トリップした先は、男女平等な世界でした。 (亜豆)
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プロローグ
一話 プロローグ



ネタが変わったので改変しました。

それに伴いオリ主の設定も変わります。


「ここは……何処だ?」

 

 

見渡す限りの機械機械機械機械機械……パソコンからパワードスーツやはたまた何に使うかまるで分からない物が無造作に置かれた部屋。

そんな部屋の一番奥、一際目立つ鳥籠のような物体の中で、少年は訳が分からないという顔で呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

いや待て待て待て待て。ここはマジで何処だよ⁈

……よし、一旦落ち着いて状況整理だ。

 

俺は織斑一夏。中学二年生。東京都立中学校在籍中。

友人は五反田弾、御手洗数馬、鳳鈴音、以下数名。

家族構成は姉。両親は子どもの頃に蒸発した。

姉は女にしか使えない飛行パワードスーツ「インフィニット・ストラトス」で行う世界大会「モンド・グロッソ」の日本国家代表。前回の大会からブリュンヒルデと呼ばれる、世界最強の女性。名前は織斑千冬。

その姉が第二回「モンド・グロッソ」に参加し決勝戦まで駒を進めたので、その応援にドイツまで渡った。

ホテルに荷物を置いてアリーナまで行こうとタクシーに乗って…………あ、

 

 

「俺、誘拐されたんだった……」

 

 

そうだった。

タクシーに乗った俺は何故かそのまま寝てしまい、気づいたら廃工場で縛り上げられていた。

周りには金ピカのISを装着した女性と巨大な蜘蛛を模したISを装着した女性、そしてフランスのラファール・リヴァイヴを装着した数名の女性がいた。

気絶したフリをしながら盗み聞いた内容を纏めると、千冬姉に決勝戦を棄権させることが目的のようだった。

 

それを聴いて俺は気づいたら暴れまくっていて…………千冬姉が決勝戦を棄権した、というラジオをバックに、謎のIS集団とのリアル鬼ごっこを開始したんだった。

 

 

「それで、蜘蛛みたいなISの集中砲火を受けて身体中撃ち抜かれて意識無くなって……」

 

 

そこからは大変だった、という言葉で表せないくらい大変だったし、命懸けだった。

何故か謎のIS集団は目的を果たした後も俺を利用する気満々だったらしく、割と……主に蜘蛛みたいなISにしつこく追いかけられた。

何度も砲撃されて身体中怪我だらけになったけど何とか逃げ切って、偶々目に付いた洞穴の中に飛び込んだ。

それで気が抜けたのか、俺はそのまま意識を失ってーーーー気づいたら謎の部屋の鳥籠の中だった。

というか今気づいたが、撃ち抜かれた時に出来た傷が全て消えている。それどころか、服も洗い立てのように綺麗だ。なんで?

 

 

「あ、気がついた〜?」

 

「どわぁぁぁ⁈」

 

 

いきなり、いきなりである。

俺以外いなかった筈の部屋に響いた、俺以外の声。

其方を見てみれば、千冬姉と瓜二つの少女がニコニコと笑いながら此方を見ていた。

黒いワンピースに黒いヒールのサンダルというラフな格好の少女は、座っていた、恐らく打鉄と思わしきスクラップから飛び降りると、俺がいた鳥籠を解体して俺を外に出してくれた。

 

 

「束ちゃんが「はぅっ⁈いっちゃん反応が二つするよ⁈いっちゃんは今学校で箒ちゃんとラブラブウフフキャッキャ中なのに⁈」ってプライバシー皆無なことほざいてたから気になって調べに来たら案の定だったなぁ〜…………ま、いいや。

なぁ、織斑一夏で合ってるよな?」

 

 

二、三箇所突っ込みたいところがあったが、とりあえず返事は返さないとな。

頷いた俺に満足気に笑った少女は、未だに混乱して立ち竦んでいた俺の手を握って歩き出した。

 

 

「とりあえず、立ち話もなんだからさ。場所、移そうぜ?色々聞きたいことがあるし、あんただって聞きたいことがあるだろ?」

 

「あ、ああ」

 

 

その通りだった。聞きたいことが山ほどある。だけど、このままこの場所で話をするのは嫌だった。

少女は俺の腕と、何故か半壊のリヴァイヴを引きずりながら、歩き始めた。

 

そうして暫く歩く(映画に出てくるようなサイバーチックな廊下だった)と、一際目立つ扉が見えてきた。……扉の形が兎な扉の時点で、中にいる人物が誰かなんて簡単に予想が出来た。

その予想通り、少女が扉を開く前に中から現れたのは。

 

