罪の世界からの贈り物 (タン塩)
しおりを挟む

1話

ペルソナ2プレイしたはのは随分前で、ちょっと設定とか自身ないですが頑張ります。よろしくお願いします。


 私は、夢を見た。

 

 

 

 友人に誘われて変わったおまなじないをした事を。それから、暫くもしない内に街には『ジョーカー様呪い』という、すれば理想を叶えてくれるという噂が流れ、街に超常現象が起こり、悪魔が街に現れそれに対応する人達が現れ、そして私も巻き込まれていく。

 そんな夢だ、今日の夢は『夢の私』が初めて、悪魔と戦った時のものだ。

 

 

 

 

 なにやら友人が騒いでいた、なんでも同じ学校の生徒達がアイドルユニットを結成、そのPVをムー大陸で取るらしい。私にとっては、しごくどうでもいいのだが、友人にとってはそうではないらしい。

 野次馬根性を全開に、拒否する私を「いいから、いいから」と半ば無理やりムー大陸に連行していった。

 店に入るやいなや、PV撮影のディレクターとおぼしき人物がエキストラ役の役者を悩んでいたが、私より数瞬遅く入ってきた5人の男女がそっこうで抜擢された。その中には私の学校の先輩で有名人が居たが今は置いておこう。

 私が対岸の火事を見物していると、交渉が終わったのだろう、その5人の男女は店の奥へと入って行き、反対にディレクターは私に近づきポンと肩に手を置き「君も頼むよ」と声をかけてきた。

私はそんな目立つことは御免被りたかったので、遠慮しようとしたときだ、奴が動いた。

 私の隣からは、「いいですよ」の言葉を言う友人。私は必死に「嫌だ、行きたくない」というが友人は「いいから、いいから」の二言ですませ、謎の怪力をもって私を引きずり店の奥の部屋へと私を押し込んだ。あやつ本当は友人ではなく、いじめっ子ではないだろうか?

 

 帰ろうとロビーへの扉を開けようとしたが、鍵が掛かっているのか。扉はビクともしなかった。

 仕方がなく先に入っていった面々と合流するべく、宛もなく廊下を歩いているとそれを見つけた。いや、見つかってしまったと言うべきか。

 

私は、女性の躰に、猫の耳をはやした怪物と相対してしまった。

 

 

『フフフ』

 

 怪物猫女は、私を獲物だと見定めたのだろうか、不敵な笑みを浮かべている……

猫女が私の頭から足を舐めるような目つきで見つめ、舌なめずりをした。

とても、人間には捉えられない動きで私の目の前まで移動し、爪を振りかざした

 

 鋭利な爪で切り裂かれると、身構えた。

あの爪に切り裂かれ、無残な血まみれの躰になった私の姿を幻視したが、いっこうにその時は訪れなかった。

 薄く目を開き、周囲を確認すると。私の躰から、青いオーラが出ていてそれが猫女を遠ざけていた。

 青いオーラを視認した瞬間、私の頭、いや心に中性的な声が響いた。

 

『我は汝…汝は我…

 我は汝の心の海より出てし者…

 夜と静寂の防人■■■■なり…』

 

 

 

 

そこで、私の目が覚めた。

 

 

「久しぶりね、あの夢も……」

夢と言うには、あまりにもリアルな夢。それを私は、よく見ていた。

それも2年前までだが……

 

 この夢をみると、私はある衝動に駆られる。

あの『おまじない』、ペルソナ様を……

試したい、いや試したらダメだ、試すと巻き込まれる。

いいや、試さなきゃダメだ試さなければ死ぬ死んでしまう。

 

私は、この相反する衝動に疲れてしまった。

だから、私は試すことにした。

あんな非科学的なことが起こるはずが無いと、もう一つの衝動を抑える理由を作って。

 

「ペルソナ様、ペルソナ様、おいでください。」

と唱え、部屋を一周し自分の肩を叩いた。

 

しばらくして、自分の身に何も異常が起こらなかった事を確認し。

やはり夢かと、残念に思う自分に戸惑いながらも、今日の予定を組もうとした時異変が起こった。

部屋に『私』の幽霊が現れたのだ。

『私』は、何かに意識を引きづられつつある私に訴えかけてきた「受け取って……」と

 

