艦これ大家族 (サムライダー)
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一日目・前半戦

この作品は作者の想像及び、妄想が含まれます。



某鎮守府にて・・・・・。

一人の軍服を着た若い青年が廊下を歩いていた。

ビシッと決まった白い軍服がとても似合っていた。

彼の名は相良 光明(さがら こうめい)。

この鎮守府の提督だ。

大きな扉の前に立つと、扉を両手で開いた。

 

「Oh、提督、おはようデース」

 

「おはよう金剛」

 

高速戦艦の一番艦の金剛。

帰国子女の戦艦だ。

 

「提督じゃん、チーッス」

 

「鈴谷、お前、またブロッコリー残してるな」

 

重巡洋艦の鈴谷。

いつもブロッコリーを残す。

 

「おはようございます提督。お茶です」

 

「おはよう榛名。ありがとう」

 

金剛型の三番艦、榛名。

とてもいい子だ。

 

「おはようございます提督。おかわりお願いします」

 

「さすが加賀。朝からすごいな」

 

一航戦の加賀。

とにかくたくさんごはん(ボーキサイト)を食べる。

光明は席について朝食を取る。

それと同時に今日の予定を確認する。

 

「天竜たちは遠征中か。榛名、悪いが龍驤が何をしてるかわかるか?」

 

「はい、龍驤さんならまだ部屋で寝てます」

 

「そうか。まぁ、いいか。後は・・・・やばい・・・資材が底を尽きそうだ」

 

光明は頭を抱える。

最近になって資材の減りが早くなっていたのはわかっていたが、まさかここまで早いとは思っていなかった。

 

「いくら大食らいの加賀がいるとはいえ、いきなりこんなに減るはずがぁっ!」

 

光明の頭上に戦闘機が飛んできた。

もちろんそれを飛ばしたのは加賀だ。

いつの間にか艤装を装着していた。

 

「人を大食い番長みたいに言わないでください」

 

「いや、お前、まさに大食い・・・失礼いたしました!」

 

次の戦闘機が準備されるのを見て、光明は頭を下げて謝罪した。

光明はもう一度帳簿を見直す。

と、そこであることき気づいた。

 

「そういえば、つい最近赤城が新しく入ったような」

 

「はい。赤城さんが遠征から帰ってましたよ」

 

光明は両手を机に叩きつけるようについた。

 

「しまった。やはり犯人は一航戦の航空母艦だったか!やはり奴らは大食ら・・・・いえ、なんでもありません」

 

背後から加賀に戦闘機を突きつけられたので光明はそのままおとなしくなった。

飯を食べ終えると、すぐに提督室に戻り、仕事する。

提督室には大きな額縁があり、そこにはこう書かれていた。

一つ、鎮守府内の艦娘は全員家族。

一つ、家族は絶対に見捨てない、沈ませないこと。

一つ、必ず皆、生きて戻ってくること。

と、書かれていた。

光明は椅子に座って山になった書類に目を通しながらサインしていく。

 

「Hye、提督!今日も出撃してくるネ!」

 

「いってらー。沈むんじゃねぇぞー」

 

金剛は近海に出撃した。

そして、気づけばいつの間にか提督の部屋にはたくさんの艦娘でいっぱいになっていた。

 

「提督~、鈴谷超ひまぁ~」

 

「なら少しは手伝え」

 

「え~、めんどくさい~」

 

鈴谷はソファーでゴロゴロしている。

まともに作業しているのは加賀と榛名だけだった。

 

「提督、こちらの書類はここでよろしいでしょうか?」

 

「ああ、そこに置いておいて。あと、これもお願いしていいか?」

 

「はい、榛名は大丈夫です」

 

やはりいい子だ。

そして加賀はというと、

 

「提督、次どれ?」

 

「・・・・加賀、手伝ってくれるのはいいが、おやつを食いながら戦闘機で書類を運ぶのはやめてくれ。結構、戦闘機の音がうるさい」

 

