リボーン×東方~外界異変~ (Lan9393)
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番外編及び設定
東方キャラクターたちの設定


大まかに。
キャラクターたちにも少しだけ違うところがあります。
それをここで。容姿とかではなく、彼女らの性格や生い立ちなど。
まあ本編でやることですが、本当に大まかに。
正規の彼女らを知りたいときは調べてください。


*ボンゴレリングに例えると

 

霊夢→大空

魔理沙→嵐

妖夢→晴

アリス→雲

咲夜→霧

早苗→雨

レミリア→雷

 

 

*設定

 

注意:あくまで東方キャラクター内での関係を書いています。レズゥ的な展開はありません。

 

 

博麗霊夢

 

主ヒロ。

男嫌いの巫女。

甘いものが比較的好きで、恋愛感情や友情に疎く、そういったものに興味がない。

興味のないものには冷めた態度をとり、興味のあるものは優先的に、積極的に関わって行く。男でないかぎり。

自由を阻害されるのが嫌いで、自分の思ったように行動できる空間が好き。

それと同時に、努力も大嫌い。

博麗の巫女という『しきたり』に縛られた役職を嫌い、常に妖怪退治、異変解決以外の仕事はしない。

天才というべき存在で、生来からもった霊力(力)が強く、妖怪からも人間からも浮いている存在。

努力をすることをやめた天才は、なにかのためにと言うことはしない。

浅くもなく深くもない友好関係を築いている。

 

 

霧雨魔理沙

 

元気いっぱいな魔法使い。

しかし行動も口調も性格も男勝りで、無鉄砲。

「弾幕はパワーだぜ!」・・・なんでも力任せに解決しようとする。

努力家だがそれを自慢しない。しかし、自信過剰なところと、相手を見て「強そう」、「弱そう」としか考えない慎重さに欠けた性格から、よく霊夢以外の強者に負けたりすることがある。

なにかにひっつくのが大嫌いで、ついでに雨も嫌い。努力することを諦めた人(霊夢を除く)も嫌い。

わがままなことはないが、少しだけ口うるさい。

自分のやっていること、やりたいことを邪魔したり横槍をいれたりされるのが嫌いで、されると怒って凹む。

霊夢がお気に入りで、大好き。

規則や礼儀といったしっかりしたものを嫌う。霊夢と同様に自由が好きだったり。

芸術的センスがなかなかあったりなかったり。

 

 

魂魄妖夢

 

真面目で、一途。恩義や気持ちと言ったものを尊重・大切にし、常に明るくいようと心がけている。

しかし、刀を抜くと途端に冷酷な性格になってしまう。

白玉楼という冥界に暮らしている半人半霊。

霊夢と同じように、男が苦手、というより関わったことがない。からわからない。

自分の血縁者や主人以外の人が苦手。男はそれ以上に苦手。

色恋はまったく無縁の生活をおくってきたため、知らない。

庭師や従者を兼任しているうえに剣の修行も怠らない努力家。

魔理沙とちがって芸術的センスは皆無。しかしそれ以上に運動神経がいい。

剣の修行の相手がいたら遠慮なく斬り、防がれると喜びを浮かべる。

結構な戦闘狂だったり。

呼べばやってくる半霊は感覚共有している共同体。

幽霊が怖くて怖くてしかたない。

人に嫌われる感情も知っているため、嫌われるのも怖い。

 

 

十六夜咲夜

 

人をからかうのが好きなメイド。

からかうだけでなく、騙そうとする態度もとっている。

人を殺す感覚を知っており、そのせいか一歩後ろへ下がった態度をとっている。

やや怖いもの知らずで。恐いもの見たさにおばかなことをすることも。

そういう意味では無鉄砲とも言える。

だがまあ慎重な性格である。

バランス感覚、投擲したもののコントロールも上手く、マジックも得意。

主人LOVE。

規律や礼儀にうるさく、自由なんてない、と霊夢、魔理沙の意見とは正反対の意見を持つ。

自分の意見に賛成する人には、笑顔を持って対応する。

戦闘狂な妖夢を気にかけておりその後処理を担当している。

主人などの大切な人のための努力は惜しまない。

しかしそれ以外の事柄については霊夢同様努力なんてくそくらえとか思ってる。

努力については、自らでも矛盾してると自覚している。

 

 

東風谷早苗

 

霊夢に憧れをもっている献身的な巫女そのニ。

純粋で明るい。たまにキャッハーすることもある。

根本的な性格はお人好しで面倒見のいいお姉さん。

しかし、夢見がちな性格もあって、少々めんどくさい子、と取られる場合も。でも好きな人には普通に可愛いと思われる。多分。

奇跡、運命、白馬の王子、霊夢を信じている。

けしてバカではない。飲み込みの早さ、状況判断能力は幻想郷トップクラス。

現代っ子なだけあって、情報に敏感。

噂話とか大好き。っていうか人と話すのが好き。

キラキラした目に霊夢でさえ敵わない。

咲夜にからかわれ、妖夢と仲良くするのはいつものこと。

結構、運動能力も頭もいい。

将来は教師を目指そうとしていたらしい。

狂気が一番苦手。

 

 

アリス・マーガトロイド

 

孤独な人形遣い。

人との関わり方が全くつかめない冷静沈着、少しさみしがり。

進んで関わろうとしたことはないが、人形を作りながら誰かこないかと待っていたり。

話はわかる人だからコミュニケーション能力さえ求めなければまともな人。

結構きてくれる魔理沙と妖夢は仲良し。

知識の塊。だってやること少ないもん。

暗い人と思われがちだが、笑顔は忘れないツッコミ。

この頃魔理沙がボケすぎて辛いと霊夢に相談している。

人形大好き。だって可愛いもん。

周りの人からはとっつきにくく、頭の硬い人と思われているらしい。

本人知らないしかたない。

いじられることに慣れていない。

妖夢が癒し系すぎて助かることがしばしば。

この人の人脈に謎が多い。

 

 

レミリア・スカーレット

 

高貴でかつ凛々しく美しいロリ吸血鬼。

・・・かと思わせぶりな豆腐メンタル吸血鬼。

その豆腐メンタルが、冷静沈着な咲夜の忠誠心を勝ち得た。

カリスマ恐るべし。

その計算高さから智将とまで噂された戦争上手。

智将だけでなく、『紅の主』なんて噂されることも。

運命を司っているなら当たり前ですよね、なんて言っちゃいけない。

妹大好き。でもお姉さんらしくないといけないからベタベタできない。

この気持ちをどうすればいい!!と咲夜に叫んだことがある。

血をみると吸血衝動に苛まれる。

血を吸うのはあまり得意でない。

世渡り上手だが情報に疎くそのあたりは咲夜に任せっきりなことも。

紅茶とコーヒーだったらコーヒーが好き。

ホットミルクはもっと好き。

 

 

フランドール・スカーレット

 

狂気に憑かれた薄幸ロリ吸血鬼。

元は明るく無邪気で、ヒヨコのようにてちてちとついていくタイプ。

すなわち妹。

しかし狂気にのっとられるとなんでも食い尽くし、壊し尽くしてしまう。

その時の記憶は確かに残ってしまっているからそのことから引っ込み思案に。

自ら閉じこもるようになってしまった。

狂気に壊されるよりも自分が壊した方がいい、という考えに行き着いてしまい、現れた人間を順番に「キュっとしてドッカーン」する。

お姉様大好きだから一緒にいたい。でも冷たい。

人の思っていることが理解できず、魔理沙に頼る。→地雷を踏む→あれれ?の永久ループ。

本当は仲良くしたい。けど難しい。

人はすぐ壊れてしまう、とある日を境にして関わるのをやめてしまった。

恐怖心から、悪夢を見ることが多い。

妖夢、魔理沙が良き相談相手。




今更ですが、少々違うと言っても、これが僕の中での彼女らです。
次回から彼ら出てくる?前言撤回です!!ですよ!!
申し訳ない!!

え?妖夢さん多いよって?
・・・キノセイデスヨ!

ではでは、次回からはちゃんと物語に入りますので!

また!


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クリスマス風景~全組~

全組みいます。そして付き合ってます。
え?何でって聞かれても・・・。
ちなみに、将来こうだったらいいなぁってだけです。
実際違いますけどね。はい。
ラブラブ度(大体)
山本・妖夢>炎真・アリス>ベルフェゴール・早苗>ディーノ・レミリア>獄寺・魔理沙>雲雀・咲夜>綱吉・霊夢>フラン・フランドール
ツナ霊とフラフラは淡白というか・・・こう、実は一番信用しあってるのに、恋愛に関することは両方疎いので進展しないというか・・・はい。
絶対付き合ったのは裏で誰かがやったからですね、絶対。



霊夢Sido

 

「メリープレゼントだぞ、お前ら」

「わぁい!ありがとうリボーンおじさん!」

「リボーンありがとー!」

「---------!」

 

三人が浮かれて喜んでいる。

そりゃあ、まあ欲しかったプレゼントがもらえるのだからそうか。

サンタリボーンさんはプレゼントを持って配り、ガキ牛には鉄拳制裁。

まあ、それでも甘くなった方よね。リボーンさんは。

それを見て笑っていると、私の視界が揺れる。

すると、ズルズルと・・・はぁ?!

 

「霊夢、ちょっといいか?」

「・・・なんだ、綱吉か」

「何だと思ったんだよ?」

「なによ、部屋に連れ込んで」

 

綱吉が私を引きずるように自室へ押し込んだのだ。

少々ドキドキしているように思うのは、きっと気のせいだ。

・・・綱吉相手にドキドキするのは、ちょっとおかしいと感じる私がいる。

でも、これが『恋人』というものなのだ。割り切れ、私よ。

だけれど未だに慣れない。男とこんな関係になることはなかったから。だからっていって女とあったわけじゃないけど。

 

「いいや、プレゼント」

「・・・へぇ。中は?」

「・・・いるか?」

「中は・・・」

「いるか?」

「・・・いる」

 

綱吉は、「よしっ!」と満面の笑みで私にプレゼントの箱を渡す。

さっきは真顔だったから・・・嬉しいっていうか、なんていうか・・・。

そんなのは気にせず、私は箱を開ける。するとそこにはブレスレットがあった。

 

「これ・・・装飾品?よくもまあ手に入ったわね、あんた」

「あー。まあ、オレも十代目だし、な?」

 

言いたくないように頬をかきながら綱吉はそう言った。

ふぅん?面白そうだからからかうようにブレスレットを持ち上げて言ってやった。

 

「権力にものを言わせたものならいらないわよ」

「わーわー!冗談冗談!働きました!アルバイトの結果ですー!」

「・・・『ボンゴレ十代目!女のためにアルバイト?!』」

「記事にはなりません!」

 

なんだ、つまらないの。

私は早速それを右腕につける。

すると、その手が止められ、ブレスレットは左腕につけられた。

 

「なによ」

「いや・・・左手はさ、いつか薬指に指輪を贈りたいから・・・その代わり」

「・・・期待してもいいわけ?それ、プロポー・・・・ひゃぁ?!」

「いいよ?贈ることには変わらないからさ」

 

綱吉は私の耳に顔を寄せてそこで囁くように告げた。

ああもう恥ずかしいじゃない!

クスクスと笑った綱吉は、「前とは立場が逆だな」と言った。

前・・・まだ私がボンゴレを理解していなかった時だ。

あの時はまあ、綱吉もあまり心を許せない男だったわけで。

 

「・・・ねえ、これ、着てくれる?」

「ねぇ、これって・・・サンタコス・・・?」

「うん」

 

綱吉はサンタコス(ミニ)を手渡した。

ミニって・・・つまり、あれな長さなわけで。 

私は綱吉にそれを押し返す。

 

「い、や!なんてもの着せようとしてんのよ!?」

「霊夢サンタ見たい!お願い!」

「嫌なものは嫌!」

 

しならくその口論は続き、ちょっとした『お願いの仕方』をされたら・・・私はしかたなく着ることになった。

ぜっっっっっっったい!もう着ない!

 

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獄寺Sido

 

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ(ry

 

・・・・そんな音で俺は目が覚めた。

何これホラー。

しかたなくドアを開けると、待ってましたと言わんばかりに俺に飛びついてくる女。

霧雨魔理沙だ。

 

「よぅ!おっはよーさん、獄寺!」

「・・・なんの用だ?」

「なにいってんだ!今日はクリスマスだぜ?だから来てやったのぜ~。おっじゃまします!」

「・・ああ、今日だったな」

 

俺は霞む思考をシャキッとさせるため冷水を顔にかける。とまあ、魔理沙がきた時点である程度目は冷めているんだが。

魔理沙は上機嫌で台所に立った。

 

「・・・お前が作るのか?」

「おう。どっかの寝坊助のためにな」

「そうか」

 

ソファに腰掛けると、「反応が薄いぜ~」なんていいながらガサゴソと漁り出す音がする。

なにをしているんだ、あいつは。

台所を漁ってるということは何かを作ろうとしている。

確かあいつガサツだから・・・・。

台所が荒地となりそうだ。

 

「んぁ?獄寺、どうした~?」

「いや、・・・手伝う」

「いいっていいって!」

 

魔理沙は俺を台所から押し出そうとする。

その手をつかんで俺はまた台所に押し入る。

 

「・・・いいから。作るんだろ?」

「おう!」

「またバカなことを・・・」

「流石に荒地にはしないのぜ~?」

「嘘つけ。前は何を作っても散らかしてたくせに」

「厳しいなぁ・・・」

「そもそもがっ!!」

 

俺はビシィッと擬音がつきそうな勢いで魔理沙を指差す。

魔理沙はびっくりして俺を見る。

 

「お前の家は足の踏み場すらないとはどういうことだ?!俺が行くたびに掃除しなくてゃいけないとはお前どういう過ごし方して・・・うおっ?!」

 

俺の説教に飽きたか魔理沙は台所漁りを再開した。

なんだってマイペースなんだ・・・!

台所が一瞬にぐちゃぐちゃになる。

 

「おい、魔理ッ・・・!」

「黙って見てろっ!美味い飯食わせてやるんだからなっ!」

「・・・!・・・あー、ならせめて片付けも自分でやってくれよ?」

「それはヤダ」

「なっ?!ま、魔理沙!」

「あっはは!!まあまあいいじゃねぇかよ~」

 

良くない、と叫ぼうとしたがやめた。

魔理沙は袖をまくり早速作り始めた。

何だかそれを見たら叫ぶ気も失せてため息を吐く。

必死になってやってくれようとしてくれる様をどうしても止めようとも思わない。

 

「・・・んじゃあ俺はあっち行ってるか」

 

踵を返してリビングを片付けることにした。

・・・その後、俺は台所を片付ける羽目になった。

まあ、飯は美味かったからいいか。

 

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妖夢Sido

 

  山本さんは今日も忙しかった。

試合だそうだ。

他の野球部さんはとてもブーイングをしていた。

さすがに恋人さんがいる人もいたんでしょうね。

私は試合を観戦したあと、寒いけれど山本さんのお家に向かっていた。

どうやらお話があるらしく、試合が終わったらきて欲しいとのことらしい。

まあ暇っていうか・・・クリスマスだから特に異論はないのですが。

お話ってなんでしょうか・・・?

 

「こんにちはー!」

「おう!妖夢ちゃんか!上で待っててくれ!」

「はい~!」

 

お家にお邪魔して、 お部屋で待たせていただく。

山本さんのベッドに腰掛け足をぶらぶらさせる。

荷物から木刀を出して素振りでもしようか?

でも流石に人の部屋で素振りは・・・。ものを壊したらまずいし。

私は荷物から木刀をちらつかせながら悩んでいた。

やがて山本さんが帰ってきたらしく部屋へ入ってきた。

ビクリと肩が震えてしまう。

 

「妖夢?」

「あ、えっと、お、おかえりなさいっ!」

「なんか、こうしてると夫婦みたいだなぁ」

「ひゃぁ?!」

 

ふ、夫婦・・・。ニヤついてしまうより先に、私の後ろに、私を抱えるように座ってきた。

すごい接近してて、とても緊張する・・・!

 

「なあ、妖夢。話、なんだけどな?」

「は、はい・・・あ、あの、私になにか至らないところが?」

「・・・そういうことじゃないんだけど。そうだなぁ」

 

頭を掻きながら山本さんは言葉を選んでくださっている。

私はただ山本さんに寄りかかって待つ。

ぎゅうっと抱きしめられる。うう、恥ずかしい・・・。

 

「妖夢はさ、ちゃんと俺のこと、好きだよな・・・?」

「はいっ、好きですよ?」

 

ニッコリ笑って見せると、くいっと引っ張られて口付けられる。

突然のことにあたふたするばかり。

 

「メリー、クリスマス、妖夢」

「きゅ、急になんですか・・・?」

「んー?言いたかっただけなのな~」

 

にやけた山本さんに「もう」とため息混じりにつぶやく。

肩の力を抜いて、なるべく不機嫌そうな表情で山本さんを見上げる。

私の顔を見てちょっと驚いたようにしてみせた。

 

「なんだ?」

「不安なんですかー?」

「いやぁ、だってさぁ?こういうのって再確認した方がいいかなって」

「信じてないことになりません?」

「ないね。俺は妖夢が大好きだしな!」

「・・・好きなのと信じてるって、意味が違いますよ?」

 

私が苦笑しながら言うと、山本さんは「お?」と目を見開いた。

 

「ふふっ。山本さん。大好きですよ」

「俺もなのな!」

 

私たちは笑いあって、ベッドに倒れこんだ。

山本さんはすぐに寝始めてしまったようで、寝息が聞こえる。

・・・なんだかレアなシーンだ。

そっとその頬にキスを落とす。

 

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レミリアSido

 

「メリークリスマース♪」

「・・・ディーノ、あんたなにしてるのよ?」

「開口一番それか?ほら、もっとあるだろ?『ディーノ!私さみしかった!』みたいな」

 

ディーノは私の部屋に入るなりそう叫んだ。

私がそっけなく返せばディーノは悲しそうに苦笑した。

ちょっとした小芝居があり、私は苦笑する。それにディーノは明るい表情を見せた。

が、

 

「私が自分から泊まりに行ったのにそんなこと言えるかっ」

「ぐはっ」

 

腹に一発拳を叩き込む。

久しぶりの対面。しばらく仕事で忙しそうだったからという配慮。私はその間沢田綱吉の家に泊まっていた。

その間は全く会わなかったのだ。まあ、ディーノが怒るのは当たり前。

だが、こんなにも上機嫌で部屋を訪ねるなんて、到底あり得ない話。

しかしそれは他の人間だったら、だ。多少例外はあるだろうが、このディーノはその例外に値するだろう。

上機嫌な理由は、おそらく会えて嬉しいから・・・。なんて、自惚れるようなことを考えてしまう。まあ十中八九そうであろうが。

サンタの服装をしたディーノが何もないところでこける。

しかも、後ろへ。

ドジっていうか、不運っていうか・・・。

私は蔑んだ目で見下ろす。

 

「・・・あんた」

「いや、ちがっ!これは足を・・・!」

「関係ないわよ。ほら、早く起きなさ———」

 

クイッ「ひゃぁ?!」

 

私が助け起こそうと手を延ばせば、その手がディーノによって取られる。

引っ張られ、私はディーノの胸の中へ・・・。

密着している。そう思った私の心臓は信じられないくらいバクバクと鳴っている。

背中に手を回された上に手も取られ。

 

「っ・・・く!その手を離しなさい!」

「なんでだよ?」

「恥ずかしくてならないの!ほら、さっさと!」

「・・・なんでだよ」

 

ぎゅう、と抱きしめられる。

絶対心臓の音聞こえてるって・・・!

彼の低い声にまた反応してしまう。

 

「・・・え?」

「なんで、会ってくれなかったんだ?」

「だ、だってあんたは、仕事があって・・・!」

「それの途中でもよかったろうがっ!!」

 

くるりと視界が回る。気がつけば、ディーノが私の上に馬乗りになっていた。

辛そうで、悲しそうな目。

私がいないことに、そんな耐えられなかったの?

 

「レミ、リアァ・・・!」

「あーもう、はいはい。私が悪かったわ。ごめんなさいね、ディーノ」

「ゆるさねぇ」

「はいっ?」

 

ディーノは私の首元に顔をうずめて肩を震わせたかと思うと、起き上がってどこか面白そうな目で私を見下ろした。

 

「レミリア、俺プレゼントはお前がいい」

「ふざけてんの?酔ってんの?殴って目を覚ます?」

「生憎、俺は正気だ」

 

ニマッと笑んだディーノは、私の頬に手をはわす。

ずぞぞ、と鳥肌が立った。

 

「い、いい、いいかげんにしなさあぁあああああああああああい!!!」

「うぎゃぁ?!」

 

恥ずかしさのあまりつい顔面頭突き+股間膝蹴りを入れる。

ふぅ、スッキリ。

私は近くを通りかかった男にディーノを運ばせるようにお願いする。

・・・ディーノのポケットに、プレゼントをいれるのを忘れない。

どことなくしてやられた感が拭えないまま、ベッドにダイブした。

 

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早苗Sido

 

  ベルさんが寝てる。

くすり、と笑いながらそのソファに近寄る。

静かな寝息。ベルさんが安心して寝ている証拠。

何故か嬉しくなって、ついベルさんに抱きついてしまう。

するとベルさんは起きたらしく、私の肩に手が置かれた。

 

「・・・なに?急に・・・」

「いえ、なんだか嬉しくなったので!」

「よくわかんないけど、まあいっか」

「あ、また寝るんですか・・・?」

「キシシ、睡眠は大事ってしつこく言って来たの、誰だっけかー?」

「・・・う、私ですけどぉ」

 

ベルさんは確信犯だ。寝ようとすれば私が悲しむのを知っている。

それを知った上で、言っているというのだ。

私も、それを知っているんですけどね・・・。

 

「じゃあ寝かせてよ」

「で、でもぉ・・・」

「なんで?」

「え?」

 

ベルさんが私の手を掴み取る。

それによりバランスを崩した私はベルさんに跨るような体制になってしまう。

 

「う、うひゃぁああ?!べ、ベルさん!?」

「なんで?」

「さ、寂しいんですよ・・・。折角のクリスマスで、しかもお仕事もない日なのに」

「ふぅん?そっか。だから寝たいんだけどな」

「うう、ですよね・・・。じゃあ、せめてそばに居させてください」

 

すると、ベルさんが私の発言に目を丸くした・・・ように思えた。

ベルさんの手を握って、真剣に相手の目を見て。

ため息をついたベルさんは「いーよ」と言ってまた目を閉じる。

 

「もう、私の気持ちもわかってもらえないなんて・・・」

 

手を握ったまま私は頬をほころばせた。

 

「私ったら・・・。でも、嬉しい・・・。ベルさんも、私を想ってくれてるんですよね?」

 

なんてつぶやけば、急に引き寄せられて。

目の前にはベルさんの顔(?)。

唇に暖かな感触があることから、キスされてるんだと気づく。

 

「べ、ベルさ・・・」

「愛してる」

「っ?!」

 

息が詰まる。

急な言葉にどうしても返す言葉が見つからず、抱きついて顔を隠す。

絶対、絶対変な言葉で返してしまう!

 

「キシシッ。傑作、その顔」

 

くいっとあげられた私の顔は赤いだろう。

ニヤリと笑ったその顔に私はただ睨むだけ。

 

「ベルさん・・・?」

「やっぱやめた」

「へっ」

 

気の抜けた声を出してしまう。え?やめたって?

つまり、私は遊ばれたってこと?

 

「なんか、そのまま放置するのも面白そう♪」

「ひ、酷いです!ベルさんのばかっ!Sさんっ!」

「だって俺、王子だし♪」

「関係ないです!ベーッ!」

 

ベルさんは笑って去っていく。

うう、やられた・・・!

私は渡し損ねたプレゼントをしまい、選ぶのが遅かった言葉を飲み込む。

ソファに座れば、スクアーロさんが目の前のもう一つのソファに腰掛けた。

 

「・・・はぁ」

「んだおい・・・」

「何でもないですよー。さて、部屋に戻りますね」

「あー・・・」

 

さっさといけと言わんばかりにスクアーロさんが手を振ってくださった。

 

ゾクッ

 

・・・あれ?なんででしょう?

今とても悪寒が・・・。

 

「さっさといけっ!!」

「へ?!え?!はい!」

 

駆け出す。

視界のはしに、面白くなさそうなベルさんが居た気がした——。

 

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咲夜Sido

 

「咲夜。欲しいものはあるかい?」

「いえ、特には。雲雀さんのお側に居られればそれで十分ですので」

「そうか・・・。じゃあちょっと出かけてくるよ」

「え?雲雀さん?」

「明日には帰ってくる」

 

ふらりと出て行った雲雀さんの言葉。

明日・・・?

 

(ああ、明日はクリスマスなのね。・・・でも、どうして欲しいものなんか?)

 

私は首をかしげた。そんなこと、聞いても意味もないのに。

彼の行動の意味がわからないまま、その日は終わった。

  翌日、私の玄関には箱が置いてあった。

あまり大きくもない箱。

 

「・・・なにかしら?」

 

その箱を開ける。すると、そこには銀製のナイフ。

ご丁寧にいつも使っているものを選んで買ってきてくださったらしく、手に馴染む。

妖夢たちと手合わせするときはいつも全力で、ナイフは何本あっても足りないもの。だからか余計に嬉しく感じる。

 

「・・・雲雀さんは私をナイフ使いとしか思ってないのかしら?でもまあ嬉しいし・・・もらっておきましょう」

 

他に何かないか探っていると、箱の奥に紙があった。

 

『並中の応接室に来なよ』

 

急いで書いたからか汚めの字でそう書いてあった。

適当なノートの切れ端。

冬休みに学校へ来い、だなんて雲雀さんらしくって、なんだか笑えてしまう。

 

「ふふっ。仰せのままにってね」

 

私はその紙をポケットに、ナイフを太もものホルダーに入れていく。

まあ入らないものは私服の中に仕込む。

そうして、私は出かけた。

 

 

「やあ」

「なんでしょうか?」

「・・・ナイフは喜んでもらえたかい?」

「ええ、ありがとうございました。おかげでまたあの戦闘狂の後処理が出来ます」

「そうか。思えば魂魄妖夢と君は仲が良かったね」

「仲がというよりは、腐れ縁ですし。霊夢たちと一緒に暴れるものですから、大変でしたよ」

 

肩を竦めながら雲雀さんに返事を返す。

雲雀さんはふっと笑みを浮かべながら、私に問うた。

 

「君は、今本音で話しているか?」

「はい。勿論。自らが付き従う人には嘘偽りなく話すよう、自分でも意識していますから」

 

なるべく、冷静に。

こんな質問をされる意味がわからないけれど、雲雀さんのことだ、「何となく」なんて言葉で片付けられるだろう。

ならば、わざわざ聞く必要はどこにもない。

返事が決まっているのなら、わざわざ聞いても意味もない。

雲雀さんは笑みを浮かべたまま、私を見やる。

 

「ふぅん?」

「それにしたって、どうやって玄関に・・・」

「君の家の合鍵は僕がもらってるからね」

「・・・そうでしたね」

 

私としたことが、忘れていた。

雲雀さんは嬉しそうにチャラチャラと鍵を指で回す。

「見せるようにしなくていいですから」なんて言えるはずもなく。

苦笑して雲雀さんの行動に異を唱えなかった。

 

「君、さっきからムカつく」

「えっ?も、申し訳ありませ・・・」

「咲夜」

「・・・な、なんでしょう?」

「謝るな。そういう態度も見ててイライラする」

「は、はぁ・・・」

 

雲雀さんが急にイラつき出したのを見て、私はびっくりして雲雀さんをみる。

雲雀さんは私の視線に気づいたのか、「なんだい」と聞いてきて、それに咄嗟に「いいえ」と返す。

何かをつぶやくようにした雲雀さんは応接室の椅子に腰掛け、窓の向こうを見た。

 

「・・・」

「・・・あの?」

「君は、僕のものだよ」

「え・・・」

「君がこれからも付き従うのは、僕だけだって言ってんの」

「はい、勿論でございます」

 

照れたように、こちらを見てからそっぽを向いた彼。

精一杯の笑顔で、見つめた。

 

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炎真Sido

 

「アリス、寒くない?」

「え、ええ。私は平気よ」

「そう?」

「そうよ」

 

アリスは俺の心配は必要ないとでも言うように明後日を向いて言った。

「俺はそっちには居ないよ」なんてからかうように言えば、小さく「うるさい」と咎める声。

今日はクリスマス。だから部屋なんかにいないで、外でデートしようと誘ったのは俺。

だってアリス、ずぅっと中で本読んでるから。

クリスマスはカップルが溢れかえる日だ。そんな日に便乗しない手はないし、なにより、この一日をアリスと過ごしたかった。

プレゼントは用意済み。タイミングを見計らって渡せばいいだけ。

俺はアリスが手に息を吐いているのを見た。

それを見た瞬間、本能的に俺はその手を掴むように握る。

氷じゃないかと思うくらい、その白い手は冷たかった。

 

「・・・わ、手冷た」

「な?!なにしてんのよ?!」

「いやだってあっためなきゃ」

 

アリスの手を取って、俺は驚いたような声を出す。

まあ知ってたことなんだけどさ。

アリスはそれこそ驚いて、俺を見る。

なんか、そんな様が可愛くってつい笑ってしまう。

 

「いいいい、いらないわよ!?ほ、ほら、手、手!手、離しなさい!」

「あはは、焦りすぎだよアリス。ほら、離した」

「・・・ふんっ」

 

機嫌を損ねたようで、アリスは顔を真っ赤にしたまま別方向を見た。

いつものことだから俺は気にしないけど、さ。

 

「ごめんって。寒そうだったからさ、ね?」

「・・・まあ、気遣ってくれるのはありがたいけれど、その・・・一言言って」

「じゃあ、手、握っていいかい?」

「・・・どうぞ」

 

か細い声で承諾された俺はすぐアリスの手を握った。

アリスは恥ずかしいとでもいうように、手と俺の顔とを見て、俯く。

なんだかやりすぎたような気すらする。

 

「アリス?具合でも悪い?」

「誰のせいよ、誰の・・・!」

「いひゃいいひゃい、ほっへふかはないれ」

「全くもう・・・」

「・・・はい、アリス」

 

俺はアリスに手袋を渡す。

最終手段・・・というか、自分が持って生きていたことを忘れてただけなんだけど。

 

「・・・最初からだしなさ・・・じゃなかった。ありがとう」

「どういたしまして・・・と、偉かったね。言い直せて」

「うるさいわね」

 

俺の手袋をつけて、その手を自らの頬に当てる。

人目を気にしているのか、アリスはキョロキョロと辺りを見渡す。

しばらくそうした後、アリスは覚悟を決めたようにすると、これまた小さく俺の名前を呼んだ。

 

「・・・炎真」

「ん?」

「えいっ!」

「あ、アリス!?」

 

なんと、アリスが俺の腕に抱きついてきたのだ。

俺は何が起こったのかわからず、瞬きしたのちに控えめにこちらを見上げるアリスに、何も言えなくなる。

可愛いっていうか、なんていうか。

 

「ええっと、じゃあまあ歩こっか」

「え、ええ」

 

俺は、ポケットの中の箱を掴んだまま、アリスと一緒にクリスマスで浮かれる街を歩いて行った・・・。

 

——————————————————

 

フランSido

 

「ボス、ボス!サンタやってー!」

「うっせーガキ。んなことするほど俺は暇じゃねぇんだよ」

「ぶー!じゃあ外連れてってよー!霊夢は、霊夢かボスを連れてたら外出ていいって言ってたもんっ!」

「どんだけ前の話だよ、馬鹿野郎。とっとと行け」

「ダメなんだもん!霊夢が怒る~~!!」

 

ボスにフランドールが掴みかかってる・・・。

そんなの、ミーに言えば済む話なのに。

フランドールが半泣きになりながらボスにくっついて歩く。

すると、そんなフランドールとバッチリ目が合う。

ミーはなんか知らないけれど目を離してしまった。

しまった、目を合わせた!

