【ネタ】ダイ大ワールドの妖鳳王(ホークキング) (真昼)
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1話

せっかく投稿サイト名がハーメルンなので、これはハーメルンのバイオリン弾きのネタをやるしかない!! と思って投稿しました!!



嘘です。

にじファン時代に活動報告で投稿してたネタです。


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 皆は死後の世界というものを信じているだろうか。そういう所がある、そういう物語や逸話、神話はいくつもある。呼び名はそれぞれで天国や地獄、ヴァルハラとかもその類に含まれるだろう。だが、現代科学信者の俺はそんなのは信じていなかったんだ。だって、死後の世界とかで思考するための脳みそとか、一体何処にあるんだよってね。

 魂で思考する? ありえないね、思考は電気信号だ。もしかしたら感情だって電気信号かもしれない。想うのは常に生きている者の特権だ。こんな感じに思ってたのさ。

 

 そう、俺自身が死ぬこの時まで。

 

 

 そして、今。

 俺の前には神を名乗る奴がいる。本当に信じたくない。だけど、本当に神だとした場合、敬語を使った方がいいのだろうか?

 

-おめでとう。君は死者10億人のうち、非常に珍しい転生できる特権を手に入れた-

 

 そんな自称神様の声が頭にひびく。自称とか思っていると不敬に当たるのか?

 

-人間が死んだとき、死者10億人のうちランダムで一人だけ、色々な世界に転生をさせているのだ。断じて、神々が間違えて殺したとかではないので安心したまえ-

 

 何か間違えて殺すとか不穏な言葉が聞こえたが……。しかし残りの人間はどうなんだ? まぁ、とりあえず信じとこうか、ってかあまり考えたくない事態だしな……。主に俺の心の為に。しかし、俺は死んだのか。たしか、学校でO-157が流行ったんだよな。それで入院する人が続出して俺も入院して……。そっか、死んだのか。俺。

 以外と自分が死ぬって知ってもあっさりしたもんなんだな。あれか? 苦しまなかったからか?

 

 

-うむ、そしてどうする? どんな世界でもいいぞ? あくまでおまけとして第二の人生の為、記憶は引き継ぐから自分の好きな世界を選びたまえ-

 

 さて、どうするかね。なんか運の良い事に、わざわざ転生させてくれるらしいし、2度目の人生だからなぁ。なるべく現代科学とかと離れた方がいいか? 現代科学信者とはいえ、ファンタジーな世界を体験してみたいしな……。ならよし、決めた。

 

「俺は、ドラクエの世界に行きたい。そして、モンスターマスターの才能が欲しい」

 

 そう、俺はテリーのワンダーランドが大好きだったのだ。あんなふうに、魔物を仲間にして、旅をしてみたい。後あの配合とかにもハマった。ああいう品種改良みたいのも好きだったんだよな。

 

-ふむ、なるほど。それだけで良いのか?-

 

 なに? まだいいのか。ううむ、たしかに、ドラクエの世界で魔王がいる時期にいってしまったら、危ないかもしれないな……。そもそも、すぐに死んでしまったら転生する意味もないか……。しかし、これを頼むとモンスターマスターとしての楽しみがなくなる気もするしな。……まぁ命には代えられないか。

 

「あと、神鳥レティスと一緒に旅に出れるようにしてほしい。最初のパートナーとして」

 

 つまり、楽しみがなくなるっていうのは強いモンスターを最初から仲間にしている状態だ。これは、ある意味冒険の楽しみを奪うものだが、魔王に侵略されたりしたら堪らないからな。始めは強いモンスターの代表、魔王系のモンスターにしようかと思ったけど、裏切られた時が怖すぎる。こちらの指示に従うかもわからないし。逆に支配される、そんな漫画も見たことがある。それに対して神鳥レティスはラーミアと同じ種族、基本的に勇者と呼ばれる人たちの側だ。魔王とは反対側だから危険は無いだろう。それにドラクエワールドではかなり強い部類に違いないしな。

 

-わかった。それでは転生を行うぞ-

 

 そして、俺は二度目の人生を迎える。

 

 

 

 何故か、魔族として生まれたらしい。

 

 たしかに、モンスターを操れたり指示したり出来るかもしれない、きっと出来るんだろうよ。けどさ! 普通人間に転生するだろ!!?

