アカメが斬る!【帝都監察官】 (タービン)
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第一話

初投稿です。
友人に借りたアカメが斬る!にはまってしまい妄想がふくらんで書いてしまいました…
友人に現在借りているのは五巻までなのでもしかしたら作中に既に出てる物をオリジナルで出すかも知れませんが悪しからず…


ここ帝国の首都である帝都に警務部隊と呼ばれる者達のの詰所がある。

その中の一室【警務部監部隊隊長室】

 

そこを目指し走る少女がいた。

自らのセミロングの黒髪を揺らしながら走る少女の名は【セイラ・クロイス】

彼女は手に持った書類を自分の上司に届けるべく、その部屋を目指してた。

 

そして目的の部屋に着いたのであろう、彼女は走った為に乱れた自分の服装を正し息を整え、その部屋のドアを叩き自らが来た理由を告げる。

「アラン隊長、セイラです。至急、伝えたい事があります。」

 

すると、中から

「どうぞ〜」

という男の気怠そうな声による返事が返ってきた。

 

「失礼します。」

 

そう一言告げて入った彼女が目にしたのは自らの机上に乗せた書類の山から顔を覗かせてこちらを見ている、目の下に隈をつけ、煙草を咥えた短髪の黒髪の男がいた。

 

彼の名は【アラン・グラント】この部屋の主である。

彼はセイラに

 

「どうした?」

 

そう言い、セイラが部屋を訪れた理由を尋ねる。

 

「隊長、帝都警備隊オーガ隊長が昨晩殺されました。」

 

そう自らの上司に告げた。

 

「…は?冗談キツイよ、セイラ…」

 

部下であるセイラの予想外の知らせにアランは咥えていた煙草を落とし、少しの間を空けてそう言った。

何故ならオーガという男は警備隊の隊長という肩書きを持つ男でありそう簡単に人に殺されるような男では無かったからである。

さらに、オーガはアランの【監察官】の仕事である内部監査の対象の人物でようやく情報の整理が付きこれか彼に対しての判断を下そうとしていた所であるからだ。

アランは溜息を吐きながら椅子を後ろに倒しながら新しく咥えた煙草に火を着けた。

 

実の所、最近アランの仕事はこのようにして中途半端に終わることが多かった。

 

「…また、【ナイトレイド】の仕業なのか?」

 

 

アランはここ最近自分の仕事の邪魔をしている者達の名を挙げセイラに尋ねる。

 

「恐らく…」

 

彼女から返って来たのは予想通りの答えだった。

 

「詳しいことはこの書類に書いてありますので…」

 

そう言いセイラはずっと自分が持っていた書類をアランに渡す。

受け取った書類を眺めながら徐々に眉間の皺を深める上司に彼女は少し言いづらそうにアランに尋ねる。

 

「また、対象者死亡で監査中止ですか?」

 

その問いにアランは溜息を吐くと同時に口から紫煙を燻らせながら答える。

 

「多分、そうなるだろうね。…はあ、最近の仕事はこんなのばっかだ。」

 

心底疲れたように言うアラン。

 

「…【ナイトレイド】か、やってくれるよ…」

 

そう言いながらアランは咥えていた煙草を灰皿ではなくオーガについて纏めた机の上を占領していた書類に押し付け火を消した。

 




誤字・脱字、おかしな表現があれば教えて下さい。
これから頑張って行こうと思うのでよろしくお願いします。
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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第二話

小説を書くのって難しいっすね…
頭の中では出来てるのにいざ文章にするとなると…


「今、帝都を騒がしている通り魔を倒して来いって子供にお使い頼むみたいに簡単に言いやがって、あの野郎…」

 

一人ブツブツと文句を垂れながら夜の帝都を歩くのは警務部監察部隊隊長【アラン・グラント】

彼が何故こうなったのかは少し前に戻らなければいけない。

 

 

 

アランは自らの上司である警務部長【ジュード】に呼ばれジュードがいる警務部長室の前にいた。

アランが部屋に入ると案の定部屋の主である金髪を頭にボサボサと生やしたガタイのいい男【ジュード】がおり、アランはジュードに自分を呼んだ理由を尋ねる。

 

「急に呼び出して何用だ?」

「いやなに、お前ら監察部隊やってもらいたい仕事があってな。」

「仕事、ねえ…内容は?」

 

ジュードに言われた言葉を眉を顰めながらアランは質問を重ねる。

 

