ノーネームが黒の銃弾と交わるそうですよ? (海ぶどう)
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第1章
異世界へ


この作品では初めましてになりますね、初めまして!
これからバシバシ書いていくつもりなのでよろしくお願いします!

アドバイス感想等もお待ちしてます、よろしくお願いします!


日は沈んでいた。

 

周辺から普段とは違った雰囲気を感じながら、逆廻十六夜(さかまき いざよい)は空高く輝く星を見上げながら呟いた。

 

「流石に理解が追いつかねえ……」

 

それもそのはず、彼はつい先程までは太陽が一番高く昇る正午の時間帯の箱庭の世界に居た。

 

それが今ではどうだ、夜の森になっただけならまだ理解は出来る。

だがしかしここは箱庭の世界ですらないのだ。

 

頭を掻きながら思考を回転させていると後ろからまだら模様の服を纏った少女が声をかけてきた。

この場所に一緒に飛ばされてきたコミュニティ「ノーネーム」の仲間のペストだ。

 

「残念だけどやっぱり箱庭じゃないわねここは、どうするのかしらマスター?」

ペストは顎をクイっと十六夜の方に向けて尋ねる、十六夜は反応せずにペストに質問を返す。

 

「なあ、飛ばされた原因、戻る方法みたいなのは分からないよな?」

ペストは質問を無視されたことに対してムッとしたがすぐに答えた。

「分からないけど、あの帽子男…クロアと同じ理由なら時間が経てばいずれ戻るはずよ」

「あ〜まあ考えてても仕方ねえか、とりあえずこの世界について調べてみるか」

 

箱庭から外界に飛ばされる、もしくは戻る事はいくら考えても理解が追いつかない事を痛感しつつも十六夜はとりあえずはしばらくこの世界で生きていこうと思い行動しようとした。

そんな時に後ろの木々がメキメキと音を立て倒れていく音が聞こえたので其方を向いて見ると、巨大なクモが居た。

長い8本の足、頭部に光る4対の真っ赤に光る眼、口からは光った2本の牙、そして人ならば嫌悪感を覚えてしまう黄色と黒のまだら模様はクモと言われれば納得出来る。

だがそれは通常サイズの場合のみでの事だ。こんなサイズは十六夜は生まれてこの方どの世界でも見たことがない。

 

「こいつクモなのか!?いやでもあり得ねえだろこれ…」

十六夜は驚きを隠せずに様子を伺っている、それに対してペストは呑気そうに感想を述べている。

 

「あら、綺麗なまだら模様ね…手駒にしてあげようかしら」

 

それに対して十六夜はヤハハと笑いながらクモを観察する、やはりどう見てもクモだろう、この世界ではこのサイズが普通なのか?

そう考えているとクモがキィキィと鳴き出して此方に凄い勢いで近付いてきた、穏やかな雰囲気ではない事を察知しペストは臨戦態勢に入るが十六夜が待てとハンドサインを送る、ペストはそれに従い宙に浮いて待機する。

 

十六夜は落ちていた野球ボールサイズの石を拾いそれを第三宇宙速度に匹敵する馬鹿げた速度でクモに投げつける、それは見事にクモの胴体を撃ち抜いた、しかしクモの風穴が空いた胴体は次の瞬間に再生し始め数秒もしない内に完治していた。

「再生の恩恵(ギフト)か?」

十六夜は箱庭で経験した闘いから相手の能力を推測するがどれとも当てはまらない、箱庭での再生の恩恵は薬物による超速治癒、もしくは損傷などを元の形に戻す能力の2パターンしかないからだ。

それに対しこの巨大グモは細胞自体が超速再生しているように見える。

一体どんな能力なんだ?と考えているとクモは更に近付いていて十六夜との距離は5メートルを切っていた。

 

「ま、考えるのは後でいいよ…なっ!」

 

刹那十六夜は立っていた所が凹む程の超跳躍をし、一瞬でクモの頭上に現れる、あまりにも一瞬の事態であったためクモも十六夜を見失ってる。

十六夜は愉快そうに笑いながら回し蹴りをクモに叩き込もうとしてる。

 

「俺を楽しませろぉ!」

 

ドンッ!!!と鈍い音がし、クモの身体はバラバラに砕けてしまい再生する兆しはない、十六夜は笑みから一転箱庭に来る前の詰まらなそうな顔をしてスタスタと歩いてく。

 

「つまんね、行くぞペスト」

 

「はーいマスター」

 

ペストも地上に降りてきて十六夜の後を1.2歩空けて付いていく。

 

 

 

そんな2人を遠くで見てる2人組が居た。

 

「見たかね小比奈?」

 

「うん見たよパパァ、あいつ今までに見たことないくらい凄く強いよ」

蛭子 影胤(ひるこ かげたね)と蛭子 小比奈(ひるこ こひな)の親子だ。

影胤は気分が良いのかキヒヒと不気味な笑い声を漏らしながら小比奈に声をかける。

 

「どうだい小比奈?私達で彼等に勝てるかね?」

 

すると小比奈はビクッと身体を震わせながら即答する。

 

「無理だよ絶対!私達2人でやっても勝ち目ないよ!」

 

「ほう、そこまでとはね…いつかは手合わせをしてみたいモノだね…」

 

「そんなヤりたいならオレは今からでも構わないぜ」

 

瞬時影胤・小比奈は後ろに大幅に跳躍して後退するとそこには先程クモを瞬殺した少年と宙に浮いていた少女が居るではないか。

影胤は誰よりも早く口を開く。

 

「我々の事はいつから気付いて居たのかね?」

 

「ハッ、最初から気付いてたぜシルクハットさんよ」

 

十六夜は楽しそうにヤハハと余裕まじりに笑いながら応える。それに対し影胤も緊張が解けたのか笑いながら十六夜に話しかける。

 

「失礼、自己紹介が遅れたね。私は蛭子 影胤、こっちは娘の小比奈だ。小比奈、挨拶を」

 

「蛭子 小比奈、10歳」

 

小比奈はスカートの両端を掴み持ち上げ礼をするような挨拶をする。それに続き十六夜達も返すように自己紹介をする。

 

「ヤハハッ、よく出来た娘だな。俺は逆廻 十六夜、んでこっちがペストだ。ホラ、お前も挨拶してみろよ?」

 

十六夜が煽るようにペストに促すとペストは機嫌が悪そうに自己紹介をする。

 

「ペストよ」

それに対して影胤は首を傾げ十六夜達に疑問を投げる。

 

「黒死病(ペスト)?変わった名前だね…君達はどこか違う国の人間なのかい?」

 

「まあ違う国と言えば違うトコだな、んで俺からも聞きたいことあるんだがさっきのクモが最初再生したんだけどあれはどんな恩恵(ギフト)なんだ?」

 

「ギフト?何を言っているのかさっぱり分からないのだがさっきのはガストレアなのだから再生して当然だろう?」

 

「ガストレア?なんだそりゃ?」

そこまで言ってお互いの会話が成り立たない事を見て呆れ果てたペストが口を挟む。

 

「このままだとキリがないからまずは私達の世界の説明からしてこの世界の情報を提供してもらいましょうマスター」

 

「確かにな、それじゃ頼んだぜペスト!」

 

十六夜はそう言うと軽く跳躍し、近くの太い木の枝に飛び乗り座って説明が終わるのを待機する。

ペストは更に機嫌が悪そうになりながらも説明を始めた。

 

 

 

 

影胤とペストがお互いの世界の情報について話し合い終わったところで十六夜が甲高く笑い声を上げて木から飛び降りる。

「なんだなんだ良いじゃねえか!詰まらねえと思ってたけどまだステージ5やらなんやら面白そうな敵居るじゃねえかよオイ!」

 

影胤も同じように笑いながら両手を空に向かって高く広げ上げて叫ぶ。

「面白いじゃないか!君達と此処で私と出会ったのもきっと何かの縁であろう!私と共に来ないか十六夜君、ペスト君!」

 

十六夜とペストは顔を見合わせお互い頷くと影胤の方を向きなおし応える。

 

「面白そうだけど断る、なんせロマンを感じねえからな」

 

「そう言うと思ったよ、残念だが諦めるとしよう…」

 

そう言い残し立ち去ろうとした影胤はそうだ忘れていた、と十六夜の方を向き尋ねる。

 

「この世界に来たばかりで金銭的にも住処的にも困っているのではないか?」

「そりゃな、まあでもなんとかなるだろ」

 

十六夜は笑いながら空を見上げる。

 

「それならついてきたまえ、それと少しばかりだが受け取ってくれたまえ」

影胤は十六夜に小切手とまだ使われてない口座のカードを渡して付いてくるように促す。

 

「いいのか?こんなに貰っても?」

 

「私が久しく味わってなかった快感をくれた君には足りないくらいだよ、安いものだ」

 

「そうか、悪いな」

 

礼を言い十六夜とペストは数メートル先に歩く蛭子親子に付いていく。

小一時間ほど歩いて市街地に入り、中々見事な一軒家の前にたどり着く。外装も綺麗で日当たりも良さそうだ、しいて言うなら後ろにボロアパートがあるくらいが欠点なのだろうか、とりあえずは申し分ない家だと言える。

 

「ここで暮らしたまえ、金も足りなければ此処に連絡してくれたまえ」

影胤はそう言うと家の鍵と電話番号が書かれた紙を十六夜に放る。

 

「色々と世話んなったな、感謝するぜ影胤」

 

「礼はいらんと言っただろう?また君と会える日を楽しみにしているよ、くれぐれも私の邪魔はしないでくれたまえよ?」

 

「そいつぁ無理な相談だぜ、俺がやりたい事をやる時に立ち塞がってるなら壊すだけだ」

 

十六夜は真っ直ぐ影胤を見つめて言い放つ、それに対し影胤も笑いながら十六夜をしっかりと見て応える。

 

「それも実に君らしい、道が交差しないことを願うよ」

 

影胤はそう言い残すと小比奈を連れて立ち去っていった。

それを見送ると黙っていたペストが口を開く。

 

「案外どうとにでもなりそうねマスター、これからどうするの?」

 

「とりあえず当面の目標はステージ5を倒すって事だな、まあ影胤みたいに自分で呼び出すみたいな事はしねえけどよ」

 

十六夜は楽しそうに笑いながらも疲れたのかベッドに寝そべり寝るモーションに入る、ペストもそれに賛成なのかもう一つのベッドに腰を置く。

寝る前に十六夜は手を高く伸ばし口元には微かな笑みを浮かべながらこの世界をもっと知りたいと思いながら拳を握りしめた。

 

 

数時間後十六夜とペストは同じ理由でかなり苛立ちを覚えていた。

後ろのボロアパートの住民が深夜真っ只中なのにうるさくて眠りに就けないのだ。

 

「レンタロー!!!」

 

「寝ろって言ってんだろ延珠!おい聞いてんのかっ!」

ペストは布団を頭から被りなんとか寝ようとしているが十六夜は……

 

「影胤、この家思わぬ点で欠点あるぞ……」

 

と少しだけ家を譲り受けたことを後悔していた。

 

 

「レンタロー!」

 

「頼むから寝てくれええええ!」




如何でしたでしょうか?
原作ちょい前スタートですね、次からは原作入りたいと思います。

補足ですが十六夜の恩恵(ギフト)の「正体不明(コードアンノウン)」ですがガストレアの再生能力をも止めます、この世界では機械化兵士くらいに捉えてもいてもらえればなと思います。

ではではまた!


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戦いの序章

みんなお気に入りしてくれて嬉しすぎて連続投稿、本来ならこんなに早く更新しないのでご了承ください・。・

今回は殆ど原作と同じです、ストーリー入る分には欠かせないお話ですよね!ですよね!?

それではどーぞ!


「お前が俺たちの応援に駆けつけた民警だぁ?まだガキじゃねえか!」

 

刑事のごつい顔を近づけられた少年、里見蓮太郎は嫌そうな顔をしながらぼやく。

 

「んなこと言われても仕方ねえだろ、俺は民警だよ、ライセンスだってある」

 

刑事は舌打ちしながら蓮太郎の周りを品定めするかのように回り始めた。

 

「お前学生か?」

 

「悪いかよ」

 

「最近はガキまで民警ごっこかよ、ライセンス出しな」

 

ライセンスを差し出すと、警備は添付けされた証明写真と蓮太郎の顔を見比べ、ひどい不幸面だと笑っている。

 

「それにしても天童民間警備会社ねえ、聞いたことねえな」

 

「売れてねえからな、あーてか早速で申し訳ないけど仕事の話しねえか?」

 

蓮太郎は目の前のマンションを見上げる、損傷こそ酷いが至って普通である。

 

「ホントにここで事件が?」

 

「あぁ、間違いねえよ。情報からしてガストレアだ。まあいいとにかく入るぞ」

 

マンションに入り少しすると刑事の多田島が何かに気付いたのかごつい顔を近づけてくる。

 

「お前相棒はどうした?」

 

「あ、あいつの手を借りるまでもないと思ってな!」

 

内心置いてきたことにぎくりとしていたがとてもではないが言えない。

 

現場の202号室の前まで来ると既に大量の警察官がドアの前に居た。

 

「何か変化は?」

 

多田島の言葉に警察官の1人が青い顔をしながら振り返った。

 

「す、すみません。たったいまポイントマンが2人窓から突入、その後通信が途絶えました」

 

一瞬にして場の空気が凍った。

 

「馬鹿野郎!何故民警の到着を待たないんだ!」

 

「我が物顔で現場を荒らすこいつらに手柄を取られたくないんですよ!」

 

「どいてろボケ共!俺が行く!」

 

拳銃を抜き大きく深呼吸をする。

掌の汗をズボンで拭い、めんどうな事にになったもんだと舌打ちをする。

 

ドアをぶち破り入ると隠しきれないような濃密な血臭、2人の警察官が壁に打ち付けられ絶命していた。

 

そして部屋の中央には、ワインレッドの燕尾服にシルクハット、仮面を付けた長身の奇妙な男が立っていた。

 

「なんだ、アンタ同業者か?」

 

「私も感染源ガストレアを追ってるが、同業者ではない。なぜなら…この警察官を殺したのは私だ」

 

瞬時蓮太郎は足に力を込め、床を踏みしめる。

ー天童式戦闘術ニの型十六番ー

 

「隠禅・黒天風!」

 

快心の力を込めた回し蹴りは首の動きだけで交わされる。

 

「おっと惜しいね」

 

「いやまだだ!」

 

瞬時蓮太郎は素早く足を踏み替えると続く2撃目を繰り出す。

 

「隠禅・玄明窩!」

 

蓮太郎のハイキックが仮面男の頭部に直撃、首が曲がっていたのでやったかと叫びかけたが、男はそれを力づくで首を戻す。

蓮太郎が驚いて動かなくなっていると男の携帯電話が鳴る。

 

「もしもし…小比奈か?すぐ行くよ」

 

男は携帯を閉じると蓮太郎をじっと見る、蓮太郎は悪寒から動けないでいた。

 

「いやぁお見事、油断してたとはいえ一撃貰うとは。最近の私は彼といい素晴らしい人材と良く出会う」

 

彼?と蓮太郎は疑問に思っていたが、仮面男は続けて質問をしてくる。

 

「君の名は?」

 

「里見…蓮太郎」

 

「里見君ね…またどこかで会おう」

 

「アンタ…何者だ?」

 

「私は世界を滅ぼす者。私を止めることが出来る者が居るとしたらただ一人、まあ最も彼は民警ではないけどね」

 

そう言い残すと男は一足飛びにベランダから飛び降りる。

蓮太郎は汗ばんだ手を握りしめるがその手はとても震えている。

その時、肩に置かれた手が力強く揺すぶられる。

 

「しっかりしろ民警!お前が今するべきことは感染爆発を防ぐことだ!」

 

喝を入れ直し部屋の中に居るはずの感染源ガストレアを探す、しかし最後のクローゼットには衣類しか入っていない。

ふと天井を見上げると緑色のジェル状の物が付いていた。

そこで蓮太郎はある結論に達して冷や汗をかきながらも状況を話していく。

 

「被害者がここで襲われたのは間違いないだろう、そして被害者は窓の外に助けを求めて…言いたかねえけどこの出血量で動けるってことはだな…」

 

「じゃあ感染源どころか感染者もほっつき歩いてるって事かよ!」

 

年太郎は頷いた。

 

 

 

 

少女、藍原 延珠は目の前のクモのガストレアと交戦していた。

延珠の目の前でガストレア化したそれはクモ特有の糸で延珠の動きを封じ、長く太い足で延珠を数十メートル先まで吹き飛ばした。

延珠がいくらイニシエーターと言ってもダメージが無いわけではない、動けずに居ると近くから2人の男女の声が聞こえてきた。

 