 

 しかも、俺の父上になる人をどこかで見たことあるんだよな。黒い翼のダンディなオジサマ……。

 

 どこだ。どこで俺はこのオジサマを見た。

 

 そうやって赤子の俺がうんうん悩んでいると、久しぶりに神の声が頭に響く。

 

 

-……すまんの。まず、お主に謝らないといけないことがあっての-

 

 人間じゃないことか?

 

-いや、それは謝らないといけない問題のせいで、そうせざるえなかったのじゃ。-

 

 何が問題なんだ?

 

-問題はの、ドラクエの世界ということだったのだが、少しだけ、ちょぉっとミスってしまっての。違う世界に転生させてしまったのじゃ-

 

 なっ!? ドラクエじゃないのか!? じゃあここはどこの世界だ!?

 

-うむ、お主が生まれてしまった場所は『ハーメルンのバイオリン弾き』という漫画の世界じゃ-

 

 

  Oh……。ハーメルンのバイオリン弾き。知っているだろうか? 運の良いのか悪いことなのか……。とりあえず、俺は知っている。少年月刊誌の一つ、少年ガンガンの創刊から10年ほど雑誌を支え続けてきた名作だ。最近では鋼の錬金術師とかで有名なとこだったな。ギャグとシリアスの時の差が激しすぎる作品でもある。今までに、あれほどギャグとシリアスの時で温度の差が激しい作品を俺は他に見たことがない。そんな作品だ。

 

 俺はそれを読んでいた。

 

 そうか……、だからか。だからあの父親に見覚えがあったのか。

 

 俺の父親は先代妖鳳王、オーボウだ。ちなみにダンディーはダンディーでも漫画版だ。アニメ版ではなかった。空の提督とも呼ばれ、作品の最初から出ているが力を隠し続け、というか本気をある理由に出せずにいた。本来の実力は作品の中でもトップクラス。タイマンで戦った場合なら、大魔王やその子供を除いたら最強じゃねえか……。

 

-それでの、流石に悪いと思っての。次はドラクエの世界に飛ばそうと思っているのだ-

 

 おぉ! それはありがたい。いくら力の強い魔族に生まれたとはいえ、この世界は元人間の俺には辛すぎる。ある意味リアルにファンタジーな世界なんだよ! っていうか最悪、聖杯として俺が殺される。それに、大魔王は恐ろしすぎるし、強すぎる。

 

-ただの、飛ばそうと思っても、その世界で後50年から100年ほど時間がかかるのじゃ-

 

 なんだと……。この残酷な世界に100年も生きろと。

 

-うむ、しかもその途中に死んでしまうとの、魂がこちらの管轄ではなく、そちらの神の管轄になってしまうのじゃ-

 

 精神的にも身体的にもハードゲーなくせして、自殺もできない上に、死んでしまったらゲームオーバーとか。何この無理ゲー。

 

-だからの、人間だと死んでしまう可能性が高い。だから魔族に生まれさせたのじゃ。ただ、魔族というだけじゃ、流石にそれだけだと辛いだろうと思っての、そちらの世界でも有数の力の持ち主の子供に生まれさせた-

 

 確かに、この世界の人間に生まれた場合。天寿を全うするのは原作が終わってからじゃないと辛いだろう。だから魔族に生まれさせたのか。確かにそれは理解できる。……理解できる、出来るけどさ!? もうちょっとましな漫画とか無かったのかなっ!!? 数ある大魔王とかが出てくる作品の中で、俺の中では最も怖いラスボスとかのランキングとかで余裕でトップに出てくるレベルだよ! 大魔王ケストラーとか……。 

 

 どのくらい怖いかって? 主人公達にも引けを取らないような、人類屈指の実力者を瞬き一つで瞬殺するレベルだよ! しかも、それが半身も無いような不完全な状態で、だよ。

 

-さらにの、願いの一つにあったレティスの力も付与しといた。これで、中々死なぬはずじゃ-

 

 おぉ、それは助かった! サンクス神様! 

