ネギま!~ほんとはただ寝たいだけ~ (真暇 日間)
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1話

異伝6 もしも一夏がネギの村を襲う悪魔の中に召喚されてたらきっとこうなる超ほのぼの版 その1

 

魔法世界の大英雄、ナギ・スプリングフィールドの名を知らないものは、魔法世界にはまず存在しない。

世界を救い、強敵達を倒し、その後も人々を救い続けてきた近代の英雄。それがナギ・スプリングフィールドだ。

 

そして今、その故郷の村にはナギの息子が暮らしている。

 

父に憧れ、姉に甘え、友と笑い合い、時に涙する、子供らしい子供。それがナギ・スプリングフィールドの息子、ネギ・スプリングフィールドだ。

 

しかしその少年は、魔法世界の大英雄であるナギ・スプリングフィールドの血を引くと同時に、最悪の犯罪者、アリカ・アナルキア・エンテオフュシアの血をも引いている。

 

その血を絶やすために、我等メガロメセンブリア元老院議員はその村に悪魔の軍勢を送ることを決定した。

例えそれが失敗しても、保険はある。我々の世界の崩壊を止めさせるための人柱になってもらう。

その時、過去にこのような悲劇があれば英雄として箔がつく。我々には損は無い。

 

下級のスライムや小悪魔に始まり、中級悪魔も数多く呼び出す。その司令官として数体ほど爵位級の悪魔を喚び出し、命ずる。

『ネギ・スプリングフィールドの居る村を襲撃し、その村の全員を永久石化せよ』

 

こうすれば後は放っておいても我々に利益のみが転がってくるはずだった。

あのイレギュラーさえなければ…………。

 

「………ふに……」

「…………はぁ……かぁわいいのぉ……」

「その通りですなぁ………見てください議長。見ているだけで肌に張りが戻ってきましたよ」

「ほう? 儂など萎えていた足が復活したぞ? まあ、何度か貧血で死にそうになったがのぅ」

「はっはっはっは!議長も若いですな!」

「なんのなんの……ああ、ヘルマン卿。悪いがその子のタオルケットをずらしてへそ出しにしてもらえんかね?」

「……ぐ………わ……私に死ねと…………?」

 

だくだくと鼻血を垂れ流しながら、髭の紳士が元老議院議長の顔を睨み付ける。

その周囲には呼び出された悪魔達が鼻を押さえたり血走った目をしていたりケケケケと笑ったりハァハァと荒い息をついたりしながら一ヶ所に視線を向けていた。

 

その視線の先に居るのは、言わずと知れた一夏である。

ただし、一夏はその場ですやすやと眠り続けていて、周囲に気を向けている様子は一切無い。

その下には、最早ウォーターベッドと化している三体のスライムの姿もあり、三体とも時々一夏に悪戯を仕掛けている。

 

ドムッ!

 

「ォゥフ」

「ぎゃぴっ」

 

そして時々やり過ぎて、一夏に反撃を食らっている。

 

「…………なんと言うか……もう、権力とかどうでもいいですなぁ……」

「この世界の滅びの運命も、何でもよくなってきましたなぁ……」

「………召喚主。帰るときにあれをお持ち帰りしても?」

「「全員でそこの不届き者を血祭りにあげろ!ただし殺すな!」」

「くくくく……貴様が悪いのだぞヘルマン。あれを独占しようなど、神が許し魔神が許し王が許し大英雄が許しても、この(リリス)が許さん」

「そしてこの(アスモデウス)も許さん」

「それとこの(ハルパス)も許さん」

「もちろんこの(ベルフェゴール)も許さん」

「当然この(メタトロン)も許さん」

「当たり前だがこの(ベルゼブル)も許さん」

「ついでにこの(アスタロト)も許さん」

「この(バアル)も許さん」

「今なにか召喚されてないはずの神聖なものが混ざってウボァ――――!!!?」

 

ヘルマンはぼっこんぼっこんにされた。なんとか顕現を許されているのは、命令で殺すなと言われてしまっているからに他ならない。

もしもその命令がなければ、ヘルマンの命はとっくに(魔界に居る本体ごと)消え去っていただろう。

 