「こんな快晴な日に私を外に連れまわすなんて嫌がらせにも限度があるわ」

 

「ヤハハ、そう言うなって……ん?なんだこいつ?」

 

延珠は冷や汗が大量に出てきて逃げろと叫ぼうとするが、先程のダメージが予想以上に大きかった為言葉が喉から先に出なかった。

マズイと思って無理やり身体を起こそうとした時だった。

ズドン!!!と大きな音が辺りに響いた。

 

「やっぱりつまんねえよなステージ1だと…まあ1でも2でも3でも同じだけどよ」

 

「良いから帰りましょマスター、太陽の下はうんざりよ」

 

そう言って声の主達の足跡はどんどん遠ざかりやがて聞こえなくなった。

傷も完全に癒えて瓦礫の中から立ち上がると2人の姿は見えなくなっていた。

すると遅れて2人の男がやって来た。

 

「延珠無事か…ってお前1人でやったのか?」

 

「うわ…すげえな、木っ端微塵だ」

 

とごつい顔の多田島も感心している。

だが延珠は首を横に振りそれを否定する。

 

「いや、妾ではない。通りすがりの2人組が恐らく一撃で倒したのだ。妾は吹っ飛ばされて瓦礫に埋もれていたから見られなかったのだ…」

 

「2人組って事は別の民警なのか…」

 

「ま、ともあれ一件落着だな…」

 

そう言うと蓮太郎は時計を見て姿勢を正して敬礼する。

 

「2031年4月28日1630、ガストレア排除完了しました」

 

「ご苦労民警の諸君」

 

目線を交わし合う2人の口元から笑みが零れるが、そこにあどけない声が差し挟まれる。

 

「そんなことよりタイムセールは良いのか?」

 

蓮太郎の顔から血の気が引く。

 

「お、おいもう行くのかよ…?」

 

「もやしが一袋6円なんだよ!」

 

走り去る少年の影と、その後ろをついて行く小さな影を見ながら多田島は呟く。

 

「もやし…だと…?」

 

礼を言うのもバカバカしかったと首を振っているとそこに2人組少年少女が現れる。

 

「なぁあんた、この辺にカード落ちてなかったか?」

 

「あ?カードだぁ?…もしかしてあれか?」

 

そう言うと少年は指差されたカードを拾い笑いながら礼を言ってきた。

 

「これだこれ、助かったぜ。さっき落としたのか」

 

そんな事を言ってると横の少女が突っ込みを入れる。

 

「あんな思いっきり踏み込むからいけないのよ、それより見つかったならいい加減帰りましょ」

 

多田島は少女の目を見るがその瞳は赤くはない、とゆうことはこの2人は民警ではない。

先程のクモを倒したのはまた別のやつかと思っていると少年は手を振りながら、少女はスタスタと歩いて去って行ってしまった。

2人でブツクサと喋っているようだが何を話しているかは聞こえなかった、だが最後にチラッと聞こえたがそれは多田島の意識には触れずに消えてしまった。

 

「さっきの奴の体液跳ねまくったし服もクリーニング出さねえとなぁ…」

 

 

 

 

その日蓮太郎はこっぴどく木更に叱られた後家では延珠にいつもの絡みをされ、十六夜とペストはまたもやこの2人のせいで眠りにつけなかったとか…




ちょい短いですね。

まあここは序章の繋ぎなんでw
次は少し時間飛んで一気に聖天子が出てくるお話。

更新遅れる分頑張ります。

コメント、評価よろしくお願いします!


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転校生

こんにちは!

今回は勾田高校に転校生がやってくるお話です、誰かは予想付くはず!w

評価よろしくお願いします!


 

4月に入ったもののこの季節の夜はまだ寒い、十六夜は制服のポケットに手を突っ込みながら口を開く。

 

「こんな時間に呼び出して何の用だよ影胤」

 

「すまないね、電話越しでも良かったのだが機密事項なのでね」

 

「おいおい、めんどくさい事ならお断りだぜ?」

 

十六夜はクビを鳴らしながら気だるそうに言い放つが、影胤も引かない。

 

「まあそう言わないでくれたまえ、まだ君には貸しがあるんだ。それ相応な物で返して貰わないとね」

 

「都合が良い奴だな、まあ良いけど。んでなんだよ?」

 

「現在私が追っているガストレアを駆除して中にあるケースを無傷で取ってきて欲しい、それが私の目的につながる」

 

そこまで言うと詰まらなそうにしてた十六夜の目が影胤の方に向く、口元も緩みきっている事からかなりの上機嫌がうかがえる。

 

「って事は…ステージ5が呼べるんだな?」

 

「そうさ、ケースを渡した後は好きにしていい」

 

「悪くねえな、引き受けてやるよ」

 

「では場所が分かり次第連絡するとしよう…」

 

それから影胤は一息つくと十六夜が予想をしてない事を口に出す。

 

「それと君には学校へ行って貰おうと思う」

 

「はぁ!?なんでそんなめんどくせえとこ行くんだよ?」

 

「君は前の世界で学校へ行ってたんではないのかね?いつもその制服を着ているじぁないか」

 

「これは…っ…」

 

反抗しようとすると十六夜の脳裏にふと昔の記憶が蘇る。

病室でベッドに腰をかけ此方に声をかけてくる女性はとても暖かい微笑みをしている。

 

「1度で良いから十六夜の制服姿見たいわねぇ、まあ無理なお願いか…」

 

十六夜はその願いを箱庭に来る少し前に叶えていた、しかしどことなくその言葉が頭から離れない事に十六夜はムシャクシャして頭を抱えめんどくさそうに答えた。

 

「あ〜分かったよ、行けばいんだろ?」

 

「随分と早い手のひら返しだね?」

 

「うるせえ、高校の名前といつから行けば良いかだけ教えろ」

 

十六夜は気恥ずかしさから不機嫌そうに答える、影胤はそれを見て軽く笑いながら答える。

 

「勾田高校というすぐ近くの所だよ、君が承諾してくれたのなら週明けには転入出来るようにしておこう」

 

「そうかい、んじゃ俺は帰るぜ」

 

そういうと十六夜は影胤に背中を向け軽く手を振りながら去っていく、残された影胤もそっと呟くとそこから姿を消した。

 

 

 

十六夜が家に帰るとペストがテレビの前に釘付けになっている、テレビを見てみると天誅ガールズという文字が入りCMに入った。

 

「なんだこれ?アニメか?」

 

「帰ってたのねマスター」

 

ペストはぶっきらぼうにそう言うとまたテレビの方に顔を向ける、CMが終わったので十六夜も少し見てみると可愛らしいコスプレをした少女達が悪役と戦っていくという何ともシンプルな子供向けのアニメだ。

 

「お前、こんなの見てて面白いか?」

 

「良いのよ、どうせここではメイドの仕事もないし暇なのよ…」

 

ペストは十六夜の方を見向きもせずに答える、暇などという理由は表面上なだけで内心は完全にハマっているのだろう、別に困る事でもないので十六夜は自室に行き眠りに就く。

 

十六夜が自室に入ったのを確認するとペストはパソコンを開く、そこには天誅ガールズのグッズ一覧が載っていた。

めぼしい物があったのか、ペストは緩みきった口元を隠しながら呟く。

 

「……今度買おうかしら…」

 

 

 

 

 

 

週明けの月曜日の朝のHR前、蓮太郎は何時にも増して気だるそうに机に突っ伏して居た。

 

「はぁ…だりぃ……」

 

原因は言うまでもなく延珠である、朝からいつものハイテンションで付きまとわれた為、蓮太郎のメンタルは今に至る訳である。

これが毎週、否毎日続くのは俺にしか分からない苦労だ。

そう考えていると担任の先生が入ってきてHRが始まる、毎週変わらない内容を長々と言うため再び机に突っ伏して居ると、ガラガラと音を立てて誰かが入ってきたようだ。

多少の興味本意から顔を上げてみると、担任の横には金髪の顔立ちが整った少年が立っていた。

すると担任が黒板にその少年の名前であろう文字を書き、少年に自己紹介を促す。

 

「あ〜、逆廻 十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と容量を守った上で適切な態度で接してくれるよう頼むぜ?」

 

なんで自己紹介なのに疑問形で終わらせるんだ、なんだよ三拍子揃った駄目人間って、などと男子生徒達は突っ込みを入れているが女子生徒の反応はかなり良いものだった。

 

「ねぇねぇ、かなりカッコよくない?」

 

「後で携帯番号聞いとこうよ!」

 

蓮太郎はめんどくさい奴が来たなと思っていると担任が手をパンパン叩き口を開ける。

 

「静かに!逆廻は…里見の、一番後ろの右から2番目の席に座りなさい」

 

と言うと逆廻 十六夜は此方に向かって歩みを進める、蓮太郎の前に来ると軽く挨拶をしてきた。

 

「自己紹介もしたけど聞いてなさそうだったし一応、逆廻 十六夜だ、十六夜で良い、よろしくな」

 

「粗野でなんちゃらより前の部分は聞いてたぜ、里見 蓮太郎だ、俺も好きに呼んでくれ」

 

すると十六夜は「蓮太郎?レンタロー…?」と首をかしげるがそのまま椅子に座る。

蓮太郎も授業の準備をすると鐘が鳴り、授業が始まった。

 

 

昼休み、午前中の休み時間の間は十六夜が女子から番号を聞かれ放題の状況であったが、それも終わり今は蓮太郎と二人で話している。

普段誰も寄ってこない蓮太郎としては細やかではあるが嬉しい事である。

 

「いやぁ役得だったぜ、この学校の女子レベル高いな」

 

「あんな耳元で騒がれて良く楽しそうだな、俺なら耐えられねえよ」

 

そういってパンを齧る蓮太郎を見ながら十六夜はヤハハと笑う、すると蓮太郎と携帯電話が鳴り出す。

しかし蓮太郎はその電話には出ずに携帯を机の上に置く。

 

「良いのか?出なくて」

 

「あぁ、問題ねえよ」

 

プルルルルルルルルルルル!!

 

「なぁ、出なくても良いのか?」

 

「あ、あぁ!大丈夫だ!多分…」

 

「なーにが大丈夫なのかしら?さ・と・み・く・ん?」

 

後ろから声がしたので振り向いてみるとそこには黒髪ロングで顔立ち、スタイルも良い10人見れば10人が美人というような女生徒が居た。

 

「へぇ…こりゃ良い目の保養だぜ」

 

十六夜は率直に感想を述べる。

 

「あらありがと、貴方名前は?」

 

「逆廻 十六夜だぜお嬢様?」

 

「そう、十六夜君ね。私は天童 木更よ、よろしくね」

 

木更は笑顔で十六夜に挨拶すると今度は絶対零度の笑顔で蓮太郎の方に目線を向ける、蓮太郎はと言うと額から物凄い量の冷や汗が出ている。

 

「そーいやお嬢様と里見はどういう関係なんだ?」

 

「私達は天童民間警備会社ってとこに勤めてるの、それで私が社長、里見君が雇われ人」

 

民警なのかと十六夜は蓮太郎の方を見るが蓮太郎はそれどころではなく、額の汗は枯れてしまい、今度は石化が始まっている。

 

「さ〜て里見君、私の電話を無視した理由をたっぷりと……ってもうこんな時間なのね、もう良いから付いて来なさい!」

 

「あぁ!?付いて来いって学校はどうすんだよ」

 

「仕事と学校の優先順位の判断くらい出来るようになりなさい!」

 

「いやそれ学校の方が優先順位上じゃ……」

 

そこまで言うと木更は蓮太郎の襟を掴み引っ張って外に歩き出す。

 

「十六夜君、里見君は今日は早退って伝えておいて貰えるかしら?」

 

「りょーかい、お嬢様」

 

「おい離せよ木更さん!自分で歩くから!」

 

そんな感じで歩いていく2人を見送ると校内放送がかかる。

 

「逆廻 十六夜君、放課後に生徒会室に来てください。繰り返します…」

 

「あ?俺か?影胤の奴ちゃんと手続きしてないんじゃねえのか?」

 

十六夜はめんどくせえと肘をつき外を見るが、その顔は僅かに笑っていた。

 

「ま、こういうのも悪くはねえかな」




中途半端なとこで終わらせてすみません!

次からは少しオリジナル展開になります!

誤字とかあったら教えてくださいな☆〜(ゝ。∂)


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シュミレート

こんにちは!

何故か高速連続投稿です。
コメントで頑張って欲しいと言われましたが嬉しいですねやっぱりw
これからも頑張りたいと思えました!

評価よろしくお願いします!


 

放課後になり、十六夜は生徒会室の前まで来ていた。

 

「粗野で凶暴で快楽主義と三拍子揃った駄目人間の逆廻 十六夜が来ましたよっと」

 

10割ふざけた挨拶でノックをすると中から関西弁が聞こえてきた。

 

「開いてるから適当に入ってな〜」

 

「んじゃ失礼しますと…おっ」

 

生徒会室に入るって十六夜の目線は釘付けになる、そこには着物を着こなした何とも言えない美少女が居るではないか。

 

「今日は目に良い日だぜ、役得役得」

 

十六夜はヤハハと笑いながら近くにあるソファに腰をかける、すると着物の美少女の方も目の前のソファに座って口を開く。

 

「ありがとうなぁ、十六夜君も思った以上のイケメンさんやわぁ」

 

そう言うと手元にあった扇子を広げて続けて話す。

 

「ウチは司馬 未織、この学校の生徒会長や。突然呼び出したのは堪忍な、なんせ気になったことはすぐに解決したい性格なんよウチは」

 

「別に構わないぜ、それで気になった事ってのは?」

 

十六夜が笑みを向けると美織も軽く笑い答えるが、その声は全然笑ってはいなかった。

 

「十六夜君、君やろ?ちょっと前に市街地に出たガストレアを倒したの」

 

「ん?結構倒してるから何時のかは分からねえけど最近この辺で出くわした奴は倒したぜ?」

 

未織はこの事を十六夜が隠していると予想していたのだが、対する十六夜は普通に話しだすのでポカンとしていた。

 

「んでなんでアンタがそれ知ってんだ?非常時だから周りに人は居なかったはずだが…」

 

「あぁ、その説明なんやけど今から付いて来てもらえる?車の中でちゃんと話すから」

 

と言うと未織は電話をかけ始めた、恐らく迎えを呼んでいるのだろう。

電話を切ると未織はニッコリと笑いながら十六夜に顔を向けると言う。

 

「ほな、行こか十六夜君」

 

 

 

 

 

車の中に入ると未織はオレンジジュースをコップに注ぎ十六夜に渡し、自分の分を入れ一口飲んでから話し始めた。

 

「まず先週やったかな?市街地で倒されたガストレアに人のDNAが付いてたんよ、それをウチの会社、まあ会社に着けばどんなところかは分かるから質問はナシでお願いするわ!話し変わってしまったけどウチの会社で解析したら民警のデータ一覧にない人間が出る、そこまではまだ良かったんやけど…その人間が今日自分の学校に転校してくるやない?つまりそういう事なんやけど…」

 

十六夜は話の後半部分は殆ど聞いてなく、考えを張り巡らせていた。

 

(この世界でなんで俺のデータがあるんだ?これも世界の事象、異物が混入してきても世界の方がそれに合わせてる…って事か?)

 

そう考えていると車が止まる、未織が降りたことから会社に着いたことが確認出来る。

十六夜も車から降りると目の前には大きく「司馬重工」と書かれた看板が見えた、司馬重工についてはある程度影胤から情報を聞いていたのですぐに状況が飲み込めた。

 

「つまり俺の実力でも測るって事か?」

 

「なんや察しが良いなぁ、引き受けて貰えるか?」

 

「別に構わねえけど、相手なんて居んのかよ?」

 

十六夜が疑問を投げると未織は得意げな顔になり答える。

 

「まあ見とき、ウチがどれだけ凄いか分かるで〜」

 

そう言うと未織は小走りでエレベーターの中に入るのでそれについて行くと、かなり下の階に来た。

エレベーターが止まったのでそこから出ると、そこには部屋の奥にドーム型の空間があった。

 

「ここは?」

 

「ここはVR特別訓練室、そして今からやってもらうのが…モーションリアリティ・プリズム・バトルシミュレータや!」

 

「なんかめんどくせえ名前だな、まあ名前から察するに相手は人間じゃなくて映像って事か?」

 

「うーん8割正解ってとこやね、これは空間そのものを再現するんよ、ともかく入ってみ!」

 

ドームに入ることを促されたのでそれに従い入ると、空間に「hello」の文字が浮かび上がる。

するとスピーカーから未織の声が聞こえてきた。

 

「大丈夫そうやな、ステージは砂漠でええかぁ?」

 

そこまで言われるとこのシステムがどういうものなのかを十六夜は完全に把握できた。

 

「良いぜ、任せる」

 

「敵レベルと痛覚レベルはどうする?」

 

「MAXで頼む」

 

「いやそれは無理やろ、まずは平均クラスを…」

 

美織が余りにも渋るので十六夜は若干ふてながらも了承する。

 

「んじゃ普通で良いぜ、早くやろうぜ」

 

「ほなやろか〜、開始10秒前」

 

先ほど文字が表示されてた場所にカウントダウンを表す数字が浮かび上がる。

 

5…4…3…2…1…GO!

