ソードアート・オンライン the death's scythe (時計固定)
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―プロローグ―

初投稿なので、色々アドバイスをいただけると幸いです。
このあともう少しだけ書いてあるのですが、気が向いた時にちょこちょこっと書いている程度です。
更新も遅めになるかもしれませんができるだけ早く上げられるよう善処していきます(´・ω・`)


「生き残らなきゃ、いけないんだ。生き残らなければ……」

周囲は草木が揺れる音だけ、そんな中一人の男が声を震わせながら木の幹に寄りかかっている。

「俺は……」

一言、男はそう言い、立ち上がった

すると、近くからライトエフェクトが見え、エフェクトが消えると、そこには人と同じぐらいの大きさの熊がポップした。

「考えている……場合では無いな……」

背中に掛けてあった、大きな鎌を構える。

その様子を見ていた熊は大きく唸り声を上げ、男に向かって突撃をしてくる

男は避ける様子もなく、ただ突っ立っているだけ。熊が男に衝突するというとき。

男が持っている鎌が赤く染まり、そのままそれを横に振る

その瞬間、熊はポリゴン片と化して消えていった。

「やるしか……ないんだな、次の……街に行くか」

そう呟くと、男は暗くなってきた草原を道なりに進んでいった。

 

―5時間前―

俺は、この日を待ち侘びていた

ソードアートオンライン。通称SAO

茅場晶彦氏が制作したVRMMO、世界中から注目を浴びているこのゲームだが、今日が正式サービス初日なのだ。

このゲームは本当に面白い。魔法なしの剣だけの世界、無限とまで言えるスキルの数々、多くのモンスター。そして、RPGの世界に自分が入り込める。

なぜ、こんな事が分かるのか、それは俺がベータテストの抽選で当選したからだった。

ベータテスト期間中俺は、ずっとあの世界に潜り込んでいた。現実での俺は、特にこれといった特技もなく、あまりにもつまらない生活を送っていた。

だが、あの世界では俺は強くなれた。時間をかけただけ自分は強くなっていく、そんな世界に俺は魅了されていた。

そんなゲームの正式サービスが始まったわけで

時刻は午前12時。早めに昼飯を食べて、自室に行く

ベッドに放り投げだされている、ヘルメットのような機械。ナーヴギア

それを被り一言

「リンク、スタート!」

 

『はじまりの街』

この街の名前、まあ、ありきたりと言ったらありきたりの名前だ

この時間にログインする人は少ないのだろうか、人はあまり見受けられないが、街のあちこちにNPCと思われる人物が居る。

「さて、この世界に戻ってきたわけだが……、まずはあそこだな」

そう呟き俺はアイテム保管NPCの元へと急いだ

靴が地面を蹴る音もリアルに再現してある。流石としか言い様がない。本当にここが仮想世界なのか?と疑ってしまう程だ

アイテム販売NPCが複数いる中に、保管NPCがいた。

深く帽子を被り顔を見せていない、パッと見犯罪者か何かだと思ってしまうような姿だが、きちんと、保管してくれるNPCだ。どっかのオンラインゲームに居そうなNPCだな

「保管しているアイテムを引き出したいんだが」

そう、NPCに伝えると目の前に自分のアイテムストレージと、倉庫が表示される。

俺は、倉庫の方に目をやると、一つアイテムがある。名称は「継承の書」

それを引き取ると、NPCから離れる。

この継承の書を手に入れられたのは、本当に運が良かったとしか言い様がなかった

たまたま、7層の森深くでレベリングをしている時だった。

金色をした本がふわふわと浮いているのを見つけ、即座に討伐したところ、ドロップしたのがこの書だった。

効果は、ベータテストから正式サービスに、スキルが一つだけ継承できる。というものだった。

半分チート臭いこの継承の書だが、ベータテストを頑張ったんだ、このぐらいいいだろうと俺は思っている

そして、俺が継承したスキルというのは、ベータテスト時に獲得したエクストラスキル「大鎌」だった。

最初からこれを使いたいと思っていたんだ。

なんせ、この大鎌スキルは今のところ誰にも知られていないスキルだからな。

かく言う俺もこのスキルの出現条件はわからない。もともと曲剣と片手剣を愛用していたのだが、いつの間にかこのスキルが俺のステータスのところにあったのだ。

まあ、こんなところだ

その後、俺は防具屋でフード付きローブを購入し、雑貨屋でポーションを購入した。

準備はこれで完了だ。

「さて……、狩りに行くか」

そう言い、俺は草原に向かった。

 

「さようならぁっ!」

草原周辺にポップする、ビッグホーネットという大きな蜂を仕留めながら言う

レベルアップのファンファーレと一緒に、取得コル、経験値、取得アイテムが表示される。

「ふぅー……やっぱり楽しいな」

ポーションを飲みながら、呟く

やっぱり、自分の身体を使って戦うのは面白い

モンスターの攻撃を寸前のところで避けてからのカウンターや、剣技と呼ばれるSAOならではの

攻撃スキルを使用しながらのコンボ

様々なモンスター攻略方法があり、飽きが全然来ない

「ん~、ステ振りは筋力優先敏捷型にするかなぁ……一番安定するしなぁ」

そう言い、ステ振りを終わらせる。

「スキル熟練度も結構上がってきたな、まだまだではあるけども……」

自分のステータスを確認し、大鎌熟練度が60、戦闘回復《バトルヒーリング》熟練度が55になっていることに気づく

狩りを初めて1時間でここまで行けたのだからまだいいほうだろうと俺は、勝手に自己満足をしていた。

「さてーっと、ちょいと休もうかな・・・・」

近くにあった木に寄りかかり、一息つく

この周辺のモンスターは、攻撃をこちらから仕掛けなければ攻撃してこない、友好的モンスターしかいないのでこうやって休んでいても特に危険はない

右手を下に振り、ウィンドウを出現させる

アイテムストレージを開き、先程から狩っていたモンスターからドロップした、〈ミルドカウミルク〉という牛に似た何かのミルクを取り出す、まあ一言で言うなら牛乳なんだろうなぁ

