聖☆お兄さん×HELLSING 戦争?ねぇよ、そんなもん!! (心太マグナム)
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1話

美しい月の夜、そこでは2匹の吸血鬼が対峙していた。

 

牧師のような格好をしている吸血鬼は目の前でニタニタと笑う紅いコートを羽織った吸血鬼が自分より遥かに格上の存在と認識すると、一人の女性を人質に取り、銃を構える吸血鬼に交渉を持ちかけていた。

 

「動くな殺し屋!!そこまでだッ!たった一人の生存者だぜ、生かしておきたくないのか!!大した事じゃない。俺の脱出に手を貸せ!!目をつぶるだけでもいい!!」

 

牧師のような格好をした吸血鬼は必死な顔で目の前の吸血鬼に命乞いをする。紅いコートを羽織った吸血鬼は命乞いをする吸血鬼を下らなそうな瞳で見ると、女性に一つ質問をする。

 

「お嬢ちゃん、処女か?」

 

いきなり放たれた突拍子のない質問に女性は頬を赤く染めて、牧師のような吸血鬼は何を言ってやがると訳のわからない顔をする。紅いコートを羽織った吸血鬼は頬を赤く染める女性に再度質問をする。

 

「処女かと聞いている!!答えろ!!」

 

「野郎!!ふざけるんじゃないッ」

 

「答えろ!!」

 

質問の答えが早く欲しいと言わんばかりに男は声を大きくし、女性に答えを出させる。その時女性の中で何かが切れて意を決して大きな声で叫ぶ。

 

「はッ…はッ…はいッ!!」

 

答えを聞いた男はニヤリと笑うと構えている大口径の銃の引き金を引く。放たれた弾丸は女性の肺を貫き、牧師のような格好をした吸血鬼の胸部分を貫通する。明らかに致命傷を与えたにも関わらず、引き金を引いた男は舌打ちをする。

 

「チッ……咄嗟に移動して致命傷を避けたか。どうやらコイツは案外やるらしい」

 

男は再び引き金を引こうと指に力を入れるが何かに気付いて動きを止めるをこの場面を見ているのが当事者の三人では無いと気付いたからだ。男は目だけを移動して何者かがいる方向を見る。そこには頭に茨の冠を被った長髪の男と謎のパンチパーマのような髪型をしている2人の男性がいた。2人の男性は白いシャツとジーパンというラフな格好をしており、シャツにはジーザス、南無三と書かれていた。2人の男性の内謎のパンチパーマのような髪型をした男性が顎に手を当てながら真剣そうに三人を見つめていた。

 

「うーん、最近の映画はあそこまでやるのかぁ。スタントマンの方も大変だろうなぁ。私がやってきた苦行並に辛いものだよアレは。イエス、やっぱ海外の映画ってすごいねぇ……って」

 

パンチパーマの男は隣にいるイエスという名の男性を見ると、イエスの頭からヤバイものが垂れているのに気づく。

 

「ちょっ!?イエス!聖痕開いちゃってるよ!そうだった!キミはああいうグロいの苦手だったのを忘れてた!」

 

「…………」

 

イエスは目の前の光景が苦手なのか、両肩に手を当てて、アカン見なけりゃよかったと言いたげにブルブルと震えていた。パンチパーマの男はイエスを必死に励まそうと肩を揺らして正気に戻そうとしていた。その光景を見て、紅いコートを羽織った吸血鬼は怯えている男を何処かで見たことある様な気がしたが、勘違いと思い舌打ちをする。

 

「チッ……観光客か……」

 

「クソッ!コイツはもう使い物にならん!ならアイツらだ!」

 

崩れ落ちる女性を見て牧師のような格好をした吸血鬼は彼女に人質の価値が無くなったと理解し、すぐに新しい人質を見つけて2人の男性の元へと駆け出す。

 

「な、なら!!コイツらならどうだ殺し屋ァァ!!」

 

「うわっ!!何かこっちに来たよイエス!ひょっとしてこの映画のエキストラって自由参加制なの!?そんな映画聞いたこと無いよ!」

 

牧師のような格好をした吸血鬼は2人の男性を人質に取ろうと2人を掴もうとする。しかし、それは愚かな事だった。この二方はただの人では無いのだ。

 

一人は目覚めた人と呼ばれたブッダ。

 

そしてもう一人は神の子イエス・キリストなのだ。

 

この2人は世界、神から祝福された存在であり、存在自体が法儀礼済みの武器を遥かに凌ぐ程の存在なのだ。

つまり何が言いたいのかと言うと……

 

低級の吸血鬼如きではこの二方に触ることすらできない。

 

イエスとブッダを掴もうとした吸血鬼は掴もうとした手から灰になっていく。灰になる勢いは止まる事をしらず、牧師のような格好をした吸血鬼の顔に驚愕が走る。その光景を見た紅いコートを羽織った吸血鬼もサングラス越しに目を見開いて驚愕する。

 

「な、なんだこれは!?俺の身体が灰になっていく!?」

 

「…何が起きている?」

 

「え!?なにこれ凄い!これが最近のCGなの!?ホントに人が灰になってるみたい!」

 

だからホントに灰になってるんですよブッダ様。

 

やがて牧師のような格好をした吸血鬼は身体の全てが灰になり消えていった。紅いコートを羽織った男はツカツカとイエスとブッダに近づくと興味深そうに2人を見つめる。

 

「 貴様ら一体何者だ?吸血鬼が触れただけで灰になるなんて聞いた事が無い。そんな事できるのは神くらいだ」

 

「え?なんでわかったの?」

 

「は?」

 

自分の正体を見破られたと思ったブッダは驚いた顔をするが紅いコートを羽織った吸血鬼は訳がわからないと言いたげに首を傾げる。そして聖痕が開いて正気じゃなかったイエスが正気になり、目の前の紅いコートを羽織った男を見て目を見開いて驚く。

 

「き、君はもしかして……ヴラドくん?」

 

「……何故私の昔の名を知っている。……まさか、その茨の冠、そのお顔……」

 

自分がまだ領地を持っていたころの名を知っているイエスを訝しげに見ると、紅いコートを羽織った吸血鬼アーカードはイエスの正体に気づいて片膝立ちになり、祈りを捧げるような格好をする。

 

「イエス……イエス・キリストなのですか!?」

 

「そう…そうだよ。初めましてだね、ヴラドくん。私が天界に行ってから救えなかった人……」

 

預言者と哀れな子羊のなれの果て。2人はこうして出会った。

 

祈りを捧げるような格好をしたアーカードをイエスは悲しそうに見るのだった。

 




眠い。



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2話〜吸血鬼の手と神の子の手〜

こ、今回もシリアス…だと?

早くふざけたい……ふざけたいなぁ……

今回ブッダがマジ空気


目の前の救世主に祈りを捧げる男はかつてヴラド三世という名で呼ばれ、当時世界トップクラスの力を持つオスマン帝国相手に闘った人物である。オスマンの手からキリスト教信者たちを守り、救った彼だが彼自身には救いは与えられなかった。イエスは肩膝立ちになると祈りを捧げるアーカードの手を優しく握る。神に祝福されたイエスがアーカードに触るとアーカードの手が焦げるような音と同時に煙が立ち上る。真祖であるアーカードでもイエスが本気の救世主モードになっていないとはいえ、神の祝福はアーカードの手を燃やし尽くすのに十分なのだ。しかしイエスはその手を離そうとせず、またアーカードもその手を振り払いはしなかった。アーカードはイエスを真っ直ぐに見つめながら叫びに近い声を上げる。

 

 

「ああメサイアよ……なぜ私の元に聖地(エルサレム)は降りてこなかったのですか!?私はあなたが沢山の人々に伝えた言葉を守るために祈り、闘いました!しかしその結果がこれなのです!守るべき領地も民も全て失なったのです!私の何が間違っていたのですか!?」

 

「ヴラド三世、竜の子よ…あなたの声は確かに届いていました。しかし私は何もしませんでした。あの時のあなたの元へ聖地を降ろすわけには行かなかったのです。私は人々に愛を教えました、あなたの祈りは闘いそのもの、闘いで聖地が降りてしまったのならこの世は地獄になってしまうと考えたからです。そしてあなたが信じていた神とオスマン帝国が信じる神はどちらも私の父なのです。信じる神が同じ故に父の子たる私は何もする事が出来ずその闘いを眺める事しか出来なかったのです。」

 

イエスは涙を流しながらアーカードの手をより強く握り締める。強く握り締めることでアーカードの手は灰になり崩れ落ちる。イエスはアーカードの手が崩れ落ちているのに気付かずアーカードの手がそこにあるように空を掴む。

 

「そして私が何もしなかった故にあなたは悲しい最後を迎え人間をやめてしまった……。この罪は数世紀経った今でも償いきれません。竜の子よ、私はあなたの怨むべき者『そんな事はない!私がこのザマになったのは私が選択したことなのです!あなたは何も悪くはない!ですからそのようなお顔はしてはいけない……』」

 

イエスがアーカードに自らの罪を訴えるとアーカードはそれ言わせんと言葉を上書きするように叫ぶ。アーカードは灰になった手を作り直すと空を掴むイエスの手を優しく握る。イエスの手を握るアーカードの顔は優しさを感じる笑みを浮かべていた。

 

「あなたは人々を救ってきた存在であり、そしてこれからも人々を救う役目がある。だからそのような顔は似合わない……そのようなお顔では救える人間すら救えません…笑うのです。神の子とはいえあなたは人間……人間には笑みこそが似合う」

 

「ヴラドくん…ありがとう……ありがとう……」

 

「……………」

 

イエスがアーカードの言葉に緩みかけていた涙腺が完全に緩み、目から止めどなく涙が溢れてくる。アーカードはイエスを暫く見つめた後立ち上がると息が弱々しくなってきたセラスの元へと歩きセラスを見下ろす。

 

「お前はやがて死ぬ。その傷ではどのみち助からない。私はあの方により少しかもしれんが救われた、だから私はあの方の真似事かもしれないが私もお前を救ってみようと思う。私はお前に2つの選択肢を与える、人間として死ぬか吸血鬼として生きるかの二つの道だ。」

 

 

「いや、選択肢はもう一つあるよ。もう一つの選択肢は人間として生きるか、だよ。」

 

「メサイア!?」

 