 

すると十六夜の周りに5人の刀を持った戦闘員、離れたとこに3人の狙撃兵が居た。

しかしこの程度の人数は魔王を相手にしてきた十六夜にとっては無いに等しい人数であった。

まずは周りの5人を開始3秒で蹴散らすと、思い切り踏み込んで跳躍し狙撃兵の内1人の背後に回り込み蹴りを入れて1撃で倒す。それと同じ事を2回繰り返し終わり。

ここまで約10秒前後である、終わった瞬間に空間には「complete」の文字が浮かび上がった。

 

「凄すぎや…十六夜君って何者なんや?」

 

「コードアンノウン、俺にも分からねえわ」

 

十六夜は愉快そうに笑いながら未織のいるところに戻ってきて自分のデータを見る。

そうすると総合結果が出たのか未織がピックアップすると未織は大声を上げて驚く。

 

「136500%!?こんなん人間の数値やないんやないか…」

 

「まあまだ本気のほの字も出してないんだけどな」

 

そう言われた未織は肩をガックリと落としぼやき出す。

 

「あーもうええわ、本気なんか出されたら会社が壊れてまう…」

 

「ハハハハ!そう言うなよ、いずれ見せてやるよ。それより%って誰を基準にしてたんだ?」

 

「里見君よ、もう知ってるやろ?つまり今の十六夜君は本気も出さずに里見君の1365倍の強さって訳よ」

 

「あいつはもうちょい強いと思うんだがな…」

 

 

 

そう言って未織と話していると未織と十六夜の携帯が同時に鳴り出す、未織の方は会社の事について話しているので仕事関係であろう。

十六夜も携帯を取り出して話し出す。

 

「なんだよ影胤」

 

「やぁ、十六夜君。予想より少し早く仕事になりそうだ、明日にまで感染源ガストレアの居場所を掴むから、分かり次第動いてくれたまえ」

 

影胤はそれだけ伝えると電話を切った、未織の方を見てみると慌てた様子でポーチに色々入れてる。

 

「十六夜君、悪いんやけど今日は帰ってもらえるか?ウチ今から会議入っちゃったんよ」

 

「あぁ、構わないぜ。それじゃあな」

 

 

そう言って会社を出ると使用人が家まで送ってくれると言うので甘えることにした。

 

 

途中、信号で車が止まっているときに外がヤケに騒がしいことに気付き目を向けるとそこには小さな少女を大人複数人で蹴っているのが確認された。

十六夜はここで降りるといい使用人と別れ、人混みの中に入って少女を拾い上げる。

 

「民警だ、こいつの処理は任せろ」

 

とりあえず誤魔化せそうな嘘をついてみると男の1人が噛み付いてきた。

 

「いきなり現れてなんだよ!ライセンス見せろよ!」

 

「(ライセンスなんてあんのかよめんどくせえ…)やっべ、ライセンス忘れたんだが信じてもらえないか?」

 

十六夜も上手く立ち回るか、よほど少女の事を自分の手で始末したいのか男は食い下がる。

 

「ったく、んじゃナイフ貸せ」

 

そういうと十六夜は男が持っていたナイフを取り出し、片手で丸め始めたのだ。

しかしそこに比喩はない、鉄のナイフを十六夜は文字通り粘土を丸めるように丸めたのだ。

 

「信じてもらえるよな?」

 

そこまでやられては男は勝ち目がないと思い立ち去っていった、次第に周りの人達も居なくなっていた。

 

 

それから少女を抱え少し離れた公園のベンチに寝かせてると目が覚めたと同時に大きくお腹が鳴る。

 

十六夜は少女に待ってるように伝えると目の前のコンビニに入り、数分すると両手いっぱいに袋を抱え少女に渡した。

 

「あの…なんでそこまでしてくれんですか?」

 

「気がむいただけだ、ガキは気にせず食うもん食って大きくなれ」

 

十六夜はそっぽを向いているが、内心は箱庭に置いてきてしまったコミュニティの年少組を思い出していた。

あの子達も境遇は良いとは言えないが、それでも仲間はいる。

だがこの世界の呪われた子供達は仲間すら居ないのだ、十六夜にはそれがどれだけ辛いことかよくわかっていたからこそ少女に手を施したのだ。

すると少女は頬を膨らましながら口を開いた。

 

「あの…お名前を…」

 

「逆廻 十六夜だ、お前は?」

 

「私、夜城 茜(やしろ あかね)って言います。その…ご飯ありがとうございました」

 

そういうと茜は公園の外に向かい歩き出した。

 

「おい、お前住むとこあんのかよ?」

 

「一応今は廃墟のビルの中に…」

 

茜は後ろめたいような言い方でボソボソと答えた。

 

「あぁ、もう聞くのもめんどくせえ。俺ん家来いよ」

 

「えと…え?」

 

「来いって言ってんだ?しばらく住んでろ、分かったな?」

 

十六夜はそう言うと茜に付いてくるように促す。

スタスタと歩いて行くため茜は駆け足で十六夜を追いかけた。

 

 

家に着くとペストが当然ではあるが疑問をすぐに投げてきた。

 

「誰よそれ?」

 

「あぁ、今度民警になる時があったら俺のイニシエーターにする奴だ。今さっき拾ってきたから鍛えておいてくれ」

 

するとペストはそっぽを向き不機嫌になりながら答える。

 

「嫌よめんどくさい、捨ててきて」

 

ぶっきらぼうに言うため茜の方はアタフタして半泣き状態である、それを見兼ねた十六夜はペストには有効な必殺の一撃を放った。

 

「そういやお前パソコンでアニメの…」

 

「分かった、引き受けるわ。よろしくねアナタ」

 

余りにも早い手のひら返しの為、茜はさっきとは別の意味で慌ててしまっている。

こうしていずれ逆廻 十六夜のイニシエーターとなる少女、夜城 茜が家族に加わった。

 

 

 

「いつか殺してあげるから覚悟してなさいマスター」

 

1名は復讐に燃えていたが……




下手くそな文章申し訳ないです、これから上手くなるように書きまくります!

誤字あったら教えてください!

では☆〜(ゝ。∂)


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新人類vs問題児

どうもです!

お気に入り数が少しずつ伸びてきてるのが嬉しいですw
みなさんこれからもよろしくお願いします!

そろそろ評価が欲しい…

今回はケースを取りに行くお話ですね、少しくらいしかアレンジされてないけど許してください!w


 

翌日、十六夜は影胤からの連絡を受け感染源ガストレアの中に取り込まれているケースを回収しに外周区の森の中に来ていた。

ペストと茜は家で意気投合して天誅ガールズを見ている。

 

十六夜の歩いた後には数十匹のガストレアの死骸が積み重なっていた。

 

「ここら辺に居るって聞いたんだけどどれも違えじゃねえか…」

 

そう呟く十六夜の周辺にはもうガストレアの姿はなく、辺りは静けさに包まれていた。

ポケットから携帯を出し影胤に連絡しようとすると、空に何か浮いているのが伺える。

 

「なんだぁ……あいつクモか?…そういや感染者もクモって事だから感染源はクモだったな、忘れてたぜ…」

 

クモは糸で背中にハングライダーの様なものを作り、風に乗って飛んでいる。

 

「すげえ独自的な進化をしてるんだ……なっ!」

 

十六夜は木の上まで登り、木の枝がギリギリ折れない程度に力を込め跳躍してクモの背後を取る。

当然クモは当然対処する事が出来ずに未だに飛んでいるだけだ。

その間に十六夜はかかと落としを打ち込む、クモはそのまま垂直に下に墜落した。

クモが木っ端微塵にならないのは十六夜がケースを傷付けないよう手を抜いたからだ。

 

「さてと、んじゃまあこれで終わりっと…」

 

十六夜はクモの下に入り込み上に蹴り上げると、クモの体はボロボロに砕かれ中からはケースが出て来る。

 

「やべっ、あんなんで木っ端微塵かよ…ケースは…?」

 

クモの残骸からケースを見つけて無傷なのを確認し安堵していると2人の声と足跡が聞こえてきた。

 

「この辺のはずだぞ連太郎!」

 

「分かってる!必ずケースを取るん……お前…」

 

十六夜の前に現れたのは延珠と連太郎だった。

 

「なんでお前がこんなところに1人で居るんだ、そしてなんでケースを持っているんだ?」

 

連太郎は十六夜と争う事も既に頭の中に入っていたので身構えながら質問する、延珠もそれを確認すると力を解放し臨戦態勢を取る。

それに対して十六夜はケースを持ってない方の手をポケットに入れ戦う素振りを全く見せない。

 

「延珠…って事はやっぱりお前らが…」

 

十六夜は連太郎達の事など相手にせずに自分たちの睡眠を邪魔した犯人を突き止めてどうやって静かにしてもらうかだけを考えていた。

すると連太郎がしびれを切らしたのか大声で叫ぶ。

 

「この際お前が何をしていたかなんてどうでも良い!早くケースを渡せよ…!」

 

だが十六夜も仕事なので引くわけにもいかないので拒否する。

 

「悪いけど頼まれごとなんで渡せねえな」

 

「依頼主は誰だ!?聖天子さまか?」

 

「匿名だけど、そいつじゃないぜ」

 

連太郎は他に匿名で依頼しそうな人物を考えていると、最悪の人物にたどり着いた。

 

「まさか…蛭子 影胤か!?」

 

「なんだ知り合いかよ、そうだぜ?」

 

十六夜は笑いながら答えるが連太郎は目の色を変えて怒鳴り散らす。

 

「お前はあいつがどういう奴か分かって協力してんのかよ!東京エリアが滅ぶんだぞ!」

 

「ステージ5が来ても俺が倒すから問題ねえよ」

 

「ふざけてんのか?良いからケースを…」

 

と連太郎が言ってる最中に十六夜は再度抵抗する。

 

「だからやらねえってめんどくせえな」

 

「…だったら力づくで奪い取る!」

 

「ハハッ!良いぜそうこなくっちゃなぁ!」

 

すると連太郎と延珠は左右に分かれ挟み撃ちにする算段を立て間合いを詰めてくる。

通常の相手ならば2人の早さに追いつけず翻弄されるだろうが通常の相手ではない十六夜にとっては面白みに欠けた詰まらない作戦だった。

 

「…遅えよ!」

 

「いつの間に!?」

 

十六夜は延珠の前に走り込むと軽く蹴りを1発打ち込んだ、2人が到底自分には及ばない実力なのを認識していたのでかなり手加減はしたのだが、延珠は木々を倒しながら10メートルほど先まで吹っ飛ばされた。

 

「延珠!クソッ!」

 

連太郎は距離を取り、腰から拳銃を取り出し発砲するが全部手で掴まれる。

十六夜は詰まらなそうにしているが連太郎の方は影胤の時以上の実力差を感じ絶望していた。

 

「もう帰れよ里見、話にならねえ」

 

「うるせえ…ケースを渡せ!」

 

そう叫ぶと連太郎の足から軽い爆発の様な物が十六夜には見えた、すると次の瞬間十六夜の目の前には連太郎の拳が見えた。

 

「危ねえじゃねえかオイ!そんな隠し球あんならさっさと使いやがれ!」

 

連太郎の方に視線を向けると連太郎の右手と右足からは黒い塊が剥き出しになっており、左眼は機械の様なものになっていた。

 

「へえ…それが新人類想像計画ってわけね」

 

「あぁ、いくぜ!」

 

この時連太郎は僅かながらにも自分に勝機があると思っていた、しかしこの後すぐにそれが愚かな思い違いだと理解する。

 

 

 

 

 

「話にならねえ、せめて傷一つくらいは付けられると思ってたんだがな」

 

十六夜はポケットに手を突っ込んだまま詰まらなさそうにしているが連太郎の方は蹴りを1発貰っただけで戦闘が続けられないくらいのダメージを負っていた。

血を吐きながらも立ち上がると延珠が十六夜に向かって走って行ったが連太郎はそれを力を振り絞って阻止する。

 

「延珠、逃げろ…」

 

「連太郎も早く!」

 

「俺が足止めしてるうちに早く逃げろ!」

 

そう叫ぶと延珠は唇を噛み締めながら森の中を走って行った。

 

「お前は逃げなくて良いのかよ?」

 

「そんな簡単に逃がしてくれる…のかよ」

 

連太郎はダメージが余程重く膝をつきながら、やっとのことで言葉を振り絞っている状況だ。

 

「別に弱え奴に興味ねえから邪魔しなければ良いって最初から言ってたぜ?」

 

そう十六夜が笑いながら言うと連太郎も力のない笑みを向け答える。

 

「なんだよ……ミスっ…た……ぜ」

 

そこまで言うと連太郎は限界が来たのかその場にばたりと倒れてしまった。

十六夜はそれ確認すると電話をかける。

 

「あぁ、影胤か?ケースを確保した、この間の公園で渡す、それじゃあな」

 

電話を切ると十六夜は連太郎を抱えて街の病院へと向かう。

病院に入って医者に医療費と連太郎を投げつけるとすぐあとにして公園へと向かった。

 

 

「やぁ、少し遅かったじゃないか十六夜君」

 

「里見を病院に置いてきたからな」

 

「おや、彼とやったのかね?して感想は?」

 

「詰まらねえ、が、面白い隠し球があったからそれをどう使ってくるかによってこれから変わるんじゃねえか?」

 

戦闘中は詰まらなそうにしていたが連太郎の潜在能力を考えると口元から笑みが溢れてしまっていた。

 

「ほう…実に楽しみだね、とりあえずご苦労だったね」

 

「あぁ、じゃあな」

 

別れを告げると影胤は次の準備に取り掛かるためすぐに姿を消した。

それを見送り十六夜も家へと帰った。

 

 

「帰ったぜ〜、ん?」

 

玄関のドアを開けると茜とペストが何やら色鮮やかなコスプレ姿で出迎えてきた。

 

「「貴方のハートに天誅♪天誅♪」」

 

「……お前ら何してんだ?」

 

十六夜が若干引きながら聞いてみると茜が嬉しそうに答えた。

 

「どうですか十六夜さん!可愛いでしょ?」

 

するとペストも続いて答える。

 

「この世界なら私子供に見えるから問題ないわよね?マスター」

 

「ま、まあロリっぽくて良いんじゃねえか二人共…」

 

茜に対しては素直に、ペストに対しては9割嘘の感想を述べると2人は機嫌を良くしながらリビングへと戻っていった。

 

「ったく…まあこういうのも悪くはねえよなやっぱり…」

 

 

 

 

 

その頃病院では木更と延珠が担当医と話していた。

 

「それで、里見君をここまで連れてきてくれた上にお金も払ってくれた人って誰なんですか?」

 

木更が血相を変えて聞いてくるので医者はたじろぎながらも答える。

 

「いや、僕も名前は聞いてないんですよ。ただ学ラン姿の金髪の少年でした」

 

「多分十六夜って奴だぞ木更!」

 

と延珠が叫ぶと木更は間抜けた声で疑問を浮かべた。

 

「へっ!?十六夜君?なんで彼の名前がここで出てくるのよ?」

 

それから延珠は今日あった出来事を全て木更に伝えた。

 

「そう…まさか彼がそんなに強かったなんてね…」

 

「だが妾に対しても手を抜いて戦っていたのだ、悪い奴ではない気がするのだ!」

 

「私も彼は敵では無いと思うの、でも次会ったら戦う覚悟もしないと…」

 

そして延珠と木更が覚悟を決めてから丸一日と約3時間後に連太郎は目を覚まして影胤を阻止するために動き始める。

 

 

 

 

外周区の寂れた教会の中で影胤はケースを見つめながら笑っていた。

 

「絶望したまえ人類達よ!これが終わりへの序章だヒヒッ!」





オリジナル展開は書くのがむずい!
はっきり分かりました、気合いで頑張ります。

次回からは話が少し飛びます。
ブラブレ原作知ってる人しか読んでない前提で書くのでご了承ください!

ではでは!


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天の梯子

こんにちは!

感想が増えてきて嬉しい限りですo(`ω´ )o
しかし評価はされない、何故なのだ…

評価よろしくお願いします!

今回はあれだよ…あれ。まあ読めば分かるさ!


