狼男のスカイリム冒険記 (神山)
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プロローグ
プロローグ1~解放~


この作品は作者がスカイリムにハマりまくった結果出来た物です。なので作者が好きなキャラとか何で死んだのー!ってのは生きていたり、逆の場合は殺したりします。そんなに多くはしないですけど。

あと、なるべくセリフとか説明とかを調べて書いていますが、不備や追記があれば連絡ください。私はオブリビオンの方はクリアしてません。

他の作品ほったらかして何やってんだって感じですけど、楽しんでいただけたら幸いです。


ガンッという大きな揺れでまどろみから目覚める。何度か瞬きして周りを見れば、雪の積もった木々と多くの石が見て取れた。手元も見れば相も変わらず手は繋がれたままで、固い木の馬車は俺の体のあちこちを痛くさせている。

 

「おい、そこのあんた。やっと目が覚めたか」

 

ようやく頭が働くようになったころ、前に座っている金髪の男のノルド人が声をかけてきた。装備を没収されてぼろきれを着せられている俺と違い、どこぞの衛兵のような青い軽装鎧を身に着けている。体はがっしりしており、屈強なノルド人と言えるだろう。

 

「国境を越えようとしていたんだろう、違うか?俺達やあそこのコソ泥と同じで、帝国の罠に飛び込んだってわけだ」

 

「ストームクロークめ。お前らが来るまでスカイリムは良い土地だった。帝国はいい感じにくつろげる場所だったんだ。連中がお前を探してるんじゃなかったら、とっくにあの馬をかっぱらってハンマーフェルへとおさらばしてたさ」

 

金髪の隣に座って話に割り込み、不快感を隠そうともしないで話す馬泥棒。ストームクロークが何なのかは知らないが、俺は完全に巻き込まれただけということになる。金髪の言うとおり俺は単に国境を越えようとしただけだ。正直いきなりすぎて何が何だかわからない状況で、俺自身は一応帝国領の民の一人だし、国家権力に喧嘩を売るつもりもなかったので素直に武装解除して理由を話そうとしたら強制連行された。話す暇も与えられず、その時の装備は取られ、こうして護送されている。今となってはあの時素直に捕まらずに破壊魔法や愛剣でぶっ殺してやればよかったかもしれないと思ったりする。

 

「そこのあんた。こんな所に来たのが間違いだったな。帝国が狙っているのはこいつらストームクロークだ」

 

「これで固く結ばれた兄弟姉妹だな。なぁ、コソ泥」

 

「そこ!黙れ!」

 

好き勝手しゃべっていると馬車の御者をしている帝国軍兵士に怒鳴られたが、俺達はどこ吹く風だ。そんなこと知らんとばかりに話し続ける。そこでふと横を見ると、やけに上等な服を着た茶髪のノルドの男がいたのに気づく。口は布でふさがれて、やけに厳重に縛られていた。そいつはこうもきつく縛られているのにも関わらず、目を閉じて静かに座っている。眠っているわけではなく、どこか機を待っているように見えた。

 

「こいつはどうかしたのか?」

 

「言葉に気をつけろ。お前は上級王ウルフリック・ストームクロークと話をしているのだ」

 

「ウルフリック?ウィンドヘルムの首長の?あんたは反乱軍の指導者なのか?だけどあんたが捕まったら……なんてこった、俺達はどこへ連れて行かれるんだ?」

 

馬泥棒の言葉に俺は驚いた。首長といえばこのスカイリムにある要塞の政治的最高責任者にあたる人物に与えられる称号だからだ。そして上級王とはそれら首長のさらに上に立つ実質このスカイリムの王になる。この土地に来る前にスカイリムについてある程度の基礎知識は学んできた。書物によるものだから最近の事にはどうしても疎くなるが、それでもこれは驚くべきことだろう。

 

しかし話に出てきたことで判断すると、このウルフリック首長はそのストームクロークという反乱軍の指導者らしい。名前にストームクロークとあることから間違いないだろう。どこの国にも帝国への反乱軍というのはあるものだとは分かっていたが、まさかピンポイントでそこに行き当たることになるのは運が悪いとしか言えない。しかし上級王というのは流石に自称のはずだ。聞いていたと話が違うからな。だが、これでは弁明もなにも聞いてはくれないだろう。とくれば、俺は……。

 

「どこに行くつもりなのかは知らんが、ソブンガルデが待っているんだ」

 

「嫌だ、こんなの嘘だろう!こんなことあるわけない!」

 

俺と同じ結論に至ったのだろう馬泥棒が絶望的な顔でわめきたてる。無理もない。馬泥棒とはいえこの程度の盗みなら一定期間の投獄か、釈放金を支払えば良い程度のもののはずだからだ。本来なら死刑なんて受けるはずがない。もっとも、俺なんか何もしていないんだけど。

 

「やかましい、わめくな。わめいたところで何も変わらん」

 

「ど、どうしてそんなに落ち着いていられるんだ!あんたなんて俺らと違って完全にとばっちりなんだろう!?」

 

「それはそうだが……今となってはどうしようと結果は変わらんよ。仮に隙を突いて逃げようとしたとしても、この警備だ。後ろから射かけられて死ぬだけだろう。なら、最後くらい堂々と胸を張って死のうじゃないか」

 

「うっ……そうだな。俺自身褒められた人生じゃなかったが、それでも一生懸命生きてきたんだ。笑って死んで、ソブンガルデに逝こう。ありがとよ。あんたのその落ち着いた姿を見ていると、俺もわめき散らすのが馬鹿みたいに思えてきたよ」

 

目を見て説得すると、震えた声を出しながらもなんとか納得してくれた。それに満足したので頷き、前を見てみる。前には石の城壁と村が見えてきた。前の兵士が将軍がどうたら言っていたが、どうでもいい。

 

「初めてしゃべったな……なぁ、あんた。故郷はどこだ?ノルドは死に際に故郷を想うものだ」

 

「生まれはスカイリムのリフテンでシロディールのブルーマ育ち。親の都合で赤子のころにシロディールに行ったから、こっちのことはよく知らないんだ。で、この間親が死んだから生まれ故郷を見てみたいと思ってこっちに来たんだが……」

 

「……そうか。だが生まれ故郷で死ねるんだ。一言言っておけば、いくら腐った帝国軍といえどお前の遺体をリフテンの大地に送ることくらいはしてくれるだろうよ。おまえは?」

 

「ロリクステッド。故郷は……ロリクステッドなんだ」

 

寂しげに、少し苦笑しながら言う馬泥棒。俺もこうやって改めて話していると、今まで過ごしてきた日々と死んだ両親の顔が目に浮かぶ。本当に懐かしい……こういう時は、良い思い出しか頭に過らないんだから不思議だ。

 

しかしこうやって話している間にも馬車は進み、とうとう壁の中に入ってしまった。中を進んでいる馬車を何人もの村人が見てくる。小さな子供もいるのが見えた。本当はのどかな場所なんだろうが、これだけ帝国軍人がいるせいでひどく物々しい。そうやって周りを見ていると、金髪が何かを見つけたのか眉をひそめた。

 

「見ろよ、軍政府長官のテュリウス将軍だ……それにサルモールも一緒なのか。胸糞悪いエルフ共め。賭けてもいいが、この件だって奴らが関わっているに違いない」

 

サルモールとは、エルフの住むアルドメリ自治領(サマーセット島)の代理人のことだ。そのほとんどがハイエルフで構成されている。エルスウェーア、ヴァレンウッドと同盟を結んでおり、カジートやウッドエルフをスパイ・暗殺者として利用している。帝国の王族で竜の血脈を持つ一族であるセプティム家が滅び、帝国が大きく弱体化したのを機に、帝国へ戦争を仕掛ける。戦争は終始サルモールの有利に進み、帝国に自らの要求を呑ませることを条件に和平条約を結ばせた。スカイリムでは、サルモール大使であるエレンウェンを中心に、タロス崇拝禁止の徹底・監視、タロス崇拝者の拉致・拷問などを行っている。これらは地元ノルドの反サルモール、及び反帝国意識を煽る為のプロパガンダであり内戦そのものが帝国の疲弊を目的として仕組まれた外交工作である事を示している。 と、書物で読んだ。

 

基本的に人から神になったと言われるタロスの信仰をしている人を連行している姿をよく見かける。基本的にいけすかない連中で、周りを見下しているので大抵嫌われているやつらだ。だが、力の弱っていた帝国はこいつらの要求を呑むしかなかった。そうしなければ帝国領土は完全に焦土と化していただろう。そこがわかっていない人も多いが、俺は仕方がなかったと思っている。だからといってアレにむかつくことには変わりないんだけども。

 

「まぁ、気にしていても仕方がないか。さて、ここがヘルゲンだ。昔、ここの女の子に夢中になってねぇ……ヴィロッドはいまだに、ジュニパーベリーを混ぜて、あのハチミツ酒を作っているのだろうか?」

 

そのころを思い出しているのだろう、懐かしそうな顔をしているのを見て俺は少し笑った。俺もさっきあんな顔をしていたんだろうか。

 

「へっ、幼い頃は帝国軍の防壁や塔がこの上なく頼もしく思えたもんだがな」

 

「おっと」

 

皮肉気に言う金髪。それが言い終わると同じくらいに馬車が動きを止めた。話をしているうちに到着地点についたようだ。

 

「さて、神様の顔を拝みに行くとしますか」

 

「ははっ、そうだな」

 

「死に際にあんたらと会えたことを誇りに思うよ。今更だけど俺はロキール。そっちは?」

 

「俺はリバーウッドのレイロフ。ウルフリック首長はさっき説明したな。それで?あんたは?」

 

「俺は「何を無駄話をしている囚人共!さっさと動け!」……ちっ」

 

最後の別れを邪魔されて舌打ちをする。それでもなんとか言おうとしたが、兵士に小突かれたり大声で呼ばれたりしたせいで言えなかった。しかたなくそのまま馬車を降り、並んでいく。そしてウルフリック首長、レイロフ、ロキールと名前が呼ばれて処刑台のほうへ進んでいく。すでにあのロキールでさえ顔に怯えはなかった。勇敢なノルドだ。同族として誇りに思う。

 

「悪い時に戻ってきたもんだな、同族よ。隊長、こいつはリストにありませんが……」

 

「リストはもういいわ。彼を処刑台へ」

 

「ご命令通りに、隊長。気の毒に……だがあんたはここで、自分の故郷で死ねるんだ……さぁ、隊長についていくように、囚人」

 

気の毒とか言ってるくせにやけに即答するノルド兵士と、問答無用で死ねと言ってくるレッドガードの女隊長。かなりムカついたが、ロキールにああ言ったのに俺が馬鹿をやるわけにもいかない。彼らはあんなにも堂々としていたのだ。俺もそれに倣って堂々と彼女についていく。横にはレイロフとロキールが俺を挟むようにして立っていた。そして前にはウルフリック首長に禿げたおっさん――レイロフに聞けば帝国のテュリウス将軍と答えてくれた――が一方的に話していた。

 

「ウルフリック・ストームクローク。ヘルゲンには、お前を英雄と呼ぶ者もいる。だが、声の力で王を殺め、玉座を奪うような者を英雄とは呼べない。お前が戦争を引き起こし、スカイリムを混乱に陥れた。だがここに帝国がお前を倒し、平和を取り戻してやる」

 

おっさんの話が終わるのと同じくらいに、どこからともなく何かの遠吠えのような、鳴き声のようなものが聞こえてきた。シロディール各地を旅してきたが、こんなのは聞いたことがない。現に周りの囚人や帝国兵士達も空を見てきょろきょろしている。

 

「今のは何だ?」

 

「どうってことはない!続けよう」

 

「はい!テュリウス将軍!……彼らに最後の儀式を」

 

しかし禿げ将軍の一言で女隊長が進行を続ける。処刑台の横には黒い頭巾と斧を持った処刑人と、死を司る神・アーケイの司祭の姿がある。彼女は女隊長の言葉に頷き、両手を広げて天に祈るようにして言葉を紡ぐ。

 

「エセリウスに送らるる汝らの魂に、八大神の慈悲あらん事を、汝らはニルンの地の塩なれば、我らの愛する「タロスの愛のために、黙ってさっさと終わらせろ」……っ!お望みのままに!」

 

彼女の祈りは途中で割り込んだストームクローク兵士によって遮られた。フードで隠れた顔がここからでも分かるくらいに真っ赤になって怒りに歪んでいるのがわかる。戦争のせいでタロスの崇拝はエルフに禁止されたが、多くのノルドは無視して崇拝しているのはよく聞く話だ。俺は特定の神に祈ることはないから気にしないが、彼はタロスの信仰者だったのだろう。凄く堂々としており、『おいおい、昼になっちまうぜ』などと軽口をたたいている。

 

「我が父祖達が微笑みかけてくれているのが見えるぞ、帝国。貴様らに同じ事が言えるか?」

 

それが彼の最後の言葉だった。司祭の言葉に割り込んだ後、そのまま処刑台に進んでいった彼は、言い終わると同時に首を落とされた。横から同じストームクローク兵士の罵声が聞こえる。帝国の兵士も裁きだとかどうとか叫んでいる。だが横にいるレイロフは彼の死体をじっと見ていた。

 

「恐れを知らず生き、恐れを知らず逝った……あれは俺の友人の一人だよ。共に戦った戦場も数知れない。最後まで、あいつらしいかったよ、まったく」

 

寂しげな笑みを浮かべたレイロフに、俺とロキールはただ無言で彼を見るしかなかった。そして少しして彼の遺体が退かされると、女隊長はざっと周りを見て、俺で止まった。

 

「次はそのボロを着たノルドだ!」

 

思わずため息が出る。まさかの二番手だ。まぁ死ぬ覚悟はいつでも出来ているし、最後の最後で良い友人達も出来た。またあの鳴き声が響き渡って周りがざわめきだしたが、もう俺にはどうでもよかった。

 

「ヴィンセント」

 

「ん?」

 

俺を呼ぶ女隊長を無視して三人に顔だけ向ける。さっきは邪魔されたが、これはしっかりと伝えておきたかった。

 

「俺の名前だ。じゃあな、レイロフ、ロキール。そしてウルフリック首長。ソブンガルデで会おう」

 

