真剣狩るなのは (kouji)
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ディナーの風景

「いらっしゃいませ」

 

ドアを開けると美味しそうな匂い。テーブル席が三つ、たったそれだけしか無い。雰囲気は高級感溢れる、とはいかないが、暖かさが感じられる様な、そんな造りだ。

 

「お久しぶりです。月村様、バニングス様」

 

「はい!今日もずっと前から心待ちにしてたんです!おいしいお料理おねがいします!」

 

「畏まりました。忍お嬢様。では、お席へどうぞ・・・・」

 

「ノエルさんも、ファリンさんも、今日はよろしくお願いします」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

「今日は何が出るのかな?」

 

「何にしても、美味しいことは確かよね!」

 

「アリサちゃんも、すずかも楽しみにしてたものね♪」

 

「お姉ちゃんだって昨日はソワソワしていたくせに・・・・・」

 

 

 

 

 

「まずは・・・」

 

ワインセラーに行きワインを取り出す。今日のワインは「星ぶどう」で作った幽かに発光する、見た目も美しいワインと、お子様方には「水晶コーラ」をシャンパンとして出す予定だ。

 

「星ぶどう」のワインは態々人を雇って、自分で作った物だ。規模は小さいが年に一本ずつお得意様や、友人に渡している。

 

「では、給仕をお願いします。ノエルさん、ファリンさん」

 

「「はい」」

 

次はオードブル、「金色イクラ」と「美肌キャビア」のカナッペを、金と銀の美しさと女性にはうれしい料理だ。

 

「オードブルです。お願いします」

 

厨房から様子を伺うと、笑顔が見える。ふふふとこちらも笑顔。つぎの料理を出すタイミングを伺う。次の料理は「味雪」を溶かしたもので「アクビアワビ」を一ヶ月煮込んだものだ。ノッキングするのに手間取ったが、最高の出来に仕上がっている。

 

態々、万年雪に覆われた雪山まで行き、「味雪」の降った年の層まで掘って採って来た物だ。「味雪」は数年に一度しか降らず、ストックも無いと言われ、しょうがなく自分で採りに行った。

 

「そらそろかな・・・・」

 

給仕をしている二人にスープを持っていってもらう。ここにいながらでも、姦しい声が聞こえてくる。美味しいやら、スゴイ!など、聞いているこちらも嬉しくなる。

 

次は魚料理だが、今回の魚料理は《あちら》の食材では無く、こちらの食材に《あちら》の餌を与えたものである。

 

こちらで営業が出来なくなったプール場を買い取り、魚の養殖場とした。試験的なものなので色々迷ったが、育てるものは「うなぎ」にした。専用の「シラスウナギ」を買い取り、プールに放すした。もちろんプールはそれように改造してある。

 

餌に「グルメクラゲ」を混ぜてプールに投げ入れる。こうして、こちらのうなぎに《グルメ細胞》を摂取させる。

 

初期は捕獲レベル1の食材を加工した餌から始め、最終的には捕獲レベル20の餌をやった。その頃になるとプールの中には初め、かなりの量居たはずの稚魚が、全長2メートル、重さにして100キロはある固体が数匹にまで減った。

 

大体で言うと捕獲レベル1から2、これは天敵と呼ばれるものが居らず、餌は与えられるものを食べていたためと推測した。

 

味は素晴らしいものだったが、正直労力には合わないと感じたため今回限りになった。

 

さすがにそのままだと販売できないので、知り合いの店にいくらか卸し、友人などに切り身にした常態で渡し、残りはインターネットで蒲焼したものを真空パックにして販売した。

 

限定10000食、口コミで物凄いことになり、テレビでも紹介された。朝のニュースで、美濃紋田(み○もんた)さんに絶賛されたときはしまったと思ったが、月村家の情報規制で「謎の名店」的な紹介までで、店、個人の特定などされず、ホッと息を吐いた。

 

 

 

 

高町家サイド

 

 

 

 

美濃「今日はコレ!」

 

美濃「こちらが最近話題の「うなぎの蒲焼」です」

 