「神…様…?」

 

アーカードがセラスに選択肢を与えようとした時目を真っ赤に腫らしたイエスが割り込んでくる。セラスはぼんやりとした視界の中には片膝立ちで後光さすイエスの姿が目に入った。イエスはもう一つの選択肢をセラスに与えると同時に悲しそうな表情を見せる。

 

「しかしキミがこの選択肢をとった時、待っているのは恐怖の日々。キミは今日の事が一生離れなくなり、ずっと今日起こった事が頭から離れなくなりずっと怯える毎日が待っているよ。それでもいいのなら私は神の子として目の前の少女を助けるために奇跡を起こす事を約束するよ。」

 

「イ、イヤ……それは……それだけは……イヤ……!」

 

「そう……うん、わかったよ」

 

イエスの言葉でセラスは昔の事を思い出す。目の前で親を殺され、死んだのにも関わらず犯された母親が浮かんでくる。あの時の事は今でも夢に出てくる。もうあんな記憶は欲しくない、もう怯えたくない。セラスは涙を流しながら首を横に振る。イエスはそれを見て立ち上がり、一歩下がるとセラスの視界に再びアーカードのみが映る。アーカードはイエスを見てフッと笑うとセラスを見下ろす。

 

「メサイアから与えられた選択肢を捨てたか。愚かに見えるが実に面白い。では婦警よ、お前は残された選択肢のどれをとる?人間として死ぬのなら私が持つ右手の銃へと手を伸ばせ、吸血鬼として生きるのなら私の左手に向かって手を伸ばせ。人間として死ぬなら恐怖はお前の死と共に恐怖は忘却の彼方となる。吸血鬼として生きるのならお前は力を手に入れ、吸血鬼として果てしなく長い間生きていく中で恐怖は薄れるだろうがお前はただの化け物になる。さあ、お前ならどちらの選択肢を取るのだ?」

 

「(私は……神様の手を振りほどいてしまったけど……私は死にたくない……私は強さが欲しい……もう怯える毎日はイヤ……私は強さが欲しい……エディもサイモンも私が弱かったせいで私が逃げる時間を稼ぐためにあんな姿になってしまった……私が強ければ彼らは……もし私に今すぐ強さが手に入るなら……生きるためなら……私は何にでもなる……!)」

 

セラスがアーカードの左手へと手を伸ばしアーカードの左手を掴むとアーカードはニヤリと笑い、口を開いて肉食獣のような牙を見せる。

 

「お前はこの選択肢を取るのだな……ドラキュリーナの道への選択肢を。もう人間には戻れない……後悔するなよ?」

 

アーカードはセラスの首に噛み付くとセラスの血を吸う。セラスは血に吸われながら一種の快感を感じながら眠りについた。アーカードは口元に流れた血を手で拭うとニヤリと笑い、セラスを祝福する

 

「ようこそ婦警、夜の世界へ……」

 

______

 

眠るセラスを運ぶアーカードの少し離れた後ろでイエスとブッダがアーカードについて行くように歩いている。ブッダは先程の出来事について気になった事をイエスに聞く。

 

「イエス、あの時婦警さんに出した選択肢の後に言った言葉。なんであんな風に言ったんだい?あれじゃあ最初から婦警さんにキミが出した選択肢を捨てさせるようじゃない」

 

「……私は彼女が私が出した選択肢をとった時に後に起こる事を包み隠さず言っただけ、選択肢を捨てさせようと言ったわけではないよ。彼女は私の言葉を聞いた上で私の手を振り払った……彼女は私の手では無くてヴラドくんの手を取った……それだけだよ」

 

それだけじゃ、ないんじゃないかな?とブッダは言葉に出さずにそう思うとブッダは満月を見上げる。

 

「そう……もう私は何も言わないでおくよ」

 

「…うん、ありがとうブッダ」

 

ブッダの行動にイエスは礼を言うとブッダと同じように満月を見上げる。少し離れていながらもブッダとイエスの会話をはっきりと聞いていたアーカードはふっと笑うと満月を眺める。

 

「メサイアよ……やはりあなたは……いや、何も言うまい。……フフ、それにしてもいい夜だ…こんな美しい夜だ、メサイアと悟りに至った男に会っても可笑しくない……あぁ本当に…」

 

「「「なんて美しい満月だ……」」」

 

沢山の星が煌めく中でどの星よりも美しい月は新たに生まれたドラキュリーナを祝福しているように見える。そしてその美しく光る月を神の子、目覚めた人、ドラキュラが歩きながら眺めていた。

 

 

 

 




ちょっと駆け足だったかな?でも私の文章ではこれが限界なんだよなぁ

自分なりの考えなのですが聖地(イェルサレム)=天国と考えて書いてます。

キリスト教とイスラム教は信じる神は同じですが信仰?の仕方が違うんですよねぇ。イスラム教はキリスト教は神とイエスと精霊の三位一体でイスラム教は神のみだったかな?随分昔に学んだのでちょっと記憶があやふやです。

ちょっと不自然に感じたかもしれませんがご了承を。

これ書きながら思ったのが神の名(わかるのは神聖四文字のみ)がわからない宗教が世界で最も信仰されているのがなんか面白いですねぇ


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聖人だってお休みが必要なんです。

テスト期間だけど少し余裕が出来たので投稿します。


しばらく歩くとアーカードたちはインテグラのいるところまでたどり着いた。アーカードは自らの主人に報告をする。

 

「アーカード、目標は?」

 

「ああ、始末"された"」

 

「始末された…?一体どういう事だ?お前が倒したのではないのか?」

 

「へぇ、ここが指令室なのかな?本格的だねブッダ!」

 

「そりゃ本格的というより本物の指令室だからね」

 

インテグラはアーカードの始末されたという発言に怪訝な表情をみせる。それは後ろに控えているウォルターも同様だった。この場所で吸血鬼を倒せるのはアーカードとウォルター、そしてインテグラくらいだからだ。派遣された警察たちで吸血鬼を倒せたとは到底思えないインテグラは怪訝な表情でアーカードを見つめる。アーカードはその怪訝な表情を見てフッと笑う。一方でイエスとブッダはテントで急に作られたような指令室を見てまるで映画のようだと辺りを観察していた。

 

「ああ、今回私は吸血鬼を倒していない。吸血鬼を倒したのは後ろにいらっしゃるお二方だ。」

 

アーカードが一歩横に移動するとインテグラの視界にジーンズにTシャツというラフな格好をした奇妙な2人の男性が映る。インテグラはその2人を見て不機嫌な表情をアーカードに向ける。

 

「アーカード、私はそういう冗談は好かん。こんな男たちに吸血鬼が倒せるわけないだろう。」

 

「フン、イギリスとアンチキリストの敵と闘っていると言うのにあの方の事がわからんのか。ならば証明してみせよう。失礼、お二方」

 

「ん?なんだいヴラドくん?」

 

「あ、もしかしてこういうのって素人に見せちゃいけないやつなのかな?少しはしゃぎ過ぎたね私たち。」

 

「いえ、そういう訳ではありません。ちょっとした見世物をやるだけですよ。」

 

「「………?」」

 

アーカードの発言にイエスとブッダは首を傾げる。アーカードはイエスたちに了解を得ないままにイエスとブッダの近くまで来ると2人の肩に手を伸ばす。アーカードの手が二人に近づく程、アーカードの手は少しずつ灰になり始め、二人の肩に手を置いてモノの数秒でアーカードの手から腕は灰になり崩れ落ちた。

 

「なに!?」

 

「なんと!?」

 

その光景を目の当たりにしたインテグラとウォルターは目を見開いて驚愕する。アーカードはどうだと言わんばかりにニヤリと笑うと灰になって無くなった腕を生やす。腕が灰になった腕を見てイエスはアーカードにプンプンと怒り出してアーカードの肩をガッシリと掴む。

 

「ちょっと!体は大事にしないといけないよヴラドくん!吸血鬼のキミが私たちに触ったらどうなるかわかってるでしょ!」

 

「うん、そう思うなら彼の肩を掴んでる手を離しなよ。彼の肩から下が灰になってきてるから」

 

「あ!ご、ごめんねヴラドくん…」

 

「いや、お気になさらず。メサイア、心遣い感謝します。…どうだインテグラ、これで二人が誰なのか解ったのではないか?」

 

イエスがアーカードの肩を掴みそのせいでアーカードの体が灰になるのを見たブッダはイエスを宥めるとイエスをアーカードから離れさせる。そして二人がどういった存在かのヒントを見せたアーカードはインテグラに二人の正体を気づかせようとする。目の前で起こった信じられない光景を見たインテグラは葉巻を手に持ちながら思考を冷静にする。

 

「ありえん…法儀礼済みの銀を笑って受けるアーカードの腕が灰になっただと?アーカード程の吸血鬼が灰になる程の祝福…?天使……神……。っ!ま、まさか!」

 

しばらく考えたインテグラは一つの結論にたどり着くがそれはありえんとばかりの表情をすると葉巻を吸う。口から煙を出すとインテグラはウォルターの方を向く。

 

「ウォルター、私は今ありえない事を考えている。」

 

「ええ、恐らく私も同じことを考えております。にわかには信じ難いのですが、そうと思わずにはいられません」

 

「そうか…アーカード、まさかそこにいる二人、いやお二方はイエス・キリストにブッダか?」

 

「「うん、そうだよ」」

 

インテグラの出した答えにアーカードではなくイエスたちが反応する。二人の正体がわかったインテグラは席から立ち上がると二人に膝まづく。

 

「まさか世に称えられるお二方だとは思いませんでした。今までの御無礼、どうかお許し願いたい」

 

「え?別にそんなの気にしないよ。私たちメンタルだけは強いからね。伊達に復活したり、苦行したりしてないよ」

 

「おお、何てお優しい……さすがは我ら主の御子であられる方だ」

 

「イエス、君のところの信徒たちを見て毎回思うんだけど君のところって結構盲信的だよね」

 

「うん…ペトロとかの頑張りのお陰なんだろうけど、いかんせんやり過ぎな気がするんだよね…。あ、そんな事しなくていいよインテグラさん」

 

目の前で膝まづき、手を組む二人を見てイエスは苦笑してインテグラに立つように促すとインテグラはイエスの意に従い立ち上がる。ブッダはその光景を見て何故かため息をつく。