「今、帝都を騒がしている通り魔についてだ。」

「あぁ、その事か。まだ、確証は無いが犯人は首斬りザンクって話しだろう?」

「そうだ。そして、仕事って言うのはお前らに通り魔事件犯人の討伐並びに犯人がザンクであった場合ザンクが奪った帝具の回収だ。」

 

お前なら、そんな事簡単だろう?とでも言いたげな目をしながら、アランを見るジュード。

 

「なんでまた急に、今まで通り警備隊に任せとけばいいんじゃねえのか?」

 

ジュードの視線を受けさらに嫌そうな顔をしながらアランは思ったままの疑問をぶつける。

 

「確かに、今までは警備隊が捜査にあたっていたが殺され過ぎた。被害者の三割は警備隊の人間だ。さらに、警備隊のオーガが死んだんだ。で、このままではマズイと思った上から俺たち警務部にも通り魔捜索の仕事が回ってきたってことだよ。」

 

ジュードは肩を竦ませながらアランの質問に答える。

ジュードからの回答を受けて、「なるほど。」とアランは納得する。

そもそも、何故アラン達監察部隊に今回の仕事がまわってきたのか。アラン達監察部隊の仕事は組織内での不祥事の調査及び報告であるが、もう一つ暗殺という仕事がある。帝都にはアラン達とは別で暗殺部隊があるのだが、彼らの仕事は主に裏の公では口に出来ない相手が対象であり、アラン達は組織内粛清の仕事を任せれているからである。

 

「りょーかい。話はもう終わりか?そうなら、今からセイラと仕事に取り掛かるが。」

 

部屋から出て行こうと踵を返しながら尋ねる。

 

「まだ、もう一つある。お前のもとに新しく部下が配属されることが決まった。」

「…名前は?」

「【コウヘイ】だ。今年、兵舎を卒業したばかりだ。そろそろお前の部下が連れてくる。」

 

ジュードがそう言って少ししてから、ノックの音共にアランの部下であるセイラが後ろに茶髪をオールバックにした少年が入ってきた。

 

「初めまして!本日、観察部隊に配属となりました!【コウヘイ】と申します!アラン・グラント部隊長!よろしくお願いします!」

 

ハッキリとした口調でそう言い、ビシッと礼をした彼が新しくアランの部下となったコウヘイだった。

 

「アラン・グラントだ。これからよろしくな。」

 

そう言ってアランは手を伸ばしコウヘイと握手をした。

 

「これで話はおわりか?なら、俺はもう行くが。」

「ああ、ご苦労だったな。それじゃあ頼んだぞ。」

「分かってるよ。セイラ、新人クン仕事だ。行こう。」

 

アランは確認を終え、部屋を出る前にセイラとコウヘイを連れ、部屋を出て行った。

 

 

 

そんな訳で今、アランは通り魔を探し街をあるいているのである。

 

「帝都の広さ完全に忘れてたわ…」

 

溜息と共に帝都に出てから何度目か分からない愚痴を溢す。

 

「しょうがないですよ、僕達、監察部隊は今日配属された僕を含めても三人しかいないんですから。」

 

アランの愚痴に苦笑しながら答える今日監察部隊に配属されたばかりのコウヘイ。彼等は二人人通りが全く無い帝都の街を歩いていた。

 

「…隊長、セイラさんは一人で捜索をされてますが大丈夫なのでしょうか?」

 

コウヘイは思っていた疑問をアランにぶつける。

 

「問題ねーよ、あいつは強い。一人でも大丈夫さ。

「そうですか…しかし、やはり女性一人というのは危ないのではないでしょうか?」

「だから、大丈夫だって。セイラだって帝具持ちだ。まあ、帝具無くても結構強いがな。」

 

なかなか引き下がらないコウヘイにアランは笑いながら答える。そして、コウヘイを見た時から思っていた事を言う。

 

「…思ったんだけど、新人クン…君もしかしてセイラに惚れちゃった?」

「なっ…!そ、そんな事ありませんよ!ただ、僕は後輩として先輩を心配しているだけです!それから僕の名前は新人クンでは無くコウヘイです!」

 

ムキになって返してくるコウヘイにアランはくつくつと笑いながら「そーか、そーか」と受け流す。

 

「まあ、落ち着けって新人クン。」

 