「……あぁ。またな、友よ」

 

「ソブンガルデで、ヴィンセント」

 

「……」

 

処刑台の前に行き、血の付いた断頭台に頭を押し付けられる。最後の最後まで嫌な女だ。犯した後にぶっ殺してやろうか……なんて思ってもこれが最後だ。この世界に生まれて二十年と二か月。良い楽しい人生だった。少しばかり変わった血ではあったけれど、それ以外はただの人と変わりなかったし。

 

美味い物を食べて、良い酒を飲んで、良い女を抱いて、良い戦いもして……両親に言われるがまま各地を旅し、本当に楽しかった。出来ればもう少し生きていたかったが、こればっかりは仕方がない。最後は、笑って死んでいこうと決めている。死ぬときは良い記憶しか思い出せないのは不思議だな、なんて思っていると、処刑人が前に立った。もうすぐ死ぬだろう。

 

「ははっ、良い人生だった」

 

処刑人に……というのは癪なので横にいるアーケイの司祭――近くで見ると案外いい女だった――に向けて、自分の中でとびっきりの笑顔を見せる。驚いているのが見えてなんだか勝った気分になる。

 

俺の名前はヴィンセント・ウルフマン。転生者で元日本人、そして誇り高いウェアウルフのノルド人だ。



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プロローグ2~解放~

俺がこの世界に生まれたと自覚したのは、生まれて3年経つか経たないかの頃だった。黒髪で今ではひげも生えた立派なノルドの男、それが俺。急な記憶の流入のせいで熱を出し、親に心配をかけたのもいい思い出だ。それから少しして自分の状況を確認して、俺は前世の日本で死んだことを思い出した。しょうもない死に方だったよ。二十歳の大学生だった俺は、講義やらなんやらで遅くなった学校帰りに酔っ払いに押されて電車にグシャ、だ。そのせいか知らないが、酔っ払いを見ただけで殺意が湧く。ちなみに俺自身はこの体になってから酒にかなり強くなったのか、俺がそうなることはない。なので好きなだけ酒を飲んできた。

 

閑話休題。

 

死に際の恐怖も思い出して数日ビクビクしていたが、両親に諭され事情を話すと、泣かれた。だがそれでも自分の子供だと言ってくれたのはすごくうれしかったのを覚えている。が、それからというもの両親の遠慮が無くなった。元が二十歳ということで、早々根を上げることはないだろうと一気に鍛えられた。この時俺はこの世界がゲーム『oblivion』と同じだとわかってスキル上げだー!と息巻いていたが、早々にこのキツさを実感して死にかけることになるとは思いもしなかった。しかも年代が違ってオブリビオンの動乱は過ぎ去っていたため、ゲーム知識はまるで通用しないことがわかって落ち込んだ。

 

ブルーマはスカイリムに近いためとても寒く、クマやオオカミが他と比べて多くいる。しかも寒さのせいか、他よりも強い。大の大人でも死ぬ人が多い。そこに当時十歳にまで成長した俺をおつかい感覚で狩りに行かせやがった。いや、元傭兵で同胞団という戦士ギルドみたいなところにいたっていう両親のおかげで戦い方は分かっていたけども。

 

初めて他の命を奪うということでビビりまくり、死にかけたのもいい思い出だ。平和すぎた日本にいた俺にはかなりの衝撃だったんだが、両親はそんなのお構いなしに次々に俺を戦いの場所に連れて行った。まぁ、殺し殺されるが多いこの世界の住人からすれば俺こそが異端で柔なんだとわかって、心の整理がついてからは自分の中のノルドの血のせいもあってか、普通に戦えるようになった。というか、そうしないと俺が死んでいた。『うじうじしている暇があったら剣を取れ、弓を構えろ、呪文を唱えろ』は親父の言葉。親父なりの気遣いだったんだと思う。あの人脳筋だったし。

 

そんなこんなで近場の山賊とかも親父と一緒に討伐してその金で生活していると、やけに体が熱くなる感覚がしたと思ったら、下着一枚で外にいた。いや焦ったね。横にいてやけにニコニコしている両親が気にならないほどパニックになっていたよ。そのあと着替えて毛布にくるまり暖炉に連れて行かれた俺が両親に笑い話みたいに言われた。

 

「お前、ウェアウルフだから。俺達も」

 

頭が真っ白になった俺を誰が攻められようか。まさかの生まれた時からウェアウルフ。両親も俺がこの血を受け継いでいるとは思っていなかったらしい。というか前例がないとか。それで俺は初の純血のウェアウルフということになるんだと聞かされた。まぁ、銀製とデイドラ装備に気をつけなさいとお袋に言われたよ。旅の途中で一回銀製のナイフで食事中指を切った時に死ぬほど痛くて、このお袋の言葉を思い出した。

 

それからはウェアウルフの力の制御方法も教わり、変身時間を伸ばす訓練もした。ここらへんがゲームと違っていて、俺は頑張れば半日続けて変身出来るようになった。そして一番驚いたことは、夢の中で狩りを司るデイドラ・ハーシーンに会ったことだろう。伝承の通り角の生えた男性の姿で狼を連れていた。

 

彼は俺をしばらく見て、大笑いし始めた。曰く、趣味で作った人狼病に純血が出来るとは思っていなかったとか。そのあとしばらく一緒に話して――もちろん敬語だ――俺が転生者というのも一発でバレたり、狩りがなんたるかとかシェオゴラス死ねばいいのにとか色々聞かされた。一通り話し終えて俺が目覚めそうだとわかると、彼は『ハーシーンの指輪』をくれた。理由は良い暇つぶしが出来た事と、純血誕生の祝いとの事。元々これを渡そうとして来たんだそうだ。これからも狩りに励めと言って笑いながら、彼は消えていった。目覚めると指にはハーシーンの指輪が嵌っていて両親をまた驚かせたが、俺は普通に寝不足でその日は丸一日寝ていた。ハーシーン様、ちゃんと寝かせてください……。

 

それから体もがっちりしてきて背も伸び、大人のノルドの仲間入りをし始め、ブルーマの周りで生活していると、両親が旅に出ろと言ってきた。年齢は十五、スキル上げに勤しんでいた俺には吉報だった。熟練度やそのスキルレベルの上がりようが緩くなっているのを日々肌で感じていた俺にとって、他の町に行けるのはかなり好奇心を刺激されたのも相まって、行くと即答した。

 

今まで娯楽の少ないこの世界で中身おっさんの俺が子供と遊べるわけがなく、鍛錬以外日々暇である。なので鍛冶場で同じノルドのおじさんに色々教えてもらったり、魔術師ギルドで魔法や錬金術を学んだりした。ギルドではいい顔されなかったけど、ひたむきにただ学ぼうとしていたのでそこだけは評価されていたみたいだ。

 

そういうわけでスキルと技術は上がっていたので自分で装備を作っていく。初期の装備は金銭的な事もあって鋼鉄装備だった。それらを自分だけで作り上げた達成感は凄かったのをよく覚えている。そしてそのあとはサバイバル用品とかの買い出しと食料の買い出しとかで時間を過ごし、ブルーマの知り合いに挨拶をして街を出た。

 

それからは本当に楽しかった。色々な場所に行って人と出会い、遺跡を巡って宝を発見し、戦っていく日々。人の助けになるようなこともしたけど、裏切られることも多かった。それでも何だかんだで自分に見返りが来るから人の頼みをかなえていった。金になったし、物も手に入ったしね。その途中の遺跡で物を空間に収める魔法、というかまんまのメニューを手に入れることができたのは一番の発見だろう。これで物を取られるとか置き場所に困ることが無くなった。もっとも、これは一回しか使えない魔道書で、ほかの人に不審に思われないようにある程度の金と荷物は出して持ち歩いていたけどさ。

 

そして鍛え抜かれたこの体と魔法を駆使していくうちに自然と名声も高まっていったのか、貴族様方の依頼もあったりした。泥臭い政治的な暗躍から美人の未亡人のお世話まで。本当においしいお仕事ですありがとうございました、な感じが多かった。その分暗殺されそうになったりする機会も増えたけど、町の人が助けてくれたり自分で返り討ちにしたりしている。

 

ちなみに男娼の声をかけてきた奴らは血祭りにあげた。賞金首に一時期なったけど、街の有力者の依頼で家族を賊の誘拐から助けていたり他にも手伝っていたりしたのでその人に助けてもらって何とかなった。そのホモ貴族は入り婿だったらしく、奥さんが速攻で別れを切り出したらしい。俺はそんなことがあってからは一切来なくなって万々歳だったけども。

 

まぁ要は、頑張ってたら前世では考えられないくらいモテた!ってこと。

 

こんな時代だ。街から出て死にましたとか強盗にあって死にましたとか死霊術師に使われて死にましたとか山賊に身ぐるみ剥がされて殺されましたとか……本当に死が間近にある。そんな中、単騎で山賊の住処や吸血鬼の集団から生き延びる男がいて、家を数軒買える金も有力者との繋がりも持ってるとくれば、そりゃあ優良物件と言われるわけで。それにたとえ中身の年齢が結構な物でも、体は健全な若者なのだ。

 

しかも俺の顔は結構イケメン君らしい。右目と左頬に傷跡があるし、ゴツイからかなり強面でこりゃあモテないだろうなとばかり思っていたが、そこが良いらしい。うっとり顔の全種族の女性・計五十人に聞きました。アルゴニアンの尻尾は抱き心地が意外tごほんごほん……まぁそれで調子にのってヤる前に薬盛られて一回金とか取られてからは反省したけどね。奪い返して山賊の住処で好きにしていいって言って置いてきたけど。

 

そんなこんなでたまに帰郷しながらデイドラの頼みを聞いたり司祭の頼みを聞いたりして、二十歳を間近に控えたころ、両親が死んだという手紙が届いた。その時俺は帝都にいて、久しぶりに会った戦友のオークと話していた最中だった。俺は知り合いに馬を借りて飛んで帰り、まだきれいな両親の遺体に会えた。遺書には俺の生まれ故郷はスカイリムのリフテンであることと、知り合い及び親戚はもう死んでいるのでいないこと、ハーシーン様の所で狩りを楽しんでくること、そして俺を育てることが出来て幸せだったと書かれていた。久しぶりに、大泣きしたよ。

 

それからしばらくは喪中に服し、訪れてくれる友人達に礼を言っていった。あのオークの戦友から聞いたらしい。本当に良い友人を持った。元が日本人で異世界人だから種族関係なく接したせいでハイエルフのツンデレチビッ子貴族と子連れノルドの友人がばったり会って、いざこざも起きたりして面倒だったりしたけど。それでもいいやつらなことは変わりない。

 

喪に服すのもしばらく経ってあと二月もすれば二十歳になる頃、俺は両親の遺書にあったリフテンに行くことを決めた。シロディールは大まかに見て回ったし、自分の生まれ故郷を見るのも悪くないと思ったからだ。なので俺はその旨をご近所さんに言って回り、友人たちに手紙を出した。速達を頼んだからか、返事も何通か来てうれしかった。『また会いに来い』『死ぬなよ』『腰を下ろす所が決まれば教えて』『ま、また会いに来ないとお父様に言いつけてやるんだから!』『行く前にあなたの子供がほs』などなど。最後のは触れないが、一個前はもちろんツンデレ貴族ちゃんからの物だ。このお父様が娘に甘いサルモールの高位法官なので、ある程度仲良くなれたとはいえ下手したら本気で死にかねない。

 

そうして一週間かけて身支度を整えて、国境に出発した。相変わらず寒かったけどそれもまた旅の醍醐味だ。

 

 

<pf>まぁそのあとは今に至る。国境越えの最中に帝国兵に囲まれてその時の手持ち金とデイドラ防具一式、デイドラのグレートソード、弓、魔法耐性の首飾りを取られた。咄嗟にハーシーンの指輪はメニューに突っ込むことが出来たのが不幸中の幸いか。しかし、あれらの装備はこのクソ帝国兵共には惜しすぎる代物。それと友人達に一言も言えなかったのが後悔か。あのツンデレ貴族ちゃんの約束も守れなくなるからブルーマが大変なことになるだろうな……ごめんなさい。

 

「――い――お――」

 

あぁ、なんだか頭がくらくらとする。もう死んでしまったのだろうか。ひどい耳鳴りがして、体一つ動かせない。そういえば俺はソブンガルデに逝けないんだった。レイロフ達には悪いことをしたな……。

 

「――のっ!ヴィンセント!起きろってんだよ!」

 

「ぶっ!」

 

頭の揺れが収まる代わりに右頬に激痛が走る。次第に見えだした周りは炎が燃え盛っていて、何個もの焼死体が見えた。そして目の前には俺の胸ぐらを掴んだレイロフとロキール、ウルフリック首長。いったい何が?