 

「千秋ーーーーーー!!さぁ、束さんと愛し合おげふぅ⁈」

 

「ウザい。とりあえず黙れ天災引きこもりマッドサイエンティスト」

 

「はぅぅっ‼︎その毒舌も素敵だよ千秋!」

 

「…………頼むからマジで黙ってくれよ……」

 

 

ISを開発した天才科学者、篠ノ之束。本人だ。

でも、なんか髪が短いし、服装は……アリスに出てくる兎のようなものだった。

それに、………千冬姉よりもでかかった胸が無いし、体つきもガッシリしている。…………もしかして。

 

 

「ヲッ?君が2人目のいっちゃんかぁー‼︎ハローハロー、束さんが分かるかな?」

 

「あ、はい。えと、聞きたいことが……」

 

「うんうん、分かってるよん♪ここは何処なのか、なんでちーちゃんソックリの千秋がいるのか、……なんで束さんが男なのか。知りたいんだよね?」

 

「はい。というか、俺、貴方に俺がいた世界の束さんは女性だって言いましたっけ?」

 

「だって、いっちゃんってばさっきから束さんの胸しか見てないよ?」

 

 

うぐっ、なんか束さんの目が優しすぎて痛いっ!

 

 

「まぁ立ち話もなんだし、座りなよ。千秋、お茶ー!」

 

「もう準備終わった。茶請けは煎餅でOK?」

 

「おっけーだよ!!」

 

 

束さんに促されるように、俺は椅子に座る。

すると千秋?が冷たい緑茶と煎餅を出してくれた。

キンキンに冷えた緑茶を、少しずつ飲む。

 

 

「じゃあ、いっちゃん。……ううん、いっくん。お話してくれないかな?」

 

 

 

真剣な表情を浮かべた束さんが見つめてくる。

いつの間にか千秋も座って、話を聞いてくれるらしい体勢を取っている。

 

 

「……分かりました。今から話すのは、全部本当の話です」

 

 

 

そして俺は、話し始めた。

 

 

 

 

 

 




すごい尻切れトンボ感がしていますが、これがプロローグです。
綺麗な束さんは男性に。女オリ主は強い。微チート。
箒は男、一夏は女。
……これなら女にしか使えなくする理由が無くなるんじゃないかと考えた結果です。

……本当はこの後の為に性転換したとかじゃないよ。ほんとだよ?


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二話 異世界の情勢

二話です。

今回は説明ばかりになる予定。





※改変しました


 

 

「……で、気づいたらあの鳥かごの中にいました」

 

 

一気に喋ったから喉が痛い。

あれから異世界に来てしまった事に気付いた俺のパニック状態が収まるのを待っていてくれた二人にここに来るまでの経緯を話した俺は、ようやく話に区切りがつき、千秋(敬語はいらないって言われた)が淹れてくれた緑茶を一口飲んだ。……程よい濁りと苦味がお茶を際立てている、ものすごく美味い緑茶だった。

因みに今、俺の話を聞いた束さんがISらしきものを呼び出して不気味な高笑いをし、それを千秋が鉄拳下して止めている、という光景が広がっている。デジャヴ?同感だ。

それより、すごい勢いで部屋が壊れていくんだが……まぁ異世界でも束さんだし、すぐ直しちまうか。

 

 

「悪いね、一夏くん。こいつ、千冬ちゃんやほーきちゃんやいっちゃんの事になるとタガ外れちまうからさ」

 

「いや、大丈夫。見慣れてるよ」

 

「あ、そっちの束ちゃんも同じなの?」

 

「……まぁ、似たようなもの、だな」

 

「ふーん。……あ、束ちゃんも戻ってきたし、今度は俺達が話す番だな」

 

「はいはーい!それなら束さんにお任せあれー!」

 

 

いつの間にか時計兎からスーツと白衣に着替えていた束さんが、ノリノリで教鞭でホワイトボードを叩く。

……なんかすごい新鮮だ。ウサ耳はそのままだけど。

 

そして、長い説明が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、これで終わりだよ。いっくん、理解できたかな?」

 

「……な、何とか…………」

 

 

長かった。脱線した二時間を含めて凡そ四時間。束さんは途切れることなく話し続けてるし、千秋は束さんの話を俺にも分かりやすく話し変えてくれて助かった。

 

まず驚いたのは、ISが男女問わず使えることだった。

絶句してしまった俺に、束さんと千秋がかけてくれた言葉にも、別の意味で驚いた。

だって「そもそも女にしか使えないなんて欠陥機もいいところじゃん。束さんは完璧にして十全のものしか作らないんだよ〜。というかさぁ、そっちの束さん、頭大丈夫?」だったんだぜ。……束さんがまともなこと言ってるってことにも更に驚かされた。

