ドラゴンボールG マスター武闘伝 (マスター亜細亜)
しおりを挟む

第21回天下一武道会編
第一話 『流派東方不敗マスターアジア見参!!』


 ガンダムシリーズの中でガンダム版ドラゴンボールとも言われる機動武闘伝Gガンダム、その中でも最強の漢、東方不敗マスターアジアがドラゴンボールの世界に存在していたらを書いてみました。
(注意)ドラゴンボールの世界でも師匠は最も熱く最強な漢であることを先にいっておく。また、ネタバレタイトル、予告があります。
 それではドラゴンファイト、レディーゴー。


 エイジ749年のこの年は、武術の神様と言われた武天老師こと亀仙人にとって大きく変化の年であった。この年、彼は二人の少年が亀仙流に弟子入りした。その少年の名は、孫悟空とクリリンという名の少年であった。彼にとって孫悟飯、牛魔王以来数十年ぶりの亀仙流への入門であった。一人目の少年孫悟空は彼の最初の弟子であった孫悟飯を育ての親とし、比類まれな武道の才を持っていた。初めて亀仙人のかめはめ波を一度見ただけで、かめはめ波を撃ってみせた時は、彼の祖父孫悟飯や自分よりも優れた才能や若さに驚いた。また、二人目の少年クリリンは悟空に比べれば実力は劣るものの日々の修行により、日々実力を上げていった。多林寺を飛び出して初めて会った半年前の彼とはすでに別人であった。

 

エイジ750年3月某日 亀ハウス

 

「じっちゃん、ちょっときてくれ」

 

 その日、亀ハウスでランチさんとのおやつタイムを楽しんでいた亀仙人の前に悟空が突然玄関のドアを開けて現れた。

 

「はぁい、なんじゃい悟空」

 

 ランチさんが不思議そうな顔している隣で亀仙人がすぐに応えた。今の時間は二人とも一日の修行も終わって自由時間だ。二人で何か面白いものでも発見したのだろうか。わしの好きなグラマーなピチピチギャルではないないだろうなと亀仙人は思った。

 

「いいから、いいから、早く来てくれー」

 

 有無を言わせず悟空は、亀仙人を腕を持ち何処かへ引っ張っていた。ランチさんはその姿を呆然としつつも、夕飯までには帰ってきてくださいねーと二人に声をかけ見送っていった。

 悟空に引っ張られながら、しばらくするととある場所に亀仙人ら到着した。当然着いた場所にあったものは、ピチピチギャルや面白いものでもなく、数ヶ月前二人の前で亀仙人が動かせてみた巨大な岩の前に連れて来られた。今見ても、10メートルを超える大岩である。悟空やクリリンと比べると恐竜と小動物の差があるくらいの大きさだ。そして、岩の近くにはクリリンもいて二人に気づき手を振ってきた。

 

「これだよ、これ。」

 

 悟空が岩を指さし言った。

 

「この岩が…どうかしたのか」

 

 亀仙人は二人に尋ねた。岩のこと事態彼自身忘れかけていた。

 

「この岩を動かせるようになりました。老師様」

 

 クリリンがそう自信満々に答え、悟空が岩の前で両手を突けて呼吸を整えてスタンバイする。

 

「へぇっ、…まさか」

 

 二人の成長はここにやってきた七ヶ月前に比べて、大きく成長していたことはわかっていたが、まだまだ自分が以前動かした大岩を動かせるとはまだ思えなかった。自分が若い頃、鶴の奴と武泰斗様のもとで修行していた頃に、あのような巨大な岩を動かせるようになるのに何年もの月日の厳しい修行が必要だった。すでに数百年も前の遠い思い出だが、今もはっきりと鮮明に覚えている。

 亀仙人がいろいろ考えているうちに、悟空は大岩に腕を合わせ力を入れはじめた。

 

「いくぞっ、じっちゃん……ぐぬぬぬっ」

 

 悟空は気合を入れ岩を押し始めた。すると、さきほどまで不動であった大岩が粉塵を上げて動き始めた。

 

……ズドドドッー

 

 悟空がゆっくり一歩ずつ進む度に大岩は音を立て、粉塵を大きく上げて前進していく。一歩、一歩また一歩ゆっくりとだが、力強く押し込んでいく。気づけばすでに大岩は十メートル以上を優に超えて動いていた。

 

「はぁー、はぁー、・・・どうだ、じっちゃん。」

 

 悟空は息を切らしながらもその横でクリリンが、お次は僕がやりますといって悟空のように大岩を動かした。悟空ほど動かせなかったが数メートル動かせてみせた。

 

(なんと、これは思ったよりやりおるわい、あの二人。……岩を動かせと言ったのは、冗談だったのに…)

 

 悟空とクリリンの驚異的な成長に驚愕する武天老師。

 

(まったく最近の若者たちの成長には目を見張るわい、孫悟飯の奴も凄かったがこいつらはそれ以上じゃ。いずれ、わしをも超えるかもしれんなこやつらは、ふふっ。……だが、このままでは本当にこの二人のどちらかが、武道会で優勝してしまうかもしれん。大丈夫だとは思うがこのままどちらかが優勝すれば自分の実力に慢心し武道に対して真剣に取り組まず、悪い方向に向かってしまうかもしれん・・・)

 

 亀仙人がもの思いにふける中悟空の声が彼の意識を呼び起こす。

 

「じっちゃん、約束通りオラ達に武術を教えてくれ」

 

「…うん、まあまあじゃな…」

 

 調子の悪い声で亀仙人は返事をする。

 

(いよいよ拳法を教えてもらえるぞ~)

 

「「ワクワク、ワクワク」」

 

 岩を動かせられたのだから、これからどんなすごい技を教えてくれるのか、二人はワクワクした表情で師匠の顔を見つめる。二人の期待値は最高まであがる。特に亀仙流の凄さを聞いていたクリリンは、どんな凄い技を教えてもらえるのかと思ったりしていた。そんな二人に対して、予想外のことを亀仙人は言い放った。

 

「こほんっ、ええー…拳法といってもお主たちに教えることはもうほとんど何もない。亀仙流武術の基本と言ってもお主たちのこれまでの修行に全て含まれておる。自分では気づいておらんようじゃが、すでに、目も腕も、足も体すべて上達しておる。頭の中身でさえも上達しておる。拳法というのはこれらの応用に過ぎん」

 

「それで、じっちゃんそれで試合に勝てるのか」

 

「武道は勝つために励むのではない、己に負けぬためのものじゃ。そのために、今まで学んだことを思い出し活かし自分で拳法を学べ」

 

「しかし、天下一武道会で勝ち上がるためには…」

 

 クリリンがなんとか反論してみるが、

 

「天下一武道会は勝つことが目的じゃない。まあ、どうせ勝てはせん、大会は己の技量を確かめる場じゃ」

 

 亀仙人はそう言い切り、新たに重い亀の甲羅を背負うことを命じた。もちろん二人がズッコケたのは言うまでもない。

 

(勝てはせんとは言ったものの……このままでは……わし自信が大会にでるわけにはいかんし……)

 

 あの岩を動かしてから数日が経ち、亀仙人は天下一武道大会どうするか考えていた。一度は自分が変装して大会に出場しようかなどと考えたが、さすがに師匠が弟子が出場する大会にでるのはどうかと思い、その考えは捨てた。そして、ある妙案を亀仙人は思いついた。

 

(そうじゃ、あの男に頼んでみるか。最近新しくあやつも弟子を取ったと手紙に書いてあったしな)

 

 思い立ったがすぐ行動と亀仙人は動き始めた。

 

「さて、あやつの電話番号書いたメモどこにおいたっけなあ」

 

 悟空とクリリンが修行に出てから亀仙人は家中の棚や押入れを探し始めた。

 

「亀仙人様、何かお探しで」

 

「ああ、ウミガメか。ちょっと探しものじゃ。……おっ、あったあったこれじゃ」

 

 古びた紙切れを棚の中から取り出し、電話に向かった。そして、電話のダイヤルを回しある番号に電話をかけた。数回コールを待った後、目的の人物が電話に出た。電話越しにあの男の声を聞く。電話越しでもいつもの熱血な声でもしもしと言ってきた。彼の事前の予想通り電話の先の男は相変わらずだった。

 

「ひさしぶりじゃな、わしじゃよわし、武天老師じゃ。実はお主に頼みがあってな聞いてくれぬか」

 

 電話での会話は数十分続き亀仙人の目論見は実現することとなった。

 

一ヶ月後 天下一武道会参加登録所

 

「武道大会参加希望者の方は、こちらで参加登録をしてください」

 

 メガホンを持った係員が大会参加者たちを誘導している。すでに、参加登録会場付近には登録を完了をした者を含め、数百人の参加者、そしてそれ以上の関係者が集まっていた。東西南北の地域からこのパパイヤ島に腕に自信がある武道家が集結している。そんななかに、悟空やクリリン、ヤムチャたちの姿も会った。会場で悟空がヤムチャやブルマ、ウーロン、プーアル達と再会を喜んでいる中、亀仙人の呼び出した男が現れた。

 

「亀よ、久しぶりだな」

 

 昔会った時と同じ豪快な声が聞こえた。

 

「その声は!」

 

亀仙人が振り返ると数メートル手前に二人の男が立っていた。一人は、見た目50歳代ぐらいで、あの紫の胴着を着たよく知っている男、白髪混じりの長髪をおさげ(三つ編み)にしている良く知っている顔だ。もう一人は、赤いバンダナを額につけている青年だ。おそらくあやつの新しい弟子だろう、ここにいる悟空やクリリン達と比べても武道家としていい目をしている。彼らとは良い試合が出来るだろうと亀仙人は思った。

「お主とは数十年ぶりじゃが、相変わらす若々しいの。羨ましいわい」

 

「がはははっ、亀よ貴様とは違って日々ワシは鍛練をかかさずしているからな。当たり前だ」

 

「何年経ってもお主は、相変わらず修行馬鹿じゃな、変わらんのー」

 

「……武天老師様、…此方の方はいったい 」

 

 ヤムチャが二人の会話の間に入って尋ねた。ヤムチャだけでなく、一緒にいる悟空やブルマ達も亀仙人と親しげに話すこの男の正体が気になっていた。見るからに鍛えあげられた肉体とその体からあふれでている圧倒的なオーラ、風格は武道家であるヤムチャや悟空、クリリンだけでなく武道の素人以下のブルマやウーロン達でさえ感じていた。おそらく、亀仙人に匹敵する実力者だと特にヤムチャなどは思った。

 

「おおーすまん、紹介が遅れたわい」

 

 亀仙人が紹介しようと口にする前に、男は先に威風堂々と言いはなった。

 

「わしの名は流派東方不敗マスターアジアだ」

 

次回予告

 

みなさんお待ちかね!

 

ついに、第21回天下一武道会予選が、いよいよはじまりました!

 

東方不敗マスター・アジアを始めとする世界各地から、集結した武道家達が集まりました。

 

いったい誰がこの過酷な予選を勝ち上がり、本選8人に残るのか!

 

次回、ドラゴンボールGマスター武闘伝第二話『天下一武道大会開幕!東方不敗本選進出!』に……レディーゴー!

 

 

 




 さて、今回は師匠が登場するまで終わりました。次からは師匠や悟空たちの活躍が始まります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話『天下一武道会開幕!東方不敗本選進出!』

さてみなさん、ついに天下一武道会がはじまりました!

137名なかから本選に出場できる8人に残るのはいったいだれなのか!

語ることもとくにありませんので、早速行きましょう!

それでは、ドラゴンファイトレディーーゴー!


「わしの名は流派東方不敗マスターアジアだ」

 

ドオォォーン!

 

 とても力強い言葉とともに、効果音や真っ赤なオーラが悟空一同には見えた気がした。いや、この場にいた者には本当に見えたのだった。そして、最初に臆することなく、声をあげたのは悟空だった。

 

「オッス、オラ悟空だ」

 

 お馴染みの挨拶を悟空はした。どんな相手に対しても態度を変えずに接することができるところが悟空らしい良い所だと、そこの姿を見て亀仙人は思った。

 

「うむ、元気があってよい」

 

 マスターアジアは視線を下げ、悟空の姿を見定めた。マスターアジアは悟空から溢れ出る武闘家の才をマスターアジアは感じ取った。底知れぬ才に亀仙人同様に今後の成長が楽しみに感じたのであった。

 

 悟空と亀仙人を除き、紹介から最初に我に返ったヤムチャは驚きの声をだした。

 

「とっ、東方不敗マスターアジアだとー。実在したのか!」

 

 震えながらそう言い放った。額からは緊張の汗が滲み出ていた。

 

「・・・ヤムチャ様、この人をご存じなんですか。」

 

 ヤムチャに昔から慕い一番の従者であり友でもあり、理解者であったプーアルは彼の驚きぶりを感じ恐る恐る尋ねた。

 

「もちろんだ。流派東方不敗は武天老師様の亀仙流、鶴仙人の鶴仙流と並んで伝説の流派の一つ、自然界に存在する気を操る一子相伝の拳法と言われている。この世に大乱ある時、弱き民を助け世を天下泰平に治めるとも言われている。」

 

 まるで伝説や伝記を語るようにヤムチャは語った。実際に誇張された部分もあるが、実際に東方不敗と名乗る一人の男によって壊滅された独裁国家等が歴史上にいくつか存在している。そのためか、東方不敗あらわるところ争いがなくなっている事例がある。どんな残虐な暴君や独裁者であってもマスターアジアに倒されないかの恐怖で善政を敷いたり、もしくはマスター・アジアを倒そうとして返り討ちにされるという。

 

「僕も多林寺にいたときに聞いたことが ある。流派東方不敗を極めし者には砕けぬものはないと。」

 

「へえーよく分かんないけど凄い人なのね。」

 

 一般人にはあまり知られてはいないが、武道の心得があるものにとっては、武天老師と並んで雲の上の神のような存在である。

 

「そちらの少年はおぬしの新しい弟子じゃな。」

 

「おお、紹介が遅れたこやつはわしの二番弟子ドモン・カッシュだ。皆に挨拶せい」

 

「ドモンカッシュです。よろしく。武天老師様お会いできて光栄です。」

 

 丁寧に武道家として完璧な態度でドモンは亀仙人に挨拶した。

 

「ふむ、若い頃のおぬしに似ておるな。」

 

「まだまだ、ひよっこよ。ガハハハッ」

 

 そしてそこにブルマが会話に入ってきた。

 

「ドモンカッシュか、ふーん中々良い男じゃない。私はブルマよ、よろしくね」

 

「ああ、よろしく。」

 

 良い男好きのブルマの品定めではドモンは高評価であったようだ。ブルマは好意的な視線をドモンに送るがドモンは鈍いのかそれとも興味が無いのか表情は変わらなかった。

 

「おいヤムチャ、このままだとあいつにブルマのやつをとられちまうぞ、たまには修行ばっかりじゃなくてデートでもしたらどうなんだ。」

 

 ニヤニヤしながらブルマには聞こえないような小声で肘でヤムチャをつつきながら言った。

 

「ムッ!」

 

「ヤムチャ様・・・」

 

 この後亀仙人一行と東方不敗たちは参加登録を無事に行い同じホテルに泊まり再会や出会いに対して軽い宴会を行った。唯一酒が飲める年齢である二人の師匠は再会に対する祝い酒と称して悟空の食欲並みに酒を飲み宴会場で大暴れした。ひどい酔であった二人を山のように積み上げられた量の食事に夢中であった悟空を除くクリリン、ドモン、ヤムチャの三人が酔った二人が抑えようとするが簡単に返り討ちにされたのは言うまでない。ちなみに三人がノックアウトされた後亀仙人は素面であったブルマに祝の記念にぱふぱふをせがんだところ巨大ハンマーの一撃をおみまいされ数メートル飛ばされ壁にめり込み朝まで目が覚めなかったと一部始終を見ていたプーアルとウーロンはのちに語った。

 

 

 

 

 

 

翌日 天下一武道会予選会場内

 

「・・・マスター、・・・昨日あれだけ飲んでも平気なんですね・・・。」

 

 昨日悟空並みに飲酒をして暴れていた東方不敗マスターアジアだったが今は何事もなかったかも元気だ。二日酔いなどの印象はない。むしろ昨日より元気そうだ。そして、一方で止めに入ったヤムチャやクリリンたちのほうがげっそりしていた。

 

「うむ、鍛えているからな。」

 

 即答でマスターは胸をはっていう。常に威風堂々としている。

 

((そうゆうもんなのか))

 

 クリリンとヤムチャは呆れつつも東方不敗マスターアジアの違う意味での強さを知った。一方で別の見方をするものも一人いた。

 

「さすが、師匠」

 

 ドモンはキラキラとした尊敬した眼差しで横で言った。

 

「ドモン!真の武道家たるもの酒の5升や10升ぐらいで酒などにのまれてはいかん。飲み返すぐらいの気持ちでいることだぞ。よく覚えておけ。ガハハハッ」

 

「はい、師匠!」

 

「うむ。」

 

((5升や10升どころかじゃなかったような・・・))

 

 このことに対してクリリンとヤムチャは考えるのをやめた・・・。

 

 そして、第三者から見て一見無口なクールな印象な男であるドモン・カッシュであったが、師匠に対してだけはスーパーヒーローに憧れる子供と変わらなかった。そして、自分たちもこのように当然の感覚に染まりそうだとヤムチャとクリリンは思った。

 

 一方その頃もう一人の亀仙人はというと激しい二日酔いに襲われてトイレに駆け込んでゲーゲーと言って一時間以上出てこずブルマたちをイライラさせていたのであった。

 

 そうこうしているうちにとうとう予選開始の挨拶が始まった。一同の視線が中央の闘技場に立っている年配の大会関係者にいく。

 

「本日は五年に一度の天下一武道会にはるばるご参加いただき誠にごくろうさまでございます。えー、文字通り天下一の武道の達人を決定にふさわしい137人の強豪が全国各地から集まっています。しかし、本選に参加できるのはわずか137名内の8名に過ぎません。その8名を選ぶ予選をこれからおこないます。」

 

「望むところだ、腕が鳴るぜ。俺は八人に勝ち残ってやると!」

 

「勝つのは俺に決まっている。」

 

 などと会場中から自信に満ちた声ところどころから聴こえる。

 

「それでは、競技の方法とルールの方法を説明します。予選は各四ブロックに分けそれぞれのブロックの2名を本選への出場者とします。そして、戦いはこの競技場で行い相手を落としたり、気絶したり、まいったとさせたりされば勝ちとします。しかし、相手を殺したりしてはいけません、また、武器の使用などの反則行為をしたものは失格とします。また、今後参加を許可しないこともありますのでご注意ください。また、試合の制限時間は一分です。一分を超えた場合判定でとします。それではくじを引いてもらい予選の順番を決めます。引いたくじの番号とブロック表を見比べて確認してください。」

 

 選手たちは順番にくじを引くと予選会場中央にある巨大なブロック表に向かう。予選参加者137名が4つのブロックと8つのグループに別れて予選を戦う。

 

「僕は、93番だ。」

 

「オラは70番だ。」

 

「それなら、お前たちは同じ第3ブロックのようだな。」

 

 それを聞いて悟空との対戦があるのかとクリリンは心配するが、幸いにも同じブロックだがグループが違うので対戦するのは本選からであった。それを聞いてクリリンはほっと息を吐く。

 

「俺は35番第1ブロックの第二グループだ。悟空お前とは本選の決勝戦で戦いたい。予選なんかでまけるなよ。」

 

「ああ、もちろんだヤムチャ。」

 

 悟空とヤムチャは拳を合わせ誓い合う。

 

(二人共、自身あるんだな・・・。)

 

 その二人の姿を見ていたクリリンは内心自身がなかった。正直亀仙人様のところで力がついたのは確かだったが、実際に誰かと試合することはなかったから、自分の今の実力がどれほどのものかわからなかった。

 

「マスターのおっちゃんとドモンは何番だ。」

 

「わしは第一ブロック第一グループの10番だ。」

 

「俺は第四グループだ。」

 

 ドモンは言いながらさっと番号が書かれた紙を見せる。

 

「おぬしら全員わしと予選から対戦しないとはなかなか運を持っておるな。ガハハハッ」

 

 マスターアジアの豪快な笑い声が予選会場中に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 ついに東方不敗マスターアジアの予選第一回戦の番が回ってきたのであった!

 

「それでは続いて第一ブロック9番ギラン選手と10番東方不敗マスターアジア選手、闘技場へ上がってください。」

 

 呼び出しが終わった瞬間予選会場中に衝撃が走った。あの伝説の流派東方不敗を名乗る男がこの天下一武道会の予選会場に出場していると。そして、東方不敗と呼ばれた人物がリングに上がると周囲のざわめきが大きくなる。

 

「あの男が東方不敗だって!」

 

「まさか、本物なのか?」

 

「へえ本当に有名なんだなあのおっちゃん。」

 

「武道家で東方不敗マスター・アジアを知らないのはお前くらいだよ悟空」

 

 東方不敗に続いてギランと呼ばれた大男いや翼竜男が屈強な男たちをかき分けてリングに上った。その姿に東方不敗とは違った声が上がる。2メートルを超える体格と丸太のような大きな両腕、そして、鋭い牙などは他者を威圧するものがあった。

 

「東方不敗だが豆腐腐敗だが知らんが俺様と予選一回戦で当たるとは運が悪いなおっさん」

 

 リングに上がったギランはマスターアジアにそう挑発してきた。ギラン自身東方不敗の噂を知っていたが、あくまで本物だとは思っていない。これまで何度も口先や見た目だけの拳法家を倒してきたギランは自分の力に絶対の自信を持っていたのだ。

 

「・・・。」

 

マスターアジア腕組みしたままギランをまっすぐ見つめギランの挑発に対して反応しない。

 

「俺様が怖くてなにもいえないのか、おっさん」

 

「ふっ、口だけは達者なようだな、武道家たるもの言いたいことは言葉出はなく己の拳で語らんか。この馬鹿者があ」

 

「何をー貴様ぶっ殺してやる。」

 

 ギランの少ない怒りの沸点は爆発し開始合図とともに飛びかかる勢いであった。また、会場にいる一部の選手の中にはギランの鬼の様な形相や怒りを感じとり恐怖を感じとるものも少なからず存在していた。そして、ついに試合のゴングが鳴った。

 

「それでは試合始めー」

 

「オラァー」

 

 開始合図とともに審判は二人から離れギランはその巨体に合わないスピードでマスターアジアとの距離を詰めて、大砲のように丸太の右腕を最大に振り出しマスターアジアの顔面を狙い定める。怒りが溢れ一切加減をしてない右ストレートが猛進しつづける。一般人や並みの武道家がまともに喰らえば一撃であの世へい送ってしまう程のものであった。

 

「おっちゃんあぶねえ。」

 

 悟空が避けようとも反撃しようともしないマスターアジアにリング越しに叫ぶ。

 

「ふっ。」

 

 一瞬マスターアジアが不適の笑みを浮かべ動き出した。そして、次の瞬間会場内にリングインの時以上の衝撃が走る。

 

 なんと怪力で知られるギランの全力の右ストレートを東方不敗マスター・アジアは右手の小指一本で止めたのである。

 

「すげえな、東方不敗のおっちゃん。」

 

「恐るべき男だ、流派東方不敗マスター・アジア・・・。」

 

 悟空は正直心からに驚き、ヤムチャは東方不敗の底知れぬ実力に武者震いを感じた。

 

 だが、一番驚いているのは当事者であるギラン自身だった。今までこの拳で気に入らない奴や有名な拳法家達を葬ってきたのである。その自慢の拳が避けられるでもなく、気に入らないこの不適な笑みを浮かべている男の顔面を粉砕するのではなくなんと指1本で止められたのである。驚くのは無理なかった。

 

「なかなか力はあるようだが、まったく武術の基礎がなっておらんの、無駄がありすぎる。」

 

 ギランの攻撃に対する感想やアドバイス?を彼にいうがギランは何も返事をしない。ギランは呆然し動かず第二撃をしようとしなかった。たった一発で彼のプライド、培ってきた自信は完全に破壊されたのである。

 

「おぬしの実力はよくわかった。」

 

 そう一言いい左手で一発常人には見えないスピードの手刀をギランに浴びせた。ギランがフリーズして思考停止しているなか意識が深い闇に飲まれていった。次に彼が目覚めた場所は翌日の病院のベッドの上であった。

 

「おい審判、判定をせぬか。」

 

 あまりの展開にまわりの武道家だけでなく審判までもつたったままであった。マスターアジアの言葉で自分の職務を思い出し倒れたギランに近づき状態を確認する。ギランがただ気絶しているだけを確認すると東方不敗勝利のジャッジをした。

 

「ギッギラン選手、気絶によって戦闘不能により、勝者東方不敗マスターアジア選手。」

 

「ふん、たわいもないわ。」

 

 気絶しているギランにこの言葉が聞こえたかは定かではないが、このことがきっかけでギランは真剣に武道家の道を目指すことになったのである。

 

「おい、あの凶悪凶暴で有名なギランが一発で。」

 

「凄い、東方不敗マスターアジア」

 

 観戦していた者達もわっと我に返り歓声をあげ、中には東方不敗に対して拍手するものさえいた。

 

 それとこの後クリリンの元多林寺の先輩が二人ちょっかいをクリリンにかけてきたのだが、

 

「ひさびさにかわいがってやるぜ。」

 

「逃げなかっただけはほめてやるよ。」

 

「おさげじじいなんて敵じゃないぜ。」

 

 などといい一人はクリリンとの試合直前リング上でいうがあっさりとクリリンに一撃で倒され、もう一人は東方不敗と対戦し「未熟者が」と罵倒されながれ遠くへ飛ばされた。(笑)

 

 そして、さらにその後悟空、東方不敗、ドモン、クリリン、ヤムチャは難なく予選を突破し本選の順番を決めるくじを引くこととなった。

 

「それではこれより本選の対戦を決めるくじ引きを行います。まずヤムチャさんいらっしゃいますか。」

 

「俺からか。」

 

 ヤムチャから順番にくじを引き対戦表が埋まっていく。まごごそらというミスを除いて本選のくじ引きが順調に行われる。

 

 対戦表はつぎの通りである。

 

天下一武道会本選対戦表

 

第一回戦

 

ヤムチャ選手対東方不敗マスターアジア選手

 

「あのヤムチャという小僧か。」

 

「うおっ、一回戦から俺の相手はマスターか」

 

(ヤムチャさん終わったな・・・)

 

 クリリンは思った。

 

第二回戦

 

クリリン選手対バクテリアン選手

 

「オーマイガー」

 

 クリリンはそう叫び自分の運のなさを呪った。これならまだマスターと初戦から当たるほうがはるかにマシであった。そしてクリリン始めここにいる選手、審判、大会関係者は手を鼻からはなせられなかった。とくに悟空は犬並みに鼻が良いため一番堪えているようだ。

 

「ぐへへへっ」

 

 バクテリアンの笑い声と彼の周りを飛んでいるハエの音が響き渡った。

 

第三回戦

 

ドモン選手対ランファン選手

 

「俺の相手は女か。」

 

「うっふん」

 

 昨日のブルマ以上に露骨に色目でドモンに対してランファンはアピールしてくる。この世界でも女性に振り回されそうなドモン・カッシュであった。

 

「くっ(なんて下品な女だ)」

 

 ドモンは目線をそらし思った。ドモンの女難は始まったばかりであった。

 

第四回戦

 

孫悟空選手対ナム選手

 

「オッスオラ、孫悟空だ。よろしくな」

 

「こちらこそ、良い試合をしよう。」

 

 ひと通り確認が終わったと見た審判は最後にこういった。

 

「それでは、武道大会本選は一時間後に始めます。」

 

 さて、いったい誰が本選を勝ち上がり天下一の称号を手に入れるのか?次回に続く!!

 

次回予告

 

みなさんおまちかね!

 

遂に第21回天下一武道会本選が始まります!

 

我らが師匠東方不敗マスターアジアの初戦の相手は狼牙風風拳の使い手ヤムチャ!

 

超高速で繰り出される攻撃に師匠はどう立ち向かっていくのか!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第三話「ヤムチャ死す?恐るべし!流派東方不敗の実力!に

 

レディーゴー!

 




さて、次回ヤムチャはマスターに勝利することができるのか(笑)

それと師匠が大食いキャラになってしまったがまあこの世界だしいいでしょう。(笑)

そして、第三話の投稿は来年になります。

おまけ

もう一つの次回予告

みなさんおまちかね!

ついにGガンダムヒロインであるレインミカムラ登場!

ブルマとのドモンをめぐる女の戦いが始まるのか!

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第三話「紅一点!レインミカムラ登場!に

レディーゴー!

(しかし、作者はアレンビー派であることを先に行っておく)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話『ヤムチャ死す?恐るべし!東方不敗の実力!』

さてみなさん東方不敗マスター・アジアの第一回戦の相手は狼牙風風拳の使い手ヤムチャ!

一方その弟子ドモン・カッシュの前にはある女性が現れた!

それでは早速行きましょう!

ドラゴンファイトレディーゴー!


天下一武道会会場 選手用食堂内

 

 137名による激闘の予選も終了して一時間の休憩が勝者達に与えられた。そして、悟空、東方不敗、クリリン、ヤムチャ、ドモンの五人の戦士達はブルマや亀仙人達と昼食を会場内の食堂で食事をすることになった。

 

「三人共本選進出おめでとう。」

 

 全員の食事が運ばれてきてブルマが開口一番に三人の勝利を祝福する。昼間なので酒ではなくオレンジジュースで乾杯した。

 

「あとマスターアジアさんとドモン君もおめでとう。」

 

「うむ。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

 東方不敗は頷き、ドモンは武骨に礼を言う。

 

「それと五人とも昼からの本選頑張ってね。これからが本番よ。!」

 

「そうじゃな、ブルマの言うとおりじゃ。これまでの予選はあくまで通過点にすぎん。真の戦い試合はこれからじゃ。それに以前にもお前たちに言ったことだが勝つことだけが全てではない。自分の実力をすべて出し悔いのない戦いをすることが一番大切じゃぞ。」

 

 シリアス顔で亀仙人は悟空、クリリンに語った。弟子ではないヤムチャやドモンもこの言葉を心に刻む。

 

「たまには、いいこというじゃない。少し見直したわ。」

 

 ブルマは亀仙人の師匠らしい一面を垣間見て感心する。

 

「おっほん、それじゃあ堅い話はこれくらいにしてみんなの勝利を祝って景気付けにぱふぱふを!」

 

 先ほどの師匠顔からエロじいさんの顔にかわり、両手を左右に動かしぱふぱふとブルマに近づく。この二日間で三回目である。

 

「少しでも感心した私が馬鹿だったわ。!おらー」

 

 ポイポイカプセルから神速の早さで巨大ハンマーを出して振りかざした。ブルマ渾身のフルスイング予選のギラン のストレートパンチを遥かにしのぐスピードだ。

 

「ぱふ・・ぐおー」

 

 ブルマの攻撃により亀仙人のサングラスが割れ、床にめり込み気絶する亀仙人、だが傷はまったくなくしばらくすればまた復活するだろう。

 

「あたたっ、・・・年寄りにはもう少しやさしくせんか。・・・」

 

「もうまったく変態じいさんなんだから、孫くんもこんな大人になっちゃだめよ。」

 

 特製ハンマーをカプセルに収納して悟空に話しかけた。悟空は今までのやりとりの間食事に集中していたがブルマの方を向いた。

 

「ガツガツ、ごくんっ、よくわかんねえけどわかったよブルマ。」

 

 悟空は意味をあまりわかってないが応えた。

 

「ヤムチャもよ」

 

 きつい目でヤムチャに向かって言った。その目には浮気したらどうなるかと脅しの内容が含まれている。

 

「はっはい。よくわかりました。」

 

 まるで蛇に睨まれたカエルのように即答するヤムチャ。そしてその姿をニヤニヤしてみている一同であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、食事も進みしばらくして、

 

「・・モン」

 

 急にドモンは遠くから自分の名前を呼ぶ声が聞こえた気がした。いや、本能的に感じた。だが、周りでは悟空がブラックホール並の食欲で食事をしまた、亀仙人と東方不敗が会話をし、また、他のメンバーも談笑しながら食事を楽しんでいる。

 

「今誰か俺のこと呼びましたか?」

 

 周りにいるみんなに呼ばれたことを念のために全員に確かめてみるが、

 

「いやべつに聞こえなかったが」

 

 周りにも何も聞こえていないようであった。

 

「気のせいか」

 

 ドモンは空耳や気のせいで片付け食事を再開するが

 

「ドモンーーー!」

 

 さっきとは比べられないくらいの大きな声で自分の名前が呼ばれた。間違いない今度は確実に全員の聞こえており、また、ドモンにはこの声の主が正体がすぐにわかった。自分が昔からよく知っているある女性の声だった。そして、声がした方にドモンが振り向くと案の定その女性がドモンのよく知っている女性がいた。ドモンたちのいるテーブルに近づいてきた。

 

「レッレッレインなんでここに」

 

 ドモンの様子が急にかわりそわそわし始めた。そう声の正体はドモン・カッシュの幼なじみのレインミカムラであった。

 

「もードモン、大会に出るんなら出るってしっかり連絡しなさいよ。ドモンの試合楽しみにしていたのに」

 

 レイン怒りの雷が落ちる。

 

「べつに連絡しないつもりでは・・・。」

 

ドモンは落ち着いてはなそうとジェスチャーをするが、

 

「言い訳無用」

 

 ドモンに対してレインの怒りの雷が落ち続ける。先ほどのブルマとヤムチャの蛇と蛙、いや蟻と巨像ぐらいドモンは縮こまっている。とても見てられない。

 

「レインどうした。何ようかな。」

 

 愛弟子のあまりの修羅場に東方不敗二人の間に割ってはいった。だが、

 

「マスター、マスターもです。武道会に出るんならちゃんと連絡してもらわないと。」

 

「すまぬな、この東方不敗が謝る。わしからも後でよーくこやつに言っておく」

 

 弟子に続き、師匠である東方不敗も返り討ちにあった。地球最強の武闘家も将来の宇宙最強の戦闘民族の男も共通して女性には勝てないようだ。

 

「おねがいしますよ。ドモンたらそういうところは昔から忘れっぽいのよ。キョウジさんが教えてくれなかったら応援に間に合わなかったわ。」

 

「・・・キョウジ兄さんめ余計なことを・・・」

 

 小声でぶつぶつドモンが兄の善意、いたずらに対して不満を言った。昔から何をやっても兄には勝てなかったことを思い出したドモン。

 

「ドモン今何か言った。?!」

 

 レインの顔は笑顔だが、声にドスが効いていた。

 

「いやいやなんでもありません。」

 

「キョウジ?ちょっとまてキョウジってあのキョウジ・カッシュさんのこと。」

 

「そっそうだが。」

 

 レインに説教を聞きながら応えた。

 

「知っているのかブルマ?ドモンの兄ちゃんのこと。」

 

 悟空が尋ねた。

 

「ええ、キョウジ・カッシュさんとそれとドモンくんのお父さんのライゾウ・カッシュさんて科学者の世界ではとても有名な二人なのよ。特にカプセルコーポレーションの主力商品のポイポイカプセルの開発にはパパとドモン君のお父さんが一緒に共同開発したのよ。」

 

「ええー!」

 

 一同驚愕する、ポイポイカプセルといえば今世紀最大の発明と言われるほどの商品でその開発者であり世界的大企業カプセルコーポレーションを一大にして築いたブリーフ博士は後の地球最強、宇宙最強の英雄(?)ミスターサタンと並んで歴史上にのその名を残している。一般人にはポイポイカプセルはブリーフ博士一人の発明品と思われているが、その裏には当時20代前半であった天才青年科学者ライゾウ・カッシュの助けが合ったおかげで開発成功が大幅に早まったと後にブリーフ博士の回顧録には書かれていた。現在、ライゾウカッシュ博士はロボット工学、バイオテクノロジー、宇宙船開発など様々な分野の第一人者として第一線で活躍している。またライゾウ・カッシュの長男キョウジ・カッシュは父と同様に科学者の道に入り、齢23歳にしてすでに世界を代表する天才科学者として名をはせていた。

 

「何年か前に何回かあったけどキョウジ・カッシュさんてかっこいいし、文武両道の素敵な人よ。」

 

 ブルマはデレデレしながら思い出し言った。ドモンたちはきょとんとしているが、ヤムチャはなにか不満そうな表情をしている。

 

「ふーん。」

 

 レインもブルマの話が挟まり怒りも収まったのか自己紹介を始める。

 

「紹介が遅れましたね。私はレインミカムラです。」

 

 そこへ復活した亀仙人がレインに近づき、

 

「おおーレインさんとやらお近づきの印にぱふぱふでもぐへっぐへへへー。」

 

 これで四回目である。さすがに周り一同さすがに呆れた様子だ。

 

「何言ってるんですかもー。」

 

 レインは顔を真赤にし、ブルマは今日一番の怒りを覚える。

 

「いい加減にしなさいこのエロじじい。」

 

 ブルマとレインのダブルビンタが亀仙人の両頬を直撃しその威力倍増!

