ。

 

まぁ…そうなるね~、普通わさ~。俺だって兄さん姉さん達が魔王とお友達だなんて聞いたとき同じ反応したくらいだもの~。

 

「え?え!あ…あなたが、つばささんのお姉さん達ですか!?」

 

ソーナさんが物凄く驚いた顔さつき姉さんに聞いていた。

 

「えぇ、そうよ。自己紹介が遅れたわね。私の名前は結城皐月(さつき)。この中で長女よ。よろしくね」

 

「次は私ですね。私の名前は結城ナツル。次女です。よろしくお願いしますね」

 

「最後は私ね!私の名前は結城優子。三女だよ!あとあと、つーくんの双子の姉だよ!よろしくね~」

 

「よろしくお願いします。私の名前はソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主で、魔王セラフォルー様の妹です。よろしくお願いします」

 

「「「よろしくね。ソーナちゃん」」」

 

ソーナさんが自己紹介をしたあと、匙、イッセー、木場、ゼノヴィア、アーシア、小猫の順番で挨拶をした。

 

「ところで、隣にいるスーツをきた綺麗な女性は誰かな?」

 

すると、サーゼクスさんがルーツの事を姉さんに聞いてきた。

 

俺は念話で姉さん達に言った

 

(ルーツの事はまだバラさないでね?三大勢力の会議の時に言うから)

 

(わかったわ)

 

「この人は私達の護衛ですわ、サーゼクス。流石に護衛なしでは、これないからね」

 

さつき姉さんがそう答えた

 

「うん?そうなのかい?なら、心配はいらないね。確かに強そうだ」

 

「でしょ~!私達が選んだ人何だから、強くてあたりまえ」

 

「ははは!そうなのかい。なら、強くてあたりまえだね」

 

なんとか、サーゼクスさんにバレなくてよかった

ふぅ…どっと疲れたぜ~

 

その後は、みんなでワイワイと楽しく話をしていた

 

「ソーナちゃん、どうしたの?お顔真っ赤ですよ?せっかくお姉さまである私との再会なのだから、もっと喜んでくれてもいいと思うのよ?『お姉さま!』『ソーたん!』って抱き合いながら百合百合な展開でもいいと思うのよ、お姉ちゃんは!」

 

そう聞こえた俺は、ソーナさんとセラフォルーさんの方を見ると、ソーナさんがセラフォルーさんに触られていて、顔が真っ赤になっていた。そして、シスコン魔王、セラフォルーさんの百合百合な展開はソーナさんにとっては凄まじいほどの難易度だ。

てか、俺も嫌だね…。さすがに…

 

ソーナさんは遺憾そうな表情で言う。

 

「………お、お姉さま。ここは私の学舎であり、私はここの生徒会長を任されているのです。いくら、身内だとしてもお姉さまの行動は、あまりに………。そのような格好は容認できません」

 

「そんなソーナちゃん!ソーナちゃんまでそんなこと言われたら、お姉ちゃん悲しい!お姉ちゃんが魔法少女に憧れているって、ソーナちゃん知っているじゃない!きらめくスティックで天使、堕天使まとめて抹殺なんだから☆」

 

「お姉さま、ご自重ください。魔王のお姉さまがきらめかれたら小国は数分で滅びます」

 

セラフォルーさんはソーナさんを溺愛してる。だから、コカビエルのときこの人が来ていたら戦争になっていたんだろうな。確実に……。そうなったら町は無くなってたろうな~。おぉ~怖い怖い

 

「うぅ、もう耐えられません!」

 

すると、いつも冷静なソーナさんが耐えられなくなり、目元を潤ませてこの場を走り去っていく。

 

「待って!ソーナちゃん!お姉ちゃんを置いてどこに行くの!」

 

「ついてこないでください!」

 

「いやぁぁぁん!お姉ちゃんを見捨てないでぇぇぇぇぇぇっ!ソーたぁぁぁぁん!」

 

「『たん』付けはお止めになってくださいとあれほど!」

 

そしてシトリー姉妹の追いかけっこ。それにしてもソーナさんも苦労してるんだな~

 

俺は心の底からソーナさんに同情した。頑張れ…ソーナさん

 

「か、会長!」

 

取り残された匙は、オロオロとしていた。すると、サーゼクスさんが匙の肩を叩いた

 

「匙くん、君の主を追いかけてあげなさい。きっと、彼女だけじゃ大変だろうから、主の為に君が側にいてあげなさい」

 

「サーゼクスさま…。はい!ごめん、イッセー。会長を追っかけてくる!」

 

そう言った匙は走ってソーナさんの走った方向に行った

流石だね、サーゼクスさん

 

「うむ。シトリー家は平和だ。そう思うだろ、リーアたん」

 

「お兄さま、私の愛称を『たん』付けで呼ばないでください……」

 

それを聞いたサーゼクスさんは、“そんな…リーアたんが反抗期だなんて…”とショックをうけていた。

そして、リアスさんのお父さんもリアスさんの怒った顔を撮って感無量になっていて、相変わらず平和だな~、そしてたいして、俺の家にいる時と変わらないんだな~と思った俺がいた。てか、この人達が変わってるのってあるのかな?

 

「楽しそうね~。つーたん♪」

 

「皐月姉様…。つーたんってなんですか…つーたんって…。止めてください」

 

「えぇ~、可愛いのに~。……むぅ~、なら……つばたん!」

 

「その○バたんみたいな感じのは、もっと止めてください!!いろいろダメですから!!!」

 

「えぇ~…」

 

その後、イッセーの両親が来てサーゼクスさん達は何処かに行ってしまった。その後、姉さん達と別れて、俺はリアスさん達と一緒に部室に戻った。




どうでしたか?久しぶりに、主人公の家族をだしました。

さて、次回は引きこもり眷属ですね。では、また次回でお会いしましょう。バイバーイ♪(⌒∇⌒)ノ


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4話 もう一人の『僧侶』と出会います

俺たちは旧校舎一階の「開かずの教室」の前にきている。話を聞くとここにもう一人の『僧侶(ビショップ)』がいるらしい。何故封印されているか訊いたら能力が危険視されリアスさんにも扱えないということで上から封印するように言われたらしいが、ここ最近のグレモリー眷属の活躍が上に評価され、いまなら扱えるだろうと判断したのか、解禁されるようになったが、どうやらその子は引きこもりらしくリアスさんはそのことにため息を吐いていた。

 

部屋の前には『KEEP OUT!!』のテープが幾重にも張り廻られていて、呪術的な刻印も刻まれている。そのせいで、不気味さが醸し出している。

 そして、いまはリアスさんがそれらを解除している最中だ。

 

「そこまで厳重にするほど、危険なんですか?」

 

「確かに能力は危険なのかもしれないけど、本人自体は危険とは程遠い人格よ。ただ、外に出るのを極端に嫌うのよ……」

 

イッセーがリアスさんに聞いていた。にしても、引き篭もり眷族か~。

 扱いが大変そうだな、それは……。

 

「――さて、開けましょうか」

 

 話している間に刻印も消え去り、リアスさんが扉を開く。

 

「イヤァァァァァァァァアアアアアアアアッ!」

 

 それと同時に、教室の中から悲鳴が聞こえてくる!

だが、リアスさんも朱乃さんも、特に驚いた感じはなく、平然と中に入っていく。まさか、開けるといつもこうだとでもいうのでしょうか?

 

「ごきげんよう。元気そうで良かったわ」

 

「な、な、何事ですかぁぁぁぁ!?」

 

「あらあら。封印がとけて、もうお外に出られるのです。さあ、私たちと一緒に出ましょう?」

 

 朱乃さんがいつも以上に優しい声音で話しかける。

 

「いやですぅぅぅぅぅぅ! ここがいいですぅぅぅぅぅぅ! 外に行きたくない! 人に会いたくないぃぃぃぃっ!!」

うん…、かなりの重症ですね。ここまできたら、もうだめだね~。

それにしてもこの怯えようは……。この子の過去に何か人間関係でトラウマになるような事が会ったのでしょうか?

 

そして、俺達は部屋の中に入った。

部屋の中はカーテンが閉め切られていて薄暗い。だけど、装飾の方は可愛らしくぬいぐるみなどが置かれており、完全に女の子の部屋だった。

 

部屋の奥に棺桶が一つ、装飾としては相応しくないものだった。

すると、部屋の中央に金髪で赤い双眸をした美少女が震えていた。その子は『人形』と形容しても違和感がないくらいの容姿だ。

 

「(もしかしてこの気配……、吸血鬼(バンパイア)?)」

 

そう…、目の前で震えている子からバンパイア…吸血鬼の気配が感じられる…。でも、いままで会ってきた吸血鬼の中では断然に弱い力を感じられ、微かにだが人間の気配と匂いもする。

 

これらから察するに目の前で震えている子は、人間と吸血鬼のハーフということになりますね。

 

 

リアスさんは震えている『僧侶』の子に近づいてしゃがんで喋っていた。

その『僧侶』は床に力なくへたりと座り込んでおり、リアスさん達から逃げようと震えながら構えていた。

 

「おおっ!!女の子!しかも外国の!」

 

イッセーがその『僧侶』を見るや否や、予想通りの反応を示した。

変態め…

 

「(それにしても…、女の子…なのか?なんだか、違和感が感じるんだけど……。気配的には男の子なんだけどな~)」

 

「見た目が女の子だけれど、この子は紛れもない男の子よ」

 

俺がそんなことを思っていると、リアスさんが正体を暴露していた。

そして、その言葉を聞いた瞬間イッセーが凍結した。

 

「いやいやいや、どう見ても女の子ですよ。部長!」

 

コンマ数秒後、凍結から回復したイッセーは突っ込む。

 

「女装趣味があるのですよ」

 

朱乃さんからの補足という、イッセーにとっての『死刑宣告』が下った。

 

「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええッッ!!!!」

 

「ひぃぃぃいいッッ!!ごめんなさいごめんなさぁぁぁいッッ!!」

 

イッセーの悲痛な叫びに『僧侶』の子は大きな悲鳴をあげていた。

 

「こんな残酷な話があっていいものか………。完全美少女な姿で………男だなんて………チ〇コがついてるんだなんて」

 

イッセー……

 

「………下品な単語禁止です」

 

本当、イッセーは変わらないね…

 

「女装趣味ってのがさらに残酷だ!似合っている分、余計に知った時のショックがでかい!引きこもりで女装壁かよ!誰に見せるための女装ですか!?」

 

「だ、だ、だって、女の子の服の方がかわいいもん」

 

「かわいいもん、とか言うなぁぁぁぁ!クソッ!アーシアとお前のダブル金髪美少女『僧侶(ビショップ)』を瞬間的とはいえ、夢見たんだぞ!?返せよぅ!俺の夢を返せよぅ!]

 

「人の夢と書いて、儚い」

 

小猫ちゃんの鋭い言葉がイッセーに突き刺ささる。

 

「小猫ちゃぁぁぁぁん!シャレにならんから!」

 

「と、と、と、ところで、この方は誰ですか?」

 

「あなたがここにいる間に増えた眷族よ。『兵士(ポーン)』のイッセー、『騎士(ナイト)』のゼノヴィア、あなたと同じ『僧侶(ビショップ)』のアーシアに、悪魔側の協力者であるつばさちゃんよ」

 

「「「よろしく」」」」

 

俺達はいまだ震えている引きこもり眷属の子に挨拶をした。そして、その本人は「ヒィィィィ!人がいっぱい増えてる!」と、重傷間違いなしの様子を見せた。

 

「お願いだから、外に出ましょう?ね?もうあなたは封印されなくてもいいのよ?」

 

リアスさんが優しく言うが――。

 

「嫌です!!僕に外なんて似合わないですぅぅぅぅ!怖い!どうせ、僕が出てっても迷惑をかけるだけですぅぅぅ!!」

 

「ほら、部長が出ろって言っているだろ」

 

 イッセーが引き篭もり眷属の手を掴んだときだった。

 

「ヒィィィィ!」

 

 引き篭もり眷属の叫びと共に部屋の空気がガラリと変わって、イッセーの動きが完全に停止した。

 

「ん…?これって…」

 

気づくと、他の人達も動きを止めていた。ふ~ん…。咲夜さんと同じ能力なのかな?

 

「あら?貴方は動けるのね。さすがね」

 

「うふふふ、さすがつばさちゃんですわ」

 

すると、リアスさんと朱乃さんの声が聞こえてきた。

 

「あ、リアスさんと朱乃さんは動けるのですね」

 

「ええ、私達は何度も止められたおかげか、まだこの子がこれくらいの力をだしただけなら動けるようにはなっているわ。でも、流石にこれ以上は無理だけどね」

 

なるほど~。慣れって怖いですね

 

「つばさちゃんは何故動けるのですか?」

 

すると、朱乃さんが聞いてきた。

 

「う~ん…簡単に説明すると~、仲間の一人に時を操る能力を持った人がいて、その人と模擬戦をやってるうちに、慣れてしまい動ける様になってしまいました。」

 

それを聞いたリアスさんと朱乃さんは顔が苦笑いになっていた。

あれ?なんで?

 

「流石つばさちゃんね。本当…あの人達の兄弟姉妹だわ」

 

「えぇ、さすが結城家の兄弟姉妹ですわ」

 

うぅ~、なんかバカにされてる気がするけども、いいや~

 

「さて、とりあえず…」

 

俺は女装少年の所に近づいた

 

「ヒィィィィィ!!な、何で動けるんですかぁぁぁ!!?」

 

「う~ん…、慣れですね」

 

「え…えぇぇぇぇええ!?そんなのありですかぁぁぁ!!」

 

なんかスゴい驚かれた。なんでだろう?←(わかれよ!!)

 

「ヒィィィ!!怖いですぅぅぅぅぅ!」

 

すると、女装少年は叫びながらイッセーから離れて、部屋の隅に移動し震えている。

そういえば、神器の中に時間を止めるものもあったよね?この子もその類かな?

 

「ねぇ、リアスさん?この子は――」

 

「ええ。この後、イッセーたちにも説明するから、そのときにしましょう」

 

すると、時が動き出した。変な空気も元に戻り他の人達も動き始めた。

 

「あれ? いま……」

 

「……なにかされたのは確かだね」

 

 イッセーやゼノヴィアは驚いていたが、木場たちは当然知っているのだろう。ため息はついたものの、特に反応はなかったからね。

 

「怒らないで! 怒らないで! ぶたないでくださぁぁぁぁいッ!」

 

あんなに過剰に反応しているということは…、やっぱり過去に何か酷い事をされていたんだろうね……。

 

「その子は興奮すると、視界に映したすべての物体の時間を一定の間停止することができる神器を持っているの」

 

すると、リアスさんが説明をしだす

 

「ただ、彼は神器を制御できないために、ここに封じられていたのです」

 

朱乃さんが補足を言った。なるほど…だから封印されたと言うことですね

 

「この子はギャスパー・ラウディ。私の眷族『僧侶』。いちおう、駒王学園の一年生なの。――そして、転生前は人間と吸血鬼のハーフよ」



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5話 うん……頑張れ…ギャスパー……

「停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)?」

 

イッセーがリアスさんの言葉に疑問を持って言う。

 

俺たちは部室でハーフヴァンパイアこと『女装ギャスパー』の今後について話し合っていた。

 

「そう。それがギャスパーの持っている神器の名前。とても強力なの」

 

今は、イッセー達の新米はギャスパーのことがわからないのでリアスさんが説明してくれている。

 

「しかし、そんな強力な神器を持った奴をよく部長の下僕にできましたね。しかも駒ひとつ消費だけで済むなんて」

 

イッセーの言葉に部長さんは一冊の本を出現させあるページを俺たちに見せた。

 

「『変異の駒(ミューテーション・ピース)』よ」

 

リアスさんがそう言うと木場が答える

 

「通常の『悪魔の駒』とは違い、明らかに駒を複数使うであろう転生体が、ひとつで済んでしまったりする特異な現象を起こす駒のことだよ」

 

「だいたい上級悪魔の十人に一人は持っているのよ。私は運よく一つ有していたの。それをギャスパーに使ったわ」

 

なるほど…、そういえばサーゼクスさんが、上級悪魔には一つ変異の駒があるんだよって言ってましたね。

 

「問題はギャスパーの才能よ」

 

「部長、どういうことですか?」

 

「彼は類希な才能の持ち主で、無意識のうちに神器の力が高まっていくみたいなの。そのせいか、日々力が増していってるわ。上の話では将来的に『禁手』へ至る可能性があるという話よ」

 

ふ~ん…。なるほど、なるほど…。だから、あの時リアスさんは『まだこの子がこれくらいの時の力をだしたなら動けるようにわなったわ。でも、流石にこれ以上は無理だけどもね』なんて事を言ってたんだね。

 

確かに『停止世界の邪眼』なら、どんなものでも時を止める事ができますもんね。それが、感情の高鳴りで神器の制御ができていないのなら、封印されてもおかしくありませんでしたね。

 

「…………うぅ、ぼ、僕の話なんてして欲しくないのに………」

 

俺の近くには段ボールが置かれておりその中にギャスパーがいる。

 

「私や朱乃は三すくみのトップ会談の会場打ち合わせをしてくるから。それと祐斗、お兄さまがあなたの禁手について詳しく知りたいらしいから、ついてきてちょうだい。つばさとイッセー達はギャスパーをお願いね」

 

「了解しました」  

 

そして俺達でギャスパーの引きこもり脱出計画が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、走れ。デイウォーカーなら日中でも走れるはずだよ」

 

「ヒィィィッ!デュラダルを振り回しながら追いかけてこないでぇぇぇぇぇッ!」

 

夕方の時間帯でゼノヴィアがデュランダルを振り回しながらギャスパーを追いかけまわしている。ゼノヴィア曰く「健全な精神は健全な肉体から」らしく、ギャスパーを鍛えることに決めたらしい。

 

まぁ~、確かに悪魔に大ダメージを受けるデュランダルならば、逃げる以外ないですが、吸血鬼も光が弱点なので、たとえハーフだとしても、半分は吸血鬼の血が流れているから、当たると普通の悪魔と比べてダメージが悪魔と吸血鬼の影響で1.5倍になってしまいますよ?

まぁ、そのおかげで?ギャスパーも必死にトレーニングに励んでくれているからよしとするかな。

 

でも、危なくなったらさすがに止めなくてはいけませんね。それに引きこもりに無理やり何かをさせるのもいいことだし、ちょっとこのままにしておきましょうか。

 

「………ギャーくん、ニンニクを食べれば健康になれる」

 

「いやぁぁぁん!小猫ちゃんが僕をいじめるぅぅぅ!」

 

小猫ちゃんはニンニクを持ってギャスパーを追いかけていた。

それにしても珍しいね、小猫ちゃんがギャスパーをいじめているなんて…仲が良いからかな?

 

「おーおー、やってるやってる」

 

そこへ、軍手をし花壇用のシャベルを持っているジャージ姿の匙がいた。

 

「おっ匙」

 

「よー、兵藤、つばさちゃん。引きこもり眷属がいるとかって聞いてちょっと見に来たぜ」

 

「ああ、あそこだ。ゼノヴィアに追い掛け回されているのがそうだぜ」

 

「おいおい、ゼノヴィア嬢、伝説の聖剣豪快に振り回しているぞ?いいのか、あれ。おっ!てか、女の子か!しかも金髪!」

 

「残念、あれは女装少年ですね」

 

俺が真実を教えると匙はガッカリして地面にたれていた。

 

「そりゃ詐欺だ!てか、女装って誰かに見せたいためにするものだろう?それで引きこもりって矛盾すぎるぞ。難易度が高いなぁ」

 

「それは俺も思ったよ。本人によるとかわいいからだそうだ。そういえば匙、お前見た感じ花壇の手入れしているような格好だけど仕事しなくていいのか?」

 

「ちょっと見に来ただけだよ。すぐに戻らなきゃならねぇし、それに今度魔王さま方もここにいらっしゃる。学園をキレイに見せるのも生徒会の『兵士(ポーン)』たる俺の仕事だ」

 

匙は胸を張って言った。でも、それって雑用じゃ…。まぁ、本人がいいのだから別にいっか……

 

「へぇ。魔王眷属の悪魔さん方はここに集まってお遊戯しているわけか」

 

俺たちは声のした方へ振り向くと浴衣を着た男性アザゼルがいた。

 

「アザゼル……ッ!」

 

「よー、赤龍帝。あの夜以来だな」

 

 イッセーが逸早く反応する。

 そう。いま俺たちの前にいるのは堕天使側のトップ、アザゼルだ。

俺以外の他の皆はアザゼルの登場に、この場の全員が構えをとる。イッセーと匙も神器を出現させる。

まぁ…、俺は別に構えをとるつもりはないですがね~

 

 

「やる気はねぇよ。ほら、構えを解きな。そこの人間の方がよくわかってるぜ。おまえたち下級悪魔くんたちが束になっても俺に勝てないのはなんとなくわかるだろう?まあ、コカビエルを倒したっていう人間ならどうか知らねぇけどな。それより、聖魔剣使いはいるか? ちょっと興味があったんだが」

 

 全員構えを解くことない中、イッセーが答える。

 

「木場ならいないさ! 木場を狙っているならそうはさせない!」

 

「まったく……。おまえじゃまだ相手にならねぇっての。はぁ~、たく、めんどくせーな」

 

アザゼルは面倒くさそうにしていた。

 

「あっ…。アザゼルじゃん。お久しぶり~」

 

「おう、つばさ。直接会うのは久しぶりだな」

 

俺の言葉に全員がビックリした表情となる

 

「つ、つばさちゃん!?アザゼルの事を知ってるのか!?」

 

すると、イッセーが叫びながら聞いてきた。

 

「知ってますよ?てか、仕事の関係でちょくちょく会ってますしね。兄さんがこの堕天使の総督と友達ですからね。それに、兄さんはこの人だけではなくて、天使長に四大魔王様たちともお友達ですしね~」

 

俺の言葉にさらに驚かれた。まぁ、あたりまえか

 

「な!?ま、マジかよ……」

 

あはは~、まぁ~がんばれーイッセー。

 

「ふはは!それが結城家の人間だからな。それと………」

 

「そこで隠れてるヴァンパイア、『停止世界の邪眼』の持ち主なんだろ?そいつは使いこなせないと害悪になる代物だ。五感から発する神器は持ち主のキャンパシティが足りないと自然に動き出して危険極まりない」

 

アザゼルが木の裏に隠れていたギャスパーに向かって叫んだ。

 

「そしたら、そこの悪魔くんの『黒い龍脈』をヴァンパイアに接続して神器の余分なパワーを吸い取ってやれよ。それで発動すれば暴走も減るだろう」

 

「……お、俺の神器はそんなこともできたのか?今まで単にパワーを吸い取って弱らせるだけかと……」

 

それを聞き、アザゼルは呆れた様子でため息をついた。

 

「ったく、これだから最近の神器所持者は。自分の力をろくに知りもしないで振りかざす。そいつは五大龍王の一匹、『黒邪の龍王』ヴリトラの力を宿してる。まあ、これは最近の研究でわかったことなんだそいつは…どんな物体にも接続することができて、その力を散らすことができるんだよ。短時間なら、持ち主側のラインをほかの者や物に接続することだって可能だ」

 

それを聞いた匙は、少し考えるそぶりを見せていた。

 

「追加だが、それは持ち主の成長次第でラインの本数も増やせる。そうすりゃ、吸い取る力も倍々だ」

 

追加の情報を聞いた匙が固まってしまった。

 

「それとだが……一番早い方法として、赤龍帝を宿した者の血を飲むことだ。ヴァンパイアに飲ませておけば力がついてくるさ。ま、あとは自分たちでやってみろ」

 

アザゼルはそう言い残して立ち去ろうとしたが、すぐ立ち止まってこっちを振り向いた。

 

「ヴァーリ――うちの白龍皇が勝手に接触して悪かったな。さぞ驚いただろう?なーに、あいつは変わっているが、すぐに赤白ライバル対決をしようってわけじゃない。それに…、もし二天龍の戦いを始めようっていうのなら、そいつらが動くだろうがな」

 

アザゼルは俺に指を指しながら言った。

 

「確かに、俺達が動くでしょうね。だって、それで世界を壊されたらたまったもんじゃありませんもん」

 

「ハハハハ!ま、そう言うこった。これで俺は失礼するぜ。今度は三大勢力の会議でな」

 

そう言うと、アザゼルは今度こそこの場から去っていった。

 

「さって、とりあえず訓練再会しようか。突然の邪魔は入ったけど、情報も手に入ったことだ。試してみようぜ」

 

 アザゼルが消え、緊張のとけたみんなにイッセーは指示を出しながら、匙にも協力してもらい訓練を再開した。

 

まぁ、なんだかんだいって、アザゼルは優しい人だから大丈夫ですよ?イッセー。じゃないと、神器の情報なんてなあんなにベラベラと言わないしね~。

 

そのあと、イッセーの血は飲まなかったけど、匙に力を吸収されながら訓練は続き、夜になるまで続いた。

 これなら、また極度の引き篭もりに戻らなければ上手くいくだろうね。思ったより順調に進むかもしれないね。

とりあえず、頑張れ…ギャスパー………



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6話 姫島朱乃とアスカロン

皆さんお待たせしました。
さて、今回はミカエルさんがアスカロンをわたすシーンですね。それではどうぞです♪


昨日のギャスパーの練習から、次の休日…俺――兵藤一誠は、とある場所へ向かっていた。

 

朱乃さんに呼び出されたんだ。部長も用事が終わり次第、向かうと言っていた。何の用事だろうか?エッチな妄想が膨らむが、部長が後から来ることは…エッチな展開は皆無に等しいだろうな。

 

そして、視界に入ってきた石段。その石段が伸びる先には――赤い鳥居が大きく構えていた。

 

そう!俺のいる場所は神社の前なんだよな。

 

少し登っていくと、一人の人影が見えた。その人影は………

 

「いらっしゃい、イッセーくん」

 

「あ、朱乃さん?」

 

そこには巫女衣装を身にまとった朱乃さんの姿があった。

 

俺は石段を上りきり、朱乃さんの横に立った。

 

「ゴメンなさいね、イッセーくん。急に呼び出してしまって」

 

「あ、いえ。俺もやる仕事がなくてヒマだったりしたんで。でも、何の用でしょうか?それと、部長が後から来るそうなのですけど……」

 

「ええ、知ってますわ。リアスは会談の件でサーゼクスさまと最終的な打ち合わせをしなければいけませんから」

 

大丈夫なのかな?朱乃さんは部長の『女王』なのに?

 

「だいじょうぶですわ。あちらはグレイフィアさまがフォローしてくださるでしょう?それよりも私は本殿でお待ちしておられる方をお迎えしなければならなかったものですから」

 

俺の思考を読み取ったように教えてくれる朱乃さん。そんなに俺は表情に出ていたのかな?

 

それに、ここは朱乃さんの家なのかな?

 

「あの、ここに朱乃さんは住んでいるんですか?」

 

「ええ、先代の神主が亡くなり、無人になったこの神社をリアスが確保してくれたのです」

 

「……じゃ~、実家は別なんですか?」

 

「はい、実家は向こうですわ」

 

朱乃さんは俺の後ろを指さす。

 

その方向を見ると、全く逆方面で遠くに神社がぽつりと見える。

へ~、ちょうど真逆の方角なんだね。

 

「彼が赤龍帝ですか?」

 

その時、第三者の声がした。そちらへ振り向くと、そこには――。

 

「初めまして赤龍帝、兵藤一誠くん」

 

端正な顔立ちの青年は豪華な白ローブに身を包み、頭の上には金色に輝く輪が漂う。

 

「え~と、あなたは?」

 

俺の問いに青年は答えた。

 

「私はミカエル。天使の長をしております。――なるほど。このオーラの質、まさしくドライグですね。懐かしい限りです」

 

青年――天使長のミカエルさんの背中から金色の一二枚の翼が出現して、輝く金色の羽が宙を舞った。

 

部長から聞いてたんだけど、頭の上にある輪と白い翼は天使の証だ。ミカエルさんは金色の輪と金色の翼を持っているってことは……チョー大物じゃん!!天使長って言ってたし。

 

朱乃さん先導のもと神社の本殿内に入る。

 

かなり広めの本殿内は、でかい柱が何本も立っている。すると、中央から言い知れない力の波動を感じ、俺の肌をピリピリと刺激してきた。この感じ………いったい何なんだろう?

 

「実は、あなたにこれを授けようと思いましてね」

 

ミカエルさんが指さす方を見ると、そこにあったのは聖なるオーラを放つ剣が一本宙に浮いている。

 

「あの~…これは何ですか…?」

 

「これはゲオルギウス――聖ジョージといえば伝わりやすいでしょうか?彼の持っていた『龍殺し(ドラゴンスレイヤー)』の聖剣『アスカロン』です」

 

ゲオ……何?聖ジョージとか言われてもなぁ。俺は全然名前を聞いたことがないぞ。

 

『有名な龍殺し(ドラゴンスレイヤー)だ。龍殺しのことはいいとして、その能力を宿すモノの名前ぐらいは覚えとけ』

 

聖剣で龍殺し(ドラゴンスレイヤー)なんて、俺が受けたら堪ったもんじゃないよな。マジで!!

 

『あぁ。悪魔と龍の属性を持つ相棒が掠りでもしたら、激痛を通り越して死ぬほど痛いぞ?』

 

やめて!想像しちゃうじゃないか!できないけども!

 

「ご安心ください。特殊儀礼を施しているので、悪魔でドラゴンでもあるあなたでも扱えます。あなたが持つというよりは、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』に同化させるといった感じでしょうか?」

 

「同化…ですか」

 

『できないことはないぞ?』

 

俺の中でドライグがそう言う。

 

『おまえ次第だがな。神器は想いに応える。おまえがそれを望めばできるだろう』

 

そう…なのか?やってみる価値はあるけど、その前に気になっていることがあるから訊こう。

 

「何故、この剣を?貴重な代物……聖剣を俺なんかに?」

 

俺は悪魔であり、中にいるドライグは大昔の戦争で大きな迷惑をかけている。最悪な存在のはずなんだけど……ミカエルさんはそんな俺に微笑んで答える。

 

「私は今度の会談、三大勢力が手を取り合う大きな機会だと思っています。すでに知っているようですから話しますが、我らが創造主――神は先の戦争でお亡くなりになりました。敵対していた旧魔王たちも戦死。堕天使の幹部たちは沈黙。アザゼルも戦争を起こしたくないと建前上は口にしています。これは好機なのです。無駄な争いをなくす為のチャンスなのです。今まで通り小競り合いが続けば、いずれ三大勢力は滅びます。そうでなくても、他勢力――地球連邦軍が黙ってはいないでしょう。この地球と家族を守るために彼等は三大勢力を粛正します。そうならなくても、他の神話体系、その他の組織などが横合いから攻め込んでくるかもしれません。その『アスカロン』は私から悪魔サイドへのプレゼントです。もちろんですが、堕天使側と悪魔側にも贈り物をさせていただきました。それに、悪魔側からも噂の聖魔剣を数本いただきましたし、こちらとしてもありがたい限りなのですよ」

 

ふ~ん…。てか…地球連邦軍って確か………

 

「地球連邦軍ってつばさちゃんの部隊がある所じゃないか」

 

俺がボソッと言った言葉にミカエルさんが目を輝かせていた。

 

「そうです。つばささんがいる部隊が地球連邦軍にあるのですよ」

 

え………

 

「ミ……ミカエルさん?つばさちゃんを知っているのですか?」

 

「えぇ、知っていますよ?それに、つばささんの兄弟姉妹も知っております。あの方々にはいつもお世話になっていますしね」

 

へ~、そうなんだ。てか…、つばさちゃんって本当スゲーんだな!!

 

「それに、あの方……つばささんにはかなりお世話になっております。とくに、聖剣や聖なる力の方面で。それと教会でも天界でも人気ですしね」

 

教会や天界に人気?どう言うことだ?

 

「教会や天界でも人気ってどう言うことですか?」

 

「それわですね、あの方は“慈愛の聖女”又は“聖なる女神”と呼ばれているのですよ」

 

え………?慈愛の…聖女…?聖なる…女神?つばさちゃんが?なんで?

 

「なんでそんな呼び名が?」

 

「ある日、つばささんが姉妹の命令で一時期教会と天界にシスターとして居たときがあったのです。その時に、怪我や病気の人や気性が荒く荒れてた人など、沢山の人達や天使達を慈愛の心で優しく介護をしていたのです。その時に、つばささんの魔法の力で怪我や病気を治したり、気性が荒く荒れてた人等のカウンセリングをしたりなど……沢山の人達に優しく接しておりました。まさに聖女の鏡と言うべき人でしたね。そして、その愛は老若男女問わず全ての人に平等に分け与え、まるで女神の様な方ですよ。さすがつばささんだと思いました。

そして、その時の影響で多くの人達や天使達から“慈愛の聖女”や“聖なる女神”と呼ばれる様になっていたのです」

 

す…すげぇ……!!!やっぱりスゲーよつばさちゃん!そりゃ~慈愛の聖女や女神なんて呼ばれるよな

 

「っと、時間のようですね。そろそろ私は行かねばなりません」

 

 天使の長も忙しいのか、帰る時間がやってきたらしい。

 

「あ、あの、俺あなたに言いたいことがあるんですけど」

 

「会談の席でか、その後に聞きましょう。必ず聞きます」

 

そう言ったミカエルさんは全身を光に包ませ、一瞬の閃光のあと、この場から消え去った。

ここにいた時間三十分もなかったな……。トップはそんなに忙しいものなのか。

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

「お茶ですわ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

ミカエルさん帰ってしまった神社。俺は朱乃さんが生活をしている境内のお家にお邪魔している。中に入ると…廊下はフローリングだけど、室内は立派な和室だった。

 

湯呑に入れられた温かいお茶を受け取って少し飲む。

 

 

部長も朱乃さんも忙しいのに、俺のために時間を割いてもらっている。頭が上がらない思いだな。

 

「あ、朱乃さん。一つ質問してもいいでしょうか?」

 

「ええ、もちろんですわ」

 

俺は前から気になっていたことを、さっき思い出したので訊いてみることにした。

 

「…朱乃さんのお父さんは、堕天使幹部の方でしたよね?」

 

「……そう。私は堕天使の父と人の母の間に生まれた者ですわ」

 

そう言った朱乃さんは俺を見つめて話す。

 

「イッセーくんは知っていると思いますが、母はあの神社の娘です。ある日、傷ついて倒れていた堕天使の幹部である父を助け、その時の縁で私を身籠ったと聞いています」

 

俺は話を続けるかどうか迷ってしまい黙り込んだ。その時、朱乃さんが巫女衣装をはだけさせ、背中から翼を展開させる。

 

「堕落した天使の翼。悪魔と堕天使、私は両方の翼を持っています」

 

俺は朱乃さんのその姿を見たとき、見惚れてしまっていた。

 

「……イッセーくんはどう思います?堕天使は嫌いですよね?あなたとアーシアちゃんを一度殺し、この町を破壊しようとした堕天使にいい思いを持つはずがないわよね」

 

俺は正直に答えようと思った……偽ったら朱乃さんを余計に悲しませると思ったから。

 

「……堕天使は嫌いです」

 

それを聞いた朱乃さんは、悲しそうな表情をして瞳には薄ら涙を浮かべていた。

 

しかし、俺は構わずに言葉を紡ぐ。

 

「でも、全ての堕天使を嫌いになったわけじゃありません。俺は朱乃さんのことは大好きです」

 

「――っ」

 

その言葉を聞いた朱乃さんは……驚いている様子だった。

 

「……すみません。俺、無神経すぎますよね。やっぱり、余計なこと聞いたかなって……今、後悔しています。本当にすみません」

 

「そうではなくて……悪魔に転生しているとはいえ、私は堕天使の血を引いているのよ?――私はイッセーくんやアーシアちゃんに嫌われるのが怖くてあんな接し方をしていたのですよ?それでも………」

 

俺は朱乃さんの言葉に首を横に振って、正直に……自分の気持ちを言う。

 

「そんなの関係ないっ!さっきも言った通り、俺は全ての堕天使が嫌いじゃない。朱乃さんの翼は、俺とアーシアを殺したあいつらと違い、穢れていない。――さっき、朱乃さんの堕天使の翼を見たとき、俺は見惚れてしまったんですよ?それに、堕天使だからと言って全員が嫌いになるわけがないです。あの時にいたあの三人の堕天使の女の子達だって騙されてあんな酷い事をしていたんですから。

それに、俺やアーシアが朱乃さんの事を嫌いになるわけがないですよ。絶対に!いえ…俺やアーシアだけではありません。木場も小猫ちゃんも部長もギャスパーもゼノヴィアも……それにつばさちゃんだって朱乃さんの事を嫌いになるわけがありません!!

だって…たとえ朱乃さんがどんな人でも………朱乃さんは朱乃さんだからです!

だから俺は朱乃さんのことが好きです………って、俺って何言っているのかな?すいません。訳のわからないことを言ってしまって」

 

正直に言うはずだったのに、自分でも訳が分からなくなって……フォローどころか、朱乃さんを泣かせてしまった。

 

「(ど、ど、ど、どうしよう!?女の子を泣かせたなんて男……の前に、つばさちゃんに殺されるぅぅぅ!!」

 

慌てている俺の眼前に朱乃さんは座り、涙を拭って微笑みを見せた。

 

「……嬉しい事、言われちゃいましたわね。そんなこと言われたら、あなた達にもっと優しくなっちゃうじゃないですか……」

 

そう言った朱乃さんは笑っていた。よ…良かった~。別に泣かしたわけでは、ないみたいだな………。でもやっぱり、朱乃さんは笑顔が一番だな!

そんな朱乃さんに好かれているつばさちゃんが本当うらやましいぜ…。

 

すると、眼前に座っていた朱乃さんが、いきなり俺の方へ――傾れかかるように抱きついて押し倒してきた。

 

「あ、朱乃さん?」

 

反応に困っている俺をよそに、朱乃さんが耳元で囁く。

 

「イッセーくん、リアスのこと好き?」

 

「え?は、はい。もちろん好きです。朱乃さんはつばさちゃんの事は好きですか?」

 

「はい、大好きですよ?だって……、私と私の家族を助けてくれたのはつばさちゃんなんですから。もし、つばさちゃんが来ていなければ母様はもうこの世にはいませんでしたし、助けが遅れた父様の事を嫌いになってたと思いますしね。でも…、つばさちゃんが助けてくれたおかげで私達家族はいまでも仲良く幸せに暮らせていますし、父様と母様も娘の前でもラブラブですしね。

だから、つばさちゃんには感謝しきれないほどの恩があります。それと、その助けてくれた時からつばさちゃんの事が気になってしかたなかったのです。だから、私は今はつばさちゃんの立派なお嫁になるように父様と母様にも手伝ってもらって花嫁修業を頑張っているのですよ?

だから、イッセーくんもリアスの事が好きならリアスの為に頑張ってください。それと、アーシアちゃんの事も忘れてはいけませんからね?わかりましたか?」

 

「は…はい!わかりました!朱乃さん!!でも、アーシアの事を忘れてはいけないってどう言う……」

 

「それは、自分で気づかないといけませんわ。つばさちゃんみたいにね?」

 

う~ん…、まだまだわからないこともいっぱいあるけど、俺は好きになればどんな人だろうと愛するぜ!!絶対に悲しませてやるもんか!!俺は愛した女は絶対に幸せにするぞー!!

 

「ねぇ、イッセーくん。私のこと『朱乃』って呼んでくれる?」

 

「え?いくらなんでも先輩と後輩だから……」

 

「じゃあ、一度でいいから。お願い」

 

「あ、朱乃……」

 

俺は朱乃さんの涙目に折れて、一度だけ名前で呼んだ。

 

「…うふふ…うれしいわ。イッセー」

 

ギュッと抱きしめる力を少し強くしてきた朱乃さん。

 

「ねぇ、これから二人の時は朱乃って呼んでくれる?」

 

俺の頭が沸騰して、ショートしかけた。

 

甘えるような声……そこにいたのは、いつも凛とした『副部長の姫島朱乃』ではなく、一人の女子高校生になってしまっていた。

 

顔がチラッて見えたときなんか笑ってた気がするけど気のせいだよね……?

 

それに、俺の胸へ押しつけられたおっぱいの感触がやわらかい!

 

朱乃さんは起き上がると、俺を膝の上へ誘導して膝枕の体勢へ。

 

そして、朱乃さんが俺の頭を撫でてくれる。もう、心地よくて眠気が……。

 

「こんなところを部長たちに見られたら――」

 

俺は目を瞑り、何気なく囁いた。

 

こういう時に高い確率で登場する部長のことを完全に忘れていた。

 

「部長が……何かしら?ねぇ、イッセー?」

 

「…………」

 

まさかね?うん。そのまさかだよ。

 

俺は顔を部屋の入口へと向ける。

 

体が凍りついた。入口に立っていらっしゃる部長から……膨れ上がった紅色のオーラを全身に解き放つ様子が見て覗えたから。

 

「(――殺されるッッ!!)」

 

俺は直感でそう思った。

 

「油断も隙もないわ……。私以外の膝で膝枕なんて……ッ!」

 

ぎゅっ!

 

「ひたひれふ、ふしょう」

 

痛い!俺の頬が部長に思いっきり引っ張られる。

 

そして、低く凄味のある声音で部長が俺に訊いてくる。

 

「例の聖剣は?」

 

「も、もらいました!」

 

「ミカエルは?」

 

「か、帰りました!」

 

「なら、ここに用はないわ!帰るわよ!」

 

踵を返して出ていく部長に急いでついて行く。

 

「うふふ…、頑張ってくださいね~」

 

そう言いながら朱乃さんはニコニコしながら手をヒラヒラと振っていた。

 

俺は部長に着いていく感じで少し歩いていると部長が後ろを向き俺の方を向いてきた

 

「イッセー…、あなたにとって私は誰?」

 

なんでそんな事を聞いてくるんだ?

 

「えぇ~と…、部長は部長ですかね」

 

すると…、部長は少し顔を暗くしたあとまた前を向いた。

 

「そう…、“副部長”の朱乃は“朱乃”だけど、“部長”の私は“部長”なのね………」

 

そう言った部長はまた歩きだした。うん…?どう言うことだろう?いったい部長は何を言いたかったんだ?

 

そう思いながら俺は部長のあとに着いていくのだった

 

―side out―

 

 

 

 

―つばさside―

俺は今、イッセーと朱乃さんがミカエルさんにあうと聞いて、今朱乃さんがいる神社に来ていた。流石に盗み聞きをするわけもいかないので、鴉天狗…射命丸文の能力をコピーして、背中から鴉天狗の翼を出して空を飛んでいる。

 

少したちミカエルさんが帰って、そのあとリアスさんが来て何か叫んでいたあとイッセーを連れて神社を出ようと歩いていた。

 

俺は何かリアスさんの様子がおかしかったので気配を消して空の上からイッセーとリアスさんの後を追うようにした。

 

すると、リアスさんが止まりイッセーの方を向いたので、俺はドラゴンマスターとしての身体能力を元に戻して聴覚を強化した。

 

「イッセー…、あなたにとって私は誰?」

 

すると、リアスさんがイッセーにそんな質問をしていた。何故でしょうか…?

 

「えぇ~と…、部長は部長ですかね」

 

それを聞いたリアスさんが、少し顔を暗くしたあとまた前を向いた。

 

「そう…、“副部長”の朱乃は“朱乃”だけど、“部長”の私は“部長”なのね………」

 

あぁ~、なるほど…そう言う事ですか……。

たく…、当の本人は全くわかっていないですって言うような顔をしていますね。本当…鈍感な人だなぁ~……。

いったい神社の中で何が起きたか知りませんが、大大方、朱乃さんが二人でいるときだけでも朱乃と呼んでくださいと言っていた所にリアスさんが来て、その事を私はどうなのかって聞きたくて、聞いたんでしょうね~。

まぁ…、あの朱乃さんだから多分リアスさんが来るとわかったうえでイッセーにイタズラをしていたと思うんですがね~。俺は~。

 

「にしても…本当…あの鈍感ぶりをどうにか出来ないでしょうかね~……。これじゃぁ~、いつリアスさんやアーシア…それにゼノヴィアの気持ちに気づくのでしょうかね…。

頑張ってください………リアスさん。あなたのその好きな気持ちはいつか必ずイッセーに届きますから……。それまで頑張ってくださいね?リアスさん……」

 

こうして俺は部室に戻るのだった。

 




はふぅ~……。どうでしたか?次回は三大勢力の会議編です。
それではまた次回で会いましょう…。バイバーイ♪


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7話 トップ会議始まります

―イッセーside―

 

あの日から少したって、今日三大勢力の会談の日がやってきた。

 

「さて、行くわよ」

 

部室に集まるオカルト研究部。部長の言葉に皆頷いた。

 

『ぶ、部長!み、皆さぁぁぁぁぁぁぁん!』

 

「ギャスパー、今日の会談は大事なものだから、時間停止の神器を使いこなしていないあなたは参加できないのよ」

 

そう、ギャスパーはまだ神器をコントロールできていない。まあ短時間でできるとは思ってはいなかったけど今日は大事な会談。邪魔したら大変なことになるんだもんな。

 

「ギャスパー、今日は大事な会談なんだ。おとなしく我慢してくれよ?」

 

「は、はい、わかりました。イッセー先輩」

 

「部室にイッセーが置いたゲーム機や俺の漫画でも読んでお菓子でも食べながら待っていてくれ」

 

「は、はいぃぃぃ!」

 

うん、いい返事だ。そして俺たちは部室を出た。

 

コンコンと部長はノックする。

 

「失礼します」

 

部長が扉を開くとそこには各勢力のトップがいた。

 

悪魔側、サーゼクスさん、レヴィアタンさま。そして給仕係としてグレイフィアさんがいる。

 

天使側、天使長のミカエルさま、真っ白い翼の天使の女性

 

堕天使側、総督のアザゼルと白龍皇のヴァーリ

 

それと、知らない人達がいた。一人はスゴくがたいのいい人(ミルたん並…いやそれ以上か)で、顔の頬に三本の傷がある人だ。あとの人は確か…レイジさんと、アーシアのお姉さん、アリアさんもいた。

と、もう一人メイド服を着た女性もいた。誰だろうか?

 

「私の妹と、その眷属だ」

 

サーゼクスさんが他の陣営のお偉いさんに部長と俺たちを紹介した。

 

「そこに座りなさい」

 

サーゼクスさんの指示を受け俺たちは壁側の席に座る。

 

コンコン――。

 

『失礼します』

 

扉がノックされ、中に入ってきたのは――ソーナさん率いる『生徒会』の面子だった。

 

「ソーナちゃん、座って座って☆」

 

魔王セラフォルー・レビアタン様が、ソーナさんたち『生徒会』を席に座らしていた。ソーナさん達も軽く会釈をして、グレイフィアさんに案内されて席に着いた。

 

「先日は悪かったな、うちのコカビエルが迷惑をかけちまって」

 

豪華絢爛としたテーブルの一角にある椅子に座っていたアザゼルが、ソーナさんに詫びを入れる。

 

「――いえ、私たちは結界を張り、外へ被害が出ないように努めていただけです」

 

謙遜した態度でアザゼルへ返答するソーナさん。

 

「そうよ!あの時は大変だったんだから!もう少し被害が大きくなっていたら、私が煌めいて滅していたんだから!」

 

頬を膨らまして言うセラフォルー様。

 

「お、お姉さまが煌めかれたら、あの時の結界ごと町を破壊していました」

 

「ちゃんと手加減はするつもりなのよ☆」

 

「うむ。シトリー家は今日も平和だ」

 

そんなやり取りをサーゼクス様はにこやかに見守っている。

うん、部長の言う通り軽いんだね…。

 

――コンコン

 

するとまた扉を叩く音が聞こえてきた。あれ?誰が来たのだろうか?

 

ガチャ…

 

「遅れてすみません。結界張り終えましたー。」

 

入ってきたのはつばさちゃんだった。今日は見ないなと思っていたけど結界張ってたんだな。それだったら見ないよね

 

「うん、ありがとう。つーくんお前も席に座ってろ」

 

すると、がたいのいい人がつばさちゃんに喋りかけていた。つーくん?この人はつばさちゃんの事を知ってるのかな?大分ひたしい感じだけど…

 

「わかりましたよ。こうきお兄ちゃん」

 

へぇ~、お兄ちゃんなんだ~………って…お兄ちゃん!?マ…マジで!?

 

「ふぅ…、ここでは司令官または元帥と呼べと言ったろ?まぁ…いい…。早く座れ」

 

「は~い!総司令官殿~」

 

つばさちゃんはニコニコしながらそう言ってレイジさんの隣に座った。

そのあと、がたいのいい人……つばさちゃんのお兄さんため息をついていた。

 

「全員そろったところで、会談の前提条件をひとつ。ここにいる者たちは、最重要禁則事項である『神の不在』を認知しているな?」

 

『はい』

 

すると、がたいのいいお兄さんが全員に聞いてきたので、全員が返事をした

 

「わかった。と…まず初めての人もいるから自己紹介をするぞ?俺の名前は結城光輝(こうき)。結城家現当主で地球連邦軍の総司令官および強襲戦闘部隊の隊長をやっている。そして、ここにいるつばさとレイジの長男だ。よろしくな」

 

へぇ~、本当につばさちゃんのお兄さんだったんだね。しかも長男か…。てか、がたいが本当いいよな………。ミルたんよりもがたいがいいぞ…

 

「俺は、結城レイジだ。地球連邦軍の副総司令官と近距離特攻部隊隊長をやっている。そして、隣にいる女性が俺の右腕でもあり妻の結城アリアだ」

 

「妻の結城アリアです。よろしくお願いいたします」

 

マジか!!結婚してたのか!?いいな~、羨ましいぜチクショウ!!やっぱり世の中イケメンなのか!!?

 

すると、メイド服を着た女性が一歩前に出てきた。

 

「私は結城家のメイドであり、メイド長をやらせてもらっております。アイラと申します。どうぞよろしくお願いします」

 

へぇ~…、アイラさんって言うんだな。綺麗な人だな~

 

「ちなみに、俺の妻だぞ?」

 

すると、がたいのいい人……こうきさんが暴露した。

 

え…ええええええええ!?マジで!?す…すげーーーー!?

 

「最後は俺だね。もう皆知ってると思うけど自己紹介をするね?俺の名前は結城つばさ。地球連邦軍 特殊部隊・特別調査班の総隊長をやってます。よろしくお願いしますね」

 

うん、わかってるぜ!つばさちゃん!

 

「では、私の隣にいる女性も紹介しますね。彼女は私と同じ四大セラフの―――」

 

すると、隣の女性が前に出た

 

「ガブリエルと申します」

 

ガブリエルさんが丁寧な挨拶をした。てか…胸デカァァァい!!す…スゴイ!あんなオッパイ見たこかとがねぇぞ!

 

「さて、各自の自己紹介も終わったところで……、今から三大勢力の会議を始めるぞ?」

 

そして三大勢力の会談が始まったのだった。

 

―side out―

 

 

 

―つばさside―

 

今日は待ちに待った会議の日…。今日の結果しだいで地球の…俺達のこれからの事が決まる…。もしも……、三大勢力が和平を結ばなかった場合…、こうき兄さんは三大勢力を敵とみなし潰すそうだ…。俺は、せっかくグレモリー眷属と仲良く慣れたのに敵同士になるなんて絶対に嫌だよ…。そんなの…悲しいじゃん………。

でも、俺はそうならないと信じてる。だって、勘がそう言ってるからね♪

それに……、今日は何か別の者が来そうな気がしますしね………。警戒は怠らないで起きましょうか…………。

 

「今回の会議は我々地球連邦軍が中立として指揮をする。まずは、各事後報告から……ミカエル」

 

すると、こうき兄さんがしきりだした。お…?やっと始まるみたいですね。会議が……。

 

「はい。天使側では先日、護送された『バルパー・ガリレイ』の身柄について……一度烙印を押された身ですが、堕天使側からの判断によりこちら側で処理いたしました。神罰という形での処刑により、冥府送りとなりました――」

 

その後、サーゼクスさんが事後報告をしていく。コカビエルの戦闘の終結のことを、レイジ兄さんが説明していき、悪魔側の事後報告にはリアスさんとソーナさんが説明していく。

 

「以上が、私、リアス・グレモリーと、その眷属悪魔が関与した事件の報告です」

 

「さて、アザゼル。この報告を受けて、堕天使総督の意見を聞きたい」

 

サーゼクスさんの質問に、アザゼルは不敵な笑みを浮かべて話し始める。

 

「先日の事件は我が堕天使中枢組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部コカビエルが、他の幹部及び総督の俺に黙って、単独で起こしたもの。奴の処理はそこにいるつばさとレイジがしたのち、『白龍皇』が行った。その後、組織の軍法会議でコカビエルの刑は実行された。『地獄の最下層(コキュートス)』で永久冷凍の刑だ。もう出てこれねぇよ。その辺りの説明はこの間転送した資料にすべて書いてあっただろう?それが全部だ」

 

アザゼルの返答にミカエルさんが嘆息する。

 

「説明としては最低の部類ですが、あなた個人が我々と大きなことを起こしたくない――それに関しては本当なのでしょう?」

 

「あぁ、俺は戦争なんて興味はない」

 

ミカエルさんに続き、今度はサーゼクスさんが質問する。

 

「アザゼル、ひとつ訊きたいのだが――どうしてここ数十年神器(セイクリッド・ギア)の所有者を集めている?最初は人間たちを集めて戦力増強を図っているのかと思っていた。天界が我々に戦争を消しかけるのではないか、とも予想してもいたのだが……」

 

「そう、いつまで経ってもあなたは戦争を仕掛けてはこなかった。『白い龍(バニシング・ドラゴン)』を手に入れたと聞いたときには、強い警戒心を抱いたものです」

 

「神器研究のためさ。なんなら、一部研究資料もおまえたちに送ろうか?って研究していたとしても、それで戦争なんざしかけねぇよ。戦に今更興味なんてないからな。俺はいまの世界に十分満足している。部下に『人間界の政治にまで手を出すな』と強く言い渡しているぐらいだぜ?宗教にも介入するつもりはねぇし、悪魔の業界にも影響及ぼせるつもりもねぇ。たく、俺の信用は三すくみのなかでも最低かよ」

 

「それはそうだ」

 

「そうですね」

 

「その通りね☆」

 

「その通りだな」

 

天使長と魔王様がたとこうき兄さんは意見が一致した。信用ないな~堕天使総督は~…

 

「チッ。神や先代ルシファーよりもマシかと思ったが、おまえらもおまえらで面倒くさい奴らだ。こそこそ研究するのもこれ以上性に合わねぇか。あー、わかったよ。なら、和平を結ぼうぜ。もともとそのつもりもあったんだろう?天使も悪魔もよ?」

 

よし、堕天使も悪魔も天使も和平を望んでいることがわかった。これならもう和平は結ばれたも同然たね。よかった~……

 

「ええ、私も悪魔側とグリゴリに和平を持ちかける予定でした。このままこれ以上三すくみの関係を続けていても、いまの世界の害となる。天使の長である私が言うのも何ですが戦争の大本である神と魔王は消滅したのですから」

 

ミカエルさんの言葉を聞きアザゼルは噴出して笑う。

 

「ハっ!あの堅物のミカエルさまが言うようになったね。あれほど神、神、神さまだったのにな」

 

「………失ったものは大きい。けれど、いないものをいつまでも求めても仕方がありません。人間たちを導くのが、我らの使命。神の子らをこれからも見守り、先導していくのが一番大事なことだと私たちセラフのメンバーの意見も一致しています」

 

「おいおい、いまの発言『堕ちる』ぜ?と思ったが『システム』はおまえが受け継いだんだったな。いい世界になったものだ。俺らが『堕ちた』頃とはまるで違う」

 

サーゼクスさんも同意見を出す。

 

「我らも同じだ。魔王がいなくても種を続存するため、悪魔の先に進まねばならない。戦争は我らも望むべきものではない。次の戦争をすれば、悪魔は滅ぶ」

 

「そう。次の戦争をすれば、三すくみは今度こそ共倒れだ。そして、人間界にも影響を大きく及ぼし、世界は終わる。俺らは戦争をもう起こせない」

 

ミカエルさんが微笑み、アザゼルは笑い、サーゼクスさんは真剣に言う。

 

アザゼルはサーゼクスさんの言葉に頷き…語る。

 

「そう。次の戦争をすれば、三すくみは確実に滅ぶ。その時はこうきたちが出てくるほか、人間界にも大きな影響を残して世界は終わる。俺たちはもう戦争を起こさない。」

 

アザゼルは真剣な面持ちで言葉を紡ぐ。

 

「神がいない世界は間違いだろうか?神がいない世界は衰退すると思うか?残念ながらそうじゃなかった。俺もおまえたちもこうやって元気に生きている。――神がいなくても世界は周るのさ!」

 

アザゼルは両手を広げて締めくくる。おぉ~…!あのアザゼルさんが真面目な名言を言ったよ…。明日嵐でもくるんじゃないかな?あ…、でもすぐ嵐が来そうな気がする………

 

ミカエルさん、アザゼル、サーゼクスさん、セラフォルーさんがこうき兄さんに注目する

 

「――よし。今ここに、三すくみ『天使』、『堕天使』、『悪魔』のトップによる『和平』を協定する……異論はないな?」

 

「はい」

 

「ないぜ」

 

「あぁ」

 

「うんうん☆」

 

全員が肯定の意思表示をする。

 

「これにて、和平の会談はお開きとする。調印は後日、この結城家現当主で地球連邦軍の総司令官、結城こうきが直に手渡す。解散」

 

『ふぅ~』

 

全員が大きく息を吐いた。俺もですよ~…。

 

「さて、話し合いも良い方向へ片付きましたし、赤龍帝殿のお話を聞いてもよろしいかな?」

 

ミカエルさんがイッセーへ話しかける。

 

「そうだな、そろそろ俺たち以外に世界に影響を及ぼしそうな奴らへ意見を訊こうか。無敵のドラゴンさまにな。まずはヴァーリ、お前は世界をどうしたい?」

 

「私は強い奴と戦えればいいな~」

 

うん…戦闘狂のヴァーリーさんらしいね

 

「じゃあ、赤龍帝、おまえはどうだ?」

 

「お、オレ? 正直、世界がどうこう言われてもよくわからないです……」

 

「じゃあ恐ろしいほどに噛み砕いて言うぞ。戦争が起きると二天龍は間違いなく表舞台に出る羽目になる。そうなるとリアス・グレモリーをだけないぞ?」

 

「なん・・・だ・・・と?」

 

 イッセーが、目を見開いて驚愕している……。イッセー………

 

「和平=戦争なしだ。この場合は種の存続と繁栄のため、毎日子作りし放題だ。戦争なら子作りはなし。どうだ、分かりやすいだろ?」

 

「和平でひとつお願いします!平和ですよね!平和が一番です!部長とエッチがしたいです!」

 

欲望をそのまま口にしたイッセー。

隣に座ってるリアスも顔を真っ赤にしていた。変態は変わらないよね………てか、魔王様(お兄さん)いる前でよくそんな事を言えるよね…。

 

「ふむ…、これが報告にあったイッセーと言う人物か…。仲良くなれそうだな………ふふ…」

 

すると、こうき兄さんがニヤニヤしながら何かを言っていた。なに?仲良くなれそうって…?どう言うことなのかな…?

 

「よし…、次はお前らだな。一番強い戦力を持つ……地球連邦軍の隊長さん達よ~」

 

アザゼルが顔をニヤニヤしながら聞いてきた。

 

「ふぅ…、俺はもしもお前ら三大勢力が和平を結ばなかった場合、俺ら地球連邦軍は貴様ら三大勢力を敵とみなし潰すつもりでいたんだが………やめた。

元々、俺はお前らが和平を結ばないわけがないと思ったし、それに戦争が起きたら真っ先につばさに俺達も含め潰されると思ったからな。こいつは一番戦争の様な争い事が嫌いだからな…。だから俺は戦争はしない。絶対にだ…。レイジ…お前はどうだ?」

 

こうき兄さんはレイジ兄さんにふった

 

「俺も戦争が嫌いだな。戦争が起きたら幸せが減ってしまうし、なによりアリアとのイチャイチャが出来ないからな。それに、俺も戦争に参加した場合、つーくんに潰されるし、嫌われるから絶対にやらねぇ。流石につーくんや家族に嫌われるのだけは避けたいからな…」

 

レイジ兄さんも答える。これって俺も~…かな?

 

「つばさ……お前はどうだ?」

 

こうき兄さんが聞いてきた。うん…、当たり前か…

 

「俺は勿論戦争はしません。兄さん達が言った通り、もしも和平が結ばれず三大勢力と地球連邦軍の戦争が起きた場合、俺の部隊…特殊部隊・特別調査班は地球連邦軍から独立して、あなた方を全力をもって排除するつもりです…。家族や友達を傷つけるのは嫌ですが、それでも戦争はダメなので止めるつもりです…。

でも、それがなくて安心しました。それに、戦争をしたところで、戦争の後に残るのは何もありません………。あるのは、沢山の悲しみ、怒り、憎しみ、等のありとあらゆる絶望しか残りません…。戦争や争い事は、ただただ悲しいものです。戦争は勝った代償よりも失った代償の方が大きいんですから。

元に、今の三大勢力の状況がいい例ですね。戦争を起こしたその結果、今の現状が起きました。

まぁ~…だからこそ、この三大勢力の和平が成功したと思いますが、その事をもっと早くわかっていればもっといい結果に招いていたと思いますけどね…。

まぁ、何はともあれ…、俺は断じて戦争をする気なんていっさいありませんから、ご心配なく。

ただし!……戦争もしくは争い事を起こした場合…即刻排除させてもらいますけどね」

 

俺は最後のほうだけ威圧を込めて言った。

 

「と…言うわけだ。アザゼル、満足したか?」

 

こうき兄さんはアザゼルに聞いた

 

「あぁ…。確かに聞いたぞ。まさか光輝がそんな事をを思っていたのにはビックリしたが、なによりも俺は本気で和平が成功してよかったと心の底から思ったぞ…。流石に、【鉄壁の破壊神】【剣聖王】【黒き疾風の破壊者】を相手には戦いたくないな」

 

と…、アザゼルは冷や汗を少し流しながら喋った。

 

「そうですね。流石に私も心底成功してよかったと思いました。私も、流石に勝てるかどうか怪しいですし」

 

「わたしもだね」

 

「わたしも☆」

 

ミカエルさん、サーゼクスさん、セラフォルーさんが順番に言っていた。

 

「確かにな…、俺もお前らが和平を結べて心底ホッとしたぞ?流石につーくんを敵になんて回したくないからな……ましてや、【慈愛の聖女】様を敵に回したくなんてないしな…」

 

「「「確かに(ね)(ですね)」」」

 

続いて、光輝兄さん達も言っていた。なんか、苛められてる気がするね…。……ぐすん

 

「とりあえず、話を続けて………ッ!?」

 

この感じ…!

 

「こうき兄さん!!!」

 

「うん?なんだ?つばs……」

 

そして、その瞬間俺達の周囲の時が止まった。

 

 

 




どうでしたか?次回は禍の団襲来ですね♪

それではまた次回会いましょう!それまで待っててくださいね?さようなら~♪


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8話 トップ会議襲撃されました!!

遅くなりましたね。今回からは『禍の団(カオス・ブリゲード)』襲撃編ですね。次回ぐらいの話で主人公の家族の長男の初戦闘です!

それではどうぞなのです!!


―イッセーside―

 

「おっ、赤龍帝の復活だ」

 

アザゼルが俺の方を見て言う。

 最近何度も味わってきた感覚だったからわかった。いまのはギャスパーの神器の能力の影響だ。

 周囲を見渡すと、三大勢力のお偉いさん方全員と、地球連邦軍の人達、部長、木場、ゼノヴィア以外は停まっている。ああ、『白い龍』も動けるみたいだ。

 

「眷属で動けるのは私とイッセーと、祐斗、ゼノヴィアだけのようね」

 

各陣営のトップと今聞いた人たち以外は全員停まってしまった。

 

「イッセーは赤龍帝を宿す者、祐斗は禁手に至り、イレギュラーな聖魔剣を持っているから無事なのかしら。ゼノヴィアは直前になってデュランダルを発動させたわね」

 

「時間停止の感覚はなんとなく、体が覚えていた。停止させられる寸前にデュランダルの力を盾に使えれば防げると思ったのだけど、正解だった」 

 

「な、なにかあったんすか?」

 

俺は部長に聞いた

 

「どうやら――」

 

「テロだよ」

 

 俺の質問に部長の言葉を遮りアザゼルが言った。

テ…テロ!?な、なんでいまなんだ?こんな大事なときですよ!?

 

「はぁ…。イッセ~、落ち着きなよ。みっともないぞ?」

 

すると、つばさちゃんが人差し指を立てて首をかしげながらそう言ってきた。く…可愛いいな!おい!

 

「全員無事のようですね。数人硬直したままですが……」

 

「心配はいらないさ。ミカエル、つばさが結界を張ったた時点で、外からの影響を一割未満に抑えている。すぐに目を覚ますさ」

 

それから二分も経たないうちに、残りの硬直してしまったメンツが目覚める。

 

「ほらな?よし…、今から今の状況を説明するぞ?まずわ………」

 

こうきさんの軽い現状の説明をうけた。簡単に説明すると、現在この会議がある場所に何者かからの襲撃を受けており、その攻撃はつばさちゃんが張った結界により無事にいるということだ。

 

「全員、外見てみろ?」

 

総督の言葉に俺は外を見ると、黒い魔術師みたいなローブを着た連中がこちらに攻撃を放ってきていた。

 

「攻撃を受けているのさ。いつの時代も勢力が和平を結ぼうとすると、それをどこぞの集まりが嫌がって邪魔しようとするもんだ」

 

「あいつらは?」

 

「いわゆる魔法使いって奴だ。それよりも、この状況を作り出したのはおまえらのとこの吸血鬼だな。おかげで外に待機してた俺たちの部下もダメだろう」

 

外に待機していた悪魔・天使・堕天使の兵士達は魔法使いが放つ光のビームによって消えていっていた。

 

「――なるほど、護衛を転移させたか」

 

こうきさんの言葉に俺を含めたリアス眷属、ソーナ眷属が驚く。

 

「今のは、魔術師による特殊な『転移魔法』ですね。しかも、ランダムで飛ばされているでしょうね」

 

こうきさんにつぐ感じでつばさちゃんが答えた。

 

「ギャスパーは旧校舎でテロリストの武器にされている……。お兄さま、私が旧校舎に行きます。ギャスパーは私の下僕です。私が責任持って奪い返し、この状況を覆します」

 

 強い意志を持って部長が進言する。

 

「言うと思ったよ。妹の性格ぐらい把握している。しかし、旧校舎までどう行く?この新校舎の外は魔術師だらけだ。通常の転移も魔法に阻まれる」

 

「旧校舎に未使用で残りの駒である『戦車』を保管していますわ」

 

「なるほど、『キャスリング』か。それなら相手の意表を突けるかもしれない」

 

サーゼクス様の問いに部長はキャスリングを使えばギャスパーのところまで一瞬でいけるみたいだ。部長が行くなら俺も行く!!

 

「サーゼクスさま、俺も行かせてください。ギャスパーは大事な後輩です。俺も助けに行かせてください」

 

俺はサーゼクスさまに頭を下げた。一時の沈黙のあとサーゼクスさまが口を開いた。

 

「アザゼル、噂では神器の力を一定時間自由に扱える研究をしていたな?」

 

「ああ、そうだが、それがどうした?」

 

「赤龍帝の制御はできるだろうか?」

 

「……………………」

 

総督はサーゼクスさんの問いに黙り込んだが、懐を探りだし

 

「おい、赤龍帝」

 

「俺は兵藤一誠だ!」

 

「じゃあ、兵藤一誠。こいつを持っていけ」

 

 懐からなにかを取り出し、俺に投げてよこす。

 キャッチしてみると――手にはめるらしきリングだ。それも二つある。

 

「そいつは神器をある程度抑える力を持つ。例の吸血鬼を見つけたらそれを付けてやれ。制御の手助けにはなるだろう。もう一個はおまえのだ。『赤い龍』の力を使いこなせないんだろう?なら、はめろ。短時間なら、代価を支払はないで禁手になれる。そいつが代わりになってくれるからな」

 

マジですか!?それなら俺が部長についていっても足手まといにならないかも!

 

「グレイフィア、簡易術式を展開してくれ」

 

「はい。承知いたしました」

 

サーゼクスさまの言葉にグレイフィアさんが答える。

 

「ヴァーリ」

 

「なんだ、アザゼル」

 

「おまえは外で敵の目を引け。白龍皇が前に出ていけば、野郎どもの作戦も多少は乱せるだろうさ。それになにかが動くかもしれない」

 

「旧校舎のテロリストごと、問題になっているハーフヴァンパイヤを吹き飛ばした方が早いんじゃないかな?」

 

「白龍皇、もしそんなことをすれお前をぶっ飛ばす!」

 

俺は今の白龍皇の言葉に腹が立ち白龍皇に視線を向けるが白龍皇はなにも感じてないかのように平然としていた。

 

「和平を結ぼうってときにそれはやめろ。最悪の場合、それにするが、魔王の身内を助けられるのなら、助けたほうがこれからのためにもなる」

 

「了解」

 

ヴァーリの背中から光の翼が展開し

 

「禁手化(バランス・ブレイク)」

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!!』

 

音声のあと白龍皇―ヴァーリは真っ白な鎧に包まれ窓から外へ出た。

 

「アザゼル。先ほどの話の続きだ」

 

サーゼクスさんが総督に訊く。

 

「あー何だ?」

 

「神器を集めて、何をしようとした?『神滅具』の所有者も何名か集めたそうだな?神もいないのに神殺しでもするつもりだったのかな?」

 

サーゼクスさんの問いに総督は首を横に振る。

 

「備えていたのさ」

 

「備えていた?戦争を否定したばかりで不安を煽る物言いです」

 

天使長が呆れるように言う。

 

「言ったろ?おまえらに戦争はしない。こちらからも戦争をしかけない。ただ、自営の手段は必要だ。って、おまえらの攻撃に備えているわけじゃねぇぞ?」

 

「では?」

 

「――『禍の団(カオス・ブリゲード)』」

 

「……カオス・ブリゲード?」

 

「組織名と背景が判明したのはつい最近だが、それ以前からもうちの副総督シェムハザが不審な行為をする集団に目をつけていたのさ。そいつらは三大勢力の危険分子を集めているそうだ。なかには禁手に至った神器持ちの人間も含まれている。『神滅具』持ちも数人確認しているぜ」

 

「その者たちの目的は?」

 

「破壊と混乱。単純だろう?この世界の平和が気に入らないのさ。テロリストだ。そかも最大級に性質(たち)が悪い。そして組織の頭は『赤い龍(ウエルシュ・ドラゴン)』と『白い龍(バニシング・ドラゴン)』の他に強大で凶悪なドラゴンだよ」

 

総督の告白に地球連邦軍の三人以外は絶句していた。

 

「…………そうか、彼が動いたのか。『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス。神が恐れていたドラゴン。この世界ができあがったときから最強の座に君臨し続けている者」

 

神が恐れたドラゴン?あのプールのあとにヴァーリが言っていた一番強いのことかな?

 

『そう、オーフィスが「禍の団(カオス・ブリゲード)」のトップです』

 

「グレイフィア!リアスとイッセーくん、早く飛ばせ!」

 

「はっ!」

 

その魔方陣を見たサーゼクスが、焦ってグレイフィアに飛ばすよう指示を出した。

 

「お嬢さま、ご武運を」

 

「え?ちょ、ちょっとグレイフィア?お兄さ―――」

 

こうして俺の目の前は光に包まれたのだった。

 




今回は


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9話 やっぱり光輝(こうき)兄さん強ぇ~……

お久しぶりなのです!そしてお気に入り件数が280も…本当にありがとうございます!!見てくれている皆様のため下手くそながらも頑張って書いていきます!!

そしてやっと『禍の団(カオス・ブリゲード)』との戦闘です!はりきって頑張ってかきます!!
それではどうぞなのです!


今回の三大勢力の会議で俺は地球連邦軍として参加した。今回よ会議は先日のコカビエルの事件とこれからの話なのでこうき兄さんが中立の立場として会議を進行さしていた。いろいろ話をしてやっと終わったと思われたが、突然の『禍の団(カオス・ブリゲード)』によって襲撃され、ギャスパーが捕らえられてしまった。リアスさんはキャスリング…『王(キング)』と『戦車(ルーク)』の場所を交換する機能を使い部室に行こうとすると、イッセーも着いていくといってリアスさんとギャスパーを助けに行くことになったのだが、突然、何者かの魔方陣が現れて、それを見たサーゼクスさんはグレイフィアさんに急いでリアスさん達を部室に送られた。

 

てか…この魔方陣ってどっかで見たことがあるような~……

 

「レヴィアタンの魔法陣……」

 

すると、ソーナさんがボソッと呟いた。うん…確かにレヴィアタンの魔方陣だね。ここにはソーナさんがいますから、考えられる事はひとつだけ………。そう…、旧魔王派の人だね

 

「ヴァチカンの書物で見た事あるぞ。あれは旧魔王のレヴィアタンだ」

 

ゼノヴィアがそう言った直後、魔法陣から一人の女性が姿を現す。

ムダに胸元が大きく開いて、スリットの入ったドレスの女性が現れた………うん…嫌な予感が………。

 

俺はそう思い隣にいたこうき兄さんを見ると~……

 

「ふむ…エロいな……」

 

真顔で鼻血を出しながら言っていた。なにしてるんですか!?この変態!!

 

「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」

 

「やはりキミか。先代レヴィアタンの血を引く者。カテレア・レヴィアタン。これはどういうことだ?」

 

サーゼクスさんの問いにカテレア・レヴィアタンは挑戦的な笑みを浮かべて言う

 

「旧魔王派の者達は殆どが『禍の団(カオス・ブリゲード)』に協力する事に決めました」

 

「新旧魔王サイドの確執が本格的になった訳か。悪魔も大変だな」

 

アザゼルは他人事の様に笑う。

普通ならこんな余裕をしている暇なんて無いんだけどな~

 

「カテレア、それは言葉どおりと受け取っていいのだな?」

 

「サーゼクス、その通りです。今回のこの攻撃も我々が受け持っております」

 

「―――クーデターか。カテレア、何故だ?」

 

「サーゼクス、今日この会談のまさに逆の考えに至っただけです。

 神と先代魔王がいないのならば、この世界を変革すべきだと、私達はそう結論付けました」

 

彼女を含めた旧魔王派は和平を認めず、神の不在を知った上でクーデターを起こしているわけですか………。しかも…、そんな事の為だけに………

 

「オーフィスの野郎はそこまで未来を見ているのか?そうとは思えないんだがな」

 

アザゼルの問いかけにカテレアは息を吐く

 

「彼は力の象徴としての、力が集結するための役を担うだけです。彼の力を借りて一度世界を滅ぼし、もう一度構築します。そして…私達が新世界を私達が取り仕切るのです」

 

そう言ったカテレアは何処か誇らしげだった…

 

「カテレアちゃん!どうしてこんな!」

 

セラフォルーさんの叫びにカテレアは憎々しげな睨みを見せる

 

「セラフォルー、私から"レヴィアタン"の座を奪っておいて、よくもぬけぬけと! 私は正統なるレヴィアタンの血を引いていたのです!私こそが魔王に相応しかった!」

 

「カテレアちゃん………わ、私は!」

 

「セラフォルー、安心なさい。この場であなたを殺して、私が魔王レヴィアタンを名乗ります。

 そして、オーフィスには新世界の神となってもらいます。彼は象徴であれば良いだけ。

 あとの『システム』と法、理念は私達が構築する。ミカエル、アザゼル、そしてサーゼクス、あなた達の時代は終えるのです」

 

その言葉にサーゼクス、セラフォルー、ミカエルは表情に陰らせていた

 

「ふん…くだらねぇな」

 

すると、隣にいたこうき兄さんが口を開いた。

 

「………くだらないですって」

 

それを聞いたカテレアは顔に青筋を立ててこうき兄さんを睨んでいた。

 

「あぁ、そうだよ。くだらないと俺は言った。たかがそのくっだらねぇ考えでテロを起こしてただの自己満足に浸っている貴様らをくだらないと言ったんだよ」

 

こうき兄さんの言葉に更に青筋を立てるカテレア

 

「私達の考えが自己満足ですって………!」

 

「そうだよ。貴様が魔王を名のる?はん!馬鹿馬鹿しい。貴様らなんぞ今の魔王処か前魔王どもにすら足元にも及ばんわ!!貴様らは民のことなんぞ考えず、ただ欲望のままに支配して自分のしたいことをしてるだけだ。

『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)・オーフィス』の力を借りて仕返しをする。ただの子供の我がままだな」

 

「貴様…黙って聞いていれば……この人間風情が!!!!!!」

 

そう言ったカテレアは兄さんを吹き飛ばし更に追い討ちを掛けるように魔力弾を放ち攻撃した。

 

大きな爆発のあとこうき兄さんが吹っ飛ばされて魔力弾により攻撃された場所はクレーターが出来て真ん中から煙が出ていた。

 

『こうき(さん)!!』

 

ソーナ眷属とリアスさんとイッセーを除いたグレモリー眷属が驚いた。

 

「くくくく……あはははははは!!やっぱりただの人間がこの新なる魔王の血をひくカテレア・レヴィアタンに勝てるわけがないのよ!あはははははは!!」

 

そう言って笑っているカテレア・レヴィアタン。はぁ…この油断が敗北の要になるんだよねぇ~。

 

「カテレア…レヴィアタン………」

 

すると、レイジ兄さんがカテレアの名前を呼んだ

 

「どうしたのですか?まさかあの人間の敵を打とうとでも?」

 

そう言われた兄さんは少しの間のあと、ため息をはいた

 

「お前…アホだろ?ちゃんと確認したのか?あれでも地球連邦軍の総司令官なんだぜ?まさかとは思うが…あの程度の攻撃で死んだと思っているのか?馬鹿馬鹿しいな…」

 

「ふん…何をふざけた事を…。あの攻撃で人間が死なないわけが…………」

 

「誰が死んだって?」

 

「!!!?」

 

突然声が響いてきた。すると、煙が突然晴れて中から出てきたのは…無傷のこうき兄さんだった。

 

「なっ!?」

 

カテレアはあまりの驚きに顔を歪ませて、ソーナ眷属とグレモリー眷属も驚いた顔をしていた。そんな中で三大勢力の各トップ陣はといいますと………

 

「やっぱりか」

 

「やはりですね」

 

「やはり無傷の様です」

 

「そうですね、ミカエル様」

 

「くくく、あ~あ…こりゃ~負けたなカテレア」

 

それぞれ当たり前の様な反応をしていた。あはは…流石兄さん、ここでも心配してくれる人はいませんか

 

「な…何故あなたは無傷なのです!!ただの人間の分際で!!」

 

すると、カテレアは困惑の顔をしながらこうき兄さんに問う。

 

「ふん、確かに“ただの”人間だったら死んでたかも知れないなぁ……。生憎よ、俺は……いや、俺らは普通の人間じゃないんでね。全員能力者だ。ましてや俺は、家族の中でも戦闘に特化した能力を持っているんでな。貴様の攻撃なんぞに傷を負うなどあり得ないのだよ。 ましてや…サーゼクスに劣る攻撃なんぞにな…」

 

「く…貴様ぁぁぁ!!」

 

カテレアはまた魔力弾を飛ばした。さっきの攻撃よりも魔力の質と量が増えておりこうき兄さんに沢山の魔力弾が飛んでいった…が…

 

「ふん!」

 

兄さんは左腕を横凪ぎに振ると一瞬にして大量にあった魔力弾が跡形もなく消滅した。

 

「え…?」

 

カテレアは目の前で起きた事に混乱していた。まぁ、当たり前だね。突然目の前にあったはずの大量の魔力弾が一瞬にして消えたんだから、誰だって驚くよそりゃね

 

「この程度か…。やはりオーフィスよりも弱いな」

 

あ…ここでぶっ混むんだそれを

 

「……オーフィス?あなた!オーフィスを知っているのですか?オーフィスと戦った事があるのですか!」

 

「おう、知ってるぞ?てか、知らない方がおかしいしな。それと………」

 

こうき兄さんは一息ついたあと喋りだした。

 

「お前らの所にいるオーフィスは、オーフィスであってオーフィスじゃないだろ?まぁ、当たり前か…オリジナルよりも力が格段に減っているコピー何だしな!」

 

「なぁ!?」

 

『え…?』

 

すると、カテレアとトップ陣とソーナ・グレモリー眷属が一斉に驚いた。

ふふ、流石兄さんだね。まさかこんな場面でオーフィスの事を暴露するなんて思っていなかったよ

 

「な、何故貴方がその事を…!」

 

カテレアは慌てながらこうき兄さんに聞いた

 

「何故かって?そんなの簡単な事だな。それはな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達、結城家の家族だからさ!!」

 

 

 

 

『ええええええええええええええええ!!?』

 

一時の沈黙のあと、地球連邦軍を除いた皆の叫び声がハモった。

 

「そ…そんな……。ま、まさか!あの時に突然力の一部を置いていなくなってしまったのは!!」

 

そんな中、カテレアはなにかに築いたのか叫んだ。

 

「そうだ…、あの時に貴様らに抜けると言って力の一部を置いて消えたのは、俺達と家族になったからだ!それに…、オーフィスの目的も達成したしな」

 

うんうん♪確かに達成したね!平和的に~♪

 

「オーフィスの目的も…?まさか…!」

 

「くくく、そのまさかだ。」

 

「あなた達はあの…『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッドを倒したと言うのですか!!」

 

そのカテレアの一言により兄さん達から少し離れていた魔法使いとヴァーリも驚いた顔になっていた。

 

「くくく…さぁ~な。ま…、とりあえずそれだけは伝えておいとくよ。まぁ、流石の俺達でも奴を倒すことは出来んがな。

 それと、オーフィスの目的は果たせたと言ったが、アイツの願いは静寂だけではない…とだけ言っとくよ。」

 

「そうですか…。なら…、あなた方を倒おして私達が最強だと言うのを教えてあげましょうか!」

 

だが、カテレアの目の前に一本の光の槍が刺さりカテレアの行くてを挟んだ。

 

「邪魔をしないでください、アザゼル」

 

光の槍を投げたのはアザゼルの様だ

 

「カテレア、今のお前たちが相手にしている勢力を少し考えてみたらどうだ?恐らくオーフィスから蛇でも貰っているんだろうが、俺たちには勝つ見込みはゼロだぞ?」

 

すると、アザゼルが悪童らしい邪悪な笑みを浮かべて言った。

 

「ハハハ。そうだな。それでもおまえ――いや、おまえら、こぞって世界の変革をするのか?」

 

その言葉に、半ばキレかかっているカテレアが答えた。

 

「そうです。それが一番正しいのですよ、アザゼル。この世界は――」

 

「腐敗している?人間が愚か?地球が滅ぶ?おいおいおい、今時流行らないぜ?」

 

ゲラゲラと腹を抱えて爆笑するアザゼル。カテレアは目を引きつらせていた。

 

「アザゼル、あなたもあなたなのですよ。それだけの力を有していながら、今の世界に満足などと……」

 

「言ってろ。おまえらの目的はあまりに陳腐で酷すぎる。なのにそういう奴らに限ってやたらと強いんだよな。全く、傍迷惑すぎる。おまえの台詞、一番最初に死ぬ敵役のそれだぜ?」

 

「アザゼル!あなたはどこまで私たちを愚弄する!」

 

カテレアが完全にキレて、全身から魔力のオーラを迸らせる。

 

「こうき!こいつは俺が貰うぞ!それでもいいな!」

 

アザゼルはこうき兄さんに向かって叫んだ。

 

「ふ…、好きにしろ。俺はもう興味なぞない」

 

あ…、あの兄さんが戦闘を誰かに譲ったと言うことはそんだけ兄さんからしたら弱かったと言うことだね。まぁ、確かにたとえオーフィスの蛇を使ったとしても、こうき兄さん処かアザゼルにも勝てないだろうね~

 

「……カテレア、降るつもりはないのだな?」

 

「ええ、サーゼクス。あなたはいい魔王でした。けれど、最高の魔王ではない。だから私たちは新しい魔王を目指します」

 

「そうか、残念だ」

 

その言葉を聞いたアザゼルは十二枚の漆黒の翼を展開した。

 

「旧魔王レヴィアタンの末裔。『終末の怪物』の一匹。相手としては悪くない。殺すつもりで本気で行こうか。俺といっちょハルマゲドンでもシャレこもうか?」

 

「望むところよ、堕ちた天使の総督!」

 

ドッ!

 

二人は飛び立ち、校庭の遥か上空で攻防戦を繰り広げ始めた。

 

「さて、サーゼクス、ミカエル、お前達も聞きたいことが山程有るとは思うがそれは後だ。まず、この中で結界を張れる奴はいるか?そいつらとサーゼクス達とで結界の強化に努めてくれ。いいだろう?サーゼクス」

 

「あぁ、わかった。頼んでいいかな?ソーナ・シトリー」

 

「はい。魔王さまのご命令であれば」

 

「ソーたん☆お姉ちゃんと結界の作業頑張ろうね☆」

 

「愛称に『たん』付けはしないでくださいと、あれほど言っていますのに!」

 

「おい、セラフォルー。妹が可愛いのはわかるが、それは後にしてくれ。今は目の前のこの後始末だ」

 

「む~、わかったわよ~」

 

そう言った地球連邦軍以外の人達は結界を強化を最優先に動き始め、グレモリー眷属のゼノヴィアと木場は前線に出て戦っていた。

 

「ふぅ、さて…俺達も動くとするか。つばさ!レイジ!」

 

するとこうき兄さんが俺とレイジ兄さんを呼んだ。

 

「なんだ?」

 

「なに?」

 

「お前達も彼処にいる魔法使いを倒してこい。ついでにつばさはあそこで戦っているグレモリー眷属の二人のサポートに付いてくれ。レイジは独断で自分の判断で動いてくれていい。勿論アリアもだ。アイラは俺と一緒に来てくれ、コイツらとは反対方向のアッチにいる魔法使いどもを蹴散らす。いいな?」

 

『はい!!』

 

「よし、それじゃぁ、行け!」

 

こうして俺達の戦いの火蓋が切って落とされるのだった。




どうでしたか?
さて、今回はこんな所で終わってしまいましたが次回から本格てきな戦ですね。次回もお楽しみに♪


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10話 全ての決着つきました

テストだったので遅くなりました。今回で決着です。それではどうぞ~♪


俺は今、突如襲ってきた『禍の団(カオス・ブリゲード)』と戦っているんだが…………、兄さんに命令されゼノヴィアと木場の手助けをしながら魔法使いどもを蹴散らしているんだけども、目の前では物凄いカオスな状態になっていた…………

 

「ふはははははは!!弱い…。弱いぞ!!魔法使いどもぉぉぉぉぉ!!」

 

「そしてくらえ!『烈風脚』!!」

 

ズカァァァァァン!!

 

『ぎゃぁぁぁ!?』

 

「レイジ様!いけます!」

 

「おう!わかった。行くぞ!!」

 

「「ソニック・スラッシャー!」」

 

ズシャシャシャシャシャシャシャ

 

『きゃぁぁぁぁぁ!!』

 

目の前で魔法使いどもを蹴散らす兄さん達の姿がうつった。現状は、魔法使い達が手も足も出せずに一方的にやられている状態になっていた。

魔法使いが魔法を放つがそれをこうき兄さんが能力で破壊したり、レイジ兄さんが雪姫で跳ね返したり…と、とりあえずカオスな現状がおきているのだ…。

 うん…、結論から言うとね、この戦闘に入りたくないよ!? なに!何なのさ!!なんで地球連邦軍の最強の二人が自由に暴れてんのさ!? 絶対嫌だよ!『絶対防御の破壊神』と『剣聖王』の二人が戦っている中に入るなんて!?

くそぅ…誰ですか、こんな二人がいるときにテロをしようと考えたアホは……。

 

「つ…つばささん?君のお兄さん達はスゴすぎないかい?」

 

「た…確かにな…。いったい彼らはなんなんだ?」

 

すると、隣にいたゼノヴィアと木場が兄さん達の事を聞いてきた。なんて言えばいいのでしょうか?

 

「えぇ~とですね。あなた達は『絶対防御の破壊神』と『剣聖王』は知っていますか?」

 

俺の質問に二人は頷いた。

 

「ああ、知ってるぞ?特に教会ではかなり有名だからな、その二人は。」

 

「確かに、悪魔の世界でもかなり知られているね。確か『絶対防御の破壊神』はその名の通り、どんな攻撃をしても傷が付かず、全ての物を破壊尽くす事から付けられた名前だと聞いたね。」

 

「ああ、教会の方でもその通りだ。確か…教会の戦士の中にはそいつと戦っている奴がいてな?なんでも、体長が2mを超えたがたいのいい大男で、攻撃が全く効かず全滅されられたみたいだったな。ゆういつ無事だった奴は体を小刻みにガクガク震わせながら、『奴は…化け物だ……』なんて言っていたな。」

 

「悪魔の方では何人かのはぐれ悪魔やはぐれ神父が殺られていたそうだよ」

 

「なるほど。あと、『剣聖王』はなんでも剣の使い手らしくてな、あまりの強さ故に付けられた二つ名だそうだ。その剣筋はありとあらゆる物を断ち、その剣筋を見切れる者はいない…と言われる程の剣士らしく、それ故に付いた名が最強の剣士がもつといわれる『剣聖王』だそうだ」

 

そう説明してくれた二人は、うんうんと頷きながら話をしていた。

 

「そうですか。そこまで知っているならいいですね。実はその二人が彼処にいる兄さん達なんですよ」

 

「「………え?」」

 

すると、二人は驚き顔になって同時に“えっ”と言った

 

「因みに、『絶対防御の破壊神』が彼処にいるこうき兄さん。『剣聖王』は反対方向にいるレイジ兄さんですよ~」

 

「「ええええええええええええええええ!?」」

 

俺の発言に物凄い大声で二人は叫んだ。あぅ~耳がぁ~…

 

「あぅ…。と、とりあえず、俺がこうして何もせずにボーとしているのは、そんな二人の間に入りたくないんですよ…」

 

まぁ~…、俺の能力とルーツの力を使えばどうってことはないんだが、それでもあの二人を相手するのはキツいんですよ……。それに、まだあの二人は“奥の手”がありますしね…………

 

さてと、どうしようかな?とりあえずサーゼクスさんの所にいる魔法使いどもを蹴散らしにいきますか。

 

「ゼノヴィアさん、木場さん。サーゼクスさん達の所に魔法使いが攻撃をしているので行きましょう?」

 

「「わかった。(了解だ)」」

 

俺達三人はサーゼクスさん達のいる所に急いで走った。サーゼクスさん達は自分達の回りに結界を張っており、その結界にむけて魔法使い達は攻撃をしていた。

 

「ゼノヴィアさんは右側を、木場さんは左側を、そして俺は中央の魔法使い達を相手するので各個撃破をお願いします!!」

 

「わかったよ!つばささん!」

 

「よし!わかった、つばさ!!デュランダルの錆にしてくれる!」

 

そう言った二人はそれぞれの場所に行き、魔法使いを相手した。

 

よし、俺も負けていれませんね。

 

「コピー能力発動!『フランドール・スカーレット』!」

 

俺はフランの能力を使った。そして俺は右手を中央にいる魔法使い達に向かって突きつけるようにだした。

 

「キュッとして、ドカーン!」

 

ドッカァァァァァァン!!

 

俺は右手をパーにしていたのをグーにして握ると、空中にいた魔法使い達がいた所が大爆発を起こした。

すると、目の前にいた魔法使い達は、爆発の影響により、服などが所々破けたり焦げたりした全身がボロボロの状態で地面に倒れていた。

 

「う~……、やり過ぎちゃったかな?」

 

う~ん、やり過ぎちゃったかも知れないけど…、まぁ、いっか♪

 

「大丈夫でしたか?皆さん!」

 

俺はサーゼクスさん達にかけよって聞いた

 

「すまない、此方は大丈夫だ。ありがとう、つばさくん」

 

「私からもお礼をさせてもらいます。ありがとうございます、つばささん」

 

「私からもお礼をさせてください。ありがとうございました、つばささん」

 

サーゼクスさん、ミカエルさん、ガブリエルさんの順番でお礼を言ってきた。

 

「いえ、気にしないでください!俺は当たり前のことをしただけですから」

 

そう言った俺はサーゼクスさん達にお辞儀をしたあと、急いで兄さん達の所に向かった。なぜなら、なにか嫌な勘が働いたからだ…

 

 

 

俺は急いで兄さん達のいた所にくると、地面で倒れているアザゼルと、空中で白い全身鎧のヴァーリがいた。

旧校舎の方向に向くと、イッセーとリアスさん、それにギャスパーがいた。あ、無事に助け出したんだね

 

「……チッ。この状況で反旗かよ、ヴァーリ」

 

「そうだよ、アザゼル」

 

アザゼルが憎々しげに言ったのをヴァーリが答えた。

はぁ…、やっぱり裏切ったんだね。おかしいなぁ~っと思ったんだよね~、会議室にタイミングよくテロを起こせたのが~。外には情報が漏れないようにしたはずなのに情報が漏れていた……なら考えられる事はひとつだ、それは………裏切りだね。

どうせ裏切りるならヴァーリかその他の雑魚兵の人だと思ったけど、ヴァーリなんだね~。

はぁ、嫌な予感が的中だよ…。予想通り、皆からしたら予期せぬ嵐がきたね。

 

「……一応、理由を訊いておこうか。何で堕天使側のお前が『禍の団(カオス・ブリゲード)』にいる?」

 

アザゼルの問いにヴァーリは淡々と答えた。

 

「正確には協力するだけだよ。魅力的なオファーをされたんだ。『アースがルドと戦ってみないか?』こんなことを言われたら、自分の力を試してみたくなるじゃない?私では断れないよ。」

 

「………いつオファーを受けた?」

 

「コカビエルを本部に連れ帰る途中で受けたんだ。こちらのほうがおもしろそうだからね」

 

「俺はおまえに『強くなれ』と言ったが、『世界を滅ぼす要因だけは作るな』と言ったはずだ」

 

「関係ないよ。私は永遠に戦えればそれでいいんだから。」

 

「……そうかよ。いや、俺は心のどこかでおまえが手元から離れていくのを予想していたのかもしれない。――おまえは出会った時から今日まで強い者との戦いを求めていたものな」

 

ヴァーリの答えにアザゼルは少し悲しそうな顔になっていた。

 

「何だかいやらしい視線を感じるわ……その子が赤龍帝なのですか?ヴァーリ」

 

「うん、残念ながらそうだよ。本当に残念な宿主なんだ」

 

「残念残念言うなッ!俺だって懸命に日々を生きてんだ!……って、何でおまえとアザゼルが対峙している?つーか、その姉ちゃん誰だよ?」

 

「なるほどね。本当に残念な子みたいね。ヴァーリ、殺すの?」

 

「どうしようか迷っていたんだけどね、今は殺さないよ。私は彼にそこまでの期待をかけているわけじゃないけどね、今はそれよりも彼らと戦ってみたいからね。」

 

そう言ったヴァーリは俺と兄さん達を指差した。

 

「ほう…、君は俺達と戦いたいと?」

 

「うん、そうだよ。あなた達…三大勢力のトップ陣が強いと言ったあなた達とね」

 

「そうか…。はぁ、面倒だな全く…」

 

「すまねえ、こうき」

 

アザゼルは申し訳なさそうに謝っていた

 

「今回の下準備と情報提供は白龍皇ですからね。彼女の本質を理解しておきながら、放置しておくなど、あなたらしくない。結果、自分の首を絞めることとなりましたね」

 

と、女性がアザゼルを嘲笑した。

 

「私の本名はヴァーリ。――ヴァーリ・ルシファーだよ」

 

苦笑しているアザゼルをよそにヴァーリは自身の胸に手を当て、皆に向かって言ってきた。

 

「死んだ先代の魔王ルシファーの血を引く者なんだよ。けれど、私は旧魔王の孫である父と人間の母との間に生まれた混血児。『白い龍(バニシング・ドラゴン)』の神器は半分人間だから手に入れたものだ。偶然だけどな。ルシファーの真の血縁者でもあり、『白い龍(バニシング・ドラゴン)』でもある私が誕生したの。運命、奇跡というものがあるなら、私のことかもしれないね。」

 

そう言うと、ヴァーリが着ている白龍皇の鎧の背中から光の翼と共に悪魔の翼が幾重にも生えだした。

 

「嘘よ……。そんな……」

 

「事実だ。もし、冗談のような存在がいるとしたら、こいつのことさ。俺が知っているなかで過去現在、おそらく未来永劫においても最強の白龍皇になる」

 

驚愕しているリアスさんにアザゼルは現実を教えた。

う~ん…、確かに強いけど、やっぱりグレートレッドのガイヤやオーフィスこと龍美、それにルーツに、他の古龍種達を見てきた俺からしたらやっぱり弱いね~。

えっ?マスタードラゴン?無理無理、あの人?に勝てる奴なんていないよ~。俺が転生者って事も見抜いたし、なにより、神龍だからね~。力が桁違い過ぎて比べ物にならないよ。俺だって全力をだしても勝てる気がしないもん

 

「覚悟を決めてもらいましょうか、アザゼル」

 

そんな事を思っていたら、アザゼルを嘲笑うカテレアがいた。すると、アザゼルは懐から一本短剣らしきものを取り出し

 

「俺の楽しみを奪う奴は消えてなくなれ」

 

「禁手化(バランス・ブレイク)……」

 

短剣は形を変え、パーツが別れ光が吹き出しアザゼルは金色の全身鎧に包まれていた

 

「『白い龍(バニシング・ドラゴン)と他にドラゴン系神器を研究して作り出した、俺の傑作人口神器だ。

『堕天龍の閃光槍(ダウン・フオール・ドラゴン・スピア)』それの擬似的禁手状態『堕天龍の鎧(ダウン・フオール・ドラゴン・アナザー・アーマー)』だ」

 

おぉ~!人口神器だ!とうとう作ったんだね~、念願の人口神器!本当…アザゼルの神器の研究はどんどん進んでいるんだな~。

 

アザゼルはカテレアに手招きをした。

 

「来いよ」

 

「なめるなッ!」

 

突然戦闘モードに切り替わった二人。特大なオーラを纏って飛び出す女性。

 

ザシュッ!

 

一瞬のことだった。

 

カテレアがアザゼルに飛び込み、アザゼルも槍を持って対応した。

 

刹那――。

 

ブシュッ!

 

カテレアの腹部から鮮血が噴出して、その場で膝をつく。

 

コンマの世界でアザゼルが勝ったようだ。それでもカテレアは、諦めずに立ち上がる。

 

「――ただではやらせません!」

 

グニュリ――。

 

そう言ったカテレアは自身の腕を触手のように変化させ、アザゼルの左腕に巻きつける。

 

そして、カテレアの体中に怪しげな文様が浮かび上がった。

 

うん?あれって……もしかして!?

 

その時、リアスさんが叫んだ。

 

「あれは、自爆用の術式だわ!」

 

リアスさんがカテレアの使用したモノを見て、叫んだ。

 

アザゼルが巻きついた触手みたいなものを剥がそうとするが、一向に剥がれる気配はない。

 

「アザゼル!この状態になった私を殺そうとしても無駄です!私と繋がれている以上、私が死ねばあなたも死ぬように強力な呪術も発動します!」

 

「――ッ!犠牲覚悟に大ダメージってか!?安っぽい発想だが、効果は絶大なわけだ」

 

アザゼルは悔しそうに叫んでいた。すると、こうき兄さんがアザゼルに近づいていった。

 

「ダメです!あれはもう、どうにもできません。行けばこうきさんも巻き込まれてしまいます!!」

 

「そうだ、こうき!来るんじゃねぇ!いくらお前でも、元が人間のお前がただじゃすまねぇ!!ここから離れてろ!!」

 

そう叫んでいたリアスさんとアザゼルだが、こうき兄さんは呆れたように溜め息をはいた。

 

「お前らなぁ~、俺を誰だと思ってるんだよ。それに忘れていないか?俺の能力をさ」

 

そう言った兄さんはそのままアザゼルに近づいていって、アザゼルの腕に付いた触手を掴んだ。

 

「何をするか知りませんが無駄ですよ。その触手は私の命を吸った特別性。絶対に外れませんし切れませんから」

 

カテレアはそう言ったが、こうき兄さんは不適に笑う。

 

「ほう、そうか。だがな…」

 

パァァン!

 

「俺には無意味な事だな」

 

「えっ…!?」

 

突然触手が破裂して、アザゼルの腕に付いていた触手も綺麗に塵となって霧散した。

突然起こった事に驚きを隠せないカテレアとアザゼル達…。

はぁ~、こうき兄さんの能力を甘く見ていたか忘れてましたね?アザゼル達は……。全く……。こうき兄さんに壊せない物なんて、この世には無いんですからね~。

 

「ふん、やはりこの程度だな。カテレア…お前に特別に教えてやろう。俺の能力は2つある。1つ目は『絶対防御』…ありとあらゆる物を防ぐ能力だ。俺が貴様の攻撃が食らわなかったのはその能力のお陰だな。

それで2つ目が、『絶対破壊』…ありとあらゆる物を破壊する能力だな。これは言わば『絶対防御』の反対の能力だな。そして、貴様の触手を破壊したのがこの能力の影響だ。まぁ、これにプラスで、まだ力があるが…、それはあまり使うことが無いな。俺は己の体のみで戦っているからな!

まあ、この能力を使って戦っていたら、付いた二つ名が『絶対防御の破壊神』……それが俺だよ」

 

「な…!あの……化け物があなただったなんて…!」

 

カテレアは化け物を見るような眼で驚いていた。

 

「さて…、貴様は俺達の邪魔をした。地球連邦軍がいると知ってて世界を混沌の闇に落とそうとしたんだ。勿論………覚悟はできてるんなだろうな?」

 

こうき兄さんから物凄い殺気と威圧が漏れていた。

 

「ひぃっ!?」

 

カテレアはあまりの殺気の強さに驚愕し、腰を抜かして尻餅をついていた。カテレアの顔は恐怖に刈り取られて、冷や汗を大量に流し、目元には涙が溜まっていた。

 

「じぁ………消えろ」

 

ズドォォォォォォン!!

 

こうき兄さんは左手に赤い気を纏わせてそれをを大きく振りかぶりカテレアに振りおろした。そしたら、大きな音とともに地面に大きなクレーターが出来てて、そこにはカテレアの姿はなかった。恐らく跡形もなく消し飛ばしたのだろう。

 

「で…、どうするんだ?白龍皇…。俺と…、いや、俺達と戦うか?」

 

こうき兄さんはヴァーリに聞いていた。

 

「うん、それでも戦うよ。今のは怖かったけど、余計に戦いたくなったしね!」

 

「そうかそうか…、お前らはどうするんだ?」

 

こうき兄さんが俺達のほうを向いて聞いてきた。

 

「俺はどっちでもいいぞ?負けはしないからな」

 

レイジ兄さんは自信満々に答える

 

「俺は、まぁ~……、どっちでもいいかな?出来れば戦いたくないけどね~」

 

俺はそう答える

 

「そうか…、なら戦うか!」

 

そう言った兄さんは左手をだし右手を後ろに構える様に構えた

 

「元々、戦うき満々だったくせに…」

 

俺は兄さん達にそう言った。二人とも本当に戦闘が大好きな人なんだから…

 

「ちょっと待て!俺も入っているのか!?」

 

レイジ兄さんは驚いた顔で俺に聞いてきた

 

「なにいってるの?そうに決まってるじゃないですか」

 

「ちょっ!それは誤解だ!俺は断じて戦闘狂ではない!」

 

「ふ~…ん。じゃぁ~…、さっきまで向こうでテンションが上がって魔法使いと戦っていたのはなぜかな~」

 

「え!いや…それは~………」

 

「ジーーー」

 

頭をかきながら明後日の方向を向くレイジ兄さんに向かって俺は無言でジーっと見ていた

 

「あ…あははは。……ごめんなさい」

 

「うん、よろしい」

 

レイジ兄さんは観念したのか頭を下げて謝ってきた。最初ッからそうすれば良かったのに

 

「う~んと、そろそろいいかな~?」

 

すると、痺れを切らしたヴァーリが叫んでいた

 

「いいですよー!」

 

「そう?じぁ~話もすんだ事みたいだし、つばさちゃん。私と戦おうよ!」

 

そう言ったヴァーリが突っ込んできた。

 

「おぉ~、早い早い。でも…」

 

俺は背中から鴉の翼を出した。

 

「その程度では遅いですよ?」

 

シュン!!

 

風を切る音が聞こえて、ヴァーリを俺は背中から蹴り飛ばし、更に飛ばした方向に飛んでいきそのまま上に殴り飛ばした。

 

「ぐっ…!ふふ…、私は女の子なのに容赦しないね。そんなのじゃ嫌われちゃうよ?」

 

ヴァーリは空中で飛ばされた勢いを白龍皇の光の翼で殺し、空中に静止していた。

 

「俺は、戦闘では老若男女問わず、容赦なしに戦いますからね。」

 

「そうなんだ。可愛い顔なのに怖いんだね~。さて、お喋りも個々までにして続き、やろっか」

 

「そうです…ね!」

 

俺は地面を思いっきり蹴って空中に飛びそのまま鴉の翼―射命丸 文の力を使って加速し、ヴァーリに突っ込む。ヴァーリはそれを交わして俺に殴りかかってきて、俺はそれを受け流しカウンターでパンチを放つヴァーリはそれを受けとめ、俺を蹴り飛ばした。俺は咄嗟に腕をクロスさせてガードをしたが、地面にぶつかり少しダメージをうってしまった。

 

「むぅ…、やっぱり生身だから痛いです…」

 

「生身なのにその程度って…、あなたは本当に規格外だね~。私さっきの結構本気で蹴ったのにな~」

 

ヴァーリは呆れたように溜め息をはいていた。

 

「やはり…俺も久しぶりに鎧を着けますか。ルーツ!」

 

『O.K.!つーくん!』

 

「『禁手化(バランス・ブレイク)!“祖龍の鎧(アンセスター・ドラゴン・スケイルメイル)”』」

 

俺はルーツと同じ白銀色に輝く全身鎧を身に纏った。形は赤龍帝の鎧と同じだ。この能力は5秒ごとに自信の全能力を10倍にしていき、さらに1km以内にいる仲間と認めた全員の全能力を10倍にする事ができる。だが、欠点があり、俺はコピーした能力がありすぎて、鎧を身につける前に使用した能力しか強化が出来ないのだ。

まぁ~、それ以外の自身の固有能力は全て同時に強化はできるんだけどね~。

 

「あれが……伝説の龍“祖龍 ミラ・ルーツ”が封印されている、つばさの“神器(セイクリット・ギア)”か!」

 

離れた場所でアザゼルが叫んだ気がするが今は気にしないでおきましょうか

 

「さて、始めましょうか。ヴァーリさん!」

 

「えぇ!楽しい戦いにしましょう!」

 

「「はぁっ!」」

 

ズカァァァン

 

俺とヴァーリの拳がぶつかり少し衝撃波が回りに飛んだが、俺達は気にせずそのままぶつかりあった。ヴァーリは空中に飛んで蹴りを放つが、俺は後ろへ回転しながら飛び、そのまま空中で魔方陣を出して足でそれを踏み込みヴァーリに突っ込む。ヴァーリは避けれず、腕をクロスして防ぐが“射命丸 文”の能力で加速していたのでそのまま吹き飛んだ。ヴァーリはすぐさま体制を建て直し魔力弾を放つが、俺は風を巻き起こし魔力弾を霧散させた。俺は更に“フランドール・スカーレット”の能力を使い、ヴァーリを爆発させた。すると、ヴァーリの鎧は砕け散り、ヴァーリが地面で倒れていた。

 

「うぅ……、な…なんて、デタラメな威力なのよ。只でさえ攻撃の一発一発が強力だって言うのに、この爆発の能力は威力が桁違い過ぎだよ」

 

ヴァーリはボロボロになりながらも、まだ立っていた。まぁ~、威力は弱めているからね~。流石にこの能力はどんなに屈強な奴でも簡単に爆発しちゃうからね~。本当…フランちゃんの能力を鍛えて、上手くコントロールできるようにしといて良かったぁな~。

 

「さて…、まだやりますか?ヴァーリさん?」

 

「えへへ、流石に…ヤバイかな」

 

うん、いくら力を手加減したとはいえ、あれだけくらえば流石にキツいでしょうね~。

 

俺は気づいて旧校舎の方向を向くと、イッセーがリアスさんとギャスパーから離れて、俺とヴァーリがいるすぐ近くにきて、ヴァーリの鎧から落ちた青い宝玉を手に持っていた。何をするんでしょうか?

 

「なあ、ドライグ。神器は思いに応えて進化するんだよな?」

 

『あぁ、そうだが……相棒、まさか――』

 

いったい、何をするつもりなんでしょうか、イッセーは…

 

「ドライグ。俺のイメージを伝えるから。――やってみてくれ」

 

『――やはりか。相棒、危険なイメージだぞ?だが、面白い!死ぬかもしれないが、覚悟はできているな?』

 

「死ぬのは勘弁してほしいな。俺だって、まだやりたい事が沢山あるんだよ。――だけど、痛みぐらいなら我慢してやる!!それで目の前のあの野郎を超えられるならなッ!!」

 

『フハハハハハハハハハハ!!いい覚悟だ!!ならば、俺も覚悟を決めよう!正気の沙汰ではないが――我は力の塊と称された赤き龍の帝王!!お互い、生きて超えてみせるぞ!相棒――いや、兵藤一誠ッッ!!』

 

「応ッ!!」

 

「何をするつもりなの!?」

 

ヴァーリが興味深そうに訊いていた

 

「『白い龍(バニシング・ドラゴン)』!アルビオン!ヴァーリ!もらうぜ、おまえの力を!!」

 

バリンッ!

 

イッセーは自分の右手の甲にある宝玉を割り、そこに『白い龍(バニシング・ドラゴン)』の宝玉をぶち込んだ!!

 

「――ッ!!」

 

ドクンッ!!

 

イッセーの体が脈を打った。――瞬間、激痛がきたのか、宝玉をはめ込んだ右腕を押さえて左足の膝をついた

 

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!ぬがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!!!!」

 

『ぐ、ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおッッ!!』

 

イッセーはさけんで、その中でドライグも苦悶を漏らしていた。

 

『無謀なことを。ドライグよ、我らは相反する存在だ。それは自滅行為だぞ?――こんなことでおまえは消滅する気なのか?』

 

『アルビオンよ!おまえは相変わらず頭が固いものだ!我らは長きに亘り、争い続けてきた。毎回毎回同じことの繰り返しだった!』

 

俺は二匹の会話を聞きながら、苦痛に耐えているイッセーを見ていた。

 

『だがな、俺はこの宿主――兵藤一誠に出会って一つ学んだ!――バカを貫き通せば、可能になることがある。とな!』

 

「バカで結構だ――いや、俺もドライグも大バカでいい!!神器!俺の想いに応えろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

『Vanishing Dragon Power is taken(バニシング・ドラゴン・パワー・イズ・テイクン)』

 

右腕が白い光に包まれる。光が止むと、そこにあったのは――。

 

「……へへへ、『白龍皇の籠手(ディバイディング・ギア)』ってとこか?」

 

白き籠手が出現していた。

 

『あり得んッ!こんなことはあり得ない!』

 

アルビオンが驚愕の声音を出していた。

 

パチパチパチ。

 

イッセーへ拍手を送るヴァーリ。

 

「ふふ、面白いね。なら、私も少し本気を出そう!私の力で、キミの周囲にあるものすべてを半分にしてあげる!」

 

ヴァーリが宙で大きく手を広ると、光翼も巨大に伸びていく。

 

『Half Dimension(ハーフ・ディメイション)!』

 

宝玉の音声と共に、眼下に広がる木々へ手を向ける。

 

グバンッ――グババババババンッ!!

 

木々が一瞬で半分の太さになり、また半分に。またまた半分になっていく。

 

「兵藤一誠、おまえにもわかりやすく説明してやろう」

 

アザゼルがイッセーに言う。その隣にはこうき兄さんも立っていた。二人は両手をメガホンにして、叫んだ。

 

「「あの能力はすべてを半分にしていく。白龍皇が本気になれば、リアス・グレモリーたちのバストも半分になる!」」

 

「…………………はい?」

 

俺は予想外の二人の言葉に声が出なかった。俺は、そう言われたイッセーはどんな反応をしているか気になりイッセーを見ると……

 

「………ふ」

 

………ふ?

 

「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!!!!!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!

 

『Boost(ブースト)Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト)!!!!!!!』

 

イッセーは怒声をあげると、Boost(ブースト)と連続しながら力が膨れ上がった。

「許さない!!テメェだけは絶対に許さない!!ぶっ倒してやる!!ぶっ殺してやるッッ!!!!!」

 

『Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト)!!!!!!!!』

 

ドゴォォォォォォォンッッ!!!

 

イッセーの周囲がはじけ飛ぶ!そして、旧校舎の外壁が崩れだした!!

 

「アッハッハッハッハッハッ!!なんだそりゃ!!マジかよ!!女の胸が小さくなるかもしれないって理由だけでドラゴンの力が跳ね上がりやがった!!」

 

ほんとう…なんでそんな理由で力を出すんですか…。おかしいでしょう…

 

「部長や眷属、家族に手を出してみろッ!!二度と立てない体にしてやらぁッッ!!この半分マニアがぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!!!」

 

ドンッ!!

 

「キァァァ!」

 

ズカァァァン…!

 

イッセーの一撃でヴァーリが学校にぶっ飛ばされてしまった。えぇ…、俺も一瞬見失うって……いったいどんだけスピード出したんですか!?

 

「うぅ…イタタた、アルビオン…ヤバイかも」

 

『ヴァーリ!大丈夫か!!急いで撤退するんだ!』

 

「うん…、そうしたいけど、体が思うように動かないよ…」

 

その時、神速で俺とヴァーリの間に入り込んできた者がいた。

 

そいつは三国志の武将が来ているような鎧を身に纏った男だ。

 

「ヴァーリ、迎えに来たぜぃ」

 

「美猴じゃん。何をしに来たの?」

 

ヴァーリは口元の血を拭いながらフラフラと立ち上がり、爽やかそうな男性――美猴に話す。

 

「他の奴らが任務に失敗したから、撤退しようってことだよ。さっさと帰ろうや。本部は本部で北の田舎神族と一戦交えるってことだしよ。でもまあ、おまえは休息が必要だな。派手にやられたな」

 

「……うるさいし」

 

ヴァーリはふて腐れながら頬を膨らましていた。

 

「というか、おまえら誰なんだよ」

 

すると、イッセーが突然きた男に聞いていた。

 

「――闘戦勝仏の末裔だ。簡単に言うと、奴は孫悟空。西遊記で有名なクソ猿さ」

 

「そ、そ、孫、悟空ぅぅぅぅぅぅぅっ!?」

 

イッセーは驚きの真実にさけんでいた。俺はまぁ~、初代と会ったことあるからすぐ気づいたけどね~。

 

「正確にはその力を受け継いだ猿の妖怪だ。それにもコイツらのほかにもいるんだよな~。まあ、詳しくはサーゼクスにでも訊くんだな。しかし、嫌な面子だな。相手にするのは面倒だぜ、こいつらは」

 

「ま、そういうことだ。それで悪いけど、俺っちたちは撤退させてもらうぜ」

 

 ヴァーリが男に支えてもらいながら、笑顔を向けてくる。

 

「じゃあね、アザゼル、宿敵くん。それにつばさちゃんもまた戦おうね~。」

 

ヴァーリは手を振りながら叫んでいた。ヴァーリは、地面に広がった黒い闇の中へ消えていったのだった。



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11話 隠し事していて皆さんに謝ります!!

遅れて申し訳ありませんでした! 今回も頑張ってかいてみたので、ゆっくりと見ていってください!

それではどうぞ!


ヴァーリが去ってから少したち、現在、俺と兄さん達はサーゼクスさん、ミカエルさん、アザゼルさん、そのお付きの人達に囲まれています。

 

「さて、聞かせてもらおうか?三人とも。なぜオーフィスがお前達といるんだ?」

 

そう言うアザゼル

 

「そうですね。多分私の考えでは他にも隠していることがあるでしょうね。」

 

「そうだね。こうきが隠し事をするときは頭をかくからね」

 

ミカエルさんとサーゼクスさんが言う。はい…そうです。隠し事しています! 兄さんのあほーーー!

 

「アハハ…。いやぁ~、何から話そうか……。つばさ!頼むわ」

 

そう言って兄さんは俺に話を投げてきた。てか、俺が説明するのですか!? まぁ…確かに元をただせば俺のせいなんですけど……。

 

「わかりましたよ……。先ずはオーフィスとの出会いからですね…。確かあの時は―――」

 

俺はそのあと全ての事を話した。ルーツに言われ、次元の間でガイヤ(グレートレッド)と龍巳(オーフィス)との出逢った事を、そのあと二人が家族になったことを、暫くして龍美が『禍の団(カオス・ブリゲード)』を抜けてその時に力の3分の1を置いてきたことを…。全ての話をしたのだった。

 この話を聞いたとき、三大勢力のトップ陣の三人は、無限と夢幻…2つの最強のドラゴンが家の家族になっていたことにかなりの驚いたあと、あきれ果てた2つの反応をしていた 。 まぁ…、わかってたことですけども、あきれ果てた顔をしないでくださいよ…。

 最後に兄さんがこの事をここで話したのは、迂闊に喋ることができない事情だったから、今まで黙っていたんだ…と、説明して謝っていた。

 

「わかったよ。確かにそれでは迂闊に喋ることはできないね。悪魔の方では四大魔王以外は黙っておこう」

 

「そうですね。無限と夢幻が家族になっていたことには驚きですが、確かに事を無闇に話すと、とんでもない事になるのは確実でしょうね。私達もこの事は熾天天使以外は黙っておきましょう。」

 

「確かにな。俺もシェムハザとバラキエル以外は黙っとくよ。」

 

三人ともそう言ってくれた。

 

「はぅ~。ありがとうございます!ミカエルさん、サーゼクスさん、アザゼルさん!本当にありがとうございます!!」

 

「あぁ、すまないな。俺からも礼をのべる。ありがとう…三人とも。」

 

俺と兄さんは三人に深く頭を下げた。

 

「ははは、良いよこれくらい。君達には感謝仕切れないほどの事をしてもらってきてるからね。」

 

「そうですよ。天使側も、特につばさ君にはかなりお世話になっていますから、これくらいはさしてください」

 

「そうだぜ、こうき。俺だってお前らには色んな技術の提供をさせて貰ってるからな。これくらい軽いもんさ。まぁ、ギブアンドテイクって事でいいじゃねぇか!」

 

「そうか、本当にすまんな。そして…此れからも宜しく頼むぞ?親友達よ」

 

「あぁ、此方もこれからも頼むよ。」

 

「よろこんで。此れからも宜しくお願いしますね」

 

「よっしゃ!此方も今後とも宜しく頼むわ!」

 

そう言った、こうき兄さんとサーゼクスさん、ミカエルさん、アザゼルさんは仲良く握手をしていた。そのあと、こうき兄さんとその三人達は世間話と家族の自慢話をしながらゆうよな時を満喫していたのだった。

 

「はぁ~、全くあの四人は…。レイジ兄さんは行かなくてもいいの?彼処に」

 

俺は隣にいたレイジ兄さんに声をかけた。

 

「ん?あぁ、いや、別に大丈夫だよ。なんせ、あれでもこうき兄さんは地球連邦軍のトップなんだからな。それに、流石にあの中の邪魔をするわけにはいかないよ。」

 

ふ~ん。まぁ、確かにあの中の邪魔をするわけにはいかないよね。あんなに楽しそうに喋ってる四人は久しぶりに見た気がするからね~。

 

「さて、俺は復旧の手伝いをしてくるよ。兄さんはどうする?」

 

「ふむ、そうだな~…。俺もすることないし、アリアにも復旧作業を手伝って貰っているから、俺も手伝うか!彼処で仲良くしているこうき兄さんのぶんもな。」

 

「ふふふ、そうだね。こうき兄さんの分も頑張って働きますか♪ それじゃぁ~、早く行こうよ!レイジ兄さん」

 

「あぁ、そうだな!早く終わらせて、皆で家に帰るか!」

 

「うん!」

 

そして、俺とレイジ兄さんは復旧作業の手伝いをすることにした。三大勢力の人達皆の助け合いと協力のお陰で、復旧作業はスムーズにいき朝までには学校が復旧することができた。そのあと、ミカエルさん、アザゼルさんは其々の部隊を連れて本部に帰っていき、そのあとサーゼクスさん達も魔界に帰って行った。リアスさん達は其々の家に帰って行ったのだった。 そして、俺達、地球連邦軍はと言うと…

 

「さて…、皆も帰ったことだし帰るか。」

 

「そうだね」

 

「そうだな」

 

俺とレイジ兄さんが返事をする

 

「しかし…、今回は出てこなかったが、奴等も『禍の団(カオス・ブリゲード)』にいるのは間違いないだろうな…。」

 

そうレイジ兄さんは言う。すると、こうき兄さんも真剣な顔になり、ひとつ頷いた。

 

「確かにな…。今回は“奴等”が出てこなかったがこの程度ですんだ事だが…、もし、今回奴等も出てきていたら危なかっただろうな…。このままじゃダメだな…。帰ったらそこん所を考えるか…。」

 

「そうだな。これ以上“奴等”を放っておくのは危険だからな…。」

 

そう言った兄さん達は物凄く真剣な顔になっていた。

それにしても、奴等…か…。奴等とは…、世界を我が物にして、ありとあらゆる災厄を降り注ごうとしている謎の集団の事だ……。正体が分からず、俺達もかなり手のやいている奴だ。今、俺達が持っている情報の中に一つだけ気になる情報があった。それは…、目撃情報で、全身が灰色で、眼が赤く鋭くて、体長が2mと超えた大狼だそうなんだ。

 俺の朧気な記憶の中にそんな奴がいた気がするんだ…。 でも…、記憶の中から探そうとしても、まるで霧がかかったかの様にわからなくなってしまうんだ。なんでだろうか…? 他の事は覚えているのに…あの時…お父さんとお母さんが助けてくれた、あの日の記憶だけ、分からないんだ……。物凄く…大事な筈なのに……………

 

「おい!つばさ!」

 

「ひゃっひゃい!!」

 

俺は突然の出来事に変な声を出してしまった。だって…、両肩を捕まれたと思った瞬間、目の前にレイジ兄さんの顔が間近にあったんだよ?そんなの驚くに決まっているじゃないですか!!

 

「たく…、大丈夫か?いくら呼んでも返事をしないから心配したぞ?」

 

え…?ま、まったく気づかなかった。そんなに俺は深く考え事をしてたんだね。次からは気をつけておかないと

 

「うん、大丈夫だよ。ちょっと疲れてボーっとしてただけだから。もう大丈夫だよ、レイジお兄ちゃん♪」

 

すると、レイジ兄さんは心配事が取れたのか笑顔になった。

 

「そうか…、ならもう大丈夫だな。もうボーとするなよ?怪我するからな」

 

「うん!わかった~」

 

「そんじゃ、帰るか!」

 

こうして俺達は実家に帰ることとなるのだった。

 

しかし、誰も気づいていなかった…。この時、こうきが一人だけ難しく険しい顔になっていたことを…………

 




さて、いかがでしたか? 今回に出てきた“奴等”とは誰なのでしょうか…。わかる人はわかるでしょうけど気になりますね…。今後から、“奴等”も主人公に関わっていくと思います! そして、主人公の過去もわかってくるようになると思うので、乞うご期待なのです!!

それでは、また次回でお会いしましょう!それではバイバーイ♪


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12話 恐怖の夢

お気に入り件数300を越えました!皆さん!この小説を見ていただきありがとうございます!! これからも頑張って書いていくので暖かく見守ってくださると嬉しいです!! それでは、本編をどうぞゆっくりみていってね♪


俺は今、何処か分からない場所に立っていた。回りにはなにもなく、ただただ、瓦礫があり全てが燃えて赤く染まっていた……。

 

あれ…?ここは…どこ? なぜなにもないの? なぜみんな燃えてるの…? なぜ?なぜ?なぜ!

 

『くははは!燃えろ!燃えろ! あの忌々しき一族は全て朽ち果てろ! ぐぁっははははははは!』

 

目の前には、灰色の大きな狼がみんなを切り刻んでいく。みんな、殺されていく、みんな死んでいく…。

あれ? なんで、お兄ちゃんが倒れてるの? お姉ちゃんが倒れてるの? うそだよね? 冗談だよね? 死ぬわけないよね? だって、あのお兄ちゃんとお姉ちゃん達なんだよ…?死ぬわけが……

 

『きゃぁぁぁ!!』 『うわぁぁぁ!!』

 

え…? なに? あ…れ? リアス…さん? イッセー…? それに、アーシアも小猫ちゃんもゼノヴィアも黒歌さんも木場も、サーゼクスさんも セラフォルーさんも アザゼルも ミカエルさんも……みんな…みんな倒れてる……。あかく…あかく…あかくあかく…あかくあかくアカクアカクアカクアカクアカクアカクアカクアカクアカクアカクアカクアカクアカクアカク!!!

 

みんな…赤く染まってる………なぜ?…どうして? ドウシテナノ? 俺が何をしたって言うの!!

 

『おぉ?まぁだ生き残りがいたのか。くっくっくっくっくっ! お前で最後だなぁ~。なぁ~に、心配はいらないさ…。お前もすぐに、あいつらの所に連れてってやるよ』

 

やだ…、来ないで…! やだ…嫌だよ…!まだ死にたくない…!まだ生きたい!! 誰か…助けて…!助けてよぉ~……!!

 

『そんじゃぁ…。死ねぇーーーーー!!!!!!』

 

ひっ………!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イヤァァァァァァァァ!!!!!!」

 

俺は勢いよくベットから起き上がった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ………!」

 

俺は回りを見渡す…。そこは何時もと変わらぬ自室だった。そして、俺の体は汗でベットりとして、とても気持ち悪かった。

 

「…………ゆ…夢…なの?」

 

夢…だったのかな…? あんなにも赤く染まっていて、みんな知ってる人や大切な人達がみんな赤く染まって倒れている恐ろしい夢………。 なんで、あんな夢を見たんだろうか……。 まさか…正夢……? あ…あははは…、そ…そんなわけ…ないよね? うん…きっとない、あるはずがない! きっとあれはただの夢だ! ただの夢なんだ! あんな事…おこるはずがない!!

 でも…、夢に出てきたあの狼…何処かで見た気がする………。どこだっけ…?うぅ…ん思い出せない…。いくら探しても霧がかかったかの様にわからなくなってしまう。 いつもいつも、感じんな所でわからなくなるから、とっても気持ち悪いよ…。 うぅ~………。

 

 

 誰か…いるかな? このままじゃ……耐えられないよ………

 

俺はパジャマのままだが、部屋を出て家の中を歩き回る事にした。

 

「黒歌さ~ん!…幽香お姉ちゃーん!!……………………?」

 

返事がない………。あれ…?誰もいないの…? ほ…本当に…誰もいないの……? ま…まさか…!? あの夢が、夢じゃなく現実だったら…………………

 

「………………くっ!!」

 

俺は走った。広い家の中をひたすら走った。誰かいないか叫びながら…色んな部屋を回りながら、ただひたすら不安を取り除こうと、誰かいないか色んな所を探し回った。だが………………

 

「だれも…………いない……」

 

そう…、誰もいなかった。いるのは俺一人……どんなに探しても、俺以外の人はいなかったのだ…。もしかしたら、夢が本当だったのかも知れない…。家だけじゃない…外に出ても、回りには俺以外は誰もいないかも知れない……そう思うたび俺の不安は膨らんでいった……。大好きな家族も友達も仲間も…みんな、みんな…いなくなっていると思ってしまう……。 俺は此からずっと一人なのか……すっと孤独なのか…不安が不安を呼び…俺の心は今でも壊れそうなくらいに不安に押し潰されていた…。

 

「お願い……誰か……誰か…返事をしてよ………誰か…いないの?……お願いだから……誰か…返事をしてよぉ………」

 

俺の頬に一粒の涙がこぼれ落ちた。それから更に落ちていき…その量は増えていった…。

 

「ひっ…く…えっ…ぐ……だれかぁ……返事を…してよぉ…………」

 

それでも誰も返事はない…………。俺の心は絶望に変わった……。朝みた夢は…、夢じゃなかったんだ……、現実だったんだと…………。そう…、もうこの世界には…この世には…誰もいない……。家族も、友達も、仲間も…みんな…み~んな死んじゃったから…………。だから…俺は……一人ぼっち…なんだ…。 もう…本当に…みんな死んじゃったのかな…?みんな…本当にいなくなってしまったのかな…? だれかぁ…一言でもいいから…返事を……してよぉ…………

 

ブゥオォン!

 

「つーく~ん♪ いる~? 遊びに来てあげたよ~♪」

 

この声は……………

 

「……紫…さん…?」

 

俺の目の前には、紫さんがいた。何時もの様に隙間から来たみたい……。

 

「あら?つーくん見っけ!……あら?どうしたの?」

 

「紫…さん?……本当に…本当に…紫さん?…偽者でもなく、夢でもなく…本物の……紫さん?」

 

「え?えぇ。そうよ?本物の八雲 紫よ。どうしたのよ?そんな質問して。それに、目も赤く腫れているわよ?大丈夫?」

 

そう言った紫さんは、俺の頬に優しく手を触れてきた。……温かい…。人の手の温もりが感じれる…。そして、紫さんが目の前にいる……夢じゃなく……本当に…現実にいる……。 と、いうことは……夢は夢だったんだ……。みんな…生きてるんだ……家族も、友達も、仲間も…みんな…みんな、生きてるんだ!! 良かったぁ…良かったよぉ……

 

ガバァッ!!

 

「キャッ!?」

 

俺は思いっきり紫さんに抱きついた……。本物だ…この温もりは…本物なんだ……。

 

「ど、どうしたのよ、いきなり抱きついてきて…。ビックリするじゃない」

 

「ひっ…く…えぐぅ……怖かった……怖かったよぉ……みんな…みんないなくなっちゃったんじゃないかと思ったよぉ~……よがったぁ…よがったよぉ~……」

 

「つーくん……。なにがあったの?私に話してみなさい……?。」

 

そう、紫さんが優しく問いかけてくれる。俺はそれに小さく頷いた。

 

「うん……えぇとね……」

 

俺は今日みた全ての事を話した。 恐ろしく現実的な夢を見てしまったこと……朝その夢を見て飛び起きて、不安にかられ家を誰か居ないか探し回った事……誰もおらず、夢は夢じゃなく現象だったのではないかと不安に押し潰されていた事を……そして、紫さんが来てくれて、不安が無くなったことを………

 

 

「ひっ…くぅ……本当…に…怖かっ…た!……みん、な……居なく…なっ…て…しまっ…たんじゃ…ないかって…思っ…て…しまっ…た…んだ……ひっ…く……えっ…ぐ………怖かった……本当に……本当に……怖かったよぉ……」

 

「そうなのね……。それは怖かったわね……。大丈夫……私達は何処にも行かないわ……貴方を置いて絶対に何処にも行かないわ…。私達…幻想郷の住民も……貴方のお兄さん、お姉さん達も……そして、貴方の仲間の悪魔や天使の人達も……。みんな絶対に居なくならないは…。此だけは必ず約束するから……。だから、大丈夫…安心して? 絶対に大丈夫だからなね?つーくん……」

 

「紫…しゃぁん……ひっく…ふぇっぐ……う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」

 

俺は紫さんに思いっきり強く抱き締め顔を胸に埋めて泣きまくった……。普段なら恥ずかしすぎてこんな行動は無理だろうが、今の俺にはそんな考えなんて一つもなかった…。ただただ、心の中から安心していたから、たまっていたものを全て吐き出していたのだった……

 

「ふふふ…、可愛い子ね……まったく…こんな弟を持って羨ましいわぁ…さつき達が……」

 

 

それから、俺は紫さんの胸で沢山泣くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く泣いたあと、おれは不安がなくなったので泣き止んだ……。しかし、自分の今の状況とみっともなく大泣きしていたのとで、顔が耳まで真っ赤になってる気がした。たぶん、トマトの様に真っ赤になっているだろう。

 

「は…うぅ~…そのぉ~、ご、ごめんなさい。紫さん……服を…汚してしまって……」

 

俺は紫さんに恥ずかしがりながら、謝っていた。何故なら、俺が泣いていたせいで、服がびちゃびちゃになっていたからだ。

 

「あら、いいわよ別に~。替えならいくらでもあるし、何時もよりも可愛くて普段見れない貴方の姿を見れたんだから、まったく気にしていないわよ。むしろ、可愛い姿、ごちそうさまでした♪」

 

そう言った紫さんは笑顔だった。はぅぅ!そんな事を言われたらよけい恥ずかしくなっちゃうよ~…!

 

すると、紫さんの服がいつの間にか新しくなっており、新品の様に綺麗になっていた。

 

「着替えもすんだし、私は帰るわ、じゃぁ~ね~」

 

そう言った紫さんは、隙間を出して帰ろうとしたが……。俺が服を着かんで止めた。

 

「あら?どうしたの?つーくん。まだなにかあるのかしら?」

 

「あの…えっと…その…あの……うぅ~……」

 

言わなきゃ言わなきゃ!これは絶対言わなきゃダメなんだ!!

 

「その…ありがとう…ごさまいます……今日は…本当に……」

 

すると、紫さんが少しキョトンとした顔になるが、すぐに優しく微笑み…

 

「どういたしまして」

 

そう言ってくれた。はぅ~、言えたぜ!俺よ…頑張ったね!! でも、本当にお礼をするのは、気持ちいいね~♪

 

―side out―

 

 

 

 

―紫side―

私の名前は八雲 紫よ。今日はつーくんの今住んでる家に久しぶりに遊びに行こうと思い来たんだけども、この子が突然抱きついてきて、泣いたのよ…。理由を聞いたら、大好きなみんなが死んでいて一人になっていた夢を見たそうなのよ…。不安がって泣いていたこの子はとっても可愛かっわ。でも、やっぱりどんなに強がっていても淋しがり屋なのね…。本当…小さい時から変わらないわね…。

 

私が帰ろうとして、捕まりお礼をされたので、それを返して次こそは帰ろうとして隙間を出した。

 

「じゃ、次こそは帰るわね」

 

「まっ!まって!」

 

あら?まだあるのかしら。本当、淋しがり屋さんね~♪

 

「あら?まだなにかあるのかしら?」

 

「その…えっ…とね?……今日はあの怖い夢を見たせいで、一人でいるのが怖いの………だから………だから………一緒にいてくれる………?」

 

…………え? ちょ……ちょっとまちなさい。これは夢なの?夢なのかしら?こんなにも可愛い生き物がこの世にいるのかしら? 痛い!! うん、頬をつねってみたけど、痛いわね…。夢じゃないわけね………。ふぅ…。こんな生き物がいていいのかしら?顔を赤くさせて、上目ずかいの涙目で、細くか弱そうな手で小さく服の袖を掴んでいて、恥ずかしがりながらお願いする、こんなにも可愛い生き物がいるのかしら………。あぁ…ダメだわ……この子にそんな顔でお願いされたら断れないじゃないのよ………

 

「ゆ…ゆかりしゃぁ~ん………だめ…でしゅかぁ?」

 

裾を掴んでいた手に力が入り、更に涙目になり、今にも泣きそうな顔で聞いてきた。

も…もう!こんなのダメだわ!断れるわけないじゃない!!

 

「いいわ!いいわよ!今日は一日一緒にいましょ?つーくん!!」

 

「ほ…本当に? 本当に、本当…?」

 

「えぇ!本当に本当よ♪私は嘘はついていないわ!」

 

私がそう言った瞬間、目の前で不安そうにしていたつーくんが物凄い笑顔になった。

 

「やったぁぁぁ♪ゆかりしゃぁーん!ありがとう!!うわぁぁい♪」

 

目の前で、ぴょんぴょん跳ねながら喜んでいるつーくん…。ヤバイ…この子可愛い過ぎるわ…。そうよね…こんな純粋で淋しがり屋さんなこの子を一人になんて出来ないわね。この子を一人にしない為にも、私達ももっと強くならないとね…。

 

「じゃぁ、つーくん。今から晩ご飯を作るわね。だから、手伝ってくれるかしら?」

 

「うん!手伝う~♪」

 

手伝う~って…もう!可愛い過ぎるわよぉ~!!!!!!

 

「そう!なら、頑張ろっか♪」

 

「はい!」

 

こうして、私達は一緒にご飯を作るのだった。




どうでしたか?今回は主人公の淋しがり屋を協調してかいて見ました。前回でもありましたが、主人公の記憶は一部だけ霧がかかったかの様にわからなくなっているようです。 理由については後々話しますが、ヒントは主人公の前世です。 まぁ、今回夢にも出てきた“灰色の大狼”ですが、これは物語の鍵になっています。いったいこの大狼は主人公とどんな関係なのでしょうか………。

では、次回までお楽しみです♪ それでは、バイバーイ(⌒∇⌒)ノ"


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冥界合宿のヘルキャット
1話 冥界に里帰りだそうです


あれから数日……俺は今はオカルト研究部の部室にいまーす♪ え?何故って? なにかわかりませんが、リアスさんに呼ばれてここに来ましたのですよ。で…、来てみたのはいいのですが……

 

「――てなわけで、今日からこのオカルト研究部の副顧問になった。アザゼル先生と呼べ。もしくは総督でもいいぜ?」

 

着崩したスーツ姿のアザゼルが部室にいたのですよ。

 

「で?アザゼルは何故にここへ?」

 

俺はアザゼルに聞いたら、アザゼルは面倒くさそうな顔をしていた。

 

「それを聞くな。面倒で面倒くさいんだ。」

 

「結局面倒くさいんじゃないか!」

 

アザゼルの言葉にイッセーがつっこんだ。ナイスツッコミです!イッセー!!

 

「良いじゃねぇーか。それと、つばさ、今はアザゼルじゃない。アザゼルせ・ん・せ・い・だ! 今はアザゼル先生と呼びたまえ!ふはははー!」

 

アザゼル……先生はそう言って高笑いしていた。その姿はまるで悪党そのものだ。

 

「わかりましたよ。アザゼル先生。……で?本当の理由は?」

 

「まぁ~まて。俺がこの学園に来た理由は、この学園に滞在できる条件と一緒なんだ――まあ、大体予想はついているだろう?おまえ達の神器の正しい管理と成長。それの監督役だ。これから先、いつ『禍の団(カオス・ブリゲード)』が攻めてくるかわからない。そのためと言ってもいいだろうな」

 

アザゼル先生の言葉に皆が真剣な表情になる。

 

「なるほど…。だからこの学園にきたのですね。」

 

「あぁ、そうだ!ぶっちゃけると、セラフォルーの妹に頼んだらこの役職だ!まあ、俺の知的でチョーイケメンだからな。女子生徒でも食いまくってやるさ!」

 

下心丸出しでそんな事をいってるアザゼル先生……全くこの人はぁ~……

 

「おう!訊くが兵藤一誠・・・イッセーでいいか?お前は童貞か?」

 

……………え?な……何いってるんですか?この堕天使総督さんは!?

 

「は、はい!」

 

「よし、女も教えてやる。適当な美女でもひっかけて男になったほうがいいな。お前も来い!つばさ!」

 

そんな事をいってるアザゼル先生…それに、嬉しそうにして涎を垂らしてるイッセー…。ま…まま、全くこの人達わぁ~!

 

「ちょ、ちょと、待ちなさい、アザゼル!イッセーに変なことを教え込まないでちょうだい!」

 

リアスさんはイッセーを抱き寄せて、アザゼル先生に触れさせないようにしていた。そして何故か朱乃さんも俺の身体を包む様にして動け無いようにした。別に行きませんのにね~。

 

「いいじゃねぇか。このぐらいの年頃なら女のひとつやふたつ知っておいたほうが健全ってもんだ。それとも下僕が女を知るのに何か不都合でもあるのか?」

 

「イッセーの貞操は私が管理します!イッセー、ヒトの貞操を守っておいて、あなたが他のところで貞操を散らすってどういうことなのかしら!?」

 

「そうですわ!つばさちゃんの初めては私が貰うんですから!」

 

は…初めてって…/// あ…朱乃さん!女の子がそんなこと言っちゃいけないのですよー///

 

「それに……」

 

「それに?」

 

朱乃さんは一旦間を置いて口を開いた。

 

「あのさつき様達姉妹がそんなこと許すわけがないのです。もしも、そんな事をした場合……、アザゼル様は物理的に消されてしまいますわよ?」

 

朱乃さんは真剣な顔でそう言った。それを聞いたアザゼル先生は顔を真っ青にしてガクブルと震えていた。

 

「そ…そうだった……あ…あいつらに内緒でそんな事を…つばさの貞操を奪わせようとしたら、それをした俺が100%の確率で確実に消されちまうぜ……」

 

そうアザゼル先生は呟いていた。あははは、流石にあのお姉ちゃん達でもそんな事するわけがぁ~…………どうしてだろう。絶対しないっていう理由と根拠が見つからないよ~……

 

「そうですわよ、アザゼル先生」

 

朱乃さんは呆れた顔でそう言った。

 

「まぁ…、そう言うこった。お前ら!これからよろしくな!」

 

『よろしくお願いします』

 

こうして、アザゼルが、オカルト研究部の先生となるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、時は又々たち、今は夜の8時です。で、現在俺達、オカルト研究部はイッセーの家にお邪魔させてもらっています。あ…、因みにですが、アーシアとリアスさんはイッセーと同居中ですよ~。

 

「――という訳で、冥界に行こうと思うの」

 

リアスさんが何気なく言った言葉に、この場にいた朱乃さんと木場以外の者がリアスさんに注目した。

 

「突然ですね。里帰りですか?」

 

「えぇ。毎年夏休みに冥界の実家に顔を出そうと思ってね……イッセー?涙目よ?」

 

俺が何となく質問したら、リアスさんから返事がかえてきた。ってか、イッセーは何故か涙目になっている。

 

「……部長が突然冥界に帰るって言うんですから、置いて行かれるかと思いましたよぉ……」

 

「まったく、そんなことあるわけないでしょう?あなたと私は百年…千年単位で付き合うのだから、安心なさい。あなたを置いてなんか行かないわ」

 

そう言って、リアスさんがイッセーの頬を優しくなでる。

 

「……もうすぐ皆で冥界に行くわ。長期旅行の準備をしておいてちょうだい」

 

「えっ!?俺たちもですか!?」

 

「そうよ。あなたたちは私の眷属で下僕なのだから、主に同伴は当然。一緒に故郷へ行くの。そういえばアーシアとゼノヴィアも初めてだったかしら?」

 

「む…そうだな。まさか、教会の私が冥界に生きて行こうとわな。新鮮な気分だ。」

 

「はい!私も楽しみです!!」

 

ゼノヴィアとアーシアは其々の感想を言っていた。てかアーシア…貴女は使い魔の森にいってるでしょうに…。まぁ…、楽しそうだしいいのかな~?

にしても…、何時になったらアザゼル先生は部室に入って来るのでしょうか?

「俺も冥界に行くぜ!」

 

『っ!?』

 

突然廊下から現れたアザゼル先生を見て、一同が面食らった表情で注目していた。

てか、このタイミングを見ていたな?通りで全然入ってこなかった訳ですね。

 

「どこから、入ってきたの?」

 

「見ての通りだ。玄関から入ってきたぜ」

 

目をパチクリさせながら聞いたリアスさんに平然と答えたアザゼル先生。

 

「……気配すら感じませんでした」

 

木場が正直に気持ちを口にする。

 

「そりゃ、修行不足だな。それよりも冥界に帰るんだろう?なら、俺も行くぜ。俺はおまえらの『先生』だからな」

 

そう言うと、アザゼル先生は懐からメモ帳を取り出して読み上げだす。

 

「冥界でのスケジュールは……リアスの里帰りと、現当主に眷属悪魔の紹介。あと、例の新鋭悪魔たちの会合。それとあっちでおまえらの修行だ。俺は主に修行に付き合うわけだからな。おまえらがグレモリー家にいる間、俺はサーゼクスたちと会合か。ったく、面倒くさいもんだ」

 

説明を終えたアザゼル先生は嘆息する。総督ってのも忙しそうですね~。たまには働いてもらわないと、副総督のシェムハザさんの苦労が増えてしまうのでとても心配なのですよ。

 

「では、アザゼル――先生はあちらまでは同行するのね?行きの予約をこちらでしておいていいのかしら?」

 

「あぁ、よろしく頼む。悪魔のルートで冥界入りするのは初めてだ。楽しみだぜ。いつもは堕天使ルートだからな」

 

アザゼル先生が頷いてそう口にした。

 

「俺も行きますよ~!」

 

「あら?つばさちゃんも?大丈夫なの?」

 

俺がそう言うとリアスさんは心配そうな顔でそう言った。

 

「大丈夫ですよ~♪ それに、家族にはこの事は言っていますし、総司令官殿に頼まれてもいますからね~」

 

俺がそう言うと、アザゼル先生が面白そうな物を見つけたかの様な顔になった。

 

「ほぉ~、なにか面倒事か?」

 

アザゼル先生はなにか的を当てたかの様に言った。たく…相変わらずの鋭さなのですよ

 

「はい、ちょっと面倒な者が冥界にいるのでね。それの調査をしにね~。」

 

「面倒な者…?なんだそれは?」

 

アザゼル先生は難しそうな顔で聞いてきた。

 

「ちょっとね~。その者は過去に暴れすぎて封印された『妖魔』と呼ばれる者達なのですよ。その者達は人の魂を糧としていて、人の…生き物の魂を食らう度に力を付けていく厄介な者達なのです。その者達はあらゆる次元を超えてあらゆる世界を食らってきた魔物達なのです。 この世界とは別の世界…俗に言う平行世界では、その者達に生き物は食われてしまい、滅んでしまったのです。……と、家の古い記録書に書いてありました。」

 

「なんなんだ?その…、『妖魔』って奴は?」

 

「わかりません。ただ、記録書には、『その姿は多数あり、鬼の様な者もいれば、鳥や獣の様な者もいる。中には人形もいるそうだ』としか、書いてないのでよくわからないのですよ…」

 

「そうか…、で?今回の事となにか関わりがあるのか?」

 

「はい、家の設備の中には世界中に張られた結界と次元の様子の管理をする場所があるのですが、ナツル姉さんがそれの管轄をしているのです。ですが、最近冥界のあちこちに謎の次元の歪みを感知したので、家族の中でも結界系が最も得意な俺が調査に駆り出されたって訳なのです。もしかしたら、『禍の団(カオス・ブリゲード)』も関わっているんじゃないかって、兄さん姉さん達が言っていましたよ。」

 

そう、兄さん姉さん達がそんな事を言っていたのだ。俺もなんだか嫌な予感がしてたまらない。ここにくるまえに部隊の皆に会いに行った時も…、霊夢に『気をつけなさいよ?なんだか嫌な予感がするから』なんて事を言われちゃいましたしね~。絶対ろくでもない事が起きるよねー……。

 

「はぁ~……」

 

「まぁ~、その、なんだ、頑張れ」

 

アザゼル先生が俺の肩に手を置いて言った。うぅ…、そんな事を言うなら手伝ってくださいよ~

 

「そりゃ無理だわ。お前の仕事だしな」

 

「えぇ!心を読んだのですか!?ハレンチです!!」

 

うわぁー!アザゼルが真の怪しい変態なおじいさんになっちゃったーーー!!

 

「いや、お前顔に出てたからな!?それに、今かなり失礼な事を思ってるだろお前!!」

 

なに…?そんなに顔に出ていたのか…。次からは気をつけないと。

 

「そんな事ないですよ~。」

 

「そ…そうなのか?」

 

「そ~なのでーす」

 

「そうか……なら、そんうなんだな。」

 

「ふ…チョロい」ボソ

 

「取りあえず行くか、そうと決まれば準備だな」

 

「えぇ、そうね。明日から3日後に行くわよ!それまでに、皆!準備をしておきなさいね!じゃぁ~、今日は解散よ!」

 

『はい!部長!』

 

こうして、俺たちの冥界行きが決定したのだった



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2話 冥界にレッツGO!!

さて、3日がたちました。俺達オカルト研究部とアザゼル先生は今は最寄り駅にいます。

 

「じゃあ、まずはイッセーとアーシアとゼノヴィア来てちょうだい。先に降りるわ」

 

「お、降りる?」

 

リアスさんの言葉に疑問を口にしたイッセー。

 

「………透視」

 

俺は目にとあるドラゴンの力を使い、エレベーターの下を見た。地下は特殊な結界に包まれており、ちょっとやそっとの事では認識されないようにされている……人間には見つからない空間だ。なるほど…これなら人間に気づかれませんね。たぶんですが、世界中にこの様な物があるのでしょうね~。

 

「慣れている祐斗と朱乃は後から来てちょうだい」

 

「「はい、部長」」

 

二人の返事を聞いたリアスさんは、イッセーたち三人を連れて乗り込んだ。

 

しばらくして、上へ昇るマークが出されてエレベーターが動いた……カモフラージュのようですね。

 

「じゃぁ、私達もいきましょうか」

 

「はい!」

 

俺達は入った。

 

暫くしてエレベーターの扉が開き、そこには、とても広い空間があった

 

「全員そろったようね。それじゃ、三番ホームに行くわよ」

 

リアスさんが言って動いた後に俺達は着いていった。暫く歩くと目的地に着いたのかリアスさんは止まった。

 

「――ここが、三番ホームよ」

 

『おぉ~』

 

そこには大きな列車らしき物があった。列車にはグレモリーの紋章が刻まれており、なかなかの迫力があった。

 

「グレモリー家所有の列車よ」

 

リアスさんは誇らしげにそう言った。確かに…、この電車は凄いですね。リアスさんの家が持っているなら他の家もあるんでしょうね。もしかしたら、魔王様の専用の列車も合ったりして~

 

「それじゃ、皆乗ってね」

 

リアスさんにそう言われ俺達は列車に乗った。

 

俺達は自動ドアをくぐり抜けたあと、全員入ったのを確認したかの様に扉はしまり、皆が席に座ると『リィィィン』と、列車特有の高い音がなった。

暫くして電車は動きだし、冥界へと進んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま他愛のない話をしていると、イッセーはふと思ったのか、リアスさんに聞いてきた。

 

「あのー、部長?なんで列車なんですか?魔方陣で行けば早いと思うんですが」

 

「通常ではそれでいいのだけど、イッセーたちは新眷属の悪魔は正式なルートで一度入国しないと違法入国として罰せられるのよ。だから、イッセーたちはちゃんと正式な入国手続きを済ませないといけないのよ」

 

なるほど、だから、俺もさっきなんかよくわからないのをやらされたのだね。

 

そんな事を思っていると…

 

『まもなくグレモリー本邸前。まもなくグレモリー本邸前。皆さま、ご乗車ありがとうございました』

 

ガクンッ。

 

列車が止まり、ドアの開く音が聞こえる。

 

「――終点のようね。降りるわよ」

 

そう言ったリアスさんに続いて俺も降りようとしたが…

 

「わりぃな、つばさは俺と一緒に魔王領へ行くぞ?」

 

そう言ったアザゼル先生に俺は頷き渋々列車に残るのだった。うぅ~…、楽しようと思っていたのに~…

 

そうして、列車は魔王領に向かうのであった



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3話 ミリキャス君は可愛いです

さて、今回連続の3話目です!少し、間があきましたが、今回で一気に3話を書けたので良かったと思います! それでは、いつも通り…ゆっくりしていってね♪


さて、更に時間がたって、現在魔王領のとある一室にアザゼルといます。そして、目の前にはサーゼクスさんを含めた四大魔王様方がおりますよ。

 

「やぁ、久しぶりだね。つばさくん。元気にしてたかい?」

 

そうサーゼクスさんが言っていた。

 

「はい、いつも通り元気にしてますよ~。」

 

俺は何時でも元気一杯なのです!

 

「えへへ☆つーくんはいつも通り変わらないね☆その容姿に可愛さわ☆」

 

そう言ってセラフォルーさんが抱きついてきた。あう…!身長的に胸が顔に当たってしまいますよー!うぅ…何故、俺の知り合いには殆どの人達が身長が高いのでしょうか…?俺なんて身長が伸びないのに…

 

「気にしているんですから、言わないでくださいよ、セラフォルーさん。それに、む…胸が当たってますよ~///」

 

「やぁ~ん!恥ずがしがってるつーくんも可愛い~///!」

 

うぅ…そ、そんなにくっつかないでくださいよー!

 

「ハハハ、いつも通りの様子だね。つばさくん」

 

「Zzzzz……」

 

すると、一人の男性が話しかけてきた

 

「あ、アジュカさんだ。てか…ファルビウムさんはいつも通りなのですね…」

 

「まぁ…、彼は気にしないでくれ。それよりも、君が此方に来たのはなにかあったのかね?」

 

そうアジュカさんが聞いてきた。

 

「はい、実はその事でお話しに来たのですが―――――」

 

俺は、アザゼル先生に説明した事を全て言った。そう、この冥界で自由に行動が出来るようにと。

 

「なるほど…、あのコウキが総司令官としてつばさくんに命令したと言うことは、かなりの厄介事だということだね?」

 

そうサーゼクスさんは言った。

 

「はい、その通りです。あのコウキ兄さんが総司令官として俺に命令した位ですから、かなりの厄介事なのだと思われます…ですから……」

 

俺が続きを言おうとすると、サーゼクスさんに手で止められた。何故に?

 

「その先は言うことないよ。つばさくんの事だから自由に行動が出来るようにと頼もうとしたのだろうけども、あのコウキが総司令官として命令したぐらいなんだ。そんな事件を私達が見過ごす訳でわないよ。つまり、私達も出来る限りの手助けはするよ。…と言うことでこれからは好きな様に自由に行動してくれたまえ。つばさくん」

 

「あ…ありがとうございます!サーゼクスさん!皆さん!」

 

「それとなんだが…、今回の次期当主の若手悪魔の顔合わせに出てくれないかい?」

 

そう、サーゼクスさんは言った。別にそれくらいいくらでも構いませんのに

 

「別に構いませんよ~。例え来ないでって言われても行きますよ~」

 

そう言ったらサーゼクスさんは安心した顔になった

 

「そうかい、ならよろしく頼むよ。つばさくん」

 

「はい!此方こそ♪」

 

こうして、俺の冥界での自由権が得られたのであった。

 

 

 

 

 

 

魔王領でのお話も終わり、アザゼル先生とグレモリー領へ列車で移動している。

 

「えへへ~♪楽しみだな~、ミリキャスくんに会いに~♪」

 

ミリキャス………ミリキャス・グレモリー。サーゼクスさんとグレイフィアさんの間に産まれた実の息子だ。数年前にサーゼクスさんがグレイフィアさんと一緒に連れてきた事があり、その時に一緒に沢山遊んだのだ。それ以来会っていなかったから、かなりの楽しみである

 

「そう言えば、ミリキャスとは俺も久しぶりに会うな」

 

「確かにそうですね…、アザゼル先生が偶々いたときに、サーゼクスさんとミリキャスくんが家に来ましたからね~」

 

「そうだな~」

 

そんな他愛のない話をしていたら、アナウンスが流れて俺達は降りる準備をした

 

「もうすぐ着くぞ、つばさ。用意しとけよ?」

 

「してますよ~」

 

だって、俺の荷物は隙間に置いてるもーん♪

 

そして、暫くたつと放送がなり、列車が止まった。俺とアザゼル先生は列車から降りてグレモリー家に向かおうとしたが、本邸までは少し距離がある。

すると、メイドさんが近づいてきた。そのメイドさんはグレモリー家のお出迎えのメイドさんで、そのメイドさんの案内で、馬車に乗り……揺られること揺られること。

 

数分して城門前に到着する。城門が開かれて、メイドさんが案内をしてくれる。

 

足元にある赤いカーペットの左右にはメイドと執事が並んでいる。

 

その中を案内役のメイドさんについて行き、城の中に入った。

 

そして、そこにいたのは……

 

「よ!やっと来たな、つばさちゃん」

 

イッセーだった。そこにはイッセーの他にリアスさんを含めたオカルト研究部のメンバーに、リアスさんの両親もいた。そして、その中には…

 

「つばさお姉~さまーー!!」

 

そう言いながら俺の胸に飛び込んできた少年……ミリキャスだった

 

「お久しぶりです!つばさお姉さま!元気にしていましたか?」

 

そう言うミリキャスの顔は笑顔だった。あぁ…可愛いな~もう!でも……

 

「久しぶりだね、ミリキャスくん。あと、お姉ちゃんじゃないよ?お兄ちゃんだからね?」

 

そう、俺は男なんだよミリキャスくん。何度も言ったのにね……とほほ

 

「はい!知ってます!ですが、つばさお姉さまはお姉さまです!」

 

そう言ったミリキャスの顔はニパァ!って効果音が付くような笑顔だった。

 

「な、何故なの?」

 

「はい!それはですね…つばさお姉さまは、始めて会ったとき緊張していた僕に優しく声をかけて、優しく接してくれました。そのあとも、普段忙しくて遊んでもらえなかったお父様とお母様の代わりに沢山遊んでくれましたし、お料理やお勉強…更には僕の特訓にも付き合って教えてもらえました! それに、つばさお姉様はお兄様ですが、女の子にも慣れるので、だからお姉さまなのです!」

 

た…確かに俺は色んな事を教えたね…。だって、可愛いからツイツイ色んな事を教えたくなったし、エッチで変態なコウキ兄さんがミリキャスに変な事を吹き込もうとしたから其を護ってたし、更には強くなりたいですって言ったから手伝ってもあげたしね~。女の子になれるのは…まぁ~、不可抗力って言うか、なんと言うか……まぁ、簡単に言うと事故ですね♪

 

「そ…そんなんだ」

 

「はい!そうなんです!つばさお姉さまは、僕の憧れのお兄様にしてお姉様なんです♪」

 

そう言ったミリキャスの顔はとてもいい笑顔だった。ミリキャスぅ……そんな事を思っててくれたんだね…!お兄さん…嬉しくて涙が出そうだよぉ~……!

でも…お姉様はちょっと複雑かな~…男として……

でも…、可愛ければ全てよし!!だね!

 

「そうなんだ。ありがとね~、ミリキャス~」

 

俺はミリキャスの頭を少ししゃがんでナデナデしてあげた。おぉ~、相変わらずミリキャスの髪はふわふわしてるな~。さわり心地もよくてとてもいいよ~

 

「エヘヘヘ///」

 

なに!この可愛い子!照れてる姿が可愛いすぎるよ!流石あのお二方の子供ですね!

でもいいな~、俺もこんな可愛い子供が欲しいよ~。

 

『あら?なら私と子作りする?』

 

すると、ルーツがとんでもない事を言ってきた…。

 

「(な…!ななななななな!!///)」

 

『うふふ、貴方となら私は構わないわよ?つーくん♪』

 

「(え?ちょ!ルーツさぁーん///は…恥ずかしいですよーーー-!!///)」

 

うぅ…!ルーツと…こ…子作りだなんて…良いかも…じゃない!こ…子作りだなんて…そんな…は…ハレンチな事をぉ…!

 

『うふふふ、考えておいてね♪私は何時でも構わないわよ~』

 

そう言ったルーツはまた神器の奥に眠りに言ってしまった。うぅー…ルーツの…意地悪…///

 

「どうしたんですか?つばさお姉さま?顔が赤いですよ?」

 

え…?はっ!ホントだ!なんか顔が熱い!

 

「だ、大丈夫だよ!ミリキャス!」

 

「そうなんですか?ならいいですが…」

 

そう言うミリキャスは首を傾げていた。はぅ!可愛いな~もう!!

 

「そ…そうだ!久しぶりだし遊ぼっか♪ミリキャス」

 

そう言うとミリキャスはとても嬉しそうな顔になった

 

「本当ですか!!やったぁぁ!つばさお姉さまと遊べますー!!」

 

ミリキャスはとても嬉しそうにはしゃいでピョンピョン飛び回っていた。俺はそんなミリキャスを見ていたら、視線を感じて回りを見ていると、イッセーを含めたオカルト研究部が皆揃って驚いた顔になっていた。それに比べ、アザゼル先生とグレモリー夫婦にグレイフィアさんは、微笑ましそうに此方を見ていた。な…なんですか?

 

「つばさ…あなたには驚かさねっぱなしよ。もう、諦めたは…」

 

そうリアスさんは言った。何を諦めるんですか!?

 

「あははは…スゲーよつばさちゃん」

 

「そ…そうですね、イッセーさん」

 

「やっぱりスゴいねつばささんは」

 

「流石です…つばさ先輩」

 

「うふふ、流石ですわ。つばさちゃんは」

 

皆それぞれそんな感想をいった。なんか、変な感じだね…。

 

そんな事を思ってると、グレモリー夫婦とグレイフィアさんが近づいてきた。

 

「お久しぶりね、つばささん」

 

「お久しぶりです。ヴェネラナ夫人」

 

「そんな畏まらなくてもいいわよ。ねぇ?あなた」

 

そう言うと、隣にいた…グレモリー卿が頷いた

 

「そうだよ、つばさくんは私達の親友の息子なんだ。そんなに畏まらなくてもいいさ」

 

「ありがとうございます、グレモリー卿」

 

「それに、私達の孫を忙しいサーゼクスとグレイフィアの代わりに相手をしてくれているのだ。とても、助かっているよ」

 

「い、いえ…そんな。俺は寧ろ、サーゼクスさんとグレイフィアさんの時間をとってしまっているんじゃないかって不安に思っていますのに…」

 

すると、グレイフィアさんが近づいてきて優しく微笑みかけてきた。

 

「いえ、そんな事ありませんよ。私達は立場上この子とはあまり遊ぶ事が出来ません…。ですが、つばさ様のお陰でこの子はとても楽しそうにイキイキし始めました。私達が休みがとれてミリキャスと戯れているときも、嬉しそうにあなたの事を話すのですから、私達はとても嬉しいのです。自分達の息子がこんなにも楽しそうにしている事にね…」

 

「そんな。俺はただ、ミリキャスを楽しませようとしてるだけですよ。それに、ミリキャスだって、俺と遊んでいるときはにこんなことを言ったんですよ?『自分のお父様とお母様はとても凄くてとっても憧れているんです!確かにいつもお忙しいのであまり遊べなくて寂しいですが、でも、お父様は魔王で悪魔の人達の為に頑張っていますし、お母様だって、そんなお父様を支えながらグレモリー家のメイド長として頑張っているんです。だから、僕はそんなお父様とお母様に憧れていますし、誇りに思ってます! 僕はお母様のような厳しくも優しい確りとした人に…お父様の様なかっこよくてとても凄くて、皆の為に頑張れるような人になれるようになりたいんです!だから、僕はこれからももっともっと頑張っていくんです♪』って言ってましたしね~。本当…あなた方お二の息子は凄いですね~♪」

 

そう言うと、グレイフィアさんは嬉しそうにしていた。そりゃそうだよね~。自分の息子にそんな事を思われていたんなら、嬉しく思わない親なんていないもんね。

 

「なら、私も頑張らないといけませんね。ミリキャスに自慢になれるように、これからも頑張っていきましょうか」

 

そう言ったグレイフィアさんは一礼したあと、自分の仕事に戻っていった。

 

「私達もゆっくりとするか。つばさくん、どうぞ自由にゆっくりとしていってくれたまえ。ここを自分の家だと思ってくれてもいいよ」

 

「ありがとうございます、グレモリー卿」

 

俺はお辞儀をする。すると、トコトコと走る音が聞こえたのでそこを向くとミリキャスがいた

 

「早くいきましょう!つばさお姉さま!」

 

ミリキャスはとても待ち遠しくなったのか、自分から呼びにきたようだ

 

「ハハハ!私達の事は気にせずにいってきなさい、私達はいつも通りゆっくりとしておくさ」

 

「わかりました。それではお言葉に甘えて…。さぁ、ミリキャス、なにして遊ぼっか?」

 

「えっとねぇ~♪」

 

俺はミリキャスが手を繋ごうって言ってきたので手を繋いで、何をしるか話ながらその場を後にするのだった…

 



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4話 若手悪魔の会合+α(俺)

あれから時間がたち、俺達はいま、地下鉄に揺られて若手悪魔の会場へと向かっています。昨日はミリキャスの相手でミリキャスが寝るまで続いていたので、とても疲れました。しかし、ミリキャスはとても楽しそうだったので良かったのですよ。

 

それから俺達は地下鉄を降りてリアスさんたちと一緒に若手悪魔の集まる会場につき、エレベーターに乗りある広いホールに到着した。

 

「皆、もう一度確認するわ。何が起こっても平常心でいること。何も言われても手を出さないこと。ここにいるのは将来の私たちのライバルよ。無様な姿は見せられない」

 

いつも以上に気合いを入れているリアスさん。そして通路を進んでいくと

 

「サイラオーグ!」

 

「久しぶりだな、リアス」

 

黒髪で短髪、武闘家のような体格そして瞳の色は珍しい紫色。でも顔がどこかサーゼクスさんに似ていますね~?

 

「ええ、懐かしいわ。変わりないようで何よりよ。初めての者もいるわね。彼はサイラオーグ。私の母方の従兄弟でもあるわ」

 

「俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ」

 

サイラオーグさんは挨拶してくる。なるほど…だからサーゼクスさんに似ていたのですね~。にしてもこの人かなりの強者ですね。内なる気が凄いです。この感じは………闘気ですね。この量は…家のコウキ兄さんに近い強さを感じます。初めて見ました…あの敵から見ただけで逃げられるぐらいの闘気の量を持ったコウキ兄さんに近い闘気を持ってるなんて…。この人もかなり死に物狂いで身体を鍛え抜いたのでしょうね………。 それに、魔力をいっさい感じません…。多分ですが生まれつき魔力が乏しいのでしょうね…。それなのに、今の悪魔社会で…それも魔王の次に偉い大王家の次期当主になるなんて………スゴいの一言ですね!!

 

「それで、こんな通路で何をしていたの?」

 

「あぁ、くだらんから出てきただけだ」

 

「……くだらない?他のメンバーも来ているの?」

 

「アガレスもアスタロトもすでに来ている。あげく、ゼファードルだ。着いた早々ゼファードルとアガレスがやり合い初めてな」

 

サイラオーグさんは心底嫌そうな顔をしている。その直後――。

 

ドオォォォォォォォォォォォォォオオ――!!!

 

建物が大きく揺れ、破砕音が近くから聞こえてきた。

 

「まったく、だから開始前の会合はいらないと進言したんだ」

 

リアスさんはそれが気になったのか、音のした大きな扉へ向かっていった。

 

サイラオーグさんの後ろには、眷属と思われる者たちがついて行く。そして俺達はそのあとをおうのだった。

 

開かれた扉の向こうには、破壊されつくした大広間がある。広間の装飾品やら諸々が全て破壊尽くされていた。

 

広間の中央には両陣営に分かれた眷属が睨み合っている。武器を取り出し、一触即発の空気が流れている。両方とも冷たくピリピリとした殺気を帯びていた。

 

「ゼファードル、こんなところで戦いを始めて仕方なくてはなくて?死ぬの?死にたいの?殺しても上に咎められないかしら」

 

「ハッ、言ってろよ、クソアマッ!俺がせっかくそっちの個室で一発しこんでやるって言ってんのによ!アガレスのお姉さんはガードが堅くて嫌だね!

 へっ、だからいまだに男も寄ってこずに処女やってんだろう!?ったく、魔王眷属の女どもはどいつもこいつも処女くさくて敵わないぜ!だからこそ、俺が開通式をしてやろうって言ってんのによ!」

 

『……………』

 

下品な言葉を繰り出すヤンキーな男。こっちがゼファードルですか。そして反対側の眼鏡をかけた女性がアガレスですね……。

 

それを見た俺はため息交じりに呟く

 

「なんですか?あれ…」

 

本当…自然に出てしまいました。なんせそれぐらい呆れるんですもん

 

突然前に立ったサイラオーグさんが全員に説明するように語る。

 

「ここは時間が来るまで待機する広間だったんだ。もっと言うなら、若手が集まって軽いあいさつを交わすところでもあった。ところが、若手同士があいさつしたらこれだ。血の気の多い連中を集めるんだ……問題の一つも出てくる。それも良しとする旧家や上級悪魔の古き悪魔たちはどうしようもない。――無駄なものに関わりたくはなかったのだが、仕方ない」

 

サイラオーグさんは首をコキコキ鳴らし、睨み合う両陣営へ歩みを進める。

 

ふと隣を見ると、イッセーやアーシアが心配そうにサイラオーグさんを見つめていた。そんな心配そうにしなくても大丈夫ですよ。あの人は強いですからね~。

 

すると、リアスさんが言葉を発する。

 

「よく見ておきなさい。彼が若手悪魔ナンバーワンよ」

 

その言葉に数人が驚いたが、静かに見守っていた。

 

ケンカムードの両陣営の間に入ったサイラオーグ。眼鏡をかけた女性とヤンキー男たちの視線が集まった。

 

「アガレス家の姫シーグヴァイラ、グラシャラボラスの凶児ゼファードル。これ以上やるなら、俺が相手をする。いいか、いきなりだが、これは最終通告だ。次の言動しだいで俺は拳を容赦なく放つ」

 

サイラオーグさんの一言に、ヤンキー男が青筋を立てて、怒りの色を濃くした。

 

「バアル家の無能が――」

 

ドゴンッ!!

 

ヤンキー男は言葉を言い切る前に、激しい打撃音とともに広間の壁に叩きつけられた。

 

「あ~ぁ。力量が計れない者の末路ですね~、あれは」

 

俺は小さく自然に言葉を発した。

 

ガラガラと音を立てて壁からヤンキー男が落ちる。気を失っているので、床に突っ伏していた。

 

「言ったはずだ。最終通告だと」

 

「おのれ!」

 

「バアル家め!!」

 

サイラオーグさんに飛びかかろうとしたヤンキー男の眷属たちだが――。

 

「主を介抱しろ。まずはそれがおまえらのやるべきことだ。俺に剣を向けてもおまえたちに一つも得はない。――これから大事な用事が始まるんだ、主をまずは回復させろ」

 

『――ッ!!』

 

サイラオーグさんの一言に眷属は動きを止め、ヤンキー男のもとへ駆け寄っていった。

 

「シーグヴァイラも顔の化粧を治してこい」

 

「わかっていますわ」

 

サイラオーグさんの一言にシーグヴァイラさんも化粧を治しに部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

修復作業が終わり、ゼファードルとその眷属を抜かした者達でテーブルを囲んでいる。

 

「先程は失礼しました。改めて自己紹介を、私はシーグヴァイラ・アガレス。大公アガレス家の次期当主です」

 

先ほど、ヤンキー男とケンカをしていたアガレスの次期当主からあいさつをもらう。

 

「ごきげんよう、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主です」

 

「私はソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です」

 

続いてリアスさんと合流したソーナさんがあいさつをする。

 

「俺は、サイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ」

 

威風堂々とあいさつをするサイラオーグさん。

 

「僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。皆さん、よろしく」

 

あの騒ぎの中で動じることなく、お茶を飲んでいたやさしげな雰囲気の少年があいさつをする。

 

 

「グラシャラボラス家は先日、御家騒動があったらしくてな……。

 次期当主とされていた者が不慮の事故死を遂げたばかりだ。

 それで、先程のゼファードルは新たな次期当主の候補と言う事になる」

 

そう言えば、サーゼクスさんからそんな事情を聞きましたね。それにしても、不慮の事故と言うのが気になりますが…………。

それにしても、集まった悪魔の家柄は名高い名門ばかり。

 

―グレモリーがルシファー。

 

―シトリーがレヴィアタン。

 

―アスタロトがベルゼブブ。

 

―グラシャラボラスがアスモデウス。ですかー。

 

現四大魔王が輩出された四家、大王のバアル家、大公のアガレス家。

超豪華ドリームメンバーが目の前で揃っているのですよ。ここまで揃うなんて凄いですね~。あ……でも逆に考えると、現在の悪魔社会では若手がたったのこれだけしかいないって事なのですよね~。もしかしたらまだミリキャスの様な眷属を持っていない上級以上の家の悪魔もいるのでしょうけど…、それでも少ないのですね~悪魔って。

 

まぁ~、考えても仕方ないですし、俺も自己紹介するべきなのかな~?

 

「ふむ……、所で最初に出会った時からかなり気になっていたのだが………、そこにいるお嬢さんは誰かな?何故人間が此処に?」

 

すると、そんな事を思っていると、サイラオーグさんが質問をしてきた。やっぱり自己紹介はするべきですね~。

 

「あ、彼わね………」

 

俺はリアスさんが言おうと下のを止めて自分で言いますと言った。

 

「どうも始めまして。今回この悪魔の若手の会談に参加する事になりました、人間の結城 翼と言います。

因みに所属は、地球連邦軍 特殊部隊特別調査班 総隊長をやっています。この様な、裏の世界では二つ名で

『黒き疾風の破壊者』と呼ばれております。以後お見知りおきを♪」

 

俺は笑顔でそう言った。すると、リアスさんとソーナさんの眷属達以外の人達はかなりビックリした表情で固まっていた。当たり前かぁ~。こんな見た目の子が地球連邦軍の最強部隊の総隊長をやっているなんて驚き以外はありませんよね~。

 

「あ、貴女があの地球連邦軍の最強部隊の隊長さんなのですか?」

 

すると、驚愕の顔で目をパチクリしていた、シーグヴァイラさんが、聞いてきた。

 

「はい♪そうですよ?こう見えて総隊長をやってまぁ~す!いぇい!!」

 

俺が笑顔でチョキをすると、場の空気が一瞬で固まった。あ…あれ?楽しませようとしてやったのに……ダメだったかなぁ?

俺は少し不安になり目を開けて見ると………、皆顔を赤くして固まっていた。あ…あれれー!?予想外の展開になっていましたーーー!!

 

「ど…どうしたんですか~?皆さーーん!起きてくださーい!!」

 

俺がそう叫ぶと………

 

「はっ!私はいったい何を!!」

 

固まっていた皆がおきた。ふぅ~良かったのですよ。このまま固まっていたらどうしようかと思っていましたー。

 

「さて…と、もうすぐ来ますかね~」

 

そろそろくると思うのですが~?

 

「あら?誰がくるの?」

 

すると、隣に座っていたリアスさんが聞いてきた。

 

「えーとですね。そろそろ係りの人がくると思うのですが………」

 

そう言った瞬間、扉が開いた。

 

「皆様、大変ながらくお待たせしました。魔王様方がお待ちです。どうぞお入りください。」

 

そう言いに係りの人がきた。その言葉にリアスさんを含めた若手悪魔のメンバーとその眷属達がその扉の中に入って行くのだった。



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5話 夢を笑う?……アハハ…ふざけるなよ

ハハハ(;・∀・)すみません。なんだか、知らない内に5話が消えていたので再投稿です。……消した記憶ないんだけどなぁ……。

あ、あと最新話は明後日に投稿です! 2話くらい続けて投稿予定です!お楽しみに!

今回は階段から足を滑らした際に折れちゃって、そんで1ヶ月と数日ほど入院しちゃってました( ̄▽ ̄;)。皆さんも、寝ぼけながら階段降りる時は本当に気をつけてくださいね? いや、本当にマジで……。じゃないと自分みたいになっちゃいますので(;^ω^)


会合の室内へ通された面々。そこに用意された室内は異様なものだった。

 

かなり高くに席が置かれており、そこに上役らしき老人たちが座っている。その上には――シスk……コホン。魔王サーゼクスさんがいる。隣には正装姿のセラフォルーさん。さらにその隣にはアジュカさんとファルビウムさんが座っている。――そう。まるで俺たちを見下ろすように。

 

俺は見下すのは好きではないが、見下されるのも好きではないのです。

 

……うん。まぁ、いまはどうでもいっかそんなこと。

 

静寂に包まれた室内。重圧プレッシャーが凄く、並大抵の者じゃ、怖気づくのは目に見えている。

 

心配してイッセーたちを見ると、案の定……不安なのだろう。アーシアとギャスパーはイッセーに引っ付いていて、簡単には離れそうもないね。こうみたら、イッセーて世の中の男子に血涙を流されそうな光景だよね。正に両手に花ってね♪……まぁ、そのうち1名は『男の娘』という分類だけど

 

リアスさんたちを含めた若手悪魔六人が一歩前へ出る。先ほどサイラオーグに殴られたヤンキー……ゼファードルだっけ? そいつも復活しているが、頬の腫れは生々しさを出しており、簡単には治りそうもなさそうだ。回復系のモノでも使わない限りね。

 

「よく、集まってくれた。次世代を担う貴殿らの顔を改めて確認するため、集まってもらった。これは一定周期ごとにおこなう、若き悪魔を見定める会合でもある」

 

初老の男が手を組みながら、威厳のある声音で言う。

 

「さっそく、やってくれたようだが……」

 

髭が特徴の男が皮肉げにそう言った。……腹立つ顔だな。1発殴りたいぞコイツ

 

「(……いや、ダメだかんな?)」

 

光輝兄さんがテレパシーで語りかけてきた。……ちっ

 

 

「キミたち六名は家柄、実力共に申し分の無い次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー前にお互い競い合い、力を高めてもらうと思う」

 

一番上に座っているサーゼクスさんが言う。

 

「我々もいずれ『禍の団(カオス・ブリゲード)』との戦に投入されるのね?」

 

サイラオーグがいきなり直球を訊く。

 

「それはまだわからない。だが、できるだけ若い悪魔たちは投入したくないと思っている」

 

「何故です?若いとはいえ、我等とて悪魔の一端を担います。この歳になるまで先人の方々からのご厚意を受け、なお何もできないとなれば―――」

 

サーゼクスさんの答えに納得しないのか、サイラオーグは眉をつり上げていた。

 

「サイラオーグ、その勇気は認めよう、しかし、無謀だ。何よりも成長途中のキミたちを戦場に送るのは、避けたい。それに次世代の悪魔を失うのはあまりにも大きいのだよ。理解して欲しい。キミたちはキミたちが思う以上に我々にとって、宝なのだよ。だからこそ、大事に、階段を踏んで成長をして欲しいと思っている」

 

「……わかりました」

 

サーゼクスさんの言葉に一応納得したようだが、サイラオーグは不満のある表情をしている。……サイラオーグよ、ソナタは何も分かってはおらぬ。未来ある若者がそう易々と命を落とす場所へと誰が行かすか。まだまだ青いのぉ…若造よ。

 

……っと、ふざけるのは大概にして、これからどうしよう。

 

その後、上役の男たちの話を聞き流し、悪魔同士の眷属を戦わせる『レーティングゲーム』のことについて、サーゼクスたちの話しが続いた。

 

「さて、長い話に付き合わせてしまって申し訳なかった。なに、私たちは若いキミたちに私たちなりの夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解して欲しい。キミたちは冥界の宝なのだ」

 

サーゼクスさんの言葉に皆が聞き入っていた。嘘偽りのない言葉だ。

 

「そろそろじゃないか?サーゼクス。彼らを紹介しないといけないのでは?」

 

「おっと、そうだったな。光輝、レイジ、翼くん前に」

 

アジュカさんの問いに思い出した素振りを見せたサーゼクスさん。……今まで蚊帳の外だったんだよね、うん。

 

俺はサーゼクスさんの紹介で前へ出る。

 

「1番真ん中に立っている彼は結城光輝。その右側が結城レイジ、その反対側が結城翼だよ。今回特別に参加してもらっている人間で地球連邦軍の総隊長と司令官の2名さ」

 

「紹介に預かった結城光輝だ。よろしく」

 

「おなじく結城レイジだ。よろしくな!」

 

「結城翼、以下同文。よろしくお願いします」

 

俺は、適当に自己紹介を済ます。要らないことを話さないようにと、単純に面倒だからだね。

 

「ほう、かの地球連邦軍の皆様でしたか。これはこれは、お会いできて光栄ですよ。して、あなた方はみな、様々な能力を扱えると聞いているが……本当ですかな?」

 

上役の男の一人が訊いてきた。

 

「あぁ、使えるぞ。……と言いたいところだが、生憎俺達の能力は室内向きではないんでね。特に、俺とそこの翼はな」

 

光輝兄さんが俺の方を見ながらそう言った。

 

……うん。まぁ、確かにそうなんだけどさ。あきらさまに『早くやれ』みたいな目で見てくるのやめてくんない?なんか腹立つ。特にそのドヤ顔が……

 

「………………はぁ、こんなもんでいいか?」

 

俺は両腕の袖口から刀を数本出して、それを宙に浮かせる。そして、剣だけの剣の舞を披露した。

 

『ほう……』

 

それを見ていた上役の男たちは感嘆の声を漏らす。別にこの程度の事でいちいち驚かないでよね。普通の一般悪魔でもやろうと思えば誰でも出来るのです!

 

「さて、見ていただけたかな? 先も言った通り室内だから、このぐらいのものしか見せることは無理だ。これ以上の力を見せてもいいのだが…………その時は、ここが消し飛ぶぜ?」

 

最後に光輝兄さんは不敵な笑みを浮かべながらそう言った。

「ふむ。噂通りでしたな。他にもあるようだ」

 

「確かにその通りだ。他の能力も見てみたかったが、残念だ」

 

上役の男たちは興味を持ったようで、納得のいった会話をしていた。

 

「――最後に、それぞれの今後の目標を聞かせてもらえないだろうか?」

 

サーゼクスさんが問うと、初めに答えたのは……サイラオーグだった。

 

「俺は魔王になるのが夢です」

 

……ほう、魔王…ねぇ。

 

『ほう……』

 

上役の者たちも、サイラオーグの真正面からの堂々と迷いのない目標に感嘆の声を漏らしていた。

 

「大王家から魔王が出るとしたら、前代未聞だな」

 

上役の一人がそう言う。

 

「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう」

 

おぉ〜、言い切ったな、サイラオーグの奴。でも、確かにこの人が魔王になると面白いかも!――いろんな意味でね

 

間を置くことなく、続いてリアスさんが言う。

 

「私はグレモリー家の当主として生き、レーティングゲームの各大会で優勝することが近い将来の夢ですわ」

 

なるほど。堅実な目標だね。

 

その後にシーグヴァイラ、ディオドラ、ゼファードルの順に夢、目標を口にし、残ったのはソーナさんだけになった。

 

そしてソーナさんは言う。

 

「冥界にレーティングゲームの学校を建てる事です」

 

「ふむふむ……」

 

俺はソーナさんの夢を聞いて、頷いていた。学校かぁ、ソーナさんの夢は先生なのかな?

 

俺や兄さん達は好印象を抱いていた……が、上役たちは眉を寄せていた。

 

「レーティングゲームを学ぶところならば、すでにあるはずだが?」

 

確認するように上役の一人がソーナさんに訊く。

 

質問に淡々とソーナさんは答える。

 

「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行く事が許されない学校の事です。私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔、家柄や階級も関係なく自由に学べる学び舎です」

 

差別の無い万人に開かれた学校か……。もの凄く立派な夢だね。まだ若いのに……って俺も充分若いか。それでも、もうその年で次代の教育の為に尽力しようとするなんて、ソーナさんらしいなぁ。やっぱり俺の予想通り学校の先生を夢目指しているんだね。うんうん。

 

きっとソーナさんならいい先生になるだろう。教え方も上手いし、それこそ、さっきサーゼクスさんの言った“宝”である子ども達の実力が増せば、冥界の為になるんだろうし。

 

確かに冥界は今現在も実力主義が存在している。才能や能力を重んじる悪魔も少なくはないのだ。なんたって悪魔は長寿命の生物だ。普通に健康的に生きていれば、古い年齢の悪魔は数多くそんざいしているもの。その様な考えが無いわけがないからな。

 

下位の悪魔たちもゲームを知り実力も上がれば、力のない一般人の悪魔も参加出来る。とてもいい夢だよ本当に! 俺は応援するよ、ソーナさん!

 

――と俺が思った次の瞬間だった。

 

「「「はははははははは!!!」」」

 

突然、上役たちの笑い声がこの会場を支配する。

 

「それは無理だ!」

 

「これは傑作だ!」

 

「なるほど!夢見る乙女というわけですな!」

 

「若いというのはよい!しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢を語るとは。ここがデビュー前の顔合わせの場で良かったというものだ」

 

………………………………………………………………………ふーん。そうくるんだ。

 

お偉いさんたちに笑われている最中でもソーナは真っ直ぐに言う

 

「私は本気です」

 

セラフォルーさんもうんうんと力強く頷いていた。「よく言った!」と言わんばかりの様子だ。立場上、フォローの一つも入れてやれないのが悔しいみたいだな。

 

しかし、冷徹な言葉を上役は口にする

 

「ソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に従え、才能を見出されるのが常。そのような養成施設をつくっては、伝統と誇りを重んじる旧家の顔を潰す事となりますぞ?いくら悪魔の世界が変革の時期に入っていると言っても、変えていいものと悪いものがあります。まったく関係のない、たかが下級悪魔に教えるなどと……」

 

「さよう。悪魔の世界が変革の時期に入っているのは我々も認めている。だが、変えていいものと悪いものの区別くらいはつけてもらいたい」

 

「たかが下級悪魔に教育など、悪い冗談としか思えんな」

 

……………………あっそ。そうかそうか、そうくるんだ。へぇ〜。随分と上から目線だなぁ〜。

 

―side out―

 

 

―サーゼクスside―

 

ソーナ君の夢。中々に興味深い物だった。もしも本当に彼女が言う学校を建てられたら、今よりももっと悪魔の可能性は広がっていくだろう。

 

しかし、彼らには困ったものだ。この会合の目的を忘れてしまったのだろうか。若手の夢を笑うなど許されない事だ。これで彼女が折れてしまったらどう責任を取るつもりなのだろう。最も、ソーナ君に限ってそれは無いだろうが。

 

隣に座るセラフォルーなんか今にも彼らに噛みつきそうだ。割とシャレにならないので、そろそろ終わりにして欲しい……。

 

……と、言うよりかは、僕の隣に座っている光輝とレイジの機嫌が最っ高に悪いから本当に終わりにして欲しいものだ。

 

「黙れ」

 

―――たった一言。その瞬間、ソーナ君の夢を笑った者達の首に剣が突き付けられた。

 

「「「ッ!?」」」

 

誰もが目の前の光景に目を見開く。もちろん、剣は本物では無い。“彼”の放った強烈な殺気が、幻影となって現れたのだ。

 

所詮は幻……とはとても言えない。光を反射して輝く刀身は、触れる物全てを一切の容赦無く斬り裂いてしまいそうだ。――そう、それはとても…幻等と思えなかった。

 

『濃厚な殺気は、下手をすればそれだけで対象の命を奪い取ってしまう。』そう、前に光輝が言っていたことを思い出す。きっと、目の前の出来事がそうなんだろう。

 

リアス達が皆例外無く震えている。離れている僕ですらこれだ。傍にいるあの子達がああなるのも無理は無い。むしろ、よく気絶しないものだ。

 

殺気の正体である“彼”いや、"彼女"なのか?……まぁ、ツバサ君は性別ツバサだからどっちでもいいんだったっけ?

 

まぁ、いい。そんな彼はかつて無い程の鋭い視線を彼らに向けていた。彼は怒っているのだ。先程、自分に対して色々言われた時には全く動じていなかった彼が、友の夢を侮辱された事に対し、その感情を静かに爆発させていた。

 

彼らはツバサ君を……いや、結城翼と言う人物を侮り過ぎたのだ。所詮は人間? ちょっと特異な力を持った人物?――否、それはとんでもない思い違いだ。彼がその気になれば、ここにいる者達など、数秒も経たずに殺されるだろう。

 

……いや、彼だけじゃない。この隣にいる光輝、レイジを筆頭として結成された部隊。名を地球連邦軍。彼らの存在自体がまさに世界に破滅をもたらす者達と呼んでいいほどの力を持っているのだ。

 

彼らは過去の闘争の世界で戦い続けた騎士だ。そして、今現在でもこの星の為にとその身を犠牲にして戦い続ける勇敢なる戦士達だ。

 

彼らの見る世界ではきっと理不尽に夢を奪われるなど日常茶飯事なのだろう。彼らの見る世界には常に絶望が広がっているのだろう。彼らの見る世界には人々に希望はないのだろう。だがしかし、いや、だからこそ、そんな儚い夢を持つ者を想い、そして守るため今も尚戦い続ける。それが地球連邦軍の志でもある。だからこそ、それを侮辱する者は許せない。

 

それに、以前もツバサくんが言っていた。

 

『夢に大きいも小さいも無いのです。どんな夢だって、その人にとってはかけがえの無い物――つまり、何よりも大切な"宝物"なのです。人はその宝物を大切にし、時に憧れ、時に恋焦がれ……そうしていって人はその"夢"をその手に掴むためただひたすら抗い、そして挑むのですよ。……俺は、いや、俺達はそんな人々の"思い"を"願い"を"夢"を"宝物"を、その全て守るため今もこうして戦い続けるのです。―――この世界に真の平和が訪れる…その時まで、ね』

 

ツバサ君から言われたというその言葉が、彼が夢というものをどれだけ大切にしているのかを証明している。

 

「くっ、くくく。クハハハあはははは!!!!」

 

……すると、突然笑い出すツバサくん。僕達が不思議に思っていると、ふと視界に入った光輝とレイジの2人を見ると、焦ったような呆れたような顔をしていた。

 

「い、いったいなにがおかしい!」

 

「いや、別に何も。ただ、今のソーナさんの素晴らしい夢のどこに笑う要素があったのか気になっただけですよ?」

 

落ちついた口調は、逆に恐怖を増幅させる。現に、目を合わせられた一人が大量の冷や汗を流している。

 

「若手は“宝”……。そう言ったのはお前らだよね? その“宝”の夢を笑うとはどういうつもり? それに、ソーナさんの夢は彼女だけでなく、悪魔全体の為になるものじゃないんですか?ん?」

 

「そ、それは……」

 

「ああ、もちろん伝統も誇りも大事なものだと承知している。長い時の中で築かれていったであろうそれらを捨てる事が難しい事もわかっている。………でもね。だからと言って、新しい可能性を潰す権利は誰であろうと無いんじゃないか?」

 

そこで一度言葉を切り、無表情だった彼の顔に怒りを込めて再度口を開いた。

 

「それにさっきからさ、黙って聞いていればよくそこまで夢をバカにできるな。くそ老人共。お前らが言えって言ったからソーナさんは言ったのにそれを無駄だの傑作だの……バッカじゃねぇの? もう静かに生きることしかできない老人共にソーナ・シトリーの夢をバカにする権利でもあるのか?おい」

 

その気迫はまさに鬼神の如く。……彼の背後から鬼が見えると錯覚するほどのオーラが出ている。おかげでツバサくんの言う老人共はみな、冷や汗を滝のように流しながら怯えている。

 

「教えてやろう。底辺の最低の考えしか出来ん爺ども。例え天使だろうが、堕天使だろうが、人だろうが、悪魔だろうがなぁ、その人の持っている"夢"や"希望"、"目標"や"思い"を否定する権利なんてあるわけないんだ!……わかったか? いや、すぐ忘れるか、下級だの転生だのくだらないことにこだわっている老人共には…さ。」

 

「まぁいい、色々言わせてもらいましたが、俺が真に言いたいのはこれだけです」

 

ツバサくんは1泊置いて凛々しい顔で言う。

 

「―――俺の大切な友達の"夢"を"宝物"を…なにより、人の大切な"想い"を侮辱した貴様等を、俺は絶対に許さない」

 

そう締めくくったツバサが下がる。

 

誰も言葉を発せない。殺気の剣は未だ消えていない。もし、これからの対応を間違えれば、彼らは間違い無くその命を散らされるだろう。

 

「……グスッ。ありがとう、ツバサちゃん」

 

セラフォルー。嬉しいのはわかるが、今は彼らの心配をしてあげなさい。

 

僕達が固唾を飲んでも守る中、動いたのは光輝だった。

 

「そこまでだ、ツバサよ。怒りを納めろ」

 

光輝の言葉を筆頭にまた上層部たちが騒ぎ出す。

 

「そ、そうだ! 貴様の様な小僧が、たかが人間の小僧がワシらに楯突くんじゃない! 身のほどを弁えろ!」

 

「この糞ガキが! 恥というのを知らんのか?んん? まったくこれだから何もわからんガキは」

 

「ほほほ。脳みそが空っぽなガキだからの。我々の言葉の意味もわからまいて……」

 

「くくく。確かにそうだな」

 

「「「ハハハハハハハ」」」

 

……彼らはそんなに死に急ぎたいのだろうか。ツバサくんの額に青筋がたち、目に見えて怒りが溜まっていると言うのに。まったく、ここは僕が止めないt――

 

「黙れ貴様ら!!!!」

 

ドオオオオオォォォォォン……

 

光輝の叫び声と同時に室内……いや、この館自体に凄まじい揺れが起きる。まるで爆発の衝撃波にでもあたったかのような揺れ方だったね。

 

「……貴様らはいったい何を勘違いしている。俺は別にお前らアホ共を助けたわけじゃねぇ。ツバサにはこれ以上無駄な血を、なにより貴様らのような汚れた殺す価値もないような輩の血にあの綺麗な手を穢されたくないからツバサを止めただけだ」

 

「それにな。貴様らはさっきから黙って聞いていればいい気になりおって、なにが『恥を知れ』『バカだ』『糞ガキだ』だ……良くもまぁ、自分の事を棚に上げてよく言えたものだな。雑種共。――貴様らの方こそ恥を知れ!恥を!!」

 

光輝が叫ぶ程に会場が揺れる。ましてや光輝の体から赤いオーラが…おなじくレイジにも青いオーラが体から吹き出ている。

 

「だったら!うちのソーナちゃんがゲームで見事に勝っていけば文句ないでしょう!?ゲームで好成績を残せば叶えられるものが多いのだから!」

 

すると、光輝に続くようにセラフォルーも怒りながらの提案してきた。

 

「もう!おじいさまたちはうちのソーナちゃんをよってたかっていじめるんだもの!私だって我慢の限界があるのよ!あんまりいじめると私がおじいさまたちをいじめちゃうんだから!」

 

セラフォルーは涙目で上層部に物申していた。何故こうも、とうの自称お偉いさんたちは魔王の一人でもあるセラフォルー・レヴィアタンを怒らせたいのだか……彼女の妹と知っているだろうに。

 

上層部はそんなセラフォルーのぶちギレに目をパチクリしていた。

 

まあ、しかしやっとだがこれで話を出来る。

 

「ちょうどいい。では、ゲームをしよう。若手悪魔同士のだ。リアス、ソーナ、戦ってみないか?」

 

僕の言葉にリアスとソーナくんは目をパチクリしながら驚いている。

 

「もともと、近日中にリアスのゲームをする予定だった。アザゼルが各勢力のレーティングゲーム

フォンを集めてデビュー前の若手の試合を観戦させる名目もあったものだからね。だからこそ、ちょうどいい。リアスとソーナで1ゲーム執りおこなってみようではないか」

 

すると、リアスもソーナも僕の言葉を聞きやる気全開になっている。

 

「公式ではないとはいえ、私にとっての初レーティングゲームの相手があなただなんて運命を感じてしまうわね、リアス」

 

冷笑を浮かべるソーナ。

 

「競う以上負けないわ、ソーナ」

 

ソーナの言葉で更にやる気を出した我が妹リアス。

 

「対戦の日取りは、人間界の時間で八月二十日。それまで各自好きに時間を割り振ってくれてもかまわない。詳細は改めて後日送信する」

 

その日、その一言の決定により、リアスたちオカルト研究部とソーナ率いる生徒会のレーティングゲームが開始されることになったのだ。

 



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6話 温泉です♪

とぉぉぉぉぉっても遅れてしまい……すみませんでいたぁぁぁぁぁぁm(__)m!!!!!!

言い訳をさせてもらえますと、ちょっと家の用事が忙しくなかなか更新が出来ませんでした!!

これからは、また一週間に1話位のペースで書いていくので、こんな作者ですがどうか末長く見守ってください!!

それでは…どうぞ、ゆっくりしていってね♪


「そうか、シトリー家と対決とはな」

 

会合後、俺たち全員はグレモリー家の本邸に帰ってきた。そこで出迎えてくれたのは……アザゼルだった。それから広いリビングに集合し、アザゼルに先ほど話した内容を話した。

 

「……対戦日まで約二十日間か」

 

「しゅ、修行ですか?」

 

アザゼルの言葉にイッセーが訊くと、アザゼルはうなずく。

 

「当然だ。明日から開始予定。すでに各自のトレーニングメニューは考えてある」

 

「でも、俺たちだけ堕天使総督のアドバイス受けていていいのかな?反則じゃないんですか?」

 

イッセー……。そんなわけないでしょうに…。ちゃんと各チーム平等にしていますよ~

 

「別に大丈夫だ。副総督のシェムハザが各家にアドバイス与えているくらいだし、俺は色々とデータを悪魔側に渡したつもりだぜ?あとは若手悪魔の己のプライドしだい。強くなりたい、種の存続を高めたい、って心の底から思っているのなら脇目を振らずだろうよ。それと――」

 

アザゼルはこっちを見て真剣な表情で言った。

 

「ツバサ………お前体の調子が悪いな?」

 

……!? な…なんでわかったんだろう?

 

「お前『なんでわかったんだろう?』って思ってるだろうが、いつもお前の魔力と体の研究をやってたんだぜ?なら、今のお前の魔力の乱れぐらいすぐにわかるさ」

 

アザゼルは自信満々にそう言った。……うぅ、確かにアザゼルの言う通り今は物凄く体調が悪いです…。まぁ…、原因は確実にあのキレた時に内から放出して暴走しかけた自身の魔力を、暴走して外に放出しないように内に無理矢理押し込ませたのが一番の原因だろうね~……。

 

「大丈夫なのか?」

 

アザゼルが心配そうに言った

 

「大丈夫ですよ~。これぐらいなら、何時もの事なので大丈夫ですね~。よく、コウキ兄さんとレイジ兄さんの喧嘩の仲裁で出しすぎた魔力を無理矢理体内に押し込めてるので、よく体調が悪くなるので。それに、これは少ししたらいつも通りに元気になるので、一時的な物と考えてくださいね?」

 

俺は心配ないですと強調していった。アザゼルは『わかった』と短く答えて終わった。

 

「まぁ、そういうことだ。明日の朝、おまえたち全員は庭に集合。そこで各自の修行方法を教える。覚悟しろよ」

 

切り替えてイッセーたちに言うアザゼル。

 

『はい!』

 

リアスさんたちは声を合わせて返事をした。

 

皆が笑い合う中で、一人――白音だけ元気がないように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お話がまとまった所で、温泉のご用意が出来ましたのでよろしければご利用ください」

 

ちょっとした雑談の中、グレイフィアさんが現れて報告してくれる。

 

おぉ~、温泉!やったぁぁぁ!!

 

「お、いいねぇ! やっぱり冥界といえば温泉に限る」

 

グレモリーの庭の一角にポッツリと存在している温泉。

 

グレモリー家の温泉は冥界でもかなり有名なんですよ。俺も、何度かサーゼクスさんとグレイフィアさん、それにミリキャスと一緒に入った事がありますしね。本当に気持ちいいのですよね~。

 

「さて、私達も入りましょうか。」

 

そう言いリアスさんが立ち上がる。

 

「あ…!私も入るにやぁ~♪」

 

「私もよろしいでしょうか?」

 

そこえ、今回コウキ兄さんとレイジ兄さんの護衛で来ていた黒歌とレイナーレがそう言った。因みに先程までこの雑談に二人は参加していた。最初は始めて出会った堕天使のレイナーレにゼノヴィアが警戒するが

、俺が実家でメイドをやっていることと、イッセーとアーシアが大丈夫だと言うことを説明したので、すぐに仲良くなった。そのあとは、昔の事を忘れてリアスさん達グレモリー眷属と仲良くお喋りをしていた。特に女子と恋話で盛り上がっていたのだった。

 

「えぇ!勿論良いわよ♪さぁ、皆お風呂に行くわよー」

 

『おぉ~』

 

女子組はリアスさんの言葉にイキイキとした返事をした。

 

よし♪皆も行くところだし俺も行くかぁ~

 

「おう!お前ら男子組も行くぞ!!」

 

『おぉー!!』

 

アザゼルの言葉に俺達男子組も元気よく返事をする

 

そして、俺達は悪魔文字で書いてある『男』ののれんを潜って、脱衣所へ行く。

 

脱衣を済ませて、いざ温泉へ!!

 

俺はさっそくアザゼル先生とイッセーと共に浸かる。

 

「はふぅー……いい湯ですね~……癒されますねぇ~……」

あぁ~……気持ちぃ~なぁ~。やっぱりグレモリー家の温泉は最高ですねぇ~♪

 

俺はそんな事を思いながらゆったりとお風呂に入っているのだった

 

つばさ side out

 

イッセー side

 

俺達は今、温泉に使ってる。始めて部長の家に来たけど、まさかこんなにもデカくて更に温泉が付いてるもんだから驚いてばっかりだぜ。にしてもやっぱり温泉は気持ちいいな。

 

「旅ゆけば~♪」

 

俺の隣で温泉に浸かりながら、鼻歌交じり時の歌を歌っているアザゼル先生がいた。黒い十二枚の翼も展開にしている。

 

「ハハハハ、やっぱ冥界――地獄といえば温泉だよな。しかも冥界でも屈指の名家グレモリーの私有温泉とくれば名泉も名泉だろう」

 

なんとも温泉に浸かりなれている総督さまだぜ。俺の家にも部長に改造されて温泉はあるけど、室内だしな。

 

「そうですねぇ~。やっぱりグレモリー家の温泉は最高ですよぉー……」

 

なんとも間延びした気の抜けた声を出しながら幸せそうな顔で温泉に浸かっているつばさちゃん。……くぅー!まさかここにきてつばさちゃんの身体を合法的に拝めるとは!感謝感激だぜ!! にしても…、今回改めてわかった事はつばさちゃんの身体は胸と男の大事な所を見ない限り絶対女の子と間違えるレベルだな…。 なんせ、部長や朱乃さん…ゼノヴィアや黒歌さん等に負けない位の括れ具合にきめの細かい雪の様に白い肌に簡単に折れてしまいそうなぐらいの細いスラッとした腕……、更には小ぶりながらも綺麗なお尻と………。何処をどう見ても女の子にしか見れない。本当…生まれてくる性別を間違えたんじゃないかとつくづく思ったな…。そりゃぁ~、学校で『絶世の男の娘』と呼ばれるだけはあるよな!

 

「(……ん?そういや、男の娘関連でギャー助はどこだ?いくら女装っ子だからって、裸の付き合いをできないのはどうだろうか?)」

 

そんな事を俺は思い入り口の方を見ると……案の定、ウロウロしているギャスパーがいた。

 

俺は一旦上がって、ギャスパーのもとへ。

 

「おいおい、ほら、温泉なんだから入らなきゃだめだろう」

 

入口のギャスパーを捕まえる。

 

「キャッ!」

 

かわいらしく声を上げるギャスパー。

 

俺はこのままだと違う世界に行きかねないと思い、有無を言わさずにギャスパーを抱え上げた――お姫様抱っこで。

 

そして、一気に温泉にへ――。

 

ザパ――ンッ!!

 

放り投げてやった。

 

「いやぁぁぁぁぁん!あっついよぉぉぉぉ!溶けちゃうよぉぉぉ!イッセー先輩のエッチィィィィッ!!」

 

『イッセー、ギャスパーにセクハラしちゃだめよ?』

 

木霊したギャスパーの絶叫に部長が答えた。そのあと、女子たちのクスクスという小さな笑い声が聞こえた。恥ずかしい!!

 

ザバ――ン!!

 

俺はたまらなくなり、温泉に飛び込んだ。

 

引きこもりを温泉に入れただけなのに……。

 

浮かび上がった涙目の俺に、先生が声をかけてきた。

 

すごくいやらしい顔なんですけど……。

 

「ところでイッセー、女の胸を揉んだことはあるか?」

 

「は、はい!こう手でモミモミっと!」

 

「そうか、じゃあ……こう、女の乳首を指でつついたことはあるか?」

 

「い、いえ。まだです」

 

宙を指で押すようにしていた先生が、俺を見て嘆息した。

 

「なんだ、おまえ。乳を指でつついたことがないのか?乳首をな、『ポチッ』とじゃなくて、『ずむっ』とつつくんだよ。指が胸に埋没していく様は圧巻だぜ?」

 

「(なん……だと……?)」

 

直後、俺の体中に電撃が走った。

 

た……確かにデカいおっぱいの場合、どこまで指が埋まるのか気になるが……しかし!!

 

「ち、乳首は玄関のブザーじゃないんですよ!?」

 

しかし、先生は俺の言葉に首を振り、にやける。

 

「いや、あれはある意味ブザーに近い。押すと鳴るんだよ。『いやーん』って」

 

「――ッッ!!!」

 

再び俺の体中を電撃が走った。

 

「おっぱいって、乳首って、そんなに機能があったんですね」

 

直後、俺の耳に女の子たちの声が届いた。

 

『あら、リアス。またバストが大きくなったのかしら?ちょっと触ってもいい?』

 

『そ、そう?ぅん……。ちょっと、触りかたが卑猥よ、あなた。って、そういう朱乃も前よりブラジャーのカップ変わったんじゃないの?』

 

『前のは多少キツくてもそのままにしていたものだから……。けれど、最近は大きく見せてもいいかなって思えてきたのよ。見せたい相手がいると、女は大胆になるわね、リアス』

 

『え? 別にそんな……ふぁっ! ちょ、ちょっと、なんで揉んでるのよ!?っふぁん!さ…先っぽまで摘まないで!』

 

『うふふ、相変わらず感度がいいわね』

 

『どれどれ~。私にも触らせるにゃ~』

 

『く、黒歌……ひあっ!? や、止め……そこは関係無いでしょ!』

 

『ほ~れほれ。ここかにゃ? ここがいいのかふぎゃっ!?』

 

『何をやっているんですか、姉様』

 

『まあまあ、ここは無礼講といきましょうよ、小猫ちゃん?』

 

『ひにゃっ!? あ、朱乃先輩、そこは……!』

 

『はぁ……羨ましいです。私もお湯に浮くくらい大きければ………』

 

『アーシア。私がクラスメイトから聞いた情報では、揉んでもらうと大きくなるそうだぞ。どれ、私が試してみよう』

 

『ちょ、ゼノヴィアさ……きゃうっ!? あ、だ、駄目ですぅ、こんなのぉ………』

 

『む、そういえば、「好きな相手」というのが抜けていたな。まあいい、もう少し堪能させてもらおう』

 

『白音ー!お姉ちゃんも一緒におっきくしてやるにゃん♪』

 

『ね、姉さまも…、やめてくださ…』

 

『ふむ…なんだか、凄く興奮してきたぞ…?』

 

『はぁん!!ダ、ダメですぅ!ゼノヴィアさん!あっ……うぅぅん……そんな、まだイッセーさんにもこんなことされて……』

 

『ふむ、アーシアのは私と違ってさわり心地がいいな。なるほど、これなら男も喜ぶかも……ひゃ!!』

 

『ゼノヴィア、あなたは隙がありすぎるわよ。ほら』

 

『レ、レイナーレ!?くそ、不覚を取られた!こうなれば――』

 

『え?ちょっ、ゼノヴィア!?はゎっ!!』

 

『へぇ~、レイナーレにも隙があるぞ。ほら!』

 

『や、そこは……ぁあん』

 

「(…………)」

 

俺は女湯から聞こえてくる女子たちの会話に――興奮していた。鼻血がドバッ!!っと大量に流れて……あー、ヤバいな。早く止血しないと。

 

俺だって男だ。覗いてみたい!!男湯と女湯を隔てる壁!これを登ってあちら側を覗きたい!!

 

こうなったら………俺はどこかに穴がないかと壁周辺を調べてみるか!!

 

イッセー side out

 

 

つばさ side

 

さて………、つい先程まではとても良いお湯でしたけど、先程、イッセーはギャスパーを無理矢理お風呂に投げ込んだせいで、ギャスパーは変な声を出しながら叫んでいた。それを聞いた隣の女子風呂にいるリアスさんにからかわれて、イッセーは

顔を赤くしながら風呂に飛び込んだ。うぅ…顔にかかったよ………

 

すると、アザゼル先生は浮き上がってきたイッセーに話しかけた。

 

「ところでイッセー、女の胸を揉んだことはあるか?」

 

…………はい!?いきなり何言ってるんですか!!この人は!!!

 

「は、はい!こう手でモミモミっと!」

 

イッセーも答えないでよ!!

 

「そうか、じゃあ……こう、女の乳首を指でつついたことはあるか?」

 

「い、いえ。まだです」

 

宙を指で押すようにしていたアザゼル先生が、イッセーを見て嘆息した。

 

「なんだ、おまえ。乳を指でつついたことがないのか?乳首をな、『ポチッ』とじゃなくて、『ずむっ』とつつくんだよ。指が胸に埋没していく様は圧巻だぜ?」

 

そう言うアザゼル先生に、イッセーは驚いた顔で固まっている。 

もうだめだぁー……この人達ぃ~……

 

「ち、乳首は玄関のブザーじゃないんですよ!?」

 

しかし、アザゼル先生はイッセーの言葉に首を振り、にやける。

 

「いや、あれはある意味ブザーに近い。押すと鳴るんだよ。『いやーん』って」

 

「――ッッ!!!」

 

まるで体中を電撃が走ったかのような衝撃的な顔をした。

 

も…もうやだぁ………この人達…変態だようぅ………

 

「おっぱいって、乳首って、そんなに機能があったんですね」

 

そう言ったイッセーはまるで何かを悟ったかのような顔になる。

 

うぅ…誰かどうにかしてよこの変態さん達をさぁー!!

なんで、俺の友達の男の人達は殆どが変態さん達ばかりなんですかー!!!!!!

 

そんな事を心の中で叫んでいると女子風呂から声が聞こえてきた

 

 

『あら、リアス。またバストが大きくなったのかしら?ちょっと触ってもいい?』

 

『そ、そう?ぅん……。ちょっと、触りかたが卑猥よ、あなた。って、そういう朱乃も前よりブラジャーのカップ変わったんじゃないの?』

 

『前のは多少キツくてもそのままにしていたものだから……。けれど、最近は大きく見せてもいいかなって思えてきたのよ。見せたい相手がいると、女は大胆になるわね、リアス』

 

『え? 別にそんな……ふぁっ! ちょ、ちょっと、なんで揉んでるのよ!?っふぁん!さ…先っぽまで摘まないで!』

 

『うふふ、相変わらず感度がいいわね』

 

『どれどれ~。私にも触らせるにゃ~』

 

『く、黒歌……ひあっ!? や、止め……そこは関係無いでしょ!』

 

『ほ~れほれ。ここかにゃ? ここがいいのかふぎゃっ!?』

 

『何をやっているんですか、姉様』

 

『まあまあ、ここは無礼講といきましょうよ、小猫ちゃん?』

 

『ひにゃっ!? あ、朱乃先輩、そこは……!』

 

『はぁ……羨ましいです。私もお湯に浮くくらい大きければ……』

 

『アーシア。私がクラスメイトから聞いた情報では、揉んでもらうと大きくなるそうだぞ。どれ、私が試してみよう』

 

『ちょ、ゼノヴィアさ……きゃうっ!? あ、だ、駄目ですぅ、こんなのぉ………』

 

『む、そういえば、「好きな相手」というのが抜けていたな。まあいい、もう少し堪能させてもらおう』

 

『白音ー!お姉ちゃんも一緒におっきくしてやるにゃん』

 

『ね、姉さまも…、やめてくださ…』

 

『ふむ…なんだか、凄く興奮してきたぞ…?』

 

『はぁん!!ダ、ダメですぅ!ゼノヴィアさん!あっ……うぅぅん……そんな、まだイッセーさんにもこんなことされて……』

 

『ふむ、アーシアのは私と違ってさわり心地がいいな。なるほど、これなら男も喜ぶかも……ひゃ!!』

 

『ゼノヴィア、あなたは隙がありすぎるわよ。ほら』

 

『レ、レイナーレ!?くそ、不覚を取られた!こうなれば――』

 

『え?ちょっ、ゼノヴィア!?はゎっ!!』

 

『へぇ~、レイナーレにも隙があるぞ。ほら!』

 

『や、そこは……ぁあん』

 

………………………………はわわわわわ///

な………ななななな、なんて破廉恥な行為をしているんですか!! お…女の子がそんな事をやっちゃダメなんだからね!!……はうぅ~!だ、だめだ、なんか色々混乱しすぎてなんかおかしいよぉー!!はうぅ~……頭がクラクラしますぅ~……

 

俺は混乱のあまり可笑しくなってると、イッセーが何かソワソワしていた。……?いったい何しているんですか?

 

「なんだ、おまえ。覗きたいのか?」

 

アザゼル先生がいやらしい笑みを浮かべてイッセーに訊いてくる。

 

「せ、先生!これはその!」

 

イッセーは慌てて否定しようとしたが………

 

「別つにいいじゃねぇか。男同士なんだしよ。温泉で女湯を覗くのはお約束ってもんだ。――だけどな、それじゃスケベとしては二流以下だ」

 

アザゼル先生はとんでもない発言をした。………もう…やだぁ………

 

「二流ですか!!じゃ、じゃあ、どうすれば一流に!?」

 

イッセーの言葉にアザゼル先生は一瞬考える素振りを見せた後、イッセーの腕をつかんだ。

 

「――そうだな、こんな感じかなっ!!男なら混浴だぞ、イッセー!!」

 

ぶうぅぅぅぅぅぅぅん!!!

 

イッセーは空気が震える様な音を出したかのように勢いよくアザゼル先生に投げ飛ばされた。

 

あの人、イッセーをぶん投げやがりましたよ!?

 

ドッボォォォォォン!!!!

 

そんな音を出してイッセーは女子風呂に落っこちたのだった。

 

イッセーェェェェェェ!!

 

俺は思わず声に出しそうになったぐらい心の中で叫んでいた。

 

すると、突然腕に何か触られる感触があったと思ったら………俺は宙に浮いていた…。

 

「……え?」

 

俺は何かなんだかわからず、思わずアザゼルの方を向くと

 

「お前も行ってこい!!」

 

サムズアップして笑顔でそう言った………

 

俺は予想外の事に頭が真っ白になっていると、女子風呂の湯船に落ちると思ったが、何かフニョンという軟らかい感触がした。

 

「あらあら、大丈夫ですか?つばさちゃん」

 

俺の目の前に……朱乃さんがいた。 俺は暫く固まったが思考が回復して確り今の状態を確認すると………、俺は朱乃さんにお姫様抱っこをされていたのだ。

その感0.1秒…予想外の出来事が起きすぎて普段あり得ないぐらい頭の回転が早かった…。 

 

「大丈夫そうですね、下しますよ?」

 

そう言って朱乃さんは俺をゆっくりと優しく下ろしてくれた。そして、俺は状況を再確認した。

 

へぇ~……と、いうことは今は女子風呂にいるんだぁ~……。あははは~……。なんか思ってた以上に竹壁が高いね~。3mぐらいあるんじゃないのかなぁ~。もしこのまま朱乃さんに受け止められなくてー…受け身なしで頭から落ちてたらぁ~………………………………………………

 

つばさ side out

 

朱乃side

 

今日はリアスの実家で温泉に浸かっていますわ。今は色々あり、つばさちゃんが投げられて此方の女子風呂に飛んできた所をキャッチして、私の目の前に下ろしましたわ。今は女の子座りになっていて、目の前で固まっていますわ。余程驚いたのでしょうか? 顔は影になってよく見えませんが、なんだか少し肩を震わしているような……

 

「…………………………ふぇ……」

 

「ふぇ?」

 

「ふえぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」

 

ガバッ!

 

「キャッ!」

 

すると、突然目の前で固まっていたつばさちゃんが涙をいっぱい流して大泣きしながら私の胸に飛び込んで抱きついて来ました。う、嬉しいのですが、ど…どうしましょう?

 

そう思った私は優しくつばさちゃんに問いかける事にしました。

 

「どうしましたか?つばさちゃん?」

 

すると、つばさちゃんは私の胸の中ですんすんと泣きながら口を開いた。

 

「あの…ね…ヒック…さっ…きね……スン…突然ね……アザゼルに飛ばされた、から…ね…おどろいたんだよ……ズズ。……最初はね?…ヒック…突然の事…で……頭が働いて…エグッ…いなかっ…たから…ズズズ…よくわかんなかったんだけども…スンッ……朱乃、しゃん…に…エッグ…たしゅけ…られ…たから……思考が…回復した…んだけど…ヒック…状況を…確認して………思って…た…以上…スン…に……そこの……竹壁が高かった…から、ね……ヒック…もし、も…エグ…朱乃しゃん……に、助け…ヒン…てもらってなかっ…エッグ…たら……今、ごろ…かなり、の、大怪我、になって…ヒック…たんじゃないかと…スン…思って……ズズ…恐くなかったのぉ…………ぐすん」

 

涙目でうるうるしながら上目使いで私を見ながらそう言ってきました。

 

「(はぅぅ///!か…カワイイですわ////こ…こんなにもカワイイなんて反則ですわよ!本当に可愛すぎますわぁぁ/////)」

 

私は思わず顔が赤くなり鼻から愛が垂れそうになった。回りを見てみると皆同じ様に顔を赤くして鼻を押さえていました。

 

「ヒック……エッグ………怖かったよぉぉ………」

 

そんなつばさちゃんを見た私は一瞬このまま襲ってしましょうか?と思ってしまいましたが、そこはグッと堪えた。私はつばさちゃんを優しく強く抱き締め、頭に優しく手をおいて撫でてあげた。

 

「それは怖かったですわね。もう大丈夫ですよ…私達が確りとアザゼルをお仕置きしますので安心していてくださいね」

 

「……うん…うん………約束だよ?」

 

目に涙をいっぱい溜めて上目使いで私を見てくるつばさちゃん

 

「え…えぇ、約束ですわ。だからもう大丈夫ですからね?」

 

「うん!!ありがとう、朱乃さん!大好きー♪」

 

無邪気な笑顔でつばさちゃんはそう言った。

 

「(はう!!こ…これは///破壊力が大きすぎますわぁ!)」

 

すると、またつばさちゃんは私に抱きついて来ました。それも、先程よりも強く。

 

「むぎゅ~~♪」

 

つばさちゃんは純粋な笑顔で嬉しそうに抱きついていました。あまりにも可愛すぎて私が思わず頭を撫でてあげると…

 

「えへへへ~♪」

 

本当に嬉しそうにそして、気持ち良さそうに目を細めていた。

 

その姿にこの場にいた全員が顔を真っ赤に染めて鼻を更に押さえていました。

 

「いいにゃ~!朱乃ー!私もやりたいにゃ~」

 

「…………羨ましいです」

 

「うぅ~……いいなぁー……」

 

すぐ近くで黒歌ちゃん、白音ちゃん、レイナーレちゃんが羨ましそうに此方を見ていました。うふふふ…そんな目をされても今日は渡しませんからね♪

 

「(うふふふ!私はこれからとても頑張れる気がしますわ!!絶対今よりも強くなってソーナ達に勝ちますわよ!! それに、お父様、お母様の力を完璧に扱えるようになりますわ!!)」

 

私は心でそう誓い、風呂に上がるまでつばさちゃんをずっと私達で愛でるのでした。

 

朱乃 side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後……グレモリー家に堕天使総督の断末魔が聞こえたとか聞こえなかったとか……………




どうでしたか?なんか色々考えてこんなことになっちゃいました。

次回は……!『主人公に異変が!? いきなり倒れる主人公……、ドラゴンに連れ去られるイッセー!! グレモリー眷属の厳しい修行が始まろうとしている!』です!お楽しみにー♪


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7話 グレモリー眷属修行開始です!!

昨日はアザゼルをぶっ飛ばしたあと、俺は恥ずかしさのあまり部屋に閉じ籠りすぐに眠った。あ…あんなの普通ならおかしいよ!なんでだきついたのさぁ!は……ハレンチなぁぁぁぁぁ!!

 

………………コホン。と、取りあえずだなそれは置いといて…。今はグレモリー眷属に俺と黒歌とレイナーレはグレモリー家の庭の一角に集まっている。なぜ集まっているのかというと、今日からグレモリー眷属が修行をするので、俺はそれを確認しに来たのだ。因みに今回は俺は不参加で、精々ちょっとしたアドバイスをする程度だ。何故かって?そんなのあたりまえだよ、俺が修行をつけてしまうと強くなりすぎちゃうからね。それだと不公平でしょ?だ・か・ら、不参加なのですよ。そして今は、アザゼルがデータらしきものを持って席に着いている。

 

「先に言っておく。今から俺が言うものは将来的なものを見据えてのトレーニングメニューだ。すぐに効果が出る者もいるが、長期的に見なければならない者もいる。ただ、おまえらは成長途中の若手だ。方向性を見誤らなければいい成長をするだろう。さて、まずはリアス。おまえだ」

 

アザゼルがリアスさんに指を指した。

 

「おまえは最初から才能、身体能力、魔力全てが高スペックの悪魔だ。このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になる頃には最上級悪魔の候補となっているだろう。だが、将来よりもいま強くなりたい、それがおまえの望みだな?」

 

「ええ。ライザーやコカビエル…『禍の団(カオス・ブリゲード)』の襲撃の時も全てつばさちゃんに助けてもらったもの。これからはそうならないためにも強くならなくちゃいけないわ。それに、もう負けたくないもの」

 

「なら、この紙に記してあるトレーニングどおり、決戦日直前までこなせ」

 

そう言ってアザゼルに手渡された紙を見て、リアスさんは首を傾げる。

 

「……これって、特別すごいトレーニング方法とは思えないのだけれど?」

 

「そりゃあそうだ。基本的なトレーニング方法だからな。おまえはそれでいいんだ。すべてが総合的にまとまっている。だからこそ、基本的な練習だけで力が高められる。問題は『王(キング)』としての資質だ。『王』は時によって、力よりも頭も求められる。魔力が得意じゃなくても、頭の良さ、機転の良さで上まで上り詰めた悪魔だっているのは知っているだろう?―――期限までおまえはレーティングゲームを知れ。ゲームの記録映像、記録データ、それらすべて頭にたたき込め。『王』に必要なのは、どんな状況でも打破できる思考と機転、そして判断力だ。眷属の下僕悪魔が最大限に力を発揮できるようにするのがおまえの仕事なんだよ。ただ、これも覚えておけ、実際のゲームでは何が起こるのかわからない。戦場と同じだ」

 

普段はおちゃらけているアザゼルだが、こういう時はしっかりとアドバイスができるんですよね~。普段こんだけ真面目ならば評判がよかったのに。

 

「次に朱乃」

 

「はい」

 

次にアザゼルは朱乃さんを読んだ

 

「お前はもっと、自身の血の力を制御するんだ。今はまだ完全には制御できていないだろ?」

 

「はい、アザゼル先生の言うとおり、私はまだ力を完全には扱いきれていませんわ。父様の様な雷光の威力もありませんし、母様の様に退魔の力を自由自在に扱えていませんわ。」

 

「だから、今回のお前の修行は自身の血の力をもっと使いこなせるようにすることだ。そのために、お前は精神修行が一番てきしているな」

 

「はい、わかりましたわ。」

 

「うん。お前の力は悪魔に無類のダメージを与える事ができるんだ。更に、お前の母親の退魔の力は俺達魔なる者なら大ダメージを与える事ができる強力な力だ。その力はこれからのレーティングゲームや他の戦いでかなり重要な戦力になるだろう。だから、お前も頑張れよ! 真の『雷光の巫女』になってみせろ!!」

 

「はい!頑張ってなりますわ!!」

 

アザゼルの言葉に朱乃さんの目はとてもやる気に満ちた表情をしていた。うん、頑張って!朱乃さん!

 

「次に祐斗」

 

「はい」

 

「お前は禁手(バランス・ブレイク)を解放している状態で一日保たせて見せろ。それに慣れたら、実戦形式の中で一日保たせる。それを続けていき、状態維持を一日でも長くできる様にしていくのがおまえの目的だ。あとはリアスの様に基本トレーニングをしていけば十分に強くなれるだろうさ。剣術のほうは……おまえの師匠にもう一度習うんだったな?」

 

「はい、一から指導してもらう予定です」

 

祐斗の師匠ってたしか、沖田総司さんでしたね。でもやっぱり格好いいなぁ~あの人は~。本物の新撰組の人で、剣士としての実力者でもありますしね~。…………でも、やっぱり剣士最強は………魂魄妖忌さんかなぁ~。あの人を超える剣士は俺は知らないね…。てか…あの人に勝てる人はいるのかなぁー? いなさそうだね…。だって…あの『絶対防御の破壊神』と呼ばれてる光輝兄さんの身体を斬ることができる俺達家族以外で数少ない人物ですもんね~。今思えば本当にあの人に斬れないものなんて、無いんだと思うね…。

 

「次はゼノヴィアだ」

 

「なんだ?」

 

「取りあえずだな、パワー馬鹿のお前はもう少し繊細さを身につけろ。デュランダルを今以上に使いこなす為には必要な事だ。それと、もう一本の聖剣にも慣れてもらうぞ」

 

「もう一本とは?」

 

「詳細はまた後で教える」

 

楽しそうな表情を見せるアザゼル先生だが、すぐにそれを引き締め、今度はギャスパーの方を向いた。

 

「ギャスパー」

 

「は、はいぃ!」

 

「少しはマシになったみたいだが、お前の壁はその恐怖心だ。なので、心身を鍛え直す。お前自身のスペックは高い。それさえ克服出来れば、そのリングも必要無くなるだろう」

 

アザゼル先生が、ギャスパーの着けているリングを指す。あれって、確か会談の時、テロリストに捕まったギャスパーを助けに向かう時にイッセーに渡してたヤツだったよね。

 

「わ、わかりましたぁ! 出来るかどうかわかりませんが、一生懸命頑張りますぅ!」

 

おぉ~、こんなにもやる気に満ち溢れているギャスパーは初めて見たぞ~。これは全力で応援しなければいけないね!

 

「続いて小猫」

 

「はい」

 

「お前に関しては黒歌に一任してある。基礎の向上に励みつつ、仙術の一つでも教えてもらうがいい。元々の身体能力はいいんだ。曝け出すもの曝け出せば、すぐにでも強くなれるだろうよ」

 

「はあ……」

 

「だ~いじょうぶ! 私に任せておけば白音は絶対に強くなれるにゃ!」

 

「……正直、期待よりも不安が大きいのは何ででしょう」

 

「酷い!」

 

俺の右隣にいた黒歌と小猫ちゃんがそんなコントの様な会話をしていた。昔も明るかった黒歌だけども、今はもっと明るくなったね♪ それもそうか…、やっと自分の大切な妹と仲良く暮らせるようになったもんね~。にしても本当にあのときは驚いたよな~……。あの『禍の団(カオス・ブリゲード)』会談襲撃事件の後に…、家にきて『今日からお世話になります』なんて言ってきたもんなぁ~。まぁ~、断る理由もないし、何より家族が増えるなら全然OKだから、すぐにOKだしたけどねぇ~。 そのあとは普通に何時も通り暮らしていまに至るのですよ。 一緒に暮らすようになってからは黒歌と白音の仲良し度はかなり上がったけどね。今は、家限定で姉の黒歌に凄く甘えてるぐらいにね~。

 

「最後にアーシア」

 

「は、はい!」

 

「お前がすることはまず…聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)の効果範囲を広げることだ?」

 

「効果範囲を広げる…ですか?」

 

「そうだ。いくら回復速度が速くとも、『触れる』ことが出来なければ意味がない。それに、移動中に攻撃を受ければチームの回復要員がいなくなり負ける原因になるだろうよ」

 

まぁ~、確かにどんなに強力な回復力を持っていても、それをいかせなければ意味がないですもんね。それこそ宝の持ち腐れってやつですね。

 

「なるほど」

 

「確かにお前の回復力は強力だろう――だがな、大きな問題は敵味方の判断が出来ずに回復させてしまいそうなところだ。判断できずに回復してしまえば……言わずともわかるはずだ」

 

確かに…。アーシアは優しすぎて敵味方関係なく回復させそうですもんね。まぁ…、だからこそ今のアーシアがいるんですがね

 

「そうならないように、俺は『回復能力を飛ばす』というところに目をつけた」

 

「な、なるほど」

 

アーシアが目を輝かせていた。かなり嬉しそうです。

 

「この方法で直接触れなくとも、遠距離の見方を回復できるのは戦略性が広くなる。あとは護衛に誰かを配置して、ソイツに戦闘を任せるか、又は何処かに隠れて仲間の回復にすぐ動けるように影から支えるかをするんだ。その方が効率がいいからな。」

 

「はい!」

 

「体力勝負になることが多いから、基礎トレーニングでちゃんと底上げをしておけよ?」

 

「は、はい!がんばります!」

 

これで、イッセー意外は全員終わりましたか。正直言いますと、イッセーの修行が一番ハードになりそうですね。

 

「先生、俺の修行は………」

 

「まぁ~、まて……そろそろ来る頃だと思うんだが」

 

「来るって何がですか?」

 

空を見上げるアザゼル先生に倣って、グレモリー眷属も空を見上げる。俺は気配でわかったのであえて見上げていない。―――なぜなら“それ”が姿を現したのは、それとほぼ同じタイミングだったからだ。

 

ドォォォォォォォオオン!!