ゲスト「こ、これは・・・マッタリしていて、それでいてクドクない。今まで食べたことのあるどの蒲焼よりも旨い。」

 

 

「お姉ちゃん、これって・・・・」

 

「あれ?・・・・凄いわね、恭ちゃん」

 

「確かにな、修行の後に食べた、あのうな丼の味は忘れられない」

 

「うふふ、確かに美味しかったわね~」

 

「また食べたいの・・・・・」

 

「う~ん、しかしなぁ彼に頼んでみるかなぁ」

 

「ホントなの!?」

 

「あらあら、うふふ。なのは、ご飯を何回も御代わりしていたものね♪」

 

「うぅ~それだったらお兄ちゃんも、もっと食べてたもん」

 

 

 

 

サイドOUT

 

 

 

 

 

「こちらが、うなぎの白焼きです。こちらの特製の塩でどうぞ」

 

魚料理も大絶賛のようだ、あのうなぎを白焼きにして「岩塩亀」の塩と「栗ゴマ」を炒ったものをくだいて混ぜた特製のものだ。香りを楽しむために別にして出した。

 

次は肉料理だが量的に厳しいので、メイン兼肉料理とする。「サーロインキノコ」「サイコロブスター」「獅子豚」のソテーに「ゴールドにんじん」のグラッセを用意した。

 

「サーロインキノコ」は近年稀に見るほどの群生地発見して、特に良さそうなのを採ってきたし、「サイコロブスター」も知り合いから安価で手に入れた。「獅子豚」は油が少ないところをミディアムレアで焼き上げた。あっちの肉はたとえ生で食べても、捕獲レベルの高いものは、病気の心配も無いからこちらで出来ない調理が出来て良い。

 

特に月村様方はレアを好むのでこちらの肉では危なくて出来ない豚肉のミディアムレアを出すことにした。

 

バニングスさまだけは「獅子豚」では無く「霜降り豆腐」を出した。まだ幼いとはいえ立派なレディ、お肉よりもこちらのほうがいいと思いこちらにした。

 

サラダを準備しながらデザートを見る。サラダはベジタブルスカイで採った「マシュマロかぼちゃ」「アーモンドキャベツ」「黒草」に「ココアマヨネーズ」を和えたサラダなのにこってりしたものにした。

 

「さて、デザートはっと」

 

最後のデザートの準備を始める。デザートは「バニラブの実」のシャーベットにした。「虹の実」のアイスとどちらにするか迷ったが、「バニラブの実」のシャーベットと「シャーベ林檎」の組み合わせて最後の締めとした。

 

 

 

 

 

「嬢様、こちらが食前酒です。お子様方にはシャンパンになります」

 

「わっ!凄く美味しい・・・・」

 

「シャンパンも炭酸が強いわけでもないのに凄い美味しい!」

 

「前菜はカナッペかしら?」

 

「はい、こちらになります」

 

「すずか!コレ食べると肌がすべすべになる!」

 

「ホント!?」

 

「わ~流石ね・・・この後が楽しみね♪」

 

 

 

 

「こちらアワビのコンソメスープになります」

 

「アリガト、ファリン」

 

「スッゴイ良い香り・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「うん・・・凄く濃厚で・・・うん」

 

「お姉ちゃんが無口になちゃった。でもこれもすっごく美味しいね、アリサちゃん」

 

「ええ、うちのシェフもこんな美味しいの作れないわ」

 

 

 

 

「次はメインのお肉料理ね」

 

「うん!前の時のお肉はとっても美味しかったわね~」

 

「仔牛のステーキだったよね」

 

「次の日は肌がすべすべで、もっちりしてて凄かった」

 

「えぇと、「完美牛」の仔牛をって言ってたよね。また食べたいなぁ」

 

「お待たせいたしました、豚肉ときのこのソテーになります。忍お嬢様、すずかお嬢様まはこちら」

 

「アリサお嬢様はこちらになります」

 

「わぁ~美味しい!」

 

「凄い美味しい!ミディアムレアのお肉がとっても美味しい!」

 

「あれ?豚肉は完全に火を通さないといけないんじゃ?」

 