アランはコウヘイの呼び名を直す気が無いのか笑いながら、コウヘイを宥める。コウヘイがアランに文句を言おうと口を開きかけた時、一つの笛の音が鳴り響いた。




誤字、脱字、おかしな表現があれば教えて下さい。
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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第三話

ようやく、原作キャラ登場です。
…戦闘シーン難しいです…めちゃくちゃ…

お気に入りが10となっておりとても嬉しかったです。
皆様、本当にありがとうございます。
これからも楽しんでもらえると幸いです。


一人の少女が帝都の街を歩いていた。それだけならば普通の事なのだが、彼女は普通とは違った、何処が普通とは違うのか。それは彼女の背中で圧倒的な存在感を放つ三つ叉の槍だった。その槍はただの槍と言うには難しく独特の形状、そして三又の根元にある大きな瞳がついていた。

その槍の名は【重力自在 帝釈廻天】少女、セイラ・クロイスの帝具だ。

 

「…それにしても見つかりませんね」

 

彼女もまたアランと同じ様に愚痴を溢しながら通り魔の捜索にあたっていた。今の帝都は通り魔を怖がって皆家に閉じこもり、出歩いているのはセイラ達の他には警備隊くらいだった。彼女は時折見かける警備隊を見て自分の幼馴染みで同期でもある親友を思い浮かべる。

 

「…セリューは元気になってるでしょうか…不安ですね…」

 

セイラが自分の親友を心配していると路地裏から放たれている殺気に気がつく。瞬間、自分に向けての物かと身構えるが、どうやらこれは自らに向けられた物ではないことに気付く。そして、殺気の発生源と思われるであろう路地裏に歩みを進める。そこでセイラが見たのは額に目を付け両手の甲から刃を出してその腕を振るう大柄な男と剣を握り闘う少年の姿だった。セイラは聞いた情報通り額に目、帝具【スペクテッド】を付けている大柄な男を【ザンク】と判断したが、少年の方は全く見覚えが無い事に違和感を覚えた。しかし、セイラは先ず上司であるアランに標的発見を知らせる為に笛を吹こうとした彼女の目に入ったのは今にもザンクに止めを刺されそうな少年の姿だった。セイラは笛を吹くのを止め背負っていた帝具【帝釈廻天】をザンクと少年の間目掛けて投げつける。突如として二人の目の前に独特の形をした三又の槍が突き刺さったという出来事に両者は固まり、そして二人の間にセイラが姿を現す。

セイラは帝釈廻天を地面から抜くと同時にアランに向けて笛を吹く。そしてザンクに向き直る。

 

「警務部監察部隊副隊長セイラ・クロイスです。首斬りザンク…あなたを通り魔事件の犯人として処刑します。」

「ククク…まさか監察部隊の人間が出てくるとは…愉快愉快」

 

セイラの登場に対してそこまで動じる訳でもなくむしろ飄々としているザンクを前にセイラは思考を巡らす。

 

(とりあえず、隊長には報せたから隊長の到着を待ちつつ、倒す!)

「…味方を待ちながらも俺を倒そうとするとは余裕があるな…」

「っ…そういえば、あなたが持っている帝具はスペクテッドでしたね…」

「ほう…その反応はどうやらこちらの能力を知ってるようだな」

「あなたについての資料を読ませて頂きました。…まさか、卑怯なんて言いませんよね?」

「そんなこと言わんさ。…さあ、帝具使い同士闘おうか…!」

 

セイラと話している間に透視をしセイラが帝釈廻天以外の武器を持っていないことを確認したザンクはセイラに向かって斬りかかる。右からの袈裟斬りを一歩下がって躱し胴に向けて突き返すがそれを体を半身にする事で回避する。が、突いた体制のまま帝釈廻天を左に薙ぎ払うが体の前で交差された刃に阻まれるがそんなこと関係無いとばかりに帝釈廻天を振り抜く。衝撃に耐え切れずザンクはそのまま後ろの壁まで飛ばされる。追撃の為、迫って来ていたセイラにカウンター狙いの突きをを放つがそれを帝釈廻天を使い捌きその勢いのままザンクに斬りかかるがそれを読んでいたザンクがまたカウンターの突きを放つ。今度は躱しきれずに脇腹をかする。

 

「っ!」

 

ザンクの攻撃を喰らい一旦後ろに飛んで距離を開けるセイラ。

(…すげえ、これが帝具使い同士の闘い…!」

先程、ザンクと闘い倒されそうになった所をセイラに助けられた少年、【タツミ】は自分の目の前で繰り広げられる闘いを見て改めて帝具の凄さを実感する。

 

「ククク…こんなものか、監察部隊副隊長の実力は。」

「まさか…そうですね、このまま舐められっぱなしなのも癪ですし少しこちらも本気を出させてもらいましょうか…!」

 

セイラの纏う雰囲気が変わる。

(…来る!)