アイテム化しているお陰か、律儀に瓶にミルクが入っていた。

蓋を開け、一口飲む

……、なんというか、美味くもないし、不味くもないって感じか……

一息つきながら、辺りを見る先程までは、俺ひとりだけの独壇場だったが、プレイヤーがちらほら見える。グループを組んで狩りをしている者、ソロで狩りをしている者、おそらくベータテスターと思われる人物からレクチャーを受けている者。

まぁ色んな人が見える。

そうしていると、近くにウルフがポップしてしまった。

コイツは友好的モンスターではないので、普通に襲いかかってくる

「ったく……、こちとら休憩中だぞ」

不満を吐きながら、『サイス』を手に持つ。サイズではなくサイスだ

狼がこちらに気づいたのか、走ってこちらに向かって牙を剥く

噛み付きをしようとこちらに飛び付いてくるのを、サイスの先端、刃が伸びているのとは反対側の突起した部分で、ウルフの頭を上から殴打する。

地面に叩きつけられたウルフは大の字に突っ伏す、すかさず俺は大鎌の初期スキルの一つ『スイング』を使う、大きく大鎌を上に上げ、思いっきり下に突き刺す剣技。シンプルだが、筋力補正がかかるので俺の場合そこそこ威力がでる剣技だ。

突き刺した瞬間、ウルフはポリゴン片と化して塵になり、またウィンドウが目の前に出る。

取得したものに軽く目を通し、確認ボタンである○ボタンをタッチして、ウィンドウ消す。

「あんまし、休めなかったけどそろそろ再開するか」

言い放ち、草原のもっと奥に進んでいく



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―デス・ゲームの始まり―

二件のお気に入り登録
誠にありがとうございます(´・ω・`)
嬉しくて鼻血でそうです(´・ω・`)
嬉しかったので続き書いちゃいました(´・ω・`)


「ああぁ……疲れた」

いつの間にかあたりがオレンジ色に染まっている。あれから3時間ぐらいがたっただろうか

レベルは3レベルにまでなっていて、スキル熟練度もどちらも100近くまで行ってしまっていた。

やりすぎた感が出てきたが強くなるというのは、とても気分がいいものだな。

バトルヒーリングスキルを上げるために、幾らかモンスターの攻撃を喰らわなければ行けないのはポーション代的にキツいものがあるが、後々を考えればかなり良いスキルだと俺は思っている。

最初は索敵スキルをとろうと思ったが、俺が使っている大鎌には広範囲の剣技もあるので、むしろ複数の敵に囲まれた方が良いという考えに至った。不意打ちは結構キツいんだけどな。

現代階では、10秒間でHPの1%が回復する程度だが、これをヒールポーションを加えればかなり回復量が上がる。

「ん~……ここらで、一旦街に戻るか」

平原の道に戻り、俺は街の方向に向かって歩いていく。

つもりだった

ゴーン・・・・ゴーン・・・・

頭の中に響いてくような、特殊な音が聞こえてきた。

(鐘の音?いや、この辺りには、建物は一切ないはずだぞ?でも、どちらかというと……直接脳内にっ!?)

自分の中でいろいろ考えているあいだに、俺は光に包まれていった。

気付けば俺は街の中心広場に立っていた。

(強制テレポートか、ベータテストの時は一切なかったんだが……、まぁ正式サービスだからな。なんにせよラッキーだ今のうちに雑貨屋に行くか)

そう思い立ち、俺は雑貨屋に向かうために広場から出ようとした時。自分の周りに次々と人が強制テレポートされてくるのが見えた。

こりゃ、ただ事じゃないな。そうは思ったが自分のやりたいことをやるために広場から抜け出そうとした。

しかし、奇妙なことに出れないのだ。透明な壁で塞がれている感じだ。壊せないかと思いっきり殴ってみるも。破壊不能オブジェクトと表示され何もできなかった。

その時奇妙な話しが聞こえてきた

「おい、ログアウトできねぇぞ!!」

なにを馬鹿な事を

そう思い俺は確認をしてみるが

そこには、ログアウトの表示だけ無くなっていた。

どういう事なんだ?

強制テレポート、ログアウトの表示の紛失……、運営は何を考えているんだ?

疑問に疑問を重ね、自分なりの答えを出そうとしている時だった

「お、おい!上だ!」

誰が発したかは分からないが、広場全体にその声は響いていた。

指摘された通り上を見ると

SystemAnnounce Worning という文字が浮び上がっていた

システムアナウンス、そのままの意味なのだろう。運営が何かの忠告をするために、プレイヤー全員を集めたというところだろうな。

もしかしたら、ログアウトの件か?と俺は考えたが、だが実際はもっと深刻な話だった。

急に空が紅く染まり、先程まで文字が浮び上がっていたところに、赤くドロドロとした液体が塊となって現れる。

それは、やがて形を変えフード付きローブを着た大きな幽霊のようなものに変化した。

見て取れる限りで、かなりの大きさで、不気味な雰囲気を醸し出していた。

辺りがざわつくなか、そのフードの人物はゆっくりと、喋りだした

『プレイヤー諸君私の世界へようこそ』

無機質な声のアナウンスが流れる思っていたが、違った。なんとも渋い感じの男性の声であった。

私の世界?