 

俺たちのいる近くに飛来してきたそいつは、ここにいる数名の者と同類の者。

 

「なっ!?」

 

イッセーはかなり驚いた顔をしている。勿論他の人達もだ。何ともないのは、黒歌とレイナーレ、俺にアザゼルだ。 まぁ、驚くのもしかたありませんね。何故ならそれは………

 

「―――ド、ドラゴン!!」

 

そう、ドラゴンだ。大きく裂けた口も、それから覗く牙も、巨大な腕や足も、背中の翼も、まさしくドラゴンのそれだった。

 

「アザゼル、よくもまあ悪魔の領土に堂々と入れたものだな」

 

「ハッ、ちゃんと魔王さま直々の許可を取って入国したぜ?タンニーン」

 

タイニーンと呼ばれたドラゴン。こいつは二天龍の次に強い五大龍王の一匹だ。正確には元五大龍王だけどね。

 

「ぬかせ。サーゼクスの頼みだからとわざわざ来てやった事を忘れるなよ、アザゼル」

 

「へいへい」

 

タイニーンはアザゼルをジト目で不満そうにそうはいた。アザゼルは気にしていないかのように軽く返事をする。

 

「五大龍王の事は前に話したと思うが、こいつが悪魔になった事で、六から五になったんだ。タンニーンは転生悪魔の中でも最強クラスの最上級悪魔だ」

 

うん、しってる。てか、家には同じ五大龍王のティアマットことティアがいるもん。

 

「ふむ、久しぶりだなドライグ」

 

『久しいな、タンニーン。俺の相棒は見ての通り弱い。死なない程度に鍛えてくれ』

 

「現赤龍帝を鍛えるのは初めてだな」

 

「しっかりいじめてくれよ、タンニーン」

 

アザゼルにドライグ、タンニーンは以外にも仲がいい。

 

「リアス嬢、あちらの山一つ貸してもらえるか?こいつをそこに連れて行く」

 

「えぇ、鍛えてあげてちょうだい」

 

「任せろ。死なない程度に鍛えてやるさ」

 

あーあ、イッセー大変だなぁ~。イッセーの顔なんか物凄い驚きの顔になっていますもん。でもイッセー?まだタイニーンだけじゃないですよ?

 

「つばさ、お前の言ってた奴はくるのか?」

 

すると、アザゼルが俺に問いかけてくる。

 

「えぇ、来ますよ。てか、もうきました」

 

俺がそう言った瞬間、俺達とタイニーンの間に二つの魔方陣が出現した。一つは銀色、もう一つは蒼色だ。

 

「なに?ドラゴンゲートだと。片方はティアマットのやつだが、もう片方は誰だ?」

 

タイニーンがそう呟いた。アザゼルも片方はわかっているが銀色の方はわかっていないみたいだ。 まぁ、あたりまえだよ。彼らは普段表に出てこないもんね~。

 

一瞬の光のあと、そこにたっていたのは二人の女性だった。一人はとてもスタイルがよくて、髪は濃くて明るい銀髪で腰まで伸びていて、顔は妹紅さんに似の目が金色で胸が大きくスタイル抜群の女性で、もう一人が蒼い髪に、スリット状の金色の瞳、そして豊満な胸をした女性だ。

 

「お前はティアマットか?………それに、隣の女性わ…」

 

タイニーンが言う前に、一歩前にでる銀髪の女性。

 

「申し遅れました。私の名前はクシャル。『風翔龍』クシャルダオラと申します。私は我が主、結城 翼(ツバサ)様の頼み事により、今回馳せ参じました。以後お見知りおきを。」

 

そう言って綺麗にお辞儀をするクシャル。そう……使い魔の森の時にエロ触手から俺を助けてくれた、古龍種の一角『風翔龍』の名を持つ、クシャルダオラさんだぁーー!!

 

すると、隣にいたもう一人の女性が前にでる

 

「私は、五大龍王の一人、ティアマットだ。よろしく」

 

この人も同じ使い魔の森で家族になった、五大龍王の一人『天魔の業龍』ティアマットです。因みに愛称はティア(byさつき)だよ~。

 

さてさて、何故今回このクシャルとティアがきているのかと言いますと、アザゼルがイッセーを同じドラゴンの龍王の一角にまかせると言ったので、俺も其の手伝いをしたいと言って、今回この二人を連れてきました。何故クシャルなのかと言いますと、ティアマットは五大龍王の一角だから、クシャルは俺と家族の古龍種の中で一番手加減出来るからです!

 

「なに!?『風翔龍』クシャルダオラだと!! クシャルダオラと言えば伝説の古龍種の一角じゃないか!! ま…まさか、生きていたとは………。」

 

そう言って驚くアザゼル。タイニーンも言葉には出していないが、表情がとても驚いた顔になっていた。

 

「因みに、他の古龍種もいますよ~。てか、アザゼルも会ってますよ? 俺の実家で」

 

「そ…そうなのか? と、言うことは…、たまにお前の家でみる奴等って……」

 

「はい♪その人達ですよ~。」

 

俺の言葉にアザゼルはあんぐりと口を大きく開いて固まった。

 

俺は席から立ち上がり、一歩前にでた。

 

「初めまして、タイニーン様。僕の名前は結城 翼。地球連邦軍 特殊部隊特別調査班 総隊長をやっています。そして、そこにいるクシャルのマスターをやっています。以後お見知りおきを」

 

俺は例をする。

 

「いったいお前は何者なんだ?……それに何故お前からドラゴンの気配が感じるのだ」

 

固まったアザゼルをよそに、タイニーンが聞いてきた。

 

「それはですね」

 

『私が入るからよ~♪』

 

すると、俺の右手に籠手が出てきて、そこから声が聞こえてきた。

 

「あ、あなたは!!」

 

『久しぶりね、タイニーン元気だったかしら?』

 

「ミラ・ルーツ様!」

 

タイニーンは驚きの顔で叫んでいた。

 

『えぇ、そうよ。『祖龍』ミラ・ルーツよ。』

 

「な、なぜ、あなた様が神器なんかに…」

 

『私は自ら神器に入ったの。だから、今此処にいるのよ。そして、この子が実質、初めての神器所持者よ。まぁ、今まで誰一人覚醒していなかったから、この子が初めての所持者なんだけどね。それに、私はこの子以外には私の神器を持たせたくないわ。私のマスターは未来永劫この子よ』

 

ルーツが堂々と宣言した。

 

…………ルーツゥ…。うぅ…ありがとぉー。

 

「まさか、貴女の様な方が何故その様な事を………。それにえらく気に入っているのですね。その人間を」

 

『それは、色々あったのよ。それに、この子はとてもドラゴンに好かれやすい体質でね?この子はそこのクシャルちゃん以外にも殆どの古龍種と仲良しなのよ。それに、オーフィスとも家族になってるわよ♪』

 

「なっ!?」

 

タイニーンはまた驚いていた。まぁ…普通ならそうなるよね~

 

すると、タイニーンが此方を向いてきた。

 

「ルーツのマスターよ。お前に聞きたい事がある」

 

「なんですか?」

 

「お前はドラゴンは好きか?それに、ルーツ様の事は好きか?」

 

そんな事を聞いてくるタイニーンさん。……そんなの聞かなくても答えは決まってます

 

「勿論大好きです、ルーツは更に大好きです!! それに、ドラゴンやルーツだけではありません。俺の家族も、此処にいる皆さんも、家の部隊の人達も……そして、魔王様や天使長様や他の悪魔や天使達も皆だーいすきです♪ 

俺はそんな人達を守るために、今の仕事をやっています。そして、これからもずっとその気持ちは絶対変わりません!!」

 

俺は高らかに宣言する。此だけは絶対変わらない。もう…俺の様に大切な人やものを失う悲しみを、味わってもらいたくないからね………。

 

「そうか…」

 

そう一言いってタイニーンはイッセーに視線を写した。 次の瞬間、イッセーがタンニーンの極太の腕につかまれ……タンニーンは翼をはばたかせて、大空へ飛び立つ。そして、クシャルとティアはタイニーンの背中に乗っていった。

 

「部長ォォォォォォッ!!みんなぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

叫ぶイッセーをよそに、皆が手を振って見送ったのだった。

 

「(さて、俺達も動きますか。)」

 

俺はそう思いもう一度座っていた席を立とうとしたが………

 

視界がグラリとくらついた………

 

「(………あ、あれ?……視界が、ボヤけて……………)」

 

ドサッ!

 

俺はそのまま芝生の上にうつ伏せで倒れた。

 

「おい!つばさ、大丈夫か!!返事をしろ!つばさぁぁ!!」

 

皆が叫んでいるなか、アザゼルの言葉を最後に俺の意識は無くなった…。

 

―つばさside out―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―アザゼルside―

俺はグレモリー眷属の顧問の為に、修行のミーティングをやっていた。 リアスから始まってイッセーで終わったんだが、イッセーがタイニーンに連れ去られたあと、突然つばさが倒れた。 くそ!やっぱり倒れやがったか!! あの若手悪魔の会合の時以来、今日まで体調と魔力が不安定だったのはわかっていたんだが…、今日はいつも以上に魔力が不安定なのはわかっていた。 一応言ったが大丈夫だといったから信じた俺だったが………くそ!やっぱり無理でも部屋に戻して大人しくさせとけば良かったぞ!!

 

「おい、リアス!急いでサーゼクスに連絡してくれ!! それと、他の奴等は急いでつばさを部屋に連れていっていくれ!!」

 

俺はつばさを朱乃に渡し、急いで光輝達に連絡を入れる。

 

プルルルル…ピッ

 

『どうしたんだ急に?アザゼル』

 

立体映像に光輝が写っていた。俺は今起きたつばさの事を全て話した。

 

『なんだと!?それは本当か!!』

 

「おう、本当だ。かなり魔力が不安定になっていた。たぶんだが、余り本人も気づいていなかっただろう。いつもみたいに大丈夫だろうって感覚だったんだろうな。今は部屋に連れていってもらってるが、魔力が著しく低下している。急がないとヤバイぞ!」

 

『わかった! 今は俺もレイジも動けないが、さつき達に頼んどいた! さっき返事がきたから、恐らくあと数分でグレモリー家にいくだろう。俺も急いでこの仕事を終わらしてそっちに向かう! それまでつばさをよろしく頼むぞ!アザゼル!!』

 

「わかった、光輝」

 

光輝の連絡が終わり、俺は急いでつばさの部屋に走った。

 俺は部屋についてノックをする。返事がきたので部屋に入った。そこには、つばさがベットで苦しそうに寝ていて、その回りにイッセーを除いたグレモリー眷属と黒歌にレイナーレが集合していた。

 

「アザゼル先生…」

 

朱乃が不安そうに聞いてくる。他の者もかなり心配していた。

 

「大丈夫だ。今さつき達三姉妹が此方に来ている。もうすぐ来ると思うが………」

 

俺がそう言うと、突然扉が荒く開けられた。

 

「つー君が倒れたって本当!?アザゼル!!」

 

「つーくんは大丈夫なの!?」

 

「そうよ!アザゼル!!」

 

三姉妹が一斉に質問してきた。

 

「い、今のところは危ない! でも、つばさの魔力を安定させられれば助けられる。ナツル、頼めるか?」

 

俺がそう言うとナツルは何度も頷いた。

 

「あたりまえよ! 今から始めるわ!」

 

そう言ってナツルはつばさの寝ているベットの横に付き、ナツルはつばさの身体に両手をかざした。 すると、ナツルの両手から淡い青色の光がつばさを包み込んだ。 数秒たつと、苦しそうにしていたつばさが落ち着きを取り戻し、スヤスヤと眠った。

 

『ふぅ~…』

 

俺達は安心して一息ついた。全員かなり慌てていたから普通よりも疲れたぜ。

 

「アザゼル、詳しく説明してくれるかしら?」

 

少し落ち着きを取り戻すと、さつきが俺に聞いてきた。

 

「あぁ、それはな……………」

 

俺は今日の事を全て話した。つばさの体調と魔力が不安定だった事、止められたのに気づかなくて止められ無かったのと、そして今に至るのと。俺は全てを包み隠さず話した。さつき達は真剣に聞いていた。

 

「以上が今回起きた出来事だ。すまん、さつき!俺がいたにも関わらずこんなことになっちまって」

 

俺はさつきに頭を下げた。こんなもんではすませられないが、それでも俺は謝らないときがすまねぇ!

 

「頭を上げなさいよアザゼル。別に貴方のせいじゃないわ。そもそも、つーくんの体調の様子が分かりにくいのは今に始まった事じゃないわ。それに、今回の様な事は前に何度かあったのを今思い出したのよ。だから頭を上げなさいよ。私達は気にしていないからさ」

 

さつきは優くそう言ってきた。……はぁ、相変わらず優しい奴だぜ…たく。

 

「ありがとよ、さつき」

 

「どういたしまして」

 

俺らはそう一安心ついたとき…異変が起きた。

 

「うっ!」

 

つばさが小さく苦しんだと思ったら突然身体が光だしたのだ。

 

「なっ!なんだなんだ!?」

 

「え?なにがおきてるのよ!?」

 

「あらあら、これはいったい……」

 

「いったい、つばささんにないが起きてるんだい!?」

 

「眩しいです………」

 

「あわ、あわわわ!た、たた、大変ですぅーー!!」

 

「つばささんの身体が光ってます!」

 

「いったいなにが起きてるんだ?」

 

「も、もしかしてこれって!」

 

「えぇ、もしかしてもしかしなくても、“あれ”ですね。」

 

「そうね、“あれ”ね」

 

「“あれ”だにゃん」

 

「“あれ”でしょうね」

 

アザゼルとグレモリー眷属が驚いているなか、他のさつき達は何が起きているのかわかっているようだ。

 

そんな中で、光は収まり、そこに寝ていたのわ……………

 

艶やかな黒髪で大きいな胸を持っている美少女だった

 

『え?』

 

その突然の現象にアザゼルとグレモリー眷属は驚いていた。

 

『やっぱり(にゃ)』

 

さつき達はわかっていたかのように同じ反応をしたのだった




さて、どうでしたか? 今回は主人公の突然の変化状態となりました。

さて、次回でその内容が詳しくわかります!さてさて、主人公はどうなってしまうのでしょうかね~♪

では、また次回でお会いしましょ~! バイバーイ♪


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8話 ありがとう、ミリキャス♪

「ぅん……………あれ? 俺はいったいどうしたんだろう?」

 

俺は目が覚めると何故かグレモリー家の自分の部屋のベットの上で寝ていた。

 

むぅ…、なんでベットの上で寝ているんだろう?確か…俺は全員の修行内容がわかったから動こうとして立ったら……………………………………………………そうだ、俺はなんか目の前が暗転して倒れちゃったんだった…。

あはははは~……、色んな人に迷惑かかっちゃったんだろうなぁ~。 うん、とりあえずベットから起きるとするか………

 

俺はそう思いベットから身体を起こすと………

 

フニョン

 

男にはあり得ない事に胸に二つの山があった。

 

「(“フニョン”?…………ちょっと待って、もしかして俺って今……)」

 

俺は確認で胸に手をおいた。

 

ムニュムニュ…

 

「(………………あはは。ま、まて!まだそうと決まった訳じゃない!もしかしたら希望がある!!)」

 

俺はそう思い下半身に手を置いたが………

 

「(な…なな、無い! お、男の大事なものがないよ!? ……と、言うことはやっぱり……俺って…)」

 

俺はいったん一呼吸して叫んだ

 

「女子のになってるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

 

俺は女の子らしい高い声で大声を出した。そんな大声を出したせいか、ドタドタと扉前から足音が聞こえてくる。おそらく他の人達が何事かと思いきたんだろう。

 

バタン!!

 

荒々しく開けられた扉から入ってきた人物はグレモリー眷属(イッセーなし)とアザゼル、魔王様方、グレイフィアさん、兄さん姉さん達、黒歌とレイナーレだった。

 

てか…人いすぎだろう。

 

『つばさちゃん!!/つーくん!?』

 

そう叫びながら、グレモリー眷属(イッセーなし)とさつき姉さん達三姉妹が俺のベットに走ってきた。

 

「もう!いきなり倒れたって聞いたんだから、心配したんだからね!」

 

そう言ってさつき姉さんが俺に抱きついてきた。 はぁー……、お姉ちゃんを泣かすなんて最低だな…俺って…。

 

「ゴメンね……、お姉ちゃん。心配かけさせちゃって」

 

俺は抱きついてきているさつき姉さんの耳元でそう呟いた。すると、さつき姉さんは一旦離れて俺の両肩に両手を置いてきた。そして、真剣な顔で俺を見てきた。

 

「本当よ? いきなりアザゼルからあなたが倒れたなんて聞かされたとき、どれだけ私達が心配したかわかってるの? ……もう、無茶したらダメなんだからね? わかった?」

 

さつき姉さんは真剣の顔なまま、俺にそう言った。俺の両肩に置かれている手も強く力が入っている。それだけ俺の事を心配していたのがよくわかるぐらいに………

 

「うん、ゴメンなさい。もう、無茶しません。本当にごめんなさい………そして、ありがとう」

 

俺はそう言って最後に本音もいった。だって…そんだけ心配してくれたのは、正直いって嬉しいもん

 

「えぇ、どういたしまして♪」

 

そう言った姉さんの笑顔はとても素敵だった…。一言で表すなら………女神だね///

 そ、それだけ綺麗なんだもん!!///

 

「あら?なに顔を赤くしてるのよ?…………はっはぁ~ん…もしかして、私の笑顔に惚れちゃったかな?」

 

さつき姉さんはニヤニヤしながらそう言う。その顔は新しいオモチャ(イタズラ)を見つけたかの様な顔だった。

 

「なっ!?///べ、別に、そ、そそ、そんな事ないもん!!///」

 

俺は慌ててそっぽを向いた。でも、絶対今は顔が真っ赤に染まっているんだろうね。

 

「うふふ、も~う!可愛いんだからぁ~♪」

 

そう言った姉さんはまた抱きついてきた。それも、胸を顔に埋めるように。

 

「ちょっ!? お、お姉ちゃん!む、胸がぁ、おっぱいがぁー///」

 

「うふふふ~♪わざとやってるも~ん♪」

 

そう言いさつき姉さんの抱きつきは更に強くなる。  わっふぅ、い、息がぁ…

 

「さつき姉様、つーくんが息出来ていませんよ?死んでしまいますので離してあげてください」

 

「むぅ~……そーなのかぁ~。ごめんごめん、許して?」

 

そうナツル姉さんに言われたさつき姉さんは、俺から離れて、両手を合わせながら、舌をチロッとだして謝っていた。 くぅ!かわいい!!

 

「はぁ…、まったく。つーくんが可愛いのは凄くわかりますが、自重というものもしてください。さつき姉様はそこらへんが抜けています!気をつけてくださいませ!」

 

さつき姉さんはナツル姉さんに怒られてはいるが、何時ものように軽く『ごめんごめん』と苦笑いしながは謝っていた。ふふ、まったくかわらないね~。お姉ちゃん達わぁ~。

 

「つーくん、大丈夫?辛くない?どこか痛いところもないの?」

 

すると、優子姉さんが心配そうに聞いてきた。俺はそれを笑顔でかえす。

 

「大丈夫だよ、優子姉さん。俺はこの通りピンピンしているよ♪ まぁ…、確かに魔力が殆ど無くなってわいるけど、それでも、戦えないだけでそれ以外は大丈夫だしねぇ~」

 

「そう……。なら大丈夫ね。でも、次はこんなことにならないようにしなさいよ!絶対よ?」

 

優子姉さんは右手の人差し指を立てて注意してきた。

 

 

「うん!約束するよ、絶対無茶はしないよ」

 

「よろしい!」

 

まぁ、これで全てが一件落着かなぁ~。

 

「そう言えば今さらだけど、今何時なの?」

 

俺はふと思い優子姉さんに時間を聴いた。

 

「本当にいまさらね…。今は朝の9時よ。貴女は丸一日寝ていたわ」

 

そ…そんなに寝ていたんだ………。うぅ…そりゃ~身体が重いよね…

 

俺がそんな事を思っていたら、魔王様方とグレイフィアさん、それにアザゼルがベットの前にきた。てか、四大魔王大集合って………スゴすぎないかな!?てか、仕事わ!?

 

「つばさくん…いや、つばさちゃん?大丈夫なのかい? 君が倒れるなんて流石にビックリしたよ。お陰で僕達魔王が全員集合しちゃったよ」

 

いや……心配してくれるのは、正直嬉しいのですけど、だからといって全員でこないでくださいよ…

 

「それは無理だね!君は僕達にとっても家族同然だからね!!」

 

サーゼクスさんがいい笑顔でサムズアップしながらそう答えた。

 

「……って!ナチュナルに心の中を見ないでください!!」

 

「魔王ですから」

 

俺は叫んだが、どや顔でそんな事を言われた。……って魔王だからで済まさないでくださいよ!

 

「ところで、何故君は性別が変わっているのかい?見た目は髪の毛が腰まで長くなって、胸がDくらいあるしか変わんないけど…」

 

サーゼクスさんが興味深そうにそう聞いてきた。他の皆も聞きそうだ。事情を知っているのは、俺の家族(黒歌とレイナーレも)ぐらいですかね。

 

「えぇ~とそれはですねぇー……。俺が魔力が著しく低下したり、無くなったりすると性別が変わってしまうって言いましたよね? まさに、今がその状態ですね。」

 

俺がそう言うとサーゼクスさんは頷いた。

 

「なるほどね、あまり信じてはいなかったけど、本当にそんな事が起きるんだね…。」

 

「確かにな…。こんど性別が変わる銃でも作ろうかな?」

 

「でも、此だけは言えることがあるね。本当に……」

 

『可愛いね!』

 

一斉でへんな事を言われた。うぅ…か、可愛いなんて、そんな、照れてしまいます!!

 

「う、うるせぇです。そ、そんな事よりも、結構しんどいですよ?この姿って…。 メリットは魔力が低下することにより、魔力の質が上がり魔力又は魔法の攻撃力・防御力・回復力等が全て上がります。しかし、デメリットで、男の時よりも体力が落ちて、他には防御・攻撃力もがた落ちです。筋力も落ちるので、重い鎧や武器が使えなくなってしまいます。それに、身体の抵抗力も衰えるので、薬やマヒ又は眠り等といった魔法・魔力攻撃もくらいやすくなってしまっています。それに、どんなに魔力の質が上がろうと、全体的なステータスも下がっていますし、何より魔力が少ないのであまり多用も出来ません。その代わり、魔力・魔法を使う時のMPは男よりも少ないですが、それでも多用は無理ですね…。なので、俺は女になってる間は基本的に戦えないのですよ………」

 

俺は包み隠さず全てを話した。結構長くなってしまったが嫌な顔をせずに皆真剣に聞いてくれたのは嬉しかったかな

 

「以上が今の状態になった理由みたいなものです。 すみません、なんか思ってた以上に長くなってじいまして」

 

「いや、いいよ。別に僕は気にしないからね。それにしても、まさかそんな事になるなんてね。なるほど…。確か君は魔力が低下したら女の子になるといったけど、何れぐらいが目安なのかい?」

 

「えぇーと…、大体全体の最大魔力値の3分の1をきったらこの姿になりますね。他には例外で、気絶したりして意識が無くなった時や、熱等にかかって病気になって魔力が不安定になった時等も女の子になってしまいますし、あとは自分の意思で女の子になったりもありますね。一度、光輝兄さんの作った薬で女の子にされた時もありましたけどねー…」

 

そうなんだよなぁ…。結構女の子になる確率が高いんですよね…。ここ数年は身体の事を気をつけていたので女の子になることはありませんでしたが、今年は本当に忙しい年ですもん。初めての学校に通い、グレモリー眷属の監視したり、はぐれ悪魔倒したり、シスター助けたり、戦力増えたり、焼き鳥倒したり、聖剣折ったり、レイジ兄さん帰ってきたり、コカビエルぶっ飛ばしたり、三大戦力の会談を行ったり、テロリストぶっ飛ばしたり、冥界にきてぶちギレかけたり…と本当に忙しくて無理していましたね。うん…、今度からはもっと気をつけていかないといけませんね。

 

「そうなんだね。でも、かなりデメリットの方が多いみたいだね」

 

「そうなんですよねぇー……。デメリットさえなければ効率的にこの姿の方がいいんですけどね~。」

 

本当、デメリットさえなければ魔力特化でかなり遠距離戦も楽なのになぁ~

 

「はははは、仕方がないよ。この世でデメリットがないものなんて存在しないんだから。」

 

「確かにな…。そもそも、デメリットが在るからこそ、バランスが保たれるんだからな。」

 

そういって光輝兄さんが付け加える。まぁ、確かに俺みたいなタイプがデメリットまで無くしたら、それこそ文字通りのチートって訳ですからね。俺は能力だけでもチートなのに、これ以上チートになると本当に世界が面白くなくなってしまいますしね。まぁ、そうならないためにも幾重に分けて厳重な結界を俺自身につけてますしね。チート過ぎるのもいけないのと、暴走及び身体が耐える様につけてますしね。

 

「まぁ、とりあえず大丈夫なんで、もう心配しないでくださいよ。あまり俺に構っている訳にもいきませんでしょ?皆さん」

 

「わかったよ。もう大丈夫そうだし僕達は仕事に戻るとするよ。リアス達も修行にいきなさい。強くなりたいなら早くね」

 

『はい、サーゼクス様!』

 

サーゼクスさんがいうと、リアスさん達も各自の修行にいった。 そのあとに続く様に魔王様達も自分の仕事場に戻るのだった。

 

「ふぅ、んじゃ、俺も戻るな? つーくんもう無理すんなよ?いいな!」

 

「うんうん、光輝兄さんの言うとおりだ。今度同じ事があったら、次はないからな!」

 

「わかってるよ。兄さん達も気をつけてね?」

 

「おう!」

 

「わかってるよ」

 

そう言って兄さん達も部屋を出た。部屋に残ったのは姉さん達と黒歌とレイナーレだけだ。

 

「姉さん達は仕事に戻らないの?」

 

俺が聞くと、さつき姉さんが俺の方に視線を動かした。

 

「私達は仕事は終わってるわ。今日わね。それと…、あなたがその姿の時はもっと女の子らしくしなさいっていったでしょ? ほら…やり直し♪」

 

「えぇ!あ、うぅ……。わ、わかりましたよ。女の子らしく振る舞えばいいんでしょ!振る舞えばぁ!!」

 

うぅ~…、男なのにぃ…。た、確かに今は女の子だけどね…、でも、心まで女の子じゃないんですよぉ~……。

 

俺はベットから降りて、女の子らしく振る舞うように練習することになったのだった。

 

「ほら、もっとそこはしなやかに! こら、女の子がそんな持ち方をしたらいけません! ほらそこ!そんな事をしたらダメよ? 今は女の子何だから」

 

俺はそのあと二時間ほど女の子についての再勉強することになるのでした。とほほほ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから二時間――おr……私は女の子についての再勉強をやりました。最初はとても嫌だったのですが、さつき姉さん達三姉妹に捕まり、無理矢理勉強するはめになってしまいました。まぁ…、今は女の子ですのでしかたがないことは、しかたがないのですけどね。

 

「それにしても、私は今日一日は外に出れないのですか…。身体は大丈夫なんですがね。しかたがありません、久しぶりにグレモリー家の探険といきましょうか♪」

 

私は部屋を出て、グレモリー家を探索することにしました。理由は、さつき姉様達はなんでも魔王様方に呼ばれたそうですので、そちらの方に向かいました。黒歌さんやレイナーレさんも一緒に付いていってしまいましたので、私はとても暇をもて余しています。ですので、探索しようと思いました。  さて、何処から探索しましょうか?結構広いので探索しがいがありますしね♪

 

そうと決まれば即行動です!私は適当に歩くことにしました。

 

―数時間後―

 

 

「ふっふふ~ん♪」

 

晩御飯も食べ終えた私は、適当にブラブラと室内散歩をしています。時折すれ違うメイドさんに挨拶をしながら、口笛をふいて歩いています。やっぱり広いですねぇ~。実家も広いですが、ここもやはり大きいですね。実家があるのは名のない無人島ですので、ハッキリいってただ広い自然があるだけですので暇なんですよね…。都市もあるのですが、全員地球連邦軍の関係者だけですので、全員知り合いみたいな者なのですよ。やはり、知らない人と出合い、新しい出合いがあるのが一番好ましいんですけどね。でも、だからといって無関係の人を連れ込むような事はしませんけどね。

 

そんな事を思いながら歩いていくと…、目の前に見慣れた顔がありました。私はその人物に近づいて目を隠します。

 

「だーれだ?」

 

「え?その声はもしかして……ツバキお姉様ですか!?」

 

「えへへ♪あったり~だよ~♪」

 

私が目隠しをした人物は、サーゼクスさんとグレイフィアさんの一人息子…ミリキャス君でした。 あと、何故ミリキャス君が“ツバキお姉様”と読んでいるのかといいますと、私が女の子の姿の時は、『結城 椿(ツバキ)』と名前にしているからです。そう言えば…、リアスさん達にこの事を伝えるの忘れていましたね…。まぁ、それはあとででいいですね。

 

「ツバキお姉様、何故その姿になっているのですか? 普段はその姿におなりになりませんのに……」

 

「それはですね、色々とありましたの………あれは、昨日の事でしたわ…」

 

私は今日の出来事を全て話しました。ミリキャス君は真剣に聞いてくれます。本当に何故私の大切な人達はどの様なお話でも真剣に聴いてくれるのでしょうか? 嬉しいのですが、不思議ですね。

 

「そうだったんですか……ツバキお姉様は相変わらず苦労しているのですね……。でも、僕からも此だけは言わせてもらいます!次は絶対に無理しないでください!約束なんですからね!!」

 

ミリキャスはプンプンと可愛く怒りながら私にそう言ってきました。ミリキャスにも言われてしまいましたね…。次からは絶対に無理をしないようにしませんといけないようですね。

 

「わかりました…。約束しますよ。ミリキャス君」

 

「絶対ですよ?」

 

「えぇ、絶対です。魔王様に誓って無理をしないようにしますね」

 

「ならいいです。約束さえ守ってくだされば僕はこれ以上言いませんよ。」

 

ミリキャスは笑顔でそう言いました。 はぅ!可愛いです!私を萌えコロスつもりなのでしょうか…! もう、無自覚って怖いですね…

 

「えぇ、ありがとうございます。それと、私の事を心配してくれて、ありがとうね。ミリキャス~♪」

 

私は少ししゃがみミリキャスの頭の上に手を置いて優しく撫でました。ミリキャスはとても気持ち良さそうに目を細めて頭をグリグリと私の手に押し付けてきます。本当に可愛いです♪ミリキャスはやっぱり私の癒しですわ。

 

「あ…あの///つ、ツバキお姉様!ぼ、ぼぼ、僕のお願いを……聞いて…くれますか?///」

 

ミリキャスは顔をホンノリと赤く染めながら私に上目使いでお願い事をしてきました。はうぅ~!この子は本当に可愛すぎますわぁぁぁ!!

 

「なんでしょうか?ミリキャス」

 

私は平常心をギリギリもたしながら、ミリキャスに優しく問いかけます。 ミリキャスは少し迷った様にしたあと、私に目線を合わせて恥ずかしそうに言いました。

 

「ぼ、僕と一緒にお風呂に入ってください!!」

 

………………え? な、なにを突然いったのでしょうか…?わ、私と一緒にお風呂に入りたい? な、何故なんでしょうか? ミリキャスは何故突然そのような事を…。ま、まさか!ミリキャスはもうそんな歳になったのでしょうか!? い、いや、ないですね。ミリキャスがあのイッセーの様にエッチな子になるわけありませんもんね。てか、お姉さんがその様な子に育てておりません! むしろ、あのグレイフィアさんが自分の子をそんな育て方をするはずがありませんしね。 おそらく、昔一緒に入った事がありましたから、久しぶりに一緒に入りたいってだけですよね。そうに違いありません! てか絶対そうです!

 

「あのぉ~……ダメ…でした?」

 

私が頭の中で混乱していると、ミリキャスが目に涙を少しためて上目使いで不安そうに聞いてきました。

 

「だ、大丈夫ですよ! 一緒に入りましょ? 久しぶりに二人でね♪」

 

「本当てすか!!やったぁぁぁ!!」

 

私が慌ててOKをだすと、ミリキャスは嬉しそうな顔をして喜びました。ふふ、ミリキャスが嬉しそうならいいですか。それにもしも、エッチな子になってたら私が修正してあげればいいだけですしね。

 

「早くお風呂場にいきましょうよ!ツバキお姉様♪」

 

「ふふふ、はいはい、わかりましたからそんなに慌てませんの。こけてしまいますよ~」

 

「は~い♪」

 

私はミリキャスと手を繋ぎながらお風呂場に向かいました。 そう言えば今はどちらに入るべきでしょうか? 男湯?女湯? 男湯は男性がきても問題になりますし、女湯であれば、ミリキャスなら大丈夫でしょうね。よし、女湯に入りましょうか♪

 

―ツバキside out―

 

 

 

 

―ミリキャスside―

 

僕は今日久しぶりのツバキお姉様と一緒にお風呂に入る事ができました。 ツバキお姉様は昔よりも綺麗になっていました。胸も大きくなり、綺麗な染み一つもない肌で、綺麗で艶やかでサラサラした髪をしています。

本当に……綺麗です、可愛いです、素敵です。リアスお姉様も綺麗ですが、ツバキお姉様はリアスお姉様とは別の美しさに綺麗さを持っています。 まさに、絶世の美少女とはこの人の事を言うのではないかと思うぐらい綺麗なんです。

ツバキお姉様にはまだ言ってませんが、実は僕の初恋がツバキお姉様なんです。つばさお兄様の時は、格好良くて、可愛くて、スゴく頼りになる人ですが、ツバキお姉様の時は、もう一目惚れしました。 今回のこの約束もツバキお姉様と一緒に居たいと思い、約束しました。 それに久しぶりのお風呂です。 とてもドキドキします。 とても、緊張してしまいます~!

 

僕がそんな事を思っていると、気づけばお風呂場に来ていました。 僕は女湯の方に入りました。 そして、現在僕の目の前でツバキお姉様が服を脱いでいます。とっても綺麗な肌をしています。それに、動くたびに大きな胸が揺れています。僕は思わずツバキお姉様から視線を外しました。でないとおかしくなってしまいそうでしたので、視線を外したのです。

 

「あら?まだ脱がないのですか?ミリキャス」

 

ツバキお姉様は不思議そうに僕の方を見てきました。はっ! 忘れていました。早く脱がないとツバキお姉様にご迷惑をかけてしまいます!

 

「だ、大丈夫です!すぐに脱ぎますから!」

 

僕は慌てて服を全て脱ぎました。そのあとツバキお姉様と一緒に温泉にはいりました。お湯をかけあったあと、二人でゆっくりと温泉に浸かりました。

 

「ふぅ~……気持ちいですね♪ミリキャス」

 

「はい!気持ちです♪」

 

僕とツバキお姉様はほっこりしながら温泉に浸かっています。 体制はツバキお姉様に抱きつかれる様に僕が座っています。僕の頭にツバキお姉様の胸が当たっているので、とてもドキドキが止まりません。 思ってた以上に恥ずかしいですね///

 

「ミリキャスは、今は楽しいですか?」

 

すると、ツバキお姉様が聞いてきました。

 

「はい、楽しいですよ? それがどうしたのですか?」

 

「いいえ、深い意味はないのですが、少なからず今のそんな平和な世界を良しと思わない人達が数多く存在しています。それに、表の人間の人達の多くはこの様な存在を知らない人達が多いいのです。ですから、そんな人達を守るのが私達 地球連邦軍の役目なのですが、その守るべき人達が自らケンカしあい、挙げ句の果てには人間同士の戦争や紛争が世界中で起きています……。何故ちょっとのすれ違いで人々は傷つけあうのかわからないのです。最近、私はそんな人々を本当に守るべきなのか、そうでないのか……スゴく悩んでいましてね。 その平和な世界を苦痛に思う人達がいる今の世界に、本当の平和な世界を作ることができるのか、とても不安で心配なんです。……私はどうしたらいいと思いますか? ミリキャス………」

 

ツバキお姉様が普段は見せないような不安な顔で僕に聞いてきました。 確かに、最近はお父様も言っていましたが、平和な世界を苦痛としか思わない人達が数多く存在していて、その人達が世界を滅ぼす原因になっていると、お話されていました。 確かに地球連邦軍はか弱い人々を助ける軍でしょう。しかし、ツバキお姉様は人々同士で傷つけあってるのに、そんな人達を守るべきなのか悩んでいる……そう言うことですね…。なら答えは決まっています!

 

「それは、変わりません!! 以前、ツバキお姉様は弱き人々、関係ない人達、小さな子供達を守りたい……一人でも多くの命を守りたい………とそう言いましたよね? なら答えは簡単ですよ。ツバキお姉様はそんな人々を守り続ける存在になるべきなんです!

 確かに人々は同じ種族同士の争いが耐えないでしょう…、しかし、そんな人達はあくまでも一部なんです! そして、そんな人達のせいで苦しんでいる人々は世界中に沢山います! 表の人間界もそうですし、今は『禍の団(カオス・ブリゲード)』というテロ組織が存在しています。そのテロ組織は悪魔の世界だけではなく、人間界、天界等といった地球そのものに影響を与えているんです。

そんな悪党どもから世界を守るのが地球連邦軍の使命何だと僕は思います…。

なんせ、今の平和な一時を送れるのはツバキお姉様達地球連邦軍の人達が守ってくれているからこそ出来た平和なんですよ? それもこの冥界だけではありません。人間界も天界もみーんな、ツバキお姉様達地球連邦軍の人達が頑張った結果なんです。

 それに、今はテロ組織が活発に暴れている時期なんですよ? そんなときにツバキお姉様達がヘコタレテいたら、誰が世界を守るんですか!! ましてや、自分達の人間界を守るのはツバキお姉様達なんですよ? そんな人達が動かなかったら世界が終わってしまうじゃないですか! テロ組織のせいで罪のない人達が沢山死んでしまってもおかしくなおのですよ? それともツバキお姉様はそんな人達を見殺しにするような人なんですか? 違いますでしょ?

 ツバキお姉様は何処にいってもツバキお姉様なんですよ…。種族関係なく誰にでも優しくでき、慈悲なる優しき清らかな心をもったツバキお姉様だからこそ、色んな人達があなた様を信じているんです。だから、そんなに不安にならないでくださいよ………。貴女は僕の憧れで誇れる素敵な人なんですからね♪」

 

僕は最後は笑顔でそう言った。余りにも熱く語りすぎたせいで少し逆上せてしまいました。ツバキお姉様にも悪い事をしてしまいましたね……。うぅ、ツバキお姉様にたいしてなんて生意気な事を……。ツバキお姉様…怒ってるかな?

 

僕は不安にかられながらツバキお姉様のお顔を除くと…、顔を赤くして固まっていた。

 

「うふふ……、まさか、ミリキャスにそんな事を言われるなんて、私はびっくりしたわ。…………でも、私は私…か……。ふふ、ありがとう、ミリキャス。かなり勇気がでたわ♪ 貴方のおかげで不安も無くなったわ! そう、そうよね。 か弱い人々を助ける、関係ない人達、小さな子供達の笑顔を守るために今まで私は戦ってきていたのに、いつの間にか忘れていたわ…。本当にありがとう、ミリキャス。大切な事を思い出させてくれて…。私はもう迷わない!自分の信じた想いに向かって頑張っていくわ!!」

 

そう言ったツバキお姉様は先程の不安な表情がなくなり、今はとても凛々しくて格好いいお姉様です! これこそ、僕が憧れて一目惚れした、地球連邦軍 特殊部隊 特別調査班 総隊長 結城 椿(ツバキ)お姉様です!!

 

「ふふ、ミリキャス………本当にありがとう♪ これはその気持ちよ…」

 

そう言ったツバキお姉様が僕の顔に近づいてきて………

 

チュッ♪

 

「……え?」

 

僕のおデコに柔らかい感触が伝わった。……え?これって、もしかして…………

 

「ふふふ♪これは私からのお礼よ。今日は本当にありがとうね? 私は色々不安だったの……。でも貴方のおかげで勇気がでたわ。だから、それはほんの気持ちのお礼よ♪」

 

そ、そんな……。いきなり過ぎて…もう、何がなんだか……。ま、まさか、あのツバキお姉様が……き、きき、キスをしてくれるなんて…。おデコだけど…とっても嬉しいです!! そして、とっても顔が熱くてドキドキしています

 

「さて、そろそろ身体を洗わないとね。おいでミリキャス。一緒に洗いっこしましょう」

 

「は、はい!ツバキお姉様♪」

 

僕はそのあと、ツバキお姉様と洗いっこして、また温泉に浸かったあと、あがって僕の部屋にいきました。

今日は、これも久しぶりに一緒に寝ます。

今日はとってもいい夢が見れそうです♪ お休みなさい………ツバキお姉様…。

 

―ミリキャスside out―

 

 

 

 

 

―ツバキside―

 

私は温泉に浸かりながら、ミリキャスに励まされたあと、軽いキスをおデコにして、洗いっこして、ミリキャス部屋にきました。ベットに二人で入って横になり、少しお喋りをしたあと、ミリキャスが寝てしまいました。

私は少し今日の出来事を振り返りながら考えていました。

 

「(参りましたね…。あのミリキャスがあんな事を言うなんて……。本当…男の子の成長って早いね。男子三日合わざら…だっけ? 本当に驚きましたよ…本当に……。

 でも、ありがとうね…ミリキャス。本当に、本当にありがとう……)」

 

私はそう思い、ミリキャスを軽く撫でたあと目を閉じました。

 

「(お休み……ミリキャス…)」

 

こうして私も眠りにつくのでした………。

 




どうでしたか? 今回は初めてのミリキャスsideです。今回は主人公のTS化をかきました。思ってた以上にながくて、グダグダとしてしまっていると思いますが、頑張ってかきました。

次回からまた原作突入です! では、また次回でお会いしましょう!! さようなら~♪


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9話 イッセーとドラゴンの修行

あの日から修行が始まり数日。私は今はイッセーの修行場に来ています。イッセーがどれ程強くなったのかと、クシャルやティアに今の姿の状態を伝えなくちゃいけないのできました。

 

ドゴオオオオオオオオオオンッ!

 

「うわぁぁぁああんっ!」

 

タンニーンの一撃で木々は吹っ飛び、岩が崩れ、地面にクレーターが生まれイッセーが出てきた。

 

「ほーら、赤龍帝の小僧。もっと素早く避けんと炭になるぞ」

 

私は少し離れた場所で鴉天狗の翼を広げて空を飛びタンニーンとイッセーの修行を見ていました。

 

「ほーら、行くぞ!小僧!!」

 

ズギャァァァァンッッ!!

 

さらに、ティアマットによってあたりの景色が一変する。

 

「うわぁぁぁぁああんっ!」

 

 イッセーの叫び声。それらの一撃を掻い潜り、ギリギリの中で生き残っている模様。

 

「ほら、まだありますよ」

 

ズガガガガガガァァァン!!

 

追い打ちで、クシャルの 咆哮により地面が全て風の力で削りとられる。

 

「し、死ぬぅぅぅぅ!?」

 

イッセーはそれをギリギリでかわして難を逃れた。

 

「スゲーなあいつ。よくあの三体を相手に生きてるもんだ」

 

私の隣で同じく堕天使の翼を出して空中で座るようにして飛んでいたアザゼルが呆れる様に呟いた。

 

「仕方がありませんよ。あぁでもしないとドラゴンの力を扱う事なんてできないんですから」

 

私がそう言うとアザゼルが此方を向いて見つめてきた。

 

「お前もやっぱりあんな事をしたのか?」

 

アザゼルは不思議そうに聞いてきた。

 

「はい、そうです。私は、クシャルを始めオーフィスやルーツを含んだ三祖龍に兄さんや姉さん達とよく修行をしていましたね。なので、嫌でも強くなってしまいます」

 

私がそう言うと、アザゼルは苦笑いした。

 

「ははは。相変わらず桁外れだな、お前ら家族は…」

 

むぅ、なんですか?その笑いわ~。……まぁいいでしょう、今はそれよりもイッセーのお弁当を持ってきたのでそれを渡さなければいけないですもんね。

 

「さて…と、行きましょうか、アザゼル先生?」

 

「そうだな」

 

私達はイッセーの所に飛びました。

 

―ツバキside out―

 

 

 

―イッセー side―

 

くそ!マジで死んじまう!!どうしよ、やべぇーよ!? 俺ってこんな所で死んじまうのかぁ!?

 

「おー、やってんな。どうよ?」

 

聞き慣れた声が聞こえ声のする方を見るとそこには総督がいた。

 

「あ…アザゼル先生!?ど…どうしてここに!?」

 

「いやぁ~、なに、お前さんがどれ程頑張っているのか知りたくなってな、見にきてやったんだ。ほら、お前さんの弁当箱だ。受け取りな」

 

……え?ま、マジで? おっしゃぁぁぁぁ!!!!!!

 

 

 

 

「うみゃい!うみゃいよぉぉぉおおおっ!」

 

俺はアザゼル先生が俺たちに差し入れを持ってきてくれた。部長とアーシアが作ったおにぎりと弁当に涙を流しながら食べている。

くぅ…マジで上手い! 最近まともな物を食べていなかったから余計旨く感じるぜ!

 

「数日見ない間に多少はいいツラになったな」

 

アザゼル先生は俺の肩を叩いて言う。

 

「ふざけんな!死ぬよ!俺、死んじゃうよ!このドラゴンのおっさん、メチャクチャ強いよ! クシャルさんにティアさんも桁違いに強すぎてもうやだよ!

 ドラゴンの戦いを教えてくれるっていっての実力が開きすぎてて話にならねぇぇぇっ!」

 

くそ、マジで死んじまうからな!?この修行! 風見幽香さんの修行よりは増しだけどさ!!

 

「それでも基礎トレーニング含めてこなしてんだろう?じゃあ、だいじょうぶだ。これぐらいこなさんと、禁手に至ったときに体がついてこないぞ。おまえは足りないものが多すぎるんだよ。魔力じゃ逆立ちしてもヴァーリには勝てない。そうなると必然的に体力のほうを上げるしかない」

 

まあ、たしかにそうだろうな。あ、そういえば

 

「アザゼル先生、あの時ヴァーリがなにかやろうとしていたのはなんですか?」

 

「ああ、『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』のことか」

 

「もしかして禁手のさらに上とか?」

 

「いや、禁手の上は存在しない。神器の究極は禁手だ。だがな、魔物の類を封印して神器にしたものがいくつかあってな。それらには独自の制御が施されている。おまえの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)とヴァーリの白龍皇の翼(デァバイン・ディバイディング)もその例だ」

 

それじゃあ、俺のにもそんな力が……

 

「それらは強力に制御されていて、その状態から力を取り出して宿主が使えるようにしている。赤龍帝と白龍皇の場合、それを強制的に一時解除し、封じられているパワーを解放するが『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』だ。一時的に神に匹敵する力を得られるがリスクも大きい。寿命を大きく削ること。それと理性を失うことだ」

 

「暴走ってことですか?」

 

「ああ、酷いぐらいにのな。周囲を全部破壊し、自ら滅ぼしかてやっと停止する。その力を使いこなすことは事実上不可能なんだが、ヴァーリは膨大な魔力を消費することで数分間のみ扱える。はずなんだがな。あのときのアルビオンの焦りようから察するにまだ危険を伴うようだ。力の亡者と化した者だけが使う呪われた戦い方だ。おまえは絶対に真似するな」

 

なるほど……。恐ろしい限りだな。

 

「現白龍皇は『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』が扱えるのか?それは問題だ。赤龍帝の小僧、必死にならんと殺されるぞ。白も赤も先にあの力に目覚めたほうが確実に勝ってきている。ある意味、早い者勝ちだった」

 

なるほどな、俺がもしその力を使えば最悪死ぬのか…。あまり使いたくないな。

 

「じゃあ、イッセー。おまえに休んでいる暇はないな。今度は俺もタンニーンさまと一緒におまえの修行をつけてやるよ」

 

今の俺の顔は鏡を見なくても笑顔だというのはよくわかる。だって…もう、絶望しかないからな………

 

「そ、それよりも、さっきから気になっていたんすけど、と…隣のつばさちゃん似の綺麗な女性はどちら様ですか?」

 

そう、俺はさっきから気になっていたんだけど、アザゼル先生の隣にいる綺麗な女性が気になってしかたがなかった。どことなくつばさちゃんに似ているけども…、髪が腰まであるし、何よりも胸がある! それも、Dカップぐらいに! つばさちゃんが女の子になったらこんな感じになるのかな? それにしても本当に可愛いな~この子

 

「ん?ああ、忘れてた。いいか、イッセー。よく聞けよ? こいつはな………」

 

「こいつは…」

 

俺はアザゼル先生の真剣な顔つきに唾を飲み込む。

 

「つばさちゃんだぁぁぁ!!」

 

……………………は? この可愛い子が、あのつばさちゃん?

 

「え?マジですか?じょ、冗談ですよね、アザゼル先生?」

 

「マジだ。なぁ?つばさ」

 

アザゼル先生がニマニマしながら隣の女性に聞くと、少しめんどくさそうにしてアザゼルを軽く睨んでいた。

 

「そのような顔をしないでください。さつき姉様にお仕置きしてもらいますか?」

 

「い、いや~、今日の天気はいいなぁ~!あはははは!」

 

アザゼル先生は顔を青くしながら明後日の方向を向いていた。何したんだろう、アザゼル先生…

 

「さて、アザゼル先生の言う通り、私は結城 翼です。今は結城 椿と名のっているのでそう読んでくださいね?イッセー」

 

「なんで女の子になってるんだ?」

 

「えぇ~とですね?それは………」

 

つばきちゃんの説明が入った。簡単に説明すると、あの若手悪魔の会合の時に無理したから、魔力が暴走して今の姿になると。

 

「だから、そのお姿になられていらしたのですね? あれほど身体にはお気をつけくださいと申しましたのに…」

 

「えへへ、ご免なさい。クシャル~。機嫌を直してくださいよ~」

 

つばきちゃんは、舌をチロッと出しながら微笑んでいた。 可愛いなぁ!もう!

 

「まったく……。次は気を付けてくださいね?つばき様」

 

クシャルさんは少し呆れたように言う。

 

「わかりましたよ。クシャル。次はこの様な事が無いように頑張ります」

 

そう言ってつばきちゃんはクシャルさんと仲良くお喋りをしていた。途中でトイレに行っていたティアも参加して更に賑やかになっていたのだった。

 

「ところで、イッセー。グレモリーの母上殿がよんでいるからいったん戻れ。修行はその後からだ、いいな?」

 

俺に? なんの用だ?

 

「わかりました。じゃぁ、いったん戻ります。」

 

「おし。おぉ~い!そこの女性三人方~、いったんグレモリー家に戻るぞー!」

 

アザゼル先生に呼ばれ、仲良く喋っていた三人が戻ってきた。そして、俺達はいったんグレモリー家に戻る事になるのだった。

 

―イッセー side out―

 

 

―つばき side―

 

「アザゼル先生、何故今回はヴェネラナ夫人はイッセーを読んだんです? もしかして…あの言った事は本気なのですか?」

 

私は今、グレモリー家に戻っています。転移するほどの距離ではないので、ティアの上に乗ってグレモリー家に向かっている途中です。 今回はあのヴェネラナ夫人が直々にイッセーをお呼びしたので、私とアザゼルは弁当箱を届けるついでにイッセーを迎えにいったのです。

 

「ああ、ヴェネラナ夫人は本気だろうな。まぁ、いいんじゃねぇの?リアスはイッセーの事が本気で好きなんだし」

 

「確かにそうですけど………とうの本人が気づいていませんからねぇ~」

 

私はチラッと後ろを向くと、余程修行が無いのが嬉しいのか、顔がかなりニヤケていて、だらしない顔をしていました。

 

「まぁ、それは時間の問題だろうな。いくら超が付くほどの鈍感なアイツでもいつか必ず気づくさ。」

 

「だといいのですが…」

 

すると、アザゼル先生がニヤニヤしながら此方を見つめてきました。な…何でしょうか

 

「朱乃とはどうなんだ?」

 

「い、いきなり、何でしょうか?アザゼル先生」

 

「いや、なに。お前さんの事が大好きな朱乃だ。それに関してはお前さんが一番理解してるだろ?」

 

「確かに…、朱乃さんが私の事を、恋愛感情の意味で好きな事は知っています。勿論嬉しいです。ですが………」

 

「お前さんにはその資格がないと?」

 

アザゼル先生に先に言われてしまいました。やっぱり敵いませんね…この人には………。

 

「はい。私は職業柄常に命を賭けています。いつ死ぬかも分かりません。更にいつも命を狙われていますので、今日死ぬか、明日死ぬかも知れません。その様な環境に常にいます。 それに、私にはとても大きな力を持っています。このルーツのドラゴンの力を始め……数多くの大きな力を持っているんです。 

 大いなる力には、大いなる代償がある。 かつてお祖父様によく言われた言葉です。………ですから常に危険な所にいる身、私には誰かを愛す資格なんてありません。 私にはまだ…誰かを必ず守りぬく力がありません。 私は確かにこの強大な力があり、その力を使って今まで乗り越えてきました。ですが、完全に力を扱えているわけではないのです。現に今がその証拠ですしね。だから私は誰かを愛す事なんてできないのです……そう、誰かを愛す事なんて………」

 

私が話していると、突然アザゼルが頭に手を置いてきてガシガシと強く撫でてきました。

 

「い、痛いです、アザゼル!何をするんですか!」

 

「はぁ…、そんな事でいちいち気にすんな。確かに大きな力には、大きな代償があるだろうよ。それに、お前さんの仕事上いつ命を落としてもおかしくわない。お前さんは必ず守りぬく事ができないだろうな」

 

「そうです…だから、私に誰かを愛する事なんて……」

 

「……が、それがお前さん一人ならの話しだったらな」

 

「え?」

 

私は驚きアザゼル先生を見ました。アザゼル先生は私に向かいニマっと笑いました。

 

「今のお前さんには、数多くの頼れる仲間がいる、相棒がいる、それに………あんなにも誇り高くそして誰よりもお人好しで優しい最高の兄弟姉妹がいるじゃねぇーか!

 そんな、最高の仲間達がいるのにそれでもお前さんは一人で守りぬくつもりか? 」

 

そうだ…私には、数多くの仲間がいます。それに、いつも頼りになる最高の家族がいます。それなのに私は………

 

「あんまし一人で抱え込もうとするな。そんなんじゃすぐ潰れてしまうぜ? 人間ってのは脆く弱い生き物だ。だけどな、人間ってのは支え合って生きてくもんだろ? 一人じゃ無理でも、二人…三人…っと沢山の人と支え合えばどんなものでも乗り越えれるさ。 それに、支え合って生きていけば、より多くの者を助け守ることができる。違うか?」

 

「確かにそうですね。私は一番大切な事を忘れてしまっていたようです。ありがとうございます。アザゼル先生」

 

「ふ…、いいって事よ。此方だっていつも世話になってるからな。こんぐらい安いもんだ。 だからこそ、もう、一人で頑張ろうとするな。お前には沢山の仲間達がついている。それに、俺やサーゼクス達やミカエル達もついてるんだ。いつでも力になってやるぜ?俺達はな」

 

アザゼル先生……

 

『そうよ?私も、他の古龍種のあの子達も皆貴女の仲間なんだからね? いつでも貴女の力になるわ。だからそんな悲しいことを言わないで、貴女にはちゃんと愛する資格はあるんだから。だから元気だしなさい。貴方らしくないわよ?つばきちゃん♪』

 

ルーツ…。 ふふ、そう、そうだよね…。あはははは♪なんだか悩んでた自分がバカに見えてきました。本当…私って幸せ者だね。こんなにも最高の仲間と家族がいるんですから。

 

「ありがとう、アザゼル、ルーツ。お陰で元気がでました。此れからもいっぱいご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。」

 

「おう!これからもよろしくな!つばき」

 

『もちろんよ。じゃんじゃん迷惑をかけなさい!それでこそ、家族ってものよ♪』

 

えへへ、本当、最高の家族だね♪

 

 

こうして、私達はグレモリー家に向かうのでした。



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10話 アーシアの修行頼まれました

私達はグレモリー家に着いたあと、アザゼルとイッセーと別れて少し散歩及び休憩をしていました。たまに、イッセーの別修行(婿修行)を見ていましたが、イッセーは苦戦しながらも頑張っていました。ですが、とうの本人は何をしているのかは気づいていませんでした。ヴェネラナ夫人はとても楽しそうにイッセーの修行を見ていました。ヴェネラナ夫人はこう言うのにとても厳しいお方ですが、同時にとてもお優しいお人です。私は元々男ですが、とても憧れる、存在になっておりますしね。

 

「……さて、そろそろ休憩を終わり、他の方々の修行を見に行きましょうか」

 

まずは、誰から行きましょうか? むぅ~、ここから一番近い人は~…………黒歌&小猫ちゃんですね。そうと決まれば早速行きましょうか♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、しばらく歩いて目的地に着きました。そこは森に囲まれており、近くには湖や川があるのでしょうか?何か水性生物の気配も感じます。それに見ているだけでも気持ちが安らぐぐらい、とても自然豊かな所です。 さて、肝心のお二人はどちらにいるのでしょうか?

 

私は少し森の中を歩いていると、少し離れた森の広場に二人の人影が見えた。私はその人物に近づいてみると、そこにいたのは探していた人物…黒歌と小猫ちゃんの猫又姉妹でした。

 

「どうですか?修行の調子は」

 

私が声をかけると、お二人は此方に気づいて振り向きました。

 

「んにゃ!つばきじゃないかにゃ!私達はとっても順調だにゃん♪ 白音が思ってた以上に仙術の扱いが慣れてたからとっても教えるのが楽だにゃん♪」

 

とても嬉しそうに話す黒歌さん。服装はいつも通りの、肩が露出するぐらい着崩れした黒い着物で猫耳と二股の尻尾をだした格好だ。

 

「はい。私は師匠にかなり教えてもらいましたのでここまでこれました。ですが、部長や朱乃さん、木場先輩やイッセー先輩の様なほど、強くないんです。ですのでまだまだ修行をしなくちゃいけないのです」

 

そう少し悲しそうに言う小猫ちゃん。服装は黒歌さんとは真逆の純白の着物に白い猫耳と二股の尻尾がユラユラと揺れていた。着物は確りと着ているが、やはりミニスカなのは姉と変わらない。

 

「確かに、あの方々に比べれば小猫ちゃんは弱いですが、小猫ちゃんには小猫の戦い方があります。誰にだって不得意の一つや二つはありますからね。この不得意をどれだけ克服して無くすかが、強くなる事に必要な事なんです。なので、小猫ちゃんもそんなに落ち込まずに頑張っていけば必ず強くなります。それこそ貴女のお姉さんを越えるぐらいにね♪」

 

「本当…ですか?」

 

小猫ちゃんは不安そうに聞いてきました。ですが、私は真っ直ぐ小猫ちゃんの目を見て言います。

 

「えぇ、本当です。そうでしょう?黒歌さん」

 

「そうだにゃ、白音! 白音なら絶対強くなれるにゃ! だって私の妹にゃんだもん♪」

 

「姉さま…つばきさま………ありがとうございます。私、元気がでました!」

 

そう言った小猫ちゃんの顔はとてもいい笑顔でした。それに…、先程から猫耳と尻尾がピコピコユラユラと忙しく動いています。 はうぅ~、とっても可愛い生き物です♪ とても抱きつきたいです!

 

「小猫ちゃん、お願いがあるのですが…」

 

よし、勇気を振り絞って聞いてみましょう!!

 

「はい、何でしょうか?」

 

小猫ちゃんは顔をコテンっと可愛く傾げました。

 キュン! いつも無表情な子なのでとっても破壊力があります!! ヤバイ…可愛すぎますよー!

 

「あの~…、抱きしめてもいいですか?」

 

私がそう言うと、小猫ちゃんは少し驚いた顔になったあと、少し恥じらいながら頷きました。

 

「いつもお世話になっていますし、……その、す…少しくらいなら…いい、ですよ?」

 

 

「では、失礼します」

 

私は小猫ちゃんに抱きつきました。小猫ちゃんはとてもいい匂いがします。それに、とても抱き心地がいいです。

私は思わず小猫ちゃんの頭を撫でました。

 

「…ぅにゃん」

 

小猫ちゃんは気持ち良さそうにしています。やっぱり撫でられるのが好きなようですね。

 

私はそのあと小猫ちゃんを撫でまくりました。途中から黒歌も参戦して二人で小猫ちゃんを愛でくりました

 

「はふぅ~、とても満足です。ありがとうございます、小猫ちゃん。修行頑張ってくださいね」

 

「はい、頑張ります」

 

「では、私はこれで」

 

「ばいにゃ~、つばきー!」

 

私は軽く手を振って森を抜けました。

 

さて、次はどなたの所に行きましょうか?

この近くには…、ふむふむ、リアスさんですね。朱乃さんはその先に、そこから更に東南の方にゼノヴィアが…、木場さんが一番遠いですね。アーシアは………あれ? この気配。何故アザゼルといるのでしょうか? 何かあったのかな? しかも、此方に近づいて来ていますね。なら、動かない方がいいかもしれませんね

 

私は待つことにしました。しばらくすると、アザゼルとアーシアが飛んできました。へぇ~、アーシア飛べるようになったのですね。

 

「おぉ、いたいた!やっと見つけたぜ」

 

アザゼルが叫びながらおりてきました。

 

「アザゼル先生に、アーシア。どうしましたか?」

 

私がそう聞くと、アザゼル先生は軽く頷きながら此方を見てきました。

 

「おう! お前さんに頼みたいことがあってな、お前さんを探してたんだ」

 

私を? 何故?

 

「お前さんに、アーシアの師匠になってもらいたくてな。」

 

「アーシアの師匠に?」

 

何故アーシアの師匠でしょうか?

 

「おう、そうだ。アーシアはかなり回復力はいいんだが、やはり一人ではそのコントロールが難しくてな、誰か回復に詳しい奴を付けようと思っていたんだがぁ……、こいつレベルの回復力を持ってる奴なんて、お前さんかあの三姉妹ぐらいなんだわ。特に、お前さんの双子の姉である優子に手伝ってもらいたかったんだが、アイツも忙しそうだったからな。それで、その次に回復系も得意なお前さんに手伝ってもらおうと思ったわけよ。 どうだ頼めるか?」

 

なるほど、そういう訳ですか。

 

「いいですよ。それぐらいはどんと来てください♪ 今回はあまり手伝ってはいけなかったのですが、理由が理由ですからね。確かにアーシアレベルの回復力を持ってる人物なんて、私と姉様達ぐらいですもんね。 よし、頑張りましょうね、アーシア♪」

 

「はい!よろしくお願いいたします!ツバキさん」

 

アーシアはとても嬉しそうにしていました。やっぱりアーシアは私達の癒しです、天使です。小猫…白音ちゃんとはまた違った可愛さがあります。とても、愛くるしいです。

 

「よかったな、アーシア。頑張れよ~」

 

「はい!アザゼル先生もありがとうございました!」

 

「はははは!いいって事よ!!」

 

アーシアがお礼をすると、とても嬉しそうにしながら笑うアザゼル先生。本当、普段からこんだけ良いことすれば、他の堕天使の方々みたいに結婚できたのでしょうに。残念な人ですね…

 

「アザゼル先生はそれだけの為に私を探していたのですか?」

 

「おっとそうだった。数日後に魔王主催のパーティーがあるんだ。そこでお前さんにも参戦して欲しいと、サーゼクス達魔王さま方が言ってたぜ?」

 

「パーティーですか? 構いませんよ。とても楽しみです。ですが、大丈夫でしょうか、今の女の子の状態ではろくに戦えませんよ?」

 

「なに、心配しなくても大丈夫だ。もしもの事があっても俺達が助けるし、いざとなれば黒歌やレイナーレや光輝達が助けてくれるさ。だから大丈夫、安心しろ。俺達だっているんだからな」

 

私が不安でそういうと、アザゼル先生は笑いながらそう言いました。

 

「そうでしたね。なら、もしもの時は助けてくださいね? まぁ…、それでも、上級悪魔ごときでは殺られる私ではありませんけどね♪」

 

「はははは!! 頼もしいこった! ろくに戦えなくてそのレベルかよ。まったく、お前さんらしいな」

 

ふふふ、これでも、いくら力が不安定とはいえ最強と言われている部隊の総隊長をやっているんですもん。それに、部隊の部員の人達は女の子が多いですが、どの人もかなりの強さを持ってる人達です。さすが、幻想郷ですね。 ただ理由が女の子ってだけで弱くちゃ情けないですからね。 それに、こんなにも大きな力があるのに使えなくちゃ、宝の持ち腐れってやつですしね

 

「んじゃそういうわけだ。あとはよろしくな~」

 

アザゼル先生はそう言うと何処かへ飛んでいってしまいました。

 

「さて、アーシア早速ですが、修行を始めます。準備はいいですね?」

 

「はい!」

 

「いい返事です。ではまずは………」

 

こうして私とアーシアの強化修行が始まるのでした。

 

 



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11話 パーティー会場へGO~♪

あれから時はたち…、グレモリー眷属は順調に修行を終えたのだった。私はアーシアの修行を付けてたまに他の人達の修行を見に行きながら過ごしていました。

アーシアは私が鍛えたせいか、かなり回復力が上がってしまいました。何れぐらいかと申しますと~、即死のダメージ以外はすぐに回復出来るようになりました。手足が取れたりした場合、傷口が塞ぐ前なら15秒程でくっついてしまいますし、瀕死のダメージは10秒もすれば全回復するぐらいです。因みに今までは回復するのは傷だけでしたが、今は体力や病気も回復出来るようになりました!

で、現在タイニーンさんがわざわざイッセーをグレモリー家まで連れてきてくれました。そのため、私の目の前にタイニーンさんがいる状態です。

 

「では、俺はこれで、魔王主催のパーティには俺も出席する。また会おう、兵藤一誠、それとドライグ」

 

「うん。おっさんありがとう!パーティでまた!」

 

『すまんな、タンニーン。また会おう』

 

「修行のお手伝いありがとうございます。タイニーンさん」

 

「あぁ、俺も楽しかった。あのドライグに協力したのだからな。長生きはするものだ。そうだ、俺の背に乗ってパーティ入りするか?」

 

「本当にいいのですか?」

 

「あぁ、問題ない。俺の眷属を連れて、パーティ開催時にここへ来よう。詳しくはあとでグレモリーに連絡を入れる。――では、明日、またここへ来よう。さらばだ!」

 

私とイッセーはお礼をして、タイニーンさんは飛んでいきました。

 

「やあ、イッセーくん、ツバキさん」

 

聞き覚えのある声に振り返るとそこには木場がいました。

 

「おー、木場とイッセー…それにツバキちゃんじゃないか」

 

そして今度はミイラになっていたゼノヴィアがいた。

 

「ゼノヴィア……どうしたんだ?その格好」

 

イッセーが訊くと、ゼノヴィアは改めて自分の格好を見て言う。

 

「うん。修行して包帯巻いて修行してケガして包帯巻いていたら、こうなった」

 

「ほとんどミイラ女じゃねぇか!」

 

イッセーがツッコンだ。やっぱりこれはツッコミを入れるところだったのかな?

 

「失敬な。私は永久保存されるつもりはないぞ?」

 

「いや、そういう意味じゃないだろう」

 

前から思ってたけどゼノヴィアはやっぱり天然ですね。

 

「回復しましょうか?ゼノヴィア」

 

「む?そうだな、頼もうか」

 

表情は包帯でわかりにくいですが、声が弾んでいるので嬉しいのでしょうね。

 

私がゼノヴィアを回復していると、アーシアとリアスさんが現れてイッセーはリアスさんに抱き着きそのあとシャワーを浴び修行の報告をした。

 

報告はイッセーの部屋でやることになり、イッセーの部屋で報告会をした。

そのなかで、数々の修行中のでイッセーの修行中の出来事を聞いていると、あまりの過酷さに皆が引いていました。

 

「あの先生、なんか、俺たちだけ酷い生活送っていませんか…………?」

 

「俺は、おまえが山で生活できていたから驚いたよ。途中で逃げ帰ると思っていたからな。まさか、普通に山で暮らし始めていたとは俺も想定外だった」

 

アザゼル先生はとても不思議そうな顔でイッセーを見ていた。確かに、私も思いますね。

 

「えええええええええええええええええっ!?何それ…?お、俺、冥界産のウサギっぽい奴とかイノシシっぽい奴を狩ってさばいて焼いて食べていたんですよ…………?さらに、水がないから、ツバキちゃんが持ってきてくれた鉄鍋で一度沸騰殺菌してから水筒に入れてたし………あと、変な果物や植物……それに変な魚とか食べてきたのに……………」

 

「だから驚いているんだよ。おまえ、たくましすぎるぞ。ある意味、悪魔を超えている」

 

「酷い!こちとらあの山でドラゴン達に一日中追いかけ回されて生活してたのにぃぃぃっ!何度死にかけたことか!うえええええええええんっ!」

 

あまりのことにイッセーは泣いてしまった。

 

「部長に会いたくて会いたくて!毎夜部長のぬくもりを思いだしながら葉っぱにくるまって寝てたのにぃぃぃ!辛かったよぉぉぉっ!ドラゴンのおっさん、手加減しないで寝ているときも襲ってくるんだもん!ティアさんなんて、爆発させてくるし!避けたと思えばクシャルさんの風の塊が木々を粉々に粉砕しながら飛んでくるんだぜ!?本当に死ぬかと思ったよぉぉぉぉぉぉ!」

 

「かわいそうなイッセー………。よく耐えたわね。ああ、イッセーこんなにたくましくなって……。あの山は名前がなかったけれど『イッセー山』と命名しておくわ」

 

リアスさんはイッセーを抱きしめ頭を撫で慰めていた。イッセーも甘えるかのように部長さん胸で大泣きしている。

 

アザゼル先生はイッセーは禁手に至らなかったことも想定内いざ、禁手になると体力が増えたから鎧を着ている時間が増えていると言っていた。

 

「ま、いい。報告会は終了。明日はパーティだ。今日はもう解散するぞ」

 

「アザゼルの言うとおりね。それじゃぁ解散しましょうか。そうそう、明日は魔王主催のパーティーがあるわよ。ゲーム前の最後の息抜きになるでしょうし、みんな今日はしっかり休んで明日に備えなさい」

 

アザゼル先生とリアスさんの一声に報告会は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、日がたちとうとうパーティーの日です。私達はタイニーンさんが迎えに来ると言う広場に集まる前に、一室をかり、女性陣だけでドレスアップをしている所です。

 

「あら、こっちの方が可愛いんじゃない?」

 

「そうですわね。でも、リアスはこっちの方が可愛いわよ?」

 

「あ、本当ね。ならそれにしようかしら♪」

 

「あう~…、どうすれば着れますか?」

 

「ふむ、こうすればいいんじゃないか?」

 

「もう、アーシアにゼノヴィア、そのドレスはこう着るのよ。貸しなさい?」

 

「にゃぁ~。白音はやっぱり可愛いわぁ」

 

「く、黒歌姉さま……やめてください」

 

黒のドレスを着こんだ黒歌が、白のロリドレスを着こんだ白音に抱きついていました。

 

皆さんは各々にあった色のドレスを着ていました。ほんとに皆さんとても楽しそうです。私もたまにこの様に女の子になるときもありましたが、ドレスアップをするのは久しぶりです。過去に一度だけドレスアップをしたことがありました。しかし…、一人でするのは始めてです…。全部メイドの人達と姉さま達にやってもらったのではっきりいってわかりません。うぅ~……どうしましょう。時間がありません。

 

「どうしましたか?ツバキちゃん」

 

すると、朱乃さんがこっちにきました。

 

「あ、朱乃さん……。あのぉ、私もドレスが着れなくて…、手伝ってもらえませんか?」

 

私がそう言うと、朱乃さんが少し驚いたあとすぐに笑顔で微笑みかけてきました。

 

「うふふ、いいですわよ。でわ貸してくださいな」

 

そう言われた私は朱乃さんにドレスをわたし、私も無事に着ることができました。

 

「さぁ、皆ドレスは着れたわね。そろそろ行きましょうか」

 

そう言われ私達は集合場所へと向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセー、お待たせ。あら、匙くん来ていたのね」

 

私達が広場に到着すると、イッセーと木場にギャスパー、それにシトリー眷属の『兵士(ポーン)』匙さんがいました。

 

イッセーはリアスさんに見惚れて固まつてしまっていました。

 

「あら、皆さんそろっていたのですね」

 

そこにソーナさんと眷属の女性陣が現れました。

 

「ソーナ、貴女もきたのね。」

 

「えぇ、私達もよろしいとおっしゃったので、お言葉に甘えてきました」

 

リアスさんとソーナさんがしゃべっていると、ソーナさんが匙さんに気づきました。

 

「サジ、サジ?どうしました?」

 

ソーナさんがいくらいっても匙さんは反応していませんでした。それほど匙さんは見惚れていました。

 

ゴゴゴゴゴ――。

 

軽い地響きが聞こえ、しばらくしてから執事がきて言いました。

 

「タンニーン様とそのご眷属の方々がいらっしゃいました」

 

どうやら、タンニーンさんが約束通りに迎えに来てくれたようですね。

 

 

私達は庭に出るとタンニーンぐらいのサイズをしたドラゴンが十体ほどいました。

 

「約束通り来たぞ、兵藤一誠」

 

「うん!ありがとう、おっさん!」

 

「おまえたちが背に乗っている間、特殊な結界を背中に発生させる。それで空中でも髪や衣装やらが乱れないだろう。女はその辺大事だからな」

 

「ありがとう、タンニーン。会場まで頼むわ。シトリーの者もいるのだけれど、だいじょうぶかしら?」

 

「おおっ、リアス嬢。美しい限りだ。そちらの件は任せてくれ」

 

タイニーンさんがそう言い、リアスさんとソーナさん達がドラゴンの背中に乗って行くなか、タイニーンさんが此方を見てきました。

 

「お前は乗らないのか?」

 

「私ですか?私は迎えが来るそうです。先程連絡がはいり、もうすぐ来るそうですよ?」

 

『ツバキさまぁぁぁぁぁ!!!』

 

突然大声が聞こえたかと思うと、空から何かが落ちてきました。

 

少し煙がモクモクとたっていましたが、タイニーンさんのお陰で此方まで来ませんでした。

 

「ツバキさまぁぁぁ♪」

 

すると、突然何者かが私に抱きついてきました。私はも思わず倒れそうになりましたが、なんとか踏ん張り体勢を立て直しました。

 

そこには、蒼色の眼で、白いミニスカの着物を着た桜髪の女の子で、帯に桜の柄が着いていて、袖口は地面につくほど長く、着物の上側は胸までしか長さがなく大きな胸が今にも見えそうだ。

 

そう、この子の名前は『桜火竜』リオレイアのレイちゃんだ。

 

「レ、レイちゃん!? 何故ここにいるの?…………もしかして」

 

すると、レイちゃんは物凄く笑顔で笑いました。

 

「はい♪私が迎えにいってくれと、言われたのできました! ダメでしたか?」

 

レイちゃんは目の下に少し涙をためてうつむいてしまいました。

 

「ああ、そんなことないですよ! 少し驚いてしまっただけです。まさか、レイちゃんが来るとは思っていませんでしたから。ですが、久しぶりにレイちゃんに会えたので私は凄く嬉しいですよ?」

 

「ほんとに?」

 

「えぇ」

 

すると、レイちゃんはパァァっと効果音が付くぐらい明るい顔をしていました。

 

「ならなら!私がツバキさまを乗せて行くの!?」

 

「はい、よろしくね?レイちゃん」

 

「うん! じゃ準備するね!」

 

そう言うとレイちゃんは私から離れて、目を瞑りました。すると、足元に桜色の魔方陣が輝き、その光は更に強まりました。 一瞬の光のうちそこにいたのは、先程の可愛い女の子じゃなく、桜色の綺麗な二本足の翼竜でした。

 

「さぁ、乗って乗って!ツバキさま♪」

 

そう言ったレイちゃんは片翼を下ろしてきました。私はそれに乗り、そのまま移動してレイちゃん背中に乗りました。

 

「準備はいいか?」

 

タイニーンさんが聞いてきました。

 

「はい、すみません。またしてしまいまして」

 

「いや、いいさ。では、主発するぞ」

 

そう言ったタイニーンと他のドラゴン達はいっせいに飛びだちました。それに続いてレイちゃんも飛び立ちました。

 

しばらく飛んでいると、私とレイちゃんの隣で飛んでいたタイニーンさんの上に乗っている、イッセーとドライグがしゃべっていました。

 

『ドラゴンの上からこの景色を見るとは。なんとも言えん体験だ』

 

「ハハハ、それは面白い体験だろう、ドライグ。しかし力のある強力なドラゴンで現役なのは俺を含めても三匹か。いや、俺は悪魔に転生しているから、元の姿で残っているのはオーフィスとティアマットぐらいだ。残りはやられて封印されたか、隠居したか。はたまたは他の所で住んでいるか。玉龍もミドガルズオルムも二度と表に出てこないだろう。そしてドライグ、アルビオン、ファーブニル、ヴリトラは神器(セイクリッド・ギア)に封じられてしまった――いつの時代も強いドラゴンは退治される。強いドラゴンは怖い存在だものな」

 

「なあ、ドラゴンのおっさんはどうして悪魔になったんだ?」

 

「大きな戦もできなくなったこの時代、レーティングゲームをすれば様々な連中と戦えると思ったことがひとつ。そして理由にはもうひとつある」

 

「もう一つ?」

 

「……ドラゴンアップルという果物は知っているか?龍が食べる林檎のことだ」

 

「いや、初めて聞いた」

 

「あ、私はしっています。この子達も好きなんで」

 

「うん♪大好きぃ~」

 

「確か、ドラゴンアップルってとある種族が生きていく為に必要なんでしたよね?」

 

「そうだ。確かに、とあるドラゴンの種族にはドラゴンアップルでしか生存できないものもある。ところが、人間界に実っていたそれらは環境の激変により絶滅してしまったのだ。もう、その果実が実るのは冥界しかない。しかしな、ドラゴンは冥界では嫌われ者だ。悪魔にも堕天使にも忌み嫌われている。ただで果実を与えるわけ無いだろう?―――だから、俺が悪魔となって実のなっている地区を丸ごと領土にしたんだよ。上級悪魔以上になれば、魔王から冥界の一部を領土としてちょうだいできる。俺はそこに目をつけたのだ」

 

「じゃあ、食べ物に困っていたそのドラゴンの種族はおっさんの領土に住んでるか?」

 

「ああ、おかげでそいつらは絶滅を免れた。それと俺の領土内でそのドラゴンアップルを人工的に実らせる研究もおこなっている。特別な果実だ、研究には時間がかかるだろう。それでもその種族に未来があるのであれば、続けていったほうがいい」

 

「そうなんだ」

 

「おっさんは、良いドラゴンなんだな!」

 

イッセーの言葉に、流石に驚きで顔をそちらに向けたタイニーンさん。

 

「良いドラゴン?ガハハハハハハッ!そんな風に言われたのは初めてだ!それも赤龍帝からの賛辞とは痛み入る!しかしな、小僧。種族を存続させたいのはどの生き物とて同じこと。人間も悪魔もドラゴンも同じなのだ。俺は同じドラゴンを救おうと思ったに過ぎない。それが力を持つドラゴンが力のないドラゴンにできることだ」

 

「……すごい。俺は、ただ闇雲に上級悪魔になりたいってだけだし……」

 

「若いうちはそれでいい、富や権力を欲すのは人間として普通のことだろう?だがな、兵藤一誠。それだけを最終目標にするのは勿体無いぞ、上級悪魔になり、何を成すか。そしてその先はどうするのか………まだ若いお前には難しい話かもしれんな」

やっぱり、ドラゴンと言うものは凄いですね。ルーツもそうですが、凄く憧れてしまいますよ。

 

「そういえば、ドラゴンアップルは育っているのか?」

 

イッセーがそう言うと、タイニーンさんは少し顔を暗くした気がした。

 

「いや、元々数が少ない果物だ。それにドラゴンアップルはそう簡単には育たん。かなり難しい植物で中々増えんのだ。そのせいでそろそろドラゴンアップルも数が減ってきた。いつ無くなくかは時間の問題だな。」

 

「そんな! おっさん!?なんとか出来ないのか!?」

 

「わからん…。ただ、いまのままでは無理だろうな」

 

タイニーンさん………。確かに、ドラゴンアップルはそこら辺で出来るような果実ではないです。あらゆる環境に適した所ではないと育ちませんからね…。

 

「ツバキさまぁ……」

 

レイちゃんが私の方に目を向けてきました。うん…、わかってるよ…

 

「タイニーンさん…、ひとつお聞きしたいことがあります」

 

すると、タイニーンさんはこっちに向いてきました。

 

「なんだ?」

 

「そのドラゴンアップル………私に手伝わせてもらえないでしょうか?」

 

「何故だ」

 

「それはですね……。実は私の家族―ペットの中にいるんです。ドラゴンアップルを食べないと生きていけない種族の子達がいるんです」

 

「なんだと?」

 

「もちろん、その子達の為に私はドラゴンアップルを探しました。ですが、殆ど失われた果実。そう簡単に見つからないものでした。ですが、私は探しに回ってとうとう見つけました。でも………」

 

「でも?」

 

「その果実のなる木はもう枯れていました…。ですが、偶々一つだけ残っていたのです。私はそれをとり家に持ち帰ったあと私は植えました。そのあとは、私の能力をつかいドラゴンアップルの木を増やして、現在はかなりの数が増えたのです。 ですので、私の力を使えばドラゴンアップルを増やすことができます。ですので、私に手伝わせてください!お願いします!!」

 

「本当に…そんなことが出来るのか?」

 

タイニーンさんは私に目を向けてきました。私は真剣にタイニーンさんの目を見ました。

 

「はい」

 

『タイニーン。この子の言うことはほんとよ? 私もドラゴンアップルに関してはこの子に厳しくあたったわ。もしもの事があったら、一気に全滅する恐れがあるからね。でも、この子はその事を真剣に考えて、その結果あの子達はドラゴンアップルのお陰で助かったわ。』

 

「そうだったのか。ルーツ様がそこまで言うなら信じる。ツバキ……よろしく頼む」

 

「はい!」

 

私とタイニーンさんは笑いあった。それからは、皆さんと喋りながら空の旅を楽しむのでした。



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12話 何か…事件の予感がします!

パーティー会場に着きました。パーティ会場となる超高層高級ホテルは、グレモリー領の端っこにある広大な面積の森のなかにポツリと存在していました。

 

私たちは陸上競技をする会場らしきところに降り立つと、タンニーンさんと眷属がその競技場の上空に来たとき、下からライトが一斉にこちらを照らしてきた。

 

「じゃあ、俺たちは大型悪魔専用の待機スペースに行く」

 

全員が降りたのを確認したタンニーンさんは、両翼をはばたかせて眷属と一緒にこの敷地のどこかにある専用スペースへ飛び去って行きました。

 

手を振って見送る私たちは背後から声をかけられた。

 

声をかけてきた人は……迎えに来ていたホテル従業員です。私たちはその人達に連れられて待機していた2台のリムジンに乗車します。俺とレイちゃん(人形モード)とリアスさん一同、ソーナさんと一同のメンバーに別れて乗りました。

 

パーティー会場がある巨大なホテルに到着し、朱乃さんと椿姫(ツバキ)さんがチェックインをおえ、エレベーターで上り会場につきました。

 

そこにはきらびやかな広場に、フロアいっぱいに大勢の悪魔と美味しそうな食事の数々がありました。

 

そして、パーティー会場につくなりイッセーはリアスさんとともにあいさつまわりに行ってしまいました。

 何故かと言いますと、悪魔側に赤龍帝がついたことは結構有名な話で、あいさつしたい上級悪魔も多いらしく、その挨拶回りです。時期当主っていうのは忙しいのですねぇ~

 そんなわけで、会場内では互いに分かれての行動になりました。途中まで一緒だったレイちゃんは、会場に入ってそうそう数並ぶ料理に釣られてしまい、はぐれてしまいました。

 

 ……で、現状一人となった私はといいますとぉ~……

 

「やあ、お嬢ちゃん。一人かい? なら、あっちでおじさんたちと楽しいことをしようじゃないか」

 

「大丈夫、大丈夫。そんなに怯えないで。なぁ~んにも怖くないからさ」

 

「ぐふふふ。そうそう、私達はちょっと気持ちよくなる事を一緒にしようと思っただけたからねぇ」

 

 現在、中年のデブデブと太ったおじさんたちにナンパ?……セクハラをうけております。私は少し休憩にと、会場の外へと足を運ぶとこのおじさんたちに会ってしまいました。 

 先程から、この悪魔のおじさんたちは私の体を粘っこい視線で見てきています。うぅ…、別に今に始まったことではないのですが、誰が好き好んで(見た目)キモい人達に視姦されなくちゃいけないのですか!?

 

 見た感じ豪華な貴族服を着ていますので、其なりのお偉いさんなのでしょうね。……どうしましょう。能力を使えば何とでもなるのですが、あまり使いたくありませんしぃ…。 とりあえず話し合いをしてみますか

 

「あのぉ…、私は友人を探していますので、そこを退いてもらえますとうれしいのですが…」

 

「なに、その友人とやらは私達が探しておこう。君は気にしなくていいんだよ。おい、お前ら!」

 

「はっ!」

 

「この子の友人とやらを探してきてくれ。特徴はどんなんだい?」

 

「桜色の髪で着物を着ています。すぐに見つかると思います」

 

……って、私はなに普通に喋っちゃっているのですかぁ!? うわぁぁぁん!!私のバカぁぁぁぁぁ!!!!!!

 

「だそうだ。そら、さっさといけ!!」

 

「はっ」

 

そう中年のデブおじさんが叫ぶと、護衛?らしき人達は何処かにいってしまわれました。 もし、レイちゃんがあの明らかにイヤらしい眼で見てきた人達に見つかって捕まってしまいましたらどうしましょう。…………大丈夫ですね。伊達にドラゴン…それも火竜なんて名のっていませんしね。あの程度のやからでは触れることすらできないでしょうね。 さて、私はこの圧倒的不利な状況からどう生還しましょうか?

 

「さて、邪魔物もいなくなったことだしそろそろいいかな」

 

そう言うと、突然おじさんたちは私を囲い手足を掴んできました。

 

「な、なにを………ッ!?!」

 

 突然私の体に微弱の電流が流れたかのような感覚に襲われました。 

 

「っ!?……かっ! ふぅぐぅ!?」

 

微弱な電流は身体中を駆け巡りなんとも言えない感覚が私の体を駆け巡ります。頭の中はグチャグチャにかき回されたかのような感じで、何も考えられなくなっています。 

 

「……くぅ…あっ!……ひぅ………ゃあ」

 

頭の中がホワホワとします………。それに…、体がウズく………ってダメ!! い、意識をたもたにゃきゃ

 

「ぅん………ふぁ!……にゅぅ…」

 

……あっ!うぅ…! な…なんですか?これは!? ぐぅ!この感じ…媚薬と似た感じがします! コイツら…恐らく最近冥界で有名な人身売買の人達ですね。恐らくこういう風に女の人を連れ去り、痴辱して、終いには奴隷承認をさせるのでしょうね。そういうやからと似た手口をしています。

 しくじりましたね…。女の子の姿の私はこの類いの魔法や薬は常人よりも数倍効きやすくなってしまっています。これもまた力の不安定から及ぶ影響なのですよね…。

 しかし…、確かに男よりは弱くなっていますが、それでも私はこの様な輩に負けるほど弱くありません! 伊達にルーツを含めた古龍種のドラゴン達や兄様姉様たちと修行を積んでいませんからね!

 

「さてさて、そろそろかのぉ~。ぐふふふふふ」

 

そう言うと、その男性の手が私のドレスの中に………

 

「…………ッ痺れろ!!」

 

バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!!

 

『ぎゃばばばばば……―――――ッッッ!?』

 

途中から声にならないような悲鳴を上げて黒こげになってしまった中年のデブおじさんたち……。

 綺麗に真っ黒ですよ。

 

「どうした!? 何がおきた!!」

 

 すると、この悲鳴を聞いたのであろうか、複数人の警備隊の人達が来ました。

 

「君!? ここで何がおきたのだい?」

 

すると、一人の警備隊の人が私に話しかけてくれました。 私は現在媚薬と思われるにた効果をもつ魔法か薬が効きすぎて立てなく、足の間にお尻をおとす、いわゆる“女の子座り”で座っています。

 

「はい…、実は先程この方々に襲われて、やむを得ず抵抗しました。その時に電撃を食らわしたのでいまこの様になっております。」

 

「なるほど、そう言うことか。君は親御さんは?」

 

親御さん……ですか?親御さんは………

 

「私よ…。大丈夫?ツバキ…」

 

私が喋ろうとすると突然女の人の声が聞こえてきました。私がその声の方向に顔を向けると、そこには皐月(サツキ)姉様と黒歌にレイナーレと、魔王さま方がおられました。

 

「皐月…姉、さま?」

 

「えぇ、そうよ。大丈夫だったかしら?」

 

皐月(サツキ)姉さまは優しく微笑みかけたあと、抱き締めてくれました。

 

「え?……ちょっ!? 皐月姉さま!?」

 

「あなた…、また襲われたわよね? 微かに匂いがするわ…。」

 

私は…、変な事をされて………そのあと、男の人が私の服の中に手を入れてきて……また、あの時みたいに犯され………………

 

「わ…私…、また、男の人に………お…犯され…ッッ!?」

 

すると、皐月姉さまはよりいっそう強く抱き締めてきました。

 

「大丈夫…、もう大丈夫よ。私達がいるから…。だから安心して?そう、大丈夫…大丈夫よ………」

 

「ヒック……エッグ………ふえぇぇぇぇぇん!!!!! 怖かったぁぁ…! 怖かったよぉぉぉぉぉ!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」

 

私は皐月姉さまの胸の中で泣きました。あまりの恐怖に…、また……あの時みたいになるのではないのかと思い…。怖くて泣き続けてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く泣き続けた私は泣きやみ、いまの現状を思いだし慌てて皐月姉さまから離れて、顔を両手で隠してしまいました。…………だって、人前でそれも大勢の前でみっともなく泣くなんて恥ずかしいじゃないですか!!

 

「大丈夫なの?」

 

皐月姉さまが心配そうに此方をみてきます。

 

「はい…、もう、大丈夫です。その…ご免なさい………」

 

「え?なんで謝るのよ」

 

「ドレスが………」

 

皐月姉さまのドレスが私の涙のせいで汚くなってしまっています。

 

「あぁ、これね。大丈夫よ♪さっき紫に着替えを頼んだから気にしないで♪ それよりも、本当に大丈夫なの? 何処か痛いところはない?」

 

「はい、お陰でさまで元に戻りました。体を駆け巡っていた何かも取れたようですし、もう平気です♪」

 

私は名一杯の笑顔を作りました。あまり皐月姉さまに心配をかけたくない一心で。

 

「そう。それならいいのよ。それよりも…、何が起きたの? 説明しなさい」

 

「はい…、それは………」

 

私はこの状態になるまでの現状を報告しました。話すたびに皐月姉さまの重圧感が増していくので凄く怖いです…ガクガクブルブル

 

「い…以上ですぅ……ビクビク」

 

「へぇ…そう、この屑共が、ねぇ………。」

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

そんな効果音が付くぐらい皐月姉さまから魔力が溢れています。後ろに般若が見えるぐらい今物凄く怒っています

 

「………まぁいいわ。この仕置きは後でO☆HA☆NA☆SIをすればいいからね。それよりもツバキ!!」

 

「は、はい!」

 

「あれほど一人でウロチョロしたらダメと言ったでしょ!? お姉ちゃんとの約束をもう忘れたの?」

 

「い、いえ、忘れていない。です。」

 

「全く、貴女は可愛い過ぎるんだから一人で歩くなとあれほど言ったのに貴女は………」

 

「はい……」

 

「もう……、次は気お付けなさいよ? それと、今日は私と一緒にいるとこ…良いわね?」

 

皐月…姉さまと…一緒…?

 

「本当……ですか?」

 

「えぇ、本当よ?嫌かしら?」

 

「パァァァ)いいえ!寧ろ嬉しいです!!やったぁぁ♪皐月姉さまと久しぶりに一緒にいれますぅ♪」

 

皐月姉さまと一緒にいれる! こんなの3年ぶりですね! 皐月姉さまは普段お忙しい人なのであまり一緒にいれませんでした。なのでとても嬉しいです♪

 

「(なにこの子!?こんなにも可愛いかったっけ!!///)」

 

 side 作者)この姉で、妹(弟)である!

 

「まぁまぁ、皐月くん。そこまでにして、そろそろパーティーに戻ろうじゃないか」

 

 するとサーゼクスさんがそう言った。

 

「そうね、サーゼクス。…………ねぇ、あなた達はこの事を聞かないの?」

 

 「うん?……あぁ。流石にそれはプライベートの問題だからね。私達は無理には聞かないよ」

 

「そう…、ありがとうね。」

 

「どういたしまして」

 

「ねぇ?姉さまぁー!早く行きましょうよ~♪」

 

 「えぇ、そうね。さて、パーティーの続きやりましょうか」

 

 『そうだね/ですね☆』

 

私達は早歩きで会場へ向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くパーティーを楽しんでいると、ふと違和感を感じた。

 

私はその違和感を辿っていると………

 

「金色の……猫?」

 

上の窓口に金毛の猫がいました。ですが、その猫から微かに妖力と仙力の気配と匂いを感じました。金猫が暫くすると動きだし、何処かへ向かってしまいました。 私はその時は気にしなかったのですが、その金猫がいなくなったあとすぐに、小猫ちゃんと黒歌が動きだし、何処かへと向かってしまいました。

 

「お姉ちゃん……」

 

私は隣にいた皐月姉さまに目線を向けると…。

 

「いいわよ。行ってきなさい。サーゼクス達には私から話しておくから。あっ、そうだ。」

 

すると、皐月姉さまは胸の間から手のひらサイズの小さな玉を取り出してきました。

 

「これをもって行きなさい。もしも、ピンチになって助けがいるならこれを割りなさい。すぐに助けに行くわ。いいわね?」

 

「はい!其では行って参ります!!」

 

「気をつけてね」

 

そう言われ、私は皐月姉さまと別れました。

 

 

私は素晴らしく走ってホテルの外に出て、人気が無い場所で止まりました。

 

「ハイドラ、ドラグーン、いますか?」

 

「「はっ!」」

 

私が呼ぶと突然無機質な声が二つ聞こえてきました。

片方は全身緑で、体はゴツゴツとしており頭には大きな三本の角がありました。角は頭の横にギザギザした角で、更に、オデコのまん中よりも上に一本の角がありました。こちらは、棘が先に二本付いていました。角の形はギザギザが付いたコーカサスオオカブトの様な感じでした。 更に、肩にも大きく長く太い棘がありました。此方は角よりも大分大きいです。 

 そして、もういったいは、全身は薄い桜色で、全身は鎧の様な感じで固そうで、ハイドラとは違いスリムといった感じです。背中には6本の翼の様なものがありました。腰には七色の七つの縦長のひし形の様なものが付いていました。

 

この姿から分かるように、この二人…といいますか二体はロボットです。お祖父様が私の護衛の為に造ってくださった、超人工AIをもった、完全自立型戦闘ロボットなのです。ありとあらゆる環境や状況に対応でき、地球の中なら何処までも活動できます。因みに動力源は魔力か太陽の力か電気なので、環境にもエコです。

 

「あなた達にお願いがあります。ドラグーンは先程出ていった小猫ちゃんと黒歌の猫又姉妹を追ってください。ハイドラはこのまま私に着いてきてください。お願いしますね?」

 

「「了解です。主人(マスター)」」

 

「では、開始です!!」

 

シュンッ!

 

ドラグーンはすぐさま小猫ちゃん達の方へと向かったみたいです。 さて、私達も行きましょうか。

 私は走りました。お願いします。どうか…何も起こらないでください!!

 

私の嫌な予感は更に深まるだけでした…。




どうも、三元神でございます。
今回出てきたオリキャラ…ハイドラとドラグーンについてですが、見た目のイメージとしては、ハイドラがマジンカイザーで、ドラグーンはストライクフリーダムです!

飛行形体というものもありますが、それは勿論、カー○ィーの○ア○イドに出てくる、ハイドラとドラグーンです! 結構好きなマシンのひとつなので今回出しました。人形のイメージはあまりわからなかったので、取り合えずイメージとしてぇ~

ハイドラ=ゴツくて、強くて、硬い=マジンカイザー

ドラグーン=早い、トリック、空飛べる=ストライクでした。

俺のしってる中でのイメージでしたので、この二体になりました。でわでわ、また次回をお楽しみにー!


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13話 猫又三姉妹

私とハイドラは目的地に急いでいました。飛行形体になったハイドラの上に正座みたいに乗っています。

ハイドラとドラグーンには様々な形体があり、飛行形体を始め、普段の人形形体、戦闘形体、支援形体、執事形体等々あります。因みに人形形体と執事形体は殆ど同じです。違うのは、人形形体は自分で動き普段は色んな場所で活躍しますが、執事形体は常に私の元から離れずに執事の様にお世話をしてくれるモードです。なぜこのモードがあるのかと言いますと、なんでも兄や姉がいなく家のメイドが忙しくて構えない時にもしもの事があったら困るからと、光輝兄さまがあとからつけた機能です。

 因みに、ハイドラの飛行形体は最高時速はマッハ30もでます。それに、ハイドラには特殊な機能とバリアもついており、機能は乗っている者が落ちないように特殊な電波で固定します。まるで強力な磁石の様に引っ付くので落ちる心配はありません。さらに、乗っている人には引っ付いているという感覚は一切無いので、普通に座っている感覚です。

次にバリアというのは、マッハで走るなら乗っている人には光輝兄さまの様な特殊な人では無い限り大きなGがかかり最悪命を落とす危険もあります。ですのでどんなにスピードをあげても大丈夫なように特殊なバリアを張ることで無効化しているのです。最高時速で走っても身体で感じるのはそよ風程度でしかありません

 

さて、無駄話が過ぎてしまいました。でも、いったい私は誰に向かって説明したのでしょうか?何故かしなくちゃいけない気がしましたが………、まぁ、いいですね

 

それにしても、先程から黒歌と白音の気配が感知しにくくなっています。なにかあったのでしょうか………

 

「ツバキ様、ドラグーンから連絡が入りました。繋げますか」

 

そんな事を思っていた私にハイドラが伝えてきました。

 

「えぇ、お願いします。」

 

「了解。では、繋げます」

 

『―――ジィーザザザ………ツバキ様、聞こえますか?』

 

すると、右耳に付けていたインカムから声が聞こえてきました。

 

「はい、聞こえていますよ。そちらはどうですか?ドラグーン」

 

『はい、今現在こちらは猫又姉妹の姉と呼ばれる者と孫悟空の子孫が現れ交戦中です。更に、途中から乱入してきた五大龍王のタイニーンと孫悟空が戦闘を開始しています』

 

「そうですか」

 

『はい。あと、現在特殊な結界を張られており外からの干渉を分かりにくくされております』

 

「そうでしたか…どうりで………」

 

 それなら感知しにくくなっていたのは頷けますね。

 

『更にそのあと乱入してきた、兵藤一誠とリアス・グレモリーが先程猫又姉妹と一緒に猫又姉妹の姉がだした毒霧により戦闘不能状態です。兵藤一誠は神器の力でなんとか動けて戦闘をしていますが、倒れるのも時間の問題かと…』

 

やはり、イッセーとリアスさんも来ていましたか…。なら、とても危なさそうなので急ぎませんといけませんね。

 

「わかりました。すぐにそちらに向かいますので、そのまま監視を続けてください。私が着くまで見張りをお願いします!」

 

『了解しました』

 

 その言葉を最後に通信が途絶えました。

 

「ハイドラ…急いで行きましょう。イッセー達が危ないです」

 

「了解しました。危ないですので確りと掴まってくださいね!」

 

「はい!」

 

ドォウ!!!

 

その音が鳴るときにはもうそこには誰もいなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイドラのお陰ですぐに目的地につきました。ですが、現在私の目の前には肉眼では見えない特殊な結界が張られています。ですが、私には関係ありません。私は結界系や封印系の術式が得意ですのでこれぐらいの結界なら簡単に見破れますよ。私ならもっと強力な結界を張れますね。 おっとと、こんなことをしている場合ではありませんでした。

 

「ハイドラ、突入しますよ。準備はいいですね?」

 

「いつでもどうぞ?ツバキ様」

 

私はハイドラに聞くと、ハイドラは戦闘形体になっており、気合い十分でした。ハイドラは光輝兄さまと同じ肉弾戦のロボットなので、あまり武装はしていません。精々胸元にある地球連邦軍のマークが付いている宝玉からから大きな両刃剣ぐらいですかね。

 

「はっ!」

 

バリィィィン…!

 

儚く割れるガラスの様に結界は跡形もなく消えました。

 

「よし、ハイドラ、ドラグーン!イッセー達の援護をお願いします!!私はこの霧を消します!」

 

 私は右手に紅葉型の扇を隙間から取り出しました。相変わらず目がいっぱいですね……。

 

「はぁぁぁ!“疾風穿”!!」

 

 私は扇を横凪ぎに放つとまるで台風の突風が吹き荒れたかの様に毒霧を跡形もなく消しました。

 

 

「な、なに!?どうしたの?なにがおきたのよ!!」

 

 霧散して無くなった毒霧の中に入ると猫耳の女性が驚いていました。この人がおそらくドラグーンが言っていました、黒歌と白音のお姉さんですね。気配と匂い……それと雰囲気が同じです。

 

「なっ!?いったい誰がオレっちの結界と金華の毒霧を………ってお前は!?」

 

すると、上空でタイニーンさんと戦っていた美猴が私の顔を見て驚いていました。

 

「な、なんで結城 翼がいるんだ!?」

 

すると、美猴が驚いていました

 

「なんにゃ?美猴はこの子しってるの?」

 

そう、猫耳っ子は聞いていました。あれれ?おかしいですねこの姿で会うのは初めての筈なんですが………

 

「しってるもなにも、オレっちはこの子とあの会議の時に会ったことあるし、なんか胸が一気に成長して、髪も延びてるが気配がおんなじだし、つい数時間前に中年ブトリのキモい悪魔のオッサン共に痴姦されていて、其を最初から見ていたオレっちはあまりの可愛さと色っぽさにビデオを撮りながらもう興奮s………あ、やっべぇ!?」

 

 あ…あああ、あれを見られていたのですか!/// うぅー/// 人生一生の恥です!! もうお嫁にいけません………ぐすん

 

「…………グスン」

 

私は思わず泣いてしまいました…。だ…だって……あ、あんな辱しめを見られて、更にビデオに収められ興奮されていたなんて…。そんなの虐めではないですか…。もう死にたいぐらいの恥です…。今は女の子です…。人としてに大事な何かを色々と失った気分です………。

 

「あぁ~あ…泣かしたにゃ。にしてもこの子がヴァーリが言ってた気になる子ね~。……ヴァーリに言ってやろ」

 

「マジでそれだけは止めろ金華!!いや、やめてくださいお願いします!!」

 

すると、金華と呼ばれた猫耳の人と美猴さんが何か言い争っていました。そして、美猴さんが綺麗な土下座を金斗雲の上でしていました。

 

「てぇんめぇぇぇぇえ!よくもツバキちゃんを泣かせやがったなぁぁぁ!!絶対許せねぇぇぇ!ぶっ飛ばしてやる!!!」

 

すると、先程まで片足をついて満身創痍だったイッセーがまるで何事もなかったの様に立ち上がりました。あれ?もう毒霧の効果が切れたのでしょうか?はやくあまりませんか?

 それに、今気づいたのですがイッセーは『禁手化(バラン・スブレイク)・赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』になっていました。いつの間になっていたのでしょうか?

 

「なっ!?ちょっと、赤龍帝なんで動けるにゃ!毒霧は無くなったとはいえ、もう満足に動ける身体じゃにゃいのに!」

 

すると、金華さんは物凄く驚いた顔をしていました。

 

「うなもん気合いで消し飛ばしたわ!!こちとら伊達に死線(修行)をくぐってねぇーんだよ!!赤龍帝を舐めんなよ!!!」

 

 ええぇ!?気合いで毒を治したのですか?そんなことが出来るのは家の長男とその部下の幹部達だけだと思いましたのに………

 

「そ、そんなことで治るなんて…。今代の赤龍帝は本当におかしいにゃん……。」

 

 すみません…、金華さん。それに関しては私も同じ感想です。

 

「くそ猿!!よくも私の妹を泣かせたにゃ!絶対あんたは私が跡形もなく消すにゃ!!!! それと、その襲われた事を詳しく話すにゃ!!! それと、そのビデオをよこすにゃ!あとでたのs…ゲフンゲフン。処分するにゃ!!」

 

 黒歌姉さん…/// 最後の台詞がなかったらかっこ良かったのに………

 

「黒歌さん!それ後で俺も見たいです!!」

 

すると、イッセーがのってきました。

 

「わかったにゃ!イッセー!なら一緒に見るにゃん!!」

 

「はい!」

 

 二人とも…先程までの私の感動を返してください。私は予想以上の裏切り行為で更に心にダメージが受けたので物凄く更に傷つきました、と私は心の中で伝えてておきます。

 

「イッセー先輩、黒歌姉さま。ツバキ先輩が更に泣いています。お二人ともいい加減にしていてください。そのビデオテープは私と部長が責任をもって処分しておきます。」

 

「小猫のいう通りこのテープは私達が処分するわ。あと、二人とも後でお仕置きね?」

 

すると、ドラグーンに回復された白音とリアスさんが美猴さんからテープを取り上げました。油断してタイニーンさんに打ち落とされた美猴さんは地面に上半身を埋めていました。その近くに落ちていたテープをリアスさんがひらい、そのまま制服の内ポケットの中にいれました。最近のテープは小さなDVDなのでとても便利になりましたね。私が小さい時は黒いビデオテープだったのに……。

 

「ツバキ、これは私達がしっかり処分するからもう安心して。それに変態猿もタイニーンにやられたから安心しなさい」

 

すると、リアスさんが近づいてきて頭を撫でて優しく抱きついてきました。とても、落ち着きます。

 

「ありがとうございます、リアスさん。もう大丈夫です。落ち着きました。」

 

私がそういうと『そう、大丈夫なのね』と言ってリアスさんが離れました。……あれ?おかしいです。何故助ける側だったはずの私が助けられる側になっているのでしょうか…?

 

「そう。さて、どうするの?金華。もうつんでいるわよ?」

 

そう金華さんにいうリアスさん。金華さんは何故かどこふく風だった。

 

「そんなのしらないにゃん。私はそこの妹二人を連れ戻しに来ただけ…。でも、その子達は嫌だといった。だから姉である私が他の奴に殺られる前に殺そうと思っただけだよ」

 

 そう言うと突然魔力弾を白音と黒歌に撃ってきた。二人は突然の出来事に固まり動けなかった。魔力弾のスピードは変わらず二人は当たると思い目を伏せる。だが………

 

「ふっ!」

 

ザザン!

 

 風の刃が二つの魔力弾を切り裂き魔力弾は霧散した。

 

「家の家族に手を出さないでください。金華さん?」

 

 私は扇で風の刃をだしたあと二人を庇うように前にでた。右手に持つ扇は、技をすぐに撃てる様に構えている。

 

「なるほど…。ヴァーリのいう通り実力は本物にゃん。見た目女の子の男の子だと聞いていたけど本とに見た目処か普通に女の子だにゃん。」

 

 金華さんは興味深く私を見ていました。うぅ…、確かに今は女の子ですが、元から男の子ですよぉ…。それに…、女の子の様な男の子って……。否定が出来ないのがとても悔しいのです…。

 

「もう、今日は帰るにゃん。このバカを治さなくちゃいけないし、何よりも迎えが来たにゃん」

 

 金華さんが言い終わると同時に空間に大きな穴が出来た。空間に穴って…、紫さんと同じ能力の人が!?……いや、あり得ませんね。流石にそれは無いですもんね。なら…、いったい何者なのでしょうか?

 

「美猴、金華。もうすぐ悪魔の連中が此方にきます。直ちに帰る準備をお願いします。」

 

穴から現れたのは青年でした。

 

「おまえ、ヴァーリの付添いじゃなかったかい?」

 

背広を着て眼鏡をかけた青年。手には強いオーラをだしている聖剣。何処かで見た気がするのですが……何処でしたっけ?

 

「金華が遅いのでね、見に来たのですよ。そうしたら美猴までいる。まったく、何をしているのやら」

 

青年はため息をついた。そして、私は聖剣の事を思い出す。

 

「あ、その聖剣は確か――」

 

「これのことですね?これは、聖王剣コールブランド。見たことがお有りなのですか?」

 

「はい。家の書物にありました。確か時空も切り裂くことができるほど強い力を持っている聖剣でしたよね?」

 

「はい。私の家に代々伝わる宝剣です。興味がおありなら触ってみますか?」

 

すると、青年は私が思っていた最高の言葉を言ってくれました。

 

「いいのですか?」

 

私はできるだけ平常心を保とうとしましたが、嬉しすぎて少し声が弾んでしまいました。なんせ、小さい時から憧れていた剣の1つなので、触って、そして使ってみたいと思っていました。

 

「もちろん。それに、コールブランドが貴女に興味を持っているみたいで先程から貴女に力を向けていますしね」

 

青年のいう通り、先程から私に向かって聖剣のオーラを一直線に放っている聖王剣コールブランド。何故か、昔から聖剣や魔剣、妖刀や霊刀、神具等といった伝説級の武具に好かれやすいのです。いくら能力でどんな伝説の武具でも扱えるといっても、武具に好かれるのとは全く別なので関係ありません。ですので、武具に好かれるのははっきり言ってその武具に認められた者しかあり得ない現象なのです。でも、そのお陰で武具の扱いに困らないので助かっているのですけどね。

 

「でわ、失礼します。」

 

私はコールブランドに触れました。すると、莫大な量の情報が頭の中に入ります。これはよくあることなのです。この情報はその武具の情報。つまり、生まれてから今までの全ての記憶っていうものですね。

 普通ならこの時点で大抵の人は狂いだし耐えきれず死んでしまう人が多いいのですが、私は前世の時からこの様な事武具に触れるたびしょっちゅうあったので慣れています。それに、紫さんの能力でどうとでも制御はできますしね。

 

「ありがとうございます。スゴく勉強になりました。そして、とても良い剣です。貴方の事を本当に信頼しているみたいですね」

 

私は少し嬉しくてそう言いました。すると、誉められて嬉しいのか、コールブランドが少し光を放ち輝いていました。

 

「ありがとうございます。そういってもらえますと、私も嬉しいです。また今度ゆっくりお茶をしながらお話ししましょう。それでは私はこれで…。行きますよ、美猴、金華」

 

「は~い!」

 

「へいへい…」

 

「それでは。聖魔剣とデュランダル使いに伝えておいてくださいね。――いつか会いまみえたいと」

 

金華さんといつの間にか復活していた美猴さんが、青年と一緒に空間の穴の中に入っていきました。そして三人か入ると穴は一瞬で閉じて何事もなかったの様にその場に消えました。

 

『ふぅ…』

 

すると、皆さん同時にため息をつきました。それほど緊張していたということですね。私以外は皆悪魔です。流石に聖王剣コールブランドは並みの聖剣では歯が立たないほど強力な聖なる力を宿していたので、悪魔な皆さんにとっては厳しい物でしたもんね。

 

「皆さん、大丈夫でしたか?」

 

私は皆さんに声をかけました。

 

「えぇ、私達は大丈夫よ。助けに来てくれたのね。ありがとう、ツバキちゃん」

 

「私からも、お礼を言わせて。ありがとう、ツバキ」

 

「ツバキ先輩。助けてくださりありがとうございます」

 

リアスさん、黒歌、白音の順番でお礼を言ってきました。

 

「そんな事はないですよ。私は当たり前の事をしただけですし、何よりも、私も助けられた身ですし…。何よりも、私はただ助けたかっただけですから」

 

「それでもお礼を言いたいの。ありがとう」

 

「ありがとうにゃん、ツバキ」

 

「ツバキ先輩、本当にありがとうございます」

 

「ど、どう、いたしまして///」

 

 私は少し恥ずかしくなりちょっと目を反らしました。その反応に微笑ましそうに此方を見てくるリアスさん達。余計に恥ずかしいですぅ…///

 

「あ、そう言えば何故イッセーは禁手化(バランス・ブレイク)しているのですか? 修行ではならなかったのに…」

 

私は今日一番疑問に思っていた事を聞くと、空気が凍ってしまいました。……あれ?私なにか嫌な事を言ってしまいましたか?

 

「……あの~、大丈夫ですか?皆さん?」

 

「はっ!? だ、大丈夫よ!ツバキ。で?何を聞きたいんだったかしら?」

 

「だから、イッセーの禁手化に至った理由を…」

 

すると、また固まってしまったリアスさん。どうしたのでしょうか? むぅ…、他の人にも聞いてみましょうか。

 

「黒歌はなにか知っていますか?」

 

「な、にゃんにもシラナイニャン。うん、私ナニモシラナイ」

 

黒歌は片言で何か喋っていました。うぅ~ん知らないのならしかたがないですね♪ なら、次にいきましょう。

 

「白音は何か知っていますか?」

 

「…………知らないです」

 

白音はいつも通りの無表情でした。ですが、何故かイッセーの方にジーとジト目で視線を向けていました。本人は何故か冷や汗を沢山かいていました。本とに何があったのですか? まさか…、またイッセーは白音に対してエッチな事でもしたのでしょうか。あり得そうですね。 それで、白音がイッセーにジト目で見ていてイッセーが冷や汗をかいている理由がわかりますね

 

「タイニーンは何かしってます?」

 

「…………いや、しらん。俺はずっとあの猿と戦っていたからな。気づいたときにはもう禁手していたよ」

 

何故か、前半間がありましたけど、知らないようです。なら、しかたがないですね。ドラグーンに聞きましょうか。

 

「ドラグーン…」

 

『その質問にお応えすることが出来ません』

 

私が聞く前に即答で拒否られてしまいました。

 

「何故?」

 

『それは、教育上よろしくないからです』

 

むぅ…、こうなったらしかたありません。当の本人に聞きましょうか

 

「イッセー?どうやって至ったのですか?」

 

私がイッセーに訪ねると、イッセーは顔を赤くしながらとても気まずそうにしていた。

 

「え…えぇ~……とな?……なんだったっけぇ~なー。あまりにも慌てていたから思い出せないぜ~!あははははー」

 

そう言うとイッセーは明後日の方向にむいた。本当にどうしたのでしょうか?

 

「ドライグ~、本当にどうしたのですか~?」

 

『あ…、いや……まぁ、いろいろあったんだ。いろいろとな………』

 

すると、ドライグは疲れたような声で言っていた。

 

「いろいろ……ですか?」

 

『そ、そう!いろいろだ、いろいろ…………

(い、いえん!相棒が女(リアス)の胸をつついて至ったなんて死んでも言えん!!)』

 

むぅ~……。ドライグまで教えてくれません。私の事が皆嫌いなのでしょうか……

 

『しかたがないわよ。皆にも秘密にしたいことはあるわ。』

 

「そうなのですか?」

 

『えぇ、そうよ。だからもう聞かないであげなさい。』

 

「わかりました。ルーツがそこまで言うなら諦めますね」

 

『えぇ、ありがとう。ツバキ。(い、言えないわ。禁手化が女の胸をつついて至ったなんて絶対死んでも言えないわ!!)』

 

むぅ…、ルーツがそこまで言うならあきらめます。何故か皆さんも言いにくそうなので、無理矢理聞くのはダメですよね。

 

『(すまない!ルーツ!!本当に助かった…)』

 

『(いいわよ、流石にこの事だけは私は言いたくないわ。この事はここにいる人だけの秘密にしましょう。絶対にこの子に教える訳にはいかないわ!!)』

 

「皆さん、そろそろ戻りましょ?パーティーはまだ終わっていませんしね♪」

 

私がそう言うと、リアスさん達が反応した。

 

「そ、そうね!早くパーティーに戻らないといけないわね」

 

「なら、また俺が送っていこう。その方がすぐに着くからな」

 

「なら、お言葉に甘えようかしら」

 

そうリアスさんが言い、私達はタイニーンさんの背中に乗って帰ることになりました。因みにハイドラとドラグーンは先に帰らせました。皐月姉さまにこの事件の事を伝えてくださいと頼みましたからね。

 

 

そのあとは、私達はパーティー会場に付くなり魔王様方と皐月姉様とレイナーレに私達は心配され何もなかったのがわかると、そのあとはパーティーを名一杯楽しみました。私達がいなかったぶん時間も延長してくれて、かなり楽しめました。




どうでしたか? 普通ならイッセーがリアスの胸をつついて禁手(バランスブレイク)する筈でしたが、そこをカットしてかいてみました。その方がこの主人公にはあうと思ったからです♪

また、次回でお会いしましょ~。それではバイバーイ♪( ´∀`)ノ


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14話 決戦前夜

あのパーティー事件から数日。私とリアスさん達は最後のミーティングをしています。

 

「イッセー、お前は何処まで禁手化(バランス・ブレイク)を維持できるんだ?」

 

「えぇ~とですねなるようにはなってるんですげど、条件がありまして……」

 

 イッセーいわく、禁手(バランス・ブレイカー)までのインターバルが約二分もかかること。一度その状態になると、神器(セイクリッド・ギア)の能力を行使できなくなること。最悪なことに中止させることができず、さらに、一度禁手になれば、解除後に禁手化できなくなり、プラス倍加と譲渡の能力も使用不可になるみたいです。

さらに言うなら鎧になれるのは一日一回で、解除したらほとんど力が失われているそうです。

 

「――データ通りだな。過去の赤龍帝も一部の例を除いてほとんど同じだ。で、その『二分』のインターバルは死活問題だぞ。とにかく、その二分の間をどう過ごすか、考えておけ」

 

「はい」

 

「使用制限時間はどうなんだ?」

 

「フルで使えば30分で、調節すれば一時間は持ちますね。まぁ~、技によっては時間が変わりますけど…」

 

 そうイッセーは言った。アザゼルは少し考える素振りをしてイッセーに目線をあわす

 

「そうか。そこも考えとく必要があるな」

 

「そうですね」

 

 それにしても、やはり禁手化(バランス・ブレイク)なったばかりではその程度ですよね。 でも、初めてにしては上々ですか。

 

「そう言えば、ツバキお前も禁手化(バランス・ブレイク)出来るんだよな?お前さんは何れぐらい持つんだ?」

 

アザゼル先生がそう聞いてきました。そう言えばそうですね…。あまり気にしていませんでしたが何れぐらい持つのでしょうか?

 

「えぇ~とですね。あまり気にした事がなかったので、確りとした事はわかりませんが、全力でするなら半年は持ちますね。力を調節していけば、魔力の関係上は約10年は持つと思いますよ? でも、体力や気持ちが流石に持たないのでそこまでは無理でしょうけどね」

 

 私がそう言うとアザゼル先生達は固まってしまいました。

 

「ははは…、相変わらずのデタラメ度だな。本当…、どうなってんだよお前ら兄弟姉妹は………」

 

 アザゼルは疲れたかのようにため息をつきました。

 

「あははは…、まぁ…私達ですしね」

 

「まぁ、いい。ところで、リアス。ソーナ・シトリーはおまえの眷属のことをある程度知っているんだろう?」

 

アザゼルがリアスにそう問う。

 

「ええ、おおまかなところは把握されているわね。たとえば、イッセーや朱乃、祐斗、小猫、アーシア、ゼノヴィアの主力武器は認識しているわ。フェニックス家との一戦を録画した映像は一部に公開されているもの。さらにいうなら、ギャスパーの神器(セイクリッド・ギア)もバレていると思うわ」

 

 なるほど…、殆どバレてるんですね。ですが、恐らくはイッセーの禁手(バランス・ブレイカー)は知られていないでしょうね。なんせ、つい数日前になったばかりですし。

 

「なるほど、殆ど知られているってわけか。お前のほうはどれぐらいあちらを把握している?」

 

「ソーナのこと、副会長である『女王』のこと、他数名の能力は知っているわ。一部判明していない能力の者もいるけれど」

 

「不利な面もあると。まあ、その辺はゲームでも実際の戦闘でもよくあることだ。戦闘中に進化、変化する場合もあるから、細心の注意をはらえばいいさ。相手の数は八名か」

 

「ええ、『王』、『女王』、『戦車』、『騎士』、『僧侶』と『兵士』は二人ずつ。まだ、眷属は全て揃っていないみたいだけど、数ではこちらが一人多いわ」

 

 眷属は揃ってないけども力はどうなんでしょうね。見た感じ皆さんの実力は修行前よりも上がったとはいえ、油断はできなさそうですしてね。あのソーナさんですもん。きっとなにか仕掛けてくるに違いありませんから。

 

私が考え事をしていると、アザゼル先生がホワイトボードに何かを書いていました。

 

「レーティングゲームは、プレイヤーに細かなタイプをつけて分けている。パワー、テクニック、ウィザード、サポート。このなかでなら、リアスはウィザードタイプ。いわゆる魔力全般に秀でたタイプだ。朱乃も同様。木場はテクニックタイプ。スピードや技で戦う者だな。アーシアとギャスパーはサポートだが、アーシアはウィザード寄りで、ギャスパーはテクニック寄りだな。ゼノヴィアはスピード方面に秀でたパワータイプ。一撃必殺を狙うプレイヤーだ。小猫はスピード寄のテクニックタイプだな。で、イッセー。おまえはパワータイプだ。ただし、サポートにもいける。ギフトの力でな」

 

「あの、先生。ツバキちゃんはどのタイプになるんでしょうか?」

 

すると、イッセーがアザゼル先生に聞いていた。アザゼル先生は少し考える素振りを見せたけど、すぐに答えた。

 

「そりゃ~お前…、ツバキはパワー、テクニック、サポート、ウィザード、四拍子揃った完全なバランスタイプだ。しかもだ、こいつが元の男の状態ならまさに無敵のバランスタイプだな。こいつほど全てにおいてずば抜けた技術に力をもった奴はいないだろうな。だてに最強の座にいないぜ。」

 

 アザゼルは少し興奮しながら喋っていました。そんなに言われると、恥ずかしいじゃないですか///

 

「そんで他の兄弟姉妹はと言うと……。まず長男の光輝はパワーだけに特化したタイプだな。はっきりいってアイツとはマジで戦いたくないな。近距離戦闘だけなら最強無敵としか言えん。 次に次男のレイジは、スピード・パワーよりのテクニックタイプだ。アイツの剣技術はまさに神技だ。アイツのテクニックは天才としか言えんな。 次は長女の皐月だな。皐月はパワーよりのテクニックタイプだな。アイツは光輝程いかないとはいえ、女性やここにいるお前らよりは遥かに力が強い。更にアイツの能力は他人の能力を覚え、更にその能力を100%完璧に使える事ができる。つまりだ、自身の使えない能力さえも皐月は使える事ができるって訳さ。次女のナツルは、ウィザードよりテクニックタイプだな。アイツは、他の兄弟姉妹とは違い魔法を得意とする奴だ。アイツは他人の魔法を覚えるだけではなく自分でオリジナル魔法も造ることができるんだよな…。それに、魔法の威力が半端ないのに、消費魔力は殆ど無いらしいしな。因みに魔法によってはサポートにも徹する事ができるらしい。最後に三女の優子は、サポートよりのウィザードタイプだな。アーシアと同じ回復系の力を持つが、アーシアよりも技術も回復力も全て上だ。アイツは神器無しでも充分の回復魔法を使え、下手すれば死者すら蘇らしてもおかしく無いほどの力がある。更に、コントロール技術も最高で、確か…500mまでなら敵味方を判断して広範囲の回復魔法を唱える事ができるんだよな」

 

「アザゼル先生、因みに優子姉さんは今は視界に入る者なら何でも治す事ができます。飛ばす回復魔力も、距離が2kmまでなら飛ばせるそうですよ。あと、生き物以外でも、機械等の様な物も回復魔法で治す事もできるようになったみたいです」

 

「マジか!?」

 

私が情報を付け足すとアザゼル先生はかなり驚いていた。

 

「まぁ、そう言うことだ。おまえらパワータイプが一番気を付けなきゃならないのはーーーカウンターだ。テクニックタイプの中でもカウンターを使う相手とパワータイプは相性最悪だからな、一撃リタイアなんてのもありえる。それと、神器でもカウンター系があるわけだが……これを身につけている相手と戦う場合は、イッセーやゼノヴィアのようなパワー中心のタイプは、カウンターを一発食らうことで形成が逆転されることがある。カウンターってのは、こちらの力に相手の力を加えて自分に返されるものだからな。己が強ければ強いだけ、返ってくるダメージも尋常ではなくなる。まぁ、要するにパワータイプの奴はカウンターさえ気をつけていればそうそう負けることは無いって事だ。」

 

 確かに、パワータイプの人はテクニックタイプの人にめっぽう弱いですからね~。レイジ兄さまの様なパワーよりのテクニックタイプならどうにかできるのですが、イッセーやゼノヴィアの様なパワータイプの人は本当に弱いですものね。まぁ…、光輝兄さまの様なパワーだけで無理矢理潰す様な人もいますけどね……

 

「最後に、おまえたちが今回のゲームで勝利する確率は八十パーセント以上とも言われている。俺もおまえたちが勝つと思っているが、『絶対』勝てるとは思っていない。それに駒の価値も絶対的なものではない。実際のチェス同様局面によって価値は変動する。俺は長く生きてきた。そのなか、多種多様、様々な戦闘を見てきた。だからこそ、言えるんだよ。勝てる見込みが一割以下でも勝利してきた連中がいたことを俺は覚えている。一パーセントの可能性を甘くみるなよ。絶対に勝てるとは思うな。だが、絶対に勝ちたいとは思え」

 

『はい!』

 

 アザゼル先生の言葉に大きく返事をしたリアスさん達。アザゼル先生がいつもこうなら他の堕天使の人達も苦労せずにしますのにね。何故しないのでしょうか?

 

「ツバキ、お前は言うことあるか?」

 

 アザゼル先生が聞いてきました。

 

「私ですか?特にありませんよ、殆どアザゼル先生が言っちゃいましたし。……そうですね、あえて言わせて貰うなら―――油断はするな、どんな時でも常に本気でやれ!……ですかね。これは光輝兄さまのいつもの口癖です。アザゼル先生のいう通り一%の油断一つで勝敗がガラリと変わってしまう事がよくあります。それほど『油断』というものは危険なのです。どんなに強者でも油断すれば必ず倒されます。ですのであなた方は此を確りと心に刻んでこれからを生きてください。大丈夫です。油断さえなければ必ず勝てます。皆さんがやって来た事は必ず勝利へと導くでしょう。修行で授かったこと、戦いで身に付いたこと、それを忘れずにやれば必ず勝てますよ。―――――だからこそ、勝ってきてくださいね♪」

 

 私は皆さんに対して最後は笑顔で言いました。これで少しは緊張が解けるといいのですけどね。皆さんの顔が赤いので大丈夫でしょうね。

 

「ツバキにもここまで言われたら勝たなくちゃな、お前ら頑張ってこいよ!!」

 

『はい!』

 

こうして、最後のミーティングが終わりを迎えるのでした。

 

 

 



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15話 グレモリー眷属VSシトリー眷属

決戦日当日。とうとうこの日がやって来ました。現在私達はグレモリー家の城地下にゲーム場へ移動する専用の巨大な魔法陣が存在していて、リアスさん達グレモリー眷属の皆さんはその魔方陣の上に立って、もうすぐ始まる決戦の準備をしていました。

 

アーシアとゼノヴィア以外、駆王学園の夏の制服姿です。

 

アーシアは勿論シスター服。ゼノヴィアは出会った当初の頃に着ていた体のラインがクッキリとした戦闘服をきています。二人いわく、この服装だと気合いが入るそうです。

 

ソーナさん率いるシトリー眷属もリアスさん達と同じく駆王学園の制服です。

 

「リアス。今度は、己の力で勝ちなさい」

 

「次期当主として恥じぬ戦いをしなさい。眷属の皆さんもですよ?」

 

「がんばって、リアス姉さま!」

 

「まあ、今回教えられることは教えた。あとは気張れ」

 

「皆さん、油断大敵ですよ?確りと気を引き閉めて、最後まで本気で頑張ってくださいね」

 

「アーシア、足手まといだけは許さないからね?チームの要として頑張りなさい」

 

「白音、私の教えた仙術の戦い方を使いなさいね。あの技はもしもの時に使いなさい」

 

皆が魔法陣の中にいるリアスさん達に応援や激励を言っていた。この場にいないのは、サーゼクスさんとグレイフィアさんだけど、すでに要人専用の観戦会場へ移動されています。そこに私や先生やアリアさんと黒歌さんもこのあと、移動するのです。

 

緊張感が漂う最中、魔法陣は容赦なく輝きだした。

 

皆さんの健闘を祈ります!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 グレモリー眷属の激励が終わり、私達はサーゼクスさん達魔王様方がいるVIPルームにきました。そこには、レイジ兄さまと皐月姉さまもいました。

 

「やぁ、待ってたよみんな。どうぞ座って」

 

サーゼクスさんの言葉に皆は其々の席に座りました。

 

「ツバキ、貴女は私の隣にきなさい」

 

皐月姉さまに呼ばれ私は皐月姉さまの隣に座りました。

 

『皆さま、このたびはグレモリー家、シトリー家の「レーティングゲーム」の審判役(アービター)を担うこととなりました。ルシファー眷属『女王(クイーン)』のグレイフィアでございます』

 

アナウンスはライザー戦のときと同じくグレイフィアさんみたいです。

 

『我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願い致します。さっそくですが、今回のバトルフィールドはリアスさまとソーナさまの通われる学舎「駆王学園」の近隣に存在するデパートをゲームフィールドとして異空間にご用意致しました』

 

『両陣営、転移された先が「本陣」でございます。リアスさまの本陣が二階の東側、ソーナさまの「本陣」は一階西側でございます。「兵士」の方は「プロモーション」をする際、相手の「本陣」まで赴いてください』

 

両陣地がデパートの端同士、かなり距離があるようですね。

 

「それにしても、これはリアスさん達に不利ですね」

 

今回のルールは『デパートを破壊し尽くさないこと』になったことで、リアスさん達グレモリー眷属は不利になるのです。メンバーの半数が『パワー中心』ですので、破壊力のある攻撃を封じられたことになります。

 

三十分が経ち、自陣に集合している両陣営。審判役のグレイフィアがアナウンスを流した。

 

『開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は三時間の短期決戦(ブリッツ)形式を採用しております。それでは、ゲームスタートです』

 

「へぇ~、短期決戦(ブリッツ)ねぇ。面白くなりそうね」

 

「確かにな。今回は楽しめそうだ」

 

「ワクワクします。リアスさん達には頑張ってもらいたいですね」

 

「頑張って、アーシア。お姉ちゃんが見守っているから」

 

「頑張れ、白音!」

 

「ソーナちゃんも頑張れ☆」

 

確実色んな応援をしていました。

 

「突然な質問だが、ツバキならこの勝負、もしも相手がリアスで、グレモリー眷属の中で先に狙うなら誰狙う?サーゼクスにも聞かれたんだけどよ」

 

アザゼル先生が突然聞いてきました。

 

「誰を…ですか?………そうですねぇ~。やはりイッセーでしょうね」

 

「ほ~う。理由は?」

 

「リアスさんの眷属の皆さんは、リアスさん含めてわかってないと思いますけど、精神的支柱はイッセーなんですよ。イッセーがいると全員のテンションが高いのです。それなので、無理をしても諦めずに行けると思います。だからこそ、イッセーを失ったら脆いと思うのです。ただ問題なのは、眷属の人達は『赤龍帝』としてのイッセーの敗北を見たことがありませんからね。仮に、今回の戦いでイッセーを失った時にどれ程持つかが勝負の行方になると思います。」

 

「なるほどな…。まぁ、少なくても今回の戦いでソーナは確実にイッセーを狙うだろう。そこでどれ程イッセーが持つかがカギだな」

 

「確かにそうですね」

 

私とアザゼル先生が話していると、突然扉の開く音が聞こえてきました。

 

「ふぉっふぉっふぉっ、賑やかじゃな」

 

すると、お爺ちゃんの様な声が聞こえてきました。

 

「この声は………あっ、オーディン様だ」

 

扉の前には北欧神話で有名な主神オーディン様とお連れの戦乙女ヴァルキリーさんがいました。あれ?前の人と違いますね。

 

「お久しぶりですね。オーディン様」

 

「お久しぶりですわ。オーディン様」

 

すると、レイジ兄さまと皐月姉さまが立って挨拶をしていました。

 

「久しいの、レイジ、皐月や。レイジよアリアとは結婚出来たのか?」

 

「はい。お陰さまで日々がとても充実していますよ」

 

「そうかそうか。ん?おぉ~、そこの可愛い娘っ子は誰じゃ?それに、いいおっぱいしとるの~。ちょいと揉ませておくれ!」

 

手をワキワキしながら此方を向くオーディン様。

 

「ひっ!」

 

私はおもわず皐月姉さまの後に隠れてしまいました。

 

ガシッ!!

 

すると、突然皐月姉さまがオーディン様の頭を掴みました。

 

「オーディン様…?私の可愛い妹にナニをしようとしたのでしょうか?いくら北欧の主神とはいえ流石に許しませんわよ?」

 

皐月姉さまは片手で頭を掴みながらオーディン様に笑顔で言っていました。そして、皐月姉さまの笑顔なのですが、とても怖いです。先程からオーディン様の頭からギリギリと音が出ています。

 

「い、痛い!痛いのじゃ!悪かったワシが悪かったからその手を離してくれんか!? 流石に死んじまうのじゃ!」

 

「わかりましたわ」

 

そう言った皐月姉さまが手を離しました。オーディン様は頭を抑えて項垂れていました。

 

「痛たた。相変わらずの力じゃの~。こんなの冗談に決まっておろう…。あらためて久しいの、ツバサよ。」

 

すると、今度は先程のエッチぃ顔ではなく優しげな顔になっていました。

 

「はい。オーディン様お久しぶりでございます。今は訳あってこの姿ですが気にしないでください。あと、絶対エッチぃのが目的であれば私に触れないでください。」

 

「しかたがないのぉ~。まぁ、ワシとて命は惜しいからな…。その後ろで構えているお主の兄にも言っておれ。ワシはなにもせんよ」

 

「本当だな?オーディン」

 

レイジ兄さまは少し殺気だっていました。

 

「本当じゃよ。それよりも、またその姿なんじゃな。今度は悪魔のせいか?」

 

「相変わらずの感ですね。正解ですよ」

 

「ふぉっふぉっふぉっ。だてに主神なんぞやっておらんわ。ほれ、始まっておるぞ。応援しなければな」

 

「あ。そうでしたね」

 

私達は座り試合を見ることにしました。

 

―side out―

 

 

 

 

 

 

―イッセーside―

 

定刻になり、グレイフィアさんのアナウンスが流れた……ゲーム開始だ!

 

制限時間が三時間の短期決戦(ブリッツ)。

 

部長が気合を入れた表情と声で言う。

 

「指示はさっきの作戦通りよ。イッセーと小猫、祐斗とゼノヴィアの二手に分かれるわ。イッセーと小猫は店内からの進行。祐斗とゼノヴィアは立体駐車場を経由して進行よ。ギャスパーは神器の使用禁止だから、複数のコウモリに変化して店内の監視と報告。進行具合によって、私と朱乃とアーシアがイッセー側のルートを通って進むわ」

 

部長の指示を聞き、全員耳に通信用のイヤホンマイクを取り付ける。

 

「さて、かわいい私の下僕悪魔たち!私たちが勝つわよッ!」

 

『はいッ!』

 

全員気合が入った返事をする。

 

「ゼノヴィア、行くよ」

 

「あぁ、祐斗」

 

先に動いたのは木場とゼノヴィア。フロアを飛びだし、立体駐車場に繋がる道へ向かった。

木場の話では、確か駐車場に車は存在していたという。しかし、ただの作り物だったみたいだ。

 

二人の次は、俺と白音ちゃんだ。

 

「小猫ちゃん、行こうか」

 

「はい、イッセー先輩」

 

部長、朱乃さん、アーシアの応援と期待の声がかかった。それに俺は応えるように三人に手を振って陣を出た。

 

俺と小猫ちゃんも作戦通りに中央通路を歩いている。

 

「イッセー先輩…、こっちにきてください」

 

すると。小猫ちゃんが手を引っ張りながら自動販売機の裏に隠れる。

 

「……動いています。真っ直ぐに向かって来ている者が二人」

 

「……あとどのぐらいで進む奴らと出会う?」

 

「……このままのペースなら、おそらく十分……いえ、五分以内です」

 

約五分か……まだ使えないな。ガス欠になったら、シャレにならないし。

 

「……訂正です!来ました!!」

 

「ッ!!」

 

俺は上を見上げた。

 

「――兵藤か!まずは一撃ッ!!」

 

匙だ!!ロープ……いや、神器のラインだ!ラインを使いターザンみたいに天井から降りてきて膝蹴りを仕掛けてくる!!

 

ドゴッ!!

 

小猫ちゃんは腕をクロスしてそのまま後にぶっ飛んだ。よく見れば匙の背中にもう一人乗っていた。まさか、小猫ちゃんは二人分の体重が乗った攻撃を受けたのか!?

 

俺はとっさに籠手を出現させて、匙に殴りかかる

 

『Boost!』

 

ドコッ!!

 

匙には器用にガードしてそのまま後に飛んでいった。匙が着地すると、後に乗っていた誰かも着地した。直後後ろからドカンッと音がした。後ろを向くと小猫ちゃんが何事もなかったかのようにトコトコと歩いてきた。

 

「よう、兵藤」

 

現れたのは匙。その隣には匙の背中に乗っていた少女――生徒会のメンバーで、確か一年生だったよな?

 

匙の右腕には……黒い蛇が何匹もとぐろを巻いている状態だった。以前と形態が全くちがう!

 

「まずは先手必勝!くらえ!」

 

匙は黒い蛇を伸ばしてきた。すると、隣にきていた小猫ちゃんが俺の前に立った。

 

「私の仙術の前では無意味です」

 

すると、小猫ちゃんの右手に白い光がまとりわりついていた。

 

「はっ!」

 

小猫ちゃんは右手を正拳突きの様に伸ばすと白い玉が飛んでいき…。

 

ドゴォン!!

 

匙の蛇に当り爆発した。煙がはれると匙の蛇は一匹が首とか無くなっていた。しかし、神器の方に戻るとすぐに蛇は再生して元に戻った。

 

「伊達じゃないですね。流石、猫又姉妹です」

 

匙の後輩が小猫ちゃんを称えた。

 

俺と小猫ちゃんは暫く戦っていた。俺も小猫ちゃんも何とか相手よりも優劣になっているかんじだ。

 

『リアス・グレモリーさまの僧侶(ビショップ)一名、リタイヤ』

 

なっ!ギャスパーがやられたのかよ!

 

「そらそら!隙が出来たぜ兵藤!!」

 

しまった!

 

ガッ!

 

「ぐぁ!」

 

ドゴォーン!

 

俺は後ろまで飛ばされ、近くの自動販売機にあたった。いってぇ!くそ、あれほどツバキちゃんに油断するなって言われたのに早速隙を作っちまったぜ…。

 

「どうした、兵藤!お前の力はこんなもんかよ!」

 

「へっ!んなわけあるか!!俺はこれまでさんざん地獄を耐え抜いたんだ!こんな程度で倒れるかよ!!」

 

俺はすぐさま立ち上がり匙の方に走ろうとすると……

 

 通路の向こう側から、爆発音が響き渡った。

 

『ソーナ・シトリー眷属の戦車一名、リタイア』

 

「んなっ!? な、何があった!?」

 

「え、由良先輩!?」

 

 まさかいきなり本陣で大爆発するとは思ってなかったのか、匙と後輩の兵士が驚いてその方向を振り返る。

 

俺は走りだし匙の顔面を思いっきり殴った。

 

「隙あり!!」

 

ドゴン!

 

「ぶふぇっ!」

 

匙は変な声を出しながら飛んでいった。そう言えばもうすぐ二分たつよな?

 

『相棒!いつでもいけるぞ!』

 

そう叫ぶドライグ。

 

「よし!いくぞドライグ!『禁手化(バランス・ブレイク)』」

 

全身から強烈なオーラがはなたれ、それが鎧と化して俺の体を包む。

 

 間違いなく今の匙は強敵だ。この時間で一気に叩き潰す!

 

「反撃タイムと行かせてもらうぜ、匙!!」

 

「来やがれ兵藤! 返り討ちにしてやらぁああああ!!」

 

 真正面から殴りかかるが、匙は伏せてそれをかわすと、ラインの一つを俺の体にくっつける。そのまま飛び上がると、さらにラインを天井へとくっつけた。

 

 そのまま匙がラインを縮めれば、その勢いで俺の体は引っ張られて、その勢いで天井の照明にたたきつけられる。

 

「なめんじゃねええええ!!」

 

 だが俺だって負けちゃいない。

 

 引っ張られながらも匙の体をつかむと、たたきつけられた勢いで天井にたたきつけ返した。

 

 そのまま重力に従って落下をはじめながらも、俺と匙はこぶしをたたきつけあう。

 

「部長の乳首に触れて覚醒したこの赤龍帝の鎧、発動した状態で負けてたまるか! 部長の乳首にかけて!!」

 

「ふっざけんな乳首って頭おかしいのか!! っていうか裸見るとか添い寝するとか風呂入るとか乳首ふれるとかうらやましいなオイ!! 俺にもちょっとぐらい分けろ!!」

 

「うるせえこの野郎! 別にエッチなことしてるわけじゃねえんだからそこまで言うことねえだろうが!!」

 

「死ねよお前マジで!! そんだけしてもらえば十分だろうがこの野郎!!」

 

 いつの間にか地面に墜落していたが、そんなのが気にならない勢いで殴り合う。

 

 禁手化して圧倒的なスペックさを発揮しているはずなのに、匙の奴は一歩も引かなかった。

 

「出来ちゃった結婚どころか手を触れることすらできない俺の身にもなれよ!!キスだってしたことないんだぞ!!」

 

「………あ、ごめん。俺もう部長とキスしてるわ。それもファーストキスを。」

 

「本当にマジで死ねっていうか殺してやるよぉおおおおお!!!!」

 

 匙の力が突然上がった…。あれ!?なんか押されてない!?

 

「お、落ち込んじゃダメです先輩!まだ、私のファーストキスは残ってますから!!」

 

 なんか外野が何か言ってるけど、俺も匙もそんなことを気にしている暇がない。

 

「裸どころか下着姿も、そもそも夏休みに生徒会全員で来たっていうのに水着だって拝んでないんだぞ!? お前はいいよなぁプールで美女二人がオイル塗る塗らないで喧嘩するぐらいでよぉ!!それに、つばさちゃんのポロリハプニングもあったみたいじゃないかぁぁ!!マジでうらやましんだよこのドエロ魔王がぁぁぁ!!!!!」

 

「お前はあの壮絶な戦いを見てないからそんなことが言えるんだ!! 俺だって一度殺されたりボコボコにされたりひどい目にあってんだ、役得ぐらいあってもいいだろうがぁあああ!!」

 

 殴られたら負けじと殴り返す。もうこの流れは意地だった。男としての意地と根性で殴り合う俺と匙。

 

 だけど、それでも今の俺の性能は基礎からして違いすぎる。少しずつだけど押し返し始めていた。

 

「そもそもハーレム王になる俺の夢には程遠いんだよ! こんなところで躓いていられるかこの野郎!!」

 

 それで、匙は倒れない。

 

「……ああそうかよ。だがなあ、俺だって夢のために頑張ってんだよ!!」

 

 ラインの一つが証明があったところにつながり、そして匙の拳が俺にぶつかる。

 

 それと同時に、鈍い痛みが全身を走った。

 

「ぐ、ぐああああああ!?」

 

『まずいぞ相棒! あの男、電流をラインでお前に流している!!』

 

 なんでそれで感電してないんだよ!?

 

『思った以上にあの神器の能力を使いこなしているようだ。多少は感電しているだろうがダメージと言えるほどではない』

 

「いっただろう? 俺だって特訓してるってよぉ!!」

 

 電流を流しながら、匙はさらに拳を叩き込む。

 

 タンニーンのおっさんが言っていた。こもった一撃は強力だって。それが今なら痛いほどよくわかる。さんざん言われながらやってきたからな。それに一度ツバキちゃんにも言われたさ………

 

『イッセーさん。思いの力って言うのはとても重く強く痛いんです。人は思いの一つでかなりかわるものです。過去に重病で医者に死刑宣告された人も、思いの力で奇跡がおきその病気が完治したこともありました。そして、それは戦場でも言えること…。その思いの力は時に自身の限界すらも越えることができます。だからこそ、思いって言うのは大切なんです。イッセーさんはそれを分かっていてください。思いは奇跡を起こすことを………』

 

 これが、思いのこもった一撃ってやつか。へっ!最初はわかんなかったけどよ。今ならわかる気がするぜ。

 

「誰だって、真面目に勉強して学べば程度はともかく普通は成果を出せる。そんな日本じゃ当たり前のことが冥界じゃできない。それを何とかしたい会長の想いを、俺も絶対にかなえたい!!」

 

 しびれて動きが乱れた瞬間を、さらに連続して拳が叩き込まれる。

 

「俺だってかなえたい。教師になりたい! 人に何かを教えたい!!」

 

『ソーナ・シトリー眷属の兵士一名、リタイア』

 

 いつの間にか小猫ちゃんが会長の兵士を倒していたけど、だけど手出しはしてこない。

 

「なんで俺たちの夢が笑われる必要がある!? 何かおかしいことを言ったかよ!?」

 

 違う。手を出さないんじゃなくて出せないんだ。畏怖すら感じる匙の気迫に、完全に飲まれている。

 

「だったら結果を出して黙らせる! そのためにもお前は叩き潰す!!」

 

 俺はその姿に、恐怖すら感じた。だけどな俺だって………

 

「俺だって負けるわけにはいかねぇんだよ!!」

 

 右腕で匙の腕をつかむと同時に、奥の手を発動させる

 

『Divid(ディバインド)!』

 

「おらっ!」

 

ズドン!

 

「ぐぅぁ」

 

匙の腹に直接パンチをいれた。

 

 これは白龍皇の籠手。あのときヴァーリから奪った白龍皇の力を発動する俺の奥の手だ。発動しても成功するかどうかが微妙な挙句、成功しようが何しようが生命力を削るから、アザゼル先生にも仕様は控えるように言われていた。

 だけど、それじゃあこいつには勝てない。ここまで根性入れてきた相手に、そんな気構えで勝てるものかよ!!

 

「俺だって気合い入れてここまで来てんだ!! 来いよ匙!! この程度で俺はやられないぜ!!」

 

 さあ、決着をつけようか、匙!!だがそれは隙だらけのうっかりミスだ。

 

 俺は…その瞬間は逃しはしない!!

 

「うぉおおおおお!」

 

「うりぁああああ!」

 

俺達は殴り、蹴り、殴り、蹴りを続け二人ともかなりボロボロだった。俺は鎧をつけているから大丈夫だが、匙は生身だから俺以上にボロボロだった。

 

「俺……は……負け…られ…ねぇ……んだ」

 

そう言うと匙は俺の足にしがみついてきた。

 

 こいつ…。本当に凄いな………。そして、あまりにも思いの強さがゾッとくる。

 

「俺は……」

 

ドサッ……

 

そう言った匙は力つきた。それでも服は掴んでいる。そして光が放たれ匙が消えた…

 

『ソーナ・シトリー眷属「兵士(ポーン)」一名リタイア』

 

「匙…、また勝負しようぜ」

 

「イッセー先輩、次に向かいますよ」

 

「お、おお」

 

そう言って俺達は次の場所へと進むのだった。

 

だが兵藤一誠は気づいていなかった………。腕に付いている匙のラインがいまだに消えていなかったことを………。



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16話 グレモリー眷属VSシトリー眷属 決着!!

今、私達が見ているモニターの中でグレモリー眷属とシトリー眷属の壮絶な戦いが行われています。とくに、匙&ソーナさんの『兵士』VSイッセー&小猫ちゃんのバトルはスゴく興奮しました。

 匙とイッセーは殴り蹴る等といった正に男同士の熱い思いの肉弾戦をしていました。二人の戦いはとてもあつく普段クールなレイジ兄さまや皐月姉さま、他の人達も興奮ぎみで観戦するぐらい熱狂していました。途中二人して何か変な事を言ってたみたいですが、突然皐月姉さまに耳をふさがれてしまったのでハッキリとは聞こえませんでした。ただ、匙が血涙を出しそうなぐらい悔しそうな顔をして涙をながしていたので、何か匙が悔しくなるような言い合いをイッセーとしていたのでしょうね。

 そして、現在更にヒートアップした二人のバトルは終焉に入っていました。

 

「……決まりだな」

 

 ふとアザゼルがそうこぼしました。そう、いま匙が崩れ落ちたのです。

 負ければ失う物があるのは当然であり、なにかを授かることは間違っていると思います。それは勝者のためにあるのだから。

 ですが、この一戦。敗者も授かる物があります。

 観客席を見ればそれがよくわかります。禁手に至ったイッセーに何度も何度も挑みかかった匙。自分の意地、夢、すべてを込めて拳を振るう姿はきっと、この会場に来た者たちに届いたでしょう。それほど匙の決意とその強い思いの力は大きかったのです。なんせ、あれほど地獄の特訓を受けたイッセーでさえ、怯んでたぐらいですもん。

 だからきっと、ソーナさんたちも得るものがあると思います。

 今回だけは、勝者と敗者。両方にいいことがあってもいいと私は思います。

 

そして、匙が消えるまでイッセーは一切顔を逸らすことなく見続けていました。光が消えた後、近くの店に避難していた小猫ちゃんも姿を現しました。イッセーはマスクを収納し、小猫ちゃんと言葉を交わし、そして、小猫ちゃんはイッセーの手を握り、二人は広場に向かって歩き出したのでした。

 

 

パチパチパチ!

 

すると、突然レイジ兄さまは手を叩きました。レイジ兄さまの方を見ると満足そうに、にこやかな顔をしていました。皐月姉さまも同じくとてもにこやかにしていました。

 

「ソーナ…、お前の妹は実にいい眷属をもったな。俺と皐月…、久しぶりに心踊ったよ。こんなにも熱く大きな思いを見たのに、俺は感動した…。本当に頑張ったな」

 

レイジ兄さまはセラフォルーさんにそう言いました。

 

「うん…!」

 

セラフォルーさんは色んな嬉しい思いがきたようで、少し嬉し泣きをしていました。

 

「彼には表彰か何かをあげないといけないね。サーゼクス」

 

皐月姉さまがそう言うとサーゼクスさんは頷きました。

 

「そうだね…、匙くんには表彰を渡すとしようか」

 

「そう言えば、あのラインは何だろうな」

 

サーゼクスさんが言ったあと、突然レイジ兄さまが疑問をぶつけてきました。そう、今イッセーの右腕にはラインがいまだに付いたままなのです。それの事を言ったのでしょう

 

「さぁな、オーラを吸いとっている訳では無さそうだが何かあるのかは間違いない…。でも、その何かがわからん」

 

アザゼル先生はそう言った。まぁ…、確かにオーラは吸いとっていないでしょうが、おそらくあの赤い色は―――――

 

「ツバキ、お前は何かわかるか?」

 

私が考え事をしていると、レイジ兄さまが聞いてきました。

 

「わかりません。ですが、これはだけは言えます。おそらくあのラインでイッセーが倒れるでしょう。もしかしたらそれがソーナさんの本当の目的なのかもしれません。まぁ…、ただの予想と勘ですので何とも言えませんけどね」

 

私がそう言うと、『なるほどな』と言って少し考え事をしていました。

 

「お前の勘は100%の確率で当たるからなぁ~。今まで外れた事なんて無かったし…。やはりあのラインが気になるか…。ま、取り合えず見ていればわかるか」

 

そう言ったレイジ兄さまはまた真剣に試合を見ていました。

 

 私が中央広場のモニターを見ると、集結しだす残りの両メンバーがいました。

 

中盤も終わり、終盤へゲームは一気に進みました。

 

 

 

そして、少し時間が流れ中央広場に集結した両メンバーがにらみ合いになっているところです。

 

私はモニターを見て、気がつきました。イッセーが明らかにしんどそうにしていて、顔も青く異常がみられていました。

 

私は不思議に思い、一つの結論に至りました。私はすぐさまイッセーの腕についているラインの伸びる方向を目で追うと、『僧侶(ビショップ)』の花戒桃(ハナカイモモ)さんの右手に握られている『血液パック』にたどり着いた。

 

私は血液パックを見て、思いました。

 

――あぁ…、イッセーの負けですね。

 

隣の皐月姉さまとレイジ兄さまを見ると、皐月姉さまは頭を抱え、レイジ兄さまは呆れた顔をしていました。 おそらく二人ともラインの矛先に気がついたのでしょう。

 

そう…匙は元から、イッセーの失血による強制転移を狙っていたのです。そして、私が見た赤いもの…それがイッセーの血液だったということです。つまり、カウンターどうこうの問題ではなかったということです。

これは一本取られましたね……イッセー。

 

 すると、イッセーの不調に気づいたアーシアが回復のオーラを受けていたイッセーでしたが、その場に片膝をついてしまいました。さすがに限界が近いのでしょう。いくら回復力が魔改造気味になったとはいえ、さすがに流れた血までは戻りません。それも、顔を真っ青にしてまともに立つのも限界なぐらいなら、そうとう血を抜かれていると思っていいでしょうね。

 

 これは、私も賛辞を送りましょうか。匙とソーナさんに。それとも…、ソーナさんと匙には何か私かうちの部隊で使っている物でもあげましょうか?

 

 まぁ、それは後でいいでしょう。今は戦いに集中です。

 

 ソーナさんとリアスさんの話を聞いていると、突然イッセーのオーラが高まるのが目に見えた。

 

………いったい何をしたのでしょうか?

 

『広がれ、俺の夢の世界ッ!』

 

すると、突然高らかに叫ぶイッセー。もしかして……、また洋服崩壊(ドレスブレイク)みたいな変態技を編み出したんじゃぁ…!

 

 私は少し気になったので、さとりさんの能力『心を読む程度の能力』を使った。

 

「高まれ、俺の欲望!!煩悩解放!!あなたの声を聞かせてちょうだいなッ!」

 

直後、イッセーの声に答えるようにリアスさんの心の声が聞こえてきた。

 

………………え?

 

『イッセー、だいじょうぶかしら……?あまり変なことをすると、体に障っちゃう……』

 

幼いリアスさんの声が聞こえた。これって、まさか……。

 

私が混乱していると、イッセーが今の声をリアスさんに問う。

 

「部長、いま俺を心配してくれましたね?変なことばかりしていると、体に障ると……」

 

「イッセー!ど、ど、どうしてそれを……!?」

 

カミングアウトに驚きを隠せないリアスさん。物凄く動揺が丸分かりです。

 

「(次は、会長だな!)」

 

次にイッセーの視せんが、ソーナさんの胸に移動する。

 

「あなたは今、何を考えている?」

 

『もしかして、心の声を開発したのかしら☆ソーナ、困っちゃう☆』

 

セラフォルーさんと同じ口調で語るソーナさん。姉妹は似るっていう…のかな?

 

「ソーナ会長、いま俺の新必殺技が心の声を聞けるものだと思いましたね?」

 

その問いにソーナさんは狼狽した。

 

「(くふふふ!やっぱりこの技を編み出したのは正解だぜ!!)」

 

…………もしかして、もしかしなくても―――イッセーは心を見る能力と同じ能力を!!?

 

イッセーはふらつきながらも、堂々としたポーズで新技を叫んだ

 

「相手の胸の内を読み取る『乳語翻訳(パイリンガル)』!!

 女性限定で相手が何をするのかを読み取る事が出来る!!……ハァハァ。

 質問すれば相手のおっぱいは嘘、偽りなく応えてくれる!!……ハァハァ。

 相手の心が解る、最強の技なんです!!……ゼェ ゼェ」

 

私は静かに涙を流した。あまりにも欲望に忠実でこれ程までに熱い思いでこのような能力を開発したイッセーに思わず嘆息してしまう。

 イッセーェ……私の感動を返してくださいよぉ~………

特に小猫ちゃんは、イッセーと匙の勝負に感動していたのに一気にガクンッと降下した顔をしていました。

 

「………先輩、最低です」

 

「ぐはぁ!?」

 

小猫ちゃんの鋭い毒舌にイッセーは倒れた。

 

「うん…、うちの長男を見ているみたいだ……」

 

「そうですね……」

 

皐月姉さまとレイジ兄さまは呆れてなにも言えない様な表情をしながら嘆息していた。

 

「―――やはり……、映姫様にお灸をそえてもらいましょうか………」

 

 私はそう思い呟きながら、試合のいく末を見守るのでした。 隣で皐月姉さまが苦笑い気味に此方を見ていたなんてそんなの知りません。

 

「血が足りねぇ……。会長のおっぱいさん、今の作戦はどういう感じか教えておくれ!」

 

少し苦しそうな声が聞こえてきたのでイッセーを見ると、視界がぼやけてきている様で目を擦っていました。おそらくイッセーも限界に近いのでしょう。 それもそうですよね…。血を半分も取られて寧ろまだ動けるのに私は素直に凄いと思っていますもん。

 

『この特殊な結界は、「僧侶」の二人が作ってくれた囮なの☆精神だけ結界に置いて、姿は立体映像なのよん☆精神だけこちらに来ていれば、体の気配を消せるし、結界内にオーラがあるように見せることも可能だもん☆本当の私は屋上でーす☆結界内の私を狙うように攻撃させて、少しでも疲弊させるのが作戦だったりするのよ☆』

 

……なるほど、ソーナさんはリアスさんたちの体力を削ろうって作戦でしたのね……でも、イッセーの新技のせいで筒抜けだけども。

 

「皆、会長のあの結界は……囮だ。結界の中に…………」

 

イッセーは、ソーナさんの胸?の内が語ってたことをリアスさんたちに最後の力を振り絞って話し伝えた。その直後、イッセーがタイルの床に仰向けで倒れた。

 

「イッセーさん!」

 

駆けつけようとしていたアーシアの前に副会長で女王の椿姫さんが立ちふさがる。

 

アーシアはその場で祈りを上げるように手を組んだ。直後、周囲に広がりだすオーラ。流石アーシアです♪私の言った通り力を最小限に尚且つ強力に調節していますね。 教えたかいがありました。

 

「それを待っていました!」

 

すると、さっきまで血液パックを片手に持っていた『僧侶』の花戒桃さんが、その淡いオーラの中に入った。直後、ソーナさんを投影していた結界が消え去る。

 

このパターンは……、ヤバイです!!

 

『僧侶』の花戒桃さんが両手を広げて叫んだ。

 

「反転(リバース)!」

 

淡い緑色のオーラが、赤い危険な色のオーラへと変質した。

そして―――

 

「――あっ」

 

アーシアが光に包まれていく。

 

やっぱり…、嫌な予感が的中しましたね……。

 

「回復の反転はダメージ。アルジェントさんの回復力は絶大。……それを反転すれば攻撃は絶大よ!」

 

そう…、花戒桃さんの神器は『反転(リバース)』という能力があります。これは、属性や攻撃をその名の通り反転するものです。今回アーシアの力は回復、それの反転は攻撃…。つまり、アーシアの回復力は私の強化もありかなりのものとなっていました。そんな回復力を反転させれば………勿論効果は抜群ですね。

 

本当にごめんなさい…アーシア。貴女の敗因は私にもありますよ…。うぅ…、やはり悲しいです。

 

「大丈夫ですよ。アーシアもツバキには感謝しきれないと言ってましたし、ツバキに教えてもらえることになった日にはとても喜んでいたんですよ?だから、そんなに落ち込まないでください。そもそも、さすがにあの神器はアーシアとはとても相性が悪いのでしかたがないですよ」

 

私が落ち込んでいると、アリア姉さまが励ましてきました。そんなに顔に出ていたのでしょうか…。でも、とても嬉しいです。

 

「ありがとうございます。アリア姉さま。元気がでましたわ」

 

「そうですか。それなら良かったです♪」

 

そう言ったアリア姉さまはまたモニターの方をみました。

 

 何故、私がアリアさんを姉さまと読んでいるのかと申しますと、レイジ兄さまとアリア姉さまは結婚しました。のでアリア姉さまは結城家の家族となりました。それで、アリア姉さまと読んでいるのですよ。

 

『ソーナ・シトリーさまの「僧侶」二名、リタイア』

 

『リアス・グレモリーさまの「僧侶」、「兵士」共に一名、リタイア』

 

すると、放送が流れる。いつの間にか、ソーナさんの所の眷属も誰かにやられていたみたいです。

 

現在の戦況は、ソーナさん側はソーナさんと椿姫さんの二名。対してリアスさん側は、リアスさん、朱乃さん、小猫ちゃん、木場くんの四名。

 

朱乃さんが椿姫さんの方へと歩き出した。すると、体中に閃光と雷をほとばしり始めた。

 

あ、父親の『雷光』バラキエルの力だ。

 

「消しますわ!!」

 

朱乃さんの雷光は、一本の鋭状のモノと化して椿姫さんに迫った。

 

しかし、椿姫さんは雷光を間一髪で避ける。

 

「僕もいるよっ!!」

 

神速で詰め寄る木場くん。その時、椿姫さんが懐から小瓶を取り出した。あれは、『フェニックスの涙』!!

 

椿姫さんはそれを宙に投げ、長刀で破壊する。

 

「反転(リバース)!!」

 

花戒さんの神器で、フェニックスの涙が赤く変質した。だけど、木場くんは咄嗟に作り替えた水の聖魔剣で、変質したフェニックスの涙を吸収した。

 

 フェニックスの涙は、他のものと混ざるとその効果を失います。木場くんはそれを利用したみたいですね。

 

バヂヂヂヂヂ!!

 

スパークノイズと共に、先ほどの雷光が椿姫さんに飛雷する。

 

「追憶の鏡(ミラー・アリス)!!」

 

大鏡を出現させ、雷光を映え返しにしようとした時――。

 

「そうはさせない!!」

 

木場くんが雷光の前に立ち、片方の聖魔剣を雷光に向けた。

 

聖魔剣に吸収される雷光。すると、雷光を帯びた聖魔剣ができそれを『追憶の鏡(ミラー・アリス)』に向けて振った。

 

直後、大きな音を立てて割れた『追憶の鏡(ミラー・アリス)』。欠片となり、木場くんを襲う。でも、ダメージは思っていたより軽く、平然と立っていた。

 

一方、椿姫さんは腹部に手を当てて膝をついていた。

 

「あなたの神器『追憶の鏡(ミラー・アリス)』は、一度割れると二撃目を受け付けない。僕はそこを利用させてもらいました。以前、妖夢さんが使っていた“灯籠流し”で!」

 

雷光を吸収した聖魔剣は、儚い音と共に砕け散った。耐久度が低かったのでしょう。

 

それにしても灯籠流しか……それは、幻想郷で行われる弾幕勝負。その弾幕を刀の刀身を使い、弾幕を刀で反らしつつ隙をみて相手に弾幕を流すように跳ね返すカウンター技。妖夢さんが接近するときに使う得意技の一つでしたね。まさか、見て覚えたのですか?

 あの技は簡単そうに見えて、かなり高度な技なのに…、まさか覚えるなんて……。 スゴい…、スゴいです!! 

 

灯籠流しはいっけん簡単そうに見えますが、そうではありません。なんせ、弾幕というか相手の攻撃を見切らないと行けませんし、そくざに何処に行くか、次はどこから来てどの様に返すのか…。それを瞬時に把握し考えなければなりません。もし、技の途中で少しでも止まったり考え事をしたりすればそくざに弾幕の雨あられ。それが殺し合いならそく死亡ですよ。 更に、その攻撃を見切る眼とそれを避ける反射神経。さらに、耐えるための耐久力と集中力。それに多くの体力も必要となります。

 まぁ…、剣士の人達は己の剣や技を高めるために修行をするので、必然的に体力は上がっていきますからそこは問題ないんですけどね…。

 

それでも、見て覚えるなんてスゴいですよ。さすが、あの沖田さんの弟子ですね♪

 

私は興奮を押さえてもう一度モニターに視線をうつしました。

 

「僕の役目はここまでです。朱乃さん」

 

木場くんは椿姫さんから離れる。直後――。

 

ドオォォォォォンッッ!!

 

雷鳴と共に雷光が椿姫さんを直撃し、椿姫さんは光をまとって消えた。

 

『ソーナ・シトリーさまの「女王」一名、リタイア』

 

そしてその頃、別のモニターでは屋上で戦っていた『王』二人の決着もつきそうでした。

 

暫く、リアスさんVSソーナさんの戦いが起きていました。リアスさんの魔力の力の方がやはり上らしく、ソーナさんの水を操る技がことごとく消滅されられていました。ソーナさんが何かをリアスさんに言うと、ソーナさんは最後とばかりにありったけの魔力を溜めました。リアスさんもソーナさんの言葉を聞いたのかソーナさんと同時に魔力を溜めました。

 そして、二人の魔力が溜まったのか暫く見つめあい沈黙が訪れました。

 

「リアス!覚悟!!」

 

「それは、こっちのセリフよ!ソーナ!!」

 

『はぁぁぁあああああ!!!』

 

ズドォォオオオオオオォン!!!

 

ソーナさんの水の魔力とリアスさんの消滅の魔力がぶつかり合い凄まじい爆発音と共に画面は煙で見えませんでした。

 

 暫くして、モニターの煙も晴れました。そしてそこに立っていたのは―――

 

「……わたしの完敗ですね」

 

『ソーナ・シトリー様の投了(リザイン)を確認しました。このゲームはリアス・グレモリー様の勝利です』

 

モニターでは、ソーナさんが女の子座りで座っていて、リアスさんが立っていました。結果はソーナさんの投了(リザイン)により、リアスさんの勝利となったのでした。



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17話 試合のそのあと……

すみません! 現実が忙しく投稿が遅れてしまいました。本当にごめんなさい。

それでは、今回もほのぼの?とした主人公の活躍をみてください♪どうぞ~!



試合が終り私達は匙さんの寝ている病室にきました。

 

メンバーはレイジ兄さま、皐月姉さま、私、サーゼクスさん、セラフォルーさんの5名です。他の方々は方の人達の病室に向かわれました。

 

私達は匙の病室についたのでレイジ兄さまがドアをノックしました。

 

「入るよ」

 

サーゼクスさんがそう言い、サーゼクスさんにセラフォルーさんに続いて私達が入ると、そこには驚いた顔をした、ベットの上で寝ている匙とその隣でイスに座っているソーナさんがいました。

 

「すまないね。取り込み中だったかな?」

 

「い、いえ。突然だったもので、驚いてしまって……ご用件は?」

 

ソーナさんが匙の代わりにサーゼクスさんと話をした。サーゼクスさんは、懐から小箱を取り出しソーナさんに渡しました。

 

「これを匙くんに」

 

「こ、これは……」

 

ソーナさんが二度目の驚いた表情をしていました。

 

そう。サーゼクスさんが手に持っている小箱は、このゲームで活躍した功労を賞するものなのです。

今回のレーティングゲームで活躍した匙のために用意した物なのです

 

「これを受け取りなさい」

 

ベッドの上で座っている匙の傍に立ち、小箱を差し出しているサーゼクスさん。

 

「あ、あの…これは……?」

 

緊張して声が震えている匙。

 

「これはレーティングゲームで優れた戦い、印象的な戦いを演じた者に贈られるものだ」

 

「お、俺は……兵藤に負けました……。こ、これを受け取っていい立場ではありません」

 

「そうだ。けど、結果的にイッセーくんを――あの赤龍帝を倒した。私たちはキミの戦いを観戦室で興奮しながら見ていた。そこにいるレイジ達や、あの北欧のオーディンもキミに賛辞を贈ったほどなんだよ」

 

そうです。あのエッチな北欧の主神 オーディン様が珍しくエッチな事以外で興奮していました。 あの人は私や皐月姉さま達を見るたびに卑猥な目をしているのでとても神様とは思えないエッチなお爺様ですが、それでも、いち主神として確り(?)と働いているので私は怒れないのですよ。 たまに家に遊びに来るたびに皐月姉さま達や紫さんを含めた幻想郷の人達にぶっ飛ばされておりますが……、まぁ、大丈夫そうなのでいいでしょう。

それは兎も角…。あの人は勝負事には結構真面目にするので、あの主神様が褒めるのは滅多にないのですよ。それぐらい、今回の匙の活躍はスゴかったって事なのです!

 

「で……ですが…」

 

匙はまだわかっていないのか何かを言おうとしていました。

 

「匙くん。あの『赤龍帝』兵藤一誠よりもお前の事を何故俺達が褒めているのかわかるか?」

 

しかし、突然レイジ兄さまが何かを言おうとした匙の目を見ながら語り始めました。

 

「い…いえ……わかりません」

 

匙は心底わからない様な表情をしてそうはきました

 

「何故俺達があの『赤龍帝』を賞せず、匙…お前をたたえた理由……それはな?―――あの戦いでの勇姿と、おまえの中にある『命を懸けて』戦う心。そして自らの夢に向かって諦めないその強き大きな思いの心の力を強く感じたからなんだよ。そして、『赤龍帝』兵藤一誠との“勝負”に勝った。そう、“試合”ではなく“勝負”にだ。それを見ていた俺や皐月にツバキ、サーゼクスにセラフォルー、そして北欧の主神オーディンの心を捉えたんだよ。だからこそ、俺達はお前を事を評したんだ」

 

とても満足そうな顔で語ったレイジ兄さま。すると、レイジ兄さまは匙に近づいて、匙の頭を撫でました。

 

「本当に、よくやったよ。匙くん」

 

すると、サーゼクスさんを匙に近づいていきました。

 

「私は有望な若手悪魔を見られてうれしい。もっと精進しなさい。私は期待しているよ」

 

そう言いながらサーゼクスさんも匙の頭を撫でた。

 

「何年、何十年先になってもいい。――レーティングゲームの先生になりなさい」

 

「あぁ、サーゼクスの言う通りだ。どんなに時間をかけてもいい…。必ず…その夢を思いを叶えろよ!」

 

サーゼクスさんとレイジ兄さまの言葉に匙は無言で泣いている。止めどなく流れる涙はシーツを濡らしていた。

 

「……サジ、あなたはたくさんの人々に勇姿を見せたのですよ。あなたは立派な戦いをしたのですから」

 

ソーナさんも嬉し涙を流していた。そのソーナさんの頭をそっと撫でるセラフォルーさん。

 

「(やっぱりセラフォルーさんも……そんな顔出来るのですね~)」

 

今のセラフォルーの表情は、まさに姉の表情そのものでした。

 

「さて、サーゼクスの表彰は終わったな。ツバキ!」

 

いきなり私の名前を叫ぶレイジ兄さま

 

「はい」

 

「例のアレを出してくれ」

 

……例のアレですね。

 

「了解しました。レイジ兄さま」

 

私はスキマを開けてそこから二つの小さな木箱を取り出しました。

 

「はい。レイジ兄さま」

 

私はスキマを閉じて、小さな二つの木箱をレイジ兄さまに渡しました。

 

「おう。サンキューな」

 

受け取ったレイジ兄さまは、お礼をいいながら頭を撫でてきました。う~///は…恥ずかしいけど……気持ちいです///

 

「レ、レイジ兄さま! は、早くそれを渡してくださいよ!!」

 

私は慌てて言うと、レイジ兄さまは『ハハハハ、わりぃ~、わりぃ~。』といって匙とソーナさんの方に視線を向けました。

 

「ごほん。今から渡すこれは悪魔を関係なく、俺達地球連邦軍からの表彰だ! 受け取れ」

 

レイジ兄さまは二つの木箱を匙とソーナさんに渡しました。それを渡された匙とソーナさんは、少し戸惑いながら木箱を開けました。そこに入っていたのは―――

 

「こ…これは?」

 

木箱の中には金色の地球に双剣がクロスした感じの形の真ん中にサファイア色の小さな玉が埋め込んでいて、その中に地球連邦軍のマークでもある地球に剣の持ってに紐の様なフサフサしたものが垂れ下がった二本の剣がクロスした模様が入った特別製のバッチだった。

 

「それは、俺達地球連邦軍に入るときに渡されるバッチだ。更に言えばそのバッチの真ん中にある宝石の中には地球連邦軍のマークがあるだろ? そのマークがあるやつは言わば隊長のクラスの権限を持っているんだ。そのマークは自身の魔力に反応して立体映像の様に大きく浮かび上がる。それでどの権限やクラスの実力があるかがわかるんだ。まぁ…、俺達の様な最高権力や総隊長クラスのやつになると、それよりも大分豪華になるんだがな」

 

そう、今回渡したのは実際に地球連邦軍で使われているバッチのそれの隊長クラスの権限を持ったバッチを渡したのでした。

 

「……えぇ!? ま…ままま、マジですか!?レイジさん!!!」

 

匙はあまりの驚きようにあたふたとしていた。隣のソーナさんは混乱すぎて固まっていた。

 

「おう、マジだ。更にいうと、今回お前らの為にそこにいるツバキが頑張って創った特別製だ。普通なら地球連邦軍の機械で作られたやつだが、今回だけはお前らの為にわざわざ手作りで作ってくれたんだぞ? その証拠に名前が裏とマークの中にに刻んでいるだろ」

 

そうレイジ兄さまがいうと、二人は確認した。裏を確認したあと、魔力をバッチにこめるとバッチからマークが浮かび上がり、マークと一緒に名前も浮かび上がった。

 

「す…スゴい!スゴいです!!ありがとうございます!!レイジさん、ツバキさん!!」

 

匙はあまりの嬉しさに頭を下げてきた。

 

「いいよお礼なんてな。俺は渡しただけでなにもしてないしな。実質働いたのはそこにいるツバキだけだしな」

 

「ありがとう、ツバキさん。本当に、ありがとうございます!!」

 

匙は此方に向いてきて更に深々とお辞儀をしてきた。

 

「別にいいですよ。今回はそれにあたいするだけの事を私達に見せてもらえましたし、更に言うと匙が私の部隊を好きでいてくれたのでそのご褒美って物ですよ」

 

私がそう言うと、ソーナさんが少し驚きながら此方を見てきた。

 

「私の部隊を好きでいてくれたのでって…………誰かに似ていると思えばもしかして―――ツバキさんってツバサちゃんですか?」

 

そう言えば、パーティーの時は会場に行く前に会ったいらい会えていませんでしたね。挨拶もできていませんでした。

 

「はい♪結城 翼(ツバサ)改め結城 椿(ツバキ)ともうします。以後お見知りおきを…。ソーナさんに匙さん♪」

 

私が自己紹介をすると、匙は何が何だかわからない顔をしていて、ソーナさんは確信目いた表情をしていました

 

「やっぱりそうでしたか………」

 

「か…会長。どういうことですか?この綺麗で可愛い女の子が、あのツバサちゃんだって言うのですか? 」

 

ソーナさんの言葉に続いて匙が疑問をソーナさんにぶつけていた。

 

「そうですよ、匙。この娘は正真正銘あの結城 翼ちゃんです。なぜこの様な女の子の姿をしているのかはわかりませんが、恐らく何らかの理由があって女の子になっているのでしょう」

 

ソーナさんは匙の疑問に簡単に答えていた。流石ソーナさんですね。殆ど正解ですよ。

 

「ソーナさんの言う通り、私は体の調子が悪くなり倒れてその時に魔力を安定させるために魔力を一気に大量に放出したため、この姿になりました。あまり詳しく話すと長くなるので詳しくはセラフォルーさんにでも聞いてもらえると、嬉しいです」

 

私がそう言うと、ソーナさんは軽く頷いた。

 

「そうだったのか。ツバサちゃん…いや、ツバキちゃん。本当に……ありがとう! 俺は無茶苦茶嬉しいよ!! 本当に…本当にありがとう!!」

 

「私からも、ありがとうございます。この様な貴重な物まで頂いて…。これは大切に保管しておきましょう。」

 

「えぇ、大切にしてもらえると創った者として、とても嬉しく思います。あと、それがあれば何時でも地球連邦軍の本部に入れるのでもしお暇があれば遊びに来てください。本来ならそのバッチを持っている者だけしか入ることは出来ませんが、ソーナさんの眷属でソーナさんか匙さんのどちらかが持っていれば特別に全員入る事が出来ますよ~♪」

 

私がそう言うと、ソーナさんと匙は嬉しそうにしていました。匙は嬉しすぎてかなりテンションが上がっているようでした。

 

「ちなみに、ここにいる魔王様方や堕天使総督に副総督、天使長と熾天使の人達は、更に特例としてそのバッチ無しで入ることが出来ますけどね~」

 

「そうなのですか。本当になにより色々とありがとうございますね。ツバキちゃん」

 

「いえいえ、それほどでも。それに――」

 

「それに?」

 

「ソーナさんと匙の夢は本当に素晴らしくいい夢です。もしも、手伝って欲しいことがあればじゃんじゃん言ってくださいね♪ 私達地球連邦軍は全面的にあなた方の夢を応援しバックアップさせてもらいます。」

 

私がそう言うと、今日一番の驚きの顔になったソーナさん

 

「迷惑でした?」

 

「い…いえ!滅相もありません!! ま…まさか、私達の為なんかに、地球連邦軍の人達が手伝ってくれるだなんて、本当に夢にも思いませんでしたので…。驚いてしまっただけです。本当にいいんですか?」

 

「はい♪ これは、ここにいる人達を含め…ほかの兄さまと姉さま達も万一致で賛成した事です。もしも、学校を立てる土地がなければ私達がサーゼクスさんから貰った冥界の土地を使ってくれてももらいませんし、必要な資金も用意しますよ♪ それほど私達はあなた方の夢は素晴らしいと思いましたので。ここにいるサーゼクスさん達も同じ思いです。流石にサーゼクスさん達は立場上表だって動けないので言いにくいですが、私達は関係ありませんので、気にせずに行動が出来ますしね~♪

 と……言うわけです。私達も応援しますから、絶対にその自分の夢を思いを捨てないでください、諦めないでください。その思いは強く願えばきっと―――必ず叶いますから(ニコ」

 

私がそう言うと、ソーナさんに匙は顔を真っ赤にして固まっていました。どうしたのでしょうか? よく回りをみると、ほかの人達も同じような反応をしていました。

 

「…………その笑顔は不意打ちよ、ツバキ」(ボソ

 

「なにか言いましたか?皐月姉さま」

 

「い、いえ!なんでもないわよ。なんでも」

 

「そうですか?」

 

むぅ~…、なにか聞こえたような気がしたんだけどなぁ~。意識していませんでしたので、聞こえませんでした。 まぁ、いいでしょう。些細な事ですしね。

 

「そろそろ、他の方の所にも行きましょうか?レイジ兄さま、皐月姉さま」

 

「そうだな。じゃ~な、匙くん。お大事に」

 

「身体を確りと休めて回復してくださいね。学校の先生になりたいのであれば身体の体調はたいせつですからね。」

 

「そうですよ、匙。皐月姉さまの言う通りですよ。確りと休んで早く回復して、夢に向かって頑張ってくださいね~」

 

そう言って私達は匙の部屋をあとにしました。

 

 

 

 

私達は匙の部屋を出たあと、イッセーの部屋につきました。

 

私達は扉をノックしてはいろうと、ノックしました。

 

  バシン!!

 

突然大きななにかを叩く音が聞こえてきたので、返事を待たずに入ると、そこには―――

 

オーディン様がお付きのヴァルキリーさんに1m程のハリセンに頭を引っ叩かれて、唖然としていたイッセーとリアスさんでした。

 

「イタタタ。もっと老人に優しくせんか。全く…。お? お主達も来たんじゃな。」

 

オーディン様は私達に気づいたのか此方に視線を向けてきました。それに気づいた、ヴァルキリーさんにイッセーとリアスさんが此方を向いてきました。

 

「そう言えば、オーディン様。このヴァルキリーさんは名前はなんと申すのでしょうか?」

 

私がそう聞くと、ヴァルキリーさんはオーディン様の隣の一歩前に出てきてお辞儀をしました。

 

「オーディン様のお付きをしている。ヴァルキリーのロスヴァイセといいます。よろしくお願いします」

 

「ロスヴァイセさんですね。よろしくお願いします。自己紹介はあの時に済ましているのでいいですね」

 

「はい。結城 椿さん。よろしくお願いしますね」

 

そうロスヴァイセさんとの挨拶が終わると、オーディン様が少し詰まらなそうにしていた。

 

「こやつは堅苦しいのじゃよ。さっきもただそこの娘のおっぱいを見ていただけなのに叩きおって……。それにしても相変わらずお主らはいい乳をしとるの~」

 

そう言ってまた卑猥な手の動きをしながら此方を見てきたオーディン様。

なるほど、だからさっき叩かれた音がしてきたのですね。

 

「もう!ですから卑猥な目は禁止だと、あれほど申したではありませんか!これから大切な会談なのですから、北欧の主神としてしっかりしてください!!」

 

また、構え直すヴァルキリーのロスヴァイセさん。大きさ的に叩かれたらかなり痛そうです。

 

「……まったく、隙のないヴァルキリーじゃて。わーとるよ。これから天使、堕天使、悪魔、ギリシャのゼウス、須弥山の帝釈天、そしてそこにいるレイジと今はいない光輝の地球連邦軍のトップ二人とテロリスト対策の話し合いじゃったな」

 

「そう言えば、俺も会議に参加するんだったな。試合に熱中しすぎて忘れかけてたわ」

 

……え?

 

「ちょっ!? なんて大事な事を忘れかけていたのですか!!! てか、その様な大事な行事があるなら伝えてくださいとアレほど言ってましたのに……」

 

「あはは…、いやぁ~…わりぃ~わりぃ~。先に伝えておくつもりだったけど、何時のまにか忘れていたわ。次から気をつけるから許してくれよ。な?」

 

レイジ兄さまは両手を合わせながら片目をつむってお願いポーズをしてきました。

 

「次から気をつけるから許してあげます。絶対次からは気をつけてくださいね。約束ですよ!」

 

「はい。了解です」(^-^ゞ

 

何故か敬礼しながらレイジ兄さまは約束しました。

 

「もう終わったかの?」

 

すると、オーディン様は困った様に聞いてきました。

 

「はい。スミマセン、うちの兄さまが…」

 

「ごめんな。オーディン様。危うく忘れるところだったよ」

 

「はぁ…まぁ、よいわ。サーゼクスの妹と赤龍帝。世は試練だらけじゃがな、楽しいこともたくさんあるぞい。存分に楽しんで、存分に苦しんで前へ進むんじゃな…こいつのように。若造を育てるのもよし。ツバキちゃんの様に仲間達と一緒に人々の平和の為に働くのも一つの方法じゃな。ほっほっほ」

 

オーディン様は可笑しそうに笑いながらお付きのロスヴァイセさんと共に何処かにいってしまいました。

 

私はオーディン様の言葉の事で、未来の此れからの事を考えながら、イッセー達の今回の試合の話やそれ以外のお喋りを楽しくしていました。

 



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18話 帰宅

 八月後半――私達は本邸前で帰宅の準備に入っていました。

グレモリー眷属の皆さんと私は荷物も準備し終わり、イッセーはリアスさんの両親…グレモリー卿とヴェネラナ夫人と挨拶を交わしているようです。 ここまでお話が聞こえてきますね。とても将来が楽しそうです♪

 イッセーも大変ですね。本人としては、話の内容がしっかりわかってれば幸せなんですけど。 まぁ、本人が気づくまでいつになるのやら……。

 ……え?わたしが教えればいい? ダメですよ~。これにかんしては、本人が気づかないといけません。でないと進展しないのでね。

 

 おや?お話が終わったようです。

 

「さて、みんな行くわよ!」

 

私達は荷物を持ってそのまま魔方陣で駅まで向かいました。

 

 

 

駅に着いてみんなさんは次々と荷物を列車に積み込みます。私はスキマにいれているので持つ必要も積み込む必要もないので、荷物はありません。

 

そして、そんな私はといいますとレイジ兄さまと皐月姉さまとお話をしています。

 

「つばきちゃん。私達は暫く冥界に残ります。まだ光輝兄さんのお仕事が残っているので」

 

「そうだな。俺も例の“妖魔”について光輝と調査をしなくちゃならん。お前は一端帰ってこの事をナツルと優子に伝えてくれ」

 

「はい、わかりました。気をつけてくださいね。皐月姉さま、レイジ兄さま。私もすぐに戻って参りますから」

 

「あぁ。わかっているさ。だから心配するな。俺も皐月もちゃんと無事にいるよ。なぁ、皐月」

 

「そうですよ。つばきちゃんは私達の大切な妹です。約束は必ず守ります。だからつばきちゃんもすぐにきてくださいね」

 

「はい!皐月姉さま。あ、あと此が私が調べた“妖魔”に関しての調査結果です」

 

私はスキマから一つのレポートの紙の束を渡しました。

 

「そう、ありがとう」

 

プルルルル~

 

「あ、列車が出発しそうです。では、暫くのあいだ頼みます!」

 

「おう!任しとけ!」

 

「えぇ、任しなさい」

 

私は列車に乗り込み、席に移動して窓を開けて私は窓から手を振ります。

 

「ツバキ姉さま、リアスお姉さま。お元気で~!」

 

ミリキャスの言葉に手を振って微笑む。

 

サーゼクスさん、グレイフィアさん、そしてミリキャス……親子のスリーショットを見て平和だと思った私でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在私は列車の席座りイッセーの宿題の講師をやっております。イッセーはどうやら夏休みの課題が多く残っていたらしくて、列車内でがんばっています。

 私ははとっくに終わっています。流石に量が多かったし、皆さんが修行中の間は何もすることがありませんでしたので、ミリキャスの相手をしながら一緒に勉強を頑張っていました。ミリキャスはやっぱりサーゼクスさんとグレイフィアさんの子供何だなぁ~っと思いましたね。とても頭が賢かったです。 それと、やっぱりまだ子供何だなぁ~とも思いましたね。何故かといいますと、たまにグレイフィアさんが私達の勉強会きてミリキャスと私の勉強を見てくれました。その時のミリキャスは、本当にとても嬉しそうにニコニコと笑顔でいました。それにグレイフィアさんも楽しそうに嬉しそうにしながら勉強を教えていました。そんな二人を見ながら私はホッコリと『平和だな~』っと思っていましたね。

 

――それから十数分後。

 

 宿題を終えたイッセーは、疲れのせいか寝てしまいました。隣のアーシアがイッセーに膝枕をやっていました。何だか嬉しそうな顔のアーシアです。

 

 私はそんな二人を見たあと、窓の外をみてボーっとしていました。

 

「(“妖魔”か………)」

 

 妖魔…生態系や生息地、種類や数等がわからなく突然現れては暴れて、突然消えるという摩訶不思議な謎の生物…。そもそも生物なのかもわからない本当に謎に包まれた何かなのだ。

 家にあった歴史書では今から100年前に地球に突然現れたと書かれていました。其からと言うものごくまれに出現しそこに住む生物を襲っているそうです。昔の人はそれを“鬼”と呼んでいたそうです。現に見た目が鬼の様な者もいれば、狼の様なもの、鳥の様なもの、カエルや蛇、魚や人形もいたそうです。挙げ句には鬼火や首なし、巨体でお腹に大きな口があるやつや下半身は蛇で上半身が鬼の様なものに腕が四本あるもの、カタツムリみないなものに人の体の様なものがあるバケモノ達も沢山いたそうです。

 これをほおっておくと生物は滅びる…と先祖の遺言に書いてありました。

 

 そんなバケモノを私達結城家は代々退治及び調査をおこなっていました。それでも最近新種の様なものが出てきて大変です。機械じみたやつまで出てきたので毎回調査が困難になってしまいます。本当にまいってしまうですよ。まったく………

 

「はぁ~……。深く考えすぎても体に悪いですし、今は休めるために寝ましょうか」

 

 私は横になり、そのまま意識を落としました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふあぁ~」

 

 だいぶん寝ましたね、私。さて、今は何処なのでしょうか? あら?どうやら人間界の地下ホームに到着しているようですね。

 

「ツバキ起きたかにゃ?もう、皆降りたにゃ」

 

 声が聞こえてきたので横を向くと黒歌がいました。もしかして、頭に柔らかいものがあったのって……私はいままで―――

 

「黒歌、もしかして膝枕してくれてた?」

 

「うん、膝枕してたにゃ」

 

やっぱり

 

「足…痛くなかった?」

 

「大丈夫にゃん♪ツバキは軽いし、それに可愛い寝顔を間近で見れたからそれでもう満足にゃん♪」

 

 そ…そうでしたか。てか、可愛いって…///恥ずかしい…なのです…///

 

「さ、さて!早く列車を降りましょう!黒歌」

 

 私は恥ずかしさをまぎらわすために慌てて列車を降りました

 

「はいはい、そんなに急ぐと転けちゃうよ~♪」

 

 そんな声を聞きながら私は急いで列車から降りて皆さんと合流すべく、黒歌と一緒に少し早めに歩いていました。暫く歩くと数メートル先にリアスさん達グレモリーメンバーを見つけたのですが、何故か困惑しているようで、私と黒歌は近くに駆け寄りました。そこにいたのは―――

 

「アーシア・アルジェント……やっと会えた」

 

 優男がアーシアに詰め寄っており、アーシアが困惑した表情で佇んでいるところでした。

 

「おいおいおい!!アーシアに何の用だ?」

 

その間に入り込むイッセー。 でも、この顔……何処かで見たことが―――

 

「僕を忘れてしまったのかな?僕とキミはあの時に出会ったはずだよ?」

 

 優男はそんなことは気にせず、服の胸元を開く。そこには大きな傷跡がありました…。

 

それを見たアーシアが、目を見開いていた。

 

「――っ。その傷跡は、もしかして……」

 

「そう、あのときは顔を見せられなかったけど、僕はあのときの悪魔だ」

 

その時、私は脳裏に浮かんだある悪魔の名前を思い出しました。

 

「――そうだ、ディオドラ・アスタロト。あの会合の時に顔合わせした上級悪魔ですよ!」

 

 ディオドラはアーシアに近づいたかと思ったら、手を握って手の甲にキスをしました。

 

イッセーは掴みかかろうとしたので私の能力を使いイッセーの動きを止めました。

 

「アーシア、僕はキミを迎えに来たんだ。会合のとき、挨拶が出来なくてゴメン。でも、僕とキミの出会いは運命だったんだと思う。―――僕の妻になって欲しい」

 

ディオドラは、私たちの目の前でアーシアに求婚したのでした。

 

 私達のあの暑かった夏が終わり、季節の変わり目となる秋がいま始まろうとしていた。



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番外編 夏です! 海です!! 海水浴です!!!

お気に入りが400人突破です!ありがとうございます!!m(__)m
今回のお話は、グレモリー眷属VSシトリー眷属のレーティングゲームが終わった二日後ぐらいのお話です。楽しんでもらえたら嬉しいと思います。 それではどうぞ♪


 グレモリー眷属VSシトリー眷属とのレーティングゲームが終り私達は夏休み最後のお遊びをするということで、現在とある場所に向かっています。そのとある場所というのは―――――

 

「海だぁーーーーー!!!!!!」

 

 イッセーが物凄い大声で浜辺に立ち海に向かって叫んでいました。

 

 そう、そのとある場所とは海の事なのです!更に現在私達がいる場所というとは、私の実家…結城家が保有する無人島なのですよ♪ 今回頑張ったご褒美ということで、リアスさん達グレモリー眷属と、ソーナさん達シトリー眷属の皆さんでこの無人島にレイジ兄さまが特別に招待しました。

 

「このような所に連れてきてもらい、ありがとうございます。レイジさん」

 

「私達も連れてきてくださり、ありがとうございました。レイジさん」

 

「ははは、喜んでもらえて何よりだ!お前達を連れてきたかいがあるってもんだぜ」

 

 私の隣でレイジ兄さまにたいしてお礼をいっている、リアスさんとソーナさん。

 

 実はこの無人島は、結城家というよりレイジ兄さまの私有地なのです。 私達結城家の兄弟姉妹には、お祖父様から各一人ひとりに 無人島をくださりました。大きさは一番大きな無人島でも精々オーストラリアの程度の大きさです。因みに此処は私がもらいました。最初はただの岩だけの荒れ地でしたが、私の『大自然を操る程度の能力』を使い自然を作り、私が保護した動物達を野放しにして、生物としての自然に近いものを作りました。基本的に次元の境界をいじり更にかなり強固な結界を張ったので他の世界と拒絶しまったく新たな世界として作りました。簡単に言うと“幻想郷”みたいなものですよ。

 

 因みに此処は3番目に大きな無人島です。淡路島の3分の2位の大きさですね。

 

「部長!早く海に泳ぎにいきましょう!」

 

 私が思いにふけっているとイッセーがリアスさんに叫んでいました。よほど泳ぎに行きたいみたいですね。

 

「わかったわ。あなた達は先にいきなさい。私達は着替えてくるから」

 

「サジ、私達も着替えてくるのであなたも着替えてきなさい」

 

「了解です部長!」

 

「わかりました、会長!行くぞ兵藤!!」

 

「おう!急いで着替えるか!!」

 

「「うおおおおお!!!」」

 

ドドドドドドド……

 

 イッセーと匙の二人は物凄いダッシュで走っていきもう見えなくなりました。

 

「元気だなぁ…あいつら。あと、女子更衣室はそこにある建物だからな。そこを使ってくれ。中に大きめのシャワー室もあるから好きに使ってくれよな」

 

レイジ兄さまが指差す所には、大きな建物があった。大きさ的には海の家よりも少し大きな建物だった。あんな大きなもの作る必要あったのかな?

 

「あれは、うちの部隊の女子達の為に作ったから大きめなんだ。だから気にしないでくれよ」

 

すると、レイジ兄さまが私を見ながらそう言った。

 

「え?何故考えてることがわかったのです?」

 

「お前は顔みてりゃ大体わかるさ」

 

「そうなのですか…。なんだかプライベートの侵害な気がしますよ」

 

「はははは!心の中を見れるお前に言われたくないな!」

 

「それもそうですね」

 

「んじゃ着替えてくっからお前も着替えろよ。皆行っちまったぞ?」

 

そう言うレイジ兄さまの言う通りもう女性陣は誰ひとりいませんでした。

 

「心配及びません。だって―――」

 

バッ!

 

「もう水着は来ていますので♪」

 

 私は服を一瞬で脱ぎ上に投げ落ちてきたのをキャッチした。

 

「はは、やっぱり着こんでいやがったか。それにしても似合ってるぜ?つばきちゃん」

 

 私の水着は今は女の子なので勿論ビキニです。色は水色、下はヒラヒラミニスカートの様なタイプになっています。

 

「ありがとうございます♪それでは私は先にいってきまぁ~す♪」

 

そして、そのまま海の方えと走り出した。

 

 バッシャァァァン

 

「あは♪冷たいです~♪」

 

 私は暫く泳いでいると男性陣と女性陣が集まってきました。

 

「あら?ツバキちゃん早いわね。それに水着とっても似合っているわよ」

 

「あらあら、とても可愛いですわ。」

 

「……ツバキ先輩、可愛いです。……胸が大きいです羨ましいです(ボソ」

 

「ツバキさん!とっても似合ってますよ!スゴく可愛いです!!」

 

「確かに可愛いな。それにおっぱいも大きいな」

 

「ツバキさんはやっぱり女の子になっても違和感がありませんね。むしろ男の子って言う方が違和感がありますね」

 

「確かにそうですね。会長。ここまで似合っていては男に戻っても着れると思います」

 

「さっすがツバキにゃ! どんな服でも可愛いくなっちゃうにゃん。 カメラもってきてよかったにゃん(ボソ」

 

「流石ツバキ様ですね。水着がとってもお似合いです! …………このままお持ち帰りできないでしょうか(ボソ」

 

「部長、皆!それにツバキちゃんもビキニありがとうございます!!」

 

「会長!ありがとうございます!!」

 

「流石、ツバキちゃん。水着が似合って綺麗だよ」

 

「ツバキ先輩、似合いすぎてドキドキします」

 

 みんな私の事を褒めすぎです。そんなに褒められると、恥ずかしいじゃないですか/// ただ、少し悪寒がしましたけど気のせいでしょうか?……気のせいですよね。

 そして、イッセーと匙は予測通り鼻血をだしてとてもにやけています。

 それに、リアスさん達もそれぞれにあった色と水着を着ているのでとても可愛くて似合ってますよ。

 

「おう、みんな集まってるな。お?みんな水着が似合ってるじゃないか。特に女性陣は綺麗だぜ」

 

 声が聞こえた方をみるとそこにはレイジ兄さまがいました。

 

 鍛えぬかれた体に、膝まである長さの水着と上から半袖のジャージを着ていて、前を全開にしていた。

 

 ハッキリいって元々イケメンでカッコよくて、調度いい鍛えぬかれた筋肉をしていて、更に水着が似合いすぎて、見惚れてドキドキしている自分がいました。

 周りをみると、男子女子問わずみんな見惚れていました。女性陣なんか顔が赤くなっていました。あと木場にギャスパーも………。

 

「ん?どうしたみんな。そんなに固まって」

 

 レイジ兄さまが首を傾げながらそう言いました。

 

「それは、貴方がカッコいいですからよ」

 

 すると、また別の人の声が聞こえたのでレイジ兄さまの後ろを見ると、アリア姉さまがいました。

 

 アーシアとは真逆で身長もスタイルもリアスさん並みにあってとても似合ってます。といいますか、なんだか少しエロく感じます。ちなみに、水着はビキニタイプで色は白色でした。

 

「まぁ…いいや。さて、今日は一日休みだ! パァーっと遊んで羽を伸ばせよ! んじゃ、解散だ!!」

 

『わぁぁぁぁぁ♪』

 

 レイジ兄さまの合図にみんなは各々に別れて遊びだした。

 

「そ~れっ!」

 

「きゃ!やりましたね~。えい!」

 

「ゃん♪アーシア冷たいわよ~♪」

 

ゼノヴィア、アーシア、レイナーレが浅瀬で水の掛け合いっこをやっていたり。

 

「兵藤一誠!彼処にいる木場の所まで泳いで勝負だ!!」

 

「おっしゃ!勝った方が負けたやつに何でも好きな命令を一つできる賭けな!絶対勝ってやるぜ!」

 

「はん!それはどうかな?俺は泳ぎは得意中の得意だ。お前なんかに負けるかよ!!」

 

「俺だって泳ぎは得意だ!こっちだって負けるか!!」

 

「では、位置について…よ~い――ドンっ!」

 

『うおりゃぁぁぁああ!!!!!!』

 

イッセーと匙が100メートル離れた場所に浮いている木場の所まで競争していたり。それを、コウモリになって審判しているギャスパー。

 

「白音~!お姉ちゃんが日焼け止めクリームを塗ってあげるにゃん。だからこっちに来るにゃん」

 

「遠慮します。そんなワキワキとイヤらしい動きしながら近づかないでください。穢れてしまいます」

 

「酷いにゃ!? てか、最近お姉ちゃんにたいして毒舌が酷くなってないかにゃん!?」

 

「気のせいです」

 

黒歌と白音がなかつつまじく(?)遊んでいたり。

 

「リアス!あのときのテニスの勝負の決着をしますわよ!」

 

「望むところよソーナ!いくわよ朱乃!!」

 

「はい、部長」

 

「こっちも行きますよ。椿姫」

 

「はい。会長」

 

リアスさんとソーナさん、朱乃さんと椿姫さんが、リアスさん&朱乃さんVSソーナさん&椿姫さんに別れてビーチバレーをやっていたりします。

 

 ちなみに、私は何処にいるのかというと―――

 

 ブクブクブク……

 

「やっぱり綺麗ですね~。色鮮やかなお魚さんがいっぱいいますよ。さすが熱帯魚ですね~。とっても綺麗です~」

 

 海中に潜っています。 ちなみに、私は永琳の能力『ありとあらゆる薬を作る程度の能力』を使い、無限酸素玉を作ってのみました。

 

 これは、文字通り一度飲むと無限に酸素が出て息つぎをしなくても海中で長時間の活動ができるのです。効果は、一年間は持ちます。ですが、普通の人なら流石に体力が持ちませんのでそんなにも潜れませんが、私は能力で体温調節もできるので関係ありませんけどね~。 あと、牙獣変化で海竜種の力を使えば永遠に海に潜る事も出来ますけどね。

 

「そろそろ、あがりますか」

 

 ブクブクブク……… ザバァァン!!

 

「ぷはぁ~♪ ふぅ~楽しかったぁ~♪ うん?なんだか陸の方が騒がしそうですね」

 

 私はドラゴンマスターのモードになり視力と聴力を上げて陸の方をみました。そこでみた光景は………

 

『イッセーェ…、オイル塗ってくれないかしら?』

 

『ま、マジですか!?喜んで塗らせてもらいます!』

 

『匙先輩…、オイル…塗ってくれますか?』

 

『匙くん、オイル塗ってくれる?』

 

『え…?ちょ、えぇ?ど…どうなってんだよ!?…てかマジですか!?』

 

 日焼け止めオイルの塗りあいという、エッチな展開になっていました。そして、暫く見ていたらイッセーの所はリアスさんの体オイルを塗っていたらアーシアとゼノヴィアが乱入して、大変な事になっていたり。匙の所は悪ふざけした生徒会の二人が少しエッチな事をして会長にバレて、会長と副会長の二人に匙も合わせて三人が正座させられ説教をされているという、なんともカオスな光景が広げられていました。

 

「私は暫くしてから戻るとしますか…」

 

こうして、私はもう少し潜る事となりました。

 

 ちなみにこのカオスな状況はレイジ兄さまとアリア姉さまが来て止めるまで続いてしまいました。

 

「よぉーし!もうすぐお昼だが、折角だし現地で調達するか。ちなみに野菜と肉類は既にこっちで用意してるから、心配しなくていいぞ? あとは、魚介類だけだ。この海には数千種類の魚達が泳いでいる。ここの無人島は栄養が豊富みたいでな、やたらと魚が集まってくるんだ。しかし、魚も多ければそれを食べに来るサメ等の危険な生き物もいるから気をつけろよ~」

 

『はい!』

 

 私達はいっせいに海に潜りました。ちなみに皆さんには無限酸素玉を飲ませているので長時間の活動が可能ですよ。

 

 暫く潜っていると、目の前に大漁の魚の群れが現れました。

 

「よし!水中なら私のステージなのですよ!」

 

私はコピー能力で獣類の力を使うときは、通称・牙獣変化と称しています。

 

「牙獣変化!モード『白海竜・ラギアクルス』!」

 

 私は光に一瞬包まれたあと、私の身体には頭には二本の角に、腰にはラギアクルスの真っ白な細い尻尾が生えて、髪の毛は白くなりました。

 更に爪は伸びて、眼はドラゴンの様な縦に切れた金色の眼をしていました。口は歯が鋭くなって八重歯が更に鋭くなっていました。

 

「がおーー♪」

 

 私は大きめの網をもって一気に魚の群れに突っ込みました。 捕まえた魚の量は50匹でした。因みに食べれない量は、家にもって帰るので多めに取りました。普段はこんなにも乱獲しませんよ? 自然は大切ですからね♪そして私はスキマにその網ごと魚をいれました

 

 更に暫く泳いで色々な魚を取っていた私は、いつのまにか魚の量が100を越えていました。 少し取りすぎちゃいましたね。魚さん達…ご免なさい。それと海の神様、こんなにもくださりありがとうございます。大切に確りと食べさせてもらいます。

 

 私は感謝をしたあと陸へと戻っていきました。

 

「はふぅー……。いっぱいとれました~」

 

 私は牙獣変化を解除せずに戻って参りました。

 

「おう。ごくろうさん。……って牙獣変化してるじゃないか。それにしても、相変わらずカッコいいよりも綺麗が勝ってるな。」

 

「うぅ~…。いつかは、カッコいいって言わせたいです」

 

 そう言いながら私は牙獣変化を解除してみんなが帰ってくるのを待ちました。 暫くしてみんなが帰ってきたので各成果を報告しました。因みに私が断トツの一番です。二番目はソーナさんでした。やはり水中では能力上ソーナさんが有利でしたね。

 

「さて、この豪華な食べ物達を使ってバーベキューといきますか! みんなはくつろいでろ、俺とアリアが特別に腕を振る舞ってやるぜ! 」

 

 そう言ったレイジ兄さまはアリア姉さまと一緒に作業にはいりました。私は手伝いましょうか…と言いましたが断られてしまいました。他の皆様も同様です。

 

 私やリアスさん達はレイジ兄さまが作業している少し離れた場所でのんびりと休憩をしていました。流石に泳ぎ疲れたのでちょっとしんどいです。

 

「流石に泳ぎ疲れたね」

 

「そうですね~。」

 

私とリアスさんがゆっくりしていると、朱乃さんが近づいてきた

 

「今日のツバキちゃんは凄かったですわ。特にあの魚の量は。どうやってあんなに量を?」

 

「それはですね、勿論能力を使ったのもありますが、そもそも私のもっとも得意な戦闘は水中戦なのですよ。ですので水中では私のステージなのです」

 

「そうだったのですか。だからあんなに沢山」

 

「そうなのですよ。実際もっと捕れましたが流石にあれ以上捕るのはいけませんので彼処までで止めました」

 

「そうですか。本当にスゴいですわ」

 

「えへへ。それほどでもありませんよ」

 

 バシャァァァン!!

 

 私と朱乃さんとで他愛ないお喋りをしていると突然何かが海中から出てきた。その海中から出てきたのは――――――

 

「……え?た…タコ!?」

 

 リアスさんが叫んだ。そうタコです。ですが、普通のタコではありません。何故なら―――――

 

「で…デカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

 イッセーが今日一番の叫び声を上げました。そう、でかいのです。それもかなり……。ざっとみて10mほどありますね。

 

「みっ、みんな!一斉に魔力を放って攻撃するわよ!」

 

『はい!』

 

 ズガガガガガガガガガ

 

 リアスさんの合図と共に一斉に魔力を放出したが、巨大タコは全て足で弾かれてしまいました。

 

『えぇっ!?』

 

 みんなは同時に驚いていました。勿論私もです。私の撃った雷属性の魔力弾も綺麗に弾かれました。

 

 キュピィーン!!

 

 シュバッ!

 

『きゃあぁぁぁぁぁああ!!!』

 

 巨大タコの目が光った(気がする)たと思ったら、巨大タコは私達を捕まえてきました。それも女性陣だけ……

 

 ニュルニュルニュル

 

「うぅん…ちょっ!何処を触ってるのよ!!」

 

「あらあら、はしたないですわ」

 

「……くっ!…屈辱です」

 

「ニュ…ニュルニュルしますぅ~!」

 

「…ん……ぁん…こいつ!離れろ!!」

 

「ひぃん!……ちょっ!おっぱいをそんなに揉むにゃぁぁぁぁ!!」

 

「やぁ……ぅん…あぁぁん!」

 

「ぅん…くぅ! なかなか力が強いですね」

 

「ぅあ…か…会長ぉ~!」

 

 みんな女性陣は物凄くエッチな事になっていました。

 

「ぐふぉ…!ぶ…部長、エロいです」

 

「会長!いま助けます!!」ドバドバドバ……

 

 イッセーと匙は鼻血をだして満身創痍状態でした。

 

「くっ!離れろ!!」

 

「いやぁぁん!引っ張らないでくださいぃぃぃ!!」

 

 何故か木場にギャスパーも二人一緒に捕まっていました。

 

 そして、私は………

 

 ニュルニュルニュルニュルニュルニュル……

 

「ぅん…にゃ!?ど、何処を触ってるのですか!!……ぁん……ダ、ダメですぅ~…」

 

 女性陣の中で一番大変なめにあっていました…。

 

ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュル

 

「……ひっ!……ゃあん…みゃぁ!……ちょ!水着をずらさないでくだ―――」

 

 ニュポン!ちゅぅぅぅぅぅ…

 

「ひにゃああぁぁぁぁぁぁあああ!?//////」

 

 いきなり水着を上にずらされたと思えば、タコの吸盤に胸を吸われてしまいました。

 

「……ひぅ…ひゃん!……ゃぁ…す、吸わないでぇ~……ッ!!」

 

『ブホォヮッ!!』ドシャッ!!……

 

 少し近くで何かふいて二人の倒れる音が聴こえた………

 

 ニュルニュルニュル………

 

「ひん…やぁ……だ…誰か……助けてぇぇぇ!!!!!!」

 

 ドンッ!!

 

「アリア!!いくぞ!!!!!」

 

「はい!レイジ!!」

 

 遠くから此方に気づいたレイジ兄さまとアリア姉さまが走ってきた。

 

『ハアァァァァァァアア!!!!!!』

 

 チャキィィン!……ズババババババババババン!!!!!

 

 ドサドサドサ……

 

 レイジ兄さまとアリア姉さまの剣で足は全て切り裂かれて、捕まっていた私達はそのまま地面に落ちました。

 

「最後の仕上げだ化けダコめ!!」

 

 そう言ったレイジ兄さまは空高く舞い上がり、愛刀の『雪姫』を両手にもって力いっぱい降り下ろしました。

 

「零式秘技!! 焔落としぃぃぃ!!!!!」

 

 ズドォォォォォォォォン!!!!!!

 

 レイジ兄さまが愛刀を降り下ろした瞬間、『雪姫』から炎が巻き上がり巨大タコは綺麗に丸焼きにされてしまいました。

 

「ふぅ~……。みんな、無事だったか?」

 

 レイジ兄さまはやりきったような顔をしながら皆の安否を確認しました。

 

「よし、大丈夫そうだな。ツバキ以外は…」

 

 すると、アリア姉さまが此方に近づいて私の胸を優しく撫でながら触りました。

 

「吸われていた胸は大丈夫ですか?」

 

 アリア姉さまは心配そうな顔で聞いてきました。

 

「は、はい。さっきアーシアにも回復してもらったので吸われた跡もなく、平気ですよ」

 

「そうですか。ならよかったです」

 

 私の言葉に安心したのか“ふぅ…”と小さくため息をするアリア姉さま。

 

「本当に大丈夫か?」

 

 心配そうに聞いてくるレイジ兄さま

 

「はい。本当に大丈夫ですよ。心配ありません」

 

「そうか?ならいいんだがな…」

 

 まだ心配そうなレイジ兄さま。心配してくれるのは良いのですが、心配しすぎるのはあまり良くないのですよ…。身体にも悪いですしね

 

「まさか、こいつがこんな所に住んでいたとはな…」

 

 レイジ兄さまがそう呟いた。

 

「レイジ兄さま…、この巨大タコの事を知っているのですか?」

 

「ん?ああ、こいつの名前は『メガオクトパス』実はこいつは“妖魔”の1体だ。」

 

「妖魔の1体ですか……」

 

 まさか妖魔の1体だったなんて………私の知らない妖魔ですね。

 

「こいつの特徴は、この巨体と普通のタコと違い足が12本あることなんだ。更に体質が厄介でな…。気づいたと思うがこいつには魔力や魔法系がいっさいきかん! 効くのは斬撃のみだ。打撃や銃撃もダメージは通るには通るが、あまり効果はないな。それに、こいつの補食するものが、生物の体液…。特に人間から出てくる汗などの体液が好物といった物凄い変な妖魔だ。こいつ中には吸血鬼や狼のように血や肉を好んで食うやつもいるが、基本的に無害の奴なんだが…。ただ、何故か人間は主に女しか狙わんというエロい妖魔なんだよ。たまに男も狙うらしいが、あまりおらんな。

 取り合えず、簡単に説明すると冥界のモンスターでいうと、スライムや触手みたいな扱いだな! そいつらなんかよりも遥かに強いがな」

 

 なんですか?その変な妖魔は…。私のしってる妖魔の中で一番変な妖魔ですよ。まったく……

 

「まぁ…そういうことだ。因みにこいつはマダコが突然変異した妖魔だからな。味はかなりいい。結構栄養価も高くて食用にはバッチこいだぜ!」

 

 まぁ…、確かに妖魔の中にはこのタコのように突然変異で妖魔として扱うものもいるので食用になるものもいますが……。栄養価も高く美味しいなんて…。本当、妖魔の中で一番変な妖魔ですよ…

 

「飯も出来てるから食べようぜ!みんなお腹すいたろ?」

 

 きゅぅぅぅぅぅ……

 

 私のお腹から音が出てしまいました。

 

「……………ぁぅ///」

 

「ふっ、決まりだな。んじゃ!飯にすっか!!」

 

『はい♪』

 

 私達はみんなで捕ってきた魚に先程狩った巨体タコをバーベキューで調理しながら昼と夜に別けて食べて、夜はみんなで花火大会をやりました。

 

 こうして、私達の楽しい休日は終りを迎えるのでした。

 



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体育館裏のホーリー
1話 転校生なのです!


 ディオドラと出会ってから数日がたちました……

 

「またディオドラからか?」

 

「はい、まったくしつこすぎます」

 

 そう…、あの日以来ディオドラからイッセーの家にアーシア宛ての家具類が手紙(ラブレター)と一緒に送られてきているのです。

 

「椿、今回もよろしくな」

 

「はい、任せてください。レイジ兄さま。むしろ、ディオドラのおかげでうちの部隊の人達がいい家具が貰えて喜んでいるので、指揮も格段に上がってこっちも嬉しいのですよ」

 

 ディオドラの家具類はどれもこれも一級品ばかり。おかげで家族や独り暮らしの部隊の人達に横流しするととても喜んで貰えています。たまに人形等もくるのでそれは子供達に渡していっています。

 

「すまんな。こんなことにお前の力を使っちまって」

 

「本当にすみません…。ツバキちゃん」

 

「いえいえ、気にしないでください。レイジ兄さま、アリア姉さま。私はむしろ助かっているので。部隊の人達もおおいに喜んでおられますから。ですので気にしないでください。」

 

 私がお礼をいうと、また深々と頭を下げてくる。お二人は本当に良きお兄様にお姉様だと改めて思う私でした。そして、いつも通り私の目の前で熱々のイチャイチャバカップルでもあると思いました。

 

 もう…ですから人前でそんなイチャイチャしないでくださいよぉ~。とってもいずらいけど逃げにくい状況なのですのにぃ~!

 

 そんな私の思いも露知らず皐月姉さまがくるまでかれこれ30分目の前で熱々のバカップル夫婦の風景をみさせられました。おかげでこっちは顔が真っ赤でかなり心臓もバクバクなのですよ。

 

 それにしても、ディオドラ・アスタロト……。とても嫌な人です。そして嫌な感じもしました。ハイドラにドラグーンの調査が終わるまで手出しは出来ませんが………、私の予想では恐らく黒。それに…、よく私を襲ってくる下種とおんなじ匂いに感じもしました。それに、とても独特の男の人のイカ臭い匂いがキツかったです…。あとで、もう一度皐月姉さまに頭を撫でて癒してもらいましょう。

 それにしても、何か嫌な予感がずっと続いています。それも日に日に悪化している気がするのですが……、気のせいでしょうか? いえ、油断は禁物です。警戒を強めた方が良さそうですね。

 

「(さて…、その前に“彼等”をこっちに呼び戻しておきますか……。)」

 

 そして、私はスマホ(部隊用)をとりだしある人物に電話をかけました。

 

(pipipi)

 

「……あっ、もしもし?」

 

 私は数分間電話して話を終えました。これで私の準備はおしまいです。さて、ディオドラ・アスタロト。貴方はどう動くのでしょうね? フフフフフ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間はたち現在、駒王学園の自分のクラスにいます。あっ…、そう言えば夏休み前に私達にナイショで黒歌にレイナーレが学校に入っていたのは驚きでした。黒歌は塔城小猫の姉、塔城黒歌として三年生に。レイナーレは結城家の養子、結城夕麻として二年生になっていたのだ。それを知っていたのはリアスさん、朱乃さん、ソーナさん、椿姫さんの三年生組四人しかサーゼクスさん達に聞いていたのだ。私は黒歌とレイナーレがわざと驚かしたくて教えてくれなかったのです。今から数日前に夏休み明けの初日。レイナーレと黒歌も制服を着ていたのでビックリした私は全てを聴いた。そして、今回の事をきいたのだ。むろん、学校にきていた他のイッセー達もおおいに驚いて同じ質問をしていました。

 

 さて、そんな駒王学園にてレイナーレこと夕麻と私がいる教室ではザワザワと生徒たちが噂を話していた。

 

『おい、今日新しい転校生がくるんだってよ』

 

『マジか!? なになに? そいつって男?女の子?それとも……もしやリア充か!?』

 

『いや、安心しろ!少なくても我らが大敵ではない!もしかしたら男かもしれんが、噂では女の子の可能性が高いぞ。それもかなりの美少女らしい』

 

『そいつは本当なのか!? おぉ!俺達にも春がきたのか』

 

『可能性はある!』

 

『おっしゃぁぁあ!!!』

 

 ……と、こんな感じで朝から盛り上がっています。因みに私が何故学校に平気できているのかと言いますと、無意識を操る程度の能力を使い、生徒皆さまの記憶に意識を操り私の外見を気にしないで最初から女の子として認識させています。幸い“男の娘”として扱われていたので性別の変換を変えてることは気にしてもらいませんでしたが、万が一もあるので無意識を操りました。 でも、女の子になっても気にしてもらえないなんて………、それは男としても見てもらっていなかったと言いますよね…。シクシクシク…

 

 さて、そんなことよりも今回の転校生ですが、皆が思うほどの人ではありません。むしろ、美少女な彼女ですがもう既に“幼馴染み”で“想い人”の人がいるので、男性陣の皆さんの夢を潰す様で心が痛みますが、残念ですが諦めてください。

 

 さて、何故私がその人物を知っているのかと言いますと、それは今から3時間前………

 

―自宅・自室―

 

 チュンチュン

 

「ふわぁ~……」

 

 天気は晴れ、自宅の自室にて一人の少女が起床する。長く腰の半分を隠すほどの髪は寝起きにも関わらず見るだけでもサラサラとして一つも寝癖もついていなかった。少女はまだ眠いのか上半身を起こしたまま目を細めて こくりこくり と船を漕いでいた。少女と言うよりも見た目はかなり整っておりスタイルもモデルやグラビアが素足で逃げ出すほど整っていて美しい。胸も少女の姉妹ににたのかかなり大きい。

 暫くして少女は目がやっと覚めたのか右手を上に伸ばし左手で右腕をつかみ背筋を伸ばしていた。

 

 ……って、そんな説明はいいんですよ!なにやっているんですか私は!!

 

 暫くして私はベットから置き身じたくをし始めた。私は馴れた手つきでテキパキと無駄がなく身じたくは早く終わっていた。

 

 (pipipi)

 

「うみゅ?誰からでしょう…」

 

 私のスマホから電話がなり、身じたくを終えた少女はスマホを片手にとった。少女は電話の相手を見ると少し驚いたように固まり暫くしてから電話をとった。

 

「もしもし?何のようでしょうか?―――――――――――ミカエルさん」

 

 少女の相手はなんと天使長のミカエルだった。

 

『すみません。ツバキさん。今日は伝えたい事がありましたので連絡させてもらいました』

 

 私は少し驚いたが慌てずに話を続けた。

 

「用事とはなんです?」

 

『はい。そちらに一人スタッフを動員致しました』

 

「スタッフをですか?私の知っている人ですか?」

 

『はい、紫藤イリナですよ?』

 

あぁ~。イッセーのセカンド幼馴染の女の子でしたね。

 

「それにしても、急ですね」

 

 私は笑いながら話す。

 

『えぇ。そちらに天界のスタッフが一人もいないのはいけないと思い、彼女を送らせました』

 

「教会じゃなく、天界ですか。もしかしてイリナさんは天使にでもなったのですか?」

 

 私は冗談のつもり可笑しく笑いながら言ったのですが……。

 

『はい。紫藤イリナは私のエースとして転生いたしました』

 

「…………えぇぇぇええ!?」

 

ミカエルさんの返事を聞いて、かなり驚いてしまいました。

 

『それでは、私も仕事がありますので。これで……』

 

「え?ちょっと!ミカエルさん待ってください!!」

 

 私は慌ててミカエルさんを呼び止めた。

 

『はい?何でしょうか』

 

「ミカエルさん…。もしかして、“あのカード”が完成したのですか?」

 

 私が質問するとミカエルさんの言葉が止まる。私は何かダメな事をいったのかな?…と心配していたが………

 

『はい♪皐月さんやツバキさんのお力のおかげで無事に完成しました。本当にありがとうございます』

 

 ミカエルさんの声は本当に嬉しそうだった。内心心配していた私は少し気落ちしてしまったのはナイショです。

 

「そうでしたか。それで何故イリナさんをエースに?」

 

『それはいろいろありますが、彼女なら任せていいと思いましたのでエースにしました。一番の理由は彼女なら天使・堕天使・悪魔の架け橋になると思ったのです』

 

 そう嬉しそうに喋るミカエルさん

 

「そうでしたか。確かに彼女なら架け橋になるでしょうね。わかりました。私も彼女のサポートをしてあげます。どうせそのためにも連絡したのでしょ?」

 

『やはりわかっておりましたか。はい、彼女は少し心配していたので、彼女が尊敬している“慈愛の聖女”様のお力をも借りたいと思いまして』

 

「も…もう!ミカエルさん!からかわないでくださいよ!!///」

 

 私の叫びにミカエルさんはクスクスと笑っていた

 

『では、私はこれで』

 

「はい。またいつかゆっくりとお話ししましょうね、ミカエルさん」

 

『はい♪その時はお願いしますね。ではツバキさん、私はこれで……』

 

 ミカエルさんは電話をきったのか連絡が途絶えた。私は少し楽しくなりそうだと思いながら学校の準備をして、家を後にしたのでした。

 

―side out―

 

 ……てな感じで、今にいたります。さて、私が考え事をしていたら、とうとう皆さんのお待ちかねの時間がきました。

 

「えー、このような時期に珍しいかもしれませんが、このクラスに新たな女の子の仲間が増えます」

 

突然の担任教師による告知。その告知にザワザワとする教室。

 

「ツバキちゃん。もしかして転校生って今日の朝の……」

 

私に話しかけて来たのはレイナーレこと結城夕麻。今は同い年ということで“様付け”を止めさせて名前呼びにしています。いつも様付けを止めさせようとしているのですが『私はあなた様の専属メイドです。我が主を様付けするのは当たり前のことなのです。ですのでそのお願いは聞き入れ できません』と断られています。今回も様付けしようとしたのでかなり説得して部活中以外は名前呼びをするよう約束させました。

 

「はい。そうですよ、夕麻。やっぱり聞こえていましたか」

 

「はい。今日は私の番でしたので起こしに行こうと部屋の前に来たところ丁度聞こえてしまいました……」

 

しょんぼりとする夕麻。

 

「気にしないでください。別に身内にバレてヤバイようなお話しはしていませんので大丈夫ですよ。だから、元気だしてくださいよ。夕麻ちゃん」

 

「はいぃ…」

 

「ふぅ…、夕麻…今日のお昼は一緒にご飯を食べましょう。好きにしてもいいのでそれで元気になってください。」

 

「い、いいんですか!? わかりました!お願いします!!」

 

とても嬉しそうに喋る夕麻。本当に嬉しそうですね。

 

 さて、話を戻しますが、今私は転校生がどんな人物かを知っているのでいつも通りゆっくりとしています。隣のイッセーはクラスの男子と共にテンションを上げていた。私が『何故そんなに嬉しそうなのですか?』ともうしますと『だって、女子だぜ!そりゃ、テンションが上がりますって!』……とイッセーが言いました。

 

「じゃあ、入ってきて」

 

先生の声に促されてはいってきたのは――。

 

「紫藤イリナです。皆さん、どうぞよろしくお願いします」

 

自己紹介してペコリと頭を下げる栗毛の転校生。

 

 首から下げている十字架が輝きを放つ。以前と違い、髪型はツインテールにしていますが、あのエクスカリバー強奪事件で来日した紫藤イリナ本人ですね。それに、気配が天使の気配になっていました。本当にミカエルさんのエースになったのですね。

 

「それと、もう一人紹介します。入ってきてください」

 

 ガラガラガラ

 

 そこに入ってきたのは私と同じ髪の色で長さは肩まで、そして胸は私より小さいとはいえそれでも平均よりも大きい私と同じ顔の人…………って

 

「私の名前は、結城 優子よ! 趣味は読書に料理。大好きなものは妹と漫画ね♪ そして、私を見てわかっていると思うけどそこにいる椿の双子の姉よ。みんな、妹と一緒によろしくね♪」

 

 「ゆ…優子お姉ちゃん!?」

 

 私は余りにも驚きに声をあげてしまった。そしてその声に驚いたクラスの人達が此方をむく。私は恥ずかしくなり静かに座った。

 

 私は優子お姉ty……姉さまの予想外の登場に私は驚きつつ、優子姉さまの方をチラッと見ると、此方に気づいた優子姉さまが目ばたき信号で――――

 

キョ ウ ノ ホ ウ カ ゴ デ セ ツ メ イ ス ル ワ

 

 …といいました。まぁ、説明してくれるのであればこれ以上の質問はしませんよ。

 

 本当…驚きなのです

 

―ツバキside out―

 

 

―イッセーside―

 

「ちょっと来てくれ」

 

昼休みになり、男子や女子から質問攻めにあっているイリナの手を引き、俺、アーシア、ゼノヴィアの四人は人気のない場所へ急いで連れ出した。

 

 それは紫藤イリナ。俺のセカンド幼馴染。

 

まさか、敵としてここに来たわけじゃ……ないよな?今は三大勢力は協定を結んでいる。それにあのツバキちゃんを含めた地球連邦軍の人達も協定に入っている。じゃあ、イリナがここに来た理由は…?

 

「おっひさ~。イッセーくん!ゼノヴィア!」

 

ゼノヴィアに抱きついたイリナ。

 

「ゼノヴィア!元気そうでよかったぁ~。立場上複雑だけれど、素直に会えてうれしいわっ!」

 

「あぁ、久しぶりだね、イリナ。元気そうで何よりだけど……胸にかけてある十字架がチクチクと地味にダメージを与えてくるのは、天罰だろうか……」

 

元聖剣コンビのゼノヴィアも笑みを見せている。

 

「それよりもなぜ、ここに?」

 

ゼノヴィアが素朴な質問をする。

 

「ミカエル様の命により、使いとしてここに転校してきたの。詳しくは放課後で。噂の旧校舎で。ね?」

 

そう言って、イリナは可愛くウインクをした。

 

それならそれまで待つか。

 

俺達はそのまま昼飯を食べて放課後まで待つことにした。

 

 

―イッセーside out―

 

 

―ツバキside―

 

時刻は放課後、現在私は夕麻と優子姉さまと一緒に部室にいます。

 

「紫藤イリナさん、あなたの来校を歓迎するわ」

 

 今はオカルト研究部のメンバー全員とソーナさん、アザゼル、そして何故かレイジ兄さまとアリア姉さまのメンバーが集まり、イリナを迎え入れていた。

 

「はい!皆さん!初めまして――の方もいらっしゃれば、再びお会いした方のほうが多いですね。紫藤イリナと申します!教会――いえ、天使さまの使者として駆王学園にはせ参じました!」

 

 今いるメンバーの皆が拍手を送る。

 

イリナが「主への感謝~」とか「ミカエルさまは偉大で~」とか言い始め、皆は苦笑しながらも聞いていました。

 

それからしばらくして、アザゼルが口を開いた。

 

「おまえさん、『聖書に記されし神』の死は知っているんだろう?」

 

「せ、先生ぇぇぇ!!いきなりすぎますよっ!」

 

「イッセー、イリナがここに来たのは、そういう事を込みで任務を受けているんだ。 ここは三大勢力の協力圏内の中でも最大級に重要視されている場所の一つなんだぞ。そんな場所であるここに関係者が来るっていうことは、ある程度の知識を持って来ているということになる。そうだろ?アザゼル」

 

 レイジ兄さまはイッセーに聞かせながら、アザゼル先生に確認を取る。

 

「その通りだ。そうだろ?紫藤イリナ」

 

「もちろんです、堕天使の総督さま。レイジさん。安心して?イッセーくん。私は主の消滅をすでに認識しているの」

 

 頬を薄い朱に染めるイッセー。いらない心配をして恥ずかしくなったようですね。

 

 イリナは歩いてアリアさんの目の前に立った。

 

「お久しぶりです。アリアさん」

 

敬語で話すイリナ。

 

「お帰り、イリナ」

 

イリナを抱き寄せるアリアさん。たしか、過去に一度レイジ兄さまとアリア姉さまは旅をしている途中に魔物に襲われていたイリナさんを助けたんでしたっけ?