ザンクが身構えようとしたその時

 

「悪いが、ザンクを殺すのは私だ。任務だからな。」

 

そこにいたのは日本刀の様な武器を持ち赤い目をした少女、【アカメ】がいた。

 

「悪いが、それはこっちもなんでなぁ!ナイトレイドォ!」

 

アカメは自分の後ろから放たれた刃に反応し斬りかかってきた相手に自らの帝具【村雨】を斬りつけるがその刃相手に届かず空を斬った。

 

「…誰?」

 

アカメは自分に攻撃を仕掛けた相手を見据え問い掛ける。

 

「警務部監察部隊隊長アラン・グラント。邪魔はさせねえぞ…ナイトレイド。」

 

アランはアカメを睨み、言った。




誤字、脱字、おかしな表現があれば教えて下さい。
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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第四話

「隊長、来るの遅くないですか?」

「しょうがないだろ。新人クンと一緒だったんだから。」

 

 

自身の予想より遅れて来た事にに文句を言うセイラに苦笑し、言い訳をするアラン。互いに談笑しているように思えるが二人がいるのは闘いの真っ只中であり、二人とも自分の目の前にいる敵から目を逸らしてない。

 

 

「…まあ、文句は後で聞くから今は前の敵に集中しろよ。」

そうですか、なら後で言わせてもらいますよ。逃げないで下さいよ。」

「え"、も、もちろん!あ!新人クン!そこで倒れてる少年の手当てしてあげといて!」

 

 

セイラは自分の問いに曖昧に答え、コウヘイに指示を出すアランに溜め息を吐きザンクを見据える。

 

 

「待たせてしまってすいませんでした。」

「俺の趣味もお喋りなんでな、気にするな。」

「そうですか……では、行きます!」

 

 

セイラとザンクが闘い始めたのを尻目にアランはアカメに全神経を集中させる。

 

 

「それじゃあ、始めようか。ナイトレイドのアカメさん?」

「………」

 

 

沈黙の後、二人は動き出した。

アカメは自身の帝具【村雨】をアラン目掛け鞘から抜き放つ。

アランも同じく自身の刀を抜き放ちアカメに対抗する。

瞬間、金属同士のぶつかり合う音が響く。アカメは振り抜いた刃を返す勢いでアランを袈裟掛けに斬りかかる。

アランは刀を納刀しながら村雨を躱す為バックステップで後ろに下がりアカメが村雨を振り下ろした瞬間に狙いを定め納刀した刀を再び抜刀し、アカメに襲いかかる。

アランから放たれた刃をアカメは村雨で防御する。アランはそのま刃を袈裟懸けに振り下ろし横に振り払い、逆袈裟懸けに振り上げる。上段から刀を思い切り振り下ろす。

アカメは全ての攻撃を躱し受け止める。そこから始まったのはどちらかが斬りかかればそれを躱し受け止め、反撃と言った一進一退の攻防の繰り返しだった。

 

 

 

アランとアカメが闘っている間にコウヘイはアランに言われた通り地面に倒れ伏している少年を助けるべく少年の元へ行く。

 

 

「大丈夫ですか?…ってタツミ⁉︎」

「え?…コウ兄⁉︎」

 

 

コウヘイが助けようとした少年はコウヘイの出身地の村にいた弟分のタツミだった。

二人は予想外の遭遇に驚きを示すが、タツミの怪我の具合を見て慌てて治療をする。

 

「何でこんなとこにいるんだよ?それにサヨとイエヤスは?」

「っ…二人とは帝都に来る途中で逸れたからよく分からなんだ。ごめん、コウ兄…」

「そうか…」

 

 

タツミはコウヘイに真実を伝えるべきか悩んだが、言うべきではないと判断し曖昧な答えを返す。

コウヘイはそれ以上追求せず、黙々とタツミの治療を続けた。

 

 

 

 