そろーりと視線を戻すと、そこには期待の色を浮かべたフランドールがボスの背中に張り付きながら笑っていた。

ああ、やっぱり。

ターゲットはボスからミーに変わった。

 

「ねえねえフラン!フランは連れてってくれる?!」

「いやですよー。なんでわざわざ寒い中いかなきゃいけないんですかー」

「うー!ボス!フランならいーい?!」

「あ?本来ならカス鮫とか・・・あーあーいいよ連れてけばいいじゃねーか」

「わーい!ボス大好き!」

「げぇ、ボス・・・ミーを売りやがったですねー」

 

フランドールになんかして、ボスを訴えてやる・・・!

なんてのを考えながら、ミーはソファから動かない。

このまま寝てもいいけど、それだと壊されかねないな・・・。

フランドールがミーの腕をグイグイ引っ張って訴えかけてくる。

ガンとして無視。

 

「・・・なんでいかないの~?」

「あまり外出たくないっていうか・・・」

「私も一緒だよ!」

「なお心配ですー」

「酷いよおっ!」

 

フランドールががっかりしたようにうなだれる。

ミーはため息をつきながらフランドールを抱きしめる。

やや顔を染めたフランドールが何事かとこちらを見上げてきて、その拍子にひたいに口付けを落とす。

 

「ふぁ?!」

 

顔を真っ赤にして怯むフランドールをボスに預け、ミーはそこからなるべく早めに立ち去る。

 

「しまった・・・やってしまったで・・・ぶぐぅぶ!?」

「ふ、フラン!話は終わってないよぉ!」

「・・・なんですかー?まだ外をご所望ですかー?」

「うん!」

「・・・はぁ」

 

フランドールのキラキラした目になにもいえない。

しかたない、と腹を括る。

彼女の頭を撫でてやって、ミーも準備に入る。

ヴァリアーの制服で出歩くわけにもいかない・・・。私服に着替えてこよう。

部屋へ向かおうとすると、フランドールがミーの前に出てくる。

ちょっとむくれたようにフランドールがこちらを見上げながらじとっと見つめてくる。

怖くはないのでいたって普通に、フランドールの問いに答えた。

 

「どこいくのー?」

「着替えるんですー」

「逃げない?」

「逃げないー」

「ほんと?」

「ほんとですー」

「嘘!ついてく!」

「・・・うへぇ」

 

フランドールは、今度はミーに抱きついて、「いこう!」と楽しげに笑う。

まあ、これは着替えている途中にどんなアクシデントが起きてもしかたないですねー。

 

「・・・カスどもが」

 

どことなくさみしげに聞こえたボスのつぶやき。

はいはいリア充はぜろなんて考えてるんでしょうねー。

なんでだろう、ボスが近しい人に見えてきた・・・気のせいかな。

 

「ねえねえ、フラン!どこいこっか!」

「どこにしますかねー」

「真剣に考えてね!」

「えー」

 

フランドールが、「なんで!」て抗議するの聞かず、部屋へ入った。

——部屋を出る頃には、そこにはもうボスの姿はなかった。

 

 





恋人になったやつら。
カップリング的な呼び方ですすいません。


・ツナ霊:お互いを名前呼び。そして信用しあっている間柄。片方が鈍感+淡白、片方が鈍感+ヘタレなため進展は少ない。十年後のイケメンツナなら何か変わってるかも・・・。

・獄マリ:魔理沙が構ってオーラ振りまき中。獄寺はただひたすらそれを構ってついて回って悶えてる。多分。たまに獄寺が行動に出たら魔理沙は逃げる。獄寺乙。

・山妖:ラブラブきゃっきゃ。山本がノリでいじって妖夢が混乱。それ見て和んだら山本は行動に出る。妖夢はただされるがまま。意識してない時の方がいちゃついていると思う。

・ディノレミ:カリスマになりきれないレミリアに付き合うディーノ。部下がいなくても、レミリアがいるならとかそういうのあったらウマイですもぐもぐ。

・ベルサナ:みんなに笑顔を振りまく早苗。嫉妬に満ち溢れるベル。そしてなんだかんだ愛してあげるんですねわかります。ヤンデレ可能!(勝手な自己分析です)

・ヒバサク:独占欲強い雲雀とずっと付き従う咲夜。なんだかんだうまくいってるけど恋愛要素はそこはかとなく少ない二人。

・炎アリ:アリスのコミュ力だから自分から行動なんてできるはずがない!できたとしても恥ずかしさで硬直するだろう!炎真、リードしろ!

・フラフラ:二人がそういうことに興味なさげだから想いはあっても行動が・・・。まあ、でも愛が確かめればなんでもいいやって、公衆の面前でもすると思う。(たまにフランドールがてれる)


ベルサナが短いなんて言わない。ネタが無いんだ。
室内クリスマスだったら前三組が使い尽くしたって感じがするし、なによりこの二人がクリスマスとか特別な日にニコニコしてる様が思い浮かばない!!!

フラフラにボスが出たのは・・・まあ、しかたないことだよ。うん。
・・・ボスとフランちゃんが仲良くしてるのを見てなんだかわだかまりを感じるフランにフランちゃんが「一緒に~」というのが最初の構成でした。あれ。

ヒバサクが案外スラスラかけてびっくり。
字数気にしてたんだけれどね。

獄マリ、山妖が詰まりつつも楽にかけた感じです。
ツナ霊は・・・もう現代と形成逆転してる気がするからこいつら本当にツナ霊か?!って書き終わったあと思いました(笑

というわけで、クリスマス編でした!
楽しんでいただけたでしょうか?
では、本編の方も、これからもよろしくお願いします!


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バレンタイン!~とある四組+二人の甘い話?~

今回は、現時点でいる彼らのバレンタイン話。
残った組は・・・多いけど、次のバレンタインがあれば、ぜひ。
・・・ホワイトデーあるかなんて思ったけれど、それまでにそこまでいくかどうか・・・。
こういうイベントはN氏がほっぽっとくから自由だけどネタがなくなるという・・・。
というわけで、ツナ霊、山妖、獄マリ、ヒバサクです!
フランドールも誰かにあげる・・・・!!!?


ツナSide

 

  ああ、どうしよう。

なんともいえない感覚に、目の前が見えなくなる。

今日はバレンタイン。

恋人たちが想いを確かめ合う日、とオレは認識している。

しかし、それと同時に、色恋には無縁なオレは特に苦手なイベントだ。

友人たちは義理でももらえるのに、オレだけはいただけないこと。

そして、オレを無いもののように無視してチョコを持って歩く人たちがいること。

それだけではない。オレを見て、笑うやつまでいるのだ。

・・・今年もまた、オレは笑われていた。

なんで、バレンタインは平日にあるんだろう。休日ならよかったのに。

 

「・・・沢田」

 

何時の間にやら目の前にいた博麗が、机に突っ伏すオレを見下ろす。

オレは、その姿を視界に入れようとせず、顔をうずめたまま。

 

「なんだよ、博麗。笑いにきたのか・・・・ん?」

 

コト、と、机に何かがおかれる音がした。

オレは弾かれるように起き上がって、そのものを認識する。

 

「ほら、チョコ。今日はバレンタインでしょ?・・・どうせ、あんた暇そうだから、こういうのあげてもいいかな、なんて思ったの」

 

包まれた箱。

ふと上を見上げれば、やや顔を染めた博麗が恥ずかしそうにそう言った。

口調はいたって普通。むしろ、いつもよりつっけんどんだ。

 

「まさか、毒物は入ってないよね?」

「入れると思ってるの?さすがに、その・・・。人に善意であげようと思っているのに」

「あはは。そりゃそうだね。悪意しかなかったら断ってた」

 

博麗が顔を赤らめて言い淀んだ訳は聞かないでおこう。うん。

オレは包みを開ける。

すると、博麗が目を見開いてこちらに向かって叫んだ。

大慌て。

 

「ちょ、ちょちょ!?何ですぐ開けるの?!」

「別にやましいわけじゃないだろ?ならいいだ・・・ろ」

 

オレも目を見開く。

なんていうか、その・・・。

可愛い趣味してるなぁ、なんて。

様々な動物型のチョコレートクッキーが箱に入っていた。

チョコ・・・うん、チョコだ。クッキーでもチョコが入ってる。

 

「・・・」

 

博麗が歩いて行き、席に座る。

オレは一つ口にして、博麗に声をかけた。

 

「美味かった!ありがとな!」

「ふんっ。当たり前よ・・・」

 

はずかしそうに顔を背けた博麗がなんだか可愛く見えて、とても嬉しく思った。

また一歩、博麗を知れた、なんてね。

 

——————————————————

 

魔理沙Side

 

・・・べつに、霊夢に触発されたわけじゃない。

包み箱をある場所においてきてしまった後に、私は言い訳するように心でつぶやいた。

誰にも聞こえることはない。

 

「あーあー、何で面と向かって渡せないんだか・・・」

 

簡単だ、はずかしいから。そして、気まずいからだ。

あれからずっとあいつ・・・獄寺隼人とはぎくしゃくしたままだ。

むしろ、嫌われているとしか思えない。

だけれど、私はあいつが特別好きなわけではない。

申し訳なさからだ。そうに決まってる。そうじゃなければ、ここまで手のこんだ物は作らないだろう。

 

「・・・おい」

「そうだ、そうなんだ!・・・って、うわぁ!?」

「なにがだよ」

 

噂をすればとかなんとか。

私の背後には、包み箱を持った男、獄寺がいた。

ん?その包み、見覚えがあるような・・・。

 

「あああああ!!!おま、それ私のっ!」

「・・・置いてったのはお前か」

 

どこかホッとしたように見えた獄寺。

しかし、どこかいやそうな響きを含んだ言葉に、つい私は「イラッ☆」ときてしまう。

 

「そうだよ!悪いか!」

「別に。ただ、一言言いたかっただけだ」

 

獄寺はそういうと、再び口を開き、声を放とうとするも、

 

「・・・」

 

そのまま静止してしまった。

しばらくすると、「なんでもない」と言って去って行く。

もう一度見た包み箱は、もうすでに開けられていて、中が幾たびか漁られたように見えた。

何で私だとわかったんだろう?

ふと、獄寺の表情が浮かんできて、一人で顔を熱くした。

あのホッとした表情・・・。

なんで。ああ言った表情を浮かべた?

あいつ、たくさんもらってるはずだろ?なんで、確認しにきたんだ・・・?

よくわかんねーけど、まあいいか。

気楽に考え、獄寺とは逆方向に歩く。

うう、なんだかしてやられた気分だぜ・・・。

 

(もう少し、笑ってやってもいいかもな、なんて)

 

自分で、自分を笑った。

それをしても、関係は戻らないのに。

 

——————————————————

 

妖夢Side

 

作ってしまったと、愕然とする。

慣れない洋菓子な上に、日頃の感謝の気持ちを、だなんて。

ありきたりすぎて、でもそれ以外のあげる理由は見当たらなくて・・・。

いやそもそもが、あげようと思うことすら間違っているんだ。

咲夜さんの助力もあって形にはなったが、普段作らない菓子は一段とあげるのがきつい。

もしや味が悪かったり、どこかで手順を間違ってたり、しないだろうか?

ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。

回る思考の果て、私は包みを机上に置いた。

私は机の上の袋を開けて、それを消費しようと手を入れる。

 

「なに食ってんだ?」

 

今、一番聞きたくない声が聞こえて、硬直した。

ふと顔をあげれば、山本さんがそこにいて。

 

「へぇ、チョコか!妖夢のおはぎはうまかったけど、チョコは始めてだな。誰かにあげるのか?」

「い、いえ」

「じゃあもらっていいか?」

「いやです!」

「・・・俺、嫌われた?」

 

どこか寂しそうに山本さんが言う。

私はとっさに「違うんです!」と否定した。

山本さんは私を見下ろす。

 

「慣れない、ものですし」

「・・・・ん」

「不味かったら、と」

「んー」

 

ひょいっと山本さんがチョコを口へ放り入れた。

「きゃぁあああ!」と悲鳴をあげてしまう。

 

「ん、美味い!甘くていいなー」

「そうですか・・・?」

「うん。さすが妖夢!」

「わ、私ではなくて、咲夜さんですよ・・・!」

「え?作ったのは妖夢だろ?」

「・・・ハイ」

 

山本さんの純粋な表情に、私は頷く。

「やっぱりな」と笑った彼。

きゅう、と心臓を締め付けられた気がした。

 

「妖夢?」

「へっ」

「ああ、この包ごともらってくな。じゃなー!」

「ええ、ちょ、山本さーん?」

 

山本さんは私の机の上から包みを奪っていくと、行く用事があったか教室から出た。

ただ呆然とその後ろ姿を見ていた。

 

(・・・喜んで、くださったならいっか)

 

気がつけばいつのまにか、私の顔には笑顔が浮かんでいた。

 

——————————————————

 

咲夜Side

 

心なしか、私の足は早くなっていく。

彼を見つけられない焦りか、それとも・・・。

いや、余計なことを考えている暇はないと首を振る。

応接間にはいなかった。校内を回ってもいなかった。

とすると、あそこしか、と屋上へつながるドアを開ける。

ドアを開けると、フワッと風が頬を撫でる。

それと共に、クスクスと声が聞こえた。

その声の方を向けば、雲雀さんが寝転がっていた。

彼の隣まで移動して、彼の目前にチョコレートを晒す。

チョコレート、というよりは、純粋に洋菓子と言った方が正しいかもしれない。

チョコを使った、マフィン。

彼はそれを手にとって、まず食らいつく。

それを見て、びっくりした。

見た目の感想もなしに、まず噛み付くのか。

 

「・・・ん。まあまあ」

「光栄です」

「・・・」

 

雲雀さんがこちらにマフィンを向ける。

意味がわからず、マフィンと彼を見比べてしまう。

行動の意味がわからない。

 

「・・・食べなよ」

「け、結構です」

「そう」

 

雲雀さんは諦めたのか、また食べ始めた。

なんだか、ホッとしたような嫌なような・・・。

従者にあってはならない感情である。消せねば。

 

「・・・ねえ」

「はい、なんでしょうか?」

「ホワイトデー、なにがいい?」

「・・・はい?」

「欲しくないの?あげようと思ったんだけど、美味しいから」

「も、勿体無いお言葉です・・・」

 

正直そう言っていただけると思わなかったので、バカみたいに驚いている。

雲雀さんが、私に?ホワイトデーで?

 

「・・・まあいいや」

「どっちの意味でですか」

「別に」

 

ふいっと顔を背けた雲雀さんに、私は少々笑う。

なんだか、オモチャを壊した子供のような・・・。

 

「なに?その視線」

「いえ、失礼しました。では、これで・・・」

「咲夜」

 

急に名前が呼ばれて、ビクッとしてしまう。

 

「・・・もうちょっとここにいたら?」

 

顔は見えない。

私は、ただ「はい」と返事して、そばに座った。

 

——————————————————

 

フランドールSide

 

私は、マーマさんに教わったチョコの作り方を実践した後。

その出来上がったものをせっせと箱に入れて、それを持ってリボーンのところにいく。

 

「リボーン、リボーン!」

 

渡したいと思っていた人の名前を呼んで家を駆けずり回る。

探し人は、つなよしの部屋で優雅に読書していた。

私に気づいたか、リボーンはハンモックから降りて挨拶してくれた。

 

「ああ、フランか、ちゃおっす」

「ちゃおっす!ねえね、これ・・・あっ!」

 

慌てていたせいか、リボーンに渡す前に落としてしまう。

ぐしゃっ、と聞こえた。

落下の衝撃で、きっと『脆かった』チョコレートが壊れちゃったんだ・・・。

箱の蓋が空いて、中から壊れたチョコレートカップケーキ。

こぼれたカップケーキのかけらを、リボーンはつまみ上げた。

 

「・・・うん、うまい」

「な、なんで食べたの?落ちたものだよ?!」

「なんでって、作ってくれたんだろ?だったら食うさ」

「リボーン・・・」

「ちょうど腹も減ってたしな」

 

リボーンは、こぼれたカップケーキを箱に戻して、キッチンに持って行った。

私はそれについていく。

すると、マーマさんから皿とスプーンをもらって、皿の上に欠片を出した。

 

「・・・フラン、ありがとうな」

「リボーン!だいすきー!!」

 

スプーンですくい、口にいれた瞬間、私は思いっきり抱きしめた。

そのリボーンの顔は、確かに笑みを浮かべていた。

・・・まるで、いないはずの娘を見るような顔で、笑みを浮かべていた。

 

「フラン」

「なーに?」

「うまいぞ」

「えへへー!ありがとう!頑張ったんだよ!次はもっと頑張るね!」

「ああ、楽しみにしてる」

 

リボーンの言葉は、私の心にジーンと染み込んで、私はまたやる気を出した。

次は、リボーンに、「超うまい」と言わせてやるんだー!!




甘い・・・甘い?
という感じの話になりました。それでは、四組解説。

ツナ霊
霊夢さんがデレればいいと思います。
そしたらきっと・・・うまくいかないな、ツナくんヘタレだもの。
バレンタインはクッキーを渡しました。これは、普通にチョコとどっちにしようとは思いましたが、霊夢が本命チョコだと(おい)わかるようなものは渡さないと思います。絶対。

獄マリ
この時の二人はギクシャクモードです。
ギクシャクモードが解除されればきっと魔理沙が「獄寺ー!バレンタインだろ?チョコやるぜ!」なんてノリでグイグイ行きます。きっと獄寺タジタジ。
この組だけ、何を渡したのかは明記されてません。

山妖
オーソドックスなチョコを渡すことに。
妖夢さん、白玉楼出身ですし洋食より和食派=あまり洋菓子作らないっていう設定あったらうまいなって。
そのせいで自信ないから渡せずいつも山本くんに先取りされるといいね。なおいいね。
そんな妄想です。

ヒバサク
きがついたら二人がほのぼのして終わってしまう。
今回、雲雀さんの性格が安定しませんでした。
友人N氏に殴られる・・・!!!(ガクブル)

リボーン+フランドール
フランちゃんはリボーンが好きです。お父さんみたいで。
今現在、家族は出てきてませんし、お父さんのようなリボーンと一緒に居たくなるんじゃないでしょうか・・・。ツナはお兄ちゃんポジション(断言
そして、さりげなくリボーンもフランを可愛がってたらいいかなって。

というわけですね。
ではでは、よいバレンタインを~!


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現在~外界異変の始まり~
プロローグ


プロローグです。


——少女は賢者に決められるのを拒んだ。


 

 

「いやよ!なんであんたに決められなければいけないの?!」

 

赤いリボンが、やや茶の混じった黒髪が揺れる。

普段は閉ざされていることの多い口が、いつもより大きく開かれている。

その表情には怒りの色が滲み、その握りしめた手で、バン、と卓袱台が叩かれた。

卓袱台の上におかれていたもの・・・写真が舞う。

幻想郷にやってきたメモリーカードなどによって色鮮やかに移されたソレは、畳の上に落ちていく。

 

「しかたがないことでしょう?それは、代々伝わる『ウチ』の博麗の巫女の運命、『しきたり』よ」

 

女性——八雲紫——は目を閉じ、冷静なまま茶を飲んで・・・そんな巫女に返答する。

ぐっと言葉が詰まった巫女は一旦落ち着いて座り直した。

未だ不服そうなまま。

 

「・・・とにかく私はいやよ」

「もうスキマをつないでしまったのに?」

 

ひょい、と手を上げ、また指を動かせば、くぱぁと開くスキマ。

空間に切れ目が出来、それが中央から開いていく。両端はリボンで結ばれている。

そしてその中には・・・大きな目が幾つも幾つもあった。

趣味の悪いものだ。こんな目がいっぱいで、どうして見ていられるのか?

 

「・・・だけどいやよ。そんな『しきたり』に従いたくないわ」

「『ウチ』の博麗の巫女は代々、とある世界の中で力を持つものと婚約し子を成してきた・・・それを潰える気?」

「潰える潰えないじゃないの。そもそもがどうして・・・」

 

巫女は唯一卓袱台の上に残っていた写真・・・否、先ほど巫女が卓袱台を叩いた際、命中し舞い上がることはなかった写真を八雲紫に押し付ける。

 

「こんな、たいしてパッとしない男なわけ?!」

「その子と結婚しなさい。きっと、感覚の鋭い子が産まれるわ」

「結構よ。する気ないわ。しなくても紫が連れてくるでしょう?」

「それは緊急よ。あなたが子を産む前に死んだ時の対処法なのよ。あなたが産まないといけないの」

 

写真を受け取った八雲紫は渋い顔をして写真をまじまじと見る。

巫女は「ふん」とそっぽを向くと、次の瞬間立ち上がって不機嫌そうに障子を開け、閉め、八雲紫の家から立ち去った。

感覚でわかった。彼女は八雲紫の式神に止められても止まらず、博麗神社まで戻るのだ。

クスリ、と笑んで指で写真をつまんで懐にしまう。

 

「いいと思うのだけれど、『沢田綱吉』は」

 

ポツリとつぶやいた八雲紫はその口元に笑みを浮かべ、スキマを展開した。

 

「藍、橙、準備なさい。わからせてあげるわ、霊夢」

 

 

 

———「『しきたり』の重要性を、沢田綱吉の元でね!」




『しきたり』で、こんなんあったらいいなって。

次回から、急展開ながらそれぞれ東方メンバーとリボーン主メンバーを会わせていきます。
キャラは調べながら。
リボーン読んだことありますけどね・・・(汗
では!


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一話:訪問者につき頭上注意?!

三人の視点から。

霊夢、妖夢が合流します。


???Sido

 

  『ボンゴレファミリー』ーーー。

そこのボスになったオレは城をたてて、地域ならず世界を守るための自警団として、マフィアを栄させた。

もう、ボスになりたくないと泣いたあの時が懐かしいな。

アイツは、いないけど・・・・。でも、いると信じてる。

そうじゃなきゃ、未来を変えてきた意味もない。

と何時の間にか思い出に浸っていると、コツリと額が叩かれる。

それまでまったく気づかなかった、戦友の姿がそこにあった。

 

「や、綱吉」

「炎真・・・なんだい?久しぶり・・・ではないけど」

「うん。外が騒がしくってね。どうせなら一緒にと思って」

「そうか。じゃあいこうか・・・どうしたの?」

 

オレが椅子から立ち上がった瞬間、ボンゴレの一員が部屋に駆け込んでくる。

血まみれで、傷だらけ。

なんでだ。

 

「ぼ、ボス!!ただいま、謎の物体と少女たちの交戦が、ボンゴレアジト上空で行われている模様!ボンゴレ一員も、守護者さんたちもみんなで戦ってます!流れ弾がーーがふっ」

 

報告しようとしている人は、あまりに早くしゃべりすぎたおかげで吐血した。

オレは未だにしゃべろうとしている人の隣へ駆け寄り、制止させた。

 

「しゃべらないで。わかったから。炎真、近くの人に救援お願い。先いってる」

「うん、わかった」

 

オレは、走った。

 

 

 

外へ出ると、そこは戦場だった。

よくわからない生物と、少女が戦っていた。

な、なんだあれ!オレはただ走って行った。

そのうちの一人、紅白の巫女服の人の元に!

 

—————————————————

 

??Sido

 

  雑魚妖怪をなぎ倒していると、急に目の前に男が現れた。

つい構えていた封魔針を隠す。

男はオレンジの炎を纏った拳を妖怪の頬にぶつけ、そのまま上にあがり別の妖怪を蹴り倒す。

 

「・・・なにしてんのよ」

「ああ、悪い。女が戦ってるのを見て・・・危なっかしくて」

「余計なお世話。他に加勢しなさいよ」

 

女扱いされた・・・。

女子率の高いうちでは、私はあまりそういう風に言われるのが少なかった気がする。

気がする。せめて見栄を張らせてほしい。

つい、つっけんどんな態度を取るが、厳しかったのは事実。

それに対して男が口を開いたよう。

こっちに背向けてないで正面から話してくれないの?こいつは。

 

「目についたのが君だったから」

「・・・だから、余計なお世話っていってーーーなにしてんのよ?!」

 

言い終わる前にそいつはまた妖怪に攻撃していった。

私はそいつの後頭部に封魔針を投げる。

そいつはやすやすと避け、妖怪への攻撃を再開した。

 

「・・・・・・危ないだろ」

 

こっちを向いてきた男は、どこか見たことのある顔。

ああ、確かこの世界最強はこいつだったっけ?

名前が思い出せないけど、紫から見せてもらった写真と似てる。

・・・・そうすると、この異変の原因が思い出される。

とりあえず邪魔。退かさせたい。

 

「邪魔なのよ」

「・・・そうか」

 

そう言った男はまた戦闘を始める。

人の話聞け・・・!

また新しい男がこちらに寄ってくる。

 

「炎真、他の人に加勢を。できればみんなに言ってくれないかい?」

「わかった」

 

そう言って、炎真というらしいやつは何処かへ飛んで行った。

 

「・・・あんた名前は?」

「沢田綱吉」

「沢田ね。私は博麗霊夢。ちなみに、こんなくだらない戦闘に巻き込んだのは詫びないわ。関わってきたのはそっち。・・・ま、発端はあなただけど」

「はぁ?!」

「これ以上の質問はもっと向こうにいる重要人物との対面を果たしてからよ」

「あ、ああ」

 

私は沢田と飛んで、妖怪を蹴散らしながら向こうへと向かった。

 

—————————————————

 

???Sido

 

  息が切れる。

こんな量の妖怪と戦ったことなんてない。

最高で三匹。やっぱり修行が足りないのか?

私は、刀を一閃させながら、余計なことを考えていた。

すると、ふと背後に迫る殺気。

急に現れたもので、咄嗟に判断が出来なかった。

見てみると、飛んでくるのは槍。

狙うは心臓。

・・・これは、死んだ。

半分しか生きてないといっても、死は恐ろしいものです。

 

キィンッ

 

刹那、間に割って入った男の方が槍を打ち上げ、妖怪の胴を切り裂く。

刀の使い手さんらしい。

 

「大丈夫か?!」

「は、はい!」

「背中は任せろ。味方だ!」

「・・・了解しました!」

 

男の方は、そのまま庇うように刀を振るっていた。

どこか・・・かっこいい。

私も負けないと、刀を再度握る。

と、ふんわりと妖怪を押し退けて降りてくる人がいた。

否。人で在らず。霊で在る。

私、魂魄妖夢が住み込みで働いている白玉楼の主であった。

 

「残念だわ、妖夢。霊夢の側に付くなんて」

「幽々子様ーーー申し訳ありません」

「誰だ?!」

「お初ね。私は西行寺幽々子。そこの魂魄妖夢の主人よ」

 

男の方が息を呑むのがわかった。

話の展開に追いつけないのだろうか?

 

「・・・俺は山本武。一応、寿司屋の息子なのな!」

「あら寿司?まあ・・・いいわ。さ、二人とも。私が相手よ」

 

私も息を呑む。

山本さんというらしいその方と刀を同時に構える。

幽々子様はただ笑っていた。




プロローグからの流れで。
綱吉と霊夢が、妖夢と山本が合流しました。
友人に山本難しいって言われたけどがんばるもん。
めげないもん。

では~。


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二話:訪問者につき怪我注意?!

もう二パターン、訪問者につきをやらねばなりませんなぁ。

魔理沙、早苗さんが合流です。


???Sido

 

  私が箒に乗りながら妖怪を蹴散らしていると、下の方で爆発が起きた。

何事かと見やり、するとそこにダイナマイトを構えた男が立っていた。

 

「おい、余計なお世話だぞ!」

「うっせ!十代目のご意向だ、従うほかないんだよ!」

「誰だ?まあいいか。だから邪魔!」

「俺は無視してろ!俺は勝手にやる!」

 

そしてまた爆発が再開する。

うん、うるさいんだよなー。

仕方ない、私は降りて行き、そいつと顔を合わす。

なんだ、チャラい・・・。

 

「迷惑だって言ってんだろ!うるさいんだよ!」

「はあ?!俺の武器はダイナマイトだ!」

「じゃあ変えろ!」

「いやだね」

 

・・・・と、話していたら妖怪が襲ってくる。

そのままそいつと同じように攻撃を与えてしまう。

すると、自然と目が合う。

 

「・・・・一度、戦うぞ」

「・・・ああ」

 

お互い、武器を構える。

そして同時に飛び出した。

私は上空で、そいつは地上から。

そこは、爆発でなにも見えなかった。

 

「あ、魔理沙~!」

 

気の抜けた声。

でっかい腕が私を襲う。

な、これって!

 

「おい?!」

「っへへ、久しぶりだな、萃香!」

「よーし、ひく、宴会だ、宴会~」

 

上空で胡座をかき、瓢箪をあおぐその姿は幼女のもの。

伊吹萃香。鬼だ。

楽しくなってきた・・・!