 たしか生存者はイリナさんだけだったとか…。まぁ…、死んだ神父さん達は裏で悪さをしていた人達なのでバチが当たったのかも知れませんね。聖書の神様・ヤハウェイは死んでいますけど…

 

「意外にタフだね。信仰心の厚いイリナが何のショックも受けずにここへ来ているとは」

 

ゼノヴィアの一言を聞いたイリナさんは、一泊置いた後……アリアさんから離れ、大粒の涙を浮かべながらゼノヴィアに詰め寄りながら叫んだ。

 

「ショックに決まっているじゃなぁぁぁぁい!心の支え!世界の中心!あらゆるものの父が死んでいたのよぉぉぉぉっ!?すべてを信じていままで歩いてきた私なものだから、それはそれは大ショックでミカエルさまから真実を知らされたとき、あまりの衝撃で七日七晩寝込んでしまったわぁぁぁっ!ああああああ、主よ!」

 

イリナはテーブルに突っ伏しながら大号泣してしまった。

 

 あらら、やっぱりそうなっちゃいますよね。夕麻も優子姉さまも苦笑い気味になっています。

 

「わかるぞ」

 

「わかります」

 

 アーシアにゼノヴィアが うんうん と頷きながらイリナさんをあやしていた。

 

 隣で同じくうんうんとしているレイナーレ。家で姉さま達の手伝いをしているカラワーナとミッテルトも伝えた当初は元気にするのに骨が折れましたよ…本当。

 

 すると、イリナはゼノヴィアに抱きついた。

 

「ゼノヴィアに別れ際、酷いこと言ったわ!ゴメンなさい!」

 

「気にしていない。あれは破れかぶれだった私が悪かった。いきなり、悪魔に転生だものな。でも、こうして再会できてうれしいよ」

 

「これからは同じ主を敬愛する者同志、仲良くできたら幸いです」

 

「そうね。私も前みたいに仲良くしたいわ」

 

 そんな三人を見ていたレイナーレが近づいていき……

 

「私は堕天使ですけれど、仲良くしたいです。いいですか?イリナさん」

 

「うん!大歓迎だよ!えぇ~と…」

 

「私の名前はレイナーレ。今は結城 夕麻と名乗っています。気軽に夕麻と読んでください」

 

「うん!じぁ~夕麻ちゃん!よろしくね♪」

 

「はい♪よろしくお願いします。イリナさん♪」

 

 うんうん…。とても嬉しそうにしているね夕麻。友達が増えるのは本当に嬉しそうだ。良かった良かったのですよ。

 

「よし、じゃ~…改めて紹介するね。私の名前は結城 優子よ。地球連邦軍の治療回復部隊の隊長をやっているわ。ちなみに私は三女で、この姿から分かると思うけど私とつばさは双子なの。私が姉でつばさが弟ね。これからよろしくね♪」

 

「俺は結城 レイジだ。地球連邦軍の副総司令官と近距離特攻部隊隊長をやっている。ちなみに兄弟姉妹の中では二番目の年で次男だ。よろしくなイリナ」

 

「私は結城 椿。訳があり今は女の子ですが普段は男です。そして、地球連邦軍 特殊部隊 特別調査班 総隊長を努めさせてもらっています。よろしくお願いしますねイリナさん」

 

「っ!よ、よろしくお願いします!!私はイリナですっ」

 

急にテンションの上がったイリナさん。相変わらず喜怒哀楽の差が激しい子ですね。

 

「ミカエルの使いってことでいいんだな?」

 

アザゼルの確認にイリナさんがうなずく。

 

「はい、アザゼルさま。ミカエルさまはここに天使側の使いが一人もいないことに悩んでおられました。現地にスタッフがいないのは問題だ、と」

 

「あぁ、そんなことをミカエルが言っていたな。ここは天界、冥界の力が働いているわけだが、実際の現地で動いているのはリアスとソーナ・シトリーの眷属と、光輝とレイジたち兄弟姉妹の地球連邦軍と俺を含めた少数?の人員だ。まあ、それだけでも十分機能しているんだが、ミカエルの野郎、律義なことに天界側からも現地で働くスタッフがいたほうがいいってんでわざわざ送ってくると言ってきてたのさ。ただでさえ、天界はお人好しを超えたレベルのバックアップ態勢だっつーのに。俺はいらないと言ったんだが、それではダメだと強引に送ってきたのがこいつなんだろう」

 

ため息を吐きながら言ったアザゼル先生。

 

「あぁ、俺のところにも連絡が来たな。まぁ、俺じゃなく今ツバキが住んでる家の部屋が一つ増えるくらいだから関係ないが……」

 

「やっぱりあの荷物はイリナさんのでしたか…」

 

 しばらくしてイリナさんはふいに立ち上がると、祈りのポーズをする。すると、イリナさんの体が輝きはじめ、背中から一対二枚の白い翼が勢い良く生えた。

 

私達、地球連邦軍組以外の全員が驚いたがアザゼル先生はあごに手をやりながら、冷静にイリナさんに訊く。

 

「――紫藤イリナといったか。おまえ、天使化したのか?」

 

「天使化?そんな現象があるんですか?」

 

イッセーがアザゼル先生に訊くと、アザゼル先生は肩をすくめた。

 

「いや、実際にはいままでなかった。理論的なものは天界と冥界の科学者の間で話し合われてはいたが……」

 

目を細めているアザゼルの言葉に頷いたイリナ。

 

「はい。ミカエルさまの祝福を受けて、私は転生天使となりました。なんでもセラフの方々が悪魔や堕天使の用いていた技術を転用して、それを可能にしたと聞きました」

 

「ちなみに、その手伝いは皐月とそこにいるツバキがいたな」

 

「はい。私と皐月姉さまの二人で手伝っていました。ただ、最近忙しくて皐月姉さまに任せっきりでしたけど、思ってた以上に早く完成していたのでビックリですかね」

 

「そうでしたか。ありがとうございます。ツバキさん! おかげさまで私はミカエル様のエースになれました!」

 

「いえいえ、私は少しお手伝いをしただけですよ」

 

 私とイリナさんの話が終わったのを見てイリナさんが話を続けた

 

「四大セラフ、他のセラフメンバーを合わせた十名の方々は、それぞれ、A(エース)からクイーン、トランプに倣った配置で『御使い(ブレイブ・セイント)』と称した配下を十二名作ることにしたのです。カードでいうキングの役目が主となる天使さまとなります」

 

アザゼル先生は、イリナの話に興味を持った目で聞いていた。こういった話が本当に大好きですからね……。

 

「なるほど『悪魔の駒(イービル・ピース)』の技術か。あれと堕天使の人工神器の技術を応用し、更に皐月とツバキの魔法に変換技術を組み合わせやがったんだな。ったく、伝えた直後に面白いもん開発するじゃねぇか、天界も。悪魔がチェスなら、天使はトランプとはな。まあ、もともとトランプは『切り札』という意味も含んでいる。神が死んだあと、純粋な天使は二度と増えることができなくなったからな。そうやって、転生天使を増やすのは自軍の強化に繋がるか……ん?そのシステムだと、裏でジョーカーなんて呼ばれる強い者もいそうだな。十二名も十二使徒に倣った形だ。まったく、楽しませてくれるぜ、天使長さまもよ」

 

アザゼルは楽しそうに笑い声を漏らした。

 

「……で、イリナはミカエルの『エース』ってところか?」

 

アザゼル先生は知っているようですが、なるべく自然に訊いていました。

 

「そう、私はAよ!ふふふ、ミカエルさまのエース天使として光栄な配置をいただいたのよ!もう死んでもいい!主はいないけれど、私はミカエルさまのエースとして生きていけるだけでも十分なのよぉぉぉぉっ」

 

あらら、目が爛々と……いやいや、暴走じみていますね。

 

「ミカエルも大変だな」

 

 アザゼル先生は同情の様な表情をしていました。頑張ってください、ミカエルさん。

 

イリナさんは私たちへ楽しげに告げる。

 

「さらにミカエルさまは悪魔のレーティングゲームに異種戦として、『悪魔の駒(イービル・ピース)』と『御使い(ブレイブ・セイント)』のゲームも将来的に見据えているとおっしゃっていました!いまはまだセラフのみの力ですが、いずれはセラフ以外の上位天使さまたちにもこのシステムを与え、悪魔のレーティングゲーム同様競い合って高めていきたいとおっしゃられていましたよ!」

 

驚くメンバーを尻目にアザゼル先生が感心していた。

 

「天使や悪魔のなかには上の決定に異を唱える者も少なくない。長年争い合ってきた仲だ。突然、手を取り合えと言えば不満も出るさ。しかし、考えたな、ミカエル。そうやって、代理戦争を用意することでお互いのうっぷんを競技として発散させる。人間界のワールドカップ、オリンピックみたいなもんだ」

 

 ふむふむ、スゴく楽しそうですね♪私達も出てみたいです。

 

「俺達も出てみたいな…。よし、ツバキ!優子!家族総出で造ってみるか」

 

 するとレイジ兄さまがそんなことを突然言い出しました。

 

「なんでよ?レイジ」

 

「いやな、俺達も『悪魔の駒(イービル・ピース)』や『御使い(ブレイブ・セイント)』みたいな奴を造ってさ、悪魔、天使、俺達の闘いをやってみるのも楽しそうだぞ?だから造ってみようと思ってな。それと、自分の部隊の全員が均等に参加出来るようにそう言うところも調節して作らないといけないな。それなら根本的な所はかなり違ってくるから始めの一から造らないといけないな」

 

 ……と、一人ブツブツと自分の世界に入ってしまいました。

 

「まぁ、レイジ兄さまは放っといてお話しの続きをしましょう。それにしてもそれはそれで楽しそうですけどね」

 

私の言葉にイッセーが首を傾げていた。

 

「じゃあ、俺たちグレモリー眷属と天使のゲームシステムが戦うこともあるんですか?」

 

イッセーの問いにアザゼル先生は首をひねる。

 

「将来的にはそうなるかもな。と言っても、すぐにじゃない。少なくとも十年……もしかしたら二十年後だ。ま、お前らはその頃ちょうど新人悪魔としてもいい時期だろうし、楽しめるだろうさ」

 

 うんうん、とても楽しそうでいいことですよ。こうなったらもっと早く出来るように私達も全力で手伝いましょうか? 幸いうちには沢山の優秀な技術者がいますしね♪

 

「もし、その時が来たら全力を出したいですね♪」

 

「おう!そんときは存分に戦え!」

 

楽しそうに答えたアザゼル先生。本当に楽しそうですよね~

 

「さて、次は何故優子姉さまがここの学園に通うことになったのか説明をください」

 

私が聞くと優子姉さまとレイジ兄さまが皆の前に出てきた。

 

「その事に関しては俺が説明をしようか。まず理由なんだが、流石にツバキ一人では最近きつくなってきているからな。それに、ここには回復役の部隊が余りにも少ない。てなわけで俺たち地球連邦軍から誰か一人を決めようとしたが、回復の部隊長でツバキの双子の姉である優子に決まったんだよ。なんだ?嫌だったか?」

 

そうレイジ兄さまが聞いてきた。優子姉さまの方を見ると少し顔を暗くしていた。

 

「いや、嫌じゃないですよ?ただ、いきなりでしたので驚いただけですよ。それに…」

 

「それに?」

 

「ゆ…優子お姉ちゃんと……一緒に学園に通うことができるので……あの…その………す…すごく…うれしぃ…です///」

 

 あうぅ~…恥ずかしくてみんなを見れません///

 

「ふ、そうか」

 

「うぅ~…ツバキィー!!お姉ちゃんは嬉しすぎて涙がでそうだよぉ~!!」

 

そう言いながら抱きついてきた優子姉さま

 

「ちょっ!?は…放してください!! は…恥ずかしいですよ!!///」

 

「うわぁぁん!………ウヘヘヘ」

 

 あ…あれ?なんだか悪寒が…。気のせいでしょうか?

 

「まぁ~その辺りの話はここまでにしておいて、今日は紫藤イリナさんの歓迎会としましょう」

 

ソーナさんが笑顔を見せながら改めて言った。

 

「悪魔の皆さん!私、いままで敵視してきましたし、滅してもきました!けれど、ミカエルさまが『これからは仲良くですよ?』とおっしゃられたので、私も皆さんと仲良くしていきたいと思います!というか、本当は個人的にも仲良くしたかったのよ!教会代表として頑張りたいです!よろしくお願い致します!」

 

『よろしくっ!!』

 

その後、生徒会のメンバーも合流して、イリナの歓迎パーティーが行われた。

 

 今回のパーティーの食事にデザートは私が全力をもって作ると女性陣の人達が何人かorzとなっていた。何故でしょうか…?(←プロ以上の腕前)



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2話 会議

イリナが派遣されて、優子姉さまが来てから数日後、私やイッセーたちは体育祭の練習や準備で、いつもより帰りが遅くなっていました。

 

今の時間は午後7時…。みんなは既に下校し誰もいない学校の中。旧校舎にあるオカルト研究部にて、何時もの私とグレモリーメンバー+優子姉さまとレイナーレが集まっていました。

 

「みんな、聞いてちょうだい。次の対戦相手が決まったわ」

 

リアスさんの言葉により静まりかえる部室内…。そんな中、私が話を続けた。

 

「それで、相手は誰でしょうか?」

 

「次の相手は――ディオドラ・アスタロト」

 

『――っ!!』

 

その言葉により、部室内にいる全員が言葉を失った。

 

 

 

 

 

 

時はすぎ二日後、夕方五時を過ぎた頃――。

 

「皆、集まってくれたわね」

 

学校から帰ってきていたイッセーたち。アザゼル先生とともに私とレイジ兄さまと優子姉さま、それにレイナーレこと夕奈に黒歌もイッセーの家に来ていました。

 

ある程度は事前に教えられていたので、準備はしています。

 

リアスさんは確認すると、記録メディアらしきものを取りだした。

 

「若手悪魔の試合を記録したものよ。私たちとシトリー眷属のものもあるわ」

 

この前の非公式ゲームの記録映像。用意していた巨大モニターの前にアザゼル先生が立つ。

 

「おまえら意外にも若手たちはゲームをした。大王バアル家と魔王アスモデウスのグラシャラボラス家、大公アガレス家と魔王ベルゼブブのアスタロト家、それぞれがおまえらの対決後に試合をした。それを記録した映像だ。ライバルの試合だから、よーく見ておくようにな」

 

『はい』

 

アザゼル先生の言葉にイッセーたちグレモリーメンバーが真剣にうなずいた。

 

「まずはサイラオーグ―――バアル家とグラシャラボラス家の試合よ」

 

サイラオーグってあの闘気の凄かった悪魔でしたね。

 

記録映像が開始され、数時間が経過する。私は興味津々に見ていたのですが、横を見るとイッセーたちの顔つきは真剣そのものになり、視線は険しいものになっていました。モニターに映っているのは圧倒的なまでの『力』。あのゼファードルとかいったいけすかないヤンキー悪魔とサイラオーグの一騎打ち。一方的にゼファードルが追い込まれていた。眷属同士の戦いはすでに終わっていました。見た感じではどちらもソコソコに強い者ばかりを眷属を有していました。でも、問題は『王』同士の戦いです。

 

最後の最後で駒をすべて無くしたゼファードルがサイラオーグを挑発し『サシで勝負しろ』と言っていました。それにサイラオーグは躊躇うことなく乗りました。

 

ゼファードルが繰り出すあらゆる攻撃がサイラオーグに弾き返されており、まともにヒットしても何事もなかったようにサイラオーグはゼファードルに反撃していました。

 

自分の攻撃が通じないことで、ゼファードルはしだいに焦りの色を濃くし、冷静さを欠いていっていました。

 

そこへサイラオーグの拳打が打ち込まれる。

 

幾重にも張り巡らされた防御術式を紙のごとく打ち破り、サイラオーグの一撃がゼファードルの腹部に鋭く打ちこまれました。

 

その一撃は、光輝兄さまが半分本気をだした時の威力と同等であると見て取れました。はっきりいってビックリです…。

 

サイラオーグは最後まで打拳と蹴りしか使っていませんでした。……なるほど。やはり光輝兄さまと同じ肉弾戦オンリーの…それも純潔悪魔でしたか。でも、純血悪魔なのに肉弾戦オンリーっていう情報は本当だったのですね。

 

「……凶児と呼ばれ、忌み嫌われたグラシャラボラスの新しい次期当主候補がまるで相手になっていない。ここまでのものなのね、サイラオーグ・バアル」

 

祐斗くんは目を細めていました。その表情は厳しいです。この人はリアスさんの眷属のエースです。この人なりに思うところがあるのでしょう。サイラオーグのスピードも相当なものでした。映像からは祐斗くんと同等かそれ以上でした。目の当たりにしてどう思っているのでしょうか。

 

「リアスとサイラオーグ、おまえらは『王(キング)』なのにタイマン張りすぎだ。基本、『王(キング)』ってのは動かなくても駒を進軍させて敵を撃破していきゃいいんだからよ。ゲームでは『王(キング)』が取られたら終わりなんだぞ。バアル家の血筋は血気盛んなのかね」

 

嘆息するアザゼル先生の言葉に、リアスさんは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。

 

「そういや、ヤンキー悪魔って、どのぐらい強いんですか?」

 

イッセーの質問にリアスさんが答える。

 

「今回の六家限定にしなければ決して弱くはないわ。といっても、前次期当主が事故で亡くなっているから、彼は代理ということで参加しているわけだけれど……」

 

リアスさんの言葉に朱乃さんが続く。

 

「若手同士の対決前にゲーム運営委員会が出したランキングでは…一位がバアル、二位がアガレス、三位がグレモリー、四位がアスタロト、五位がシトリー、六位がグラシャラボラスでしたわ。『王(キング)』と眷属を含み平均で比べた強さのランクです。それぞれ、一度手合わせして、一部結果が覆ってしまいましたけれど」

 

「……となると、問題はサイラオーグだな」

 

レイジ兄さまの言葉に驚くイッセーたちでしたが、リアスさんは理解しているように言う。

 

「えぇ、彼は怪物よ。『ゲームに本格参戦すれば短期間で上がってくるのでは?』と言われているわ。逆を言えば彼を倒せば、私たちの名は一気に上がる」

 

「簡単に言うが、俺が見た感じではアイツの力は光輝に近いぞ? あの筋肉だるまに近いとなると生半可な防御や攻撃は、突破されるか効かんぞ?その事を一番知っているのはお前たちだと思うがな。なぁ、優子に椿」

 

「えぇ、そうね。映像を見ただけでも彼の『力』はすごく伝わったわ。あの子の『力』は光輝に近いだろうね。少なくとも光輝の部隊の隊員達の中でも上位にいるでしょう。」

 

「はい。優子姉さまのいう通り私もそう思いました。それに彼が放った最高の一撃は光輝兄さまの半分本気をだした時の『力』と同等だと感じましたね」

 

『………………』

 

私達の言葉により静まりかえったグレモリー眷属の皆さん。ですが、それほどまでに巨大なライバルだということをわかって欲しいので、本当の事をつつみ隠さず伝えることにします。

 

「ま、グラフを見せてやるよ。各勢力に配られているものだ」

 

みんなが静まりかえった中、アザゼル先生が術を発動して、宙に立体映像的なグラフを展開させました。

 

そこにはリアスさんやソーナさん、サイラオーグなど、六名の若手悪魔の顔が出現し、その下に各パラメータみたいなものが動き出して、上へ伸びていきました。

 

丁寧にグラフは日本語でした。グラフはパワー、テクニック、サポート、ウィザード。…ゲームのタイプ別の分類ですね。あと一ケ所に『キング』と表示されています。『王(キング)』としての資質でしょう。リアスさん、ソーナさん、アガレスのシーグヴァイラがそこそこ高めですが、ソーナさんのほうが現時点ではリアスさんより高いです。注目のサイラオーグはかなり高めで、ゼファードルが一番低いようでした。

 

リアスさんのパラメータはウィザード――魔力が一番伸びて、パワーもそこそこ伸びていました。あとのテクニック、サポートは真ん中よりも少し上の平均的な位置を表していました。

 

そして…、サイラオーグ。サポートとウィザードは若手の中で一番低い位置にありましたが、パワーが桁外れでした。ぐんぐんとグラフは伸びていき、リビングの天井まで達しました。極端すぎるパワータイプだとよくわかります。

 

サイラオーグを抜く五名の中で一番パワーの高いゼファードルの数倍はあるだろうと見た感じ思いました。

 

「ちなみに、そこにいる地球連邦軍の三人を含めて結城家の兄弟姉妹を入れると……」

 

なぜか私達の顔が映り、すべてのグラフがどんどん伸びていって―――――。

 

「全員…計測不能だ!」

 

私も含めた兄さまや姉さま達の全員のすべてのパラメータが、天上に突き刺さってしまいました。

 

それを見たアザゼル先生がにこやかにしながら、そう言いました。

 

『それもそうですね』

 

なぜか皆が声を揃えて言いました。……うぅ、否定できない私が怨めしいです!

 

「ま、そんなところで話を戻すが……ゼファードルとのタイマンでもサイラオーグは本気を出しやしなかった」

 

パワーだけを見れば、魔王さま方と並んでもおかしくはないんですけどね。

 

「やっぱ、天才なんスかね、このサイラオーグさんも」

 

イッセーがそう訊くと、アザゼル先生は首を横に振って否定する。

 

「いや、サイラオーグはバアル家始まって以来の才能が無かった純血悪魔だ。バアル家に伝わる特色のひとつ、滅びの力を得られなかった。滅びの力を強く手に入れたのは従兄弟のグレモリー兄妹だったのさ」

 

その言葉にイッセーが驚く。でも、その情報を知っている私たち結城家の人達は驚きもしなかった。

 

「でも、若手悪魔最強なんでしょう?」

 

「家の才能を引き継ぐ純血悪魔が本来しないものをしてな、天才どもを追い抜いたのさ」

 

「本来しないもの?」

 

アザゼル先生は真剣な面持ちでイッセーに言いました。

 

「凄まじいまでの修行だよ。サイラオーグは、尋常じゃない修練の果てに力を得た稀有な純血悪魔だ。あいつには己の体しかなかった。それを愚直なまでに鍛え上げたのさ。どこぞの筋肉バカの様にな」

 

そう言いアザゼル先生が此方を見てきました。

 

「あはは…。家の長男が申し訳ありません」

 

皆の視線が集まる中、私達は苦笑いになり、私は謝りました。そんな中、私は今までしてきた仕事や修行を思い返していました。

 

「俺も光輝と一緒に修行をしてきたり、一人でしたりとしてきたが、サイラオーグに比べれば小さなものだな。あいつの修行は地獄そのものだったと思うぞ俺は」

 

そう自重気味にいうレイジ兄さま。確かに、私もレイジ兄さまや光輝兄さまも含め私達結城家の者はみな才能に恵まれていました。それに、嫁いだヴェネラナ夫人の娘のリアスさんも才能に恵まれていました。ですが逆にバアル本家のサイラオーグは才能に恵まれることはなかったのです。でも、才能のあるリアスよりサイラオーグのほうが何故強いのかは……、努力してきた賜物だからです。私なんか、転生する際に貰った力を開花させただけ……ただそれだけなのですよ。

 

かといって、光輝兄さまも魔力はイッセー並みで能力も超戦闘専用の能力でしたので、血へどをはくくらい体を…己の肉体を超人的に鍛えいじめぬいてきて、今の光輝兄さまができました。昔なんてレイジ兄さまと変わらない体格でしたのに…、今となっては筋肉バカがつくほどのムキムキの巨体になってしまわれて……。昔はレイジ兄さまに負けないくらいイケメンでカッコ良かったですのに…。今なんて、エッチでスケベな変態筋肉バカの戦闘狂といったダメお兄様ですのにね……。本当どうしてこうなってしまわれたのでしょうか?不思議ですね~…。

 

私がそんな事を思っている中、アザゼル先生は続けていました、全員に語りかけるように。

 

「奴は生まれたときから何度も何度も勝負の度に打倒され、敗北し続けた。華やかに彩られた上級悪魔、純血種のなかで、泥臭いまでに血まみれの世界を歩んでいる野郎なんだよ」

 

そう…、だからこそサイラオーグは自身の力に自信をもてるのでしょう。

 

「才能の無い者が次期当主に選出される。それがどれほどの偉業か。……敗北の屈辱と勝利の喜び、地の底と天上の差を知っている者は例外なく本物だな。まぁ、サイラオーグの場合それ以外にも強さの秘密はあるんだろうがな」

 

アザゼル先生の言葉にレイジ兄さまも続けて言った。

 

「そうだな。逆に才能があろうと落ちこぼれる奴もいる。自分を知ることも、世界を知ることもない者がそうなる」

 

ちょうどその時、試合の映像が終わってしまいました。

 

結果は、サイラオーグ―――バアル家の勝利。

 

最終的にゼファードルが物陰に隠れ、怯えた様子で自らの敗北を意味する『投了(リザイン)』を宣言することで戦いに幕が下ろされました。

 

映像が終わり、静まりかえった室内で私は言葉をはっした。

 

「いま見て分かるように、どんなに才能があろうと無かろうと、努力の次第で結果が代わります。才能が無くても努力を怠らず諦めずに修行を積み重ねる事によって才能がある者を圧勝する事も可能なのです。それほどまでに“努力”というものは大切なのですよ。才能が有っても無くても、決して努力は怠らない事! こんな私だって全ての能力を完璧に扱えるかと言われたら答えはNO.です。どんなに才能があっても使えなければ宝の持ち腐れ。そんな事があってはいけない…だからこそ私はいまも努力をして修行や鍛練を積み重ねて『力』を蓄えているのです。そうやってコツコツと日々の努力が自分の糧となります。だからこそ忘れないでください。どんなに才能があっても…どんなに才能が無くても…。努力は怠らず諦めずに最後までやりきること、そして天狗になって調子に乗らないこと。努力の次第で全てが変わる。だからこそ努力と言うのは大切なのですよ?

 皆さんも決して忘れないでくださいね♪」

 

『はい!ツバキ先生!』

 

私が喋り終えたのを気にアザゼル先生は言う。 ……ってツバキ先生って何ですか…まったくもぉ~

 

「先に言っておくがおまえら、ディオドラと戦ったら、その次はサイラオーグだぞ」

 

「――っ、マジっすか!」

 

イッセーが驚きながら聞くが、アザゼル先生はただうなずくだけ。

 

リアスさんも怪訝そうにアザゼル先生に訊@G。

 

「少し早いのではなくて?グラシャラボラスのゼファードルと先にやるものだと思っていたわ」

 

「奴はもうダメだ」

 

アザゼル先生の言葉にリアスさんたちメンバーが訝しげな表情になる。

 

その話に入ってきたの黒歌でした。

 

「あの私のツバキを襲おうとしたヤンキーなクソ悪魔……たしかゼファードルだっけ?ゼファードルはサイラオーグとの試合で完璧に潰れたにゃん。いまの戦いで心身に恐怖を刻み込まれたのよ。気も尋常じゃない乱れ方をしてたにゃ。」

 

「黒歌のいう通りです。彼の顔は恐怖に染まっていました。もう二度と復帰する事はないでしょう。それほどまでに彼の心に恐怖と言う名のトラウマを植え付けました」

 

黒歌の言葉に続き私も答える。

 

「あぁ、奴はもう戦えん。ツバキのいう通りサイラオーグはゼファードルの心――精神まで断ってしまったのさ。だから、残りのメンバーで戦うことになる。若手同士のゲーム、グラシャラボラス家はここまでだ」

 

余程の精神力がない限り、畏怖、恐怖を植えつけられて復帰する事は難しいのです。弱き精神力を持つ人は必然的に恐怖や畏怖を植え付けられると耐えられず壊れます。そして最後には、自己崩壊を引き起す…ゼファードルのようにね。

 

「おまえらも十分に気をつけておけ。あいつは対戦者の精神をも断つほどの気迫で向かってくるぞ。あいつは本気で魔王になろうとしているからな。そこに一切の妥協も躊躇もない」

 

アザゼル先生の忠言をメンバーの皆が真剣に訊いている。

 

リアスさんは深呼吸をひとつしたあと、改めて言う

 

「まずは目先の試合ね。今度戦うアスタロトの映像も研究のためにこのあと見るわよ。――対戦相手の大公家の次期当主シーグヴァイラ・アガレスを倒したって話しだもの」

 

『大公が負けた?』

 

イッセーたち数人が驚いている。

 

「私たちを苦しめたソーナ達は金星、先ほど朱乃が話したランクで二位のアガレスを打ち破ったアスタロトは大金星という結果ね。悔しいけれど、所詮対決前のランキングはデータから算出した予想にすぎないわ。いざ、ゲームが始まれば何が起こるかわからない。それがレーティングゲーム」

 

と、リアスさんが言う。

 

確かに、モノはやってみなければわからない。いくら強くても負けることはあります。

 

「けれど、アガレスが負けるなんてね」

 

そう言いながらリアスさんが次の記録映像を再生させようとしたときでした。

 

パァァァァッ――。

 

リビングの片隅で人一人分の転移魔法陣が展開しました。

 

確か、この紋様は……。

 

「――アスタロト」

 

私がつぶやく。そして、一瞬の閃光のあと、部室の片隅に現れたのは爽やかな笑顔を浮かべる青年だった。

 

その青年は開口一番に言う。

 

「ごきげんよう、ディオドラ・アスタロトです。アーシアに会いにきました」



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3話 ディオドラ・アスタロト

いま私達はリビングに移動しそのテーブルにはリアスさんとディオドラ、顧問としてアザゼル先生、私ははしっこの席で座っています。

 

朱乃さんがディオドラにお茶を淹れ、リアスの傍らに待機する。

 

「リアスさん。単刀直入に言います。『僧侶(ビショップ)』のトレードをお願いしたいのです」

 

トレードとは…『王(キング)』同士で駒となる眷属を交換できるレーティングゲームのシステムのことです。同じ駒同士なら可能だそうです。魔王のアジュカさんいわく…です。

 

『僧侶』――つまり、アーシアかギャスパーのどちらかですね。まぁ、ディオドラの言う『僧侶』は……十中八九アーシアでしょうけどね。

 

「いやん!僕のことですか!?」

 

ギャスパーが身を守るようにするが、イッセーが頭をはたく。

 

「んなわけねぇだろ」

 

後ろで待機している二人は漫才染みたことをしていました。本当…、この子もずいぶんたくましくなったものですね。少し前なら「ヒィィィィッ!ぼ、僕のことですかぁぁ!?」と、悲鳴をあげながら段ボール箱の中に逃げ込んでいたと思います。これも冥界での修行の成果なのでしょう。本当良かったとお姉さんは思いますね。

 

私はディオドラが『僧侶』と言った瞬間から、アーシアがイッセーと途中で遅れてきたアリアさんの手を強く握っていたことに気が付きました。それほど『嫌だ』という主張が見てわかりました。

 

「僕が望むリアスさんの眷属は――『僧侶(ビショップ)』アーシア・アルジェント」

 

ディオドラは躊躇いなく言い放ち、アーシアのほうへ視線を向ける。その笑みは爽やかなものだ。

 

――やっぱり狙っていましたか。

 

「こちらが用意するのは――」

 

自分の下僕…眷属が載っているであろうカタログらしきものを出そうとしたディオドラへリアスさんは間髪入れず言う。

 

「だと思ったわ。けれど、ゴメンなさい。その下僕カタログみたいなものを見る前に言っておいたほうがいいと思ったから先に言うわ。私はトレードをする気はないの。それはあなたの『僧侶(ビショップ)』と釣り合わないとかそういうことではなくて、単純にアーシアを手放したくないから。――私の大事な眷属悪魔だもの」

 

真正面からリアスさんは言い切った。……当たり前なのですよ。アーシアはリアスさんの眷属悪魔であり、今はイッセーの家族の一員なんです。それをトレードなどで済ませるぐらいなら、初めから私が締め上げていますね。それほど家族というものは私の中では大きなものなんです。

 

「それは能力?それとも、彼女自身が魅力だから?」

 

しかし、ディオドラは淡々と訊いてくる。

 

そこへ、リアスさんが最高の一言を言い放った。

 

「両方よ。私は、彼女を妹のように思っているわ」

 

「――部長さんっ!」

 

アーシアは口元に手をやり、翡翠の瞳を潤ませていた。リアスさんが『妹』と言ってくれたことが心底嬉しかったのでしょう。

 

「一緒に生活している仲だもの。情が深くなって、手放したくないって理由はダメなのかしら?私は十分だと思うのだけれど。それに求婚したい女性をトレードで手に入れようというのもどうなのかしらね。そういう風に私を介してアーシアを手に入れようとするのは解せないわ、ディオドラ。あなた、求婚の意味を理解しているのかしら?」

 

リアスさんは笑顔で言いかえす。最大限配慮しての言動でしたが、青筋を立ててキレているのは傍から見て一目でわかりました。

 

お見事!……と言いたいところですが、客人…それも他人の顔前なので我慢しましょう。

 

それでもディオドラは笑みを浮かべたまま。それが逆に不気味だ。

 

「――わかりました。今日はこれで帰ります。けれど、僕は諦めません」

 

ディオドラは立ち上がり、アーシアの元へ近寄っていく。そして、当惑しているアーシアの前へ立つと、その場で跪き、手を取ろうとした。

 

「アーシア。僕はキミを愛しているよ。だいじょうぶ、運命は僕たちを裏切らない。この世のすべてが僕たちの間を否定しても僕はそれを乗り越えてみせるよ」

 

余りにありがちな気障らしい言葉と共に、アーシアの手の甲にキスをしようとしていた。

 

ガシ!

 

いきなりイッセーがディオドラの肩を掴み、キスを制止させた。

 

「……」

 

無言で肩を掴む手に力を入れていくイッセー。すると、ディオドラは爽やかな笑みを浮かべながら言った。

 

「放してくれないか?薄汚いドラゴンくんに触れられるのはちょっとね」

 

イッセーの額右側に青筋が立ったのを見て、レイジ兄さまと私が止めようと動いたとき……

 

バチッ!

 

アーシアのビンタがディオドラの頬に炸裂した。アーシアはイッセーに抱きつき、叫ぶように言った。

 

「そんなことを言わないでください!!」

 

……あははは、あのアーシアがビンタをかますとは思わなかったですね。まぁ、おかげでイッセーやアリアさん、私と同じ家族思いでこういう輩たちが大っ嫌いな優子姉さま達を止める手間が省けました。ここで暴れられたら、確実にディオドラは死んでいたことだろうし、アスタロト家との問題にもなっていたでしょうね。

 

ビンタまでされても笑みを絶やさないディオドラ。ここまで来ると、不気味を通り越して危険に近い。てか…キモいです。

 

「なるほど。わかったよ。では、こうしようかな。次のゲーム、僕は赤龍帝の兵藤一誠を倒そう。そうしたら、アーシアは僕の愛に答えて欲し――」

 

「おまえに負けるわけねぇだろッ」

 

イッセーが面と向かって言い切った。流石に私が手を出すと、立場上それこそ問題発展に繋がるからてが出せませんね。

 

「赤龍帝、兵藤一誠。次のゲームで僕はキミを倒すよ」

 

「ディオドラ・アスタロト、おまえが薄汚いって言ったドラゴンの力、存分に見せてやるさっ!」

 

睨み合うイッセーとディオドラ。そのとき、アザゼル先生のケータイが鳴った。いくつかの応答のあと、アザゼル先生は全員に向けて告げる。

 

「リアス、ディオドラ、ちょうどいい。ゲームの日取りが決まったぞ。――五日後だ」

 

「次に会う時はレーティングゲームで。アーシア」

 

「お前は俺が…俺達が絶対倒す!!」

 

そのあとディオドラは魔方陣で帰っていった。

 

その時私は回りに気づかれずにこっそりと魔方陣に通信機の魔方陣を繋げていた。これで何処にいるかわかりますね。

 

 

 

 

 

 

その深夜…何時も通りの進路でイッセーは悪魔稼業を頑張っていました。そこへ、私はスポーツドリンクを持ってベンチに座っていたイッセーに近づいた。

 

「いつもお疲れ様です。イッセー」

 

「つ…ツバキちゃん!? ど、どうしてここに?」

 

「いつも頑張っている皆様に差し入れをと思いましてあちこち動き回っておりました。最後がイッセーでしたので来たのですよ」

 

「おう、サンキューなツバキちゃん」

 

そう言ったイッセーはスポーツドリンクのキャップをとり、ゴクゴクと一気に半分まで飲み干したあと、一息ついていた。

 

「さて…と。いい加減に出てきてもらいませんか?お二人さん♪」

 

いきなり話しかけた私を呆然と見つめていたイッセーでしたが、気配が現れると咄嗟にベンチから立ち上がって後方の闇夜を睨めつけた。

 

「なーんだ、バレてたのか。おひさ赤龍帝、それと『黒き疾風の破壊者』いや…今は女だから『白銀の舞姫』だったか?」

 

そう、笑いながら言う美猴。

 

「うるさいです。美猴。」

 

「び、美猴!何でおまえが!」

 

「おいおい、そのネームは裏のモノだ。表の名で呼んでくれよ」

 

闇夜から現れたのは、ラフな格好の美猴。

 

「ま、相棒の付き添いでさ」

 

闇夜からもう一人姿を現す。

 

「二か月ぶりだ、兵藤一誠」

 

白ワイシャツ姿のヴァーリだ。

 

「ヴァーリッ!」

 

「待ってください。イッセー」

 

警戒を高めるイッセーに片手を出して制する。

 

「ヴァーリ、イッセーに何の用があってきたんですか?」

 

私は警戒を高めているイッセーの代わりにヴァーリに問いかける。

 

「レーティングゲームをするそうだな?相手はディオドラ・アスタロト、アスタロト家の次期当主」

 

「それがどうしましたか?」

 

「気をつけた方がいい」

 

はぁ…やっぱり。

 

「……どういうことだよ?」

 

警戒を少し解いて問いかけるイッセー。

 

「記録映像はもう見たのだろう?アスタロト家と大公の姫君の一戦だ。俺も盗んで見ているからな」

 

そう、ディオドラの帰った後にそのゲームの映像を見ていたのです。

 

試合はディオドラの勝ちでしたが、不自然なほどディオドラの実力は圧倒的で、あいつだけがゲームの途中から異常なほどの力を見せつけてアガレスのシーグヴァイラとその眷属を撃破していました。

 

ディオドラの眷属は奴をサポートするぐらいで、『王』自ら、孤軍奮闘、一騎当千の様相を見せていました。ちなみにディオドラは魔力に秀でたヴィザードタイプです。リアスさんを超える魔力のパワーでシーグヴァイラを追い詰めていたのです。

 

これを見て全員が訝しげに思った。ゲーム自体ではなく、ディオドラ本人のみに。ディオドラは急にパワーアップしたのです。それまではシーグヴァイラがかなり追いつめていたのでしたが、 急にパワーアップしたディオドラに逆転されていました。イッセーや他のメンバーが『実力をギリギリまで隠していた?』と考えていたようでしたが、それはありえません。いや、それをできる者はこの世界でもごく僅かです。私がディオドラを直接見た限り、ディオドラの中にある魔力の量は図り知れていました。確実にシーグヴァイラの方が上回っていたはずなのです。あの会場や数時間前のリビングでもそうでした…。

 

アザゼル先生はこの試合を生で観戦していたが、事前に得ていたディオドラの実力から察してもあまりに急激なパワーアップに疑問を感じたようてました。

 

リアスさんも同じことを言っていた。

 

「ディオドラはあそこまで強い悪魔ではなかった」

 

――と。

 

急激なパワーアップをする前のディオドラもある程度強かった。リアスさんより魔力量は多少劣る若手の悪魔なのだ。

 

しかし、試合の途中からディオドラは皆が驚くほどの力を発揮していました。

 

短時間であそこまで強くなれないことはないのですが、ディオドラはそのような事はしないでしょう。

 

私はこっそり映像をディスクにコピーして一旦自室にもどりハイドラとドラグーンと一緒にPCで確認していました。すると、ディオドラが急激なパワーアップをした瞬間、黒い影が一瞬、集中して見ていないと気づかないぐらいほんの0.3秒の部分に映っていました。

 

私はリアスたちグレモリー眷属以外の全員を私の部屋に召集させました。ちょうど悪魔稼業の最中でしたので、アザゼル先生も簡単に呼べました。

 

その時たまたま起きていた龍美…オーフィスが部屋に来て、その時に見たものを見て「これ…私の蛇」と言いました。その時に私達は『禍の団(カオス・ブリゲード)』に関わっていると確信しました。

 

「まあ、俺の言い分だけでは、上級悪魔の者たちに通じないだろうけど。キミ自身が知っておくぐらいはいいんじゃないかと思ってね」

 

イッセーとヴァーリの視線が重なる。

 

「……一応礼は言っておく」

 

イッセーがそう口にした時、闇夜に人影が――。私は『見えて』いたが、ヴァーリと美猴は予想外だったようで、そちらへ視線を向けていた。

 

ぬぅ……。

 

闇夜から姿を現したのは、プロレスラーと言っても間違いのない質量の筋肉に包まれた巨躯のゴスロリ漢の娘だった。頭部には猫耳がついている

 

たしか…イッセーが言ってたミルたんでしたっけ?

 

イッセーのお得意様でよく呼ばれているそうです。

 

現れた瞬間、ヴァーリが二度見をしていた。我が目を疑ったのでしょう。

 

そう言う私も二度見しましたけどね。だって覇気がスゴいんですもん。……それにしても、何処かで会っているような気がぁ…?……やっぱり気のせいでしょうか?

 

「にょ」

 

手をあげ、イッセーにあいさつをして、横を通り過ぎていく。

 

「頭部から察するに猫又か?近くに寄るまで俺でも気配が読めなかった。仙術か?」

 

ヴァーリが真剣な面持ちで美猴に訪ねた。その気持ちはよくわかります。ミルたんは見えていても気配を感じ取ることが出来ないことがあるみたいです。今だってそうですもん…。

 

「いんや、あれは……トロルか何かの類じゃね?……猫トロル?」

 

「ぶっ」

 

イッセーは何故か吹き出して笑った。何処に笑うようそがあったのでしょうか? よくわかりませんね。

 

そんな事を思っていると、ミルたんが私の横を通り過ぎようとしたとき…、ミルたんと私の視線が重なった。

 

そしたら――――ミルたんが固まった。

 

突然の事に少し『?』になる私。そしたら―――

 

「つ…ツバキ様!? ど…どうしてここに! 」

 

……とかなり驚かれた。私の方が驚きですよ。

 

「はっ! これは失礼いたしました!! 」

 

すると、ミルたんはいきなり私の目の前で騎士がやる様な、方膝を地面に下ろしもう方膝を上げる、服従のポーズをやっていた。

 

「ちょっ!? い…いきなり何ですか!貴方!……てか、誰でしょうか?」

 

私がそう言うと、ミルたんは驚愕した表情をしていた。

 

「わ…わからないのですか?」

 

「はい。わかりません。その様な魔法少女?に猫耳を着ている漢の人なんて…」

 

私がそう言うと、ミルたんは固まったあと、自信の服を見て変な表情をしていた。

 

「すみません! こ…これは趣味でして…。その、私の名前は…三木龍介と申します。」

 

……三木龍介? 三木龍介…三木龍介…三木…龍介………あっ!

 

「三木龍介って…あの、光輝兄さまの右腕の『赤き破壊僧』の三木龍介さん!? ちょっ!どうしたのですかその格好! 何時もの修行僧見たいな服装はどうしたのですか!! な…何故その様なわけのわからない服装何ですか!?」

 

え…えぇ!い…いったい何故こうなったのですか?本当にどうしたのですかぁぁぁ!!

 

「す…すいません。隠れて過ごそうと思えば目立たない格好がいいと思いまして…、この好きなアニメのキャラの服を着ようと思いまして、この格好でございます」

 

……?目立たない…格好?……………………目立ってるよね、この格好って…。

 

「ま…まぁ…いいでしょう。趣味は人それぞれですし、それに…そのぉ…格好というか、自分が好きならいいでしょう。自身の役目を出来ているのでとやかく言うのはやめます。ですので此れからも地球連邦軍として恥じない様頑張ってください。いいですね?」

 

「はい!了解いたしました!!」

 

そう言って敬礼したあと、また何処かに行ってしまいました。

 

でもまさか、あの超がつくほど仕事真面目なあの人がそんな趣味があったなんて…。本当に人って言うのはわかりませんよね…。

 

「つ…ツバキちゃん?ミルたんのこと知っていたのか?」

 

すると、イッセーが聞いてきました。

 

「え?…あ、はい。あの人は家の…と言いますか、地球連邦軍の中でもうちら兄弟姉妹を除いた幹部クラスの中でもトップクラスの実力を持った、仕事真面目な優秀な部下です。でもまさか、あの様な趣味があった事には気づきませんでしたし、もっともこの駒王町にいたことじたいビックリですけどね」

 

あはは、本当にビックリですよ。

 

「あ…そんなんだ。(だからあんなにも力が桁違いに感じたのか…)」

 

まぁ、いいでしょうか。今回はビックリしましたがこんなことでいちいち驚いていたら身が持ちませんものね…

 

「まあ、いいか。帰るぞ、美猴」

 

ヴァーリはそれだけを言い残し、美猴と共にこの場をあとにしようとする。

 

「…待ってください。そのことだけを言いに会いに来たのですか?」

 

私が訊くと、ヴァーリは笑って答えた。

 

「近くに寄ったから、未来のライバルくんに忠言をしにきただけさ」

 

「じゃあな、赤龍帝、『白銀の舞姫』。なあ、ヴァーリ。帰りに噂のラーメン屋寄っていこうや~」

 

それだけ言うと、ヴァーリは美猴を引き連れて闇夜へ消えていった。

 

本当に自由気ままな人達ですね。

 

「さて、イッセー。私は先に帰っていますね!ではさようなら~」

 

そう言い私はイッセーと別れたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーと離れた町外れの森。私はそこに一人で来ていた。

 

「さて…、ハイドラ、ドラグーン。」

 

「「はっ」」

 

私が言うとハイドラとドラグーンが現れました。

 

「貴方達に伝えたい事があります。今から私は一人でディオドラ・アスタロトの尾行に行きます。そのため兄さま姉さま達にこの事は内緒にしておいてください。家にいるの優子姉さまやレイナーレと黒歌にもこの事は内緒にしておいてください。あと兄さま姉さま達には別の調査に向かったと伝えといてくださいね。決して尾行にいったなどと言わないでください。いいですか?」

 

「で、ですが主(マスター)!貴女お一人では危険です!ですから私のどちらかを…」

 

ハイドラが叫んでいますがそれを手で私は封じます。

 

「いえ、今回ディオドラは『禍の団(カオス・ブリゲード)』と関わりを持っている可能性が大いにあります。ですからあまり人を増やしたくないのです。幸い私はこういうものは得意ですので心配いりませんよ。それに、定期的に…というより一日に一回は連絡するのでそれまで待ってください。

 ですがもし…、私に危険が及んだ様であればその時は協力を頼みます。まぁ、余程の事がない限りそんな事はないでしょうけどね♪

 ですから心配しないでくださいね。ハイドラ、ドラグーン。」

 

「……わかりました。でしたら絶対に無茶だけはしないでください。いくら私達に主(マスター)に危険が及んだ時になる警告アラームがあるとしても、それは主(マスター)に危険が及んだ時ですので、あまりにも遅いのです。ですから絶対に無茶だけはよしてください。」

 

「そうです。ハイドラのいう通り無茶だけはよしてくださいよ。主(マスター)はいつもいつも無茶ばかりしますので此方はいつもハラハラしているんですから。ですから必ず無事に帰ってきてください」

 

「……えぇ、ありがとうございます。ハイドラ、ドラグーン。私はあなた方の様な心優しき仲間に出会えて心の底から嬉しく思います。

 

 では…行ってきます。私がいない間、部隊の事を宜しくお願いしますね?」

 

「「了解!」」

 

「……うん。では次こそ行ってきます」

 

「「お気をつけて行ってらっしゃいませ!ツバキ様」」

 

私はハイドラとドラグーンにお礼をしてディオドラ・アスタロトの尾行しに飛んで行きました。

 

さて、ディオドラ・アスタロト。貴方の化けの皮を全て剥がせてもらいますね!!首を洗って待っててください!!!




三木龍介はミルたんの本名がいい名前が思いつかなかったので、友人に付けてもらった名前です。それを使いました~♪( ´∀`)


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4話 収録・誘拐

―イッセー side―

あのディオドラが来た日から数日がたっていた。

 

俺達グレモリー眷属のみんなは今日、冥界でインタビューをうけるということで冥界に来ている。

 

「お待ちしておりました。リアス・グレモリーさま。そして、眷属の皆さま。さあ、こちらへどうぞ。」

 

プロデューサーの悪魔に連れられて、エレベーターを二台を使い最上階へと登る。

 

エレベーターが最上階に着き廊下に出て、少し進んでいくと壁にポスターがイベントスタジオ並みに貼られていた。そこに写っているのは部長だった。アイドルが売りに出た時と同じような感じで写っていた。

 

暫く歩いていると、廊下の先から見知った人物が人を十人ぐらい引き連れて歩いてきた。

 

「サイラオーグ。あなたも来ていたのね」

 

部長が声をかけた人物はバアル家の次期当主、サイラオーグだ。

 

貴族服を肩へ大胆に羽織り、臨戦的な気を漂わせている。

 

すぐ後ろについている金髪ポニーテールの女性って確か、サイラオーグの『女王(クイーン)』だったよな。綺麗な人だから覚えちまったぜ♪

 

「リアスか。そっちもインタビュー収録か?」

 

「ええ。サイラオーグはもう終わったの?」

 

「これからだ。おそらくリアスたちとは別のスタジオだろう。――試合、見たぞ」

 

サイラオーグの一言にリアスは小さく顔をしかめた。

 

「お互い、新人丸出し、素人臭さが抜けないものだな」

 

サイラオーグは苦笑する。

 

サイラオーグと部長は少し会話した後、お互いに握手を交わした。そして、サイラオーグは去って行った。

 

「部長、そろそろ行きましょう」

 

木場が部長に伝える。

 

「えぇ、そうね」

 

部長が歩きだそうとすると、スタッフらしき人がきてスタジオに案内してくれるそうで、ついていった。

 

その後、スタジオらしき場所に案内され、中へ通される。まだ準備中で、局のスタッフたちがいろいろと作業をしていた。

 

先に来ていたのであろうインタビュアーの女性が部長にあいさつをしてきた。

 

「お初にお目にかかります。冥界第一放送局の局アナをしているものです」

 

「こちらこそ、よろしくお願いしますわ」

 

部長も笑顔で握手に応じた。流石部長。上品な振る舞いだ。

 

「さっそくですが、打ち合わせを――」

 

と、部長とスタッフ、局アナの女性を交えて番組の打ち合わせを始めた。俺たち部長以外のメンバーは関係がないので少し離れた場所で待機する事にした。

 

スタジオには観客用の椅子も大量に用意されている。俺たちはこの椅子に座ってインタビューを聞くのかな?

 

「……ぼ、ぼ、ぼ、ぼぼぼぼぼぼ、僕、帰りたいですぅぅぅぅ……!!」

 

俺の背中でぶるぶる震えているギャスパー。……引きこもりにテレビ出演は酷かもなぁ…。てか、まだ治っていなかったのか? ディオドラが来たときあんな冗談を言えてたのに……

 

しばらくすると、部長が打ち合わせをしている時にスタッフの人がこっちにやって来た。

 

「グレモリーさんの眷属の皆さんにもインタビューをさせていただきます。どうぞこちらへ」

 

「あ、はい」

 

俺たちはスタッフの人に案内されながらスタジオをあとにしていった。

 

そして、俺たちはこの時知らなかった…。ツバキちゃんの身に危険が迫っていたなんて………

 

―イッセーside out―

 

 

―ツバキside―

あれから数日……、私はディオドラの後を追い一人で尾行を続けていた。

 

ディオドラが来たあの日以来、ディオドラは何の動きも出さなかった。基本的に一人でいるときの方が多いようだ。今はディオドラの眷属と一緒にいるところです。ちなみに、対魔力、対弾丸 斬撃、耐熱性に優れたお手製のシスターの服装を来ています。理由はディオドラが主に行くところが教会なのでこの服装です。

 

それにしても、ディオドラの皆さんは女の人ばっかりですね。それも、今調べたところ全員有名なシスターや信仰心が大きかったシスター達でした。何でこんなにもシスターが?……わからない。ただ――何か嫌な予感がします。 これはアーシアに絶対近けさせない方がかなり安全そうですね。

 

おっと…、ディオドラが動き出しました。私もついて行きましょう。でも何故自身の眷属も一人も連れて行かないのでしょうか?……これは怪しそうですね。

 

暫くディオドラについていくと、ディオドラはとある場所にたどり着いた。

 

そこは………

 

「廃…教会?」

 

な、何故廃教会何かに…。むっ?誰か来ました…。

 

「やぁ、ディオドラ・アスタロト君。久しぶりだね」

 

「えぇ、お久しぶりですね。シャルバ・ベルゼブブ様」

 

なぁっ!! シャ…シャルバ・ベルゼブブですって!? な…何で旧魔王派の一人が来ているのですか!? …………そうか、だからディオドラがオーフィスの『蛇の力』を持っていたわけですね!

 

「ディオドラ、これが今回の『蛇』だ。これを渡すのだから、しっかりと自分の仕事をするんだな。」

 

「わかっていますよ。兵藤一誠とリアス・グレモリーの抹殺。そして、僕はアーシアを僕の物にする。でしたね」

 

「あぁ、そうだ。絶対にしくじるのでないぞ」

 

「えぇ、わかっていますとも。それに、僕はあの薄汚いドラゴン何かに負けるわけがない。僕の方が断然強いのだから」

 

「……ふん。まぁいい。目的さえ達せれば私はそれでいいのだからな」

 

こいつらの目的は、リアスさんにイッセーの抹殺でしたか……。それにアーシアを自分の物にしたいと…。

 

「ふふふふ、早く君を僕の物にしてその清き心を堕落の底へ落としたいよ…。フフフフフフ…」

 

「まったく…。貴様の趣味は理解できん。信仰心の強いシスターを陥れ自身の物にし、そのあと壊れるまでひたすら犯して堕落させる。まったくもって悪趣味な奴だな…」

 

「ふふふ、貴方も人の事を言えないでしょう。」

 

「ふっ…、確かにな…」

 

「フフフ、それに、僕はまだもう一人捕まえる予定です」

 

「ほぉう。それは誰だ?」

 

「教会本部にいる。『慈愛の聖女』シスター・ツバキ………またの名を、地球連邦軍 副総司令官補佐『白銀の舞姫』です」

 

なっ!? あいつ私まで…。

 

「ほぉ…、あの『白銀の舞姫』か。しかし、奴の隣には常にあの『黒き疾風の破壊者』がついている。そう簡単に捕まるものなのか?」

 

「えぇ、そう簡単には捕まらないてましょうね。なんせあの地球連邦軍最強部隊、特殊部隊 特別調査班 総隊長…結城 翼がいるのですから。彼を出し抜こうとすればそれこそ骨が折れます。ですが、彼は今別行動で調査をしているとの事。ですからシスター・ツバキも今は一人。このチャンスを逃す訳にはいかないでしょう?」

 

「なるほどな。なら今がチャンスか…。まぁ、私の話はこれまでだ。これで私は失礼する」

 

「えぇ、また作戦の時にお相しましょう」

 

そう言ったあと、シャルバ・ベルゼブブは魔方陣で帰ってしまった。

 

………………。

 

まさか、ディオドラが私の事を狙っているなんて…。幸いにも男の時の翼と今の女の時の椿を別人だと思っていてくれているので助かりましたか…。

 

それにしても、彼の話が本当ならリアスさん達にアーシアが危ない!

 

これをハイドラに送信して早くここから離れなくてわ

 

(pi…)

 

「……よし。配信完了。これでここからさらなければ」

 

そう思い後ろを向こうとしたその時……

 

ガバッ!

 

「……っ!? むぐぅ!」

 

いきなり後ろから口と鼻を押さえられた

 

「むぐぅ!うむむむ!」

 

くっ!油断しました。まさかこんなにも近くに人がいたなんて……!

 

「むぐぐぐぐ…ぅぐ……」

 

く…、この匂いは…睡眠薬…。

 

「うぐ……う………うぅ…」

 

……だめ………意識が…もう………

 

「……う………ぅ~………………」

 

……ごめん…なさい………しくじり…ました……本当…に……ごめん…お兄ちゃん……お姉……ちゃん……―――――――――

 

―ツバキside out―

 

 

―ディオドラ side―

 

「ふぅ…」

 

まさか、今日あいつが来るなんて思っていなかった。本当に面倒だ。

 

それにしても、早くレーティングゲームをしたいな。早く…早くアーシア、――君を僕の物にしたい。あぁ…、早く堕落しきった顔を見たい…

 

「アーシア…君に早く会いたいよ…」

 

カツン…カツン

 

僕がそんな事を思っていると後ろから誰かがきた。

 

「ディオドラ様、ご報告があります」

 

どうやら、念のためにこっそり『禍の団(カオス・ブリゲード)』から連れてきた僕の部下がきたようだ。男にじたい興味ないから、僕は後ろに振り向かずそのまま聞くことにした。

 

「なんだい?」

 

「はい、先程こそこそと怪しい輩を発見いたしました。その輩は女性でシスター服を着ておりました」

 

シスター服?……なら教会の人か?

 

「連れてきて」

 

「はい。おい!連れてこい!」

 

男の叫び声により、数名の男が廃教会の入り口から出てきた。すると、その中の男のひとりにシスター服をきた女性が肩に担がれていた。

 

「こいつです」

 

ドサッ

 

男が乱暴に床に落とした。僕は彼女の顔を見ようと僕の方に向けるとその顔は――――

 

「なっ!! シスター・ツバキだって!?」

 

そう、あの『慈愛の聖女』シスター・ツバキだった。

 

ふ…ふふふふふ…。ま、まさかこんなラッキーな事が起きるなんてね…。探す手間がはぶけたよ。あぁ…、なんて愛おしいんだ。このシミの一つもない綺麗な白い肌。艶々して滑らかな手触りの髪。なおかつこのシスター服の上からでもわかるほどスラッとした体型で形の綺麗な美乳。それにこの綺麗で天使の様な寝顔…。あぁ…なんて綺麗な人なんだ。こんな人をあの地球連邦軍とかいう変な所に置いとく訳にもいかない。どんな奴かは知らないがいつも隣にいるという噂の男。結城 翼にも渡す訳にはいかないて。寧ろ不釣り合いだ。僕こそ彼女に相応しい男だ。僕は君を僕の物にする。

 

しかし、いきなりただ処女を奪うだけでは面白くない…。フフフ…良いことを思い付いた。これならこの子の純潔を奪い更に地球連邦軍をいのままに操り僕の組織にすることもできる。

 

「ふ…ふふふふふ…ふはははははははははは!!!!!!」

 

あぁ…なんて実に愉快なんだ!はははははは!!

 

僕の笑い声が教会に響きまくった…。

 

―ディオドラside out―

 

 

―ハイドラside―

 

我が主、ツバキ様がいなくなってから数日。あれから定期的に連絡が来ていた。どれも手懸かりがないと少し愚痴っている内容ばかりだった。

 

「はぁ…、ツバキ様は無事だろうか」

 

「無事だろう。ツバキ様が簡単にやられるものか。だから元気を出すんだハイドラ。我々は今ツバキ様の命で部隊を預かっておるのだぞ?なにをクヨクヨしている」

 

「ドラグーン…。あぁ…そうだな。いつまでもクヨクヨしてられぬか」

 

そうだ、いつまでもクヨクヨしていては、ツバキ様の側近等といったものをできぬ。ハイドラよ!頑張っていこうぞ!

 

(pipipipi)

 

「むっ」

 

すると、私の通信機にツバキ様から情報が流れてきた。ふむ…今日は随分とお早いようで。

 

「ツバキ様からか?」

 

隣にいるドラグーンが聞いてきた

 

「あぁ、そうだ。ふむ…なになに……………なっ!?なんだと!!」

 

「ど、どうした!ハイドラ!!なにがあった!」

 

ドラグーンが慌てていた。

 

「これを見てくれ!」

 

私はツバキ様からきた情報をドラグーンに見せる。

 

そこに書いていたのは―――

 

『○時○○分

 ○○にある廃教会にてディオドラ・アスタロトと「禍の団(カオス・ブリゲード)」所属、旧魔王派 幹部シャルバ・ベルゼブブとの接触あり。

 その接触にてディオドラ・アスタロトにシャルバ・ベルゼブブがオーフィスの「蛇」を渡した。

 シャルバ・ベルゼブブとディオドラ・アスタロトの目的は―――

 リアス・グレモリーと「赤龍帝」兵藤一誠の抹殺。

そして、ディオドラ・アスタロトはアーシア・アルジェントの誘拐の可能性あり。

 なお、この事は機密事項にて、地球連邦軍の幹部及び各三大組織の幹部――魔王、堕天使総督、天使長のみ伝えたし。

 この情報を至急に渡されたし。』

 

「なんだと!?ハイドラ、急ぐぞ」

 

「おう」

 

俺とドラグーンはこの事を急いで伝えようとした時………

 

ヴーヴーヴー!!!

 

俺とドラグーンの中に設置してある“警告アラーム”が“2つ同時”に作動した。

 

「なにっ!?…………この警告アラームは…まさか!?」

 

この警告アラームは間違いない!

 

「ドラグーン!!」

 

「おう!」

 

俺はドラグーンに叫ぶとドラグーンはわかっていたかの様に返事をした。

 

「見つけた。その情報を送ってきた○○の廃教会だ!このアラームが鳴るということはツバキ様の身になにか起きたということだ!急ぐぞ!!」

 

「あぁ、わかっている!」

 

ツバキ様……どうかご無事で!!

 

「「モードチェンジ!!『飛行モード』」」

 

ガチャン!ドウォォォォ!!

 

俺たちは飛行モードにチェンジしてマッハ30で目的地に急いだ。

 

―side out―

 

―光輝side―

 

「ふぁ~…。あぁ…よく寝た。」

 

俺は今は休憩時間で庭にある樹齢が1000年を超えた大木の枝の上で寝ていた。

 

ここは程よく日が差し込んでとても気持ちいい。つー君に教えてもらっていつもここで休憩している。

 

「うぅーん。今日も平和だな。いつもこんなに平和ならいいのにな。」

 

ほんと…マジで、いつもこんなに平和なら俺たちの仕事も減るものを…。

 

「ん?……なんだあれ?」

 

ゴォォォォォォ――………

 

やかましい音と共に空に何かが横切った。

 

「あいつは…、ハイドラにドラグーンだと?なんであんなにもスピードを出してたんだ?………………何か嫌な予感がする。これはひと波乱が起きそうだ。」

 

俺は起き上がり、木の枝から飛び降りて地面に着地した。

 

「さて…、一応幹部達とその部隊全員を集めておくか……」

 

ほんと、何か胸騒ぎがすんな。

 

「さぁ…てと。一仕事といきましょうかねぇ!」

 

俺は早足で基地の司令室に向かうのだった。

 

―side out―

 

―ハイドラside―

 

暫く空をもうスピードで飛んでいて目的地についた。

 

「ここだな」

 

ドコォォン!

 

俺とドラグーンは扉を殴り飛ばし破壊した。

 

「おい、取り合えずくまなく探すぞ」

 

「あぁ、わかった」

 

俺とドラグーンは別れて廃教会中を探しまくった。だが手懸かりがなかった。

 

「ツバキ様は何処にもいない。いったい何処に…」

 

「こっちもいなかった。くそ!何処にいるのだツバキ様は!」

 

ドラグーンも同じだったか…

 

「くそぉ………ん?」

 

俺が悔しくて床に拳を叩いていると、ふと顔を上げた先に白い小型端末が落ちていた

 

「おい、ドラグーンこれって…」

 

俺はその小型端末を手にとりドラグーンに見せる。

 

「これは…ツバキ様の!」

 

「やはりか…」

 

「あぁ…。ん?……あれは!」

 

ドラグーンが何かに気づき声を上げる。その視線の先にあったのは一輪の花だった。

 

「これは…“時の花”だ! ツバキ様が品種改良を能力で造った時に出来た、別名『記憶の花』。まさか…ツバキ様がこれを植えたのだろうか」

 

この『時の花』別名『記憶の花』はその名の通り、そのはえている場所で起きた出来事を一度だけ保存する事ができる花だ。特定の魔力を花にあてることによりその花が記憶したことを見ることができる、携帯式の便利な花だ。

 

「取り合えず見てみよう」

 

ドラグーンが花に手をかざすと、花が開きその中から小さな光の玉がでてきた。

 

その玉は宙に浮くと、眩い光をだし映像が写しだされる。

 

そこに写っていたのは……。ディオドラ・アスタロトとシャルバ・ベルゼブブが話していたあと、ツバキ様が男に口を押さえられ気絶し、ディオドラ・アスタロトがツバキ様を抱えて何処かに魔方陣で連れ去った所だ。

 

「ディオドラ…アスタロト!!」

 

俺は怒りのあまり、壁を木っ端微塵にしてしまう。

 

「その怒りは大いにわかるが今は押さえろ…。取り合えずこの花をもっていって、あの情報と共に総司令官に渡すぞ。いいな」

 

「……あぁ、すまねぇ。わかった。取り合えずこの情報を渡さなくては何もできん。取り合えずツバキ様の救出はその後だ……」

 

俺はドラグーンと共にこの情報と花をもって本部へ急ぐのだった………




さて、今回はこんなお話でした。にしても………

(作者「ツバキちゃんが拉致られただと!?くそ!ツバキちゃんを助けるのに人数が足りない!! 誰か…誰でもいい! 力を貸してくれる奴等を探してくるんだ!」

隊員『はい!了解しました!!』

はてさて…ツバキの運命はどうなるのか…。次項ご期待ください!!


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5話 怒りの作戦会議

―無side―

あれから、ハイドラとドラグーンは“花”と“情報”を持って地球連邦軍の本拠地である、結城家にある作戦司令室に来ていた。

 

そこでは既に、まるで最初からわかっていたかの様に現結城家当主で地球連邦軍の総司令官でもある長男、結城 光輝を始め、レイジ、皐月、ナツル、優子といった結城 翼(椿)を除いた五人の総隊長に続き、その側近のレイナーレ、カラワーナ、ミッテルト、黒歌、アリア、アイラ。そして各部隊の幹部達が勢揃いしていた。

 

「ハイドラにドラグーン。何故お前達がそんなに慌てているのかを、全て話せ。これは命令だ。いいな」

 

そう言われたハイドラとドラグーンは包み隠さずこれまで起きた全ての出来事を話した。

 

「―――以上が報告でごさいます」

 

ハイドラが言い終わると司令室の空気が恐ろしいほど重くそして凍っていた。幹部達の間ではざわつきが出ていた。

 

「……そうか。……椿が…な……」

 

光輝がそう言った瞬間――

 

ベキッ! バキバキバキバキバキ!!!

 

光輝の座っていた椅子の持ち手が握り潰され跡形もなく粉々に粉砕していて、光輝の身体から肉眼で見えるほどの濃密なドス黒いオーラが立ち込めていた。

 

周りを見ると光輝だけではなかった。

 

次男のレイジを始め、結城家の兄弟姉妹と側近のメイド一同からも濃密な怒りのオーラを出していたのだ。

 

それを間近で感じている幹部達は自分達もイラついているものの周りのオーラが余りにも凄すぎて、逆に冷や汗が滝のように駄々漏れだった。

 

「あの雑種が!! 俺たち地球連邦軍に喧嘩を売るだけではなく俺たちの妹で癒しの椿を拉致りやがって!!!

 あのくそ小僧はそんなにも死にたいようだなぁ…」

 

ドスの効いた怒りの声を撒き散らし、その声に反応して司令室全体がガタガタと震えていた。

 

「あと、くる途中で兵藤一誠の家に我々宛の物があったそうで、中身を確認したところこの様な一枚のDVDがありました。」

 

ドラグーンは光輝に一枚のDVDを渡した。

 

「なんだこれは?……まぁいい。取り合えず見るか…」

 

光輝はアイラにDVDをつけてくれとたのみ、アイラがカセットの中にDVDを入れて起動させると、映像が流れてきた。

 

そこに映し出された映像は――――

 

ディオドラとツバキだった。

 

ツバキは、両手を鎖で纏めて繋がれ、足も片足ずつに鎖で絞められて壁の様な所に座ってもたれかかる様に拘束されていた。

 

服装はシスター服なのだが、アーシアがいつも着ているシスター服なのだがビリビリに引き裂かれておりツバキの素肌が露になっていた。パンツや胸も見えるか見えないかのぎりぎりな所で破かれていた。

 

表情はまだ睡眠薬が効いているのか、スヤスヤと静かに眠っていた。

 

『やぁ、地球連邦軍の皆さん。始めまして僕の名前はディオドラ・アスタロト。ディオドラ家の時期当主で悪魔だよ。

 この映像を観ていてわかるように、君たちの大事なツバキちゃんは僕が預かっている。

 別にこれといった要求は無いが、あえて言わせて貰うなら僕の邪魔をしないでくれたまえ。

 なぁ~に…。別に殺しはしないさ。ただ、この子の全てを僕の物にするだけ。この子の純潔も心も身体も全て…ね。

 どうせ遅かれ早かれ僕の物になるんだったんだ。別にいいだろ?

 それに、そんなむさ苦しい男達がいて常に命の危険がある場所に置いとくよりも僕の所に置いとく方がよっぽどいいじゃないかな?

 ま…、そう言うわけだからさ。このまま僕が貰うね。あ、別に許可は要らないから。どうせ直に貰うし。

 そうだね…。折角だし唇から貰おうかな♪』

 

そう言ったディオドラが行った行動はツバキの顔に手を近づけて顎を右手で軽くもち、ディオドラは顔をツバキに近づけて自身の唇をツバキの唇に合わせる―――

 

そうキスだった。

 

それも普通のキスではなく舌を入れる大人のディープキスというやつだ。

 

ディオドラは見せつけるかのように深いディープキスをしていて、ピチャクチュといったなめなめしい音が映像を流れる。

 

『――プハァ!』

 

ディオドラがツバキの唇から離すと、ディオドラ舌を銀の糸が橋の様に繋がり延びていた。

 

ディオドラはそれを袖で拭き取り映像に視線を変えてきた。

 

 

『ふふふ、まずは唇を奪えたかな? まぁ、安心しなよ。まだこの子の下の純潔は残しといてあげるよ。理由は意識がないのに処女を奪うのは面白味がないからね。それと、もし出来たら君たちのの前で奪いたいな。妹の様に可愛がっている存在を兄や姉たちの見ている前で、絶望しながらも快楽に染まっていく顔を見るのはなんとも愉快なことか!

 あはははははは!!それじゃぁ、そう言うわけだからさ。君たちは大人しくしといてね。じゃないとこの子の命はないから。命令は無視しないでよね~。

ま、どうせたかが人間如きにこの僕が殺られるわけがないだろうけどね…。

それじゃぁ~……バイバイ♪』

 

最後にそう言い終えて映像が途切れる。最後のディオドラの顔は最高に歪みきった笑顔だった。

 

そしてそれを見た光輝たちの反応はと言うと………

 

「……やはりあの小僧……いや、雑種か…。最初は立場上、命だけは助けてやろうかと思っていたが、やっぱ止めるわ。

 アイツには死ぬなんてそんな生ぬるい事はしない。そんなことより死んだほうがマシと思うぐらいの最強の生き地獄を味会わせて、そして肉体的精神的に殺るか。

 おぉ~!俺ってなんて優しく寛大な人間なんだろうか♪はははははは!」

 

もう怒りを通りこして笑っていた。

 

「……さて、と。皐月、ナツル、優子、レイジ。お前達に頼みたいことがある。」

 

先程まで笑っていた光輝は、さっきとうって変わって真剣な表情になり、他の兄弟姉妹たちに頼み事をいう。

 

「あら、なにかしら?」

 

「うふふ、何でしょう?」

 

「何?」

 

「なんだ?」

 

皐月とナツルは笑ってはいるのだが、後ろから般若が見えていた。優子は目線で人を殺せるぐらいの殺気を出しており、レイジは無表情ながら濃密なドス黒い殺気を撒き散らし、すぐ隣の幹部の一人が気絶していた。

 

「皐月、ナツル、優子の三人は幻想郷に行き八雲紫を含めた幻想郷のメンバー全員にこの事を伝えて此方に連れてきてくれ…。レイジは幻想郷ではなく、地獄にいって四季映姫・ヤマザナドゥに助けを頼んでくれ。俺も別の所に行って手伝ってくれる奴等を連れてくる。

 他の幹部達は至急自身の部隊に戻りこの事を報告し、各支部からこの本部に集合してくれ!

 ハイドラとドラグーンは……」

 

光輝が何かを言おうとするとハイドラが手を上げて止めた。

 

「私達二人はツバキ様の命により別の仕事があります」

 

「別の仕事?」

 

「はい、別の仕事です」

 

ハイドラの答えに首を傾げて聴く光輝。

 

「その仕事ってのはなんだ?」

 

「その仕事は………」

 

ハイドラは一拍置いて言葉を繋ぐ。

 

「我らが部隊のエース。あの英雄たちが此処に帰ってくるのです。それの迎えをツバキ様に頼まれております」

 

ハイドラの言葉により司令室の空気が一気に熱くなった

 

「なに!!あの英雄たちが帰ってくるだと!」

 

「おぉ!それは本当か!?」

 

「これは…、ディオドラ・アスタロトはなんて運の悪い奴なんだ」

 

「確かにな…。彼らが自分の隊長が拉致られたと知ったら怒り狂い下手すれば大陸そのものが消えかねん」

 

「あぁ。しかしなんとも絶妙なタイミングなのだ。これは運命なのか?」

 

「あのツバキ様だ。あり得なくもないぞ?」

 

「でもこれで我々の心配もなんの事も無くなったな!ははは!」

 

幹部達はそれぞれそう口にして狂喜乱舞し舞い上がっていた。

 

「ほぉう。それは本当の事なのか?」

 

光輝も冷静には聴いているものの、声は高くなっていた。

 

身体も少し震えており、目もギラギラとさせていた。

 

「はい。この情報は確かです。なんせツバキ様から直々に教えてもらった事ですので」

 

「あいつらが帰ってくるか………

 ふふ…、くふふふふふ……くははははははは!!!!!!」

 

光輝は突然大笑いしだした。

 

「くはは……ふひぃ~、くふふ! げほっ!ごほごほ! ごほん。

 ふぅ…。すまんな。まさかこんなタイミングで“あいつら”が帰ってくるなんてな。本当に運命ってのはわかんねぇ~よなぁ…。」

 

光輝は心底楽しそうにそう言っていた。

 

「あぁ、わかった許可しよう。その代わりあいつらにもこの事は全て話せ。そんでもって俺が戻るまで本部で待機だ。

 ちなみにお前らもだ!! 俺の許可なくして勝手に行動した奴には重いバツをあたえる!いいな!!」

 

『はい!』

 

「よし、なら各自行動開始だ!!

 あのくそ悪魔の坊っちゃんに思い知らせてやるぞ!いったい誰に喧嘩を売ったのかをなぁ!!」

 

『了解しました!!!!!』

 

光輝の言葉を最後に幹部達や兄弟姉妹たちもみな各自に拡散した。

 

残ったのは光輝とメイド長アイツ、ハイドラにドラグーンだった。

 

「光輝様。ツバキ様は大丈夫でしょうか?」

 

ドラグーンが心配そうにそういう

 

「大丈夫だ。あのツバキだぞ?確かに今は女の子で、男の時よりも弱くなっているとわいえ伊達にお前らの部隊の総隊長を勤めてないんだ。それにアイツは文字通りの不老不死…。なにがあっても最悪死ぬって事はまずないさ…」

 

そうため息混じりにいう光輝。

 

「確かにツバキ様は不老不死であり死ぬことはないですが、今は仮にも女の子。あんな男が近くにいて尚且つ監禁され、更には唇を奪われ最悪処女をも奪われてしまうのですよ?

 いくらツバキ様といえども過去の事もありまた更に心に深い傷を負わせてしまわれます。次こそ完全に男嫌い…下手したら心を壊されてしまわれます。そんなことがおきてしまわれると、我々も悲しいです!! 兄でもある光輝様はそれでもよろしいのですか!!!!」

 

ハイドラは叫んだ。しかし光輝は表情をかえる事はなかった。

 

「確かにそうなってしまえば俺はハッキリ言って悲しいな。」

 

「だったら――」

 

「しかしだ!」

 

ハイドラの言葉を途中で止める光輝

 

「そうなる前にツバキを助けちまえばいいだけの話さ。確か奴の本来の目的はアーシアの誘拐にリアスとイッセーの抹殺のはずだ。運よく明後日がレーティングゲームの時だ。恐らくその時にこの二つをやろうとするだろうな。それに今DVDと奴の情報を見てわかった事は、奴は何より相手が絶望する顔を見るのが大好きな下種野郎って事だ。そんな奴の事さ。リアスとイッセーもすぐには殺さず、絶望を与えて楽しむだろう。アーシアも絶望をあたえるような事をしてその心と身体を蝕んで楽しむだろうな。それと似たような事もツバキにするだろうよ」

 

「しかし、もしツバキ様の意識が復活すればその時点でアウトでは?」

 

「いや、その心配はない。なんせ、男のツバサは薬やそういう類いの物は殆ど効かないが、逆に女のツバキは常人よりも2倍の効果がその身体を蝕む。幸いにも毒や劇薬といった物はアイツの固有能力によって全く危機はしないが、毒や劇薬でなければ効くんだよなぁ~。あとギリギリ劇薬でない媚薬もくらうな。

 まぁ、そんなこんなで、アイツが起きるのは早くても明後日。つまりレーティングゲームの時だ。その時にディオドラから居場所を聞き出せばいいさ。

 まぁ、そうなった場合はアイツは慢心して俺達とツバキに絶望をあたえるためにレーティングゲームの時に一緒に連れてくるだろうよ。バックには『禍の団(カオス・ブリゲード)』の連中もいるから公式に用意したレーティングゲームの会場とは別の会場を用意するだろうな。それも飛びきり特別製のな…。

 まぁ、そんなわけだ。俺達はそのまえに奴等を徹底的に潰すため地球連邦軍総動員で参加するってわけだな。

 この事は後でサーゼクス達にも俺が伝えておくから心配すんな。 それに、お前達にも働いて貰うんだぞ?ツバキを助けるために力を貸してくれよな」

 

「「はい!光輝様!」」

 

「んじゃ、そう言うわけだからさ。お前らも自分の仕事を全うしてこいよ」

 

「「了解!」」

 

光輝の話もおわり、ハイドラとドラグーンは消えていった。

 

「……さて。俺達も行こうか」

 

一段落ついて光輝は動き出した。

 

「何処に行くのです?」

 

隣にいた妻にしてメイド長のアイラが光輝に聞いた。

 

「ん?……あぁ。ちと面白い奴等の所へな」

 

「面白い…奴等ですか?」

 

「あぁ。ま、行ってからのお楽しみってね。さぁ!いっちょいきますか!」

 

「はい」

 

こうして光輝にアイラも動き出したのだった。

 

 



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6話 地球連邦軍…。全部隊集合!

急いで書いたので話がおかしいと思いますが楽しく見ていってください!

それではどうぞ♪


―無side―

 

あれから各自解散して、自分のなすべき場所へと向かっていた。

 

まずは幻想郷sideの皐月、ナツル、優子の結城家 三姉妹だ。

 

まず皐月は西行寺幽々子がいる白玉楼に来ていた。

 

「幽々子、紫。私達に力を貸して欲しいの」

 

皐月は目の前に座っている西行寺幽々子と『幻想郷の創立者』にして『妖怪の賢者』こと八雲紫と話していた。

 

「いいわよ。貴女の頭の中をいま見せてもらったけども……まさかツバキが囚われるなんてね。それもあんな事を………」

 

八雲紫は自身の能力で皐月の記憶を見たようだ。それを見た八雲紫は西行寺幽々子にも見していた。

 

それを見た二人はヤバイ程の妖力を出していた。

 

「えぇ、私も手伝うわよ。こんな屑にあの娘をこれ以上穢されてたまるもんですか。……確りとお仕置きしなくてわね~」

 

「そうね幽々子。この屑には確りと体の芯まで恐怖を味会わせないと私の怒りはおさまらないわよ。どうやって調理して殺ろうかしら」

 

二人して黒い笑みを出しながら話していた。

 

「ありがとう、二人とも。なら話は早いは。明後日のレーティングゲームの時に行動に移すから出来れば今日か遅くても明日までには幻想郷の人達をこっちに連れてきて欲しいの。回復なら優子が完璧までに回復するから存分に使ってちょうだい。もちろん戦闘の時もよ。今回は好きなように暴れてくれてもいいから」

 

「わかったわ。なら私は幻想郷の皆を連れてきてあげる。そのあとは戦闘の時に好きなように暴れさせてもらうわ。」

 

「えぇ、それで構わないわよ。それじゃ~よろしくね?」

 

「えぇ、まかせなさい」

 

「それじゃ、またね」

 

そう言って皐月は白玉楼を後にしたのだった。

 

続いて博麗神社。ここには結城ナツルが来ていた。

 

「霊夢、魔理沙、アリス。そう言うわけですので、手伝って貰えないかな?」

 

「いいわよ私は。ディオドラ・アスタロトって言ったっけ?……絶対殺してやるんだから…。よくも私達の大好きなツバキちゃんを誘拐したあげくあんな汚い口で穢してくれたわね。この代償は凄く重たいんだから!!」

 

「霊夢の言う通りだぜ!私も絶対許さないんだぜ!」

 

「私も霊夢に魔理沙と同意見よ。私も手伝うわ。」

 

怒りを露にしながら、『楽園の素敵な巫女』こと博麗霊夢、『普通の魔法使い』こと霧雨魔理沙、『七色の人形使い』アリス・マーガトロイド――はそう言っていた。

 

それをみたナツルは軽く頷き

 

「ありがとう。助かります。では、私はこれで失礼しますね。あとは紫さんから説明があると思いますのでそれまでここで待っていてくださいね」

 

「えぇ、わかったわ。アイツがくるまでおとなしく待っていてあげる。でも戦場では一切待たないから。」

 

「それで構いませんよ。でわこれにて失礼いたします…」

 

そう言ったナツルは目の前から霧のように消えたのだった。

 

 

お次は紅魔館。ここには結城優子が来ていた。

 

「―――てなわけで、手伝ってくれる?レミリア」

 

紅魔館の主、レミリア・スカーレットにたいして少し命令口調で言う優子。

 

そんな言葉にもかかわらずレミリア・スカーレットはどこ吹く風の様にしてカリスマ溢れる感じで座っていた。

 

「もちろんいいわよ。あのくそ悪魔達にはキッチリとこの世から退場してもらうから。ねぇ、フラン?」

 

レミリア・スカーレットがそう言うと隣にいた、妹のフランドール・スカーレットが大きく頷いた。

 

「もちろんよ、お姉さま! ツバキお姉さまを穢す奴等なんて全部私が壊してあげるんだから!!」

 

純粋な怒った顔でプンスカと怒ってはいるものの、言うことが物騒だ。

 

「お嬢様。準備ができました」

 

すると突然、メイド服を着た銀髪の女性が現れた。

 

「あら、咲夜。もう準備ができたのね。さすが我がメイド長だわ」

 

「お褒めの言葉ありがとうございます」

 

咲夜と呼ばれた女性は無表情ながらそう言った。

 

そう、この女性は紅魔館が誇る、完全で瀟洒なメイドことメイド長 十六夜咲夜だ。

 

「なら話は早いわよね。明後日にレーティングゲームがあってその時に決着をつけるけど、それまではゆっくりしていていいわ。あとは紫が博麗神社で説明すると思うから博麗神社に集合しておいて。私は他の場所に行かないといけないからもう行くわね。それじゃ~またあとでね~」

 

そう言って優子は魔方陣で何処かへと向かうのだった。

 

 

 

―地獄side―

 

ここは地獄…死んだ者がたどり着く場所。

 

そんな場所に、結城家の次男。結城 レイジとその妻、結城 アリアが来ていた。

 

そして現在、閻魔の間にて結城レイジと地獄の管轄者にして俗に言う閻魔大王こと四季映姫・ヤマザナドゥとその側近である死神の小町と対面していた。

 

「貴方の言いたいことは言わなくてもわかっています。ですけど、私は立場上滅多な事では動けません。ですので小町を連れていって構いません。好きなように扱き使ってくださいね。よろしいですね、小町」

 

「はい!映姫様の分も暴れてきます!そしてツバキちゃんを絶対連れ戻してきます!」

 

「……だそうですよ」

 

「おう、わかった。よろしくな小町!」

 

「あぁ、よろしくな!レイジ」

 

小町とレイジは共に握手をした

 

「でわ行って参ります!映姫さま!」

 

「んじゃ、失礼すんな。映姫」

 

「それでは失礼いたします。映姫さま」

 

「えぇ、行ってらっしゃい。そしてご武運を……」

 

レイジは小町、アリアを連れて本部へと戻るのだった

 

こうして、着々と皐月、ナツル、優子、レイジは仲間を増やしていくのだった。

 

そして、長男の結城光輝は何処へいったのかと言うと………

 

「さて…着いたぞ。目的地に」

 

光輝とアイラはとある某所に来ていた。そこは見た目は廃墟ビルの様な場所ではあるのだが、中は新品の様に新しかった。

 

何故そんな場所に来たのかというと…、とある組織となっている活動場所に来ていたのだった。

 

「よっ、リーダー。久しぶりだな」

 

「お久しぶりです!元帥殿」

 

光輝は一室に入ると、そこにいた赤いバンダナを付けた30代前半くらいの男にたいして話していた。

 

「もう全員そろってるのか?」

 

「えぇ、そろっていますよ。我ら【TSM】全会員そろっています!」

 

【TSM】……名を【ツバサ(ツバキ)(T)様(S)を見守ろう(M)会】と呼ばれている。

 

会員数…五千人。主な会員は悪魔、天使、堕天使だ。人間もいるが、一般人はおらず教会関係者か陰陽師等といった対人外を相手している一般人とはかけ離れた人物達だ。

 

「因みに、現会員の中にははぐれ悪魔や元教会の戦士達も参加しています」

 

リーダーと呼ばれた男性は光輝にレポートの様なものをわたし、光輝はペラペラとめくりながら見ていた。

 

「……おいおい。はぐれ悪魔はいいがまさかのA~Sランクの奴等がそれも10人以上かよ…。マジでどうなってんだよ。本気でこのファンクラブは規格外だなぁ…」

 

光輝は驚きをだしながらそう呟いていた

 

「ははは。私も最初はそう思いましたが、前に彼らにこのファンクラブに入った理由を聞いたら、『ツバサ様は我らがはぐれ悪魔とわかっていながら話を聞いてくれました。最初はツバサ様を襲って殺そうとしようとしましたが、圧倒的な力で我々は倒されました。しかし…、普通ならそのまま殺すはずの所をツバサ様は殺さずに私達のはぐれになった理由を聞いてきました。最初は疑った私達ですが真剣な眼差しで聞いてきたのですべてお話しました。そのあとはツバサ様は我々にチャンスをくれたのです。人生のチャンスを。その優しさに私達は惚れました。だからこそこのファンクラブに入ってツバサ様のお役にたとうと思ったのです。このご恩を返すためにね。』と言われてしまいましたよ。この時私はツバサ様はやはりスゴいと思いましたね。流石ツバサ様です。」

 

「まぁ…、アイツは究極のお人好しだからな」

 

「だからこそ、今回のディオドラ・アスタロトの件は私達も全力をもってあなた方に手伝わせてもらいます。旧魔王派のくそ悪魔共は我々が駆逐させてもらいます!そうだよな、みんなぁぁぁ!!」

 

『おぉおおおおお!!』

 

リーダーの声にその場にいた会員の人達が叫んでいた。

 

そこには大体千人くらいいた。

 

「おっしゃぁ!その心意気さすがツバサのファンクラブ連中だな!おい、おめぇら!!ツバキを助けるのを手伝ってくれるか~!」

 

『はい!』

 

「ツバキを助けたいかぁぁぁ」

 

『おおおおお!!』

 

「じぁ…旧魔王派のくそ悪魔どもをぶっ殺したいかぁぁぁぁぁ」

 

『おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!』

 

「おっしゃぁぁ!!なら、お前ら行くぞぉぉぉ!! ツバキを助けになぁぁぁ!!!」

 

光輝の叫びにリーダーが叫ぶ

 

「ツバキ様の為にぃぃぃ!!」

 

『ツバキ様の為にぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!』

 

こうして光輝はファンクラブの連中を仲間にしたのだった。

 

かくして光輝たち結城家の兄弟姉妹は着々とバラバラにはぐれていた地球連邦軍の戦力を復活させていたのだった。

 

さて…、ディオドラ・アスタロトの運命はどうなるのだろうか…。これでは旧魔王派の悪魔たちが可愛そうに思えるほどの戦力を増やしていってる地球連邦軍なのだ。

 

こうして光輝たちの怒りは世界中を轟かす程の戦力を集めることとなるのだった。



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7話 レーティングゲーム…開始前

―イッセーside―

 

「そろそろ時間ね」

 

部長がそう言い、立ち上がる。

 

決戦日…。俺たちは深夜にオカルト研究部の部室に集まっていた。アーシアがシスター服、ゼノヴィアは例のエッチな戦闘服。他の俺たちは駆王学園夏の制服姿だ。

 

さっきまで光輝さんとレイジさんが応援に来ていた。

何故かお守りを持たされたのだが、理由を聞いたら『もしものためだな』と言われてはぐらかされた。それと最近椿ちゃんの姿が見えない。光輝さんに理由を聞いたら、別の仕事を任せていた見たいで、さっき帰ってきたらか直接 実家の結城家から直接VIP部屋に飛ぶらしいのでここにはいないらしい。

 

中央の魔法陣に集まり、転移の瞬間を待つ。

 

相手はディオドラ・アスタロト。現ベルゼブブを出した御家の次期当主。どんな力を使ったか知らないけど、絶大な魔力で単騎突入も可能な悪魔。

 

今はとにかくディオドラを倒すことだけに集中しよう。アーシアは何があっても渡さない!!

 

そして、魔法陣に光が走り、転送のときを迎えようとしていた――。

 

―side out―

 

 

―光輝side―

 

「……行ったか」

 

ここは本家にある司令室。その部屋のなかで結城家の兄弟姉妹 全員が集まっていた。

 

「おい、兄さん。ここからどうするんだよ。俺達もサーゼクス達がいるVIP室に行くのか?それとも何処かに隠れているのか?」

 

すると、レイジが光輝に聞いてきた。

 

「いや、隠れる必要はないだろう。意味はないからな。それよりも疑われずに俺達も一緒にいようじゃないか。その方が命令しやすくて楽だしな」

 

「わかった。なら他の部隊はどうするんだ?」

 

「それは問題ない。紫の能力と椿の“次元を操る程度の能力”を使って一種の次元魔方陣を作ったからな。簡単に言うと、次元の狭間に似た空間に待機だな」

 

そう光輝は説明し、レイジたちはなるほどな…と頷いていた。

 

「さて…、行くか」

 

『おう!/はい!』

 

こうして光輝たちは魔方陣でサーゼクス達がいるVIP室へと行くのだった。

 

―side out―

 

―無side―

 

ここはとある平地…。ここには何もなくあるのはただ平坦な大地だけだ。

 

そんな何もない場所に、2対の人形ロボットと8人のフードを被った人間らしき人物達がいた。

 

「お久しぶりです。皆さま方ほんとに遥々遠いい所からお集まり頂きありがとうございます。このハイドラとドラグーン。心より感謝いたします」

 

「えぇ、ありがとうございます。ハイドラにドラグーン。それよりもお久しぶりですね」

 

すると、フードを被ったひとりが喋りだした。その声は高い高音でまさしく女性の声だ。

 

「お久しぶりですね。――さん」

 

ハイドラは女性の名前を呼ぶ。しかし、我々には何故か聞こえないようだ

 

「えぇ、ハイドラ。それよりも我が主が捕らえられていると言うのは本当ですか?」

 

すると女性がハイドラに向かい合って質問する

 

「…………はい。私達が離れていた間に捕らえられてしまいました。……椿さまを護るのが我らの役目というのに、みすみす椿さまを敵の手に渡してしまいました…。本当にすみません」

 

ハイドラは女性達に向かって頭を下げた。それに続いてドラグーンも下げる。

 

それを見た8人の人物は其々を見たあとハイドラとドラグーンに視線を向けた

 

「大丈夫ですよ。それに関しては私達もいませんでしたし同罪です。あなた達が悔やむ必要も謝る必要もありませんよ」

 

「そうだな。それに今回ばかりは椿さまの命で動けなかったのだろ?椿さまの命なら仕方がないさ。それなのに俺達が文句をいうのはそれこそお門違いだな」

 

「あぁ、――の言う通り我々が口を出すことは許されない。それこそ間違いだ」

 

「それよりも今はやるべきことをやるべきです。椿さまを助けるための準備をね…」

 

「そうでござる。ハイドラ殿、ドラグーン殿。我々がいますべきことは椿さまの救出。それこそ我らのやるべきことでござるよ!」

 

「そうですな。我々 十勇士がなすべき事は椿さまの安全確保。それこそ椿さまの護衛をまかされた我らの役目」

 

「そうですわ。でなければ私達がここに皆で集結しませんわよ」

 

「……だな。俺達が一度に集結するなんて滅多にないことだからな」

 

そう言う風に8人が其々口を開いた。

 

それを聞いたハイドラとドラグーンの二人は更に深々と頭を下げた。

 

「ありがとうございます、皆様。では、あとの詳しい説明は光輝様がしますのでどうぞこちらへ…」

 

そう言ったハイドラは魔方陣を展開する。それに続いてドラグーンはハイドラの隣に立ち、他の8人もハイドラの魔方陣の上にたった。

 

そしてハイドラは全員が魔方陣の上にたった事を確認すると、魔方陣を起動させ、その場からその姿を消したのだった…。

 

こうして地球連邦軍の部隊は一ヶ所に集まりつつあったのだった。

 

そしてリアス・グレモリーVSディオドラ・アスタロトのレーティングゲームは明日の深夜3:00。日本でいう鬼門の時間。その時刻に戦いの火蓋が切って落とされる…。

 

レーティングゲーム開始まで残り一時間。

 

……刻一刻と時間が過ぎていくのだった…。



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8話 旧魔王派VS地球連邦軍 開戦!!

あれから俺達は魔方陣で飛んだ。レーティングゲームの会場に行くための魔方陣がある部室にきたのだ。

 

「もうすぐですね部長」

 

「えぇ、そうね。イッセー」

 

俺は部長に話しかけた。少し緊張するぜ。

 

「絶対に勝ちましょうねこの戦い。アーシアの為にも」

 

「そうですね。勝ちましょう!部長!!」

 

「ふふ、えぇ、そうねイッセー!」

 

俺達は暫く他愛のない話をして緊張を軽くしたあと、時間がきたので魔方陣にのったのだった。

 

―イッセーside out―

 

 

―光輝side―

 

「もうすぐか…」

 

俺達はいま、サーゼクスがいるVIP室にきている。のこり開始時間まで10分。やっともうすぐ奴らどもと戦える…。

 

でも…ツバキは大丈夫なのか?

 

「……心配かい?ツバキちゃんの事が」

 

すると、隣にいたサーゼクスが俺に話しかけてきた。

 

「当たり前だ。あんな欲まみれの腐った野郎の側に置いてて心配じゃない奴なんていないさ。アイツは俺達の大切な家族で弟でもあり妹だ。アイツは昔から純粋で綺麗な心を持っている優しい奴なんだ。そんなツバキをあの野郎の所に置いておくだけでもう虫酸が走る。

それに、あのタイプの奴は約束事なんてするだけして、守る意味がない。何故なら奴らにとっては約束事なんて破るのは当たり前だからな。いままでツバキを襲ってきた奴らがいい例だ。だからこそ、心配なんだよな。ツバキはツバサと違ってかなり弱くなるからな。だからこそツバサに戻るまでは俺達が守らなくちゃいけなかったんだが、それができなかった。だからこそ心配なんだよな」

 

「大丈夫だよ。あの子は心は強いからね。そう簡単にはあきらめないよ。それは君が一番わかっているんじゃないかい?」

 

サーゼクスはそう俺に言ってきた。

 

「……ふっ、そうだな。俺達が慌ててたら意味がないか。確かにツバキなら簡単にはあきらめないよな」

 

確かに、アイツならどんな状況でも諦めず僅かな光にも手を伸ばし最後まで頑張るのがアイツのいいところか。

 

「今回の事はすでにアスタロト家には許可をもらっている。最初は反対されていたが、ツバキちゃんの名前を出した瞬間、万一致で捕まえるのを賛成されたよ。理由を聞いたら『確かにディオドラはわが家の息子でもあり、天才児で次期魔王候補に上げるつもりでしたので捕まえるのは反対しました。……しかし!捕らえたのがツバキ様なら話は別です。ツバキ様は我々悪魔にとって信仰対象であり、マスコットなのです。ツバサ様の時は冥界の危機を救ってくれました。ツバキ様の時は私達の様な老人や未来ある子供たちの未来を守ってくれて、導いてくれました。だからこそツバキ様を捕らえるなんて言語両断!! この行為は我々悪魔全土に喧嘩を売ったのも同然です。どうぞ捕まえてください…………いや、寧ろ殺っちゃってください!』っていわれたね。流石ツバキちゃんだよ。愛されているね」

 

「はっはっはっ!そりゃそうだ。俺達の弟でもあり妹なんだ。愛されているのは当然だな」

 

さて、長いこと話しちまったな。そろそろか?

 

「さて、そろそろだね」

 

「そろそろだな」

 

俺は時間を見た。のこり時間は3分だ。

 

「確かにそろそろだな」

 

やっとだ…、やっと奴らをぶっ飛ばせる!

 

「うん、もうすぐくr―――」

 

ドカァァァン!!

 

突然会場が爆発した。観客達は突然の事にパニックに陥り混乱していた。すると、そこから悪魔達が大量に出てきた。

 

―――そう、旧魔王派の奴らだ。

 

「貴様ら屑に俺達は宣戦布告しに来た! 我々は『禍の団(カオス・ブリゲード)』所属、旧魔王派の兵士だ!貴様らにはまずこれを見てもらう!!」

 

そう言った悪魔は魔方陣を展開して、そこから4つの映像が映し出された。

 

そこに映っていたのは、ディオドラともう一人の男だ。

 

確かこいつは―――

 

『始めまして諸君。わたしの名前はシャルバ・ベルゼブブだ。所属は「禍の団(カオス・ブリゲード)」旧魔王派だ。さて、さっそくだが君たちにプレゼントを見せよう』

 

シャルバが突然指を鳴らすと映像が替わりそこに映っていたのは……………

 

ツバキだった

 

ツバキは目隠しをされ、口をテープで塞がれており、服は更にビリビリに破かれ 辛うじて大事な部分を隠す程度にしか残っていなかった。

 

『この子の名前は結城 ツバキ。君たちが信仰している奴だ。ある理由で誘拐させてもらったよ。今回私は実に退屈している。だからこそゲームをしよう。ルールは簡単、私を見つけ出して倒すことだ。ただし、制限時間は勿論ある。制限時間は三時間だ。三時間後にこの子は私達の物になる。なに、心配ないさ。ただこの子が壊れるまで私達が遊んであげるよ。身体の隅々まで愛でてあげるさ。美味しくね。』

 

ゲスい笑みを浮かべながら喋るシャルバ・ベルゼブブ。

 

『さぁ、ゲームを始めよう。楽しい楽しい戦いの始まりだ。いったいどれ程生き残れるのかな?楽しみにしているよ』

 

そう言ったシャルバは映像が切れて終わった。

 

「さぁ、お前ら屑共は我々に潔く殺されろ! 現魔王も堕天使総督もなぁ!! みんな皆、皆殺しだぁぁぁ!!」

 

叫びながら悪魔は笑っていた。

 

「貴様ら!ツバキ様をどうするつもりだ!!」

 

すると、俺の部隊の一人の隊員が叫んだ。

 

「それはだな、あの女は私達の玩具になるんだよ。あの女はシャルバ様いわく『ただの玩具』だそうだ。くひひひ、楽しみだな。信仰の強い女ほどよく泣くのだからなぁ。まぁ、いま俺達もがやることはただひとつ…。なんの価値もないたかが人間の為に動く貴様ら屑の新魔王派の奴らは皆殺しだがな」

 

そんな事を吠える悪魔。

 

それにしても…、ツバキが『ただの玩具』…か。

 

……………………へぇーそう。そうなんだ。そんなにお前達はそんなに死にたいようだなぁ

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!!!

 

VIP室が揺れる。俺からにじみでるオーラで。

 

「サーゼクス…、ここは戦場になるからさ。できるだけ市民を避難させてくれないか?……たのむ」

 

俺はサーゼクスに言う。サーゼクスは軽く頷いた。

 

「わかった。君の言う通りにするよ。(それにしてもスゴいオーラだね。目に見えるほどの濃いオーラを出していると言うことはかなり怒っているようだ。ほかの、レイジや皐月たち三姉妹も同じ状態か…。

旧魔王派の悪魔達が可愛そうにみえるね。まさか、光輝達の逆鱗に触れるなんて。なんて哀れな奴らなんだ。)」

 

さて、さっさと終わらせるか…。

 

「ふんっ!」

 

ドゴォォォォォォォン!!!!!!

 

俺はVIP室の壁を跡形もなく粉砕した。そのおかげで旧魔王派の悪魔どもと向き合う様な位置になる。

 

「おい…、そこの屑ども。よくもまぁ~、俺達のツバキを穢そうとしてくれるな。てめぇらはそんなに死にたいのか?あぁ?」

 

俺は心底冷えるような低い声で威圧する。

 

旧魔王派の悪魔どもは怯みつつも人間を小バカにするような目で俺達を見てきた。

 

「ふん、貴様ら人間なんぞに俺達悪魔が負けるわけないだろう。たかが人間ごときが我々にさしずするなどバカなはなしだ。圧倒的に我々が勝つことは揺るぎないのにな。なんて愚かな生き物なんだ。人間というものは…」

 

呆れた様な声でいう悪魔。

 

「ふん…、勝手にいってろ。でもな?お前らはいったい誰を相手にしているのかわかってその口を開いているのか? てめぇらは俺達地球連邦軍に喧嘩を売ったんだ。そもそも俺達地球連邦軍に普通の人間なんているわけないだろ? そもそも人外を常に相手にしている俺達が普通の人間な訳がない。普通の人間ならもう遥か昔に滅んでるぞ。でもいまも此処にある。答えは簡単だ。それほど強いからだ。あと、それとだ…」

 

「俺達だけだと思っているのか?」

 

パチンッ!

 

俺は指を鳴らす。すると、巨大な魔方陣が展開してそこからゾロゾロと人影が出てくる。

 

魔方陣が消えて光が収まると、そこには地球連邦軍のマークを付けた兵士達とそれ以外の奴らがいた。

 

総員は1万5000人。地球連邦軍全部隊 大集結だ。

 

「さぁ、これでもまだその口を開けるか?」

 

「ふん、俺達は五万人だ。たかがその程度の人数で我々に楯突くなどといったバカな奴らに負けるものか」

 

「そうか…、なら貴様らを根絶やしにしてくれる!てめぇらを一人残らずぶっ潰して殺る!」

 

「そのままそっくり返すぞ人間がぁぁぁ!!」

 

「よろしい、ならば戦争だ!! 俺達に喧嘩を売ったのを後悔して滅びろくそ悪魔共がァァァァァァ!!!!!!」

 

「人間と平和ボケた腐った悪魔共を殺せぇェェェ!!」

 

『おおおおおおおおおお!!!!!!!!!』

 

リーダーらしき奴の合図で波のように押し寄せてくる旧魔王派の悪魔達。

 

俺は後ろを振り向き地球連邦軍の仲間達に聞こえるように大声で叫ぶ。

 

「全員よく聞け!! いま、戦いの火蓋は切って落とされた!!いまから始まるのはゲームじゃねぇ!戦争だ!! あのくそ悪魔共を一人残らず潰して殺るぞ!!

 全軍…出撃だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

さぁ!戦争をしようか!一方的な戦争をなぁ!!

 

「俺達も行くぞ!! レイジ、皐月、ナツル、優子、アイラ、アリア、黒歌、レイナーレ、カラワーナ、ミッテルト!!!!!!」

 

『おう!/えぇ!/はい!!』

 

こうして俺達も戦場へと足を運ぶのだった

 

―side out―

 

―イッセーside―

「……着いたのか?」

 

魔法陣のまばゆい輝きから視力が回復し、目を開けてみると――。

 

そこはだだっ広い場所だった。

 

……一定間隔でぶっとい柱が並んでいる。下は……石造りだ。きょろきょろ辺りを見渡すと、後方に巨大な神殿の入り口がある!!

 

「……おかしいわね」

 

部長がそう言う。

 

俺もそうだが、他のメンバーも怪訝そうにしていた。

 

運営側で何か起こったのかな?そんな風に首をかしげて思っていたら――。

 

神殿の逆方向に魔方陣が出現する!

 

ただし、魔方陣はひとつだけじゃなかった!さらにパッパッ光りだして、辺り一面、俺たちを囲むように出現していく!

 

「……アスタロトの紋様じゃない!」

 

部長が叫ぶと同時に木場が剣をかまえる。

 

朱乃さんも手に雷を走らせながら言う。

 

「……魔方陣すべて共通性はありませんわ。ただ――」

 

「全部、悪魔。しかも記憶が確かなら――」

 

部長が紅いオーラをまといながら、厳しい目線を辺りに配らせていた。

 

魔方陣から現れたのは…大勢の悪魔たち!!全員、敵意、殺意を漂わせながらのご登場だ。

 

何百人か、千人ぐらいか、とにかくとんでもない数に囲まれている!!

 

「魔法陣から察するに『禍の団(カオス・ブリゲード)』の旧魔王派に傾倒した者たちよ」

 

マジかよ!!『禍の団(カオス・ブリゲード)』ォォォォッッ!!なんで、俺たちのレーティングゲームに乱入してくるのさ!

 

「忌々しき偽りの魔王の血縁者、グレモリー。ここで散ってもらおう」

 

囲む悪魔の一人が部長に挑戦的な物言いをする!!やっぱり、旧魔王を支持する悪魔にとってみれば、現魔王とそれに関与する者たちが目障りなのだろう。

 

「キャッ!」

 

悲鳴!この声は――アーシア!!

 

アーシアの方へ振り向くと、そこにアーシアの姿はない!

 

「イッセーさん!!」

 

空から声!上を見上げると、アーシアを捕らえたディオドラの姿があった!!や、野郎ォォォォッッ!!!

 

「やあ、リアス・グレモリー。そして赤龍帝。アーシア・アルジェントはいただくよ」

 

さわやかにふざけたことを言ってくれる!!

 

「アーシアを放せ、卑怯だぞ!このクソ野郎!!つーか、そもそもどういうこった!ゲームをするんじゃないのかよ!?」

 

俺の叫びに、ディオドラは初めて醜悪な笑みを見せた。

 

「バカじゃないの?ゲームなんてしないさ。キミたちはここで彼ら――『禍(カオス・ブリゲード)の団』のエージェントたちに殺されるんだよ。いくら力のあるキミたちでもこの数の上級悪魔と中級悪魔を相手にできやしないだろう?ハハハハ、死んでくれ。速やかに散ってくれ」

 

部長が宙に浮かぶディオドラを激しくにらむ。

 

「あなた、『禍の団(カオス・ブリゲード)』と通じてたというの?最低だわ。しかもゲームまで汚すなんて万死に値する!何よりも私のかわいいアーシアを奪い去ろうとするなんて……ッ!」

 

部長のオーラがいっそう盛り上がる。キレてる!!ですよね!!俺だってぶちギレ寸前だ!!この野郎だけはッ!!

 

「彼らと行動したほうが、僕の好きなことを好きなだけできそうだと思ったものだからね。ま、最後のあがきをしていてくれ。僕はその間にアーシアと契る。意味はわかるかな?赤龍帝、僕はアーシアを自分のものにするよ。追ってきたかったら、神殿の奥まで来てごらん。素敵なものが見られるはずだよ」

 

ディオドラが嘲笑するなか、ゼノヴィアが俺に叫ぶ。

 

「イッセー、アスカロンを!!」

 

「おう!」

 

俺はすぐに籠手を出現させて、先端からアスカロンを取りだし、ゼノヴィアに手渡した。

 

「アーシアは私の友達だ!おまえの好きにはさせん!」

 

素早く宙に浮かぶディオドラに斬りかかろうとするが――。ディオドラの放つ魔力の弾がゼノヴィアの体勢を崩してしまう。剣はディオドラに届かなかったが、刃から放たれた聖なるオーラの波動が野郎に向かう。

 

……なんて思ったが、ディオドラは宙で舞うように軽く避けやがった!!

 

「あぁ…そうだ。ついでにこれも教えてあげるよ」

 

ディオドラは魔方陣を空中に展開する。俺達は警戒するが、その魔方陣から映像が流れて、そこに映っていたのはエロい格好で鎖に繋がれたツバキちゃんだった。

 

『ツバキちゃん(さん)!?』

 

なっ…!なんでツバキちゃんが!

 

「くっくっくっ。彼女…『慈愛の聖女』シスター・ツバキは僕の回りを嗅ぎ回っていた様だからね…。お仕置きをさせてもらったよ。まぁ、どうせアーシアの次に遅かれ早かれ僕の物になる予定だったんだ。それが予定よりも早くなっただけだよ。それと、今は地球連邦軍の人間とゲームをしていてね。三時間の間に僕とシャルバ・ベルゼブブを倒したらツバキちゃんを解放してあげる。まぁ、無理だろうけどね。だから、あとでアーシアと一緒に遊んであげるよ。ふふふ、楽しみだな」

 

ゲスい笑みを浮かべながら笑っているディオドラ。

 

「イッセーさん!ゼノヴィアさん!イッ――」

 

助けを請うアーシア!だが、「ブゥゥン」と空気が打ち震え、空間が歪んでいく。

 

ディオドラとアーシアの体がぶれていき、しだいに消えていった。

 

「アーシアァァァァァアアッッ!!」

 

俺は宙に消えたアーシアを叫ぶが、返事なんて返ってきやしない。

 

「イッセーくん!冷静に!いまは目の前の敵をなぎ払うのが先だよ!そのあと、アーシアさんを助けに行こう!!」

 

崩れおれる俺に木場が檄を入れてくれる。

 

くっ!俺にもっと、力があれば!!

 

「待ってください!!グレモリー眷属の皆様!!」

 

突然声が聞こえてきた。俺達は声の聞こえた方に視線をむけると、ツバキちゃんの隣に常にいた、ハイドラとドラグーンがいた。その他に、8人のフードをかぶった人達もいた。

 

「ハイドラにドラグーン。何故あなたたちがここへ?」

 

部長がきく

 

「はい。先程光輝様からの命令でグレモリー眷属に着いていけと言われまして此処にきました。」

 

へぇ、光輝さんに

 

「どうか私達も連れていってください!!リアス様!ツバキ様を助けたいのです!!」

 

ハイドラは必死そうにいう

 

「……わかったわ。ついてきて。ディオドラは人数を増やすななんていってないから大丈夫よ。」

 

「ありがとうございます!!」

 

「さぁ!ディオドラ・アスタロトを倒して、アーシアとツバキちゃんを助けに行くわよ!!みんな気合いをいれて行きなさい!!!!!!」

 

『はい!』

 

こうして俺達はディオドラ・アスタロトとの決戦を始めるのだった。

 

ディオドラ・アスタロト!!お前だけは…絶対に許さない!!!!!!

 

赤龍帝の力をその身に味会わせてやる!!!!!!




さぁ…、戦いの火蓋は切って落とされました。いったいどちらが勝つのか。乞うご期待です。

まぁ…結果は見えていますがね。

さて…ディオドラ・アスタロトはどんな運命を辿るのか…。次号!『ディオドラVS地球連邦軍 大合戦!!』です!

どうぞお楽しみにぃ~( ´∀`)/


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9話 旧魔王派VS地球連邦軍 中編

―光輝side―

あれから時間がたった。俺達はかく別々に別れて戦場を駆け回っている。いまは椿を助けるため一直線に結界の前にきたばかりだ。

 

椿とリアス達がいる結界の前に老人が一人たたずんでいた

 

「……何してるんだ?オーディン」

 

そう、オーディンだ。

 

「ん?おぉ~、光輝か。いや、ワシはどうやってこの結界を壊して入ろうかと考えていたところじゃわい」

 

オーディンは考える様に頭を抱えながらそう言った。

 

……なるほど。確かに結構頑丈で強力な結界だな。

 

でも…、紫や霊夢が使うような結界よりも弱いし脆い。恐らく何らかの神器の一つなのだろうが、この程度か。

 

確か…、神滅具の中に『絶霧(ディメイション・ロスト)』ってやつがあったはずだがそれか?

 

まぁ、どんなに強力な結界や防御だろうが俺の力の前では無意味だがな。

 

 

 

光輝は結界に近づいた。そのまま光輝は結界の前に仁王立ちで立って、呼吸を正し始めた。

 

光輝は腰を落とし、左手を前に出し右手を後ろに引いた。

 

「はぁっ!」

 

光輝はその態勢のまま左手を引き右手を貫く様に突いた。

 

パキャァァァン!!

 

すると、目の前にあった結界はガラスが割れるかの様な音がなり、キラキラと空中を舞いながら砕け散った。

 

壊れた結界の部分に歪みの空間が出来ていて、その先に別の風景が映っていた。

 

「ふぅ…。こんなもんか」

 

光輝はやりきった様なスガスガしい顔で落ち着いていた。

 

「まったく…。あいかわらずのデタラメじゃな」

 

すると、近くにいたオーディンが嘆息するように光輝にいう。

 

光輝はハハッと軽く笑いながら、壊れた結界の先を指差す

 

「さぁ、行こうかオーディン」

 

「ふん、わかっとるわい。小僧」

 

こうしてオーディンと光輝は結界の中にへと行くのだった。

 

―side out―

 

―無side―

一方その頃……。光輝とオーディンが結界を壊している時、地球連邦軍VS旧魔王派の戦いでは旧魔王派が圧倒的な数なのに関わらず、地球連邦軍に押されていた。

 

「しゃぁぁ!悪魔狩りじゃぁぁぁ!!」

 

「よくも我々の天使(エンジェル)をぉぉぉぉ!!!」

 

「しぃぃにぃぃさぁぁらぁぁせぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」

 

「オラオラオラ!どうした!旧魔王派の悪魔共!! ビビってんじゃねぇぇぞ、ゴラァァァァ!!!!!!」

 

「汚物は消毒だ!ヒァッハァァーーー!!!!!」

 

「我らが天使(エンジェル)椿様は拘束して、エロエロな事をしていいものでない!! 拘束せずに甘々な展開で恥ずかしながらも、イチャラブのエロエロ展開になるのが紳士としての行動なのだ!!

貴様らの様な糞悪魔共が触れていいお方ではないのだよ!! 恥をしれぇぇぇ!!貴様らァァァァァァ!!!!!!」

 

もはや本来のレーティングゲーム会場は旧魔王派の悪魔達が変人や変態と言うなの紳士達に駆逐され倒されるというなかなかカオスな現場になりかわっていた。

 

「くっくっくっ!さぁ、悪魔の皆様お待たせしました。我らの開発部が造った技術の結晶の数々をご覧しましょう。刮目してみよ!!我々の力を!!!!」

 

すると、空に空間の歪みがあらわれそこから出てきたのは数々の戦闘機と空飛ぶ戦艦だった。

 

『轟天号!』

 

『Fー22

F-24 バイパーゼロ

B-1B ランサー

F-4E改戦闘機 スーパーファントム

F/A-18A戦闘爆撃機 レガシーホーネット

F-14艦上戦闘機 トムキャット

F-15J戦闘機 イーグル

FV433 アボット

F-2A戦闘機!』

 

『ユーロファイター タイフーン、SU-35、「海鳥」BB-63 アイオワ級戦艦3番艦 「ミズーリ」!』

 

『90式戦車

120mm戦車砲

M1A2 エイブラムス戦車

M2 ブラッドレー歩兵戦闘車ースコンバッド

 Su-47 (Berkut) / MULTIROLE (ベルクート)!』

 

『CFA-44、ファルケン、GAF-1、ASF-X、AH-88、フェンリア!』

 

『ガッツイーグル、ガッツウイング 1号 2号、ガッツウイングEX-J !』

 

『XIGファイターEX(エキサイター)

XIGファイターSS(スカイサーファー)

XIGファイターSG(スカイゲイナー)

XIGファイターST

XIGファイターGT

ピースキャリー

MLRSバイソン

GBTスティンガー!』

 

『テックサンダー 1号 2号 3号 4号

テックスピナー 1号 2号

テックブースター

テックライガー1号 2号

テックライガーKS-1 2 3 4』

 

『GUYSガンクルセイダー

GUYSガンフェニックス

ガンフェニックストライカー

GUYSガンウィンガー

GUYSガンローダー

GUYSガンブースター

GUYSガンスピンドラー!』

 

『スペースペンドラゴン

ゴースタードラゴン!』

 

『全軍出撃開始!!!!!!』

 

空間から出てきた戦艦・戦闘機の数はざっと一万機。戦艦以外殆どが無人機だという。

 

すでに時を超えたオーバーテクノロジーである。

 

…………もはや戦争ではなく圧倒的な武力による苛めである。

 

その数々の戦艦や戦闘機に圧倒され唖然とする旧魔王派の悪魔達。

 

そんな超未来的兵器でさえ圧倒されているのにも関わらず、更にとある部隊にも圧倒されている。旧魔王派の悪魔達。

 

その部隊とは勿論…………………

 

地球連邦軍 特殊部隊 特別調査班である。

 

特殊部隊は『妖怪の賢者』八雲 紫を筆頭に幻想組がフルメンバーで集結し、超未来的兵器の攻撃よりも圧倒的な攻撃で旧魔王派の悪魔達を倒して行っていた。

 

『スペルカード!!!!!!』

 

『境界「二重弾幕結界」と「博麗弾幕結界」』

『魔砲「ファイナルマスタースパーク」』

 

「舐めないでよね?悪魔の癖に私に勝とうなんて百年早いわよ!!」

 

「へっへぇーん!!やっぱり弾幕はパワーだぜ!」

 

霊夢と魔理沙が二人同時にスペルカードを出していた。

 

すると別の所ではチルノとルーミアが何かしていた。

 

「ルーミア!あたいたちも本気で行くよ!」

 

「そーなのかー。…………なら、私も久しぶりに本気でいこうかしらね?」

 

ごうっ!

 

チルノの回りに巨大な氷の柱が出来て、ルーミアは頭の飾りを取ると闇が体にまとわりついた。

 

すると、暫くして氷が溶け闇も晴れると、そこにいたのは、大人になったチルノとルーミアだった。

 

「ふふふ、あたいも久しぶりにこの姿になったわ。さぁ…最強になったあたいの力を魅せてあげる」

 

「えぇ…、私の本来の力をその身で味わいなさい。避けなければ痛いわよ?」

 

『氷符「アルティメットブリザード」』

 

『闇符「ダークサイドオブザムーン」と夜符「ミッドナイトバード」』

 

チルノのルーミアが見違えるように変身しているなか、紅魔館組も暴れていた。

 

「はぁ!『華符「彩光蓮華掌」』からの『彩翔「飛花落葉」』 『彩華「虹色太極拳」』セヤァァァ!!」

 

「貴方たち程度の力で私を倒せないわ。『火水木金土符「賢者の石」』」

 

「貴方たちの時はここで終わります。『咲夜の世界』

『符の壱「連続殺人ドール」』……」

 

「いくわよフラン。あのバカ達を殺るわ。もう運命は見えているから存分に殺るわよ!」

 

「えぇ!お姉さま!! あんな奴らなんかさっさと壊してツバキお姉さまを助けにいきましょ!!!」

 

『スペルカード!!『神槍「スピア・ザ・グングニル」』『禁忌「レーヴァテイン」』!!』

 

二人の吸血鬼姉妹は二本の槍を敵に投げた。

 

すると、フランがレミリアから離れて一枚のカードを手にだした。

 

「あなた達を壊してあげる♪『禁忌「フォーオブアカインド」 』!」

 

そのスペルカードでフランは四体に増えた。

 

「「「「さぁ、アソボウヨ♪」」」」

 

『禁忌「クランベリートラップ」』

『禁忌「カゴメカゴメ」』

『禁弾「スターボウブレイク」』

『秘弾「そして誰もいなくなるか?」』

 

「そして…」

 

『『『『QED「495年の波紋」!!!!!!』』』』

 

フランの渾身の大量スペカにより多くの悪魔がほふられる事となるのだった。

 

また、別の所では八雲 紫と西行寺幽々子がいた

 

『廃線「ぶらり廃駅下車の旅」』

『桜符「センスオブチェリーブロッサム」』

 

…………最初っからクライマックスである。

 

廃電車や蝶々の様な弾幕等により、5000体の旧魔王派の悪魔達がほふられた。

 

「あなた達は喧嘩を売る相手を間違えたようね」

 

八雲紫は扇で口元を隠しながらニコニコと胡散臭い笑みを浮かべていた。だが、その体からでる濃密な妖力はスゴかった。

 

「ほんとよ。なんでこんな事をしたの?よりにもよって私達の家族の一人でもある椿を連れ去るなんて…」

 

そう言う西行寺幽々子はいつもどおりニコニコ笑顔だが、妖力が黙視できるほど出ていた。

 

「そうね。勿論だけどあなた……」

 

「あなた達は……」

 

「「覚悟は出来ているわよね?」」

 

二人の瞳はただ敵をい抜く様に鋭く冷たく睨んでいた。もはや黙視で殺せるくらいに…。

 

悪魔達は悟った…。もう…、逃げ場は無いんだと…。

 

そのあと、二人のいた場所には巨大なクレーターが出来ていた。

 

―side out―

 

―イッセーside―

俺達はハイドラと8人のフードを被った人達と共に走っていた。

 

でも、旧魔王派の悪魔達が多すぎてなかなか前に進めなかった。

 

「くそっ!敵が多すぎる!!」

 

「えぇ…私達だけでは不利ね…。」

 

部長がそう言った。くそ!早くしねぇとアーシアと椿ちゃんが!!

 

「スキあり!!」

 

「やべっ!」

 

俺は後ろにいた悪魔に気づかず反応が遅れた。ヤバイ!殺られる!!

 

俺は思わず目をつむると…。

 

「そんなものか?兵藤一誠!!」

 

ドゴォン!

 

鈍い音とともに悪魔は吹っ飛んでいった。

 

そこにいたのは………

 

光輝さんだった。

 

「光輝さん!どうしてここに?」

 

「ふ…、そんなもんは簡単だ。テロリストがきたからな。そのため一番危険な場所にいるお前達を助けるためにきたんだ。まぁ…くる意味はあまりなさそうだったがな」

 

光輝さんは、そう言った。視線はフードの人達に向けられていた。

 

「久しぶりです。皆様」

 

すると、光輝さんはフードの人達に向けて頭を下げた。

 

えぇ!あの光輝さんが頭を下げたぁぁぁ!?

 

「えぇ、久しぶりですね。光輝。元気にしていましたか?」

 

すると、一人のフードを被った人が出てきた。声の高さ的に女性の様だ。

 

「はい。いつも通り元気ですよ。アルトリア様」

 

アルトリアと呼ばれた女性はフフっと小さく笑った。

 

すると、フードを取った。

 

金髪を頭の後ろでまとめているスゴく綺麗な女性だ。

 

「それにしても…、まさかわが主が囚われるとは…。とても嘆かわしいです。……まぁ、取り返せばいいだけですが…あのときみたいに」

 

なにか、遠い目をして懐かしむ様にしていた。

 

「そうでしょ?皆さん」

 

「おう!」

 

「そうですね」

 

「うむ」

 

「えぇ」

 

「だな」

 

「そうそう」

 

全員でそう言う。……凄い仲がよさそうだな。

 

「そうか……………で、何をしようとしてるんですか?オーディン様?」

 

光輝さんが突然消えたと思えば朱乃さんの隣に来ていた。

 

右手には誰かの腕を掴んでいた。

 

 

「いいではないか、年寄りの楽しみを取るでないぞ」

 

「はぁ…」

 

光輝さんは眉間に手を持っていって、嘆息していた。

 

「オーディンさま!どうしてここへ?」

 

部長が驚きながら訊いた。

 

オーディン様は、長い白ひげをさすりながら言う。

 

「うむ。話すと長くなるがのぅ、簡潔にいうと『禍の団(カオス・ブリゲード)』にゲームを乗っ取られたんじゃよ」

 

オーディン様の言葉に続いて光輝さんが話し出す。

 

「いま、運営側と各勢力の面々が協力態勢で迎え撃っている。まぁ、ディオドラが裏で旧魔王派の手を引いていたことは判明した。先日の試合での急激なパワーアップもオーフィスの『蛇』を受け取っていたからだ。だが、このままだとおまえらが危険だ。しかし、このゲームフィールドごと、強力な結界に覆われている。そこら辺の力の持ち主では突破も破壊も難しい…っていっても俺からすればなんも意味はないがな」

 

そう、笑いながらいう光輝さん。

 

「さて…、今思えば囲まれているようだ。」

 

光輝さんの言葉に俺達は気づいた。俺達の回りには悪魔が沢山いた。

 

「ふむ…、ここは俺達に任せろ。お前らはさっさとディオドラの所に行ってこい!!

そんで、あのくそやろうを俺達の分までぶっ飛ばしてこい!!」

 

『はい!』

 

俺達は光輝さんの言葉に押されはその場を走り去るのだった。

 

ディオドラ!首をあらって待っていろ!!

 

―side out―

 

 

 



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10話 旧魔王派VS地球連邦軍 後編

―イッセーside―

 

俺達グレモリー眷属は光輝さんと別れて、ディオドラのいる神殿に向かって走っていた。

 

「おい!お前ら!!」

 

すると、また別の声が聞こえてきた。そこに目を向けると、いたのはレイジさんとアリアさんだった。

 

「すまんな。今回ツバキとアーシアの救出のために、お前らの護衛をすることにしたから此方にきたんだ。さっき、光輝とすれ違って三人ほど助っ人を連れてきたけどな」

 

すると、光輝さんの後ろからさっきのアルトリアって金髪の人と、一緒にいたフードを被った人達が合計で三人いた。

 

「また会いましたね。これからよろしくお願いいたします。ツバキ様を助けるために」

 

「えぇ、こちらこそよろしくお願いするわ。アルトリア」

 

部長とアルトリアさんが握手をした。

 

「ほら、お前ら急ぐぞ?時間が無いんだからな」

 

俺達はレイジさんに急がされ慌ててアーシアとツバキちゃんの救出に向かうのだった。

 

 

 

 

俺達は、目的地の神殿についた。神殿のなかは広大な空間だ。大きな空間がずっと続いていく感で広間に巨大な柱が並ぶぐらいで他に目立ったものはない。

 

神殿を抜けるとさらに前方に新たな神殿が現れ、そこを目指した。それを三度繰り返すと、神殿の中に入ったとき……気配を感じた。

 

俺達は足を止めて、一斉にかまえる。

 

前方から現れたのは――フードを深く被ったローブ姿の小柄な人影が十名ほど。

 

『やー、リアス・グレモリーとその眷属と地球連邦軍のみんな』

 

神殿中にディオドラの声が響きわたる。

 

『ハハハ、辺りを見渡しても僕は見つからないよ。僕はこのずっと先の神殿でキミたちを待っているからね。さぁ、遊ぼう。中止になったレーティングゲームの代わりだ。ルールはお互いの駒を出し合って、試合をしていくんだ。一度使った駒は僕のところへ来るまで二度と使えない。あとは好きにしていいんじゃないかな。第一試合、僕は「兵士(ポーン)」八名と「戦車(ルーク)」二名を出す。ちなみにその「兵士(ポーン)」たちは皆すでに「女王(クイーン)」に昇格しているよ。ハハハ、いきなり「女王(クイーン)」八名だけれど、それでもいいよね?何せ、リアス・グレモリーは強力な眷属を持っていることで有名な若手なのだから』

 

……女王八名って、相手にならねぇ……。

 

「……良いわ。あなた達の戯れ事に付き合ってあげる。私の眷属がどれ程のものか、刻み込んであげるわ」

 

そして、部長は俺達の方を見る。

 

「こちらは、イッセー、ギャスパー、小猫、ゼノヴィアを出すわ。呼ばれたメンバーは集合よ」

 

俺達は部長の作戦を聞いて、相手に向かい合い戦闘体勢にはいった。

 

「アーシアを返してもらう。

 私は……友と呼べる者を持っていなかった。

 そんなものが無くても生きていけると思っていたからだ。 神の愛さえあれば生きていける、と」

 

ゼノヴィアは頷きデュランダルを解放し、アスカロンと二刀流の構えをしてディオドラの『戦車』2人と対峙する。

 

「そんな私にも分け隔て無く接してくれる者達が出来た。特にアーシアはいつも私にも微笑んでくれていた。 この私と……“友達”だと言ってくれたんだ!」

 

『戦車』2人の攻撃をかわしながら、ゼノヴィアは憂いに満ちた瞳を見せる。

 

「私は最初に出会った時、アーシアに酷い事を言った。魔女だ、異端だと。

 でも、それでも、アーシアは何事も無かった様に私に話し掛けてくれた。

 それでも“友達”だと言ってくれたんだ!だから助ける!私の親友を!アーシアを!私は助けるんだ!」

 

デュランダルから吐き出される波動が『戦車』2人を薙ぎ払い弾き飛ばす。

ゼノヴィアはデュランダルを天高く振り上げて涙混じりに叫んだ。

 

「だから!だから頼む!デュランダル!私に応えてくれ!

 アーシアがいなくなったら、私は嫌だ!アーシアを失ったら私は……!

 お願いだ!私に!私に友達を救う力を貸してくれッ!デュランダァァァァァァァルッ!」

 

ゼノヴィアに応える様にデュランダルは聖なるオーラを何杯にも膨れ上がらせた。

ゼノヴィアの周囲はデュランダルの聖なるオーラだけでヒビ割れていく。

 

「私はデュランダルをうまく抑える事なんて出来ないと最近になって理解した。

 木場の様に静寂な波動を漂わせる様になるには長期間かかるかもしれない。

 ならば、今は突き進めば良い。デュランダルの凄まじい切れ味と破壊力を増大させる事にしたんだ」

 

ゼノヴィアが宙でデュランダルとアスカロンをクロスさせる。

デュランダルの波動がアスカロンにも流れ、二本の聖剣は莫大なオーラを発生させる。

 

「さあ、いこう!デュランダル!アスカロン!私の親友を助けるために!私の想いに応えてくれぇぇぇぇぇっ!」

 

デュランダルとアスカロンが光の柱を迸らせ、ゼノヴィア光の大刀と化し振り下ろした。

2つの聖なる波動が津波と化し、『戦車』2人を全て飲み込む。

神殿が大きく揺れ、収まると柱や壁は丸ごと崩壊しており、ゼノヴィアと対峙していた敵全て消滅していた。

 

「ゼノヴィア、よくやった!後は俺達に任せろ!プロモーション発動!」

 

俺はは女王へと昇格し、小猫ちゃんは猫又モードへとなる。

 

『Boost!!Explosion!!』

 

更にブーステッド・ギアで倍加した魔力を脳に集中させる

 

「いくぞぉぉぉ!!!」

 

俺達はそのあと敵を全て全滅させて、全員縄で縛ってその先を更に進むことにした。

 

 

 

 

 

 

俺達は順調にディオドラの眷属を倒していって、残りのディオドラの≪騎士≫2人がいるであろう神殿に足を踏み入れた。

だが、そこには見覚えのある人影が視界に映り込む。

 

「ん~?その声は、忘れられないねぇ。おひさ~」

 

「フリード・セルゼン!」

 

「てめぇは、フリード!」

 

「貴様、まだ生きてたのか」

 

アーシアの一件とエクスカリバー強奪事件の一件で敵対した白髪神父フリード・セルゼンだった。

ヴァーリに回収されて以来だ。

 

「言ったっしょ?イエスイエスイエス、僕ちんしぶといからキッチリキッカリしっかりちゃっかり生きてござんすよ?」

 

「……ディオドラの≪騎士≫は何処にいるのかしら?」

 

部長が聞くとフリードはニヤケながら口をもごもごし始める。

いきなりペッと何かを吐き出した、それは人の指だった。

 

「ああ、俺さまが食ったよ」

 

「何言ってんだ?こいつ、食った……?」

 

はっ?いったい何をいってんだよこいつ

 

「…………あなた、人間を止めたわね…」

 

部長が怒気を含んだ声で言う。

 

「ヒャハハハハハハハハハハハハハッハハハハハッ!!てめえらに殴り倒されたあと、ヴァーリのクソ野郎に回収されてなぁぁぁぁぁぁあっ!腐れアザゼルにリストラ食らってよぉぉぉおおっ!」

 

ボコッ!ぐにゅりっ!

 

異様な音を立てながらフリードの体の各所が不気味に盛り上がりだす!!神父の服を突き破り、角や羽が生えていき、全体が大きく隆起する。腕や足も何倍も膨れあがっていく。

 

「行き場無くした俺を拾ったのが『禍の団(カオス・ブリゲード)』の連中さ!奴ら、俺に力をくれるっていうから何事かと思えばよぉぉおおおおっ!!きゅはははははっはははっ!!合成獣(キメラ)だとよっ!ふははははははははっははははっはっ!!」

 

いろいろな生き物を混ぜたような、一切の統合性を見せていない形で形成されていくフリードの身体。『禍の団(カオス・ブリゲード)』に改造されたみたいだ。うっ!なんだこれ、酷すぎる!

 

「ヒャハハハハハハッ!ところで知ってたかい?ディオドラ・アスタロトの趣味をさ。これが素敵にイカレてて聞くだけで胸がドキドキだぜ!」

 

唐突にフリードはディオドラの話しをしだした。

 

「ディオドラの女の趣味さ。あのお坊ちゃん、大した好みでさー、教会に通じた女が好みなんだって!そ、シスターとかそういうのさ!」

 

シスター……って、アーシアの事か!? 俺たちは顔を見合わせる……すると、一緒にいたアリアさんの瞳が鬼のように変貌していくのが見て取れた。

 

…………や…やべぇ…。怖い((((;゜Д゜)))

 

フリードは大きな口の端を上げながら続ける。

 

「しかも狙う相手は熱心な信者や教会の本部になじみが深い女ばかりだ。俺さまの言ってることわかるー?さっき倒してきた眷属悪魔の女たちは元信者ばかりなんだよ!自分の屋敷にかこっている女どももおんなじ!ぜーんぶ、元は有名なシスターや各地の聖女さま方なんだぜ!ヒャハハハ!マジで趣味良いよなぁぁっ!悪魔のお坊ちゃんが教会の女を誘惑して手籠めにしてんだからよ!いやはや、だからこそさ、悪魔でもあるのか!!熱心な聖女さまを言葉巧みに超絶うまいことやって堕とすんだからさ!まさに悪魔のささやきだ!!」

 

フリードは哄笑を上げながら続ける。

 

「アーシアちゃんが教会から追放されるシナリオを書いたのは、元をただせばディオドラ・アスタロトなんだぜ~。シナリオはこうだ。ある日、シスターとセッ〇スするのが大好きなとある悪魔の坊ちゃんは、チョー好みの美少女聖女さまを見つけました。会ったその日からエッチしたくてたまりません。でも、教会から連れだすにはちょいと骨が折れそうと判断して、他の方法で彼女を自分のものにする作戦にしました。……聖女さまはとてもとてもおやさしい娘さんです。神器(セイクリッドギア)に詳しい者から『あの聖女さまは悪魔をも治す神器(セイクリッドギア)を持っているぞ』というアドバイスをもらいました。そこに目をつけた坊ちゃんは作戦を立てました。『ケガをした僕を治すところを他の聖職者に見つかれば聖女さまは教会から追放されるかも☆』と!傷痕が多少残ってもエッチできりゃバッチリOK!それがお坊ちゃんの生きる道!」

 

ゆらゆらと長い髪が波立っているアリアさん。憤怒の形相で激情を抑え込んでいるのがものすごくわかる……そして、隣にいるレイジさんなんか顔を真っ青にしていた。……レイジさん、その気持ちスゴくわかります。なんせ俺達も震えていますから!

 

そんな俺達をよそにフリードはお構いなく、トドメとばかりに言った。

 

「信じていた教会から追放され、神を信じられなくなって人生を狂わせられたら、簡単に僕のもとに来るだろうと!……ヒャハハハハ!聖女さまの苦しみも坊ちゃんにとっては最高のスパイスなのさ!!

 更に、今回あの『慈愛の聖女』こと、シスター・ツバキもあの坊っちゃんにとってはアーシア以上のオモチャです。あのシスターだけはどのシスターたちよりも徹底的に心身を破壊し弄び、そして犯し尽くす。彼女だけは永遠に僕のオモチャにするんだと張り切っていたね~。――まぁ、どうせ約束なんて守るつもりもないみたいだから? 今ごろ楽しんでいるんじゃないかなぁ~?ヒャハハハハ!

 さ・ら・に?シスター・ツバキちゃんは、坊っちゃん一人だけじゃなく大勢で沢山の男共に囲まれながら心が壊れるまでひたすら犯し尽くすんだとよ!!……ま、心が壊れようが何一つ変わらない運命だけどなぁ!!ヒャハハハハ!!

 そんな坊っちゃんはシスターを最底辺まで堕ちたところを掬い上げて、犯す!!心身共に犯す!!それが坊っちゃんの最大で最高のお楽しみなのでした!いままでそうして教会の女を堕して自分のものにしたのです!それはこれからも変わりません!坊っちゃん――ディオドラ・アスタロトくんは教会信者の女の子を抱くのが大好きな悪魔さんなのでした!ヒャハハハハハッ!」

 

ブツンッ!!

 

何が切れる音がした。――俺達?……いや、俺達もそうだが、それ以上に怒っている人達がいた。―――そう、レイジさん達だ。

 

『……死ね』

 

ドスの効いた声で揃えて言うレイジさん達。

 

ズドドドドドド!! ズシャシャシャシャシャ!!

 

レイジさんとアリアさんが剣と日本刀で突きを……。アルトリアさんとフードの人二人が細い剣と大剣と剣の様な槍でフリードをバラバラにし切り裂いた。

 

「…………は?」

 

フリードは訳のわからないと言ったような顔をしていた。それはそうだ。なんせ一瞬のうちに体をバラバラにされて、残っているのは首から上だけなのだから。

 

「あなたは、私の妹達を屈辱しました。よって貴方たちに与えるものは――死、あるのみ。…………消えろ、屑が…」

 

「あまり調子に乗るなよ?雑魚が…。これ以上…俺を怒らせないでくれ…。この空間ごと斬っちまいそうだからよぉ。

とりあえず、てめぇは死んでろ…」

 

「あまり私達を怒らせないでください。ただの化け物風情が――我らが主に触れることすら烏滸がましいこと………とっとと失せなさい。」

 

「おまえはやり過ぎたんだよ…。欲が強すぎると身を滅ぼすって事を知ることだな。――まぁ、もう無いがな」

 

「………貴様は俺達を怒らせた。敗因は…ただ、それだけだ」

 

それぞれ物凄い殺気とドスの効いた声で首だけのフリードに言っていた。

 

アリアさんとレイジさんが武器を持ってフリードの目上に立った。

 

「――んだよ、それ。強すぎんだろ……」

 

ザシュッ!!

 

そのまま、フリードに刀と剣を突き刺した。そして、フリードは砂となって消え失せたのだった。

 

「――終わった…か。……よし、さぁみんな!先へと進もう。ディオドラまでもうすぐだ」

 

『はい!』

 

ディオドラアスタロト!! お前を…絶対に……絶対に許さねぇぞ! 絶対てめぇをぶったおしにいくからな!!

 

―side out―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ツバキside―

 

…………………………うぅ…んぅ…。

 

「……あ…れ…?……ここ…どこ?……どうして…私が…ここ、に?」

 

いったい……私は何を?……たしか、私はディオドラ・アスタロトの情報を集めるため潜入し、ずっと監視して調査していた。……でも、そんなある時ディオドラ・アスタロトが旧魔王派の幹部の一人シャルバ・ベルゼブブと接触。そして交渉と色んな話をしてたんだっけ?……そのあと、私はこの情報を送り届けて、帰ろうとしたら……後ろから誰かにやられて、気絶した…と………。

 

「…………はぁ、やってしまったみたい」

 

あはは…。ほんと、何時も油断大敵って言ってる自分が一番油断してたなんて…。部下に示しがつかないよ~。はぁ…どうしよう。

 

「……ん。取れないな…。何なのよこの鎖は…。変な感じがするし、なんだかムズムズする。」

 

しっかし、私はいま何処に…………………………………うん?……アー…シア?

 

「え?アーシア?アーシア!!」

 

私は回りを見渡すと、隣でアーシアがいた。何故か悲しそうな顔をしていて、目が赤く充血していた。……おそらく泣いていたのでしょう。

 

そして、そんなアーシアの目の前には………あのディオドラ・アスタロトがニコニコと笑いながらいた。

 

「おやおや。やっと気がついたみたいですね。シスター・ツバキ。待ちくたびれましたよ?」

 

胡散臭い笑みをしながらそう言うディオドラ。

 

「……なんで…、なんでアーシアがいるの?なんで泣いてるのかな?どうして、アーシアも私も鎖に繋がれているのかしら?説明してもらえない?ディオドラ・アスタロト」

 

私は睨みながら言う。だが、ディオドラはどこ吹く風というような顔をして、嘲笑うかのように私の方を見てきた。

 

「知りたいですか?なら教えてあげましょう。いま、あなたは………」

 

ディオドラは喋った。私がこの状態の理由、アーシアが捕まっている理由、いま起きている現状の説明、そしてアーシアが泣いている理由と全ての原因の理由……そう、全て。

 

「――以上が今回おきている、今の状況ですよ?」

 

「…………んな……」

 

「はい?聞こえませんね」

 

…………くそが…

 

「………ざけんな―――ふざけんなよくそが!!!なんで、なんでアーシアが苦しまきゃならないのよ!! あんたみたいな奴のせいで…どれほど、どれ程アーシアが苦しんだのかわかっているの!なにか答えなさいよ!―ディオドラ・アスタロト!!!」

 

なんで…なんで!こんな奴のせいでアーシアが苦しまきゃいけないのよ!!なんなのよ!ほんとにイライラするわ!!

 

「ふふふ、別にいいじゃないか。しょせん人間なんてそんなもの。ボクたち悪魔にとっては家畜も同然。それに女にかんしてはただの雌だ。少なくても僕はそう思っているね。それに僕の好物は信仰心が強い処女のシスターを心身ともに犯し尽くすこと…。それが僕の趣味で生き甲斐でもあるんだ。別に欲に忠実なのは本来の悪魔なのだからいいんじゃないか。―――それに幸運だろ?僕みたいな階級の上級悪魔にその処女を貰われるんだ。光栄じゃないか!だから楽しもうよ、僕と永遠に…ね」

 

ディオドラはとても気持ち悪い狂気を含んだ狂った笑みをしていた。

 

「……気持ち悪い…。あんたみたいな奴に犯されるくらいなら死んだほうが断然にましだわ」

 

ふん…、本当に気持ち悪いだけだわ

 

「ふっ…」

 

すると、ニヤリと笑いながら手を上げて――

 

バキッ!

 

「――ッぅ!」

 

「ツバキちゃん!?」

 

ディオドラが私の頬を力一杯殴ってきた。

 

それを見たアーシアが叫ぶ。

 

「てめぇ、みたいな女は大人しく俺達に腰を振っていればいいんだよ!? なにを偉そうにしてんだこのメス豚が!調子にのんじゃねぇぞ糞が!!」

 

バキッ!ドカッ!バコッ!ズガッ!

 

「ッ!あぅ!ぐっ!あがっ!」

 

「や、やめてください!もう、ツバキちゃんに乱暴しないで!!」

 

私はただディオドラに殴られ蹴られ続けた。アーシアが隣で悲痛な叫びを上げているが、私はそれを頑張って耐える。

 

……絶対に…アーシアに触れさせるもんですか!!

 

「ふぅ…ふぅ…ふぅ~………」

 

「はぁ…はぁ…はぁ………っぅ!…」

 

ディオドラは殴り疲れたのか息を荒くして突っ立っていた。痛い…口の中で血の味がする。どうやら切っちゃったみたい

 

「ふぅ……!……そうだ…いいこと思い付いた♪」

 

すると、ディオドラはまた気持ち悪い笑みを浮かべた。それも下心満載の下劣な瞳を………アーシアに向けた。

 

……まさか!?

 

「さて、早速だしアーシアの処女をいただくとしよ…「待ちなさい!!」……なんだよ」

 

私はディオドラに向かって叫ぶ。……こわい…こわいけど…。アーシアの為なら…どんなことでも耐えてみせる!………絶対にアーシアに指一本も触れさせないから!

 

「……アーシアに…アーシアに手を出すのなら私だけにしなさい。私は好きにしてもいい。どんな事をしてもいい。あなたの欲望のままにしてくれてもかまわない。……だから…だからアーシアだけには手を出さないで。お願い……」

 

私はそう言った。すると、ディオドラは少し笑みをみせたあと私を睨んだ。

 

「そんな程度のお願いじゃぁ~聞けないね~。もっと目上の人にお願いするときはどうするのかなぁ~?それにぃ~、ちゃんと約束してよね~。『私をあなた専用の奴隷にしてください』って。ほら、いってみなよ。じゃないと…、アーシアを襲っちゃうぞ?」

 

ディオドラは下劣な笑みをしながら私にいう。

 

…………屈辱…だけど…アーシアのため、なら…。

 

「………お願い…します。ディオドラ・アスタロト…様…。私は…、あなた、の、奴隷…に、なります…だから!……どうか、どうか!アーシアだけは手を出さないでください!!お願いいたします…ディオドラ様…」

 

私は手は鎖によって縛られているから開けないけど、頭を精一杯下げた。

 

「くく、くふふふ…あははははは!!最高だよ!!あの『慈愛の聖女』が僕の奴隷になるなんてねぇ!! あぁ、いいよ?約束は守ってあげるよ。君が僕と遊んでくれたらね…」

 

すると、ディオドラは私の頬を優しく触れるようにして触ってきた…

 

「さぁ…、いまから契りをかわそうか。君はこれから僕の物だからね。……その心が、どこまで持つのか楽しみだよ」

 

ムチュ

 

「ぅぐっ!?」

 

いきなりキスをしてきたディオドラ。

 

チュパチュパ…ニュルン!

 

「ひぅ!?」

 

キスをしてたら突然舌をいれてきた。

 

「……ちゅ…ムチュ、ジュル、レロ…ぅちゅ…」

 

「……ん…はぁ…うぶ…はぅ…ぅむ…!?」

 

そのまま長いことディープキスをされた私。そして、堪能したのかキスを止めてはなれた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ………ぅぅ」

 

穢された………こんな……こんな奴なんかに…穢された………ぅぅ…

 

「……ふふ、じゃ~次は…」

 

ビリィィ!バリバリバリ…

 

ディオドラは魔力で作った刃で私の服を下着ごと切り裂いた。更に、腕に付いている鎖が天井の方へと伸びて腕が上に引っ張られるように上がった。そのせいで、大切な所が殆ど丸見えだ…。

 

ムニュ

 

「―――ッ」

 

ディオドラは私の胸を舐めまわすような手つきで触ってきた。

 

「さぁ…、本番はこれからだよ?……ツ・バ・キ…ちゃん?」

 

ゾワァ…!

 

ディオドラが私の耳元でそう囁く。私の肌を触れる度に言い寄れない、恐怖と不安感と絶望感が私を襲った。

 

………………怖い…怖いよぉ………誰か…だれか助けてよぉ………イヤだ…イヤだ!こんな奴なんかに、私の全てを渡したくない!!

 

……いやだ…こわい…こわいよぉ…お兄ちゃん…お姉ちゃん……お願い…助けて……………誰か…助けて―――

 

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!

 

突然扉が吹っ飛んだ。そのせいで煙が舞い上がる。

 

そして煙が晴れる。そこにいたのは……………

 

『ディオドラ・アスタロト!!お前を倒しに来たぞ!!お前をいまから…吹っ飛んばす!!!』

 

そう……お兄ちゃんやグレモリー眷属の仲間達だった…




やぁやぁ(*´∀`)ノお久しぶりだねみんな。やっと話がまとまったよ。それでもなんだか変な感じがするけどね…。

でも、自分で書いといてあれだけど………ディオドラマジで気持ちわる!?そんでぇ……………物凄く殺意がわくのは俺だけだろうか?………いな、俺だけじゃないはずだ!きっと同じ気持ちの同志達がいるはず!

さぁて…ディオドラ・アスタロト…。どうやって終末を迎えさせて殺ろうかねぇ…。

では、また次回。それまでバイバ~イ( ´∀`)ノミノ


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11話 旧魔王派VS地球連邦軍 決着

ツバキとアーシア救出の為に、ディオドラの眷属達とグレモリー眷属+αの面々が戦っている頃………他の地球連邦軍の所というと――――

 

『ヒャッハァァァァ!!汚物は消毒じゃぁぁぁ!』

 

『てめぇら!死にさらせぇぇぇ!!』

 

『おらおら!邪魔なんだよ!!』

 

『うおおおおおおお!みなぎってきたぁぁぁ!』

 

『せいやぁぁぁ!』

 

圧倒的 武力で敵の旧魔王派の悪魔達をほふっていた。

 

そして、光輝や他の姉妹達は………

 

「ふん!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!オラァァァァ!!!」

 

光輝は両手から光の拳でできた気合拳を飛ばしていた。その攻撃で敵は次々と消し飛んでいく。

 

「私達の家族を穢した事を悔い改めなさい!!いくよ!ナツル!優子!」

 

「「はい!」」

 

「「「合体超魔法!!『エーテリオン』!!!」」」

 

三人の魔力が重なり、空に幾つもの魔方陣が重なるように展開された。そして、そこから巨大なビームがでて、悪魔達を飲み込んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―イッセーside―

 

俺たちがたどり着いたのは、最深部にある神殿だった。その内部に入っていくと、前方に巨大な装置らしきものが姿を現した。

 

「アーシアァァァァァァァッ!」

 

装置の中心にアーシアが張りつけにされているのを見た俺は、アーシアに向かってさけんだ。……見たところ怪我や衣類の破れは一つも見当たらないな。よかった…

 

「やっと来たんだね」

 

装置の横から姿を現したのはディオドラ・アスタロトだ。やさしげな笑みがより一層全員の殺意を高めさせていく事となった。

 

「……イッセーさん?」

 

アーシアが声を聞いて、こっちへ顔を向けた。…が――目元が赤く腫れあがっている。

 

泣いていたのか。それもかなりの量の涙を流したと思えるほど、目が赤くなっているみたいだ。ほんと…マジでムカつくぞ……ディオドラさんよぉ…。

 

「それにしても、良いところだったのに邪魔してくれたよね…」

 

ディオドラはそう言った。……そういえばツバキちゃんは何処にいるんだ?

 

「……ディオドラ、おまえ、アーシアに全てを話したのか?」

 

俺は低い声でディオドラに訊いた。

 

だけど、ディオドラは俺の問いににんまりと微笑んだ。

 

「うん。全部、アーシアに話したよ。ふふふ、キミたちにも見せたかったな。彼女が最高の表情になった瞬間を。全部、僕の手のひらで動いていたと知ったときのアーシアの顔は本当に最高だった。ほら、記録映像にも残したんだ。再生しようか?本当に素敵な顔なんだ。教会の女が堕ちる瞬間の表情は、何度見てもたまらない」

 

アーシアがすすり泣き始めていた。

 

この……ゲス野郎が……。

 

「でも、足りないと思うんだ。アーシアにはまだ希望がある。そう、キミたちだ。特にそこの汚れた赤龍帝。キミがアーシアを救ってしまったせいで、僕の計画は台無しになってしまったよ。あの堕天使の女レイナーレが一度アーシアを殺したあと、僕が登場してレイナーレを殺し、その場で駒を与える予定だったんだ。キミが乱入してもレイナーレには勝てないと思っていた。そうしたら、キミは赤龍帝だという。偶然にしてはおそろしい出来事だね。おかげで計画はだいぶ遅れてしまったけれど、やっと僕の手元に帰ってきた。これでアーシアを楽しめるよ」

 

『黙れ』

 

数人の声が重なる。殺気が籠もった低い声だ。

 

「アーシアはまだ処女だよね?僕は処女から調教するのが好きだから、赤龍帝のお古は嫌だな」

 

ディオドラ、おまえは気づいているか知らないけど、アリアさんやレイジさんの怒りは限界点を超えているみたいだぞ?……すごく魔力が迸ってるし…。

 

「あ、でも、赤龍帝から寝取るのもまた楽しいのかな?」

 

……その言葉で、ここにいる全員の殺気が膨れ上がっていく。

 

「キミの名前を呼ぶアーシアを無理矢理抱くのも良いかもしれ――」

 

「黙れェェェェェェェェェッ!」

 

『Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Balance(バランス)Breaker(ブレイカー)!!!!!!!!』

 

俺の中で限界点にきていた怒りが弾け飛んだ。膨大な赤いオーラは鎧を形成していき、俺を包み込んだ。

 

「ディオドラァァァァァァァァァッ!てめえだけは!絶対に許さねぇッ!」

 

そして俺は全身に鎧を身にまとった。

 

「部長、皆、絶対に手を出さないでください」

 

「イッセー。全員で倒すわと、言いたいところだけど、いまのあなたを止められそうもないわね。手加減してはダメよ」

 

「そうだな。今回はお前に託す。そいつにドラゴンの力を見せてやれ!」

 

「そうですね。イッセーくん。そいつにアーシアの苦しみも分からせてやりなさい!」

 

部長やみんなが俺に激を送ってくれた。

 

「アハハハハ!すごいね!これが赤龍帝!でも、僕もパワーアップしているんだ!オーフィスからもらった『蛇』でね!キミなんて瞬殺――」

 

ゴォォォォオオオオオッ!俺は背中の魔力噴出口から火を噴かし……

 

ドゴンッ!

 

怒りの打撃はアスタロトの腹部に入った。

 

「……がっ」

 

アスタロトの体はくの字曲がり、顔は激痛に歪んだ。

 

「瞬殺がどうしたって?」

 

アスタロトは腹部を押さえ表情に余裕はなかった。

 

「くっ!こんなところで!僕は上級悪魔だ!現魔王ベルゼブブの血筋だぞ!」

 

アスタロトは魔力の弾を無数に展開した。

 

「キミのような下級で下劣で下品な転生悪魔ごときに気高い血が負けるはずがないんだッッ!」

 

アスタロトの放つ無数の魔力弾が俺を襲うが、俺にはその程度は効かずディオドラの眼前まで迫ったとき、ディオドラは魔力弾を止め距離を取ろうとしたが俺は背中の魔力噴出口を噴かしてすぐに追いつきディオドラは防御障壁を作るが

 

「ヴァーリの作った障壁よりも薄そうだな」

 

バリンッ!

 

俺の拳は難なく防御障壁を破壊して

 

ゴンッ!

 

顔面へ一撃入れた。

 

「……痛い。痛い。痛いよ!どうして!僕の魔力は当たったのに!オーフィスの力で絶大までに引き上げられたはずなのに!」

 

それから俺はディオドラの腹部と顔に一撃入れ、オーラを右拳に集結させ、ディオドラに叩き込もうとしたが………

 

「こんな腐れドラゴンに僕がぁぁぁぁっ!」

 

ディオドラは左手を前にだし分厚そうなオーラの壁を発現させる。

 

「アハハハハハハッ!ほら見たことか!僕のほうが魔力が上なんだ!ただのパワーバカの赤龍帝が僕に敵うはずがないんだよっ!」

 

「そのパワーバカのパワー見せてやろうか?」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost』

 

ゴォォォォォオオオオオオオオオオオッ!

 

俺は背中の魔力噴出口を噴かし拳に勢いを上げて

 

バリンッ!とアスタロトのオーラの壁は俺の拳の一撃で儚い音を立てて消失した。

 

「わりぃな。パワーバカだから、こんな風に力押ししかできねぇや。でもいまのおまえ相手になら十分か」

 

「ひっ」

 

一瞬で顔色を変えるアスタロトに、

 

「俺ん家のアーシアを泣かすんじゃねぇよッ!」

 

イッセーの拳はアスタロトの左手を叩き折り、その勢いで顔面に拳がぶち込まれた。その一撃でアスタロトは柱まで吹っ飛んだ。床に落ちたアスタロトはおろおろと地を這いずりながら叫んだ。

 

「ウソだ!やられるはずがない!アガレスにも勝った!バアルにも勝つ予定だ!才能のない大王家の跡取りなんかに負けるはずがない!情愛が深いグレモリーなんか僕の相手になるはずがない!僕はアスタロト家のディオドラなんだぞ!」

 

すると、苦痛な顔になりながらもディオドラはさっきよりも多くの魔力を撃ってきた。でも、俺はそれを避けまくった。

 

そして俺はディオドラに一気に近づき拳を握る!

 

ゴスッ!!!

 

正面から打ち出された拳打は、ディオドラの顔面をとらえて柱まで吹き飛ばした。

 

俺は歩み寄った。ディオドラの前に立つとマスクを収納して、赤いオーラを激しく発しながら叫んだ。

 

「二度と、アーシアに近づくなッ!次に俺達のもとに姿を現したら、そのときこそ、本当に消し飛ばしてやるッ!」

 

アスタロトの瞳は怯えの色に染まっていた。

 

『相棒。そいつの心はもう終わった。そいつの瞳はドラゴンに恐怖を刻み込まれた者のそれだ』

 

ドライグがそう言った。……なら、もういいかな?

 

「イッセー……止めを刺さなくていいのか?」

 

すると、ゼノヴィアがデュランダルをディオドラに向けながらそう言った。

 

「こいつもいちおう現魔王の血筋だ。いくらテロに加担したからといって。殺したら部長や部長のお兄さんに迷惑をかけるかもしれない。もう十分殴り飛ばしたさ」

 

ゼノヴィアはアスカロンを勢いよく床にぶっ刺した。少しでも憂さを晴らしたかったのだろう。

 

「…………わかった。イッセーが言うなら私は止める」

 

はは、まぁ、今回はこれでひと安心かな?

 

「………………く…クックックックッ………アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

 

すると、突然ディオドラが狂う様に笑いだした。

 

「な…なんだ!?」

 

「クックックッ…。それで勝ったつもりかい?赤龍帝……。僕はまだ負けていない…負けていないんだよぉ!! それに君たちは大事な事を忘れていないかい?……シスター・ツバキの事を…」

 

…………そういえば、ツバキちゃんは何処だ!!

 

「ディオドラ・アスタロトォォォ!! ツバキを何処に隠した!!!」

 

レイジさんが怒りながら叫ぶ。

 

「アハハハ!シスター・ツバキなら此処にいるよ…」

 

すると、ディオドラは空に向かって手を挙げた。そしたらアーシアの上に魔方陣が展開する。……そこからツバキちゃんが出てきた。……両手に鎖を巻かれて、グッタリとした状態で…。

 

「………………おい、ディオドラ…。ツバキにいったい何をした………」

 

レイジさんがとても低い声でディオドラにいう。……当たり前だ…。なんせ、ツバキちゃんの服はビリビリに破かれ肌が露になっていた。それも、大事な所が丸見えだ…。更に、ツバキちゃんの肌には殴られたかの様な痣が出来ていた。それも身体中に…。

それと、アーシアの様に泣いていたのか、頬に涙の跡が付いていた。

 

「ツバキちゃん!」

 

アーシアが悲痛な声をあげた。

 

「ツバキちゃんは、ディオドラから私を守ろうとして、体に怪我を負いました。……私が弱いから、ツバサちゃんは……」

 

そういいながら、アーシアはまた泣き出した。

 

それを見た全員の魔力が膨れ上がる。……てめぇ!アーシアだけじゃなくツバキちゃんまで泣かせたな!!

 

「お前!!」

 

「おっと、あまり動かないでくれないかい? あのツバキちゃんの上にある魔方陣は爆発性の物だ。もしも、彼処で爆発すればシスター・ツバキだけではなくアーシアも一緒に巻き込まれるけどね」

 

「くっ! ……卑怯な」

 

あんまりに酷い…。ほんとに最低な野郎だ!!

 

「あっはっはっはっ!何度でもいいなよ!この世は結果がすべてだ。要は勝てばいいんだよ勝てばね!!」

 

そしたら突然ディオドラが魔方陣を放ってきた。それもアーシア達に向かって。

 

「させるかぁ!!」

 

俺はアーシア達の前に立った。撃ってきた魔力を俺は身体を使って守る。ディオドラはお構いなしにひたすら魔力を撃ってきた。

 

「……ぐぅ」

 

「イッセーさん!」

 

後ろでアーシアが叫んでいた。……ふっ、大丈夫だよアーシア…。おれは…必ず護るから!!

 

絶対に耐えてみせる!負けてたまるかぁぁ!!

 

―side out―

 

 

―ツバキside―

……うぅ…。……いつぅ~!…うぅ、気絶していたみたいだ。……そういえばいまはどうなってるの?

 

私は何とか眼をあけた。……そこに写ったのは、ディオドラの魔力弾を身体を使ってアーシアを護るためにで耐えているイッセーと、何故か空中で鎖で縛られている私と……………

 

……え? ど、どうなってるの!? この数分の間に何がおきたの? てか、何故私は鎖で空中に縛られてるの? ……あれぇ?ついさっきまでディオドラに……エ…エッチぃ…事を、やられる所だったのに…。でも、これって一応助かったのかな?……よかったぁ~。あんな気色悪い奴に…その大切なアレをあげるくらいなら、お兄ちゃんか、イッセーにあげるもんね。

……って///わ…私はにゃにを考えていりゅのですか!?///は…ハレンチです!!!!///

 

………で、でも、今はそんなことよりも、イッセーが傷つきながらも私達を守ろうとしてくれている所が大事ですよね。

 

助けたい…いますぐにでも助けたい!……でも、今の私にはなにもできない…。無力な私は……好きじゃないよ………

 

「……イッセー…」

 

……もう、それ以上したら死んじゃうよ?……なんで君はそこまで頑張るの?……ほんとに…、バカな人だよ…本当のバカだよね。

 

「(……もうすぐ……もうすぐだから…、イッセー…あと少しだけ、耐えて。お願い!!)」

 

お願いイッセー!あと、ほんの少し…ほんの少しだから、頑張って耐えて!! あと少しだから!

 

私は願う。……イッセーの為に…。

 

そして…、みんなの為に!みんなを守る為に!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ドックン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピカァァァァァァァァァァァァン!!!!!!

 

そして、私の体は光に包まれた………

 

―side out―

 

―イッセーside―

 

くそっ!マジでキツいぞ!いくら赤龍帝の鎧が硬くても、流石にこれ以上は持たねぇ!

 

「クックックッ。そろそろ終わりかな?赤龍帝…次こそ僕が君を殺してあげるよ!」

 

すると、ディオドラは今までで一番でかい魔力で撃ってきた。

 

……ヤバイ、殺られる!!

 

俺は覚悟を決めた瞬間………

 

ピカァァァァァァァァァァァァン!!!!!!

 

全てが光に包まれた。

 

「くっ!な…なんだ!?なにがおきたんだ!」

 

お…おれもなにが起きてるかわかんねぇ!いったいいきなりどうしたんだ!?

 

『……クックッ!相棒、一番頼もしい奴が復活したみたいだぞ?』

 

ドライグがそう言った。……一番頼もしい奴?……ってまさか!!

 

俺はツバキちゃんの方を向いた。そこだけ一番光が強かった。

 

やがて光が薄れていき、そこから現れたのは―――

 

「俺…ふっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつ!!!!!!」

 

そう……あの最強と言われている結城 翼だ!

 

そんなツバキちゃん――改めツバサちゃんの服装は変わっており、まるで新品同然の巫女のような服だった。何故か、脇が出ている変な巫女服だった。

 

「……なっ!なにがおきたんだ!?……お前はあのシスター・ツバキか?風位気が替わった気がするが」

 

すると、ディオドラはツバサちゃんの方をみてそう言った。

 

「ん?……えぇ、正真正銘あなたのいうシスター・ツバキでございますよ? まぁ、いまはツバサですけどね」

 

笑いながらそう言うツバサちゃん。

 

「ちなみに、これでも男です!」

 

ドヤ顔でいうツバサちゃん。……それってドヤ顔でいう必要あるのか?

 

「……は?いったい何を訳のわからない事をいっているんだい?シスター・ツバキ。君は何処をどうみても女の子じゃないか。……まぁ、確かに胸は無くなったけどね」

 

ディオドラは、何こいつ?みたいな顔でそう言った。……確かにツバサちゃんはかなりの美少女だから、見ただけでは男って思わないだろうな。

 

「……む…まぁ、いいでしょう。別に今に始まったことではありませんし」

 

ツバサちゃんは諦めたかのような感じでいう。

 

「それよりも、さっさと取りますか。これ」

 

するとツバサちゃんは鎖を取ろうとしたが、ディオドラが笑いだした。

 

「取る?その鎖をかい?……アッハッハッハッハッ!!!無理に決まってるじゃないか!君とアーシアの付けている鎖はただの鎖じゃない。とある英雄派にいる神滅具『絶霧(ディメイション・ロスト)』の使い手が作った強力な結界だ!『絶霧(ディメイションロスト)』の結界はこの世の中でも最強の結界を張れるんだ。ただの人間であるシスター・ツバキが壊せるわけが『ガシャン!』……………………え?」

 

……ん?いま“ガシャン”って音がしたような……

 

俺は音のした方を向いたら、そこには鎖が砕けちり、空中にいたはずのツバサちゃんが地面で立っていた。

 

……って

 

『えええええええええええ!!!!!?』

 

この場のみんなの悲鳴が重なった。いや、マジでなんで!?

 

「……クックックッ―ふふ、アハハハハハハ!!やっぱりつーくんはスゴいな。あの『絶霧(ディメイション・ロスト)』の結界をそんな簡単に破壊するなんて、ほんとに馬鹿げてるな。……まぁ、“結界を司る者”と呼ばれてる程だから、そうでもないのかな?」

 

レイジが笑いながらそう言った。結界を司る者?なんだそりゃ?

 

「ふふ、確かにね…。それに、この程度の結界なんて紫さんや霊夢が使う“多重結界”や“弾幕結界”の方が断然強力だよ?ほんとにあの人達の造る結界はスゴいんだから。だてにあの『博麗大結界』を作っていないよねぇ~」

 

「ふっ、確かにな」

 

なんだか、難しそうな?話をしているレイジさんとツバサちゃん。……なんだ?『博麗大結界』って?

 

「……ま、まぁ、いいさ。どうせ君たちは僕には勝てない。またさっきの様に倒せばいいさ!」

 

すると、ディオドラがまた叫ぶ。おまえさっきまで俺が手を出せなかったからあんなにもやられてた訳であって、お前は俺に散々やられたの忘れてないか?

 

『しかたがないだろう。あのタイプの奴は自分が最高なんて思っているやつらだからな。さっきまで相棒にやられていた事なんて忘れているさ』

 

都合のいい頭だな!

 

『そうだな』

 

「さて、それじゃぁまた俺が…「イッセー!」……なんだ?」

 

俺が行こうとするとツバサちゃんに止められた。

 

「イッセー…ここは俺に任せてくれないか?……いままでの分をキッチリと払わせないと気がすまないからね♪」

 

ツバサちゃんは物凄い笑顔で言った。……だが、その笑顔は何よりも怖かった。

 

「お、おう!頑張れよ!!(や、やべぇ!むっちゃ怖ぇぇぇ!!)」

 

「ふふふ、ありがとう……………さて、ディオドラ・アスタロト」

 

突然ツバサちゃんは低い声でディオドラを呼ぶ。

 

「なんだい?シスター・ツバキ」

 

ディオドラは平気な顔でいう。でも、冷や汗が少し出ていた。

 

「おまえ、さっきまでよくもあんな事をしてくれたね。お前のせいで傷ついたアーシアのとお前に受けた辱しめと屈辱はキッチリと倍にして返してあげるよ。―――さぁ、お前の罪を数えろ!」

 

ドウ!

 

ツバキちゃんの体から光が放たれた。

 

「『禁手(バランス・ブレイク)!祖龍の鎧!!』」

 

そこにいたのは、全身がヴァーリーよりも白い白銀色をしていてキラキラと輝いていた。鎧の形は何処と無く俺に似ていた。

 

『あれが祖龍の鎧か……強いな』

 

ドライグがそう言った。……うん、確かにな。俺も少なからずドラゴンの力があるから、ビリビリとこっちまで力の波動を感じる。なにか、こう…勝てない気がするんだよな~。

 

「さぁ、覚悟はいいか?ディオドラ。我を怒らした事、後悔するがよい」

 

ツバサちゃんは殺気を出しながらディオドラに向かって言う。てか、口調変わってないか?

 

「な、なにをいっているんだい?君が上級悪魔でもある僕に勝てるん訳が――」

 

ズドォン!!

 

「ゴボッ!」

 

ドカァァァン!!

 

「喋るでないぞ…。雑魚が…」

 

一瞬の内にディオドラの所にいって殴ったツバサちゃん。……って全然見えなかったんだけど

 

「ふむ、やっぱりな。あいつキレてるぞ」

 

そうレイジさんがいった。てえっ!キレてる!?それって大丈夫なのか!?

 

「それって大丈夫なんですか?」

 

部長が俺の思っていたことを訊いた。

 

「ん?あぁ、大丈夫だ。別に暴走した怒りではないからな。ただ純粋に怒っているだけだ。それに暴走した怒りなら今ごろここは消しとんでいるさ。ハハハハ!!!」

 

えぇ~…どんだけなんだよそれ…

 

「さぁ、立つのじゃ。貴様の罪はまだ終わってはおらぬぞ?」

 

「――っ!くそが!!人間のぶんざいでぇ調子にのるんじゃねぇぇぇ!!」

 

ディオドラが魔力弾を大量にツバサちゃんに撃った。

 

「ふんっ!」

 

パァン!

 

「……え?」

 

ツバサちゃんはたった腕を横に一振りしただけなのに、大量の魔力弾は消し去った。

 

 

「はぁ~。まさか、この程度で我を倒そうとしたのか?笑わせてくれるな。いったいバカにしているのはどちらのほうか。ほんと――――――図に乗るな小僧」

 

ツバサちゃん…スゲェ…!

 

「は、はは、ハハハ…」

 

ディオドラは乾いた笑いをしていた。

 

「さぁ、これで最後だ……。貴様の敗北はただひとつ。我を…いや、ドラゴンを怒らし、龍の逆鱗に触れたのだ。滅びるのは当たり前じゃ。

………さぁ、神龍の怒りを喰らうがいい!」

 

「『最後の審判(ラスト・ジャッチメント)』」

 

すると、ディオドラの真上に巨大な白い魔方陣が展開する。

 

そして、ツバサちゃんは腕を降り下ろす。

 

「『神龍の裁き』」

 

ズドォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!

 

「―――――ッ!!!」

 

魔方陣から巨大な光の光線がディオドラに落ちて、ディオドラは跡形もなく消し飛んだ。

 

やばい……あんな光のビームを喰らったらどんな悪魔でも消しとんでしまいそうだ。

 

『相棒…あれはそんなものじゃすまなさそうだぞ?恐らくドラゴン……いや、神でも簡単に消し飛ばすだろうな』

 

マ…マジかよ。どんだけ強力なんだよあの技は…。

 

『ま、わかった事はツバサを怒らせたら命は無いって事だな』

 

た、確かにな。

 

「……ふぅ、こんなもんかな?」

 

すると、鎧を解除したツバサちゃんがそこにいた。右手には鎧と同じ白銀の籠手があった。

 

「ありがとう、ルーツ。ルーツのお陰で予定よりも早く力が戻ったよ~」

 

『ふふ、どういたしまして。それに貴方が前に貰った天空の鎧には、神龍の加護…つまり神龍の力があった。そのおかげで以前よりも力がより強くなったでしょ?』

 

「うん。前よりも大分ドラゴンの力が上がってるみたいだよ。おそらく、コピーでドラゴン族の力を使うときはいままでよりも力が増してると思うよ。あと、聖なる属性とね」

 

『そうね。それにそれだけじゃないみたいね。少しだけど神龍の神としての力もあるみたいね』

 

「神?……もしかして、俺ってば神格化したの?」

 

『えぇ、少しだけども、それでも下級の神よりもかなり強いわね。まぁ、そもそも神龍じたいが他のどの神々よりも強かったからね。少なくてもそれだけの力があるのは当たり前だわ。それにいいじゃないの?また強くなって、多くの人々を守れる様になるのだしね(なにより、例のファンクラブの信仰心が強すぎるからね。おかげで私がツバサの内に溜まった神気を何重にも封印するのに時間がかかったわ。そのせいで、この子の柔肌に腐った野郎に触れられてしまったしね。)』

 

「……うん、そうだね♪」

 

笑いながら、祖龍 ミラ・ルーツとツバサちゃんは喋っていた。

 

なんだか、スゴく仲が良さそうだな。あまり邪魔をしちゃ悪いな。

 

「……あっ、そうだ。先にアーシアを助けないと!!」

 

俺は急いでアーシアの所にいった。

 

「アーシア、いま助けるからな!」

 

「イッセーさん…!」

 

くそっ!全然取れねぇ!!

 

「イッセー…、それはそう簡単には取れないよ。そうなってるんだからね…」

 

するとツバサちゃんが俺に言ってきた。

 

「その装置は機能上、一度しか使えないけど、逆に一度使わないと停止できないようになっているんだ。アーシアの能力が発動しない限り停止しない」

 

「どういうことだ?」

 

俺が聞くと、ツバサちゃんが言う

 

「さっき自分の鎖を取るついでに調べたんだけどね?その装置は神滅具所有者が作りだした固有結界のひとつ。このフィールドを強固に包む結界もその者が作りだしているんだ。『絶霧(ディメイション・ロスト)』結界系神器の最強だよ。所有者を中心に無限に展開する霧。そのなかに入ったときすべての物体を封じることも、異次元に送ることすらできる。それが、禁手に至ったとき、所有者の好きな結界装置を霧から創りだせる能力に変化したんだ。その名も『霧の中の理想郷

(ディメンション・クリエイト)』…創りだした結界は一度正式に発動しないと止まることはできない」

 

神器の力か!だからこの鎧の能力が効かないのか!

 

木場はツバサちゃんに問いただす。

 

「発動条件と、この結界の能力は?」

 

「それの発動の条件はディオドラか、他の関係者の起動合図、もしくはディオドラが倒されたら。結界の能力は枷を繋いだ者、つまりアーシアの神器能力を増幅させて反転すること」

 

反転?つまりアーシアの回復の力の逆を増幅。

 

木場も気づいたのか、さらに問いただす。

 

「効果範囲は?」

 

「…………このフィールドと、観客席にいる者たちみたいだよ」

 

その言葉に全員が驚愕する。クソ!

 

……ん?でもならなんで今は何も起きていないんだ?

 

俺達はツバサちゃんの方へとみた。ツバサちゃんはそれをわかったのか、微笑みながら俺達を見た。

 

「みんなの言いたいことは、わかってるよ。その効果は俺がついでに弄ったからね。だてに結界を司る者なんて言われてないよ。たかが『絶霧(ディメイション・ロスト)』程度の結界で手こずっているようでは、他の俺の知ってる結界を使う人達相手に勝てないし、各地に封印されている巨大な力をもった奴等の封印の管理なんてできないからね~。にゃはははは~♪」

 

「流石だな、ツバサ」

 

「ですね、流石私達の義妹ですね♪」

 

「流石は我が主だ!」

 

「「うんうん」」

 

レイジさん達も誉めていた。うん、ほんとに流石はツバサちゃんだよな!

 

「と…言うわけで少し退いてくださいね?イッセー。あとはまっかせなさい!」

 

「おう、頼むぜ!」

 

「はい♪……んじゃ、アーシア。少しくすぐったいけど我慢してね~」

 

「はい!」

 

ガチャガチャ…ガシャン!

 

すると、アーシアに付いていた鎖が跡形もなく砕け散ったのだった。

 

「アーシア!!」

 

「イッセーさん!」

 

ガバッ!

 

俺はアーシアを抱き締めた。やっとアーシアを助けれた。

 

「遅くなってごめんなアーシア。」

 

「いいえ、私は信じてました……。イッセーさんがきっと助けにきてくれるって」

 

「当然だろう。でも、ゴメンな。辛いこと、聞いてしまったんだろう?」

 

「平気です。あのときはショックでしたが、私にはイッセーさんがいます。それにみなさんで助けてくれました。それだけで充分ですよ…」

 

「アーシア…」

 

ほんと、いい子だぜ!

 

「ツバサちゃんもありがとうございます!………私を護るためにあんな酷い事を…」

 

あんな酷い事?……もしかして、あのアザの事か?

 

「ふふ、大丈夫だよ!アーシアを守るためならあれぐらい平気平気♪……まぁ、ちょっと怖かったけどね~」

 

「ほんとにありがとうございます、ツバサさん」

 

「うん、俺もアーシアが無事で嬉しいよ♪」

 

「はい!」

 

……うん、うん!お兄さんもアーシアが無事で嬉しいよ!! やっぱりアーシアはグレモリー眷属の癒しだよ!

 

「アーシアぁぁぁぁ!」

 

アリアさんがアーシアに抱きついた。

 

「アーシア!痛いところない?怪我はしてない?なにか酷い事されなかった?」

 

「お、お姉ちゃん大丈夫ですよ。私は何ともありません。それよりも、私ではなくディオドラに酷い事をされたツバサさんを癒してください。私よりも酷い仕打ちを受けたんですから…」

 

すると、アーシアが悲しそうな顔をした。

 

「……酷い仕打ち?」

 

「はい…。みなさんがここにくる少し前に、丁度ツバサさんが目覚めました。その時にディオドラが私の事を話してそれでツバサさんと言い合いをしてました。でも、ツバサさんがディオドラにほんとの事をいったら、ディオドラがキレて殴る蹴るといった暴行をひたすらツバサさんにしてました…」

 

なっ!?あいつそんな酷い事を!!

 

「……そのあと、突然ディオドラが私の方を向いたのでなにかと思ったら、ツバサさんが『アーシアを襲うなら私だけにしなさい!!』って言って、それを聞いたディオドラはツバサさんに土下座をさせながら、なにか、奴隷になるとかそういう約束を無理矢理させていました………。そのあとディオドラがツバサさんに大人のキスをして、服を引き裂いて体を触っていた瞬間にみなさんが助けにきてくれました。そのあとはディオドラが気絶したツバサさんを魔方陣にいれて、今にいたります」

 

……そうだったのか…、そんな酷い事を…

 

「私は大丈夫だから、だから…お姉ちゃん」

 

「わかったわ。イッセー、アーシアを頼むわね?」

 

すると、アリアさんが立って俺にアーシアを頼んできた。

 

「はい」

 

「ありがとう」

 

そう言ってアリアさんはツバサちゃんの所にいった。

 

「つーくん…」

 

「ん?アリアさん、どうしたのですか?急にこっちにきて、アーシアとはお話を―――」

 

ガバッ

 

突然ツバサちゃんを抱き締めたアリアさん。ツバサちゃんは顔は見えないけどおそらくビックリしているだろう。

 

「えっ?い、いきなりどうして――」

 

「ありがとう。アーシアを守ってくれて…。もう大丈夫だから……だから、さ?存分に甘えなさい。もう…怖くないから…ね?」

 

「アリア…さん?」

 

「怖かったでしょ?もう…大丈夫だから。もう安心しなさい。無理して…笑顔を作らなくてもいいから…。……泣いてもいいんだよ」

 

アリアさんはツバサちゃんの頭を優しく撫でながら優しい声でツバサちゃんを宥めていた。

 

「…………ヒック…エッグ…怖かった…怖かったよぉ…うわぁぁぁぁん!!」

 

すると、安心したのか泣き崩れるツバサちゃん。それもそうだ。女の子にとってそんな無理矢理犯られるなんて、それほどまでに恐ろしい恐怖はないはずだ。いくらツバサちゃんだからだってもそれは変わらない。……ましてや甘えん坊で優しいツバサちゃんが、女の子の状態でそんな事をやられたら怖くない筈がないもんな…

 

すると、アーシアは部長達の所にいった。

 

「部長さん、皆さん、ありがとうございました。私のために……」

 

すると、部長がアーシアを抱き、優しげな笑顔で言う。

 

「アーシア。そろそろ私のことを家で部長と呼ぶのは止めてもいいのよ?私を姉と思ってくれて良いのだから」

 

「――っ!はい!リアスお姉さま!」

 

えぇ!?部長!それはアリアさんに宣戦布告していますよ!!

 

……でも、まぁ、いっか♪

 

「さて、アーシア。帰ろうぜ」

 

「はい!と、その前にお祈りを」

 

アーシアは天に何かを祈る。

 

「アーシア、何を祈ったんだ?」

 

「内緒です」

 

アーシアは恥ずかしそうにして言う。

 

そして、笑顔で俺の所へと走りよるアーシア。

 

カッ――。

 

そのとき、まばゆい光の柱が俺達たちを襲う。

 

よく見ると、その光の柱はアーシアを包み込んでいた。

 

光の柱が消え去ったとき、そこには――。

 

「……アーシア?」

 

誰もいないところに声をかけた……。

 

――そう、アーシアは光の柱と共に姿を消していた。




さて…、やっとディオドラを倒せましたね~。もうちょっとボコボコにすれば良かったかな?……まぁ、こんなものでもいっか♪

……さて、次回はイッセーが暴走しちゃうね。さぁ、いったいアーシアの運命は…、主人公のツバサちゃんはどのような働きをするのか!乞うご期待です!!

それではまた次回で…バイバーイ♪( ´∀`)ノシ


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12話 イッセーの暴走

―ツバサside―

あれから少したち、俺達は無事にディオドラ……いやHE NN TA I☆から開放された。

 

ほんとに長い道のりだった…。やっぱり女の子(椿)の状態では上手いこと力の調節が出来ないようだ。

 

……どうにかして、女の子の状態でも戦える様にしなくちゃなぁ~……。守られてばかりでは、今回の様にみんなに迷惑かけちゃうし…

 

そんな事を考えていると、なにか気配を感じた…。

 

……この気配………アーシアからだ!

 

俺はアーシアに一瞬で駆け寄る。

 

「アーシア!!危ない!!」

 

「え?ツバサs――」

 

一瞬で俺とアーシアは光に包まれたのだった…

 

―side out―

 

―木場祐斗side―

僕たちは一瞬なにが起きたのか理解できなかった。

 いや、いまだによくわかっていない。

 

 ディオドラ・アスタロトから、アーシアさんとツバキさんを救出して助けた。だから、この場から退避するはずだった。

 その瞬間、アーシアさんと、それにツバサくんが庇うようにまばゆい光の中に消えていった。

 

…………そう、突然に事態が一変したんだ…。

 

詳しくいえば、ツバサさんが突然アーシアに走って近づき、アーシアを抱き締めたかと思うと…、ツバサとアーシアが光に包まれて消えたのだった。

 

突然の出来事に放心状態になる僕達。……いったいなにが…

 

「――神滅具(ロンギヌス)を創りしもの、神滅具の攻撃で散る、か。霧使いめ、手を抜いたな。計画の再構築が必要だ。それにしても、あの女は案外簡単に消えたな。もう少し楽しませてくれれば酒の盃にはなったものを…実に呆気ない終わりかただな」

 

 聞き覚えのない声だ。

 

 声のしたほうへ視線を送ると、見知らぬ男性が宙に浮いていた。軽鎧を身に着け、マントも羽織っている。

 

……この体の芯から冷え込むようなオーラの質は……。

 

「誰…?」

 

部長が聴く

 

「………やはり貴様か…シャルバ・ベルゼブブ!!」

 

すると、隣にいたレイジさんが怨敵を見るような鋭い眼光で男の名前を読んでいた。

 

「お初にお目にかかる、忌々しき偽りの魔王の妹よ。私の名前はシャルバ・ベルゼブブ。偉大なる真の魔王ベルゼブブの血を引く、正統なる後継者だ。ディオドラ・アスタロトめ…この私が力を貸したというのにこのザマとは。先日のアガレスとの試合でも無断でオーフィスの蛇を使い、計画を敵に予見させた。貴公はあまりにも愚行が過ぎたせいで大分計画が狂ってしまった。……まぁ、そもそも捨て駒同然で最後は殺すつもりだったからよしとするか」

 

――旧ベルゼブブだって!!

 

「……その言葉…、はなからディオドラを処分するつもりだったな?俺達と一緒に」

 

レイジさんがそんな事をいった。そ…そんな!

 

「ふふ、ご名答…流石は地球連邦軍の副総司令官だ。」

 

だが、シャルバは嘆息した。

 

「それにしても哀れな奴だな、ディオドラ・アスタロト。あの娘の神器の力まで教えてやったのに、人間に圧倒される悪魔なぞ悪魔でわないな。まぁ、すでにゴミの処理は終わっているがな。……さて、サーゼクスの妹君。いきなりだが、貴公には死んでいただく。理由は当然。現魔王の血筋をすべて滅ぼす」

 

「直接現魔王に決闘を申し込まずにその血族から殺すだなんて卑劣だわ!」

 

「それでいい。まずは現魔王の家族から殺す。絶望を与えなければ意味がない」

 

「この外道!なにより、アーシアとツバサを殺したのはあなたね!絶対に許さないわッ!」

 

 部長が激高し、最大までに紅いオーラを全身から迸らせた! 

朱乃さんも顔を怒りに歪め、雷光を身にまとう。僕も許すつもりはない。僕の大事な友人たちを殺した罪……。このテロリストには死んでもらおう!

 

「アーシア? アーシア?」

 

――っ。

 

イッセーくんがふらふらと歩きながらアーシアさんを呼んでいた。

 

「アーシア?どこに行ったんだよ?ほら、帰るぞ?家に帰るんだ。か、隠れていたら、帰れないじゃないか。ハハハ、アーシアはお茶目さんだなぁ」

 

イッセーくんはアーシアさんを探すように辺りを見渡しながら、おぼつかない足取りで……。

 

「アーシア?帰ろう。もう、誰もアーシアをいじめる奴はいないんだ。いたって、俺がぶん殴るさ!ほら、帰ろう。体育祭で一緒に二人三脚するんだから……」

 

――見ていられなかった。

 

白音さんとギャスパーくんが嗚咽を漏らし、朱乃さんとレイナーレさんも顔を背けて涙を頬に伝わせる。アーシアさんの姉であるアリアさんはレイジさんに抱かれてそのレイジさん胸の中で嗚咽を漏らしていた。

 

「…………許さない。許さないッ!斬るっ!斬り殺してやるっ!」

 

叫びながらゼノヴィアがデュランダルとアスカロンでシャルバに斬りかかる!

 

「無駄だ」

 

ギャンッ!

 

シャルバは聖剣の二刀を光り輝く防御障壁で弾き飛ばし、ゼノヴィアの腹部へ魔力の弾を撃ち込んできた。

 

ドオオンッ!!

 

地に落ちるゼノヴィア。聖剣も放り投げられ、床に突き刺さった。

 

「…………アーシアを返せ……。……私の……友達なんだ……っ!!……やさしい友達なんだ……。誰よりもやさしかったんだ……ッ!どうして……ッ!」

 

ゼノヴィアが泣き叫ぶ。

 

シャルバはイッセーくんに向かって言った。

 

「下劣なる転生悪魔と汚物同然のドラゴン。まったくもって、グレモリーの姫君は趣味が悪い。そこの赤い汚物。あの娘は次元の彼方(カナタ)に消えていった。すでにその身も消失してるだろう――死んだ、ということだ」

 

その言葉に僕たちは衝撃がはしる。やっぱり…アーシアさん、ツバサさんは………

 

僕はイッセーくんの方を見た。すると、イッセーくんはシャルバを見つめていた。

 

そのまま、じっと見つめ続ける。その姿は異様に見えた。無表情のまま、シャルバの顔だけを見続けている…。

 

『リアス・グレモリー、いますぐここにいる全員を連れてこの場を離れろ。死にたくなければすぐに退去した方がいい』

 

ドライグの声が聞こえてくる。

 

退去?どういうことだ?部長も僕同様に怪訝な表情をしていた。

 

ドライグの声は次にシャルバへと向けられる。

 

『そこの悪魔よ。シャルバといったか?』

 

イッセーくんが歩き出す。

 

『――おまえは』

 

死人のようなおぼつかない足取りで、イッセーくんはシャルバのほうへ向かっていく。

 

そしてシャルバの真下まで来たとき、無感情な一言をイッセーくんの口からドライグが言った。

 

『選択を間違えた』

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!

 

神殿が大きく揺れ、イッセーくんが血のように赤いオーラを発していく!!

 

イッセーくんの口から、呪詛のごとき、呪文が発せられる。

 

それはイッセーくんのものだけじゃない。老若男女、複数入り交じった不気味なものだった。

 

『我、目覚めるは――』

 

〈始まったよ〉〈始まってしまうね〉

 

『覇の理を神より奪いし二天龍なり――』

 

〈いつだって、そうでした〉〈そうじゃな、いつだってそうだった〉

 

『無限を嗤い、夢幻を憂う――』

〈世界が求めるのは〉〈世界が否定するのは〉

 

『我、赤き龍の覇王と成りて――』

〈いつだって、力でした〉〈いつだって、愛だった〉

 

《何度でもおまえたちは滅びを選択するのだなっ!》

 

イッセーくんの鎧が変質していく――。鋭角なフォルムを増していき、巨大な翼まで生えていった。両手両足から爪のようなものが伸び、兜からは角がいくつも形作られていく。

 

その姿は、赤きドラゴンそのものだった。

 

そして、全身の宝玉から絶叫に近い老若男女の声が発せられた。

 

「「「「「「「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう――」」」」」」」

 

『Juggernaut Drive(ジャガーノート ドライブ)!!!!!!!!!!!!』

 

イッセーくんの周囲がはじけ飛ぶ!!イッセーくんの鎧から発せられるオーラで。

 

「ぐぎゅああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!アーシアァァッァァァァァァァッァァァァァァァッッ!!!!」

 

獣のような声を発し、四つん這いになったイッセーくんは翼を羽ばたかせる。

 

な…なんだあれは………いったいイッセーくんになにが…!

 

―side out―

 

―レイジside―

俺達の目の前で突然変異したイッセー。

 

……いや、あれはまさか!?

 

「……覇龍…か…」

 

まさか、よりにもよってこんな時に覇龍になるなんて!

 

くそ、一先ず皆を安全な場所に移さないとな!!

 

「全員よく聞け!! いまのイッセーの状態は危険だ!急いでここから離れるぞ!巻き込まれて死にたくなければ、俺についてこい!!」

俺が言うが渋るグレモリー眷属。

 

「急げ!! 時間が無いんだ!取り合えずこの結界の中まで入ってこい!! さっさとしろ!!!!!!」

 

俺の言葉に反応して俺の作った結界の中にへと入ってくるグレモリー眷属。でも、俺は結界は張れるがツバサ程じゃない。いつまで保つかわからないな。

 

……よし、なら少しでも多くの時間稼ぎをするか。あいつなら、そう簡単に死にはしない。いまのあいつなら…な。どうせ、ヒョッコリとアーシアと一緒に戻ってくるだろうな。

 

「よし、行くか。アルトリアさん。ここはまかせますよ?」

 

「えぇ、もちろん。貴方は大丈夫ですか?」

 

「はい。今回は龍の力を久々に使いますからね」

 

「……そうですか。なら、頑張りなさい。我が主ならヒョッコリと帰ってくるでしょうね」

 

「だな」

 

「そうだろうな」

 

「ははは!そうですね。」

 

まったく……。あいつ皆から同じ事を思われているんだな。

 

ほんと、頼もしい仲間をもったもんだ。

 

「さて、行くとするか」

 

俺はイッセーの方まで歩いていく。その道中で右手に籠手をだした。

 

「いくぞ!アンノン!!」

 

『……おう』

 

「『禁手化(バランス・ブレイク)!黒狐龍の鎧!!』」

 

俺は全身に黒き全鎧(フルアーマー)を装着する。

 

ほんとに久しぶりだな。この力は…

 

『あやつは、今代の赤龍帝か……。随分と下手な暴走だな』

 

下手な暴走?なんだそれ?

 

『うむ、基本的にドラゴンの神器には“覇龍”があるのはしってるな? 』

 

あぁ、覇龍はドラゴン系神器の究極の力。本来は使ってはならない、いわば逆鱗みたいなものだっけ?

 

『さよう。本来ならもっと酷いものだが、いまのあやつは本来の半分も出しておらん。本来なら死んでしまうが…まだ、助かる余地はあるぞ?』

 

マジか。なら助けないとな!

 

「よっしゃ!いっちょやるか!! イッセー、待ってろよ!!お前を今から助け出してやるからな!!」

 

俺はイッセーに向かって走り出した。

 

ツバサ…早く帰ってこい。お前が無事に帰ってくるのを待ってるからな!

 

―side out―

 

 

 

―ツバサside―

いつつ…。ありゃ?ここは何処だ?…………この景色に感覚は………。あっ、そうだ。次元の間だ。

 

……って、そんな事よりもアーシアは!!……あ、手元にいた。よかったぁ~、なんとか無事な様だな~。

 

……む?はて?なぜアーシアが無事なのだ?ここは次元の狭間の筈なのに……

 

『それは私の加護をこの子に付けたからよ。そうでもしないとここでは危ないもの。それに、この子にはツバサが何度もお世話になっているからね。更に、この子は今まで不幸がありすぎたわ。だから、此れからの為にも私はこの子の為に加護を与えたわ』

 

おぉ~…ルーツの加護ですか。祖龍の加護…。なんとも心強い加護だね~。

 

『そんな事よりもさっさと戻るわよ。あまりここに待機しても意味無いし、みんなに心配かけちゃうからね』

 

うん、そうだね。さっさと帰らなくちゃ♪

 

……ん?彼処にいるのは…もしや白龍皇ですか?

 

『あら、ほんとね。』

 

「おぉ~い!ヴァーリ~!やっほー!!」

 

俺が叫ぶと此方に気づいたヴァーリ。

 

「えぇ!?なんで貴方がここにいるの?それにその子は…」

 

なにか言いかけたヴァーリを手で制する。よし、この子にアーシアを任して俺は、あの人達を召喚しないとね。

 

「あぁ、話は後だよ。今はこの子をお願いね~。どうせイッセーの所に行くんでしょ?だから、少しこの子をお願い。俺はまだ少しやることがあるから」

 

「え?ちょ…」

 

「よろしくね~」

 

そして、俺はその場を離れた。

 

―side out―

 

―ヴァーリside―

まったく。なぜあの子は突然こんな事を…。まぁ、私は用事があっていくから良いけどね。

 

「さて、行こうか」

 

さっさと行ってライバルを元に戻さなくちゃね

 

―side out―



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13話 最後の戦い

―レイジside―

俺はいま、暴走状態のイッセーと戦っている

 

ビュッ!

 

空を切る音がした。速いな。俺の目でも追うのがやっとか。随分と弱くなったか?俺…。

 

「ぬうううううっ!」

 

シャルバの悲鳴が聞こえる。振り向けば。小型ドラゴンと化したイッセーがシャルバに絡みつき、肩に食らいついていた。

 

「おのれっ!」

 

俺はイッセーと戦っていたが、どうにもいまのイッセーの瞳には俺は映っていないようだ。さっきからシャルバしか狙っていない。

 

ぶちんっ!と気味悪い音を立てて、イッセーはシャルバに肩の肉を食いちぎって床に着地する。

 

「げごぎゅがぁぁ、ぎゅはごはぁっ!ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

イッセーはすでに人の言葉を発していない。

 

そろそろ止めないとヤバそうだな……。

 

「ふざけるなっ!」

 

地に降り立ち、激高するシャルバが残った左腕で光の一撃を放つ。その一撃は極大ともいえるほどの規模だった。

 

赤龍帝の翼が光輝く。まるで白龍皇の翼のようだ。

 

『Divid Divid Divid Divid Divid Divid !!』

 

その音声が鳴り響き、光の波動が半分に、さらに半分!縮小は留まることを知らず。ペンライトの光ほどの弱弱しさと化した。

 

「ヴァーリの力か!おのれ!どこまでもおまえは私の前に立ちふさがるというなだなッ!ヴァーリィィィィィィッ!」

 

吠えるシャルバが次に放ったのは光ではなく、魔力の波動だった。大きいな。絶大なオーラの波がイッセーを襲うがイッセーはそれを気にせずシャルバに突撃する。

 

バジイィィィィィィィィッ!

 

それをイッセーは翼の羽ばたきだけで軌道をずらして弾いた。

 

ドガァァァァアアアアアアアアアアアアアンッ!

 

外れた魔力は結界にあたり大きな爆発となった。

 

「そ、そんなバカな…」

 

シャルバは、予想外の事にかなり狼狽していた。

 

 そして、すでにシャルバの顔は恐怖に包まれていた。その瞳には怯えの色が強い。

 

『……終わりだな。ドラゴンに恐怖を抱いたら、もうそれは負けだ』

 

そうだな。力の根源ともいえるドラゴン。そのドラゴンに恐れ―つまり恐怖すると言うことは――それ即ち“死”を意味している。

 

ドゥゥゥゥゥ――。

 

すると何かを集中させる鳴動……寒気がするほど圧縮している感覚に、俺はイッセーの方を見た。

 

横に広がった両翼が赤く輝き、不気味な赤い光が辺り一面に広がっていく……。

 

「くっ!私はこんなところで死ぬわけには!!」

 

シャルバが残っている足で転移用の魔方陣を描こうとするが――その足が動きを停める。

 

「……と、停めたのか!?私の足を!!」

 

鎧の目が赤くきらめいていた。……ギャスパーくんと同じ能力を発動したのか!?

 

『Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost!!!!!!』

 

『Longinus Smasher(ロンギヌス スマッシャー)!!!!!!!!』

 

チャージされた発射口から、圧縮された膨大な量の赤いオーラが照射されていく。

 

「バ、バカな……ッ!真なる魔王の血筋である私が、ヴァーリに一泡も噴かせていないのだぞ!?ベルゼブブはルシファーよりも偉大なのだ!!おのれ、ドラゴンごときが!!赤い龍め!!白い龍めぇぇぇっ!!」

 

ズバァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!!

 

放射された赤い閃光にシャルバは包まれ消え去る。

 

いまの一撃で神殿が崩壊する。ヤバイ!!早く結界を強化しなくては!

 

「ふん!」

 

俺は結界の中に入り、両手を合わせたそのあと、開いて結界を押すように両手を結界に添えた。

 

「結界印・強化!!!」

 

ゴガガガガガガガガガガシャァン………

 

上から大量の岩が降ってきた。……危なかったな。もう少し遅ければこの結界ごとペシャンコだった……。

 

「みんな、無事か?」

 

「はい」

 

『無事です!!』

 

「よし、ならいい。」

 

全員無事なようだ。……さて、あとはあのイッセーをどうしようかね。

 

「おおおおおおおおおおおおおん……」

 

覇龍と化したイッセー。瓦礫の上に立ち、天に向かって悲哀に包まれた咆哮上げている。

 

――我を失っても、アーシアを失った悲しみだけは消えない……か。

 

俺たちには『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』を止める術はない。ツバキなら知っているだろうが、いまはまだ戻ってきてないな…。

 

「困っているようだね」

 

――第三者の声?

 

そのとき、空間の裂け目が生まれ、人が潜れるだけの裂け目から現れたのは――白龍皇ヴァーリ。それと、古代中国の鎧を着た男――孫悟空の美侯。そしてもう一人は背広を着た見知らぬ男だった。

 

その男が手にしている剣は神々しいオーラを放っていた。たしか、現在の聖王剣コールブランドの所持者。

 

……つぅーことは、アルトリアの実の子孫―つまりペンドラゴン…か。

 

「ヴァーリ」

 

リアスはヴァーリの登場に驚いていた。――だが、すぐに攻撃の姿勢を作り出す。周りもも戦闘のかまえを取っていた。でも、彼らからは敵意が感じられず、俺やアルトリア達は警戒自体していない。

 

「やるつもりはないよ。見に来ただけだから――赤龍帝の『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』をね。と言っても、あの姿を見るに中途半端に『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』と化したようだね『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』の現象がこの強固な作りのバトルフィールドで起こったのは幸いだったみたい。人間界でこれになっていたら、都市部とその周辺が丸ごと消える騒ぎになっていたかもしれないよ」

 

「……この状態、元に戻るの?」

 

リアスはヴァーリに訊く。

 

「完全な『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』ではないから戻る場合もあれば、このまま元に戻れず命を削り続けて死に至る場合もある。どちらにしてもこの状態が長く続くのは兵藤一誠の生命を危険にさらす事になるね」

 

と、木場のもとに美侯が歩み寄る。――その腕には見知った少女が抱きかかえられていた。

 

「ほらよ、おまえらの眷属だろ、この癒しの姉ちゃん」

 

美侯から木場に渡された少女は――アーシアだ

 

「アーシア!」

 

「アーシアちゃん!」

 

リアスと朱乃、皆がアーシアのもとに集まる。

 

「でも、どうして……」

 

木場が疑問を口にすると、コールブランドの持ち主が答える。

 

「私たちがちょうど、この辺りの次元の狭間を探索していましてね。そうしたら、この少女が次元の狭間に飛んできたのですよ。ヴァーリが見覚えがあるといいまして、ここまで連れてきたのです。なぜか淡い結界に包まれていましたが、おかげで私たちが駆けつける間、この少女は次元の狭間の『無』あてられずに済んだのです」

 

俺は、コールブランドの言葉に疑問をもった。“この少女が飛んできた”?“淡い結界”?……なぜだ。何故ツバキの名前がない。……そして何故“嘘をついている”

 

なにか裏がありそうだな…

 

「良かった……本当によかったわ」

 

「うわぁぁぁぁぁぁんっ!」

 

ゼノヴィアがアーシアの無事を確認し、安堵のためか、その場に座り込んで泣きじゃくってしまった。木場がゼノヴィアのもとへアーシアをおろす。ゼノヴィアはアーシアを大事そうに抱きかかえ、笑顔でうれし涙を流していた。

 

他のメンバーも涙を流し、隣にいたアリアも泣きじゃくっていた。

 

そんな中、俺はヴァーリの所にいく。

 

「おい、ヴァーリ。何故お前らは嘘をついてるんだ?ツバキに会ってるだろ?……いや、いまはツバサか」

 

俺は小声でヴァーリに問う。

 

「うん、確かにあったよ?でも、何故か会ったと思えば突然あの子を渡されて『俺は用事があるからお願いね~』って言ってどこかにいっちゃったよ?」

 

「……そうか。ありがとう、教えてくれて」

 

「いえいえ、どういたしまして」

 

話終わった俺は、またアリアの隣に立つ。

 

「――あとはイッセーだけれど」

 

リアスがイッセーの方を見る。

 

「行こうとしているなら、それは止めとけ、リアス」

 

俺はリアスを止める

 

「しかし!」

 

「しかしでもだ。いまのイッセーは危険すぎる。流石にいまのお前らの実力では到底敵わない。正直俺も勝てるかどうか怪しいぐらいだ。それほど『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』は危険なんだ」

 

俺の言葉に押し黙るリアス。その表情はとても悔しそうだ。いまなにも出来ない自分にそうとう苛立っているように見える。

 

「さてと、イッセーがあのままじゃ確実に死ぬな…何か策はあるか?ヴァーリ」

 

「そうだね、何か彼の深層心理を大きく揺さぶる現象が起これば……」

 

俺の問いにヴァーリが考えを巡らせる。

 

「おっぱいでも見せれば良いんじゃね?」

 

横で美猴が頭をかきながら言った。

 

「それは確かにな……。変態の塊とも言える兵藤一誠なら今のあいつでも、視界に入れば何とかなるかもしれない」

 

俺は美猴の言葉に賛成した。唯一の頼み綱だったツバサが不在のいま、残された道はこれだけだ。……ハッキリ言って馬鹿げているがな。

 

「確かにあの状態ではね?ドラゴンを鎮めるのはいつだって歌声だったよ。でも、そのようなものはないし、赤龍帝と白龍皇の歌なんてものはそもそも存在しないよ」

 

「あるわよぉぉぉぉ!!」

 

ヴァーリの言葉を遮って、遠くから飛んできたのは天使に転生したイリナだった。

 

『――おーい、聞こえているか?レイジ』

 

イリナが飛んできたと思えば、今度はアザゼルがインカムに連絡を入れてきた。

 

「どうした?今、イリナが飛んできたところなんだが?」

 

『いいタイミングだ。レイジ、紫藤イリナの持っている機械で映像を再生させろ。それをイッセーに見せろ』

 

「それがイッセーを戻す手段なのか……。了解した」

 

俺は立体映像機器のセットを手伝い、宙に投影させた。

 

『おっぱいドラゴン!はっじっまっるよー!』

 

映像に映っているのは、禁手(バランス・ブレイカー)の鎧姿のイッセー。周囲に子供たちが集まってくる。

 

『おっぱい!!』

 

映像の子供たちはイッセーの周囲で大きな声で言った。

 

ダンスを始めるイッセーと子供たち。軽快な音楽も流れ出す。

 

宙に浮く文字――「おっぱいドラゴンの歌」……タイトルだな。

 

そして、作詞・作曲、ダンスの振り付けにアザゼル、サーゼクス、セラフォルーの名が載っている。

 

全員が呆気にとられている。

 

「……うぅ、おっぱい……」

 

『ッ!?』

 

キタコレ!!と叫んだ方がいいだろうか…?頭を抱え、はっきりとした口調で「おっぱい」と発したイッセー。

 

―――――なぜ反応するのだ…

 

「反応したわ!」

 

リアスが歓喜の涙を流す。

 

「……イッセー先輩…卑猥です………」

 

白音は呆れた目をイッセーに向けながら猫耳をしおらせていた。

 

「紫藤さん、もう一度流してちょうだい!」

 

「はい!ポチッとな!」

 

リアスの言葉にイリナは応じて、再度機械のボタンを押した。

 

流れる軽快な音楽と歌。

 

「うぅ、おっぱい……もみもみ、ちゅーちゅー……」

 

イッセーが頭を抱えて苦しみだす。

 

「……ず、ずむずむ……いやーん……ポチッと」

 

歌詞の一部を言葉に出しながら、指で何かを求め出していた。その指には、先ほどまであった鋭い爪はない。

 

……そんなバカな…!

 

『………………ドライグも大変そうだな』

 

アンノンは同情的な声でそんな事を言った。きっと、顔も同じ様に同情した目で見ているのだろうな

 

「いまよ、リアス!あなたの乳首が求められているわ!」

 

「ええっ!?」

 

朱乃の言葉に目が飛び出さんばかりに驚いているリアス。

 

「イッセーくんはあなたの乳首を押して禁手(バランス・ブレイカー)至ったのなら、逆のこともできるはず。さっきまでは危険な雰囲気が漂っていて近寄れなかったけれど、歌で正気を取り戻しつつある今のイッセーくんなら、話は別だわ!!」

 

「で、でも、私の乳首でイッセーの『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』は解除できるのかしら……?」

 

「できるわ!私では無理……。と言うよりもイッセーを愛してる貴女が行かなくてどうするのよ!私だってもしもツバサちゃんが同じ様になったら喜んで行くわよ!!」

 

リアスに対して叫ぶ朱乃。……うん、朱乃さん?確かに貴女の覚悟はスゴいが、流石にいまのイッセーと同じ状態になるなんてことはツバサに関してあり得んだろ…。てか、流石に『祖龍“ミラ・ルーツ”』が覇龍(ジャガーノート・ドライブ)なんてすれば、確実に世界は滅ぶぞ?……たとえ、俺たち地球連邦軍の全勢力集めて全力全開で戦ったとしてもな…。

 

リアスは眷属―いまだ気絶しているアーシアと朱乃以外―に視線を向けると、全員複雑な表情をしているが力強くうなずいた。

 

それもそうだろう。イッセーの暴走の止め方が、自分達の主の胸を触るだけなのだから。……俺でも全員と同じ複雑な表情になるさ。

 

「わかったわ」

 

意を決したリアスはイッセーの方へ歩みを進める。

 

イッセーとの距離を詰め、眼前に立ったリアスは制服のボタンを外し、ブラを外していく。

 

俺たちのいるところからは角度的に見えていないので、手の動きと持っている物で判断している。もし見えていたら、俺の傍に立っているアリアに恐ろしい程の総攻撃を受けて一週間は視力のない生活を送ることになっていたと思う……直感的に。

 

「お、俺の……お、おっぱい……」

 

イッセーは自ら求める者を発見し、震える指でリアスの胸へ――。

 

次の瞬間、イッセーの鎧は解除され、イッセーは『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』から解放された。

 

………………いや、なんでだよ!?

 

「……リアス・グレモリーの胸は兵藤一誠の制御スイッチか何かなのか?」

 

兵藤一誠らしいっちゃ、イッセーらしい……のか?おっぱいで覚醒し、おっぱいで元に戻る……ヴァーリの考えていることはあながち間違っていないな。

 

――ハハハ、ほんと立派な奴だ。これからは、乳龍帝と呼ぼう……兵藤一誠――いや、イッセー。



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14話 龍美とガイヤとオーフィス

一方その頃………、イッセーが暴走しているなかヴァーリにアーシアを託し別れたツバサは次元の間を漂っていた。

 

「……ふむ、ここあたりならいいかな?」

 

すると、何を思ったのか急に止まり息を大きく吸い込んだ。

 

「スゥゥーーーー……―ガイy――」

 

「呼んだか?」

 

「ん、呼んだ?」

 

「わひゃぁう!?」

 

ツバサは突然後ろから現れたガイヤと龍美に驚き奇妙な声を上げた。

 

「び…ビックリしたぁ……。突然出てこないでよぉ…。まだ呼んでないのにー…」

 

ツバサは心底驚いたのか少し怒った顔をしながら涙目で二人を睨んでいた。

 

「ハハハハ、いや~、すまんすまん!つい驚かしてみたくなってな?それでやってしまったんだよ。こんど甘いもの作ってやるから機嫌をなおしてくれよ…な?」

 

「…………………………今回だけなんだからね…」

 

ツバサは顔をプイッ!と横に向けながらそう言った。頬は少し緩んでいたのだった。

 

「ふふ。さて、今回はなんだ?……まぁ、だいたいは予想しているがな。」

 

グレートレッドことガイヤはわかっているかのようにツバサに言う

 

「うん。いまからイッセー達の所に戻ろうと思うの。そろそろイッセーの暴走も止まっているところだろうしね。それと、おそらくオーフィス(妹)も来ているだろうからその子を見にね~。たぶん、オーフィスの狙いはガイヤだろうしね」

 

「そうか…。だから私を呼んだんだな。龍美は何故だ?」

 

「それは勿論、妹に会わせるために!!」

 

「ふふ、そうか。……わかった。ならさっさと行かなくてはな!さぁ、派手にいくぞ!!」

 

そう言ったガイヤは魔方陣を足元にだす。すると魔方陣が光ると、そこにいたのは龍化したガイヤ…グレートレッドだった。

 

「さぁ、私の背中に乗れ。三人でいくぞ」

 

「うん♪」

 

「ん、わかった」

 

ツバサと龍美はガイヤの背中に乗ると、ガイヤは動きだし目的地のイッセー達の所へといくのだった。

 

―side out―

 

―レイジside―

目を覚ましたイッセーは、号泣するリアスに抱きつかれていた。

 

「うーん、あれ?何がどうなったんだ?」

 

俺は未だに状況の掴めていないイッセーの近くまで行き、これまでの出来事を話す。

 

「イッセー、おまえは暴走して『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』の状態になったんだよ。おかげで神殿はこの有り様だ…。ぁ、そうそう、シャルバはおまえが倒したぞ?……なかなかしぶといようだがな(ボソ」

 

実際、ギリギリで退散したようだしな……ま、今はそういうことにしておいた方がいいか。

 

「ヴァーリが助けてくれたのよ」

 

ゼノヴィアに抱きかかえられているアーシアの傍に座ったイッセーに抱きついていたリアスが教える。イッセーがヴァーリを見ると、ヴァーリは今でも疑問に思っているのか、隠すように苦笑いを浮かべていた。

 

「……あれ?……イッセーさん?」

 

アーシアが気がついたようだ。

 

ドン!

 

起き上がろうとしていたアーシアに抱きつこうとしたイッセー。それを横からゼノヴィアに弾き飛ばされた。

 

「アーシア!」

 

アーシアに抱きつくゼノヴィア。今まで見せたことがないほど号泣している。

 

「アーシア!アーシアアーシアアーシアアーシアアーシア!!私とおまえは友達だ!ずっとずっと友達だ!!だから、もう私を置いていかないでくれ!」

 

アーシアは泣いているゼノヴィアの頭をやさしく撫でる。

 

「よかったわ」

 

「そうですわね」

 

「一時はどうなるかと思ったわ」

 

「無事だったからよかったにゃ」

 

「ホントにねぇ」

 

アリア、朱乃、レイナーレ、黒歌、イリナは傍で微笑んだり泣いたりしていた。

 

「ゼノヴィアさん……苦しいです…」

 

あまりに抱きつき過ぎていたのか、アーシアは苦笑しながらそう漏らした。

 

ヴァーリがイッセーに話しかける。

 

「兵藤一誠、無事だったようだね~」

 

「ああ。なんだか、世話になっちまったようだな」

 

「ま、たまには良いよ。それよりもそろそろだよ?空中を見てみて」

 

ヴァーリがフィールドの宙を指さす。釣られるように宙を見るイッセー。

 

感じるな……大きな三つの気配を…。

 

……ふ、やっと帰ってきたか

 

バチッ、バチッ!!

 

空間に巨大な穴が開き始める。

 

「あれは――」

 

空間にできた巨大な穴から出現する真紅の巨大な龍を目の前に、俺たち数名以外の全員が驚きのあまりに口が開きっ放しになる…。

 

ヴァーリが口元を緩くにやけさせながら言う。

 

「よく見ておいて、兵藤一誠。あれが私が見たかったものだよ」

 

「デカッ!!」

 

イッセーが我に返ったのか、一言そう口にした。

 

「『赤い龍』と呼ばれるドラゴンは二種類いる。ひとつはキミに宿るウェールズの古(イニシエ)のドラゴン――ウェルシュ・ドラゴン。赤龍帝ね。白龍皇もその伝承に出てくる同じ出自のもの。だけど、もう一体だけ『赤い龍』がいる。それが『黙示録』に記されし、赤いドラゴンなんだ」

 

「古の…ドラゴン…」

 

「そう……、名を『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッド。『真龍』と称される偉大なるドラゴン。自ら次元の狭間に住み、永遠にそこを飛び続けているの。今回、あれを確認するためにここまで来たんだよ。確かオーフィスも確認のために来てるよ。シャルバたちの作戦はどうでもよくて、あたしたちの本当の目的はこっち」

 

その言葉にグレモリー眷属がみんな驚いた。まぁ、俺達はそれよりも、その伝説の無限の名を持つ二体のドラゴンを家族として連れてきたツバサに心底驚いたけどな。

 

「でもどうして、こんなところを飛び続けているんだ?」

 

 イッセーの問いだ。

 

「さあ? でも、あれがオーフィスの目的で、あたしが倒したい目標だよー」

 

 ヴァーリの目標か。随分デカイ目標だな。まぁ、グレートレッドを倒しても、まだまだその上にはバカげた力をもったドラゴン達がいるんだがな。

 

「グレートレッド、久しい」

 

すると、突然聞こえてきた声に全員が驚く。後ろをみると、そこには龍美と同じ姿のオーフィスがいた。

 

……なるほどな、あれが龍美が置いてきた力が実体化して擬人化した姿か…。

 

さしずめ龍美の血の繋がった実の妹だな。

 

「――オーフィス。現『禍の団(カオス・ブリゲード)』のトップだ」

 

俺は確認して口にした。すると、イッセーたちが「この少女が!?」的な目でこっちを見た……何だよ、何故俺の方をみる

 

「因みに、まえ話したと思うが…俺達の家族にいるオーフィスこと龍美の実の妹になるな」

 

俺の言葉に更に驚くグレモリー眷属達。ほんと、驚くの好きだなお前ら。

 

オーフィスはグレートレッドに指鉄砲のかまえでバンッと撃ちだす格好をした。

 

「我は、いつか必ず静寂を手にする」

 

変わらないな……3年前の龍美と。

 

バサッ――ドスンッ!!

 

空中からタンニーンに乗ったアザゼル、光輝が着陸した。光輝はタンニーンの頭の上に胡座をかいて座っていた。

 

「先生、タイニーンのおっさん、それに光輝さん!」

 

「おう!全員、ご苦労さん」

 

光輝がグレモリー眷属に向けて言った。

 

「おー、イッセー。元に戻ったようだな。俺もどうなるか怖かったが、おまえならあの歌や女の胸で『覇龍』から戻るかもなんて思っていた。乳をつついて禁手(バランス・ブレイカー)に至った大馬鹿野郎だからな。あの歌の作詞をしたかいがあったぜ」

 

「ハハハハ、さすがは乳の好きな赤龍帝だ!――と、オーフィスを追ってきたらとんでもないものが出ているな」

 

アザゼルとタンニーンがイッセーと話した直後、空を飛んでいるグレートレッドに視線を向ける。

 

「懐かしい、グレートレッドか」

 

「タンニーンは戦ったことあるのか?」

 

「いや、俺なぞ歯牙にもかけてくれなかったさ。光輝のほうはあるのか?」

 

「いや、俺もない。グレートレッドは未知数だ……『人間最強』や『真なる赤龍神帝と並ぶ者』なんて通り名みたいのはいくつもあるが、名前負けしているのと変わらない。……てか、俺が人間最強なら俺以上に強いツバサはどうなるんだよ」

 

光輝は呆れた様な顔をしてそう言った。……だが、目はどうにもなにか企んでいるようだった。

 

どうせ、グレートレッド…ガイヤの事を話すタイミングを伺っているんだろうな。

 

「久しぶりだね、アザゼル……クルゼレイ・アスモデウスは倒したの?」

 

「あぁ、旧アスモデウスはそこにいる光輝が片付けた。……と言うより、戦おうとしたら、ツバサの部隊の乱入でボコボコにされて戦う前に終わったけどな。ちなみに、そのあとなんか隕石が落ちてきて消し飛んだけどな……。あれはいったい何だったんだ?」

 

アザゼルは悩みながらそう言った。

 

……隕石って…。たぶんだが紫さんだろうな。ツバサの部隊で隕石を落としてくる人なんて数が知れているしな

 

「まぁ、 まとめていた奴らが取られれば配下も逃げ出す。シャルバ・ベルゼブブのほうはイッセーが『覇龍』で片づけたみたいだしな」

 

「お兄さまは?」

 

リアスがアザゼルに訊く。

 

「結界が崩壊したからな、観戦ルームに戻ったよ」

 

そのアザゼルがオーフィスに言う。

 

「オーフィス。各地で暴れ回った旧魔王派の連中は退却及び降伏した。――事実上、まとめていた末裔共を失った旧魔王派は壊滅状態だ」

 

「そう。それもまたひとつの結末」

 

オーフィスはまったく驚く様子も無く言う。目的以外なら、どうだっていいのだろうな…。

 

それを聞き、アザゼルは半眼で肩をすくめた。

 

「お前らの中であとヴァーリ以外に大きな勢力は人間の英雄や勇者の末裔、神器の所有者が集まった『英雄派』だけか」

 

英雄派か…。厄介なことこの上なしだろうな……。

 

アザゼルが光の槍をオーフィスに向ける。しかし、オーフィスはきびすを返した。

 

「我は帰る」

 

そう言ってオーフィスは帰ろうとした。

 

…………しかし

 

『ちょっとまったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』

 

ヒュゥールルルルルル……ズドォォォォォン!!!!!!

 

なにかが落ちてきた。その事に驚くみんな。しかし、俺達は気づいていた。落ちてきた人物が二人で、しかも、“俺達が一番知っている人物だということに”

 

「だれ?」

 

「やっハロ~。みなさんお久しぶり~♪結城 翼、ただいま次元の間から戻って参りました!!」

 

『ツバサちゃん!?』

 

みんなが驚いて声を揃えて叫んでいた。

 

そんなツバサは、ビシッ!と効果音が付くくらい、綺麗な敬礼をしている。みんなが驚いているなか、その隣からオーフィスと服装以外瓜二つの少女が出てきた。

 

「我の名前は龍美。『無限の龍(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス』あらため、結城龍美。よろしく」

 

オーフィス(姉)こと龍美は綺麗なお辞儀をした。うん、流石『祖龍』ミラ・ルーツに教え込まれただけあって、かなり綺麗なお辞儀だな。

 

「お前さんが、光輝の言っていたオーフィス…で、いいんだな?」

 

「ん、そう。我はツバサの家族になった。そして、『禍の団』から出るために力を置いてきた。だから、今はここにいる」

 

龍美はアザゼルの質問に答える。

 

「それと…、久しい妹」

 

「ん、久しいお姉ちゃん」

 

龍美とオーフィス(妹)が目の前で挨拶していた。

 

……それにしても不思議な感じだな~『無限の龍(ウロボロス・ドラゴン)』が二人もいるなんて…

 

「妹はまだ、静寂を望むの?」

 

「ん、我の望みは静寂だけ。静寂あればそれでいい」

 

その言葉に龍美は悲しそうな顔をする

 

「……そう、なら我からはなにも言わない。……でもこれだけは覚えていて?――静寂だけだと寂しいよ?静寂なんかよりも…もっと楽しい事があるからね」

 

龍美はオーフィスに向けてそう言った。その目には絶対に諦めない意志が宿っていた。

 

ま、妹だもんな。自分の家族を悪党共に置いとくなんて嫌だもんな。

 

「……ん。覚えとく。でも、我は静寂以外なにも要らない。だから、いつかグレートレッドを必ず倒す。そして静寂を得る」

 

そう言ったオーフィスは魔方陣を出してその場から消えた。

 

「ほんとにオーフィスと家族だったんだねツバサちゃん」

 

するとヴァーリがツバサに聞いていた。

 

「ん?うん、オーフィスとは次元の間で出会ったからね。その時に家族になったの。3年くらい前にね~」

 

「そうなんだ。相変わらずスゴいね君は」

 

「ふふん♪誉め言葉として受け取っておきますよ」

 

胸を張りながら言うツバサ。身長もヴァーリより小さいので、姉に自慢する弟みたいでなんだか微笑ましい。

 

そんなツバサにヴァーリもまるで成長を見守る母親の様な顔になっていた。

 

すると、ヴァーリの近くで空間に裂け目が開いたのを感じ取ってそっちを向いた。

 

「さてと、あたし達も退散だー」

 

ヴァーリがそう言いながら一緒にきたメンバーと帰ろうとしていた。

 

すると突然ヴァーリが此方を向いてきた。

 

「ねぇ、兵藤一誠。貴方は私を倒したい?」

 

ヴァーリがイッセーに突然聞いた。

 

「………あぁ、倒したい。倒したいさ。でも、いまの俺にはまだお前を倒せねぇ。それに、俺にはまだまだやらなきゃいけないこともいっぱいあるし、超えなきゃいけない壁もある。……でも、いつかお前を倒せる日がくるまでひたすら鍛えて強くなる!!必ずお前を倒すためにな!」

 

イッセーは高らかにヴァーリに向かって叫んだ。

 

「ふふ、私もだよ兵藤一誠。私も君みたいに倒したい者が沢山いる。おかしいよね。現赤龍帝と現白龍皇は宿命の対決よりも大切な目的と目標が存在している。きっと、今回の私とキミはおかしな赤白ドラゴンなんだろうね。だけどね、そういうのもたまにはいいはずだよ?――でも、いずれは」

 

イッセーが拳をヴァーリに向けた。

 

「ああ、決着つけようぜ。部長や朱乃さんたちのおっぱいを半分にされかけたからな!」

 

「ふふふ、やっぱりキミはおもしろいね。――強くなってよね、兵藤一誠」

 

「あぁ!絶対に強くなってやるぜ!」

 

ニヤリと笑いながら完全にライバル宣言している二人。……うん、やっぱり競えるライバルって者がいたらもっともっと強くなれるな。

 

……俺と光輝の様にな

 

「じゃあな!おっぱいドラゴン!それとスイッチ姫!」

 

ぶふぅ!……くくく、美猴のせいでライバルの会話が台無しだな…。

 

「木場祐斗さん、ゼノヴィアさん」

 

背広の青年が木場とゼノヴィアに言う。

 

「私は聖王剣の所持者であり、アーサー・ペンドラゴンの末裔。アーサーと呼んでください。いつか、聖剣を巡る戦いをしましょう。では」

 

次元の裂け目に入る直前、光輝が口を開き引き留めずに言った。

 

「アーシアとイッセーを助けてくれたお礼だ…。いつか暇があれば、家に遊びに来い。ご馳走をふるまうぞ。もちろん、フルメンバーでだ。

あっ、この魔方陣を使え。そしたら特別に入れるからな。ちなみにこの魔方陣は俺か、結城家の誰かが直接渡した本人とその魔方陣に書かれた名前以外の人物は来れないから、もしも他の奴に渡しても意味はないからな」

 

光輝の言葉に全員が驚いていた。反対にヴァーリとアーサーは反応することなく入っていき、美猴は片手を上げて反応した。

 

「――さてと、事後処理は俺達に任せておいて、お前らは家に帰ってろ。ツバサ!……あとは頼んだぜ?」

 

「はぁ~い」

 

すると、ツバサは魔方陣を描きだした。特殊なモノなので、文様もかなり複雑なものだ。

 

「今度こそ帰ろう、アーシア。俺たちの家へ」

 

「はい。皆さんのいる家に」

 

直後倒れる音がした……イッセーだ。

 

そのイッセーの両肩をゼノヴィアとイリナが持ったのをみて、ツバサは魔方陣を完成させる。

 

タンニーン、アザゼル、光輝は冥界に戻るようなので、ここで別れることになった。

 

「さてと、俺も帰ったらここの後始末をするか」

 

さっさと終わらして、“宴”の準備もしなくちゃいけないからな…

 

「さてと、みなさん帰りますか~!」

 

『はい!♪』

 

そして、俺達はそのまま魔方陣で各自家に帰るのだった。

 

 



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15話 異変を解決した後はやっぱり宴だね♪

さて、少し時はたち……、現在地球連邦軍の本拠地がある無人島。その隣にあるもうひとつの無人島に地球連邦軍とTSMと三大勢力のトップ陣とグレモリー・シトリー眷属が集まっていた。

 

そして、その無人島に一つだけある建物の中でみんなが集まっていた。

 

見た目は巨大なドームだが、中はとても豪華に着飾っていた。そして、その中心に天井が開いた会場がありそこで、全員がドレスやスーツをきてパーティーをしていた。

 

そんな中、ステージに地球連邦軍の総司令官である結城家 現当主の結城光輝がマイクをもって立っていた。

 

「さて、みんなに今回ここに集まってもらったのは、今回の事件の無事に解決したという事でパーティーを開く事にしたから集まってもらったのだ。まずは最初に言うことがある。みんな…本当にありがとう。俺に力をかしてくれてとても嬉しく思う。おかげでツバサを無事に救出できた。これもみんなが力をかしてくれたおかげだ。本当にありがとう!」

 

そう言った光輝は頭を下げる。その光景に驚きつつも全員が『気にしないで』『当たり前の事をしただけさ』『好きでやってるからいいよ』……と数多くの励ましを言っていた。

 

それを聞いた光輝は何処か安心して嬉しそうな表情をしていた。

 

「――まぁ、言いたいことはそんなもんかな?取り合えずみんなお疲れさま。そして、此れからもよろしくな!」

 

光輝は言い終わるとワインの入ったグラスを持つ。それと同時に全員がグラスをもった。

 

「―――乾杯!!」

 

『乾杯!!!!!!』

 

ワァァァァァ!

