自称何処にでもいる高校生が転生したそうです (呪壊 赤城)
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第1話 地獄から転生

なんというか・・・。他に書いてる作品はあるんですけれど、両方原作がおなじなので息抜き的な感じでゆっくり更新する予定です。

ちなみに、転生は転生でも神様転生じゃありません。地獄転生です。

そういえば、サンタローズのシスターさんの名前って無いですよね?(汗

私は小説の方は読んでないのでゲームの記憶で進ませていただきます。御了承ください。


追記:2015年4/22多少修正致しました。


 

―あるところに、極々普通の何処にでもいる一般人を名乗る少年がいた。

 

 

高校1年のその少年は見た目も派手と言うわけでもなく、成績も平均的、運動も普通より本の少しマシな程度で、趣味も最近の若者にあるようなゲームでその腕も特別凄腕のゲーマーというより、面白い奴はやってみるかといって始める程度のものであった。

 

表情こそ多少締まりのなさそうなものであったが、それは個人差がある程度でそこまで記憶に残るほどの顔ではない。

その面だけを見るなら、確かに彼は極々普通の一般人なり村人Aというなり言っても問題はないのだろう。

 

 

そんな彼はしかしながら、喧嘩は普通を遥かに越えるほど誰よりも強かった。とは言え、不良だったわけではない。

 

 

彼はただただ不幸な人間であったのだ。

 

彼の親しくしている幼なじみからはリアルのび太、もしくはリアル上条とまで言われる程、彼は普段から運に見放されていた。

 

例として、道を歩けば犬の尻尾を踏んでしまい追い立てられる、自動販売機の下に小銭を落とす、不良に意味もなく追い掛けられると、例を挙げれば切りがないほどであった。

が、それでも彼はそれを平然と当たり前のように受け入れていた。

なんで自分ばかりというものや、理不尽だと思ったことは彼は1度もない。

だから、彼はそういう気持ちで喧嘩をしたことはなかったし、喧嘩が楽しいと思ったことは無かった。

 

それどころか、喧嘩自体、彼は嫌っていた。

だからこそなのだろう。外に出れば嫌と言うほど何かしらの事で不良に絡まれていたのは。

 

 

 

―では、何故彼が喧嘩が強かったのか?

 

それだけは彼自身も分からなかったし、そもそも分かろうともしなかった。

もっとも、彼は物事を気楽に、前向きに、楽観的に考えるタイプだったのでそこまで考えてなかっただけなのだが。

 

 

 

そんな彼は、当たり前の不幸な日常をいつものように普通に過ごしていたはずだった。

 

 

 

―そして、そんなある日。彼、は唐突に命を落とした。その日が彼の16歳の命日となった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

何処からか吹く風の音に彼は目を覚ました。

確か自分は死んだんじゃなかったか?なんで死んだのかは思い出せないけれど。と思い辺りを見回すがそこは彼が知らない場所であった。

 

 

「あれ?俺死んだんじゃ・・・てか、ここどこだろ?」

 

 

そう一人呟くと突如背後から気配を感じて咄嗟に彼は振り向いた。すると目の前には長身で容姿端麗ではあるが無愛想そうな青年が立っていた。

 

 

「あ、えーっとここは何処ですか?」

 

 

取り合えずダメ元で聞いてみるか。そう思った彼は見ず知らずであるのにかかわらず、普通に道を訪ねる感覚でここは何処なのかと聞いた。

 

 

「地獄だ。」

 

 

ぶっきらぼうにそう答える青年に対して海樹は思わず聞き返した。

 

 

「え?・・・地獄?」

 

「そうだよ。地獄だよ。先に言っとくが、てめェら人間が伝えてる場所とは違うぞ?つってもお前は死ねない人間だけどな。」

 

 

死ねない?それは一体どういう意味だろうか?と思ったのも一瞬の事で、実際のところ海樹はそこまで重要なことでもないだろうと、わりと気楽に考えていた。

何故なら、それが本当なら自分はここに居ない筈なのだから。

 

 

「あっそ。でもここって地獄なんだろ?えーっと。」

 

 

そういえば、名前を聞いてなかったか。そう思って「お名前は?」と聞こうとした海樹は青年の言葉を遮る形になると思い言うのをやめた。

 

 

「ケルベロスだよ。それと、死ねないとは言ったが、死ねないのはあくまでお前の魂の事だからな。ま、肉体は死ぬはずもねェのに死んじまったけどよ。だから、お前はこれから転生すんだよ。」

 

 

ケルベロスってゲームじゃあるまいし・・・

いや、ケルベロスって名字かもしないし、もしかしたら親御さんがそういうのが好きでつけてしまったのかもしれない。きっとそうだ。でも転生は流石にないなぁ。ケルベロスさんはちょっとゲームとか漫画の読みすぎなんじゃ・・・。と思っている海樹にはお構いなしでケルベロスは話を進める。