 

-うむ、違う世界に飛ばすときに一応飛ばして欲しいか聞きに来るからの。もし、その世界が気に入った場合はそのまま暮らす事もできるからの。それではの-

 

 

 頭の中の神様の声が遠のいていく。

 

 しかし、この殺伐とした世界に生きていたいとか……、そんな事を思う日が来るのだろうか。

 

 

 

 40年経った。

 

 魔族は人間より生まれつき強い。圧倒的といえるぐらいに強い。勿論、普通は修行なんてしない。しかし、俺は生き抜く為に修行を行っていた。しないと不安ってのが一番だ。

 

 最初の方はよく馬鹿にされた。まぁ親父が魔界軍王のNo.2の為、そんなことを言うやつはほとんどいなかったが。言うとしたら、ドラゴンキング、魔界軍王No.3のドラムとその手下ぐらいだ。あいつら、親父のこと嫌いだからなぁ。

 

 空の提督オーボウの血を引いて、レティスの力を付与されている俺は、元々の自力の上に努力して修行なんてするもんだから、凄まじい勢いで強くなった。

 若輩者のくせにとか言うやつは多い。しかし、最近はヴォーカルと喧嘩をよくするようになり。おかげで、実力はヴォーカルと互角という事が魔王軍に伝わった。……才能は俺の方が上っぽいんだけど、ヴォーカルは年期が違うからなぁ。それにヴォーカルは容赦ないからこっちも必至だ。おかげで、ますます実力が上がってきたよ。

 

 今世での名前はヘッケルフォーンという。やっぱり、この世界って何故か人物名が楽器の名前なんだよな。ちなみにヘッケルフォーンはバリトンオーボエの一種だ。

 

 そして現在、俺は個人的には非常に嫌な任務に就いている。その任務は、ある国を滅ぼせというものだ。非常に魔族っぽい任務である。

 当たり前だが元々人に生まれてきて転生してきた為に、俺は人を殺す事が嫌いなのだ。それは俺だけじゃなくて、親父もあまり殺生を好まない。親子揃ってお互い魔族らしかぬ性格の為、魔王軍では疎まれてもいる。

 

 ……まぁ、俺達親子が反乱したら魔王軍の大半は潰れるんじゃないか? それぐらいの実力を俺と親父は持っている。まぁその後、大魔王ケストラーに親子共々殺されるけどね!

 

 原作で親父は大魔王に「貴様さえいれば、魔王軍の半分はいらなかっただろう」とか言われる実力者だし。優しい性格さえなければ、本来なら魔王軍の中でも単純な実力だけではトップである猛者だ。

 さらに息子の俺の実力はグングンと伸び、今や物語最強の一角であるヴォーカルと殺し合いを出来る力を身に着けている。ぶっちゃけ他の魔王軍王とかは俺と親父が組めば全員倒せる気がする。

 

 しかし、親父と俺が協力しても大魔王ケストラーは倒せないだろう。魔族に永遠の力と命を与える化け物。存在の格というか。なんか別次元の生物? 獣だけの楽園で、何故かそこに重戦車が居る感じだ。生き物として根本的な何かが違う。実は宇宙人とか言われても納得できるレベルだ。

 

 ちなみに俺はレティスの力を付与されているおかげで、大魔王から魔力を分けて貰ってるわけじゃない。だから反乱を起こして、大魔王から命の源となる魔力を止められたからといって寿命が縮まるわけではない。