「・・・・・・・・・」

 

「無視か!?」

 

加賀は書類を運んでくれているが、全部戦闘機に任せておやつを食べていた。

光明は思った。

こうやって資材が少しずつ減っていくのだと。

 

「提督、帰ったぜ」

 

「ぱんぱかぱーん!ただいま戻りましたぁ」

 

「おかえり・・・・って、なんで天龍だけ大破してんだ?お前、遠征に行ってきただけだろ?」

 

「天龍は敵艦にちょっかいばかりかけてましたから。私は余裕で回避ですけど」

 

「のわっ!島風お前、いつの間に背後に」

 

「島風は速いですから」

 

答えになっていなかった。

光明はため息をつきながら言う。

 

「とりあえず風呂入って来い。お疲れ様。ゆっくりと休んでくれ」

 

「そうするぜ」

 

「はーい、ありがとうございまーす」

 

「連装砲ちゃんも一緒にお風呂はいらなきゃ」

 

三人は風呂場へと向かった。

 

「で、赤城。お前は何、つまみ食いしようとしてんだ?」

 

「ギクッ!」

 

こっそりと遠征で手に入った資材に手を伸ばしている赤城に光明は問う。

赤城は「ははは」と言いながら手を引っ込める。

光明はため息をついて言う。

 

「少しだけだぞ」

 

「ありがとうございます」

 

赤城は適当に資材をつまみ、食べる。

 

「随分とお優しいのですね提督」

 

「なんだ、お前も食べたいのか?」

 

「・・・・・・」

 

「少しだけだぞ」

 

「ありがとうございます」

 

加賀も少し手に取って口へと運ぶ。

やはり艦娘たちに甘い。

 

「よし、これで終わりっと」

 

最後の書類にサインをして全ての仕事が終わった。

ちょうど昼だ。

お腹がいい感じに空いてきていた。

 

「提督~、おはよう。ふわ~」

 

「龍驤・・・・お前、どんだけ寝てんだよ」

 

「しかたあらへんやん。徹夜でいろいろやっとうさかい」

 

「まぁいい。昼行くぞ」

 

「は~い」

 

全員で食堂に集まり、昼食を取る。



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一日目・中盤戦

加賀と赤城の飯の量は光明の三倍だった。

お茶碗の光明に対し、二人はでかい丼にこれでもかってくらいに盛っていた。

恐るべし一航戦。

 

「提督、午後は何をいたしましょう?」

 

「そうだな。他にも目を通しておきたい資料があるからそれに目を通しておくかな」

 

「あの、そのあとはお暇でしょうか?」

 

「そうだな。特にやることもないから」

 

「でしたら、榛名と一緒にお茶しませんか?ちょうど桜も咲いてますし」

 

「お、いいな。ちょうど和菓子もあるからな」

 

「和菓子・・・榛名、楽しみです!」

 

榛名は目をキラキラさせていた。

そして、加賀と赤城は目をギラギラさせていた。

光明は見て見ぬふりをする。

奴らの胃は化物か。

光明はため息をつきながら資料に目を通す。

それは他の鎮守府の戦闘データだ。

光明はそういうのを見るのが日課でいつも読んでいる。

一時間ほどで読み終え、光明は和菓子を持って桜の木まで向かう。

この鎮守府の裏にある桜の木は樹齢千年は超えていると言われるかなりの大木だ。

満開になるととても綺麗だ。

 

「あ、提督。こちらです」

 

「待たせたな榛名」

 

「ええ、随分と待ちくたびれました」

 

「やはり加賀もスタンバイしていたか」

 

「甘味・・・・」

 

「そこ!目をキラキラさせすぎだろ!」

 

「お、なんや。加賀や赤城もおるやないか」

 

「私たちもご一緒しまーす」

 

さらに龍驤に愛宕までやってきた。

光明はため息をつきながら座る。

 

