二次元旅行-ソードアート・オンライン- (九十)
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1話 これはゲームでもなく遊びでもなく現実

茅場晶彦の目の前の光景が一瞬歪んだと思うとまた同じ光景が目に映った。

 

「これが現実なのか・・?」

 

茅場が自分の手をグーパーして確かめてみるが特に違いが分からなかったが、自分の顔を無意識に触ると、顔には汗が出ており手に付いた。

 

「なるほど・・・君の言うとおりのようだ」

 

「今から茅場晶彦・・・いや、ヒースクリフと言ったほうがいいかな?今日から貴様もいちプレイヤーだ。存分に楽しんでくれ」

 

「フ、フハハハハハハ・・・・」

 

ヒースクリフは顔を手で覆い隠しながら笑う。

そして楽しそうに向かって言った。

 

「実に面白い事を、俺も存分に楽しませてもらおう。ゲームでもなく、遊びでもなく、現実として」

 

「はじまりの町に全てのプレイヤーを俺が集め、残りは説明しよう」

 

「そんな事まで出来るのか・・・いや、世界を作れるのならそれ位も簡単な事か」

 

その言葉とともにヒースクリフは消えた。

そしてはじまりの町の中央の広場に全てのプレイヤーが集められた。

プレイヤー達は急に景色が変わったと思ったら前に集められたときのように急に集められた事により回りはがやがやと騒ぎになっていた。

そして前回集められた時と同じようにまた空中に巨大アバターが出現した・・・。

 

「諸君、また集めたのはこのゲームはすでに現実となった事を伝えるためだ。・・・・とりあえず五月蝿いので諸君には数分黙っていてもらおう」

 

巨大アバターがそう言うと集められたプレイヤー達は言葉が話せれなくなり、身動きも取れなくなった。

 

「さて、説明させてもらう。すでに分かっているものもいるかもしれないが。分かり易く言えば、ここはアインクラッドと言う別世界になった。もちろん前のゲームの中と言ったときの説明のように死ねば死ぬ。現実だからな。ゲームと違い剣で切れば血もでるし、腕も切れば切り落とせる。しかし現実世界でもこの世界はすでにアインクラッドと言う別世界。この世界の回復ポーションや回復結晶などを使えば切れた腕も元にもどる。しかし現実のためアイテムを常にデータ化などの事もできないし、HPなどわかりやすい自分の限界もない。血を大量に流せば死ぬだろうし、首を切られればそれこそそこで絶命するかもしれない。現実と言ってもアインクラッドという世界の加護でレベルと言う恩栄は残っている。レベルがあがれば世界の加護が増え動きも良くなり、思考も早くなるだろう。そこは自分達で試していけばわかることだ。さて・・・軽く説明をさせてもらったが、細かい事等は諸君達が色々と自分達で体験していってもらいたい。そして元の世界に返るにはアインクラッド最上階にゲートと呼ばれるものを用意しておいた。そこをくぐれば元の世界だ。それでは諸君、がんばってくれたまえ!そして、ゲームではなくなったという事でここまでで死んだプレイヤーも全員初回から現実と楽しめるように蘇らせておいた。ちなみにこれは最初である処置であるためこれ以降はこんな例外を作らないので一度死んだらゲームオーバーだ。蘇えるとか嘘だと思うだろうが、蘇った者達に聞けば本当だとわかるだろう。それではこの世界、楽しんでくれたまえ」

 

巨大アバターが言いたい事だけ言い終わると、姿を消した。

そして全てのプレイヤーが自由に動けるようになった。

そして各プレイヤーの周りに自分たちがアイテム欄にしまっていたアイテムが転がっていた。

右手を振るもの、自分に少し傷をつけ回復ポーションを使うものなど色々いた。

 

それを面白そうにヒースクリフは見ていた。

 

そしてこの世界を変えた者、無は楽しくなりそうだと立ち去った。

 

なぜ無はこんな事をしたのかと言うと、それにはまず無の説明をしよう。

名前は無、そのまま「む」と読む。これは本当は存在しない人間という事で自分で作った名前だ。

本名九(いちじく)十(もげき)能力は二次元の入る事が出来るという特殊な事が出来る人間だ。

そして今回はソードアートオンラインというアニメを見ていたことからこれを現実にしたら楽しくなりそうだと思ってそのまま行動した結果だった。

 

そしてがやがやしていた中ヒースクリフはまずはどう変わったかと確かめるためにフィールドにでた。

あらゆるスキルモーションを試すがスキル自体は使えなくなっていた。

そしてその辺の雑魚モンスターに切りかかるとモンスターを切るという感覚があった。

 

「ふむ、実にリアル・・・いや現実だから当たり前か」

 

モンスターを何度か攻撃すると死んだと認識されたのか行き成りモンスターが消え、そこにはこの世界のお金のコルという物が現れた。

 

「どういう理屈かわからないがこれはゲームと変わらないようだ。しかしコルを持ち歩くの邪魔になるな」

 

ヒースクリフは適当に数時間狩りをしていると体が少しひかり、自分の感覚ではあるが何故かレベルが上がったという事がわかった。そして自分のレベルが2になったという数字さえも感覚で頭に思い浮かんだ。

レベルが2になったことで町に帰る事にした。

加護のおかげか武器が初期の武器が重いと思うことはないようだ。レベルが上がった事により動きが少し早くなった事、力なども増えていることも多少だが実感できた。

モンスターも今までの弱点を攻撃というより首などを切れば一撃で殺せることもわかった。

そして切った足とかを持って帰れるか試してみようと足を切って自分が手に持ち相手を殺すと持っていた足も消えてしまった。

どうやら直接切って、その肉を食べるなどのことは出来ないようだ。

しかし時たまにモンスターを倒した後にそのモンスターの肉と言うアイテムが出現することはわかったのでそれを料理しろということかと納得した。

また肉とコル以外にもアイテムが出現することもあったのでその辺はやはりゲームとかわならいんだとなっとくすることにした。

 

とりあえずそんな事を考えながら町に戻った。

町に戻りそういえばNPCはどうなっているのかとふと思い近くの店に入った。

 

「いらっしゃい」

 

元気な挨拶とともにお店の男性と思われる男がカウンターの中から挨拶をした。

ヒースクリフは適当に会話などして確かめるが特に変わった様子はなかった。

しかし会話をしているとそろそろ違う人と変わるので失礼しますと言い出した。

店自体は24時間常に同じNPCが経営しているのだが、どうやらNPCも人間にされたのか、または人間みたいな存在に変えられているようだった。

 

「名前はなんという?」

 