それから察せる唯一のこと。

きっと、アイツは……

『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

やはり、茅場晶彦だった

ナーヴギア開発者であり、SAO開発者でもある茅場晶彦。

ベータテストを経て、彼のすばらしさを知った俺にはなんとなく想像できてしまった。

だが、なぜこのような事をするのだろうか?

依然この疑問は解決されぬままで、どうしようもなく不安に駆られていた

これからとても良くない事が起こるのではないかと予想していた……。

 

茅場の話しを頭の中で整理する。

正直混乱しているが、次の通りだ

ログアウトできないのは、SAOというゲームの本来の仕様であること、ゲーム内での死または無理に回線切断などを試みた場合、ナーヴギアに搭載されているマイクロウェーブが自身の脳を破壊し、死をもたらすということ。あらゆるメディアがこの事を報道し医療機関が手助けを受けられる為、自分たちの本物の身体のことは心配しなくてもいい。

以上を踏まえたうえで、攻略を頑張って欲しい。

ここから抜け出すたった一つの方法は、第百層にいるBOSSを倒すことだけである。

このような事を茅場は俺たちに向けて話していた。

正直訳がわからない、アイツが何をしたいのか。

周りのプレイヤーたちも口々に不満を茅場にぶつけているが、茅場はそれにたいしての返答を全くしない。

『それでは、最後に諸君らのアイテムストレージにプレゼントを用意した。確認しくれ給え』

その言葉通り、俺はアイテムストレージを開く。

アイテム欄の一番上に、入手をしていないアイテムが一つ。『手鏡』というものだった。

早速アイテムを呼び出してみるが、どこにでもある手鏡のようだ。

よく覗いてみようと鏡を近づけると、鏡が光を放ち、俺をおおっていく。

時間にして3秒ほどだった。

一体何が起きたのか、見当もつかなかったが。周りのプレイヤーたちも光に飲まれていった。

その時

近くにいた女性アバターが、一人のおっさんへと変化していた

(なっ!?ど、どういうことだ?これは?)

慌てながら、俺は手鏡をじっと見つめる

フードの中から覗くその顔は、できればあまり見たくない。現実世界での自分の顔であった。

先ほどまでの強そうな外見から一転、弱そうな現実世界の自分の顔が写し出されていた。

『今、諸君らは何故?と思っていることだろう。何故SAO製作者である茅場明彦はこのような事をするのか………と、私の目的は果たされたのだ。この世界を創造し、干渉するためにのみ私はこれらを造った。そして、それらがすべて成されたのだ。』

何を言っているんだこいつは。

その事しか頭になかった。

『以上で、SAO正式チュートリアルを終了とする。プレイヤー諸君頑張ってくれ給え』

そう言い残すとローブを羽織った人物は消え、辺りは夕暮れの空へと変わっていった

それからどのぐらいの時間が経ったのだろうか。人々は唖然としている中、一人の女性の悲鳴が聞こえた。

それは連動していくように、広場に集まったプレイヤーたちが次々と悲鳴を上げ、不満をぶちまける。

そんな中、二人のプレイヤーが広場から去っていくのを見かけた。

これから、俺がしなくちゃいけないこと……それは。

自分を強化していくしかない。

生きて、生き延びて……ここから脱出するしかない。

これは、遊びじゃないんだ……

俺は、広場を抜け草原へと走り出していった。




次もちょこちょこ書いてるところです(´・ω・`)
頑張ります(´・ω・`)


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―キリトを探しに―

ここまで、書きました(´・ω・`)
あとはぬるぬる書いてから、こちらに投稿していきたいと思います(´・ω・`)
変なところで区切ってしまいましたが、お許しを(´・ω・`)



―夜になり、俺は次の町である『ホルンカ』に到着した。

村に入ると、とあるプレイヤーに話しかけられた

「ン?アンタ、珍しい武器を使ってるナ。そんな武器初期にないダロ?」

体格は小柄で、両頬にネズミのヒゲのような3本線のフェイスメイクをした可愛いという分類にされるであろう顔立ち。特徴のある声。この声は聞き覚えがある

「……、俺が誰だかわかって言ってんじゃねぇのか?アルゴ」

「アンタもベータテスターだったカ、アイツのせいでベータの時と姿形が違うからナ」

アルゴが言うアイツ、とは茅場のことだろう。

アルゴ、通称鼠のアルゴ。いわゆる情報屋だ。

ベータテストの時からそうだったが、こいつは各層の効率のいいレベリング場所、クエストクリアの為の手順、スキル取得方法など、様々な情報を持っている。それだけではなく、金になるようなものであれば、金額次第で提供する。