 

 

「取り合えず、今てめェが行けんのはこの世界か。おい何つっ立ってんだ。こい。」

 

「へ、あ、はい。」

 

 

そう言われ、ケルベロスに警戒すらせず近付く海樹。

すると、ケルベロスはいきなり彼の胸ぐらをしっかり掴むと空高く放り投げた。

咄嗟の事で、しかもケルベロスが今までに見たこともないような怪力のせいで海樹も受け身を取ることがやっとだった。

 

 

「ちょっ!?.ってえ?え、ええェェェェェェっ!!?いつの間にこんな高く、っていや、この高さは落ちたら死ぬって!ケルベロスさんなんでっ!って居ねぇし!・・・うぉぉぉぉぉぉぉマジでどうしよ!ギャアァァァァァァァァァァァァァァ・・・。」

 

 

彼の絶叫は空しくもケルベロスに届くことは無かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

気が付くとまた見知らぬ場所に俺は居た。

どっかの町の中なのだろうけど、建物がいやに大きく感じる。

 

・・・いや、待て、これ建物が大きいんじゃなくてもしかしてもしかしなくても、俺が縮んでるんじゃ・・・ってはぁ?はぁァァァァァァァァァァっ!?いや!いやいやいやいや!!ちょっと待てよ!可笑しいだろ!?どこぞの高校生名探偵じゃあるまいし、飛ばされてその先で小さくなってるとか!つーか、ケルベロスさんは!?どこだよあの人。つーか何者だよ!

 

 

『だから転生させたっつてんじゃねぇかよ。』

 

「え!?どこからはなしてんだよ。」

 

 

あ、やべ。・・・良かった夜で人が居なくて。

居たら変な奴だもんな。ってかケルベロスさんどこにいるんだよ。右も左も前も後ろも居ないし・・・。

 

 

『下も見ろよ。下にいるぞ。』

 

 

は?いやいや、可笑しいだろ。犬じゃあるまいし。そう思って恐る恐る下を見ると真っ黒な犬が居た。やっぱりな。冗談も程ほどに・・・ん?犬?

 

『ああ。元々こっちの方が本来の姿に近いからな。』

 

―・・・嘘ん。

 

『嘘じゃねぇよ。てか、お前なんて名乗る気だよ。前世としてのお前は一応死んでるけどよ。』

 

―え?てか、ケルベロスさんって思念で話せんだ。

 

『ああ。それとケルベロスさんはよせ。ケルベロスとかお前でいい。』

 

―はぁ、で、死んで転生したのは納得したけどケルベロスはなんで一緒に居ることになったんだ?

 

『そこは驚かねぇのかよ。ま、はっきり言わせてもらうと、俺はてめぇのお守りだよ。』

 

―お守りって・・・。そんなに俺が心配で・・・。

 

『いや、お前が世界滅ぼさないように。』

 

―転生先の心配だった!?ってかあんた見てると死んだ幼馴染みを思い出すよ。

アイツもそういう性格だったし。

 

『お前を弄るのがか?』

 

―そうだな。そういう先読みしちゃう所とかもそっくりだったよ。

 

『ソイツと気が合いそうだな。』

 

―まぁ、アイツもそう言うだろうね。で、俺は何すれば良いわけ?何かしろってことだろ?

 

『あ、それな。取り合えずここに居ろ。俺と話してろ。』

 

―心の中って意味だよな?そうだよな?

 

『任せるぞ?』

 

 

・・・本当人に適当に投げるタイミングとかそっくりだわ。

 

 

『で、名前どうすんだよ。言い忘れてたが、この世界名前先に名乗るからな?』

 

―あー、マジ?じゃあ戒人とでも名乗っておくよ。

 

『カイトだな。分かった。じゃあ今から吠えるからな。』

 

―は?なんで?

 

「バウッ!バウッ!オォーン!」

 

―おおい!止めろよ、人起きるじゃ・・・そう言うことかよ。ったく、本当お前そういうとこまでそっくりだよ。でもま、仕方ないし付き合ってやるか!

 

 

「ちょっ!ケル。だめだって。」

 

「オォーンオォーンオォーン。」

 

「あら?どうしたのかしら?・・・ってあら。どうしたの坊や。」

 

「あの、すいません。おれのともだちがうるさくしちゃって。」

 

 

呂律も年齢並みかよ。仕方ないか。

 

―でもこの人シスターっぽいな。ってことは暗くて見辛いけどここは教会か?