 

「おい、お前!邪魔すんなよ!」

「あ、バカか?あ、俺もやる!」

「はぁ?!お前は邪魔なんだよ!むしろお荷ーー」

 

 

ドッカーン

 

人の言うこと聞きやしねぇ・・・!

私はしかたないと溜め息を吐いて、八卦路を構えた。

 

—————————————————

 

???Sido

 

吹き飛ばされてます。はい。

神奈子様と遭遇、戦うようなことになりまして。

吹き飛ばされました。

 

「あいたっ」

「お?」

 

誰かにぶつかってしまう。

私はすぐに離れて頭を下げる。

 

「すいません!どなたか存じませんが・・・」

「んー?平気。だって、俺王子だもんな♪」

「お、王子?」

「うん、俺、王子♪」

 

嘘くさいです・・・。

王子様っていうのは、白馬に乗って颯爽と現れるものでしょう?!

そうじゃないんですか?!

自分を王子だからって言う人は信用できないですよ。もう。

 

「・・・」

「ありー?何その目、信じてないっしょ」

「ま、まあ」

 

王冠をかぶったその人は指でナイフを弄びながら笑った。

なんで、笑っていられるのでしょう・・・?

 

「ああ、早苗。こんなところにいたのか。さぁ、帰るぞ」

「!!・・・神奈子様・・・。私は帰りません!霊夢さんに、来るよう言われたのですから!」

「・・・なんだ、面白そうじゃん、混ざっちゃお♪」

 

その人はナイフを構えた。

 

「この人には勝てませんよ?!下がってください!」

「大丈夫大丈夫♪だって・・・」

 

神奈子様のオーラが私の肌を焼きそうなほど、こちらへ襲ってくる。

御柱が突き刺さっていて、私はごくりと息を呑んだ。

その人——『王子』は構えたナイフを神奈子様に向けた。

 

「俺、王子だもん♪」




ベルフェゴールって書き辛いわどうしよう。
だって俺王子だもん♪言わせてればいいと思ってましたw
をして何気ベルフェゴールくん好きですw
獄寺も好きです。
だけど一番は山本なんだなそれが。

では!


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三話:訪問者につき前方注意?!

咲夜しゃん忘れた。
ごめんよ、二人とも。


炎真Sido

 

  俺は綱吉に言われて他に加勢しようとあたりを見渡す。

すると、こちらに吹き飛ばされてきたのが、金髪の女性であった。

 

「っ!!・・・ご、ごめんなさい」

「いえ・・・大丈夫ですか?」

「大丈夫。心配はいらないわ」

 

女性は懐からなぜか人形を取り出し、空中へ放る。

その人形は槍を手にしてまっすぐ飛んで行った。

 

「新たな人がきたのね。まあ、焦がすけれど・・・」

「周りの人は関係ないはずよ、パチュリー!」

「だからといって、こちらへくるのだから巻き込まれてもいた仕方ないのよ、アリス?」

 

アリスというらしい女性は、目の前に現れたパチュリーと言うらしい女性へ叫ぶ。

俺はただアリスをかばうように立ち、手のひらをその人へ向けるだけだ。

 

「なにをしているの?!」

「え?いや・・・ただ、加勢しなくちゃって」

「いいから退きなさい!心配はいらないっていったでしょう?」

「うん。でも、俺はあなたを手伝う」

「・・・ああもう!勝手になさい!」

 

アリスは諦めたように構えた。

俺は少し面白かった。自分を心配してくれているのに、妙につっけんどんな言い方しか出来ないらしい彼女はとても人と話すのに慣れているようではなくて、距離を図り兼ねたような感じだった。

それが少し見てて面白かったのだ。

パチュリーはアリスへ手のひらを向け、ポツリとつぶやいた。

 

「ロイヤルフレア・・・燃えなさい」

 

俺はその炎を見て、手のひらをかざした。

さて、助けてあげなくちゃ・・・ね。

 

—————————————————

 

???Sido

 

私がナイフで妖怪どもを蹴散らしていると、建物付近から誰かよくわからないのが飛んでる妖怪を踏んで登ってきた。

黒髪に、トンファーを持っていて、学ランを肩にかけていた。

 

「・・・どなた」

「雲雀恭弥。群れている原因は君?」

「群れてって・・・。私は寄って集って攻撃されてるだけ。それを群れてるって見えるのかしら?」

「まあ・・・。見えるには見えるね」

 

雲雀はガシガシと頭を掻いて、言った。

そう、と短く言って返す私は妖怪を殲滅すべくまたナイフを構える。

すると雲雀はトンファーで足場にしていた妖怪を殺して、降りる際に何匹か殺していた。

 

「へぇ・・・なかなかにやるのね」

「あとで手合わせお願いするよ、強いメイドさん」

 

フッと微笑んで見せた雲雀はそのまま走り去っていった。

追いかける気も起きない。

私はそのまま妖怪駆逐マシーン(笑)となってそいつらを殺していた。

もう、メイド服が汚れるじゃない・・・。

これは、『人』じゃない、『妖怪』だ。

 

—————————————————

 

???Sido

 

私は槍を手のひらで踊らせる。

隣では妹も炎に包まれた大剣で妖怪を薙ぎ払い、焼き殺していた。

目の前に降りてきた少女は、よく見知った顔で。

妹経由で知り合った古明地姉妹。

私の妹は、古明地の妹と別の場所へ移動した。

よく、わかってるじゃない、フランドール。

 

「さて、私たちもやりますか」

「そうね・・・手っ取り早く終わらせて帰りましょう」

「私は霊夢に誘われたままよ。帰るわけにはいかないわ」

 

お互いに構えて、姿勢を低くする。

これは弾幕ごっこでもなんでもない。

命をかけた殺し合い、ね。

 

「おーっと、いけないね、お嬢さんがた」

「「!?」」

 

鞭・・・のようなものが私と古明地の姉を絡め取る。

そのまま宙に持ち上げられ、そして近くの地面へと吹き飛ばされる。

しかしまあ伊達に妖怪をやっている。飛べるのだ。

吹き飛ばされる途中で姿勢を整えて停止した。

 

「誰なの」

「・・おや、・・・ただもんじゃねぇな、あのバケモンどもといい」

 

古明地の姉、さとりは苦い顔をする。

私は嘆息して急に介入してきたそいつを見やる。

すると、顔の熱が上がっていく。

ボフンッと聞こえた気がするがきのせいだ、うん。

 

「くす、わかりやすいわよ、レミリア」

「う、うるさいわね!!人間、介入せずおとなしくそこで待ってなさい!あんたにはあとで拷問しなくちゃいけないのよ!」

「うげぇ、そいつぁ怖い」

 

私は一つ咳払いをして槍を一回振る。

うつむいて、目を閉じて集中してから、顔をあげて目を開ける。

 

「かかってきなさい、さとり」

「ええ。いくわよ、レミリア」

 

ニッとお互いが笑ったあと、周りが焦土と化す大爆発が起きた——。

 




雲雀さんって難しいよ意外と。
雲雀むずいよ。
難易度下げてよ。

というか、これ投稿してあんまり立ってないのにUA多くないすか?!
ありがたいっすけど!!
やったーやったー!!
・・・と思っていますが、これからなんすよw

次回は、フランフランと、ツナ霊(略称)のターンです!
ではでは!


(炎真くんとアリスのシーン追加しました)


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四話:訪問者につきスキマ注意?!

フランドールSido

 

お姉様がさとりさんとお楽しみになるっていうなら、私だってこいしと遊ぶもん!

そう意気込んでこいしを弾幕やらを使って誘導する。

あ、ここは誰もいないね!

安心して暴れられるよ!

私は炎の剣、レーヴァティンを振りかざし、こいしに向けて振りおろした。

こいしはそれを軽々と避けた。後ろの森が火事になる。

 

「きゃははっ!こいし!誰か居たよ!」

「あー、ほんとだー」

 

「あいたたた・・・ミーは巻き込まれただけなのですがー」

 

カエル頭がひょっこりと出てくる。

私は面白くなってそっちの方に斬撃を飛ばす。

すると、カエル頭は急に消えた。

 

「!?」

「あ!あそこだよ、フラン~」

「!そこだね!」

 

さすが、無意識!

改めてレーヴァティンを振り回す。斬撃がこいしの指差した方向に飛んでいく。

 

「うわっ、ちょー、ミーばっかり虐めて酷いですよー。これはいつも受けてるようなのと同じくらいひどいですー」

「キャハハハハハハハッッ!!!ホラホラ、逃ゲナヨォオ!」

 

カエル頭が逃げ惑うのを見て、私は狂気に染まってく。

やめて、やめてよ・・・。

また壊すの?せっかく、せっかく外に出られたのに・・・!!!

 

刹那、急な重量感を覚えた。

 

「ミーばっかひどいですー。それだから、バツを受けるですよー」

 

下で逃げ惑ってカエル頭が私を押さえ込んで地面まで落ちて行った。

なんで?!

こいしも驚いた顔をして、硬直していた。

 

「ふ、フラン!?」

 

すぐそこで逃げ惑っていたカエル頭が消えていた。

関節を決められ、動けなくなった。

 

「ミー、そこの女の子知らないですよー」

「「え?」」

「そんな変な厨二じみた格好の子、知り合いにはいませんですがー」

 

私にそんなことしてたカエル頭はバカなことを言い出す。

フランって呼ばれて、自分が答えた?どういうこと、なの?

 

「あんたの名前はなんなのですー?」

「ふ、フランドール・スカーレット」

「ふーん。ミーもフランですー」

 

「「は?」」

 

「・・・・オモシロイネ」

 

ニタリ、と笑みがこぼれる。

そして・・・

 

すべてが焼けたような気がした。

 

—————————————————

 

霊夢Sido

 

私と沢田はただ妖怪を片付けながらスキマがいるであろう所へ飛んでいく。

こいつ、おかしいのね。

グローブから炎が出て、それで飛んでるなんて。

 

「紫ー?」

「・・・」

「なにかしら・・・って結婚する気になったの?」

「結婚?!」

 

沢田が顔を赤くして、慌て始める。

私は説明してなかったのを思い出す。

まあいいか、どうせ説明する気もないし。

 

「ちょ、どういうことだ?!結婚とか、聞いてないぞ!」

「言ってないもの」

「おい!!」

「ふふ・・・一緒に戦ってきて、その息のあいよう・・・やっぱり博麗の巫女に相応しい力をもつもの」

「まだ言ってるのね、紫」

 

呆れてしまうじゃない。

紫は「言うわよ?」と笑った。

沢田も呆れてきたのか、苦笑していた。

 

「さて、沢田綱吉」

「え」

「あなたには帰ってきて欲しい人がいる、違う?」

「・・・うん。二人」

 

紫が聞いた瞬間、沢田の表情に陰がさす。

・・・二人?

 

「リボーンと、笹川京子」

「・・・!」

 

沢田がびっくりした目を紫に向けた。

紫はなんでもお見通し、とばかりに微笑んだ。

 

「あなたたちに、タイムスリップする方法をあげるわ」

「嘘、だよな」

「まさか、スキマにいじれない境界なんてないわ。・・・多分、ね」

「・・・」

「あなたたち当事者は、この事によって過去へ送られたという記憶を失う。その代わり、今のあなたの戦い方が、体に残ってるの。そして霊夢たちはすべてを忘れてあなたたちの世界に馴染む。住みやすいようにね。でも親はいない。ここまではいいわね」

 

私と沢田はうなずいた。

 

「そして、今日になったとき、すべてを思い出す。チャンスは一度切り、よ。もう送ることはできないわ」

「・・・いかせてください、過去に」

「沢田・・・?」

「俺は助けたい。そして、今日に連れてきたい。リボーンと京子ちゃんを」

 

しっかりと紫を見据えて、沢田は言った。

拳は握り締められていて白くなっていた・・・。

私は笑った。

 

「気に入った。私も手伝うわよ、沢田」

「博麗さん・・・」

「霊夢、よ沢田。紫、お願い、沢田を全力でバックアップできる立ち位置にしてくれるかしら?」

「できないことはないわ。わかったわよ、霊夢・・・頑張りなさい♪」

「うるさいっ」

 

スキマに吸い込まれる。

沢田を抱き寄せて、迷わず、過去に行けるように。

私は願った。




次回から過去に行きます。多分。

ここでフラグが立ったとか言わない。
絶対空気になるキャラいるから、これ・・・。

ではでは、京子に告白未遂したあとくらいになります。
また次回!


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過去~並盛の物語~
五話:並盛、とある家族と女の子


霊夢Sido

 

  ゴロリ。

私は寝転がった。

青々とした芝生が風で揺れ、頬を撫でる。

ただ、空を見上げていた。

面白みもない世界。私はなんにも干渉しない。

母親も父親もわからない。なのに生きていた。

幸せな家庭をみると辛い。

だからこうして空を見上げる。空は広大で、寛大だ。

こんな私の愚痴さえも、飲み込んでかき消してくれる。

本当に、寛大だ。

 

「・・・・ひまねー」

 

ほぅ、と息を吐いて目元を腕で覆う。

すると、暗くなった気がした。

緑色のスカート?

・・・ああ、あいつか。

 

「いくら休日でも、だらけ過ぎですよ」

「いいじゃない、休日なんだから」

 

私は起き上がる。勢いをつけて、よいしょ、というように。

スカートがめくれてもまあ気にしないでいいでしょ。

 

「んで?なんで来たのよ、妖夢?」

「はい、沢田さんにお礼がしたくて・・・」

「沢田ね。で、家へ案内しようと?」

「・・・迷惑でしょうか?」

 

肩を竦ませてこちらを伺ってくる妖夢。

ああ、前に沢田に自殺止められてたバカがいたわね・・・。

確か妖夢って野球部のマネージャーとか言ってたっけ?そりゃあお礼もしたくなるわ。

・・・あと、剣道部も兼部してた気がする。

 

「全然。まあ、最近面白いやつもきたし、家に帰るついでね、行きましょう」

「え、家って遠いですよね?」

「翌日が学校の時は沢田家に泊めてもらってるのよ」

 

妖夢の目が丸くなる。

何で驚くのよ、私は笑った。

その頭を小突いて私は歩き始める。

慌てた妖夢は私を追いかけた。

 

 

「———で、来たの?」

 

うんざり、というようにこいつ——沢田綱吉——はドアに手をついてため息をついた。

へぇ、私にそんな態度とれるのね。

 

「私については明日学校だし」

「は、はい!先日は大変お世話になりました!」

「ああ、いえ、いいんですよ。あ、あの・・・えっと」

 

しどろもどろする沢田に不幸が舞い降りた。

 

「よう、博麗霊夢」

 

すると、沢田の頭が飛び・・・あ、間違えた。沢田が前のめりに倒れた。妖夢の方に倒れたが、妖夢はそれをひょいと避けた。おめでとう沢田。ラッキースケベはなかったわね。

倒れた沢田の背中には、黒スーツを着た子供・・・明らかに赤ちゃんの姿だった。

最近沢田の家庭教師としてきたとか・・・。よくお母様は何も思わないわよね。

 

「あら、リボーンさんじゃない」

「さ、沢田さん?!」

「んでこいつは」

「魂魄妖夢。剣道部所属で、今は副将を務めてる将来有望な剣士よ」

「・・・ふーん」

 

リボーンさんの口元に笑みが浮かべられた。

好い加減、沢田からのかないのね。

するとリボーンさんが妖夢の肩に乗る。

 

「おい、いくつか確認するぞ」

「?」

「お前も、博麗と同じか?」

 

妖夢の表情が固まる。

同じ、といっても、身寄りがないだけ。

父親の形見の刀を今も背負っている。

 

「・・・はい」

「そうか。なら、うちの家族になれ」

 

妖夢の肩から降りて、妖夢に向けて手を差し出す。

私は苦笑した。

 

「リボーンさん?それ、私には言わなかったわよね?」

「お前にゃ、やらなきゃいけないと言ったコトがあるだろ?」

 

リボーンさんは何も言わず、私を誘っていた。

しかしこんな私にもやらなければならないことがあり、私にはそれを達成する義務がある。

私の家は博麗神社であり、ここ、沢田家だ。

巫女として務めなければならない仕事がある。

それを、リボーンさんは言っていたのだ。

 

「ま、そーだけど」

「家族、に?」

「ああ。ま、別の意味で手伝ってもらうがな」

 

またニヤリと笑えば、妖夢の目元は潤んで行く。

 

「だーーー!!オレ抜きで話をするな!!というか、家族云々は母さんに言ってから・・・!」

「マンマには後でいう」

「いいのかよ?!それでいいのか!!」

 

沢田は相変わらずうるさいわね・・・。

私は手招きする。

何も考えてないのだろう、キョトンとした彼はこちらに寄る。

広い庭に出ると、沢田を抱き寄せた。

 

「・・・?!」

「と、思いましたか沢田!」

 

すぐ引いて下から腹へ蹴りを入れる。そのまま一回転して地面に叩きつける。

気絶はするだろうけど問題ないわね、死ななければ。

黙らせられるだけマシよマシ。

 

「相変わらずの腕前だな」

「うっさい。ったく」

 

沢田を見下ろす。ピクピクと痙攣するように倒れ伏していた。

まったく、面倒なやつ。

腕を掴んで引き上げて壁にもたれかからせる。

これでOK。

すると、その頃には話もついていたか、妖夢の顔は晴れ晴れしている。

 

「よし、じゃあ二人とも、今日は休め。明日学校で話してやる。事の次第を」

 

「「?」」

 

リボーンさんはさっさと入っていった。

ま、私も追いかけますか。

 

「オレは・・・」




妖夢さん出そうと思ったらこうなった後悔してない頑張った。
というか、山本自殺事件ってどのくらいにあったっけ?と疑問に思いまして、ね。
曖昧にもう終わった感じにしました。もう綱吉会える。
ちなみに霊夢さんは男が嫌いだから蹴りました。
・・・うん、綱吉ごめん。


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六話:快活少女と紅白巫女!

霊夢Sido

 

  そして、翌日。

今、私たちは、並盛中にいる。

あれから、妖夢が「不安じゃない」と言ったこと。それは、喜ばしいことだ。

私も親しい人間が嬉しそうにしているのは、素直に嬉しいと思える。

そこまで残忍な性格はしてないし。

・・・まあ、自分ではかりかねているだけなのかも、だけど。

 

「沢田」

「なんだよ、博麗」

 

私と沢田は、そろってそこの・・・消化器の入ってる赤い箱っぽいのっていえば伝わるかしら?・・・そこをずぅっと見ていた。

沢田に呼びかけると、沢田は不機嫌そうに目を閉じてため息混じりに言った。

 

「・・・別に。なんでリボーンさんがそこでお茶を飲んでいるかの理由が聞きたかっただけ」

「これはお茶じゃない。珈琲だ」

「あら、ごめんなさいね」

「そういう次元の話できない気がしますけど・・・」

 

リボーンさんはあまり人が注視しないところに基地を作るのが得意なようだ。

とてもユニークなところに作っている。

そしてそこでお湯を沸かして珈琲を飲む・・・とても、赤ちゃんとは思えない行動ね。

 

「それで?リボーンさんはなにを妖夢に教えてようっていうの?」

「ボンゴレファミリーについてだ」

「ボンゴレ・・・?」

 

私を一瞥する。・・・なによ。私には教えたくないってわけ?

苦笑したリボーンさんは、私の肩に乗ると、ゆっくりと喋り出した。

 

「お前の霧雨魔理沙はいるか?」

「・・・さあ?学校にはいないんじゃない?」

「よし、そいつを連れて来い、博麗」

「教えてくれたっていいじゃない?」

「教えるぞ?」

「・・・まったく、リボーンさんはワガママね」

 

私はリボーンさんを妖夢に押し付けるように抱きかかえさせると、走って校内を出る。

バレなければいい。

しばらく走っていると、見知った金髪が頭を書きながら何かを移動させてるのが見える。

髪の毛?いや、頭・・・?

人。しかも、男ね!

 

「ちょっと、魔理沙!!その人は・・・」

「んぁ?ああ、霊夢か。いやぁー、何か爆弾持って飛びかかってきたからさ。思いっきり殴ってやったのぜ」

「あのねぇ・・・。なにをしたらそうなるわけ?」

「んー?勝手に怒ってきたから一発。理不尽だろー?」

「あんたが何か言って怒らせたんじゃなくて?・・・そこの人、平気?」

 

さきほどまでもがもがと金髪、霧雨魔理沙に首根っこ掴まれてたのに声をかける。が、返事はない。

 

「・・・人殺しは犯罪よ」

「してねえ!!・・・おーい」

 

ぺちんぺちんぺちん。魔理沙が往復ビンタで目覚めさせようと試みる。

いや、流石にそれで目覚めさせても、頬が痛いからまた怒らせるだけでしょ。

私は魔理沙の頭を小突く。

魔理沙は止まり、ん?とこちらを見上げてくる。

男はむすっとした顔で胸ぐらを掴まれていた。頬は赤い。

多分、羞恥の赤ではない。叩きまくったからだと思う。

 

「あのなぁ、女」

「お?起きたか。よかったよかった!」

「そういう問題じゃねぇ!!とっとと離しやがれ!」

「わりーわりー」

 

ケラケラと笑いながら魔理沙はそいつを手放す。

そいつはケッと言うと、さっさと行ってしまう・・・。

ま、関係ないか。

 

「リボーンさんが呼んでるわ。行きましょう」

「ん?リボーンが?りょーかい、行くか!」

 

魔理沙は男のことなど一切気にしていないのか、快活に笑って私の肩に手を置いた。

まったく、元気なやつ。

私たちは学校へ戻る。

すると、そこには、殺されそうな沢田と、殺しそうなリボーンさん。

そして寝ている妖夢の姿だった。




猛烈に反省してます。
この小説は友人との会話からネタを仕入れていたんですが。
その友人からの意見が辛辣で・・・。
フランフランは付き合いそうにないとか、そういうことで。
そしてスクワーロ幸せにしろいわれました考慮しました。・・・相手誰だ?!
え?えーりん?!え?輝夜?!え?さとり?!(敵だった)
どうしろと?!
・・・・とりあえず、最初にカップリング確定したのは癖ですが、撤回するわけにも行きません。
このまま行きます。そしてスクさん幸せにしてみせる!!

・・・この男、誰かわかったでしょうか?
そして魔理沙さんとーじょー!霊夢さんはボンゴレについて、知りません。名前しか。
霊夢がリボーンと知り合い=その周りの自機メンバーは知ってる
と言った感じ。妖夢さん知らなかった気がするけど。
まあ、魔理沙さんと霊夢さんの絆がそれだけ強いんだ!!
そうだ!!
ヴァリアー早く行きたいです。だって、黒曜編は東方とくっつく人でないんだもん。
あ、雲雀さん出さないと。

ではでは、また次回です~


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七話:爆発と疑惑

霊夢Sido

 

  数日後。

どうやら妖夢は何か言われたようだ。

何で私を避けるんだか。

まあいいかと私は席へつく。相変わらず笑って私の前の席に陣取る魔理沙に飽きれてものも言えない。

沢田はこちらをチラッと見て、申し訳なさそうに目を逸らした。

何でこっちを見たのよ。問い詰めたいけれどもあまり関わらないほうがよい、と本能が告げているのだ。

ならばそれに従うのみ。気になるし、隠されればモヤモヤした。

だからこそ、危険だというならば従わないといけない。

私は知ないのだから。

予習のために教科書に目を落とした。

 

———放課後。

 

その日に恐ろしい出来事が起きた。

先日魔理沙が一発ボコった男が転校してきたのだ。

名を獄寺隼人。ファミリーとかいうのの一味らしく、リボーンさんと知り合い。そして自己紹介をされた、あの後、魔理沙と沢田に喧嘩売って倍にして返されて、・・・いいや、沢田は返してないか。でも、獄寺は沢田を「十代目」と呼び慕うようになった。魔理沙にはいっそうの敵意を見せて。。。

なんでなの?

というより、十代目って?

沢田は一体なんなの?

私の知らない間に、何が起こっているの・・・。

私は無意識にも拳を握りしめた。

 

「・・・霊夢?」

「!」

 

魔理沙が私を覗き込んでいるのがわかった。

そこで私が小さく首を振ると、「そうか」と魔理沙は前を歩く。

なんも怖くないとでもいうように、意気揚々と歩く魔理沙に悲劇が襲う。

大爆発だ。火薬によるもの。私たちは、「なんだあいつか」と苦笑したが、それは思ったよりも深刻な状況になっていた。

締め上げられない。それも、倍にして返される、という屈辱を与えた魔理沙によほどイラついていたのか、常識を見失ったような獄寺が魔理沙めがけダイナマイトをいくつも投げたのだ。

ここは、一般住民が多く居る住宅街。そんなものをここで投げてどうするというのだ!

魔理沙は周りを見渡して、焦ったように箒を出す。

火についた部分を箒で斬るように叩き落とす。

次に落とし漏らしたものがないか周りを確認した。

 

一個だけ。

 

子供へと向かって飛んでいたのだ。魔理沙は、それには気づかなかった。

私はほぼ反射的にそれを追った。

獄寺の表情なんて読むヒマはない。ただ子供を抱きしめて庇った。

爆発が起きる。

爆風が私と子供を襲う。流石にあまり物を食べなかったのが災いしたか、いともたやすく私の体は風で吹き飛ばされる。これならもっと考えて食事を取るべきだったわ・・・!

もう爆発は起きない、私はそう横目で判断して、壁にぶつかるのを背中で行う。強い衝撃に胃の中の物が逆流しそうな勢いだったがみっともないので堪える。

 

「・・・う、ぁ」

「お、お姉ちゃん、大丈夫?!」

「ええ、私は平気。あなたは早く行きなさい」

「うん・・・」

 

私は子供を見送る。そして獄寺を叱ろうと視線を戻した、はずだった。

そこには二人の影がなかった。

血痕が点々と続いていく。

私はそれを追いかける。痛む体に鞭を打って、よろよろと暗い道へ入って行く。

すると、「ぐあぁあ!」という獄寺の悲鳴が上がる。

しまった、魔理沙だ。

魔理沙は確かに、常識がない部類に入るかもしれない。

自由が好きだし、楽観的だ。

でも、彼女は『爆発』に、確か恐怖を抱いていたはず。

いけない、気でも狂ってしまえば最後、獄寺は五体満足で帰れない。

よろよろと未だふらゆくもののしっかりと歩いていく。

見つけた、私は鋭く声をあげた。

 

 

「魔理沙ッ」

「・・・あ」

 

血を吐き出した獄寺がその場でうずくまる。よっぽど痛めつけられたのだろう、青アザがいくつもできている。

こんな暴力は初めて見た。

しかし、少しおかしな点がいくつもある。

獄寺はこのようにそこらへんで爆弾を投げるような人だったか?

答えはNOだ。いくらイラついていたと言っても、彼には常識があったじゃないか。こんなことをする前に、いくらでも確認できたはずだ。「これでいいのか?」と。

それに魔理沙も。こんな暴力の仕方は普通じゃない。

普通なら腕か指を折るんだけれど・・・。

こんな目に見えたアザをつけることはなかったのに。

ハッとしたように、魔理沙は獄寺の前にうずくまる。アザができていた獄寺の顔は腕に、魔理沙はどれほど自分がバカをしたかわかってしまったらしい。

優しく、その腕に触れた。

ひどい怪我である。魔理沙は申し訳なさそうにすると、獄寺を見上げた。

 

「私を殴るのぜ、隼人」

「バカ言ってんじゃねぇ・・・俺も普通じゃなかった。・・・今日は帰る」

「・・・」

 

獄寺が立ち上がって私を一瞥すると、怪我を庇うように歩いて行った。

あの一瞥は、「すまない」の意味でもあったのだろうか。

魔理沙に手を伸ばすと、魔理沙はその手をとって立ち上がり、「行こうぜ」と笑って行った。

作り笑いしないでよ、魔理沙。

さて、私も沢田の家に帰って知り合いを当たってきますか・・・。




さて、誰が何をしたのでしょう・・・?

獄寺くんは好きですよ。
嫌いじゃないです。

ではー。


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八話:風紀委員と紅白少女

霊夢Sido

 

  私は携帯の一覧をざっと見る。

ダメだ。『常識を失わせるような』ことをするやつはいない。

記憶を探れ。何処かにいるはず———。

 

「じゅうだいめぇええ!!!」

 

・・・そこで私の集中力はプツリときれた。

携帯を思い切りベッドへ投げ捨てる。獄寺うるさい・・・!