 

 原作の主人公達はすごいと思う。よく立ち向かったと思う。力を封印されて半身だけの存在だったとはいえ。……主人公が死ぬ思いで戦って勝利して、なんとか封印したのだって、完全な状態とは程遠いんだぜ? 最後だってあくまで封印。封印する道具が無かったら負けてたんじゃないかと思わせる程の強さだ。

 

 そして、何より残酷なんだ。わざわざ聖女と結婚して、子供を産ませた。子供と聖女を生贄にするために。まさに、これこそ大魔王というべき存在だ。

 

 

 

 ちなみに、今はまだ勇者が一回目の封印をする前だ。つまり、魔王軍の全盛期。このままだと、本当に勇者が現れる前に人類絶滅しないか?

 

 あ、妹のオカリナが最近生まれました。可愛い子です。でも原作だと死ぬんだよな……。俺はその時いないかもしれないけど、死んでほしくは無い。……少しでも実力をつけさせよう。

 

 ちなみに、俺の必殺技は親父直伝の鳳凰千破。ガチで威力をこめてやると、被害がとんでもないことになります。

 

 さて、自分から国を滅ぼすのは嫌なので。とりあえず、一人で向かって明後日から攻めるので逃げてくださいな。という宣戦布告をする。

 

 すると襲い掛ってきて奴が細切れになっちまった。

 

 ヴォーカルと戦っているうちに、攻撃より防御……、カウンターに特化しちゃったんだ。俺の周りには常に魔力の台風みたいのが渦巻いていて。近づくものを滅茶苦茶に切り刻んでしまう。一度制御を忘れて、それでオカリナの右目を傷つけた。ショックすぎて自殺しそうになった。オカリナが許してくれなかったら自殺してたな。だから普段は纏わないようにしている。

 

 流石に、敵地だから纏ってきたけど……。

 

「ふむ。一人先に殺ってしまったが、明後日よりこの国を滅ぼすために攻め入る。命が惜しければ、逃げるがいい」

 

 何か、偉そうですね。口調を偉そうにしとかないと、他の魔族に舐められるんですもん。オカリナを食べようとするやつも出てくるしな!! 勿論、そいつとその一族はぶっ殺しました。ちなみに、超獣王ギータさんの管轄でした。制裁後、文句を言いに行きました。ギータさんに平謝りされました。

 ギータさんは一見腰の低いように見えるけど、この人も油断ならないんだよな。この人に血を舐められると、力をコピーされるし。虎視眈々と上位層の魔族の血を狙ってる上に、最終的目標は大魔王ケストラーの血だもんな。

 

 

 避難勧告空しく。結局、人間の国は徹底抗戦を決めたようだった。

 

「馬鹿な国だ」

「まったくですね。ヘッケルフォーン様はお優しい方ですのに」

「面倒だから、些事は任せる」

「は!」

 

「オーボウ様といいヘッケルフォーン様といい、なんで人間を殺すのが嫌いなんでしょうか。こんなに楽しいことなのに、変わっていますよ本当に。……まぁせっかく譲ってくれるというなら我らは人間狩りを楽しむだけだがな。フフハハッハッハ」

 

 自分から積極的に人間を殺したくないので、部下にやらせる。

 

 なんて偽善なんだろうと思う。

 

 そして今日、また一つの国が落ちた。

 

 



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第二話

よく考えれば、大ダイはそこまで改定する部分が無いからすぐに投稿出来る件。
今回から大ダイの世界に行きます。ハーメルンワールドとはお別れです。

でもお別れしなかったバージョンも書いてみたい気もする。


 この世界に生まれて90年。

 

 やっと勇者が現れた。ヴァイ・オリンだ。この頃は本当にカッコイイ美青年なのになぁ。原作ではただのボケ老人……。というか、よく500年も生きてたなこの人。いくら天使の血を引いてるからって……。

 