コウヘイがタツミの治療をする間もアランとアカメの攻防は続いていたが、不利だったのはアランだった。アカメの帝具の能力は一度斬った相手を呪毒で殺すと言うもので解毒法は無い。それ故に【一斬必殺】。そのせいで、アランはアカメの攻撃を喰らう事が許されず、積極的に攻めることが出来ないでいた。堪らず崩れた体制を立て直すべく、後ろに下がりながら次の抜刀の為に刀を鞘に納めようとするが足が縺れバランスを崩す。

 

「んなっ⁉︎」

「葬る…!」

 

 

アカメはその隙を決して見逃さずアランに肉薄する。

村雨をアカメが振り切る前にアランは地面を踏みしめながら、納刀に失敗した刀の刃の腹に鞘をあて、無理矢理刃の向きをアカメへと向け突きを放つ。アカメは急に自分に向かって来た刃を急遽進行方向を前から後ろに変えることで回避を図るが、間に合わずアランの突きがアカメのお腹に刺さる。アカメはアランとの距離を取る為、村雨を振り払う。

 

 

「やっと、一撃か。まあ、こんなもんか。」

(…迂闊だった…)

 

息を整えつつ、ようやく一撃お見舞いしたことに自身の見解を述べるアランに対し、アカメは怪我の具合を見ながら先程の自分の行動を反省する。

 

 

「さてと、向こうも終わったみたいだし、こっちもそろそろ終いにしよか。」

 

 

セイラとザンクの闘いに決着が付いたのを感じながらこちらも決着を付けると言うアランに今度こそはどんな攻撃が来ても対処出来るように構えるアカメ。

辺りが静まり返る。

先に動いたのはアランだった。

アランは全身の力を抜いたかと思うとそのまま前に倒れようとする、その瞬間アカメの視界からアランが消えた。

 

 

「っ⁉︎」

 

自分の予想を超えるスピードに驚きながらも対処出来る速さだった為に自分に向かって来るアランに向けて村雨を振るアカメ。

しかし、アカメが感じたのはアランを村雨で斬る感覚では無く、まるで見えない壁に村雨をぶつけた感覚だけだった。

この予想外の事態が起こり得る事を唯一分かっていたアランは口許に笑みを浮かべながら鞘から刃を抜き放った。

右下から左上へと奔る斬撃を受けたアカメは堪えきれず地面に倒れ込む。

 

「いやー、危ない危ない。まさか、帝具使わされるとは思わんかったわ。」

「帝具…?」

 

へらへらと笑いながら言うアランにアカメは問う。

 

 

「そう、俺の帝具ーーー」

 

 

アカメに自身の帝具を説明しようと口を開いたアランの言葉を一つの銃声が遮る。しかし、完全に不意をついて放った銃弾もアランの頭蓋を撃ち抜く前にまたしても見えない壁に阻まれ届くことは無かった。

 

 

「あぶねー!一応、帝具使っといて良かったー!…で、今のはナイトレイドのお仲間と見ていいんだよな?おい?」

「ああ、その通りだ。」

「あん?誰かと思えば、軍から逃げたブラートさんじゃないですか〜。…何しに来たんだよ?」

 

 

 

突如としてアランの前に現れたのは白い鎧を身に纏い槍を持った男と眼鏡をかけチャイナドレスを身に付け身の丈もありそうな大鋏を持った女性だった。そして、白い鎧【帝具インクルシオ】を身に纏った男は【ブラート】昔、アランと何度か戦場を共にした仲の男だ。

 

 

「…久し振りだな、アラン。お前とはこことは別の所で再会したかったよ。」

「そうかい。俺はそうは思わないがな。」

「…そうか、残念だよ。さて、アカメを返して貰うぞ!」

「悪いが、それは出来ねえ相談だ。」

 

 

 

 

ブラートとの再会を懐かしむ間も無く物事は進む。

 

 

 

「なら、力尽くでも!」

「…しょうがない。んじゃ、セイラ!今から俺がこいつら抑えるから、新人クンと倒れてる子とスペクテッド持って帰って!んで、ある程度離れたらこっちの援護に戻ってきて!」

「は、はい!…隊長…私が戻るまで死なないで下さいよ。」

 

 

 

セイラからの言葉にアランは懐から出した煙草に火を点け煙りを吐きながら、盛大に格好をつけ言い放つ。

 

 

「…任せろ!」

 

 

 




テスト期間だったり、冬季補講だったり、風邪だったり、感染性胃腸炎だったりで更新が延びてしまいすいませんでした。
出来るだけ、更新して行きたいですが来年は受験生なのでなかなか出来なくなると思いますがこれからもよろしくお願いします。
お気に入り20ありがとうございました!
誤字、脱字、おかしな表現があれば教えてください。


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第五話

お気に入り24ありがとうございます!