「お茶の準備も出来ました」

 

全員にお茶と和菓子がそれぞれに配られて、簡単なお茶会が始まった。

 

「あま~い♡」

 

愛宕が頬に手を当てて言う。

他の艦娘たちも和菓子にご満悦のようだ。

と、そこに出撃部隊が帰ってきた。

 

「Oh,提督たちだけズルいデース。私たちも混ぜるデース」

 

「おかえり金剛。誰も沈んでないよな?」

 

「心配ないデース。大破どころか中破もしてないデース」

 

「流石だな。とりあえずほれ」

 

「サンキューデース」

 

金剛も混ざり、楽しいお茶会となった。

そして、夜。

恒例のお花見の時間がやってきた。

全員酒だの団子など持って再び桜の木の下に集まる。

 

「全員集まったかー?」

 

「まだ龍驤がいません提督」

 

「ああ、あいつは今、仕込みをしているらしい」

 

「仕込み?なんのですか?」

 

「さぁ?俺も知らない」

 

「おまたせや」

 

龍驤がちょうど帰ってきた。

光明はマイクを持って言う。

 

「今日もこの日をみんなで迎えることができた。今日は楽しんでくれ。乾杯!」

 

「「「乾杯!!!」」」

 

光明の合図でみんな酒を煽る。

もちろん駆逐艦たちはジュースだ。

 

「Hei、提督、お酌するネ」

 

「サンキュー金剛」

 

光明はクイッと酒を煽る。

ちなみに光明はザルなので飲んでも全然酔わない。

そして、いつもこの日になるとやたら絡んでくる艦娘がいる。

いつもはそんなに絡んでこないのだが、酒が入るとすぐに絡んでくる。

その艦娘というと、

 

「ていとく、ちゃんと飲んでらすか?」

 

「飲んでるよ榛名」

 

「本当れすか~?榛名には全然飲んれないようにみれます。ヒックッ」

 

そう、あの榛名だ。

初めて榛名が酒に弱いというのを知ったのは提督室で光明が加賀や金剛と飲んでいる時だった。

たまたま通りかかった榛名が気になって部屋に入ってきて、金剛が「榛名も飲むのデース」と言ったのがきっかけだった。

光明は「あんまり無理をするなよ」と言ったのだが、「榛名は大丈夫です」と言って飲んだ。

たった一杯で泥酔状態になり、光明に積極的に絡むようになった。

 

「聞いれるんれすか?ていとく~」

 

「聞いているって。ほら、ちゃんと飲んでる」

 

「そんらんじゃ足りないじゃらいでふか~」

 

提督の盃にさらに酒をつぎ足す。

今でも公明は驚きを隠せない。

と、そこに背後から強襲。

 

「提督もしっかり飲んでんじゃん」

 

「今度は鈴谷か。いきなり背後から抱きつくな。溢れる」

 

「いーじゃんか。それより、鈴谷にも一杯やらせてよぉ」

 

「鈴谷さん、らめですよ。ていとくはわらひとろんれるんれす!」

 

「えー、提督はみんなの提督でしょ?」

 

鈴谷と榛名がにらみ合う。

光明はそーっとその場から離れる。

 

「ていとくはわらひのものれす!られにもわらひまれん!」

 

「上等じゃん!」

 

二人が艤装を展開。

そのまま夜戦が始まった。

 

「お、いいぞー!やれやれー」

 

「Oh,榛名頑張るデス!」

 

「俺も混ぜろ!」

 

なぜか天龍まで混ざってさらにヒートアップ。

光明は加賀の隣で飲んで見学している。

 

「さすがですね。危険を察知してこっちまで逃げてくるなんて」

 

「まぁな。俺も命は欲しいからな」

 

「提督も大変ですね」

 

そこに赤城もやってきた。

空になった光明の盃に酒を注ぐ。

加賀も赤城も酒には強いようだ。

 