 

『ようこそ、お初にお目にかかる。

 私は、フィレモン。意識と無意識の狭間に住まう者。

 さて、君は自分が誰であるか。

 名乗ることができるかね?』




見切り発車の小説です。オリ主の名前もまだ決まってない(笑)初期ペルソナは決まっているに……
投稿続けるにしても亀投稿になります。私のモチベーション次第で数週間~数ヶ月

文法、句読点使い方等怪しいと思いますが、初心者故、ご了承願いたいです。

次か、次の次位から書き方変わります(あればね)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話

また短くて、ごめんなさい。なんかきりのいい所まで一日で出来たので投稿します。次いつになるかわからないんで。


2014/11/13修正
2011年4月11日休日だと思ってたんですけど普通に月曜日だったんですね(笑)
高校だともう通常授業ですよね。学校の事、数行追加しときました。

追記:G最初から、プレイして確認しましたが通常授業は13日からみたいですね。11日始業式or入学式ですかね、修正しときます。


『ようこそ、お初にお目にかかる。

 私は、フィレモン。意識と無意識の狭間に住まう者。

 さて、君は自分が誰であるか。

 名乗ることができるかね?』

 

 蝶の意匠を施された仮面をかぶった、少女が名乗り、問いかけてきた。

 

「式縞……咲……」

 

「あっ」

 

 私は名乗るつもりもなかったのに、私の口は無意識のうちに名を告げていた。

 

『結構。

 ここに来て自分が誰であるか、語れる者は多くない。

 どうやら君は合格のようだ。』

 

 どうやら、私は試されていたらしい。何を試されているのか、不明だが……

 

 『ところで、君は。

 自分の中に、複数の自分を自覚したことはないかね?

 神のように、慈愛に満ちた自分。悪魔のように残酷な自分。

 人は様々な仮面を付けて生きるもの。

 今の君の姿も、無数の仮面の中の一つでしかないかもしれない』

 

 気に入った人物、気に入らない相手とで、確かに対応の仕方は変わる。

それが仮面かといわれば、なるほどその表現はしっくりくる。

 

 『しかし、君は自分が誰であるか名乗りをあげた。

  その強い意志に対して敬意と力を贈ろう。

  

  ペルソナ

  

  心に潜む、神や悪魔の姿をした。

  もう一人の、君を呼び出す力だ』

 

 なにやら、この少女は私に力をくれるらしい。

 神や悪魔を呼び出して、どうしろっていうんだ。私が、住んでいるのは平和な田舎町だぞ。

 

 『そして、これは別の者からの贈り物だ』

 

 仮面の少女が両の手の上に、白い本と銀色の鍵を出現させると。それらは、ゆっくりと私の前までやって来て光の粒子に分解され、溶けるように私の中に吸収されていった。

 

 「うっ」

 

 今、私の中に強大な感情が流れてきた。それは、後悔と悲しみと決意だ。それらが、膨大な奔流となり私の中で暴れていて、目からは理由もなく目から涙が溢れていた。

 

 『ふむ、どうやら今の君には制御が難しいようだ。

  少しづつ慣らしていくといい』

 

 少女が私に手をかざすと、私の中の感情の奔流は収まった。

 

『これらの力は、この先必ず役に立つ時が来るだろう。

 さぁ、戻りたまえ。君があるべき、時間と世界の下へ』

 

 また、意識が遠くなるが不安は無い。むしろ、あるべきところへ帰れる安心感のほうが強かった。

 

 目を覚ますと、そこは見慣れた自分の部屋だった。ホッと息をつき時計を確認する。

 

 まだあれから、殆ど時間は経っていなかった。

 

 私は先ほどのことを無理やり夢だと自分の中で納得させ、学校に行く。

今日は始業式で半ドンだった。明日もオリエンテーションで半ドンらしい。

 

 

 

 家に帰り、適当に教科書を斜め読みし、予習と復習をした。今日の残りの予定を考える。そういえば、趣味で描いている絵の画材が切れかかっていた。絵の具などは八十稲羽で手に入るが……ちょうどいい、今朝の事でモヤモヤしているし、気分転換も兼ねてバイクで沖奈まで行くことにしよう。