十六夜と連太郎が戦い終わってから約2日経ち、十六夜はペストを連れて外周区に来ていた。

茜はまだ危険というわけで家に置いてきている。

 

「それでマスター、こんな所に来て何しようってわけ?」

 

「ま、すぐに分かると思うぜ……ほら」

 

そう言って見渡しが良いところまで来ると山の麓を指差す、するとそこにはかなりの数の民警が集結していた。

 

「なんでも影胤を阻止するらしいぜ?あいつら全員で出来るか見ものだな」

 

「そんな下らない事見に来たなら私は帰るわよ」

 

ペストは全く興味が無さそうに帰ろうと浮遊し始めるがそれを十六夜が止める。

 

「まあ待てって、どうせ暇だろ?」

 

十六夜がそう言うとペストは嫌そうにしながらも地に足を付け再び民警の方へと目を向けた。

 

「んじゃまあしばらくはここらで様子見だな…あ?」

 

後ろから物音がしたので振り向いて見るとそこには鱗がびっしりとついた体長10メートル程の二足歩行のワニ、いやどちらかと言うと恐竜の様な生物がこちらを凝視していた。

 

「おっ、これがもしかしてステージ4なのか?初めて見たぜ」

 

笑いながら手首を鳴らしているとステージ4のガストレアは十六夜目掛けて一直線に走ってきた。

 

「んじゃまあとりあえず一発!」

 

十六夜も跳躍しステージ4の胸部に目掛けて軽くパンチを打ち込む、するとその10メートルはある巨体には大きな穴が開いて動かなくなった。

しかしガストレアの完全体とも言えるステージ4はそんなに甘いものではなくすぐに再生を終え、十六夜を視界に捉えると再び突っ込んでくる。

 

「おっ、じゃあ次はほんの少し力入れるから耐えろよ」

 

十六夜は跳躍してガストレアの顔の目の前まで瞬時に移動し回し蹴りを打ち込む、ガストレアはそのままボールの様に何回かバウンドして30メートル以上先まで飛んで行った。

様子を見に行ったが顔の部分どころか身体の至るとこのパーツまで崩壊し原型を留めておらず、再生の見込みはなかった。

 

「つまんねえ、結局どれも同じじゃねえかよ」

 

ボヤいているとペストが近寄って来て話しかけてくる。

 

「さっき向こうで爆発があってからこの辺の奴らの活動が活発になってるみたいだから纏めて殺しちゃっていい?」

 

「あぁ、人間は殺すなよ」

 

承諾するとペストは空高く浮き上がり両手を空に上げる、するとペストの手の上には大きな黒い球体が出来上がっていた。

ペストはそれを思いっきり地面へと投げつけた。

地面に付いた球体は黒い霧になり辺りをドンドン包んでいった。

十六夜は近くにいたガストレア2匹に目を向けて見る、ガストレア2匹は霧に包まれた瞬間苦しみもせずにバタリと倒れていった。

 

「はぁ、疲れたわ」

 

「黒死病ってガストレアにも効くのな」

 

十六夜が笑いながら感心しているとペストはやれやれと首を横に振っている。

 

「効くわけないじゃない、あれは人間にしか効かない病よ。今のは死のギフトを直接霧に乗っけたのよ、対象を人にしないのが凄く疲れるのよ」

 

ペストはめんどくさそうに木によたれかかっている、余程の技なのだろう。

技の凄さはあたりからガストレアの鳴き声が聞こえなくなってることで証明されていた。

 

「そんじゃ少し休んだら民警達が向かった方に行ってみるか」

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し進み連太郎と延珠は蛭子親子との戦闘を終えていた。

 

「やったぞレンタロー!」

 

延珠は思いっきり連太郎の胸に飛び込む、連太郎もそれを受け止め頭を撫でている。

すると連太郎の携帯が鳴る、木更からだ。

 

「木更さんか?俺、やったよ…」

 

「ええ、見てたわ里見君。でもね、悪い知らせがあるの」

 

木更は数秒置くと落ち着いて聞くように連太郎に促すが次の瞬間連太郎は心臓を貫かれたような衝撃に身をおそわれる。

 

「ステージ5が…東京エリアに現れたわ」

 

「なっ、なんで…」

 

「落ち着いて里見君、まだ希望は残されているの。君のいる位置から後ろを見ると…分かるでしょ?」

 

「天の…梯子……」

 

そこには奪われた世代の憎悪の塊の代表とも言われる兵器が立ち聳えていた。

 

 

 

 

 

「あれがステージ5か、なんてデカさだ…」

 

「あら?マスター怖いの?」

 

ペストは十六夜にからかう様に質問をしてみるが十六夜はそんなのお構いなしに笑っている。

 

「良いぜ良いぜイイなぁオイ!やっとマトモなのが出てきやがった!」

 

そう言うと十六夜は物凄い勢いで東京エリアに走り出した、廃墟からは軽く50キロ離れていたが、今の十六夜の速度なら30分もしない内に着くであろう。

ペストもそれに付いて行く、めんどくさいと言いつつもペストも元魔王と言うこともありかなりの戦い好きである、参加したいのは当然だろう。

 

 

 

 

 

それから25分後、連太郎は天の梯子のコントロール室で聖天子達と連絡を取っていた。

 

「里見さん、貴方の手に東京エリアの未来は託します」

 

「里見君、お願い!貴方の手で東京エリアを救って!」

 

連太郎は混乱のあまり誰の声も聞こえてない、一つのエリアの住民全ての命が自分の手にかかっているわけだ。

当然の反応である。

すると通信機の向こうから驚きの声が聞こえてくる。

 

「何っ!?ステージ5が後退しているだと…?」

 

映像が拡大されたので画面を見てみるとゾディアック・ガストレア「スコーピオン」の身体が物凄い勢いで凹んでいくのだ。

聖天子達には何が起こっているか分かっていなかったが、連太郎にはおおよそ予想できた。

 

「十六夜……」

 

 

 

 

 

「ハハハハハハハハハハ!!!」

 

十六夜は大声で笑いながら次々とステージ5の身体に思いっきりパンチを打ち込む。

 

「良いじゃねえか!再生スピード、タフさ、どれをとってもステージ4なんかを圧倒してるじゃねえか!」

 

十六夜は蹴りを思いっきり打ち込むと一度地面に着地する、そして足が付いた瞬間に横から巨大な触手に弾かれてビルを貫通しながら50メートル近く飛ばされた。

ビルの瓦礫を蹴り上げ笑みを浮かべながら再びゾディアックに走っていくがペストがそれを止めた。

 

「んだよ、邪魔するんじゃねえよ」

 

「可笑しいわマスター、さっきまで居た軍隊やヘリが消えてるの、何かヤバいのが来るわ…」

 

十六夜はこの化け物を倒すようなヤバいものを影胤から聞いた情報の中から弾き出した、そしてそれと同時にペストを抱えてゾディアックに背を向けて走り出す。

 

「ちょっと、離しなさいよ!」

 

「早くしろ!今回ばかりはヤバいぞ!」

 

天の梯子から発車されるバラニウムの超電磁砲、十六夜は止められないわけではないが必ずしもという保証はない。それにゾディアックと戦っている最中に超電磁砲が外れて爆風に巻き込まれて死ぬなんて事は御免である。

それを避けるために十六夜は一時的にゾディアックから5キロ程距離を取った。

 

遠目からゾディアックを見てみると、あれから1歩も動いている様子がない。

しばらく観察しているとゾディアックは耳が壊れるほどの音量で奇声を上げた。

 

「キュアォォアアアアアアアア!!!」

 

「うるせえ!ってやべえ、ペスト!構えろ!」

 

十六夜の視線の先には天の梯子がある、そして先端部分がチカチカと光り始めている。

恐らくはもう発射されるだろう、十六夜とペストは外れた時の為に身構える。

 

それから数分経ち辺りが静寂に包まれた時その時はやってきた。

50キロ離れた天の梯子が光輝くと同時に海の表面が割れ、超電磁砲がこちら目掛けて飛んできた。

だが十六夜の予想を良い方に裏切り、超電磁砲はゾディアックに直撃した。

そしてここからが誰も予想していなかった最悪の事態である。

超電磁砲は勢いを殺さずにゾディアックの身体を突き破り東京エリアの中心部に向かっていこうとしてた。

 

「なっ!?ふざけんなよ!」

 

十六夜は超電磁砲の進路に立ち塞がり右手を前に出す、するとそこからは光の柱が出てきた。

 

「ったく、めんどくせえな」

 

そう呟きながらも身構える、もう超電磁砲は目の前まで来ている。

 

「ハッ!しゃらくせえええ!!」

 

十六夜はフルパワーで殴るが、流石にこの世界最強の兵器というだけあってすぐにははね返せなかった。

 

「クソ、このままだとやべえ…」

 

「仕方ないわね、5秒だけ稼いであげるからしっかりしなさいよ、マスター?」

 

そう言うとペストは黒い霧のカーテンを作り十六夜と超電磁砲の間に入り一時的ではあるが壁となった。

 

「お前連れてきて良かったぜ、サンキューな」

 

「御託は良いわよ…」

 

ペストは照れたのかそっぽを向いている。

十六夜はその間に光の柱を再形成し、超電磁砲に向かって拳を向ける。

 

「こいつで…終わりだっ!」

 

十六夜のパンチは超電磁砲に直撃し、辺りは眩い光で包まれた。

 

 

 

 

 

 

それから数日後、連太郎は聖天子直々に昇格を伝えられ序列1000位になる。

十六夜は連太郎以外には正体はバレなかった為、また家でグタグタする生活をしている。

 

「ふぁ〜、やっぱり暇だよなぁ」

 

「なら十六夜さんも一緒に天誅ガールズ見ましょうよ!」

 

と茜は十六夜の服を引っ張るが十六夜は興味ないねと断る、昼寝でもしようかと目を閉じると携帯が鳴る。

 

「お前生きてたんだな影胤」

 

「まだしばらくは安静だがね、なんとか一命は取りとめたよ…それにしてもあの超電磁砲を相殺させるなんて君はホントに私の予想を上回るものを見せてくれる」

 

「つまんねえ事しか話さねえなら切るぞ?」

 

「あぁ、今日は挨拶程度の物だったから構わないよ」

 

そう言い残すと電話が切れた。

携帯をポケットにしまい今度こそ寝ようとすると今度は家の電話が鳴る。

 

「はいもしもーし」

 

「逆廻 十六夜さんですね?お話があるのですが…」

 

その声は十六夜は良くテレビで聞いたことあることから聖天子と察していた。

 

「あぁ、とりあえず後日でも良いか?今はめんどくせえ」

 

「めんど!?えぇ、問題ないです。では」

 

電話が切れたのを確認すると十六夜はめんどくせえと呟いて昼寝を始めたがこの後すぐにここが不良物件という事を思い出させられた。

 

「里見君、すき焼きよ!すき焼き!」

 

「レンタロー!肉だぞ!いつぶりだろうな!」

 

「そんな慌てなくても…いや良い!食え!」

 

そんな大声が十六夜の耳から離れなく十六夜は無理やり起こされた。

 

「そうだ、まずはこれを解決しねえとな…」

 

人類最強の問題児は打倒ステージ5よりも先に近所のアパートの住人を黙らせることを密かに目標にしていた。




文章うまく纏められなくてグダグダで申し訳ないです。

次回からかなりオリジナル展開にする予定です。
色々纏めないといけないから更新遅れるかも……

評価してくれちゃっても良いのよ?(してくださいお願いします)

ではではまた!


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序列不明

こんにちは!

今回はなんとも言えず…
僕から言えることはただに一つ。
評価をしてください!(クソ野郎)

実際投稿してると気になっちゃうんですよね、評価…
お時間ありましたらよろしくお願いします!


外は雲一つない快晴だった、本来十六夜はこんな日は近くの河原にでも行って昼寝をしているはずだった。

しかし今は茜を連れて防衛省まで来ていた。

 

「貴方が逆廻 十六夜さんですね?初めまして、私は…」

 

「そんな硬くなるなよお嬢様、せっかく可愛い顔してんだからもう少し笑顔でいこうぜ」

 

十六夜はヤハハと笑いながら聖天子に向かって言うが、聖天子は可愛いと言われて恥ずかしかったのか下を向いている。

 

「んで、このエリアのトップ様が俺みたいな一般人に何の用だよ?」

 

十六夜の質問をすると聖天子の後ろに立っていた天童 菊之丞が答える。

 

「フン、貴様が一般人だと?しらばっくれるなよ小僧」

 

「そんな怖い顔で睨むなよ、別に嘘はついちゃいねえよ。俺は民警でもなんでもないんだし」

 

そう言うと下を向いていた聖天子が顔を上げ口を開く。

 

「まあ確かにそうですね、では貴方は何者です?いえ、貴方とあの黒の少女は何者です?」

 

聖天子はモニターにリモコンを向け画像を拡大する、そこには先日ゾディアックと戦っている十六夜と、天の梯子の超電磁砲を一時的に止めていたペストの姿が映っていた。

 

「なんだ、撮られてたのか?」

 

「人工衛星ですよ、それより質問に答えていただけますか?」

 

聖天子は十六夜を真っ直ぐ見つめる、十六夜はその瞳を見て口からポロっとある少年の名前が出てきた。

 

「ジン……」

 

箱庭で非力ながらも心が広く十六夜達「ノーネーム」のメンバーのリーダーだ、聖天子の瞳はどことなくジンのそれと似ていたのだ。

 

「へっ?」

 

「いや悪い、なんでもねえよ。んじゃまあどっから説明するもんか…」

 

それから十六夜は自分達がいつの間にかこの世界にいた事、箱庭についてある程度話した。

途中でこんなにめんどくさいことをペストに押し付けたことを少し悪く思っていた。

 

「なるほど、大変驚きました」

 

「聖天子様、此奴の話を信じるのですか?」

 

菊之丞は驚くこともなくただ聖天子の判断を聞いている。

 

「信じ難い話ではありますが、宙に浮いていた黒の少女、民警データに載ってない人間がステージ5相手に素手で戦っているのを見せられては信じるしかないでしょう」

 

そう応えると菊之丞は軽く頭を下げ、御意にと言うと再び後ろに着く。

 

「それで逆廻さん、貴方に提案があります」

 

「なんだよ?他のステージ5の討伐か?」

 

十六夜は期待を込めて聞くが返事はまるで違った。

 

「いえ、それは無謀なのでお願いしません。貴方には民警になって欲しいのです」

 

「めんどくせえからお断り、って言いたいとこだが条件をのんでくれるなら構わないぜ」

 

そう言うと十六夜の手を握っていた茜が十六夜の顔を見上げながら首をかしげる、十六夜は茜の頭を撫でながら続けて言う。

 

「まずはイニシエーターを茜にする、次に外周区のガキ共に住まいは無理にしろちゃんとした食事の提供、教育を約束しろ」

 

それに対し後ろで菊之丞は眉間に皺を寄せるが、聖天子はすぐに承諾した。

 

「分かりました、では次に進みましょう。そこで序列なのですが、逆廻さんは実績というものがないので本来なら最下位からスタートさせたいのですが…」

 

聖天子は言葉を止めた後に菊之丞の方を向く、菊之丞がそれに気付き頷くと再び口を開けた。

 

「貴方には超高位序列の方々と同等かそれ以上の力があると見なし、序列不明(ナンバーアンノウン)の地位に就いて貰います。アクセス権限などは実績につれ上げていくつもりです。その他の地位については超高位序列者と同じだと思ってもらって構いません」

 

十六夜は序列不明というのを気に入った事から笑いながら答える。

 

「アンノウン、如何にもって感じで良いじゃねえか」

 

「気に入って頂けたなら良かったです、それと民警になるに当たって所属の会社を決めなければならないのですが…」

 

「あー会社な、まあ当てがあるから任せとけ」

 

十六夜が応えて聖天子もそれを承諾すると茜がウトウト眠そうにしている事から解散となった。

 

「改めてよろしくな茜、ちゃんと強くなれよ?」

 

十六夜が笑いながら頭を撫でると茜も嬉しそうに答える。

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「おし、んじゃまず入社希望でも出しに行くか」

 

そう言って2人は歩き出した。

それから数十分後、2人は天童民間警備会社の中にいた。

 

「んでお前ら2人がここで働きたいと…」

 

連太郎は頭を抱えながら十六夜の方を見る、木更は社長席に座りコーヒーを啜っている。

 

「まあ働くってか在籍だけ置かせてくれれば助かる、報酬とかは全部会社にやるから」

 

そう答えると木更が啜っていたコーヒーを吹き出しゴホゴホと咳をたててる、落ち着いた途端に十六夜の胸ぐらを掴みブンブン振り回す。

 

「今言ったこと!ホントなの!?」

 

「オイオイ落ち着けよお嬢様、まぁホントだぜ」

 

「採用!採用よ!」

 

木更の目は完全に金の形になっていて、連太郎は呆れていたが十六夜としてはどうでも良いことなので笑って受け入れた。

茜は苦笑いしながらもどことなく嬉しそうにしてる。

 