話は横に逸れるが、後に白騎士事件と呼ばれた、世界中に散らばる二千発以上のミサイルをぶった斬り各国の既存兵器を悉く無効化した一機のISによる事件。これは学会に認められなかった束さんが起こしたのではないか、というのは実は有名な話である。

 

閑話休題。

 

次に驚いたのは、その白騎士事件すら無かったことだった。

ならどうやってISを認めさせたかというと、簡単な話だった。束さんは千冬姉と一緒に四年間ずっと学会に訴えていたらしい。それも、その傍らで様々な功績を挙げたり人脈を作ったりしながら。

それが認められ、実際に宇宙に行ったのが六年前とのことだった。

今はIS学園も建てられ、やはりその戦闘力に目を付けられ軍事利用されてはいるものの、宇宙進出も少しずつ始まっているとのことだった。

 

 

「んっふっふっふっふ、実はねいっくん。ここ、IS学園なのだよ‼︎」

 

「………………ええぇえぇ⁈」

 

「ま、正しくは“IS学園敷地内にある国際研究所の屋上にブッ刺さってる超弩級ニンジン型研究所”だけど」

 

 

勿論、束ちゃんと俺以外は入れません。

 

そう束さんの言葉を引き継いで千秋は笑った。

 

やはりISを発表し第一回モンド・グロッソが終わった直後、束さんは様々な国から身柄を狙われたらしい。

それが家族にまで及び、怒り狂った束さんが日本政府に掛け合い(と言う名の脅迫)をし、家族を纏めて保護してもらうのと引き換えにIS学園で研究者兼整備科の教師をしている……とのことだった。先ほどのスーツに白衣はその時の姿だとか。

束さんが教師。なんか……世界が変われば束さんも違うんだなぁ。

因みに篠ノ之一家は束さんお手製の無人IS20機(ステルス機能搭載)で守っているみたいだ。

 

だからこの世界では篠ノ之一家は離散しておらず、箒もとても落ち着いた性格をしているんだとか。

 

最後に驚いたのは、その箒と俺の性別が入れ替わっていることだった。

つまり、箒が男で俺が女。しかも、二人は付き合っているらしい。

写真を見せてもらったが、箒は変わらず長い髪をポニーテールにしていて、俺は身長が縮んで全体的に女体らしくなっていた。あ、顔は一緒だった。

ただ、箒は男前な顔つきをしていて…………なんというか、すごい穏やかな笑みを浮かべていた。

 

 

「さてと。これで粗方事情交換は終わったかね」

 

「そーだね。じゃあいっくん。いっくんのこれからなんだけど………ここに住んでみない?」

 

「三食昼寝寝床付き。引きこもりが嫌だったら、いっちゃん達がいる学校に行かせてやるし、さ」

 

 

2人が俺に手を差し伸べてくる。

……そもそもこの世界で生きていくには、2人の手を取るしかないのにな。

 

 

 

「……よろしくお願いします、束さん。千秋」

 

 

 

しばらくこの世界で生活していくんだ。

……千冬姉のことは気がかりだけど、今はこの世界のことを学んでいかなきゃいけないよな。

 

 

 

「じゃあ早速、この部屋の修理しよっか」

 

 

 

待て、それは俺も手伝わなきゃダメなのか⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 




相変わらずの尻切れトンボです。

作者的には白騎士事件が起こった原因は束の癇癪だと思っています。
認められなかったから、認めさせてやる。みたいな子どもの癇癪……に近いのかな?

ですが、この世界の束さんは親とも箒とも上手く行っている、いわばIFの束さんです。
だから学会に認められなくても様々な分野で実績を残して認めさせる、という方法を取りました。

話には書けませんでしたが、箒も一夏と引き離されなかった、また早い段階で一夏と恋仲になった為、とても穏やかで魅力的な剣道少年となっています。勿論、不埒な者には竹刀が飛びますが、間違っても照れ隠しに竹刀は飛びません。

因みに一夏は篠ノ之家に居候中です。




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一章
設定 伊号


とりあえず一夏と千秋と束の設定。

ネタバレ含みます。




※改変しました


織斑一夏

第二回モンド・グロッソ決勝戦直前に誘拐され、姉が棄権した、という情報をBGMにIS集団と鬼ごっこを繰り広げ、気づいたら異世界にトリップしていた少年。

元いた世界とは違う束や、何故か千冬に似た少女千秋、そしてISが男女問わず使えるという様々な出来事を前に、彼の頭は爆発寸前である。

 