「名前ですか?お客さんも変な事を聞きますね。私は始まりの町のアイテム屋Bと言います」

 

なんて単純な名前の付け方なんだと頭を少し抱えるがもしかして先ほどの交代する前のNPCはAなのかと思い聞く。

 

「もしかして先ほどの者は始まりの町のアイテム屋Aって名前か?」

 

「いえ、先ほどのものは始まりの町のアイテム屋Cって名前です。お客さんそんな皆の名前が知りたいんですか?」

 

「いや、興味本位だ」

 

他の店もこんな感じにAとかBとかで名前がついているのかと考え、そういえばとモンスターを倒して手に入れたアイテムが邪魔なのでこの店で売る事にした。

そして武器を売ろうと武器を出した瞬間ふと思いついた。これで攻撃するとどうなるのだろうかと。

もともと町の中では攻撃が禁止だったのだが現実なら攻撃が可能だと考えた、だが衛兵などの問題もあるし試すには危険だと考え止め、聞いてみる事にした。

 

「そういえば店主、町で武器を持ち犯罪などを起こすとどうなる?」

 

「町でですか?そうですね・・・捕まりますね」

 

「いや、そういうのではなく、たとえば俺が今から武器をもって店主を攻撃しようとするとどうする?」

 

「はっはっは、お客さんがですか?武器を破壊させてもらうか、返りうちですわ」

 

「なぜそんな事が宣言できる?」

 

「お客さんしらないんですか?町で武器を向けられると加護が強くなり絶対負けなくなるんですよ」

 

「ふむ・・・では例えは俺がその辺の冒険者を後ろから刺そうとしたらどうなる?」

 

「それも無意味ですわ。刺そうとした瞬間相手の加護が強くなり武器が刺さりませんわ」

 

「なるほど・・・加護か・・・店主情報をありがとう」

 

「いえ」

 

そしてヒースクリフが店から出ようとすると店主が言葉をかける。

 

「お客さんあんまり物騒な事は考えないほうがいいですぜ!相手には攻撃できなくても衛兵がすぐ捕まえに来ますよ」

 

ヒースクリフは足を止め、店主に聞き返す。

 

「衛兵が捕まえに来るとは?」

 

「知らないんですか?衛兵は加護そのものと言われ、いきなり出現して犯罪者を捕まえ閉じ込めるまたは抹殺するんですよ」

 

「閉じ込めるとは?監獄エリアに送り込まれるという事か?」

 

「いえ、どこに閉じ込められるか分からないのですが、数日後に行き成り町に犯罪者が現れます」

 

「現れるとは?」

 

「そのままの意味でして、犯罪者が誰かを刺そうとするじゃないですかそうしたら衛兵が何処からともなく現れ犯罪者を消すんですよ、そして数日後犯罪者がもどってくるそうです。ちなみにですが犯罪者は素っ裸でなのも持ってない状態で行き成り現れます。まあ、犯罪者もそれで反省するんでしょうな、二度と町では犯罪をやらなくなるといいます」

 

「ふむ、たとえばだが町の外で犯罪を起こすとどうなる?」

 

「そうですな、犯罪の度合いによりますが町に入ると即衛兵に捕まります。犯罪の度合いは衛兵が決めるのでその場で抹殺されるか、または捕まえ閉じ込められるかですわ」

 

「犯罪したものはわかるのか?」

 

「そりゃーわかりますよ。見ればこいつ犯罪したんだなって」

 

「見ればわかる?」

 

「おや、お客さん犯罪者を見たことないんですか?そうですね・・・見ればわかりますとしかいえないですわ」

 

「ふむ」

 

見れば分かるとはレベルアップのときのように感覚で分かるという事かと考え店を後にした。

 



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2話 一ヶ月

うん、なんか完全に説明回。
しかもうまくまとまってないかも・・・。


この世界が現実になって1ヶ月がたった。

最初はこの世界が現実になってから初めてモンスターと出会ったときははっきり言って怖かった。

まずフィールドに出ると風や湿度や気温などがゲームの時と違ってはっきりと感じられ、同じ最初のフィールドなのに何処か別の世界の様な、ああ、これが現実なのかって感じてしまった。

そしてすぐフィールドを歩くとモンスターが現れた。

モンスターと言えど所詮最初の敵なので此方があまり近づかなければすぐには襲ってはこない。

よしどう変わったか試してみるかと投剣スキルを使おうと石を持ちスキルモーションの構えをする。

しかしいつもはそこから勝手にアシストしてくれスキルが発動されるはずなのに、スキルは発動しなかった。

む、と思い今度は片手剣を構えスキルを使おうとするがそれも発動しなかった。

仕方なくスキルは諦めて普通に剣を振るいモンスターを攻撃するとその余りにも現実的な肉を切る感覚がモンスターではなく動物などを殺してるんだと思ってしまった。

しかし最初はモンスターを倒すたびにうっと少し吐き気がするような感覚があったが、それが数匹、数十匹となってくると流石に慣れてきて何も感じなくなった。

 

俺・・キリトは最初は茅場晶彦を恨んだ、そして今度は現実にしたという誰かを恨んだ。

しかし今ではこんな世界に連れて来てくれて感謝しているのかもしれない。

それ位この世界は楽しかった。

 

スキルなどはなくなったがその代わり体の身体機能があがり自由に攻撃ができるのだ。

周りのプレイヤーは他のゲームのキャラの技を真似たりしながら技名を叫び攻撃しているなんて光景も見られた。

俺もまあやったのでなんとも言えないのだけど。

 

しかし中々迷宮区に入って攻略しようと思う人が少なく思ったよりも攻略が進んでいない。

はっきりいって俺なら1週間もあればボスの部屋までいけると思っていたのだが恐怖心などもあり中々進めれずにいた。

フィールドだとまだいいのだが、迷宮に入ると行き成り敵も強くなり、迷宮のひんやりとした空気、尚且つ暗くて静まり返っており、肌に刺さる冷たさ等が恐怖心を煽るのだ。

それでも俺や、他の少しのプレイヤーは迷宮を攻略しようと頑張っている。

 

現実となった事で少なからずここで住んでも良いと思っているプレイヤーもでている。

俺もその一人と言えば一人なのだが、帰って妹や母と会いたいという気持ち、このゲームだった現実をクリアーしたいと言う気持ちもある。

とりあえずはこの世界を楽しみながらも攻略をしていき、考えたいと思っている。

 

この世界は確かに殺されれば死ぬのだが、現実の世界だって殺されれば死ぬ。

殺人によって殺されるかもしれない、地震で死ぬかもしれない、不意の事故で死ぬかもしれない、考えればキリがないのだが、この世界なら町にいれば殺される心配は無いし、しかもここ一ヶ月で分かった事なのだがトイレや病気の心配が無い。