 

「でも少し羨ましいよ、私なんか女子高生にあの人超ブッダっぽいwとか笑われるし、私の生まれた日なんか国の一大イベントでも無いからね。まあ日本が特別なのかもしれないけどさ」

 

そりゃ多分日本だからですよ。仏教徒なのにクリスマスで騒いだりする素敵な国ですから。ちなみにイスラム教にクリスマスは無い。やっぱり日本ってオカシイ

 

「ま、まぁ……でもそんな国だから私たちは平気にバカンスを過ごせてるからいいんじゃない?」

 

「うん、そうだね!日本だから私も平気で買い物とかできるからね!やっぱり日本はあのままでいいね!」

 

 

落ち込むブッダにイエスは笑いながらフォローするとブッダはさっきの落ち込んでいた表情はどこへやら、いつもの素敵なブッダに戻る。ブッダは今の時刻が気になり、時計を見ると驚いた顔をする。

 

「大変だよイエス!もう22時だよ!私たちのホテル結構遠いよ!チェックイン間に合わないよ!」

 

「あ!そうだった!……ごめんねぇブッダ。私がイギリスの田舎を見てみたい何て言ったばかりに……」

 

「いや、いいよイエス。私も結構乗り気だったしね。仕方無い、今日は野宿しよっか。私は慣れてるし。最悪寒くても天然モノの羽毛が来るだろうし」

 

「うん、君のためならイギリスの鳥という鳥が集まってきそうだ。」

 

「失礼、イエス様、ブッダ殿」

 

イエスとブッダは今にも野宿しようとする気配を醸し出すとインテグラは二人を呼びかける。

 

「一つお聞きしたいのですが、お二方は今日どこのホテルに泊まるので?」

 

「ん?確か○○っていうホテルだよ」

 

「なに!?」

 

インテグラの質問にイエスが答えるとインテグラは驚いた顔を見せる。

 

「あんな安宿にお二方を泊めるだと!?どういう事だ!」

 

「そりゃあ、福引きで当てた旅行だしねぇ」

 

「福引き?(天に福引きなんてあるのか?)」

 

イエスの口から出た福引きという単語にインテグラは疑問を向ける。イエスは福引きでイギリス旅行を引き当てた時のことを思い出しながらニコニコと笑う。

 

「うん、商店街の福引きでブッダが引き当てたんだ。やっぱりブッダはくじ運つよいよねぇ」

 

「しょ、商店街?お二人は天からいらしたのでは?」

 

「ううん、日本だよ。今は私たちお休みだから」

 

「休み!?聖人が休んでてよろしいのですか!?」

 

「聖人だって遊びたいよ!」

 

「は…はぁ…」

 

インテグラはイエスの謎の剣幕に少し驚いた顔をして、コホンと一つ咳をつくと話を元に戻そうとする。

 

「イエス様、ブッダ殿。今日二人はお泊まりになるところが無いという事でよろしいですか?」

 

「うん、まあそうなるだろうねぇ」

 

「なら私の家にお泊りになりませんか?」

 

「え!?いいよ、なんか悪いし」

 

「いいえ!聖人お二人を野宿させるなんてイギリスの恥です!ウォルター!」

 

「かしこまりました。失礼します、イエス様、ブッダ様」

 

インテグラが灰皿に置いた葉巻を持ちウォルターを呼ぶとウォルターはインテグラが命令する事が解っていたようにイエスとブッダを担ぐと二人を車まで連行するのだった。そして先ほどからニヤニヤ笑っていたアーカードはインテグラを呼び止める。

 

「マイマスター、一つ言い忘れてた事が」

 

「なんだアーカード」

 

アーカードはニヤニヤと笑いながらワザと背中に隠してたセラスをインテグラに見せる。

 

「生存者だ」

 

アーカードが見せた犬歯が生えたセラスを見てインテグラが短くなった葉巻を投げつける。

 

「最初に言えバカッ!!」

 

報告するのが遅いとインテグラは怒りをあらわにしているがアーカードはただただニヤニヤ笑っていた。




そういや全てのキリスト教が熱心というわけではないみたいですね。人によっては日曜に教会に行かなかったりするらしいです。

テストメンドクセ(´゚ω゚`)y-~~


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イギリス料理も悪くない

短めのものを投稿します。

ヘルシング原作とは関係なしです。




ヘルシング邸へ(ほぼ無理矢理)連れてこられたイエスとブッダはヘルシング邸にてディナーを食べる為のテーブルに座っていた。ブッダとイエスは普段とは違うブルジョワァなテーブルに少し緊張した様子を見せる。

 

「うわー、すごいねブッダ。私貴族みたいな椅子に初めて座ったよ」

 

「ん?そうなの?最後の晩餐でこういう椅子に座ってたみたいだから慣れてたものだと思ってたよ」

 

「いやあの時の椅子はこんなに豪華じゃ無かったよ。それに私あの時裏切られるの知ってたから動揺してそれどころじゃ無かったよ」

 

「あぁ……文字通り最後の晩餐になったんだっけ」

 

「うん……裏切られるとわかった時凄く悲しかったなぁ……」

 

「(あ、このままだとイエスがパンを石に返そう)」

 

イエスの昔話によりイエスが逆奇跡を起こしそうだと思ったブッダは同じテーブルに座るインテグラに視線を送る。ブッダの視線を理解をしたインテグラはコホンと咳払いをして空気を切り替える。インテグラの咳払いで逆奇跡状態になっているイエスがなんとか落ち着く。落ち着いたイエスを確認したインテグラは微笑を浮かべて指を鳴らす。

 

「お二人はイギリスが初めてとお聞きしました。折角イギリスに来たのですから美味いイギリス料理を食べて頂きたいと思っています。」

 

「イエス様、ブッダ様、どうぞこちらを」

 

インテグラが指を鳴らすとウォルターが2人の前に料理を置く。2人の前にはマグカップほどの大きさの器に上からパイで包まれた料理が出てくる。

 

「イギリスの料理で有名なのはパイでしょう。中身はイエス様は豚肉と野菜をメインにしたスープを、ブッダ様は菜食主義を貫いているとの事なので肉を使うことなく、野菜のみを用いたスープになっています。」

 

「あれ?私菜食主義って言ったっけ?」

 

「いえ聞いておりませんが執事たるもの客人の好みを予め知っている事は当然の事ですので」

 

「うわぁ〜、執事ってすごいなぁ(私が城に暮らしてた頃にいた召使いよりすごいや。召使いとかも進化していくんだねぇ)」

 

「お褒めの言葉、感謝の極み」

 

ブッダの称賛の言葉にウォルターは頭を下げて次の料理を取りに部屋から去る。イエスとブッダはテーブルに置かれたスプーンでパイスープを食べる。マズイ料理を作る国でオリンピックが出来るかと某国大統領が言っていてその言葉を信じていた二人は料理の美味しさに驚いた。

 

パイスープを食べ終えた二人に次の料理が運ばれ、数品運ばれただろうか、メインディッシュとなる料理が二人に運ばれる。ブッダの前には色彩の綺麗な野菜料理が、イエスの前にはローストビーフが置かれる。

 

「イエス様のご料理はイギリスの最も有名な料理と言えるローストビーフです。しかしブッダ様の料理はイギリス料理というよりかはフランス料理寄りのものになっています。」

 

「ん?なんで私だけフランス料理よりなの?」

 

「ああ、それは天界にいるアーサーくんとかがイギリスに野菜料理が少ない理由を教えてくれた気がするなぁ」

 

ブッダに出される料理がフランス料理よりなのかに心当たりがあるイエスが口に出した一言にインテグラが表情に若干の驚きを出しながらも席から立ち上がる。

 

「アーサー!?それはもしかして私の父のアーサー・ヘルシングですか!?」

 

「んー、君のお父さんって湖の貴婦人さんと知りあい?」

 

「い、いえ……湖水地方には仲の良い知り合いはいない筈ですが……」

 

「うん、じゃあ違うと思うよ。私が知ってるアーサーくんは湖に住む貴婦人さんから聖剣貰ってそれをぶっ放すのが仕事の人だから」

 

「え……(もしやそれはアーサー王伝説のアーサー王!?)」

 

自分の父親だと思ったら伝説の王様でした。インテグラは席についてタバコを吸いたいと思ったが聖人二人の前では失礼なのかもしれないと吸いたくなるのを堪える。イエスはローストビーフを食べながら1つ思い出す。

 

「そう言えばアーサーくんは騎士王なんて呼ばれてるけどオンラインゲームでも職業騎士やってて前衛で私たち守ってくれるんだよね。なんでも『イエス様を死なせる訳にはいかない!』って言ってガウェインくんと一緒に私にくる攻撃を庇ってくれるからほんと助かるよ」

 

「彼もその臣下も根っからの騎士なんだねぇ」

 

「……………… 」

 

二人が笑顔で食事を取る一方で会話の内容に理解が追いつかないインテグラは片手で頭を押さえて後ろに控えるウォルターの方をチラリと見るがウォルターも私も正直ついていけませんと首を横に振る。

 

「あ、アーサーくんの話で忘れてたけどイギリスってなんで野菜料理が少ないの?」

 

「ああ、その話か。すっかり忘れてたよ。うん、なんでもイギリスは土地柄故に、野菜とかがあまり取れなかったんだって。採れてもキャベツとかじゃなかったかなぁ?大航海時代にコロンブスくんが持ってきた野菜で少し採れる野菜の種類が増えたくらいって言ってたなぁ」

 

「ん?アーサーくんって5世紀くらいの人何だよね?何で大航海時代の事知ってるの?」

 

「心配だったからブリタニアのあったイギリスの島の人達をずっと眺めてたんだって。彼心配症みたいだから。」

 

「ああ…そう言えばアーサーくんに初めてあった時に私の髪のこと『そ、それは何かの御病気のせいなのですか!?』って凄く心配されたな私は。」

 

「あったねぇそんな事。まぁ彼もさすがに支配してた植民地のアメリカに負けて世界の覇権を取られるなんて思わなかったってさ」

 

「負けたと知った時のアーサーくんの顔も印象深かったけど、私はその後のワシントンくんの『イエス様!私はアメリカに自由をもたらしましたよ!』ってドヤ顔も印象に残ってるけどねえ」

 