 

『そうだぜ?』

 

「あら?よく見たら君、見たことない子ね?パパスさんのお子さんでもないし・・・。どこから来たの?」

 

 

―パパス?パパスってあのドラクエⅤでお馴染みのあのパパスか?

 

『そうだ。』

 

 

「じつはおれもよくわかんなくて・・・。きづいたらこいつといっしょにここのまえにいたんです。」

 

『ま、ここはどっかの魔物に襲われたとか言えばってお前何頭可笑しいと言われそうなこといってんだよ!』

 

―いや、ここは正直にな?ほら、何事もまずはこっちから心を開くことからだし?それに、この人悪い人じゃないだろ?

 

 

「そう・・・。でもこの辺りは魔物も出てくるし・・・。きっと余程怖い目に遭ってしまったのね。大丈夫よ坊や。今ここにはパパスさんっていうとっても頼りになる人がいらっしゃるからね。・・・でも今日はもう遅いし、教会に泊まったら?神父様には私から頼むから。」

 

「はい!」

 

 

『・・・。』

 

―な?上手くいったろ?何事も正直が大事なんだよ。

ってか、パパスがいるってことはここはここはサンタローズって村か?

 

『そう言うことになるな。』

 

―ふーん、ま、これから宜しくな。

 

『・・・まあ、そうだな。疲れるが仕方ねぇ。仲良くしてやるよ。』

 

 

「そういえば、名前は何て言うの?」

 

「あ、すいません。カイトっていいます。こいつはケルです。よろしくお願いします。」

 

「そう。私はクレアよ。宜しくねカイトくんにケルちゃん。」

 

 

―ほら、お前も挨拶しろよ。

 

『おま、急に馴れ馴れしいなおい。まぁ、いいか。してやるよ。』

 

 

「キャン。」

 

「あら、ケルちゃんも挨拶が出来るのね。ふふっ。」

 

 

そう言って、シスター、基クレアさんは牧師に掛け合いなんとか俺を泊められるように計らってくれたようで・・・。

クレアさんに頭が上がらない未来しか見えないなぁ。うん。

まぁ、流石に精神年齢が健全高校生な俺がクレアと一緒に寝ることになったのは些か理性とかヤバかったりしたけどね?

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

で、日が変わって翌日。

俺は早朝4時になんとなく目が覚めた。

隣を見るとクレアさんはもう起きているようで、もう姿が無かった。

 

何か手伝おうとケルベロスを連れて部屋を出ると丁度ばったりクレアさんに遭遇した。

クレアさんは両手に衣服の入ったバスケット?を抱えていて大変そうだったので、まぁ、泊めて貰ったお礼も兼ねて手伝おうとしたのだが、やっぱりというか当然と言うべきか、クレアさんはやんわりと断った。

 

そりゃあ、そうか。

 

 

『そりゃあ、そうだな。』

 

―いや、わざわざ復唱すんなよ。ていうか、お前に話してないけど!?

 

『ノリだ。』

 

―いや、ノリはダメだろ。

 

『ノリは大事だ。つーか、実際のとこどうするんだよ。』

 

―何が?

 

『会いに行かねーの?主人公に。』

 

―いや、行くけど流石に4時は早いだろ。

 

『ダイジョブダイジョブ。』

 

―何その棒読み。取り合えず、飯食ってからだろ。

 

『・・・あ、そうだな。』

 

―いや、ちょい待て!おま、え?何、もしかしなくても食わないで行くつもりだったの?は?いやいや、流石にそれは無いわぁ。

 

『ダイジョブダイジョブ。』

 

―ダメだろ。つか、何ダイジョブ連呼してんの。え?何、真面目に天然なの?それともわざとボケてんの?

 

『わざとに決まってるじゃねーか。』

 

―いや、そのわりには、え?いや、普通じゃん?みたいなか顔してんの?

 

『て、天然じゃねー。天然じゃねーぞ!?俺は断固として天然じゃないとここに宣言する。』

 

―・・・はいわかります。天然ね。理解しました。

 

『ちょ!?いや、それより、飯食ったらすぐに行くか。』

 

―さりげなく逃げたな。

 

『逃げてねーよ!』

 

―・・・うん。ケルベロスが見た目と違って愉快なキャラなのは察した。まぁ、取り合えず、少しここ村の道を覚えるのに歩いてから、だな。

 

『・・・そうか。分かった。なら、さっさとクレアとか言う奴を手伝うぞ。』

 

―いや、さっきやんわりと断られたんたんだけど!?おま、見てなかったのかよ。

 

『半分くらい持たせてくださいとか言えばダイジョブダイジョブ。』

 

―ダイジョブダイジョブ、じゃねェェッ!!

