ラブライブ! 伝えたい想い (智稀)
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第1話 高校生活
前に書いていたんですが、設定を大幅に変更して書き直しました。
読んでいただけると嬉しいです(*´ω`*)
ちなみに、メインヒロインは三年生でいこうと思います。
高校生活。
中学生の誰もが、憧れや夢を抱いているであろう。早く自分も行きたいと。
また、よく母親父親も口を揃えて「あの頃は楽しかった。あの頃に戻りたい」などと話しているのが聞こえてくる。
でも、確かにその通りだと思う。高校生活で得られるものは多いし、生涯の大切な友人、または恋人などもできる人もいるだろう。
さらに高校生活の後には、ほとんどの人たちが進学か就職をするだろう。ここで、自分の将来が決まってくるのである。
つまり、人によれば夢を叶えるための第一歩でもある。
そんな夢と希望あふれる高校生活だが、現実そう甘くはない。
義務教育の過程を終え、これからは自らが望んで勉学に励むのだ。もちろん、その責任の多くは自分にあるだろう。
いつまでも、子供でいるわけにはいかないのだ。学ぶべきことはしっかりと学んで、やるべきことはしっかりとやらなければならない。
それは普通のことでは?
そう、普通のことだ。でも、できない人もいる。
話が長くなってしまったけれども、要するに自分の言いたいこととは、一生懸命に充実した高校生活にしてほしい。そして、人間的にも成長していくのが望ましいだろう。
後悔するなとよく言われたりするけども、人間誰しも後悔なしで生きてはいないだろう。
だから、後悔よりもためになったことや、嬉しかったこと、感動したこと、いい経験などをたっくさんした方がいいに決まってる。
これらを踏まえた上で問います。
あなたの今はどうですか?
これは、学校を廃校から救い、今という高校生活を駆け抜けた9人の彼女たち+支えて続けてきた1人の彼による物語。
もう一度問います。
あなたは、今。充実した日々を過ごせていますか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
時計のアラームが部屋中に鳴り響く。昨日、あんなにもドキドキしていたのに普通に眠りについて、普通に起きたらしい。
しかし、今日からはその普通の生活ともおさらばだ。だって……
「今日からついに高校生だもんな~」
先月までは自分は中学生だったのである。実感がなくても当然だ。むしろ、もう高校生ぶってるやつがいるのならぜひ連れてきてほしい。お前は甘すぎる!ってつい言ってやりたいね。
とかいう自分が、以外と高校生ぶっているのかもしれないが……。
ベッドから起き上がり、カーテンを開け放つ。春の日の光が、部屋中を照らしてくれる。
……この部屋で本当によかったな。母と父には感謝しないと。
俺、渡美裕貴の家庭は、父と母との3人家族だ。俺が生まれる前からこのマンションに住んでいるのだが、現在は俺1人である。
俺が中学ニ年生の頃、父の事業が大成功したらしく父が単身赴任で海外に行くことになり、さらに、中学三年生になる頃には父と同じ職場の母までもが父と同じ所に行くことが決まったのであった。
俺はその頃から、家事を覚えたり、隣の幼なじみである矢澤家にお世話になったりしていた。今ではすっかり、俺のことを本当の家族のように接してくれる。
と、俺の現在はそんな感じなのである。
10分前行動が自分のモットー!
そろそろ準備しないとな。
今日は午前中に終わるため、弁当などの準備の手間も省ける。着替えを済まして、朝食を終えた後は微妙に時間ができてしまっていた。
「今日のニュースでも見てみますかね」
その辺に転がっていたりもこんに手を伸ばしたところで、俺の動作は遮られることとなったのであった。
ピーンポーーン
「こんな朝っぱらから……はーい」
まあ、この朝にチャイムを鳴らす人物なんてあの子しか思い当たらないんだけどな。
俺がドアを開けると、そこには1人の女の子がいた。
「おっはよー裕貴!今日もいい天気~~にこっ!」
「……」バタン
「さて、ニュースでも見るとします…」ピーンポーン
「またか……」ガチャリ
「にっこにっこにー!」バタン
「ちょっと、待ちなさいよーー!!」
「何だよ、朝っぱらからハイテンションでいきなり…」ガチャ
「はあ?今日から高校生なのよ、こ、う、こ、う、せ、い!楽しみで仕方なかったんだから~」
「はいはい、よかったですね~」
「って、あんたはなんでそんなにも冷めんのよ!!」
誰のせいだと思っているんですかねー?まあ、口には出さないけど。
彼女は背は小さめで、黒髪とリボンで結ばれたツインテールが特徴的だ。顔立ちもよく、どちらかといえば可愛らしいに当てはまる子である。胸は……まあ、察してくれ。
彼女こそが、俺の幼なじみである矢澤にこだ。
「それで、何のよう?」
実際のところ、俺はニュースが見たいためくだらない用件だったらたまったもんじゃない。まあ、その心配はないんだけどな。
なぜわかるかって?
それは、幼なじみだからな。
「入学式から、1人で登校するのが寂しいんじゃないかって思ったのよ。この私の気遣いをありがたく思いなさいよね!」
そう言って、胸をはるにこ。その様子から活気に満ち溢れているのがよく伝わってくる。
「ったく、素直に一緒に登校したいって言えば可愛げがあるのにな~」
「べ、別にあんたと一緒に登校したいなんて思ってないわよ!!仕方なくよ、仕方なく!!」
誤魔化してくる彼女であるが、本心はばればれである。
美少女なんだから、本当にもったいないよな。まあ、本人には決して言わないけどな。
「はいはい、それじゃあ少し早いけど行くとするか」
俺の言葉を聞いて、「うん!」と笑顔全開になる彼女。正直、彼女の笑顔はとてつもなく可愛い。並みの男子なら一撃で堕ちるレベルである。名前からの通り、彼女はにこにこな笑顔がとっても似合っているのだ。
もちろん、これも彼女には内緒だけどな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺たちの通うことになる高校は、 東京都千代田区の秋葉原・神田・神保町に挟まれた地域にある国立の音ノ木坂学院だ。古くからある伝統校で、俺の父や母も通っていた。
俺がこの高校に決めた理由は、一番家に近かったからだ。
サッカーの推薦がきていたけど、どの高校も遠く家を空けるしかなかったため断念するしかなかった。育ったこの部屋、この場所は自分にとって父母と共に過ごした大切な場所だし、いつか帰ってくる2人のためにもこの場所を残しておきたかったんだ。
まあ、俺がそんな思いをしているのも知らずに2人は俺のことだから俺に任せるってさ…。ったく、勝手に向こうに行くし、お前ならできるって決めつけてさ……。でも、大切な家族だからな。
と、まあ、これが大まかな理由だ。後は、横の幼なじみ……かな。
にことはマンションの部屋が隣同士で、幼稚園前からの付き合いだ。しかも、小学校6年間と中学校3年間ですべてのクラスが同じという縁がある。そんな俺たちの関係は?と問われても、ただの幼なじみ。そう答えるしかないな。今まで、一度も恋愛対象として彼女を見たことがないね……多分。
でもなぜか、彼女と共に高校生活を過ごしたい。そう思う自分がいたんだ。まあ、向こうも俺が音ノ木坂に決めたってことを話したらすごく喜んでくれてたからな。
ふと、登校中に横の彼女と目が合う。名前の通りにこっと笑顔を向けてくる彼女。
危うく墜ちかけた。
まだ満開とは言えない、桜の並木道を通り過ぎ、坂を登るとついに音ノ木坂が見えてきた。伝統校とあるだけに、その校舎はとても古びていて…げふんげふん、とても歴史を感じさせている。今日から三年間。御世話になります。
「そう言えば、クラス発表がなぜか今日なんだよな。3月中に発表予定だったのが、延期になったって」
「そうらしいわね。またあんたと同じクラスになったらどうしようかしら」
「本当はなりたいんだろ?」
ポコッ!