「は、話のスケールが違いすぎる……」

 

のほほんと会話してるイエスとブッダの近くでインテグラは勘弁してくれと深くため息をつくのだった。




久しぶりにこの作品更新したなぁ

植民地だったアメリカに自由をもたらした立役者の一人のワシントンですが、一方ではネイティブアメリカンには厳しく当たったみたいです。ワシントンの黒い部分ですな。おお怖い怖い。


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セラスの目覚め

サブタイトル:ブッダ様は頑張りました。


「ん?……こ、ここは?」

 

色鮮やかな世界でセラスは目が覚めてベッドから起き上がる。目覚めたばかりのセラスは辺りの状況を確認しようと起き上がるが地面からモコモコと人の頭が出てくる。やがて人の頭から全身が出てきてコメディのようなゾンビが出てくる。

 

「「「セラスさんだ!!」」」

 

「コップだ!」

 

「カスだ!」

 

「犬だ!」

 

「うわぁぁぁぁ!!殺される!もしくは犯されるぅぅぅ!!」

 

やたらコメディ色の強いゾンビたちに追い回されるセラスだがここで天からの光がさしてくる。

 

「「セラスよ、私たちに任せなさい」」

 

「え?」

 

「悔い改めよ!」

 

「去れ!ゾンビよ!」

 

「「「ギャアアア!!」」」

 

天からイエスとブッダが舞い降りると二人は瞬く間にゾンビを消滅させる。セラスはゾンビを倒した二人にお礼をしようとキリスト教と仏教の2つが混ざったポーズで頭を何度も下げてお礼をする。

 

「あぁ……あ、ありがとうございます神様!」

 

「婦警」

 

「え?」

 

セラスがお礼を言っていると後ろからセラスを呼ぶ声がする。セラスが後ろを振り返るとそこには赤いコートにおしゃれなサングラスをしたアーカードが立っていた。

 

「婦警、呑気にお礼なんて言ってて良いのか?聖人二人が本気になってゾンビを浄化させたのだ。下級の吸血鬼である貴様が耐えられると思っているのか?……まぁ私ももう体が灰になりそうたがな。」

 

「え?」

 

 

「な、なんじゃこりゃああああ!!?」

 

アーカードが自らの体が灰になりながら息も絶え絶えで喋っているのを見てセラスは自分の身体を見るとそこには下半身から灰になっている自分の体だった。セラスは一つ息を大きく吸って思い切り叫ぶ。ここでセラスの夢は終わってセラスは本当に目が覚める。

 

息を荒くしながら起き上がるセラスの前にはにやにやと笑っているアーカード。セラスは再び息を大きく吸って絶叫する。

 

「うわぁぁぁあああ!!?」

 

「目が覚めたか婦警。ドラキュリーナになった気分はどうだ?」

 

「え?」

 

セラスはアーカードの言葉で懐から手鏡を取り出して自分の歯を見るとそこには見事な犬歯が生えていた。それに驚いたセラスは再び息を大きく吸って再び絶叫。

 

「うそおおおぉぉぉ!?」

 

「騒々しいぞ婦警!イングランド人らしさを忘れるな!」

 

絶叫するセラスをインテグラがうるさいと黙らせる。セラスがあう…と黙ると、ドアからひょこりと聖人二人が現れる。

 

「「おはようセラスちゃん」」

 

「あ、おはようございます。夢の中ではありがとうございます。」

 

「「?」」

 

セラスが夢の中で二人に助けられたことにお礼を言うが二人がそんなこと知ることはなく二人は首を傾げる。インテグラはその様子を見て、聖人二人といるとペースが乱れると思いながらため息を一つつくと直ぐに鋭い目つきになる。

 

「婦警、起きたばかりだが仕事だ。内容は別室で話す。イエス様もお越し下さい。これはあなたにも少し関係がありますので。」

 

インテグラはそう言ってウォルターを引き連れてカツカツと靴を鳴らしながらへやを出ていく。イエスは何故私に関係が?と思いながらもブッダと共にインテグラについて行った。

 

________

 

 

 

「この写真を見て頂きたい。」

 

別室に着いてインテグラが見せたのは壁にクビり殺した人間の血で十字架が描かれていた写真だった。イエスがその写真を手に取るとふーんと言ってインテグラの方へ顔を向ける。

 

「うん、これは私に対する挑戦状だね。それに彼らは沢山の犠牲者を出してる……」

 

イエスは犠牲者のことを考えて悲しい気持ちになりながらもインテグラに提案をする。

 

「とりあえず手始めにウリエルでも行かせる?」

 

「イングランドがソドムとゴモラのように火の海になるのでやめて下さい。」

 

吸血鬼狩りにウリエルを呼んでオーバーキルさせようとするイエスをインテグラが顔に冷や汗をたらして必死に止める。インテグラがイエスを止めようとしてるのを見てブッダもまたイエスを止めようとしに行くが窓を偶然チラリと見た瞬間に汗をダラダラ垂らしながら立ち止まる。

 

『……………(ご無沙汰してますブッダ様)』

 

なぜならブッダが見た窓にはウリエルが既にフル装備で張り付いていたからだった。ウリエルは自分の方を向いているブッダにペコリとお辞儀するとブッダはより汗を垂らす。

 

「(……既にセコム(ウリエル)がスタンバイしてる!?)」

「ん?少し明かりが強いな……。ウォルター、明かりを強くしすぎではないか?」

 

「はて?そこまで明るくした覚えは無いのですが……」

 

「(大変だ……!大天使が本気になって降臨してるから光が凄い量でさし始めてる!彼にどうにかして帰って貰わないと!)」

 

明かりがどんどん強くなりイエスもようやく気づいてブッダがいる方向を向くと驚いた顔をする。

 

「ん?なんだろう?天使たちでも降りてきたのかな……ってブッダ!?なんで光ってるの!?ねぇちょっとブッダ!!」

 

「……よし!ああごめんイエス、ちょっと知り合いと光通信してたんだ(ウリエルくんの説得は終わった……あ、危なかった……)」

 

「どうしたのいきなり!?」

 

ウリエルにお帰り頂き、なんとかイングランドを火の海にせずにすんだブッダは清々しい笑顔をイエスに見せるがイエスは訳がわからないとブッダの肩を強く揺さぶる。その様子を見てアーカードは冷や汗を垂らす。

 

「(……あの光を浴びただけで私の中の魂のいくつかがアジアで言う成仏をしただと!?これが悟りを開き、輪廻転生から抜け出した男の力……恐ろしいな)」

 

「マスター、あの光なんか痛いんですけど……」

 

「知らん」

 

「一言で終わらせられた!?ヒドイですよマスタァ……」

 

「(ブッダの後光は本当に出るのか……)話は終わりだアーカード、セラス!出撃だ。クソフリークスを生かして返すな!」

 

ブッダの後光が本当に出ると思わなかったインテグラは動揺を見せないようにしながらアーカードとセラスを出撃させるのだった。




結構グダグダになってしまったな……

ブッダ様の光で光通信できるんじゃね?って考えた作者は本当に仏教馬鹿にしてますね……反省してます

次回は戦闘シーンなんてものはないよ!

次でみんな大好き神父様が登場する予定です。


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絶対にあの人たちに手を出さないで!!頼みますよ!?

Q:なんでこの作品更新しなかったん?

A:それはね、内蔵マグナムが人として面白くない人だからネタが思い浮かばなかったからだよ(´・ω・)





「いいですか?暴力を振るってもよいのは化物共と異教徒共だけです」

 

にこやかな笑顔で神父である男、アンデルセンがそう言うと男の前にいる二人の子供は返事をする。子供たちは神父が殺してもいいといっても特に何も思わない。なぜならそう教えられてきたから。

 

「アンデルセン」

 

ふと、アンデルセンの後ろから声がかけられる。アンデルセンは声で誰かを判断し、子供たちを孤児院の中へと帰るように促す。子供たちが孤児院に入っていくのを見届けるとアンデルセンは自分に声をかけてきた男の方へと振り向く。

 

「…………」

 

アンデルセンは男を連れて歩いていく。その瞳は先ほどの優しく何処にでもいそうな神父ではなく、狂信者のような瞳だった。男はイギリスで不可解な事件ばかり起こっている事を口にするとアンデルセンは「ほぉう?」と呟いて笑った。男は既にイギリスで何が起きているか知っているようでアンデルセンに何が起きているかを伝える。

 

「ーーヴァンパイアだ」

 

その言葉を聞いた瞬間、アンデルセンは口角を上げる。

 

「英国内で吸血鬼が多発している。その数は異常だ」

 

「結構な事ではないですか、英国のプロテスタント共が沢山死んだのでしょう?」

 

アンデルセンは殺すべき吸血鬼がいる事を喜ぶように、そして異教徒、英国人が大勢死んだのを喜ぶように口角を上げて恐ろしい笑顔で話す。その表情は一般人が見たら恐ろしいと感じる笑みなのだが、アンデルセンと話す男は平然とした表情で「そうでもない」と言い、イギリスのヘルシング機関の活躍を話す。その話を聞いたアンデルセンはカトリック……ヴァチカンに比べればヘルシング機関をひよっ子だと言い、何故英国の事を言うのか?英国の事ならヘルシング機関に任せておけばいいのでは無いかと男に尋ねると男は変わらない表情で口を開く。

 

「英国ならだ」

 

「おぉ…!すると……?」

 

その言葉を聞いた途端アンデルセンの目が見開かれる。男は北アイルランドの地方都市ベイドリックにて吸血鬼の事件が起こっている事、そしてヘルシング機関が既に行動を始めている事を口にし、アイルランドは英国プロテスタントの土地では無くカトリックの土地でありアイルランドに現れた吸血鬼はカトリックの獲物だと言い、アンデルセンにアイルランドに向かうよう話す。

 

「ヘルシングと衝突した際は?」

 

アンデルセンはまるでヘルシング機関と衝突する事を前提にしているような口振りでヘルシングと衝突した際の事を話すと男が再び口を開く。

 

「我々は唯一絶対の神の地上代行者だ。異端共の挑戦、引くわけにはいかん…!」

 

「If anyone does not love the Lord Jesus Christ, let him be accursed. O Lord.come,Amen(イエス様を愛さない者は非難されますように。主よ来たり給えーAmen)」

 