 

 

そんな感じでツッコミをしても一向にこたえないケルベロスは俺を置いてさっさとクレアさんの後を追いかけていった。

 

その後、ケルベロスの作戦通り俺はクレアさんの手伝いをする事になり、意外と手際が良いからということで、それ以降は何度か手伝う事になったりしたのはまぁ、余談である。

 

 

・・・こうして、俺の新しい人生が幕を開けた。

なんでドラクエ?とかそう言うのはどうでもいいけど、ここで新しい生活が待っているのだけは俺でも分かる。

きっとパパスと関わるってことは結局主人公と一緒に旅をすることになるんだろうけど、ま、それはその時に考えるとするか。

 

 

 




mission クレアさんを手伝え!

カイト「あの、おれせんたくものはんぶんもつくらいならできます!」

クレア「え、でも悪いわ。」

カイト「おれいにはならないとおもいますけど、おねがいします!」

クレア「・・・そんなに真剣に頼まれると断れないわね。じゃあ、お願いしちゃおっかな。」

カイト「(よっしゃあ!)」

mission成功!


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第2話 主人公の仲間になった

 
 まずは、お気に入り登録、評価、御感想ありがとうございます。

 今回は、魔物と戦闘するシーンがあります。また、主人公とサンチョが登場します。・・・二人とも上手く書けているか保証は致しませんが・・・(´・ω・`)。

 ちなみに、主人公の名前は小説版のリュカにしています。個人的にアベルよりリュカという名前の方が好きなので・・・。

 それでは本編どうぞ


 

 クレアさんを手伝って洗濯物を運び終わり、朝飯を運んだりし、なんとか昨日の分のお礼を返した俺は、飯を食い終わるとクレアさんに連れられてパパスと主人公がいる家に来ていた。

 

 

 ・・・でも、ゲームと違って協会からここまでって意外と距離あるんだな。

 

『当たり前だろ。ゲームと現実は違うに決まってるじゃねーか。よく見てみろ。ゲームよりは家の建っている数は多いだろ?』

 

 

 そう言ったケルベロスの言う通り、ここに来るまでにゲームでは存在していなかった場所にもちらほら家が建っていた。そういうことを踏まえると、他の街もゲームよりは家が多いという風に考えた方が良いだろう。

 

 

 それにしても、クレアさん遅いな。パパスさん居ないのかな?

 

『さあな。』

 

 

 ケルベロスとそんな会話をしていると、クレアさんが出てきた。顔を見ると残念そうな顔をしている。

 

 居なかったのか。

 

 

「・・・ごめんねカイトくん。パパスさん居なかったみたいなの。どうやら、朝早くに洞窟の中に行ってしまわれたようで・・・。」

 

「あ、いえ。そんなにきになさらないでください。とめてもらって、しかもごはんまでいただいてるだけでもありがたいですから。パパスさんだっていそがしいみたいですから、ごじつまたきましょうよ。おれはそんなにいそいでないので。」

 

 

 取り合えず、日本語の使い方は間違いじゃないよな?いや、そもそもここは日本ですらないけど・・・。そう思っていると、クレアさんの後ろにいつの間にか立っていた巨漢の魔物・・・じゃなかった、サンチョが会話に加わってきた。その横にはちゃっかり紫色のターバンとマントを羽織った俺と同じ背丈の少年が居た。その他には特別人も魔物も居ないようなので、恐らく序盤の序盤だろう。

 

 

『あの坊主レベル3だな。』 

 

 見ただけでレベルが分かるのか?

 

『ああ。ちなみにお前はレベル・・・。』 

 

 なんだよ。レベル1だろ?

 

『ま、いや・・・レベル5だ。しかも攻撃特化型。』 

 

 ん?なんだ今の言い直し。ってレベル5?・・・いや、まだ1度も魔物と遭遇してないだろ!?それで主人公より高いレベル5とか。

 

 

 俺がそんな話をケルベロスとしているとは知らないクレアさん達は大人の話をしていた。一方、サンチョがクレアさんと話始めたので少年は俺と話したそうにしていた。

 

 ・・・無視は悪いか。

 

 

「おれカイト。よろしくな!」

 

「うん!よろしくね!ぼくリュカ。」

 

 

 リュカねぇ。そういやクレアさん達は何を話しているのだろうと聞いていると、どうやらサンチョが俺が礼儀正しかったのとクレアさんが俺の現状を聞いてこの歳でそんなことがと涙を流していた。

 

 

 この人涙を脆かったのか。意外だな。

 

『まぁ、ゲームでもわりと泣いてたろ。』 

 

 いや、何故にお前がゲーム知ってる。

 

『良いだろ?誰が地獄にゲームが無いと言ったんだ?あるに決まってるじゃねーか。』

 

 