はい、照れ隠しのグー叩きいただきました。
「だ、誰があんたとなんか…/」
「はいはい、ぶつぶつ言ってないで見に行こうぜ」
「はぁ?ちょ、手引っ張んないでよ//」
さーて、どんなクラス分けになってますかな?
にこの手を引いて、生徒の中を進んでいく。そしてこの時、俺は見たんだ。
ひときわ美しい輝きを持つ、金髪ポニーテールの彼女の姿を。
神様ってのは、絶妙なタイミングの持ち主のようだ。高校生活という、このタイミングにどんぴしゃだもんな。
「結局、離れたか……でもまあ、ある意味すごかったよな。九年間も一緒だったなんてさ」
「そうね……」
うわぁ、どうしよう…。目に見えてわかるくらい、にこが落ち込んでいる。そんなに、離れるのが嫌だったのか?まあ、俺も離れるのは少し寂しくなるけどさ。ここまで落ち込むことはないだろう。
「ほらほら、笑顔だけが取り柄のお前がそんなにぶすっとしてたらどうすんだよ?」
「なによ!笑顔だけって!」
「とにかく、そんなんじゃ友達もできないぞ…」
「余計なお世話よ……」
「いいか、にこ。俺たちが離れても、関係が変わるわけないだろ?幼なじみなんだからな。……まあ、クラスでなにかあったらすぐに頼れよな……」
「裕貴…ありがとね」
「俺たちは昔からの幼なじみだ!ちょっとやそっとじゃ壊せるものじゃないんだろ」
「そうね、幼なじみ……よね……」
あれ?また落ち込んだ?
そう思ったのはつかの間で、彼女は笑顔に戻っていた。
「待ってなさいよ!友達100人つくるんだから!」
「目標が小学生かお前は……まあ、確かに…発育の方は……」
「なにか言ったかしら?」
「ございませぬ」<(_ _)>
マジでその目は怖いんでやめてくださいお願いします。
「朝からお熱いことやね~」
廊下で話していた俺たちに、ふと話しかけてくる1人の彼女。関西弁?だけどなぜか違和感を拭いきれない口調だ。髪の毛は長くてボリュームがあるのがわかりおさげである。ただ、ボリュームがあるのは髪だけではない。その胸だ。デカすぎるんじゃないか?
と、胸ばかりに意識を持っていかれたが普通に彼女も美少女であることには間違いなかった。
「べ、別にイチャイチャなんてしてないわよ//」
「ところで君は?」
「スルー!?」
「ウチは、東條希。よろしゅうな~」
「あ、俺は渡美裕貴…って違う!」
「んー?」
「俺が言いたいのは、どうして話しかけてきたのってこと」
「あー、なるほどな~。いやぁ、朝から堂々といちゃついてるカップルがおるな~って思ってつい声をかけてしまったんよ。お邪魔やった?」
「いや、そもそもいちゃついてないしてかカップルじゃないから」
「ふーん、まあええやん。ここで、会ったのも何かの縁やろしこれからもよろしくな~」
「よろしくな、えーと、希でいいのか?」
「うん!」
「って、私のこと忘れてない!!??」
「あ、にこ、いたのか」
「なんであんたが言うのよ!!」
いや、ちっちゃくて存在感なかったんだよな。なにが小さいって?それはもちろん…ゴホンゴホン。
「はぁ、まあいいわよ。矢澤にこよよろしく」
「よろしくな~にこっち」
「に、にこっちってなによ…」
希か。エセ関西弁は少し気になるけど、初日からいい交友関係を持てそうでよかった。ちなみに、にこと希は同じクラスのようだったみたいだ。よかったな、にこ。いきなり友達ができてさ。
俺もクラスに入り、自分の指定席へと座る。
このクラスに、自分の友人はいないけどなんだかやっていけそうな気がする。希程でもないにしろ、いい関係を作っていけたらいいな。
そして、俺は周りの生徒を見渡しどんな人たちがいるのかななどとワクワクしていたが、ある生徒の所でその視線が止まった。
彼女に違いない。
数分前のことだから鮮明に覚えている。彼女だ。
その彼女とは髪は金髪でポニーテール。
高校生活は始まったばかり。
今後はできるだけ更新を早めていきたいと思います。
感想、お待ちしております。
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第2話 自己紹介
(テストは死亡)
このペースで投稿できるように頑張っていきたいと思います(^^)v
それではどうぞ( ^-^)_旦
「みなさん、ご入学おめでとうございます。これからの三年間をより良くするためにも…」
入学式が進行していく中、今は理事長の挨拶が行われている。
理事長……美人だなぁ…。あれで既婚者なんだよな。
それほど若々しく見えるあの方こそが我が校の南理事長だ。おっとりとした性格で、生徒たちからの人気もよい。
まあ、もちろん男子からのが主だけど……。
気がつくと、そんな理事長の挨拶も終わり閉会となった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なぁなぁ、俺らのクラスに絢瀬って子いるじゃん?」
「ああ、あの金髪の子だよな」
「あの子、まじでかわいいよな~」
「どっちかっていうと、美人?の方があってないか?」
「あ~わかるわかる」
入学式を終え、講堂から帰る途中。自分の前にいる男子からそんな会話が聞こえてきた。確かに、あの髪は目立つもんな。
というか、あれは地毛ってことで間違いないんだろうか?染めていたら注意されてしまうし……。
そして、考え事をしているうちに今日のホームルームは終わっていたのだった。
「あ、にこ~、希~」
「裕貴君、お疲れ様~」
「お疲れ様、それじゃ帰るか…ってどうしたにこ?」
見ると、にこの顔が真っ赤でなぜかぐったりとしていた。
「大丈夫か?もしかして熱でも…」
「あ、裕貴君。そのことについてなんやけど、大丈夫なんよ~」
「何か知ってるのか希?」
すると、ニヤニヤと笑みを浮かべる希。
「にこっちがあんなんになったんはな、ウチがわしわししたからなんよ~」
「わしわし?」
「そう!わしわし!後ろから近づきオンナノコの胸元に手を伸ばして、最後には……」
「さ、最後には…?」
「胸をわしわしするんよ!」
「いや、意味わかんねーよ!いや、わかるけど、わかんねーよ!てか、なんでそんなことしたんだよ?」
「いやぁ~ついつい気になったんよ~。あ、裕貴君はにこっちのわしわししたことあるん?」
「あるか!見たことしかねーよ!」
「ちょっ、裕貴!あんたなに言ってんのよ//」
…?
「俺なんか言ったっけ?」
「自覚ないわけ!?」
さっきまでぐったりとしていたにこが、いきなり俺の方に迫ってきている。
「へぇ~裕貴君見たことはあるんやね~。それでどうやったん?」
そして、俺は希の言葉で全てを察した。確かに変なことを口走っていたようだ。
「希もなにきいてんのよ!」
「だって気になるんやもん」
あの時、確か今年の3月だったかな。シャワーを浴びて間もなく、着替えようとしていたにこの姿を目撃したんだよな。もちろん、見えてしまっていたし…。
確か!にこの姿は……
「そうだな、胸が自己主張のなかった感じで…」パシン!