 

「やっと起きたかこの寝坊助め!どうやら俺達にソブンガルデはまだ早いようだ!」

 

「悪運が強いな、ヴィンセント!」

 

「起きたなら早く行くぞ!ここもいつドラゴンに襲われるかわからん!」

 

ロキールが処刑人の持っていたはずの斧で手の縄を切ってくれる。おぉ、黒檀か。いいの使ってたんだな……じゃない!頭が混乱しているからか、変なことを考えてしまう。

 

「何が何だかわからんと思うが、とにかく聞け。お前の処刑の直前にドラゴンが現れてお前を声で吹き飛ばしたんだ。そのおかげで助かったんだが、今の今まで意識を失っていたんだよ」

 

「ほら、この両手斧はあんたが使ってくれ。俺じゃあ無理だ」

 

血肉で錆びついた黒檀の両手斧をロキールに手渡され、レイロフから説明を受ける。未だ頭は混乱しているものの、体は動く。こういう時さっさとしないと経験上早く死ぬ。だからドラゴンなんておとぎ話じゃないのかとかの質問は後回しで先行したウルフリック首長についていった。そしてとりあえず避難出来る塔に入るか入らないかの所で不意に日が遮られる。

 

《フォス・ロー・ダ!》

 

その声と共に衝撃が起き、要塞や家が崩れていく。黒くとげとげとした鱗を纏ったその巨大な姿。まさしくドラゴンがそこにいた。



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プロローグ3~解放~

急いで中に入ると、三人のストームクローク兵士が傷ついて倒れていた。俺は急いで治癒魔法を両手に発動させ、傷口をふさいでいった。血まではどうにもできないけど、体力と傷は何とかできる。

 

「驚いた、ヴィンセントは治癒師なのか?」

 

「いや、そうでもあるが専門じゃない。その道の専門家には負けるよ」

 

「それでも十分じゃないか。彼らはお前に命を救われた」

 

治った三人に礼を言われるが、時間がないので頷きだけで返す。横ではレイロフがウルフリック首長に動揺を声にして聞いていた。

 

「ウルフリック首長!あれは一体?伝説は本当なんでしょうか?」

 

「いや、伝説は村々を焼き払ったりしない」

 

やけに落ち着いた風なウルフリック首長に疑問が出るが、このままここで討論していても仕方がない。急いで移動するというウルフリック首長にの言葉に全員が頷き、階段を上っていく。しかしそこはがれきで塞がれていて、ストームクローク兵士が退かしていると確認した瞬間、真横の壁がドラゴンに吹き飛ばされた。

 

《ヨル・トール……シュル!》

 

「このクソったれが!」

 

声と共に吐き出される炎。すぐさま先頭にいた俺が魔力の壁でこちらに来るのを防ぐ。少し吐き続けたドラゴンは、一鳴きして飛び去っていった。しかし思いの他マジカの消費が激しい。三分の一持って行かれた。あのがれきを処理していたストームクローク兵士は……もう、完全に真っ黒になっている。

 

「また助けられたな……彼を助けられなかったのは残念だが、急ごう。道の反対側にある宿が見えるか?あの屋根を跳び抜けて、そのまま進め!」

 

「わかった。お前たちは?」

 

「後から続く。行け!」

 

両手斧を右手に持って勢いよく跳んでいき、ゴロゴロと転がりながらも何とか着地する。そしてレイロフ達の方を見るが、また戻ってきたドラゴンに邪魔されている。また面倒なことを!

 

「レイロフ!」

 

「行け!こっちは別の道を探してみる!後で合流しよう!」

 

舌打ちが思わず出てくる。仕方がないので穴が開いた二階部分から一階に降り、外に出てみると何人か帝国兵士がいるのが見えた。中にはリストを読み上げていた奴の姿も見える。どうやら子供を誘導しているようだ。

 

「上を見るな、俺を見るんだ。お前なら出来る!」

 

しかしさっきまでレイロフの方にいたドラゴンがその子供のすぐ後ろに降り立ちやがった。しかもすぐにあの炎を出す体制で。

 

「あぁー!くそっ!俺のお人好し!」

 

俺は一気に駆け出して途中で両手斧を捨てると、子供の前に出て魔力の壁を張ってブレスを受ける。

 

「おい!早くしろ!」

 

「っ!ハミング!こっちに来い!早く!」

 

駆け出した子供に合わせて少ずつ下がっていき、建物の影に入ったところでそこに飛び込んだ。まただいぶマジカが減ってしまった……俺は投げていた両手斧を拾って大きく息をついた。

 

「助かったよ。ありがとう。だが、どうして?」

 

「……ガキが死ぬのを見てるだけっていうのは嫌なんだよ。それだけだ」

 

「そうか……グンナール、そいつの事を頼む。俺はテュリウス将軍を見つけて守備に加わらないと。囚人、とりあえず避難出来る砦まで連れて行ってやる。さっきの礼だ、死にたくなかったらついて来い」

 

「神々のお導きを祈る、ハドバル」

 

ドラゴンが砦の上にいる弓兵を食いちぎって俺の真横に落としていったのを見ていると、助けたハドバルという帝国兵が先導してくれるという。俺はヘルゲンに詳しいというわけではないし、レイロフ達と合流するためにもついて行く方がいいと判断した。俺は黙って頷き、ハドバルについていく。そして焼け焦げた道を通っていくと、目の前の塀の上にドラゴンがいきなり降り立った!

 

「壁際にいるんだ!」

 

「言われなくても!」

 

身をかがめて壁際に移動する。目と鼻の先にいるドラゴンを改めて見ると、やはりすごい威圧感を感じる。そこらへんのデイドラなんか比じゃない。黒光りする見るからに堅そうな鱗に吐き出される灼熱の炎。頭の上には鋭い爪が塀に食い込んでいるのが見えた。

 

「よし、行くぞ!」

 

ドラゴンが立ち去ったのを確認して一気に駆け出す。焼け焦げた死体を飛び越え、崩れた民家を潜り抜けていく……その中で、抱き合っている親子の焼死体を見つけた。またここに来ることがあるとしたら、その時はしっかりと供養してあげよう。おそらく誰も戻ってこないこの場所が、盗賊の寝床にならないようにだけ祈っておく。

 

「イスミールにかけて!歯が立たない!」

 

「行け!行け!」

 

「狙いを定めて撃て!」

 

民家から出ると、帝国兵士が集まってドラゴンに矢を放っていた。中には魔術師もおり、魔法を飛ばしているが全く効いている風ではない。と、そこへどこかで聞いたことのある声が聞こえてきた。

 

「ハドバル!砦の中へ!離脱するぞ!」

 

「テュリウス将軍!?」

 

あの禿げたおっさんめ、兵士を置いて即行で離脱宣言か。ハドバルも味方を置いていくのが口惜しいのか、悔しそうな顔をしている。だが命令には逆らえないので行く、という感じだ。まぁ、俺にとってはどうでもいいがね。

 

「ヴィンセント!無事だったか!」

 

「おぉ!レイロフ!そっちこそよく無事だったな!」

 

少し進んで砦が目の前にまで来ると、横の通路からレイロフが出てきて丁度会うことが出来た。さっきまでは持ってなかった鉄の片手斧を持っているので、どこかで拝借してきたんだろう。

 

「レイロフ!この裏切り者め!どけ!」

 

「……俺達は脱出するぞ、ハドバル。今度は止めないだろうな」

 

「いいだろう。お前達全員あのドラゴンにソブンガルデへ連れて行かれちまえ!……ここまでだ、囚人。達者でな」

 

そう言って、ハドバルは早々に前の砦に入って行ってしまった。ドラゴンの真下でよく口論出来るな、と思ったが、特に口には出さずレイロフに導かれるままそれとは別の砦に入った。直前にちらりと空を見ると、変わらずドラゴンは、我が物顔でヘルゲンを破壊していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砦に入ると中は円柱状で、黄色い絨毯と帝国の黒い大きな旗があり、左右の扉には鉄格子がかけられている。そして奥には、机の横で息絶えているストームクローク兵士がいた。

 

「ソブンガルデでまた会おう、兄弟よ」

 

祈りをささげるレイロフに、俺も黙祷する。

 

「さて、生き残ったのは俺達だけみたいだな」

 

「ロキールやウルフリック首長達はどうしたんだ?見当たらないが、まさか……」

 

「いや、途中で別の脱出ルートを見つけてそこから逃がしたよ。最後の俺はまたドラゴンに邪魔されて、なんとか逃げていたら生きてるお前に会えたんだ」

 

「運の悪いやつだなお前も」

 

「人の事が言えるか?」

 

いや、確かにピンポイントの時期と場所で捕まったがよ。それは言わないお約束だぞレイロフ。悲しくなってくる。

 

「まぁいい。それにしても、あれは間違いなくドラゴンだった。子供向けの物語や伝説に出てくるやつだよ。終末の導き手だ」

 

「あぁ、小さいころおとぎ話でよく聞いた。だが、これは現実だ。まったくもって馬鹿げてるけどな」

 

「そのおかげで助けられたんだから皮肉だよ。さ、先を急ごう。俺はそこの鉄格子を見てみる。お前はあっちを頼んだ」

 

「了解」

 

手分けして扉を調べてみるが、片方は鍵が、もう片方はこちらからは開けれなくてどうしようもない。辺りにそれらしい物もなかったので俺の破壊魔法で壊すかと考えていると、がしゃがしゃと鎧の擦れる音とあのいけ好かない女隊長の声が聞こえてきた。しかも遠くから聞こえる声からして、俺の所持品をちゃっかり持って行ってるようだ。これは好都合……。

 

「ちっ、帝国軍だ!隠れ「いや、俺に任せろ」……わかった。頼むぞ」

 

速攻でぶち殺すから隠れてろとジェスチャーで送り、レイロフに距離を取らせる。彼も臨戦態勢を取っているが、おそらく必要ないだろう。俺は黒檀の両手斧を構えて身をかがめて気配を絶つ。隠密スキル万歳だ。

 

「門を開けなさい」

 

女隊長の命令で開いた門から出て来た兵士に、立ち上がりながらの一発を出会いがしらに頭にくらわせる。黒檀の斬れ味の前では革鎧など意味をなさず、頭を斜めに両断することに成功した。そのままの勢いで回転しながら俺の所持品を運んでいたもう一人の兵士の胴に振りぬくが、途中で詰まって革に引っかかってしまった。持っていた箱が落ちないようにしたけど、手入れしとけよ処刑人!

 

「なっ!あなたは囚人のぅぁっ!」

 

仕方がないので武器を手放し、剣を抜こうとした隊長に手を押さえつけながらタックルし、馬乗りになる。兜が取れてあらわになった顔はいかにも鍛えてます、って感じ。なんだかなー、好みじゃない。まだオークの力強い女の方がいい。彼女らは誠実で堅実だ。ってことで

 

「ライトニングボルトォォォォ!!」

 

「ぎゃあぁああああああああ!!」

 

両手に一杯のライトニングボルトを飛び退くと同時に叩きつける。即死しないのがミソだ。あと、彼女の焼け焦げた死体からしっかりと鍵も拝借しておくのも忘れない。

 

「おいおい、まるで容赦がないな……どんだけ恨んでたんだよ」

 

「俺はやられたらやり返す主義なんだよ」

 

「いやそれでも……まぁいい。お前は言っても聞かなさそうだ。それで?その箱の中身がお前の持ち物なのか?」

 

「あぁ、いろんなところを渡り歩いた相棒達さ」

 

少し大きめな木箱をそっと持ち上げて広い真ん中まで持っていく。鍵はレイロフに渡してあるので俺はサクサク着替えていくことにした。メニューから綺麗な下着とかに着替えておき、一気に着る。どういうわけか装備するのもゲームのように一瞬で終えてくれるので助かっている。もちろん今はレイロフがいるので鎧は自分で着ているんだけども。

 

「お前といると驚くことばかりだよ……まさかデイドラの装備とはな。一生に何度もお目にかかれる代物じゃない。俺は一度召喚されたデイドラで見たことあるが、どうやって手に入れたんだ?」

 

「最初は遺跡でボロボロの物を見つけたんだよ。それでそこに特殊な鍛冶場と製造法もあったから、そこで見よう見まねでなんとか作り上げたのがこれさ。一個の部位に複数のデイドラの心臓が必要で、集めるのに苦労したよ。結構な回数失敗したから、余計にな。でも、それだけの価値はあったさ」

 

装備し終えて、あの時の事を思い出す。本当に不気味な遺跡で、トロールのタックルで崖から落ちていった先にあったんだ。あの時は死にかけたけど、運が良かったのかもしれない。それから友人達を半ば無理やり連れて行ってデイドラ狩りの日々がしばらく続いた。デイドラを召喚出来る高位の魔術師がいると聞けばそこへ飛んでいき、崇拝する教団があればたきつけて召喚させた。もちろんその教団は全滅したけど、心臓も手に入るし金も名誉もがっぽりだった。おかげでデイドラに関しては俺や友人達に多く仕事が舞い込んでくるようになった。まぁ、友人達はしばらくデイドラのデの字も聞きたくなさそうだったけどね。

 

それで、そんだけの労力と俺の持てる技術の粋をかき集めたこの装備は、最高の防御力と軽さ、柔軟さ、フィット感を兼ね備えている。デイドラの血のせいか、俺の体の成長にもしっかりついてくるという摩訶不思議な現象が起きている。一度一緒に酒を飲んだことのある快楽を司るデイドラ・サングイン様曰く、そんじょそこらの定命の者が着ていいものじゃ無いそうだ。まぁそれも良しと言ってくれたので気にしてないけどさ。あの時はただのおっさんだと思ってたから驚いた……。

 

「まぁこの装備の話はまた安全な場所でゆっくり話そう。とにかく急いでここから離れないと」

 

「あぁ、そうだな……やった!開いたぞ!さぁ、ドラゴンが頭の上に塔を倒す前に、ここから逃げ出すぞ」

 

「おう!……って何故キャベツがここに?」

 

「おい!早く行くぞ!」

 

何故か押し車の中にあったキャベツが気になりつつも、開いた扉から先に進む。すぐそばの階段を下りていくと通路に出ることが出来たが、おそらくドラゴンのせいで壁が崩れ落ちて先に進めなくなってしまっていた。退かそうにも量が多すぎるし時間がかかりすぎる。

 

「くそ、あのドラゴンめ。簡単には諦めてくれないぜ」

 

「仕方ない。そこの扉から行こう。出口に繋がってると良いが……」

 

何とか巻き込まれていない扉が手前にあったのでそこから中に進んでいく。その先は様々な物資が置いてあり、中でも食料やポーションが多くある。どうやら貯蔵室のようで、帝国兵が持っていこうとしていたところを二人で後ろから一気にカタをつけた。

 

「貯蔵室だな。ポーションがないか見てくれ。必要になるはずだ」

 

頷いて少し調べてみると、樽の中と棚に休息の薬と魔術の薬、回復の薬、ワインがいくつかあったので拝借しておく。俺は自前のがあるのでそれらはレイロフに渡している。純度からいってあれは一番効力の低いものだったので、メニューからこっそり出した中回復のものも渡しておいた。そこから先に進むと、何やら空気が一気に血なまぐさくなってくる。

 

「トロールの血!拷問部屋じゃないか!しかも向こうで誰か争ってる!行こう、味方かもしれない!」

 

急いで階段を駆け下りると、丁度拷問官に貫かれた女性ストームクローク兵がいた。辺りにはほかのストームクローク兵の遺体も見え、拷問官は一人だけ生き残っていた。

 

「くっそォ!帝国のクズ野郎が!」

 

「なっ!まだいやがぁっ!」

 