何故か分からないのだが、リアルでは足が不自由な人や手が不自由な人がこの世界では治っていたんだ。

しかもアレから一ヶ月たっているのだけど病気になった人や、トイレに行こうとする人がいない。

当たり前のように町の店にはトイレが無いし、宿にもトイレが無い。

それよりも自分自信トイレに行きたいと思ったことさえない。

 

そんな日常を少し思い出し、やはり俺は完全にこの世界を楽しんでいるようだ。

レベルあげもし、ベータテスト時代のクエストなどもこの現実の世界になっても同じのがありそれを受け武器を手に入れたり、またベータテスト時代になかったクエストもあったりして受けクリアーし日々充実していた。

 

クエストは今までは相手の頭の上にマークが付いていたので分かり易かったのだが、今は相手の頭の上にマークがでないので誰がクエストをしてくれるのかわからなかった。

町ごとに掲示板が実装・・・いや、リアルだからこう言うべきか?掲示板が新しく作られていて、そこにクエストが書かれていた。

重要なの程一番上にかかれ、重要ではないのは下のほうに書かれていた。

それでも隠しクエストなどはあるようでそれも数個だがやった。

 

ベータテストのときにやった事ないクエストで尚且つ一番上にあるクエストはこれはやらなければいけないと思える必須クエストだった。

クエスト名は初めての交信術と言うクエストだった。

クエスト自体は簡単だったのだが、これを覚えないとこの先困るだろう。

今まではフレンドにシステムを使ってメールなどで連絡したりできたのだが、現実になったことによりそれができなくなった。

それが交信術を覚えた同士だと念話みたいに話ができるのだ。

それでも知らない人に行き成りとかは無理で最低相手の名前を知っていなければならない。

現実になったことで名前は相手に教えてもらわなければ知る事が出来ないのだが、名前自体はこのゲームを始めたときの名前で大丈夫のようで、今までで一人だけ知っているクラインと言う名の知り合いの男に念話を試みると通じた。

念話のやり方自体は簡単だまずは相手の名前を思い浮かべ会話したいと頭で考える。

そうすると交信術を覚えた相手の頭にキリトから交信が来てると感覚で分かる。

受け取った相手はキリトと交信するかしないかを頭で考え、交信すると考えると喋れるようになる。

説明すると少し難しいと思うかもしれないが、日常の会話みたいなもので簡単だ。

ただ複数としゃべることは出来ないようだ。

たとえば俺がクラインに交信術を使ったときにクラインが誰かと交信術で話していると繋がらないのだ。

 

この世界が現実になったことで基本は感覚がメインであるといえる。

なので感覚は絶対に疑ってはいけないし、そもそもなぜわかるとか原理はさっぱりわからないがレベルアップも交信術もなぜとかではなくなっとくしてしまうので疑うという感覚もあまりないのかもしれない。

 

そういえば現実になったときにどうやらゲーム内のアイテムと同様にレベルも引き継がれていた。

なので俺はレベル3のままでいられた。

そして一ヶ月たった今ではレベルは8だ。

はっきり言ってこの階層ならソロで十分に楽に狩れる。

迷宮でよく見る青色の髪をした男PTか俺が多分ボス部屋を見つけると思っている。

 

レベルが3から8で変わった事といえばやはり動きが良くなった事もあるが、感覚が上がった事により敵の気配がわかる用になった。

多分なのだがレベル差によって自分より格下の敵は簡単にわかるようだ。

レベル3のときでは見える範囲位しかわからなかった敵が、今では見えない位置にいてもわかるようになった。

後、身体能力が上がったという事でその場でジャンプしてみた。

これが一番分かり易い気がした。

レベル3の時と今では全然ジャンプ力が違う。

レベルがいくつになれば屋根までジャンプして屋根の上を走り回れるだろうかとかも考えていたりもする。

 

そういえばPTとかはどうなるのだろうか・・・現実になってからまだ一回も誰ともPTを組んで狩ってないのだが、経験値の分配、アイテムやコルは・・・その場で拾えば良いので分けれるとして・・・・まあ考えても分からないのでPTを組んでみようと考えた。

最初の町で知り合って、デスゲームが始まった時に最初の町に置いていったクラインには罪悪感があったのだが、最近では念話程度ならたまにする程度の仲には戻っており、いい機会だしPTを組んでもらおうと誘ってみた。

 

『今からPTを組んで狩りたいのだがPTを組んでくれないか?』

 

『お、キリトか?PTを組むって言ってもな・・・PTとかあるのか?』

 

『いつも一緒に狩っている友達とはPTを組んでいるんじゃないのか?』

 

『いやー、なんていうかよ。PTを組んでるんじゃなくて一緒に狩ってるだけだぞ?』

 

『そ、そうなのか!?アイテムとか経験値とかってどうなってるんだ?』

 

『アイテムはソロだとモンスターの場所に落ちるだろ?だけど一緒に狩ってるとそのプレイヤーの前に落ちるんだよ。経験値は感覚でしか分からないが与えたダメージ分を配当分けされてるみたいだ』

 

『配当分け?』

 

『ああ、たとえば敵が100の経験値だとするだろ?で俺がかなりダメージ食らわせて、他の3人が少しのダメージを与えて倒したとすると、俺が55、他の奴が15づつみたいな感じだな』

 

『なるほどな、つまり横狩りでアイテムを狙う事も可能ってわけか』

 

『横狩りでアイテムを狙う?』

 

『ああ、クラインはあんまり詳しくないんだったな。たとえばだけど沢山のプレイヤーがレアアイテムを落とすモンスターの場所で狩っているとする。それを知らない奴が色んなプレイヤーが狩っているモンスターに対し1撃づつ入れていけば・・・』

 

『なるほどな。たしかにそれはできる気もするな』

 

『まあ、現実世界となったここでそんなことする奴がいるかどうかは不明だけどな』

 

『おう!んでPTはどうする?』

 

『いや、知りたい事が知れたから辞めとくわ』

 

『そっか・・・何時でも一緒に狩ろうぜ!』

 

『ああ!じゃあまたな』

 

『おう!またな!』

 

そうしてキリトはクラインとの念話を終えた。

 

なるほどPTという概念は無いのか・・・。

新しい情報とともにまた第一層迷宮にもぐりまたソロでボス部屋探しをしに向かったのだった。



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3話 無

現実になって2ヶ月がたった。

やっと第一層迷宮のボス部屋が見つかったようだ。

俺はこれからどうなるか楽しみにしながらシリカを連れボス攻略会議に向かった。

 