そうして粛清を終わらせた魔神達(約一体別のものが混じっていたが気にしてはいけない)は、ぼろくそになったヘルマンを放置して一夏に見とれる。

手を出そうとすれば他の魔神達(約一体別のものが混じっていたが気にしてはいけない)に数の暴力を振るわれるとわかっているため、誰もが一夏に手を出さない。

 

その代わりに、一夏の体に触れているスライムを魔神(約一体別のものが混じっていたが気にしてはいけない)の名は伊達じゃないことを証明するような殺意にまみれた視線が襲

 

っていたが、スライム達はそれらを全て無視して一夏のベッドになり、時々悪戯をすることに情熱を燃やしているように見える。

 

そんな風に色っぽい悪戯をされている一夏を眺めているうちに、この場に呼ばれてもいないのに自主的に集まった魔神達(約一体別のものが以下略)の心が癒され、なにか色々と魔神としては抜けてはいけない物が抜けていこうとしている。

とある魔神は歪んだ心がなんだか癒され、伝承をねじ曲げられて堕とされる前の神であった頃の姿に戻っていく。

とある魔神は、尽きないはずの強欲が徐々に充足感を得て、その心地よさになんだか眠気を誘われた。

 

魔神は神に。妖魔は精霊に。澱みは形を変えてまっすぐになり、世界そのものすら在り方を変える。

 

……とりあえずこの場に居る元魔神達と精霊と人間は、目の前に居る存在に肖って眠ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

異伝6 その2

 

目が覚めると、周りで色んな奴が気ままに茶会を開いたり討論を繰り返したりしていた。

 

「オ、起きたカ」

 

適当に辺りを見回していたら、なんか半透明の少女(なんか水って感じ)が話しかけてきた。下を見てみると、俺が今寝ているベッドのような何かに繋がっていた。どうやらこのベッドはベッドではなくこの少女的存在(生命体かどうかは不明)の体を変形させたものであるらしい。

手をついてみると、かなり柔らかい。この少女的存在(生命体かどうかは以下略)の意思次第で自在に形を変えられるらしい。

 

「まあ起きたばっかで喉乾いてるダロ? コレでも飲んどケ?」

「………淹れたて」

「あ、ありがと」

 

ベッドの脇の部分から水色(文字通り)の触手が伸び、紅茶が注がれたカップを持ってきた。

それと、なんか新しい奴が出てきた。口数少なそうな少女的存在だ。

……もう一体の方と同じところから出てきてるように見えるけど、もしかして混ざってるのか?

 

「お、起きたのか。それじゃあ私と気持ちいいことを」

「イシュタル!貴様は何を勝手に抜け駆けをしている!」

「早い者勝ちだろう!起きたのだから許可をとれば合法だ!」

「まあまあ騒ぐな騒ぐな。ここは間をとってこの私が……」

「「リリス!どさくさに紛れて漁夫の利を得ようとしてるんじゃない!!」」

「ちぇ、ばれた」

 

そりゃそんな堂々としてりゃばれるだろうよ。

 

なんだか面倒になってきたので、もう一度ウォーターベッドに横になる。

 

「寝るのカ?」

「おねむデスカー?」

「……おやすみ」

「ん。おやすみ」

 

……なんかまた増えてたような気がしなくもないが、別に悪いことじゃないからいいか。

 

……すかー…………。

 

 

 

 

 

side 元老院議員A

 

「……それでは、第16回平穏無事に面倒事を終わらせよう会議を開催する。とりあえず、案があれば言ってくれたまえ」

「はい!あの少年の可愛さを魔法世界中に広めれば平和になると愚考いたします!」

「右に同じ!」

「同じく!」

「可愛いは正義ィ!」

「そして可愛いの独占は大罪ィィ!!」

「異議あり!魔法世界だけではなく旧世界にも広めるべきだ!」

「よろしい!では多数決を取る!新旧両世界にあのものの可愛らしさを余すことなく伝えることに反対するものは右手を挙げよいないようだな!それではその方向で政務を進める!解散!!なお、あの少年の寝起きの写真はベッド役の役得三精霊より一枚200ドラクマだ!よってこれよりオークションを開催する!」

「250!」

「1000!」

「5000!」

「12000!」

「気が早いわ馬鹿者共が!まずは写真の確認からだろうが!」

 

そう言って議長が出した写真は、うなじが出ていた。

 