レイロフが怒りにまかせて剣を抜こうとしていた拷問官の頭をかち割った。よっぽど力んでいたのか、大きく息を乱している。俺は急いで刺された女性を見てみるが、もう既に息絶えていた。レイロフに首を振ると、彼は横の牢を思いっきり叩く。その顔は怒りに歪み、唇からは血が流れていた。俺はそっと治癒をかけていく。

 

「……悪い、少し熱くなりすぎた。武器がだめになってしまったみたいだから探してくるよ。少し、待っていてくれ」

 

顔を俯かせる彼が奥の小部屋に入っていくのを黙って見送る。これ以上仲間を目の前で失いたくないんだろう。覚悟は持っているが、あとほんの少し早く来れていれば助かったかもしれない命だ。その思いは計り知れない。

 

俺はその場を調べ始める。牢には死体と魔術書、ゴールドがあったのでロックピックでこじ開ける。すると、横から何か擦れる音がしたのでよく見てみると、あのアーケイの司祭が牢の中にいるではないか。影に入っていたのと牢自体が一番端だったのでよく見えなかった。少しばかり衣服が破れて、痣が見えるけど、確かに彼女だ。なんか無性にエロく感じられた俺はきっと悪くない。

 

「おい、あんたは確かアーケイの……」

 

「ひっ、近づかないで!あなたも私に乱暴するつもりなの!?」

 

その牢に近づくと、思いっきり拒絶される。しかしこのままでもしょうがないのでロックピックで扉を開けながら理由を聞いてみた。ちなみに兜を外して俺だよって言ったら余計ビビらせてしまった。そういえば俺は囚人だったんだから、理由も知らない彼女は怖がるのは当然だったな。強行策に出たので何度か彼女の魔法も食らったけど、鎧と首飾りのおかげでなんとかなった。

 

「熱ぃな、おい。で?マジカも尽きたようだし、少しは落ち着いたろう。理由を聞かせてくれないか。アーケイの司祭であるあんたが何でこんなところに閉じ込められてるんだよ。しかもこんな短時間の間にさ」

 

「わ、私は助けを求めに来たの!外の帝国兵士の人に逃がしてもらって、ここへ来たのにあの拷問官どもは人の話を聞かずに……あ、あろうことかアーケイの司祭である私に襲いかかろうとしたのよ!?」

 

まぁ普通に考えてドラゴンなんておとぎ話だし、外からの音の聞こえづらいここじゃそんなエロい恰好してきた女は襲われるのは当然だ。しかもここにいるのは拷問官。頭のいかれた奴らばっかりなんだから余計にタチが悪い……よし、やっと開いた。

 

「で、でもストームクローク兵の彼女たちが来てくれたから私は牢に入れられて……」

 

「よしよし、こんなに傷だらけになってまでよく頑張った。お前はもう大丈夫だから安心しろ。俺達が何とかしてやる」

 

鎧で傷付かないように優しく抱きしめながら治癒魔法をかけていく。痣や切り傷、火傷が治り、彼女が泣き止むまでゆっくりと。女性にとってこういうのはかなりのトラウマになるし、信じていた助けに裏切られたとくれば数ある最悪の出来事の中でも1,2を争うほどの心の傷になるだろう。下手すれば人間不信になりかねん。今回は未遂だったけど、事後だったらおそらく助けられても自害していた可能性も否めない。

 

泣き止んだ彼女は顔を真っ赤にしていたので、和ませるように少し笑うと怒られた。少し笑顔が戻ったので良しとしよう。俺はいつまでもそんなエロい恰好でいさせられないと、メニューから黒いローブと魔術の薬を出して手渡す。俺は女好きの変態だが紳士です。もちろん聞かれたけど、そのことを適当に誤魔化して彼女が着替えている合間に兵士の遺体を綺麗に並べていく。

 

レイロフも途中で戻ってきた。背中にナップサックとロングボウ、矢を背負って、鉄のメイス、鉄の盾を持っていた。生き残っていた彼女には驚いていたけど、拷問官の仕打ちに憤りを感じたようで同行を許可してくれる。着替え終わった彼女にアーケイの祈りをささげてもらった。タロスじゃなくて悪いが、俺達二人とも祈りの方法なんて知らないからな。少なくともちゃんとソブンガルデに逝けるように、俺達は祈った。

 

「よし、急ごう。思ったより長くいてしまった。ここから出口に繋がる道があればいいが……」

 

牢の連なる通路を進み、またあった拷問部屋を通り過ぎていく。すると壁が崩れて洞窟に繋がっている道があったのでそこを進む。少し行くと、帝国兵士らしき声が水の流れる音と共に聞こえてきた。

 

「テュリウス将軍が来られるまでは待機という命令だ」

 

「このままじゃドラゴンに殺されるだけだ!退却しなければ!」

 

「ダメだ!将軍のために時間を稼げ!」

 

俺は司祭に待つように告げてグレートソードを抜く。レイロフもロングボウを引いていつでも撃てる状態になっているのを確認し、俺は一気に飛び出した。石の橋の一番手前の奴を後ろから大きく横振りにして首をはねているうちに、レイロフがその奥のやつの頭に矢を当てる。見事な腕だ。しかしここよりも奥にいるやつらに気づかれてしまった。

 

「なっ!ストームクローク!この薄汚い裏切り者共め!」

 

邪魔な死体を蹴り飛ばし、移動しながらグレートソードを担いで落ちていた剣を投げつける。それだけで十分目くらましになったのを確認するまでもなく、飛びかかりながらよろついてる相手の顔面を殴り飛ばした。

 

「レイロフ!」

 

「任せろ!」

 

後ろからついてきているレイロフにそいつを任せ、俺は柱に隠れて呪文を唱えていく。数は二人。しかも弓兵なので一気にカタをつけなくてはいけない。俺はともかくレイロフは軽装備だし、兜を着けていないからヘッドショットで一発だ。俺はグレートソードを置いて飛び出し、次の矢を番える前に魔法を放った。

 

「まとめて死ねぇ!」

 

俺の両手から放たれた雷が直撃し、二人に連鎖する。破壊魔法チェインライトニング。先程のライトニングボルトが敵に連鎖してくれる魔法だが、下手したら仲間にも行きかねないしそこそこマジカを使うので注意がいる魔法だ。まあ今回はうまく二人を丸焦げに出来たけども。

 

「よし、じゃあ先に進もう。危険がないか確認してくれ。俺は彼女を呼んでくる」

 

「了解」

 

遺体のポケットのあったゴールドをいくつか拝借し、先の通路を見てみると橋が上がっていたがレバーを倒すことでなんとかなった。司祭と合流し、先に全員が通ったところで天井が崩れて戻れなくなってしまった。

 

「もう引き返すことはできないな」

 

「まぁ、その分追手が来ることもない。後ろを気にせず行けるんだから良しとしよう」

 

足元に流れる水に司祭が嫌がることもあったが、とにかく洞窟を進んでいく。骸骨がそこらかしこにあって、当たった時にがらがらうるさい。少し進むと、蜘蛛の巣だらけの広い空間に出た。瞬間、何匹ものフロストバイト・スパイダーが降りてくる。

 

「いやあぁぁぁぁぁ!!」

 

訂正、降りる前に司祭に焼かれた。いや、うん。凄かった。半泣きで焼きまくるのを呆然とレイロフと二人で見ていたが、巣ごと丸焼けになるとは思いもしなかった。曰く、多脚の虫はどうしても生理的に受け付けないそうだ。見つけ次第、焼き殺す。それが彼女の中で確定事項であり、一回だけ死者の間を焼きかけたとかなんとか。じゃあ何でアーケイの司祭なんかやってんのとは怖くて聞けなかった。

 

「あー、その、なんだ。俺もこういうのは嫌いだ。目が多すぎるだろ?」

 

「まぁな。気持ち悪いのは同意する」

 

「そうよね!いつか燃やし尽くしてやるんだから!」

 

「「……」」

 

腕をぐっと握り決意表明をする司祭。そんな彼女になんとも言えなくてそそくさと先を急ぐ。通路を進むと、水が流れている大きな空間に出た。そこから先に進んでいくと、なにやらもぞもぞと動いている黒い物体が見えて、俺達は物陰に隠れた。

 

「おい、クマがいやがる。見えるか?」

 

「あぁ……出来れば今はもめたくない。俺の持つ弓じゃ効かないし、あの位置にいるならこっそり通り抜けることも出来るんじゃないか?」

 

「そ、そうよ。結構大きなクマだし、迂回した方がいいんじゃない?」

 

確かにあの位置にいるならゆっくり進めば迂回することも出来なくはない。だが今は司祭もいる。クマはタムリエル大陸全土で脅威になっている動物だ。移動していた一般人が食われたなんてのもよく聞く話で、司祭が怖がるのも頷ける。が、一般人ならともかくクマ一匹程度トロールを撲殺出来た俺1人でどうにかなる。楽勝だ。

 

「いや、時間をかけたくない。それにクマ一匹程度楽勝だ。ここで隠れていてくれ。すぐに仕留める……今日はクマ鍋もいいかもな」

 

「お前……食いたいだけだろう」

 

本音が漏れた。しょうがないじゃないか、お腹が空いたんだもの!なんてコントをして場を和ませつつ俺はグレートソードを抜き、屈みながら移動する。隠密行動を幾度となくやってきた俺にとって、クマにばれないなんて朝飯前。俺は眠っているクマの前まで近づくと、脳天を一気に突き刺した。

 

レイロフと司祭を呼び、先に行かせる。俺はクマを担いでそのあとに続いた。

 

「お前は全く、クマを丸々担げるなんてどこのオークだってんだ」

 

「あなたに驚けなくなった自分が悲しいわ……」

 

呆れるようにため息をつかれて先に行かれた。なんだか悲しい……鍋やらないぞこの野郎。

 

「おっ!この道は外に繋がっているようだ!絶対外に出られると思ってたぜ!」

 

「やっとこの洞窟から出られるわ!急いでヴィンセント!」

 

「あぁ!」

 

前を見ると外への光が見えた。遠目に山々が見えるからちゃんとした出口なんだろう。俺達は喜んでその出口に駆け出した。




デイドラの鎧ってそうほいほい作れるものじゃない、という設定で行きました。いろいろあるでしょうがご容赦をば


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プロローグ4~解放~

駆け足で外に出て、太陽の光と心地よい風を肌に感じる。色々なことが起こりすぎて、なんだか外の空気が凄くおいしく感じた。それは二人も同じようで、二人とも笑顔だ。しかし、突然日が遮られて忌々しい咆哮が響き渡った。

 

 

「っ!待て!」

 

 

レイロフの言葉と共に俺達は近くの岩陰に隠れる。真上をドラゴンが飛んでいき、凄いスピードでスカイリムの彼方に消え去った。いなくなったということは、ヘルゲンはもう壊滅したということだろう。

 

 

「またか。今回は永遠に帰ってこないみたいだな」

 

 

「もう帰ってこなくていいわよ……またあんなドラゴンが出てくるなんて、考えたくもないわ」

 

 

岩陰から出て、愚痴りながらも一息つく。これでやっと一応は無事に脱出出来た。ここがどこなのかさっぱりわからんが、先に進むしかない。

 

 

「他に誰か生きて出られたのか、知ることは出来ないな。しかし、ここにもすぐに帝国軍がうようよしだすだろう。ここからは退散した方がいい」

 

 

「あぁ。だが、ここがどこなのかさっぱりわからないぞ?行くあてはあるのか?」

 

 

「それは心配ない。ここはリバーウッドの近くなんだ。姉妹のジャルデュルが、そこで工場をやっている。この道の先だ。彼女が助けてくれる。そのクマは十分土産替わりになるだろう」

 

 

宿泊代金となったクマを担ぎ直し、先に進んでいく。周りは緑豊かで、動物の姿もちらほら見えた。道なりに進んでいると、レイロフが改まった様子で声をかけてきた。

 

 

「なぁ、ヴィンセント。ウィンドヘルムへ行って、スカイリムを開放する戦いに参加しないか?今日のここで帝国軍の真の姿を見ただろう?ドラゴンの出現が何を意味するのか知る者がいるとすれば、それはウルフリックだ。それにお前の事も知っているから、待遇もいいだろう。どうだ?」

 

 

「……そのスカイリムを開放するってのは、タロス崇拝の事と白金協定を結んだ首長達からってことか?」

 

 

「あぁ。俺達ノルドにとってのタロスがどれほど重要かは十分わかっているだろう?その崇拝を禁止するなんて言語道断だ。サルモールに対してあの腰抜けの帝国の対応を見たか?腑抜けにもほどがある。それに、今の帝国はスカイリムにとっての害悪以外の何物でもない。権力のみで偉そうにしている馬鹿しかいない。お前が殺した女隊長や彼女を襲った拷問官共がいい例じゃないか」

 

 

確かに、ここ数日間で帝国に対して不信感しか湧かなくなっている俺だが、タロス云々に関して言えば話は別だ。前にもあったように白金協定は仕方がなかったことだと思っている。あれを受諾しなければ帝国領土内は火の海になっていただろう。首長達もどうすることも出来なかったと数々の書物で確認している。それだけの力がサルモールにはあったのだ。帝国がもしちゃんと一枚岩だったら、話は変わっていたのかもしれないけれど。

 

 

そのことをレイロフに伝える。タロスの崇拝を否定するわけではないが、俺にとってそれは戦う理由にならないということを。だが、帝国にやり返すのには友人として手を貸すことも。彼は黙ってそれに頷き、小さく息を吐いた。

 

 

「……わかった。元々無理強いをするつもりはなかったんだ。お前はどこかに縛られるより自由に動いていたほうが良い方に行くような気もするしな。まぁ、気が変わったら言ってくれ。全力で手を貸そう」

 

 

「あぁ、その時は頼む」

 

 

それから道なりに進んでいく。開けた場所に出たときに見えた大きな遺跡についてレイロフが昔話をしたり、出てきた狼を蹴り飛ばしたりして進んでいく。中々良い景色だったが、途中山賊が2人出てきたので背負っていたクマを振り回してぶっ殺した俺は悪くない。空気をぶち壊したあいつらが悪いんだ。だから俺をそんな目で見るな。

 

 

「いや、だって……なぁ?」

 