ゲームを現実にしてから俺はとりあえず誰かと楽しもうと悩んだ。

ヒースクリフに声をかけて楽しむ事も考えたが、やはり男と組むより女と組んだほうが楽しそうなので女と組む事を考えた。

原作から考えると、アスナ、ユイ、シリカ、リズベット、サチかなと考えた。

 

アスナはキリトの嫁だし、ユイは一応キャラとして存在をさせたので何処かにはいるがアスナとキリトの娘だし、まあそれを選択するかどうかはこの世界ではわからない。

 

シリカはまあ・・・うん。

なんかドラゴンと一緒ってイメージしかない。

 

リズベットもありだが、原作と違って鍛冶に必要なスキルはこの世界にはない。

クエストで鍛冶の初級からクエストを用意してあるが、それでも初心者にはかなりのレベルが要求される。

 

鍛冶のスキルもそうなのだが、料理、釣りなども基本レベルに左右される。

ということは逆に考えて料理ばっかりしていてもレベルがあがる。

モンスターを狩る行為と考えると雲泥の差があるのだが、それでも経験値は入る。

これは鍛冶のスキルや料理のスキルが無い代わりに加護の力で感覚をあげ、世界が加護を加え鍛冶を行うときに感覚が補助され上手く作れるのだ。

といってもたとえばモンスターばかりかってレベルが200になったとして行き成り鍛冶や料理をしても上手くできないのだが・・・。

通常のレベルも必要だし、鍛冶なら鍛冶を何回もやることによってそっちの感覚も上昇させなければならない。

 

しかし例外もある。

たとえばもともとプロの鍛冶職人や料理人がレベルをあげ行き成り挑戦すると上手くできるのだ。

今までの経験値が物をいうわけだ。

しかしなぜプロの料理人などがレベル1でも技術だけで料理ができないかというと、肉を切ったりするのにもレベルが必要なのだ。

たとえば最初の町をでてすぐのモンスター肉を調理しようとするとレベル2からなのでレベル1だと肉を切る事ができないので丸焼き程度しかできないのだ。

丸焼きが好みなら全然構わないのだが・・・。

 

まあそれでもプロの料理人がレベル10で作った料理とレベル1で同じものを作っても味が全然変わる。

これは裏調味料的な役割をこの世界が勝手に行ってくれるからだ。

人間が美味しいと感じる味覚、嗅覚、視覚等を直接訴えるからだ。

これは鍛冶では武器の強度や切れ味に、釣では相手の魚に直接影響をあたえる。

 

もちろんこれは戦闘に関してもそうだ。

同じレベルのプレイヤーキャラがいたとすると、もともと剣術や体術をやっていたほうが強い。

もちろんこの世界にきてこの動きになれ、戦い方を知り、その上でもともとの経験者を倒せれると言うのはありえる。

 

話がそれたが残りはサチだ。

まあサチはうん、まあ、うん。

キリト先生にまかせよう。

キリトと会えるかどうかわからないが・・。

 

まあそうやって色々考えたわけだが選ぶとしたらシリカとリズベットの二択になってしまったわけなのだが、リズベットと一緒に居ると手伝って強力な鍛冶職人に仕上げてしまい、チート武器ばっかり作りそうなのでシリカにしようと決めた。

 

最初は町で落ち込んでいたシリカに声をかけ、話を聞き、同調し、警戒心を薄め一緒に頑張ろうと励ましあって、はじまりの町の近くで一緒に狩りをすることから仲良くなっていった。

 

始めはやはり怖がっていたがそれをカバーしまくった。

なんでそんなに強いんですか?レベル一緒ですよね?とか聞かれたが、もともと剣術や体術を小さい頃からならっていたと誤魔化した。

そういえば全然言ってなかったがこの世界の俺は身長170センチで見た目はハンターハンターのシャルナークを黒髪にして高校生程度に幼くした感じだ。

装備は勿論初期装備だ。

 

そんなこんなでここ二ヶ月間一緒に過ごしている。

レベルも他のプレイヤーに負けないようにレベル上げをしてシリカのレベルは12程度だ。

ちなみにだがキリトがレベル14だ。

 

安全マージン的には階層+10レベルなのでシリカで丁度良いといえば丁度良いレベルだと言える。

 

まあそんなこんなで第一層迷宮の一番近くにある町のトールバーナの街の広場にやってきた。

広場と言っても全部平らではなく半周系の階段下に広場と言う形だ。

ちなみにだがどうやって人を集めたのかというと、各町には各層全員のプレイヤーに情報を流してくれる店がありそこでディアベルと言う名のプレイヤーから第一層にいる全員に向かって、第一層のボス部屋を見つけたので明日の朝10時に攻略会議をしたいと思います。是非高レベルプレイヤーは来てくださいと前日の夜に流れてきたのだった。

 

そして広場に着いたのだが・・・そこには想像以上の沢山の人が居た。

 

「すごく沢山の人がいますね」

 

「そうだね。ざっと見た感じは200人位いるかな?」

 

「そうですね・・・。それ位は居ますよね」

 

「これだけ居れば楽にボスに勝てるかもね」

 

「そうですよね!これだけ居ればきっと誰も死なずに勝てますよね!!」

 

「そうだと思うよ。まー詳しくはあの真ん中に立っている青色の髪の毛の人が説明してくれるんじゃないかな」

 

「あの前に立っている人ですね。あの人がディアベルさんですか?」

 

「昨日声が聞えてきただけだからわからないけど、こんな大勢の前で堂々と一人で立ってるんだしそうじゃないかな?」

 

「きっとそうですよね」

 

「まあ、とりあえず適当に座って話しでも聞こうよ」

 

「あ、はい!」

 

そして二人で空いている所に適当に座る。

そして時計塔を見ると時間は9時50分、もうすぐ説明が始まるなと期待しながら待つのであった。



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4話 会議

時刻は午前10時、会議の始まる時間になった。

 

「時間なので始めさせてもらいます!まずは皆良く集まってくれた。今日は俺の呼びかけに応じてくれてありがとう!俺はディアベル!職業は気持ち的にナイトやっています」

 

ディアベルが紹介をすると周りではやはりアイツがとか、ナイトなんて職業ねーだろとか、本当は勇者って言いたいんだろとか、周りががやがやする。

ナイト所か職業なんてものはこの世界に存在しない。

片手剣を極めたければ片手剣を、ナイフを極めたければナイフを、鎌を極めたければ鎌をひたすら使って慣れて上手くなっていきレベルを上げ加護の力を得ていくしかないのだ。

そうすればいづれ職業ではないにしろ名称として勇者とか剣士とかナイトとか呼ばれるようになる。

ディアベルが全然ナイトとか付かない呼び名で呼ばれる事をまだこの時は誰もしらなかった。

 