「こちらは病気等の心配はないそうです」

 

 

 

 

「こちらがサラダになります」

 

「おいし~♪」

 

「なんだろう、サラダって言うよりデザートを食べてるような感じ」

 

「黒いのはしゃきしゃきしてて、こっちのはパリパリ。このかぼちゃはふわふわで・・・・・」

 

「ホント美味しいこの食感は癖になりそう」

 

 

 

 

「本日の〆のデザートになります」

 

「ワッすっごい甘いにおい・・・・」

 

「!!」

 

「ピンクのはすっごく甘くてほっぺが落ちちゃいそう!」

 

「白いほうは甘くて少し酸味がある。さっぱりしててちょうどいいわ」

 

 

 

 

「はぁ・・・・・・」

 

「美味しかったね・・・・」

 

「ええ、とっても美味しかったわ」

 

「うぅ~次ここに来れるのはいつ頃になるんだろう」

 

「アリサちゃんもまた一緒に来ようね!」

 

「モチロンよ!すずか」

 

 

 

 

「ノエルさんもファリンさんも給仕ご苦労様です」

 

「いえ、お嬢様方も大変満足いただけたようなので」

 

「はい!とっても笑顔でした!」

 

「ではこちらにお土産を用意しましたのでもって帰ってください」

 

 

 

 

人の居なくなった店内で残り物をつまむ。お土産に渡した「シュー栗ーム」の残りだ。お土産の中には「シュー栗ーム」。「キューティクルベリー」のタルトを入れた。

 

さて今回も大満足していただいた様で、店を開けるときは連絡してほしいと言われた。食材や調理の関係上、数ヶ月に1、2回開けられればいい方なので予約等はとっていないので、開けるなら連絡をしてほしいと言われている。

 

料金は最低2、30万。最高だと500万ほどだ。正直安い。最低1000万でもキツイ、あっちとこっちだと物価や価値も違うし最低限もらえればいいので、って値段設定だ。

 

仕込みをやって、今日は店じまいにしようか・・・・・

 




お・ま・け

「今日はすずかちゃんもアリサちゃんもとっても奇麗なの」

「そう?昨日は例のお店でディナーをいただいて来たからね♪」

「にゃ!?いいな~」

「あはは、次は一緒に行けるようお姉ちゃんに言ってみようかな」

「にゃぁぁぁホント!?」

「うん!」

「それにお土産を今日のお茶請けにしたから食べていって」

「やった!」








なんてねw


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管理局の依頼

今日は久しぶりに依頼でこっちに来ている。

 

先日ある依頼が来た。何でもかなり進行した癌の治療用に「腫瘍フィッシュ」を用立ててほしいそうだ。管理局からの依頼だが、士郎さんからどうしても、と頼まれたので店を休んでこっちに来ていた。

 

まあ、士郎さん起っての希望、と言ったが、実際はなのはちゃんが頼んだのが真相だと桃子さんに聞かされた。

 

流石に進行状況などなど診察しないことにはということで管理局のあるミッドに行ったが、案内されると、行き先は病院は病院でも犯罪者が収監される病院に案内された。

 

ココでの立場は「管理外世界」の「治療師」で「特別協力官」とかなんとか。

 

患者はかなり進行した癌で、余命はもって数ヶ月。かなり無理をしていたようで地球より進んだ医学をもつミッドでも手術は無理なようだ。

 

強制的に眠らされているようだが「アリ・・・・・・ア・・シア。」と言葉がもれていた。詳しいことはさすがに機密だろうから聞かないが、患者は

 

 

プレシア・テスタロッサ(59)女性 魔導師 

 

 

この情報だけでも口にしないよう注意を受けた。奴(やっこ)さんは結構なことをしでかしたらしい。

 

さて、ココまで進んだ癌だとそれなりの数と質を用意しないといけない。しかも早急に。癒しの国ライフで購入はかなり難しい。進行を遅らせるために仮死状態にするように手配してもらう。

 

「ちょっといいかい?」

 

珍しい人からお呼びがかかる。なのはちゃんがお世話になったって言うクロノ・ハラオウン執務官だったか?