個人情報などは、結構慎重だったりするんだがな

「まあ、それもそうだ……。時計だよ。時計」

「時計?……ああ、もしかして『クロック』カ?」

「ああ、そうだよ。勇ましいキャラクターだった奴からは想像できねぇってか?」

すこし皮肉っぽく言うと、アルゴは笑いながら

「微塵も思ってないゾ、むしろ今の方が可愛いじゃないカ。お姉さん好みダゾ?」

「そりゃ、どーも……。そんなことよりアルゴ、お前なんでここで見張ってんだ?」

「ン?オレッチはここに来たベータテスターから色々話聞いてんのサ……少しでも犠牲者を少なくするためにネ」

いつもの口調で言っているアルゴであったが、どこか力強さを感じた。

コイツがここまでするっていうことは、やっぱりアルゴ自身も怖いんだろう。この世界に囚われたことが。他の人が目の前で死んでいくのが。

それはそうだ、こいつは女。男の俺でさえさっきまで自信をなくし半分泣きかけていたのだから。

「ああ……そうだな。俺に手伝えることがあれば手伝うよ。その意見には賛成するさ」

そう、しみじみとした雰囲気で俺が言うと、アルゴは少し恥ずかしそうにしている。

な、なんだろう。こうしおらしくされるというか、女性っぽいことをされると、ドキドキしてしまうのは俺だけではないはずだ。

なんせ、現実の俺は女性という存在と深く関わったことがない。モニターの奥には多くの女性はいたが。

「あ、そうだアルゴ。俺の他に誰か来たのか?」

現実世界の事を思い出すのを一旦停止し、アルゴに確認を取る。

すると、アルゴは手を俺の前に出してきた。

「なんだ?握手か?」

俺はアルゴの手を軽く握る。が、次の瞬間手をはじかれてしまった

「違うにきまってるダロ!コルだヨ、コル!」

怒った様子で声を荒げるアルゴ。

「はぁ!?い、いやお前この程度の情報はいいだろうが!」

「いーや!だめだネ!これはオレッチ自身のプライドの問題ダ!」

くっそ、こいつは本当にどんな情報でも金にしようとしやがる……!

「あー、じゃあお前がソロでクリアできそうにないクエストを手伝ってやる。それでどうだ?」

咄嗟に思いついた案をアルゴに提示する俺氏

「ムム、……いいダロウ、それで手を打つヨ。じゃあまずフレンド登録が先だナ」

そう言うと、アルゴは慣れた手つきで、メニューを操作し俺にフレンド申請をしてきた。

目の前には『アルゴ からのフレンド申請が来ています。承諾しますか?』とウィンドウが表示されている。

すぐに○を押し、目線をアルゴに戻す。

「よっし、じゃあ交渉成立ダナ。ここに来たベータテスターはクー君以外にオレッチを含め3人ダナ。順に言っていくと、オレッチ、キリト、ディアベルだヨ。クー君は早いほうだネ。キー坊はアニールブレイドを取るためにクエストを受けに行ったってとこカナ」

く……、クー君。コイツなりの愛情表現か……?それとも何なのか……

そんな事をさておき、気になることが一つ

「キリトも来てんのか。アイツどんな顔だったんだ?ベータの時のキャラクターはめっちゃイケメンだったけども」

「ン?なんでそんなこと気にするんダ?もしかして、クー君……」

「変な妄想膨らませんなよ思春期」

もちろん俺にはそんな趣味も性癖もない。

「冗談ダ。キー坊はなかなかの美少年だったサ。格好良いとも思ったネ」

……アルゴが普通に褒めているってことは、本当にイケメンな感じなんだろうなぁ

アニールブレイドを取りに行ったということは、森の秘薬のクエストか。

確かリトルペネントという歩く草見たいなモンスターを狩る必要があるんだが、ただそいつを狩っていればいいってわけじゃない。リトルペネントには種類がいて、つぼみ状態のリトルペネント、花が付いているリトルペネント。この二種類が居る。

その花付きの方を見つけ、クエスト達成に必要な〈リトルペネントの胚珠〉を、花付きを倒し入手する必要がある。

その花付きがでにくいことでにくいこと……、初めてこのクエストを受けたときはリアルで2時間ぐらいやってた気がする……。

「んー、成程ね。じゃああの森に行ったわけか。フレンド登録も兼ねて俺もちょっくら行ってくるか。」

アルゴにそう伝え、街から離れようとすると

「チョット待ちナ。」

アルゴに呼び止められてしまった。

「んぁ?なんだアルゴ」

「キー坊とのフレンド登録が終わったら街に戻ってこイ。手伝って欲しいクエストがあるんだヨ」

「了解、了解。ほんじゃま、行ってくるわ」

軽く手を振り、街を抜け森に向かう




次はちょっと遅めの更新になるかもしれません(´・ω・`)


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―偽りのないデス・ゲーム―

遅くなりました(´・ω・`)
忙しかったんです(´・ω・`)
最後の方ばーっと書いちゃったのでてきとうかもです(´・ω・`)


町の北側に鬱蒼と生える木々。そこがリトルペネントのポップ場所

現段階でのレベルは4。負けることはないが辺りを警戒しつつ森を進んでいく

時刻は夜とあって、奇妙な鳥の声と自分が草を踏む音以外特になにも聞こえない、薄気味が悪いな。これがデス・ゲームと分かっているからこその恐怖感なんだろうか。

周りを警戒していると隣の草木の陰から何かが動く音が聞こえてくる。

俺はサイスを構えその音が近づくのを待つ

数秒後、草木の陰から現れたのはつぼみ状態のリトルペネント。

「つぼみかぁ~、まあいいか。肩慣らしついでにその身体?蔦?たたっ斬ってやるよ!」

そう言い放ち、リトルペネントとの距離を詰めつつ、大鎌初級スキル「ダブルスレイン」を発動する

大鎌が赤エフェクトを纏い、スキルが貯まる効果音が鳴り響く。

リトルペネントの蔓でなぎ払う攻撃を、ジャンプをして避けそのまま空中でリトルペネントの身体を横に二回刈る。

「雑草はさっさと……消えろッ!」

リトルペネントの身体に血のような赤いエフェクトが横に二つ付く、それと同時にリトルペネントは真っ二つになり、破壊時の効果音と共に消える。

「ちょろいちょろい、これなら10体ぐらいいっぺんに来ても大丈夫そうだな」

軽口を叩いている時だった。

「なんで、なんでこんなことをするんだ!」

少し高い声が森の中に響いていく。

俺は迷わず声がした方向に向かってダッシュした。あたりから何体かのリトルペネントがポップする音が聞こえてきたが、そんなことには構ってられないような、何が重大なことが起きていると俺の勘が囁く