 

 その光景に悟空は仰天し。

 

 クリリン、ヤムチャ、ドモン、ウーロン、プーアルは恐怖を覚え、

 

 東方不敗は二人に武術の才があるのではないかと感心する。

 

 とにもかくにもこれにて悟空・東方不敗一行のメンバーは全員揃い本選に向かうのであった。

 

 そして、ついに天下一武道会本選第一試合が始まる時がきた!

 

 

 

 

 

天下一武道会本会場

 

 武道会場の周囲にはすでに何千にも観客が集まり本選が始まるのをワクワクしながら待ち構えている。また、予選で敗れた選手の多くも今大会の優勝者の姿を見るために残っている。そして、ついに開始の時間が近づきリング内に審判が現れた。武道家の間では有名な金髪サングラスの中年男性だ。

 

「さてご来場の皆様これより天下一武道会第一試合を戦う選手を紹介します。」

 

 審判の言葉とともに歓声が上がる。数千人以上の観客が歓声を上げる。その大きさは数キロ先にも聞こえるほどの熱狂的な音であった。

 

「ヤムチャのやついきなりマスターアジアが相手なんて運がないな。大丈夫か?」

 

 ウーロンはヤムチャのこの対戦に心配を口にする。彼が心配するのも無理はない。相手は武天老師と同様の大武道家であり、亀仙人とは異なり見るからに強そうな姿を見ているからであった。

 

「きっと大丈夫ですよ。ヤムチャ様には狼牙風風拳がありますから」

 

「そうよプーアルのいう通りよ。ヤムチャならいい試合をするわきっと」

 

 ブルマもプーアルの言葉に続いてヤムチャの健闘を思う。

 

「そんなもんかねー。」

 

 ウーロンはなお納得いかないようだった。

 

「まずはこちらがヤムチャ選手です。」

 

 審判がマイクを握りながら左手でヤムチャを指す。中央の武と描かれた看板からヤムチャが先に観客の前に現れた。

 

「きゃーかっこいい。」

 

「ヤムチャ様!」

 

「あら、なかなかいい男じゃない」

 

 ヤムチャーを入場してブルマを始め一部の若い女性とムキムキお兄さん?が黄色い声を上げる。お兄さんの声を聞いて本能的に寒気を感じるがすぐにマスターアジアからの闘気や試合に対する高揚感から武者震いを思い出し精神を引き締める。

 

「次に東方不敗マスターアジア選手。」

 

 続いて東方不敗の紹介が行われた。東方不敗は堂々たる不敗の王者たる風格を持って入場していく。本当に堂々している。

 

「おおー」

 

「どっちが勝つんだ」

 

 二人が入場し観客同士がどちらかが勝利するか熱を入れて予想を言い合う。中には金銭をかけているものも見受けられた。

 

(騒々しい)

 

 いつもの立ちポーズを崩さずにヤムチャをじっと見つめる。並みの者ならこれだけでも戦闘する気力をそがれるほどの気迫を発している。

 

(凄い気迫だ。立っているだけでもこの威圧感・・・)

 

「それでは第一試合を開始します。始めー!」

 

 ついに、天下一武道会本選が始まった。!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((・・・・・))

 

(まったく・・・隙がない。一見立っているだけに見えるがとても自然体でいる。やはり恐るべき相手だ東方不敗マスターアジア。)

 

 試合が始まり一分近くが経つがヤムチャ、東方不敗どちらも動こうとせず睨み合っている。

 

「両選手とも一向に構えたまま動かないでいます。両者とも相手の動きを伺っている。!」

 

「なんだよ 、試合が始まっても二人とも動かないじゃないか。」

 

 ウーロンは不満げに言った。

 

「腹でも痛いんじゃないか?」

 

 観客もほとんどがウーロンと同じ考えだった。

 

「ヤムチャー、何やってンのよ。はやく攻撃しなさいよ。!」

 

ブルマは大声でヤムチャに対して叫ぶが、亀仙人が静止した。

 

「いや、ヤムチャは動かないのではない、動けないのじゃ。」

 

 シリアスモード全開の亀仙人がゆっくりと威厳のある声で言った。

 

「えっ、どういうこと?」

 

「東方不敗のやつの間合いに攻め込む隙がまったくないのじゃ。あれより一歩先があやつの戦闘半径、相変わらず恐ろしい程の達人じゃ。並みの武闘家ならあれに気づかず突っ込んで返り討ちに合うところじゃ。ヤムチャ自身そうとうの使い手ゆえそのことがよくわかっておる。」

 

「そんな。」

 

 ブルマは亀仙人の言葉に絶句する。

 

「どうしたヤムチャ、かかってこぬのか。」

 

 東方不敗は挑発でもなく自然に声をかける。

 

(くっ、・・・このまま睨み合っても無意味だ。一か八かやるしかない)

 

 ヤムチャは考えるのやめ一直線に東方不敗にダッシュする。

 

「うおおおー。」

 

「おっとヤムチャ選手突っ込んだ。これを東方不敗選手正面から立ち向かう。!」

 

「ハイッハイッ」

 

 ボクサーよりも素早い拳の連打を繰り出し続けるがマスターアジアは最低限の移動でかわしていく。まるで重力がないくらいにとても軽やかである。やがて、攻撃し続けるヤムチャの方が体力を一方的に消耗していく。形勢不利と感じ、大きく後退し呼吸を整え次の攻撃を考えるヤムチャ。

 

「はあっはあっ、仕方ない、狼牙風風拳を使うしかない。・・・通用するかはわからんが。」

 

 この一連の攻防でヤムチャは東方不敗マスターアジアの底知れない実力を嫌でも感じ取ることができた。

 

「マスター、俺のとっておきの技で行きますよ。」

 

 ふふっとヤムチャは笑いマスターに向かって今までとは異なる構えを取る。

 

「どこからでもかかってこい。」

 

「ふうー。」

 

 ヤムチャは一呼吸大きく吸い込み精神を集中していく。そして、右足と右手を前に出し腰を下げる。この構えはヤムチャの十八番狼牙風風拳の構えである。

 

「うおおおー狼牙風風拳!!!」

 

 ヤムチャは先程以上の声で咆哮を上げ狼のように東方不敗に襲いかかる。 

 

「ハーイッ、ハイハイハイハイハイハイ」

 

 先の連撃を数段上回るスピードで攻撃していく。すでに素人には何撃拳をうっているのか捉えられないほどの早さである。しかし、東方不敗の体を捉えることはできない。

 

「いい突きだ。先ほどより格段によくなっておる。」

 

 見事な上体さばきでかわしていく東方不敗、まるで芸術的でもある。

 

「ハイハイハイハイハイハイ」

 

「だが、足元がお留守になっておるぞ。はあっ」

 

 東方不敗は足払いをかけヤムチャは転倒しかけるがなんとか堪えて後ろにジャンプをし距離をとる。しかし、東方不敗はヤムチャに休息の時を与えず一気に試合を畳み掛ける。

 

「はあああー!」

 

 掛け声とともに右手をつきだした。すると正面に突風が起きる。いわゆる正拳突きによる衝撃波だった。

 

「うわああー」

 

 ヤムチャはなんとかふんばろうとするが虚しく場外へと飛ばされた。

 

ドンッ

 

 中央部から一瞬でリングの外の外壁までにヤムチャは飛ばされた。ヤムチャ自身には外傷は少なかったがぶつかった外壁は崩れ、崩れなかった周囲も大きくひび割れているのが今の攻撃の強さを物語っていた。

 

「ヤムチャーー!」

 

 ブルマは心配の声をあげる。

 

「ヤムチャ様ー!」

 

 プーアルはそれ以上で今にも不安で飛び出す勢いだったが亀仙人が止める。

 

「ヤムチャの奴は無事じゃ、一時的に気絶しているだけじゃわい。」

 

「ヤムチャ選手場外ー!よって勝者東方不敗マスターアジア選手!。」

 

 突然の試合の出来事に観客立ちは静かになるがすぐに大きな歓声を上げて勝者である東方不敗を祝福する。

 

「・・・ヤムチャ大丈夫かしら・・・。」

 

「ヤムチャ様・・・」

 

 一方壁にたたきつけられたヤムチャは試合が終わってから一分ほど立ち意識が戻りゆっくりと大会の医療班に支えられながら控室へと戻っていく。そこへ東方不敗は近づき話しかけた。

 

「完敗です。まったく手も足も出ませんでした。」

 

「おぬしもなかなか悪くない攻撃だった。」

 

「ありがとうございます。」

 

 ヤムチャの表情に悔しそうなものはなくすべての力を出し切って満足した顔であった。

 

「ヤムチャの奴負けたのに全然悔しそうじゃないないか。」

 

「東方不敗の奴の様な達人に全力を出して戦えたのだ。武道家として悔いはないじゃろ。これで一段とまた修行に励むじゃろう、たのしみじゃわい。」

 

 亀仙人は面白そうに語った。

 

「また、次の機会があるわ。頑張るのよヤムチャ!」

 

 第二回戦、クリリン対バクテリアンの試合は原作と同様に鼻のないクリリンがバクテリアンに逆転勝利した。

 

「ご来場の皆様、第二試合準決勝に進出するのはクリリン選手となりました。続いて第三試合は20分後の行います。」

 

 東方不敗、クリリンが準決勝に進み第三試合ドモン・カッシュは準決勝に進出できるのか次回に続く!

 

次回予告

 

みなさんおまちかね!

 

第三試合ドモンの相手は武道会唯一の女性戦士ランファン!

 

ドモンに次第追い詰められていく中、ランファンが出した秘策とは!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第四話「ドモン苦悩!ランファンの秘策!」に

 

レディーゴー!




さて、第三話の投稿は来年と言っていましたが今年中には出来たので投稿しました。

それではこれを読んでいる読者の皆様良いお年をお迎えください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話『ドモン苦悩!ランファンの秘策!』

さてみなさん、今回一回戦でのドモン・カッシュの相手は今大会唯一の女性選手ランファン!

予選を突破する実力ととっておきの奥の手を彼女はもっているようです。!

ドモンカッシュは無事、準決勝に進むことができるのか!

それではいきましょうドラゴンファイトレディーゴー!


 第一試合、ヤムチャ対東方不敗マスターアジアと第二試合、クリリン対バクテリアンの試合はそれぞれ東方不敗マスターアジアとクリリンが勝利してそれぞれ準決勝へと進出することとなった。

 

「クリリン選手これは強い。次の試合ドモン・カッシュ選手対ランファン選手の試合はリング場内の消毒、滅菌、整備が終了次第行います」

 

 準々決勝が終了し、リング内の整備をとくにバクテリアンから発生した悪臭や虫などを除去するために運営者たちがリング状内にてガスマスクをして作業を始める。また、待機室に戻ったクリリンは、悟空とともに勝利を喜んでいた。

 

「クリリンやったなあ」

 

 悟空はクリリンの勝利を喜ぶ。

 

「へへっ、まあな」

 

「クリリン!」

 

 東方不敗が喜ぶ二人の前に現れ会話に加わった。

 

「マスター」

 

 突然、東方不敗から声をかけられ緊張するクリリン。

 

「お主もいい身のこなしと拳だった。」

 

「あっ、ありがとうございます。」

 

 世界一の武道家とも謳われる東方不敗マスター・アジアに褒められ、感激するクリリン。

 

「良かったなークリリン。でも、次の試合は、あのマスターのおっちゃんとだろ。」

 

「忘れてたああ、次の俺の相手マスターだったああ」

 

「次の試合楽しみにしておるぞ、ガハハハッ」

 

 東方不敗は楽しそうに笑いながら、二人の前から去っていった。そして、次の試合最大最強の相手と戦わなければいけないことをいまさら気づいたクリリンであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合の後の整備や調整も終わり、ついにドモンの試合が始まる時が来た。

 

「それではいよいよ第三試合が始まります。」

 

「お手柔らかに」

 

 片目ウインクでドモンに話しかけるランファン。

 

「うっ(やりにくい・・・)」

 

 少しドモンは視線をずらし顔を赤らめるドモン。

 

「何よあの女。ドモンに向かって」

 

 レインがランファンに観客席からきつい視線を送る。ランファンはまっすぐに不敵な笑みな顔でドモンを見つめている。

 

「それでは第三試合始めー」

 

 天下一武道会第三試合が始まった。

 

「はあーっ」

 

 初の女性武闘家相手にどう攻めるか考えているドモンにランファンが先制攻撃をした。ランファンの勢いをつけた飛び蹴りがドモンに迫るが、それを余裕でかわすドモン。避けられてもランファンは攻めるのはやめなかった。次々に第二打、第三打を出してい。

 

「はっはっ」

 

 だが、ランファンの隙を見つけ、すべての攻撃を避け、ドモンは反転攻勢に出た。そして手刀を振りかざす。

 

「きゃあああー」

 

 振りかざした手刀を思わぬ悲鳴で急ブレーキをかけてしまい、ランファンの体に触れる頃には威力はまったくなかった。

 

ぺちっ

 

「いやああー、いったーい、ひどいわー」

 

 ダメージゼロのはずだが泣き出すランファン。

 

「おっとードモン・カッシュ選手ランファン選手を泣かせたー!」

 

 過剰なほどなぶりっ子口調で泣き叫ぶ。誰の目にも明らかではあるが、男に対してはとても効果的な行動とも言える。ドモンといえども例外ではなかった。

 

「いやっ、あのっ大丈夫か。」

 

 ドモンが話しかけてもランファンはオーバーに泣き続ける。その一部始終を見ている観客からは二通りの反応があった。一つ目は男性客からのブーイングだ。ピチピチギャルを泣かせるなー、最低ーととくに甲羅を背負ったじいさんや豚などがやじを飛ばす。もう一つは女性ファンからのランファンへの嫌悪などであった。

 

 おろおろするドモン・カッシュ。そこへランファンが急に動き出す。

 

「隙ありー」

 

 ランファンは近づいてきたドモンに対してみぞおちを食らわす。それが見事にクリーンヒットしドモンは怯む。

 

「うおっ」

 

 痛みに怯むドモンに追撃をランファンはするがドモンはその拳を簡単に受け止めた。

 

「・・・お前の態度はよく分かった。お前がその気ならもう女とは思わない。お前を宿敵だと思って戦う」

 

 拳を離さず、低い声でドモンは言い放った。

 

「うっ、・・・うーん、怒っちゃいや」

 

 ぶりっ子攻撃をするが、

 

「問答無用、俺にはもう通用しない」

 

 マジな目でランファンを見るドモン。その目には先程までの油断はない。

 

「そうっ・・・では奥の手を」

 

 言い終わるとランファンは突然服を脱ぎだした。会場内に黄色いやじが飛び交う。

 

「何をする気だ!」

 

 ランファンはシャツと短パンを脱ぎ捨てピンクのブラジャーとパンティーだけの下着姿となった。

 

「どう、純情男さん,いかがかしら」

 

 セクシーなポーズでドモンを挑発するランファン。

 

「どうだ、私が見られないだろう。」

 

 見ろ、見ろと言わんばかりの体のラインを強調し、魅せつけていくランファン。ランファンが一歩ドモンに近づくたびにドモンも後退し、中央からリング上の端、場外へと追いやられていく。

 

「うっ、くそお・・・。」

 

 ドモンはなんとか形勢逆転の策を考えるが、純情ゆえかランファンの姿を直視できず攻撃できずにいる。そんなドモンを悟空、クリリン、東方不敗は門の隙間から見ていた。

 

「おっとドモン選手後がありません、うらやましい攻撃ではありますが、まだ若いドモン選手にはとても効果的な攻撃だ、攻撃ができません。」

 

 ドモンが攻撃できない理由が、わからない悟空はクリリンに尋ねた。

 

「なあ、クリリン。ドモンのやつなんで攻撃しないんだ。」

 

 この会場の中でランファンの奥の手が通用しない悟空が言った。

 

「なんでって、お子様にはわからないことだよ。」

 

 クリリンは返事を適当にして、ランファンの体を見るクリリン。

 

「あの馬鹿者が、・・・まだまだ未熟者だったわ。」

 

 ドモンもまだまだ真の武道家や男としてほど遠いと思う東方不敗であった。

 

(この試合貰ったわ)

 

 勝利を確信するランファン。

 

「ドモンーしっかりしなさい。」

 

「レイン!」

 

「真の武道家を目指すんでしょー。こんなところで負けるなんてだめよー。」

 

(そうだ、レインの言うとおりだ。俺はこんなところで負けるわけにはいかない。師匠のような真の武闘家、キングオブハートを目指す者として負ける訳にはいかない。)

 

「とどめよー」

 

 ランファンがダッシュして最後の攻撃を仕掛ける。

 

(女の肌が気になるなら目をつぶればよい。目で見ていてはだめだ、心の目で見るのだ、明鏡止水の心だ)

 

 そこで、師匠東方不敗の次の言葉を思いだすドモン、これは以前修行の地で教わった言葉である。

 

「ドモン、いいかしかと覚えておけ。明鏡止水、曇りのない鏡の如く静かに湛えた水の如き心、それが勝つための唯一の方法だ。」

 

 ドモンは襲い掛かってくるランファンの前で目をつぶり、明鏡止水の心にする。

 

「ふふっ、諦めたのかしら?はああ」

 

 ランファンは今日最大の力を込めた右パンチを繰り出す。

 

(見えた!今だ!)

 

 ランファンの動作を心の目で察することができたドモンは、ランファンの攻撃を避けて大きく飛び上がる。そして、着地すると同時に反転しランファンに近づき一撃を与えた。

 

「はああっ」

 

 ドモンの攻撃は見事クリーンヒットした。

 

「うっ・・・」

 

 バタンッ

 

 リングにゆっくりと倒れるランファン。倒れたランファンに近づき審判はカウントを始めた。ワン、ツー、スリーとカウントが会場内に響いていく。ランファンは動く気配がない。

 

 そして、

 

「セブン!、エイト!、ナイン!、テーン!ランファン選手をたったの一撃で撃破、勝者ドモンカッシュ選手の勝利!。」

 

 会場内を歓声が支配する。ドモンに対して観客は祝福の声を送るが、ドモンのの表情には喜びはない。すぐに奥へと戻っていった。

 

「「やったー!!」」

 

 レインとブルマがお互いハイタッチしながら喜び飛び上がる。

 

「ドモン!。」

 

 試合が終わり控室へと帰ってきたドモンに東方不敗は厳しい声で呼ぶ。

 

「師匠、不甲斐ない試合をしてしまい申し訳ございません。」

 

 ドモンは深く東方不敗に頭を下げる。

 

「・・・頭を上げろ、言いたいことは山ほどあるが、とりあえず最後の動きだけは良かったといっておく。」

 

「はい」

 

「だが、あれはまだ完全な明鏡止水ではない。まだまだ貴様はその領域には達してはいない。格下の相手ではあれでも良いが、これからどんな相手と戦うかわからない。日々これから今まで以上に修行に励むことだ。」

 

「はい、師匠。頑張ります。」

 

「うむ。」

 

 そして、第四試合孫悟空対ナムの試合は天空☓字拳を受けた悟空だったが、試合途中しっぽが生え復活してナムに逆転勝利をした。

 

 次回ついに決勝を戦う二人を決める試合が行われる。行き残るのは、悟空かクリリンか東方不敗マスター・アジアか、ドモンか乞うご期待!!!

 

次回予告

 

みなさんおまちかね!

 

ついに天下一武道会も中盤戦に突入!

 

いったいだれが、決勝へと進むのか!

 

そして、注目の対戦は準決勝第二試合の対戦は孫悟空VSドモンカッシュ!

 

亀仙流と流派東方不敗の弟子対決を制し、決勝選へと駒を進めるのはいったいどちらなのか!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第五話「激突!悟空VSドモン!」に

 

レディーゴー!




みなさん、新年あけましておめでとうございます。

ドモンには今回原作でのナムの代わりをしてもらいました。

次回はついに両作品の主人公である孫悟空とドモンカッシュの対決となります。この試合はしっかり書きたいので更新は今まで一番遅くなりそうです。

それではまた次回お会いましょう。!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話『激突!悟空VSドモン!』

さてみなさん、今回の注目の対戦は準決勝第二試合孫悟空VSドモン・カッシュ!

それぞれ亀仙流と流派東方不敗を学びし若き武闘家同士の戦い!

いったいどちらが勝利を掴み決勝へと進むのか!

それではドラゴンファイトレディーゴー!


天下一武道会本選も第一試合から第四試合まで終了し、四人の選手に絞られた。選手は以下の四人である。

 

準決勝第一試合

 

 東方不敗マスターアジア対クリリン

 

準決勝第二試合

 

 ドモン・カッシュ対孫悟空

 

 

 

「それでは準決勝を始めるまで少し時間がありますのでここまで勝ち残った四人の選手にインタービューをしたいと思います。」

 

 大会のプログラムのひとつとして勝利者インタビューが行われた。すでにリング内に審判と四人の準決勝進出者が登場していた。悟空はいつも調子でドモンと東方不敗は無表情で腕を組んでおり、クリリンは緊張した様子であった。

 

「それではまずは最年長の東方不敗選手にインタービューしたいと思います。」

 

 審判は東方不敗の隣に近づきマイクを近づけて質問をし始めた。

 

「東方不敗選手インタビューよろしいでしょうか?」

 

「うむ!」

 

 東方不敗は首を縦に振った。

 

「まずですが、私も長年いくつかの武道大会の審判をやってまいりましたが、あの世界最強の流派、流派東方不敗マスターアジア先生にお会いするのは初めてで大変嬉しく光栄に思っています。」

 

 興奮した様子で話しかける審判。無理もない武闘家の中には東方不敗のことを知って武闘家を目指す者も少なくない。

 

「東方先生の武勇伝は数多く聞き及んでいますが、今まで天下一武道会に参加されたことはありますか?」

 

 最初の質問をする。

 

「東方不敗マスターアジアの名として参加したのは今回が始めてだ。」

 

「ということは以前別の名前で参加を?」

 

 興味深そうな表情な審判、早くその名を知りたい様子だ。

 

「うむ。」

 

「よろしければその名を教えていただけますか?」

 

 ぐいぐいとマイクを近づける審判。そして、その名がついに話された。

 

「シュウジ・クロスだ。」

 

 シュウジ・クロス一般人どころから武道家の間でもほとんど知られていな東方不敗の本名。この作品を読んでいるGガンダムを知っている人でも知らない人はいるかもしれない名だ。 

 

「シュウジクロスさんですか。えっと、シュウジク、・・・まさか!」

 

 歴代の大会のデータが入っている情報端末を取り出す。だか、彼は検索する前にシュウジクロスの名前を思いだした。それが正しければとてもインパクトのある記憶であった。そして確証を得るために検索する。案の定彼の記憶は正しかった。

 

「まさか、こんなことが・・・はっ!」

 

 審判一人とても驚いている姿に観客はその真相に対して興味津々で審判からの発表を今か今かと待っていた。少しの時間が経ち具体的には十秒にも満たない時間が過ぎ審判は口をようやく開いた。

 

「皆さんお待たせしました。ただいま衝撃の事実が判明いたしました。なんとこちらの東方不敗マスターアジア選手こと旧名シュウジクロスさんはななな、なんと、第一回天下一武道大会から第五大会までの大会を五連覇した天下一武道会の歴史上伝説のグランドチャンピオンだったのです。」

 

 審判は一気に言い終わるとほっと息をついた。そして一瞬の沈黙を置いて会場中が驚きの一色に染まった。

 

「「「「「なんだってーーー!!!」」」」」

 

 観客全員がシンクロしたように驚きの声を上げる。

 

「マジかよあのおっさん、凄え。」

 

「ちょっとまて第一回大会て何十年前の話だよ。いったい!」

 

 一人がこの事実の重要な部分の疑問を口に出し全員の疑問へと変わった。見知らぬ者同士が共通の事柄で話し合い始める。

 

「確か今回が21回大会で五年に一回の開催だから・・・つまり、・・・105年前だ。」

 

 一人の大会に詳しい男が言った一瞬の間を置いて再び、

 

「「「「「105年前ーーーーー」」」」」

 

 またまた観客及び審判一同驚愕。あまりの事実の連続に驚愕し呆然する人々、今この場で平然と佇んでいるのは当事者である東方不敗を除いて、悟空、亀仙人、ドモン、レインの四人だけであった。

 

「・・・失礼ですが、いったいお年はおいくつ何ですか?」

 

 審判はここにいる全員の疑問を代表して質問する。

 

「年か、・・・300年くらいは生きておるかな。武天老師や鶴仙人のやつと同世代だ!」

 

 とくに違和感なく平然と言ってのけた東方不敗。

 

「300歳以上ですってー!」

 

 腰を抜かしそうなテンションで審判は大声を上げた。

 

「「「「「「ええーーー!!!」」」」」」

 

 悟空、亀仙人、ドモン、レインを除くこの場にいる全員が三度目の驚きの大合唱。

 

「参考までに何か不老長寿の秘訣を教えていただけますか?」

 

 不老長寿、人類にとって永遠の夢のひとつである。知りたくなるのも無理は無い。ヤムチャなどは東方不敗がドラゴンボールを使って不老になったのではないかと考える。

 

「ガハハハッ、鍛えておるからな。」

 

 野外の会場だが東方不敗の豪快な笑い声が会場中に響き渡る。

 

「・・・それだけですか?」

 

「それだけだが、流派東方不敗を極めし者に不可能の文字はない!」

 

 威風堂々と平然と自然に言ってのける東方不敗。その表情には嘘偽りを言っている様子は微塵も感じられない。あまりの事実の連続に審判はわれを忘れかけるがすぐにそこは審判としての経験から我に返り仕事を続ける。

 

「そうですか・・・ありがとうございました。それでは続いて他の選手にもインタビューしてみましょう。ドモン・カッシュ選手」

 

 その後残りの三人にもいくつか質問が行われたが最初の東方不敗の内容が衝撃的すぎてあまり印象にのこならなかった。

 

 そして、準決勝第一試合クリリン対東方不敗マスターアジアの試合は東方不敗マスターアジアの勝利に終わった。一回戦のヤムチャ以上に善戦したクリリンであったが、終始東方不敗に圧倒され敗北した。

 

 続いてついにドモンカッシュ対孫悟空の試合が行われようとしていた。

 

「いよいよ天下一武道会準決勝第二試合を行います。孫悟空選手!ドモン・カッシュ選手ご登場ください。」

 

「頑張れよ、悟空。決勝で俺のかたきを取ってくれ。」

 

 東方不敗との試合でできた傷跡の治療の後が残るがクリリンもヤムチャと同じで無事なようだ。

 

「おう、クリリンの分まで頑張るよ!」

 

 胸を張って答える悟空。

 

「皆様いよいよ天下一武道会準決勝第二試合、孫悟空選手対ドモンカッシュ選手の試合を行います!」

 

「いくぞ、悟空!」

 

 ドモンが構えながら話しかける。

 

「おうっ」

 

「それでは準決勝第二試合始めー!」

 

 ついに準決勝第二試合孫悟空対ドモン・カッシュの試合が始まった。いったい勝つのはどちらか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「はああああっ」」

 

 試合開始とともに二人はお互い目にも留まらぬ猛スピードの拳のラッシュをかわしていく。

 

「孫選手、ドモン選手試合開始とともに激しい拳のぶつかり合いです。私の目にはすべての攻撃はわかりませんがすごい数の応酬でーす。」

 

 気合の入った審判が熱狂的に実況する。

 

「うららららららー」

 

「オラオラオラオラー」

 

 一進一退の拳と拳の攻防が繰り返される。本大会本選初の実力が互角同士の戦い。手に汗握る名勝負が見るものをもエキサイティングさせていった。

 

「とりやぁ、」

 

 隙を見せたドモンに向かって悟空の渾身の一撃のパンチがドモンにクリーンヒットしたかに見えた。しかし、

 

「あれっ?」

 

 悟空がドモンだと思っていた姿は次第にぶれ始め消えた。悟空自身攻撃した際の感触を感じず、これが空振りだとすぐにわかった。だが、悟空が次の行動に移る前にすでにドモンは悟空の背後で攻撃のモーションにはいっていた。 

 

「残念、今のは残像だ。はあぁぁぁーてりゃあぁぁぁー!」

 

 ドモンが悟空の背後に現れキックで悟空に攻撃が命中した。

 

「ぐおっ」

 

 悟空は勢いよく飛ばされ入場門の隣の壁にぶつかった。

 

「あれは、残像拳!」

 

 亀仙人が驚いたように話した。

 

「残像拳?」

 

 ブルマは亀仙人の方を見る。

 

「うむ、残像拳とは素早い動きで自分の残像を残して、相手に自分の位置を誤認させる技じゃ。相手が残像に攻撃を加えるよう誘導し、その際に相手の隙をつき攻撃を加える高等技術じゃ。あのドモンという若者東方不敗のやつにもまさると劣らぬ才能を持ったやつじゃ。」

 

 悟空に匹敵、もしくは同等のドモンの才能に感心した亀仙人。

 

「いててっ。」

 

崩れた瓦礫の中から悟空が立ち上がった。壊れた壁とは対照的に悟空自身はあまり大きなダメージを受けた様子はないようだ。

 

「あまり効いていないか。」

 

 ドモンは構えを崩さずに一定の距離を置く。一方悟空はドモンに対抗するための方法を思いついたようだ。

 

「そっちが残像拳ならオラは回転拳だ。」

 

「何!」

 

 ドモンは悟空の攻撃に身構える。

 

「ええーい、やー!」

 

 悟空は勢いつけて体全体で高速回転を始める。まるで人間駒、いや人間トルネードであった。

 

「とりゃあああ、うーーうーー」

 

 高速回転しながらドモンに近づく悟空。ドモンはこれに引かず反撃するための糸口を見つけようとするが、悟空に隙はなかった。攻撃してもカウンター攻撃を受けるだけだろう。

 

「くっ、これは近づけん。」

 

 ドモンはそこで妙案を思いつく。

 

「ならばこちらも同じ手を使うだけだ。うおぉぉぉーシャイングスラッシュタイフーン!」

 

 ドモンは悟空と同じように高速回転を始める。

 

「おっと、ドモン・カッシュ選手、目には目を、歯に歯を、回転には回転で対抗しました。!」

 

「「うおおお」」

 

ガンッガンッ

 

何度も何度も回転しあっている二人がぶつかり合い力比べをする。その度に火花が大きく散る。2つのエネルギーがぶつかり合い場外より後ろで見ている観客たちにまで衝撃が伝わっていく。

 

「覚悟!たりゃあぁぁぁー!」

 

 両者とも一旦離れて助走をつけて突撃する。二人が通ったところの舞台のタイルは粉砕されチリがふく。

 

ゴオオオンッ!

 

 衝突とともに二人は場外ちかくまで吹き飛ぶ。倒れている二人の体を見ると大小多くの傷ができている。先ほどの攻撃のぶつかり合いの威力を物語っていた。両者とも同時に倒れれたためにカウントはされない。

 

「「はあっはあっはあっ」」

 

 先ほどの攻防で大きく体力を消耗した二人。

 

「こうなったらかめはめ波を使うしかねえ。」

 

 立ち上がった悟空は一か八かかめはめ波で勝負を決めようと決意する。まだ準決勝だが決勝まで技や体力を温存する余裕はないと感じ、短期決戦で勝負をかける。

 

「なんと、孫悟空選手、あの武術の神様武天老師様にしか使えないという伝説の技かめはめ波を使うと宣言、いったいなんて凄い少年なんだ。」

 

 とても興奮した様子で審判は実況する。武術の神様と謳われる武天老師最大の技かめはめ波、その名は武道家たちの間で広く知られども見たものはいないといわれている。

 

「あの小僧かめはめ波が使えるのか!」

 

 東方不敗も悟空がかめはめ波を使えることに驚いた。東方不敗が驚くのも無理は無い。亀仙人が50年以上かけて会得したかめはめ波を使えるのだ。

 

「はああー!かあーめー」

 

 かめはめ波の構えを取り全身の気を両手に高める悟空。

 

(ドモンお前悟空の全力の攻撃にどう立ち向かう!)

 

「悟空、俺は逃げも隠れもしない。お前の最大の技には俺の最大の技で応えよう。」

 

 いい終えるとドモンは普段の構えを解いて呼吸を整える。そして、叫び始めた。

 

(そうだ、ドモン。それでこそ、流派東方不敗を目指すものだ!)

 

「俺のこの手が光って唸るぅっ!お前を倒せと輝き叫ぶ!」

 

 ドモンの右拳を胸の前に振り上げ拳が光り始める。キングオブハートの紋章が出現する!!。そして右手にドモンの気を集中させる。悟空のかめはめ波の気の集中に勝るとも劣らないくらいに溜められていく。

 

「はああーーめえぇぇーーー」

 

 限界上に気を高める両者今にも放たれそうな勢いだ。

 

 そして、ついに両者必殺技を放つ時が来た。

 

「必ィッ殺ッッ!シャァーイニッングゥゥフィンガアァァーーー!」

 

「波あぁぁぁーーー!!!」

 

ズドドドッー!!

 

 かめはめ波、シャイングフィンガーが同時に放たれ気と気のぶつかり合いなる。その威力両者ほぼ互角。少しでもどちらかが力をゆるめてしまえば一瞬で勝負がついてしまうだろう。

 

「「はあああー!!」」

 

 余力をすべてを残さずこの一撃にかける二人。激しい気と気のぶつかりあい。

 

「凄まじい気のぶつかり合いじゃ。」

 

「フルパワーだああぁぁー!」

 

「うおおおおおお!!!」

 

 悟空、ドモンすべての気を出し切る。

 

「「行けー悟空!!」」

 

 クリリンとヤムチャが舞台に身を乗り出す勢いで掛け声をする。

 

ドオオンッーー!!!

 

「「うわあああーー」」

 

 二人が技を同時に最大出力にした次の瞬間、先ほどの回転攻撃とかめはめ波とシャイニングフィンガーの攻防にとうとう耐え切れずリングが壊れた。タイルが割れて大きくリング裂ける。足元が崩れたためエネルギーの弾道がそれ地面にあたり二人の間で大爆発する。

 

 大爆発の衝撃や煙が収まるとリング上には傷ついた二人が倒れていた。二人共意識があるようだった。

 

「両選手ともダウン、これ以上の継続は不可能ためと両者ダウンのため先に立ち上がり勝ちと言った方を勝者とします。」

 

 審判は勝者決定方法を説明した。

 

「孫君立ってー!」

 

「悟空ー!」

 

 ブルマやクリリン、ウーロンが必死に何度も悟空の名を呼ぶ。

 

「ドモンー!」

 

 うっすらと涙を浮かべつつレインもブルマやクリリンにも負けないくらいの気持ちや大きさでドモンの名を叫ぶ

 

 ブルマやレイン立ち居以外の一般人たちもそれぞれ二人を応援する。そして、

 

「うおおー!」

 

 ドモンが猛獣のような大きな咆哮を先に上げて立ち上がった。

 

「ドモン。」

 

 レインはか細い声でドモンの立ち上がった姿を見て言った。

 

「おっ俺の・・・俺の勝・・・」

 

バタッ

 

 勝利宣言する直前で力尽きてしまったドモン。ドモンが倒れてすぐ今度は悟空がゆっくりと立ち上がる。足元はふらふらだがなんとか支えて立ち上がった。

 

「オラの勝ちだー」

 

 悟空は言い終えるとその場に座り込む。すぐには一人で立てない様子だ。

 

「準決勝第二試合勝者孫悟空選手!」

 

 今までの激しい戦いを息を呑んで見ていたブルマやクリリンたちや観客達は歓声を上げた。クリリンとヤムチャは審判のジャッジが終わると悟空のもとに駆けつけ激励する。

 

「よって第21回天下一武道会決勝戦の対戦は東方不敗マスターアジア選手対孫悟空選手に決定いたしました。!」

 

 審判は崩れたリングに上り悟空のもとに近づき言った。

 

 一方倒れたドモンは東方不敗によって控室へと運ばれた。その姿に観客は熱い声をかける。

 

「兄ちゃんまたがんばれよ。」

 

「次の大会は優勝しろよー」

 

「・・・師匠。」

 

 申し訳無さそうな顔するドモン、だが後悔の念はなかった孫悟空の様な強い武闘家と全力で戦い、とっておきの技を使って戦ったのだドモンは勝負に満足していた。

 

「見事だったドモン。貴様の戦いぶりしかと見た!」

 

 東方不敗はいつもと違う柔らかい仏のような表情でドモンそっと声をかける。

 

「・・・。」

 

 ドモンはまっすぐ東方不敗の顔を真っ直ぐに見つめて黙って聞いている。

 

「後はゆっくり休むがいい。だが、大会が終わったらまた一段と鍛えてやる。覚悟しておけ!」

 

「ハイッ、師匠ォォォ!」

 

 東方不敗に大きく返事をしドモンは深い眠りについた。その顔は安らかな表情だった。その後、大会の救護班に担架で運ばれていった。その横にはレインの姿があった。

 

 ドモンの姿を見送ると東方不敗は悟空やクリリンたちのいる待機室へと向かった。東方不敗がつくとそkには簡易的な治療を駆けつけたブルマから受けた悟空の姿が合った。ドモンに比べれば悟空は軽傷で済んでいた。タフネスさにおいては悟空の方がドモンより上であることが感じ取った。悟空が東方不敗がいることを気づくことを確認し東方不敗は口を開いた。

 

「孫悟空!次の決勝楽しみにしておるぞ!」

 

ついに次回天下一武道会は決勝戦、いったいどちらが勝利するのか?次回に続く!