 

「初めまして、クロノ・ハラオウンです。よろしくお願いします」

 

さすが執務官ともなると、若くとも確りしたモノだと思う。軽く自己紹介。

 

「どうだろう?彼女はどうにかなりそうかい?」

 

「ええ、もう少し進行していたら流石に体力的なもので無理でしたが、今ならなんとか」

 

「そうか・・・・」

 

「どうかしたんですか?」

 

「いや、彼女は重要な参考人でね」

 

そういうと複雑そうな顔をして「フェイト・・・・」と呟きながら行ってしまった。

 

 

 

 

 

さて、癌治療用の「腫瘍フィッシュ」となると、行き先はIGO(国際グルメ機構)の運営するビオトープに行かなければならない。腫瘍を食べるものなど流石に自然界にいない。あれは人の手によって生み出されたものだ。

 

マンサム所長に話を通しておかないと、と考えつつIGOへ向かった。

 

「え?ハンサムだって?」

 

「いえ、誰も言ってませんが・・・・・」

 

お馴染みのやり取り後、許可をもらったが余計な頼みごとまでされてしまった。

 

気を取り直し、ビオトープに向かう。このビオトープは人工の海を造り、そこに多種多様な生き物が住んでいる。捕獲レベルのアベレージはレベル5から始まり最高は60までになっている。

 

今回の獲物「腫瘍フィッシュ」は「温泉鮫」とセットになっている。普段は「温泉鮫」の体内にいるが「温泉鮫」が海面に出て背中の穴に温泉をためている間のみ外に出る習性な為、小型の「温泉鮫」を見つけ、尚且つその体内に「腫瘍フィッシュ」の有無を確かめないといけない。

 

ミルクを吹き上げる「ミルクジラ」を横目にさっそく捕獲にとりかかる。

 

専用のデバイスから「酸素の葉」を取り出し海へダイブした。

 

海の中には「いかまぐろ」やら秋刀魚、アジなど季節問わず様々な魚介類がいる。遥か遠くで潮を吹いたのはきらきら光る「純金クジラ」だろうか?

 

目的の「温泉鮫」はもっと深い所か、運がいいなら海面に出ていることだろう。今回は時間が無いということで餌を用意した。これである程度確立はあがるだろう。

 

 

 

 

「大丈夫か?フェイト」

 

「クロノ・・・・・」

 

数日前、プレシアの容態が悪化してからと言うもの、フェイトは塞ぎこんでしまった。あれだけひどい扱いを受けても彼女にとってはプレシアは母親ということなのだろう。

 

「大丈夫」なんて言ってはいるが眼の下にはうっすらと隈ができていて、痛々しい印象をあたえた。弱弱しい笑顔もその一因となっている。

 

それに、プレシアは今「仮死」状態で面会をすることもできない。だからといって彼に依頼したことはフェイトに話すことはできない。

 

彼は大丈夫だといったが保障はできかねる。今の彼女に希望を持たせ、それがだめだった場合今度こそ彼女は壊れてしまうだろう。

 

今できるのは根拠の無い「きっと大丈夫」の一言を言うことだけだった。

 

 

 

 

 

「ちょ!?暴れるなコノ!」

 

数箇所に餌を撒くこと数時間。魚にクジラに、亀、海蛍、おいおいおいおい、餌に寄ってきた魚に「ワーナーシャーク」までやってきやがった。

 

「って!?こっちに気づきやがった!」

 

急いで海上へ離脱を図る。捕獲レベル53の「ワーナーシャーク」と海の中で戦闘など御免だ。できなくは無いが正直、面倒だ。

 

海上へ出ると同時にデバイスからノッキング銃を出す。素手で押さえつけノッキング。鮫肌が痛い。

 

駄賃代わりに歯をいただく。ついでに海蛍も捕獲。うちの店のアクアリウムに一匹欲しかったところだ。歯はあとで買い取ってもらおう。

 

よし!