「そうでもないよ。どちらかというと、加賀の戦闘機を避ける方が大変・・・・なんでもありません」

 

「そう、ならいいわ」

 

加賀が艤装を展開して光明をゼロ距離で狙っていたため、光明は速攻で土下座をして許しを請いた。

戦艦に土下座して許しを請う提督なんて光明以外は世界に誰ひとりとしていないだろう。

 

「そういえば、瑞鳳は何してんだ?あいつ酒好きだろ?」

 

「瑞鳳ならあそこに」

 

加賀が上の方を指差す。

光明は指が指された方を見る。

その瞬間、飲んでいた酒を盛大に吹き出す。

 



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一日目・後半戦

そこには酒瓶を片手に桜の木の枝に立っている瑞鳳がいた。

 

「あははははは!たのしー!」

 

「ず、瑞鳳!?お前、危ないから降りて来い!」

 

「んぁ?提督?提督が三人いるー。あはははは」

 

「お前、それ飲みすぎだ。危ないから降りて来い!」

 

「提督心配しすぎらお。ゴキュゴキュゴキュ」

 

酒瓶の酒を一気に煽る瑞鳳。

それを光明が見守る。

 

「ぷはっー!ヒック・・・はれ~?なんらかふわふわして・・・あ~」

 

「あ゛ぁ゛~!」

 

瑞鳳が酔いすぎて木から落ちてくる。

光明は落下位置を確認しながら受け止める。

なんとか無事に受け止め、安堵のため息をつく。

 

「ったく、無茶しやがって」

 

「では、私が瑞鳳さんを部屋まで運びます」

 

「ああ、頼んだ赤城」

 

「赤城さん、部屋でもう一杯軽く飲みましょう」

 

「ええ、いいわよ」

 

「まだ飲むのかよお前ら!」

 

加賀と赤城の背後には山のようになった缶ビールや焼酎の瓶が積み上がっていた。

恐るべし一航戦。

そんなことをしている間に榛名と鈴谷のバトルが終わったようだ。

二人共疲れて寝ている。

 

「ははは、俺だけまた大破だよ」

 

天龍がボロボロの姿で転がっていた。

かわいそうに。

榛名と鈴谷は疲れたのかすやすやと寝息を立てて寝ていた。

 

「私は鈴谷を運びますので榛名さんをおねがいしますー」

 

愛宕が鈴谷を背負う。

光明は頷いて榛名を背中に背負って部屋へと連れて行く。

ちなみに金剛はまだ騒いで飲んでいる。

榛名を部屋まで送り届けて光明は工廠場を見に行った。

そこでは妖精さんたちが艦娘を生み出し終えていた。

 

「お、終わったようだな」

 

光明は中に入り、生まれた新しい艦娘に挨拶をする。

 

「ようこそ。今日からお前も家族だ大和」

 

生まれてきたのは戦艦の大和だ。

 

「はい、よろしくおねがいします提督」

 

光明は満足そうな顔をして工廠を出て寝室へと戻った。

そして次の日、提督は真っ青な顔をして布団に仰向けに寝ていた。

その理由とは何か。

それは、光明の周りで寝ている艦娘たちの存在だ。

龍驤に天龍、瑞鳳に愛宕、鈴谷に部屋に送ったはずの榛名まで光明の部屋で寝ていた。

 

「こ、これはまずい。急いで部屋をでなければ」

 

と、その時だった。

部屋の扉が勢いよく開かれた。

 

「Hei、提督!朝だデスヨ。早く出撃・・・・何をしたのデスカ?」

 

「もう俺が何かしたこと前提で話を進めようとするな!てか、艤装展開しないで!」

 

「私というものがありながら提督は他の艦娘と・・・・」

 

「待て!誤解だ!てか、何言ってんだお前」

 

「問答無用デス!オシオキデス!」

 

光明の悲鳴が鎮守府内に響いた。

 



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