 

次回予告

 

 みなさんおまちかね!

 

 ついに天下一武道会もクライマックスへ!

 

 決勝戦、勝つのは東方不敗マスターアジアか!それとも孫悟空か!

 

 さらに、なにやら試合中悟空の体に異変が起きる!

 

 そして、出るか!流派東方不敗最終奥義ィィ!

 

 次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第六話「師匠驚愕!悟空の大変身!放て流派東方不敗最終奥義ィ!」に

 

 レディーゴー!




さて、いくつか第五話の補足をします。まず準決勝第一試合東方不敗対クリリンの試合は省略させていただきました。最初は書こうと思っていましたが、正直ヤムチャ戦とあまりかわらない感じになりそうだったのでやめました。
2つ目は東方不敗の年齢について、亀仙人と同世代にしたことについて異論のある方もいるかと思いますが、ドラゴンボールの世界ですのでご容赦ください。それに亀仙人や鶴仙人、占いババ、桃白白達が作中なぜあれだけ長寿なのか原作では理由がとくにありませんでした。また、亀仙人は当初は不老不死の水をのんだといっていましたが、ピッコロ大魔王戦でそんなものはないと天津飯に言っていましたし。
あと若さについても桃白白は見た目50代くらいの若さを保っていたので師匠でも大丈夫でしょう。
3つ目シャイニングフィンガーは接近戦だけでなくエネルギー波として放つこともできます。

さて次の更新は今月中にはできればいいなと思っています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話『師匠驚愕!悟空の大変身!放て流派東方不敗最終奥義ィィィ!』

さてみなさんついに第21回天下一武道会もついに決勝戦を迎えることになりました!

みなさんご存知のように決勝の組み合わせは東方不敗マスターアジアと孫悟空!

いったいどちらが勝利し天下一の称号を手に入れるのか!

それではドラゴンファイトレディーゴー!


前回準決勝第二試合ドモンカッシュ対孫悟空の試合は激戦に次ぐ激戦の中、かめはめ波対シャイニングフィンガー対決にて生き残った悟空の勝利と終わり、東方不敗マスターアジアとの決勝戦を迎えることになった。

 

だが、決勝戦線は当初の予定と異なり3日延期となった。本来の天下一武道会の日程では予選から決勝戦まで一日で全ての試合が行われるはずであったが、準決勝第二試合の激戦にて勝者である孫悟空が決勝戦を満足に闘える状態でなかったためと万全の状態の孫悟空と戦いたいとの東方不敗マスターアジアの要望により、天下一武道会決勝戦は準決勝第二試合終了時刻からちょうど72時間後午後五時からとなった。

 

 天下一武道会会場

 

 近年の武道大会決勝の3日延期は当初武道大会を楽しみにしている多くの観客達から批判や不満が出るかと思われたが、これまでの本選六試合を見てきた多くの者達が両選手の完全な状態での試合を見たいとの意見が大多数をしめとくに問題とはならなかった。

 

「ご来場の武道を愛する皆様、大会に参加した武道家の皆様ついに、ついに今大会第21回天下一武道会もクライマックス決勝戦を迎えることになりました。ここで改めて決勝戦を戦う二人をご紹介いたします。東方不敗マスターアジア選手と孫悟空選手です。まず、東方不敗マスターアジア選手は皆様すでにご存じのように世界最強と謳われる流派東方不敗を極めた武道家であり、また、天下一武道会にて過去五度の優勝をした天下一武道会の歴史上最強のチャンピオンであります。一方もう一人の決勝進出者である孫悟空選手は大会最年少の12歳の少年ですが、なんとこの孫悟空選手はあの武術の神様武天老師様のお弟子さんなのです。いったいどちらの選手が勝利して、天下一の称号を手にするのか、」

 

 審判はそこで一呼吸置いてそして言った。

 

「それでは、天下一武道会決勝戦始め。」

 

 最終決戦がついに始まった。いったい勝利を掴み天下一の称号を手に入れるのか!

 

 

 

 

 

 

 

「とりやあぁぁー!」

 

「はあーッ!」

 

 二人の拳が衝突し火花が散る。前回のドモン戦以上の強い連打を繰り出す悟空。前回の試合で受けたダメージは全くない様子だ。観客や並みの実力の武道家達はまったく二人の攻防を目で捉えることはできないが、これが別次元の戦いであることはここにいる皆が感じ取ることができた。また、クリリンやヤムチャもあまりの早さに目で追うのがやっとだったのである。この会場内で二人の動きを捉えきられていたのはドモンと亀仙人の二人だけであった。

 

(こやつ、先日のドモンとの試合時より強くなっておる!)

 

 悟空の先の戦いからの驚異的な回復力や潜在能力等を東方不敗は試合前から感じていたが、実際に悟空との戦いでそれが想像以上のものであったと再認識することになった。

 ちなみに、三日間で悟空の準決勝で受けたダメージから完全回復できるのかと一部から危ぶまれたが、数件の飯屋の食材を食いつくすことによって準決勝以前以上の状態になったことで問題はなくなった。その一方で亀仙人やブルマの財布を空にしたのであった。

 この時点においてこの場にいる誰も知るよしもないことであるがサイヤ人としての常識はずれの復活力やサイヤ人の戦いに対する闘争本能が悟空に影響をあたえたのかもしれない。

 

 一方東方不敗への挑戦者でもある悟空も今までにない強敵と戦いワクワクを感じられずにいられなかった。世界には自分よりも強く上には上がいるという亀仙人の言葉を思いだし正しかったことを戦いながら理解した。

 

(もしわしが亀のやつよりも先にこやつめと出会っていたら、わしも亀のやつと同じように弟子にしただろうな。)

 

 孫悟空という天才的な武道の才覚を持っている少年と出会えたことへの喜びと先に弟子にしたいと思ったことへの少し残念という気持ちを彼は思った。

 

「はあっ」

 

 東方不敗の背後に現れた悟空に裏拳を繰り出すがその攻撃は空を切った。東方不敗が攻撃したものそれは悟空の残像であった。

 

(残像か!)

 

 先の試合でドモンが見せた残像拳を一度見ただけで完全にマスターし自分の物とした悟空の武道家としてのセンスを残像であったことに動揺せずに瞬時に悟空の気配を探す。

 

「ではこちらか!」

 

 再び悟空の現れる場所を予測して攻撃するが、

 

ヒュンッ

 

「何っ!」

 

 またも空振りで半透明の悟空の姿を切った。

 

「こっちだ!」

 

 叫びながら頭上に現れた悟空、足を繰り出し攻撃する。完全に攻撃が決まったと誰もがこの時思った。

 

「くっ。」

 

 東方不敗は避ける動きはせず防御の構えを取ろうとするが一歩悟空のが早かったために悟空の蹴りは東方不敗の左頬をかすった。攻撃を命中させた悟空は東方不敗が反撃をする前に素早く攻撃の第二波第三波の攻撃を防御体勢の東方不敗に叩き込んだ後、後ろへ数回後転して距離を取り東方不敗の反撃を備えた。

 

「へへーん、二重残像拳だ。」

 

 東方不敗の行動を警戒しつつ悟空は陽気に言った。

 

「なんて小僧だ、ドモンの残像拳を一度見ただけで自分のものにしおった。だが、それだけではない。」

 

 東方不敗が驚いたことはそれだけではない。残像拳を一度見ただけで、使えたことも凄いことではあるがそれ以上に東方不敗マスターアジアほどの格上の武闘家に通用するレベルの技を極めたことをとても東方不敗は驚いた。

 

「ふふっ、それに今の蹴りは少し効いたぞ、わしに血を出させるとは貴様の祖父孫悟飯以来数十年ぶりだ。」

 

 手で左頬へ受けた攻撃によって口から出た血を拭うと東方不敗の目付きが変わった。

 

「じっちゃんと戦ったことがあるんか。」

 

 思いがけぬ悟空が最も尊敬する祖父孫悟飯の話が出て嬉しくなる悟空。

 

「亀とともに稽古をつけたこともある。」

 

「へえー、マスターのおっちゃん凄いんだな。」

 

 素直に感心する悟空。

 

「この東方不敗マスターアジアの本気を少しだが見せてやろう。無論全力ではないがな。」

 

 不敵な笑みを浮かべほんの一瞬の間を置いて

 

「はあっ!」

 

 気を解放した東方不敗は目にもとまらぬスピードで大地を強く踏み出し悟空に向けて走り出した。

 

ごふっ

 

 防御する時間もなく一方的に東方不敗の攻撃を受けた悟空。

 

「うっ。」

 

 右左と守る暇やかわす暇もなくリズムよく攻撃を受けている悟空。何十発東方不敗の攻撃を受けた悟空はそれまでで一番大きなケリ攻撃を受け吹き飛ばされた。吹き飛んだ悟空に対して東方不敗は手を緩めることなく追撃体制を取り吹き飛ばされる悟空よりも早いスピードで攻撃しようとした。

 

「かっかめはめ波ああー!」

 

 なんとか反撃する瞬間を手に入れた悟空は東方不敗が近くまで接近する前に今までにないスピードでかめはめはを繰り出した悟空。これで最悪でも一時的に東方不敗の攻撃を止められると誰の目にも思えた。だが、

 

「ふんっ小癪な、効かぬわ」

 

 かめはめ波が東方不敗に着弾する瞬間右手を突き出し受け止めかめはめはをかき消した。

 

「うっ」

 

 かめはめはをかき消した東方不敗はすぐに攻撃に移るのかとおもいきや一旦攻撃の構えを解いた。

 

「・・・残念だが、貴様はこれで負けだ。すぐに決着がつく。」

 

 先の試合のドモンと同じように東方不敗の右手が光始める。ドモンが黄緑色に光っていたのに対して、東方不敗は紫に光る。その紫の光は禍々しく圧倒的な威圧感を見むものに感じさせる。特にこれを受ける対戦相手である悟空が一番感じていた。

 

「ダークネスフィンガー!」

 

 先ほどとは比べ物にはならないなほどのスピードで詰め寄り悟空の頭部を捉えた。

 

 悟空は両腕で東方不敗の右腕を掴み剥がそうとするが、東方不敗の腕は微動だにしない。

 

「はっ離せぇっ」

 

 両腕だけでなく両足やしっぽも使って拘束を解こうとするが通用しなかった。

 

「わしのダークネスフィンガーにここまで耐えるとは、だが。」

 

 悟空が東方不敗のダークネスフィンガーを受けてから十数秒しか立っていないが当の攻撃を受けている本人である悟空にとっては永遠の苦痛にも思えた。ゆっくりとだが徐々に手に力を込めていく東方不敗。輝きが強くなるほどそれに比例してダークネスフィンガーに込められていく力も強くなっていく。その力、ドモンのシャイニングフィンガーをはるかにしのいでいる。

 

「降参せい、おぬしの勝機はもうない。」

 

 諭すように降参を勧める東方不敗。誰の目にもこのまま東方不敗の勝利に終わると思えた。

 

「ぐぬぬぬっ」

 

 サンサンと輝く太陽が沈みそれに変わって月が現れるなか悟空はやせがまんや根性でなんとかダークネスフィンガーに耐えていたが、いつまでも耐えられるものではないこと悟空にもわかっていた。 

 

ごおんっ!

 

「仕方ねえ、・・・まっ、ま、まいっ、・・・あっ!」

 

ごおんっごおんっ!!

 

 悟空は負けを認めることにした。くやしいが今の自分では勝てない相手だと拳を交えることで理解できた。今は勝てなくももっと修行を積んでまた今自分の前にいる男に挑戦しようと思った。だが、最後の一言を悟空は発することはできなかった。

 

「うんっ?」

 

 東方不敗は悟空の異変に真っ先に気が付いた。さきほどまで東方不敗のダークネスフィンガーにもがき苦しんでいた悟空が

 

ごおんっごおんっごおんっ!!!

 

「・・・」

 

 悟空の心臓が他人にも聞こえるくらいに早くなる。そして、悟空は低い声でうめき出し数秒後にはリング外の人間にも聞こえるほどに大きな声で唸りだした。

 

「グッグギギギー」

 

 悟空は巨大化と気の上昇により東方不敗のダークネスフィンガーによる拘束を解いた。

 

「何!」

 

 東方不敗は後ろに飛び悟空と距離をとり様子をうかがう。

 

「「「「まさかっ!!!!」」」」

 

 ヤムチャ、ブルマ、ウーロン、プーアルの四人は昨年ピラフ城で起きた出来事を思い出した。

 

「ヤバイわ。」

 

「満月だ!」

 

 思わず手を顔で覆って言った。これから起きる事に対して・・・。

 

「いったい孫選手どんな技なんでしょう。」

 

 その一方で審判を始め悟空の変身の秘密を知らない大勢者達はこれは悟空の技だとこの時点では思っていた。概ね悟空の起死回生の大技という印象である。

 

「技なんかじゃない、みんな早くここから逃げるんだ!」

 

 ヤムチャはリングの場外の溝と観客との間の手すりほどの高さの壁に飛び乗り会場全体に叫んで警告するが、誰もここから離れようとしなかった。また、自分たちだけが逃げる訳にはいかないとヤムチャは思いこの場から動かなかった。 

 

 悟空の体がどんどん変化していった。悟空の体中から獣のような体毛が生え数十メートルの巨体へと変化していった。

 

「グオオオー!」

 

 悟空の咆哮が会場中、数キロ先の人々までに響く。

 

「こやつ、変化しおった。」

 

 東方不敗を始めとして巨大化した悟空の変化に驚いた。

 

「なんじゃいったい。」

 

 亀仙人は悟空の変化を知らなかった。

 

「・・・悪夢だ・・・」

 

 ヤムチャそうつぶやき絶句する。

 

 大猿化した悟空は今まで戦っていた東方不敗には眼中になく周囲の者を無差別に攻撃を始めた。次々に壊されていく武道会場やリングたち。観客たちに被害が出るのも時間の問題であった。

 

 さすがに大半ののんきな観客たちもこの異常事態に気づき避難し始めた。

 

「正気に戻らんか。」

 

 悟空が放り投げたものや無差別攻撃を避けながら東方不敗は悟空にいった。だが、その言葉は悟空には届かない。

 

「ならばこの技で目覚めさせてくれるわ、酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ!!!」

 

 独特のポーズをとった後、東方不敗は飛翔し蹴り技を決めた。東方不敗の攻撃は大猿に変身した悟空の腹部に直撃した。数十メートルある巨体を軽々と蹴り上げてふっ飛ばした。そして、

 

「爆発!」

 

ドンッ

 

 着地する前に爆発の掛け声と両手両足を左につきだした。そして、同時に悟空の腹部あたりが大爆発した。

 

「・・・やったのか」

 

 逃げ遅れていた観客や立ち止まっていた観客が今の爆発を見て倒したのかと安堵するが。

 

「グオオオッー」

 

 安心できたのは一分にも満たなかった突然悟空は目をかっと開き立ち上がった。東方不敗の攻撃で少しふらついている様子だがあまりダメージはなく再び暴れ始めた。

 

「きゃあああ!」

 

「逃げろー!」

 

 先ほどまで試合への大歓声が恐怖や悲鳴の阿鼻叫喚の大歓声へと変わった。

 

「わしの奥義を受けてすぐ立ち上がるとは」

 

 驚愕する東方不敗。

 

「孫選手!突然叫びだしたかとおもいきやなんと大きな猿に変身しました。私もこの場をすぐに逃げたい心情でございますが審判として試合が終わる最後までここへ離れるわけにはいきません。」

 

 先ほどまでリング外の外壁で試合を見守っていた観客たちが一目散と我先に全力で逃げていく中で審判のおじさんは審判としてのプロ意識からリングから離れようとせず実況を続けていた。

 

「悟空、しっかりしろ。元に戻れよ、みんなが危ないじゃないか」

 

 クリリンはリングから離れず悟空に叫ぶ。しかし、クリリンの叫びは悟空には届かない。必死に呼び続けるクリリンのもとにヤムチャが近づいた。

 

「早く逃げるんだクリリン、あれは技なんかじゃい。悟空は満月を見ると大猿に変身してしまうんた。今の悟空には理性はないんだ。」

 

 クリリンの手を引き大猿化した悟空から離れるヤムチャ。

 

「満月を見ると変化するのか。」

 

 今だリング内にて留まっていた東方不敗はヤムチャの話を聞いてある妙案を思い付いた。東方不敗の心のなかでこれしか今の悟空を何とかする方法はないと思った。

 

「ならば根源を破壊するしかあるまい。」

 

悟空を止めるために覚悟を決めた東方不敗。その表情には一点の迷いもない。そして、

 

「はあああっ!」

 

 気を高め始める東方不敗、その力準決勝での最後の撃ち合いの際の二人の技を足しても遥かにしのぐほどのものである。そして、

 

「何をするつもりですか師匠、いったい。・・・まさか」

 

 東方不敗から溢れ出る気をドモンは感じ取り東方不敗がしようとすることを真っ先に気づいた。

 

「はあああっ!・・・覚えておるか、ドモンよ。おまえには以前この技を一度見せたことがあったな。」

 

「まっまさか!あの技を!」

 

「ドモン、あの技って?」

 

 レインがドモンの隣で尋ねる。

 

「・・・流派東方不敗最終奥義石破天驚拳、師匠の最強の技だ。」

 

 流派東方不敗最終奥義石破天驚拳、東方不敗の弟子であるドモンも一度しか見たことがない大技である。流派東方不敗の中でも最強の技であり術者の技量次第で破壊できぬものとはないと謳われる東方不敗マスターアジアにしか会得していない技である。

 

(・・・クロス、お前まさか流派東方不敗最終奥義石破天驚拳で悟空を・・・いや、おまえの狙いはあれか!)

 

 亀仙人は東方不敗の意図をここにいる者のなかで唯一理解した。

 

「な、なっ、なんなんでしょう、東方不敗マスターアジア選手、いったいどんな技を繰り出すのでしょう。流派東方不敗最終奥義石破天驚拳とは、・・・私も逃げたいですが、審判として試合が終わるまでリングから離れるわけにはいきません。」

 

 彼はけっして職業道具のマイクを離さず言った。先ほど同じことも言っているが逃げようとしない審判の精神は称賛に値するものだった。だが、彼の声を聞くべき観客は悟空の関係者たちだけであったのは残念であった。

 

「・・・プロだわ。」

 

(・・・試合と言っても悟空は場外に出ておるからもう関係ないと思うが・・・)

 

 少し離れていて悟空を見ていて呆れつつも感心するブルマと冷静に突っ込んでいる亀仙人。

 

「やめろー!」

 

 一方ヤムチャは東方不敗が悟空を殺してでも止める気だと真剣に思った。

 

「そう、そしてあの時もこの流派東方不敗最終奥義を放ったはず。」

 

 つきだした東方不敗の手のひらに光が集まっていく。

 

「そうだ、これが、流派東方不敗最終奥義ィィー!」

 

 先ほどのダークネスフィンガーの気をはるかに凌ぐ力が溜め込められついにそれが放たれる時がやってきた。

 

「石破っっ!!!天驚拳ぇぇぇん!!」

 

ズドドドッー!!!

 

 ついに流派東方不敗最終奥義石破天驚拳が放たれた!

 

「グオオオー!」

 

 その悟空の咆哮は最後の咆哮となり光への中包まれ見えなくなっていた。 

 

「「「うわあああー!!!」」」

 

 石破天驚拳が放たれたことによって至近にいた者はサングラスをかけていた亀仙人を除いて目を背けた。

 

シューン

 

「悟空・・・。」

 

「孫君が・・・しんじゃった。」

 

 泣き崩れヤムチャの肩にうなだれるブルマ。ウーロンやクリリンたちも泣きながら悟空が死ぬもんかと泣き叫び悲しんでいた。

 

「馬鹿野郎、この人殺し。」

 

「ひとでなしー。」

 

「何とか言いなさいよ、あほんだらー。」

 

 クリリン、ウーロン、ブルマは東方不敗に非がないことも仕方なかったことも理屈では理解ていたが、この悲しみをぶつける相手が今の彼ら彼女らには必要であった。

 

「何を勘違いしておる、あやつはまだ死んではおらぬ!」

 

 しかし、彼らの心を救ったのは東方不敗の一喝であった。。そこには言葉に出来ない力強さを一同に感じさせるものがあった。

 

「えっ?」

 

 東方不敗の一言で皆の気持ちが絶望から希望へと変わった。そしてやがて、煙が収まったリングの中央に裸で寝ている悟空がいた。まるで、何事もなかったかのような寝顔であった。

 

「では、いったい・・・マスターが攻撃したのは・・・。」

 

 ヤムチャは悟空ではなく何を攻撃したのかわからなかった疑問を東方不敗にぶつけた。

 

「わしが石破天驚拳を放ったのはあの月だ。」

 

 東方不敗は上空の月がある方向、いや月があった場所を指さした。

 

「「「・・・月?・・・」」」

 

 武天老師を除きすぐに理解できなかった。

 

「おまえたちが満月を見たから悟空が変身したからと聞いてな、だから、月を跡形もなく破壊したのだ。」

 

 月を破壊したと平然と言ってのけた。

 

「月を跡形もなく・・・破壊・・・した」

 

 誰もが誰に対していうでもなく自分自身に対して口に出して東方不敗の言葉を理解するために口々に皆が言った。

 

「「「えええーーー」」」

 

「ああー、本当だ。」

 

 この場にいる全員が叫びすぐに月のある方へと目を送った。そこには先程までほんの5分前まであった満月の姿がなくなっていた。

 

「これはとんでもないことをしてくれました。これから、お月見をどうしたらいいのでしょうか。これで月見団子を食べることもできませんし、狼男も変身することもできません。」

 

 派手なオーバーリアクションで実況する審判。観客達はあまりの出来事にとくに審判の言葉に反応を示さなかった。そして、審判への反応は月を破壊した張本人である東方不敗から一喝がかえってきた。

 

「やかましい。さっさとカウントせんか。」

 

 どうでもいいことを言い続ける審判に仕事を思い出させた。

 

「はっはい、ワーン・・・ツー・・・」

 

 やかましいの一言で冷静を取り戻した審判はカウントを始めた。

 

 ちなみにつき破壊のニュースはその後全世界に電撃的に伝わっていた。次の見出しはその一部を抜粋したものである。

 

『世紀の大事件!東方不敗マスターアジア氏、月を破壊!』

 

『悲報!突然の出来事!お月見文化終焉!』

 

『訃報!兎人参化元親分、月消滅とともに行方不明!』

 

 などと次の日、世界各地の新聞、週刊誌、うさぎ団の会報誌などで大々的に報道されたがこの時点で月がなくなったことを気づいた者は少なかった。

 

 さて、余談はさておきついに天下一武道会も終了の時がやってきた。

 

「ナイン・・・テーン!!!よって勝者、東方不敗マスターアジア選手。」

 

 そして審判は一呼吸置いて最後の次に一言をいった。

 

「優勝です、天下一武道会優勝は東方不敗マスターアジア選手!」

 

 今大会最大の音量、ハイテンションで東方不敗の勝利を叫んだ。

 

「まったく素晴らしい試合でした。今大会も天下一にふさわしい試合の連続でありました。孫悟空選手まだ目覚めませんが、最年少の出場者でありながら惜しくも準優勝となりました。ご来場の皆さん孫悟空選手に惜しみない拍手をお願い致します。しそして、圧倒的強さを見せた東方不敗マスターアジア選手に祝福をお願いします。」

 

「・・・あれえっ?」

 

 審判が一人閉会の言葉を述べていく中悟空が目を覚ました。

 

「孫君!」

 

 ブルマが一番に近づいた。ヤムチャやウーロンたちも続けて近づいていった。

 

「どっどうしたんだブルマ。」

 

 突然の出来事に困惑している悟空。

 

「孫君が無事でよかった。」

 

 泣きながらブルマは悟空を強く抱きしめながら言った。また、周囲では悟空をみんなが取り囲み口々に安堵の言葉を述べた。

 

「オラ試合負けたのか。」

 

 悟空の言葉や表情には残念や後悔の気持ちは感じられない。

 

「ところでヤムチャ、なんで周りが壊れているんだ。まるで台風の後みてえだな。」

 

 悟空はヤムチャは尋ねる

 

「えっと、悟空はそのなんだ。」

 

 ヤムチャ達は本当のことを悟空にいうべきか悩む。誰自分から悟空に説明しようとしない。

 

「よくわからないけど、まっいっか。」

 

 ヤムチャたちが答える前にけろっとどうでもよくなった悟空であった。

 

「東方不敗選手、本大会もいろいろ波乱がありましたが六度目の優勝おめでとうございます。今大会を振り返って感想を一言お願いできますか。」

 

 マイクを近づけた。

 

「そうだな、優勝自体にはあまり興味もないが今大会で孫悟空という将来楽しみな小僧を拳を通して知ることができたのが最大の収穫だ。」

 

「師匠、優勝おめでとうございます。」

 

「東方不敗選手お弟子さんであるドモン選手になにかこの機会にお伝えたいことはありますか。」

 

「一言これだけいっておく。」

 

 返事とともに東方不敗は高く飛び上がりドモンの赤いバンダナを奪い取り言った。

 

「答えろドモン!流派!東方不敗は!」

 

 右手を突き出し、バンダナをドモンに投げた。

 

「王者の風よ!」

 

 東方不敗の問に答えるドモン。

 

「全新!」

 

「系列!」

 

 東方不敗、ドモン、東方不敗と交互に叫びながら二人は拳と拳を合わせる。

 

「「天破侠乱!」」

 

 二人の拳のラッシュが早くなっていく。

 

「「見よ!東方は赤く燃えているぅぅぅ!!!」」

 

 二人の体から発する激しい炎や光、お互いの拳がぶつかり合うたびに大きく火花が散っていく様子がほかのものにも見えたのであった。

 

「「「ポカーン 」」」

 

 悟空やブルマ達、審判、戻ってきた観客たちはその光景を呆然と見ているしかなかった。他人にはわからない世界にあるのかと大半の人は思った。

 

 とにもかくにも第21回天下一武道会は東方不敗マスターアジアの優勝に終わった。

 

 このあと、彼らはホテルに戻り祝勝会を開いた。ブルマやヤムチャ達はあまり酒を飲まないようにするが、無駄な努力に終わった。ちなみに、大会東方不敗が得た50万ゼニーは食事代やホテルの修理代に消えた。

 

 

 

 

 

 

一方その頃同時刻西の都WYコーポレーション本社

 

 地球にある数多くある都市の中でも人口、経済規模などで最大規模を誇る西の都、その中でも栄華を誇る西の都の中央部に連なる超高層ビル群の一角のビルにある一人の青年が最上階に近い階のある一室にいた。青年がいる部屋はあまり派手な内装ではなかったが、年齢にはあまりに合わない落ち着いた無駄のない作りのデザインであった。それらすべてが一流の品々はこの青年が所有するものであった。また、この部屋者だけでもなくこのビル自体が彼一人の所有物でもあった。部屋には中央のソファに座っている青年の他に背後に彼より五歳くらい年上の男が立っていた。

 

 二人はある映像を巨大なスクリーンで熱心に見ていた。その映像とは、天下一武道会決勝戦東方不敗マスターアジアVS孫悟空の試合のリアルタイム映像であった。

 

 一般に武道大会は基本的にテレビ放送やネット映像配信などはされていない。(テレビ放映が開始されたのはミスターサタンが優勝した第24回天下一武道会からであった。)しかし、一部の武道大会の愛好者である資産家や大富豪が世界には数少ないほどおり中には自前で専門の撮影班まで送りコレクション用に記録することもある。その中でこの男は資金面や設備面では最上位を誇っていた。

 

「これはこれは久しぶりに驚きましたよ。」

 

 100インチ以上の大画面のモニター越しに青年は拍手しながら言った。驚いてるというよりは大変面白そうであった。少年がTVアニメの手に汗握る名シーンを見ている時のような感じであった。

 

「まさか、人間一人の力で月を跡形もなく破壊するとは」

 

 もう一人の青年(彼の姿は長身で男性にしては長髪であり変わったシルバーのマスクを付けた姿は見るものに対して威圧感を放っており、また着用している軍服越しに素人目にもわかる鍛えあげられた筋肉はより一層彼の印象を引き立てていた。)よりは年上で軍服を着た男の受け止め方は青年よりは真面目であった。絶句といっても過大でないほどの衝撃であった、

 

「まったく規格外の強さですよ。もう少しで我々の撮影用の偵察衛星や無人機が巻き添えで壊されるところでした。」

 

 面白げに青年は語る。驚いているよりも未知の規格外の存在の素直に受け入れている様子だった。これが青年をこれまで成功させてきた秘訣なのかもしれない。

 

「あの途方もない力が味方ならあれ以上に頼もしいものはありませんが、」

 

 軍服の男は途中で次の言葉を止めた。自分の主人が自身が考えている先を理解しているのか試したかもしれなかった。

 

「敵となった時は恐ろしい相手になりますね。」

 

 彼の主人というべきこの青年は男の考えをすぐに答えた。

 

「はい。」

 

 彼自身まだ若いが経験や知識は豊富であった。そのため東方不敗の恐るべき戦闘力に表には出さないが恐怖や畏敬の念を覚えていた。既存の地球に存在する最大の兵器を使っても惑星や衛星の表面を傷つけるのがやっとである。その現時点での世界の常識を打ち破る東方不敗という存在はもし敵対すればどうなるか想像するのも恐ろしい結果になるだろうと彼は瞬時に頭の中で計算し理解した。

 

「ところでイシカワ君、例のものの一つは手に入りましたか?」

 

 再び映像を東方不敗が最終奥義を放つ直前にまで巻き戻しながらイシカワと呼ばれた男に声をかけた。

 

「はい、こちらです。」

 

 すでに用意して足元に置いてあったジェラルミンケースをテーブルに乗せた。そして、そのケースのロックを解除しケースが開かれた。開かれたケースの中にはさらに小さな箱が入っており、その箱をイシカワと呼ばれた男は手に取りもう一人の男に丁寧に手渡した。

 

 開かれた箱の中にはいっていたのは、七つ存在するドラゴンボールの一つである三星球であった。それを右手で取り、自分の目線の前に持ってきた。

 

「これがドラゴンボールですか、実に美しい輝きです。古来より多くの権力者や野心家どもを惑わせ、これを巡って争わせてきただけのことはありますね。」

 

 言い終わると男は右手に持っていた三星球をゆっくり先ほど入っていた小箱に戻した。

 

 再び箱の中のクッションの中央に置かれた三星球は頭上の照明の光が反射しきらりと光る。なにかもが透き通る光には万人を魅了する力があるのかもしれない。

 

「それでは、これを手土産に明日例の自尊心だけの小男の所に向かいましょう。」

 

「はい、しかし、本当にこれをあのような男に渡してよろしいのですか。」

 

 イシカワと呼ばれた男は彼に尋ねた。彼が尋ねるのも無理はない。この七つ存在するドラゴンボールの内一つを見つけ出すためにも少なくない資金や人員を動員していたのだ。その苦労して集めたボールを即座にあっさりと手放すのだ。凡人にはできない選択なのだろう。

 

「ふふっ、ええ問題ありませんよ。これは単なるビジネスの一つですよ、ビジネスのね。」

 

 男はコーヒーカップを手に取り少量をゆっくりと飲んだ。そして、カップを持ちながら最後に言った。

 

「それにしてもあの大猿に変身した少年も気になりますが、ぜひとも一度お会いしたいものですね、東方先生。」

 

 ある男の陰謀により新たなドラゴンボール争奪戦が始まろうとしていた!次回に続く!

 

第一章 第21回天下一武道会編 完

 

第二章 レッドリボン軍編 開始

 

次回予告

 

みなさんおまちかね!

 

大熱戦であった天下一武道会も終わり、新たなドラゴンボール探しに出発する悟空とドモン!

 

しかし、悟空一行の前に世界最強の軍隊が立ちはだかります!

 

また、その両者の裏で暗躍する組織も現れました!

 

いったい誰が7つのドラゴンボールを手に入れるのか!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第七話「動き出す野望!進撃のRB軍!」に

 

レディーゴー!




さて、第六話私の中でまだ状況映写など不完成な部分もありますので、少しずつ良くしていきたいと思います。

第七話は今回よりも早く投稿したいと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

RB軍編
第七話『動き出す野望!進撃のRB軍』


 さてみなさん、今回のお話は前回までの天下一武道会からの舞台から変わって西の大陸のとある場所から世界が動き始めます!

 それではドラゴンファイトレディーゴー!