 

その一言により一気に騒がしくなる会場。多くの者が酒を飲んで酔ったり、豪華な食事を片手に大食いしていたり、仲間同士で雑談したり、他の仲間同士で自己紹介したりなどなど……。各自でのびのびと楽しんでいた。

 

その頃、トップ陣のメンバーはというと………

 

「いや~、サーゼクスにアザゼルにミカエル。今回はほんとに助かったぜ~!おかげで此方はだいぶん楽になったよ。ありがとうな!」

 

「はははは!そんなお礼なんて要らないさ。僕たちはいつも世話になってるからね。此くらい当たり前だよ」

 

「そうだぜ?光輝。俺達の方が世話になってんだからきにすんなよ。此くらいあたりまえさ」

 

「そうですよ、私達の方がお世話になっていますのでこれくらいは手伝わせてくださいよ」

 

「はは、ほんとにありがとな。んじゃ、今日はとことん飲むか!!なぁ、レイジ」

 

「そうだな飲もうぜ、兄さん」

 

「そうだね」

 

「そうだな!」

 

「そうですね」

 

そう言いながらお酒を豪快に飲む男性陣

 

「まったく、サーゼクス様はいつもいつもいつも………」

 

「そうですよね。スゴくその気持ちわかりますよ、グレイフィアさん。私の夫である光輝様だってそうですもの」

 

「お二人のそのお気持ちスゴくわかりますよ。私もレイジに困ることぐらいありますもん」

 

「なんかごめんね~、家のバカ兄たちが~」

 

「本当にご免なさい。皆様。あんなバカな人達で……」

 

「ほんとよね。なんであんなバカなのかしら?もっと此方の気持ちにもなってもらいたいわ。ツバサの爪の垢でも飲ましてやりたいぐらいよ」

 

「あはは、みんなスゴく言うわね…。サーゼクスちゃんたちが少しだけ可愛そうかも」

 

女性陣は、お酒を飲んで酔いながら、それぞれ自身の夫と兄の愚痴り合いをしていた。

 

 

その頃、今回の被害者で異変(事件)を解決したメンバー。ツバサとグレモリー眷属のみんなは、シトリー眷属と共に仲良くパーティーを楽しんでいた

 

「あはは、ほんとに大丈夫ですか?イッセー。なんな無茶な覇龍を使ったくせに、まさかあんなエッチな方法で元に戻るなんて………。ほんとに変態さんなんですね」

 

「グサ!)うぐ!?……そ、そんなことないぜ?お、おお俺だってまさかそんな方法で元に戻るなんて思っていなかったんだからな!?」

 

「うふふ、私はイッセーが無事に戻れて嬉しいわ。ちょっとはずかしかったけども、貴方が無事なら安いものよ」

 

「うふふ、あらあら部長。スゴく嬉しそうですわね♪私もツバサちゃんが無事で何よりですわ」

 

「そうですね。ツバサ先輩が無事で良かったです」

 

「ホントだよ。僕たちみんな心配してたんだからね。」

 

「すみません、みなさん。おかげで無事に生還できたので、あらためてお礼を…。本当にありがとうございました♪」

 

「私からも、みなさん助けていただきありがとうございます。イッセーさんもありがとうございました♪」

 

「別に大丈夫だぜアーシア。俺はお前を絶対に守るからな!」

 

「はい♪イッセーさん!」

 

「うん、ほんとに良かったよ。私はとても嬉しいな」

 

「ほんとよねゼノヴィア。私もアーシアちゃんが無事で嬉しいよ~!」

 

「みなさんお疲れさまでした。ほんとに危なかったようですね」

 

「あら、ソーナ。ありがとう、あなた達も手伝ってくれたのよね?」

 

「えぇ、友人を助けるのは当たり前ですから。それに、前にツバサさんには助けてもらっているので」

 

「そうだったわね」

 

「よう!イッセー!随分としぶとく生きてるじゃねぇか!」

 

「おうよ!お前こそ生きてたんだな!」

 

「ま、無事で何よりだ。同じ兵士(ポーン)でライバルでもあるお前がいなくなったら面白くないからな。俺が倒すまで勝手に死んでもらっちゃこまるからな」

 

「へっ!勝手にいってろ!お前なんかに負けねぇーよ」

 

「「ははははははは!!!」」

 

「何故イッセーさんと匙さんは笑いあっているのでしょうか?」

 

「アーシア、気にしなくていいのよ。あれはいわゆる男の友情ってやつなのよ」

 

「ほう、あれが伝説の男の友情ってやつなのか。確か二人で笑いないながらどちらかが死ぬまで死合いをする儀式の様なものだろ?」

 

「違うわよ!ゼノヴィア!!男の友情っていうのわね?握手をしたあと、ひたすら肉弾戦をしてどちらかがギブアップか気絶するまで殴りあう戦いの儀式なのよ!!」

 

「いや、どちらも違いますよ!!二人ともなに言ってるのですか!?」

 

ゼノヴィアとイリナの謎の回答に突っ込んでいるツバサ。なんともおかしな教会シスターズである。

 

 

 

そんなこんなで楽しんでいるパーティー。そして時は流れるようにたち、今の時刻は深夜の3時。パーティー会場にいたものは酔いつぶれたりまた更に飲んでテンションが上がったりとして、よりいっそう騒がしくなっていた。

 

そんな中、光輝筆頭とする結城家兄弟姉妹とそのお付き(メイド)とサーゼクス、アザゼル、セラフォルー、ミカエル、グレモリー眷属、シトリー眷属が一度に集まっていた。

 

「何処にいくんだ?光輝さんよ~」

 

アザゼルが光輝に聞くと、光輝はアザゼルのほうを向いて口を開いた。

 

「いまから行くのは俺達兄弟姉妹と俺達の専属メイドしかいけない、特別な場所だよ。まぁ、特別な場所つってもただの和式の別荘だが、そこに行くにはこの特別な魔方陣でしかいけなくてな。まぁ、どんな場所かは、行ってからのお楽しみだな」

 

そう言い光輝は魔方陣を発動させる。一瞬閃光がはしり、しばらくして光が晴れるとそこにあったのは………巨大な和風の屋敷だった。

 

「……さて、ようこそ俺達専用の別荘へ。ここから見える月と夜空は綺麗でな。回りは自然に囲まれとても静かで落ち着く場所だよ。ちなみに、オーフィスである龍美とグレートレッドであるガイヤは既にちょっとした宴会の準備を済ましてある。まぁ、ゆっくりすんのに一番最適な場所なんだわ。取り合えず中にはいりな」

 

そうして光輝達は屋敷の中にはいる。そこにはとても豪華な作りで、和式の木の上質な落ち着く独特の匂いが屋敷に広がっており、とても柔らかく落ち着く静けさを出していた。

 

そして光輝達はどんどん屋敷の奥へと進み、丁度入り口から裏側にあたる場所に大きな縁側ができていた。

 

そこに腰をおろした光輝たちは、皐月たち三姉妹とメイドだけが何処かにへといきのびのびと休んでいた。

 

そして、縁側から見える景色はとても幻想的で素晴らしく、虫のリンリンリンという声に、風に揺れる森の静かな音。そして、まんべんにきらびやかな星の夜空にその中でもいっそうに輝きを放つ満月。とても綺麗な風景だった。

 

「お待たせいたしました。これは我が家で作っている自家製の日本酒です。お酒のつまみと一緒にこの風景を見ながらごゆっくりとくつろいでくださいね」

 

皐月たちは戻ってくるとてきぱきとお酒とツマミを用意する。

 

そんななか、グレモリー眷属やシトリー眷属は余程疲れたのか、静かに吐息をたてながら眠っていた。そんな人物たちにたいし、せっせと毛布を優しくかけていくツバサ。なんだかとても嬉しそうだ。

 

「嬉しいか?ツバサ。仲間って事を改めて実感できて」

 

光輝は嬉しそうにしているツバサにたいしてそんな事を言った。

 

「……うん。みんな、スゴく心配してくれて、更に助けに来てくれたなんて思うとね…やっぱりスゴく嬉しいんだ。

あ…あと、サーゼクスさん、アザゼルさん、ミカエルさん。今回は本当に助かりました。お陰さまで無事に帰還できました。本当に……本当にありがとうございます」

 

そう言い頭を下げるツバサ。それを見た三大勢力のトップ陣は優しそうな顔と声でイヤイヤという。

 

「それは此方の台詞だよ。君にはいつも危険な事に巻き込んでしまっていたからね。今回だって僕たちが確りと見ていればこんなことにならなかったのに。ほんとにごめんね?」

 

「そうだぜ、俺達だって光輝には言ったがかなり世話になってるんだ。これくらいはあたりまえさ」

 

「そうですよ、ツバサさん。あなたにはいつも大きなご恩があります。ツバサさんがピンチになれば助けるのは当たり前ですから。気にしないでくださいね」

 

「……ふふ、ありがとうございます。サーゼクスさん、アザゼルさん、ミカエルさん。……これからとよろしくお願いしますね♪」

 

『ああ/おう/えぇ』

 

そのあとグレモリー眷属とシトリー眷属を覗いたメンバーは月見をしながら夜が明けるまで宴会を楽しんだとさ………

 




さてと…、なんだかとても変なお話になりましたが、これでこの章は終わりですね。……やっと次の章へと行けますよ…。長かった…実に長かった………

まぁ、長くなったのは俺のせいでもあるのですが………

さて!次回はどんな物語にしようかな♪今後も頑張っていくのでこの小説を楽しんで見てください♪

それでは、また次回でお会いしましょ~!バイバイ♪


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放課後のラグナロク
1話 鑑賞会とデートのお誘い


どうもお久しぶりなのです! 最近現実が忙しくて大分更新が遅れました…。楽しみにしていた人達にはとても申し訳なく思います…。

それにしても…、気づけばお気に入り件数が500越え……ありがとうございます!!!!!!m(__)m


少し話が飛ぶけど、屑悪魔ことディオドラと『禍の団(カオス・ブリゲード)』との戦闘から数日――グレモリー眷属、アザゼル、イリナ、そして俺こと結城 翼とお付きの黒歌さんは兵藤家の地下一階にある大広間にて鑑賞会をしていました。

 

『貴様ら悪の組織なぞに俺は屈しない!!この乳龍帝が貴様らの野望を打ち砕く!いくぞ――禁手化(バランス・ブレイク)!!!』

 

いま、目の前の映像からイッセーにそっくりな特撮ヒーローが画面で見事な変身を遂げている……ふむ、顔のみをCG加工をしてあるみたいだね。

 

いま、俺達が見ている巨大モニターに映る鑑賞作品は『乳龍帝おっぱいドラゴン』と言って、特撮ヒーローで冥界のお茶の間で大ブレイクを起こしているとのこと。主に子供にね~…。

 

物語のあらすじは――伝説のドラゴンと契約したイッセー・グレモリーが悪魔と敵対する邪悪な組織と戦う変身ヒーロー……なのですよ。

 

そして、それを冥界に流す前に俺達が鑑賞中というわけです。

 

「再現度がすごいね…このおもちゃ版の『赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)』。音声も似ているね」

 

俺の隣ではおもちゃ版の『赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)』をいじっている祐斗。左腕に装着した『赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)』から『Boost(ブースト)!!』と機械の音声が流れる。

 

「確かによくできているね~……そうだ、ねぇねぇイッセー。本物と比較してみようよ」

 

「え?いいけど」

 

イッセーが左腕に『赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)』を出現させ、『Boost(ブースト)!!』と音声を出す。同時におもちゃ版も音声を出した。

 

重なって『Boost(ブースト)!!』と鳴り……あんまり変わらないね~。

 

「それ、かなりの自信作なんだぜ?今は試作品だが、直ぐに発売してやるさ!」

 

商魂がたくましくなりつつあるアザゼル。

 

そして、俺はまたアニメを見ようとモニターに目をやると――

 

『いくぞ、邪悪な怪獣よ!とおっ!ドラゴンキィィィィィィィィックッ!!』

 

見事なまでに決まる必殺技だが、直後に強力な技によりピンチに陥る主人公。

 

いつのまにか大分進んでいたよ……。

 

『おっぱいドラゴン!来たわよ!!』

 

そこにヒロインが登場する。ドレスを着たリアスさん――まぁ、実際は、背格好の近い役者にCGの顔を使用したもの何だろうけどね~。

 

『おお!スイッチ姫。これで勝てる!』

 

『おっぱいドラゴン』がスイッチ姫の胸にタッチする。すると、主人公の体が赤く輝き始め、パワーを取り戻していく。

 

「味方側におっぱいドラゴンとスイッチ姫がいるんだよ。そして、ピンチになったとき、スイッチ姫の乳を触ることで無敵のおっぱいドラゴンになるのだ!!」

 

アザゼルがノリノリで説明をする。

 

スパンッ!!と、リアスがアザゼルの頭をハリセンで叩いた。

 

「……ちょっとアザゼル。グレイフィアに全部聞いたわよ?ス、スイッチ姫の案をグレモリー家の取材チームに送ったのはあなたよね?おかげで私が、こ、こんな……」

 

リアスさんはわなわなと震えている…噴火寸前と言ったところだろうな。

 

「いいじゃねぇか。ガキどもからも支持を得るようになって、逆におまえの人気が高まったって聞いたぜ?」

 

「……もう、冥界を歩けないわ」

 

アザゼルの言葉にため息交じりにつぶやくリアス。

 

そ、それにしても…な、なななにゃんて、破廉恥なのでしょうか…///こ、こんなの子供の教育に絶対悪いよぉ~///

 

ズドォォォン!!!

 

すると、画面にいた怪人は爆発し、そのあと色々あってエンディングが流れた。

 

「そういえば、イッセーくんって小さい頃、特撮ヒーロー大好きだったものね。私も付き合ってヒーローごっこしたわ」

 

すると、イリナがはしゃぎながら変身ポーズをとっていた。懐かしいな~。俺も小さいときはよくそんな遊びをやってたっけ~。

 

「確かにやったなぁ。あの頃のイリナは男の子っぽくて、やんちゃばかりしてた記憶があるよ。それが今じゃ、美少女さまなんだから、人間の成長ってわからない」

 

無自覚に口説き文句を言ったイッセーの言葉に、顔を真っ赤にするイリナ。

 

「もう!イッセーくんったら、そんな風に口説くんだから!!そ、そういう風にリアスさんたちを口説いていったのね……?怖い潜在能力だわ!!堕ちちゃう!私、堕天使に落ちちゃうぅぅぅっ!!」

 

展開していた翼を白黒と点滅させるイリナ。天使と堕天使の瀬戸際ですね~。

 

それを見てアザゼルが豪快に笑う。

 

「ハハハハ、安心しろ。堕天歓迎だぜ?ミカエル直属の部下だ。VIP待遇で席を用意してやる」

 

「いやぁぁぁぁっ!!堕天使のボスが私を勧誘してくるぅぅぅぅぅっ!!ミカエルさま、お助けくださぁぁぁぁぁいっ!」

 

イリナは涙目で天へ祈りを捧げていた。

 

そんな様子を見て笑っていると、ふいに黒歌さんがなにかを思い出したような顔をした。

 

「にゃははは!……あ、そう言えば、ツバサも小っちゃい時はよく戦隊ゴッコをしていたにゃ。あの時はスゴくはしゃいでて可愛かったにゃん♪」

 

すると、黒歌さんが俺の後ろに回り胸を頭に押し付けてきた。

 

「ちょっ!?黒歌さん!?///なにをしているのですか!!……てか、なぜそんな恥ずかしいこと覚えているのですか!?///」

 

俺がそう言うと、まるでいたずらっ子の様な顔をして、此方を見てきた。

 

「そりゃ、もちろん覚えてるにゃ。ツバサの可愛いい姿や恥ずかしい姿なんて私達が忘れるわけないにゃん!それに、たぶん私だけじゃないよ?光輝や皐月達や他のみんなも覚えてるにゃん♪」

 

そ、そんな…。俺のプライバシーは何処へいったのでしょうか…。シクシクシク……

 

「うぅ~…。もう色んな意味で恥ずかしくて死にそうです…///」

 

カシャッ

 

「?なに、いまの音…」

 

「気のせいにゃん」

 

何だろういまの音は…。そしてなぜ小猫ちゃんの手元にはカメラが?そしてなぜ黒歌さんと小猫ちゃん二人して親指立ててサムズアップしているのです?ねぇ…なんでぇー!?

 

「ツバサちゃん、少しお話とお願いがあるのですがいいですか?」

 

朱乃さんが突然こっちにやって来た。すると、なにを思ったのか黒歌さんが俺から離れた。あと、ウインクをして小猫ちゃんを連れて離れていった。

 

「お願いってなんですか?」

 

「はい、実は今度の休日買いをしようと思っているのですが……一緒に、行きませんか?」

 

顔を赤くしてもじもじさせながらお願いしてくる朱乃さん…可愛いい…じゃなくて!

 

「もちろんいいですよ~。どうせ暇していましたしね~」

 

「本当ですか!やった!」

 

嬉しそうな顔で少しはしゃいでいる朱乃さん。ほんとに嬉しそうですね~。

 

「よかったわね、朱乃!」

 

「はい、リアス。今度の休日、うふふ、ツバサちゃんと初デート♪」

 

なんだかスゴくリアスさんと嬉しそうに喋っている朱乃さん。なにを言っているかは、隣から聞こえるBoost(ブースト)という音で聞こえないけどね……てか、うるさいよ!?

 

そして、全てやることがなくなった俺達は帰ることにしたのだった。

 

―side out―

 

 

―イッセー side―

 

駒王学園昼休み。俺は松田と元浜、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、夕麻、優子ちゃん、ツバサちゃんと桐生で弁当を食べていた。

 

「そういや、もうすぐ修学旅行だぜ?班を決めないとな」

 

元浜が卵焼きをつまみながら言う。

 

「えっと、三、四名で組むんだっけ?」

 

「そうそう。泊まるとこが四人部屋らしいからな。ま、俺ら三人で組むしかない。嫌われ者だからな。俺ら」

 

そうだな…俺たちと組む女子はないな。アーシアたち七人とは仲がいいから…こうして、一緒に弁当も食ってるし。しかし、他の女子は全滅に近い。

 

「エロ三人組。修学旅行のとき、うちらと組まない?美少女七名でウッハウッハよ?」

 

「あぁ、おまえ以外の美少女六人組な」

 

「だから、俺は男です」

 

桐生の申し出にうなずく松田。その頭を思いっきり桐生が叩いた。そしてツバサちゃんは男だと叫んでいた。

 

「俺はもちろん、OKな」

 

そう返事をしたとき、アーシアとゼノヴィア、イリナの表情が明るくなったように見えた……気のせいかな?

 

そして、そんな女子メンバーを微笑ましそうに見るツバサちゃん達三名。……いったいなんなんだ?

 

「うーむ、最近、イッセー専用のフラグが辺りに散らばっているように思えるぞ?……そんなもの視認できたら、全力を用いてハンマーで叩き壊すんだけどな……」

 

 呪詛のように言って眼鏡をくいっと上げる元浜…。

 

「てなわけで、修学旅行はこの十人で行動しましょう。清水寺!そして金閣寺銀閣寺が私たちを待っているわ!!」

 

桐生がメガネをキラリとさせながら宣言した。

 

というわけで、旅行の班が決まった。男子は俺、松田、元浜の三名。女子はアーシア、ゼノヴィア、イリナ、桐生、夕麻ちゃん、優子ちゃん、ツバサちゃんの七名。このメンバーで京都の町を巡ることになる。

 

ん?ツバサちゃんは男だって?……ふ、“男の娘”だから気にするな!

 

……そういや、俺、二天龍のドライグを宿しているから、天龍寺に行ってみるのもいいかも。

 

よし。そうなれば、今度アーシアたちと旅行に必要な品を買いに行こうかな。

 

―side out―

 

―ツバサ side―

 

――時は飛んで、現在、放課後の部室。

 

俺たちは部室に入ると、お茶をしていたイッセーたちが、初めての修学旅行のことを楽しそうに話していた。あと、何故かレイジ兄さんとアリアさんが来ていた。

 

それにしても感じんの顧問のアザゼル先生は来ていないみたいだ。冥界に帰って会議をしているらしい。俺は面倒見の係としてその会議には出席をしていない。

 

「部長と朱乃さんは去年どこに行ったんですか?」

 

イッセーの質問に朱乃さんが答える。

 

「私たちも京都ですわよ。部長と一緒に金閣寺、銀閣寺と名所を回ったものですわ」

 

リアスさんがうなずきながら続ける。

 

「そうね。けれど、以外に三泊四日でも行ける場所は限られてしまうわ。あなたたちも高望みせず、詳細な時間設定を先に決めてから行動したほうがいいわよ?日程に見学内容と食事の時間をキチンといれておかないと痛い目に遭うわね。バスや地下鉄での移動が主になるでしょうけれど、案外移動も時間がかかってしまうものだわ」

 

「移動の時間まできちんと把握しておかなかったのがいけませんでしたわね。部長ったらこれも見るあれも見るとやっていたら、最後に訪れる予定だった二条城に行く時間がなくなってしまって、駅のホームで悔しそうに地団駄踏んでいましたわ」

 

朱乃さんが小さく笑って言うと、リアスさんは頬を赤らめた。

 

「もう、それは言わない約束でしょう?私もはしゃぎすぎたわ。日本好きの私としては憧れの京都だったから、必要以上に街並みやお土産屋さんに目が行ってしまったの」

 

思い出を楽しそうに語るリアスさん。かなり京都が楽しかったのだろうな。

 

「修学旅行で訪れるまで京都に行ったことなかったんですか?移動は魔法陣ですればいいと思いますし」

 

イッセーがそう言うと、リアスさんは人差し指を左右にノンノンと振るう。

 

「わかってないわね、イッセー。修学旅行で初めて京都に行くからいいのよ?それに移動を魔法陣でするなんて、そんな野暮なことはしないわ。憧れの古都だからこそ、自分の足で回って、空気を肌で感じたかったの」

 

あ~あ、リアスさんの目が爛々と輝いているぞ~。

 

「あ、そうだ。俺達結城家のメンバーも家族旅行という項目で京都に行くからな。そこんとこよろしく」

 

レイジ兄さんがそう言うと、俺と優子お姉ちゃんと黒歌と夕麻以外全員が驚いていた。なるほど、だからここにきてたんだね

 

「そ、そうなのですね…。そうだわ!旅行もいいけれど、そろそろ学園祭の出し物についても話し合わないといけないわ」

 

慌てて切り替えられた……

 

「あー、学園祭も近かったですね。うちの高校って、体育祭、修学旅行、学園祭は間が短くて連続でおこなうからな。そう考えると俺ら二年生は大変だ」

 

「そうですね~」

 

ほんと、忙しくてかなわないよ~。まぁ、家の仕事と比べたら楽な方だけどね…。

 

リアスさんは朱乃さんからプリントを受け取って、テーブルの上に置いた。どうやら、オカルト研究部の出し物をそれに書いて生徒会に提出するみたいだ。

 

「だからこそ、いまのうちに学園祭について相談して、準備しておかないと。先に決めてしまえば、あなたたちが旅行に行っている間に三年生と一年生で準備できるものね。今年はメンバーが多くて助かるわ」

 

「学園祭!楽しみです!!」

 

楽しそうにアーシアが言った。

 

「うん。私もハイスクールでの催しは楽しいぞ。体育祭も最高だった」

 

ゼノヴィアの瞳は輝いている。この間の体育祭で応援席から見てはいたものの、ぶっちぎりで各種競技の一位を乱獲していたもんね。

 

「私もこういうのは初めてだから楽しみだわ~。良い時期に転入したよね、私!これもミカエルさまのお導きだわ!!」

 

と、イリナが天に祈るポーズでそう言う。後ろでアーシア達と話しているアリアさんも同じようで、教会メンバーは学園祭を心底楽しみにしているみたいだ。

 

「去年は……確かお化け屋敷でしたっけ?俺、その時は所属してませんでしたけど、本格的な造りで話題になっていましたよ」

 

イッセーの質問に小猫ちゃんが答えた。

 

「……イッセー先輩、それは本物のお化けでしたよ」

 

「え?」

 

お…お化け?本物?

 

「そうよ。本物のお化けを使っていたわ。それは怖かったでしょうね」

 

小猫ちゃんの返答にリアスさんがネタばらしをした。

 

「ほ、本物だったんですか……?」

 

イッセーが驚きながら訊くと、リアスは笑顔で答えた。

 

「えぇ。人間に危害を与えない妖怪に依頼して、お化け屋敷で脅かす役をやってもらったわ。その妖怪たちも仕事が無くて困っていたから、お互いちょうど良かったのよ。おかげで大盛況だったっわね」

 

お……お化け屋敷……

 

「あとで、生徒会に怒られましたわね。当時の副会長だったソーナ会長から、『本物を使うなんてルール無視もいいところだわ!』って怒られましたわ」

 

朱乃さんが少し懐かしそうに言った。

 

「じゃあ、今年もお化け屋敷ですか?段ボールヴァンパイアのサーカスでもやりますか?」

 

イッセーの発言に、ギャスパーが頬をプクリと膨らませてイッセーの頭をポカポカと叩く。

 

「先輩のいじわるぅぅぅぅぅっ!!すぐに僕をネタにするんだからぁっ!」

 

「イッセー、ギャスパーをあまりいじるなよ?唯一の男子の後輩だから、大切にしてやれ」

 

「わかっていますよ。ちゃんと面倒見ますから。でも、その分いじるけど!」

 

レイジ兄さんの言葉に半笑いで返してきたイッセー。

 

「あ…そう言えば、ツバサは大丈夫なの?お化け」

 

ビクっ

 

「…………」ダラダラダラ

 

「はぁ…、無理だけはしないでよね」

 

「……」コクコク

 

―なんやかんやで一時間後…―

 

「うーん……とりあえず、新しい試みを――」

 

もう少しで話し終わるところで、イッセーたちの携帯が一斉に鳴った。

 

全員が顔を見合わせる……合図だ。

 

リアスさんは息を整えたあと、真剣な声音で言った。

 

「――行きましょう」

 




どうでしたか?久しぶりにやっと更新できて少しだけ嬉しいです。やっと物語が進んでいるって感じがしてとてもいいですね。

さて、今回で主人公の弱点がまたひとつ暴露されましたね。今後どうなることやら…

てなわけで、また次回でお会いしましょう!!ばいば~い( ̄∇ ̄)ノ


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2話 禍の団(カオス・ブリゲード)英雄派

皆様…、大変長らくお待たせしました。

そして、や…やっと………出来たのですよ………。

お、俺はやりきったぜ………もう…むり………なのです………そして、誰か…俺に時間をぉー…………グフォア




―ツバキside―

 

――町にある廃工場。

 

そこに俺たち地球連邦軍チームとグレモリー眷属とイリナは訪れていた。

 

すでに日は落ちており、空は徐々に暗くなっていく。薄暗い工場内に気配が複数。さらにそれらは殺意と敵意に満ちていた。

 

「――グレモリー眷属と地球連邦軍の者か。嗅ぎつけるのが早い」

 

暗がりから現れたのは――黒いコートを着た男。男の周囲の暗闇から人型の黒い異形の存在が複数姿を覗かせていた。匂いと聴覚で確認してみたところ、この狭い工場内に人型モンスターが約二百弱はいるでしょうね。

 

リアスさんが一歩前に出て冷たい声音で訊く。

 

「『禍の団(カオスブリ・ゲード)』――英雄派ね?ごきげんよう、私はリアス・グレモリー。三大勢力にこの町を任されている上級悪魔よ」

 

リアスさんのあいさつを聞いて、男は口の端を吊り上げる

 

「ああ、存じ上げておりますとも。魔王の妹君。我々の目的は貴様たち悪魔や堕天使を浄化し、町を救うことだからな」

 

イッセーたちのことを、ゴミを見る様な目で見てくる。

 

そう、こいつは『禍の団(カオスブリ・ゲード)』の英雄派という派閥の構成員。ここ最近、英雄派がこの町を小規模に襲撃してくる。というより、各勢力の重要拠点を英雄派の構成員が襲来する事件が多発しているのだ。

 

最近俺たちはこいつらを迎撃している。相手のほとんどは人間だけどね……。

 

男の横から、さらに人影がふたつ。異形だけではなく、人間。サングラスをかけた男と中国の民族衣装的な服を着た男。三人は全員外国人。

 

「……ほんと、英雄の名折れだね。テロ組織に荷担とは……聞いてあきれるよ、まったく…」

 

「ふ、だな。こんなんじゃ…、家にいる英雄の子孫達の方がよっぽど英雄らしいな」

 

「そうだね~。(まぁ、中には英雄の子孫じゃなくその“英雄”本人もいるんだけどね)」

 

ほんと…、英雄の癖にテロ活動とか…。あの世で英雄の祖先達はさぞや嘆いているでしょうね。

 

まぁ…、英雄派にいる英雄の子孫のうち、何人かの英雄の祖先は、何故かうちの部隊にいるんですがね…。

 

ほんと…、お祖父様はいったい何者なのでしょうか?まぁ…、殆どの日本や世界の神々と交流があり、友人がいた時点でもう驚きはしませんがね~。

 

「――さて、お喋りはここまで。――さぁ、始めましょうか。全員…突撃です!!」

 

『はい!』

 

俺の合図に皆が拡散する。それと同時に相手側も動き出した。

 

ズドォォン ズガァァン ズバァァン

 

色んな色の魔力がぶつかり合い戦場とかす。

 

それからは結構な数でなかなか大変だったけどもなんとか倒せた。

 

途中、イッセーにたいして緑色の矢が飛んできたりしたが、普通なら当たる筈なのだが、なんとかイッセーはそれを交わした。

 

流石だね、こんな場面でも避けるなんてね。ほんとに幽香さんの修行(難易度ルナティック)は効果抜群だね~。

 

「さて…と、そろそろ終わるかな?」

 

さっきまで数百人ちかくいたはずの人数がもう数人しかいなかった。

 

そして、その数人も瞬殺し残り一人となる。

 

その最後の一人も皆の攻撃でもうボロボロだ。

 

「さぁ、もう貴方の仲間は全員倒しましたよ?……降参しますか?」

 

「おれ…は、まだ……まだ、ここで終わるわけにはいかないんだぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

すると、突然目の前で瀕死の状態だった男が 全身黒いオーラを出しながら、叫んだ。

 

「――ぉぉぉぉおおおおお!!!」

 

男が突然目の前からいなくなる。いや、正確には何者かによってどこかに飛ばされたのだった。

 

……それにしても、さっきの反応はもしかして『禁手化(バランス・ブレイク)』?でも、明らかにそれ以外の反応はありえないよね?

 

……まぁ、今はまだいっか。

 

こうして俺達の戦いは一旦幕を閉じたのだった。

 

そして、現在戦闘のあと処理中~。なかなか派手にヤったから終わんないよね~。

 

能力つかったら楽だし早いのに使えないのが笑えないけどね~。

 

「なぁ、ツバサ。前から思っていたんだけどな?……英雄派の行動って変だと思うのだが、ツバサはどう思う?」

 

突然のレイジ兄さんの言葉に何名かが、首を傾げていた。

 

「まぁ、レイジ兄さんの言う通り俺も思っていたよ。最近見かけるのが多いいからね。

取り合えずその事を話し合おうよ」

 

俺が、そう言うとリアスさんもなやみだした。

 

「そうね…確かに妙だわ。私たちと英雄派が戦ったのって一度や二度ではないでしょうに……。私たちを本気で研究して攻略するなら、二、三回ぐらいで戦術家はプランを立ててくると思うの。それで四度目辺りで決戦をしかけてくるでしょうし。でも、四度目、五度目でもそれは変わらなかった。ずいぶん注意深いと感じたけれど…?」

 

「……向こうのボスによる実験」

 

「白音の言う通りにゃ。その可能性が高いにゃん」

 

「実験?私たちの?」

 

リアスさんの問いに答えた白音と黒歌。その言葉に首をかしげたイリナ。

 

「どちらかというと、彼ら――神器(セイクリット・゙ギア)所有者の実験をしているような気がするの。……私の勘だから、ハッキリした意見は言えないだけれど……。この町以外にも他の勢力のところへ神器(セイクリッド・ギア)所有者を送り込んでいるのだから、強力な能力を持つ者が多いところにわざとしかけているんじゃないかと思って…」

 

「確かに、何らかの方法で強引に禁手(バランス・ブレイカー)へ至らしめるなら、この組織にぶつけた方がなりやすいと考えた…そういうこと?」

 

さてと、どうしたもんかねぇ~。

 

 

「確かに、何らかの方法で強引に禁手(バランス・ブレイカー)へ至らしめるなら、この組織にぶつけた方がなりやすいと考えた…そういうことか?」

 

レイジ兄さんが言うと、木場が頷いた

 

「……劇的な変化かもしれないね」

 

木場が何かにたどり着いたように呟く。

 

「でもよ、俺たちにぶつけたくらいで禁手(バランス・ブレイカー)に至れるのか?」

 

イッセーの意見にリアスさんが目を細めて言う

 

「……赤龍帝、雷光を操る者、聖魔剣、聖剣デュランダルとアスカロン、優秀な回復神器を持つ聖女、時間を停止するヴァンパイア、仙術を使える猫魈姉妹、無限の龍(ウロボロス・ドラゴン)の片割れ、地球連邦軍の最強軍団、精霊使いの剣神、黒き疾風の破壊者、鉄壁の破壊神……上げるだけでもきりがないわ。イッセー、相手からしてみれば、私たちの力はイレギュラーで強力に感じると思うの。勝つ勝たない以前に、私たちと戦うことは人間からしてみたら、尋常じゃない戦闘体験だわ」

 

「まぁ、簡単に説明すると、俺達はいい経験値稼ぎってやつなのですよ。」

 

俺はリアスさんが一番伝えたかったことを言葉にした。それを聞いたイッセーは納得したようだ。

 

「やり方としては強引で、雑とも言えるがな」

 

レイジ兄さんの言葉に皆が頷く。

 

「何十人、何百人死んでも、一人が禁手(バランス・ブレイカー)に至ればいいって感じよね。……いえ、戦闘で仲間がやられていくのも劇的変化に繋がるのかもしれないわ……。どちらにしても最低な発想よ……」

 

リアスはんは肩をすくめる。

 

「わからないことだらけね。後日、アザゼルに問いましょう。私たちだけでもこれだけの意見が出るのだから、あちらも何かしらの思惑は感じ取っていると思うし」

 

確かにね。あの人なら絶対そうだよ。じゃないと、あんな神器説明装置なんて作らないしね。

 

さてと、それなら俺達地球連邦軍 特殊部隊特別調査班も動こうかな?

 

「レイジ兄さん、俺達も動くよ。いいよね」

 

俺が聞くと、レイジ兄さんは一瞬目が見開いたがすぐに言いたいことがわかったのか頷いた。

 

「あぁ、頼んだぞ。俺達も動くからな」

 

「了解!」

 

皆の話も終わった様で、みんなで部室に帰ることになった。

 

部室に戻り、皆が一息ついたあと、帰り支度をするなかで朱乃が鼻歌を歌っていた。

 

「あら、朱乃。随分、ご機嫌ね。S的な楽しみができたの?」

 

リアスさんの問いに朱乃さんは満面の笑みで答えた。

 

「いえ、そうではなくて、うふふ。明日ですもの。自然と笑みがこぼれますわ。デート。明日ツバサちゃんは私の彼氏ですわ♪明日はよろしくお願いしますね?ツバサちゃん♪」

 

笑顔で言ってくる朱乃さん。……そんな笑顔で言われたら断れるわけがないじゃないですか~。

 

「はい!こちらこそ、よろしくお願いしますね♪朱乃さん♪」

 

俺も精一杯の最高の笑顔で返した。

 

そして、その光景を見ていたレイジ達いわく、朱乃とツバサの回りには物凄くピンクでお花畑の世界が見えたそうだ。



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3話 父と娘の暴走劇

遅くなりすみません!言い訳させてもらうと色々現実でテストなどで忙しかったのと、ネタが思いつかなかったことです。
で、今回は主人公と朱乃さんのデートはすこし波乱がおきます。とくにオーディンとの接触の時に…ね。
それと、朱乃さんがキャラ崩壊を起こします。嫌いな方は飛ばしてね。

あと、突然ですが題名を変えました。理由は単純で長すぎて読みにくかったからです。


では、ゆっくりしていってね♪


――今日は朱乃さんとのデートの日。

 

俺は朝から準備をして私服に着替えた。今は夏過ぎたあとかまだ暑い。なので俺は半袖を着ている。まぁ、暑いの苦手だからまだ半袖でいいかな?あとは、上からチェックのついた通気性のよい薄い生地でできた長袖を羽織り下はジーパンで、簡単な服を着ている。何故か家から出るときにレイジ兄さんに渡された服だ。最初は別の服だったのだが、慌てた兄さんが俺を止めてこれを渡された。そのときに『もっと回りの事を見てくれ!!』と顔を赤くしながら言われた。どうしてだろう?まぁ、いいっか♪

 

そんなことを思っていると、待ち合わせの場所にフリルのついた可愛いワンピースをきた見知った顔の女の子がきた。

 

そう――朱乃さんだ。

 

朱乃さんは何時もみたいなポニーテールではなく、髪をおろしてロングにしていた。それに走ってきたのかすこし汗をかいていた。

 

「ごめんね、遅れちゃった。……大分待たせちゃったかな?」

 

不安そうに此方を見てくる朱乃さん。

 

「うんん。俺もいまきたところだよ。全然待ってないからね♪」

 

「そうなの?よかったぁ~」

 

俺の言葉に安心した表情をする朱乃さん。

 

「んじゃ~いこ!今日は一日楽しもうよ♪朱乃さん!」

 

俺は朱乃さんに右手を出した。

 

「……うん!」

 

朱乃さんは俺の右手を強く握りそのまま二人でデートを楽しみにいくのだった。

 

 

 

 

あれから三時間たった。朱乃さんとは人気のファッションブランドを扱うお店にいって試着会をしたり、クレープ屋で一緒に食べたり、ゲームセンターで遊びまくったりと、かなり楽しんでいた。その間ずっと朱乃さんは楽しそうで、普段は見られない様な感じで終始年頃の女の子だった。

 

そして、いまは水族館にきている。そこでも朱乃さんはほんとに楽しそうで何時もみたいなお姉さんって感じはない。そんな朱乃さんを見ていて此方も楽しくなっている。

 

「ふぅ~。楽しかったぁ~。深海魚って変な顔の子が多いのね」

 

水族館からでた俺と朱乃さんだが、水族館からでたらそんな事を朱乃さんは言った。

 

「確かにそうですね。まぁ、そうでもしないと生きていけない環境にいるので、自然的にそういう進化を遂げたのでしょう。」

 

俺と朱乃さんはそんな話をしながらブラブラとなにも考えずに歩いていた。すると、ふとなにかに気づいたのか朱乃さんが止まる。俺はどうしたのかと朱乃さんを見ると、顔を赤くしながら固まっていた。

 そんな反応をした朱乃さんに不思議に思い、俺も視線を朱乃さんの見ている方向にうつすと――――

 

ピンク色の建物…所謂ラブホテルという建物だった。

 

カァァァ////

 

いま、自分でも顔が物凄く赤くなっているのがわかる。だ…だって…お、お兄ちゃんが前に言ってたもん。こ、ここは…その…エッチな事をやるところだって!///

 

そして、よく周囲を見渡すと似たような建物ばかりだった。

 

はわわわわわ!!こ、ここから急いで離れなくちゃ!!

 

俺は瞬時にそこから離れようとすると朱乃さんが袖を掴んできた。な、ナゼニ?

 

俺は朱乃さんに視線をうつすと………

 

「……いいよ」

 

ん?な、なにが?

 

「……ツバサが行きたいのなら、私、いいよ。……大丈夫だから」

 

その言葉に頭はフリーズした。

 

…へ?あ、朱乃さんと、その…エッチな事を?やると?ふ~ん…………

 

ボフン!?

 

「ふにゃぁ~……」ドサ

 

「ツバサちゃん!?」

 

そ…そんにゃのダメだよぉ~。え…エッチィことは、絶対ダメなのです!

 

「……だ、ダメですよ!ぼ、僕には早いことだってお兄ちゃんやお姉ちゃんが言ってたし、な…なによりも…その………は、初めて…だもん///」

 

「ブフゥ!」

 

すると、朱乃さんは鼻血を壮大に吹き出して後ろ向きに倒れかけた。

 

「あ…朱乃さん!?大丈夫ですか!」

 

俺は朱乃さんを急いで抱える。

 

「え、えぇ、大丈夫ですわ。な、なんともないです。本当に何にもないですわ。気にしないでください。ツバサちゃん♪(あ、あれはいけませんわ。あんなにも可愛い顔で、しかも、涙目+顔を真っ赤に染めながらの上目使いだなんて…こんなの余計襲いたくなっちゃうじゃないですか!あぁ、私のバカ。先程まで折角いい雰囲気でしたのにこれでは私が持ちませんわ。こんなにも可愛いんですもの。…………お持ち帰りはアリですよね?)」

 

ブルッ…!

 

ひゃっ!…な、何だったんだろう。いきなり悪寒が…。言い知れないなにか恐怖が…。

 

「と、取り合えず立ちましょう。朱乃さん」

 

俺は先程の謎の悪寒を無視して朱乃さんを立ち上がらせた。

 

「ありがとうございますわ。ツバサちゃん」

 

「いえいえ、それほどでも」

 

俺と朱乃さんはその場を動こうとしたとき…

 

「まったく、昼間っから、女を抱こうなどとやりおるわい、最近の小僧わ」

 

白髭を伸ばし、帽子を被ったラフな格好のお爺さん。その左目には水晶の入った眼鏡をしている。

 

その背後にはガタイの良い男の人と、パンツスーツを着込んだ銀髪のストレートヘアの女性がいた。

 

俺はこの三人を知っている……と言うか、顔見知りにも程度あるけどね。

 

「オーディンのお爺さん、お久しぶりです」

 

「ほっほっほ、久しいの。北の国から遠路はるばる来たぞい」

 

オーディンのお爺さんは、相変わらずのイッセーの様ないやらしい笑みを浮かべて笑う。

 

「ほっほっほ」

 

「で、貴方のような方がどうしてここに?」

 

朱乃さんは急な展開に頭が追い付いていないようだ。

 

「オーディンさま!こ、このような場所をうろうろとされては困ります!か、神さまなのですから、キチンとなさってください!」

 

オーディンのお爺さんに付きそいであるヴァルキリーことロスヴァイセさんが叱るが、オーディンのお爺さん……もうめんどくさいので、オー爺ちゃんは軽くあしらう。

 

「よいではないか、ロスヴァイセ。お主、勇者をもてなすヴァルキリーなんじゃから、こういう風景もよく見て覚えるんじゃな」

 

「どうせ、私は色気のないヴァルキリーですよ。あなたたちもお昼からこんなところにいちゃだめよ。ハイスクールの生徒でしょ?お家に戻って勉強しなさい勉強」

 

いま俺と朱乃さんは、ロスヴァイセさんに怒られてしまっている。まぁ~、普通はそうだよね。学生がこんな場所に普通は来ないしね~。

 

俺はふと朱乃さんを見ると、朱乃がもう一人のガタイの良い男――バラキエルさんに詰め寄られていた。

 

「……あ、あなたは」

 

朱乃は目を見開いて、驚いている。……まぁ、無理もないことだよね。実の父親がいたら誰だって固まるよ…。

 

「朱乃、これはどういうことだ?」

 

バラキエルさんはキレ気味で、声音に怒気が含まれている。

 

「……あ、えっとこれは…」

 

朱乃さんは突然のことでパニクっていた。

 

「ちょっとこっちにこい!」

 

「キャッ!」

 

すると、バラキエルさんは朱乃さんの手首を掴んでそのまま何処かに連れていかれた。

 

え?……どうなってるの?

 

俺は突然の事が起こりすぎて頭が機械のようにショートを起こしていたのだった…。

 

―ツバサside out―

 

―三人称side―

 

姫島朱乃は今日、愛しの結城翼との初デートを楽しんでいた。途中までは楽しんでいたが、いまは突然現れた北欧の主神オーディンとその御付きのヴァルキリー、そして自身の身内で父親でもある、堕天使幹部の一人…『雷光』のバラキエルがいて、その父親に強引に手を引かれ建物の裏路地に連れてこられていた。

 

そして、いまはそんな父親と対面状態で睨みあっている。

 

「……朱乃、一つ聞きたい。どうしてお前がここにいる。どうしてこんな所にいるんだ!!」

 

バラキエルの怒り声が響く。それに対して朱乃は少し怯むも父親を睨み付ける。

 

「……そんなのどうだっていいじゃない。私が好き好んでここに来たのよ!私がいいよって言ったのよ!それに、そんなの貴方に関係ないでしょ!?私の邪魔をしないで!!」

 

朱乃も負けじと怒り声を出しながら叫んだ。

 

「関係なくはない!私が言っているのはこんな汚い場所に来るなと言っているのだ!こんな場所じゃなく、ヤるなら実家でヤりなさい!!」

 

「そんなの貴方に指図される……………え?」

 

朱乃は父親の突然の言葉に心底驚いた様な感じで声を出した。

 

「こんな不衛生な場所よりも神聖で神の気が混じり、回りが自然で囲まれた私達の家の方が断然いいに決まっている。お前の初めてをこんな場所で散らすより、神聖な場所でやった方がいいだろ?それにあの子だってその方がいいに決まっている。それと、その方が元気で明るいたくましい――いや二人に似た可愛い子供が生まれるに違いない。だからこそ、私は怒っているんだ。何故このような場所に来ているのかとな」

 

バラキエルは穏やかにそう答える。

 

「私はお前の…いや、お前たち二人の事を思って言っているのだ。わかってくれ、朱乃よ」

 

バラキエルは朱乃にそう言った。

 

「……お父様」

 

当本人である朱乃は目を潤ませて感動していた。

 

「お父様…ご免なさい。私が間違っていました。そうですよね、こんな場所何かより家の方がずぅ~っといいに決まっていますよね。わかりました。私、頑張ります!頑張ってツバサちゃんと元気な子供を作ります!」

 

朱乃は父―バラキエルに向かって強い意思をもって宣言した。

 

「あぁ、頑張れ朱乃。私も母様も朱乃の事を応援しているぞ。そして、私達に早く二人の元気な可愛い孫を見せてくれ」

 

バラキエルは朱乃に優しく言った

 

「はい!お父様!」

 

ガバッ!

 

そして二人は強く抱き合った。こうして親子喧嘩は直ぐに収まり、よりいっそう親子の絆が深まったのだった。

 

そのあと、二人はツバサちゃんの所に戻りそのまま解散したのだった。

後にツバサちゃん曰く、『何故か最初は喧嘩していた二人が戻ってくると、仲良くなっていた。そのあと二人して俺の顔を見たあと二人して親指たててサムズアップしていたのが気になった』だそうだ。

 

―side out―

 




どうでしたか?なんか変な所で終わりましたけども、今回朱乃さんとその父親バラキエルが壊れちゃいましたね。
そして、流石ツバサちゃん。たった一人の存在でここまで変わるとわ………なんて恐ろしい子!

さて、次回も頑張って作るので楽しみにしてくださいね。それでは、また。


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4話 オーディンの訪問

―ツバサside―

 

あれから、すぐにオーディンは俺達に会いに来た。

 

「ほっほっほ、というわけで訪日したぞい」

 

兵藤家の最上階にあるVIPルームでオーディンの爺さんは楽しそうに笑っている。

 

「なにが、訪日したぞいじゃ。いきなり来てビックリしたぞ。オーディン」

 

俺の隣でイライラしながら愚痴っている光輝兄さん。隣ではアイラさんが呆れた顔で嘆息しながら光輝兄さんを見つめていた。

 

「別にいいでは、ないですか。光輝様。いまは暇でしたし、ただ家でゴロゴロしていただけではありませんか。」

 

ジト目で光輝兄さんを見るアイラさん。そんな視線を気づいていないかのように無視しながら目をそらす光輝兄さん。でも、顔からは汗が流れている。

 

「粗茶ですわ」

 

そこへ、朱乃さんがお茶を持ってきた。気のせいかもしれないが、なんだか機嫌が良さそうだ。デートから帰って来てからこの調子だ…。いったい父親と娘の間でなにがあったのだろうか?

 

「かまわんでいいぞい。しかし、相変わらずデカいのぅ。あっちも、こっちも、そっちもデカいのぅ」

 

相変わらず女性の大きな胸を見回すオーディンのお爺ちゃん。いつも家に来ると、皐月姉さん達の胸をイヤらしい目で見ている。これで北欧の主神なんだもんね~。………なんだか北欧の未来が心配になってきたよ。

 

「もう!オーディンさまったら、いやらしい目線を送っちゃダメです!!こちらは魔王ルシファーさまの妹君なのですよ!」

 

ヴァルキリーのロスヴァイセさんがオーディンのお爺ちゃんの頭をハリセンで叩いていた。

 

「まったく、堅いのぉ。サーゼクスの妹といえばべっぴんさんでグラマーじゃからな、そりゃ、わしだって乳ぐらいまた見たくもなるわい。と、こやつはワシのお付きヴァルキリー。名は―――」

 

「ロスヴァイセと申します。日本にいる間、お世話になります。以後、お見知りおきを」

 

オーディンのお爺ちゃん………もう、面倒なのでオー爺ちゃんしよ。で、その紹介でロスヴァイセさんがあいさつをした。

 

「彼氏いない歴=年齢の生娘ヴァルキリーじゃ」

 

オー爺ちゃんがいやらしい顔つきで言うと、ロスヴァイセさんが酷く狼狽し始めた。

 

「そ、そ、それは関係ないじゃないですかぁぁぁっ!わ、私だって、好きでいままで彼氏ができなかったわけじゃないんですからね!好きで処女なわけじゃないじゃなぁぁぁぁぁいっ!うぅぅっ!!」

 

ロスヴァイセさんはその場に崩れおれて、床を叩きだした。

 

「まあ、戦乙女の業界も厳しいんじゃよ。器量よしでもなかなか芽吹かない者も多いからのぉ。最近では英雄や勇者の数も減ったもんでな、経費削減でヴァルキリー部署が縮小傾向での、こやつもわしのお付きになるまで、職場の隅にいたのじゃよ」

 

オー爺ちゃんはうんうんとうなずきながら言う。

 

「なんだか、大変そうだな~。地球連邦軍はそういうのはないがな」

 

「まぁ、何処にいってもいまの世の中世界は冷たいからのぉ~」

 

アザゼルが光輝兄さんとオー爺ちゃんのそんなやり取りに苦笑しながらも、脱線から戻すように口を開く。

 

「爺さんが日本にいる間、俺たちで護衛することになっている。バラキエルは堕天使側のバックアップ要員だ。俺も最近忙しくて、ここにいられるのも限られているからな。その間、俺の代わりにバラキエルが見てくれるだろう」

 

「今回、オーディンの護衛をすることになった。よろしく頼む」

 

と、言葉少なめにバラキエルさんがあいさつをくれた。

 

オー爺ちゃんの護衛か~……大変そうですね~。

 

「爺さん、来日するのにはちょっと早すぎたんじゃないか?俺が聞いていた日程はもう少し先だったはずだが。今回来日の主目的は日本の神々と話しをつけたいからだろう?ミカエルとサーゼクスが仲介で、俺が会議に同席――と」

 

アザゼルが茶を飲みつつ訊いた。

 

「俺は今回パスだからな。神々の交流に人間である俺が行けるわけがない」

 

光輝兄さんは間髪入れずに拒否の意を表した。

 

「安心しろ、お前の同席はないよ。今回はミカエルとサーゼクスが『今回は我々だけで頑張ってみよう。いつも助かっているしね』だとよ。まぁ、俺も無理ばかりはさせたくないってことで、おまえ達は出席しなくていい」

 

「二人に礼を伝えてくれ。ここ最近、尋問やら会議やら後始末なんかで仕事が増えて疲れていたんだよな……」

 

光輝は軽く伸びをした。

 

「まあの。それと我が国の内情で少々厄介事……というよりも厄介なもんにわしのやり方を批難されておってな。事を起こされる前に早めに行動しておこうと思ってのぉ。日本の神々といくつか話しをしておきたいんじゃよ。いままで閉鎖的にやっとって交流すらなかったからのぉ」

 

オー爺ちゃんは長い白髭をさすりながら嘆息していた。

 

「厄介事って、ヴァン神族にでも狙われたクチか?お願いだから『神々の黄昏(ラグナロク)』を勝手に起こさないでくれよ、爺さん」

 

『神々の黄昏』と言う語を聞いて、周囲の空気が一瞬だけ変化した。

 

「ヴァン神族はどうでもいいんじゃがな……。ま、この話をしていても仕方ないの。それよりもアザゼル坊。どうも『禍の団(カオス・ブリゲード)』は禁手化できる使い手を増やしているようじゃな。怖いのぉ。あれは稀有な現象と聞いていたんじゃが?」

 

イッセーやリアスさん達は皆驚いて顔を見合わせていた。

 

「ああ、レアだぜ。だが、どっかのバカがてっとり早く、それでいて怖ろしくわかりやすい強引な方法でレアな現象を乱発させようとしているのさ。それは神器に詳しい者なら一度は思いつくが、実行するとなると各方面から批判されるためにやれなかったことだ。成功しても失敗しても大批判は確定だからな」

 

「例のアレか?アザゼル」

 

光輝兄さんの言葉にアザゼルは答えた。

 

「そうだ、リアスたちの報告書でおおむね合っている。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦だよ。まず、世界中から神器(セイクリッド・ギア)を持つ人間を無理矢理かき集める。ほとんど拉致だ。そして、洗脳。次に強者が集う場所――超常の存在が住まう重要拠点に神器を持つ者を送る。それを禁手(バランス・ブレイカー)に至る者が出るまで続けることさ。至ったら、強制的に魔方陣で帰還させる。おまえらの対峙した影使いが逃げたのも禁手に至ったか、至りかけたからだろうな」

 

アザゼルは話を続ける。

 

「これらのことはどの勢力も、思いついたとしても実際にはやれはしない。仮に協定を結ぶ前の俺が悪魔と天使の拠点に向かって同じことをすれば批判を受けると共に戦争開始の秒読み段階に発展する。自分はそれを望んでいなかった。だが、奴らはテロリストだからこそそれをやりやがったのさ」

 

「はぁ…。まったく面倒な事をするもんだな」

 

「確かにな…」

 

光輝兄さんとレイジ兄さんは心底面倒くさそうに嘆息していた。

 

ほんと、それに関しては兄さんと同じなんだよねぇ~。本当に……面倒くさい。

 

「どちらにしろ、人間をそんな方法で拉致、洗脳して禁手(バランス・ブレイカー)にさせるってのはテロリスト集団『禍の団(カオス・ブリゲード)』ならではの行動ってわけだ」

 

「それをやっている連中はどういう輩なんですか?」

 

イッセーの問いにアザゼルは続ける。

 

「英雄派のメンバーは伝説の勇者や英雄さまの子孫が集まっていらっしゃる。身体能力は天使や悪魔にひけを取らないだろう。さらに神器や伝説の武具を所有。その上、神器(セイクリッド・ギア)が禁手(バランス・ブレイカー)に至っている上に、神をも倒せる力を持つ神滅具(ロンギヌス)だと倍プッシュなんてものじゃすまなくなるわけだ。報告では、英雄派はオーフィスの蛇に手を出さない傾向が強いようだから、底上げに関してはまだわからんが」

 

「今は様子見だな…。その時が来れば、まぁ、その時だな」

 

うわぁ~、適当だぁ~。

 

「まぁ、調査中の事柄だ。ここでどうこう言っても始まらん。それより爺さん、どこか行きたいところはあるか?」

 

アザゼルが訊くと、オー爺ちゃんはいやらしい顔つきで両手の五指をわしゃわしゃさせた。

 

「おっぱいパブに行きたいのぉ!!」

 

「ハッハッ!!見るところが違いますな、主神殿。俺んところの若い娘がこの町でVIP用の店を最近開いたんだよ。そこに招待しちゃうぜ!!」

 

「うほほほほっ!さっすが、アザゼル坊じゃ!わかっとるのぅ、でっかい胸のをしこたま用意しておくれ!たくさん揉むぞい!!」

 

「ついてこい、クソジジイ!!おいでませ、和の国ニッポン!!着物の帯をクルクルするか?あれは日本来たら一度はやっておくべきだぞ!和の心を教えてやる!!」

 

「たまらんのー、たまらんのー」

 

「光輝たちも来るか?年齢は合法だろ?」

 

アザゼルが光輝兄さんを誘った。

 

「「行くか!!この、エロ爺!!」」

 

二人揃って拒否をした。何故って?そんなもの、二人の妻を見ればわかることさ。

 

「はてさて、どうやるのやら」

 

俺は部室のなかを見渡しながらそんなことをおもうのだった。

 



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5話 悪神ロキと神喰狼フェンリル

これを見ていてくださる皆様方には感謝なのです。

そして、現在は沢山きていた誤字の修正中です。ただ、話数が多すぎて、何処が間違っているのかわかりません!スマホなので余計にわかりません。もしも、わかる場所があれば教えてくださると嬉しいです!!m(__)m
頑張って一話一話確認しながらなおしていきますので、これからもどうぞよろしくお願いします♪

そして、久々の連続の投稿なのです!


北欧の主神オーディンこと、オー爺ちゃんが来日して数日経ったある日の夜。

 

スレイプニルという八本足の巨大軍馬の馬車にイッセーたちリアスさんの眷属、光輝兄さんとレイジ兄さん、そして俺、アザゼル、オー爺ちゃん、ロスヴァイセさんが乗って夜空を移動している。

 

さらに、俺たちの後方にはバラキエルさんとイリナが飛んでついてきている。あと、お供のハイドラとドラグーンが人形形態で飛んでいた。

 

ちなみに俺は、馬車の屋根の上で胡座をかいて気配察知をしながら夜空を眺めているのですよ。

 

まぁ、そんなことよりも………

 

「来たか…」

 

光輝兄さんの一言でいきなり前を飛んでいたスレイプニルが鳴き声を上げて急停止した。

 

まったく…、嫌な気配が漂ってるね~。ほんと面倒くさい。

 

俺はそう思いながら馬車の屋根から降りて、光輝兄さんとレイジ兄さん、そしてバラキエルさんと共に馬車の前に出て戦闘態勢に入る。

 

宙を飛べるメンバーは全員、馬車を囲むように陣を描く。

 

――前方に若い男が浮遊している。

 

その男が黒マントをバッと広げると、口の端を吊り上げて高らかにしゃべりだした。

 

「はっじめまして、諸君!我こそは北欧の悪神、ロキだ!」

 

「悪神ロキか……まさかとは思っていたが、また面倒なのが出てきたな……」

 

光輝兄さんはボソリとつぶやく。

 

アザゼルが黒い翼を羽ばたかせて馬車から出てくる。

 

「これはロキ殿。こんなところで奇遇ですな。何か用ですかな?この馬車には北欧の主神オーディン殿が乗られている。それを周知の上での行動だろうか?」

 

アザゼルが冷静に問い掛ける。

 

すると、ロキは腕を組みながら口を開いた。

 

「いやなに、我らが主神殿が、我らが神話体系を抜け出て、我ら以外の神話体系に接触していくのが耐えがたい苦痛でね。我慢できずに邪魔をしに来たのだ」

 

ロキの悪意全開の宣言。

 

それを聞いたアザゼルは、口調を変えた。

 

「……堂々と言ってくれるじゃねぇか、ロキ」

 

声音にかなりの怒気が含まれている。

 

俺はいつでも行動できるように構えておく。

 

アザゼルの一言を聞いて、ロキは楽しそうに笑う。

 

「ふはははは、これは堕天使の総督殿。本来、貴殿や悪魔逹と会いたくはなかったのだが、致し方あるまい。オーディン共々我が粛正を受けるがいい」

 

「おまえが他の神話体系に接触するのはいいってのか?矛盾しているな」

 

「他の神話体系を滅ぼすのならば良いのだ。和平をするのが納得出来ないのだよ。我々の領域に土足で踏み込み、そこへ聖書を広げたのがそちらの神話なのだから」

 

「……それを俺に言われてもな。その辺はミカエルか、死んだ聖書の神に言ってくれ」

 

アザゼルは頭をボリボリ掻きながらそう返す。

 

一応、神龍マスタードラゴンの力を受け継ぐ俺は、血の半分は人間で残りの半分が神龍の血なんだよな~。

つまり、ドラゴンと神の血が両方あるんだよね。

何が言いたいのかというとね、少なからず俺も神の…それもドラゴンの神の血を持ってるわけだから、そこんとこは大丈夫なのかな?

 

「どちらにしても主神オーディン自らが極東の神々と和議をするのが問題だ。これでは我らが迎えるべき『神々の黄昏(ラグナロク)』が成就できないではないか。ユグドラシルの情報と交換条件で得たいものは何なのだ」

 

アザゼルは指を突きつけて訊いた。

 

「ひとつ訊く!おまえのこの行動は『禍の団(カオス・ブリゲード)』と繋がっているのか?って、それを律儀に答える悪神さまでもないか」

 

ロキはおもしろくなさそうに返す。

 

「愚者たるテロリストと我が想いを一緒にされるとは不快極まりないところだ。――己の意志でここに参上している。そこにオーフィスの意志は無い」

 

それを聞いて、アザゼルは体の力を抜いた。

 

「『禍の団(カオス・ブリゲード)』じゃねぇのか。だが、これはこれでまた厄介な問題だ。なるほど、爺さん。これが北が抱える問題点か」

 

アザゼルが馬車の方に顔を向けると、オー爺ちゃんがロスヴァイセさんを引き連れて馬車から出るところだった。足下に魔方陣を展開して魔方陣ごと空中を移動していく。

 

「どうにもの、頭の固い者がまだいるのが現状じゃ。こういう風に自ら出向く阿呆まで登場するのでな」

 

オー爺ちゃんは白い髭をさすりながら言った。

 

「ロキさま!これは越権行為です!!主神に牙を向くなどと!許される事ではありません!!しかるべき公正な場で異を唱えるべきです!!」

 

ロスヴァイセさんは瞬時にスーツ姿から鎧姿に変わり、ロキに物申した。

 

しかし、ロキは聞く耳を持たない。

 

「一介の戦乙女ごときが我が邪魔をしないでくれたまえ。オーディンに訊いているのだ。まだこのような北欧神話を超えたおこないを続けるおつもりなのか?」

 

返答を迫られたオー爺ちゃんが平然と答えた。

 

「そうじゃよ。少なくともお主よりもサーゼクスやアザゼル、光輝達と話していたほうが万倍も楽しいわい。それに日本の神道を知りたくての。あちらもこちらのユグドラシルに興味を持っていたようでな。和議を果たしたらお互い大使を招いて、異文化交流しようと思っただけじゃよ」

 

それを聞いたロキは、苦笑した。

 

「……認識した。なんと愚かなことか。――ここで黄昏(たそがれ)をおこなおうではないか」

 

すると、ロキから凄まじいまでの敵意が放たれてくる。

 

「それは、抗戦の宣言と受け取っていいんだな?」

 

アザゼルの最後の確認にもロキは不敵に笑んだ。

 

「いかようにも」

 

ドンッ!

 

その言葉と同時に一気にロキへと詰め寄った俺とレイジ兄さん。

 

レイジ兄さんは相棒の雪姫を、俺は妖刀・村雨をロキに降り下ろす。

 

ガキィィン

 

「……ふむ、流石は地球連邦軍の幹部クラス。だてに世界最強の軍隊の長をやってはいないか」

 

二人の刀はロキの両手の魔方陣で防がれていた。

 

「まぁ、端からこの攻撃が通るとなんて思ってはいないさ」

 

「レイジ兄さんの言う通りだよ。所詮は初撃。あなたクラスの実力者相手に食らうとは思ってもいませんよ。なんせ――まだ始まったばかりですから!!」

 

キィィン…ガガガガガガ!!!!!!!!!

 

俺とレイジ兄さんは一旦離れると、またロキに降り下ろし、そこから連撃を放っていく。

 

「ふははは!なかなかやるではないか人間!!」

 

ロキは笑いながら俺達の攻撃を器用に避けて防いでいく。

 

はぁ…、だてに悪神の名を語ってはいませんね~。攻撃が通らないよ。

 

「そりゃどー…もっと!」

 

ギィィィン!!

 

レイジ兄さんがロキから3mほど離れた。

 

「避けろよツバサ!『零式秘技・千の槍雨』」

 

レイジ兄さんは高速の突きを放つ。そこから雨の如く突撃が鎌鼬のように飛んでくる。

 

俺はそれを咄嗟に避けて器用にかわす。

 

「ぐ!これはキツいな…」

 

ロキは悪態をついた。でも、ダメージはまったく無いようだ。

 

「まったく…レイジ兄さん危ないよ~。もう少しで当たるところだったよ~。まぁ~いいや。なら、俺も行くよ~。『絶無・奈落ヘの誘い』」

 

村雨を横凪ぎにはらう。すると、真っ黒の斬撃がロキに向かって飛んだ。

 

「ふん、こんなもの…」

 

ロキは斬撃を避けた。…………だが

 

「ここからが、この技の発揮だよ?」

 

黒い斬撃がロキの後ろで消えたと思ったら、斬撃が消えた所から空間が割れて、そこから黒い手の様なものが無数に出てきてロキを襲う。

 

「なに!?なんだこれは!……まさか!?」

 

ロキは慌てながらも黒い手を避けていく。

 

「くふふ、やっぱりわかっちゃったかな?」

 

「貴様、この手は地獄から出してきたな!!」

 

「くふふ、大正解だよ。悪神ロキ。その手は、確かに地獄から来ているよ~。だけどね?正確には、過去にこの村雨によって屠られた死者の怨念の怨みだよ~。その手は文字通り地獄から来ていて、相手を自分達と同じ所へ誘おうとしているんですよ。だから『奈落ヘの誘い』まぁ、あまりにも強力な呪詛なので滅多に使いませんけどね~。」

 

そう、言わばこの技は村雨だからできる呪いの技だ。村雨はかなりの数の人を人外を屠ってきた。その殺された魂の強力な怨念が宿りこの技が完成したのだ。

故にその呪詛は強力で、力が無いものはすぐに呑み込まれ向こうの世界にへと連れていかれるのだ。

だからこそ、滅多に使わないんだよね。

 

本来、村雨と言うのは誰が作ったのかもわからない刀だ…。この妖刀・村雨にはこんな伝承が残っている。

 

村雨には触れてはいけない

なぜなら『生きて』いるから。

人を愛し憎み、その身を変えて現れる。

愛する者には『約束』を、憎まれし者には『厄災』を………

 

こんな伝承が残っている。家にもあって、よくお爺ちゃんが言ってたのをいまでも覚えている。

 

まぁ、実際の所は対生物戦なら負けない妖刀だって事だね~。“この子”自体はスゴくいい子だしね。

 

「この…糞がぁぁぁ!!」

 

パーーーン………

 

「ただの死者の怨念ごときが我がロキを飲み込もうなぞ永遠に無理だ」

 

どうやらロキはあの技から抜け出したようだ。

 

「……お前、俺にたいして危ないって言っときながら、お前のその技の方が遥かに危ないぞ…。なんだよ怨念って…。映姫さんに見つかれば怒られるぞ…」

 

「ふ…、大丈夫だよレイジお兄ちゃん。……もう、怒られたから…。説教を丸一日も…」

 

ふぅ~、ほんと…あの時ほど映姫さんが怖いなんて思った時はないよ…。だって、物凄い覇気を撒き散らしながら此方をニコニコ(目は笑っていない)としながら此方に近づきていて、そのあと丸一日もお得意のお説教を正座で聞かされたんだよ?……最後は必死に謝り滅多に使いませんって約束しましたし。まさか、俺も初めてこの技を使ったその日に地獄に呼び出されるなんて思ってもいなかったもん。

 

「あぁ…そっか。頑張れ」

 

「うん…グスン」

 

レイジ兄さんが俺の頭を優しく撫でてきた。うぅ~…レイジ兄さんのナデナデは気持ちいいです~

 

「お前ら…イチャイチャしてないで戦いに集中しろよな……」

 

「「イチャイチャしてない(なんてするか)!!!」」

 

アザゼルに変な事を言われ反応する俺とレイジ兄さん。気づけばイッセー達がいつの間にか戦っていた。

 

「……あれ?アザゼル~。光輝兄さんは?」

 

俺は光輝兄さんがいないことに気がついた。

 

「は?お前たちと一緒にいたんじゃなかったのか?」

 

「うんん、いなかったよ。ねぇ、レイジ兄さん」

 

「あぁ、光輝は俺達とはいなかったが…。てっきり後ろでアザゼルたちといたのかと思っていたんだが」

 

「そうか…。あいついったい何処にいきやがったんだ?」

 

ドッバァァァァッァァァッッ!!!!

 

その直後、突然何かが勢いよく弾け飛んだ。

 

それによる爆風が皆を襲うが、俺が風を起こしそれを飛ばした。

 

「いったいなんだいまの攻撃…」

 

「さぁ~?いまのクラスとなるとイッセーあたりじゃないかな?」

 

「ツバサの言う通りイッセーだ。ロキが放った波動をあいつが倍加して撃ったのが相殺してさっきの現象が起きた。」

 

ふーん。イッセーがねぇ~。

 

この様子を見ていたロキが、嬉しそうに口の端を釣り上げた。

 

「……特別手を抜いたわけではないのだがな。これはまたおもしろい限りだ。うれしくなるぞ。とりあえず、笑っておこう。ふははははっ!!」

 

リアスさんや朱乃さんたちも翼を広げて馬車から出てくる。

 

「紅い髪。グレモリー家……だったか?現魔王の血筋だったな。堕天使幹部が二人、天使が一匹、悪魔がたくさん、赤龍帝、世界最強の軍隊のトップ二人と娘が一人。……オーディン、ただの護衛にしては厳重だ」

 

地球連邦軍のトップ二人に娘が一人って………もしかして俺のこと!?

 

「お主のような大馬鹿者が来たんじゃ。結果的に正解だったわい」

 

オー爺ちゃんの一言にロキは不敵な笑みでうなずく。

 

「よろしい。ならば呼ぼう。出てこいッ!我が愛しき息子よッ!!」

 

ロキの叫びに対し、空間に歪みが生じる。

 

ヌゥゥゥゥ。

 

その空間の歪みから姿を現したのは、十メートルほどの体躯の灰色の狼。

 

「「神喰狼(フェンリル)」」

 

俺とレイジ兄さんの声が重なる。

 

すると、アザゼルがイッセーの方を見て叫ぶ。

 

「イッセー!そいつは最悪最大級の魔物の一匹だ!神喰狼(フェンリル)はその名の通り、神を確実に殺せる牙を持っている!そいつに噛まれたら、いくらその鎧でも容易に貫通できるぞ!」

 

「マジですかッ!!」

 

イッセーが警戒態勢を一層高めた。

 

「そうそう。気をつけたまえ。こいつは我が開発した魔物のなかでトップクラスに最悪の部類だ。何せ、こいつの牙はどの神でも殺せるって代物なのでね。試したことはないが、他の神話体系の神仏でも有効だろう。上級悪魔でも伝説のドラゴンでも余裕で致命傷を与えられる」

 

ロキの指先がリアスさんに向けられる。

 

「本来、北欧の者以外に我がフェンリルの牙を使いたくはないのだが……。まあ、この子に北欧の者以外の血を覚えさせるのも良い経験となるかもしれない」

 

その言葉でイッセーのオーラが極端に跳ね上がった!無意識なのだろうけども、物凄いオーラだ。

 

「――魔王の血筋。その血を舐めるのもフェンリルの糧となるだろう。――やれ」

 

オオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオンッッ!!

 

闇の広がる夜空で灰色のオオカミ――フェンリルが透き通るほど見事な遠吠えをしてみせた。

 

『JET(ジェット)!!』

 

一迅の風の瞬間、フェンリルとイッセーが視界から消え――。

 

「触るんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

ドゴンッ!!

 

イッセーが神速で襲いかかるフェンリルよりも疾くリアスの前に立ち、真正面からフェンリルの顔面を殴り飛ばしていた!!

 

「ぶ、部長!だいじょうぶですか!?ケガは?」

 

イッセーはリアスさんの怪我を心配しているが、鎧の腹部に――。

 

「ごふっ」

 

「イッセーッ!!」

 

――先ほどの一瞬で、フェンリルが左前脚の爪でイッセーの腹部を鎧ごと貫いた。

 

体勢が崩れるイッセーを木場が支える。

 

「イッセーくん。しっかり。すぐにアーシアさんの力で回復させよう!!」

 

「イッセーさん!早く!!」

 

馬車から回復役のアーシアが身を乗り出し、手元に回復のオーラを作って放とうとしていた。

 

「いや、そうはさせん。赤龍帝、フェンリルの動きに一瞬とはいえ追いついた。恐るべきことだ。今のうちに始末しておこう!!」

 

ロキが再びフェンリルに指示を送る。

 

ヤバイ!?

 

そう思い俺とレイジ兄さんは駆け寄ろうとしたその時――――

 

「メテオォォォストライィィィィィク!!!!!!!!!」

 

ゴオオオオオオオオオ……ズトォォン!!!

 

「ギャウン!?」

 

ドカァァァン!!!

 

物凄いスピードで赤く炎のように燃えた何かが空から降ってきてフェンリルを地面に落とした。

 

モクモクと地面から煙が上がっていて、その煙が突然晴れる。

 

そこにいたのは――――

 

「ふはははは!!結城光輝!ただいま参上!!」

 

シャキーンと効果音が出ている気がするくらい、戦隊もののポーズを決めている。――それもフェンリルの上で…。

 

『光輝(さん)!?』

 

どうやらさっきの出来事で混乱していたみんなが復活したようだ。

 

「はぁ…。何やってんだよあいつ。通りでいなかったわけだ…。」

 

「あははは…。流石はうちの長男だね~。」

 

ほんと…、まさか『メテオストライク』を使って来るなんてね~。

 

<説明しよう!『メテオストライク』とは、天高く空に飛び、そこから両足を突き出しながら、自身の体を炎でコーティングし、まるで隕石の如く破壊の蹴りを放つ、ありとあらゆるものを粉砕する強力な技だ!>

 

む?何か変な解説が聞こえた気が……気のせいかな?

 

「な…なんだあの人間は!そもそも人間なのか!?なぜフェンリルが下敷きになっている!あいつはいったいなんなんだ!」

 

そのなかでもロキが一番驚いていた。

 

そりゃそうだよね~。いきなり炎が落ちてきたと思えばフェンリルが叩き落とされて、さらに人間の下敷きにされているんだもんね~。

 

「光輝だからな」

 

「光輝兄さんだからだね」

 

「意味がわからんぞ!?」

 

ロキが叫んでいるが、俺達だって意味わかんないもん。そもそも、光輝兄さんは人間かどうかも怪しいし。……ん?なんでって?じゃ~、お前たちに聞くが銃弾や魔法弾ならまだしも、戦車や戦艦の砲弾や霧雨魔理沙の様な魔力砲、核兵器類や、挙げ句の果てには隕石など、様々な攻撃をくらっていながら、無傷なんですよ?さらに、そんな攻撃すらも破壊する能力を持っているのですよ?こんな馬鹿げた能力を持った人を100%人間と言えるのですか?言えませんよね。俺だって言えませんもの。ですので、わからないと言う答えになるのですよ。

 

「……くっ、まぁいい!フェンリル!起きろ!!起きてその人間を殺せ!!」

 

すると、むくりと突然フェンリルは起きた。光輝兄さんは咄嗟にフェンリルから飛び降りフェンリルから5m離れた場所に着地する。

 

「ガアアアァァ!!!!!」

 

フェンリルは着地した光輝兄さんを噛み砕かんと襲いかかった。

 

「おい!光輝避けろ!!ツバサもレイジも助けに行かないのか!?」

 

アザゼルが叫んでいるが気にしない。なぜなら――

 

ガキィィィィィン!

 

フェンリルの牙は光輝兄さんの身体には刺さらないから。

 

「なに!?」

 

ロキがかなり狼狽していた。なんせ、フェンリルの牙は何か固いものにでもあたったかのような音をたてて、光輝兄さんの身体で刺さらず止まっているのだから。

 

「……ふん、この程度の攻撃で俺の身体を貫通させようと―――片腹痛いわ!!!!!」

 

ゴウ!!

 

光輝兄さんが叫ぶと異様な突風が吹き上げた。

 

「―――攻撃ってのはなぁ…こうなんだよ!!」

 

ドゴン!

 

「ギャン!!?」

 

ズゴォォォン!

 

フェンリルは近くの岩山にぶっ飛び激突した。

 

「俺に怪我をさせようなんざ100万年早いんだよ。この駄犬が」

 

あはは~。あのフェンリルを駄犬呼ばわりですか~。相変わらずだね~。

 

「この……人間風情が!!!!!」

 

どうやらロキは物凄く怒り狂っているようだ。

 

激オコだね♪☆…………ごめんなさい。

 

「どうやら、私の出番はないみたいだね」

 

俺が心の中でふざけていると、突如として聞こえた声。その声の主である人物である白銀の鎧が俺の隣に降りてきた。

 

「久しぶりだね、結城 翼(つばさ)ちゃん♪」

 

「ヴァーリ…」

 

俺の目の前に現れたのは、白龍皇ヴァーリ。

 

「おいおい、おっぱいドラゴンは致命しょうかぃ?強いんだか、弱いんだか、わからねぇぜぃ」

 

横からは金色の雲に乗った美猴が出てきた。

 

「――ッ!おっとっと、白龍皇か!!」

 

さっきまで怒り狂っていたロキがヴァーリの登場に嬉々として笑んだ。

 

「初めまして、悪の神ロキ殿。私は白龍皇ヴァーリ。貴殿を屠りに来たよ」

 

「ふん…二天龍が見られて満足した。今日は一旦引き下がろう!」

 

ロキはフェンリルを自身のもとに引き上げさせる。

 

ロキがマントを翻すと、空間が大きく歪みだす。

 

「だが、この国の神々との会談の日!またお邪魔させてもらう!!オーディン!次こそ我と我が子フェリルが、主神の喉笛を噛み切ってみせよう!!それと、貴様ら人間共も一緒にな!」

 

そう叫んでロキは魔方陣で逃げようとした。

 

「追います?」

 

「いや、いいぞ、つばさ。」

 

「は~い」

 

俺は光輝兄さんに聞いたがどうやら追わなくてもいいようだ。

 

そして、ロキはそのまま消え去った。

 

「それにしても、随分ふざけているよね、つばさのお兄さんは…」

 

「あはは~。まぁ…光輝兄さんですからね~。」

 

呆れながらヴァーリに言われ、苦笑いで答えるしかなかった。

 

「とりあえず安全な場所まで移動するぞ。この近くにつばさの家がある。そこまで行くぞみんな」

 

『はい!(おう)』

 

「白龍皇お前らもこい」

 

「わかったよ~」

 

「わかったぜぃ」

 

光輝兄さんの指示でみんな俺がいま住んでる家に来るようだ。とりあえず、まずはイッセーの回復からだよね。家にいる人達にベットとかお風呂とかの準備をしてもらわないとね。

 

こうして俺達は一旦戻る事になったのだった。




どうでしたか?今回は全面的に主人公とその兄を活躍させてもらいました!

そして、つばさの持ってる妖刀・村雨。なかなか恐ろしい。
あ…、因みにこの村雨のモデルは『八犬伝~東方八犬異聞~』ってマンガです。もしも、気になる人がいれば読んで見てください!ちょっとBL要素が多いですが、結構戦いや謎があり面白い作品です。

そして、相変わらずの長男の光輝さん。チートっぷりが半端ないですね、はい。

さて、次回も頑張って書いていきますね~。それではまた次回でお会いしましょ~。バイバ~イ!


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6話 『終末の大龍』ミドガルズオルム

遅くなりました!気づけば沢山の人がお気に入りをしていただいてたので、とてもびっくりです。本当にありがとうございます!!これからも、よろしくお願いしますね♪

さて、それではどうぞ~


―光輝 side―

 

俺たちはロキの襲撃後、兵藤家の地下一階でこれからのことを話し合っていた。

 

今回の事件の話で、俺とレイジが参加している。

 

イッセーの回復も良好で、部屋で寝ていたが起きてきて参加している。

 

ただ、ヴァーリが提案した「赤龍帝と白龍皇が手を組んで共闘する」という事も、場のほとんどの者が驚いていたが、流れを組むと次第に納得していった。

 

あれは、正直びっくりですけどね…。

 

「――だいたい話も進んだし…、さて、ロキ対策についてだが、ロキとフェンリルの対策をとある者に訊く予定だ」

 

アザゼルが提案を出す。

 

「ロキとフェンリルの対策を訊く?」

 

アザゼルがリアスの言葉にうなずく。

 

「そう、あいつらに詳しいのがいてな。そいつにご教授してもらうのさ」

 

「誰ですか?」

 

イッセーが挙手して訊く。

 

「五大龍王の一匹、『終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)』のミドガルズオルムだ」

 

…………あぁ、あの寝坊透けか…。

 

「まぁ、順当だが、ミドガルズオルムは俺たちの声に応えるだろうか?」

 

ヴァーリの問いにアザゼルは答える。

 

「二天龍、龍王――ファーブニルの力、ヴリトラの力、タンニーンの力、黒刻龍の力、黒狐龍の力、風翔龍の力、無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)の龍美の力で龍門(ドラゴン・ゲート)を開く。そこからミドガルズオルムの意識だけを呼び寄せるんだよ。本来は北欧の深海で眠りについているからな」

 

「もしかして、お、俺もですか……?正直、怪物だらけで気が引けるんですけど……」

 

匙がおそるおそる意見を言う。

 

「仕方がないだろう?ヴリトラの神器(セイクリッド・ギア)を宿しているのだからな」

 

「まぁ、要素の一つとして来てもらうわけだ。大方のことは俺たちや二天龍に任せろ。とりあえず、タンニーンと連絡が付くまで待っていてくれ。俺はシェムハザと対策について、話してくる。おまえらはそれまで待機。バラキエル、付いてきてくれ」

 

「了解した」

 

アザゼルとバラキエルは大広間から出ていく。

 

残されたオカルト研究部と生徒会。遠山家とヴァーリたち面々。

 

「赤龍帝!」

 

美猴が挙手をしてイッセーを呼ぶ。

 

「な、なんだよ」

 

おそるおそるイッセーが訊くと、美猴は悪戯のような笑顔で言った。

 

「この下にある屋内プールに入っていいかい?」

 

完全に変化球な質問にイッセーは返す言葉もないようだ。

 

突然、リアスが美猴に指を突きつける。

 

「ちょっと。ここは私と赤龍帝であるイッセーの家よ。勝手な振る舞いは許さないわ」

 

「まーまー、いいじゃねぇか。スイッチ姫――」

 

ベチンッ!!

 

リアスは美猴の頭を激しく叩いた!……結構いい音がしたな。

 

美猴は頭を押さえながら涙目で訴える。

 

「いってぇぇぇぇぇっ!!何すんだぃ!スイッチ姫!!」

 

「あなたね!あなたのせいで私は……冥界で変な名称で呼ばれているのよ!!」

 

リアスも同じく涙目だった。

 

「いいじゃねぇか。おっぱいドラゴン、俺も見ているぜ。光栄だぜぃ、俺の名付けたのが使われているからさ」

 

美猴はカラカラと楽しそうに笑うだけ。

 

「うぬぬぬぬ!どうしてくれましょうか……ッ!!」

 

ふぅ…、あんまり暴れすぎないでくれると嬉しいな。

 

『くっくっくっ…。それはお前が言えたことじゃないだろう。』

 

すると、俺の中にいる相棒――【黒刻龍】UNKNOWN(アンノン)が喋りかけてきた。

 

「(なんだよ、アリサ。いきなり失礼じゃないか?)」

 

俺はUNKNOWNことアリサに文句を言う

 

『くくく、そうでもなかろう。お前はいつも暴れすぎて物を壊しては、ツバサに怒られておろう。私はなにも失礼な事を言ってはいないが?』ニヤリ

 

……な、なんか腹立つな…

 

『まぁ、でも。あやつはまだ寝ていたのか…。たまには起きて動かなければ退屈だと思うのだがな』

 

「(なんだ?知っているのか?)」

 

『もちろんだとも。それに、海において我らの同胞もいるしな、寧ろ、知らない方がおかしいのじゃ。』

 

……海、か。海に関係する古龍種は、アイツか…

 

『そうじゃ。……ところでツバサはアイツを探しに行ったきり連絡は来ていないのか?』

 

「(いや、まだだ。……おそらくだが、そのままミドガルズオルムの所にでも行っているんじゃないか?)」

 

あいつは、そう言うところは面倒ぐさがるし。

 

『……まぁ、あの寝坊すけを起こすのが目的だからな。それぐらいは、よしとするか。あやつ自身お主よりも確りしておるし、ましてや、奴には『祖龍』どのがいるんじゃ。心配することはないじゃろう。』

 

――まぁ、それもそうだな。……それに、確りしてなくて悪かったな、コンチクショウ…

 

『さぁ、一仕事しなくてはな。』

 

そして、俺たちは召喚場所に飛んだ。

 

アザゼル、イッセー、俺、匙、ヴァーリ、レイジ、更にクシャルと共に転移魔方陣で兵藤家から飛んできた俺たちはいま、『終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)』のミドガルズオルムを呼び寄せるための特殊な儀式場に来ている。

 

到着した場所は――白い空間だ。周囲を見回すと、巨躯のドラゴンを見つけた。

 

「先日以来だな、おまえたち」

 

「タンニーンのおっさん!!」

 

イッセーはテンションが上がって嬉しそうにしている。

 

「……そちらがヴリトラか」

 

匙を見るタンニーン。

 

「ド、ド、ドラゴン……龍王!最上級悪魔の……!!」

 

匙は緊張と尊敬が混じっている様子だ。ふむ、そんなことで緊張していたら、これから大変だぞ?匙くん。

 

「緊張すんなよ。おっさんは強面だけど、いいドラゴンなんだ」

 

「バ、バカ!最上級悪魔のタンニーンさまだぞ!お、お、おっさんだなんて!!」

 

俺はイッセーと匙の会話に笑いそうになっていた。

 

『くくく…タイニーンをおっさん呼ばわりか…。……くっくっく!今代の赤龍帝は実に面白いな』

 

アリサは普通に笑っていた。

 

「……白龍皇か。妙な真似をすればその時点で俺は躊躇いなく噛み砕くぞ

 

タンニーンがヴァーリを睨みつける。威嚇されたヴァーリは苦笑するだけ。

 

「さて、魔方陣も基礎はできた。あとは各員、指定された場所に立ってくれ」

 

俺たちは指示されたとおりに各指定ポイントの文様の上に立った。

 

カッ!

 

淡い光が下の魔方陣を走りだし、イッセーのところは赤く、ヴァーリのところは白く光る。アザゼルのところは黄金に、匙のところは黒く、タンニーンのとこは紫に、俺のところは匙のところより一層黒く……てか闇の様な色だ。そして、レイジのところは赤黒い色に、クシャルの所は銀色に光り輝いた。

 

『それぞれが各ドラゴンの特徴を反映した色だ』

 

イッセーの方からドライグの説明が聞こえてきた。

 

『ここにはいないが、ティアマットが青。玉龍(ウーロン)が緑を司っている』

 

ティアマットかぁ……。今頃、何をしているんだろうな?最近、俺たちも家を開けっ放しだから暇を持て余しているんだろうな。……まぁ、家には他の動物や精霊…更に、ツバサと誓約した魔物やドラゴン達もいるからそこまで、暇ではなさそうかもな。

 

そして数分後、魔法陣から何かが投影され始めた。

 

俺たちの前に投影されたのは、この空間を埋め尽くさんばかりの巨大な龍だ。

 

その龍の姿は、巨大な蛇のようで、長い体をとぐろを巻くようにして寝ている。

 

なるほど…日本の青龍と同じ東洋型のドラゴンか。

 

「ドラゴンの中で最大の大きさを誇るからな、こいつは。グレートレッドの五、六倍はあるだろう」

 

単純計算で五、六百メートルか…。

 

『………………ぐごごごごごごごぉぉぉぉおおおおおおん………』

 

「案の定、寝ているな。おい、起きろ、ミドガルズオルム」

 

タンニーンが話しかけると、ミドガルズオルムはゆっくりと目を開いていく。

 

『……懐かしい龍の波動だなぁ。ふあああああああああああっ……』

 

大きいあくびをするミドガルズオルム。その大きな口はタンニーンを一口で喰らえるほどの大きさだ。

 

『おぉ、タンニーンじゃないかぁ。久しぶりだねぇ』

 

かなりゆったりとした口調だな。

 

ミドガルズオルムは周囲を見渡す。

 

『……ドライグとアルビオンまでいる。……ファーブニルとヴリトラも…。オーフィスと……ミ・ル?それに、アンノンにクシャルダオラもいるぅ…。なんだろう、世界の終末なのかい?』

 

「いや、違う。今日はおまえに訊きたいことがあってこの場に意識のみを呼び寄せた」

 

タンニーンが説明するが……。

 

『…………ぐ、ぐごごごごごごん…………』

 

ミドガルズオルムはいびきをかきだす。

 

「寝るな!まったく、おまえと玉龍(ウーロン)だけは怠け癖がついていて敵わん!!」

 

怒るタンニーン。

 

『……タンニーンはいつも怒ってるなぁ………ぐごぉぉぉごぉ…』

 

「き、貴様ぁぁぁ!」

 

タイニーンは喋りながら寝るミドガルズオルムに切れそうになっていた。

 

アザゼルたちは慌てて止めようとしたとき…

 

『―――お前はいつまで寝ているんだ…ミドガルズオルム』

 

突然、魔方陣から別の声が聞こえてきた。

 

すると、その声を聞いたミドガルズオルムがパチッと目を覚ました。

 

『……あ、あ、あなたは…』

 

『久しいな、ミドガルズオルム。約220年ぶりか?』

 

そこには、ミドガルズオルム程ではないが、それでも大きな巨体を持ったドラゴンがいた。

 

『おや?やっと来たようじゃな』

 

――あぁ、そうだな。

 

『ナ、ナバルデウス……さん』

 

――そう、大海原の主…「大海龍・ナバルデウス」だ

 

そのナバルデウスの背中には人が乗っていた。

 

『やっほぉ~!聞こえてるー?やっと着きましたよ~お兄ちゃーん♪』

 

笑顔で手をふるのは、ツバサだった。

 

『おい、光輝!……何故ツバサはあの「大海龍」に乗っているんだ!?』

 

すると、ドライグから質問が出てきた。

 

「ん?……あぁ、それは簡単なことさ。大海龍・ナバルデウスはツバサの使い魔みたいなもんだ。だから、一緒にいても可笑しくはないさ」

 

俺の言葉に『なんだと!?』と驚くドライグ。龍美とクシャルを除いたメンバーも驚いていた。

 

『始めまして、ミドガルズオルム。俺はこの大海龍・ナバルデウスと誓約していて、『祖龍』ミラ・ルーツの主でもある、結城 翼って言います。よろしくね!

……あっ、そうだ。あと、オーフィスは龍美、クシャルダオラはクシャルって呼んで、名乗っているからそう言ってね♪』

 

ツバサは水中であるのにも関わらず、普通に喋っていた。……おそらく、アイツがこうして水中で喋れるのは、アイツの開発した“酸素玉”なるものを飲んでいるのだろう。

 

『ん~、わかった。それで、僕に訊きたいことってなんなのぉ?』

 

「おまえの兄弟と父について訊きたい」

 

ミドガルズオルムは普通にまた喋りだして、タンニーンが訊いた。

 

『ダディとワンワンのことかぁ。いいよぉ。どうせ、ダディもワンワンも僕にとってはどうでもいい存在だし……。あ、でも、タンニーン。 ひとつだけ聞かせてよぉ』

 

「なんだ?」

 

『ドライグとアルビオンの戦いはやらないのぉ?』

 

ミドガルズオルムはイッセーとヴァーリを交互に見る。

 

「あぁ、やらん。今回は共同戦線でロキとフェンリルを打倒する予定だ」

 

タンニーンの言葉にミドガルズオルムは笑うように答えた。

 

『へぇ、おもしろいねぇ……。二人が戦もせずに並んでいるから不思議だったよぉ』

 

『ふむ、まぁ確かにな…。そこにいるバカ二人は俺の所にも来て喧嘩したぐらい仲が悪かったからな。……まぁ、そのあとは二人して吹っ飛ばしたがな』

 

『『うっ!?』』

 

どうやら、さっきの言葉に見に覚えがあるのか、ドライグとアルビオンは二人してダメージを受けていた。

 

「そんなところだ。ところで、質問の答えを聞きたい」

 

俺はミドガルズオルムに言う。

 

『ワンワンはダディよりも厄介だよぉ。牙で噛まれたら死んじゃうことが多いからねぇ。でも、弱点もあるんだぁ。ドワーフが作った魔法の鎖、グレイプニルで捕らえることができるよぉそれで足は止められるねぇ』

 

「それはすでに確認済みだ。だが、北からの報告ではグレイプニルが効かなかったようでな。それでおまえからさらなる秘策を得ようと思っていたのだ」

 

『……うーん、ダディったら、ワンワンを強化したのかなぁ。それなら、北欧のとある地方に住むダークエルフに相談してみなよぉ。確かあそこの長老がドワーフの加工品に宿った魔法を強化する術を知っているはずぅ。長老が住む場所はドライグかアルビオンの神器に転送するからねぇ』

 

すると、アザゼルはヴァーリを指さす。

 

「情報は白龍皇に送ってくれ。こちらは頭が残念なんだ」

 

「酷いっ!?」

 

アザゼルの一言に俺は吹いた。

 

「――把握したよ。アザゼル、立体映像で世界地図を出してくれないかな」

 

しばらくして、ヴァーリはアザゼルと話し出す。

 

「――ミドガルズオルム、ロキ対策の方はどうだ?」

 

話し合っている二人をよそに、俺は話を進める。

 

『そうだねぇ。ダディにはミョルニルでも撃ち込めばどうにかなるんじゃないかなぁ』

 

「ミョルニルか……。雷神トールの武器だったっけ?」

 

『そうだよぉ。あのビカビカのビリビリならダディも倒れるはずぅ』

 

「さすがにトールが貸してくれるのは無いに等しいだろう?」

 

『それなら、さっき言ったドワーフのとダークエルフに頼んでごらんよぉ。ミョルニルのレプリカをオーディンから預かってたはずぅ』

 

「物知りで助かるよ、ミドガルズオルム」

 

話が終わったアザゼルが、苦笑しながら礼を口にする。

 

「でも、もしもそれすらも借りれなかったらどうするんですか?」

 

イッセーの言葉に俺は答えた。

 

「その時はツバサの力を借りるさ。あいつの持っている能力で、1度でも触ったことのある武具ならたとえそれが神の使う神具だろうとも、全く同じ物を作ることができる。だから、たとえ借りれなくてもアイツの能力でなんとかできるさ」

 

「ツバサちゃんスゲェー!?」

 

そんなイッセーに俺は苦笑した。……お前は何度も見たことがあるだろうに。

 

『ふふ、たまにはこういうおしゃべりも楽しいよ。さーて、そろそろいいかな。僕はまた寝るよ。ふああああああっ』

 

「あぁ、すまんな」

 

『いいさ、また何かあったら起こして』

 

ミドガルズオルムの映像がブレて消えてしまった。

 

「ちょっといいかな?結城光輝さん。二人で話がしたいの」

 

ヴァーリが呼んだので、俺は皆から少し離れた場所に移動した。

 

「何だ?話とは」

 

「お願い!ツバサちゃんと光輝さん達に、協力してほしいことがあるの」

 

珍しくヴァーリが頼みごとをしてきた

 

「なるほどな…内容は?」

 

「えっとね、私はロキの傍にいるフェンリルを引き入れたいの。そのためにある程度弱らせてほしいのと、いろんな魔獣や魔物、それに神獣といった獣達を沢山ハントして仲間にしてきたツバサちゃんの力を借りたいの!……ダメかな?」

 

仲間に引き入れる…か。……まぁ、そのくらいなら大丈夫かな?ツバサもいるし。

 

それに、こんなかわいい子にお願いされたら断れないさ!

 

……とその前に

 

「……何が目的なんだ?」

 

「あの牙が欲しくてね。もちろん、そちらには向けないよ?」

 

なるほどなぁ…

 

「……ふぅ、わかったよ。ある程度は協力しよう」

 

「うふふ、ありがとう!感謝するね」

 

こうして、俺はヴァーリの頼みごとを引き受けることとなった。

 

すまんな、ツバサ。勝手にきめて…

 

『……お主、どうなっても知らぬぞ?』

 

……ははは、どうにかなるさ…多分な。

 

そんな不安を抱えながら、この日の集まりは幕をおろした。



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7話 乳龍帝と変態の神様?

大変長らくお待たせしました。……本当に、長いこと開けてしまい申し訳ありません。

言い訳をさせてもらうと、今月は予想以上に忙しく、更にこの頃暑すぎるせいで夏バテをしていて、全くやる気が起きなかったからなのです。

でも、気づけばお気に入り件数が555件もあり、作者の三元新はとても感謝感激でございます!

さてと、そろそろ早くしろと思うでしょう。ですので今から物語を始めます。何時も様にごゆっくりしてくださいね。

と……いうわけで、ゆっくりしていってね♪


―ツバサside―

 

あれから、翌日。俺たちはイッセーの家に集合していた。

 

「オーディンの爺さんからのプレゼントだとよ。――ミョルニルのレプリカだ。ったく、クソジジイ、マジでこれを隠してやがった。ミドガルズオルムの野郎、よくこんな細かいことまで知ってたな」

 

「そんなに凄いものなんですか?」

 

イッセーが訝しげに訊くと、アザゼルが再度言い直してくる。

 

「北欧の雷神トールが持つ武器のレプリカだ。それには神の雷が宿っているのさ」

 

「はい、オーディンさまはこのミョルニルのレプリカを赤龍帝さんにお貸しするそうです。どうぞ」

 

ロスヴァイセさんがイッセーに形が日曜大工の金槌を渡す。

 

「オーラを流してみてください」

 

ロスヴァイセさんに言われるまま、イッセーはミョルニルにオーラを流す。

 

カッ!っと一瞬の閃光のあと、ミョルニルはどんどん大きくなっていき――。

 

ゴスッ!

 

床に落とした。

 

「おいおいおい。オーラを纏わせすぎだ。抑えろ抑えろ」

 

アザゼルが嘆息しながら言う。

 

イッセーはオーラの量を減らす。すると、ミョルニルは徐々に小さくなっていき、両手で触れるサイズまで縮小された。―――が。

 

「オモイィィィィ!!」

 

イッセーは持ち上げようと躍起になるが、一ミリたりとも持ち上がらないミョルニル。

 

……そして、そんなイッセーを見て俺の後ろで必死に笑いを堪えている光輝兄さんと、そんな兄さんをジト目で見ているレイジ兄さん。

 

…………はぁ、光輝兄さんのバカ。

 

「……ねぇ、イッセー。それさ、またあとで練習したら?先に作戦を立てた方がいいと俺は思うのだけど…」

 

俺はイッセーに聞いた。

 

イッセーは俺を見ると、頷いてミョルニルを元の大きさに戻した。

 

アザゼルが咳払いをして全員に言う。

 

「あー、作戦の確認だ。まず、会談の会場で奴が来るのを待ち、そこからシトリー眷属がロキとフェンリルごと違う場所に転移させる。転移先はとある採石場跡地だ。広く頑丈なので存分に暴れろ。ロキ対策の主軸はイッセーとヴァーリとツバサ。二天龍で相対し、ツバサが隙をついて大技で攻撃をしつつ二天龍の二人のサポートをして、三人で仕留める。フェンリル相手は他のメンバー――グレモリー眷属とヴァーリチームと光輝とレイジのチームで鎖を使い、捕縛。そのあと撃破してもらう絶対にフィンリルをオーディンのもとに行かせるわけにはいかない。あのオオカミの牙は神をも砕く。主神オーディンといえど、あの牙に噛まれれば死ぬ。何としても未然に防ぐんだ。だからといって、他のメンバーも気を付けろよ!特にイッセーとヴァーリはな!流石に、フェンリルの牙や爪をくらえば大ダメージは必須だからな。…………約1名を除いてな。」

 

そう言いながら、ジト目で光輝兄さんを見るアザゼル。

 

……うんうん。その気持ち凄くわかるよ。アザゼル総督!

 

「……まぁ、もしもの時は俺が盾になるさ。あんな犬っころの攻撃程度で殺られるほど弱くはないからな。はははははは!」

 

もう、いいや、どうせ光輝兄さんだし。

 

……まぁ、俺はイッセーとヴァーリのサポートをしつつ、ヴァーリの“お願い”とやらを手伝うとしますかねぇ~。

 

「ひとまず解散だ。あとは各自、作戦開始時間までゆっくりしていろ」

 

こうして一度解散するのだった。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

さて、此処は現在自分の実家だ。ここでは光輝兄さんや俺を含めた結城家の兄弟姉妹のメンバーとアリアさんやアイラさん、黒歌やレイナーレ達もリビングに集まっていた。

 

「みんなすまんな、急に集まってもらってよ」

 

光輝兄さんが喋りだす。

 

「別にいいわよ。どうせ、私たちに手伝って貰いたいのでしょ?今回の戦いで」

 

光輝兄さんの言葉に皐月姉さんが言った。

 

「……あぁ、そうだ。お前たちには俺たちが戦うための強力な結界を張ってもらいたい。何故ならどんなに無人の場所で戦うとはいえ、俺達三人が戦うと、何が起きるかわからないからだ!」

 

……確かにそうだけどさ…、それ、殆ど光輝兄さんのせいだよね? あっ!ほらぁ~、レイジ兄さんだって頭を抱えてるじゃんかぁ~!

 

「……なにかバカにされた気がするが……まぁ、いい。いまはそんな暇はないからな。」

 

あぶねぇー!?光輝兄さんなんでそんな事だけ鋭いのさ!?

 

「そう、わかたっわ。どうせ最初から付いて行こうと思っていたしね。光輝やレイジ…それにツバサちゃんが戦うもの。絶対に無事じゃないでしょうからね。……………その場所が(ボソ」

 

「おぉ!本当か?それはいい!ありがとうな」

 

「別にいいわよ。ねぇ、みんな?」

 

『えぇ』

 

うんうん、家族っていいよね。本当に心の底からそう思うよ。でも、皐月姉さんの最後の言葉は光輝兄さんには聞こえてないようだね。はぁ、本当に光輝兄さんが暴れすぎないようにレイジ兄さんと二人で頑張って見張っとかないとね~……はぁ~。

 

「……頑張って、ツバサ」

 

「そうよ、頑張りなさい、ツバサ」

 

「……うん、ありがとう。優子姉さん、ナツル姉さん」

 

優子姉さんとナツル姉さんに励まされる俺だった…。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

さて、とうとう時間がやって来ましたね。俺たちはさっきリビングにいたメンバー全員を引き連れてイッセーたちと合流し、オー爺ちゃんと日本の神々が会談をする都内のとある高層高級ホテルの屋上にいる。

 

周囲のビルの屋上にシトリー眷属が各々配置され、待機している。ただ、匙はグリゴリで特訓中とアザゼルから聞いていた。

 

アザゼルは会談での仲介役を担うためにオー爺ちゃんの傍にいる。

 

遥か上空にはタンニーンが飛んでいるが、人間に視認されないよう、術をかけているようだ。

 

ヴァーリたちは少し離れたところで待機している。

 

因みに、俺と光輝兄さんとレイジ兄さん以外の結城家メンバーはソーナさんシトリー眷属の護衛兼結界強化の為に残る事になっている。……流石に、姉さん達を巻き込むわけにはいかないからね。……おもに光輝兄さんの攻撃とイッセーの変態の余波にねぇ~。

 

「――時間ね」

 

リアスさんが腕時計を見ながら呟く。

 

会談が始まった時刻だ。

 

さてと、残すはあのロキが来るのを待つだけだね。

 

「小細工なしか。恐れ入るね」

 

ヴァーリが苦笑した。その瞬間、ホテル上空の空間が歪み始め、大きな穴が開いていく。

 

そこから姿を現したのは――悪神ロキとフェンリルだ。

 

「目標確認。作戦開始」

 

バラキエルさんが小型通信機でそう言うと、ホテル一帯を包むように巨大な結界魔方陣が展開され始める。

 

ソーナさんを中心とし、シトリー眷属がこの屋上にいる者全員を戦場に転移させる。

 

ロキは結界を感知しているが、不敵に笑むだけで抵抗を見せない。

 

周囲が光に包まれる。少しして目を開けると、そこは大きく開けた土地だった。

 

ここは古い採石場跡地。今現在は使われていない場所だ。

 

近くには大きな湖のようなものもある。

 

周囲を確認すると、先ほど板屋上での全員の立ち位置が変わっていない。

 

前方にロキとフェンリル。確認したところでイッセーは禁手(バランス・ブレイカー)のカウントを開始した。

 

「逃げないのね」

 

リアスさんが皮肉げに言うと、ロキは笑う。

 

「逃げる必要はない。どうせ抵抗してくるのだろうから、ここで始末した上であのホテルに戻ればいいだけだ。遅いか早いかの違いでしかない。会談をしてもしなくてもオーディンには退場していただく」

 

「貴殿は危険な考えにとらわれているな」

 

バラキエルさんが言う。

 

「危険な考え方を持ったのはそちらが先だ。各神話の協力などと……。元はと言えば、聖書に記されている三大勢力が手を取り合ったことから、すべてが歪み出したのだ」

 

「……むぅ、平和はとてもいいことなんだ。お話が通じない奴なんて―――」

 

俺はスキマから一本の槍を取り出した。……それは、“必中と勝利の神槍『ガングニール』”だ。

 

そしてそれを俺は………

 

「――こうだ!」

 

ブゥゥン!!

 

  投げた。

 

『Welsh Dragon Balance Breaker(ウェルシュ ドラゴン バランス ブレイカー)!!!!!!!!』

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker(バニシング ドラゴン バランス ブレイカー)!!!!!!!!』

 

俺が投げると同時に、赤と白の光が二人を包み込み、鎧を身にまとうイッセーとヴァーリ。

 

「これは素晴らしい!二天龍がこのロキを倒すべく共同するというのか!こんなに胸が高鳴る事はないぞッ!」

 

そう叫びながらガングニールを難なく避けるロキ。

 

まぁ、そもそも当たるなんて微塵も思っていなかったけどね。…………ただ、ちょっとくらいカスって欲しかったけども。

 

「さ~てとぉ~。俺も戦うとしますかね~。」

 

パチンッ

 

俺が指を鳴らすと手元にはガングニールが戻ってきていた。

 

「地球連邦軍 特殊部隊特別調査班 総隊長 結城 翼 いざ参ります!!」

 

ダンッ!

 

俺は一気にロキの懐まで駆け寄り、ガングニールを突きだす。

 

ヒュン!

 

「おっと…。早いな、結城翼。流石はあの地球連邦軍の総隊長クラスだ。いまのは危なかったぞ」

 

そう言いながらも俺のガングニールの攻撃を軽々と避けているロキ。…………内心、少し余裕そうなドヤ顔にムカついている自分がいるのは内緒だ。

 

「……流石はトリックスターとも呼ばれているロキ。神様なだけあってこの程度の攻撃では当たりませんかぁ~…」

 

「ふん、身の程をしれ人間。いくら地球連邦軍の物とはいえ、所詮は人の子よ。神であるこのロキに傷を付けるなど永遠に無理な事だ」

 

……ふぅ~ん。無理…ねぇ~。

 

「じゃ~これはどうかな?」

 

俺は一枚の紙を取り出した。

 

「スペルカード発動『絶対必中の槍 ガングニール』!!」

 

ドンッ!!

 

ガングニールは赤く光輝き、先程のスピードとは比べ物にならないくらいの速さで飛んでいった。

 

「むぅん!」

 

流石に驚いたのか、大きく避けぞるロキ。……でもね?

 

ブゥゥゥン!

 

ズバンッ

 

「ぐ、ぐぁぁぁ!?」

 

ロキが避けたガングニールはすぐに反転してロキの方へと飛んできて、ロキの肩を貫いた。

 

ロキは突然の事と大きく避けていた事によってバランスを崩していたため、避けきれず肩を負傷した。

 

それでも肩を負傷した程度で済んだロキは、さすが神様なんだなと実感した。

 

「き、貴様ぁぁ!ただの人間風情が!!」

 

激昂したロキが俺に向かって怪我をしていない片手を向けてくるが………

 

「オオオオオオオオオンッ……。」

 

「――フェンリル、捕縛完了だ」

 

俺達が戦っている別の場所で、バラキエルさんが身動きのできなくなったフェンリルを見て、そう口にしていた。

 

「我が息子が!……くっ、スペックは少々落ちるが――」

 

ロキがなにかを言うと、ロキの両サイドの空間が激しく歪みだし、灰色の巨体の狼が現れる――。

 

「スコルッ!ハティッ!」

 

ロキの声に呼応するように、天に向かって吠える二匹の狼。

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!」

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!」

 

二匹の狼は感情の籠もっていない瞳で、俺たちを見据える。

 

「みんな!あれはスコルとハティ!そこにいるフェンリルの子供だよ! フェンリルよりかは神殺しの牙が弱くなるとはいえ、フェンリルの名は伊達じゃないから気を付けてね!!」

 

そう、あれはスコルとハティ。ロキが作り出したもう一匹の神殺しの獣だ。

 

「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて、フェンリルと交わらせた。その結果生まれたのがこの二匹だ。親よりも多少スペックは劣るが、牙は健在だ。十分に神、貴様らを葬れるだろう」

 

ロキが二匹の狼に指示を出す。

 

「さぁ、スコルとハティよ!父を捕らえたのはあの者たちだ!その牙と爪で喰らいちぎるがいいっ!!」

 

ヒュッ!

 

風を切る音と共に一匹がリアスさん達へ、もう一匹が鎖を出したであろうヴァーリチームの方へ駆け出した。

 

「「殺らせると思うなよ?駄犬がぁ!」」

 

スコルとハティの前に光輝兄さんとレイジ兄さんが立ちふさがった。

 

ドゴン!ガキィン!

 

光輝兄さんがスコルを殴り飛ばし、レイジ兄さんがハティの爪を相棒で愛刀の雪姫で防ぐ。

 

「なんだと!?」

 

その様子にロキが困惑していた。

 

そんな隙だらけなロキをイッセーとヴァーリが攻撃しようとして、先にヴァーリがロキの背後に回り込み、手に大きな魔力を込めていた。

 

だが、ロキへ一撃を当てる寸前――。

 

「ぐはっ!!」

 

神速でヴァーリに喰らいつく何か。それは、神を殺せる牙がヴァーリの白銀の鎧を貫通していた。

 

「ふははははっ!まずは白龍皇を噛み砕いたぞ!!」

 

嘲笑するロキ。

 

ヴァーリを咥えているのは、子のフェンリルではなく……親のほうだ!

 

俺は先ほどまで親フェンリルがいたであろう場所を見ると、鎖が砕けていた。いつの間にか、戦闘をしている最中で壊されていたようだ…。ロキの方を見るとロキは薄く笑みを浮かべていた。……どうやらロキにしてやられたみたいだね。

 

「ついでだ。こいつらの相手もしてもらおうか」

 

ロキの足下の影が広がり、そこから体が細長いドラゴンが複数現れる。

 

「ミドガルズオルムも量産していたかッ!」

 

タンニーンが憎々しげに吐いた。

 

量産型のミドガルズオルムが沢山出てきた。

 

「何体いるんだよ!!」

 

イッセーが声を上げた。

 

むぅ~、だいたいざっと見て五、六十匹ってところかな? まぁ、何体来ようが関係ないけどね!!

 

かなりの量のミドガルズオルムが上空へ上がり、一面をミドガルズオルムが覆う。

 

ゴバァァァァンッ!!

 

タンニーンが容赦なく、ミドガルズオルムの群れへ炎を吐く。

 

「おりゃぁぁぁ『絶対貫通 ガングニール』!!」

 

俺はスペルカードを発動し、ガングニールを思いっきり投げる。

 

すると、ガングニールはまるで生きているかのように次々と量産ミドガルズオルムを貫いていく。

 

「はぁぁ!“零式秘技 清”!」

 

「覇道破壊拳!」

 

レイジ兄さんは三日月の様な形の斬撃をいくつも飛ばし、光輝兄さんは10mを超えるであろう巨大な拳型の気弾を飛ばしてミドガルズオルムを殲滅していった。

 

「オオオオオオオオオンッッ!!」

 

「オオオオオオオオオオンッッ!!」

 

二匹の子フェンリル咆哮が響き渡る。

 

ヴァーリチームとリアスさんの眷属の全員が子フェンリルと死闘を繰り広げていた。

 

一方で分担して子フェンリルと量産型ミドガルズオルムの撃破に当たっている光輝兄さんとレイジ兄さん。

 

……それにしても、あの空にある魔方陣のせいで中々減る気配のない量産型のミドガルズオルム。ムカつきますね…あれ。

 

そんなことを思っていたら、光輝兄さんから通信が入ってきた。

 

『つばさ、ヴァーリに作戦変更だと伝えてくれ。ここにいるミドガルズオルムとそこにいるフェンリルの子供は俺達に任せて、その親フェンリルをどうにかしろと伝えてくれ!いいな!』

 

「わかったよ。ヴァーリ!!」

 

俺は親フェンリルに噛まれているヴァーリに声をかける。

 

「光輝兄さんから作戦変更だって。いますぐ、あそこで戦っている金華たちを連れて行って、その親フェンリルをどうにかしろだって!それと、量産型のミドガルズオルムと二匹の子フェンリルは俺達が引き受けるから、存分にやれってさ!」

 

「……っ」

 

一瞬、ヴァーリの表情が驚いていたが、すぐに笑みを浮かべた。

 

「……計り知れないね。わかったよ、ありがとうつばさちゃん……兵藤一誠」

 

ヴァーリがイッセーに言う。

 

「……ロキは、キミに任せるよ?」

 

イッセーの頭に?が浮かんでいるように見えるが、頭の中では浮かんでいるのだろう。

 

「この親フェンリルは――私が確実に殺そう」

 

そう言うヴァーリ。それを耳にしたロキが笑う。

 

「ふははははははっ!どうやってだ!すでに瀕死ではないか!強がりは白龍皇の名を貶めてしまうのではないか?」

 

「――天龍を、このヴァーリ・ルシファーを舐めるな」

 

ヴァーリは静かに口ずさみだす。それと同時に鎧の各宝玉が七色に輝きだした。

 

「我、目覚めるは――」

 

〈消し飛ぶよっ!〉〈消し飛ぶねっ!〉

 

「覇の理に全てを奪われし、二天龍なり――」

 

〈夢が終わるっ!〉〈幻が始まるっ!〉

 

「無限を妬み、夢幻を想う――」

 

〈全部だっ!〉〈そう、すべてを捧げろっ!〉

 

「我、白き龍の覇道を極め――」

 

「「「「「「「「「「汝を無垢の極限へと誘おう――ッ!!」」」」」」」」」」

 

『Juggernaut Drive(ジャガーノート・ドライブ)!!!!!!!!!!!!』

 

フィールド全域を照らし出す、大出力の光がフェンリルの口から溢れ、フェンリル自身をも呑みこんでいく。

 

「金華!作戦変更だよ!!私とフェンリルを予定のポイントに転送してッ!そして、すぐにみんなも来てっ!!」

 

光り輝くヴァーリが叫ぶ。金華がそれを聞いてにんまり笑い頷くと、ヴァーリに向けて宙で指を動かした。

 

すると、巨大な光と化したヴァーリとフェンリルを魔力の帯が包み込み、しだいに両者は夜の風景に溶け込み、この場から消えていく。

 

消える前に親フェンリルにガングニールを突き刺し、一気に体力を奪った。

 

実は俺の造ったガングニールには特殊機能が付いていて、そのひとつが吸収だ。俺はガングニールをフェンリルに突き刺し、そのまま体力だけを吸収して弱くしたのだ。……少しでもヴァーリの力になれたらいいなぁ~っと思ってね

 

ヴァーリに続いて転移する金華と美猴とアーサー達。追撃しようとした子フェンリルの間に入り込んで妨害する。

 

「お前たちの相手は俺だよ!イッセー!ロキはよろしくね♪」

 

俺は、スキマからピンクに近い色で赤く光り輝く鎖を何本も出した。

 

「スペルカード『次元の鎖』!」

 

次元の鎖は俺が造ったオリジナルの神具だ。次元の力を借りて、その力だけで出来た鎖だ。神や神竜すらも縛る鎖で、ギルメガッシュが使う『天の鎖』や『グレイプニル』よりも強力で頑丈だ。……おそらく鎖系の武具で一番強力な物に仕上がっているだろう。

 

「さぁ、此方に来なよ!」

 

俺は鎖を子フェンリルの片割れスコルに巻いてそのまま引っ張り天高く上げて一気に降り下ろし、地面に叩きつけた。

 

ズドォォォン………

 

かなりの音だが、たいしたダメージをおっていないだろうな。なんせいまでもすぐに立ち上がろうとしているし。でも、ヴァーリ達の転移の時間稼ぎにはなったかな?……それに――

 

『妹を頼むにゃ――』

 

あの、金華さんに頼まれたんだから確り守らなくちゃね。なんせここには金華さんと黒歌の妹 白音ちゃんがこと小猫ちゃんがいるからね。頑張らないと!

 

「グルルルルルッ!」

 

どうやら、いまの一撃で俺を危険人物と認識したみたいだね。でも――

 

「まぁ、今更警戒したところで遅いんだけどね!」

 

俺がスコルに突撃しようとした………が。

 

―――俺たちのもとに叫び声が聞こえた。

 

「朱乃!」

 

リアスさんの悲鳴だ!そこにはもう一匹の子フェンリル…ハティに噛まれようとしている朱乃さんの姿があった。

 

――まずい!?

 

『JET(ジェット)!!』

 

イッセーの鎧から音声が発されると同時に、イッセーが間合いを詰めだす。

 

「隙ありだな!!」

 

ロキが魔術を撃ち出そうとしていた。

 

「そうはさせん!」

 

「その通りです!」

 

タンニーンとロスヴァイセが援護弾をロキに向けて撃ち出していた。

 

見れば、量産型ミドガルズオルムも残り一体となっていて、その最後の一匹は光輝兄さんとレイジ兄さんに追いかけられ物凄く逃げ回っていた。

 

………なんか、あの量産型ミドガルズオルムが可愛そうに見えてきた…。

 

―――って、こんなことをしている暇じゃない!?

 

「獣変幻!『モード“金塵龍 ガルバダオラ”』!!」

 

俺の足元に魔方陣が出てきて輝き、背中から金色の翼に翼の間接部分の各箇所に青い水晶の様なクリスタルが生えて?いた。尻尾も同じく金色だった。頭からはガルバダオラ独特の形をした角が生えていて、全身からは風を纏っている。

 

「…………」

 

ガシッ

 

俺は無言でスコルの尻尾を持ち――

 

「てい!」

 

ブゥン!!

 

そのままスコルをハティに向けて投げた。

 

イッセーに殴られたハティは怯んでいたところで、俺が投げたスコルが飛んできてそのままぶつかり、二匹は吹っ飛んだ。

 

「はぁぁ!!……“旋風・風神脚”!!!」

 

俺は両足を合わして真っ直ぐにし、回転しながらコークスクリューの様に蹴りを放つ。

 

その時に纏っていた風のせいか横に伸びるドリルの様な竜巻ができていた

 

「「ギャウンッ!?」」

 

ズドゴォン!!!

 

かなり鈍い音をたてながらスコルとハティが回転しながら吹っ飛んだ。

 

煙が止んだあと、二匹は地面でのたれていた。

 

息を確認したが、息はしていたので、どうやらただ気絶しているだけのようだ。

 

俺は一息して休もうとすると……

 

『私は姫島朱乃のおっぱいではありません。――私はおっぱいの妖精です』

 

――いきなり頭に響く謎の女性の声。あまりの突然な出来事に頭を振って正気を戻そうとしたけど……。

 

『――つばさ……私にも聞こえているわ。どうやら、あの赤龍帝の所持者、兵藤一誠がまた変態としての力を発揮したみたいよ』

 

ルーツがそう言ってきた。……はぁ~、またイッセーなの?

 

『えぇ、赤龍帝を通して受信しているみたいね。別にあなたがおかしくなったわけではないわ。

(……あとでドライグと兵藤一誠にはお仕置きしないとね。あんな変な異世界の神?と妖精?を呼ぶなんて…なんていったらいいのかしら?)』

 

俺はため息をつきながら、イッセーの近くまで神速で移動した。

 

『落ち着いてください。私はこの娘のおっぱいを介してあなたに話しかけているのです』

 

頭の中で響く声、ミドガルズオルムをいじめていた兄さん達が近づいてきた。……ボコボコにされたミドガルズオルムと一緒に…。

 

『私は全てのおっぱいを司りし神――乳神さまに仕える精霊です。あなたの頑なまでのおっぱいへの渇望が私を呼び出したのです』

 

…………えぇ~。

 

『(…………なに?異世界の神や妖精ってこんなんがいるの? それよりも、胸を司る神ってなによ!?どんだけ変態な神なのよ!!)』

 

なんだかルーツが悶えている気がする。

 

「お、おっさん!!」

 

「なんだ!また何か起きたのか!?また乳なのか!?」

 

以外にも鋭いタンニーン。あ、流れ的にはそうなるのか…な?

 

「乳神さまって、どこの神話体系の神さまだ!?」

 

イッセーの問いかけに別の場所で戦っていたタンニーンは、開いた口がふさがらない様子だった。

……いや、この場にいる全員が間の抜けた表情で戦闘を中断させ、イッセーに視線を集中させた。

 

うん。すごくみんなの考えてる事が心を見なくてもわかるよ。ナンデダロウネ~

 

一泊開けて、タンニーンが叫んだ。

 

「―――ッ!!リアス嬢ぉぉぉぉッ!あいつの頭に回復をかけてやってくれぇぇっ!!致命傷だぁぁぁっ!!!」

 

「イッセー、しっかりして!幻聴よ!あぁ、なんてこと!フェンリルの毒牙が赤龍帝の精神にまで!!」

 

完全に勘違いをしているリアスさんとタイニーン。

 

イッセーが弁解を図ろうとして、逆にバラキエルさんを怒らせてしまう。

 

『い、いや、皆聞いてくれ。確かに俺にも乳の精霊とやらの声が聞こえる……。俺の知らない世界の力を感じる。残念な結果だが、こいつは異世界の神を呼び寄せてしまったらしい』

 

ドライグがイッセーの弁明をする。

 

「バカな!」

 

「そんな!」

 

「ドライグまでダメージを!!」

 

……現実は残酷だね~。皆、イッセーはわかるけども……まさか、あのドライグの言葉も信じていないなんてね~。可愛そうにドライグ。

 

『うおおおおおおんっ!!どうせおっぱいドラゴンの声なんて誰も信じちゃくれないんだ!俺は悪くないぞ!相棒が、相棒がぁぁぁぁぁぁ!!』

 

泣き叫ぶドライグ。

 

ぱあっ!!っと、アーシアがイッセーの鎧の宝玉に回復の光を届ける。

 

「俺にもその乳の精霊とやらの謎の声を聞こえたぞ」

 

「あぁ、確かに変な奴の声が聞こえたな。……なんだよ乳神と精霊って」

 

『わしにも聞こえたぞ?……とても変な者だな。今代の赤龍帝の所持者は…』

 

『確かに聞こえた…。乳を司ると言う奴の声が…』

 

兄さん達とその相棒のアンノンとミ・ルも聞こえたようだ。

 

『安心しなさい、ドライグ。あなたの言ってる事は正しいわ。だから、確りしなさい。かりにも二天龍の片割れでしょう』

 

「そうだよ、ドライグ!俺もしっかり聞こえたから元気だして!さぁ、ファイトだよ!」

 

『うぅ…すまない。ルーツさん。つばさ。他の皆よ…。』

 

どうやらドライグはそうとう深いダメージを負っているようだ…。

 

頑張って…ドライグ…。

 

『よく聞きなさい、乳龍帝よ』

 

あはは~、そのネーミング…異世界の使いにも言われるんだね~。

 

『この巫女の本音を聞くことで、乳神さまの力をここに降臨させるのです』

 

何だかとんでもないことが起きる予感がしてきたんだけど?

 

『おっぱいを求める者に乳神さまは慈悲深いご加護を与えます。きっと役に立つでしょう』

 

なんだか、変な事が起きそうなので―――

 

『――では、この娘の思いを聞きなさい』

 

俺は無意識を操り、意識をシャットアウトした。



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8話 決着と新たな家族…からの再開

連・続・投・稿 DAZE!!

因みに今回、一番出したかったキャラがいます。それは見てからのお楽しみです。

それでは、ゆっくりしていってね♪


あれから暫くして、朱乃さんとバラキエルさんは抱き合ってお互い泣いていた。どうやら乳の妖精?さんがなにかをしたようだ。

 

パァァァァァッッ!!

 

『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』の全宝玉が光り輝き、ミョルニルが極大の光を発し始めた。

 

『乳龍帝よ。聞こえていますか?乳龍帝よ』

 

例の乳の精霊がイッセーに語りかける。

 

『あなたはこの娘の想いを、おっぱいを救ったのです。乳神さまの加護をいまこそ、あなたへ――』

 

ゴオオオオオオオオンッ!!

 

『おっぱいドラゴンよ。いいですか、乳神さまからの力の付与は一度のみです』

 

イッセーの持っているミョルニルから、相当な波動を感じられる。

 

ねぇ…、なんでこんなので力が上がるの?可笑しくない?ワケガワカラナイヨ…。

 

「覚えの無い神格の波動を感じるな。異世界の――乳神?今回の赤龍帝は不思議がいっぱいだな!!」

 

ロキはそう言うとマントを広げ、再び自身の影を拡大させる。そこから量産型ミドガルズオルムの一団が現れる……。ざっと数えて三十ってところかな。

 

「兄さん!」

 

「「おう/あぁ!」」

 

「スペルカード『天の裁き』!」

 

「“零式秘技 響”!!」

 

「“滅殺・波動砲”!!」

 

俺は1m程の岩を隕石の様に手のひらの魔方陣から次々と撃って、レイジ兄さんは直径7m程の斬撃を飛ばし、光輝兄さんは拳から人一人簡単に包み込むほどの巨大なビームを飛ばした。

 

チュドォォォォォォォン!!!!!!!

 

かなりの量のミドガルズオルムが消し飛んだ。

 

――すると、残りの五体とロキが黒い炎に包みこまれた。

 

「――ッ!!この漆黒のオーラは……黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)のヴリトラか!?」

 

タンニーンがそう叫んだ。

 

地面に現れた巨大な魔方陣から黒い炎のドラゴンが出現してくる。

 

シェムハザから緊急用のイヤホンマイクに連絡が入る。

 

『兵藤一誠くん。聞こえますか?私はグリゴリの副総督シェムハザです』

 

どうやら、イッセー宛のようだけども……なんだか気になるので、聞いておこう。

 

「あ、どうも。あのでっかい黒いドラゴンを送ってくれたのはシェムハザさんですか?」

 

『ええ。アザゼルに匙くんのトレーニングが終わったら、こちらに転送するよう言われましたから』

 

「あれ、やっぱり匙ですか!?」

 

『はい。ちなみに、彼へヴリトラの神器(セイクリッド・ギア)を全部くっつけました』

 

――アザゼル先生も無茶をするなぁー……。

 

てか、暴走しないの?それ…。

 

『ヴリトラは退治されて神器(セイクリッド・ギア)に封じ込まれるとき、何重にもその魂を分けられてしまった。そのため、ヴリトラの神器(セイクリッド・ギア)所有者は多いのです。だが、種別で分けると「黒い龍脈(アブソーブション・ライン)」、「邪龍の黒炎(ブレイズ・ブラック・フレア)」、「漆黒の領域(デリート・フィールド)」、「龍の牢獄(シャドウ・プリズン)」、この四つです。これらの神器(セイクリッド・ギア)が多少の仕様違いで各所有者に秘められていたのですよ。そして、我が組織グリゴリが回収し、保管していたそれら――ヴリトラの神器(セイクリッド・ギア)を匙くんに埋め込みました。あなたとの接触でヴリトラの意識が出現していたので全ての神器(セイクリッド・ギア)が統合されるかもしれないとアザゼルは踏んだのです』

 

――そういうことで匙を連れて行ったのか。

 

てか、よく全部集めたよね。

 

『結果、神器(セイクリッド・ギア)は統合され、ヴリトラの意識は蘇りました。――が、蘇ったばかりで暴走してしまったようですね。しかし、匙くんの意識は残っているようなので、あなたがドライグを通じて語りかければ反応するはずです。あとはあなたにお任せします。できますか?』

 

「……ええ、なんとかやってみます。いざとなったら、力ずくで匙を止めます」

 

ロキが躍起になってヴリトラの炎を消そうともがいている。

 

「させると思っているの?ロキ」

 

ブォン

 

俺はいろんな魔方陣を背後に出現さした。それと同時に他の皆も構えた。

 

「フルバースト!!!!!!!」

 

「――放てぇぇぇ!!」

 

光輝兄さんが手を下ろすと同時に一斉に攻撃を仕掛ける。

 

半分はミドガルズオルムに、もう半分はロキへ矛先を向ける。

 

ロキが匙の呪炎を解いて逃げようとしたところに、一斉掃射の嵐が降りかかる。

 

親子の雷光、消滅の魔力、聖剣のオーラ、光の槍、破壊光線に近い波動砲(物理)、いろんな魔方の集合体、破邪の氷の斬撃、etc……。

 

すべての力がロキに降り注ぐ!

 

ゴオォォォォォォォォォォォオオンッッ!!!

 

一瞬の爆風と砂塵のあと、そこには全身ボロボロのロキが立っていた。

 

『……もう一発』

 

匙がロキの周囲に呪炎を展開させる。

 

『……やれ、兵藤っ!!』

 

「おりゃあああああっ!俺式ミョルニルゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

巨大化したハンマーの頭がロキの全身へ完全に打ち込まれる。

 

『Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

『Transfer(トランスファー)!!』

 

「イッセー!これも!!」

 

俺はイッセーに攻撃力倍加の魔法と貫通魔法をミョルニルに追加した。

 

倍加されたパワーと俺の魔法がミョルニルに送り込まれて――。

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!

 

刹那、ミョルニルから特大の神雷が発生し、ロキを呑み込んでいった。

 

――――――――――――――――――――――

 

少しして煙が晴れて、姿が見えてきた。

 

大きなクレーターのど真ん中にロキが煙を上げて突っ伏していた。

 

『乳龍帝よ。見事でした。またいつか会える日を楽しみに――』

 

遠ざかっていく乳の精霊と言う者。――結局なんなの?あの変なの…。心の内を見ただけなのか?

 

「つばさぁ~!ここの修復頼むー!」

 

光輝兄さんが叫んできた。俺は言われた通り修復しようとして見たら………

 

最初は凸凹していた場所が、地平線が見えるところまで平らになっていて、所々クレーターができており、まるで隕石が落ちたかの様な場所になっていた。

 

「……う、うわぁ~。なにこれ?大変な事になってるじゃないか…まぁ、さっさと元に戻すか…。」

 

「『時よ、この場にある場所を元に戻しなさい』」

 

カッカッカッ!

 

時計の針の音が聞こえたあと、悲惨な事になっていた場所は綺麗に元に戻っていた。

 

その間に、イッセーがバラキエルさんと仲良くなっていたのは、あとで知ったことだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

暫くして、皆も休憩していたとき、俺はふと思い出した。

 

「あ…、スコルとハティ…。すっかり忘れていた…」

 

俺はスコルとハティが倒れていたであろう場所に戻った。

 

すると、そこにいたのは…血だらけで死にかけているスコルとハティだった。

 

――――って

 

「ええええええっ!?なんでぇぇ!?」

 

俺は慌ててスコルとハティに回復魔法をかけた。ついでに洗脳されていたのも回復して治しておいた。

 

暫くすると、スコルとハティは気がついたのか、目を覚まして此方を向いてきた。

 

「スコル、ハティ……君たちはもう自由だよ…。だから好きに生きて?伸び伸びと外に帰りなさい」

 

俺が優しくそう言うと…

 

「くぅぅぅぅん」

 

「くぅぅぅぅぅん」

 

二匹の子フェンリルが俺の横に来て、その大きい頭で俺に懐いてきた。

 

「……二人とも、俺の所に来たいの?」

 

「「ワン!」」

 

二匹同時に鳴いた。

 

「そう。……ふふ♪ならこれからよろしくね?スコル、ハティ!」

 

「「ガゥ♪」」

 

「さてと、なら先に家に行っててね。スコル、ハティ」

 

俺は転移魔方陣を出して、スコルとハティを家に送った。

 

「おぉ~い、つばさぁ~戻るぞ~」

 

「はぁ~い!」

 

俺は急いで兄さん達の所に戻り、みんなと一緒に最初に集まった、会議があるホテルの屋上に戻ってきた。

 

すると、そこにはソーナさん達シトリー眷属と姉さん達…それに、オー爺ちゃんとオッサンとメイドさんがいた。でも、メイドさんの顔は黒子で隠していて見えない。

 

………? あのオッサン…何処かで見たことが……それに、メイドさんから懐かしい感じがする。何故だろう………それに、あのオッサン…あれ?まさか…

 

「お疲れさまじゃな。お主ら、よき働きだったぞい」

 

オー爺ちゃんが誉めてきた。

 

「まったく、本当に面倒な事に巻き込みやがって…。まぁ、ありがとうよ。」

 

「そうだな。…………ところで、オーディンの横にいる方々はどちら様だ?」

 

レイジ兄さんがオー爺ちゃんの横にいる人を聞いていた。

 

「あぁ、それはじゃのぉ~……」

 

「いぃ、オーディン。俺が自分で言う」

 

すると、オッサンが前に出てきた。

 

――――って、あ! このオッサン!!

 

「始めましてじゃな、ワシの名前はイザナギじゃ。一応、自由に動けぬ我らが主神の代わりに来たこの国の代表者じゃ。よろしくな」

 

『えぇぇ!伊邪那岐命様!?』

 

みんなは驚いていた。……それよりも驚いているのは俺だ…。

 

なんせ、俺をこの世界に転生させた神様……イザナギ様と似ている顔…いや、まったく同じ顔と気配や雰囲気だからだ。

 

「それと、ワシの横にいるのが―――」

 

バッとメイドさんは黒子を取った。

 

……俺はそのメイドさんの顔を見て固まった。あり得ないと思っていた、これは夢だと思った。

 

――――だって、その人物は……

 

「私の名前は如月 カンナ。この御方イザナギ様の右腕と専属メイドをしています。どうぞよろしくお願いいたします。」

 

―――そう、あのとき最後まで俺の…僕の事を護ってくれた、カンナお姉ちゃんだからだ…。

 

―side out―

 

―イッセーside―

 

俺達はロキと戦いが終わると、元の場所に戻ってきた。

 

そこには、残ったメンバーとオーディンの爺さんと知らないオッサンとメイドさんがいた。

 

てか、あのメイドさんむっちゃおっぱい大きいじゃんか! 朱乃さんや部長に引けを取らない大きさとプロモーションだ!

 

「始めましてじゃな、ワシの名前はイザナギじゃ。一応、自由に動けぬ我らが主神の代わりに来たこの国の代表者じゃ。よろしくな」

 

えぇ!?このオッサンがあのイザナギなのか!?なんかロキよりもビックリだぜ…。

 

すると、イザナギ様がメイドさんを紹介しようとした。……が、メイドさんは手で制して自分から前に出てきて顔を隠していた黒子を取った。

 

「私の名前は如月 カンナ。この御方イザナギ様の右腕と専属メイドをしています。どうぞよろしくお願いいたします。」

 

綺麗な人だった。とても綺麗な人だ。みんなも息を飲んでいた………が、一人だけみんなと違う反応をしていた。そう、ツバサちゃんだ。

 

ツバサちゃんは、イザナギ様を見たあとメイドさん…如月アイラさんを見て、固まったと思えば口を押さえてぷるぷると震えていた。……いまにも泣きそうな顔だ…

 

「カンナ…お姉、ちゃん?」

 

ツバサちゃんは声を震わせながらアイラさんに質問する。……って、お姉ちゃん?

 

「……えぇ、そうですよ。久しぶりですねつばさ様――――いえ、つばさ」ニコッ

 

その一言でツバサちゃんは涙をポロポロと落としていた。

 

「………………ちゃん」

 

ツバサちゃんは涙を流しながらゆっくりと近づいていた。

 

「―――お姉ちゃぁぁぁぁぁん!!!!」

 

ガバッ!

 

ツバサちゃんは泣きながらカンナさんに飛んで抱きついた。

 

「お姉ちゃん、お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃぁぁぁん!!!!!!!」

 

お姉ちゃん、お姉ちゃんと連呼しながらカンナさんの胸の中で泣き続けるツバサちゃん。みんなはそれを戸惑いながらも見つめていた。

 

「……つばさ。相変わらず泣き虫なのは変わりませんね、本当に懐かしいです」

 

そう優しくつばさちゃんを抱き締めながら、頭を撫でているアイラさん。……その目元には涙を溜めていた。

 

「久しぶりだな、つばさ。元気そうで何よりだ。おんしを転生させたかいがあったな」

 

豪快に笑っているイザナギ様。……って、転生!?

つ、つばさちゃんが転生者ってのは聞いたことがあったけども、このイザナギ様がその時の神様だなんて聞いてないぞ!?

 

「イザナギ様………やっぱり、イザナギ様だったんだ…グスン。本当に…本当に…なんで、ここに?……それに、カンナ、お姉ちゃん…も。」

 

「それは、ワシがおんしを転生させたあと、側にいたカンナも命を落としたのじゃ。……でだ、ワシがカンナをおんしともう一度会うために、ワシの眷属として転生させたってわけよ。……どうじゃ、驚いたか?」

 

「――うん、うん!驚いたです。本当に驚いたです!!――また……またカンナお姉ちゃんと出会えて、こうしてお喋りができて、本当に嬉しいです!ありがとう…ございます!!……イザナギ様」

 

「私からもお礼をさせてください、イザナギ様。……本当にありがとうございます。こうしてまた、つばさ様と出会えて、話ができて…私はとても幸せでございます。本当に…本当にありがとうございます。イザナギ様」

 

つばさちゃんとカンナさんは泣きながらも、とてもいい笑顔でお礼を言っていた。

 

うぅ…、なんだか、よくわかんないけども…、これだけはわかるぜ!きっとあのカンナさんって人はつばさちゃんの前世の時に一緒にいたよくかかわっていた人なんだろうな。でも、あるときを最後に会えなくなって転生してこの世界にきた。……それで、長年の時がたってこうしてまた会えた。

 

……くぅ、泣けるぜ。そして良かったな~!つばさちゃん!!!

 

回りを見ると、みんな涙を流して二人を見守っていた。……光輝さんや皐月さん達、つばさちゃんのお兄さん お姉さん達は、誰よりも涙を流していた。光輝さんなんか、号泣しすぎて滝ができている。

 

「そうかそうか、気にせんでいいぞい。……ワシも、とても嬉しいからのう…」

 

そう言ったイザナギ様の目からも涙を静かに流していた。

 

暫く二人で泣きあったあと、つばさちゃんを抱き締めたまま、カンナさんは立ってイザナギ様の方を見た。

 

「あの……イザナギ様………お願いがあるのですが…」

 

カンナさんはイザナギ様に何かをお願いしようとしたが――

 

「みなまで言うな。わかっておる。……つばさと一緒に暮らしたいのじゃろう?」

 

イザナギ様の答えに驚きつつも大きく強く頷くアイラさん

 

「はい!……もう一度、もう一度つばさと暮らしたい、これからま一緒に居たいのです!……いいでしょうか?」

 

「……そんなもの、最初からいいに決まっておる。ワシはその為におんしをワシの眷属として転生させたのじゃからな。今のつばさはほぼ不老不死、そしてワシの眷属として転生したおんしも半人半神で不老不死じゃ。……あとは、つばさと一緒にいればよい。たまにワシの手伝いをしてもらうことがあるかもしれんが、それ以外は基本自由にしてもよいぞ。……末長く幸せにな」

 

「―――ッ!!ありがとう、ございます!……イザナギ様ぁ…」

 

カンナさんはまた感激して泣いていた。

 

「――――ッ!?一緒に暮らせるの?また昔みたいに一緒にいれるの?」

 

「――えぇ、一緒にいられますよ…つばさ」

 

「――――ッッッ!!?い――やったぁぁ!!!!また一緒に暮らせる!カンナお姉ちゃんと一緒に入られるよぉ!!

…………あっ、でも…家には………」

 

喜んでいたつばさちゃんは急に不安げになった。そして、視線は光輝さん達に向けられていた。……なるほどそう言う事か…。

 

「気にするな、つばさ。お前の大切な人だろう?家族なんだろう?……なら、俺達は気にしないさ。むしろ歓迎するぜ?新たな家族としてな!

そうだろ?みんな」

 

『うんうん!』

 

光輝さんの言葉に結城家メンバーは強く頷いた。

 

その言葉に更に嬉しくてカンナさんに抱きつくつばさちゃん。……それほどまでに嬉しいようだ。

 

「……ズズ…、さて、あのロキを倒して、永遠に会えないと思っていた家族と再開できて、これからも一緒にいられるっていう、こうしてハッピーエンドで終わったんだ。……今回は何時もよりも大きな宴としましょうか!! 勿論オーディンの爺さんにイザナギのオッサンも来るよな?」

 

「もちろんじゃ」

「もちろんだな」

 

「そうか!……なら、早く帰って準備をしなくてはな!」

 

「私達メイドも手伝いますよ、光輝様」

 

「おぉ、頼むよ!」

 

「私達も手伝いますか、やるわよ!ナツルちゃん 優子ちゃん!」

 

『はい!』

 

「……グスッ。なら私も手伝います。光輝さん」

 

「え?……あ、いや、流石にカンナさんに手伝ってもらうのは…」

 

「いいんです。私の…いえ、私達の宝であったつばさ様をこうして守ってくださり、更に転生者というにもかかわらず愛していただいたお礼もあるので、これぐらい手伝わせてください。

それに、私はこう見えても前世の世界ではつばさ様の家のメイド長をしていました。また、つばさ様に料理を作りたいのですが………これでもダメでしょうか?」

 

「……いや、そこまで言われては断れませんよ。じゃ~お願いいたしますね?カンナさん」

 

「はい♪」

 

「カンナお姉ちゃんの料理がまた食べれるの?やったぁ~!」

 

「ふふふ、そんなに喜んで貰えるのならよりいっそう腕を振るわなければなりませんね♪」

 

「ははは、嬉しそうだな、つばさ。」

 

「えへへ…うん♪すっごく嬉しいよ、お兄たゃん お姉ちゃん♪」

 

「そうかそうか♪よかったな~」

 

「うふふ、本当に良かったね」

 

「うん♪」

 

……どうやら、とても楽しそうだ。俺達は離れておくとしよう。

 

「あっ!もちろんリアスさんやソーナさん達も来ますよね?……てか、お疲れパーティーもあるので、必ずこの宴に参加してくださいね♪約束ですよ?」

 

とても楽しそうな顔で言ってくるつばさちゃん。……こんなの言われたら。

 

『はい♪』

 

――――OKしちゃうじゃねぇ~か♪

 

こうして、俺達の長い夜の戦いが終わるのだった。

 

 




さぁ、久しぶりに出てきましたね、主人公のツバサちゃんを転生させた神、イザナギと、前世で最後まで関わったメイド長のアイラさん。

……やっと出せた。……やっとここまでこれた。……やっと、ツバサちゃんと出会うことが出来た。……プロローグ以来、いつか出したいと思いやっと出せました。

うん…よかったね!つばさちゃん!

ツバサ「まぁ、ありがとうな…三元新。……まぁ、今回はお礼を言ってあげるよ」

つばさちゃん!……何気に初めてここに来たのに凄く上から目線だよね…まぁ、ツバサちゃん可愛いからいいけどね!( ・ω・)b

ツバサ「……やっぱり前言撤回だよ。いっぺん死んでろ」

酷い!?ツバサちゃん怖いよ!?笑顔なのに凄く怖いよ!!

ツバサ「ナニカモンクデモ?」

いえ……ナンデモアリマセン

ツバサ「因にだが、カンナお姉ちゃんは濡羽みたいな艶やかな黒髪で、瞳は同じ色の綺麗な瞳をしているよ!それに、リアスさんや朱乃さん並みかそれ以上のプロモーションですっごく綺麗なんだ!10人中10人が振り向くぐらい綺麗なんだよ!……ほんとだよ?それぐらい綺麗なんだからな!! バカにする奴はいますぐ俺の所に出てこい!ボコボコにしてやんよ~!!」

うわぁ~……ツバサちゃん、なんだかキャラ崩壊してるよ?もう少し押さえないと…

ツバサ「何かいった?……駄作者…」

グサッ!

グフゥッ!?………つ、ツバサちゃん。容赦…ないね~………あぅ、心身ダメージが大きいな…

ツバサ「ふん…。……しかたがないなぁ…」

パァァ!

おっ?……回復してくれたの?

ツバサ「……こ、今回だけなんだからな!もう一度アイラお姉ちゃんと出会えてくれたお礼だよ」

……ブワァ! ツバサちゃん!優しい!!

ツバサ「ふん!調子に乗んなよな。……ただ、お前が死んだらこの物語が続かないから、それが困るだけなんだから!」

ツバサちゃん……ツンd――

ジャキン!

ツバサ「ナニ?」

いえ、ナニモゴザイマセン。

ツバサ「……まぁ、いいや。……次はこんなにも遅くならないことだね。次遅れたら………ドウナルカシラナイカラ」

はっはぃぃぃ!!!

ツバサ「わかったらいいんだよ。わかったらね。
……んじゃ、また次回会いましょうね、皆さん。こんな駄作者ですがよろしくな。
それでは、さようなら~♪」

あ、でわでわ、また次回お会いしましょう。ばぁ~いばぁ~い!



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修学旅行はパンデモニウム
1話 修学旅行に行くのです!


―ツバサ side―

 修学旅行当日。

とても清々しい朝の中俺は目を覚ました。

 

「――んぅ…くぁ~……むにゃむにゃ………にゅ?………まだ、五時じゃん…………まぁ、起きるか…早いけど…」

 

仕方がねぇ~なぁ~。起きてやんよ~。

 

…………って、誰に向かって呟いているんだ?……まぁ、いいや。

 

「さーてとー、今日から待ちに待った修・学・旅・行DAZE☆」キラッ

 

――シーン…

 

「……いったい何しているんだろう…俺は……」

 

一人でテンションが上がり、チョキをした手を顔の横に置いて、目の所にチョキが来るように置いて、片目をウインクしてポーズをとるという、普段はあり得ないような事をしていた。

 

「……なんでこんな事を…―――はっ!?これがきっと、噂に聞く修学旅行のNOROIと言うものなのです?!」

 

そんなくだらない考えをしながら俺は叫んでいた。

 

※ちなみに、朝の五時です。完璧に迷惑ですよね

 

……まぁ、くだらないことは置いといて、さっさと準備をしますかぁ~。

 

―二時間後―

 

さぁ、準備はOKですよね?……ふむ、OKですね

 

「では、行ってくるのですよ~」

 

『行ってらっしゃ~い』

 

俺は家の人達に見送られながら集合場所まで行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………で、今は新幹線に乗っているのですがぁ。

 

「……」ニコニコ

 

俺の目の前……と言うより膝の上には何故か上機嫌なオーフィスこと龍美が座っている。

 

 ん?何故いるのかだって?……そんなのこっちが知りたいよ。

 

光輝兄さんとサーゼクスさんが二人で結託して、いつの間にか龍美を駒王学園に入学させていて、更に俺と同じクラスなんだよ?つまり修学旅行に来ているわけよ…。

 

――――そして更に…

 

「……」バッ! ( 〆∀・)⊃『ファイト!ツバサ様♪』

 

 窓の外を見ると、片目を怪我して傷のついたがたいが大きな人が、窓にへばり付いてカンペの様な物を窓に張り付けていた。

 

……はぁ。実は、まさかの『伝説の7人(レジェンド セブン)』のひとり、独眼の龍と呼ばれている伝説の龍人さんが来ているのですよね~……。この人?は半人半龍で、親はなんと『弩岩竜 オディバトラス』と人間の間に生まれた息子なのですよね~。なので、砂という分類や属性に関しては右に出るものがいないと言われるぐらい、砂のプロフェッショナルなんですよ~。

 

――で、そんな人物が何故ここにいるのかと言いますと、俺と龍美の護衛兼お守りだそうです。はい。

 

「…」(;´△`)⊃『わかったから…、大人しくしていてよね?……絶対一般人にはバレないでよね!あんたは、只でさえ見た目が強面のヤの付く人みたいなんだから』

 

『わかっていますとも!』⊂( *〆_・)b グッ

 

…………本当にわかっているのかな?

 

 まぁ、いいや。それよりも、今は楽しまないとね。

 

「……ツバサ。……我、修学旅行と言うもの…初めて…。だから、楽しみ♪……ツバサは楽しみ?」

 

 とても嬉しそうに喋る龍美。

 

「うん。そうだね。俺も楽しみだよ。龍美も楽しみなら良かったよ。……俺も凄く楽しみだよ~♪」

 

「……そう。ツバサが楽しみなら。嬉しい。我と一緒に楽しむ、ひとりより二人の方が楽しい♪」ニコ♪

 

「うん。そうだね、龍美。ひとりより大勢の人といた方が楽しいもんね♪」ニコ♪

 

俺と龍美はそんな他愛ない会話をしながら修学旅行の京都に着くのを楽しみにしていた。

 

『………………』ホッコリ

 

そんな二人の会話を同じ号車の人達に微笑ましく見られているのを気づかずにいたのだった。

 

 

 

 

 新幹線内で途中アーシア特製の昆布おにぎりを食べ終えたころ……

 

『間もなく京都駅に到着致します』

 

 アナウンスが流れた。

 

 どうやらもう到着のようだ。

 

「京都だぜ!」

 

「おぉっ! 広いな!」

 

はしゃぐイッセーとゼノヴィア。

 

 うんうん、京都の駅って大きいよね。でも人が多く行き交ってるからちょっと辛いんだよね~。龍美と手をつないでいるから余計にね…。

 

「天界にもこんな駅が欲しいわ!」

 

「ミカエルさんに打診したら通りそうで怖いね」

 

 なんだかんだで、どこのトップ陣もノリと酔狂で、なんでも造っちゃいそうで怖いよね~。

 

 京都なんて、仕事以外で全然来たことないですよね。……いや、三回ほど遊びに来たっけ?……うん。それでも少ないね。行った回数と比べたら10分の1もない気がするよ。

 

「おーい、みんなはしゃぐのはいいですが集合時間に遅れちゃいますよ~」

 

俺は、班員全員を呼んで、全員で騒ぎながらホテルに向かった。

 数分で発見したけどね。同じ制服着た人たちについていけばそれは簡単に見つかるもんですよ。

 

 

 

 

 

「百円均一のショップは京都駅の地下ショッピングセンターにあります。何か足りないものがあったら、そこで済ませるように。お小遣いは計画的に使わないとダメです。学生のうちから豪快なお金の使い方をしてもろくでもない大人になるだけですよ。お金は天下の回り物。あれやこれやと使っていたらすぐになくなります。だからこそ百円で済ませなさい。百均は日本の宝です」

 

俺たちが泊まるホテル……サーゼクスロイヤルホテルで他の先生が注意事項を言い、ロスヴァイセさんは百均のことについて熱く語っていた。

 

 俺は、先生達の話が終わったそのあとアザゼル先生から部屋の鍵を貰った。アザゼルがニヤッとしたのでなんかあると思いつつ、スキマを使ってバナナの皮でアザゼルを転ばせておいた。……その時、綺麗にズッコケてホームが笑いで賑やかになったのだった。

 

「……203は…ここか…」

 

 俺は、貰った鍵を使い部屋に入る。すると、そこには龍美がいたのだった。……そう、アザゼルがニヤッとしたのはこのことだったのか。

 

「……ツバサ。早く、行く」

 

「ふふ、はいはい。ちょっと待ってね。荷物を置くから。」

 

俺は荷物を置いてイッセーたちと一緒に伏見稲荷に行くことになったのだった。




「「三元新と結城 翼のお喋りコーナー!!」」

ワー パチパチパチ

『いやはや、初のコーナーですね。そして、久しぶりに連続の投稿ですよ』

ツバサ「そうですね。……やっと真面目に動きましたか。」

『うわぁ~い。相変わらずの辛口コメント…俺だけにはとても厳しい!』

「気のせいですね。てか、貴方がもっと真面目にすれば、俺だってこんなに言いませんよ。……この駄作者」

『グサリッ!――カフッ!? うぅ…、酷い…』

「気のせいですよ」

『ま、まぁ、いいです。こうして頑張っているのですから、もう少し優しくしても…「イヤです」……ですよね~。』

「そんなことよりも、今回から新たな章にはいりますが、どんな物語にするつもりで?」

『うぅ~ん。まだ、簡単な物語しか考えていませんが、取り合えず、九尾やその他の雑魚妖怪が出てくるので、妖怪繋がりで東方projectのメンバーを何人か出して活躍させたいですね。……まぁ、確りとツバサちゃんも活躍させますよ』

「…………そうですか。まぁ、別にこれといって期待はしませんが、頑張ってくださいね」

『了解なのですよ』

「では、今日はもう時間なので、これにて終わりましょうか。」

『うん。そうだね。じゃぁ、今日はここまで! それでは皆様、次回もお楽しみに~』

「『さようなら~』」



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2話 九尾のよu――姫君

今回はあの姫君ととある大妖怪が出てきます。

……まぁ、誰だか分かりますよね。

それでは、どうぞゆっくりしていってね♪


 俺はイッセーの班メンバーに入っていて、俺たちメンバーは存分に京都の観光を楽しむため、まずは稲荷神社に行くことにした。

 

 京都駅から一駅進んだところに「稲荷駅」があり、そこから下車することで伏見稲荷の参道に入ることができる。

 

 俺たちは電車に揺られて稲荷駅へ到着した。

 

「おーっ、見ろ、アーシア、イリナ、夕麻。珍しいものがたくさん店頭に並んでいるぞ」

 

「わー、かわいい狐ばかりですね」

 

「ここでお土産ちょこっと買ってもお小遣い足りるかしら?」

 

「ふむふむ…」

 

「アーシア、こっちにもかわいい狐があるわよ」

 

「この狐のお饅頭……おいしそう」

 

「アーシアも夕麻もイッセーもイリナも、みんな頑張っていたからお金は特別にうちから出してあげるよ。だから、好きな物を買ってね♪」

 

「本当!やったわよ、アーシア!流石はあの伝説の『慈愛なる聖女』ツバサ様ね♪心がとても寛大だわ!」

 

「はい!ツバサさん、ありがとうございます!」

 

「ありがとうございます、ツバサ様。本当に嬉しいです!」

 

「いいですよ。あと、夕麻さん。今はプライベートですし、学校なので別にそんな敬語言葉をしなくてもいつもいいと言ってますのに…」

 

「いえいえ、これは私達のケジメと感謝の気持ちですのでいくらツバサ様でも、譲れませんよ。それに、結城家の専属メイドもやらせていただいていますので」

 

「むぅ~、固いな~。もう。まぁ、でも楽しんでいるようなのでよしとしましょうか。」

 

「「あ、なら、俺達はコンビニでエッチな物をかっ――」」

 

「貴殿方は関係ないでしょ。……てか、変態は死んでください」 (ジト目+汚物を見る目)

 

「「グフォア!?」」 ドサッ!

 

「あんた達バカでしょう」

 

そんなこんなで楽しんでいる俺達なのです。

 

そして、気づけば俺達は目的地がある大きな門の前に来ていた。

その門の両脇に狛犬のような狐の像が立っている。

 

「魔除けの像だね。本来なら、イッセーたちみたいな魔なる存在を寄せ付けない力があるのだけれど、例のパスのおかげで騒ぎは起きないようだね。――でも…」

 

そう、さっきから…

 

「――やっぱ、何かに見られてるよね?」

 

俺は駅から降りたときから、誰かに見られている気配を感じていたが、それがここに来てから増えたようだ。

 

――それも、人ならざる者達がね。

 

『……監視されているのは仕方ないけど、それでも、八方向からされているとなると……気になって仕方がないわね』

 

ルーツもどうやら気がついていたようだ。……あたりまえか。ここまで堂々と見られていたら嫌でもわかるよね。

 

…………さて、面倒事が起きなければいいのだけれど。

 

まぁ、普通に考えても俺たちは彼らにとって部外者なんだよね。しかも、悪魔や堕天使…更にドラゴンや神の血が混ざった者(俺)が入ってくれば、事前に話はしていても監視はするだろう。

 

無事に門を抜け、進むと本殿。さらに歩くと稲荷山に登れる階段が見えてくる。

 

「山登りしようぜ!」

 

元浜の何気ない言葉で、千本鳥居を見ながら山登りに挑戦することになった。

 

―side out―

 

 

―イッセー side―

 

門をくぐってから歩き始めて数十分。

 

「……ぜーはー……ま、待ってくれ……。ど、どうしておまえたちはそんなに動けるんだ……?」

 

元浜はすでに息があがっていた。……おまえが言い出しっぺだろうに。

 

松田が嘆息しながら階段の上から言う。

 

「おいおい、元浜。情けないぞ。アーシアちゃんたちだってまだ元気だってのに」

 

松田は運動神経バツグンだから、これぐらいでは根をあげない。

 

まぁ、俺たちは悪魔とかの異形な存在だから基礎能力は人間より上がっているからね。

 

 ツバサちゃんや光輝さん達は異常だけども……

 

 それに俺たちは厳しい訓練もしているから、これぐらいならまだ平気だ。この程度で根をあげていたら、またあの人の訓練と言うなの拷問を受けることになるからな…。

 

 途中、休憩所のお店を見ながらも伏見山への挑戦は続く。

 

「わりぃ、俺、ちょいとお先にてっぺんまで行ってみるわ」

 

つい、冥界での山で修業したせいで得てしまったようだ……山の頂上が見たいってね。

 

皆に断りを入れてから、階段を勢いよく駆け上がった。

 

降りてくる人の邪魔にならないように階段を上っていく……って、あれ?人が一人もいないんですけど…?

 

そんなことを考えているうちに、気がつけば頂上らしき場所に出ていた。…………そこにあったのは古ぼけたお社だ。

 

辺りは木々でうっそうとしていて、まだ日が出ているというのに薄暗い。

 

俺はお社で手を合わせて下山することにした。

 

お社でパンパンと手を合わせ、

 

『おっぱいをたくさん見て触れますように!彼女ができますように!部長や朱乃さんたちとエッチ出来ますように!』

 

と、卑わいで正直な願いを念じて、その場をあとにしようと――。

 

「……京の者ではないな?」

 

突然の声。周囲に気を配らせると……。

 

なんか、俺……囲まれている?明らかに人間じゃない気配を複数感じる。

 

しかも、この気配は妖気…だっけ? ……となると、この人達は俗に言う妖怪って人達になるのか。

 

そんな事を思いながら身構える俺の前に現れたのは――巫女装束を着た小さな可愛らしい女の子だった。

 

キラキラと光る金髪に、金色の双眸。小学生低学年ほどの容姿だ。

 

だが、頭部に生えているものを見て人ではないと理解する。

 

――獣の耳。

 

視線を下へもっていくと、お尻からはもふもふしてそうな尻尾が!どこかで見たような……。犬の妖怪?いや、ここは伏見稲荷だから、狐……あ、思い出した。確かツバサちゃんが話していた狐の妖怪、たしか狐耳と九本の尻尾を出している九尾って妖怪だっけ?

 

でも、尻尾は一尾しかないから、この場合は妖狐って呼ぶんだったっけ?

 

などと考えていたら、獣耳の少女は俺を激しく睨み、吐き捨てるように叫ぶ。

 

「余所者め!よくも……ッ!かかれっ!!」

 

少女の掛け声と共に林から山伏の格好の黒い翼を生やした頭部が鳥の連中と、神主の格好をして狐のお面を被った奴らが大量に出現してきた!!

 

「カラス?天狗に……狐?」

 

驚く俺だが、少女は容赦なく指を俺に向ける。

 

「母上を返してもらうぞ!」

 

天狗と狐神主が同時に襲いかかってきた!

 

俺は瞬時に籠手を出現させ、攻撃を躱していく。

 

「は、母上?何を言ってんだ!俺はおまえの母ちゃんのことなんて知らないぞ!」

 

俺は少女にそう叫ぶ!しかし、少女は問答無用のご様子だ!

 

「ウソをつくな!私の目は誤魔化しきれんのじゃ!」

 

ウソンッ!京都について早々誘拐犯扱いとか……運がねぇ!!

 

「理不尽なッ!」

 

俺は叫びながら攻撃を躱すが、バランスを崩したところに天狗の錫杖が俺に降りかかってきた!!

 

一撃食らうと思ったそのとき――。

 

ガキィィン!!

 

「まったく、着いてそうそう厄介事ですか?貴方は……」

 

天狗の錫杖を同じく槍のような刃が付いた錫杖で真っ二つに割っていたツバサちゃんがいた。

 

「どうした、イッセー」

 

「何々?妖怪さんよね?」

 

「面倒なことに巻き込まれたわね」

 

さらに、イリナにゼノヴィアに夕麻ちゃんが来てくれた。

 

遅れてアーシアと龍美ちゃんも来てくれたようだ。

 

俺たちツバサちゃんを含めて七人が集まったことで、少女一行さまは驚き、怒りを一層深めた様子だった。

 

「……そうか、おまえたちが母上を……もはや許すことはできん!不浄なる魔の存在め!神聖な場所を穢しおって!絶対に許さん!」

 

話し合いは無理そうだ…。一方的にやられててすごい不快だけどさ!!

 

「……それはどういう事ですか?我々はつい先程この京都に来たばかりです。まったくもって襲われる理由が不明なのですが?」

 

ツバサちゃんは錫杖を構えながらもこの臨戦状態のなか冷静に問いかけた。

 

「うるさいうるさい!お前たち余所者が母上を拐ったのじゃ! ――母上を返すのじゃぁぁ!!」

 

少女の叫びと共に妖怪達がツバサちゃんに襲いかかる。

 

「……ふぅ、話もろくに通じませんか。仕方がありませんね。なら―――――」

 

ツバサちゃんは目を閉じて一息したあと、目を開く。

 

「戦うしかないでしょう」

 

  ドゥッ!!

 

ツバサちゃんの体から莫大な気が膨れ上がった。そしてその気で風が舞い、妖怪達を吹き飛ばす。

 

その風は俺達の方にも来て、あまりの強さに腕で顔を隠した。

 

 そして風が止み、煙の中から出てきたツバサちゃんは――――

 

 白銀の長い髪に頭には耳と腰には尻尾をユラユラと動かし、その瞳は金に染まり瞳孔は獣の様に縦に割れていた。

 

 そう、その姿こそツバサちゃんが『白銀の戦乙女(ヴァルキリー)』と呼ばれる由縁――それが…

 

「牙獣変幻『モード“白銀狼 ヴェオウルフ”』!」

 

ツバサちゃんは仁王立ちしながら、堂々と宣言した。

 

突然変わった姿に戸惑い驚かく妖怪さん達。

 

これをチャンスと思った俺は行動にうつした。

 

「アーシア!部長から例のものを受け取っているな?」

 

「はい!」

 

俺の問いにアーシアはポケットからグレモリーの紋章入りカードを取り出した。

 

「行くぜ!えーと……」

 

ここは破壊しないように凌ぐしかないから、『女王(クイーン)』と『戦車(ルーク)』は使えない。ならば……。

 

「『騎士(ナイト)』にプロモーション!」

 

体に力が流れ込み、体が軽くなった感覚を得る。

 

「アーシアは私が守るから、全員は安心して戦って」

 

アーシアは頷くと、今度は龍美ちゃんがアーシアの隣にきて、黒い結界の様な物をアーシアの回りに張った。

 

「……姫君。私は無闇な戦闘はしたくありません。ですが、もしもこの人達を襲うのであれば、我々もそれ相応の対処をしなくてはなりません。どうかお考えを…」

 

ツバサちゃんの言葉に俺たちは戦闘の態勢に入る。もちろん、周囲を破壊しないように武器の破壊だけを破壊し、追い返すだけ。

 

戦闘が始まると思った――その時だった。

 

「――待ちなさい、あなた達!」

 

突然この場にいない別の人物の声が空に響き渡った。

 

その突然の事に少女を含めた妖怪さん達もそして俺達も慌てふためく。

 

しかし、そんな中でもツバサちゃんは落ち着き優雅に振る舞っていた。……それに、何故か笑っているようにも見えた。

 

「まったく、いったい何をしているのよ。……どうしてこうなったのかしら?」

 

突然空中に割れ目が出来たと思ったら、そこから出てきたのはツバサちゃんの双子のお姉さん。

 

――結城 優子ちゃんだった。

 

「京の姫君さま。どうかここは大人しく引いて貰えると嬉しいのですが…どうでしょうか?」

 

「我々も、同じ考えでございます。どうか姫君様。何故この様な事をするのかは分かりませぬが、この場はお引き取りをお願い申し上げます…」

 

優子さんとツバサちゃんが頭を下げながら、少女に言っていた。

 

少女は俺たちを憎々しげに睨んだあと、手をあげる。

 

「……撤退じゃ。いまの戦力ではこやつらに勝てぬ。おのれ、邪悪な存在め。必ず母上を返してもらうぞ!」

 

少女がそれだけ言い残すと、一迅の風と共に連中は消えていった。

 

 いったい…何だったんだろうか…

 

―side out―

 

 

―ツバサ side―

 

――初日の夜。

 

俺はあのあと、境内を掃除してこのホテルに帰ってきた。

 

そして、夕食を食べたあと一息休憩して、俺はひとりでホテルにある露天風呂を堪能していた。

 

――チャプン…

 

「――ぅん!ふ~……いい湯だなぁ~」

 

俺は露天風呂に浸かり夜空を見ながらのんびりとしていた。

 

「……はぁ~、それにしても…いったいこの京都で何がおきているのでしょうか…」

 

俺はひとり呟いた。

 

「……それは、私が話すわ」

 

すると突然女の人の声が聞こえてきた………って

 

「ゆ、紫さん!?ど、どどどどうしてここに!?」

 

そう、伝説の大妖怪こと八雲紫さんが隣にいたのだ。……それも裸で…

 

俺は慌てて紫さんに背中合わせにするように顔を背ける。

 

「……と、取り合えずどういう事ですか?その…話って…」

 

俺は恥ずかしさにどもりながらも聞いた。

 

「……そうね、私…と言うよりも、私の式である藍に関係するのよね~」

 

「藍さん…ですか?」

 

何故、藍さんが?……同じ妖狐の妖怪だから?

 

「まぁ、それに関しては明日説明するわ。それを伝えるために態々、幻想郷から来てあげたのだから」

 

まじですか…

 

「それに――」

 

すると、紫さんは突然俺の肩を持ち、クルッと半回転させ向かい合わせになるように俺を固定した。

 

「――ッ!?///」

 

俺が恥ずかしがってると、紫さんは真剣な顔で口を開いた。

 

「いまこの京都には悪がいるわ。……充分気をつけなさいよ…絶対」

 

紫さんは俺の肩を持ちながらも、真剣な口調と顔でそう言った。

 

……悪、か…。この嫌な予感は的中したって事ですね…

 

「わ、わかりました。気をつけます。かならず」

 

俺も、紫さんに答えるように真剣な顔でそう言った。

 

「そう、わかったのならいいわ。私の役目はそれだけだから。今日はもう帰るわね。それにいいものも見れたことですし、それじゃ――また明日ね♪」

 

紫さんは少し微笑んだあと、最後に不吉な事をいいながらとてもいい笑顔で帰った。

 

――――――ん?

 

「え?えぇ??いいものって……いったいどういう事ですかぁぁぁ!?」

 

俺の悲痛な叫びは綺麗な夜空にかき消えるのだった…。




駄「どないでしたか?……つばさはんの裸姿…いい眺めですなぁ~、グヘヘヘ」

ツバサ「……駄作者…、いっぺん本気で死んでください…いますぐに!!『スペルカード!“レーヴァティン”』!」

ズガァァン!

駄「ギャァァァァァァァァァ!!!!!」 チーン

ツバサ「悪は滅びた…です。コホン。駄作者も死んだことですし『死んでないよ!?』チッ!……ゴホン
では、今日はここまでにしましょう。
次回もお楽しみに。それでは皆様、ごきげんよう」

駄「ゴッホン!それでは皆さん。次回もお楽しみに~!それじゃ~」

ツ・駄「『バイバ~イ!』」


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3話 裏京都と大妖怪

遅れて申し訳ありません。言い訳をいいますと
物語をどうしようかと悩んでいたのと、発売日当日に買った『ドラクエⅧ 3DS版』をやりこんでてすっかり忘れかけていたのを思いだし、ついでに物語の内容も浮かんだので、投稿させてもらいました。

楽しみにしていた方々。実に申し訳ありません。すみませんでした。m(__)m

さて、今回で、またまたあの人が出てきます。乞うご期待!

それでは、ゆっくりしていってね♪


俺たちは一度、全員がロビーに集まり、そこで待っていたアザゼル先生にロスヴァイセと合流する。

 

「すまない、待たせたな」

 

「別に大丈夫ですよ。アザゼルはきっちりと先生の仕事をしてからきたのですから。遅れたとしても文句はないですよ~」

 

「すまんな。じゃ、行こうか」

 

その後、俺たちはアザゼルの案内のもと、町の一角にある料亭へ向かった。

 

中に入ると、和風感が漂う雰囲気を感じた。その中を通されて通路を抜けると、個室が現れる。

 

戸を開けると――そこには着物姿のセラフォルーさんが座っていた。

 

「ハーロー!赤龍帝ちゃん、リアスちゃんの眷属の皆、それと、優子ちゃんとつーちゃん♪お久しぶりね~」

 

いつも通りの挨拶をするセラフォルーさん。

 

「貴女はいつも通りね、セラフォルー。」

 

「それが私だからね~」

 

そんな会話をする優子姉さんとセラフォルーさん。本当、この二人は仲がいいよね~。

 

「お、兵藤たちか」

 

匙がイッセーに声をかける……生徒会二年生も来ていたようだ。

 

「ここのお料理、とてもおいしいの。特に鶏料理は絶品なのよ☆赤龍帝ちゃんたちも匙くんたちも食べてね♪もちろん、優子ちゃんとつーちゃんもね♪」

 

俺たちが席に着くや否や、セラフォルーさんが料理を追加してくる。まぁ、正直、少しエネルギー不足でホテルの料理じゃ足りなかったからスゴく助かるんどけどね

 

「あ、セラフォルー。例の件はどうだった?」

 

優子姉さんが座ってすぐに訊いていた。

 

「……京都に住む妖怪の報告では、この地の妖怪を束ねていた九尾の御大将が先日から行方不明なの」

 

「やっぱり……」

 

どうやら、優子姉さんにも心当たりがあるようだ。

 

「もう、みんな分かっていると思うけども、十中八九、『禍の団(カオス・ブリゲード)』だよ」

 

またあいつらかぁ~……

 

「ったく、こちとら修学旅行で学生の面倒見るのに精一杯だってのにな。やってくれるぜ、テロリストどもが」

 

アザゼルが忌々しそうに吐き捨てた。額には小さく青筋が出ている……。

 

「どちらにしてもまだ公にすることはできないわね。なんとか私たちだけでことを収束しなければならないの。私はこのまま協力してくださる妖怪の方々と連携して事に当たるつもりなのよ」

 

セラフォルーさんがアザゼルの杯に酒を注ぎながら言った。

 

「ということで、お前らは旅行を楽しんでこい」

 

「え、でも……」

 

遠慮がちのイッセーにアザゼルは言った。

 

「何か事があれば呼ぶ。だが、おまえたちにとって修学旅行は貴重だろ?この件で動けるのは俺達だけ。それに、いざとなれば光輝達に手伝ってもらうさ。だから、任せておけ」

 

アザゼルが珍しく、いい事を言っていた。

 

「そうよ、赤龍帝ちゃん、ソーナちゃんの眷属ちゃんたちも。いまは京都を楽しんでね。私も楽しんじゃう!」

 

セラフォルーさんがそう言う。……貴女が一番京を楽しんでいる気がしているのは、俺だけでしょうか?

 

まぁ、とりあえず、明日に備えますかねぇ~。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、京都の観光日。

 

「じゃあ、野郎ども!行くわよ!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

桐生がメガネをキラリと光らせて、バス停を指し、男子は雄叫びをあげた。二日目は京都駅前のバス停から清水寺行きのバスに乗ることから始まる。そして、バスが来ると俺たちは乗り込んだが、松田と元浜がイッセーに嫉妬の眼差しを向けている。

 

そして、目的地に到着して俺たちは周囲を軽く探索し、坂を上って清水寺を目指す。

 

「ここ三年坂って言って、転ぶと三年以内に死ぬらしいわよ?」

 

「はぅぅぅぅっ!それは怖いです!」

 

アーシアが怖がり、イッセーに抱きついた。

 

「ど、どうしたゼノヴィア?」

 

「……日本は恐ろしい術式を坂に仕込むのだな」

 

ゼノヴィアもイッセーに抱きついて怯えていた。

 

別になんともないんだけどね~。

 

清水寺につくと、教会トリオは異教徒やらなんやらと、叫んではしゃいでいた。

 

いい忘れていましたが、お寺や神社などでそのような事を言っていますと、日本の八百万の神々に丸聞こえ何ですよ?それ。

 

しばらくのんびりとしていたら、イッセーがアーシアと恋愛のくじをやっていた

 

「大吉だって。将来安泰。イッセーとアーシアはお似合いのようだね」

 

俺はアーシアのくじを見てそう言った。

 

「はい!嬉しいです!………うれしいです、本当に……」

 

アーシアは涙ぐんでいた。

 

「よかったな」

 

「えぇ、よかったわ」

 

「私もなんだか安心したわ」

 

ゼノヴィア、イリナ、桐生が嬉しそうにうんうんと頷いていた。

 

そんな事を見ながら、俺も嬉しいと思えたのだった。

 

「さーて、次は銀閣寺。パパッと行かないと時間なんてすぐに過ぎてしまうわよ」

 

どうやら次は銀閣寺のようだ。教会トリオの三人は銀だ銀だと騒いでいる。きっと銀閣寺を見たらショックをうけるんだろうな~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「銀じゃない!?」

 

俺たちは銀閣寺に着き、寺を見たゼノヴィアが開口一番に叫んだのがそれだった。

 

予想通りの反応で少しおもしろいと思ってしまった。

 

「……ゼノヴィアさんはお家でも『銀閣寺は銀で金閣寺は金。きっとまぶしいんだろうな』って瞳を輝かせて言っていたものですから」

 

アーシアが震えるゼノヴィアの肩を抱きながら、そう言った。

 

まぁ、そこまで信じていたら、誰だってショックをうけるよね~。

 

「建設に携わった足利義向が死んだから銀箔を貼るのを止めたとか、幕府の財政難で中止になったとか、諸説あるけど、銀箔じゃないわね」

 

銀閣も一通り回ると、近くのお店で昼食を済ませる。そのまま次は金閣寺へ向かった。

 

そして、金閣寺に着くと………

 

「金だっ!今度こそは金だぞ!!」

 

寺を見たゼノヴィアが開口一番に叫んだのがそれだった。

 

「金だぞぉぉっ!」

 

両手をあげてゼノヴィアが喜んでいる。金閣寺はすんごい金ピカだ。

 

金閣寺を見て回ったあと、お土産を買い、休憩所――お茶屋で一休みをすることに。

 

「どうぞ」

 

和服のお姉さんが入れたての抹茶を運んできてくれた。和菓子も添えて。

 

「……金ピカだった」

 

皆が茶菓子をいただいているのに、ゼノヴィアはいまだ覚めぬ夢の中のようだ。よほど金閣寺を見た感動がデカかったようだ。

 

……と、違和感を感じてお茶屋の方を振り返ると――松田、元浜、桐生が眠りこけていた。

 

俺は人間じゃない気配を感じていた。それはゼノヴィアが睨みつけている女性店員を見たときに確信した。

 

女性店員の頭部に獣耳が生えている。尻尾も出ていて……ふと周囲を見回せば、獣耳の方々ばかりだ。

 

イッセーたちは警戒して、それぞれが得物を握ろうとしたとき――。

 

「待ってください」

 

聞き覚えのある声に俺たちは振り返るとそこにはロスヴァイセさんがいた。

 

「ロスヴァイセさん!どうしてここに?」

 

……と、イッセーが叫んだ。

 

「えぇ、あなたたちを迎えに行くようアザゼル先生に言われました」

 

「先生に?何が起こっているんですか?」

 

「停戦です。というか、誤解が解けました。――九尾のご息女があなたたちに謝りたいと言うのです」

 

停戦?誤解って……あぁ~、もう狐さんや天狗さんに襲われることはないということだね

 

いまだ疑問に残るイッセーたちに獣耳のお姉さんが一人、前に出て深く頭を下げてくる。

 

「私は九尾の君に仕える狐の妖でございます。先日は申し訳ございませんでした。我らが姫君もあなた方に謝罪したいと申されておりますので、どうか私たちについてきてくださいませ」

 

どこに?――とイッセーが訊く前に狐のお姉さんが続けた。

 

「我ら京の妖怪が住む――裏の都です。魔王さまと堕天使の総督殿、他の皆さまも先にそちらへいらっしゃっております」

 

どうやら、俺たちが観光している間に上が誤解を解いてくれていたようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちが足を踏み入れたのは――異界のような場所。

 

そこは江戸時代のような街並みで、古い家屋が建ち並び、扉や通りから面妖な者たちが顔を覗かせていた。

 

『妖怪がたくさんいる……』

 

そんな事を思いながら俺は歩いていた。……でも、やっぱり幻想郷の妖怪さんたちを見ていると、どうしても迫力や面白味がなくて、困るね。

 

…………そう言えば、紫さんが昨日の風呂場で言った、説明っていつ来るんだろう?……案外遅いんだね~。

 

すると、ヒソヒソと喋り声が聞こえてきた。

 

「……人間か?」

 

「いんや、悪魔だってよ」

 

「悪魔か。珍しいなや」

 

「あのキレイな外国の娘っこも悪魔か?」

 

「龍だ。龍の気配もあるぞ。悪魔と龍……」

 

「我々と同じ臭いのする者もいるぞ………」

 

妖怪たちの話し声が聞こえてくる。……ゴメンなさいね~、最後のそれは俺なのよ。

 

家屋が建ち並ぶ道を抜け、小さな川を挟んで林に入り進むと――巨大な赤い鳥居が出現した。

 

その鳥居の先に大きく古い屋敷が建っている。

 

「お、来たか」

 

「やっほー、皆☆」

 

アザゼル先生とセラフォルーさんがいて、近くに光輝兄さんたちの姿が見えた。

 

光輝兄さんの姿に俺と優子姉さんと夕麻以外のメンバーが驚いていた。

 

そんな中で、アザゼル先生とセラフォルーさんの間には――先日、奇襲を仕掛けてきた九尾のお姫様がいる。

 

「九重さま、皆さまをお連れ致しました」

 

狐の妖の女性は報告を済ませると、ドロンと炎を出現させて消えてしまった。

 

お姫さまは一歩出てきて口を開いた。

 

「私は表と裏の京都に住む妖怪たちを束ねる者――八坂の娘、九重(くのう)と申す」

 

自己紹介と共に深々と頭を下げてきたお姫さま。

 

「先日は申し訳なかった。お主たちを事情も知らずに襲ってしまった。どうか、許して欲しい」

 

「ま、いいんじゃないか。誤解が解けたのなら、私は別にいい。京都を堪能できれば問題ないよ。二度と邪魔をしない限りね」

 

「そうね、許す心も天使に必要だわ。私はお姫さまを恨みません」

 

「はい。平和が一番です」

 

「えぇ、私も邪魔さえされなければ何もしないから」

 

「私もも同意ね。争い事は好きじゃないし」

 

ゼノヴィアやイリナ、アーシア、夕麻、優子姉さんは昨日のことを許すみたい。

 

「てな感じらしいんで、俺も別にいいって。顔を上げてくれよ」

 

「し、しかし…」

 

腑に落ちない様子の九重ちゃん。

 

そんな九重ちゃんの前に立った俺は、膝をついて目線を合わせる。

 

「えーと、九重で良いかな?なあ、九重はお母さんのこと心配なんだろう?」

 

「と、当然じゃ」

 

「なら、あんな風に間違えて襲撃してしまうこともあるよ。もちろん、それは場合によって問題になったり、相手を不快にさせてしまう。でも、九重は謝った。間違ったと思ったから俺たちに謝ったんだよね?」

 

「…………もちろんだとも」

 

俺は九重ちゃんの頭に手をそっと置い撫でながら言う。

 

「それなら俺たちは何も九重のことを咎めたりしないよ」

 

九重ちゃんは俺がそう言った途端、顔を真っ赤に染めてモジモジしながらつぶやいた。

 

「……ありがとう」

 

あら?なんで顔が赤いのかな?……もしかして、頭を撫でられるのは慣れていなかったかな?

 

「やりやがったな、あいつ」

 

光輝兄さんが遠くで呟いた。

 

「……なにさ、やりやがったって」

 

俺は光輝兄さんにいい放った。

 

「なに、気にするな。ただの独り言だ」

 

光輝兄さんはそう言った。……なんだか流された気がするのは気のせいかな?

 

「それよりも優子、ツバサ。お前らも確りと挨拶をしろよ」

 

レイジ兄さんがそう叫んできた。……あ、ほんとだ。忘れてたよ。

 

「そうね。自己紹介がまだったわ。

 始めまして、私の名前は結城 優子と申します。私はそこにいるツバサの双子の姉です。地球連邦軍に所属しております。どうぞ、よろしくお願いいたします。」

 

「俺は結城 翼と申します。俺は結城 優子姉さんと双子の弟で、同じく地球連邦軍に所属しており、地球連邦軍 特殊部隊 特別調査班 総隊長をやっております。どうぞよろしくお願いします…九重姫」

 

優子姉さんと俺は正座をして頭を下げる。

 

「あ、こちらこそ、よろしく頼むぞ」

 

慌てて正座をして頭を下げた九重ちゃん。それでも、作法が乱れていなかった。

 

九重ちゃんは頭を上げると、皆の方を向いて再度頭を下げた。

 

「……咎がある身で悪いのじゃが……どうか、どうか!母上を助けるために力を貸して欲しい!」

 

それは、九重ちゃんの心からの悲痛な叫びだった。

 

 

――――――――――――――――――

 

この京都を取り仕切る妖怪の大将――九尾の狐こと『八坂』は、須弥山の帝釈天から遣わされた使者と会談するため、数日前にこの屋敷を出たという。しかし、八坂は帝釈天の使者との会談の席に姿を現さなかった。不審に思った妖怪サイドが調査したところ、八坂に同行していた警護の烏天狗を保護したそうだが、瀕死の状態に陥っていた。その烏天狗が死の間際、八坂が何者かに襲撃され、さらわれたことを告げたらしい。それで、京都にいる怪しい輩を徹底的に捜していたとき、イッセーたちは誤解によりあの社で襲撃を受けた。

 

その後、アザゼルとセラフォルーが九重たちと交渉し、冥界側と関与が無い事を告げ、手口から今回の首謀者が『禍の団(カオス・ブリゲード)』の可能性が高いと情報を提供した。

 

ちなみに、光輝兄さんいわく、アザゼルに呼ばれてここに来た際に…九重たちに「地球連邦軍も関与していない」ことを告げておいた。

 

「かなり面倒だな……」

 

光輝兄さんがため息を吐いた。

 

「ま、各勢力が手を取り合おうとすると、こういうことが起こりやすい。オーディンのときもロキが来ただろう?今回はその敵役がテロリストどもだったわけだ」

 

アザゼルが不機嫌そうに言った。

 

「総督殿、魔王殿、光輝殿、どうにか八坂姫を助けることはできんのじゃろうか?我らならばいくらでも力をお貸し申す」

 

と、天狗のお爺さんもそう言う。

 

すると、天狗のお爺さんが一枚の絵画を見せる。

 

「ここに描かれておりますのが八坂姫でございます」

 

そこに描かれているのは、巫女装束を着た金髪の女性。面影が九重に似ているな…。

 

……まてよ。でも、もう一人、何処かで見たことがあるようなぁ~。……うぅ~ん。何処だっけ?

 

「八坂姫をさらった奴らがいまだにこの京都にいるのは確実だ」

 

アザゼルがそう口にした

 

「どうして、思うんですか?」

 

イッセーが訊く。アザゼルはうなずきながら説明をする。

 

「京都全域の気が乱れていないからだ。九尾の狐はこの地に流れる様々な気を総括してバランスを保つ存在でもある。京都ってのはその存在自体が大規模な力場だからな。九尾がこの地を離れるか、殺されていれば京都に異変が起こるんだよ。まだその予兆すら起きていないってことは、八坂姫は無事であり、さらった奴らもここにいる可能性が高いってわけだ」

 

アザゼルの言う通りの考えで合っているね。俺も龍脈やらいろいろな力を感知しているが、乱れ事態が起きていないし…。何より、京都に張っている結界がなんの異常もみられないもの。

 

「そう言えば、ツバサ。京都に張られている結界には異常はないのか?」

 

光輝兄さんが俺に聞いてきた。

 

「えぇ、全く異常はないよ」

 

「そうか…。ならセラフォルー、悪魔側のスタッフはすでにどれぐらい調査をおこなっている?」

 

「つぶさにやらせているのよ。京都に詳しいスタッフにも動いてもらっているし」

 

それを聞いたアザゼルはイッセーたちを見渡すように視線を向ける。

 

「おまえたちに動いてもらう事になるかもしれん。人手が足りなさすぎるからな。特におまえたちは強者との戦いに慣れているから、対英雄派の際に力を貸してもらうことになるだろう。悪いが最悪の事態を想定しておいてくれ。あと、ここにいないシトリー眷属には俺から連絡しておく。それまでは旅行を満喫してていいが、いざというときは頼むぞ」

 

『はい!』

 

イッセーたちはアザゼルの言葉に応じる。

 

「……どうかお願いじゃ。母上を……母上を助けるのに力を貸してくれ……。いや、貸してください。お願いします」

 

九重が三度手をつき、深く頭を下げる。両脇の狐の女性と天狗の爺さんも続く

 

――悲痛だ。

 

小さな子が頭を下げ、声を涙で震わせていた。

 

俺は体の奥底から怒りが沸々とこみ上げてくるのが感じ取れた。

 

「ところで、お前さんが言っていた、京都の結界ってなんのことだ?……あれは京都の御大将『八坂姫』が管轄しているはずじゃないのか?」

 

アザゼルが俺に聞いてきた。

 

「アザゼル。それは俺がツバサに頼んだんだ。京都の結界を強化できないのかってな。」

 

「そうだったのか?」

 

「うん。光輝兄さんの言う通りだよ。結界の強化をするのに、初めて京都にきたさいに、八坂さんと出会って、いろいろ喋ってるうちに仲良くなって京都の結界を任されるようになったんだよ。ただ、裏京都には来ることがなかったから、八坂さん以外の京都の妖怪に会うのは初めてだけどね。」

 

俺がそう言うと、アザゼルが納得したような顔になった。

 

「なるほどな。……でも、その言い方だと、まるで京都以外の妖怪には会ったことがあるみたいだぞ?」

 

「そうだよ?だって、俺の部隊には――――」

 

「私達がいますからね」

 

突然俺の言葉に被るように女の人の声が聞こえてきた。

 

突然、ここにはいない別の誰かの声にいっそうに慌て出して、戦闘体制になるアザゼルやイッセー達。……しかし、俺や光輝兄さん達はどうやら気配で誰かが分かったようで、全く慌てず落ち着いていた。

 

「いまやっと来たんですね――紫さん」

 

「はぁ~い。光輝達はお久しぶりね~。ツバサは昨日ぶりかしら」

 

突如、空中に割れ目が出来たと思えばそこから女の人が出てきた。独特な紫色のドレスの様なものを着た人がいたのだった。

 

そう、この人はあの八雲紫さんだ。

 

「……お前はいったい何者だ」

 

アザゼルが光の槍を出しながら、警戒心MAXで紫さんを睨んでいた。他のメンバーも同じ様に戦闘状態になっており、九重ちゃんは、使者の二人に守られるようにしていた。

 

そんなメンバーの中で、光輝兄さんが前に出て、紫さんを庇うように立った。

 

「そう警戒するな。こいつは俺達の仲間でツバサと同じ部隊にいる奴だよ。だから、その武装を解け」

 

光輝兄さんがそう言うと、アザゼル達が武装を解いた。

 

「そうか、それは悪かったな。いったいこいつは何者なんだよ。いきなり気配もなく現れたと思えば、空中に割れ目が出来てそこから出てくるなんて。非常識だぞ」

 

アザゼルが呆れた様にそうはいた。

 

「そんな事を言われてもな。なぁ、ツバサ」

 

すると、光輝兄さんが俺にふってきた。

 

「まぁ、そうだね。幻想郷では非常識が常識で、常識にとらわれない場所だからね~。こうして、あり得ない力を持つ人たちが沢山いるんだもの。

……あ、そうだ。因みにだけども、あのときアザゼル達が武装をしていたけども、たとえあの場で戦闘になっても、そこにいる紫さんには誰も勝てないよ?だって、光輝兄さんを負かす数少ない実力者なのですもん」

 

俺の言葉に驚くアザゼル達。それはそうだ。そもそも、“伝説の大妖怪”や“妖怪の賢者”なんて呼ばれている人物相手に戦おうとするやつなんて、余程の戦闘狂ぐらいだよ。

 

「ツバサの言う通り、この人は俺でも倒せないぜ?そもそも、能力的に相性が抜群に悪すぎるからな。

 ましてや、“伝説の大妖怪”やら“妖怪の賢者”なんて呼ばれている人物相手に戦うほうがおかしいさからな」

 

どうやら、光輝兄さんも俺と同じ考えのようだ。

 

すると、九重ちゃんが妖怪の賢者の言葉に反応していた

 

「妖怪の賢者………ってもしかして、あなた様はあの“八雲 紫”様でございますか?」

 

八雲紫?っとイッセー達が声を揃えて“?マーク”を浮かべていると、アザゼルも驚きの声で叫んでいた。

 

「八雲紫って、大昔に存在していた伝説の大妖怪じゃねぇーか!? 最強の妖怪と言われて、その力は神をも越えると言われていた。だが、あるとき突然姿を消したと聞いたことがあって、そもそもそんな妖怪が存在するかどうかも怪しいとさえ言われていた伝説の大妖怪が、まさか本当に存在するなんてな。」

 

どうやら、アザゼル並みの古い人物なら妖怪じゃなくても知っていたようだ。

 

「イッセー。かなり前に、ライザーやソーナさん達と戦う前に、特訓したのは覚えてる?」

 

俺はイッセーたちに聞いた。

 

「あ、あぁ、覚えてるけど、それがどうしたんだ?」

 

イッセーは困惑しながらも俺に聞いてきた。

 

「じゃ~、その時にいろんな人達をあなた達に付けたのは覚えてるかな?」

 

俺の言葉に全員頷いていた。

 

「もちろんだ。あの人の扱きは地獄だったから、忘れられるわけがないぜ」

 

震えながらそう言うイッセー。どうやら、幽香さんの扱きはイッセーにトラウマとなっているようだ。

 

「なら話は早いね。その時に、その人達の事を軽く説明したでしょ?幻想郷とかいろいろ」

 

「そういえばそうだっけ?」

 

「そうなの。話は続けるけども、そんな桁違いな力を持つ人達の住んでいる“幻想郷”を造った人こそ、そこにいる八雲 紫さんってわけなんだよ~」

 

『えええええええええぇぇぇ!!!』

 

俺の言葉にまた驚いて叫ぶイッセー達。やっぱり反応がおもしろいや。

 

「はは、マジかよ…」

 

「あと、更にぶっちゃけますと、イッセーを扱いてくれた、幽香さんは、強者揃いの幻想郷でも、五指に入るほどの実力者なんだよ~。だからハッキリ言うとね、あの人がかなり手加減してたとはいえ、よく生きていたよね~イッセー。」

 

その言葉にイッセーはまるで絶望しきった顔になった。……どうやら、イッセーはあの人がしてきた攻撃は手加減などないと思っていたらしい。あれ以上の攻撃がまだあると思うと、本気で死ぬんじゃね?と思っているみたいだ。

 

「話は終わったか?なら、紫さん。どうして貴女がここ京都に?」

 

光輝兄さんが俺達が話終わったタイミングで喋りだした。

 

「それはね…私――じゃなくて、私の家族で式神でもある藍がお話があるのよ」

 

そう言うと、紫さんのいる隣に一際大きなスキマが開いて、そこから二人の女の人が出てきた。

 

片方は九尾の狐の妖怪でもう片方は猫又の九重ぐらいの小さな女の子だ。

 

「藍、橙。挨拶をしなさい」

 

「はい、紫さま。私の名前は八雲 藍。私は紫さまの式で、此方が私の式神の橙です」

 

「八雲 橙です!よろしくお願いしましゅ!」

 

「橙、久しぶりだね。元気だった?」

 

俺が橙に話しかけると、橙は嬉しそうに此方をみて走って胸に飛び込んできた。

 

「お久しぶりです!つばささま!」

 

「よしよし、橙はいつも元気だね~」

 

俺は橙をあやしている間に紫さんに、アイコンタクトで『いまのうちに』と伝えた。

 

紫さんはわかったようで、藍さんに話をしかけた。

 

「藍、話があるのでしょう?その九尾のお姫様に…」

 

どうやら、藍さんは九重ちゃんにお話があるようだ。

 

「はい。そうです紫さま。九重…といったかな?」

 

「は、はい。私は九重と申します」

 

九重ちゃんは藍さんにどうやら緊張しているようだ。

 

藍さんって、紫さんに負けないくらい、スゴく綺麗な人だからなぁ~……

 

「すまんな、お前のお母さんを守れなくて…」

 

「え…」

 

藍さんの言葉に九重ちゃんは固まった。他のみんなもそうだ。俺や光輝兄さんたちも同じ反応をしている。

 

「実はな、お前の母『八坂』は、血の繋がった私の実の“妹”なんだ…」

 

えぇ!?マジですか!……藍さんの言葉にこの場にいた全員が驚いていた。藍さんと一緒にいた優子姉さんだけは驚いていなかった。

 

「ほ、本当ですか?」

 

その中でも特に九重ちゃんは驚いて動揺していた。

 

それはそうだよな。九重ちゃんの母親の八坂さんのお姉さんとなれば、九重ちゃんにとっては同じ母親の血を受け継いで、おば様にあたる人物になるのだからな。

 

「私は小さいとき、紫さまの式となり、お前の母『八坂』とは離ればなれになったが、忙しい中も、八坂は私に手紙を送って来てくれた。私もそんな八坂が可愛くて、いつも手紙を書いて送り返していたんだが、ある日突然手紙が来なくなった。私は不思議に思いながらも、待ってた所に……八坂が何者かに誘拐されたと紫さまに聞かされた。それを聞いた私は絶望と怒りに苛まれた。私はすぐにでも京都に乗り込んで、八坂を連れ拐った輩を殺そうと思ったが………ふとあることに気がついたんだ。――そう、それはお前……九重の事だ」

 

「……え?」

 

突然の事に驚く九重ちゃん。

 

「実はな、お前の母 八坂は手紙で『藍姉様、私に子供が出来ました。しかも女の子です。私に似ていてとても愛らしい子です。私はいま物凄く嬉しゅうございます!』と…、八坂はお前が生まれてからずっとお前の話を手紙に書いていたんだ。私はその手紙を見るだけで、どれほどお前のことが大好きかがわかってな。とても嬉しかった。――だからこそ、おもったんだ。八坂が連れ去られたと聞いたとき、一番ショックを受けるのがお前だと思ってな。」

 

すると、突然藍さんが九重ちゃんを優しく抱き締めた。

 

「辛かっただろう。悲しかっただろう。一国の姫君とはいえ、お前はまだ子供だ。主がいないからとて、そんなに気張らなくてもいい。

だからいまは、存分に泣くといい。お前はいままで感情的になりつつも、頑張って絶えていたんだろうが、もう、辛いのは我慢をしなくてよい。さぁ、泣いて全てを吐き出せ。なんせお前は――――まだ、子供なのだからな…」

 

藍さんは優しい声で九重にいいながら頭を撫でていた。

 

すると、九重ちゃんはフルフルと震えだし、嗚咽を出しだした。

 

「……ぁさま………おかぁさま…ヒック…グス…おかあさまァァ………うわぁぁぁぁぁん!!会い、会いたいよぉぉ…おかあさまァァァ!うわぁぁぁぁぁん」

 

九重ちゃんはとうとう泣き出してしまった。藍さんは服が汚れるのを気にせず、ひたすら九重ちゃんを優しく抱き締め頭や背中を撫でていた。

 

そんな様子をみんなは悲痛な面持ちと決意した瞳で見ていた。――どうやら、全員の気持ちは同じ様だ。

 

『禍の団(カオス・ブリゲード)』……こんな幼い子を不安で押し潰し泣かした罪は重たいぞ?覚悟は確りできてるんだろうな……

 

お前らを…絶対にゆるさねぇ

 

俺たちは新たな決意を胸に、いずれ来る戦いの準備をするのだった

 




どうでしたか?久しぶりに頑張りすぎて気づけば10000字を越えていました。

ツバサ「駄作者…遅い…」

『いや、誠にもう訳ありませんでしたぁぁ!!』orz←ドゲザ

そして、紫さまの実力…予想以上だったのです。あの光輝が数少ない負ける人物だったとは……恐ろしきスキマ妖怪。

ツバサ「あの紫さんですもの。だてに幻想郷 最強なんて言われていませんよ」

『まぁ、それもそうだねさて、次回は戦闘回!……だと思いたいです。』

ツバサ「次は、こんなにも遅く投稿しないでくださいね。……次はありませんから」

『サー、イエッサー!!』

『ゴホン…さてさて、そんなこんなではありますが、また次回お会いしましょう。それでは――』

「『バイバ~イ!』」


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4話 観光

昨日は、大変だったね~……。え?なにが大変だったって?それはね~……あの九重ちゃんと別れた後、藍さんがヤル気満々ならぬ殺る気満々で、それを紫さんと橙と俺の三人で頑張って止めてたの。流石に骨が折れました~(物理的に…)

 

そんなダメージを負いつつも、俺と優子姉さんはイッセーと同じ班なので、天龍寺に来ているのですよ。

 

「おぉ、お主たち、来たようじゃな」

 

……と、天龍寺に着くと九重ちゃんが待っていたのだ。

 

「九重ちゃんだ」

 

「うむ。約束通り、嵐山方面を観光案内してやろうと思うてな」

 

イッセーが九重と会話を交わしていると……

 

「はー、かわいい女の子だな。なんだ、イッセー、おまえ現地でこんなちっこい子をナンパしてたのか?」

 

「……ちっこくてかわいいな……ハァハァ……」

 

イッセーの悪友が変態的な目で九重ちゃんを見ていた。

 

……そして元浜さん。なんでそんなに、人一倍興奮しているのかな?―――あ、そういえばこの人ロリコンさんだったっけ?……絶対に九重ちゃんには近づけさせないでおこう。でないと、さっきから、スキマの中から片目だけを覗かせて殺気を出しながら睨らんでいる藍さんに殺されちゃいそうです。……あ、元浜が冷や汗を滝のように流しだした。

 

そんな事を思っていたら、桐生が元浜を突き飛ばして九重ちゃんに抱きついた。

 

「やーん!かわいい!!何よ、兵藤、どこで出会ったのよ?」

 

「は、放せ!馴れ馴れしいぞ、小娘め!!」

 

抱きついて頬ずりしている眼鏡女生徒――桐生から、九重ちゃんは嫌がって離れようとしている……が、どうも、その行動と言動が桐生を喜ばせるだけみたいだ…。

 

「お姫さま口調で嫌がるなんて、最高だわ!!キャラも完璧じゃないの!」

 

そんな二人を横目に、俺はイッセーに念話を送った。

 

「(イッセー、いまのうちに適当な自己紹介をしなくてはいけませんよ!)」

 

「(わかった。確かにその方がいいな)」

 

俺とイッセーが念話を終えると、イッセーが口を開いた。

 

「こちらは九重。俺やアーシア、それにツバサちゃんや優子ちゃんのちょっとした知り合いなんだ」

 

「九重じゃ、よろしく頼むぞ」

 

イッセーが紹介すると、九重は堂々とした態度で名乗る。

 

「それで、九重。観光案内って、何をしてくれるんだ?」

 

イッセーが訊くと、九重は胸を張って自信満々に答える。

 

「私が一緒に名所へついて回ってやるぞ!」

 

「じゃあ、さっそくこの天龍寺を案内してくれる?」

 

「もちろんじゃ!」

 

俺が頼み込むと、九重は笑顔を輝かせた。

 

――――――――――――――――――――――

 

九重に案内され、天龍寺を回る。

 

一生懸命に京都の町を案内している九重の微笑ましい姿を見ながら、あとをついて行く俺と優子姉さん。

 

その更に後方に、こちらの様子をひたすらジー…っと見ている藍さんと、その付き添いの紫さん。どうやら橙は疲れて紫さんのスキマの中で寝ているようだ。

 

いまは、大方丈裏の庭を見ているが、色づいた秋の山景色と池で泳ぐ鯉がマッチして、実に見事なものだった。さすが京都だねっと思うのでした。

 

「ここの景色はどうじゃ。絶景じゃろ?何せ世界遺産じゃからな」

 

世界遺産だけはある庭をあとに、法堂に案内される。

 

堂内に入ると、そこの天井には――。

 

「でかいね~、ルーツ」

 

『えぇ、大きいわね。』

 

俺はルーツにも聞きながらそんな感想が口から出たのだった。

 

「これは雲龍図。どこから見てもにらんでいるように見える『八方睨み』じゃ」

 

確かに、全角度から見てもにらまれているように見えるね~。おもしろい。

 

あ、そうそう。“睨み”で思い出しとけども、ダラ・アマデュラの睨みは凄かった。人生で初めて睨みが怖いなんて思ったぐらいだもの。……そのあと、つい漏らしちゃったのは、恥ずかしすぎて死にそうだった。更に、涙目になっていたせいか、ダラ・アマデュラさんに逆に心配をかけられる始末…。あれほどの黒歴史があるのだろうか。

 

「さて、九重。次はどこだ?」

 

イッセーが訊くと、九重ちゃんは各方向を指差して楽しそうに言う。

 

「二尊院!竹林の道!常寂光寺!どこでも案内するぞ!!」

 

――あはは♪こりゃ参ったね~。

 

俺は九重の天真爛漫っぷりを見てちょっと笑ってしまった。

 

なんせ、九重ちゃんは心の底から楽しそうにして笑っていたからだ。……昨日まではだいぶん精神が参っていたようだけども、藍さんのおかげで和らいだようだ。

 

そして、後ろをチラッと見ればスキマから嬉しそうな顔で見ている藍さんがいたのだった。それを見た優子姉さんが苦笑していたのは記憶に新しい…。

 

こうして俺たちは九重ちゃんの先導のもと、嵐山観光をすることになった。

 

――――――――――――――――――――――

 

「かなり回ったね~」

 

俺たちはいま九重ちゃんの勧めで、湯豆腐屋で昼食を取っている。

 

軽く息を吐いた俺は、イッセーたちが座っている席の一つ隣にある、二人掛けの席に優子姉さんと座っている。

 

天龍寺のあと、九重の案内で嵐山を見て回った。二尊院に竹林の道を見て回って…竹林の道では、人力車に乗って移動した。運よくペア人数分停まっていたから、全員で移動することができたんだよ。

 

「ほら、ここの湯豆腐は絶品じゃ」

 

隣の席では九重ちゃんが全員に湯豆腐を救って器に入れて渡していた。

 

みんなが湯豆腐を堪能していた。

 

俺も食べてはいたが、隣の優子姉さんは猫舌なので、ハフハフ言いながら頑張って食べていた。たまに熱すぎたのか、顔を赤くしながら涙目になって悶えていた。

 

そんな優子姉さんを介抱しながらも、俺も湯豆腐を堪能していた。……うん、美味しい。

 

「あ、イッセーくん」

 

すると突然、聞き覚えのある声が聞こえてきた。あ、この声は。

 

「おおっ木場か。そういや、今日はおまえのところも嵐山攻めるんだったな」

 

「うん。天龍寺行ってきたのかい?」

 

「ああ、見事な龍が天井にあったぜ」

 

イッセーと木場がそんな話をしていると「秋の嵐山、風流なもんだぜ」とまたまた聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「おう、おまえら、嵐山堪能しているか?」

 

やっぱりアザゼル先生だった。しかも真昼間から日本酒を飲んでるし……

 

「先生!先生も来てたんですか?って、教師が昼酒はいかんでしょう」

 

イッセーが非難すると、「その通りです」と対面の席に座る女性――ロスヴァイセさんが同意する。

 

「その人、私が何度言ってもお酒を止めないんです。生徒の手前、そういう態度は見せてはならないと再三言ってはいるのですが……」

 

ちらりとロスヴァイセ先生の顔を見ると、物凄く嘆息しながら呆れていた。

 

「まぁ、そういうな。嵐山方面を調査した後でのちょっとした休憩だ」

 

――調査ね~。

 

「だがな、ロスヴァイセ。ちったぁ要領良くいかないとよ。そんなだから、男のひとりも出来ないんだぜ?」

 

バンッ!アザゼル先生の一言に真っ赤になってテーブルを叩くロスヴァイセ先生。

 

「か、か、彼氏は関係ないでしょう!バカにしないでください!もう、あなたが飲むぐらいなら私が!!」

 

アザゼル先生の杯を奪って、ぐびっぐびっ……と見事に酒を飲み干したロスヴァイセ先生。……あんなに一気に飲んでも大丈夫なのかな?

 

「ぷはー。……だいたいれすね、あなたはふだんからたいどがダメなんれすよ……」

 

「い、一杯で酔っぱらったのか?」

 

驚くアザゼル先生だが、ロスヴァイセ先生は二杯めの酒を注ぎ、豪快に飲み干した。目の座ったロスヴァイセ先生は、アザゼル先生に絡みだす。

 

「わらしはよっぱらっていやしないのれすよ。だいたいれすね、わらしはおーでぃんのクソジジイのおつきをしてるころから、おさけにつきあっていたりしててれすね。……だんだん、おもいだしてきた。あのジジイ、わらしがたっくさんくろうしてサポートしてあげたのに、やれ、おねえちゃんだ!やれ、さけだ!やれ、おっぱいだって!アホみたいなことをたびさきでいうんれすよ。もうろくしてんじゃないかってはなしれすよ!ヴァルハラのほかのぶしょのひとたちからはクソジジイのかいごヴァルキリーだなんていわれててれすね、やすいおきゅうきんでジジイのみのまわりのせわしてたんれすよ?そのせいれすよ!そのせいでかれしはできないし、かれしはできないし、かれしはできないんれすよぉぉぉぉぉぉ!!うおおおおおおおおおんっ!!!」

 

ロスヴァイセ先生が大号泣して、イッセーたち…いや、俺や優子姉さん、それに原因のアザゼル先生もどうしたらいいのかわからなくなってきた……。

 

そんな中、アザアゼル先生が頭をポリポリとかきながら言う。

 

「わかったわかった。おまえの愚痴に付き合ってやるから、話してみな」

 

アザゼル先生がそう言うと、ロスヴァイセ先生は明るい表情になる。

 

「ほんとうれすか?アザゼルせんせー、いがいにいいところあるじゃないれすか。

 てんいんさーん、おさけ、じゅっぽんついかでー」

 

「………大丈夫なのかな?」

 

『仕方がないわ。ああなっては、全てを吐き出すまで戻らないものよ。巻き込まれる前に早く離れた方がいいわ』

 

ルーツがそう言ってきた。

 

「そういうことだ。おまえら、さっさと食って他に行け。ここは俺が受け持つからよ」

 

イッセーたちが顔を見合わせ、アザゼル先生の言う通りに昼食を急いで平らげる。

 

「ひゃくえんショップ、サイコーれすよー!アハハハハ!」

 

店を出る寸前、酔ったロスヴァイセの爆笑が背後から聞こえてきた。

 

……アザゼル先生、頑張って…。

 

――――――――――――――――――――――

 

店を出た俺達は、次の目的地――渡月橋をめざしていた。

 

それから数分ほど観光街をあるくと目の前に桂川が姿を現した。

 

すぐ目の前には、古風な木造の橋が架かっている。

 

『着いたわ。渡月橋!』

 

「着いたねぇ~、ルーツ、優子姉さん」

 

「えぇ、着いたようね」

 

そんな、会話をしているなか、橋を渡る寸前でイッセーたちの会話が盛り上がりだした。

 

「知ってる?渡月橋って渡りきるまでうしろを振り返っちゃいけないらしいわよ」

 

「なんでですか?」

 

「それはね、アーシア。渡月橋を渡っているときに振り返ると授かった知恵が全て返ってしまうらしいのよ。エロ三人組は振り返ったら終わりね。真の救いようのないバカになるわ」

 

「「「うるせえよ!」」」

 

「あと、もうひとつ。振り返ると、男女が別れるって言い伝えもあるそうね。まぁ、こちらはジンクスに近いって話だけど――」

 

「絶対に振り返りませんから!」

 

桐生の説明を遮って、アーシアが涙目でイッセーの腕にしがみついた。

 

ぎゅっ。

 

――すると、右隣から誰かが引っ付いてきた。……いや、誰かじゃないよね、一人しかいないし………で?

 

「何してるの?――優子姉さん」

 

俺は右腕にしがみついている優子姉さんに訊いた。

 

「だ、だって振り替えると男女が別れるのでしょう?それって、別に恋人同士じゃなく、家族にも言える事だと私は思うのよ。私は、絶対につーくんと離れたくないわ!……絶対に、死ぬまで――いや、死んでも永遠に家族でいるんだから!」

 

優子姉さんはそんな事を言った。……うれしいんだけどね?――そのぉ~、もうちょっと人目の無いところで言って欲しかったなぁ~なんて思ったりしちゃった。

 

――だって、むちゃくちゃ回りがみているんですもの。

 

「気にせんでいいと思うのじゃが……。男女の話は噂に過ぎんのじゃ」

 

九重ちゃんはそう言ったが、優子姉さんも、イッセーにしがみついたアーシア達も離れなかった。

 

俺はそんな様子を見ながら苦笑していると、無事に渡りきることができて、対岸に到着した。くっついていた優子姉さんは、パッと腕から離れてくれた。

 

 帰りはどうしようかな?

 

俺は帰りの渡月橋を渡ることを考えていると―――

 

「――っ!!」

 

俺は嫌な予感を察知し、全員に呼び掛けようとした

 

「みんな――」

 

俺の声が届く前に、全身を生暖かい感覚が襲った――。



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5話 英雄派 襲撃

俺達はいま、謎の結界内に入ってしまった。

 

「――こ、この霧は…」

 

イッセーが不思議そうに霧を眺めていたので俺はそれの説明をしようと思いイッセーに近づいた。

 

「イッセー、それはおそらく『絶霧(ディメイション・ロスト)』の結界でしょうね。ざっくり言いますと、閉じ込められたようです」

 

俺の言葉に驚くイッセーたち。すると、空から羽音が聞こえてきた。

 

「おまえら、無事か?」

 

宙からの声。そこには黒い翼を羽ばたかせているアザゼルがホバリングしていた。

 

すぐに着地するアザゼル。翼をしまいながら言った。

 

「俺たち以外の存在はこの周辺からキレイさっぱり消えちまってる。俺たちだけ別空間に強制的に転移させられて閉じ込められたと思って間違いないだろう。……この様子だと、渡月橋周辺と全く同じ風景をトレースして作り出した別空間に転移させたのか?」

 

「うん、アザゼルの言う通りですね…。空間自体遮断されていて、外とは連絡が取れないみたいだよ…

 さっきから光輝兄さん達に連絡がとれないや…」

 

俺は地球連邦軍が使う小型の耳に付ける通信機を使うが、うんともすんともいわない。完全に外と遮断してあるのだろう。

 

――でも、光輝兄さん達の事だ…。俺が消えた事はわかっているんだろうなぁ~。今頃探していたりして~。まぁ、流石にないかな?

 

でもさぁ~、確かに通信機は使えないけれどもなぁ~……。結界としてはなんだかな~。

 

それにしても、この程度が結界なの?……はぁ、バカじゃないのかな~これ。この程度が結界なんなら、俺の見てきた他の結界はどうなっちゃうんだろうね~。

 

「ここを形作っているのは悪魔の作るゲームフィールドの空間と同じものですか?」

 

俺が別の考えをしていたらイッセーがアザゼルに訊いていた。

 

「あぁ、三大勢力の技術は流れているだろうからな。これはゲームフィールドの作り方を応用したんだろう。――で、霧の力でこのトレースフィールドに転移させたというわけだ。 『絶霧(ディメイション・ロスト)』の霧は包み込んだものを他の場所に転移させることができるからな。…ほとんどアクション無しで俺とおまえたちを全員転移させるとは……。神滅具(ロンギヌス)はこれだから怖いもんだぜ」

 

と、アザゼルは言った。

 

イッセーの横にいる九重が震える口を開く。

 

「……亡くなった母上の護衛が死ぬ間際に口にしておった。気づいた時には霧に包まれていた、と」

 

俺が九重ちゃんの言葉を聞いていたら、不意に気配を感じた。

 

俺は気配を感じ取った瞬間に、イッセーたちの前に出た。

 

その気配の持ち主は渡月橋のほうから出現する。薄い霧のなかから複数の気配と共に複数の人影が近づいてきて、俺たちの前に姿を現す。

 

「はじめまして、アザゼル総督、赤龍帝。そして、結城 翼」

 

俺たちの名前を呼んで挨拶してくれた者は――学服を着た黒髪の青年だ。

 

その学服の上から漢服を羽織っている。しかも、そいつの手には槍――最悪の代物を持っている。

 

その青年の周囲には似た学服をきた若い男女が複数人いる。歳は俺たちとさほどの差はない……ざっと同年だとみる。

 

アザゼルが一歩前に出て訊く。

 

「おまえが噂の英雄派を仕切ってる男か」

 

アザゼルの問いに中心の青年が肩に槍の柄をトントンしながら答える。

 

「曹操と名乗っている。三国志で有名な曹操の子孫だ。――いちおうね」

 

――やっぱり…。『禍の団(カオス・ブリゲード)』の“英雄派”の連中を仕切っている、曹操じゃん…。

 

「みんな、気をつけてね~。アイツがもっているぶきは、神をも貫き殺すことができる神滅具(ロンギヌス)最強の槍…『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』だからさぁ~。特に、イッセーとかには大ダメージ必須だよ~。なんせ、聖なる力も凄いからね~。」

 

『――っ!!』

 

俺の言葉にイッセーたちが酷く狼狽していた。

 

「あれが天界のセラフの方々が恐れている聖槍……っ!」

 

イリナが口元を震わせて言う。ゼノヴィアも低い声で言った。

 

「私も幼い頃から教え込まれたよ。イエスを貫いた槍。イエスの血で濡れた槍。――神を貫ける絶対の槍っ!」

 

「あれが聖槍……」

 

『見てはダメよッ!』

 

「見ちゃダメだよ…アーシア…。帰れなくなるからね…」

 

うつろな双眸で聖槍を見つめるアーシアに、ルーツが警告して、俺がアーシアの無意識を操り聖槍から視線を外して俺の後ろに立たした。

 

すると、バッとアザゼルがアーシアの両目を素早く手で隠した。

 

「アーシア。信仰のある者はあの槍をあまり強く見つめるな。心を持っていかれるぞ。聖十字架、聖杯、聖骸布、聖釘と並ぶ聖遺物(レリック)のひとつでもあるからな」

 

そう、これはとても危険な代物…。信仰が深ければ深いほど、聖遺物はその者の精神を飲み込んでゆく…

 

え?俺は大丈夫なのかって?――ふん。あんな程度の聖槍で精神が飲み込まれるほど柔な体と精神をしていませんよ!

 

あの程度の聖槍で呑み込まれては、伝説と呼ばれる武具たちを扱うことなんか、できるわけありませんもの。

 

すると、九重が憤怒の形相で曹操に叫ぶ。

 

「貴様!ひとつ訊くぞ!!」

 

「これはこれは小さな姫君。なんでしょう?この私ごときでよろしければ、なんなりとお答えしましょう」

 

曹操の声音は平然としているが、明らかに何かを知っているふうな口調だ。

 

「母上をさらったのはお主たちか!」

 

「左様で」

 

「母上をどうするつもりじゃ!」

 

「お母上には我々の実験にお付き合いしていただくのですよ」

 

「実験?お主たち、何を考えておる?」

 

「スポンサーの要望を叶えるため、と言うのが建前かな」

 

それを聞き、九重は歯を剥き出しにして激怒している。目にはうっすらと涙が溜まっていた。悔しいのだろう……母親をさらわれた上に、実験に利用されそうなのだから…。

 

――それに、俺の怒りもまた溜まっちゃったじゃないか♪

 

「スポンサー……。オーフィスのことか?それで突然こちらに顔を見せたのはどういうことだ?」

 

アザゼルが問い詰める。

 

「いえ、隠れる必要も無くなったもので実験の前にあいさつと共に少し手合わせをしておこうと思いましてね。俺もアザゼル総督と噂の赤龍帝殿と『黒き疾風の破壊者』にお会いしたかったのですよ」

 

アザゼルは手元に光の槍を出現させる。

 

「わかりやすくてけっこう。九尾の御大将を返してもらおうか。こちとら妖怪との協力提携を成功させたいんでね」

 

アザゼルが戦闘体勢をとった瞬間に、全員が戦闘体勢に入った。

 

俺は、光輝兄さんの事が気になり転移しようとして…

 

「転移魔法…リレミト!」

 

だが、魔法は発動しなかった……

 

「無駄ですよ。ゲオルクの創ったこの空間では、こちら以外の転移系のものはすべて使えませんからね」

 

……む?そうなのか?――なら…

 

「転移系の“魔法”じゃなければいいんだね?」

 

「それはどういu――」

 

ブゥゥン!

 

俺は曹操が何かを言い切る前に、目の前の空中にスキマを開いた。

 

「―――は?」

 

「んじゃ!ちょっと外を見てくるね?」

 

俺はスキマの中に入り…

 

「――ちょっとm……」

 

そのまま外に出たのだった。

 

―side out―

 

―アザゼル side―

 

俺達はいま、物凄く面倒な事に巻き込まれていた。

 

とうとう、今回の黒幕である『禍の団(カオス・ブリゲード)』の英雄派の連中が動きだし、俺達を結界内に閉じ込めたんだ。

 

そこで、英雄派を仕切る曹操と名乗る奴と対面していたんだがぁ…

 

「な…なんなんだあの子は………神滅具(ロンギヌス)である『絶霧(ディメイション・ロスト)』の結界をこうも簡単に脱出するなんて…あ、あり得ないぞ…」

 

そう、さっきまでいた結城 翼が空中に謎のスキマを開いたと思えばそこに入りそのまま消えたのだった。『外にちょっと行ってくるね~』なんて言っているかぎり、此方には直ぐに戻って来るのだろう。

 

ましてや、ツバサ――いや、結城家の人間には常識というのは通用しない…。何故なら、奴等は不可能はないと言われるほどの“非常識”ならぬ“異常識”をやってくるので、どうせここの結界も“この程度が結界なの?……はぁ、バカじゃないの?”なんて思っているのだろう。

 

そんな事を思っていたら、またスキマが出てきて、そこからツバサが落ちてきた。

 

スタン…

 

「ただいまぁ~。外の様子を見てきたよ~」

 

どうやら本当にちょっと見てくるだけだったようだ。

 

「どうだったんだ?」

 

俺がツバサに聞くと……

 

「うん。なんか戦っていたよ?」

 

ツバサがそう言ったとたん、曹操が割り込んできた。

 

「そうだろう。こちらも、向こう側にも我ら英雄派の戦闘兵を送り込んでいるのでね。いまごろは――」

 

「いや、なんか全滅してたよ?あの“雑魚兵”ども」

 

曹操が言い切る前に、ツバサはとんでもないことを言い切った。

 

「―――は?……な、なんだと!?そんなバカな!奴等は俺たち程ではなくても、英雄派の中では禁手化(バランス・ブレイク)をしているエリート達だぞ!そんな奴等が送り込んでから十分もたってないのに――」

 

「だって、そもそもあんな程度の奴に俺の部下が殺られるわけないじゃん。ましてや、今回俺と一緒に来ていた奴は、俺の部隊の中でも最強の部隊と呼ばれている『伝説の7人衆』と呼ばれている内のひとり。二つ名は『砂の覇王』なんて呼ばれているね~。ちなみにだけど、その人は見た目は人だけどね?――とある古龍種の龍と人との間に生まれた半人半龍なのですよ。

だからね?それを含めて全ての実力が違うあなた方程度に殺られるほど…、甘くはないのですよ?

――――――英雄様?♪」

 

―――と、ツバサは挑発するように曹操に言った。

 

本当に、人をわざと怒らせて、冷静な判断をさせないのが上手いんだよな…こいつは…

 

―side out―

 

―ツバサ side―

 

俺は、さっき曹操を怒らせるような事をしてみたが、曹操は少し眉を上げるが何時もの冷静な顔になった。

 

――むぅ~、この人以外と冷静な人なんだね~。あまり効果はないようだ。……でもまぁ~、内心ではかなりイラついているようだし?――成功なのかな?

 

――すると、曹操の横に少年が並ぶ。曹操がその少年に話しかけた。

 

「レオナルド、悪魔用のアンチモンスターを頼む」

 

それだけを頼むと、少年表情もなく、コクリと小さくうなずいた。――途端。少年の足下に影が現れて広がる。

 

影はさらに広がり、渡月橋を包むほどになる。すると、その影が盛り上がり、形を成していく――。

 

腕や、足や、頭が形成されていき、目玉生まれ、口が大きく避けた。その異形は百を優に超している。

 

「ギュ」

 

「ギャッ!」

 

「ゴガッ!」

 

耳障りな声と共に、そいつらは影から現れた。

 

全身は黒くてぶっとく、二本足で立っている。肉厚な上に、爪は鋭く、牙はむき出しで、大きさはざっと三メートル越えがザラリといる。

 

アザゼルがつぶやいた。

 

「魔獣創造(アナイアレイション・メイカー)か!?」

 

曹操がアザゼルの言葉に笑んだ。

 

「ご名答。そう、その子が持つ神器(セイクリッドギア)は『神滅具(セイクリッドギア)』のひとつ。俺が持つ『黄昏の聖槍(トゥルーロンギヌス)』とは別の意味で危険視されし、最悪の神器(セイクリッドギア)だ」

 

イッセーがちんぷんかんぷんのようで、見かねたアザゼルが説明を始めた。

 

「あの男児が持っている神器(セイクリッドギア)はおまえのと同じ『神滅具(ロンギヌス)』だ。神滅具(ロンギヌス)は現時点で確認されているもので十三……いや、もしかしたら増えるかもしれない――。それと、グリゴリにも神滅具(ロンギヌス)の協力者がいるが……。その神滅具(ロンギヌス)の中でもあの神器(セイクリッドギア)の性質――能力が赤龍帝の籠手や白龍皇の光翼よりも凶悪なんだよ」

 

「お、俺のよりも強いんスか?」

 

「直接的な威力ならおまえとヴァーリの神器(セイクリッドギア)のほうが遥かに上だ。ただ、能力がな……。祐斗の『魔剣創造(ソード・バース)』、あれはいかなる魔剣も創り出せる能力だった。それはわかるな?」

 

「は、はい」

 

「『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』がそれと同様だ。いかなる魔獣も創りだすことができる。自分の意志でこの世に生みだすことができる。自分の想像力で好きな怪物を創りだせるとしたら、最悪極まりないだろう?そういう能力だ。使い手しだいじゃ、一気にそんなバケモノを数十、数百の規模で創りだせるんだよ。『絶霧(ディメイション・ロスト)』と並ぶ、神器(セイクリッドギア)。システムのバグが生んだ最悪の結果とも言われている。『絶霧(ディメイション・ロスト)』も能力者しだいでは危険極まりない。霧を国家規模に発生させて、国民すべてを別次元――次元の狭間辺りに送り込めば一瞬で国ひとつ滅ぼすことなんてことも可能だろうからな」

 

「どっちも世界的にヤバい神器(セイクリッド・ギア)じゃないですか!」

 

イッセーの言葉にアザゼルが苦笑した。

 

「まぁ、いまのところ、どちらもそこまでの事件は前例がない。何度か危ない時代はあったけどな。しかし、『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』、『絶霧(ディメイション・ロスト)』、『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』。……神滅具の上位クラス四つのうち、三つも保有か。それらの所有者は本来、生まれた瞬間に俺のところか、天界か、悪魔サイドが監視態勢に入るんだが……。二十年弱、俺たちが気づかずにいたってのか……。」

 

アザゼルが忌々しそうに曹操達の方を見ていて、固まった。

 

―――何故なら…

 

「へぇ~、これが『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』ですかぁ~。……確かに随分と聖なる力をもっていますよね~」

 

俺が曹操の手元に握っていた神滅具(ロンギヌス)を持って触っていたからだ。

 

「……ん?―――ッ!?返せ!」

 

曹操がこっちに手を伸ばしてきたので…

 

「はい。どうぞ?あ、あと見せてくれてありがとうございました、曹操さん♪」

 

俺が曹操に頭を下げながら丁寧に返すと…

 

「あ、いやいや、それはどうも…………って、なにしてんだ!」

 

曹操は釣られて頭を下げながら、俺から丁寧にロンギヌスを持つが、意識が戻ってきてロンギヌスをこっちに横凪ぎに振ってきた。

 

「よっと~……むぅ~、いきなり危ないじゃないですか~。あんまりカッカしていると、ストレスで剥げちゃいますよ?」

 

俺がそう言うと、曹操からブチッと音がしたが、曹操は咳をゴホンと吐いて肩にまた、トントンと聖槍で叩いていた。

 

「なぁ~んだ。怒らないのか~。折角わざと珍しく俺が挑発してたのになぁ~。……つまらないよまったく~」

 

シュン…

 

俺は、静かにそして一瞬でアザゼル達の所に戻った。

 

「……何か、現世に限って因果関係があるのか? もともとの神滅具(ロンギヌス)自体が神器(セイクリッドギア)システムのバグ、エラーの類と言われているからな……。ここにきてそれらの因果律が所持者を含めて独自のうねりを見せて、俺たちの予想の外側に行ったとかか? それはカンベン願いたいところだが……、イッセーの成長を見ていると、現世の神滅具(ロンギヌス)全体に変調が起き始めていると感じてしまっても不思議はないな……。バグ、エラーの変化、いや、進化か? どちらにしろ、神器(セイクリッドギア)研究や神器(セイクリッドギア)システムを司っているわりに俺も含め、お互い甘いよな、ミカエル、サーゼクス」

 

アザゼルが自問自答を始めていた。……この人の自問自答は一度でも始まると長いからなぁ~…。

 

「先生、その凶悪神器(セイクリッドギア)の弱点は?」

 

すると、イッセーがアザゼルに質問してきた。

 

そのおかげで、アザゼルが自分の世界から帰ってきた。

 

「本体狙いだ。――まぁ、本人自体が強い場合もあるが………そこのツバサを含めた結城家の兄弟姉妹とその部隊の連中がまさにいい例だな。――それでも、神器(セイクリッドギア)の凶悪さほどじゃないだろう。それに『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』は現所持者がまだ成長段階であろうってのも大きい。やれるならとっくに各勢力の拠点に怪獣クラスを送り込めているはずだからな。――倒すなら成熟していない今だ」

 

アザゼルがそう言いきった。

 

確かに、アザゼルの言う通り、いまの所持者はまだ子供。だから、いろんな意味で成熟していないからいまのうちに芽を取っておくのがいいことだろう。

 

――でも、そう簡単にいかないのが、世の中なんだよね~。

 

すると、曹操が作り出したモンスターに近づきながら喋りだした。

 

「あららら。なんとなく『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』を把握された感があるな。その通りですよ、堕天使の総督殿。この子には過去の所持者ように、まだそこまでの生産力と想像力がない。――ただ、ひとつの方面には大変優れていましてね相手の弱点をつく魔物――アンチモンスターを生み出す力に特化しているんだな、これが。いま出したモンスターは対悪魔用のアンチモンスターだ」

 

曹操が手を――フィールドに存在する店の一つに向けた。

 

ビィィィィィィィィッ!

 

一条の光線が放たれた刹那――。

 

ドオオオォォォォォンッ!!

 

店が吹き飛び、強烈な爆発を起こした。

 

「光の攻撃ね~――これは対悪魔様のモンスターかな?」

 

俺がそう言うと、アザゼルは何かに気づいたように総督を睨み付けた。

 

「曹操、貴様!各陣営の主要機関に刺客を送ってきたのは、俺たちのアンチモンスターを創りだすデータをそろえるためか!」

 

爆風の中、アザゼルが怒鳴り散らしながら叫んだ。

 

「半分正解かな。送り込んだ神器(セイクリッド・ギア)所有者と共に黒い兵隊もいただろう?あれはこの子が創った魔物だ。あれを通じて各陣営、天使、堕天使、悪魔、ドラゴン、各神話の神々の攻撃をあえて受け続けた。雑魚一掃のために強力な攻撃も食らったが、おかげでこの子の神器(セイクリッドギア)にとって有益な情報を得られた。」

 

「――あの黒い怪人でデータを収集していたのか!」

 

なるほどね…。だから、毎回五,六人はあの変な黒い怪人がいたのね。

 

「禁手(バランス・ブレイカー)使いを増やしつつ、アンチモンスターの構築もおこなった。おかげで悪魔、天使、ドラゴンなど、メジャーな存在のアンチモンスターは創れるようになった。――悪魔のアンチモンスターが最大で放てる光は中級天使の光力に匹敵する」

 

なるほどね~…。神器(セイクリッドギア)所持者の禁手(バランス・ブレイカー)使いを増やすのと同時にアンチモンスターを創りだすためのデータを収集していたんだね。

 

……それにしても、まさかそこまでのアンチモンスターを創りだしていたんだ。でも――。

 

憎々しげに睨むアザゼルだが、一転して笑みを作り出した。

 

「だが、曹操。神殺しの魔物だけは創りだせていないようだな?」

 

「…………」

 

アザゼルの一言に曹操は反論はしなかった。

 

「どうしてわかるんですか?」

 

イッセーが訊くとアザゼルはにやけながら答える。

 

「やれるならとっくにやってる。こうやって俺たちに差し向けてくるぐらいはな。各陣営に同時攻撃ができた連中がそれを試さないわけがない。それに各神話の神が殺されたら、この世界に影響が出てもおかしくないものな。――まだ、神殺しの魔物は生み出せていない。これがわかっただけでも収穫はデカい。

 ましてや、もしも俺らと同じ戦力を潰すなら、真っ先に潰す所がある。それは―――」

 

すると、アザゼルが俺の方を見てきて指をさした。

 

「ツバサが所属する部隊――“人間代表”でもある。“地球連邦軍”だ。

 この部隊は文字通り世界最強の軍隊だ。コイツらだけで最早一つの国として数えられているんだからよ。何処にも所属せず、何処にも味方せず、常に中立をもって世界平和のためだけに動いているまさに“世界の警察”だな。

 現に、コイツらの誰かが一度でも戦場で姿が見えると、何年も何十年も内戦をしていた国同士が一瞬で和平を結ぶほど危険視されている……と、光輝から聞いたことがあったからな。

 だからこそ、人間界でもっとも戦力を持っている“地球連邦軍”を真っ先に潰すことをまず俺はするな。」

 

そんなアザゼルの言葉に曹操は黙っていた。

 

「……確かに、最初はそう思った。だからこそ、俺は真っ先に地球連邦軍を潰すために先行部隊と“対人間”様のアンチモンスターを――500も送り込んださ。……でも、帰ってきた通達は……“全滅”だった。精鋭の神器所持者とアンチモンスターを合わせて500もの部隊が、たった一夜で全滅だ。――しかも、地球連邦軍には全くダメージがない状態でな…。

 だから、俺はまず神器所持者の禁手(バランスブレイカー)の使いを増やすのと同時にアンチモンスターの強化の為にデータを収集することを始めたんだよ。それに―――」

 

すると曹操は聖槍の切っ先をこちらに向けた。

 

「神はこの槍で屠るさ。さ、戦闘だ。――始めよう」

 

それが開戦の言葉となった――。

 

『ゴガァァァァァッ!!』

 

一斉に襲ってくるアンチモンスター達。それをイッセー達が向かいたった。

 

「曹操、おまえは俺がやらしてもらおうか!」

 

アザゼルが龍玉――ファーブニルの宝玉を取り出して、素早く人工神器(セイクリッドギア)の黄金の鎧を身にまとって、十二枚の黒い翼を展開すると、高速で曹操に向かっていく。

 

「これは光栄の極み!聖書に記されし、かの堕天使総督が俺と戦ってくれるとは!」

 

曹操は桂川の岸に降り立つと、不気味な笑みで槍を構え――槍の先端が開き、光り輝く金色のオーラが刃を形作る。

 

「さぁ~てと……俺も魔物狩りへといっちょ暴れますかねぇ~」

 

俺は右手に“妖刀・『村雨』”を持って魔物の中へと駆け寄った。




どうでしたか?今回は久しぶりの活躍?なのですよ。

さてさて、始まりました戦闘シーン。今回はツバサちゃんは、ちょっとはっちゃけちゃいました。

ツバサ「うん。だって、最近はお兄ちゃんがお仕事で暴れすぎたせいでイライラしてたのに、この修学旅行で思いっきり楽しんで、このイライラを発散しようとしたら、また面倒事に巻き込まれて、あいつらバカのせいでまたイライラが溜まっちゃったんだもん。
―――溜まったものは確りと吐き出さないとね~」

あ、そうだったんだ…。

さて、今回もチートなツバサちゃん。あの『絶霧(ディメイション・ロスト)』ですら、『なんだ…この程度の結界ですか…』なんて程度で終わらしました。流石ですね~。

ツバサ「ふふ、まぁ~ねぇ~。あんな程度の結界ごときに俺が捕まるわけないもの。俺を結界で捕まえられる人なんて、ナツル姉さんと霊夢と紫さんの三人だけだもん。……まぁ、この3人は本当に結界や封印系の事には強くて、最早チートだよねあれ…。本気で抜け出せたことが一度もないんだもの…。あんなの無理だよ、絶対無理!」

そ…そんなになんだ…あの3人の結界って…。

「そうだよ?霊夢は博麗の巫女としての才能が恐ろしくピカ一で結界系は最強の一言だし、紫さんはそんな霊夢を育てた張本人だし、ナツル姉さんは魔法関係は俺たち結城家の中でも一番強いもの。だから、結界封印系の魔法はナツル姉さんの十八番でもあるしね。
 そんな3人に扱かれた俺は、嫌でも結界・封印系が上手くなるよ…」

なるほどね~。だから、結界・封印系は強いんだね。

ツバサ「うん。それに、修行相手には、光輝兄さんやレイジ兄さんの様に“結界?なにそれおいしいの?”って言うみたいに簡単に破壊したり切り裂いたりしてくる馬鹿げた常識外れの人がいたからね。そんな人たちに対抗するために強化と新たに創るのを繰り返していたら、光輝兄さんやレイジ兄さんの能力等による攻撃耐えられる、文字通り“最強”の結界が出来ちゃったってわけなの。――強度と耐久力なら誰にも負けないよ?」

――うわぁ~……ナニソレコワイ…。そんなの無理じゃん。あの二人の攻撃(能力付き)を防ぐとか…突破できないじゃんか…。

ツバサ「……まぁ~、そうだね。その事に関しては、感謝してるけどね~」

そうなんだ。……さて、次回は戦闘の続きです。このツバサちゃんがどんな活躍を見せるのか!それとも見せないのか!乞うご期待です!