 そんな話をしているのを不思議そうに見ているリュカ。・・・まさかこいつ聞こえてるのか?一瞬そんな事を思ったが、リュカが言ったのは全く別の事だった。

 

 

「ねぇサンチョ。ぼく、カイトとあそびにいってくるね!いこうカイト。」

 

 

 そう言ったリュカは、正直なところ大人達の話に飽きてきていたのだろう。それにこの歳ならまだまだ遊びたい盛りなのだろうし、まぁ、良いかとリュカと遊びに行くことにした。

 

 

「じゃあ、くらくなるまえにきょうかいにもどりますね。」

 

 

 と、取り合えずクレアさんに言ってみる。

 

 

「そう?気をつけてね?」

 

「はい!」

 

「坊っちゃんもくれぐれも怪我が無いようにしてくださいね?特に、サンタローズの洞窟の中には魔物が沢山居るので、遊び半分に入るなんてことはなさらないで下さいよ?」

 

「・・・あの、サンチョさん。2人とももう居ませんよ?」

 

「ぼ、坊っちゃんーー!?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 サンチョの話は長くなりそうだったので、俺とリュカとケルベロスはさっさとその場を抜け出していた。ちなみに、サンチョがくれぐれもと言い始めるとすぐにダッシュでその場を抜けていた。

 

 そんな俺達は、今洞窟の入り口に居た。

 

 

「どうぐやのおじさんがかえってこないんだって。カイトもいっしょにさがそう?」

 

 

 と言われ、面白半分で付き合うことにした俺。ちなみに、ケルベロスは村の外に行くと言って一緒には来てない。

 

 

「きのうもはいったんだろ?そのときはみつからなかったのか?」

 

 

 洞窟まで向かっている間に情報を聞くためにリュカからどうして洞窟から帰ってこないのを知っているのかとか昨日は見つからなかったのかと色々聞いたりしていた。リュカの話だとダンカンの奥さんから昨日それを聞いて1度入ってみたらしい。しかし、洞窟の中はいりくんでいたし、何より魔物が何度も襲ってくるため、地下2階までしか行けなかったそうだ。それで俺が聞いたのが、2階には居なかったのか?という質問だった。

 

 

「うん。いなかったんだ。それできのうはもどってきたんだ。」

 

 

 帰りの分の薬草の残りとか、時間が遅くなったら困るとかで、結局昨日は帰ることを決めたのは正しい判断だろう。

 

 確か、俺の記憶では地下3階に道具屋のおじさんは居たはずだが、レベルはこの世界じゃ、命に関わることだからな。レベルを上げるというのは実際、かなり大事な所だ。そういう意味では、道具屋のおじさんとダンカンさん達には悪いが、リュカがホイミを覚えるまでは暫く待ってて貰った方が良いだろう。

 

 適当に別の所をもう一度探すとか言って魔物と遭遇すれば経験値が貯まる。そう思っていたのだが、洞窟に足を踏み入れた途端、魔物達に遭遇した。魔物はドラキーとスライムが3体におおきづち2体、とげぼうずとせみもぐらが1体ずつと言う鬼畜しよう。

 

 逃げられない状況だ。

 

 いやいや、なんで!? 可笑しくね?色々可笑しくね?流石にゲームとは違うといえ、1度に遭遇する数多すぎるだろ!?そう思い、リュカに視線を向けるとリュカも驚いている。流石に昨日はこんなに1度に襲い掛からなかったらしい。

 

 

「どうしたんだろ?」

 

 

 疑問を口にしながらも、袋から武器を取り出すリュカ。武器はどうやら樫の杖らしい。こいつ、昨日手にいれた金で買ってたのか。しかも袋に入れて。

 

 今はそれにいちいちつっこんでもいられないだろうと、俺も腰に下げている袋から銅の剣を出した。

 

 

「まぁ、それより、こいつらたおすのがさきだろ?」

 

「え?うん。」

 

 

 そして始まった魔物の群れとのバトル。始めに攻撃をしたのは俺だった。俺は、自分の素早さが高かった事に驚きつつも、おおきづちに斬りかかった。おおきづちは避けようとしたが、どうやら普通に当たり、そのまま倒れた。そして、俺に襲い掛かろうとしていたもう1体のおおきづちにはリュカがダメージを与え、もう1体のおおきづちも倒れた。

 

 俺達が続けざまに仲間を倒したのを見て怒りに触れたのか、ドラキー達が一斉にリュカの方に襲い掛かってきた。俺は、咄嗟にリュカの前に立ちドラキー達の攻撃を食らった。ダメージは6くらいだろうか?と頭の中で一瞬思ったが、どうやらダメージ6分は右腕3ヶ所に噛み傷が出来ることらしい。

 