RB軍本部

 

 大陸の西側森林地帯にレッドリボン軍の本部基地が存在する。この地域の地図上には記載されている。一方のこの地を訪れるものはレッドリボン軍関係者を除いてほとんど存在しない。年に数回程度事情を知らない一般人がレッドリボン軍の所有地に誤って侵入してしまい問答無用で撃墜されている。また、レッドリボン軍と敵対する中央政府や他の軍組織からの攻撃や偵察を受けるが今だ成功した組織はいなかった。

 

 しかし、誰もが恐れるレッドリボン軍の本部を訪れる男が現れた。

 

「ようこそおいでになられました。ミスターウォン。」

 

 その男の名はウォンユンファ、世界的大企業WYコーポレーションの社長である。レッドリボン軍の総帥レッドに対等の関係で会える数少ない人の一人である。

 

「ブラック参謀、お久しぶりですね。」

 

 専用のプライベートジェット機から降りるとすでに着陸ポイントにて待機していたレッドリボン軍のNo.2の実力者ブラック参謀と軽く挨拶と握手をした。ブラック参謀、レッドリボン軍総帥の補佐官として実質的に組織全体を動かしている男だ。身長190CMを超える長身の壮年の黒人男性でありレッド総帥よりも部下や兵士たちから恐れられている。

 

「さて本日はどのようなご用件で」

 

 自分よりも20CMほど小柄な男を首を上から見下ろしながら言った。一見ブラックの目の前にいる青年は軍人であるブラックや青年の一歩後ろにいるウルベイシカワとかいうSPとくらべてもひ弱に見えるが、ブラックのような軍人とは違うオーラを持っていた。それもブラックが今までレッドリボン軍の軍人として何十年も仕事をしていくなかでこの男は最上級のものであると感じていた。

 

「そうですね、ここでおはなしても問題はないのですが、ぜひレッド総帥閣下に真っ先にお話したいと思っています。」

 

 世界最悪最強の軍隊と言われるレッドリボン軍の総帥にアポなしで突然訪問したのだ。よほど重要な案件でなければ迷惑でしかない。ウォンのようなVIPでなければ銃殺されても文句はいえない。

 

「そうですか、わかりました。それでは、さあ中へどうぞ。ミスターウォン。レッド総帥がお待ちです。」

 

 ブラックは納得は行かなかったがやはりウォンの前でこれ以上突っ込むのはやめた。

 

(相変わらずこの男何を考えているかわからぬ)

 

 ブラックやレッドリボン軍の立場からとしてはウォンユンファはレッドリボン軍にとって有益な人物であるが、一方油断ならぬ相手であることをブラックはこれまでの関係で感じていた。

 

(だが、油断ならぬ男であることは確かだ)

 

 ウォンが支配するWYコーポレーションは世界有数の大企業でありカプセル関連の世界シェアはカプセルコーポレーションに次いで世界第二位である。また、軍事部門では世界でトップシェアでありその得意先には中央政府の国王軍から反政府ゲリラまでに兵器を手広く厚く販売している。無論レッドリボン軍もWy社の最大の顧客であった。

 

 そしてここにいるウォン・ユンファこそWYコーポレーションをわずか十年あまりで地方の財閥企業から世界最大の企業へと成長させたのがこの男だ。今だ実年齢30前のこの男はブラックと20歳近く年齢が離れているが侮ることはできないとブラックに初めて出会った時から感じさせていた。

 

 そうこうするうちにしばらくしてレッド待つ部屋へとウォン一行はブラックの先導のもとレッドが待つ部屋へとたどり着いた。

 

「こちらです」

 

 先導してきたブラックがノックをシて扉を開けるとそこには一人の男が座っていた。赤髪に眼帯の威厳のある顔を持つ背の低い男がいた。その名はレッド総帥、レッドリボン軍の支配者である。また、彼の膝の上には彼のペットの猫のように見える生き物がウォンを睨みつけていた。黒猫とコウモリを掛けあわしたようなその容姿はウォンの目から見てかわいさは感じられなかった。この生き物をレッドはかわいがっているらしい。

 

(相変わらず異色の組み合わせですね)

 

 普段のビジネススマイルを崩さずウォンは思った。そんなウォンの心も知らずレッドはウォンに話しかけた。

 

「ミスターウォン、良くきてくれた。さあ座ってくれ。」

 

 一見フレンドリーに対応するレッド総帥だが、内心この急にやってきた面倒な客人に早く帰ってもらいたい心境であった。ウォン・ユンファはレッドリボン軍にとって最も友好的で有益な人物であったが、一方でWY社やウォンの力や影響力は将来レッドリボン軍にとって脅威になるではないかと思うようになっていた。この点でレッドとブラックの考えは共通認識であった。

 

 ウォンがレッドの対岸の席に座り一言二言の社交辞令を話した後、早速ウォンは話し始めた。

 

「それでは単刀直入ではありますが、レッド総帥、ドラゴンボールという物をご存じですか?」

 

 ウォンは早速本題であるドラゴンボールの話をした。

 

「ドラゴンボール・・・ブラック貴様は知っているかドラゴンボールとやらを?」

 

 レッドは少し自分の記憶の中を探すが知っていなかったため彼の知恵袋であるブラックにドラゴンボールのことを尋ねた。自分にない身長を持つ忌々しい(うらやましい)男であるが軍人や組織人として有能なことはさすがのレッドも理解していた。

 

「はい、確か・・・この世界のどこかに存在する七つのドラゴンボールを全て集めると龍が現れ、どんな願いも一つ叶えてくれるという不思議な球の話だったと思います。」

 

「ほうっそんな話があるのか」

 

 ドラゴンボールの話に興味を持ち始めるレッド総帥。

 

「・・・しかし・・・。」

 

「しかし、何だ」

 

 ブラックの態度に不審げにレッドは尋ねた。

 

「はい、ドラゴンボールとはあくまで昔話、出所が不明の伝承の域にすぎない話です。」

 

 ブラックはあくまで伝説などの古い作り話と断言した。

 

「失礼ですが、ミスターウォンあなたはそんな荒唐無稽な話を信じておられるのか。」

 

 ドラゴンボールのような与太話のためにレッドリボン軍総帥に会談しにきたのかと怒りが湧いてくるブラックが言った。しかし、そんなブラックの心を見透かしたようにウォンは話した。

 

「ブラック参謀、あなたが信じられないのも無理はない。それではいくつかドラゴンボールが存在する証拠をお教えいたしましょう。」

 

「証拠とは?」

 

 この時点でレッド総帥もブラック参謀両者とも一ミリ信じていなかったがウォンの次の説明で場の流れが変わった。

 

「ええ、まず昨年、突如世界中が真っ暗になった日を覚えていますか。数分の出来事でしたがまるでその時だけまるで太陽がなくなったように。」

 

「ああ、覚えています。原因は不明だったと」

 

 レッドとブラックは思い出しながら相槌をうつ。その出来事はレッドやブラックも体験した不思議な出来事だったが実害がなかったためこの二人にかかわらず世界中のほとんど人間が忘れかけている。レッドやブラックもウォン言われたことでようやくこの出来事を思い出した。

 

「はい、世間では現代の科学では解明できない超常現象と片付けられすでに人々の記憶から消えつつあります。一部の科学者たちの間では太陽の異常活動など人類滅亡などいろいろ説があるようですが我が社はその原因を解明することが出来ました。」

 

 我々だけが真実を知っていると断言するウォン。

 

「それで、その原因とは」

 

 食い入るようにレッドは次の言葉を急かした。

 

「こちらです。」

 

ウォンは自社製のタブレットをウルベに取り出させた。タブレットが起動されすぐにドラゴンボールから神龍が現れているシーンが映し出された。動画が始まり砂漠の中に場違いな巨大な城の前が立っていた。そしてそこには全長数百メートルもの巨大な龍が映し出されていた。これはウォンの所有する偵察衛星によって取られた映像や画像であった。

 

 呆然と画面を見つめる二人、一瞬これはCGなどではないかと疑うが、ウォンがそこまでして我々をだます理由もないと思い実際に起きた出来事なのだろうと考えた。

 

「また、映像や画像だけでは不十分でしたのでこの映像に映っている城の主を調べてみました。何らかの形でドラゴンボールと関係していると思いましたので」

 

「そして、調査の結果この城の持ち主はこの地方の富豪のピラフという男でした。ピラフは我々の独自の調査の結果以前よりドラゴンボールについて研究しており昨年ドラゴンボールを探すために有効なドラゴンボールレーダーを自ら開発してドラゴンボール集めを始めたようです。」

 

 淡々と話しをしていくウォン。それをじっと聞いているレッド総帥とブラック参謀。

 

「結果的にピラフはドラゴンボールの龍を呼び出すことはできたようですが、同じく同時期にドラゴンボールを集めていた集団に妨害され願いを叶えることができなかったようです。また今も再びドラゴンボールを探しをはじめたようです。」

 

 動画とウォンの説明が終わり腕を組んで考えるレッド総帥。そして、ウォンはドラゴンボールについて書かれている資料や独自に開発してできたドラゴンレーダーの設計図をレッドたちに譲渡すると言った。これらの行為にRB側は疑問を持った。

 

「しかし、一つ疑問があるのですが」

 

 ブラックはウォンに尋ねた。

 

「何ですか?」

 

 ウォンはフランクな声で応えた。

 

「なぜわれわれにドラゴンボールの情報を教えたのですか。しかもそのドラゴンボールのレーダーの設計図まで無償提供まであなたは・・・」

 

 ブラックの疑問も無理はなかった。巨万の富や権力、永遠の命などなんでも願いが叶えることができることができるといわれるドラゴンボールのことを今のところなんの見返りもなく

 

「ビジネスとしての貴軍への投資とでも思っていただければいいかと、あなたがたは我々にとって大切なお得意様ですからほんのささやかなプレゼントですよ。」

 

 表向きの理由をウォンはブラックに言った。ウォンとしてもちろん本当の理由を話すはずはなかった。

 

「たったそれだけの理由とは思えませんが。」

 

 ブラックはウォンの答えに納得が行かない様子でウォンの真意を探る。だが、

 

「それだけですよ。」

 

「ブラック、ミスターウォンにはミスターウォンの思惑があるのだろう。それくらいにしておけ」

 

 レッドはブラックのウォンへの追求を制止した。

 

「・・・わかりました、総帥。」

 

 頭を下げ一旦退くことにしたブラック。だが、いずれその目的を暴いてやると心に誓った。

 

「うむ、わかればよい。」

 

 ブラックの反応にレッドにとってこの大男のブラックを自由に操ることができることは彼の自尊心を満たすのであった。

 

「それでは、ミスターウォン堅い話はこれくらいにして別室で一席設けてあるが、どうかな。」

 

レッドはウォンに誘いをかけるが、

 

「いえ、残念ですがこれから別の予定がありますのでこのあたりで帰らせていただきます。」

 

 ウォンは丁重にお断りした。

 

「そうか、残念だ。」

 

 とは言うものの面倒な男にはさっさとこの場から退場してもらいたいと思っていた。そのため、ウォンの返事は渡船であった。

 

 そして、ウォンは部下とともに部屋を退出した。

 

「行ったか。」

 

「はい。」

 

 ウォンが立ち去ったドアを見てレッドは言った。ブラックからの返事を確認するとすぐさまブラックに指示を出した。

 

「ブラック、すぐに我が軍の最高幹部たちを本部に召集しろ。ドラゴンボール収集についての会議を行う。また、ウォンから受けとったドラゴンボール探知装置設計図を元に科学者共に早急に開発するように命じろ!」

 

 レッドが慌ただしく部下たちに作業を始めていく中ウォンの乗ったジェット機はレッドリボン軍本部基地から飛び立っていった。

 

ウォン専用ジェット機内

 

 ウォンが乗った自家用機はすでに速度を上げ上昇し高度一万メートルを飛行しており、窓からは美しい青い空のみが見えていた。そんな風景をウォンは眺めながら思考にふけっていた。そんな彼に対してウルベが話しかけた。

 

「今回もうまくいきました」

 

 ウォンと対面の席に座っていたウルベが言った。

 

「そうですね」

 

 答えながらウォンはウルベに彼の手元にあった一本の高級なウイスキーとグラスを手に取り適量を自らグラスに注ぎウルベのもとに手渡した。ウルベは一言礼と会釈をして一口くちに含み今日の成果について話し始めた。

 

「事前の性格調査通りあの小男はドラゴンボールの事にうまく食いつきました。」

 

 今回のレッドリボン軍との会談はウォンだけでなくウルベから見ても満足の行く結果となった。レッド総帥は思惑通りドラゴンボール探しにこれから躍起になって探すことになるのだからだ。ある長年の願いを叶えるために。

 

「今頃、躍起になって全軍を動かし始めているでしょう。もしもですが彼の願いが叶えられた時の部下の皆さんの思いを考えると笑えてきますよ。」

 

 純粋にこころから笑うウォン。レッド総帥の願いに。

 

「まったくですな。」

 

 ウルベも追従し言った。レッド総帥の願いはウルベやウォン、ブラックなどレッドから恵まれている者にとってに理解できないものだから。

 

「後は収穫する時期を待つまでこちらで誘導するだけです、もちろん、それまでの監視は十分に必要ですが。」

 

「相変わらずあなたは恐ろしい人だ、ミスターウォン。私がレッドリボン軍の軍人ならあなたとは敵でも味方でも相手をしたくない相手です。」

 

 ウォンの片腕として最も近いところで働いているウルベが一番この男の恐ろしさを理解していた。

 

「以前にも君に言ったかもしれませんが、私は味方や敵対するにしろ。主役になる気は毛頭ありませんよ、ずっと黒幕として人や世界を動かしていきたいと思いますね。」

 

 ウォンの最終目的、野望を知る人物はこの時点で知っているものはウォン自身だけであった。今日の会談によってレッドリボン軍がどのような運命をたどるのか。

 

 

 

 

 

 

三日後 RB本部

 

「諸君、よく集まってくれた。」

 

 レッド総帥の緊急召集の元に世界各地に展開していたレッドリボン軍の将軍や大佐たちが集まった。今や世界中に展開している最高幹部たちがレッドリボン軍本部の一室に集められた。会議室中央にレッド総帥がおり、その両サイドには、レッドリボン軍No.2ブラック参謀、実戦部隊の長ゴールド将軍が並んでいた。そして、次のようなメンバーが集まった。

 

レッドリボン軍最高幹部会議参加メンバー一覧

 レッド総帥

 ブラック参謀

 ゴールド元帥

 ホワイト将軍

 ブルー将軍

 シルバー大佐

 イエロー大佐

 カッパー大佐

 バイオレット大佐

 グレイ大佐

 ブラウン大佐

科学者代表

 ドクターゲロ

 

など以下数十名がレッドリボン軍の幹部たちがこの会議に集結した。

 

「諸君ら、レッドリボン軍の最高幹部を全員集めたのはドラゴンボールというボールを探してもらうためだ。」

 

 ブラックは言った。ブラックが言い終わると兵士たちがウォンから渡されたボールの資料を幹部たち一同に配った。

 

 また、ブラックの口からも先日ウォンから受けた説明をまとめた内容が話された。

 

 ドラゴンボールの存在に一同驚愕した。

 

「これさえあれば、世界我らレッドリボン軍の物だ。」

 

 シルバー大佐はレッドリボン軍への忠誠心から心から思った。

 

「ドラゴンボールこのようななものが実在するとは・・・」

 

 ホワイト将軍は資料を何度も読み返しては驚愕する。

 

(ふふっ、どんな願いも何でも叶えてくれる素敵なボールねぇ。私も機会があれば使ってみたいものね。それにしてもドラゴンボールの事を教えてくれたのがあのなかなかいい男のミスターウォンとは、何か裏がありそうね)

 

 ブルー将軍はポーカーフェイスで資料に目を通し思った。

 

 全員に資料が配られ五分ぐらいの時間が経った頃、ブラックは全員が内容を理解出来た思い続き話を始めた。

 

「諸君ひと通りドラゴンボールについてわかってもらえただろう。今回集まってもらったのはこのドラゴンボールを全軍をもって捜索してもらう。」

 

 次にドラゴンボールの必要なレーダー開発について話となり代表者が呼ばれた。

 

「ドクターゲロ、研究部の現状報告を行ってくれ。」

 

 科学者の代表者であるドクターゲロと呼ばれた男がすぐに立ち上がった。ドクターゲロ、多数の優秀な科学者団を有するレッドリボン軍中でも最高の科学者であり世界でも五本の指に入る天才科学者(ブリーフ博士、ライゾウ・カッシュ博士も同じく含まれる)であった。しかし、多くの科学者の間ではドクターゲロは天才的な才能は認めながらも陰湿でマッドサイエンティストなドクターゲロの事を嫌っていた。しかし、ブリーフ、カッシュ両博士が認めるほどの才能をレッド総帥がスカウトしたのであった。ゲロにとっても自由に膨大な資金や資材で研究に没頭できるレッドリボン軍は渡りの船であっため二つ返事で了承したのであった。

 

「はい、ドラゴンボールレーダーに関しましてはすでに開発をすべて終了し、一つ目の大型レーダーを組み立て作業を行っております。数日中には設置が完了し稼働させることができましょう。」

 

 ドクターゲロは自信げに言った。

 

「よくやったぞドクターゲロ」

 

 レッドが言った。

 

「そして、以前より私が主導で行ってきた戦闘用ロボット開発計画の第一段階であるメタリック軍曹の開発を成功いたしました。」

 

「「「おおーついに」」」

 

 歓声が上がる。それも一人や二人ではないこの場にいた多く者がだ。

 

「本日ここにおられる皆様方にわかりやすく知ってもらうため次の映像でメタリック軍曹の強さをここにいる皆様に理解してもらうためのとある実験を行いました。」

 

「どのような実験なのだ。」

 

 ホワイト将軍が身を乗り出すように発言した。ちなみにレッドリボン軍の人造人間部隊を推進しているのがこのホワイト将軍であった。そのためメタリック軍曹を始めとする人造人間計画に対しての情報をすでに知っていた。今回この人造人間軽買うを成功させることによって軍内部での地位を上げるための工作に必死であった。また、ホワイトの強い要望によりメタリック軍曹の試作壱号機の配備はホワイトの部隊となっている。これは研究開発をしたいドクターゲロと軍内部での発言権が欲しいホワイトの思惑が一致した結果によるものであった。

 

「はい、単純な実験です。メタリック軍曹の性能実験です。軍曹の性能を発揮させるために100人の人間とある島で戦わせました。」

 

「100対1だと。」

 

周囲から驚きの野次が飛ぶ。

 

「はい、しかもただ100人ではありません。格闘家、凶悪犯罪者、世界各国のテロリスト、我軍の軍機違反を行った兵士など戦闘能力が高い者達を集め彼らにそれぞれメタリック軍曹を倒したものには金や自由を与える条件戦わせました。無論、我軍の兵士たちが使用している武器も十分に与えました。」

 

「さすがにメタリック軍曹でも難しいのではないかな」

 

 メタリック軍曹の性能に懐疑的な者が発言した。

 

「皆さんの疑問も最もです。それではこちらの映像を見ていただきましょう。」

 

 ドクターゲロは手元に持っていた小型端末を操作した。すると会議室の中央にスクリーンが現れ、部屋の照明が消された。やがて、スクリーンに映像が映し出され始めた。映像の冒頭にレッドリボン軍のマークが現れた後、すぐに実験映像が流れ始めた。

 

 そこに映された映像、時間にして数十分に過ぎない編集されたものであったがこの部屋にいた一同にとって想像以上のものであった。

 

 メタリック軍曹の圧倒的なパワー、どんな攻撃にも耐えうるボディー、残酷に無残に死んでいく戦士たち。まさに阿鼻叫喚の地獄絵図であった。世界最強最悪の軍隊レッドリボン軍の幹部たちでさえ驚き恐怖を覚えるほどの内容であった。

 

「メタリック軍曹なんて強さだ。」

 

(強いのは確かだけど美しくないわね)

 

 ブルーはメタリック軍曹の実力を認めつつも思わず思った。この映像を見て各々様々な反応を示した。レッドやブラックはドクターゲロの研究結果に満足そうな表情、バイオレットは興味が無いようで無表情、ホワイトやイエローなどは素直に驚いているなど様々であった。

 

「素晴らしい成果だ、ドクターゲロ。君のお陰で我レッドリボン軍が制する日も大きく近づいたことだろう。」

 

 レッドはドクターゲロに賛辞を送った。レッドが話した後続いて他の幹部たちも呼応してドクターゲロの研究成果を賞賛し始めた。

 

「ありがとうございます、レッド総帥。」

 

 うやうやしく頭を下げるドクターゲロ。

 

「引き続きメタリック軍曹の開発や例の人造人間開発計画に勤しんでくれ。」

 

「はい。」

 

 ドクターゲロ深く礼をして自らの席へ戻り着席した。

 

 その後数時間の時間をかけてドラゴンボールを手に入れるための作戦会議が行われた。

 

 そして、最後に、

 

「諸君、ドラゴンボールを手に入れ世界のすべてを我らレッドリボン軍が手に入れるのだ。」

 

 レッドは会議の最後の締めくくりとして鼓舞するように言い放った。 

 

「「「レッドリボン軍万歳!レッド総帥万歳!」」」

 

 この場にいる全員がレッドの言葉に呼応して起立して叫んだ。

 

(ドラゴンボールさえあれば私の長年の夢を、どんなに金や権力を持って手に入れられなかったあれが手に入る!)

 

 部下や幹部たちが何度もレッドに対して敬礼や万歳をする中レッドの野望への欲望は膨らんでいった。

 

 

 

 

 

 

数週間後

 

大陸の東の某所、レッドリボン軍シルバー隊臨時司令部

 

 北はホワイト将軍、南はブルー将軍、西はイエロー大佐、そして、東の方面でドラゴンボールが探知された場所にシルバーの部隊が派遣された。

 数千、数万の兵士や数えきれないくらいの軍用車両や重機が一つのドラゴンボールを見つけるために人海戦術で探索していた。

 ドラゴンボールがあると思われる場所、森や草木が焼かれ、人家を壊されていった。しかし、一向にドラゴンボールが見つかる気配や手がかりが見つからなかった。

 

「言い訳はいい。さっさとドラゴンボールを見つけろ。」

 

 ガタッ、シルバーは無線機を叩きつける勢いで置いた。この日もシルバーの部隊は無作為に本部のドラゴンレーダーに表示された付近を探すが見つかる気配はなかった。

 

「まったく、時間も人員も足りん。」

 

 簡易用の椅子に座るとシルバーは上着の懐からライターとタバコの箱から一本取り出し火をつけ吸った。じっくりと深く吸い込んだ後大きく煙を体外へと出した。

 

ふぅぅー

 

 一本のタバコを吸い終わったところでシルバーの気分を少し和らげるが、すぐにシルバーを不愉快にさせる出来事が起きた。それは、

 

コンコンコン

 

 シルバーが今いる司令室の扉を誰かが三回ノックした。

 

「入れ」

 

 シルバーはドアの向こうにいる人物に向かって言った。

 

「失礼します、シルバー大佐」

 

 扉を開けて入ってきたのは彼の副官の中佐であった。

 

「何のようだ」

 

 ドラゴンボール捜索がなかなか進まないためシルバーは不機嫌さを隠さずに言った。広い世界から手のひらに収まるサイズのボールを探さなければならないことと本部からのドラゴンボール捜索への

 

「はい、大佐に面会したいと者が」

 

 簡潔に副官は用件を言った。

 

「素性はわかっているんだろうな」

 

「はい、本部からの通行証を所持しております。また、本部にも確認済みであります。」

 

 副官は片手で持っていたファイルをシルバーに手渡した。そこに入っていた一枚の書類には彼の尊敬するゴールド元帥やブラック参謀のサインもあり間違いなく本部からの本物の書類であった、

 

(ミケロチャリオット?聞いたことのない名だ、本部からの使者?俺への監視役か?ドラゴンボールを見つけられない俺へのあてつけのつもりか?)

 

 シルバーは突然にやって来たこの男の事について思考する。そして、副官がミケロを呼びに行く前にミケロはシルバーの部屋に現れた。赤髪で長髪前髪が鶏の鶏冠のように逆立っているまた、青いジャケットに赤のトゲトゲがついたショルダーパッドが着用している派手な印象の男だ。それに、表情をシルバーに向かって不適の笑みで見ていた。

 

「貴様はいったい誰だ」

 

 すでに書類を目を通して知っていたが改めて突然彼の前に現れたミケロに言った。

 

「もう知っているとは思うが、俺の名はミケロチャリオット。ウォンの旦那に頼まれてあんたの補佐をしにやってきたのさ。もちろんあんたのとこボスの許可もとっているよ」

 

 荒っぽいが要点はしっかりおさえて話したミケロ。

 

「そうか」

 

 ミケロの態度にどんどん苛ついていくシルバー大佐。

 

(まったく、こんなやつを俺の元に派遣してくるとは上層部はいったい何を考えているんだ。)

 

 シルバー大佐のミケロに対する印象は最悪の評価であった。あのウォン・ユンファの使いであることからそれなりに有能な人物であることは思ったが、ミケロの末端の二等兵よりもだらけきった態度、もし、ミケロがシルバーの部下の一人であったのなら彼の愛用の拳銃の引き金をすぐに引いていただろう。

 

「ミケロといったな、いるのはいっこうにかまわんが俺の任務を邪魔することは許さん。例え、ミスターウォンの使いであってもな」

 

 釘を刺すようにシルバーは言った。

 

「へへっ了解」

 

 ミケロの言葉にはまったく敬意はなくのらりくらりとした感じであった。ミケロの態度はシルバーの不信感や悪印象をますます悪化させる一方であった。

 

「ふんっ」

 

 その後、シルバーはミケロにシルバー隊内での身分証を手渡し、ミケロを司令室からすぐに退場させた。そして、しばらくしてドラゴンボールについて情報がシルバーの元に報告された。報告を受けたシルバーは副官に指示を出し大規模捜索の手配を始めた。

 

「総員に告ぐ、各自指定された配置につき出撃に備えよ。」

 

 シルバーの号令のもと基地内にスピーカーとサイレンがなり瞬時にすべての兵士が慌ただしく動き始めた。

 

 基地からサイレンとともに大勢の兵士、戦車、そして戦闘機の群れが出撃していった。

 

 数千の兵士や戦車が地表を前進していくたびに地響きが起き、雲海の如くいる戦闘機の編隊が空を覆っている。

 

 これらが目指すものそれはひとつのドラゴンボールであった、レッド総帥の命令の元彼らは前進していくのであった、次回に続く!

 

次回予告

 

みなさんおまちかね!

 

世界各地でドラゴンボールを探すレッドリボン軍!

 

一方、天下一武道会で戦った悟空とドモン達はドラゴンボール探しの旅に出たのであった!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第八話『掴み取れ、七星球!』に

 

レディーゴー!

 

 




あとがき

更新が前回よりも時間が空いてしまって申し訳ありません。

今回は師匠や悟空達はいっさい登場しませんでしたが、次回から再び活躍することになります。

原作やアニメでは触れられなかったレッドリボン軍がドラゴンボールを探し始める理由を書いてみました。また、この世界ではメタリック軍曹はドクターゲロによって開発された物としました。そのため、原作より、強化される予定です。

RB軍メンバーにオリキャラが数人登場しましたが活躍させるかはまだ未定です。

第八話以降も頑張りたいと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話『掴み取れ!七星球!』

さて、みなさん大変長らくおまたせいたしました。今回はドラゴンボール探しを始めた悟空とドモン!

一方、世界最悪の軍隊、レッドリボン軍はドラゴンボールを狙い、その自慢の軍団を世界中に派遣しドラゴンボール探しを行っています。

それでは、ドラゴンファイトレディーゴー!


 レッドリボン軍が総力を上げてドラゴンボール探しを始めた一方、天下一武道会を終えた孫悟空や東方不敗達はいったい何をしていたのだろうか。時系列は天下一武道会が終了した翌日まで遡る。

 

天下一武道会場近くのホテル059号室内

 

 天下一武道会の大会の歴史上でも最高の熱戦、烈戦、超激戦の名勝負の連続であった今回の第21回天下一武道会もまだまだ興奮も覚めぬまま翌日を迎えていた。そして、第21回天下一武道会優勝者である流派東方不敗マスターアジアと悟空一行はとある武道会場近くのホテルに泊まっていた。

 

「大会が終わったがこれからどうするんだ、悟空。武天老師様のもとで修行を続けていくのか。」

 

 悟空一行や東方不敗一行が同じ部屋でくつろいでいた時ヤムチャは悟空に尋ねた。

 

「ねえ、孫君西の都の私の家に遊びに来てみない?楽しいところだし、美味しいものもたくさんあるわよ」

 

ブルマもヤムチャの悟空への提案に賛同するように言った。また、孫君次第でいつまで居ていいし、うちのパパやママも孫君なら大歓迎するだろうとも言った。

 

「そうしたいんだけど、オラ、それよりじっちゃんの形見の四星球を探したいんだ。」

 

 四星球、如意棒同様今は亡き悟空の育て親である孫悟飯の大切な形見であり、ブルマやヤムチャ。ウーロン達と出会い旅にきっかけとなった思い入れのある物である。悟空にとってドラゴンボールをすべて集めて叶えたい願いなどないが、祖父の形見である四星球だけは自分の元においておきたかった。

 

「ああ、そういえば去年ドラゴンボールを使った時に他のドラゴンボールと一緒に世界のどこかに飛んでいってしまったな。」

 

「話の途中で悪いが、ドラゴンボールとは何だ」

 

 悟空とヤムチャの会話に出てくるドラゴンボールや四星球の話をした。

 

「ああ、ブルマドラゴンレーダー貸してくれねえか。」

 

 悟空はブルマの方へ向き言った。

 

「ええ、いいわよ。ちょうどドラゴンレーダー、カプセルに入れて今も持ってるわ。」

 

 ブルマは自分が身に付けている小型のポーチからポイポイカプセルの入った専用ケースを取り出し三番と書かれたカプセルを皆の前のベッドの上に投げた。

 

 すると、ぼんっ、と音と煙が消えた後ベッドの上にはドラゴンレーダーがあった。

 

「ありがとう。」

 

 悟空はベッドの上のドラゴンレーダーを掴みカチャカチャと上部のスイッチを数回押す。すると、ドラゴンレーダーの画面に7つの光の点が現れた。うまい具合に7つのドラゴンボールが世界中にばらけて点在していた。最も悟空たちに近いものでも千キロ以上離れたところにあった。

 

「相変わらずバラバラに飛んでいったわね」

 

 ブルマは悟空の持つドラゴンレーダーを覗きこんで言った。彼女自信自宅の倉庫でドラゴンボールの一つを見つけ、ドラゴンレーダーを完成させてはじめて起動した時、ドラゴンボールの捜索距離を見て頭を抱えたのを思い出したものだった。

 

「そうだ、ドモン!」

 

 今までの一連の行動を無言で見ていた東方不敗は突然ドモンの名を呼ぶ。

 

「はい。」

 

「お前も悟空とともにドラゴンボール探しの旅についていったらどうだ。」

 

悟空とのドラゴンボール探しの旅をドモンに提案する東方不敗。

 

「えっ、なぜですか。師匠。」

 

 突然の師匠からの提案にドモンは驚く。

 

「お前もわしのもとに弟子入りして五年の時が経つがそろそろ一度わしから離れて悟空とともに世界をその目で回ってみるのも良いと思ってな」

 

 東方不敗の考えは今思いついたものではなく、以前から考え思っていたことだった。自分のもとで修行を続けていくだけでは真の武道家、流派東方不敗を極めることはできないと、悟空が旅に出るといったのは東方不敗にとってこのことを言い出すのに調度よいきっかけだったのである。

 

「わかりました。」

 

 少ししてドモンは一度頷き覚悟を決めた。

 

「クロス(東方不敗)の言うとおりじゃ、若いうちはその目で世界を見て回るのもいいじゃろう。悟空にしても、もう、わしが教えることはもうない。それぞれ己の道をゆくのじゃ。そして、自分自身で修行を続け、自分を磨いてゆけ。」

 

 師匠モードの顔で悟空はもとよりクリリンにも含め言った。

 

「「はい」」

 

 悟空とクリリンが亀仙人の言葉を理解し、深く胸に刻み頷いた。

 

「ところで、クリリンはどうするのじゃ。」

 

 亀仙人がクリリンに今後をどうするか尋ねる。クリリンは間をおかずに言った。

 

「今すぐには決められませんので、もう少し武天老師様のおそばにいます。」

 

「そっそうか、・・・わかった。」

 

 クリリンの亀ハウス残留に言葉には出さないが、少しショックを受ける亀仙人。なぜなら、ランチさんと甘い二人っきりの生活を夢見ていたが。それが遠のいたからであった。

 

 その後、悟空とドモンはドラゴンボール探しの旅の出発日を二日後とし、旅の準備を始めた。

 

二日後、武道会場近くの広場

 

 天下一武道会が終わって数日が経過した今も、大会当日に集まった観客たちは今だこの街に多く残っていた。そのため、悟空や東方不敗たちが別れ場所の広場に行く間に何度も試合を見た観客に声をかけられる。多くの者が写真や握手、サインなどを求めてくる。東方不敗はさすがにサインはしないが握手ぐらいには気さくに答えている。その姿を見て亀仙人は笑う。

 

 想定外のファン対応で到着が少し遅れたが、広場についた一行。

 

「ところで二人とも」

 

 広場に到着してレインがドモンに言った。

 

「何だ、レイン。」

 

「これを私のかわりに持っていって」

 

 レインが鞄から縦横15センチほどの正方形の箱を取りだしドモンに手渡した。

 

「これは、カプセルケースじゃないか」

 

 カプセルケースとは、ポイポイカプセルを収納する専用ケースのことである。ドモンがカプセルケースを開けるとケースの中には、1から15の数字が印字されているポイポイカプセルが15個入っていた。

 

「このカプセルには何が入っているんだレイン」

 

「数ヵ月分の食料や消耗品、カプセルハウスが入ったカプセルも入れておいたわ。」

 

 レインの言葉を聞き、ドモンはカプセルのケースの蓋の内側を見ると番号と入っている物が簡潔に記載されていた。一番カプセル、食品、二番カプセル、衣服、三番カプセル、カプセルハウス・・・と順番に書かれているのだが、最後に変わったカプセルがありドモンの興味を誘った。

 

「この十四番と十五番の緊急用ってなんだ」

 

 黄色のラベルに14と15と黒インクで印字しているカプセルを手に取り、レインに見せながら言った。

 

「もしも、ドモンや悟空君に危険が訪れた時このカプセルを使ってね。きっと、ドモン達を助けてくれるわ。」

 

 中身ははっきり言わないが、レインにとってはお守り代わりとして入れていた。レインとしてはこれが使われずに済むのに越したことがない思っていた。

 

「すまない、レイン」

 

「無事に帰ってきてね」

 

「ああ、約束する」

 

 ドモンは力強く頷き、レインに誓う。

 

「ところで、悟空ドラゴンボールがある場所までどうやって移動していくんだ。徒歩か飛行機か、車か」

 

 ドモンが悟空に尋ねる。

 

「とりあえず、筋斗雲で一番近いドラゴンボールまで行こうと思ってる」

 

 悟空はこたえた。

 

「筋斗雲?」

 

 ドモンは首を斜めにふり筋斗雲が何か考えるが、筋斗雲を当然だが知らなかった。

 

「悟空、筋斗雲を持っておるのか」

 

 一方、師匠である東方不敗は筋斗雲を知っており、感心するように悟空に言った。

 

「ああ、そうだ。」

 

 悟空は元気よく東方不敗に答えた。そして悟空は筋斗雲を呼ぼうとする。

 

「おーい、筋斗雲よー!」

 

 悟空は空に向かって叫んだ。

 

ヒューンッ!!

 

 どこからともなく悟空の筋斗雲が高速で現れ、主である悟空の前で止まった。

 

「よっと」

 

 悟空は筋斗雲に飛び乗り久々の筋斗雲の乗り心地を確認する。

 

「こんな不思議な雲があるなんて」

 

 筋斗雲を初めてみたレインが不思議そうに筋斗雲に触りながら言った。

 

「ほお、確かこやつは亀の筋斗雲だったな、久しいのお。」

 

 東方不敗は亀仙人が筋斗雲に以前から知っており、筋斗雲に近づきしゃがんで撫でる触れる。触れられた筋斗雲は以前東方不敗と会ったことがあるのを覚えているように、わずかに反応する。

 

「さて、ドモンおまえは筋斗雲に乗ることができるか。」

 

 東方不敗は触るのをやめ、立ち上がりドモンに向かって試す口調で言った。

 

「えっ俺が」

 

「ドモン、お前は筋斗雲に認められるかな」

 

 東方不敗は言う。

 

「まあ、ドモンなら大丈夫じゃろ。」

 

 東方不敗の隣で亀仙人は見守りながら言った。

 

「やってみます。」

 

 気合を入れて筋斗雲の前に出るドモン

 

「ドモン頑張って。」

 

 レインはドモンの一番近くで応援する。

 

「はあっ」

 

 ドモンは軽くジャンプして筋斗雲の上に飛び乗った。

 

もふっ

 

 ドモンは筋斗雲の上に乗ることができた。

 

「のっ乗れたぞ」

 

 少し嬉しそうな声で言ったドモン

 

「ドモンもいい子みたいだな。」

 

 後頭部で腕を組みながら悟空は近づき言った。

 

「レインも乗ってみたらどうだ。」

 

 悟空はレインにも筋斗雲に乗ってみることを薦めた。その裏ではドモンがゆっくりとしたスピードであるが東方不敗から筋斗雲の乗り方を習い動かしていた。

 

「私には乗れないわよ。」

 

 レインは謙遜する。今知ったばかりの不思議な雲に乗るのに抵抗感があった。

 

「乗ってみないとわからないさ、ブルマは乗れなかったけど。」

 

 ヤムチャはレインに気軽に薦めるように言った。そこへすかさずブルマが割って入りツッコミを入れる。

 

「余計なことは言わなくていいわよ。」

 

 その様子にブルマとヤムチャ以外の一同は大笑いする。

 

「それじゃあ、私もやってみるわ」

 

もふっ

 

 レインもドモンと同じように筋斗雲に乗ることができた。

 

「たったまたまよ。」

 

 悔しそうにブルマは言った。レインは筋斗雲に降り、とうとう、悟空とドモンが旅立つ時がやってきた。悟空を先頭にドモンと二人が筋斗雲に乗った。

 

「それじゃ、みんなーじゃーなー。」

 

 筋斗雲が悟空の意思を読み取ったように筋斗雲が上昇し始める。ほんの五秒ほどで

 

「おうっ」

 

「ドモン君、孫くんの事頼んだわよー」

 

「ああ、まかせてくれ。」

 

「悟空、やっぱり俺も一緒についてってやろうか。」

 

 クリリンは筋斗雲に乗っている二人を見上げ提案する。。直前にウーロンやプーアルからドラゴンボール探しの大変さを聞き、友達である悟空が心配になったからだ。だが、悟空は大丈夫だと言い断った。

 

「それじゃあーみんなーまた、どこかで会おうなー。」

 

 悟空ははっきりとした大声で最後の言葉を言った。

 

「「「二人共、頑張れー」」」

 

「ばいばーい」

 

 手を振りながら悟空とドモンは天下一武道会近くの広場から飛び去っていった。

 

「大丈夫かなーあの二人。」

 

悟空が飛んでいった方角を眺めながらヤムチャはつぶやいた。

 

「大丈夫よ、きっと」 

 

 悟空とドモンの二人のドラゴンボールを探す旅が始まった。果たして、二人はドラゴンボールを見つける事ができるのか。再び冒険は始まった。新しい仲間とともに。

 

大陸の東のとある場所

 

「まいどあり~。」

 

 元気な声が聴こえる。商店から出てきた三人組に続いて商店の店主は店の表に出てきた。出てきた三人組とは、ピラフ、マイ、シュウの三人組であった。

 

「いくぞ、マイ、シュウ。」

 

 上機嫌のピラフは代金とともにチップもふんだんに男に渡し従者とともに出て行った。

 

「「はい、ピラフ様」」

 

 二人はこの店にやってきた高級車に乗り込み、ピラフとともに店から去っていった。

 

「ふぅー、いいかもだったぜ」

 

 ピラフたちが店から数十メートル離れて見えなくなったのを確認すると店主の男は店の中に戻り、先ほどのピラフたちへ悪態をついた。

 

「ドラゴンボールなんてあるわけねえだろ。」

 

 ピラフが出した1万ゼニーの札束を慣れた手つきで数えながら店主の男は言った。そうこの男、偽物のドラゴンボールを大量生産し、物好きな金持ちや旅行者に高額で売りつけていたのであった。だが、しかし、男は知らなかった彼が偽物を作るために手に入れた七星球は本物であったのだ。

 

ブーン

 

 一万ゼニーの札束を金庫にしまうと店の売り場に出て行った。

 

「いらっしゃい、これはこれはベルチーノ警部」

 

 平身低頭に揉み手ベルチーノに挨拶する店主。

 

「また、この店に盗品が流れてきたとタレコミがあったんだが、こころあたりあるか」

 

 ベルチーノはカマをかけて店主に言った。

 

「そんなことはいっさいありませんよ、警部さん。うちは健全で正直な商売がモットーですから。」

 

 実際、優良店、正直、誠実などと店内の壁に言葉のポスターを掲げているが、実際この男の店の実情はあまり良くなかった。

 

「ほう、それはよかった、ところでオヤジ最近店の景気の方はどうだ?」

 

 無論、ベルチーノは店主の言葉をまったく信用していない。彼が若い頃から

 

「ええ、おかげさまでぼちぼちですよ。」

 

「それじゃ、またくるよおやじ」

 