 

「クマ『で』人を殺す事が出来る人なんてあなたくらいよ」

 

 

二人が苛める……。

 

 

<pf>

あれから少し進むとすぐにリバーウッドに到着した。川沿いに面した村だ。しかし大きな門があることからそこそこの防衛設備も整っているようにも思える。入ってすぐに鍛冶場を見つけたし、露天もあった。少し大きな、のどかな村だ。レイロフが言うには川沿いにある木の加工場が妹さんの仕事場らしい。俺達はドラゴン云々言っているおばさんの言葉を耳にしつつ、そちらに向かった。

 

 

「ジャルデュル!」

 

 

「兄さん!あぁ、マーラの慈愛のおかげね。会えてよかった。でもあなたはここにいて大丈夫なの?ウルフリックが捕まったと聞いたのに」

 

 

妹さんのいる工場に向かうとすぐに見つかった。妹さんのジャルデュルは仕事を即行で切り上げ、レイロフに近づいた。余程心配だったのだろう。矢継ぎ早に質問を浴びせていくのでレイロフは苦笑いしながら両手を前に出した。

 

 

「ジャルデュル、ジャルデュル。俺は無事だ。少なくとも今はな。ようやくね」

 

 

「怪我してるの!?何があったの?それとこの人たちは?同じストームクローク……には見えないけど」

 

 

司祭、俺、クマと見て言葉を詰まらせるジャルデュル。まぁ、そうだよな。

 

 

「まだ仲間ではないが、親友だ。事実、命の恩人だよ。どこか話せる場所はないか?帝国がヘルゲンの件に気づく前に……」

 

 

「ヘルゲンで何があったの?……そうね。ついてきて。ホッド!すぐに来て!手伝ってほしいの!」

 

 

レイロフの真剣な目を見て悟ったのだろう。彼女は加工場にいるノルドに声を張り上げた。

 

 

「何かな?スヴェンがまた仕事中、酔っ払っていたか?」

 

 

「ホッド、いいからこっちに来て」

 

 

「レイロフ!ここで何をしているんだ!……あぁ、そっちにすぐ行くから!」

 

 

作業服を着たノルド、ホッドはレイロフを見て驚きはしたが、そのままいても仕方がないとでも思ったのか、ジャルデュルが怖い顔をしていたからか、駆け足で移動を始めた。そしてその間に加工場の奥にある切り株の近くまで移動する。村の離れのようだ。そこへ犬を連れた少年がとてもうれしそうな顔をしながら駆け寄ってきた。

 

 

「レイロフおじさん!おじさんの斧を見せてくれない?今まで何人の帝国軍を殺したの?本当にウルフリック・ストームクロークを知ってるの?」

 

 

「黙ってフロドナ。遊んでる暇はないの。南の道を見張りに行って。もし帝国兵が来たら知らせなさい」

 

 

「え~、ママ。僕もレイロフおじさんと話がしたいよ!それにクマを背負ってるカッコいい鎧の兄ちゃんのことも聞きたいし」

 

 

ジャルデュルが少しいらいらするようにフロドナを叱る。それに不満ありありな返しをしたフロドナだったが、レイロフが微笑みながら近づいたため黙った。それにしてもこの鎧をカッコいいと言ってくれるか。なかなかいいセンスをしている。

 

 

「感心だな。もう一人前の男じゃないか。この戦いにお前が参加する日も、そう遠くないようだ」

 

 

「そうだよ!心配しないでレイロフおじさん。あんな兵士達、近づかせないよ!」

 

 

駆け出して行った少年を見て、なんというか、うまい具合に扱ったなと思う。司祭も苦笑いしているし、レイロフも笑っている。ジャルデュルは母親としてうまく向こうに行かせられたのに喜ぶべきか、子供の単純さに悲しむべきかと微妙な顔をしていたが。

 

 

そうこうしている間にホッドが来て、この空気に首を傾げていたが話を切り出した。

 

 

「さて、レイロフ。そっちの状況はどうなんだ?二人ともとても元気そうだが」

 

 

「はぁ、最後に寝た日を思い出せない……どこから話そうか」

 

 

レイロフはかいつまんで、今までの事を二人に話始めた。

 

 

 

<pf>

 

 

「まぁ、要はドラゴンがヘルゲンを襲って破壊した。それで俺達はレイロフと一緒に逃げてきたんだ」

 

 

「ヘルゲンにドラゴンが!?ありえないわ!でも、それなら前に見たものの説明がつく。南から谷を飛んで行った。幻を見たんだと思っていたわ」

 

 

頭を抱えているジャルデュルとホッド。本当なら信じがたいことだが実際に起きたことだ。しかも彼女自身見ていることから信憑性は言葉だけより増すだろう。ちなみにクマを置いて兜を取って話をしている。礼儀だからな。

 

 

「ドラゴンはこっちの方角に進んだ。あなたも見たはずだ」

 

 

「えぇ、見たわよ。それでも、ありえないわ。ドラゴンなんて存在しない。古い物語の存在よ……でも、なぜかわからないけどあなたを信じるわ。今しがたドラゴンを見たって顔してるもの。状況はますます悪くなるわね。まず戦争、そしてドラゴン達……この世界はどうなるのかしら。ドラゴンが野放しなら、首長に知らせなくては。リバーウッドは手も足も出ないわ。ホワイトランのバルグルーフ首長に、出来る限りの戦力を送るよう伝えなきゃならないの。引き受けてくれたら、恩に着るわ」

 

 

確かにここの戦力と言えない戦力では壊滅するのは目に見えている。それにドラゴンは一匹とも限らないし、あれほどの強さのものが来なかったとしても、まずいことには変わりない。ホワイトランはスカイリムの中心地で大きな要塞だから、ここに送る分の戦力はあるだろう。第一バルグルーフ首長は自分の領内を見捨てるほど心無い領主ではないとも聞いているしな。

 

 

「ホワイトランへはどうやって行けば?」

 

 

「丘を渡って北に向かって。滝を過ぎると、丘の上にホワイトランが見えるわ。そこから門番にこのことを伝えれば入れてくれるはずだから、雲地区にあるドラゴンズリーチへ行って。中に首長がいるわ」

 

 

「わかった。なら準備を整え次第向かうとしよう。レイロフ!彼女とこのクマで何か美味い物でも食べろ。俺はホワイトランに向かう」

 

 

兜を着け直し、早い方がいいだろうと早速行こうとする。司祭の宿泊費用はクマ一匹あれば何とかなるだろうし、飯も付くだろう。するとレイロフとジャルデュルが慌てて俺を止めてきた。

 

 

「ま、待って。今は疲れているでしょう?話を聞く限りじゃ聞いてる方も疲れてくるくらいいろんなことがあったんですもの……少しの間は休みなさいよ」

 

 

「そうだぞ、ヴィンセント。お前ドラゴンの炎を止めたりしてたんだからしっかり休め。そのくらいしても罰は当たらんさ。それに飛び去ったドラゴンがわざわざまた戻ってくるとは思えん。少しくらいは猶予があるはずだ」

 

 

「ヴィンセント、あなたがいくら規格外だからって山一つ越えるようになるんだから休むべき時はしっかり休まないと……」

 

 

「あー、その、なんだ。みんなが言うように一日二日はしっかり休養をいれるべきだ。ベッドが足りないから宿屋に行ってもらうことになるだろうが、話は付けておく。クマ一匹あれば3人分くらい何とかなる」

 

 

「……」

 

 

何故かみんなに止められました。というか、レイロフがドラゴン云々言ったせいで余計にひどくなった。全然大丈夫だしマジカも回復しているんだが……まぁ、お言葉に甘えて今日は休むとするか。



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ホワイトラン
金の爪1


翌日。俺はフロドナに連れられて宿屋スリーピング・ジャイアントを出て雑貨屋のリバーウッド・トレーダーに向かっている。あれからクマの解体をし、ジャルデュルのクマ料理をごちそうになった。とても美味かったと言っておこう。

 

そして夕食後に俺はベッドの都合上宿屋に行くことになったんだが、司祭のカサンドラが一緒についてきた。どうやら強姦未遂のことがトラウマになりかけているようで、俺はレイロフに説明を頼んだ後一緒に寝た。事実暗闇の中何度も起きて震えだし、その都度に抱きしめていたんだが、結構やばい。一応助け出していた俺がいると落ち着くようではあるものの、今後どうなっていくかが心配だ。

 

そして今朝。一応の睡眠をとれた俺とカサンドラはやって来たフロドナも交えて朝食をとった。久々のマシな客だと宿主のデルフィンが張り切ってくれたおかげで朝食も美味かった。寝る前に一緒に手持ちのタダ酒を振る舞ったのが効いたんだろうか。

 

ちなみにフロドナに冒険の話を迫られて寝付くまで話していたおかげか、今ではすっかり懐かれた。レイロフよりも若いためか、『兄ちゃん』と呼んでくれている。そこでクマの毛皮などを買い取ってくれる所はないかと聞くと、進んで道案内を引き受けてくれた。今はカサンドラと共にフロドナを肩車してあまり遠くない道のりを進んでいる。

 

「あっ!兄ちゃんここだよ!リバーウッド・トレーダー。色々売ってるし、店主おっちゃんはむさくるしいけど、妹のカミラ姉ちゃんは美人さんだよ」

 

何故にその情報がいるのか問い詰めたいが、とりあえずフロドナを下ろしてどこかジト目で見てくるカサンドラを無視して中に入る。あれか、昨日話した冒険で出てくるのが女性が多かったのかいけなかったのか?などと考えていると、中から大声が聞こえてくる。

 

「誰かがどうにかしないと!」

 

「駄目だと言ったろ!冒険も、芝居も、盗賊を追いかけるのも駄目だ!だから……っと、お客さんだ。この話はここまでだカミラ」

 

俺達が入ったのに気づいた店主がカミラという女性を二階に上がらせる。渋々といった具合に上がっていったカミラはフロドナの言う通り、そこらのインペリアルよりも確かに美人だった。体つきも健康的でメリハリがあったし……おっと、思考がそれた。

 

「ふむ、狩ったにしてはかなり綺麗な状態の毛皮だな。多少毛が抜けているが、気になるほどじゃない」

 

「寝ているところに脳天一突きだったからな。元々の状態のままさ」

 

「ほう!それはすごいな!運が良かったのもあるだろうが、気配に敏感なクマに忍び寄れるとは大したもんだ。そんじょそこらの狩人には出来ない芸当だ……ふむ、これなら少し上乗せしても問題あるまい。お前さんの腕前に敬意を表すよ」

 

「おぉ、ありがとよ。これで昨日と今日の宿代が浮くってもんだ」

 

世間話をしつつも、宿代の分とクマ料理の代金を手に入れることが出来た。その間カサンドラとフロドナは近くの椅子に腰かけて、いつの間にか降りてきたカミラと話している。結構楽しそうに話しているので、俺は店主のルーカンに先程の事を聞いてみた。

 

「そういえばさっき口論していたみたいだが、何かあったのか?」

 

「あぁ、確かに多少の……窃盗があった。だが売るものは、まだたくさんある。盗賊は一つの物だけを狙っていた。装飾品だ、純金のな。ドラゴンの爪の形をしている」

 

だから取り返す取り返さないで口論していたのか。話の流れ的に妹自身が行くとか言い出したんだろうな。そんなこと普通に考えて家族が許すはずもないし、行ったとしても盗賊に負けるか途中の山賊に出くわして連れて行かれるのがオチだろう。

 

ふむ、ならばお仕事の時間かな。一応ジャルデュルには二三日ゆっくりしていけと言われてるし、ぼーっとしているよりはマシだ。

 

「ふむ、ならその爪を取り返す手伝いをしよう。どうせ今日一日暇なんだしな」

 

「おぉ、本当か?最新の積荷に金貨が入っている予定だ。爪を取り戻してくれたらやろう。盗賊を追うなら、町の北東にあるブリーク・フォール墓地へ向かうべきだ」

 

「了解。なら今から行くとするか」

 

俺は話を聞いていただろうカサンドラとフロドナと共に外へ出る。後ろで何やらルーカンとカミラが話しているが、とりあえず無視して外へ出た。墓地の場所をフロドナに聞けば、結構近いみたいだ。俺はカサンドラに手に入れた金を渡す。

 

「話は聞いていたけど、今から行くの?」

 

「あぁ。まぁ夕方には帰ってこれるだろうよ。おそらく山賊が多いだろうからカサンドラはここにいろ。罠も多いだろうし、遺跡に不慣れだと本当に危ない」

 

「はぁ……わかったわ。でも、すぐに帰ってきなさいよ?私からレイロフには伝えておくわ。いってらっしゃい」

 

「おぅ、行ってくる。フロドナ、カサンドラのこと、頼んだぞ」

 

「任せといてよ兄ちゃん!お土産よろしくね!」

 

胸を張って答えるフロドナとカサンドラに見送られ、俺はブリーク・フォール墓地に向かって歩き出す。距離的にはそう遠くないし、門を出たところの橋を渡って山を道なりに進んでいった先にあった。途中狼や山賊が出たものの、手間取ることなくぶち殺した。奴らの手持ちと毛皮は降りたときにまたルーカンに換金してもらう事にしよう。

 

「テメエのゴールドを数えるのが楽しみだぜェばふぁっ!」

 

「逃げてみろよ!背中からぶっすりいぃぃぃぃっ!」

 

そうして登り切ってみると、やけに薄着の装備で三下セリフの山賊と辺り一面を雪で覆われた遺跡を発見した。外から見たのと外観が同じなので、これがブリーク・フォール墓地で間違いないだろう。俺は両手剣を握りしめたまま、ゆっくりと扉を開けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ヴィンセントが山途中の山賊から身ぐるみ剥いでいるころ、カサンドラはフロドナと共にレイロフの元を訪れていた。家には仕事に出ているホッドを除いてジャルデュルもいる。レイロフはカサンドラの話を聞いて、小さく笑った。

 

「って、笑いごとじゃないでしょう兄さん!ブリーク・フォール墓地には今イカれた山賊が住み着いているのよ?あれだけの重装備をしているとはいえ、危ないわ!」

 

「はっはっは、ジャルデュル。あいつにはそんな心配はいらないさ。たかが山賊ごときにやられるあいつじゃない。いくら奴らが群れようが、無駄な事さ」

 