草木が生い茂る中、俺の目には一人の男性プレイヤーがリトルペネントに囲まれているのが見えた。

そして、その男性プレイヤーの向く方向に、〈隠蔽〉スキルを使って、リトルペネントから逃げ出そうとしているプレイヤー。

だが、そこで俺は一つ疑問に思ったことがある。

〈隠蔽〉スキルというのは、視覚的に捉えづらくするスキルだ。つまりそれは、視覚的に捉えず、嗅覚聴覚などでターゲットを探すMOBには効果がない、という意味も同時に表している。

(ここで、隠蔽をしてもなんの意味もないんじゃ……)

そう思っていた矢先だった。

逃げていた男性が大量のリトルペネントに囲まれ……

HPゲージが左端まで減った

男性プレイヤーはポリゴン片と化して砕け散っていってしまった。

「……、う、うそ……、だろ?」

目の前の事実を把握できていない俺は、ただひたすらに困惑するだけだった。

この世界での死は現実での死を意味する。

茅場はそう言っていた、つまり彼は『死んだ』……。

呆然としている俺を放置して、残ったリトルペネントはもうひとりの男性プレイヤーの元に寄って行っている。

「ダメだ……、やめろ……」

無意識に俺は呟いていた。

そして、男性プレイヤーのもとに全速力で走っていく

「か、が、めええええええええ!!」

俺がそう叫ぶと、男性プレイヤーは、咄嗟のことにも関わらずその場にしゃがんだ

大鎌を振るモーションを構え、俺の今出せる最高の敏捷力で上空に飛ぶ。シックルが青白いエフェクトに包まれ、自分を軸にしてそれを思いっきり一回転させる。

大鎌初級の第二スキル『サークルスレイン』自分の半径5m以内の敵をまとめて攻撃する剣技だ。

このスキルはかなりの範囲攻撃だが、スキル使用後の硬直が初級スキルの中で長い方に分類されるのが、痛いところではある。

男性プレイヤー付近にいたリトルペネントが真っ二つに斬れ、そのまま消滅していく

しかし、それだけで集まったリトルペネントが全部倒せたわけではなかった。スキル硬直で固まっている俺に対し、蔓を突き刺そうとしてくる。

(やばいな……、避けきれね……)

あと数センチで蔦が俺に突き刺さる時。

「やらせるかっ!」

目の前で、蔓はとまりそのまま消滅していく。

「せあっ!」

掛け声とともに、男性プレイヤーがリトルペネントを片付けていく。

かなり強い。それだけは言える。

リトルペネントの攻撃をたやすく弾き返し、片手剣初級剣技の『スラント』でリトルペネントを葬っている

あたりから、リトルペネントがいなくなると男性プレイヤーは剣を鞘にしまい、俺に近づいてくる

「あ、ありがとう。助かったよ……」

「悪いな、結果的に俺の方が助けられちまう形になって」

「いや、アンタがあらかた片付けてくれたおかげさ……」

「この辺にしよう、ずっと続くぞこれ?」

俺が笑いながらそういうと、やっと男性プレイヤーにも笑顔が見えるようになった

「それもそうだな……。と、自己紹介してなかったな。俺はキリトだ」

「おー!やっぱ、お前がキリトか。随分可愛らしい顔してんだな」

馬鹿にしたように言うと、キリトは嫌な顔をする。

「うるさいな……、アンタは誰だよ?俺のことを知ってるってことはベータテスターか?」

「ああ、悪い悪い。クロックだ、何回かパーティ組んだだろ?」

「クロックか、大鎌使ってるし間違いなさそうだな」

「なんだよ、疑ってんのかぁ?」

和やかな雰囲気になってきたところだったが、俺は先ほどの光景を思い出してしまった。

その雰囲気を察したのか、キリト顔が暗くなっている

「……、さっきのやつは?」

「アイツは、コペルって奴。ベータテスターらしくてね、アニールブレイドを取りにこのクエストを受けたらしい。俺より先にここに来ていたみたいで、協力して『花付き』を倒そうって話になってたんだけどな。………アイツはわざとリトルペネントを集めたんだ。実を攻撃して」

「っつーことは、MPKを……?」

「多分そうだと思う……、でもアイツは知らなかったんだろうな。リトルペネントには隠蔽スキルが通用しないことを。それで……、さっきの状態になったんだ」

「……、そう、だったのか」

「でも、本当に助かったよ。ありがとうクロック」

「気にすんなよ、俺はキリトを探しに来てたんだ。」

「俺を?」

「そうそう、フレンド登録しようと思ってな、ついでに花付き出るまで一緒にクエストすすめるか」

「え、いや、悪いからいいよ……」

「気にすんな気にすんな。一人二人の方が効率いいだろ?このクエストに関してはさ」

というのも、リトルペネントの花付きはなかなかポップしてこない。かなりの量の実つきリトルペネントを狩らないと出ないことになっている。

例えるならば、必死にメ○ルスラ○ムを探すようなものだ。

「んー……、じゃあ甘えようかな。宜しくクロック」

そう言うと、キリトは俺にパーティー申請を送ってくる。

「はいよ、宜しくなキリト」

○ボタンを押したあと、俺とキリトは1時間ぐらい森にこもっていた。



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―アルゴのお手伝い―

頑張って書きました(´・ω・`)
お気に入り登録&感想本当にありがたいです。励みになります(´・ω・`)
頑張ります(´・ω・`)