アンデルセンが慣れた口調で言い、話は終わりかと思われたが男はまだ話す事があるようで話を続ける。

 

「しかし一つ懸念しなければならない事がある」

 

「懸念せねばならぬ事?それは一体?」

 

「法王様の夢の中でだが、法王様曰くラファエル様がご降臨なされた」

 

「なんと!!」

 

法王の夢にラファエルが現れたと聞き、アンデルセンの表情は驚きの表情となり、先ほどの笑みとはまた違う笑みを浮かべる。

 

「法王様の元にラファエル様が舞い降りて来られるとは!真に喜ばしいかぎりですな!!して、ラファエル様はなんと!?」

 

アンデルセンが興奮気味で喋る一方で男は困惑した表情をしていた。

 

「懸念すべき点と言うのは正に法王様の夢の中でラファエル様が仰られたことなのだ……」

 

男はそう言って一息置くとラファエルが法王に何を言ったのか出来るだけ再現する様に法王が話した事を口にする。

 

「『もしイギリスに行くのなら荊の冠をしたロン毛の人と耳たぶの大きいパンチパーマの人に絶対に手を出さない様に!いやホント頼みますよ!?あの人たちに何かあったら旅を加護する私の権能の大問題になりますから!怪我なんてしようものなら私、サンダルフォンさんのカミナリを受けてからの帝釈天さんの雷コンボが来るので!お願いしましたよ!?決して荊の冠をしたロン毛と耳たぶの大きいパンチパーマの人に手を出さないように!!』……だそうだ」

 

「……法王様はきっと疲れているのでしょう。最近激務続きのようですから……」

 

 

「ああ、私もそうである事を切に祈っている……」

 

アンデルセンは先ほどの興奮した表情から激務続きの法王を悲しむような表情になり、男もアンデルセンと同じく激務続きの法王の姿を浮かべ悲しんだ。

 

「「主よ、どうか法王様に心休まる時が来られますように。ーーAmen」」

 

男とアンデルセンは法王の事を思いながら十字を切るのであった。

 

 

 

アンデルセンが法王の事を思いながら十字を切っている一方でイギリス ヘルシングではインテグラがパソコンの前で訝しげな表情で葉巻を口にしていた。

 

「(……多すぎる。あまりにも多すぎる。吸血鬼が事件を起こしすぎている)」

 

パソコンには吸血鬼が起こした事件の情報となるものが映っており、その情報量の多さから吸血鬼の事件がどれほど起こっているのかが分かる。

 

 

「(しかも三流四流の雑魚ばかりがただただ無計画に殺人を繰り返すだけ。先のない愚かでチンケなものばかりだ。……まるで、誰かが簡易に吸血鬼を作り出して行くかのように)」

 

インテグラは吸血鬼の多さに疑問を抱きながら葉巻を口にすると後ろからイエスとブッダがひょっこりと顔を出す。

 

「やっほーインテグラちゃん何見てるの?……ヒィ!?」

 

「うわ……これは……(……中々の苦行だね。苦行のしすぎは良くないのに…ってこれ苦行じゃないね)」

 

インテグラのパソコンに映るスプラッタな画像を見た瞬間イエスの聖痕が開きイエスの頭から血が流れる。それに気づいたインテグラは慌てて画面を閉じる。

 

「も、申し訳ありませんイエス様!」

 

「や、やっぱりウリエル……いやウリエルと阿修羅くん呼んだ方が良いよコレ!」

 

「なぜそんなにオーバーキルしたがるのですかイエス様!?」

 

聖痕を開きながら必死に言うイエスにインテグラが突っ込む一方でブッダは陰でコソコソしてる二つの姿が目に入る。

 

『『(準備は万端です)』』

 

ブッダが見つけたのはフル装備でスタンバイしてヤル気満々のウリエルと阿修羅の姿だった。その姿を見た瞬間ブッダから光が差す。

 

『(天界へ戻りなさいウリエルくん!阿修羅、あなたもです!)』

 

『『(なんと)』』

 

ブッダは光通信でウリエルと阿修羅を追い返し、なんとかオーバーキルを防ぐのだった。

 

余談だが男と女の吸血鬼を狩る際、イエスが本気でウリエルを呼ぼうとしてたのでヘルシング機関はイエスが寝ている隙にアーカードとセラスを向かわせて二人の吸血鬼を倒したのは秘密である。




セラスの初陣?ねえよ!そんなもん!

安定と信頼のウリエルくんオチ。今回のオチには阿修羅さんも登場。次はイーノックと悟空さんでも登場させましょうかね……w

余談ですが帝釈天はヒンドゥー教ではインドラと呼ばれており雷を操るそうです。つまり文字通り自然の雷を操る……あとはわかりますね?


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ダーツ◯旅 inベイドリック

定時退社して時間に余裕が出来たので投稿します。

アンデルセン神父戦は今回では終わりません。

もうちょい続きます。


ヘルシング邸を拠点にのんびりとイギリス旅行をしている聖人二人。イエスとブッダはベッドの上でインテグラに用意された部屋で地図と観光案内本を広げてどこに行こうかと相談しあっていた。

 

「ねぇイエス、明日は何処に行こうか?」

 

「そうだねぇ、んー、ロンドンの名所は大方回り終えたしなぁ」

 

「そうだね。現地人のセラスちゃんのお陰で知られざる名所やお店とかも行けたし。ロンドンはお腹いっぱいかな?」

 

ブッダはセラスの案内で行ったロンドン各地の名所を思い浮かべながらカメラに撮った写真の数々を眺める。しかしブッダは楽しい思い出の写真であるはずの数々の写真を眺めながら疲れた表情で溜め息を零す。

 

「……まぁキミがウナギのゼリー寄せを食べて思わずセコムを呼んだらウリエルくんどころか円卓フルメンバー、ロビンフッドくんっていうイギリス武闘派英雄オールスターがあらゆるところから出てきたのを見たセラスちゃんの方が精神的にお腹いっぱいだろうけどね……」

 

「セラスちゃんフードで顔隠してすごく怯えてたからね……。本当に悪い事をしたと思ってるよ……」

 

ブッダが眺めている写真にはイエスとブッダ、そしてセラスをSPのように厳重に警護するイギリスの英雄たちが映っていた。(※この写真は天界に帰る前のウリエルが撮ってくれました)

 

この他にもアップルサイダーを飲んで覚醒するイエスや牢獄、要塞、処刑場となった歴史を持つロンドン塔で亡霊たちに目を光らせるブッダといった様々な出来事があり、二人はロンドンを思う存分に楽しんだのであった。

 

「話は戻るけどイエス、次はどこ観光しにいこうか?」

 

「んー、そうだねー。」

 

イエスはイギリスの地図を広げながらどこに行こうか決めているとある事を閃く。

 

「そうだブッダ!アレやってみようよ!ダーツで行く先を決める奴!」

 

「ああ、ダーツ◯旅でやってるあれのことだね。そうだね、滞在日数はまだ余裕があるし思い切ってやってみようか。あ、投げるのはキミがやって良いよイエス」

 

イエスが出したアイディアにブッダも同調するとイエスは地図を壁に広げると持っていた鉛筆を構える。

 

「それじゃあこの鉛筆の色がついた所が次の目的地だよ!行くよー!それっ!」

 

イエスが投げた鉛筆はイギリスの地図のある都市の名前の所に色がつく。

 

「よし、次の目的地はここだよブッダ!えーと何て所だろ?……北アイルランドのベイドリックって所だよ!」

 

「へぇ、北アイルランドか。それじゃあ明日は早くに出ないと、インテグラさんが自家用ジェットいつでも好きに使っていいって言ってたから今回はそれに甘えちゃおう。よし、目的地も決まった事だし今日はもう寝ようかイエス」

 

「そうだね。明日起きられなくなっちゃうと困るしね。おやすみブッダ」

 

「うん、おやすみイエス」

 

二人は目的地を決めると明日の旅への期待を胸にベッドで寝に入るのだった。

 

 

 

時は流れて時は夜、場所はベイドリック。聖人二人は見事に道に迷っていた。

 

「やっちゃったねブッダ…」

 

「うん、そうだねイエス」

 

同様が隠せないイエスに対してブッダはいつも通りの穏やかな笑みを浮かべていた。なぜならブッダは野宿など普通に平気だし、今回は道に迷ったと言っても回りに民家がたくさんある為あちこちに見える街灯の光である程度心に余裕を持つことが出来たからである。

 

「道に迷いはしたけれど、近くに民家がたくさんあるからね。今日は民宿でも見つけてそこに泊まろうかイエス」

 

「うん、そうだねブッダ。あ!あそこなんか民宿っぽくないかな?」

 

「ほんとだ。もし民宿じゃなかったら訳を言ってどうにか泊めてもらおう。……ちゃんと笑顔で話せばわかってくれるはずさ」

 

「(あ、最悪の場合仏スマイル使う気だブッダ)」

 

イエスは数ある民家の中でもとりわけ大きな屋敷を指さすとブッダもそれに頷くと二人はその大きな屋敷の方へと歩いて行った。

 

イエスとブッダが大きな屋敷に近づくほど銃声が大きくなっている事を感じる。銃声を聞き、ブッダは何かに気づいたのか顔から汗を垂れ流す。

 

「ねぇイエス。さっきから銃声の音が聞こえてくるんだけど私の気のせいかな?」

 

「アッハッハ、心配しなくて大丈夫だよブッダ。きっとバイオ◯ザードかバトル◯ィールド4を大音量でやってるんだよ。こんな場所で銃撃戦なんてやってるわけないじゃない。心配性だなぁブッダは。すみませーん。」

 

ブッダがマズそうな顔を浮かべている一方でイエスはのほほんとした笑顔で扉をノックする。

 

「あれ?聞こえて無いのかな?すみませーん!……あれ?空いてる」

 

イエスは扉の前で声を出すが反応が返ってこず。もう一度声を出しながらドアノブに触れると扉が空いている事に気づく。イエスがドアを開けると恐らく壁に張り付いていたのだろう聖書の一部分が床に広がっていた。

 

「ん?なんで聖書の一部が落ちてるんだろう?」

 

イエスとブッダが床に散らばる聖書を見ていると屋敷の上の方から女の呻き声が聞こえてくる。

 

『なっ…!?…うぅ…』

 