 

結論から言うと、あっさり「温泉鮫」は捕獲できた。ぶっちゃけ餌は全然関係ない。海面にいた。あっさり居た。餌、意味なかった。

 

「ふっ・・・・・・」

 

かなりむなしい。

 

しっかりと「腫瘍フィッシュ」も確認がとれた。納得いかず、一時間ほど海岸で「スウィーツサンゴ」をぽりぽりと齧っていたが、いつまでもそうしているわけにもいかずマンサム所長へ挨拶に行く。

 

「え!?ハンサ「言ってません」・・・そうか」

 

相変わらずのやり取り。ついでに「ワーナーシャーク」の歯をかなり安く買い取ってもらう。頼まれた生態系の調査レポートはあとで出すことを話しミッドへ急ぐことにする。

 

 

 

 

「オーライ、オーライ!」

 

銭湯の風呂並みに大きい水槽が運ばれる。中には「温泉鮫」が入っている。

 

流石に病院内ではなく、管理局の施設のひとつを使っている。現場ではプレシアさんが水着を着て女性職員と待っているそうだ。

 

現場に到着し、プレシアさんを「温泉鮫」に入れる。今回は意識はあるようだが、なにかぶつぶつと呟くだけで眼に力が入っていない。死んだ魚のような目をしている。

 

「アリシア」という単語を永遠ぶつぶつと。これは果たして治療する意味があるのかと・・・。

 

仕方ないので女性職員と会話を交わす。名前はエイミィさんだそうだ。一時間が経ち、一回目の治療が終わる。「腫瘍フィッシュ」たちも、それほど多くの量は入らない。

 

また明日の治療の時に、と言ってプレシアさん達は病院に帰っていった。

 

 

 

 

 

「すごい・・・・」

 

「確かに腫瘍の数も大きさも違う」

 

私、エイミィ・リミエッタはクロノ・ハラオウンと共に、プレシア・テスタロッサの治療に関してのレポートを作成していた。

 

あの魚の治療は、正直言って眉唾物と思っていた。今のミッドの医療でどうにもならないものが管理外世界の、しかも魔法も無い世界の物だと知り効果は期待していなかった。

 

コノ分なら、後数回の治療で完治するだろう。ふと、フェイトちゃんの顔が浮かぶ。はたしてこの結果はあの子のこれからに、プラスとなるのだろうか?

 

クロノと私はプラスになるように、と心から願うことにして、レポートの作成にかかった。

 

 

 

 

 

さて、今回コレが最後の治療だ。プレシアさんもエイミィさんも「温泉鮫」の背で湯に浸かっている。

 

流石に気になり、今回初めてプレシアさんに話しかけてしまった「アリシアって子がどうかしたのですか?」と。

 

そこで急に下を向きぶつぶつと言っていたプレシアさんが初めてこちらに眼を向き、ぽつぽつと喋りだした。

 

「アリシアは私の娘。あの事故で死んでしまった・・・・・まだ五歳だったのに。死んでしまった・・・・いえ、私が殺したようなものよ」

 

そう言って泣き出してしまった。

 

「あぁぁぁぁ・・・・そうよ、死んでしまった。そして・・・・フェイト・・・・アリシアの代わりに・・・ち、違う・・・あの子は、本当はアリシアの妹になるはずだったのに・・・・あぁぁぁぁ!!!!」

 

「お、落ち着いてください!」

 

「あぁぁぁあぁぁぁぁ「シュコン!」ぁぁ・・・・・・・」

 

ふう、と一息。ノッキングの要領で軽く眠ってもらった。

 

こんなことになるとは。しかも機密事項だと思われる話の尻尾がちらちら覗くお話を聞いてしまった。

 

エイミィさんの視線が痛い。もう物理的な質量をもっているんじゃあないかと。

 

「私はプレシアさんを病院へ連れて行きます。後のことはハラオウン執務官の指示に従ってください」

 

 

 

 

 

 

 

「さて、エイミィから話は聞いた。・・・今から話すことは独り言だが・・・・コノ建物内で聞いた話しは他言無用だ」

 

そういって話し始めた。

 