ツバサ「ちゃんと、書いてよね。……じゃないとオシオキダヨ?」

――サー、イエッサー!!

ツバサ「……まぁ、もう時間だしここで終わろっか?」

そ、そうだね…ゴホン。それでは、皆様。また次回でお会いしましょう!

ツバサ&作者「「バイバ~イ♪」」


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6話 ツバサVS英雄派

これを始めてから100話目。明後日でこの作品を作ってから一年ですよ。時が経つのは早いですね~。

そして、お気に入り件数がなんと581件も!本当に、この作品を見てくださっている皆さま方には感謝しきれません!本当にありがとうございます!!

さて、今回は戦闘シーンでございます。……主人公、ツバサちゃんはどのような仕事をしてくれるのでしょうか。

前置きは置いておいて――さぁ、どうぞ……


    ゆっくりしていってね♪


俺達はいま、英雄派の人達とたたかっている。

 

俺やイッセーといった大火力メンバーは前衛で戦っている。

 

そんな俺だが、日本刀であり、妖刀の『村雨』を持って敵を凪ぎ払っていた。

 

「一刀流――“紫電”」

 

バチチチ!!

 

刀から放射線に紫色の電撃が飛び目の前の敵を焼き払う。

 

「一の太刀……鳴神!」

 

ゴロロ……ピシャン!――ズガガガガ!

 

俺は今度は刀を天に上げて電撃を放ち、空から雷を落とす。

 

『ギャァァァ!?』

 

ドガァァァン!

 

盛大な爆発とともに敵は吹っ飛んだ。

 

「……むぅ…敵が以外と多いいな…。少し面倒だ…」

 

ざっと見積もっても、あと百人位はいると思う。

 

「…………こうなれば、二刀流でいくか…」

 

俺は、右手に『村雨』を持って、空いた左手はスキマから妖刀『村正』を取り出した。

 

「二刀流一式――“紫電双雷斬”!」

 

これは、二刀に紫色の雷を纏いて、それを二刀同時に振って雷の斬撃を飛ばす技だ。

 

雷の斬撃は綺麗な三日月の様な形で敵を切り裂いていく。威力は弱めており、殺傷能力は低く触れて気絶する程度だ。

 

「――ふぅ~、あらかたこっちの敵は片付いたかな?……さて、他の人達は大丈夫かな?」

 

俺が後ろを向くと…

 

イッセーのもとに襲来する複数の影――制服姿の女生徒が数名いた…。

 

さっきから気になっていたんだけれども、どうも、曹操たちが着ている制服は英雄派のユニホームらしい。

 

「赤龍帝の相手は私たちがします!」

 

そう言いながら槍や剣を携えた数名がイッセーに突貫していく。

 

「――っ。やめておけ、女性では赤龍帝に勝てないよ!」

 

腰に何本も剣――魔のオーラをまとっているのを帯剣している白髪の優男が叫ぶ。

 

……てか、あれ全部魔剣なの?……へぇ~。あんなに魔剣を扱う人って、地球連邦軍のメンバー以外で初めて見たかも…。中々の潜在能力ですね~。

 

「『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』ッッ!!」

 

バババッ!!と、女生徒の服が弾け飛ぶ音が聞こえてきた。

 

そっちの方向に向くと、なにか変な決めポーズ?らしき事をしているイッセーが全裸になって大切な所を隠している女性の前で立っていた。

 

「い、いやぁあああああああっ!!!」

 

「魔術で施させた服が……まるで役に立たないなんて!!」

 

女生徒たちは悲鳴をあげて、力強く自身の裸体を手で隠している。そして、そのまま素早く近くの家屋に逃げ込んでいった。

 

「さ、最低な技じゃな。こんなに酷い技を見たのは生まれて初めてじゃぞ……」

 

九重がイッセーの技に呆れていた。……うん、俺もそう思う。あとで、優子姉さんにお説教くらいそうだね。

 

俺は女生徒が逃げる際に放棄していった武器を、村雨と村正を使い粉々に破壊し切り裂いた。

 

「やはり、女では赤龍帝に勝てない上に、結城翼の実力は未知数だな……なかなか厳しいね。さすがだよ、おっぱいドラゴンと“黒き疾風の破壊者”」

 

優男はにっこり微笑んだあと、他の英雄派メンバーに言う。

 

「皆も気をつけてほしい。彼ら二人は赤龍帝と地球連邦軍。赤龍帝のほうは歴代でも最も才能がなく、力も足りないが――。その強大な力に溺れず、使いこなそうとする危険な赤龍帝だよ。対して、結城翼のほうは仲間を守り、気にしながらも引くことがなく、強大な力を未だに隠し持っているほどだ――。二人は強大な力を持ちながら、その力に過信しない者ほど、恐ろしいものはないね。あまり手を抜かないように」

 

……手を抜かないようにって、いままで抜いていたのか…。

 

「……敵にそんなことを言われるなんてな」

 

イッセーが若干照れているように見えた。

 

「そうかな?キミはキミが思っている以上に現赤龍帝の存在は危険視されているに値するものだと認識しているけどね。同様にキミの仲間の眷属と――ヴァーリも」

 

「ふぅ~ん。……じゃ~俺は?」

 

俺が聞くと、優男は苦笑しながら答えた。

 

「……キミとキミのご兄姉たちとその仲間の地球連邦軍は常にランクアップしているよ。その力を周囲の状況に合わせて調整しながらふるう……そんな芸当は普通しないものだよ。……まぁ、君の所の長男はその力故に、結構いろんな物を破壊しているらしいけれどね」

 

さすがに見抜かれていたようだ、まぁ、当たり前か。俺は警戒を高めるようにしようかな。……てか、優男さんの言う通り、光輝兄さんは一度暴れると手加減しないから普通以上の被害が出て、それを片付けるのが俺達のもう一つの仕事でもあるんだよね~。特殊部隊の活動はたまに戦う光輝兄さんの後片付けのせいで最低でも三日は仕事が出来なくなるのよね~。――はぁ~。

 

俺が内心で深いため息をしていると、優男が動きだした。

 

「さて、僕もやろうかな」

 

優男が帯刀している剣を解き放ちながら一歩前に出てきた。

 

「初めまして、グレモリー眷属と地球連邦軍のおふた方。僕は英雄シグルドの末裔、ジーク。仲間は『ジークフリート』と呼ぶけど、ま、そちらも好きなように呼んでくれてかまわないよ」

 

白髪の青年――ジークフリート…また厄介な奴が出てきたね~。……そういえば、ジークさんとクーフーリンさんは元気にしているかな?俺が“椿”になってあのエロ悪魔に捕まってた時に助けに来てくれていたみたいだけれども、あの時けっきょく会わなかったんだよね~。……また今度、アルトリアさんを含めた十人の騎士の皆さんとゆっくりお茶をしたいなぁ~。

 

「……どこかで見覚えがあると思っていたが、やはり、そうなのか?」

 

ゼノヴィアの言葉にイリナがうなずく。

 

なんだかボーッとしてたうちに話が進んでいたようだ。

 

「えぇ、だと思うわ。あの腰に帯刀している複数の魔剣から考えて絶対にそう」

 

イリナの言葉を聞き、優子姉さんがジークフリートに問うた。

 

「……ジークフリート、あなたは教会の戦士『魔帝(カオスエッジ)ジーク』なの?」

 

それを聞いたジークフリートは、目を細めて答えた。

 

「そうですよ。光栄です……結城家の人に知ってもらえていて」

 

イッセーが「誰?」的な表情をしていたので、説明してあげた。

 

「イッセー、説明するからよく聞いてね?……。

ジークフリートは悪魔祓い――つまりゼノヴィアとイリナ、アリアさんの元同胞だよ。カトリック、プロテスタント、正教会を含め、トップクラスの戦士だったそうだね。俺が聖女として活躍していた頃だったかな、正教会に出入りしていたときにたまたま耳にしてね…。まさか、『禍の団(カオス・ブリゲード)』に所属している事は、少し調べればすぐ出てきたから、この人が最初から誰かは知っていたけどね。」

 

俺の説明に驚きと納得の表情をしたイッセー。

 

「ジークさん!あなた、教会を――天界を裏切ったの!?」

 

イリナが叫ぶ。ジークフリートは口の端を釣り上げた。

 

「裏切ったってことになるかな。現在、『禍の団(カオス・ブリゲード)』に所属しているからね」

 

「……なんてことを!教会を裏切って悪の組織に身を置くなんて万死に値しちゃうわ!」

 

「……少し耳が痛いな」

 

ゼノヴィアは頬をかいていた。もとは教会側の戦士だった彼女だが、破れかぶれで悪魔に転生しているからね~…。

 

クスクスと小さく笑うジークフリート。

 

「いいじゃないか。僕がいなくなったところで教会にはまだ最強の戦士が残っているよ。 あの人だけで僕とデュランダル使いのゼノヴィアの分も十分に補えるだろうし。案外、あの人は『御使い(ブレイブ・セイント)』のジョーカー候補なんじゃないかな?――と、紹介も終わったところで剣士同士やろうじゃないか。デュランダルのゼノヴィア、天使長ミカエルのA(エース)――紫藤イリナ、そして聖魔剣の木場祐斗」

 

元教会関係者だった三人に宣戦布告するジークフリートは、手に持つ剣――魔剣にオーラをまとわせる。

 

「また厄介な代物を握っているようだね……『魔帝剣グラム』」

 

俺の言葉に思い出した様子の祐斗とイッセーとゼノヴィア。

 

「――そういえば、伝説の武器などを創造できる能力をお持ちだそうですね」

 

「そうだよ~。俺の能力は伝説の武器をも創りだせるのデ~ス。……それにしても、よく調べたよね。俺はお話してなかったのにね~」

 

「それはもちろん。敵の情報を知ることは何よりも大きな武器となりますから」

 

「ふぅ~ん。まぁ、その事に関しては、わかるけどね」

 

ジークフリートの問いに答えた俺。

 

ガギィィィィィィンッ!!

 

その瞬間、聖魔剣を真正面から受けるジークフリートと聖魔剣を振る祐斗。

 

目の前で、剣同士の戦いが始まっているなか、俺はアンチモンスター達を見つめていた。

 

「……ねぇ、イッセー」

 

「な、なに?ツバサちゃん」

 

「みんなに伝えて……いまから巨大な技を出すから俺の後ろにある結界の中まで後退してって…」

 

「わ、わかった!」

 

そう返事をしたイッセーは急いで全員に話、結界の中まで後退してっいった。

 

俺は全員が後退し終わったのを見ると、軽く深呼吸をした。

 

「――すぅ~……はぁ~……。さぁ~てとぉ~。いっちょやりますかぁ~」

 

「『荒ぶる波動は全てを破壊する技となる――』」

 

俺は両手を地面に置いて、その技を出した。

 

「『爆発超魔法――“イオグランテ”』」

 

ピカッ―――チュドォォォォォオオオン!!!

 

巨大な爆発が地面から出てきて火柱を上げた。その魔法の余りの威力に一瞬にして一掃されるアンチモンスター。

 

「――ふぅ…こんなものかな?」

 

俺は手をはたきながら言った。

 

もう、アンチモンスターは出現してこない…よね?たぶん……。それにしても、アンチモンスターが出なくなったのは、あの少年の体力が限界なのか、それとも止められたか……まぁ、どちらにしろ、もう出てこないと俺の勘がそういってるし、安心してもいいのかな?

 

――パチパチパチ。

 

「さすがは結城家の人間だ。ここまで強いとは…恐れ入ったよ。少し楽に戦えると思っていたんだが、いまのを見るともう少し資料が必要だな」

 

俺の近くまで拍手をしながら歩いてくる曹操。

 

少し離れた場所にいるアザゼルに目をやると、曹操との戦闘で鎧も黒い翼もボロボロになっている。

 

――ただ、鎧の所々に焼け焦げた跡があるのは、きっと曹操の聖槍のせいに違いない……と思いたい。…………絶対、俺のさっきの爆発魔法のせいじゃない…よね?

 

そんな俺の心配事を他所に、曹操は肩に聖槍をトントンとしながら言う。

 

「だから、旧魔王派のように油断はしないつもりだ。いまのうちに摘むか、それとも――」

 

曹操の言葉を遮るようにアザゼルが近くに来て問う。

 

「ひとつ訊きたい。貴様ら英雄派が動く理由は何だ?」

 

その問いに曹操は目を細めながら答える

 

「堕天使の総督殿。意外に俺たちの活動理由はシンプルだ。『人間』としてどこまでやれるのか、知りたい。そこに挑戦したいんだ。悪魔、ドラゴン、堕天使、その他諸々、超常の存在を倒すのはいつだって人間だった。――いや、人間でなければならない」

 

「英雄になるつもりか?って、英雄の子孫だったな」

 

曹操は人差し指を青空に真っ直ぐ突き立てた。

 

「――よわっちい人間のささやかな挑戦だ。蒼天のもと、人間のままどこまでいけるか、やってみたくなっただけさ」

 

――人間か…俺たちもいちおう人間なんだけど……。

 

――あれ?……お兄ちゃんや俺って、人間の内に入れてもいいのかな?

 

心中でそう突っ込んでいるときだった…。

 

パァァァアアアッ。

 

イッセーたちと英雄派の間に魔方陣がひとつ、輝きながら出現する。

 

「――あれは」

 

アザゼルが魔方陣を見てつぶやいた。

 

その輝きの中から現れたのは――魔法使いの格好をした、かわいらしい外国の少女だ。全員が呆気にとられている。魔法使いの格好をした少女はイッセーたちのほうに体を向けると、深々と頭を下げた。

 

そして、俺とアザゼルのほうも向いて微笑みかけてきた。

 

「はじめまして。私はルフェイ・ペンドラゴンです。ヴァーリチームに属する魔法使いです。以後、お見知りおきを」

 

ヴァーリチームと聞いた瞬間、イッセーたちが身構える。仕方なく俺はイッセーたちの前までいき、全員を宥める。

 

そんな中、アザゼルが少女――ルフェイに訊く。

 

「……ペンドラゴン?おまえさん、アーサーの何かか?」

 

「はい。アーサーは私の兄です。いつもお世話になっています」

 

アザゼルがあごに手をやりながら言う。

 

「ルフェイか。伝説の魔女、モーガン・ル・フェイに倣った名前か?確かにモーガンも英雄アーサー・ペンドラゴンと血縁関係にあったと言われていたかな……」

 

すると、ルフェイが目を爛々と輝かせながら、イッセーに視線を送っている。

 

「あ、あの……」

 

イッセーに近づくと手を突き出す。

 

「私、『乳龍帝おっぱいドラゴン』のファンなのです!差し支えないようでしたら、あ、握手をしてください!」

 

イッセーは突然のことに間の抜けた表情となったが、断れることもなく「あ、ありがとう……」と苦笑しながらルフェイに握手をしてあげた。

 

「やったー!」

 

ルフェイはすごく喜んでぴょんぴょんと跳ねている…。

 

曹操の陣営も呆気に取られて当惑していた……が、頭をかきながら曹操が息を吐く。

 

「ヴァーリのところの者か。それで、ここに来た理由は?」

 

曹操の問いにルフェイは屈託のない笑顔で返した。

 

「はい!ヴァーリさまからの伝言をお伝え致します!『邪魔だけはするなと言ったはずだ』――だそうです♪――うちのチームに監視者を送った罰ですよ~」

 

ドウゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!

 

ルフェイが可愛く発声した直後、大地を揺るがすほど震動がこの場を襲う。

 

ガゴンッ!

 

――俺が土遁で地を割る音と同じものが近くで起こる。そちらに目を向けると、地を割り、土を巻き上げながら『それ』は姿を現した。

 

『ゴオオオオオオオオオオォォォォォオオオッ!!』

 

それを見たアザゼルが叫ぶ。

 

「――ゴグマゴグか!」

 

その巨人――ゴーレムは、回りの町と比べても…差がはかれない程の大きさだ。ざっと十メートルはあるね。

 

……てか、あれって次元の狭間にあったヤツじゃ…

 

アザゼルの言葉にルフェイがうなずいた。

 

「はい。私たちのチームのパワーキャラで、ゴグマゴグのゴッくんです♪」

 

う、うん。大したネーミングだね…。ゴッくんって……どうすれば、この巨体のゴーレムにそのネーミングをつけられるのか、気になるところだよ。

 

いや…、でも俺も巨大ゴーレムを持っているから、それに、少女が人形に名前を付ける様な感覚で愛称を付けているのかな?

 

「先生、あの動く石巨人的なものは……」

 

イッセーの問いにアザゼルが説明する。

 

「ゴグマゴグ。次元の狭間に放置されたゴーレム的なものだ。稀に次元の狭間に停止状態で漂ってるんだよ。なんでも古の神が量産した破壊兵器だったらしいが……。全機が完全に機能停止だったはずだ」

 

「あんなのが次元の狭間にいるんですか!?機能停止って、あれ動いてますけど!」

 

「あぁ、俺も動いているのを見るのは初めてだ。問題点が多すぎたようでな、機能停止させられて次元の狭間に放置されたと聞いていたんだが……動いているぜ!胸が躍るな……ッ!」

 

はぁ…あ~あ、完全にアザゼルのスイッチが入ってしまったようだね。子供のように目を爛々と輝かせているのが何よりの証拠だよ…。優子姉さんだって呆れてるし…。

 

しかし、ハッと気づいたアザゼルがつぶやいた。

 

「そうか。ヴァーリが次元の狭間でうろついていたのはグレートレッドの確認だけじゃなかったんだな」

 

アザゼルの意見にルフェイが答える。

 

「はい。ヴァーリさまはこのゴッくんを探していたのです。オーフィスさまが以前、動きそうな巨人を次元の狭間の調査で感知したことがあるとおっしゃられまして、改めて探索したしだいです」

 

「な、なぁ。まだあいつのチームはこういうのいるの……?」

 

イッセーが不安げにルフェイに訊いた。

 

「えーと、いまのところ、ヴァーリさま、美猴さま、兄のアーサー、金華さん、フェンリルちゃん、ゴッくん、私の七名です」

 

イッセーはそれを聞いて額に脂汗をかいていた。

 

七名ッて…その内二人はゴーレムと神殺しの狼じゃん。最早、人ですらないし…。

 

ルフェイが答えた直後、ゴグマゴグが英雄派に向かって、巨大な拳を振り下ろした。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォオオオオオオンッ!!

 

特大の破砕音とともに、ゴグマゴグの一撃が渡月橋を破壊してしまった。

 

英雄派の構成員は全員その場から飛びのき、橋の向こう岸に退避した。

 

「ハハハハ!ヴァーリはお冠か!どうやら監視していたのがバレたようだ!」

 

曹操は高笑いしながら、聖槍をゴグマゴグに向けた。

 

「伸びろっ!」

 

聖槍の切っ先が伸び、ゴグマゴグの肩に突き刺さった。

 

ズズゥゥゥゥゥンッ!!

 

ゴグマゴグがその一撃で体勢を崩されて、その場に倒れた。その衝撃で振動が巻き起こり、周囲を大きく揺らす。

 

俺はたまたま視線が向こう岸を見たとき、ゆらりゆらりとおぼつかない歩みで英雄派に近づく者が目に映った……。

 

――ロスヴァイセさんだ。

 

「……ういー。ヒトが気分よく寝ているところにドッカン!バッタン!チュドーンって、うるさいんれすよ!」

 

……いまだに酔っている上に、ご機嫌が斜めのようだ。

 

酔っぱらいの登場に英雄派の面々も間の抜けた表情になるが、すぐに攻撃の態勢を取りだす。

 

「なんれすか?やるんれすか?いいれすよ。元オーディンのクソジジイの護衛ヴァルキリーの実力、見せてやろうじゃないれすかッ!!」

 

ロスヴァイセは大きく叫んだあと、自身の周囲に数えきれないほどの魔方陣を展開し始めた。

 

「全属性、全精霊、全神霊を用いた私の北欧式フルバースト魔法をくらえぇぇぇぇぇぇええええッ!!」

 

ズドドドドドオォォォォォォォォッ!!!

 

大量の魔方陣から凄まじい量の魔法が縦横無尽にぶっ放され、空中で幾重も軌道を変えながら英雄派の陣営の頭上に降り注ぐ。

 

――と、思った矢先、予想通りこちらにも飛んできた。

 

「スペルカード…『三重大結界』」

 

俺は懐から札を三枚出して、空に投げた。すると、そこから結界が出てきて、アザゼルやイッセー達を包み込んだ。

 

ドドドドドド――。

 

こっちに飛んできた流れ弾は、展開された結界によって防がれていた。

 

向こう岸の英雄派は、霧を両手にまとった青年がすべての魔法を弾いていた様子だった。

 

その霧使いは手元から霧を発生させて、英雄派の全員を薄い霧で覆い始めた。

 

曹操が霧の中から言う。

 

「少々、乱入が多すぎたか。――が、祭りの始まりとしては上々だ。アザゼル総督!」

 

曹操は俺たちに向けて楽しそうに宣言する。

 

「我々は今夜この京都という特異な力場と九尾の御大将を使い、二条城でひとつ大きな実験をする!ぜひとも制止するために我らの祭りに参加してくれ!」

 

すると、霧が徐々に濃くなってきた。

 

それを見た俺はアザゼルの方を向いて、視線に気づいたアザゼルは頷いた。

 

「おまえら、空間がもとに戻るぞ!武装を解除しておけ!」

 

アザゼルの言葉に、みんな慌てて武装を解除した。

 

解除し終わった瞬間に、俺達は元の世界に戻ってきたのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

霧が晴れると、そこは観光客で溢れた渡月橋周辺にいた。俺たち以外、何事もなく普通に橋を往来しているようだった。

 

「おい、イッセー。どうした?すっげー険しい顔になってんぞ?」

 

近くでイッセーの顔を覗き込んでいる松田。

 

……そう、俺たちは渡月橋を渡りきったばかりだった。

 

――時間があまり進んでいなくて助かったね。

 

俺はイッセーたちを見ながらそう思った。

 

周囲を見回すと、散開した皆が人ごみに紛れている。……ルフェイの姿が見当たらないところをみると、帰還と同時に帰ったようだ。

 

ガンッ!!

 

近くの電柱を横殴りにするアザゼル。

 

「……ふざけたことを言いやがって……ッ!京都で実験だと……?舐めるなよ、若造が!」

 

あちゃー……、アザゼルがマジギレを起こしている。

 

まぁ…、その気持ちはスゴくわかるけどね~…

 

「……母上、母上は何もしていないのに……どうして……」

 

「大丈夫よ、九重ちゃん。必ず、私達があなたのお母さんを助けて上げるから…」

 

体を震わせている九重ちゃんを優しく抱きしめて頭を撫でている優子姉さん。

 

他のメンバーもそれぞれ思い思いにふけっていた。

 

「……さて、今回も長い夜になりそうだねぇ~。―――――『禍の団(カオス・ブリゲード)』……首を洗って待っていろ…覚悟をしていないと……死に目をみることになるぞ?――なぁ、曹操…」

 

……どうやら今回も、激しい戦いとなりそうだね。



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7話 いざ行かん、二条城へ!

~これは、とある家での出来事~

『ただいまぁ~』

研修合宿から帰ってきて、自室のパソコンを開くと…

『えぇ~となになに………お気に入り件数が595件…………だとぉ!?―――お、俺がいない間になにがおきたのだ!?……こ、これは驚いた…。まさか、ここまでお気に入り件数が一気に上がるとは…ビックリなのです…。』

――と、こんな感じでいつの間にかお気に入り件数が増えていたと。――皆さん本当にありがとうございます!!感謝感激でございまする!!

さて、この作品を作ってから一年がたったのですよ。本当に、時が経つのは早いですね~。心のそこからそう思いますね~。

さぁ、そんな話は置いておき、本編へといきましょうか。

――それでは皆さま。ゆっくりしていってね♪


あれからホテルに戻ってきた俺達は、みなそれぞれの時間を過ごしていた。

 

俺は食事を終えて、部屋に戻ってきた。ちなみに、イッセーは一人部屋なのですよ。もちろんアザゼルとサーゼクスさんの計らいでね~。龍美は俺と一緒の部屋だね。さらに、優子姉さんも実は一緒の部屋だったのだ。

 

でも、今は優子姉さんと龍美は二人でお風呂に行っているからいないのだ。

 

「くふぅ~……スゴい食べたのですよ~♪和洋中豪華な料理をバイキングでいっぱい食べました~。流石はサーゼクスさんの作ったホテル。太っ腹ですね~。あんな高級料理をバイキングで食べれるなんて、駒王学園は本当にスゴいですよね~」

 

さ~てと、お風呂をちゃっちゃと入らないとね。……でも、集合時間まで三時間もあるしなぁ~。――やっぱりゆっくりと入って、戦闘準備をしますかね。

 

「焦らず確りと体を休ませなければいけませんからね。余裕を持って準備し、心身ともに万全の状態にしないとね」

 

そして、俺はお風呂―露天風呂―へと行くのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

時間が過ぎて、集合時間となった。

 

いま俺はイッセーの部屋に来ている。イッセーの部屋には、俺、グレモリー眷属+イリナ、シトリー眷属、アザゼルさん、優子姉さん、龍美、セラフォルーさんが集っている。

 

ちなみにだが、この場にいない光輝兄さんとレイジ兄さんとアリアさんの三人は既に別行動をしていて、部屋の外には空に浮かぶように『独眼の竜』ことルゼルさんがいる

 

この部屋で今夜のことについていまから話し合うところだ。――二条城でおこなわれる英雄派の実験とやらのね。

 

……というか、この部屋は普段は魔法で隠れている隠し部屋で、無茶苦茶広い和室だ。学校の40人教室ふたつ分くらいあると思う。……もしかしたらもっと広いかも知れないけれどもね~……

 

そして、酔いから覚めたロスヴァイセさんが参加しているが、顔が真っ青な上に時折気持ち悪くなって口元を抑える始末だ。

 

いちおう、俺が調合した酔い覚ましを手渡してあるが、たぶん…使ってはいないだろうね。なんたって、渡した際の注意で「飲んでから三日後、起きられなくなるよ」と言っておいたからね。

それだけ効果がある分の副作用だよ……「自分で調合した奴を飲んだ」とイッセーから聞いているから、見守るぐらいにしておこうかな。

なんたって、光輝兄さん達用に作った薬だから、それほどの強力な薬ではないと効かないんだもん。……兄さんの絶対防御の能力で、風邪薬や酔い止めといった身体に害のない薬でさえ、全く効かないわけではないけれど、市販のやつでは殆ど効き目がないから、家でオリジナルの専用薬を作るしかないからね。……っていっても、お兄ちゃんが風邪をひいたところなんてみたことないし、精々二日酔いの酔い止め薬ぐらいだね。

 

アザゼルが皆を見回して口を開き、部屋の中心に京都駅の全体図が敷かれる。

 

「では、作戦を伝える。現在、二条城と京都駅を中心に非常警戒態勢を敷いた。京都を中心に動いていた悪魔、堕天使の関係者を総動員して、怪しい輩を探っている。京都に住む妖怪たちも協力してくれているところだ。いまだ英雄派は動きを見せないが、京都の各地から不穏な気の流れが二条城を中心に集まっているのは計測できている」

 

「不穏な気の流れ?」

 

祐斗がアザゼルに訊く。

 

「あぁ、京都ってのは古来、陰陽道、風水に基づいて創られた大規模な術式都市だ。それゆえ、各所にいわゆるパワースポットを持つ。清明神社の清明井、鈴虫寺の幸福地蔵、伏見稲荷大社の膝松さん、挙げればキリがないほどに不思議な力を持つ力場に富んでいる。それらが現在、気の流れが乱れて、二条城のほうにパワーを流し始めているんだよ」

 

「ど、どうなるんですか?」

 

匙が生唾を飲み込みながらアザゼルに訊く。

 

「わからんが、ろくでもないことは確かだ。奴らはこの都市の気脈を司っている九尾の御大将を使って『実験』とやらを開始しようとしているんだからな。それを踏まえたうえで作戦を伝える」

 

アザゼルの言葉に皆がうなずいた。

 

「まずはシトリー眷属。おまえたちは京都駅周辺で待機。このホテルを守るのもおまえたちの仕事だ。いちおう、このホテルは強固な結界を張っているため、有事の際でも最悪の結果だけは避けられるだろう。それでも不審な者が近づいたら、シトリー眷属のメンバーで当たれ」

 

『はい!』

 

アザゼルの指示にシトリーの皆が返事をする。

 

「次にグレモリー眷属とイリナ。いつも悪いが、おまえたちはオフェンスだ。このあと、二条城のほうに向かってもらう。正直、相手の戦力は未知数だ。危険な賭けになるかもしれないが、優先すべきは八坂の姫を救うこと。それができたらソッコーで逃げろ。奴らは八坂の姫で実験をおこなうと宣言しているぐらいだからな。……まぁ、虚言の可能性も高いが、あの曹操の言動からするとおそらく本当だろう。――俺たちが参戦するのを望んでいるフシが多々あったからな」

 

「俺たちだけで戦力足りるんですか?」

 

イッセーがアザゼルに訊く。確かにオフェンスといっても、イリナを含めた五人しかいない。

 

「安心しろ。テロリスト相手のプロフェッショナルを呼んでおいた。各地で『禍の団(カオス・ブリゲード)』を相手に大暴れしている最強の助っ人だ。それが加われば奪還の可能性は高くなる」

 

「助っ人? 誰ですか?」

 

祐斗が訊く。

 

「とんでもないのが来てくれることだけは覚えておけ。それに、今回は光輝とレイジも参加しているから、大分楽だと思うぞ。まぁ、これは良い知らせだな。」

 

アザゼルは口の端を愉快そうに吊り上げている。――アザゼルのその顔は、対外当たりくじを引くことが多い。

 

「それとこれはあまり良くない報せだ。――今回、フェニックスの涙は三つしか支給されなかった」

 

「み、三つ!? た、足りなくないですか!? いちおう、対テロリストなんですし!」

 

匙が素っ頓狂な声をあげた。

 

「匙しかたがないことだよ。『禍の団(カオス・ブリゲード)』それだけテロを起こしているんだから。生産自体が追いつきもしないだろうね…。むしろ、そんな状態なのに三つも支給されただけでもスゴいと思うよ?」

 

俺の言葉にアザゼルがうなずく。

 

「あぁ、その通りだ。世界各地で『禍の団(カオス・ブリゲード)』がテロってくれてるおかげで涙の需要が急激に跳ね上がってな。各勢力の重要拠点への支給もままならない状態だ。もともと大量生産ができない品だったもんでな、フェニックス家も大変なことになっているってよ。市場でも値段も高騰しちまって、ただでさえ高級品なのに、頭に超がふたつはつきそうな代物に化けちまった。噂じゃ、レーティングゲームの涙使用のルールも改正せざるを得ないんじゃないかって話だ。おまえたちの今後のゲームに影響が出るかもしれないことだけ頭の隅に置いておけ」

 

ゲームのルール改正ねぇ…。

 

アザゼルは続ける。

 

「これは機密事項だが、各勢力協力して血眼になって『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』の所有者を捜している。レアな神器(セイクリッド・ギア)だが調査の結果、アーシアの他に所有者が世界に何人かいると発覚しているからな……スカウト成功は大きな利益になる。冥界最重要拠点にある医療施設などにはすでにいるんだが。スカウトの一番の理由は――テロリストに所有者を捕獲されないためだ。優秀な回復要員を押さえられたらかなりマズい。現ベルゼブブ――アジュカも回復能力について独自に研究しているそうだが……。まぁ、いい。それとグリゴリでも回復系人工神器(セイクリッド・ギア)の研究も進んでいる。実はアーシアと優子に陰で回復の神器(セイクリッド・ギア)について協力してもらっていてな。いい結果とおもしろいものが出ている。」

 

――へぇ~、優子姉さんたまにどっかに行っていると思ってたらそんな事をやってたんだ。……俺も今度手伝いにい~こお~

 

「……あと、ツバサ。優子や皐月達から聞いたんだが、お前は回復系の魔法が得意なんだってな」

 

すると、アザゼルが聞いてきた。

 

「うん。そうだよ。俺は前でも後でも戦えるよ。回復以外に、補助系の魔法も得意なの。そのなかでも特に得意なのが結界や封印系の技や魔法だね。」

 

「そうか。……なら、もしもの時はお前には後衛についてもらうな。それまでは前衛で戦ってもらいたい」

 

「わかったよアザゼル。その時は京都にここにいる人達を守るために結界や回復に勤しむよ」

 

俺がそう言うと、アザゼルは満足げに頷いた。

 

「てなわけでだ。とりあえずこの涙は――オフェンスのグレモリーに二個、サポートのシトリーに一個支給する。数に限りがあるから上手く使ってくれ」

 

『はい!』

 

アザゼルの指示に皆が返事をした。アザゼルの視線が匙に移る。

 

「匙、おまえは作戦時、グレモリー眷属のほうに行け」

 

「お、俺っスか?」

 

匙が自身を指でさすが、すぐにその役目を理解したようだ。

 

「……龍王、ですか?」

 

「あぁ、そうだ。おまえのヴリトラ――龍王形態は使える。あの黒い炎は相手の動きを止め、力まで奪うからな。ロキ戦のようにおまえがグレモリーをサポートしてやれ」

 

「そ、それはいいんですけど、あの状態って、意識を失いかけて暴走気味になりやすいんです」

 

「問題ない。ロキの時と同じようにイッセーがおまえの意識を繋ぎ止めてくれるだろう。イッセー、そのときは匙に話しかけてなんとかしろ。――天龍なら、龍王を制御してやれよ」

 

「は、はい!」

 

イッセーがアザゼルの言葉に返事をする。

 

『もしもの時は、私達も手伝ってあげるわ。だから、頑張りなさい、ドライグにイッセーくん』

 

ルーツがドライグとイッセーに激をおくっていた

 

「はい!ルーツさん!もしもの時はよろしくお願いします」

 

『あぁ、こちらこそその時はよろしく頼む。ルーツさん』

 

『えぇ、わかったわ』

 

そんなとき、イリナが手をあげた。

 

「あの、このことは各勢力に伝わっているのですか?」

 

「当然だ。この京都の外には悪魔、天使、堕天使、妖怪の者たちが大勢集結している。奴らが逃げないように包囲網を張った。――ここで仕留められるのなら、仕留めておいたほうがいいからだ」

 

アザゼルの言葉にセラフォルーさんが続く。

 

「外の指揮は私に任せてね☆悪い子がお外に出ようとしたら各勢力と私が一気にたたみ掛けちゃうんだから♪」

 

明るく言うセラフォルーさん。……ちゃんと手加減をしてくれるかな…、周囲を氷づけにされるのはちょっとね~…。

 

「それと駒王学園にいるソーナにも連絡はした。あちらはあちらでできるバックアップをしてくれているようだ」

 

「先生、部長たちのほうは?」

 

イッセーの質問にアザゼルは顔を少ししかめた。

 

「あぁ、伝えようとしたんだが……タイミングが悪かったらしくてな。現在、あいつらはグレモリー領にいる」

 

「何かあったんですか?」

 

イッセーの問いにアザゼルはうなずいた。

 

「どうやら、グレモリー領のとある都市部で暴動事件が勃発してな。それの対応に出ているようだ」

 

顔を心配の色に染めるイッセーにアザゼルが苦笑した。

 

「旧魔王派の一部が起こした暴動だ。『禍の団(カオス・ブリゲード)』に直接関与している輩でもないらしい。それでも暴れているらしくてな、あいつらが出ていったわけだ。いちおう、将来は自分の領土になるであろう場所だからな。――それにグレイフィアが出陣したと報告を受けた。まぁ、あのグレイフィアが出たとなると、相手の暴徒共もおしまいだろう。正確かどうかはわからないが、グレモリー現当主の奥方もその場にいるそうだ。――グレモリーの女を怒らせたら大変だろうさ」

 

へぇ~、そうなんだ。――あ、そういえば…

 

「ちなみに、皐月姉さんとナツル姉さんたちは?」

 

俺が聞くと、アザゼルは――

 

「あの二人はこの戦闘に手を貸してくれるそうだ。今頃はもう向こうについてグレイフィア達と合流してるんじゃないか?」

 

―と言っていた。

 

「まあ、『亜麻髪の絶滅淑女(マダム・ザ・エクスティンクト)』『紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)』『銀髪の殲滅女王(クイーン・オブ・ディバウア)』がそろっちゃうのね☆ うふふ、暴徒の人たち、大変なことになっちゃうわね♪」

 

セラフォルーがそれを聞いて、楽しそうに言う。

 

「へぇ~…絶滅と殲滅ね。そこに滅殺が加われば大変な事になるわね。――更に、“武神”と“焔の大魔導士”の二人もいるんだもの。もっと大変な事になるわよ」

 

優子姉さんがそう言った。

 

確かにねぇ~、あの皐月姉さんとナツル姉さんが二人も参加するんですもん。――敵の皆様に逆に同情しますよ…。

 

「……おまえも将来大変だな」

 

アザゼルがイッセーの肩に手を置いて、うんうんとうなずいていた。

 

アザゼルは咳払いをして、改めて皆に告げる。

 

「と、俺からの作戦は以上だ。最後にツバサたち地球連邦のほうは独自に決めてくれ。俺も京都の上空から独自に奴らを探す。各員一時間後までにはポジションについてくれ。怪しい者を見たら、ソッコーで相互連絡だ。――死ぬなよ? 修学旅行は帰るまでが修学旅行だ。――京都は俺たちが死守する。いいな?」

 

『はい!』

 

皆が返事をして、作戦会議は終わった。

 

さて、行きましょうかね~。二条城へ!




「『三元新と結城翼のお話しコーナー!』」

『――さて、お久しぶりですね、ツバサちゃん』

「えぇ、お久しぶりですね………駄作者」

『おふぅ……さっそくの毒舌ですか…。相変わらず俺に対して酷くない?』

「気のせいですね………それよりもどうしてこんなにも日にちが空いたのですか?」

『いや~、ちょっと研修合宿にいっててね。昨日帰ってきたばっかりなんだよ。』

「研修…ですか?――その気になれば、いつも通りスマホからでも投稿できたのでは?」

『それがねぇ~……研修先が山の中でね?……全く電波が無かったんだよね~……そのおかげで全くスマホが使えなかったよ~。』

「……そうでしたか。まぁ、今回はちゃんとした理由があるので、あまりとやかくは言わないでおきましょう。――ですが、故意的にサボれば………シリマセンカラネ」

『ア、ハイ…』

「さて、そろそろ時間ですね。いつも通りで終わりにしましょうか」

『あ、そうだね。それでは皆さん、次回もお楽しみに♪』

「『バイバ~イ♪』」


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8話 疑似京都

俺達はホテルを出て京都駅のバス停に赴く。

 

ここからバスに乗って二条城まで行く予定だ。イッセーたち学生は冬の制服、俺たちは全員が動きやすい戦闘服、もしくは私服だ。ちなみに俺は自分で作った私服だよ~。防弾防剣耐熱耐寒etc...といった、全耐性と防御に優れた私服だよ~。スッゴク軽いから日常生活でも使えるし、戦闘服としても使えるんだよね~。物凄く便利なんだよね。

 

「うっぷ……」

 

すると、俺の席から右後ろに座っているロスヴァイセさんが口を手で押さえて、時折襲ってくる吐き気と戦っている。黒歌が隣で仙術を用いて体調を整えようとロスヴァイセさんを支えていた。

 

「……すみません、何から何まで」

 

「いいのよ。戦闘で倒れられたら困るし、それで死んだら元もこもないもの」

 

今日はメイド服じゃなく何時もの着物姿の黒歌。――ただ、肩を露出しすぎてるのは、もう突っ込まないよ…。よく、あの状態で戦闘できるよね…。

 

――と、そのときだった。イッセーの背中に飛び乗るシルエットが。

 

「赤龍帝!私も行くぞ!!」

 

金髪の巫女服少女――九重ちゃんだ。

 

「おい、九重。どうしてここに?」

 

イッセーの肩に肩車の格好で座る九重は、イッセーの額をぺちぺち叩きながら、イッセーの問いに答える。

 

「私も母上を救う!!」

 

九重がそう言うとイッセーが反論するように言う。

 

「危ないから待機しているよう、うちの魔王少女さまや堕天使の総督に言われたろ?」

 

「言われた。じゃが!母上は私が……私が救いたいのじゃ!!頼む!私も連れて行ってくれ!!お願いじゃ!!!」

 

九重ちゃんの必死のお願いに、困惑するイッセーに俺は助け船をだした。

 

「あとは任せてよ、イッセー」

 

「わかった」

 

俺はイッセーと交代して九重ちゃんを見た。

 

「ねぇ、九重ちゃん。君はそんなに行きたいの?お母さんを助けに」

 

すると、九重ちゃんは大きく頷く

 

「もちろんじゃ!」

 

「いまから行くところはとっても危険なんだよ?下手すれば―――死んじゃうよ?」

 

その言葉に肩をビクつかせる九重ちゃん。でも、その瞳は覚悟をもった強い目をしていた。

 

「そのようなこと百も承知じゃ!母上を助けるのに楽なわけがない!私は誰になんと言われようとも、絶対母上を助けに行くのじゃ!母上の娘としてここは譲れないのじゃ!」

 

「………………そう。ならわかったよ。九重ちゃん。連れていってあげる」

 

俺がそう言うと九重ちゃんの顔が明るくなった。

 

「ほ、ほんとうか!?なら――」

 

「ただし!」

 

俺は九重ちゃんの言葉を遮る。

 

「危険だと感じたら即座に安全地帯まで転移させるから。1度転移すると、もう戦場には戻ってこれないからね。俺達の戦いが終わるまで動けなくなるってことを肝に命じていてね?

……まぁ、九重ちゃんは俺が俺達が守るから傷一本も付けさせるわけがないけどね」

 

そう言ったら、突然九重ちゃんがモジモジしだした

 

「わ、わかったのじゃ。その…よろしくお願いします…(か、カッコいいのじゃぁ~///)」

 

この時キリッと何時もとは違うイケメンスマイルが無意識で出ていたことを気づいていないツバサさん。

 

「……?…まぁ、いいや。―――――敵さんも来たようですしね~」

 

「ツバサ!!」

 

すると、優子姉さんが叫んできた。

 

「了解でござるよ~♪」

 

俺は少しふざけながら、各一人ひとりに小規模の転移結界を発動させた。

 

―――そして、俺達は霧に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧が晴れたとき、そこは地下鉄の線路上だった。

 

ふむ、どうやら転移結界は成功したようだね。

 

俺達は、『絶霧(ディメイション・ロスト)』のせいでツーマンセルのチームが崩されないように、対抗するため転移結界を発動させたのだ。

 

……と言っても、俺は一人だけどね~。

 

すると、目の前に地面からどんどん黒い形が歪なモンスターたちがわき出てきた。

 

―――そう、アンチモンスターだ。

 

「ざっと見たところ60体かな?……結構多かったね~。――そう言えば、九重ちゃんは大丈夫かな?イッセーと一緒にいて…。てか、俺の側に九重ちゃんを連れてこなくてよかったよ。さすがの俺でもこの数相手に九重ちゃんを守りながらじゃ苦戦するところだったね」

 

そんな事を呟きながらも俺はアンチモンスターに目線を向ける。

 

「……さてまずは――――――お掃除からといきましょうかね!」

 

「スペルカード『あの空の落ち星』」

 

俺は懐から一枚のカードをだした。だしたカードは瞬時に光ると、そこから白色の弾幕が大量に出てきた。

 

すると、弾幕は数秒空に浮いていると、突然雨の如くアンチモンスターたちに降り注いだ。

 

この攻撃により20体のモンスターが消滅した。

 

「つぎ!スペルカード『奈落の怨手』」

 

アンチモンスターの足元から黒い手の様なものがアンチモンスターを掴んだ。すると、アンチモンスターたちを次々と闇に引きずり込んでいく…。

 

「これで残り10体だね。―――そんじゃ~最後!」

 

「スペルカード『天の裁き』!」

 

スペルカードを空に掲げると、渦を巻いた雲が出てきた。――――すると、その渦の中から一筋の光が出てきたと思えば………

 

チュドォォォォォン!!!!!!

 

残りのアンチモンスターごと光の柱が消し飛ばした。

 

「……いよし。それじゃ~、集合場所の二条城にいきますかね~」

 

俺は目的地に向かって飛んでいった。

 

――――――――――――――――――――――

 

二条城の東大手門に向かうと――数人のメンバーが集まっていた。

 

「――全員、無事だった?」

 

俺は着くと、声をかけた。

 

「えぇ、みんな無事よ。つー君のおかげでね」

 

優子姉さんがそう言った。

 

「そう、よかった。―――あとは、イッセーと九重ちゃんだけか…」

 

イッセーと九重ちゃん以外はみんな集合できたようだ。

 

あの二人は無事かな?

 

そんな事を思っていると、最後の二人が来た。

 

「わりぃ、遅れた――」

 

イッセーと九重が姿を現したとき…。

 

「おげぇぇぇぇぇ……」

 

近くの電柱でロスヴァイセが我慢できず、黒歌に仙術を背中に当ててもらいながら嘔吐していた。

 

「……だいじょうぶ…なの?」

 

「…いや、あれは…無理なんじゃい?」

 

周りから心配の声が上がる。

 

ちょうどそのとき――。

 

ゴゴゴゴゴゴ……。

 

鈍い音を立てながら、巨大な門が開き始める。

 

「あちらもお待ちしていたようだわ。演出が行き届いているようね」

 

「まったくだよ。絶対に舐めてるね」

 

俺と優子姉さんのそんな軽い会話をしながらも、全員、確認し合うと二条城の敷地へと歩を進めた。

 

――――――――――――――――――――――

 

「僕が倒した刺客は本丸御殿で曹操が待っていると倒れる間際に言っていたよ」

 

後ろを走っている祐斗がイッセーに話している。

 

――本丸御殿ね~。

 

敷地内を進み、二の丸庭園を抜け、本丸御殿を囲む水掘りが見えていた。本丸御殿に続く『櫓門(やぐらもん)』を潜り抜ける。

 

たどり着いたのは――古い日本家屋が建ち並ぶ場所。整備された庭園にライトが当てられており、闇夜の世界でも映えている。

 

「(ここまで再現できるとはな…ゲオルクだっけ?やるじゃん。でも、再現するなら、細かい傷も再現できればなおよかったんだけどね~)」

 

英雄派の気配を探るイッセーたち…俺はドラゴンの身体能力によって場所は特定していた。

 

「禁手(バランス・ブレイカー)使いの刺客を倒したか。俺たちのなかで下位から中堅の使い手でも、禁手(バランス・ブレイカー)使いには変わりない。それでも倒してしまうキミたちはまさに驚異的だ」

 

う~ん。残念ながら、俺はアンチモンスターのみとの戦闘だったよ…しかも、こちら側の一方的な攻撃でしたね。すぐに全滅したし…。

 

俺は曹操を見ていた。――いつでも攻撃ができるようにね

 

向こう側も、建物の陰から構成員が姿を現す。

 

「母上!!」

 

九重が叫んだ。その九重の視線の先――着物姿の女性が佇んでいた。頭部に狐耳、九本の尾。――絵画で見た姿と同じ、彼女が九尾の八坂さんで、藍さんの妹でしたね…。

 

「母上!!九重です!お目覚めくだされ!!」

 

九重が駆け寄り声をかけるが、八坂さんは反応しない。瞳も陰り、無表情だ。

 

俺は瞳を通して感じている…八坂さんは、操られている。絶対…。

 

「おのれ、貴様ら!母上に何をした!!」

 

「言ったでしょう?少しばかり我々の実験に協力してもらうだけですよ、小さな姫君」

 

曹操はそういうと、聖槍の石突きで地面をトンッと叩く。刹那――。

 

「う……うぅぅぅ、うああああああああああっ!!」

 

八坂さんが悲鳴を上げ、様子が変化していく。体が光り輝き、その姿を徐々に変貌させていく。

 

オオォォォォォォンッ!!

 

夜空に向かって咆哮を上げた巨大な獣。

 

イッセーが曹操に問い詰める。

 

「曹操!こんな疑似京都まで作って、しかも九尾の御大将まで操って、何をしようとしている!?」

 

曹操は聖槍の柄を肩にトントンとしながら答える。

 

「京都はその存在自体が強力な気脈で包まれた大規模な術式発生装置だ。名所と呼ばれるパワースポットが霊力、妖力、魔力に富んでいる。この都市を生んだ古き陰陽師たちが都そのものを巨大なひとつの『力』にしようとしたからだ。まぁ、それゆえに様々な存在を呼び寄せてしまったわけだが……。この疑似空間は京都から極めて近く限りなく遠い次元の狭間に存在し、気脈のパワーはこちらにも流れ込んできている。そして、九尾の狐は妖怪でも最高クラスの存在。龍王クラスとも言われている。京都と九尾は切っても切り離せない関係だ。だからこそ、ここでおこなうことに意味がある」

 

息を吐く曹操。

 

「――都市の力と九尾の狐を使い、この空間にグレートレッドを呼び寄せる。本来なら複数の龍王を使ったほうが呼び寄せやすいんだが、龍王を数匹拉致するのは神仏でも難儀するレベルだ。――都市と九尾の力を代用することにしたのさ」

 

「グレートレッド?あのでっかいドラゴンを呼んでどうするつもりだ?あいつ、次元の狭間を泳ぐのが好きで実害がないんだろう?」

 

そうなんだよね~。――いまは家でゴロゴロしてるけどね…。

 

「あぁ、あれは基本的に無害なドラゴンだ。――だが、俺たちのボスにとっては邪魔な存在らしい。故郷に帰りたいのに困っているそうだ」

 

――もうひとりのオーフィスか。

 

「……それでグレートレッドを呼び寄せて殺すのか?」

 

イッセーの問いに曹操は首をひねる。

 

「いや、さすがにそれはどうかな。とりあえず、捕らえることができてから考えようと思う。いまだ生態が不明なことだらけだ。調査するだけでも大きな収穫を得ると思わないか?たとえば『龍喰者(ドラゴンイーター)』がどれぐらいの影響をあの赤龍神帝に及ぼすのかどうか、まぁ、どちらにしろ、ひとつの実験だ。強大なものを呼べるかどうかのね」

 

――『龍喰者(ドラゴンイーター)』?

 

俺の『龍喰者(ドラゴンイーター)』という単語を何処かで聞いた事がある気がして必死に思いだそうとしている。―――むぅ~……どこでだったかなぁ~。

 

『つーくん。「龍喰者(ドラゴンイーター)」はあなたも必ず知っているものよ。ドラゴンの力を持つものとして絶対に忘れてわダメよ。絶対に…』

 

すると、ルーツが注意をしてきた。

 

「(わかったよルーツ。絶対に忘れない。肝に命じておくよ)」

 

『忘れなければそれでいいわよ』

 

俺はルーツと喋りながらも、イッセーと曹操の会話を見ていた。

 

「……よくわからねぇ。よくわからねぇが、おまえらがあのデカいドラゴンを捕らえたら、ろくでもないことになりそうなのは確かだな。それに九尾の御大将も返してもらう」

 

イッセーが言うと、ゼノヴィアが剣を曹操に向ける。

 

――鞘ごとかまえたデュランダル。鞘の各部位がスライドしていき、変形していく。

 

ズシュゥゥゥゥゥゥ!!

 

激しい音を立てながら、鞘のスライドした部分から大質量の聖なるオーラが噴出し始め、刀身を覆い尽くし、極大のオーラの刃と化していく!

 

「イッセーの言う通りだ。貴様たちが何をしようとしているのかは底まで見えない。だが、貴様の思想は私たちや私たちの周囲に危険を及ぼす。――ここで屠るのが適切だ」

 

ゼノヴィアの宣戦布告に祐斗がうなずく。

 

「意見としてはゼノヴィアに同意だね」

 

「同じく」

 

イリナも応じて光の剣を作りだす。

 

「グレモリー眷属に関わると死線ばかりだな……」

 

嘆息しながら匙が言う。俺は苦笑せざるを得なかった。

 

「さて、私達も行くわよ…ツバサ!」

 

「了解ですよ。優子姉さん!」

 

こうして俺達の本当の全面戦争がいま始まった。




さて、次回曹操VSツバサちゃん。どんな戦いになるのかお楽しみに!

それではこれで、また次回お会いしましょう!

ばいば~い!


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9話 京都大決戦(前編)

やっとできたよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!


―ツバサ side―

 

ザッバァァァァァアアアアアアアッ!!

 

ゼノヴィアが特大の聖なるオーラで曹操たちに先制攻撃を仕掛けた!

 

新デュランダルの威力は、アスカロンと共鳴させたときより太いなぁ~。

 

「ふー」

 

ゼノヴィアが肩で息をしながら額の汗を手で拭う。

 

「おい、ゼノヴィア!一発目から飛ばしすぎだろ!」

 

「開幕の一発は必要だ」

 

「ロキのときもいきなりだったよね!?おいおいおい……」

 

イッセが突っ込み、ゼノヴィアは平然と答える…。あはは、もう慣れちゃったよこの流れは…

 

「安心しろ。これでもまだ威力を調節したほうだ。その気になればこの周辺を丸ごとなぎ払えてしまうからな。私としてはおまえの本気のドラゴンショットを目指しているんだが。なかなか難しい。うん。おまえのパワータイプな戦い方は私の理想だ」

 

いや…、ゼノヴィア…。騎士なんだからもっと破壊以外の技を覚えようよ…。

 

「うん、じゃない!俺はここまで破壊魔じゃないぞ!」

 

イッセーが叫んではいるが……………どうだろう?

 

すると、ゼノヴィアが新デュランダルをコツコツと叩く。

 

「この新しいデュランダルは錬金術により、エクスカリバーと同化したものだ」

 

ほぉ~…なるほどね~。

 

すると、イリナがゼノヴィアの隣に立った。

 

「私が説明するわ。大雑把に言うと、デュランダルの刀身に教会が保有していたエクスカリバーを鞘の形で被せたらしいの! エクスカリバーの力でゼノヴィア使用時のデュランダルの攻撃的な部分を外へ漏らさず覆う。そして覆っているエクスカリバーとデュランダルを同時に高めることでふたつの聖剣の力は相乗効果をもたらして………凶悪な破壊力を生み出すのよ!」

 

「なるほど、エクスカリバーをデュランダルのオーラの受け皿にしつつ、エクスカリバーもデュランダルと共に高めるわけか。それによって、ふたつの聖剣はひとつになって、これだけの強大なパワーを出せるってことね」

 

イリナの説明にイッセーが頷いていた。

 

「そういうことよ、イッセーくん。デュランダルのオーラが他の聖剣にも効果を与えることから研究が始まったらしいのよね」

 

「あ、夏休みのゲームでゼノヴィアが亜空間にデュランダルをしまったまま、アスカロンにオーラを被せていたな。アーシア奪還のときもアスカロンと相乗効果でオーラを高め合っていたし」

 

「そうそう、そこから新しいデュランダルの発送が生まれたみたいなの」

 

イリナがうんうんと頷きながら言う。

 

それにしても、デュランダルとエクスカリバーの合体聖剣ねぇ~。…………ん?まてよ…。確か、教会に保管されていたエクスカリバーは七本中六本――つまり、六本のエクスカリバーを合体させて一つの鞘にしたと…。

 

エクスカリバーの力なら、『支配』以外の力を持っているわけで……………

 

――――――って、ならいっそう破壊以外の技を覚えようよ!?ゼノヴィア!!

 

「―――エクス・デュランダル。この聖剣をそう名付けよう」

 

ゼノヴィアが新デュランダルを掲げて言い放った。

 

そんな三人を他所に俺は気配探知で英雄派の人達の動きを観察していた。

 

「イッセー、ゼノヴィア……まだ、曹操たちはピンピンしているよ?」

 

俺の言葉に二人は「そりゃそうだろ」的な表情で見てくる…。

 

まぁ、俺もそんな目をするだろうけどね。

 

ゴッ!

 

何もなくなった建造物跡――地面から腕が突き出て、英雄派メンバー全員が現れる。

 

全員見た目は汚れているが、無傷だ。恐らくだが、霧使いが聖剣のオーラを防いだのだろう。

 

最初に地面から腕を突きだした二メートルはあろうかという巨躯の男が首をコキコキと鳴らしていて、後方で曹操が肩に聖槍をトントンとしたあと、あごに手をやりながら微笑む。

 

「いやー、いいね♪」

 

本気で楽しそうな一言だった……。

 

その曹操がイッセーたちに向けて言う。

 

「キミたち、もう上級悪魔の中堅――いや、トップクラスの上級悪魔の眷属悪魔と比べても遜色がない。魔王の妹君は本当にいい眷属を持った。レーティングゲームに本格参戦すれば短期間で二桁台――十数年以内にトップランカー入りかな?どちらにしても、末恐ろしい。シャルバ・ベルゼブブはよくこんな連中をバカにしたものだね。あいつ、本当にアホだったんだな。……それにしても、向こうから離れて、こっちにきて正解だ……だから、結城翼―――いや、『黒き疾風の破壊者』と巡り合うことができたからな…」

 

曹操がイッセーたちを見たあと、俺に目線を移してきた。

 

その曹操の言葉にジークフリードが苦笑しながらうなずいた。

 

「そうだね。旧魔王派は古い威厳にこだわりすぎて、下から来るものが見えなかった……といったところでしょ。だから、ヴァーリにも見放され、旧魔王派は瓦解したわけさ。――さて、どうするの?僕、いまの食らってテンションがおかしくなってるんだけど?」

 

「そうだな。とりあえず、実験をスタートしよう」

 

曹操が石突きで地面を叩く――すると、九尾化した八坂さんが輝きだした。

 

「九尾の狐にパワースポットの力を注ぎ、グレートレッドを呼び出す準備に取りかかる。――ゲオルク!!」

 

「了解」

 

曹操の一言にゲオルクが手を突き出す。すると、周囲に様々な文様の魔方陣が縦横無尽に展開した。

 

「……魔方陣から察するに、ざっと見ただけでも北欧式、悪魔式、堕天使式、黒魔術、白魔術、精霊魔術……なかなか豊富に術式が使えるようですね……」

 

ロスヴァイセさんが目を細めながらそうつぶやく。

 

――へぇ~、魔方陣を見ただけでわかるだなんて、流石ロスヴァイセさんだ。

 

それにしても、ゲオルグって言ったっけ?……かなりの才能だね。あれこそ、天性の才能だね~。

 

オォォォオオオォォォンッ。

 

そんな事を思っていると、八坂さんが雄叫びを上げた。双眸が大きく見開いて全身の金毛が逆立っている。

 

「グレートレッドを呼ぶ魔方陣と贄の位置は良好。あとはグレートレッドがこの都市のパワーに惹かれるかどうかだ。曹操、悪いが俺はここを離れられないんでね。これがまたキツくてねぇ」

 

俺は瞬時に武装を展開して、拳型の武器を腕に付けて魔方陣を殴った。

 

ゴンッ!!

 

音と共に弾かれた。この武器の特性は“魔法の無効化”なのだが、どうやらそれすら無意味のようだ…。

 

「無駄だよ、俺の張っている防御魔方陣はかなり頑丈だからねぇ」

 

ゲオルクの反応に少し表情をしかめた……かのように見せた。

 

―――そう、所詮この程度だということが、今の一撃でわかったからだ。

 

「さーて、どうしたものか。『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』のレオナルドと他の構成員は外の連合軍とやりあっているし。彼らがどれだけ時間を稼げるかわからないところもある。外には堕天使の総督、魔王レヴィアタン、そして『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』の片割れがいるうえ、地球連邦軍の総司令官に副司令官とセラフのメンバーも来るという情報もあった。――ジャンヌ、ヘラクレス」

 

「はいはい」

 

「おう!」

 

曹操の呼び声に細い刀身の剣を持った金髪の女性と、巨体の男が前に出る。

 

この人達も英雄の子孫か……ジャンヌさん…可愛そうだね…自分の子孫がテロリストにいるなんて知ったら……………――あ、ヤバイ…あの人の事だから、確実に“ちょっとお仕置きしてきますわ”なんて言って捕まえに行きそうだ…。そうなれば―――いや、これ以上思い出すのは止しておこう…。いろいろと危険だからね…。皐月姉さんの次に、OHANSIが怖い人だから……

 

内心でそんな事を思っていると、曹操が口を開く。

 

「――ジークフリート、おまえはどれとやる?」

 

曹操の問いにジークフリートは抜き放った魔剣の切っ先を木場とゼノヴィアに向ける。

 

「ん~、じゃあ、私は天使ちゃんにしようかな。可愛い顔をしてるし」

 

「俺はそっちの銀髪の姉ちゃんだな。随分、気持ち悪そうだけどよ!」

 

ジャンヌとヘラクレスがそれぞれが視線を交わす。

 

「んで、俺は赤龍帝っと。そっちのヴリトラくんは?」

 

曹操が匙に視線を送る。匙の炎の勢いを増すが、イッセーが手で制す。

 

「……匙、おまえは九尾の御大将だ。なんとか、あそこから解放してやれ」

 

「俺は怪獣対決か。……あいよ。死ぬなよ」

 

「これでもここに来る前、『女王(クイーン)』にいちおうプロモーションしてんだからさ。最初から気合は十分だッ!」

 

すると、匙の体が黒炎に包み込まれていき――巨大に膨れ上がっていった。

 

「――『龍王変化(ウリトラ・プロモーション)』ッ!!」

 

盛り上がる黒炎は形を成していき、体の長細い東洋タイプの龍へと変貌していく。

 

ヴリトラ化した匙は九尾化状態の八坂さんと対峙する。

 

イッセーがアーシアに言う。

 

「アーシア、九重を頼む」

 

「はい」

 

「九重、アーシアを頼めるか?」

 

「任せろ!じゃが――」

 

「あぁ、わかってる。おまえのお母さんは俺が――俺たちが助けるッ!!」

 

親指を立てて言うイッセー。背中からドラゴンの両翼を生やして曹操と対峙する。

 

「レイナーレ、黒歌、アーシアと九重の護衛を頼める?」

 

「はい。任せてください」

 

「任せてにゃ!つーくんも頑張るにゃ!!」

 

俺はレイナーレと黒歌に訊くと、レイナーレも黒歌もうなずいて引き受けてくれた。

 

「うん、わかってるよ!それじゃ~あとはよろしくね!」

 

俺はモンスター達がいる場所へ走りながらそう叫んだ。

 

俺はモンスター達がいる場所へと到着して目の前のモンスターを見ていた。

 

「――さ~てと…、俺は雑兵を一掃しようとしますかねぇ~」

 

相手の雑兵は、中堅クラスの武装した人間と前回より二回りほど大きいアンチモンスターだ。

 

「……ふむ、随分と今回は前よりも気合いが入っている様だね。さぁ、いっちょひと暴れしましょうか!!」

 

俺は、両手に刀を持ってアンチモンスターの一体に突貫する。

 

アンチモンスターからは光の攻撃や炎の攻撃などが飛来するが、俺は難なく避けたり、切り裂きながらアンチモンスターの一体に両手の刀を刺し込み、そのまま宙へ打ち上げる。一気に空中を跳び、アンチモンスターの真上へ滞空する。

 

「双刃烈破斬ッ!」

 

刀をクロスさせて、そのままX切りをして地面に叩き落とす。

 

そのアンチモンスターは地面に衝突したあと霧散した。

 

そこから俺は、地面に着地し瞬時に武器を刀から西洋の剣に変えて、右手の剣に雷を、左手の剣に風の属性を纏て空へ向け、一気に突貫してきたアンチモンスター達を一閃する。

 

「風雷・疾風斬ッ!」

 

雷を帯びた竜巻が俺を囲むように出現し、四方八方から突撃してきたアンチモンスター達の群れを瞬時に巻き込み凪ぎ払う。

 

風に飛ばされたアンチモンスター達が、英雄派の中堅クラスの人達に落ちていきその人達にも被害がでた。

 

「さぁ!きなよ!こないと俺に倒されちゃうよ、おじさん達!」

 

俺がそう叫ぶと、ブチッと音が聞こえた気がしたら、他の英雄派の人達が其々の武器を持ってこっちにきた。

 

先程飛ばされて倒されて霧散していない残ったアンチモンスター達も突撃してくる。

 

「あはは!そうこなくっちゃね!じゃないと、面白くないから!」

 

俺は次々と飛んでくる属性魔法や飛び道具や武器、いろんな技の攻撃を避けたり弾いたり防いだり、時には跳ね返したりと…、いろんな事をしていた。

 

それでもなお、俺を倒そうとしてくるアンチモンスターと人間。

 

「全然当たってないよ~。それでは、次は俺から行くね~!スペルカード『大地の怒り』!」

 

俺はスペルを発動させた。

 

すると、地面が地震の様に揺れて地割れがおき、アンチモンスターや人達を落としていく、避けた人達も今度は地面から突き出てきた円柱型の岩に突き飛ばされたりアンチモンスターは同じく岩の――それも針型の岩に貫かれて体を霧散させる。……流石に人間が串刺しになるところは俺もルーツも見たくないので俺が意図的に操作していた。

 

『つーくん!後ろからくるわよ!』

 

「うん!わかってるよ、ルーツ!」

 

俺はルーツの言われた通り後ろからきた奴を蹴飛ばした。

 

蹴飛ばした人は、その後ろにいた人達の所まで飛んでいき、ボーリングの様に衝突して倒れた。

 

すると、残った奴等が俺の方へと魔法を一斉攻撃してきた。

 

「だから魔法は効かないんだってば~。『ミラーシールド』」

 

俺は鏡の様に光る盾をスキマから取り出した。

 

すると、俺の身体に触れた魔法は全て跳ね返され撃ってきた術者に跳ね返る。

 

そして、跳ね返った魔法は術者にあたり爆散した。どうやら、魔法は爆発系の魔法だったようだ。

 

「ルーツ!力を借りるね!」

 

『えぇ、私――いえ、私達の力を存分に使いなさい!』

 

「ありがとう!んじゃいっくよ~!龍変化(ドラゴン・プロモーション)」

 

「“熾凍龍 ディスフィロア”!」

 

俺の体が光だして、体を変換させる。光が止むと、そこにいたのは…………半竜化した俺がいた。

 

龍変化(ドラゴン・プロモーション)とは、俺がライザーや他の戦闘で使った“獣変化”の変換番で、変身できる獣類はドラゴン限定だ。

 

頭部にはディスフィロアの特徴的な角に、腕や脚はドラゴンの両手両足。それでも人間の形をしているがね。

 なによりも、全身から出ている、炎と氷が特徴的だ。

 

このドラゴンはルーツと同じ古龍種であり、数少ない、対極なるふたつの属性を持っているドラゴンだ。

確かに、属性を複数持っている龍はいるのだが、ディスフィロアは対極である“炎”と“氷”を持っているのだ。

 

「さて、お前達は俺の攻撃を何処まで耐えられるかな?」

 

そして俺は息を思いっきり吸い込んで―――――

 

「熾凍龍の咆哮ぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

ゴォォオオオオオォオオオオオォォウ

 

炎と氷が交わった咆哮が竜巻の様に回転しながら目の前を凪ぎ払う。

 

炎に包まれる者、氷により凍ってしまう者、全員アンチモンスター以外死んではいないが、完全に動くことは出来なくなった。

 

俺は龍変化を解除して、イッセー達が戦っている所へと向かった。

 

――――――――――――――――――――――

 

全ての敵を一掃し終えた俺はイッセーの所へとたどり着いた。

 

「――いい攻撃だった。強い強い。こちらもギアをもう少し上げないとダメか」

 

来てそうそう、曹操が左腕の傷を治癒したところだった――右腕の瓶は…フェニックスの涙か!?

 

「それにしても、何かをするようだね……」

 

すると、俺の存在に気がついた曹操は、俺が持っている刀が気になるらしい。そして曹操は、槍の切っ先を俺に向けてくる。

 

「……そうだね、これはおまえたちの計画を根元から無駄にするためのものだからね。文字通り“何か”をするんだよ」

 

俺は口の端を釣り上げた――そのときだった。

 

「イリナさん!」

 

アーシアの悲鳴交じりの叫びが聞こえてくる!

 

「あら?こちらはまだやってるんだ?」

 

ジャンヌの声がし、そこに目を向けると…血まみれのイリナを抱えていた。

 

「ま、赤龍帝だからさ。彼らよりはやるんじゃないの?」

 

今度はジークフリート……六本に増えている腕に抱えているのは…木場とゼノヴィアだ。

 

「俺が赤龍帝とやればよかったぜ」

 

巨躯のヘラクレスが俺とイッセーの眼前に何かを放り投げる。俺はとっさに展開したクッション系の結界の網で受け止めた。――それは、銀髪を赤い血に染めたロスヴァイセさんだった。

 

『グオオオオオオッ!!』

 

向こうでは、ヴリトラが九尾化した八坂さんの九本の尾に縛られ、苦痛の声を漏らしていた。

 

…………どうやら、この場はあまりよろしくないようだ。

 

「……イッセーとアーシア以外が倒されたようですね…。少し甘く見ていたなぁ~…」

 

俺は自問するように静かに口ずさんだ。

 

シュンッ――。

 

俺はイリナと木場とゼノヴィアをスキマで取り返すと、スキマから落として重傷の四人を急いでアーシアのところまで運んだ。

 

「皆さん!」

 

アーシアが駆け寄って、涙を流しながら治療を始めた。

 

「私も手伝うわ」

 

傍で待機していた黒歌もレイナーレも、仙術や優子姉さん直伝の回復魔法を用いて四人の自然治癒力を高めていく。

 

苦痛に表情を歪めていた四人は、徐々に穏やかになっていく。

 

「――さて、フィナーレだ。お前は俺たちの実験の邪魔になる……いまのうちに潰しておこう!」

 

曹操が聖槍の切っ先を俺へ向けてくる。

 

「「「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!!!!!!」」」

 

ヒュゥゥゥ―――チュドォォォォォォォン!!!

 

――突然、空から誰かが落ちてきた。

 

そして俺は、その落ちてきた“人物”を見て小さく笑う。

 

「ふっ、遅いんですよ―――お兄ちゃん、お姉ちゃん」

 

すると、煙がブワッと晴れて落ちてきた“四人の人物”の人影が見えた

 

「いやいや、すまなかったな。外の連中が予想以上にめんどかったからな、時間がかかった」

 

「ほんとよね。なんであんなにも多いいのかしら。私は回復専門だし、あまり戦闘は得意じゃないのに、私まで戦うはめになったのよ?…………この二人がいるなら余裕だった筈なのに、遊んでいるから」

 

「しかたがないじゃないか。俺達だって好きで暴れられないんだからな」

 

言い争う三人の男女。――そう、光樹、レイジ兄さんと優子姉さんの三人だった。

 

「――なに?……なぜあの人達がいる。殆どの実力のある奴等を向かわせたというのに…」

 

曹操が渋るような声でそう言った。

 

「ん?あいつらか?……あぁ、別にあの程度の連中に負けるほど俺達は弱くない。――むしろ、殺さないように手加減するのが難しかっただけだ。あまりにも弱すぎてな。………おかげさまで来るのに時間がかかったんだ」

 

光樹兄さんが、何を当たり前の事を…みたいな感じで曹操にそう言った。

 

「……これでは潰すことは無理そうだ」

 

曹操は諦めたのか、聖槍を肩にトントンしだした。

 

「僕たちが相手をしよう」

 

「止めておけ。ジークフリート…あの中にいる結城優子はともかく、他の連中を相手に『阿修羅と魔龍の宴(カオスエッジ・アスラ・レヴィッジ)』でも無理だ。そこにジャンヌ、ヘラクレスが参戦してもだ。――ひとりひとりの戦闘力が高いだけでなく、三人のブレのない完璧な連携もある……俺たちだけでは勝てないよ」

 

ジークフリートが一歩前に出たが、曹操に忠告されて一歩引いた。

 

「母上!目を覚ましてくだされ!!九重です!九重はここにいます!!母上ぇぇぇっ!!!」

 

九重が泣き叫ぶが、八坂さんは視線を合わせることはなかった……。

 

「――このままでは埒が明かないな……優子。後ろにいる皆を連れて俺達が結界を張った安全な場所へ戻れ。八坂さんを止めに行ってくれる奴は他にいるから心配はするな。あと、レイジとツバサはここに残れ……ここを死守するからさ。だから――」

 

「死守じゃないでしょ。絶対通さないじゃないの?」

 

優子姉さんが光樹兄さんの言葉を聞いて訂正してくる。

 

「…ふ、そうだな。死ぬ気は毛頭ない…行け!」

 

「了解!!あんた達も頑張りなさいよ!」

 

そう言って後方にいるイッセー達の方へと走り出した。

 

睨み合う両者。曹操はゲオルクのところに行き、術式の状態を確認していた。

 

すると、俺達の後方で背中合わせでしゃがんでいたイッセーから眩い赤い閃光が発された!

 

「むっ?」

 

「おっと!」

 

「うわっ!」

 

俺たち二人は飛び退き、イッセーとの距離を取る。ジャンヌたちも同様に曹操のところまで退いた。

光樹兄さんだけは、何事もなかったかのように仁王立ちしていたけども………。

 

「……なんだ?」

 

光樹兄さんがボソリとそう言って、曹操とゲオルクもその光に気がつき、イッセーに顔を向けた。

 

イッセーが天高く掲げた眩しく輝いている宝玉が何かを移しだしていく。それはしだいに人の形をなしていき、一人、二人と増えていく。

 

その数はどんどん増えていき、増え終わる頃にはおよそ千人は超えていそうな規模だ。

 

『おっぱい……』

 

『お、おっぱい』

 

『おっぱいーん』

 

『すごい、おっぱい』

 

『大変なおっぱい……』

 

人影が突然おっぱい、おっぱいと口走り始めた!?

 

「「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい」」」」

 

……………………へ?

 

人影の大群は呪詛のようにおっぱいとつぶやきながら、のろのろとおぼつかない足取りで動き出していく……何かの陣形を形作るように。

 

「「「「「「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい」」」」」」」」

 

「……おっぱいゾンビか?」

 

曹操がそうつぶやく。この異常な情景を見た俺でもそう思えざるを得ない。

 

カァァァァァァアアッ!!

 

すると、イッセーの左腕が光り輝きだす

 

「召喚(サモン)ッ! おっぱいぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

 

イッセーの叫びと共に人影の集団に描かれた魔方陣が光り輝きだす。

 

一瞬の閃光が止むと、そこには――。

 

「な、何事!?ここはどこ?ほ、本丸御殿……?きょ、京都?あ、あら、イッセーじゃないの?どうしてここにって、私がどうしてこんなところに!?しょ、召喚されたの!?え?え??」

 

物凄く狼狽しているリアスさん。呼び出したであろうイッセーは無言、俺たちと英雄派御一行も呆気にとられていた。

 

『彼女のお乳をつつきなさい』

 

「つつくんですか?」

 

――素の声のイッセーと前ドライグにルーツ経由で紹介してもらった、女性で歴代最強の“エルシャ”さんの会話が聞こえる……前にルーツとドライグを自由に俺とイッセーの意識だけを行き来できるよう繋げたため、それによって赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を介して聞こえているものだろう……と思う。

 

『あなたの可能性を開く最後の決め手。それがリアス・グレモリーの乳首なの。あれはスイッチ――。あなたの可能性という名の扉を開くためのスイッチなの』

 

――えぇ!?ス、スイッチ!?いやいや、もう驚きはしないよ…もう、イッセーだもんですむから…。

 

『つーくん。頑張りなさい…………絶対にあんな風になったダメだからね!』

 

ルーツがお姉ちゃん達の様に言ってくる。……うん、わかってるよ。むしろ、あんな風になりたくないもん…。

 

「な、何なの!?光が私を包んでいくわ!!」

 

パァァァァァァァァ……ッ。

 

――リアスさんの胸が輝きを放ち出している。

 

下着姿とはいえ、この離れた距離からでも目視できるほどの光量だ…。

 

エルシャさんが言う。

 

『あのおっぱいは限界を超えたの。スイッチ姫の限界を――。第二フレーズに突入したといっていいわ』

 

――うん。これは由々しき事態だよ。

 

俺は自ら声が聞こえないように無理やり遮断した。

 

『あれをつつくことであなたは変わる。劇的な変化を遂げるわ。あなたのなかの『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』はあと一押しで力を解き放つ。その一押しが――』

 

――無理でした!そうですよね!わかっていましたよ!!イッセーの変態!スケベ!この、大バカぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

 

イッセーとリアスさんが全員の死角となる場所に移動する。

 

しばらくすると、パスを繋いでいた『赤龍帝の籠手(ブースデット・ギア)』から鳴き声が聞こえてきた。

 

『うおおおおおおおんっ!うわぁぁぁぁぁぁああんっ!!うおおおおおおおおんっ!!!』

 

――ド、ドライグ!?大泣きしているドライグの声が聞こえてきたよ!!いったい向こうで何が起きてるの!?

 

次の瞬間――。

 

リアスさんが輝きながら、天高く昇っていき……光と共に消えてしまった。

 

『もとの場所に帰っていきました』

 

エルシャさんがそう言った。

 

「……なんだったんだ、あれは?」

 

「…………さぁ?ボクニモワカラナイヨ…」

 

『つーくん!!元気をだして!お願いだから戻ってきて!!』

 

――はっ!? 危ない危ない…ルーツの声で意識が戻ってきたよ…。

 

光樹兄さんがそう言って、曹操たちも呆然として、いまの現象にどうしたらいいかわからないでいる……。

 

『来たわね。さぁ、行きましょうか!』

 

エルシャさんが叫ぶと、イッセーの鎧の宝玉から赤い閃光が溢れ出る

 

『あぁ、俺も感じるぞ、相棒……。懐かしいものを思い出させてくれる。これは――本来の俺のオーラだ。激情に駆られ、「覇」の力に身を任せたものじゃない。呪いでも、負の感情でもない。これは――俺が肉体を持っていた頃の気質だ。ただだた、白いあいつに勝ちたかった頃の――』

 

ドライグの楽しそうな声音が聞こえる…。

 

あれ?……さっきまで号泣してたのに…。もう、復活?

 

イッセーから発されていく赤いオーラが、イッセーの周囲を包み込み…俺たちも包み込んでいったのだった――。




どうでしたか?…………イッセーェ~。

今回わかったこと、それは……………変態は強い!です。

イッセーのエロスパワーはもはや理解不能の境地にたっており、ツバサちゃんは、一時思考を停止させるレベルだったのだ。

さて、次回は明日中に作れればいいなぁ~……なんて思っている三元新です。

それでは次回、またお会いしましょう!

それでは、バイバ~イ♪( ´∀`)ノミノ


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10話 京都大決戦(後編)

あれから、光が止んで、みんなの姿が見えてきた。

 

「どうせ俺も変態ですよぉぉぉおおっ!」

 

――すると、イッセーの叫び声が聞こえてきた。

 

「いくぜぇぇぇぇぇぇぇぇええっ!!ブーステッド・ギアァァァァァアアアッ!!!」

 

イッセーの気合に反応し、体を包む赤い閃光は極大のオーラを辺り一帯に解き放ち始めていく…。

 

『Desire(デザイア)!』

 

『Diabolos(ディアボロス)!』

 

『Determination(ディターネイション)!』

 

『Dragon(ドラゴン)!』

 

『Disaster(ディザスター)!』

 

『Desecration(ディシクレイション)!』

 

『Discharge(ディスチャージ)!』

 

『DDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDD!!!!!!!!!!!』

 

イッセーの方から壊れたかのように『D』を連呼する音声が聞こえてくる。

 

「行くぜ!ドライグ!!」

 

『おう!!』

 

イッセーは高らかに叫ぶ!!

 

「モードチェンジッ!『龍牙の僧侶(ウェルシュ・ブラスター・ビショップ)』ッ!!」

 

イッセーの両肩から背中にかけて赤いオーラが集まりだし、形を成していく。

 

出来上がったのは背中のバックパックと、大口径のキャノン砲だ。

 

ブゥゥゥゥゥン……。

 

静かなる鳴動が始まり、赤龍帝の力がキャノンの砲口へ集まっていく。

 

「……あれは、マズイな…」

 

曹操がぼそりとつぶやく。イッセーのキャノン砲に集まっていく膨大なエネルギーを察知したようだ。

 

――すべてを破壊するのが赤龍帝の力。それがドラゴンの本来の力だ!ほんと、ここの結界を強化していて正解だったよっ!!

 

キャノン砲にエネルギーが溜まり終える――。

 

『Boost(ブースト)Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost BoostBoost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost Boost!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

重なり響く宝玉の音声……。

 

「吹っ飛べェェェェェェェェェッ!ドラゴンブラスタァァァァアアアアアアッッ!!」

 

ズバァァァアアアアアアアアアアッ!!

 

「おもしれぇ、受けてやるぜ、伝説のドラゴンさんよォッ!!」

 

すると、ヘラクレスが前方に立ち塞がり、イッセーの馬鹿げた一発を受けようとするが――。

 

「受けるなッ!避けろッッ!!」

 

曹操が叫び、聖槍の石突きでヘラクレスをその場から吹き飛ばす。曹操たち他のメンバーもイッセーの出した一撃から素早く避けていく。

 

外した一撃は、遥か遠くに飛んでいき――。

 

ドォォォォオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!

 

空間を震わせる大爆発とともに、背景の町並みを丸ごと巨大なオーラに包み込んでいった。

 

……拡散したエネルギー。それが止むと、そこに残ったものは――何もなかった。

 背景は丸ごと消失しており、このフィールドにまでダメージを与えたようだ……空間自体が歪みだしているのがその証拠だ。

 

「……町ごと風景がふっ飛びやがった!こんなのを立て続けに放たれたらこの空間が持たんぞ!!」

 

ヘラクレスはイッセーの一発の威力をようやく理解したらしい。

 

「疑似空間の町が歪む、か。ここはかなり強固に創られているんだけどね。……なんて威力だよ」

 

ジークフリートも笑みを止め、目を細めている。

 

「……ふむ。中々の威力だ。あれをくらえば俺も只ではすまないだろうな」

 

光樹兄さんもそう言った。―――嘘つけいッ!

 

「曹操ォォォォォォッッ!!」

 

イッセーは曹操の名を叫び、龍の翼を広げて高速で駆けだした。背中のキャノンをパージし、鎧の各部分をパージしていく――。

 

「モードチェンジッ!『龍星の騎士(ウェルシュ・ソニックブースト・ナイト)』ッ!!」

 

ほとんどの装甲をパージしたイッセー。スリムなフォルムと化していた。

 

その速度の領域は――神速へ入っていた。

 

――さて、俺もうかうかしてられないね!!

 

「――俺も行くよッ!!『禁手化(バランス・ブレイク)! 祖龍の鎧』」

 

俺は、鎧を纏いイッセーの後を追うように神速で駆け出す。

 

「ふっ飛べやぁぁぁぁッッ!!!」

 

ヘラクレスが禁手(バランス・ブレイカー)になり、体中にできた突起物――ミサイルを俺目がけて乱射してくるが――。

 

「ふっ、笑止ッ!」

 

ドゴォォォォォォン――…

 

光樹兄さんがお得意の気功拳でミサイルを撃墜した。

 

「こっから先へは通さん!お前は先に行けい!ここは俺が引き受けた!」

 

光樹兄さんがヘラクレスに相対する様に立った。

 

ミサイルが相殺されたことに驚愕するヘラクレスをよそに、ジークフリートが前に出て一本の魔剣を振るってくる!

 

「ダインスレイブッ!!」

 

氷の柱が多数出現し、襲いかかってくる――が。

 

「零式刀技“焔”!」

 

ゴウゥ!

 

炎の斬撃が連続して氷の柱を切り刻み蒸発させてゆく。

 

「ここは俺に任せろ。お前はイッセーの所に急ぐんだな!」

 

『レイジの言う通り、ここは私達に任せるのだ!』

 

レイジ兄さんがかっこ良く刀――“雪姫”を構えながら、レイジ兄さんと雪姫さんがそう言ってきた。

 

「ここから先へは行かせないわ♪くらいなさい!『断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)』ッ!!」

 

聖剣で形作られたドラゴンをけしかけてきた!

 

「――よっと!!」

 

俺は龍翼を出して、急角度で垂直に上空へ急上昇すると、それについてくる聖剣のドラゴン。しかし――

 

「主よ、この身を委ねます―――

 焼きつくせ!紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)!!」

 

紅蓮の炎が聖剣で形作られたドラゴンを飲み込んだ。

 

ドォォォォォオオオオンッッ!!!!

 

そして、爆風と爆炎と共に地面へ聖剣のドラゴンを叩きつける。

 

――爆風が静まると、儚く散る聖剣のかけらが宙を舞い、地面は広範囲において一つの巨大なクレーターができていた。――そこには、ジャンヌが横たわっていた。

 

「間に合いましたね。ツバサ様。」

 

すると、隣から女性の声が聞こえてきた。

 

――そこにいたのは……

 

「ありがとうございます。ルーラー――いえ、ジャンヌ・ダルクさん」

 

そう、ルーラーことジャンヌ・ダルクさんだった。

 

この人はセイバーことアルトリアさんと同じく、十英雄の一人で、いま吹っ飛ばした英雄派の一人、ジャンヌ・ダルクの祖先の初代ジャンヌ・ダルクだ。

 

「私のお馬鹿な子孫は私がお相手をするので、ツバサ様はお先にどうぞ、行ってください」

 

そう言われたので、俺はお言葉に甘えて行くことにした。

 

「ありがとうございます。――おっとそうだ。ジャンヌさん、これを」

 

俺はスキマから一振りの聖剣を出した。

 

「――これは?」

 

「こいつの名前は聖剣デュランダル。氷属性を持っている聖剣デュランダルです。もちろん、俺のオリジナルですよ!

 流石に、なにも装備なしではあれですので、これを使ってください。元々、ジャンヌさんに使って貰うために作ったのですから。」

 

「ありがとうございます。ありがたく使わせてもらいますね」

 

「はい!それでは、ここをよろしくお願いします」

 

俺はジャンヌさんにデュランダルを渡したあと、急いでイッセーのもとまで走っていこうとした。

 

――すると

 

バジッ! バチッ!

 

空間を震わす音が鳴り響く――。

 

「どうやら、始まったようだな」

 

三人の近くに曹操が立っている……そして、俺の横にはイッセーが通常の鎧の状態で肩で息をしながら立っていた。

 

「あの魔方陣、そしてキミたちの膨大なパワーが真龍を呼びよせたのかもしれないな」

 

曹操が皮肉気に言う。

 

「ゲオルク、『龍喰者(ドラゴン・イーター)』を召喚する準備に取りかかって――」

 

曹操はそこで言葉を止めて目を細くする。次元の裂け目を見て、疑問が生じた表情となった。

 

「……違う。グレートレッドではない? ……あれは、それにこの闘気……ッ!」

 

オオオオオオオォォォォォンッ!!

 

空間の裂け目から姿を現したのは――十数メートルほどの、東洋型のドラゴンだ。

 

――あ、あのドラゴンは…

 

曹操が叫んだ。

 

「――西海龍童(ミスチバス・ドラゴン)、玉龍かッ!」

 

――玉龍(ウーロン)……やはり、あの人が「最強の助っ人」ってことになるのか…。

 

その背中に乗っている人影は高さなぞまるでないように飛び降りて地上へと降り立つ。

 

「大きな『妖』の気流、それに『覇』の気流。それらによって、この都に漂う妖美な気質がうねっておったわ」

 

小さな背丈の人影は年老いた男性の声音で一歩一歩ゆっくりと歩いてくる。

 

俺はその人影――片手に長い棍棒『如意棒』を持ち、首には玉の一つ一つが大きい数珠をかけ、サイバーなサングラスにキセルを吹かしながら不敵な笑みを浮かべている。

 

「おー、久しい限りじゃい。聖槍の。あのクソ坊主がデカくなったじゃねーの」

 

老人は曹操にそう言う。曹操は目を細めて笑んだ。

 

「これはこれは。闘戦勝仏殿。まさか、あなたがここに来られるとは。各地で我々の邪魔をしてくれているそうですな」

 

「坊主、イタズラが過ぎたぜぃ。儂がせっかく天帝からの使者として九尾の姫さんと会談しようと思っていたのによぉ。拉致たぁ、やってくれたもんだぜぃ。ったく、関帝となり神格化した英雄もいれば、子孫が異形の業界の毒なんぞになる英雄もいる。『覇業は一代のみ』とはよく言ったもんじゃ。のぅ、曹操」

 

「毒、ですか。あなたに称されるのなら、大手を振って自慢できるものだ」

 

……曹操が畏敬の念もって接している。

 

「お久しぶりです、初代のお爺さん」

 

「ツバサじゃな、久しい限りじゃ。マスクを下ろさんかったら気づかんかったぜぃ」

 

俺はマスクを格納して、初代・孫悟空のお爺さんと挨拶を交わした。いまから、13年ほど前に、お祖父様が連れてきたご友人がこの人だったのだ。

 

「……ツバサちゃん、その猿のような爺さんは?」

 

イッセーが疑問の声を上げるので――。

 

「初代、孫悟空のお爺さんだよ。イッセー。」

 

俺は軽く紹介した。

 

「しょ、しょ、しょ、初代の孫悟空ぅぅぅぅぅううううっ!?その猿の爺さんがが西遊記で有名な……ッ!!」

 

初代の孫悟空はイッセーを見ると、口元を笑ませる。

 

「赤龍帝の坊や。よーがんばったのぉ。いい塩梅の龍の波動だ。だが、もう無理はしなくていいぜぃ?儂が助っ人じゃい。あとはこのおじいちゃんに任せておきな。それにツバサもじゃ。その鎧、いま大分気を削っておろう。集中が途切れれば意味をなさんのじゃろ?――玉龍(ウーロン)、九尾を頼むぜぃ」

 

初代の爺さんが空を舞う玉龍(ウーロン)に指示を出す。玉龍は大声で不満を漏らしていた。

 

『おいおい、来た早々龍使いが荒いぜ、クソジジイ!オイラ、ここに入るだけでチョー疲れてんですけど!てか、白龍皇の仲間の魔女っ子に手助けしてもらったんだけどよ!って、そこの人間のなかにいるのミラ・ルーツじゃね?封印されってんのかよ!おわっ!つーか、ヴリトラだ!おいおいおい、狐と戦ってんのヴリトラだよ!どれぐらいぶりだぁ?』

 

テンションの高い玉龍に初代の爺さんは煙管を吹かしながら言う。

 

「あとで京料理をたらふく食わせる。それでよかろうて」

 

『ファッ○ンジジイ!!あとで絶対たらふく食わせろよい!オラオラオラ!!龍王さまを舐めんなよ!狐の姉ちゃん!オイラは強ェェぞ!!』

 

文句たらたらに玉龍は八坂さんと対峙する。

 

「あらあら、随分と暴れているのね」

 

突然空に女性の声が響いた。みんな辺りを警戒するが見つからない。それは当たり前だ――だって…

 

「紫さん。声だけ出さずに普通に出てきてください」

 

俺がそう言うと、みんなの視線が俺に集中した。

 

「あら、面白味が無くなったじゃないの…。つまらないわ」

 

そう言いながらスキマから上半身だけをだして、つまらなそうな顔をしている紫さんが現れた。

 

慣れた俺や光樹兄さん達は反応していないけれども、これで2回目のイッセーや、初めての曹操達と孫悟空さんはスゴく驚いていた。

 

「……その気…。もしかしてお前さんは――八雲紫かのぅ?」

 

孫悟空さんが紫さんに聞いた。

 

「えぇ、八雲紫よ。闘戦勝仏殿――いえ、初代・孫悟空さん」

 

「ほっほっほっ!まさか、『妖怪の賢者』殿に会えるとはな。長生きしてみるもんじゃわい」

 

「私も、伝説のお猿の妖怪さんに会えて嬉しいわ。――あっと、そんな呑気なことを話している場合じゃないわ。藍、あなたの出番よ」

 

すると、紫さんの隣に一際大きなスキマが出てきて、そこから藍さんと橙が出てきた。

 

「八坂……なんて痛々しい姿になって……」

 

藍さんは辛そうな瞳で八坂さんを見ていた。

 

「橙、私は八坂を止めにいくから、あなたは紫様と一緒にいなさい。紫様、橙をお願いします」

 

「えぇ、わかったわ。藍、気を付けていきなさい」

 

「藍さま!頑張ってください!」

 

藍さんは紫さん橙を預けたあと、紫さんと橙が藍さんにエールを送って、藍さんは暴走した八坂さんの所に飛んでいった。

 

「ツバサ、いったい隣にいる女性は誰かな?」

 

すると、曹操が此方を見ながら聞いてきた。

 

「ん?あぁ、この人は、八雲紫さん。『妖怪の賢者』と言われていて、文字通り最強の妖怪さんですよ。ちなみに、優位つ光樹兄さんを倒すことのできる数少ない人です。――あなたが程度の力では、勝てませんよ~」

 

俺の言葉に驚く曹操。まぁ、真実しか言ってないけどね~。

 

『うぉぉぉぉっ!おい、クソジジイ!この狐、強ぇぞぉぉぉぉっ!!』

 

八坂さんの九本の尾で締められている玉龍(ウーロン)。

 

「気張れい。龍王じゃろうが」

 

嘆息しながら初代の爺さんが言う。

 

『オイラは龍王のなかで一番の若手なんだぞ!まだピチピチでい!!』

 

「よく言うわな。その若手が目立った戦が終わった瞬間にいの一番で引退なんぞしおってからに。同じ九尾の嬢ちゃんも頑張っておるんじゃ。若さで乗り切れぃ」

 

『………………わかったよ、がんばりたい!』

 

――アハハ、なんだかおもしろい龍王だね玉龍(ウーロン)は。

 

それにしても、九尾の嬢ちゃんか……、一応、あれでも孫悟空さんよりは歳上だったはずだよね?

 

すると、ゲオルクが八坂さんを捕らえていた魔方陣を解き、初代の爺さんに手を突き出す。

 

「――捕縛する。霧よッ!」

 

初代の爺さんを包み込むように霧が集まるが――。

 

「――天童、雷鳴をもって龍のあぎへと括り通す。地へ這え」

 

トンッ!と地面を一度如意棒で突くと、霧は霧散していく。

 

「――ッ! あの挙動だけで我が霧を……ッ! 神滅具(ロンギヌス)の力を散らすか!」

 

ゲオルクが仰天する。

 

「槍よッ!」

 

隙を突いたかのように曹操が聖槍の切っ先を伸ばし、初代の爺さんを奇襲しようとする。

 

初代の爺さんは指先ひとつで槍を受け止めた。最強と謳われし神滅具(ロンギヌス)をその動作だけで。

 

「……良い鋭さじゃわい。が、それだけだ。まだ若いの。儂の指に留まるほどでは他の神仏も滅せられんよ。――貴様も霧使いも本気にならんで儂にかかろうなどと、舐めるでないわ」

 

初代の爺さんの一言を聞き、曹操は笑みを引きつらせる。

 

「……なるほど、バケモノぶりは健在のご様子ですな……。周囲に広く認知されているのは若いころの強さだと聞く。いまは如何ほどですかな?」

 

曹操の問いかけに初代の爺さんは不敵に肩をすくめるだけ。

 

ジークフリートが曹操の傍まで行き…告げる。

 

「曹操、ここまでにしよう。初代孫悟空は『禍の団(カオス・ブリゲード)』のテロを何度も防いでいる有名人だ。それに、結城家の兄弟姉妹も強い……多種多様の技を使い、俺たち三人を圧倒した。これ以上の下手な攻撃はせっかくの人材が傷つくよ。俺も爪が甘かった。――強い」

 

それを聞き、曹操も聖槍を下ろす。

 

「退却時か。見誤ると深手になるな」

 

バッ!

 

英雄派メンバーが素早く一カ所に集結し、ゲオルクが足下に巨大な魔方陣を展開し始める。

 

「これは、置き土産だ!」

 

すると、曹操が魔方陣を出した。そこから出てきたのは――――――体長が10mを越えるアンチモンスターだった。

 

「ここまでにしておくよ。初代、グレモリー眷属、赤龍帝、地球連邦軍、再びまみえよう。」

 

魔方陣が輝きを増してきた。

 

そのとき、俺の横にいたイッセーが左手にキャノン砲を生み出してオーラを練り込みだす。

 

ブゥゥゥゥン……。

 

静かに鳴動しながら、籠手のキャノン砲にオーラを装填した。

 

イッセーの様子を見て初代の爺さんが笑う。

 

「儂の役目、坊やがやるかぃ?まぁ、あの坊主にお仕置きしてみぃ。一時だけ、力が出るよう、おじいちゃんが手伝ってやるわい」

 

初代の爺さんが如意棒の先端でイッセーの鎧をコツンと軽く叩く。

 

――途端、イッセーの体中からオーラが噴出してきた。

 

イッセーは曹操にキャノン砲の狙いを定めた。

 

「――お咎めなしで帰れると思うのか?こいつはお土産だッ!!」

 

パシュゥゥゥゥゥゥンッ!!

 

籠手のキャノン砲から濃縮された魔力が打ち出された。

 

「しゃらくさい野郎だ!」

 

曹操の盾になろうとヘラクレスとジークフリートが前に出るが――。

 

「曲がれェェェェェッ!!」

 

イッセーが叫ぶ!刹那――。

 

バシュッ!!

 

軌道を変えたキャノン砲の一撃がヘラクレスとジークフリートを飛び越えて、曹操の顔面を捉えた!!

 

「ぐぅぅぅぅ……ッ!!」

 

赤い煙を上げながら、曹操が顔を手で覆う。

 

――へぇ…イッセーのやつ、魔力の玉を曲げれるようになったんだね!いつの間にか知らないけれども、それでも鍛錬の成果が出ているようだね。

 

曹操は右目から鮮血を散らしながら、こちらに顔を向ける。

 

……顔面が赤く染まっていた。

 

「……目が…。赤龍帝ぇぇぇぇっっ!!」

 

聖槍をかまえると、力強い言葉……呪詛を唱えだした。

 

「――槍よッ!神を射抜く真なる聖槍よッ!!我が内に眠る覇王の理想を吸い上げ、祝福と滅びの――」

 

ジークフリートが急いで曹操の口と体を手で押さえた。

 

「曹操っ!!唱えてはダメだ!『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』の禁手(バランス・ブレイカー)――いや、『覇輝(トゥルース・イデア)』を見せるのはまだ早いッ!!」

 

その声に曹操は激情を収め、深く息を吐く。

 

「――退却だよ。『魔獣創造(アナイ・アレイション・メーカー)』レオナルドもさっきのモンスターで限界だろう。さすがにこれ以上の時間稼ぎは外のメンバーでもできないだろうしね。各種調整についてもこれで十分データを得られるし、いい勉強になったよ」

 

ジークフリートは初代の爺さんを睨めつけている。

 

曹操が左眼でイッセーを捉えている。

 

「わかっているさ。初代殿、結城光樹殿、そして赤龍帝――否、兵藤一誠。ここいらで俺たちは撤退させてもらおう。まったく、ヴァーリのことを笑えないな。彼と同じ状況だ。キミはなぜか土壇場でこちらを熱くさせてくれる」

 

魔方陣がいっそう輝きを増す。曹操が消える間際に言った。

 

「――兵藤一誠、もっと強くなれ。ヴァーリよりも。そうしたら、この槍の真の力を見せてあげるよ」

 

そう言ったのが最後に、曹操達は消えた。

 

「ふむ、逃がしたか。――やはり、あの場で魔方陣を壊して置くべきだったか…」

 

すると、光樹兄さんが物騒なことを言ってきた。

 

「止めてよね。流石に、かっこ良く決めていた曹操が可愛そうだよ。――まぁ、この俺が更に付けた結界内で転移系の魔法を使えば、魔方陣が狂って何処に飛ぶかわからなくしているんだけれどもね~」

 

……いまごろ、何処にいるんだろうね~。

 

「………お前のほうが酷い気がするのは俺だけか?」

 

光樹兄さんが呆れた目を向けてきた。

 

「しかたがないよ。だってあのアホ達は九重ちゃんに八坂さん、さらに藍さんを悲しませたんだ。それぐらいの―――いや、寧ろその程度で終わった事に感謝をしてほしいよ。……俺はいま物凄く怒っているのだから。

 ――それにしても、随分とあっちのジャンヌはボロボロだったね。なにしたの?ルーラーさん」

 

俺はジャンヌさんに聞くと、ジャンヌさんがニッコリと微笑んで言った。

 

「いえ、ただ、お話しをしたまでですよ」ニコッ

 

…………その笑顔に恐怖を抱いた俺は悪くないと思う…です。

 

「…………ところでよ、何時まであの巨大モンスターを放置するつもりだ?さっきから瓦礫が飛んできてウザいんだが…」

 

なにがパラパラと飛んできてると思ったら、瓦礫だったのかよ…

 

「――はぁ、流石にウザいね。……消し飛びなさい『神竜の裁き』ッ!!」

 

チュドォォォオォォォォォォン――…

 

アンチモンスターが意図も容易く消し飛んでいった。

 

「……えぇ~…お前なぁ~」

 

「うるさい、光樹兄さん。べつにいいじゃん。面倒なんだし…」

 

「いや……………まぁ、いっか。」

 

こうして、俺たちの戦いは終わった。

 

――――――――――――――――――――――

 

英雄派が逃げて、アンチモンスターも葬ったあと、残ったのは俺たちとイッセーたち、助っ人の初代の爺さんと玉龍(ウーロン)。そして九尾の八坂さんと九重だった。

 

『あー、しんどかった。ヴリトラたちがいなきゃ、辛かった……』

 

玉龍(ウーロン)が地に降り、大きく息を吐いていた。

 

九尾化した八坂さんは玉龍(ウーロン)やヴリドラ化した匙、本気モードの藍さんが止めた。

 匙は元の姿に戻った直後に気を失い、藍さんが運んできてアーシアの治療を受けている。

 

その八坂さんは九尾化した状態…瞳は洗脳の色を浮かべたまま。

 

「母上!母上!」

 

『…………』

 

九重は泣きながら八坂さんを呼んでいるが……反応がない。

 

「八坂!目を覚ましなさい!私の声と自分の大切にしてきた娘の声が聞こえないのか!?」

 

藍さんも叫んでいるが……やはり、反応はなかった

 

「……心さえ引っ張り出せれば、八坂さんは我に返ることができるんだが…」

 

光樹兄さんがボソリと言った。

 

「そうだ!ツバサ、古明地さとりの能力があっただろう!それでなんとかできないか!?」

 

「できなくはないけれども、あくまでも心を見るだけで、後はトラウマを甦らすだけか。……いまの状態では少々いろいろとリスクが有りすぎて危険だね。だからむり」

 

イッセーの隣では初代の爺さんが煙管を吹かしながら思慮していた。――と、何かに気がつき、イッセーのほうに視線を向けた。

 

「赤い坊や。おまえさん、女の胸の内を聴ける能力があったよなぁ?」

 

「え、ええ、ありますけど」

 

「そうか、儂が協力するんでな、そこのお嬢ちゃんとあの九尾の姫さんに術をかけてくれんか?」

 

初代の爺さんの言葉に小さくうなずいたイッセーは、目を瞑って集中しだす。

 

「いけぇぇぇっ!『乳語翻訳(パイリンガル)』ッ!!」

 

カッ!と開眼したイッセーは九重と八坂さんに向けて技の名を叫んだ。

 

それを確認した初代の爺さんが如意棒をくるくると回して地面を叩く。瞬間――、妙な空間が発生し、俺たちを包み込こんだ。

 

周囲がうねっているように見えるが…、目には異常はなかった。

 

「赤い坊やの術の応用ででな、心に直接語りかけられるようにしたぜぃ。小さなお嬢ちゃん、心のなかでおかあちゃんに語りかけてみな」

 

初代の爺さんが九重にそう言う。九重はうなずき、瞑目した。俺の心に声が聞こえてくる…。

 

『……母上、……母上、聞こえますか、母上……』

 

九重の声だな。

 

「母上……どうか、元に戻ってくだされ……どうか、どうか……」

 

『…………』

 

しかし、八坂さんは反応しない。

 

すると、光樹兄さんが俺の目を見てきた。

 

――はいはい。了解ですよっと!

 

「コピー能力発動『心の中を見る程度の能力』」

 

俺は能力を使って、更に隣にいた藍さんに繋げた。これで、九重ちゃんの声と藍さんの声が八坂さんの心に直接響くことができる。

 

『……もう、わがままは言いません。……嫌いな魚も食べます。夜中に京都に飛び出すことも止めます……。……だから、どうか、いつもの母上に戻ってくだされ……。九重を……許してくだされ……。母上……』

 

『お前は、自分の愛しの我が娘を一人にするつもりか…。あれほど喜んでいたお前はこの子を一人にして苦しめるつもりか!帰ってこい!お前の居場所はそこじゃない。この娘の隣であろうが!』

 

九重は何度も謝り続け八坂さんに語りかけ、藍さんは叱りつつも優しく語りかける。

 

そのとき――。

 

『……く、の、う……』

 

かすかだが、確かに聞こえた。その声に九重は顔を上げ、再び心の中で叫ぶ。

 

『母上!九重はここです!!また歌を歌ってくだされ!また舞を教えてくだされ!九重は、九重は良い子になります!!また一緒に母上と……京都を!この都を歩きたいのです……ッ!!』

 

パァァァァァ――。

 

やさしい光が九重を包み込み、八坂さんも淡い光に包まれていく。その体は光を発しながら、徐々に、徐々に小さくなっていく。

 

光が止んだとき、そこにいたのは人間サイズの八坂さんだ。

 

「……ここは?」

 

八坂さんはふらりふらりとおぼつかない様子だが、意識のほうは取り戻しつつあるようだ。

 

九重が八坂さんに駆け寄り、その胸に飛び込んで泣き叫んだ。

 

「母上ぇぇぇっ! 母上ぇぇぇっ!」

 

八坂さんはやさしく九重を抱き、頭をなでる。

 

「……どうしたのじゃ、九重。おまえは、いつまで経っても泣き虫じゃな」

 

俺の瞳から透明の滴が頬を伝う。

 

隣を見てみれば、イッセーが涙を溢れさせて男泣きしていた…。

 

「…………まったく、世話のやける妹だ…」

 

藍さんはそう言っているが、その瞳からは涙が溢れていた。……とっても嬉しそうだ。

 

紫さんや橙もそして他の合流してきた優子姉さんとグレモリー眷属のみんなも涙を流していた。

 

そんな感動のワンシーンを確認した初代の爺さんが締めの言葉を言った。

 

「ま、何はともあれ、解決じゃい」

 

―――――本当、そうだよね♪




どうでしたか?やっと終わりましたよ京都編。長かったなぁ~。

さて、今回出てきたデュランダルですが、このデュランダルのモデルは緋弾のアリアにでてくるジャンヌ・ダルクの持っていたデュランダルです。わからない人はググってみてね~。

それでは次回!またお会いしましょう!

――バイバ~イ!


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11話 やっと終わった…

無事八坂さんを救い出した俺たちは、京都の疑似空間から元の世界に戻り、俺たちが宿泊しているホテルの屋上にいた。

 

「よくやったな、イッセー。おまえは休んでいろ。救護班!グレモリー眷属とイリナ、匙を看てやってくれ!ケガはともかく、魔力と体力の消耗が激しい!」

 

イッセーを誉めに来たアザゼルが救護班のスタッフを呼んだ。

 

イッセー達は疲労と安心感から、こっちに帰ってきてからぶっ倒れてしまった。かなり疲労困憊していたようだ。

 

回復役のアーシアでさえ、治療と戦闘の緊張感で疲弊きてしまい、イッセーに身を寄せて眠ってしまっていた。

 

他のメンバーも治療は受けているが、一応念のために運ばれていった。

 

「アザゼル。私達も手伝うわ。――各班は其々持ち場に着きなさい!特に、グレモリー眷属とイリナ、匙を重点的に回復させてあげて!ケガは大体は治っているけども、魔力と体力の消耗が激しいわ。急いで回復薬を持ってきてちょうだい!特に、イッセーとアーシアとロスヴァイセには“エルフの飲み薬”を持ってきて!」

 

『はい!優子さま!』

 

優子姉さんが自分の舞台である、地球連邦軍でゆういつの回復専門の救護班を呼んできていた。

 

「元ちゃん!」

「元士郎!」

 

担架で運ばれている匙にシトリー眷属が付き添っていた。中には心配そうに涙を浮かべている人達もいた。

 

匙は龍王変化の消耗が激しく、すべてが終わったあと、気を失ってしまった。イッセーや俺が内側から話しかけて暴走を止めるってこともなく、なんとか力を使っていたように感じる。匙もイッセーと同じく成長しているってことですか。――それにしても、匙も随分と仲間に愛されているようで♪

 

『あら、あなたもじゅうぶん愛されているじゃない。』

 

すると、ルーツが話しかけてきた。

 

「そんなのわかっているよ。みんなから愛されているんだなぁ~なんて、何時もの様子を見ればじゅうぶんわかるさ。もちろん、ルーツからの愛情もね~♪」

 

『――ッ!///…………もう、平気でそんな恥ずかしい事を言うんだから…』

 

「ん?ルーツ何か言った?」

 

『何でもないわよ。それよりも、ほら、あなたも手伝ってあげなさいよ。お兄さん達の頑張りをあなただけ見ているつもり?』

 

ルーツの言う通り、光樹兄さんとレイジ兄さん、それとメイド長カンナさんをはじめ、カンナさんやアイラさん、黒歌や堕天使シスターズのメイドメンバーも後処理の手伝いをしていた。

 

「そうだね…ルーツのいう通りだ。俺も手伝ってくるよ!」

 

『えぇ、頑張りなさい。私は応援しておくわ。』

 

「うん!」

 

俺が手伝いをしろうと思ったら、イッセーと初代・孫悟空の二人が目に入った。

 

「おまえさんは独力で『覇』の力とは違う、えらいものを得ようとしているようじゃな。――いいこった。『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』は、ろくでもない。ただの力の暴走そのもの。それでは、死ぬ。おまえさん、大事な女がいるんじゃろ?おっぱいドラゴンと呼ばれるほどじゃからな」

 

「いや、ハハハハ。ええ、いちおう」

 

初代はアーシアを指さしながら、イッセーに言った。イッセーは笑いながら答えていた。

 

「なら、泣かすな。おまえさんは夢と女で強くなるタイプだぜぃ。それにな、赤龍帝と白龍皇はもともと力の塊じゃ。何でも『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』にこだわらんでもきくらでと強くなれる。――だがの、おまえさんはまだ危ういか」

 

「?」

 

イッセーの顔を覗き込みながらそう言った初代。イッセーはわかっていないようだ。

 

…………確かに、イッセーはまだ危ういだろうね。だって感情が激しすぎるから。『覇』とは『感情』と切っても切れぬ関係。故に、イッセーの様なタイプの人ほど『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』に溺れやすい。……あのときのようにね。

 

「それと、うちのバカが迷惑をかけたようじゃな。それは謝るぜぃ。」

 

……あぁ、美猴の事だね。

 

すると、初代がイッセーの頭を撫でる。

 

「……感情は『覇』を呼び込む。それだけは覚えておくとええ。最後の曹操への一撃、ええ攻撃じゃった。ああいう方向で精進せぃ。イメージと努力だけは怠るでない。――さて、天帝のおつかいが済んだらバかを捜しにいくかの。あやつめ、白龍皇とやんちゃしおって。共に仕置きじゃな。――それでは達者での。そこにおるツバサもな。玉龍(ウーロン)、九尾のもとに行くぞ」

 

『あいよ、クソジジイ。じゃあな、ドライグ、ルーツ!』

 

そう言いながら、最後に此方を見て初代と玉龍(ウーロン)は行ってしまった。

 

イッセーは震える手でグーパーをしていた。――どうやら、体の具合を確認しているようだ。それに、なんだか決意した目をしていた。……また、修行を一からするつもりかな?

 

「お疲れ様。イッセー。……どう?体の具合は」

 

俺はイッセーに話しかけた。イッセーは此方に気づいて振り向く。

 

「ツバサちゃん………ああ、随分と体が重いや。かなり疲労しているな。そうだ、俺、また修行を一から始めようと思ってるんだ。―――この神器(セイクリッドギア)に眠っていた力と『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を組み合わせた俺の新しい力をもっと扱う為にね」

 

……と、なんかかっこよく言ってきた。………………イッセーェ

 

「そうですか。――なら、もっと厳しくしても良いですよね♪」ニコッ

 

「え?」

 

俺が笑顔で言うと、イッセーは固まってしまった。

 

「どうしました?」

 

「え?あ、いや、……なんでもありません」

 

なぜか、イッセーは顔を青くしていた。

……どうしたんだろう?

 

――――――――――――――――――――――

 

昨日はみんなで休憩したあと、傷む体を動かしながら、見送る為に来ていた、八坂さんと九重とセラフォルーさんと京都駅の新線ホームにいた。

 

「赤龍帝、グレモリー眷属のみな」

九重が八坂さんと手を繋ぎながら、笑顔でイッセー達を呼ぶ。

 

「イッセーでいいよ」

 

そうイッセーが言うと、九重は顔を真っ赤にしてもじもじしながら訊く。

 

「……イッセーたち。また、京都に来てくれるか?」

 

「あぁ、また来るよ」

 

「そ、それと、ツバサ…」

 

「……ん?どうしたの?九重ちゃん」

 

「そ、その……ツバサもまた、京都に来てくれるか?」

 

九重ちゃんは先程よりも顔を赤くしていた。

 

「うん♪来るよ。必ずね」

 

ピピピピピピピ――。

 

発車の音がホームに鳴り響く。九重は叫んだ。

 

「必ずじゃぞ!九重はいつだっておまえ達を待つ!!」

 

「あぁ、次は皆で来る。今度は裏京都も案内してくれよ?」

 

「うむ!」

 

「じゃ~ね、九重ちゃん。また、会おうね~!」

 

「絶対にじゃぞ!」

 

それを確認すると八坂さんが言う。

 

「アザゼル殿、赤龍帝殿、地球連邦軍、そして悪魔、天使、堕天使の皆々、本当にすまなかった。礼を言う。これから魔王レヴィアタン殿、闘戦勝仏殿、光樹殿と会談するつもりじゃ。良い方向を共に歩んでいきたいと思うておる。二度と、あのような輩によってこの京都が恐怖に包まれぬよう。協力態勢を敷くつもりじゃ」

 

「あぁ、頼むぜ、御大将」

 

アザゼルもそう言い、八坂さんと握手を交わす。そこにセラフォルーさんも手を重ねる。

 

「うふふ、皆は先に帰っていてね☆私はこのあと八坂さんと猿のおじいちゃんとこーきくんと楽しい京都を堪能してくるわ☆」

 

セラフォルーさんがとても楽しそうに笑っていた。

 

「いや…、なんだよ楽しい京都って……なんか嫌な予感しかしないのだが…」

 

光樹兄さんがとても疲れたかのようにいった。

 

「あはは、じゃ~、頑張ってね?お兄ちゃん」

 

「おう、おまえは気にせずそのままみんなと帰れ。学生らしくな」

 

光樹兄さんは優しく頭を撫でてくる。

 

「うん。あとはよろしくね」

 

プゥーーー

 

「じゃ~ねぇ~!」

 

こうして俺達の長い長い、京都旅行が終わったのだった…。




今回はかなり短いです。……さて、次はどんな話にしようかの~(棒)


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12話 番外編 なん…だと…!?

今回は番外編です。……さぁ、今回の主役は地球連邦軍の総司令官である、チートの塊、結城光樹さんです。どんな物語なのか、さぁ、どうぞゆっくりしていってくださいね


やぁ、みんな久しぶりだな。俺の名前は結城光樹。地球連邦軍の総司令官をやっている。

 

「ふむ。心地よい朝だ。森林に囲まれながら優雅にお茶をする。 ……なんて平和な日なんだろうか」

 

俺は、実家の外にある特別の場所で、優雅に紅茶を飲みながら新聞を読んでいた。

 

「――ふむ、グレモリー領でテロか。なになに……『テロは起きたが、一時間程ですぐに鎮圧された。グレモリーの者と地球連邦軍による、血のでない一瞬の勝敗。テロを起こしたグループのリーダーは即座に降伏。これにより、被害は民家が何件か壊れた程度だった』…………うむ。なんというか…。よほど怖かったんだろうな…」

 

きっと、あの皐月とナツルの姉妹はかなり暴れたんだろうな。……可愛そうに。

 

「さて、今日はなにをしようかなぁ」

 

俺は紅茶を飲みながら思いにふけっていると、ガチャリ…と扉が開き、誰かが外に出てきた。

 

「――あ、光樹兄さんここにいたんだ。」

 

どうやらここに来たのはツバサだったようだ。

 

見た目はかなり美少女な男の娘。それが俺達の自慢の弟だ。こいつは家族を穢す奴等を絶対許さない。家族に手を出そう者がいおうなら、その者はいろんな意味で消えるだろう。

 

「どうしたんだ、ツバサ。こんな所まできて俺になんかようか?」

 

「うん、お兄ちゃん、俺ね、光樹兄さんに報告があってきたんだ♪」

 

すると、ツバサは嬉しそうに“ポッコリと膨らんだお腹”を撫でながら、微笑んでいた。

 

………ん?――“ポッコリと膨らんだお腹”?

 

 

「僕ね、赤ちゃんが出来たんだ♪///」

 

「おぉ~!そうかそうか、赤ちゃんかぁ~。」

 

………………………………はい?

 

「…………え?……あ、赤ちゃん?……嘘だろ?」

 

嫌々、そんな訳が…

 

「嘘じゃないよ?ほら♪」

 

ツバサのお腹をよく見たがやっぱりお腹が膨らんでいた。それもかなり……。

 

「さ、触ってみても…?」

 

「えぇ、どうぞ?」

 

俺は恐る恐る、ツバサの膨らんだお腹を触る。……暖かい――じゃないよ!?

 

「……う、嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」

 

俺はおもわず大声で叫ぶ。

 

だってそうだろ!?こいつは男だぞ?!見た目は美少女だけども男だぞ!?た、確かにこいつは男の娘だ。しかし、性別は結局男であって女ではない。つまり、体の構造上、子供なんてできる筈がないんだ!!

 あ、あり得んぞ!?

 

「うわぁ!?……もう、いきなり大声を出さないでよ。びっくりするじゃんか」

 

「え、あ、いや、すまん」

 

……ちょっと落ち着こうか。ま、まずは深呼吸だ。

スゥーハァースゥーハァー………いよし!

 

まずは、あれだ、そう!情報収集からだな!何事にも情報というものはとても大切だ。うん。と、とりあえずなんでこうなったかを聞かなくてわな!

 

「ツバサ、その、あ、相手は誰なんだ!?」

 

…………って、なにを聞いておるんだ俺は!?

 

「相手?――ああ、この子の父親ね。うん♪いま連れてくるね。入ってきていいよ~」

 

すると、ツバサが大きな声を出して誰かを呼んだ。

 

ガチャリ…

 

瞬間、誰かが出てきた。そして、そこにいた人物は――――――

 

「どうも、ツバサちゃんのお腹の中にいる子の父親である、“兵藤一誠”です。」

 

――――あの、兵藤一誠だった。

 

「……なん…だと…」

 

―――バ、バカな!?なぜよりにもよってこいつなのだ!?

 

俺が戦慄していると、イッセーが突然俺の目の前に立った。

 

「光樹さん――いえ、お義兄さん!俺はツバサちゃんを幸せにします。なので、結婚するのでこれからよろしくお願いします!!」

 

イッセーは“バッ!”と勢いよくお辞儀をする。

 

そのせいで、また混乱を極める俺の頭。

 

「俺――いや、私からもお願い。イッセーさんと末長く暮らしたいの。突然の事で頭がいっぱいだろうけども、私はイッセーさんを愛しているわ。この子と一緒にくらすの………ね、イッセー♡」

 

「ああ、俺も愛してるよ。ツバサちゃん」

 

「――もう!///イッセーったら!♡///」

 

………え?な、なに?この甘ったるいの……

 

「それじゃ~ね。お兄ちゃん。いままでお世話になりました♪」

 

「お義兄さん。ツバサちゃんは絶対に幸せにするので、安心してください。それでは!」

 

すると、イッセーとツバサは、ツバサがイッセーの腕に絡みつきながら、ラブラブな雰囲気で何処かに行こうとしていた。

 

「……………え?ちょ、ちょっとまて!どういうことか説明しろ!ま、待ってくれ!おい!聞こえているのか!?おい!!ちょ、いや、本当に、ま、まて、待ってくれ!―――」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

「ツバサぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ガバァ!!

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……」

 

俺はベットから飛び起きた。

 

「こ、ここは…?」

 

俺は、部屋を見渡す。どうやら、自室の様だ。

 

「……さっきのは…夢か?―――なんだ夢かぁ~!」

 

ふぅ……マジでさっきのは洒落にならんぞ。絶対にあってはならんことだ。うん。

 

「いや~安心しt………………いや、まてよ…もしかしたら…もしかして……―――こうしちゃおれん!」

 

俺はベットから飛び下り、ダッシュでツバサを探した。

 

ズドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!

 

「――うおおおおおおおおおおおお!!!」

 

俺はひたすら走る。

 

「ツバサぁぁぁぁぁ!!!どこだぁぁぁぁぁ!!」

 

俺はツバサの気配を探した。――リビングか!!

 

「――ぉおおおおおおお!!!」

 

俺はリビングまで走り抜け、リビングに着いた。

 

ズガァン!!

 

「ツバサはいるか!?」

 

俺は扉をぶっ飛ばして入った。

 

「ふえぇ!?な、なにごと!?」

 

――と、ターゲットであるツバサが驚いた様子で此方を見ていた。

 

「ツバサぁぁぁ!!!」

 

ズザザザザザ!!

 

俺は一瞬でツバサの元へとたどり着いた。

 

「え?え?ちょ、なに!?」

 

ツバサは驚いているが、俺はお構いなしにツバサの服を巻き上げお腹を触る。

 

「――ひゃぁん!?///な、なにするのさ!?お兄ちゃん!?///」

 

ツバサがなにか言っているが、俺は構わず身体中を触りまくる。何処にも異常がないか確認するために!決してやましい気持ちはない!!

 

「ちょ、だからなにして――ひゃん!?――ちょっとまっ…ぁん…ひぃん…ど、どこを触って――ぁひゃん!?///――も、もう、やめてぇ~……///」

 

俺はツバサの姿にかまわず触りまくる。――け、決して興奮なんぞしておらんぞ!?かなりエロいだなんて思っていないからな!?

 

「――ぁん……も、ひぁん!――だからぁん!//――も、もう―――――」

 

すると、ツバサの拳が振りかぶり――

 

「いい加減にしろぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

ズドォォォン!!!

 

「ゴファッ!?」

 

ゴシャッ!

 

まるで拳で殴った音じゃない音が響いたが、それがいつもの力加減だ…。こいつは、俺に対しては手加減なぞしらない。

 

「――こ、この!バカ!エロ助!スケベ!痴漢!アホ!クズ!バカ兄貴!!―――いったいなにを考えているんだ!このド変態が!!!」

 

ツバサは顔を真っ赤に染ながら、涙目でこっちを“キッ”と睨んできた。

 

「い、いや、はははは…。すまない。ちょっと確認したいことがあってな……」

 

「は?どういうことだよ…。なに?確認したいことって」

 

ツバサが首を傾げながら聞いてきた。

 

「いや、確認はできたさ…(うむ。やはり、出来ていなかったな。)」

 

「?」

 

ツバサはなにがなんだかわからないようだ。まぁ、当たり前だ。俺が夢のせいで独断で、ツバサに赤ちゃんができていないか確認しただけだからな。

 

「ツバサ、少し話したいことがある。」

 

「……なに?話したいことって」

 

俺はツバサに向き合っていう。

 

「妊娠は絶対にするなよ!?するときは必ず避妊具をするんだからな!!絶対にだぞ?絶対にだからな!?」

 

俺はツバサの肩を強く掴み強く言った。

 

「う、うん。わかった、わかったから!落ち着きなさいよ!このバカ兄貴!!」

 

ゴンッ!

 

「ぐはっ!」

 

俺はまたツバサに殴られた。

 

「いつつ…」

 

「なんだかよくわからないけども、とりあえずわかったから。……いや、実際はよくわかんないけど、それでもわかったから!いいから落ち着け…」

 

「お、おう、すまん。」

 

「……たく…。しっかりしてよね…」

 

「は、はい。申し訳ありません…」

 

俺はツバサにおもわず謝ってしまった。……え?なぜかって?――それはわからない。ただ、本能がそうしろと言ったからだな。

 

――――このあと、無茶苦茶怒られた……。

 

 

 

 

 




グダグダじゃ~。そして光樹の暴走。ちょっとそこ変わr――ゲフンゲフン!

さて、今回は光樹さんメインでした。また、これからもちょくちょく、単独メインの番外編を作っていこうと思っています。お楽しみください。


それではまた次回で! バイバ~イ!


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学園祭のライオンハート
1話 決意


京から帰宅して数日後、俺はサーゼクスんから受けたオファーのために冥界の旧首都、ルシファードにある大型コンサート会場のステージにイッセーたちと来ている。

 

「ずむずむいやーん!」

 

「「「「「「「「ずむずむいやーん!」」」」」」」」」

 

ステージに立っているイッセーの掛け声に、客席の子供たちが元気な声で反応している。

 

もちろん、「乳龍帝おっぱいドラゴン」のヒーローショーだ。その近くで俺は護衛として立っていた。

 

いまは、暇をもて余して待機している。

 

「いくぜ、ドラゴンキック!」

 

「「「「「「「「キ―――――――ックッ!!」」」」」」」」

 

イッセーの掛け声と共に子供たちの歓声と舞台装置による爆発の演出がされてステージは盛り上がっている。

 

子供達も楽しそうでなによりだ。

 

「何だかんだいっても、やっぱりイッセーは大人気だね~。これもドラゴンの力なのかな?」

 

『それは違うわよ。あれはイッセー本来の力でしょうね。いままでの所持者は子供好きもいたけれども、子供にはなつかれていないもの』

 

俺の独り言にルーツが反応した。ルーツは最近神器から出てきて、人間の娯楽を楽しんでいる。なので、最近は人間の状態でいるときが多いい。

 

そんな他愛のない話を暫くしていたら、ヒーローショーが終わっていたようでクイズコーナーがはじまっていた。

 

『……では、おっぱいドラゴンのクイズコーナーです』

 

「「「「うおおおおおおおおっ!ヘルキャットちゃぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」

 

舞台ではクイズコーナーの司会をする白音に、大きなお友達の声援が向けられている。

 

「……ハハハ、人間界も冥界も平和だな」

 

俺は苦笑しながらそう言った。

 

『同感ね』

 

同じく、呆れながら嘆息するルーツ。

 

冥界の未来のために盛り上げたいと言っていたサーゼクスさんの仕掛けは当たりを引いたようだ。

 

そういえば、冥界メディアではロキ襲来や京の事件などをニュースなどで報じており、そこで作戦に参加していたイッセーたちグレモリー眷属のことを大々的に報道していた。

 

そのせいか、イベントなどで冥界を訪れた際に、マスコミ関係の方々に囲まれてフラッシュをたかれる羽目になっていた。

 

そんなわけで、俺が護衛としているのだ。

 

目立った戦も無くなった悪魔業界にとって、俺たちが遭遇する事件は珍しい…らしい…。

 

『おっぱいドラゴン!またもお手柄!!』みたいな感じで報道されている隣で兄さん達のことは、『おっぱいドラゴンの窮地のときに味方増援か!?』のような感じに報道されていた。

 

つまりは、テレビの中の『おっぱいドラゴン』と実際のイッセーの行動が混同されているので子どもたちの人気が若干増えてきているようだ。……でも、あきらかに若干どころじゃない気がするのは俺だけではないはずだ…。

 

そんな事を思いつつ、俺はトイレに行こうと通路を歩いていたら、通路先で何やら話し声が聞こえてきた。

 

サッと物陰に隠れた俺は、頭を少しだけ出して声のする裏口の様子を伺ってみる。

 

「すみません。握手とサイン会の整理券配布はすでに終わってまして……」

 

「そ、そうなんですか……。もう終わっちゃったんだって」

 

「やだぁぁぁぁっ!」

 

スタッフの男性が謝り、母親が子供に告げるとその子どもは涙をためて泣き叫ぶ。

 

「どうかしたんですか?」

 

通路の隅から赤い閃光を発した直後にマスクを収納した状態のイッセーが現れた。

 

その声に母子とスタッフが振り返る。

 

「おっぱいドラゴンだっ!」

 

子供は一転して笑みを見せた。スタッフがイッセーに説明する。

 

「あ、兵藤さん。いえ、こちらのお母さんとお子さんがサイン会の整理券配布に間に合わなかったようでして……」

 

確認を取ったイッセーは子供の前で片膝をついて訊く。

 

「キミ、名前は?」

 

「……リレンクス」

 

「リレンクス、俺に会いに来てくれてありがとう。えーと、何か書くものものありますか?」

 

イッセーがスタッフに訊くと、

 

「あ、ありますが……」

 

マジックペンを取り出して手渡した。

 

「この帽子。俺のデザインが入った帽子、これにサインしてもいいかな?」

 

イッセーがリレンクスの帽子を指さすと、リレンクスは三度もうなずいた。

 

帽子にサインを書き、そのままリレンクスの頭に被せるイッセー。輝くような笑顔でリレンクスは帽子を何度も脱いでは被っていた。

 

「ありがとうございます!」

 

母親がお礼を言う。イッセーがリレンクスの頭に手を置いて告げた。

 

「リレンクス、男の子が泣いちゃダメだぞ。転んでも何度でも立ち上がって女の子を守れるぐらい強くならないとさ」

 

そう言ったあと、イッセーは立ち上がってスタッフと共にその場をあとにする。

 

『……へぇ~、普段とは違い、確りやるじゃない』

 

どうやらルーツのイッセーに対しての評価が上がったようだ。

 

まぁ、確かに、普段のイッセーの行動を見ていたら忘れがちなんだけども、イッセーはすごく優しいからこんな事でも嫌々やらずに、一生懸命やるんだね。

 

イッセーとスタッフが立ち止ったのを確認して、俺は能力を使い完全に気配を消した状態で物陰に身をひそめた。

 

「格好良かったわよ、さすが私のイッセーね」

 

イッセーの近くに現れた紅髪の影――リアスさんだ。

 

「少し軽率だったけれど、それでもあの子の夢をあなたは守ったわ」

 

「部長……」

 

イッセーが涙目で感動しているところに気配が二つ近づいてくる。

 

俺は状況を判断しながら、イッセー達の所わを確認をしていた。

 

「あら?ごきげんよう、リアス、一誠さん。ここで何をしているのかしら?」

 

イッセー達の目の前に現れた人物は――ヴェネラナ夫人だった。ということは、傍にいるのは……ミリキャスだね。

 

「お、お母さま!ミリキャスまで!いらっしゃっていたの?」

 

リアスは素っ頓狂な声を上げて驚いていた。

 

「リアス姉さま、イッセー兄さま、イベントとても楽しかったです!」

 

ヴェネラナ夫人の隣で立っているだろうミリキャスが元気に言った。

 

ヴェネラナ夫人は言う。

 

「えぇ、一度、グレモリーが主催するイベントを直に見ておきたかったものですから。ミリキャスも見たいと言っていたのです。一誠さん、盛り上がっていましたわね。良いショーだったと思いますわ」

 

どうやらイベントの会場に来ていたらしい。……全く気づかんかった。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

イッセーが礼を口にした。

 

「一誠さんを模した特撮番組は我がグレモリー家の財産を担う大切な産業となることでしょう。そして、冥界の子供たちにとっても大切なものになっていますわ。これからもグレモリーの一員として、冥界のため、我が家、我が娘のために奮闘してもらえると助かりますわ」

 

「もちろんです、部長のお母さま!粉骨砕身の精神でがんばりたいと思います!」

 

「『粉骨砕身』、日本の成句だったわね。良いお言葉ですわ。さすがグレモリー家の男子です。けれど、『部長のお母さま』というのは、いただけないわね。私のことは『部長のお母さま』ではなく、お義母さまか、母上と呼ぶこと」

 

――あ~ぁ、始まってしまったようだ……ヴェネラナ夫人の説教…。

 

俺は聞こえる声を聴いて内心そう思った。……がんばれ、現代の赤龍帝よ。俺は物影から笑いを耐えながら見ていてやろう。

 

「…し、しかし、失礼のような……」

 

どうもイッセーは現状を理解していないらしい。あの冥界での儀礼といい、イッセーはまだ自覚いていないようだ……少しは勘付いてはいるもののねぇ…。この鈍感野郎めー!!

 

「リアス、教えがなっていないのではなくて?」

 

ヴェネラナ夫人の声音が低くなり、リアスが答える。

 

「申し訳ございません、お母さま。ですが――」

 

「そこで『ですが』が入るだなんて……。伴う男子を入れるのですから、そこをちゃんとしないでどうするの?それと例の順番は決めたのかしら?少なくともアーシアさんとゼノヴィアさんはそうなのでしょう?」

 

……例の順番?…なにそれ?。

 

『貴方はまだ知らなくてもいいわよ』

 

――ルーツに言われたので思考をその場で停止させた。

 

「殿方がそれを望むのだから、そこを管理するのも当主たるあなたの役目です。他にも増えるとしたら、いまからちゃんとしなければダメよ。お父さまのときはきちんと私が手綱を握ったものです。強く魅力的な殿方に他の女性が心を奪われるのは世の常。サーゼクスは魔王ゆえにグレイフィアのみでしたが、彼は別に魔王を目指しているわけではないのよね?ならば問題もないでしょう。……まさか、まだ決め手を欠いているのかしら?もう、強引なところは私に似たと思ったのに、最後の最後で詰めが甘いだなんて……。一度そういう関係になれば周囲の女性の主導権を得られるでしょう。リアス、最後まで私やグレイフィアが介入しなければ進められないのですか?」

 

不満を爆発させたヴェネラナ夫人のマシンガントーク。グレイフィアと同様にイッセーとリアスの仲に不満を抱いているようだ……。

 

コホン、とヴェネラナ夫人は軽く咳払いをしたあと、「まぁ、いいわ」とお説教モードを終える。

 

「イッセーさん。あなたもあなたですわね。まずはグレモリー家の者を呼ぶところから自覚してもらわないといけません。私はともかく、リアスのことです。いつまでも『部長』だなんて……。そこが一番大事なことだわ」

 

俺はそっと物陰から覗いていると、ヴェネラナ夫人がイッセーの鼻先に指を突きつけて物申していた。

 

「リアスのことは好き?」

 

「は、はい!もちろんです!!尊敬していますし、俺の大事な方です!命に代えても終生お守りするしだいです!!」

 

イッセーの言葉にヴェネラナ夫人がうんうんとうなずく。イッセーの隣にいるリアスさんは顔を真っ赤にしている。

 

「あ~、無自覚にプロポーズしやがったな…」と、何時ものイッセーに心のなかで突っ込みを入れる俺をよそに、ヴェネラナ夫人は続ける。

 

「よろしい。麗しい主従関係は確認しました。それなら、もう一歩踏み込んでみなさい。プライベートでのリアスはあなたにとって、どういう存在なのか、それを改めて考えてやりなさい」

 

そんなヴェネラナ夫人の言葉に、イッセーは考え込んでいた。

そして、ヴェネラナ夫人がミリキャスと共にその場をあとにしていく。

 

リアスさんがコホンと軽く咳払をしたのが聞こえた。

 

「……さ、さて、帰ったら学園祭の準備再会よ」

 

「はい!」

 

二人は何かを話しながらこの場を去っていった。

 

「――さ~てとぉ、俺も戻りますかね~」

 

俺は物陰から出たあと、舞台裏へと戻ってきた。

 

「(俺も、もっともっといま以上に頑張らなくちゃ。平和の為にも…ね)」

 

そんな決意と共に―――



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2話 ミーティング?

「すみません、遅れました。」

 

俺は旧校舎にあるオカルト研究部の部室にきた。

 

部室にはリアスの眷属であるイッセーたち九人、顧問のアザゼルが集まっていた。

 

「おー、ちょうどいまからだぞ」

 

アザゼルが席に着いたまま手を挙げて言った。

 

「じゃあ、ミーティングを始めるぞ」

 

すると、アザゼルは険しい顔つきになって言った。

 

「ゲームのミーティング前に各勢力の情勢について話したいことがある。――ちょいと神器(セイクリッドギア)に関して厄介なことになりそうでな」

 

「どういうことですか?」

 

木場が訊くとアザゼルは続けた。

 

「英雄派の連中が禁手(バランス・ブレイカー)の研究をして、実際に結果を出しているのはおまえらも認識しているはずだ。身をもってその力を食らったわけだからな」

 

確かに外法と言われる禁術、禁技の類に手を伸ばしているのはわかっている。

 

「あいつら、英雄派に属していない一般に紛れている神器所有者や、悪魔に転生している神器所有者に禁手(バランス・ブレイカー)に至る方法を伝え始めているって話だ」

 

へぇ〜、ずいぶんと面倒なことになってるね〜。

 

「それがどういう結果を生むか。――不遇な人生を送っていた者が一転して、世界の均衡を崩すと言われる力を得れば、そいつの価値観が変わる。知っての通り、神セイクリッ器ド・ギアを持った奴は必ずしも良い人生を送れたわけじゃない。人とは違う異能ゆえに迫害され、差別された者も少なくない。悪魔に転生した所有者も理不尽な取り引きで眷属になったケースもある」

 

アザゼルの言葉にリアスが続く。

 

「……すべての悪魔が良心的なわけではないものね……。上級悪魔にも心ない者が少なからずいるわ。人間界の影響で多様な考えの悪魔が増えてきたけれど、本来は合理的な思想を持つのが悪魔だもの」

 

「確かにリアスさんの言う通りですね。なんせ、うちの部隊にも、元眷属悪魔さんが結構いますし、その殆どが人間やその他同士の混血などといった人達ですしね。だいたいの人達が理不尽な扱いではぐれになった人達ですしね」

 

俺はリアスさんの言葉に続いて話した。

 

そして、アザゼルが続ける。

 

「そう、ツバサの言う通り、理不尽な思いで暮らしている神器(セイクリッドギア)所有者もいるってことだ。それらが力の使い方、圧倒的な能力――禁手(バランス・ブレイカー)を得たらどうなるか?」

 

皆がシンと静りかえったなか、アザゼルは表情に影を落としながら言う。

 

「――使う、だろうな。その力を。人間ならば、他者への復讐、世俗の逆襲に使うかもしれないし、神器(セイクリッドギア)持ちの転生悪魔なら己を虐げてきた主への報復を考えるだろう」

 

……俺は思った。もし、もしもだけれど……知人や家族、そして仲間がそうなったとき、俺は…俺は何をしてあげられるのだろうか?

 

脳裏に過ぎるのは『始末』の二文字しか浮かばない。いや、浮かべないのだ。これ以上復讐に飲み込まれる前になんとか開放をしてあげたい一心だから。

――――ほんと、何てことを考えているんだろうね…俺は。

 

「……怖い、ですね」

 

イッセーがそう漏らすと、アザゼルもうなずいた。

 

「あぁ、いろいろな意味で怖いことだ。人間がやれることの限界、超常の存在への挑戦、禁バランス手・ブレイカーの研究をしてきた英雄派の連中にとって、これから起こるかもしれない事象はある意味で一つの成果だろう。人間界、冥界のどこかで不満を抱えていた神器(セイクリッドギア)所有者が暴動を起こすは時間の問題だ」

 

アザゼルは怖い顔で言う。

 

「つまりだ……、してやられたってわけだ。テロリストであるあいつらの結末がどうなるかはまだわからないが、現時点で大きな一発をもらったのは確かだ。今後に影響は出る。悔しいが、見事だよ。人間の恐ろしさを改めて思い知った」

 

アザゼルは表情に影を落とした。

 

空気が重くなった室内。アザゼルはそれを察してか、咳払いした。

 

「――と、悪かったな。今日、ここに来たのはサイラオーグ戦へのアドバイザーとしてだったな」

 

すると、イッセーが挙手してアザゼルに質問した。

 

「サイラオーグさんにも先生みたいにアドバイザーが付いてるんですか?」

 

「あぁ、いちおうあっちにもいるぞ。皇帝エンペラーさまが付いたそうだ」

 

「――っ!……ディハウザー・ベリアル」

 

アザゼルの一声に一番反応したのはリアスさんだった

 

――ディハウザー・ベリアル。元七十二柱のベリアル家出身の最上級悪魔。たしか、レーティングゲームでは不動のトップの座についている人物だったね。

異名は『皇帝(エンペラ-)』だったかな?

 

「さて、おまえたち、サイラオーグ眷属のデータは覚えたな?」

 

アザゼルの言葉にイッセーたち皆がうなずいた。

 

アザゼルは立体映像を部室の宙に展開する。バアル眷属の面々がパラメータ付きで表示されていった。アザゼルがそれを見ながら言う。

 

「あのグラシャラボラス戦では、能力を全部見せていない者もいたようだ。まぁ、あの試合は途中でグラシャラボラスのガキ大将がサイラオーグ相手にタイマンを申し込んだしな。実質、サイラオーグが勝負を決めたようなものだ。それに――」

 

アザゼルは手を組みながら言う。

 

「サイラオーグはおまえたちと同じ、悪魔では珍しい修行をするタイプだ。グラシャラボラス戦のときとは明らかにレベルアップしているだろう」

 

そう、バアル眷属もイッセーたちと同じで努力を重ねるタイプ。

 

「あいつら、『禍団(カオス・ブリゲード)』相手に戦っているって話だからな。危険な実戦も積んでいる。『できるだけ若手を戦にかり出さない』って宣言したサーゼクスたち四大魔王の意向も虚しいか。ま、おまえたちみたいに無茶な戦闘に連続で出くわす若手もいるしな」

 

アザゼルが苦笑いしながらそう言った。

 

すると、険しい表情のロスヴァイセさんがつぶやく。

 

「……この相手の『兵士(ポーン)』、記録映像のゲームには出てませんよね?」

 

イッセーたちが視線を一点に向けた。そこに映っているのはサイバーな仮面を被った者だ。名前も『兵士(ポーン)』とされている。

 

……えぇ〜と?サイラオーグのところは『女王(クイーン)』1、『戦車(ルーク)』2、『騎士(ナイト)』2、『僧侶(ビショップ)』2とリアスたちの陣営と似ている。そしてこの『兵士(ポーン)』――。

 

この時、俺はこの『兵士(ポーン)』の何かに引っかかっていた。

 

――それが何かがわかんないけどね〜

 

「記者会見でも記者がこの人のことであろう質問をサイラオーグ・バアルに向けていましたね」

 

祐奈が言う。

 

「……そいつは滅多なことではサイラオーグも使わない『兵士(ポーン)』だそうだ。情報もほとんど無くてな。仮面を被っているために、どこの誰だかわかりもしない。今回初めて開示された者だ。ってことは今度のゲームで使うってことだろう。サイラオーグもこいつをできるだけ他者に引き合わせないようにさせているようだからな。ただひとつだけ噂で流れているのは、消費した『兵士(ポーン)』の駒が六つだか、七つと聞く。ゆえに奴の『兵士(ポーン)』はこいつ一人なんだそうだ」

 

『六つ!?七つ!?』

 

異口同音で驚愕の声音を出すイッセーたち。

 

アザゼルが続ける。

 

「データがそろっていない以上、この『兵士(ポーン)』には細心の注意を払って臨むべきだ。ただでさえ、今回はどんな選手でも参加できるんだからな。……サイラオーグの隠し球、虎の子ってところか」

 

……なるほどね。確信したよ。あの『兵士(ポーン)』はおそらくイッセーと同じ神器(セイクリッドギア)……否、神滅具(ロンギヌ)所有者だ。

 

――と言いたいところだけれど、感はなんだか違う気がする。なんだか、あの『兵士(ポーン)』は、神滅具(ロンギヌス)所持者の悪魔じゃなくて、神滅具(ロンギヌス)そのものの気がするんだよなぁ〜。ありえないんだけどね。…………でも、かりにそうだとしても自立型の神滅具(ロンギヌス)って存在してたっけ?むぅ〜…謎が深まるばかりだぞぉ

 

サイラオーグ眷属の情報を聴いたあと、イッセーたちはリアスを先頭にゲーム戦術などを話し合っていた。

 

少しすると話の議題が一つ終わったようで、イッセーが挙手してアザゼルに疑問をぶつけた。

 

「先生、俺たちが正式にレーティングゲームに参加したとして、王者と将来的に当たる可能性は……?先生の目測でいいですから」

 

「おまえたちはサイラオーグと合わせて、若手でも異例の布陣だ。というのも正式に参戦もしていないのにこれだけの力を持ったメンツが集まっているんだからな。しかも実戦経験――特に世界レベルで強敵との戦闘経験がある。その上、全員生き残ってるんだからな。そんなこと、滅多に起こらないし、久方ぶりの大型新人チームと見られている。本物のゲームに参加してもかなり上を目指せるだろうよ。トップテン入りは時間の問題だろうな」

 

堕天使総督から直に太鼓判をもらったイッセーたち。気恥ずかしそうにしているイッセーたちにアザゼルは続ける。

 

「だが、その分、冥界からの注目も大きい。今度のゲーム、冥界中がおまえたちを見ているぞ。悪神ロキ、テロリストを止めているおまえたちはさだでさえ有名人だ。さらに記者会見であれだけの盛り上がりも見せたんだからな、冥界の住人は新しい息吹に悪魔の未来を見ている」

 

……悪魔の未来か。壮大だけど……そう遠くないかもしれない…かな。

 

「もちろん、ゲームの現トップランカーもおまえたちやサイラオーグたちに注目し、将来の敵になるであろう者の研究を始めるだろう。いい傾向だ。ほとんど動かなかったゲームのランクトップ陣、遠くない未来におまえたちやサイラオーグがさしこんでくれるかと思うといまからワクワクしちまうよ」

 

アザゼルは愉快に笑んだあと、言った。

 

「――変えてやれ、レーティングゲームを。ランキングテン以内も『皇帝(エンペラー)』も、おまえたち若手がぶっ倒して新しい流れを作るんだよ」

 

――イッセーたちが変える…か。

 

ふふふ、なかなか面白そうじゃないか。その運命はどう転ぶのかな?

 

「あははは!それはとっても面白そうだね〜。オレも早く作りたいなぁ〜。眷属をさぁ〜」

 

オレの言葉に『ゲッ』と嫌そうに声を出したイッセー。ひどいなぁ〜、イッセー。そんなに嫌そうな顔をしなくてもいいじゃないかぁ〜。

 

そして、アザゼルは面白そうなものを見つけた子供のような顔でこっちを見てきた。

 

「なんだ?そんなことできるのか?」

 

「うん。いまね、悪魔の『悪魔の駒(イーヴィルピース)』と天使のカードを真似て作ってるの。人間や妖怪でも使える駒をね。」

 

「ほう…なるほどな」

 

「でね、悪魔が"チェスの駒"、天使がダイヤやA(エース)といった"カード"、そして人間や妖怪は日本版チェスと言ってもいい"将棋の駒"にしようかな〜なんて思ってるところなの。まぁ、まだ決めていなくて、いまみんなで考えている所なんだけどね〜。あくまでも、いまの所それがいいかなぁ〜って程度だしね」

 

俺がそういうと、アザゼルは納得した顔をしていた。

 

すると、アザゼルは何かを思いついたのか、俺の方に向けて言う。

 

「ツバサ、今回の特訓はおまえに任せたいと思う。鍛えてやってくれ」

 

アザゼルの問に俺は小さく笑い答えた。

 

「もとからそのつもりだよ。いままで以上にハードで殺す勢いで鍛えてあげる♪少なくても、ライザー戦の前に修行した時よりも断然辛くなるからね♡」ニコッ

 

笑顔でそう宣言すると、リアスさんたち眷属全員の顔色が一転した。なにか分かっていないゼノヴィアやロスヴァイセさんは頭にハテナマークをつけていた。

 

俺はそんなみんなの様子を見て笑っていた。

 

 



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3話 気持ち

ミーティング終了後、アザゼルとロスヴァイセさんはまだ教師としてやることがあるからと先に抜けていった。

 

残った面々で、学園祭の準備に挑む。俺は部屋の飾り付け作業をするみたいだ。

 

ちなみにイッセーは力作業をしている。

 

前回は大人数で進めていたらしいけど、いまは木場とイッセーと俺しか男手がない。……でも、なぜかみんなが力作業をやらせてくれなかった。なんでだろう?

 

そんなことを考えながら自分の作業が終わったので、イッセーと木場の手伝いをしようと立ち上がったとき、パァァァァァァッとテーブルの上に光が走った。

 

その光は円を描き、魔方陣の形を成していく――。

 

「……フェニックス?」

 

白音がそうつぶやいた。あ、確かにフェニックスの紋様の魔方陣だ。

 

テーブルサイズの魔方陣だから……おそらく連絡用かな。

 

誰からきたのかな…?と思っていると、魔方陣から立体映像が投影され、若い女性の顔が映し出されていく。

 

高貴そうな雰囲気と面持ち。確かこの女性は――。

 

「お母さま!」

 

レイヴェルが素っ頓狂な声を出した。

 

……そうだ、この女性はフェニックス現当主の奥さんでレイヴェルの母親。だいぶん前に、フェニックス家に行った時にフェニックス卿の隣にいた女性だ。

 

『ごきげんよう、レイヴェル。急にごめんなさいね。なかなか時間が取れなくて、こんな時間帯になってしまったわ。人間界の日本では、まだ学校のお時間よね』

 

「は、はい、そうですけれど、突然どうされたのですか?」

 

レイヴェルがそう訊くと、フェニックスの夫人は言う。

 

『……リアスさんと赤龍帝さんはいらっしゃるかしら?』

 

指名されたのはイッセーとリアスさん。リアスさんが夫人の前に立つ。

 

「ごきげんよう、おばさま。お久しぶりですわ」

 

『あら、リアスさん。ごきげんよう。久しぶりですわね。それと……』

 

きょろきょろと見渡す夫人。どうやらイッセーを探しているようだ。俺は傍にいたイッセーの背中を軽く押すと、イッセーは急いで視界に入る位置に移動した。

 

「あ、どうも初めまして。兵藤一誠です」

 

『こちらこそ、ごきげんよう。こうしてお会いするのは初めてですわね、赤龍帝の兵藤一誠さん。このようないさつで申し訳ございませんわ』

 

「い、いえ。そ、それで俺に何かご用があるのでしょうか……?」

 

『えぇ、改めてごあいさつだけでもと思いまして……。本来なら娘のホームステイ先の兵藤家と学園を取り仕切っているリアスさんのもとにごあいさつをしに行くべきなのですが、何分、こちらも外せない事情がありまして……』

 

「……ほら、フェニックスの涙の需要が高まってるから、それで時間がないんじゃないかなって……」

 

木場がこっそりとイッセーに耳打ちをした。

 

納得した表情のイッセーが夫人の方へ向き直す。

 

夫人の言葉にリアスさんがほほ笑みながら返した。

 

「そんなことはありませんわ、おばさま。お気持ちだけで十分です。レイヴェルのことはお任せください」

 

『……本当にごめんなさいね、リアスさん。うちのライザーのゲーム後のケアから、レイヴェルの面倒まで見ていただいて……』

 

夫人は申し訳なさそうにそう言う。本来なら婚約を破棄されたことを根に持っていそうなのだが、夫人……フェニックス家の人たちはそのことを露にも思っていない。

まぁ、それに関しては俺もいろいろ関与していたからね。フェニックス卿に頼んで、今回の事はなかったことにしてもらったもん。だって、それでいろいろ面倒なことが起きては大変だからね。

 

夫人の視線が次にイッセーに向けられる。

 

『それと兵藤一誠さん。特に娘をよろしく頼みますわ』

 

……あはは、そうきましたか。しかも「特に」と強調されたところからほぼ間違いなさそうだね。

 

当のイッセーはその真意に気がついていないようだけれども……はぁ。

 

「え、ええ、もちろんです。けど、部長もいますし、俺よりももっと面倒見の言いヒトもいるんで……」

 

『はい。もちろん、リアスさんをはじめ、皆さんに任せておけば娘のレイヴェルは何の不自由もなく人間界の学舎まなびやで過ごせるでしょう。しかし、それとは別にあなたにお願いしたいのです。人間界で変なムシがつかないようどうか守ってやってくれないでしょうか?数々の殊勲を立てていらっしゃる赤龍帝がそばに付いてくださるなら、私も夫も安心して吉報を待てるのです』

 

「へ、変なムシですか……」

 

吉報ね〜……大変なことになりそうだなぁ。特にイッセーが。

 

「わかりました。俺がどこまでできるかわかりませんけど、娘さんは俺が守ります!」

 

イッセーがそう言うと、夫人は表情を明るくさせ、その隣にいたレイヴェルは顔を最大までに真っ赤にさせていた。

 

俺はまたかと思った。イッセーの超無自覚による口説き堕としが炸裂しているからだ。

 

『感謝いたしますわ。……レイヴェル』

 

「はい、お母さま」

 

『あなたのすべきことはわかっていますね?リアスさんを立て、諸先輩の言うことを聴いて、その上で兵藤一誠さんとの仲を深めなさい。フェニックス家の娘として、家の名を汚さぬよう精一杯励むのですよ?』

 

「もちろんですわ!」

 

どんどん話を進めていく夫人とレイヴェル。

 

『最後に兵藤一誠さん』

 

「は、はい」

 

『上級悪魔になることが目標と聞きました』

 

「はい、そうです……けど?」

 

『娘は現在、私の眷属の「僧侶(ビショップ)」となっておりますわ。ライザーとトレードしましたの』

 

「え、えぇ。聞いています」

 

『よーく、覚えておいてくださいまし。娘はフリーですわ。私の「僧侶(ビショップ)」です。ライザーの手持ちではありません。よろしい?』

 

「は、はい!わ、わかりました!」

 

それを聞いてうなずいている婦人…満足そうだ。

 

『こちらの用事は済みました。リアスさん、兵藤一誠さん、皆さん、突然のごあいさつを許してくださいましね。それではもう時間ですわ。レイヴェル、人間界でもレディとして恥ずかしくない態度で臨みなさい』

 

「はい、お母さま」

 

『それでは、皆さん。ごきげんよう』

 

光り輝いて――はじけたあとに淡い粒子となって消えた。

 

すると、フラフラと部室を出て行こうとしていたリアスさんにイッセーが声をかけた。

 

「……ぶ、部長、どこに行くんですか?」

 

イッセーがそう訊くと、リアスさんは足を止め、振り返りもせずにぼそりとつぶやいた。

 

「……いっせー、私のこと、守ってくれる?」

 

急な質問にイッセーは即答した。

 

「もちろん、部長のことを守ります!」

 

「……アーシアのことも?」

 

「え?えぇ、もちろんアーシアを守ります。けど……。どうしたんですか、いきなり、そんなことを訊いて?」

 

 

徐々に声音が低くなるリアスさんとは反対に、イッセーは笑顔で答えている。

 

「……ねぇ、イッセー」

 

「は、はい」

 

「……………あなたにとって、私は『何』?『誰』?」

 

「……えっと、俺にとって部長は部長で――」

 

少し間を置いたイッセーがそう言った瞬間だった。

 

「――っ!バカッ!」

 

涙声でイッセーへ言い放ったリアスさんはその場を飛び出し、部室をあとにしていく。

 

俺は深い溜息をはいた。

 

「(――はぁ、やっちゃったね〜。最近のリアスさんの精神状況が不安定だったのは…イッセーが原因だとは思ってはいたけど……。まさか、ここまで悪化していたとは…ねぇ。ましてや、いつかこうなるとは思っていたけど、こんなにも早くこうなってしまうとは……。もうすぐサイラオーグとの戦いを控えているのに、こんな調子では大丈夫なのかな〜)」

 

そんな事を思っていると……

 

「リアスお姉さま!」

 

アーシアがリアさんスを追いかけていく。

 

扉のところでイッセーのほうを振り返ったアーシア。その瞳は――涙で濡れていた。

 

「イッセーさん!酷いです!あんまりです!どうしてそこで……!お姉さまの気持ちをわかってあげられないんですか!!」

 

それだけを言い残してリアスさんを追いかけていったアーシア。

 

「いまのはマズかったなぁ〜、イッセー」

 

俺は嘆息して言った。

 

「……マ、マズいって何がだよ」

 

「それが――だよ。本当にあなたって人は……」

 

「本当ですわ。リアスとアーシアちゃんが怒るのも当然です」

 

言葉を濁した俺の言葉に続いた朱乃さん。その口調には怒気が含まれていた。

 

「こういうのに鈍い私でもいまのはさすがにどうかと思ったぞ、イッセー」

 

「もう!イッセーくんって、ホントにダメダメだわ!リアスさんが可愛そう!!」

 

ゼノヴィアが半眼で見つめ、イリナはプンスカと怒っていた。

 

「……最低です。イッセー先輩」

 

「本当にゃ。あれはひどいにゃ」

 

今日はいつも以上にイッセーを冷たい口調と視線で罵倒した白音と黒歌。

 

「大丈夫?少し落ち着いてから謝らないとね」

 

そう言った木場。

 

「まぁ、いまはリアスさんをそっとしてあげようよ。落ち着いたら帰ってくるだろうからね」

 

俺はイッセーが追いかけて行かないようにそう言って止めた。

 

「あ、あの……話、私とお母さまのせい、ですよね……?すみません……」

 

落ちこんで謝るレイヴェル。その両肩に朱乃さんが手を置いた。

 

「レイヴェルちゃんは気にしなくていいのよ。いままでリアスとの大事なところを考えてあげなかったイッセーくんが悪いのですから」

 

朱乃さんがそう励ますと、ソファに座るよう促してお茶の準備に入った。

 

……さぁて、これからどうなることやら。

 

―――――――――――――――――――――――

 

俺はいま、学校の屋上で風にあたっていた。昨日の出来事から、今日は部活はなかった。だから、学校でクラスの出し物の準備をおこなっていた。

 

――で、放課後となったいま、することがないので屋上に来ていた。

 

「……ふぅ〜。昨日は本当にめんどくさい事になったなぁ。はてさて、どうしたものかねぇ〜」

 

ほんと、マジでどうしようか。対サイラオーグ戦の修行のついでに、今後の『禍の団(カオス・ブリゲード)』戦の対策でリアスさんとイッセーの"倍加"と"消滅"の合体の練習をしたかったんだけどなぁ。あの様子じゃ〜無理だよねぇ。

 

…………はぁ。どうしたものかねぇ。

 

『ほんとよね。なんで現赤龍帝のイッセーはあんなにも鈍感なのかしら。女好きのエロスケなくせに、鈍感なんて、なんて不思議な子なの?

それに、昨日の事が原因でまともに修行ができずに、本番のレーティングゲームで全力が出せず負けましたぁー……なんて事になったら話にならないわよ?』

 

俺が悩んでいると、ルーツが正しい事を言ってきた。

 

「そうだよね〜。ほんと、そうなってしまいそうで怖いんだよなぁ。」

 

本当にどうしようか……

 

「………………ん?まてよ…………はっ!そうか!!その手があったか!!」

 

『どうしたのよ。どんな手があったの?』

 

俺はとある事を閃き、ルーツが聞いてきた。

 

「それはね、ルーツ。俺は今回の件に関して、いま絶賛ラブラブオーラを出しまくっている2組の夫婦にお願いしようと思ってるの!

それぞれ、リアスさんとイッセーに分かれてもらい、女組と男組に分かれていまの状況というか、愚痴を聞きてもらうの。それでね?それぞれからアドバイスをもらうわけなの!」

 

『う〜ん。それはいいんだけれども、その2組は何処から来るわけ?それに、その2組はちゃんと聞いてしっかりとしたアドバイスをくれるの?』

 

「くれるよ!なんたって、2組の夫婦の妻の2人は、片方は現メイド長、もう片方は元聖職者でそれもシスター。更に、夫の2人は、片や現総司令官で女たらし、片や超絶イケメンで性格も凄くいい頼れる人だからね。2組ともとっても頼りになる人物たちだよ。それに、俺達にとっても馴染み深い人達だからね〜。ルーツなら、ここまで言えばわかるでしょ?」

 

『ふふふ、そうね。確かにその2組なら大丈夫ね。あなたが最も信頼している人達ですもの。

―――なんたって、血のつながった実の兄とお義姉さんだからね』

 

そう、俺が思いついたのは、現在絶賛超絶ラブラブオーラを出しまくっている2組の夫婦こと―――

光輝兄さん×アイラさん・レイジ兄さん×アリアさんの2人組なのだ!

 

「そんなわけで、4人に押し付けるようで悪いんだけども、この件に関しては任せよう!きっと、あの2人組ならなんとかしてくれると、感がいってるからね。こういう時の感ほど、役にたつことはないよ。」

 

『確かにそうよね〜。あなたの感は絶対当たるから、凄く信憑性があるもの。それに、いままで嫌な感しかなかったから、良い感って珍しいものね』

 

ほんとにね〜。いっつも、俺の感は良い感よりも、嫌な悪い感の方が比較的に多いいもの。もっと良い感を欲しいのですよ。

 

「まぁ、うだうだ考えても仕方がないし、今日は丁度、例の2人組が遊びに来るから、早く帰らなくちゃね!」

 

『えぇ、そうね。あと、まだ来ていないみたいわよ。光輝とレイジの持っている神器の中にいる2人から連絡が来たから』

 

「そうなんだ。なら、いっそう急いでいろいろ準備をしなくちゃ。カンナさんや黒歌にも手伝っても〜らおっと!」

 

そう思った俺は、急いで家に帰るのだった。勿論、誰にも気づかれずに、紫さんの能力であるスキマを使ってね。



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4話 空中都市アグレアス

皆様お久しぶりでございます。かなり間が開いてしまい誠に本当に申し訳ございません。言い訳をさせてもらうと、この小説部分の”学園祭のライオンハート”の巻が行方不明になり、全く進めない状態でした。で、やっと見つかったので、今回久しぶりに投稿できました。これからも、ちょくちょく投稿していくので、よろしくお願いします!

それでは、どうぞゆっくりしていってね!


各自の修行から数日が経ったゲーム当日――。

 

俺たち”結城家メンバー”は冥界にある空中都市に続くゴンドラの中にいた。

 

「島がういてるよ」

 

「浮いてるねぇ~」

 

俺は空中都市に続いているゴンドラのなかから上空に浮かぶ島を眺めていた。横では優子姉さんが窓の外を見ながら呟いた。逆側の隣にいるナツル姉さんも浮かんでいる島を眺めていてなんか目をキラキラとさせて楽しんでいた。そういえば、ナツル姉さんこういうの好きだったっけ。

 

イッセー達とは別れて乗ったから、結城家のメンバーが残りのゴンドラに乗ることになった。因みに、今回は家族だけだ。他の地球連邦軍の仲間達には各自の支部や部隊で待機だ。なにか支持があれば俺達から各部隊長や支部長に直接連絡がいくようになっている。

 

ちなみに、この空に浮かぶ島の名前は―――空中都市アグレアス。この島を浮かばせている動力は、サーゼクスさん達の先代にあたる旧魔王時代に作られたものだそうだ。ちなみに何故造られたのかは歴史になかったらしく、造られた理由は知らないようだった。

 

やっぱり空中に浮かぶ島はそうそう見ることがないから珍しい。都市から地上に水が滝のように落ちていく。ひとつやふたつじゃなく、たくさん滝のように水が下に落ちていく。まさに幻想的な光景だ。それでも、圧巻度的には”神龍・マスタードラゴン”のいた”天空城”の方が上で、幻想的はもちろん幻想郷の事だろうね。うん。

 

アガレス領にある空中都市。空に浮かぶ島の上に都市を造ったようだ。この辺一帯の空の流通を取り仕切るところでもあるらしい。ちなみに観光地でもある。

 

都市への入り方は大きく分けて三つ。ひとつは魔方陣でのジャンプ。これはVIPクラスか、特別な行事のときしか行き来できない。それは何故か――理由は簡単だ。ここは重要な場所であり、世界遺産でもあるのでなるべく魔力での移動は許可しない様にしてあるからだよ。まぁ、簡単に言うと不審者の侵入を許さないためだね。

 

ふたつめに飛行船などの空の乗り物だね。こちらがジャンプよりメジャーなようだ。三つめはいまの俺たちのように下の乗り場から、都市から伸びるロープを伝ってゴンドラで上がっていく方法。

 

俺たちはこの三つめの手段を選んだ。ゴンドラからの眺めを知っているリアスさんが一言漏らしたことから、伝染するように皆が次々に「乗りたい!」と言い出したからだ。……まぁ、じつはその中に俺も入ってたりするんだけどね。てへ☆(≧∇≦)

 

……コホン。まぁ、あれだよ。最後のはちょっと、テンションが上がってただけだから気にしないで。そう、気にしないでね?約束だかんな!?だから忘れてよ!!

 

それから少しして、ゴンドラは空中都市に辿り着いた――。

 

 

 

ゴンドラから降りると、イッセー入り待ちのファンとマスコミの大群が出迎えてくれた。ゴンドラから出た早々にラッシュと歓声に包まれ、数メートル先を歩いていたイッセーたちと同じく多数のスタッフとボディガードの誘導のもと、表に用意されていたリムジンに乗り込んだ。

 

……てかあれ?な、なんでお忍びで来てたはずの俺達まで巻き添えに?……あぁ、あれか。きっと、イッセーたちの関係者だと思われたんだよね。うん。きっとそうだよ。そうに決まってる。あんな俺の二つ名の一つの『白銀の戦姫(プラチナ・ヴァルキリー)』なんて聞こえない。きっと幻聴なんだよ。うんうん。

 

 

そんな風にしていると、リムジンは都市部を走り、会場となる巨大なドームを目前にしていた。

 

 

 

俺達がついた場所は空中都市に数多あまた存在する娯楽施設。そのなかで各種競技、アーティストの公演を主にした巨大なドーム会場があった。

 

――アグレアス・ドーム。俺たちはそのドーム会場の横にある高層高級ホテルに移動していた。

……すごく豪華絢爛な造りだね。広いロビーにきらびやかなフロア。天井には巨大なシャンデリアが吊ってある。俺の家でとここまで豪華ではないほうだが……ないほうだよね?――まぁ、そう思っておこう。あれだ、そんなの関係なく普通にかなり豪華な家だとは思う。だって世界規模で有名でさらにかなり古い家系の家だしね。……ケタが違うと言った方がわかりやすいのかな?

 

ボーイに連れられて、俺たちの専用ルームまで案内される。イッセーたちとは別のルームになるけど、出入りぐらいはできそうだね。

 

――俺達が通路を進んでいるときだった。

 

通路の向こう側から、不穏な雰囲気と冷たいオーラを放ちながら歩いてくる集団があった。

 

顔が見えないぐらいにフードを深く被り、足元すら見えないほど長いローブを着込んだ不気味で不穏な雰囲気の集団。

 

その集団の中央には司祭の服らしきものを着込んだ――骸骨。…………骸骨?

 

まぁ、いっか…。とりあえず骸骨が祭服に身を包んでいる。頭部には司祭が被る帽子。手には杖も携えている。……そんな感じだね。

 

俺は嫌なカンが先程からなっているので、少し……いや、かなり警戒する事にした。バレないように、いつでも戦闘できるように相手を見ていた。すると、骸骨司祭は俺たちを眼前にして足を止めた。

 

そいつは目玉のない眼孔の奥を光らせる。

 

《これはこれは紅髪のグレモリーではないか。そして、堕天使の総督に結城家の者達か》

 

その声は口から発せられたものではない。俺たちの脳に直接伝えるような類のモノだ…。

 

骸骨司祭の声を聞き、アザゼルは皮肉そうに笑んだ。

 

「これは、冥界下層――地獄の底こと冥府に住まう、死を司る神ハーデス殿。死神(グリムリッパー)をそんなに引き連れて上に上がってきましたか。しかし、悪魔と堕天使を何よりも嫌うあなたが来るとはな」

 

――なるほどね。この人?が冥府の神ハーデスさんね。初めてみる人物だ。ほかの神様は見たことあるけど。

 

《ファファファ……、言うてくれるものだな、カラスめが。最近上では何かとうるさいのでな、視察をとな》

 

「骸骨ジジイ、ギリシャ側のなかであんただけが勢力間の協定に否定的なようだな」

 

《だとしたらどうする?この年寄りもロキのように屠るか?》

 

そのやり取りの直後、ハーデスを囲むローブの集団が殺意を放ってきた。そう、死神(グリムリッパー)たちだ。……むぅ、普通に映姫さんの所の死神、小町さんの方が強そうなんだけど……。

 

「……ふむ。なんだお前ら、俺と殺りあおうってのか?いいぞ?オレはいつでも相手になってやる」

 

そう言いながら拳を構える光輝兄さん。それと同時にレイジ兄さんも日本刀になっている雪姫さんをいつでも抜けるように構えた。皐月姉さんたちはただ何もせず立っているだけだ、もちろん俺もね。だって、戦いになっても兄さんたちだけですむしね。

 

すると、アザゼルは頭を振り、嘆息しながら光輝兄さんを手で制してきた。

 

「オーディンのエロジジイのように寛容になれって話だ。黒い噂が絶えないんだよ、あんたの周囲は」

 

《ファファファ……、カラスとコウモリの群れが上でピーチクと鳴いておるとな、私も防音対策をしたくもなる》

 

すると、光輝兄さんとレイジ兄さんは臨戦状態を解いた。

 

ハーデスが視線を――イッセーに移した。

 

《赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)か。白い龍(バニシング・ドラゴン)と共に地獄の底で暴れまわっていた頃が懐かしい限りだ……》

 

ドライグとアルビオン……何やってんですか。冥府に赴いてまで…。

 

『あとでドライグにOHANASHIをしなくちゃね……ついでに見つけたらアルビオンも……ふふふ』

 

すると、ルーツがボソッとそういった

 

……あぁ、ドライグ。それにアルビオン。どうか無事で…。

 

《まあ良いわ。今日は楽しみとさせてもらおうか。せいぜい死なぬようにな。今宵は貴様たちの魂を連れにきたわけではないんでな》

 

それだけ言い残し、ハーデスは俺たちの横を通り過ぎていった。

 

俺は深い息を吐いた。久方ぶりに興奮気味だったなぁ…兄さんたち……。

 

見れば他の周りの皆は緊張していたようで、張り詰めていたものを解いた。

 

「……北欧時代に先輩のヴァルキリーからハーデスさまの話を聞いてはいましたが……魂をつかまれているような感覚は生きた心地がしませんね」

 

と、ロスヴァイセがつぶやいた。

 

「……こ、怖……。すごいプレッシャーだったんですけど、あの骸骨さん……」

 

イッセーが言うとアザゼルも堅苦しかったのか、首をコキコキと鳴らしていた。

 

「そりゃな。各勢力の主要陣のなかでもトップクラスの実力者だからな」

 

「……先生よりも強いんですか?」

 

「俺より強いよ、あの骸骨ジジイは……。光輝たち以外は絶対に敵対するなよ、おまえら。ハーデス自身もそうだが、奴の周囲にいる死神(グリムリッパー)どもは不気味だ」

 

「悪い神さまってことか……」

 

イッセーがつぶやいた言葉に俺は首を横に振って言う。

 

「いや、別に悪い神ってことじゃないよイッセー。確かに死を司る神だけど、人間には平常通りに接するし、冥府には必要な存在だしね。……まぁ、俺はあの人よりもある意味怖い……とある地獄の裁判官と仲良しになってるからさほど緊張しなかったよ。それに、そこにいる死神さんがいるんだけれど、その人はさぼりグセがあるけれど、さっきまでいた死神(グリムリッパー)よりかは遥かに強いから、そんなに怖くなかったよ。だから、俺や姉さんたちは平然としてるのだ」

 

俺はいろいろ混ぜて話したら、今度は豪快な笑い声が通路に響き渡った。

 

「デハハハハハ!来たぞ、アザゼルゥッ!!」

 

「こちらも来たぞ、アザゼルめが!ガハハハハハ!!」

 

体格の良いひげ面の中年の男二人が駆け寄って、アザゼルにまとわりついた。

 

アザゼルも半眼で嘆息した。

 

「……来たな、ゼウスのオヤジにポセイドンのオヤジ……。こっちは相変わらずの暑苦しさ全開だな。ハーデスの野郎もこの二人ぐらい豪快でわかりやすかったらいいのによ」

 

うわぁ〜、すんごい懐かしい人物が現れたよ。……ゼウスさんとポセイドンさんだ。

 

「嫁を取らんのか、アザ坊!いつまでも独り身も寂しかろう!!」

 

「紹介してやらんでもないぞ!海の女はいいのがたくさんだぁぁぁぁっ!!ガハハハハハハハハッ!!!」

 

「あー、余計な心配しなくていいって……」

 

珍しく堕天使の総督さんが押されている……。いつ以来だろう?

 

上半身裸――ポセイドンが俺たちに気がついて…すごい勢いでまとわりついてきた!

 

「久しぶりだ、祖龍に祖龍の息子が!ガハハハハハハ!!」

 

「ひ、久しぶりです、ポセイドンのおじさん」

 

『久しぶりね、ポセイドン。あと、この娘は私の息子じゃないわよ。まぁ、娘の様には可愛がってるけどね』

 

……俺は少し引き気味に返した。いまだにルーツの息子と間違って覚えられているんだなぁ……と半分呆れていた。あと、ルーツ。なんで娘なの?なんで娘なの?ねぇー!!?

 

「デハハハハハハ!!!さてツバサ!!そろそろ女を娶めとる時期になっているのではないか!!」

 

今度はゼウスが俺にまとわりついてきた……。

 

「祖龍の息子!おまえを待っている海の女がたくさんいるぞ!!ガハハハハハハハ!!!」

 

俺は苦笑いから引き攣つりの笑いへ表情を徐々に変える…。だって、後方からとんでもない殺気が俺を目がけて照射されているんだもん!ものすごく怖いよ!!特に朱乃さんとか姉さん達とかさぁ!!?

 

『やめときなさいポセイドン。じゃないと大海龍の怒りをかうわよ?』

 

「う、うん……そうだね。あの人達……物凄い過保護だから」

 

「そうね。あとゼウスもね。さっきから私の中にいる天嵐龍のアマツマガツチが物凄く叫んでるから本気でやめて。この娘もツバサのこと弟の様に可愛がってるんだから。誰にも手放したくないのよ。……私もね(ボソ」

 

最後に皐月姉さんがそんな事を言っていた。

 

いろいろと世話になっていたギリシャの神々に失礼なことはできないけれど、こればかりは諦めて欲しい。いや、本気でそう思うよ……。

 

「来たぞ、おまえたち」

 

今度は聞き覚えのある声があった。振り返ると、そこには小さいサイズのタンニーンさんが宙に浮いていた。

 

「その声、タンニーンのおっさんか!ちっちゃくなっちゃって!」

 

「ハハハ、元のままだと何かと不便でな。こういう行事のときはたいていこの格好だ」

 

タンニーンがイッセーたちを見渡すように言う。

 

「相手は若手最強と称される男だが、おまえたちが劣っているとは思っていない。存分にぶつかってこい!」

 

「もちろんさ!俺たちの勝利を見届けてくれよ!!」

 

自信満々に返すイッセー。若干テンションが上がっているね…。

 

「あっ!オーディンさま!」

 

ロスヴァイセが素っ頓狂な声をあげる。ロスヴァイセが指を向けた方向には――オーディンのお爺ちゃんがいた。

 

オー爺ちゃんはロスヴァイセの姿を確認するや、「これはマズい!」と叫んでその場から走り去っていく…。

 

それを見てロスヴァイセが吼えた。

 

「ここで会ったが百年目!まてぇぇぇぇぇっ、このクソジジイィィィィィッ!!その隣にいる新しいヴァルキリーはなんなのよぉぉぉぉぉっ!」

 

ヴァルキリーの鎧姿と化したロスヴァイセは、逃げ去るオー爺ちゃんを追いかけていってしまった…。

 

「……イッセー、祐斗、ゼノヴィア、お願い、ロスヴァイセを止めてきて」

 

嘆息しながらリアスさんがそう言った。頑張って、リアスさん。

 

ほんと、試合前なのに元気だねぇ〜。

 

まぁ、試合前で緊張して体を固くするよりかはいいかな……なんて思うのだった。




さて、いかがでしたか?今回は少ない方でした。さて、次回はできるだけ早めに投稿しようと思っています。いごお楽しみに〜!


それでは、バイバ〜イ!


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5話 黒き者

さて、なんとか今年中に出来たね。うん。さぁ、みなさんもうすぐ年が変わりますよ〜。今年はどんな1年でしたか?自分は結構良かった年でした。いろいろ幸運があった1年でしたね。特にゲームとかでね。

さて、来年はどのようになるのかな?楽しみですよ!

さぁ、今年最後の投稿です!ちなみに、オリジナル回でございます。それではどうぞ♪

⚠︎場所の編集をしました。2月4日現在⚠︎


いよいよ、ゲーム開始目前、リアスさん達はそれぞれのリラックス方法でギリギリまで待機している。そんなメンバーを俺は見ていた。選手控え室で特別に許可をもらい入らせてもらっている。ちなみに、他の兄さんや姉さん達はサーゼクスさんたちと一緒にいる。

 

俺は、リアスさんたちに喝をいれるためここにいるのだ。

 

 

「……皆、これから始まるのは実戦ではないわ。レーティングゲームよ。けれど、実戦に等しい重さと空気があるわ。ヒトが見ているなかでの戦いだけど、臆しないように気をつけてちょうだいね」

 

リアスさんが、みんなが揃ったことを見たあと重い口を開いた。

 

「俺からもみんなにひとつだけアドバイスです。確かにこれは実戦ではなくレーティングゲーム……つまりただのゲームにしかすぎません。ですが、相手は強力。とても強いです。相手も本気でかかってくるでしょう。ですのであなた方も自分の限界を超えるまで頑張ってください。大丈夫です。あなた達は今日まで辛い修行に耐えてきました。必ず勝てます。だから、諦めずに頑張れ!

それが、俺と兄さん姉さん達が言える言葉ですから。

だから、必ず勝てよ!グレモリー眷属たち!!」

 

『はい!』

 

オレの言葉に元気よく返事をしたリアスさん達。その瞳には迷いは無かった。

 

『さあ、いよいよ世紀の一戦が始まります!東口ゲートからサイラオーグ・バアルチームの入場ですッッ!』

 

「「「「「「「「わぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁっ」」」」」」」」」

 

此処まで伝わってくる声援や歓声。ドームの会場が大きく震えるなかついにリアスさんたちの出番が来た。

 

『そしていよいよ、西口ゲートからリアス・グレモリーチームの入場ですッッ!』

 

「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!」」」」」」」」

 

リアスさんさんが皆を見渡して一言。

 

「ここまで私についてきてくれてありがとう。―――――さあ、いきましょう、私の眷属たち。勝ちましょう!」

 

「「「「「「「はいッ!」」」」」」」

 

返事をし、リアスさん達はついにゲートを潜った。

 

「頑張れ……未来の王者さん」

 

そう言いながら、俺はその場を去るのだった。

 

 

 

 

 

ここはサーゼクスさんたちと兄さん姉さん達がいるVIP観戦ルームここでみんなサイラオーグ・バアルVSリアス・グレモリーの戦いを見ていた。

 

そんな中、俺は兄さんに一言残して去ろうとした。

 

「兄さん。俺は外に出てるよ。……”招かれざる客”が来たからね」

 

「――そうか。なら頼めるか?俺達はここを動けそうにない」

 

「大丈夫だよ。あの程度なら俺1人でも平気だから――んじゃ、こっちは頼んだよ?」

 

「ふっ……任せておけ」

 

そう言って俺は出ていった。

 

―side out―

 

―三人称 side―

 

光輝はツバサが出ていったところをただ見つめていた。

 

「光輝くん。どうしてあの子は出ていったのだい?リアスの戦いは見ていかないのか?」

 

サーゼクスが光輝に質問をしていた。

 

「ああ、あいつは少し用事があるからな。それで出ていったよ。それに、あいつ曰く、”もう結果は見えているから”……だとよ。簡単に言うとだ、あいつは誰が勝つかもう分かっていると言うことだ。」

 

「なるほどね……いったいそれはどちらなのか気になる所だけども、僕達は大人しく観戦しておくとしようか」

 

「ああ、それがいい」

 

そういって2人は観戦するのであった。

 

「(……それにしても、招かねざる客…ね……一体何が来たのやら)」

 

そう思いつつも、光輝は必ず勝つと信じて観戦するのであった。

 

―side out―

 

―ツバサ side―

 

オレは会場から出て、会場近くの森にきた。さきほど感じた謎の気配はここから感じたのだ。人でもなく魔物でもなく植物でも無く……生き物ですらない謎の感じたことのない気配がここから今も感じる。一体これは……

 

「何なのです?ツバサ様。先程から感じるこの異様な気配は……本当に生き物なのですか?」

 

いま隣にいる奴は、つい最近うちの部隊に配属された新人だ。数いる新人の中でも10人もいる期待のルーキーのひとりでもある。

 

名をルジウス・バウアー。バウアー家という東南アジアのとある諸国にあるその国を統括している王の実の息子だ。つい最近、突然俺達に勝負を仕掛けてきて返り討ちにあい、その後すぐ自分からこの舞台に入れさせてくれと熱心に頼んできた面白いやつだ。もちろん、父親でもある王の許可が無ければ無理だと言えば、既に承諾をしていたらしい、後後王に直接聞けば確かに許可をしたそうだ。強くなってあとを継ぐという条件の元。だが、まさか俺たち地球連邦軍に入隊するとは思っていなかったらしく、たいへん驚かれたのは記憶に新しい。

 

だが、コイツの実力はなかなかのものだった。見た目は体の細いイケメンくんなのだが、脱げば物凄くよく鍛えられているのがわかり、さらに武術も嗜んでいた。その武術の名はプンチャック・シラット。東南アジアに親しまれている武術だ。主に、野戦に特化した武術で足場の悪い雪山や野山、ジャンルなどの深い森などではかなりの力を出せる武術である。

そんな彼は、今回は俺の護衛として選ばれた。選ばれた理由は至ってシンプル。これから来るであろう戦闘の経験積みと、ついでに護衛の練習だ。

 

「まぁ、確かにお前の言う通りなにか生物ではない気配がするな。なんだろう……よく分かんないわ」

 

「でしょうね……」

 

本当に何なんだ?この異様な気配……なんだろう…………すごく……気持ち悪い……

 

ガサガサ

 

すると、突然しげみから音が出た。

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!」

 

そこから現れたのは黒いなにか。文字通り全身が黒いのだ。それも、なにかモヤのような形をしていて原型がない。せいぜいわかる場所は目のような赤い点と、爪のような手だ。そんな黒い何かが全部で15体いる。

 

「ツバサ隊長。これはいったい……」

 

「そんなの分かるわけがないでしょうに…………だが、コイツらが俺達の敵がコイツらだというのがわかる。だからやる事はただ一つ―――」

 

「つまり?」

 

「ふっ――つまり、全て叩けば良いことだ!」

 

そう言って、俺は村雨を取り出した。

 

「さて――行こうか!」

 

「了解!!」

 

そう言った瞬間俺は走り出す。まずは目の前の2体を屠る!

 

「む……手応えが弱い…………てか、なんか拍子抜け……」

 

たったの一撃であっさりと霧散した黒いヤツ。手応えは、本当に何も無い。ただ、豆腐の様なものを切った感じだ。

 

こうして、俺達は全てを片付けた。そこに残ったのは、黒紫に光る石があった。

 

「……これは……魔石?」

 

そう、魔石だった。それも先程まで黒いヤツの核になってたようだ。

 

「……ふむ、誰が作ったかは知らないけれどもこれは調べる必要があるな…………よし。これを鑑定科に持って行ってくれるか?俺はいまから兄さん達にこの事を伝える必要があるからな」

 

「了解しました。もしかしたら、またさっきの奴らがいるかも知れませんので気をつけてください」

 

「おう。お前も気をつけろよ」

 

「はい。わかりました」

 

そう言って消えた。今回は特別に許可をして俺の作った簡易版スキマを使わせた。これは、転移魔法とは全くの別物であるから、ここの場所で優位つ使えるショートカットを出来るものだ。

 

「さて……とりあえず兄さんたちの所に行こうかな」

 

そうと決まれば行こうか。流石に兄さんたちがいる場所までは歩きなんだけどね




グダグダなのですよ……。

さて、今年最後の投稿でした。みなさん。来年もまたこの作品と作者をよろしくお願いいたします。

それではみなさま!良いお年を〜!


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6話 黄金の獅子VS赤龍帝

皆様、かなりのお久し振りです!なにぶん、この話である小説10巻が無くなってからかなり経ちました。なので!探すのは諦めて新しく買っちゃいました。うぅ……かなり痛い出費なのですよ……


さぁ、今回はサイラオーグVS兵藤一誠の戦いです!どうぞ、ゆっくりしていってね♪

※すみません。間違えて消してしまいもう一度同じのを投稿します!※



あれから、俺はすべての仕事を終えたところで兄さんと姉さん達のいる特別指定観客席に来た。

 

ここを出てから随分と時間がたってしまっていたので、いまどこまで試合がいったのかとても気になるところだ。

 

そう思いつつ俺は扉を開けた。

 

「――ん?つーくんか。帰ってきたんだな。おかえり。……で、そっちはどうだった?」

 

すると、いち早く俺の存在に気づいた光輝兄さんが聞いてきた。

 

「うん。こっちの仕事はなんとか終わり。……ただ、また調べモノが増えちゃったけどねぇ」

 

俺が嘆息しながら答えると、光輝兄さんが苦笑しながらこっちを見ていた。

 

「ははは。すまんな、いつも面倒ごとを・・・・」

 

「いいよ。それが俺たち特殊部隊・特別調査班の役割だしね。……それに、地球連邦軍でそういうヤツの本格的な調査をしてるの俺達の部隊だけじゃないか。しかたがないことだよ」

 

「かかっ! そうかそうか。」

 

「・・・ところで、試合はいまどこら辺かな?もうほとんど終わってそうだけど」

 

俺は話を切り替えいまの本題に入った。光輝兄さんは少し考え口を開いた。

 

「最終戦。サイラオーグVS兵藤一誠の戦いが始まってから少したったところだ。なかなか楽しいぞ?」

 

「へぇ、そうなんだ」

 

俺が席に座ろうとした瞬間

 

――パァァァァアアァンッッ!!!

 

とつぜん辺り一帯に乾いた音が木霊した。

 

俺は驚き何事かと周りを見渡し、イッセーとサイラオーグの試合の方へと目を向けると……サイラオーグの鼻から血が噴出し、口の端から血が流れていった。

 

よろりと、その体も少しよろめいていたのだった。

 

どうやら、イッセーがパンチを繰り出したようだ。それも結構な威力の。

 

『いまの一発は倒れていった仲間があなたに届かなかった一発です』

 

イッセーがそう言うと、サイラオーグは口元を拭う。

 

『練り上げられた拳だ……ッ!気迫が体に入り込んでくるようだ。悪魔になって少ない月日のなか、どれだけ自分をいじめ抜いた!?生半可な想いで鍛えられたものではない!クイーシャに見せた新しい能力を見せないので、舐められたものかと若干感じたが、杞憂のようだ。その形態の禁手(バランス・ブレイカー)でも十分に力が底上げされているではないか!!』

 

確かに、イッセーは初期の禁手(バランス・ブレイカー)で俺や他の皆と基礎訓練を重ねてきた。目的はイッセー基礎能力と体力を底上げするためだ。だってそうでもしないと、イッセーは弱いからね。

 

…まぁ、そのために何度も死にかけたってのもあるだろうけどねぇ〜……

 

そんなことを思っていたら、イッセーとサイラオーグの殴り合いが始まった。近距離での拳と蹴りのぶつけ合いだ。

 

イッセーの戦闘はほとんどが実戦で鍛えあげられている。それほど、あの訓練が必死になるほど厳しかったから強くなれたんだろうね!

 

だって、そうじゃないと死んじゃってたからね・・・・あれ(;・∀・)

必死になるのはすごくわかるよ。うん。(;-_-)

 

『実戦で練られた攻撃か!余念が無い分、的確にこちらの中心点を狙ってくる!!』

 

笑って言うサイラオーグ。

 

何度かの近距離戦を終えたイッセーは、一定の距離を保った。

 

ふと、リアスさんとサイラオーグの『兵士(ポーン)』の戦いに目をうつすと、その『兵士(ポーン)』が仮面を静かに取り払ったところだった。

 

仮面の下にあったのは、イッセーや俺と歳が変わらない少年の顔がある。

 

だが、すぐにそれは変貌し始めた。

 

ボコッ!ベキッ!!

 

体中から快音を起こし、少年の体が盛り上がっていく。

 

『ガゴォォォォォォォォォォォオオオオオンッ!』

 

そこに姿を現したのは、巨大な一匹の獅子だ。額に宝玉がついている。たてがみを雄大になびかせて、リアスさんの前に立つ。

 

『おおおっと!バアルチームの謎の「兵士(ポーン)」、その正体は巨大な獅子だったーッ!』

 

実況も驚いている…まぁ〜それが普通だよね。だって、俺だって驚いているんだもん。まさか、神器そのものを眷属とさせるなんて、普通しないもんね。

 

「まさか、ネメアの獅子か!?いや、あの宝玉はまさか……!!」

 

隣のアザゼル先生は何かを得心して、驚きの声音を出す。実況者が訊ねる。

 

『と、言いますと?』

 

「……もともとはギリシャ神話に出てくる元祖ヘラクレスの試練の相手なんだが……。聖書に記されし神があの獅子の一匹を神器(セイクリッド・ギア)に封じた。そいつは十三ある『神滅具(ロンギヌス)』に名を連ねるほどのものになった。極めれば一振りで大地を割るほどの威力を放ち、巨大な獅子にも変化できる――『獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)』!!敵の放った飛び道具から所有者を守る力も持っていたな。しかし、所有者がここ数年、行方不明になっていると報告を受けていたが、まさか、バアル眷属の『兵士(ポーン)』になっていたとは……!」

 

『いや、残念ながら所有者は死んでいる。俺が「獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)」の本来の所有者を見つけたとき、すでに怪しげな集団に殺されたあとでな。神器(セイクリッド・ギア)となる斧だけが無事だった。所有者が死ねばいずれ消滅するであろうその戦斧(バトルアックス)はあろうことか、意志を持ったかのように獅子に化け、所有者を殺した集団を根こそぎ全滅させていた』

 

……うわぁお。そんな事ってあるんだね。…いや、ドライグやアルビオンみたいな意思を持つ神器があるんだから、なんにも不思議じゃないのかな?

 

 

レグルス・ネメアと獅子を司るバアル。サイラオーグは必然に出会ったというわけね…。

 

……ほんと、運命って何が起きるかわからないよねぇ。

 

「……所有者抜きで単独で意志を持って動く神器(セイクリッド・ギア)……しかも神滅具(ロンギヌス)だと!?さらに悪魔に転生できてしまった!獅子がすごいのか、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)がすごいのか……。どちらにしろ、興味深い!実に興味深いぞ!!うーん、そりゃ、俺たちも把握できないわけだ。クソ!なんでまた現世に限ってこんなレアごとばかりが神滅具(ロンギヌス)に起こるんだ!?っていうか、サイラオーグ!今度、その獅子を俺の研究所に連れてこい!すげー調べたい!!」

 

隣でアザゼルがすごい笑顔で語っていた。顔の輝きかたが何時もよりもすごい。

 

「うるさいぞ…少し黙れアザゼル」

 

俺の隣に座っていた光輝兄さんが小さく嘆息しながら横目でアザゼルを見ていた。

 

『所有者無しの状態のせいか、力がとても不安定でな。このゲームまで、とてもじゃないが出せる代物ではなかった。敵味方見境無しの暴走状態になっては勝負どころではなくなるからな。今回、出せるとしたら俺と組めるこのような最終試合だけだった。いざというとき、こいつを止められるのは俺だけだからな』

 

サイラオーグがそう話す。なるほど話から察するに今のいままで試合に出てなかったんだね。確か…このダイス・フィギュアの試合ルールでは、数字が最大のサイラオーグと共に出場ができないから、なかなか出しにくい眷属だったというわけだな。

 

『……どちらにしても、私の相手はその神滅具ロンギヌスってことね』

 

イッセーとリアス、双方が相手に向かっていく。

 

イッセーはサイラオーグと拳の打ち合いになり、殴られては殴り、倒されては立ち上がってまた殴りあう。

 

「……――くっふふふふ!! なんだよ。随分と熱い戦いを魅せてくれるじゃねぇか! こんなの見せられたら……――――滾ってくるじゃねぇかよ!」

 

攻防を繰り返している2人見て、どうやら光輝兄さんは興奮しているようだ。隣でいまもずっと"うずうず"していた。

……こんな狭い場所で暴れないでよね(;-_-)ハァ…

 

『俺の仲間はッ!』

 

繰り出されるサイラオーグの右の拳。ストレートが伸びきった瞬間を狙って、イッセーは右腕に拳打を放った。

 

『Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト) Boost(ブースト)!!』

 

増大した一撃が右腕の勢いを奪い、サイラオーグの体を少しだけよろめかした。

 

ここぞと言わんばかりに、イッセーは内の駒を変更させて、同時に赤龍帝の力を爆発させる!

 

『龍剛の戦車(ウェシュ・ドラゴニック・ルーク)ゥゥッッ!!』

 

『Change Solid Impact(チェンジソリッドインパクト)!!!!』

 

赤いオーラが膨れあがり、イッセーの体が肉厚の鎧に包まれる。そして、その極大の拳でサイラオーグにアッパーをかました

 

ゴバァァァァアァンッ!

 

ど派手な爆発音を鳴り響かせて、サイラオーグの体が宙高く投げ出された。

 

『弱点のないあんたに弱点を作ったッ!その右腕のことだッ!!』

 

――ほぉ。イッセーは気づいていたんだ。……いや、"そうしたんだ"

 

イッセーは宙に投げ出されたサイラオーグを追撃しようと、再び内の駒を変化させた。

 

『龍牙の僧侶(ウェルシュ・ブラスター・ビショップ)ゥゥゥッ!!』

 

『Change Fang Blast(チェンジファングブラスト)!!!!』

 

鎧が通常の厚さに戻り、背中にバックパック、両肩にキャノンが形成されていく。

 

静かに鳴動させるトリアイナ版の『僧侶(ビショップ)』。砲口は上空にいるサイラオーグに照準を合わせている。

 

『ドラゴンブラスタァァァァァァァァッ!』

 

ズバァァァァァァンッ!!

 

放射された絶大なオーラ。サイラオーグは空中で体勢を立て直し、翼を展開するが――。

 

『くっ……!!』

 

右のドラゴンブラスターに巻き込まれていった。左のほうは絶妙な差で外したようだ。キャノンが役目を果たして赤い光となり霧散していく。

 

空中で煙を立ち上げながら、地にゆっくりと下りていくサイラオーグ。

 

イッセーは肩で息をしている状態だ。

 

サイラオーグは光輝兄さんに似た闘気をまとっといたために、イッセーの攻撃は通ったのだが……決定打となるものにはなっていない。ふむ…光輝兄さん並の防御力だね。相当硬いみたいだ。……いや、いいすぎた。さすがに光輝兄さん並ではないな。まぁ、それでも、近いくらいの防御力だ。……どちらにせよ馬鹿げた防御力には変わりないよね。

 

そんな事を思いながら見ると、満足そうな笑みを浮かべているサイラオーグがいた。

 

『――強い。これほどのものか……ッ!』

 

その顔は歓喜に満ちていた。

 

それほどまでにイッセーの攻撃に満足しているようだ。

 

「ふっ。本当にいい闘いを見せてくれるなあの2人。……サイラオーグ・バアル…か。――あいつ、俺の部隊に欲しいな」

 

光輝兄さんはとても嬉しそうにそうはいた。……無理矢理に連れてこないよね?

 

「……流石に無理矢理は止めろよな」

 

すると、俺と同じく思ったのかレイジ兄さんが注意していた。

 

「わかってるよ。……"無理矢理"には連れてこないさ」

 

……不安だ。

 

また俺と同じく思ったのかレイジ兄さんは深い嘆息を吐いていた。

 

『キャッ!』

 

すると、突然リアスさんの悲鳴が聞こえ、そちらの映像へ目を向けると……、ひざをついている血染めのリアスさんがいて、相手の獅子はダメージを負いながらも、リアスさんの前に立ちふさがっている。

 

『リアス・グレモリーはこのままいけば失血でリタイヤとなるだろう』

 

わぉ!獅子が話し出したぞ?……てか喋れるんだ

 

『助けたければ、フェニックスの涙を使用するしかない』

 

……なるほどね。リアスさんを屠るだけの強さを持っているのは間違いない。でも、それをしないのはフェアな戦いをしたいからなんだろう。つまり、わざと"王(キング)"であるリアスさんをあの程度で済ましたんだろう。

 

『……「余計な事を」と言えば、俺の「王(キング)」としての資質に疑問が生まれるな。いいだろう、それは認める。だが、赤龍帝との一戦はやらせてもらうぞ、レグルス』

 

『わかっております。申し訳ございません、主を思ってこその行動でございます』

 

イッセーは攻撃を再開しない獅子とサイラオーグを警戒しながらもリアスに近づき、リアスのポケットから小瓶を取り出した。

 

『部長、これを使います』

 

『……情けないわ。私が……あなたの枷になるなんて……』

 

リアスさんは悔しそうにしている。『王(キング)』として獅子に抵抗出来なかった自分が心底許せないのだろうねぇ。

 

そんなイッセーは小瓶の涙をリアスさんに振りかけた。途端に煙を立ててケガが治癒していく。

 

サイラオーグの方は兄さん曰く一つ前の試合で使ったみたいだから、これで両者ともに涙を使い切ったみたいだね。

 

……さぁてと、これからが"本番"ってところかな?

 

すると、獅子がサイラオーグに向けて叫んだ!

 

『サイラオーグさま!私を!私を身にまとってください!!あの禁手(バランス・ブレイカー)ならば、あなたは赤龍帝を遥かに超越する!勝てる試合をみすみす本気も出さずに――』

 

そう言う獅子にサイラオーグの怒号が飛ぶ!

 

『黙れッ!あれは……あの力は冥界の危機に関してのときのみに使うと決めたものだ!この男の前であれを使って何になる!?俺はこの体のみでこの男と戦うのだ!』

 

……へぇ、いまでも充分イッセーと互角に戦っているサイラオーグがまだ強くなるんだ。てか、あの神器をサイラオーグは使うことができるんだね。流石だな。

 

それにあのイッセーの瞳。絶対に望んでいるな?サイラオーグが"獅子の力"を使う事を。……もし、俺がイッセーの立場だったら望むね。それが、"本気"の戦い――いや、"闘い"ってもんだ!

 

『――獅子の力を使ってください』

 

イッセーの言葉に思わずニヤリとしてしまった。

 

「――ふふ、そうこなくっちゃ」

 

どうやら無意識に口に出てしまったらしい。隣にいた光輝兄さんやレイジ兄さんに顔を見られたが、二人とも同じような顔をしていた。兄弟そろって同じ考えをしていたみたいだ。3人で顔を見合わせ思わず"プッ"と吹いてしまう。

 

ほんと、仲いいな俺たち兄弟は。

 

……それにしても、いまのイッセーの顔は"男"というより、まさに1人の"漢"だね。

すっごくカッコイイよ!イッセー!!

 

『それを使ったサイラオーグさんを超えなければ意味が無いんです。今日、この日まで培つちかってきた意味がないんです!!』

 

イッセーは熱く騙りながら叫ぶ。

 

『――今日、俺は最高のあなたを倒して勝利をつかむッ!俺たちは夢のために戦ってんだッ!!本気の相手を倒さないで何になるんだよッ!?』

 

イッセーの心からの叫び。その言葉にリアスさんも呆れ顔でイッセーに顔を寄せていた。

 

「……ふっ。随分と成長したじゃないか…あいつ」

 

「あぁ、つい数ヶ月前と比べれば随分と男前になってるな。……ほんと、ああいう熱い男は成長が早い。あのエロのスケベ根性だけが取り柄だった兵藤一誠がここまで成長するとわな。これだから、人を育てるのは止められないんだよ」

 

光輝兄さんとレイジ兄さんが感情深く何処か遠くを見ながらそう言った。

 

「……まったく。ふたりして何言ってんのさ。兄さん達もいまも絶賛成長中だろ?いろいろと…。

まぁ、確かに随分と見違えたよねぇ。イッセーは。流石だよ…本当にねぇ」

 

俺や兄さん達がそんなコトを話していると、サイラオーグが不気味な笑みを放っていた。

 

『……すまなかった。心のどこかでゲームなのだと、二度めがあるのだと、そんな甘い考えを頭に思い描いていたようだ。なんて、愚かな考えだろうか……ッ』

 

ドゥッ!

 

サイラオーグの体に気迫がみなぎっていく。

 

『このような戦いを終生一度あるかないかと想像すらできなかった自分があまりに腹立たしいッッ。レグルスゥゥゥゥッ!!』

 

『ハッ!!』

 

獅子を呼ぶ、主。主に応える獅子!

 

巨体の獅子が全身を金色に輝かせ、光の奔流と化してサイラオーグに向かう。

 

『よし、ではいこうか。俺は今日この場を死戦と断定するッ!殺しても恨むなよ、兵藤一誠ッ!!』

 

黄金の光を全身に浴びるサイラオーグは高らかに叫んだ。

 

『我が獅子よッ!ネメアの王よッ!!獅子王と呼ばれた汝なんじよッ!我が猛たけりに応じて、衣と化せェェェェッ!』

 

ドォォォォォォオオオオッ!!!

 

フィールド全体が震えだす。

 

周囲の風景を吹き飛ばし、サイラオーグと獅子が弾けた。

 

『禁手化(バランス・ブレイク)ッ!!』

『禁手化(バランス・ブレイク)ゥゥゥゥゥッ!!』

 

まばゆい閃光が辺り一面に広がり、イッセーとリアスはその神々しい光を腕でさえぎる。

 

映像越しの俺も目を細めた。

 

……閃光が止んだとき、映像に現れたのは金色の姿をした獅子の全身鎧だ。

 

頭部の兜にはたてがみを思わせる金毛がなびく。

 

胸に獅子の顔と思われるものがあり、意志を持っているかのように目を輝かせた。

 

『――獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)の禁手(バランス・ブレイカー)、「獅子王の獣皮(レグルス・レイ・レザー・レックス)」!兵藤一誠、俺に本気を出させてくれたことに関して、心から礼を言おう。だからこそ、おまえに一撃をくれてやる。――あの強力な「戦車(ルーク)」で攻めてみろ』

 

イッセーに一歩一歩近づくサイラオーグはそう口にした。映像越しでもわかる…鎧に闘気をまとわせて歩む姿は圧倒的な存在感を生みだしている…

 

「……ほう。あれはなかなかだな」

 

光輝兄さんがサイラオーグの鎧を見てそんな事を言った。

 

『当たり前だな。ある意味であれが直接攻撃重視の使い手にとって究極に近い形だからな。力の権化である鎧を着込み、それで直接殴る。だから、どうしても果があのような姿になってしまうのだ。

そう言う、私もお前に合わせてほぼ究極と言ってもいいぐらいの最高の形にしているがな。』

 

すると、光輝兄さんの中から声が聞こえてきた。

 

光輝兄さんの相棒であり神器の主である、二帝龍の片割れ【黒刻龍】UNKNOWN(アンノン)だ。

 

光輝兄さんの持つ神器も直接攻撃重視型なので、光輝兄さんとはかなり相性が抜群だ。はっきりいって最強のタッグ又はパートナーと呼んでもいいほどだ。

 

「……なるほどな。だから、俺と似た感じがするわけか。これでやっと納得がいったよ」

 

それに関しては、俺もやっと納得がいったね。なんでサイラオーグの雰囲気やオーラが光輝兄さんに似ていたのかと言うことが……

 

試合に視線を戻すと、肉薄する距離でサイラオーグがイッセーに言った。

 

『さあ、一発打ってみろ』

 

イッセーはサイラオーグの言葉通りに内の駒を変更させる。

 

『龍剛の戦車(ウェルシュ・ドラゴニック・ルーク)ゥゥッッ!!』

 

『Change Solid Impact(チェンジソリッドインパクト)!!!!』

 

分厚くなる鎧、何倍にも膨れ上がった腕。

 

巨大な拳を振り上げ、一気にぶち抜いたイッセー。肘の撃鉄を鳴らし、その勢いで拳打の威力を上げるが――。

 

ガンッ!!

 

イッセーの巨大な拳は、サイラオーグの左手に軽々と止められてしまった。

 

その光景にフィールドにいたリアスさんたちだけでなく、ここにいるアザゼルやサーゼクスさん達も驚いていた。

 

……しかし、俺や兄さん姉さん達は驚きはしなかった。何故なら、サイラオーグがあの鎧を纏った時点でもうわかっていたからだ。なんせ、ここにいる光輝兄さんと同タイプの奴らだ。"あの程度の攻撃力"では簡単に防がれてしまうのはわかっていた。

 

――イッセー。まだまだ修行がたりませんね。

 

「……もっと修行を増やすべきでしたか」ボソッ

 

『――ッ!?…(な、なんか急に悪寒が!……あれ?風邪引いちゃったかな?)』ブルリ

 

……おろ?なんか一瞬イッセーが身震いしたような…気のせいかな?

 

すると、イッセーはもう一度撃鉄を撃って、インパクトの威力を底上げして放つ――。

 

バシュンッ!!

 

撃鉄が撃たれ、威力を増した拳を放つが――。

 

ガゴォォンッ!!

 

イッセーの巨大な拳はサイラオーグの掌底の威力に負け、無残に破壊されていく。

 

……サイラオーグと獅子の鎧…やはり光輝兄さんの禁手化(バランス・ブレイク)時の防御力と攻撃力に近いね。どんだけ威力とか底上げされているんだか…

 

『――これで限界か』

 

サイラオーグがそうつぶやく。

 

そして―――

 

ガギャァァァァァアンッ!

 

サイラオーグの拳が分厚いイッセーの腹部に撃ち込まれ、難なく鎧を砕かれていく。

 

そして、その拳は鎧の内部まで届いており、イッセーの体を破壊していった。

 

『ごぶっ!!』

 

イッセーはマスク越しに口から大量の血を吐き出し……地面に突っ伏してしまった。

 

ピクリとも動かないイッセー、どうやら意識を持っていかれたようだ。

 

『――イッセー! しっかりして!イッセーェ!!!』

 

リアスさんがイッセーにかけろよりイッセーの体を揺さぶる。しかし、いまのダメージが大きかったのかイッセーの意識は戻っていない

 

そんなイッセーを、サイラオーグは仁王立ちして様子をうかがっていた。

 

……それにしてもイッセーのあの様子…もしかして

 

「……なぁ、ツバサ。イッセーの奴もしかしたら、いまの衝撃で…」

 

光輝兄さんが俺に聞いてきた。

 

……うん。光輝兄さんの言う通りおそらく…

 

『つーくん。……あの子、イッセーはどうやらさっきの一撃で赤龍帝の深層奥深くまで意識を持って行かれたみたいよ。ドライグがどうやらあまりにも深すぎて手が出せないみたい。

私たちじゃどうしようもないわね。あの子自身が自力で帰ってこなくちゃ最悪あのまま意識不明で植物状態になるわね』

 

どうやら、悪い予感は的中したようだ。隣では兄さんや姉さん達も、自分の相棒から同じような事を聞いたのか、複雑そうな表情をしていた。

 

……確かに、このままじゃかなり危険だ。でも――

 

「俺は信じるよ。イッセーは必ず戻ってくるって。……それにあのイッセーだぜ?常にエロを求めてドスケベ根性でいままでの死地に、ありえない方法で奇跡を起こして来て、ここまで来れた"奇跡の乳龍帝"だぜ?そう簡単にくたばるたまじゃないよ。

きっとここでも奇跡を起こしてくれるさ。だから俺は信じるよルーツ。イッセーが必ず戻ってくることに!」

 

俺はそう高らかに自信満々で言った。だって本当の事だもん。だって…その……お…おっぱいで禁手化(バランス・ブレイク)を起こすような子だよ? 絶対今回もきっと大丈夫だよ!俺の勘がそういっているから!

 

「だからルーツもイッセーを信じようよ!・・ね?」

 

『・・・・そう・・そうね。つーくんが信じるなら私も信じてあげましょう。つーくんの言う通り、今代の赤龍帝の所持者は随分と面白くておかしな人間だからね。私も今回はどんな奇跡を起こすのか見てみたいし、信じて上げましょう。まぁ、それ以外できないのも事実だけどね』

 

ルーツの言葉に嬉しく思いながらも、最後の言葉に思わず苦笑してしまう。まぁ、確かに事実だから仕方がないっちゃしかたがないんだけどねぇ〜。

 

「……イッセー。必ず戻ってこいよ。待ってるからな」

 

俺はそう吐き、イッセーの帰りを祈るのだった。




今回は久しぶりの投稿でした。なんとか出来て嬉しいです。

せめて、この章の話が終わるまで頑張って連続投稿していきたいと思います!明日は最低でも1話、頑張って2話投稿したいと思っています。

次回もお楽しみに!


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7話 兵藤一誠、覚醒!

投稿だよ〜!やっと投稿できたぜ!


―イッセー side―

 

気づくと、そこは白い世界だった。

 

…覚えがある。ここは神器(セイクリッド・ギア)の内部だ。歴代の先輩たちを説得しにきたときによく訪れていた。

 

いまそこに俺がいる。

 

俺は、いまサイラオーグさんと激闘とを繰り広げていたはずだ。

 

俺が一度追い詰めて、そこからサイラオーグさんが本気の獅子の鎧を身にまとって、そして、トリアイナの『戦車(ル-ク)』が効かなくて・・・・・・。

 

……周囲を見渡せば、歴代の先輩の姿。以前のように無表情なのかなと思ったが――。

 

何やら、黒いオーラを立ちのぼらせて、怨恨めいた顔つきになっていた。

 

『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)……』

 

『……覇龍(ジャガーノート・ドライブ)だ』

 

『あの男を倒すには覇龍(ジャガーノート・ドライブ)しかない』

 

そんな不気味なことを口にしていく。

 

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)!?どういうこった!!

 

白い世界の上空に映像が映し出される。そこには――俺がいた!!部長に抱きかかえられた俺!鎧を破壊されて、口から大量の血を吐き出していた。見ただけで致命傷なのがわかる。

 

……サイラオーグさんと俺は戦っていた。ライオンと合体したサイラオーグさんの一撃を食らって俺は――。

 

意識だけが神器(セイクリッド・ギア)の内部に飛ばされたってことか……?

 

『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』

 

『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)しかないだろう』

 

『そう、それしかない』

 

『あの男はそれを求めている』

 

歴代の先輩たちが椅子から立ち上がり、黒いオーラをまとわせながら、不気味な笑みを見せていく。

 

――っ!!俺の体にも黒いオーラが出現していた!それが体を覆っていく!と、同じくして内側からどす黒い感情がうごめきだしていた。

 

……なんだ、これ……。恨み……辛み……憎しみが……俺の中で高まっていく。

 

……あの男が……サイラオーグさんが…………憎いっ!倒したい……っ! 力が欲しい……! 絶対的な力が……っ! そのために……サイラオーグさんを消滅させたいと……この世から、消し去りたいと……。俺は……っ!

 

くっ……エルシャさん……ベルザードさん……俺は……ッ!

 

心までも力に飲み込まれそうなときだった。

 

映像の奥から子供たちの泣き声が届く。子供たちの泣き声。

 

『おっぱいドラゴンが死んじゃったーっ!』

 

『やだよーっ!』

 

『立ってよーっ!』

 

……悲痛な叫びが聞こえる。

 

ゴメンよ、俺はもう……。

 

意識も黒いものに支配されそうなとき、一人の声が白い世界に響き渡った。

 

『泣いちゃダメ――ッ!』

 

子供の声……?

 

映像が移り変わり、とある一人の帽子を被った子供が映しだされた。

 

……あの子供に見覚えがあるぞ……。そうだ、俺のヒーローショーでサイン会に参加できなくて泣いていた子だ……。

 

その子は――リレンクスは、観客席でむせび泣く子供たちに向かって叫んだ。

 

『おっぱいドラゴンが言ってたんだ!男は泣いちゃダメだって!転んでも何度でも立ち上がって女の子を守れるぐらい強くならなくちゃいけないんだよ!』

 

――っ。

 

それは俺が泣いているリレンクスに言い聞かせた言葉だった。

 

その一声を聞いて、他の子供たちも立ち上がる。

 

『おっぱいドラゴンが負けるもんかッ!おっぱい!おっぱい!』

 

『おっぱい!立ってよォ!おっぱいドラゴンっ!』

 

『おっぱい!』

 

『おっぱいドラゴン!』

 

『ちちりゅーてーっ!』

 

俺を呼ぶ必死な声。……皆、俺は……。

 

聞き覚えのある声も耳に入ってきた。

 

子供たちのいる観客席で応援団長をしていたイリナだ。

 

『そうだよ! 皆!! イッセーくん――おっぱいドラゴンはどんなときでも立ち上がって強敵を倒してきたの!だから、応援しよう! 信じよう! おっぱいドラゴンは皆のヒーローなんだからっ!!』

 

涙で顔をくしゃくしゃにしながら、イリナは必死で子供たちに訴える。

 

『皆、おっぱいドラゴン好き?』

 

「「「「「「「「「「大好きーっ!」」」」」」」」」」

 

『私も大好きだよ!すごいスケベで、いつもエッチなことを考えているヒトだけど……誰よりも熱くて、諦めなくて、努力して、大好きなヒトのために戦えるヒトだって、私は知ってる!皆も知ってるよね!!』

 

 

「「「「「「「「「「知ってるーっ!」」」」」」」」」」

 

『だから、応援しよう! 声を届けるの! おっぱいドラゴンは! どんなときでも立ち上がって! 冥界や天界、いろんな世界の皆のために戦ってくれるんだからーっ!』

 

『おっぱい!』

 

『おっぱい!おっぱい!』

 

『皆も一緒にぃぃっ!おっぱいッ!!』

 

『おっぱい!おっぱい!おっぱい!』

 

『おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!』

 

俺は――知らないうちに涙を流していた。

 

……こんなにも俺を呼ぶ声がある。俺を求めてるヒトがいる。俺を応援してくれる子供たちがいる。

 

そのときだった――。

 

声が聞こえてくる。俺の知っている声だ。いつも隣にいて、俺を励ましてくれたヒトの声――。

 

『ねえ、イッセー。聞こえる?皆、あなたを呼んでるの』

 

映像が移り変わり、声の主が映しだされた。

 

俺の視界に紅が映り込む――。

 

紅い――ストロベリーブロンドよりもさらに鮮やかな紅の髪。

 

そう、あの人の美しく紅い長髪は、いつも俺のそばにあった――。

 

そう、そうだった。あのときも俺が死ぬ間際、目に映ったのは――。

 

鮮やかな紅。

 

血の色と同じ色。

 

けど、いまはそうじゃないと思ってる。

 

気高く、優しくて、温かい。俺を包んでくれる紅――。

 

俺は――その色から始まったんだ。

 

『私もね。あなたを求めてるのよ?だって、私はあなたのことを……』

 

俺の大好きな女――リアス・グレモリー。

 

俺もあなたのことを……。

 

彼女を思う俺のもとに暗い声が近づいてくる。

 

『さあ、現赤龍帝の兵藤一誠。暴れよう。「覇龍(ジャガーノート・ドライブ)」を発動しよう』

 

先輩の一人がそう黒いオーラをまといながら言ってくる。しかし、俺を呼ぶ声もさらに高まっていく。

 

『おっぱいドラゴン』

 

『がんばって!』

 

『立ち上がって!』

 

『おっぱい!』

 

『おっぱいッ!』

 

あの男の声も聞こえてくる。

 

『どうした、兵藤一誠。――終わりか? これで終わりなのか?そんなものではないだろう?――立ち上がってみせろ。おまえの想いはそんなに軽いものではないはずだッ!!』

 

……ああ、まだ終じゃない。終らせてたまるか! まだ俺は戦える!

 

…しかし、先輩たちは子供たちやサイラオーグさんの声を聞いても邪悪なオーラを揺るがさない。

 

『さあ、あの者を破壊しよう。覇道の力で――』

 

「うるせーよ」

 

俺は先輩たちを見渡すようにして言う。

 

「聞こえないのか?俺を呼ぶ声が――。部長だけじゃない、あんなに大勢の子供たちの声だよ」

 

『いや、天龍は覇王となることが本来の道程。あり得ない。そんなことはあり得ない』

 

「違う――。俺は…………覇王になんてならねぇ。俺は兵藤一誠! ただのスケベで、いくならやらしい王さまになってやるッ!」

 

『否、覇王こそが、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)こそが、この神器(セイクリッド・ギア)に組み込まれた本来の――』

 

『――良いじゃないか』

 

再度先輩の言葉を遮って、その者は現れた。

 

白い光に包まれた男性が一人――。それを見て、先輩が激昂した。

 

『貴様は……ッ』

 

白い光に包まれている男性は俺に向かって言う。

 

『僕は歴代アルビオンの一人だ』

 

――っ。えっ…なんだと……?

 

アルビオンの……歴代の先輩ってことか?

 

『そう、あなたはあのとき、アルビオンの宝玉をブーステッド・ギアにはめ込んだ。あの宝玉に僕の残留思念が少しだけ乗っていたみたいなんだ。本来の僕はディバイン・ディバイディングのほうにいるだろうけどね』

 

あー、確かにそれをおこなった! じゃ、じゃあ、あのときにこのアルビオンの先輩も取り込んで……!

 

アルビオンの先輩が手を差し伸べる。

 

『――赤龍帝、これも何かの縁だ。あなたを助けよう。僕が持つ半減の力で、ブーステッド・ギアに渦巻くものを抑えてみせるよ』

 

「いいのか?俺は赤龍帝で、ヴァーリじゃないのに……」

 

俺の言葉にアルビオンの先輩が笑む。

 

『あなたはおもしろい。歴代最強の赤龍帝お二人が笑いながら消えていったのもうなずけるんだ。呪いを吹き飛ばすほどの熱意と可笑しさのあるあなたなら、天龍を、いや、二天龍自体を新しい可能性に導けるのかもしれない。――――だからこそ』

 

先輩が手を天高くかざして、光を広げていった。

 

『あなたはヴァーリ・ルシファーと共に新たなドラゴンになるべきだ』

 

パァァァァッ。

 

淡い白銀の閃光が白い空間に広がり、歴代赤龍帝の先輩たちの黒いオーラを取り払っていく! 憎悪の念が半分に消失して、さらに黒いオーラも半分に減っていく。

 

これがアルビオンの先輩の力! 黒いもの、恨みが、怨恨の感情が、徐々に減っていってるよ!

 

『させるか!! 憎しみが! 悲しみが! 恨み辛みこそが赤龍帝の神器(セイクリッド・ギア)なのだッ!呪いを内に込め、怨嗟を吐きながら負をまき散らすことが天龍の――』

 

恨み辛みをいまだに止めない先輩に俺は言った。

 

「――おっぱい。俺はこれに救われた。そして、これからもそれを求めていくぜ」

 

しかし、先輩たちは最後の抵抗で覇龍(ジャガーノート・ドライブ)の呪文を口にしだした。

 

『我、目覚めるは覇の理を神より奪いし、二天龍なり――』

 

違う! 俺は違う呪文を独自に唱えだした!

 

「我、目覚めるは覇の理を捨て去りし、赤龍帝なり!」

 

『無限を嗤い、夢幻を憂う――』

 

「無限の希望と夢を胸に抱かかえ、王道を往ゆく!」

 

『我、赤き龍の覇王と成りて――』

 

「我、紅き龍の王者と成りて――」

 

『汝を紅蓮の煉獄に沈めよう――ッ!』

 

「汝らに誓おうッ!真紅の光輝く未来を見せると!!」

 

俺が最後に唱えた一節に先輩たちは晴れたような表情となった。

 

『――未来。未来を見せる……だと』

 

「そうだ!俺が見せてやる!! いや、俺と見よう!俺と共に見せてやろうぜ! 仲間に! 友に! 好きな女に! 子供たちに!! 俺たちが未来を見せてやるんだよッ!!!」

 

『未来……。僕たちが……未来を……! 破壊ではなく、未来を……!!』

 

そうさ、それができるんだよ、皆で力を合わせればさ!!

 

「行こうぜ、先輩たち!――俺は赤龍帝で、おっぱいドラゴンで、リアス・グレモリーに惚れた男!!兵藤一誠だぁぁぁぁぁあああああああああああッッ!!!」

 

映像のなかで俺を抱きかかえる部長のおっぱいが紅く輝き、俺の体を紅色のオーラが包み込んでいった――。

 

―side out―

 

 

―ツバサ side―

 

「…………――ふぅ。」

 

俺は深く嘆息した。……どうやらイッセーは歴代赤龍帝の負の感情に飲まれなかったようだ。……正直言ってしまえばかなりギリギリだったけどね。

 

『……どうやら、あの赤龍帝の子はなんとか持ちこたえたようね。それも新たな力を得て…』

 

すると、同じく感じ取ったルーツがそう言った。

 

「うん。さすがイッセーだよ。本当に面白いね。……でも」

 

『本当にね。今代の赤龍帝はずいぶんと面白いわ。赤龍帝の篭手に取り込んだ白龍皇の宝玉の中に眠っていた残留思念を具現化させた甲斐があったわね……それにしても』

 

俺とルーツは、一度暴走して覇龍になりかけた以来、密かにいつか本当の覇龍(ジャガーノート・ドライブ)になった時の対抗策として、イッセーの中にいた歴代白龍皇の残留思念を具現化させていた。

 

あのときは、不完全だったから良かったものの、完全体になったらヤバかったからね。

 

……まぁ、そんな事よりも〜

 

『「イッセーの影響が子供たちにも与えられてるなんて……」』

 

俺とルーツはイッセーのエッチな影響が純粋な子供たちに与えられてるという事実に肩を落とすのだった。

 

……大人になって、なんかやらかさなければいいけれど……心配だなぁ〜

 

『あぁ、そうそう。あの子の中にいた歴代白龍皇の人ががこっちにきてね、「意識を復活させてもらいありがとうございました。おかげさまで歴代赤龍帝の皆も救われたようです。このことを歴代赤龍帝で女性最強のお1人にこの事を伝えて伝えてください。そしたら、お喜びになりますよ」だって。』

 

ルーツがそう言ってきた。

 

「あぁ〜そうなんだ。気にしなくてもいいのになぁ〜………って、ん?……あれ? 気づいてたのか?」

 

『えぇ、気づいていたようね。私もびっくりしたわ。』

 

……えぇ〜…。た、確かに、イッセーや歴代赤龍帝の方々にも内緒でさ、イッセーが男性女性それぞれの歴代最強のおふた方に説得して残留思念が消える前にさ、歴代赤龍帝最強のおふた方を復活させたよ?……いや、正確には、歴代赤龍帝の男性最強のベルザードさんは、もう成仏したいと言ってきたのでそのまま成仏さて、エルシャさんは、俺の魔法と家の技術をフルに使って復活させたよ?うん。……今は家で新しい身体の具合と調節とのなんやかんやで、大人しくしてもらってるけども…………

 

……あれ〜?……なんで知ってる…いや、気づいたのかなぁ?

 

『よくはわからないけれども、おそらくあの歴代白龍皇は生前、探知能力がかなり優れていたから、それで気づいたんじゃないかしら?探知能力だけなら歴代白龍皇そして赤龍帝ともにずば抜けていたし。

それか、私達があの歴代白龍皇の意識を復活させたから、その時の影響で、同じく私達の力で現世に復活させたエルシャと何らかの理由で感覚が共有して感じ取ったとか、そんな感じじゃないかしら?』

 

「……それでも、わかるものなのか?」

 

『いえ、だからわからないわよ。ただ、それ以外しか考えられないわ』

 

ルーツもどうやらわからないそうだ。……うん。わからないなら、これに関してはあまり深く考えるのはよそう。いまは、イッセーとサイラオーグの試合に集中しなくちゃね。うん!




ちなみに、エルシャを復活させた話は、後に番外編で書きますので、それまではお楽しみです!

クオリティは低いだろうけどね!(`・ω・´)キリッ


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8話 決着…そして――

連続投稿!……やっと、やっとだ! やっと突然ストックが消えてたり、電波障害や予約投稿失敗や何やらで、いろいろ邪魔があったが……やっと投稿できた! くっ、あかん!嬉しすぎて泣けてくるよ!

そして、サイラオーグの話もこれで終わりかな?……たぶんラストだよ。うん


―ツバサ side―

 

俺はイッセーとサイラオーグの試合に目を向けた。

 

『おおっと!赤龍帝が紅いオーラに包まれたと思ったら、スイッチ姫のおっぱいフラッシュを浴びて、鎧を変質させて立ち上がったーっ!』

 

なんてことを実況が叫ぶ。

 

……イッセーは紅く変化した鎧をまとっていた。どうやら、完全に復活したみたいだね。

 

ほんの少し驚いていた俺の隣に座っているアザゼルが言う。

 

「赤いオーラ……。いや、赤ではない。もっと鮮やかで、気高い色。あれは――。――真紅のオーラ。そう、紅だ。『紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)』と称される男の髪と同じ色であり、あのバカが惚れた女の髪と同じ色――」

 

――紅か。……うん。確かにね。マジで、紅色の鎧だよ。もっと詳しくいうと、赤というより深い色合いで紅だね。

 

「あいつにだけ許された奇跡か……ッ!ていうか、今回はリアスの乳を吸ってパワーアップするんじゃなかったのか!?」

 

……あ~、アザゼルはいつも通りなのね。……この変態。

 

「…ったく。アザゼルは本当に変態だね。そう思わない?光輝兄さん」

 

俺は光輝兄さんにそう聞きながら向くと……

 

「えっ?――あ、そ、そうだな!ハハハ!まったくアザゼルの野郎は変態だな。同じ男の風上におけんよ!ふはははは!」

 

……? なんで光輝兄さんはこんなにも動揺してんのかな?……チョットだけ心の中覗いてみ〜よおっと。

 

俺は密かに古明地さとりさんの能力を使って見た。

 

「(やっ、やっべぇ〜!俺もアザゼルと同じ考えをしていたぜ。……危ない危ない。とっさにとった行動とはいえ、きっと俺はかなりうまい演技で誤魔化せたはずだ。流石だな。

それにしても……くっ!リアスのエッチな姿を見たかった!俺も一男だ!リアス見たいなエロい体型の女性をガン見しちゃうのは仕方の無いことだ!!それが男ってもんだ! それを見ないレイジとツバサがおかしなだけだよな!そうに違いない!!

……いや、まてよ?……レイジはともかく、ツバサは――あぁ、コイツは弟じゃないんだったな。妹、つまり女の子だ。なるほど、これで納得がいったぞ。そりゃ〜、リアスと同じ女の子ならエッチな野郎は冷ややかな目で見られるな。うん、それなら仕方がない。今回みたいなイッセーのエロを冷ややかな目で見るのは当たり前だよな〜。ははははは!)」

 

………………………………………………

 

『つーくん。こんなのは無視しなさい。それが得策よ。だからほっときなさい。これは後でお仕置きしておくから。』

 

…………わかった。ルーツ。

 

「……さて、気を取り直してイッセーの試合を見なくちゃね〜」

 

俺は、光輝兄さんを無視しつつ、イッセーとサイラオーグの試合を見る。

 

すると、イッセーの変貌を見て、獅子の鎧を着込むサイラオーグが言う。

 

『――「真紅の赫龍帝(カーディナル・クリムゾン・プロモーション)」と言ったところか。その色は紅と称された魔王さまとまったく同じもの。――リアスの髪と同じ色だ』

 

イッセーは息を深く吐いて、決心した言葉を口にしだす。

 

『惚れた女のイメージカラーだ。部長は、リアス・グレモリーは俺が惚れた女だ。惚れた女を勝たせたい。惚れた女を守りたい。惚れた女のために戦いたい。俺は――俺はッ!』

 

イッセーは天高く叫ぶ。もう、完全にやけくそのようだね。

 

『俺を求める冥界のこどもたちと、惚れた女の目の前であなたを倒すッ!! 俺の夢のためッ! 子供たちの夢のためッ! リアス・グレモリーの夢のためッ!! 俺は今日あなたを超えるッ! 俺はリアス・グレモリーが大好きだぁぁぁぁぁぁああああっっ!!!』

 

イッセーの隣に立っているリアスさんの顔が真っ赤を通り越した真っ赤になっていた。それも、今のイッセーの鎧とリアスさんの髪の色と同じかそれ以上の紅色に。

 

はっきり言って、見ているこっちも恥ずかしいよ。よくこんな大勢、それもテレビまでいる大勢の前で宣言できるよね。……それほど気持ちが高まっているのかな?