 ベルチーノは店主の男に背を向け、出口に向かいながら歩きながら言った。相棒の若い警部補も店主の男を不信感の視線を一瞥送り、ベルチーノの後を出て行った。

 

「たくおまわりが威張りやがって」

 

 店主の男はベルチーノ乗ってきたパトカーが発進したことを確認すると悪態をつく。そして、懐からしなびれたたばこを取り出すと一本火をつけて吸った。娯楽の少ないこの地域で店主の楽しみの一つであった。しばらく吸ったタバコの余韻を楽しんでいると再び店の外から車が停車する音が聞こえてきた。一瞬、またさっきやってきた警部や警察が戻ってきたのかと思ったが、聞こえた音からして車の音が三台以上聞こえたので団体客と判断しすぐに売り場の方に駆け出していった。

 

「いらっしゃいませ」

 

 男が売り場に出て行くとその光景に男の体が固まった。いつもの売り場の中いたのは、先ほどの物好きな金持ちや観光客などではなく軍服を着た男たちが十人前後がいてそとにまだ何人かいるようであった。店主はこの地方に駐留する中央政府の軍の軍服をみたことがあったので、ここにいる兵隊たちがそれとは違う者達であることがわかった。

 

「おい」

 

 一人のRBと書かれている鉄ヘルメットをかぶった兵士が店主に高圧的な声で話しかけた。

 

「?!はい、いらっしゃいませ」

 

 反射的に応えた店主の男。この男も胡散臭い商売を何十年も行ってきて、警察、マフィア、チンピラ等多く相手してきたので臆することなくいつもどおりの感じで答えた。

 

SIDE ベルチーノ警部 パトカー車内

 

「あのおやじ相変わらず悪どい商売しているようだったな、トニー」

 

 骨董屋から離れたベルチーノは相棒のトニーが運転する車内でつぶやく。

 

「一度礼状取って捜索でもしますか」

 

 真面目で正義感にあふれる彼の相棒は運転しながらベルチーノに提案した。

 

「そうだな、浮浪児や盗賊などから多くの盗品を買い取っていると噂を聞いている、近いうちに・・・あれは」

 

 助手席に座って外を見ていたベルチーノの目に前方から走ってきた対向車に目がいった。

 

「どうしました」

 

 トニーは言葉が止まったベルチーノの方をちらりと見る。

 

「おい、いまの車のマークを見たか。」

 

 さきほどまでの声色と違い真剣な声でベルチーノはトニーに言った。さっきベルチーノの乗ったパトカーとすれ違った車体の側面に描かれた赤いリボンにRBの文字、子供でわかるマークであった。

 

「はい、あのマークは・・・」

 

 そう、そのマークとは、あの

 

「レッドリボン軍のマークだ。」

 

 相棒が言う前にベルチーノが言った。

 

「あの、世界最悪の軍隊といわれるレッドリボン軍がこの街にいったい・・・」

 

 トニーは車のハンドルを握りながら少し震えていた。彼が震えるのは無理はないレッドリボン軍と言えば、世界最悪の私設軍隊であり、その規模、戦闘力は中央政府の精鋭中の精鋭部隊中の都の首都防衛部隊に匹敵すると言われている。現に、すでに中央政府から遠く離れた辺境の街や村のいくつかがレッドリボン軍の支配下にあった。

 

「やつらの理由がどうであれ、野放しにしておくわけにはいかん。今すぐあの装甲車を追跡しろ。」

 

 ベルチーノはトニーに車を反転させ追跡するように指示する。また、愛銃のライフルの手入れや装填を行い始める。

 

「警部、我々二人で対処できる相手ではありません。州軍に支援を要請すべきです。」

 

 トニーは車を反転しつつ追いながらもベルチーノに言う。

 

「やつらを呼んでいる暇はない、俺達だけでいくぞ。もちろん、署にも連絡は入れるがな」

 

 ベルチーノは遮った。

 

「しかし、なぜ、こんな田舎町になんであんなやつらが」

 

 不安を抱えつつ二人は先ほどの骨董店へと戻っていった。 

 

SIDE 骨董品店内

 

 先ほど、ベルチーノとすれ違った装甲車が骨董屋に辿り着き装甲車は停車した。なかから数人の兵士とともに、赤いスカーフと青いジャケット着た赤髮の男が出てきた。レッドリボン軍のシルバー大佐である。

 

「ここか」

 

 訝しげにシルバーとあるボロい商店の中へと二人部下とともに入った。すでに、先遣してきた部下たちが重数名おり待ち構えていた。

 

「ドラゴンボールがこの店があると聞いたが。」

 

 シルバーはまるで尋問するかのような雰囲気で店主の男に聞いた。

 

「はっ、はい、ドラゴンボールですね、ええっ、ございますとも。すぐにお持ちします。」

 

 媚びへつらった表情でシルバーに返事した店主の男は裏の倉庫へと入っていた。

 

(おっかねえー連中にはさっさと出て行ってもらわねーと)

 

 店主の男は横目でシルバーらを見ながら冷や汗をかく。

 

 店の裏の倉庫兼男の住居は店の表以上に薄暗くとても衛生的にも良くはなかった。

 

「・・・一応持っていくか」

 

 ドラゴンボール、いやドラゴンボールの形を模造した物が入った箱に男は手を入れ一つを取り出した。その箱のなかには数十いや数百個の偽物が入っていた。そして、近くにある棚からこれまた以前買い取った拳銃を取りズボンの後ろに慎重に入れシルバーたちのいる表へ戻った。

 

「おまたせいたしました。こちらでございます。」

 

 再び営業スマイルでシルバー媚びる男。男の手には高級に見えるように作られていた箱とその中にドラゴンボールがあった。

 

「旦那さまならお安くしときますよ。」

 

「そうか、」

 

 すると店主の男のあこぎな考えを見透かしたように渡されたドラゴンボールをシルバーは床に落とした。

 

 バリィッ

 

 ドラゴンボール、いや、ドラゴンボールに似せて作った模造品のガラス球は粉々に割れ床では辺が飛び散った。

 

「いったい、何を」

 

 シルバーの態度に店主の男は狼狽する。

 

「この店で多くの金持ちや物好きにドラゴンボールの模造品を売っていることはすでに知っている。」

 

 シルバーはこの店に来店する前にこの店の事を調べつくしていた。偽物を作るための本物のドラゴンボールがあることをドラゴンレーダーの反応と照らし合わせ確認していた。

 

「五体満足でこれからも生きたいならさっさとドラゴンボールを出すんだ」

 

「うっうう」

 

 店主の男は後ずさりしながら先ほどズボンの後ろに隠した。隠している拳銃が男の今に崩れそうな彼の心を平静に保させていたが、それもシルバーの言葉で壊された。

 

「やめておけ、この距離でお前がそれを出す前に俺の拳が貴様を粉砕する。」

 

 この軍人の言葉を無視して、一か八か試してみるかと店主の男は考えるが、大佐と呼ばれている男の鍛えられた体やオーラ、また、シルバーを倒せたとしても周りには十数人の兵士が銃を向けている。どう転んでも店主の男が生き残る道は素直に従うしかないといやでも理解した。

 

「連行しろ」

 

「そんなっ」

 

「そこまでだ!」

 

 シルバーの後ろから彼に向かって男の声が聞こえた。

 

「何だ貴様は!」

 

 シルバーが振り向くと兵士たちが銃口を突きつけている男が入り口に二人いた。その二人の内の前にいた初老にはいったぐらいの年齢の男が言葉を続ける。声の正体はライフルを持ったベルチーノとトニーであった。

 

「警察だ」

 

 ベルチーノの姿を見て店主の男は少し安堵した。普段口うるさい人物だが、店主の男にとっては今の彼は救世主にも見えた。

 

「けっ、けいぶさん」

 

 まるで、か弱い若い女性のような声になった店主の男。

 

「警察が我々に何のようだ」

 

 一人の若い兵士が言った。警察と聞いてもこの兵士にとっては一般市民と対応するのと変わらず高圧的な態度であった。

 

「ふんっ」

 

 ベルチーノは自分に叫んだ若い兵士へと顔を向け、目で威圧した。それに怯む兵士。

 

「誰にでもわかることだ。目の前で善良なとはいえないが一人の市民が殺されそうになっている。それを我々が助ける。至極単純なことだ。」

 

 ベルチーノは周りの雰囲気に臆さず言いのけた。

 

「なるほど」

 

 不敵な笑みを浮かべつつ、シルバーは言った。

 

「わかったのなら、全員武器を捨てて、おとなしくお縄についてもらおうか」

 

 改めてベルチーノはシルバーに向かってライフルの銃口を向け警告する。抵抗するのなら

 

「ふっふっ、ふははははっ」

 

 シルバー大佐は突然笑い始める。ベルチーノの一連の行動をあざ笑うかのようにだった。

 

「貴様何が可笑しい!」

 

 突然のシルバーの変化に戸惑うベルチーノ。

 

「いや、職務熱心なところはいいことだな、貴様は称賛に値する男のようだ。」

 

 笑いを止めベルチーノの顔を見る。

 

「何が言いたい」

 

 ベルチーノはシルバーにさらに詰め寄る。シルバーの胸ぐらを掴みそうな勢いだ。だが、シルバーはベルチーノに対して続けて言う。

 

「ベルチーノ警部といったな、なぜ我々がこうも自由にこの地域で自由に活動できているかわかるか。」

 

 シルバーの回答に一瞬の間を置いてベルチーノはすべて理解した。

 

「ハッ?!・・・クズ共が!」

 

 まるで、苦虫を何十匹も噛み潰したかのような表情へと変わったベルチーノ。

 

「警部一体?」

 

 ベルチーノの相棒トニーはまだ気づかない

 

「我々の行動は非公認だがこの地域の有力者に認められているということだが」

 

 そう、レッドリボン軍がシルバーを含め、全世界で大規模に活動しているのは単に、レッドリボン軍の軍事力だけでなく、地域の有力者、政治家、地方軍、警察高官への脅迫、金銭による買収、抵抗勢力への暗殺などが彼ら好きに行動できる真の理由であった。無論、ベルチーノが住むこの地域の軍や政治家はもとより、ベルチーノの署の署長や副署長もレッドリボン軍の息がかかっていたので、レッドリボン軍の行動はすでに暗黙に黙認されていたのであったのだ。つまり、ここでベルチーノがシルバーら全員を逮捕したところですぐに証拠不十分で釈放されるのがオチであっただろう。そのことを理解したベルチーノは肩を落とす。正義とはなんなのか、警察官としての自分とは考える。

 

「・・・」

 

 銃を構えながら沈黙するベルチーノ。

 

「そこの勇敢な警部に免じてこの男を処理しないでおこう。おい、おやじ」

 

 シルバーはベルチーノ達から店主の男に視線を動かし言った。

 

「ひぃぃぃ」

 

 店主はシルバーに睨まれ、ベルチーノとシルバーの間で

 

「この男のお陰で命拾いしたな。」

 

 まるで汚物を見るかのような目でシルバーは言った。

 

「総員、この店をしらみつぶしに探せ、この店の中に必ずドラゴンボールがあるはずだ。」

 

 レッドリボン軍の兵士たちが店内を探し始めようとした、その時、、

 

「ここかなー、ドモン」

 

 突如この緊迫した状況に場違いな子供の陽気な声が聞こえた。シルバーやRBの兵士達、ベルチーノ達、店主の男の目線が店の入口へと一斉に向かう。一同の視線の先にいた人物は、もちろん当作品の主人公孫悟空とドモン・カッシュであった。

 

「一体どういうよう状況だ」

 

「オラには、よくわかんねえ」

 

 一方店の何かに入った二人は、軍服を着た集団と対峙する

 

「何やってるんだ小僧」

 

(こいつら、孫悟空とドモン・カッシュ、ウォンの旦那が言っていた武道家か、)

 

 突然現れた少年ミケロはシルバー大佐のもとに派遣される前にウォンやウルベから天下一武道会の映像を見せられていたので、悟空やドモンの顔を知っていた。

 

「おっちゃんたちなにやってるんだ。」

 

 悟空が一番近くにいた兵士に尋ねるが

 

「何だガキ、とっとここから失せろ、しっしっ」

 

「痛い目に合わないうちにでていくんだな」

 

 まるで、自分の周りをうろうろする虫や小動物を追い払うかのように兵士は言った。

 

「ふーん」

 

 しかし、悟空はそんな兵士の態度になにもないように無視し、シルバーやベルチーノの間を通り過ぎ店の奥へと入っていった。一同、あまりの悟空たちの銃をつきつけられても平然とした態度に驚き二人の様子をただ見守っていった。奥に入っていった悟空が戻ってくるとその手には、本物の七星球があった。それを見た、レッドリボン軍の兵士たちの顔色が変わる。

 

「小僧、痛い目を見ないうちにそのボールを俺たちによこせ」

 

 兵士が銃を向けながら悟空に近づいた。

 

「なんで」

 

 悟空はのんきに返事するが、一向にドラゴンボールを渡さないことにいらついた兵士はとうとう悟空に向かって発砲した。

 

バンッ

 

 発射された一発の弾丸はたった二メートルほどの距離で悟空の眉間を瞬きするまもなく撃ちぬくかと思われたが、

 

「なっ」

 

 発砲した男は予想外の悟空の姿に驚き後ずさりを始める。

 

「あぶねえぞ、おっちゃん」

 

 銃に撃たれたとこなどなかったのような悟空の態度、そして、今撃った弾を右手親指と人差し指で掴んでいる悟空の姿を見て兵士は今まで感じたことのない恐怖を覚える、自分とは違う別次元の存在に。

 

「うん、もうひとりのやつはどこへいった。」

 

 怯えている兵士の隣にいた兵士がさっきまで悟空の隣にいたドモンがいなくなっている

 

「後ろだよ」

 

 違う兵士が悟空に向けて発砲しようとしていた銃口をドモンが銃身をもって止めた。兵士は振り払おうと力を込めるがドモンにおさえられた銃は動かせなかった。兵士は銃を打つのを諦めて腰のナイフで反撃しようとするがドモンの手刀で気絶させられた。

 

((早い!!))

 

 ドモンの兵士の後ろへ移動した超スピードと悟空の弾丸を止めた技術に驚愕するシルバー大佐とミケロ・チャリオット。表情には出さないが二人共、悟空とドモンの実力に心のなかで舌を巻く。

 

(久しぶりに俺の本気を出せる相手のようだ。)

 

 シルバーは二人の実力に興味を持ち、戦いたい衝動が出てきていた。常に実戦で戦い続けていたシルバーにとって同等もしくは匹敵する者と戦えることは、彼の軍人、いや、武人として楽しみの一つであった。だが、彼が戦い続けるにつれ、彼と拳で戦えるものはどんどん減っていった。すでに、レッドリボン軍内においても一対一でシルバーと戦えるのは、上官であるブルー将軍や入隊したころの教官でボクシングスタイルの戦闘術を叩き込んだゴールド将軍、そして、先日完成したばかりのメタリック軍曹ぐらいである。だからこそ、今回の二人は、彼にとってこの二人は最上級の獲物いや好敵手になり得ると感じていたのだ。

 

(こいつは、強えや、だが、実力はまだまだ、こんなもんじゃないだろうな)

 

 ミケロは実際に悟空たちの実力をその目で見て実感した。そして、

 

「やるではないか、久々に俺自ら相手をしてやろう。」

 

 そうシルバーは言うと愛用の青のジャケットを脱ぎ、兵士に預けて戦闘態勢に入る。

 

「旦那、俺も加勢いたしやしょうか。」

 

 今までシルバーや兵士たちの後ろで控えていたミケロが前に出ていった。肩慣らしをしていたシルバーに言った。

 

「ミケロか、おまえは手を出すな。」

 

 シルバーは左腕を伸ばしミケロに一切手を出すなと言った。

 

「りょうーかい」

 

 今この殺伐としている場に似合わない陽気な声で返事した。だが、ミケロの内心では、

 

(シルバーの旦那では、この二人に勝つのは・・・無理だな。だが、あの男がいないだけマシか)

 

 ミケロは内心冷静に両者の戦闘力を比較し、シルバーではこの二人には勝てないとこれからの最善策を思考する。

 

「悟空、こいつは俺一人で十分だ、手を出すな」

 

 ドモンは悟空に言った。悟空はわかったといって頷きドモンから少し離れた。

 

「小僧いい度胸だ、いくぞ」

 

 シルバーがボクシングスタイルの構えでドモンへ向かって走りだした。

 

「こい」

 

 その場でドモンは動かずシルバーの攻撃に構える。その目はまっすぐと向かってくるシルバーの動きを捉えて離さず集中する。

 

ダダダダッ

 

 突如ドモンやシルバーの間に機銃掃射が行われた。というよりドモンたちが狙いではなく店に向かって発砲したようであった。ドモンへの攻撃をやめ機銃が飛んできた方を見たシルバー、そこにあったのは全長100メートルを超える巨大な飛行機、いや、巨大な空中要塞であった。

 

「今度は何だ」

 

 ベルチーノ、ドモン、そして、空中要塞と次々に現れるイレギュラーな出来事に

 

「よくもこの私、ピラフ大王をを騙してくれたな」

 

 悟空やドモン、レッドリボン軍に向かって大音響でスピーカーからピラフの叫び声が聞こえてくる。しばらく、ピラフが偽物のドラゴンボールを高額で買わされたことへの怒りをぶちまけているとあるカメラに映った存在に目が言った。そして、その人物が誰なのかに気づいた。あの尻尾の生えた小僧ことを。

 

「うんっ?あいつは」

 

 ピラフが気づいたと同時に要塞のカメラが悟空の姿を捉え顔を拡大した。

 

「「「ハッ!!!」」」

 

ピラフ、マイ、シュウの三人はあのピラフ城での悪夢の記憶をフラッシュバックした。

 

「なんで、あの小僧が」

 

 ピラフの全身から恐怖心から汗が出る。

 

「出たああああ」

 

 マイも普段のクールキャラを崩壊させ、甲高い悲鳴を上げた。

 

「わあああ」

 

 続けて、シュウも絶叫を上げた。

 

「落ち着いてください、ピラフ様この空中要塞の中にいる限り我々は安全です」

 

 マイが落ち着かせるようにピラフに言った。

 

「そっ、そうですよ。さっさとやっちゃいましょう。」

 

 シュウもマイを援護するように言った。

 

「そうだな、その前にドラゴンボールをさっさと頂いていくぞ」

 

 空中要塞の下部から超巨大な掃除機のような吸引装置が現れた。

 

「ドラゴンボール吸引装置作動」

 

キュィィィンッ

 

 すると、現れた吸引口から某ピンクの悪魔並の吸引力で悟空のドラゴンボールを吸い取っていった。

 

「ドラゴンボールはいただいたぞ、さらばだー、フハハハハ」

 

 上機嫌のピラフの声を最後にピラフの巨大空中要塞は図体の似合わぬスピードで遠ざかっていった。

 

「しまった、ドラゴンボールを連中に奪われた」

 

 シルバーは声を上げた。そのシルバーの声を聞きシルバー以外の兵士たちはこのままでは逃がせばレッド総帥に銃殺ものだと思い、すぐに店から出て広いところで戦闘機のカプセルを出し、追跡していく。その急な姿にまだ、あまり緊張感なく理解していなかった悟空は兵士に声をかけるが、兵士はあっちいけなどいってさっさと飛び去った。

 

「お前たちに関わっている暇はない」

 

 武人としてはドモンと戦いたかったが、軍人としての任務を最優先するシルバー。

 

「ミケロ、そいつらを始末するなり、足止めするなり好きにしろ」」

 

 シルバーは振り向きもせず先に追跡を始めた兵士と同じように戦闘機のカプセルを取り出し乗り込み発信した。

 

「待て」

 

 ドモンが追いかけながら叫ぶが、

 

「お前の相手はこの俺だぜ、銀色の脚」

 

 ミケロがシルバーを追いかけるドモンたちの前を塞ぐように現れ、ミケロの技を放った。

 

ヒューンッ

 

 ミケロの右足から放たれた銀色の斬撃波がドモンを襲う。

 

「くっ、はああっ」

 

 ドモンはミケロの必殺技を避けようともせず、気合で正面から受け止めかき消した。

 

「さすがだな、ドモン・カッシュ」

 

 ミケロは自分も技を驚く様子もなく平然としていた。

 

「どうして俺の名を知っている」

 

 ドモンにダッシュして接近しながらミケロに問うが、

 

「フフッ、なぜだろうな」

 

 のらりくらりと返答するミケロ、近接戦ではドモンに対して不利と判断しているのか、常に一定の距離を保ちつつ、斬撃でドモンを攻撃する。ドモンも最初の一撃でミケロの攻撃を体で覚えたので、避けるのはたやすく戦闘は千日手の状態であった。だが、戦闘はミケロによって動き出す。

 

「遊びはこれまで、あばよ」

 

 キザなポーズを取りこの場からさろうとするミケロ、だが、それを許すつもりはないドモンすぐに追いかけるが、

 

「何っ、貴様との勝負はまだ、おわ」

 

 ドモンが言い終わる前に攻撃するミケロ。

 

「銀色の脚!」

 

ヒュンヒュン

 

 ミケロは先程より強力な銀色の脚を複数ドモンではなく地面に向かって銀色の脚を放って大きく粉塵を上げドモンや悟空の前に大きな粉塵を上げ視界を奪った。

 

「またどこかでな、ドモンカッシュ」

 

 言い終わるとミケロは戦闘機の入ったカプセルを取り出しシルバーを追いかけた。先ほどの銀色の脚による噴煙がジェット戦闘機の噴射によってさらに強くなりドモンたちの視界をさらに制限する。

 

「待て、ゴホッゴホッ」

 

 舞い上がった粉塵によってドモンはすぐには動きが取れず、数分たったあと煙が晴れるとミケロやシルバーたちの姿は見えなくなっていた。

 

「逃したか、すぐ追うぞ、悟空」

 

「わかった、こーい筋斗雲」

 

ヒュッィーン!

 

 どこからともなく筋斗雲がすぐにやってきた。

 

 そして、ドモンと悟空はピラフとシルバーたちが飛んでいった方へと筋斗雲で追っていった。

 

「いったいなんだったんでしょうか、レッドリボン軍に空中要塞、ドラゴンボール、それにあの少年二人は・・・」

 

 トニーはベルチーノに尋ねるというより、自分自身に一連の今起きた出来事を自問するかのように言った。

 

「さあな俺達にはわからない世界があるんだろうな」

 

 そうベルチーノは言い放つと車のボンネットに腰掛け、たばこを一本吸った、

 

「・・・」

 

 トニーは納得出来ない様子だ。だが、

 

「とにかく俺たちはオレたちの仕事をするだけだ。」

 

SIDE シルバー大佐

 

 ベルチーノをライフルを持ち直しパトカーに乗っていった。一方、ドラゴンボールを奪取したピラフ達を追っていったシルバーはピラフを自身が搭乗している戦闘機の攻撃範囲までに接近していた。また、その彼の機体を先頭に基地から出撃した数百の増援部隊がいた。彼らの前方を飛行している大きな獲物をいまかいまかと待ち構えている。

 

「こちら、シルバー敵空中要塞を捕捉、全機攻撃を開始せよ」

 

 シルバーはピラフからドラゴンボールを奪取することができるのか、はたまた、ピラフが逃げ切るのか、それとも、悟空とドモンが両者を倒し野望を打ち砕くのか、次回に続く!

 

次回予告

 

レッドリボン軍からドラゴンボールを奪うことに成功したピラフ達!

 

しかし、それを執拗に追いかけるレッドリボン軍と悟空とドモン!

 

今にも始まろうとする巨大空中要塞VSレッドリボン軍戦闘機隊!

 

そして、決着なるか悟空&ドモンVSシルバー&ミケロ・チャリオット!

 

いったい誰が生き残り七星球を手にすることができるのか!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第九話『大白熱!空の戦い!』に

 

レディーゴー!

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話『大白熱!空の戦い!』

 さてみなさんお久しぶりです。だいたい三ヶ月ぶりくらいでしょうか?

 前回、ドラゴンボール探しの旅に出た孫悟空とドモン・カッシュは最初のドラゴンボールをめぐってレッドリボン軍と争うこととなりました。しかし、そこへピラフもドラゴンボール争奪戦に乱入してきました。ますます、拡大するドラゴンボール争奪戦はいったい誰の手に勝利となるのか!

 それでは、ドラゴンファイトレディー・ゴー!


「戦闘機隊、全機発進せよ。」

 

 ピラフにドラゴンボールを奪われたシルバーは基地に残っている戦力も最大限動員してピラフの空中要塞を追跡し攻撃しようとしていた。その数およそ数百機に達する大編隊であった。また、地上にも多くの装甲車や戦車がシルバー戦闘機隊の後を遅れつつも追いかけている。相手の実力が不明な以上自軍が出せる最大限の兵力をぶつけることが定石であるとシルバーは考えていた。そして、シルバーが搭乗している機体もその大編隊の一つであった。

 

「いったい何者でしょうか。 」

 

 突如現れた存在に不安を抱くシルバーの副官は操縦桿を握り少し首を向けシルバーに言った。彼の乗っている戦闘機はレッドリボン軍の最新鋭の戦闘機であり、強力な威力を秘めた物であるが、彼の前方に存在する巨大な空中要塞を目の前にするといささか不安を感じても不思議ではなかった。

 

「ふんっ、さしずめどこぞ金持ちの道楽で作ったものだろう。だが、どこの誰であろうと我が軍に楯突いたことをその身を持って後悔させてやる」

 

 シルバーはそう断言し、副官の不安を払拭する。そして、後部座席にある無線を全戦闘機につなげ攻撃命令を言った。

 

「全戦闘機隊、攻撃目標は前方の空中要塞。敵の戦力や正体は依然として不明である。しかし、我軍の前に楯突く者には排除するだけである。全機攻撃を開始せよ」

 

 シルバーは戦闘機隊の鼓舞し自身が搭乗している機体から全軍の指示を行う。

 

 そして、追われる立場のピラフは達というと、一つ目のドラゴンボールを手に入れ悟空たちを出し抜いたことから上機嫌であったが、突然現れ自分たちの空中要塞を追ってくる戦闘機の大群と対峙してパニックに陥っていた。

 

「ピラフ様、戦闘機が追ってきました。」

 

 マイの目の前にある要塞の対空レーダーには、数えきれないほどの戦闘機が映されていた。それでもなおさらに、増え続ける敵映にマイの顔は青ざめていきピラフに指示を請う。

 

「うっ、うろたえるな、誰だか知らんがわたしの恐ろしさを存分に教えてやれ、マイ、シュウ」

 

 ピラフ自身もドラゴンボールを奪い取ったことによって凶悪無比な戦闘機の大群に追われるようになったことに狼狽するが、大王であるという自身のプライドがなんとか彼の精神の平静を保ち二人に指示をい出す。

 

「「はい、ピラフ様」」

 

 マイ、シュウ、両人ともピラフの言葉に戦闘モードに入って戦う覚悟を決め、ピラフからの攻撃の合図を待つ。

 

「やられるまえにやってやるー!くらえーっ!」

 

「発射!」

 

 ついに両軍の戦いが火蓋を切って始まった。先制攻撃を始めたのはピラフ達の方であった。迎撃武器を操作しているマイが迎撃装置のボタンを押すと、それまで、要塞内に格納していた機関銃やミサイル発装置、レーザー砲を出して始めから全力攻撃を行った。レッドリボン軍戦闘機隊は最初のピラフの想定以上の先制攻撃によって数機の損失と十数機が被弾したが、レッドリボン軍もすぐに反撃を開始する。

 

「全機友軍機と密集せず、散開して各個五月雨的に攻撃し相手に反撃の隙をあたえるな。」

 

 シルバーは部隊全体の指揮統率を行いながら、自機でも果敢に攻撃を行っている。

 

「ふっ、なかなかの武装を施しているようだが我々レッドリボン軍に攻撃したことを後悔させてやる」

 

 レッドリボン軍、ピラフどちらも激しいミサイルや大砲による弾幕戦となっていったのであった。 

 

 

 

 

 十数分後 

 

 雲霞のごとく押し寄せるシルバーの戦闘機隊は、その圧倒的物量でピラフ達を次第に追い詰めていく。要塞の武装は次々に使用不能にされ、要塞の装甲が激しい攻撃によって剥がれ落ち傷つき内装を露わにする。そして、要塞も次第に減速し空中に制止するのがやっとという状況になっていた。ピラフたちが敗北するのもすでに時間の問題となっていた。これは両軍とも誰の目にも明らかであった。

 

「ピラフ様、第二砲破壊されました。」

 

「ピラフ様、ミサイル全て撃ち尽くしました。」

 

 不利な戦況報告がピラフたちがいる部屋を徐々に絶望感を増していく。

 

「メインエンジン出力40%に低下、長くは持ちません」

 

 武器システムの管制をするマイや空中要塞の航行を行っているシュウが悲鳴にも似た状況報告を行う。

 

「くっ、こうなったら、あれしかないな」

 

 沈痛な表情で両拳を強く握りしめたピラフ。

 

「「あれっ?」」

 

 この絶望的状況の中ピラフの言葉に一筋の希望の光を得た二人はピラフに希望の光を覚える。

 

「逃げるぞ!」

 

 ピラフは自信満々ナ表情で高らかに宣言すると二人がピラフの逃げるという発言に呆然とする中一人先に逃げる準備を始めた。

 

「「えっ!?」」

 

 今だにピラフの言葉がうまく理解出来ていない二人だが、ピラフの次の言葉でハッと我に返った。

 

「脱出シャトルに乗り込めー。」

 

「「・・・」」

 

「グズグズするなさっさとな逃げるぞ」

 

 普段のピラフとは思えないほどの俊敏な動きに感動すら覚えた二人はようやく逃げる準備を始めた。

 

「「はい」」

 

空中要塞下部非常用ハッチ

 

「よし、脱出するぞ。マイ、シュウ、準備はいいか」

 

 要塞の下部にある戦闘機型の脱出シャトルにピラフたちが乗り込むとピラフは二人の顔を交互に見て言った。そして、先にシュウの方に顔を向け

 

「よし、ドラゴンボールはちゃんと持ってきたなシュウ。」

 

 次にピラフはシュウに言った。

 

「ちゃんとこの箱に入れてしっかりと持っています、ピラフ様」

 

 シュウは座りながらドラゴンボールを入れた箱を両腕でがっちりと持っていた。

 

「よし、座席のシートベルトは二人共しっかり閉めたか。」

 

「「・・・はい」」

 

 カチャリと何重ものシートベルトを丁寧に締める三人非常時だからこそシートベルトの必要性を説くピラフ。

 

「よし、ではちゃんとトイレには先に行ってきたか、これからいつ行けるかわからんからな」

 

「「そんなことはいいですから、さっさと発進してください。」

 

 とうとう我慢できなくなった二人の鋭い差し迫った鬼のようなツッコミにピラフはボケるのをやめ発進ボタンに指を近づける。

 

「すっすまん。では行くぞ、発進」

 

 ピラフは脱出シャトルの操縦席の発進ボタンを押す。すると要塞最下部の非常用射出ハッチが開閉され、ピラフたちが搭乗している脱出シャトルが大空へ射出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピラフたちが射出した先にあった光景とは、レッドリボン軍の戦闘機に包囲された絶望的な状況であった。

 

「ドラゴンボールを持っている者に告ぐ。貴様の飛行機は完全に我軍が包囲した。速やかに我々に投降しドラゴンボールを明け渡せ。さすれば、命だけは保障してやる。」

 

 シルバーはピラフの機体の無線に対して降伏勧告を行う。

 

「ピラフ様完全に囲まれました。」

 

 シュウがピラフに指示を仰ぐ。

 

「どうしましょう」

 

「・・・こっ、降伏する・・・・」

 

 脱出不可能と悟ったピラフはシルバー達に無線で降伏する意思を伝え、レッドリボン軍の誘導の元に基地へと着陸した。脱出シャトルからピラフはドラゴンボールを持って大勢の兵士から銃口を向けられながらシルバーへと近づいていった。

 

「さて、ドラゴンボールを渡してもらおうか。」

 

 シルバーはピラフの前に右手を差し出す。

 

「はっ、はい、どうぞ」

 

 震える手でピラフはシルバーの右手に七星球をシルバーに手渡した。シルバーはそれを満足げな表情を浮かべつつピラフの手から受け取った。

 

「ふふふっ、さあっ、本部に連絡しろ、ドラゴンボールを入手せりとな。総帥もお喜びになるだろう」

 

 シルバー大佐は上機嫌で戦闘機に乗りシルバーが駐屯する基地へと帰還していった。その後、ピラフ達三人も事前の通り命だけは助けられ基地から走り去るように逃げていった。

 

数時間後 シルバー隊基地司令室

 

 ピラフ達からドラゴンボールを手に入れたシルバー隊の幹部とシルバー今回の戦果に満足し戦果の祝を行っていた。

 

「このドラゴンボールを見ればレッド総帥もさぞお喜びなるだろう。」

 

 シルバーは秘蔵の酒を片手にシルバー自身の机に置いたドラゴンボールを見ながらシルバーは満足気に言った。

 

「はい、シルバー大佐。我軍の世界征服の夢もそう遠くはないでしょう。」

 

(そう、うまくいくもんかな)

 

 この場にいる者達の中でウイスキーの便を片手に隅で壁にもたれかかっているミケロはシルバー達とは真逆の考えを持っていた。しかし、それをミケロがシルバー達にその言葉を出すことはなかった。

 

「ミケロ、何か言いたいことでもあるかな」

 

 ミケロのこの場に合わない態度に不信を感じたシルバーはミケロに言った。

 

「なんでもありやせんよ、シルバーの旦那」

 

「ふんっ、それでは、」

 

(先のドモンカッシュや孫悟空があのまま黙ってレッドリボンの行動を見逃すとは思えねえな)

 

 おもしろみのないミケロの返事に不満気なシルバーはすぐに話題を変えようとしたとき、

 

ダダダッ

 

「銃声!敵襲か?」

 

 真っ先にシルバーが声を上げる。銃声は先の一度だけでなく時間を重ねるごとにどんどん増えていっている。また、音は銃声だけでなく、車が爆発する音、戦車やバズーカの発射音させ頻繁になる。これはただごとではないとシルバーは理解した。

 

「シッシルバー大佐」

 

 シルバーの部屋に一人の兵士が入ってくる。入ってきた兵士はシルバーの司令部の外で守衛をしている兵士の一人であった。

 

「落ち着け、状況を報告しろ。いったいどこの軍が攻めてきた。」

 

 シルバーは今なお度重なる銃声や爆発音、兵士たちの悲鳴や怒号などからシルバー隊と同等かそれ以上の規模の軍隊が攻めてきたのではと想像するが、次の兵士の言葉でシルバーの考えは否定された。

 

「たった二人の小僧が攻めこんできました。それもただの小僧ではありません。恐ろしいほどの強さです。銃弾や戦車の砲弾ももろともせずこちらへ攻め込んできています。」

 

 兵士の語っている事はにわかには信じられないことではあるが、シルバー数時間前に骨董屋で出会った二人の少年の事を思い出した。

 

「あの小僧どものがか」

 

 そう叫ぶとシルバーは司令室を飛び出して銃声が激しくなる方へと走りだしっていった。

 

 二分ほどかけてシルバーが戦っていると思われる場所についたときその場の光景にシルバーは絶句する。

 

 マシンガンの乱射を全て避けながら兵士達を次々に倒していく悟空の姿や戦車を軽く持ち上げ他の戦車へと投げつけるドモンの姿があった。

 

「ぐへっ」

 

 また、一人の兵士が悟空の攻撃を受けて倒れる。

 

「まったく、きりがないな悟空」

 

「大したことのないやつばっかだなここのおっちゃんたちは」

 

 レッドリボン軍の軍事基地に攻め込んでいるとは思えないほど緊張感のない悟空と着々とレッドリボン軍兵を蹴散らしていくそう言っている間にも二人はレッドリボン軍の銃撃などを跳ね返し進撃を続けていく。彼らの目的はただひとつドラゴンボール。シルバーにはすぐわかった。

 

「小僧、よく我々の居場所がよくわかったな。」

 

 シルバーが二人に言った。

 

「おめえはさっきの」

 

 悟空やドモンは数時間前に出会った男のことを思い出す。

 

「俺はレッドリボン軍のシルバーだ」

 

 レッドリボン軍のシルバーと名乗られて当然悟空にはわからないが、ドモンはレッドリボン軍の存在を知っていた。

 

「レッドリボン軍がなぜドラゴンボールを集めている。何の願いを叶えるつもりだ」

 

 ドモンがシルバーに問い詰めるが、

 

「やはり、ドラゴンボールに詳しいようだな」

 

 シルバーはドモンの問いかけには応えず無視して悟空が左手に持っているドラゴンレーダーに気づき悟空に話しかけた。

 

「小僧ども答えろ。なんで、ドラゴンボールを集めている。我々よりも高精度のドラゴンボールレーダーをもっているのか。」

 

 高圧的に悟空に質問するが、悟空やドモンはシルバーの質問には答えず戦いの構えを取る。

 

「我々レッドリボン軍のレーダーではそこまで細い位置はわからん。お前はかなりのレーダーを持っているはずだ」

 

 シルバーはふたりが答えないことがわかっていたようで話を続ける。

 