私はとりあえずそのまま携帯を放置してリビングへと降りた。

今、沢田は確かリボーンさんと一緒に山本の元へ行っていたはず。おそらく、妖夢もそちらへ向かったんだろう、ここには沢田母と私しかいないはずだ。

そこには、金髪の幼女を抱え上げた獄寺がボロボロになって駆け込んでいた。

・・・誘拐ダメ絶対。

と、その幼女には見覚えがあった。

 

「あら、フランじゃない」

「あー。れーむー。このお兄さんがね、なんかねー」

「こら!お前なぁ、勝手なこと言うなよ!」

「むぐぐー?」

 

誘拐したの?という疑念のこもった私の視線に耐えきれず、獄寺はその手を離した。

自らは潔白であり、何の罪もないと言っているようだ。

 

「こいつが風紀委員の連中にいびられてた気がしたから連れてきたんすよ」

「うー?ふーきいーんちょーさん・・・だっけ?に直接、道を聞いただけだよ?」

「確かフランも並盛中に入るのよね」

「うん!だから職員室どこかなーって」

 

獄寺は一気に脱力した。それで風紀委員に目を付けられて・・・ってもともとか。そもそもあんな真面目な奴らがいびる、なんてするはずがないと思う。

私はフランを抱き寄せてその頭を撫でながら、獄寺へ向けてため息をつく。

フランはあり得ない。獄寺と初対面の様子からして、そうなのであろう。

記憶喪失(物理)でなんか忘れさせそうだが、それ以前にフランなら殺せそうだから、それは無いだろう。

そこへ魔理沙が訪れる。

魔理沙は獄寺を見て一瞬気まずそうに顔をうつむかせると、フランを見つけたかそちらへ駆けていった。

・・・獄寺の顔が、また渋いように顰められる。

私は気にしていないふりをして、フランを魔理沙へ引き渡す。

 

「さて、獄寺。その風紀委員長さんの元へ行きたいのだけど」

「なんでだ?」

「いいえ?ただの好奇心。・・・私は私で、行動させてもらうわ」

 

獄寺を引きずって私は歩き出す。

・・・そして並盛中。その屋上。探しつかれたからとりあえず来て見た。

獄寺はもう帰っている。

風がサァッと抜けた。

殺意らしき感情が向けられる。私は咄嗟に体制を低くした。

先ほどまで頭があったところをトンファーが通り抜けていく。

危ないわね、まったく。

 

「わぁお、これを避けたのは君が二人目だよ」

「あらそう。後ろの知り合いは避けれなかったわけ?」

「当たらなさそうで当たった。それだけだよ」

 

とても着崩している男を見てただ思ったこと。

こいつは、おそらくフランが言っていたやつである。

雰囲気というか・・・なんというか、まあそんな感じがしたから。

トンファーを構え直したそいつはまた突進してくる。

懐からお祓い棒を取り出して何回か振ってトンファーを受け流す。

私はそいつの横っ腹に蹴りをいれてやった。

フン、と鼻を鳴らして、私はそいつを見下ろした。

 

「・・・結構やるね。群れなくて、強い・・・理想だね」

「うるさい。で?まだやるの?」

「赤ん坊が君の実力を見たいって言ってたから付き合ってあげてただけだよ。ほら、咲夜。帰ろう」

 

そいつは知り合い——咲夜を一瞥したら帰って行く。

群れる?・・・なんのことやら。

「赤ん坊」と言われて思い浮かぶのはリボーンさんしかいない。

リボーンさんが私の肩に乗っていた。

 

「流石だな博麗」

「どーも、お褒めに預かり光栄にございます・・・んで、秘密事はよろしくないので?」

「そうだな・・・。お前が俺に一本とれたらいいだろう」

「なによそれ。無理難題でしょう」

 

私はリボーンさんが肩から降りるのを、呆れながら見ていた。

刹那、パァン!と破裂音が響く。その弾丸は私の真横を通って行った。

『見切り』。私はこれをそう呼んでいる。

 

「ふむ・・・。お前、確か結界を張れるといっていたな」

「あのねぇ。それずいぶん前のお話よ?今引っ張ってきてどうするの?」

「その結界を張って、三弾、耐えられたらいいだろう」

「・・・それ、負けたら巫女としての面目丸潰れよ」

「そうだな」

 

リボーンさんはニィッとだけ笑った。

これは少し面倒臭いことになりそうだ。

私はその場で正座し陰陽玉をイメージする。

それに近しい色・形をした結界が形成される。

 

「・・・」

 

リボーンさんがガン見・・・ええい!気にするな!

すると、チャッと銃が構えられる音がする。

 

パァン!

・・・一発。

 

パァン!

・・・二発。

 

パァン!

・・・三発。

 

結界はまだ無事である。

少々怖かった、というのはここだけの秘密としておこう。

 

「・・・よし、よくやった、博麗」

「ふぅ。で?これでどうなるのよ?」

「さぁな?・・・これからも頑張れ。ダメツナをよろしくな」

「なんで沢田が・・・あっ?!リボーンさん!!」

 

リボーンさんはトンッと屋上から飛び降りて行った。

私はきっと顔を赤くしているだろう。

 

「・・・っ!なんでそんなリボーンさんは・・・!」

 

カァーーン!

おそらく山本がホームランを打ったのだろう、そんな音が屋上まで響いてきた。




対して雲雀さんデテナイヨー。
そして名前すらデテナイヨー。

え?あ、最後?
別に霊夢さん赤ん坊(リボーン)が好きなんじゃないですよ?
ほら、『ツンデ霊夢』って言葉、あるでしょ?
滅多にそんなシーン無いんで「いつのまに?!」感が半端ないですがご愛嬌で。
獄寺と魔理沙、このままお互いズルズル引きずってたらどうしよう。
そして山本と妖夢さんマジ空気。

・・・では、また次回!


前話までを読み直し、ふと、炎真くんとアリス書いてねぇよ!!
・・・と思い、三話に追加しました。
本当に申し訳ありませんでした。


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九話:訪問者?!

綱吉Sido

 

  風紀委員長との喧嘩で何とか勝った・・・と言っていた霊夢が帰ってくる。なんで顔を赤くしていたのだろう?

そして、翌日・・・?休みである。

この日はなぜか神社に帰らなかった博麗だが、まあ気にしないでおこうかな。

そこはかとなく、俺が睨まれてるのは気のせいだろうか。

リボーンがめっさ笑ってるよ・・・え?なに?なんなの?

と、リビングにちょこんと座っている子が居た。

 

「えーっと、つなよしー」

「ん?・・・って何でこの子まだいるの?!」

「新しいファミリーだ。歓迎してやれ」

「ええええ?!聞いてないよ!?」

 

ギャーギャーうるせぇと言わんばかりに蹴られる。

痛いよ・・・。

博麗は微笑みを浮かべてその子を撫でてあげる。

 

「フランドール・スカーレットです!よろしくお願いします!」

「フランドールちゃんかー・・・。よろしくね」

「うん!」

 

未だその力は未知数、ってところかな?多分。

博麗もリボーンも、こんないい笑顔なんだから・・・。

すると、俺の持っていたカップが跡形もなく消え去った。

 

「!?」

「つなよし抱っこ~!」

「ふ、フランドールちゃん?!」

「抱っこー!ぎゅー!」

「肋骨が折れるぅううううう!!!」

 

力強すぎでしょ・・・って言うか、フランドールちゃんはどうやって遠くにあったカップを壊したのだろう?

いや、フランドールちゃんがやったのか・・・?

 

ピンポーン。

ん?こんな時間に、誰がきたんだろう?

オレは知り合いを思い出す。

山本は妖夢と野球の試合だし、獄寺くんはそんなことしないし。

かといって魔理沙さんなわけでもない。

まあいいや、とドアを開けてあげる。

 

「あ、急にごめんね」

 

そこにはオレが密か(?)に憧れていた京子ちゃんがいた。

リボーンを信じてやろうと思うきっかけになった(気がする)出来事の一つ、京子ちゃんに告白したこと。

本人は本気と捉えていないようだったが、「死ぬ気弾」を知ることになったから、まあいいのかな・・・。だって、京子ちゃんと話せるだけで満足だし。

なるべくなら、もうあの弾、撃たれたくないなぁ。

・・・・んん?!

エ?ナンデ?京子ちゃん?!

 

「!?あ、ああ、いいよ。多分・・・ええっと・・・」

「あら、笹川・・・だったかしら?」

「博麗さん!あ、お邪魔だった?」

「別に。ほら、入るなら入りなさいよ」

 

博麗が勝手に京子ちゃんを家へ押し込む。

何でそう勝手に・・・!

オレはため息をつきながらそれを了承した。

 

「ああもう・・・いいよ。オレはやることあるから、またな」

「ん?話さなくっていいの?」

「いいよ。女同士で話した方が盛り上がるだろうからね」

 

仕方ない。京子ちゃんを困らせるわけにはいかないんだよ。

 

 

霊夢Sido

 

  「ごゆっくり」とつぶやいた沢田が私と笹川を部屋へ置いて行ってしまう。

なんていうか、焦っているようで面白い。

 

「やっぱりツナ君、いいひとだなぁ・・・」

「・・・は?」

 

どこが?と聞き返したい気持ちに駆られるが、口を噤む。

 

「・・・変態としか、聞いたことないんだけど」

「え?そうなの?いい人じゃないかなぁ・・・ね?」

「なにが「ね?」なのかわからないわ。まあ、あいつを善悪でわけたら善になるんでしょうけどね」

「博麗さん、そういう考え方、ちょっと硬いんじゃないかなぁ・・・」

「他に考え方があるなら提示して頂戴」

 

私はため息混じりに笹川との会話をつなげていく。

私の考え方が硬い?変なことをいうやつね。

至って普通のことを言っているだけだと思うのだけれど。

 

「ううん。無いよ。私からはね」

「・・・ふざけてるの?」

「え?なんで?」

 

笹川がきょとんとする。

何よその顔と苦笑したら、笹川もまた苦笑した。

何で笑うかもなぜ私の考えを硬いと言うかもわからない。

けれど、なぜか楽しいと感じた。

 

「・・・不思議ね、あんた。沢田が惹かれるのもわかるわ」

「ん?」

「いいえ。なんでもない」

 

私は立ち上がって一言言って部屋から出る。

なぜか、無性にイラついてしかたない。

こんな気持ちになるなんて知らなかった。

どうしようもなく、私は拳を握った。

 




霊夢さん悶々話。
なぜこれ書いたのだろう。
いやはや京子さんだそうとしただけなのに。
・・・ムリハシナイホウガイイデスネ!

ビアンキさん、ハル・・・今出そうとしているだけでもキツそうだなあ・・・。
咲夜さんとの再開をもう一回しなきゃだし、咲夜さん今レミフラとも面識ないだろうしなぁ・・・そこらへんの関係図、作っておかなくちゃ。
・・・とめっさどうでもいいことを愚痴っときます。
咲夜さんもしかしたらレミフラと面識ある設定になるかもしれやせんが・・・そこらへん、本気で大雑把なんですよね(汗
まあ、なるようになれ!ということで、以上です!
ではまた次回!


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十話:束の間の静寂?

  綱吉Sido

 

  京子ちゃんと博麗が話してる。

オレはただのんびりと過ごしていた。ソファの上でごろりん。

まあすることがないっていうのが一の理由だ。

それに、山本たちも野球の試合出てて癒し役(謎)がいない上にお気楽さん(魔理沙)と彼がいないから・・・暇だ。

はぁとため息をつけば上にリボーンを抱きしめたフランちゃんが乗っかってくる。

軽いけど・・・まあいいや。

 

「フランちゃん?」

「つなよしっ!あーそぼ♪」

「・・・」

 

はっきり言って、我が身が怖い。

フランちゃんはオレのカップを消し去った張本人だ。

『うっかり』オレを壊されても困る・・・。

すると、トン、トン、という音が聞こえ、階段のあった廊下から京子ちゃんが顔を出す。

 

「えーっと、ツナくん。帰らせてもらうね。急にきちゃってごめんなさい」

 

オレはフランちゃんを背に乗せたまま京子ちゃんを玄関まで案内する。

申し訳なさそうに言った京子ちゃん。

・・・そんな顔も可愛いけれど、なぁ。

少し戸惑ったままオレは返事する。

 

「ああ、いや・・・いいよ。それより博麗は?」

「うーんと・・・」

「・・・・なんとなくわかったよ。ありがと。じゃあ気をつけて・・・送った方がいい?」

「ううん、大丈夫」

 

京子ちゃんは笑ってオレの手を払う。

気遣いは無用、とでも言いたいのだろう。京子ちゃんはそのまま「お邪魔しました」と笑いながら言い、去っていく。

いつのまに時がすぎたのだろう?もう日は落ちかけていた。

 

「・・・入ろう」

 

フランちゃんを背負い直し、オレはリビングへ戻っていった。

博麗がそこで携帯をいじっていたのをなんの疑問もなく一瞥し、オレは冷蔵庫から茶を取り出し、コップに注ぐ。

そしてそれを飲み下した。

 

「博麗、どうしてさっき京子ちゃんのところにいなかったの?」

「うっさい。気にしないで欲しいのだけど」

「そっか、わかった」

 

オレはぶっきらぼうに返事した博麗へのまともな回答を諦めると、冷蔵庫に茶をしまい、博麗をじぃっとみる。

どこか不機嫌そうに眉を寄せた博麗は携帯に向かってただカコカコとなにかを打っているだけ。

 

「なにしてるんだ?」

「あんたには関係ないことよ」

「なんだよ。獄寺くんに関係ある話かと思ったのに」

「あんたが私に隠し事するからでしょ。・・・そうやって、私があんたに関係無いっていうのは」

 

ボソリとつぶやいた博麗はより不機嫌そうにため息をついた。

なんなんだって・・・。

 

「・・・」

「・・・」

「れーむ、つなよしと仲良しじゃないの?」

「いつ仲良しになったのよ、男と?」

 

フランちゃんの質問に博麗はただ返すだけだった。

・・・そうか。博麗の考えだとそうなるのか。

ちょっと、ショックだな。

 

「こいつがどうのじゃない。私を拾ったこいつの母親とリボーンさんに恩があるの」

「また野垂れ死にそうになったの?」

「う、うっさい」

 

フランちゃんがジトーッと博麗を見れば、気まずそうに博麗は視線をそらす。

こうやってみれば綺麗なんだけどな、博麗は。

 

「なに見てんのよ、沢田」

「いや、別に」

 

オレはまたぐてーっとする。

・・・この時は浮かれてたんだ。

翌日から、オレの生活はまた思いも寄らない方向へ進むことになった。




・・・空きました。すいません。
ネタが浮かばないと言うか、ハルを出さなければいけないのか。ハルはそんな重要人物だったか?
ビアンキさんは獄寺の弱点OK。フウ太くん(だっけ)はだしますけど・・・。
・・・・あ、ランボ。

という感じです。
もう、グダグダな感じがします。
ちゃんと練ってはいるので、これからもお付き合いお願いします。
では!


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十一話:フラン「えーい!」ツナ「ぎゃぁあ?!」

綱吉Sido

 

  翌日。家でフランちゃんを背負いながらリビングを右往左往する。

何でだろう、落ち着かない。

 

ピーンポーン。

 

わ!また来たっ!この頃は来客が多いなぁ・・・。

オレは思考の片隅でそう考えながら応答する。

フランちゃんをおいて、だ。

 

「はいー?」

『沢田綱吉の御宅でしょうか』

「はい、そうですが」

 

綺麗なお姉さん?

・・・どこか誰かに似たような。

 

『受け取って欲しいものがあるので、いいでしょうか』

「どうぞ・・・」

 

オレは一旦それを切るとドアを開けた。

すると、缶ジュースが渡される。

なんだろう・・・とても不安だ。

後ろからフランちゃんが抱きついてきて、缶ジュースを眺める。

お姉さんがビックリしたように目を丸くすると、口を開けた。

刹那、パァンッ!と缶ジュースが塵と化す。

それを見たお姉さんは舌打ちをし、「では」と告げてそそくさと去って行く。

な、なんだったんだ・・・。

 

「なんだ、脆いの。つなよしのコップより脆いよ」

「まったく・・・フランちゃん、急に壊しちゃダメだろ?」

「はーい!」

 

オレらはリビングへ戻る。

するとそこには、妖夢と山本、リボーンが居た。

なんでだ?さっきまで玄関にはオレがいたはずだが・・・。

 

「あ!綱吉さん」

「よう!ツナ!」

「おいダメツナ、さっき誰に会った?」

「ひぃっ!銃を向けるな!銃を!・・・綺麗なお姉さんだったよ。変な缶ジュース渡してきた」

「・・・ふん」

 

ニヤッとリボーンは笑って見せた。

オレは首を傾げる。

 

「おそらく、そいつはビアンキだ。俺の殺し屋仲間だな」

「えええ?!殺し屋?!」

「そう。まあ、簡単にいえば、あいつの渡す料理は全部毒物だ。絶対食うなよ、魂魄、山本」

「「はい!(おう!)」」

「オレには忠告しないのかよ!」

 

リボーンはオレを見る。

なんだよ?オレが首を傾げると、リボーンはオレの背後を指差す。

そこはフランちゃんがいる。

フランちゃんがどうかしたのか?

 

「お前の後ろにいるそいつがいる限り、お前は死なねーだろう」

「え?フランちゃん?なんで?」

 

フランちゃんと目を合わせ、首を傾げる。

本人もわかっていないようだ。

ダメジャーン。

多分破壊能力を指して言ってるんだろうけどなぁ・・・。

 

「まあ、そんなわけだ。じゃあ俺は博麗んとこ行ってくる」

「?ああ、帰ったんだっけ。じゃあオレも・・・」

「お前はくるな。あいつは今少し神経質になっているからな」

「邪魔ってか?!」

「ああ。それとフランと離れるな。・・・じゃあな」

 

リボーンはスタッと降り立つと玄関から去って行った。

山本、妖夢が苦笑したままオレを見る。

なんだ、その生暖かい目は。

 

「じゃあ、私も稽古があるので失礼しますね」

「ああ。俺も野球の練習しなきゃな!じゃあなー!」

「二人とも、バイバーイ!」

 

彼らは何をしにきたんだろう。

オレは頬を掻く。

 

——めんどくさいことになりそうだなぁ。

 

なんて、思いながらオレはフランちゃんの頭を撫でた。




タイトル思いつかなかっただけですはい。

次はハルですね。そっちの方がよさそう。
・・・ツナ←ハルじゃなくなるかもですが、よろしくお願いします。
百合~(殴


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十二話:紅白はカウンセラー兼・・・

霊夢Sido

 

  気がつけば、私の腕にどっかの中学校の女がひっついている。

・・・なにが、あったんだっけ。

それは数時間前・・・いや、数日前に遡ることになる。

 

 

☆  ☆  ☆

 

「リボーンさん、本当になにをするつもり?」

「お前には関係ないだろ」

 

中学校から帰っていると、リボーンさんと出くわした。

私に結界を張らせて試していたリボーンさんの真意がわからなかったために私は問い詰めているわけなのだけど、未だにはっきりしていない。

 

「・・・お前には、ツナを支えてもらわなければならねーんだ」

「私が沢田を?」

「ああ。・・・っとー」

 

ぎゅうう!

リボーンさんが言葉を続けようとした時、その姿が宙に浮いた。

それは、女の子がリボーンさんを抱き上げたからである。

 

「リボーンちゃん!お久しぶりです!」

「・・・おう、久しぶりだな」

「相変わらずキュートですね!」

「そうか」

 

適当にあしらわれているような気がするのだけれど、この子はなかなかタフな子らしい。

全く気にしていない。

私はひったくるようにリボーンさんを取り返すと、ため息をついてその場に下ろす。

リボーンさんはまた歩き出した。

 

「ああ!リボーンちゃん!あなた!なんで邪魔をするんですか!」

「・・・あんた、いたの?悪かったわね、気づかなかったわ」

「はひっ?!そんなわけありませんよね?!」

「じゃあ先を急いでるから」

 

そうやってあしらい、私はその場をあとにしたけど、その翌日も朝からうるさかった。

ピーギャー喚いて・・・何が楽しいのだか。

リボーンさんのことばっかり反論してきてあまり関わり合いたくない。

そんな時、私の視界に入ろうとしたか橋の手すりの上に立ち上がったのだ。

平べったく、人が確かに立てるものではあるけど、それはあまりにもでは。

 

「危ないでしょうが」

「やっと見てくれました、ね・・・ひゃぁあああ?!」

 

そいつが落ちて行く。私はすぐさまその橋の手すりを飛び越え、川へ落ちてしまった彼女を抱き寄せる。大丈夫、私なら救える。

あまり時間が立たなかったようで私にしがみついてくるそいつの背中を軽く叩いて、「しっかりしなさいよ」とつぶやく。

ああもう、昨日今日でこいつと何の因縁があるっての?!

 

「・・・無事?」

「はひ、なんとか・・・」

 

川岸へと上げると、だいぶ疲れた様子のそいつがブルリと震えながら私にすがりつく。

寒さからかしら?

 

「・・・悪いけど、うちに暖房なんて贅沢なもの、ないからこれ着てなさい。濡れてるけど無いよりマシでしょ」

「?!」

 

私が羽織ってた薄目の上着を掛けてあげる。

そいつを立たせて「あんたんちに送るわ」と言って笑ってあげる。

 

「あ!あなたの名前は?!」

 

私の方へ駆け寄って聞いてくるやつに私はただぶっきらぼうに告げる。

「博麗霊夢」、と。

 

「私は三浦ハルです!よろしくお願いします、霊夢さん!」

 

どうやら、懐かれてしまったようだ。

なにか面倒がおきそうな気がしてならない。

ばれないように深いため息をついた————。

 

☆   ☆   ☆

 

  そんな三浦ハルは未だに私に懐いているのである。

リボーンさんは何も言わないし、沢田の家にいるとバレたら沢田が迷惑こうむりそうだし・・・。しばらくあの家には泊まれないわね。しかたない、魔理沙の家でも借りるか。

 

「・・・三浦、私はそろそろ帰りたいのだけど」

「三浦じゃなくて、ハルですっ!わかりました、ではまた明日!」

「あー・・・明日ね」

 

手を振って追いやる。

憎めないのだけれど、少々苦手なタイプだ。

 

「なぁ、今のって?」

「あら魔理沙。ちょうどいいわ。泊めて頂戴」

「沢田は?」

「あの女、ちょっと沢田とあってね。だからしばらくあんたの家に・・・」

 

私の肩に魔理沙の顎が乗っていた。

重い。

 

「やだよ。ベッドそんな無いし」

「そうね・・・まあ床でも・・・って、あんたの家床なかったわね」

「失敬な。あるにはあるさ。ちょっと散らかってるだけで」

「足の踏み場が無いのに、『ちょっと』散らかってる・・・?」

「うるさいなぁ。お前は私のオカンか?」

「あんたのがよっぽど失礼よ」

 

そんな会話を交わした後、これは泊めてもらえないと判断した私は疑問に思っていることをぶつけてみる。

 

「獄寺とは話したわけ?」

 

ビクリ、と魔理沙は私の肩の上で反応を示した。

話してない、ってか。

 

「あっそ・・・あ!獄寺ーー!」

「な、・・・?!」

 

魔理沙は顔を染めてキョロキョロして電信柱に隠れる。

・・・しかし返事もなければ姿もない。

光の早さと言っても過言ではないほど早く魔理沙は私につかみかかってくる。

 

「お前なぁ・・・・っ!」

「なによ。そこまで警戒することないじゃない。それに、あんたは謝ったんでしょ?ってかまだ不安ならもう一回腹割って話せばいいじゃない。お互い平常心じゃなかったんだし」

「・・・そう、か」

 

魔理沙はうつむいた。

あーあーこんな空気嫌だ。

私はそれから魔理沙に手を振って立ち去った。

しかたない、沢田の家行こ。




なんでこうなったって言いたい。
ハルはこうしようってずっと思ってた。
ってか、黒曜はいるのにフウ太必要ですね・・・。
うーん。フウ太じゃなくてフランでいいんだけどなぁ・・・。
・・・まあいいか、フウ太もいれて。
フウ太ってどんな字だっけって悩んだけどそのままフウ太だった気がする。
調べますけどね。
というかランボさんいないなーって。
・・・相手いない人って空気になりそう怖い。
でも山本と妖夢はなぜか空気怖い(ネタが無いから)
ディーノさんっていつ出ましたっけ・・・。

次は笹川兄妹。さあ、妖夢よ輝け!

では~。


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十三話:ガキ牛と新たな人の登場の予感?

ランボなのであの発言ランボなのであの発言ランボなのであの発言(ry



(今回の後書きは東方キャラ交えてやりますのでご注意ください)


霊夢Sido

 

  沢田の家はもっとカオスだった。

リビングに入れば見知らぬ女性はいるわ、牛柄のガキはリボーンさんにいじめられてるわ・・・。

妖夢がいるし・・・。あれ?なんでよ?

 

「あ、霊夢さん!」

「・・・家を間違えました」

「ま、待ってくださいよ〜!」

 

ごめんなさいね妖夢。私、今の状況が把握できないの。

あなたがなんでガキどもの集まりにいるのかわからないのよ。

私の知らない間に沢田とリボーンさんになにが・・・。

 

「博麗、紹介するぞ」

「あら、リボーンさん。その牛と女の人は?」

「女はビアンキ。殺し屋だ。・・・んで、牛は・・・そうだな。ランボっていう」

「ランボさんだもんねーーーぎゃははは!あ、お前のおっぱい小sぷぎゃぁ!?」

 

バチーン。

このガキ、何を言いやがるの・・・・?!

つい殴ってしまったじゃない!

吹き飛ばされてそのまま壁にぶつかった後、うつ伏せでピクピク。

しばらくすると、むくりと起き上がって、

 

「・・・が、ま、ん」

 

・・・我慢できてないわよ、泣いてる時点で。

泣きわめいたランボはそのまま走り去って行った。

・・・何がしたかったのかしら。

 

「まあ、あいつもマフィアの一員だ。また来るだろう」

「あいつ・・・『も』?」

「・・・いいや、言葉の綾だ。気にするな」

 

リボーンさんは帽子を深くかぶって誤魔化す。

なんで、隠すのかしら。

そんなに私は頼りない?情けない?弱い?

深いため息をついて、私は言っておく。

 

「あ、そ。まあ面倒ごとには巻き込まれたくないからあれだけど」

「ああそうだ、博麗。お前にもこれを渡しておく」

 

ヒョイと投げられた小さな箱。

私はハテナを浮かべてそれを開けようとする。

しかし、開かない。

 

「そいつを開けるには、ダメツナから認められる・・・信用されなければいけないらしい。・・・そしたら、お前も面倒事に巻き込まれることになるがな」

 

どこか遠いところを見るように、私を見上げるリボーンさん。

そう言われたら、なんだかこの箱が禍々しいものに見えてきて。

 

「・・・捨てていいかしら」

「お前も時期に知ることだ。持っておけ」

「はいはい、まったく、私が何をしたっていうのよー」

 

その辺のソファに座って箱を掲げて見る。

どこか見覚えのある烙印が押された箱だった。

 

「・・・売ったらいくら?」

「おそらく、100000・・・まあ、売れるはずもないから売ろうとは思うなよ。ちなみにはこの中身は魂魄が知っている」

「よーむー」

「いえ、ご自身が確かめた方がよろしいかと」

 

にっこりと笑顔を浮かべた妖夢に私は舌打ちをしてまた箱を見る。

これが私をどうこうするかもしれない、ねぇ。

無くしそうだけどまあいっか。

私はその箱をポケットにいれた。

 

「んで、沢田は?」

「さぁな?」

「あぁもう、リボーンさんがいじめるー」

「いじめてはいないけどな」

 

すると、家の外が騒がしい。

少年の声と、・・・爆発音?それに、走り去るような音。

私は反射的にそのソファから立ち上がって、リビングから出て玄関へ向かう。

妖夢もついてきていた。

 

「・・・ま、いってみますかー。妖夢、刀持っといて」

「決して人は切りませんけどね」

「いいわよ。脅しになるから」

「そういう目的で持っているわけじゃあ・・・」

 

グチグチと文句を垂れる妖夢を引きずって外へと飛び出す。

嫌な予感がする。

後々、こんな予感がしながらも馬鹿正直に追いかけてしまった自分を呪いたい。




ランボなのであの発言(ry

妖夢「・・・はぁ。では、今回は私が進行いたします。やや矛盾するところもあると思いますがこの日常編である程度の人を出す予定です。今のところ、
・ディーノさん+レミリア様
・イーピンさん
・笹川お兄さん
の予定です。ですので黒曜編はもうちょっと後になっちゃいます。・・・はぁ、なんで私の出番が少ないんでしょう。なんて思った矢先に霊夢さんの気まぐれに巻き込まれましたよ!?こういう出番は望んでな・・・あ、あれ?霊夢さん?」
霊夢「あら、妖夢。誰の、気まぐれに巻き込まれたのかしら?」
妖夢「あ、いや、とんでもな・・・ひ、ひぃ!襟をつかまないでくださ・・・どこへ連れて行くんですか?!」
霊夢「ちょっとそこまで」
妖夢「どこですかーーーー?!」

魔理沙「あっはっは!愉快愉快!ってなわけで、また次回もよろしくなのぜ!」


ランボは別に嫌いなわけじゃなぁあああああああああああい!!!
って、あれ?!なんでみんな?!
あ、ありがとうございました!


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十四話:ランキングフゥ太。

霊夢Sido

 

  私と妖夢のスピードでたどり着いたのは、マフラーをつけた少年と、それを追う黒スーツ二名。

はい、変態決定。

私は妖夢に視線を送って、妖夢が頷いたのを見てすぐに駆け出す。

黒スーツの片っぽに踵落としをくれてやる。

 

「変態はッ!死刑ッ!」

 

踵落としが決まったあと、そのまま回し蹴りでその肩を蹴る。ま、首を折るわけにもいかないから肩なわけだけど。

ふふん、と得意気になっていると、もう一名の黒スーツが私の肩をつかんだ。

 

「よくお前、仲間を———!!」

「・・・ッ!?」

 

体が強張る。動けない。

それは、こいつがどうのじゃなくて——私の問題。

振り下ろされる拳に、どうすることもできず、私は目をつむった。

 

「いけ、ダメツナ」

 

「う、うぉおおおおおおおおおおおお!!!」

 

黒スーツの頭が殴り飛ばされる。

その後、私は誰かに抱えられていた。

 

・・・沢田だ。パンツ一丁の。

とりあえず、殴り飛ばしたいけれど・・・抑える。

 

「ちょ、お、降ろしなさいよ?!」

「・・・はっ!あ、ええっと、博麗大丈夫?」

「私は大丈夫!ってかあんた、なにしにきたの?」

「なにしにって・・・助けに来たに決まってるだろ!お前、男嫌いだから行って大丈夫かなって」

「余計なお世話!そろそろ降ろせっ!」

 

沢田を押して私は降りる。

ああもう、調子が狂うわね・・・心配されると、どうもね。

すると、視界のはしにホッとした表情の妖夢と、その方にいるリボーンさん。

 

「・・・あと、早く服着なさいよ」

「うわぁ!ご、ごめん!り、リボーン!!」

「ほいよ」

「さ、さんきゅー」

 

沢田がそんなバカなことをやっている合間に私は少年に近づく。

 

「す、すごい・・・ケンカランキング低いのに・・・」

「沢田のこと?」

 

ランキングって・・・もし私がつけられてるとしても、それはムカつくわね。

格付けされるのはあまり好きじゃないのよ・・・。

・・・沢田って弱いんだ。ぷっ。

 

「そう!男子ケンカ強いランキング!あ、博麗霊夢さんは・・・・」

 

ああやっぱり格付けされてんのね。

急にボソボソ言い出したかと思えば、急に周りのものが浮き出す。

な、なに?!なんなの?!