「やっと、終わったな……」

「時間とらせて本当にごめんな」

「気にすんなって言っただろー、アイテムも結構ドロップしたし、いいんだよ」

無事花付きを倒した俺とキリトは、ホルンカの町に戻っていた。

1時間前までは、アルゴとNPCの姿しか見えなかったこの町も、今は数人のプレイヤーの姿が見える。きっと、彼らはベータテスターなのだろう、お互いに情報を交換し合ったり、アルゴから情報を買ったりしている姿が見える。

「随分人が増えたな」

「確かにそうだな、俺が来た時にはアルゴとディアベル、キリトしかいないって言ってたからなぁ、それに比べれば随分と多くなったもんだ」

「それはそうと、クロック。これからどうするんだ?」

「ん~……、とりあえず農家NPCの家に行って泊まる場所の確保かなぁ。その後はアルゴに頼み事されているから、それを終わらせるかな……、キリトは?」

「俺もとりあえず泊まる場所を探そうかな。その後は……、とりあえず休むよ。今日は。」

そう言うキリトの顔には疲れが見えていた。かく言う俺も結構疲労はたまっていると思う。集中力が先ほどよりない気がする。

「ん、じゃあとりあえずフレンドだけ交換しようぜ。今度時間があったら一緒に狩りでも行こうぜ」

「おう、わかったよ。俺は片手剣スキルを当分あげる為にここら辺で狩りをするよ」

そう言うと、俺はキリトにフレンド申請を送り、キリトとフレンド交換をした。

「んじゃ、また今度なキリト」

「おう!」

コツンとお互いに拳をぶつけ合い、その場から離れる。

先ほど言ったとおりに、俺は農家NPCの家に向かう。

町に一つは絶対あるINNと書かれた宿があるが、そちらの宿は値段の割に高いし、設備も良くない。普通の宿に比べれば、少し値は張るが、NPCの家に宿泊するようにすると、風呂付きでしかも場所によっては飲み食い自由という場所もあり、そちらに泊まった方が絶対にいい事を、俺は知っていた。

ベータテストの時、徹夜で潜りっぱなしの時がありその時に見つけたのが、このNPCの家だった。

特に装飾などない普通の一軒家が目の前に見えている。

ノックをし中に入ると、若い夫婦が出てくる。

「夜分遅くにどうされました?旅の方」

「悪いんだけど、当分ここで寝泊りをさせてくれないか?」

「……、すいません。流石に見知らぬ方をタダで泊めるというのは……」

「お金なら出しますので、お願いします」

そう言うと、俺の目の前に、〈農家の夫婦宿 85コル支払いますか〉という画面が表示され、俺は○ボタンをタッチする。

「それでは、二階の部屋を使ってください。部屋にはお風呂もありますのでご自由にどうぞ」

NPCはそう言うと、俺に鍵を渡してくる。これがその部屋の鍵だ

この鍵は、別の場所に宿泊する際にこの夫婦のどっちかに返せば大丈夫。又は、宿泊費を払わないと自動的に鍵がなくなる

「ありがとうございます、っと。」

鍵をしまうと、俺はその農家から出てアルゴに連絡を入れる

『キリトのクエスト終わったから手伝えるぞ』

そうホロキーボードで打ち込み、送信すると

「ヨシ、じゃあ付き合ってもらうゾ」

真後ろから声が聞こえてきた。

「のはっ!?」

反射的に数メートル離れた俺を見て、ケラケラとアルゴは笑っている。

「アハハ、そんなに驚かなくなっていいじゃないカ。」

「隠蔽スキル高すぎるだろ……、サービス開始初日でそこまで上げるなよ……」

「まあまあ、それは置いといテ。とりあえず場所を移動しようカ」

言い放つと、アルゴは町の東南方向に向かって歩いていく、その数歩後ろを俺はついていく。

約束をしちまった限り、果たさないといけないからな

歩くこと数分、町に見える大きな木の下にひとりの男性NPCが佇んていた

「このNPCのクエストなんだケドナ、クエストをクリアするためにゴブリンリーダーっていうモンスターを狩らないといけないンダ、それを手伝って欲しイ」

「なんだってそんなクエストを?アルゴ一人だけでもいけるんじゃないのか?」

そう言うと、少しアルゴは呆れたような口調で

「わかってないナァ、クー君は。オレッチが戦っていたらモンスターの行動を一からわからないダロ?」

まぁ、たしかにそうか、と俺は思った。アルゴの言うとおり、戦闘しながら相手の行動をまとめるのは、流石に難しいからな。しかもデス・ゲームであるこのSAOならば、尚更だ。

「分かった、んで?場所はどこなんだ?」

「ベータの時にはなかったんだケドナ、町の北東方面に洞窟ができているみたいなんダ。そこにゴブリンリーダーがポップするらしい」

「成程な……、オッケーとりあえず向かうとするか」

「ヨシ、いくゾー!」

アルゴは腕を上げながら元気よく言う。

そんな姿に呆れつつ、俺はアイテムなどを揃えアルゴのあとを続く。



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―ゴブリンリーダー―

遅くなりましたが投稿です(´・ω・`)
戦う直前までどうぞ(´・ω・`)


〈奪われた荷物〉

という名のクエストが、今回調査するクエストだ。

「この洞窟ダ」

「なんつーか……、普通だな」

「最初の層だゾ?飛ばし過ぎたら後の洞窟の外見が偏っちまうダロ」

「それもそーだ。」

目の前にあるのは、ごくごく普通の洞窟だ。なんかコウモリとかが飛んでそうな、これといって特に特徴がない洞窟。

「とりあえず、進むか。アルゴは俺の後ろからで宜しく」

「女性を守るのは紳士の役目だからナ」

白い歯を見せながら、アルゴはシシシと笑う。

そんなアルゴの頭をぐしゃぐしゃにしてから、俺は洞窟の奥へと進んでいく。

洞窟の中に入るが、割と明るい。

というのも、洞窟内は松明が建てられており、あたりを照らしてた。なんつーか、RPGのTHEダンジョンって感じ。これがデス・ゲームじゃなければ、もっと楽しんできたのだろうが、今の俺の心境は、かなり怯えている。そう見せないように振舞ってはいるんだけど