 

 

千秋

異世界の束と行動を共にする少女。オリキャラ。

どのような子になるかは作者にも分からないが、とりあえず自由人な設定。束大好き。一人称は俺で口が悪い。

容姿は千冬の髪型をポニーテールにして、目付きを優しくした感じ。

服装はワンピースが多い。

因みに学校には通っていない。

 

 

 

篠ノ之束

此方の世界でもISを開発した稀代の天才科学者。性別は男である。

但し両親や箒とは疎遠になっておらず、また千秋という常に支えてくれる存在がいる為、原作束より穏やかで人当たりのいい、理想的な男性となっている。

日本政府には家族の保護に関して様々な注文をつけており、二十四時間監視をしようものなら速攻で叩き潰す。

現在はIS学園で研究者をやる傍ら、整備科で教鞭を握っている。

 

 

 

 

 

 

世界観

 

 

まず前提として、ISは男女問わず使える。

これにより、世界は男女平等になっている。(一部ではまだ男女差別が残る)

 

次に、白騎士事件が起きなかった。

これにより、ISが認められるのに四年の歳月がかかった。

 

三つ目、篠ノ之一家は離散していない。

正しくは離散させようとしたのだが、束がそれをあらゆる手段を使って止めた。

現在、暗部の更識家が一家の護衛を務めている。

 

四つ目、デュノア社騒動やVTシステム関連の技術露呈が原作よりも早い。

シャルロットやラウラ、黒兎隊は千秋が保護し、現在は全員異世界の一夏が通う学校に通っている。

 

五つ目、異世界の一夏と箒の性別反転。

これは単にトリップしてきた一夏と比較……したかったから。

 

六つ目、箒が大人しい。

作者的には現在箒はヒロインらしいヒロインなのに非常に残念だと思っています。箒大好きです。

なので異世界の箒は落ち着いたスポーツ少年。もてまくってます。

 

七つ目、千冬がドイツに行ってない。

此方でも誘拐事件は起きたが、決勝戦開始を翌日に回して全員で大捜索。一夏を救出し、ついでに誘拐事件を起こした亡国企業は壊滅した。束と千秋と酢豚さんのせいで。

なのでドイツに行く理由が無く、ラウラとの関係も違う。

 

 

後はようやく宇宙進出用ISが完成したり第四世代型の登場が現在よりも早かったりするけど、大まかな違いはこれくらい。

鈴は一旦中国帰ったけど、二ヶ月くらい後に戻ってきた。

 

 

 




こんな感じです。
設定は増えます。増やします。

感想や意見、募集してます。


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三話 千秋と酢豚と黒兎

前のを消して新しい話にしました。


 

 

 

「いやー、疲れたなぁ〜」

 

 

 

久々の重労働だった。

肩を回せばゴキゴキと自分でもビビる音が鳴る。

 

 

 

「ごめんね、一夏くん。部屋の修理(あとしまつ)手伝ってもらっちゃってさ」

 

「いや、世話になるんだ。これくらいやらなきゃな。……でもさ、あんなやつ(無人機)があるなら、俺、必要無かったんじゃ……?」

 

 

束さんが修理を始めると同時に何処からともなく現れた全身装甲(フルスキン)の黒いIS。

千秋曰く無人機らしいそのISは束さんの命令を受けながら、部屋の修理を開始。あっという間に部屋を新品同様にしてしまった。

そして俺はそんな無人機のサポートをやらされた。

重い器具を持つだけという簡単で厳しいサポートの結果は、ダルすぎる腕とゴキゴキと鳴る肩が物語っている。

 

因みに今は二人で俺の日用品を買いに行った帰りだ。

女子に荷物を持たせるなんて、とは思ったが、「あんたその腕でどうやって荷物持つの?」という言葉に甘えたんだ。

 

しかし、ここは本当にほぼ男女平等の世界なんだと実感した。

街の何処にも男をこき使う女がいなかった。

売り場もデカデカと女性コーナー、というものが無かった。

 

 

 

「一夏くん?どうかした?」

 

「わりぃ、なんでもない」

 

 

 

つい考え込んでしまったらしい。千秋が心配そうな顔で此方を見ている。……本当に千冬姉にソックリだ。

 

と、そうこうしているうちにIS学園島に着いたようだ。

 

この世界のIS学園も、首都東京から離れた人工島に建てられており、外見もさほど変わらない。

だが敷地面積は三倍ほと広く、俺がいた世界では十五歳からの入学出来る高校だったのが、中等部・高等部の2つが出来ていた。

 