「奴らを逃がすな!」

 

 

ブラートの声に応えるようにまた銃声が鳴り響く。

しかし、またしてもアランの作る見えない壁に銃弾は阻まれる。

 

 

「悪りいけど、こっちも大見得を切った手前不甲斐ない真似はできないんでな。行きたきゃ俺を殺してからにしろよな?。」

 

 

 

そう言い、アランは刀をいつでも抜刀出来るよう構え、ブラートとシェーレに相対する。それを見たブラートとシェーレの二人も構え直す。

 

 

 

「シェーレ…気を付けろ。あいつは縮地という歩法を使って高速で攻撃を仕掛けてくる。それとあいつのしてる腕輪…あれがあいつの帝具だ。帝具の能力は振動を使う。警戒を怠るな…!」

「…分かりました!」

「あー、そっか。お前には俺の帝具について説明したことがあったっけ。」

 

 

 

シェーレに自身の知り得るアランの情報を伝える。自身の情報を共有する二人の様子を見ながら事も無げにからからと笑いながら昔のことを思い出す。

 

 

 

「そこまでバレてるんならもういいか。俺の帝具は【エンケラドス】って言ってな、この腕輪の素材の稀少結晶の出す水晶震動波を使って振動を操る能力だ。」

 

 

 

自身の帝具について自慢気に言うアランに訝しげな視線を送る二人。

 

 

 

「いいのか?そこまで言って。」

「問題ねーさ。言ったところでお前らには負けねーよ。」

 

 

煙草を燻らせながら不敵に笑うアラン。

そして、闘いの火蓋は突如として切って落とされる。

 

咥えていた煙草を吐き捨てるなり、縮地を使い二人に肉薄する。

あまりにも予想外のタイミングとアランの縮地のスピードに対応が遅れる二人。しかし、アランと戦場を共にしたブラートにとっては慣れた速度であり、シェーレを庇う為前に出る余裕はあった。そんなのお構いなしとばかりに抜刀しブラートへと斬りかかる。アランの刃撃を自身の武器である槍、ノインテータで受け止めるが、ブラートは自身の頭に突然、衝撃を受け、視界から光りが消える。それは刀を抜刀した勢いをそのままに振るわれた刀の鞘によるもので、衝撃の為ふらつくブラートに追撃をしようとするがシェーレの横からの援護に阻まれ、一旦距離を開ける。

 

 

 

「ブラートは回復するまで下がっていてください!彼の相手は私がします…!」

「……さて、こっからが踏ん張りどころか。」

 

 

 

苦しげに言うシェーレに対して、アランはニヤリと笑みを深めた。

…がしかし。

 

 

「やっぱり、止めにしない?」

「は?」

 

 

これから更に戦闘が激化すると思われた矢先、アランの口から放たれたのは全く逆の戦闘終了の提案だった。

 

 

「いやね、さっきは何とかなるかなーって思ったんだけどやっぱり無理だわ。」

「何を言っているんですか?」

「縮地も全開じゃないとはいえ対処されてるからな。このまま行くとジリ貧…だからこの提案って訳よ。…そもそも、俺たちの最初の仕事は首斬りザンクを倒す事。お前らナイトレイドの相手は対象外なんだよ。それに…このままだとそこで倒れてるアカメちゃん、助からないんじゃない?」

「っ!」

 

 

 

シェーレに自身の提案の理由を述べる。そして、シェーレ達を退かせる為の切り札を切る。

 

 

 

「ほらほら、さっさと逃げないと。もう、壁は消してるからさ。」

「くっ…!」

「しょうがない、シェーレアカメを連れて退くぞ!」

 

 

 

回復したブラートがアカメを抱き上げながらシェーレに言うのをアランは闘っている時とは違う、へらへらした笑いを顔に貼り付けながら言う。

 

 

 

「まあ、今回は痛み分けという事にしとこうぜ、ブラート。」

「…よく言うな。」

「はっ!こっちは見逃してやってんだ。そう言うなよ。」

 

 

 

アカメを連れて退くブラートと言葉を交わし、ブラート達が完全にこの場から去ったのを確認する。

確認するや、その場に崩れ落ちるアラン。

 

 

 

「あー、しんど!それにしても、言ってみるもんだな。」

 