「な、な、なにあんたも答えてんのよバカ//あと、自己主張うんぬんは余計よ//」
顔がヒリヒリします。
「ふ~ん、でもな裕貴君。確かににこっちの胸は小さいかもしれんけどな、意外と存在感がちゃんとあるんよ。ウチのわしわし経験やからまちがいなしや!」
「もう!いい加減にしなさいよあんたたち!!」
にこがそろそろ泣きそうになってきたところで、さすがにやめることにした。
ただ、にこの胸……少し気になるな……。
「あ、もちろん裕貴君のことはわしわしせんから安心してな~」
「それは言わなくてもいいわ!!てかむしろ俺にさせてくださいお願いします」
「裕貴、もう一回顔でいいかしら?」
にこの声色が、冗談レベルを通り越しているような気がする。あはは…もちろん俺のは冗談なんだけどな。
「…裕貴君、ウチのがそんなに気になるんやったら…」
と、ここで希が俺に近づき耳元で何かをささやこうとする。
「二人きりの時でな♪」
いや、ちがった。普通に、にこに聞こえるような大きさで話しやがった。
その後、俺の顔が再び赤くなるのはそう遅くはなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現在午前0時30分。
俺はとてもくだらないことで頭を悩ませていた。
「いや、やっぱりインパクトは必要だな…とすると、まずはギャグ混じりで笑いを…いやいやギャグで滑った場合のアフターケアが難しい…」
明日はクラスの顔合わせということで、1人1人の自己紹介がある。というわけで、戦略を考えているわけだ。
この自己紹介が、今後のクラス内での生活に大きな影響を与える。暗い感じで紹介をしたやつは、印象が悪く話しかけにくいイメージを持たれたりする。逆に、うるさいようなやつは面倒なタイプだと思われる。つまり、程よくいい感じにやらなければならない。そんなわけで、自己紹介を考えていたのだがいい案が先ほどから思い浮かんでこなかった。
自己紹介ごときで考えすぎ?
確かにそうかもしれないが、俺の知り合いには中学一年の時に自己紹介で後先考えずいきなり「にっこにっこにー 」教室の空気が一瞬にして凍りついたわけだ。
さすがに、あんなことはしないけどどうせ自己紹介するならちゃんとしておきたいからな。
「うーん、どうすればいいんだろう…。ネタであの紹介やってみるかな。この中に宇宙人、未来人、異世界人がなんたらかんたらってやつ」
…絶対俺のhigh school lifeが破滅する。
と、先ほどからこんな感じで試行錯誤している。
はぁ~とため息をつきながら、ベットに仰向けになって寝転がる。
「自分らしく生きる…か」
父親がよく言っていた言葉だ。
人間は1人1人、異なった個性がある。この自分だけの個性。その中でも、長所の部分を生かしていけばより良く生きていける。実際に父は、父だけにしか思いつかないようなアイデアを出すことによって事業を成功に導いたらしい。
「俺の個性ってなんなんだろう…」
勉強はそこそこできる。
でも、本当に頭のいいやつらと比べると天と地の差だ。
サッカーも推薦があったけど、正直に言うと自分より上手なやつらはもっともっといる。中学時代も、チームメイト内で自分が頭一つ抜けていただけで他のところでは埋もれていたかもしれない。
自己管理能力が少し高いくらいかな。頭の回転の早さには自信あるし。
考えても仕方ないか。最悪個性は高校で見つければいいだけだよな。
天井を見つめながら思考して数分。時刻も一時を過ぎたところで俺の意識は眠りに落ちていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうやら、実際のところ自己管理能力は高くもなんともなかったようだ。寝るのが遅かったりせいで目覚ましに気づかなかったなんて…。
昨日みたいに、にこが一緒に登校しようと迎えにきてくれるものだと思い込んでいたが…どうやら希から連絡があって一緒に登校するとのことだった。
俺も一緒にいたっていいじゃんかよ…
ちなみに自己紹介は結局思いついていない。まあ、なるようになるだろう。
1人の通学路は、意外と寂しいものなんだな…。
「それじゃあ、今日の一限は昨日話していた通りに1人1人に自己紹介をしてもらう。何を言うかは個人個人の好きなようにしていいぞ。順番は出席番号順にいくからまずは絢瀬から続けていってくれ」
そして、先生が話し終えると同時に1人の女生徒が席を立った。あの子がそうだな。などと、男子たちのひそひそ声が先ほどから多く聞こえる。
と、ここで、自己紹介を始めると思いきや、絢瀬さんは教壇の方へと歩き出した。先生も呆然としていたが、彼女が教壇の所まで来るとその場を彼女に譲りわたす。
そして、彼女は顔を上げこちらを見渡した。
…なるほど、見てわかるくらいのすらりと伸びた手足に、女子の中では高めの身長。胸の大きさも問題ない。抜群のスタイルだ。美人美人と騒がれていたが、今ならその気持ちがよくわかる。
整った顔立ちで、キリッとし金髪のポニーテールがよいアクセントになっていた。
彼女を一言で表せば、クールビューティー。
まさに、それを体現していた。
「皆さん、初めまして。絢瀬絵里です」
凛とした声が自然と教室内の空気を静かにさせる。
「この伝統ある、音ノ木坂学院での生活を有意義なものとし、悔いのなく充実した三年間にしましょう。よろしくお願いします」
深々とお辞儀をする絢瀬。
よく耳を澄ませば、女子の中からも「キャーッ」という声が聞こえてくる。確かに、彼女は格好良さも持ち合わせているから女子受けもいいのだろう。
そして、男女両方から歓迎の言葉を受ける中で、先生がある一言を絢瀬に告げた。
「あのな…その…わざわざ教壇まで出てこなくてよかったんだぞ」
「…えっ!」
思いもよらぬ先生からの一言により、自分がやったことが恥ずかしくなってきたのかどんどんと顔を赤らめている絢瀬。
そして、女子の次は男子内で「やばい」などと言い合っている。
ギャップ萌えというやつだろうか。
そんな感じで大きなインパクトを残し、絢瀬は自分の席へと戻っていく。
あの紹介でここまでのインパクト。気がつくと、自分も絢瀬に目を向けたままだった。
絢瀬の紹介の後、特にこれといったものもないまま俺の前の人の番となっている。俺も安定な感じでいこう。
そう思っていた俺の考えは、いとも簡単に先生の一言によって崩れ去ることになった。
「よし、最後の大トリは渡美だな。絢瀬みたいにインパクトあるの期待してるぞ」
…は?
え、ちょっ、待てよ
クラスのみんなの視線が自分に集まっているのがわかる。
それは期待かあるいは面白がっているだけか。しっかりとはわからないが、とにかく俺が今中心となっているのは確かなことだ。
変に嫌な汗をかきながらも席を立ち…
って、何で俺は歩き出してんだよ!!
意味わかんねぇ!!