「!、この声はセラスちゃん!?」

 

「セラスちゃんが襲われてる!?急ごうイエス!」

 

2人は呻き声を上げる女の声がセラスの声であると直ぐに気づくと急いで声のする方向へ向かった。イエスとブッダは声のする方へと向かうとそこには銃剣が突き刺され倒れているセラスと銃を持つアーカードがいた。

 

「「セラスちゃん!」」

 

「メサイア!?それにブッダ!?」

 

いきなり階段から駆け寄ってくるイエスとブッダにアーカードは少し驚くがすぐに平静を取り戻す。

 

「なぜお二方がこのような場所に……?いや、聖人二人のことだ。天の意思とやらで此処まで来たのだろう。メサイア、ブッダよ心配せずとも吸血鬼ならこの程度『そうだ、吸血鬼はこの程度の傷どうという事はない』……っ!!」

 

アーカードが二人にセラスの無事を伝えようとすると不意にアーカードでもイエスでもブッダでもない男の声が聞こえてくる。男の声が聞こえた方向から階段をゆっくりと降りているようなギシッ…ギシッ…という音と何かが滴り落ちるような音が聞こえてくる。その音が聞こえた瞬間にアーカードは臨戦態勢に入るかのような笑みを浮かべる。階段から降りる音が聞こえなくなると銃剣を手にした男が目に入る。

 

「あれは……私のところの子羊……?……彼がセラスちゃんを?」

 

その姿を目にしたイエスは何故このような所に迷える子羊がいるのか不思議そうな顔を浮かべる。一方で現れた男は狂気が垣間見れる笑みを浮かべてアーカードの方を見る。

 

「我らは神の代理人。神罰の地上代行者。我らが使命は我が神に逆らう愚者をその肉の最後の一片までも絶滅すること― Amen」

 

神父が銃剣を十字にしながらその言葉を言った瞬間、イエスは友人のように思っていたセラスを刺された事もあってか、つい思ったことを迷惑そうな顔で口にしてしまう。

 

 

「いや別にそんなこと頼んでないから」

 

 

イエスがセラスの心配をする一方で過激な事を言う神父にそう言うと、その言葉を聞いた瞬間にアーカードは先ほどの臨戦態勢の笑みから一気に吹き出してしまった。

 




この前の内臓マグナム。

「日刊ランキングに載ってる?そんなわけないでしょ笑。皆さんが何言ってるかちょっとわからないですねぇ笑」

スマホスッスッ

「ほげぇぇぇぇ!?あ、スマホ落ちた!?」

内臓マグナム、いきなり日刊ランキング1位になって驚きのあまりスマホを落とす。


……なんで勢いとノリで書いてるこれがランキングに入るんだろうってマジで思いました。ついでに驚きました、ついでにヒきました。

マジビックリ( ゚д゚)

あ、聖人二人+セラスのロンドンツアーはご要望があれば番外編で書くかもしれません


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全知全能の息子だからね仕方ないね

Q:おい!何でこの作品更新してなかったんだよ!言え!

A:ゴメン!マジでこの作品の事忘れてた!この作品更新しようと思ってたらアサクリの新作出たからそれやってる内に忘れてた!シンジケート超面白かった!

Q:作者てめぇぇぇぇ!!

A:ギャアアアッ!!実は作品書かずにやる夫スレも読んでましたぁぁぁ!!やる夫スレ読んでなかったらちょくちょく時間作って普通に更新してましたぁぁぁ!!

Q:Fu○k you!!

A:アッーーーー!!



ハイ、投稿しまーす。


先ほどまでの臨戦態勢の笑みから一変してアーカードはツボに入ったのか吹き出してしまっていた。

 

「メ、メサイア……そんな顔でそんな事言わないで欲しいンッフ、フハハハハハハ!」

 

突如として笑い出したアーカードにイエスは頭にクエスチョンマークを浮かべる。本気で言ってることなのにイエスには何が可笑しいのか分からなかった。クエスチョンマークを浮かべるイエスの一方でイエスにそんな事頼んでない発言を受けたアンデルセンは歯を剥き出しにしてアーカードを睨みつける。

 

「何が可笑しい化け物ォ!」

 

「フハハハハハハ!これが笑わずにいられるか!神の代理人と謳う者が信じる者自身にそんなこと頼んでいないと言われてるのに笑わぬ者がいるか!本ッ当に愉快だフハハハハハハ!」

 

「信じる者だと?……これがジーザスクライストだとでも言うのか化け物ォ!」

 

アンデルセンがアーカードをにらみながら指差した先にはクエスチョンマークを浮かべたアーメンたる者と書かれたTシャツとジーンズを着たイエスがいた。俄かには信じられないだろう、こんな女子高生にジョニデに似てるとか言われて浮かれる男が人類の原罪を背負った聖人イエス・キリスト本人であると誰が信じられるだろうか。多分誰も信じないだろう、そして誰もそう思いたくないだろう。

 

だがしかし、彼はイエス・キリスト本人である。残念だがこれが現実。

 

「ああそうだとも!この方こそが貴様らクリスチャンが最も敬意を払っているイエス・キリスト本人だ。変な文字が書かれているTシャツを着てようが、化け物を心配していようが彼こそがメサイアだ!面白い事実だろう人間?」

 

「そんなこと信じられるか!かのお方は原罪を一人で背負われ天に召された救世主であり預言者!主のたった一人の子!そのような方が変な文字が書かれたTシャツを着て現界しているだと!?そんな事が信じられるか!」

 

「フハハハハハ!全く、これだからカトリックは困る。信じる対象に幻想を抱きすぎている!神も6日で世界を作り1日休んだのだ、メサイアも少しくらい休んでもいいだろうに。」

 

アンデルセンがそんな事あるか!と言わんばかりに荒々しく喋る一方でアーカードは笑いながら聖人も少しくらい休んでもバチは当たらんだろうと返す。そんなやり取りの中ブッダはアーカードの発言を聞いて何処か申し訳なさそうな顔をする。

 

「(ごめんヴラドくん。彼1日どころか一年以上休んでるんだ。週一の休みじゃなくて最近は週七で休んでるんだ。ホントゴメン)」

 

ブッダは空気を読んでイエスのバカンスの日々の事を心にしまう。その言葉は自分にも返ってくるからだ。だから彼は沈黙する。

 

ブッダがそんな事を思っている一方でアンデルセンは更にヒートアップし、神父服の袖から銃剣を4本取り出す。

 

「ならばっ!この方が我らが主の息子だと言うのなら!今から投げる銃剣に1発も当たりはしない筈だ!それが出来ぬのならそこにいるのはただの化け物と一緒にいるただの異教徒という事だ!」

 

「ええ!?」

 

※神を試してはいけません

 

アンデルセンの発言を聞いて流石に驚くイエスだが、アンデルセンはそんな事などお構い無しに銃剣を構え、イエスに向かって投げようとする。しかし銃剣を投げようとするアンデルセンの脳内に声が響いてくる。

 

『ちょ!ちょっと!アンデルセン!やめなさい!いけません!それ以上はいけません!四大天使の一人ラファエルが警告します!やめなさいアンデルセ「Amen!!」ダメだ聞いてない!!』

 

 

流石にこの事態はマズイと判断したのかラファエルがアンデルセンの脳内に直接話すがアンデルセンは頭に血が上っておりラファエルの言葉が耳に入っていない。

 

アンデルセンから投げられた銃剣は真っ直ぐイエスの元へと向かいイエスに向かっていく。イエスは「ああ、そろそろ実家に帰らなくちゃね私」と思いつつ自分の元へと向かっていく銃剣を眺める。そして彼の元に銃剣が突き刺さろうとしたその時、奇跡は起きた。

 

''ボヨ〜ン''

 

水風船がぶつかったような音を立ててアンデルセンが投げた銃剣はイエスの身体にぶつかると跳ね返り、からんからんと音を立てて床に転がっていく。その場にいる者が一斉に沈黙した。目の前で奇跡が普通に起きたのだ。固まるだろう。そんな中最初に動いたのはイエスだった。彼は自分を刺そうとした銃剣を掴み上げ、それを一目見て「あ〜」と一人納得した様子を見せる。

 

「これ祝福されてる銃剣だね。これじゃ私にダメージ与えられないよ。私特になにもして無くても聖属性と闇属性効かないから」

 

「(因みに彼が本気出したら全属性無効らしいよ。全知全能の息子だからね仕方ないね)」

 

この時あっけからんとそんな事を言うイエスを尻目に、ブッダはイエス・キリスト本人が現界してるという事実がカトリックに発覚し始めている事に気付いた。ブッダはもうどうにでもなれと言わんばかりに諦めの意味も込めてとてもにこやかな微笑みを浮かべていた。

 

「あ、そうだ!セラスちゃんを治療しなきゃ!」

 

「メ、メサイア貴方が近づくと婦警が灰になるのでここは私が……」

 

「大丈夫大丈夫!私本気出したら誰でも治癒できるから!だって父さんの息子だからね!吸血鬼を治癒するくらい朝飯前だよ!」

 

「(もう勘弁して)」

 

ふと思い出したかのように吸血鬼であるセラスに刺さっている銃剣を抜きセラスを治癒するイエス。セラスはイエスが近くにいるのに灰になる事無く刺された箇所の傷が塞がっていく。繰り返し起こる奇跡にブッダはもはや諦めの笑みを浮かべていた。




ウリエル&阿修羅が出ると思いましたか?

残 念 二 連 続 奇 跡 で す。

ウリエル&阿修羅を出してもそうくるだろうと思ってる読者様たちがたくさんいるでしょうから出しませんでした。

戦闘で出すとこの作品が(物理的に)終わります←本音

アンデルセン編は多分次で終わります。

ヘルシングのキャラは基本的にキャラ崩壊しないように頑張ってたのですが、もう無理です。アンデルセンさん……救ってもいいよね?

