銀の羽、金の羽 (緋織)
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プロローグ

トリップからアララギ研究所に着くまでです


「・・・ここ、何処よ」

 

とうに日も暮れ、闇に包まれた森の中に少女は一人立ち竦んでいた

 

「えっだって僕ちょっと前まで部屋で寝てたよね?お腹減ったからって部屋から出ただけだよね?なんで森の中にワープしてるの?そんな能力持った覚えないよ」

 

自分の身に起こった事に呆然としながら取り敢えず人のいる所へ移動しようと歩き出した

 

「こういう時って勘に頼って動かない方がいいってよく言われるけど動かなきゃ状況変わんないしね・・・月が向こうだから、こっちが南であっちが北か・・・良し、南だ」

 

サバイバーな友人から聞いた薀蓄を思い出しながら南へ足を進めていると彼女の知る、だが会う筈のない生き物が視界に飛び込んできた

 

「いやいやいやこれ、偽物・・・じゃなさそうだし。って事はこれトリップ!?・・・ううん、そんな事気にしてる暇ないや。取り敢えず簡単な手当だけでもしないと」

 

少女は木の陰に隠れるように倒れていたヒトカゲに近付くと、何故か手元にあった鞄から包帯を取り出し応急手当てをした

 

「ヒトカゲ、それも色違い・・・ここ、カントー地方?」

 

ヒトカゲはカントー御三家の一匹・・・ポケモンは全世代(bwまでとします)をやり込んでいたためその辺りはよく知っていた

 

 

「まっどっちにせよ怪我人(?)を動かすのは良くないし今日はもう真夜中みたいだし寝るか」

 

彼女はヒトカゲから少し離れた木の陰へ移動すると、さっさと眠りについた

 

「(あのサバイバル馬鹿に何回か付き合ったのがこんな所で役に立つなんてね)」

 

 

 

 

*******************

 

「ん、よく寝た・・・ヒトカゲ君や、怪我は大丈夫?」

「ギャウ」

 

少女は日が登る頃に目を覚ました

真夜中に見かけ手当てをしたポケモン・・・もう夢だと思うのは諦めた・・・の容体をみるともう大丈夫らしい

 

「そっか、それは良かった・・・さて、まずは街にでないと・・・?どした」

「ギャウァ」

 

歩き出そうとするとズボンの裾を掴みついて来るヒトカゲ

 

「・・・僕ボール持ってないからゲット出来ないぞ」

「ギャウ」

「まぁ好きにすれば?・・・頼りにしてるよ」

「♪」

 

ゲット不可といっても放す気のなさそうなヒトカゲに少女は早々にサジを投げ、ヒトカゲをお供に改めて歩き出した

 

 

「・・・広い!この森広いわ!って看板だ・・・えっと」

 

 

【北へ行くとカラクサタウン

南へ行くとカノコタウン】

 

 

「ここ、イッシュか・・・ってことはbw?いや、ポケスペとか確かbwの二年後が新作で出るって話もあったし決めつけるには早いか」

「ギャウ?」

「なんでもないよ。まぁ取り敢えず、この森を抜けますか・・・いい加減虫ばっかり鬱陶しいしね。ヒトカゲ『ひのこ』」

 

 

少女は一旦頭を振ると、森を抜ける事に専念する事に決めた。

 

 

 

 

.




ここで現時点でのヒロイン設定を

名前・・・宍崎 雪
年齢・・・19→12(本人はまだ気付いていない)
容姿
腰の辺りまである黒髪をポニーテールに藤色の髪紐で纏めている
顔立ちは中性的で格好によって男にも女にも見える。但しどちらであっても美形

その他
趣味で合気道をしていたため気配に聡く、対人戦(notバトル)もそこそこ強い
一人称は《僕》で幼馴染がサバイバルを好んでいたのに影響され、食べられる野草や野宿の技術は生れつきの手先の器用さから無駄に達者

ポケモンは大好きで赤青緑の時代からbwまで攻略済み



トリップ先を変更しました


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イッシュ編
第一話


アララギ研究所到着です


場所をカントーからイッシュに変更しました。そしてイッシュは専らゲーム主体のオリジナルだと思います。多分


日が昇り始めた頃から林を歩き続けて漸く森を抜けた頃

空を見上げると既に頂点から傾き出していた

 