俺が教壇に向かって歩き出したため、周りからもいいぞーという声も上がり始めた。
ひとまず、教壇についてクラス全体を見渡す。
もうお家に帰りたい…。
「え~、今回大トリを務めさせていただきます」
とここで一区切りをつけ、俺は黒板に向き直りチョークで自分の名前を書いていく。
「渡美裕貴と申します!皆さんに早く名前を覚えてもらうために板書しました。えーと、上原さん、テストに出るわけではないからメモ書きしなくても大丈夫ですよ…」
急に名前を呼ばれた上原さんは、顔を上げてキョロキョロとしている。そして、クラス内からは小さな笑いが起きていた。
「え~と、よくありがちなテンプレの紹介をしようとしていて、まさかの展開についていけていません!人との相性もあるけれど、できる限り多くの人と仲良くやっていきたいです。あと、誕生日が4月19日でもう少しなので祝ってくださいお願いします。もう、友達から誕生日きかれて過ぎてる学校生活は嫌なんですお願いします。それじゃあ一年間、よろしく!」
俺が挨拶を終えると同時にみんなからも拍手が返ってくる。なんとか無事に終えることができたようだ。
と、思っていたのにな。
自分の席に戻ろうとしたその時ふと絢瀬と目が合いさらに、緊張状態かは解放され気が抜けていた。
これらの要因が重なり、俺は段差があったことを忘れ思いっきり足を踏み外していた。
それからというもの、休み時間では俺と絢瀬の所に人が集まっている。自己紹介での印象が強かったからだろうか?
あっちはあっちで質問攻め。
こっちはこっちで質問攻め。
あっちは男子の比率が高い。
こっちは女子の比率が高い。
そして、この状態が続くものだと思っていた。
「ねぇ、渡美君。今日の放課後って時間あるかしら?」
そうきいてきた当の本人は
「あや……せ?」
穂乃果の誕生日が近づいてる……
とりあえずその日になんとかして投稿しようと思います(するとは言っていない)
それではまた(。・_・)ノ
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第3話 くぉーたー
遅くなってすみません<(_ _)>
夏休み中で、県外にでてる友人たちが戻ってきているので遊んでばかりの日々を送っています(`・ω・´)
後は、バイトが多いので……
と、まあ、こんなこと書いていてもただの言い訳にしかならないのでこの辺にしておきます。
それではどうぞ( ^-^)_旦~
「あや・・・せ?」
先ほどとは打って変わって、教室内が静寂に包まれる。
どうして、彼女は俺に声をかけたんだ?
「今日だな。俺は大丈夫だぞ、それで・・・場所は?」
「そうね・・・・屋上でいいかしら?」
絢瀬がそう言った途端、周りからの声が再び起こり始めた。
「まじで!?二日目でいきなり!?」
「一目惚れかしら?・・・キャー//」
「渡美・・・・くそがぁ・・・」
などなど、三者三様である。
「屋上ね・・・了解っと」
絢瀬は俺の返答を聞くや否や自分の席へと戻って行った。
ふむ、とりあえず状況を整理しておこうか。
俺 は、入学式翌日の二日目に金髪美人のクラスメートの絢瀬に屋上に呼び出された・・・・・・
「・・・まじでえええええええええ!!!!????」
教室内だということも忘れ、思わず声をあげてしまった。周りからの視線が痛い・・・。でも、これってあれだよな、わざわざ屋上に呼び出すんだもんな。十中八九間違いないはずだ!!いやぁ、いきなりのバラ色学園生活の始まりか・・・。今夜は、お赤飯買って帰るとするか。てか待てよ、帰り道も一緒に・・・。
「渡美・・・そんなに廊下に立たされたいのか??授業開始のチャイムが鳴ったのになに1人でニヤついてんだお前は!!」
「・・・え??」
先生の声で我に返った俺は、いったいどんな顔をしていたのだろう か・・・
さらに、なぜか周りからの視線が痛い。主に男子…。
結局、その後の先生の話は一つも頭に入ってこなかった。
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昼休み(・8・)
「絢瀬さん?」
「うん、絢瀬絵里。どんな子かわかる?ってきいても、クラス違うしわからないよな」
「うーん、そうやね~。にこっちは?」
「絢瀬絵里ねー。私もよく知らないけど、金髪で美人でスタイル抜群って男子がはしゃいでいるわね」
「まあ、確かにその通りなんだけどな」
「ふーん、そうなのね。まあ、私には関係ないわ」
「おや~?にこっち、嫉妬しとるん?」
「そ、そんな訳ないでしょ!」
「もちろんにこも可愛いに決まってるだろ」
「ゆ、裕貴//」
「小~中学生っぽい可愛さが際立っていて…」
「少しでも期待した私がバカだったわ…」
まあ、本当のことを言うとにこは見てもわかるとおりの美少女なんだけどな。もちろん、本人には言わないけど。
「ところで、裕貴君はその…絢瀬さんのことをどうしてきいてきたん?」
「ああ、そういえば言っていなかったな。俺、今日の放課後に屋上に呼ばれたんだ」
俺の言葉を聞くと、二人とも固まってしまった。その状態を眺めること数秒。
「呼び出された!?ちょっと、どういうつもりよ!!」
沈黙を破ったのはにこである。
「しかも、屋上なんやね~…」
「まあ……そういうことじゃないか……」ガタン
「……」
「にこ?」
「私自販機に行ってくるわ。先に戻ってていいわよ…」
「あっ!にこっち!ごめんな裕貴君、ウチもちょっと行ってくる。先に戻っててな~」
「え……うん」
そして、俺一人が中庭にあるテーブルに取り残されていた。
「……戻るか」
中身を平らげた弁当箱を持ってその場を後にしようとした時、その言葉が聞こえてきた。
「絢瀬さんってちょっと声かけにくくない?」
「なんか、話しかけるなオーラみたいなのあるよね~」
「あー、わかる~。なんか高嶺の花って感じ、あんまり良くは思えないよね~」
「……」
このまま聞き続けても、気分が悪くなるだけだったから急いでその場を後にして教室に戻ることにした。
そして、教室に戻った俺の目には1人本を読んでいる絢瀬の姿が映っている。
窓際のその姿はとても美しい一つの絵のようなものであり、どこか儚さを感じるものだった。
「起立、礼」
サヨウナラー
時間はあっという間に過ぎてゆくものだということを実感し、今はすでに放課後。
そう、絢瀬との約束の時間だ。
絢瀬の座席を遠目から伺うと、彼女はすでに帰宅の準備を済ませている様子だ。今から屋上に向かうのだろう。
……緊張……していないと言えば嘘になる。でも、心のどこかには少し楽しみにしている自分もいる。
さて、俺も向かうとするか。
春の暖かな日差しが差し込む屋上。そこには1人の少女の姿がある。遠くからでも目立つ金髪。
「絢瀬」
「渡美君」
さあ、バラ色の高校生活の第一歩だ。
「それで、用事ってのは?なんか話があるのか?」
「ええ、そのことなんだけれども……」
「いつも祖母がお世話になっています」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それで、結局裕貴君の勘違いだったわけなんやね~」
「まあそんなことだと思ったわよ」
「そりゃ、屋上に呼び出しって普通に考えたらそれしか思い浮かばないだろ!?」
「まあ、残念だったわね」
結論から言うと、絢瀬の用ってのは告白などではなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「………」
「……あの……渡美君?」
「え、あぁ、ごめん。えっと、祖母がお世話になってる?」
ちょっと待て、これはどんな状況なんだ?