全知全能ってスゴイ。もうなんでもアリだもん。本当ありがたいですね。まぁ私は仏教徒ですが。細かい宗派は知ってますがいいません。特定されるの怖い。

余談ですがイエスが使ってない有給を20日として現界してからずっと繰り越せる(普通はありえない)と考えるとおよそ109年くらいの有給が残ってます。

……ちょっとくらいバカンスしててもいいんじゃないかな(達観


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【何か言い残すことは?】
  

作者「お・ま・た・せ (はぁと

(更新遅れてすみません)」
           
     
Q1「こいつ火あぶりでよくね?」

Q2「お、そうだな」

Q3「悔い改めて」

作者「ギャアアァァァ!!?」


「な……ッ!あ、あれは紛れもなく奇跡……ッ!そんな……まさかあの男、いやあの方は……ッ!?」

 

目の前で容易く起きた奇跡を目の当たりにしアンデルセンは目を見開きながら後ずさる。一方で最早奇跡を起こすのが日常茶飯事のイエスはというとキョトンとした様子でアンデルセンを見る。

 

「ん?どうしたんだろう?何でそんなに驚いてるのかな?」

 

「(自分の当たり前と他人の当たり前を一緒にしてはいけませんよイエス)」

 

キョトンとするイエスの一方で、ブッダはもう流れるままに流されますよといった表情でイエスに心の中で突っ込むと銃剣を容易く防いでみせたイエスにアーカードは心から楽しそうに大きな笑い声をあげていた。

 

「フハハハ!フハハハハ!!こうも簡単に奇跡を起こすか!流石、流石はメサイア!やはり、やはりあなたはそうあるべきだ!」

 

「ん?何の事かはわからないけどありがとうヴラドくん」

 

アーカードがイエスを褒め称えるがイエスは何故褒められているのかわからずキョトンとした表情でアーカードに礼を言う。

 

吸血鬼にすら褒め称えられる男、アンデルセンは心の中で目の前に立つTシャツジーパンロン毛の男がかのイエス・キリストなのではないかと思い始めた。

 

だが認める訳にはいかない。イエス・キリストとは全能なる主のただ一人の息子であり、原罪を背負われ天に召された預言者。様々な苦難に満ちた人生をおくりながらも決して諦めず愛を説いた方。そのような素晴らしきお方が目の前の男だというのなら、それはあってはいけないのだ。

 

あの方はあんなニホンに観光しに来た外国人のような格好をしていい訳が無い。

 

あの方は駆逐されるべきフリークスとあのように仲睦まじく会話して言い訳が無い。

 

あの方が倒れ伏すフリークスを癒す筈がない。

 

あの方が自らの教えとは異なるモノを説いた異教徒の教祖のような出で立ちをしている男と仲良くしている筈がない。

 

様々な考えがアンデルセンの脳内を駆け巡る。

 

周りから見ればアンデルセンの考えは自分の理想を押し付ける子供のようなものだ。だがそれは仕方が無い事なのかもしれない。彼はイエス・キリストとはそういう方なのだと教わってきた。もし、仮にあの方がイエス・キリストだというのならそれは今までの自分の考え全てを否定してしまう事になってしまう。

 

アンデルセンは唇をワナワナと震わせる。その姿は目の前でアーカードと話すイエスに跪く寸前とも取れるし、怒りで再び銃剣を投げる直前の姿とも取れる。唇をワナワナと震わせ、アンデルセンが次の行動へと移ろうとした時、アンデルセンの脳内に暖かい光が差し込む。

 

『アンデルセンよ、私の声が聞こえますか?アンデルセンよ、落ち着きなさい、落ち着くのです』

 

「こ、この声は……!?」

 

月の光しか差し込まぬ屋敷の中にいるというのに自身の脳内に暖かい光が差し込んでいる、それを今まさに体感しているアンデルセンは困惑しながら辺りをキョロキョロと見回す。だがそこには先程までの光景しか映っていない。それでも彼の頭の中には、日の光のような温かくも輝かしく、そして優しい光が差し込んでいた。困惑するアンデルセンを他所に光はやがて人の形を取り、人の形はより細かくなっていき形は一人の男のような姿へと変わり、やがてそこには手には鍵を持ち、背中に逆十字を携えた細目の男がいた。

 

アンデルセンはその姿を見た時、この方が誰なのかを確信する。手に持つ鍵、そして背中に携える逆十字。それらが象徴する存在はこの世に一人しかいない。

 

「ペトロ様……?あなた様はペトロ様なのですか!?」

 

叫ぶアンデルセンに反応するようにアンデルセンの脳内に佇む男はゆっくりと頷く。

 

聖ペトロ、十二使徒の一人でありローマ正教会の祖。イエス・キリストから天の国の鍵を受け取った者。

 

目の前で容易く行われた奇跡、そして自らの脳内で佇む男。それはアンデルセンの平静さを奪うには十分でアンデルセンは錯乱しているような口調で脳内に佇むペトロに問いかける。

 

「おおペトロ様、ペトロ様!愚かなる私めにお教え下さい!あの方は、目の前でフリークスと会話するあの方は、かの預言者イエス・キリスト様なのでしょうか!?」

 

『ええ、その通りです。あの方は我らの師イエス様。それに間違いはありません。あなたの目の前の方がイエス様であること、このペトロの名を持って保障いたしましょう』

 

アンデルセンの問いに対し、ペトロは微笑みながら頷いて肯定するとアンデルセンの目に動揺が浮かぶ。

 

「な、なんという……私は何ということを……!確かに我らイスカリオテの信条は教義のためなら教祖をも殺すというもの、しかし!しかし!あの方は教祖であり教義そのもの!そのような方に私は剣を振るってしまったというのか……ッ!なんと、なんということを……ッ!」

 

『アンデルセン、確かに貴方の行いは良いものとは言えません。ですが大丈夫です。イエス様はとても慈悲深きお方、貴方の罪も許してくれるでしょう』

 

自らが信仰する者に剣を突き立ててしまった。その事実がアンデルセンに重くのしかかる。ペトロは悔やんでも悔やみきれぬ表情を浮かべているアンデルセンにイエス様ならお許しになられると説くがアンデルセンは歯を思い切り噛み締めてペトロに自らの考えを語る。

 

「確かにイエス様は慈悲深きお方!きっと私の過ちもお許しになられるでしょう!ですがっ!イエス様がお許しになられたとしても!私が許せないのです!この罪、自らの命をもってしても償いきれるものでなく、コキュートスにて永遠の罰を受けねばならぬもの!『アンデルセン!』ッ!!」

 

自らの考えを語り、その償いの為にアンデルセンが自らに銃剣を突きたてようとした時ペトロが一喝し、アンデルセンの手を止めさせた。

 

『確かに、貴方の言う通りなのかもしれません。ですが貴方は神父です。あなたは主、そしてイエス様の愛を説く者。あなたが過ちを悔いているというのならば償いの為自らの命を絶ちコキュートスに行くのではなく、人々に愛を説き、人々の過ちを許し、一人でも多くの人々を救いなさい。それこそがあなたの償いであり、そしてそれが神父という者。アンデルセンよ、わかりますか?』

 

ペトロは自らの命を持ってして罪を償おうとしたアンデルセンにそれは真の償いでは無いと説く。アンデルセンはペトロの言う事を理解し、先程まで行おうとしていた行為がただの自己満足である事に気付き、ペトロの言う事こそ神父である自分の償いだと思い涙を流して先程までの自分の過ちを悔いる。

 

「おお……ペトロ様、ペトロ様……ッ!貴方様のおっしゃる通りでございます……ッ!先程私がやろうとしていたのは償いではなく自己満足でした!貴方様のおっしゃる通り、私がするべき償いは迷える者を一人でも救う事ッ!先程までの私はなんと愚かな事をッ!」

 

『良い、良いのです。貴方の行いは全てイエス様を思ってこそのもの。何も愚かな事はありません。さぁ立ちなさいアンデルセン、そしてイエス様に自らの過ちを懺悔なさい。そうすればあなたの罪は許される事でしょう』

 

そう言うとペトロは後光を放ちながらアンデルセンの脳内から去っていく。アンデルセンはペトロの言葉を聞き涙を流しながら頷く。そして一頻り涙を流した後、アンデルセンは意を決した表情で立ち上がるとイエス達のいる方向へと歩き始める。

 

「ヴラドくん、セラスちゃんを背負ってここから出よう」

 

「何を仰っているブッダ?目の前の男の危険さは貴方も知るところの筈。あの様な者がメサイアに何をするのかわからないのですよ?」

 

先程まで流されるままに流されようとしていたブッダだったがそれでも大体の事情は把握していたようで何が起きていたのかわかっていないアーカードに此処から離れるように促す。だがアーカードは真っ直ぐイエスへと向かうアンデルセンを警戒して離れようはとしない。ブッダはそんなアーカードを見て、微笑みながらアンデルセンを見るように促す。

 

「心配ないよヴラドくん。彼は絶対にイエスに剣を振るおうとはしない。彼の目を見ればわかる筈だよ」

 

「……なるほど、そういう訳ですか。確かにここにいたら私はともかく婦警の身には辛いやもしれない。わかりました。」

 

「わかってもらえて何より。それじゃあ行こうか。イエス、頑張ってね」

 

ブッダに促され、アーカードがアンデルセンを見るとそこに映るアンデルセンの表情はかつて見た神に自らの罪を懺悔しに行く者そのもの。懺悔を聞いて良いのは神父と神のみ、アーカードはアンデルセンがもうイエスを襲わないだろうと理解し気絶するセラスを背負って館から出るためイエス達に背を向けるとブッダもまたイエス達に背を向けて去っていく。一方でイエスはというとブッダに頑張ってと言われたが何をどうすれば良いのかわからないといった様子だった。

 

「え?何?ブッダ一体どういう事ーーー」

 

「イエス様ッ!!」

 

背を向けて去っていくブッダにどういう事なのか聞こうとした時、後ろから大きな声で自らの名を呼ばれイエスは体をビクッとさせながらも自らの名を呼ぶ者の方へ振り向く。

 

「お、おぉう。な、何かな?」

 

驚いているイエスに対しアンデルセンはイエスの前で勢いよく跪くと自らの過ちをイエスに懺悔し始める。

 

「私は過ちを犯しました!私はあなた様を疑い、あなた様に銃剣を突きつけました!この罪決して許されざるもの!イエス様!主の名の下、私を如何様にもお裁き下さい!」

 

自らの目の前で己の過ちを懺悔するアンデルセン。それを見てイエスはブッダが何故頑張ってねと言ったのかを理解した。

 

「……あーなるほど。んー、そうだねぇ。神父よ、面をあげなさい」

 