「んじゃまあ会社も見つかったことだし俺ん家で飯でも食うか?」

 

そう言うと今度は連太郎と木更と延珠の目が同時に輝き出す。

 

「十六夜、妾はお寿司が食べたいぞ!」

 

「十六夜君!私はすき焼きが良いわ!」

 

「ステーキ食わせてくれ!」

 

十六夜は3人の食いつき具合に若干引きながらも答える。

 

「俺が奢る前提なのな…まぁなら買い物行くぞ」

 

「十六夜さん、私は甘いものが食べたいです」

 

少し遅れて茜もねだってくる、どことなく一つ一つの動作が可愛い事から十六夜も茜にはあまくなってしまう。

 

「んじゃ最後にケーキも買ってくか」

 

 

 

近くのスーパーで食材を人数分買うと時刻は8時過ぎになっていた。

 

「まだらロリから絶対どやされるぜこりゃ」

 

十六夜は笑いながら帰り道を歩いていると連太郎がふと疑問に思ったことを口にする。

 

「十六夜ってどこ住んでんだよ、俺の家と近そうなんだが」

 

「そいや言ってなかったな、俺の家は里見のボロアパートの真後ろの一軒家だぜ」

 

「まじかよ…」

 

「毎日俺もペストもお前らのどんちゃん騒ぎのせいで寝かせてもらえないんだぜ?どうにかしろよな」

 

十六夜が不満を漏らすと連太郎と延珠は素直に謝ってくる、これでしばらくは安眠出来そうだと笑っていると十六夜の家に着く。

それから十六夜はご飯を食べながら自分とペストが箱庭に居たことなどを話した。

3人とも最初は驚いていたがさほど気にすることはなくそれぞれ食事に集中している。

 

それから1時間ほど経ち日付が変わろうとしていた。

十六夜の計らいから今日は3人とも泊まることになっていた、連太郎は帰ろうとしたが延珠がペストと茜と意気投合して天誅ガールズを見ていた為泊まることにした。

しばらくすると十六夜以外のみんなは寝ていた。

十六夜が毛布を被せると電話が鳴った、表示されている番号には見覚えがない。

 

「うぃ、もしもーし」

 

「もしもし十六夜?久しぶりね」

 

その声を聞いた瞬間十六夜は驚きのあまり電話を落としかけた。

なぜなら声の主はもう一生十六夜が会えないと思っていた、十六夜を育ててくれた人物、金糸雀だったのだ。

 

「流石に驚いたぜ、なんでアンタまでこの世界にいんだよ」

 

「私も十六夜もあの小ちゃな女の子も恐らくは時間軸の歪みに囚われたんだと思うわ、推測に過ぎないけど」

 

「なるほどな、んじゃもう一つだけ、あんた今どこにいんだよ?」

 

そう言うと金糸雀は軽く笑った後にからかう様に十六夜に聞く。

 

「あら、もしかして私に会いたいの?」

 

「別に気になっただけさ」

 

「照れちゃって可愛いわね、今私は海外にいるわ。時期戻るとは思うけど…」

 

「そうかい、んじゃ戻ってきたら一度くらい顔出せよ」

 

「そうね、久しぶりに十六夜の顔もみたいしそうしようかしら」

 

そう言うと金糸雀はそうそうと付け足して話を続けた。

 

「この世界、案外貴方にとっても退屈しなさそうよ?」

 

「へぇ、そりゃ楽しみだ」

 

「それじゃあね十六夜、しっかりしなさいよ?」

 

「あぁ、またな金糸雀」

 

電話が切れると十六夜はそのままベッドに直行し仰向けになる。

 

「ったく、この世界に来てから疲れさせられる事ばっかだな…まあでも……おもしれえ」

 

十六夜はこれからの期待に胸を膨らませながら眠りに就いた。




過去最大にグチャグチャですやん、すみません。

そろそろオリジナルストーリー入ります、お楽しみにしていただければ嬉しいです。

それでは!
誤字とかあったら教えてください


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とある兎の物語

こんにちは!
更新遅れて申し訳ない!

今回は黒ウサギのお話、後々のストーリーにも関連するかもなんで問題児知らない方も読んでおいたほうが良いかもしれません!(投げやり)

それではどうぞ!


 

東京エリアから少し北西方面の森の中、時刻は夜の8時を回った頃であろうか。

当然辺りには街灯もなく暗闇に包まれていた。

そんな中森では1人の少女がアタフタと声を上げて慌てていた。

 

「ここはどこなのですか!?レティシア様と白夜叉様は!?」

 

少年改め黒ウサギは十六夜、ペストの箱庭にいた時のコミュニティの仲間であり、スタイルが良く10人が10人美人と言うほどの美少女である。

 

「黒ウサギは先程までサウザントアイズの店の中で白夜叉様とレティシア様とお話をしていたのに…」

 

言いながら自分が今どこに居るかを確認するために辺りを調べるが一向に大した成果は得られず、疲れたことから調べてる時に見つけた川辺まで行く。

汚れた手を洗おうとした時に黒ウサギはある事に気づいて身が固まった。

 

「く、く、黒ウサギのステキ耳が無くなっているのですよ!?」

 

黒ウサギは自分の耳があったであろう頭部を何度も触るがそこにはもう髪の毛以外は何も残ってない。

 

「うぅ〜…一体なんなんですか〜」

 

ウルウルと瞳を潤わせて泣きベソをかいていると、ドシン!と大きな音が鳴った。

連続してる事から生物の足跡と思われる。

悟られないよう近くまで忍び寄ると巨大な竜の様な生き物が居た。

 

(これはサラマンドラの火竜…にしてはベタついてますし、それになんだか他の生き物も混ざってるような…)

 

黒ウサギはそう考えながらもう一度対象に目を向ける、やはり竜に近いが首から背中にかけて鱗の様なものがびっしりと付いている。

 

「箱庭にあんな生物は居ないはずですが…」

 

そう言い離れようとすると背後から何かが近づいて来る気配を感じたので近くにあった木の高い位置まで飛んで身を潜める、すると先ほど黒ウサギが居たところにはまた見たことない狼のような生き物が這っていた。

 

「…また見たことがない生き物…ここは箱庭ではないのでしょうか?」

 

未知の生き物への興味と箱庭の外へと弾き出された孤独感が混じり複雑な気持ちになり、少しボーッとしていると巨大な方の生き物が大音量の奇声を上げて狼の様な生き物を尻尾で叩き数メートル飛ばした後グジュグジュと音を立てながら捕食を始めた。

 

「気持ち悪いのですよ〜……」

 

口元を抑えながら軽く嗚咽を漏らした瞬間、巨大な生き物の視線が黒ウサギを捉えた。

 

「ギィヤァァァァァァァ!」

 

「見つかったのですよ!」

 

黒ウサギはドンヨリとした空気をなぎ払いすぐ様木々を飛び移り逃走する、黒ウサギのスピードは常人を遥かに逸脱しているので追いつかれることはないだろう。

 

しばらく走ると逃げ切れたので地面に降りる、とりあえず今日は休もうと雨風を凌げる場所を探すと洞窟にたどり着いた。

火を起こすと身の周りが暖かくなり、疲れから眠気に襲われたのでそのまま意識を手放した。

 

「……十六夜さん…」

 

 

 

 

明け方日が昇り始めるよりも前に黒ウサギは歩き始めていた。

途中で迷わぬように木に切り傷を付けながら歩き続ける事5時間、ようやく町のような物が見えてきた。

しかしそこは廃墟となっており人は誰一人居ないようだった。

 

「はぁ…もう少し頑張るのですよ…」

 

自分に喝を入れると、黒ウサギの視界の端に小さな少女が映った。

慌てて追いかけると少女はマンホールを開けてその中へと入っていった。

黒ウサギもそれに続きマンホールを持ち上げる。

 

「ん、結構重いのですよ」

 

少女が軽々と開けていたはずなのに…と考えながらも中に入ると思った以上に綺麗だった。

少し進むと中が明るくなってきたと同時に人集りが見える。

人集りの中には大人の姿は無く子供ばかりだった。

それでも何か情報を得ようと声をかけようとすると奥から1人の老人が出てきた。

 

「おやおや、こんな所にお嬢さん1人で何かご用ですかな?」

 

黒ウサギは自分の状況、元いた世界について全て老人に話した。

老人も黒ウサギの話を聞き終わると全てを説明してくれた。

 

「とゆうことは黒ウサギはガストレア…というのに襲われたのですね」

 

黒ウサギはふむふむと言いながら大抵のことは理解していた。

 

「それにしても大変だったでしょう、どうでしょう?しばらく働く場所でも探しながら此処に居てみてはいかがでしょう?」

 

「良いのですか?そんなにお世話になっても」

 

「遠慮なさらなくても良いですよ、子供達も喜びますし」

 

そう言うと老人は子供達の目を向けるので黒ウサギも子供達に視線を寄せる、すると子供達はみんなはにかんでいる。

黒ウサギはそんな子供達と自分が元いたコミュニティの子供達が何処と無く似ている気がして口元が緩んだ。

 

「あぁ、それと働くならこの世界に合わせた名前にしておいた方が良いかもしれませんね」

 

「確かにそうですね…では…!」

 

 

 

 

それから数日、天童民間警備会社に勤める蓮太郎と木更は街中を歩いて居た。

 

「ったく木更さん、コーヒーなんて事務所で飲めるじゃねえか」

 

「良いじゃないお金は十六夜君のお陰で!余裕があるんだし、それに今から行くとこ評判良いんだから」

 

木更は十六夜のお陰というとこを強調させて言うと、蓮太郎の方はムッスリとする。

事実なので言い返せないのが蓮太郎にとって余計辛いのだろう。

 

それから数分歩くと「orgel」という店にたどり着いた。

ドアを開けるとカラーンとベルがなる、すると奥から綺麗な青色の髪をした女の子が出てきた。

 

「orgelへようこそ!ご注文は黒野 兎(くろの うさぎ)が承りますよ!」

 

 




短くてごめんなさい!
手抜いた訳ではないですT_T

結構ベタな感じで書いてて申し訳ない気がしました。
これから良くしていくのでよろしくお願いします!

これからの予定は未定です!


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第2章
歴戦の友


こんにちは!

まずはアンケートお答えいただきありがとうございました!
結果多数決でこうなりました!
・ティナ編は十六夜と蓮太郎で解決
・次回追加メンバーはお嬢様


オリジナルストーリーについては気合いで書いてみます、以降ひと段落つく毎にアンケートを取ろうと思いますがまたお答えいただければなと思います!

それではティナ編1話目どうぞ^o^


「おい、金髪ロリ」

 

十六夜は天気が良いので近くの広場まで来て昼寝をしていた、すると目の前にパジャマ姿で、更にはスリッパで外を歩く髪の毛が金髪の少女がフラついているではないか。

放っておくにしても心配になり声をかけてみた。

 

だが少女はボケーっとしたまま気付かずにフラフラと歩き続ける。

 

「あぁ!?おい、まてよ!」

 

十六夜はベンチから離れ少女の肩を掴み少女を引き止める、少女はやっと止まり十六夜の顔に目を向ける。

少しボケーっとしていたが少女は口を開いた。

 

「ほぇえと…私に何かご用ですかぁ?」

 

「いや、用はねえけどお前その格好だと警察に声かけられるぞ…」

 

「そうですか、ご忠告ありがとう(グルルルル〜)………」

 

少女は自分のお腹が鳴るとお腹を撫で回す、どうやら持ち合わせが無いようだ。

 

「仕方ねえな、ついて来い」

 

十六夜は少女の手を取るとそのまま歩き出す。

十六夜と少女はそのまま近くのファミレスに入っていった。

 

数十分後

 

「ごちそうさまでしたぁ〜」

 

「へーへー、お粗末さん」

 

「お兄さん見かけによらず良い人です、私お兄さんの事好きです」

 

「ま、三拍子揃ったダメ人間だからな、ありがとよ金髪ロリ」

 

十六夜はお手拭きで少女の汚れた口元を拭く、少女も心地好さそうに受け入れる。

 

「んで、お前はんな格好で何してんだ?家は?」

 

「気付いたら歩いてました〜えへへ…」

 

「んな説明で納得するか、警察呼ぶぞ」

 

「ほえ〜…それはやめてください」

 

「ったく…んじゃお前困ったらここに電話しろ」

 

十六夜はメモに自分の電話番号を書いた紙を少女に渡す。

少女は紙を受け取るとすぐに携帯を取り出しボタンを押し始める、すると十六夜の携帯が鳴り出す。

 

「はーい、此方ダメ人間逆廻 十六夜ですよっと」

 

そう答えると少女は携帯を閉じる。

 

「嘘じゃないみたいで良かったです」

 

「あのなぁ…」

 

十六夜は髪の毛をくしゃくしゃと掻き分けていると少女は笑い出す。

 

「今日はとても良い日でした、こうしてお兄さんと出会えました」

 

「そりゃよーござんした。ま、偶には遊びこいよな」

 

そういうと少女はスタスタとスリッパが途中脱げそうになりながらも店を後にした。

 

「レティシアとは真逆みたいな金髪ロリだったけどアレもありだな」

 

なんてバカなことを考え、笑いながら水を飲み干し自分も店から出ようとすると携帯が鳴る、表示されているのは社長である木更だ。

 

「なんだよお嬢様、デートのお誘いか?」

 

十六夜はからかうつもりで聞いてみたが、返事は予想とは異なって十六夜が言った通りになった。

 

「ま、そんなとこよ。これから最近評判の喫茶店に行かないかしら?」

 

十六夜はそれを承諾して事務所に戻っていった。

 

 

 

カフェ「orgel」

 

「ありがとうございましたー!」

 

黒野 兎こと黒ウサギは机を拭きながら元気よく声を出す。

職場にも大分慣れ、客とも仲良くやれていると自負している黒ウサギは誰も居ない所で豊満な胸を張る。

 

「フフンっ、ノーネームの子供達のお世話に比べればこの位たいしたこと無いのですよ!………皆さんどうしているのでしょうか…」

 

笑っていた黒ウサギの表情はみるみる内に曇っていき、遂には涙ぐんでいる。

 

「十六夜さん…」

 

今にも消えそうな声で自分達を救ってくれた恩人の名前を口にするとカラーんと入口のベルが鳴る、どうやらお客さんが来たようだ。

 

「いらっしゃいませ〜、あ、木更さんですか」

 

店に入ってきた黒髪ロングの美人は最近良く店に通う常連となった天童 木更だ、黒ウサギと見た目的には年が近い事から良く話すようになり今ではすっかり友達感覚である。

 

「今日は1人なのですか?里見さんは?」

 

「甲斐性なしの里見君は学校で補講よ、でも今日はもう1人の優秀な新人君を連れてきたの。さっき引ったくりを捕まえて警察に引き渡してたからもう少し来るのに時間がかかると思うわ」

 

木更は入り口付近の2人席に座るとコーヒーを注文する、黒ウサギはコーヒーを入れて木更に差し出すと他の客も居ないことから近くの椅子に座る。

 

「そういえばその新人さんってどんな人なんですか?」

 

「うーん、とにかく強いけど破天荒なのよね。身勝手だし…でも優しい強さを持ってるわね」

 

「…黒ウサギにも前はそんな人が居たのですよ……」

 

黒ウサギは木更に聞こえない声でボソッと呟いた。

 

「ん?何か言ったかしら?」

 

「何でも無いのですよ!それよりコーヒーのお替わりは如何ですか?今日は黒ウサギの奢りです!」

 

ムンっ!と胸を張り自慢気に言うと木更は言葉に甘えてお替わりを要求していた。

黒ウサギはカウンターに戻りコーヒーを入れ直す。

すると入口のベルが鳴る、どうやらもう1人が来たようだ。

だがそこでコーヒーを持って行こうとする身体が硬直する。

何故ならもう1人の客は箱庭の世界で自分のコミュニティを救ってくれた唯一無二の恩人だからだ。

 

「い、イジャヨイシャン……」

 

十六夜も黒ウサギに気付き驚いているが、すぐに何時ものように笑い出す。

 

「オイオイ、イジャヨイ=シャンってなんだよ」

 

十六夜は黒ウサギに笑みを向ける、それが黒ウサギの涙腺のスイッチとなって黒ウサギは大泣きで十六夜に飛びついた。

 

「イジャヨイシャーン!!無事で何よりなのですよ〜…」

 

「こりゃ役得だぜ、こっち来てそれなりに頑張った甲斐があるな」

 

胸の中で大泣きしてる黒ウサギの頭をくしゃくしゃ撫でながら十六夜は愉快そうに笑っている、木更に関しては何が何だか理解出来ずに混乱している有様である。

 

それから少し経ち黒ウサギが落ち着いたところで事情を話すと木更は驚きを隠せないでいた。

 

「えっ!?じゃあ貴方があの黒ウサギなの?」

 

「Yes!黒ウサギがあの、黒ウサギなのですよ?」

 

「世の中狭いものね……」

 

木更は話のスケールのデカさと運命とも言えるレベルの世の中の狭さの比例関係の適当さに頭を抱えていた。

 

「てか黒ウサギ、お前ギフトはどうしたんだよ?別に民警くらいになら戸籍が無くても実力示せばなれたろ?」

 

「ギフトは持っていますが、黒ウサギは殺戮を好みません」

 

黒ウサギは下を向きながら言う。

 

「確かに、お前はそういうやつだったな…」

 

十六夜は改めて黒ウサギという少女の事を理解すると無理に民警になるのを勧めるのは辞めることにした。

 

「んじゃ、お前はお前らしくこの世界を生きていけ。俺も俺なりにロマンを求めてやりたいようにやる」

 

十六夜は笑顔で黒ウサギに向かって言うと黒ウサギも満面の笑顔で答える。

 

「Yes!黒ウサギも頑張るのですよ!」

 

そこにはかつての同士の健闘を祈る思いが詰まっていた。

こうして箱庭の世界では幾つもの戦いを共に戦い抜いて来た2人の戦士の道は別れた。




短めでごめんなさい>_<

次回こそは!