「4000000!4000000出すぞ!」

「なんだと!? くっ……4500000!」

「5000000だ!」

「他にいるか!? いないかっ!? ……よろしい、この写真は議員番号43番が落札!それでは次の写真だ!」

 

次に出てきた写真は、寝起きで延びをしている際に臍がちらりと見えてしまっている。

 

「ガハァッ!?」

「ごべっ!?」

「な……なんという威力………主よ、堕落してしまう私をお許しください……8000000出します!」

 

……ん? 今の確か熾天使の………。

 

「させん!8500000!!」

「くぅっ!? どこまでも私の邪魔をしますかイシュタル!」

「その通りだ!あの写真は私が頂く!」

 

神も天使も悪魔も人も、全員が争い殴りあい(なんで人間平気なのだろうな? 神秘だ……)、写真を買う。そして一度決着がつけば無駄に掘り返しはせず、次の写真を買い争う。初めの値段の数千倍の値が当然のようについている。

 

……さて、私も様子見は辞めて参加するとしようか。

 

「12000000!」

「ぐっ……ゲーデルの若僧がァ……」

「ならば私も!13000000!!」

 

この勝負は……太股ちらりの写真は譲らないッ!!

 

 

 

 

 

side 元・スライム三人娘

 

「ケケケ。ボロい商売だナァ?」

「そうデスネー。これだけあれば寝起きのこの方のための美味しい栄養剤や料理の材料が買えますネー」

「……そんナノ誰が買うノ…………?」

「ンなもンヘルマンのおっさんに決まってんだロ?」

「その通りデス。ヨロシクお願いしマスネー?」

 

ヘルマンにそう『お願い』して、あたしたちは三体組み合わさって作ったベッドの上で寝ている小さな悪魔を愛でる。

写真を撮ったり、ほっぺの近くに触手的なものを作ってほっぺをつんつんしたり、写真を撮ったり、モゾモゾ動く小悪魔(可愛すぎる的な意味で)に悶えたり、写真を撮ったり、動画を撮って秘蔵にしたり、またちょっとイタズラしたり、やり過ぎてぶん殴られたり(生身の拳が相手なのに超痛い。なんでだ?)、とてもとても楽しんでいた。

 

そして、少女達におつかいを押し付けられたヘルマン(一度暴走したためフルボッコにされて爵位取り上げ、またフルボッコにされて地位が最下級にまで落ち込んだ)は、とぼとぼと外に歩き出す。

その背中には哀愁がたっぷりと漂っていたが、誰もそんな彼に同情の視線の一つすら向けることがなかった。

 

はぁ……と、買い物袋(エコを意識したマイバッグ)を片手にヘルマンは溜息をついた。

 

「……あの子供をどろどろにして喘がせたい…………」

 

…………この後、ヘルマンは他の被召喚者達の連合にフルボッコされることになるのだが、神でない彼がそれを知ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

異伝6 その3

 

よく寝ていたある日。白髪の坊っちゃんに出会った。

一度視線が合ってから、じ――――っとお互いの目を見つめ続けている。特に意味はない。

 

じ――――と見ているうちに、あっちがどんどん俺に近付いてくる。

逃げようとも動こうとも思えない俺は、それをただ見ている。

そして俺の目の前で止まったそいつは言った。

 

「きみ、僕達のところに来ないかい?」

 

いきなり勧誘された。とりあえず現状に不満は無いので断っておく。

 

「行かない」

「行かセネェ」

「ダメデスヨー」

「…………ダメ……」

「……そうか」

 

俺だけが答えるはずだったのだが、なぜか少女的軟体生物×3も一緒に答えた。理由は知らない。

 

ただ、その答えに白髪の坊っちゃんはちょっと落ち込んだような顔をしていたので、とりあえずベッドに引き込んで抱き枕にしてみた。

 

「なっ……き、君はいったいなにを……っく…………」

「……くんくん……なんか甘い匂いがするねぇ。包容力がある感じ?」

「!?」

 

暴れるようなことは無かったので、とりあえず抱きつきを強くしてみる。ってか、この少年はずっと無表情だって思ってたんだけど、ただ付き合いが短かったからそう思っただけみたいだね。顔真っ赤。

 

あと、鼻から青いのが垂れている。これ血の代わり? なにこの少年、ホムンクルスかなにかだったりするのかね?