 

 そう思い、家をでると。ちょうど、隣の堂島親子も家を出てきたところだった。

 

 




フィレモンさんについて言い訳させていただきますと。フィレモンさんは、初見の方には皆に対してテンプレしてそうという、私の偏見からこうなりました。規約に引っかかりそうでしたら、書き直します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話

ごめんなさい。ミスって消しちゃいました。前回と内容は変わりません


堂島さん、菜々子ちゃんこんにちは」

 

「おう、こんにちは」

 

「咲お姉ちゃん。こんにちは」

 

「お出かけですか?」

 

「ああ。今日、都会から俺の甥が引っ越してくるからその出向かいだ。お前と同い年で、通う高校も確か一緒だったはずだ、一年間だけだがよくしてやってくれ」

 

「甥?」

 

 うん?甥なんていたのか……千里おばさんの葬式に、それらしい人居なかったような気がするけど。まぁ、そこら辺は家庭の事情があるだろうから気にしないでおこう。

 

「名前は、本人からきいてくれ。そっちの方がいいだろう」

 

 これから一年間はお隣どうしになるわけだから、自己紹介ぐらいは自分でやった方がいいと考えてのことだろう。

 

「わかりました」

 

 

「ねぇ。咲お姉ちゃん、今度ピアノ聴かせて」

 

 ピアノか、そういえば最近。いや、千里さんが亡くなってから弾かなくなったな。この子も無意識の中で憶えているのだろう、自分の母がピアノを教えていたことを……まぁ、私は電子ピアノだし、千里さんと比べると月とスッポンなんだけどね。

 

「わかった、今度ね」

 

 家の電子ピアノにホコリを被せておくのも勿体無いし、私の未熟な演奏スキルでこの子の慰めの役に立つのなら喜んで弾こう。幸い、今の私は暇を持て余している。

 

「やったぁ。約束だよ」

 

「菜々子そろそろ時間だ」 

 

 堂島さんが、車の前で時計に目をやり、まるでこの話は終わりだとばかりに話を切り上げた。

 

「うん、それじゃあね、お姉ちゃん」

 

 私も、自宅からバイクを出してくる。 

 

「お前も、出かけるのか。いちいち言わなくてもわかっているとは、交通法規はしっかり守れよ」

 

いや、守るに決まってる。

 

「お隣さんが怖いんで、厳守してますよ」

 

「お前が交通違反するとは思っちゃいないが、職業柄一応な」

 

 苦笑い、しながら言う堂島さん。でも堂島さん、私思うんだ。それは職業柄云々というより、堂島さん本人が説教臭いんだと思う。

 

「おっと、そろそろ行かないと本当に遅れそうだな」

 

「私も、そろそろ行きますね。」

 

 メットを被り、エンジンをかける。

 

「気をつけてな」

 

「行ってきます、二人もいってらっしゃい」

 

 二人に挨拶をし、私はバイクをかけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事、沖奈で画材を買い。帰路についている途中そろそろ燃料が切れそうだと気づき近所のガソリンスタンドに寄ることにした。

 

「らっしゃーせー」

 

 見たことない店員が、元気な挨拶とともに駆け寄ってきた。

 

「自分で入れれるんで」

 

「そう、大丈夫?入れる場所分かる?」

 

「わかりますよ」

 

 会話しながら、給油口を開けガソリンを居れる。

 

「ごめんごめん。女の子でバイク乗っている子って珍しいからついね」

 

「女でバイクって珍しいですか?」 

 

「まだここに入ってそんなに日は浅いけど、あんまり見ないね。原付の子はチラホラ見るけど」

 

「そうですか、珍しいですか……」

 

 珍しいって否定の言葉に聞こえる。いや実際に否定されてるわけじゃないのは分かっているんだけどね。

 

「珍しいけど、格好良いとは思うよ」

 

「ありがとうございます。っと終わった」

 

 世辞に礼を言い精算をする。後を去ろうとバイクに跨ろうとしたら、呼び止められた。

 

「君、学生でしょ。ここバイト募集中だからよかったら考えてみてよ」

 

 と手をさしだして来た。私はグローブを外しそれに応じる。

 

「「っ!?」」

 

 何、これ?握手すると急に目眩と胸のザワつきがおきた。

 

「大丈夫かい?」

 

「大丈夫ですよ、貴方は大丈夫ですか」

 

「うん?なんのことかな?」

 

 あれ?店員の様子もおかしかった気がするんだけど……そんな事はなかった。気のせいかな?