「ふぅやっと林を抜けたぁ・・・思ったより広いね、ここの林」

 

時折ヒトカゲの先導に任せながら林を抜けたその先には小さな町があった

 

「・・・あー何だろ。大して野生生活送ったわけじゃないのに凄くホッとしたや・・・さて、君には悪いけどボールを手に入れたら必ず戻るからここで待ってて『ギャウ!?』ヒトカゲはこの地方じゃ珍しかった筈、目立つと厄介だから・・「あら、こんな所にヒトカゲ?」・・遅かった」

 

町を背にヒトカゲと話していた事と、異世界へトリップした事による衝撃から後ろから近づいてきた気配に気付かなかった

 

「このヒトカゲ、あなたの手持ちの子?」

 

雪の後ろに立っていたのはカノコタウンに研究所を構えるアララギ博士だった

 

「いいえ、この森で迷子になっていたらこの子と会って案内して貰っただけです」

『ギャウギャァ!』

「ヒトカゲはあなたの手持ちになりたいみたいね。よし!このボールをあなたにあげるわ」

「・・・ぼく、お金ないですよ」

「いいのよ、ボールの一つ位・・・ほら、ヒトカゲが待ちわびているわよ」

「変わりもの(この子も、この人も)」

 

雪はアララギ博士から受け取ったボールでヒトカゲをゲットした

 

 

*******************

 

二人はカノコタウンの研究所へ移動した

 

「にしてもこんな時期に林にいるなんてどうしたの?」

「(きた!)それが・・・よく覚えていなくて・・・気がついたら林の奥にいたんです」

 

雪は素直に異世界から来たみたいです・・・といった所で信用出来ないだろうと判断し、嘘はつかずに真実のみで誤魔化す事にした

 

「ポケモンも持たずに?」

「はい(そもそもいなかったし)」

 

アララギ博士は嘘はついていないと判断し、名を呼ぼうとしてまだ聞いていない事に気がついた

 

「そういえば自己紹介もしてなかったわね。私の名前はアララギ。この研究所でポケモンについて研究してます!あなたの名前を聞かせて貰ってもいいかしら?」

「ぼくは・・・僕はネーヴェ」

「ネーヴェか、綺麗な名前ね。よし!あなたに一つ提案があるんだけどいいかしら?」

 

雪・・・いや、ネーヴェは嫌な予感がするのを感じた

 

「・・・なんでしょう」

「このポケモン図鑑を持ってイッシュ地方を旅してみない?」

「(嫌な予感的中)旅に出るのはいいんですがなんで僕なんですか?」

「勘・・・かな?今回図鑑は三機一組で作ったのよ。でもそれを託してもいいと思えるトレーナーが一人しか見つからなくてね。でもあなたなら大丈夫だと思って」

「(三機一組の図鑑って事はポケスペか)まぁ期待に応えられるよう頑張りますよ」

 

漸く自分のいる世界観がわかった所で図鑑を受け取ることを了承した

 

「旅に出る必需品はこっちで用意してあげるから明日取りにいらっしゃい。ポケセンに連絡しておいたから今日はゆっくり休みなさいな」

「ありがとうごさいます」

 

*******************

 

ポケセンの一室にて

 

「えっと、ポケセンはトレーナーカードがあればタダで利用できるが、食事は有料。でもトレーナーにらかなり優遇される

やっぱゲームみたいにすぐに回復とはいかないか。

 

それで思い出した、ヒトカゲ」

 

ネーヴェはヒトカゲを出すと少し苦労しながら抱き上げた

 

「君さ、ニックネームつけていい?」

『ギャウ?』

「ニックネーム。《ヒトカゲ》っていう種族十把一絡げの呼び名じゃなくて君だけの」

最初は疑問に思っていたヒトカゲもこう説明されて理解したらしい

《ギャウア!》

「あはは、気に入らなかったら言ってね・・・迦楼羅、『カルラ』っていうのはどうかな?」

《ギャウ!》

 

ヒトカゲは大いに気に入ったらしい

 

「よかった。カルラ、これからよろしくね?」

《ギャ!》

「うん、じゃあ明日に備えてそろそろ寝よっか・・・おやすみ」

 

 




旅立ちの前日までになりました

只今の手持ち
ヒトカゲ★♂…LV10
名前…カルラ
特性…もうか


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第二話

旅立ち・・・第一の町までいければいいかな?