まあ純粋な人間でないことは確実だな。今は俺の周りに神やら悪魔やら魔神やら天使やら精霊やら亜人やらなにやらかにやら大量に人外が要るから気にならないけど。

 

……それにしても、ほっぺ柔らかい。華奢な体つきなのに頑丈だし、肌触りがかなりいい。

ついでになんだか押しに弱いらしいね。俺がこうしてても振りほどけないようだし。

 

だから(・・・)振りほどけねぇんだと思うゼー」

「なんでもいいよ。いい抱き心地だし。……身長もう少し小さければもっとよかったんだけど」

 

まあ、このままでも問題ないね。

 

 

 

 

 

side テルティウム

 

…………現在、僕は少しピンチだ。主に理性が。

ぎゅうっと抱き締められていると、ただの人形であるはずの僕が衝動を押さえきれなくなってしまいそうな気がする。

ほぼ同じくらいの身長であるため、この子の顔が丁度僕の顔の目の前にある。

 

「……オイ。手ぇ出すんじゃネェゾ?」

「私達だって全力で守りに回レバ、あの方々を呼んでくるダケノ時間稼ぎくらいはできますカラネー」

「…………疲れるケド……殺るヨ?」

「ああ、わかっているよ。さっきから殺気が痛いんだ」

 

ピリピリとした空気が、僕だけに向けられている。うまくこの子を避けているらしく、起きる気配がこれっぽっちもない。

 

「……妬ましい。実に妬ましい」

「同意しようじゃないかアモン。私はこの人形が実に羨ましい」

 

そういいながら現れたのは、アモンとベルフェゴール。片方は神に出戻りしているが、もう片方は魔神のままだ。

フェイトは逃げ出そうとするが、少年の手足による拘束が非常に強く、どう頑張っても逃げ出せそうにない。

ただ、それは縄のように締め付けられているわけではなく、手錠のように一定の広さから離れないために拘束されているようで、なにかをしなければ痛いということは無い。

 

「……ああ、安心しろ。敵意は無い。ただ、羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくて羨ましくてもういっそ妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて仕方がないだけだ」

「然り。妬み嫉みこそ嫉妬の魔神の根元だ。アモンのはそれとはあまり関係無いが」

「どこに安心できる要素があるって言うんだい?」

 

フェイトはそう呟くが、いつの間にか現れていた数々の魔神たち(実はほぼ全員呼ばれてもいないのに自力で来ている)を前にして逃亡を不可能だと切り捨てる。

確かに魔神たちから逃げようとするなら、最低でも『造物主の掟』のグランドマスターキーくらいは欲しい。と言うか、無いと無理。

 

そう考えながら、フェイトは諦めて流れに身を任せることにした。

 

……鼻から何か流れているが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異伝6 その4

 

起きたら腕の中に色々と諦めたような疲れたような顔をしている少年君が居た。

その髪は凄まじいストレスか恐怖を受け続けてきたかのように真っ白で……あ、それは元々そうだったっけ。

 

そんなことはどっかそのへんに適当に投げ出しておくとして、俺は妙に包容力のある白髪の少年君をさらに抱き締める。むにゅむにゅと何かを言っていたようだったけど、眠くてよく聞こえない。

 

「そりゃ口塞いでんダカラ聞こえるわけネエワナ」

「そうなんだ?」

 

まあ、眠いし絶対やめないけど。

 

そんな訳で俺の抱き枕に抜擢(?)された白髪の少年君。名前はフェイトと言うらしい。運命か。無味乾燥な番号に比べたらずっといい名前なんじゃない? 本人がどう思ってるのかは知らないけどさ。

偽名だってのはわかってるんだが、別に責める気は無い。そのお陰で名前を呼ぶことができるんだし。

 

そんなわけで白髪の少年君改めフェイトを抱き締めたまま二度寝に入る。三度寝だろとかそんなツッコミは受付していない。

 

「五度寝ダロ?」

「八度寝では?」

「……お休み、少…………年?」

「少女ダロ」

 

少年であってるよ元気少女的存在。あと、無口少女的存在も最後に疑問符をつけるなっての。

まあ、間違えられることはかなり多いからあんまり気にしてないけどさ。

 

 

 

 

 

side メガロメセンブリア元老院議員

 