「ええ、あなたのご両親って海外にいらっしゃるでしょう。どこの場所にいるか知っているかしら?」
両親?どうして絢瀬から俺の両親の話がでてくるんだ?それに俺の両親は確かロシアにいたはずなんだけど…
「手紙ではロシアに行くって……でも、それとなんの関係が?」
「私ね、クォーターでおばあ様がロシア人なのよ」
「なるほどな、だからその金髪もおばあ様譲りで地毛ってわけか。そんなにきれいな金髪なのに先生が注意しないのが不思議だったんだよな」
「あ、ありがと//」
普段はクールでキリッとしてるけど照れるような可愛い一面もあるんだな。
「それでさ、君がクォーターってのはわかったんだけどどうして俺の両親?」
「あなたのご両親はね、私のおばあ様の家の隣で今生活しているのよ。それで、おばあ様もよくお世話になっているみたいで…。私も一度ロシアに行ったときにあなたのご両親と会ったのよ。それで、音ノ木坂に息子が通うからよろしくとね」
「そんなところで繋がりがあったんだな。まあ、とりあえずこれからもよろしくな絢瀬」
「ええ、こちらこそよろしくね渡美君」
「それでさ、結局のところ告白とかじゃないんだよな?」
「??」
「あ、いや、忘れてくれ」
まあ、屋上=告白だと思った自分が早とちりだったわけだしな。でも、絢瀬と話せるきっかけ作りができたしよかったのかな。
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「そう言えば、裕貴君って絢瀬さんのことが好きなん?」
「そうよ、そこんとこどうなのよ?」
なぜかにこが必死に俺に詰め寄ってくる。
「別に今のところは恋愛がどうとかってのはないな~」
「なるほどな~。てことは、これからはある可能性もあるんやね」
「まあ、別に裕貴がどうなろうと私には関係ない話ね」
嘘つけ、さっきあんなに詰め寄ってただろ。
「まあ、音ノ木坂の女子はみんなレベルが高い子ばかりだからな。健全な男子なら、そりゃあ付き合いたい願望とかもあるわけだよ」
「なら、ウチが裕貴君の彼女に立候補しようかな~」
「ちょ、ちょっと、希!!」
「まあ、冗談なんだろ希」
「ふふん、どうやろね~」
「まあ、希の胸を好き勝手できるってのは最高なことだけどな」
「前から思てたけど、裕貴君ってウチの胸にしか興味ないん……」
「裕貴……」ジトッ
「2人とも……じょ、冗談に決まってるからな。あ、あはは」
「はぁ…どうして私はこんな………」
「どうしたんだ、にこ?」
「なんでもないわよー」
「ほな、そろそろ戻ろか~」
「あ、今度絢瀬を呼んでもいいか?」
「ウチは別にええよ~」
「まあ、私も別に気にしないわよ」
「2人ともありがとうな」
「それじゃあ、この応用問題を……絢瀬さんお願いします」
「はい」
指名された絢瀬は、黒板にその答えを書いていく。俺と全く同じ解答だ。
「よし、正解。絢瀬さん、ありがとう。この問題は~」
授業が本格的に始まって数日がたち、色々な教科でも高校らしい内容に取り組み始めている。
今授業中の数学は、自分にとってまだそこまで難しくない内容だが数学が苦手な人たちはそろそろ頭を抱え込むはずだ。
にこのやつ大丈夫だろうか……。
キーンコーンカーンコーン
「よし、今日はここまでそれじゃあクラス長……って決まってなかったんだっけこのクラス?……まあ、いいわ…起立………礼」
そう、なぜかうちの担任はクラス長を決めなければいけなかったのにもかかわらず、その時間に自分の過去話を語り始めた。その話が思ったよりも長く、先生も熱心に話していたためチャイムが鳴ってようやく自分がやらかしたことをわかったようだ。
ちなみに今日の5限目にクラス長が決められる予定だ。
次が四限目で体育だけど、昼食前の体育はなんだか力を出し切れない気がする。まあ、昼食後の5限目に体育するよりましだけどな。
「渡美行こうぜ~」
「おう、ところで今日はなにやるか知ってるか?」
「なんでも、今日は二組と合同らしいぞ。5㎞走だからできるだけまとめてやりたいってことらしい」
「5㎞ってまじか……」
「サッカーしてたお前がなにため息ついてんだよ」
「そういうお前も野球だろ」
会話を続けながらグラウンドに向かっていると、女子更衣室から見知った2人が出てくるのが見えた。
「あ、裕貴君やん」
「そういえば今日、合同とか言ってたわね」
「おー、2人とも。今日の体育の内容知ってるか?」
「うちはそこまではわからんな~。にこっちは?」
「私も知らないわよ、大変な種目だけは勘弁してほしいわね……」
「にこ……今日は5キロ走らしい……」
次の瞬間、にこの顔から笑顔が完全に消え去っていた。
「にこっち……まあ、一緒に頑張ろ~!」
「やるしかないわね…それじゃあ裕貴、また後で」
「あ、今日絢瀬誘ってみるわ~」
「わかったよ~」
2人を見送り、男子の方に視線を戻す。…どうしてみんなそんなに怖い顔をしてるのかな?
「なあ、渡美」
「どうした」
「お前……マジでうらやましいぞ…」
「俺がうらやましい?」
思い当たることがないんだけど…
「絢瀬さんといい、あの二組の女子といい…どうしてあんなにレベル高い女子と仲良くできてんだよチクショウ!!」
「確かにそうだよ、なんでお前だけいい思いしてんだよ」
「いい思いって……別に絢瀬とは両親が知り合いだったり、にことはただの幼なじみだし、希は気づいたら友達になってたし…」
「それがうらやましいって言ってんだよ!!」
「本人に自覚ないとか一番最悪なパターンだよこれ」
「俺なんて、初日からずっと絢瀬さんにアプローチしてるのに総スルーだぜ……」
「お前…涙拭けよ…」
「渡美もそうだが、遠藤のやつも二組の女子に告白して成功したとかいう話をさっき二組のやつから聞き出したぞ」
「まじか、遠藤!遠藤はどこだぁ!」
「やつを生かしておくなーーー!!」
俺の近くに集まってた男子は、告白に成功したらしい遠藤の元へと走り去っていった。
今から5キロ走るのに無駄な体力使って大丈夫かよあいつら…。
走り去って行く男子を目で追いかけていると、絢瀬の姿が映る。やっぱり美人だな…。彼女と話しているのが、うらやましがられるのが少しわかった気がした。
なお、遠藤を問い詰めに行った男子数人と、数人に追いかけられた遠藤は、5キロ走を完走したもののその5キロ走の中でも追いかけ合いが行われていて、完走後はまともに立つこともできず死屍累々としていた。
「中庭で?」
「うん、どうかな?」
「……その2人っていうのは、このクラスの人?」
「いや、隣のクラスだよ」
「その……お、男の子?」
「いや、彼女たちだけども……2人ともとってもいいやつらだしどう?」
「まあ、わかったわ。それじゃあ行きましょう」
「よし、行くか」
クラス内から、「誰か鈍器持ってないか?渡美用の」とか色々と聞こえてくるが今は気にしない気にしない。
「あなたがうらやましいわ…」
「俺?……てか最近うらやましいって言われてばっかりなんだけど…」
「すぐにクラスに溶け込めて、みんなと仲良くできてるじゃない。私は、その、初対面の人たちとはどうしても関わりづらくて…」
「仲良くか…本当にできてるのかな俺……」
「できているわよ、私が見てる中では。人付き合いって難しいわよね」
今の絢瀬の姿を見ていると、あの頃のことが思い出される。
あの頃の
「確かに、人付き合いってのは難しいよな。なかなか自分とも相性が合わないやつもいたりするし、意見の食い違いとかもでてくる。さらに、人同士の争いなんかも起きたりするもんな。でもさ、それってとても人間らしいことじゃないか?」
「人間…らしい…」
「人間だからこそ、家族がいて、友達がいて、恋人とかもいたりしてさ。こんなことができるのは人間しかいない。だからさ」
「友達の一人や二人、増えるくらいいいだろ?」
「裕貴ー!遅いわよ~」
「わかったから、あわてるなよー」
「渡美君…」
「ん?」
「その……ありがとう……ね」ニコ
「お、おう//」
ほとんど見たことがなかった彼女の笑顔に、一目惚れでもしたかのよう自分の心臓が高鳴っていた。
基本的には、アニメに沿いますがオリジナルも入れていくつもりです。
中では設定などもアニメと少し異なる点があるかもしれませんが、それがこの作品の味とでも思っていただければ幸いです。
読んでくださってありがとうございました<(_ _)>
短編小説も書いていますのでそちらのほうもぜひぜひ
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第4話 決意
いつもありがとうございます(・`8・)bハラショー!