 

「一瞬、様子がおかしく見えたんですけど気のせいみたいですね」

 

「見ての通り何の問題もないよ。それより、君だよ」

 

「目眩も収まってきたし、大丈夫ですよ。最近夢見が悪くてきっとそのせいだと思うし……」

 

「そう?なんなら、少し休んでいくかい?」

 

「いえ、家がすぐ近くなんで帰ります」

 

 少しでも早く家に帰りたい、私の今の気持ちはこれだ。この店員、さっき手を握った時からなにか妙だ。態度と表情こそ優しく、こちらを気遣っている感じはするが、なんて表現すればいいのだろう……

 そうだ、気配だ。それだけは違い、まるでこちらを警戒し観察している。そんな気配を発していて、私の胸をざわめかせている。それがどうしようもない不快感を感じさせていて、気持ちが悪い。

 

 早く帰ろうとバイクにまたがり、エンジンをかける。

 

「ありがとうございました。」

 

「はい。ありがとーございまーす。あとバイトのことも考えておいてよ。うちは、学生で女の子でも歓迎だから」

 

 正直もうこの店員がいるときは来ないだろうが、一応の社交辞令で頷きバイクを走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家路につき、食事を済ませ、日課の復習を終わらせると、もう23時を

過ぎていた。

 

 正直、今日は疲れた。今日こそは何の夢も見ずに寝よう。そう思いつつ私は布団に入った。

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4話

咲「お前のような1面ボスがいるか」
謎の影「大丈夫、超接待するから」

追記……前話削除はミスです。大変お騒がせしました。申し訳ありませんでした。


目が覚めると、私は紅い廊下に立っていた。

 

「また……夢?」

 

 いや、違う。夢にしては鮮明すぎる……風景自体は、霧が濃くて足元ぐらいしかわからないけどね。

 

「こっちです……こちらまで来なさい」

 

 遠くから、声が聞こえる。この声の主が私をここに誘ったのか!

 

 後ろを振り返り確かめてみるけど、どうやら道は無いようだ。帰りたくて仕方ないけど、どうやら進むしかないようだ。

 

 道を歩んでいくと、私の胸がざわめきだした。歩を進めるたびにそのざわめきは強くなり、それはやがて鼓動となって私の胸を打つようになった。まるで、警戒するようにと警告するように……

 

 やがて道は無くなり、扉のような壁にたどりついた。が、私が目の前に立つとその壁は開いた。

 

「入って来いってこと?」

 

 警戒しながら奥に入ると、開けた場所に出た。その奥には霧が濃くはっきりとは分からないが人影があった。

 

「君のその力は、一体何なんだ?」

 

 人影が私に問いかけてくるが……力?一体何のことだろう?確かに、私は妙な夢を見ることが多いけど、そのことなのかな?

 

「力?なんのこと?」

 

「ふむ、君に自覚は無いか。だが、今から私が行う事に、どんな影響を与えるかわからない。だから、確かめてさせて貰うよ」

 

 人影から漂う雰囲気に、殺気を感じる。

 

 <ジオ>

 

 雷が私に向けて放たれる……私は、思わず目をつむり身構えた。今冷静に考えると、身構えても雷が見えてからじゃ遅そかったと思う。

 

 いつまでも、躰に衝撃が来ないことを訝しみ目を開けると……

 

 私の躰から、昨日夢で見たオーラのようなものがまるで広がりわたしを守っていた。

 

 『我は汝…汝は我…

 我は汝の心の海より出てし者…

 夜と静寂の防人…レト…なり…』

 

 黒衣の女性のシルエットが私から湧き出てきた。

 

<夜の帳>

 