「おまえなんかに教えてやるもんか」

 

 べーだといい、悟空は舌を出してシルバーに返す。

 

「そうか、わかった。小僧、レッドリボン軍のシルバー大佐をなめるなよ!」

 

タタタッ

 

 シルバーは高速で悟空に近づきその手にもつドラゴンレーダーを奪い取った。

 

「遅いな、これが貴様のドラゴンボールレーダーか」

 

 悟空の手から奪い取ったドラゴンレーダーに目を移す。レッドリボン軍本部の巨大なドラゴンレーダーに比べると悟空のドラゴンレーダーはシルバーの手のひらに収まるサイズでありながら凌駕する探査能力ににわかには信じられないようだった。

 

「この野郎、返せ」

 

ヒューンッ

 

 悟空が先ほどのシルバーの何倍ものスピードでシルバーに突進する。

 

「ふんっ」

 

 シルバーはドラゴンレーダーを取り返しに突っ込んできた悟空を華麗に避けたはずであったが、しかし、シルバーは次の瞬間驚愕する。

 

「ナニィ」

 

 一瞬目をつむっていたシルバーは右手で持っていたドラゴンレーダーがなくなっていた。すかさず、悟空の方に見るとドラゴンレーダーを持った悟空がドラゴンレーダーが壊れていないかスイッチを押しながら確認していた。

 

「よかった。壊れてねーや」

 

「やるではないか、小僧」

 

 ドラゴンレーダーが無事な事に安心する悟空に平静さを取りもどしたシルバーがゆっくりと近づき言った。そのシルバーの傲慢な言い方に悟空はムッとしシルバーに言い返した。

 

「オラ小僧じゃねえ、孫悟空だ」

 

 堂々とシルバーの顔をまっすぐ見つめる。

 

「そうか、孫悟空、それならこれはどうだ!」

 

 シルバーは着ているジャケットを脱ぎ捨て得意のボクシングスタイルコンビネーション攻撃を悟空に浴びせるが、悟空はそれをやすやすと全て余裕かわしていく。そして、

 

「ふんっ」

 

ドンッ

 

 悟空は鼻を鳴らすような声を発するとシルバーのボディーに一撃を放った。たった一発超高速の一撃がシルバーのボディーに命中しシルバーの意識を遠いところに連れて行き戦闘不能へと追いやった。

 

「うぐっ、この俺が・・・ガキ一人にやられると・は」

 

 バタンッと一撃を受けた腹部を押さえながら地面へと倒れこむシルバー。すぐに起き上がる様子はない。完全に気を失っている。

 

「そんな、馬鹿なシルバー大佐があんなガキ一人にやられるなんて」

 

「俺達が勝てるはずない、あんな化け物に」

 

「逃げろおおおー!」

 

 悟空とシルバーの戦いを遠巻きに見守っていたレッドリボン軍の兵士たちがシルバー大佐が呆気無く子供に負けたことによって、ようやく悟空やドモン達の規格外の強さを理解した。そして、その強さを理解した兵士たちにやってきたのは、悟空の強さに対する恐怖感であった。多くの兵士が呆然としていた中、ある一人の兵士が恐怖に耐え切れず逃げろと叫んで持っていた銃も捨てて逃げ出したことをきっかけに生き残っていた兵士の半数以上がこの場から逃走し始めた。本来なら、レッドリボン軍の軍法により銃殺処刑されて文句は言えないところであるが、今この場に彼らを罰する者は存在していなかった。ある者は身一つで走って逃げ、エアバイクや装甲車、果ては戦闘機に乗って逃亡を行っていた。また、逃亡をしなかった半数近くの兵士たちはレッドリボン軍兵士として不名誉な敵前逃亡を行わなかったが、あまりの状況に戦意を消失し悟空たちに攻撃をしなかった。そして、ごく一部の軍への忠誠心熱い勇敢な兵士がなおも悟空やドモンに攻撃を行ったが、あっけなく反撃をうけここにシルバー大佐の部隊は壊滅したのであった。

 

「ここらへんが潮時か、旦那もやられたようだし、俺もそろそろ引き上げるとすっかな!」

 

 ドモンと戦いながらも逐一シルバー大佐の動きを確認していたミケロは、シルバー大佐の敗北とその部下たちの醜態を見て自分もここから撤退する時期だと判断した。

 

「ドモンカッシュ、今回はお前たちの勝ちだ。次のドラゴンボールを、探すといい」

 

 ミケロは戦闘態勢を解いて言った。

 

「おまえもやつらの仲間ではないのか」

 

 ドモンがミケロの周りの者達とのあきらかに違う様子を感じ、ミケロに言った。

 

「仲間?俺は奴らの仲間ではない。そうだな、俺はただの傭兵みたいなもんだよ。こいつらの組織に一ミリも忠誠心もないさ、それに無駄な戦いはしない主義なんでね。それじゃあ、あばよ」

 

 ミケロは言い終わると自身ホイポイカプセルからエアバイクを取り出すとドモンたちの前から去っていった。

 

「変わったやつだ」

 

 その後壊滅したシルバー隊の基地から二人はドラゴンボールを探し出し、次の目的地として北の大陸へと向かっていくのであった。

 

レッドリボン軍本部

 

「何、シルバー大佐とシルバー隊がやられただと」

 

 それまで比較的上機嫌で総帥としての実務を行っていたレッドだったが、その凶報を聞くや否や総裁机の上に置かれて処理した書類を叩きつけながら言った。

 

「はい、総帥」

 

 感情的なレッドは対照的に無感情で無機質な声で答えるブラック。

 

「いったい、どこの組織だ、中央軍か」

 

 レッドはシルバー大佐とその部隊が国王軍の最精鋭の中央軍にやられたのではないかと第一に考えた。世界最強のレッドリボン軍に真っ向から対抗できるのはキングキャッスル直属の中央軍だけと考えるのも無理はなかった、

 

「いえ、生き残りの報告によると・・・その・・・」

 

 ブラックも報告をためらう様子を見せる。

 

「何を躊躇しているはっきり言わないか」

 

「はい、シルバー大佐とその部隊の兵士達は突如彼らの前に現れた・・・少年二人にやられたと」

 

 レッドに報告しているブラック自信も今だにわかには信じられなかった。この報告が彼の元に最初に届いた時はあまりの内容に体中の血管破裂するぐらいの怒気を含んだ顔をブラックに向けた。

 

「なんだと」

 

「残念ながら事実のようです、総帥。ウォンが遣わしたミケロなる男も同様の報告をしています」

 

 シルバー隊の残党からミケロ

 

「ところで今回の大失態をおこしたシルバーはどうしているのだ。」

 

 ヒステリック気味にレッドは言った。

 

「はい、戦闘後、我が軍の基地にて怪我の治療中との報告が来ています。」

 

 淡々と答えるブラック参謀。

 

「ブラック」

 

 そこでレッドはブラックの名を言い話を止めさせた。

 

「はい、総帥」

 

「シルバー大佐を48時間以内に私の元へ連れてくるのだ。私自ら軍法裁判を行う。」

 

 その後、シルバー大佐はレッドの命令のもと意識をまだ失っているシルバー大佐を担架ごとレッドリボン軍の輸送機に載せられレッドリボン軍本部へと移送されることになった。

 

WYコーポレーション本社ビル内

 

 シルバー大佐その部隊が悟空たちによって全滅させられた情報はすぐさま現場から帰還したミケロの報告によってウォンに正確な情報が報告されていた。

 

「ほう、それではシルバー大佐は七星球を孫悟空とドモン・カッシュに奪われましたか。」

 

 激怒し怒り狂ったレッドとは異なりウォンはすぐそれが事実だとし受け止めすぐさま自分にとって最大限の利益になるよう次の行動を考え始めていた。

 

「はい」

 

 ウォンはミケロからの報告だけでなく、レッドリボン軍内潜入させている諜報員や無線の傍受、偵察機等からの情報からレッドリボン軍の情報を逐一収集し監視していた。その情報収集能力は他の組織とは

 

「ミケロ君、それで君の目から見てあの二人の印象はどうですか」

 

 テレビ電話越しにウォンはミケロに直接体験した物にしからわからない意見を求めた。

 

「正直、俺ではあの二人には勝てる自信はありませんねー。ありゃーは化け者ですよ。それにますますこれからも強くなっていくでしょうな」

 

 ミケロは正直に率直な感想をウォンに語った。

 

「そうですか、それはとても楽しみですね。ところで、七星球を奪われたシルバー大佐の処遇はどうなりますか」

 

 最重要のドラゴンボールを奪われ、レッドから預かった部隊を壊滅させてしまったのだ。責任は重い。レッドリボン軍の血の掟を考えればシルバーの処罰は誰の目にも明らかであった。

 

「軍法会議の後に銃殺刑が確実でしょう」

 

 ウルベは言った。

 

「レッド総帥は相当お怒りで、大佐を尋問の後銃殺が確実でしょうね。ゴールド元帥や他の幹部達が止めたとしても無駄でしょう」

 

 テレビ電話越しにミケロがウルベを補足するようにウォンに言った。

 

「内実がどうであれ、子供二人にレッドリボン軍の精鋭部隊をやられたのですから仕方内ですね。しかし・・・」

 

 ウォンは一旦そこで言葉を区切り言葉を続ける。

 

「殺すには少し惜しい人物かもしれません。」

 

 報告書にあるシルバー大佐の資料を手元に置いてウォンはウルベに言った。

 

「それでは、シルバー大佐を保護しますか。」

 

 ウルベが尋ねる。

 

「ええ、そのように処理してください。彼がこのまま愚かな主人に最後まで忠義を尽くすのらそれでよし。我々にのもとに来るのなら保護してください」

 

「「了解いたしました。」」

 

 テレビ通信が切られて、ミケロの姿が画面から消えた。

 

「レッド総帥は有能な部下の遇する仕方を知らないようですね。」

 

 ウォンは椅子に深く座り込み呆れるようにつぶやいた。レッド総帥の部下の扱い方は彼を知る者達にはとても有名であった。たった一度の失敗で処刑されることも多々あった。

 

「しょせん、その程度の男だということでしょう。」

 

 ウルベは切り捨てるように言った。ウルベからすればレッドは忠誠にはあたらないほどの唾棄スべき存在程度の評価であった。そんな彼の考えをウォンは見透かしたかのように話を続ける。

 

「シルバー大佐の件は我々が保護する方向でいいとして、例の御方が封印された電子ジャーの行方の手がかりは掴めましたか」

 

 ウォンは以前からウルベに命じ調べさせておいた案件についての中間報告を尋ねた。ウルベは質問され、すぐに彼が持っていた端末を少し操作し現状の活動報告を行う。

 

「残念ながら、今だ封印がされている電子ジャーについての居所は今だ不明です。調査部の予想では海底の奥底などにあるのが有力との報告があります。」

 

「封印した本人に直接聞くわけにもいけませんしね」

 

 電子ジャーの居場所を知る者は封印した本人の武天老師ただ一人だ。そして、武天老師は彼は死ぬまで電子ジャーの行方を誰にも話すつもりはなかった。

 

「力づくで聞き出すといっても相手は武天老師、手を出せば看過できないほどの損害を受けるでしょう。それに、あの封印には東方不敗マスターアジアも関わっていると伝わっています」

 

「それに武術の神様、武天老師の師、武泰斗と東方不敗マスターアジアとは深い交友があったとか。」

 

 東方不敗と伝説武道家武泰斗が交友があり過去何度か対戦したことがあったと武泰斗の弟子の一人であった男が回顧録に残していて記録が残っていた。

 

「はい、そのとおりです。」

 

「まったく、私にとっては途方もない信じられない話ですね。まあ、何事も穏便に平和的に解決したいものです。まあ、その件に関しては引き続き調査の方をお願いします。」

 

マッスルタワー最上階ホワイト将軍司令室

 

 シルバー大佐が悟空やドモン達と戦っていた頃、北方の大陸ではホワイト将軍が駐留するジングル村のマッスルタワーにレッドリボン軍の大型輸送機が一機やってきていた。輸送機に乗っていた兵士とマッスルタワーの兵士たちによって本部から輸送されてきた積荷がマッスルタワー内に運び込まれていく。そして、輸送の代表者の佐官がホワイトの前に現れた。やってきた男は、ホワイトの部屋で防寒着や防寒帽を外すとオレンジ髪の整ったモヒカンヘアーが現れた。また、ホワイト比べても頭一つ高くがっしりと引き締まった体は軍人とうよりスポーツ選手のようにも見えた。

 

「よく来てくれたゼロ少佐、」

 

 ホワイトの前にやってきた将校はレッドリボン軍の中で最近頭角を現してきたのは青年将校ゼロ少佐であった。ゼロ少佐は納品書や取り扱いに関する書類をホワイトに手渡す。ホワイトは軽く資料に目を通しサインすると書類を机においた。そして、ゼロ少佐の方を見た。

 

「ホワイト将軍、メタリック軍曹先行量産機第1号をお届けにあがりました。」

 

「うむ、ご苦労ゼロ少佐。君の父上にも感謝すると伝えてくれ」

 

 ゼロ少佐と呼ばれた男の父親はレッドリボン軍の天才科学者ドクターゲロであった。彼が若くして少佐の地位に昇進できたのも彼の実力だけではなくドクター・ゲロの影響力もあった。だが、ゼロ少佐の軍人としての能力は本物であり、その戦闘能力においてはシルバーやブラックなどのレッドリボン軍幹部からも認められている。また、ブルーからもゼロ少佐の美形の顔のよさから何度かお茶に誘われるほどの高評価であった。(ちなみに全ての誘いにゼロはいやいやながら付き合っていた。)

 

「ありがとうございます。」

 

 ゼロ少佐はホワイト将軍に一礼するとその場から退席していった。一人自室に残ったホワイト将軍は今だ作業をしているマッスルタワーを見下ろす。

 

「とうとう来たか」

 

 ホワイトがマッスルタワーのから眼下には極寒の中防寒装備の兵士達が白い息を吐きながらゼロ少佐が運んできたメタリック軍曹の入ったコンテナを見ながら呟いた。

 

(この人造人間開発計画が成功し、俺の部隊がドラゴンボール探しをリードできれば、俺の元帥昇進は確実・・・いや、次期総帥も夢ではない)

 

 ホワイトにとってレッドリボン軍入隊以来目標は一つ軍での最高の地位に上り詰めることであった。そのため、彼は常に保身のために上官に媚び、彼は自分より有能な同期や後輩達を謀略によって失脚させていった。そして、50を迎えつつある彼は将軍にまで栄達したが、彼が目指す元帥位を手に入れるにはまだまだ多くの壁があった。まず、ホワイトの教官も務めたゴールド元帥、実績人望ともにレッドリボン軍の中でレッド総帥以上にある存在である。また、彼と同じ将軍であるブルーも同じ将軍でありながらニ回り以上彼よりも若く将軍に昇進していため、ゴールド元帥やブラック参謀の次のレッドリボン軍のトップはブルー将軍彼だと多くの者から有力視されている。この状況を覆しホワイトがレッドリボン軍のトップになるにはこのドラゴンボール探しにおいて最も多くのドラゴンボールを見つけ出す必要があった。

 

(とにかく、ブルーや他の隊よりもドラゴンボールを先に多く見つけなければならぬ)

 

 様々な思惑や欲望が渦巻くなか、ドラゴンボール探しの争いは熾烈になっていくのであった。

 

次回に続く!

 

みなさんお待ちかね!

 

シルバー大佐を撃破し一つ目のドラゴンボールを手に入れた悟空とドモン!

 

そして、二つ目のドラゴンボール探しへと極寒の北方の大陸にあるジングル村へと向かう悟空とドモン!

 

そこで二人が出会ったのは、ジングル村の少女スノ!

 

彼ら二人は少女の助けて欲しい願いを聞き、向かうはジングル村を占拠するレッドリボン軍の根城、マッスルタワー!

 

そこに最初に立ちはだかるのは、レッドリボン軍第二の幹部、ホワイト将軍!難攻不落のマッスルタワーにて悟空達を待ち構えていたのであった!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第十話「怪力無双!メタリック軍曹のパワー!」に

 

レディーゴー!

 

 




あとがき

お久しぶりです、マスター亜細亜です。

久方ぶりの更新で大変申し訳ありません。

今回準オリジナルキャラのゼロ少佐を登場させました。彼は原作の史実でドクターゲロの息子であったレッドリボン軍の兵士でありました。そして、彼の死後はその姿や性格は16号へと受け継がれることとなっています。あと、ゼロという名前は名前がなかったので適当につけた名前です。MGSのゼロ(トム)少佐とは全く関連はありません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話『怪力無双!メタリック軍曹のパワー!』

(注意)

一部キャラに原作にはないオリジナル設定がありますがご了承ください。



さて、みなさんお久しぶりです。

シルバー大佐を破りドラゴンボールを手に入れた悟空とドモン!

二人は二つ目のドラゴンボールがあると思われる北の大地へと向かった!

一方、悟空達が向かう北の大地でレッドリボン軍のシルバー大佐が強力な戦力を持って悟空たちを待ち受けていたのであった。

それではドラゴンファイトレディーゴー!





 

北の大地ジングル村の郊外のとある場所

 

「寒いいい」

 

 ここまで二人が乗って移動してきた飛行機から飛び降りた悟空は開口一番に白い息を吐き震えながら言った。悟空はガチガチの体を必死に動かしドモンの方を見るとドモンはまだ飛行機から出ずにレインから渡されたホイポイカプセルの衣服が入ったカプセルから防寒着を取り出し着替えていた。

 

「あたりまえだ、ここは世界でも有数の極寒の土地だ。」

 

「オラ、こんな寒いの初めてだ」

 

 カチンコチンでピンと立っているしっぽで体をさすりながら悟空はドモンからもう一つ用意されていた悟空用の防寒装備を着た。

 

「レインのやつ、さすがに準備いいな」

 

 レインの準備の良さに感心ながらドモンは最後に厚手の防寒手袋を装着して準備を終えた。

 

「この白いのなんだ」

 

 外に出た悟空はあたり一面にある白い雪を悟空は右手ですくった雪の塊を冷たく感じながらも不思議そうに見ながらドモンにこれの正体を尋ねた。

 

「ああ、それは雪だ」

 

「雪?」

 

 今まで温暖な地域にあるパオズ山や南洋の亀ハウスで過ごしてきた悟空にとって雪は未知の存在であった。

 

「雪っていうのは、そうだな・・・寒いところでは雨の代わりにこの雪が降るのさ」

 

 悟空にも理解できるように説明するドモン。説明しながら幼い頃によく年の離れた兄からいろいろなことを教えてもらったことを思い出した。

 

「へえぇ、ドモンはブルマや亀仙人のじっちゃんみたいにものしりだな」

 

「物知りってほどでもないさ」

 

(キョウジ兄さんから見れば昔の俺も今の悟空のように見えていたのかな)

 

「あなたたちどこからきたの」

 

 シルバー大佐の基地からここまで乗ってきた飛行機をホイポイカプセルに収納して二人が移動をしようとしたとき、突然二人の背後から子供の声が聞こえてきた。

 

「うんっ?」

 

「誰だ、おめえっ」

 

 二人は同時に声がした方に振り向くと二人から10メートルほど離れたところに悟空と背が同じくらいの防寒装備を着装した赤髪の女の子が立っていた。

 

「私?私はスノよ。周りから大人びているって言われているけどまだ10歳よ。」

 

 少し変わった自己紹介をする少女にドモンは苦笑しつつ彼が先にスノという少女に話しかけた。

 

「俺はドモン・カッシュ、こっちは」

 

先にドモンが自己紹介をし悟空の方へと視線を向けた。

 

「オッス、オラ、孫悟空だ」

 

 クールなどドモンとは違いいつもの元気のよい挨拶をする悟空。

 

「ドモンさんと悟空ね。二人は何でこんな北の辺境の村に来たの?旅行?」

 

 二人とは今初対面であるが、気さくに話しかけるスノ。

 

「ああ、俺達は二人はあるものを見つけるために世界中を旅をしながら修行の旅をしているんだ」

 

「武道家?二人共強いの?」

 

 武道家と聞いたスノは改めて二人を見るが、あまり強そうに見えなかった。悟空はどこの街や村にいそうな普通のわんぱくな少年にしか見えなく、また、彼よりも年上のドモンもジングル村の同じ年頃の男子や自分の父親より強そうかなと思うほどにしか見えなかった。

 

「まだまだ、師匠のいうような真の武道家には程遠いさ」

 

 まだまだ未熟者と謙遜するようにドモンは言った。

 

「オラももっと強い奴と戦ってみたいぞ」

 

 二人はそれそれの目標を言う。

 

「ふーんっ、武道家さんも大変なのねぇ、ところで何を探しているのお兄さん」

 

 二人の武道に対する姿勢に感心しつつ、スノはもう一つ気になったことである旅の目的で探しているものを何か尋ねた。

 

「俺たちはドラゴンボールという不思議な球を探しにここへやってきた」

 

 それまで友好的であった態度から急に変わっていった。

 

「ええっ」

 

「どうしたスノ」

 

 スノの先ほどまでとの態度の変わり具合に疑問感じ

 

「ドラゴンボール!あなたたちもしかして、その、レ、レッドリボン軍なの?」

 

 スノは怯えたような声でドモンに恐る恐る震えながら尋ねた。だが、スノの不安はすぐに払拭された。

 

 ドモンはレッドリボン軍の名前が出たことにまたかと思いつつスノの抱える事情について聞かざる負えないと思い尋ねた。

 

「安心しろスノ、俺たちはレッドリボン軍じゃない。ただの武道家さ」

 

 ドモンはスノに落ち着かせるように優しい声で答えてドラゴンボールの事や二人で武者修行の旅に出ていること、ドラゴンボールの一つが悟空の祖父の形見であること等を彼女に教えた。

 

「どんな願いでも叶えてくるの?信じられないわね。でも、レッドリボン軍があれだけ必死に探してるのがわかる気がするは」

 

 スノはレッドリボン軍の兵士達が村人達とドラゴンボールをさがしている姿を思い出した。従わなければ村長を殺すと脅されいやいやながら強制的に働かさせられている村人達に比べて、必死に血眼になってドラゴンボールを探しているレッドリボン軍の兵士達の姿を思い出して納得した。

 

「ところでスノ。君は何故俺達がドラゴンボールの事を話したらレッドリボン軍と言ったんだ。事情を話してくれないか。」

 

 ドモンは先日のシルバー大佐とその部隊の傍若無人の姿を見てレッドリボン軍の行動をほうっておけないと思った。

 

「いいわよ。でも、こんなお外で話すのもどうかと思うから私の家に来ない?暖かくて美味しいお母さん特製のココアも出すわよ」

 

 スノは自分の家に来て改めて話さないかと提案した。こんなところでのんき長話していたらレッドリボン軍がいつやってくるかわからないと思ったからであった。また、レッドリボン軍はドラゴンボール探しが外部に漏れないようにジングル村にやってくる近くの村の住民や旅行者、中央政府の役人などを監禁したり、殺害したりしていることを父から聞いていたので、ドモンや悟空も危ないとその例外とならず危ないと思っていた。いくら、ドモンや悟空が言うように武道家で鍛えていたとしても鉄砲を持った大人の兵士達相手には絶対に勝てないとも思っていた。だが、後日その心配はいらぬ心配であったことと考えを改めることになるのであった。

 

「ココア?それって食い物か」

 

 スノの心配を他所に誘い文句のココアに悟空が美味しいものと聞いて今まで二人の会話にあまりはいっていなかった悟空が反応した。

 

「ええ、暖かくてとっても甘くておいしい飲み物よ。」

 

 予想外の悟空の食いつきのように若干引きつつスノはそう言った。そして、面白い子と本心から思った。

 

「へえー飲んでみてねえな。ドモン」

 

 悟空はまだ飲んでみたことないココアという美味しい飲み物に期待をふくらませる。

 

「ああそうだな、行こうか」

 

 ドモンはスノの心配ごと悟空とドモンはスノの誘いを受けてスノの家へと向かうこととなった。

 

マッスルタワー最上階

 

 悟空達がスノの家と歩いて向かっている頃ホワイト将軍の元にブラック参謀のテレビ電話による本部からの指令が届いていた。それは、シルバー隊を破った小僧二人の討伐命令とドラゴンボールの確保に関することであった。

 

「ホワイト将軍、シルバー大佐からドラゴンボールを奪った小僧二人が将軍の担当する地域に移動し止まったことにをドラゴンボールレーダーにて確認した。おそらく、貴官が担当している地区のドラゴンボールを探しに来たと思われる。」

 

「あのたった二人の小僧にシルバー大佐がやられたとは信じられんな」

 

 ホワイトのPCにシルバー隊の基地の監視カメラに録画された悟空とドモンの戦闘映像が送られていた。否定出来ない証拠の映像を見ながらもホワイト将軍はシルバー大佐が敗れたことについてにわかには信じられなかった。シルバー大佐とホワイトとはゴールド元帥の派閥という違いからあまり好いていなかったが、シルバー大佐の実力事態はホワイト自身も認めるところであり、その戦闘力はレッドリボン軍の多数の部隊の中でも精鋭部隊の一つであった。もし、シルバー隊と自分の部隊がぶつかるとしたら自分が負けることはないとしても相当の被害を受けるだろうと思っていた。

 

「信じられないのも無理はないが、これは事実だ。」

 

 ブラックは無表情の顔のまま、これは事実だ受け入れろと言わんばかであった。

 

(シルバー大佐を倒した小僧二人を俺が倒し、やつらの持つドラゴンボールとレーダーを手に入れれば俺の軍での発言権はうなぎのぼりだな)

 

 これが事実だと受け入れたホワイトは現状のホワイト隊の戦力で小僧二人に勝てるか戦力分析をする。シルバー大佐を一騎打ちの勝負で破り、そのシルバー大佐配下の部下たちを全滅させた戦闘力は驚異的、恐ろしいほどのものであるが、彼は二人に勝利するビジョンが思い浮かんだ。なぜなら、彼にはシルバー隊にはなかった秘密兵器がいくつもあった。先日、届いたドクターゲロの戦闘ロボや人造人間そして地下で飼っているピンクの悪魔を使えば勝てない相手だと確信した。次にホワイト将軍は出世のための打算を頭のなかで描いてく。彼の脳裏には元帥に昇進した自分の姿があった。

 

「わかった。近日中にレッド総帥に吉報を報告することになるだろう」

 

 自信満々の表情でブラックに答えるホワイト。

 

「ふんっ、せいぜいそうなることを期待しているぞ、ホワイト将軍」

 

 ブラックはホワイトの思惑を感じ取ったのか、そう皮肉を込めて答えホワイト将軍との通信を切った。

 

「・・・ふん、総帥の木偶の坊が」

 

 テレビ通信が切れ真っ暗になった液晶画面に一瞥しホワイトは言った。同じレッドリボン軍の仲間であるはずだが、ブラックは彼にとっては彼の栄光のロードへの厄介な障害物でしかなかった。

 

マッスルタワー最上階 ホワイト司令室

 

 スノの家に到着した悟空とドモンはスノとスノの母親からジングル村がレッドリボン軍に支配されていること、村長を人質にして、村人をドラゴンボール探しに徴用していること、マッスルタワーの噂などを伝えられた。

 スノからジングル村の現状を聞いた二人はドラゴンボールをこの地で探す前にレッドリボン軍を倒さなければならないと考えマッスルタワーに向かうこととした。マッスルタワーに向かうと決意した二人にスノとその母親は思いとどまるように諭すが、その時突然のレッドリボン軍兵士2名の襲撃を受け簡単に撃退した二人の姿を見て、二人の強さをその体で感じ取った。

 スノの家から出た二人はスノに教わったマッスルタワーがある場所にまっすぐ向かっていった。途中、ドラゴンボールを探す兵士やマッスルタワー周辺を警備する兵士と激突するも、これをらくらくと二人は蹴散らしていった。次々と破れ沈黙し定時連絡が来ないことからホワイトは本部からの指令あった小僧二人がこのマッスルタワーに向かっていることを悟ったのであった。

 ホワイトはすぐさま、部下のムラサキ曹長にマッスルタワーの警戒を厳にするように命じた。最大限の警戒網を構築し、ホワイトができることを二人を待ち受けることであった。そして、それは時をおかずしてすぐにやってきた。

 悟空とドモンは迂回することなくマッスルタワーにまっすぐ突撃してきた。なんら、策もなくまっすぐ突っ込んでくる二人の姿に馬鹿かとホワイトは内心思うが、次第にそれは間違いと感じていく。二人の戦闘能力の高さに。装甲車やマッスルタワーに備えられている機関銃の弾幕を軽々と避ける姿や、何百人も兵士達を薙ぎ払っていく戦闘力に。

 やがて、二人はマッスルタワー外部の兵士達や兵器を一掃するとマッスルタワーの一階に侵入していった。内部にも百人以上の将兵達を待ち伏せ隊として配置していたがホワイトは先程の攻撃する姿を思い出し、一階や二階で止めることはできないと確信した。

 だが、一方で三階には先日ゼロ少佐が持ってきた秘密兵器があった。これを用いればあの小僧に十分勝てるだろうと今までにゼロやドクターゲロから聞いていた性能から判断し、再び自身を取り戻した。

 ホワイトがそのように考えていく中、突撃した二人は監視カメラの映像からすでに三階にさしかかろうとしていた。

 

(化物には化物で対抗するだけだ)

 

マッスルタワー三階

 

「ウェルカム」

 

 一階、二階を守っていた兵士達を蹴散らし階段を昇った三階にいたのは3メートル近い大男が悟空たちの目の前に立ち塞がる。よく見るとメタリック軍曹の後方に四階へと続く階段が見える。

 

「どうやら、こいつを倒さない限り四階へは上がれないようだな」

 

ドモンは四階へとつながる階段を見ながら言った。このまま、メタリック軍曹との戦闘を避けて四階へと向かうのも可能だが、後から前後から敵に挟み撃ちにされる危険があるため戦う選択をする。

 

「メタリック軍曹に当たったのが、やつらの運のツキですな。二分で片がつくでしょう。」

 

 ホワイトの司令室にはホワイト将軍の他に先日メタリック軍曹を輸送の代表者のゼロ少佐もいてともに階下の戦況を見守っていた。ムラサキがドモンや悟空を哀れむように言った。ムラサキ自身これまでの二人の戦況を見て二人の異常な戦闘力を知っていたが、ホワイト同様にメタリック軍曹のことを知っていたため、メタリック軍曹が強いと判断していた。

 

「そうか、残念だなあ。あの、シルバー大佐が倒したほどの小僧どもと聞いていたから久しぶりに俺様が直々に相手をしようかと思ったのだがな」

 

 正直にいえば先ほどの戦闘を見て生身で勝てる自身はなかったが、部下の前で見栄をはるホワイト。

 

「将軍が相手するほどの相手ではないでござるよ。」

 

「それもそうだな、ふっははは」

 

 部下の追従する意見に機嫌を良くしたホワイト。久々に高笑いを上げる。

 

「メタリック軍曹との戦闘が始まるようです」

 

 今まで二人とは違って黙って戦況を見ていたゼロ少佐の声をきき監視カメラの画面に二人は注目する。

 

 マッスルタワー最上階の司令室にいる中で唯一ゼロ少佐だけはこの勝負どちらが勝つかわからないと苦い顔をしていた。

 

「オマエタチヲコロス」

 

 無機質で機械的な低音な声でメタリックはドモン達に死刑宣告を言い、ドモン達に近づいていく。

 

「シネ」

 

 メタリックはその巨大な足でドモンに向かって踏みつけ攻撃を仕掛けるが、ドモンは難なくかわす。

 

 メタリックに踏みつけられたコンクリートの床に大きくヒビがはいる。その威力は凄まじくもう同じ箇所に何度か攻撃すれば床に大穴が開くことになるだろう。

 

「ナニッ」

 

 戦闘用アンドロイドでありながら、ある程度の人工知能が搭載されているメタリック軍曹は驚く。内臓のCPUは今の攻撃を100%命中すると結果を出していたにも関わらず。

 

「パワーはなかなかのようだが、スピードがまるで駄目だな。当たらなければどうということはない」

 

 そんなメタリック軍曹のCPUの計算を裏切る超スピードで避けたドモンは冷静にメタリック軍曹の実力を分析する。

 悟空やドモンの胴体よりも太い腕から放たれる拳の連撃に軽々としたステップでかわしていくドモン。明らかに二人のスピードはメタリック軍曹より数段早かった。

 

「とりゃあっ」

 

 ガンッ

 

 メタリック攻撃を上に飛び上がって避けたドモンはすかさずメタリック軍曹の頭部に蹴り攻撃を行った。

 

「グッ」

 

 ドモンの一撃がメタリック軍曹の頭部を激しく揺らし、その背後へと押し倒した。床にメタリックの重い胴体が着地すると大きな衝撃音がなる

 

「・・・なんだ、こいつ。殴った時の感覚がいつもと違う・・・まさか・・・こいつの正体は」

 

 ドモンはメタリック軍曹を殴り倒した右手を見つめながら、先ほどの妙な違和感を感じていた。そして、それが先ほどの攻撃で確信へと変わっていった。このメタリック軍曹の正体に。

 

「ジャーン拳!グー!」

 

ドゴッ

 

 起き上がって再度攻撃をしようと準備しているところを悟空が追撃を行う。メタリックはかわす火まもなく悟空の強力なジャン拳の一撃にメタリックの装甲服がかける。

 

マッスルタワー最上階

 

「くっ、なんてガキどもだ。あのメタリック軍曹相手にして優勢に戦っている。」

 

 ホワイトは悟空とドモンの身のこなしやパワーに驚愕する。メタリック軍曹によって保たれていたホワイトの平常心がゆらぎ再び心に不安が増していく。

 

「シルバーがあいつらに敗れたのも間違いではないかもしれない。」

 

 ようやくホワイトはこの段階でシルバー隊が敗れたことを完全に認めることとなった。

 

「はい、間違いないでしょう。こうなったら、仕方ありません。バーサーカーシステムを発動させます。」

 

 今までホワイト将軍とムラサキ曹長の後方で戦況を黙って見守っていたゼロはホワイトに提案する。

 

「バーサーカーシステム?」

 

 聞いたことのない言葉に首をかしげるホワイト。その様子を見たゼロはホワイトが以前のメタリック軍曹の性能説明をちゃんと聞いてなかったことに憤りを感じるが、再び以前説明したように丁寧に手短に説明を行う。

 

「はい、端的に言えばバーサーカーシステムとは簡単にいえばドクターゲロが開発した人造人間の戦闘能力を何倍にも引き上げるシステムです。」

 

「ほう、それは頼もしいな」

 

「しかし、バーサーカーシステムにも欠点があります。」

 

 そこでいったん話を区切るゼロ。高度の兵器を運用する以上その長所と短所を理解していなければならないとゼロはかつてゴールド元帥から士官学校時代教わったことからその点を熟知していた。

 

「ほうっ、その欠点とはなんだ」

 

「はい、バーサーカーモードは数倍のパワーを得られる代わりに通常時とは比べ物にはならないほどのエネルギーを消費します。いわば、リミッターを外していますので、勝てるとしても長時間使用すれば使い物にはならないほどの損傷を受けるでしょう。そのため、運用においてのコスト面でよくありません」

 

「ふむ」

 

「バーサーカーシステムについてはよくわかった。とにかく、今は作動させるしかあるまい。手段や状況をを選んでいる場合ではない。」

 

 ホワイトは二人の動きに翻弄され、一方的にすり減っていくメタリックの姿を見て言った。このままバーサーカーモードとやらを使わなければメタリック軍曹がやられるのは誰の目にも明らかであった。

 

「バーサーカーモード発動!」

 

ムラサキはゼロから受け取ったメタリック軍曹の制御装置を操作しバーサーカーシステムを作動させた。

 

マッスルタワー三階

 

「ヴオオオオ」

 

「何だ」

 

 先程まで自分たちのスピードに翻弄され劣勢だった目の前の大男が咆哮を上げる。してよく見ると体が熱を帯びて高温の蒸気が吹き出し、筋肉が数段大きく肥大化していた。

 

「コロス!コロス!コロス!」

 

 先程以上の連打を悟空たちに行う。

 

「急に動きが格段に早くなった。」

 

 想定以上のパワーアップに対応をまだ完全に対応できずにいるドモンは一撃避けるタイミングを失い、ガードした。

 

「くっ、それにこのパワー。さっきとは比べ物にはならん」

 

 ドモンは素早くメタリックの攻撃を両手をクロスしてガードするが、それでもメタリックの攻撃の威力は大きかった。

 

「くっ、長期戦になればまずいかもしれない。ここは一気に決める」

 

 ドモンはそう考え一気に今いる三階中央部から後ろの壁まで下がる。

 

「俺のこの手が光って唸るぅ!」

 

 後ろへと下がったドモンは右手に全身の気を集中し収束させていく。集められた気はやがてドモンの右手を輝かせる。

 

「お前を倒せと輝き叫ぶ!」

 

 極限にまで高められた気が今にも放たれたようとする。そこへメタリックはドモンめがけて突っ込んでいく。

 

 そして、ついにシャイニングファインガーを解き放った。

 

「必ィッ殺ッッ、シャーイニング、フィンガアアァァァッー」

 

 メタリック軍曹はドモンのシャイニングフィンガーを両手で防ごうとシャイニングフィンガーを発動している右手を掴もうとするがドモンの右腕は微動だにせずまったく動かない。

 

「ヴオ!」

 

 機械でありながら人工知能があるメタリックはドモンのシャイニングファインガーを頭部に受けながら自分の次の運命を理解し、恐怖を覚えるが、次の瞬間その感情は永遠に消えることとなった。

 

「はああああ」

 

 ヒューンっドガッ!