「由々しき事態が発生した」

「なんだなんだ」

「どうしたどうした」

「ついにあの白髪の子供が我等の天使に手を出したか?」

「粛清ダ!!」

「ブッ殺セ!!」

「汚物ハ消毒ダァァァッ!!」

「まあまあ落ち着いて。とりあえず今回は初犯ということだし、全裸で尻を叩きながら踏み台昇降運動をしつつ『ビックリするほどユートピア!!』と120時間ノンストップで

 

叫ばせ続けるだけにしてやりましょう」

「何を言う!ここはびしっとケツ棘バット500000000000000000000発で締めるべきだ!」

「とりあえずNIKU↓LAPは外せんな」

「私は筋肉バスターならばできるぞ」

「ではわたくしがOLAPをかけましょう」

「……薄い本を出し、先代の『地』のアーウェルンクスとのカップリングを固定させるのは?」

「「「「そ れ だ っ ! ! !」」」」

「それでは討議を終了───いやまて違う。あれはまだ手を出してはいない」

「…………とりあえず、抱き枕になってるのが羨ましいのでやる方向で……」

「それは構わんが、とりあえずは私の話を聞け。二分だけでいい」

 

ようやくザワザワギャーギャーと騒がしかった議論が一時中断され、ほぼ全員が聞く姿勢に入る。

 

「……どうやら我らが天使は、男であるようだ」

「「「「「なっ……なんだって――!!?」」」」」

 

その場にいたかなりの人数が驚愕の姿勢を見せたが、議長を含む数人は笑顔で座っている。

 

「何を言っているのだね君は。彼ほど可愛い存在が女であるはずがないだろう」

「当然ですな」

 

そんなことを言っている議長ほか数人は、どうやら本気でそう思っているらしい。

それを見て私達は思った。こいつについていくのだけは辞めよう、と。

 

「……さて、それではアーウェルンクスの処分の内容を細かく決めていこうではないか。何か案があるものは居るかね?」

「縛り上げられて他のアーウェルンクス達に色々とヤられるに一票」

「産まれて間もない頃に色々教え込まれ、今では自分からねだりに行くようになってしまったに一票」

「アーウェルンクスの女を囲っていたが、それがバレて逆に囲われてしまったに一票」

「実は常に服の下は縄で、常時調教中に一票」

「あのアーウェルンクスは『夜』のアーウェルンクスで、毎晩男達をヒィヒィ言わせているに一票」

「……大体出揃ったな。それでは、夜のアーウェルンクスに決定でよろしいか?」

「いやいや複合と言うのも……」

「しかしだな………」

「ですからそこは…………」

「なるほど……………」

 

そんな感じでとんとん拍子に話は進み、大体の内容は決まった。後は世の腐った者共に資料を提供すれば計画は完了するだろうと言うところまで来た。

ここまで来るのには中々苦労した。色々な思惑が複雑に絡み合い、時折誰かが発狂し、それを無理矢理鎮静させて会議に戻り、何度も論破し論破され…………ここまで熱い議論を交わしたのは久方振りだった。

 

目標を設定し、より良い道を選ぼうと意見をぶつけ、完璧に近い形にしようと足掻き、苦しむ。まるで若い頃に戻ったかのような気分だ。

……内容がアレ過ぎると言うことに目をつぶればの話だが、中々楽しい時間を過ごすことができた。後は完成させ、流通させるだけだ。

 

それを流すと同時に、ナギ・スプリングフィールドやジャック・ラカンの本も流通させる。英雄達の本なら訳もわからず買う者も出てくるだろう。

 

ハッハッハァ!魔法世界に居る間は、尻に気を付けないといけないようにしてやる!とは議長の言葉。

悪趣味だとは思うが………我等が天使に触れる貴様が悪いのだよ、アーウェルンクス。

潔く諦めて見知らぬ男にでも掘られてしまえ!

 

 

 

 

「……ところで、英雄の息子のいる村を襲撃する作戦はなかったことにしてもよろしいですか?」

『異議なし!』

「それではこれにて会議を終了するっ!一同、起立!着席!礼!」

 

ゴッ!という鈍い音が、薄暗い会議室に響き渡った。

 

 

 

 




 
なんだかとってもカオス。そしてこれでネギま!は終わりwww




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