 

『ハハハハハハハハハッ!!』

 

イッセーのリアスへの告白を聞き届けたサイラオーグが、豪快に笑いだす。

 

『リアスの胸が発する光を浴びて、何かに目覚めたようだな。ならば俺はそのおまえを打ち倒し我が夢の糧とするッッ!』

 

イッセーが膨大な紅いオーラをまとって、神速で飛び出していく。

 

『Star Sonic Booster(スターソニックブースター)!!!!』

 

飛び出した勢いだけで周囲の景色が吹き飛びそうになっている。その速度はトリアイナの『騎士(ナイト)』並み――否、それ以上かもしれない。

 

サイラオーグも全身に闘気をみなぎらせてイッセーを迎え撃つ格好を取る。

 

『Solid Impact Booster(ソリッドインパクトブースター)!!!!』

 

お互いがただ殴り、殴られ、それでもひたすら殴り、ただひたすら殴られる。

 

顔を、腹を、腕を、脚を。ただただ、殴り続け、殴られ続ける。鎧が弾けるが、修復が間に合ってもすぐにそこへ拳が放り込まれる。その再び放り込まれた拳で鎧は簡単に破壊される。

 

お互いの拳が、お互いの体を破壊していく――。

 

そのたびにフィールド全体が大きく震え、地が避け、次元に穴が開く。

 

バカげるほどに単純な、威力に満ちた打撃戦。

 

そんな2人を見て実況が叫んだ。

 

『殴り合いですッ! 壮絶な殴り合いがフィールド中央でおこなわれておりますッ!! 華麗な戦術でもなく、練りに練られた魔力合戦でもなく、超々至近距離による子供のような殴り合いッ! 殴って、殴られて、ただそれだけのことが、頑丈なバトルフィールド全体を壊さんばかりの大迫力で続けられておりますッ! 観客は総立ちッ! スタンディングオベーション状態となっておりますッ!! ただの打撃合戦に老若男女が興奮していますッ!!! よくやるぜ、二人ともォォォォッッ!!!!』

 

「「「「「「「「「「サイラオーグゥゥッ!!!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「おっぱいドラゴンッ! おっぱいドラゴンッッ!!」」」」」」」」」」

 

大人子供がサイラオーグとイッセーを応援している。

 

「いきなさい! もっと、頑張りなさいよ!イッセー!サイラオーグ!」

 

「二人とも頑張って!イッセーくん!サイラオーグくん!!」

 

「もっと踏んばりなさい! 兵藤一誠!サイラオーグ・バアル!! もっともっと頑張りなさいよ!!」

 

「おら!二人ともまだまだ行けるだろうが!!もっと頑張りやがれ!!もっと力を限界まで振り絞れ!そんなもんなのかテメェーらの実力はよ!!もっと、熱く燃え上がれよ!!!」

 

「そうだ!そこだ!! もっと熱くなれよ!! もっともっと力を限界まで出し切れ!!イッセー!サイラオーグ!!」

 

姉さんに兄さん達も画像越しとはいえ目の前で繰り広げられている戦いに熱く熱狂していた。普段クールなレイジ兄さんやナツル姉さんたちでさえ、興奮してもえているほどだ。

 

「二人ともいっけぇぇぇぇぇ!! イッセー!お前はもっと力を出せるだろ!!イッセーの実力はそんなもんか?違うだろッ! いままでの修行を思い出せ!いける!イッセーならもっといけるから頑張れ!!

サイラオーグッ!お前の覚悟はそんなもんなのか!お前が培ってきたモノはそんな程度なのか?違うだろ!もっとお前ならいける!もっと上を目指せるはずだ!だからもっと力を出し切れ!!もっともっと限界まで己の眠れる獅子を呼び覚まし、力を出し切りなさい!!!

そんでもって、二人とももっと熱い戦いを俺達に見せてよ!!だから――頑張れぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」

 

かく言う俺も、イッセーとサイラオーグ、そして周りのみんなに感化されたのか、ワクワクドキドキしすぎて、おかしくなってしまったようだ。

 

 

『俺はッ!あんたを倒してッ!!上に行く……ッ!!!』

 

すると、イッセーの右腕を紅いオーラが覆い、右腕のみをトリアイナの『戦車(ルーク)』のものへと形成していく。

 

『Solid Impact Booster(ソリッドインパクトブースター)!!!!』

 

サイラオーグの腹部に突き刺さるイッセーの拳。

 

それを食らったサイラオーグが膝をつく…。

 

ぷるぷると震えている足。ダメージは深刻のようだ。

 

すると、サイラオーグは自身の足に激高した。

 

『どうした、足よ! 何故震える!? まだ! まだこれからではないか!!!』

 

地を大きく踏み込み、サイラオーグは立ち上がっていく。

 

『保て!保て俺の体よ……ッ! このような戦い、いま心底味わわずに大王バアル家の次期当主が名乗れると思うのか……ッ!!」

 

すごい気合いだ……。画面越しにいるこちらまで伝わってくる。

 

そのせいか、かなり熱くなっている光輝兄さんとレイジ兄さんの笑みにさらに深みがかかった。どうやら、軽く戦闘狂の状態になってしまったようだ。現に、いまにも飛び出してしまいそうで怖い。

 

そんな中、イッセーは臆すること無く、迫るサイラオーグの太ももに目掛けてローキックを放つ。

 

ガシャッ!!

 

そのキックがサイラオーグの鎧ごと太ももを破壊した。

 

サイラオーグの体がぐらつくのを間髪入れず、イッセーは顔面を鋭く拳でぶち抜く。兜が割れ、生身の顔にイッセーの拳がもろに入り込んだ。

 

拳打の勢いで後方に吹き飛ぶサイラオーグ。そんな彼に対してイッセーは両翼からキャノンを出現させ、吹き飛ぶサイラオーグに照準を合わせる。

 

静かに鳴動が始まり、トリアイナの『僧侶(ビショップ)』より早い時間でチャージを終えた。

 

『クリムゾンブラスタァァァァァァァァァアッ!!』

 

『Fang Blast Booster(ファングブラストブースター)!!!!』

 

放たれた紅色のオーラは、いままでのような拡散型の放射ではなく、集中的に範囲を狭めに狭め、威力を濃縮させた一点集中型の砲撃を放射される。

 

威力がケタ違いに上がった砲撃は、サイラオーグを包み込んだ。

 

ドオオオオオオオオオオオオンッ!!!

 

サイラオーグを包み込んだ紅色のオーラは、強大な爆発を生みだしたあと、煙が止み、地を大きくえぐってできた巨大なクレーターの中央に――サイラオーグが倒れていた。動く気配がない。――どうやら、イッセーの魔力の砲撃が通ったようだ。

 

その瞬間、会場が沸きあがった――。

 

もう、立てないだろう。先ほどの一撃や他の攻撃でかなりのダメージが蓄積されたはず――。

 

そう誰もが思っていたそのときだった――。俺の視界――正確には映像のなかに……女性が一人、ゆらりゆらりと出現した。

 

俺は瞬時にさとり妖怪の第三の眼を発動させ、さらに霊感を能力で上げさせて、それを見た。

 

「……やっぱり」

 

――うん。間違いない、魂そのものだ。

 

それは…いや、その"人"は……サイラオーグの傍らに立ち、何かを話しかけているようだ。

 

イッセーは気づいているみたいだが、その他はまったく気がついていない様子だ。

 

『―――なさい!』

 

女性は静かに、確かな口調で話し始めた。

 

すると、サイラオーグが……サイラオーグさんが、僅かに動いた。そして、顔をあげる。ボロボロと化した顔。目は虚ろだが、瞳の奥にまだ強い意志を感じる。

 

女性がサイラオーグさんを呼ぶ。

 

『サイラオーグ』

 

……誰なんだろう?どこか、サイラオーグさんを思わせる雰囲気を醸し出しているけど…。なんか、気配も同じ似た感じだし……。 あっ!もしかして、リアスさんが言っていたサイラオーグさんの母親かな? 確か、ソーナンさんの自然豊かなシトリーの領にある病院で昏睡していると聞いていたけれど……。

 

……え?ちょっと待てよ…仮にもしそうだとしてもなんで?――はっ!? も、もしかして、サイラオーグさんのお母さんは…もう――

 

『それはないわ。安心しなさい。おそらくサイラオーグの強い信念と母の強い想いが合わさって、母の意識だけをここに飛ばしたのでしょうね』

 

ルーツが俺にそう言ってきた。

 

なるほどね……これも、思いの力ってやつなのかな?

 

俺は先ほどの言動や雰囲気、そして、俺の勘とルーツの話から女性がサイラオーグの母親と確信した。

 

『サイラオーグ』

 

その声は必死に戦う息子を労ねぎらう、心配する、母親の優しげな激励――ではなかった。

 

『立ちなさい。立ちなさい!サイラオーグ!』

 

サイラオーグさんのお母さんの表情は厳しく、誇り高く、気丈なもの――。その声は応援などなく、息子を叱咤する母親のそれだった。

 

『あなたはだれよりも強くなると私と約束したでしょう!』

 

――っ。

 

サイラオーグさんの体が――動いた。それは徐々に確かになっていき、手が動き、腕が動き、足が動いて、体が持ち上がり始めた。

 

『夢を叶えなさい! あなたの望む世界を、冥界の未来のために、自分が味わったものを後世に残さないために、そのためにあなたは拳を握りしめたのでしょう!』

 

その言葉がサイラオーグさんに届いているものなのかはわからない。聞こえてはいないのかもしれない。

 

『たとえ生まれがどうであろうと結果的に素晴らしい能力を持っていれば、誰もが相応の位置につける世界――。それがあなたの望む世界のはずです!これから生まれてくるであろう冥界の子供たちが悲しい思いを味わわないで済む世界――ッ!それを作るのでしょう!!』

 

サイラオーグさんのお母さんは徐々に消えていくなか、最後に一瞬だけ微笑みを浮かべた。その表情は自慢の息子を見る母親の顔のそれだった。

 

その瞬間だった。

 

地を大きく踏みしめ、血をまき散らしながら、イッセーの眼前の漢が完全に立ち上がった。

 

『さあ、いきなさい。私の愛しいサイラオーグ。あなたは―――私の息子なのだから』

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!』

 

獅子が咆哮を上げた。

 

オオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ……!!

 

それは雄々しく、しかし、どこか悲哀にも感じて――透き通るほどに見事な獅子王の咆哮だった。

 

会場が大きく震えている。そして、戦っていないはずの俺達の心も心底打ち震えた。

 

俺は古明地さとりの能力を使ってたまんまだったのを忘れていて、イッセーの心を読み取り、そして感じ取った。

 

恐怖、戦慄、いや、それ以外にも高揚、興奮と矛盾するかのような感情がイッセーのなかで渦巻き、体中の細胞を湧き立たせるようだった。

 

――このヒトと、まだ戦えるッ!

 

そんな歓喜に似た感情がイッセーの心を呑み込んでいく。

 

『兵藤一誠ッ! 負けんッ! 俺はッ! 俺には叶えねばならないものがあるのだッ!!!』

 

サイラオーグがイッセーに向かっていく……ボロボロのぐしゃぐしゃの状態で。

 

『俺だって!負けられねぇんだよォォォォォォッ!』

 

それに対してイッセーも呼応して飛び込む。

 

イッセーとサイラオーグの拳が同時にお互いの顔面に鋭く食い込む。

 

イッセーが何度ぶん殴ってもサイラオーグは倒れない。ギラギラとした双眸を一時も薄めないまま、サイラオーグはイッセーに拳を放り込む。その威力はイッセーの体中のすべてのものを根こそぎ持っていくような一撃ばかりだった。

 

「――ん?」

 

その時……俺はなにかの異変に気がついた。

 

俺だけじゃない、ここにいる兄さんと姉さん達も同時に気づいたのだった。……だが、俺たち以外、ほかの人はまだ気付いていないのか、熱く熱狂していた。

 

俺は瞬時にサイラオーグの状態を能力で見てそしてて……納得した。

 

「……もう、気絶してるよ。あいつ」

 

――そうサイラオーグは……とっくに気を失っていると…。

 

『……はぁはぁ……お、俺にも夢がある……!部長を……ゲーム王者にして……』

 

イッセーはフラフラになりながらも、それでも前に進み、サイラオーグに拳を放つ。

 

『俺も……いずれ王者になる……ッ!誰よりも強くなるッ!俺はッ!最強の『兵士(ポーン)』になるんだァァァァァアアアァァァァッッ!!』

 

――っ!

 

俺は試合を止めようとした……でも、そんなことはできなかった。だって――

 

「……こんなの、止められない、止められるはずもないよ。」

 

俺の声に反応したのか、兄さんに姉さん達は、静かに頷き、その試合の最後を見届けるのだった。

 

――ドゴンッ!

 

イッセーの拳打がサイラオーグに届く。芯に響くほどの一撃だと、わかるほどの一撃だった。

 

そんな渾身の一撃をモロに食らったサイラオーグはふらつき、ぐらぐらと体を揺らすが……

 

――それでも倒れなかった。

 

「――サイラオーグさんっ…あんたって人は……ッ!」

 

すると、俺の声に反応した光輝兄さんがこっちを見てきた。

 

「……これが、真の漢の、そして本当の王者の風格だ。……この事をしかと目に焼つけ、そして決して忘れるなよ。ツバサ。」

 

俺は、光輝兄さんの言葉に静かに頷いた。

 

イッセーは鎧を維持する力を失ったようで、禁手(バランス・ブレイカー)が解かれた。

 

それでもイッセーは生身の拳でサイラオーグに立ち向かおうとしていた……。

 

……だけど。

 

『……赤龍帝……もういい……』

 

そのとき、サイラオーグの鎧の胸部分にある獅子が声を発した。

 

『……我が主は……サイラオーグさまは……』

 

獅子は目の部分から、涙を溢れさせている。

 

『サイラオーグさん……?』

 

イッセーもようやく気がついたようで、突きだそうとしていた拳を収めた。

 

『……サイラオーグさまは……少し前から意識を失っていた……』

 

……うん。そうなんだよ。イッセー…

 

そんなサイラオーグは、サイラオーグさんは……拳を突きだし、いままさにイッセーに向かおうとしたまま――意識を失っていた。

 

それも、笑ったままだった――。

 

『それでも……うれしそうに……ただうれしそうに……向かっていった……。……ただ、真っ直ぐに……あなたとの夢を賭けた戦いを真に楽しんで……』

 

ライオンは慟哭した。

 

……そう、サイラオーグは意地だけでイッセーと戦っていたんだ。たとえ意識を失おうとも……。前に…ただ前に……ただただ自身の夢のために――。

 

イッセーはそんなサイラオーグさんに頭を深く下げていた。そしてそのボロボロの体を抱きしめ、震える声で叫んだ。

 

『……ありがとう……、ありがとうございましたぁぁあッッ!!』

 

『サイラオーグ・バアル選手、投了。リタイヤです。ゲーム終了です。リアス・グレモリーチームの勝利です!!』

 

最後のアナウンスがされ、会場が熱気に包まれていったのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

試合が終わり、かく医療班の人達が慌てている中、光輝兄さんが立った。

 

「さて……ツバサ、優子!」

 

「「なに?(はい!)」」

 

光輝兄さんに呼ばれた俺と優子姉さんが返事をした。

 

「お前たちはサイラオーグとリアスの眷属に別れて治療してくれ。特に、サイラオーグとイッセーは先にやってくれよ。ひとりで無理なら2人で1人を治療しろ。いいな?」

 

「OK!わかったわ。つーくん!私はサイラオーグの方に行くわ。あなたはリアス達の方へいきなさい!」

 

「了解!姉さんも頑張ってね!」

 

「ええ、もちろんよ!」

 

そう言って俺達はそれぞれ別れて治療しに行くのだった。

 

―side out―

 

――――――――――――――――――――――

 

―イッセー side―

 

目が覚めるとそこは見知らぬ天井だった。

 

「……ここは?」

 

周囲を見渡せば自分は包帯姿で病室のベッドにいることがわかる。ケガはともかくら消耗が、ハンパじゃないな。体力が微塵も残っていないようだ……。手に力が入らない。

 

……試合に勝ったまでは覚えているんだけど……。あのあと、気を失った?

 

「起きたか」

 

――っ。聞き覚えのある声! 隣を見れば――包帯姿のサイラオーグさんだった。

 

「サイラオーグさん……。と、隣のベッドだったんですね」

 

「偶然にもな。病室なら余っているだろうに。サーゼクスさまかアザゼル総督か、体力が回復するまでの話し相手としてマッチングしてくれたのかもしれないな」

 

ははは、ベッドでまで戦いたくありませんよ……。

 

「……負けたか」

 

サイラオーグさんがそうつぶやく。

 

「……悪くない。こんなにも充実した負けは初めてかもしれないな。だが、最後の一瞬はよく覚えていない。気づいたらここだった」

 

「俺も……正直、記憶が飛び飛びで」

 

「ひとつだけハッキリしている。――とても最高の殴り合いだった」

 

――っ。確かに。清々しささえあった。

 

「俺もボコボコになって、ボコボコにしてやって、変に気分がいいです」

 

お互いに包帯姿で笑みを見せる。そこへ入室してくる者がいた。

 

「失礼するよ」

 

「お邪魔するね」

 

紅髪の男性と黒髪の女性…のような男の娘。サーゼクスさまとツバサちゃんだ。

 

「サーゼクスさま、とツバサちゃん」

 

「やあ、イッセーくん、サイラオーグ。本当に良い試合だった。私もそう強く思うし、上役も全員満足していたよ。二人の将来が楽しみになる一戦だった」

 

サーゼクスさまは激励を俺とサイラオーグさんに送ってくださったあと、近くの椅子に腰をおろした。

 

……ツバサちゃんが無表情に見えて、終始、笑いを堪えようとぷるぷるしているのはなんだろうか?現に、顔が赤いし、ちょっぴり口元がニヤけている。……ずっごい気になるんだけど!? なに!そんなにいまの俺の姿が可笑しいのか!?ここに鏡がないのが悔やまれる!!

 

「さて、イッセーくんにお話があるんだ。サイラオーグ、しばし彼と話していいだろうか?」

 

「俺はかまいません。……席を外しましょうか?」

 

「いや、かまわないよ。キミもそこで聞いておいて損はないかもしれない」

 

サーゼクスさまが真面目な顔でおっしゃる。

 

「イッセーくんに昇格の話があるのだよ」

 

…………。

 

俺はいま、言われた意味が理解できなかった。

 

しかし、サーゼクスさまが続ける。

 

「正確に言うとキミと木場くんと朱乃くんだが。ここまでキミたちはテロリストの攻撃を防いでくれた。三大勢力の会談テロ、旧魔王派のテロ、神のロキですら退けた。そして先の京都での一件と今回の見事な試合で完全に決定がされた。――近いうちにキミたち三人は階級が上がるだろう。おめでとう。これは異例であり、昨今では稀な昇格だ」

 

笑顔でそう言うサーゼクスさま。

 

…………。

 

「へ……?」

 

それしか言えないが――。しだいに言われた内容の意味を理解していく。

 

ちょ、ちょ、ちょっと……! しょ、しょ、しょ、しょ、昇格ぅぅぅぅぅっ!?

 

「お、俺が昇格!? え!? プロモーションとかじゃなくてですか!?」

 

俺の問いにツバサちゃんがとうとう吹き出し、サーゼクスさまは笑む

 

「それだけのことをキミたちは示してくれた。まだ足りない部分もあるが、将来を見込んだ上でということだよ」

 

いまだ、事の成り行きがわからない俺にサイラオーグさんが言う。

 

「受けろ、兵藤一誠。おまえはそれだけのことをやってきたのだ。出自など関係ない。おまえは――冥界の英雄になるべき男だ」

 

…そ、そんなことを言われても俺は……。

 

混乱する俺を見て、ツバサちゃんは爆笑し、サーゼクスさまも苦笑されていた。

 

途中、ツバサちゃんが笑い過ぎてむせていて、ちょっと涙目になってうるうるしていたのが、凄く可愛かったと記憶しておこう。

 

そして、可愛いのが見れたので笑っていたことは水に流しておこうと思うのだった。

 

「うむ。詳細は今後改めてそちらに通知しよう。きちんとした儀礼を済まして昇格といきたいのでね。会場の設置や承認すべき事柄もこれから決めていかないといけないのだよ。では、これで失礼する」

 

それだけを言い残して魔王さまが退室していく。

 

残された俺とサイラオーグさんと笑い終えたツバサちゃん。

 

そ、そりゃ、夢だったし、目標だったけど、こんなに早く訪れるなんて思ってもいなくて……。

 

や、やべぇよ、俺! どうしよう!わけわかんねぇよ!

 

混乱する俺にサイラオーグさんが言う。

 

「昇格もいいが、それよりもいまは――リアスのことだ。おまえは、好きなのだろう?リアスのことが」

 

――っ。部長の話。それはすぐに理解できる。だって、あんなに大勢の面前で叫んでしまったしさ!

 

「えっと……はい。大好きです」

 

「なら、もう一度想いを伝えてみたらどうだ?今度は真っ正面で二人きりでだ。――あれだけの大衆の前で惚れた女と叫んだのだ、今更だろう」

 

そ、そりゃ、今更かもしれませんけど……。会場でのは、勢いとノリだったけど、二人きりってのはまた別の領域の事件ですよ!

 

「むしろ、あの場で告白したのに、いざ2人きりになって告白できないんじゃ、ただの阿呆です。……いや、チキンですよ。もしも、リアスさんに告白しなければイッセーのことはこれから『兵藤チキン』と呼ばせてもらいますね」

 

すると、ツバサちゃんがそんなことを言ってきて驚いた。

 

「――ちょっ!それは―「そ・れ・に!」――へ?」

 

俺の言葉を遮ってツバサちゃんが人差し指を立てて俺の目の前まできた。

 

「イッセー……、あんだけの大告白をしながら2人きりになって告白しないなんて、リアスさんに対してもかなり失礼だと思うんです。リアスさんだってあの言葉を聞いてかなり嬉しかったに違いありません。むしろ嬉しくないわけがないんです!

なのに、イッセーがここで告白しなくてどうするんですか!あんたはそれでも男なんですか!?……リアスさんだって待っているはずです。だから勇気をだして告白しましょうよ。ね?

たかが、いまの自分の羞恥心を勇気に変えて1歩前に踏み出すだけです。それだけで、すべてが変わりますよ。」

 

ツバサちゃんはそう優しく俺に言ってきた。

 

俺はおそるおそる口にした。

 

「……俺……俺、自信持っていいんですよね?」

 

「ダメならダメで俺のところへ来い。慰めのコーヒーぐらいは出して話を聞いてやる」

 

「そうですよ。それでも心の傷が癒えないなら、俺の家に来なさいな。俺も合わせ兄さんや姉さん達で慰めてあげますから♪」

 

「……サイラオーグさん、ツバサちゃん。ありがとうございます。俺……俺!!」

 

いいヒトたちすぎて泣けてきた。

 

今度このヒトと改めてお茶を飲みたいと思った。

 

そのあと、ツバサちゃんから回復魔法をかけてもらい、光輝さんが作ったものすごく死ぬほど苦い玉の薬をもらい、それを飲むと、目の前が真っ暗になって瞳を閉じたのだった。

 

―side out―

 

 

―ツバサ side―

 

俺は、イッセーに激励をやり、回復魔法をかけた後、光輝兄さんから渡された光輝兄さん作の手作り薬をイッセーに飲ませた。すると、イッセーはあまりの苦さに「ぐふっ」と一瞬苦しんだ後、すぐに白目を向いてベットに倒れたのだった。

 

それを見たサイラオーグさんは顔を青くしていた。

 

「お、おい。お前はいったい何を飲ませたんだ?」

 

すると、サイラオーグさんが恐る恐る聞いてきた。

 

「あぁ〜、これですか? これはうちの長男。光輝兄さんが1人で作ったお薬ですよ。 うちの長男さんは、見た目によらず賢いし、さらに手先が器用なんですよ。あんなゴツイ体型してんのに、ちっちゃな可愛いお人形を1から作ることができるほどにね。

んで、そんな長男ですが、薬を1から作るのが趣味でね、薬草を積んではいろんな薬を作ってるんですよ。

それこそ、この手元に持ってる超回復薬をはじめ、ポーションや毒瓶、キズ薬や酔い止め、それこそ薬物兵器や超ドーピング薬などなど……いままでに多種多様な薬を作ってきたんだ〜。うちには優秀なお医者様がいるんで、その人に教えてもらいながら光輝兄さんは日々薬を進化させていっているのですよ!」

 

俺の長い説明にサイラオーグさんは唖然とする。

 

「ちなみに、この薬はその中でも特別性でね?その名の通り超回復をしてくれる薬なんだぁ〜。これをひと粒飲めば、あっという間に回復だよ!

その代わりに、気絶するほどの超絶な苦味が口の中をかけ走るけどね♪」

 

俺が瓶からひと粒取り出しながらサイラオーグさんにそう言うと、サイラオーグさんはハッ!と気づいたのか体を動こうとさせる。

 

しかし、俺が魔法で止めているのと、さらに蓄積されたダメージによって思う様に動かないのもあり、抵抗もむなしくおとなしくなった。

 

「……さぁ、お薬の時間ですよ〜」

 

「はっ!ち、ちょっ!待ってく――」

 

「待てませ〜ん」ヒュンッ!

 

「―――ッ!?」バタンッ!

 

俺はサイラオーグさんに近づきながら、喋って口が微かに開いた瞬間、マッハで薬を口の中に突っ込む。

 

あまりの苦さにサイラオーグさんは声にならない声を上げて、気絶した。

 

「……うん。相変わらずたけれども、恐ろしい薬だねぇ〜」

 

俺はそんな事を呟きながら小瓶に入った薬を見る。今回はポケットに入れるため小瓶に詰めているが、家に帰ると、この恐ろしき薬が数得きれないほど大きな瓶の中に詰まっている。

 

しかも、この薬の苦さは指折りで、無限と夢幻の2体の龍。そう、オーフィスこと龍美に、グレートレットことガイアの2人が一瞬で気絶する程である。

 

ある意味、龍殺しの力を持った薬でもあるのだ。

 

むろん、最強の名を持ったそんな龍2人が一瞬で気絶するような、恐ろしい薬にイッセーとサイラオーグが耐えられるもなく、あっけなく倒れた。

 

……まぁ、そのぶん、おかしな程回復力が高いんだけどねぇ〜。

 

「それにしても、本当に頑張ったね。おめでとう、イッセー。すっごくいい戦いだったよ。これからも頑張ってね?……冥界の英雄さん♪」

 

俺はイッセーに対してそんなことを面白おかしく笑いながらいうのだった。




終わったよ!頑張ったよ!! てか、頑張りすぎて1万字超えてたよ。

さて、次回が本当のラストです。イッセーは告白できるのかな?次回をお楽しみに!

それでは、バイバ〜イ!


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9話 学園祭と告白――さらに、奇跡

みなさまどうも、お待たせ致しました! やっと完成です!……なかなか、時間が取れなくれ遅れてしまい本当に申し訳ないです。

ツバサ「本当だよ、駄作者。遅すぎて退屈だったんだからね!もしも、まだ遅れるようだったら……思わず乗り込んじゃいそうだったよ♪」

いや、マジですみませんでした!m(_ _)m そ、それだけは何卒、なにとぞ、お許しくださいまし!

ツバサ「まぁ、いいや。今回は特別に許してあげる。仏の顔も三度までっていうしね。……でも、そうは言うけれど、次は…ないからね?……わかった?」

い、イエッサー ∠( ゚A゜;)ビシッ

「ほら、そんな事してないでさ、画面前の人達が暇を持て余しているよ?……早くしないと怒られちゃうぞ?」

そ、そうですよね……ゴホン!

さて、気を取り直して本編へレッツゴーですよ〜!

では、どうぞ〜

ツバサ•駄作者「「ゆっくりしていってね♪」」



あれから、しばらくして……

 

俺達は学園祭を楽しんでいた。今回、俺たちオカルト研究部の出し物は様々だったりする。

 

「一列になってお並びくださーい!」

 

声が聞こえた方に視線を向けると、ウェイトレス姿のアーシアが、廊下に並ぶ生徒たちを整列させていた。喫茶店のために並ぶ長蛇の列だ。思ってた以上に繁盛しているようだ。

 

「はーい、こちらは占いの館とお祓いコーナーですよー。塔城小猫ちゃんと姫島朱乃先輩が占いとお祓いをしてくれまーす」

 

「こっちはコスプレコーナーっすよ〜! コスプレ衣装を貸出しているっす〜! 貸出飲みだけじゃなく、購入もできるので興味がある人は是非是非いらしてくださいっす〜!」

 

イリナとミッテルトがウェイトレス傍ら、各コーナーの呼び子をしている。

 

ちなみに、今回のオカルト研究部の出し物は、家の家族も手伝っている。たとえば、いまミッテルトがやっているコスプレコーナーなんかは、家から持ってきた余った衣装を持ち出しているのだ。

 

なんでコスプレ衣装なのかって?……それはね、次女のナツル姉さんの表の職業だからさ! ナツル姉さんはああ見えてもすっごくアニメとかが好きなの。ちなみに、大物アニメ声優もやっていてかなりの大人気声優さんだよ?

さらにさらに、独自に会社を立ち上げ、コスプレ衣装やフィギュアといったアニメグッズを作ったりしているんだ。それも、かなり大きな会社だしね。しかも、みんなナツル姉さんの部隊員だしね〜。ナツル姉さんの影響なのか……みんな、オタクになっちゃったんだよね〜。まぁ、ナツル姉さんのオタクはいわば兄さん達や地球連邦軍のストレス発散だから、別に気にしてないんだけどね〜。あの人もすっごく楽しんでやってるしね。……ちなみに、俺もちょくちょくアニメ声優業やコスプレ衣装作りを手伝ったりしています。

 

そんで、今回はナツル姉さんや俺が遊びすぎて作りすぎたコスプレ衣装を処分名目で売ってるって訳さ。ちなみに、処分品だから、普段は万を超える衣装だけれども、どんなに高い衣装でも1万を超えることはないのですよ!(`・ω・´)

あ、勿論ですが、普通にインターネットやコスプレ専門店で売ってるような新品と全く同じですよ?流石に、ボロボロのを売るなんて、ナツル姉さんは良しとしませんからね。

 

もともと、かなり有名で大きな会社となったメーカーのためか、いまも飛ぶように売れてますよ。ハハハ

 

絶賛、学園祭当日、旧校舎を丸ごと使ったオカルト研究部の出し物は大盛況のようです。………ついでに、出し物を渡す以外に出番のなかった家の家族も巻き込んでね〜

 

まぁ、オカルト研究部と結城家の女子たちは大人気だ。

 

「キャーーー!トップモデルのREIGIさんに、その専属衣装デザイナーの晃己さんよ!」

 

「え、本当だ!さ、サインください!」

 

「いいないいな〜!私もくださ〜い!」

 

あ、あとお兄様方もね〜。……なんせ、あのふたりはトップモデルと俳優もやってますからね〜。ちなみにモデルはレイジ兄さんが、その衣装を作ってるのが光輝兄さんがやってるよ〜。ちなみに、ナツル姉さんもレイジ兄さんの衣装を作ってるよ。ナツル姉さんはアニメの世界でもそれ以外の衣装の世界でも有名なんだよ〜。

そんな家族を持てて、本当に鼻が高いよね〜。

 

あ、ちなみに、『REGI』はレイジ兄さん。『晃己(コウキ)』は光輝(コウキ)兄さん。……まんまだね

 

「はーい、チーズ」

 

……と、喫茶店で写真を撮っているのはウェイトレス姿のリアスさんたちの部員とナツル姉さんと皐月姉さんだった。

 

ちなみに、いま俺の隣にいるイッセーは、リアスさんのウェイトレス姿が素晴らしいらしく、涙を流していた。

 

相変わらずの変態度で……

 

「イッセーくん、見てないでこちらに来て」

 

木場がお化け屋敷となっている教室から顔を出していた。イッセーはこの時間、お化け屋敷のフランケンシュタイン役。ナツル姉さんとそのお付きのメイド達が手伝った専用のメイクをしている。ギャスパーはドラキュラ役なんだが……怖がられるどころか、逆にかわいがられている。

 

……他にもお化け屋敷のなかで役に没頭中の者が数人いる。

 

そう、家の家族…と言うよりも、俺の部隊の人達だ……。そう、幻想郷組の妖怪さん達である。

 

リアスさんに、この世にいるお化けや妖怪がダメなら、忘れ去られた者達がいく幻想郷。さらに、その中でも見た目は人間な人達を連れてきてくれないか、というわけで何人か連れてきました。橙、チルノ、ルーミア、こいし、大妖精、お燐、お空、椛、萃香……ぐらいかな?

 

ちなみに、これは俺が決めたのではなく、紫さんに選んでもらった人選です。最初は一部の子達が気になりましたが……まぁ、人間達にたいし驚かす以外で特にこれといったものはないので、彼女達も楽しんでいるようですし、いいんですけどね。

 

「僕、このまま喫茶店の手伝いに戻るから、仕掛けのことはよろしくね」

 

「へいへい」

 

各コーナー、大盛況なのだが、皆、行ったり来たりと旧校舎内を駆け回っている。……つまり、人手がまだまだ足りないのだ。何故なら予想以上の大繁盛ぶりだからさ!……確実な原因は兄さんと姉さん達にあるんだろうけどね…絶対。

 

そんな俺も休憩時間を終えたので、お化け屋敷の案内役にもどる。

 

「みなさま、せいぜい足元に気をつけてお進みくださいませ……。じゃないと、キケンデスカラネ……フフフフフ」

 

俺は決まり台詞のように言う。だが、姿は女性の幽霊だ。

 

ナツル姉さん達の特殊メイクもなく、ただナツル姉さんが直々に軽く化粧をしただけで女性らしい姿になっている。元々、女顔っていうのに心が傷つき悲しくなるが、もう、抗えない運命なので諦めている。さらに、追い討ちをかけるように、誰も女装しているとは気がついてくれないのだ…。まるで、それが普通みたいな反応をされていたりする。しかも、男女関係なく見とれてしまうほどの容姿みたいだそうな…。

 

少し離れたところでフランケンシュタインに没頭しているイッセーが、お客さんの女子を驚かせようと――、

 

「がーっ!」

 

勢い良く飛び出していた。

 

「キャーッ!!変態の兵藤よ!犯される!!」

 

バシーンッ!と叩かれていた。

 

「わー、ドラキュラですよー。かみますよー」

 

「「きゃーっ!ギャスパーくん、きゃわいいっ!」」

 

ドラキュラ役のギャスパーは大好評の様子。

 

「あ、兵藤発見!やられる前にやるのよ!!」

 

バチーンッ!とまた、女子のお客さんに叩かれていた。しかも、脅かす前に。

 

「……な、なんで俺だけが…」

 

……イッセーが膝をついてorz状態になって、1人呟いていた。

 

…イッセー、日ごろの学校でのおこないのせいだと思うよ……。

 

「さて、いっちょ俺も脅かしにいきますかね〜♪」

 

俺はそんな風に楽しみながらも、役をこなしていくのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

場所が変わって、現在は兄さん姉さん達、それに黒歌•アイラ•アリア•カンナのメイドチームと一緒に学園を回っていた。ちなみにだけども、メイド服じゃなくみんな私服だよ。光輝兄さんの隣にアイラさんが、レイジ兄さんの横にアリアさんが、カンナと黒歌は姉さん達と一緒にいる。ちなみに俺は、オカルト研究部と受付にいた優子姉さんに腕組みをさせられて引っ張られるように歩いていた。……周りの視線が痛いです!

 

「そういえば、サイラオーグを支援してた悪魔の上層部の奴らは皆、アイツから手を引いたらしいな」

 

すると、突然光輝兄さんがそんな話をしだした。

 

「仕方が無い。悪魔の世界……いや、世の中自体がそんなもんさ。敗者にいつまでも群がるほど奴らもお人好しじゃない。特に、悪魔ってのは本来合理的なものだ。利用価値かまなくなれば、そく捨てるさ」

 

……酷い話だけれども、それが悪魔社会じゃ普通なんだよねぇ〜。…はぁ。

 

「まぁ、仕方が無いな。むしろ、体術だけであれほどの戦いを演じたアイツを心配するのはやめるべきだな。それが、男の意地ってやつだからよ。」

 

「確かに、光輝の言う通りだな。それにアイツだって俺たちに心配されたくなんかないだろうしな。」

 

光輝兄さんとレイジ兄さんがそんな話をする。

 

……そこで、俺はふと気になった事を聞いた

 

「そういえば、大王家次期当主の座はどうなの?」

 

すると、光輝兄さんはふと考えてから口を開いた。

 

「いや、アザゼルによると、そこはまだ変動は無いようだな。まぁ、今回の一件で大王家がどう動くかはわからかいが、バアル家特有能力の"滅び"を持ってはいないが、あれほどの実力者なんだ…。世論もあるだろうし、そう簡単に無下にできるはずがないだろうよ」

 

「なるほどね〜。まぁ、それもそっか」

 

悪魔の世界でも、世間帯は気にするんだね〜。

 

「まぁ、いいさ……。そんなことよりも、今日はみんなで楽しもうぜ!せっかくリアス達が招待してくれたんだ。なのに楽しまなかったら損だろ?」

 

「そうだね、光輝兄さん」

そんな事をいいながら、俺たちは学校巡りで楽しむのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

そんなこんなで、現在俺たち結城家メンバーは部室に帰ってきた。扉を開けようとしたが、俺はふと勘が働いていまは入ってはいけないと思い、後ろにいた兄さん姉さん達を止めた。

 

「おい、どうしたんだよ?なんではいr――」

 

俺は声をあげようとした光輝兄さんを手で止める。

 

「少し静かにしててね?……面白いものが見れるだろうからさ♪」

 

俺はいま、すごくイイ笑顔だと思う。すると、兄さん姉さん、そしてメイドメンバー達は俺の言葉を察し気配を探知したのか、部屋にいる2人を知って俺と同じイイ笑顔になったのだった。

 

「なるほどな……それじゃ〜」

 

『面白そうじゃないか!』

 

とても小さな声だがみんなの声がハモるのだった。

 

そして、俺たちは気配をゼロにして、八雲紫さんスキマを利用して、部室内へと侵入するのだった。……それも、高性能なカメラを用意して

 

―side out―

 

―イッセー side―

 

学園祭の終盤にさしかかり、校庭でキャンプファイヤーを焚いて、その周囲でオクラホマミキサーとなっていた。今頃、男女が楽しく踊っているに違いない!

 

俺はなんとかチケットを売り終わり、疲れた体で部室に戻る。バアル戦の疲れは、ツバサちゃんに飲まされた、謎の激苦薬で完治済みなのだ。……あれは、マジで三途の川を渡るんじゃないかと思っちまったよ。

 

あと、オカルト研究部の各コーナーは大繁盛だったようだ。ツバサちゃん達が持ってきてくれたコスプレコーナーも、ナツルさんに優子さんがやっていたメイクも、光輝さんにレイジさんがやっていた写真館も、そして俺たちのお化け屋敷もすごく盛りあがっていた。それもそうだ、ナツルさんの特殊専用メイクの効果と演出がリアルで好評だった……俺以外はね。

……まぁ、お化け屋敷に関しては、一部何人か本物の妖怪さん達がいたからね。それにしても、全員可愛かった!幻想郷ってのは美女に美少女ばっかりだとは光輝さんに聞いているけど、本当にそうだったんだ!ますます幻想郷に行ってみたくなったぜ!

 

それと、真『女王(クイーン)』はまだ覚醒したばかりで力の上げ幅にムラがあり、調節はこれからだってドライグが言っていたな。現時点ではトリアイナのほうを使いこなせるようになったほうが真『女王(クイーン)』全体の力の底上げになるって話だ。

 

まぁ、うまく使いこなすのはこれからだ。

 

そういえば、サーゼクスさまやレヴィアタンさまも今日来てた。顔見せだけですぐにグレイフィアさんや会長さんに引きずられていったけど……。

 

部室に入る俺。部室は特に会場にしなかったから、内部はそのまんまだ。

 

…と、中に誰かいる。部長の椅子に――部長が座っていた。いつの間にかウェイトレス姿から制服に着替えていたようだ。

 

「イッセー……」

 

俺を視界に捉え、そうつぶやいた。

 

「……お仕事お疲れさま」

 

「あ、はい」

 

「三年生だから、最後でしょ。だから、ちょっとここに戻りたくなって」

 

「な、なるほど……」

 

「…………」

 

「…………」

 

無言になる俺と部長。実は、あの戦いのあと、俺と部長は会話がギクシャクしてしまっていた。理由は当然――大衆の面前で俺が告ったからだ。

 

まだ返事をもらってないし、会うたびにこの状態なので俺としてもたまらないものがある。

 

いま思い出しても恥ずかしい! ノリの勢いとはいえ、俺もよくあんなところで好きな女だと告げたよな!あのあと、冥界の新聞には一面で報道されていた。

 

『おっぱいドラゴンとスイッチ姫、主従を超えた真剣恋愛か!?』って。その新聞を見ていた光輝さんにレイジさんが『あの場とはいえ、最高の告白を見せてもらったぞイッセー』『あっははは!いや〜、俺がアリアに言った告白よりも大胆だな!うん、なかなか面白かったぞ。あとは頑張れよ。』とか言っていて、顔が真っ赤になったのは事実。

さらに、これの影響で当面は冥界に帰れそうにないって話だ。帰れば必ずあちらのマスコミに囲まれるからだ。うーん、まいった。

 

そして、ふとサイラオーグさんの言葉が蘇える。

 

――もう一度想いを伝えてみたらどうだ?今度は真っ正面で二人きりでだ。

 

…………。

 

もう今更、か。

 

俺。このヒトに惚れているのは本当なんだからさ! ていうか……言おう。俺がずっと言いたかったこと。呼ぶんだ。

 

――今度こそ、必ず!

 

俺は覚悟してリアスの正面に立つ。生唾を飲み込むと息を深く吸って、上ずった声音で言ってやった!

 

「……リ、リアス……」

 

「………………………え?」

 

一瞬、呆然とした部長が訊き返す。

 

だから、俺はもう一度、ハッキリと伝える。ええい、ままよ!

 

「……俺、リアスのことが……リアスのことを一生守っていきたいです……。俺、惚れてます!!リアスのことが大好きです!!!」

 

「――っ」

 

言葉を詰まらせた様子の部長。次の瞬間、目から大粒の涙をぽろぽろと流していく。

 

やべぇ、泣かした!ま、まさか、俺、ダメでした……?

 

青ざめて慌てる俺。部長は首を横に振って涙を拭った。

 

「…………違うの。私、私……。うれしくて――」

 

部長が俺のほうに歩み寄り、俺の頬をなでる。

 

「やっと、名前で呼んでくれた……。ずっと待ってた。ずっと待ってたのよ……。ううん、私、勇気がなくて、言えなくて……。もうダメかと思った……。けど、あのときあなたの想いを聞いて……本当にうれしくて、試合中なのにどうにかなりそうだった……」

 

…………。

 

それを聞いて、間の抜けた顔になる俺だが……。

 

それって――つまり!

 

「……そ、そう思っていいんですか?」

 

俺の問いに彼女はうなずいた。

 

――ッ! マ、マジか……! お、俺……、俺、このヒトと……?

 

「……イッセー、私、あなたのことを愛している……。誰よりもずっと、あなたのことを――」

 

部長――いや、リアスのくちびるが俺のくちびるに近づいてくる――。

 

「リアス……」

 

「イッセー……」

 

――キス、しようとしたときだった。

 

ガタッ。

 

扉のほうで音がする。

 

「ちょ、ちょっと、押さないでよ、ゼノヴィア!」

 

イリナの声だった。

 

見れば、部屋の扉から部員の面々が顔を覗かせていた――ッ!!

 

何をしているの、キミたちぃぃぃぃぃっ! 覗かれた!? この場面を覗かれていましたか!?

 

「お、おめでとう、イッセー、部長!これで私も気兼ねなく言い寄れるんだな!!」

 

ゼノヴィアがギクシャクしながらもそう言う。

 

「あ、あの、お二人ともおめでとうございます!わ、私もこれでお姉さまのあとを追えます!!」

 

アーシアちゃんも見てたの!?

 

「あらあら、お二人共、やっとくっつきましたのね。随分と長い道のりでしたわね。おめでとうございます。うふふ」

 

朱乃さんまで!!

 

「……私も、見てました。……良かったですね。部長、イッセー先輩」

 

小猫ちゃんも、何を言っているの!?

 

「ごめんなさい。私も見てたわ。」

 

「すまん。私もだ」

 

「ごめんっす。私も見てたっす」

 

「ゴメン、僕も見てた」

 

「感動しましたぁぁぁっ!」

 

夕麻ちゃん達に木場とギャー助も!? ふざけんな!

 

「今日だけは不純異性交遊を認めてもいいんですよ?」

 

余計なお世話です、ロスヴァイセさん!てか、あなた教師でしょ!!

 

……ん? ちょっと待てよ…。このメンバーがいるって事は……まさか!?

 

ガタッ

 

「――いよっと!」

 

すると、天井が開いたかと思えばそこからツバサちゃんが降りてきた。

 

―――ってツバサちゃん!? やっぱりいた!

 

「にゃははは!! やぁっと告白したんだね〜、イッセー! 本当に長かったねぇ〜、ここまで来るのにさぁ〜。まったく、変な所で意気地無しなんだからキミは……。

まぁ、あの大勢の場で告白したのに、もしもこの場で、告白しなかったらキミの評価を底辺クラスまで下げちゃう所だったよ。良かったね、イッセー♪」

 

つ、ツバサちゃん……キミまで…

 

「――さて! そろそろ出てきてもいいよ!みんな!」

 

……へ?

 

ガタッ スッ ペラ ガラ

 

窓に床に壁に物置の影に……いろんな所から光輝さん達兄弟姉妹にメイドメンバーが出てきた。

 

……って、ええええええええええ!!!!?

 

「いやぁ〜、いいもん見せてもらったぜイッセー!なかなか良かったぞ!」

 

「そうだな。光輝の言う通り、なかなか面白かったよ。よく頑張った、イッセー」

 

「本当にね。女の子を待たせたのは減点だけれど、あの大勢の場で告白し、さらにこの静かな場で改めて告白したのにはカッコよかったわよ。これからも、頑張りなさい。……いろいろね」

 

「あはは、ごめんね、イッセーくん。ちょっと気になっちゃって」

 

「うんうん。好奇心には勝てなかったわ。ごめんなさいね、イッセー。でも、すごく良かったわよ」

 

光輝さん、レイジさん、皐月さん、ナツルさん、優子さんの順でそう言った。

 

……って、そんな事よりも、みなさんが持っているモノはなんですか!? その見た感じ高性能なカメラは! ま、まさか……いまの撮られてたんですか!?

 

「家庭科室をお借りして、ケーキが完成しましたわ!」

 

と、勢ぞろいした部室に、レイヴェルが大きなケーキを持って入場してきた。その様子から、この子だけは覗いていなかったようだ。

 

「あれ、皆さま、どうかされたんですか?」

 

首をかしげ、怪訝そうに俺たちを見ていた。

 

俺の隣でリアスがぷるぷると全身を震わせていた。

 

「もう! あなたたち! 私の貴重で大切な一シーンだったのに! どうしてくれるのよ!! これもイッセーのせいよ! こんなところで告白するんだもの!!!」

 

「え!俺のせいなんですか!!」

 

『『『『『『『『『『ということにしましょうか』』』』』』』』』』

 

皆も同意する!ふざけんなぁぁぁぁっっ!!!

 

こうして、波乱に満ちた学園祭とサイラオーグさんとの戦いは幕を閉じたのだった。

 

さてさて、俺の告白はどこまで有効なんだろうか……?

 

―side out―

 

――――――――――――――――――――――

 

―アザゼル side―

 

俺――アザゼルは冥界の用事のついでにシトリー領にある病院に足を運んでいた。

 

院内の売店で花を物色している体格の良い男が俺を見て驚いていた。

 

「総督殿」

 

「よー、打撃王」

 

サイラオーグだった。

 

報告ついでにこいつの顔も見たくなって、ついこの病院に足を向けてしまった。あれだけの試合をした男だから、賛辞のひとつでも言おうと思った。

 

進路を歩きながら話し込む俺とサイラオーグ。その話題はイッセーたちに移った。

 

「兵藤一誠はどうですか?」

 

サイラオーグの問に俺は豪快に笑って答えた。

 

「ああ、告ったらしいぜ?ハハハ! なぁ、ツバサ、光輝、レイジさん達よ〜」

 

俺の言葉に驚くサイラオーグ、ふと視線を向けると、そこに立っていたのはいつも見ている3人だった。

 

「ハハハ、やっぱり気づいてたかアザゼル」

 

「当たり前だ。俺を誰だと思ってるんだよ光輝。これでも堕天使のトップだぜ?」

 

「そうだったな。堕天使の総督殿」

 

「おう、わかればいいんだよ、わかればな」

 

「……え?堕天使のトップ(笑)じゃなくて?」

 

「そうだな。堕天使のトップ(笑)だな……っておい!? なんてこと言ってんだよツバサ! それは酷くないか!?」

 

「いいじゃん。実質そうなんだし。」

 

「……たく、ひでぇなお前は」

 

「日頃の行いだよ。……それにしても、あの2人は学園祭以降、どっちもすごく初々しくて見てられないよ。なんか、見てるこっちが恥ずかしくなる」

 

ツバサが少しげんなりとしながらそう言った。

 

「ハハハ、仕方が無いさ。だが、これで周囲の女子も黙っちゃいないだろうから、まさにこれからだな。あいつのハーレム道ってやつは」

 

アーシアもゼノヴィアもイリナもどう攻めるのだろうか?

 

さてさて、女に不慣れな乳龍帝くんはどう出るかな? 傍から見る分には最高の見物だぜ!

 

「アザゼル、顔がゲスいよ?」

 

ツバサに言われてハッとする。

 

おっと、思わず顔に出ちまったぜ。

 

「そうですか。それは良かった。リアスにはあの者が一番似合うでしょう」

 

ヒトの心配をしているほどでもないだろうにな、この男も。

 

「……一からか」

 

俺の問にサイラオーグがうなずく。

 

こいつにすり寄ってきた大王派のお偉方たちはら敗北を知って素早く去っていった。

 

サイラオーグは負けによって、上へのパイプをすべて失ったことになる。これがレーティングゲーム。ものの価値に敏感な悪魔は利用価値が下がればすぐにそれを捨て去る。

 

それが悪魔業界の実情のひとつだ。

 

「ええ。問題ありません。慣れていますのでね」

 

「うちのバカは心配していたけどな」

 

イッセーは気にしていた。あいつはサイラオーグのことを尊敬しているようだからな。

 

「伝えておいてください。――すぐに追いつく、と」

 

いい笑顔だ。負けたのに清々しさに満ちた笑みを見せてくれる。こいつならすぐにイッセーたちと再びいい試合をしてくれるようになるだろう。いまから楽しみでならない。

 

「……ん? おい、なんか執事みたいなの来たぞ?」

 

光輝が気づいたのか指をさした。

 

そこに視線を向けると、執事らしき者が息を切らしながら姿を現した。

 

「サイラオーグさま……」

 

執事はサイラオーグの名を呼び――その表情は歓喜の涙に濡れていた。

 

「どうした?」

 

訊くサイラオーグに執事は震える声で答えた。

 

「……ミスラさまが……」

 

―side out―

 

―ツバサ side―

 

俺たちは学園祭が終わってから数日後、冥界に光輝兄さんが用があるといい、お付きで俺とレイジ兄さんがついてきた。冥界でいろいろと、仕事を終わらせた後、とある病院によった。

 

……そこは、シトリー領にたっている大きな病院だ。

 

そんな中に気配を変えて入りしばらく歩いていると前方にアザゼルとサイラオーグを見つけた。近づいていこうと進むと、アザゼルが俺たちの名前をよびながら、後ろを見てきた。どうやら気づいていたようだ。

 

そこからは、適当に話をしていたが、突然サイラオーグの執事が走ってきて、いまは、サイラオーグのお母さんの病室にいる。

 

その病室内では、駆けつけてきていた医師や看護師の驚愕の表情を浮かべ、口々に『奇跡だ』『信じられない』と漏らしていた。

 

ベッドを覗けば――そこには長い眠りから目を覚ました女性が窓から風景を見ていた。

 

サイラオーグが体を震わせて、下で購入していたであろう花を床に落としながらベッドに近づいていく。

 

それに女性――サイラオーグの母親も気づいた。

 

「……母上、サイラオーグです。おわかりになりますか?」

 

「……ええ、わかりますよ……」

 

子の頬をなでようとする母の手。震えるその手をサイラオーグの大きな手が取った。

 

「……私の愛しいサイラオーグ……。……夢のなかで……あなたの成長をずっと見続けていたような気がします……」

 

母親は静かに笑み、一言だけ続けた。

 

「……立派になりましたね……」

 

「……………っ」

 

母親のその一言を聞いたサイラオーグの目から――一筋の涙が流れた。

 

「……まだまだです、母上。 ……元気になったら、家に帰りましょう。あの家に……」

 

俺達はそんなサイラオーグと母親の2人をみながら、兄さんたちは微笑ましく見て、俺はもらい泣きをしていた。

 

すると、アザゼルが病室を出たので、俺たちもこれ以上ここにいるのは野暮だと感じて、一緒に病室を出ていくのだった。

 

――立派になりましたね。……か。

 

ねぇ、サイラオーグ。

 

あなたは心のどこかでその一言を母親から聞きたくてずっと戦っていたんじゃないかな?

 

あなたにもいろんな考えが想いがあると思う

 

でも――。

 

あなたのお母さんにとって、あなたが自慢の息子であることはかわりないと俺は思うんだ。

 

それとイッセー。

 

お前は本当にすごいよ! こんな奇跡を起こしちゃうなんてよ。

 

イッセーだろ? あの母親を目覚めさせたのは。

 

今日、この病院に来た理由は、兄さんに頼まれて俺が回復魔法で頑張ったサイラオーグのために、ずっと眠り続けている母親の意識を回復させるためだった。

 

――でも、それはいらなかった。

 

だって、それをしたのがイッセーだったからさ。

 

この病室に来て、乳語翻訳(パイリンガル)をしたって言ってたもんな。それがどういう効果をもたらしたのかはわからないけど、結果的にはサイラオーグの母親を深い眠りの底から起こした。

 

だって、それ以外考えられないもん。俺以外でサイラオーグの母親を起こす現象なんてさ。

 

ねぇ、イッセー。お前のバカらしさは皆を包み込む良いバカらしさだと思うよ?……たぶん、みんなもそう思っていると思うんだ。

 

そのバカらしさがどこまで通じるのか……。俺はまだまだ見たいと思うし、すごく気になるよ。

 

本当に、すごいよ……あんたは…

 

「……悪魔のヒーローと英雄の子孫たちどちらが本当の英雄(ヒーロー)なんだろうな」

 

すると、アザゼルが院内の窓から冥界の空を眺めながら、そんな事をつぶやいた。

 

……確かにね、どちらが本当の英雄なんだろうか。

 

……でもね、アザゼル。これだけは絶対に言えることがあるんだ。

 

「ねぇ、アザゼル?」

 

俺はアザゼルを呼ぶ

 

「ん?なんだ、ツバサ?」

 

アザゼルは俺のほうを向いた。

 

「英雄ってのはね、自分で決めるものじゃないんだよ。どの世界の時代に歴史においても、英雄は民……つまり、力無き人々から勝手にそう言われるもんなのさ。

人を助ける事に理由があるか? 国を良きものにするのに、国を危機から助けるのに理由があるか?

英雄と呼ばれる人達はね、どの世界においてもみんな、ただ人々のために、ただ世界の平和のために、そうたったそれだけのために自分の命をかけて守ってきたんだ。

そうやって、人々の中から英雄は生まれてきたんだよ。

 

……誰よりも長く生きているアザゼルだってわかってるんじゃないかな?」

 

俺のそんな言葉に、アザゼルはフッと笑みを見せた。

 

「……ああ、そうだな。いわれてみりゃ〜、簡単な事だった。そうだよな、ありがとうツバサ」

 

「別にいいよ。そんな大層なことなんてしてもないからね。」

 

「それでもだ」

 

そういいながら、アザゼルが俺の頭をポンポンと撫でるようにしてきた。

 

「さて、そろそろ戻るか。お前達も仕事終わったんだろ?」

 

アザゼルは改め直して光輝兄さんたちに聞いていた。

 

「ああ、仕事は片付いた。あとは家に帰るだけだな」

 

「なら一緒に帰ろうぜ。ひとりはつまんねぇんだよ」

 

アザゼルはカラカラと笑いながらそう言った。

 

兄さん達はそんなアザゼルを見てほんの少しキョトンとしつつも、クククと笑っていた。

 

「……ククク。確かにな。ひとりで寂しく帰るより、みんなで喋りながらでも楽しく帰るとするか」

 

「ああ、そうだな」

 

「うん。そうだね」

 

「んじゃ、そうと決まれば帰ろうぜ!」

 

そういいながら、俺たちはアザゼルと一緒に楽しくみんなで、帰るのだった。




がんばったよ!また1万字超えちゃってたよ!

まぁ、今回でこの章も終わりだね。次からは新しい章へとやっと突入だよ。いや〜、本当に長かったねぇ〜。俺が原因なんだけどさぁ〜。

ツバサ「ほんとだよ。次こそは早めに投稿してよね。最低でも週1で頑張りなさい」

……え。い、いや。こっちも忙しいので、それはちょっとぉ〜…

ツバサ「何か文句でも?」

いえ! 何もありません!ツバサ隊長!!

ツバサ「よろしい。ならば頑張りなさい。マジで」

サー!イエッサー!(≧∀≦)ゝ

ツバサ「それじゃ〜みなさま。また次回でお会いしましょう」

それでは、みなさま! せ〜の!

ツバサ•作者「「ばいば〜い!!」」


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進級試験とウロボロス
1話 昇格のお話


最後に投稿した日から週1の連続投稿やっとできたぜヒャッハーーーーー!


はい、すみません!謝りますから、だから石投げないで〜!!


そ、それでは改めまして、ゆっくりしていってね!


イッセーがリアスさんに告白したあの日かはや数日。

 

あれから随分と経ちました。イッセーがリアスさんといちゃついたり、光輝兄さんとレイジ兄さんが喧嘩したり、イッセーが悪友に何故かボコられたり、光輝兄さんとレイジ兄さんが喧嘩したり、木場と俺が刀で模擬戦したり、光輝兄さんとレイジ兄さんが喧嘩したり、俺が部隊の新人くんを鍛えて上げたり、光輝兄さんとレイジ兄さんが喧嘩したり、皐月姉さん達とお茶したり、光輝兄さんとレイジ兄さんが喧嘩したり、光輝兄さんとレイジ兄さんがお嫁さんと姉さん達にボコられたり……と、それはそれは、とても短くも長い数日でした。

 

……いや、本当に本気と書いてマジで疲れましたよ。特に、光輝兄さんとレイジ兄さんの喧嘩が。

 

なんで喧嘩していたのかって?……それは、こっちが聞きたいですよ。とりあえず、とってもくだらない理由で喧嘩している……とだけ言っときますね。

 

そして、そんな彼等はこりずに今日も――

 

 

「おっしゃー!今日こそ決着つけようか!この愚弟が!!」

 

「それはこっちのセリフじゃ!愚兄め!! お前の脳みそはその体同様に筋肉になってんじゃないのか?あぁ!?」

 

「……んだと?――やんのか、阿呆が」

 

「……脳筋」

 

「……剣バカ」

 

「「殺す!!」」

 

「やめんか!?」

 

バシィィィン!!

 

また、一触即発の状態になってたところへ、俺はハリセン(外見が紙で中身鉄製Ver.)でおもいっきり2人の頭を叩いた。

 

「いてぇじゃねぇか、ツバサ」

 

「ほんとな、痛いじゃないかツバサ」

 

「……普通の人なら、中身鉄製のハリセンで頭をおもいっきり叩かれて、痛いじゃすまないと思うんだけど」

 

ふたりはまるで何事もなかったかのような感じで、頭をさすりながら軽く言った。

 

そんなふたりを見て、俺は思わず深い嘆息が出てしまった。

 

「あんまり暴れないでよ。アホか………まったく。」

 

俺はハリセンを懐にしまい、光輝兄さんとレイジ兄さんの目を見る。

 

「さて、今日はイッセー達の昇格についての話なんだから、さっさとイッセーの家に行くよ。こんな森の中にいないでさっさと動いた!」

 

今の時間は夜だ。もうすぐサーゼクスさんが言った集合時間になってしまう。早く行かなければ。

 

「てなわけで、このまま行きますね〜」

 

「え!?ちょっ!おま、まっ――」

 

「ぐふぅ! ままって!?く、首がしまって――」

 

俺は、両袖から出した鎖で適当に兄さん達を捕まえて、紫さんの能力のスキマを使ってイッセーの家に直接行くのだった。

 

……途中で何か鳴ってはいけない音が聞こえたけど、気のせいだよね。

 

――――――――――――――――――――――

場所は変わってイッセーの実家のVIPルーム。そこでは、イッセー含めたグレモリー眷属と、サーゼクスさん、グレイフィアさん、アザゼルがいた。

 

「――お、ちょうどいいところに来たな。3人とも」

 

俺達が入ってきたことに気がついた者――アザゼルが俺達を呼んできた。

 

ちなみに、アザゼルの隣にはサーゼクスさんが座っており、その隣にはグレイフィアさんが座っていた。

 

その三人の前には、今回の主役であるイッセーと木場と朱乃さんの3人と、その主リアスさんが座っている。

 

アザゼルが「ここに座れ」とジェスチャーで隣の席を指していたので、俺はアザゼルの隣の席に腰をおろした。光輝兄さんとレイジ兄さんは、アザゼルとサーゼクスさんの間に座らせた。

 

すると、確認を取ったサーゼクスさんが話を切りだした。

 

「先日も話した通り、イッセーくん、木場くん、朱乃くんの三名は数々の殊勲を挙げた結果、私を含めた四大魔王と上層部の決定のもと、昇格の推薦が発せられる」

 

……そういえば、サイラオーグさんとの戦いが終わってすぐにサーゼクスさんから直接イッセーに昇格の話が持ちかけられていたっけ。当の本人はすごく混乱していたけどねぇ…。

 

あれからもうそんなにも時間が過ぎたんだね〜。本当に時が経つのは早いや。

 

悪神ロキや『禍の団(カオス•ブリゲード)』と戦っていたことが大きな功績になったらしい。

 

…少しは手伝っていたとはいえ、俺から見てもリアスさんたちの死線率は相当なものだよね〜。

 

近くにいるだけでなんか事件に巻き込まれるとか……退屈しないよね〜ほんと。

 

まぁ、それらが認められて昇格できるとは、直接的には関係の無い俺でも、なんか鼻が高い気分だ。

 

「昇格なのだが、本来、殊勲の内容から見ても中級を飛び越えて、上級悪魔相当の昇格が妥当なのだが、昇格のシステム上、まずは中級悪魔の試験を受けてもらいたい」

 

俺はイッセーの狼狽っぷりを見ていて、おもしろさのあまり口をつけていたお茶を吹きそうになった。

 

アザゼルがグラスのお酒をあおりながら言う。

 

「イッセーと木場と朱乃は、殊勲だけ考えれば上級悪魔になってもおかしくはないんだが、悪魔業界にも順序があるらしいからな。特に上がうるさいそうでな。おまえらに特例を認めておきながらも順序は守れと告げてきたそうだ。――とりあえず、中級悪魔になって、少しの間それで活動しろ。そのうち、再び上から上級悪魔への昇格推薦状やらが届くはずだ。なーに、中級の間に上級悪魔になったときの計画を本格的に練り出せばいい」

 

簡単に言ったアザゼルにイッセーが訊き返した。

 

「ちゅ、中級とか、じょ、上級悪魔……っスか! お、俺にそんな資格があると……?」

 

サーゼクスさんはイッセーの問いに笑顔でうなずいた。

 

「うむ。テロリストと悪神ロキの撃退は大きな功績だ。そして先日のバアル戦でも見事な戦いぶりを見せてくれた。何よりもイッセーくんは冥界の人気者『乳龍帝おっぱいドラゴン』でもある。昇格の話が出てもおかしくないのだよ。いや、むしろ当然の結果だろう」

 

例の特撮番組もポイントになっているらしいね。……あ、そう言えばこの間、『スポンジドラゴン』とかいう洗い場用スポンジを売り出したらしい………何故か、家のキッチンにもあるんだよね。誰が買ったんだろうか?

それに、サイラオーグ戦のときの会話を商品にするところに商魂のたくましさをしっかりと感じ取れたよ。

 

「昇格推薦おめでとう、イッセー、朱乃、祐斗。あなたたちは私の自慢の眷属だわ。本当に幸せ者ね、私は」

 

リアスさんは満足そうな笑みを浮かべている。自慢の眷属が評価されて、心底うれしいのだろう。

 

「イッセーさん、木場さん、朱乃さん、おめでとうございます!」

 

「うん、めでたいな。自慢の仲間だ」

 

「中級悪魔の試験とかとても興味があるわ!」

 

「イッセーくん、昇格推薦おめでとう!」

 

「ウチも応援してるっすよ~」

 

「ふむ、おめでとう。私も応援しているぞ」

 

アーシア、ゼノヴィア、イリナ、レイナーレ、ミッテルト、カラワーナの教会と堕天使メンバーも喜んでいる。

 

……あ、ちなみにだけど、レイナーレにミッテルトにカラワーナの3人は、イッセーの家で専属メイドをしてるよ。主にアーシアの。なんでも、アーシアには特に仲良くしたいから、メイドでいさせてと、本人に頼んだらしいね。だから、いまはイッセーの家で暮らしてるよ。この堕天使3人組は。

 

「ぼ、僕も先輩に負けないように精進したいですぅ!」

 

ギャスパーも前向きなコメントをかけている。以前より前向きに、そして明るくなってきているね。

 

「私も早く昇格して高給で安定した生活が欲しいところです」

 

ロスヴァイセさんは相変わらず堅実な夢を持っていた。

 

「ライザーお兄さまのチームではもう太刀打ちできないほどの眷属構成になってしまいましたわね」

 

と、レイヴェルが言う。…アハハ、確かにね〜。いまのイッセーなら、前使った身体の一部を代価として禁手(バランス・ブレイク)する、あの禁術を使わずとも勝てるね。

 

「フェニックスのところは長男がトップレベルのプレイヤーじゃないか。あそこのチームはバランスがいい」

 

アザゼルがそう言う。

 

「うちの長兄は次期当主ですもの、強くなくては困りますわ。それはともかく、さすがリアスさまのご眷属ですわ。短期間で三人も昇格推薦だなんて。ね、白音さん?」

 

レイヴェルが白音にそう投げかけた。

 

「……当たり前。――おめでとうございます、イッセー先輩、祐斗先輩、朱乃さん」

 

笑顔を見せる白音だが、若干テンションの低い。

 

……ここ最近だけど、どこか元気のない様子だった。普段通りに接してはいるものの、俺の近くにいるとすごく落ち込んでいるような状態になっていた。

 

そのことを黒歌に尋ねてみたが…、

 

『んにゃ…、だいじょうぶよ。誰もが通る道だし、女の子の秘密に男の子が入り込むのはどうかと思うにゃん。つばさはそんな子だったのかにゃん?』

 

…と、返されてしまった。

 

そう言われれば俺は何も言えなくなるし、何事もないのなら、そっとしておくべきなのかなぁ〜なんて思ったりしたけど……

 

……誰もが通る道、女の子、アレ、猫又、獣系妖怪…………まさか――

 

いや、考えるのはよそう。うん。これ以上は流石にダメだ。まず、人としてアウトだよ。こんなの考えちゃ〜ダメだよね! 忘れよ。うん。忘れよ……否、忘れろ!

 

……でも、もしも俺の考えてる"これ"が正しければ…………あれ?もしかして、かなり危険?

 

「ま、その三人以外のグレモリー眷属にも直に昇格の話が出るさ。おまえらがやってきたことは大きいからな。強さって点だけで言えばほぼ全員が上級悪魔クラス。そんな強さを持った下級悪魔ばかりの眷属チームなんざレア中のレアだぜ?」

 

アザゼルがそう言う。そうなんだよね、他のメンバーにも大いに昇格があり得るってことなんだよ。

なんせ、あれだけの死線を潜り抜けてきているからね…、眷属全員の評価がないわけがない。むしろ、なんで全員一気に昇格じゃないんだって言いたくなるほどだよ。

 

……それをサーゼクスさんに聞かされた時、あんまりの結果に対して不満を持った、あの皐月姉さんが悪魔の上層部に突撃しようとしたので、家族全員で抑えたのはいい思い出だよ(´-ω-。` )

 

木場と朱乃が立ち上がり、サーゼクスさんに一礼する。

 

「このたびの昇格のご推薦、まことにありがとうございます。身に余る光栄です。――リアス・グレモリー眷属の『騎士(ナイト)』として謹んでお受け致します。魔王サーゼクス・ルシファーさま」

 

「私もグレモリー眷属の『女王(クイーン)』として、お受け致します。このたびは評価していただきまして、まことにありがとうございました」

 

木場と朱乃さんはサーゼクスさんたち上のお偉い様のご厚意を受ける。

 

「イッセーくんはどうだろうか?」

 

サーゼクスさんがイッセーに問う。イッセーも立ち上がり、サーゼクスさんに深々と頭を下げた。

 

「もちろん、お受け致します!本当にありがとうございます!……正直、夢想だにしなかった展開なので驚いてますけど、目標のために精進したいと思います!リ……部長にも応えられて俺も満足です!!」

 

リアスさんのことを名前で呼びかけて言い直したイッセーに、サーゼクスさんはイタズラな笑みを浮かべて言う。

 

「おやおや、イッセーくん。私の手前でもリアスのことは名前で呼んでくれてかまわないよ」

 

「いえ、しかし……」

 

かしこまるイッセーに、サーゼクスさんは嬉々として続ける。

 

「ハハハ、むしろ呼んでくれたまえ!私も嬉しいし、見ていて幸せな気持ちになれる」

 

「も、もう!お兄さま!茶化さないでください!!」

 

リアスさんが顔を赤く染め、立ち上がって怒り出した。

 

「ハハハ、いいではないか。なあ、グレイフィア」

 

サーゼクスさんがグレイフィアさんに話しを振る。グレイフィアさんはいつもと変わらないクールな表情のまま言った。

 

「私風情が分に過ぎた事など言えません。……ですが、この場の雰囲気ならば名前で呼び合っても差し支えないかと」

 

「……グレイフィア……お義姉さままで」

 

さすがこリアスさんもグレイフィアさんにそう言われれば顔を赤くして黙るしかなかったようだった。そんな様子を見てうんうんとうなずくサーゼクスさん。

 

「よしよし。それならばついでに私のことも義兄上と呼んでくれてかまわないのだよ!さあ、呼びたまえ、イッセーくん!お義兄ちゃんと!!」

 

スパン!

 

その頭部をグレイフィアさんのハリセンが激しく叩く。

 

「サーゼクスさま、それはこの場ではやり過ぎです。――いずれ。いずれではありませんか」

 

「……そ、そうだな。性急すぎるのがグレモリーの男子の悪いところかもしれない……コホン」

 

俺の隣でその様子をゲラゲラと笑って見ていたアザゼルは息を吐くと改めて言う。光輝兄さんとレイジ兄さんは肩を震わしながら笑っているのだが、何故か目線だけはふたりで見つめている。……気のせいか、2人の間で火花が飛び散っているように見えるのは何故だろうか?

 

「てなわけで来週、イッセー、朱乃、木場の三人は冥界にて中級悪魔昇格試験に参加だ。それが一番近い試験日だからな」

 

来週ねぇ…。あんまりゆっくりはしていられない期日だね。これから忙しくなりそうだ。……特にイッセーが。

 

「来週ですか。急ですね」

 

木場がそう言い、朱乃さんも続く。

 

「中級悪魔の試験って、確か、レポート作成と筆記と実技でしたわよね?実技はともかく、レポートと筆記試験はだいじょうぶかしら」

 

その言葉を聞いて不安な表情になっているイッセー。そんな中アザゼルが言う。

 

「心配するな。筆記は朱乃と木場ならまったく問題ないだろう。悪魔の基礎知識と応用問題、それにレーティングゲームに関することが出されるが、今更だろうしな。レポートは……何を書くんだ?」

 

アザゼルがグレイフィアさんに問う。グレイフィアさんは立って説明をし出す。

 

「試験のときに提出するレポートは砕いて説明しますと、『中級悪魔になったら何をしたいか?』と目標と野望をテーマにして、『これまで得たもの』と絡めて書いていくのがポピュラーですね」

 

ふ~ん、レポートねぇ……。つい最近の研究発表のことを思い出したのだが、あんな大変な思いをしなくていまはいいと思った。……こんな時、隊長という立場である俺は、苦手なレポートをこれでもかというほど書いて、一応上司である兄さん達に渡さないといけないと思うと、ストレスで胃に穴が開きそうだよ。

 

「なんだか、人間界の試験みたいですね」

 

イッセーがそう言うと、アザゼルがサーゼクスさんのほうに視線を向けた。

 

「ま、倣ってんだろう?」

 

サーゼクスさんがうなずく。

 

「中級悪魔に昇格する悪魔の大半は人間からの転生者なのだよ。そのため、人間界の試験に倣ったものを参考にして、昇格試験を作成している」

 

すると、アザゼルはこっちに視線を向けて言った。

 

「そう言えばさ、光輝とレイジのふたりは社会人なんだし、あの地球連邦軍のトップなんだから、そういうのはあるだろ? それに、ツバサだっていち隊長なんだから、立場上そういうのは経験済みのはずだろう? だから、イッセー、木場、朱乃、このお兄さん達に遠慮なく教えてもらえ」

 

その言葉にイッセーたち三人の目が輝いてこちらを見つめだす。

 

「……おいやめろ、その目で俺を見るんじゃねぇ! その前に俺は教える気なんてないし、なにより、さっきグレイフィアが説明したことを中心に考えれば、おのずと思い浮かぶだろうが。

その前に俺はもう二度とレポートに関わりたくはないんだ…」

 

「右に同じくだ……もう、レポートは見たくもねぇ」

 

もううんざりだというぐらい、苦しそうな顔でそう言った兄さん達。そんなふたりを呆れて見ながら俺は言う。

 

「確かにね、立場上、俺はいろいろ研究や調査の報告書やそれに関する事を、物としてレポートはするよ?つい最近だってこの2人に出したばかりだし。 でもね、俺は教える気はないよ。なんてったって、そういうのは自分の意思で考えて書くものだからね。

……てか、そこの愚兄たち………あんたらのレポートの大半が、喧嘩や暴れすぎて壊れた建物や自然の始末書及び反省文でしょうが。殆ど自業自得だろうに。」

 

その言葉を聞いて、3人とふたりがシュンとしてしまったが…少し言いすぎたかもしれないが、これも一歩大人になるためだと思い、無視をする事にした。……でもイッセー達にはあとで、何かお菓子でも作ってあげよう。甘いものは頭にいいというしね。あと心も落ち着くし。……ん?お兄ちゃん達?知らないね、そんな愚兄さん。このふたりはもっと反省すべきだよ。

 

すると、アザゼルが膝を叩いてイッセーたちを見渡した。

 

「何はともあれ、レポートの締め切りが試験当日らしいから、まずはそれを優先だ。だが、イッセー!!」

 

「は、はい?」

 

アザゼルがイッセーに指を突きつけて言う。

 

「おまえはレポートの他に筆記試験のための試験勉強だ!基礎知識はともかく、一週間で応用問題に答えられる頭に仕上げろ! 安心しろよ。おまえの周りには才女、才児がなんでもござれ状態だ」

 

「任せなさい、イッセー、私がいろいろと教えてあげるわ」

 

「イッセーくん、僕も改めて再確認したいから一緒に勉強しよう」

 

「あらあら。じゃあ、私も一緒に勉強ね」

 

リアスさん、木場、朱乃さんが教えるのなら心強いだろう。

 

「えーと、じゃあ、実技のほうは?」

 

イッセーがそう言うとサーゼクスさん、グレイフィアさん、アザゼル、光輝兄さん、レイジ兄さんがきょとんとした顔で見合わせた。

 

ちなみに、俺も同じくきょとんとしている。

 

「それは必要ないんじゃないか?」

 

と、アザゼルがごく当たり前のように言う。

 

「……それに関しては俺も同感だな。アザゼルに」

 

アザゼルに続くように光輝兄さんがそう言った。

 

「え……、でも、俺的に一番得点を稼げそうなところなんでぜひともトレーニングとか欲しいところなんですけど!」

 

イッセーがそう言ったが、アザゼルは手を横に振った。

 

「だから、いらないって。ぶっつけ本番にしとけ。そこは試験当日じゃないとわからないかもな。朱乃、木場、おまえらも実技の練習はいらんからレポートに集中しとけよ」

 

「「はい」」

 

返事をする朱乃さんと木場。

 

「まぁ、おまえ達の実力なら実技は余裕だろうからよ。なにより、実技の試験内容は当日にしかわからないからさ、ほっといてもいい。アザゼルの言う通り、取れるものは少しの間何もしなくたって取れるさ。それよりも、筆記のほうを重点にしておけ。特にイッセーはな。そっちが落ちたら、実技でも落ちるぞ?」

 

光輝兄さんは軽くプレッシャーを3人にかけていた。その中で、イッセーはさらに落ち込んでいた。どうやら、倍以上に不安という精神的ダメージが入っているようだ。

 

まだ不安に駆られているイッセーは恐る恐る手をあげて質問した。

 

「あのー、最後にひとつだけ。……まことに恥ずかしい話なんですけど、もし落ちたらどうなるんですか?推薦取り下げですか?」

 

サーゼクスさんは横に首を振る。

 

「いいや、そんなことはないよ。一度挙げられた推薦は、仮に来週の試験で落ちても受かるまで何度でも挑戦できる。よほど、素行の悪いことでもない限りは推薦の取り下げは起こらないよ」

 

その言葉に安堵するイッセー。……どうやら、心拍数、呼吸音共に、正常値へと戻っていっているようだ。

 

まぁ、誰だってそうはなるよね。

 

「それに私はイッセーくんが次の試験で合格すると確信している。イッセーくん自身は突然のことで不安かもしれないが、まったく問題ないのではないかな」

 

魔王様から直々に太鼓判を押されたイッセー。

 

「俺、頑張ります!絶対に中級悪魔になります!そして、いずれ上級悪魔にもなります!」

 

気合を入れて宣言するイッセー。

 

「さて、話がまとまったところで、私は少しばかり出かけようと思います」

 

そういえば、先ほどから外出用の格好をしているねロスヴァイセさん。

 

「ロスヴァイセさん、どこに行かれるんですか?」

 

イッセーが問うと、ロスヴァイセさんは遠くに視線を送るようにして言う。

 

「――北欧へ。一旦帰ろうと思います」

 

……いきなりの発言だったので、何も知らない俺と光輝兄さん、レイジ兄さんの3人は首をかしげていた。

 

「例の件ね?」

 

リアスさんの言葉にロスヴァイセさんは静かにうなずく。

 

「ええ、このままでは、力不足だと思いますから。グレモリー眷属は強者と戦う機会が多い。いまのままでは、私は役立たずになりかねません。――『戦車(ルーク)』の特性を高めようと思います」

 

すると、アザゼルが訊いた。

 

「ロスヴァイセ、ヴァルハラにアテがあるのか?」

 

「はい、そちら専門の先輩がいましたので。……ヴァルキリー候補生時代、攻撃魔法の授業を重点に単位を取っていたのがここにきて徒あだになりました」

 

どうやら、バアル戦後、ロスヴァイセさんも思うことが多かったようで、実力を発揮しきれなかったことを悔いていたようだ。……俺はその時、ちょうど謎の黒いモヤのような生物みたいな変な黒いナニカと戦っていたので、見れていない。

 

そんな事を考えていると、アザゼルが言う。

 

「リアスチームのバランスを見ると魔法の使い手はいたほうがいい。できることなら『兵士(ポーン)』か『僧侶(ビショップ)』でロスヴァイセの長所を伸ばしたほうが良かったかもしれないけどな。リアスの眷属は圧倒的に火力が高いが、全体的に見ると防御面が薄く、テクニック――ハメ技にやられやすい。過去、実戦でもゲームでもそれでつけ込まれているからな。要はチーム全体的に脳みそまで筋肉傾向なんだよ。『やられる前にやれ』ってな。それを魔法で補うのはいいことだ」

 

アザゼルの評価に全員が苦笑いする。リアスさんも恥ずかしそうに顔を赤く染めていた。

 

次にサーゼクスさんが言う。

 

「だが、そちらのほうが好みだというファンはとても多い。戦術タイプのチームやテクニック重視のチームだとひと目では判断が付きづらく、派手さも少なめなためか、玄人のファンが好むからね」

 

アザゼルもうなずいた。

 

「だな。リアスとサイラオーグのチームは派手さを売りにしつつ、戦術を高めたほうが将来のプロ戦で盛り上がるぞ」

 

俺もアザゼルの言葉にうなずいた。

 

……将来、そんなイッセー達と本気で戦って見たいと思ったのは内緒にしておこう。

 

「何はともあれ、そのパワーを補う力は必要だ。ロスヴァイセがヴァルハラに行ってもいいんだろう、リアス?」

 

アザゼルがリアスさんに訊く。

 

「ええ、自ら伸ばしたい点があるのなら、断る理由はないわ」

 

リアスさんも合意する。それを見て、ロスヴァイセさんは礼を口にした。

 

「ありがとうございます。あ、それと学園の中間テストのほうはすでに問題用紙を作成しておきましたのでご心配なく」

 

ロスヴァイセさんの報告にリアスさんと朱乃さんがうなずいた。

 

「さすがね」

 

「そうでしたわね。学園でもそろそろ中間テストの時期ですわ」

 

俺はそれを聞いて、速攻でイッセーのほうを向いた。

 

「やべぇ!そうだ、中間テストあるんだった!!べ、勉強あんまりしてねぇぇぇっ!!!」

 

立ち上がって叫んだイッセー。

 

……相変わらずだねイッセー。予想通りすぎて、呆れるよ。

 

俺は同情と哀れみの目をイッセーに向けていた。

 

すると、イッセーが俺の視線に気づいたのか、目をそらし顔を隠した。

 

そんな頭を抱えているイッセーをよそにサーゼクスさんがレイヴェルに言う。

 

「レイヴェル、例の件を承諾してくれるだろうか?」

 

「もちろんですわ、サーゼクスさま!」

 

快諾するレイヴェル。

 

……はて、例の件とは?

 

「例の件ってなんですか?」

 

そうイッセーがサーゼクスに訊いた。

 

「うむ。レイヴェルにイッセーくんのアシスタントをしてもらおうと思っているのだよ。いわゆる『マネージャー』だね」

 

……へぇ〜、イッセーにマネージャーねぇ。

 

「……ほっほ〜う、イッセーにマネージャーなぁ。くっくっくっ。なんか面白くなりそうだなぁ」

 

それを聞いた光輝兄さんはとってもいい顔で笑っていた。……なんか、裏で操ってる悪のボスみたいだ。

 

そんな中でもサーゼクスさんは続ける。

 

「イッセーくんもこれから忙しくなるだろう。人間界での学業でも、冥界での興行でも。グレイフィアはグレモリー眷属のスケジュールを管理しているが、それでも身はひとつだ。どうしてもまかなえきれない部分も今後増えるだろう。特に細かい面で。それならば、いまのうちからイッセーくんにはマネージャーをつけるべきだと思ってね。そこで冥界に精通し、人間界でも勉強中のレイヴェルを推薦したのだよ」

 

…うん、確かにマネージャーがついてくれるなら、あのエッチな事にしか頭を働かせないお馬鹿なイッセーでも、悪魔家業と学校行事の両立ができるよね。しかも、自分で考えなくていいから、少しでも負担が減るし、なにより、レイヴェルはとっても優秀だとあの親バカなレイヴェルの父親にさんざん話を聞かされたから、大丈夫でしょうね。

 

「さっそくで悪いのだが、レイヴェル、中級悪魔の試験についてイッセーくんをサポートしてあげてほしい」

 

サーゼクスさんの言葉にレイヴェルは立ち上がり、自信満々に手をあげる。

 

「わかりました。このレイヴェル・フェニックスめにお任せくださいませ。必ずやイッセーさまを昇格させてみせますわ!さっそく、必要になりそうな資料などを集めてきます!」

 

言うやいなや部屋を飛びだしていくレイヴェル。

 

「レイヴェルにとっちゃ、将来の自分の生き方にも大きな意味を持つからな、おまえの昇格は」

 

などとアザゼルは言う。……ふむふむ。なるほどねぇ〜。そういう事なのか。

 

「白音、油断しているとおまえの大好きな先輩がレイヴェルに取られちまうぞ?」

 

アザゼルが白音をあおる。白音はレイヴェルに対抗心を燃やしているので、何かと言うのだが――。

 

「…………」

 

とうの白音は顔をうつむけ、心ここにあらずの状態だった。

 

『………?』

 

白音の無反応に皆が首をかしげていた…たった一人を除いて。

 

家族の心配をする俺だが、自身の勘が当たれば絶対に"厄介ごと"だと思う。

 

そんな空気の中……昇格試験と中間テストのふたつの難題にイッセーは頭を抱えていたのだった。

 



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2話 発情期

いやっほーー! 最近、家の電波が悪くてテレビやパソコン、スマホといったインターネット系統が使いにくい三元新でございますよ〜!


い、いや〜、なんとか投稿できてよかったよ。うん。インターネットの接続エラーが出過ぎてなかなか投稿できなかったけど、なんとか回復できて本当によかったよ。うん。 このまんま、回復すればいいのになぁ〜。

さて、今日も元気にいきましょう!

それでは、ゆっくりしていってね!


あれからまた数日。いまの時間は昼休み、イッセーを含めた同じクラスのオカ研のメンバーは教室でのんびりとしていた。

 

そんな中、イッセーだけは自席で突っ伏していたのだ。その机の上には散らばる教科書の数々。

 

そう、あのイッセーが頑張って勉強していたのだ。

 

「……あー、覚えること多すぎだ」

 

頭を抱えながらそうぼやくイッセー。まぁ、ここ最近は、かなり忙しかったですからね〜。

 

体育祭の時はディオドラと旧魔王派との一件、修学旅行前に悪神ロキが襲来し、いざ修学旅行では旅行先にて英雄派との激突。さらに学園祭とほぼ同時期にサイラオーグさんのチームとレーティングゲーム。………そして、昇格試験では中間テストとブッキングと来ていますからね。……普通の一般的な新人悪魔なんかよりもありえないほどのイベント続きですからね〜。忙しいのも仕方がない気がしますよ。

 

ましてや、中級悪魔昇格試験なんて、イッセーなんな悪魔になってからまだ1年も経ってないのに、もう昇格なんですから。ましてや、本当なら中級とんで上級なんですもの……本当にすごいですよね〜。

 

そんなイッセーは毎夜、夕食後と悪魔の仕事後は家で勉強会だそうです。ほかの皆に教えてもらいながら学校のテストと昇格試験の勉強をしているそうですよ。

 

「おー、イッセーが勉強してるぜ」

 

「無駄だぞ。頭に詰め込んでも元がバカでは理解できまい」

 

すると、ぼやいているイッセーに松田と元浜のイッセーの悪友2人が近づいていった。

 

「うっせーな、ハゲにメガネめ。元浜はともかく、松田は俺と同レベルじゃねぇか」

 

そんなイッセーの言葉に松田はカラカラと笑っているだけだった。

 

「カカカ、こういうときは開き直って違う領域に興味を抱くべきさ。ほら!」

 

そう言った松田が取りだしたのは――エッチなDVDだった。

 

それを見たイッセーは素早く松田からソレを奪い取った。奪い取ったイッセーはそのパッケージをマジマジと見つめている。

 

「こ、これは……っ! いま入手困難な超人気作品――『真・爆乳戦隊パイオッジャー爆裂生乳戦争編』じゃねぇかぁぁぁぁぁっ! て、手に入れやがったのか!?」

 

イッセーはわなわなと震えたかと思えば、突然叫び出す。そんなイッセーを俺は呆れながら見ていた。……きっと俺の目は絶対零度の様な冷たい眼になっているだろう。

 

そんな俺の視線を他所に、イッセーの震える声に元浜がキラリとメガネを光らせた。

 

「まあ、独自のルートで入手したのだよ。これを手に入れるために俺はいろんなものを犠牲にしたがな。それでもそれだけの価値はある!」

 

元浜が叫んでる中、松田がイッセーの首に腕を回していた。そのまま実にいやらしい顔つきで耳打ちしていた。

 

「なぁ、イッセー殿。もうテストなんて忘れて俺の家で鑑賞会しようぜ? おまえん家、女子だらけでこういうの見られる機会ないんだろう?」

 

すると、イッセーがまるでその言葉に共感するかのような顔つきになる。

 

そんなイッセーを見て、俺は更に呆れてしまう。

 

「なになに?何の騒ぎなの?」

 

すると、そこへ姉の優子姉さんが俺がいまいる自席にきた。

 

「ああ、実はね――」

 

俺がこれまでのことを優子姉さんに話すと、優子姉さんは呆れながら嘆息した。

 

「……イッセー、あの子って子は本当に――はぁ」

 

優子姉さんはため息をつきながらも、イッセーをまるで汚物を見るかのような眼をしていた。……あはは、イッセードンマイです。

 

「……よし、松田の家でこのDVDを――」

 

すると、イッセーの持つDVDを誰かがひょいと取っていく。

 

それを取った人物は、メガネ女子こと――桐生だった。

 

「あらあらまあ、テスト前だってのにエロ三人組はお盛んね。あら、でもこれおもしろそうね。――どう思う、アーシア?」

 

そんな桐生の隣にはアーシアが。桐生に促されてエッチなDVDのパッケージを見てしまったアーシアは、途端に顔を真っ赤にさせた。……そんなアーシアを見たイッセーはあたふたと慌てていた。

 

「はぅぅぅっ! イッセーさん! ま、またこんなエッチなものを! あんなにいっぱい持っているじゃないですか!」

 

アーシアの発言に心底驚いた顔をするイッセー。どうやらイッセーは知らなかったようだ。

 

すると、そこへ新たにゼノヴィアも登場して、マジマジと興味深そうにパッケージを見ていた。

 

「うん、前にイッセーのコレクションをアーシアとイリナと拝見したが、最後にやることは結局同じだと思うんだ。性交だろ? なぁ、イリナ」

 

すると、ゼノヴィアが隣に来ていたイリナに話を振った。

 

「か、過程や雰囲気が大事だって、リアスさんと朱乃さんも言っていたわ! きっとそういうことなのよ!」

 

……リアスさんはともかく、朱乃さんまで言ってたんだ。あぁ〜、だから最近、朱乃さんは俺と2人でいる時雰囲気作りに専念してたわけですね〜。

 

「ふむ。雰囲気か。確かに必要か。ただ抱かれるだけじゃ、"女"を堪能できない、と。そういうことだな、イリナ」

 

「って、クリスチャンな私にその手の話を振らないで! 大変なことになっちゃうし! けれど、興味もあって……! ああ、複雑な乙女心をお許しください!」

 

頭を抱えたり、お祈りしたりと、いつも忙しそうなイリナ。

 

「……あの子、いつも忙しいわね。いろんな意味で。……疲れないのかしら?」

 

そんなイリナを見た優子姉さんは1人つぶやいていた。

 

そんな中、プライベートが暴かれて羞恥に包まれているイッセー。そんな彼を見た松田と元浜も「あーあ」と半笑いしつつ、同情的な視線を向けていた。そんな彼らをイッセーは悔しそうな羨ましそうな、そんな視線を2人に送っていた。

 

「わ、私もエッチになりますから! 心配しないでください、イッセーさん!」

 

そんな奇想天外なことを言い出したアーシア。俺は思わず口に含んでいたお茶を吹き出すところだった。

 

「けほっごほっ!」

 

「だ、大丈夫?つーくん」

 

「あ、ありがとう。優子姉さん。もう大丈夫だから」

 

優子姉さんにお礼を言うと「そう?ならもう手を離すわね」といいながら、背中をさすってくれていた手をのけた。

 

咳き込んでいる中で、アーシアの隣にいた桐生が意味深な笑みを浮かべていたのは気のせいだろうか?

 

「ア、アーシア? わざわざそんなエッチな子にならなくていいからね? てか、ならないで!お願いだから! アーシアはそのまんまでいて?ね?」

 

隣にいたレイナーレ――夕麻が慌てながらそう言った。

 

「で、でも、イッセーさんが……」

 

「アーシア! お、俺はアーシアがエッチな子にならなくても嫌いになんてならないぞ!むしろ、エr――ゲフンゲフン! じゃ、なくて今のアーシアのまんまの方が好きだから! だからな! アーシアはそのまんまでいてくれ! 頼む!!」

 

イッセーが慌てながらアーシアに言った。

 

「わ、わかりました。イッセーさんがそう言うなら…………イ、イッセーさんが好きって…///」

 

アーシアはイッセーに言われて頷いた。……最後の方だけは、獣耳を持っている俺じゃなければ聞き取れなかった程の小さな声だったが、嬉しそうだった。顔は、イッセーが好きと言ったおかげで恥ずかしさ半分嬉しさ半分といったところなのか、真っ赤に染めていた。

 

そんな中、俺はある事をふと思い出してイッセーに近づいていった。

 

そんな俺に気がついたのか、イッセーが顔をこちらに向けてきた。

 

「イッセー、ちょっと耳を貸してください」

 

「え?……お、おう」

 

イッセーは、俺の言葉に戸惑いつつも耳をこっちに向けて貸してくれた。

 

そんなイッセーの耳元まで近づいて、両手で隠しながら俺は言う。

 

「最近、純粋だったアーシアがエッチな子になってきているので、超過保護で超シスコンな、アーシアのお姉さんこと、あのアリアさんが、アーシアがエッチな子になった元凶でもあるイッセーを、目の敵にしているので気をつけてくださいね?……これ以上、アーシアがエッチな子になったら――」

 

「な、なったら……」ゴクリ

 

俺の言葉に唾を飲み込むイッセー。

 

そして――

 

「――……うん。頑張って下さいね」

 

俺は最後の方だけ声を震わせて言った。そこで俺はイッセーの耳から手を離した。

 

「――ちょっ!? お、俺本当にどうなっちゃうんだ!?」

 

イッセーがそう叫ぶが、無視をした。ある程度進んだところで俺はイッセーの方へと振り向く。

 

「――まぁ、いろいろですよ」

 

俺はあえて意味深な笑みを浮かべてまた前を向いて姉がいる自席に歩き、座った。後方でイッセーが叫んでいるがあえて無視をしよう。

 

するとそんな中、突然ブルブルと音がした。音の発生源に顔をむけると――どうやら、イッセーのケータイだった。

 

「あ、薬の時間だ」

 

そう言ったイッセーは立ち上がる。

 

「あれ? おまえ、どこか悪かったっけ?」

 

そう松田が聞くがイッセーは軽く苦笑するだけだ。……まあ、その薬は"イッセーではない"からね〜。

 

「悪い。ちょっと出るわ」

そう皆に言ってイッセーは素早く人気のない場所に移動する。

 

そんなイッセーの後ろを俺は密かについて行った。

 

イッセーは、この時間に誰も使ってない家庭科室に入り、籠手を素早く出現させると、洗い場のところで瓶を取り出す。その瓶のなかにある液体を宝玉に振りかけた。

 

「どうだ、ドライグ?」

 

すると、イッセーは宝玉に向かって聞いた。

 

『……ああ、気持ちが和らいでいくようだ』

 

落ち着いた様子のドライグ。……実は、この二天龍の片割れ 赤き竜こと赤龍帝ドライグは、今代の赤龍帝の宿主こと兵藤一誠のパワーアップの仕方……つまり、イッセーのエロ魂によって起こった、乳関連でパワーアップを続けているせいか、心の病に陥ってしまった。

 

アザゼル先生が紹介した専門のカウンセラーに心が疲弊しているドライグを診てもらったところ、いま宝玉にかけている液体の薬を処方されたのだ。

 

意思はあるが、封印されているドラゴンというかなり特殊な存在であるドライグ。とりあえず、宝玉にドラゴン用の気分を落ち着かせる薬をかけることで効果があるかためしているそうだが、どうやら見た感じ薬が効いているようで以前よりも楽になったそうだ。

 

ちなみに、このドライグの治療に関しては、同じくドラゴン……それも祖龍を相棒に持っている俺もカウンセラーをしている。なんせ、俺はドラゴンマスターという、称号を"神龍 マスター•ドラゴン"からもらっているので、ドラゴンに関しては、知らない事はないのだ!

 

……てなわけで、俺もドライグの治療を手伝っているってわけなのよ。

 

「どうですか?イッセー。ドライグの症状は?」

 

「ああ、ずいぶんと良くなってるよ。それにしても、俺、ドライグに迷惑をかけているよな。しかもカウンセラーに診てもらうことになるほどだ。天龍の心が繊細だったなんて、想像もつかなかったものだから、俺は無茶なパワーアップしすぎてしまった。ほんとごめんな、ドライグ」

 

そう、天龍の心は以外にも繊細なのです。

 

「これからは、あんまりドライグに負担をかけさせないで上げてくださいね? それよりも、ドライグ。調子はどうですか? 最初の頃と比べると随分と落ち着いているようですが」

 

『……薬をもらってから、だいぶ持ち直してきたぞ。ククク。しかし、薬漬けの天龍か……。白いのが知ったらどう思うやら……』

 

意気消沈しているドライグ。……よほどのダメージがたたっているのでしょうね〜。

 

『……ドライグ。あなた、別にあの"白いの"に知られなくても、"薬漬けの赤龍帝ドライグ"……もう、この時点でほかのドラゴンから笑われるわよ? なんせ、あなたはあの二天龍の片割れなんだから。』

 

『…………グスン』

 

そうドライグに言う俺の相棒 ルーツ。その言葉に少し涙ぐんでいるドライグがいた。

 

「まぁ、何せよ、これからしばらくは、俺と別の人の2人の先生に週二のカウンセラーを診てもらい。日に三度のお薬タイムがあるんです。……これから頑張っていきましょう?ドライグ。きっと相棒のイッセーも頑張ってあなたを支えて上げますから。」

 

『……ククク。一万年も薬漬けか……』

 

俺の言葉に、さらに沈み出した。……頑張れ、ドライグ!

 

そんなドライグを見てイッセーはため息を吐きながら家庭科室を出ると――

 

「兵藤か」

 

「あ、匙」

 

あの匙くんとでくわした。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

俺はあの後、イッセーが匙と話している中、2人に別れを告げて家に帰ってきた。

 

今日は俺が晩御飯の担当なので張り切って作るために早く帰ってきたのだ。

 

本当ならメイドの人達が作るんだけど、いつもしてもらってちゃ悪いから、たまにこれぐらいは手伝っているのだ。ほかにも家事に洗濯などなど、いろんなことを手伝っていたりする。

 

なんでできるのかって?……それは知らないよ。小さい時に、お兄ちゃんにお姉ちゃん。今は亡きお父様にお母様、更にはどこに行ったかわからないお爺様。――つまり家族皆に、『将来必ず必要になるからやっておきなさい!これも修行(花嫁)の一つだ!』と言われたから。なんだか裏があるような気がしたけれど、すると皆喜ぶので俺は好きでやっているのだ。

 

「〜♪〜♪……とと。うん!いい味が出来た。おーい。みなさんご飯ですよ〜」

 

そう言った俺はみんなを呼んだ。

 

いま、この家に住んでいるのは……俺の専属メイドのカンナ、黒歌、そして居候の、朱乃、白音こと小猫ちゃん。ぐらいかな。ちなみに、朱乃さんはロキとの戦いが終わった後から、小猫ちゃんは修学旅行が始まる少し前くらいから、一緒に住み出したのだ。

 

「そんじゃ、手を合わせて……いただきます」

 

「「「「いただきます」」」」

 

俺達はご飯を食べてると、俺はふとあることに気がついた。

 

「ねぇ、白音?食べないの?どこか調子が悪い?」

 

俺は、いつも誰よりも食べている白音ちゃんがほとんど食べていないのに気になった。

 

「……すみません。私、お腹がいっぱいです。…ごちそうさまでした」

 

そう言って白音は部屋に帰ってしまった。

 

そんな白音を少し心配そうに見ている黒歌。……やっぱり、何かしってるんだね。

 

……でも、いまはいいや。いつか言うと思うから。

 

 

そんなことを思いつつ、俺はご飯を食べるのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

時刻は深夜。 みんなが寝静まった中、俺は今日の研究レポートを書き終え、光輝兄さんにレポートをスキマを使って飛ばしたところだった。

 

「くぅ〜――……ふぅ。疲れた、寝よう」

 

疲れた俺は、机の電気を消しベットに潜り、寝ようとすると――

 

ギィィ―

 

……と、音がなり、部屋の扉が開かれる音が聞こえた。

 

誰だろうと思い、俺は顔を上げて扉に目線を向けると――

 

 

そこには、白装束姿の白音がいた。

 

白音はその服装にプラスして猫耳と尻尾を出している。つまり猫又モード。本来の姿をしていた。

 

それにしても、どうしてこんな深夜に? 悪魔の仕事も今日は体調不良で休んでいたそうだし、なにより、今日はご飯をほとんど食べていなかった。確かに最近不調だったのは知っているけども、黒歌には気にしなくてもいいと言われたし……。見た感じは、風でも、ましてや仙術の練り方が悪いわけでもないみたいだけど……。

 

顔をよく見ると、なぜか白音は真っ赤な顔をしていた。……若干、艶があるような…。

 

すると、白音が俺に近づいてくると、恍惚とした表情のまま白装束の裾をたくし上げた。

 

そこには――

 

「……ふぁっ!?」

 

は、はははははいてない!?

 

え、え?ええ? し、白音はなんでノーパンなの!?なんでなんにもはいてないんだよ! ちょ、ちょちょ!!えぇーー!?どういう状態なのーー!!!

 

俺がパニクっていることを他所に、白音が白装束をはだけさせると、ベットに上がってきて俺に抱きついてきた! 荒い息づかいとほんのり汗ばんだ小柄だけどやわらかい体が俺を襲う!

 

「ちょっ! し、白音!?」

 

俺があんまりにも慌てながら叫ぶと、白音が耳元に顔を近づけてきてこう囁いた。

 

「……つばささん……切ないです」

 

そんなセリフを言うと、あまりの唐突な出来事にフリーズしていた俺の手を取って、自分の胸に当てた。白音の小さいけど確かなやわらかさが俺の手に伝わってきた。

 

途端に白音は口からあえぎ声を発する。

 

「……にゃぁぁ……」

 

――っ!? い、いや!本当にどうしたんだよ白音ちゃん!? な、なんでこんなエッチなことを!? それも、朱乃や黒歌、挙句に酔っ払ったりイタズラする時の姉さん達の様ななんでエッチなことを!?あの白音がどうして……っ

 

――すると、突然黒歌の言っていた言葉を思い出した。

 

『んにゃ…、だいじょうぶよ。誰もが通る道だし、女の子の秘密に男の子が入り込むのはどうかと思うにゃん。つばさはそんな子だったのかにゃん?』

 

……確か、俺はあの時……『誰もが通る道、女の子、アレ、猫又、獣系妖怪………まさか―』なんて思ってたけど……もしかして……

 

すると、突然、ざらっとした猫特有の舌触りが俺の首を伝っていく……! し、白音に首筋を舐められた! な、なんですか、この舌使い! 黒歌みたいじゃないですか! 本当に姉妹ですねあなた達は!

 

ふと、白音を見ると、切なそうな瞳を浮かべたまま、小さく声を漏らす。

 

「……つばささんの……あ」

 

「……あ?」

 

訊く俺に白音はハッキリと告げてきた。

 

「赤ちゃんが欲しいです」

 

…………。

 

……………………。

 

―――あ、あ、あ、あ、ああ、あ、赤ちゃんっ!?

 

………………――と、いうことはやっぱり。

 

「……白音。ちょっとごめんね」

 

俺は寝転んでいた体を起こし、白音に訊くと、まず白音の首元に手を当て、次に瞳を覗き込んで、最後に胸とお腹にも手を当てた。

 

………やっぱり。白音は――

 

ガチャッ

 

すると、またしても扉が開く音が聞こえた。……でも、今度は気配を探知していたので誰かはわかっていた。

 

「Goodタイミングだよ。黒歌」

 

「にゃははは。おまたせにゃ。つーくん」

 

そう言った黒歌は、素早く白音の後ろに移動し、首筋を軽く撫でた。

 

……トサ

 

すると、こと切れるように持たれかかってくる白音。どうやら気絶したみたいだ。

 

「……ねぇ、黒歌。白音ってやっぱり――」

 

すると、黒歌が人差し指を立てて俺の唇に当ててきた。

 

「そこまで言わにゃくても、わかってるにゃん。あとは私に任せて、つーくんは今日はもうねるにゃ。良い子は寝てる時間にゃよ? ほら、続きは明日の放課後話すにゃん。もちろん、つーくんだけじゃなく、ほかのみんにゃにもね」

 

そう言って黒歌は白音をお姫様抱っこで担ぎ、バイバーイといいながら部屋をでた。

 

……白音の様子と黒歌のあの発言。やっぱりそうなんだね。

 

「……いいや。今日はとにかく早くねよ〜。」

 

俺は、まだ凄くドキドキしながらも能力を使ってまで無理やり寝て、邪念を捨て去るのだった。

 

――――――――――――――――――――――

 

「猫又の発情期ってことか」

 

翌日の放課後、イッセーの家にて集合した俺達は、オカ研の他のメンバーから連絡を受けて駆けつけたアザゼル先生が、事情を聞いて開口一番にそう言った。

 

ちなみに、白音はいまここにはいない。なぜなら姉さん達に任せているからだ。一番安全だからね。

 

「……発情期、かぁ」

 

俺は黒歌を一瞥すると、黒歌はペロッと小さく舌を出す。

 

はぁ、普段のシスコンぶりはどこにいったのやら。

 

「猫又の女は体が子供を宿せるようになってしばらくすると一定周期で発情期に入る。ようは猫又の本能が働いて子孫を残すために子作りしたくなるんだよ。その辺は猫と同様だな。猫又の特性上、相手は気に入っている異種族の男ってわけだ。つまり、おまえだ、つばさ」

 

そう言ったアザゼルが俺に指を指してきた。

 

「小猫はレアな猫又――猫魈だ。子孫を残すのはいいことだと思うぜ。それが結城家でそれも祖龍との間の子供なら万々歳だ。だが、ちょっと今回はな……」

 

……そう。アザゼルの言う通り、今回は――

 

「小猫――いや白音はまだ小さいにゃん」

 

俺とアザゼルの言葉の前に白音の姉である黒歌がそう言った。

 

ふと、静かなイッセーが気になったのでイッセーの方を見ると、リアスさんと朱乃の胸を見ながらうんうんと頷いていた。……どうせ、イッセーは胸が小さい事だと思っているんでしょうね。……そんなことあの子の前で言ってみろ?イッセー…死ぬぜ?

 

そんなイッセーを見ていたリアスさんは嘆息した。

 

「もう、体のことよ」

 

そんなイッセーは眼福とばかりな顔をしながら、アザゼルに顔を向けて、質問をした。

 

「小猫ちゃんが小柄ってことですか?」

 

イッセーの言葉に、俺が答える。

 

「そうだよ、イッセー。猫又 及び 猫魈の出産は心身共に成熟した状態でないと、凄く危険を伴うんだ。人間界でも出産は母体にとって大変なことでしょ? 白音――小猫ちゃんはまだ未成熟なの。 いまのままで、仮にも俺の子を宿してしまったりしたら、出産の際に母子共に耐えられずに死ぬ可能性が高すぎるんだよ。 それらを含めて、もう少し成長してからのほうがいいんだよ。子供を作ろうと思うのならね」

 

「つーくんの言う通りにゃ。私たち猫又はオスがほとんどいなくいまいる猫又の殆どがメスにゃ。そのために、子孫を残そうと異種族との子作りが最適な体づくりになってるにゃ。故に、殆どの猫又が私みたいな体型をしているのにゃ。だからよく、エッチな漫画やイラストで女の猫又がエッチで、こんなエロい体をしているのは、そんな理由からにゃ。だから、白音もいつかは私と同じ体型になるにゃん。

そんな理由があるからこそ、体が成熟してないうちに子供を作ると、どの種族よりも命を落とす危険性が高いから、体が成熟するまでは子作りを禁止してるにゃん。」

 

俺の言葉にイッセーは少し納得したような表情をした。

 

「けど、それなら猫魈の本能で子作りできないと判断してもおかしくないですよね? どうして小猫ちゃんは……」

 

「あ〜……それは、そのぉ〜……」

 

イッセーの言葉にどう答えるか悩んでいると、朱乃が俺の肩に手を置いてきて口を開いた。

 

「つーくんと一緒に住んでいる女として、そして、ここの部員としてならわからなくもないですわね」

 

朱乃の言葉にみんなの視線が集まる。

 

「きっと、小猫ちゃんは家での私と黒歌そしてカンナさんのつーくんへのスキンシップと、今までといまのイッセーくんとリアスの関係を見て、感情が高まったのだと思いますわ。つまり、『私も負けてられない』『次は私だ』と強く心に思ってしまったのでしょうね」

 

「まぁ、朱乃さんの言ってる通りです。そんな影響で体の準備が充分に整わないまま、発情期に入ってしまったと……つまり、ほとんど俺のせいなんですよね〜。あははは!……はぁ、どうしよぉ」

 

……うん。マジでどうしよ

 

「それは違うにゃ。私も白音のことを気づかなかったから、私も悪いにゃん。白音のお姉ちゃんなのに……」

 

「それは私も同じですわ、黒歌。私だって白音ちゃんのことを気づいてあげられなかったんですもの。私達でなんとか頑張っていきましょう」

 

「そうにゃね。朱乃の言う通りにゃ」

 

「うん。ありがとうございます。朱乃、黒歌」

 

「「どういたしまいて/にゃ/ですわ」」

 

そんななんとも言えない空気のなか、アザゼルが口を開いた。

 

「何はともあれ、発情期を無理矢理抑え込んでもな。薬で抑制し続けても今後は成熟したあとに本能が働かなくなる可能性も無いわけじゃない」

 

すると、アザゼルが俺と目線をあわせてきた。

 

「もう、つばさはわかっていると思うが、一番いいのは……」

 

「小猫の状態が完全に落ち着くまで俺自身が耐えることでしょ?」

 

「おう。そういうこった! できるか?」

 

「もちろん! それぐらい耐えますとも!……それに、発情期の獣や獣娘に襲われるのは、いまに始まったことじゃありませんしね」

 

俺は、最後にそういいながらチラッと黒歌を見た。そんな黒歌はアハハと笑いながらも明後日の方向に顔をそらしていた。

 

「……? まあ、とりあえずただ我慢して耐えればいいだけだ。 どちらにせよ、お前が小猫を襲うのはないと思うがな。イッセーとはちがってよ」

 

「ちょっ!? それどういう意味っすか! 先生!!」

 

「そのまんまの意味だよ!」

 

アザゼルがケラケラと笑いながらそう言った。イッセーは少し拗ねながら、隣にいたリアスさんになだめられていた。

 

ただ、ものすごく甘々な雰囲気が漂ってはいるけどね。

 

「おらおら、バカップルが暑苦しいぞ」

 

アザゼルが半眼で言うと、握り合っていた手をパッと離すイッセーとリアスさん。

 

すると、アザゼルが

 

「見せつけやがって。そういうのは二人だけのときにやれってんだ。なあ、お前ら?」

 

そういいながら、ほかのみんなに聞くが

 

「いえ、お二人の様子は安心して見てられるというか」

 

「いいなーと思いつつも二人の仲を見守れる安堵感は癒されるぞ」

 

「そうねぇ、決着するまで案外長かったものねぇ。見つめ合ったとき、二人の間に演出的なお花が満開だったような気がするわ!」

 

アーシア、ゼノヴィア、イリナの教会トリオはうんうんと頷いて。

 

「うふふ、アーシアちゃん達の言う通り、いままで距離が長かったぶん、本当の恋人同士になれた二人を見ていたら、思わずこっちまで笑顔になってしまいますわ。しいていうなら……そう。娘と息子を見るような母親の気持ちですわね」

 

ニコニコと朱乃がそう言って。

 

「いまの場面を録画してライザーお兄さまに見せたら悶死しそうですわね。うふふ」

 

レイヴェルがライザーをイジメていた。

 

そんな彼女達を見ていた俺は半笑いするだけだ…。

 

「……ったく、いい女たちに恵まれているな、イッセーは。それとついでの報告だ。――朱乃」

 

アザゼルが朱乃に話題を振る。

 

「バラキエルは承諾した。俺もそれでいいと思う。あとはおまえの意思しだいだ」

 

「父が……そうですか。わかりました。これ以上、眷属に迷惑はかけられませんものね。――ギャスパーくんもがんばっているのですもの、私も近くに必ず」

 

…なにやら、二人の会話から堕天使関係の話をしているように思えた。まぁ、あれ以来、朱乃とバラキエルさんの間にあった溝はロキ戦の前のデート時。つまりあの時以上に埋まっていっているらしく、今じゃかなり家族愛で満ち溢れて、家族と一緒にいる時間が昔よりも増えたそうだ。一度、久しぶりに朱璃さんに会いに行った時にも何度か聞いている。

 

アザゼルは朱乃の言葉を聞いてうなずく。

 

「わかった。――と、それは置いておくとして、他の皆もちょっといいか」

 

アザゼルが改まった声音で俺たちを見渡す。

 

「明日、この家に訪問者を呼ぶ予定だ。リアス、それについての了解を取りたい」

 

「あら、初めて聞いたわ。突然ね」

 

まぁ、ここは本当はイッセーの実家なんだけども、リフォームさせたのはリアスさんだから、実質宿主はリアスさんになってるからね〜。だから、アザゼルはイッセーではなく、リアスさんに聞いたんだろうね。

 

「ああ、ちょっと、な。」

 

アザゼルの表情はいつになく真剣なものになっていた。

 

「おまえたちはその訪問者に確実に不満を漏らす。いや、そいつに対して殺意を抱いてもおかしくないはずだ」

 

アザゼルの発言に一部を除いて皆一様に顔を見合わせて驚いている。不満は確実な上に殺意を抱くほどの者が来るのだから、当然の反応だろう。

 

「イッセー、おまえがいま頭に過ぎった集団があるだろう?それで半分正解だ」

 

「――っ!先生、ヴァーリたちがまたここに?」

 

ロキ戦のときにヴァーリたちはここ、イッセーの実家を拠点に動いていた。

 

別に、次に会うとしても死闘を繰り広げるわけじゃあるまいしね。……まぁ、仮に潰し合いになったとしても、俺は負ける気は一切ないけどね。

 

「ヴァーリはテロリストですもの。一時共闘したけれど、ここにもう一度用があるというのなら、戦う準備ぐらいはして当然だわ。けれど、極端な話、すぐに殺意を抱くというのはないのではないかしら。話では京都でもイッセーたちを助けてくれたみたいだし、私個人の見解では、敵だけれど英雄派ほどの危険性はないと思うわ。会うぐらいならまあ……警戒は最大限でおこなうけれど」

 

リアスの意見にアザゼルは息を吐きながら、頬をかく。

 

「まあ、ヴァーリチームに関してはおまえたちも曖昧な立ち位置であることは認識しているだろう。ただな……。いま言ってもしょうがない部分があってな。明日の朝まで待ってくれ。それでわかる。だが、俺の願いとしては決して攻撃を加えないでくれ。それだけだ。話だけでも聞いてやればそれで十分なんだ。――うまくいけば情勢が変化する大きな出会いになるかもしれない。俺も明日の朝、もう一度ここに来る。――だからこそ、頼む」

 

堕天使総督のアザゼルがイッセーたちに頭を深く下げた。そうまでして招き入れたい重要な訪問者みたいだ。よほどの大物が来るんだろうね〜、"ヴァーリ以外に…"

 

会議が終了したあと、俺は玄関で帰り際のアザゼルに呼びとめられた。

 

「つばさ、明日の訪問者が来たときに一番に対応してくれ。それとだ、お前らと一緒に暮らしている『無限の龍神(ウロボロス•ドラゴン) オーフィス』こと、龍巳って言ったっけか? とりあえず、オーフィスを連れてきてくれ。おまえらなら殺意を抱くことはないと思うし、龍巳はその逆になるだろうな」

 

アザゼルの言葉に、俺は納得した表情になる。

 

「なるほどね。オーフィス――いや、龍巳を連れてくるって言うことは、龍巳の"片割れ"がヴァーリたちと一緒に来るってことだね。あいわかった。そういう事なら引き受けよう。一番に対応してあげるよ。……それにどうせアザゼルのことだ。兄さんや姉さん達も呼んでるんでしょ?」

 

「ククク。ああ、よんでるよ。んじゃ、てなわけで明日、よろしくなつばさ!」

 

「うん。了解」

 

アザゼルは俺の言葉にうなずき、一言「ありがとうよ」と言い残して帰った。

 

「……それにしても明日かぁ〜。……面倒くさいことにならなきゃいいけどなぁ」

 

俺は自分の思った言葉に不安になりながらも、家に戻ったのだった。




さてさて、次回はいつになるのやら……できれば週一に投稿したいな〜なんて思ってみたり。

でもまぁ、頑張りますか! インターネットさえ使えれば投稿できるしね! 今度こそ、1発で投稿できるように頑張るぞーーー!!!

それじゃ〜、また次回でお会いしましょう!バイバ〜イ!


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3話 訪問者

みっなさ〜ん! お久しぶりですよ〜! あ、ちょっ! 石投げないで! とりあえず物を投げないで! あっちょっ!? なんか刀が飛んできたけど!? 危ないよ!あたったら死んじゃうから〜! マジでごめんなさん!いや、本当に心のそこから謝るからー!!



……ふぅ、ふぅ、ふぅ…いや、本当にすみません。ちょっと来週から行く専門学校の研修で、ちょっと外国に行くんでその最終準備してたのでいろいろ遅れました。はい。……で、ですので、来週は更新できません。はい。すみません。

さて、それはともかく置いといてっと……最新話です!どうぞゆっくりしていってね♪


翌朝、インターホンが鳴らされ、俺は光輝兄さんと龍巳の3人と一緒に出る――。

 

玄関前に立っていたのは黒いゴスロリ衣装を着た細身の少女。見た目は、昔の龍巳……オーフィスの1回り小さい感じだ。

 

その少女は一言、簡素に漏らした。

 

「久しい、お姉ちゃん、ドライグ」

 

少女は俺の隣にいる龍巳を見たあと、後方を見ていた。

 

「オ、オ、オ、オ、オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ、オーフィス!?」

 

後ろを見ると、いつの間にか来ていたイッセーが一歩後退し、指を突きつけて叫んでいた。

 

イッセーの叫び声に反応して玄関に集まっていた皆が臨戦状態に入っていた。一緒にいたレイジ兄さんと優子姉さんの2人は何もせず静かにこっちを見ていた。

 

俺と龍巳はその場でオーフィスの前に立った。

 

そして、光輝兄さんが俺と龍巳の一歩前に出て、面倒くさそうな顔で臨戦状態に入っている俺達以外の皆を見渡した。

 

「やめろ、俺はこの街を壊したくはない。それに、アザゼルが昨日言ったろ……"誰が来ても殺意はだくなよ"ってな。」

 

すると、光輝兄さんひとつの動作もせず、自身の気を溜めて全身に行き渡せる。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ――。

 

光輝兄さんが気をを練り込んだだけで、イッセーの家全体が大きく揺れだした。兄さんの練られた青い闘気が肉眼で見えるほど濃く、身体中から溢れ出ていた。

 

それを見て、イッセーたちは慌てて出しかけていた矛を収める。

 

「ほらほらほら!昨夜言ったじゃねぇか!誰が来ても殺意は抱くなってよ!……って、遅かったか」

 

アザゼルが飛んできて俺たちの間に入って言うが、周囲を見渡して頬をかいた。

 

「……話は、中でしようか。こんな場所にいてはおちおち話もできんからな」

 

光輝兄さんのひと言で話し合いの場をリビングに移したのだった。

 

イスに座る俺、龍巳、アザゼル、オーフィス?、リアスさん、朱乃。朱乃とリアスさんは俺たちの反対側に座り、オーフィスは龍巳の隣に座っていた。

 

その周囲を囲むように立っている皆。

 

静寂のなか、光輝兄さんは口を開いた。

 

「……アザゼル、俺たちはことの成り行きを理解しているつもりだ。天使、堕天使、悪魔のスタッフや上の者を騙してまでオーフィスを招き入れたのは、無血であいつらを瓦解させられると踏んだからだろう?」

 

光輝兄さんの言葉にうなずくアザゼル。

 

「あぁ、そうだ。俺はこいつを招き入れるためにいろんなものを現在進行で騙している。だが、こいつの願いは、もしかしたら『禍の団(カオス・ブリゲード)』の存在自体を揺るがすほどのものになるかもしれないんだ。……無駄な血を流さないために、それが必要だと判断した。改めておまえたちに謝り、願う。――すまん、頼む。こいつの話だけでも聞いてやってくれないだろうか?」

 

アザゼルが再びイッセーたちに頭を下げた。プライドの高いあのアザゼルが何度も頭を下げる。

 

「……あのアザゼルが頭を下げてるんだ。俺からも、コイツの話だけでも聞いてやってくれ……頼む」

 

アザゼルに続いて光輝兄さんも頭を下げた。

 

そんな2人を見たのか、イッセーが口を開く。

 

「俺は先生を光輝さんを信じます。俺がここにいるのは先生達のおかげですから」

 

この大きな意味を理解したのだろう、イッセーはそれだけ言い籠手を消した。

 

そんなイッセーに続いてグレモリー眷属の皆も顔を見合わせつつ手に持っていた武器をしまう。

 

……皆がそれぞれの想いで呑み込んでくれたようだ。

 

これで俺もやっと落ち着くことができるのだ。……さっきまで、みんなを止めれるようにいつでも戦闘ができるように構えていたから、神経を使いすぎてもうクタクタだよ。

 

今いないメンバーである、ここに来ていないギャスパー、そして未だ自室で寝込んでいる白音、現在 北欧に一時帰還しているロスヴァイセさんの3人も、同じような状態になるだろうね

 

そんな時に、俺はふと思ったことをアザゼルに訊いた。

 

「…ねぇ、アザゼル。昨日いってた肝心のヴァーリたちは来ないの?」

 

「ん?あぁ、それは―――」

 

そう訊いた直後、玄関に人と魔物の気配を感じ取った。

 

廊下を歩いてくる気配――。

 

「来たか…」

 

光輝兄さんの一言と同時に

 

トントン…。

 

控えめなノック音と共にリビングのドアが開いた。

 

「お、お邪魔します」

 

そこには――魔法使いが被るだろうとんがり帽子にマントという出で立ちの少女と、灰色の毛並みを持つ大型の狼が立っていた。――ルフェイとその使い魔 神喰狼フェンリルだ。

 

「ごきげんよう、皆さん。ルフェイ・ペンドラゴンです。京都ではお世話になりました。こちらはフェンリルちゃんです」

 

物腰やわらかく、丁寧にあいさつをくれるルフェイ。…フェンリルのほうは、こちらにはまったく敵意を示していないようだ。

 

ルフェイとフェンリルが挨拶を終えた瞬間、その2人の後ろから着物を着こんだ金髪の女性が、突然俺を目がけて抱きついてきた。

 

「ひっさしぶりにゃ〜!ツバサちゃん♪」

 

「むきゅぅ!?」

 

「なっ!?」

 

完全に力を抜いて油断をしていた時に、あまりにも突然襲われたものだから避けるまもなく、あっけなく捕まってしまった。

 

近くでは黒歌の驚く声が聴こえた。

 

金華は自身の胸の谷間に俺の顔を押し付けるので、ムギュムギュされる度に、口の空気が抜けていくのでどんどん酸素不足で苦しくなってきた。……あっ。目の前が白くなってきた。

 

「ちょっ!いい加減にするにゃ! つばさが死にかけてるにゃ!!」

 

ガバッと離された俺は、プハッと新鮮な息を吸い込みなんとか一命をとりとめたのだった。

 

「ぶー。もうちょっとお姉ちゃんに触らせてもいいじゃない。ケチね〜黒歌は〜。」

 

「はいはい、ケチで結構。この子は私のご主人様であり愛する人なの。あんたなんかに絶対に渡すもんですか」

 

頬を膨らませて抗議してきた金華を軽くいなしながらフシャーと威嚇する黒歌。

 

…今のところ、この魔女1人と妖怪1人以外にいなくて、周りにも気配が感じないことを考えると、どうやらオーフィスの護衛はこの2人と1匹(狼)だけのようだね。

 

……他のメンバーどこに行ってるんだろうか?

 

「話、したい」

 

イッセーをじっと見つめているオーフィス。

 

そんなふたりを見ていたアザゼルも念を押す。

 

「お茶してやれ。このセッティングをするため、俺は他の勢力を騙しに騙してんだからな。これがバレて悪い方向に進んだら、俺の首が本当の意味で飛ぶんだよ」

 

「……いっそのことそのまま飛んじゃえばいんじゃね?――その方が世の中のためになるから」

 

「お前酷いなオイ!?」

 

アザゼルの言葉にレイジ兄さんがとんでもない事を言ったのでアザゼル先生は慌ててツッコミを入れていた。

 

「みなさん。お茶ですわ」

 

「あと、ついでにお菓子作ったよ〜。和菓子だけどね〜」

 

朱乃はトレイに乗せている人数分のお茶を運んで、その隣で俺は違うトレイに入った桜の形をした和菓子を一人ずつテーブルの上に並べた。

 

もちろん、ルフェイの足元に座っているフィンリルにも、魔物専用に作ったお菓子を皿に盛りつけて置いてあげる。このお菓子は他の魔物や神獣達にも好評だし、このフェンリルの子である、スコルとハティの大好物なので、きっとフェンリルにも好評だと思いたい。

 

ちなみにオーフィスは龍巳の隣で食べている…。なんか、見た目が一緒だと、俺と優子姉さんみたいな感じでなんか面白いね。

 

ルフェイは頬に手を当てて満足そうに食べており、金華は遠慮ということを知らないのか、それとも和菓子自体が好きなのかわからないけど、すぐに和菓子を平らげた上におかわり用に作っていたヤツも食べていた。

 

金華は見たところ、兄さん姉さんそしてアザゼル達を除いた他のメンバーのようにまったく緊張を見せていない…。

 

その反対に、イッセーたちは緊張した態度で和菓子を食べながらチラチラと目を配らせている…。

 

「…………」

 

お菓子を綺麗に食べ終えて、じっとイッセーを見つめているオーフィス。

 

「そ、そ、それで、俺に用ってなんでしょうか……?」

 

イッセーは口を引きつらせながら、笑みを無理矢理浮かべ、訊く。

 

オーフィスはお茶を口にし、ティーカップを置くと口を開いた。

 

「ドライグ、天龍をやめる?」

 

会話のキャッチボールで、いきなり暴投を投げつけられたイッセー。だが、笑顔を絶やさず声を絞り出した。

 

「……いや、言っている意味が……」

 

「宿主の人間、いままでと違う成長している。我、とても不思議。いままでの天龍と違う。ヴァーリも同じ。不思議。とても不思議」

 

オーフィスはイッセーとヴァーリの成長が歴代たちと違うことが気になっているようです。

 

そしてオーフィスは続ける。

 

「曹操との戦い、バアルとの戦い。ドライグ、違う進化した。鎧、紅色になった。初めて。我の知っている限り、初めてのこと」

 

イッセーの真『女王(クイーン)』のことは筒抜けのようだね〜…。まぁ、当たり前か。片割れといえどオーフィスには変わらないんだしね

 

オーフィスはさらに続ける。

 

「だから、訊きたい。ドライグ、何になる?」

 

オーフィスは首をかしげながら訊く。

 

イッセーが「ん~」と考えている…。――すると、イッセーの左腕に籠手が出現して、ドライグが皆に聞こえるように声を発す。

 

『わからんよ、オーフィス。こいつが何になりたいなどと、俺にはわからん。わからんが……おもしろい成長をしようとしているのは確かだ』

 

イッセーは会話の頼みの綱が現れたことで、安堵した表情をしていた。

 

肝心のオーフィスはイッセーの籠手に視線を移して話を続ける。

 

「二天龍、我を無限、グレートレッドを夢幻として、『覇』の力の呪文に混ぜた。ドライグ、なぜ、覇王になろうとした?」

 

『……力を求めた結果だろうな。その末に俺は滅ぼされたのだ。「覇」以外の力を高めることにあのときは気づけなんだ。俺の赤が紅になれるなぞ、予想だにしなかった』

 

「我、『覇』、わからない。『禍の団(カオス・ブリゲード)』の者たち、『覇』を求める。わからない。グレートレッドも『覇』ではない。我も『覇』ではない」

 

『最初から強い存在に「覇」の理なぞ、理解できるはずもない。無限とされる『無』から生じたおまえと夢幻の幻想から生じたグレートレッドは別次元のものだったのだろう。オーフィスよ、次元の狭間から抜け出てこの世界に現れたおまえは、この世界で何を得て、なぜ故郷に戻りたいと思ったのだ?』

 

「質問、我もしたい。ドライグ、なぜ違う存在になろうとする?『覇』、捨てる?その先に何がある?」

 

質問を質問で返す。イッセーや数人の者には理解ができていないと思う…。

 

「……実に興味深い。龍神と天龍の会話なんてそう見られるもんじゃない」

 

アザゼルは目を爛々と輝かせながら双方の会話を聞いていた。……龍巳がいるの忘れてるのかな?まぁ、あの三大会議以来、まだ2回しか龍巳とはあってないしね〜。

 

すると、オーフィスはまだあるのか口を開く。

 

「ドライグ、乳龍帝になる?乳揉むと天龍、超えられる?ドライグ、乳を司るドラゴンになる?」

 

「「ブフッ!」」

 

それを聞いたドライグは――過呼吸気味な様子となっていた。

 

そして、それを聞いた光輝兄さんとレイジ兄さんの2人は吹き出し、口を抑えて笑いを必死にこらえていた。

 

……何してんですか。あのバカ2人は…

 

「……何してんのよ。あそこの愚兄2匹は」

 

すると、隣にいた優子姉さんがそんなことを言った。ぐ、愚兄2匹って……最早、人として扱われなくなってしまったお兄ちゃん達。……自業自得ですね。

 

『うぅ……こいつにまでそんなことを……。うっ!はぁはぁ……!!意識が途切れてきた!カウンセラーを!!カウンセラーを呼んでくれぇぇぇぇっ!!!』

 

……どうやらつい先ほどの精神的なダメージを受けすぎたせいで、ドライグが壊れ気味になってしまったようだ。

 

イッセーは慌てて懐から薬を出し、籠手の宝玉に振りかけた。

 

「落ち着け、ドライグ!ほら、薬だ!」

 

『……あ、ああ……す、すまない……。この薬、き、効くなぁ……』

 

繊細すぎる天龍の片割れに俺はおもわず悲哀の視線を向けた。……いま俺の中に相棒の祖龍ミラ・ルーツことルーツも可哀想な子を見る目をしている。

 

「我、見ていたい。ドライグ、この所有者、もっと見たい」

 

どうやら、龍巳に続きこのオーフィスにも興味を持たれてしまったようだ。頑張って……イッセー。

 

三再びイッセーをじっと見つめるオーフィス。

 

そんな中、アザゼルは息を吐いて、イッセーの肩に手を置いた。

 

「てなわけで、数日だけこいつらをここに置いてくれないか?オーフィスはこの通り、おまえのことを見ていたいんだとよ。そこに何の理由があるかまではわからないが、見るぐらいならいいだろう?」

 

オーフィスに興味を持たれたイッセー。

 

助け船を出してもらおうとリアスさんへ視線を送っていたのだが――。

 

「イッセーがいいなら、私はかまわないわ。もちろん、警戒は最大でさせてもらうし、何かあったら、全力で止めるしかないでしょうね。それでいいなら、私は……呑むわ、アザゼル」

 

リアスさんはそれを無視した。おもわず吹きかける。

 

俺は、リアスさんの返答に予想通りだったなぁ〜なんて思いながら頷いた。

 

あとは…イッセーの返答だね。

 

「……俺もOKですよ。ただ、試験が近いんで、そちらの邪魔だけはしないでくれるなら」

 

最低限の条件だけを出してイッセーは折れた。アザゼルがイッセーの頭に手を置く。

 

「毎度悪いな、イッセー。大切な試験前だってのに、おまえに負担をかけちまって。――だが、これはチャンスなんだ。うまくいけば各勢力を襲う脅威が緩和されるかもしれん」

 

アザゼルに頭を下げられ、断ることができなくなったイッセー。

 

「俺が言える義理じゃないが、オーフィス、金華、こいつらは大事な試験前なんだ。邪魔だけはしないでやってくれ」

 

「だな。イッセー達はいますごく大切な時期だ。アザゼルの言う通りおとなしくしてもらえると、俺は嬉しいな」

 

アザゼルと光輝兄さんの願いに、2人は頷いた

 

「わかった」

 

「適当にくつろぐだけにゃん♪」

 

オーフィスも金華も了解してくれるようだ。

 

怪しく半眼で二人を見ていたイッセーにルフェイが何かを突き出した。――サイン色紙だ。

 

「あ、あの!!この間のバアル戦!感動しました!!差し支つかえなければ、サインをください!」

 

……お~、モテるねぇ、さすがイッセーだよ。……ただ、難点があるとすればエロすぎる事だよね〜。それさえなければもっといいのに……はぁ………まぁ、それに乳龍帝のファンでもあるらしいから、自然な流れなのかね〜。案外この様子だと、悪魔の他にもいっぱいファンがいそうだね〜。

 

「へいへい」

 

イッセーは苦笑いしながらルフェイのサインに応じるのだった。

 

こうして、龍巳の妹 オーフィスと、金華とルフェイ、そしてルフェイの使い魔 フェンリルを迎え入れ、イッセーたちの試験日まで共に過ごすこととなった。



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4話 襲撃者

遅れてすみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!!! 言い訳させてもらいますと、専門学校の研修旅行でパラオまで行ってましたのでスマホとうとうは自室に置いて来てたんですよ。故に、毎週投稿が途切れていました。さて、今回からまた毎週投稿していきますので、よろしくお願いします!

それではどうぞ、ゆっくりしていってね♪


昇格試験当日、俺たちは兵藤家の地下にある転移用の魔方陣の前に集合していた。

 

イッセーたちの服装は駒王学園の制服。鞄も手にしている。

 

試験会場となる昇格試験センターに行くのはイッセーと木場と朱乃、マネージャーのレイヴェルの四人だ。

 

俺やアザゼルたちは冥界まで付いて行くが、会場近くのホテルで待機する予定だ。

 

転移は一気に会場まで行くとのこと。まずはイッセーたち受験者とマネージャーのレイヴェルだけ。

 

そのあと、俺たちがホテルにジャンプ。

 

直接ジャンプする理由は、まぁ、いろいろあるんですよ。

 

「純血であり、姫でもあって、魔王の妹でもあるリアスと、それの眷属下僕悪魔であり、赤龍帝でおっぱいドラゴンなおまえとは身分違いの恋愛ってことになる。貴族社会でそんなニュースが出てみろ。そりゃ、こぞっておまえたちの様子をうかがいたくもなるだろう?一般市民の女性の間じゃ、身分違いの恋がキャーキャー言われているようだぞ」

 

と、アザゼルがイッセーにそう言っていた。

 

……俺は悪魔でないため、冥界で騒がれていないわけでもないが…イッセーたちに比べれば、マッチの火程度の広まりだった。……というか、なんで広まってるんだろうか

 

そんなことを思いつつ、広まる原因となった人物を見る。

 

「……ん?なんだツバサ。俺の顔に何かついてるか?」

 

「いや、なんにも」

 

そう、広まった原因を作ったのは光輝兄さんだ。そんな光輝兄さんを見ていた俺は、横顔を見ていたが何も無いといいイッセー達をみる

 

「?」

 

俺の反応に光輝兄さんは首をかしげていた。

 

 

「お兄さまのもとにもマスコミが取材を申し込んできていて大変なことになっているそうですわ」

 

すると、レイヴェルがそう言った。ライザー……哀れなり。

 

ふと、イッセーがきょろきょろと見渡して言う。

 

「ギャスパーは見送りに来ていないのか」

 

「あ〜あいつなら、一足早くここで転移して、冥界――グリゴリの神器(セイクリッド・ギア)研究機関に行ったよ」

 

イッセーの問に光輝兄さんがそう答えた。

 

「――っ。あいつ一人で、ですか?」

 

予想もしてなかったのだろう答えに驚くイッセー。

 

「バアル戦が終わってすぐにな。あいつ、泣きながら俺のところに来たんだよ」

 

すると今度はアザゼルが答える

 

『先輩たちのように強くなりたいんです!もう、守られるだけじゃ嫌です……!僕はグレモリー眷属の男子だから、情けない姿だけはもう嫌なんです……!』

 

ギャスパーはアザゼルにそう懇願したらしい。

 

「引きこもりの上に臆病だったあいつが、それだけの決心をして一人でグリゴリの門を叩いたんだ。生半可な決断じゃないだろう。今頃、研究員指導のもと、自分の神器(セイクリッド・ギア)と向き合い始めたはずだ」

 

「そういうことだから、試験に集中しなよ、イッセー。ギャスパーが頑張ってるのに、イッセーが頑張らなくてどうするの?」

 

俺の言葉にうずいたイッセー。

 

――と、イッセーの視線がオーフィスと金華とルフェイに向く。

 

「オーフィスや金華たちはどうするんですか?」

 

アザゼルに訊く。

 

「俺たちと共にホテル行きだ。さすがに会場まではマズいだろう」

 

確かに、試験会場に連れていってはいろいろと問題が出かねない。アザゼルの判断は適切だろう。

 

「それにな。おまえらの試験が終わったら、一度サーゼクスのもとにオーフィスを連れていくつもりだ。いい機会だからな。オーフィスもおまえが行くなら付いていくと言っている。だから、おまえたちも試験が終わったら、その足でサーゼクスのところに行くぞ」

 

「わかりました。何ができるかわかりませんけど、オーフィスをサーゼクスさまと会わせるのには大きな意味があるんですよね?」

 

「ああ、少しでもいい方向に向かわせたいからな。無理だと思われていた話し合いが可能かもしれない。大きな一歩だ。オーフィスは何を考えているかわからないが、だからこそ、戦いを避けられるかもしれない。うまくいけば敵の組織自体を瓦解させ、分散できるだろう。そうすれば各個撃破も可能となる。――オーフィスの『蛇』を失えば、奴らの打倒も予想以上に早まるだろうさ。この案件を申し出てきたヴァーリに感謝したいところだ」

 

…だろうね。そもそもヴァーリがアザゼルにオーフィスを任せたのが事の始まりだし。

 

「……隠そうとしたのかもな。――脅威から」

 

光輝兄さんがぼそりとつぶやいた。首をかしげているイッセーたち……数人は気がついているみたいだけど。

 

オーフィスはテロ組織の親玉に立っていた。どの勢力も狙ってはいたが、下手に手を出せずにいただけ。なんせ姉の龍巳もいるわけだし…。

 

先にイッセーたち四人が試験会場に転移しようとしたときだ。

 

「待って」

 

リアスさんはイッセーたちを引き留めた。そして、イッセーに近づいていき――イッセーの頬にキスをした。

 

「おまじないよ。イッセー、必ず合格できるって信じているわ」

 

イッセーはリアスさんにもらった『おまじない』でテンションが上がったせいか、俺たちがいることを忘れ、顔を赤くしながら言う。

 

「俺、絶対に合格します!ご、合格したら、俺とデートしてください!!」

 

イッセーがデートの誘いを告げると、一瞬だけポカンとしたリアス。すぐに満面の笑みで答える。

 

「うん、デートしましょう。――約束よ。私、待ってるから」

 

ガッツポーズをするイッセー。気合がさらに入ったようだ。

 

「……ったく、人前でイチャイチャしやがって……若いっていいね!」

 

おもしろくなさそうに嘆息したアザゼル。

 

「ねぇ、木場。ちょっとこっちに来て」

 

「ん? どうしたんだい?」

 

イッセーとリアスさんがイチャイチャしている中、俺は木場を呼んだ。とうの本人は俺のところに来た。

 

「ねぇ、木場。……いつになったら、イッセーとアーシア、それにゼノヴィアに君の正体を言うの?」

 

「男じゃなくて――"女の子"だってこと」

 

俺の言葉に木場が固まる。……そう、何を隠そう木場祐斗の本当の性別は男ではなく女なのだ。しかも、本名は木場祐奈。師匠に教えてもらった変身魔法で、今の姿をしているらしい。

 

……え? なんで俺がその事を知っているのかって?――まぁ、いろいろあるんですが、その話は後ほどね?

 

「……うん。じつは今回の試験が終わったあとに、全て話すつもりだよ」

 

「そう。ならいいんですよ。あなたがそう決めたのなら、ね。」

 

「うん」

 

「さて、それは置いといてと――頑張って下さいね。応援してますから!」

 

「うん。頑張るよ!」

 

俺は木場にエールを送った。

 

「てなわけで、行ってきます!」

 

木場とわかれたあと、イッセーたち四人は俺たちに一時の別れを告げ、転移の光に包まれていった。

 

―――――――――――――――――――――――

光が収まるとそこは広いロビーだった。無事に予定していたホテルに飛べたようだ。

 

「ここがグラシャラボラス領のホテルね」

 

リアスさんが周囲を見渡してつぶやいた。

 

そう、俺たちは中級悪魔の試験会場の近くにあるホテルに転移したようだ。イッセーたちが受ける試験会場の近くにね。

 

一旦、自由解散になったところで、泊まる予定の部屋にて俺と光輝兄さん、レイジ兄さん、優子姉さんの4人が話し合っていた。

 

「今回の試験なんだが……お前はどう思う?ツバサ」

 

他愛のない話をしていると、突然光輝兄さんが聞いてきたので俺は答える

 

「……どう思うよって言われてもね〜。確実に来るね。禍の団(カオス・ブリゲード)の連中は。……まぁ、それが何時になるかはわかんないけど、俺の勘がイッセー達の試験終了後ってところかな」

 

「……そうか。そうきたか。―――はぁ〜〜。面倒くさいな〜おい。」

 

心底面倒くさそうに愚痴る光輝兄さん。

 

「まぁまぁ、仕方がないだろう。試験中は悪魔や魔王達の目が届いてる。しかし、試験後は悪魔や魔王たちもそうだが、なによりイッセー達の気が一気に緩む時だ。特に、こんな場面に慣れていないイッセーが1番緩むだろうな。そこを狙うのは、誰だってするさ」

 

レイジ兄さんは光輝兄さんにそう言った。

 

「そうね。アイツらのことよ。それぐらいはするでしょうね」

 

レイジ兄さんに続いて優子姉さんも頷く。

 

「そうだよ光輝兄さん。レイジ兄さんと優子姉さんの言う通り、その気のゆるんだ一瞬が奴らにとって格好の的なんだから。俺が敵なら絶対にそこを狙うね。特にイッセーみたいな訳の分からないタイプだと、戦闘になる前に叩くのが1番いいもん」

 

俺の言葉にレイジ兄さんと優子姉さんが強く頷いた。

 

そりゃそうでしょう。誰だってイッセーみたいな予想外の訳の分からない方法で力をアップさせてきた人間ほど、厄介な相手なんてこの世にそうそういてたまるもんですか

 

「それもそうだな。……っとそろそろ集合時間だ。俺達も動くとするかね」

 

光輝兄さんの言葉に光輝兄さんを除いた俺達3人もたった

 

俺たちが集合場所のロビーに戻ると、黒歌たちが手を振ってきた。

 

「悪いな、遅くなっちまって」

 

光輝兄さんは皆のところに行くと、詫びの言葉を入れる。

 

「ううん、私たちもさっき集まったばかりよ。それより、少し早い昼食にしましょう?」

 

黒歌がそう言った。

 

「昼食ねぇ…。意外と長い時間話していたんだな…俺達」

 

苦笑する俺は、アザゼルのところに行く。

 

「光輝、レストラン行くぞ。もちろん貸し切りだ」

 

貸しきりって…それもそうか、この大人数ですしね。

 

レストランへ移動してきた俺達は、レストランに入ってそれぞれが好きな席に着いた。

 

「さぁて、何を頼もうかな〜」

 

俺はメニューを開くと、ひとつひとつ見ていく。

 

「俺は昼酒だ」

 

そう言って店員に酒を注文しているアザゼル。

 

「ほどほどにしとけよ?アザゼル。てなわけで俺もワイン一つください」

 

近くに座っている光輝兄さんがそう忠告するが、同じようにお酒を頼みだした………

 

「……って おい!」("▔□▔)/

 

俺が兄さんに突っ込むが……

 

「大丈夫!潰れねぇ程度に飲むぜ」(`・∀・´)b

 

「そうだぜ、心配すんなや!」(`・∀・´)ニヤッ

 

調子のいい光輝兄さんとアザゼルはそう言ってスルーした。

 

「…………」(╬^∀^)

 

「まてまてまて!? こんなところで暴れるなよツバサ!?」(°∇°;)

 

手を出そうかと思っていたが、レイジ兄さんに止められてしまった。

 

なぜ止める。 なに? 顔が怖い? そうなのか? あ、そうなんだ。なんかごめんなさい。

 

それから数分が経ったとき――。

 

アザゼルが突然、魔方陣を展開した。

 

『せ、先生!実技なんですけど……!』

 

魔方陣の向こうから声がし、見慣れた顔が現れた――そう、イッセーだ。

 

俺はアザゼルの傍に立って会話の様子をうかがう。

 

「おー、どうした。こっちはホテルのレストランで貸し切りの昼酒中だ」

 

『実技の試験なんですけどね!あ、あの、俺も祐奈も朱乃さんも問題ないというか、むしろ俺たち……』

 

「圧倒的、だったろう?」

 

にやけるアザゼルの言葉に向こうにいるイッセーがうなずく。

 

「当然だ。おまえら、下級悪魔のなかでは異例の強さを誇るからな。そこに試験に行くのは強くても中級悪魔の上クラス相当だぞ?で、おまえらの実力はというと、上級悪魔クラスだ。特にイッセーはトリアイナや真『女王(クイーン)』形態を発揮すればそれ以上のクラスと比べても遜色そんしょくがない。まあ、それはサイラオーグも一緒か」

 

『……知りませんでした。俺――俺たち、そんなに強くなっていたんですね』

 

イッセーの言葉を聞いて、俺は嘆息した。

 

「おまえ達が相手にしてきたのは、伝説級がゴロゴロのヴァーリチーム、北欧の悪神ロキと最悪の魔物フェンリル、それに最強の神滅具(ロンギヌス)『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』なんだぜ?そいつらと戦って全員生きて帰ってくるなんて、正気の沙汰じゃない。むしろ異常だって言われて当然のレベルだ。少なくともグレモリー眷属では、イッセーと木場、朱乃、ゼノヴィア、ロスヴァイセは上級悪魔クラスの実力を持つ猛者揃いだ。それに、日ごろの特訓には俺たちが関わっているからな。普通に考えてとんでもないんだよ、イッセーたちの周囲はな」

 

光輝兄さんがイッセーにそう言った。

 

……そうなんだよね。よくボコっている俺はともかく、龍巳や光輝兄さんたちも暇がてらに手を抜いて付き合っていたりしているし。幻想郷メンバーの何人かもイッセーたちの修行を手伝ってくれてるしね〜。まぁ、結果的に実力が飛躍しすぎていったんだけど…。

 

「よくもまあ、これだけのメンツと巡り合ったよ、おまえの惚れた女は」

 

『はい、リアスは最高の女性です!!』

 

イッセーがそう言うと、アザゼルはいやらしい声音で近くに座っているリアスに声をかけた。

 

「おい、リアス。イッセーが『リアスは最高の女性です』だってよ」

 

アザゼルの言った言葉を聞いて、手元のフォークを止めて顔を真っ赤にしているリアスさん。

 

『ちょ、ちょっと、先生!何、それを報告してるんですか!!』

 

慌てて問い詰めるイッセーだが、時すでに遅しというもの…。

 

「ははっ!リアスの奴、おまえのそれを聞いて真っ赤っかだぞ!!ったく、お熱いこって!クソ!涙が出てきやがる!!俺、独り身を極めっかな、ちくしょうッ!!!」

 

悔しさを入り交らせた声音で言う。

 

独り身って…。完全にいじけてるね、アザゼル。

 

「独り身……ぷっ」( ´艸`)

 

……俺の隣では物凄いイラッてくる顔でアザゼルを笑っている光輝兄さん。

 

そんなアザゼルは光輝兄さんを気づいていないのか、気を取り直して続ける

 

「ま、リアスにもちょうど言ってはいたんだよ。リアス自身が猛トレーニングをして強くなることもないってな」

 

さすがに猛特訓まではしないでいいとは思う…。そこは、アザゼルと同感ってところだ。

 

「おまえの惚れた女が持つ一番の武器は、巡り合わせの良さだ。グレモリー眷属の豊富さは他の上級悪魔が持つ眷属の比じゃない。ライザーの野郎も言ってたことらしいな。こいつばかりは教えて得られるものじゃない。そいつが生まれながらにして持ってるものが必要だ。そういうのは今後も続くもんさ。俺的にはさっきも言った生存率の高さを評価したい。修羅場を全員体験して生存するなんざ、奇跡を通り越してイカレてるレベルだ」

 

イカレているレベルねぇ…。俺たちも関与しているんだから、それも影響しているんだろうなぁ。

 

「何はともあれ試験は終わったんだろう?センターの転移魔方陣でこっちのホテルまで移動してこい。合否はまだだが、こっちで打ち上げをしよう」

 

向こうでは、イッセーたち四人の歓喜した声が魔方陣を通して聞こえてきた。

 

イッセーとの連絡はそこで終わり、アザゼルは息を吐いた。

 

「悪いな。俺だけ話しちまってよ」

 

「かまわないさ」

 

光輝兄さんはそう言って自分の席に戻った。……あんた、さっきまでバカにした笑いをしてたのに、いつの間に真面目な顔に戻ってるんだよ

 

 

 

「てなわけで、試験お疲れさん。乾杯」

 

アザゼルがそう言うと注がれたグラスを呷あおっていた。

 

イッセーたち四人がホテルに移動して、ここで試験の疲れを労っている。

 

「どうだった?」

 

イッセーの横に座るリアスさんがそう問う。

 

「えーと、そうですね。どちらも手応えがありました。これも皆が協力してくれたおかげです。でも、実技でちょっとやり過ぎまして……」

 

実技で相手を赤龍帝の力で吹っ飛ばした上に、会場の壁に穴を空けてしまったことを述べるイッセー。

 

「壊してしまった壁の修理代はこちらで払っておくから、気にしなくていいわ。けれど、今後他の中級悪魔と出会っていざこざに発展したとしても、いきなり本気で殴りかかってはダメよ?あなたは現時点でかなりの強さなのだから」

 

リアスに注意されるイッセー。

 

「イッセー、おまえは上級悪魔……いや、ひいきして言えば最上級悪魔に匹敵しないとは言えないほどの実力を身につけてきているだよ。中級悪魔クラスの相手なら、鎧を身にまとって軽く吹かせば裕に倒せるぐらいにね。今回の件で少し学んだね、これからは力加減を覚えることだな」

 

俺は軽く笑いながら言うが、イッセーは顔を赤くしてうなだれてしまった。

 

イッセーはそのまま左腕を凝視しだす…ドライグと話しているのだろうな。

 

「…………」バクバクガツガツ!

 

俺は光輝兄さんの反対側に座っているレイジ兄さんを見ていたは、無言で出ている料理を食べていた。一瞬で目の前にあった料理はなくなり、光輝兄さんの口のなかへ瞬間移動するという謎現象が起きている…いつものことながらおかしなスピードだ。既にレイジ兄さんの隣には山の様にカラになったお皿が積み重なっていた。……毎度のことながらあんたは何処ぞの戦闘民族か

 

――と、レイジ兄さんから視線を移した先で微笑ましい光景が視界に映り込んだ。

 

「ほら、白音さん。これとこれとこれを食べたほうがいいですわ」

 

「……別に取ってもらわなくても自分で食べられる」

 

「私だって好きでお世話しているわけではありません。あなたが元気にならないとイッセーさまが悲しむんです」

 

「……わかった。食べる。……ありがとう」

 

「いいえ、こちらこそ。元気になってもらわないと張り合いがありませんもの」

 

という白音とレイヴェルのやり取りを見かけた。

 

兵藤家では会うたび毎日口喧嘩している二人。初めて会ったときなんか、上空で激戦を繰り広げていたほどだ…。鳥猫、腹のなかを見せ合った仲だからこそ、仲良くなれたのかもしれないね……それよりも、なんでこんなにも仲が悪いのだろうか?

 

「……我、じーっとドライグを見る」

 

…レストランの隅ではじーっとイッセーを見つめているオーフィス。もぐもぐとパスタ料理を口に運んでいた。そのオーフィスの隣で苦笑しながら、口についたソースを口拭きで取ってあげている龍巳がいる。

 

金華とルフェイもレストランの隅の席で甘い物を食べているようだ。しかも、とっても満足そうだ

 

フェンリルは姿を見せていないが、俺の影に隠れている。フェンリルの息子娘であるスコルとハティが一緒に食事をしたかったそうで、ルフェイに頼んだのだ。それを聞いたルフェイは嬉しそうに了解してくれて、俺の後ろで3匹揃って食事をしている。この3匹には『無意識を操る程度の能力』を使い、俺以外、無意識にそこから視線を外すようにしているので、この能力を破らない限りは見つからない

 

金華は、はぐれ悪魔であり、冥界では指名手配中のため、猫耳と尻尾をしまっており、ルフェイと同質のローブをまとっている。

 

気や魔力、その他のことは心配いらない。光輝兄さんが試作してあった腕輪をつけているため、その効力で、その手の感知をされることはない。だから、三人は怪しまれずに共に行動できているのだ。……相変わらず、変なものを作っている光輝兄さんに呆れたのは、家族内での内緒だ。

 

俺は、アザゼルたちが神器(セイクリッド・ギア)や神滅具(ロンギヌス)うんぬんの話になっているのを聞きながら食事を楽しんでいた。

 

少しすると、アーシアが話にまざる…回復のことについて話しているみたいだ。

 

それから少しして、俺が食事を終えようと口元を拭いたときだった。

 

……俺――いや、この場の全員が違和感を感じ取ったようだ。食事と会話を止め、険しい表情になっている。

 

「……来たか」

 

光輝兄さんがボソッとつぶやいた

 

つかつかと近づいてくる人影――金華だ。

 

猫耳と尻尾を出して、ピクピクと耳を動かしている。その口元は皮肉気な笑みを浮かべていた。

 

「ありゃりゃ、ヴァーリはまかれたようにゃ。――本命がこっちに来ちゃうなんてね」

 

それを最後まで聞く瞬間、俺と兄さん姉さん達は戦闘準備を終えていた。

 

「――くるぞ! 敵襲だ!!」

 

光輝兄さんの叫び声と同時に、見覚えのある霧が俺たちの周囲にたちこめて、辺りを包み込んでいった――。




ちなみに、木場祐斗の女体化はもっと早めに出す予定でしたが、なんか出すタイミングを逃していって、今回になりました。

ちなみに、主人公であるツバサがこの事を知った話は後ほど番外編にて書くつもりです!

それでは次回でお会いしましょう! バイバ〜イ!


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5話 龍喰者(ドラゴン・イーター)

さてさて、階段から滑り落ちて両腕を骨折していたアホ駄作者ですよ〜♪

うぅ、寝ぼけながら階段下りるのってダメだね。うん。

てなわけで、しばらく腕が使えなくて投稿できなかった話を完成させ、やっと投稿できました!

くっ、こんな事になるのなら、階段降りる前に完璧に完成させ予約投稿するべきだったぜ……orz

まぁ!すぎたものはしかたがないよね……それじゃ〜改めまして!

それでは、ゆっくりしていってね♪


俺たちはホテル内のレストランを飛び出した。金華やオーフィスたちを含めた、レストランにいた全メンバーがこの場にいる。

 

俺たちは強制的に転移させられたようだ………まぁ、つまりはそういうことだろうね。

 

「……間違いないな。これは霧使いの神滅具(ロンギヌス)によるものだな」

 

俺の隣でレイジ兄さんがつぶやいた。

 

……ふぅ、面倒なことをしてくれるものだね

 

イッセーの隣に位置したゼノヴィアが叫ぶ。

 

「イッセー、これはまさか!」

 

「あぁ、ゼノヴィア。だろうよ。忘れたくても忘れられない霧だった!!」

 

レストランから広いロビーに到着する。俺たち以外に人の気配が感じられないロビー、その近くに備えられた黒いソファに堂々と座る二人の影がみえた。

 

瞬間、俺たちのもとに複数の火球が飛びこんでくる。

 

「ふん!」

 

「せやっ!」

 

「シッ!」

 

バンッ! シュパッ! パシュッ!

 

光輝兄さんが拳で、レイジ兄さんが愛刀で、俺が蹴りでそれぞれ火球を消し飛ばした。

 

そのうち、消せなかった火球はアーシアとイリナに向かっていったが――当たることなく打ち消された。

 

…どうやらオーフィスが二人の壁になって、火球を打ち消してくれたようだ。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「…………」

 

アーシアの礼にオーフィスは無反応だった…。

 

俺は視線をソファに戻す。

 

見覚えのある学生服にローブを羽織った青年と同じく学生服の上から漢服を着た黒髪の青年がこちらを見据えている。

 

漢服の青年は座ったまま槍を肩にトントンとすると俺たちに向けて言う。

 

「やあ、久しいな、赤龍帝、結城家、それにアザゼル総督。京都以来だ。いきなりの挨拶をさせてもらった。先日のデュランダルのお返しだ」

 

「……曹操っ!」

 

イッセーはしぼり出すようにその男の名を呼んだ。

 

最強の神滅具(ロンギヌス)を持ち、『禍の団(カオス・ブリゲード)』英雄派のリーダー。そして京都で襲撃してきた張本人だ。

 

撤退間際、イッセーが負わせた目の傷は無くなっていた。

 

……ふむ。あの一撃は失明していたレベルだったのに……相当いい治療が出来るやつがいるようだね。もしくは、それとは別の何かかな?

 

俺はふと、曹操の"気"を感じ取り、その中で不自然な気を感知した。それは目だった。

 

………そう、曹操の目から、とても嫌な邪気をまとっているのだ。

 

『……ツバサ。あの曹操とか言う小僧の目から、とてつもない邪気を感じるわ。気をつけなさい』

 

いまは俺の中にいるルーツがそう忠告してきた。ルーツは肉体を持ってからというもの、よく外に出て自由にしている。最近なんて、天界のミカエルさんたち熾天使(セラフ)がいる所に遊びにいっていたほどだ。

 

そんな自由なルーツが、いまは俺の中にいるんだけど、……曹操のことを小僧って……なんか、すごいキレてません?

 

『キレてなんかいないわ。私の可愛いつーくんをバカにした、クソ餓鬼なんて知らないわね』

 

……やっぱり怒ってる…。

 

――パチパチパチ

 

そんな時、曹操は拍手してきた。

 

……あぁ、哀れなり曹操。あらゆる龍の頂点にして祖の龍に嫌われて。

 

「この間のバアル戦、いい試合だったじゃないか。禁手(バランス・ブレイカー)の鎧をまとった者同士の壮絶な殴り合い。戦闘が好きな者からすれば聞いただけで達してしまいそうな戦いだ。改めて賛辞の言葉を贈ろう、グレモリー眷属。若手悪魔ナンバーワン、おめでとう。いい眷属だな、リアス・グレモリー。おそろしい限りだ」

 

「テロリストの幹部に褒めてもらえるなんて、光栄なのかしら?複雑なところね。ごきげんよう、曹操」

 

リアスさんは最大なまでに警戒しながらも皮肉な笑みを見せていた。

 

「ああ、ごきげんよう。京都での出会いは少ししかなかったから、これが本当の初めましてかな。あのときは突然の召喚で驚いたが。いやー、なかなかに刺激的だった」

 

「言わないで!……思い出しただけでも恥ずかしいのだから!!」

 

リアスさんは手を前に突きだして「やめて!」と最大限に強調する。

 

……まぁ、それもこれもイッセーが悪いのだから…どうしようもないけどね。

 

「それで、またこんなフィールドを別空間に作ってまで俺たちを転移させた理由はなんだ?どうせろくでもないことなんだろ?……曹操(笑)どの?」

 

アザゼルが馬鹿にしながらそう訊くと曹操は視線を俺たちの後方に向けた。

 

俺達の後方にいるのはそう――オーフィスだ。

 

「やあ、オーフィス。ヴァーリとどこかに出かけたと思ったら、こっちにいるとは。少々虚を突かれたよ」

 

オーフィスの前に金華が立つ。

 

「にゃはは、こっちも驚いたにゃ。てっきりヴァーリのほうに向かったと思ったんだけどねー」

 

「あっちには別働隊を送った。今頃それらとやりあっているんじゃないかな」

 

怪訝な様子のイッセーたちを前にルフェイが笑顔で挙手する。

 

嬉々と説明をしだした彼女ルフェイ。それと同時に俺の影から灰色の毛並みの狼が現れてルフェイの隣に立つと、曹操たちを鋭くにらみだした。

 

…………何処かに行ったのかと思ったら、俺の影の中にいたのね。……って、スコルにハティ。君たちも影の中にいるのかよ…

 

「えーとですね。事の発端はふたつありました。ひとつはオーフィスさまが赤龍帝『おっぱいドラゴン』さんに大変ご興味をお持ちだったこと。それを知ったヴァーリさまが独自のルートで『おっぱいドラゴン』さんとの出会いの場を提供されました」

 

電撃訪問のことだね。アザゼルから聞いたときは結構驚いてしまったよ。

 

ルフェイは一本だけ出していた指を二本にする。

 

「ふたつめ、オーフィスさまを陰で付け狙う方がいるという情報をヴァーリさまが得たので、確証を得るため、いぶりだすことにしたのです。運が良ければオーフィスさまを囮役にして私たちのチームの障害となる方々とも直接対決ができる――と。……えーとつまりですね」

 

遠慮がちにルフェイが曹操たちに指を突きつける。

 

「そちらの方々がオーフィスさまと私たちを狙っているので、ヴァーリさまがオーフィスさまをアジトからお連れして動けば、そちらも動くでしょうから、狙ってきたところを一気にお片付けしようとしたのです。ただ、オーフィスさまを危険に晒すこともないので、美猴さまが変化された偽にせのオーフィスさまをヴァーリさまがお連れして、本物のオーフィスさまは『おっぱいドラゴン』さんのお家うちにお連れしたのです」

 

ルフェイの説明で、俺のなかにあった疑問が解けた。

 

…もうひとつ残ってはいるのだけれど、それは様子を見てから判断することにしようかな。

 

曹操はルフェイ話を聞き、うんうんとうなずいている。

 

「ま、ヴァーリのことだから、オーフィスをただ連れ回すわけもないと踏んでいた。どうせ俺たちと相対するためにオーフィスを囮にするんだろう――と。だが、ヴァーリのことだ、オーフィスを無闇に囮にするはずもないと思った。オーフィスが今世の赤龍帝と白龍皇の変異に興味を抱いているのも知っていたものだから、もしやと思って二手に分かれて奇襲をかけることにした。一方はヴァーリを追う。そして俺とゲオルクは赤龍帝側に探りを入れる。――案の定、こちらにオーフィスがいたときた。それで、このような形でご対面を果たすことにしたんだよ」

 

ヴァーリは偽のオーフィスを囮に曹操を誘きだそうしたようだが、曹操はヴァーリの行動に疑念を抱いて、オーフィスはこちら側にいるときた結果…見事当たりを引いたというところだろう。当のオーフィスはここにいるからな…。

 

オーフィスが静かに口を開く

 

「曹操、我を狙う?」

 

「ああ、オーフィス。俺たちにはオーフィスが必要だが、いまのあなたは必要ではないと判断した」

 

「わからない。けど、我、曹操に負けない」

 

「そうだろうな。あなたはあまりに強すぎる。正直、正面からやったらどうなるか。――でも、ちょっとやってみるか」

 

曹操は立ち上がると聖槍を器用に回す。

 

ビィィィンッ!!

 

槍の先端が開き、まばゆい光の刃が現れる。

 

フッ!

 

曹操の姿が消えるが、光輝兄さんが瞬時に闘気の塊を正拳突きの形で飛ばした。だが、曹操はそれを綺麗に避けて、オーフィスの眼前にたどり着いてしまった。

 

ズンッ!!

 

曹操の槍は、オーフィスの腹部を深々と貫く。

 

そのまま曹操は槍を持つ手に力を込めて叫ぶ。

 

「――輝け、神を滅ぼす槍よっ!!」

 

カァァァァァァァッ!!

 

突き刺したと同時に膨大な閃光が溢れ出していく。

 

「これはマズいにゃ。ルフェイ」

 

金華がそう言うと、ルフェイと共に何かをつぶやきだす。

 

――刹那、俺たちの周囲に闇の霧が発生しだした。

 

「光を大きく軽減する闇の霧です。かなりの濃さなので霧をあまり吸い込まないでくださいね!体に毒ですから!でもこれぐらいしないと聖槍の光は軽減できません!」

 

「しかも私とルフェイの二重にゃ」

 

その瞬間、聖槍から発生する光の奔流がホテル内に広がっていく。

 

この霧の中でも聖槍が放つ光のまばゆさは凄まじい。

 

聖槍の光が止み、闇の霧も消え去る。皆が視線を曹操とオーフィスに向けた。

 

腹部に聖槍を深々と刺されたままのオーフィス。

 

曹操は槍を引き抜き、呆れ顔で言う。

 

「悪魔なら瞬殺の攻撃。それ以外の相手でも余裕で消し飛ぶほどの力の込めようだったんだが……。この槍が弱点となる神仏なら力の半分を奪うほどだった」

 

曹操がイッセーに視線を向ける。

 

「見たか、赤龍帝?これがオーフィスだ。最強の神滅具(ロンギヌス)でも致命傷を負わすことができない。ダメージは通っている。――が、無限の存在を削るにはこの槍を持ってしても届かないということだ。そこにいる片割れも同じ」

 

一瞬だけ視線をイッセーから龍巳に変えた曹操。すぐに視線を戻して続ける。

 

「攻撃をした俺に反撃もしてこない。理由は簡単だ。――いつでも俺を殺せるから。だから、こんなことをしてもやろうともしない。グレートレッド以外、興味が無いんだよ、基本的にな。グレートレッドと結城家を抜かした全勢力のなかで五指に入るであろう強者――一番がオーフィスであり二番めとの間には別次元とも言えるほどの差が生じている。無限の体現者とはこういうことだ」

 

そう、曹操は言った。

 

「……む? 俺達ってそんなにおかしなほど強かったか?」

 

『うん』

 

光輝兄さんの言葉にアザゼルやグレモリー眷属、ヴァーリーチームの2人を含め俺やレイジ兄さんも頷いた。

 

金華とルフェイの足下に転移型らしい魔方陣が展開していた。金華がにんまり笑みながら言った。

 

「にゃはは、余興をしてくれている間に繋がったにゃ。――いくよ、ルフェイ。そろそろあいつを呼んでやらにゃーダメっしょ♪」

 

魔方陣の中心にフェンリルが位置すると、魔方陣の輝きはいっそうまばゆくなっていき――弾けていく。

 

光が止んだとき――そこにはフェンリルの姿はなく、代わってヴァーリが姿を現していた。

 

「ご苦労だった、金華、ルフェイ。――面と向かって会うのは久しいな、曹操」

 

ヴァーリと対峙する曹操は苦笑する。

 

「ヴァーリ、これはまた驚きの召喚だ」

 

ルフェイが魔法の杖で宙に円を描きながら言う。

 

「フェンリルちゃんとの入れ替わりによる転移法でヴァーリさまをここに呼び寄せました」

 

ヴァーリが続く。

 

「フェンリルには俺の代わりにあちらにいる美猴たちと共に英雄派の別働隊と戦ってもらうことにした。曹操がこちらに赴くことは予想できたからな。保険はつけておいた。――さて、おまえとの決着をつけようか。しかし、ゲオルクと二人だけとは剛胆な英雄だな」

 

曹操が不敵に笑む。

 

「剛胆と言うよりも俺とゲオルクだけで充分だと踏んだだけだよ、ヴァーリ」

 

「強気なものだな、曹操。例の『龍喰者(ドラゴン・イーター)』なる者を奥の手に有しているということか?英雄派が作り出した龍殺し(ドラゴンスレイヤー)に特化した神器(セイクリッド・ギア)所有者か、新たな神滅具(ロンギヌス)所有者と言ったところだろう?」

 

そんな中、俺は『龍喰者(ドラゴン・イーター)』という名が気にかかっていた。

 

……何処かで聴いたことが…………あ。ま、まさか!?――いや、ありえない。"奴"は冥府の最下層に封印されている者。故にここに存在するはずがないのだが……もしも、もしもそれが本当だとすれば……かなりヤバイぞ!

 

俺が考え込んでいる間、ヴァーリの言葉に曹操は首を横に振る。

 

「違う。違うんだよ、ヴァーリ。『龍喰者(ドラゴン・イーター)』とは現存する存在に俺たちが付けたコードネームみたいなもの。作ったわけじゃない。すでに作られていた。――『聖書に記されし神』が、あれを」

 

――『聖書に記されし神』…俺は感づいた。……やはり、『龍喰者(ドラゴン・イーター)』――"奴"がいるのか!!

 

『……ツバサ。気をつけなさい。』

 

ルーツがいつになく真剣な声で忠告してきた。

 

……うん。わかってる

 

「曹操、いいのか?」

 

「ああ、頃合いだ、ゲオルク。ヴァーリもいる、オーフィスもいる、片割れもいる、赤龍帝もいる。無限の龍神二体に二天龍だ。これ以上ない組み合わせじゃないか。――呼ぼう。地獄の釜の蓋を開けるときだ」

 

やめて、そいつを出さないで……。

 

「了解だ。――無限を食うときがきたか」

 

口の端を吊り上げたゲオルクが後方――広いロビー全体に巨大な魔方陣を出現させる。

 

ズォォォォォォォオオオオオオオオオオオオ……ッ。

 

ホテル全体を激しい揺れが襲う。

 

「――ッ!?この気配…!――ツバサ!レイジ!!」

 

「「わかってる!!」」

 

光輝兄さんが気配を感じ取り、俺とレイジ兄さんに声を上げるが、俺もレイジ兄さんも既に動いていた。

 

「零式秘儀――"響"!!」

 

「祖龍の――咆哮ぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

レイジ兄さんが飛ぶ斬撃を、俺が口から白き豪炎を飛ばした。

 

パキュン――

 

「――なっ!?」

 

「うそ…だろ……?」

 

俺とレイジ兄さんの攻撃が、まるで目に見えない壁に当たるかのように、消えてなくなった。

 

……そんな。消し去ることができなかった。

 

そいつのドス黒く禍々しいオーラは目に見えていなくとも、強烈なものだった。

 

『……ツバサ、この気配は…ドラゴンに向けられた悪意、神の呪いよ。――まさか、"アイツ"がこんな所に現れるなんてね…』

 

ルーツも感じ取っているようで、さらに警戒した声音でそう言う。

 

禍々しいオーラを放つ魔方陣の上には、巨大な頭部と胴体…背中には黒い羽のある"モノ"が十字架に張り付けられた状態で出現している。

体を強烈なまでに締め上げている拘束具。その拘束具が体中に絡められている状態であり、不気味な文字が浮かんでいる。その隙間からは血涙が流れている…。

 

下半身は長細い東洋のドラゴン、上半身が堕天使、下半身がドラゴン。両手、尾、全身のあらゆる場所――堕天使の羽にも無数の太い釘が打ち込まれている。

 

『オオオオオォォォォォオオオオオオオオォォォォォォォオ……』

 

その者の口から、不気味な声が発せられていく。牙むき出しの口からは血と共に唾液が吐き出される。

 

苦しみ、妬ねたみ、痛み、恨うらみ、ありとあらゆる負の感情が入り交じった低く苦悶に満ちた声音…。

 

「――ぐぅ!!」

 

その圧倒的な負のオーラは俺の体を蝕んできた。

 

『ツバサ!!』

 

「――だ、大丈夫。……まだ、こんな程度、かの『タタリ神』に比べれば、軽い、ものだよ」

 

実際は、結構キツイけど、まだ、大丈夫。

 

『……嘘おっしゃい。でも、いけるのは本当のようね。絶対に無理しちゃダメよ?』

 

「うん」

 

ルーツの声はかなり心配してくれているようだが、俺は無理してでも、今回ばかりは闘わせてもらうよ。

 

「――波動拳!」

 

光輝兄さんが闘気の球体をアイツに向けて投げた。

 

しかし、闘気球は"奴"のオーラでかき消された。

 

……なるほど、レイジ兄さんのも俺のも、あの負のオーラが打ち消していたわけか。

 

俺は冷静に曹操に問う。

 

「……ねぇ、曹操、コキュートスの封印を解いたの?」

 

曹操は一歩前に出て答えるように口ずさみだす。

 

「――曰く、『神の毒』。――曰く、『神の悪意』。エデンにいた者に知恵の実を食わせた禁忌の存在。いまは亡き聖書の神の呪いがいまだ渦巻く原初の罪――。『龍喰者(ドラゴン・イーター)』、サマエル。蛇とドラゴンを嫌った神の呪いを一身に受けた天使であり、ドラゴンだ。そう、存在を抹消されたドラゴン――」

 

拘束具をつけられた堕天使ドラゴン――サマエルの名を聞いて、イッセーたち一部の者以外の誰もが驚愕の表情となる。

 

「……ツバサ様、あの生き物は一体……。」

 

俺の後方に立っていたカンナが訊いてくる。

 

「カンナ、アダムとイブの話は知ってる?」

 

「え、えぇ…それぐらいは知っていますが…」

 

俺はイッセーたちにも聞こえる声量で説明する。

 

「蛇に化け、アダムとイブに知恵の実を食べさせるように仕向けたのがあの堕天使ドラゴン。それが『聖書に記されし神』の怒りに触れた。神は極度の蛇――ドラゴン嫌いになってしまった。あいつはドラゴンを憎悪した神の悪意、毒、呪いというものをその身にすべて受けた存在。本来、神聖な神の悪意はあり得ない……それだけ猛毒なんだ。ドラゴン以外にも影響が出る上、ドラゴンを絶滅しかねない理由から、コキュートスの深奥に封じられていた。あいつにかけられた神の呪いは究極の龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)なんだ」

 

「……ツバサ様達の攻撃が効かなかったなんて、相当危険なものですね、」

 

俺の説明で理解したようで、カンナたちは先ほどより警戒を高めていた。

 

アザゼルが怒号を発する。

 

「冥界の下層――冥府を司るオリュンポスの神ハーデスは何を考えてやがる……?――ッ!ま、まさか……っ!」

 

アザゼルの得心に曹操が笑む。

 

「そう、ハーデス殿と交渉してね。何重もの制限を設けた上で彼の召喚を許可してもらったのさ」

 

「……野郎!ゼウスが各勢力との協力態勢に入ったのがそんなに気にくわなかったのかよッ!」

 

アザゼルは憎々しげに吐き捨てる。

 

……あの骸骨神、魂ごと封印してやりたいぐらいだっ。

 

俺は怒りを露わにしかけたが、冷静を保つように深呼吸して落ち着く。

 

「……ぁんの骸骨爺ぃ〜!! 魂ごと封印――いや、消滅させてやろうか!?」

 

俺の右前方で、光輝兄さんが怒りをあらわにしていた。全身から攻撃的な赤い闘気(オーラ)をだして、周りの地面が悲鳴を上げひび割れていた。

 

曹操は聖槍をくるくると回して矛先を俺たちに向ける。

 

「というわけで、アザゼル殿、ヴァーリ、赤龍帝、そして結城家の者達。彼の持つ呪いはドラゴンを食らい殺す。彼はドラゴンだけは確実に殺せるからだ。龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)の聖剣など比ではない。比べるに値しないほどだ。アスカロンは彼に比べたらつまようじだよ、兵藤一誠」

 

…あぁ、確かにつまようじと大差ないだろうが…俺の内にいるルーツには効果はない。

 

……でも、神龍の力を持つ俺には効果はてきめんだ。この力を授けてくれた師匠、神竜マスタードラゴンは確かに滅龍系統の技や力は効かない。むしろ、逆にそれで自身を強化したり回復したりするほどだ。

 

でも、俺は違う。俺の力はあくまでも借物であり"神竜"とは別の"神龍"だ。

 

マスターやルーツ程の力がない俺には龍殺しの力は絶大だろうね。

 

「それを使ってどうするつもりだ!?ドラゴンを絶滅させる気か!?……いや、おまえら……オーフィスを……?」

 

アザゼルの問いに曹操は口の端を吊り上げる。そして指を鳴らした。

 

「――喰らえ」

 

ギュンッ!

 

俺たちの横を高速の物体が通り過ぎる。

 

俺は危険直予知感で瞬時に"亜空穴"という技を使い瞬間移動を発動させた。

 

むろん、その先は――。

 

ドンッ!

 

俺はオーフィスの近くにいた龍巳の眼前に飛び、龍巳を勢いよく突き飛ばした。

 

「――キャッ!」

 

龍巳の悲鳴があがったが、いまは謝っている余裕もないだろうね。

 

バグンッ!!

 

その直後、オーフィスがサマエルの舌らしきものに包まれ――俺もその舌に包み込まれてしまった。

 

……やっぱり、狙いはオーフィスと龍巳の力だった。

 

俺は先ほどまで繋がらなかったピースをいつもの如く勘で埋めて、曹操の目的を見出すことができたようだ。

 

「オーフィス!ツバサちゃん!返事してくれ!!」

 

包み込まれた俺とオーフィスに話しかけてくるイッセー。

 

……だけど、俺は返事をする気力もなくなっていた。

 

そんな俺は遠退いていく意識のなか、禁術を発動させた――。




遅れて大変申し訳ございませんでしたーー!

前書きでも、説明したどおり、両腕が使えなくて投稿できませんでした。楽しみに待っていてくださった方々。本当に申し訳ありません。次からは体調管理などいろいろと気をつけていきたいとおもいます!


それではまた次回! バイバーイ!


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6話 絶望――そして、希望

バクンッ!!

 

突き飛ばされた私の身代わりにサマエルの舌に飲み込まれるツバサ。

 

「……そ、そんな…こんなの……ウソよ…」

 

私のせいで、ツバサが…つーくんが……。

 

腰に力が入らない私は、その場で座り込んでいた。

 

…無限と称された私は、目の前にいた最愛の二人を守れないなんて……。

 

ふと気付くと、両目から涙が流れ頬を伝っておちていく。ぽとぽと…とロビーの床に染みていく。

 

悔しい、歯がゆい……弱い自分が…何も出来ない自分が――憎い!

 

「オーフィス!ツバサちゃん!返事してくれ!!」

 

イッセーが塊に話しかける。けれど、目の前の塊からの返事はない。

 

私は…どうすればいいの…。

 

何もできない、いまの私は『龍喰者(ドラゴン・イーター)』を眼前に無力だった。

 

「祐斗!斬って!!」

 

リアス・グレモリーの指示で、木場祐斗は手元に聖魔剣を創りだすと同時に黒い塊に斬りかかる。

 

――だけど、黒い塊は聖魔剣を飲み込んで刃先を消滅させてしまう。

 

「……聖魔剣が消された…。この黒い塊は攻撃自体を消し去るみたいですね」

 

確認した木場祐斗は即座に退避する。

 

『『Half Dimension(ハーフ・ディメイション)!』』

 

ヴァーリが背中から光翼、『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』を出現させると、神器(セイクリッド・ギア)からの音声と共にサマエルの周囲が歪んで、あらゆるものが半分になっていく。

 

けれど、黒い塊とサマエルの舌だけには効果がない。

 

「ツバサ様を――我が愛しき主を返しなさい!!!」

 

つーくんの専属メイドにして、元イザナギ神の護衛者、カンナが炎の塊を頭上に出した。

 

「――ガイアフォース!!」

 

ドォォォンッ!!

 

それを撃ち出して、オーフィスとつーくんを包み込んでいる塊に直撃させた。

 

――だけど、これも飲み込まれてしまう…。

 

「なら、消滅魔力で!」

 

リアス・グレモリーが消滅の魔力を放つ。けれど、それも効いていない…。

 

ゴクンゴクン……。

 

不気味な音を立てて、塊に繋がる舌が盛り上がり、サマエルの口元に運ばれていく…。

 

……それは塊のなかにいるオーフィスとつーくんから吸い取っているみたい。

 

近くでイッセーが素早くせきりゅうていを発現して身にまとう。そして、黒い塊に殴りかかろうとしたとき、アザゼルに制止された。

 

「イッセー!絶対に相手をするな!!おまえにとって究極の天敵だ!ヴァーリどころじゃないぞ!!あれはおまえらドラゴンを簡単に屠ほふれる力を持っているはずだ!それにこの塊はどうやら俺たちの攻撃を無効にする力を持っているらしい!ていうかな、オーフィスやツバサでも中から脱出できない時点で相当にヤバい状況になってんだよっ!相手はドラゴンだが、アスカロンは使うな!龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)相手じゃ何が起こるかわからん!!」

 

「そんなこと言ったって、オーフィスが奴らに捕らえられたら、大変なことになるんでしょう!?」

 

叫ぶイッセーの横でゼノヴィアが素早く飛び出し、デュランダルをサマエルのほうに向けて振り放った。

 

バシュンッ!!

 

それを薙ぎって振り払うもの……そう、あの曹操の聖槍だった。

 

「またキミは開幕からいい攻撃をしてくれるな、デュランダルのゼノヴィア。だが、二度はいかないさ」

 

指を横に振る曹操。

 

「絶妙なタイミングで放ったつもりだが……私の開幕デュランダルはわかりやすいのか?」

 

ゼノヴィアがそうつぶやいた。

 

前回……京都のときに一度、開幕デュランダルを放っているから警戒されていたのだ。

 

「相手はサマエルか。その上、上位神滅具(ロンギヌス)所有者が二人。不足はない」

 

ヴァーリが白い閃光を放って鎧姿となる。

 

皆がそれぞれ戦闘のかまえを取っていく…。

 

だけど、その中で私はまだ座り込んだままだった。

 

「龍巳、レイヴェルを頼んだ。後方で守ってくれ」

 

イッセーがレイヴェルを私に預けてくる。私は力の入らない脚に鞭をうって無理やり立たせた。

 

皆の戦闘態勢を見て、曹操が狂喜に彩いろどられた笑みを浮かべている。

 

「このメンツだとさすがに俺も力を出さないと危ないな。何せハーデスからは一度しかサマエルの使用を許可してもらえていないんだ。ここで決めないと俺たちの計画は頓挫とんざする。ゲオルク!サマエルの制御を頼む。俺はこいつらを相手にしよう」

 

「一人で二天龍と堕天使総督、グレモリー眷属と地球連邦軍のトップ二人を相手にできるか?」

 

「やってみるよ。これぐらいできなければこの槍を持つ資格なんてないに等しい」

 

曹操の持つ精巣がまばゆい閃光を放ち出す!

 

「――禁手化(バランス・ブレイク)!」

 

すると、曹操の体に変化が訪れた。神々しく輝く輪後光が背後に現れ、曹操を囲むようにボウリングの球ほどの大きさの七つの球体が宙に浮かんで出現していた

 

曹操が一歩前に出る。すると、同時に囲む七つの球体も宙を移動する。

 

「これが俺の『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』の禁手(バランス・ブレイカー)、『極夜なる天輪聖王の輝廻槍(ボーラーナイト・ロンギヌス・チャクラヴァルティン)』――まだ未完成だけどね」

 

曹操のその状態を見て、アザゼルが叫ぶ。

 

「――ッ!亜種か!!『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』のいままでの所有者が発現した禁手(バランス・ブレイカー)は『真冥白夜の聖槍(トゥルー・ロンギヌス・ゲッターデメルング)』だった!名称から察するに自分は転輪聖王とでも言いたいのか!?くそったれめが!あの七つの球体は俺にもわからん!」

 

「俺の場合は転輪聖王の『転』をあえて『天』として発現させた。そっちの方がカッコイイだろう?」

 

……亜種の禁手(バランス・ブレイカー)。私も過去に見てきていたけど、聖槍の亜種は初めて見るわね。

 

私は驚愕の表情をしていたと思う。隣に立っているレイヴェルが心配そうにのぞいてきたから…。

 

ヴァーリがイッセーの隣に並んで言う。

 

「気をつけろよ、二人とも。あの禁手(バランス・ブレイカー)は『七宝(しっぽう)』と呼ばれる力を有していて、神器(セイクリッド・ギア)としての能力が七つある。あの球体ひとつひとつに能力が付加されているわけだ」

 

「な、七つッ!?二つとか三つじゃなくてか!?」

 

「ああ、七つだ。それのどれもが凶悪だ。と言っても俺が知っているのは三つだけだが。だから称されるわけだ、最強の神滅具(ロンギヌス)と。紛れもなく、奴は純粋な人間のなかで一番を争う強い男だ。……そう、人間のなかで」

 

曹操が空いている手を前に突き出す。

 

球体のひとつがそれ呼応して曹操の手の前に出ていく…。

 

「七宝がひとつ。――輪宝(チャッカラタナ)」

 

そう小さくつぶやく。――すると、フッとその球体が消え去った

 

ガシャンッ!

 

音のしたほうを見ると――ゼノヴィアの握っているエクス・デュランダルが破壊されていた。

 

「……ッ!エクス・デュランダルが……ッ!」

 

誰も反応することができなかった。そして、エクス・デュランダルの破壊に呆気を取られてしまっていた。

 

「――まずはひとつ。輪宝(チャッカラタナ)の能力は武器破壊。これに逆らえるのは相当な手練れのみだ」

 

不敵に一言漏らした曹操。次の瞬間――。

 

ブバァァッ!!

 

ゼノヴィアの体から鮮血が噴き出していた。

 

「ごぶっ」

 

口から血を吐き出し、その場にくずれおちるゼノヴィア…。

 

――その腹部には貫かれた穴がある…さっきの球体で貫かれていたのだろう。

 

「ついでに輪宝(チャッカラタナ)を槍状に形態変化させて腹を貫いた。いまのが見えなかったとしたら、キミでは俺には勝てないな、デュランダル使い」

 

曹操の一声を聞き、皆がその場から散開する。

 

「ゼノヴィアの回復急いで!アーシア!!」

 

リアス・グレモリーがすぐに反応してアーシアに回復の指示を出す。アーシアは呆然と倒れ込むゼノヴィアを眺めていたけれど、正気を取り戻してゼノヴィアに駆け寄る。

 

「ゼノヴィアさんッ!いやぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

アーシアが泣き叫びながら回復を始めた。

 

怒りに包まれたイッセーと木場が曹操に飛びかかっていく。

 

そんな二人の表情は憤怒に彩られていた。

 

「曹操ォォォォォォォッ!!」

 

「許さないよッ!」

 

二人の同時攻撃。

 

だけど、曹操はそれらを聖槍で軽々とさばいていき、また球体のひとつを手元に寄せた。

 

「――女宝(イッティラタナ)」

 

その球体が二人の横を高速で通り過ぎて、リアスや朱乃たちのもとに飛んでいく。リアスたちが反応してその球体に攻撃を加えようとしたとき――

 

「弾けろッ!」

 

曹操の言葉に反応して球体が輝きを発して、リアス・グレモリーたちを包み込んでいく!

 

「くっ!」

 

「こんなものでっ!」

 

リアスたちはまばゆい光に包まれながらも攻撃しようとした。

 

…しかし、リアスたちは手を突きだしたまま……。

 

……周囲を見ると、カンナの魔法が解除されていたり、アリアの魔術防御壁がなくなっていたりしていた。

 

「女宝(イッティラタナ)は異能を持つ女性の力を一定時間、完全に封じる。これも相当な手練れでもない限りは無効化できない。……勘の鋭い者もいるようだが」

 

曹操の発言にリアスや朱乃たちは驚く。

 

「……ふぅ、間一髪逃れた」

 

私の周囲に着地する人影…。つーくんの双子の姉、結城優子のユーちゃんだ。

 

「なかなか危ないものをしてくるじゃない。……まったく――ふざけないでよね?」

 

優子は曹操にたいし、絶対零度の暗い瞳で見ていた。正直いって怖い。

 

曹操は高笑いする。その表情は完全に戦いを楽しんでいるものだった。

 

「ふふふ、この限られた空間でキミたち全員を倒す――。派手な攻撃はサマエルの繊細な操作に悪影響を与えるからな。出来るだけ最小の動きだけで、サマエルとゲオルクを死守しながら俺一人で突破する!なんとも最高難度のミッションだッ!!だが――」

 

金華とルフェイが手に魔力、魔法の光を煌きらめかして、サマエルとゲオルクのほうに突きだしていた。

 

そこにも曹操の球体のひとつが向かう。

 

「ちょこざいにゃん!!」

 

金華がもう片方の手を球体に突きだして迎撃しようとしていた。

 

「――馬宝(アッサラタナ)、任意の相手を転移させる」

 

その曹操が発言したと同時に金華とルフェイの姿がその場から消えた。

 

すると、視界の隅に金華とルフェイが出現していた。

 

手を突き出したままの金華とルフェイ。

 

その手の先には、ゼノヴィアを回復させるアーシアがいる。矛先を変えられてしまった

 

「ふざけるなよォォォォッ!『龍星の騎士(ウェルシュ・ソニック・ブーストナイト)』ッ!」

 

『Change Star Sonic(チェンジスターソニック)!!!!』

 

イッセーは瞬時に内の駒を切り替えて、誰よりも速くアーシアのもとに飛び出していった。

 

高速でアーシアの前に到着して、彼女の壁になる…。

 

ドドドドドドドドドドォォォォォォオオオオンッ!!

 

けたたましい轟音と共にイッセーに直撃していく二人の魔法攻撃。

 

「がはっ……!」

 

多量の血を吐きだしたイッセー。鎧も装甲を薄くしたために、胸部から腹部にかけて致命傷を受けていた。

 

力なく倒れていくイッセー。曹操は嘲笑するような笑みを見せていた。

 

「赤龍帝、キミの力はもう知っている。バアル戦では不安定で強力な能力にも目覚めたようだが――。やりようなんていくらでもあるさ。トリアイナのコンボは強力だ。だが、一瞬だけ内の駒を変更するところにタイムラグがある。それを踏襲とうしゅうした攻撃方法で攻めれば俺なら潰せるんだ。――攻略法が確立すれば数手でキミを詰められるよ」

 

…まさか、すべてが計算された動きだったの…!?

 

私は曹操の――人間のそこの知れない能力に畏怖していた。

 

「ヴァーリィィィィッ!俺に合わせろッ!!」

 

「まったく、俺は単独でやりたいところなんだがな……ッ!」

 

毒づくヴァーリとアザゼルは曹操に向けて飛び出していった。

 

アザゼルの持つ光の槍とヴァーリの魔力のこめた拳が同時に撃ち込まれる。

 

「堕天使総督と白龍皇の競演!これを御すことができれば俺はさらに高みを目指せるなッ!!」

 

嬉々としてその現状を受け入れる曹操はアザゼルとヴァーリの高速で撃ち込まれていく攻撃を既すんでで避けていた。もう、人間という領域を超越してしまっている状態だわ…。

 

「力の権化たる鎧装着型の禁手(バランス・ブレイカー)は莫大なパワーアップを果たすが――、パワーアップが過剰すぎて鎧からオーラが迸り過ぎる!その結果、オーラの流れに注視すれば、次にどこから攻撃が来るか容易に把握しやすいッ!ほら、手にしている得物や拳に攻撃力を高めるため、オーラが集中するからねッ!」

 

曹操が二人の攻撃を避けながらそう告げる。

 

すると、曹操の右目が金色の輝きを放ちだす。

 

「邪視(イーヴィル・アイ)というものをご存じかな!?そう、眼に宿る特別な力のことだ!俺もそれを移植してね!!赤龍帝にやられ失ったものをそれで補っている!俺の新しい眼だ!!」

 

アザゼルとヴァーリの攻撃を避ける曹操は視線を下に向ける。突然、アザゼルの足下が石化していく…。

 

「――メデューサの眼かッ!」

 

眼の正体に気づいたアザゼルは舌打ちをする。

 

メデューサ……私と同じ蛇の眼なら、サマエルの影響があるはず…。

 

ドズンッ!

 

鈍い音と共にアザゼルの腹部に聖槍が突き刺ささる。

 

黄金の鎧は聖槍に難なく砕かれて、アザゼルの鮮血が迸った!

 

「……ぐはっ!……なんだ、こいつのバカげた強さは……ッ!」

 

アザゼルは口から大量の血を吐き出してくずれおれていく。

 

曹操は槍を引き抜きながら言った。

 

「いえ、あなたとは一度戦いましたから、対処はできてました。――その人工神器(セイクリッド・ギア)の弱点はファーブニルの力をあなたに合わせて反映できていない点です」

 

「アザゼルッ!おのれ、曹操ォォォォォォッ!!」

 

アザゼルがとられてしまったことに激昂したヴァーリが曹操に極大な魔力の塊を撃ち放っていた。

 

「両親にバケモノとされて捨てられたキミを唯一拾って力の使い方を教えたのがアザゼル総督だったかなっ!?育ての恩人をやられて激怒したか!!」

 

ヴァーリの撃ちだした魔力の一撃のもとに球体のひとつが飛来していく。

 

「――珠宝(マニラタナ)、襲いかかってくる攻撃を他者に受け流す。ヴァーリ、キミの魔力は強大だ。当たれば俺でも死ぬ。防御も厳しい。――だが、受け流す術すべならある」

 

ギュゥゥゥゥゥンッ!!

 

ヴァーリの魔力が球体の前方に生まれた黒い渦に吸い込まれていく――。

 

キュポンッ!

 

すべてを吸い取った渦は消失して――

 

白音の前方に新たな渦が発生した!

 

「バカ、なんで避けないの!白音ッ!」

 

黒歌が悲鳴を上げて白音の前に立って壁となって――。

 

ゴバアァァァァッァァァァァァンッ!

 

爆音がロビー内を駆け回った!!

 

白音の目の前で黒歌は瞑っていた目をゆっくりと開けて、目の前の光景に驚いていた。

 

曹操に受け流されたヴァーリ魔力の一撃を受けていたのは――黒歌の目の前で盾になっていた金華だったから!

 

血を噴き出して、煙を上げて倒れていく金華。白音と黒歌がすぐその体を抱き留める。

 

「……し、白音、なに、ちんたらしてんのよ……」

 

消え入りそうな声音で言った金華。白音が首を横に振って叫ぶ。

 

「……き、金華姉さまッ!」

 

黒歌は仙術を使って回復を試みている。

 

「金華!しっかりしなさいっ!!」

 

「曹操――、俺の手で俺の仲間をやってくれたな……ッ!」

 

怒りのオーラを全身にたぎらせているヴァーリ。

 

「ヴァーリ、キミは仲間想いすぎる。まるでそこで無様に転がる赤龍帝のようだ。――二天龍はいつそんなにヤワくなった?それと、俺の七宝のいくつかを見たことのあるキミが、能力が把握しづらいのはわかっているよ。――キミに見せていない七宝でわざわざ攻撃しているからな。良かったな?これで七宝のすべてを知っているのはキミだけになったぞ」

 

「では、こちらも見せようかッ!我、目覚めるは、覇の理に全てを奪われし――」

 

ヴァーリが『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』の呪文を唱え始めた!それを察したようで、曹操がゲオルクに叫ぶ。

 

「ゲオルクッ!『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』はこの疑似空間を壊しかねない!」

 

「わかっている――。サマエルよ!」

 

ゲオルクが手を突き出して魔方陣を展開させると、それに反応してサマエルの右手の拘束具が解除されてしまう!!

 

『オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォオオオオンッ』

 

不気味な声を発して、サマエルの右手がヴァーリに向けられる。

 

ブゥゥゥゥンッ!

 

空気を震撼させる音と同時にヴァーリが黒い塊に包み込まれていく。

 

『オオオオオォォッォォォォォオオオォォォォォオオオッ』

 

サマエルが吼えると黒い塊が勢いよく弾け飛んでいった…。

 

バシュンッ!!

 

弾け飛んだ塊の中からヴァーリが解放される。――解放と同時に鎧は塊と共に弾け飛んで、体中から大量の血が飛び散っていく…。

 

「……ゴハッ!」

 

ロビーの床に倒れ込むヴァーリ。

 

「どうだ、ヴァーリ?神の毒の味は?ドラゴンにはたまらない味だろう?ここで『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』になって暴れられてはサマエルの制御に支障をきたすだろうから、これでカンベンしてもらおうか。俺は弱っちい人間風情だから、弱点攻撃しかできないんだ。――悪いな、ヴァーリ」

 

「……曹操……ッ!」

 

憎々しげに曹操を見上げるヴァーリ…。

 

「さて、そろそろ頃合いかな?ゲオルク、どれだけ取れた?」

 

曹操はゲオルクにそう訊く。

 

「……オーフィス、結城翼、共に四分の三強ほどだろうな。大半と言える。予定外の収集ができたのはいいが、そろそろサマエルを現世に繋ぎ止められなくなってきている」

 

そう漏らすゲオルクの後方でサマエルの魔方陣の輝きが薄れてきていた。

 

「上出来だ。そうだな、無限の存在は後々厄介になるかもしれない…ゲオルク、もう少しいけそうか?」

 

うなずいた曹操は、肩に槍をトントンさせながらゲオルクに訊く。

 

「少しならいけそうだ。やれ、サマエル!!」

 

『オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォオオオオンッ』

 

再び不気味な声を発して、サマエルの右手が私に向けられた!

 

私はギュッと目を瞑った。サマエルを相手に私は何もできない…そう、抵抗さえも。

 

私は死を覚悟した………

 

………………あれ? 何も…こない?

 

「――まだだ、まだ、あきらめるには早いんじゃないの?――龍巳」

 

聞き覚えのある声が、私の目の前に聞こえた…。

 

私は不安を忘れ、目を開けるとそこには――。

 

「――っ。ツバサ!!」

 

私の大切な家族にして、最愛の人が私の目の前に立っていたのだった――。



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7話 待たせたね!

連続投稿だ〜!


あれから俺は自力で脱出し、龍巳の前に現れた直後――サマエルの攻撃に向けて、右腕を払って相殺した。

 

いまの俺の挙動に驚いている曹操とゲオルク。……サマエルの攻撃を払い退けたからな。

 

――俺は意識が少し飛びかけているのを確認した…どうやら禁術の反動がきたようだ。

 

「…どうやって抜け出した?サマエルの…神の毒の中から。……それに――」

 

"その姿はなんだ?"……と、曹操が聞いてきた。

 

俺のいまの姿は、とある脇が出ている巫女服に狐面を付けた姿だ。いっけんなんてことの無い姿に見えるが……

 

曹操がいってるのはそこじゃない。では何処か? それは簡単な話だ。

 

その理由は姿。正確には全身。いま、俺の全身は全てが赤黒く不気味に光っている。

 

巫女服に狐面も同じ色に染まっているのだ。

 

禁術符『無想天生・災禍』

 

それが、俺の創り出したスペルカードの1つ。巨大で圧倒的な力を出す代わり、意識の半分以上を持っていく凶悪な技だ。

 

コレを使うと軽くバーサーカーモードとなり、なりふり構わず暴れまくる。いまは、それ程ではないが、あともう少し続くと、完全に意識はなくなり俺は無意識に暴れまくるだろう。

 

……それまでになんとか、決着をつけたいものだ。

 

「……お前、その姿は――」

 

「大丈夫。まだ、大丈夫だよ兄さん。……そう、まだ…ね。」

 

光輝兄さんが言おうとしたので俺は止めた。うん。大丈夫だから心配しないで。

 

……でも、もしもの時は…お願いね?

 

「さぁ、曹操。俺はお前達にとても腹が立っている。こうして話しているだけで怒りが爆発しそうだよ。だから無駄話は終わりだ。――あとは、わかるよね?」

 

俺は不敵に微笑む。……まぁ、仮面をしているのでわからないだろうが。

 

「――ああ、そうだな。ゲオルグ!」

 

「おう。……いけ、サマエル」

 

『オオオオオォォッォォォォォオオオォォォォォオオオッ』

 

ゲオルグの指示にサマエルが腕を振り下ろし攻撃をしてくる。

 

そんなサマエルまで、俺は飛んだ。

 

「曹操!俺達も忘れてもらっちゃ困るぞ!――行くぞレイジ!!」

 

「おう!」

 

向こうでは光輝兄さんとレイジ兄さんが曹操とゲオルグまで走っていた。

 

「ゲオルグ。あの2人は俺に任せろ。だからお前はアレの制御に集中してくれ」

 

「了解した」

 

曹操とゲオルグが喋っている。どうやら曹操が1人で兄さん達を相手するようだ。

 

「……ほう。俺たち2人を貴様たった1人で相手するのか。……ずいぶんと舐められたものだな」

 

「ああ、確かにあなたがた2人は強い。――しかし、結城家で強いのはあくまでもあのサマエルと戦っている『結城の巫女』だ。あなたがたは所詮はただの人の子。英雄の血を引くオレにとっては恐れるに足りないからな」

 

曹操はまるでバカにするようにそう言った。

 

……あーあ。よりにもよって、1番しちゃダメなことしちゃったねぇ。曹操。こりゃ〜、勝ちは決まったものだな。

 

「…………くははは。本当にずいぶんと面白いことを言ってくれる。俺は人の子?確かにそうだ。結城家最強はツバサ?それもそうだ。……だがな、曹操。貴様は1つ大きな間違いをおこしている」

 

「――なに?」

 

光輝兄さんの言葉に曹操は怪訝な顔をした。

……おっと、よそ見していたらサマエルの毒に当たりかけるところだったよ。危ない危ない。

 

「それはな―――俺もそこにいるレイジも、結城家の者は皆、"化け物"揃いだってことよ!!」

 

バギィィィィィン――

 

そう言った瞬間、空間が割れた。

 

――そう、本当に破れたのだ。物理的に

 

「――は?」

 

「――我が名は結城光輝。結城家 当主にして、地球連邦軍の総司令官なり! 」

 

そう叫んだ瞬間、光輝兄さんの体から尋常じゃないほど赤いオーラがほとばしる!

 

「我が力をとくと見よ!!!」

 

赤オーラが兄さんの上で集まり塊となった。その塊は徐々に形を変えていき……人形となる。

 

まるでその姿は全身を赤き鎧に纏った巨人。その大きな拳から繰り出される力は絶大だろう。

 

「『化身・アストラル』……我が力の集合体"化身"。我が力の形をなしなものよ!――さぁ、小僧。貴様に我が一撃、受ける勇気があるか?」

 

光輝兄さんは曹操に不敵に笑う。

 

「――ッ!? 馬宝(アッサラタナ)!!!」

 

曹操がとっさに宝玉の1個を飛ばすが――

 

「――無駄だ」

 

キィィィン――

 

その前にでたレイジ兄さんに防がれた。

 

「な、なんだと!? それより、何故防げる!!」

 

曹操が驚愕した声でレイジ兄さんに怒鳴る。

 

「……ふん。俺の相棒のそんじゃそこらの刀と一緒にするな。それに、コイツは武器じゃない。武器の姿をした精霊だ。――だから、武器破壊といった類のものは効きやしない。」

 

「くっ!だったら――っ!?」

 

「おりゃぁ!!」

 

ズドンっ!!!

 

曹操はレイジ兄さんに追撃しようとしたが、横から現れた光輝兄さんの攻撃をとっさに交わした。

 

「オラオラオラどうした!!!好きだらけだぞ?曹操さんよぉーー!!!!!」

 

光輝兄さんはそのまま曹操に連続の追撃を行った。

 

「クハハハハハハ」

 

……もはや、どっちが悪役かわからなくなってきた。

 

「さぁ、この一撃に耐えられるかな?」

 

――『滅ノ神威』

 

光輝兄さんが静かにそう呟いた瞬間――凄まじい勢いで化身・アストラルから鉄槌が振り下ろされた。

 

ドオオオオオオオオオオオンッ――

 

振り下ろされた鉄槌の威力は凄まじく、地面を叩き割りクモの巣のように地面がひび割れ砕けた。

 

「――ぐぅ。とっさに馬宝(アッサラタナ)を使わなければ、殺られるところだった」

 

どうやら曹操の使う馬宝(アッサラタナ)は相手だけではなく自分も転移できるようだ。

 

「……どうした。来ないのか?」

 

「――っ!!」

 

ふふふ、光輝兄さんもレイジ兄さんも熱く燃えてるじゃないのさ。

 

――そんじゃ、俺も少しは殺る気を出しますかね〜。

 

『オォォオオオオォォォオオ!!!!!』

 

サマエルが薙ぎ払うように腕を振ってくる。しかし俺はそれを紙一重で避けて――

 

「たりゃぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ズドンッ!!

 

俺はカウンターで、サマエルの拳を俺の拳で合わし、振り払う力を倍にして打ち返した。

 

『オオオオォォォオオオォォ――』

 

ズズーーン!

 

その衝撃は凄まじく、サマエルはそのまま仰け反り、地面に倒れた。

 

「な、なに!?」

 

近くでまた曹操の驚愕した声が聞こえてきた。

 

「――曹操!サマエルの制御が効かなくなった!すぐに封印する!!」

 

ゲオルグの叫びが聞こえる。

 

どうやら俺のカウンターに対して暴走状態と化したらしい。サマエルがゲオルクのいうことをきかなくなっているようだ。

 

俺との相対でサマエルの舌から解放されていたオーフィス。神速でオーフィスを奪取したレイジ兄さんは、龍巳のもとにオーフィスをおく。

 

『オォォォォォォオオオオォォォ……』

 

サマエルは苦悶に満ちた呻き声を発しながら、魔方陣のなかへ消えていく。そして、その魔方陣も消滅していった。

 

俺の体は徐々に闇が消えるように解呪して元の博麗の巫女服の姿に戻った。狐面は顔からとり、頭の右側に付ける。

 

「――くぅ」

 

やはりその反動は大きいため、俺は片膝を床について呼吸を整えていた。

 

龍巳の傍にいるオーフィスは曹操に視線を向ける。

 

「我の力、奪われた。これが曹操の目的?」

 

曹操は愉快そうに笑む。

 

「ああ、そうだ。オーフィス。俺たちはあなたを支配下に置き、その力を利用したかった。だが、あなたを俺たちの思い通りにするのは至難だ。そこで俺たちは考えを変えた」

 

曹操が聖槍の切っ先を天に向ける。

 

「あなたの力をいただき、新しい『ウロボロス』を創りだす」

 

「――ッ!……そうか!サマエルを使ってオーフィスの力を削ぎ落とし、手に入れた分を使って生み出す――。……新たなオーフィスか」

 

血を吐きながら言ったアザゼルの言葉にうなずく曹操。

 

「その通りですよ、総督。我々は自分たちに都合の良いウロボロスを欲したわけだ。グレートレッドは正直、俺たちにとってそこまで重要な存在でもなくてね。それを餌にご機嫌取りをするのにもうんざりしたのがこの計画の発端です。そして、『無限の存在は倒し得るのか?』という英雄派の超常の存在に挑む理念も試すことができた」

 

「……お見事だよ、無限の片方の存在をこういう形で消し去るとはな」

 

「いえ、総督。これは消し去るのとはまた違う。やはり、力を集めるための象徴は必要だ。オーフィスはその点ではすぐれていた。あれだけの集団を作り上げるほどに力を呼び込むプロパガンダになったわけだからね。――だが、考え方の読めない異質な龍神は傀儡かいらいにするには不向きだ」

 

「……人間らしいな。実に人間らしいいやらしい考え方だ」

 

「お褒めいただき光栄の至りです、堕天使の総督殿。――人間ですよ、俺は」

 

曹操はアザゼルの言葉に笑みを見せる。

 

ゲオルクが満身創痍のイッセーたちに視線を向けた。

 

「曹操、いまならヴァーリと兵藤一誠をやれるけど?」

 

「そうだな。やれるうちにやったほうがいいんだが……。どちらもあり得ない方向に力を高めているからな。将来的にオーフィス以上に厄介なドラゴンとなるだろう。だが、最近もったいないと思えてなぁ……。各勢力のトップから二天龍を見守りたいという意見が出ているのもうなずける。――今世に限って、成長の仕方があまりに異質すぎるから。それは彼らに関わる者も含めてなんだが……データとしては極めて稀な存在だ。神器(セイクリッド・ギア)に秘められた部分をすべて発揮させるのは案外俺たちではなく、彼らかもしれない」

 

そこまで言う曹操は…輪後光と七つの球体を消失させ、禁手(バランス・ブレイカー)を解除する。俺を一瞥して、踵きびすを返し、ロビーをあとにしようとしていた。

 

「やっぱり、止めだ。ゲオルク、サマエルが奪ったオーフィスと結城翼の力はどこに転送される予定だ?」

 

「本部の研究施設に流すよう召喚するさいに術式を組んでおいたよ、曹操」

 

「そうか。なら俺は一足早く帰還する」

 

……二人はこの禁術の力を把握しきっていない。取られたのはオーフィスの力だけであって、俺の力は0.1%たりとも取られてはいないからね。

 

それに、それがなくても力は奪われない。結城家の巫女にして博麗の巫女の結界の力、そんでもって神龍(ドラゴン・マスター)舐めんなよ?

 

帰ろうとしている曹操に、ヴァーリが全身から血を垂れ流しながらも立ち上がって問いかけた。

 

「……曹操、なぜ俺を……俺たちを殺さない……?禁手(バランス・ブレイカー)のおまえならばここにいる全員を全滅できたはずだ……。女の異能を封じる七宝でアーシア・アルジェントの能力を止めればそれでグレモリーチームはほぼ詰みだった」

 

一旦足を止めた曹操が言う。

 

「作戦を進めると共に殺さず制御する縛りも入れてみた……では納得できないか?正直話すと聖槍の禁手(バランス・ブレイカー)はまだ調整が大きく必要なんだよ。今回のそこの二人との戦いでも多くの欠点があったんでね。だから、この状況を利用して長所と短所を見極めようってね…。それと、グレモリーの眷属が全滅しようと、そこの結城家メンバーは全滅しないと思っているからね」

 

「……舐めきってくれるな」

 

「ヴァーリ、それはお互いさまだろう?キミもそんなことをするのが大好きじゃないか」

 

曹操がヴァーリにそう言った。しかし、肩の息は荒く、体が少し震えていた。……相当、ダメージが食らったようだね。

 

曹操が自身に親指を指し示す。

 

「赤龍帝の兵藤一誠。何年かかってもいい。俺と戦える位置まで来てくれ。将来的に俺と神器(セイクリッド・ギア)の究極戦ができるのはキミとヴァーリを含めて数人もいないだろう。――いつだって英雄が決戦に挑むのは魔王か伝説のドラゴンだ」

 

……俺って、その数人に入っているんだろうから…魔王かドラゴンになるのか?……あ、神龍(ドラゴン・マスター)だから、ある意味ドラゴンなのかな?

 

曹操がゲオルクに言う。

 

「ゲオルク、死神(グリムリッパー)の一行さまをお呼びしてくれ。ハーデスは絞りカスのオーフィスのほうをご所望だからな。……それと、ヴァーリチームの者がやってみせた入替転移、あれをやってみてくれ。俺とジークフリートを入れ替えで転移できるか?あとはジークフリートに任せる」

 

「一度見ただけだから、うまくいくかわからないが、試してみよう」

 

「さすがはあの伝説の悪魔メフィスト・フェレスと契約したゲオルク・ファウスト博士の子孫だ」

 

「……先祖が偉大すぎて、この名にプレッシャーを感じるけども。まあ、了解だ。曹操。……それとさっき入ってきた情報なんだが……」

 

ゲオルクが何やら険しい表情で曹操に紙切れを渡す。それを見た曹操の目が細くなっていく…。

 

「……なるほど、助けた恩はこうやって返すのが旧魔王派のやり方か……。いや、わかってはいたさ。まあ、十分に協力はしてもらった」

 

……そのやり取りのあと、ゲオルクは魔方陣を展開させてどこかに転移していった。

 

曹操が俺たちのほうを振り返る。

 

「ゲオルクはホテルの外に出た。俺とジークフリートの入替転移の準備中だ」

 

あぁ…あのフェンリルとヴァーリを入れ替えた転移法のことね…。

 

曹操は俺たちに告げる。

 

「まあいい。ひとつゲームをしよう、ヴァーリチームとグレモリーチーム、それと結城家。もうすぐここにハーデスの命令を受けてそのオーフィスを回収に死神の一行が到着する。そこに俺のところのジークフリートも参加させよう。キミたちが無事ここから脱出できるかどうかがゲームのキモだ。そのオーフィスがハーデスに奪われたらどうなるかわからない。――さあ、オーフィスを死守しながらここを抜け出せるかどうか、ぜひ挑戦してみてくれ。俺は二天龍に生き残って欲しいが、それを仲間や死神に強制する気はさらさらない。襲い来る脅威を乗り越えてこそ、戦う相手に相応しいと思うよ、俺は」

 

それだけ言い残し、曹操はこの場を去っていった。

 

「やれやれ。威勢のいい餓鬼だ。俺のあんな程度の攻撃であそこまで息がきれていてはまだまだ相手にならんな」

 

隣で光輝兄さんが┐(´д`)┌といった感じでバカにしていた。

 

そんな余裕な光輝兄さんを見てその場にいた全員が苦笑したのだった。




今回はいろいろありましたね! ちなみに、アストラルは白猫プロジェクト、ルウシェさんの力ですね! 詳しく知りたい人はググってみてね♪

あと今回新しくでた、『無想天生・災禍』のモデルは『東方二次創作 東方幼霊夢』から『先代の博麗の巫女ことかーちゃん』が使う無想天生をイメージモデルにしました! これも、詳しく知りたければググルが良い!

痛い!? ご、ごめんなさい! だから石を投げな――うきゃーー!? 刃物はダメだよ!?

……ぜぇ、ぜぇ、ゴホゴホ。

そ、それでは、また次回まで、バイバ〜イ♪


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8話 作戦タイム!

皆との集合場所で合流した俺はイッセーたちとホテルの一室で待機していた。

 

集まってすぐに、サマエル戦での姿の事を聞かれたが、深層は話さず軽く説明した程度だ。

 

「……駐車場に死神が出現していました。相当な数です」

 

様子を見に行っていた祐斗が待機している部屋に戻ってきた。

 

「……ハーデスの野郎、本格的に動き出したってわけか!」

 

アザゼルが憎々しげに吐く。

 

曹操との戦闘のあと、怪我人だらけのグレモリー眷属、イリナ、アザゼル、結城家、ヴァーリ、金華、ルフェイ、オーフィスはこの疑似空間のホテル上階で陣地を取っている。

 

六十階まであるホテルの真ん中の三十階まで移動したあと、この階層を丸ごとルフェイと俺の強靭な結界で幾重にも覆って陣地を形成していた。

 

俺は『瞬間回復(改)』で快復して万全。レイジ兄さんたちも自己再生で負っていた傷も完治しており、イッセーやゼノヴィア、アザゼルの治癒も完了している。

 

金華は治療を終えてはいるが大事を取って別室で休んでいる。黒歌と白音とレイヴェルが面倒を見ているらしい。

 

…サマエルの呪いを受けたヴァーリはケガ自体は治っているが、呪いが解けずに別室で激痛に耐えているようだ。

 

回復役のアーシアは連続での治療で、体力の消耗が大きいために隣の部屋で仮眠を取っている状態だね。

 

…休憩中または看病しているメンバー以外の者が集結しているこの部屋で、ルフェイが嘆息した。

 

「本部から正式に通達が来たようです。砕いて説明しますと――『ヴァーリチームはクーデターを企て、オーフィスを騙して組織を自分のものにしようとした。オーフィスは英雄派が無事救助。残ったヴァーリチームは見つけしだい始末せよ』だそうです」

 

ルフェイの報告に皆が驚く。

 

「やられたな……。『本物』を回収して、しぼり取られたオーフィスは無かったことにされたか。………でっち上げもいいところだ」

 

光輝兄さんが嘆息しながらそう言った。

 

ルフェイはがっくりきたようにうなだれる。

 

「私たちはグレートレッドさんをはじめ、世界の謎とされるものを調べたり、伝説の強者を探し回ったり、時々オーフィスさまの願いを叶えたりしていただけなのですが……。英雄派の皆さんは力を持ちながら好き勝手に動く私たちが目障りだったようです。特にジークフリートさまは私たちのことが相当お嫌いだったそうです。何より、元英雄派でライバルだった兄のアーサーがこっちに来たのがお気に召さなかったようでして……」

 

「世界の謎ってなんだ?それに伝説の強者もわからん」

 

イッセーがルフェイに訊く。

 

「はい、次元の狭間を泳ぐグレートレッドさんの秘密に始まり、滅んだ文明――ムー大陸やアトランティスの技術、それに異世界のことについて調査していました。北欧神話勢力の世界樹(ユグドラシル)も見てきましたし。そして、伝説の強者とは逸話いつわだけを残して、生死不明となっている魔物や英雄の探索です。時折、組織の仕事(テロ)もこなしてました」

 

「……ほとんど冒険家みたいだな」

 

「はい、大冒険の毎日ですよ!その末に強者とも戦ってきましたから。ヴァーリさまはドラゴンという存在がどこから発生したのか、それを調べようともしているのです。あと二天龍が封じられる切っ掛けとなった大ゲンカの原因も調査してます。それと、新しい神滅具(ロンギヌス)が発見できないか、それも調査の対象でした!!」

 

楽しそうに語りだすルフェイ。

 

…俺はそんなルフェイを見て、ヴァーリーってかなりの暇人さんなんだなぁ〜なんて思っていた。

 

「ヴァーリさまの探求心は総督さまの影響だと思います」

 

ルフェイは最後にそう付け加える。それを聞いたアザゼルは、息を吐いて目元を細める。

 

アザゼルのその表情にルフェイは苦笑していた。

 

「それにしても総督さま、ここ最近は神滅具(ロンギヌス)祭りですね。――グリゴリにいらっしゃる『黒刃の狗神(ケイニス・リュカオン)』の方はお元気なのですか?」

 

話しを振られたアザゼルは顔を天井に向ける。

 

「……『黒刃の狗神(ケイニス・リュカオン)』、刃狗(スラッシュドック)か。あいつには別任務に当たらせている。そちらもそちらで十分に厄介な事件だ。あいつ、ヴァーリのことが嫌いでなぁ」

 

「はい、お話はうかがっております」

 

ルフェイがクスクスと笑う。

 

イッセーはアザゼルに疑問を投げかけた。

 

「そういや、先生。一番強い神滅具(ロンギヌス)を曹操が持っているなら、誰かが二番目に強い神滅具(ロンギヌス)を持っているんですよね?」

 

「ああ、『煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』。それが二番目に強い神滅具(ロンギヌス)だ。上位神滅具(ロンギヌス)とは、『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』『煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』『魔獣創造(アナイアレイションメーカー)』『絶霧(ディメイション・ロスト)』の四種のことをさす。『煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』に関してもすでに所有者も割れているし、主に天界が制御しているが……。イリナ、それで奴は――『御使い(ブレイブ・セイント)』のジョーカーはどうしている?」

 

話を振られたイリナは首をひねりながら答えた。

 

「デュリオさまですか?各地を放浪しながら、美味しいもの巡りをしていると……」

 

その答えにアザゼルは絶句して、俺は眉間を指で押さえた。

 

たしかに、あの人は美味しい物に甘い物とか食べ歩きして自分で作って孤児院でそれを作ったりしてるみたいだけれど……こんな時ぐらい何時でも動けるようにしときなよぉ……ハァ〜

 

「な……っ。仮にもセラフ候補にも選出されるかもしれない転生天使きっての才児だろうがっ!切り札役(ジョーカー)だぞ!?ミカエルは、セラフの連中はどうしているんだ!?」

 

アザゼルの質問にイリナは困り果てていた。

 

「そのヒトもやっぱり強いんですか?」

 

イッセーがアザゼルに訊く…反応したのはルフェイだった。

 

「ヴァーリさまの戦いたい方リスト上位に載ってるほどの方です。教会最強のエクソシストだそうです」

 

元教会の聖剣使いだったゼノヴィアが反応した。

 

「デュリオ・ジェズアルド、教会でも有名な存在だった。直接の面識はなかったが、人間でありながら凶悪な魔物や上級悪魔を専門に駆り出されていたよ」

 

アザゼルが嘆息する。

 

「神滅具ロンギヌス所有者、か。神滅具ロンギヌスとは――『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』、『幽世の聖杯(セフィロト・グラール)』、『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』、『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』、『獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)』、『蒼き革新の箱庭(イノベート・クリア)』、『永遠の氷姫(アブソリュート・ディマイズ)』、『絶霧(ディメイション・ロスト)』、『煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』、『紫炎祭主による磔台(インシネート・アンセム)』、『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』、『黒刃の狗神(ケイニス・リュカオン)』、『究極の羯磨(テロス・カルマ)』、この十三種のことだよ。イッセー、よく覚えていてね!」

 

イッセーたちが出会った神滅具(ロンギヌス)は――半分ほど。

 

……でも、『蒼き革新の箱庭(イノベート・クリア)』『究極の羯磨(テロス・カルマ)』以外は禍の団(カオス・ブリゲード)にいたり天使・堕天使陣営にいたり、その他勢力にいたりと、面倒な事になってるからなぁ〜。てか、『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』、『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』、『獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)』、『永遠の氷姫(アブソリュート・ディマイズ)』、『煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』、『黒刃の狗神(ケイニス・リュカオン)』以外は敵陣営だからなぁ。白龍皇に関しては今の所は絶対に倒すべき敵ではないから大丈夫で、……問題は吸血鬼側にある"聖杯"なんだけど―――まぁ、まだしばらくは大丈夫そうだからいいかな。完全には敵の手には落ちてないみたいだし。

 

俺が考え事をしていると、アザゼルが突然何かをひらめいたように立ち上がった。

 

……こういう時って大概、くだらないことを言い出すんだよね〜…、アザゼルって。

 

「あ!いま俺は現世の神滅具(ロンギヌス)所有者の共通点を見つけたぞ。――どいつもこいつも考えていることがまるでわからん!おっぱい脳に戦闘狂、妙な野望を持った自分勝手な奴らばかりだ!!これは あとでメモしてやるぞ、くそったれ!」

 

……うん、予想通りの展開だったよ。……でも、その考えは共感できるかも。なんせ、他の神滅具(ロンギヌス)所持者も似たようなものだから。所持者がわからない二つを除いた"全員"に会ってきた俺がいうんだからね!

 

アザゼルは続ける。

 

「それともうひとつ、共通点を見つけた。――神滅具(ロンギヌス)の使い方が従来通りじゃない。ほとんどの連中が歴代所有者とは違う面を探して力を高めてやがる。……現代っ子は俺たちの範疇はんちゅうを超えているのか……?いや、しかし……」

 

……あ〜、確かにその通りかもしれないなぁ。亜種化、危険を除いた進化に、訳の分からない状態。いままで見てきた神滅具(ロンギヌス)にはその現象が起きていたしね。

 

思考の中へと入り、帰ってきそうもないアザゼルを放って話を進めようとしたとき、ハッ!と何かに気づいて思考タイムを終えたアザゼル。

 

その何か――オーフィスと龍巳がこの部屋に戻ってきた。

 

『この階層を見て回る』

 

少し前、悠長に出かけていったオーフィスに心配で付いていっていた龍巳が、ようやく戻ってきたようだ。

 

「――で、具合はどうだ、オーフィス」

 

「弱まった。いまの我、全盛期の二天龍より二回り強い」

 

「それは……弱くなったな」

 

「……いやいや、封じられる前のドライグたちよりも二回りも強いんでしょ?それで弱くなったって……」

 

アザゼルの発言に突っ込んだイッセーだが、俺が手で口を閉ざした。

 

「……いい?イッセー。確かに君からしたら相当強い二天龍よりも二回り強いってのは全然弱くなったり感じないかもしれない。でもね? 本来の『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス』ならその数千倍くらい強いんだよ? 何たって"無限"を司っている龍神なのだから。確かに、オーフィスの隣にいる俺達の家族の龍巳が置いてきた力がもうひとりのオーフィスとなったけれども、元々"無限"を司るドラゴンだから、大した影響はないんだよ。

……それに君さ、この世には二天龍よりも遥かに凶暴で厄介な"邪竜"と呼ばれるドラゴン達がいるんだよ? それこそ、中には全盛期の二天龍すら苦戦する化け物な龍だっているんだらか。

そんな龍がいる中で、たった二天龍の二回り強い程度の力じゃかなり弱いんだよ。

ましてや、君は"無限"がどれほどの物か理解してないよ。ここまで力が弱くなってるって事は、いまのオーフィスは本来の"無限"から"有限"になってるって意味なんだよ? ここまで言えばそれがどれ程の自体か……君にもわかるだろう?」

 

そう言うと、イッセーは黙ってしまった。

 

でも、と俺は話を続ける。

 

「だからと言っても、完全に弱くなっただけじゃない。あくまでも"無限"じゃなくなっただけで、身体能力云々が弱くなったわけじゃない。やはり龍神は龍神。その力は神様や二天龍以下のドラゴンなら大した驚異ではないしね。」

 

「そういうことだから、あまり心配しないであげて」

 

すると、いつの間にか俺の隣にいた龍巳がオーフィスの頭を撫でながらそう言う。

 

「なあ、オーフィス。訊きたいことがあるんだ。なんで、あのときアーシアやイリナを助けてくれたんだ?」

 

…オーフィスはロビーについた直後に曹操が放ってきた複数の火炎の魔法に、壁となってイリナとアーシアを守っていたのだ。

 

オーフィスは一言だけ答えた。

 

「紅茶、くれた。トランプ、した」

 

「紅茶とトランプって、家でのことか?」

 

イッセーの言葉にオーフィスはうなずく。

 

「そ、それだけで?」

 

イッセーの問いにオーフィスはこくりこくりとうなずく。

 

「ありがとうございます、オーフィスさん!」

 

アーシアとイリナがオーフィスにお礼を言う。

 

オーフィスからの状態を聞いてアザゼルがあごに手をやる。

 

「……しかし、二天龍よりも二回り強いぐらいか。妙だな。曹操は絞りかすといまのオーフィスを蔑んでいたが、正直、これだけの力が残っていれば十分ともいえる」

 

オーフィスが無表情で挙手する。

 

「曹操、たぶん、気づいてない。我、サマエルに力取られる間に我の力、蛇にして別空間に逃がした。それ、さっき回収した。だからいまは二天龍よりも二回り強い」

 

オーフィスのその告白に龍巳以外の全員が度肝を抜かる。アザゼルが叫んだ。

 

「おまえ、この階層を見て回ってくるって出ていったのは別空間に逃がした自分の力を回収するためか!?」

 

オーフィスはこくりとうなずく。それを見てアザゼルは"ククク"……と含み笑いをしていた。

 

「曹操め、あいつはサマエルでオーフィスの力の大半を奪ったと言っていたが、オーフィスは力を奪われている間に自分の力を別の空間に逃がしていた。それをさっき回収して力をある程度回復させた。それが全盛期のドライグの二回りときたもんだ。オーフィスを舐め過ぎたな、英雄派」

 

アザゼルを尻目にオーフィスは指先に黒い蛇を出現させる。

 

「力、こうやって蛇に変えた。これ、別空間に送った。それ、回収した。でも、ここからは出られない。ここ、我捕らえる何かがある」

 

オーフィスの指先にある黒い蛇を見て、俺は軽くため息を吐く。

 

アザゼルは途端に笑いを止め、息を吐いた。

 

「ま、死神がここに来たってことは、ある程度オーフィスの抵抗を想定してのことだろう。それにいまのオーフィスは無限じゃない。有限だ。あちらはサマエル以外でオーフィス封じの策があるだろうさ。俺たちが依然として慎重になるのは当然だな」

 

アザゼルがルフェイに訊く。

 

「ルフェイ、おまえさんは金華と同様、空間に関する魔法に秀でていたな?どうにかして外に助けを呼ぶ術すべはないものか?もしくは少人数だけでもここから抜けださせることのできる方法とかよ」

 

「あることはあります。――ですが、金華さんが倒れたいま、私だけでは限界があります。私と共にこの空間を抜け出る魔法がありますが……共にこの場から離れられるのはお二人が限界だと思われます。一度、ヴァーリさまとフェンリルちゃんの入替転移をしたので、あれからここの結界は強固になっているでしょうから。入替転移をもう一度おこなうのもおそらく無理でしょう。ゲオルクさまはこちらの術式をある程度把握したと思われますので。とっておきの転移魔法をしたとしても、チャンスはあと一度だけです」

 

…脱出はできるね〜。でも、ルフェイを入れても三人でしょ? 見た感じチャンスは一度きりだし、かなり考えて人を選ばないと、俺達もその選んだ人達も大変なことになって、最悪全滅ってのもありえるしなぁ。……どうしよっか?

 

「なぁ、ちょっといいか?」

 

すると、光輝兄さんが手を上げてきた。その光輝兄さんへみんなの視線がいく。

 

「いま俺達は、相手さんの結界で動けない。いくら魔法が得意なルフェイちゃんでも1人じゃ限度があるし、相手側は前以上に結界を強固にさせ転移系の魔法及び能力が使えない。かなり悪い状況だ。

……でもさ、それはあくまでも"転移"での話であって――――それ以外ならいけるんじゃないのか?」

 

光輝兄さんの言葉に、俺を含めた結城家メンバーが納得した。他の人達は頭にクエッションマークが出ているようだ。

 

「言いたい事はわかった。……でも本当にいけるのか?」

 

レイジ兄さんが光輝兄さんに質問した。

 

「最初は俺も無理かと考えたが、"俺たちの力なら"って考えるとな……どうしても失敗する未来が見えなくてな」

 

光輝兄さんが苦笑しながらそう言ったので俺も考えるが…………うん。どの方法も失敗する気がしない。

 

俺は周りを見ると、レイジ兄さんも優子姉さんも苦笑していた。どうやら同じ考えのようだ。

 

「……まぁ、ここにいるメンバー。特にそこの男子三人組なら可能ね。この三人にとってはこの程度の状況なら何度も遭遇してるし。何よりも――家には"結界"のスペシャリストがいるからね」

 

優子姉さんがそういいながらこっちを見てきた。その視線につられ光輝兄さんにレイジ兄さん、そんでもって黒歌を除いた専属メイドメンバーも見てきた。

 

「あ、あはは……いやまぁ、確かに"この程度の結界"なら解除可能だよ? これ以上の結界や拘束系に殺られそうになった事があるからね。"結城家"兼"博麗"の巫女を舐めないでもらいたいね。」

 

俺は胸を張りながら言ったのだった。

 

俺の答えを聞いて、全員がため息を吐いた。

えぇ!?何故に!?