んじゃまた!ではでは!


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護衛任務1

あけましておめでとうございます。
今年もご愛読のほどよろしくお願いします!

更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
今回は特に進展なしですかね…繋ぎ回的な…

それではどうぞ(=゚ω゚)ノ


時刻は夕方の6時半、夕日も大分沈み辺りが暗くなりかけている頃、木更、蓮太郎、十六夜、茜は天童民間警備会社の中に居た。

延珠はいるとうるさいという理由から蓮太郎が無理やり家に置いてきた。

 

「それで里見君、あなたは護衛を引き受けのね?」

 

「横の安脇って奴には任せてられねえからな、十六夜も手伝ってくれねえか?」

 

「ハッ、やだね自分でやりな」

 

蓮太郎が頼むが十六夜は即答で拒否する、蓮太郎が苦笑いしていると茜が十六夜の腕を引っ張りながら口を開く。

 

「十六夜さん、手伝いませんか?私もペストさんや十六夜さんとの特訓の成果を皆さんに見てもらいたいです!」

 

十六夜は顎に手を当て少し考える素振りを見せてから、茜の頭にポンと手を置き撫でまわす。

 

「ま、出番が来そうなら少しだけな」

 

そう言うと茜は嬉しそうに十六夜の手を握る。

 

「ちょっと待って、茜ちゃんを連れて行くのはまだ早すぎないかしら?」

 

木更が慌てて止めに入る、これには蓮太郎も同意らしく不安そうな目で十六夜と茜を見る。

しかし十六夜は御構い無しに答える。

 

「心配すんなよ、茜も俺とペストと特訓してるだけあって相当強くなったんだぜ?それに危なくなったら俺がやればいいだけさ」

 

十六夜が「な?」と言うと木更と蓮太郎は若干の不安を残しながらも納得する。

すると木更が時計を見ると慌てて立ち上がる。

 

「ごめんなさい、今日は私用事が!」

 

と言うと木更はダッシュで事務所を出て行く。

 

「んじゃ、俺たちも帰るか」

 

十六夜も事務所から出て行くので茜と蓮太郎もそれに付いて行く。

事務所の階段を降りると目の前にはTHE 高級車と言わんばかりのリムジンが待ち構えていた。

ドアが執事によって開けられその中から出てきたのは未織だ。

 

「おっ、運良く3人共揃ってるわ」

 

「なんだよお嬢様、依頼か?」

 

「ちゃうちゃう、今日は十六夜君と茜ちゃんの武器の試作品を見てもらいたくて来たんよ。んで里見ちゃんにはここ1ヶ月のシュミレートのデータを見てもらおうとね」

 

そう言うと未織は扇子で車を突っつき入るように促す。

車の中に入ると外見通りの高級感に溢れていた。

 

「てかお嬢様よ、茜はともかく俺に武器なんていらねえと思うんだがな」

 

十六夜が最もなことを言うと未織はため息をつき説明を始める。

 

「逆や、十六夜君は強すぎて目立ち過ぎるんや。だからそれを少しでも誤魔化す為の武器や!」

 

蓮太郎は横で聞きながら確かにと頷いている。

事実十六夜の強さは強い一言で表せるものではない、それを踏まえれば多少目立たないように力を誤魔化す為の武器、否制御装置が取り付けられるのも当然といえば当然の話だ。

 

「なるほどな、まあ仕方ねえか」

 

十六夜が渋々承諾すると司馬重工の前に着く、茜は来るのが初めてなのでその大きさに驚いている。

 

シュミレートルームに入ると未織は蓮太郎にデータが算出された紙の束を渡す。

受け取った蓮太郎は浮かない表情をしている、十六夜は蓮太郎の持っている紙束を奪い取り目を通す。

700、725、841と言う数値が書かれている、恐らくパーセンテージだろう、どの道十六夜の足元にすら遠く及ばない。

 

「お前弱過ぎだろ、ちゃんと力使ったのか?」

 

「いや、普段の状態だけど、それにしてもなぁ…」

 

十六夜のキツイ言葉が胸に刺さり更に肩を落とす蓮太郎、そんなやり取りをしていると未織が声をかける。

 

「ほな十六夜君、コッチ来てこれ付けてくれへんか?」

 

未織は十六夜にメリケンの様な物を渡す。

十六夜は付けてみるが何の違和感も感じられないのか疑問を浮かべる。

 

「オイオイ、こんなんじゃ何も変わらなくねえか?」

 

そう言うと未織はニヤリとしてモニターのボタンを押す。

 

「なにっ!?」

 

「凄いやろ?名付けて超重力発生装置や!」

 

未織はドヤっ!と胸を張り自慢気にしている。

 

「まんまそのまんまじゃねえか…」

 

十六夜もやれやれと立ち上がり身体の節々を動かす、流石に普段の数倍は身体に負荷がかかっているため、やや動きがぎこちなくなっている。

 

「7、いや10倍ってとこか、こりゃすげえ」

 

「せやね、今は体感重力を10倍にしてるから相当動きにくいはずや」

 

蓮太郎は2人が普通に話しているが十六夜が10倍の重力でヘラヘラしていることに驚きを隠せないでいた。

 

「お前どんだけ規格外なんだよ…」

 

「まあシュミレートだと最初13万くらいだったしそりゃな」

 

その数値を聞くと蓮太郎はついていけねえと嘆きながら机に突っ伏す。

すると茜が待ちきれなくなったのか未織をせかす。

 

「あのっ、私の武器も見せてください!」

 

「ごめんなぁ、これが茜ちゃんの武器や」

 

未織が出したのはトンファーだった、茜は初めて見たのかどうすれば良いか分からずトンファーをいじくりまわす。

それに対して未織が注意する。

 

「コラコラ、そんないじくりまわすと危ないで?」

 

そう言い未織は手取り足取りトンファーの握り方を茜に教える。

 

「ほなそこの取っ手のボタンを押してみ〜」

 

未織に支持された通りに取っ手のボタンを押してみる、するとそこからは三日月型の刀身が出てきた。

 

「うわっ、凄い…」

 

茜は驚きながらもジックリと武器を確認する。

十六夜もへぇ、と感心しながら茜を見つめる。

中々様になっているので素直に茜を褒めると茜も嬉しそうに笑い返す。

 

「ほな2人共数値測ってみるか?勿論十六夜君は重力増しで」

 

未織はイタズラをする前の子供のような笑みを2人に向ける。

 

「やりますやります!」

 

茜はぴょんぴょんと元気よく手を上げながらアピールをして、ドームの中へ入っていく。

ドームの中へ入ると茜は力を解放し瞳を赤色に変える、ここ数週間の特訓で力の制御は完璧になったのだ。

 

「ほないくで、はい5秒前」

 

モニターにはカウントダウンの数字が表示される。

 

3…2…1……GO!

 

開始と同時に茜は数メートル先に出た敵の頭上まで跳躍する、やや高め、攻撃は届かないなと十六夜が思っていると茜はその予想をズバ抜けた戦闘センスで撃ち破る。

敵の背後に差し掛かった瞬間に茜は取っ手のボタンを押して刀身を出す、それにより標的の背中に致命傷の切り傷が入り消滅する。

 

「いきなり武器の特性を上手く使うなんてすごいなぁ」

 

未織は数多の戦闘を見てきたが初陣でここまで動けるタイプは極稀であるため素直に感想を述べる、それに対して十六夜も同意している。

 

「飲み込みが良いのは特訓の時から思っていたがここまでとはな、やっぱり期待できるぜ」

 

 

それから数分経ち、モニタールームには満面の笑みの茜、不機嫌そうな十六夜、多少元気を取り戻した蓮太郎、楽しそうにお茶を啜ってる未織がいた。

 

「9347%も出ましたよ!」

 

「延珠より既に高え、すげえな茜は。俺も頑張らねえと…」

 

蓮太郎は3254%と書かれたモニターを見つめながら喝を入れ直す。

 

十六夜は16758%という数値を見て数値的には重力も10倍だったので問題ないが内容が不完全燃焼だったらしく、不満そうにしている。

 

「攻撃は何発も貰うわ、こっちの攻撃も数発かわされるわマジで思った通りに動かねえ…」

 

「まあそれでもこの数値や、しばらくはこれで問題ないやろ」

 

未織は軽く十六夜を慰めながらモニターのデータを纏める。

その中には今までの戦闘データのパーセンテージがランク順になっている、やはり十六夜のところだけズバ抜けている。

十六夜は溜息をつきながらもしばらくはこの制御装置を付けながら戦うことを受け入れた。

 

 

 

 

場所は変わり東京エリアの外周区近くの研究機関

 

「さて、今回は聖天子暗殺の補助、というわけだが任務はこなせるね?」

 

暗闇の中で光る携帯画面からはやや高めの恐らくは男性であろう声が聞こえる。それに対して少年、神城 冥(かみしろ めい)は答える。

 

「問題ありません、邪魔が入った時のみ排除、ということでよろしいでしょうか?」

 

「そうだね、今は東京エリアの英雄君が護衛についたらしいがそれだけならティナ・スプラウト1人で問題ないだろうけど問題は……」

 

「…逆廻 十六夜ですね」

 

「あぁ、まさかこんなに早くに我々の切り札である君を使うとは思ってもなかったんだけど」

 

それに対して少年も軽く笑いながら答える。

 

「僕も驚いてますよ、まさか5位の僕がこんな事で派遣されると思ってませんでしたからね」

 

「フフッ、それじゃ頼んだよ冥」

 

「Yes、マイマスター」

 

そう冥が答えると通話が切れる、冥は空を見上げながらポツリと呟く。

 

「今回ばかりは本気を出さないといけないかもしれないね」

 

悲しそうな顔をしている冥だが心の中ではやっと本気を出すほどの相手が来てくれるかもと言うことに喜びを隠せないでいた。

 




いやね、久しぶりに書いたんだからグチャグチャでも仕方ないっしょ!

ホンマすみません…

もう少し頑張ります。

あと余談ですが別でオリジナル作品を書こうと思っているので投稿し始めたら読んでくれれば嬉しいです。

それでは!


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護衛任務2

更新遅れてごめんなさい…

遊びまくってました…

週1更新目指して頑張ります!
それではどーぞ(⌒▽⌒)


 

蓮太郎が護衛任務の依頼を受けてから数日達、一同は天童民間警備会社の事務所に居た。

普段なら皆で雑談をして和やかな雰囲気な事務所だが、今はそれとは真逆の思い雰囲気に包まれている。

 

「それじゃ里見、お前は犯人の顔は見えなかった訳だな?」

 

十六夜が蓮太郎に対して聞くと蓮太郎は苦い表情をしながらも首を縦に振る、十六夜は舌打ちしながら事の厄介さを実感する。

 

更に空気が重くなっている事で皆話し出せない状態が続いてる中、茜が口を開いた。

 

「大丈夫ですよ私達なら!いざとなれば十六夜さんが居ますし!」

 

そう言うと少しずつ皆の表情も明るくなっていく。

 

「そうだぞ!妾達なら絶対に大丈夫なのだ!」

 

茜に続き延珠も笑顔でそういうと、事務所の中に立ち込めた不安の空気は完全に拭い去られた。

蓮太郎と十六夜がパートナーの頭を撫でてると木更が口を開く。

 

「2人の言う通り私達なら絶対大丈夫よ、だから今回の護衛任務必ず成功させるわよ!」

 

そうみんなで喝を入れると今日は解散となった。

 

 

時刻は少し進み時計は午前0時前を指していた。

場所は街中のボロアパート、その中の部屋の中でティナ・スプラウトと神城 冥は今回の聖天子暗殺について算段を立てていた。

 

「それじゃ明日ティナちゃんはマスターの言ってた天童民間警備会社の社長さんを仕留めに行くんだね?」

 

「はい、まずは周りの布陣から崩します」

 

「オーケー、なら僕も念のためについて行って構わないかな?」

 

それに対してティナは少し間を置くが承諾した。

承諾されると冥は壁に寄りかかりながらティナに質問を投げる。

 

「それにしてもティナちゃんさ、まだ10歳なのにこんなことしてて詰まらないんじゃないの?」

 

そう言うとティナはッ!と歯を食いしばる、冥はしまったと焦るがティナはすぐに冷静さを取り戻し質問に答える。

 

「楽しい詰まらないでは表せません、私が私であるため、私の存在意義を証明するにはマスターに従うしかないんです」

 

ティナが下を俯きながら言うと冥は「そっか…」とだけ答えると部屋を出て行く。

ティナはそれを止めずにクローゼットの中から服を出して明日の準備を始めた。

 

冥は部屋を出てドアを閉めるとそのままドアに寄りかかり空を見上げて静かに呟いた。

 

「なら…なんでそんな悲しそうな顔してるんだよ…!」

 

その声は誰に受け止められることもなく夜空へと消えていった。

 

 

翌日、蓮太郎と十六夜の各ペアはそれぞれの仕事を果たすため事務所を離れていた。

 

それをマスターからの連絡で確認したティナと冥は天童民間警備会社へと歩を進める。

 

「それじゃあ僕は基本的には見物だからティナちゃんがパパッと終わらせる方向でよろしく、って聞いてる?」

 

冥が声をかけるとティナは身体をビクッとさせて冥を見つめる、冥にはティナがどういう心境かなんとなく分かったのかティナに疑問を投げる。

 

「もしかしてだけどさ、ティナちゃん人を殺すのが怖いんじゃないの?」

 

ティナは図星を突かれたのか、目を見開き苦い表情をした後に首を縦に振った。

無理もない、こんな小さい子にそんなことさせる方がイカれてると冥は考えティナに提案をする。

 

「なら、今回は僕が…」

 

「いいえ、私がやります…!」

 

冥が言う途中でティナは遮り、自分がやると言い切った。

冥はこれ以上は無駄だと悟り無言でティナと再びを歩を進めた。

事務所の入り口の階段前まで来ると2人は予想してない事態に襲われた。

冥が事務所の下の階のキャバクラに勤めているキャバ嬢に捕まったのだ。

 

「坊や可愛いわね〜、お姉さんの相手少ししてよ〜、いつもおっさんばかりで疲れててさぁ」

 

「いや、僕には仕事が…って話し聞いてます!?」

 

冥の弁解も虚しく冥はお姉さんにキャバクラへと連れて行かれた、ティナは先程までの暗い顔とは一転ポカンとして止めることも出来ずに「助けて〜」と叫んでいる冥を見送ってから階段を登り始めた。

事務所の前に来たのでティナは1度深呼吸をして自身を落ち着かせて扉を開ける、するとそこにはパソコンと向き合ってる女性が居た。

ティナは確認のために女性に質問をする。

 

「貴方が天童 木更さんですか?」

 

「そうだけどあなたは?」

 

木更が質問を返すがティナはそれには答えず、そっと銃を構える。

 

「お覚悟を…!」

 

事務所の中は多数の発砲音で埋め尽くされた。

 

 

 

「そろそろ茜が帰ってくる時間か、んじゃ帰るわ黒ウサギ」

 

十六夜は黒ウサギが勤めている喫茶店に居た、カップを置き店を立ち去ろうとする。

 

「また来てくださいね十六夜さん!」

 

店を出ると十六夜はグローブに表示されている時計を確認してボヤく。

 

「ちょっと早えな、事務所寄ってくか」

 

そう言うと十六夜は事務所へと向かい始めた。

 

 