 喧嘩でこのくらいの傷は大したこと無いが、まだ5回も攻撃が残っている。そう思ったのだが、スライム達はこちらの様子を見ていて、せみもぐらは身を守っていたため、結果的にはとげぼうずのみの攻撃を受けるだけで済んだ。

 

 

「カイト、だいじょうぶ?」

 

 

 魔物の攻撃が止むと、俺の体を心配して聞いてきたリュカ。流石に前世は不良に絡まれても普通に倒していたとか言えるわけもなく、そもそも、俺は記憶が飛んでいるとクレアさん達に言っていることもあり、無難に大丈夫だと返答を返すだけにとどめた。

 

 

「これくらいならだいじょうぶだよ。」

 

 

 そして、2ターン目。先攻はまたも俺で、取り合えず、攻撃が痛そうなと言う理由で、せみもぐらに斬りかかる。せみもぐらは危険を察していたのか、身を守ったが、俺の攻撃力が高かったためか、呆気なく切り伏せられた。

 

 次はリュカがとげぼうずに攻撃をし、とげぼうずを撃破。襲い掛かる魔物の攻撃は俺がリュカの前に立ち、全てを受ける。先程と同じように、ドラキー達は噛みつき攻撃をしてきて、スライム達は今度は攻撃をしてきた。2体の攻撃はそこまで大したことは無かったのだが、最後の1体はドラキーよりも強い一撃を放ったので流石に痛かった。それを見たせいか、リュカは心配そうにこちらを見てくる。流石に子供を心配させるのも悪いだろうと俺はリュカに声をかけることにした。

 

 

「リュカ!つぎいくぞ!」

 

「うん。」

 

 

 俺の声を聞いてまだ大丈夫と判断したのだろうか、リュカは敵を倒すことに集中することにしたようだ。

 

 そして、3ターン目。俺はドラキーを斬りつけ倒し、リュカもドラキーを攻撃。残りの1体は反撃だとリュカに攻撃するも、リュカはそれを皮の盾で防ぎかすり傷にとどめていた。スライム達は俺を狙ってきたが、今度は3体とも普通の攻撃だったため大したダメージはなかった。

 

 

「もうすこしだね。」

 

「だな。」

 

 

 その後は、残ったドラキーを倒し、スライムを倒して戦闘は終了した。戦闘が終わり、経験値がいくら入っただとか、テテテテッテテテーン。というのは流石にゲームの中だけのようだが魔物達が居た場所には、宝箱が1つとゴールドの入っている袋が落ちていた。宝箱の中には薬草が入っており、リュカに渡すと、リュカは笑いながら断った。

 

 

「カイトがもってて。」

 

 

 まぁ、そう言われたら貰っておこうと持っていることにした。その後も、俺とリュカは薄暗い、じめじめした洞窟の中を歩いていったが、その途中、嫌というほどの数の魔物に遭遇し、戦闘になっていた。皮肉にも、そのお陰でリュカはホイミとキアリーを使えるようになり、俺はというとちからためだけを覚えていた。

 

 ・・・何故にちからためだけ?あれ、俺ってキラーパンサーと同レベルなの?

 

 そう思って落ち込んでいると、リュカに声を掛けられた。どうやら、地下3階に着いたようだ。

 

 

「あのいわのしたにいるひとがとうぐやのおじさんじゃないかな。」

 

 

 そう言って近付いていくリュカ。俺もリュカにならって近付いていく。リュカがおじさんに声を掛けるとグースカ寝ていたおじさんはハッと目を覚ました。

 

 

「・・・はっ!いかんいかん。動けんと思って寝てしまったか。おお、そこの坊や達、ちょっとこの岩を退けてくれんか?」

 

 

 いや、寝るなよ。と心の中でつっこむも、リュカは岩を退けるつもりのようで、俺も仕方なく手伝うことにした。流石に2人係のお陰か、岩はすんなりとずれた。おじさんはそれを見ると起き上がり礼を言うとそそくさと居なくなった。

 

 岩の下敷きになったわりには元気だなおい。おじさんが居なくなったあとそのまますぐに戻るのかと思ったが、意外にもリュカはまだ道があるから行ってみないかと言ってきた。まぁ、確か、ここには旅人の服とか宝箱に入ってた気がするしと、付いていく。連戦をしまくっていたお陰か、俺達は魔物にそれほど遭遇することもなく、また遭遇しても逃げていったりしており、洞窟の中はすんなりと探索できた。

 

 途中、やはりというか、宝箱があり、その中には旅人の服が入っていた。それを手にいれたリュカは俺に着ないかと言ってきたが、流石にそれは悪いと、リュカに装備させた。

 