先行抽選のチケットの情報も公開され、盛り上がりをみせるラブライブですが、作者の私は最近Charlotteにどはまりしてしまいました^_^;
はい、鍵っ子なんです私。
私の話はそのくらいにしてそれでは本編です
「えーと、それじゃあ俺から簡単に……こっちが俺の幼なじみの矢澤にこでこっちが東條希」
「ほ、本当にいいスタイルね……。矢澤にこよ、よろしく」
「ウチは東條希、よろしゅうな~」
「あ、絢瀬絵里です。よろしく……」
「もう、同い年なんやからもっと気楽にしてよ~」
「そうよ、私たちは……も、もう友達なんだから……」
「にこがめずらしくてはいいことを言ったぞ!」
「明日は雪やんね~」
「ちょっとそこ2人!」
「ふふっ。あっ、ごめんなさい……つい面白くて…ふふ…」
「そ、そうか…」
「とにかく、もう気軽に話しなさいよ……絵里…」
「あのにこが……デレてる…だと…!?」
「ウチらにすらできなかったことを……えりちは流石やね…」
「え、えりち?それって私?」
「そうやよ~。なんかマズかったん?」
「いや、私あだ名っていうのかしら、そんなものつけられたこと今までなかったから少しおどろいたらだけよ」
「希はにこもにこっち呼びだからな」
「なにあんたたちうまいこと話変えようとしてんのよ…」
「と、まあ、これからも仲良くな~」
よかった、絢瀬もこの2人なら大丈夫そうだな。
それにしても…。美少女3人にもう一人は男子の俺か…。クラスのやつらが見たらどうなることやら…。あいつらなぜか、女子関係にうるさいしさ…。
ちなみに遠藤は、昼休みにクラスの男子によって絞り上げられていた。
放課後(・8・)
「渡美君ちょっといいかな?」
「ん?どうしたんだ?」
俺は帰宅準備を済ませ、にこ達と帰ろうとしていたがクラスメートの三嶋に声をかけられていた。
「今日の昼休み中にね、僕見たんだよ……あの状況をさ」
「……えーと、うん…」
「それでね、そのことを一応クラスの男子に話したりしてたんだよ」
「そ、そうなのか…あはは…。あ、俺今日用事あるから急ぐわ!」ダッ!
「逃すなぁ!」
三嶋の声と共に、教室のドアの前にラグビー部であだ名がゴリの郷田が立ちふさがる。ゴリの由来は、
ゴリラに似ているから
という訳ではなくその体つきからである。ゴリゴリだ。
俺はもう一方のドアに向かうことを考えたが、そちらはすでに数人によって退路を断たれている。
万事休す。まさにこの言葉が頭をよぎる。
「あなたたち、いったいなにをしているの?」
「絢瀬!?」
「絢瀬さん、いや、これはその…」
「クラスの女子の子が、ドア前にいる男子のせいで教室から出られなくなっているのよ!もう少しは周りを見たらどうかしら?」
「はい、おっしゃる通りです。すいませんでした!!」
「「「「すいませんでした!!」」」」
おそらく、このことの首謀者である三嶋が謝ると他の手を貸していた男子たちも続くように謝っていた。
そして、クラス内からは「絢瀬さん…カッコイい//」「キャー!絢瀬さん//」などといった女子の黄色い声が上がりはじめる。
この出来事が、後に絢瀬絵里非公認ファンクラブ設立のきっかけとなったことはもちろん、本人は知る由もない。
「悪いな、絢瀬。助かったよ」
「別に渡美君のためじゃないわ。私自身も迷惑だったし…」
「そ、そうか…」
少しだけ期待していた自分がいたんだけどな…。
「ところでさ、よかったら途中まで一緒に帰らないか?にこと希もいるしさ」
「ええ、いいわよ。それじゃあ行きましょう」
「やけに乗り気じゃないか?」
「別にそんなことないわよ!」
さて、それじゃあ早速にこたちと合流しますか。後ろで、三嶋たちがなんか言ってるけど気にしないほうがいいだろう。
「クレープ屋?」
「そうそう、最近近くにできたみたいなんだけどそこが評判いいらしいわよ」
「今日の帰り道少し寄ってみる?」
「俺はOKだぞ。絢瀬は?」
「私は大丈夫だけど…みんなはいいの?」
「みんな?」
「ええ、この中に私がいてもいいのかなって…」
「絵里、あんたがどう思っているかはわからないけれど、私にとってはもう……その…と、友達なんだからそんなに気を使う必要はないのよ!」
「そうやで、えりち。えりちはウチらと一緒はいやなん?」
「そんなことあるわけないわよ!ただ、3人の仲を見てたらこの中に自分の居場所があるのか不安で……」
「ウチも高校から2人と知り合ったんよ。でも、今のこの関係はウチにとっては居心地のええものなんよ。まあ、この2人は昔からの熱々な関係やけどな~」
「ちょっと!なに言ってるのよ希//」
「そうだぞ、俺たちの関係はただの幼なじみだ」
「ウチはただ、2人の仲がええな~って言うてたんよ。恋人同士とかそこまでは言うてないんやけどな~」
「なっ//」
そして、希のペースに俺とにこが乗せられ、絢瀬が1人置いてけぼりにされている状況が続いていたが、クレープ屋に到着すると皆自分の食べるクレープ選びに夢中となっているのであった。
「みんなはどの味にしたん?」
「にこはもちろん、チョコの甘さといちごの甘酸っぱさが最高のチョコストロベリーよ!」
「俺は無難にチョコバナナだな」
「私は…チョコレートよ」
「み、みんな普通のなんやね……」
そりゃ普通が一番だろ。下手に選んで、ハズレひくよりはましだしさ。
「それで、希は?」
「ウチは……これ!」
「……希……あんたこの中身って…」
「お肉みたいなものが見えるわね……」
「これは牛カルビなんよ~」
「「「……」」」
「な、なんでみんな黙るん~~」
あれ?クレープって元々はデザート系の食べ物だよな。
特に見向きもしなかったメニューの看板に俺は目を向けると、そこには代表的な甘い系のものからおかず系?と呼べばいいのかよくわからないチーズドッグやベーコンレタストマトなどといったものまでがあった…。
「もう!ならにこっち、うちのこれとにこっちのそれ食べ比べよ!」
「なんで私なのよ!」
「うち、いつもはにこっちのそれ食べてるんよ」
「どうして今日に限って、そんな変わったものにしたのよ…まあいいわよ…」
「ありがとなーにこっち」
なんだかんだでにこも優しいよな。まあ、あれでも一応長女だからかな……体つきはともかく…。
「うん、やっぱりいちごは美味しい!」
「……意外に美味しいと思ってしまった自分が悔しいわ……」
美味しかったのかよっ!ちょっと気になるじゃん…。
「はい、えりち」
「えっ、わ、私?」
「どうせやったらみんなの食べ比べてみん?うちえりちのも気になるんよ~」
「わ、わかったわ……どうぞ」
そしてクレープを希に差し出す絢瀬。しかし、それを希は受け取ろうとはしない。
「えっと…希?」
「えりちが食べさせてくれたらうち嬉しいな~」ニヤニヤ
「ええっ!!」
なるほど、希のあの顔からして絢瀬がそういったことを苦手としているのをわかって頼んでいるんだな。きっと反応を楽しんでいるんだろう。
「ほら、うちも食べさせてあげるんよ~。えりちも~」
ここぞとばかりに攻める希、絢瀬の限界がくるのも時間の問題だろうな。そして、その時はすぐさま訪れた。
「ちょっと待って希、わ、私先に渡美君と食べ比べするから少し待ってて!!」
「……えりち?」
「えっと……絢瀬?」
「こ、これは違うのよ~//」
結局、その後は希と絢瀬でお互いに交換しあって食べ比べをしましたとさ。
それにしても、絢瀬の口をつけたクレープか………っておいおいなに考えてんだよ!!最近絢瀬のこと考えすぎてないか俺……。でも、これが決して恋ではない。なぜか、そう断言できたのだった。
「部活……もちろんサッカーだけど…」
「私は、アイドル研究部を設立さるわ!」
「お前本気なのかよ…」
「今話題のスクールアイドルを、この私が始めないわけにはいかないでしょ!」