 

「・・・並盛中学校、女子ケンカ強いランキング・・・一位、博麗霊夢さん、二位、霧雨魔理沙さん、三位、十六夜咲夜さん・・・ただし、フランドール・スカーレットさんは論外」

 

・・・ふぅん、魔理沙が強い、ね。

てっきり妖夢が入るかと思ったけど。

 

「と、言った感じだね。ええっと、霊夢姉って呼んでいい?」

「別に構わないわ・・・あなたは?」

「フゥ太だよ!よろしく、ツナ兄、霊夢姉!」

「お、オレも?!・・・よ、よろしく、フゥ太」

 

沢田は照れ臭そうに笑った。

・・・なんか、嫌な予感がする。

誰かが霧の中で、笑っているような・・・。

私はしっかりフゥ太を見た。

 

「フゥ太・・・けっして、この中の誰かと離れないで」

「え?な、なんで?」

「嫌な予感がするの・・・あまり当たって欲しくない」

「あ、そういえばさ、フゥ太。男子ランキングは三位まで・・・誰なの?」

 

フゥ太は沢田の問いにキョトンとする。

それを聞きますか、今。

すると、フゥ太が爛々と目を輝かせて言った。

 

「ああ、それはね!一位が雲雀さん。二位が山本さん、三位が獄寺さんだよ!」

 

へぇ、あの三人が・・・。

総合も知りたいけれど・・・まあいいか。

私はフゥ太の手と妖夢の手を繋がせる。

そして、さっさと帰る。

あーもう、疲れた。寝たいわ。

 




フゥ太登場。このこの設定めんどいけど彼自身は好きです。
じゃあ、予定が狂ってしまったが次こそは笹川兄妹行ってみよう!
うん!

では~!


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十五話:兄と妹、紅白巫女とマフィアボス(未定)。

霊夢Sido

 

  笹川がまた来た。

今度は、お誘いらしい。

沢田が私を連れて外へ出ていく。寝てたってのになんなのよ・・・。

 

「博麗さんもいくよね?」

「何で私が・・・」

「・・・」

「・・・あーハイハイ。行くわよ」

「・・・!」

 

パァッと表情を明るくした笹川は私の手を握る。

ブンブンと揺らして、ニコニコ笑う。

何が面白いのだか。

沢田がガッツポーズしてる。どうせ、(京子ちゃん可愛い!)と思ってるんでしょうけど。(正解)

ムカつくから殴る。腹にヒット。

 

「ゔぐぅ?!」

 

はいはい自業自得自業自得。

笹川は満面の笑みで言った。

 

「行こっか!」

 

・・・こいつ、沢田を見ているのかしら。

 

「・・・もう、めんどくさいわね」

 

ピクピクする沢田を見捨て、笹川についていく。

 

 

「救いは・・・救いは・・・」

 

無い。

 

——————————————————

 

「うん?!京子、ダレだそいつらは?!」

 

鼻絆創膏の男が筋トレしていたらしく、汗だくでこちらを見て不思議そうに首をかしげていた。

家に入ったら見える筋トレ模様ってなによ。

 

「私のお友達!ツナくんと・・・博麗さん!」

 

私たちを指して笹川が笑った。

・・・まあ、いいか。なにもいわないでやっても。

 

「俺は笹川了平で、京子の兄だ!極限によろしく頼む!」

「っ?!沢田綱吉です、よ、よろしくお願いします・・・」

「・・・博麗霊夢。よろしく頼むわ」

「応!」

 

了平さんは笑った。

それに対し、私はため息を吐くしかない。

 

「どうしたというのだ、博麗よ」

「別に・・・暑苦しいやつだなと思っただけよ」

「おお!極限にありがとう!」

「褒めてない・・・のだけど、まあいいか」

 

とてもマイペースな人らしい。

了平さんは「?」を浮かべている。

「なんでもないわ」と言ってやると、なんだかムカつく笑みを浮かべられたのでつい殴ってしまう。

そのパンチは了平さんの手のひらにきっちりと収まってしまった。

 

「!!」

 

受け止めた瞬間、了平さんはニヤリと笑った。

 

「いいパンチだ!是非、ボクシング部n・・・!」

「うらっ!」

 

了平さんを蹴り上げる。

しかしそれは腕によって防がれてしまう。

反射神経はいい方なのね。

 

「はっはっは!楽しくなってきたな!」

「知らないわよっ?!」

 

しゃがみこむ。

了平のパンチが頭上を通り抜ける。

危ない。しゃがまないと顔面にパンチが入ってたわ・・・。

 

「京子ちゃんのお兄さんって、いつもこうなの?」

「うん!そうだよ?」

「へ・・・へぇ、す、すごいね。お兄さん」

「ふふふっ。そうでしょ?お兄ちゃんはね、いつもああなんだけど、私が小さいころからずぅっと私を守ってくれたんだ」

 

笹川の笑みが目に入る。

沢田もそれを見て、「そっか」と笑った。

私には向けられない笑みだった。

 

(・・・なんだ、本当に仲がいいのね。私、入るスキがないわ)

 

なんて考えてしまった。

何を考えてるのよ!思考を飛ばすように了平さんの腹へパンチをいれた。

 




友人N氏が話を監督してくれるとなんか・・・話が・・・。
まとまっている気がする!!!!

というわけで、笹川兄妹のお話でした。
なんか、了平×霊夢フラグですねはい。
ツナ京好きだけど、好きだけど今回はツナ霊なんだぁああああああああ!!!
クリスマスのお話も書いてます。
次は山本のお家へお邪魔します。
友人N氏完全作話。文章に起こすのが次の僕のお仕事。

では!


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十六話竹寿司。

霊夢Sido

 

  妖夢につれられてやってきたのは、『竹寿司』というらしい店。

へぇ、寿司のお店なのね。

 

「こんにちは、山本さん!」

「山本ー!遊びにきたぜー!」

「・・・」

 

店の前で二人が嬉しそうに声をあげた。

あーもう、近所迷惑だっての・・・。そういうのに疎いはずはないわよね。特に妖夢。

人の家でそんな声をあげられる意味がわからない。

すると中から山本が出てくる。

・・・なんで店の前に集まってるのよ。入れないいゃない。

 

「よう!博麗と霧雨も来たのな」

 

笑みを浮かべて山本が迎えてくれた。

来ちゃ悪いのかしら・・・。

 

「おーい、山本ー」

 

突如、中からツナと獄寺が出てきた!

・・・・え?何でいるのよ?

 

「あ、あれ?!博麗たち?!」

「・・・げっ」

 

獄寺を見た瞬間、魔理沙は辛そうにうつむいた。

当の獄寺もまた、傷ついたようにそっぽを向いた。

山本と妖夢はそれに気づかない。

 

「あれ?沢田さんと獄寺さんも来てたんですか」

「ははっ。ダチは多い方が楽しいだろ?」

「そうですね!」

 

・・・もしかして、その『ダチ』には私まで含まれてるわけ?

ため息しかない。

私は別に友達になんていらないってのに。

いたとそても、どうせ先にいなくなるしかないのよ。

 

「は?誰が友達ですって?勘違いしないで頂戴・・・」

「は、博麗、そんなこと言うなよ!」

「そうだぜ、霊夢!」

 

私の言葉に沢田が焦ったように言い、また魔理沙はカラ元気のように明るく振る舞いながら言った。

別にそんなの気にしないし・・・。

 

「そうですよ、霊夢さん。素直になった方がいいですよー?」

「・・・なんで、あんたら私のことを理解したみたいに言ってんのよ?」

「理解してるからな!」

 

妖夢が言った言葉に私はただ呆れたようにつぶやくしかなかった。

魔理沙がまた強がって胸を叩いた。

・・・私は冷たい視線を向けると、魔理沙は「あっ」とつぶやいたうつむく。

強がらないで。まったく。

 

「おーい!寿司持ってきたぜ!」

「おっ寿司か!」

「美味しそうですね!」

「・・・」

 

山本がいつのまにか寿司を持って出てきた。

獄寺がキラキラした目で寿司を見る。妖夢もにっこり笑いながら言った。

 

「だろ?なにせ、親父の寿司日本一だからな!」

「そうですね♪その通りだと思います!」

 

 

ほわわん。あったかいような甘いような空気が流れる。

寿司を盗み取って、口に含む。

あ、美味しい・・・けど、

 

 

((((お前らもう結婚しろ!!!))))

 

二人の世界が繰り広げられ、私たちはそう思った。

・・・いいわね、思い合えるだろう存在がいるって。




友人N氏まじ神!!
今回は言ってしまえば山本と妖夢さんのいちゃラブ・・・みたいなのの話ですね。
獄寺と魔理沙、友情フラグ折れてますがなにか?
まあいいでしょう。どうせラブラブになる・・・はずですし。
あ、ちなみに最後のセリフ(思考?)はノリです。
ヴァリアー辺りまで友人N氏が面倒見てくださるそうです。
やったね。

では、次は雲雀さん再登場。
いやむしろ前が雲雀さん出番少なかったんだ!!!