 半透明な黒いヴェールが私を包む。それに伴い、恐怖心がやわらいだ気がする。

 

 「やはり、力を隠し持っていましたか……」

 

 いや、今初めて知ったんだけど……

 

<ジオンガ> 

 

 先程より、大きい雷が放たれた。恐怖心がやわらいたとはいえ、やはり恐いものは恐い。だが、もう目はつむらない、避けようと飛び退くが……

 ダメだ、避けきれない、当たる。そう確信するが、そうはならなかった。

雷は、私の服に当たるスレスレで霧散した。

 

 

「その力は……では、これでどうです」

 

<メギド>

 

 目の前に、強大な力を秘めた光の珠が現れ、そして弾けた。

 

 その光も、私に当たらず霧散した。

 

 人影は、先ほどの比ではなく驚いていた。

 

「馬鹿な、今のはあらゆる属性耐性を無視する技だったのに何故……」

 

 そうだったのか、凄いなもう一人の私。でも、今ので私を優しく包み込んでいた黒のヴェールが消えてしまった。

 

「貴方の攻撃は私には通用しない。もういいでしょ、私を帰して」

 

 精一杯の虚勢をはり、声を張り上げて言うが、相手は意に介さず言い返してきた。

 

「確かに、君は万能と言える属性の攻撃を完全に防いでみせた。だけど、それは全ての攻撃を防げるという証明にはならないよ。それに、その防御は何らかのスキルだろう?この手のスキルというのはね、長続きしないのが相場なんだよ」

 

「そもそも、なんで私なの?私が貴方に何をしたって言うのよ」

 

「君の力は、私の計画には邪魔なもの。イレギュラー足り得るものだ」

 

「貴方の計画がどんなものかは分からないけど、私に危険がない限りは何もしないわ。約束する。だから返してよ!!」

 

「もう既に計画の賽は投げられ、私の手を離れた。後は見守るのみとなっている。君が関わる関わらないは彼等次第だ、私の裁量ではない」

 

「そんな……どうしろっていうのよ」

 

「ふふ、だから死んでくれないかな?君が死ねば、私の計画は安泰だ。そうすれば、人々の心の奥にある願いがわかる」

 

 人々の心の奥にある願いがわかると言われた時、私の手にはいつの間にか白い本が現れ握られていた。そして、私は無意識のうちに問いかけていた。

 

「そんなの知って、どうするのよ」

 

「決まっている、願いは叶える物。人が心の奥底で望んでいる物を成就させ人々を幸福にしたい。それだけだ」

 

 人の望みを叶え成就させる。そういった瞬間、本から大量の怒気が私に流れ込んできた。

 

「さて、話は終わりだ。そろそろ、お呼びではない役者には消えてもらおう」

 

「貴方が勝手に呼んだんじゃない」

 

 

 

 

 次の攻撃であいつは私を確実に潰すための攻撃をする、そんな気迫がヒシヒシと感じられる。だけど、今の私に対処できない……さっきのをもう一度やろうと思っても、レトはうんともすんともいわない。

何故、どうすればいいかと考えると、本から知識が流れ込んでくる。精神力不足、ペルソナの熟練不足が原因、先のものは死が間近だったゆえの生存本能からのものである。今、必要なものは目の前の脅威を排除する手段ではなく、確実な逃走手段。そして、それは既にある……銀の鍵。それを使えばこの場から逃げれる。

 

 

 

 

 銀の鍵……あの蝶蝶仮面が渡した鍵か、でもどこにあるんだ?そう思ったが……いつの間にか本を持っていないもう片方の手には銀の鍵が手にあった。

 

 

 

「さぁ、これで終わりです」

 

<ムドオン>

 

 滅びの闇が私に向かって放たれた。

 

「お願い、私をもと居た場所に帰して」

 

 銀の鍵を握り締め強く念じると、体は光に包まれた。

 

「逃がしましたか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を開けると、そこは自分の部屋ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリジナルペルソナ簡易解説
レト……ギリシャ神話において、ゼウスとの間にアルテミスとアポロを産んだ女神。レートーとも呼ばれる