そして、IS。

この世界のコアの絶対数は768。

確か俺のいた世界の絶対数は467だったから……301多いのか。

なんでも束さんは一回はコア製造を拒否したらしいんだが、ある日からまたコア製造を始めたんだとか。

 

それで、今年度……というか中等部二年は異様に専用機持ちが多いのだとか。

その数ざっと7人……一国に余裕でケンカ売れるな。

 

 

 

「……お?」

 

 

 

視線の先にあるアリーナから爆発音が聞こえてくる。

確か今は夏休みで生徒はおろか教師も残っていないってきいたんだが……

 

 

 

「ああ、小龍とゲオルクか」

 

「?」

 

「夏休み帰省拒否組だよ。まぁゲオルクはもう日本国籍だから違うとして、小龍は戻りたくねぇんだろうなぁ〜」

 

「あの、小龍とゲオルクって?」

 

「織斑一夏と愉快な仲間達のメンバー。二人とも男で、小龍は中国代表でゲオルクは元ドイツ軍人の代表候補生。因みに小龍はチートクラスの実力者」

 

 

 

多分ゲオルクこてんぱんじゃない?と千秋は笑う。

 

ちょっと待て、恐らく十四歳で国家代表⁉︎どんだけエリートだよソイツ⁉︎

それに“織斑一夏と愉快な仲間達”ってなんだよそれ⁉︎

というか千秋、そっちは研究所じゃないぞ?

 

 

 

「気になるんでしょ、行く?」

 

 

 

答えはもちろん、決まっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナは予想以上に広かった。

今、俺の眼下ではマゼンダと漆黒がぶつかっている。……否、正しくはマゼンダに漆黒がぶつかりに行っている。

 

マゼンダのISは龍のようなシルエットで、背面の非固定浮遊部位に一対の巨大な丸い装備が特徴的だった。

 

漆黒のISは正に軍用機!と言わんばかりの無骨なシルエットで、両肩の大口径リボルバーカノンが特徴的だった。

 

そのリボルバーカノンが火を噴いてマゼンダのISに襲いかかるが、マゼンダのISはそれを軽く受け流し、次の瞬間、漆黒のISがアリーナの壁に叩きつけられた。

見ればマゼンダのISの丸い装備の蓋が開いていた。

 

漆黒のISはジグザグに動きながらマゼンダのISに近寄ろうとするが、マゼンダのISは一定以上の距離を保ちながら漆黒のISを追い詰め、遂に漆黒のISのシールドエネルギーが底を尽き、マゼンダのISの勝ちが決まった。

 

 

 

 

 

「小龍。貴様、また腕を上げたな」

 

「ゲオルクこそ。千冬さんにでも扱かれたか?」

 

「……言うな、教官のあれは、拷問だ…………!」

 

「お疲れ様ー」

 

 

 

二人のISパイロットに親しげに話しかける千秋。

きっと友人なんだろうな、二人も楽しそうに会話している。

 

俺?少し離れた場所でそれを眺めている最中だ。

 

やがて話がついたのか、千秋が二人を伴ってこっちへやって来た。

 

 

 

「小龍、ゲオルク。紹介するわ。こいつは織斑一夏。並行世界のいっちゃんだな。一夏くん、こいつらは凰 小龍とゲオルク・ボーデヴィッヒだ」

 

「へぇ、男の一夏ねぇ。男でも可愛い顔してんじゃん。あ、気軽に小龍って呼べよ!」

 

「ゲオルク・ボーデヴィッヒだ。元ドイツ代表候補生だ。私も気軽にゲオと呼んでくれ、織斑一夏」

 

 

 

 

小龍は砕けた笑顔で、ゲオルクは軍人のように腕を後ろで組んで此方を見ている。

二人とも小柄なのに、纏うオーラのせいか俺よりも身長が高く思える。

 

 

 

「此方こそ、よろしくな!」

 

 

 

そして二人と握手を交わす。

 

しかし、小龍……なんか鈴にそっくりだなぁ……身長含めて……

と思っていたら憤怒の形相の小龍に吹っ飛ばされた。

ゲオは目を丸くしているし、千秋は大爆笑しているし……というかなんで思ってることがバレたんだ⁉︎

 

 

 

「アンタ、顔に出てるんだよ‼︎世界違ってもそこは一華と同じだよな全く‼︎」

 

 

 

そ、そうですか…………

 

 

 

 

 

 

 






長く放置してすみませんでした。
最初に書いた話では後々矛盾が出るなぁ、とスランプになり、思い切って書き直しました。





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