跪くアンデルセンにイエスが顔をあげるよう促すとアンデルセンは言われるがままに顔をあげ、イエスを見つめる。アンデルセンの目に映るのはTシャツジーパンという服装ではあるが、そこには己が理想とするイエス・キリストの姿があった。イエスは先程までの明るい声から一変し、正しく神の子と呼べる優しくも厳しい声でアンデルセンに向けて口を開く。

 

「……アンデルセンよ、貴方の罪は重い」

 

「わかっております!私の罪はーーー」

 

イエスがアンデルセンにそう言うとアンデルセンはわかっているように自らの罪を告白しようとする。しかし目の前に置かれたイエスの手によりアンデルセンは口を噤んでしまう。

 

「神父よ、貴方は勘違いをしています。良いですか神父よ、貴方の罪は私に銃剣を投げたというものではありません。貴方の罪は人に銃剣を投げつけた事にあるのです。」

 

口を噤まれたアンデルセンはイエスの言いたい事がいまいち理解できておらず、困惑した表情を浮かべるとイエスはアンデルセンに向けてアンデルセンの真の過ちについて話し始める。

 

「貴方は彼処にいたセラス・ヴィクトリアという人物に化物だから、という理由で銃剣を突き刺しました。貴方にどのような事情があろうと、彼処にいるセラス・ヴィクトリアの事をよく知りもせず銃剣を投げつけ命を奪おうとした事は確か。私は人々に愛を説きました。神父の役目は銃剣を投げつける事ではなく、私と同じように人々に愛を投げつける事!愛を投げつけるべき神父である貴方が人を襲わず、人を守るために闘っていたセラス・ヴィクトリアに愛ではなく銃剣を投げつけて良い訳がない!貴方の罪はそこにあるのです!」

 

「!!」

 

イエスの言葉にアンデルセンは自らの本当の罪に気付き目を見開く。イエスの言う通り、神父である自分が例え相手が化物であろうと異教徒の僕であろうと、そのような理由で相手の事を知りもせずそのような事をやって良い訳が無い。愛の前に剣を投げつける。それは神父では無くただの暴漢に過ぎない。それにアンデルセンが気づいた時、イエスは優しく微笑みながらアンデルセンの肩に手を置く。

 

「確かに貴方は過ちを犯しました。愛を説く前に剣を投げるという過ちを犯しました。ならばこれからはそのような事、無きようになさい。良いですね?神父とは愛を伝えるものなのですから」

 

「ハイッ……!ハイッ……!」

 

優しく語りかけるイエスにアンデルセンは跪きながら涙を流す。

 

自分は間違っていた。確かに自分は敬遠なクリスチャンを守るためにこの剣を振るっていた。しかし同時に自分は神の裁きの代理人という立場を利用し、気にくわないものに愛では無く銃剣を投げ、命を奪っていた。そんなものは決して神父とは呼べない、ただの人殺しだ。

 

自分は間違っていた。イエス様の言う通り、これからは剣の前に愛を投げつけるために生きていこう、そうアンデルセンは涙を流しながら決意した。

 

イエスは涙を流すアンデルセンを見て肩を軽く叩いた後両手を後ろに組み、アンデルセンに問いかける。

 

「貴方はしっかりと自らの過ちを悔い改めました。父も貴方の罪を許してくれるでしょう。……子羊よ、貴方は何者ですか?」

 

「……私は神父アンデルセン!人々の過ちを許し、人々に愛を説く者にございます!!」

 

イエスの問いに対しアンデルセンは涙を流しながら自らがどういった存在なのかを決意を込めて語る。その言葉が噓いつわりの無いものと理解したイエスはニコリと笑ってアンデルセンに背を向ける。

 

「よろしい。貴方が今この時の事、決して忘れぬよう祈っていますよ」

 

「ハッ!主とイエス様に与えられたこの命!一人でも多くの者を救う為に使う事、お約束いたします!」

 

アンデルセンの決意、それを聞きイエスはニコリと笑うと背中に後光を放ちながら此処から去っていったブッダたちを追いかけるように歩いていった。

 

イエスが去った後もアンデルセンは涙を流して跪く。

 

こうして、後にローマ正教会から聖人と称えられる出生不明の神父アンデルセンが生まれるのだった。

 

 

血と火薬の匂いが充満する屋敷からイエスが出てくる。屋敷から出ると近くにはヘリコプターと先程まで一緒にいたブッダたちとインテグラたちの姿が見えあった。インテグラは何か懸念があったため急いで此処にやってきたようで慌てた様子でイエスに駆け寄る。

 

「イエス様、ご無事ですか!?」

 

「うん、大丈夫だよインテグラちゃん。私も、ブッダも、ヴラドくんも、セラスちゃんもみんな無事だよ」

 

腰に剣をぶら下げて駆け寄るインテグラにイエスは大丈夫と頷くとインテグラはホッとしたように溜息をつく。

 

「それはよかった……!この場所にパラディン、銃剣、と呼ばれる神父アンデルセンが向かったと聞いたものですから……」

 

インテグラがパラディン、銃剣と呼ぶ神父を先程まで自分が説教していた神父アンデルセンだとわかったイエスはクスリと笑ってそんな恐ろしいものじゃ無いよと呟く。

 

「あの子の事?少し暴走気味だけどとても良い子だったよ。」

 

「良い、子?あの、アンデルセンが?」

 

クスリと笑ってアンデルセンを良い子と呼ぶイエスにインテグラは何を仰っているのかよくわかりませんという表情を浮かべている。そんなわかりやすい表情を浮かべていた所為もあってか、イエスはインテグラの表情を見て何を言いたいのかを理解し、口を開く。

 

「うん。私も最初セラスちゃんがいきなり刺されちゃったからかなりキツく言っちゃったけど、ちゃんと自らの過ちを心から反省してくれてたんだからそんなに悪い子じゃないさ。それによくよく考えればあれくらいカワイイものだよ。私がユダに裏切られた時に比べたらあれくらい全然許容範囲だよ。いやぁ、ほんとツラかったなぁアレは……(もう許したんだけどね)」

 

「……仰る通りですね(イスカリオテのユダの名が出た、これ以上は触れないでおこう)」

 

「(イエスがそのユダくんを免罪符5枚で許したのはインテグラさんたちには黙っておこう)」

 

こうしてイエスとブッダたちは一人の神父を救いインテグラの屋敷へと向かうのであった。

 

 

イエスとブッダがインテグラに導かれヘリコプターに乗っている時、天界ではペトロが目を瞑り辺りに光を放っていた。ペトロは屋敷の中で生まれ変わったよう目をしているアンデルセンを見た後ニコリと微笑むと辺りに放っていた光を収める。

 

「兄さん、どうだった?」

 

「ああ大丈夫。イエス様もブッダ様も皆無事だった。万が一と考えてアンデルセンに語りかけたけど少しでしゃばり過ぎたかもなぁ」

 

「そんな事は無いと思うよ兄さん」

 

光を収めた兄にアンデレがどうだったか聞くとペトロは問題無いと頷くと同時に出しゃ張り過ぎたかもしれないと苦笑する。そんな兄にアンデレがフォローをいれるとペトロは静かに微笑み、そうだといいんだけど、と呟いた後座っていた席から立ち上がる。

 

「ーーーさて」

 

ペトロが静かに呟いた時、アンデレの背中にゾクリと何かが走る。

 

「アンデレよ、私は少し用事が出来ました。少しの間此処を一人で頼みます」

 

一見すると立ち上がったペトロの表情に変化は全く無い。だがその周りから出すものが先程までのペトロとは違うことをアンデレは理解した。立ち上がる兄の背中に見えるのは先程まで放っていた優しい光では無く怒り、それなのにペトロは先程と変わらず表情は微笑んだまま。それが余計アンデレの頭の中で何かが起きると確信させる。

 

「に、兄さん、何をしに行くつもりだ……?」

 

アンデレは顔から汗を垂れ流しながら兄に聞くと、ペトロは微笑んだ表情でアンデレの方を見る。この時アンデレは理解した兄であるペトロは先程と変わらず微笑んだままだがその表情はほぼ無理やり維持しているようなもので、あの閉じたように見える目は決して笑ってなどいないと。

 

キレると直ぐに手を出す兄があんな表情をするとは思ってもみなかった、アンデレがそう思いながら兄に恐ろしさを感じさせる一方でペトロは口元をヒクつかせながらも微笑んだ表情で口を開く。

 

「何、簡単な事ですよアンデレ。幾度か腐敗したりしましたが私は私の後を受け継ぐと決めた者たちを信じ、あまり介入はしてきませんでした。ですが今回の事で改めてローマを見てみると人々を守るために作られたイスカリオテがローマ正教会以外の者を異教徒と蔑み殺害しているという実態、そして教会全体が再度レコンキスタを行おうと企んでいる事がわかりました。私の後を継いでくれた者たちがこのような始末、これでは人々にイエス様の教えを伝える事ができません。ですのでーーー」

 

アンデレの問いに対しペトロは微笑みながら返し、最後に先程までの微笑みから一変して表情を変え目を見開く。

 

「ーーーちょっと後輩たちに焼き入れてくる」

 

その目はかつて無いほど本気だったと後にアンデレは語る。

 

翌日、ローマにて法王が自室にて何者かに暴行を受けたような姿が発見される。法王の証言によると法王を襲った男は暗くて姿は見えなかったものの、男は自らをペトロと名乗り、焼きを入れにきたと言って法王に襲いかかってきたとのこと。

 

なお、天界でも同じような事件があったとの事だが真相は不明である。

 

不 明 で あ る 。




今日休みでよかった何とか更新できたなぁ

今回に至るまで
作者「何とかしてペトロ様に法皇様ボコってほしいなぁ」

作者「クソ!会話がシリアスすぎる!ペトロ様が登場しにくい!ダメだダメだ!!」

ひたすら書いては消す書いては消すの繰り返し。たまに違う作品書いて息抜きしたがっ、ダメ!!

やってくる催促!焦る私!!

数日前

作者「もうシリアスでええわ、ペテロ様も最初から出そう。流れ?ギャグ?知らん。イエスとペトロの説教?テキトーだよ!!明日から本気出す(大嘘)」



次回はセラスとの旅行にしようかヘルシング邸襲激にしようか悩みますねぇ


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