ジャルデュルがいくら止めてくるように説得しても、レイロフは笑うだけで動こうとしない。それどころか土産は何かなと言い出すほどだ。甥っ子と戯れる兄の姿を見て唖然とするジャルデュルを見て、カサンドラは苦笑しながらジャルデュルの隣に立った。

 

「本当にあの人は大丈夫だから心配しなくても良いわ。多分、宝箱でも背負いながら帰ってくるんじゃないかしら?」

 

「な、なんでそんなに落ち着いてるのよ!あれだけの数は傭兵や衛兵が徒党を組んで、しっかりと計画を立ててから倒すのよ?それをなんの準備もなく真正面から突っ込んでいくなんて……」

 

確かに、十を超える数がいる山賊に対して真正面から突っ込んでいくなど素人目から見ても愚の骨頂である。普通なら同じくらいの数の傭兵や衛兵を雇って計画を立てつつ倒すものだ。ましてや険しい山道は奴らのテリトリーでもあり、地の利は向こうある。しかしそれでも、カサンドラやレイロフには彼が倒れる姿が考えられなかった。

 

レイロフは昨日ヘルゲンでドラゴンにと帝国に立ち向かい、仲間を助けたあの背中を。カサンドラは同じくヘルゲンでの戦いっぷりと、昨日の夜に彼が話したことがその考えに確信を持たせていた。たった一日の仲なれど、二人の中で彼の規格外の強さは十分知れているのだ。それをジャルデュルに話すと、彼女は目を丸くして頬をひきつらせた。

 

「え……うそでしょ?」

 

「本当みたいよ?お酒の席だったけど、あの鎧と体中の傷跡が何よりの証拠。彼があのデイドラハンターのリーダーみたい。それにトロールを素手で殴り倒したとかなんとか言ってたわ」

 

「そ、それは俺も初耳だな……」

 

「兄ちゃんすごぉい!」

 

デイドラハンターの話は近年になってシロディール中のデイドラ崇拝者を震撼させ、現在多くの民に新たな英雄の一つとして語られている。ここ数年のうちに彗星の如く現れた彼らは、黒檀装備のリーダーに率いられ、数多くのデイドラとその崇拝者達を狩ってきた。少しでも噂を聞きつければ闇の一党よりも早くどこからともなく現れて、デイドラ討伐にしてはやけに少ない報酬で民草を苦しめるデイドラを一掃するという。しかもその間の死者は一切出さないというまさに英雄と言える存在だ。

 

しかし最近ではその活動も少なくなり、依頼されたことでしか受け付けなくなったものの、その腕前はステンダールの番人よりも上であるとかないとか。そして発足当初以降はリーダー以外のやる気がほとんど感じられなかったなどさまざまな噂がある。レイロフは話の真相を聞いているために、このことに関して言葉を濁らせた。英雄が実は単に装備を作りたくて乱獲していたなどと、目を輝かせている甥っ子の前では口が裂けても言えなかった。

 

それからやいのやいのと話は盛り上がっていき、カサンドラが一夜を過ごした感想を聞かれて慌ててからかわれるなど色々とあったが、それをヴィンセントが知るのはもう少し後の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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中に入ると、盗賊と大型のドブネズミであるスキーヴァーの死体がいくつも転がっていた。日にちがそう経っていないように見えるので、爪を奪った盗賊の仲間だろうか。なんて考えつつも、どちらにせよ殺すことには変わりないので先に進もうとすると、先に二人の盗賊が火に当たっているのが見えた。二人はまだこちらに気づいていない……弓で仕留めるか。

 

「はぁー……見張りってのも暇だよな」

 

「まぁね。でも一番楽な仕事には変わりないよ。こんな辺鄙な山奥まで来ようとする奴なんてそうそういないだろうし、いたとしてもここまでにいる仲間にやられてるさ」

 

いや、全部殺して身ぐるみ剥ぎましたが……まぁ、いい。俺はデイドラの弓に鋼鉄の矢をつがえ、しゃがみこんでから一息に放つ。一人はその一矢が頭に的中して即死。もう一人の女の方がビビりながらも剣を抜き放つが、こちらに気づいてないので意味はない。俺は特に焦ることなく脳天に的中させた。

 

「あぁ~あ。結構巨乳ちゃんだったな……こんなに柔らかいのに、もったいねぇ」

 

うぅむ、両手に収まりきらないこの感じがなんとも……はっ!いかんいかん。最近色々ありすぎて溜まってるのか、無意識に揉みしだいてた。死体相手にするなんて、俺も相当やばい人になるところだった。ホワイトランに行ったら女を買おう。うん。決定。

 

巨乳ちゃんに拝んでいくつかゴールドを頂戴し、近くの宝箱を漁ると40ゴールドに巻物、休息の薬(小)が入っていたのでもちろん頂いておく。そしてその先の通路を進んでいく。木の根っこだらけだが崩れていたりしたのでほぼ一本道だ。警戒しながら進み、ある程度行くと階段の下に松明を持った山賊を発見した。

 

まだばれていないのでそのまましゃがんで見ていると、先の柵の降りている部屋にあるレバーを何も警戒せずに引くという馬鹿をしでかした。もちろんそいつは四方八方からの矢によって蜂の巣にされて息絶えた。遺跡探索初心者だったんだろうか……。

 

「まぁなんにせよ、罠の存在が知れたのはありがたい。手間も省けたし……さて」

 

部屋に進み周りを見ると、部屋は明るく照らされて右手に階段があり、その上には固定された柱がある。そこには左から蛇・空き・魚が彫られていて、真ん中の崩れているところは下に落ちていた。紋章は蛇。部屋の左手には回転出来る蛇・鷲・魚の三種類の紋章があって、それが三つ並んでいる。そして真ん中にレバー。遺跡では典型的な仕掛けだ。

 

俺は左手の柱を上の固定柱の紋章と同じ紋章になるように回していく。手前側から蛇・蛇・魚だ。回すのが面倒だが、そうしないと進めないんだから仕方がない。間違うと矢の雨が降り注いでくるから、分からないときはレバーにロープをくくりつけて遠間からやったりもする。今回は簡単なものだからしないけど。

 

「よっと、正解だな」

 

ガシャン、と音を立てて開く鉄格子。先には宝箱が見えるものの、それに真っ先に飛びついて死んだ奴も大勢いるので変わらず両手剣を構え、伺いながら進んでいく。床にも気を配るのを忘れない。圧力床トラップなんて珍しくもないからな。

 

左に螺旋階段、右は壁、前には宝箱で罠もない。が、下からスキーヴァーの鳴き声が聞こえたから、先にそっちを処理して宝箱に向かうとするか。後ろから噛みつかれるなんてごめんだ。俺は壁にあったレバーで鉄格子を閉め、一応の盗賊対策をしつつ螺旋階段へ向かった。



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金の爪2

螺旋階段のスキーヴァーを片づけ、宝箱の中身と近くにあった魂石を回収し終えた俺は、改めて警戒しつつ下に降りていく。木製の階段は所々腐っていて非常に危なかったが、俺としてはいつもの事なので慎重に、しかしさっさと降りていった。

 

そして出たのは蜘蛛の巣だらけの通路。どうしてか机と棚があるが、それを無視して先に進む。すると、俺の足音が聞こえたのか、少し離れた場所から声が聞こえてきた。

 

「誰か……こっちに来るのか?ハークニール、お前なのか?それともビョルン?ソリング?」

 

聞こえてきたのは男の声で、少しくぐもってはいるもののかなり怖がっていることは声の調子で分かった。こっちの事がばれている以上先に進まないとかはないので、進んでいくとかなりの厚みの蜘蛛の巣で覆われた通路口があった。剣が蜘蛛の巣まみれになるのは嫌なので、火炎の破壊魔法で焼き尽くす。焦げ臭いが、これが一番楽なのだ。

 

中に入ると、蜘蛛の巣やら卵やらでいっぱいの巣穴とも言える空間だった。カサンドラが居たなら発狂しそうなレベルだ。そこらじゅうに糸で巻かれた死体が置いてあり、腐臭がひどい。そして先に目を向けてみれば、未だ生きている男が唯一の通路を塞ぐようにして蜘蛛の糸に閉じ込められていた。先程の声はこいつだろう。

 

「あ、あんた誰だ?まぁいい!ここから……またか!助けてくれ!」

 

言うや否や、突如視界に影がかかり、昨日よりも異様にでかいフロストバイト・スパイダーが真上に降ってきている。こいつらの獲物を捕まえる時の常套手段だ。具体的には三匹分位の大きさで、下から見るのは初めてだ。が、どうであれキモい事には変わりはない。

 

「あぁっ!くそ!こいつも駄目か!」

 

引っかかっている男が喚いているのを無視して、俺は仰け反るように両手剣を思いっきり振り上げる。こいつとは何度も遺跡探索時に遭遇しているので対処法はばっちりだ。遠距離から炎で焼き殺す事も一つだが、案外耐久力が高いこいつらは構わず突っ込んでくる危険が非常に高い。しかも虫ならではの生命力の高さもある。戦闘中に毒や糸で動けなくなれば、そのままお食事になりかねん。ゆえに、カサカサと動く足を切って機動力を奪う事で最悪の可能性を絶ち、頭を潰すのが定石だ。

 

しかし、俺はそんなちまちますることが好きじゃない。それにこの位置からじゃ足を斬っているうちに降ってくるし、跳んで逃げたら蜘蛛の巣に頭から入ってしまうから嫌だ。だから俺は、そのまま一気にグレートソードをぐんっと振りぬいた。

 

「ぬんっ!」

 

「ギキッ!!」

 

「なにーっ!?」

 

フロスト・スパイダーが石が擦れるような鳴き声を上げて、見事なまでに尻尾から頭まで真っ二つにした俺。大きさとかが丁度よかったからやってみたら出来た。多少毒の体液で鎧が煙を上げているが、デイドラ不思議機能で自己修復するので問題ない。最悪新しいデイドラの血さえあれば修復できる。サングイン様と飲み明かした時に気まぐれで付けてくれたらしい。どういう原理かはまったくもって不明ではあるものの、出来ているなら問題ないのさ。

 

「さて、そこのお前。さっきから何か言ってたな?」

 

「あ、あぁ!あのクソ蜘蛛を殺したんだな!よくやった!さぁ、誰かがやってくる前に下ろしてくれ!」

 

「金の爪はどこにある?」

 

「あぁ!あの爪か。どんな物か知っているぞ。あの爪、あの印、物語の間にある扉。この三つがどう組み合わさるのかを!下に降ろしてくれ。そうしたら見せてやるよ。ノルドがあそこに隠した力は信じられないほどすごいぞ」

 

にやけ顔で言ってくるこのダークエルフ。爪のことをここまで知っていて、こんなところにいる時点で盗賊なのは間違いない。しかも実行犯とみた。となれば、こいつを苦労して下ろしても逃げていくか殺そうとして来るのは確実だ。こういうやつが宝を分けようなんて考えるはずもない。

 

でもこいつを何とかしないと先にも進めないので、魔法でちょっとずつ焼いてほどいてく。途中途中文句を言ってくるのがウザったくてしょうがないものの、爪に傷をつけるわけにもいかないので黙って作業し、ようやくダークエルフが着地した……瞬間に逃げ出した。

 

「馬鹿なやつめ!何で宝を分け合わなけりゃヴぁはっ!」

 

「馬鹿な奴め、逃げられるとでも思ったか?」

 

メニューから取り出したドワーフのダガーを投げつけて見事命中。結構勢いもあったからか、べちゃっと効果音が出そうな勢いで倒れこんで動かなくなった。顔がにやけ顔のままなので、こいつは本気であの距離で逃げられると思っていたみたいだ。馬鹿としか言いようがない。

 

案の定こいつの腰の袋にあった爪とゴールドを回収し、先に進む。金の三本指で、言っていたようにドラゴンを模している。その手のひら?足裏?には三つの紋章が彫られていて、あいつの言っていた物語の間とやらに関係しているんだろう。

 

「行ってみればわかるか……」

 

死体を跨ぎ、蜘蛛の巣をかき分けながら進んでいく。小部屋を過ぎて通路に出ると、そこは崩れた遺体置き場だった。まぁ、ここ墓地だから当たり前なんだけども。よく見れば裸のミイラと何故か武装しているミイラを発見した。これは確実に動き出すと俺の勘が告げている。なので微妙に身じろぎしだした瞬間には首を斬り落とす。思ったよりも硬かったものの、デイドラ装備の前では意味もない。

 

なんて悦に浸っていると、その奥のミイラがゆっくりと立ち上がった。黒い錆びた胴部分のみの鎧に、同じく錆びついた黒い片手斧。ここはノルドの墓だから、古代ノルド人ということでいいんだろうか?