事務所ではティナが木更を壁に押し付け首を絞めつけている状態だった。

木更も抵抗するがイニシエーターの力には勝てずにもがいてるのが現状である。

木更はそこで自分の首を絞めているティナの手が震えていることに気づく。

 

「っ…あなたっ……人を殺すのが怖いんじゃ…?」

 

ティナは冥と同じことを言われて自分の心を押し殺す意味も込めて更に首を絞める手に力を込める。

木更苦しそうにしながら声を上げる。

 

「助けっ…て、里見…助けて里見君!!!」

 

その声と同時にドアがぶち破られそのままドアを壊した本人はティナに向かって叫びながら拳を向ける。

 

「里見じゃなくて悪かったなぁ!」

 

ティナは横に飛んで交わすが十六夜がすぐにティナに向かって蹴り放つ、ティナは腕をクロスさせて防御するが有効打のようで腕を抑えている。

ティナは十六夜の顔を見ると動きが固まった。

十六夜も驚きを隠せず、何かの間違いではないかとティナを見つめていた。

 

「そんなっ…なんで貴方が…」

 

「流石に驚いたぜ金髪ロリ、まさかお前がな…」

 

「待って、私の話を…」

 

「あれ?もう十六夜君来ちゃってたか、役割果たせてないじゃんこれじゃあ」

 

ティナの言葉は冥によって遮られた。

十六夜は突然の刺客に臨戦態勢を取るが、冥の方は両手を上げて自己紹介を始める。

 

「戦う気はないから落ち着きなよ、僕は神城 冥。君達の敵になるけど今は酷い目にあってメンタルやられたから何もしないよ、だから…ん?」

 

説明しながら冥は事務所の入り口を見る、すると入り口には蓮太郎が立っていた。

蓮太郎は事務所を一望するとすぐに木更に駆け寄った、木更が無事なのを確認するとティナと冥を今にも殴りそうな顔で睨みつけている。

冥はめんどくさそうにため息をつきながらティナを担ぐ、ティナは何が起こっているのか分からずにされるがままに担がれた。

 

「なんか蓮太郎君が返してくれなさそうだから無理やり帰るね、社長さんお大事にね…」

 

そう言うと冥は靴をトントンと床につついた後に思いっきりドンッと打ち付けた、すると床にヒビが入り事務所は崩れ始めた。

冥とティナの姿が見えなくなる直前に冥は十六夜に告げた。

 

「今度は闘おうね十六夜君」

 

それを最後に事務所は轟音を立てて崩れた。

その後蓮太郎と木更は病院に行き、十六夜は帰路に着いた。

 

 

「あ〜疲れた、キャバクラには2度と行きたくないね…」

 

そう言いながら冥はティナと並んで歩いている、ティナの方はずっと下を向いたまま黙って歩いている。

すると冥はティナの頭に手を乗っけて撫でながら優しい言葉をかける。

 

「殺せなかったのはティナちゃんに覚悟がなかったからじゃない、その覚悟以上の優しさがあったからだよ」

 

するとティナは涙をポロポロと零しながら冥の手を握りしめてきた、冥はそれを握り返すと再び歩き始めた。

冥の瞳にはこれ以上この小さな女の子に辛い思いをさせてはならない、これ以上任務に支障をきたしてはならないという覚悟の色で塗り染められていた。

 




中途半端に終わってホントにごめんなさい!

久しぶりだから駄文が更に駄文になった気がしますw

見捨てないでね!それじゃまた!


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護衛任務3

お久しぶりです、長い間体調崩してて執筆する余裕がありませんでした。

今回は護衛任務の続きになります。
何かご指摘あればコメントください。


ティナ・神城ペアの事務所襲撃から2日、十六夜は聖天子の護衛という事で皇居の前で聖天子の登場を待っていた。

 

蓮太郎はまた襲撃される事を視野に入れていた十六夜に木更・延珠と共に事務所待機になった。

 

夕方特有の雰囲気を味わいながら十六夜は先日襲撃してきた神城 冥という少年の事を考えていた。

 

直接戦えば負けることはないだろう、だが自分の戦闘時に周りへ新手が襲撃してきたら…などの不安要素が拭いきれない為十六夜は苦い顔をしていた。

たとえこれが”聖天子”の護衛だとしても自分の周りの人間が傷ついてしまったら元も子もない、この時代では捨て去られてしまった考えかもしれないが人の命は皆平等なのである。

それらを踏まえて十六夜は携帯電話を取り出し電話をかける。

 

「よぉ、急に悪いんだけどちょっと頼まれてくれねえか?」

 

電話の相手は承諾したのか十六夜はすまねえなとだけ言って電話を切る、十六夜の顔からは先ほどの苦い表情は拭われていた。

 

「ま、あいつで無理なら仕方ねえし俺は俺でやる事やるしかないわな」

 

などと言いながら頭をクシャクシャとかいていると皇居から聖天子が出てきた、横にはあの気持ち悪い護衛もいる。

 

「待ちくたびれたぜお嬢様」

 

「それは失礼致しました、それでは参りましょう」

 

聖天子が言うと十六夜は仰せのままにと頭を下げる、勿論悪ふざけである。

だがそれが気に入らなかったのか聖天子の横にいた保脇は十六夜の胸ぐらを掴んで怒鳴りつける。

 

「いい加減にしろ民警風情が!立場を弁えろ!」

 

「おいおい離してくれよ、ちょっとした冗談だろ?」

 

十六夜が鼻で笑いながら保脇を煽ると保脇は頭に血管を浮かばせながら十六夜を突き飛ばす、十六夜が服を叩いていると保脇は不満そうな表情で皇居の中へと去っていった。

すると聖天子が軽く頭を下げて十六夜に詫びを入れる。

十六夜からしてみれば煽ったのは自分であり気にかけるような問題でない為咎める事なく聖天子を車に入るように促す。

 

車に乗るとすぐに車は目的地へと走り出した。

聖天子は車に置いてあるグラスにジュースを入れて十六夜に渡すと十六夜に問いかける。

 

「あの、里見さんはどちらに?」

 

「それ発車前に行く事じゃねえのか?」

 

笑いながら疑問に疑問を投げ返すと聖天子はそれもそうですねとクスッと笑う、いくら地位的には上に立っていてもやはり年頃の女の子なんだなと十六夜は改めて実感する。

 

「それで、里見さんは?」

 

「あぁ、あいつはまた事務所襲撃された時用にお嬢…社長と一緒に置いてきたぜ」

 

先ほどの問いに答えた時、十六夜はほんの一瞬だけ違和感を感じた。

すぐに違和感の正体を掴めた十六夜は誰にも悟られないように頭の中でなるほどなとだけ呟いて聖天子との会話を続ける。

それから数分、他愛もない話をしていると車は渋滞に差し掛かり速度を緩めた。

時間には余裕を持って皇居を出た為会談に遅れる事はないだろう。

「そういや伝え忘れてたが、狙撃はもう来ないぜ」

 

と車の中で十六夜がいきなり言うので聖天子はえ?と首を傾げる。

 

「あぁいやお嬢様に言ったわけじゃねえんだ、なあオイ聞こえてんだろ?」

 

続けて十六夜は誰に対して言っているかも全く分からないセリフを1人で吐き続ける。

聖天子は車に盗聴器が仕掛けられていると感じ取り車の中であちらこちらと盗聴器を探す。

 

「そういう訳でもねえんだお嬢様、俺が会話してるのは”アンタ”だ」

 

そう言った十六夜の指の先には聖天子が居る、聖天子は訳も分からず声も上げずに驚いた顔をしているが十六夜は続けて言う。

 

「オイオイもうアンタがオレたちに明確な殺意を向けてるのはバレてんだからかくれんぼは辞めにしようぜ」

 

「やっぱりバレちゃってたのね…一瞬だけ敵意を向けちゃったんだよなぁ」

 

爽やかで通った声が車の中に響くと聖天子も何が起こってるのかを察知して十六夜の近くに寄り添った。

先ほど聖天子がいた位置の真後ろ元い運転席からは長い溜息が聞こえてくる。

 

「いやでもいい線行ってたんじゃねえか?片方が運転で絶好の狙撃ポイントに持って行ってもう片方の凄腕スナイパーが標的を仕留めれば確かに作戦は綺麗に終わるわけだ」

 

と十六夜が相手の策を全て見透かしたように言うと運転席からは更に重い溜息が聞こえてくる。

 

「そんな落ち込むなよ、別に俺とやり合うのも選択肢には入っていたんだろ?」

 

「入ってるけどやりたくはないでしょ…」

 

運転手改め神城の様子からして恐らく手詰まりなのであろう、十六夜は心配していた不安要素が拭えた事からいつもの軽ノリに戻る。

 

「とりあえずあの金髪ロリのとこにでも行ってきたらどうだ?あいつも今中々苦労してると思うぜ?」

 

笑いながら十六夜が言うと神城は完全にやる気が折れたのかハンドルにもたれかかってる、恐らく戦う気もないのだろう。

十六夜としては残念だが全て事が上手い方向に進んでる為文句を言うわけにもいかない。

 

「参ったねこれは、完全に手詰まりだ」

 

笑いながら冥は両手を上げて降参の意を示した。

 

 

 

 

 

 

 

場所は少し離れいくつかビルが並んでいる中で最も高いビルの最上階ヘリポート、そこでティナ・スプラウトは片足と片手をついてはぁはぁと息切れしながら相手を睨みつけていた。

 

「あなたは何者なんですか…こんな戦闘能力…データにはありませんでした」

 

相当体力を削られていた為会話するのもままならないが言葉を振り絞り相手に質問を投げかける。

「ややっ!?黒うさぎは黒うさぎと最初から主張していると言っているではありませんか!」

相手はムン!と豊満な胸を張りながら答えるがそれは今のティナには悪ふざけにしか聞こえなかった為、怒りの起爆ボタンにしかなりえなかった。

もう一度戦う為一歩前に足を踏み込んだ所で身体に限界が達したのかティナの意識は途絶えた。

 

 

 




短いアンド中途半端ですみません、次から頑張っていきます!

それでは!


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護衛任務4

お久しぶりです!

超×10お久しぶりです、いやはやホント久々で…

別サイトで新作小説(結構力入れてます)を書くために勉強したりなんなりで長い間書けてませんでしたがこの度再開させてもらいます!

これからは月2.3の頻度で頑張ります!

ご愛読よろしくお願いします!


髪をなびかせる程の風が吹く中、十六夜と冥は黒ウサギやティナが戦闘しているビルに向かっていた。

 

すぐにでも冥を確保しようとしていた聖天子の護衛官達は十六夜→聖天子→護衛官達というような形で説得され冥はこうして十六夜の隣を歩んでいる。

 

無言で歩く中、先に痺れを切らした冥が口を開く。

 

「あのさ、なんで僕を逃がそうとするの?」

 

突然の質問に対して十六夜は疑問を返す。

 

「ま、その通りなんだがなんでそう思ったんだ?」

 

「いやいや、戦う意思のない僕なんてもう君に利点が…あっ…!?」

 

まさか僕と戦うためだけに反聖天子勢力主力の僕を逃した!?とばかりの反応をした冥に対して十六夜は間髪入れずに即答する。

 

「いや待て、そんな発想で敵の主力を逃がしたりはしないしそれに…」

 

それに?と首をかしげる冥、十六夜は冥の顔を見てからワンテンポ置いてから答える。

 

「お前、悪い奴に見えねえんだよ」

 

今度は冥がしばらくぽかんとする、口が完全に開ききっているその様はまさに阿保と呼ぶにふさわしい顔付きとなっている。

それから数秒後冥は中身のない返答に対して我慢ができなくなったのか大きな声を上げて笑い始める。

 

「あ〜苦しい笑いすぎた、そんな可笑しな理由で僕逃がして大丈夫なの?」

 

「あぁ大丈夫さ、お前なんて魔王に比べたらまだまだつむじ風程度なもんさ」

 

マオウ?と首をかしげる冥だが自分が程度と言われる程にはそのマオウという存在が大きいものを感じさせる。

 

「そのマオウとかいうのはよく分からないけどとにかくそのマオウさんには感謝だね」

 

などと笑いながら話しているとやがて目的地のビルが見えてきた。

ビルの下には通行人混じりに黒ウサギとティナが立っている。

黒ウサギは十六夜達に気付くと手を振りながら十六夜達の方へ向かっていく、ティナもそれに続きトボトボと歩いてくる。

 

「よぉ金髪ロリ、元気にしてたか?」

 

十六夜がからかい半分でティナに問うが当の本人は任務に失敗した重圧からか下を向いたまま無言を貫き通す。

十六夜がつまらなさそうに頭をかいていると冥がティナと目線が合うように跪き肩を両手で掴みティナに向かって優しく囁いた。

 

「優しい君にこの仕事は似合わない、これからは民警として生きてみたらどうかな」

 

その発言にティナは驚き冥の顔を見る、十六夜は顎に手を当て"へぇ"と一言、黒ウサギに関しては未だに状況が飲み込めずに右往左往状態である。

 

「私に帰るところなんてありません、もう私に存在意義はないです」

 

ティナの言うことも理解出来ないことではない。

が、冥は十六夜の方を向きニヤリとその口元を緩ませてからティナに告げる。

 

「これからは十六夜君に引き取って貰って天童民警会社に勤めれば良いよ、幸い君は表には顔バレしてないしね」

 

あぁ!?と十六夜が意表を突かれたような声を上げるが"待てよ…?"と考え始める。

考えること約1.5秒、十六夜は承諾する。

本当に考えていたのか定かではないような時間ではあるが即断即決が十六夜のモットーである。

 

「まあティナはこっちで預かるとしてお前はどうすんだよ、それこそ帰るとこなんてないんじゃねえのか?」

 

十六夜の問いは正論である、ティナより酷い状況に陥っている冥は一体これからどうするのであろうか。

だが冥は軽く微笑んで一言。

 

「そうだね、心機一転して旅にでも出ようかな」

 

自分の身を案じてくれたのにいざ自分の事となると軽くいう冥に対してティナが物申そうとするがそれは十六夜に手で制される。

 

「ま、悪くないんじゃねえか?」

 

適当なのが人生だ、せいぜい楽しもうぜ。

 

と付け足してヤハハと笑う十六夜、冥も釣られてふふっと笑う。

ティナは納得はいかないものの2人の顔を見ると安堵したのか口元を緩めて穏やかな顔つきになる。

そして黒ウサギはとうとう最期の最期まで状況を理解せずに慌てふためいていた。

 

 

 

ーーーー数日後ーーーー

 

 

天童民間警備会社では新しくティナが入り、延珠や茜を筆頭に大盛り上がりである。

十六夜には既に茜がいたためペアリングはお嬢改め社長改め木更が務める事となった。

ティナには"黒い風"という異名があるらしく、それを聞くと十六夜以外の全員が"おぉ〜"と目を輝かせながらティナを見ていた。

ティナは恥ずかしさから下を向き、十六夜は"黒死斑の魔王(ペスト)"さんポジション被ってますよ?と心の中でツッコミを入れて遊んでいた。

 

 

数日前の事件であるが十六夜は聖天子を護衛成功した手柄と敵の主力を逃がした責任があったため特にこれといった褒美も懲罰も無く閉幕となった。

十六夜としては冥と戦えなかった時点でどうでもよかった事なのでこうして仲間が増えただけで良しとしている。

 

 

冥に関しては十六夜の連絡先を控え"必要になったら連絡するよ"と言ったものの一向にその気配はない、彼の事だから心配は要らないもののティナも心配するだろうから連絡の一つも欲しいものである、と考えつつも盛り上がっている他のメンバーの顔を見ると心配していた事を忘れさせてくれる。

こっちの世界でも大分仲間が増えてきたことに確かな喜びを感じている十六夜であった。

 

 




さてさてさ〜て、護衛任務はこれにて閉幕です。

若干短い気もしますがご容赦を…

東京大戦編は少し長くなると思いますのでプラマイって事で…

そして次回からは遂に"彼女"が登場です!

彼女です!彼女!本家おjo…!!!


良ければコメント評価お願いします、皆さんのコメント評価がモチベに繋がるのですよ?


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もしかして僕は霊的何かにあっているのでは…

高速更新、遅れは気合で取り戻すがモットーです笑

題名であれ???ってなる方はあると思いますがちゃんと彼女のお話です。

遂に彼女が登場します、そう本家お嬢様が!