「昨日俺達があの塔の最上階でボスの部屋を発見した。俺たちは第二層に進みこの世界がいつか脱出できると皆に伝えなきゃならない。そうだろ!皆!?」

 

その言葉に皆がそうだ!そうだ!とにぎやかになる。

 

「所で確認したいのだがこの中にレベル10以上は何人いる?挙手してもらいたい」

 

その言葉を聞き10人が手をあげる。

それをディアベルが指を指しながら数える。

 

「はち、きゅう、じゅう・・・10人か、思ったより少ないな。では次にレベル6以上は挙手してもらいたい」

 

今度は結構な人数が手をあげ42人が手をあげる。

そしてまたディアベルが1から数える。

 

「よんじゅう、よんじゅういち、よんじゅうに・・・42人か」

 

ディアベルはこれだけ大勢の人数がいるのに4分の1程度しか一緒にボス攻略に行けないと少し落胆した。

他の人たちは低レベルでもいけると甘く思っているのかと周りを見渡すと、一人挙手している男がいた。

 

「そこの君!何か意見があるのかな?」

 

ディアベルが手をあげている男を指差し意見を求める。

 

「すいません、自分レベルは4なんですが攻略に来たのではなくて昨日の呼びかけを聞いて覗きに見ました・・・つまり野次馬です」

 

「すまないが・・・野次馬目的で来ている者は階段の上まで上がってくれないか?」

 

ディアベルがそう言うと手を上げなかった残りが全員階段上まで上がった。

ディアベルはなるほどそういうことか思い、やれやれと肩を落とす。

 

「よし!それでは今階段に残っているもの達に続けて説明する。良いかな?」

 

「ちょお、まってんか!」

 

その声に皆の視線が集まる。

皆が階段の上に顔を向けると変な髪形の男が立っていた。

その男が勢いよくジャンプして階段下の広場まで一気に駆け下りる。

 

「君は?」

 

「ワイはキバオウってもんや、ボスと戦う前に言わせてもらいたいことがある。今まで死んで逝った人達に詫びいれなあかんやつがおるはずや」

 

「誰が詫びを入れるんだい?」

 

「元βテスターの奴らに決まっとるやろ!β上がりどもは最初に集められ、茅場にゲームが遊びではないと言われたときにビギナーを見捨てて消え去った!その後もそうや!現実になったと言われてもまたビギナーを見捨てて逃げてった!β共は上手い狩場を独り占めしたりして自分らだけぽんぽんつよなった!だからそいつらに土下座さして、溜め込んだアイテムや金を吐き出してもらわな、そいつ等に命を預けれないし命を預かれん!」

 

「ちょっと発言いいか?」

 

一人のスキンヘッドの男が手を上げ発言許可を求める。

それにディアベルが首を傾け返事をすると立ち上がり喋りだした。

 

「俺の名はエギルだ。キバオウさんアンタの言い分はこうだ。元βテスターが面倒を見なかったからビギナーが死んだ。その責任を取り、謝罪や賠償をしろってことだな?」

 

「そうや!!」

 

エギルがポケットに手を突っ込み、一冊の小さな本を取り出しキバオウに見せる。

 

「この本見覚えがあるな?道具屋で無料配布しているガイドブックだ」

 

「そりゃもろたで?それがなんや?」

 

「この本は一冊作るのにどれ位手間がかかってるか分かるか?ここはゲームみたいに簡単に作れないのにだ、それを手間を惜しまずに作り、配布している。その意味が分かるか?」

 

キバオウは少し考えるが言葉に詰まり何もでてこない。

 

「このガイドブックはなキバオウさん、元βテスター達が集まり必死にお金を集め情報を共有して作られたものだ。勿論ゲームの時の話で使えない話も沢山あるが、それでもこのガイドブックを読めばわかるはずだ。つまりβテスター達も俺らも同じ情報をもっていたわけだ。なのに沢山の人達が死んだ。それを踏まえた上での話し合いになると今日は思ったんだがな」

 

その言葉にキバオウは勿論、周りのプレイヤー達も驚きでがやがやと喋りだす。

そしてキバオウは何も言えなくなり階段まで行き座る。

キバオウに続いてエギルも階段まで戻り座りなおした。

 

「よし、皆分かってくれたかな?それでは再開させてもらう。ガイドブックに書かれている通りなら第一層のボスはイルファング・ザ・コボルド・ロード、武器は斧と盾だ。ボスの取り巻きにルイン・コボルド・センチネルというモンスターも出現するらしい。そこでボスコボルトをレベル10以上の者が、取り巻きコボルトをそれ以外で攻撃してほしい」

 

「ちょっと待ってくれ!ボスには10人で挑んで、取り巻きに42人も使うのか?」

 

階段に座っている一人の男が発言をした。

 

「ああ!俺はそれが一番安全でいけるやり方だと思ってる!」

 

「つまりレベルが10行ってない人達には取り巻きを倒してもらっておいて、上のレベルの人達がボスと思いっきり戦ってもらうってことだな」

 

違う男が発言をする。

 

「そうだ!」

 

「ボスが違った場合はどうする?」

 

キリトがボソッと言ったのだが、その言葉に皆の視線が集まる。

 

「あ、いや、ガイドブック情報と変わっている内容が多いだろ?じゃあボスも変わっててもおかしくないかなって」

 

キリトの発言にディアベルは腕を組んで少し考え発言する。

 

「確かにそれはありえる話だ。そのときは一度様子見をして逃げ、もう一度会議を開こう!他に意見がなければ解散し明日の朝10時にまたここに集合してボス部屋に行こうと思う!」

 

キリトが手を上げ発言する。

 

「ちょっと良いかな」

 

「どうぞ」

 

「戦い方はどうする?」

 

「それは俺も考えたのだが、PTという概念がないので各自に任せようかなと」

 

「それだと流石に・・・一応でいいから軽く合わせておこう」

 

「よし!そうだな!ではこの後レベル10以上の者達と、それ以外でまとまってフィールドで合わせておいてくれ!他に意見はないかな?」

 

ディアベルが周りを見渡すが特に意見はなさそうだった。

 

「それじゃあ、レベル10以上は俺の所に来てくれ!それ以外はそっちで集まって話してくれ!以上、解散!明日の10時によろしくな!」

 