アララギ博士から図鑑を託される事になった次の日・・・ネーヴェはアララギ博士から(本人の強い希望により)借りたお金で服などを買った

 

現在の様相・・・ネイビーのジーパンに緋のTシャツ、その上から黒に青い炎のプリントのジャンパー、靴は紺のランニングシューズ。そして髪はポニーテールに纏め上げ、薄紅の髪紐で結わえている

 

 

「まっこんなもんか・・・今は春。夏になったらパーカー脱げばいいし」

 

 

持っていた荷物を必要な物だけ分け、それ以外は適当に処分した後、約束通りアララギポケモン研究所へむかった

 

 

********************

 

「こんにちは、アララギ博士」

「こんにちは。あら似合ってるわよ、その格好」

「ありがとうございます」

 

アララギ博士は奥から少し大きめのショルダーバッグを持ってくると、中の道具を一通り説明した

 

「・・・で、このバッグはどれだけ入れても重さはさして変わらないから旅には便利よ」

「すごいですね・・・何から何までありがとうございます」

「そうそうこれも渡しとかないとね」

 

そう言って手渡されたのはボールベルトだった

 

「それならボールの持ち運びも楽でしょ」

「わぁ・・・こんなものですかね」

 

ボールが右側にくるようにベルトを留めると改めてアララギ博士に向き合った

 

「さて、ここからが本題。これがポケモン図鑑よ」

 

アララギ博士の手には桃色の機械が握られていた

 

「既に所持者の登録は済ませてあります。これは他の地方含めても十五、六台ほどしかない貴重な物なの」

「奪われる可能性もあるから注意しろ、という訳ですか」

「端的にいえばそうなるわ・・・そしてまだ三人目が決まってないから関係ないかもしれないけどこの図鑑は正しい所有者の手にある状態で三機揃うと共鳴ランプと共鳴音がします」

「へ?(やっぱりポケスペだ)まぁ三人目が見つかってからですよね。それが機能するのは」

「まぁそうなるわ・・・さて、話しておくべき事はこの位かしら。あぁそういえばバッチケースを入れておくのを忘れてたわ」

「あっ」

 

ネーヴェとしてはジム戦が楽しみだったのでそれに気付けた事にホッとしていた

 

「よし!これで準備もバッチリです」

「頑張ってね、ネーヴェちゃん」

 

 

 

 

 

********************

 

カノコタウンを出て数時間後、ネーヴェはカラクサタウンに着いた

 

「野生もトレーナーもひのこ一発・・・レベル差があるとはいえバトルにならないんじゃなぁ」

 

 

ザワザワ ザワザワ ザワザワ

 

「?人だかり・・・誰かの演説か」

 

カラクサタウンのポケセンでカルラの回復が終わった後、少し町をぶらついてみようとポケセンを出たネーヴェはすぐ近くの人だかりで誰かの演説が始まるのをみて何となく聞いてみることにした

 

 

「皆さん、今日お話するのはポケモンの解放についてです」

 

しかし演説が始まって僅か数秒でその選択を後悔した

 

「「阿呆らしい」」

「!へぇあんたもそう思うんだ」

「うん、解放にせよ利用にせよどちらも人の勝手な都合でしかない」

 

呆れたとばかりに零した言葉がかさなり、ふと声のした方を見ると、そこには綺麗な紅い髪をした同じ年頃と思わしきトレーナーの姿があった

 

「あはは!気に入ったよ、あたしはスピネル。あんたは?」

「ぼくはネーヴェ・・・ねぇそれって、ポケモン図鑑?」

 

ネーヴェは微かにカバンのポケットから覗く自分が貰ったものと同じ図鑑をみてそう問いかける

 

「!あぁ・・・ってあんたも図鑑貰ったの?」

「うん。君なんだ、アララギ博士が言ってた図鑑所有者」

「一応ね。まっあたしはあたしのやりたいようにやるけどさ」

「同感・・・ねぇ、ここで会ったのも何かの縁。バトルしない?一対一で」

「・・・そうやって自分のためにポケモンを傷付けるんだね」

「「!!」」

 

二人が意気投合している後ろから険を孕んだ声がした

 