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十七話:理科の授業で

リアルで行った、友人N氏との打ち合わせ(笑)。

友人N氏「ディーノまだだよ!!」←第一声・・・だった気がする。
俺「\(^o^)/」
友人N氏「とりあえずネタ書いといたから!退学ネタからね!?」
俺「あ、うん話わかんねぇ」
友人N氏「マジで?!」
俺「\(^o^)/」

~~~注)会話は大まかこんな感じってだけです。確証はありません。
             だからN氏、殴らないでください。←ここ大事


綱吉Sido

 

  ぼけーっとしていた。

まあ、次の時間の準備はしてるし、することないし・・・。

 

「あ、山本さん!次の授業、なんでしたっけ?」

「理科なのな~」

 

そんなのほほんとした会話が聞こえてきて、オレは瞬間的に叫んだ。

 

「・・・・っていうかっ!学校始まってるっていうのに獄寺くんと霧雨こないんだけど?!」

「ま、まあ、魔理沙さんも獄寺さんも普通に遅刻かまたはおサボりですよ」

 

妖夢が苦笑しながらオレに言葉を返す。

山本も、「だなぁ」と笑っていた。

あ、根津来た・・・。

 

 

  授業が始まる。

気が重い・・・じゃなくて、そこはかとなくやる気が出ない。

まあ、オレがダメダメなのは変わんないんだけどさぁ。

あ、博麗がうざったそうに表情を歪めてる。

 

「話長いっての、そのないようもくだらないし・・・」

 

ぼそりとつぶやいた言葉。根津に聞かれてないようだった。なぜか安心。

そして、根津が教卓の前に立ってプリントのようなものを抱え上げる。

な、あれって?!

 

「では、この前の理科のテストを返す」

 

「「「「「えーーーーーーーー?」」」」」

 

根津の言葉にクラス全員が嫌だと言いたげな声を漏らす。

まあ、そんな反応するよね。

オレだって嫌だし・・・。

根津は無慈悲だ。そのブーイングを受けながらも名前順にテストを返していく。

とうとうオレの番だ。

オレに渡されるはずのテストは、オレの元にはいつまでたってもこなかった。

・・・・持っているままなのだ、根津が。

 

「これはあくまで仮の話だが、もしクラスで一人だけ二十点代を取り、クラスの平均点を著しく下げている奴がいるとしよう。私が思うに、そんな奴は社会のクズだ!まず、大学にはいけない!一流大学を出た私がいうのだからな!」

 

テストを抱えたまま根津はそう言った。

はい?それって、まさか・・・オレのこと?

嘘だろ、嘘だろ?!

それに続くように幼い声が上がった。

 

「ねーれーむ、あの人結局自慢してるよー?バカなのー?」

「知らないわよ・・・あとそういうのは小声で言いなさい。とばっちり喰らいたくないわ」

「えー・・・」

 

フランちゃん!頼むから変なこと言わないで!根津の額に青筋を立った!

オレはただひたすら、オレに博麗のいう「とばっちり」がこないように祈った。

 

「その二十点代は・・・・・・・沢田だっ!」

 

ピラリと提示されたテストの点数は本当に二十点代。

や、や、やっぱりぃいいい?!

 

「うわぁああああ~~~?!」

 

オレはそれを見て情けない声を出してしまった。

なんで見せるんだよ?!

 

(どうしよう・・・!明日から生きていけねえ・・・!)

 

半泣き状態になりそうだったが抑えて根津からテストを受け取る。

うう、最悪だ・・・!

 

 

ガラッ。

 

 

全員の視線が教室の入り口に集まった。

獄寺くんだった。

やや不機嫌そうに獄寺くんは自分の席へ座る。

そのあと、霧雨も入って来た。

いたたまれないように、どこか悲しそうに顔をうつむかせながら博麗のとなりに座る。

 

「こら!お前ら遅刻だぞ?!」

「あぁ?」

「ひっ?!」

 

獄寺くんは根津に叱られたら凄んで睨みつける。

根津は情けない声をあげた。

 

「ご、獄寺くん・・・」

「十代目!」

 

パァッと表情が明るくなる獄寺くん。

・・・なんでだろ、ちょっと無理してる気もするなぁ。

 

「・・・こ、これも仮の話だが、もし遅刻して平気でくる奴らがいるとしよう。そいつらは間違いなく落ちこぼれとつるんでいる!」

 

またピラリと二枚のテストが晒される。

 

「んなーー?!獄寺くん、百点?!んで霧雨は八十点ぅ?!」

「そーいや、十代目、ここのテストってけっこー簡単っすね!」

「あ、あはは・・・」

 

めっちゃいい笑顔で言ってるよ!

やばいよ獄寺くん・・・。

霧雨は驚かれたのに驚いた表情をしたかと思うと、複雑そうに笑った。

ううーん・・・なんであんな元気ないんだろう?

 

「今回のテスト、調子悪かったわけ?魔理沙」

「いや、霊夢は買い被りすぎだって。私はあの程度の点数しかだせねぇよ。お前じゃねぇし」

「・・・そ」

 

え?博麗ってもっとすごい点数とれるの?

・・・ん?根津が震えてる?

 

「ありえん・・・!こんな落ちこぼれが百点を取るなど・・・!お前らぁ!カンニングしたな?!」

 

まさか、カンニング?!彼らがするわけないじゃないか!

でもまあ霧雨はするかもしれないけど!普段すごいしそうな雰囲気してるけど!

すると、ガタン、と音が鳴った。

博麗だ。

 

「人の実力をカンニングだなんて言うのね。あっっっきれた。情けない奴ね。自分の方こそ、何もしてないのに?」

「私は・・・!」

 

根津が言い返そうとしたら、霊夢がピシリと指を突きつけ静止させる。

なんだか、凛々しく見えて・・・不思議だ。

 

「ああ、そこでテスト採点したなんてバカな返答はやめて頂戴。あんたは実際、生徒のために、必死になにかをしたの?ただ授業してるだけじゃない」

「んぐっ?!」

「そうだぜ。・・・霊夢のいう通りだ!」

「んー。うん!そうだよ!」

「確かに、そうなのな」

 

霊夢の言葉に霧雨とフランちゃん、山本が賛同する。

何でみんな根津いじめてるのかなぁ。

妖夢が何か言いたげにすると、ふいと目を逸らす。

 

根津が叫んだ。

 

「沢田!博麗!獄寺!霧雨!山本!フランドール!魂魄!」

 

なんで妖夢まで?!

妖夢も驚いたような顔をしているよ・・・。

 

「お、お、お、お前ら・・・退学だぁああああああああああ!!!」

 

「「「「ええええ?!」」」」

「「はぁ?!」」

 

まさかの、その一言だった。




はい、退学ネタ。
僕の下調べ不足でした。
やっと、やっと、資料の漫画を借りれたんです!
これなら(多分)勝てる!!
・・・何にとかいうのはやめてくださいね。

では次もお楽しみに!


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十八話:お説教とお勉強

咲夜Sido

 

  いつもどおり、雲雀さんと部屋で待機している。

 

「茶」

「はいはい・・・どうぞ」

 

雲雀さんがそう呟いた。私は嘆息する。

雲雀さんのその一言だけで意味が分かるようになった。これはかなりの進歩・・・なのかもしれない。

すぐお茶を淹れて渡す。

 

「・・・」

「まったく。自分でいれなs・・・」

 

『みーどりたなびくーなみもーりーのー』

 

お説教しようかと思ったら雲雀さんの携帯が鳴る。

雲雀さんの視線は私を貫く。

ああ、もう。

 

『あ、咲夜さんでしょうか。校内の見回り、終わりました』

「あら、お疲れ様です・・・・?ところで草壁さん、あの校庭にいる人たちは?」

『ああ・・・あれはタイムカプセルを探しているらしいですよ』

 

タイムカプセル?また急になんで・・・。

 

『なんでも十五年前のものが見つからないらしくて』

 

十五年前・・・ね。

まあ先生たちがどうこう言って探してるんだろうけれど。

はっきり言って私には関係のないことね。

チラリと雲雀さんの方をみれば、本人は聞いていたか、興味もなさげに「ふぅん」と言った。

 

——————————————————時遡ること校長室で…

 

霊夢Sido

 

「校長こいつらを退学にしてください!」

 

校長室に集まった私たちは、校長をじぃっと見た。

校長は根津の言葉を聞いて考え込むようにうつむく。

退学ねぇ・・・生徒を脅すにはいい文句よね。

 

「いやぁ、でも・・・」

「こいつらは私をバカにした上に、カンニング行為までしているんですよ?!」

「おい、さっきっから聞いてりゃあカンニングカンニングと・・・。証拠はあんのかよ?!俺はしてねぇっていってんだろ!」

「そこは私の分まで否定しろよ?!」

 

魔理沙が獄寺に言い放つ。獄寺は魔理沙を一瞥したあと、何か言おうと口を開いて・・・そっぽを向いた。

それに気づいた魔理沙はまた悲しそうに眉を寄せる。

すると、校長室に誰か入ってくる。

 

「待ってください!先生、ツナ君たちを退学させないでください!」

「京子ちゃん?!」

 

笹川だった。

笹川は校長と根津に詰め寄って言う。

・・・どうせ、沢田のことだ、(やっぱり京子ちゃんって優しい)とか考えてんでしょうね、・・・あの表情。

とても恍惚としている。・・・そんなみっともない顔良くできるわよね、本当に。

 

「・・・ご、ゴホン。仮の話だが、もしここに心優しい可憐な少女がいたとしよう」

 

(それってロリコンの話にならない・・・?)

 

長くなりそうだったから、私が叫んで止める。

さっきっからうだうだと・・・。どうしても退学にさせたいわけ?!

 

「全く!」

 

根津も、全員が一斉に私をみる。

あーはいはい、急に叫んだのは悪かったわよ。

 

「いつまでも過ぎたことを・・・ごちゃごちゃうるさいわよ!こんなことで退学だなんてバカバカしくてやってたんないわ。器が小さい!」

「な、な、な、な—————?!」

「そうだ、沢田も博麗も我がボクシング部に極限に必要だーー!」

「お、お兄ちゃん?!」

 

暑苦しい声がする。

・・・あー、あいつね。

私はボクシングなんてやんないけど。

 

「・・・あんた、いつから居たのよ」

「うっせーんだよ芝生頭!」

「なんだとタコ頭!」

 

二人がいがみ合って唸り始めれば、根津はすぐに声を上げる。

 

「とにかくっ!お前らは明日再テストを行う!」

 

まったく、私はやってない無関係者だっていうのに・・・どうしてなのよ?

 

——————————————————

 

「とにかく、勉強を頑張りましょうか!ツナさん、霊夢さん!」

 

ハルがニコニコ笑いながら言った。

まあ、やらないことには始まらないでしょうし・・・。

でも無駄なのよねぇ。

 

「私はいいわよ。別にあんたらがどうなろうが私は知らないし」

「・・・ふぅん?」

 

リボーンさんがにやっとする。

ああ・・・この笑みは嫌なことを言う時の笑みだ。

 

「でも、根津に啖呵切って退学止めようとしてたじゃねぇか」

「あ、れは・・・あのウザったい奴にムカついたから、よ」

「へぇ?」

 

またニヤニヤして・・・。

まったくもってリボーンさんの意思がわかんない。

 

そして、全員が勉強を始めた。

私とかの成績優秀者がツナと意欲のある魔理沙に教える感じ。

フランは途中で飽きて魔理沙にかまってかまってってしていた。

 

その結果。

・魔理沙とフラン・山本と妖夢・笹川兄弟

・・・爆睡中。

それ以外は起きてるけど・・・まあ詰め込んだからかしらね。

 

「あ、ハルコーヒー持ってきたんです!飲みましょう!」

「捗ってるかしら・・・ピザ、夜食にどう?」

「あ、アネ・・・・キ・・・」

 

ハルが連れてきたのか、ビアンキまで来た。

とても嫌な煙を立ち上らせるそのピザを私は視界にいれず、ハルのもってきたコーヒーを飲む。

煙はコーヒーへ入って行く・・・危ないわね、飲むとこだったわ。

 

「・・・はひ?!ピザとコーヒーの化学反応ですか?!」

「そんなわけあるか!?」

 

(沢田・・・ツッコミはいらないわよ・・・)




よし、次で最後だ!
その次はおにぎり行きます!
マジN氏ありがとう(歓喜


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十九話:作業開始

綱吉Sido

 

「し、しまったぁあああああ!!!」

 

必死に勉強したというのに、オレは遅刻してしまった。

は、博麗に怒られる!みんなに迷惑かけちゃうよぉ!!

オレが学校に着くとみんながそこで待っていた。

みんな、遅刻せずこれたんだね!

 

「・・・遅い」

「ご、ごめん!」

「・・・こんな大事な時に遅刻をするなんて、バカなの?」

「う、ご、ごめん・・・」

「・・・沢田」

 

そんな時、根津が咳払いをしながらオレに声をかけた。

 

「・・・遅れるなんて言語道断!退学だっ!」

「う、ううう!ご、ごめんなさい!」

「あのねぇ・・・。せめてもうワンチャンス頂戴。休む、とかテストダメダメってわけじゃない。遅れただけじゃない。あんたの目の前にいるでしょ?」

「れ、霊夢?!」

「・・・では、別の条件を出そう」

 

根津は仕方ないと言わんばかりにため息混じりで言った。

 

「この学校の敷地内に、十五年前のタイムカプセルがあるっ!それを見つけ出せたら取りやめでいいだろう!」

「・・・へえ。ヒントはあるのな?」

「無い」

 

山本が聞けば根津が即答する。

これにはみんな目を丸くした・・・・そりゃあそうだろう。

ヒントが無いのにどうやって探せっていうんだ!

 

「・・・っざけんじゃねえよ!」

 

根津の胸ぐらを獄寺君が掴み上げた。

獄寺君が睨みを利かせるが、根津はそれに怯えるようなそぶりを見せなかった。

 

「・・・ご、獄寺・・・!落ち着くのぜ!」

「黙れッ!こいつは十代目の人生を・・・!」

 

魔理沙は勇気を振り絞って制止するも、獄寺君の叫びで辛そうに後ずさる。

・・・オレが止めればいいのかもしれない。でも、オレには魔理沙のような勇気なんてないんだ。

そんな時、根津が口を開いた。

 

「ダメな人間に何ができるというんだい?」

「・・・・てめぇっ!」

 

パァンッ

 

獄寺君の首根っこを掴んで引き寄せた妖夢が思い切り彼の頬を引っ叩いた。

 

「・・・感情に任せるのはやめておいたほうがいいですよ」

「・・・悪かったな」

 

全員が呆気にとられる中、獄寺君が引き下がる。

妖夢はその後根津の前に立つ。

 

「どうしても、ヒントは無いとおっしゃられるんですか?根津先生」

「あ、ああ。そうだ」

「そうですか・・・じゃあ、みなさん、探しに行きましょうか!」

 

 

「「「「「「・・・・はい?」」」」」」

 

 

 

 

「っだーー!見つかんないなぁ・・・」

「ご、ごめんなさい、私のせいで」

「いやいや、妖夢は何も悪くないだろ!むしろ巻き込んじゃったから・・・」

「・・・お気遣いありがとうございます。じゃあ私、あっち探してきますね!」

 

オレは妖夢が向こうへ行くのを見届けたあと、校庭にどかっと座り込んだ。

ふぅと息を吐いて作業を中断する。

すると、隣にちっこいのが来る。

 

「ちゃおっス、ツナ。どうだ?」

「リボーン!どうだもないよ。十五年前のタイムカプセルなんて見つかんないよ・・・」

「そうか・・・・じゃあ死ぬか?」

「・・・ううん、まだ頑張る。みんな頑張ってるからさ」

「・・・わかった。まあ気が変わらないうちに言えよ」

「あ、うん」

 

リボーンは満足げに頷いた後、スタスタと歩いて行った。

なんだったんだ、あいつ・・・。

オレは立ち上がって伸びをする。

 

「・・・始めるか!」




えっと、まだ見つかってません。
すいません、更新が遅くって・・・。
このタイムカプセル探し、N氏の書いてくださった構成を元に別のに変えて書いているからか遅いです。
というか、ちょっと「クリスマス終わったふぃ~」状態なんですよね。現在。
そしていっこうに恋愛恋愛した話が書けない、と!
黒曜編へ早く行きたいなぁ・・・と思います。
来年中にはヴァリアー編越えを目指したいですね・・・。

では!


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二十話:嘘は良くない(震え声

「あはは、根津先生も悪いお方だ。あるはずもないタイムカプセルを探させるなんて・・・それに、校長にも是非を問わなかったのでしょう?」

「はっはっは。まあ、あれくらい当然でしょう」

 

 

 

「・・・今のは、確かに録音したわよ、根津」

 

 

———————————

 

ツナSido

 

  あっちこっちを探しても見つからない。

ああもう、これはダメかもな・・・。

 

「・・・よし、じゃあ死ね」

「うわぁ?!り、リボーン!」

「お前諦めただろ?」

 

銃口をこちらに向けたまま、リボーンはニヤリと笑った。

うう、早く降ろせよ・・・。

 

「は?い、いや・・・」

「諦めたらそこで試合終了なんだぞ!」

「なんのネタだよ?!」

 

リボーンが叫ぶように言って、俺がそれに対して突っ込んだ瞬間、パァンッと頭が撃ち抜かれた。

 

 

 

(・・・嘘、だろ?ここで死ぬのか・・・?)

 

(嫌だ、嫌だ・・・!関係ない人まで巻き込んだまま死ねるか・・・!)

 

(こんなことなら、最初っから死ぬ気で探しとけば良かったなぁ・・・)

 

 

 

「死ぬ気でタイムカプセルをさがーすッ!」

 

 

霊夢Sido

 

  私が校庭に戻った時にはカオスな空間が生まれていた。

また上半身裸で沢田がダウジングマシンを持って唸っている。

 

「地脈発見ッ!ぶっ壊す!」

 

拳を振り上げる。

すると、その後ろで獄寺がダイナマイトを持った。

 

「十代目!手伝います!」

「私もやるのぜ!」

 

魔理沙はどこから持ってきたかミニ八卦路を構え、放つ。

ドーンという爆音と共に、悲鳴が上がる。

 

「だ、大丈夫か、妖夢!?」

 

山本が妖夢に駆けつける。

妖夢は沢田に抱き上げられていた。

爆風で吹き飛ばされたのを助けたんだろう。

 

「こ、この通りです!」

「そっか、よかったのな!」

「よかったよ本当に。巻き込んでごめん」

「い、いいんですって!」

 

私は沢田たちが空けた穴の方へ行く。

魔理沙とフランが覗き込んできた。

 

「こらー!お前たち、なにをしているんだ!」

「げっ、根津・・・」

「お前たち、こういうことをして・・・退学だぞ、退学!」

 

根津が校庭に出てくる。

沢田たちの前に私が『それら』を持って出た。

 

「・・・うっさいわねぇ」

 

 

ジジジ………

『あはは、根津先生も悪いお方だ。あるはずもないタイムカプセルを探させるなんて・・・それに、校長にも是非を問わなかったのでしょう?

   はっはっは。まあ、あれくらい当然でしょう』

 

録音機からそんな声が流れ出る。

根津のメガネがずれた。

 

「あと、このタイムカプセル・・・どうやら四十年前のものらしいな。エリートコースまっしぐらなんだっけか?」

 

魔理沙が私が持ってた紙を奪って言った。

そしてペラリ、と根津が沢田のテストを見せたみたいに見せてやる。

根津が青ざめた。

 

「・・・なんで平々凡々なうちの学校のタイムカプセルにお前のテストがあるんだろうなぁ」

 

魔理沙はへへっと笑ってテストを綺麗に折ってポケットにいれた。

私も録音機を同じようにポケットに入れて歩き出す。

 

・・・目指す場所は校長室。

 

根津は、学歴詐称のためにクビにされた。

 

☆  ☆  ☆

 

ツナSido

 

「・・・・っくーーー!清々したぜ」

「はいはいお疲れ様」

「博麗、お前いつの間にあんな会話録音して・・・」

「・・・別に。どうでもいいでしょ?」

 

博麗はそっぽを向いてしまう。

魔理沙がニヤニヤしているが、気にしないでおこう。ろくなことにならない。

 

「・・・博麗、ありがとな」

「なんのことだか」

 

窓を見やった博麗。空を見ているのだろう。

今日の空はあんなことがあった後だからか、いつもより澄んで見えた。




ずいぶんと期間を空けてしまった・・・。
友人Nに「早くしろよお前!」と叱られる始末。Oh・・・。
あの人のパンチ痛いんですよ本気で。

もうすでに二個くらいネタを考えてくれているので・・・頑張ります・・・(震え声

では、また次回!


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二十一話:「妖夢強い」

ツナSido

 

  朝、なぜかオレのところまで迎えにきた獄寺くんと、魔理沙、博麗と家を出る。

その途中で京子ちゃんと出会い、オレたちは学校へ向けて歩いていた。

 

「それで、今日、調理実習でおにぎり作るんだ!」

「へぇ、そうなんだ・・・」

 

(よっしゃーー!京子ちゃんのおにぎりが食える~~!)

 

オレは心の中でガッツポーズすると、獄寺くんの嫌そうな声が耳に届く。

「うげっ」といった声だ。

獄寺くんをみやり、その視線をたどると、山本と妖夢がいた。

 

「それで、もしよろしければおにぎりを差し入れにしようかと思うのですが、なにがいいですか?」

「鮭だな!鮭!」

「わかりました!」

 

笑顔でやり取りを交わす二人。

傍から見たらリア充カップルのそれだ。

しかし、山本も妖夢も人気者であるからして茶化すものは居るが嫉妬の視線を送るものはいない。

まあ、羨ましいといった視線はあるけれど。

 

「おーい!山本ー、妖夢!」

 

魔理沙が駆けていく。

ほぼ全員が「あっ」と声を漏らした。

・・・当人たち以外だが。

 

「あ、魔理沙さん。おはようございます」

「おはよーさん、霧雨」

「おう!おはよー!」

「ツナたちもいるのか!」

 

山本と妖夢はこちらを振り返り笑った。

うん、邪魔した気しかしないけど・・・まあいいか。

オレたちも歩を進め、山本たちに追いつく。

 

「お前らもおにぎりの話してたのか?」

「はい!」

「そうなのな!」

「ふぅーん?」

「獄寺とツナはなんのおにぎりが欲しいんだ?」

 

山本が無邪気に笑って聞いてくる。

オレは苦笑して答えた。

 

「オレはもらえりゃいいよ!」

「・・・」

「獄寺は?」

「どうでもいい」

 

獄寺くんはぶっきらぼうに返した。

妖夢がそれに詰め寄る。

そして、口を開いた。

 

「ダメですっ!」

 

その勢いに押されたか、獄寺くんは一歩下がった。

それに比例するように、妖夢もまた前へ出る。

人差し指を突きつけて妖夢は言い放った。

 

「女の子たちにがっかりされますよ?」

「・・・それこそ、どうでも」

「よくないです!まったくもう・・・」

「・・・食えりゃなんだっていい」

 

負けたらしい獄寺であった。

なんだかその様に、つい笑えてしまう。

 

「ああ!十代目!笑いましたね?!笑いましたねぇえええ?!」

「ご、ごめん、ごめん!」

「・・・おにぎりねぇ」

 

博麗がどこか遠くを見つめるように、ぽつりとつぶやいた。

オレにはその真意なんてわからない。

 

(・・・よくわからないけど、今日はいろいろありそうだなぁ)

 

そしてまたオレは人知れず苦笑した。




妖夢が強くなったのは、あれですね・・・。
うん、贔屓ではありません。
少なくとも、ですが。

妖夢は真面目なので獄寺くんが変なこと(?)を言ったりしたりすれば注意します。
というか、ツッコミですのでしますが。
フゥ太の『並盛中で実は怒らせたら怖い人』ランキング上位にでもいたんじゃないでしょうか。
きっと獄寺くんはそれを恐れてるんですよ。
そして相変わらずの山本×妖夢はバカップル。
次回はおにぎり編そのに。
友人N氏からなにかあればずらすかもしれません。
では、また次回!


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二十二話:ポイズンクッキングおにぎり

 

「今日、おにぎりを作るって?」

 

応接室で、雲雀は咲夜に聞いた。

窓の向こうに目をやりながら、雲雀は笑った。

それに、咲夜は何に笑んだかわからないまま返す。

 

「ええ。そうですが・・」

「じゃあそれ頂戴」

 

ぐりん、と咲夜を向いて、雲雀は言った。

笑みはすでにそこになく、無表情であるが。

咲夜はそれに目を丸くする。

 

「えっ・・・」

「鮭ね」

「は、はい・・・」

 

勢いに押されるまま、咲夜は頷いた。

雲雀はその咲夜の返答に満足したのか、またそっぽを向いた。

やや間があって、状況を把握した咲夜はため息を吐いた。

 

(仕方ない人ね)

 

———————————

 

ツナSido

 

「実習で作ったおにぎりを男子にくれてやるーーー!」

「おおおおおお!!!!」

 

女子がおにぎりを持ってやってくるなりそう叫ぶと、男子もそれに釣られるように雄叫びをあげる。というか、歓喜の叫びだ。

女子の列には、京子ちゃんもいるし、博麗たちもいた。

・・・しかし、恐るべきことに京子ちゃんのおにぎりと、博麗、魔理沙のおにぎりはポイズンクッキング済みだ。

うん。フランにはやめておいたんだろう。おそらく。

ああ、神よ。あなたはなぜこんな苦行を・・・!

 

「・・・ツナくん?」

「な、なにかな!?」

 

おにぎり(ポイズンクッキング)を持った京子ちゃんがオレの顔を覗き込んだ。

 

(うわぁああ、ど、どうしよう?!)

 

「食べる?作ったんだけど・・・」

「え、あ・・・」

「十代目、食わないんすか?」

「お、ならもらっていいか?」

 

何も知らない獄寺くんと山本が手を延ばした。

オレはそれを、自分の腕を振り上げることで阻止する。

 

「食べたら、死ぬんだぞ!」

「は、」

「えっ」

 

叫びながら、オレは言い放った。

彼らの手から落ちたおにぎりは、オレがキャッチする。

獄寺くんたちは呆気にとられたようにオレを見る。

 

「ツナ、くん・・・?」

 

しまった、京子ちゃんのを食べないと、嫌われる!

どうしよう?!

ぐるぐるぐると思考が回る中で、パァンッと破裂音が響いた。

強い衝撃。それは頭と腹を通過した。

 

「死ぬ気でおにぎりを食う!」

 

オレは次の瞬間、両手のおにぎりを口に入れ、京子ちゃんが持っていたおにぎりまでも口に入れる。

そして、その隣の人のものを食う。

 

「きゃあ!」

「さ、沢田!?」

 

驚いている声が聞こえるが、知らないな!

オレはまた近場の人のおにぎりを食べる。

 

「食われた!」

「おにぎりがないわ!」

「沢田は暴走したぁあああ!」

「誰か、止めろ!」

 

もぐもぐ、とおにぎりを咀嚼するオレを取り囲むクラスメイト。

その山を飛び越えた。

そして、その先にいる博麗の元へ・・・行くと殴られた。

 

「あでっ?!」

「なにしてんのよ」

「は、博麗・・・痛い。結構」

「早く服着なさいよ」

「うわぁ?!」

 

博麗に指摘されてオレは何処かに落ちている制服を拾って着る。

うう、また死ぬ気になっちゃったよ・・・。

ああやばい、口元に米粒が・・・。

焦るオレを見てため息をつく博麗が、「あっ」と声を漏らした。

 

「「「「「「さ~わ~だぁ~」」」」」」

「ひぃっ?!」

 

男子が恨めしそうにオレを囲んだ。

オレはそれに身を縮こまらせるしかできない。

その男子の一人に、ポンッと肩に手を置いた博麗が口を開く。

 

「あんたら、さっき沢田が言ったこと覚えてんの?『食べたら死ぬ』のよ?笹川のはともかく、他の女のには毒が仕込まれてるかもしれないわ」

「な、なによ博麗さん。私たちがなにかするとでも・・・?」

「違うわよ。魔理沙よ。魔理沙の薬ならそういったものすることできるでしょ?」

「やっと私に話を振ったかと思いきや、酷いぜ霊夢!?」

 

博麗が魔理沙を指差すと、魔理沙がやや涙目で反論。

女子の目は、魔理沙に向けられる。

 

「魔理沙さん、言い訳はあっちで聞くわ。おにぎりを置いてちょっといきましょ」

「ええ!?い、いや勘違いなのぜ!あれは霊夢の罠で・・・お、おい、聞いてんのか?!見てないで助けてくれ妖夢ー!フランー!」

「あー・・・頑張ってください」

「ドンマイ☆」

「救いがねぇ!」

 

魔理沙は女子に引き摺られていった。

おにぎりはそこに残ったままである。

男子の喉がなる。

そこにあるのは、ポイズンクッキングされたおにぎりがあるのみだが。

 

「・・・いただき」

 

男子が手を伸ばすと、たった一つのおにぎりに触れたものがいた。

獄寺くんだ。

彼はそのままひょいっと口にすると、顔を青ざめさせる。

しかし、なんとか全部咀嚼し飲み込むと、がっくりと膝をついた。

 

「・・・ごちそうさま」

「ご、獄寺くん、頑張ったね・・・」

「・・・じゅう、だいめ」

 

獄寺くんは、カクリと意識を失った。

オレはそばに寄って、背中を撫でる。

 

「・・・やっぱこれポイズンなのねー」

「・・・ははは」

「食う?」

「えっ」

「食う?」

 

博麗におにぎりを差し出される。

どこか期待を含んだような視線が突き刺さる。

 

「・・・イタダキマス」

「あら、そう?・・・いいのね?」

「・・・」

 

無言でおにぎりを取る。

そして、大きく口を開けて押し込む。

つい、そのまま飲み込む。

しかし、毒はある・・・・。

 

「おい・・・しいよ・・・」

「あー、さ、沢田・・・?」

 

申し訳なさそうな博麗の声を聞いたのを最後に、オレは眠りについた。




漫画があるだけでこんなに違う・・・!
オリジナリティがなくなってしまうのは、あれですが・・・まあ、東方メンバーいますしね。
次回は、それぞれ・・・東方メンバー(霊夢除く)は誰に渡したか?その反応は?
それを書こうと思います。
・・・・ふぅ。

というわけで、また次回!


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二十三話:おにぎりおにぎり。おにぎりいっぱい

 

「山本さん!」

 

妖夢が笑顔で山本に駆け寄る。

山本はそれに気がついたか、「ん?」と返しながら振り返った。

妖夢の手の上には、綺麗な形のおにぎりが二つ。

それを掲げるように見せると、山本は疑問に思ったか声に出す。

 

「それ、どうしたのな?」

「おにぎりですよ!よくできたものなので、差し上げようかと」

「さんきゅな、妖夢!これで今日のこの後も頑張れるぜ!」

 

山本がガッツポーズで妖夢に返すと、妖夢がとても嬉しそうにはにかんだ。

そして、その場でおにぎりにかじりつく。

咀嚼音がその空間に響く。

「良くできた」といったものの、あまり美味しくなかったらどうしよう、と妖夢は内心ハラハラしていた。

たかがおにぎりだが、妖夢はそれにかかわらず不安そうな面持ちで山本を見あげる。

 

「うん、うまい!ちなみに、妖夢」

「はい、なんでしょうか?」

「いや・・・。よくできなかったら、俺もらえてなかったのかなってな」

 

そう問うた山本に、妖夢は考える。

確かに、そうかもしれないと結論に至った妖夢はそのまま伝えた。

 

「・・・まあ、そうですね。悪い気もしますが、人に差し上げるのだったらいい出来の方がいいじゃないですか!」

「そうだなぁ・・・。でも、俺はもらえればいいぜ?妖夢の、美味いからな!」

 

妖夢はその場で硬直した。

いくら霊夢のように鋭くなくとも、だいたいの意味合いはわかるであろう。

今の妖夢の思考では、「妖夢のであればどんなものでもいい」といった感じで捉えている。山本の方が無意識に言っているということを知っていても、自分の料理の腕を認めてもらえているだけだとわかっていても、そう言う意味合いで捉えてしまう。

どうやら、今の妖夢は冷静でないようで、つい声を発しようと口を開けてしまった。

山本は不思議そうに首をかしげているばかり。

 

「・・・あの——」

「あ、悪い!そろそろ時間だ。話はまたあとでな」

「へっ?・・・あ、はっはい!すいません、わかりました!」

 

山本の言葉を聞いて、ハッと気がついた妖夢はつい反射的に言葉を返してしまう。

それを聞いた山本は安心したように「おう!」と言って去っていく。

ぽつんと一人残った妖夢ははふぅ、と息を吐いて胸を撫で下ろす。

 

「なにを言おうとしてたんだろう・・・私ってば、勝手に勘違いしてその挙句、山本さんを困らせるような・・・」

 

また、息を吐く。

何を言おうとしていたかすら自分で把握できずに、妖夢は顔をしかめた。

久しぶりに体を動かしたい。その一心で妖夢は足を動かした。

 

—————————————

 

  コンコン、とドアがノックされる。

応接室の主と化している雲雀はそれを聞いてすぐ動いた。

ドアを自ら開けると、そこには丁寧にお辞儀をした咲夜がいた。

 

「こんにちは、雲雀さん」

「・・・おにぎりは?」

「勿論ここに。ご所望通り作ってまいりました」

 

微笑んでおにぎりを差し出す。

雲雀はそれを掴むと口にする。

 

「・・・悪くはないね」

「勿体無いお言葉です」

「咲夜、もう一個あるのかい?」

「はい?いえ、ありませんが・・・」

「そう。・・・なら、いいよ」

「??」

 

どこか不機嫌そうに眉をひそめた雲雀に、咲夜は何のことかわからない様子で雲雀を覗き込む。

しかし、ふいと逸らされた目と、目が合うことがなく咲夜は肩を落とす。

 

「・・・雲雀さん?」

「別に。なんでもないよ」

「そうですか」

 

雲雀のそっけない態度は普段通りなので咲夜は至って普通に接しようとする。

・・・が、思ったよりも雲雀は不機嫌なようだ。

 

「・・・そろそろ行きますね」

「うん」

「では」

 

咲夜は立ち上がって、応接間から出た。

——刹那、ヒュンッ、と空を切る音が聞こえた。

続けてカァンと金属音がする。

銀の刃が咲夜に襲いかかったのだ。

それをナイフでやり過ごすと、咲夜は笑った。

 

「久しぶりに暴れてるわね、妖夢」

「フーッ、フーッ!・・・咲夜さん」

「はいはい。ここじゃなんだから移動しましょうか」

 

のんびりと歩き出した咲夜に、妖夢が斬りかかる。

パリィンと窓が割れる。

二人は、窓の外へ投げ出された。

 

—————————————

 

  フランドールは単身、勝手に早退していた。

おにぎりを袋へいれて、それを持って走って。

家に着くと、ただ彼がいる部屋に向かった。

 

「あ、やっぱいた!」

「・・・フラン。学校は?」

「リボーンに渡すために帰ってきた!」

 

リボーンはスタスタとフランに近づく。

フランドールはそれを不思議そうに眺める。

パァンッ!頬が思い切り叩かれた。

 

「い、いた」

「バカか、お前は」

「えっ・・・」

「何で休んだ。お前は遅くから勉学に励み始めたんだ。追いつくためにもっと——」

「・・・んで」

 

ポタリ、と、リボーンの頬に雫が落ちる。

フランドールの紅の瞳が潤んでいた。

 

「渡したいって思うのはいけないことなのぉ・・・?」

「・・・」

 

手を離した時に、落ちてしまったおにぎりの袋をリボーンが拾う。

ごそごそとおにぎりを取り出し、口にいれた。

フランドールの手が小さいからか、やけに小さいおにぎりを咀嚼する。

しかし忘れてはいけない。それは、ポイズンクッキング後のおにぎりであることを。

小さいながらも形の悪いおにぎりをまた一つ、口に放る。

 

「・・・美味い」

「!」

「ただ、早退するのはいただけない。明日からしっかり取り組め」

「うん!ありがと、リボーン」

「・・・別に」

 

フランドールが涙を拭いて笑ったのを見て、リボーンも笑った。

・・・ただ、顔色は悪かったが。




おにぎり編終了。
え?咲夜と妖夢はどうなったかって?知りませんよ。
(そしてこれが一番やりたかった展開だなんて言えない)
バレンタインのものと、フラン・リボーンが展開が少々似てるのはしかたないです。
ネタがないんです。察してくださいお願いします。
友人N氏が最近仕事を放るので怖くて怖くて・・・。
あれ、おかしいな・・・次なにやるんだっけ・・・。まあいいか。
というわけで、また次回もお願いします!

では~!


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二十四話:ハンバーグ

第三者Side

 

「A組ーーーっ、極限に頑張るぞーー!」

 

体育館から響く叫び声。

咲夜は屋上で、ため息をつきながらそれを聞いた。

そして視線を落とし、もう一人の人物に話しかける。

 

「みなさん、体育祭のために頑張ってるみたいですね」

「・・・」

「あの、雲雀さん?」

 

雲雀は黙って咲夜を見上げた。

咲夜と目が合う。

 

「・・・体育祭の日に、ハンバーグ作ってきて」

「え?私がですか?」

 

咲夜は急な頼みごとに、目をパチクリさせた。

雲雀がこくりとうなずく。

 

「君が作ったものが、食べたいから」

 

その一言は咲夜の向けて放たれたものの、雲雀の目線は咲夜でなく明後日を向いている。

咲夜からその表情が読み取れない。

 

「・・・いいですけど」

 

しばらく、間が空いた。

話すことがないのか、雲雀はそれ以来黙ってしまったのだ。

それが余計、咲夜を焦らせる。

 