 

 

ブラート達には悟られずに済んだが先程からずっとエンケラドスの能力で周囲を仕切る壁を長時間出し続けていたアランの体は疲れ切っていた。

 

 

 

「あー、体動かねーし、どーすっかなー。」

「隊長……こんな所で倒れて何やってるんですか」

「セイラか?ちょうどいいや。煙草吸いたいんだけどさ、体動かねーから代わりに上着のポケットから取ってくれない?」

「嫌ですよ。いい加減煙草やめてくださいって何回言ってると思ってるんですか」

 

 

 

いつものようにへらりと笑う上司にセイラは溜め息を吐きながらこたえたのだった。




五話目にしてようやく主人公の帝具の詳細が出てきました。因みに名前のエンケラドスってのはギリシア神話に出てくる巨人の一人で火山の噴火や地震を引き起こすと一部では言われてるらしいです。
誤字、脱字、可笑しな表現があれば言ってください。
今回も読んで頂きありがとうございました。


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第六話

何ヶ月も更新せずすいませんでした。
これからもこんな感じに更新が滞るでしょうが読んで頂けるとありがたいです。

そんなこんなで六話目です…


アラン達がまだ闘っていた頃、深夜になり昼間と打って変わって人気の無くなった宮殿を二人の男が話しながら歩いていた。

片方は金髪をボサボサに伸ばしたガタイのいい男とよく太っている大男。

 

 

「ーーーー。所でそろそろ私を呼んだ理由を教えていただきたいのですが……」

「ああ、そうでしたね。あなたも知ってると思いますが、近々エスデス将軍が帝都に戻ってきます。そこで

私は彼女に大きな声では言えないんですがちょっと頼み事がありましてね…色々探られると困るんですよ…」

 

 

ここで金髪の男は相手の男が言わんとしてる事に予想をつける。

 

 

「ところで、帝都を西に行った方に革命軍のアジトがあるという報告がありまして…もし、それが本当なら殲滅して頂きたいのですが、ちょうど空いている人間はいませんか?」

 

 

自分の予想通りの事を言う大男に金髪の男は用意しておいた答えを返す。

 

 

「でしたら、監察部隊のアラン・グラントは如何でしょうか?彼一人なら賊の殲滅くらい簡単な事でしょう。」

 

 

太った男は自分の求める答えを返す金髪の男の返答ににんまりと笑みを深め、言葉を続ける。

 

 

「そうですね、彼なら適任でしょう。それでは、通達の方よろしくお願いします。」

 

 

一通りの会話を終え、男たちはさらなる謀略を巡らすべく会話を続ける。そんな二人の声は夜の闇に飲まれていった…

 

 

 

(まさかこんなことになるとは…)

 

 

タツミは帝都の病院のベッドに横になりながら今の状況にひどく動揺していた。

 

 

(それに、あの二人が皆の言ってた監察部隊の人間だったなんて…)

 

 

タツミは事前に仲間から言われていた事を思い出す…

 

 

 

「いいか、タツミ。ナイトレイドの仕事は帝都での暗殺がメインとなる。それにあたって、注意人物を伝えておく。」

 

 

そう言ってタツミを見るのは、右手に義手、右目に眼帯を付けた黒のスーツを着た女性。彼女こそナイトレイドのボス【ナジェンダ】彼女はタツミが頷くのを見てから続ける。

 

 

「監察部隊のアラン・グラントとセイラ・クロイス…この二人には例え出会ったとしても戦わずに直ぐに逃げろ」

「え?たった二人だけなのか?ボス?他に強い奴はいないのか?」

「確かに強力な敵はさっき挙げた二人の他にもいる。しかし、そいつらは一人は宮殿に籠っているし、もう一人は地方へ異民族掃討戦に出ていていないからな。という訳で、今最も警戒すべきなのがこの二人だセイラ・クロイスの方は詳しい情報が無いが、アラン・グラントならブラートがよく知ってるから後で聞いておくんだな。」

 

 

 

「よう!タツミ元気か?」

 

物思いに耽っていたタツミのもとを訪れたのは、タツミの兄貴分であり今は監察部隊の一員となったコウヘイだった。彼は見舞いに持って来たであろう果物の入った籠をベッドの脇にある机の上に置き椅子に座る。驚き固まっているタツミに苦笑いしながらコウヘイは自分が今日は非番で散歩に出たついでにタツミのもとを訪れたんだと言う。