「君達みたいな人を見る度に思うんだ。それでトモダチは幸せなんだろうかって」

「(N?)そんなものポケモンそれぞれだと思うけど?戦うのが、強くなるのが好きなら多少の痛みなんてものともしないし」

「なら君のトモダチの声を聞かせて貰うよ」

「とどのつまりがバトルね。スピネル」

「審判は任せて。

 

勝負は一vs一。入れ替え道具使用共に禁止

 

このルールに異論はないね?」

「「ない/ないよ」」

 

「じゃあ・・・バトル開始!」

 

 

 




今の所持品
・きずぐすり❌5
・どくけし❌3
・まひなおし❌3
・モンスターボール❌10
その他
・野営道具一式
・ポケモンフーズ


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第三話

ネーヴェの初試合です


「さて、ネーヴェはパートナーのヒトカゲを選択!対するNはチョロネコだ!」

 

「・・・ねぇ、その実況中継的なのは何?」

「ノリ」

 

 

 

***********

大変素直な答えにかすかに頭痛を感じるも気を取り直してNに向かい合うネーヴェ・・・その目は新米トレーナーにありがちな熱を孕みながらもきっちりと冷静さを保っていた

 

「カルラ、勝つよ」

『ギァウ!』

 

「では気を取り直して・・・バトルスタート!」

 

「チョロネコ!《ひっかく》」

「カルラ!チョロネコの足元と視界を遮る様に《ひのこ》連射!」

 

ここは現実、ゲームと違いひのこを地面にぶつければ土煙がおきるのは野生とのバトルで既に確認済み。それを利用しまだ覚えていなかったえんまくの代用として使用する。

トレーナーの意を感じ取ったのかカルラは一発で走ってくるチョロネコの足を止め、そのまま二発連続で地面に打ち土煙を巻き上げさせる

更に駄目押しとして放った三発目でチョロネコの視界は完全に潰された

 

「!チョロネコ!落ち着いて!」

Nはいきなり連続してひのこを打ち込まれ視界を奪われパニックになったチョロネコに声をかけるが我にかえるより早くカルラからの追撃が襲う

 

「そのまま《ひのこ》!」

 

薄らと土煙に写ったチョロネコに躊躇いなくひのこを指示するトレーナーとそれに従うポケモン・・・審判役を買ってでていたスピネルはその様子に頬を引き攣らせた

 

「(うわぁ容赦無いね)・・・チョロネコダウン!よって勝者ネーヴェ&カルラ!」

「まぁ初陣としてはこんなもんか・・・ご苦労様、カルラ」

バトルの最中にカルラの意思を確認したのかチョロネコをボールに戻すNの様子は何処か茫然としていた

 

「・・・そんな事を言うポケモンがいるなんて・・・」

「カルラがなんて言ったのか知らないけどポケモン達の声を聞かないままじゃ彼等から見れば《解放》も《利用》も大差ないんじゃない?」

「ポケモンは人に利用されるのが当然といいたいのかい!」

「違う。彼等が自分の意思で《協力》しているのなら解放なんで有り難迷惑。でも嫌々力を使わされているのなら解放は《救い》になる・・・その時々によって、相手によって変わるんじゃないかと言いたいだけ」

 

ネーヴェとしてはポケモン達が戦いたくないのならそれを尊重する位の事はする。だが世の中そんな人間だけではない事を知っているからこその言葉だった

 

「・・・」

「まぁ《人間に傷付けられ利用されているポケモン》を解放するのなら僕も賛成だよ・・・世界は広いんだしこれから色々見て回って決めたら?」

「ボクにとってポケモンはトモダチだ。傷付けるのは許せない・・・でもそうだね。もう少し色んな人とポケモンを見てみるよ。その上でボクの答えを決める・・・その時はまたバトルしてくれるかい?」

「勿論!」

 

ネーヴェの言葉で何かが吹っ切れたらしく最初の死んだような目と違い僅かに光を宿した目がネーヴェに向けられた

 

 

「(丸く収まってよかった)でもアタシの事を忘れるのは酷いよ!二人とも!!」

「「あ・・・」」

「やっぱり忘れてたんだ!N、次あったらアタシともバトルしてよ!」

「うん!」

 

 

 

 




初のバトルの描写ですか・・・微妙ですね

カルラ・・・ヒトカゲ♂
Level・・・11
ワザ・・・ひっかく、にらつける、ひのこ

です


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