(どうして黙るの?私がなにか言った?)

 

(いや、言ったには言ったけれど、どうしてこんなに黙ってしまうのかしら)

 

咲夜は心内でもんもんと考える。

しかしいっこうに答えは見つからず、ただため息しか出なかった。

そんな時、屋上のドアが開き、そこから風紀委員がくる。

その人物を二人は知っている。

 

「委員長」

「草壁さん・・・?」

「なに?」

「それが、棒倒しの対象に、笹川了平ではなく、一年生の沢田綱吉が選ばれたみたいでして」

 

草壁が告げた内容に、雲雀は対して気を引かれるわけでもなく、「ふぅん」と返した。

 

「まあ、それくらいならほっといていいよ」

 

そうつぶやくように言った雲雀は、草壁の横を通り過ぎて屋上から出て行った。

咲夜は草壁に近づいた。

 

「お疲れ様です。・・・あ、草壁さん、ちょっといいですか」

「なんですか?」

 

目の前で引き止め、少々考え込む。

草壁にとっては、このようなことはそこそこあるので、何も思わず待った。

問いたい内容を整理して、草壁に聞いた。

 

「雲雀さんって、ハンバーグが好きなんでしょうか」

「そうですよ。ああでも、作るのなら・・・委員長はにんじんが嫌いなので、抜いてきた方がいいですね」

「ありがとうございます。引き止めてすいません」

「いえ、いいんですよ。では」

 

咲夜は草壁を見送った。

そして、簡単にハンバーグのレシピを思い出す。

 

(・・・結構雲雀さんって、子供っぽいんだなぁ)

 

そんなことを思いながら、咲夜も屋上を後にする。

指折り数え、結論は。

 

「まあいいか。今日はスーパーにでもよって足りないものを買い足しましょう。少しでも喜んでいたたけるよう、頑張らないとね」

 

くすりと笑って、




友人N氏、文章に起こすのが遅くてすいません。
ちなみに、この体育祭編は、友人N氏曰く、「ヒバサクヒバサク」だそうです、
そして何となくお察しくださってる方もいらっしゃるかと思いますが、原作通りには行きません。
友人N氏のプロットに、「れーむSideもやっといて」とあったのだがそれは原作のワンシーンをとおっしゃいたいのだろうか。
・・・と、ここに愚痴ってもしかたないのでw
この話を書いて、・・・雲雀さんにんじん嫌いとかぷぷー(殴
・・・はっ!!殴られた!

と、テンションがおかしくなってきてるのでここいらで。
投稿遅れて申し訳ありません。
では、また次回!!


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二十五話:オカイモノ

第三者Side

 

  咲夜は、雲雀の要求したハンバーグの材料を買いに出かけることにした。

人混みはそこかで多くなく、比較的通った店でもあるので、目的の材料は揃えられた。

よし、レジへ向かおう。

そう足を動かした時、見覚えのある黒いリボンが揺れた。

足音を抑えて、息を潜め、その背後に近づいた。

それは半ば反射的だった。

彼女の姿を見て、体が動いたのだ。

 

———トンッ、と。

 

「ひゃあぁああっ!!!」

「しーっ」

「あ、・・・さ、咲夜さん」

 

オーバーリアクションだ。

咲夜は冷や汗をかきながら、妖夢に黙れと声をかけると、妖夢ははたと気づき、口を塞ぐ。

こちらを認識した彼女がホッとしたように胸を撫で下ろす。

そんな怖がることであったのだろうか。

彼女の苦手な幽霊は昼間に出るはずもない。

驚かせにかかったのだから、それ相応の態度は望んで正解だろう。

彼女としても、ここまで驚きの声が出るとは思わなかったのか、顔をやや赤らめてうつむいてしまった。

ふと、妖夢の持つカゴの中身が気になった。

 

「あら。あなたも?」

「はい・・・えっと、えっと、家で食べるので・・・」

「あなたって確か沢田と同じとこに住んでなかった?」

「変な言い方はよしてくださいよっ!」

 

妖夢はやや顔を青ざめながら、咲夜の言葉に反論する。

何か嫌なことでもあったのだろうか?

だとしたら、綱吉を殴ってこなければならない。

友人を傷つけた罰なのだし。

周りを確認した妖夢は、ふぅと息を吐いた。

そんな時、ひょっこりと妖夢の後ろから、山本が現れた。

 

「よっ、二人とも」

「ひゃぁあああああああああああっ?!」

「あ、あら・・・山本」

 

なんとなく、青ざめた訳がわかった。

山本は首をかしげ、妖夢と咲夜を見比べた。

妖夢は目を逸らし、咲夜は何とも言えない表情をつくって、山本を見ていた。

 

「・・・こんにちは。どうしたの?」

「ん?ああ、まあな。妖夢の声がしたから来てみたんだ!わりぃな、邪魔した」

「いいのよ」

「ハ、ハヒ」

 

妖夢はもうかちんこちんに固まってしまっている。

本当に彼女に何があったのだか。

わかりはしないが、咲夜は去って行く山本の手を掴んでいた。

 

「「!」」

「山本、妖夢を手伝って行きなさいよ」

「・・・あ、ああ。わかった」

 

妖夢の背中を押して、咲夜はその場を離れた。

レジへ向かうのに、とんだ甘い空気を吸ってしまうところだった。

深呼吸をしてから一旦後ろを見やる。

顔を赤くした妖夢と、それを気遣う山本の姿があった。

何だかそれを見て、咲夜はフッと笑み、レジへ進んだ。




大変遅くなりました。
プロットがいけない。←

・・・次回、どうなるんだろ・・・。

では。


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二十六話:笑み

うわぁああああああああ!!!!!
友人ってこんな厳しい物だっけ!?


咲夜Side

 

 私は、雲雀さんを探していた。

こんなときにまで見つからないとは、どこにいるというの、あの人は・・・。

 と、言うのを忘れて居た。

本日は体育祭当日。時刻は昼の十二時ほど。正確な時間は、今は時計を見る暇すらないからいいとする。

何故雲雀さんを探しているかというと、作ってきたハンバーグを食べてもらうためである。

案外こういった物が好きだという雲雀さんのために作ってきたこれを、なんとかして食べてほしいのだけれども・・・作ってこいと言ってきたくせに、姿を消すとは何事か。

ハンバーグがどうなっても知らないというのか。

まあ、これをなんだかんだするのは、食材がもったいないからやめておくけれども。

私としては、一つの場所でおとなしくそこに居てもらいたい。

探す手間が省けるし、すぐ報告することも出来る。

そちらの方が、こちらとしても願ったり叶ったりなのだけれど、現実はそうも甘くはない。

それは知っていること何のだが、どうしても運命・・・いや、現実を呪わずには居られないわけだ。

 様々なところを捜索しつつも、私はところどころ駆けたり、探したりで、忙しない昼を過ごしていた。

 

「・・・はぁ、居た」

「・・・・・・咲夜」

「どうしてすぐに離れて言ってしまうんですか」

「群れるのは好きじゃないからね」

 

つん、と顔を背け言う雲雀さんに、私はため息をこぼした。

 

「でしたら、少し離れた場所にいるでいいんです。なんなら屋上にいてくださってもよかった」

「じゃあそうしようか」

「いや、ダメです!!やっと見つけたというのに、どうして野放しにしましょうか!」

「ん?屋上には来ないのかい?」

 

行くとは言ってないんですが。

私は心の中でそうつぶやいてから、雲雀さんを見た。

雲雀さんは、木の上でくつろいでいた。

とりあえず、私は抱えて居た箱を雲雀さんに手渡す。

もちろん、私も木の上にのぼった。

 

「・・・ハンバーグ」

「はい、どうぞ」

「・・・ん」

 

ぱかっと箱を開けた雲雀さんは、思うことがあったのか、表情を変えた。

私はそんな雲雀さんを気にかけることもなく、ただそのハンバーグに物を差し込んだ。

 

「これ、さしときますね」

「・・・!」

 

並盛印の旗。

ハンバーグには、それがぴんっとたっていた。

爪楊枝と紙で出来た簡素な旗だが、気に入っていただけただろうか?

 

「・・・」

「草壁さんに教えてもらって、作ってみたんです」

 

苦笑しながら、私はその旗を見る。

これで気に入ってもらえたら、私はとんだ幸運を得てしまったかもしれない。

こん名簡単な物で、喜んでいただけるのか――――。

 

 

「・・・ありがとう」

 

ふっとほほえんでみせた雲雀さんがそう言って、ハンバーグを口に入れ、咀嚼した。

私は、ついその一言に思考が止まってしまう。

私が止めるのは・・・・・・なのに・・・!

 

「・・・戻っていいよ」

「は、はいっ!」

 

その言葉に、はじかれるように私はその場を離れた。

ふと木を見上げる。

嬉しそうにハンバーグを食している雲雀さんの姿がそこにはあって、私はなんだか心が暖まった気がした。




俺が悪い。俺が悪い。

このクオリティになったのは俺のせいじゃない!!!!

いや、プロットのせいでもないけどさ。

とりあえず、まあ、私頑張った。頑張ったよ。

ってなわけで、次は体育祭を本編通りに・・・


・・・・・・やると思った?←

よく考えてみてほしい!この体育祭の主役はヒバサクだと私は言った!!
つまりだ!!

この体育祭に主人公である綱吉の出番はない!!←
そして、次の話もおそらく空気になる模様。
あのぎくしゃくした関係に、ついに終止符が・・・!
ではでは!

(無駄に熱く言って終わるやつ)


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二十七話:○○○○病(笑

綱吉side

朝から俺は憂鬱な気分だった。

まあ、こんな事態になっちまったら、誰だって憂鬱にもなるよな・・・。

「はー・・・」

「・・・」

「・・・なにしてんのよ、沢田」

「さあな」

俺のため息に、博麗とリボーンがぼそぼそと(リボーンは隠す気はないらしい)話しているのが聞こえた。

何をしてるかなんて、聞かないでくれよ・・・頼むから。

俺は腕まくりをし、その腕にあるものに目を通し、ひっそりと溜息を吐いた。

「おい・・・それ、ドクロ病じゃねえか」

「なんだそれ?!」

「なにこれ・・・ドクロ・・・?」

『昔、女だと思ってた好きなキャラが男キャラだったことがあった』

「ぎゃぁああああああああああああああ?!」

「ふぅん・・・」

「は、博麗っ!?」

「いーいこときいたぁ」

博麗が棒読みでそれを言ってどこかへ行こうとする。

俺はその腕をつかんで、口止めをしておこうと口を開けて、そのまま声を放った。

博麗はそれを聞いて、嫌な顔をしていた。

「・・・はぁ、あいつを呼んでおくか」

☆ ☆ ☆

「俺の患者ちゃんはどこかなぁ~っと」

「よう、シャマル」

「よぉ。患者はどこだい・・・?」

「こいつ殴っていいわよね」

変なおじさんが来たかと思えば、まっさきに博麗の胸に手を当てようとしていた。

それを全力で阻止しながら、青筋を立てる博麗も、変だと思うけどなぁ。

「こいつだ」

リボーンは俺の肩に乗って、シャマルというらしいおじさんに言った。

シャマルは俺の胸を触って、舌打ちした。

「男かよ・・・」

「はっ」

「じゃあやめた。診ない」

「はいぃいいい!?」

シャマルは俺から手を引っ込め、ハンカチでその手を拭いた。

なんだよ・・・こいつ・・・!

「この男マジで殴りたい・・・」

「我慢しろ博麗」

「診てほしいんだったらこの別嬪ちゃんとちゅーさせてくれよ」

「なっ!?」

「・・・殴ろう、そうしましょう」

博麗を向いて唇を突き出すシャマルに、無性に俺はイラついた。

シャマルと博麗の間に割り込んで、俺は頼み込んだ!

博麗の怒りを買うのは俺になっちまう!それだけは嫌だ!

「・・・!」

シャマルの顔が、びっくりした、というように変わった。

目を丸くして、何かをじっと見ているようだった。

「・・・いやだが、しかたねえな・・・。診てやるよ」

「いいの!?」

「ほう」

シャマルは、申し訳なさげに視線を逸らすものの、こくりとうなずいた。

俺の隣で、リボーンが笑いながらそれを見ていた。

「よかったじゃねえか。死なずに済んで」

「そうだけどよぉ・・・、なんでなんだ?」

「いや・・・。お前、さっき腕に書いてあった・・・いや、なんでもない」

『初対面の女の子に殴られ蹴られぼこぼこにされたのがトラウマになっている』

黒歴史ともすでに言えないようなことが書かれていた。

それをみんなが見てしまう。

「ーーーーーー!?」

☆ 少年治療中 ☆

「おお、おお・・・治ってる!!」

「けっ・・・当たり前だろ」

「ありがとうございます!!それじゃあ、お茶でも・・・」

「私も、お茶くらいには付き合うわよ・・・」

「!!よし、じゃあおねがいしようか!!」

((やっぱやめときゃよかったかも))

俺らはそんな風に談笑しながらリビングに移動する。

ああいってしまった以上、お茶を出さないわけにはいかない。

完全に、博麗狙いな気がしてならないが、まあ・・・違うだろう、とは思いたい。

ガチャっ「じゃあそこら辺に座って・・・はっ?」

俺は目を疑った。

「・・・」

「・・・」

ソファに座った獄寺君の膝に座り、そのまま彼に抱き着いている霧雨がいた。

俺は、一旦開けたドアを閉める。

それを不審に思ったらしいシャマルと博麗がドアを開け、中身を確認する。

「・・・どうした?・・・って、かわいいk・・・隼人・・・?」

「十代目、シャマル・・・タスケテクレ」

うつろな目で彼はそう訴えかけてきた。

うん、でもね、幸せそうだなって思うよ。

「・・・デレデレ病、だな」

「「なにそれ?!」」

「ごぉくでら~」

「う、うおっ!?」

霧雨が獄寺君にしがみつく。

それに彼は戸惑い、わたわたと慌てた。

なんだか、その様は・・・ずっと避けてるようにも思えた霧雨らしからぬ態度で、「ああ、これも病気なんだな」と妙に納得できた。

「これも治したほうがいいのか?」

「いや、治そうよ!?」

しかたない、とシャマルは獄寺君の手の平に何かを乗せた。

霧雨はもっともっとと密着していく。

寂しがり、なのかな・・・。病気のせい?

「・・・うう、どうして・・・どうして、私を嫌ってるみたいにするんだ・・・」

その言葉に、獄寺君はびっくりしていた。

デレデレ病は、自白しちゃうような効果でもあるのだろうか?

「うっ、ひぐっ・・・。うぅ・・・ごく・・・むぅ!?}

獄寺君が、彼女の言葉をさえぎって手で口元を覆ってやり、なにかを口に放り込んでやっていたような。

「うるせぇ・・・」

「ご、ごく・・・?」

「・・・大丈夫か?」

霧雨の様子がおかしい。

いや、さっきほどおかしい物はないが、今も十分と言っていいほどおかしいとは思う。

パクパクと金魚のように口を開閉させて、魔理沙は見る見るうちに顔を赤くさせていく。

「お、まぁ・・・!」

ぷるぷると震える霧雨。

さすがに嫌な予感がしたか、獄寺君がその顔を覗き込む。

おそらく、それがきっかけになったのだろうか。

霧雨の拳が振り上げられる。

「はっ?」

「ばかぁああああああああ!!!!」

パァンッ!!!

乾いた音。

俺らは耳をふさいでその音を最小限にとどめた。

☆ ☆ ☆

「とりあえず、霧雨の病気が治ってよかった~!」

俺はほっと胸をなでおろしながらそうつぶやいた。

「まあ、獄寺は重傷だけどな」

「でも、仲直りしたみたいよ?」

「え?」

「ほら」

博麗が指し示した方向には・・・、

「いってぇ・・・」

「ご、ごめん・・・」

「いや、俺も・・・その、離れるの忘れてたし・・・」

「う・・・」

獄寺君を介抱しながらも、顔を赤く染める霧雨の姿があった。

そこに、シャマルが向かう。

「ったく、俺よりも先に彼女作るなよ、隼人」

「「はぁ!?」」

にやけた顔でそういうと、二人はすぐさま声を上げた。

「「いいねぇ~」」

「リボーンが悪乗りした・・・」

リボーンまでもがそういう始末で、俺は溜息しか出なかった。

「彼女、か」

そんなつぶやきが聞こえた気がするが、その声の主と内容が一致しないせいで、どうでもいいんだろうと高をくくり、聞き流してしまった。




ドクロ病?何それおいしいの?

友人N氏と話してて、確か「いい加減仲直りさせろよ!」って怒られた気がしたから、案だしたら意外とすんなり決まったデレデレ病。
シャマルの治療シーンないのは仕方ないでしょ!(←

次は・・・わからんな。
友人N氏がいまディノレミのなれそめ考えてた気がするから・・・
まあ、未定ってことで!←

ではでは、また次回!


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二十八話:ディーノと少女

はい、大変お待たせしてしまいました。
ここから、少々ディーノの過去編?っぽいのはいります。

N氏「このネタとこのネタ、どっちからやる?」
俺「どっちでもよくね?」
N氏「あ、でも、お前最新話のあとがきでディノレミやるって言ってたよな」
俺(言ったっけ)

はい、未定とは言いましたがそれらしきことは言ってました。
N氏ごめんね、殴らないから殴らないで。

というわけで、ディーノと少女の奇行(?)、はーっじまーるよ~


ディーノside

 

「いって・・・。また転んじまった・・・」

 

 俺はそんなことをぼやきながら、打った頭を押さえ、あたりを見渡した。

周りには人がいない、それを確認したとき、ふぅと息を吐いた。

 

(よかった・・・)

 

なんでそう息を吐いて胸をなでおろすのか。

さっきの言葉を聞いてわかる通り、俺はよく転ぶ。

当然、よく転ぶのならば見る人はいるわけで。

いつもなら、転ぶと「ヘナチョコディーノ」とからかわれるか、無視されるか。その二つだけではない、睨んでくる奴だっている。

・・・マフィアこえぇよ。

 

「友達、作れよボス」

「しっかりやれよディーノ」

 

ロマ―リオと親父の言葉がよみがえる。

その二人が、俺が今入っている学校に入る前、そんなことを言ってくれたのにな・・・。

申し訳ない気持ちを抱きながら、天井を仰ぐ。

天井をぼんやりと眺めながら廊下を歩いていると、ドンッと何かにぶつかってしまった。

それがなにか視認する前に、それは、

 

「きゃっ」

 

・・・短い悲鳴を上げた。

誰かにぶつかってしまったようだ、俺は急いでその人の背中に手を添え、支えてやりながら声をかける。

 

「わりぃ、大丈夫か?」

 

慌ててその人に怪我がないかを確認する。

あまり固くない体。

支えてるのも楽だと感じるほど軽く、体格は小さめ。

・・・少女、だった。

しかも、その子の顔は真っ赤で、俺はつい怒らせてしまったのか?と不安に思ってしまった。

 

「・・・」

「あーっと、痛いところはないか?」

 

顔を覗き込みながら俺は問う。

少女は真っ赤な顔のままこちらをジロリとにらみつけるように見ると、ふいと顔をそむけてしまった。

 

「・・・ちゃんと、前見て歩きなさいよ!」

 

俺を小さく押して支えていた手を払うと、彼女は早足で歩いて行ってしまった。

小さめな子だった。

 

「・・・あの子も、マフィア関係者なのか・・・?」

 

この世界は非情だなぁ、なんて。

俺はそんなことを思いながら、また歩き出す。

今度はちゃんと前を向いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 数日後。

俺は食堂で昼食をとろうとしていた。

・・・こんなところで、またドジだけはしたくない。

そんな思いで昼食をもって席につく。

と、目の前に誰かが座ったような気がした。

 

「ちょっとあんた・・・いいかしら?」

「ん?」

 

俺はその子の顔を見やる。

 

(誰だっけ、この子・・・)

 

どこかであったような感じがする。

(失礼がないようにそっと)彼女の顔を見る。

そして、彼の中で一つの答えが導き出された。

 

(ああ、・・・あー、何日か前にぶつかった子だぜ・・・なんか、表情が硬いし、マジで怒ったのか?)

 

表情が硬い、とはそのままの意味で、彼女の表情は怒ってます、と言っているような顔だった。

そうであるかは俺にもわからない。

しかし、怒っていてもいなくても、マフィアならなにを去れてもおかしくはない。

少々警戒して、彼女の次の言葉を待った。

 

「私を、護衛してくれないかしら」

 

待った彼女の言葉は『それ』で。

 

「・・・は?」

 

やや間はあったものの、驚きの中で絞り出せた声はそれしかなかった。

仕方がないとは思わないか?

急に現れて、急に何を言い出すかと思ったら、「護衛をしてほしい」?

疑問を抱いた俺は問う。

 

「・・・誰が?」

「あなたが」

 

「・・・・・・はーーーーっ!?」

 

俺の問いに即答して見せた彼女は、状況がいよいよ読み込めなくなってきた俺の叫びに顔をしかめ、耳をふさぐ。

 

(護衛って・・・この子を?!俺弱いのに?え、ちょっと待てよ、そもそも・・・・・・何で俺?)

 

混乱する俺を見て、彼女は首を傾げた。

俺が未だに答えを出さないのを不思議がっているようで、彼女なりに考えをまとめたのか、声を発する。

 

「報酬は、払うわよ?」

「なんだよ、報酬って!」

 

別にそういうわけじゃないんだって!そう言う間もなく、彼女は言葉を紡ぐ。

 

「お金でもいいわよ。別に、何かのお手伝いとかでもいいし・・・」

 

ほほえみながら、彼女は報酬の内容を話した。

それを言われてなお、俺は困惑する。

これは確実に、彼女のペースで進んでしまっているのだ。

 

(断れっかな・・・)

 

そんな不安に駆られながら、俺はふと思った。

これまで、俺はずっとロマ―リオや親父、ファミリーのみんなに守ってもらってきた。

・・・これはいい転機ではないだろうか?

誰かを守れるやつになれば、俺も少しは変われるのではないだろうか?

いや、違う。

これからは、今までと違う俺になれるかもしれない。・・・なるんだ。

誰かを守れるやつになりたい!

そんな結果に行きついた俺は少しでも勇気を出そうなんて思った。

 

 

 

 

 

「・・・いいぜ。お前の護衛、するよ。その代わり、報酬っていってもあれだが・・・いいか?」

「ええ、恩に着るわ。本当に報酬はなんでもいいのよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃあ、その。あれだ・・・」

 

俺はそいつの言葉を受けて、言葉を絞り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・友達に、なってくれねぇか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

俺のその『報酬』の内容に、そいつは目を丸くした。

うう、そりゃあそんな反応もするだろうさ!

もうちょっとなんかあるのカナ、なんて思ったろうさ!

 

「俺、友達いねーから、すっげぇほしかったんだよ」

 

そう肩をすくめ、苦笑していってやれば、そいつはびっくりしたような顔をする。

 

「・・・っ!」

 

なんだか顔が赤いような気がしないでもないけれど、俺はそいつの言葉をまた待つ。

 

「・・・いいわよ。あなたの友達、増やしてやるわよ」

 

そっぽを向きながら、そいつがそう言ってくれる。

それが嬉しくて、俺は少し詰め寄りながら、声を上げる。

 

「ありがとうな!あー、そういや、名前聞いてなかったな。なんて言うんだ?」

「・・・レミリア。レミリア・スカーレットよ」

「レミリア、か。俺はディーノだ。よろしくな!」

「・・・ええ、よろしく、ディーノ」

 

お互いが笑いあい、軽く握手を交わす。

 

 

 

 

 

護衛っていう仕事が、俺にとって本当に転機と呼べるものになるとは。

この時の俺は、そんなこともつゆ知らず。

―――――――友達ができる、という嬉しさに心を躍らせていた。




ディノレミだァアアアアア!!!!(*´▽`*)
プロット見て早々俺は心の中で叫びました。

地の文変えろって言われたけど、取り込んだよ!!!!
やったねN氏!!!!!!
これのどこが恥ずかしいのか俺わかんない・・・!

というわけで、一・二話程度はディノレミ(?)編が続きそうです。

ここで、少々N氏と話したことをば。
・・・そろそろ黒曜編いけそうです!!!
大変時間が経ってしまった挙句、人間関係もややめちゃくちゃ、ボンゴレファミリーになぜか霊夢さんは入れないというこの状態!
なんとかしてN氏~!はい!俺がんばる!!

ですので、そろそろ物語が進むよ!というご報告を。
こういってるっていうのに、ディノレミ編ぶち込んだのはまあ仕方ないです!!!
だってN氏がスクaゴホッゲホッ

で、では、また次回!


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二十九話:ディーノの人探し

大変お待たせしてしまって申し訳ありません!!!!!
俺のモチベの問題と、友人N氏からプロットが渡されなかったせいというか・・・。
あ、これ見られたら殴られるオチだ(;´・ω・)
ではでは、どうぞ!


レミリアの隣で、ぼんやりとしていると―――ふと、一つの考えが浮かんだ。

つい「はっ」と声を上げてその場に立ち上がる。

隣にいた彼女がいぶかしむような表情でこちらを見上げてきた。

 

「どうしたのよ、いきなり大きい声だして」

 

案の定聞かれた。

 さきほど、俺は護衛の仕事を引き受けた。

引き受けたは、いいのだが。

がっくりと肩を落として俺は答えた。

 

「・・・そういえば、俺、弱ぇんだった・・・」

「は?」

 

訳が分からないと言わんばかりにレミリアが顔をしかめる。

俺はやや言い訳に聞こえるかもしれないが、ぶつぶつとしゃべりだした。

 

「護衛ってことは、誰かと喧嘩になったら俺が守るんだろ?でも、俺力もないし、銃も使えねーし・・・つーか、運動音痴だし」

 

隣から、ぶちっという音が聞こえた。

レミリアがこぶしを震わせていた。

 

「う~~~~・・・。コホン、だったら」

 

青筋を浮かべながら、レミリアは落ち着いたらしく提案をしてくれる。

 

「強い奴にでも護衛の仕方、教えてもらいなさいよ」

 

呆れたように言うが、俺のために言ってくれてるんだよな、きっと。

俺はそれにうなずいて「そうだな。サンキュー、レミリア」と礼を言った。

レミリアは「依頼した身としては、しっかりしてもらわないと困るから」とそっぽを向いてそういってくれる。

それが照れ隠しのように見えて、俺は苦笑した。

 

「・・・でもなぁ、俺、友達どころか知り合いもいねぇんだよ?」

「悲しいわね」

「うっ、言わないでくれ」

「もう・・・。それだったら探しに行けばいいじゃない。友達も増えるわよ」

 

レミリアも苦笑しながらそういった。

友達も、増える・・・。そんな言葉に俺は嬉々として「よし、行ってこようぜ!」とレミリアの手を引いた。

 

「ちょっ?!わ、私もなの・・・?!」

「いいからいいから!」

 

 

☆  ☆  ☆

 

「し、失礼しました~・・・」

 

ガラガラ、と戸を閉める。

はぁとため息をついて俺は廊下の壁にもたれる。

 

「話しかけられないんじゃ、しょうもないじゃない・・・」

「うぅ、面目ない。・・・よし!もう一回だ!!!」

(今度は生暖かい目で見られるのがオチだと思うけど・・・ま、いっか)

 

☆  ☆  ☆

 

 中庭に出てきた俺は、がくりとうなだれ、頭を抱えてその場にしゃがみこむ。

そんな俺についてきてくれていたレミリアは「どうするのよ」と声をかけてきた。

俺の眼尻には涙が浮かんできていて、それを見たレミリアはぎょっとした。

 

「マジで、どーしよう・・・」

 

あせあせと言葉を選ぼうとするレミリアを見て、俺は涙をぬぐう。

えっと、あの・・・そんな言葉が彼女の口からこぼれるので、俺はなんだから珍しいなどと思ってしまった。

 

(・・・レミリアがこんなに焦るなんてなぁ)

 

こほんと咳払いしたレミリアは、改めて口を開く。

 

「・・・・・・まあ、別にいいんじゃない?私もバカじ――――――」

 

 

 

「ヴオ"ォ"イ!!!ここは俺の縄張りだァ!死にたくないやつはさっさと出ていけ!」

 

雄たけびに近い声が聞こえきて、中庭にいた他の人はそそくさとどっかへ行く。

声の主を探すと、それはすぐに見つかった。

 

「スクアーロ・・・!」

「・・・・・・」

「れ、レミリア?」

「誰よ、そいつ」

 

レミリアのほうを見やると、彼女はどこか据わった瞳でスクアーロを見やった。

 

「す、スクアーロって言って、先輩でも構わずケンカ売るやつなんだ」

「要するに不良ね」

 

なんでこんなに機嫌が悪そうなんだ・・・。

とりあえずおいておいて、俺は口を開く。

 

「でも、つえーし・・・。この学校、結構裏でも荒れてるからな・・・。誰も止めねぇんだよ」

「だったら話は早いわ」

 

レミリアが声を上げる。

立ち上がって俺の背中を押した。

 

「ディーノ、あいつに頼むわよ」

「え?!」

「ほら早く!」

「お、おう!」

 

俺はレミリアの元から離れてスクアーロの元に向かった。

 近くで見ると、すごい威圧。

・・・すっごく、怖いです(震え声

 

「スクアーロ!」

「・・・」

 

スクアーロは半眼でこちらを見上げてくる。

明らかに、(なにこいつ)と思っているような目だ。

うう、怖い・・・が、言わなければ!

 

「あ、あの、俺に護衛の仕方・・・教えてください!」

「だが断るぞォ!」

「返事早いっ!」

 

遠くにいたレミリアが震える俺の代わりに突っ込むと、スクアーロは「ああ?」とすごんで見せた。

 

「うぅ・・・頼むよ、スクアーロォ・・・お願いだよ~・・・」

 

俺はついスクアーロの服の裾を泣きながらつまんでそういった。

スクアーロは俺を見て目を丸くして、「うぉおい!」と声を上げた。

 

「断られたぐれぇで泣くなァ!」

 

困ったようにスクアーロが言うと、レミリアのほうを一瞥して、大きくため息をついた。

?レミリア、何をしたんだろう?

 

「・・・チッ。しかたねぇな・・・。わかった!引き受ける!だからひっつくな!」

 

俺は「本当か?!」と声を上げてスクアーロの肩をつかんだ。

 

「ただし!」

 

俺を引き離しながら、スクアーロは人差し指を突き付けていった。

 

「俺も護衛なんてしたことねぇから、教えられねーが、お前の修行くらいになら付き合ってやれる。いいなァ?!」

「ありがとうスクアーロ!本当に助かるよ!」

 

涙をぬぐいながら俺がそう言うと、スクアーロはそっぽを向いてまたため息をついた。

「よかったわね」と声をかけてくれるレミリアに、俺は大きくうなずいて感謝の意を伝える。

 

「レミリアもありがとな。お前が背中押してくれたおかげだ!」

「・・・別に、私は何もしてないわ。あんたがいつまで経っても行動しないから、イラついただけで」

「は、ははは・・・」

 

その言葉に俺は苦笑しながら、レミリアの次の言葉を誤魔化した。

 この日からレミリアのために修行することとなった!

よーし、飽きられないよう、がんばるぞ!




文章がガッタガタ!ははは、やばいですね!
次のプロットももらっているので、そう日は空かずに更新できると思います!(フラグ
ディーノは無事レミリアを護衛することができるのか?!

次回、乞うご期待!


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三十話:パーティー会場の悲劇

というわけで三十話です!
やっとこさこの話数なんだなぁと思うと、自分の更新の意欲が低いようで・・・。
毎度毎度どつかれるたび思うんですが、プロット来るの遅くない?ねえ?
そう言うと毎回「じゃあオメェで書けよ」といわれるので言いません。言いませんよ!
(;'∀')

では、どうぞ!


しばらく経って、レミリアが浮かない顔をして俺の目の前に現れる。

こんな顔するなんて、よっぽど嫌なことがあったのだろうか・・・。

そんな風に俺が考えていると、レミリアは顔をうつ向かせた。

俺はなんだか間がもたなくなり、つい問う。

 

「で、何だよ・・・。レミリアが頼みたいことって」

 

そう。

レミリアは俺の元まで来たかと思うと、「頼みたいことがあるの」といって、俺を中庭・・・人気のないところへ連れていった。

 そして、今に至る。

 

「・・・これよ」

 

彼女は封筒を取り出し、俺に手渡す。

俺は何気なく宛名を探す。

 

「私の家から、手紙が送られてきたの」

「へー・・・?」

「今度のパーティーに、私も参加しろって。だから、あんたも一緒に来なさい。・・・ボディーガ―ドとして」

「え?俺?」

 

俺は、彼女の言葉に自らのことを指さす。

 

「ええ」

「いいけど、勝手に人連れてきて大丈夫なのか?」

「いいのよ。一人や二人ぐらい・・・。それに、私・・・・・・いえ、なんでもないわ」

「わかった・・・。俺も行くよ。一人じゃ心細いんだろ?」

「・・・っ!そんなわけないでしょ、馬鹿!」

 

ぼこっと一発殴られ、俺は「おおう」という声を上げた。

 パーティーかぁ・・・。

俺はわくわくしていた。どんな楽しいパーティーなのかと!

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「それで?」

 

パーティー会場に向かう車内で、レミリアが声を上げた。

 

「なんでスペルビまでいるのよ」

「俺にもよくわからねぇ」

 

助手席で首をかしげるレミリアに、俺の隣でスクアーロがレミリアの問いに答えるように、ぽつりと声を漏らした。

俺は二人に聞こえるような声で答えを告げる。

 

「ほら、俺よりスクアーロのほうが強いだろ?それに、大勢で言ったほうがレミリアもパーティー楽しめるしさ!二人でもいいんだろ?」

「・・・・・・余計なお世話よ」

 

つんと彼女が顔をそむけながらそういう。

ガーン、と俺は肩を落とした。

うう、喜んでもらえるかと思ったのに・・・。

 

☆  ☆  ☆

 

 パーティー会場はやっぱりいろんな人がいた。

それをぽつりとつぶやくと、レミリアからは「当たり前でしょ」と冷たい言葉。

しかし、その表情はやっぱり楽しそうではない。

・・・なにか、あったのだろうか・・・・・・。

俺はとりあえず出されている料理に手を出す。

あ、美味い。

スクアーロにもそれを差し出すと、彼もそれを食べた。

 

「――久しぶりだね、レミリア嬢」

「・・・お久しぶりですね、おじ様」

 

(うわ・・・っ)

 

レミリアに近づいた男は、ちょっと老けた感じのおっさんだった。

・・・だいたい、三十後半くらいだろうか?

それぐらいに見えた。

 

「元気そうで何よりだよ」

 

どこを見て言っているんだ。

レミリアは現に、少しばかり顔を青くしてる。

俺がそっとレミリアの元に逝くと、俺の手に触れられた。

俺にやっと気づいたおっさんは、問いを投げかけた。

 

「ところで、そちらの少年たちは友達かい?」

「・・・はい」

「俺は、警護で「あ、俺の友達です!」・・・オイゴラァ」

 

浮かない顔をして黙るレミリアの代わりに、俺が答える。

彼はけして、レミリアの表情に気づくことはなかった。

・・・こんなにも、明白にわかるって言うのに。俺でも、わかるのに。

 

「そうか。では、私はこれで」

「・・・・・・はい」

 

レミリアは間を開けて、「さよなら」とつぶやいた。

おっさんは離れていき、他の人と談笑する。

 

「・・・なんだ?あのおっさん」

「私の親戚」

 

先ほど少々おびえた態度をとっていた割に、淡白に答えるレミリア。

俺は「そうか」と答えて、・・・一つ、疑問を口走った。

 

「なあ、レミリア。・・・俺ら、周りからめっちゃ見られてないか?」

「多分話しかけてくるわよ」

 

ため息交じりに、レミリアはそう答えた。

俺がつい、「えっ?!」と返すと、スクアーロが俺らの元を離れる。

 

「俺は、抜けるぞォ」

「えっ、ちょ、待てよ・・・て、もういねぇ・・・」

「・・・勝手にさせておきなさいよ」

 

俺の服の裾をつかみながら、レミリアがうつむきがちにそういった。

 

「さっきから、どうしたんだよ・・・大丈夫か?顔色、悪いぞ」

「・・・・・・私、苦手なのよ。あの人たち・・・。だから、その・・・少しだけ、裾、つかんでてもいい?」

「いえーぜ・・・でも、あれだなぁ」

「?なによ」

 

きゅっとつまんでくるレミリアに不満はない。

むしろ、これくらいでいいのかと思う。

・・・その成果、体が動いた。

 

「こっちのほうが、安心しないか?」

 

ぎゅうと握る。

俺は彼女の手を取って、握った。

手をつないで、俺は笑いかける。

ボボッと顔を赤く染めるレミリアに、俺は怒るスイッチでも押してしまったのかと思ったが、そうでもなかった。

 

「・・・・・・ばかじゃないの?」

 

そっぽを向いて、それだけ、つぶやかれた。

俺はそれを聞いて笑った。

他の連中よりクールなレミリアが手をつなぐぐらいで照れるなんて!

 俺らはしばらく、親戚の人々と談笑し、俺らだけで話し、飯を食っていた――――そしたら。

 

パリーン!!!!

 

窓ガラスが割れ、室内に散乱する。

悲鳴と、謎のうめき声が響き、俺らは状況把握に少し遅れた。

 