オリジナルスキル解説

夜の帳……劣化版闇夜のドレス、万能属性含むあらゆるスキル(自身、味方は除く)をブロックする。但し莫大なSPを消費するため多用できない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5話

今回は、イゴールさんにあれやこれやと説明していただきます。正直喋らせすぎかと思いましたが。この人に話してもらわないと誰も説明してくれないから……


 私はいつの間にか青いジャズバーのような広い部屋に居た。

 

「 ようこそ、我がベルベットルームへ、申し遅れましたな。 私の名はイゴール」

 

 奇っ怪な鼻の男が椅子に座って語りかけてきた。そもそもここは、どこなんだ?いくら窮地だからといって、得体の知れない知識を頼るのは失敗だった。

 

「この部屋、夢と現実。精神と物質の狭間の場所”ベルベットルーム”の主を致しております 」

 

 今この部屋の主だと言った?じゃあ、私をこの部屋に拉致したのはこの鼻?敵意は感じないけど、一体何が目的だろう…… 

 

「そのご様子では、この部屋に関する知識はまだ無いようですな」

 

「なんなの、ここは?」

 

「本来、この世界におけるベルベットルームは、ワイルドに目覚められたペルソナ能力者をサポートすための場所です」

 

「ワイルド……ペルソナ……」

 

 ペルソナっていうとあの蝶蝶仮面がくれた力だよね。でも、ワイルドってなんだろう?野生?

 

「しかし、あなた様は我が主である、フィレモン様と契約をしペルソナ能力を覚醒させました」

 え?契約?心当たりがないんだけど……もしかして、あの名前を答えろっていうのを言ってるのだろうか?

 

「フィレモン様と契約したペルソナ使いのサポートも私、ひいてはベルベットルームの住民の役割なのでございます」

 

「そうなんだ、で?なんで、私ここにいるの?」

 

 何も今こんな時に呼び出さなくてもいいじゃないか、最近の私は寝ることが休息になっていない。

 

「はい、この度あなた様をお招きしたのは、あなた様に渡された力のご説明をするようフィレモン様より命じられたからです」

 

「フィレモンってあの仮面の人だよね?なんで、渡したその場で説明すればよかったのに」

 

「いえ、フィレモン様は本来こちらの世界に不干渉を貫いておられております。それに反してあなた様に接触した事じたい私からしても驚くべきことです」

 

「そうなの?なんか納得いかないけど……さっさと話して眠いから」

 

「フフフ、ご案じめさるな。現実のあなたは既に眠りについていらっしゃる」

 

 いや、そうじゃない、そうじゃないんだ。でも、ここでゴネてもめんどくさそうだ、大人しく話を聞いておこう。

 

「では、まず銀の鍵を出してください」

 

 念じれば出てくるのだろうか?取り敢えず、念じてみた……

 

 銀に輝く鍵が手元に現れた。

 

「その鍵は本来、才能あるペルソナ能力者が優秀な師の元で、数年の修行をすることで手にすることができる物です。そして、この鍵の力は現実の世界と普遍的無意識の深層である『カダス』を繋ぐ門を作ることに有ります」

 

「あの時、この鍵が光ったのは門を作ったからなの?」

 

「おそらくは、そうでしょうな。しかし、あなた様は才能あれどペルソナ能力を得たばかり。門を開けるのはせいぜい普遍的無意識の入口あたりでしょう」

 

「わかった」

 

 そもそも、使うことはないと思う。

 

「続きまして、本をお出しいただけますかな?」

 

 同じように念じると、 白い本が出てきた。

 

「さて……その本は、とあるペルソナ能力者が全ての力を使い作り上げた物でございます」

 

「全て?」

 

「さよう。記憶、経験、感情、ペルソナ能力、ペルソナ……そして命。それらを全て捧げて出来たものがその本でございます」

 

 

「い、命!?そんなものがどうして、私のところに?」

 

 そんな、重いものを託されても……

 

「さて……それは、渡されたご本人にしかわからぬ事でございます。ですが、あなた様がこの本と向き合い続ければいずれ解るかもしれません」

 

「そう……この本の力は?」

 

 そんな重い物を託されたんだ、聞かないといけないと思った。

 