 

「アーヴ……ディロン」

 

「喋れんの!?」

 

驚いて両手剣をフルスイングし、首ちょんぱした俺は悪くない。だって、普通に考えておかしいでしょ。体腐ってるし、筋肉も硬直しているはず。なのにあんな滑らかにしゃべって、スムーズに動いてるんだから。シロディールにいるゾンビとはまた違うようだ。髭や髪も残っているし。しかし断面を見てみても、ゾンビほどではないにしろしっかり腐っているし……うーむ、古代ノルド人恐るべし。

 

閑話休題。

 

床にあった圧力式罠を跳び越え、ミイラ共を斬り殺しながら先に進む。途中にあった振り子斧の罠にはやっぱりビビったものの、魔法で粉砕して通過する。高速移動出来る魔法でもあったらなー。

 

その先は完全に埋葬室で、蜘蛛の巣だらけではあったが特に大きな障害は無かった。ミイラは本当にミイラになってもらい、罠はわかりやすかったので解除するまでもなく跳び越えていく。そうして進むと、何やら水の流れる音が聞こえてきた。その方角、というか真っ直ぐ進むと、少し広い空間に出た。左を見ると小さな滝のように上から流れる水が部屋を半分にするように流れていて、その方向には柵で閉じられた通路があった。

 

前を見ても立てかけられた黒い棺から出てくるミイラしかおらず、道らしき道もなくなっている。ということはこの流れる通路こそが本命だということ。ミイラを斬り殺し、そばにあった宝箱の中身を回収して柵の周りを見てみると、ご親切に真横に丸い取っ手付きの鎖があった。それを引くと、音を立てて柵が上がる。

 

俺はその薄暗い通路を進んでいった。



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金の爪3

えー、大変長らくお待たせしました。言い訳はしません。待っていてくださった皆様には本当に申し訳ないです。

今後もこのようなことになる事も多いでしょうが、よろしければ今後もお付き合いください。


通路を進むと案の定先の道が右に続いており、人一人分の広さをさらに行くと、広い洞窟に出た。左に水路から流れた水が流れており、ひんやりとしている。そしてここにはどうやら光るキノコがあるようで、壁のそこらかしこで淡く光っているため明かりに困ることはない。少し先には上から水が落ちてきているので、ここは雪山の雪が解けて流れ着く場所なのだろうか。

 

真っ直ぐ行くと大きな穴が開いていて、そこに水路からの水が流れて行っている。ここからリバーウッドの川に向かって流れていくんだろう。下にも通路が見えるが、このまま落ちて行って怪我をしたくないので右に向かう道を進む。

 

「ァゥゥゥゥ……」

 

「……どこにでもいやがるな」

 

進んだ先にいたミイラを弓矢で脳天串刺しにする。これでルート確保。さっき上から見た場所に降りることができた。装備とゴールドを回収していると、下に続く道と宝箱を発見したのでそれも回収。中身はゴールドと回復薬だった。骨とスキーヴァーの死体が転がっていたのは無視。

 

そこから道なりに進んでいくと、また墓地と同じような所に出た。崩れている道があるので、昔はあの水路のレバーの部屋からこっちに普通に来れたんだろう。こうやって遺跡は朽ちていくのかな……なんて感傷に浸りつつ先に行くと、やけに明るい場所に出た。両手斧を持ったミイラと奥に未だぱちぱち音がする火が灯っているのでこいつがここを守っているのか?

 

「ヴァゥ!!」

 

「むっ!?」

 

振るってきた両手斧をグレートソードで受けると、今までのやつよりも少し力が強い。見た目が変わらないのでいまいち原理がわからないが、奥にちゃんと進めていると考えていいのだろうか。財宝を守るために強いのを配置していると考えれば……なるほど、こいつの後ろにはちゃんとした造りの扉がある。俺はそれを確認してミイラを蹴って体制を崩させた後、下がった両手斧を踏んづけてから頭を叩き割った。

 

死体を跨ぎ、扉を開ける。少し進んでまたあった振り子の罠を破壊していくと、さっきよりも広い部屋に出た。先には丸太の階段や上には板で壁があったりと、ただ掘っただけの空間じゃない。油が床に撒いてあり、その上に火炎壺があるというあからさまだが丸焼きにされかねないトラップもある。

 

棺から音をたてて出てきたミイラにはまた棺に戻ってもらい、一応すべての棺を確認してから階段を上がる。古くて微妙に朽ちているためギシギシ言って怖いのには相変わらず慣れない。いきなり底が抜けた時は結構ビビるもんだ。

 

上がった先の扉を開けると、今度は細長い部屋に出る。そこには両隣の壁に壁画が描かれていて、雰囲気が違う。奥に行けば、三つの連なった丸いマークと、その下に三つの小さな穴がある。触ってみると、上にある三つの動物のマークはそれぞれ回せるようで、これを合わせてから穴に何かはめるのだろう。

 

そう言えばあの泥棒が物語の間とかどうたら言っていたが、もしかしたらそれがここなのかもしれない。とくればあの金の爪の三つの紋章が関係してくるのかと取り出してみれば、ビンゴだ。

 

「案外簡単な仕掛けなんだな……でも爪があるからこそか」

 

マークを回して爪を引っ掛け回すと音をたてて扉が開く。爪が全ての鍵というわけか。

 

罠の確認をしてすぐ目の前の階段を登ると、風が抜けて行っているのがわかった。よく見てみると奥には明るく広い場所で太陽の光がさしている。一番奥に進むとなにやら半円状の石碑のようなものがあり、いろんな文字が刻まれている。目の前には棺と宝箱もあり、油断は出来ない。石碑にはどれも爪でひっかいただけの傷跡のような……ような?

 

「……文字が光っている?」

 

何故だかわからんが、その光っている文字に吸い寄せられるように石碑に近づく。そして文字をなでるように手で触れていくと、文字の意味が頭の中に入ってきた。

 

「力の言葉……揺るぎ無き力(フォス)

 

言葉を発すると、その文字の光がするすると俺の身体にまとわりつき、中に入っていった。

 

え?何これ?力の言葉っていうと、魔法か?でもマナを通して言葉を唱えても何も起こらない。魔法は何かしらのエフェクトが起きるから、これは魔法じゃないのか?

 

「呪い的なものじゃない事を祈るしかないか……」

 

はぁ、とため息をつくと後ろの棺から今までのやつらとは違う雰囲気を纏ったミイラが出てきた。こういうのは文字取る前に戦うもんじゃないの?なんて思いつつ、武器を構える。

 

対するミイラは棺から出てきてこちらを確認すると、おそらく付呪のついた両手斧を構えてからなにやら口をもごもご。またなんかしゃべるのか?

 

「ロ……ダ!」

 

「うおっ!?」

 

何やら言ったと思ったら衝撃波のようなものが発せられ、俺の体勢が崩れてたたらを踏んでしまう。何が起きたのかさっぱりわからないが、感覚的は無理やり吹き飛ばされた感じだ。ウェアウルフとして鍛え上げた俺の筋力をもってしても強制的によろけさせるとは……少々まずい?

 

「ヴァゥ!」

 

「ちょっ!」

 

などと考えている暇もなく、崩れた体勢をただ見ているだけなはずもないので普通に両手斧を振り下ろされる。それを横に転がって避け、俺は一旦体勢を立て直す。

 

あの衝撃波は危険だ。手を向けたり、長い詠唱もなく、一単語であの威力。人によっては吹き飛ばされてしまいかねない。距離を取っている現状で撃ってこないので連発出来ない様なのが救いだが、問答無用のよろめきは戦闘において相手にプラスしか与えない。ならば!

 

「速攻あるのみ!」

 

「ア゛ァッ!!」

 

剣を握りなおして一気に懐に飛び込む。そしてまた振り下ろしてきた斧を剣で受け止めるが、やはり今までのミイラよりも力も強い。するとまた口をもごもごし始めたのでさせまいとそのまま前蹴りでよろめかせる。そしてそのまま踏み出した足を軸に拳を握りしめ、振りぬいた。

 

「オラァッ!」

 

「リョッ!」

 

顔面にクリーンヒット!またあの衝撃波を出そうとしていたからか、変な声を上げたまま吹っ飛んでいったが、そのままにしておいて結局出されたくないので追いかけて踏みつけ、首を落とす。これであの衝撃波を出されることはもうないだろう。

 

「ふぅ……何だってんだ、あれ」

 

落とした首と胴体も調べてみるが前に見たミイラとそんな変わりはない。特別な器官も見つからず、結局何なのかはわからないままだ。シロディールではいなかったからわからないが、これがこいつらの特殊能力なのだろうか。強い個体のみと考えると、まだ納得がいく。

 

「帰ってみんなに聞いてみるしかないか」

 

ともあれこれで戦闘も終わったわけだし、ずっとほったらかしにしていたでかい宝箱を開ける。すると中には黒い石版があり、おそらく古代語で文章が書かれていた。俺には読めんが、しかるべき人に渡せば解読できるかもしれない。これも聞いてみるか。

 

「よっ、と。さて、帰ろうかね」

 

石版にゴールド、他にも今回手に入れた物をすべてこの大きな宝箱に入れ、担ぐ。どっから出したと言われて説明するのは面倒なので、まだこっちの方が楽なんだ。しかも大きさも手ごろだし、このまま戦闘も出来ないことはない。

 

石碑横の階段を上がり、仕掛けを作動させて、俺はようやく外に出ることが出来た。



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金の爪4

あれから少し経ち、俺はちょっとばかし迷いながらも何とか日が沈む前にリバーウッドに帰還した。あの墓地の出口は山の斜面だったので、下りるのが面倒だったが。それと宝箱は一旦メニューに収めて村の手前で取り出した。

 

「ヴィンセント!」

 

「おぉ、カサンドラ、フロドナ。ただいま」

 

村の入り口に着くと、そこにはフロドナと共にカサンドラがそばの切り株に座っていた。俺は警戒用に右手で持っていた剣を背中に背負う。宝箱も一旦置いた。

 

「すっげー!兄ちゃん本当に宝箱を担いで帰ってきたよ!姉ちゃんの言った通りだ!」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「あぁ、いえ……なんでもないわ!さっ、早くルーカンさんに報告しないと!」

 

「お、おい!」

 

目を輝かせるフロドナから逃げるように、カサンドラは俺の背を押してリバーウッドトレーダーへ急かしてくる。何が何だかわからんが、明るいフロドナのおかげでカサンドラが少しでも元気になっているのならいいことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「見つけたのか?ハッハッハ!言った通りだ。変だな……思っていたより小さいようだ。おかしなものだな?ん?」

 

リバーウッド・トレーダーに入って早々L字型の木のテーブルに金の爪を置いた俺は、笑顔で上機嫌のルーカンに背中をバシバシ叩かれていた。カミラもその様子をニコニコと笑顔で見つめた後、俺の担いできた宝箱をフロドナと一緒に開けて中身についてやいのやいのと騒いでいる。

 

宝箱の中には爪、石版と共に今回の戦利品の数々や手持ちの売ろうと思っていた小物も入れてある。ちょっとした宝石箱状態だ。そのことを一応伝えてはいるのだが、フロドナはどっちにしろ俺の勝ち取った物であるという事実が大事だそうで、それが一度も見たことのない古臭いがしっかりとした宝箱に入っているのだからもうたまらないとかなんとか。

 

彼は将来ストームクロークに入ってレイロフと共に闘いたいと言っていたが、俺の戦果を見て悩んでいるみたいだ。こうやって俺がやったことに目を輝かせて自身の夢にしてくれるというのは、正直すごくうれしい。どちらを選んでも命を懸ける職業になるが、ジャルデュルやホッドは息子の選んだ道を進ませたいと言っていた。どうするかは彼の決める事ではあるが、どちらを、もしくは他の生き方を選んでも俺は応援してやろうと思う。まぁ、まだ十位の歳の子供にここまで考えるのも我ながらどうかとは思うのだが。

 

「これは、あるべき場所に戻すつもりだ。決して忘れないよ。俺と姉妹のために凄い事をやってくれた」

 

「俺は戦うことしか出来ないからな。あとはちょっとばかしの鍛冶と魔法か。それぐらいでよければいつでも相談してくれ」

 

「謙虚なやつだ。あれだけの盗賊を一人で倒してきたにも関わらず、自慢の一つもしないとは。まぁ、謙虚さも美徳の一つか。ほら、約束のゴールドだ。今回の労力に見合った額だといいが」

 

じゃらりと皮袋に入ったゴールドをテーブルの上に置き、ルーカンは金の爪を棚の奥に仕舞い始めた。俺はゴールドを受け取って一旦テーブル前の丸机の上に置く。どうにもさっきからフロドナとカミラが戦利品をいじくりながら俺の話を聞きたそうにちらちらと見てくるんだ。まったくもってわかりやすい。カサンドラを見れば苦笑しながら二人を見る。話してやれってことだろう。フロドナはまだしも、カミラ。けっこうじゃじゃ馬娘か?

 

「全く、しょうがない奴らだ。ルーカン、この丸机借りていいか?」

 

「あぁ、いいぞ。どうせ暇だしな。その間に宝箱の中身の査定……は後にしておこう。俺もゆっくり話を聞くかな」

 

宝箱を取ろうとすると途端に嫌そうな顔をするフロドナ。物を見ながら話を聞きたいのと、後でジャルデュル達にも見せたいそうだ。俺の戦利品なんだが、どうやら決定権はこの小さな戦士様にあるらしい。ルーカンも苦笑しながら椅子を引っ張り出して聞く体勢に入った。子供にはどうにも甘いらしい俺が、一息つくのがもう少し後になるのは確実だった。

 

そうして話始めるのは今日出て行ってから帰ってくるまでの出来事。巨乳ちゃん云々はもちろん省いて、山賊がみんな馬鹿ばっかりだったとかミイラと戦ったとか。フロドナとカミラは目を輝かせて聞き、カサンドラとルーカンは引っ張り出してきたジュースを飲みながら興味深げに聞く。自慢するのは好きではないから、誇張はなく、実際の事と対処法なんかを交えて話す。吟遊詩人の友人に教えてもらった、人を楽しめる話し方はいろんなところで役に立つ。ゲームで言えば、話術スキルが結構高くなっていることだろう。

 

「ほう、ドラウグルも敵ではなかったわけか」

 

「ん?あのミイラの事か?」

 

「あぁ。まぁゾンビのようなものだが、力はけた違いだ。それにある程度生前の知識もある。魔法も自在に操る個体も確認されているしな」

 

詳しく聞けば、あのミイラ……もといドラウグルは古代ノルド人のなれの果てらしい。詳しくはルーカンも他の面々もよくわからないそうだが、強い力を持っていた人物とかがなりやすいそうだ。なので、時折遺跡には強力なドラウグルが住み着いているらしい。しかも生前の強力な装備のままというなんとも面倒な状態でだ。ゆえに、死者が絶えないとかなんとか。

 

「なるほどね……なら、こいつを持っていたやつも生前は強かったのか」

 

「古代ノルドの両手斧か……ほぅ、冷気の付呪がされているな。状態も、まぁ悪くない。これなら少し高く売れそうだ。フロドナ、触るんじゃないぞ」

 

「えー!おっちゃんのケチ!」

 

何だかんだで持って帰っていたあの最後のドラウグルの両手斧。フロドナに触らせないようにこちらの手元に置いておく。付呪されている武器の刃を直で触ると危険だからな。

 

あの最後のドラウグルは普通の戦士よりも強かったし、最後のあの石碑を守っていたようだったからそこそこ名の知れたやつだったんだろう。俺が首を落としたからもう復活する心配はないとは思うが、あれに何人が殺されたのやら。