「これは勇者殿。遠路はるばるご苦労。我らを封印しにきたのかな?」

「何故、知ってられるかはわかりませんが、その通りです。邪魔されますか?」

「いやいや、頑張ってくれたまえ。ケストラー様はお強いからな。」

 

 俺は道を譲る。しかし、勇者の仲間は俺に法術を叩き込んできた。

 

「オリン!こいつは魔族だ!いかしておけねぇ!!」

 

 今の世界の法術では最高クラスだろう。……しかし、レティスの力か俺に法術は効かない。

 

「クククッ。残念ながら効かないな」

 

 笑いながら話しかけてみる。内心ではいきなり法術使われてビックリだ。

 早くいけよ! 俺は違う世界に飛ぶんだから! オカリナと別れるのは辛い。でも俺はこの世界は無理だ。90年間過ごしていて、精神が変わらなかった事を喜ぶべきか、それとも早くに順応していれば苦痛も少なかったのだろうか。

 

「いえ、通していただけるのなら通させていただきます」

 

 勇者はそう言って進む。他はこちらを警戒しながら進んでいる。

 

 勇者がこちらから見えなくなって、何十年ぶりかの懐かしい神の声が頭に響く。

 

-久しぶりじゃ。決心は出来ているようじゃな。封印されると共にドラクエの世界に飛ばすとしよう-

 

 ああやっとか、やっとこの地獄のような日々から抜け出せるのか。……本当に、長かった。

 

 そして勇者が必死の思いで大魔王が封印する、そして他の魔族も箱に引きずりこまれる。

 しかし、俺は引きずり込まれると同時に異世界に飛ぶ。偶然だろうか。その飛ぶ瞬間、勇者と目があった。引きずり込まれずに何処かに飛ぼうとする姿を見て、勇者オリンは愕然としているようだった。それがこの世界で見た最後の情景だった。

 

 

 そしてドラクエの世界に……あれ? 生まれてない??

 

-すまんの、今回は転生というよりは異世界トリップという形じゃ。-

 

 頭に声が響く。

 オイオイオイということは魔族のまんま!?!

 

- そいうことじゃの。しかも、おぬし。あちらの世界で力をつけすぎておっての。その、言いにくいんじゃが、そのままお主がトリップしてしまうと世界のバランスが崩れるのじゃ。ちょうど、とあるドラクエの世界で非情に強い力を持った存在が死にそうなんでの。そいつを取り込んでって形になった。-

 

 あるぇ……。それって勇者が魔王を倒したら、魔王を取り込んでさらに強い存在が出てきた的な大魔王ポジション??

 

-そやつは魔物同士の戦いで死にそうになったのでな。そういうことは起きんぞ。安心せい。-

 

 良かった。しかし、ここはどこだ? 太陽が無いのになぜか明るいような、周りが見えるというか。

 

-そこは、その世界で魔界と言われるところじゃの。では頑張ってくれ。-

 

 うぉーい!! これで説明終わりかよ。

 

-そうそう、忘れておった。前の世界のように鳥形態にはなれんからの。その代り、羽を隠して人間の姿をとれるようにしたらからの。逆に、この世界で取り込んだやつの力も解放させることができるぞ。-

 

 なにその、変身機能。人間形態も入れたら二回変身するのか。マジで魔王みたいだな。俺は後、二回変身を残している……。

 

 

-後、最初の願いであるレティスもそちらに送った。これぐらいかの。じゃあ、今度こそ。さらばじゃ。-

 

 

 

 神の声は聞こえなくなった。代わりにクェーッと声が上から聞こえ、レティスが下りてきた。レティスは最初から俺が主だとわかるようだ。そしてレティスの羽は柔らかくて触ると気持ちがいい。気落ちはしたがモフモフして心を持ちなおそう。

 

「とりあえず、一緒に地上を目指すとするか。」

 

 口調はどうしようか。偉そうな口調にも慣れてしまったのもあるんだけど。とりあえず、仲間を増やそう。

 

 

 目指せモンスターマスター!