「この本に捧げられた物全てでございます」

 

「え?全部なの?」

 

 記憶とか感情も得る……それって……

 

「そう、全てです。ですが、この本にストックされているペルソナは全て強力なものばかり、今のあなた様が降魔するのは少々危険でございます。記憶と感情の力を引き出すのも同様に危険でございます」

 

 ペルソナが危険っということは、いまいちピンっとこないけど。記憶と感情も得る……それって私下手をしたら乗っ取られるんじゃ……

 

「それって大丈夫なの?」

 

「制御できない高レベルのペルソナを、無理に降魔させれば最悪ペルソナは暴走し異形の者へと成り果てるでしょうな。記憶と感情の危険性はあなた様が今感じられている通りかと……」

 

 異形!?何それこわ!?それにやっぱり、記憶と感情乗っ取られるのね……

 

「要するに使えないってことね」

 

「ええ、ですが……本のペルソナは降魔できなくとも、かなりの集中力が必要となりますが、ペルソナの魔法を引き出すことはできます……それを利用した魔法の合体。これがオススメですな」

 

 魔法の合体って……そんな物を使う事態ってどんなものよ。

 

「わかったわ。使うことなんてないだろうけど……」

 

「では次に、ペルソナを得る方法についてお教えしよう……かと思いましたが、そろそろお時間のようです」

 

「私としては、早く終わらせて欲しいんだけど……」

 

「そろそろ、目覚めの時間です。フフフ、そう焦らずとも次は現実の世界でお会いできましょう」

 

 会いたくない、とは言えない。これから、きっと世話になるそう私の直感が告げていた。

 

「最後に一つ」

 

「何?」

 

 何故だろうか?あってすぐとはいえ、この老人からそのような言葉がでると否応なしに緊張する。

 

「あなた様のペルソナ能力、これはこの世界のものと似て異なる異質なもの」

 

「へぇ、他にも似た能力を持っている人が居るんだ」

 

「えぇ、過去それからこれからも発現させていく方はいらっしゃるでしょう。ですが、それらの方々は特殊な環境でのみペルソナを使えるのです。現実の世界でペルソナを使えるようになるのは難しい。しかし、あなた様は別です、どこでも同様にペルソナを使えるでしょう」

 

 関わり合いにはなりたくないけど、もしそういった輩と敵対した時には、こちらにとってアドバンテージになることだろう。でも、同時にうっかり現実の世界で使ってしまったら……うん、面倒なことが沢山想像できてしまった。

 

「わかった、滅多なことがない限り使わないでおくわ」

 

「では、名残惜しいですがお別れの時間となりました」

 

 一応世話になったことだし、礼を言っておく。

 

「ありがとう」

 

「フフフ、ではごきげんよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目覚ましの音が聞こえる。私は携帯の目覚まし設定を解除し、顔を洗い朝食を取り、学校の準備を始める。

 

 

 ペルソナ、実際に呼び出し昨晩のことはただの夢だった、と結論づける必要はなかった。それは確かに私の中に居るそれを明確に感じ取ってしまったからだ。

 

 今私にあるのは、これから起こるだろう厄介事への不安とそれに関わり合いたくないという事だ。だけど、それに反してあの影の人物がやろうとしていることに対する、圧倒的な嫌悪と憎悪と怒り。あの影は人の望みを見極めそれを叶えると言っていた。それに反応して本から感情が入ってきた。それはもはや、完全に自分のものだと言っても過言ではないほど私と同調していて、それが空恐ろしいく感じる。

 

 そんな事を考えていると呼び鈴が鳴った。

 

 出て行くと、お隣の堂島菜々子ちゃんと同い年位の男の子がたっていた。

 

「おはよう、お姉ちゃん」

 

「おはよう、菜々子ちゃん。そっちは誰かな」

 

 

「この人は、昨日うちに来た……」

 

 

 

 

 

「鳴上悠です。よろしく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うちの小説の番長は鳴上番長ってことでよろしくお願いします。