「……、ナンカ、王道って感じの場所ダナ。」

「俺もそれさっきから思ってた」

他愛もない話をしていると、少し開けた場所に付く。

「少し広い場所に出たな。なんか出てきそうだぜ?」

「確かにナ。気をつけてナクー君」

「はいよ――」

開けた場所の中心についた瞬間、辺りが青いエフェクトでいっぱいになっていく。

次の瞬間、俺たちを囲うように〈ゴブリン〉の集団が現れた。それぞれ持っている武器は〈棍棒〉だった。

これは厄介なことになってしまった。

というのも、プレイヤーが使える武器をMOBが持っているということは、MOBも剣技を使ってくる可能性が高い、能力補正のかかる剣技を使われてしまったら、レベル差があるとはいえ、かなりの量のHPを減らされてしまうことだろう。

「アルゴ、俺の近くで敵の攻撃を弾くことだけをしてくれ。俺が広範囲攻撃を仕掛けるから、硬直時間分だけを稼いでくれればそれでいい。」

「アイヨー」

アルゴはそう言うと、手に〈鉤爪〉を装備した。

その名の通りの武器だ、どちらかというとこの武器は格闘系で至近距離線になってしまうため、どうも扱いにくい部分があったりするはずなんだが、アルゴのように敏捷地極ぶりのプレイヤーにとっては、都合のいい武器なのかもしれない。軽いフットワークで相手を翻弄しつつ、戦う。