にこがスクールアイドルか……。
ふと、中学の頃を少し思い出してしまった。
「にこ、その……」
「大丈夫よ」
「っ、でも…」
「いつまでも怖がってちゃ前に進めないもの…」
「……わかったよ」
「えーと、う、うちは特に入りたい部はないかな~、明神の所のバイトもあることやし」
「わ、私も特にないわね…」
「なら2人とも!ぜひアイドル研究部に」
「俺からも頼む、2人とも」
もう…あんな思いは…させたくもない。
「…」
「…」
「うち、運動とかそこまでできないんよ?」
「私だって、得意じゃないわよ」
「私も、アイドルっていうのは向いてないと思うのだけれど…」
「そんな抜群のプロポーションでなに言ってんのよ!私なんて…」
「にこ、気にするな。俺はそんなにこもいいと思うから………身体はともかく……」
「あんたはいちいち一言が余計なのよ!!」
あらら、逆効果みたいだったな……。とは言え、この2人がにこと一緒にやってくれるのならここまで心強い味方はいない。是非とも頼みたいところだな。
「まあ、せっかくのにこっちの頼みやもんな~。えりちは?」
「ふふ、しょうがないわね」
「……ぐずっ…」
「泣いてんのか?」
「な、泣くわけないでしょ!…それに、あの日以来泣かないって決めたもの…」
「にこ…」
にこは自分から進もうと頑張っているんだよな。なら、俺も頑張らないとな。
「絵里、希、これからもよろしく…それと…あ、ありがと//」
「ええ、こちらこそ」
「にこっちがデレデレやん~」
「うっさいわよ希!!」
さて、これで一件落着かな。
彼女たちはきっと上手くいく、いや、上手くいっていたんだろう…。
しかし、現実とはそう上手くはいかない。
自分こそ、その言葉の意味をわかっていたつもりだったんだけどな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コンコンコン
「お姉ちゃーん」
「はーい、入っていいわよ」
「夜遅くにごめんなさい…」
「いいわよ、可愛い亜里沙のためだもの」
「お姉ちゃん…大好き!」
「ふふ、それでどうしたの?」
「なんだか眠れなくて…今日一緒に寝てもいい?」
「いいわよ、それじゃあさっそく寝ましょうか」
「お姉ちゃん…その動画は?」
「なんとなくかな…最近ちょっと体を動かしたくなったの」
「亜理沙、お姉ちゃんのバレエ見たい!」
「機会があったらね」
「うん!それじゃあお休みなさい」
「お休み、亜理沙」
どうせやるのなら、全力よね。
目指すは頂点よ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うちがアイドルか……」
お父さんとお母さんが聞いたら、なんて言うんやろ。
でも、うちなんかがアイドルなんて……正直不安なんよ……。
歌やダンスには自信ないし、えりちみたいなプロポーションとかっこよさがなければ、にこっちみたいな可愛らしさやアイドルについての知識もない。
でも、女の子なら誰だってアイドルに憧れを抱くんよね。
よし、えりちにもにこっちにも負けへんで~!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あの2人とならやっていける。
なぜだかわからないけど、そういう確信があった。
次は、失敗したりはしない。同じ過ちは繰り返させない。
もう、一人きりにはなりたくない…
1人、また1人と離れていくのを見たくはない。
私は負けない、悲しみなんていらない。
にっこにっこにー♪
私は大銀河宇宙No.1なんだから。
笑顔を届ける。その夢を必ず叶えてみせるわよ!
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彼女たちの思いはやがて……一つの大きな思いへとなり……姿を表してゆく。
それは、そう遠くはないのかもしれない
キャラ崩壊してないか心配している作者でございます(笑)
感想などぜひよろしくお願いします<(_ _)>
Twitter @tomofate
それではまた、ありがとうございました~
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第5話 テスト!
今回は、短めの内容かもしれません。
それではどうぞ!
「………」
「にこ…」
「にこっち…」
「な、なによ2人とも…だ、大丈夫よこのくらいの長文………えっと、ここの訳は………にっこにっこn」
「希、頼んだ」
「任せといて~。いくで~秘技……わしわしMAX!!」
「ちょっと、そ、それだけは……いやぁーーー!!!」
そして例のごとく、にこが希に胸を揉まれている。あっ、にこの限界がきたようだ…。
時間は数分前にさかのぼる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それじゃあ、来週からテストだから勉強を怠らないようにな~。渡美、号令」
「起立……礼」
サヨウナラー
さてと、勉強するためにさっさと帰りますかな。
鞄を持ち教室を出ようとすると、猛スピードで希の手を引っ張りながらこちらに駆けてくるにこの姿があった。
「裕貴、絵里行くわよ!」
「はあ?どこに?」
「部室に決まってるでしょ!部室!」
「そういえば、今日から使えたんだっけ?」
「だーかーらー早く行くわよ!ほら、絵里も~」
「ごめんなさい、私今日は寄る場所があるから先に帰るわね…」
「わかったわ、それじゃあ行くわよ!」
そして、俺の手をつかむにこ。まあ、付き合ってやるとしますか。
「ここが部室よ!」
その部屋は二階にあり、まあまあな広さと太陽の日差しも差し込むという素晴らしい場所であった。
「こんな所を使わせてくれるなんて……理事長も人がいいな……」
「本当に……そ、そうやね……」
にこに振り回されるのに慣れていない希は、呼吸を整えるのに時間が必要だった。
「それじゃあさっそく、張り切っていくわよー!!」
「……なにをだ?」
「そんなの、もちろん部活に決まってるでしょ!ここはアイドル研究部の部室なのよ」
うん、そのくらいこっちもわかっている。でも、張り切ってやることが何か間違っているのは確かなことだ。
「にこ、もう一度よく考えてみろ。俺たちには、やらなければいけない他のことがあるはずだ。こっちのクラスは、帰り際に先生が言ってたぞ。さぁ、ここまで言えばわかるはずだ、今俺たちがやるべきことは?」
「な、なに言ってるのかしら?希もほら、やるわよ!」
こいつは……。まあ、中学の時もこんな調子だったよな…。
「にこっち、うちも勉強せなアカンと思うんよ…」
あ、ついに言った。
「………そ」
「そ?」
「そんなの私が一番わかっているわよ!!」
やっぱり、予想通りだったか。
「まあ、後一週間あるんだからまだ大丈夫だろ。ほら、3人でやろうぜ。とりあえず、にこの苦手な科目から始めるか……確か英語であってるか?」
「あってるわよ……」
「英語ならうちに任しとき!ほなやるで~」
「とりあえず、教科書のこの問題からだな。各自15分を目安に解いてみよう。それじゃ、スタート!」
そして、各自英文をにらめること15分後。お互いの答案を見せ合ってみたが、にこの答案は真っ白な白紙状態であった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「にこ、英語の授業中いったい何をしてたんだ?」
「それは……その…」
「うちからは何か書いとるように見えたんやけどな~」
「それは、英語についてのものか?」
「それは………にこ♪」
「希、さっきの三倍で頼む」
「なによ!だいたいここは日本なんだから、英語なんて必要ないでしょ!!」
うっわ、とうとう中学生みたいな言い訳言い出したぞ。そんなのっていいわけ?