 そして、洞窟の一番奥に行くと、そこにはスライムが1体居た。リュカが話し掛けると、そのスライムは驚いて慌て始めた。

 

 

「プルっ!僕は悪いスライムじゃないよ。いじめないで!」

 

「うん。」

 

 

 話が通じるのが嬉しいのかそう言ってにこにこ笑っているリュカ。一方の俺はスライムがどんな感触なのか気になっていた。

 

 

「さわっていいか?」

 

「プル?うん。触るくらいならいいよ。」

 

 

 許可を貰って取り合えず、触る。スライムの体は意外にひんやりとしていてるが触っていて嫌という感触ではなかった。スライムを触っていると、お祭りとかに有った形の変わるスライムを思い出した。そういや、あれもスライムだったと。

 

 

「サンキュ。」

 

「プルっ。別にいいよ。そういえば、いじめないでくれたお礼に良いこと教えてあげる!外に居るときは、森や山を通らない方が魔物に会いずらいよ。」

 

 

 そんな豆知識を披露するにスライムに感心しながらそろそろ戻るかと思っていると、リュカがスライムの言った豆知識にお礼を言っていた。

 

 

「そーなんだー。ありがとうね。スライム。」

 

 

 リュカ。お前分かってお礼を言ってるのか?

そう思っていると、スライムが心配そうに帰宅を促してきた。

 

 

「プル。いいよ。そういえば、戻らなくていいの?そろそろ暗くなってきてるんじゃない?」

 

 

 こいつ、本当に悪いスライムじゃないな。寧ろ良いスライムだろ。そう思いつつ、俺はリュカと一緒に、元来た道を辿って洞窟から出た。

 

 

「キャウ。」

 

 

 その声と共に茂みからケルベロスが出てきた。こいつ、今まで何をしてたんだ?そう思っていると、リュカが話し掛けてきた。取り合えず、自分はダンカンさんの奥さんの所に言いに行ってくると。

 

 

「じゃあ、おれはどうぐやのおじさんとこみてくるよ。いちおうしんぱいだし。」

 

「うん。じゃあ、またあしたあおうね。」

 

 

 そう言って走っていったリュカの姿が見えなくなり、俺も道具屋に向かい歩き始めると、ケルベロスが話し掛けてきた。

 

 

『お前、戦ってレベル6になったんじゃねーか。』

 

 よく分かったな。そういや、パラメータとか分からないのか?

 

『無茶言うな。分かるのはレベルがどれくらいかとか、あとどれくらい経験を積めばレベルが上がるかくらいしか分からねぇよ。』

 

 いや、寧ろそこまで分かるならお告げ聞かなくて良いじゃんか。

 

『ついでに冒険の書も記録できるぞ。っと、道具屋に着いたな。』

 

 

 いや、どんだけ万能なんだよお前。と言う前に、道具屋に着いてしまったので、取り合えず、中に入っていくと、道具屋のおじさんはお礼にそこの引き出し開けてみろと言ったので開けてみると、中には手織りのケープが入っていた。

 

 ・・・いや、これ、俺もリュカも装備出来ないじゃんか。とは思ったが、折角だし貰っておくことにした。確か、明日には、リュカ達はビアンカ達の町に行く筈だったと思い出したからだ。

 

 そして、時間が夕方くらいだと思いだし、道具屋のおじさんに礼を言うと慌てて協会に向かった。

 

 協会に行くとクレアさんが心配そうにしていたが、大丈夫そうなのを見ると協会に入るように言った。

 

 夕食の準備や、その他色々の手伝いをし終わって、夕食を食べ終わり、後片付けを手伝ってあらかた終わるとクレアさんは一度協会から出ていき、1~2時間後に小包を持って嬉しそうな顔をしながら話し掛けてきた。

 

 

「さっきパパスさんが戻ってきたから貴方の家族を探してもらえないか頼んだの。もしかしたら近くの町に辿り着いているかもしれないと思って・・・。そうしたら、パパスさんが貴方も一緒に連れていって下さるって。取り合えず、何時パパスさんがまた旅に出るか分からないから、これ急いで準備しておいたの。パパスさんが旅に出るまでは今まで通り此処に居て良いからね。

・・・じゃあ今日はもう寝ましょうか。」

 

 

 そう言い終わると、服を着替えにクレアさんは上に上がっていった。残された俺とケルベロスは取り合えずその包みを開けてみることにした。中には、樫の杖と旅人の服と皮の楯、薬草10個、毒消し草10個が入っていた。クレアさんの優しさに感謝しながら、俺はこれからの事を考えていた。取り合えず、明日はパパスとリュカに付いていくことになるだろうと。

 

 少しして、降りてきたクレアさんに呼ばれて上に上がって、また眠りづらい夜を過ごしたことは言うまでもない。




mission いっかくウサギを倒そう。

カイト「・・・なぁ、あれっていっかくウサギだよな?」

リュカ「うん。」

カイト「いっかくウサギってこのどーくつにもいるんだな。」

リュカ「うん。そうだよ。」

カイト「きょうはウサギなべだな。」ボソッ

いっかくウサギは命の危険を感じて逃げた。

リュカ「なんか、すごいいきおいでにげたね。」

カイト「チッ。」

mission 失敗・・・。


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第3話 子供だけで外へ!