 

 ドモンの言葉とともに収束した爆発と衝撃がメタリックの頭部に中心に炸裂した。

 

 衝撃音や爆発の煙が晴れるとそこにはメタリックの前にたつドモンと頭部と左腕を木っ端微塵に破壊され床に横たわるメタリックの姿が会った。

 

「ふうー」

 

 戦闘状態をときメタリック軍曹に背を向け、悟空の方へと歩いて行ドモン。その表情には勝利を確信した勝者の顔であった。だが、しかし、

 

「ドモンあぶねえ避けろー」

 

「はっ、頭部と左腕を破壊したのにまだ、動けるのか」

 

 悟空の叫びと同時にメタリックの再び動き出した気配を感じ咄嗟に回避するドモン。振り向いた後ろには残った右腕で攻撃しようとするメタリックの姿が会った。

 

「ドモン伏せろー」

 

 一撃目を避けられ二撃目をしようとするところに悟空の援護射撃が行われた。

 

「はあああああー」

 

 悟空はドモンを助けるべく咄嗟にメタリックへ向けてかめはめ波を放った。まっすぐとした弾道でかめはめ波はメタリックへと向かっていく。既に頭部がないはずのメタリックは避けることもできずかめはめ波がメタリックの右胸部と右腕へと命中し消滅させ、残った胸より下の下半身が再び床へと倒れた。

 

 上半身を半分以上吹き飛ばされた姿をみて今度こそ倒れたかと思われたが、

 

「やったか、いや」

 

「・・・!」

 

 先の悟空のかめはめ波と自分のシャイニングフィンガーを受けてなおも動こうとするメタリックに驚く

 

 だが、上半身半分と下半身だけとなりながらも立ち上がったメタリック軍曹。

 

 その姿でなお悟空たちに近づいていく姿はまさに神話に出てくるような不気味な姿であった。

 

 が、しかし、メタリックの執念ともいうべき行動は終わりを告げる悟空やドモンたちの数メートル手前で行動を永遠に停止したのであった。

 

「・・・」

 

マッスルタワー最上階

 

「動きが止まったぞ、どうしてだ!やられたのか」

 

 ホワイトは突如停止したメタリックの姿をみてメタリック軍曹のスペックに詳しいゼロに尋ねた。

 

「おかしい、バーサーカーシステムを使用したとはいえ、メタリック軍曹は全身の各部にある燃料電池が破壊されるか、電池切れにならないかぎりまだ動けるはずだが、たとえ、上半身が吹き飛ばされても下半身にある燃料電池でまだまだ動けるはずですが・・・それほどまでにあの少年達の攻撃が私の想定を超えていたのか・・・」

 

 ゼロは想定外の事態に原因がまだわからない様子であった。

 

「電池・・・まさか・・・しまったあああ」

 

そんな二人の前で倒叙絶叫をあげるムラサキ。

 

「どうしたムラサキ、何か心当たりがるのか。メタリックに何が起こったのだ。」

 

「はい、その・・・電池切れでござる。」

 

 言いにくげなムラサキはホワイトに向かって言った。

 

「えっ」

 

「電池切れでござる」

 

「そんなはずは、先日曹長に電池交換を頼んだはずでは」

 

 ゼロが問い詰めるように言った。

 

「実は・・・先日、マッスルタワーについてから電池交換するようにゼロ少佐から指示を受けていたのですが、拙者すっかり忘れていたのでござる。」

 

 ムラサキはやっちゃったぜと顔でごまかすが、

 

「「・・・」」

 

 ムラサキに説明したゼロは呆れるような顔して顔に手を当て、ホワイトは肩をぷるぷる震わせ今にも怒りを爆発させそうだった。

 

「ははっ、参ったでござるな、ははあっ」

 

 笑ってごまかすムラサキ曹長だったが、その場の空気は変わらない。

 

「参ったでござるでは済むかああ、何をしているさっさといって四階を守れ」

 

「了解でござる」

 

 シュンッと返事とともにつむじ風のように一瞬で消えたムラサキ曹長は四階へと向かった。

 

「我軍は容易ならざる相手を敵にしたようです」

 

「・・・」

 

 ホワイトは沈黙するカメラ越しの現実を。

 

(レッド総帥にこのことをお伝えせねば、いや、ゴールド元帥にも)

 

 ゼロは一方目の前の存在がレッドリボン軍にとって最悪の厄災になるのではないかと思い始めた。

 

マッスルタワー三階

 

つんつん

 

 完全停止したメタリック軍曹を悟空が指で突くが何の反応もない。

 

「こいつ、死んじまったのか」

 

 悟空がそう言うのが無理ではなかった、普通の生物なら頭と両腕を吹き飛ばされたのだ。しかし、ドモンはそれを訂正した。

 

「いや、こいつはロボットだから壊れたのほうが正しいな」

 

 ドモンは活動停止したメタリックの体から剥がれ飛び散った集積回路の基板を掴み言った。

 

「ロボット?」

 

 悟空はブルマ達とのドラゴンボール探しの旅や亀仙人のもとでの勉強などで様々なことを学び、ロボットというものが存在することは知っていたが、実物を見るのは初めてであった。

 

「ああ、こいつは戦闘用のロボットだ、つまり、機械の人間だな。それもかなり高性能のな」

 

「よくわからねえけど、強そうだな」

 

「俺の父さんや兄さんも人工知能を搭載したロボットを開発しているが俺も多少は知っているのさ。こいつは、父さんと兄さんが作った物に比べたら知能は劣るが、パワーは化け物だな」

 

「へーそーなのかー」

 

 全て理解したのかは分からないが悟空は両腕を左右に伸ばし十字架のポーズで感心するように言った。

 

(一応父さんの研究所にこいつの残骸を送っておくとしよう、何か研究の役に立つかもしれない。)

 

 後に送られたメタリック軍曹の残骸によってある一つの出来事が起きるのであるがまだ先の話である。l

 

「さて、四階に向かうぞ」

 

「おうっ」

 

マッスルタワー三階を守るメタリック軍曹を打ち破り四階へと向かう悟空とドモン。

 

次回に続く!

 

次回予告

 

メタリック軍曹を打ち破り四階へと進んだ二人に待ち受けるのは忍者ムラサキ曹長!

 

彼の怪しげな数々の忍術に翻弄?される悟空とドモン!

 

そして、二人の前に現れるメタリック軍曹を超える人造人間!

 

悟空とドモンはジングル村の人たちを救い、レッドリボン軍を倒すことができるのか!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第十一話「強敵?忍者ムラサキ曹長現る!」にレディーゴー!

 

 




あとがき

 原作と違って悟空サイドには東方不敗やドモンなど有能な人物が多数いますので、敵であるレッドリボン軍側も強化していかなければなりませんので、今回メタリック軍曹にバーサーカーシステムを搭載させました。今回のメタリック軍曹は比較的あっさりとバーサーカーモードを発動しても敗れましたが、今後も量産型メタリック軍曹や他の人造人間にも搭載され悟空たちを苦しめることになるかもしれません。ちなみにバーサーカーシステムを開発したのはもちろんレッドリボン軍のドクターゲロです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十一話 『強敵?忍者ムラサキ曹長現る!』

さてみなさん恐るべき戦闘兵器メタリック軍曹を破った悟空達はついにマッスルタワー四階へと進みました!

そして、今回悟空達を待ち受けるのはホワイト将軍の右腕忍者ムラサキ曹長!

悟空とドモンは忍者ムラサキ曹長の怪しげな忍術を破りジングル村をレッドリボン軍から解放することができるのか!

それでは、ドラゴンファイトレディーゴー!



マッスルタワー四階

 

「ここが四階か」

 

 三階を守護していたメタリック軍曹を打ち破り四階へとたどり着いた二人。そして、彼らを待ち受けていたのは真っ暗な闇であった。

 

「なんだ、真っ暗でなにも見えねえぞ」

 

 二人が到達した四階は三階へと繋がっている階段から入る三階の照明がうっすらと入口付近を照らしているだけであり、五階へと繋がる階段は暗く近くには見当たらなかった。

 

「気をつけろ悟空!敵がどこから攻撃してくるかわからないぞ」

 

 ドモンは悟空に警告を出し敵の攻撃に対して身構える。暗闇の中であり、敵の地の利がある今用心するに越したことはない。そして、

 

ヒュンッヒュンッヒュンッ

 

 突如怪音を上げる物体が暗闇の中悟空たち前に現れた。

 

「わっ」

 

 暗闇の中悟空やドモンに向かって風を切り裂く音が聞こえ悟空達はその気配から自分たちに向かって敵意を持って飛んで来る飛翔物をかわす。

 

「はっ」

 

 ヒュンッヒュンッヒュンッ

 

 何度か同じような飛翔物の接近を交わすと攻撃は突如やんだ。

 

「大丈夫か、悟空」

 

「ああ大丈夫だ」

 

 二人はそれぞれ近くにあった岩のような物体に体を隠し周囲の様子を警戒しながら小声で会話する。

 

「なんだ、ここは、家の中に庭がある」

 

 いち早く目が暗闇に慣れてきた悟空は四階が屋外のような姿に気づいた。そして、思わず遮蔽物の岩から姿を出し数歩歩いた。うっすらと見える悟空の視界には、建物中に本来あるはずのない家や木々が存在していた。そして、そこへ向けてさっきとは異なる物が悟空に向けて投げられてきた。目の慣れてきた悟空はそれが包丁のように鋭利なものだと気づく。悟空はそれを知らなかったが投げられてきたものは忍者が良く使用するクナイや手裏剣であった。

 

タタタッシュッシュッ

 

 ムラサキから投げられた手裏剣やクナイが床にいきよいよく突き刺さった。

 

「よくぞ今の攻撃をかわした」

 

 再び攻撃が止むとどこからともなく男の声が二人に聞こえる。

 

「お前は誰なんだ」

 

 悟空が正体不明の敵に対して叫ぶ。

 

「ふははははっ」

 

 男の笑い声とともに四階上部の窓を閉めていたシャッターが上がりはじめ、すべての電灯が点灯した。

 

「この俺様は、死の使い、忍者ムラサキ」

 

 低い声が四階中に響くが依然として声の主であるムラサキの居場所を二人は見つけられない。

 

「どこだ、出てこい」

 

「よくこの四階までこれたな小僧ども。あのメタリック軍曹を倒したことはほめてやる。しかし、お前たちの快進撃もここまで、俺様に出会ったが最後貴様達は死ぬのだ」

 

 人工物で偽装されているスピーカーからムラサキは悟空たちへ向けて挑発する。

 

「死ねえっ」

 

 ドモンが後ろへ向いた瞬間ムラサキは隠れていたところから飛び出し、背中に背負った名刀ササニシキを抜き斬りかかった。だが、それをドモンは難なくまるで見えているかのようにかわす。

 

「くっ、これならどうだ」

 

 斬撃がかわされたとみるやすかさずムラサキは手裏剣攻撃に切り替えドモンに向けて無数の手裏剣を投げつけた。しかし、これもドモンは軽々とした動きで全てをかわしたのであった。

 

「何故躱せた」

 

 ムラサキは自身の十八番の技である手裏剣投げを軽々と避けられ驚く。彼は今まで この手裏剣投げで先手必勝一撃でレッドリボン軍にあだなす者を葬ってきたのだが、それを難なく交わし反撃してくる二人の実力に改めて認識した。

 

「今度はこっちの番だ」

 

 悟空はドモンに奇襲攻撃したムラサキに反撃に出るため突撃するが、

 

「俺の姿を見つけられるかな」

 

 自身に向かって突撃してくる悟空に対して、すかさずムラサキは二人にむけて煙幕弾を投げつけた。二人はすぐに煙幕の外へ飛び出すがすでにムラサキの姿はなかった。

 

 悟空は姿を消したムラサキを探しあたりを見渡す。すると、すぐにムラサキの気配を見つけた。

 

「そこだああっ」

 

 悟空は近くに落ちている小石を拾いムラサキの気配がする方向に向けておもいっきり力を込めて投げつけた。悟空の超人的な強肩によって投げられた小石は正確にムラサキの気配がする方向へと投げられた。

 

「痛えっ」

 

 悟空が投げた小石の投擲に思わず、声を上げムラサキは姿を表した。しばらくして、悟空によって受けたダメージが収まり悟空に居場所がわかった理由を尋ねた。

 

「なぜ、拙者の居場所がわかった」

 

「あんなのだれだってわかるさ」

 

 そういい悟空はムラサキが隠れるために使っていた小道具を指さした。悟空が指差した方向に合ったものは表に星条旗、裏を木の模様が描かれたムラサキの全身を隠すほどの大きさの布であった。

 

「あんな派手な柄ならすぐにわかるさ」

 

「しまった」

 

 ムラサキは絶叫を上げしばらくして落ち着くと正しい隠れ蓑術を悟空たちにレクチャーすると戦闘を再開し始めた。

 

「さっきは油断したが、今度はハイレヴェルな技で今度こそあの世送ってやる」

 

 気を取り直したムラサキは再び悟空たちから離れ一旦隠れようとするがこの時、ある物がムラサキの懐から滑り落ちた。このムラサキの懐から滑り落ちたものを悟空はすかさず拾い上げ確認する。

 

「なんだこれ」

 

 悟空が拾ったものはB5サイズの100ページほどの本であった。しかもそれはほとんどが若い女性の写った写真だけの本であった。

 

「うわあああ!それはああああ」

 

 悟空がムラサキのある物を拾ったことを知ると気配を消して隠れていた草むらから突然飛び出し慌てふためくムラサキ。

 

「ブルマくらいの女の裸が写ってる」

 

 悟空は拾い上げた本を適当に開くとそこには派手な色の下着を着けただけの若い女の姿があった。

 

「それを返すでござる」

 

 さきほどまでの攻撃時の動きよりも数段早い動きでムラサキは悟空の手から本を取り返そうとするが悟空もさきほどよりさらに数段早いスピードで避けていく。

 

 そんな二人の様子にドモンは何も言わず静観していたが、悟空の方からドモンへ声をかけられることになった。

 

「ドモン」

 

 悟空はドモンに声をかける。

 

「なんだ」

 

 悟空から何を言われるのかわかっているのか、ドモンの声に嫌な成分が含まれていた。

 

「亀仙人のじっちゃんやウーロンもこういうの持ってたけど何が面白いんだ」

 

 悟空にとって不思議で不思議でたまらない疑問をドモンに尋ねた。

 

「それは・・・」

 

 純粋無垢な悟空の姿にどう説明したらよいかわからないドモンは一向に悟空の問に答えられなかった。本当の事を伝えるべきか、うまくごまかすか。ドモンは苦心する。

 

「早く返してくれえええ」

 

 悟空がドモンに話しかけドモンが受け答えに苦悩する中、ムラサキは二人の間で敵である悟空に返してくれと懇願するムラサキ曹長。その姿には最初の威厳やシリアスさ等存在していなかった。

 

「・・・悟空」

 

 悟空から本を取り戻そうと必死に手を伸ばすが、悟空はわけがわからないまあmムラサキの攻撃もとい取り返そうとする手をやすやすと避ける。

 

「うん!」

 

「・・・それをあいつに返してやれ」

 

腕組みした格好でドモンはうつむきながら悟空に言った。ムラサキのあまり、いや見事といってもいいほどの哀れな姿に同じ男として同情し悟空に返すようにいったのである。

 

「返すの」

 

 悟空は再度確認する。

 

「ああ、とにかく返してやってくれ」

 

「うん?わかった。ほらっ」

 

 悟空はドモンからいわれ素直に応じ、雑誌をムラサキに向けて投げ返した。

 

「ああ、よかった。お主、憎き敵だがかたじけないでござる」

 

 悟空から返された本を大事そうに抱えムラサキはドモンに心から礼をいった。

 

「あんたの気持ちはわからんでもない」

 

 一方、正直この話をさっさと終わらして戦いを再開したいドモンであった。

 

「貴様らこれを見たからにはここから金輪際けっして生きては返さん」

 

 ムラサキは二度目の仕切り直しをおこなう。

 

「何だよ、いったいあれは」

 

 この場の状況がいまいち読み込めない悟空は思わずムラサキに向かってぼやいた。

 

「ウルサイナ」

 

 棒読みで応えるムラサキ曹長。ムラサキはその後タンアと宣言し限定本が戦いで再びうばわれないようにするため四階中心部にある自宅へ持って行き金庫へと保管した。

 

「あいつら何をやってるんだ]

 

「・・・」

 

 三人の謎の行動にカメラ越しではわからなかったホワイト将軍は首をひねる。一方、ホワイト将軍の一歩後ろでカメラ映像を見ていたゼロは四階で起きたことをその優れた頭脳により察し、黙り込んでいた。

 

「ふうーっ、もう少しで限定本が」

 

 悟空から取り戻した限定本に傷がついていないことを1ページ、1ページ確認し、安堵するムラサキ。

 

「何なんだ、いったい」

 

 悟空は相変わらず頭の上にクエスチョンマークを浮かべ言った。

 

「・・・」

 

 ドモンは最上階のゼロと同様に黙りこんでいる。

 

「ごほんっ、多少不覚を取ったがお遊びはここまでこれから、お前たちに本当の忍者の恐ろしさ見せてくれる」

 

 咳払いして無理やり仕切りなおすムラサキ曹長。

 

「・・・」

 

 ドモンもムラサキの戦闘の仕切り直しに同調し無言で構え直し対峙する。だが、そこへ悟空の追撃がはいった。

 

「ところで、ドモン」

 

 お互いムラサキに向けて構えんながら悟空はある疑問をぶつけようとドモンに話しかける。

 

「戦いに集中しろ、悟空」

 

 ドモンはムラサキを見つつ攻撃の構えのまま言った。

 

「忍者ってなんだ?」

 

「「・・・えっ」」

 

 マッスルタワー四階は一時の静寂へと包まれたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

十数分後

 

「というのが、忍者だ」

 

 説明が終わり、達成感のある表情をしているムラサキは言った。

 

「へええ、忍者って凄いんだな」

 

 ムラサキから聞いた忍者の話に素直に感心する悟空。

 

「当たり前でござるよ」

 

 ムラサキから忍者とは何か、忍道とは何かとたっぷり教えられた悟空は誇張込みのその話に感心していた。

 

「詳しくはこの本を後でよく読んで理解するように」

 

 懐から一冊の書籍を取り出し悟空に手渡した。受け取った本を見ると表紙には民明書房刊「本当の忍者の真実99」と本のタイトルは書かれていた。以下の文章はその本から抜粋した内容である。

 

 忍者(ニンジャ別名シノビ)とは超人的な能力を持つ暗殺者のことである。

 忍者はかつて東の大陸の先にあったとされる伝説の島国にて誕生した諜報機関の構成員が起源とされている。

 忍者はその自身が持つ類まれな才能と血の滲むような修業によって手に入れた忍法と呼ばれる秘術を駆使して、敵対する相手に対して、暗殺、諜報、破壊活動などを行うのである。

 また、忍者は特に数ある忍法の中でも変装術に長けており、特に一流の忍者となば、その変装した姿はまるで双子のように瓜二つの同じ姿になるだけでなく声や性格、血液型まで同じになれたとされている。

 なお、余談ではあるが、コスプレのイベントの起源が中世の貴族たちによる仮装パーティーがその起源とする説がこれまで一般的であったが、現在ではコスプレのイベントが始まった起源は忍者同士が自身の変装術を上達させるために集まったとする説が支配的である。

 また、西の都にて毎年夏冬に行われる濃魅華(コミケ)のコスプレのレベルが他の都のコスプレイベントより総じてレベルが高いのは、一部レイヤーたちの中に忍者の末裔達がおりその忍者の末裔たちがお互いに自身の変装術の技術を高め合うために西の都の濃魅華(コミケ)に集まって行っているからである。

 

 民明書房刊「本当の忍者の真実99」より抜粋

 

 話がそれたので本題に戻る。

 

「さて、こんどこそ確実に息の根をとめてやる」

 

 ムラサキは悟空とドモンに死の宣告を行い、武器を取り出す。

 

(殺す相手に本を渡すのはどうなんだ)

 

 ドモンは内心表情には出さないがムラサキの行動に首を傾げつつ悟空とともに戦いを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 悟空たちとムラサキ曹長の戦いが本格的に始まろうとするなか、村長を助けて欲しいとお願いしたスノは悟空とドモンの無事を自室で祈っていた。

 

「あの二人、本当に大丈夫かしら」

 

 ガタッ

 

 突如スノの元に大きく扉が開く音がしてレッドリボン軍がまたやってきたのではないかと思い、不安になるが、すぐに出迎えて母親と会話する父親の声が聞こえほっと安心した。

 

 スノは身なりを整えると部屋を飛び出し両親の声がする玄関の方へと向かった。

 

「ただいま」

 

 スノは父親の顔を見て笑顔になる。

 

「お父さん」

 

 連日レッドリボン軍に徴用されて働かされ少々やつれた様子だが家族の存在が彼を支えていた。

 

「ご苦労さまです、お疲れでしょう」

 

 スノは父親に駆け寄り、母親は夫の労をねぎらいつつ、雪や寒さで濡れた防寒着を受け取り暖炉の近くで干した。

 

「子供がたった二人であのレッドリボンに」

 

 信じられないという顔で思わず口に含んだコーヒーを吹き出しそうになる。

 

「でも、あの子たちとっても強いのよ。」

 

 スノはそういい反論する。

 

「あのマッスルタワーにたった二人の少年が乗り込むなんて」

 

 希望に満ちた表情のスノに比べ、スノの父親は不安げな表情であった。実際に悟空とドモンの実力を知らない者にとってこれは至極真っ当な反応といえる。

 

「そういえば、ドラゴンボール捜索中にレッドリボンの兵士から変な噂を耳にしたよ」

 

 スノの父親は思い出した様に言った。

 

「どんな噂」

 

 スノは父親に尋ねた。

 

「なんでも、南の違うところでドラゴンボールを探していたレッドリボン軍の軍団が壊滅したらしい」

 

「国王様の軍隊かしら」

 

 母親は完成した夕食を運びながらそう言った。

 

「いや、何でも信じられない話だが少年二人によって数千人の兵士達が全滅させられたらしい。しかも、武器も持たず、銃の弾丸を避け、戦車を素手で投げ飛ばし、レッドリボン軍を全滅させたらしい。」

 

 一見ゴシップ記事以下の夢話だが、スノは昼間の二人の身のこなしを思い出し確信へと変わった。南の大陸でレッドリボン軍を壊滅させたのはあの二人であるということに。

 

「きっと悟空君とドモンさんのことよ」

 

 父親の方へ身を乗り出し希望に満ちた顔でそういった。すると、そうね、きっとそうだわとスノの母も賛同するように言った。スノの母も昼間の悟空たちのレッドリボン軍を倒した身のこなしや腕前を目の当たりにしてスノと同様にあの二人だと思ったのだ。

 

「スノや母さんがいうんだし、そうかもしれない、いやスノの言うとおりだろう」

 

 父親も最も信頼し愛する妻と娘の言葉や声から納得したようだ。

 

「だが、マッスルタワーには二つの怖い噂があると聞いたことがある。」

 

 夕食がある程度進んだとき父親ふと言った。

 

「怖い噂?」

 

「なんでも、マッスルタワー中にはレッドリボン軍のホワイト将軍によって二匹の怪物が閉じ込められているらしい。その二匹は邪悪な人間でも動物でもない巨大なおぞましい存在だそうだ。それに夜な夜なマッスルタワーの中から不気味な鳴き声が聞こえてくるらしい。そして、レッドリボン軍によって自由を奪われた怪物たちは凶暴性を増し人を襲えるのを待っているらしい。もし、そんな怪物に襲われればその悟空くんとドモンくんという少年も危ないかもしれない」

 

「そんな怪物があのマッスルタワーにいるなんて・・・そんな・・・」

 

 父親の話に恐怖のあまりスノは母親に抱きつく。

 

「祈ろう、その少年達の無事を・・・私たちにできることはそれしかない」

 

 父親の言葉にスノはうんと頷き母親から離れる。

 

「神様どうか悟空とドモンさんを助けてください」(悟空君、ドモンさん・・・無事に帰ってきて)

 

 スノは夕食が置かれているテーブルの椅子から降りマッスルワターがある方角の窓に向かうと手を組んでそう再び二人の無事を神様に何度も祈りはじめたのである。

 

 今の彼女にとって二人の無事を祈ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

マッスルタワー四階

 

さらに十分後

 

「やられた」

 

 兄弟の最後の一人の次男もついに悟空たちに倒され、とうとう一人長男であるムラサキだけになってしまったムラサキ。隠れ蓑術、分身の術(?)、手裏剣の術、忍法畳返し、拳銃、等一部忍術とは関係ないが、多彩な技を繰り出しムラサキなりに死力を尽くして戦うが、その全てを悟空とドモンに難なく圧倒的な強さで追い詰めた。

 

「あまり、大したことなかったな」

 

 ムラサキの見掛け倒しのペテンな技や実力に不満気なドモン。実力や脅威度なら三階のメタリック軍曹の上であったと思った。

 

「こんなことが、なんというスピードとパワーだ」

 

 うろたえるムラサキはそこで起死回生策を思いだす。懐から最後の煙幕弾を取り出し悟空たちに投げつけた。

 

「また、煙幕か」

 

 スタタタタッ

 

 煙幕弾を投げた後、ムラサキは四階と五階の間に存在する空間に上がった、悟空たちもすかさずおムラサキが走っていったほうへと向かうとそこには猛獣を閉じ込めるような巨大な檻があった。

 

「目覚めろ、人造人間8号。あのガキどもぶっ殺すんだ」

 

ムラサキは備え付けてある操作端末を操作して檻の電子ロックを解除した。

 

ガチャッ

 

「・・・」

 

 人造人間8号と呼ばれた大男は電子ロックが解除された檻の中からゆっくりと巨大な特殊合金の檻から現れた。

 

「下の階にいたやつと同じくれぇでけえやつだなぁ」

 

 悟空は自身の三倍あるかと思える8号の体躯を見上げながら言った。

 

「あれが、人造人間8号だ。ゼロ少佐」

 

 モニター越しに映るムラサキや悟空たちの姿を確認しながら、ゼロ少佐に人造人間8号のことを説明する。

 

「父が開発した人造人間については全て資料を通して把握しているつもりでしたが、実物を見るのは初めてです。あれが、父が生きた人間をベースに初めて作った人造人間」

 

「貴官が知らないのも無理ない。なんせ、人造人間開発計画の詳細を知っている者は大佐以上の階級を持つ者か、我軍の科学者だけだからな。いくらドクターゲロの実の息子といえど、少佐の権限で全て知ることはできないのは当然だ」

 

 そう言うとホワイトは自分のデスクの引き出しからファイルを取り出し、ゼロに渡した。ゼロはホワイトから渡されたファイルに目をやると人造人間8号性能が詳細に記載されていた。

 

「将軍、どうして我軍で有機体ベースの戦闘兵器ではなく、完全な機械の戦闘ロボが選ばれたのですか。私は父はもともとメタリック軍曹の開発より有機体ベース人造人間計画を押していたはずですが」

 

 ゼロは試すようにホワイトに尋ねた。

 

「例えるなら、メタリック軍曹と人造人間8号は市販の高性能な大衆車と特製カスタマイズされたレース用のスーパーカーのようなものだ。8号を改造するのに既存のメタリック軍曹10機分の予算がかかっている」

 

「それに、レッド総帥やブラック参謀は自我、いや心を持った人造人間には否定的だ」

 

 人造人間8号のように元人間をベースにしたサイボーグは多額費用とコントロールの難しさからレッドリボン軍上層部によって難色を示されたため、ドクターゲロもスポンサーである軍に反対してまでできることではなかった。そのため、有機体ベースの人造人間開発経過うは限定的に続けられるもののとなり、主力はメタリック軍曹や後に完成するバトルジャケットのような兵器へと主力が行われることとなっていくのであった。

 

「・・・自我があることによる性能の向上よりも、命令に忠実な兵士の方が良いと上層部は考えておられるということですか、ホワイト将軍」

 

 ゼロはレッドリボン軍上層部、特にレッド総帥の考えを正確に看破した。

 

「貴官の推察の通りだ。我が軍、いやレッド総帥に必要な兵士は、喜怒哀楽を持ち合わせる機械人形などではない。命令に忠実に遂行できる優秀な兵士だ」

 

 ホワイトは言った。

 

「なるほど」

 

(やはり、噂通り総帥は猜疑心の塊のようだ)

 

 レッド総帥の猜疑心の深さ、人間不信の性格はレッドリボン軍の将兵の間では有名である。一度や二度の失敗であっても銃殺刑にしてしまうことで将兵の間では畏敬とともに恐怖の象徴でもあった。しかし、天才科学者ドクターゲロをスカウトしたり、ブルー将軍やシルバー大佐、バイオレット大佐などの有望な若手を登用し要職につけるなど人を見る目には一定の評価もあった。

 

「ふはははっこいつは強いぞ」

 

 鋼鉄よりも遥かに頑丈な特殊合金できた手錠をと足かせを外した姿を見てムラサキは高揚する。

 

「あの小僧どもにおまえの強さを思い知らせてやれ」

 

「・・・」

 

「さあっ、コイツらを殺せ」

 

 悟空たちに指を指しつつムラサキは命令する。

 

「・・・」

 

「何をしている俺様の命令がわからないのか」

 

「・・・これを外してくれ」

 

 人造人間8号の無反応に苛立つも手錠をはめたままでは満足に戦えないことに気づき手錠を解く鍵を探し始めた。

 

「あっ、そうかちょっと待て」

 

 ムラサキはカサゴソと探すが、

 

「ええっと手足の拘束具の鍵は、どれだっけ」

 

 懐から鍵を取り出そうとなかなかみつからない

 

「・・・もう、いらない」

 

 しびれを切らしたのか人造人間8号はムラサキは言った。 

 

「えっ」

 

 ムラサキは人造人間8号の言った言葉をすぐには理解できなかったが、

 

「ううううっ」

 

 唸り声とともに人造人間8号は自身の腕を拘束している手錠を破壊するために手に力を込める。

 

 ガシャンッ

 

 ほんの数秒で鋼鉄よりも硬い特殊合金の手錠を人造人間8号は粉砕した。

 

「見たか、こいつの力を」

 

「楽になった」

 

「こんどこそやってしまえ、ぶっ殺してしまえ」

 

「俺は嫌だ」

 

 ムラサキの命令から一瞬の沈黙の後、8号はムラサキの命令を拒否した。

 

「貴様!今なんと言った」

 

 ムラサキは激昂し8号に詰め寄る。

 

「俺戦いたくない、生き物殺すこといけない、悪いことはしたくない。」

 

「人造人間8号、それが瀕死の状態で助けてもらった我がレッドリボン軍対する態度か」

 

「ムラサキ曹長、俺の命を助けてくれたことには感謝している。だが、俺お前たちが村人達を脅して悪いことをしていることを知っている。それにこのマッスルタワーに村長のおじいさんを人質として監禁しているのも」

 

「それがどうした、貴様は生みの親であり命の恩人である我軍にただ従っていればいいのだ」

 

「できない、ごめんなさい」

 

 表情は変わらないが人造人間8号はうつむきムラサキに謝る。

 

「この出来損ない欠陥品が」

 

 ムラサキは口汚く人造人間8号を罵る。

 

「なんと言われても俺は悪いことはできない」

 

 頑なにムラサキの命令を拒否する8号。歯ぎしりしながらムラサキは人造人間8号の頑な態度は変えるため最終手段を取ること

 

「そこまでいうなら貴様の体内にある爆弾で貴様らもろともあいつらと一緒に地獄に送ってやる」

 

「おのれえええっ失敗作のアンドロイドが、かまわん、ムラサキそいつを破壊しろ!」

 

 ホワイトはカメラ音声機能をONにしてムラサキに人造人間8号を破壊するように直接命令した。

 

「はっ」

 

 ホワイトが見ているであろう監視カメラに向けてムラサキは一礼し再び人造人間8号の方をにらみ言った。

 

「やめろっ」

 

 悟空は叫びながらムラサキの持つ起爆装置を

 

「ふふっ覚悟は良いな」

 

「すまない」

 

 人造人間8号は抵抗しようとも、その場から動こうともせず、目をつぶり覚悟を決めた。

 

「やめろっ」

 

 悟空は叫び止めようとするが一歩間に合わない。

 

「もう遅い、貴様も道連れだ」

 

 ムラサキはリモコンを持っていない手で耳を塞ぎ起爆させようとする。

 

「いい加減にしろ」

 

「なっ!いつの間に」

 

背後からドモンの声が聞こえたムラサキは後ろに振り向くが、彼が最後に見たのは今までの戦闘の中で最も重く早い手刀の一撃が放たれる瞬間であった。

 

「うげっ」

 

 ドモンの重い一撃を受けたムラサキは一瞬で意識を失い、手に持っていた起爆装置を落とし冷たく固い床に倒れた。ドモンはムラサキが落とした起爆装置を素早く床に落ちる前に空中でキャッチしすかさず装置が起動しないように破壊した。

 

「あんなやつ、やっつけちゃえばいいのに」

 

 と悟空は言った。悟空から見てムラサキより人造人間8号の方が強そうに見えたためそう言ったのであった。実際に人造人間8号はメタリック軍曹よりも高性能な戦闘兵器としてドクターゲロによって改造されているため悟空の意見は間違いではない。

 

「ありがとう、でも喧嘩や暴力は良くない」

 

 8号は言った。

 

「そうか」

 

 ドモンは8号の非暴力の考えに理解を示す。

 

「あの階段から五階に上がれる。孫悟空とドモン・カッシュ、ジングル村の村長さんは最上階にいる。早く助けだしてやってくれ」

 

「ありがとう、人造人間8号」

 

「ありがとうな」

 

 二人は8号に礼をいい五階へと繋がる階段へと消えていった。

 

「・・・孫悟空・・・ドモン・カッシュ・・・」

 

 誰もいなくなった四階で人造人間8号は二人が登っていった五階への階段をしばらくまっすぐに見つめていた。

 

最上階 村長が軟禁されている部屋

 

 マッスルタワー最上階には司令室、通信室、火器管制室等の要塞でもあるマッスルタワーの中枢機能があり、村長が軟禁されている牢屋もこの最上階の一角にあった。

 

「村人たちはいつまで苦しまなければならないのじゃ。いったい、わしはいつまでここに」

 

 日が沈み、レッドリボン軍から提供された夕食を食べ終えた村長はすることもないのでベッドに寝ようとすると、サイレンが村長のいる階に鳴り響いた。

 

サイレンの音とともに村長のいる階は突如慌ただしくなり、最上階にいた数十名の兵士が武器庫から銃や手榴弾など思い思い武器を取り下階へと向かっていく。気になった村長は通り過ぎていく一人の兵士に声をかけた。

 

「なんじゃ、この慌てようは何かあったのか」

 

のんきな口調の村長の問いかけにある一人の兵士は簡潔に次のようにこたえた。

 

「敵襲だ」

 

 兵士はライフルを掲げながらそう村長に断言した。

 

「敵襲?」

 

 この村にそんな勇敢な若者や男達がまだいたかと考えるが、思い当たらず敵襲の正体あは新聞やテレビでしか見たことがないが尊敬する国王様の軍隊ではないかと思った。

 

「まさか、国王様の国王軍か」

 

 期待と希望に満ちた表情を浮かべ村長は兵士に答え求め聞いた。

 

「違う、さっき、夕食を持ってきたとき言っただろ。ガキ二人がマッスルタワーに侵入したと」

 

 村長は忘れていたがこの兵士が毎日食事を村長の元に運んでいる兵士の一人であった。

 

「そういえば言っておったな」

 

 思いの外美味しかった夕食を食べてすっかり忘れていたのであった。

 

「まったく、人質のくせに緊張感のないじいさんだぜ」

 

 村長の人質らしくない態度に思わず苛立ちよりも呆れる兵士。

 

「そのガキ二人がメタリック軍曹やムラサキ曹長を倒してすぐしたの階まで上がってきた」

 

「なんじゃと」

 

 続けて知らされる事実に村長は思わず飛び上がるくらい驚いた。

 

「あんな化物のような強さの者達を倒すなんて信じられrん」

 

「今度は俺達がそのガキどもの相手をするってわけだ」

 

 やれやれとことの重大さをようやく理解した村長を見て兵士はため息をつきなが言った。

 

「おい、なにそこでもたもたしている急いで下階に迎撃に向かうぞ」

 

 一人の兵士が村長に引き止められていた兵士に注意をした。

 

「すまねえ、このじいさんに絡まれてな」

 

「さあ、いくぞ」

 

 注意した兵士とともに村長に引き止められた兵士は進軍してくる悟空たちのいる五階へと向かっていた。

 

「さて、どうしたもんか」

 

 あたりに見張りもいなくなりこの狭い監獄に囚われている村長にできることは考える事か祈ることしかできない。

 

「村長さん」

 

 村長は声がした牢屋の外の通路の方へと視線を向ける。そこにいたのはレッドリボン軍の士官服を着た青年であった。レッドリボン軍がこのジングル村にやってきて一ヶ月あまりその間ずっと捕まっているため、このマッスルタワーにいる将兵の兵士の顔を知っていたが、この今目の前に現れた青年将校の顔は初めて見る顔であった。

 

「初めて見る顔じゃが誰じゃあんたは」

 

「私はレッドリボン軍のゼロ少佐です」

 

 人質に対してありえないほど穏やかな口調でゼロ少佐は名乗った。

 

「その少佐がわしになにようかね。ホワイト将軍には言ったがわしはドラゴンボールなんて隠し持っていたりしておらん」

 

 さんざん尋問されたことを思い出しながら嫌そうに村長は言った。

 

「違います。私はこれをあなたに渡そうと思いましてね」

 

 ゼロは牢屋の隙間からホイポイカプセルを一つ手渡した。

 

「これは」

 

 村長はゼロから渡された物を受け取り、部屋の隅にホイポイカプセルのスイッチを押して慣れない手つきで投げた。

 

DOKKAAAANNN!