 

「まぁ、何はともあれこれでリバーウッドの近くの山賊は駆除した訳ね。これでしばらくは大丈夫でしょ」

 

「えぇ。あそこの山賊には皆苦労させられていたもの。この村の皆もあなたに感謝するでしょうね」

 

「これでうちの荷馬車も襲われる心配が少し減ったな。だが奴らはネズミのようにすぐに湧いてくる。今のうちにいろいろ済ませておこう」

 

そう言って立ち上がったルーカンは二階に上がっていき、カミラに店じまいの指示を出す。カミラは不満そうだったが、明日もまだいる旨を伝えると渋々といった具合に準備を始めた。それがお開きの合図となったため、俺達はリバーウッド・トレーダーを出ることにした。



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ホワイトランへ

最近うまく文章が書けない作者です。長らくお待たせしました。

ネタはぽろぽろ出るんですが、それを文章に書きあげると何か違ったり。スランプですかね……。


雑貨屋での出来事から二日目の早朝。俺はカサンドラと共にリバーウッドのホワイトラン方面出入り口に立っていた。

 

あれからフロドナに引っ張られて到着したジャルデュルの家で報告会を開かされた。娯楽の少ないこの村では子供にとって少し効きすぎる話だったようだ。そしてしばらくして満足したのか寝付いたフロドナを奥にやって大人の時間。警備担当の村人も招いて山賊の配置と討伐数を現地の人間が把握している分と照らし合わせ、現状を確認する。

 

賊の討伐に関してこういう確認は必須事項だ。旅の途中で出くわしてそのまま別方向に行くなら良いが、正式な依頼になってくると話は別だ。今回の場合は村人からの依頼という形になるし、行商の邪魔にもなる類を片づけたので報告した。またいつ湧き出るかわからないが、こういう防御手段の乏しい村ではこの一時がとても重要になるのだ。それに、こういう報告があるからこそ巡り巡って自分の命を長引かせるのだ。だからこそ討伐した者はマナーとしてある程度報告をすることが暗黙の了解になっている。

 

そして次の日は完全に休暇とし、村をぶらついて過ごした。戦利品も売ったので、小銭が稼げた。途中カミラを巡るしょうもない男二人にからまれたが、逆に説教してやった。だって、自分がいかに云々・こいつがいかに云々しか言わないしょうもない男だったからだ。ぐちぐち言う前に動けっつうの。さらにその後やけに丁寧に互いの筆跡を似せた手紙を渡されたのでルーカンに渡しておいた。中身を見た途端すっ飛んで行って拳を拭きながら帰ってきたのでもう大丈夫だろう。家族って素敵。

 

「よし、それじゃそろそろ行くか」

 

「えぇ。こっちも準備出来たわ」

 

荷物を担ぎ、門をくぐる。レイロフ達とは昨日の内にすでに挨拶を済ませているので問題ない。散々世話になっておいてこんな早朝まで起きてもらうのも申し訳ないからな。彼等には彼等の生活がある。

 

「んー!……気持ちのいい日ね」

 

「あぁ。ここら辺は気温も良い感じだし、自然も豊かだ。過ごしやすい場所だよ。ブルーマがそうだったから、スカイリムはもっと雪だらけだと思っていたんだがな」

 

「あながち間違ってないわ。大体の山は雪で覆われているし、冬になれば大変よ。ここら辺はまだマシな方ね。北のウィンターホールドやドーンスターは基本雪だらけだし」

 

そんな風に雑談しながら歩き進める事しばし。自然豊かな斜面を登り、川の流れに沿って下る。そして途中で出てきた狼を手なずけながら先に進んでいった。なんというか、格は上だけど同じ存在だとわかるのだろう。素直に引き下がっていった。

 

そうして日も少し上がってきたぐらいで、ようやく開けた場所に出ることが出来た。少し離れたところには大きな城壁にぐるりと囲まれたホワイトラン要塞が見える。大きな岩の上に建てられているので、ゆるい坂道の入り口以外はほぼ直角になっており、しっかりとした守りの要塞と言えるだろう。

 

すぐそばにはハチミツ酒の生産工場や農園があり、ぽつぽつと風車が回っている。この状況下でなければ素直にのどかな風景だと感想を述べているだろうが、現状では彼らにとって危険極まりない場所に過ぎない。強固な城壁に囲まれたホワイトラン要塞でさえも、空から攻撃されればひとたまりもないのだから。

 

「しかし、悲観してても始まらないか」

 

「そうね……それを言い出したら私達地下で住まなくちゃいけなくなるわ」

 

「ファルメルみたいにか?そいつは御免だ」

 

「私だって嫌よ」

 

互いに軽口をたたきながら先に進む。

 

ちなみにファルメルとは、かつてスカイリムに暮らしていた文明的な白いエルフの一種族のことだ。その昔スカイリムはノルドの故郷だとして、イスグラモル率いるノルドと戦争し、敗れた。さらに同盟関係であったドゥーマー(ドワーフ)の裏切りに遭い、地底の奥深く、あるいは地上でも人里離れた山奥に追いやられてしまった。それゆえ、地上に暮らす全ての種族を憎んでおり、発見しようものなら問答無用で襲いかかってくる。今ではかつての知性は失われ、暗い洞窟に籠る邪悪な存在とされている。さらにドゥーマーが与えた毒性の菌類と長い地底生活の影響で視力を失っており、その代わりに他の感覚が鋭くなっているのも特徴だ。地上に暮らす種族とは別の言語と文化をもち、地上の研究者からは、興味深い研究対象とされている。

 

彼らもオークと同じく非業な種族だ。地上にも出れず、他種族にも嫌われ、惨めに地下で暮らすしかない。かつてスノーエルフとして栄えた文明は、すでに見る影もない。

 

「ん?あれは……」

 

少ししんみりしていると、先の農地で数人のノルドが巨人と戦っているのが見えた。見る限り劣勢というわけではなく、危なげなく戦っている。そして油断なく立ち回り、巨人を倒れさせた。見事と言えるだろう。普通の人間には巨人は体格差からいっても倒せるものではない。その後の警戒もしていることから彼らは手練れの集団のはずだ。だが……今回は少しばかり、油断したようだ。むくりと上半身だけ起こした巨人によって、背中を向けていたノルドの女が叩きつけられたからだ。

 

「カサンドラ、荷物頼む」

 

「え?ちょっと!?」

 

俺は一気に駆け出し、メニューから両手剣を黒檀の戦鎚に切り替える。そして最後の力を振り絞ってか、もう一度赤毛のノルドの女を殴ろうとしている巨人との間に割り込んだ。周りのノルドは俺の飛び入りに驚いていたが、それどころではない。

 

「デイドラ!?」

 

「なんでこんなところに!?」

 

まぁこの見た目じゃあ仕方がないか、なんて考えながらも巨人の腕を横から戦鎚で思いっきり叩きつける。走ってきた分の推進力も合わさって、元々弱っていた巨人の腕はひしゃげながら明後日の方向に弾くことが出来た。そして俺はそのまま体を回転させて、巨人の頭に向けて戦鎚を振り下ろす。

 

「ウオォォォリャッ!」

 

ぶちゅり、と骨と共に頭がかち割れて中身が飛び出す。汚い返り血を浴びてしまったが、流せば落ちるか。ちょっと戦鎚を引っ張ったけど、引っかかったのか取れないので放置。まずはこちらを見ているノルドとの話が先決か。そうしないと彼女の治療も出来やしない。

 

「危ない所だったな。間一髪間に合ったが、今後はしっかり止めを刺すことをお勧めする」

 

「ショールにかけて、肝に銘じよう。そして礼を言う。少し油断が過ぎたみたいだ……で、あんたは何者だ?」

 

「この通り、同じノルドだ。同胞よ。このまま自己紹介と行きたいところだが、彼女の様態を見たい。治癒の許可をもらえるなら、俺がするが?」

 

兜を外し、同じノルドであると証明する。この世界において、同族であるというのはそれだけで好感に繋がる。前世では考えられないほど仲間意識が強いのだ。

 

そして俺は回復魔法で少しだけ巨人の傷を塞いで見せる。たとえ死体でも死後そんなに時間が経ってないのなら、回復魔法でも少しだけ傷が治る。これで俺の魔法が回復だということが一応証明された。あとはこの目の前の鋼鉄装備のノルドの男がどう判断するかだ。

 

「そうか。本来であれば、同胞とはいえどこの誰とも知らぬ輩に盾の姉妹を任せることはしないが……緊急事態だ。仕方あるまい。こちらには薬はあるが、治癒師がいない。頼めるか?」

 

「了解。すぐにアーケイの女司祭がこちらに来ると思うが、俺の連れだ。通してやってくれ」

 

「わかった。では、頼むぞ」

 

周りの警戒をノルド達に任せて俺は彼女の様態を確認する。ゆっくりとうつ伏せの体勢から仰向けに動かし、籠手を外して軽く触診。俺は専門でないからざっとしかわからないが、頭部を軽く打ったせいで気絶している状態だ。あとは数か所の傷と、あばら骨が数本折れている。幸い内臓に刺さってはいないようなので、魔法と薬で治していけば問題ないはずだ。

 

俺は回復魔法を発動しながら、その野性的ながらも綺麗な顔立ちを見る。顔に緑で爪痕のようなフェイスペイントをしており、装備は皮鎧に弓と片手剣。しかし鎧と言っても肩当と足部分と籠手だけで、胴の部分は別の革の布で隠して紐でくくっているだけだ。何と言うか……横乳バンザイ。

 

「よし、これで大体終わった。あとは専門の治癒師に診てもらって、薬と毎日のケアをすればそう時間も掛からずに回復するはずだ」

 

「おぉ、見事だな。盾の姉妹を助けてくれたこと、心から感謝する。俺はファルカス。あんた、中々冷静で腕もたつようだ。これなら慎み深い盾の兄弟になれるな」

 

「先に名乗られてしまったな。俺はヴィンセント、旅人だ。ところで、盾の兄弟って?」

 

回復を終えた後にちょうどカサンドラも合流し、男のノルド、ファルカスに話を聞く。女のノルドのアエラは別の仲間によって介抱されているので問題ない。到着したカサンドラが女に荷物を放り投げるとは何事かと怒っていたが、緊急事態ゆえにやむなしと言って何とか説得した。もちろん、この後食事を奢る約束を取り付けられたので、彼女の気持ちも少しは収まってくれるだろう。

 

「見たことのない身なりだと思ったら、よそ者か。“同胞団”のことは初耳か?これは戦士としての秩序だ。俺達は名誉ある盾の兄弟姉妹なのさ。で、ここには問題を解決しに来たんだ。十分なゴールドが貰えるならね」

 

「待て、同胞団だって?」

 

同胞団といえば、俺の両親が所属していた戦士ギルドみたいな場所だったはず。そこである人物に世話になったとも。二人とも結婚を機に去ってブルーマに移住したが、同胞団での話はよく聞いた。そういえば盾の兄弟とかいう単語も聞いた覚えがある。当時は何のことかよくわからなかったが、これで理解した。

 

「あぁ。ホワイトランの雲地区にあるジョルバスクルに本拠地を構えている。導き手である俺の養父、コドラク・ホワイトメインを筆頭にな。自信があるなら、訪ねてくると良い。あんたなら歓迎だ」

 

「……そうだな。考えておくよ」

 

だがここでその話を出す必要はない。いずれそのジョルバスクルとやらに赴いたときに伝えればいい。俺は兜を被り直し、ファルカスに先に行くことを告げる。すると彼らは簡単な事後処理があるからと後から街に向かうと言った。

 

「わかった。彼女は出来るだけ早く治癒師と錬金術師の処方を受けさせてくれよ?」

 

「もちろんさ。それじゃ、またな」

 

軽く手を上げ、カサンドラと共に先を急ぐ。先程の騒動で治癒に思ったよりも時間が経ったため、少しばかり日が傾きだした。今日これから首長に謁見出来るかどうか、微妙な時間帯だ。

 

今の季節柄もあるが、この世界では前世よりも日が沈むのが早い。それに伴って人々の活動時間も制限される。そのため店の営業時間は飲食店を除いて長くても日が沈んで少しだし、もっと早くに閉める所もある。その分朝は早いんだが……まぁ明かりが松明位しか無いんだから仕方がない。首長ともなれば就寝時間も他より遅くなるけど、そう変わらないわけだ。故に、緊急とはいえこれから手続きとか言われたら明日以降になってしまうだろう。

 

もっとも、そんな悠長なことは言ってられない事態なわけだけども。




前書きにある通り絶賛不調中であります。今後リハビリしながら頑張っていきますが、何か違うと思うところがあるかもです。その際は感想にちょろっと頂ければ幸いです。

元々が趣味で書き始めているためあんまり深くはできませんので、そこのところはご容赦下さい。


~以下雑談~

メトロラストライトゲット&クリアー!

とりあえず2週クリアと2つエンディング見ました。1週目血みどろ殺戮。2週目要所以外不殺。でもなぜかトロフィー取れませんでした。

前作メトロ2033を上回るボリュームとストーリー。今作ではより深く各陣営の状況が描かれていましたね。共産主義者・ファシスト・オーダー、前作ではあいまいだった陣営内容が深く知れました。

そして途中にある駅がそれぞれかなり特徴的になりました。前作ではどこも同じような退廃的で殺風景な場所がよそに移ればあんなに変わる物なのかと。こればっかりは皆さんで直に見ていただきたい。前作プレイした人なら軽い感動を得られるでしょう。

神ローカライズは相変わらずで、声優陣も少し増えてまた豪華に。同じ人が声としゃべり方を変えているのもまたなんとも。

操作感覚はちょっとCODに寄ったかな?まぁ良くも悪くもFPSゲームでした。さらに今作から所持弾数制限があるため、弾丸の消費所は少し考えないといけなくなりました。そうそう尽きることはありませんけど。今作からボス戦が追加されたのでそこで苦労するかな。

とにもかくにも、面白かったです!これは前作からおすすめ!しかし前作やってなくても大丈夫。軽い説明は入るので、プレイしてればわかってきます。PS3版も出てるので、この機会にどうぞ。

前作はXBOX360のみのため、注意をば。


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