簡単に説明すると、プレシアさんは過去の実験で娘を亡くし、代わりにクローンを創ったが、当たり前だが、亡き娘ではないと苦しんだ挙句、絶望して発狂、犯罪を犯し今に至る。と言うことらしい。

 

重い。思いが重い。流石に犯罪に関しては詳しく話さなかったがアリシアちゃんに関しては話してくれた。

 

今現在、病院の地下施設で今もポットの中に入っているらしい。死んだ直後の状態を維持し続けているらしい。

 

うむむぅ・・・死んだ直後ならもしかしたら・・・アレがてに入ったのなら救えるかもしれないなぁ。しかし、口には出さない。アレは手に入るかわからないし、手に入ったとしても伝承通りの効能をもっているかもわからない。

 

しかし、アルハザードよりは信憑性があるかもしれない。

 

ここで話は終わり。クロノ執政官も仕事があると帰ってしまった。

 

 

 

 

数日後、プレシアさんの経過を診ると言う口実で病室に居る。

 

癌の病巣は完治。血色も良いとは言えないが悪くも無い。精神状態は・・・・・眼に狂気は無い。しかし生きる気力と言ったものもない。

 

今は病室に二人きり。少し話しかけてみようと思う。コレは偽善と言われそうだが知ったこっちゃないので。

 

「今から言うのは独り言なんだが、先日、管理局内でフェイトと言われる子を見たんだが若干疲れたような顔をしていた」

 

ピクッと反応する。食いついたなぁ。と心の中で思う。

 

「しかし、母親の病気が治ったと聞いたらしく今日は笑顔を見せていたなぁ」

 

ここで室内の雰囲気がふわっと軽くなった気がした。プレシアさんもこっちに耳を傾けているようだ。

 

「あと、近々裁判があるらしい。ジェルシードがどうとか耳にしたなぁ」

 

「知り合いの子がフェイトちゃんとお友達らしくてなぁ、なにやらビデオレターを渡すと言ってたなぁ」

 

ピクピク。

 

 

 

(まだあの子は私を母親だと思ってくれているのね・・・・・)

 

「あと、近々・・・・」

 

(裁判・・・あの子は軽く済むでしょう。私がすべての元凶なのだから)

 

「知り合いの子が・・・・」

 

(あの子にも友達と呼べる子が出来たのね・・・・今更母親のようなことを思ってもね・・・・)

 

「コノ子なんですが良い雰囲気でね?いいパートナーになるんじゃあないかなぁ」

 

(フェ、フェイトにパートナー?さ、流石にまだ早いんじゃあな、ないかしら!?)

 

「でもなぁ、あの子犯罪者でしょ?あんまり関わってほしくないんだよなぁ」

 

「あ゛ぁ゛?」

 

「・・・・・これで独り言はお終いかなぁ」

 

(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「プレシアさん。あなたの体は完治しています。これからは体に気をつけてください。あと、お顔がスゴイ怖いですよ?では、お大事に」

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで依頼は終了。代金をいただき店に戻るとしますか。

 

 




以上!どうでしょうか?誤字脱字、報告は感想まで!
コノ物語は一部捏造、作者の妄想が含まれております。原作を知らない作者はこれが精一杯です。ご容赦ください。







お・ま・け

「失礼します」

「あ・・・・・」

「・・・・・人形が何の用かしら?」

「ッ!?」

「あなたに言いたい事があって無理を言ってここに来ました」

「そう・・・・・で、なにか?」

「ッ!・・・・私は確かにアリシアではなかったかも知れないけれど・・・・私はあなたのプレシア・テスタロッサの娘のフェイト・テスタロッサです!!」

「そう・・・・・はぁ・・・・本当に馬鹿ね。こんな最低の母親なんてさっさと見捨てればいいのに」

「グスッ・・・・それでも私にとっての母さんは一人だけだから・・・・・」

「そう・・・・」

「勝手にしなさい」

「え?」

「今更母親面するなんてできないわ。ただ・・・・アリシアではない。でも、確かに私の娘ね・・・・・」

「ッか、母さん。グスッあぁ!あぁぁぁぁぁ・・・!!!」


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