時刻は夕刻、神城 冥は東京エリアから少し離れた森を歩いていた。

十六夜と別れたあと、冥はこのエリアの現状を知る事に徹底しようとしていた。

組織の上に居たと言っても戦力的な意味であり、戦略的なポジションでは下の下もいいとこであり自分が持っている知識など取るに足らない程度のことばかりなのである。

 

じき夜に差しかかろうとしている時刻ではあるがガストレアなどの気配は一切ない、モノリスから幾分は離れたつもりであったがまだ磁場が影響しているのだろうか。

この辺りの知識は一切ないため考えても仕方のない事である。

 

しばらく歩いているとガストレアとは違う気配を察知した為、近くの木に身を隠す。

すると森の中からはスカーレットのドレスを着た美少女が出てきたではないか。

!?!?!?と声を上げたくなるような意味不明な展開に困惑する冥だがこんなところであんな姿をしている時点でどう考えてもマトモではない事を理解した冥はまだ身を隠したままだ。

 

(規格外な人は十六夜君だけでお腹いっぱいです……)

 

心の中でそう囁くと今度は森の中から異形の生物、蜘蛛ベースのガストレアが奇声をあげながら出てきた。

冥は謎の美少女が危なくなったら助けようと思いつつも美少女の反応を伺っていた、見たところ武器のようなものは持っていない。

 

"砕け散りなさい"

 

鈍い音と共に蜘蛛のガストレアがバラバラに吹き飛んだ。

冥からしてみたら何が起こったのか分からない、未知の極みと言ったところか彼の人生でこれほど困惑したことはない。

(ん!?!?!?今砕け散れって言ったら砕け散ったよね!?!?何あの子絶対関わったらダメなやつじゃん怖すぎるよタブーだよ!)

などと口を押さえつつ心の中で悲痛の叫びを上げている。

 

すると美少女が大きな声を上げる。

 

「ちょっとそこの貴方、いつまでそこに隠れるつもりかしら?」

 

心臓が飛び出るとはこういう時に使うのであろう、完全に意表を突かれた冥は諦めたように両手を上げアハハ〜と笑いながら美少女の前まで出頭する。

 

「男のくせに女性のピンチに陰でこそこそしてるなんて中々良い心構えなのね」

 

と初対面早々からの美少女の先制パンチに冥のメンタルライフは0となった。

 

(いや何をどう捉えたらピンチになるのか教えてくださいよ…)

 

「いやぁ申し訳ない、それよりさっきのガストレアを爆発させたのは一体…?」

 

そう質問すると美少女は髪を払い太々しく口を開けた、機嫌が悪いのは明白である。

 

「ちょっと貴方、名乗りもしないで人に質問なんてホントに良い教育を受けてきたのねここまで来ると感心すら覚えるわ」

 

(名乗らないのは悪いけど貴方も名乗ってないし貴方のその高圧的な態度の方が感心すら覚えます…)

 

などと心の中だけでは必死に抵抗するが口では決して言えないような威圧感が彼女にはあったので冥は諦めて彼女の機嫌を損ねないよう下手に出た。

 

「失礼しました、僕は神城 冥と申します呼び方はどうぞご自由に」

 

因みにIP序列は5位ですと付け加える。

冥の微かに残ったプライドが自分の存在価値を相手に分からせようと放った一言であったが当の彼女は首をかしげているだけだ。

 

「あいぴぃ序列?何かしらそれは?」

 

「IP序列をご存じないのですか?民警の事も?」

 

そう聞き返すと彼女はなるほど……と考え込んだ後に軽くニヤリと笑い得意げな顔で冥に告げる。

 

「私は久遠飛鳥、外界から来た異邦人の1人です」

 

(いや聞いてないしこっちの質問に答えてよもう嫌だ帰りたい…)

 

ここに箱庭問題児3人の内1人、久遠飛鳥の被害者となった人物がまた1人増えたのである。

 

 

数刻後、冥と飛鳥はお互いがどういう人物なのかをある程度把握するが両者とも反応は良いものとは思えず頭を抱えている状況である。

 

「異世界の人って……あ〜頭痛い…」

 

「はぁ…なんでよりによってそんな気持ち悪い生き物ばかりな世界に飛ばされるのかしら…」

 

私は虫が嫌いなのよ…と付け加え頭を抱えている飛鳥であるが…

 

「ところで貴方私に嘘をついているわよね?早めに答えたほうが賢明よ?」

 

冥からしてみたら嘘をついたつもりは毛頭ない、強いて言えば組織にいた事を隠しているだけなのだがそれのことだろうか?

それに早めに答えたほうが賢明っていうのはなんだろう、もしかして僕も砕け散るのだろうか、我が人生に悔いしかなしだなぁなどと考えていると空笑いが出てくる。

 

「そう、仕方ないわねなら…」

 

へっ?という前に飛鳥は一言、"貴方のことを全て包み隠さず正直に話しなさい"

 

そう彼女が口走ると冥は自分の意思とは別に語り始めた。

口の制御は出来ないものの意識ははっきりとしている。

冥はもう訳が分からなくなり好きにしてくれと投げやり状態である。

 

"もしかして僕は霊的何かにあっているのでは…"

 

そう考えたほうがいささか楽であるが目の前にいるのは完全に人間でありしかも美少女、人を見た目で判断してはいけないと言うのは今後の人生で生かしていこうと思うには十分すぎるシチュエーションである。

 

組織の事、ここ最近の事件のことまで全てを話すと飛鳥はもういいわと指パッチンをする。

すると先程のような支配感は消えて冥は心身、主に精神的な面で疲れ木に寄りかかる。

 

「貴方、優しそうな感じだけど結構な悪人?よく分からない人なのね」

 

(こっちからしたら貴方は何一つ分かりませんけどね…)

 

声に出して言いたかったが今度は疲れからもう話す気にかれない。

手の甲を額に当てはぁ〜と溜息をついていると飛鳥がよし!と自分に喝を入れる。

 

「貴方、もういいわ色々ありがとう」

 

そう言うと飛鳥は街の方へと歩き出す、これほど自分勝手な人間が冥のこれまでの人生でいただろうか…

冥が十六夜や飛鳥の関係を知っていれば既に同等クラスの人間に出会っていたと気付けていたが飛鳥の口からは十六夜というワードは出てこなかった為、冥のライフを0にして更に死体蹴りをするには十分な会話であった。

 

「まさかこんな異世界にまで飛ばされても十六夜君と会えるなんて思いもしなかったわ、少しは退屈しないで済みそうかしら?」

 

などと笑いながらスカーレットの美少女は森の小道へと消えていくのであった。

 

 

 

「僕もうすこしクールで如何にも超上位序列者の凄そうなオーラ出てるキャラにしようとしてたのに十六夜君と出会ってから色々めちゃくちゃだよ……」

 

などと嘆いている超上位序列者を残しながら…




冥さんが不憫…ええ不憫ですとも…

登場した意味ある?ってレベルで不憫ですが後々絡んできます、随分先だけど…

という事でお嬢様の登場です、強過ぎると思いますがバランス取ります笑

コメント・評価よろしくお願いします。


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休章
休日①


今回もなる早更新でございます。

問題児好きな方はご存知だと思いますが問題児の新刊がそろそろ出ますね、僕の心はウキウキです笑

今回から数話は東京大戦までのオリジナル展開です、問題児様方や蓮太郎達の休日話を楽しんでもらえれば幸いです!

それでは〜


雲ひとつない晴天であった。

十六夜と蓮太郎は2人とも私用も仕事も無かった為、学校が終わると2人で偶には落ち着いて話すかという事で黒ウサギが勤務しているカフェ"orgel"に来ていた。

 

"orgel"は黒ウサギが勤めているから来ているというのもあるが店内はこれぞ喫茶店とばかりの落ち着いた雰囲気があり、なんとも居心地のいい休憩処となっている。

 

またここのマスターが作るブレンドは豆の香りが立っていてとても美味しい、コーヒーについては十六夜も蓮太郎もさほど詳しくないがこの味は中々出せるものではないと考えている。

 

コーヒーを一口飲むと蓮太郎は欠伸をしながら十六夜に言う。

 

「偶にはこんな日もいいな、毎日延珠の相手してたら心身共に参っちまうよ」

 

冗談まじりでそう言われた十六夜もヤハハと笑って答える。

 

「俺のとこの茜はそんな気にならねえけどな、どちらかと言ったら黒の元魔王様の方が厄介だな」

 

笑いながらそう告げる十六夜に対して蓮太郎は!?とテンプレートな噎せ方でコーヒーをゲホゲホと詰まらせていた。

 

「あの子元魔王なのか!?」

 

「あぁ、そういや言ってなかったっけか」

 

"あいつには結構手焼かされたな、結構な大人数で立ち向かったけどギリギリだったぜ"

 

と付け加えると蓮太郎は怒らせないようにしよう…と一言だけ呟く。

 

「そういえば、十六夜の他にも箱庭に一緒に来たやつって2人いたんだよな?どんな奴らだったんだ?」

 

やはり蓮太郎からしたら十六夜達の事は気になるのであろう、異世界人のことが気にならないほどロマンを求めてない高校生は居ないのである。

 

「ん?あぁ、1人は純粋無垢な動物愛好家のスレンダーな女でもう1人は発育のいい自信満々なお嬢様だったぜ」

 

「なんだそりゃ、2人とも強かったのか?」

 

「動物愛好家の方は俺ほどではねえがそれなりに強かったぜ、お嬢様の方は強いと言うよりは異質の一言に尽きるな」

 

そう言うと蓮太郎は異質?と首を傾げるが飛鳥の能力については細かく説明するのはやや難しく不明瞭なとこがある。

まあ大雑把に説明しようとした時店のドアが開かれベルの音がカランと鳴った。

 

「いらっしゃいま!?」

 

黒ウサギが途中で声を上げて硬直した為十六夜と蓮太郎も入り口に目を向ける。

するとそこには「あら…」と言ったスカーレットのドレスに身を包んだ美少女がいるではないか。

この美少女こそ三大問題児の1人、久遠飛鳥である。

 

「お嬢様じゃねえか、ご機嫌如何でございますか?」

 

十六夜がからかい半分、いやからかい100%で飛鳥に問うと飛鳥は余程機嫌が悪いのか十六夜の席に向かって走り出す。

十六夜はこの後の事が予想出来たので蓮太郎の胸ぐらを掴み自分の顔の前に持ってくる、直後蓮太郎の顔の前には飛鳥の膝が飛んできていた。

 

「おいおいお嬢様、久しぶりの再会にいきなり"シャイニングウィザード"は永遠の別れになる可能性があるだろうが!」

 

と強めに言いつつも被害者は蓮太郎である。

"シャイニングウィザード"を喰らった蓮太郎は自分の席でフラついている。

 

「それもそうね、そこの貴方大丈夫かしら?」

 

確かにと頷くと飛鳥は蓮太郎に安否確認をする、ここで謝らないあたりが飛鳥らしさをうかがわせる。

蓮太郎は首と頭を交互に抑えながらも大丈夫だと告げる。

 

「てかなんでお嬢様もこっちに来てんだよ、他の奴らは…聞くまでもないな」

 

「貴方達が行方知らずになったから私は春日部さんと森の方を探していたの、そしたらこの世界に来てたわ」

 

自分でも何を言っているのかよく分からない為、頭を抑えながら溜息をついている飛鳥。

シチュエーションこそ違うものの十六夜と似たような状況である。

 

「なるほどな、ここがどういうとこかは知ってるか?」

 

「あらかたは外区で会ったひ弱な悪人に聞いたわ」

 

ひ弱な悪人???と3人は首をかしげるがそれが超上位序列者の冥である事は知る由もなかった。

 

「なぁ、俺達が居なくなってから"何日"経った?」

 

十六夜がそう聞くと蓮太郎はえっ…黒ウサギはえっ…あっ!と声を上げた。

飛鳥は黒ウサギが声を上げたことを疑問に思いながらも十六夜の問いに答える。

 

「そうね、今日で丁度1週間じゃないかしら」

 

その回答に蓮太郎も事態を把握したのか驚いている。

十六夜もやっぱりなと考え込む。

 

「ちょっと、納得してないでどういうわけか説明しなさいよ」

 

「この世界と箱庭では圧倒的にこっちの世界の方が時間の進みが早いんだ、黒ウサギがこっちに飛ばされて来たときに飛ばされた期間について触れてこなかった辺りから気にはなって居たんだがこれで辻褄があったぜ」

 

此方の世界の時間が早いというのは好都合である、自分達の居ない間の不自由が仲間に押し寄せる時間がより短いという訳だ。

とは言っても問題児3人の功績は大きくノーネームのコミュニティを養うにはいくらか時間を開けても十分賄えるだろう。

 

「ところでお嬢様はどうすんだ?ここで黒ウサギと働くのか?」

 

「冗談じゃないわ!もうメイドはこりごりよ!」

 

飛鳥の目は本気である、以前箱庭でメイド服を着たのがそれほど嫌な思い出だったとは思ってなかった十六夜はヤハハと笑う。

その2人を見ながら蓮太郎が口を挟む。

 

「いやいや、ここはメイド喫茶じゃ…」

 

"黙りなさい"

 

その一言、蓮太郎には何が起こったか全く理解不能であったが確かに蓮太郎の口はその一言に服従するかのように硬く閉じたのだ。

 

「ちょっ、飛鳥さん!?」

 

「お嬢様!」

 

と黒ウサギが驚き十六夜は強めに言うと飛鳥もはっとした後に指パッチンをする。

蓮太郎の拘束は解かれ、蓮太郎は頭にはてなを浮かべまくっている状態である。

 

「やり過ぎたわ、ごめんなさい」

 

「やり過ぎたってやっぱり今のアンタの仕打ちなのか…」

 

蓮太郎の反応は当然なのかもしれない。

突然黙りなさいの一言で自分の口が開かなくなるのだ、人の所業と思う方が無理がある。

 

「昨日から飲まず食わずで挙句寝床は廃墟で気が立ってたわ、十六夜君悪いんだけどツケで何かいただけないかしら」

 

そう言うと飛鳥は頭を抑えながら手をパタパタさせて顔をあおっている、体力的に限界なのが見受けられる。

 

「はいよお嬢様、黒ウサギコーヒーとサンドイッチくれ」

 

「わ、分かりました急いで持ってきます!」

 

そう言うと黒ウサギは急ぎ足で厨房へ向かった。

 

「んじゃまあ里見には紹介しとくか、ここで突っ伏してる美少女が我らのお嬢様の久遠飛鳥だぜ」

 

「よろしくね、里見君…」

 

十六夜から紹介された飛鳥は手だけ振りながら挨拶する。

 

「里見 蓮太郎です、よろしくお願いします」

 

蓮太郎が敬語なのは先ほどの恐怖体験だろうか、十六夜はタメ語で大丈夫だと思うぜと笑っている。

 

紹介ついでに十六夜は飛鳥の能力について大雑把に説明する、蓮太郎は今まで自分の出会った女性の中で群を抜いて怖い人に出会ってしまったなと苦笑いである。

 

しばらくすると黒ウサギがブレンドとサンドイッチをテーブルに置く、よほど空腹だったのか飛鳥は見た目の品位の高い感じとは異なり結構な勢いで食べ進めている。

 

2.3分というハイスピードで食べ終わると飛鳥は気恥ずかしさからコホンと一つ咳払いをして蓮太郎に謝罪と自己紹介を始めた。

 

「さっきは本当にごめんなさいね、十六夜君にご紹介預かった久遠飛鳥です」

 

好きに呼んでね、以後よろしくと付け加えると蓮太郎はまだペコペコしている。

余程の恐怖体験だったのか、蓮太郎の本能が彼女には逆らっていけないと告げているのだろう。

 

「それでお嬢様、これからどうすんだ?」

 

「そうね、まずは民警にでもなろうかしら」

 

「そんなら今俺が働いてるとこに来いよ、ペアはペストでも頼んだらどうだ?」

 

飛鳥が承諾すると十六夜は善は急げとは言わんばかりに事務所の木更の元へ行こうとする、蓮太郎は天童民間警備会社での自分の存在意義がなくなってるなと実感していた。

 

「まぁ、異世界の問題児様2人じゃ仕方ねえか」

 

そう笑うとご馳走様ですと黒ウサギに告げて店を出た。

 

 

 

 

その夜、飛鳥は天童民間警備会社の一員となりしばらくは十六夜の家に住むこととなった為十六夜の家に来ていた。

 

「久しぶりねペスト、突然だけど今日から貴女は私のイニシエーターよ」

 

よろしくねと付け加えるがペストは嫌よの一点張りである、拮抗状態であったが飛鳥がハンガーに掛けてある天誅ガールズのコスプレを見つけ"何アレは"と言うとペストが瞬時分かったわと掌を返して拮抗状態は終結した。

 

因みに茜は飛鳥の好みのドストライクだった為その夜は抱き枕代わりにされたとか…




はい、問題児様2人目登場です。

飛鳥金ないのになんで喫茶店入って来たの?って疑問が浮かぶと思うので先に書いておきます!

民間警備会社を目指して歩いていた為事務所の場所を店員に聞く為でございます。

飛鳥さん、お腹減ると怖いね……

次回は蓮太郎回です!


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