 

そんな俺をよそにアザゼルは結論を述べだす。

 

「……とにかく、結界をどうにかして破壊して共に脱出するしかない。それと死神は想像以上に危険だ。あの鎌に斬られるとマズイ。死神の鎌はダメージと共に生命力を刈り取る。生命力を回復中のイッセーが攻撃を受け続ければ、寿命が尽きて死ぬことになる。オーフィスだっていまは有限だ。鎌に斬られ続ければ弱ってしまうだろう。オーフィスは死守しなければならない。こいつの力をこれ以上他に流出させたら、問題はもっと肥大化する。特に相手があのハーデスならな」

 

……いまのイッセーたちの実力なら、死神に劣っているとは限らない。確かにランクにもよるけれど、それでもある程度の死神ならなんとかいけるかなぁ。最上級クラスが来たらオワタだけどね。

 

「かといって外に助けを呼びに行くメンバーは出したほうがいい」

 

アザゼルの視線がイリナを捉える。

 

「――イリナ、おまえだけは先に行け。行ってサーゼクスと天界に英雄派の真意とハーデスのクーデターを伝えろ」

 

「で、でも!先に出るのはレイヴェルさんのほうがいいと思います!!」

 

食い下がろうとするイリナにアザゼルは間髪入れずに告げる。

 

「レイヴェルは脱出できたとしても自分を優先しなくてもいいとさっき言ってきた。――俺たちのほうが基本的に不利だ。あいつらは確実にオーフィスと龍巳、ヴァーリとイッセー、そしてそこにいる光輝兄たち結城家メンバーを確実に葬りに来る。奴らにとって、龍神姉妹と二天龍、そして地球連邦軍の幹部陣は消しておきたいものなんだよ。こっちのオーフィスをハーデスに悪用されたら、この世界に何が起こるかわからん!!」

 

アザゼルの言葉にイリナは何か言いたげだったが、言葉を飲み込んでうなずいて了承した。

 

…仲間想いの強い子だけど、でも、自身の立場と役目を理解したみたいだ。

 

アザゼルはゼノヴィアに視線を向けた。

 

「護衛としてゼノヴィアも連れていけ。エクス・デュランダルの機能をやられてしまったが、デュランダル自体はまだなんとか使えるだろう。結界の外で英雄派の構成員か、死神が待機している可能性があるからな」

 

「……護衛か」

 

目を細めるゼノヴィア。

 

「護衛も立派な任務だ。――それに、そろそろ天界であれの研究がひとつの結論を出す頃だ。それも打診してこい。ついでにデュランダルの修理もな。そのこともあるからおまえを先に脱出させる。ここの戦いだけで終わりそうにないからな、さっさと直してこい」

 

アザゼルにそう言われ、ゼノヴィアは静かにうなずく。

 

ルフェイが転移魔方陣の術式を構築するため、別室へ移動していく。共に脱出するゼノヴィアとイリナの基本情報を組み込むため、一緒に別室移動となる。

 

この部屋を出る前、ルフェイがイリナに鞘に収まった剣一本を手渡した。

 

「こ、これは!」

 

驚くイリナにルフェイは微笑む。

 

イリナに渡した"それ"は、フェンリル戦でアーサー・ペンドラゴンが所有していた最後のエクスカリバー、『支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)』だ。

 

「これを持っていってください。兄から預かっていたものです。お渡しするタイミングがつかめずにいたのですが、良い機会だと思いましたので。私たちにとって、それはすでに用が済んだものなのです」

 

「いいのか?」

 

ゼノヴィアの言葉にルフェイはうなずく。

 

「フェンリルちゃんは手に入れました。制御するためにフェンリルちゃんの力はだいぶ下がってしまいましたが、それでもあれ以上の魔物はいません。――デュランダルの修理にエクスカリバーをすべて使われてもよろしいのではないでしょうか?」

 

イリナは深々と頭を下げる。

 

「……あ、ありがとうございます!ルフェイさん!英雄の血を引く方って、怖い人ばかりだと思ってましたけど、良い人もいるんですね!!」

 

「ふふふ、恐縮です。兄と共に変人とは言われますけど」

 

ルフェイはそう苦笑いし、イリナ、ゼノヴィアと共に脱出魔方陣の術式を組むため、別室へ移動していく。

 

すべてのエクスカリバーを統合させたエクス・デュランダルかぁ…。うわ〜…えらい事になりそう。いろんな意味で…。

 

アザゼルがひざを叩く。

 

「さて…と。リアス、光輝、それにツバサ。脱出作戦を構築するぞ。オーフィスを連れて全員生き残るのが目的だ」

 

「ええ、当然よね」

 

「そうだな」

 

「うん。当たり前だね」

 

俺を含めた策士四人は不敵に笑む。

 

――さぁ、作戦タイムの始まりだよ。




今回は爆睡してて予定日より二日遅れましたがなんとか投稿出来ました!

いや〜、最近ずっと病院で寝てましたから本当に日常辛い、面倒臭い。でも楽しい! 自由って素晴らしいですね〜。うんうん。


さてさてさ〜て、もうすぐで、原作でイッセーくんが大変な自体に陥る話ですね。そこまでに行くため頑張って急ピッチで進めなくては! うん。この自由な間に頑張りたい!

さて、皆様。また次回でお会いしましょう!

それでは、ばいばーいヾ(*´∀`*)ノ


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9話 ドキドキ♡!?死神殲滅作戦!大脱出!

みなさま、どうも、お待たせしました!! 約、3週間ぶりなのかな?……あれ? そうだっけ?

まぁいいや。今回遅れました理由は、今からちょうど三週間前……、そう。自分は専門学校の実習で長野県まで行ってたのですが、その実習中にスマホを落として大破させてしまい、新しく買ってから11ヵ月という短さの中、先代がお亡くなりになりました(´;ω;`)

てなわけで、まだ一年間たってなかったので、同じ機種と色ですが、新たなスマホが無料で交換出来るので交換してきました。1週間前にやっと届きました(歓喜)

パソコンの調子も物凄く悪いままなので、スマホ復活は本当に嬉しいのですよ!!。゚(゚´▽`゚)゚。<コレデインターネットガツカエルゾ!!

……ですが、何故かしたはずのバックアップデータが1部無くて、少し不便なスマホになっちゃいました。……そのかわり、物凄く軽くなってるけど。

……ただ、ある時、このサイトを開こうとしてログインしようとすると〜……

『エラーが出ました。ログイン出来ません』

「なん……だと……!?」

何故か、ログインが出来なかったんです。マジでどうしようもなくて、父親が誕生日に何故かくれた別の機種で、新たにもう一つのデータを作り、そこでしばらく投稿の為の話を作っていました。
ついでに、そこ用の新たな作品を作っていたのですが、つい先日、今のデータのログインがやっと成功したので、もう一つのログインデータは消去し、そこで溜めていた3週間分の話を投稿して行きます! 投稿の数的に連日投稿となると思います!

それではどうぞ、ゆっくりしていってね!


ホテルの一室の窓から外を見下ろす。

 

「……ふぅ。随分と物騒な武器を持って漆黒のローブを着た不気味な雰囲気の輩が多数こちらを見上げているな。」

 

隣で光輝兄さんがそうつぶやいた。

 

それに、…全身を駆けめぐっていく、凍えるようなあのおぞましさ。この感覚――久しぶりに感じる。

 

死神(グリ・ムリッパー)ねぇ……あの冥府神ハーデスがけしかけてきた奴らなんだよねぇ…。面倒だな…。

 

「……たく。あの骸骨じじぃ、もしも、俺の家族、それに友人たちに何かあったら…そのときは消し去ってやる。」

 

『その時は私も力になるわ。存分に暴れましょう』

 

俺はハーデスの越権行為に、冷静なまま怒りのボルテージを上げていた。ルーツも同じ気持ちのようだ。

 

ゲオルクによって創られた疑似空間を脱出するには三つの方法しかない…いまのところはね。

 

アザゼルがその説明くれる。

 

「三つの方法とは、ひとつ、術者――ゲオルクが自ら空間を解除すること。これは京都での戦闘が例だ。ふたつ、強制的に出入りする。これはルフェイや初代孫悟空と玉龍(ウーロン)がやってのけたことだ。さっきも説明したが、こいつは相当な術者でなければ不可能。ルフェイの場合は現状一度が限界で連れて行けるメンバーも限られる。ルフェイの術での三度目の出入りは無理だ。――ゲオルクが結界を更に強固にするだろうな」

 

…そう、たった一度だけの脱出には人数が限られる。

 

「最後は単純明快。術者を倒すか、この結界を支えている中心点を破壊することだ。アーシアが捕らえられたときイッセーが結界装置を破壊したが、あのように結界の中心となっている装置を壊す」

 

実は……この三つの他以外に脱出方法はまだ二つある。

 

一つは、光輝兄さんの馬鹿げた力でこの結界空間を破壊すること。ただ、デメリットとして、強制的に破壊するので、破壊した後の保証は出来ないので、とてもリスクが高く却下。

 

二つ目は、俺の能力でコピーしていた、八雲紫さんの『境界を操る程度の能力』で、スキマを作り難なく脱出だ。1番早く安全で安心なのだが……

 

光輝兄さんいわく、『それじゃ面白くないので却下』

らしい。なんでだよ……。

 

…まぁ、終わったそれは置いといてだ。いまからやる作戦は本当に、単純明快な方法なんだよ。…ただ、単純でシンプルなほど難易度が上がりやすいってのも考えものだね。

 

ここの装置については、すでにルフェイと金華たちが魔法や仙術で探りを入れていた。

 

部屋の床に紙に描かれているホテルの見取り図を置く。そこに駒となるもの……紙で折った鶴を複数置いて、外部に『目』を作りだす。なんか、紫さんの『スキマ』みたいに目がぎょろぎょろとしてないからいいけど、それでもちょっと不気味だなぁ

 

瞑目するルフェイが手を見取り図に向けると、鶴がカタカタとポル的な動きをしだす。魔術文字が光り、灰が独りでに動きだして何かの紋様を描いていく…。

 

ルフェイが言う。

 

「駐車場にひとつ、ホテルの屋上にひとつ、ホテル内部の二階ホール会場にもひとつ、計三つの結界装置が確認できました。それらは蛇……いえ、尾を口にくわえたウロボロスの形の像です」

 

ルフェイが紙に描いた像のデザインをアザゼルが受け取る。

 

アザゼルが言う。

 

「壊すべき結界装置はウロボロスの像か。しかも三つ。相当大がかりだな。この空間はオーフィスを留めるためだけに作られた特別な専用フィールドってことだ。本来のオーフィスなら問題はなかった。力が削がれたオーフィスを封じる前提で結界空間を作ったんだろうな。それでルフェイ、装置の首尾はどうだ?死神の数はさっき調べたときより増えているか?」

 

「はい、総督。どの結界装置にも死神の方々が集結しています。というか、すでにこの階以外の場所には廊下にまでその方々がいらっしゃってて……。駐車場が一番敵が多いです。曹操さまはこの空間からすでに離れてますが、代わりにジークフリートさまがいらっしゃってますし、ゲオルクさまも当然駐車場にいらっしゃいますね」

 

「駐車場にある装置は、三つある装置のなかで一番の機能を発揮しているんだろう。それをすぐに壊せればいいんだが……」

 

リアスがアザゼルに言う。

 

「アザゼル、先ほど話した作戦通りに行きましょう」

 

リアスの提案にアザゼルもうなずく。

 

「ああ、ったく、えらい方法を考えるもんだぜ、おまえもよ。イッセー、おまえの惚れた女は誰よりもおまえを理解しているようだぜ?」

 

アザゼルが苦笑しながら言う。俺もその作戦のことは知っているので、つい苦笑してしまった。

 

訝しげに思っているイッセーに朱乃が耳打ちする。

 

「実は――」

 

内容を聴いているイッセーの目が丸くなる。

 

「とんでもないこと考えたもんスね!!」

 

尊敬の眼差しをリアスに送るイッセー。アザゼルがイッセーの肩に手を置く。

 

「まあ、確かにすごいんだが、リアスはおまえに夢中だから思いついた作戦だぞ?ソーナの戦術とはまた違う方向だ」

 

しばらく、イッセーとアザゼルが2人で話しているのをみんなは見守っていた。

 

「あぁ、作戦決行だ!おまえら!!」

 

どうやら、作戦会議は終わったのか、アザゼルが気合を入れて叫ぶ。それに続いて皆が気合を入れていく。

 

「「さぁ、ドキドキ♡!?死神殲滅作戦!大脱出!――始動だ!」」

 

……光輝兄さんとアザゼルの作戦名にみんなズッコケる。

 

ま、全く。どんな作戦名だよ……。だが、まぁ、これでみんなの肩の力が取れたようだな。

 

こうして、俺たちの脱出作戦は幕を開ける――。

 

         

 

ホテル内、ルフェイの結界に覆われた階層――その廊下の一角に俺とイッセーは立っていた。

 

イッセーの横には猫耳モードの白音。瞑目状態で床に正座をしている。

 

その近くの部屋にはルフェイとイリナ、ゼノヴィアの姿がある。脱出用魔方陣の準備をしている最中だ。

 

扉は解放していて、その部屋の窓際には他の作戦メンバーが集結している。いまだに体力の回復していない金華が黒歌に肩を貸してもらっていた。あと、解呪しきっていない状態のヴァーリもそこの部屋にいる。

 

作戦を立てた部屋から移動し、窓から駐車場の様子が一番広く見下ろせる部屋に集まった。

 

この階層を囲んでいるルフェイの結界はあまり長くはもたない。すでに非常階段のところで死神が結界を壊している。まぁ、たとえここまで来ても、俺達が食い止める気でいるけどね。

 

イッセーは素早く禁手(バランス・ブレイカー)となり、赤い鎧を身にまとう。あとはルフェイの魔方陣ができあがりしだい、作戦を決行する。

 

目を閉じて、探っていた白音が立ち上がる。天井の一角と床の一点を指し示す。

 

「……イッセー先輩、そことそこです」

 

「了解だ」

 

うなずくイッセー。それを確認すると白音は部屋に入っていこうとしていた。

 

イッセーは白音の手を引き、言う。

 

「白音ちゃん、金華は悪い奴だと俺も思う。仙術に魅入られて力を求めているのもわかる。テロリストに身を置いているアイツが善良なわけがない。――けどね」

 

金華のほうに視線を向けるイッセー。金華は気づいてはいない。

 

「やっぱり、白音ちゃんのお姉さんなんだと思うよ。野良猫でイタズラ好きで悪い女だけどさ、白音ちゃんの肉親なんだ」

 

「……金華姉さまのせいで私は辛い目に遭いました」

 

……まぁ、たしかに白音と黒歌は金華が「はぐれ」となってしまったせいで、金華の罪を浴びて、大怪我までしていたらしいしね。全部、黒歌の証言だけど。

 

「……金華姉さまを恨んでいます。……嫌いです。――でも、私をさっき助けてくれました」

 

白音は強い眼差しでイッセーに言う。

 

「いまだけは信じようと思います。少なくともここを抜け出るまでは」

 

どうやら、白音の気持ちは充分なようだね。黒歌も金華のことはあまり良くは思っていなかったが、いま金華に肩を貸して共に立っている。

 

「――それで十分だ。もし、これからも金華に何か変なことされそうになったら俺に言ってくれ。こらしめてやるからさ」

 

イッセーがそう言って白音の頭をなでる。白音は恥ずかしそうだ。

 

さて……そんなほのぼのとした空間もそろそろ終りそうかな?

 

「――術式、組み終わりました」

 

そうこうしているうちにルフェイが転移魔方陣の完成を告げてきた。

 

――うん。ほのぼの終わったみたいだね。

 

ルフェイ、イリナ、ゼノヴィアの足下に円形の光が走り、魔方陣が展開していく。

 

魔術文字により生まれた転移魔方陣。これで三人は外に出られる。兄さんの『面白くないから却下』発言がなきゃ、今すぐにでも全員脱出出来たんだけど……

 

索敵していた白音も窓際に移動し、作戦が開始される。

 

「『龍牙の僧侶(ウェルシュ・ブラスター・ビショップ)』にプロモーション!!」

 

『Change(チェンジ) Fang(ファング) Blast(ブラスト)!!!!』

 

イッセーは魔力特化形態になる。リアスさの作戦通りに左右のキャノン砲口を上下にそれぞれ向ける。

 

『Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

『Explosion(エクスプロージョン)!!』

 

イッセーは倍加させた力を光輝兄さんに渡した。

 

…そう、光輝兄さんが提案した作戦の一つで、「イッセーと俺の高火力で死神を一気に屠り去ろうぜ大作戦 By光輝」というものを開始早々実行した。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ……

 

結構な威力だった為か、襲撃に来ていた死神の3分の1が消し飛んでいる。

 

「――行きます!」

 

イッセーは皆に向かって叫ぶ。

 

……この作戦は当たりだと俺は思っている。不意打ちで装置を破壊すれば、死神たちも手はだせないし、死神ごと吹き飛ばせる。

……と思っていたんだけど。装置どころか、一部分、空間すら消滅するってどんな威力なの?

 

「さあ、いこうぜ、ドライグ!!当てるべくは結界の装置とその周囲にいる死神だ!一気にぶっ壊していくぞ!!!」

 

イッセーがドライグと意志を合わせて気合を入れた。

 

ドゥゥゥゥゥゥ……ッ。

 

イッセー背中にあるバックパックが静かに鳴動していく。砲身に強大なオーラが溜まっていく…。

 

「いっけぇぇぇぇぇぇっぇえええええええっ!!ドラゴンブラスタァァァァァァッ!!!」

 

ズオオオォォォォォォォオオオオッ!!

 

左右のキャノンから膨大な赤いオーラが発射されていく。

 

砲撃が終わったのを確認して、俺は上下に視線を配る。

 

――天井と床に大きな穴ができていた。

 

わ〜……イッセーも、光輝兄さんに近い程の一点集中の威力が高いなぁ〜。

 

そんな呑気な思考でいると、瞑目していたルフェイが告げる。

 

「屋上とホールに設置されていた結界装置が破壊されました!周囲にいた死神の方々ごとです!!これで残るは駐車場のひとつだけ!――転移の準備も完全に整いました!!」

 

刹那、転移の魔方陣も輝きを増して、ルフェイたちを包み込んでいく。

 

「ゼノヴィア!イリナ!頼むぞ!!」

 

イッセーが転移していく二人にそう告げた。

 

「イッセー!死ぬなよ!!」

 

「必ずこのことを天界と魔王さまに伝えてくるから!」

 

それだけを言い残して二人はこの空間から消えていった。…ふむ、脱出は無事成功したようだね。

 

「よし!これであとはあいつらをぶっ倒して装置も破壊すればしまいだ!!いくぞ、おまえらっ!!!」

 

アザゼルが光の槍を薙いで部屋の大きな窓を破壊する。

 

『はいっ!』

 

呼応する皆を背に俺は射命丸文に変身して、神速で屋上へと浮上した。

 

たどり着くと、そこは完全に瓦礫の山状態だ。やっぱり一部分だけ存在そのものが消滅してるけど……

 

すると、消滅していなかったところで、ぶっ倒れている死神が起きだしてくきた。…はぁ。大人しく倒れていればいいものを。

 

そう思いながら俺は、手に持った愛刀の『村雨』で容赦なく反応できていない死神たちを神速で斬り払っていく。

 

俺は上空で地に落ちていく死神たちの様子を見ていたが――突如、懐に飛び込んできた人影があり、得物の大鎌で斬りつけてこようとしたが、軌道は読めていたので難なく躱した。

 

その死神は高速で移動して、高速の斬撃を連発してくる!

 

「(むむむ? 案外やりますね。これは……どれだけ低く見積もっても上級死神。その上位クラスといったところですね。でも、それでも相手は全力をまったく出していないところを考えると、おそらく"最上級死神"クラスと言ったところですか)」

 

しばらく、相手の攻撃を否しながら俺は考え事をしていた。そして、相手が大ぶりの攻撃をしてきたので、振りかぶってくるその瞬間に、村雨の一振りを居合切りの要領で振りかぶって大鎌にぶつけた。

 

ギィィィィン!!

 

金属音が鳴り響く。ぎちぎちと火花を散らせながら、押してくる死神。……と思われたがそこは、伝説の妖刀が一本"村雨"。相手の大鎌を根本から切り裂いた。

 

相手はフードを被っていて口元しかわからないが、かなり驚いて、慌てて俺から距離をとった。

 

……それにしても、力強かったなぁ。さすが死神の最上級クラスといったところかな?……ほんと、こんな小さな体のどこに力があるんだろう? まぁ、幻想郷には、小さいのに馬鹿げた力を持った妖怪さん達なんて、普通にいるから今更かな。

 

ドッゴォォォォオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

すると、離れた場所から、けたたましい快音と爆音が聞こえてきた。

 

俺はその瞬間に驚いて体勢を崩した死神に向けて神速で近づき刀を薙いだ。しかし、いまの俺に近い速さと力を持った死神だ。俺の薙いだ刀をスレスレで回避して、また離れて体勢を立て直している。

 

だが、先程とは違い少しかすったのか、フードの端に切れ込みが入っていた。

 

しばらく、静寂な空気が流れるが、また今度は違う遠くの場所で爆発音が聞こえ、それが合図になり、俺と死神は同時に動き出した。

 

ほんの数秒で移動した直後に鋭角で薙ぎってくるいつの間にか修復していた大鎌。俺は予想していたので難なく刀で防ぎはじき返す。

 

しかし、はじき返した直後に、また振られてきた大鎌!…どんだけいい動体視力と反射神経持ってんだろ?この小さな死神さんはっ。といっても白音と同じサイズだけどね!

 

俺は薙ぎってきた大鎌を小さな動作だけで避けて、死神の後方へ瞬間移動し、身体を弾き飛ばしてめり込ませた。

 

壁にめり込んでいる死神の所へ近づき、死神に忠告する。

 

「いま、お前を弾き飛ばした際に、結界札をはらせてもらった。その札には"退魔の印"を書いているため、君たち"魔"の者に、絶対な力をふるうよ。悪魔が聖なる光で焼かれるみたいにね。かなりの激痛がともなうから、それ以上動かない方がいい。でないと……死ぬよ?」

 

俺が脅しを込めて忠告するが、小さな死神はそれを無視して腕を動かした。

 

パシッと音がして、ローブの袖に切れ目が入った。そこから赤い血が滴りだす。更に、動いたためか、身体に張り付いた無数の札から煙がシューシューといって上がっている

 

「だから、やめなさい…ってあれ?」

 

俺は目の前の光景に疑問を感じた。

 

――あれ?なんで、死神なのに…赤い血を流しているの?

 

しばらく考えて……ある結論にいたった。

 

「…ま、まさか、おまえ」

 

俺は抵抗しようにも抵抗できない小さな死神のフードを取り払った。

 

そこにあったのは――。

 

「はは、嘘でしょ?……」

 

紫色の短い髪が生えていた……いや、正確には『骸骨の仮面を被っている』のだ。

 

普通の死神であれば基本、顔を隠す必要が無い。たまに仮面をしている奴も入るが、基本それはないのだ。理由は知らないけど。

 

それと、赤い血以外にも、"魔の者"に絶対的な効果がある俺の"退魔の札"がいまだシューシューといっているが、いままで見てきたやつと違い煙と音の量が少ない。これは普通有り得ない事だ。……これらから考えられる事は、ただ、一つ…

 

俺はその骸骨の仮面を取る。すると、そこには金色の双眸で俺を睨みつけている少女がいた

 

《……くっ!》

 

歯がゆいらしいその少女は、口を『へ』の字にしてそう漏らしていた。

 

「…………」

 

俺は無言で"印"を結び、死神少女に張り付いていた札が、パラパラと剥がれていった。

 

その行動に目を丸くしている死神少女。

 

「…俺はあくまで『テロリスト』をさばいているだけだ。敵対意識のないものは殺しはしない…いますぐにここから離脱しろ」

 

死神少女はそのつり目を瞬かせて驚いていた。

 

《…なぜ、私の心の中がわかったの?》

 

「俺は目を見るだけで他者の心が読めるからね。ただ、それだけだよ。ほら、そんな事よりさっさと戦場から離れなさいな。……それとも、死にたいのかい?」

 

実はサトリさんの能力で心の中を覗いただけだが……

 

俺がそう言うと、死神少女は札の取れた身体を動かし、静かに腰を上げた。

 

《私の負けだ。いさぎよく帰るよ》

 

そう言って死神少女は180度ターンした。

 

「…そのまえに、右腕を貸してくれる? その怪我を放っておくと危ないからね。ヘタしたら、退魔作用で腐り落ちてしまう可能性もあるから」

 

言うやいなや、俺は死神少女の右腕をそっと握って回復魔法『ホイミ』と体に"退魔の毒素浄化"の印を傷口に唱えた。

 

《………っ!》

 

驚いているようで目を丸くしている死神少女。俺は気にせずに治癒を終わらせた。

 

「傷口、それに体内に侵食していた退魔の毒素は治癒しておいたよ。ついでにその大鎌も砕かれる前の状態に戻しておいたから。」

 

実は、この死神少女を弾き飛ばした際に、ついでに大鎌も粉々に粉砕していたのだ。それを時戻しで戻しておいた。

 

死神にとって、その大鎌は相棒と変わらないもの……だと思いたい。少なくても心の中では大事にしている様ではあるから、直しといたけど…。まぁ、どちらにしよ、振ることができなければ身を守ることさえできなさそうだからね…この死神少女は。

 

なんか…こう……天然というか、おっちょこちょいというか、"記憶"と心の中の"記録"を見た感じでは、俺はそう感じたね。うん。

 

《……借りを作ったな。戦場では名を名乗る…だったか?》

 

何かを盛大に勘違いしている死神少女。……戦場では別に名乗らなくていいんだけどなぁ…。多分、それは騎士の間での話だよ。

 

《私の名はアーシュラ。あなたは?》

 

「…俺の名は結城翼だよ」

 

《ユーキ…ツバサ…うむ、覚えておく…その名を》

 

そう言うと、死神少女"アーシュラ"は足元に魔方陣を描くと、スポッという感じで落ちていった…。

 

「…………(スキマみたい…)」

 

俺はアーシュラが落ちていった時、それが"スキマ"に見えてしまったのは目がおかしくなったのだろうと、思っていたのだった。

 

「ツバサ、終わったか?」

 

すると、光輝兄さんが走りながらこっちに来た。

 

「光輝、ツバサ、こっちはひとまず殲滅したぞ」

 

レイジ兄さんも光輝兄さんとは別の方向から来て俺の隣に立った。

 

「うん。まぁ。……さて、皆の援護射撃とでもしますか」

 

俺と光輝兄さんとレイジ兄さんの3人は屋上のふちに立つ。

 

「さて、早速だが、まるでGの如くウヨウヨと群がっている死神共に天誅を下すとするか」

 

突然、光輝兄さんがそんな事を言ってくる。

 

「天誅って……まぁ、1番高いビルにいて、こうして下と周りを見ればわからないなくもないけど……天誅はないでしょ天誅は。せめて殲滅――」

 

「いや、それもおかしいからな!?ツバサ! てか、2人ともおかしいだろ! 結局全滅してんじゃねぇか!?」

 

光輝兄さんと俺にツッコミを入れてくるレイジ兄さん。

 

「でも、結局はひとり残らずせんm―コホン。全滅させるのだから変わらないじゃないか。」

 

「だから言い返せてないぞ!? ……はぁ。いまはこんな巫山戯てる暇はないんだ。結局は全員倒すんだったら早くするぞ」

 

「おう」「だね」

 

レイジ兄さんの言葉に返事をする、俺と光輝兄さん。

 

「さぁ〜て、人暴れと行きましょうか!!」

 

そう言った光輝兄さんは、両手を腰に添えて手のひらの間で青いエネルギー球を溜め始めた。

 

「雪姫。俺達もいくぞ!」

 

『ああ! いいぞ、レイジ!』

 

すると、レイジ兄さんの持ってる刀。雪姫の刀身がシュパッと音がして開き、開いた場所から青白い光が漏れていた。

 

「そんじゃ〜俺も〜」

 

俺は村雨を天にかかげて呪文を唱える。すると、俺の上空に黒い雷雲がゴロゴロとなりながら青白い雷が迸っていた。

「全員――てーーーー!!!」

 

光輝兄さんの叫び声と共に3人同時に動き出した!

 

「波動殲滅光線!!!」

 

ズゴォォォォォォ!!!

 

光輝兄さんの両手から青白く迸る光線が死神たちを直線上に焼き払い……

 

「零式奥義、雪時雨!!」

 

青き冷気を纏った鋭い氷柱が、まるで時雨の如く相手に降り注いだ。

 

「剣戟秘奥義。ギガ――」

 

ゴロゴロ……ピシャーーン!!

 

俺の手に持つ村雨に青き稲妻が刀身に落ちてきて、刀身が雷を纏った!

 

「スラッシュゥゥゥゥゥ!!!」

 

青白く光る稲妻の刃が敵を切り裂き薙ぎ払う!

 

ズガガガガガガガガガガガガン!!!

 

……先程まで、黒いローブの死神たちがウヨウヨとあちこちにいたのに、目視だけでも、先ほどの俺達の攻撃で半分以上も倒したことが確認できた。

 

「突破口はできた!俺達も前線に行くぞ! いまのこの流れを変えられる前に、決着をつける!!」

 

「「おう! 了解!」」

 

俺たち三人は群がる死神の大群に向けて空中に飛び出したのだった――。

 




さてさて! 連日投稿頑張るか!……電波が死ぬほど悪いけどね!!(´;ω;`)



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10話 決着……そして―――

さて、今回でこの章は最後になります! 次からは、新しい章ですね!


それではどうぞ、ゆっくりしていってね♪


ビルの最上階から降り立った俺達は、ひたすら出てくる死神(グリムリッパー)達をひたすら狩っていた。

 

あんまりにも減らないもので、俺の鬱憤は頂点まで溜まっていた。

 

「―――だぁぁぁ!!!!もぉぉぉ!!!めんどくさい!!! 貴様ら湧き出すぎだ! Gなのか!? 貴様らは誰もが嫌う黒光りするあヤツなのか!? いい加減くたばれやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

「ちょ、つ、つーくん? 落ち着け!? キャラが壊れてる! と言うより可愛い顔が物凄いことになってるから!? 本当にマジで落ち着け!!」

 

俺が怒鳴り散らしながら死神(グリムリッパー)達を斬り伏せたり、焼き尽くしたりしながら進んでいると、光輝兄さんから声がかかり、後ろから羽交い締めをされた。

 

「フーー!!! フーー!!! フゥーーー!!!」

 

「どうどう。落ち着け、本当にマジで落ち着いてください。こっちまで被害来てるから……」

 

その後、どうにか落ち着いた俺はひたすら死神(グリムリッパー)を狩りながら、イッセー達のいる反対側へ着くと、そこに広がっていた光景は、荒廃しきったフィールドだった。

 

こちらの陣営は三十階の部屋にいる者、戦闘に出ている者の全員が生存している。

 

対してテロリスト側は、背の龍の腕を一本斬り落とされているジークフリート、ゲオルク、倒してきた死神ども以上にプレッシャーを放っている死神のみが残っていた。

 

「さて、ジークフリート、ゲオルク、チェックメイトだ」

 

光の槍の切っ先を奴らに向けるアザゼル。

 

……俺たち三人も参戦したことによって、戦況は見るからにこちら側が有利だろう。

 

――戦況だけを見るならね

 

「……相変わらずバカげた攻撃力だな」

 

そう言いながら、肩で息をするゲオルク。

 

駐車場の結界装置は健在している。あれだけの大規模な激戦のなかでも装置は壊れていなかったようだ。――だ、ゲオルクも守備に全力を費やしていたせいなのだろう、息切れしている。そして、装置を覆う結界も歪みだしていた。

 

――その時だった。

 

バチッ!バジッ!!

 

ここの空間に快音が鳴り響きだす。音のするほうを見上げれば、ここの空間に歪みが生じ、穴が空きつつあった。

 

俺は出現した気配に表情を訝しめた。

 

次元に穴を空けて侵入してきたのは軽鎧(ライト・アーマー)にマントという出いで立ちの男が一人――。

 

そいつは俺たちとジークフリートたちの間に降り立つ。

 

「久しいな、赤龍帝。――それとヴァーリ」

 

イッセーを睨めつけ、護衛――ホテル上階の窓際にいるヴァーリも睨めつけた。まるで、俺たちは眼中にないように…。

 

アザゼルが目を細める。

 

「シャルバ……ベルゼブブ。旧魔王派のトップか」

 

…やっぱり生きてたんだ。あの神殿で暴走したイッセーに葬られたと思っていたけど……。あの後の調べで色々と不自然があったからね。

 

ジークフリートが一歩前に出る。

 

「……シャルバ、報告は受けていたけど、まさか、本当に独断で動いているとはね」

 

「やあ、ジークフリート。貴公らには色々と世話になった。礼を言おう。おかげで傷も癒えた。……オーフィスの『蛇』を失い、多少パワーダウンしてしまったがね」

 

「それで、ここに来た理由は?」

 

「なーに、宣戦布告をと思ってね」

 

大胆不敵にそう言うシャルバ。……嫌な予感しかしない。

 

シャルバが醜悪な笑みを浮かべてマントを翻すと――そこから一人の少年が姿を現す。少年の瞳は陰り、操られている様子だ。

 

俺はその少年を思い出す。――京都でアンチモンスターを生みだした『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』の所有者か!

 

――瞬間、その少年を見てジークフリートとゲオルクが驚愕していた。

 

「……レオナルド!」

 

「シャルバ、その子をなぜここに連れてきている?いや、なぜ貴様と一緒にいるのだ!?レオナルドは別作戦に当たっていたはずだ!連れ出してきたのか!?」

 

面食らっている二人にシャルバは大胆不敵に言った。

 

「少しばかり協力してもらおうと思ったのだよ。――こんな風にね!!」

 

ブゥゥゥンッ!!

 

シャルバが手元に禍々しいオーラの小型魔方陣を展開する――少年…レオナルドの体にそれを近づける。魔方陣の悪魔文字が高速で動く。突然、少年が叫びだした!!

 

「うわぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああっ!」

 

絶叫を張り上げ、苦悶の表情を浮かべる。

 

同時に少年の影が広がっていき、フィールド全体を覆うほどの規模となっていく…。

 

その場で空中に浮き始めたシャルバが哄笑をあげる。

 

「ふはははははははっ!!『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』とはとても素晴らしく、理想的な能力だ!しかも彼はアンチモンスターを作るのに特化していると言うではないか!!英雄派の行動を調べ、人間界で別動隊と共に動いていた彼を拉致してきたのだよ!別動隊の英雄派構成員に多少抵抗されたので殺してしまったがね!それでは作ってもらおうか!!現悪魔どもを滅ぼせるだけの怪物をッ!!!」

 

ズオォォォォォォ……。

 

少年の影から嫌な気配を持つものが生みだされていく…。影を大きく波立たせ、巨大なものが頭部から姿を現していく――。

 

…規格外の頭部。巨大すぎる胴体。太すぎる腕。それらを支える圧倒的な脚。

 

フィールドを埋め尽くすほどに広がった少年の影から生みだされたのは――。

 

『ゴガァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!』

 

鼓膜が破れそうなほどの声量で咆哮を上げる――超巨大なモンスターだ。

 

二百メートルを超えるほどの魔獣。しかも、同等の大きさの奴がもう一体並んでいるし……。

 

さらにそいつらよりサイズが一回り小さい巨大なモンスターも何体か影から生みだされていく。

 

――百メートルを超えているモンスターを創りだした!!

 

ブゥゥゥゥンッ!!

 

その巨大な怪物どもの足元に巨大な魔方陣が出現する

 

シャルバが哄笑しながら叫ぶ。

 

「フハハハハハハッ!いまからこの魔獣たちを冥界に転移させて、暴れてもらう予定なのだよ!これだけの規模のアンチモンスターだ、さぞかし冥界の悪魔を滅ぼしてくれるだろう!!」

 

魔方陣が輝き、その巨大なモンスターどもが転移の光に包まれていく!!

 

「とめろォォォォッ!」

 

アザゼルの指示のもと、イッセーたちは巨大なモンスターに攻撃を放つ――。しかし、その攻撃ではびくともしなかった。

 

「行かせると思うな!!」

 

そう判断した瞬間、俺は神速で一番手前の百メートル級の巨大なモンスターに接近して、突きを弾丸のように放った。

 

「牙突・空式!!!」

 

ドシュ!?と身体を貫通して通り抜ける。……だが、牙突で空いたその穴は、塞がることがなく空いたまま…。

 

「ツバサっ!!」

 

俺は光輝兄さんの叫び声に初めて気づく。――そう、巨大なヤツの腕が横から薙ぎ払うようにこちらに来ていた。

 

「―――っ!?」

 

 

反射的に身体を捻り、空中を壁を蹴るように飛ぶ。俺の真下をその巨体に似合わない神速で抜けていったヤツの右手には、死神の死体と思われし赤い血が付いていた。

 

……おそらく、先程の戦闘で逃げ遅れたのが巻き添えを食らったのだろう。

 

「覇王一閃!!」

 

ドオォォォォオオン!!

 

破壊音と共に巨大なモンスターが、その巨体を後方へ5mほどぶっ飛んだ!!

 

「ツバサ! いけーーー!!!」

 

俺は、光輝兄さんの声に応え、素早く印を結ぶ。

 

「結城流・黒炎火葬」

 

『ガァァァァァァァァアアアアアッ!!』

 

咆哮を上げながら、全身を黒い焔で覆われて動かなくなった巨大なモンスター。

 

徐々に炎が消えていき、そこに残ったのは、……ただの黒い灰と円上に焼け焦げた場所だけだった。

 

―――――――――――――――――――――――

 

しばらく敵を屠っていたのだが、全部を倒しきれず、残りの巨大なモンスターどもはすべて転移型魔方陣の光のなかに消えていってしまった…。

 

「炎龍の咆哮!!」

 

ゴォォォォオオオッ!!

 

俺が、口から放った炎が、相手を焼き尽くさんばかりに、動かなくなったモンスターの魔方陣ごとその巨体を包み込んで焼失させた。

 

グオォォォォォォン……。

 

フィールドも不穏な音を立て始めた。白い空に断裂が走り、ホテルなどの建造物も崩壊していっている…。

 

ゲオルクがジークフリートに叫ぶ。

 

「装置がもう保たん!シャルバめ、所有者のキャパシティを超える無理な能力発現をさせたのか!!」

 

「……仕方ない、頃合いかな。レオナルドを回収して一旦退こうか。プルート、あなたも――」

 

ジークフリートはそこまで言いかけて、すでに姿をくらませていた死神に気づいた。

 

それを知り、ジークフリートは得心したようだ。

 

「……そうか、シャルバに影で協力したのは……。あの骸骨神の考えそうなことだよ。嫌がらせのためなら、手段を選ばずというわけだね。魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)の強制的な禁手(バランス・ブレイカー)の方法もシャルバに教えたのか……?あんな一瞬だけの雑な禁手(バランス・ブレイカー)だなんてどれほどの犠牲と悪影響が出るかわかったものではない。僕たちはゆっくりとレオナルドの力を高めようとしていたのにね……。これでは、この子は……」

 

それだけを漏らして、ジークフリートとゲオルクは気絶した少年を回収する。そのままフィールドから霧と共に消えていったのだった…。

 

ドォォォンッ!ドォォォンッ!

 

今度はホテルのほうから爆音が鳴り響いてきた。

 

見上げれば、シャルバが後衛のメンバーに攻撃を加えているところだ。

 

「どうしどうした!ヴァーリィィィィィィッ!!ご自慢の魔力と!白龍皇の力は!!どうしたというのだァァァァァッ!!!フハハハハハハッ!所詮、人と混じった雑種ふぜいが、真の魔王に勝てる道理が無いッ!!」

 

シャルバが――ヴァーリを攻撃していた。防戦一方のヴァーリだが俺が戦闘に出る前に、俺のお手製の防御の印を書いてある札を5枚ほど渡していたので、本来の白龍皇の鎧と防御札の力が重なって防御力を増させているために、シャルバの攻撃は通っていなかった。

 

「……他者の力を借りてまで魔王を語るあなたには言われたくはないわ」

 

「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!最後に勝てばいいのだよ!!さて、私が欲しいのはまだあるのだ!!!」

 

オーフィスのほうに手を突きだすシャルバ。オーフィスの体に悪魔文字を表現した螺旋状の魔力が浮かび、縄のように絡みつく!

 

「ほう!情報通りだ!!いまのオーフィスは力が不安定であり、いまの私でも捕らえやすいと!このオーフィスは真なる魔王の協力者への土産だ!!私に再び『蛇』も与えてもらおうか!いただいていくぞ!!」

 

「させるかよッ!」

 

『JET(ジェット)!』

 

イッセーがドラゴンの翼を広げて、一気にシャルバへと詰め寄る。

 

シャルバは醜悪な笑みを浮かべて言い放つ。

 

「呪いだ!これは呪いなのだ!!私自身が毒となって、冥界を覆い尽くしてやる……ッ!私を拒絶した悪魔なぞ!冥界なぞ、もはや用なしだッ!!もうどうでもいいのだよッ!そう、冥界の覇権も支配もすでにどうでもいい!!フハハハハハッ!!!このシャルバ・ベルゼブブ、最後の力を持って、魔獣たちと共にこの冥界を滅ぼす!!」

 

狂喜に包まれた表情のシャルバ。シャルバはイッセーに指を突きつける。

 

「……そうだな、貴殿が大切にしている冥界の子供も我が呪い――魔獣どもによって全滅だよ、赤龍帝!我が呪いを浴びて苦しめ!!もがけ!!血反吐を吐きながら、のたうちまわって絶息しろッ!フハハハハハッ!!傑作だな!下級、中級の低俗ていぞくな悪魔の子供をはじめ、上級悪魔のエリートの子息子女まで平等に悶死していく!!ほら!これがおまえたちの宣のたまう『差別のない冥界』なのだろう?フハハハハハッ!!!」

 

俺をはじめ、皆の眼の色が変わっていくのが嫌ほどわかる。

 

そんな時、ホテルの室内にいる金華が叫ぶ。

 

「もう、このフィールドは限界にゃん!!いまなら転移も可能だから、魔方陣を展開するわ!それで皆でここからおさらばするよ!!」

 

魔方陣を展開する金華のもとにグレモリー眷属たちが集結する。近くで優子姉さんの周りに集まっていた結城家のメンバーも魔方陣を展開した。

 

「フハハハハハッ!!」

 

いまだ哄笑を上げるシャルバ。その近くには捕らえられたままのオーフィス。

 

「イッセー!!転移するわ!早くこちらにいらっしゃい!!」

 

「おい!ツバサ!!こっちも準備はできてる!早く来い!!」

 

リアスさんとレイジ兄さんがそう告げてくる。だが俺とイッセーは――。そっちには行かなかった。

 

「……イッセー?」

 

「……ツバサ?」

 

今まさに、怪訝に思っているだろうリアスさんとレイジ兄さん、そしてメンバーの皆に俺とイッセーは同時に告げた。

 

「俺、オーフィスを救います。ついでにあのシャルバもぶっ倒します」

 

「俺も決着をつけてくるよ。あんな糞野郎の思い通りにはさせないつもりだしね。……それに」

 

俺とイッセーは目を合わせて2人で言った。

 

「「いまここで、俺達が止めなくて誰が止めるよ!」」

 

『――っ!!!』

 

俺とイッセーの告白に全員が度肝を抜かれていた。

 

「僕も戦うよ!」

 

「はん!ツバサ!おまえたちだけで格好つけても意味ねぇぞ!!俺も混ぜろぉぉぉ♪」

 

木場と、どこか嬉しそうな光輝兄さんがそう言ってくれたが、イッセーは頭を振って俺は笑顔で振りむいた。

 

「いや、俺とイッセーだけでいいよ。光輝兄さん。俺たちが戻る間、冥界…そして人間界での非戦闘民の市民達避難を頼めるかな?終わりしだいスキマとかでも使ってそっちに飛ぶつもりだしね。だから、気にせずに行って? そして、地球連邦軍としての仕事を――使命を果たしてよ」

 

「……ツバサの言う通りだ、光輝。いま、シャルバを見逃すことも、オーフィスを何者かの手に渡すこともできない。しかし、地球連邦軍の総司令官でもある光輝と、副総司令官でもあるオレが――俺達が、これから来るであろう厄災から、力のない者を守れなくてどうする。

……俺達はただ。こいつら2人を信じて、そして、やるべき事をやるだけだ!」

 

レイジ兄さんが光輝兄さんの肩をもちながらそう言った。

 

…うん。レイジ兄さんの言ったとおり、いまのあいつは狂気に満ちている。このまま生かしておけば、今後の障害になるだろうし、冥界だけじゃなく、人間界をも巻き込むかもしれない事態になってしまう。今の奴ならそれぐらいしてもおかしくはない状態だしね。絶対にそれだけは防がなくちゃならないから。

 

「もう限界にゃん!いま飛ばないと転移できなくなるわ!!」

 

金華がそう叫ぶ。

 

「兵藤一誠」

 

アザゼルに肩を貸してもらっているヴァーリが、イッセーの名を呼んだ。

 

「ヴァーリ!おまえの分もシャルバに返してくる!!」

 

それを聞いたヴァーリは口の端を笑ました。

 

「イッセー!ツバサ!あとで龍門(ドラゴン・ゲート)を開き、おまえらを召喚するつもりだ!!それでいいんだな?」

 

アザゼルの提案に俺とイッセーは頷く。

 

イッセーはドラゴンの翼を展開させると、背中のブーストの火を噴かす。

 

「イッセー!」

 

その声にイッセーが振り向く。

 

「必ず私のところに戻ってきなさい!」

 

「ええ、必ず戻ります!」

 

イッセーはそれだけ告げて、シャルバのほうへ突っ込んでいく。

 

俺は直後に三つの転移の光が膨らんで弾けて消えたのを確認して移動しようとした。

 

そして、1度目を閉じて念じる……

 

バサッ!!

 

羽ばたく羽音と共に俺の背中から緑色に光り輝く4対8枚の大きな翼が生える。

 

「能力…発動――『十翼天聖・メルキオ』!!!」

 

目を開けると――そこには、白くごつい鎧をきて、右手には青い光を放つダブルソードを持っていた。

 

「……ふぅ。さて―――行くか!」

 

俺は気合いを入れたあと、翼羽ばたかせて浮遊し、シャルバのほうへ飛んでいった――。

 

――――――――――――――――――――――

 

ホテル上空で哄笑しているシャルバの眼前に、イッセーのあとにたどり着いた。

 

イッセーを視界に映すとシャルバは途端に不快な顔となる。

 

「ヴァーリならともかく、貴殿のような天龍の出来損ないごときに追撃されるとはな……ッ!!どこまでもドラゴンは私をバカにしてくれる……ッ!」

 

俺は怒りの反面…呆れも感じていた。

 

「私を追撃するのは何が目的だ!?貴殿も真なる魔王の血筋を蔑にする気か!?それもオーフィスに取り入ることで力を求めるのか!?天龍の貴様のことだ、腹の底では冥界と人間界の覇権を狙っているのだろう!?」

 

シャルバの言葉にイッセーは息を吐いて言った。

 

「難しいことを並べられても俺にはまったくわからん。オーフィスもどうしたらいいかわからないし、覇権がどうたらなんてのも興味ねぇ。――ただな」

 

イッセーは指を突きつけて物申す。

 

「あんた、さっき悪魔の子供たちを殺すって言っただろう?それはダメだろ」

 

イッセーの言い分にシャルバは嘲笑う。

 

「それがどうした!当然なのだよ!!偽りの魔王が統治する冥界で育つ悪魔など、害虫以下の存在に過ぎない!成熟したところで真なる魔王である私を敬うこともないだろう!!そんな悪魔どもは滅んだほうがいいに決まっているのだ!だから、あの巨大な魔獣でゼロに戻す!!あの魔獣どもは魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)の外法によって創られた悪鬼のごときアンチモンスターなのだ!圧倒的な破壊をもたらしてくれるであろう!!穢れのない冥界が破壊によって蘇えるッ!それこそが冥界なのだよっ!!!」

 

その言葉に俺は叫んだ!

 

「民も信頼もない魔王なんて覇王そのものだっ!!シャルバとかいったな……お前は考えたことがあるか? 貴様ら悪魔がいう民が、目の前で儚き命が消えて行く瞬間を……信頼していた者達が知らない間に消えていくのを……さっきも言ったが、民も信頼もない魔王なんて覇王そのもの。そんな奴が魔王になった所で、絶対に長くは続きやしない。――貴様が成そうとしているのは、そういう何の意味も持たないものだ!それこそ、冥界の終焉そのものよ!!」

 

狂気のさたに触れたシャルバに俺は言う。

 

「ふん、知らないな。俺の目的は冥界の滅亡。今の冥界冥界さえ潰れれば、その後どうなろうが知ったことは無い!!!」

 

その言葉に俺はイッセーに向けて叫んだ!

 

「イッセー!真『女王(クイーン)』に成れ!!シャルバをここで食い止めるよ!!!」

 

「そのつもりだよッ!ツバサちゃんッ!!」

 

イッセーは紅いオーラを爆発させて、呪文を唱えだした。

 

「――我、目覚めるは王の真理を天に掲げし、赤龍帝なり!」

 

その声に反応して聞こえてくる歴代たちの声。

 

《いこう!兵藤一誠!!》

 

《ああ、そうだ!未来を――我らは皆の未来を守る赤龍帝なのだ!!》

 

《赤き王道を掲げるときだッ!!》

 

いままでとは違う、明るい呪文――。

 

「無限の希望と不滅の夢を抱いて、王道を往ゆく!我、紅き龍の帝王となりて――」

 

新たな呪文を唱えるイッセーと歴代赤龍帝の思念たち。

 

「「「「「汝を真紅に光り輝く天道へ導こう――ッ!!」」」」」

 

『Cardinal(カーディナル) Crimson(クリムゾン) Full(フル) Drive(ドライブ)!!!!』

 

イッセーの体を紅いオーラが包み込み、鎧を赤く染めていく。

 

「――ッ!紅い……鎧だと!?なんだ、その変化は!?紅……ッ!あの紅色の髪をもつ偽りの男を思い出す忌々しい色だッ!!」

 

そう吐き捨てたシャルバ。そして、俺たちに向けて手を突きだしてきた。すると、空間が歪み、そこから大量の羽虫――蠅らしいものが周囲一帯を埋め尽くす

 

「真なるベルゼブブの力を見せてくれようッ!!」

 

吠えるシャルバは、大量の蠅を操り、幾重もの円陣を組ませてそこから極大の魔力の波動を無数に撃ちだしてくる。

 

「やらせるか!!」

 

俺は神速で動き、通りすぎた瞬間に魔法陣を切り裂き、その魔力の波動を消し去る。さらに、ダブルソードを力いっぱい回して魔力の波動をあさっての方向へ軌道を逸らした。

 

魔力の波動を飛ばした後、一息つく暇もなく、蠅の大群に突っ込み、蝿の大群をひたすら斬り払っている。

 

その間、数回にわたって機械音と共に鈍い打撃音が木霊していた。

 

俺は無数の魔力の波動を斬っていなし、消し去って無力化した。

 

すると、蝿の数がかなり減ったのか、晴れた視界――そのさきには、口から吐血しているシャルバと真紅の鎧をまとっているイッセーが相対していた。

 

「クソ天龍が!これならどうだァァァァッ!!」

 

シャルバが血をまき散らしながら手元から魔方陣を展開させ、そこから出現したのは――一本の矢だ。

 

その矢が高速でイッセーに飛来し、鎧を貫通して右腕に突き刺さる。

 

すると、矢を抜こうとしたイッセーの様子が急変した。矢を抜こうとした左手が震えて、抜くのを中断して見つめていた。

 

それを見たシャルバが笑う。

 

「フハハハッハハハハッ!!苦しいであろう!辛いであろう!当然だ!!その矢の先端にはサマエルの血が塗りこんである!ハーデスから借り受けたものだ!いざというときのヴァーリ対策用に持っていたのだが……まさかゴミのような貴殿に使うことになろうとはな……。まあいい。これで形勢逆転だ。ヴァーリのように魔力が高ければ多少は耐性があるのだろうが……魔力の素質がなさそうな貴殿では、すぐに死ぬぞ」

 

――サマエルの血だと!? サマエルの血には驚異的な龍殺しの力がある! 早く治療しないとイッセーが危ない!?

 

「あとは……厄介な結城家だけか」

 

すふと、そう言いながらこちらに振り向いてくるシャルバ

 

俺は内心かなり焦りつつも、悟られないよう。そして"アイツのド根性を信じて"、口の端を吊りあげて言った。

 

「シャルバ、ひとつ言っておく。おまえは俺たちをなめすぎだ。特にイッセーを、な」

 

俺はイッセーのほうに顔を向けると、イッセーはドラゴンの両翼を広げて、シャルバに向かって飛びだしていった。

 

それを見たシャルバは仰天している。

 

「呪いを受けているはずだ!!なぜに動く!?なぜに恐怖しない!?死が怖くないというのか!?」

 

ゴッ!ドゴッ!!ガンッ!!!

 

イッセーの拳と蹴りの乱打がシャルバを襲う。その攻撃を受けてシャルバはホテルの屋上に落下し、這いつくばる。

 

「バカな……ッ!!私は真の魔王だぞ!?人間やハーデスに助けを求めてまで、屈辱を、恥辱に塗れながらも復讐を遂げようと……ッ!!吐き気を催すような英雄派の実験にまで付き合ったというのに……ッ!なぜ貴様やヴァーリのような天龍たちが立ちふさがるのだ!?大した理念も理想もない低俗なドラゴン風情が!!なぜ私のような高みに臨む存在を蔑ろにしようとする!?理解不能!理解不能だァァァァッ!!」

 

捕らえられたままのオーフィスのもとにたどり着くと、シャルバは懇願する。

 

「オーフィス!オーフィスよ!!あの『蛇』をもう一度私にくれ!そうすれば再び私は前魔王クラス以上の力を得られる!この者を倒すにはあの『蛇』が必要なのだ!!」

 

「いまの我、不安定。力を増大させるタイプの『蛇』、作れない」

 

オーフィスの告白にシャルバは絶望しきった表情となっていた。

 

俺たちはシャルバの前に降り立つ。シャルバは震えながら俺たちを見上げる。

 

シャルバが何か言おうとしたが、その前に俺が言葉を発する。

 

「……本当に哀れで馬鹿な奴。お前はやり過ぎた。あまりにも手に負えないほどにな。――お前は自分の愚かさを知り、自覚し、そしてその罪を償わないといけない…。その命を代償として、償わないといけない」

 

一息ついてるまたしゃべり出す

 

「だから。せめて、最初にあったあの時に改心してくれているのなら、まだ慈悲の余地はあったさ。でも、おまえは改心することもなく戻れないところまで来てしまってるんだよ。おまえの選べる道はただひとつ、その命をもって償え」

 

俺は息を大きく吸い、右手でシャルバに指を指しながら言いきった。

 

「さぁ――お前の罪を数えろ」

 

そして、イッセーが言う。

 

「あんたは子供たちから笑顔を奪おうとした――。ぶっ倒される理由はそれだけで十分だろッ!俺はッ!子供たちのヒーローやってる、『おっぱいドラゴン』なんだよッ!!あの子たちの未来を奪おうとするなら、ここで俺が消し飛ばすッ!!!」

 

イッセーは翼から砲身を展開させ、静かにオーラをチャージしていく。

 

シャルバが翼を広げ、空中に逃げたが――。

 

「この俺が逃がすと思ってるの?」

 

俺は自身の翼を刃状のものに変化させ、コマのように回転しながらすべてをシャルバに向けて放つ。

 

空中で俺に細切れにされるシャルバ。血達磨になりながらも脱出しボロボロの悪魔の羽と身体で逃げようとするが、直後にイッセーが叫んだ。

 

「吹き飛べェェッ!クリムゾンブラスタァァァァァァァアアアアアアアアアアッ!!」

 

『Fang(ファング) Blast(ブラスト) Booster(ブラスター)!!!!』

 

咆哮からシャルバに止めをさすべく紅色の極大なオーラが解き放たれる。

 

「フハハハハハハッ!どうせ貴殿もサマエルの毒で死ぬのだッ!!赤龍帝ェェェッ!!!」

 

やはりボロボロすぎて無理だったのか、血達磨になって落下しながら絶叫するシャルバを紅いオーラが包み込んでいった――。

 

――――――――――――――――――――――

 

あれから、イッセーがシャルバを消し去ったあと、俺はオーフィスを魔力の縄から解放した。

 

……まぁ、ただ触れるだけで魔力の縄は消滅したから、正直言ってなにもしてないけど。

 

その直後に俺のコピー能力が解除されてしまい力が一気に抜けた。うぅ〜……せめて向こうに帰還できるまで保ってほしかったんだけど…

 

……まぁ、いいや。メルキオの力は破壊しかできないし。やっぱり使い慣れてないのは、不安定すぎて上手く力を引き出せないね…。これからの課題の一つだな。

 

崩れおれかけた体だが、まだ"約束"を終えてないので、無理矢理にでも力を入れて支えた。

 

俺はイッセーとオーフィスの会話を聞きながら、サマエルの毒を取り出す方法を考えていた。

 

…コピー能力の力は一時的とはいえ、使えない。コピーする相手の実力が高ければ高いほど、連続で使う時に機械でいう冷却のためのタイムログがあり、すぐには使えないのだ。魔力も使いすぎて殆ど残っておらず、現に俺の身体は"女体化"している。魔力だけじゃなく、体力もなく…こうして立っているのがやっとだ。いまのままで、サマエルの毒を抜こうとすると、下手をすれば俺自身が危険な状態になってしまう。最悪、即死だろう。俺もミラ・ルーツの神器の所持者でもあり、"龍の巫女"をやってる為、1/3も神龍の血が流れているからね。

 

…結局、サマエルの毒の取り出しは、いまの俺ではできそうにもない。

 

移動手段も転移魔法陣かスキマ…あ、あと、龍門(ドラゴン・ゲート)もあったっけ?まぁ、いまのままじゃ、頑張っても移動人数は最大で一人か二人……かな。

 

俺は思考タイムを終える。…まだ体がだるいので、とりあえず座ることにした。立っていても辛いだけだしね…。

 

しばらく、のんびりと待ってると、話しが終わったのか、すぐ傍で座っていたイッセーとオーフィスが立ち上がった。

 

イッセーとオーフィスは歩きだす。そのあとに俺もついて行く。

 

…崩壊していくフィールドのなか、オーフィスに肩を貸してもらって歩くイッセー。時折、脱力しかけていたが、気力で踏ん張って持ち直していた。

 

「……なぁ、オーフィス」

 

横に並んで歩く俺たちに聞こえるぐらいの声量で、イッセーはオーフィスに話しかけた。

 

「?」

 

「おまえ、帰ったら何がしたい……?」

 

「帰る?我、どこにも帰るところない。次元の狭間、帰る力ももうない」

 

「……それなら、俺の家に……帰ればいい」

 

「赤龍帝の家?」

 

「……ああ、そうだ。アーシアと……イリナと……仲良くなれたんなら……きっと、他の……皆とも……」

 

足に力を入らず、前に倒れるイッセー。

 

「――え?……っ!?ちょっ!し、しっかりしろ!イッセー!! 」

 

俺は慌てて前に駆け寄り、イッセーの傍に座り込んで叫んだ。

 

「……はは……ツバサちゃん…らしくないよ。……泣くツバサちゃん。…あの時……ロキとの…戦い以来……だね…」

 

仰向けのイッセーが微笑みを浮かべて言う。

 

――だが、その声は、何時もみたいに明るくなく……かなり、弱々しかった。

 

「イッセー、ごめんね…。俺は…今回何もしてやれない…。ごめんね……本当に…本当にごめんね……」

 

「……何を謝ってるんだよ、ツバサちゃん」

 

俺は視界がぼやけてしまうほど涙を流していた。

 

自分の無力さを呪いたい。…そう思ったのは久しぶりだった。転生したあと、心のどこかで、自分には絶対的な力があると慢心していた。……その結果が、これかよ……ちくしょぅ

 

「……オーフィス、おまえ、誰かを……好きになったことはあるか……?」

 

イッセーが朦朧とした意識を保ちながら、オーフィスに問いかけた。

 

『相棒、気をしっかりしろ!皆が待っているのだぞ!』

 

ドライグも宝玉から音声を発してイッセーの意識を繋ぎ留めようとしていた。

 

「ドライグ、この者は呪いが全身に回っている。――限界」

 

『わかっている、オーフィス!そんなことはわかっている!!だが、死なぬ!この男はいつだって立ち上がったのだ!!』

 

「帰ろ? 帰ろうよ、イッセー!。おまえの家に…皆が待つ家に……そう、"約束"したじゃないか!!」

 

そう、俺とイッセーはこの結界内に閉じこめられた時、作戦会議をしたあと、2人で他愛ない話をしていた時に約束していたのだ。

 

――2人で、絶対に帰ると。愛しき人の元に……

 

『そうだ、帰ろう!相棒!!何をしている!立て!!おまえはいつだって、立ってきたじゃないか!!!』

 

ドライグがより声を上げてイッセーに叫ぶ。

 

しかし、イッセーの目から光が薄れていく……。

 

「大好きだよ、リアス……………」

 

最愛の女性の名を口にしたイッセーは――眠るように瞼を閉じた。

 

……………………………………………――――――――――。

 

俺はオーフィスの肩を借りて泣いていた……ただ、ひたすら、後悔のなかで…。

 

ここまで悔しいことはなかった。いままでの人生のなかで…。それほど、イッセーの存在は俺の中で、俺が思っていたよりも強かったのだろうか?

 

……だが、いまはそれを確認する事はできない。なぜなら――そのイッセーは、死んでしまったのだから…

 

俺は、あまりの悔しさに唇を強くかみしめた。唇から、血がにじみ出て鉄の味がする。

 

親友の――イッセーの本当の死を眼前にして、俺は拭いきれない想いを背に負っていた。

 

俺は涙を拭い、「ありがとう」とオーフィスに言って座り直した。

 

すると、オーフィスが亡骸のイッセーを見ながら言う。

 

「……ドライグ、この者、動かない」

 

『…………ああ』

 

「……ドライグ、泣いている?」

 

『…………ああ』

 

「我、少しの付き合いだった」

 

『…………そうだな』

 

「悪い者ではなかった。――我の、最初の友達」

 

『……ああ、楽しかった。……なあ、オーフィス。いや、この男の最後の友よ』

 

「なに?」

 

『俺の意識が次の宿主に移るまでの間、少しだけ話を聞いてくれないか?』

 

「わかった」

 

『この男のことを、どうか、覚えておいて欲しい。その話をさせてくれ……』

 

「いい赤龍帝だった?」

 

『ああ、最高の赤龍帝だった男の話だ』

 

俺はオーフィスと共にドライグの話を聞いて、龍門(ドラゴン・ゲート)が召喚されるのを待った。

 

――――――――――――――――――――――

 

―木場祐斗 side―

 

僕の眼前ではアザゼル先生と元龍王のタンニーンさまの協力のもと、召喚用の儀式が執り行われていた。

 

「召喚用の魔方陣を用意できた。――龍門(ドラゴン・ゲート)を開くぞ」

 

先生がそう告げて、魔方陣が輝きを増していく。

 

中級悪魔の昇格試験センターにある転移魔方陣フロアに僕たちグレモリー眷属と結城家のメンバー+メイドさんたちと関係者が一堂に会していた。

 

アザゼル先生が地下のいちフロア全体にドラゴンを呼び出す魔方陣を描き、龍門(ドラゴン・ゲート)を開いてイッセーくんとツバサちゃんを呼び寄せようとしている。

 

元龍王のタンニーンさまを早急にお呼びし、龍門(ドラゴン・ゲート)を開くための協力をしていただいている。もちろん、白龍皇であるヴァーリも魔方陣の隅で待機していた。

 

あのあと、あの空間から生みだされた『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』の規格外のモンスターたちは、現実の冥界に出現し、各都市部に向けて進撃を開始した。

 

すでに悪魔と堕天使の同盟による迎撃部隊が派遣されたのだが……。規格外の大きさ、凶悪な堅牢さに手を焼いているところだった。

 

話では、その魔獣たちは進撃と共に数多くのアンチモンスターを独自に生みだしているという。そこに旧魔王派の残党が合流して、巨大な魔獣たちの進行方向にある村や町を襲撃し始めたそうだと聞く。

 

こちらに帰ってきた光輝さんとレイジさんたちは、すぐに地球連邦軍の本部に連絡し、今回の事件を話して、冥界の各村や町に散開して避難誘導や生みだされたアンチモンスターの迎撃にあたっているようだ。

 

冥府の神ハーデスは英雄派にも旧魔王派にも裏で力を貸していた。英雄派ですら騙されるほどに手広く魔手を伸ばしていた。悪魔や堕天使、各神話勢力に一泡吹かすことができれば何をしてもいいという判断なのだろうか……。

 

曹操に奪われたオーフィスの力も心配だ。それを使った新たなオーフィスの誕生……。考えただけでも寒気がする。簡単にかなりのレベルアップを出来る、オーフィスの『蛇』それが大量生産されるからだ。

 

事態は深刻になっていき、魔王さま方も各勢力に打診しているそうなのだけれど……。

 

同盟関係にある各勢力からも救援部隊が派遣される。天界からは『御使い(ブレイブ・セイント)』が、堕天使サイドからは神器(セイクリッド・ギア)所有者が、北欧からはヴァルキリー部隊など、冥界――悪魔の危機に応じてくれるみたいだった。

 

ゼノヴィアとイリナさんは無事に事件の顛末を各上層部に伝えることができた。彼女たちは現在天界でデュランダルの修復に入っているという。

 

「――――よし、繋がった!」

 

アザゼル先生がそう叫び、巨大な魔方陣に光が走る!先生の持つファーブニルの宝玉が金色に光り、隅にいたヴァーリの体も白く発光し、タンニーンさまの体も紫色に輝いく。人間の姿のティアマットさんの体も青く輝き、光輝さんの体は赤黒く輝き、レイジさんは灰色に輝く。それに呼応するように魔方陣の輝きがいっそう広がっていく。

 

力強く光り輝く魔方陣はついに弾けて何かを出現させようとした。そして、閃光がこのフロア全体を包み込んでいく。

 

……まばゆい光を手で遮ったが、それも止み、僕たちは視線を魔方陣の中央に向けた。

 

魔方陣の中央、そこに出現したのは――紅い八つの『兵 士(ポーン)』の駒を手に持った、女の子になった、ツバサちゃんだった。

 

え……?どういうこと……?僕はその現象をまるで理解できなかった。

 

眼前にあるのはイッセーくんではなく――『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』だった。そして、その色は部長が所有していた駒と同じ紅色――。けれど、イッセーくんではない。

 

そこには彼の姿は無く、ツバサちゃんの手元にある『兵士(ポーン)』の駒が八つしかなかった――。

 

数瞬、それをを意味することが何を示すのか、わからなかった僕たちだけれど――、

 

ツバサちゃんが大切に、しかし強く握りしめ胸に備えながら、膝をつき大粒の涙を流した。

 

「……ごめんなさい…ごめんなさい。………イッセーを助けられなくて、ごめんなさぃ…」

 

「ツバサ――っ!」

 

光輝さん、そしてレイジさん、優子さんの3人が駆け寄った。

 

それと同時に、それを聞いた先生が力なくその場でひざをついて、フロアの床を叩いた。

 

「……バカ野郎……ッ!」

 

ツバサちゃんの涙と先生のしぼりだした声を聞いて徐々に理解し始める。

 

朱乃さんはその場にへたりこみ泣いているツバサちゃんの隣に近づき、同じ目線にしゃがむと、強くツバサちゃんを抱きしめた。部長は呆然としたままその場に立ち尽くしていた。

 

「……イッセーさんは?……え?」

 

怪訝そうにうかがうアーシアさん。ツバサちゃんを見ながら反応を示さない白音ちゃんにレイヴェルさんが抱きつき、「いやぁ……」と信じられないように首を横に振って嗚咽を漏らし始める……。

 

口元を両手で覆って嗚咽を漏らしているメイド姿のレイナーレさんに同じ姿のミッテルトさんが抱きついて嗚咽を漏らしている。

 

瞑目している光輝さんとレイジさん。しかし、握られている拳からは血が滴っていた。血が出るほど強く握っているのだろう。

 

皆が瞑目しているなか、光輝さんが突然倒れて気絶したツバサちゃんを横抱き――お姫様抱っこして、どこかに移動していく。

 

……卑怯だよ、イッセーくん。駒だけを帰すなんて……。ちゃんと戻るって言ったじゃないか……。

 

僕の頬を伝う涙はしばらく止まらなかった。

 

その日、僕たちは最愛のイッセーくんを失った――。




いや〜、予約投稿してたと思ってたら出来てなくて、慌てて投稿しました。危ない危ない……( ̄▽ ̄;)

さて、やっと次で新しい章へと突入ですね。

それでは次回、またお会いしましょう! バイバ〜イ!


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補習授業のヒーローズ
1話 豪獣鬼(バンダースナッチ)


遅れて申し訳ないです。リアルが忙しくて投稿し忘れてました。てなわけで新章突入です!


それでは、どうぞゆっくりしていってね!


―光輝 side―

 

イッセーがいなくなったあの日から2日がたった。……あれ以来、突然倒れて気絶したツバサは、まだ目を覚ましていない。恐らくだが、コピー能力の中でも、トップレベルで力や体力を使う、『メルキオス』『ヒスイ』『リゼ』『ララ』『ナドレ』こいつらの"どれか"を使ったのだろう。

 

こいつらの力はまさに『天災級』。ひとりひとりが世界を破滅させるだけの力はある、馬鹿げた人物達だからな。それを使えば、それだけの負担はある……。だが、今回はどうやらそれだけではないようだ。何かは分からんが、この"コピー能力"以外にも、力を使ったみたいだな。……まぁ、もうしばらくは目を覚まさないだろう。予想だが、どんなに早くても目覚めるのは明日だな。

 

ふと考え事をしていたそのとき、フロアに備え付けられている大型テレビの音声が耳に入ってきたのでそちらを見た。テレビにはトップニュースとして、進撃中の巨大な魔獣を映し出していた。

 

『ご覧ください!突如現れた超巨大モンスターは歩みを止めぬまま、一路都市部へと向かっております!』

 

魔動駆動の飛行船やヘリコプターからレポーターがその様子を恐々と報道している。

 

あの戦闘時に、シャルバが冥界に出現させた『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』の巨大な魔獣は全部で十六体――。百五十メートル級の巨大モンスター達だ。ただ、あの空間で一体は俺たちが倒したがな。

 

テレビにもそれらすべての様子が克明に報道されている。チャンネルごとに各魔獣の様子が見られるような状況だ。

 

あの疑似空間で見たときの姿は人型で黒オーラを放っていた。それが、冥界に出現してから姿が変わったらしい…。人型の巨人タイプもいれば、四足歩行の獣型のタイプもいる。姿かたちは統一していないようだ。

 

人型は二足歩行であるものの、頭部が水生生物になってるものや、眼がひとつだったり、腕が四本も生えているものもいる。一言で表すなら合成獣――そう、キメラのようだ。

 

魔獣どもはゆっくりと一歩ずつ歩みを止めずに進撃を続けている。

 

そして厄介なのは、この魔獣どもが進撃を続けながらも小型のモンスターを独自に生みだしているところだ。魔獣どもの各部位が盛り上がり、そこから次々と肉を破って小型モンスターが誕生していく。大きさは人間サイズだが、とにかく数が多い。一度で数十から百体ほど生みだされるようだ。

 

魔獣どもが通ったあとは、何も残らないという凄惨な状況だった。

 

――と、ここでテレビの画面が変わって速報が入った。

 

『た、ただいま入りました情報によりますと――都市の外れにある山のふもとで、一体目の『豪獣鬼(バンダースナッチ)』を倒したとのことです!』

 

画面が切り替わって映し出されたのは――山のふもとに横たわって黒炎に包み込まれている魔獣の姿があった。その周囲には、分裂した百以上の人サイズの魔獣どもが倒れていた。

 

「総司令官! 全部隊、準備整いました! いつでも動けます!」

 

「そうか、わかった」

 

俺は、部下から報告がきたので、全階層の全フロアに聴こえるように放送と音量を繋げ、口を開いた

 

 

 

「みんな、聴こえているな? 地球連邦軍 総司令官、結城光輝だ。」

 

「いま現在、冥界にて百五十メートル級の『豪獣鬼(バンダースナッチ)』が暴れている。我々、地球連邦軍は、この驚異を排除するため冥界に向かい、奴らに強襲をかける!」

 

ザワザワと気配が室内から感じる。部隊の隊員全員の闘気がざわりざわりと徐々に高まっているのが肌で感じる。

 

「初戦は俺とレイジを主力とした第一強襲部隊を筆頭とし、『豪獣鬼(バンダースナッチ)』を強襲。第二強武装部隊は第一強襲部隊の援護、第三武装衛生部隊及び第四機動戦隊は第一第二部隊の周りの警戒にあたり、負傷者の救助回復に、逃げ遅れた民間人の救助に当たってくれ。」

 

「本作戦の目的は、冥界に存在する『豪獣鬼(バンダースナッチ)』の驚異の排除、そして、それぞれの都市の防衛機能の回復に民間人の救助だ」

 

「各自、心して作戦にかかってほしい――満身は禁物だ」

 

ザワザワザワ!

 

くくく――全員、早く戦いたいようだ。とても心地よい闘気だな。――みなのヤル気は充分か

 

「さぁ!全部隊、全隊員よ! 地球連邦軍の真の力――奴らに魅せてやろう!!!」

 

『うおおおおおおおおおおおおお!!!!!』

 

――さぁ、戦の始まりだ!!!

 

――――――――――――――――――――――

 

〜BGM ウルトラマンダイナ ワンダバダバ〜

 

『GP-01 GP-02 飛行準備、完了 』

 

「GP-01 いつでもどうぞ」

 

「GP-02 いつでもどうぞ」

 

『了解。離陸、開始してください!』

 

「GP-01 了解」

「GP-02 了解!」

 

シュゴォォォォ――!!!

 

2機の戦闘機が離陸する。それに続いて次々といろいろな戦闘機が離陸し、空へ飛び立った。

 

空へ飛び立った戦闘機は、空に浮かぶ巨大な魔法陣へと突っ込んでいき次々と姿を消していく。

 

そんな、空を、5人の人影が見ていた。

 

「さて……ここから先は本当の戦闘だ。ディオドラ・アスタロトの時のような雑魚の戦闘じゃなく。完全に、厄災級の異変だ。下手すれば、簡単に命を落とす。……それでも、お前達は行くのか?」

 

「……ふっ。何をいまさら。俺たちは地球を守り、弱き者を助ける――そうして長い年月地球を護ってきた『地球連邦軍』じゃないか。覚悟は――遠くの昔にできている!」

 

「そうね、レイジ兄さんの言う通りだわ。私も同じく覚悟はできている。覚悟なくして、地球連邦軍の総隊長をやってるもんですか!」

 

「私も同じだよ! 争いが嫌いな私だけど……力がない人達を護る為なら――この命、捨てる覚悟だってできている!覚悟が無いものに、地球連邦軍の名を名乗る資格なんて無いわ!」

 

「そうよ、私達は覚悟も勇気も持っている。覚悟も勇気もなかったら、私…いや、私たち地球連邦軍の部隊員は皆、最初からこの場にいないわよ! 覚悟も勇気も…全てあるからこそ、こうして――ここに立っているのよ!」

 

レイジ、皐月、ナツル、優子の4人が光輝に向かってそう言った。

 

「……ふっ、そうか。聞く必要もなかったな――よし! なら、全員戦闘準備だ!! 準備が整いしだい俺達も『豪獣鬼(バンダースナッチ)』討伐作戦に参加する。―――行くぞ! 」

 

「「「「了解!」」」」

 

――――――――――――――――――――――

 

ここは、冥界。そこには巨大な身体をもつ合成獣――通称『豪獣鬼(バンダースナッチ)』が小型の同じ身体をしたモンスターを何百と連れてゆっくりと、確実に進行していた。

 

応戦にきた、悪魔、堕天使たちは豪獣鬼(バンダースナッチ)へと攻撃をくらえるが、肝心の豪獣鬼(バンダースナッチ)は全く効いてないのかビクともせず、進行をどんどんと進めていた。

 

「――くそっ!? 俺たちの攻撃が通用しねぇ! なんつー硬さだ!!」

 

「こっちも同じだクソッタレぇ! このままじゃ、俺たちの街が潰されちまう! どうすれば止められるんだ!!」

 

「これじゃ無理だ。一旦諦めて退散しよう」

 

「なに言ってやがる!! ここで止めなくていつ止めるんだよ!? まだ何かあるはずだ考えろよ!」

 

「知るかよ! このまんまじゃ俺達が先に死ぬんだぞ! 俺達が死んでちまったら誰があの街を守るんだよ!!」

 

「ならどうすればいいんだよ!?」

 

2人の若い悪魔が言い争っていると、どこからか声が聴こえてきたのふと下を見ると、子供が1人取り残されたのか、燃える村に泣きながら彷徨っていた。

 

「うわ〜〜ん。おと〜さ〜ん!おかぁ〜さ〜ん! ……どこにいるのぉ」

 

それを見つけたその悪魔2人は慌てていた。

 

「おい! 彼処に女の子が1人いるぞ!? 逃げ遅れたのか!!」

 

「た、大変だ!早く助けないと――っ!? やばい! 『豪獣鬼(バンダースナッチ)』がもうすぐそこまで来ているぞ!? くそっ! 小型の『豪獣鬼(バンダースナッチ)』が子供に気づいた! いまからじゃ間に合わないぞ!」

 

1人の青年が叫んだ先には、少女に気づいたのか数体の小型の『豪獣鬼(バンダースナッチ)』が少女の方へ走ってきていた。

 

少女から悪魔と堕天使の間には距離がかなり開いており、小型の『豪獣鬼(バンダースナッチ)』のスピードと合わせると到底間に合いそうになかった。

 

「ふぇ〜〜〜ん」

 

親とはぐれ、泣く少女の背後から――

 

『――GEEEEEYAAAAAAAAaaaaaaaa』

 

その命を狩らんと豪獣鬼(バンダースナッチ)が少女を襲う!

 

「ちくしょ〜!間に合わねぇ!?」

 

1人の悪魔が叫ぶ。

 

そう、誰もが少女を助けられないと諦めたその時――

 

『――GEEEEEYAAAAAAaaaaaa!?』

 

ドゴンっ!!

 

突然、豪獣鬼(バンダースナッチ)が吹っ飛び木々を巻き添えにしながら、遥か遠くへと消えていった。

 

『は?』

 

突然の事に困惑する悪魔と堕天使勢。

 

すると、徐々に煙が晴れていきそこには人影があった――

 

「……ふぅ。何とか間に合ったな。――おい、レイジ。少女は無事か?」

 

「ああ、無事だ。転けた拍子か膝を擦りむいているようだが、それ以外の怪我は見当たらない。だが、もしもの可能性もあるから、後で衛生班へと連れていく。いいよな?」

 

「ああ、構わない。そこはお前の判断で任せる。――おい! そこの悪魔と堕天使勢ども! 俺の声が聞こえているか!」

 

少女を助けたのはどうやら、地球連邦軍 総司令官と副総司令官である光輝とレイジのようだ。

 

結城光輝は、空に飛んでいる悪魔と堕天使勢に声を上げる。それに気づいた悪魔 堕天使達は光輝へと視線を向けた。

 

「俺の声が聞こえているのならそのまま聞け! ここは俺達『地球連邦軍』が引き受ける! お前達はそのまま街へ後退。街に後退したあとは、避難民の救助に力を注いでくれ! ここは――俺達が何としても食い止める!!! そら!時間はないんだ! さっさと行け!」

 

光輝の叫びに怯みながらも、満身創痍で自分たちの力が通じない相手をしていたので、正直有難かった。だが、やはり自分達の街を守りたいが、やはり力のない自分自身に、他人に任せないと守るべきものを守れない自分たちに歯痒い思いをしながら、後退していった。

 

「…………すまない。あとは…任せた……」

 

1人の悪魔が帰り際に悔しそうに申し訳なさそうに言う。

 

「――ああ。任された!」

 

光輝は後ろを向かず、敵を見ながら、後退していく者に向かって親指を立ててそう言った。

 

しばらくすると、数分もたたないうちに悪魔 堕天使勢は姿を消して、その場には光輝 レイジを含めた、一部の地球連邦軍の部隊だけが残った。

 

「さぁ、作戦開始だ。―――全員、かかれぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」

 

『うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!』

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!

 

200人もの銃などを武装した兵士が豪獣鬼(バンダースナッチ)へと雪崩込む!

 

「うぉぉぉかかれぇぇぇ!!」

 

「地球連邦軍の力を舐めるなよ! 化け物がぁぁ!」

 

「フォーーーー!!! 激ってきたぞぉぉぉ!!」

 

「アバタゲソバブタホアリャクゼタハノガラヘヤァァァァァァ!? キェェェェェ!!」

 

「ヒャッハーーーー!!! 汚物は消毒だぁぁぁ!!!」

 

いろんな意味不明な奇声を上げながらどんどんと、豪獣鬼(バンダースナッチ)を駆逐していく地球連邦軍の戦士達。

 

しかし、減るのは小型の豪獣鬼(バンダースナッチ)だけであって、大型の豪獣鬼(バンダースナッチ)は健在だった。

 

しかも、いくら小型を倒しても、母体である大型の豪獣鬼(バンダースナッチ)を倒さない限り、小型種はどんどんと増えていく。所謂、無限ループと言うやつだった。

 

「怯むな! 撃て撃て! 弾が尽きるまで撃て! 弾が尽きても己の肉体が動かなくなるまで戦い続けろ!!」

 

「こっから先へは絶対に通しやしないぞ!」

 

「うおおお!!!」

 

そんな彼らとは別に、光輝と少女を衛生兵へと送り届けたレイジは大型級の豪獣鬼(バンダースナッチ)と相見えていた。

 

「覇王剛拳!」

 

「零式刀技『砕』!」

 

光輝が気で強化した拳で顔面をなぐり、レイジが長い刀を巧みに使い、連撃で相手を切りまくる。

 

『――GEEEEEYAAAAAAAAaaaaaa!!!』

 

雄叫びを上げる豪獣鬼(バンダースナッチ)。すると、豪獣鬼(バンダースナッチ)は光輝とレイジを潰さんと巨大な腕を振り下ろす。

 

「ふんっ!?」

 

「でりゃ!!」

 

だが、光輝とレイジはいとも容易く腕を受け止めてはじき返した。

 

 

「……ちっ! 思ってた以上に厄介だ。これじゃ、人手が足りん。まさか大型級の『豪獣鬼(バンダースナッチ)』が3体もいようとわ……一人一殺。レイジ!右隣はお前に任す!目の前と左隣の奴は俺に任せろ」

 

「わかった。……だが、2匹同時に相手するつもりか? 流石に時間がかかると思うが。」

 

「……ふっ。なに、大丈夫さ。――これを使えばな」

 

そう言って懐から小さなカプセルを取り出した

 

「――そ、そいつは!?…………ああ、わかった。なら、そっちの2体は任せるぞ?」

 

「言われなくてもわかってるさ」

 

その会話を最後に、光輝とレイジはそれぞれの獲物へと別れた。

 

「さ〜て、ツバサの作り出した『怪獣カプセル』その新作をとくと見よ!」

 

光輝は懐から先ほどの小さなカプセルを取り出し投げた。

 

「こい!『サイバーゴモラ』!!」

 

地面に落ちる瞬間、そこから光が溢れ出し、形を形成していく。光が落ち着きそこにいたのは――

 

青い体に特徴的な大きな角。腕には鉤爪のような物が付いており、胸にはXの様なものも。全体的にメカメカしく。まさにサイバー化したモンスターといえる。

 

「さぁ、かの敵を討ち滅ぼせ! 戦え『サイバーゴモラ』!!」

 

『ゴアァァァァァァォ!!!』

 

光輝が命令すると、従う様に声を張り上げ大型級 豪獣鬼(バンダースナッチ)へと突撃していった。

 

ドゴォォン!と鈍い音と共に殴り合いが始まる2体の怪獣。これぞ正しく怪獣大決戦とも言うべき戦いである。

 

「さて、俺もさっさと目の前の倒して、他の場所に行かなきゃな!」

 

そういい、光輝も目の前の敵へと駆け出した




今回、主人公のコピー能力で出てきた人物名の『メルキオス』『ヒスイ』『リゼ』『ララ』『ナドレ』。これは全員、ブレフロのキャラです。俺の持ってる主力キャラでしたので出しました!

あと、怪獣カプセルは知ってる人は知ってると思います。本来の使用とは異なり主人公完全オリジナルの怪獣カプセルなのです。

それでは次回、またお会いしましょう!バイバ〜イ(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪


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2話 失った悲しみは……

大幅に遅れてしまい申訳ないです。言い訳になるんですが、ちょっとこの補習授業のヒーローズの話がのっている巻が、行方不明で探したりしてたらいつの間にかこんな時間がかかってしまいました。いや〜、本当にすみません。

翼「ホントだよ、なんでこんなにもかかったんだよ。小説自体は二週間前には見つかったじゃないか」

……いやぁ〜、ちょっと他の小説に夢中で…あと、ハーメルンにある色んな人のジャンルの小説をあさっていたらいつの間にか……

「なぁ〜にが『いつの間にか〜』だよ。結局は、他の人の小説を読むのに夢中で忘れてただけでしょうに」

――うっ!? は、はいそうです。すみませんでしたーーー!!!

「俺に謝らないでよ。この小説を楽しみにしていた人達に誤ってよ。まったくもぉ」

うぅ、は、はい。本当に申訳ないです。翼さま。

さて、皆さんもこんな謝罪よりも話が気になっていると思うんでどうぞ、ゆっくりしていってくださいね。

場合最後に一言、ほんとマジですみませんでしたーーー!!!m(_ _)m


光輝を筆頭にした地球連邦軍が冥界の脅威と戦っていたころ、そんな冥界の所にあるグレモリー領。そこでは、イッセーを失い心の平穏を崩したリアス・グレモリーを含めたグレモリー眷属がいた。

 

「……いますぐイッセーさんのもとにいきたい……。……でも、私がイッセーさんを追ったら、……イッセーさんはきっと悲しむから……。……ずっと一緒だって、約束したんです……。それなら、私もそこにいければずっと一緒だって思ってしまって……。……お姉ちゃん……私はどうしたらいいんですか……?」

 

グレモリー邸にある客間のひとつ……アーシアの部屋で、アーシアが姉であるアリアの膝の上で泣いている。

 

「アーシア、私はイッセーくんが死んだとは思ってないよ。だって、奇跡を起こす赤龍帝でしょ?ましてや、あなたの命の恩人でもあり、この世で1番の想い人でしょ? 貴女が大好きな人を信じなくてどうするのよ。大丈夫、あの子は必ず私達の元へ戻ってくるわ。そう約束したのでしょ? だったら信じて待ちなさい。それが、1番する事だからね」

 

アリアは泣き崩れるアーシアを強く抱きしめながら優しくそう言った。……しかし、そんなアリアの顔も悲しみに触れていた。何故なら、いまの自分にはアーシアを宥める事しか出来ない。お姉ちゃんなのに……と、思っていたからだ。

 

――――――――――――――――――――――

とある別室、そこでも他の人達がいた。

 

そこには、妹のレイヴェルの様子を見にライザー・フェニックスと、フェニックス家の長兄にして、次期当主 ルヴァル・フェニックスがいた。

 

「これをキミたちに渡すついでに妹とリアスさんの様子も見に来たのだよ。こんな非常時だ、涙も各迎撃部隊のもとに出回りこれしか用意できなかった。有望な若手であるキミたちに大変申し訳なく思う。――もうすぐ私は愚弟を連れて魔獣迎撃に出るつもりでね」

 

「……愚弟で悪かったな」

 

 ライザー・フェニックスが兄の言葉に口を尖らせているなか……。ライザーの兄、ルヴァル・フェニックスは木場祐斗にフェニックスの涙を渡していた。話を聞くにフェニックス家の男達も戦に出るようだ。不死身のフェニックスは前線の心強い戦力となるだろう。

 

 木場祐斗はルヴァル氏から涙を受け取った。……ルヴァル・フェニックスはいまは哀しんでいるグレモリー眷属たちもきっと前線にくると、信じてくれているからこそ、フェニックスの涙を託したのだろう。

 

「リアスさんもリアスさんの『女王』も酷く落ち込んでいる。こんなときに冷静であるべきはおそらくキミだろうね。情愛の深い眷属でありながら、仲間の死に耐える――。見事だよ」

 

「ありがとうございます」

 

木場祐斗はルヴァル氏にお礼を言う

 

「レイヴェルのこと……頼んだぞ。グレモリーの騎士」

 

続いてライザーも木場祐斗に頼み事をした。

 

「はい、レイヴェルさんは僕たちがお預かり致します」

 

その言葉に木場祐斗は騎士の如く、鋭い目線でライザーを見る。

 

「うむ、では行くぞ、ライザー。おまえもフェニックス家の男子ならば業火の翼を冥界中に見せつけておくのだ。これ以上、成り上がりとバカにされたくはないだろう?」

 

「わかっていますよ、兄上。じゃあな、木場祐斗。リアスたちを頼むぜ」

 

フェニックス兄弟はそれだけ言い残してこの場を去っていった。

 

再びしんと静まりかえるフロア。

 

レイヴェルが白音の隣に座る。白音の隣には黒歌が座っていた。

 

するとレイヴェルが途端に目元に涙を溜めて、顔を手で覆う。

 

「……こんなのってないですわ……。ようやく、心から敬愛できる殿方のもとに近づけたのに……」

 

……レイヴェルはイッセーのことを想っていた。白音はイッセーのおかげでつばさに好きだと告白でき、やっと私達と同じ恋人になれたので、イッセーには感謝し切れない恩があった。

 

そんな時、白音がつぶやいた。

 

「……私はなんとなく覚悟はしていたよ。……激戦ばかりだから、いくらイッセー先輩やつばさ先輩、皆が強くてもいつか限界がくるかもしれないって」

 

 

白音の一言を聞き、レイヴェルが立ち上がって激昂した。涙を流しながら白音に食ってかかる。

 

「……割り切りすぎですわよ……ッ。私は白音さんのように強くなれませんわ……っ!」

 

レイヴェルの激情を当てられた白音。感じ取っていた気が緩みだし、徐々に表情を崩壊させ、震えながら涙を流していく。

 

「……私だって……っ。……いろいろ、限界だよ!やっと私の正体を打ち明けられたのに、イッセー先輩のおかげでつばさ先輩にやっと私の思いを打ち明けられたのに……まだ…ちゃんとしたお礼もできてないのに……死んじゃうなんてないもん……っ!イッセー先輩……バカ!バカです……ッ!」

 

白音は嗚咽を漏らしながら、制服の袖口で目元を隠した。

 

……白音はその体で懸命に溜め込んでいたものを一気に崩したかのように泣き崩れた。

 

レイヴェルはその白音の姿を見て、やさしく抱きしめた。

 

「白音さん……ごめんなさい」

 

「……うぅ、レイヴェル。つらいよぉ、こんなのってないよぉ……」

 

黒歌はそっと立って二人の前に座ると、やさしく二人の頭を抱く。

 

「………」

 

黒歌は黙って、胸のなかで泣く二人を抱きしめた…。

 

 

 

しばらく二人を抱きしめるなか、黒歌はふと誰かの気を感知したのか、顔を上げた。

 

……この気、確か…。

 

その感じ取った気のほうをちらっと一瞥すると、木場祐斗と話している堕天使の一人を見つけた。

 

――そう『雷光』のバラキエルだ。

 

堕天使の幹部で、朱乃の父親。…恐らく、朱乃の様子を見に来たのだろう…。

 

朱乃はいま、カンナと共に結城家の本家にいるつばさの介護をしている。イッセーがいなくなったあの日、突如倒れてから一向に目を覚まさないつばさ。朱乃は心が引き裂かれるほど辛い筈なのに、いまも泣かずに私達の分まで一生懸命頑張っている。

 

聞き耳を立てていると、木場祐斗が現状を説明をしながらバラキエルと廊下へ行ってしまった。恐らくだが、朱乃は地球連邦軍の本部、結城家にいることを伝えたのだろう。廊下にでてしばらくすると気配も消えたからだ。

 

……気がつけば、白音とレイヴェルは泣き止んでいて…私の胸を強く押していた。

 

「あら…、やっと泣き止んだみたいだにゃ」

 

そっと話すと、二人は私の胸から離れて軽く深呼吸していた。

 

「…黒歌姉さま、少し苦しかったです」

 

白音は涙を拭い、目元を真っ赤に腫れさせて私を見つめていた。

 

「にゃはは、ゴメンゴメン。さぁ、二人とも、場所を移動するよ」

 

黒歌が立つと白音とレイヴェルも立ち上がる。そのまま三人でフロアから出て、廊下を歩いていく。

 

ちらっと後ろを歩いている二人を見ると、お互い励まし合うかのように手を握り合っていた。

 

黒歌はそんな二人の様子を見て思った。

 

「(……何だかんだで、仲がいいのよね。)」

 

「(二人は鳥猫の間柄だけど、喧嘩したあとはそっぽを向きながらでも仲良くしていた。それがこんなときに出るなんて、本当に二人は仲がいいんだから…。)」

 

黒歌は前を見ながら、そんな事を心の中で想い思わず苦笑してしまった。

 

目的の部屋の前に着く。

 

ドアを二回ノックすると、なかから声がして…ドアが開く。

 

「……あら、皆こっちに来ちゃったんだ…。入って」

 

部屋のなかから出てきたのはアリア。……そう、この部屋はアーシアとアリアの二人が使っている。

 

なかに入ると、広い空間の一角に置いてあるソファにアーシアが座っている。

 

アーシアは、泣き止んだばかりみたいか、目元を赤く腫らして、小さくしゃっくりをしていた。

 

そんな様子のアーシアに姉のアリアが言う。

 

「アーシア、皆来てくれたよ。元気出しなさい。ほら、笑顔笑顔!」

 

明るく接するアリアに小さくうなずくアーシア。

 

そんな様子を見ながらも、黒歌は白音とレイヴェルをソファに座らせた。

 

「さて、3人はそこで大人しく待機しててね。私たちはいまから大事な"仕事"をしてくるから」

 

マリアの言葉にアーシアが反応した。

 

「……お、お姉ちゃん…どこに……っ!!」

 

アーシアはアリアの考えていることに気がついたようで、立ち上がると同時に目を見開いて口元に両手を当てていた。

 

「そう、アーシアがいま思った所に私たちは行ってくるわ。だって、それが私達のお仕事なんだもの。」

 

「で、でも!お姉ちゃんが行ってしまったら…私…っ!!」

 

そのとき、アリアの表情が変わり、怒鳴った!

 

「アーシア!」

 

突然の檄にアーシアが驚いて、ソファにペタンと座り込む。

 

「いつまでも私に甘えていないで、一人で立ち上がりなさい!!あなたの想い人――イッセーくんはいつも立ち上がってきたでしょう!? どんなに酷い目にあっても、苦しい悲しい時があっても、あの子はそれでも尚、愛する人達の為にただがむしゃらに頑張って1人で乗り越え自分の足で立ってきた! あなたの愛した人はそんな人なの。生半可な覚悟でついていける程甘くわないわよ。

……もしも、アーシアがそれでも横に並んで歩みたいと言うのであれば、一人で立ち上がれる女に、イッセー君に釣り合う様なそんな相応しい女性になりなさい。それが出来て初めて、イッセー君の彼女と言えるのよ」

 

最後にそう言うと、アリアの表情がやわらかくなって…微笑んでいた。

 

……激励の言葉だった。妹想いで離れてたこともありかなり甘やかしていたアリアだが、流石にこれから先もこうではいけないと心配してアーシアを怒り励ましていた。

 

黒歌も白音とレイヴェルに激励をおくり、しばしの別れを告げ、アリアと一緒に最前線へと急ぐのだった。

 

―――――――――――――――――――――――

―木場 side―

 

僕はバラキエルさんを、つばさちゃんが寝ている部屋がある結城家まで送り届けたあと、僕はグレモリー家に戻ってきた。僕は廊下を歩いていると、ある人物と出会う。

 

「――匙くん。」

 

 そう、匙くんだった。僕が話しかけるとあちらも手を挙げる。

 

「よ、木場」

 

「どうしてここに?」

 

 僕がそう尋ねると息を吐きながら言う。

 

「ま、会長がちょいとリアス先輩の様子を見にきたってところかな。その付き添い。表ですれ違い様フェニックスのヒトたちにも会ったけどさ。つばさちゃんの様子も見に行ったぜ」

 

「そっか、ありがとう」

 

 つばさちゃん……イッセー君の死を知ったあの日、つばさちゃんはイッセー君の『兵士(ポーン)』の駒を持って帰ってきた。でも『兵士(ポーン)』の駒を部長に渡した際、そのまま倒れてしまった。つばさちゃんは倒れたあの日から、一向に起きない。現にいまも眠ったままだ。倒れたあの日から朱乃さんとカンナさんがずっと付きっきりで看病している。

 

そんな状態のつばさちゃんの顔は、安らかな寝顔だった。血色も未だ良いままだし……。けれど、いまだ目を覚ます気配がない……。それほどの激戦だったのだろうか

 

「木場、俺たちも今回の一件に参加するつもりだ。都市部の一般人を守る」

 

 ――っ。僕は匙の言葉に息を呑む。シトリー眷属も冥界の危機に立ち上がったようだ。実力のある若手は召集がかけられている。シトリー眷属がそこに参加してもなんらおかしくはない。本来ならば僕たちも力ある若手として参戦しなければならなかった。

 

「僕たちもあとで合流するつもりだ」

 

 そう僕は言うが、匙くんは心配そうに聞いてくる。

 

「……リアス先輩たちは戦えるのか?」

 

 ……いまの部長たちを知ればそういう感想を抱くだろうね。わかっているんだ。いまの状態ではとてもじゃないが、まともに戦えるはずがないと。

 それでもいかねばならない。

 

「戦うしかないさ。この冥界の危機に力のある悪魔すべてに召集がかけられているのだから。僕たちは力のある悪魔だ。――やらなきゃダメさ」

 

 匙くんはにんまりと笑みながら大きくうなずいてくれた。

 

「だよな」

 

 だが、匙くんは険しい表情で問うてきた。

 

「木場、兵藤を殺した奴はわかるか?」

 

 匙くんの瞳は、迫力に染まった瞳をしている。

 

「イッセーくんの敵は、もうこの世には存在しないよ。――その者はイッセーくんが倒したからね」

 

 つばさちゃんとともに帰還した神器、ルーツさんの証言で、それは判明した。もっとも、証言がなくとも僕にはそのことはわかっていた。イッセーくんがシャルバ・ベルゼブブを打ち損じるわけがないんだ。

 僕の応えに匙くんは一瞬だけ目元を緩ませた。

 

「そうか。相討ち。いや、負けるわけがねぇ。勝って死んだんだよな? あいつが負けるはずがねぇんだッ!」

 

 匙くんは――大粒の涙を堪え切れずにこぼし、心底悔しがっていた。

 匙くんは気迫に満ちた表情のまま言う。

 

「俺は、兵藤を――あいつを目標にしてたんだ。身近に同じ『兵士』のあいつがいたから俺はどんな辛いトレーニングでも耐えてこられた!」

 

 匙くんは憎悪に包まれた言葉を吐きだす。

 

「俺たちの目標を――俺たちのダチを殺した奴らは絶対に許さない。全員、ヴリトラの炎で燃やし尽くしてやる……ッ! 俺の炎は死んでも消えない呪いの黒炎。たとえ刺し違えても命だけは削りきってやるさ……っ!」

 

匙くんが憎悪の瞳と声を出しながらそう言った時…

 

「死んでもらっては困りますよ、サジ」

 

 二人をたしなめる声が背後からした。振り向けばそこにはソーナ会長の姿が。

 

「会長」

 

「感情的になるのはわかりますが、だからといってあなたたちに死んでもらっては困ります。――やるのなら、生きて敵を滅しなさい」

 

「はいっ!」

 

 ソーナ会長の言葉に匙くんは涙をぬぐい、大きくうなずいた。

 ソーナ会長の視線がこちらに移った。

 

「私たちはこれで失礼します。魔王領にある首都リリスの防衛及び都民の避難に協力するようセラフォルー・レヴィアタンさまから仰せつかっていますので」

 

「部長にお会いになられたんですね?」

 

 僕の問いに会長は静かにうなずいた。

 

「部屋にこもったきりです。私が問いかけても反応はあまりありませんでした」

 

 ……親友のソーナ会長でもダメだったのか。

 

「代わりにこういうときにうってつけの相手を呼んでおきました」

 

「うってつけの相手?」

 

 僕が訝しげに問い返してもソーナ会長は薄く笑まれるだけでその者の正体を教えてはくれなかった。……いったい、誰を呼ばれたのだろうか。

 




あ、ちなみにですが、白音はこの小説の主人公、結城翼に惚れていて、イッセーには恩があります。

レイヴェルはイッセーに惚れていて、つばさちゃんとは家ぐるみなどでよく遊んでいたので、兄(姉)の様な存在と認識しています。

分かりにくくてすみませんでした!


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3話 悲しみのその先へ……

―木場 side―

 

 ソーナ会長が呼ばれたというヒトは、確かにこういうときにはうってつけと言える方だった。

 

「久しいな、木場祐斗。リアスに会いにきた」

 

 サイラオーグ・バアル。部長のいとこであり、僕たちと激闘と共闘を演じた仲。僕もイッセーくんも認めた漢でもある。彼の言葉ならば、いまの部長の心にも響くかも……。

 僕は彼とともに部長の部屋の前へと到着した。

 

「入るぞ、リアス」

 

 それだけ言ってサイラオーグ・バアルは部長の部屋に堂々と入っていく。

 部長はベッドの上で体育座りをしていた。表情は朱乃さん以上にうつろであり、目元はすでに赤く腫れ上がっていた。……ずっと、泣いていたのだろう。

 サイラオーグ・バアルは近づくなり、つまらなそうに嘆息する。

 

「情けない姿を見せてくれるものだな、リアス」

 

「……サイラオーグ。何をしに来たの……?」

 

「ソーナ・シトリーから連絡をもらってな。安心しろ、プライベート回線だ。大王側にあの男が現在どのような状態か一切漏れてはいない」

 

 バアルの大王側の政治家にイッセーくんの死が伝われば、どのような手段で現魔王政権に食ってかかってくるかわかったものではない。イッセーくんはすでに冥界にとって大きな存在になっているのだから。その点をこのヒトはわきまえてくださっているようだ。

 

「――行くぞ。冥界の危機だ。強力な眷属を率いるおまえがこの局面に立たずにしてどうする? 俺とおまえは若手の最有力として後続の者に手本を見せねばならない。それにいままで俺たちを見守ってくださった上層部の方々――魔王さまの恩に報いるまたとない機会ではないか」

 

 サイラオーグ・バアルは真っ正面から言い放つ。普段の部長ならばそれを聞いて奮起することだろう。

 しかし、部長は顔を背けるだけだった。

 

「……知らないわ」

 

「……自分の男が行方知れずでここまで堕ちるか、リアス。おまえはもっと良い女だったはずだ」

 

 サイラオーグ・バアルの一言を聞き、部長は枕をこちらに投げて激昂する。

 

「知った風な口を聞かないで! イッセーのいない世界なんてッ! ……私にとって彼は、あのヒトは……誰よりも大切なものだった。それなのに……私は何も出来なかったッ! もうたくさんなのよッ!! 自分の無力さを見せつけられるのは……!」

 

 ……イッセーくんの死に一番責任を感じているのは部長だ。イッセー君がいたからこそ部長はここまで来れた。……でも、そんな心の支えとも言うべきイッセーくんがいなくなったことで、その責任に押し潰されてしまった……。

 

「あの男が……赤龍帝の兵藤一誠が愛した女はこの程度の女ではなかったはずだッ!」

 

 けれども、サイラオーグ・バアルは部長に大きく言い放った。

 

「あの男はおまえの想いに応えるため、おまえの夢に殉ずる覚悟で誰よりも勇ましく前に出ていく強者だったではないかッ! 主のおまえが、あの男が愛したおまえが、簡単に折れてしまう度量と器量で何とする!? 仲間の命を踏みにじられ、悔しいとは思わないのか!?」

 

 部長は驚いているようだった。かまわずにサイラオーグ・バアルは続ける。

 

「立て、リアス。あの男はどんなときでも立ったぞ? 恐らく、この中の誰かが死んでもそうだったはずだ。この俺を真っ正面から殴り倒した男を、おまえは誰よりもよく知っているはずだッ!」

 

 好敵手だからこそわかること、か。サイラオーグ・バアルはあの激戦のなか、誰よりもイッセーくんの生き様を認識したのかもしれない。

 

「それにおまえはあの男――兵藤一誠が本当に死んだと思っているのか?」

 

 ――っ!

 

 サイラオーグ・バアルのその問いに部長と――僕も一瞬言葉を失う。

 

「それこそ滑稽だ。あの男が、呪いなどで死ぬはずがない。ひとつ聞こう。おまえはあの男に抱かれたか?」

 

「……抱いてもらえなかったわ」

 

 部長のその一言を聞いて、サイラオーグ・バアルは声をあげて笑った。

 

「なら、やはりあの男は死んでいない。おまえを、愛した女を、そして、周りであの男を好いていた女たちがいるのに兵藤一誠が死ぬものか。奴は誰よりもおまえを抱きたかったはずだ。おまえを抱かずに死ぬわけがあるまい? それが『おっぱいドラゴン』だろう?」

 

 ……不確かなことだ。けれど、サイラオーグ・バアルのその言葉は他のどれよりも説得力があるように思えてならなかった。

 

「ならば、いまここで嘆いているより、彼の遺志に報いるためにも行動を起こすべきだろう。そうでないと、いずれ帰ってくるあの男を落胆させてしまうことだろうな。――俺は先に戦場で待つ。必ず来い、リアス。そしてグレモリー眷属! あの男が守ろうとしている冥界の子供たちを守らずして何が『おっぱいドラゴン』の仲間かッ!」

 

 それを言い残すと、彼は僕たちのもとから去っていった。

 ……そうだ、イッセーくんが生きている可能性をもっともっと模索してもいいじゃないか。駒だけになったとしても復活を探すことをしてもいいじゃないか!

 どうして、そんな簡単でわかりやすいことに僕は――僕たちはたどり着けなかったんだろう。

 部長の瞳に少しだけ光が戻ったかのように見えた。

 そして、僕の心中にもちょっとだけ希望が戻ったようだ。

 サイラオーグ・バアル――。拳だけで戦い抜く男。だからこそ、彼にだけわかるものがあるように思えた――。

 それが確かに僕たちに伝わった。

 

―side out―

 

――――――――――――――――――――――

―光輝 side―

 

「撃て撃て! ひたすら撃て! 弾が尽きるまで射ち続けろ! 1匹たりとも後方へ逃すなよ!!」

 

「おい! 弾がきれたぞ! 装備支給班は何してる!」

 

「第一装備支給班が大打撃をくらい壊滅! 第二、第三支給班がこちらに向かっていますが、到着予定まで約三十分のこと!!」

 

「おい! 右側、弾幕が薄いぞ! 何してる!」

 

「チクショーー!! なんて数だ! これじゃキリがねぇぞ!」

 

あれから何十分、いや、何時間かかったのだろうか。俺たちはひたすら同じ敵を倒している。前の戦っていた3体の大型種は倒したが、倒したと思えば別の大型種が転移してきた。しかも5体だ。……全く、これでは限りがない。

 

「全員、諦めるな! 地球の平和を守る地球連邦軍が諦めてどうする! 明日無き未来を見るより、明日がある未来を見る方がいいだろうが!! 貴様らはそれでも地球連邦軍の精鋭か!? もっと気合い入れろ!!!」

 

レイジが別の場所で叫んでいる。その声が届いたのか、先程までじゃっかん諦めかけていた兵士達の瞳に炎が宿る。

 

『うおおおおおおおおお!!!!!!!』

 

凄まじい声が空気を震わす。気合いは充分のようだ。

 

『光輝、聞こえる?』

 

俺の左耳に付けていたインカムから皐月の声が聞こえる。

 

「なんだ?皐月」

 

『こっちの奴はあらかた片づいたわ。そっちはどう?』

 

「こっちか?……こっちは3体の大型種は1度倒せたんだが、今度は5体が転移してきた。まだ5体とも健全で少し押され気味だ」

 

『……そう。手伝いに行こうか?』

 

皐月が提案してくるが、俺は敢えて断る。

 

「いや、いい。皐月は他の所へ回ってくれ。魔王や俺たちですら倒すのに時間がかかる相手だ。他の所はもっと時間がかかっているだろう。更に魔界は広大だ。だから、皐月たちはその場の敵を排除仕切ったら他の所へ回ってくれ。たのんだ」

 

「OK! その通りに動くよ。この事はナツルや優子には私から伝えておくわ。光輝お兄ちゃんも頑張ってね」

 

「お兄ちゃん…か。……皐月には久しぶりに呼ばれたな。――なら、お兄ちゃんは頑張るしかないな!! 皐月たちも頑張れよ!」

 

『ええ、わかってるわよ! じゃぁね!』

 

その言葉を最後にインカムの通信が切れる。

 

……さて。

 

「お前ら! もっと気合いを入れんか!? それでも地球連邦軍の戦士か!! もしも敵をこの防衛線から1歩でも出してみろ……全員連帯責任として処罰を食らわすからな!! 死ぬ気の覚悟で敵を排除しろ。絶対に、1匹たりとも逃すんじゃないぞ!!」

 

『はい! 総司令官!!』

 

こうまで言えば奴らももっと気合いを入れてくれるだろう。アイツらだってわかってるはずだ。この後ろには多くの力のない悪魔たちが1箇所に集まっている。そんな場所に凶暴な化け物を1匹でも話せば大惨事は免れない。それほどまでに、この防衛線は大事なのだ。

 

「そんじゃ、俺ももう一丁気合い入れて敵を駆逐しますか!!」

 

俺は決意を胸に、大型種へと突貫していった。

 

―side out―

 

――――――――――――――――――――――

 

―木場 side―

 

 サイラオーグ・バアルが戦場に向かっていった後、城内に僕が会いたかったお方がいらっしゃった。闘戦勝仏――初代孫悟空、そのヒトだ。

 彼は美猴の要請により、秘密裏に匿われたヴァーリチームのリーダー、ヴァーリの身体に巣くっていたサマエルの呪いを取り除いた。その呪いに触れた彼だからこそ、僕はこう聞いた。

 

サマエルの呪いを受けたドラゴンが生き残るとしたら、どのような状況なのか、を。

 

 初代は、肉体はまず助かっていないが、次に蝕まれる魂は、イーヴィル・ピースが無事に戻ってきたことから、同じように無事な可能性があると答えてくださった。駒は魂と直結しているはずだから、魂が呪いを受けていたら、駒からも呪いが検出されるはずなのだ。それがなかった。

 いま思えば、あのときからイッセーくんの死に疑問の片鱗があったのかもしれない。僕も仲間たちも駒だけの帰還――そのケースが生じた場合が例に違わず戦死となること、彼を失った悲しみ、それらのことを突きつけられてしまい、可能性を捨てきってしまっていたんだ。

 けど、まだ確定事項ではないとはいえ……イッセーくんは生きている可能性があることはわかった!

 

 その可能性を教えてもらったあと、初代は僕に質問を返してきた。

 

「時にもう一人、次元の狭間から帰ってきた少女の様な少年と、オーフィスの片割れは無事なのかぃ? ――ああいや、別にどうこうしようってわけじゃないんだぜぃ。このことは他言せんて。無論、ハーデスの耳になどは入れん。そんなことをしたら、ちと面倒なことになるからのう。ちょいと確認するだけじゃて。オーフィスに関してはこれの無事か否かで、今後の情勢は大きく変化するからの」

 

確かに初代の言う通り、二人のオーフィスの無事か否かで今後の情勢は大きく変わる。

 

「つばさちゃんに関しては倒れて以来いまだ、1度も目を覚ませていません。片割れのオーフィスは現在、二人の女性と共につばさちゃんの介護をおこなっているところです」

 

「介護とな?」

 

「はい。片割れのオーフィスは駒王学園にて行われた天使、悪魔、堕天使の三大会議の以前から結城家にて家族として過ごしていたようです。それで、つばさちゃんが目を覚ましていないので介護をしていると……」

 

「なるほどのぉ……して、もう片割れはどうした?」

 

「それが…………イッセー君と共に帰って来てないようです。恐らくまだ次元の狭間にいるのかと」

 

「……なるほどのぉ。それはちとヤバイのぉ。あ奴等が気づかなければいいのじゃが……。まぁ、そこは後々探すとするかの。まだ2人のうち1人の無事の確認が出来ているだけでよしとするかの」

 

「そうですね」

 

……イッセー君がもしも生きているのであれば、オーフィスはイッセー君の隣にいるのだろうか……いや、いまは深く考えるのはよそう。変に深く考えても意味がないからね。

 

「あと、今後の事ですがいまの所はご心配はありません。先も言った通り二人いるうちの1人は無事ですし、もう死神の介入は許しません」

 

「そうかぃ。それなら一安心じゃて」

 

 おもむろにうなずいた初代は、美猴たちヴァーリチームに目を移した。

 

「美猴はこれからどうすんだぃ? おめえさんたち、皆、各勢力からも禍の団(カオス・ブリゲード)からも手配されてんだって?」

 

 美猴が首をひねる横で、金華が挙手した。

 

「私はリーダーについていくにゃん。なんだかんだでこのチームでやっていくのが一番楽しいし?」

 

 魔法使いのルフェイもうなずく。

 

「はい、私も皆さまと共にいきますよ! アーサーお兄さまは?」

 

 相変わらず静かなオーラを漂わせるアーサーはいつもの笑顔のまま口を開く。

 

「英雄派に興味や未練は微塵もありません。いままで通りここにいたほうが強者と戦えるでしょうしね。少なくとも私は曹操よりもヴァーリのほうが付き合いやすいですよ」

 

 彼らの意見を聞いて美猴が改まってヴァーリに言った。

 

「俺っちもいままで通り、おまえに付き合うだけだぜぃ? 俺らみてぇなハンパもんを指揮できるのなんざ、おめぇだけさ、ヴァーリ」

 

 チームメンバー全員の残留を聞いて、ヴァーリは小さく口もとを緩ませた。

 

「……うん。ごめんね」

 

「らしくねぇし! 謝んな、ケツ龍皇!」

 

「やめて、アルビオンが泣いちゃう。ただでさえ、カウンセラー希望の状態なのよ」

 

 ……アルビオンもそこまで心が疲弊していたんだね。先日の疑似空間でアルビオンがだんまりだったのは余裕がなかったせいなのかな?

 

「赤龍帝は民衆の心を惹きつけ、白龍皇は『はぐれ者』の心を惹きつける。二天龍、表と裏。性別も男と女じゃな。お主ら、おもしろい天龍じゃて」

 

 初代がそれだけ言い残して、退室していった。それを確認して、僕はヴァーリに改めて問う。

 

「ヴァーリ・ルシファー、キミはどうするんだい?」

 

「……兵藤一誠の仇討ちと言えばキミは満足するのかな、木場祐斗?」

 

「いや、ガラじゃないと吐き捨てるだけさ。それに、それは僕たちの役目だ。キミには譲れないね」

 

 僕の言葉に彼女は苦笑する。

 

「なるほど、その通りだね。――私は、出しきれなかった力を誰かにぶつけたいだけなんだ。なに、私が狙う相手と私を狙う相手は豊富だからな」

 

 ヴァーリはバトルマニアらしい戦意に満ちた不敵な笑みを見せてくれた。

 

―――――――――――――――――――――――

 

 その日の深夜、僕と部長、アーシアさん、小猫ちゃん、夕魔ちゃん、レイヴェルさんの6名は一時人間界へと戻ってきていた。

 

 ヴァーリチームとの会話のあと、僕はグレイフィアさまにあるメモをいただいた。サーゼクスさまと先生からの情報で、そこには『アジュカ・ベルゼブブ』と『拠点』と走り書きされていた。

 

 それは現ベルゼブブ――アジュカ・ベルゼブブさまの居場所を示したものだった。先生は、イーヴィル・ピースを制作したアジュカさまにイッセーくんの駒を見てもらえと僕たちに指示したのだった。

 アジュカさまならば、駒からイッセーくんの可能性を拾い上げてくださるはず……。

 そういうことで部長たちに事の顛末を伝えて、なんとか人間界に連れてきたのだ。

 

 駒王町から電車で八駅ほど離れた市街の、人気のない町外れに存在する廃棄されたビル。そこがアジュカ・ベルゼブブさまがいらっしゃる人間界での隠れ家のひとつだという。

 ……正直、こんな近くにあの方がいらっしゃるなんて想像もしなかったし、気配すらも感じられなかった。……僕があの魔王さまを計ったところで笑い話にもならないか。

 

 廃ビルに足を踏み入れ、僕たちを待っていた悪魔の女性の案内で屋上に上がる。そこに広がる庭園に、その方はいらっしゃった。

 

「グレモリー眷属か。勢揃いでここに来るとはね」

 

 妖麗な雰囲気と美しさを持った男性――。

 

「アジュカさま」

 

 部長が一歩前に出て、その男性の名を呼んだ。そう、この方がアジュカ・ベルゼブブさまだ。

 

「話は聞いている。大変なものに巻き込まれたようだ。いや、キミたちには今更なことか。毎度、その手の襲撃を受けていて有名だからね」

 

 部長はつかつかとアジュカ・ベルゼブブさまに歩み寄る。

 

「アジュカさまに見ていただきたいものがあるのです」

 

「ほう、見て欲しいもの。――しかし、それはあとになりそうだ」

 

 部長が懐からイッセーくんの駒を取りだそうとするのを、アジュカ・ベルゼブブさまが手で制して、庭園の奥へ視線を送った。

 

「キミたちの他にもお客さまが来訪しているようなのでね」

 

 その言葉で僕たちも初めて気配に気づく。

 この庭園に僕たち以外の何者かが現れている。僕たち同様の悪魔が数名。どれも上級悪魔クラスか、それ以上だ。

 

「人間界のこのようなところにいたとはな。偽りの魔王アジュカ」

 

「口調だけで一発で把握できてしまえるのが旧魔王派の魅力だと俺は思うよ」

 

「僕もいるんだ」

 

 聞き覚えのある声も闇夜から聞こえてきた。同じくして現れたのは――白髪の青年ジークフリートだった。

 彼らの出現で、グレモリー眷属の女性陣の殺気が一気に高まった。イッセーくんの仇に等しい禍の団(カオス・ブリゲード)を前にして殺意を抱かないほど気落ちしていないだろう。

 しかし、英雄派と旧魔王派は現状、敵対関係だったのでは? 合点のいかない組み合わせだ。

 

「初めまして、アジュカ・ベルゼブブ。英雄派のジークフリートです。それとこの方々は英雄派に協力してくれている前魔王関係者ですよ」

 

 ジークフリートのあいさつを受けるアジュカ・ベルゼブブさま。……英雄派に与する旧魔王派の者のいるわけか。本当に複雑な組織だ。

 

「知っているよ。キミは元教会の戦士だったね、ジークフリートくん。協力態勢前は我々にとって脅威だった。――それで、俺に何の用があるのだろうか? 先客がいるのでね。用件を聞こうか」

 

 ジークフリートはともかく、旧魔王派の悪魔たちは敵意のオーラを迸らせている。一触即発。それを認識している上であくまで優雅に振る舞われるアジュカ・ベルゼブブさまに、ジークフリートは告げた。

 

「以前より打診していたことですよ。――我々と同盟を結ばないだろうか、アジュカ・ベルゼブブ」

 

 ―――っ!

 

 僕たちは驚愕に包まれた! まさか、ここで現ベルゼブブにテロリストの集団が同盟を持ちかけるとは……。

 現魔王政府のなかで、魔王派は大きく分けて四つあり、そのなかでも支持者が多いサーゼクスさま派とアジュカさま派は細かい政治面で対立することが多いとは聞いていたが……アジュカ・ベルゼブブさまはカオス・ブリゲードの打診に、どんな返答をなさるのだろうか……?



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4話 ジークフリート

連続投稿だよ! なんとか間に合ったぜ。気づいたら1万4千字を超えていたことにびっくりした自分がいた。

さて、今回が終われば、次でやっと自分の書きたかった話が作れる! さっさと次にいかなければならない!

さて、それでは皆様、ゆっくりしていってね!


 突如として現れ、アジュカ・ベルゼブブさまに同盟を申し出たジークフリートら、禍の団(カオス・ブリゲード)の一団。彼らが有している情報と研究の資料を引き合いに出した交渉に、アジュカさまは興味を示したような素振りをなされたが、結局はこう回答された。

 

「――いらないな。俺にとって、キミたちとの同盟は魅力的だが、否定しなければならないものなのでね」

 

否定を聞いてもジークフリートは顔色を変えなかった。……周囲にいる旧魔王派の悪魔たちは殺気を一気に高めたけれども。

 

ジークフリートが訊く。

 

「詳しく訊きたいところだけれど、簡潔にしよう。――どうしてなのだろうか?」

 

「俺が趣味に没頭出来るのは、サーゼクスが俺の意志をすべて汲んでくれるからだ。彼とは――いや、あいつとは長い付き合いでね。俺が唯一の友と呼べる存在なのだよ。だから、あいつのことは誰よりも知っているし、あいつも俺のことを誰よりもよく認識している。あいつが魔王になったから、俺も魔王になっているに過ぎない。俺とサーゼクス・ルシファーの関係というのはつまりそういうことだ。」

 

 アジュカ・ベルゼブブさまとサーゼクスさまは旧知の間柄。もっとわかりやすく言えば、お若い頃からのライバル関係だったと聞いている。

 

お二人の間には、お二人だけにしかわからないものがあるのだと思う。

 

それがアジュカ・べさまのなかで頑固たるものであり、テロリストとの同盟を破棄するのも容易なものなのだろう。

 

ジークフリートはやはり表情を変えずうなずいていた。……あらかじめ、この答えも予想していたのだと思う。

 

「そうですか。『友達』、僕にとってはわからない理由だが、そういう断り方もあるというのは知っているよ」

 

彼の皮肉げな笑みと言葉を受けて、旧魔王派の悪魔たちが色めきだつ。

 

「だから言ったであろう! この男は! この男とサーゼクスは独善で冥界を支配しているのだ! いくら冥界に多大な技術繁栄をもたらしたといえどらこのような遊びに興じている魔王を野放しにしておくわけにはいかないのだ!」

 

「いままさに滅するときぞ! 忌々しい偽りの存在め! 我ら新なる魔王の意志を継ぎし者がきさまを消し去ってみせよう!」

 

 

怨恨にまみれた言葉を受けてアジュカ・ベルゼブブさまは苦笑されていた

 

「いかにもな台詞だ。もしかしてあなた方は同様のことを現魔王関係者に言っているのだろうか? 怨念に彩られすぎた言葉には華もなければ興もない。――つまり、つまらないということだな」

 

現魔王にキッパリと切り捨てられて、旧魔王派の悪魔たちは殺気をいっそう濃厚に漂わせる。

 

「我らを愚弄するか、アジュカッ!」

 

すでに一触即発。いや、戦闘開始と踏んでいい状況だろう。さすがに僕たちの面も彼らに割れているだろうから身を守る為にかまえを取るが――。

 

アジュカ・ベルゼブブさまがテーブルの上で組んでいた手を解いた。

 

片手を前に突き出して小さな魔法陣を展開させる。

 

「言っても無駄だとはわかっている。仕方ない、俺も魔王の仕事を久しぶりにしようか。――あなた方を消そう」

 

「「「ふざけるなッ!」」」

 

―――だが、その後はアジュカ・ベルゼブブさまの一方的な展開だった。

 

激高した旧魔王派の悪魔たちが手元から大量の魔力の波動を同時に放出するが、相手の攻撃がアジュカさまに直撃する刹那、魔力の波動がすべてきどうを外してあらぬ方向にとんでいった。その光景を見て顔を引き攣らせる旧魔王派の悪魔たち。そんな人達にアジュカさまは悪魔たちに事実をつけるように"無理だ"とおっしゃった。

 

「俺から言わせればこの世で起こるあらゆる現象、異能は大概法則性などが決まっていてね。数式や方程式に当てはめて答えを導き出すことができる。俺は幼い頃から計算が好きだったんだ。自然に魔力もそちら方面に特化した。ほら、だから、こういうこともできる」

 

そう魔王さまがいい、空を見上げる。

 

僕たちや旧魔王派の悪魔たちも見上げると、空から何かが迫ってくる。――そう、先程、軌道をずらされ空の彼方へ消えたと思った魔力の波動だった。その魔力の波動かま上空から降り注ぎ、旧魔王派の者達を襲った。

 

1人は絶叫すらあげることの叶わないまま一撃で消滅し、それに気づいた悪魔たちは避けるが、追うように追尾した。魔力の波動は突如弾けて散弾と化し、別の波動は細かく枝分かれして逃げる旧魔王派の悪魔たちを執拗に追う。散弾と化した波動も枝分かれした波動も、追撃するスピードが増していき、逃げられないと悟った悪魔たちは波動に向かい最初に撃った魔力と同質――いや、それ以上の魔力の波動で迎え撃ったが、追尾してくる魔力の波動に当たるもアッサリと消滅した。なんと、アジュカ・ベルゼブブさまは相手の魔力の形、スピードだけではなく威力までも自由自在に操り変えてみせたのだ。

 

そんな力にあえなく撃沈した悪魔たちは絶叫してその魔力の波動に体を貫かれ消滅した。

 

そう、これこそがアジュカ・ベルゼブブさまが使う力。――『覇軍の方程式(カンカラー・フォーミュラ)』だ

 

「軽く動かしてこれとは……いったい、貴様とサーゼクスはどれだけの力を持って……」

 

最後まで立っていた旧魔王派の悪魔も、それを言い残して無念を抱いた表情でその場に事切れた。

 

「……まぁ、と言っても僕は本当に全てのものを解析し操れるかどうかとそれは嘘になるな。何たって僕にもわからない力を持った者達が身近にいるからさ。そう、その者達こそ――結城家。かの結城光輝を筆頭とした6人の兄弟姉妹たちさ。特に長男の光輝くんと三男で末弟の翼くんは有り得ないほどの複雑で膨大な量の情報があるのでね。僕でさえ、いまだ理解不能な力さ。…………ほんと、彼らはいったいどうなっているのやら」

 

最後にそう言い残したアジュカさま。……確かに、光輝さんも翼ちゃんも、有り得ないほどの力を持っているよね。魔王のアジュカ・ベルゼブブさまにそこまで言われるとは、さすがあの結城家の兄弟姉妹たちだね。

 

 そして一人残ったジークフリート相手を、僕がすることをアジュカ・ベルゼブブさまはお申し出された。僕が彼に向ける激情を察せられたのだろう。

 僕はそれを受けて、一歩前に出ていった。

 

「……祐斗?」

 

 訝しげに尋ねた部長に、僕は告げた。

 

「……部長、僕はいきます。もし、共に戦ってくださるのであれば、そのときはよろしくお願いします」

 

 ……イッセーくんを失って、僕は僕なりに眷属を支えようとした。きっと、彼女たちはキミを失うことで心の均衡を保てなくなると予想はできていたから。僕だけでも冷静に感情を押し込めて動こうと思った。

 でも、ちょっとだけ限界だった。憎いほどの相手が目の前に現れたら、抑えることなんてできやしない……!

 生まれて初めてできた僕の親友たち。それを彼らは奪った――。

 許せるはずがないッ!

 

だからイッセーくん。少しだけ私情を先ださせて欲しい。

 

 聖魔剣をかまえ、僕は憎悪の瞳で怨敵を捉える。

 

「ジークフリート、悪いが僕のこの抑えられない激情をぶつけさせてもらう。あなた方のせいで僕の親友は帰ってこられなかった。――あなたが死ぬには十分な理由だ」

 

 僕の殺気を当てられて、白髪の剣士は口の端を愉快そうに吊り上げた。

 

「キミからかつてないほどの重圧がにじみ出ているね……。おもしろい。しかし、キミたちグレモリー眷属とは驚くほどに縁があるようだ。このようなところでも出会うだなんてさすがに想像はできなかった。まあ、いいか。――さあ、決着をつけようか、ナイトくん」

 

 禁手化し、六本腕となったジークフリートと僕は一度斬り結んだ。それだけでいまの僕の実力を計ったらしいジークフリート。

 

「現状でキミと戦い、勝ったとしても深い傷は否めないだろうね。それほどまでにキミの実力は向上している。キミに勝利したとしても、その後にリアス・グレモリーの攻撃をもらえば僕は確実に命を落とす。このまま逃げるのも悪くはないんだけど……アジュカ・ベルゼブブとの交渉に失敗して、グレモリー眷属を相手に何もせずに逃げたとあっては仲間や下の者に示しがつかない、か。難しい立ち位置だね。特にヘラクレスとジャンヌに笑われるのはおもしろくないんだ」

 

すると彼は、懐を探り出し、中からピストル型の注射器を取り出し、それを己の首筋に突き立てようとする格好になった。なにをするつもりだ?

 

「これは旧魔王シャルバ・ベルゼブブの協力により完成に至ったもの。いわばドーピング剤だ。――神器のね」

 

「神器(セイクリッド・ギア)能力を強化するということか」

 

 ……そんなものまで研究していたのか。オーフィスの『蛇』を神器に絡ませることで所有者の特性を無理矢理に引きだす実験をしていたのは僕も知っている。

 

「聖書に記されし神が生みだした神器(セイクリッドギア)に、宿敵である真の魔王の血を加工して注入した場合、どのような結果を生みだすか。それが研究のテーマだった。かなりの犠牲と膨大なデータ蓄積の末に神聖なアイテムと深淵の魔性は融合を果たしたのさ」

 

……魔王の血! しかも真の魔王の血を引く者の……。それを加工して神器(セイクリッド・ギア)を活性させるアイテムを作った、と。そういうことなのか。

 

ジークフリートは手に握るグラムに視線を向ける。

 

「本来ならばこの魔帝剣グラムの力を出し切ればキミを倒せたのだろうが……残念ながら僕はこの剣に選ばれながらも呪われていると言っていい。木場祐斗らキミならその意味を理解出来るだろう?」

 

彼の言うように僕はその理由がわかる。 ジークフリートがなせま僕たちの戦いで魔剣最強のグラムを使ってこなかったか?

 

 

伝承通りなら魔帝剣グラムは凄まじい切れ味の魔剣――それは、グラムがデュランダルの魔剣版といっていいほどの攻撃的なオーラを持ち、かつ龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の特性を持っているからだ。グラムは、かの五大龍王『黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)』ファーブニルを1度滅ぼしたこともある魔剣だ。つまり、何もかも切り刻める凶悪な切れ味と強力な龍殺し(ドラゴンスレイヤー)、そのふたつを有している魔剣がグラムなのだ。簡単な話、デュランダル+アスカロンの特性を持っている。この二つとジークフリートの特徴を捉えると、実に皮肉な答えが生まれてくる。そう彼の神器(セイクリッド・ギア)は『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』の亜種で禁手(バランス・ブレイカー)も同じ亜種だ。この禁手を使うと、ジークフリートはドラゴンの性質を強く持つ。つまりそのせいで、グラムの特性が自身を滅ぼす皮肉な結果になりかねないのだ。ジークフリートは、自身の最強の形態で最強の魔剣を振るえないジレンマ的な状態にあったわけだ。

 

「……禁手(バランス・ブレイカー)状態で、こうやって攻撃的なオーラを完全に殺して使用する分には鋭利で強固なバランスのいい魔剣なのだけれどね。それではこの剣の特性を解き放つことができない。かといって力を解放すれば……。禁手(バランス・ブレイカー)状態の僕では自分の魔剣で致命傷を受けてしまう。こいつは主の体を気づかうなんて殊勝なことをしてはくれないさ」

 

彼がグラムを使用するとなれば、禁手(バランス・ブレイカー)を解いたときだ。『威力を抑えたグラムを含む五本の魔剣と一本の光の剣+禁手(バランス・ブレイカー)の龍の手(トゥワイス・クリティカル)』と『本気のグラムを含む魔剣三刀流(通常の龍の手(トゥワイス・クリティカル)』、この場やあの擬似空間でどちらが僕たちを相手に立ち回ることができるか?

 

答えは前者だったということだ。

 

「そう、グラムを使いたければ普通の状態でやればいい。けれど、禁手(バランス・ブレイカー)六刀流と比べるとそれでは対応しきれないんだよ。特にキミたちとの戦いではそれが顕著だ。――禁手(バランス・ブレイカー)の能力を使わなければうまく相対できないからね。しかし、禁手(バランス・ブレイカー)状態でも魔帝剣グラムを使用できるようになるとしたら、話は別だ」

 

ジークフリートは注射器を首元に近づけ――挿入させていく。

 

 それを注入したジークフリートの肉体が脈動し、瞬く間に身体が一回り膨れ上がって怪人と化した。魔剣と同化した、地に手が届くほどに長く太く巨大化した四本の腕を背に生やす人外――。すでに阿修羅ではなく、蜘蛛のバケモノのようなシルエットだった。

 

『――「業魔人(カオス・ドライブ)」、この状態を僕たちはそう呼称している。このドーピング剤を「魔人化(カオス・ブレイク)」と呼んでいてね、それぞれ「覇龍(ジャガーノート・ライブ)」と「禁手(バランス・ブレイカー)」から名称の一部を拝借しているんだよ。それにこの状態なら、僕は魔帝剣グラムの力を完璧に出し切ることができる!』

 

低く重い声質。……声すらも変調してしまっているじゃないか。

 

「素晴らしい。人間とは、時に天使や悪魔すらも超えるものを作りだしてしまう。俺はやはり人間こそかま可能性の塊なのだと思えてしまうよ」

 

アジュカ・ベルゼブブさまがそうおっしゃる

 

 しかし、ジークフリートの言う通り、『魔人化(カオス・ブレイク)』を使えばグラムの特性に耐えられるようになるようだ。それによって、ただパワーアップするだけでなく二律背反をも解消したということ……。それでどれだけ力が跳ね上がるものか……ジークフリートはすぐに僕にわからせてきた!

 

 膨れ上がった肉体が生みだす斬撃の嵐と、各魔剣の属性の攻撃。更にグラムの攻撃的を超えて暴力的なオーラの波動が生じる破壊の怒濤! 僕はとてもじゃないがそれを凌ぎきれず、瞬く間にズタズタにされてしまった……! その上、左腕を肩口から切り落とされてしまった……!

 

 傷口を凍らせる応急処置で流血を止めたが……片腕を失った状態で、こんな六本腕の怪物に太刀打ちできるのだろうか……?

 

「祐斗……ッ!」

 

 沈痛な表情で部長が僕の名を呼ぶが、イッセーくんの駒を両手で握り、何かを待ち望んでいるばかり。

 

 ……部長、そうやってイッセーくんを頼ろうとしても彼はここに来られないんですよ?

 ……あなたが立ち上がらないでどうするんですか。あなたが戦う意志を失えば、眷属にも影響が出てしまう。

 ……僕にもイッセーくんのように誰かを激しく鼓舞できるほどの要領があればと思ってならないよ。

 

「……木場さんまで死んでしまう……。いや……もう、こんなのはいやです……」

 

 アーシアさんが回復のオーラを僕に向けるけれど……あまりに弱々しかった。僕の身体は全然回復せず、僕は結局ルヴァル・フェニックス氏からいただいたフェニックスの涙に頼ってしまった。

 

 ……おそらく、イッセーくんを失ったショックで神器の能力が一時的に弱まっているのだろう。それはなんとなく予想はできていたよ。神器は想いの力で動くからね。

 

 部長がなんとか攻撃を加えようと魔力を放つが――その勢いと威力は以前に比べて弱々しく、ジークフリートの一振りに難なく払いのけられてしまう。

 小猫ちゃんが身に纏う闘気とレイヴェルさんの炎の翼も力がかげっている。

 

『酷いな。先日出会ったときのグレモリー眷属とは思えない。先ほど、いい殺気を放ってくれたから、木場祐斗との戦いに乱入でもしてくれるものかと期待したんだけどね。まさか、この程度とは……。落ちたものだ』

 

 この状況を見て、ジークフリートは嘲笑した。すると――。

 

『兵藤一誠は無駄死にをしたよ。出涸らしとなったオーフィスを救うために一人……いや、『結城の巫女』結城翼もいたから二人か…。しかしだ、結局はあの赤龍帝はシャルバと相打ちになったんだろう? あれからシャルバの気配が消えたからね。生きていれば、僕たちに堂々と宣戦布告して、冥界にも旧魔王派の力を宣言しているところだろうから。あのまま兵藤一誠がオーフィスを放置して帰還すれば、いまごろ態勢を整えて再出発できただろうに。オーフィスはともかく、シャルバはあとで討てたはずだよ。自分の後先を考えないで行動すふのは赤龍帝のよくないところだった』

 

―――っ。

 

……………。

 

……ジークフリートのその台詞を聞いて、僕の思考は一瞬真っ白になり、次の瞬間にはドス黒いものが底から湧き上がってくるようだった。

 

――ヒョウドウイッセイ ハ ムダジニ シタヨ。

 

……無駄死に……? イッセーくんが……?

 

……ふざけるな。……ふざけるなよ……ッ!

 

心を支配するのは、悔しさと悲しみと、彼と約束したところだった。

 

『それに、こちらに戻ってきた結城翼もオーフィスも兵藤一誠も置いてきて、兵藤一誠の駒だけを持って帰ってきただけだそうだね。しかもその後気絶していまだ目覚めていないそうじゃないか。何たる無能っぷりだよ。これでは地球を守る地球連邦軍の力量がたかが知れるし、その結城翼が総隊長を務めている、地球連邦軍 最強の部隊とまで言われている『特殊部隊 特別調査班』の部隊もたいしたことはないんだろうね。なんたってそんな無能な隊長が務めている部隊なんだ。その部隊員たちもきっと隊長並かそれ以上の無能なんだろうね。……僕の予想では、地球連邦軍がいま冥界で戦っているようだけれど、超豪鬼(シャバウォック)には勝てないだらうね。人間最強かなんかは知らないけれど、所詮はちょっと力の強い人間。僕たち英雄の子孫とは違い所詮は普通の人間なんだ。

……そうだよ。いままでの戦いで負けたのは僕たちが手を抜いてあげたからなんだ。僕たちがあんな奴らに負けるはずが無い。僕はあんな無能な奴より強いんだ。絶対に負けたなんて有り得ない! 僕は人間の英雄なんだ! 最強なんだ! あは、あはは、アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!』

 

つばさちゃん達を馬鹿にした後、壊れて狂った機械のように笑いだすジークフリート。

 

僕はその言葉に更にドス黒い怒りを纏う。全身を震わせながらも僕は足に力を込めていく。徐々に足が上がり始めた。ぶるぶると両足を情けなく震るわせながら、僕はどうにか立ち上がる。

 

のどまで出かけているものを僕は遠慮なしで天に向かって放った。

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

自分でも信じられないほどの声量だった。腹の底から、心の底から、何かが湧き上がって吹き出してきたかのような――。

 

ふと、脳裏に蘇ったのは二人の親友の声だった。

 

『ねぇ、悠斗。騎士はねどんな屈強で凶悪な相手が目の前に立とうとも、守るべき者の為に立ち向かわなくちゃダメなの。キミの師匠だって、騎士じゃないけれど、でも1人の侍として――新選組の1人の隊長として頑張ってきた。ならその弟子でもあり、グレモリー眷属の騎士のキミは、例えグレモリー眷属の皆が戦えない状態だとしても、仲間の誰かが死んだとしても……諦めず、挫けず、屈せず、ただ守るべき者の為にその剣を掴みとりなさい。たとえ、体の一部が無くなろうとも、動けるなら最後まで足掻け――そんな、何者にも屈しない『最強の騎士』を目指しなよ。キミならきっと、そこへ辿り着けるから。だから、諦めるなよ!絶対に強くなれ! みんなを守れる剣(ツルギ)となれ! 木場祐斗!!』

 

うん。その通りだね翼ちゃん。――まさにいまがその時、僕は、絶対に屈しない!!

 

『木場、俺たちはグレモリー眷属の男子だ。だから、どんな時でも立ち上がって皆と共に戦おうぜ!』

 

そう、どんな相手だろうと、立ち向かっていかなければならないッ!

 

「……まだだ」

 

一歩、また一歩と僕はジークフリートに近づいていく。手元に魔剣を創りだしながら――。

 

「まだ戦えるッ! 僕は立たないといけないッ! あの男のようにッ! 僕はまだ屈するわけにはいかないッ! あの人に言われたからッ!

グレモリー眷属の兵藤一誠はどんなときでも、どんな相手でも決して臆せずに立ち向かったッ!

結城翼はその強大な力を持ちながらも飲まれず完璧に扱い、どんな相手にも手を抜かず、どんな状況でも諦めず、絶望の中でも屈せず立ち上がってきたッ! ただ守るべき者達の為に戦ってきたッ!」

 

こんなところてま倒れてしまったら、僕はイッセーくんにも、つばさちゃんにも合わす顔がない……ッ!

 

なあ、そうだろう、イッセーくん! つばさちゃん!

ここで立ち上がらなければキミ達の友を名乗るなんてできないんだからさッ!

 

「赤龍帝も結城翼もあなたが貶していい人達じゃないッ! 僕の親友たちをバカにするなッ!」

 

 

 残った右腕で聖魔剣を握り締め、ジークフリートの前に回り込んだ。けど……肉体はあちこち悲鳴を上げている。

 

『無駄だっ! あの赤龍帝のようにいこうとしても、キミでは限界がある! なによりもう戦える状態ではない! ただの人からの転生者では、いくら才能があろうとも肉体の限界が――ダメージがキミを止める!』

 

 ……わかっているさ。剣を握る力すら満足にない。

 けど……だけど! イッセーくんたちはそれでも立ち向かえるはずだ!

 

 宿れ――。少しでもいいから、僕にもその意地と気合が宿ってくれ――。

 

兵藤一誠を突き動かしていた意地と気合いよ! 結城翼の柱となっていた揺るぎない信念と何事にも屈しない強靭な精神よ!

――どうか、少しでも僕に宿ってくれ!

 

 剣をかまえて前に飛びだしていこうとしたときだった――。

 視界の隅に紅い閃光が映り込んでくる。そちらに視線を送ると――。

 

「――イッセーの駒が」

 

 部長が手にするイッセーくんの駒が紅い光を発していた――。

 部長の手から一個だけ『兵士』の駒が宙に浮かび、僕のもとに飛来してきた。そして、駒が弾けるように光を深めた!

 そして駒は、一本の聖剣に変じていた。――アスカロン。

 

「……イッセーくんの駒が……アスカロンに……?」

 

 

 ――いこうぜ、ダチ公。

 

 

「――っ」

 

 イッセーくんの声が聞こえたような気がした。

 涙が溢れて……止まらなかった。たとえ駒だけでも、キミは仲間を……僕を……ッ!

 

「そうだね、イッセーくん。いこうよ! キミとなら、僕はどこまでも強くなれるんだからさッ! キミが力を貸してくれるならッ! どんな相手だろうと――切り刻めるッ!」

 

 自然と、足の震えは止まり、信じられないほどの活力が身体の底から湧き上がっていた。

 アスカロンを握る手にも力を込めて、僕はジークフリートに斬りかかった!

 

『……ッッ! バカな……ッ! 立つというのか……ッ! 血をあれだけ失えば自慢の足も動かなくなるはずだ……ッ!』

 

「いけってさ。立てってさ。この剣を通してイッセーくんが僕に無茶を言うんだ。じゃあ、いかなきゃダメじゃないか……ッ!」

 

アスカロンから膨大なオーラが解き放たれていく。

 

龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の聖剣――アスカロン。それを受けて、ジークフリートの体に変化が訪れる。

 

――体から異様な煙をあげ始めた。

 

僕の一撃をグラムで受け止めながら、表情も苦痛にまみれている様子だった。

 

『……なんだ、その聖剣から感じる……力は……ッ!』

 

そうからアスカロンがこの男を苦しめている。たとえ、グラムの力に対応できるようになったとしても、イッセーくんが手にしていたアスカロンは別だったということだ。

 

いける!――そう思い始めた時だった。ジークフリートが持つグラムが輝きだした。

 

 グラムが僕に輝きを向けた。それは攻撃的なものではなく、むしろ、迎え入れてくれるかのような……。

 

『――ッ! グラムが! 魔帝剣が呼応している!? ――木場祐斗に!? まさか、魔人化(カオス・ブレイク)の弊害なのか!?』

 

 仰天するジークフリート。彼がここまで焦るなんてね……。

 

この土壇場でグラムは……持ち主を再度選び直したということだ。

 

 僕はグラムを真っ正面から捉え、叫んだ。

 

「――来い、グラム! 僕を選ぶというのなら、僕はキミを受け入れよう!」

 

 僕の言葉を受けて、グラムがいっそう輝きを解き放つ。その輝きは持ち主であったジークフリートを拒絶するかのように握る手を焦がしていく。

 

グラムはジークフリートの手から抜け出て宙に飛び出し、僕の眼前の地面に突き刺さった。

 

それを見てジークフリートは首を横に振って、起きたことを信じられないように言う。

 

『こんなことが……ッ! こんなことがあり得るのか!? 駒だけでも赤龍帝はッ! 戦うというのか!? この男を立たせるというのか!?』

 

 ……せっかく、グラムが僕を選んでくれても片腕では拾い上げられない。

 

 そう思っていたら僕に近づく者がいた――アーシアさんと小猫ちゃん、レイヴェルさんが僕に近づいた。

 

 小猫ちゃんが切り落とされた僕の腕を持って、肩口に当ててくれる。そこへアーシアさんが手を向けて――淡い緑色のオーラを放出させてくれた。そしてレイヴェルさんが僕の身体をしっかりと支えてくれる。

 

 やさしいオーラを受けて、僕の腕は徐々に繋がり、機能を回復させていく。

 

 アーシアさんと小猫ちゃん、レイヴェルさんは涙を流していた。――その手にはイッセーくんの紅い駒が握られている。

 

「……イッセーさんが『アーシアも戦え』って、駒を通して言ってくれたような気がしたんです」

 

アーシアさんは必死に泣くのを耐えながら、にっこり微笑んでいた。

 

「……『俺のダチを助けてやってくれ』って、私にも言ったような気がします」

 

小猫ちゃんもそう微笑んでいた。彼女の手から仙術による治療の気が送られてくる。

 

二人のオーラはやさしく、慈愛に溢れていた。

 

「私にも聞こえた気がしましたわ。イッセーさまの声が……。『小猫さんや皆を支えてくれ』と。本当、眷属でもない私にまで……やさしすぎますわよ……っ!」

 

レイヴェルさんは涙をぬぐい、笑顔を浮かべてそう漏らした。

 

「――『皆と共に戦ってください』、か。そうよね。あのヒトなら、そう言うに決まってるわ」

 

 部長がイッセーくんの駒を手にして前に立つ――。

 

涙に濡ながらも瞳には火が灯っていた。

 

「さあ、私のかわいい下僕たち! グレモリー眷属として、目の前の敵を消し飛ばしてあげましょうッ!」

 

 ――戻った。

 部長のいつもの口上。ああ、イッセーくん、つばさちゃん、戻ってきたよ。

 これで戦える。いつでも誰とでも……戦えるに決まっている!

 

 僕はグラムを抜き取り、復活したグレモリー眷属とジークフリートに立ち向かった!

 

 ――そこから先は一瞬だった。部長の滅びの魔力、そしてとどめとして僕がアスカロンとグラムを突き刺すことで、ジークフリートは致命傷を負った。

 

そして、口から血の塊を吐き出していく。

 

『……この僕が……やられる……?』

 

ジークフリートはよろよろとよろけながら、フラフラとしていた。

 

『……いや、有り得ない。……あってなるものか……僕は……俺はッ!―――最強の人間ッ! 英雄なんだからッ! こんな奴らに! 悪魔なんかに負けてなるものか!?』

 

するとジークフリートは懐から一つの瓶を取り出した。

 

――っ。あれは……ッ!

 

「あの瓶は間違いありません! フェニックスの涙ですわ!……ですが、色は少しおかしな色をしていますが…。でも、あれは間違いなくフェニックスの涙です。フェニックス家で作られているものですから、私が見間違えることはないですわ」

 

レイヴェルさんが叫ぶ。……やっぱり。僕の見間違えじゃなかったようだ。

 

ジークフリートはフェニックスの涙を一気に飲み干す。

 

すると、ジークフリートの傷は一瞬で癒え、更に力も前以上に膨れ上がっていた!

 

『これハ……英雄派で作らレた、オリジナルのフェニックスの涙、ダ。……シンノ魔王ノ血とフェニックスの涙を掛けアはせたモノ。コレを飲むことデ、魔人化(カオス・ブレイク)の数倍もの力を引き出ス代償とシて……意識を飛ばし、バーサーカーとなル。……僕タちは、コれを「魔神化(ゼロ・ブレイク)」と呼ンでイル……サァ、キミたちはドコマデ、耐え、レる、かナ?』

 

その体は更に肥大化し、ただの畏敬の化け物へと遂げていた。 最早、人の形は無くなり"何か"といった化け物だった。

 

『キハハハハハハハハハ!!!!!!!?』

 

奇声を発しながら襲って来るジークフリート。僕たちは懸命に相手をするが、やっと回復したばかりの僕たちでは歯が立たず少し押されていた。

 

『モウ諦メロ。キミ、タチデハ、戦イニスラナラナイ、ゾ』

 

「――いや、僕は、僕たちは絶対に諦めない! 諦めてたまるものか! イッセーくんと約束したんだ! 僕はグレモリー眷属の騎士、木場祐斗! この身を持ってしてでも脅威からグレモリー眷属を守ると!!」

 

「僕は約束した! 何者にも屈しない、心では絶対に負けない、そんな強靭な精神を持った騎士になると! つばさちゃんに約束したんだ! だから僕はキミには屈しない、屈してなるものか!! どんなことがあろうとも! 守るべき者、グレモリー眷属のため、必ずこの守るべき者を守り抜いてみせる!!」

 

『……ソウカ。ナラ――シネェェェェ!!!』

 

僕は、この命、つき果てようとも絶対に後ろにいる皆、グレモリー眷属を守り抜くと心に誓った。

 

僕は迫り来る巨大な敵に立ち向かおうととしたその時―――。

 

―――若き騎士よ。その願いしかと聞き届いた。

 

突然、女性の声が聴こえ……

 

―――パァァァァァ!

 

僕の――いや、僕たち"グレモリー眷属とレイヴェル"の体が光り出す。

 

『――ナ、ナンダ! 何ガオキテイル!?』

 

ジークフリートが驚愕していた。それは僕たちも同じだ。

 

体は何で光って……いや、これは体が光っているんじゃない…まさかこれは……

 

僕がそう思った瞬間、胸ポケットから"光る何か"が飛び出した。他の皆も服の中から同じ光が飛び出してきた。

 

僕の胸ポケットに入れていたものは、つばさちゃんにシトリー眷属との試合で戦う前に貰ったお守りだ。『いつか、あなた達が本当の意味で"強さ"を知ったとき、そのお守りがあなた達を守ってくれる。だから、それまで肌身離さず持ってて下さい』と言われて貰ったものだ。レイヴェルさんのもいつ貰ったかは知らないが、僕らと同じお守りだった。

 

暫く、宙で漂っていた光る"お守り"は、急に素早く動き出し1箇所に集まっていく。皆のお守りが集まった時、お守りは円に並びクルクルと回り出した。すると、お守りとお守りの間の距離が徐々に狭まっていきお守り同士が重なったとき……更に、強い光が弾けた!

 

―――っ。あまりにも眩しさに目を瞑る僕たち。しばらくして光が止んだのか眩しさはなくなった。僕たちは何が起こったのか確認するため目を開けるとそこには……

 

――女の子がいた。

 

ゼノヴィアと同じ位の身長に、桃色に近い色の髪に、ドレスの様な衣装を身にまとい、その背には、彼女と同じ大きさの大剣があった。

 

「……どうも、初めまして。グレモリー眷属の皆さま。私の名前は『クローディア』我が主、つばさ様の名によりあなた方をお守りする者です。」

 

ぺこりとお辞儀をするクローディアさん。僕たちは突然の事に困惑していて返事ができなかった。

 

「さて。あなたが敵ですね。……それにしても哀れな人です。英雄でありながらも人を辞めこうして化け物へとその身を墜す。――あなたの祖先がみたら何を思うか」

 

『ウルサイ……ダマレ――ダマレダマレダマレ! 貴様ニナニガワカル!? 僕ハタダ勝ツタメニ手段ヲ選バナイダケダ! ケッシテ地ニ落チタワケジャナイ!』

 

「その様な、人とも思え異型の姿で? いったいどの口が申しますか。ハッキリと言いましょう。―――いまのあなたはただの化け物だ。それ以上でもそれ以外でもない。ただの醜い化け物です。……少なくても、英雄ではありませんよ」

 

指を指しながらそういうクローディアさん。するとジークフリートは激高してクローディアさんを襲った。

 

『ウルサァァァァイ!! オマエも殺シテヤルゥゥ!』

 

ジークフリートは五本の腕に持った四本の魔剣と一本の光の剣、そして残りの一本の腕に持った普通の剣を同時に動かし振り下ろしてきた。

 

そんな攻撃を微動だにせず見ながら、クローディアさんは背中の大剣を掴む。

 

「その程度の技量と力――なによりその未熟な精神で私に挑もうなど――百万年早いと知れ!」

 

ブンッ!

 

クローディアさんは大剣を素早く抜き取り横薙ぎに一線。たったそれだけの動作で……

 

パキィィィン――……

 

『……ゴフッ』

 

ドサ。

 

全ての剣は砕かれ、ジークフリートは体を切られて血を吐いた。

 

すると、ジークフリートの斬られた傷からシューシューと音をたてて煙を出していた。するとどうだろうか……ジークフリートの体は徐々に縮んでいく。

 

「私の剣はありとあらゆる魔を滅し、全ての龍を殺す力を持っている"龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の聖剣"です。故に、あなたの力を全て消させてもらいました。

それともう一つあなたが私に負けた原因はあります」

 

そう言いながら、クローディアさんはジークフリートを強く睨む。

 

「我が主――我が父君を愚弄するなど万死千番ッ! 私を怒らし貴様を殺すには充分の理由だ!」

 

そう言い残した彼女は、次に哀れみの目でジークフリートを見つめる

 

「……ところで」

 

――"フェニックスの涙は使わないのですか?"

 

クローディアさんがそう聞くが、ジークフリートは『魔神化(ゼロ・ブレイク)』を使うと、あらゆる回復系のアイテムを受けつけないようだ。

 

『……やっぱりそうさ。……あの戦士育成機関で育った教会の戦士は……まともな生き方をしないのさ……。それは、あいつも……』

 

 それだけを言い残し、彼の身体はもろくも崩れ去っていった――。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 ジークフリートを倒すと、僕たちはアジュカ・ベルゼブブさまにイッセーくんの駒を見ていただいた。その結果、判明したことは……。

 八つの内、四つの駒がミューテーション・ピースに変化していた。当然、最初に使用したときはすべて通常の駒だった。イッセーくんのなかで駒が変異したのだ。そんなことが起こるなんて、凄まじい限り。アジュカ・ベルゼブブさまの事前の調整も反映されているのだろうけど、例の乳パワーとやらも一役買ったように思える。何せイッセーくんだからね。

 

 しかしもう一つ判明したことのほうが、僕たちにはずっと重要だった。

 駒の最後の記録情報が『死』ではなかった。赤龍帝ドライグの魂も神器として、まだ残っているという。肉体は消滅しているけど、魂は消滅していなかった。彼の魂は、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)と共にあるのだろう。

 サイラオーグ・バアルと、初代孫悟空の言った通りだった……!

 イッセーくんは魂だけとはいえ……生きていた!!

 その報せに、僕たちは――人生で一番といっていいくらいに歓喜した。アーシアさんたちはわんわん泣くほどに喜んでいた。

 絶望の状況のなか、一筋の光明――いや、大きな希望を得られた気がした!

 

 イッセーくんの生存を知って、僕たちはもう何の問題もなく巨大モンスターの討伐に参加できるようになった。アジュカ・ベルゼブブさまも眷属を指揮してモンスターと戦われるという。

 僕たちも早く冥界に戻って、巨大モンスター討伐に加わらないと。

 

「行きなさい。私の役目は果たしました。さぁ、次はあなた達が守る番です。自分の生まれた街を世界を……その手で守り通してみなさい。若き子供達よ」

 

クローディアさんの言葉に背中を押されながら、僕たちは急いで冥界に向かうのだった。

 

―side out―

 

――――――――――――――――――――――

 

―アジュカ side―

 

グレモリー眷属の子達が冥界へ飛んだ後、は一人残りながらクローディアと名乗る者と"影に隠れて"いた者を呼び出した。

 

「……ふっ。さすがは魔王だな。その名は伊達ではないという事か」

 

俺の言葉にそう言う者。影から出てきたのは、全身を青い鎧に身に纏い、背中には巨大な大剣を背負っていた。性別は鎧を来ているせいでわからないが、声の質的に男だろう。

 

「キミはいったい……」

 

俺がそう言いかけたが彼は手で制す。

 

「私はただ、そこの"クローディア"を回収しに来ただけだ。なに、私はそのクローディアの"主"と関わりの深い者と思ってくれていい」

 

クローディア……グレモリー眷属に聞くと彼女はどうやら、結城翼から貰ったお守りが合体して誕生したらしい。彼女の主が翼だとしたら、目の前の彼もきっと翼の部隊の仲間なのだろう。

 

「わかった。なら安心だな」

 

「ふむ。わかってくれたのならそれでいい」

 

すると、ジークフリートは彼女を横抱きに抱えた。いわゆるお姫様だっこをしていた。

 

彼が帰ろうと歩みを進めていた時、ふと彼が振り向きこう言った。

 

「貴様たちには随分と迷惑を掛けたな。本当にすまない。先程は正体を言わなかったがあえて教えよう。――"私の子孫が迷惑をかけた"。本当にすまなかったな。……それでは失礼する」

 

そう言った彼の足元に魔法陣が発動し、彼は消えた。

 

……彼は正体を教えてくれたようだ。それにしてもどういう意味だ? "私の子孫"…これが意味をするのは………………―――まさかっ!

 

なるほど、そういうことか。いや、結城翼…かれの部隊の仲間ならいてもおかしくはないな。かのアーサー王でさえいたのだから。……その名に恥じない程の気迫だ。さすがは龍殺しの英雄だよ、"ジークフリート"殿。

 

「さて、私も冥界で働かなければならないな。魔王としての仕事をこなすとしよう」

 

俺は魔法陣を展開し、冥界へ向かった。

 

―side out―




うん。何とか忘れずに投稿できた。よし! 次の話も早く投稿しなければ!!

あ、ちなみに、ジークフリートのモデルはパズドラのカイゼルジークフリート。

クローディアのモデルは千年戦争アイギスのクローディアです。


それでは皆様、また次回でお会いしましょう! それじゃぁ、バイバ〜イ!


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5話 さぁ、行こうか!

主人公、復活!!……やっと、やっと書きたかった所まできた! やっと、この次の話からさらに書きたかった戦いを書ける(歓喜)


……んあ、寝てた……?

 

俺――兵藤一誠が目覚めた時に目に入った景色は黒い空間の中だったが、黒い空間は空で目覚めたのは赤い地面の上だった

 

変な夢を見た。ジークフリートと戦う木場に俺が応援する夢だ。なんだか、ピンチだからアスカロンを貸したような……。他の皆も元気がなかったから励ましておいたぜ!

 

……ってどこだ、ここ……?

 

さらによく周りを見渡せば、赤いゴツゴツしてそうな……岩場? 荒れ地?

 

よくわからないけど、赤い地面の上に俺はいるようだった。黒い空と思っていた空を眺めてみると様々な色合いが混ざりあったようなはちゃめちゃな景色。どうやら寝惚けて黒く見えただけだった。この景色はなんか、万華鏡を覗いているかのような、そんな景色だ。

 

どうしたんだっけ? 家に帰ろうとしたはずなんだけどな……。シャルバの野郎をぶっ倒して……あれ? 逆にぶっ倒されたんだっけ? 記憶が曖昧だなー、その辺。

 

『目が覚めたか。一時はどうなるかと思ったぞ』

 

相棒の声が聞こえてくる。

 

『ドライグ? ああ、気を失ってた――って、あれ? おかしいな。なんだか、体の感覚が変だ』

 

俺は自身の変化に気づいた。……おかしい。触覚がない! 何かに触れている感覚がないんだ! 俺、いま鎧を着込んでいるのにその感触をまるで感じられない! どうなってんだ!?

いつものように鎧にマスクを収納しようとするんだが……。できない! じゃ、じゃあ、これならどうよ!

 

手の部分だけ鎧を解除してみた。すると――。

 

手……手がない! 手がないんですけど!?

 

鎧を解除したら出てくるはずの中身の腕がない! ま、まさか……。それって、全身に渡っているってこと……?

 

自身に何が起こったかまったく理解できない俺に別の声が聞こえてきた。

 

「起きたんだね。イッセー。……本当に心配したんだから。もう、あんな無茶はしないでほしいな。私も含めて、そんな私以上に貴方が死んだら悲しむ人達が沢山いることをいい加減自覚してほしいよ、このお馬鹿さんわ」

 

……こ、この、癒されるような母性あるれる聖女のような、虜になってしまうほど綺麗な声の持ち主は――

 

 

そう思い俺はふと、視線を上に上げると……

 

『つ、翼ちゃん?』

 

「やぁ、イッセー。おはよう。やっと起きたね」

 

そこには、翼ちゃんの顔があった。その顔はとても綺麗で可愛くお姉さん達に負けないほどの可愛さと綺麗さを持っている。それと今の翼ちゃんはいつもの翼ちゃんじゃないようだ。……何故なら――"おっぱい"がある! そう、あの翼ちゃんに"おっぱい"があるのだ!!

 

つまり、いまの翼ちゃんは"翼"ちゃんではなく、"椿"ちゃんということだ!

 

……ん? まてよ。冷静に考えるのだ、兵藤一誠よ。俺はいま地面の上にいるはずだ。だがしかし、俺の頭の上には翼ちゃん――改め椿ちゃんがいる。そして更に、よく見るとすぐ側の地面から視線が少し上なのだ。つまり、普通で考えると俺は首を浮かしていることになる。しかし、俺自身にはその感覚もないし、動かしてすらない。……結果、そこから考えられる答えはただ一つ―――つまり、俺は……っ!

 

『ひ、膝枕……だとぉ!?』

 

そう、なんと俺は、あのみんなのアイドル椿ちゃんに膝枕をしてもらっているのだ!

 

くそう!? 俺自身の触覚が無いせいで、椿ちゃんの太ももの感触が感じられない!! ちくしょーーー!! 俺の体よ! なぜこの様な普段なら信じられないからこそ、奇跡的なイベントに限ってないのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 

そんな思いで絶望していると、ドライグの声が聞こえてきた。

 

『相棒、愉快で残念な思考をしている所で悪いが、いまのおまえの状態を説明するぞ? おまえの肉体はサマエルの呪いで滅びかけていた。魂だけを抜きだして鎧に定着させている状況だ。現在、魂だけの状態といえる。しかし、成功するかどうかのかなり危ない橋だったが……そこにいる、翼が手伝ってくれたおかげで難なく成功した。感謝するんだな』

 

………………え?――俺の体が、滅んだ? 魂だけの状態?

 

「そうだよ。イッセーが死んだと思ったのに、数十分たってもドライグがまだイッセーから離れていないのに気がついた。だからこそ気づいたんだ、魂だけはまだ無事だということを……案の定、魂は奇跡的に無事だった。だからこそ、私は自身の能力のひとつ『魂を操る程度の能力』を使い、こうしていまのイッセーができてるってわけなの。……まぁ、それでもあと一歩遅かったらイッセーは死んでた。本当に、ギリギリだったんだよ」

 

そ、そうだったのか。つまり、椿ちゃんがいなければマジで俺はこの世から去っていたと……

 

ふとそのことを考えて、すぐにとあることに思いつく。

 

『……なんてこった! 体がなければリアスとエッチできんじゃないかぁぁぁっ!』

 

俺は頭を抱えて絶叫した。

 

――――――――――――――――――――――

 

―椿 side―

 

『……なんてこった! 体がなければリアスとエッチできんじゃないかぁぁぁっ!』

 

私はいま、イッセーを膝枕していたのだが、イッセーのいまの状況を話すと突然起き上がったイッセーが頭を抱えてそう叫んだ。

 

…………何言ってんだ、コイツ。思わずそう思ってしまうほど、平常運転なエロ坊主に呆れる私がいるのだった。たぶん、いまの私の目はとても冷たい目をしていると思う。それほど、私は呆れているのだ。……それと同時に、安心している自分がいるのもどうかと思うが…。

 

『……え? そ、それが感想なのか……?』

 

ほらぁ、ドライグも随分と呆れ驚いているじゃないか。それもそうだ。1度死にかけ、ギリギリ魂は残ったものの肉体は消滅。普通なら驚き戸惑い、何か行動するため暴れたりしてパニックになるというのに、この人はそれらを超えて、エロ思考にいっちゃったんだから、それは驚くさ。普通わね。

 

『「え?」じゃねぇよ! これは死活問題だ! せっかく、リアスと良い関係になれてきたのに体がないんじゃエロエロなことができねぇじゃねぇかッ! あの乳を手でッ! 生で! 揉めないなんて! 死んだほうがマシだぁぁぁぁっ! 鎧だけの状態でどうエッチしろっていうんだよ! 鎧のなかに入ってもらうプレイなんてデュラハンだけにしてくれよっ! 』

 

そう叫ぶイッセーに更に呆れる私はひとり嘆息した。

 

『あれか!? リアスに鎧の中に入ってもらって「ああ、イッセーのなかってひんやりしていて感じちゃう」なんてのが……悪く無いかな?――いや、ダメだ! やっぱり、肌と肌で感じあいたい!』

 

……もうこの子、ダメかもしれない……あっ、もうすでに手遅れか…(꒪꒫꒪ )

 

『ゼノヴィアとの子作りも無理だってのか! クソ! イリナとも子作りがしたかったのにぃぃぃっ! もう、最悪鎧プレイでもいいよ、くそったれぇぇっ! 鎧でおっぱいを感じ取ればいいんだろう!?』

 

鎧なのに、物凄い執念と後悔を感じ取れるとは……イッセー、なかなかやりおるぞ(困惑)

 

『あー。えーと……あのだな、相棒』

 

呆れ声のドライグ。……うん。ドライグ、君の気持ちが凄くわかるよ。今度、いっぱいカウンセリングしてあげるから、いまは頑張って耐えてね(T^T*)

 

『んだよ、ドライグ! 俺はいま最高に悲しみに暮れてんだ! 話はあとにしてくれ! くっそぉぉぉぉっ! せっかく、あこ偽者魔王のシャルバをぶっ倒して帰還しようと思ってたのに……。あ、そういえば、オーフィスは? あいつを助けるために俺はあのフィールドに残ったんだろう』

 

「……オーフィス? あぁ、あのこなら、あそこにいるよ」

 

イッセーの問に答えた私は指をさす。指した方向に、赤い地面をぺちぺちと可愛らしい音をたてながら叩いているゴスロリ幼女がいた。

 

「えいえいえい」

 

イッセーはオーフィスに近づきこう言った。

 

『お、おまえ、何をしてんだ?』

 

「グレートレッド、倒す」

 

イッセーの問に答えるオーフィス。

 

その答えに何かに気づいたんだのか、イッセーは走り出した。赤くゴツゴツした地面の上をドタドタと走るイッセー。すると、果てが見えたのか止まるが、イッセーは何かに目線を釘付けにする。

 

イッセーの目線……そこには龍の頭があった。

 

『……な、なんで、俺、グレートレッドの上にいるんだよ……?』

 

イッセーの問にドライグが嘆息して言う。

 

『おまえはシャルバ・ベルゼブブを倒したあと、崩れゆく擬似空間フィールドで力尽きた。そのあとつばさが向こうへ召喚されたが、それから10分後くらいにフィールドも完全に崩れきったのだ。そこに偶然グレートレッドが通りかかった。そこでオーフィスはおまえを連れて、グレートレッドの背に乗ったのだ。まあ、グレートレッドの上に乗った際、つばさがいたのにはビックリしたがな。あと、ここは次元の狭間だ』

 

ドライグに続いて私もイッセーに言う。

 

「そうだよ。私はもしもイッセーか私、又はその両方に何かが起きて次元の狭間から脱出できなくなったさいの保険として、使い魔 兼 家族の『赤龍神帝』グレートレッドこと"ガイア"を、私達がいた擬似空間フィールドの近くに待機させてたの。それで、私は召喚されてすぐに肉体から離れて魂だけでこっちに来たってわけ。ちなみにだけど、すでにあれから幾日か過ぎているよ」

 

『相変わらずだが、相棒の巡り合わせは驚異的だな。……ここにいるグレートレッドにオーフィスの片割れを使い魔として家族として持って、さらに祖龍ミラ・ルーツの神器を持っている人間に、赤龍帝である俺を始め、他にも多くの各伝説級の存在との遭遇率が異常なのだからな。他者を引き寄せる己の力だけで危機を脱するなんて相変わらずおまえは読めんよ』

 

「そうだね。仮に私がグレートレッドを持ってきてなく、ましてや使い魔でも家族でもなかったとしても、さらに言えば私がイッセーとの関わりが一切なくても、いまの様に鎧に魂が憑依して、こうしてグレートレッドの上にいそうだけれどね。……なんだか、そんな気がするよ」

 

『……確かにそうだな。普通なら"ありえない"の一言で済ますが、相棒ならありえそうで否定ができん』

 

私とドライグはイッセーのことでそんな話をするのだった。

 

『なんだよ、二人して。まるでそれじゃぁ俺が絶対に死なないみたいじゃないか』

 

「まるで…じゃなくて、本当に死ななそうで怖いよね。案外、向こうでも確実にイッセーが死んだと思われ意気消沈しているリアスさんに対して、サイラオーグ辺りが『イッセーはリアスの処女を貰うまで死にはしない!』なんて言ってそうだね!」

 

『ま、まっさかぁ……』

 

イッセーは震え声でそう言うが、何故か声は震えていた。……まぁ、つい先程まで『リアスとエッチできない!』なんて叫んでたからね。仮にサイラオーグか誰かが言っても言ってなくても、実際のところ間違ってないから否定できないしね。

 

『そ、そんなことよりも、オーフィス、おまえは元の世界に戻らなかったのか?』

 

イッセーが話を変えるようにオーフィスに質問した。

 

「我にとって、元の世界はここ」

 

……イッセー。忘れているだろうけれど、オーフィスの生まれた場所は、元々ここ次元の狭間だよ?

 

『……言い間違えた。冥界、もしくは人間界に戻らなかったのか? それに椿ちゃんが召喚されたとき、どうして一緒に帰らなかったんだ?』

 

イッセーは思い出したのか言い換える。

 

「ドライグが共に帰ろうと言った。だから、ここにいる。一緒に帰る」

 

オーフィスの答えに私も答える。

 

「私がいっしょに帰ろう?って言ったんだけどね、オーフィスはずっとこの答えなの。だから、ここに置いてきたんだよ。それに、どちらにしても私もここへすぐに戻ってくる予定だったからこうしていっしょにいるって理由」

 

『おまえ、本当に変な奴だな。でも、やっぱり悪い奴じゃねぇよな……。はぁ……。つーかさ、俺、帰れるのかな。椿ちゃんはあったのに、俺の先生たちからの召喚はなかったのか?』

 

「あったよ? と、言うよりも私と一緒にね。最初は魂だけの存在となったイッセーを持っていこうと思ったんだけれど、どうゆう訳か、イッセーの内にあったはずの悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が外に出てきて、それだけが帰還しようとしたからね。慌てて掴んだら私も一緒に転移されたってわけ。たぶんいまは、リアスさん辺りが持っているんじゃないかな?」

 

イッセーの質問に私が答えた。するとイッセーは心底驚いたような反応を見せる。

 

『マジか! あ、本当だ。駒の反応が感じられない!』

 

イッセーが落ち込んでいると、ドライグが『あの駒があってこその相棒の強さがあるからな』なんてイッセーに言ってた。……まぁ、イッセーはあの駒があって始めてその内なる本領を発揮できるからね〜。いま戦闘になれば結構なピンチだよね。魂だけの存在となっている私も、イッセーとは違い鎧に憑依しているわけでもないので、防御力てきに紙装甲にも程があるからかなり危険だけれどね。

 

『とりあえ、皆に無事を……無事ってわけじゃないんだけどな……。ま、まぁ、生きていることだけは伝えたいところだな。って、俺ってずーっとこのままで大丈夫なの?』

 

『現在はグレートレッドからパワーを借りていてな。いまは問題ない』

 

「うん。逆に言えばグレートレッドがいないといまの姿を維持できなくて消滅するけどね」

 

私はドライグの言葉に付け足した。

 

『どちらにしても普通には帰れないのかよ! あー、こいつはまいったな……』

 

『そろそろ、先ほどの会話の続きに戻してもいいだろうか、相棒』

 

改まってそう言うドライグ。

 

『ん? 何かあったっけ?』

 

『ああ、現在の状況の再確認だ』

 

『現在の状況って……。この状況じゃ、グレートレッドと一生次元の狭間で旅に出なきゃならないんだろう? 女の乳も尻も太もももない世界で永遠に過ごせと……。地獄だぜ。俺のハーレム王の道は遠いな』

 

『ハハハハ! まだこの状況でもハーレム王を諦めないとは! さすが俺の相棒だ!』

 

「ホントだよ。普通ならここでどうやって帰るとか、全てを諦めるとか、いまの状況に絶望するとか、もっといろんな思いがある筈なのに、君と来たらこんな状況でもエロ一択。さすがはみんなのヒーロー『おっぱいドラゴン』のイッセーだよ。伊達に、『規格外のエロ大魔王』なんて言われていないよねぇ〜」

 

『え!? ちょ、ちょっと待って! なにそのあだ名! 始めて聞くんだけれど椿ちゃん!?』

 

「だって、最近できたイッセーの新しいあだ名ですもん。貴方の人間の相方二人が立てた噂から総合してできたあだ名ですからね。知らなくて当然です」

 

私がそう言うと、『あ、アイツらぁ! 戻れたら絶対に殴ってやる!』なんて声が聞こえてきた。

 

『ハハハ! まあ、それでいい。それでこそ、歴代所有者の残留思念がおまえにすべてを託したと言える』

 

ドライグの言葉にイッセーは固まった。まるでどういうことだといった、困惑をしている雰囲気が感じられた。

 

『……相棒、おまえの魂は危機に瀕していた。サマエルの毒でな。肉体はすでに手遅れで手放すしかなかった。肉体の次に呪いに犯されるのは魂だ。あのままでは、おまえの魂はサマエルの毒によって、消滅するところだった。俺もさすがにダメだと思ったぞ。次の所有者のもとに意識が移ると覚悟したほどだ』

 

「私だって正直、ドライグと同じ思いだった。ドラゴンという種族にとってサマエルの毒というのはそれほど絶対的な力をもつ呪いなの。だからこそ、私も諦めていた……でも、それは違った。あの人達のおかげでね」

 

『そう。彼らの残留思念がサマエルの呪いから、おまえの魂を守ったんだよ。彼らが身代わりになって呪いを受けている間に、おまえの魂を肉体から抜いて鎧に定着させたのだ。絶妙なタイミングだった。一瞬でも判断が遅ければ、いまここに俺もおまえもいない』

 

「そうだね。私だって、残留思念とはいえあの人達がイッセーの代わりに呪いを受けてなかったら、正直いってイッセーを助けることなんて不可能だった。彼らがいたからいまのイッセーがここにいる。……イッセー、彼らのこと、忘れないであげてね」

 

私とドライグの言葉に静かになるイッセー。きっと、残留思念の人達との思いが溢れているのだろう。

 

『……気持ちはわかる。だから、彼らの最後の言葉を聞いてもらえるか? いちおう、声だけ残した――彼らの最後のメッセージだ』

 

ドライグの言葉に私も気になったので耳をすました。

 

すると、イッセーの籠手の宝玉から映像が映しだされる。そこには歴代の所持者。つまり、イッセーの先輩たちの顔が記録してあった。

 

そして彼らは晴れやかすぎる程の満面の笑顔でイッセーに言った。

 

『『『『『ポチっとポチっと、ずむずむいやーん!』』』』』

 

………………………………え? れ、歴代赤龍帝の人達はいったいどうしたの? どうしてこうなったの? 訳がわからないよ!?

 

私が困惑していると、イッセーが前に話した歴代の白龍皇の人が、映像の隅で立っていて、彼らと同じように笑を見せる。

 

『おケツもいいものだよ、現赤龍帝』

 

その言葉を最後に映像が途切れる。

 

………………えぇ〜……。な、なんなの? どうなっているの? 歴代所有者の人達は……。あ、もしかして、ドライグの精神的ショックってイッセーだけじゃなく歴代の残留思念たちもイッセーみたいにエロくなり壊れたから? ……なんか、もう。私も疲れたよ…。私の感動と感謝を返せこのヤロウ…。

 

ちなみに、私がこうして困惑している中、イッセーは頭を抱えながら『ありがとうございました! とりあえず、がんばります!』なんて言った。どうやらイッセーの様子では、こんな事を予想していなかったらしく頭を抱えているようだった。……こうなった元の原因はイッセーだと思う私がいたのは気のせいだよね。うん。

 

『右手側の奥を見ろ』

 

ドライグに言われてイッセーはそちらに視線を移す。――そこには迫り上がった肉の塊があった。……グレートレッドの体が蚊にさされたような感じだ。さらに、脈も打っている。

 

『あれは?』

 

『あれは繭だ。培養カプセルと言ってもいい』

 

『繭? 培養? 何が入っているんだ?』

 

イッセーの疑問に私が答えた。

 

「あの中にはイッセー、貴方の肉体が入ってる。一度滅んだ肉体があそこで新たな受肉を果たそうとしているの。グレートレッドの体の一部とオーフィスの龍神の力、そして私の神龍としての力も拝見してね。そうやって、貴方の体を新生させているところだよ」

 

私はニコリと笑いながらそう言った。私の言葉に驚き言葉を失うイッセーにドライグは『ククク』と愉快そうに笑った。

 

『おまえの体は真龍と龍神と神龍によって再生される。――相棒、反撃の準備に入ろうか』

 

ドライグは楽しそうにそう言った。

 

――――――――――――――――――――――

 

しばらくイッセーの新しい体の事で話しているとイッセーが等々にこんな質問をしてきた。

 

『いまのいままで気になって、でも質問をするタイミングを失って聞いてなかったけれど、いまの椿ちゃんってオレと同じ、魂だけの存在なんだよね? どうしてなの?』

 

イッセーの問に私は答える。

 

「イッセーの質問に答えるとね。理由は至って単純で、肉体が限界だったから。だから、魂だけでこっちに来たの。いわゆる幽体離脱みたいなものね」

 

『ああ〜なるほどな。……ん? でもそれって幽霊みたいなものだろ? なんでこうして触れるんだ?』

 

「……ん〜。なんでと言われても困るかなぁ。まぁ〜、簡単に説明すると幽霊と魂だけの存在ってよくわからないんだよね〜。なんせ、同じ幽霊でも触れる幽霊と触れない幽霊が存在する。そう言うなら、イッセーがあった事のある、魂魄妖夢だって、半人半霊っていう種族で、魂の半分が肉体から抜けて宙に漂っているでしょ?しかも、その半霊は触れる。 さらにその主である幽々子さんだって、幽霊なのに触られるでしょ? 同じ幽霊のプリズムリバー三姉妹だって触れるし。まぁ、あんまり気にするなってところかな」

 

『お、おう。そっか。とりあえず、何も問題はないってことか?』

 

「うん。そうだよ。そもそも問題があるなら、イッセーを助けているのにわざわざこうして戻ってくる必要もないから、すべてドライグやグレートレッドに任せてここにいないしね。でも、問題がないからこそ、こうしてイッセーの為にわざわざ残ってあげているんだよ。ついでに、イッセーの新たな肉体を作るのにも手を貸してね。

だからこそ、イッセーが目覚めるまで"特別に"膝枕をしてあげていたんだから感謝しなさいな」

 

『ははー! ありがとうございます、椿さま!』

 

「ふふ〜ん♪ わかればよろしいのじゃ!」

 

『「プッ! アハハハハハ!!!」』

 

私とイッセーはそんなお遊びにおかしくなり、二人して笑っていた。

 

……こうしてまた、友達と笑えるって、ほんと、いいもんだよね。……本当に良かった。イッセーが生きていて。本当によかったよ…。

 

今度からもう、こんな思いはしたくない。もっと、もっと強くならなくちゃ……。そう、もっと強くなる為に頑張ろう。うん!

 

そう新たな誓を心にたて、反撃の準備をするのだった。




よし。何とか思い通りに書けた……はず! 次も、早めに作らないとね。


さて、皆さん、また次回でお会いしましょう。

それでは、バイバーイ! (* ̄▽ ̄)ノ~~


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6話 難攻不落の覇王

予定よりも10日遅れての投稿。……くっ。忙しいって辛いね。


冥府――。

 

 冥界の下層に位置する死者の魂が選別される場所。そこに俺――アザゼルは赴いていた。

 

 冥府はオリュンポス――ギリシャ勢力の神であるハーデスが統治する世界だ。冥界ほどの広大さはなく、荒れ地が広がり、生物が棲息できない死の世界でもある。

 

その深奥にある古代ギリシャ式神殿が、ハーデスの根城の『ハーデス神殿』。そこに足を踏み入れると、すぐに死神どもが群がってきて敵意の眼差しを向けてきた。

 

 事前連絡無しでの訪問だった。相手にとっちゃ、襲撃に近い状況だろう。

 

 ここに来た理由は簡単。現在危機に置かれている冥界を骸骨オヤジの好きにさせないためだ。

 俺たちがたどり着いたのは、冥府に不似合いな煌びやかな祭儀場らしきところだった。

 

その奥から、死神を複数引き連れて司祭の祭服にミトラという出で立ちの骸骨さま――ハーデスの野郎がご登場された。相変わらず、嫌なオーラをまとってやがる。

 

 ハーデスを視認するやいなや、俺の隣にいた男が一歩前に出る。

 

「お久しぶりです。冥界の魔王ルシファー――サーゼクスでございます。冥府の神、ハーデスさま。急な来訪、申し訳ございません」

 

 そう、俺と共に来たメンバーの一人はサーゼクスだった。

 

 俺はオーフィスの件を始め、すべてを包み隠さずこいつに話した。許してもらえる立場ではなかったが、それでも一言「すまなかった」と述べた。

 

 ……リアスとイッセーをあんな目に遭わせた手前、殴られてもいい覚悟だったが、サーゼクスは進撃する巨大魔獣の群れと各地で暴れ出した旧魔王派の対応、民衆の保護優先を配下の者に伝達し終えたあとで、俺をこう誘ってきた。

 

「冥府に行く予定だ。アザゼルも同伴して欲しい」――と。

 

 この混乱に乗じて動きだすだろうハーデスの抑制。その答えが魔王自らの訪問だった。

 

 先ほど入ってきたイッセーの最新情報も得ている。それはサーゼクスにも伝えられた。安堵してたな、サーゼクスも。よほど心配だったのだろう。どちらにしてもオーフィスが同伴していてドライグも無事なら、どうにかして帰ってくるだろう。あいつは無敵のおっぱいドラゴンさまだからな。

 

 いちおう、悪魔サイドが次元の狭間の調査を開始したようだから、遅かれ早かれ帰還はできるだろう。あとはあいつの新しい体を作ってやればいいだけだ。……魂はともかく、神器(セイクリッド・ギア)がうまく定着出来るかどうかだが……。なんとか最小の被害だけで元通りにしてやりたいところだ。

 

眼球のない眼孔の奥を不気味に輝かせて、ハーデスは笑いを漏らす。

 

《貴殿らが直接ここに来るとは……。ファファファ、これはまた虚を突かれたものだ》

 

 ハーデスは俺とサーゼクス、そしてもう一人、神父服の青年を警戒しているようだ。

 

《そちらの天使もどきは? 尋常ならざる波動を感じてならぬが》

 

俺たちの後方にいるのは神父服に身を包んだブロンドにグリーンの瞳という青年だ。

 

――その背には十枚にも及ぶ純白の翼が生えている。

 

青年は軽く会釈をした。

 

「これはどうも。『御使い(ブレイブ・セイント)』のジョーカー、デュリオ・ジェズアルドです。今日はルシファーさまとアザゼルさまの護衛でして。まー、おそらく、いらないのでしょうが、『いちおう』とミカエルさまに命じられたものですから。天使のお仕事っスお仕事」

 

かなり軽い調子だな。……噂通りか、変わり者のジョーカー、デュリオ。その名の通りの天界の切り札だ。天候を自在に操る神滅具『煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)』の所持者にして、空を支配する『御使い(ブレイブ・セイント)』――。

 

《……噂の天界の切り札か。その身に宿る神滅具(ロンギヌ)は世界の天候を自在に操り、支配できると聞く……。ファファファ、ミカエルめ、まさかジョーカーを切るとはな》

 

それだけの存在なんだよ、おまえはな。

 

いちおう、表に俺が連れてきた神滅具(ロンギヌス)所持者『黒刃の狗神(ケイニス・リュカオン)』の刃狗(スラッシュ・ドック)も待機させている。何が起こってもいいようにな。

 

《ファファファ、コウモリとカラスの首領、それに神滅具(ロンギヌス)がふたつ……。この老人を相手にするにはいささかいじめかますぎるのではないか?》

 

よく言うぜ、これだけ用意しても退けそうな実力持っているくせによ。……そうか、表にいる刃狗(スラッシュ・ドック)も捕捉されているか。さすがだな、冥府の神さまよ。

 

《茶を飲みながら話すのもやぶさかではないが、生憎私は忙しいのだ。用があるのならば、手短に頼むぞ》

 

 ……わかってるくせによ。それにやはり、オーフィスのことを掴んだか。それであえてこんな物言いするとは、どこまで逆撫ですりゃ気が済むんだこの骸骨ジジイ!!

 

 その後は、サーゼクスがホテルでの死神の件を追及するが、ハーデスはプルートが冗談半分でほざいてたことをまんま繰り返してとぼけてみせやがった。

 

――全く、腸が煮えくり返りそうだ……。 正直、この野郎ののど元に光の槍でも突き立ててやりたいぐらいだが……。俺がこの骸骨オヤジに食っていかないのにも理由があった。

 

……そう、俺のすぐ近くでサーゼクスが濃厚な怒りのプレッシャーを放っているからだ。普段、微塵も乱れたオーラを見せないおまえが、いま俺の目から見ても相当魔力が内側で荒立っているように感じるぜ?

 

 そしてサーゼクスは改めて不義を問うた。

 

「ハーデスさま、あなたが禍の団(カオス・ブリゲード)と裏で繋がっているという報告を受けています。英雄派、旧魔王派共にあなたが手を貸している――と。かのサマエルを使用したというではありませんか。もしこれが本当だとしたら、重大な裏切り行為です。立場は違えど、あれを表に出さないことだけは各勢力で合意だったはずです。私としてもあなたの潔白を疑うつもりはないのですが、いちおうの確認としてサマエルの封印状況を見せていただけないでしょうか?」

 

 ハーデスの野郎がサマエルを使用したかどうかは封印されている術式の経過具合を調査すればすぐに割れる。白なら、大昔に施された封印術式だろう。黒なら、最近施された封印術式ということになる。

 

それが確認できれば、この野郎を糾弾できる口実が得られるってことだ。

サーゼクスからの問いにハーデスは嘆息したように見えた。

 

《くだらんな。さっきも言ったが、私は忙しいのだ。そのような疑惑を問われているヒマなどない》

 

ハーデスはそれだけ言い捨てて、この場を去っていこうとする!

 

 この野郎、都合の悪いことはガン無視かよ! 立ち去ろうとするハーデスを追いかけようとする俺をサーゼクスが手で制す。

 

「わかりました。それを問うのはやめましょう。しかし、ハーデスさまに疑いの目が向けられているのは事実。ここはひとつ、こうしませんか? 冥界での魔獣騒動が収まるまで、私たちと共にこの祭儀場にいてもらいたいのです」

 

 サーゼクスはこの場にハーデスを繋ぎ止める案を申し出た。ハーデスが冥界の危機に横やりを入れないよう、事件が収まるまで魔王自らここで監視をするという案だ。

 

これは、最終手段だ。というよりもおそらくそうなるであろうことは事前に予測はできてはいたが。

 

俺は巨大魔獣を全部殲滅するまでハーデスを神殿ごと結界で覆う案も検討したんだがな。サーゼクスは話し合いの場をいちおう用意したいと強く訴えかけてきた。

 

我慢強い男、というよりは被害を最小限に留めたいサーゼクス生来のやさしさがそうさせたのだろう。

 

ハーデスは足を止めて、その場で振り返る。

 

《おもしろいことを口にするな、若造。そうだな……。これはどうだろう。――お主が真の姿を見せるというのなら、考えてやらんでもないが》

 

 ――っ。俺はハーデスのその注文に一瞬言葉を失う。……そう来たか、このクソ野郎。

 

《噂にな、聞いておるからな。サーゼクスという悪魔が何故『ルシファー』を冠するに至ったか。それは『悪魔』という存在を逸しているがゆえだと》

 

 …………。

 

 一瞬の静寂。それを裂くようにサーゼクスがうなずく。

 

「――いいでしょう。それであなたがここに留まってくださるのならば安いものだ。ただし、身近の者たちは離れさせたほうがいい。――確実に消滅してしまう」

 

 ……本気でやるつもりか、サーゼクス。

 

 見守る俺とデュリオの前でサーゼクスは――身体が紅く紅く滅びの魔力で染め上っていった。

 

 そうして現出したのは――人型に浮かび上がる滅びのオーラ。その滅びの化身となったサーゼクスの周囲はそのオーラによって、塵も遺さず消滅した。

 

『この状態になると、私の意志に関係なく滅びの魔力が周囲に広がっていく。特定の結界か、フィールドを用意しなければすべてのものを無に帰してしまう。――この神殿が強固で幸いでした。どうやら、ここはまだ保つようだ』

 

 滅びの化身の口調はサーゼクスそのもの。これがサーゼクスの真の正体か……。

 

 以前、グレモリー現当主から聞いたことがある。サーゼクスは悪魔の突然変異体……いや、最早悪魔と呼んでいいかもわからないような存在だと。さすが、アジュカ・ベルゼブブと並ぶ現悪魔世界のたった二人のみの超越者。その実力は嘘ではないということか。

 

そう、それがサーゼクス・ルシファーという男。前魔王政府への革命が成功したのも当然だ。

 

『これでご満足いただけただろうか、ハーデス殿』

 

サーゼクスの言葉にハーデスは不敵な笑いを漏らす。

 

《ファファファ、バケモノめが。なるほど、前ルシファーも遥かに超越した存在だ。魔王というカテゴリーすら遺脱するものだ。いや、悪魔ですらあるのか疑わしいほどの力を感じる―――お主は何なのだ?》

 

『私が知りたいぐらいですよ。突然変異なのは確かなのですけどね。――とちらにしてもいまの私なら、あなたを消滅できます』

 

《ファファファ、冗談には聞こえない、か。この場で争えば確実に冥府が消し去るな》

 

ああ、いまのサーゼクスなら俺も冗談には思えないぜ。嬉しい誤算だ。最悪の場合ら俺たちでこのハーデスを力尽くでも止めるつもりだったが、いまのサーゼクスのパワーなら余裕で対応できる。

 

ったくよ、イッセー、リアス、おまえらの兄貴はとんでもねぇよ!

 

サーゼクスを見据えるハーデスのもとに物陰から死神が一名現れた。死神はハーデスに何かを耳打ちしているようだっだ。

 

 ハーデスが祭壇に設置されてある載火台の炎に手を向けると、炎にとある連中が死神を相手に大暴れしている様子が映しだされた。

 

『おらおらおら! 俺っちの棒にどこまで耐えられるんでぃ、死神さんよ!』

 

 ヴァーリチームだ。冥府に現れて、死神どもを相手に抗争を開始しやがったようだ。予想はしていたさ。あいつらがやられっぱなしなわけがない。

 

 ヴァーリの姿は見えない。……奴のことだ、何か企んでいるんだろう。

 

《……貴様の仕業か、カラスの首領よ》

 

ハーデスが最高に不機嫌な声音でそう訊いてくる。

 

ああ、それだよ、それ。俺が見たかったのはおまえのそういうところだ。俺は堪えきれずに嫌みに満ちた笑みを浮かべてこう言ってやった。

 

「さあ、知らね」

 

《…………ッッ!》

 

ハーデスが体にまとうオーラの質が激情の色となった。

 

あーあ、随分とお怒りのご様子で。万全のヴァーリチームを舐めると痛い目に遭うぜ、骸骨さまよ。あいつらはいままで各勢力の追撃部隊をすべて退けたバケモノ揃いなんだからよ。

 

「死神を総動員しなければ白龍皇の一派は仕留められないでしょうな。それはあなたがここで指揮でもしないとダメでしょうねぇ」

 

 これでハーデスが冥界の危機にに横槍を入れられなくなったのは確定だ。冥府でヴァーリチームが暴れ回って、サーゼクスまで本気になっているのだから、冥界への嫌がらせどころじゃない。

 

俺の意見にサーゼクスが同意する。

 

『ええ、ですから、あなたにはここに留まってもらうしかないのですよ』

 

迫力と緊張に満ちた空間でサーゼクスは指をいっぽんだけ立てた。

 

『ひとつだけ。これはあくまで私的なものです。ですが、あえて言わせていただこう』

 

 滅びの化身は憎悪に満ちた眼光で冥府の神を鋭く睨めつける。視線を向けられていなくともこの場にいるだけで全身が凍りつきそうなほどの敵意――。

 

『冥府の神ハーデスよ。我が妹リアスと我が義弟兵藤一誠に向けた悪意、万死に値する。この場で立ち合う状況となったときは覚悟していただこう。――私は一切の手加減も躊躇も捨てて貴殿をこの世から滅ぼし尽くす』

 

ハーデスがただひとつミスをしたとすれば――それはこの男を激怒させたことだ。

 

いや、ふたつのミスか。俺も光の槍を手元に出現させる。

 

「骸骨神さまよ、俺もいちおうキレてるってこと、忘れないでくれ。まあ、個人的な恨みなんだがな、それでもいちおうのことを物申しておくぜ? ――俺の教え子どもを泣かすんじゃねぇよ……ッ!」

 

 俺とサーゼクスの敵意を真っ正面から存分に受けてもこのハーデスは微塵も気配を変えることなどなかった。

 

ま、これでハーデスの件はクリアあだ。若手悪魔ども、それに光輝たちを含めた地球連邦軍の奴らもあとは任せるぜ?

 

―――それとよ。

 

イッセー、そろそろ帰ってこいや。いい場面を全部取られちまうぜ?

 

――――――――――――――――――――――

 

「ふぉっほっほっほ。随分とやられておるようじゃのぉ。ちまちまと姑息な真似をするからじゃ。これを期にその性格を直すことじゃな。ハーデスの坊主よ」

 

俺はハーデスを抑えたことに安堵していると、突然別の声が聞こえてきた。隣のサーゼクスも気づいていなかったのかその声の主の方へと視線を向ける。

 

そこには、甚平を着たガタイのいい男がいた。しかし、顔には面をしており、狂言面の福の神の面をしていた。

 

《……おまえは何者だ? どうやってここへ来た。この我に気づかれずにどうやって冥府の神殿へと侵入したのだ》

 

ハーデスも気づいていなかったらしくその虚無の瞳には警戒のオーラを出していた。

 

「ほほほ。なぁ〜に、そんなに警戒するでないわ。警戒したところでオヌシらにどうこうできんのじゃから。このワシに気づかぬ時点でオヌシらのつみじゃよ。それにハーデスの坊主よ。ワシはお主に話をしに来たのじゃ。だからいい加減そのオーラを消せ、鬱陶しい」

 

爺さんのような言葉遣いの男がそう言い、腕を横に振った瞬間、音が消えた。……文字通り、ありとあらゆるモノが消えたのだ。ハーデスのオーラも、死神のかまも、俺の光の槍も、サーゼクスの体に纏っていた滅びの魔力でさえも……。

 

《……この力、貴殿は…まさか―――》

 

すると、その現象に驚いていたハーデスが何かを確信したかのような雰囲気を出していた。

 

「ほっほっほ! やっと思い出したようじゃのぉ。じゃがまぁ、そんなことは正直どうでもいいのじゃよ。ワシの目的はただ、お主に"挨拶"をしに来た程度じゃからな」

 

その男は一息すると、ハーデスを見る。

 

「お主には、我が孫達が随分と世話になった。孫達はオヌシのせいでいまも冥界にて世界のために戦っておる。それと、一番末っ子の孫に関しては、友人の悪魔の小僧と一緒にいまも"次元の狭間"にいるのじゃよ。主の使わしたサマエルのせいでのぉ。……じゃから、ワシからもひとつ忠告しといてやろう。」

 

すると、突然、その男が光だし俺たちは思わず目をつむる。光はスグにやみ男の方を見ると、そこにいたのは…………

 

黒くゴツイ何かだった。全身がゴツゴツしており、太い両腕にはそれぞれ鋭く大きい刃が付いている。胸には赤いV字のような物が付いていて、背中には丸い何かを付けていた。

 

《やはり、『難攻不落の覇王』だったか》

 

『難攻不落の覇王』?なんだそりゃ?

 

『ほっほっほ。この鎧を着るのも随分と久しいな。最後にいつ着たのか忘れたわい。……まぁ、そんなことはおいといてだ』

 

全身鎧の男はハーデスに視線を向ける。

『二度と、今回と同じことを起こすな。ましてやワシの大切な孫に手を出したことを後悔するがよい。……次、ワシの孫達に手を出してみよ…。その身にその魂がこの世から消し去るまで、貴様を徹底的に破壊し燃やし尽してやる。ワシのこの『ZERO』の力でな』

 

《―――ッッ!?》

 

その暴力的な力に俺たちは戦慄した。サーゼクスのさっきの滅びの魔力の化身よりも明らかに暴力的な力に、俺たちは恐れを成した。ハーデスの野郎はそれを直に受けているのか、いままで変えなかった表情が恐れを成していた。

 

『ふん。ただの骸骨風情が。このワシに喧嘩を売るからこうなるのじゃ。………次は、正しい選択をすることをオススメするぞ? ハーデスよ』

 

その男は踵を返して、『じゃぁの』といいながら帰ろうとしたので、俺はその男を止めた。

 

『なんじゃ? カラスの坊主よ。ワシに何ようか?』

 

「……あんたはいったい何者だ? それにその姿、その力はいったいなんだ。あんたは人間なのか?」

 

俺の問にその男は考えるような仕草をし、言葉を発した。

 

『それはいずれ分かることよ。いまはまだ、その時ではない。じゃが、スグにまた会えるじゃろう。その時にワシの全てを話そうではないか』

 

……それとじゃ。と話を続ける男。

 

『ワシの孫達が随分と世話になったの。そこの魔王の小僧も孫が世話になっておる。感謝しておるぞ……では、ワシはそろそろ戻るとしよう。ワシのいるべき"世界"にのぉ』

 

「待ってくれ! あんたの名前だけでも教えてくれねぇか? それも、また次あったときなのか?」

 

『……ふむ。そうじゃな。それぐらいなら構わんぞ』

 

男は俺たちの方を振り返って言葉を発した。

 

『ワシの名は"姫神 幻夜(ヒメガミ ゲンヤ)"。人はワシの事を『原初の魔神(マジンガーゼロ)』と呼んでおる。……質問はそれだけじゃな?』

 

「ああ。引き止めてすまない」

 

『ほっほっほ。なに、気にすることなどないわ。ではな、また会おうぞ』

 

男はその言葉を最後に消えた。………まるで、最初ッからいなかったかのように。




ちなみに、原初の魔神(マジンガーゼロ)のモデルは最新のスパロボ大戦で出てくる、マジンガーZEROです! わからない人は調べて見てね!



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7話 禍の団(カオス・ブリゲード)VS魔法少女☆四拳士(カオス・ブレイク)

本当に遅れて誠にすみませんでしたァァァァァァァ!!!!

前にも話したとおり、アホして階段から落っこちるという馬鹿な事故をしてしまって、入院してました。はい。

本当に、皆さんも寝ぼけて階段降りる時は注意してくださいね? 体験談からお伝えします。

※ちなみに今回はカオス回です!注意して下さいませ!

それでは気を改めまして、どうぞ、ゆっくりしていってね!


―無 side―

 

光輝たちが戦かい『超獣鬼(ジャバウォック)』が冥界に放たれたあの日から幾日が過ぎた。今も尚、『超獣鬼(ジャバウォック)』を筆頭に旧魔王派の残党が冥界の街を村を、容赦なく襲っている。

 

そんな彼らと地球連邦軍の面々は戦い続けている。

 

そして、ここは、その地球連邦軍の要とも言うべき部隊。地球連邦軍 総司令官 結城光輝 率いる特攻部隊(超装甲・超武装)である。

 

ちなみに超武装とは、単純に光輝の面白半分で作られた頭のおかしい性能を持つフルアーマー式の戦闘スーツのことである。……どれぐらい可笑しいかというと、5歳児のなんも力も、その戦う才能すらないただの子供が、素手で上級のドラゴンを遅くても3分以内でぶっ倒せるほど身体能力等の力を上げる事が出来るのだ。

 

その代わり、そのスーツを脱いだ次の日には必ず筋肉痛になる。それも、想像を絶する痛みと痺れが走るのだとか……

 

 

超装甲とは、これも光輝の気まぐれと、結界が最も得意な結城翼の力、さらにレイジとナツルの『精霊魔法』によって作られた、世界最強のドラゴンとも言われる黙示録の赤き龍『赤龍神帝 グレートレッド』の本気の一撃すら耐え抜く、馬鹿げた防御力を持つTシャツのことである。もう一度いおう、"Tシャツ"のことである。

ちなみにこのTシャツは、同じ素材と結界術を編み込まれたパンツとセットである。しかも、普通のパンツとTシャツの重さなので地球連邦軍内やその家族の中で重宝されている程、大変人気のあるTシャツと下着である。

 

 

『おい! 全員無事か? けが人は、重症を負ってる負傷者はいないか!?』

 

『うおおおお! 滾ってきたぞ!』

 

『○□$ヾ□|▽△♪@<<@#○§/<◆?』

 

『何言ってんのかわからんぞ』

 

『ヒャッハーー!!汚物は消毒だァァァァ!!!!』

 

『弾幕薄いよ、何やってんの!』

 

『また、つまらぬものを切ってしまった……』

 

「くらいやがれ! 超必殺 飛鳥文化アタァァァァァァァク!!!!」

 

『ぎゃぁぁぁぁ!?』

 

『な、なんだコイツら……強ぇ!?』

 

『ひ、ひぃぃぃ!? 人間じゃねぇ! コイツら本当に人間かよ!! 人間の皮を被った何かじゃねぇのかよ!?』

 

『……あれ? なんかブ〇イ艦長いなかった? あと石川さん』

 

『知らん!貴様は何を訳の分からないことを言ってるんだ!今はそんなことよりも大事なことがあるだろうが!』

 

『や、やばい。に、逃げるぞお前ら!!』

 

『ごふぅ!!?』

 

……………………………………そこは、カオスだった。

 

何かを叫びながら火炎放射を撃ちまくるモヒカンの男

両手づつにガトリング砲――それもM61バルカンを持ち、腰にはM134が2門。さらに両肩にまるでウ〇ーマ〇ンの様なロボットの様な感じの機械的なガトリング砲が付いていた ザ・ガトリング男と言ったほうがいい謎の全身武器男

仕込み刀を振り回しながらバッタバッタと容赦なく切っている坊主の男――いや、漢。

何故か、空中でまるで前転でもするかのように、膝を抱えて高速回転しながら旧魔王派の悪魔達を轢き殺しているスト〇イのリ〇ウの様な柔道着を着ている、結城光輝がいた。

 

「な、なんなんだ、お前達は、何故我々の邪魔をする!」

 

すると1人の悪魔が問う。

 

「……む? そんなもの聞かなくてもわかるだろう。俺達はこの星、地球を守る地球連邦軍だ。ここ冥界も地球の中にある大切な場所。ましてや、俺達は地球を守ると同時に力のない民を守る役目もあるんだ。だからこそ、なにも関係ない民が危険に晒されているというのに、俺達が動かないわけがないだろう?」

 

光輝が何を当たり前の事をと、言いたげな目で悪魔を見ながらそう言った。

 

「くっ、だがアホは貴様らだ。貴様がこうして呑気に話してくれたおかげで時間が稼げた、ここに俺達の仲間達がくる! そう、我らの本隊……そのうちの5万もなぁ!! 確かに個々では倒せまい……しかし、あっとうてき物量で押せばいい話よ!!

さぁ、くるぞ! 我らが本隊がな!」

 

すると、眩い大きな魔法陣からゾロゾロのかなりの数の悪魔たちが現れる。光輝と近くで戦うレイジの部隊を合わせて約1万。そして、旧魔王派の連中、先ほどまで戦っていた者と増援できた者を合わせて約6万。最早、圧倒的数すぎてどうしようもない。

 

しかし、その様な圧倒的数にもかかわらず、光輝とレイジの2人は至って冷静だった。

 

「よう、光輝。どうする?この数。流石に分が悪いな」

 

「ふ、そうだな。こちらは1万に対して敵は約6万。最早笑えない戦力だ」

 

「まぁ、ただ数を集めただけの6万と、鍛えに鍛えた戦士が1万とじゃぁ、個々の能力では勝てるが、それでもやはり数で苦戦するだろうな」

 

「だな。……ならば話は簡単だ。それ程と"同じ戦力"を呼び出せばいい事よ」

 

「………ほう。ならば"アイツ"らを?」

 

「ああ、勿論だ。レイジもツバサからあの子らを渡されているのだろう?」

 

「なんだ、知ってたのか」

 

「ふん、何年お前達の長男をやっているの思っているんだ?これぐらい見抜けなくて何が家族だ」

 

「くっくっくっ、流石は我らがご長男さま話が早くて」

 

「さあ、無駄話はここまで……まずは各部隊を戦前から撤退させるぞ? 流石に俺達が今から呼び出す奴らはおっかないからな。いろんな意味で」

 

「そうだな…………よし、各部隊に次ぐ! わが結城レイジと、総司令官 結城光輝の名に従い即時に戦前から撤退せよ! 繰り返す、戦前から撤退せよ!!」

 

レイジが戦場にある映像モニターにてそう叫ぶと、戦場に透明の映像が映し出され各部隊の小隊長にはさらにインカムで連絡がくる。

 

最初は、圧倒的数の増援が来たことで逃げるのかと思い異論を唱えようとした部隊班たちだったが、その次の一言で思考を停止させる。

 

「これにより、"カオスブレイク"を発動させる! もう一度言う、今からカオスブレイクを発動させる! 戦場に残るのは勝手だが、それで"どうなっても"責任は取らん! さあ、それが嫌なら即座に戦前から撤退せよ! もう二度は言わんぞ? いいな! これにより、私と光輝は召喚に力を入れるため通信は切る。通信が切れてから3分以内に戦場から撤退することをオススメする。以上だ。お前達の武運を祈る―――」

 

ブツン……そうして、映像は途切れる。映像が途切れてから各部隊は思考を停止させていたが、いち早く覚醒した小隊長たちが、自分の部隊員を覚醒させいち早く撤退するよう呼びかける。そして各部隊の部隊員たちは各判断で急いで撤退するよう連絡が飛び交っていた。……どうやら、余程そのカオスブレイク作戦が恐ろしいようだ。部隊員たちの表情はまるでトラウマを抱えているような表情を浮かべている者もいれば、逆にとても嬉しそうな表情をしている"男"達もいた。

 

そんな彼らが撤退するようすを見ながら最初は怪しみながらも、恐怖しながら撤退する様子に自分たちに恐れを成したのだと勘違いした悪魔達は嘲笑い地球連邦軍を馬鹿にする。 しかし、当の本人達はそんな事に構ってられるかというほど焦っていたのだった。

 

――その頃、光輝とレイジの2人は

 

「よし、俺はアッチで召喚をする。おい、龍介…いや、"ミルたん"。手伝え」

 

「了解しま―――いえ、わかった二ョ!」

 

光輝の隣にいたピチピチのスーツの漢が突然光ったと思えば、今度はピチピチスーツからピチピチの"魔法少女の衣装"へと変わった。……先に言おう。こんな魔法少女がいてたまるか。

 

「……相変わらずおかしな格好だな。まぁ、俺が今から召喚する奴らもおかしいっちゃおかしいがな。主に狂気的な意味で」

 

「それはお互い様だよ。さて、まずは俺からだな」

 

そう言うと、光輝は両腕を水平に上げ呪文を唱える。

 

「我は姫神、我は結城、我が名の元に歴戦の戦士達よ、我の声を聞きたまえ、我の思いを救いたまえ。我は結城の名を持つ者なり。さあ、今この時を持ってその偉大なる姿を見せよ!!

超天使 ハプシエェェェル!!!!」

 

カッ!――ドオオオオオオオオオ!!!!

 

光輝の目の前に魔法陣が形成されたかと思えば、ピンクの光の柱が巻き上がる。

 

すると、奇妙な音楽がどこからとも無く流れ出した。

 

デンデンデンデンデンデンデンデンデンデン……

 

ハぁッ………ハぁ〜アぁ〜

 

デンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデン……

 

ハぁッハァ〜アぁ〜アぁアぁ〜

 

デンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデン……

 

ハぁッ…………ハアぁ〜〜

 

デンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデン……

 

「LOVE&PEACE!!」

 

デンデンデンデンデンデンデンデン……

 

「それがぁ〜私のぉ〜ポ〜リぃシイ〜」

 

……なんと、中からとんでもない"モノ"が出てきた。

 

天使の様な羽と輪っかはあるが、なによりその姿が奇妙だ。てか、本当に天使なのかも分からない。ピチピチタイツの様なものに、肩まであるガーターベルトの様なもの、ほぼ裸に近い変態衣装を纏ったムキムキのオッサンである。

 

「うわぁ―……久しぶりにハプシエル見たよ。相変わらずすげーな。いろんな意味で」

 

「ああ、そうだな」

 

「ん?何を見てるんだ?」

 

「あいつのプロフィールみたいなものだよ。ほれ」

 

「ほほ〜。どれどれ……」

 

光輝からレイジに渡された紙に書いてあるのは……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【名前】ハプシエル

【属性】天使

【大きさ】筋肉ムキムキ中年男性

【攻撃力】惑星破壊の2000万倍以上の膂力。拳に魔力を付加

【防御力】宇宙生存。不老不死。不変不滅。

精神耐性×2

     物理防御:現代兵器で無傷。光輝と戦い無傷

     本体防御:単一宇宙+2αが破壊されない限り活動可能。歴史干渉無効(翼が歴史から消そうとしたが失敗)。

     力場防御:惑星破壊の2億倍で無傷。魂攻撃に耐性有り。

【素早さ】反応・戦闘速度は100mからの光速対応以上。移動速度は達人並み。

【特殊能力】人外やロボットにも効く精神攻撃×2のディープキス。

※ハプシエルにディープキスをされた者は不快感で気絶したり精神崩壊したりする。キスの精神攻撃は人間だけでなく魔族などの人外、ロボットにも有効。肉体の持たない幽体の霊的存在や精神的存在にも効果あり。

※キスで1000年もの間 怨霊として動いていた地縛霊が一瞬にして成仏した。泣きながら翼に成仏してくれと頼み、成仏した際はとても清々しいほどの爽やかな顔をしていたという……

     ・10人に分身できる

     ・物理的には再生可能

     ・魂魄の状態(物理無効・不可視)になり人間などの高等生物に憑依できる※魔力を用いて魂魄の状態から肉体を組成し、それに憑依することで物理的な状態に戻れる

      魂魄のみの状態では物理無効で不可視になっている

      任意で肉体から魂魄を出せる。人間などの高等生物になら憑依して肉体を乗っ取ることもできる

【戦法】分身して攻撃

【長所】ある意味で最強

【短所】存在が迷惑

【戦法】分身して攻撃

【備考】

ハプシエル自身は正真正銘の天使であり、博愛主義者であり、平和主義者であり、善意の塊である。

しかし彼はバイセクシャルであり、マゾであり、目に付いた相手全員に抱擁とディープキスをする。

たとえ自分を殺しにきた相手でもキスマークまみれにするほど。更に人の話を聞かないので説得も効かない。

姿を見たと思ったら気づかれないうちに全力でその場から逃げられたし……もしも、気づかれ遭遇した場合――――諦めろ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お、おう」

 

「……な? 凄いだろ? いろいろと」

 

「ああ、凄いわ。いろいろと……ん?そういえば他の2人は?」

 

「ん? ああ、そこにいるぞ。おい、プリズナーに厚志こい!」

 

すると、またごつい漢が2人出てきた。1人はボディービルダーの様な体格と日に焼けた肌色の漢。もう1人はしま模様の囚人服の様な服をきたケツ顎の髪がモジャモジャ漢。

 

光輝の背後には、光輝に負けずとも劣らない肉体を持った謎の四人の漢達がいた。

 

「……うわー。なにこれぇ…。カオス過ぎるメンバーダナー」

 

レイジが思わず棒読みになるほどの、圧倒的な雰囲気を誇る四人だった。

 

「くくく。これぞ、我が部隊の四人の親衛隊。四拳士だからな!」

 

ハハハ!と楽しそうに笑っている光輝。そんな光輝をレイジはウザそうに見ている。

 

「こっちからしたら、ゴツくて変な衣装のオッサンたちが四人もいたら恐怖でしかないけどな。……しかも、戦闘服なら尚更な」

 

どこか暗い顔をするレイジ。そんなレイジをお構い無しに光輝は4人に話を進める。

 

「いまからあそこにいる蝙蝠どもを叩き落としてくれ。なに、生死は問わない。好きなように暴れろ、"本気"でな」

 

光輝のその一言によってニヤリと笑う男達。そして、その男達は歩みを悪魔の方へと進めていくのだった。

 

「そんじゃま、俺も召喚しますかね」

 

どこか楽しそうな光輝にレイジも楽しくなってきて、すこしハッチャケようかと思うのだった。

 

―side out―

 

―悪魔(旧魔王派) side―

 

俺は悪魔だ。俺はどの種族よりも偉い旧世代の古き魔王の駒を受け継ぐ眷属の血を受け継いだゆうしょ正しい誇り高き悪魔だ!

 

そんな俺達はいまの不抜けた冥界とそれに満足している新魔王派の悪魔どもに報いを受けさせるため俺達は冥界を襲撃した。

 

そして、俺のいる団体はその悪魔達に力を貸している地球連邦軍という人間たち、その人間に悪魔の力を見せつけるため、滅ぼすために選ばれた部隊の1人だ。

 

最初は増援なしで戦っていたが、相手が思ってた以上にやるため増援を呼ぶ。相手は1万に対してこちらは合わせて6万。相手の倍以上の数によって一人残さず殺せると思った。……いや、思っていたんだ。

 

最初は奴らが光ったかと思えば次々と数を減らしていく。一瞬何をしているのかわからなかったが逃げているんだとわかれば最早笑いしか起きなかった。所詮は人間、力無き弱異種族。我ら至高の悪魔に勝てるはずがないんだと。次々に馬鹿にして言った。俺も最初はそう思った。でも、よく奴らの顔を見ると、なにか"別の何か"に怯えているようだった。無論、それに気づいたのは俺だけじゃない。回りの何人かも気づいたようだ。しかし、ほとんど全員は怖気付いて逃げているんだと、そう思っているのか歓喜や罵倒をあびせていたため、俺達もあの違和感は気のせいだと思いだして罵倒しようとした……

 

…………そう、あのバケモノがくるまでは。

 

ピカッ!

 

そんな効果音と共にまばゆい光が俺達の視界を奪う。突然の

 

デンデンデンデンデンデンデンデンデンデン……

 

ハぁッ………ハぁ〜アぁ〜

 

デンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデン……

 

ハぁッハァ〜アぁ〜アぁアぁ〜

 

デンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデン……

 

ハぁッ…………ハアぁ〜〜

 

デンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデン……

 

「LOVE&PEACE!!」

 

デンデンデンデンデンデンデンデン……

 

「それがぁ〜私のぉ〜ポ〜リぃシイ〜」

 

『ギャアアアアアアア!!!?』

 

……なんか、中からとんでもない奴が出てきた。

 

何だあれは、何だあれは!? 天使か?天使なのか! あんなの天使の中にいたか? いやもしかしたら、天使が我々の技術によって作った悪魔の駒に似た機能のカードによって転生した奴か? なら天使の階級を示す羽が二対四枚しかないのも頷ける。その前に奴は天使かどうかもわからない。いや、だが天使の羽と輪っかがある時点で奴は天s―――

 

「まぁ、キュートな蝙蝠ちゃんんんん♪」

 

ムキムキ! ググググ!

 

とてもいい笑顔でマッスルポーズ――モストマスキュラーをやるナニカ

 

「やぁ……なんてキュートなのかしら!」

 

サイドトライセップスをやりながら次々とポーズを決める男

 

「ああん♡吾輩、もう堪んなぁい!」

 

今度は腕を頭の後ろで組み、腹を出しながらくねくねしだすナニカ………………

 

―――あんな天使がいてたまるか!?

 

「ハプシエル、そこまでにするにょ!」

 

すると、俺達の後方からまた別の声が聞こえる。後ろを見るとそこには……

 

 

……魔法漢女がいた。比喩でもなく漢字違いでもない。あれは間違いなく魔法漢女だ。

 

たしか、あの衣装は人間界の"アニメ"と言うやつの魔法少女のシリーズアニメの主人公の衣装だったはずだ。我が友がハマっていたものだな。……私もハマっていた。最近は忙しすぎて見ていないがな。また、見たいものだ。確か、あの衣装は現、レヴィアタンのセラフォルーが着ているものでもあるな。……あのようにピチピチではないが。

 

……だが、それよりも、奴から凄まじい波動を感じる…。これが、闘気というヤツなのか!?

 

「な、なんだあれは……猫又か?」

 

「い、いやトロールか何かだろう。それにあれが噂に聞く地球連邦軍の……」

 

「なに!? 奴があの伝説の!」

 

「ああ、間違いない。ベルズ様の部隊の生き残りが残した報告書に書いてあった"モンスター"だろう」

 

「そうか、奴が、あの……」

 

どうやら目の前にいる奴が、旧魔王派の俺達の中で噂になっている『血濡れの破壊猫又』なのだろう。何故このような謎の名前なのか? 理由は至ってシンプルだ。奇妙な衣装に身を包み、頭部からは猫の様な耳のようなものが生えているピンクの漢(モンスター)が地球連邦軍にいると……そう聞いた。奴は我々の策略をいつも破壊し、奴の通った場所はいつも我々の同士の血で出来ている。血まみれたバケモノがいると聞いていたが、奴がやはりそうなのだろう。一致するものが多すぎて笑えないな。

 

そんな静寂な空気の中、カツンと音がして全員がそちらを向いた。

 

「ヒッ!?」

 

「クリュー!! 離れたらダメ!」

 

すると、そこには姉弟らしき人影があった。恐らく我々に見つからないよう逃げる途中、弟の方がコンクリートの破片を蹴り飛ばして躓いてしまい見つかったパターンだろう。

 

「こんな場所にいるのが運の尽きよ!死ね!!」

 

「あの偽物の魔王の下につくものは皆殺しだァァァ!!」

 

「その命置いていけ!」

 

すると、姉弟の近くにいた者達がいち早く2人に襲いかかる。天使らしき者に魔法漢女はかなり距離が離れ我々を挟んだ先にいるため到底間に合わない。あの姉弟が死んだと思ったその時―――

 

グオオオォオオォォォオオオオオオオオ!!!

 

「「「ひッ!?」」」

 

ビリ…ビリ…ビリ……!!

 

何者かが突然出てきたと思えば凄まじい咆哮と威圧によってそれは阻止された。いったいなんだ!? なにかバケモノがきたのか!!

 

「なんかえらい事になってるねぇー、大丈夫かい?」

 

すると、そこにいたのはただの浅黒い男―いや、漢だった。

 

「あ、はい。た、助けてくださりありがとうございます」

 

「ありがとう! 筋肉のおっちゃん!」

 

「ハハハ! どうってことは無いよ、それが僕の仕事だからね」

 

ニコやかな笑を浮かばながら楽しそうに言う男。

 

そして、そんな2人の姉弟を襲おうとした3人は

 

『なんだ……。人間………か?』

 

『…だよな?』

 

『ふ…踏み潰されるかと思った……

…………なんという迫力』

 

そう言いながらビクビクしていた。

 

「無事でよかったわ、2人とも」

 

すると、男の後ろからまた別の人物が出てきた。今度は囚人服の様な衣装のケツ顎モジャ頭の奴だ。

 

「あ、あなたは?」

 

「皆のヒーロー! ぷりぷりプリズナーだ。冥界のピンチだと聞いて駆けつけてきた!」

 

「私の名前は高田厚志。35歳でボディービルダーをやっているよ」

 

どうやら一般人と逸般人だったようだ。

 

「さて、君たちはここは離れた方がいい。あそこに私たちの仲間達がいるから行っておいで」

 

「あ、ありがとうございます! ありがとうございます! ほら、いくよクリュー」

 

「うん、お姉ちゃん! ありがとう! 筋肉のおっちゃんにケツ顎のおっちゃん!」

 

そう言って2人は魔法陣で消えていった。残ったのは先の2人と、未だジッとしている天使と魔法漢女の4人だ。

 

「そろったにょ。それじゃ、みんな変身するにょ!!」

 

はっ? 変身?

 

「マジカルトライアアアアアンス!!」

 

フワッ…と、高田厚志の回りに天使の羽の様な白い羽毛が舞い上がる。

 

ギチッ フワッ ビクビク! キュピン キラッ☆ ポンッ

 

「魔法少女ミルキー☆スパイラル! 推!!参!!!」

 

すると、筋肉のオッサンが魔法少女の衣装を………………って

 

『全然少女じゃねえええええええ!!!?』

 

思わず全員で叫んでしまった。

 

てか、こいつも魔法漢女の1人かよ!? ―――はっ!?ま、まさか奴も!?

 

俺は囚人服のケツ顎の方へと視線を向けると……

 

「オオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

するとミチミチと身体が膨れ上がり……

 

 

「覚悟しな! 変☆身!!」

 

バリバリバリ!

 

「ぷりぷりプリズナー! エンジェル☆スタイル!」

 

う……肉の膨張によって服が裂けて全裸になった。

 

「(どう見ても天使ではない……というか人間じゃない。というかもう見たくない。帰るか)」

 

俺は思わずそう思ってしまったのだった。

 

「エンジェル☆スタイルの俺を見て生きて帰った者はいない」

 

ポーズをとりながらこちらを指さす全裸。

 

「(……なら、早く帰ろう)」

 

俺はもう、帰りたかった。……てか、帰ろうとしたら止められた。解せぬ。

 

 

「「我ら」」

 

「「四人合わせて」」

 

「「「「魔法少女 四拳士☆プディギュア!」」」」

 

……魔法少女プディギュア。なんだその国民的少女アニメ、プ〇リ〇アみたいな名前は

 

……それにしても天使モドキ×2(半裸と全裸)と魔法漢女×2か

 

「醜いな」

 

思わずボソッと口から出てしまう。うん。それ程醜いのだ。ガチムチ漢の姿なんぞ誰が喜んで見ようか。同じ四人を見るなら、これまた同じ地球連邦軍それも幹部クラスの結城四姉妹のを見たいな。うん。特に、あんな紛い物の漢の娘ではなく本物の男の娘である、結城四姉妹の末っ子、結城翼ちゃんのを見たいぞ!!

ぶっちゃけ、私は高貴な血筋をもっても、私自身はどうでもいいし、正直こんなどうでもいい事より日本のアニメを見ながらのんびりと好きなように過したいのだ!

しかし、アニメを見たり趣味に没頭するには金がいる。悪魔の資金は人間界で裏取引きさえすれば世界各国の金に出来る! 悪魔の世界で100円しか価値のない銅貨でも、日本円にすると約1000円にも価値が跳ね上がるのだ! こんなうまい話がないと思い、ここの旧魔王派にいるだけさ。なんせ、普通に働くよりかは稼げるんでな!

しかし、最近は負け戦ばかりでもう旧魔王の血を受け継いだ人達は1人も居ない。なのにも関わらず、このアホどもはいまだ夢ばかり見ているのだ。現実を見ろ現実を!……はぁ、転職したいものだな。

 

……む? そう言えば、結城翼と地球連邦軍で思い出したが――彼女のファンクラブでは普通の写真からエロえろな写真・それにオリジナルで作った非公式のファンクラブ内限定の結城翼関連の商品。つまりそういうヤラシイ物も合法的に裏取り引きされているそうだったな。―――よし。俺、この仕事辞めて地球連邦軍に転職しよう。そうしよう!

 

……確か、あの部隊――それも結城翼ちゃんのいる特殊部隊特別調査班のファンクラブ兼部隊員メンバーに入るには秘密の合言葉が入り、それを言うと試験無しで入れると。しかし毎回変わるんだったな……たしか今回の合言葉は、『ツバサちゃんは天使DAZE☆』。これを恥ずかしがらずポーズと一緒にイラストの写真通りにやればいいんだったな。ポーズは1mmもズレてはダメだったな確か。よし、毎日暇さえあれば練習している私にスキはない!……はずだ!

……と、コホン。いまは目の前の事に集中しなければいけないな。気づけば戦争になっていたなんてボク知ラナイ。

 

「エンジェル☆ラッシュ!」

 

ボボボボボボボボボ!!!!

 

『みんなよけ――ごふっ!?』

 

『あべしっ!』

 

『あべびぼるびばまじがねゃまだながざべぼじげぎあめりゆにてぼぢぼぶふぅ!?』

 

『ごブッ……つ、強ぇ…ガクッ』

 

『あ、兄貴ぃぃぃ』

 

 

 

「ラブテンプテーション」

 

ビビビビビ――

 

『う! 身体が!』

 

『ぐおお! 身体が、動かねぇ……!?』

 

『ど、どうなってやがる!』

 

「あなた達に幸あれ〜♡」

 

『ヒィィ!? こ、こっち来るなぁ!!』

 

ブチュゥゥゥゥゥゥゥゥ―――ギュポン!

 

『…………』パァァァァ――

 

『て、天に召され――ギャァァァ!?こっち来たぁぁぁぁ!!!』

 

『も、もうお終いだぁぁ…俺達はここで呆気なく死んでいくんだァ……』

 

『き、希望を捨てるんじゃねぇ! ま、まま、まだ、き、き、ききき希望は、ある、あるに、にに、違いない……たぶん!』

 

『もう無理だ。諦めよう…』

 

 

 

「ミルキィィスパイラルゥゥゥボンバァァァ!!!!」

 

ズンっ!!

 

『ゲバっ』『ギャフン』『オゴッ!?』

 

「ミルキースパイラルハリケーン」

 

ズゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!

 

『『『『『ああああああああああああ!』』』』』

 

ずどどどどどどどどどどどど!!!!

 

 

 

『奴だ!奴を狙え! 攻撃してくる前に殺せ!!』

 

『『『『死ねぇえええええええ!!』』』』

 

数千人もの悪魔が一斉に一人を攻撃するが

 

「サイドチェスト!」

 

チュイン!チュイン!!

 

『……は? 無傷、え?』

 

『ば、馬鹿な!? 数千もの魔力を耐えただと!』

 

『本当に人間なのかよアイツ!』

 

「ダブルパイセップス!」

 

ピカー!

 

『ギャぶっ!?』 『ぽひゅンス!』

 

べシャッ!

 

『なんだあいつ!? 乳首からビーム出してきたぞ!!?』

 

『わ、訳わかんねぇ!!』

 

「アドミナブル・アンド・サイ!!」

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!

 

「ははははははははははははっ!!」

 

『ギャー!なんだあいつ!何だあいつ!?なんでお腹からビームが出てんだよ!しかも聖なる属性混じってるしよ!?』

 

『あっつ! てか痛てぇ!! あいつ無差別かよ!?』

 

『駒みたいに回転しながらビーム出してんじゃねぇよ!なんだよこの無差別弾幕はよ!!ってこっち来t―――ギャアアアアアアア!?』

 

…………まさにカオスといった場面だった。我々の同志たちが呆気なく殺られていく。1人はただ純粋な物量の拳で潰し、1人は謎の力で動きを止めキスで殺り、1人はふざけた名前の技なのに、威力もふざけている程の圧倒的武力で殺り、1人は圧倒的な数で攻撃したにも関わらず無傷で 挙句の果てには無差別弾幕による攻撃により、悪魔達は呆気なく殺られていった。

 

気づけば6万いた戦士がもう100人もいない。……いつの間にこんなにも減ったのだろうか

 

そして、勝負は呆気なくついた。生き残った100人程の悪魔達は取り押さえられそのまま冥界の牢獄へと転移させられた。因みにだが、ずっと戦に参加せず隅っこで立っていた俺を含めた四人は、捕まえられず。地球連邦軍の特殊部隊特別調査班……つまり、結城翼ちゃんの部隊に所属できた。そして、そこで入隊記念として貰ったツバサちゃんのコスプレ写真の中に、魔王セラフォルー・レヴィアタンと一緒に魔法少女ミルキーのコスプレをしたのがあり、改めて思ったことがある。

 

―――――やっぱり。魔法少女ってこの事だよね。あんな漢女がするもんじゃないな。うん。




今回は第三者視点でお送りしました! そして最後の悪魔さん。もはやモブすら心を変えてしまう日本のアニメと翼ちゃんの誘惑の魔力。おそろしやおそろしや……。

ちなみにですが、最初は2話連続で投稿するつもりでしたが、2話ともデータが消えていたのでもう一度作り直していました。……てか、他の投稿作品の次の話を書いたデータも一緒に消し飛んでたので、既に意気消沈の三元新でございまする。
あぁ、苦労の結晶が呆気なく……orz

まあ、次の投稿はもう作成中ですので早くて明日、遅くても明後日には投稿したいですね〜。


あと、ハプシエルのプロフィールは、検索したら出てきたのでそこからコピーしました。wikiって凄いね(白目)

そして今回のキャラ。

四拳士

ミルたん→ハイスクールDxD
高田厚志→魔法少女プリティ☆ベルの高田厚志
ハプシエル→まかでみwaっしょい
ぷりぷりプリズナー→ワンパンマン

以上、報告でした!それでは次回でお会いしましょう!