そしてフィールドで数時間練習で狩りを行った。

ちなみにだが10人・・・ディアベル入れて11人の中には、シリカ、ヒースクリフ、キリト、ディアベル、無はいた。

この中で一番レベル高かったのはもちろんキリトと言いたい所なのだが、ディアベルが一番レベルが高かった。

ちなみにだがキリト14レベル、シリカ12レベルは前と変わらずだが、ヒースクリフは13レベルでなんとディアベルは16レベルであった。

 

10レベルより下の者達は最初はがやがやとどうする等纏まりが全然なかったが、キバオウが頑張ってまとめてフィールドに狩りに行った。

ちなみにキバオウはレベル9である。

 

そんなこんなで各自大勢で狩る練習をしたのだった。

 



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5話 初めてのボス

「聞いてくれ皆!俺から言う事はたった一つだ。勝とうぜ!!」

 

ディアベルを先頭に全員で第一層のボス部屋の前まで行き、ディアベルが後ろを振り向き言った。

その言葉を聞いた皆は盛大に気合を入れ、叫んだ。

 

「「「おー!!!」」」

 

「よし、いくぞ!」

 

ディアベルが掛け声とともにボス部屋の扉に手をかけ、扉を開く。

ボス部屋に入ると広い空間になっており、照明が付いていないのか部屋自体は薄暗くなっていた。

そして部屋の一番奥には大きいモンスターが一体座っていた。

今まで戦ってきたモンスターとは違い自分の身の丈2倍から3倍程度あるこの部屋の主イルファング・ザ・コボルド・ロードはかなりの威圧感があった。

それを見たプレイヤー達は息を呑んだ。

 

全員が中に入ったタイミングで部屋に明かりが付き、部屋の左右の壁からプレイヤー達と変わらない身の丈のコボルトとが数匹現れた。

 

そして奥に座っていたボスコボルトがゆっくりと斧と盾を持って立ち上がり・・・吼えた。

それにびびった数名がボス部屋から走って逃げる。

 

ディアベルはそれを横目で見ていたが、注意して士気を下げるよりも自分から突撃することで士気をあげようと考え指示を出す。

 

「いくぞ皆!作戦通り俺達はボスを他の皆は雑魚を頼む!」

 

ディアベルが叫びながらボスに向かって駆け出した。

それに高レベルのプレイヤー達は続いて走っていく。

 

雑魚担当のプレイヤーはそれを見て少し硬直していた。

それを見てエギルとキバオウがすぐに叫ぶ。

 

「お前ら、ぼけっとしてないで俺達は俺達の仕事をするぞ!」

 

「そや!ワイらは右から出てきたコボルトを!エギルはんは左側のを!」 

 

雑魚担当のプレイヤー達は前日に狩っていた時にエギルのチームとキバオウのチームと分けていたのだった。

 

ボスに向かって先頭で走っていたディアベルがすぐにボスの前にたどり着き攻撃を開始する。

それに続いて他の皆も攻撃を開始する。

 

ディアベルが切りかかりボスが盾でカードするが、すぐに横からキリトとヒースクリフが切りかかる。

それを受けすぐにボスが斧を横向きになぎ払う。ディアベルが盾でガードするも吹き飛ばされ、入れ替わりに他のプレイヤーがボスの正面に立ち攻撃をする。

キリトとヒースクリフはすぐに下がり攻撃を難なく避けた。

そして他のプレイヤーと一緒に周りを囲み準じに攻撃を開始する。

斧で振り下ろしの攻撃を二人で受け、その隙を突いて皆で攻撃をする。

なぎ払いなどは素早く回避かダメージを受けたものカバーをしつつ攻撃をする。

そうやって攻撃をしているとボスはかなりのダメージを受けていた。

左手はすでに切り落としてあり、体中も刀傷で傷だらけでだった。

 

そして、ボスが吼えた。

その瞬間何かが来るかと一瞬間を空けると、ボスが斧を投げてきた。

行き成りのことで回避が間に合わず全員防御するが吹き飛ばされた。

 

その隙にボスが自分の腰についていた大きな刀に持ち替えた。

すぐにディアベルが体勢を立て直し叫び突撃する。

 

「俺に任せろ!!」

 

斧から刀に持ち替えた事により、ボスの攻撃スピードが上がっていた。

それを知らずに先ほどのときと同じようにディアベルが武器を構え攻撃しようとするが間に合わず腹を切られた。

ディアベルが切られるのを見ていたプレイヤーがもう駄目だと一瞬目を瞑るがどうやらディアベルのレベルが高かったおかげで完全に切られずに防具破壊と、死なない程度の切り傷ですんだようだった。

そこにすぐにキリトが駆け寄りポーションをかける。

ちなみにポーションは飲んでもかけても効果は一緒だ。

ただポーションは結構美味しい。

 

「なぜ一人で突っ込んだんだ?普通は囲むだろ?」

 

「分かるだろ?お前もβテスターだったなら」

 

「ラストアタックボーナスか・・・」

 

「あぁ・・・」

 

「それよりは今は勝つ事が大事だろ!」

 

「すまない・・・」

 

キリトは落ち込むディアベルを置いてボスに突撃する。

他のプレイヤーもすでに突撃しておりすぐに全員で囲んで攻撃をしていた。

 

「うおぉぉぉぉ!」

 

キリトが合流しつつも叫びながら切りかかるとすでにボスの耐久が無くなっていたのかそのまま右肩から左脇まで切り落とせれた。

ボスの体がずれ落ちるのを他のプレイヤーも固まり見ていると、ボスが消え各プレイヤーの前にはアイテムやお金が転がった。

 

「勝った!勝ったんだ!」

 

「おぉ!!!」

 

「やったぞ!!」

 

ボス部屋に居た全員が叫んだ。

叫びあった後は全員近くに落ちた自分のアイテムを拾った。

ディアベルはすぐにキリトの近くに行き確認し喋りかける。

 

「それがラストアタックボーナスか・・」

 

「そうみたいだな」

 

「それをくれな・・いやなんでもない」

 

「欲しかったら「なんでもないっていってるだろ!」」

 

「あぁ」

 

そしてディアベルは全員の前に行き喋る。

 

「皆のおかげで第一層を攻略できた!しかも死者を一人も出さずにだ!」

 

「「「おお!!」」」

 

「このまま二層の町まで行くぞ!ダメージ受けてるものを回復し、一旦帰りたいものは帰るんだ!よし!いくぞ!」

 

その言葉を聞いたプレイヤー達はすぐに傷ついてる者は回復をした。

帰ろうとするものは一人も居なかった。

そしてディアベルを先頭に第二層の町まで行くのだった。

 