ごほん、失礼しました。
「結局あれはなに書いてたん?」
「…歌詞よ…」
「「歌詞?」」
「この先、ライブとかをするためには私たちの歌が必要でしょ。作曲はさすがに無理だからせめて歌詞だけでもって…」
「にこ……」
「にこっち……」
「あんたたち、わかってくれるの?」
ああ、俺はもちろんにこのことはわかってるさ、でもな
「そのやる気を、勉強に回せなかったのか?」
「せやな~~」
「あ、あんたたち、容赦ないわね…」
まあ、これもにこのためを思っているからこそだからな。
「とりあえず、せめて赤点は回避できるように頑張るぞ。これから毎日な」
「うぅ…わかったわよ…」
「それじゃあ、渡美&東條先生の特別解説授業スタート!いえーい!」
「ゆ、裕貴君……」
「………忘れてくれ」
「と、まあ、こんなもんか」
「そーやね、にこっち今日はお疲れ様」
「や、やっと終わったのね…。気がついたら数学とかまで勉強し始めていたことは考えないことにするわ…」
「でも、にこは数学はできるほうなんだよな…」
後は予想通りだったけど、希も勉強の方は特に心配ないようだ。
「ほなそろそろ帰ろか~」
「そーだな、希明日も頼むぞ」
「えー、明日もやるのー?」
「誰のためだと思ってるんだ?それに、今日帰ってからもやるからな~」
「……」
「ま、まあ裕貴君もほどほどにな~~」
この俺が手伝ってやってんだ。赤点なんて絶対に許さないからな。
勉強会の後、希と別れにこと帰路につく。エレベーターで上がり部屋に向かうと、にこの部屋の前によく見知った人の姿がそこにあった。俺たちが近づくと、向こうもそれに気づく。
「ママ~ただいま~」
「ただいま、にこのお母さん」
「お帰りなさい、にこ、裕貴君。もう、裕貴君もママって呼んでもいいのよ~。私もその方が嬉しいですもの」
いや、この年でさすがにママ呼びは抵抗あるだろと横にいるにこを見ながら口には出さずに思っていた。
「今日は早かったんだね」
「ええ、仕事がサクサク進んじゃってね~。2人は、放課後デートの後かしら?」
「「違う!!」」
にこと、ぴったりタイミングがあったがそんなことは気にしない。この人はいつもそうだ。
「も~う、早くくっついちゃえばいいのに……」
「裕貴と付き合うわけないでしょ!」
グサリ
そう断言されればさすがに、心に刺さる。まじかよ…俺ってそんなにダメ男なのか…。
ぐでーんとうなだれる俺を見て、にこのお母さんが微笑ましそうにしている。
「あ、そう言えば今日しばらくにこを部屋に連れて行きますね」
「ちょっと!本当にやるの?」
「もちろんだろ、あんな中途半端に終わらせてどうするんだよ。にこだって、まだ満足にできていないってわかっているだろ」
「それは……そうだけども…」
「あの……2人とも……」
ここで、にこのお母さんが少し控え目に話に割り込んでくる。
「そのね……2人がそういうのに興味ある年齢だってことはもちろん私にもわかるから……あんまり羽目を外さないようにね。一応隣は私たちの部屋だけだけれども、上の階にはもしかしたら聞こえるかもしれないし……。それにしても、付き合いなさいとは言ったけどもそんなに進んでいるとは思わなかったわ…」
「……………」
「……………へ?」
にこのお母さんの話を聞いて黙り込む2人。にこの方は完全に思考停止状態だ。
「それじゃあ2人とも、ごゆっくり~」
そう言って、にこのお母さんは部屋へと入って行ってしまった。
にこがフリーズ状態から戻ったのはしばらくしてのことだった。
「……」
「……」
今は俺の部屋に、にこといるんだが……空気が……。
にこのお母さんに言われた言葉が、2人とも変に意識しているからだろう。
スラスラという紙にペンを走らせる音しか聞こえないこの空間。さすがに耐えられなくなった俺は、にこに声をかけることにした。
「なあ、にこ」
「な、なによ?」
「さっきのことだけどさ」
「さっ、さっき……あれよね」
「俺……にこと……」
そして、立ち上がり向かいに座るにこの元へと歩き出す。
にこは慌てて、どうしたらよいのかわからなくなっている。
そして、にこの目の前に行き……
「引っかかるわけないでしょ」
という言葉と共に、にこの指からデコピンが放たれる。もちろん、痛くはない。
「ありゃ、ダメだったか」
「あんたの考えてることなんてお見通しよ。何年一緒にいると思ってるのよ」
「さすがにこだな」
そして、2人して笑い出す。にことの、このなんともない一緒に過ごす時間はやっぱり心地がいい。
「裕貴」
「なんだよ」
「ふふ、なんでもない」
「なんでもないなら、勉強再開するぞ」
「…ったく…あんたは本当に……ふふふ」
「なんだよお前も…」
結局また2人して笑い出す。
この時間が何時までも続けばいい。
そう思っていた俺は、まだまだ子供だったのかもしれないな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
テストが終わって数日後。全ての教科が返ってきて、職員室前に上位成績者の名前が張り出されている頃だろう。
俺は絢瀬と共に、職員室前に向かうことにし教室をでるとちょうどにこたちとも合流することになった。
職員室前は人だかりができていた。上位成績者だけの発表のはずなのに、どうしてこんなにも大勢が押し寄せているのだろうか…。
まあ、そういう俺たちも見に来ているけどな。
成績表が見える範囲にたどり着き、4人一斉に成績表を見る。
俺たちが目にしたのは
2位 絢瀬絵里
3位 渡美裕貴
17位 東條希
ちなみに、英語がヤバいと言っていたにこは赤点が35未満であったに対して38点であった。
今回はここまでです。
最近とあるゲームにはまってしまったので…^_^;
なるべく早く更新するように心がけます。
それでは、次回もよろしくお願いします。
追伸、次はCharlotteの方を更新予定です。
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