 

 

 ……俺は太陽の無い魔界を彷徨い歩いた。魔物がちょこちょこいるが俺を見ると逃げていく。途中で兎のモンスターを見つけた。頭に角がついてる。これはいっかくうさぎか。

 俺は飛びつき、抱きかかえる。そしてモフモフする。モフモフする。いっかくうさぎは最初は逃げようとしたものの、途中から諦めたのか俺の思うが儘モフモフされている。

 

 十分にモフモフを堪能した後、離す。ぴょんぴょんと兎は逃げて行った。

 

 さて、モンスターマスターを目指す身としては何かポリシーってものを持ちたいな。かのジムリーダーもポリシーは大事だと言っていた。

 

 そうだな。レティスもいる事だし、妖鳳王として鳥系モンスターマスターになるか。

 よし、そうなったらまずは仲間になりそうなモンスターを見つけよう。レティスに乗せてもらい、色々と散策する事にした。

 

 

 この魔界という場所で散策を始め半年がたった。

 中々強いモンスターを仲間に出来た。まず、にじくじゃく! そして、キングアズライル! そして元から居たレティス! あっさりと鳥系モンスター最強衆が集まってしまった……。

 なんか、俺の力が強すぎて仲間にしたってよりは服従したという感じなのが寂しい所だ。

 

 まぁ、最初こそ怯えて従っていたものの。今は仲良くやっている。にじくじゃくにもキングアズライルにも載せて貰ったりしている。

 

 

 また、この半年で出来る事を色々試してみた。鳳凰千破は相変わらず使える。威力も変わっていないどころか少し上がったぐらいだ。むしろ、力を抑えないと、俺を中心にとんでもない力のハリケーンが巻き起こる。

 後は、神が言っていた二段階変身だ。変身すると、全身から骨のような物が突き破って出てくる。最初はビビった。しかし、痛みはない。骨のようなものには黒い雷が纏っており、その雷を自由に扱う事ができるようだ。

 この雷の威力は凄まじく簡単に地形を変える。魔界では良いけど、地上で使ったら大惨事だ。この変身モードで鳳凰千破を行うと、こちらもとんでもない威力を出す。変身モードは封印だな。

 普段は人間形態でいる事にしよう。

 後、魔力だ。前の時も自家生産できていたが、こっちの世界に来てさらに上がった気がする。人間形態でいても魔力の総量は変わらないので魔法を練習するのも良いかもしれない。

 

 

 魔界を彷徨っているが、未だに地上の出口は見つからない。

 

 仕方がないので知ってる奴を探そうとして、見つけたのはジャミラスだ。……おぉ!? ドラクエのリンカーン大統領のようなセリフを話したジャミラスじゃないか!!? しかもコイツ実力はにじくじゃくと変わらないのだが、話せるらしい。とりあえず、話してみよう。

 

「貴様! 何者だ!? この地は私ジャミラスのものだ!」

 

 ちょっ!? いきなり喧嘩を売ってきたよジャミラス君! 俺のイメージは魔物のために演説してる知性溢れるイメージだったのだが。

 

「貴様……殺されたいのか?」

 

 ケンカにはケンカをということで、俺も偉そうな口調で話しかけ殺気を向ける。ついでに羽も出す。その殺意で、仲間のモンスターも苦しそうだったので殺気だけ消す。

 

 結果、ジャミラスは俺の配下になりました。あの後、ジャミラスは膝をついて俺に忠誠を誓っちゃいました。

 ジャミラスが配下になったことで、この地の魔物は全て俺の配下になった。

 その内、鳥系モンスターだけを配下に置いてジャミラスに地上の入り口と魔法を教えて貰う。

 まず、魔法はジャミラスが魔導書を持っており、それと契約すると見事に魔法を使えるようになった。これは余のメラじゃ。契約してすぐに使えてしまい、ジャミラスに驚かれた。魔法もいくつか覚えたので地上を目指す事にした。