 

雑魚担当していた者達は・・・。

雑魚達を担当していたエギルチームとキバオウチームは思った以上に強い雑魚的に苦戦していた。

最初は片方の壁から三匹程度で楽勝と高をくくって当たっていたのだが、倒しても倒してもでてくるし、しかも敵の人数も一匹倒したら一匹でてくるとかではなく、時間お気に3匹づつでてきたのだった。

そのおかげで結構苦戦をしたのだが、たまにピックが敵に飛んできたおかげで死者は出ずにすんだのだった。

エギルだけが途中で何処からか助けに入るピックに気付いていた。

他のプレイヤーはそこまで気にする余裕がなく、誰かが攻撃してくれたんだなと思う程度だった。

 

 

 

ちなみにまったく活躍なかった無が何をしていたのかというと。

ボスの攻撃を適当に避けては適当に攻撃をしていた。

雑魚コボルトで危なそうな人たちがいれば適当にピックを投げたりしていた。

ちなみに雑魚コボルトは倒しても倒しても無限沸きだった。

斧が飛んできたときはちょうど斧の刃の部分がシリカに当たりそうだったので、刃がシリカに当たらないようにシリカを片手で抱き、もう片方で斧を剣でガードしつつ吹き飛ばされた。

シリカの好感度アップだった。

 



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6話 四次元ポケット

今第二層ではポーチが流行っている。

正確にはポーチと言うアイテムがそのポーチ自体の中身が四次元になっていて何でもどれだけでもいれられるのだ。

ポーチの入り口が手の平サイズだとしても何故かそれより大きいものも入れられる、実に不思議だ。

 

 

第二層の町に到着したプレイヤー達は宿に泊る者、そのまま狩りに行く者、クエストを受ける者とさまざまだった。

そんな時、クエストに向かった者が一番上に重要なクエストがあるのを発見した。

 

四次元ポケットっと言うクエストだった。

 

最初にそれを見た者は某猫型ロボットのアイテムが使える用になるのかと期待しクエストを受けた。

クエスト自体は簡単だった。

クエストを受けたら指定の店に行き、そこで自分の好きなポーチを書いて作ってもらうだけという簡単なクエストだった。

その者は好きなポーチを書くだけであのアイテムがもらえるのかと喜んでちゃちゃっと適当にポーチをすぐ書いたのだが、クエストを達成して後悔をした。

クエスト報酬がその作ったポーチであり、その中が四次元になっていてアイテムの出し入れが可能になっただけという事だったからである。

別にそのアイテムの性能が不満なわけではない。

どちらかといえば完全に良いアイテムであり、これまで沢山持ち歩いていたコルや装備やアイテムが一個のポーチに全部入れられるというのはかなり便利だ。

しかしだが、その者はあのロボットの数々の便利な道具を想像していただけあって落胆は隠せれないのであった。

しかも早く終わらせようと適当にポーチを作ってしまったため、とても微妙だった。

 

そして、他の人たちもそのクエストに気付いたり、言伝で聞いたりして二層まできたプレイヤーの全員はそのクエストを受けてクリアーした。

その結果色々なポーチが流行ってるのだ。

ウエストポーチやらベルトポーチなどさまざまな形で各プレイヤーが付けていた。

ポーチ自体は作り変えが可能なのだが、二回目からは高額のコルが取られるので自分で書いたにもかかわらず気に入らなくても諦めてつけているものが多数だった。

 

ちなみにだが街の中央には第一層のはじまりの街と繋げる魔方陣がありその上に立って一層に行きたいと思うと、第一層のはじまりの街にいけるのだった。

今までは何で始まりの街に魔方陣が書いてあって、何の効力もないのかと思われていたがこの事によって理由がわかった。

 

そしてシリカと無もそのクエストを受けたのだった。

 

「無さんこのポーチどうですか?」

 

「ベルトポーチにしたんだ。小さくて使い勝手が良さそうだね」

 

「はい!あまり大きいと邪魔になりそうですし」

 

「俺はこんな感じで」

 

「うーんと、足に巻くタイプですか?」

 

「そうそう、俺には使い勝手良いかなって」

 

「そうですね。似合うと思います!」

 

「ありがとう。じゃあとりあえず作成してもらおっか」

 

「はい!」

 

二人で店主に書いた紙を渡すと店主がそれを奥にもって行きすぐに戻ってきた。

 

「はやいですね」

 

「そうだね」

 

「これがポーチだ」

 

店主が無愛想にポーチを二人に差し出した。

 

「わあ!ありがとうございます」

 

「どうも」

 

二人は受け取り早速付けてみる。

 

「シリカいい感じに似合ってるよ」

 

「ありがとうございます!無さんも似合ってますよ」

 

「ありがと、とりあえずこれで邪魔なコルとかアイテムとかしまえるね」

 

「はい!今まで結構ポケットぱんぱんになってましたもんね」

 

「そうだね。こぼしたりしてたもんね」

 

「むぅー。あれは転んだからしょうがないです」

 

「はは、で今日はこれからどうする?」

 

「今日はのんびりと街でも探索しませんか?」

 

「それも良いかもね。まだしっかり見てないからね」

 

「美味しいお店とか探しましょうね!」

 

「また美味しいお店があるといいね」

 

「はい!」

 

無とシリカはポーチを作り街の探索にでかけた。

 

ちなみにキリトはと言うと、もちろん黒のポーチを作った。

そして第二層には体術スキルを覚えれるところがあったとβテスター時代の事を思い出し、きっと何かを教えてくれるはずだとその場所まで向かうが、その場所には同じ人物が居たのだが、特にクエストもなく体術スキルの変わりに何か貰えるとか教えてくれるとかもなかった。

そしてその場で凄く落ち込んでいたのを情報屋をしている人が見ていたとかいなかったとか。

 

 

 

 

 

 

 



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7話 ギルド

最前線は只今第20層まで攻略中であった。

そこまで来ると殆どのプレイヤーは戦い方にも慣れ、プレイヤーの二つ名が付けられる者や、色々なギルドも作られていた。

ギルドは第五層から作れるようになり、ギルドを作ると第五層にギルドホームが貰える。

ギルドホームが貰えるが別にその貰った家を使わなくても良い。

もともと家を持っていたりすればそれをギルドホームに登録できる。

ギルドを作るにはそれなりのコルがいるが、第五層まで最前線で安全マージン以上稼いでいるプレイヤーなら個人で買えないお金でもなかった。

ギルドを作るとギルドホームでアイテムの共有化ができる。

ギルドホームはギルド仲間以外は出入りできない。

ギルド仲間に一斉念話会話ができる。

ギルドリーダー、副リーダーになるとギルド人数によって加護の力が増える。

ギルド団員はギルドリーダー、副リーダーの強さによって加護の力が増える。

等の得点ができる。

 