「なんだ、あれ・・・モンスター?!って、こっち来るし!」

「大きいわね・・・全長10mってところかしら」

「冷静に分析してないで逃げろよ!俺は腰抜けたからおいていっていい!」

 

しりもちをついてしまっている俺はせめてレミリアだけでもという思いでレミリアに叫ぶ。

すると、彼女は呆れた顔で言った。

 

「・・・あんた、本当にバカね。私がこんな倒し甲斐のあるようなエモノ、見逃すわけないじゃない」

 

その言葉の後にレミリアは長い槍を取り出した。

赤い、紅い槍。

 

「れ、レミリア?」

 

モンスターにとびかかるレミリアは、鋭く突きを放った。

それをモンスターはぎりぎりで避けられず、肩を深くえぐられる。

 

「グォ、アアアアアアアアアア」

「うるさいわね・・・まったく」

 

くるくると一回振り、耳に指を入れてモンスターの奇声が聞こえないようにするも、ため息をついて彼女は地を蹴る。

 

「はっ!」

 

上段から振り下ろし、一旦槍を後ろへ振ってからまた突き刺す。

今度は的確に心臓部を貫いたらしく、妖怪は何度か痙攣した後、くたりとその場に倒れ伏した。

鮮血は噴き出していないらしく、彼女には返り血が・・・ついていた。

おそらく俺の死角になってる部位で噴出した血があったんだろう。彼女の右半分はほぼ鮮血にまみれていた。

 

「・・・しくじったわね。せっかくのドレスが」

「おおおお、おい、レミリア大丈夫か?!」

「あんたも見てわかるでしょ、ただの返り血よ。怪我はないわ」

「なら、よかっ―――レミリア、後ろ!」

「ッ!」

 

俺が指さした方向には、同じ類のモンスターが室内に入り込み、レミリアに拳を振り上げていた。

レミリアはその場にうずくまり、衝撃を槍で防御しようと槍を頭上に構えてそれを待った。

しかし、いつまでたっても衝撃は来ない。

 

「スクアーロ!・・・と、誰だ?」

「ケッ。・・・ウ"ォ"ォ"イ"!俺にもこのデカブツもっと寄越せェ!!」

「・・・うるせぇぞ、カス共」

 

そのスクアーロの後ろには知らない人がいて、その人は手から炎を・・・えっ、炎?!

 その人をよく見る。

いや、知らない人じゃない。

知っている!!

 

「ざ、ざざ、ざ、ザンザs」

 

ドゴォオオオオン!!!

爆音が響く。俺はとっさに目を閉じて、端っこでプルプルしていた。

・・・しばし、静寂が訪れる。

目を開ければ、目の前には槍をしまっていたレミリアが立っていた。

 

「何ボーッとしてんのよ、役立たず」

「や、役立たず・・・」

「・・・まあでも、無事でよかったわよ」

「はは、ありがとな」

「・・・・・・ッ。別に」

 

レミリアが顔をそむけて、その視線の先に会った先ほどのモンスターを見つけて顔をしかめる。

 俺もそちらを見やり、「あれ、なんなんだろうな」とつぶやく。

 

「どこかで、見覚えが・・・あるような、ないような・・・?」

「??そう、なのか?」

「・・・いえ、気のせいかもしれないわ。この惨状・・・どう説明するべきかしらね」

「あっ、確かに。ザンザスとスクアーロが遠慮しないから・・・」

「ウ"ォ"ィ"?!俺のせいかァ!?」

「・・・・・・うるせぇ。俺は一足先に帰るぞカス」

 

ザンザスはそのまま踵を返した。

・・・何しに来たんだろう。

レミリアはそんなザンサスなど知らぬといった風に話を続ける。

 

「まあ、私が責任とるわよ。あんたたちは私の知り合い・・・友人って理由で連れてきてるから」

「そうか・・・ごめん、レミリア」

「いいのよ」

 

苦笑して見せるレミリアに、俺は幾分か心が落ち着いた。

 

「さて、親戚のおじさま方に事情聴取される前に、あんたたちは早く行きなさい。あとは私に任せて」

「わかった。じゃあな!」

「・・・・・・」

 

俺はスクアーロと一緒にその会場を出た。

 何だったんだろう、あのモンスター・・・。

レミリアのことも心配だ。ボディーガ―ドの件に関して・・・もっと真剣に取り組む必要があると思った。

いやでも、レミリアあんなに強いならボディーガ―ドの意味、ないじゃん?




モンスターが登場!
友人N氏と考えてて思ったんですが、ディノレミ編はどんな感じで終わるんだろう・・・。
そろそろだと思うのですが・・・。
黒曜編ちゃんと入りたいですね、もう少ししたら(願望)。
ではでは、次回を乞うご期待!


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三十一話:ディーノとレミリア

長らくお待たせいたしました。
本当に・・・本当に申し訳ありません。
とっくのとうにプロットはもらってました。
ごめんよN氏・・・!(;´・ω・)

というわけで、(おそらく)ディノレミ編は終わりです!
ちょっと甘め、そして急展開ですが、どうぞ。


 どうしてこうなった、とディーノは強く思った。

目の前でロマ―リオが自分より小さいその人を手で示して、

 

「・・・というわけで、こちらが坊ちゃんの家庭教師をしてくださるお方だ」

 

と、そう言ったのだ。

示されたその人は、見るからに赤ん坊で。

 

「リボーンだ、よろしくな。ヘナチョコから立派なボスにしてやる」

 

赤ん坊・・・リボーンは確かにそ宣言した。

ディーノはしばし硬直した後、信じられないといった様子で口を開く。

 

「はぁ?!ちょっと待てよ、冗談だろロマ―リオ。こんな赤ん坊が――――つあっ?!」

 

ディーノの腕に痛みが走る。

 

「俺は赤ん坊じゃねェ」

「い、痛い!痛いって!」

 

いつの間にかリボーンに腕を持たれ、そして締め上げられていたのだ。

容赦のないその攻撃に、ディーノはすぐ悲鳴を上げてしまう。

そんな彼の様子を見て、リボーンがため息をついた。

 

「・・・情けねえやつだな」

 

にやっと口角を上げて、そう言うリボーンに対して、何も言えずにいた。

ぼうっとしているディーノに、リボーンは聞いた。

 

「・・・いつまでも女に守られていたいのか?」

 

パーティー会場での戦闘が思い出される。

 

『役立たず』

 

思ったより傷ついたあの言葉が聞こえてきて、ディーノは自分の頬をはたいてリボーンを見下ろした。

 

「・・・嫌だ」

「なら、さっそく特訓だ。ヘナチョコを直すぞ」

 

☆  ☆  ☆

 

 それから、なにをしたっけか。

なんてディーノは寝転がって息を荒げながら考えていた。

撃たれかけ、しごかれ、無駄だと思えるようなその特訓にディーノはすでに疲れ果てていた。

 

「お前、動きはまあまあだが判断力とかがねぇな。よく転ぶし」

「それ関係ないよな・・・?」

 

ぜぇはあと肩で息をするディーノの頭の近くに立ったリボーンは、冷静に特訓の中でのディーノの能力を分析していた。

嘆息するリボーンにディーノが小さく突っ込む。

 やる気をなくした彼は、頭の後ろで腕を交差し、小さく愚痴をこぼした。

 

「俺、もともと弱いし・・・ボスにもなれねぇよ」

 

それを聞いたリボーンはディーノのほうを向き、鋭く頬に拳を入れた。

軽く吹っ飛んだディーノは殴られた頬を押え、「なんだよ」と抗議するように声を荒げた。

 

「お前のそーいうところがヘナチョコだって言ってんだ」

 

叱るような口調でリボーンが言う。

そして、黙っているディーノに向けてつづけた。

 

「部下を守る覚悟がなけりゃ、ボスにはなれねーぞ。・・・・・・そうだな」

 

にやり、と口角を上げて笑うリボーン。

いぶかし気に彼を見上げたディーノは「なんだよ」とその笑みの意味を質問した。

 

「お前、婚約者つくれ」

 

突然のその発言に、ディーノは目を瞬かせる。

 

「・・・なんで今の流れでそんな話になるんだよ?!」

 

強い口調でそう問い詰めるように聞いた。

リボーンはディーノを見て、

 

「ファミリーの奴らに甘やかされて育てられて、守られた経験しか無さそーだからな。わかりやすい、守る対象がいたほうがいい」

 

自分をヘナチョコじゃなくすための提案をしてくれたことはわかったのだが、ディーノは複雑そうな顔をした。

 

「そんなこと、言われてもな・・・」

「まあ、ゆっくり考えろ」

 

リボーンはそう声をかけて、その場に座り込んだ。

胡坐をかいて、ディーノが考え出すと、リボーンは鼻提灯を膨らませ始めた。

 

(確か「婚約者」って結婚する人だよな?そんな軽々しく決めるもんじゃないだろ・・・)

 

 しばらく経って、ディーノはそんな考えをするようになった。

ガシガシと頭を掻いて、考え事を続ける。

 

(なんていうか、そういうのはやっぱ気持ちがっていうか・・・「婚約者」を決めたからってそいつを守りたくなるかって言うと、また別問題のような気がするし)

 

(・・・つーか、俺、女の知り合い、いるのか?)

 

根本的なところに行きついてしまった。

ぱちくりと瞬かせるディーノは、やがて「あっ」と声を漏らした。

それと同時に、リボーンの鼻提灯がパァンとはじける音がする。

 

(――――レミリア、しかいねぇ)

 

たった一人の女の知り合いの名前を上げて、ディーノはしばし固まった。

リボーンがその隣に立って、

 

「決まったようだな」

 

と声をかけた。

 

「え?・・・まあ、一応?でも・・・」

 

返事をしてから、ふと思う。

迷惑ではないか。急にそんなことを言って、彼女は怒りはしないだろうか。

そんな不安を抱え始めたディーノに対して、リボーンが言った。

 

「考えるよりこういうのは行動だ。行け」

 

チャッとピストルを構えて、ディーノを脅す。

慌てふためいたディーノは「すぐ行きます!」と言って、すぐさまその場を駆けだした。

 

☆  ☆  ☆

 

 

「ということで、俺の婚約者になってください!」

 

 第一声、頭を下げてお願いをした。

人気のない廊下で、二人は向き合って立っていた。

ディーノの言葉を聞いたレミリアは意味が分からないというように、「はぁ?」と聞き返す。

確かに、そういう反応をされても仕方ないと思っていた。

実際に思っていた反応を返されると、意外と辛いものがあるなとディーノは顔を伏せた。

 

「あー・・・やっぱり迷惑だったよな・・・。でも、レミリアだったら話しやすいし、強いし、良いやつだし、なんだかんだ言って優しいし・・・」

 

ぽつりぽつりと理由をつぶやくディーノ。

その言葉にレミリアは顔を赤らめる。

 

「な、な・・・っ、何言ってんの!恥ずかしいからやめなさい!」

「えっ、ごめん、怒ってる?」

「当たり前よ」

 

照れ隠しで怒り始めたレミリアに対して、ディーノは申し訳なさそうに聞いた。

即答されて、ディーノは肩を落とす。

 

「意味が分からないわ。だいたい、『話しやすい』とかいう理由で婚約者になってと頼むだなんて、馬鹿じゃないの?」

 

鋭く言ったレミリア。

勢いだけで頼みに来たディーノは、すっかり縮こまっていた。

 

「でも、俺は・・・」

「私の足しか引っ張らないあなたが、私に婚約者になれというだなんて、少し身の程知らずじゃないかしら」

 

正論だ。

ディーノはきゅっと口をつぐんだ。

 

「たしかあなたはまだ特訓の最中なのよね?ならそれを放っておいて私にお願いをしに来なくってもいいのではないかしら?」

 

ふっと笑ったレミリアは、やれやれと首を振って言葉を切った。

ディーノが反応しないのを見て、ため息交じりに言う。

 

「・・・そこまで、あなたが強くなるのをあきらめて、護衛から降りたいというのなら、止めはしないけれど―――――」

「違う」

 

ディーノの低い声が、レミリアの話を遮った。

驚いたレミリアが一歩下がると、肩が壁と触れる。

素早くディーノが頬の横に手を置いて、レミリアの手首をそっと握った。

 

「コレも、強くなるためなんだって、言われたんだ。・・・それに、俺に友達がいないのも知ってるだろ?だから、レミリアしかいないんだよ」

 

話し始めたディーノと入れ替わるようにして、状況を把握できていないレミリアがディーノを見上げて黙りこくった。

 

「・・・いや、違うな」

 

首を振って、先ほどの言葉を訂正した。

 

「レミリアしかいないんじゃない。レミリアじゃないと、嫌なんだ」

 

レミリアの肩にそっとひたいを乗せ、ディーノはしばらく口を閉ざした。

 どうして、レミリアじゃないと嫌なのか。

ほかの女を見繕ってもらってもよかったはずだ。きっと父とロマ―リオなら、頼めば誰か紹介してくれそうだが。

なにより、『ほかの女の知り合いがいないから』とここまで来たわけだが、本当にそれだけだったのか。

 

(―――ああ、そうか)

 

ディーノの頭に、ある答えが浮かぶ。

 

「俺は、レミリアが好きなんだ」

 

目を見て、はっきりとそう告げる。

間違いようもない。いつからそうなのかと問われても、わからないけれど、そうなのだ。

 

「う、あ・・・」

 

真っ赤になったレミリアがうつむいてしまう。

ディーノはそんな彼女を見て苦笑した。

 

「真っ赤だぞ、レミリア」

「う、うるさいわね・・・なんでそんなこと急に言うのよ・・・ってか、離れて!」

「うわ、ゴメン」

 

一歩下がって、レミリアの様子が戻るまで待つ。

レミリアがふぅと一息ついたとき、しゃべりだした。

 

「・・・私が好きだから、婚約者になってなんていったの?」

「ん・・・と、わからない。けれど、レミリアがいいんだ。今までは頼りなかったと思うけど、これからはしっかりレミリアを守るから」

 

きゅっとレミリアの手を握って、その質問に答えた。

やや顔を染めたレミリアはディーノをちらりと見あげ、

 

「・・・・・・そう。まあ、守られてやってもいいわ。でも次は逃げないで、ちゃんと私を守りなさいよ」

「!」

 

そっぽを向いたレミリアの言葉は、しっかりディーノの耳に届いた。

パァッと表情を明るくしたディーノがレミリアをぎゅっと抱きしめ、

 

「ありがとう!俺、頑張るよ!」

 

喜びをあらわにした後、にこにこと笑って再び離れた。

それを見て、レミリアも口元を緩ませるが、すぐため息をついて「そういうのだったら早く特訓に戻りなさいよ」とつっけんどんに言った。

その態度がどうしても照れ隠しにしか見えず、ディーノは「ああ、わかった」と返事を返しながら、しばらくレミリアのその姿を見てから、その場から走り去った。

 

 

「・・・・・・う~~~~~~~っ!」

 

顔を抑えて、うずくまったレミリアは顔を耳まで真っ赤にして悶えた。




書いててすごく楽しかった(真顔)

リボーン出たのに、あれだけしか出番がなかったですね。
ディーノとレミリアが婚約者(?)になりました。
ツナや霊夢たちもまだまだなので、こう言うお話が久しぶりに書けてすごくうれしいです。

次の話は・・・えっと、未定です。
またディノレミが続く可能性もあるし別のお話になる可能性も。
「黒曜編入るかも!」と言ってから何か月たったやら・・・本当に遅れてすいませんでした。

ではでは、また次回!


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三十二話:記憶喪失の少女と王子

三十二話、三十三話は閑話みたいな感じですかね・・・?
というわけで、とある二人の出会い話でもと。

友人が話の流れを書いたっきり「いつ入れようか?」ってなってたこのお話、今いれなければ!!
っていうか、入れようって二人で話して決まりました。

では、どうぞ。


  ここは日本。そして、今は夜。

 唐突で申し訳ないが、この平和だった日本に、悪さばかりしていたマフィアが逃げ込んだ。

しかし、そのマフィアはすでにほとんど壊滅状態で、残党らが逃げ込んできただけだったので、特に被害はなかった。

逃げていたせいで、誰かに危害を加えよう、なにかをしてやろうとなんて、考える者はいなかったのだが。

 そのマフィアを追って、その残党の始末を任された二人の男が日本に向かった。

 

 

―――――ドサッ。

 

 鮮血をまきあげながら、残党は倒れ伏した。

その背中を踏みつけ、男はあたりを見渡す。

首を動かすたびに、長い髪が揺れる。

 

「・・・う゛ぉ゛ぉい。これで終わりかぁ?」

 

低くそう言うと、懐から取り出した通信機で、もう一人の男に連絡を取ろうと、声をかけた。

 

「おい、ベル。こっちは全員殺ったぞぉ」

 

そう言うと、ベルと呼んだもう一人の応答を待つ。

だが、帰ってきた声は彼の呼びかけに対してのものではなく。

 

『あぁ・・・王族の血を流しちゃったよぉ~・・・』

「・・・・・・チッ。また意識飛ばしやがった。めんどくせぇなぁ・・・」

 

男は深くため息をついてから、その場から移動することにした。

 

 

☆  ☆  ☆

 

 青年が一人、そこに立っていた。

それを見た男はその青年に近づいて、彼の背中を蹴とばす。

 

「う゛ぉおおおおおい!!!!ベル、さっさと起きろぉ!」

 

受け身もとらずに蹴り飛ばされたベルフェゴールが正気に戻ったか、男のほうを見上げて、「あれ・・・?」と声を漏らす。

その場に座り、首を傾げたベルフェゴールに対して男は嘆息する。

男が顎で指し示す方向をベルフェゴールが見やると、そこは惨劇の跡が残されていた。

 死んだマフィアの残党たち。誰もが銃すら構えられぬまま無残に殺されている中、一人だけ銃を握ったまま倒れている男がいた。

 彼が、『ああなった』こととつなげて考えると、つまり、この男は必死に撃ったら一発当てて、―――そして、気をおかしくしたベルフェゴールによって――——。

男はベルフェゴールを見下ろす。

ベルフェゴールは申し訳なさそうに肩をすくめて、

 

「あー・・・スクアーロ、えっと・・・ごっめーん」

「ごめんで済むかァ!また派手に被害出しやがって・・・」

 

スクアーロはひどく呆れたようにベルフェゴールに対して言う。

ベルフェゴールは小さく縮こまって、スクアーロの小言を聞く体制をとっていたが、しかし。

 

「――う、ぅ・・・」

 

そんな声が聞こえて、二人があたりを見渡した。

 

「・・・ったく、どうせなら全員殺れぇ。まだ生きてるやつがいんじゃねぇか」

「だーかーら、ごめんって。ちゃんと殺してくるからさ」

 

ベルフェゴールが立ち上がり、声の聞こえたほうへ歩いていくと、緑の髪の少女を見つけた。

全身が紅い―――血でまみれており、着ていた服が真っ赤に染まってしまっていた。

 

「・・・女?」

「なんだ、一般人のガキか?」

 

痛そうにうめく少女を見てボソリとつぶやくと、様子を見に来たらしいスクアーロがそう問いかけた。

眉を寄せたベルフェゴールがスクアーロに対して指示を仰いだ。

 

「どうしよー、スクアーロ?」

「・・・はぁ。とりあえずイタリアに連れて帰れ、お前が」

「えー」

「もともとお前が原因だろォがぁ!」

 

不満そうにするベルフェゴールに一つ言い放って、何度目かのため息をついて、

 

「・・・それに、俺は『オミヤゲ』を買ってかねぇといけないらしい」

「お土産?」

「ああ、マーモンに『五円チョコ、ジャポーネ製の買ってきて!』って言われた。あとクソボス用の酒」

「・・・」

 

うわぁ、と明らかに嫌そうな顔をしたベルフェゴールは、少女を見下ろした。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ん・・・?」

 

 少女は目を開けた。

体が締め付けられているような感覚を覚えて、自分の体を見下ろした。

包帯だらけの自分の腕、胴、足―――とにかく、包帯を巻かれていたのだ。

 

「あれ?もう起きたの?結構傷深かったのになー」

 

そんな陽気な声が前の座席から聞こえてきて、少女はそちらのほうを見やった。

体を起こそうとすると、体に痛みが走る。

「痛っ」と声を上げながら前の座席に座るその青年を見た。

 

「・・・と、いうか、あの・・・あなた、誰ですか?それに、ここ・・・どこですか?」

 

二つの質問をすると、前に座っていた青年、ベルフェゴールが答えた。

 

「王子♪」

「・・・え?」

 

予想外の返答だった。

少女は自称王子と名乗ったベルフェゴールにいぶかし気な視線を向けた。

ベルフェゴールは少女のほうを向いた。

そのことで気づいたが、彼の目元は前髪で隠れており、目があっているかもわからない。

 

(王子様に見えない・・・)

「ん?どしたの?」

「ほ、本当、ですか・・・?」

「まーな」

 

嘘を言っている様子は見られないものの、少女にとっても信じられない、いや、信じたくないことだった。

 

(・・・この人が、王子様・・・?!)

「んで、ここでどこだかは秘密だぜ、しししっ」

 

軽くそう言い、面白そうに笑ったベルフェゴール。

その言葉に目を丸くした少女が戸惑いながら言った。

 

「でも、私帰られなきゃいけないんです、けど・・・」

「無理」

「っ、なんでですか!」

 

即答されて、少女は痛みを訴える体を乗り出して、ベルフェゴールに向けてそう聞いた。

彼は少女に向けて、

 

「理由はけっこーあるけどまあ、『ここ、イタリアだから』」

 

先ほども浮かべた笑顔で、そう言い放った。

少女はしばし硬直して、そして、「いっ、」と声を漏らす。

 

「イタリアって外国じゃないですか――——!どうしてですか―――?!なんで――――—!!!」

「しししっ、おもしれー」

 

パニックになる少女を見て、ベルフェゴールは心の底から楽しそうに笑っていた。

 

☆  ☆  ☆

 

 目的地にたどり着いたベルフェゴールは少女を連れて部屋の中に入る。

扉を開けて中へ入った彼を見つけたらしい、中にいた二人の人が顔を上げた。

 

「あら~ベル、おかえり~。早かったわね?」

「・・・」

 

ふわふわと浮いてる幼児と、オカマ言葉の派手な男が声をかけてきた。

そんなオカマ言葉の男――ルッスーリアに対して、ベルフェゴールは嫌そうに、

 

「うるせー、寄るな、オカマ」

 

とだけ言った。

ルッスーリアはむっと顔をしかめる。

 

「んまあ!つれないわねー!・・・ってあら?そっちのカワイイ子は?」

「・・・あ、の」

 

ルッスーリアの勢いに押されて、少女はベルフェゴールの背後に隠れてしまっていた。

涙をうっすらとにじませている。

 

「・・・これ、お前のせいだろ。すげーおびえてんじゃんか」

 

はぁ、とため息をついてベルフェゴールは少女を見下ろした。

 

「ところでベル、この子何者?」

「んー?一般じーん」

 

浮いていたマーモンが問いかけると、軽い調子でベルフェゴールが返す。

それを聞いてか、ルッスーリアが口をはさんだ。

 

「ちょっと、それまずいんじゃないかしら?スクアーロが責任とってボスに殴られちゃうわよ~?」

「いーじゃん。いつものことだろ?」

「あ、・・・すいません」

 

そんな二人の会話を聞いて、少女は申し訳なさそうにそう謝る。

ルッスーリアは少女の頭に手を置いて、ポンポンと撫でて、

 

「あなたは気にしなくてもいいのよ~。良い子ね、あなた。名前、聞いていいかしら?」

「わ、私の名前、ですか?」

 

優しい声音でそう聞いた。

少女は問われて、少し困ったように眉をハの字に寄せた。

 

「あ、それ俺も知りたい♪」

「・・・」

 

ベルフェゴールまでも聞きたがったので、言いにくそうに少女は頬を掻く。

そんなしぐさをするものだから、マーモンも声を上げた。

 

「ム・・・。答えたくないのかい?」

「違います」

 

マーモンの言葉を否定して、少女は言い放った。

 

「その・・・名前が、思い出せないんです」




ヴァリアーに着てしまった少女。
彼女、どうして記憶を失ってしまったのでしょう。とても不思議です(棒)

というわけで、次話も少女とベルフェゴールのお話となります。
それが終わったら、ついに黒曜編に入れるかな・・・?そんな感じですね。
少なくとも、来週くらいに黒曜編になるかと思います。
ではでは!


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三十三話:少女の居場所

 『名前が思い出せない』と告げてから彼らと少しばかり話した。本当に楽しそうな人達で、知らず知らずのうちに少女の肩の力も抜けていた。

 彼らはVARIA(ヴァリアー)と呼ばれる組織に所属している、とその時に聞いた。

少女はそのVARIAの名前を聞いただけで、その組織がどういった内容の仕事をしているのかは聞かなかった。

 

 彼らが所属しているというVARIAの本部に(ベルフェゴールに連行される形で)訪れた少女はその日、とある一室のソファで眠っていた。

誰かがその部屋に入ったようで、部屋の明かりがついたことで、少女が目を覚ます。

 

「おっはよー。記憶、戻った?しししっ」

「・・・ベルって、結構サドだよね」

 

ベルフェゴールとマーモンが少女の眠っていたソファの近くに立っていて(片方は浮いているけれど)、少女の視界に入った。

少女は起き上がって、二人のほうを向いてぺこりと頭を下げた。

 

「・・・ベルさん、マーモンさん、おはようございます」

 

そう彼らに向けて挨拶をする。

ベルフェゴールが「おー♪」と返し、マーモンが「おはよう」と返すと、少女はどこかホッとしたように微笑んだ。

 実は、昨日の会話で自己紹介を受け、彼女はやっと彼らの名前を把握することができたのだ(ただ、間違って覚えていたらなんて不安が少しだけあったが、杞憂だったようだ)。

名前も知らない人と話すのは少し怖かったから―――そう、思った時、少女は自らの名前すら覚えていないことに気づいた。

 

(・・・き、気にしないようにしよう!)

 

そう割り切った少女は、包帯を巻かれた腕をちらりと見やる。

動かすとまだ痛む。昨日、意識を取り戻したばかり程の激痛ではないものの、しばらく行動が制限されてしまうかもしれない。

歩けはした。走ることは無理だろうが、でも――――。

と、考えていると、ベルフェゴールが声をかけてくる。

 

「そういえば、お前結構ケガしてるから、今日はゆっくり休んどきな」

「・・・すみません」

 

と、そう少女が頭を下げると、「あら~」と声が聞こえる。

少女が頭を下げると同時に、部屋の中に現れたルッスーリアが近づいてきて、座る少女の肩に手を置いた。

 

「謝ることないのよ。記憶がないのだったら、今日だけじゃなくて、ずっとここにいたら~?」

「オカマにしちゃぁ良いこと言うじゃん」

 

ルッスーリアの言葉に、少女は口を開閉させて、なんていおうか戸惑っていると、ベルフェゴールがどこか楽し気に声を上げた。

そんな二人に挟まれながら、困ったように少女が二人を一瞥する。

 

(嬉しい話だけど、なんでそんなことに―――?!)

 

イタリアに滞在するなんて、あまりにも無謀じゃないのか。少女はイタリア語なんてしゃべることさえできない。一言二言、知っているくらいだ。

それなのにどうして、とおもった少女はどこか遠慮がちに声を上げた。

 

「で、でも・・・迷惑じゃありませんか?」

「ボスに許可を取ればいーだけだし。それに、お前がVARIAにいたら、俺うれしーぜ?」

「へっ?!」

 

ベルフェゴールの予想外の言葉に、少女は顔を赤らめた。

なんてことを言ってくれるのだろうか、と少女が思っていると、マーモンが口をはさんだ。

 

「とりあえず、僕は反対しないよ。金に関係ないし。・・・でも一応、スクアーロがこいつの情報を持ってくるのとボスが起きるのを待ったほうがいいよ、ベル」

「しししっ、わかってるって」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 そのまま、昼になった。

ボスとはいったい誰なのか、スクアーロと呼ばれる人が持ってくる自分の情報って・・・?

不安に思った少女がそわそわと落ち着かない様子でソファに座っていると、マーモンが何かに気づいたか、口を開く。

 

「どうやらボスが起きたみたいだね」

「・・・へっ?」

 

マーモンがそう言って、少女が気の抜けた声を漏らすと同時に、部屋の扉が開かれた。

顔に傷のある男が入ってきた。・・・その後ろには、別の男性がついている。

後ろの男性が、少女を視界に入れたらしく、見慣れぬ顔だからか眉を寄せて「むっ?!」とうなった。

 

「なんだそいつは!まさかボスの命を狙う刺かぐっ?!」

「・・・るせぇ、レヴィ」

 

男性――レヴィが男に殴り飛ばされる。

男はレヴィを放っておいて、近くの椅子に腰かけた。

 

「あ、あの・・・誰ですか?」

 

ルッスーリアの腕をつんつんとつついて、そう聞いた。

彼はうっとりしたような顔で、

 

「我らがVARIAのボス、XANXUS(ザンザス)様よ~。素敵でしょ♡」

(・・・素敵というか、怖いです・・・っ?!)

 

フルフルと小さく首を横に振って、心の中でルッスーリアの言葉に返した。

素的なところを探すために、XANXUSをジィッと見ていると、目があってしまった。

 

(ひっ・・・?!)

 

身を縮こまらせると、XANXUSが何かをつかんで、それを少女めがけて投げてきたのだ。

少女は目をつむって衝撃に耐えるべく構える。

しかし、聞こえてきたのは金属音。

 

「えっ・・・?」

「怪我ねーか?」

「は、はい」

 

ベルフェゴールがナイフを持ってそう聞いてくるので、少女はうなずく。

そんなやり取りの後、XANXUSがベルフェゴールに向けて聞く。

 

「・・・なんだ、そのガキ」

「えーっと、実は・・・」

 

そう、ベルフェゴールが説明しようとしたところで、バタバタと駆けてくる音が聞こえた。

 

「帰ったぞおぉおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

駆ける音の主は部屋に入った瞬間、大音量でそう叫んだ。

XANXUSが舌打ちをしてから手元の物をひっつかんで叫んだ長髪の男に向けて投げる。

 

「ぬるいぞぉ!」

 

それを避けながら、XANXUSの元へ向かう男は、その瞬間に頭をつかまれて床にたたきつけられた。

 

(なっ・・・?!)

「おー♪」

 

唐突の展開に、少女は絶句し、隣で見ていたベルフェゴールが愉快そうに声を上げていた。

XANXUSはとどめと言わんばかりに立ち上がり、倒れ伏した形になった男――スクアーロを蹴り飛ばす。

 

「ぐがぁっ!」

「黙れ、カス鮫」

 

その一言で片づけられてしまったスクアーロがXANXUSをにらみつけるが、彼は涼しい顔だ。

諦めたのか、スクアーロは立ち上がる。

と、そんな彼にマーモンがふよふよ浮いて近づいた。

 

「大丈夫かい、スクアーロ」

「あ゛ぁ・・・」

 

声をかけられて、スクアーロはマーモンのほうを見やる。

 

「―――五円チョコ」

「オミヤゲのほうかよ!つーかふざけんな、あ゛ぁ?!」

 

後から付け足されたその一言でスクアーロは眉を寄せ文句を言い、懐から取り出した五円チョコをマーモンに向けて投げつける。

それを受け取ったマーモンは満足そうだった。

 

「・・・あと、もう一つの土産だぁ」

 

ベルフェゴールに近づき、その胸に一枚の紙を押し付ける。

受け取り、スクアーロに「なんだよこれ」と問いかける。

 

「そいつの情報だ」

 

ベルフェゴールの持つ紙を、近づいたマーモンが読み上げる。

 

「名前、コチヤ サナエ。年齢・・・住所・・・――――これだけかい?」

 

そう問いかけると、スクアーロはうなずいた。

 

「あ゛ぁ。おまけに写真も数枚しか見つからねぇ」

 

そう付け加えると、レヴィがその言葉に反応した。

 

「意図的に情報を隠されている、ということか」

「まあ、一般人ではねぇだろう」

 

少女のほうを見て、スクアーロは付け加えた。

少女は戸惑いがちに、「えっと、あの」と言いよどんでいた。

 

「どうしたの?」

 

ルッスーリアが問いかけると少女は声を上げた。

 

「わ、私の名前ってサナエ、なんですか・・・?」

「なんか、思い出せた?」

「いえ、特には。・・・すいません」

 

ベルフェゴールに聞かれて、少女は謝った。

そんな少女に対して、ルッスーリアは声をかけた。

 

「いいのよ。気にすることないわよ、サナエちゃん」

「・・・はい、ありがとうございます」

 

少女――サナエは、その言葉にお礼の言葉で返すと、顔をほころばせた。

そんな中、XANXUSが部屋を出ていこうとする。

 

「おい、ボス!結局コイツどーすんだぁ?!」

「勝手にしろカス共。俺は寝る。スクアーロ、酒は後でもってこい」

 

そう言い残して、XANXUSは部屋を出ていった。

 そして、サナエを見下ろして、ベルフェゴールが話を切りだした。

 

「どーする?サナエ」

「ここにいればいいんじゃない?」

「でも、それだと仕事をされる皆さんの迷惑になりますし」

 

ベルフェゴールとルッスーリアの言葉に、サナエはそう言う。

しかし、マーモンがそんなサナエに対して、

 

「でも君、ほかに行くところないだろう?」

「それは・・・」

 

言われてしまえば、そうだ。

記憶もないまま、日本に戻ったところで結局変わらないだろう。

事情を知っているうで、理解したうえで、住まわせてくれるところといったら―――――。

 

「じゃーVARIAはいればいいじゃん!」

「あらぁ!それはいいわね~!」

「えぇっ?!」

 

突拍子もない提案に、サナエは驚く。

それを聞いたスクアーロは頭をガシガシと掻きながら、眉を寄せた。

 

「それはいいが、ある程度の能力が必要だしな・・・。マーモン、イタリア語と各国の言語をこいつに教えてやれ。三週間ぐらいでなぁ」

「さ三週間ですか・・・」

「ベルは八歳の時、二週間で大体覚えたしな」

 

横目でベルフェゴールを見やって、スクアーロはそう言った。

サナエも同じほうを向き、目を丸くする。

 

「す、すごいですね?」

「まーな。だって俺、王子だもん」

 

得意げにするベルフェゴール。

 

「そうだな・・・お前が連れてきたんだ、ベル。お前が早苗の教育係やれよ」

「りょーかーいっ。しししっ」

 

あっさりと決まっていく物事に、サナエは呆然としていた。

 

(じょ、状況が理解できない・・・)

 

どうしてこの人たちは見ず知らずの自分を仲間に入れてくれるのだろうか?

サナエはベルフェゴールたちを見やった。

なんて言っていいかもわからないまま、サナエがあわあわとしていると、マーモンがスクアーロに聞いた。

 

「言語を教えるって言う仕事の報酬は誰からもらえばいいんだい?」

「あ゛ぁ・・・?」

「んー、いくら?」

 

彼の言葉にスクアーロが反応したが、ベルフェゴールが口をはさんだ。

ベルフェゴールの問いにマーモンは一考して、

 

「Aランク分の二倍」

「じゃあ王子が払う」

 

さすがにそれはと思ったサナエがベルフェゴールに向けて、「あのっ」と声を上げて、

 

「べ、ベルさん、それは私に教えてくださるっていう報酬なんですよね?なら、少しだけでも私が・・・」

「けっこー高いよー?」

「でしたらマーモンさんのお手伝いでも・・・」

「マジ?マーモン、どーする?」

 

ベルフェゴールに物申すと、彼はマーモンに再び問いかける。

 

「・・・」

 

どうするべきか考えているのだろう、マーモンは浮きながら、黙りこくってしまった。

サナエはどうにか要求が通らないかと心の中で祈っていた。

 

(面倒を見てくださるってだけでありがたいのに、これ以上迷惑なんてかけられませんっ)

 

その一心だった。

 

「・・・一か月、毎日三時間ぐらい手伝ってくれたら一割引き。それ以上はまけないから」

 

マーモンから、条件が提示された。

彼女が今のところやれることといったら、言語学習と体の回復に努めることくらいだろう。

三時間ほど時間がつぶれるくらい、どうってことないはずだ。

 

「やります!」

 

そう即答した。

そんなやり取りを見たベルフェゴールが、「しししっ」と笑いをこぼす。

 

「頑張れよ、サナエ。VARIA(ココ)、結構楽しいぜ♪」

 

ベルフェゴールの言葉に、サナエはうなずいて、今この部屋にいるVARIAのメンバーのほうを向いた。

 

「みなさん、改めてこれからよろしくお願いします!」

 

明るい声を上げて、頭を下げてそう言い放った。

 

  VARIAに、新たな一員が加わった。

はて、新しいメンバーである彼女が何者なのか―――――それは、彼女本人ですらわからない。




XANXUSさん、出してしまいました。
いや、N氏と話し合った結果、「一年近く前とかの話じゃない?」みたいな結論に落ち着いたのです。
とりあえず出しましたが、なにかあればご指摘ください。
考えたうえで、XANXUSさんが出るって言うシーンを上手くカットいたします。

とにかく、早苗さんがヴァリアーに配属されました。
ぶっちゃけ黒曜編始まってないのにヴァリアーの描写しちゃっていいのかなー、なんて不安は残りますが、まあ大目に見てくださるとうれしいです。

ではでは、前回も言った通り、次回から黒曜編が始まる予定です!
お楽しみに~!


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