あとごめんなさい。また話がすすみませんでした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6話

菜々子ちゃんはまだ主人公(鳴上悠)には硬いです。

あと、基本うちの主人公はコミュ障です。表面上は話を振られたらのるし、頼みごとをされたら引き受けられそうなものなら引き受けますが、内心は凄く嫌がります。


「鳴上悠です。よろしく」

 

「式縞咲です」

 

 適当に挨拶をし、相手を観察してみる。

 

 八校の制服を着ているという事は同じ学校か……何となく菜々子ちゃんが私になんて言うのかがわかる。

 

「お姉ちゃん……」

 

 嫌だなぁ、そこから先は聞きたくない。だけど、菜々子ちゃんは無慈悲にも私にお願いをした。

 

「菜々子は学校反対だけど、お姉ちゃん同じ学校だから案内してもらいなさいってお父さんが……」

 

「よろしく」

 

 え?いやいや、菜々子ちゃん……何ともないかのように言ってくれるけど、私学校に友達が一人もいないコミュ障だからいきなり見ず知らずの男の子と登校はちょっとハードル高いわ。

 

 でも、断る理由が見つからない。うん、なんて断ればいいんだこれ?一人がいいからごめんなさい?……うん、ないわね。

 

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 通学路を半分ほど通った位だろうか……

 

「……」

 

「……」

 

 会話がなくて、なんか空気が重い。だから、誰かと登校なんかしたくないんだ……

 

「式縞さんも」

 

 ほら、空気が重いから鳴上君が気を効かせて話しかけてくれようとしているし。

 

「式縞さんも、都会からここに引っ越してきたって聞いたけど。八十稲羽ってどう?住みやすい?」

 

 その情報は、合ってはいるけど間違いだ。誰から聞いた?堂島さんはこんな間違いしそうにないから……あぁ、菜々子ちゃんか。あの子なら間違っても仕方ないか……

 

「一つ、訂正。私は生まれも育ちも八十稲羽よ」

 

「え、でも……」

 

「私が引っ越してきたって言ってたの菜々子ちゃんでしょ?」

 

「な、なんで分かった?」

 

「私がここから、都会に越したのが3年前で、菜々子ちゃんが2,3歳だから憶えてなかったんじゃないかな」

 

「なるほど、それなら仕方ないな。で、どんな所だったんだ」

 

「辰巳ポートアイランドって場所に居たんだけど、変な街だったわ」

 

 特に2年前なんて、最たるものだったなぁ、変な終末論やら宗教やらが出てきて……私が唯一あそこで仲良くなったお兄さんは亡くなっちゃうしいい思い出が無い。

 

 

 

 

 まぁ、あの街に行くことになった原因の一つがあの夢以外に見る、もう一つの夢。というより、あれは悪夢……あの夢より見る頻度は少なかったが恐ろしかった。周りの空気が一変し親の寝室には二つの棺桶があり、外には黒い怪物が彷徨っていた。

 

 その夢を見たときは、必死に布団の中に入りもう一度寝直した……そうすれば、いつの間にか眠りにつきいつもどおりの朝を迎えることができる。

 

 このことを両親に相談すると、実際に大分私の心身に疲労がたまっていることを察していた両親は試行錯誤してくれた。

 

 月光館学園高等部にこの手のことに精通している校医がいる。このことを調べ上げた両親はあっという間に入学手続きをした。実際に私が通っていたのは中等部だったけど先方には話が通っていて高等部の医務室でカウンセリングを受けることができた。それが、上手くいったからかはわからないけど2年前からもうその夢を見なくなった。

 

 って、何嫌なことを思い出しているんだろう……

 

 

「大丈夫か?」

 

「ごめんなさい、ちょっと昔の事を思い出して……」

 

「そうなのか?」

 

「ええ、もう大丈夫よ。そんなことより、着いたわよ。ここが八十稲羽高校よ」

 

「ここが、俺が一年間通う場所か……」

 

 期待の眼差しを校舎に向けてるけど、ここ先生達の濃さ以外特に何も無いわよ……




主人公の親は、自分の子供が精神を病んで病院に通っていることを周りに知られ、あらぬ噂をされるのを避けるために、辰巳ポートアイランドの学校に主人公を入れました。

次回あたりから、カレンダースキップしながら話進めます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。