そして特に有名なプレイヤーと言えば一番レベルの高いと噂されるディアベル、二つ名は廃人のディアベル。

ちなみにディアベルがリーダー率いるギルドは廃人のギルドと呼ばれている。

別に廃人ばかりいるギルドではないのだが、ディアベルが廃人すぎてそう呼ばれるようになった。

本当の名前はアインクラッド解放軍と言うのだが、ディアベルの廃人ぷりがやばく廃人ギルドの方が有名でそう呼ばれることが多い。

ディアベルはほとんど狩場で狩っている事が多く、それ目当てでディアベルと短時間組む人が多い。

それも噂になる原因ではあるのだが。

 

そんなディアベル本人ではあるが、第一層で死に掛けて助けられた事に悔しく思い、俺がアイツを今度は助けて見返してやると勝手に思っている。

そんなキリトは黒のキリトまたは、黒の剣士キリトと呼ばれていた。

上から下まで真っ黒な装備を好み、常に二刀流で最前線で戦う事からそう呼ばれていた。

ちなみにギルドには所属せずにソロで攻略を続けている。

いつも色々なギルドから誘われるのが最近嫌になってきているとか。

 

他にも二つ名が付いている人間と言えば。

守護神ヒースクリフ。

初心の無。

閃光のアスナ。

武士道クライン。

等があげられる。

 

ヒースクリフは常に大きな盾を持ちそれを自在に操り防御して、尚且つ盾自体を武器にして攻撃するという型破りな戦い方をするのである。

余りの防御の上手さ、そして盾という防御に使う装備で戦う事、カリスマ性とリーダーシップ力から守護神と呼ばれるようになった。

血盟騎士団と言う名のギルドリーダーをしていたりもする。

 

無は20層までのボス戦全てにおいて未だにはじまりの街で最初に全員が持っている最初の装備をそのまま装備していることから呼ばれるようになった。

防具だけでもなく、武器もそのままの装備で戦っているのである。

利点としては最初の装備だけ耐久が無制限で絶対に壊れないのだ。

シリカと二人のギルドで、無名と言うギルドに所属している。

ちなみにギルドリーダーはシリカで、副リーダーが無だ。

 

アスナはレイピアを常に使い戦っている。

そのレイピアだが、突きだけに関しては最上級の速さで閃光と呼ばれるようになった。

見た目が可愛く最前線で活躍している事から二つ名をつけようとなった気がしないでもない。

ちなみにアスナ様と称える人もいるとかいないとか。

血盟騎士団の副リーダーをしたりだったりもする。

 

野武士顔だとよく言われるクラインだが、別にそこから武士道と付けられたわけではない。

装備自体が武士の様な装備を好み、武士道とは仲間のために命を賭ける事だ!と言ったりして、たまにござるなど喋ったりしてたら武士道と呼ばれるようになった。

ギルドは風林火山と言う名前でギルドリーダーをしている。

間違いなくギルド名は武田信玄から取っているであろう。

 

他にもいるのだが有名所はこれくらいであろうか、そして無なのだがなぜ初期装備でいられるかと言うとシリカのみがしっているのだが、攻撃は受けないと言うか避ける。

もちろん攻撃を受けてもノーダメージでチーターとかビーターとかのレベルでないのだが、それがばれないように避ける。

武器は初期装備で普通に攻撃すればその階層の武器に比べればかなりのダメージ差があるのだが、敵にダメージを与えるのは只武器の威力が強いだけではダメなのだ。

敵にダメージを与えるには勿論相手の急所や弱点を突くのももちろんだが、武器の威力、そして力、後スピードも大事なのである。

普通の剣を普通に振るって攻撃するのと、相手にやんわり当てるように振るって攻撃するのでは全然威力が違う。

それが光速で振るったらどうなるか、普通の武器なら折れるか溶けるだろう。

だが耐久力のない最初の武器は絶対にどんな事しても折れないし、壊れないのだ。

つまり武器の威力を全てスピードで解決してしまっている。

 

当初は適当に面白そうに見ていようと無はのらりくらりしていたが、シリカが敵にやられそうになったときについ攻撃してしまったのだ。

それを目の前で見たシリカは、え?え?今何しました?と目の前で何が起こったかわからなかった。

シリカ位になら良いかととりあえず無は教えてあげた。

ただ早く剣を振るっただけだよと。

もちろんそんな事言われても分けが分からずに、もう一度見せてくださいと何回も無に見せてもらってやっと納得した。

その後に何であんなに早く振れるんですか?とか人間の速さじゃないですとか言われたが、現実でやはり剣術をやっていたのが大きいんだねとか適当に答えていると、そんなものですか?と納得してくれた。

その時はシリカがギリギリ見えるか見えないかの速さで振るっていたのも大きいかもしれない。

 

そんなこんなで二人だが常に最前線で活躍しているギルド無名にはよく入隊させてくれと言われる。

その度にシリカが最低レベルが私と同じ以上じゃないとダメですと断ったり、それでもシリカよりレベルが高い人が来た場合はこの副リーダーと1分戦って一撃でもいれれたらいいですよと断っていた。

しかし普通のギルド入隊希望なら結構すぐに諦めてくれるのだが、シリカ目当ての人たちは中々諦めてくれずにうんざりしていた。

 

シリカは無と二人でいるギルドが何か自分達だけの領域とか感じているようで、他の人を入れたくないようであった。

無は別にどっちでも良いので適当にシリカに合わせてあげていた。

ギルドを作ろうって提案したのもシリカで、名前を付けたのもシリカだ。

最初はシリカがシリカと無でムケイコとかわけのわからないこと言っていたが、私達本名じゃないんですよねと言い出し、無さんの無と名前が本名じゃないから名前の名を取って無名で行きましょう!と無名になった。

ギルドは第5層にあり、そのまま二人ともそこをホームとして使用して過ごしている。

 

と言っても殆どのギルドはまだ第5層にある。

まだそこまでギルド自体も人数が多くないのも一つの要因だが買ってまで移動するメリットもそこまでないからだ。

唯一アインクラッド解放軍だけは5層ごとに新しくギルドホームを買って移動しているようだ。

理由としては人数がかなり多いのだ。

アインクラッド解放軍は現在あるギルドの中で最多数のギルドである。

そのため5層ごとにホームを買ってレベル何以上は5層、レベル何以上は10層と決めて使っているようだ。

 

 



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