 

 数秒後床に投げられ数回はねたときホイポイカプセルの開閉スイッチが作動し、煙とともに村長に前に現れたのはRBと描かれたベストとヘルメットであった。

 

「我軍の防弾ベストと防弾ヘルメットです」

 

 ゼロは村長がなにか言う前に手渡したものについて語りだした。

 

「なぜわしにこんなものを」

 

 ゼロ少佐から渡されたものを両手で持ちながらゼロに村長は言った。

 

「もうすぐこの最上階である六階も戦場になるでしょう」

 

 ゼロはそう断言する。つまり、今さっき村長の部屋を通り過ぎていった兵士達が敗れここまで侵入者がやってくると言っているのだ。

 

「その時あなたが戦闘巻き込まれた時のための保険です」

 

「なんじゃと」

 

「ここからも聞こえるでしょう多数の銃声の音が。私は無関係のあなたを巻き込みたくないだけです」

 

「おまえさんの言いたいことはわかったが、こんなことがあんたの上官のホワイト将軍にバレたら大変じゃぞ」

 

「あなたが心配することではありませんよ」

 

「じゃが」

 

「それに残念ながら、ホワイト将軍は十中八九私共々敗れるでしょう」

 

 平然と自軍と上司の敗北を言ってのけるゼロ。

 

「なぜわかるのじゃ」

 

 村長はゼロに問う。

 

「あなたは侵入してきた者の実力を知らない。侵入してきた二人は武天老師と東方不敗マスターアジアの弟子です」

 

 ゼロは言った

 

「なんじゃと、あの武術の神様の武天老師様と常勝不敗と言われる東方不敗マスター・アジアの弟子じゃと。それは本当か」

 

 村長の世代やそれ以前の世代の男性にとって武天老師や東方不敗マスターアジアは男なら武道をやっている者だけでなく誰もが知っている憧れの存在である。ジングル村の村長がその伝説の男の弟子たちがマッスルタワーに向かっていると知り、その様子から興奮するのも無理はなかった。

 

「とある信用できる筋から手に入れた情報です。間違いありません」

 

 ゼロはミケロ経由からウォンの持つ悟空やドモンの情報を知り今のマッスルタワーの戦力では勝てないことをその明晰な頭脳によって分析していた。

 

「ふむ」

 

「さて、長話になりましたね。私もそろそろ行きます」

 

 伝えることと渡す物を済ませたゼロはここから立ち去り戦いに出かけようととする。しかし、それを村長を止めようと引き止める。

 

「なぜ負けるとわかっているのに戦いにむかうんじゃ」

 

 短い時間であったが、村長は目の前にいるこの男悪い存在ではないと思うようになっていた。

 

「私はレッドリボンの軍人です。入隊した時点でレッド総帥とレッドリボン軍に忠誠を誓った身。たとえ負けるとわかっている戦いであってもです」

 

 言い終わるとゼロは村長のいる部屋の前から駆け足で走りだし悟空たちが進撃を続けている五階へと向かっていった。

 

次回に続く!

 

次回予告

 

メタリック軍曹に続き、ムラサキ曹長を倒した悟空とドモン!

 

ついに、最上階村長を人質に悟空たちを待ち受けるホワイト将軍!

 

快進撃を続ける悟空たちに差し向けられるホワイト将軍の切り札、ブヨン!

 

地下に閉じ込められた悟空とドモンはブヨンやホワイト将軍を倒し村長を救出できるのか!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第十二話『爆発ブヨン!繰り出せ!超級覇王電影弾!』に

 

レディーゴー!

 

 




あとがき

改めまして新年あけましておめでとうございます。

今回の話でマッスルタワーの戦いも半分終わることができました。

書き終わってみてまともに戦うシーンがないことに気付きましたが、次回のブヨン戦ではついにドモンのあの大技が登場しますのでしばらくおまちください。

なお、話の間に民明書房刊が登場していますが、民明書房刊は存在する設定ですが、魁男塾の登場人物が出る予定は現在のところは未定です。出る可能性もありますが・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

外伝 ジャングルの王者編
外伝第一話『帰ってきたジャングルの王者の巻!』


 第十二話の内容の筆が進まないので、息抜きがてら外伝作品を書いてみました。
 今回は、初のドラゴンボール×機動武闘伝Gガンダム×ジャングルの王者ターちゃんの多重クロスオーバー作品となります。基本的に本編にはあまり関係ない話です。


 

 

とあるジャングル(サバンナ)

 

 これは、レッドリボン軍壊滅後のお話。二人は次の天下一武道会開催までの三年間、東方不敗マスターアジアと亀仙人の提案で、世界中を回りながら修行の旅に出ていた。

 

「ここが、ドモンがマスターのおっちゃんと昔修行したジャングルってところなのか」

 

 見渡す限りの大平原の中、悟空はあたりの大自然を見渡しながら言った。悟空にとって、今日、はじめて訪れたこのジャングルは、昔、祖父孫悟飯が生きていた時から住んでいたパオズ山のように、自然に溢れたこの場所を居心地がよく感じていた。

 

「ああ、そうだ。なつかしいな……」

 

 ドモンは昔の事を思い出す。10歳で東方不敗マスターアジアの元に弟子入りしたドモンは、東方不敗マスターアジアの指導の元、この地で修行したことがあった。

 今日、この地を訪れたのは悟空とともに修行する目的もあったが、昔この地でお世話になった師匠の友人に会うために、この地へやってきたのであった。

 

バーンッッッ

 

 ドモンが過去の出来事を思い出してる時、一発の銃声が彼を現実へと引き戻させた。

 

「ドモン、鉄砲の音だ」

 

 銃声、彼がかつて師匠の東方不敗マスターアジアともに、この地で。修行をしていた時にも、よく耳にした音であった。それもこの地で聞く音の中で、最も、不愉快なものでもあった。

 

バーンッ、バーンッッッ

 

 再び、二人の耳に繰り返し、銃声が聞こえてきた。今度は、一発だけでなく複数発が二人のもとにはっきりと聞こえていた。

 

「それだけではない、多数の動物の悲鳴の鳴き声も聞こえる……間違いない!密猟者だっ!」

 

 銃声がした方に向けて自然と全力で走りだすドモン。そして、それを追いかける悟空。わずか、一瞬でジャングル最速のチーターよりも早いスピードで銃声が鳴った方向へと向かっていく二人。

 

「密猟者ってなんだ?」

 

 チーターよりも速いスピードで、森の中を駆けりぬけ、悟空は走りながらドモンに質問する。

 

「ああ、密猟者というのはな……」

 

 ドモンは悟空に密猟者の事を走りながら話し始めた。二人が現場にたどり着くまでの間にも、二人の耳には銃声が響いていた。

 

 一方、その頃、密猟者達は。

 

「ヒャッハー!動物は捕獲だあああ」

 

 世紀末ファッションの密猟者Aがご自慢のショットガンを振り回し、動物達に銃口を向け、引き金を何度も引いていく。そして、その都度、男の凶弾によって動物達は傷ついていく。

 

「逃がすな、宝の山だああああ、片っ端から撃ちまくれええ」

 

 ジープや一人乗りのバギーに乗った動物ハンター達は車越しにマシンガンやショットガンを逃げ惑う動物達に乱射する。

 

 密猟者達による地獄絵図はこのまま続くと思われた時、彼が現れた。

 

「待てえええっっ」

 

 ジャングル中に響き渡るくらいの透き通った大声が密猟者達に向けて叫ばれた。

 

「タッ、ターちゃんだああ!!!」

 

 密猟者Cが自分たちに向かってくるターちゃんを発見し、悲鳴混じりの声を上げる。

 

「また、痛い目に会いたくなければ、さっさと立ち去れええ」

 

 密猟者達に向けて警告するターちゃん。たとえ、相手がどんな悪人、無法者の密猟者であっても逃げるチャンスをあたえる。だが、

 

「かまわんっ…撃てっ」

 

 動物に向かってマシンガンをぶっ放していた密猟者の一人が走って近づいてくるターちゃんを発見し、ターちゃんにマシンガンを放つ。

 

「ジャングルの平和を乱すものは私が許さん、とおっ」

 

 前進しながらマシンガンの銃弾を余裕に避けるターちゃん。

 

「ターちゃんパーンチ!」

 

「うげっ」

 

 顔面にターちゃんパンチを受ける密猟者A。ターちゃんの重く強い一撃にその体が数十メートル吹っ飛ぶ。

 

「ターちゃんキック!」

 

 ターちゃんは太陽を背に大きく跳躍し加速をつけ密猟者Bに放つ。

 

「ぎゃあっ」

 

 腹部に密猟者Bもターちゃんの怒りの一撃をくらい悶絶する。

 

「ごめんなさいーもう悪いことはしませええんー」

 

 仲間の二人がターちゃんに現れた時のターちゃん以上のスピードで逃げ去る密猟者達。しかし、密猟者達は諦めず毎日やってくる。たとえ、今日来た密猟者達が二度とやってこなくても、また、違う人間がやってきて違法な密猟を始めるだろう。ターちゃんにとってジャングルの動物たちの平和を守る仕事に終わりはない。だが、ターちゃんはけっして諦めずジャングルの王者として動物たちを守り続けるだろう。人間たちが変わるその日まで……。

 

「ジャングルの平和を乱す者は私が許さないのだ」

 

 ちなみに、密猟者達が残した自動車や銃の残骸は後でターちゃんが回収し、ジェーンによって資源として売却されジャングルの動物や自然の保全活動に必要なお金として使われている。

 

「お久しぶりです、ターちゃん。」

 

 密猟者達によって傷ついた動物たちを介抱していたターちゃんにドモンは話しかけた。動物たちの鳴き声と密猟者の銃声に気づき、急いで駆けつけたドモンと悟空であったが彼らが辿り着いた時に彼らの目の前にはターちゃんによって蹴散らされる密猟者たちの姿だった。

 

「あっ、誰かと思えばドモン君じゃないか。お久しぶりなのだ」

 

 最も信頼する友の弟子の姿を見て笑顔になるターちゃん。

 

「ところで、マスターは」

 

 ターちゃんと東方不敗マスターアジアは、長い付き合いの友人であった。年齢、生い立ち、違う二人であったが自然を愛する気持ちで二人は共通し、すぐに友として意気投合し友人として付き合っていた。

 

「はい、師匠とは今別れてこの悟空と共に修行しています」

 

 ドモンはこれまでの経緯をターちゃんに説明する。天下一武道会のこと、レッドリボン軍との戦い、それから二人で修業の旅に出たことなど。

 

「そうなのか、大へんなんだなー。あと、マスターと会えないのは残念なのだ」

 

 ドモンの説明を聞き、少し寂しそうなターちゃん。

 

「オラ、孫悟空だ。よろしくな」

 

 悟空が二人の話が一通り済んだと思い、ターちゃんにいつも調子で自己紹介をした。

 

「悟空君か、よろしくなのだ」

 

 固く握手をする悟空とターちゃん。今初めて会ったばかりの二人であったがこの握手でもう友達になったようだ。

 

 その後、悟空とドモンはターちゃんの動物達の介抱を手伝った後、ターちゃんの家へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「ここが、私の家なのだ」

 

 自宅についたターちゃんは紹介する。

 

「ターちゃん!」

 

「誰だ、おめえ」

 

 声がする方に悟空が振り向くと、そこには、ターちゃんと同じくらいの年齢の若い黒人男性が立っていた。

 

「小僧、俺はウポポ族最強の戦士、アナベベ。そこにいるターちゃんの唯一にして最強のライバルだ」

 

 マッスルなポーズでアピールする。民族衣装やその筋肉隆々の姿から見た目には強そうに見えた。

 

「へえー、そーなのかー」

 

 悟空は両腕を横に真っ直ぐと伸ばして言った。素直にアナベベが言った事を信じた様子だ。

 

「今日は何のようなの、アナベベ」

 

 ターちゃんは密猟者達がやってくる前に、ヂェーンから命じられた洗濯をこなしながら、アナベベにやってきた目的を尋ねた。

 

「MAXやケルベロスのやつらを倒してから数ヶ月、俺はターちゃんおまえと今日こそ俺との決着をつけにきた」

 

 アナベベは熱い思いを込めて言った。

 

「ええーっ、まだ、今日のヂェーンの服の洗濯とトイレ掃除とヂーェンのデザートの果物調達が終わってないから、無理なのだ」

 

 毎日家事とジャングルの動物たちや自然を守る、多忙なターちゃんにとって、アナベベと相手する暇はあまりない。

 

「ターちゃん、男と男の真剣勝負より家事を優先するつもりか!」

 

 ダイヤモンドの鉱山を見つけ、成金となり戦士としての誇りを忘れかけていたアナベベであったが、その後、西派32門派のトーナメント、MAXやケルベロスとの戦いを経て、昔の戦士としての精神を取り戻していた。

 

「ヂェーンに怒られるのは怖いのだ」

 

 ターちゃんにとって、最も怖いのはMAXの改造人間でも、密猟者でもない。怒った時の愛する妻のヂェーンであった。

 

「ええい、一瞬で片をつけてやる」

 

 戦闘態勢に移るアナベベ。その全身からは戦士としての闘気があふれだす。それを武道家である悟空やドモンは、表情を変えアナベベの戦士としての矜持を理解する。

 

「仕方ないなあ…どこからでもかかってくるのだ、アナベベ」

 

 やれやれ顔のターちゃんは洗濯を中断し、立ち上がりアナベベの攻撃に身構えた。

 

「では俺からいくぞ!……アナベベスペシャルダイナマイトパンチを喰らえっ、ターちゃん!」

 

 要するにただの物凄い威力の右ストレートのパンチである。だが、強い事には変わりない。

 

「ターちゃん、喉が渇いたわーお茶持ってきてえええ」

 

 アナベベの攻撃に集中していたターちゃんの声に妻ヂェーンの声が届いた。だが、アナベベの攻撃はヂェーンの声とは関係なく、拳をターちゃんに向けて更に加速し振り放つ。

 

 ヒュンッ

 

「はい、ただいま」

 

 わずか一瞬、ほんの数秒後に姿を消したターちゃんは湧いたお茶が入った湯呑みを載せたお盆を持った姿で現れた。ターちゃんは戦闘態勢を解きヂェーンの元に向かっていった。

 

「くっ、やはり、ターちゃんには勝てないな」

 

 アナベベにとってアイアンマスクとの戦い以前からわかっていたターちゃんの実力について。今の自分では勝てないことを。だが、一人の戦士アナベベとして彼に挑み続ける自分を。

 

「まてええぇーっ!」

 

 再び、アナベベとは違う男が現れた。

 

「その声は!」

 

 アナベベが一番先に声が聞こえてきた方へと振り返る。

 

「ターちゃんの最強のライバルはこの俺、ヤジロベー様だ」

 

 再び現れた男、それは、なんとヤジロベーであった。

 

(また、変わったのががきたな)

 

 ドモンは口に出さず思った。

 

「また、貴様かああ。このチビデブ、ターちゃんに対抗できるのは俺か、梁ちゃんかマスターのおっさんぐらいだぜ。おまえさんには無理だ」

 

 先ほどまでのシリアスモードからギャグモードへと戻った、アナベベは、小馬鹿にするような口調とジェスチャーでヤジロベーに対して言った。 

 

「なんだと、こんにゃろー」

 

 それを聞いたヤジロベーは、激昂しアナベベと取っ組み合いの喧嘩をターちゃんの家の前で始めた。

 

「まったく、脳筋バカしかここにはこないわね」

 

 外の馬鹿騒ぎと全然お茶が来ないことに、痺れ切らし家の中でくつろいでいたターちゃんの妻ヂェーンが家の前に現れた。

 

「あっ、ヂェーン」

 

 ターちゃんは言った。

 

「また、あのバカ二人ね。」

 

 予想通りの展開に呆れるヂェーン。彼女にとってあの二人の姿はいつものことであった。

 

「そうなのだ」

 

「いいから、ターちゃんとそっちの二人、中に入りなさい」

 

 この場にいる比較的常識人であるヂェーンは自分の回りにいる男共を見てため息混じりに思った。そして、ほっときなさいとドモンと悟空に言い、家の中へと招き入れたのであった。

 

「私は名前はヂェーン、ターちゃんの美人な奥さんよ」

 

 客間の部屋でヂェーンと悟空達は簡単な自己紹介をした。ヂェーン悟空の目の前にいる女性は、片目ウインクして言った。また、西の都のトップモデル時代に培ったポーズを二人に披露した。ポーズは女性に疎い、ドモンから見ても見事なものであったが、そのポーズをとっている本人の姿はまるで豚のようなまるまると太った、いや、とてもふくよかな金髪の美しい女性であった。

 

「お久しぶりです、ヂェーンさん」

 

 改めて、ドモンはヂェーンに再会の挨拶をする。

 

「オッス、オラ悟空だ!」

 

 ドモンに続き悟空も続いて、ヂェーンに自己紹介をした。

 

「ドモンちゃんもしばらく見ないうちに、結構いい男になったわね。それに悟空君ね」

 

 ドモンの幼かった頃を知るヂェーンは嬉しそうに言った。

 

「ありがとうございます」

 

 ドモンは礼を言い、軽く頭を下げた。

 

「さ・て・と……ターちゃん二人にお茶でも出してあげて。あと、私のも入れなおしてきてね」

 

 ヂェーンはターちゃんに言った。

 

「はいなのだ」

 

「なんだ、久しぶりに戻ってみれば、随分賑やかだな」

 

 ターちゃんがお茶を入れなおそうと立ち上がった時、再び、ターちゃんに会いに来た第三の男がやってきた。

 

「その声は」

 

 数ヶ月ぶりに聞こえた声にターちゃんは声の相手が誰なのかすぐに気づき、笑顔になる。

 

「梁師範」

 

 ターちゃんや悟空、ドモンの前に現れた新たな男。その名は、西派白華拳最高師範、梁師範であった。

 

 次回に続く!

 

次回予告

 

 ドモンと東方不敗マスターアジアのかつての修行の地に訪れた悟空!

 

 そこで悟空が出会ったのは、ジャングルの平和を守るターちゃんと愉快で頼もしいターちゃんファミリー!

 

 お互いに友好を深める中、彼らターちゃんやジャングルの動物達を狙う悪の手が迫る!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝外伝第二話

「ジャングルの平和を守れ!ターちゃんファミリー再集結!かめはめ波VS百歩神拳!」にレディー…ゴー!

 

外伝設定集

 

ウポポ族

 アニメ版では、登場しないアナベベの設定ですが、本作では唯一原作ジャングルの王者ターちゃん設定として登場します。なお、ウポポ族及びそのウポポ語は諸事情により登場しません(書いてみたい誘惑もありますが、出したら、Rー18タグつけないといけませんので……)

 

アフリカ(ジャングル)

 アフリカ大陸は存在しませんが、大陸の西のとある地域、ターちゃん達が住んでいるジャングルがある地域がアフリカと言う名で呼ばれているとしました。

 

ヂェーンの経歴

 原作のニューヨークのトップモデルから、本作では西の都の元トップモデルとしました。

 

梁師範と西派拳の発祥

 本作では中国がありませんので、武泰斗の弟子(亀仙人や鶴仙人以外のピッコロ大魔王襲撃後生き残った)の一部が、立ち上げた拳法となっています。そのため、流派として亀仙流や鶴仙流と似ている部分が多くあります。

 

コーガンファミリーとラスベガスのホテル

 拠点は、ラスベスガスではなく西の都で暮らし、西の都でホテル経営をしています。

 

シーマ達、ヴァンパイア一族の行方

 ダン国王の事件の後、世界どこかのとある場所で、ヴァンパイア王国再建のため頑張っています。

 

MAXやケルベロスの末路

 本作でも、アニメ49話同様、ターちゃんファミリーに破れ、その後、両組織は中の都の中央軍によって全員逮捕されました。また、アニメ本編では、ケルベロスはMAXから、資金提供を受けていましたが、本作では、MAXの上に、さらに、ウォン・ユンファのWYコーポレーションやレッドリボン軍がスポンサーとして資金面や人的資源の提供が行われていました。

つまり、WYコーポレーション=レッドリボン軍>MAX>ケルベロスの関係性です。

 そして、その見返りの一つとして、ケルベロスによって蓄積された改造人間やクローン人間の製造技術は、ドクターゲロの兵器研究でのデータとして提供されたりしました。

 なお、一部の有能な科学者は、ウォンユンファによってスカウトされ、逮捕を免れた者もいます。

 

ヤジロベーの登場について

 なんとなく、ターちゃんファミリーにいても違和感ないなかなと思い登場させました。アナベベ枠そのに2ぐらいの立ち位置となっています。

 

ペドロ、エテ吉の登場について

 次回登場します。




あとがき

 時系列としては、ドラゴンボールはレッドリボン軍壊滅から第二十二回天下一武道会の三年間の間の出来事で、ジャングルの王者ターちゃんサイドはアニメ49話から数ヶ月後に起きた出来事となっています。レッドリボン軍壊滅とMAX、ケルベロスの壊滅もほぼ同時期に起きた事件です。
 なお、アニメ全話視聴プラスWIKIの知識しか知りません。近いうちに原作も読んでみたいと思っています。
また、次回の更新は本編第十二話を予定しています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

過去編
過去編第一話『悪夢の始まり!』


 本来ならば、今度こそ今度こそは第十二話を投稿する予定でしたが、またまた、今回も急遽ドラゴンボールGマスター武闘伝の外伝作品第二弾として過去編を始めました。

 また、7月投稿できず申し訳ありません。

 それではドラゴンファイトレディーゴー!


 

 

とある山奥

 

「あの悟空とかいうやつ、急に現れたと思ったら、今度は急に消えちまいやがって」

 

 男は先日自分の前に現れ、孫悟空と名乗った奇妙な少年のことを思い出していた。野外で修業の間に、自然の芸術観賞(ファンファンの水浴びを覗き)をしていた彼の前に、突然、何処からともなく現れたのが、孫悟空であった。

 この前に現れた悟空と話してみて男が最初に思ったことは、少し変わっていることだった。

 

 まず、自分のことを亀仙人のじっちゃんに似ていると村一番のイケメンである自分に対して失礼な言ったり、子供とはいえ村一番の美人ファンファンちゃんの事がまったく気にならないなど、だが、その中でも彼が最も印象として残ったのが、その強さであった。

 

 武泰斗様との組み手での攻撃の速さ、大火災の炎を真っ二つにした気の放出、今の彼にとって師である武泰斗と同じくらい、今の自分にとって手の届かない程の武道家であった。 

 

「まあ、生きてりゃまたいつか会えるさ」

 

気を取り直して青年は修行の続きを始めた。

 

「ハッ、ハッ、ハッ(悟空、待っていろ。俺は世界最強の武道家になるぞ)」

 

 青年は孫悟空との最強の武道家になる約束を果たすため、日夜修行を続けていた。

 

 そして、しばらくの間彼が正拳突きを続けていると彼を訪ねる者が現れた。

 

「あら、今日は真面目にやっているようね」

 

 青年が声がするほうに向くと、そこにいたのは村の娘、ファンファンであった。

 

「あっ、ファンファンちゃん!」

 

 先ほどまでの真剣な顔から、鼻の下を伸ばす青年。

 

「これ差し入れよ」

 

 いつもの亀の姿を確かめると、ファンファンは手に持っていた包みを開き中に入っていたおにぎりを青年に手渡した。

 

「やったぜ!ファンファンちゃんの手作りのおにぎりだ!」

 

 近くの大岩に二人は座ると渡された食べ物にかぶりつく青年。その表情とても幸せそうな顔であった。ファンファンからはゆっくり食べないと等と注意されたり、たわいのない会話をし盛り上がる二人。そんななか二人の前にある男が現れ、声をかけた。

 

「相変わらずだな、亀よ」

 

 青年は後ろに振り返ると彼と同世代くらいの男が立っていた。緑の髪に青い鉢巻とマントをつけていた。

 

 そして、亀と呼ばれたこの青年こそ後の武術の神様武天老師こと孫悟空やクリリンの師匠、亀仙人の若き日の姿であった。

 

「おっ、誰かと思えばクロスか」

 

 数年ぶりに再会を果たした亀であったが、男(野郎)にはあまり興味のない亀はテンションが低かった、

 

「この人だあれ」

 

 ファンファンは今日初めて出会ったこの男の事を亀に尋ねた。亀はファンファンがこの目の前に現れた友人の事を知らないことを思い出し、紹介をした。

 

「あー、ファンファンちゃんは知らなかったかー。こいつはシュウジ・クロス。俺やバカ鶴と同じで武道家だよ」

 

「へえーそうなのー」

 

 亀の紹介を聞きながらクロスの姿を見て品定めするファンファン。

 

「まあ、実力は俺のほうが上だけど」

 

 亀は自信満々に言った。

 

「ふーん、クロスさんの方が強そうに見えるけど」

 

 武道の素人であるファンファン目線からみても、亀よりもクロスのほうが強そうに見えた。なにより顔が亀より、はるかにイケメンであったからだ。

 

「ファンファンは武術に関しては素人だからわからないのさ」

 

 これだから素人はと、やれやれ顔で亀はファンファンに対して言った。

 

「そうかしら」

 

「こんなところで、下品な声がすると思えば、お前たちか」

 

 三人の元にまた新たな男が現れた。その男は鶴の頭がついている帽子をかぶった若き日の鶴仙人であった。

 

「またあんたね」

 

 ファンファンは亀ではなく、クロスの後ろに隠れ鶴の様子をうかがう。先週、この男にひどいことをされたため、ファンファンの好感度は最低であった。

 

「ファンファン俺はもうお前に興味はない。先生とも約束したしな。それに」

 

 一旦、鶴は言葉を区切り、そして、

 

「俺はお前のような勝ち気な女より、おしとやかな上品な女の方が好みだ」

 

「大きなお世話よ」

 

 ファンファンは亀とクロスの隣で舌を出し言った、

 

「鶴か」

 

「クロス、久しぶりだな、そこのドン亀と違って真面目に修行しているようだな」

 

 鶴はシュウジ・クロスをだしに亀を貶した。日頃この鶴という青年はことあるごとにこの亀という青年と対立していた。どちらの方が武道家として強いか、女性の好みの対立、たけのこ派かきのこ派か等様々な事で対立し、彼らの師匠武泰斗も呆れるほどであった。

 

「うるさい、この腐れひょっとこ!今は瓦を三枚割れる!」

 

 以前、瓦も割れない未熟者と馬鹿にされたことを根に持っていた亀はそう言い放つ。

 

「貴様が三枚なら俺はもう五枚は割れるぞ」

 

 鶴もすかさず、同レベルのことを言い返す。

 

「なんだと!」

 

 顔を突き合わせ、今にも一触即発しそうな事態であった。ファンファンはまた、いつものかとぼやきつつ、顔に手を当て呆れ顔であった。また、クロスもやれやれとした表情で勝手にしていろという感じであった。

 

「やるか!」

 

「何をしている!」

 

 鶴が先制で殴りかかろうと攻撃しようとした瞬間、彼の動きを制止させた。そして、その相手が誰だとわかると二人は両手を地面につき、急いで平伏した。

 

「「武泰斗様!!」」

 

 一触即発の二人を止めた男は彼らの師匠、武泰斗その人であった。以前んの件で争い事を禁止と言われていたにもかかわらず、一週間余りで破ってしまったことに二人は顔を地面に向けながら震える。

 

「お久しぶりです、武泰斗様」

 

「かなり腕を上げたな」

 

「ハインリッヒに敗れてからもう三年だったか。時が立つのは早いものだ」

 

 シュウジ・クロスと武泰斗や亀仙人が出会うこととなったのは時間を遡ること三年前。三年前に武泰斗によって主催された武道大会であった。すでに、武術の神、世界一の武道家と世界中からの武道家から知られ、尊敬を集めていた武泰斗の名によって世界中から多くの武道家たちが武道大会参加に参加するため集まった。

 

 数千人の腕に自信がある者でトーナメントを行い、実力で頭角を表したのがシュウジクロスであった。若干十七歳の年ながら、決勝戦を迎えるまで、他の武道家たちを圧倒していった。誰もが、その鬼神のような強さを目にし優勝を確信したが、決勝戦で戦ったウォルフハインリッヒによって人生初の敗北を喫する。

 

 ゲルマン忍法の使い手であるウォルフハインリッヒに圧倒され、敗れたシュウジクロスはそれ以来、大会で自分を倒したウォルフハインリッヒと大会で知りあった武泰斗を目標にそれまで以上に修行に励むようになったのであった。

 

「ええ、ウォルフ・ハインリッヒと武泰斗様あなた達二人は武道家である私が超えなければならない存在です」

 

 シュウジ・クロスこと後の東方不敗マスターアジアは傍らにいる武泰斗に対してかたい決意を改めて尊敬する男の前で言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十五年後

 

「せっ先生、大変です」

 

 自室にて瞑想に入っていた武泰斗は突然入室してきた弟子の声で意識を現実に戻させた。

 

「落ち着け、いったいなにがあった」

 

 落ち着くように諭す武泰斗。その姿や声を聞き、弟子は少しずつ落ち着きを取り戻し、呼吸を徐々に整える。

 

「中の都に滞在していたチョウから、緊急連絡が入りました」

 

 十数秒、ゆっくりと自信を落ち着かせた弟子はゆっくりと連絡について報告を始めた。

 

「それで」

 

 武泰斗の言葉に対して、弟子は大きく深呼吸し言い放った。

 

「中の都が壊滅しました!」

 

「なんじゃと!いったいなにがあったのだ!天災かそれとも戦争か」

 

 中の都、地球統一国家成立前においても、この地には世界でも有数の都市があった。

 

「ピッコロ大魔王と名乗る者が、奇怪な怪物の大軍を引き連れ、襲ったとのこと」

 

「ピッコロ・・・ハッ!まさか、そんなはずが・・・」

 

ピッコロ、その言葉に武泰斗は思わず先ほどの悲報以上に動揺する。

 

「武泰斗様、いかがなさいましたか、何かおこころあたりでもあるのですか」

 

 師の異常な驚きように対して弟子は尋ねた。

 

「いや、なんでもない。話を続けてくれ」

 

 落ち着きを取り戻し、話を続けさせる武泰斗。

 

「はい。この突然の攻撃に対して中の都を襲った者達に中の都に駐留していた中央軍や警察、拳法家達が迎撃にでたそうですが、為す術もなくほとんど全滅したそうです」

 

「なんということだ」

 

 武泰斗は無残にも死んでいったたくさんの者たちのことを思い天を見上げる。

 

「数少ない生き残った者によるとその者達は自分達を魔族の一族と名乗ったそうです。そして、その者達のちから一人一人の強さはとても強く、その肉体は戦車の大砲でもびくともせず、また、奇怪な妖術を使って次々と都の人々を女、子供、見境なく虐殺していったそうです」

 

 弟子は怒りに震えながら中の都から送られてきた地獄絵図を語る。

 

「・・・」

 

 話を聞き終わった武泰斗はしばらく黙り込み、そして、重い口を開け言った、

 

「皆のものを全員道場に集めてくれ、わしから皆にこのことを話をする」

 

 弟子は武泰斗の命令にうなずき、他の者たちを集めるため武泰斗の元から走り去っていった。

 

(ピッコロ・・・いったいあやつになにがあったのだ)

 

 再び静寂を取り戻し、自室で一人になった武泰斗は自身の過去を思い出していた。若かりし頃に世界の果てのユンザビット高地にて出会った一人の友の事を。そして、天界でのあの方との出会いを。

 

 

 

 

 

 

 

 

本堂

 

「先生!都の兵隊どもが役に立たない以上は、ここは我らの手でその化け物を討伐するしかありません」

 

 全員がこの場に集ったことを確認し、鶴が真っ先に自身の考えを主張した。

 

「鶴の言うとおりだ。先生そいつらを倒せるのは我々だけです」

 

 亀と鶴は普段何かと対立しあう間柄の二人であったが、この時ばかりは珍しく二人の意見が一致した。両者とも今回の中の都の壊滅の詳細を知り、この異変を行った者に対して、深い憤りや怒りを覚えたようであった。、

 武泰斗の二人の有力な弟子の二人が主戦論を表明したことで、その他の門下生たちも賛同のやじを飛ばし始めた。

 

「そうだ、奴らを倒せるのは我々しかいない」

 

「先生!我らにご命令を!戦うべしと!」

 

「先生ご決断を!」

 

 鶴や亀を筆頭に弟子たちは武泰斗に決断を促す。自分たちにピッコロ大魔王討伐の許可を出すようにと。それまで、弟子たちの会話を目を瞑り黙って聞いていた武泰斗は目をくわっと見開き言った。

 

「向かう必要はない」

 

 武泰斗ははっきりと口調で道場全体に大きく響き渡る大声で言った。

 

「「「?!」」」

 

 武泰斗の闘気が込められた声に弟子たちは一斉に静まり、師である武泰斗に視線を向ける。

 

「わしには感じる邪悪な者達の気を、魔の者たちはすでにここへ向かって来ていることを」

 

「「「・・・」」」

 

 武泰斗の言葉通に嘘偽りはない。無論ここにいる弟子たち全員はそのことをよく知っている。

 

「皆の者、我ら全員この地に留まりやつらを迎え撃つ」

 

「「「オオオオォォォォーーーー!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一週間後

 

 武泰斗の言葉により戦士たちは数日いないに起きるであろう決戦に向けて準備を始める。決戦に向けて精神を集中する修行を行う者、大軍の攻撃に対して罠を用意する者、遠い地の家族に手紙を書く者、一人一人さまざまである。また、武泰斗の命によって道場がある村の村民達は数百キロ離れた地へと避難することになった。

 村にある馬車や車だけでは足りず、徒歩やリヤカーを押して遠くの地へと避難することに、武泰斗たちが悪の軍団に対して勝利をすることを信じて村人たちは村から去っていった。。

 

「体に気をつけてね」

 

 持てるだけの荷物を背負ってながらファンファンは亀に最後の別れの言葉を言う。

 

「ああ、もちろんさ。なあに心配ないさ、化け物どもなんて俺一人でもやっつけられるさ」

 

「・・・昔と変わらないわね」

 

 いつもの調子で亀はそう言うとファンファンや他の村人たちを避難するために用意された最後の馬車の後ろに荷台に載せて、馬主に出発の合図を送った。

 

「・・・さようなら、ファンファン」

 

 ファンファンが乗った馬車が小さく見えなくなった後でも亀はファンファンが言った道をずっと無言で見ていた。そこへ、クロスが現れ声をかける。

 

「あれでよかったのか、ほかに伝えなければならないことがあったんじゃないのか」

 

 クロスは亀に言った。

 

「クロスか、何の事だ」

 

 クロスの言葉に対してとぼける亀。

 

「ふんっ、俺の口からこれ以上、無粋な事を言わせるな」

 

「そうだな、お前も一緒に戦ってくれるのか」

 

 話しを変え、今後の戦いについてクロスに尋ねる。

 

「ああ、修行の成果を見るいい機会だ。それに、悪逆非道な化け物どもを許すことはできん」

 

 言い終わるとクロスは地面を思いきり地面に拳をたたきつけ怒りを表し、そして、無念にも死んでいった者たちに対して復讐を誓うのであった。

 

 二日後、武泰斗の予言通り武泰斗と弟子たちはピッコロ大魔王率いる魔族の軍団と戦いの火蓋を切ったのであった!

 

次回に続く!

 

 





 さて、今回アニメドラゴンボール第129話「時をかける悟空」から一週間後からピッコロ大魔王が現れるまでの話を書きました。この一つの外伝は三話程度にて完結させる予定です。次回は本編第十二話を投稿する予定(?)です。
この時点での強さとしては、
武泰斗>>>>>ウォルフ・ハインリッヒ>>>シュウジ・クロス>>>>>>>>鶴仙人=亀仙人といったところです。

解説

ウォルフハインリッヒ
 原作でシュバルツブルーダーの元の人の若かりし頃の名です。性格は原作のシュバルツ(キョウジ)と思っていただければ結構です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。