まさに蝶のように舞い蜂のように刺すってわけだ。この場合熊のように裂くなのかもしれないけど

「ゴァアアアア」

雄叫びとともに、ゴブリンたちが一斉に攻撃を仕掛けてくる。

「三秒後だ!しゃがんでくれ!」

アルゴに向けてそう言うと、俺はシックルを構える。

ゴブリンが剣技〈ブレイク〉のモーションを構えながら、俺に飛びかかってこようとする瞬間。

俺はその場でジャンプをし、〈サークルスレイン〉を発動させる。

約12体ほどゴブリンが辺りにいたが、スキル発動後は半分にまで減っていた。

「アルゴッ!」

「やらせないゾ!」

流石は、ベータテスター、というところだろうか

スキル硬直で動けない俺を狙ってくるゴブリンの棍棒をいとも容易く弾き返していく。

俺の近くにいたゴブリンが、弾き返されたせいで硬直している間、アルゴは自分を狙ってきていたゴブリンの攻撃も弾き返していく。

「オッケーだ!アルゴスイッチ!」

「任せナ!」

最後の一匹の攻撃を弾いたところで、アルゴは素早く後退し。それに合わせ俺が前に出る。

「一発で首はねてやるよ!」

最後に弾かれていた敵にまっすぐ向かい、シックルを丁度敵の首の位置にまで持っていく。

そのまま、手前に思いっきり引っ張る。大鎌特殊剣技〈首狩り〉と呼ばれる技。

ほかの剣技のようにエフェクトに包まれながら放つ剣技とは違い、とある条件で発動する剣技がこの専用の特殊剣技だ。

大鎌の〈首狩り〉は敵の首を一発ではね、そのまま消滅させる剣技だ。大鎌にはこういったスキルがあるため、俺はこの魅力に惹かれていっていた。

目の前でポリゴン片と化して消えていくゴブリンを見て、アルゴが一言

「……、ほぼチートダナ。」

「なんかいったー?」

「何にも言ってないゾ」

本当は聞こえていたが、聞いてないことにした、自分でも確かにチート臭いとは思っているからな。

ただし、首狩りはいつでも使えるわけではない。まぁ、当たり前って言ったらあたり前何だけどな

俺と、アルゴが話をしていると。道の先の方から足音が近づいてくる。

人の足音に近い音ではあるが、素足のような足音だ

周りの敵が攻撃をやめ、離れた場所へと移動する。すると、奥の方から近寄ってきた者の正体が明らかになった。

「ニンゲンヨ、ナゼコンナコトコロニキタ」

しゃがれた声で俺たちに話しかける、その人物の姿は、今まで戦っていたゴブリンを人に近づけ、更に身長を3m程までにしたものだった。

でかい。んでなんで喋れるんだ……。わからぬ……。

「え、えーとだな、お前男の人から荷物奪っただろ?それ返して欲しいんだわ。困ってるから、ね?」

「クー君動揺しすぎじゃないカ?平気カ?」

「だ、大丈夫だ……、問題ない……。多分」

「カエストデモ、オモッテイルノカ」

まぁ、悪役というか小物臭がする魔物だな

「じゃあ、お前を殺してでも返してもらうぜ?」

ニンゲンゴトキニ、ナニガデキルカ」

その言葉がトリガーとなったのか、ゴブリンリーダーの体力が表示される。

バーの数が2本。中ボスレベルといったところだろうか。

しかし、これは厄介なことになってしまった、現段階で俺は6レベル。先ほどキリトの狩りを手伝っていた時にかなり上がったからな。

これがデス・ゲームでなければ、ゴリ押しで行けるが、デス・ゲームと化してしまった今。慎重に行かなければいけない、つまりそれは長期戦ということになる。

でも、まぁ……、二人なら行けるか。

「アルゴー、お前今何レベルだ?」

「コル」

「死ぬのと生きるのどっちがいいか選んでみてくれ」

「ムム……、まだ5レベルダ」

「おっけ、じゃあアルゴ。お前はとりあえず周りのゴブリンを倒してくれないか?ヤバかったら言ってくれ」

「ハイヨー」

会話を済ませると、俺はゴブリンリーダー、アルゴはゴブリンたちに向かって走っていく。

「さてとぉ!悪いけど死んでもらうぜ!」



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―ゴブリンリーダーpart2―

遅くなって申し訳ないです(´・ω・`)
リアルが忙しすぎて、なかなか書けなかった……。
次の話でゴブリンリーダーは終わる予定です。



挨拶がわりに、〈スレイン〉を発動させる、が、ゴブリンリーダーは〈両手棍〉で容易く弾いてくる。

「チッ、流石にダンジョンボスなだけはあるな……、いろいろ試せるって意味では楽しくなってきたじゃねぇか」

キャラが変わってる?気のせいです。私はいつもこんな感じなんですよ?

それはさておき……、ゴブリンリーダーが〈両手棍〉を下から上に思いっきり振り上げようとしている。

あのモーションからして〈アッパーブレイク〉の剣技を発動させようとしているのだろう。

だが、残念。

ベータテスターである俺には、その剣技がどういったものなのかわかっている。

ゴブリンリーダーから距離を取るように、後ろに向かって飛ぶ。

「グルアァッ」

なんとも獣らしい声を上げながら、ゴブリンリーダーは〈両手棍〉を振り上げていた。

やっぱりな。

ニヤリと笑いつつ、俺は体制を低くしつつ、大鎌を身体の後ろに構える。

「っとっべぇえええい!!」

と大声を上げつつ、飛ばす――――サイスを

緑エフェクトに包まれたサイスは物凄い勢いで回転し、ゴブリンリーダーの腹部を貫通して、そのままゴブリンリーダーの後ろ側へと通り抜けて行ってしまう。

大鎌スキル〈スローイング〉だ。

通常投げる系統の技は〈投擲〉に分類されるのだが、大鎌は〈投擲〉では投げることができない、というのも、大鎌スキルの中にこの技が含まれているからだ。

しかも、このスローイングただただ、相手を貫通攻撃するだけではない。

「アアアアアアッッッ」

悲痛な叫び声をあげつつ、攻撃をされたことでヘイト値が溜まったゴブリンリーダーは、俺に向かって再度攻撃を仕掛けようとしてくる。

現時点でのゴブリンリーダーのHPはまだ9、5割と言ったところか

まあ、さっきの一発でこれだけ減らせたのだからよしとするか。

「シネエエエエ」

狂気に満ちた声を荒げ、両手棍をバットのようにフルスイングするゴブリンリーダーだが、そのフルスイングした両手混が俺に当たることはなかった。

「ガッ……、ナ、ンダ」

俺が飛ばされる音の代わりに聞こえてきた音は、ゴブリンリーダーの右腕がスッパリと着られる音だった。

「後ろも注意しておかないから、こうなるんだぜ?」

ゴブリンリーダーを小馬鹿にするような口調で話す。

そう言う、俺の手には先ほどぶん投げたレイスが戻ってきていた。

そう、〈スローイング〉は〈投擲〉とは違い、自分の手に戻ってくるんだ、例を出して言うと、ブーメランのように。

ただし、このスキルは自分の手にレイスが戻ってくるまで、がスキルなので、手に戻ってくるまで硬直のせいで身動きが取れない状態になってしまう。これが唯一の難点だろうか。

あれだな、帰るまでが遠足です的なノリなのかもしれない。

それはそうと、先程から目の前では、某バ○スの人みたいに、ウデガーアアアアウデガーアアアアと叫んでいる。又は巨人狩りの人かな?

「図体もでかけりゃ、声もでけぇんだな……。」

目の前の巨体に呆れていると

「クッ、あーモウ!面倒くさいナ!ダメダ!クー君手伝ってくれ!}

アルゴが、複数のゴブリン相手に苦戦をしているようだった。確かに1対6っていうのは分が悪いもんがあるしなぁ。

「分かった。んじゃ、アルゴこっちに来い!」

ゴブリンリーダーが登場してきた場所に走りつつ、アルゴを呼ぶ。

「ううー、流石に6体はきついナ……」

「悪かったな、とりあえず先にこいつら消しちまうか。」

「後で請求だからナ」

怖いことを言ってる気がするがそんなことはどうでもいい

「ちょっとアルゴ耳塞いどけ」

「え?なんでヨ」

「いいから」

不満、といった感じでアルゴは耳を塞ぐ

そして、俺は大きく息を吸って

「おっらぁあああ!雑魚コブリン共!殺せるもんなら殺してみろ!!」

5LVになった時に3つめのスキルスロットが解放されたので、その時に取った〈叫び〉というスキルを発動する。

効果は、周りの敵のヘイト値を稼ぎ、自分にタゲを持ってくるという技だ。

別にこれは自分がマゾヒストというわけではなく、敵を効率よく集める為に、このスキルがあると便利かな?と思ったのがきっかけだった。

まさか、こういう場面で使うとは思いもしなかったぜ

俺の声を聞いたコブリンたちは、一斉に俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。

大振りなその攻撃は、俺にとっては好都合。

もう一度サークルスレインをここで発動させる。

丁度ゴブリンたちの首あたりに標準を合わせるようにして、その場で空中ジャンプからの一回転。

綺麗にゴブリンたちはポリゴン片と化して、散り散りになっていく。

してやったぜ、という感じで着地し、アルゴに話しかけようとしていた時だった

「クー君!危ないっ!」



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