 

 鳥系の魔物を率いて空を行進する。途中で出会った鳥系モンスターもどんどん配下に置いていく。何回かその地を支配するモンスターに出会うものの、刃向ってくる奴は半殺しにした。そして、持っている魔導書と財宝を全て奪い放置した。刃向ってこない魔物は魔導書と財宝の半分を譲るように命じた。

 

 ……なんていうジャイアニズム。

 

 途中偶然なのか、ロンベルクらしき人物を見つけた。どうやらここはドラクエはドラクエでもダイの大冒険の世界だったようだ。ロンベルクの顔には十字傷があるからバーンから袂を別った後だろう。

 

「魔界の名工ロンベルク殿とお見受けするが?」

「なんだ貴様は?」

「よろしければ、防具……出来ればローブ的な物を作っていただきたい」

「防具……? しかもローブだと? 俺は武器が専門だ」

 ロンベルクは断ろうとするが、その前に俺は材料となる物を見せる。

「材料は持ってきている」

 そう言って俺は途中で手に入れた財宝をいくつか。そして俺自身の羽とレティスの羽を渡す。財宝の中にはオリハルコンも混ざっている。これならロンベルクの興味を引けるだろう。

 

「……かなり高価な材料だが良いのか?」

「勿論だ、防具に使わなかった材料はそちらに進呈しよう」

 

 一週間ほど経ってからロンベルクが持ってきたのは漆黒のローブだ。漆黒の中に星の輝きのような煌めきがある。

 

「星降る闇の衣だ。このローブは魔法を一切通さない。さらに魔力を込める事で防御力はさらに上がり伸縮自在だ。慣れれば攻撃にも使えるだろう。貴様の羽を中心に使っているから使いやすい筈だ」

 

 ローブを受け取り装備する。その後ロンベルクと地上までは一緒に行くことになった。

 

 

 地上の入り口に着いた時には魔界で手に入れる事が出来る魔法のだいたいは使えるようになっていた。また、魔界の鳥系モンスターは噂を聞きつけたのか、何処からともかく配下になっていき。気づいたらかなりの大所帯になってしまった。

 

 先頭で鳥系モンスターを率いて、レティスに乗っている姿は魔王の行進のようだった。ちなみにロンベルクはキングアズライルに乗っている。

 

 

 思いの外簡単に地上に出る事が出来た。地上では問題を起こさないようにと配下に伝えた。これを破った場合、俺が直々に処刑すると伝えるとモンスターは素直に従った。そして、情報を集める為に一度解散させる。

 

 ロンベルクが言うには、ここまで簡単に地上に出れる事は普通ないそうだ。魔界に出る前に普通邪魔が入るそうだ。まぁ何にせよラッキーと思った。

 

 地上に出たところでロンベルクとは別れた。

 

 俺は人間形態でぶらぶらするからとジャミラスに伝え、何かあったら連絡よろしくと頼んだ。

 

 

 俺はレティスと二人旅に戻った。そして、モンスターから色々な情報を受け取ってわかったのだが……。まだ主人公であるダイは生まれていないようだ。

 

 何故わかったか……、答えは今この地上世界はハドラーに侵略されているからだ。おかげで、色々と繋がった。魔界から地上に出る時に邪魔が入るらしいが、それは竜の騎士のことだろう。

 しかし、今の時期は竜の騎士であるバランは冥竜王ヴェルザーとの戦いをしているか準備に入っている頃だ。いきなり現れ、ちゃっちゃと地上を目指した俺に反応しきれなかったのだろう。

 

 俺は今、ハドラーに潰されたとある島の国にいる。後ろに山脈を構える城はハドラーの配下の魔物に占領されているらしい。

 

 ……この城って奪っても問題なくね? ちょうど拠点が欲しかったのだ。



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