村を出て行った時のままのように見える兄貴分と話していると新たな見舞い客を看護師が連れてくる。

部屋に入って来た男を見てタツミはコウヘイが来た時以上に驚く。

そこにいたのはつい先ほど自分の中で危険人物に認定されたばかりの人物、アラン・グラントだったからである。

 

 

 




誤字、脱字、おかしな表現があれば教えてください。
それから場面転換に*を使ってみましたがいかがでしたでしょうか?
出来れば感想教えて頂ければ幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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第七話

うひぃ。前回の更新から一年以上時間が経ってました…
果たして拙作を覚えていて下さった方はいらっしゃるのだろうか…


帝都から離れた辺境にある村。その村の近くには太古より続く広大な森林が広がっている。そんな森の醸し出す神聖な空気の漂う空間に男が一人。まるでこの空間を汚すかのように煙草の煙を燻らせながら一枚の地図とにらめっこをしていた。

 

「えーっと、ここがこーであれがあーなってるはずだから…あーもう分からん!

偵察部隊はもっと正確な地図を作るべきだと何度言えば…」

 

男の足元に転がる煙草の吸殻の数が男がこの場で地図と睨み合っていた時間の長さを物語っている。

しかしながら、男の持つ地図は正確かつ分かりやすいものなのである。なのに何故男が迷っているのかというと、単純に男【アラン・グラント】の地図を読み取る能力が壊滅的なだけだからである。

偵察部隊も何度も地図に改良を加えてはいるがアランが理解できるようなものは未だに出来ていない。

それはさておき、彼の今回の任務は革命軍のアジトの有無の確認とあるならばアジトにいる革命軍のメンバーを皆殺しにする、というなんとも剣呑なものである。

そんな訳で彼は革命軍のアジトを目指しているのである。

 

「これなら、セイラに着いて来てもらえばよかったな。」

 

今、この場にいない自身の部下の名を言っても意味がないことは分かっている。今回の任務はアラン一人に依頼されたのだから。しかし、愚痴を溢さずにはいられない。 そんな彼の目に一人の男の姿が入ってきた。

 

 

男は走っていた。なぜか。それは今朝方、自分の村を通りかかった男の素性が帝国軍で目的が彼の村の近くの森に潜む革命軍を潰しに来たからだ。その男がただの帝国軍人ならまだ良かったのだが、今回来たのは監察官のアラン・グラント。男の村にも名を知られる程の人物が来たのだ。だからこそ、男の村の村長は村一番の足の速さを誇る男に伝言を託したのだし、男も全霊で走ったのだった。

男は走っていた。伝言を革命軍に伝える為に。ただひたすらに走っていた。自身の跡をその帝国軍の男が追いかけて来ていることを知らずに。

 

 

「ここがアジトか。…さっきの奴はなんの躊躇いもなく敷地内に入ったってことは罠とかはなしか?まあ、どっちでもいいか。」

 

あったらあっただ。と、腹を決めてアランは敷地内に足を踏み入れた。

 

 

アジト内に駆け込むなり男は叫んだ。

 

「帝国軍が来た!早く逃げろ!」

 

突然告げられた言葉に革命軍の面々はポカンとしている。

 

「それは分かったが、何をそんなに慌てている?」

 

肩で息をしている男にそう問いかけたのは五人いた革命軍の中では一番体格の良い剃髪の男だった。男の名はゲイル、革命軍でも知れた名前の男である。

 

「ゲ、ゲイルさん、聞いてくれ。今回来たのはアラン・グラント、あんたも知ってるだろ?そいつが来たんだよ!だから、早く…!」

 

「それって僕たちが負けるってこと?だとしたら面白いこと言うね。キミも僕たちの実力は知ってるでしょ?」

 

ややパニック気味の男の言葉に眼鏡をかけた黒づくめの男、マキヤは笑いながら答える。

 

「マキヤさん…だ、だけどよ!」

 

「やーやー、失礼するよ」

 

男が言葉を発する前に別の男の声がアジトの中に届いた。

アジトの中にいた全員が一斉に入り口に目を向けると其処には、刀を佩いた男、アラン・グラントが立っていた。




誤字、脱字、おかしな表現があれば教えて下さい。

見直してみたらなかなか酷い文章なので書き直しをしていけたらな…
これからも時間を見つけては更新していくつもりなのでよろしくお願いします。
最後まで読んで頂きありがとうございました!


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