それでは、バイバ〜イ (* ̄▽ ̄)ノシ



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8話 レイジと愉快(?)な仲間たち

今回は短いです。ちょっと最初に作った話がつまんなすぎて直すところがいっぱいあったので1日遅れての投稿です。

それではゆっくりしていってね!


はぁ、まったく。あっちは随分と派手をやらかしているよな。なんだよ、四拳士プディギュアって……。そのどこぞの某魔法少女シリーズみたいな名前は。てか、名前を汚すんじゃねぇ! 世の子供達があんなごついオッサンが魔法少女(?)の衣装を着て朝のTVに出たら泣くわ! 叫ぶわ! てか、オレなら確実にトラウマになるわ!?

 

……はあ。なんで家の長男の部下は皆、あんな変人ばっかりなのだろうか…。

 

「貴様は結城レイジだな! 貴様をこの場で殺す!!」

 

ほら、なんか来たよ。

 

「確かに俺は結城レイジだが……お前らは誰だ?」

 

「ふっふっふっ。まだ名を名乗っていなかったな。では名乗ろう! 我が名はヘイルズ・グレンデール。今は亡き三大戦争で活躍なされたかの真の魔王の一人、初代ベルゼブブ様の右腕をされたグレンデール公爵の血を受け継ぐ者である!!

ふははは!頭が高いぞ、人間よ! 我が前に跪くがよい!!」

 

……なぁーんか、面倒くさそうなのが来たなぁ。

 

「……アーソッスカー、ソレハスゴクエライデスネー。イヤーエライエライ。ソレハエラスギテバカニデキナイデスワー。ハハハハハハハ」

 

「貴様バカにしているだろう!?」

 

普通に言ったのに怒られた。解せぬ。

 

「……ま、まあ、いいだろう。どうせ貴様はここで朽ち果てるんだ。さあ!我が精鋭たちよ!! あの愚かな人間たちを皆殺しにせよ!」

 

『うおおおおおおおお!!!』

 

どこからとも無く魔法陣が次々と現れそこからゾロゾロと悪魔たちが出現する。

 

ひぃ、ふぅ、みー…………ふむ。ざっと3万と少しといったところか。光輝の所の戦力の半分といったところかな。

 

「どうだ! 驚いたか!! これぞ我が誇る精鋭たちよ! この戦力の前にどんな者でも無意味だ! フハハハハ!!!」

 

―――ああ〜、つまり、雑魚キャラを統括する慢心リーダーと言ったところか? 即ち戦う必要なし……と。

 

なら、ツバサから預かったこの"式神"と"使い魔の魔法陣"だけでいいか。

 

「レイジ様。いかがなされましょう」

 

すると、俺の隣に副リーダーであり俺の右腕である緋村剣太。赤茶色の長髪に女にも見えなくも無い程度の童顔で、かの飛天御剣流の継承者である俺の隊の中でも指折りの実力者だ。それに、スーツとメガネが良く似合う奴で超インテリのスーパー秘書でもある。

 

「そうだな。ほかの皆には手を出さないように言ってくれ。俺は今から"こいつら"を使うからな。巻き添えをくらいたくない」

 

「わかりました。では、そう伝えておきます」

 

「ああ、頼む」

 

俺と剣太の話が終わると、奴はまだ喋っていた。

 

「――であるから、貴様らは私達にひれ伏すがいい!」

 

……正直言って話を聞いていなかったなのでわからないが、とりあえずバカにしたのはわかった。

 

「それは出来ぬ相談だな」

 

「……なんだと?」

 

「なんたって、貴様らの墓場は――ここだ!」

 

俺は素早く懐から『式神』と『使い魔の魔法陣』を投げつける

 

「いでよ! 我に使える眷属たちよ! 奴らを駆逐しろ!!」

 

すると、まず最初に光った魔法陣から出てきたのは……

 

〜The Field『Over the ice』〜

 

「イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ――!!」

 

『走るチルノ』だった……って、あの愚弟何してくれてんの!? なんつーモンをいれてんだよ!?

 

――シャンシャンシャンシャン!!

 

すると、タンバリンの叩く音が聞こえてくる。その音のなる方に視線を向けると

 

「…………」

 

某スマイリーのような顔をした巨体の青い妖精(?)……そう、ガチルノだ。

 

カラカラカラカラ――

 

「…………―――!!」

 

手には血濡れの肉切りの巨大な鉈をもった三角のピラミッド型の被り物が特徴の、『▲様』。

 

「イッショニアソボウヨ…」

 

ブルーベリー色の青い巨人、『青鬼』

 

「オオオオオオ――!!」

 

ライトの様に光る目と口が特徴の赤い巨人、通称『The Brute』

 

ヒュー……ドン! ヒュー……ドン!!

 

「ウォオオォォォオ!!」――ズズ〜ン!

 

身体が透明な雫の様な人形で、コンクリートの様な硬い円柱の物を転がしながら移動する巨人。通称『アメボウズ』

 

プシューーー……ウィーガシャン!ウィーガシャン!!

 

ピーーーーーダダダダダダダダダダダダダダ!!!!

 

銃から戦車の様な弾を撃ってくる、四本足のまるで機械の蜘蛛のようなバケモノ。『ダマグモキャノン』

 

そんなヤツらがあちこち移動し旧魔王派の悪魔を血祭りにあげている。

 

ツバサに頼まれもしもの時用にと渡されてたとはいえ……これは………………

 

「…………ふ。……やっべぇ。とんでもねぇ奴らを呼んじまった気がする」

 

「いえ、気がするのではなく、文字通りとんでもない奴らを呼んでしまいましたねレイジ様」

 

隣にいた剣太がそう言う。

 

「…………デスヨネー」

 

もはや目の前は血の海だ。生き地獄だ。正直言って、四拳士の被害とは別で酷いぞ

 

『ギャアアアアアアア!!!? 腕が、俺の腕がァ』

 

『ちくしょぉ!あいつ何なんだよ!? あの三角野郎ビクともしねぇ! 痛みを感じないのか!?』

 

『なんだよあの青いの! 強すぎだろ!? 顔と身体のバランスがあってないのになんであんな機敏に動けんだよ!? おかしいだろ!』

 

『おい!? あの1番小さい青いヤツ分身してるぞ! てか速すぎて攻撃当たらん!』

 

『タンバリン持ってた奴が強すぎる! あんなヤツ勝てる気がしない! ――ってこっち来たぁぁぁぁ!?』

 

『ひぃぃ!?こ、こっちに来るなぁ!あっち行けよぉ!!』

 

『なんだよあいつ!何なんだよあいつ! 攻撃したのに身体をすり抜けるぞ! あの透明なの実体が無いのか!?』

 

『つ、強すぎる……』

 

『こ、これが、地獄というものなのか…?』

 

―――うん。

 

「カオスすぎ!ワロタwww」

 

「現実逃避はやめてください。そもそも、こうなった原因はレイジ様のせいですからね?

なんなんですか?この愉快なお仲間達は」

 

「わかってるよ!―――だけどさ」

 

俺はチラリと戦場を見る

 

『ギャアアアアアアア!!!?』

 

『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!』

 

『いごォォォォ!』

 

『ガブッ! ごぼっ!? ごほッげハっ! 』

 

『マッチョ、マッチョはいりませんか?』

 

『やらないか?』

 

『あふん♡ おほっ♡ イグゥゥゥゥ!』

 

『もっとだ! もっと強く!! その程度じゃ私はイかんぞ?! さあ、存分にヤルがいい!!!!』

 

……………………

 

「これを誰が想像出来ると?」

 

そうだよ。式神と使い魔召喚して誰が今の状態を想像できようか……。誰がこんな地獄絵図の未来を見れるだろうか……。一部は血に染まり、一部は男と男同士によりピンク色に染まっている。

 

…………てかおい、誰だ貴様ら! なにいつの間に『青いツナギの男』と『マッチョ売りの少女』と『超兄貴のアドン&サムソン』の四人がしれっと増えてんだよ!? 本当にいつの間に増えたんだ! つい数分前までいなかったよな!?……え?いなかったよね?

 

「それは最初からこうなる事を予想すべきです。あのツバサ様から渡された式神と使い魔の魔法陣ならわかっていたことでしょうに。それに渡された時に『これはもしも、どう使用もない時に使う物だからそれ以外では絶対に使わないでね? 約束だよ! いいかフリじゃないからな!?わかった?』って言われていたじゃないですか。……そもそも、そんな禍々しい気配と赤黒い色をしているなら余計に警戒すべきですよ」

 

……確かに。言われてみればそうだよな。こんなにも、禍々しい気配と赤黒い色をしている時点でろくなもんじゃないし、何よりツバサにこれを渡される時にあんな事を言われていたんだから、使う時はこうなる事を予想すべきだったなぁ……。

 

………それに、まだあと数枚残ってるんだよね〜。式神も使い魔の召喚のやつもさぁ〜。どうしようかな、これ。普通に怖いんですけど。しかも、この残った数枚だけ気配が明らかに目の前で暴れている他のヤツらよりやばいんだよなぁー。うん。――別に、使わなくてもイイよね。『超獣鬼(ジャバウォック)』どもも蹴散らせてるしね。よし、絶対使わないぞ! 使わないからな!! てなわけで封印しておこう、そうしよう。

 

俺はそのまま懐のツバサに一緒に渡された専用のポーチの中に入れて、更に鎖を巻いて厳重に保管した。

 

「……さて、正直言ってもう殆どの敵を駆逐できているが、何人か何匹か逃げているから俺達は手分けして逃げた奴らをぶっ倒すか。――さあ! みんな待たせたな!戦の続きとシャレ込むか!!」

 

『おおおおおおお!!!!』

 

「そのいきやよし! ならいまから俺達は逃げた奴らを追いかけぶっ倒す事に力を入れる。CとF班は東へ、DにG班は西へ、BとEは北へ、俺と残りのA班は南へと行くぞ!――さあ、戦闘(ミッション)開始!」

 

『了解!!』

 

俺の部隊は一斉に別れて行動しだした。

 

――さあ、一匹残らずぶっ潰してやんよ。いまはいないツバサの分までな!!




今現在進行形で話を作ってます。そしてやっと次の話から主人公sideです! 次回は明日ですのでおたのしみに!

ちなみに、『The Beast』とは、MonstrumというPCホラーゲームの敵キャラです。Monstrumとは、steamっていうアメリカのゲーム会社で販売されているPCゲームであります。詳しくはWikipediaかニコニコ大百科で見てね!
このゲーム自体を見たいなら、ニコニコ動画とYouTubeで『コジマ店員』さんが実況をしていますので見てくださいね! 結構partがあるので面白いですよ〜。見る時はイヤホン推薦です! その方がドキドキ感が凄いのです。

それでは皆様、また次回でお会いしましょう!

バイバーイ(* ̄▽ ̄)ノシ


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9話 さぁ、反撃開始です!

さて、頑張ったよ! 無茶苦茶頑張ったよ! 原作小説を見ながら頑張って作ったよ。うん、満足できるものができたと思う!


さあ、そんなことはおいといてさ、ゆっくりしていってね!


―ツバキ side―

 

……さて。なんだか冥界の方の地上でハプシエル含めた魔法四拳士とチルノシリーズやアメボウズらしき気配が感じるのですが……気のせいですよね? はは、気のせいだよね?…………ねぇ、誰か、気のせいだと言ってください…お願いします、本当にお願いします! 何でもしますから!

 

(´・∀・`)<ん? いま、何でもす(ry

 

……何か邪な感情を感じたような。……まぁ、いいです。いまはそんな事をいちいち気にしていたらきりがないですもんね。

 

そろそろ、イッセーの身体も完成するかな? 早く見たいものだ。

 

……でも、私はもう行かなくちゃ。あんまり本体から魂が抜けてると、いくら私でも身体がもたないしね。

 

「ねえ、イッセー」

 

『ん?なんだ、椿ちゃん』

 

私の声にイッセーは反応する。

 

「私は貴方の身体が完成し安定したのを確認次第、すぐに戻ろうと思います。なんたって、今の私は魂だけの存在。ルーツの力と私の力を使ってもあまり魂が体から離れていると、いろいろと危険ですので……あ、イッセーも身体が完成し次第戻りますよね? てか、絶対に地上へとイッセーを連れて帰ります。なんたって、あなたを待っている人は沢山いますから」

 

『ああ! わかってるよ! 椿ちゃん。俺も早くみんなに会いたいしな』

 

「ふふ、そう来なくってはイッセー。もしもこの場に残ると言い出したらどうしようかと思いましたよ」

 

 

―――さて、間に合えばいいんだけれどね

 

 

―side out―

 

―優子 side―

 

「おい! 誰かこっちを手伝ってくれ! 怪我が酷い!」

 

「軽傷者はこちらへ、重傷者はあちらへ運んでください! 重傷者の中でも集中治療が必要な場合はあの奥の部屋へと運ぶんだ!」

「急げ急げ! どんどんと患者が運ばれてくるぞ!休む暇はないと思え!!」

 

「くそっ! 人手が足りねぇ。誰か!こっちを手伝ってくれねーか!? 身体の損傷が酷すぎて手に負えないんだ!」

 

「私が手伝います! これでも冥界の名の知れた医者なので」

 

「すまん、恩に着る」

 

「よし、お前達! 俺らも手伝うぞ!! 地球連邦軍の皆さんだけに助けて貰うにはいかない。冥界の危機なら俺たち冥界にすむ悪魔が頑張らなくてどうするよ! さあ、俺達の国を守るぞ!」

 

『おう!』

 

いま、私の目の前では次々と運ばれてくる負傷者を手当している私の部下とその他の地球連邦軍の治療ができる部隊員、それにこの広い冥界のあちこちから手伝いに来てくれた医者やナースの人とその知識や経験がある、元医者や医学生、そして一般の方々。手術などは元医者や現医者、そして私の直属部隊のメンバーが担当。その他の、軽傷者や患者を運んできたり、ご飯や衣類などを避難スペースに持っていく係などを、残りの一般の方々や医学生、それとここにいるほかの地球連邦軍の部隊員に任せている。

 

「柚葉、魔力はまだ大丈夫?」

 

私は自分の秘書子で右腕でもある優秀な副隊長の神崎柚葉に問いかける。

 

私達の部隊は道具を使って怪我を治したりするが、こういう機材や薬が少なくなったり、ろくな設備や衛生面がダメだったりした時や、人数が多過ぎて手が回らなかったりした時用に、魔法でも治療ができるようにしている。そうすることで、より多くの人を助けられる。

 

『ご覧ください! 魔王アジュカ・ベルゼブブさまを始めとしたベルゼブブ眷属が構築した対抗術式! それによって展開する魔法陣の攻撃が「豪獣鬼(バンダースナッチ)」に効果をあたえております!』

 

TVには上空からヘリコプターで中継するレポーターが嬉々としてその様子をレポートしている。

 

魔王アジュカさんが自分たちの眷属たちと例の化け物たちと戦っている場面が映っている。ちなみに、堅牢なアンチモンスターとして創造された凶悪な魔獣たちは、アジュカさんと、ファルビウム・アスモデウスと連絡を取り合いながら対魔獣の攻撃術式を完成なされたそうだ。

 

各『豪獣鬼(バンダースナッチ)』への攻撃は、ファルビウム・アスモデウスさまの作り出した攻撃戦術のおかげで随分と進んでいるようだ。

 

頭脳派である2人の魔王のおかげで各地の足止めができ、徐々にダメージを蓄積させているようだ。

 

『大怪獣れレヴィアタンなのよ!』

 

冥界の危機にいてもたってもいられなくなったセラフォルーが、自分の領土から飛び出し戦っている。セラフォルーの氷の魔力が荒れ地ごとバンダースナッチの無事な半身を凍りつかせる。

 

 別の場所でタンニーンは眷属のドラゴンたちとともに火の息を浴びせかける。バンダースナッチの肉体が炭化していき、崩壊を起こす。

 

『母上! がんばってくだされー!』

 

 また別のチャンネルでは、九尾の狐の八坂が娘の九重ちゃんの応援を受けながら火炎を食らわせている。どうやら、京都の妖怪勢力も多数の妖怪を引き連れて、援軍に駆けつけたようだ。

 

『あーっと! ついに! ついに巨大魔獣「豪獣鬼(バンダースナッチ)」の一体が活動を停止させましたーっ!』

 

レポーターの叫声がテレビを通して聞こえてくる。

 

どうやら、皇帝ベリアルが率いる同盟軍が倒したようだ。近くで人形の巨大魔物が崩れ落ちている。身体の損傷具合から見てもう動き出す様子はなさそうだ。

 

『更にまた一体が活動を停止させました! あの部隊はいったい……』

 

すると、また別のチャンネルで別のレポーターが叫ぶ。そこに映っているのは――

 

『さあ、皆の者! まだまだ敵は沢山いるぞ! 我らが主が帰ってくるまで持ちこたえろ、いいな!』

 

『はいっ!』

 

『我ら、地球連邦軍 特殊部隊特別調査班の名にかけて! 我々でこの冥界を救うぞ!!』

 

『うおおおおおおお!!!』

 

『さぁ、幻想郷の皆も手伝ってくれ!』

 

『ふふ、わかっているわ。別の場所で同じ妖怪の同士が頑張っているもの。私たちが頑張らなくてどうするの。ねえ、霊夢』

 

『ええ、そうね。それとまだ一体しか倒せてないわ。敵はまだまだいるんだから、こんな喋ってないでつぎにいかないと』

 

『確かにそうね。私たち幻想郷組はあちらに行くわ。あなた達はそちらに行ってね? 手分けして倒しましょう』

 

『ああ、わかった。頼みます、紫殿』

 

『ええ、任せなさい』

 

……ふふ、どうやらつー君の部隊のお仲間と幻想郷のみんなが頑張っているようね。レポーターの人も地球連邦軍だとわかると凄く興奮しているようね。声でわかるわ。

さて、あの子達が頑張っているもの。私たちももっと頑張らなくちゃ

 

「さあ! みんな!まだまだ動けるよね? 沢山の仲間達が頑張っているのよ、私たちがここで挫けてどうする! もう一度気合を入れ直して治療に専念するわよ! いいわね!」

 

『了解!!』

 

みんな頑張っているの――ツバサ、早く帰って来なさいよね!

 

―side out―

 

―第3者 side―

 

首都リリス。日本の東京都とさほど変わらない、高層ビル郡が立ち並び交通機関も発達している、文明の両面でも東京都と引けをとらない都市だ。

 

そんな都市の一角、そこでは戦火に包まれ建物や道路、公共物に至るまで大きく破損されている。

 

そんな人気(ひとけ)の感じない場所の真ん中に、止まったバスを背に血だらけで倒れている匙と、ソーナ・シトリーと副会長の真羅椿姫とグレモリー眷属がいた。

 

木場はゼノヴィアとイリナと共にジャンヌ・ダルクと戦っている。ゼノヴィアは『破壊のエクスカリバーとデュランダルのパワーで十分だ』と騎士とは言えない発言をして木場の胃に精神的ダメージをくらわせていた。ちなみに、その時の木場を見てた小猫から、『眷属一の苦労人、祐斗先輩』と言われていた。

 

ちなみに、英雄派のリーダーである曹操を除いた幹部メンバーが首都リリスにいる理由は超巨大魔獣がどこまで進行するのかの見学だったそうだ。そこに、偶然シトリー眷属が護衛していた子供バスが通り襲ったそうだ。

 

その時、最初は逃げようとしたがヘラクレスにより『子供を狙われたくなけりゃ、戦え』と挑発からの脅しをかけ、バスを徹底的に狙いながら匙やソーナ・シトリーを含めたシトリー眷属を徹底的に痛めつけた。

 

そこへリアス率いるグレモリー眷属が現れ、さらにサイラオーグも現れるのだった。

 

そんなサイラオーグはヘラクレスを、自身のもつ神滅具(ロンギヌス)が一つ。獅子王の戦斧(レグルス•ネメア)を1度も使わずにただの拳だけで圧倒。そのあと『絶霧(ディメイション•ロスト)』の使い手であるゲオルグは怒りにより闇覚醒したギャスパーと、匙のヴリトラの呪いにより闇に飲み込まれた。

 

そんな中、やっと終わったと思われたその時。

 

「あらら、ヘラクレスがやられてしまったようね。ゲオルグも……? これはまいったわ」

 

そこへ現れたのはジャンヌ。全身満身創痍だが、脇に男の子を抱えていた。どうやら、リアスや朱乃の攻撃から逃げている際に、逃げ遅れた親子から人質をとったようだ。彼女の神器である『聖剣創造(ブレード•ブラックスミス)』から作られた聖剣の切っ先を子供の首元に突き立てている。

 

「卑怯な」

 

サイラオーグがそう言うが

 

「悪魔が言うものではないかしら? ま、義理に厚そうなあなたならそう言うかもしれないわね、バアルの獅子王さん。――とりあえず、曹操を呼ばせてもらうわ。あなたたち、強すぎるのよ。私が逃げの一手になるなんてね。てなわけで、この子は曹操がここに来るまでの間の人質。OK?」

 

ジャンヌは何事も感じないかのように言い放つ。

 

「あら、ボク、案外静かね。怖くて何も言えないのかしら?」

 

そう、先程からジャンヌが捕らえている子供はうんともすんとも言わない。ずっと黙っているのだ。

 

そんなジャンヌの質問に男の子は笑をこぼしながら言う。

 

「ううん。ぜんぜんこわくないよ。おっぱいドラゴンがもうすぐきてくれるんだ」

 

その言葉は一切の怯えもない、純粋で安心しきった感想だった。

 

「ふふふ、残念ね、ボク。おっぱいドラゴンは死んだわ。お姉さんのお友達がね、倒してしまったの。だから、もうおっぱいドラゴンはここには来れないわ」

 

ジャンヌがそう言うが男の子は笑みを絶やさない。

 

「だいじょうぶだよ。ゆめのなかでやくそくしたんだ。ぼくがね、おっきなモンスターをみてこわいっておもってねていたら、ゆめのなかにでてきてくれたんだよ」

 

「もうすぐそっちにいくから、ないちゃダメだっていってたんだ。まほうのじゅもんをとなえたら、かならずもどってきてくれるっていってたんだよ!」

 

男の子は人差し指を突き出して、宙に円を描いていく。

 

「こうやって、えんをかいて、まんなかをゆびでおすの! ずむずむいやーんって、これをこうやればかならずもどってきてくれるって! みんなもおなじゆめをみたんだよ! フィーラくんもトゥラスちゃんもぼくとおなじゆめをみたんだ! となりのクラスのこもおなじゆめをみたんだ! みんなみんなおなじゆめをみたんだよ!」

 

彼らは…子供たちはみな、同じ夢を見たようだ。そして、その男の子を含め子供たちは空に向けて、歌を歌い出す。

 

―――それは、彼と彼を慕う子供たちのために作られたあの曲だった。

 

「とあるくにのすみっこに〜、おっぱいだいすきドラゴンすんでいる〜♪」

 

――そのときだった。首都の上空で快音が鳴り響いた。見上げるとそこには―――、宙に次元の裂け目が生じようとしていた。

 

開いていく空間の裂け口からそれは出現した――。懐かしい彼のオーラがそこから感じ取れたんだ。

 

それは――まさに子供たちの英雄(ヒーロー)の帰還だった。

 

―side out―

 

―ツバサ side―

 

「――夢?」

 

俺はイッセーの問に少し驚く。

 

「ああ、寝ているうちにへんな夢を見たんだよ。大勢の子供たちが泣いていたんだ。聞いたらさ、でっかいモンスターが怖いって泣いてんだよ。だから、俺はその子たちに言ったんだ。指で円を描いて真ん中を押して、ずむずむいやーんってやっていれば俺がそのうち必ず戻っていくからさってさ」

 

イッセーの言葉にこっちからでも聞こえるほどの嘆息がドライグから聞こえてきた。

 

『……あれほど他者にやられたら嫌がっていたその仕草をお前がやるとはな……』

 

「うんうん。イッセーあんなに嫌がってたのにね。驚きだよ」

 

私はドライグの言葉に頷く。いったいイッセーの心境に何がおきたのやら

 

「仕方がねぇだろ! あんなに大勢の子供を励ますにはそういうポーズみたいなのが必要だと思ったんだよ!……でもさ、俺がそうやったら、夢のなかの子供たちの不安な顔が消えてたよ。おっぱいってすげえよな」

 

俺はその言葉に嘆息する。ドライグも同じようだ。

 

『……はぁ、そうだな。――で、どうだ、新しい体は?』

 

イッセーはとうとう完成し繭から取り出した新たな体に、私が能力で魂を移し替えた。

 

イッセーは確かめる様にいろいろと動いている。

 

「よっしゃ! これでリアスたちの乳がもめる!」

 

わしゃわしゃと卑猥な指の動かし方をするイッセーに、おもわず身を震わせ胸を隠した。私は何らや想像の世界に入り込みウヘヘとイヤらしい笑みを浮べながら幸せにしているイッセーをジト目で見ながら今後のことを考える。

 

『姿形と一部基本は人間のままだ。普段通りに生活できるだろう。ただし、悪魔の駒(イーヴィル•ピース)が消失していることで、現在のおまえは人形のドラゴンといえる。オーフィスとツバサにミラルーツの協力あってこそとはいえ、受肉に使用したのがグレートレッドの体なのだからな。小さな真龍ともいえるだろう』

 

本当に面白い存在になったよね、イッセーてさ。

 

『(つまり私の弟だな!)』

 

頭の中にグレートレッドこと"ガイア"の嬉しそうな声が聞こえてくる。

 

『そこにウロボロスの力、そして祖龍と神龍の力が少し加わっている。この状態でも以前の体より多少は身体能力が向上しているよ……まあ、でもな〜』

 

「うん、そうだよね。ドライグの言いたい事が凄くわかるよ。なんせ、イッセーったらもとが悪かったから私にルーツ、そしてオーフィスの力をもってしても、その程度しか強化できなかったともいえるんだもの。普通の人でももうちょっとくらいは強化できると思うのに……ざ〜んねん」

 

私とドライグの言葉にグフッといいながら四つん場になるイッセー。そんなイッセーを私が遊びとしてあげた、玩具の剣でつつくのではなく、いつも通り無表情だがどこか楽しそうにビシビシと叩いているオーフィス。

 

ああ、オーフィスったら危ないですよ。これで人はビシビシ叩かないでね? イッセーはいいけど。

 

『メリットはいま述べた身体能力向上と真龍と龍神と祖龍の力が加わったことで、今後どのような成長が起こるか予想が立てられなくなったところだろうな。あと、もうグレートレッドから離れても大丈夫だ』

 

「もともと俺の成長なんて予測できなくねぇか? 乳力(にゅうパワー)やら何やらでさ」

 

…………うん。確かに。

 

『まあ、それはそうなんだが……。デメリットはこれも先ほど話した通り、悪魔の駒(イーヴィル•ピース)から得ていた各種能力が無くなったこと、グレートレッドとオーフィス、そしてミラ・ルーツの力を得ているために以前よりも龍殺し(ドラゴンスレイヤー)による危険性が増したことだろうか』

 

イッセーにとってはどちらも失うにはデカイね〜。いままで悪魔の駒(イーヴィル•ピース)、それも兵士(ポーン)の駒の力があってこその今のイッセーの力だし、赤龍帝の篭手を所持しているだけで、龍殺し(ドラゴンスレイヤー)であのダメージだったのにいまじゃ人形のドラゴンですもの。軽くいままでの倍もの痛みが襲うだろうね。……まあ、私もイッセーと同じ人形ドラゴンですからね。神龍マスタードラゴンの眷属となったあの時に、マスターの竜の血を直接飲んで自身の体を、人→龍へと変換したのでイッセーと同じ位危険ですよ。

 

龍殺しの力って凄まじく痛いんです。あの痛みは言い難く耐え難いものがあるので説明がまったく出来ないんですけどね。まあ、それほど痛いってことですよ。

 

まぁ、私も元が人間の体なので完全な龍化にはなっていませんが。せいぜい半人半龍といった所ですかね。それでもメリットは 不変不滅に不老と言ったところですか。真の神龍となれば不死も付くのですが……いまはまだいりません。まあ、いずれ世界を守る守護神となった時に嫌でもなるんでしょうけど。

 

私はイッセーとドライグの話をオーフィスを膝の上に乗せて頭を撫でながら聞いていました。……それにしても、オーフィスもそうですが、何故こうもドラゴン達はみな髪が恐ろしくツヤツヤでスベスベなのでしょうか。櫛を使わなくても指だけでとけます。オーフィスの髪の触り心地は、高級なシルクを触っているようなスベスベでツルツルなのです。凄く、触り心地がよくて癖になります。オーフィスの姉である龍美、そして今現在私たちを運んでくれてるガイア、それと私の相棒でもあるミラ・ルーツも、同じ位のツヤツヤ髪です。みんな触り心地がバラバラなのにどれも気持ちよくて、この娘たちの髪をいじっている時が最近の1番の至福の時なのですよ〜。

 

『……見ろ、相棒』

 

するとドライグが何かに気付いたように視線を向ける。ドライグに呼ばれたイッセーはその方向へ視線を向けたので私も向けると

 

―――冥界の子供たちの笑顔が次元の狭間の空にたくさん現れていく。子供たちは指で円を描いて、真ん中を指でつつきながら、おっきな声で元気よく、あの歌を歌っていた。

 

 

〜とある国の隅っこに

おっぱい大好きドラゴン住んでいる

お天気の日はおっぱい探してお散歩だ☆

ドラゴン ドラゴン おっぱいドラゴン

もみもみ ちゅーちゅー ぱふんぱふん

いろいろなおっぱいあるけれど

やっぱり おっきいのが一番大好き

おっぱいドラゴン 今日も飛ぶ

 

とある町の隅っこで

おっぱい大好きドラゴン笑っていた

嵐の日でもおっぱい押すと元気になれる☆

ドラゴン ドラゴン おっぱいドラゴン

ポチッとポチッと ずむずむ いやーん

たくさんおっぱい見たけれど

やっぱりおっきいのが一番大好き

おっぱいドラゴン 今日も押す〜♪

 

子供たちの元気な歌声が……子供たちの早く帰って来てほしい、助けてほしい……そんな切なる願いが、思いが希望が!――この、何も無い次元の狭間を埋め尽くす。

 

『――冥界中の子供たちの思いをここに投射している。お前を、おっぱいドラゴン・兵頭一誠を待っている。子供たちの思いをな』

 

すると、背中に乗る私たち……いや、兵頭一誠に向けてガイアが言う。

 

「……冥界中の……マジかよ。これ全部俺を呼ぶ子供たちの歌なのか……っ!

うれしさで、胸がいっぱいになった。皆、俺を呼んでいるんだ……っ!」

 

「グレートレッドは、夢幻を司る龍なの……。誰かが抱いた夢を、誰かが見た夢を、誰かが思い描いた夢を、それらを私たちに見せてくれるの。それが、グレートレッド、ガイアの役目でもあるからね」

 

私は固まるイッセーにいう。

 

「ねぇ、聞こえてるでしょ? 子供たちの思いが……。感じてるでしょ? 子供たちの希望が……

イッセー…君は、これを、夢だと言うのかい?」

 

「いや、これはきっと本物だ…… 子供たちが歌ってくれてるんだ……っ! それがここに届いた……っ! 俺に届いてきたんだ……っ!」

 

イッセーは子供たちの笑顔とその歌を聴いて、こみ上げてくるのを抑えきれず泣いていた。

 

「イッセー……あなたは夢の中の子供たちが泣いていたのを励まして、それを"おっぱい"の力だと言ったよね?」

 

私はイッセーに問いかける。

 

「でもね。それは違うよ。おっぱいが凄いんじゃない。君が――おっぱいドラゴンである君が――冥界中の、子供たちの英雄(ヒーロー)である君が!――そう、兵頭一誠! お前の力が、思いがっ! あの子達を励ましたんだよ! おっぱいの力じゃない、君の力なんだ。君が子供たちを安心させたいと思ったからこそ、グレートレッドが君の思いを届け、子供たちの願いを叶え、君を子供たちの夢の中へと誘いだ。

――だからこそ、こうして君を待ってる人達がいるんだよ!

……さあ、立ちなさい冥界の英雄(ヒーロー)よ、貴方を待ってる人達がいますよ」

 

私はイッセーに手を差し伸べながら言う。

 

そんな、私の手を握りイッセーは力強く立ち上がる

 

『……不思議だ。あんなにも不快に感じていたあの歌が……いまは力強く感じる。……ククク、俺も本格的に壊れてきたか……』

 

「いや、いいんじゃねぇかな、ドライグ。これはきっとそういうあったかい歌だ。そうさ、俺はとある町の隅っこで、笑いながら、天気の日でも、嵐の日でも、おっぱい探して飛んでいく――おっぱいドラゴンだ……ッ! おっぱいが大好きだからよっ! 皆のところに帰らなきゃダメだよなっ!」

 

『ああ、帰ろう、相棒』

 

イッセーとドライグが気を引き締めるように言う。

 

「さあ、兵頭一誠、子供たちの、皆の、冥界の英雄(ヒーロー)よ!―――君は、どうしたい?」

 

「…………帰りたい。いや、帰らなきゃいけねぇ。俺はっ、みんなのヒーローだ。冥界の英雄(ヒーロー)、おっぱいドラゴンだ…っ! 冥界がピンチで、子供たちが不安がっているのに、ヒーローがこうしてのんびりしていられねぇ!

俺は今すぐに帰りたい! 俺の帰りを待ってる人達がいる、あの冥界にっ! 」

 

 

「だから、冥界に連れてってくれ。ツバキちゃん――いや、つばさ!

俺は冥界の平和を、子供たちの未来を助ける!

……そう、だって俺は―――みんなのヒーロー! おっぱいドラゴンだからな!」

 

イッセーは力強く腕を高らかに上げて宣言した。

 

「ふふふ。よし来たっ! 君の願い!思い!! しかと聞き届けたぞっ!

―――さぁ、いざ行かんっ! 冥界へっ!! ガイアっ!頼むっ!!」

 

『任せろツバサっ!』

 

―――グオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!

 

ガイアが一際大きい咆哮あげる。すると、前方の空間歪みが生じて、裂け目が生まれていく。

 

そこから――大都市の町並みが一望できた。……あの冥界中から兄さんや姉さん、地球連邦軍の仲間達、幻想郷のみんな……中には懐かしい気配も感じる。

 

「ツバサさま!」

 

すると、別の声が聞こえてきた。

 

そちらを向くと、俺の『体』を持ってきてくれていた、ハイドラとドラグーンがいた。

 

「ツバサさま……どうぞ」

 

「ん、ありがとう。ハイドラ、ドラグーン」

 

私は魂を体に戻し、自分の体が本調子なのか確認する。

 

「……よし。体調万全、魔力も霊力も共にMAX! 逆に力が有り余っているぐらいだ」

 

体も、魔力が満タンで体調が万全のおかげで、性別が男に戻っている。よかったよかった。危惧していたことはなかったようだ。

 

「オーフィス、俺は行くよ。俺が帰られる場所へ――」

 

イッセーがオーフィスに振り向いていう

 

「そうか。それは……少しだけうらやましいこと」

 

寂しげなオーフィス。……寂しい思いはもういいよね? 龍美だって幸せに慣れたんだ。龍美の力の一部から生まれた妹ともいうべきこのオーフィスだって幸せになってもいいよね。

 

私が手を差し伸べようとしたら……

 

イッセーが先に手を差し伸べる

 

「――おまえも来い」

 

イッセーのその行動にオーフィスは驚き目を見開いていた。そんなオーフィスを見てイッセーは笑顔を浮かべる。

 

「俺と友達だろう? なら、来いよ。――一緒に行こう」

 

「我とドライグは――友達。我、おまえと共に行く」

 

オーフィスは微笑み、イッセーの手を取り合う。

 

……まったく。イッセーったら。いつもいつも、いい所ですっごく――カッコイイんだから

 

普段、もっとこんなにカッコイイならモテるのにね。もったいないな、はあ〜……まっ、それこそがイッセーか。

 

「オーフィス。私も、ルーツも、グレートレッドのガイアも君のお友達だからね! 忘れないでくれよ? もちろん、君のお姉ちゃん龍美もね? なんなら、家族になってもいいよ?……いや、龍美も俺の家族なんだ。キミも、俺の家族になってくれるかい? オーフィス」

 

『家に来なさい、オーフィス。龍美とツバサと一緒にみんなで暮らしましょう?』

 

『そうだぞ、オーフィス。お前の姉はいまは私と家族だ。お前だって私と戦い静寂を得るより、友達と――家族と――みんなでいた方がずっといい。だからこい、みんなで暮らそう!』

 

「うん。わかった。我、ツバサと、ルーツと、ガイアと、お姉ちゃんの――家族になる」

 

「うん!」

 

『『「よろしく(ね/な) オーフィス!」』』

 

「うん。よろしく」

 

さて、こうして戻ってこれてせっかくのお祝い事なんだ。さっさと終らせて、みんなで平和を楽しもうじゃないか!

 

―――さぁ、反撃開始です!!

 




頑張りすぎて10000字近くなっちゃったよ。でも、満足しているのでいいよね。うん!

さて、次回もできるだけ早く完成させないとな。あと1話くらいは今年中に完成させたいな。


それではまた次回で! ばいばーい!!


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10話 おっきなイッセー!の巻

自由だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!! 自由って素晴らしぃぃぃぃぃ!!!!!

ヽ(゚∀。)ノヒャッハーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!


こほん。失礼した。ちょっと、新年早々あまりの忙しさに気が狂ってしまっていたようだ。いまはやっとの休みで私はテンションが、おかしいほど上がっているのでな。すこし、うん、いやかなりのヤバイ状態になっていたのだよ。……今現在もだがな。

さて、またまた遅れてしまい誠に申し訳ない。いや、本当に…。まさか、年明け早々に投稿予定だったのに、家族の引越しの手伝いや、別に住んでるおばあちゃんの引っ越しの手伝いを叔父と父としたり、アホして事故った友人の見舞いしたり、妹の専門学校行くためのお金稼いだり、今現在お腹に身ごもってる兄の嫁と今年で小6になるその娘さんを私と家族が、兄が仕事でいない間面倒みたり、姉が初めて彼氏を連れてきて父が悲しさとショックのあまり発狂して、あまりの鬱陶しさのあまり母に絞められ気絶させられたりと…………とりあえず波乱万丈な日々を送ってました。うむ。仕事がめんどくさいのです。はい。
まぁ、しばらくは自由だから私としては嬉しい限りだな。……自由って本当に素晴らしぃ

と、言うわけだ。ゆっくりしていってね!




―イッセー side―

 

次元の狭間からグレートレッドとツバサちゃんとオーフィスと共に抜け出た俺! 抜け出てすぐの光景にど肝を抜かれた!

 

―――どデカい怪獣が目の前にいる!

 

人形だけど、ドラゴンやらライオンやら他の生物のいろんな部位がごちゃ混ぜなキメラみたいな怪獣だ! しかも俺がいま乗ってるグレートレッドよりも大きいぞ!

 

あ! 俺は得心する! あれって、あの擬似空間で誕生した『魔獣創造(アナイアレイション•メーカー)』のでっかいアンチモンスターか! シャルバの野郎が外法とやらで作ったやつだよな!

 

……後方を見やれば遠目に都市部が見える。そうか。このモンスター、あの都市に向かっているんだ。シャルバの野郎がアンチモンスターに込めた呪いってのは冥界の都市を破壊すること! ていうか、あいつの周辺、破壊し尽くされたあとだ。地面に大きなクレーターかま無数に生まれていて、山も森も建物も全部無残に崩壊している。あの空間で生みだされたのはこいつ一体だけじゃなかった。……ここにこの一体ってことはこいつ以外はすでに倒されたか、もしくは他の町を壊しているのか……。嫌な予感がするんだが……っ!

 

なんてやつだ! 本当にろくでもない真の魔王とやらだったな、シャルバの野郎! ぶっ倒して正解でした!

 

って、あの怪獣、どうしたらいいやら……。グレートレッドの背で考え込む俺の視界にグレイフィアさんが映り込んでくる! あらら、グレイフィアさん!……なんだからとんでもないオーラを漂わせる方々と一緒に怪獣と戦ってる……?

 

まさか、あれがサーゼクスさまのルシファー眷属とか……?

 

「……さ、サーゼクスさんの眷属の皆様だ…。うわ〜、こんな所に出ちゃったんだね。……と、言うことは、あの後方の都市はこの冥界の中心都市なのかな?」

 

ツバサちゃんが隣でそう呟く。やっぱりな! それなら合点がいく。すんごい雰囲気とオーラを感じるもん!

 

新選組の羽織みたいなのを着ている侍なお方はサーゼクスさまの『騎士(ナイト)』さんかな?

 

「あ、沖田さんだ」

 

あ、麒麟の炎駒(えんく)さんもいる!

……って、いまなんかすっごく有名な人の名前がツバサちゃんから聞こえた気がするけど。まぁ、いまはいいや、あとで聞こう。

 

『あれは相当な手練ればかりだな……全員尋常じゃない力量の持ち主だ』

 

ドライグが感嘆するよくにいっていた。

だよな。もしかして、あの方々が相手でもあの怪獣に苦戦しているってことか? どう見たって怪獣のほうは目立ったダメージないもんな。あちらの方々もやられているって感じでもないけどさ。

 

つーか、怪獣がこちらに気づいているよ! 六つもある目玉が全部こちらに視線を送ってるし、こっちを認識した途端に敵意をむき出しに指摘やがったぞ! グレートレッドもデカいもんだから目立つのは当然だよな!

 

『…………なんだと? それは本気で言っているのか……?』

 

ん? ドライグが誰かとしゃべってる? どうかしたのか?

 

『……ああ、それは「イッセー、グレートレッドがあいつガン飛ばしてきてムカツクからさっさとあのデカブツ潰すぞ!っていってるよ」……そういうことだ』

 

な、なるほど、赤龍神帝さまの怒りに触れましたか。確かにめっちゃガンつけてきているもんな。案外、グレートレッドもその辺を気にするんだな……。不良高校生ちたいだ。

次元の狭間を泳ぐのが好きって理由もヤンキーがバイクで爆走したいって感情と似ているのかな?……本当に平和的なドラゴンなのか?

 

「失敬だな。私は自分から喧嘩は売らないが売られた喧嘩は買うのだ! だからオーフィスともよく喧嘩していた。それで次元の狭間にいるのはただ私がこの姿で生きていける場所がここだったからいるだけで、別に好き好んでこんなつまらん場所におらん! そんな低俗な輩と一緒にするなよ?小僧……と、グレートレッドが申しております」

 

ツバサちゃんがそう言ってくれた。……そ、そうですか。

 

『それでだな、相棒。グレートレッドが手を貸すから、あのモンスターを倒そうというのだ』

 

などというとんでもないことを、ドライグは口にする!

倒す!? あのでっかいのを!? しかも俺も数に入ってますか!?

 

で、でも、どうやってだよ? グレイフィアさん含むルシファー眷属総出で倒せない相手なんて、さすがに真『女王(クイーン)』の俺でも倒せやしないぞ?

 

中級悪魔の昇格試験後、先生から俺の力を上級悪魔か、それ以上のクラスと比べても遜色がないと称賛された。真『女王(クイーン)』の俺はあの禁手(バランス・ブレイカー)時のサイラオーグさんと互角に打ち込めたほどだ。正直、最上級悪魔の方々と戦ってもいい勝負できると俺も思える。

けど、悪魔のなかでも最強クラスであろうルシファー眷属の皆さまでも倒せないモンスターが相手では俺じゃ絶対に無理!

無茶な注文に嫌な汗が止まらない俺。すると――、オーフィスとツバサちゃんが言う。

 

「大丈夫、ドライグとグレートレッド、合体すればいい。いまのドライグの体、真龍とある意味で同じ。合体できる」

 

「そうそう、オーフィスの言う通りだよイッセー。君のいまの体はグレートレッドの身体の一部からできてるんだ。グレートレッドと合体するということは、君はグレートレッドの元の肉体の一部に戻るだけ。つまり切り離した自分の腕をもう1度くっつけて縫い合わせる様なものさ! 大丈夫!いけるいける! だから心配しないで! 合体に関してはグレートレッドが全部やってくれるからさ。と、言うわけで逝ってこい」

 

ドライグ……俺のことか。たまにどっちかわからなくなるけどさ。―――って、合体!?

俺と……グレートレッドが合体ぃぃぃぃぃっ!? どういうことだよ!? いまの俺の体がグレートレッドの一部を借りて再生されたから、合体できるってのか? んな、バカなことあり得るわけ――。

それとツバサちゃん! そんないい笑顔で親指立てながら言うことじゃないからね!? いくら他人事だからってそんな無責任な……え? 実際他人事だし? いや、そうだけど、そうだけれどもさ? なんか、こう、他にも言うことが……え? ある訳ない? 男ならさっさと逝ってこい って…行ってこいじゃなく、逝ってこいなんだ―――ひどい!? この娘酷いよ! 親の顔が見てみたいぞ!!

え? 両親はもうこの世にいない?………………すっ、すみませんっしたァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!

 

 

冗談なのか、本気なのか、オーフィスとツバサちゃんの言葉に判断つかない俺だが……突如、グレートレッドの体がまばゆく神々しいオーラを発していく!

 

……すげぇ光量だ……! 赤いオーラがこの一帯を赤く赤く染めていく!

 

そして、俺の体もその膨大な赤い光に包まれていった。

 

―side out―

 

―ツバサ side―

 

俺とイッセーが現世に戻ってきて、暫くが過ぎたころ。目の前の巨大なアンチモンスター『豪獣鬼(バンダースナッチ)』にガンをつけられたグレートレッドが怒り、イッセーに力を貸すと言った。それをイッセーに伝えると驚き戸惑っていた。

それで、オーフィスがグレートレッドと合体すればいいと言ってたので俺もそれに乗っかり逝ってこいと言った。まぁ、そのあとその言葉に怒ってきたイッセーだったけれど、それに言い返すと親の顔が見たいと言ってきたので、すでに他界している事を伝えた。暫くの沈黙ののち、惚れ惚れするほどの空中土下座をしてきたのは驚いたね。あんなの光輝兄さんが妻や姉さんたに悪い事を見つかった時くらいしか見たことが無いのですもん。まぁ、そのまま土下座をしてそうな雰囲気出してたから気にしてないよと言って止めさせたけどね。

 

……さて、現実逃避もそろそろやめようか。いま俺の目の前には巨大なイッセーがいる。もう1度言おう。巨大なイッセーがいる! 正確に言えば赤龍帝の鎧を纏った巨大化したイッセーなんだが。それでも、目の前にはグレートレッドと同じ身長の赤龍帝がいる。うん。まるで某光の巨人や、某スーパーなロボットシリーズに出てくる人形巨大ロボのような見た目だ。あと、ファンタジー系、それもF〇のようなファンタジーゲームに出てきそうな鎧の巨大ボスだ。

 

それにしてもイッセーも大変だね。一度死んでから生き返って早々、巨大なモンスターと某怪獣映画の如く巨大化したイッセーとで戦うんだからさ。それにしても転生悪魔になってからたった数ヶ月の間ここまでくるなんてね。誰が予想しようか。しかも、パワーアップの仕方がおっぱいだなんて……人生何が起きるか本当にわからないものね。

 

さてさてさーて、イッセーも頑張ってるようだし。俺もそろそろ、のんびりしていないで平和のために動くとしますかね。




今回は話数はいつもよりは少ないです! ですが、いますでに作り始めている小説のためです。早くて明日、遅くても明後日には投稿させたいなぁ。

さて、次回は久しぶりに書くバトル回です! 書けるか心配ですが頑張ります!

それでは皆さま、ばいばーい!


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11話 お…おっきぃ……です(泣)

イッセーとツバサが帰ってくる数分前の出来事……。それは、地球連邦軍の1人の総隊長として戦っていた光輝&レイジのチームの場所の話である。

 

 

「……ちっ! キリがねぇな。いったい何体いるんだ?こいつら」

 

両手にはサポーターからりなのか包帯の様に白いヒモを付けており、服は柔道着の様な服を着ている。

 

「ああ、全くだ。……ほんと、どれだけ造られているんだか」

 

対するは、光輝に背を預けるようにもたれ掛かり鐔の部分が雪の結晶の様な形をしている日本刀を両手に持ち敵に向かい構えるレイジ。

 

「ははは違いねぇ」

 

そう言いながらも敵に向かい拳を構える光輝。…………そう、いま現在で絶賛敵に囲まれ中なのである。

 

「さて、相手はキメラだ。所詮は造物実際の生き物ではない。それにこいつらは平和を脅かす敵だ。容赦はしないんだが……」

 

「はぁ〜。確かに被害を無視して戦えば、近くの村に俺たちの戦いの余波がいきかねないからな。手加減して戦うしかない。」

 

光輝の言葉にレイジが反応する。

 

「かと言って下手に手加減するとあの敵たち倒せないんだよなぁ〜。アンチモンスターの名はだてじゃないってか?」

 

光輝はカカカと笑いながらそう言ったのに対しレイジはつまらなそうに面倒くさそうにため息をついた。

 

「だから面倒なんだ。無駄に硬いからこそやりずらい。かと言ってこれ以上手加減しすぎると今度は倒し切れなくてこの先へ通してしまうし、だからといってこれ以上力を入れるとこの距離では村へ被害が及んでしまうんだ。……よく考えられた戦法だな。圧倒的な物量とそれを補う布陣により俺たち2人の動きを的確に封じる。

全くもって面倒な相手だよ」

 

「ふははははは!だからこそ燃えるのではないか! これだから戦いと言うのは止められないのだ。これぞ戦場。これぞ戦! これこそ戦いと言うものよ! 己の肉体だけではなく脳も振り絞り、相手の一歩先を読み相手を倒す! ああ、血が滾るぞレイジよ!お前はどうなのだ!!」

 

「……いや。俺、そこまで熱血じゃないし戦闘狂でもないから。落ち着けや筋肉ダルマ」

 

「はっはっはっはっはっ!! なんとでも言うがいい!」

 

「……はぁ」

 

2人は敵に囲まれながらも光輝は高笑いし、レイジはそんな光輝を見て嘆息する。

 

「まぁ、いいさ。筋肉ダルマはほっといてと。そろそろか?村に避難していた住人を都市に避難させるのは」

 

「む? ああ、そう言えばそうだったな」

 

「……は?そう言えばそうだたなっt「だがしかし! 俺たちの部下は優秀だ! もうすぐ終わるだろう! きっと!!」……ああ、そうっすか」

 

そんな彼らを前に1人の男が空から降った降り立つ。その男の背にはコウモリのような羽があり、ぶっちゃけ悪魔だった。

 

「はじめまして。お初にお目にかかります。結城光輝さん。結城レイジさん」

 

悪魔は手を胸に綺麗な例をしながら微笑みそう言った。そんな悪魔に対し2人が取った行動は……

 

「あ? 誰だおっさん? なに、お前の知り合いかレイジ」

 

「はぁ? こんな蝙蝠しらねぇよ。どうせアスタロトみたいな鬼畜外道の腐った蝙蝠だろうよ。表面上は愛想良くしてじつは裏で糸を引いた計算の高い蝙蝠だろうよ。そうに決まってるさ」

 

…………酷かった。

 

そんな言葉を聞いた悪魔は頬と眉をぴくぴくっと一瞬痙攣させつつも、笑は絶やさず2人に話しかける。

 

「私の名前はアレスター・フルギルス。旧魔王派の幹部の1人です……早速ですが本題に入りましょう。光輝様、レイジ様。我々の仲間になりませんか?」

 

「「なに?」」

 

悪魔の言葉に2人は怪訝な顔をする。そんな2人を見た悪魔――アレスターはお構い無しに話を続ける。

 

「おふた方はどうやら戦いが好きなようですね。違いますか?」

 

「そうだ!」

「いや、俺違うから…」

 

「そうですか! やはり戦いが好きなのですね! 私の目には狂いがなかった。お2人の目は常に戦いを求む強者の目です。常に強い者を求めて探求する者の目。やはり、私はただしかった」

 

「レイジ、こいつイイヤツだな!」

 

「え!? どこが!? あと俺違うから」

 

「私は強者を探し長年旅をしてきました。ある時は天使に、ある時は人間に、またある時は魔王の親衛隊に侵入しことある事に強者を集め自分の仲間を作る旅をしていました。そしていまは旧魔王派とかいう弱者の集まりの場でこうして影に動きながら仲間を集め自分の派閥を作っていた所なのです!」

 

熱く語る悪魔に対して興味なさげな声と顔で『へーそうなんだー』とだけ返事をする2人。

 

「そこへ、我からしたら雑魚とはいえ至高なる血を受け継いだ悪魔を倒す人間がいると聞き及びました。そのお方は気高く、賢く、常に戦場を駆け巡る血に飢えた獣の様なお方で、全てを破壊しあらるゆ者も引き寄せない絶対強者であり残虐費道で鬼畜なクソ外道野郎と聞き及びました!」

 

「いや〜、そんなに褒めるなよ。照れるじゃねぇか」

 

「いや、どう考えてもあれ褒めてないから」

 

照れた様に頭をかきながら笑う光輝に、冷静にツッコムレイジ。

 

「しかし、噂は所詮噂でした。なんたって実際にあって見ると、おふた方はとてもイケメンでかっこよく。なにより強者なのに圧倒的なカリスマもあります! 自分が思っていたよりも残虐性にすぐれ、敵を容赦なく屠る姿はまるで悪魔……いや、魔王を超えた魔神のような御方でした! なおかつ戦闘狂だなんてもう私の感にビビビっと来ましたね! この明らかに馬鹿そうな全身筋肉ダルマな人たちならいけると!」

 

「いや〜それ程でも」

 

「だから褒めてないから。むしろディスられているから!? いい加減気づけよ! お前は戦闘時になるとほんとバカだな!? あとくねくねするな気持ち悪い! 顔も赤く染めるな! 男がそんな仕草しても可愛くない!」

 

顔を赤く染ながらクネクネと体を動かす光輝にレイジはツッコム。

 

「(クックックッ。やはり私の目に狂いはなかったな。こいつらバカだ。生粋の大バカだ。どうせろくも考えずにいままで戦っていたのだろう? 戦闘狂の大体の奴らは馬鹿だし行動が一方通行だからな。ろくに考えずうごいているからこんなにも簡単に周りを囲まれているんだ。それに戦闘狂ほど仲間にしやすい奴はいない。強いヤツと戦えればそれでいいんだからな。大体は簡単に話はつくのさ。いくら平和の為だとほざきながらどうせ内心は戦いたくてウズウズしているはずさ。全く、地球連邦軍なんというお遊び集団にいる理由がわからん。これだから下等種族の人間と言うものはアホなのだ)」

 

そんなことを内心考えながらアレスターはどう仲間にするのか考える。

 

「(俺は他の幹部達とは違うぞ? あんな旧魔王様の血を引くだけで偉そうにしてきた無能とは違うのだ。アスタロトの様な小物とも違うのだ。私は強い。私は最強だ。戦闘にもすぐれなおかつ頭も賢く頭脳も最強! そう、私は悪魔の中でも最強のアレスター・フルギルス様なのだ!)」

 

「(それに考えてみろ)」

 

チラッとまだ言い合っている光輝とレイジの2人をみながらアレスターはニヤリと微笑む。

 

「(この2人を仲間に入れれば、最大戦力とも言うべき地球連邦軍も同時に手に入るんだぞ? たったそれだけで我がアレスター派閥も真の意味で最強の二つ名を持つ事ができる! それと同時に、地球連邦軍の女共も一緒に我の手に入ると言うものだ! とてつもなくいい体をしているこやつらの妹達や嫁達も私の物に出来るとなると……ふふ。くふふふふふ)」

 

突然小さく笑いだし、涎を垂らしにやけているアレスターに怪訝な目を向ける光輝とレイジ。そんな2人の痛い子を見る目に気づかないアレスターはまだ思考の海から返ってこない。

 

「(このバカな2人を仲間にすればたったそれだけで、最強と可愛い女達が手に入り、同時にこの全世界も手に入るわけだ。挙句の果てには異世界も手に入るかもだし、こやつらの馬鹿げた技術力も手に入る。――つまり! この世界を我の好きなように弄り放題なんだ!! ああ、なんて簡単なのだろうか。たったこのバカ2人を仲間に引き入れるだけというとてつもなく簡単な仕事で我の地位がここまで上がるなんて……まるで夢でも見ているようだぜ! フハハハハハハ!!!!)」

 

アレスターは一通り考えが終わったのか光輝とレイジを見る。光輝とレイジは痛い子を見る目でまだ見ているのだが、何故か上機嫌なアレスターは気づかずに仲間にするための説明を始める。

 

「おふた方は私の仲間になると強い者と毎日の様に戦えますよ? ああ、だからといって私の下に付けとはいいませんよ。いまの地位のままで大丈夫です!」

 

その言葉を最初に次々言葉巧みに2人を話に取り込み、仲間にしようと説得するアレスター。そんなアレスターの言葉に興味を持つ光輝と、ほんの少しだけ興味を持ち始めているレイジは話を聞き続けていた。

 

「――と、言うわけで私の仲間になりませんか?」

 

その屈曲のない笑顔で言うアレスターの裏顔は

 

「(クックックッ! さぁ、どうだ! これだけ言えば私の仲間になる理由が出来るはずだ! むしろここまで良物件を出しておいて仲間にならないはずが無い!!)」

 

そんなアレスターの考えを知らない2人は悩んだすえ答える。

 

「いや〜、俺としてはかなり魅了的な話なんだがなぁ……そもそもアンタ敵だし。俺、守る方だし。なぁ、レイジ」

 

「ああ、確かに光輝の言う通りだな。俺たち地球連邦軍は敵から力のない市民を守るのが我々の仕事。そうやすやすと敵に寝返るかよ」

 

2人の予想もしてない拒絶の言葉に焦るアレスター。

 

「(な、なんだと!?ここまで言っておいてあんなにも興味津々に聞いておいて拒絶だと!? どうしてだ!なぜだ、何が足りないのだ! ダメだダメだダメだ! ここで諦めてしまえば私の地位が、女が、夢が、全部全部水の泡になってしまうぅ!!)」

 

……そして、アレスターは一つの考えに至った。

 

――――その考えが、この後の自分の運命を決めることになるとつゆ知らずに。

 

「(……いや、まてよ。まだ奴らは表として形的には地球連邦軍の全てを指揮している総司令官と副総司令ではあるが、実際に地球連邦軍を指揮しているのは確か―そう。地球連邦軍特殊部隊特別調査班 総隊長! 名は確かぁ……思い出した! 結城翼だ!)」

 

「(そうか。奴がいるからこの2人は悩んだんだ。なんたってそうだもんな。形としては一番上になるが、実際に全権力を握っているのは、兄弟姉妹の中でも一番下の末っ子だからな。たとえ俺の仲間になってもバレたら即終わりだ。奴の力ならやりかねない。)」

 

そこでふと思いつく。……なら、結城翼を亡き者にすればいいのだと

 

「(なら殺そう。奴を殺そう。奴を殺せば邪魔者はいなくなるし地位はそのままだ! むしろ、こいつらだって自由になるし自由に暴れられる! 部下の情報ではこあいつら2人はいつも結城翼にしばかれているそうじゃないか、なんて兄弟不幸な冷血な奴だろうか。それに普段の戦いだって自分は動かず、部下にやらせておわり。実際の戦いだって本当は弱いだろうという情報がいくつもあがっているしな。アスタロトの誘拐事件がいい例さ。実際に簡単に捕まっていたぶられていたようだし、過去にも男に拉致され強姦されたようだした。

この結果報告から見るに口先だけの弱者なのだろう。まぁ、人間なんてそんなものか。どうせ下等種族は群でしか動くことのない口先だけの生き物さ。)」

 

そしてニヤリとあくどい笑みを浮かべながら2人を見るアレスター

 

「(だからこそ、そんな弱者に言いようにされているこいつらは結城翼にたいしての鬱憤があるはず。くく、ふ、ふふフハハハハハハ!! 我に勝機はあり! 奴を殺す計画を立てそして目の前の奴らに手伝わせれば、確実に殺すことができ、奴らは鬱憤がはれ地位ができ、私は地位と名誉と女と世界が手に入る!

ふ、ふふ、ふふふふふ。クフフフフ。くは、ふは、アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!

笑いが、笑いが止まらんぞ!!フハハハハ!!!!)」

 

そうして結城翼抹殺計画を素早く頭の中で構築したアレスターは光輝とレイジに話し出す。

 

「ならこうしましょう。あなた方はある方に鬱憤が溜まっているはず。私達はその鬱憤を晴らすお手伝いをしましょう」

 

「(鬱憤? ああ、確かに最近新人がやらかしてばかりで始末書ばかり書いていたから鬱憤がたまっているな)ほう、面白そうじゃねぇか。話してみろ」

 

「(鬱憤かぁ…家の可愛い弟が一緒に話してくれない。話しかけようとすると逃げられる。ツバサよ、お兄さんは悲しいぞ)…………ふん。話だけは聴いてやる」

 

アレスターは2人の言葉にニヤリと確信する。これはいけると。……2人が全く別のことを考えていることも知らずに

 

「私達で殺しましょう! あなた方の鬱憤の招待である結城翼を!」

 

2人はその言葉に固まった。それも一瞬で。……そう、まるで石になるかの如くピシッと。

 

それをまるで知らないアレスターは喜々として喋り出す!

 

「あなたがたはあの結城翼に鬱憤があると見ました。あのガキは末っ子にも関わらず自分たちよりも地位はでかい。にも関わらず、雑魚で無能なアレは偉そうに自分たちを見下しこき使って我がもの顔で地球連邦軍を歩いているクソガキに鬱憤がたまっているのです! だから一緒に殺して本当の地位を貰いましょうよ! そうすれば自由ですよ?好き放題できますよ? さぁ! 反逆の狼煙をあげる時はいまです! 共に世界を征服しましょう!」

 

「(さぁどうだ! これで奴らは私の手に落ち――)」

 

アレスターは喜々とした笑顔で2人を見ると……

 

「「あ”?」」

 

その2人は物凄い鬼や般若の様な怒り顔で睨んでいた。

 

「(ええええええ!!?い、怒り狂ってるぅぅぅぅぅぅ!!!!)」

 

アレスターの全身にビシビシと凄まじい怒りという名の殺気が刺さる。

 

「貴様、名をなんと言った?」

 

「は、はい! アレスターと申し上げました!」

 

光輝が睨みながらいいアレスターは背筋を伸ばしながら答える。

 

「そうかそうか。おい、アレスター」

 

「はい!」

 

「貴様、俺たちを舐めてんのか? あ?」

 

「い、いえ、滅相もございません!」

 

「テメェ……俺たちがツバサに負けるとでも? ツバサが俺たちよりも地位が高いとでも?」

 

光輝がいい

 

「違うな。ツバサはあくまで補佐としてうごいているだけで実際はちゃんと俺たちの方が上だ。」

 

レイジがいう。

 

「それになぁ。ツバサはよう、仲間思いなんだよ、家族大好きッ子なんだよ。だから家族と思って接している地球連邦軍を我がもの顔で歩くわけないだろ。舐めてんの? アホなの? 死ぬの? いや、死ね」

 

「ひぃ!?」

 

光輝はアレスターの胸ぐらを掴みながらさらに問い詰める。

 

「それによぉ。俺が、いや俺たちがツバサに鬱憤があるだぁ? はん。笑わせてくれるわ!!」

 

「ツバサな? ツバサはよぉ……俺たち家族の大切なおt――いや、妹だ!!」

 

「……は?」

 

目を見開いてそう言い切った光輝に思わずキョトンと固まるアレスター。

 

「あいつは可愛い妹だ。いつまでたっても可愛い妹だ。てか天使だ。俺たちの天使だ! 地球連邦軍の癒しだ、マスコットだ。愛されキャラなんだよ!」

 

「は、はぁ」

 

未だ固まるアレスターに熱く語る光輝にレイジは止める。

 

「やめろ。おt――妹がもんのすごく可愛いのはわかるがいまはそんな時ではない」

 

「(……あ、まともそうな人が)」

 

「こいつをぶっ殺して洗n―ちょうk――OHANASIをすればいい!」

 

「(全然まともじゃなかった!?)」

 

「おお!なるほど。それはうっかりしていた。ツバサの可愛さを広めるために急ぎ過ぎたようだ。すまんなレイジ」

 

「ふっ。いいって事よ兄者よ」

 

ガシッと腕を組み微笑む男2人をアレスターは変態を見るような冷たい目で見ていた。

 

「(……こいつら。バカなのか?てか、なんだろう。あったことはないが、写真で見たあの結城翼。こんな兄がいるのに対して同情をえない。可哀想に)」

 

――その頃のツバサ。

 

「へっくち」

 

「(くしゃみ可愛い)ツバサちゃん、風邪?」

 

「む? いや、そんな筈はないです。いまは霊体なので。……誰か私の話でもしているのかな?」

 

―side out―

 

「……ま、まぁいい! どうやら交渉決裂のようだな! ならば貴様らにはここで朽ち果ててもらおうか!」

 

そう言ったアレスターの後ろには巨大なアンチモンスターが3体出現する。そう豪獣鬼(バンダースナッチ)だ。

 

 

「ふはは!これぞ我が派閥の最強戦力。豪獣鬼(バンダースナッチ)だ! フハハ! 恐れ戦いたか!」

 

「「へー(棒)」」

 

棒読みで返事をする光輝とレイジにアレスターはずっこける。

 

 

「な、なんだと? き、貴様ら怖くないのか!」

 

「全然」

 

光輝が真顔で答える。

 

「き、貴様に恐怖はないのか? こんなにも巨大で凶悪そうな魔物が目の前に3体もいるのだぞ!?」

 

「いや全く。この程度、ラオシャンロンやダレン・モーラン、ラヴィエンテ、ディスフィロアやオディバトラスとかと比べたら……ただデカイだけの木偶の坊だ!」

 

「(な、なんだ。その、覚えにくそうな名前の奴らは)」

 

「ましてやもう戦ったしな。なぁ、レイジ」

 

「ああ、確かに」

 

光輝とレイジが懐かしむ様にうんうんと頷いていると光輝の無線に連絡がはいる。

 

 

「ああ、うん。わかった。お前達はそのまま待機してくれ。ここは俺とレイジで充分だ」

 

「なんだ?終わったのか?」

 

「ああ、終わったぞ。後ろの村を含めここいら周辺の村人は全員大都市へ転移輸送した。つまり、本気で暴れても大丈夫だということだ!」

 

いい笑顔でサムズアップする光輝にレイジはため息をつく。そこでふとレイジは思った。今日は、ため息をついてばかりだと

 

すると、レイジの無線にも連絡がはいる。その報告はツバサと兵藤一誠がこっちに帰ってきたのとイッセーが早速戦闘に入った事だった。

 

「おーい光輝〜。ツバサが帰ってきたぞ?」

 

「なんだとぅ!? それは本当か!」

 

「ああ、ほんとうだ。ついでにイッセーが帰って来てそうそう豪獣鬼(バンダースナッチ)と戦闘に入ったらしい。あ、これはそれの写真ね」

 

レイジが光輝に渡した写真には目の前の豪獣鬼(バンダースナッチ)と変わらない巨体を誇る化け物と同じ大きさまで大きくなった禁手(バランス・ブレイク)をして赤龍帝の鎧を纏ったイッセーだった。

 

「……………………ウ〇トラマン?」

 

「違うから」

 

「いや、これどう見たってそうじゃねぇか。それか〇ジラやガ〇ラ」

 

「まぁ、わからなくもないけど違うから」

 

巨大なイッセーと豪獣鬼(バンダースナッチ)の絵は、誰がどう見てもスーパー戦隊もののロボット戦や特撮の怪獣映画や某光の巨人の様な絵図となっていた。

 

「……ふむ。巨大化…か」

 

光輝は顎に手を置いてふと考える。そして、何かを閃いたのか目を輝かせた。

 

「よしレイジ。お前にちっこいのをやろう。俺はあのデカブツを殺る」

 

「は? 1人でか? いやいや、いくら何でもそれは――」

 

レイジがいいかけた所で光輝は首に掛けていたペンダントを見せる。それはペンダントに付いているだけあってとても小さなひし形の水晶が付いているが、水晶の中には複雑な魔法陣のようなものが彫られていた。

 

「そ、それは!?……マジ?」

 

「ああ、大マジだ」

 

「……ああ、そう」

 

レイジはその水晶を見て一瞬驚き、その後は呆れたように嘆息する。

 

「そっか。じゃ、あとは任せた。うん。雑魚狩りは任せろ。……先に忠告しとくけど、こっちに被害だすなよ?」

 

「わかってる、わかってる!」

 

本当かなぁ……といいながら光輝から離れるレイジ。そんなレイジをみた光輝は満足そうにうなずいた。

 

「さぁ〜てと。それじゃいっちょ――本気でやりますか!」

 

ブチりとペンダントを取り

 

「―――変身!とうッ!」 \( 'ω')/

 

ペンダントを空に掲げたまま飛び上がる光輝。

 

 

パアアア――――ピカッ

 

ヒュー……ズズーン

 

 

一際輝き空に上がったそれは地面に降り立った。……そして、地に降り立った巨人は――

 

『デュワ』

 

大きくなった光輝だった。もう一度言おう。大きくなった光輝だった。そう、服装も格好も変わらずただ大きくなっただけである。唯一変わっているとしたら、顔に般若面をつけている事だ。

 

『ええええええええええええええええ!!!!?』

 

すると、目の前にいたアレスターという悪魔だけではなく、恐らく彼の派閥メンバーであろう悪魔とその他合わせて100人近くの者がいた。

 

「(100人か……少ねぇな)」

 

レイジは人数を数えながらそう思った。

 

『さぁ、こい悪党共! このスーパーヒーローKOUKING(コウキング)様が相手だ!』

 

こもった声が空に響く。

 

「(相変わらずのダサい名前だなぁ。何処ぞの跳ねるしか覚えない、赤色のコイのような名だな)」

 

『まずはいっぱーつ!』

 

――豪っ!……と音がしたと思うと、3匹いたはずの豪獣鬼(バンダースナッチ)の一匹が消し飛んでいた。もう一度言おう。飛んでいったのではない。消し飛んだのだ。

 

『かーらーのー……』

 

光輝はおもむろに左足を上げて

 

――ボッ!

 

そのままもう一体を蹴り飛ばす。すると、その一体は足を残して消し飛んだ。空には……雲に何かが突き抜けたかのような跡が残っているだけで、そのナニかはわからない。

 

『ふー…』

 

光輝は一つ息をして

 

『最後の一体』

 

般若のお面からコハァ〜〜と白い息がでており、目は赤く光っている。その姿はもはやヒーローではなく大怪獣である。

 

そして光輝はその巨体に似合わないスピードを発揮して最後の一体の後ろに周り両足を持つ。

 

「(あ、やべ)」

 

雑魚狩りをしていたレイジは光輝のその行動を見た瞬間、あわてて転移魔法を使い転移した

 

そして――

 

『必殺――ッ!!』

 

光輝は両足を持ったまま回転していく。その回転速度は一瞬で上がり、竜巻を起こした。

 

『大雪山おろしぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!』

 

グオオオオオオオ!! と回転しながら急に止まって空の彼方へと最後の一体を投げ飛ばした。

 

「……どう見ても、ただのジァーマンスイングじゃねぇか。竜巻でてるけど」

 

そう呟いたレイジの声は誰にも聞こえなかった



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12話 巨人と怪獣、大決戦!

やっと……やぁぁぁっと! 投稿出来た! やっと長めの休みがとれた! やったァァァァァァァ!!

「…………で?何か言い残すことある?」

…………あ。…い、いやぁ〜ほらツバサちゃん? いままで私は休みが少なかったわけですよ?…月一もなかったりした時なんて何度かあってね?とっても辛くて休みの日はまる1日寝てる日があってですね……

「うん、しってる。確かに休みがなかったりした日もあったね。…………でも、休み時間の時とか作ってたじゃん? なんで投稿しなかったの?」

………………あ、い、いやぁ、それは〜ですね…

「………」

ハーメルンのパスワードとID…忘れちゃってた。てへっ(ゝω・´★)

「………………処す」

わぁぁぁまってまってまって?! 言い訳させてください!!ど、どうかお慈悲を!!

「……まぁいい。とりあえず言い訳は何?」

えっとですね。去年の5月にね?新しくスマホを変えたわけですよ。普段はスマホ投稿している訳ですから新しく変えたスマホにテンション上がって、特にゲームがやりやすいのなんの。持ってたスマホはAndroidの中でも初期型の2代目に出た型だったものだから重くて重くてね、全てにおいて。新しく変えた時はもう感動したねそれは。特にゲームが…例えでいうと白猫とかFGOとか!!

「うん、それで?」

……でです! いざ!アプリを起動しいろいろとゲームのデータ移行をしていたら、あまりにもゲームのやりやすさに思わずテンション上がってね?気がついたらなんと!!―――2ヶ月もたってたんだよねー(´>∀<`)ゝ

「…………」(^_^╬) チャキッ

あああああ?!待って待って!? その腰の刀をしまってください!お願いいたします!!

―――こほん。でだ、話を戻すけれど気づいたら7月を突入していた私は慌てて新しい話を作ってたんだ。今は何かの拍子でデータが消えてしまわないようにとメモ帳アプリの方で作ってからコピーし投稿しているわけなんだが……7月になると夏休みが突入しだすじゃないか?夏休みの影響で仕事場がちょっと所ではない程に忙しくてね。特にカップルやら親子連れなんかがねぇ。休みどころか、休憩時間さえもない時があったさ。8月なんてもはや『……あれ、何時休んだっけ?』などと言うしまつさ!

さて、そんな忙しい日を乗り越え9月……とうとう話が完成した私は6ヶ月ぶりに投稿しようとしたわけよ。そしてログインしようとすると…―――

【IDまたはパスワードが間違っています】

『…………あれ?』

パスワードが間違っていたのかなと思った私は、もう一度べつのパスワードを打ち込んだ。……しかし

【IDまたはパスワードが間違っています】

私は何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度と何度も何度! 色々なパスワードを打ち込んだ。

しかしどれをやっても結果は同じ。ならばと別の過去に使っていたメールアドレスを打ち込んでみた。

【IDまたはパスワードが間違っています】

しかし結果はご覧の通りだったのだ。私はその日から時間があれば何度も何度もいろいろな思いつくパスワードやメールアドレスを使った。正直言ってこんなパスワードやメアドなんて使ってたかなぁなんて思った事は1度や二度なんかじゃない。正直絶対に使っていないなんて思いつつも念の為だと言い聞かせ私はパスワードとメアドを打ち込んでいた。

そんな日が続いていたら、気がつけば年が明けていたんだよなぁ。

「……えぇ」

そしてつい先日、私は奇跡が起きないかと思いながらもう一度、最初何も知らずにログインしようとしたメアドとパスワードを打ち込む。しかしやはり出てくる画面はいつも通りだった。諦めかけていた私はふとある事に気がついた。

――WiFiあるんだから前のスマホで投稿すればいいんじゃないかと

「……おい」

私は急いでログインしようとした。しかしここでふと思う。……また、同じ呪いの様な繰り返しをするんじゃないかと――

私は恐る恐るマイページを開く。しかしそこにはいつものお気に入りの更新場面ではなくログイン場合だった。その場面を見た俺は一瞬絶望しかける。……しかしそこにはいつもの真っ白な画面ではなく、IDとパスワードにはなんとメアドとパスワードがあるではないか! 私は思わず歓喜した。これでログイン出来るんだと。

しかし私はふと気がついた。ID…つまりメアド部分に違和感がある事に。

「違和感?」

そう、違和感だ。私は新しく変えたスマホでのログイン画面と旧スマホのログイン画面のメアドを比べる。何かが、そう、決定的な何かが違うと俺の中でうったいかける。私はよく見た、なにが違うのかと……そして気がついた。なぜいままでログインができなかったのかという理由が!

「ふ〜ん。で?結局何だったの?バグかなんか?」

理由はただ一つ。そう、メアドの文字の打ち間違いさ!

「…………は?」

なんと、そこにあるはずの1文字が抜けていたんだよ! 自分はうっていたつもりでいままでいて1度うちこんだらデータとして残るからあとはそれをタップするだけ。それで何回も同じ文字をうたなくてすむ。だからこそ何度も何度もうちこむことができていたんだが……どうやらその時点でもう間違っていたみたいだったんだよねぇ。

いや〜まいったまいった! まさかそんなドジを踏むとは私ってばいつの間にそんなドジっ子になったのやら。HAHAHAHA!

「――ぎるてぃ」(^^)

え、ちょっ め、目が、目が笑ってないよツバサちゃんれ?! あ、ちょ、ま――い、イヤァァァァァァァァ!!!!

――しばらくお待ちください――

「…………ふぅ。これでバカは滅びました。……たく。なぜ私はこんなバカに創造されたのでしょうか。もっとまともな人に創造されたかったのですよ。
さて、こんなバカでどうしようもない駄作者でしょうが、こんな人の作品、と言うか私たちの物語を見に来てくださっている画面の向こうの皆様。どうかこれからも見にきてくださると私――結城ツバサは嬉しく思います。こんな駄作者ですが、どうか暖かく見守って上げてくださいね。
さぁ、いい加減起きてください。いつものやりますよ?」

('、3_\)_

「……あぁ、これはダメですね。はぁ、しかたありませんねまったく。
――こほん。それでは皆様、どうぞゆっくりしていってね♡」ニコッ

光輝「――ブフゥッ! えっ、キモッ!www」

「………」(^^╬)

――ゴシャッ!

光輝「アベシッ?!」


―ツバサ side―

 

あれからイッセーが巨人になって数分。イッセーはヤツと戦っていた。

 

ゴバァァァァァッ!

 

ヤツ―超獣鬼(シャバウォック)から吐き出される火炎球がイッセーを襲う。

 

それをイッセーは避けようとしたが後に都市部がある事に気がついたのか右手を前に突き出し構えを取った。

 

『いっけぇぇぇっ!』

 

『Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!』

 

増大させた魔力の一撃を火炎球目掛けて放った。

 

その一撃であるイッセーの得意技、ドラゴンショットと火炎球がぶつかる手前

 

『曲がれぇぇぇえぇっ!』

 

イッセーの叫びに呼応するようにドラゴンショットは軌道を変えて野球の球種――フォークのように下に曲がっていった。

 

『今度は上がれっ!』

 

イッセーは右手を上方向に突き上げた。放たれたままのドラゴンショットがフォークしああとに今度は真上に軌道を変えていく。怪獣の放った火炎球の下にドラゴンショットは潜り込み上に一気に押し上げた!

 

バジンッ!

 

激しい衝突音を響かせて、イッセーのドラゴンショットは火炎球の球を上空に持ち上げていった。ふたつの強大な力が空を裂いていき、遥か上空で激しく弾けていった。とてつもない質量のものが爆発したせいか空一面が爆炎一色となっていた。

 

魔力と火炎が消滅した衝撃は強風となって下に吹き付けてくる。

 

「……なんだろう。まるでナツル姉さんの部隊にいる爆裂娘がやらかした時と同じ空の色をしている……あれ、デジャブ?」

 

そんな事を呟きながら俺はひたすらチビ超獣鬼(シャバウォック)を掃除していく。

 

「……飽きた」

 

ひたすらチビ超獣鬼(シャバウォック)を倒してたのだが、数が多すぎて正直いってめんどくさい。

 

「――というわけで。助っ人を召喚しましょう!」

 

俺は後ろ方―といっても数十メートルも離れた―のイッセーと超獣鬼(シャバウォック)の突進からの拳と拳の取っ組み合いをスルーしながら腰のポーチの中に入れていたとある絵の描かれたカードを1枚取り出した

 

「さぁ、いでよ、我が助っ人!」

 

俺はカードを掲げて地面に振り落としながら、その名を呼んだ!

 

「――ちびノブ!」

 

『ノブノブーー!』

 

すると地面に落ちたカードは燃えて消滅し魔法陣が浮かび上がった。その魔法陣から炎が燃え盛るとそこからワラワラと謎のナマモノが数得きれないほど現れてくる。

 

「さぁ!ちびノブたちよ!目の前の敵、ミニ超獣鬼(シャバウォック)を倒すのだ!!」

 

『ノブー!』

 

謎のナマモノ――ちびノブ達がいっせいにミニ超獣鬼(シャバウォック)目掛けて突撃していく。

 

『ノブ!』

 

『ノッブ!』

 

『ノブノブ!』

 

『ノブー!』

 

『ノブッ!』

 

『ノブ!ノッブ!』

 

『ノォブ、ノブブブブゥ!』

 

『ノブノブ! ノブブブブ!』

 

『ノォ、ノッブゥ!』

 

……形はいい加減だが、その見た目に寄らず戦闘力がかなり高いちびノブ。次々と超獣鬼(シャバウォック)を倒していく。ちびノブたちにはどうやら種類があり、通常の何処ぞの第六天魔王様の様な姿をしたヤツやそれをただデカくしたヤツ、金や銀色のヤツもいれば、もはやガン○ンクの様なヤツにUFOの様なモノに乗ったヤツもいる。最早そこはカオスとなっていた。

 

「…うむ。我ながら召喚してなんだが……カオスじゃな。うん。」

 

俺はソレらを無視して戦闘に加わろうとした時

 

ピカッ!――ドォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

俺の頭上を光が過ぎたかと思ったら大きな爆音と共に地を激しく揺らし、遥か地平の彼方まで地に大きな裂け目が生まれており、そこから大量の火炎が巻き起こっていた!

 

「……えぇ〜。冗談じゃないでしょ、地形が変わるほどの威力って…あんなのポンポン撃たれたらいくら広いっていってもいずれ冥界が消し飛んじゃうぞ」

 

『ダメね。ここはちびノブ達に任せてイッセーの手伝いしないといけないわ』

 

「わかった。確かにルーツの言う通りだね」

 

俺はルーツの言葉に頷きイッセーを手伝おうと思い後ろを向く。すると、イッセーはグレイフィアさんと何かを話していた。ここからでは距離があり何を言っているのか聞こえないが、どうやら作戦会議的な何かを話しているっぽい。

 

「さて、俺もそれに加わるとすr――ん?」

 

―ヒュゥゥゥ―――ズドォォォォオオオンッ!

 

「ぶはぁっ!?」

 

いざイッセーの所へ行こうとした刹那、目の間に巨大な何かが落ちてきた。俺はその衝撃で後に飛ばされ地面を転がった。

 

「――〜〜ッッ?! いってて……い、いったい何が」

 

数メートル飛ばされた俺は立ち上がり眼の前にある煙へと視線を向ける。

 

モクモクと煙が晴れるとそこにいたのは……

 

「なっ?! シャ、超獣鬼(シャバウォック)!? なんでこんな巨大なヤツが空から!?」

 

巨大超獣鬼(シャバウォック)の一体が空から降ってきたようだ。あとどうでもいいことだが、先程の衝撃で飛ばされたのは俺だけではなく、ちびノブとミニ超獣鬼(シャバウォック)達も吹き飛ばされていた模様。ちなみにちびノブ達は軽い分俺よりも遠くに飛ばされていた。

 

「いったいだれがこんな……」

 

俺はそのボロボロになっている超獣鬼(シャバウォック)を見ていると不意に、ズシンッズシンッ!……となにか重い足音が聞こえてくる。

 

俺はその音がする方へ目を向けた。すると、遠くにぼんやりと人影が見える。だんだんと近づいてくる人影がはっきりと見えるようになるとそこにいたのは――

 

「こ、光輝お兄ちゃん!?」

 

そう、光輝兄さんだった。それも、イッセーと同じ巨大になった。ただ違うとすれば、いつもの戦闘服にプラスして、顔を隠すように般若のお面を付けているということだ。

 

……ただひとついいたい。なんだそのお面は。なぜ目が赤く光っている、そして口からコハァーと煙がでている! 怖いよ?!すっっごく怖いよそれ!?

 

気のせいかゴ○ラのBGMが流れている気がしている。

 

『よう、ツバサ。元気だったか!』

 

そんな事を思っていると、エコーのかかった声で光輝兄さんが喋ってきた。

 

「いや…次元の狭間に魂だけの状態でいた時点で元気もクソもないと思うけど……まぁ、いまは元気だよ?一応」

 

『そうかそうか。ならばよし!』

 

ハッハッハッと豪快に笑う兄さんに俺はこの状況を聞いた。

 

「ところで光輝兄さん。これ、なに…?」

 

『ん?超獣鬼(シャバウォック)だが?』

 

頭にはてなマークを浮かべながら不思議そうに聞いてくる光輝兄さん。

 

「ごめん。質問が悪かったね。超獣鬼(シャバウォック)のこの状況ななに? あと、兄さんのその姿も」

 

俺の質問の意味がわかったのか『ああ、そういう事か』といいながら手をポンッと叩く。

 

『これは俺が開発した巨大化魔法陣を埋め込んだ水晶のペンダントにより巨大化した姿で、その名もスーパーヒーローKOUKINGU様だ!』

 

ババーンと音が付いている気がするポーズを決めながら、仮面でわからないがドヤ顔をしているのであろう光輝兄さん。

 

『そして、その力を使って投げ飛ばした超獣鬼(シャバウォック)が地面に落ちた姿だ!』

 

超獣鬼(シャバウォック)に指を指す光輝兄さん。

 

「……うん。まぁ、だいたいわかったよ。うん。」

 

『そうかそうか!わかってくれたか! この姿の良さが!』

 

「……え? そこまで言っt――」

 

『皆まで言うな! お兄ちゃんはわかっているとも。お前のすべてな。うむ!』

 

「だからちが――……あぁもう、それでいいよ。面倒臭いから。はぁ」

 

俺は光輝兄さんが聞き耳持たないことを悟り面倒なので放置することに決めた。

 

「……はっ!こんな事をしている場合ではありませんでした。 総司さん!超獣鬼(シャバウォック)の足を両断してください!」

 

すると、イッセーの所にいたグレイフィアさんがサーゼクスさんの眷属達がいる方へ叫ぶ。

 

「了承です、グレイフィア殿」

 

返事をした侍は神速で怪獣の足下に詰め寄り、腰に帯刀する日本刀に手をかけて――。

 

一瞬の静寂が流れる。気づいたときには怪獣の右足は膝から両断されていた。

 

「……おぉすっごい。俺でも抜刀するのが見にくかった。なんて速さなんだ。これが、あの沖田総司さんの力か…。凄いな…」

 

俺がそんな感想を述べているとグレイフィアさんとほかのルシファー眷属が宙を飛んでいって怪獣に近ずいて行く。地響きを立てながら倒れていく怪獣を中心に魔法陣を展開し始めた。

 

……斬られた足が既に再生を始めている! それよりキモい…傷口から気持ち悪い触手みたいなのが生えてきて、膝から下の断たれた足を引き寄せようとしている。それもえらい速さで。相変わらずなんてスピードの再生力だよ。ほんとに出鱈目だね…。

 

てか、兄さんの投げた超獣鬼(シャバウォック)ってもしかして

 

俺は倒れていたボロボロの超獣鬼(シャバウォック)を見る。すると――

 

『グオォ、グガァァァァアアアアアッ!!!』

 

なんと、再生し終わり立ち上がっていたのだ!

 

『ちょっと失礼するぞツバサ!』

 

俺の頭上を光輝兄さんが跨いだ。

 

『デュワッ!』

 

ズズーン! ズズーンッ!!

 

光輝兄さんと超獣鬼(シャバウォック)の取っ組み合いが眼の前で始まる。さながら某光の巨人と怪獣のバトルだ。

 

「おっと、そんな呑気な事を考えている暇はなかった! 戻れちびノブ!」

 

俺はポーチから別の白紙のカードを掲げる

 

『ノブー!!』

 

するとカードが光始めてちびノブ達を包む。光が収まると、そこら中にワラワラといたちびノブ達がいなくなり、代わりにカードにはちびノブ達の絵が描かれていた。

 

「よし!そのまま安全地帯まで退散するでござる!」

 

俺はスキマを使って離れた場所へと避難する。

 

――ドゥゥゥゥゥゥッ!

 

スキマを使って安全地帯へ逃げていた俺はイッセーから巨大な波動と何かを溜めているような音に気づきイッセーを見る。そこにはイッセーの鎧の胸部分から発射口の様なものからだった。

 

イッセーの発射口の矛先を辿り目を向けると、いつの間に飛ばされたのだろうか? 片足の切れていた超獣鬼(シャバウォック)が空を飛んでいた。超獣鬼(シャバウォック)の片足はもう再生が終わりかけていた。

 

空高く飛ばされた怪獣。超獣鬼(シャバウォック)の目と口から、それぞれ光と炎を吐き出そうとしていたが――

 

『ロンギヌス・スマッシャァァァァアアアアアアアアアアアッ!』

 

ズドォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

 

イッセーの叫び声と共に巨大で極太の赤いオーラの砲撃が放射されていく!

 

怪獣の光線と火炎球がいままさに吐きだされそうだったが、グレートレッドの絶大なオーラがそいつを丸ごと飲み込んでいった――。

 

空一面が赤いオーラに染め上がるほどの広範囲で膨大な威力―――。

 

「…………。」

 

オーラの砲撃が終わり、空を確認すると――怪獣はすでに跡形もなく消し去っていた。

 

「……うん。さすが赤龍神帝グレートレッド。ガイアはやっぱり凄いね。うん。少し前の空が赤くなった時なんか比じゃないほど赤色に染めあがっているよ。おかしいよねぇ、一応ここ、冥界だぜ?空って紫一色だぜ?なのに真っ赤だぜ」

 

俺は改めて赤龍神帝と言われているグレートレッド――ガイアの力を再確認するのだった。

 

『おぉ、流石だな!ガイア、それにイッセー。こうなったら俺もしなくては!(使命感)』

 

――おいバカ、いったい何をするつもりだ!

 

そんな俺の不安を無視するかのように光輝兄さんは動き出す。

 

ガシッ!ガシッ!

 

光輝兄さんは超獣鬼(シャバウォック)の脇を挟むように持ち――

 

『――〜〜ッぬん!!』

 

ブンッ!

 

力いっぱい宙へと投げる。

 

『ゴアアァァァァアアアッ!!』

 

投げられた超獣鬼(シャバウォック)はイッセーと戦った超獣鬼(シャバウォック)と同じく光線と火炎球を打ち出そうと溜めているが……

 

『サァァァァンシャイン――』

 

光輝兄さんの両手のひらにはバチバチとプラズマが走り巨大で燃えさかるような球ができていた。

 

光輝兄さんは超獣鬼(シャバウォック)に向けてそれを放った。

 

『――スパァァァクッ!!』

 

――ドンッ!

 

そんな爆音が聞こえると同時に放たれた燃えさかる、まるで太陽の様な球が空へと打ち上がる。

 

『もう一丁くらいな!』

 

「…………え?」

 

そんな不穏な言葉と共に、今度は左足を後に半円を描くように伸ばし手を胸の前でクロスさせて宙に飛ぶ超獣鬼(シャバウォック)に向けて叫んだ。

 

『ザナディウム光線ッ!』

 

ビィィィィイイイイイイイイイッ!

 

クロスさせた腕から青い光線が空へと向かう!

 

―――イイイイイイイッ!――ズンッ!

 

青い光線は最初に撃った火炎球にあたり、球を押し上げけるかのように速度を上げ、球と共に光線は超獣鬼(シャバウォック)へと向かう

 

『ゴアアァァァアアアアッ!!』

 

超獣鬼(シャバウォック)は目と口から光輝兄さんの光輝とは違う光色の光線と火炎球を打ち出した。

 

光線と火炎球は光輝兄さんの青い光線とプラズマ球にあたり一瞬拮抗するが……

 

――シュゥゥゥゥ

 

本当の一瞬で、超獣鬼(シャバウォック)の技はすぐに押し返されてしまう。

 

そして、とうとう超獣鬼(シャバウォック)まであと1メートルをきって最後は―――

 

ズドォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

 

超獣鬼(シャバウォック)に球と光線はあたり、先程のイッセーが撃ったロンギヌス・スマッシャーと引けを取らない爆発が発生した。

 

眩い光が視界を埋めつくし俺は思わず目を逸らした。

 

光が収まり空に視線を向けると――そこには、何も無かった。文字通り、何も無いのだ。多少残っていた雲も、先の爆風で消えてしまっていた。イッセーの時とは違い元の紫色の空に変わっていたとはいえ、それでも何も無いというのは、色が色だからなんだか気味が悪い。

 

「………………えぇ〜」

 

俺はその風景に驚きを通り越して、もはや呆れていた。

 

『………デュワッ!』

 

すると、そんな俺を無視して光輝兄さんは空を見て俺達を見渡し小さく頷くと、手を上げて空へと飛んでどこかにいってしまった。

 

…………いや、お前はウ○トラ○ンかよ!?

 

『……ねぇ、ツバサ。彼は光の巨人なのかしら』

 

「いや、違うと思う…………ってえ? ルーツ知ってるの?!」

 

『えぇ、貴方の見ている風景は神器を通して見えているからね。貴方がよく見ていたから、私もよく覚えているわよ。』

 

初めて知った事実に驚きつつも、俺は光輝兄さんが飛んでいった方を見ていた。

 

「(……結局、何しにこっちにきたんだろうか。)」

 

俺はそんな事を考えながらイッセーの方に向おうとすると、イッセーは元のサイズに戻りガイアはイッセーを見ていた。

 

次元の狭間特有の万華鏡空間を開いた状況でイッセーを見ているガイア。イッセーというよりドライグを見ているのかな?

 

すると、ガイアは俺の視線に気がついたのか俺を見てイッセーを見て、また俺を見る。すると、ニヤッとガイアが笑った。

 

……あ、これダメなやつだ。

 

ガイアはイッセーを視認すると、大きな口を開ける。

 

〈――ずむずむいやーん〉

 

「――ぶふぅっ!!」

 

『――プフッ』

 

なんとグレートレッドことガイアはイッセー……いや、乳龍帝ことおっぱいドラゴン、兵藤一誠の代名詞たる名台詞。『ずむずむいやーん』を言ったのだ。

 

〈ずむずむいやーん、ずむずむいやーん〉

 

次元の穴を潜りながら連呼で言うガイア。次元の穴を潜り完全にその姿が消えるまでその声は聞こえてきた。

 

「ぷっ、くっくくくくく……あは、あはははははは!も、もうダメ! く、くるしぃ! 笑い死んじゃう!」

 

『も、もう、プフッ。わ、笑っちゃ、くふ、だ、ダメよ。イッセーくん、や、ふふっ、ど、ドライグが、可哀想じゃない、フフッ』

 

「だ、ダメ、もうむりぃぃ! ははははははは!!」

 

俺は笑い転げながらイッセーの反応が気になり、能力で聴覚を強化してイッセーの方をみる。

 

『聞こえん。僕は何も聞こえないもーん』

 

とうとうドライグが壊れてしまった。もーんって! 僕って! ぷふふ。あ〜あぁ、あのドライグの口調が変わるほど現実逃避していらっしゃる。まぁ、しかたがないか。かの誇り高き赤龍帝が、いまや乳龍帝と呼ばれ有名になってるからねぇ。主に冥界全土で。

 

「ずむずむいやーん」

 

どうやら、隣にいたオーフィスもその言葉が気に入ったらしく、無表情で両手を万歳するように上げながら『ずむずむいやーん』と連呼していた。

 

「んもー! なんで伝説のドラゴンやそれに関わった連中はそんなのが大好きんだよぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

イッセーの虚しい叫びが響いた。

 

「主にイッセーのせいだと思う」

『主にイッセーくんのせいね』

 

俺とルーツは同じ感想を聞こえていないだろうが、イッセーに向けて言うのだった。




ツバキ「……さて、どうでしたか? 今回は全て私視点でいきましたよ。まぁ、今回はいつもよりも短めでしたが、イッセーくんの活躍が見れたと思います。……主人公なのに私が最近活躍していないのに不満は持っていますが、次回活躍することを願っています。
むむ? どうやら時間が来てしまいましたね。そろそろ終わりましょうか。さて、家の駄作者は――」

( ºωº )チーン

「どうやらまだ死んでいるようですね。……ふぅ、しかたがありません。では代わりに私が終わりの挨拶を。
――こほん。それでは皆様、また次回でお会いしましょう! ばいば〜い!」


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13話 さぁ、反撃開始だよ

間に合ったよ!それでは短めだけれど、ゆっくりしていってね!


あれからしばらく。イッセーはリアスさん達と涙の再開をしていた。俺はそれを遠くで見ながら微笑んでいる。……だってしかたがないじゃないか。普通だったら死んでいたと思われていた想い人がこうして本人が約束した通りに自分の下へと帰って来たんだから。

 

 

「うわぁぁぁぁぁっ! このバカ野郎ォォォォッ! 俺はな! お前が死んだって聞いてたから、俺はなぁぁぁぁッ!」

 

 

匙の鳴き声が数十メートルも離れているはずのここにも聴こえてくる。どれだけ大声で泣いているのだろうか?

 

おろ? サイラオーグも来たようだ。少しボロボロだが誰かと戦っていたのだろうか?

 

 

ドサッ!

 

 

ふと背後に気配を感じると同時に何か重いものを落とす音がしてきた。その方へ視線を向けるとそこにいたのは、肌が黒いガチムチの巨漢の大男が、大男と比べるとそこそこのガチムチの男を地面に落としていた。

 

落とされている男を見ると、見覚えがあった。そう、彼は英雄派の1人のヘラクレスだったのだ。

 

そして同時にこの巨漢の大男にも見覚えがある。何たって光輝兄さんの部隊で数少ない英雄の一人なんだもの。

 

「あなたでしたか……ヘラクレスさん」

 

「…………」フシューッ

 

赤く目を光らせ、口から白い息を機関車のように勢いよく出している大男。

 

「(…………このヘラクレス(笑)さんは、生きているのでしょうか? おそらくは手加減されているのでしょうけれども……それでも虫の息でしょうね、これ)」

 

 

まぁ、文字通りの英雄と英雄の血が流れているだけのただの人では、勝負にすらならないのは明確ですよね。

 

 

「あっ!」

 

 

ふと声が上がったほうを見ると、ジャンヌが虚をつかれたような表情を浮かべていた。

 

 

「悪いね。イッセーくんの登場で隙だらけだったから、子供は解放させてもらったよ」

 

 

少し離れた場所で木場が子供を抱えていた。

 

 

「……へぇ、木場。どうやらジークフリートと戦ったのかな? 随分と気に入られているみたいじゃないか。魔帝剣グラムに」

 

俺は木場の腰に刺されたグラムを見ながらつぶやく。あの剣はジークフリートが持っていたはずなんたけどね。

 

すると、ジャンヌは懐からピストル――の形をした注射器と小瓶に入ったフェニックスの涙を取りだす。

 

「イッセーくん、気をつけて!あれは神器(セイクリッド・ギア)能力を格段にパワーアップさせるものだ!」

 

 

木場が叫びながらそう説明をしてくれる。……まぁ、大体は情報で入ってきてるからなぁ。わかってはいますとも。情報戦は命ですよ

 

 

ジャンヌは首もとに針を向ける。

 

 

「……二度目の使用は相当命が縮まるけれど、使わざるを得ないわ」

 

 

 

そう口にしたあと、ジャンヌは涙で傷を癒し、針を首に撃ち込んでいく。瞬間、ジャンヌの体が大きく脈動を始める。体から放たれるプレッシャーが増大し、顔に血管が次々と浮き上がっていく…。

 

 

 

ジャンヌは体を大きくよろめかせながらも笑う。

 

 

 

「……これでいいわ。力が高まっていくのがわかる!!」

 

 

 

ジャンヌが吼えると同時に足下から無数の聖剣が出現していく。そして、眼前に降臨したのは――聖剣で創られた一匹の巨大なドラゴンではなく、蛇だ。ただ、頭部にジャンヌが上半身だけ露出している状態だ。下半身は巨大な蛇と同化しているが…。

 

 

 

『うふふ、この姿はちょっと好みではないけれど、強くなったのは確実よ。曹操が来るまでの間、これで逃げさせてもらうわ!』

 

 

 

さーて、どう止めるかなぁ…。…………あぁ~、そう言えば"ヘラクレス"さんがいるなら、"あの人"がいてもおかしくはないのか……。なら、俺が動かなくてもいいかな

 

 

 

「へい!そこのジャンヌのおっぱいさん!いったいこれからどうするんだい?」

 

 

 

すると、イッセーが例の『乳語翻訳(パイリンガル)』を発動して、ジャンヌの胸――心を読み取っているようだ。

 

 

 

「――ジャンヌは路面を壊して、下水道に逃げるつもりだ!!」

 

 

みんなが動こうとするが、俺はそれをスルーする。……だって

 

 

「聖女様が来たからね」

 

 

 

 

 

―――紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)!!

 

 

 

 

女性の声が空に響き渡ると同時に聖剣の化け物となったジャンヌは炎に包まれた。

 

『きゃぁぁぁあぁぁぁぁっ!!!』

 

炎に包まれてしまったジャンヌは悲鳴を上げながら、そのまま消滅していき、全てが燃え尽きた場所には服が所々焦げているジャンヌが仰向けに倒れていた。……どうやら、気絶してしまったみたいだ。

 

みんなが呆気に取られている中、俺は"彼女"に近づいていった。

 

「ジャンヌさん。いいタイミングでした、ありがとうございます」

 

俺は頭をさげながらジャンヌさんにお礼をする。彼女は京都での英雄派との初戦闘時でもジャンヌを倒したお人だ。

 

「いえ、私の子孫の不始末は私自身がかたをつけなければなりません。聖女たるもの、人を導く存在が世界に混沌を招いては元も子もありませんから」

 

 

終始笑顔でそう言う彼女だが、目が笑っていないのとオーラから怒りがヒシヒシと伝わってくるあたり相当ご立腹のようだ。

 

「……あはは。…ところで彼女、生きています? さっきからピクリともしていませんけども」

 

俺は倒れているジャンヌに指を指しながら聞く。

 

「ええ、大丈夫です。生きていますよ。ただ、前の時にお話したはずなのですが、それを無視して今回の事件を起こし挙句の果てには子供を人質にとるという、聖女云々の前に人としてやってはいけない事をしてしまったので、少々お急を添えました」

 

………………ご愁傷さまです。ジャンヌだった人さん。

 

「さて、私は他の仲間たちの所へと行ってきます。助けを求める人はまだまだ大勢いますので」

 

どうやらオルレアンの乙女様はまだまだ働くようだ。

 

「はい。お願いします。……無理をせず、気をつけて下さいね?ジャンヌさん」

 

「ツバサこそ。気をつけてくださいね?」

 

「ご心配ありがとうですよ、ジャンヌさん。俺も気をつけますよ、こんな所で死ぬわけにはいきませんから」

 

「ならいい事です。それでは私はこれで」

 

そう最後にジャンヌさんは転移して、どこかへと行ってしまった。

 

俺はふと視線に気がつき周りを見ると、みんながこちらを見ていた。

 

 

「つ、ツバサちゃん。さっきの女性は? それに後ろの大男も」

 

みんなの代表でか、イッセーが指を指して聞いてくる。

 

「……あぁ〜、説明はこの戦いが全て終わってからにしましょうか。いまは戦いを終わらせることに集中しましょう」

 

 

俺は手をパンパンと叩きながらみんなに聞こえるように、声を張り上げて言う。みんなも納得したのか頷いて気を引き締めた表情をしていた。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「オーフィスの力を借りて……グレートレッドの体の一部で肉体を再生させた!?」

 

 

素っ頓狂な声をあげるのは…ロスヴァイセさんだ。

 

 

ジャンヌを縛り、さらに追い討ちで魔法と程度の能力を使い眠らせてイッセーたちのところに戻ってみてすぐ、みんながイッセーの口から大よその経緯を聞いたが、改めて思うと本当におかしいよね。イッセーの肉体を作っていた時は、イッセーを死なせたくないという思いでいっぱいだったから深く考えていなかったけれど、こうして落ち着いて考えるといろいろやらかしたかなぁ〜なんて思っちゃったりしてる俺がいる。

 

 

 

…それにしても……ここまでくると…イッセーがどれだけドラゴンに縁があるのがよくわかるよね。赤龍帝とはいえ、恐らくだけど歴代のどの赤龍帝の所有者よりもドラゴンや龍という存在に関わりを持つ人はいないと思うよ? それも、ただのドラゴンではなく伝説クラスのね

 

 

 

「――強者を引き寄せる力、ここまで来ると怖いな。首都リリスを壊滅させるモンスターという情景を見学しにきたら、まさか、グレートレッドと共にキミが現れるなんてね」

 

 

 

――第三者の声が、俺たちに向けられる。

 

 

 

振り向けばそこには――曹操がいた。

 

 

 

「……わずかな間で超えられたというのか。異常なるは、グレモリー眷属の成長率……。ヘラクレスはともかく、ジャンヌは『魔人化(カオス・ブレイク)』を使ったはずなのだが……いや、これは二度使ったか。二度使うと弊害がでるというのかな……」

 

 

仲間の心配というよりも仲間がやられた理由を独りごちながら模索しているようだった。彼らしいといえば彼らしいな。

 

 

すると、急に俺のほうを見る曹操。

 

 

次に曹操の視線がイッセーに移る。……以前のように興味に彩られたものではなく、異質なものを見ているかのような目つきだ。

 

 

 

「……帰ってきたというのか、兵藤一誠。旧魔王派から得た情報ではシャルバ・ベルゼブブはサマエルの血が塗られた矢を持っていたと聞いていたのだが」

 

 

「ああ、喰らったぜ。体が一度ダメになっちまったけど、グレートレッドが偶然通りかかったようでさ。力貸してもらって肉体を再生させた。……先輩たちやオーフィスの協力、ツバサちゃんの力があってこそだったけどな」

 

まぁ、イッセーみたいな人を死なせるなんてことは絶対にさせないけどね。

 

そんなイッセーの台詞を受けて、皮肉めいたものを返すのかと思っていたが……曹操は目元をひくつかせていた。初めて見るね、曹操のそんな表情。

 

 

「……信じられない。あの毒を受けたら、キミが助かる可能性なんてゼロだった。それがグレートレッドの力で体を再生させて、自力で帰還してくるなど……っ!グレートレッドとの遭遇も偶然で済ませられるレベルではないんだぞ……っ!」

 

まぁ、そのグレートレッドも俺が呼んだからなんだけどね。……イッセーの場合だと、呼んでいなくても遭遇していそうだけどね。だって、それだけ普通のから伝説級のドラゴン達に遭遇しているんだもの。それも高確率でさ。

 

「リアス、俺をもう一度あなたの眷属にしてください」

 

するとイッセーがリアスさんの目を見ながら強くそう言った。

 

リアスさんはそんなイッセーの顔を見て手元の駒をイッセーに向ける。……すると、駒はイッセーの前でいっそう輝きを増したあと、静かに体の中に入っていった。

 

そんな場面をマジマジと見ていたら、リアスさんがイッセーの唇に自分の唇を重ねた。――つまりキスしたのだ。

リアスさんにキスされたイッセーはそのままリアスさんを抱き寄せる。

 

――二度と、この女の元を離れてやるもんか。俺はこのヒトと生きるんだ。

 

……そう、強い想いが詰まっているかのような、傍から見てもわかるほど力強く抱きしめていた。リアスさんも嬉しいのか強く抱き返している。

 

「――私と共に生きなさい」

 

微笑む彼女の言葉を受けてイッセーは衝撃が走ったかのような表情となる。

 

「はい、俺はリアスと共に生きます。――最強の『兵士(ポーン)』になるのが夢ですから」

 

イッセーも負けじとそう強く宣言する。

 

俺はそんな二人のやり取りを見ながら、やっとここへ帰ってこれたんだなぁ…と、実感が湧いてくるのだった。

 

「……さぁ、反撃開始といきましょうか」

 

俺はそう呟きながら、曹操を睨むのだった。



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14話 首をだせい

ハロハロ、皆様。久しぶりの1ヶ月に2回投稿だよ!

……くっ。1番書きたい場所の物語は構築出来ているのに、そこまでにいく話数で面白いのがなかなか浮かばない!(´;ω;`)


でも、今回はいままで出してやりたくてやっと――やぁぁぁっと、出番がでる人がいます。……まぁ、題名で察する人は沢山いるかもだけどね! 是非もないよね!


さてさて、長話をしても仕方が無いよね。うん。それでは皆様いつもの如し、ゆっくりしていってね?


「さぁ、反撃開始といきましょうか」

 

俺は曹操を睨みながら腰に下げている村雨に手をつける。いつでも抜けるように抜刀の体制だ。

 

 

「よし、ソッコーで馴染んだ! さすが俺の駒!」

 

 

近くでイッセーが喜ばしげに声を出し、気合を入れている中、ふと違和感を感じた俺はその感じた方へ視線を向ける。

 

 

そちらを見やれば車道の一角に不気味な波動が出現し黒いもやのようなものが発生していた。そこから――鎌らしき獲物が飛びだしてきた。

 

装飾が施されたローブ、道化師のような仮面をした者が現れる――。

 

確か……そうだ。あいつはサマエルのいた擬似空間で俺たちに攻撃を加えてきた最上級死神(グリム・リッパー)……プルートだった。

 

《先日ぶりですね、皆さま》

 

死神の登場に曹操が嘆息する。

 

「プルート、なぜあなたがここに?」

 

どうやら、予想外の登場だったようだ。プルートは曹操に会釈する。

 

《ハーデスさまのご命令でして。もしオーフィスが出現したら、何がなんでも奪取してこいと》

 

………………ふぅ~ん。……そう。そうなんだ。やっぱりあの時のサマエルで諦めてなかったんだね。いったいどこまで執着さするのかねぇ。

 

 

「お前の相手は私がするよ。――最上級死神プルート」

 

 

すると、どこか聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

俺たちと曹操、プルートの間に光の翼と共に空から舞い降りてきたのは――純白の鎧に身を包んだあの女の子。……そう、白龍皇のヴァーリだ。

 

 

「やっぱり帰ってきたんだね、兵藤一誠」

 

「ヴァーリッ!」

 

イッセーが驚き叫ぶ。そんなヴァーリはイッセーの目の前でプルートに言う。

 

「あのホテルの擬似空間でやられた分をどこかにぶつけたくてね。ハーデスか、英雄派か、悩んだんだが、ハーデスはアザゼルと美猴たちに任せた。英雄派は出てくるのを待っていたらグレモリー眷属がやってしまったんでね。こうなると私の内に溜まったものを吐き出せるのがお前だけになるんだよ、プルート」

 

大胆不敵にそう告げるヴァーリ……だけど、そのいつもと変わらないポーカーフェイスには語気に少し怒りの色が見え、内心は荒ぶっているようだ。例えるならカム着火インフェルノォォォォオオウ!――かな?

 

プルートが鎌をくるくると回してヴァーリにかまえる。

 

 

《ハーデスさまのもとにフェンリルを送ったそうですね。先ほど、連絡がとどきましたものですから。神をも噛み殺せるあの牙は神にとって脅威です。――忌々しいけん制をいただいたものです》

 

「いざというときのために得たフェンリルだからね」

 

《各勢力の神との戦いを念頭に置いた危険な考え方です》

 

「あれぐらいの交渉道具がないと神仏を正面から相手することが出来ないでしょう?」

 

……そもそも、神仏と戦うと言うこと自体が危険な考えなのですが…………ヴァーリに言ってもスルーでしょうけどね。

 

《まあいいでしょう。しかし、真なる魔王ルシファーの血を受け継ぎ、なおかつ白龍皇でもあるあなたと対峙するとは……。長く生きると何が起こるかわからないものです。――あなたを倒せば私の魂は至高の頂きに達することができそうです》

 

あらら、白龍皇 対 伝説の最上級死神の開戦かな?

 

「兵藤一誠は天龍の歴代所有者を説き伏せたようだけど、私は違うわ」

 

ドンッ!

 

いきなり、特大のオーラをまといはじめるヴァーリ。開幕からクライマックスかな?とんでもない質量のオーラを辺り一面に放出している。

 

「――歴代所有者の意思を完全に封じた『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』のもうひとつの姿を見せてあげる」

 

光翼がバッと広がり、魔力を大量に放出させていた。純白の鎧が神々しい光に包まれ、各部位にある宝玉から――。

 

「我、目覚めるは――律の絶対を闇に堕とす白龍皇なり――」

 

すると、イッセーや俺の神器を通して白龍皇の所有者とおぼしき者達の意思が流れ込んでくる

 

『極めるは、天龍の高み!』

 

『往くは、白龍の覇道なりッ!』

 

『我らは、無限を制して夢幻を喰らう!』

 

その者たちは恨みも妬みも吐きださない代わりに圧倒的なまでに純粋な闘志に満ちていた。……戦いを通じてわかりあったというの? なに?白龍皇の歴代所有者はみんな戦闘狂の脳筋だとでもいうの?!

 

『…………あながち間違ってはいないわね』

 

――えっ!? マジで?!

 

「無限の破滅と黎明の夢を穿ちて覇道を往く――我、無垢なる皇帝と成りて――」

 

俺はルーツの白龍皇歴代所有者の衝撃的真実に驚いている中、ヴァーリの鎧が形状を少し変化させ、白銀の閃光を放ち始めた。

 

 

「「「「「「汝を白銀の幻想と魔道の極致へと従えよう」」」」」」

 

 

『Juggernaut Over Drive(ジャガーノート・オーバー・ドライブ)』

 

そこに出現したのは白銀の鎧に包まれし、極大のオーラを解き放つ、別次元の存在としか思えない者だった。周囲にあった公共物、乗用車も触れていないのにペシャンコとなってしまった。ヴァーリの体から滲ませるオーラだけで物が壊れていく。

 

やっぱりヴァーリは天才だね。イッセーが苦労して説得………説得と言えるのかな?あれ?……まぁ、いいや。とりあえず苦労した歴代所有者の意思、そして命の危険から捨て去った『真・覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』。その二つを自らの才能だけで己の力としてしまった。しかもそれを昇華して――。

 

……さらに言うと、イッセーとは違いいたって真面目で純粋でこれぞ正式の進化だ!――と言えるパワーアップの仕方だしね。

そう、イッセーのようにおっぱいつついて覚醒じゃぁぁ!……なんてこともなかったもんね、ヴァーリはさぁ。うんうん。これが進化だよ、これこそが覚醒パワーアップだよ! やっぱりイッセーの覚醒の仕方が可笑しいんだよね!

 

「――『白銀の極覇龍(エンピレオ・ジャガーノート・オーバードライブ)』、『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』とは似ているようで違う、私だけの強化形態。この力、得とその身に刻めッ!」

 

言い放つヴァーリに斬りかかるのはプルートだった。残像を生みだしながら高速で動き回り、赤い刀身の鎌を振るう!

 

――バリンッ!

 

儚い金属音が空間に響き渡る。――降りかかったプルートの鎌をヴァーリが難なく拳で砕いたからだ。

 

《ッッ!》

 

驚愕している様子のプルートだったが、そのプルートのあごに鋭いアッパーが打ち込まれていく。激しい打撃音をたたき出して、プルートが上空に浮かされる。そのプルートに向けてヴァーリは右手をあげて、開いた手を握った。

 

「――圧縮しろ」

 

『Compression Divider(コンプレッション・ディバイダ-)』

 

『Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)』

 

空中に投げ出されたプルートの体が――縦に半分圧縮し、今度は横に圧縮していく。次にまた縦に半分に――。プルートの体が瞬時に半分へ、また半分へと体積を減らしていく。

 

《こんなことが……! このような力が……ッ!》

 

プルートは自身に起こったことが信じられないように叫ぶが――ヴァーリは容赦なく言い放った。

 

「――滅べ」

 

目で捉えきれないほどのサイズまで圧縮されていった死神はついには何も確認できなくなるほど体積を無くしていく。空中で震動が生まれたのを最後にプルートは完全に消滅していった。最上級死神(グリム・リッパー)プルートはこの世に微塵の欠片も残さずに消えていった――。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「……はぁ、はぁ」

 

白龍から通常の禁手(バランス・ブレイカー)に戻ったヴァーリは肩で息をしていたが……。どうやら相当、体力と魔力を消耗するようだ。むしろ最上級死神を瞬殺する程の、あれだけの事をしたにも関わらず肩で息をする程度に済んでいるあたり本当に規格外な悪魔だね。

 

ふと横にいるグレモリー眷属のみんなを見ると、イッセーも含めみんながヴァーリの自分達とはかけ離れた実力に言葉を失っているようだ。そんな中でもサイラオーグは嬉しそうに笑を見せていた。……流石、強者を見ると戦いたくなる戦闘民族さんだな。これが後の戦闘狂か…。

 

「……おそろしいな、二天龍は」

 

そう言いながら近づいてくるのは――曹操だ。

 

「ヴァーリ、あの空間でキミに『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』を使わせなかったのは正解だったか……」

 

曹操にそう賞賛されるヴァーリだけど……。彼女は息を吐いた。

 

「『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』は破壊という一点に優れているけど、命の危険と暴走が隣り合わせ。いま私が見せた形態はその危険性をできるだけ除いたものよ。しかも『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』と違うのは伸びしろがあるということ。曹操、仕留められるときに私を仕留めなかったのがおまえの最大の失点だね」

 

ヴァーリの言葉に曹操は無言だった。――すると、曹操の視線が今度はイッセーに移る。

 

「確認しておきたい。――兵藤一誠、キミは何者だ?」

 

急に妙な事を聞かれたイッセーは困惑しているのか悩んでる様子だ。

 

 

「やはり、どう考えてもおかしいんだよ。自力でここまで帰ってこられたキミは形容しがたい存在だ。もはや、天龍どころではなく、しかし、真龍、龍神に当てはまるわけでもない……。だからこそ、キミはいったい――。」

 

「じゃあ、おっぱいドラゴンでいいんじゃねぇか」

 

面倒くさくなったのかかぶるように言うイッセー。曹操は一瞬間の抜けた表情を見せるが――すぐに苦笑してうなずいた。

 

「……なるほど、そうだな。わかりやすいね」

 

それだけを確認すると奴は聖槍の先端をこちらに向ける。

 

「さて、どうしようか。俺と遊んでくれるのは兵藤一誠か、それともヴァーリか、もしくはサイラオーグ・バアルか、もしくは結城翼か。または全員で来るか? いや、さすがに全員は無理だな。神滅具(ロンギヌス)みっつと祖龍を相手にするのは相当な無茶だ」

 

そう挑発する曹操。……何も、俺も参戦しなくても3人だけでも充分な気がするね。

 

「さぁ、誰からでもかかっt――ッ!」

 

ヒュンッ!

 

曹操と俺たちの間に一筋の閃光が走った。曹操や俺たちは互いに後ろへ下がり閃光の走ってきた方向へと視線を向ける。――そこにいたのは

 

 

《危ないところでした。この『身代わり宝玉』がなければ死んでいるところでした。》

 

――なんと、先ほど殺されたはずのプルートだった。

 

「なッ?!」

 

「ッ!」

 

「なに!? どういう事だ!」

 

「………」

 

イッセー、ヴァーリ、サイラオーグは驚いた表情をしていた。ヴァーリに関しては先ほどの戦闘もあり、完全に消滅したはずの者が目の前にいることに声にならない声を上げていた。そんな中、曹操だけは訝しげに見ているだけで、驚いている様子はなかった。

 

かく言う俺も多少は驚いている。確かに奴の消滅は確認出来た。あれは少なくても死んでいたのだから。

 

そんな中、等のプルート本人は首をひねりながら考え事をしていた。

 

《……いえ、1度死んだのでしたっけ? まぁ、どちらでもいいでしょう。とりあえず―――》

 

―――全員殺せばいいのですから

 

ゴウっ!!

 

プルートの周りを禍々しいオーラが吹き上げる。先の白銀のヴァーリ程ではないもののそのオーラは凄まじく寒気をもよおす。おそらく、これが本来の死神の力なのだろう。

 

《私の本気を見せてあげましょう》

 

その言葉の瞬間――

 

「――ぐあっ!?」

 

隣で苦痛の声が聞こえたかと思うと、ヴァーリが膝をついていた。ヴァーリの前にはいつの間に移動していたのか、プルートが鎌を振り下ろした状態で佇んでいた。

 

「(俺が気がつかなかった?……いや、これは死神特有の気配の消し方か。生き物でない死神だからこそできる隠密術……いわゆる天然の完全インビジブルといったところか)」

 

そんな事を考えていると、イッセーも蹴り飛ばしたプルートがこちらへ向かってきた。俺は冷静にプルートの動きを読んでいるとプルートの姿がまた消える。気配も音もなく本当にいなくなってしまった。だが、俺には姿も気配も無くなろうとも関係ない。だって、"博麗の巫女の感"があるから。

 

 

「……そこかッ!」

 

ヒュンッ――ガキィィィンッ!

 

俺は感を頼りに背後に回るように180℃半回転して村雨を抜刀する。すると、村雨が何かを捉えたのか硬いものにあたった。――そこには、先ほど消えたプルートがいて鎌を振り下ろそうとした状態で村雨と対峙していたのだ。とうのプルートは防がれると思っていなかったのか驚愕した表情をして固まっていた。だが、そんな固まっていたのも一瞬のことですぐに意識を戻し距離をとる。

 

《まさか防がれるとは思いませんでした。ただの人間にしてはやりますね》

 

「ふふん。俺をただの人間だと思っていると痛い目を見るよ?死神さん」

 

《……そうですか。まぁ、次からは油断しなければ人間1人など殺すのに容易いこと。さっさと終わらせましょうか》

 

そう言いながらプルートは禍々しい鎌を構えてくる。かく言う俺も村雨を構えて迎えうつ準備をしていた。

 

『ちょぉぉぉっとまったぁぁぁ!』

 

そんな両者が睨み合っていたとこへ、また乱入者が現れる。

 

ズドンッと音を響かせ俺とプルートの間に落ちてきた誰か。みんな突然のことに驚き警戒しているが、俺は落ちてくる時に聞こえてきた声とチラッと見えた"鎌"と"赤髪"を見て誰が来たのかわかっていたのだった。

 

「――あいたたた。ちと派手にやりすぎたね。また映姫様に怒られちまう。さっさと終わらせないとね」

 

肩やお尻の砂をパンパンと手で払いながら頭をさする死神さん――そう、我らが幻想郷の死神、小野塚小町だった。

 

「小町さん、来ていたんですね」

 

「ん? そりゃそうさね。みんな頑張ってんのにアタイだけ寝てたらまた映姫様のお説教をくらっちまう。それだけは避けなきゃならないし、なによりツバサの助けになりたいからねぇ。呑気に寝てる暇なんてないさね」

 

カラカラと笑う小町さん。赤髪に赤目、ツインテールをしている人。服装は和服とヒラヒラのドレスを合わせたかのような独特な服を来ていて、同じく歪な形をした鎌を持っている地獄の案内人だ。主な仕事は地獄へと訪れた亡者を三途の川の向こう岸へと船で運ぶ船番の案内人で、希に現世にいる亡者を地獄へと連れて帰る仕事もしている死神さんだ。……でも、普段は寝てたりしてサボっているダメな人でもあり、よく四季映姫・ヤマザナドゥさんに説教をくらっており、同じくサボり魔仲間の美鈴とよく飲みに行ったりしている日本の死神でもある。…………あと、パッと見ただけでもわかるほどの胸の持ち主であり、おっぱい星人のイッセーが瞬時に小町さんに反応する程の大きさの人だ。

 

……てか、イッセー。俺よりも早く小町さんに反応してませんでしたか?

 

「さぁ、あんたの相手はアタイがするよ西洋の死神。アタイの名は小野塚小町。地獄の閻魔大王に仕える日本の死神さね」

 

《……私の名はプルート。死の神ハーデス様の部下の最上級死神(グリム・リッパー)です。早速ですが――死んでください》

 

プルートはまた姿を消して超スピードで小町さんに駆け寄る。俺はだんだんと目が慣れてきたのか、プルートの姿がぼんやりとだが見えてきたのだ。

 

そんなプルートはいまだ鎌を肩に乗っけて余裕そうな表情をしている小町さんに向けて禍々しいその鎌を振り下ろした―――が

 

パシッ

 

《ッッ!》

 

「おや、この程度かい?お前さんの力は。だとしたらアタイはガッカリだよ」

 

なんと、小町さんは後ろを見ずに背後で振り下ろされた鎌を素手で受け止めたのだ。受け取れられたプルートは俺が受け止めた時以上に驚愕しており焦りの感情が感じ取れた。

 

「どれ、アタイの番かな」

 

そう言いながら小町さんはプルートの鎌を引き寄せた。急に引き寄せられたことによりプルートは鎌と一緒に小町さんに引き寄れられ――

 

「ほいっと!」

 

ドスッ!

 

《――ゴハッ!?》

 

小町さんは引き寄せたプルートの鳩尾に重い拳を叩き込んだ。叩き込まれたプルートは血を吐き派手に吹っ飛ぶ。吹っ飛んだ先のビルに衝突し、五階建てのビルが倒壊した。

 

「おお~。派手に飛んだね」

 

カラカラと笑う小町さん。……実は小町さんは普段は結構なサボり魔ではあるが、美鈴同様、本気を出したら凄い人でもあるのだ。

 

《ッ!……なかなかやりますね、日本の死神は》

 

ガラガラと瓦礫の中から出てくるプルート。倒壊した五階建てのビルに埋まったと言うのにピンピンしている辺り、最上級死神(グリム・リッパー)ってのは相当頑丈なようだ。……そんな死神の防御力を拳ひとつで貫通させる小町さん…上位死神ってのは規格外な存在だよね。鬼神程じゃないけど。

 

「おや、まだ立つのかい?あんた」

 

《この程度で殺られてはハーデス様に見せる顔がありませんから》

 

………さっき白龍皇に瞬殺された癖によく言うよ。

 

《それに、たかが小さな島国の日本ごときの死神に負けるほど最上級死神(グリム・リッパー)の名は伊達ではないですから》

 

「……へぇ、言うねぇ」

 

プルートは睨み、小町さんはニヤニヤと笑っている。両者の間にはバチバチと音が鳴っているように幻覚が見えるほど睨み合っていた。

 

日本の死神VS西洋の死神。どちらも上位死神で、方や幻想郷の閻魔大王の側近部下である船番、方や死の神ハーデスの部下の最上級死神。両者ともに立場も実力も同じ……いや、ぱっと見小町さんの方が上かな?――まあ、それもそうか。あの人はこちら側の閻魔大王様の"第一補佐官"の人と仲良しだし、よく運動がてら模擬戦もしてるしね。

 

《いきますよ、小町ッ!》

 

「来な、プルート!」

 

両者の激突は始まった。先ほどまでの戦いが嘘のようなバトルが目の前で繰り広げられている。プルートが鎌を振り下ろしそれを小町さんが見切りスレスレで回避、その振り下ろしたスキを狙い小町さんが鎌を振るうがそれをプルートが後方へ避けるように回避、小町さんがプルートをおいプルートは小町さんを迎え撃つ。そして――

 

そんなバトルが高速戦闘の元おこなわれており普通の者では見えないだろうし、相当の修羅場を潜った者か、アザゼルやサーゼクスさん、兄さんや姉さん達ような実力者じゃないと見れないだろう。

 

「……ヤベぇよ!何が起きてるか全然見えねぇ!?」

 

「大丈夫だ、兵藤一誠。私も全ては見れてないから」

 

「すごいなあの赤髪の女。小町とか言ったか?相当な実力者だ」

 

イッセーが嘆き、ヴァーリは目を細め真剣に見ており、サイラオーグは関心したかのように頷いている。……てか、サイラオーグ見えてんだこの戦闘。それよりヴァーリは傷大丈夫なの?え、治った?あら、そうなのですね。さすがヴァーリです。

 

俺も勿論だが見えている。プルートは死神特有の気配消しも同族には意味が無いのか、それとも使う暇が無いのかわからないが、ヴァーリを一撃で倒し俺に気が付かれず――感で防いだけど――接近した技を使っていない。

 

そんな戦いだが、とうとう終わりが見えてきた。小町さんは余裕があるのか鼻歌を歌っているしまつ。しかし相手のプルートは全身キズまみれで相当息も上がっている。

 

「~♪……っと、ほらどうしたんだい?動きが随分と鈍っているようだけど?」

 

ニヤニヤと笑を浮かべながら相手を挑発する小町さん。

 

《――ッッ! はぁ、はぁ……腹がたちますね。この私がこんな辺境の島国の死神ごときに遊ばれるなんて…》

 

「それもそうさね。アタイはよくこちら側の地獄へときて閻魔大王の第一補佐官の鬼神様と挨拶がてら運動も兼ねて模擬戦をやってるんだ。あの人と比べればたかが同族ごときに殺られるなんて事はないさね。こちとら伊達に長生きしてないよ。少なくてもあんたみたいな小娘にやられるほど私は弱くないよ」

 

ふふんと胸をはる小町さん。その時に大きな2つの山がタプンと揺れたことにより、イッセーが反応して鼻血を出している。そんな彼を横にいたリアスさんが頬を抓る。……イッセーェ。キミは本当に呆れるほどおっぱい星人なんだね。ドライグが可愛そうだよ。

 

『もう慣れたさ、相棒のコレにはな』

 

すると、ルーツの神器を通してドライグの声が聞こえてきた。……え? なんで君わかったの?心よんだ?

 

『元気を出しなさいドライグ。いつでも相談に乗ってあげるから。ね、つーくん』

 

「え、あ、うん。いつでも相談しに来てねドライグ! 君も俺たちの大切な仲間だからさ!」

 

『……ありがとうな、ルーツ、ツバサ。その時はよろしく頼む』

 

……いつもの頼もしい声が弱々しい。相当きてるようだね、心に。かの二天龍をここまで疲労させるなんて……イッセー…恐ろしい子ッ!

 

《その鬼神がどんな者か知りませんが、たかが鬼、所詮鬼、神を名乗ろうともその程度の魔物に舐められる程、私は弱くないんですがね》

 

「……………いやいやあんた。実際あの人に会ってみたらわかるさね。あの人がどれほどの規格外な人――いや、鬼か。……まぁ、舐めてかかると文字通りの痛い目…ですんだらいいほうかな?……とりあえず凄まじく酷い目にあうと言うことだけは言っといてあげるよ」

 

……あのプルートって人、とんでもない事を言いますね。かの鬼神様。それもその中でもトップでヤバい閻魔大王の第一補佐官――鬼灯さんに対してそんな事を吐けるなんて……おお、怖い怖い。俺は少なくても言えないね!そんな言葉。あの人に対してだけは絶対に。つか、この日本でも指折りの実力者なのにね。下手すりゃ神様超えるんじゃないだろうか? 仮にも鬼神だし、鬼の神様だし、八岐大蛇ぶっ飛ばしてるし、過去にいろいろやらかした諏訪子様にお仕置きしたそうだし、暴れまくってた鬼の四天王の華扇を除いた3人をぶっ飛ばして且つお仕置きしたそうだし、月に突撃した紫さんもお仕置きされたそうだし………………あれ?やっぱり鬼灯様って規格外?

 

「まあ、いいさね。アタイはアタイの仕事をやり遂げるだけ。………じゃないと鬼灯の旦那に怒られちまう(ボソ」

 

小町さんは堂々とした態度で余裕そうに言う……でも小町さん。最後小さな声で言ったみたいですけど俺にはバッチリ聞こえてますからね?

 

『鬼灯の旦那に言わんでくれよ?』

 

――この人、いきなり念話で頭の中に!てか、ドライグといい小町さんといい、人の心を読まないでください!

 

『ははは、アタイのは感だよ!』

 

……まあ、いいですよ、もう。

 

「んじゃ、さっさと終わらせますかね」

 

《――まだだ》

 

「ん?」

 

《――まだ、まだ終わっちゃいない!!》

 

すると、プルートはおもむろにローブの中に手を突っ込み何かを探ると取り出してきた。

 

それは黒い宝玉だった。でも、その宝玉からは禍々しいオーラが出ており、ぱっと見ただけでも相当ヤバい物だというのがわかる。

 

「なんだい?そのヤバそうな物は」

 

《これは、ハーデス様に『身代わりの宝玉』と一緒に頂いた"とある魔獣の封印された宝玉"です。これは試作品とはいえまだ未完成。本来ならばオーフィスを捕える為だったとはいえ、この緊急事態なら致し方ありませんね。コイツらを消さなければオーフィスを捕らえることができませんから》

 

そう言いプルートは宝玉を天にかざした。

 

《宝玉に封じられし魔獣よ、いまこの時をもって封印されし力を解き放て! 全ての生きとし生けるものに絶対なる死を与えん》

 

ゴゴゴゴッ――と冥界の空にあくうんがたちこみピシャッ!と雷が鳴り響く。――そして、赤黒い巨大な魔法陣が出現する。

 

《蹂躙せよ! 複合魔獣ゴルゴーン!》

 

ピカッ!――と、閃光が弾くと同時に巨大な何かが現れる。その巨大な何かは徐々に形をなしていき、そしてそれは現れた。

 

 

その巨体は優位に巨大超獣鬼(シャバウォック)を超え、背中にはその巨体に似合った大きさの薄汚れた金色の二体四枚の翼があった。身体は上半身が女性で下半身が蛇といった、魔物の一体である半人半蛇のラミアの様な姿で、顔はあるにはあるが鼻はなく、あるのは目と口らしき位置にある黒い丸いものだ。それはまるで虚無であり、闇をそのまま顔の部分に埋め込んだかのようだった。

髪の部分は髪のようだが先端につれて蛇の様な形になっており、それはまるでメデューサのようだった。

 

そしてこの化け物は全身から凄まじいまでの禍々しいオーラを放っており、ゴルゴーンの近くにある建造物はみな石化し砕け散っていた。

 

名前にもゴルゴーンと叫んでいたし、おそらくゴルゴーン三姉妹をモデルにしているのだろう。複合魔獣というだけだから何かはわからないが複数の魔獣を融合させて造られたと思われる。

 

「な、なんなんだよコイツは……ッ!」

 

イッセーが怖気付いたかのように震えている。ヴァーリもイッセー程ではないが震えているようだ。かく言う俺もそうだ。何故か奴からは異様な……それも、ドラゴンに対しての凄まじい嫌な感じがする。俺の博麗の巫女の感も"かなりヤバい"と先程から警告を告げている。

 

それと、いつの間にかプルートの鎌が新しくなっていた。先ほどよりもより禍々しくなって

 

《この魔獣の名は複合魔獣ゴルゴーン。先の戦いでオーフィスから奪った力を使い、サマエルの力とオーフィスの力、複数の魔獣、そして最後にハーデス様自身の力を融合させ造った複合魔獣。それがこのゴルゴーンです。これはかのゴルゴーン三姉妹をモデルに造られた魔物ですよ。ちなみに、この新調した鎌にはこのゴルゴーンの中のサマエルの毒が仕込まれているのです。かするだけでも即死ですよ?》

 

『――なっ!?』

 

プルートの言葉に戦慄が走る。

 

――オーフィスの力にサマエルの力だと?! なんつー化け物を造ったんだよ!コイツらは!!

 

《まぁ、さすがにゴルゴーンの使う毒はサマエルの毒程の威力はありませんが、それでも元はサマエルの毒。その力は劣化してもなお凄まじい》

 

プルートはそう説明しながらも、どこから取り出したのか英雄派の連中が使っていた例のフェニックスの涙で回復する。それをみた小町さんは面倒くさそうな顔をしていた。

 

それにしてもサマエルの毒……か。劣化しているらしいとはいえ、元が元。油断はできないでしょうね

 

『ツバサ、こればかりはヤバイわよ。元々ドラゴンスレイヤーに耐性がある私たち古龍種なら多少の事なら大丈夫だけど元がサマエルの毒だから喰らいすぎるのは良くないわ。それに一番危ないのは赤龍帝よ。彼はまだ復活したばかり。戦えるまでに身体は馴染んでるとはいえまだ完全ではないわ。完全体なら回復するまでサマエルの毒でも耐えられるでしょうけど、今の彼では到底無理よ。何とかしてでも守りなさい』

 

「うん。わかってるよルーツ。せっかく奇跡的に助かったイッセーだ。やっとここまで帰ってこれたのにまた死にかける……いや、次こそ本当に死んでしまうかもしれないもん。絶対、この命に変えてでも守ってみせる!」

 

『そうね。でも、あなたも死ぬのは許さないわよ。死なずに無事に生きて帰ってこそ、本当の勝ちなんだから』

 

「そうだったね、ルーツ」

 

俺とルーツはそんな話をしながら、どうゴルゴーンと戦うか考えていると……

 

《さぁ、蹂躙しなさい。ゴルゴーン》

 

『オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォオオオオンッ』

 

ゴルゴーンが声の様な音を出すと、髪の蛇の口が唐突に光だした。

 

―――ってアレはヤバいッ?!

 

「―――結界札『博麗式多重大結界』ッ!!!」

 

 

シュピン!――ピカッ!

 

 

ズドドドドドドォォォォンッ!!!

 

結界が発動すると同時に無数の紫色のしたビームがこちらへ飛んでき結界に衝突する。結界にあたっていないビームは建物等にあたると、瞬間にその建物は石化し砕け散った。どうやら石化するビームのようだ。

近くにいたメンバー、グレモリー眷属やサイラオーグ、ヴァーリは結界で防げた。曹操もいたけど仕方がない。

 

結界の外にいたメンバー、小町さんやヘラクレスは…………うん。大丈夫っぽい。

 

小町さんは弾幕で慣れており余裕そうに避けている。どういう効果は知らないがカリカリと音をたてながらグレイズしていた。うん。彼女は特に心配していなかった。

 

ヘラクレスさんは地面をその巨体とは似合わない速度で回避していた。……残像が見えるのは気のせいだろうか?

 

「(でもどうしよう、俺自身もまだ回復しきってないからゴルゴーンを倒しきれるかどうか……かといって、純粋なドラゴンじゃない奴に龍殺しが効く保証もないし、村雨やノッブ達で対抗できるかと聞かれたら無理だと言える。禁手(バランス・ブレイカー)してもサマエルの力が含まれた攻撃をあたりすぎたら危ないし、なによりイッセーを守りながら戦うのはリスクが高すぎる!小町さんもプルートを押さえてもらわなきゃならないし。ヘラクレスだけじゃ倒しきれない………くっ!奴に対抗できるものは無いのか!)」

 

そんな事を考えていたその時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ゾクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――リゴォォォン…リゴォォォン……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――首を出せぃ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

――――――――――――――――――――――

 

イッセーside

 

 

俺たちは曹操と対峙していたとき、あの時擬似空間で戦った最上級死神(グリム・リッパー)のプルートって奴が急に現れた。奴の狙いはオーフィスでヴァーリが瞬殺し、その後復活したがまた急に現れた小町さんっていう死神のお姉さんに敗北した。あのお姉さんはおっぱいが素晴らしいです。

 

そんなプルートは懐から取り出してきた宝玉からとんでもない化け物を呼んできやがった! プルート曰く、あの時擬似空間で奪ったオーフィスの力とサマエルの力を融合させた化け物らしい。ドライグ曰く俺の身体は完全に魂が肉体に融合しきれてないから、奴――ゴルゴーンの攻撃が当たれば次こそ即死らしい。完全体であるならば耐えれるらしいけど……。

 

そんな事を考えていたら、ゴルゴーンは攻撃体制にはいる。と同時にツバサちゃんが結界を張ってくれてゴルゴーンの攻撃から助けてくれた。小町さんがヤバいと思ったが余裕そうに避けている所を見ると平気そうだ。それを憎たらしげに見ていたプルートがいるのも見えた。

 

俺たちはどう戦えばいいかツバサちゃんに聞こうとし側に近いた時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ゾクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――リゴォォォン…リゴォォォン……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――首を出せぃ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ズバンッッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ズッ………ヒュゥゥゥゥズドォン

 

………ズズゥゥゥゥンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はっ?」

 

 

誰かの間抜けた声が聞こえてきた。……でも、それもそうだろう。急に凄まじいまでの悪寒が感じ、俺たちは止まった。それと同時に鐘の音が聞こえてきたと思うと、誰かの声が聞こえてきた。

 

そして気がついたら、ゴルゴーンの首が断ち切られゴルゴーンはその巨体を地面へと落としていたのだった。

 

ゴルゴーンは首を断ち切られ即死したのかピクリとも動かない。どうやら死んでしまったようだ。

 

《…………な、何が――いったい何がおきたというのですか!?》

 

プルートが焦った声をだしながら狼狽している。それもそうだろう。なんたって先ほどまで勝利を感心していたのにその魔物がいとも容易く殺られてしまったのだから。

 

……でもいったい誰が?

 

「なぁ、ツバサちゃん。誰か知らn――ツバサちゃん?」

 

「………」フルフルフル

 

ツバサちゃんは顔を下にして震えている。どうしたのだろうか?

 

「なぁ、ツバサt――」

 

 

 

――ゾクッ

 

 

 

――なっ!? ま、まただまたあの悪寒が?!

 

 

「……ッ!!!!!」ビクンッ

 

 

ツバサちゃんが驚いた猫のようにビクンと跳ねた。こんな緊急事態にも関わらず不覚にも可愛いって思った俺がいちまったぜ。だが、こんな不安になっているツバサちゃんは初めて見た。

 

で、でもこの悪寒の正体は……

 

『――鐘の音が聞こえる。今日は特別重い首があるようだ』

 

虚無に声が響く。全員が声の方へ向くと……。

 

 

――死がいた。

 

 

比喩でも何でもなく、死を錯覚させるほどのとんでもない"化け物"がいたのだった。

 

 

俺は咄嗟にツバサちゃんを守る様に前にでる。なんでこんな事をするのかわからない。……でも、震えている子を守るのがヒーロー……ましてやそれが男ってもんだろ?

 

 

『怯えるな契約者の友よ。キングハサン、助っ人に応じ姿を晒した』

 

 

キングハサン……そう名乗ったそれは大剣を持って、静かに現れた。

 

 

 それは静かに、死と言う福音を鳴らしながら現れた。

 

 

2メートルを超える巨体。その顔は骸骨であり肩や胸、目の部分からは青白い炎が吹き出ていた。

 

 

『プルート……首を出せい』

 

 

そう、死は宣告した。

 

 

《き、貴様はいったい……》

 

 

 

「ふん」

 

 

 

プルートが何かを言おうとしたが、なにも聞きまいと手元の大剣を振るう。

 

 

 

 一降りの剣はビルも何もかも真っ二つにして、それを切り落とす。

 

 

 

 剣をふる音なぞしなかった、瓦礫の音さえも静かに落ちた。

 

 

プルートはその斬撃に反応ができなかったのか固まって動かなかった――否、動けなかった。

 

 

『無益、あまりにも無益……無数の知恵で何を積み上げた。無限の龍神の力を取り付けてまで何を掴んだ。毒に浸した鎌で何をした。己の愚かさか?絶対的な力による怠惰か?命を奪い合う欲望か? 愚か者め──首を出せ』

 

 

鋭い眼光でプルートを射抜くキングハサン。プルートは恐怖によるものか凍ったかのように固まっていた。……それもそうだ。だって睨まれてないはずの俺たちでさえこれなんだ。直接睨まれているプルートはご愁傷さまとしか言えない。

 

 

「…………グス」

 

 

隣にいたツバサちゃんはとうとう泣き出してしまった。そうとう怖いようだ。そんなツバサちゃんを庇うようにしつつたまに背中をさすって上げている。

 

 

『……神託は下った』

 

 

キングハサンがチラッとこちらを見た気がした。……気のせいだろうか?

 

 

『聴くがよい。晩鐘は汝の名を指し示した。告死の羽―――首を断つか、『 死告天使 (アズライール)』……!』

 

 

《あっ――》

 

 

スパッ――ドサッ……

 

 

いとも容易く、まるで豆腐を切るかのように首を断ち切られたプルート。今度は宝玉は無いのか復活する様子がない。どうやら即死のようだ。しばらくして、プルートの肉体は砂のようになり消えていった。

 

 

『汝が命運、ここに尽きたり』

 

 

キングハサンは己の大剣を地面に刺し両手を大剣にのせるように構える。その姿はとても様になっていた。

 

 

『契約者の友よ』

 

 

「――は、はぃぃっ?!」

 

 

急に俺の目の前に現れたハサン。俺は思わず直立不動となってしまう。――だってしかたがないじゃないか!

 

 

『汝は悪魔ではあるが、信じるに足る者のようだ。特に心がいい。何事にも動じぬ精神こそ、我らに必要なものだ』

 

「は、はぁ」

 

『汝なら、我の契約者を任せられる。いまは不安定な体とはいえ契約者を守るその勇気、その恐怖に負けない心。しかと見た。汝に契約者をまかせる』

 

キングハサンはそう言いながらその炎の瞳で俺を射抜く。

 

その力強い眼光に答えるように俺はキングハサンの目を見ていう。

 

「ああ、任せてくれ! ツバサちゃんは俺の大切な友達だ。友達を見捨てるなんて出来やしねぇ。それに命の恩人でもあるツバサちゃんだ、今度は俺がツバサちゃんを助ける番だぜ!」

 

するとキングハサンは最後に未だ泣いてるツバサちゃんを見ると、踵を返し何処かへと行った。

 

……気のせいか、その背中は孫に泣かれて渋々帰ってしまうお爺さんのような悲壮感が漂っていた。

 




ちなみにですが、小町とプルートの戦闘をイメージするならヤムチャ視点のドラゴンボールの戦闘シーンですかね。

あと、複合魔獣ゴルゴーンのモデルはFGOに出てくる複合神性ゴルゴーンですよ。ゴルゴーンの顔をオーバーロードに出てくるパンドラズ・アクターに変え、全体的に禍々しいオーラを纏った化け物です。FGOみたいに神性な感じは一切ありませんよ



キングハサンは主人公のツバサちゃんが好きです。孫が可愛すぎて大好きなおじいちゃんみたいな感じです。でも、当本人であるツバサちゃんはじぃじであるハサンはもう一人のおじいちゃんみたいで大好きだけど、戦闘時に急に現れた時のキングハサンが大の苦手で、最後の死宣天使では、自身のオーラに当てられたツバサちゃんが泣いちゃったのを見て八つ当たり気味にオーバーキルをしちゃっただけです。最後の去るシーンではイッセーが思った同様、ツバサちゃんが完全に泣いちゃっているのであまりここにいてもよけい泣かすだけど判断したおじいちゃんはすごすごと帰って行っちゃいました。是非もないよね。



ちなみにイッセーがキングハサンを見ても平気だったのは、キングハサンがツバサを怖がらせないようにとなるべく気を使って手加減をしてオーラを出していたのもありますが、一度死んで肉体を失い、本当の死をもう一度体験した事により少し感覚が鈍っていました。過去の修羅場も多数経験したことも平気だった原因の1つです。
さらに新たな肉体に魂が完全に馴染んでいないためもあり感が少し鈍っていますが、それでも元は情に熱く死にかけてもなお仲間を思い夢に出てまで助け出すほどの仲間想いが主なため、キングハサンのオーラにも動くことができました。ほかの人達は普通にガタガタと青鬼にあったたけしの如く震えていました。あれほど露骨には震えていませんけど。


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15話 最終決戦 前半戦

昨日、投稿したつもりが投稿していなかったことについさっき気がついて慌てて投稿です。

さぁ! 最新話なのですよォ!


あの化け物が倒された後、俺たちは曹操と対峙していた。……ちなみに山の翁はもういない。イッセー曰くすごく悲壮感漂う背中をしながら帰ったらしい。……あの人がそんな背中を見せるのだろうか?想像出来ないのだが。あ、あと泣いてなんかいないからなイッセー! あれは目にゴミが入っただけだから! だからその、わかったわかった――みたいな感じの顔と暖かい目を止めろ!ぶっ飛ばすぞ?!

 

「……それで、奴の七宝、四つまでは知っているよね?」

 

ヴァーリがこちらに聞こえるように言ってくる。

 

「ああ、女の異能を封じるのと、武器破壊、攻撃を転移させるのと、相手の位置も移動できるんだよな」

 

「他の三つは、飛行能力を得るものと木場祐斗かま有する聖剣創造の禁手(ブレード・ブラックスミス バランス・ブレイカー)のように分身を多く生み出す能力、そして最後は破壊力重視の球体だ」

 

「うん、そうだね。それぞれの能力の名前が、武器破壊が輪宝(チャッカラタナ)、飛行能力が象宝(ハッチィラタナ)、転移能力が馬宝(アッサラタナ)、攻撃の受け流しが珠宝(マニラタナ)、女性限定の異能封じが女宝(イッティラタナ)、分身能力が居士宝(ガハパティラタナ)、破壊力重視が将軍宝(パリナーヤカラタナ)。この七つの能力を合わせ持つのが黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)の亜種、極夜なる天輪聖王の輝廻槍(ポーラーナイト・ロンギヌス・チャクラヴァルティン)だね」

 

イッセーとヴァーリが曹操の能力について喋っていたので、俺がその各能力名を教えてあげた。二人はありがとうと言ってきたので俺は別に良いと言いながらも、曹操と対峙するのだった。

 

と、イッセーが俺たちの一歩前にでる。どうやらイッセーが戦うようだ。

 

 

「俺の相手は赤龍帝か。他はそれを察してまるで動かないときた」

 

別に動く必要ないしね。特に俺は。もう、やる事はやったさ。あとは、この冥界のヒーローに任せるさね。

 

「ああ、借りを返さないときが済まなくてさ」

 

「おもしろい。あのときはトリアイナの弱点を突いてさし込ませてもらったが、今度は全力のキミと戦おうじゃないか。―――成れ、紅の鎧に」

 

「もちろん、そうさせてもらうさッ! いくぜ、ドライグッッ!」

 

『応ッ! 相手は再び最強の神滅具(ロンギヌス)ッ! ここで倒さねば赤龍帝を名乗れんぞ、相棒ッ!』

 

「あったり前だろうがッ!」

 

イッセーは身体中から莫大な紅いオーラを放ちながら、呪文を口にしていくッ!

 

 

「――我、目覚めるは王の真理を天に掲げし、赤龍帝なり!

 

 

無限の希望と不滅の夢を抱いて、王道を往く!

 

 

我、紅き龍の帝王と成りて――――」

 

 

 

 

「「「「「汝を真紅に光り輝く天道へ導こう―――ッ!」」」」」

 

 

 

 

 

『Cardinal Crimson Full Drive!!!!』

 

 

 

イッセーの鎧の色がいつもの赤から真紅となり、形状も多少だが変化した。それと同時に曹操の方も禁手(バランス・ブレイカー)して天後光と七つの球体を出現させる。

 

間合いを取り、お互い睨み合ったあと―――イッセーはその場を飛び出していった。

 

 

「さて……俺はこちらに向かって来ている奴と対峙しようとしすかねぇ」

 

「ん?奴ってなに?」

 

ヴァーリが聞いてきたので俺は答えた。

 

「――みんなの知らない……もう一人の英雄派の幹部だよ。そんじゃ〜ね〜」

 

ヴァーリと離れ、俺はその場を後にした。

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

ここはイッセーと曹操が戦っているところから数キロ離れた反対側の広場だ。俺はその街の広場の中心でたたずんでいた。

 

「……ねぇ、いい加減出てきたらどうなの?」

 

…………ふーん。まだ出てこないんだ。

 

 

「いい加減にしてくれないと鬱陶しんだよね。それとも俺に勝てる自信がないから出てこないのかな? だとしたら君の名が泣くよね。ねぇ、そう思わないかな?―――本多忠勝さん」

 

 

ガシャ、ガシャ、ガシャ――と、何か重い足音と鎧が擦れるような音が背後から聞こえてくる。俺はそっと後ろを振り向くと

 

 

「拙僧は隠密等というチマチマしたものは向いておらん。やはり、正面突破こそ拙僧の生き甲斐よ」

 

そこにいたのは上半身裸にハンドボールに近い大きさをした球がついた数珠の様な物をカバンをかけるように右肩から左横腹にかけている。頭はハゲていてどこか破戒僧の様ないでたち。下半身には戦国甲冑の佩楯(はいだて)、立挙(たてあげ)、臑当(すねあて)甲懸(こうがけ)の四点のみを装着した格好の大男がいた。身長は2m近くあるだろう。160しかない俺と比べるとその大きさはすごい。そんな身長に負けず劣らずの長槍を持ちながらこちらへ歩み寄る。

 

彼が手にもつ長槍からは得体の知れないオーラが漂ってくる。

 

 

「その槍、随分と物騒だね。少なくても、普通の武器ではないだろう。妖刀系統と同じか、もしくは……神器(セイクリッド・ギア)シリーズのひとつかな?」

 

 

すると目の前の男がニヤリと笑い出す。

 

 

「流石は日の本一の剣士にして、日本の守護者。その力眼からなる洞察力は侮れまないな。

いかにも! 拙僧のもつこの槍こそ、我が家の英雄、かの本多忠勝が持っていた長槍、名を『蜻蛉切』ッ! その槍如何なるものも貫き、この槍に止まろうとしたトンボが斬れた事から名付けられた名槍よ! 我が祖先のこの槍は長い年月をかけ神器(セイクリッド・ギア)へと進化し、いまや我らが家の家宝となった武器だッ!」

 

 

「何故君がそれを持っているの?」

 

 

「何故?何故と申したか? そのような事、聞かなくてもわかるまい。この槍は代々その代の当主が受け継ぐものであり我が当主だからこそこの槍を受け継いだ。そのような当たり前の事を聞いてどうするのだ」

 

それはいい。そんなの考えなくてもわかってた。……俺が聞きたいのはその事じゃなく

 

 

「自分の家の者を一人も残さず惨殺した君が、何故その槍を持っているのかと聞いてるの。――キミは元々、当主でも、次期当主でもなかった筈だが?」

 

そう、この男は元々その家の三男で、次期当主の座はなかったのだ。しかし、コイツは自身の家族も一族も皆殺しにしたのだ。当主の座を勝ち取るために

 

「ふん。あの家は名ばかりの雑魚ばかり。この槍は真に強き者が持つべき物だ。そこらへんの雑魚兵が持っていいものでは無い。だからこそ、真の強き者である拙僧が、紛い物を排除したに過ぎん。この槍は凄いぞ、如何なるもの貫き斬り裂き、どんな相手だろうが決して逃れない絶対必中の槍となる。これさえあれば拙僧は更なる高みへと昇格できるというものだ」

 

ヤツは槍を流れながら狂った笑を浮かべそう言った。その表情はまるで殺人鬼のようだ。

 

「それにしても、ただの蜻蛉切が絶対必中の槍ねぇ。なに? その槍って実はグングニルやらゲイボルグやらの神具だったりするのかな? 俺の記憶では蜻蛉切にはそんな神秘はなかったと思うけど」

 

「あの様なモノと一緒にするなッ!! あんな穢れた物など槍ではない! 神秘の槍とは拙僧が持つこの槍一つだけよ! 曹操の黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)も所詮は紛い物。拙僧はあんな小僧とは違い真の英雄なりッ! 拙僧も、拙僧のこの槍もッ! 貴様らのような紛い物と同じなわけがないだろうがッ!!!」

 

急に怒りだした忠勝の全身から可視できるほどの闘気が溢れ出ていた。……闘気だけでもサイラオーグ以上か。大きく言うだけの実力はあると見てもいいかな。―――まあ、光輝兄さんほどじゃないけどね

 

 

「……ふーん、あっそ。興味無いね。それに、蜻蛉切は確かに凄いさ。その力も、その切れ味も、名槍に名を連ねる事はある。でもただそれだけ。なぜ、神器(セイクリッド・ギア)になったかは知らない。神器(セイクリッド・ギア)とは元々、聖書の神が作ったとされる物だから、キミがその蜻蛉切を神器(セイクリッド・ギア)と呼ぶなら、それはキミの名の祖先である、本多忠勝の持っていた蜻蛉切とは全く別物だと俺は断言するよ。――だって、あれはあくまでもただの槍だから」

 

……まぁ、そもそもにだ。いま現在も"当本人"が所持しているんだもの

 

「それに、キミも強いんだろうけどね。でもそれはただ強いだけ。キミが真の英雄かどうかと聞かれれば答えはNO。キミが英雄? はッ、バカバカしい。キミみたいな馬鹿が英雄なら世界中の誰もが英雄だよ。……キミは決して英雄ではない。そして、今後もキミは英雄になりえない。だって―――」

 

 

 

「キミにはその資格がないから」

 

 

 

俺は目の前の男、本多忠勝に言う。だってそれはそうだろう。理由はいっぱいあれど、その一つに彼は自身の一族を皆殺しにしてるのもあるしね。ああ、別に殺しをしたから資格がないってわけじゃないよ? 別に英雄と呼ばれる人達は何も万能じゃない。必要あれば殺しはするし、自身の愛した者や血族を手にかけるなんてざらさ。でも、それでも、彼らは欲に溺れての殺しはしなかった。いや、別に絶対欲に溺れずに殺しをしていないかと問われれば答えはNOだろう。人は誰しも欲に溺れる時はあるし、それ故に過ちを犯すこともある。それが戦場なら尚更さ。…………でもね、それでも、彼らは英雄になり得る事をした、歴史に残る事をした、次代に語られる事をしてきた! だからこそ、彼らは英雄と呼ばれるんだよ。

 

でも、コイツは違う。コイツは高みへと登るといい自身の欲の限りを尽くした。女、金、酒……ただひたすら欲に忠実に、罪のない者達にまで手を上げ血に染めた。それは英雄とは呼ばず、罪人。そう、ただの犯罪者だ。そんな者を誰も英雄とは呼ばない。いや、呼べない。だって、彼の生き様は正しく、人の皮を被った獣に過ぎないからだ。

 

 

すると、彼はブツブツと何かを呟いていた。……が、急に顔を上げ

 

 

「――殺す」

 

 

憎悪に染まった顔でそう呟いた。

 

 

「殺す。貴様は殺す。絶対に殺す。何がなんでも殺す。命乞いをしようとも殺す。全てを殺すッ!!!」

 

「拙僧が英雄ではない? この槍が偽物? 英雄になりえない?…………バカバカしい。そんな戯言なんざ付き合いきれぬ。――がしかし、この真の英雄たる拙僧を馬鹿にし、挙句はこの名槍『蜻蛉切』を偽物とのたまったその罪、万死に値する。故に殺す。だから死ね、小童がッ!」

 

 

『禁手化(バランス・ブレイク)』

 

 

忠勝が禁手化(バランス・ブレイク)をした。一瞬光り輝いたが、すぐに収まり、そこにいたのは全身を水銀色に染め、右肩にはよく分からない管状の装備がついておりその管状の中心である円盤状の部分には忍者文字の様な曲がりくねった謎文字がついており、似た文字が槍にも浮かび上がっていた。槍を含めた全身からは紫色の禍々しいオーラが漂っており。その姿は最早人とは言えなかった。

 

 

「拙僧のこの姿を見た者は何人たりとも生かして置いていない。故に、貴様もここで我が槍の錆になるがいいッ!!」

 

 

 

「やってみやがれ! このハゲ頭ッ!」

 

 

俺は魔法で博麗の巫女装束を着て、迎え撃った

 




今回は中途半端ですがここまで、2部制で構成しております! 続きはもうすぐできますので遅くても1週間以内には投稿できます! 最近忙しくてスロースペースなのですよォ……おやすみ欲しいのです


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16話 最終決戦 後半戦

遅くなって申し訳ございません。 でも、やっと投稿できて嬉しいのですよ〜。

ただ、最近も夏突入したため忙しく寝不足なので誤字が多いかもしれないです。

まぁ、そんな事よりも暑いですね。いや、本当に……。皆さんは熱中症対策してますか? 自分はしてますよ?だってそうでもしないと暑すぎて倒れそうなんですもの。最近は寝不足もあり余計にねぇ。 ああ〜暑いんじゃぁ〜。

さて、無駄話はここまでにしておいて、いつもの如し挨拶といきますね。


それでは皆様、ゆっくりしていってね!


――ガキィン! ドゴンッ! ガガガッ!

 

何か硬いもの同士がぶつかり合う音が空に響く。

 

そこは元々美し広場だったのだろう。その広場を中心とした街並みは多くの人々が行き来し出会いを重ね、とても平和で大きな街だったと伺えた。だがしかし、今やその景色は失われあるのは廃墟と化した街並みだけだった。

 

ビルは破壊されたり貫かれたり、一軒家らしき建物は斬られた傷跡があり、広場中心の噴水があったと思われし場所には大きなクレーター、地面にも亀裂や土が盛り上がりひっくり返っている場所もある。その街のあちこちに破壊の傷跡が残り凸凹とした街並みとなり変わり果てていた。

 

 

そんな街の中心街で、二人の人影が対峙していた。1人は大柄な男で男に負けない大きさの槍を持っている。対するは、小柄な少女のような体型と格好をした者で腰には二本の刀を引っさげており、手には同じ大きさの十字槍を持っている。

 

「ほほう、なかなかしぶといなぁ。流石は地球連邦軍の参謀にして特殊部隊の総隊長殿。その実力は伊達ではないということか。拙僧の槍を見抜く眼力だけではなく戦上手でもあるとはな。拙僧の事を馬鹿にし挙句は英雄になりえないと暴言を吐くだけの実力はあると…………くっくっくっ。ならいっそう、より殺しがいがあるということよ!」

 

大柄な男は目の前の人物に対し、心底楽しそうだが狂人じみた壊れた顔をしながら槍を振るう。

 

「貴様のような輩に褒められても嬉しくないわ! お前は俺が絶対に倒す。お前の様な奴を放置するほど、俺たち地球連邦軍は馬鹿じゃないからな!」

 

対する巫女服を着た少年は十字槍を振るいながら槍を躱す。

 

男が槍を突くように伸ばせば巫女は身を後ろへと逸らしそのまま反転して槍を蹴飛ばす。すかさず十字槍を薙ぎ払うように横薙ぎに振るい大男に攻撃するが、大男は難なくそれを槍で防ぐ。

 

 

「かかかっ! 楽しい、実に実に実にッ!楽しいぞ! 結城ツバサッ!!」

 

「俺は全然楽しくないけど――ねっ!」

 

ブンッと振り下ろした槍を男は片手で掴む。

 

「―――ッ!」

 

「……ふん。他愛ない。貴殿の様な童女の様な非力な力では拙僧のこの強靭な肉体に傷を付けられぬ。ああ、悲しきかな。これが実力差というもの。貴殿がいままでどんな相手を倒してきたのかはしらぬ。しかし、いままで相手をしてきたのもは所詮雑魚だったということだ。所詮は井戸中のカエル。拙僧の様な真の強者には到底敵わぬということ。だからもう諦めて殺されよ。それとも、切腹を望むか?」

 

男は巫女服の少年―結城翼に呆れたかのような顔で問う。しかし、ツバサは不敵に笑った。

 

「ふん。そんなもの百も承知だ。俺はこんな体型だから一般的な平均男性よりも力が弱いさ。でもね、弱者には弱者なりの戦い方があるのを知ってる?」

 

「そんなもの、真の強者に関係――「それに!」」

 

 

「そう、それにだ。正直言うと君は俺が戦ってきた相手と比べたら圧倒的に弱い。………お前が真の強者?――はんっ、笑わせるな。真の強者とはこの世の頂点たる『神竜』と『三大祖龍』を――あの、マスタードラゴンと三体の古龍種の頂点を単体で倒した者のみ言える称号だぞ! 貴様のような小童に名乗れるほど軽いものじゃあないわっ!!

うちのルーツを含めた、『紅龍』『黒龍』舐めんなよ? それに、他にも『熾凍龍』や『煌黒龍』といった存在そのものが理不尽でおかしな龍や、『暴食龍』や『金獅子』とか龍じゃないのにおかしな連中だって多いんだぞ!?

それに理不尽なら家の家族がそうだ! 光輝兄さんやレイジ兄さんなんかその代表だし、家のお爺様だって存在そのものがおかしんだぞ!? なんだよもの投げるだけで"第三宇宙速度"を出せるって?! 頭おかしんじゃねえの?バーーーカ!!

そんな連中達を相手にしてからそんなセリフを吐くんだなっ!このハゲ頭ッ!!」

 

はぁ、はぁ……と息をきらす程の勢いで喋ったツバサに、男――本多忠勝は少し引いた。

 

「……とりあえず、貴様が苦労人だと言うのはよくわかった。だがしかし、そんな存在を知らない以上、貴様のような小童にその様な夢物語を聞く耳など持たぬ。そもそもだ、そんな存在がこの世にする訳がないだろう、バカバカしい。

だが、どちらにせよ今の拙僧の目的は貴様を殺すこと。先程の罪状の分も合わせて殺し尽くそう。この真の強者にして英雄たる拙僧を馬鹿にするものには死を! よって汝に最高にして最低の死を与えようぞッ!!」

 

「べーだっ!殺れるものならやってみろッ!!」

 

それと同時に二人は交差する。ギリリと槍同士をぶつけ力の押し合いをする二人。すると、また同時に離れると今度は槍を構えて走り出した。

 

「争点波山」

 

「十字紅蓮突き!」

 

風を纏った突きと炎を纏った突きがぶつかり合う。

 

―――ズドォォォオオオンッ!!

 

「ぜあぁぁあああああああっ!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁああああっ!!」

 

 

ガキキキキキキキキキキキキキンッ!!!!!

 

 

そんな激しい戦いが繰り広げられその凄まじさは徐々にヒートアップしていく。

 

戦いの余波が広がる度に街は徐々に廃墟へと変貌していっていた。

 

「破顔蒼激ぃぃ!」

 

「あぶっ!? テメー顔を狙うんじゃねぇ! 爆槍ッ!」

 

ドゴンッ!

 

「ぬぅ!? 爆発する槍となッ!なかなかやるでは無いか! ふんっ」

 

「よっ……そりゃどぉもっと!」

 

ズガガガガッ!!

 

「天下無双・連撃ッ!」

 

「大烈火ァァァッ!!」

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!!

 

「そりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃッ」

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃッ」

 

二人が槍を連続で突くように振るうとまるで何本もの槍に増えたかのように見えるほどの分身をしながらぶつかり合う。

 

「「おおおおおおおおおおおっ!!」」

 

両者一歩も引かない戦い。正しく意地と意地の勝負だろう。

 

――しかし

 

 

ピシッ

 

「あ」

 

そんな小さな音とともにキンッと何かが斬れる音がした。

 

 

その音の正体……それは、ツバサの持つ十字槍。それの刃の部分が根元から斬られていたのだ。

 

「ふははっ!天は我にありッ! その命もらったァァァァァッ!」

 

その隙を逃す訳もなく本多忠勝は蜻蛉切をツバサに向けて突き刺す。

 

その槍先は放心するツバサの心臓に向かっていき―――――

 

―――ドスッ

 

その小さな身体を貫いた。

 

貫いた槍の先端は赤く濡れており、柄をつたって血が流れていく。貫かれているツバサの目は既に暗く光が無くなっており、それは正しく死んでいる目をしていた。即死だった。

 

「ふふ、くくく、くははははっ! 地球連邦軍、特殊部隊特別調査班 総隊長、結城ツバサをうちとったりぃぃぃぃぃッ!!! やはり我には勝てなかった様だな! 愉快、実に実に実にっ!愉快だぞ! はははは!!」

 

本多忠勝は槍に貫かれたツバサを掲げながら狂ったかのように笑い出す。周りには誰もいないが、それは正しく悪の象徴の様なものだろう。

 

「我はやはり真の強者だったな。貴様のような戯言に惑わされなくて正しかった。まあ、そもそも聞いてなどいなかったがな。全くもってくだらぬ話よ。この世に拙僧以上の存在などいるわけがないと言うのに」

 

本多忠勝は貫かれ死体となったツバサを見下したような目で見ながらそう呟いた。もはや彼にとってツバサはそこら辺に落ちているゴミと思っているようだ。

 

「………それにしても、随分と呆気なかったな。こんなにも弱い存在だったか? もう少しやりあえると思っていたのだが――何か嫌な予感がするのう。いや、気のせいだろうこの拙僧が強すぎた故にそう思っただけ。きっと気の迷いを起こしただけよ」

 

槍に貫かれていたツバサを振り落とすように地面に捨ててから、彼はそう呟きながら険しい顔をしていた。しかし、彼は気のせいだと言い聞かせ、またいつもの顔に戻った。

 

「これで拙僧も動ける。さて、次は誰を殺し――」

 

ヒュンッ!――トスッ

 

本多忠勝の頬を掠めるように1本の矢が地面に刺さる。

 

「むっ!?何ヤツ!!」

 

彼は矢の飛んできた方へと目を向ける……すると、そこには

 

「やぁ、一時的な勝利は楽しめた?」

 

にこやかな笑みを浮かべるツバサがいた。

 

「!?」

 

忠勝はおどろき戸惑った。確かに自分はツバサを貫いた。その感触はいつも殺してきた者達と何ら変わりなく偽物というのはありえないし、何より自分の足元にその死体が転がっている。しかし目の前には殺したはずの人物がいる。ではこの死体はなんだ? それとも目の前にいる人物が偽物なのか? 一体どうなっている!――と、彼の頭の中は混乱に混乱を極め真っ白になっていた。

 

そんな彼の様子をクスクスと口元に手を当て面白そうに笑うツバサは徐々に近づきながら種明かしをする。

 

「札分身。俺の最も得意とする分身術。故にそれは偽物。俺が本物……どう?すごいでしょ! 本物だと思った? 俺を殺せたと思った? 残念でしたァ〜。本物はこうして無傷でーす! どう?怒った?怒っちゃった? クスクスクス♪ 」

 

本多忠勝の足元にあった死体はパラパラと札に戻りながら落ちていく。

 

心底楽しそうな笑みを浮かべながら笑う彼に対し、本多忠勝の心の中はあまりの怒りに憤怒していた。

 

 

「き、貴様ァァァ……一度ならず二度までも…この拙僧を馬鹿にしおって――今度こそ殺し尽くしてくれる!ただ殺すだけじゃないッ! このとある神器(セイクリッド・ギア)で造られた銃の力で貴様の体を操り、貴様を女に変え犯し、ほかの男共にも犯させ、さらに貴様の家族や仲間たちを貴様自身の手で殺させ、絶望に絶望を合わせたあと貴様をじっくりと少しずつ殺していこう! 貴様が一思いに殺してと嘆こうがそれを無視してゆっくりとその身を削ってやる!!」

 

怒り狂った忠勝は憎しみ込めた顔でツバサを睨む。

 

「ふ〜ん…あっそ、で? それが最後の遺言かい?」

 

 

だがしかし、ツバサは涼し気な顔で言う。それもそうだろう。彼にとってその言葉は日常茶飯事。こういう犯罪者ほどそんな馬鹿な事をいうのをよく知っているからだ。

 

そんな態度を見た彼はそれはもう言葉で言い表せ無いような表情でツバサを見ていた。

 

「それじゃ、行こっか――村雨」

 

『カァァァ!』

 

ツバサが呟くと同時に右腕に1匹の鴉が現れた。するとその鴉を右手で掴んだかと思った時には、既に鴉の存在はなく、あるのは右手に掴んでいる一本の日本刀だった。

 

 

「さぁ、お前の罪を数えろ」

 

ツバサは刀の切先を本多忠勝に向けながらそう呟いた。

 

「ガアアアアッ!」

 

最早人の言葉を発していない彼は槍を構えながら走り出す。同時にツバサも走り出した。

 

両者の距離はそう離れていなく、すぐにその距離は無くなった。

 

「本多忠勝、お覚悟ッ!」

 

ツバサは空に飛び上がりながら刀を上段に構える。

 

それに対して本多忠勝はニヤリと笑う。槍兵相手に空中に飛び出すなど殺してくれと言っている様なもの。この勝負、拙僧の勝ちだ!と、確信した彼は槍で空中に飛んだ彼を貫こうとするが――

 

ガガっと腕を掴まれる感覚を覚える。なんだと思った彼は腕に目を向ける。するとそこには札のような物が光、まるで鎖のように光で繋がっている札が腕をグルグルと巻きついていた。そこで彼は初めて気づいた。腕だけではない、同じような物が身体中を巻きついているではないか。そして彼はもう一つ気づいた。この鎖…いや、札はそう――さっきの死体、いや、札分身の物だと。

 

そう、実際彼からは見えないが、彼の身体に巻きついた札の鎖を辿ると、先程まで札分身があった場所に着く、そしてその場には円形の中に五芒星がある陣が空中に浮かんでいた。その五芒星の陣も札で出来ておりそこから札鎖を伸ばしていたのだ。

 

そう、これこそ彼の最も得意としている札分身。その本当の姿なのである。札分身が殺さた際に発動する結界術なのだ。

 

「はあああああっ!」

 

上段に振り上げた刀を落ちてくる勢いも乗せて振り下ろす。忠勝は辛うじて動く腕で槍を刀から身を守るように盾にするが――

 

ズバンッ!!

 

槍の柄と一緒にその巨体を斬り裂いた

 

「―――お見事」

 

ドサッ

 

……と、口から血を吐きながらそう呟いて彼は倒れた。地面にも倒れた彼は起きる様子もなく、血の量と切り口から見て即死の傷だったのだろう。――しかし、彼の顔は斬られたのにも関わらず、満足そうな顔で死んでいた。

 

「…………最後の最後で、武士らしい顔で死んだんだ。皮肉だよね。君は真面目に力を付けて、真の強者たるこの日ノ本の代表でもある侍魂。その魂を色濃く受け継ぐ君なら、かの戦国最強、本多忠勝を超える大物になっていたと言うのに…………本当に、残念な人だよ」

 

ツバサは最後に黙祷をし、その場を去った。ツバサが去った後には先程までとは比べ物にならない程の静けさが残っているのだった。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

―ツバサ side―

 

本多忠勝との戦いを終えた俺はイッセー達のいた首都のある場所へと帰ってきた。

 

「お〜い!イッセー! 平気ー?」

 

「おっすツバサちゃん! ああ、平気だぞ。そんなツバサちゃんは?」

 

「見たらわかるさ」

 

そんなくだらない事を話しながら俺は周りを見渡していた。

 

イッセー横にいたオーフィスに抱きつく龍巳。

 

何かを楽しそうに話している光輝兄さんとアザゼル。 

 

アーシアを抱きしめるアリアさん。それを眺めるレイジ兄さん。

 

白音に抱きつきじゃれている黒歌。

 

それを鬱陶しそうな顔をしながらも放そうとしない白音。

 

皆がそれぞれ会話などをはじめ、俺はゆっくりと瓦礫の上に腰を下ろした。

 

「あぁ、そうだ。まだ言ってなかったね。おかえりなさい、イッセー。それと、おつかれさま」

 

 

「ああ、ツバサちゃんこそ、おつかれ」

 

 

「うん!ありがとう!」

 

 

イッセーが笑顔で言うが、その表情に陰りがあったので訊く。

 

 

「何があったの?イッセー。曹操がなんかしてきた?」

 

 

イッセーはひとつ間をおいて、口を開いた。

 

 

「ドライグが、眠っちまって。しばらくは起きそうにないんだ」

 

 

 

そう言って籠手を見せてくる。……確かに、籠手の宝玉の光が失われている。

 

 

『これは……力を使いすぎて眠ってしまったようね。まぁ、無理をしすぎたのでしょうね』

 

俺の中にいるルーツがそう説明してくる。あれ?ルーツ起きてたの?

 

『ええ、ごめんなさいね。この戦いで力を貸せなくて』

 

大丈夫だよ。ルーツのおかげでイッセーも助けられたし、俺も魂状態だけだったのに、次元の狭間で無事だったしね。

 

『……ありがとう、つーくん』

 

俺はルーツにどういたしまして、と言いながらイッセーをチラッと見た。

 

すると、先程よりもいっそう暗い表情をしているイッセー。

 

 

「どうした?」

 

 

俺の問いに、イッセーは深刻な表情で…、

 

 

 

「曹操は倒したんだけど…中間テスト、どうしよう……」

 

 

 

そう言ったイッセーに…俺は……、

 

 

 

「……えぇ」

 

 

心底、心の底から呆れた様な声がでてしまった。

 

 

「そんなことって、俺は結構悩んでんだ!」

 

 

ブスッとするイッセーを見ながら言う。

 

 

「中間か…。確かにしんどいけどそうでも無いでしょ?悪魔スペックな君なら記憶力もアップしてるし、散々悪魔の勉強してるから短期間の記憶なら余裕でしょう。幸い悪魔は夜型だし1週間不眠だったとしても平気だよ?肉体面では、ね」

 

 

 

その言葉に、「マジ?」というような表情のイッセー。

 

 

 

「それに中間なんて、いつもの授業中しっかり聞いていれば予習程度で点数は取れるさ。少なくても赤点はないよ。……まぁ、授業をちゃんと聞いてたらの話だけど」

 

 

 

俺は腰を上げるながらイッセーに言う。イッセーは絶望したかのような顔をしながら沈んでいた。ズーンと効果音が付きそうな背中だ。

 

俺はそんなイッセーをチラッと見つつ、前方に広がる破壊された建築物や路面などを背景に、皆が疲れを見せずに会話をしているのを見て…戦闘が終わったのを再確認できた。

 

「……やっと、終わったんだねぇ」

 

さて、帰りますか!

 

 ――――――――――――――――――――――

 

 

冥界での一騒動から幾日か経ったあと、俺はイッセーにお呼ばれしてイッセーの家のリビングである事態を聞かされる。

 

 

 

「そ、総督を更迭された!?マジっスか!?ええええええええええええええっ!!」

 

 

 

内容はアザゼルが総督を辞職したということだ。それは昨日のうちに光輝兄さんを通して聞かされていたので対して驚かない。

 

 

理由は多々あれど、一番の決め手となったのはオーフィスをイッセーたちに会わせた件のようだ。

 

まぁ、仕方が無いよね。是非もないね。

 

 

そんなアザゼルは耳をほじりながら嘆息する。

 

 

「うるせぇな。仕方ねぇだろ。うるさい連中に黙ってオーフィスなんざをここに引き連れて来たんだからな」

 

 

「じゃ、じゃあ、いまのアザゼルの肩書きは……?」

 

 

 

イッセーがそう聞くと「うーん」と首をひねるアザゼル。

 

 

 

「三大勢力の重要拠点のひとつであるこの地域の監督ってところか。グリゴリでの役割は特別技術顧問だな」

 

 

 

監督で技術顧問。あんまり変わらな――いや、いままで以上に自由になったと……はっ!それって凄くダメじゃないか?! こんなの自由にしたらアウトだよ!

 

 

「……総督から、監督」

 

 

 

俺は一人内心で戦慄している中、白音がぼそりとそうつぶやく。

 

 

 

「ま、そういうことだ。グリゴリの総督はシェムハザがなったよ。副総督はバラキエル。あー、さっぱりした!ああいう堅苦しい役職はあいつらみたいな頭の堅い連中がお似合いだ。俺はこれで自分の趣味に没頭できる」

 

などと、浮かれていたアザゼルだが、書類を三通取りだす。

 

 

「先日の中級悪魔昇格試験なんだが、先ほど合否が発表された。忙しいサーゼクスの代わりに俺が代理で告げる」

 

 

事前連絡なく、いきなり合否の発表とな……イッセーは慌てていた。

 

 

「まず、木場祐奈。合格!おめでとう、今日から中級悪魔だ。正式な授与式は後日連絡があるだろう。とりあえず、書類の面だ」

 

 

 

「ありがとうございます。謹んでお受け致します」

 

 

 

書類を手に取り、頭を下げる祐奈。あっ、そうそう。木場は自身の性別が女だと言うことを皆に話したよ。その事を知っていたのはリアスさんとその女王である朱乃さんだけで、それ以外のメンバーはかなり驚いていた。でも、白音はそんなに驚いていなくて、理由を聞いたら『仙術を使って知りました』だそうだ。確かに魔法で見た目だけ変えていたから仙術なら簡単にわかるよね。ちなみに木場祐斗改め木場祐奈としてグレモリー眷属に参加です。ただ、まだ直ぐにとは行かないので暫くは男で活動するみたいだけどね。

 

 

「次に朱乃。おまえも合格。中級悪魔だな。一足早くバラキエルに話したんだが、伝えた瞬間に男泣きしてたぞ」

 

 

「……もう、父さまったら。ありがとうございますわ、お受け致します」

 

 

 

赤面しながら書類を受け取る朱乃。ちなみにバラキエルさんからは既に連絡が来ていた。号泣し過ぎて何言ってるかわかんなかったけど、取り敢えず聞き取れたのはこの中級悪魔へ昇格した件だと言うことだった。

 

 

二人は無事合格。…あとはイッセーだけだね。まぁ、あまり心配してないけど。

 

 

「最後にイッセー」

 

 

「は、はい!」

 

 

緊張しているイッセー。アザゼルが間を置くので、表情がいっそう固くなっていく…。

 

それを見ながらアザゼルは言う。

 

 

「おまえも合格だ。おめでとさん、中級悪魔の赤龍帝が誕生だ」

 

 

 

「や、やったぁぁぁあああああっ!!」

 

 

 

イッセーは両手をあげて大声を張り上げる。うん。やっぱりだったね。まあ、おめでとう。イッセー。

 

 

 

「今日から俺も中級悪魔だ!やったー!マジうれしいっス!!」

 

 

 

この一瞬の表情の変化…面白い。

 

 

 

「イッセー、おめでと〜」

 

 

 

「おめでとうございます!」

 

 

 

「おめでとう!イッセー」

 

 

 

「おめでとう!イッセーくん」

 

 

 

「おめでとうございます。イッセー先輩」

 

 

 

「私がマネージャーをしたのですから、当然です!……で、でも、おめでとうございますわ」

 

 

 

俺、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、白音、レイヴェルが合格したイッセーに賛辞を送る。

 

 

男泣きして喜ぶイッセーに、アザゼルは指を突きつける。

 

 

「ていうか、おまえはあの危機的状況から自力で戻ってこられるほどのバカ野郎だからな。おまえの復活劇はすでに上層部の上役連中の間で語り草になってるぜ?何せ、現魔王派の対立派閥は、おまえに畏怖し始めたって話だ」

 

 

「ど、どうしてですか?」

 

 そんなイッセーの言葉に俺は答える。

 

「そんなの当然でしょうがイッセー。だって君、サマエルの毒で死んだとされてたんだよ?勿論だけどそれをしってる上層部は君が死んだと思ってた。でも違った。君は帰ってきた、それも一度死んでから新たな肉体を持って生き返ってきたんだ。 君は文字通り、殺しても死なないんだぞ?こんなに怖い存在はないでしょ?サマエルの毒で死なない上にグレートレッドやルーツ、更にはオーフィスの力借りて体新調してきて、更に自力で次元の狭間から帰還しただなんてどんだけだ〜って話だよ。文字通り、ありえないなんだよ君は。本っ当におかしいよ?頭もそうだけど、いまの存在そのものが」

 

 

俺は指を刺しながらイッセーに言う。

 

 

冥界では、偶然現れたグレートレッドと共にルシファー眷属とイッセーが共闘して東側の『超獣鬼(シャバウォック)』を倒したと報道されている。イッセーがグレートレッドと合体したこと一般の悪魔には伏せられている。危機的状態だったことも知らせていないようだ。

 

俺たち地球連邦軍のほうは、イッセーの所以外の『超獣鬼(シャバウォック)』を召喚魔獣や魔術の類、そして我らが誇る全勢力を用いて、全メンバーで倒したと報道されていた。ちなみに光輝兄さんの巨大化シーンも報道されていて、それが大きな話題もうんでいる。アニメ化の話もあるらしい。

 

 

 

「ま、おまえの強者を引き寄せる力はもはや異常を通り越して、なんでもござれ状態だからな。もう、あれだ。各世界で悪さする奴らもおまえが倒せ。そうすりゃ俺もサーゼクスも光輝もツバサも楽ができる」

 

 

そう言うアザゼル…。まぁ、後始末は大変だからね。少しでも楽になれるなら嬉しいさ。

 

 

イッセーが何かを思い出したようにアザゼルに訊く。

 

 

 

「あの、先生、『禍の団(カオス・ブリゲード)』――英雄派のその後の動きはどうなんですか?」

 

 

イッセーから曹操との戦いについて聞いたが、ざっくり説明されて結果論としては、曹操にサマエルの毒を詰めた弾丸で倒したようだ。そのときに使ったものもイッセーにそっくりなフィギュアだったようだ。玩具に倒される英雄(笑)ww ちなみにこれを聞いた時爆笑したのは記憶に新しい。

 

 

「ハーデスや旧魔王派の横やりもあってか、正規メンバーの中枢がやられたからな。奴ら英雄派がおこなっていた各勢力の重要拠点への襲撃も止んだよ。それにおまえらのおかげで正規メンバーを何名か生きたまま捕らえることもできたし、いま締め上げていろいろ尋問しているところだ。曹操たち神滅具(ロンギヌス)所有者は……ろくなことにはなっていないだろうな。奴らが体に負ったものはフェニックスの涙や『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』で完治できるほど生やさしいものじゃない。ただ、天界では奴らが保有する神滅具(ロンギヌス)の消失が確認されていないため、生存しているのではないかとの見解だ」

 

 

アザゼルは息を吐きながらそう答える。

 

 

ヘラクレスとジャンヌは冥界に捕縛。ジャンヌの尋問は全面的に俺に任されていて、ある程度は自供してくれている。……正確には聖母ジャンヌ・ダルク本人のお仕置きから全力で逃れたいため知ってる事を全て話してくれているのだ。ちなみにその時の顔は半泣きでガタガタと震えていた。

 

 

「……奪われた、ってことはないのかしら?曹操たち所有者が重傷なら、強力な神滅具(ロンギヌス)を横から奪う輩が出てもおかしくないわ。あの集団は派閥が生じていて内部抗争も激しそうだもの」

 

リアスさんがそう口にする。

 

ふむふむ……そういう考え方もあるね。

 

アザゼルもリアスの意見にうなずいている。

 

 

「まあ、その線が浮かぶってことになるよな。……そうだとして、俺が考える最悪のシナリオが今後起きないことを願うばかりなんだが……」

 

 

アザゼルが険しい顔つきで何かを考えている……だが、途端に苦笑いする。

 

 

「ま、あいつらの最大の失点はおまえらに手を出したことだな。見ろ、奴らを返り討ちにしやがった。成長率が桁違いのおまえらを相手にしたのが英雄派の間違いだ。触らぬ神に祟りなしってな。あ、この場合は触らぬ悪魔に祟りなし、かな?」

 

 

「腫れ物のように言わないでくださいよ!俺たちからしてみれば襲い掛かってきたから応戦していただけです!なあ、皆!」

 

 

イッセーが皆に訊く。

 

 

「そうだな、修学旅行で襲撃してきた恨みは大きい」

 

 

「ミカエルさまのエースだもの!襲ってきたらギチョンギチョンにしちゃうわ!」

 

 

「……来たら潰す。これ、最近のグレモリーの鉄則ですから」

 

 

「私が上級悪魔になるためのポイントがあちらから来てくれているのではないかと最近思うようになりました。このメンバーで戦う分には強敵来襲が美味しいですよね」

 

 

 

…うん。本当に触らぬ悪魔に祟りなしだね、これ。

 

 

あと、天使もね。

 

 

皆の意見を聞いてアザゼルが豪快に笑う。

 

 

「さすがグレモリー眷属だ!こりゃそのうち伝説になるぞ。『奴らにケンカを売ったら生きて帰れない』――とかよ」

 

「面白そうなセリフだね。案外それ広めたらいまなら一瞬で広がるよ?」

 

「おお!いいなそれ!よし、後で広めよう!」

 

アザゼルと俺の冗談にリアスさんが嘆息する。

 

 

「私たちは怨霊や悪霊ではないのよ?変な風に言わないでちょうだい」

 

 

「うふふ。けれど、実際襲われたらやっちゃうしかありませんわ」

 

 

朱乃は微笑みつつSの表情を見せている。いつも通りだ。

 

 

アザゼルは話を続ける。

 

 

「だがな、『禍の団(カオスブリゲード)』はまだ活動をしている。一番大きい派閥『旧魔王派』と二番めに大きい派閥『英雄派』も幹部を失い活動停止したと見ていい。三大勢力の裏切り者もある程度粛清が済んだ。だが……それでも俺たちの主張に異を唱える奴らはそこに残っている。ふたつの派閥の陰に隠れていた連中も浮上してくるはずだ」

 

 

そうだねぇ…他にも魔女の派閥もあったし、イッセー…いや、ドラゴンの強者を引き寄せる力は相当なものだからなぁ。

 

『あなたもその1人よ?ツバサ』

 

……そうでした。

 

 

アザゼルは部屋の隅に視線を送る。

 

 

 

「とりあえず、元ボスの二人がこっちにいるからな」

 

 

俺たちもアザゼルの視線の先に目を向けると――そこにはボケェーとしているオーフィスを膝の上に乗せて抱きしめている龍巳の姿がある。

 

 

イッセーと目が合ったオーフィスは言う。

 

 

「我、ドライグと友達」

 

 

「俺、ドライグじゃなくて、兵藤一誠って名前があるんだよ……。友達は俺のことを『イッセー』って呼ぶんだ」

 

 

「わかった。イッセー」

 

 

即答したオーフィス。相変わらずだよね。初めてあった時の龍巳と同じだよ。……まぁ、同じ身体だからそれもそうだろうけど

 

 

「俺の呼び方はそれでよし」

 

 

イッセーとオーフィスのやり取りを見ていてアザゼルがこう言う。

 

 

「言っておくがイッセー、おまえが将来上級悪魔になったとしてもオーフィスは眷属にはできないぞ。理由は話さなくてもわかるな?」

 

 

「はい、オーフィスはここにいないことになっているから、ですよね?」

 

 

そう、オーフィスはこの場にはいるが、世間的には龍神は龍巳しか存在しないことになっている。

 

 

曹操に奪われたオーフィスの力が、現在の『禍の団(カオスブリゲード)』にとっての「オーフィス」となっている。

 

 

更にアザゼルが続ける。

 

 

「そいつはテロリストの親玉だった奴だ。いくらこちら側に引き込めたからといって、それを冥界の連中に知られてはまずい。現にそいつの力は幾重もの封印を施して、ちょっと強すぎるドラゴン程度に留めてある。というよりも神格クラスは『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の転生対象外だったはずだ。半神のヴァルキリーは可能だったようだが」

 

 

龍巳がほんのわずかずつだが、オーフィスに力を流していると本人から聞いている。ちなみに俺なら眷属にできるようだ。現にいまも龍巳と眷属契約してるしね。

 

 

「『禍の団(カオスブリゲード)』に奪われたオーフィスの力がどうなるか、それが気になるところだな」

 

 

レイジ兄さんがそう口にする。俺もそのことは気にしていた。

 

……て

 

「レイジ兄さん、いつ来てたの?」

 

「いまだ」

 

あ、そっすか…。

 

 

俺とレイジ兄さんのやり取りを見ながらアザゼルが言う。

 

 

「……それは俺を含め、事情を知っている連中のなかでも意見がわかれているな。ただ、そのまま計画が進行しているって意見だけは一致している。……どんな形になろうとも近いうちに見まみえるかもしれない。それだけは覚悟しておけ」

 

 

うなだれるイッセーだが、リアスさんは話題を切り替える。

 

 

「いつ来るかわからないものに対する備えも大事だけれど、私の当面の目的は三点。一点はギャスパーね」

 

 

リアスさんの視線がギャスパーに注がる。慌てるギャスパー。

 

 

……例の件だね。聞いた話にあったが、多分そのことを踏まえたものだろう。

 

「ツバサ、例の件だな。その事についてなんだが……」

 

「宛はあるから大丈夫。心配しないで。俺に任せてよ」

 

「そうか。なら任せる」

 

「うん、任された。」

 

 

俺とレイジ兄さんが小声で話している中、リアスさんは続けて話している。

 

 

「いままで他の事情が立て込んでいて静観していたけれど、あれを切っ掛けにそろそろ本格的にうかがってもいいと思ったわ」

 

 

「と、言いますと?」

 

 

イッセーの問いにリアスはうなづく。

 

 

「――ヴラディ家、いえ、ヴァンパイアの一族にコンタクトを取るわ。あのギャスパーの力はきちんと把握しなければ、ギャスパー自身――私たちにもいずれ累を及ぼすでしょうね」

 

 

「……す、すみません。ぼ、僕にそのような力があったなんてまったく知らなくて……この眼だけが問題だと思っていたものですから……」

 

 

ギャスパーが恐縮しながらそう口にしている。

 

 

ヴァンパイアかぁ……そう言えば、レミリアさん愚痴ってたなぁ。いまの吸血鬼は馬鹿ばっかだって…………アーカード卿呼ぼうかな。

 

 

「ヴァンパイアもいま内部で相当もめている。……閉鎖された世界だが、だからこそ変な事情に巻き込まれなければいいんだが」 

 

アザゼルが嘆息しながらそう言う。

 

 

「ご、ご迷惑おかけします……。で、でも……家のヒトとはあまり……」

 

 

ギャスパーが言葉をつぐんでしまう。

 

 

ギャスパーもギャスパーで複雑な事情を抱えている。

 

 

朱乃があごに指をやりながらリアスさんに言う

 

 

「ギャスパーくんのことと、あとは魔法使いかしら?」

 

 

リアスさんはうなずいて続ける。

 

 

「そうよ。そろそろ魔法使いから契約を持ちかけられる時期でもあるの」

 

 

「それって、本とかに書かれてる魔法使いとの関係性とかいうやつですか?」

 

 

イッセーが訊く。リアスさんが首を縦に振る。

 

 

「ええ、そうよ。魔法使いは悪魔を召喚して、代価と共に契約を結ぶ。私たちは必要に応じて力を貸すの。一般の人間の願いを叶えるのとはちょっと様式が違うわね。名のある悪魔が呼ばれるのが常だけれど、若手悪魔にもその話は来るわ」

 

 

「俺たちにも話が来るってことですか?」

 

 

イッセーの問いにリアスがうなずく。アザゼルが紅茶をすすると話を続ける。

 

 

「先日、魔術師の協会が全世界の魔法使いに向けて若手悪魔――おまえたちの世代に関するだいたいの評価を発表したようだ。奴らにとって若手悪魔の青田買いは早い者勝ちだ。特に評価が高いであろうグレモリー眷属は格好の的。魔王の妹たるリアスをはじめ、赤龍帝のイッセー、聖魔剣の祐奈、バラキエルの娘で雷光の巫女である朱乃、デュランダルのゼノヴィアなどなど、そうそうたるメンツだ。――大挙して契約を持ちかけられるぞ?契約する魔法使いはきちんと選定しろよ?ろくでもない奴に呼ばれたらおまえたち自身の価値を下げるだけだからな」

 

なるほどね。

 

「ああ、そうだ。ツバサ達の方にも来てたぞ?まあ、もう見てると思うが」

 

アザゼルが続けて言った。

 

「しっている。だが、残念ながら魔法使いに関しては間に合っているさ。なあ、ツバサ」

 

「そうだね。魔法に関してはナツル姉さんの部隊は皆魔法使いの人達だからいらないね。それと、俺の部隊には魔法使いもそれ以上の存在でもある魔女もいるからね。皆、かなりの腕を持った人達だからコレっぽっちも必要ないさ」

 

魔理沙やアリス、パチュリーの三人は容姿に実力共に十分だからね。彼女たち以外なんてありえないさ。それに、普段は忙しくて関わりが少ないけれど聖さんも、魔法使いとしての実力は幻想郷においても現代に置いても指折りだからね。そういうことで魔法使いはもう十分なんだよね。

 

「はは、まあ、それもそうだな。さて、話は終わりだ。解散するか」

 

そうしてイッセー家での会議は終わるのだった。




終わったー。やっとこの章終わったー。長かったぁ、実に長かった。やっと先に進めるよォ〜。

次こそ早めに新話を上げられるよう頑張らなくちゃ。

それじゃ皆様、ばいばーい!(^_^)ノシ


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17話 ドキドキ?双子の龍神初めてのお買い物

皆様お久しぶりです。キャンプで利き腕折ってキャンプどころじゃなくなった駄作者です。あの時ふざけてターザンするんじゃなかった(´;ω;`)

まぁ、そんなこんなで完治したので(違和感あるけど)、最新話をポイッと投稿です。いや〜、なれない腕、しかも片腕だけで打とうとしても上手く行きませんね!早々に諦めましたwww

さてさて、今回は番外編。前話で新たにきたオーフィスちゃんと姉の龍巳とのお買い物です。保護者としてオーフィスからイッセーが、付き添いとして龍巳からツバサがいます。つまり四人でお買い物ですね。やったねイッセー!ハーレム(一人男の娘)だよ!

てなワケで、いつもの如く、ゆっくりしていってね?




今日は四人でお買い物。オーフィスの日常品を買いに近くのショッピングモールへと来ている。メンバーはメインのオーフィス、姉の龍巳、オーフィスの保護者イッセーに付き添いの俺だ!

 

「あれ、なに?」

 

「あれはたい焼きよ龍奈。タイの形をきた生地の中に餡子が入っている甘いお菓子よ。食べる?」

 

「コクッ」

 

「ふふ、じゃぁ行こっか」

 

「……」

 

そう言いながら龍巳は龍奈を連れて行く。

 

オーフィスの新たな名として龍奈(りゅうな)と名付けた。彼女も姉と同じ名前がほしいということで、聞いてみると姉と同じがいいと言う。最初は『龍美(タツミ)』やら『辰巳(タツミ)』とでたが、本来は同じ『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』なのだが、とはいえ流石に全く同じ名じゃわかりにくいと思ったので、オーフィスも龍巳も同じ『龍』の漢字がつく名前を考えていると龍奈(りゅうな)という名が決まった。ちなみに考えたのはイッセーだ。イッセーが考えたからか、姉と同じ文字が使われているからかオーフィスはこの名を気に入り今も名札にして胸ポケットに名札を刺している。お風呂や寝る時も常に持ち歩いているほど気に入った様子だ。

 

 

「イッセー、俺たちも食べようよ。小腹が空いたぜ」

 

「そうだな、ツバサちゃん(や、ヤバイ。マジでヤバイ! こ、これ、傍から見たらデートだよな? 絶対デートに見えるよな!? でも、オーフィスに龍巳の2人は幼い外見だから、下手すれば親子の家族連れに見られて……ブフっ――は、鼻血が。ツバサちゃんが可愛すぎる。ダメだ、これ以上想像したら死ぬ! 誰がって?俺がだよ!……てか、ツバサちゃんの手がスベスベで柔らかくて気持ちィィィ!)」

 

俺はイッセーの手を握りながら二人を追いかける。まったくあの二人は好奇心旺盛なんだから。

 

 

 

しばらくして出来上がった、出来たてホヤホヤのたい焼きを片手に近くのベンチで食べていた。

 

 

「美味しい? 龍奈」

 

「ん、美味しい」

 

「そ、よかった。あっ、龍奈頬っぺに餡子ついてる。動かないでね。拭き取って上げるから」

 

「んっ」

 

「……うん。これでよし。ちゃんと動かなかったね、えらいえらい」

 

「ん、我、えらい?」

 

「うん! えらいよ〜」

 

「我、えらい」

 

胸をはって心做しかドヤ顔の龍奈。龍巳はそれをただニコニコと見ている。

 

「そういう龍巳もここに着いてるぞ?」

 

俺はそんな龍巳を微笑ましく見ながらも、頬に着いた餡子を指さす。

 

「え? どこどこ」

 

「ここだよ」

 

俺はそう言い、頬の餡子を指で取りそれを舐める。うん、ここの屋台の餡子は美味しいね。また今度来よう。

 

「あ、あわわ」

 

急にアワアワしだす龍巳。どうしたの?

 

「どうした?」

 

「……はっ!? な、なんでもないわ。気にしないでちょうだい」

 

「?わかった」

 

 

……なんであわあわと――ああ、いまのが恥ずかしかったんだね。頬についてる時はちょくちょくやってるんだけどなぁ。

 

 

「……ツバサちゃんってこんなのやるんだ」

 

「ん? 何か言ったイッセー?」

 

「いや、なんでもない」

 

 

そう言いイッセーは立ち上がる。

 

「さて、そろそろ行こう。時間はあんまりないからな!」

 

確かにね。買い物には時間かかるから

 

「そうだね。とっとと行って終わらせよう。他の連中に見つかったらいろいろとうるさいからね」

 

「そうね。私はともかく龍奈は存在していないことになっているしね」

 

立ち上がった俺たち一行は目的地へと向かった。先程までいたタイ焼き屋から、目的地のショッピングモールまではそう遠くなく、歩いて13分程で到着した。ここへ来たのは日常品を買うためだ。とりあえず服だね。家で作ることも出来るけれど時間はかかるし、その間ずっとって、わけもいかないから、買った方が早い。てなワケで来たのだ。

 

 

「じゃ、まずどこから回ろっか」

 

「そうね、とりあえず上に着る服から探しましょう」

 

「うん。それじゃ〜…あっちだね、着いてきて」

 

俺は3人を先導しながら前を歩く。道行く人に見られるが仕方が無いだろう。こんな可愛い見た目双子な美少女がいるんだからついつい目がいってしまっても仕方が無いだろうね! それはわかるよ。うんうん。

 

「(うわー、めちゃくちゃ見られてる。絶対に俺場違いじゃねぇかよ! それもそうだろうなぁ、こんな綺麗で可愛い美少女が三人もいたらだれだって目移りするぞ。俺だったら特に凝視してるね! それに、ツバサちゃんが2人の手を握って仲つつまじく歩いているから余計にな。どこからどう見ても姉妹にしか見えないんだよなぁ。

ツバサちゃん、自覚してないけどもあの服女物だよな? 流石に女性の服はわかんねぇからなんとも言えないけど、あれが男物だったとしても、ツバサちゃんの見た目じゃ、ボーイッシュな女の子にしか見えないんだよなぁ。ああ、男共の嫉妬の視線が痛い)」

 

うむ、2人は可愛いなぁ。可愛いは正義! 正しくその通りだね。……ところでイッセーはさっきから周りを気にしているけどどうしたのだろうか? まぁ、イッセーのことだ。いつもの如く、綺麗な女の子でも探しているのだろう。

 

「あれ、あれなに?」

 

「ん?……ああ、あれは日傘だよ龍奈。人間が暑い日光から自分の肌を守る為に作った傘だよ。一間雨具に見えるけれど、使い方は違うから覚えておくといいさ。アレがあるとないとでは日中の暑さがかなり違うからね」

 

「あれは?」

 

「あれは招き猫。主にお金が来る幸運アイテムとして昔から慕われている道具だよ。特に効果があるわけじゃないけど、言わば気持ちの違いようだね。あったらお金が舞い込んで来そう!……そんな感じのアイテムさ。あとは、家の家具としても使えるね。主に見た目的な意味で」

 

「ふーん。じゃ、あれ?」

 

「ん?ん〜……あれはなんと言うかぁ…そうだな〜。一般的には特に意味はないけれど、一部のマニアさん達にとっては凄まじいアイテムにも見える、ただのガラクタだね。それこそあそこの丸っこい石や隣にあるテレビや冷蔵庫が合体したよくわからん物、あとはその奥のロシア人形と日本人形が合体した不気味な人形とか。そんなガラクタにしか見えない物でも俗に言うオタクと呼ばれる人達にとっては何よりもお宝なんだよ。

………つーか、あの人形動いてね? あ、こっち見た…ケタケタ笑いだした………………いや、ダメじゃん。あれ呪いの人形じゃん。それもかなり古いタイプの……はぁ、ちょっと待ってて。あれ、お祓いしてくるから。イッセー、二人をお願いね」

 

「おう、任しとけ」

 

そんじゃま、行きますか

 

―side out―

 

――――――――――――――――――――――

 

―イッセー side―

 

ツバサちゃんがガラクタ店に入っていった。つーか、なんだよここ。ゴミ屋敷じゃねぇか!? 入口まで溢れてるとか……それよりもなんでこんな店がショッピングモールの中にあんの?

 

『やぁ、店主。この人形触らせてもらってもいいかい?』

 

『へい、いいですよお嬢さん。へへへ、そいつァ、五年ほど前にとある寺の和尚様からいただいた物でしてね。なんでも夜な夜な声を出すんだとか。この店に置いてからも声が聞こえてくるらしくてねぇ。何度か買い手はいるんですが1週間もしないうちに帰ってくるんでさぁ。まあ、そのあと人形の購入者は音信不通でこの店に来ることも無く、風の噂では死亡したとかなんとか。ウソかホントかは知らねぇですが、お触りになられるのでしたら覚悟がよろしいですよ?』

 

『ふーん。そうなんだ。教えてくれてありがと』

 

『いえいえ、それぐらいどうってこともないでさぁ』

 

店の中からツバサちゃんの声と店主らしきオッサンの声が聞こえてくる。扉は開いているからと、丁度、人形のあった位置が店の中央の扉前な為かツバサちゃんと手に持つ人形がよく見える。店主は見えないが、恐らくツバサちゃんの視線の先にはいるのだろう。位置的に店の奥はL字型になってて、そこがレジカウンターなのだろうか。

 

てか、ツバサちゃんの手にある人形がものすごくカタカタと揺れているんだが大丈夫か? 髪も物凄くザワザワとして……って、髪が物凄い勢いで伸びた!? ツバサちゃんの首に向かっていったけど――あ、切れた。てか、ツバサちゃんいつの間に小太刀持ってたの? あっ。人形ぶっ刺しちゃった……ってえええええええ!? 刺した!? 刺したなんで?! うわっ! 人形の震えがさらに上がった! 人形からなんか黒いモヤが出てきて――ああ、ツバサちゃんのこれまたいつの間にか持ってた札で小太刀ごと封印されちゃった。あ、人形が元の形に戻った。つーか、刺した跡すら無くなるとわ………ツバサちゃん、恐るべし。

 

『店主、この人形は私が処分しよう。なんせ呪いの人形だ。ここに置いといては危ないゆえな。して、代金はいくらだ?』

 

お? また店主とツバサちゃんが話し出したみたいだな。

 

『代金はいらねぇですわ。一刻も早くその人形がいなくなるならそれにこしたこたぁねぇ。よろしくお願いしますわ』

 

ふーん。やっぱり店主も怖かったんだろうなぁ、あの人形。ま、こっから見ても不気味な人形だしな。それが呪いの人形ならなおのことだ。

 

『うむ、任された。なに、これでも巫女の端くれだからな。それに、同じ巫女でそう言う封印やお祓いが得意な者を知っておるんでな。最悪そいつに任せるさ!』

 

ん〜? それって霊夢さんの事かな?

 

『おお!それは頼もしいですな。それにしても巫女様でしたか。……ふむ。お嬢さんの巫女姿はさぞかし美しいでしょうな。いやはや長く生きて見るもんでさぁ。ありがたやありがたや』

 

うんうん! オッサン、あんたよくわかってるじゃないか! まさしく、ツバサちゃんの巫女服姿は可愛い!そんでもって可愛い!! とりあえず可愛い!!! 巫女さん姿のツバサちゃんは、もう最高だぜ?オッサン!

 

『はははっ! お世辞が上手いな店主よ! それに店主、長く生きて見るもんだとは言うがまだまだ店主も若いであろうが。そう言うもんでないぞ?』

 

『いやはや、お嬢さんも嬉しい事を言ってくれますな。なに、私ももう歳ですわ。今年で92歳になるのでね。体中が痛くてかないませんわ。ははははは!』

 

……え? 92歳?

 

『……92歳とな? その見た目で?』

 

『はい、そうですぞ?』

 

……えええ?! 嘘だろおい! 見た目30代じゃねぇかよ! 少なくとも90代のお爺さんに見えないぞ!!?

 

『……は、ははは。こいつは驚いた。店主は随分と若々しいものだな。見た目30代では無いか。少なくとも90代というお爺さんに全く見えぬぞ?』

 

ほら!あのツバサちゃんだって驚いているじゃないか! あのオッサン、いやじーさんか。とりあえずあの人本当に人間か?

 

『毎日健康第一とし、栄養満点の食事に早寝早起き、適度な運動、そして武術の稽古を毎日欠かさずやっておりましたら、私も気がついたらこんな見た目になっておりましてな。いやいや、心底驚きましたよ! ははははは!』

 

『うむ、店主よ。普通ソレは驚いたというレベルを超えている気がするゾ?』

 

そうだぜ!ツバサちゃんの言う通りだ!

 

『まぁ、店主よ。これからも元気に人生を楽しんでおくといい。やはり、人生というのは楽しく生きてなんぼだからな』

 

『確かにそうですな。人生とは楽しんだ者が勝つものですな! 楽しまなきゃ損とも言いますしな! 私もまだまだ若いということですかな?』

 

『店主がそう思うのならそうなのであろう。人の思いは時に奇跡を起こすからな!心の気持ち構え一つで人間の身体は劇的に変わるものだからな……てなワケで店主よ、実に楽しい時間だった! 私はまだやらねばならぬ事がある故、これにてお暇する。では、また』

 

『はい、ありがとうございました』

 

ツバサちゃんが人形をスキマに入れながら店から出てきた。

 

「待たせたな、イッs――コホン。…またったかな?イッセー」

 

急に口調が変わるツバサちゃん。……ああ、なるほど。やっぱり口調変えてたんだな。

 

「お疲れ様、ツバサ。もういいの?」

 

「うん。ありがとう、龍巳。ごめんね、時間取らせちゃって」

 

「全然いいわ、気にしないでちょうだい。さぁ、行きましょうか」

 

「わかった、ありがとうね。それじゃ、行こっか」

 

「ん」 「おう!」

 

……その後、俺たちはいろいろな店を回った。家具に日用品、昼食を挟んで、それから服売場にと――一番苦労したのが下着売り場かな。ツバサちゃんと俺でベンチで待ってたら物凄く絡まれた。正確にはトイレに行った帰りし、すげーチャラチャラした男にベンチで待ってたツバサちゃんが絡まれてた。俗に言うナンパと言うやつだ。

 

心底、鬱陶しそうな顔をしつつも、一般人だからかあまり強く出れないツバサちゃんは困り顔からどんどんと表情と目が死んでいき、悪魔な聴力でも辛うじて聞こえるレベルで『コイツら…神隠しにあわせようかな……』なんて恐ろしい声が聞こえてきたので慌ててそのナンパしていた男共を止めた。この男共がこれまたしつこくて、一瞬頭の中でライザーの野郎の顔が過ぎるが、今のアイツはこんなんじゃないし、何よりもここまでしつこくなかったのでまだ過去のライザーの方が紳士的だろう。そんなレベルでコイツらはしつこくて、最終的にはナイフを懐から出てきた………が、そんな程度でビビる様な俺じゃなく、手加減しつつも系7名の男共を鎮圧した。

 

それから数分後に警備員が駆けつけてきてその男達は連行された。どうやら誰かが通報してくれたようだ。俺たちも軽い職務質問されたが、ほぼ男共が悪いので二三問の問だけで終わり速やかに去っていった。最後にお礼を言われたのと、女の子(ツバサちゃん)を守った事を褒められて嬉しかった。彼女かなと言われた時、ツバサちゃんの目が死んでいたのを心に刻んでおくことにする。

 

それからまた十数分後、買い物が終わった龍巳とオーフィスは店から出てきた。全ての買い物も終わり、時間もいい時間だったため帰ることにした俺たち。

 

帰りし、オーフィスの願いでまた同じ露店のタイ焼き屋でタイ焼きを買い、部長達やアザゼル先生、ツバサちゃんは光輝さん達のぶんもお土産として買い、タイ焼きを頬張りながら自分たちの家へと帰るのであった。

 

ちなみにだがその後、ナツルさんのブログでこのタイ焼き屋を紹介したら、次の日タイ焼き屋は行列ができており、後にニュースにも取り上げられるほどの有名店となったらしい。ツバサちゃん曰く、世界的にも有名なモデルで、さらに美味しいもの巡りをしていて味にもうるさく、お姉さんが紹介する店にはハズレがないため、ブログで紹介された店は確実に繁盛する事で有名らしい。ちなみにお姉さんの最近のお気に入りは翠屋のシュークリームがお気に入りらしい。…………あれ? そこのお店、最近どっかで聞いた気が…気のせいか?




いかがでしたか? 次はいつになるかな。最近も忙しくなかなか進まない。でも、ストックやイメージはできているのであとは打ち込むだけ……でも、その打ち込むまでに行く段階が遠い(;一_一)次回はなるべく早く上げたいなぁ


てなワケでまた次回お会いしましょう!

それでは皆様、バイバ〜イ( ´ ▽ ` )ノシ


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1話 イッセー家でのお話し合い

お待たせしました〜!!

1年ちょっとぶりの投稿。ヤバいね、仕事も忙しかったけれどそれ以外をほぼ全てゲームに注ぎ、はめり込んでたらいつの間にか1年経ってたwww ゲームしすぎたよ。本当にすみません。

さてさて、面白く作ろうと悪戦苦闘してたもんだから結構遅れたぞ。

今度からは最低でも一月に1話のペースで投稿出来たらいいなぁ。できるかな?


まぁ、てなわけでいつも通りといきますね。

それでは皆様、ゆっくりしていってね?


―光輝 side―

 

魔獣騒動が終わり、ツバサ達がオーフィス姉妹の買い物に付き合ってから日がたった。今日はアザゼルからイッセーの家に来いと呼ばれたので行くことになった。そんなこんなで、一緒に呼ばれていた俺とレイジ、そんでもってツバサの三人と一緒にイッセー宅に着き、イッセー達が揃うまでソファーでくつろいでいたのだが・・・・・・

 

「イッセーの隣は私のポジションなの、これは終生変わらないことだわ」

 

「むぅ〜、私だってイッセーさんの隣に座ります!」

 

「一瞬の隙が命取りになるか。こうなったら、背中というポジションだな。どう思う、イリナ?」

 

「肩車というものも最終手段だと思うわ!」

 

リアス、アーシア、ゼノヴィア、イリナの四人組はイッセーのポジションをどう取るのかわちゃわちゃとしている。

 

「私はここですわ! イッセーさまのひざ上は私のポジションです!」

 

そんな彼女達を掻い潜るようにイッセーのひざの上に座るレイヴェル。

 

「ぼ、僕もイッセー先輩のひざ上座りたいですぅ・・・・・」

 

「我も座りたい」

 

ギャスパーや、魔法陣で度々部室に介入してくるオーフィスもイッセーのひざ上を狙うという、まさに俗に言うハーレム状態(1人男の娘)が目の前で繰り広げられていた。

 

「あらあら、楽しそうですわね」

 

「相変わらずのハーレムだね、イッセー」

 

朱乃はニコニコと、ツバサはそんな特にココ最近で見慣れた風景に苦笑しながらイッセーに言う。

 

「まぁ、仕方ないだろうな。お前の生死不明というここにいる面子にとって絶望的な一件があったせいか、その反動でおまえをいつも以上に求めているんだろう。一時的なものだと思うから落ち着くまで相手をしてやれ。それこそが男としての甲斐性ってやつだ」

 

俺は腕を組みつつ、イッセーに言う。

 

「そうだな。お前の男子力が試されている時期が来たんだろう。ハーレム王を目指すのなら、いい機会だから彼女達と一緒に複数の女性を相手にする状況になれた方がいい。アイツみたいにな?」

 

すると、レイジはそんな事を言いながらツバサに向けて指を刺し、イッセー達がツバサのいる方へ視線を向けると・・・・・

 

「ツバサちゃん。隣、いいかな?」

 

「いいよ祐奈。座りなよ」

 

「・・・・・うん。ありがとうツバサちゃん」

 

「どーいたしまして」

 

「あらあら、祐奈ちゃんだけに構うなんて寂しいですわ」

 

「そんな事ないよ、朱乃。俺は朱乃の事も好きだよ?でも、今回は祐奈を許して欲しいな。だっていっつもくっ付いてるし、今も右腕にくっついてるんだから、これくらい祐奈に許してあげなよ。朱乃はそんな小さい器じゃないでしょ? だって可愛くて優しくて、みんなのお姉さんでいようとしている朱乃は、誰よりも凄いんだから! ・・・・・あっ。でもたまにうっかりさんで寂しがり屋なところがあるから、今はそれかな? まぁ、そこもまた朱乃の愛しい所なんだけどね?」

 

「・・・・・ぅもう」/////

 

「――ツバサ先輩。私にも構って欲しいです」

 

「わかってるよ白音。君も俺の大切な人だからね。ちゃんと構ってあげる。ひとりぼっちになんてさせないから。ほら、よしよ〜し」

 

「うにゃ〜」/////

 

・・・・・・・・・・とても甘〜い、桃色空間が出来ていた。うん。みんなとても頬けた顔をしている。ツバサもすごく嬉しそうだ。ただ、当本人も恥ずかしんだろうなぁ。耳まで真っ赤に染まってるぞ。

 

「・・・・・すごいな」

 

「凄いわね」

 

「ふぇぇ、凄いですぅ」

 

「流石は姫巫女だな」

 

「やっぱりツバサちゃんは凄いね!」

 

「ツバサさん凄いですね」

 

「ツバサ先輩凄いですぅ〜」

 

「ツバサ、凄い」

 

まぁ、今はいないがここに龍己、黒歌、カンナ、ほか多数、ツバサが大好きな連中たちも合わさればもっと甘い空間ができるがな。・・・・・まぁ、それでもイッセーと違い取り合いがない分、俗に言うハーレム主人公の中ではかなり平和なんだろうな。まぁ、誰もツバサの涙を見たくないって理由で『結城翼見守り隊』の盟約で取り合いの争いはないが・・・・・・・・・・・・・・・あれ? これはどっちがヒロインなんだ?

 

「流石は俺達の弟君だな! 俺と皐月たちの特訓が役に立つ時がやっと来たな」

 

そんなツバサの様子を見ていたレイジがものすごく満足気に頷いていた。やっぱりお前の仕業か

 

「なんか、ココ最近は特に女の扱いに慣れてきてるなぁと思ったがてめぇが原因か、レイジ」

 

こいつは二次元系アニメや小説でよくいるハーレム主人公だ。しかも何が一番タチが悪いって? こいつ、俗に言う鈍感主人公とは真逆の存在である、超鋭い系主人公なのだ。しかも、こいつは相手が好きになるのをわかった上で、行動しており、本当に女の扱いが上手い。しかも、ちゃんと惚れた女を全員平等に愛していて女同士の戦いがないあたり、その扱い上手は凄まじいの一言だ。

 

「そりゃもちろん。アイツに惚れる女は沢山いる。特に、可愛い物好きの女性にとってアイツは理想の男性像だからな。しかも、外見だけじゃなくて内面も凄まじくいいと来た。世界中探しても、アイツほどの夫になれる男は居ないだろう。何処に出しても恥ずかしくない人材さ! だからこそ、アイツに惚れた女くらいは悲しませないよう、俺や皐月たちは全力でサポートをしたってわけさ」

 

そう熱く語るレイジ。まぁ、確かにアイツはそういうタイプの女性にはグッとくるよなぁ。そもそも、アイツは自覚してないが、日常時のアイツは無防備故に、かなり危なっかしい格好や仕草をする為に、異性だけじゃなく同性すらも落としてくるんだ。しかも、そういう時に限って、アイツは天然のドジっ子属性を存分に出してくるため、こっちを常に萌え死にさせて来る。最近なんか、家の何も無い廊下を歩いていただけなのに、普段来ている、博麗の巫女服の様な形の巫女服の緋袴を踏んでしまい、顔面から壮大に転けた。数秒うつ伏せでプルプルした後、スクっと、上半身だけ起こし女の子座りの状態で少し赤くなった鼻を抑えながら、薄らと涙目をうるうるとさせながら、周りをキョロキョロと見渡していた。

誰も居ないことを確認すると、まるで何も無かったかのように歩き出した。顔をほんのりと赤く染めながら まぁ、実際は隠れて護衛している皐月の部下が写真をこっそり撮っていたんだがな。因みにだが、その部下はしばらく鼻血をだして仰向けで倒れていた。右手で書かれたであろう血文字には『萌死』と書いてあったそうだ。

 

そんなこんなで、常日頃、常時に人を萌死させてくるツバサだが、人前や戦闘時にはキリッとした顔で行動しており、時には部隊を導く指揮官として、時には誰よりも先に前線に立ち仲間を守る盾として、戦う姿にキュン死するもの達も大多数。『結城翼を見守り隊』の隊員達はその殆どが日常とのギャップでぶっ倒れるもの達がしばしばいるのが地球連邦軍内での問題でもある。数秒〜数分程度で復活するとはいえ、出来れば戦場で倒れないことを祈るばかりだ。それで全滅とか、本気で笑えないからな。まぁ、そこん所は奴らもわかっているだろう。・・・・・わかっているよな?

 

 

「まぁいい。そんなわけだイッセー。いつかお前もあんな感じになるといい。てか、ならなければ、俺やツバサの様なハーレムなど、夢のまた夢というわけさ」

 

レイジが胸を張りながらそうしめくくる。確かにレイジの言う通りではあるのだが、お前とツバサじゃ根本的に心の清さが違うから、少なくても女に関しては俺とレイジを一緒にするなと言いたい。つー君はそれ程までに純粋なんだ。こればかりはツバサの事が好きな彼女達のためにも仕方ないとは言え、あまりツバサを穢すなよ? 過保護龍達の逆鱗に触れるぞ?

 

 

「まぁ、あれだ、結局は慣れだな。これ程参考にならないものは無いが、結局はそれだ。慣れほどの言葉がない。もしもと言うか現状そうだが、目の前で数人の女性が私も私もってなるとやっぱり困惑するだろう? だけど、それを何度もみてくると解消の仕方が少しずつ見えてくると思う。そうすれば自ずと自然に受け答えができるようになるんだ。あと俺は、できることは応じるが、できそうにないことは断るようにしている。何故なら曖昧な返事よりもきちんと言ってあげた方が自分の為にもその子の為にもいいと思ったからな」

 

俺はイッセーにそう助言を伝えると、眩しそうな目をしながらコチラを見て、リアス達一行はまるで尊敬するような憧れるような嬉しそうな、そんな眼差しで見ていた。

 

「な? 俺達の長男様はイケメンだろ? 外見だけじゃなく内面も。俺も自分はハーレムを作っていると自負するが、俺に負けず劣らず光輝もハーレム状態を築いているんだぜ? なぁ、光輝」

 

「う・・・・まぁ、そうだな。こんな戦闘しか脳のない俺の事を好きになってくれる彼女達がいるんだ。正妻はアイツ一択だが、愛を向けてくる彼女たちも一人残らず平等に愛す、それこそが男の甲斐性って奴だ。それに俺たち結城家は重婚は認められている。無論、地球連邦軍の隊員達にもな。何故なら地球連邦軍の創立者こそ結城家の初代当主様がそう家訓と領土内で適応される法律も創ったからな。だからな。それはさておき、彼女達を悲しませないよう常に努力を怠らないのがハーレムの基本だよな。」

 

俺はそう言い括り、そろそろ本題に入ろうと口を開く。

 

「リアス、そろそろ魔法使いの連中との契約や例の吸血鬼がくると言ってなかったか?」

 

俺の言葉にリアスはハッとした表情を作る。

 

「レイヴェル、魔法使いに関してイッセーのフォローをお願いね。マネージャー、頼りにしているわ」

 

「お任せ下さい!赤龍帝のマネージャーたるこのレイヴェル・フェニックスが、イッセーさまにふさわしい魔法使いを選び抜いてみせますわ!」

 

リアスの一言にレイヴェルは胸を張って頷いていた。

 

「さて、と。その事について話を―――ん?」

 

話を続けようと思ったら、レイヴェルの後方から思いもよらない人物が姿を表した。着物を着た金髪の美女。

 

「ちゃお♪ お邪魔してるにゃん」

 

そう、金華だ。

 

「き、金華!? ど、どうしてここに!?」

 

さすがのリアスも金華の登場に驚いていた。背後を取られていたレイヴェルも「い、いつの間に!」とビックリしていた。かく言う俺も少し驚いている。すっかり油断していたとはいえ、ここまで来て初めて気がつくとわ。金華、隠密の腕を上げたようだな。

 

「あ、どうも。私もお邪魔しております」

 

金華のうしろから現れたのはトンガリ帽子の魔法使い―――こいつは

 

「あれ? ルフェイちゃんも来たの?」

 

「はい。ツバサ様。お久しぶりです」

 

「ん、久しぶりだね」

 

ルフェイ――確か、現コールブラウンドの所有者、アーサー・ペンドラゴンの妹、ルフェイ・ペンドラゴンだったか?

 

「・・・・・ね、姉さま。どうしてここに?」

 

白音がおっかなびっくりといった表情で金華を見る。

 

「どうしてって、白音が術を習いたいって言ってたから来てあげたのよ。黒歌だけでは教えられない術もあるしね。ありがたく思ってほしいにゃ。あ、それと空いてる部屋、占拠させてもらってるからよろしく〜♪」

 

その言葉に頭を抱えるイッセー。恐らく部屋はアホほどあるとはいえ自分家に許可なく勝手に住むなよ!・・・と、思っている顔だなあれ。

 

「そ、それとですね。魔法使いの方々と交渉するかもとのことなので、僭越ながら私もアドバイザーとして滞在させていただこうかなーっと。・・・・・・ご迷惑でしょうか?」

 

そんな彼女たちを見ながらリアスが嘆息しながら言う。

 

「ご迷惑も何もどうして白龍皇側のあなたたちが私たちの家にいるの? 敵地に等しいのよ?」

 

金華はつかつか部屋に入ってきてリアスの頭を撫でる。

 

「スイッチちゃんは難しい事を考えすぎにゃー。そんなだから、脳みそにいくエネルギーがお乳から飛び出すようになるのよ?」

 

リアスの乳をぽよんぽよん手で弾ませながら金華がそんな事を言った。

 

恐らく以前この家に来た時にマーキングでもしたのだろう。アイツらがそこんとこ何もしないはずがないからな。多分だがツバサはその事を知っていたのだろうな。恐らく知ってて問題ないと判断し放置したのだろう。金華が来た時も1人平然としている様子を見る限りそれが1番確率が高いかな。

 

リアスは金華の手を払いながら口を開く。

 

「大きなお世話よ・・・・・。というよりも、スイッチちゃんって何よ・・・・・!・・・・・・・はっ! まさか、以前この家に来たときに転移魔法陣のマーキングをしたのね!?」

 

「ピンポーン! おかげさまで一瞬で来られるようになったにゃ。いつでもここのおっきなお風呂使えるってわけね」

 

そんなイッセーたちが当惑する中ルフェイが一枚の手紙をだしてくる。

 

「あ、あの、これ、アザゼル総督よりのお手紙です」

 

それをイッセーが受け取り、封を切って中身を確認する。

 

「えーとなになに?・・・『ヴァーリんところの金華とルフェイが度々そこにお邪魔するかもしれねぇがよろしくな♪ ま、ひどいことしないだろうから、仲良くしてやってくれや。おまえらが尊敬するアザゼルより。 追記 光輝とレイジにツバサも今後しばらくお前ん家で泊まり込みでお前の手伝いするからそこん所もよろしくな! あとこの事伝えといてくれや』

んもう! また勝手にこんなことを!」

 

イッセーは手紙を床に放り出してため息をつく。てか、俺達も三人揃って嘆息をついた。そういう話は前もってしっかり本人に直接伝えろよな。こっちだって地球連邦軍の部隊を管理している隊員なんだ。そんなホイホイ暇なんてないんだからな

 

「・・・・・・・・・・アザゼル次会ったらしばく」

 

・・・・・ツバサがボソリと小声で吐いたが俺は聞かなかった事にした。顔が隠れて見えないのがより恐怖を煽る。――アザゼルよ、ご愁傷さまだな。

 

「たまにしか来ないから、気にしないで。ね、スイッチちゃん? 白音のこと、ちゃーんと鍛えるから♪」

 

手を合わせウインクしながら頼み込む金華。リアスは額に手を当てながら言う。

 

「・・・・・勝手にしなさい。その代わり、小猫のこと、頼むわよ? それと必要なときは力をかしなさい。悪魔らしくギブアンドテイクよ」

 

「白音を鍛えるのには俺も手伝います。まあ、俺自身は知識では仙人の術は知っていますが全て使える訳では無いので、基本は金華さんと黒歌に任せますが・・・・・」

 

ツバサは申し訳なさそうに手を挙げながらいう。

 

「よろしくにゃん、ツバサ。・・・・・そういえば黒歌は何処にいるの?」

 

金華はふと疑問に思ったのか首を傾げながら問いかける。

 

「黒歌なら、俺の知り合いの仙人の所に修行に行ってるよ。白音を鍛えるためにもっと自分を鍛えなきゃ安全にちゃんと教えられないからって言ってたので、俺が仲介人になってその人といま山篭り中」

 

ツバサは金華の質問にそう答える。・・・・・ツバサの知り合いの仙人なんて、1人しか思いつかないんだが。どうやらレイジも思いつくのが1人しかいないみたいだ。目線が会った瞬間そう確信した。

 

「知り合いの仙人? 誰それ」

 

「まぁ、また機会があれば紹介しますよ・・・・・機会があれば、ね」

 

アイツ・・・・・多分等分は敵である以上合わせる気ないな? いや、それとも彼女の性格上、金華とは馬が会いそうにないから合わせたくないのか? まぁ、どちらにせよ面倒事になるのは俺でもわかるから、等分はスルーだろうな。

 

そんなこんなで、また一日が過ぎるのだった。




・・・・・なんか最近は、1万時以上書くのが当たり前だったせいか、6千字がすごく短く感じる。あれれ? おかしいなぁ〜。

まぁ、次回も早めに投稿出来たらいいなぁ。早く作りたい場面もあるしね〜


それでは皆様また次回でお会いしましょう!

ばーいば〜い(* ̄▽ ̄)ノ~~


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