 
 どうも皆様。今回は、カイトが例のレヌール城に行くあれに巻き込まれてしまいます。

 というか、彼のマル秘異能が出てきちゃいます。

 台詞をよく見れば分かったり分からなかったり・・・。

 それでは本編どうぞ。


 

 翌日。クレアさんの手伝いを終え、飯も食い終わった俺はクレアさんに連れられて村の入口に来ていた。

 

 

「あ、パパスさん。丁度良かった。」

 

「ああ、なんだクレアか。そういえば、君がカイト君か?」

 

 

 屈強な戦士な面持ちのパパスに聞かれて、俺は取り合えず、答えることにした。ちなみに、パパスの後ろにはリュカとわりとぽっちゃりしている女性と金髪のツインテールのビアンカがいた。

 

 

「はい。」

 

「ふむ。まぁアルカパの町にもしかしたら君のご両親が居るかもしれないしな。君も来るか?」

 

「はい!」

 

「うむ。分かった。」

 

 よし。ケルベロス。お前も来るんだろ?

 

『勿論だ。』

 

 

 こうして、俺もリュカ達と旅をすることになった。・・・とはいえ、半日も掛からない距離なんだけどな。

 

 

「カイトって言うのね?私はビアンカ。よろしくね。」

 

「うん。よろしくな。」

 

「また、いっしょだね。カイト。」

 

「だな。」

 

 

 そんな話をしていると、ビアンカは俺の側に付いてきているケルベロスが気になったらしく、名前を聞いてきた。

 

 

「そういえば、その子は何て言う名前なの?」

 

「こいつはケル。」

 

「ふーん。よろしくね!ケルちゃん。」

 

『おい。なんでケルなんだよ。』

 

 

 ケルベロスの言葉は無視をして、子供同士で話していると、特段魔物に遭遇することもなく無事にアルカパの町に着いた。

 

 町の入口には鎧兜に身を包んだ兵士が立っていて、パパスを見ると話し掛けてきた。

 

 

「これはパパス殿。さあお通り下さい。」

 

「やあ、ごくろうさん。」

 

 

 そう言って通っていき、町の一番大きな宿に入ると、ダンカンさんの奥さんに連れられて宿の人が寝泊まりしている部屋に入っていった。ちなみに、ケルベロスは流石に宿に入れるわけにもいかず、外に待機している。

 

 宿の人が寝泊まりしている部屋にはベッドに横になっているダンカンさんを宿で働いているのであろう若い男性が看病しているところだった。ダンカンさんの奥さんに気付いた男性は俺達を気にすることなく、奥さんに話し掛けた。

 

 

「あっ、おかみさんお帰りなさい!薬は手に入ったんですか?」

 

「ええ。これで主人もよくなると思うわ。」

 

 

 そう言って、ダンカンさんの所へ薬を持っていく奥さん。それを見てパパスも見舞うと言ってベッドに近付く。正直病人の側に行くのはどうかと思う。

 

 取り合えず、暇になった俺とリュカはパパスからの許可もあり、外に行くことにした。部屋から出ようとするとビアンカが声をかけてきた。

 

 

「おさんぽに行くの?私もつき合うわ。」

 

 

 そう言って、アルカパの町を案内してくれると言って付いてくることになった。あれだ、俗に言うビアンカが仲間になった。というあれだよ。

その後、ビアンカが宿の中を一通り案内してくれたので、今度は宿の外を散策することになった。道中、ケルベロスの姿は見えなくなっていたが、まぁいいだろう。

 

 

「そういえば、ケルちゃんいないのね。」

 

「あいつはじゆうきままだからね。」

 

「じゆーきまま?カイト、じゆーきままってなに?」

 

 

 ああ、そういやリュカはまだ5歳だったか。

あ、そういや俺も一応5歳だったな。・・・まぁいいか。精神年齢16だし。

 

 

「うーんとね。すきなことをすきなときにじぶんできめてこうどうするってこと。」

 

 

 こんな説明でいいのか?多分合っているだろ。

 

 

「ふーん。カイトってば、歳のわりに難しい言葉知ってるのね。」

 

 

 ・・・あれ。これって難しい言葉だったっけ?あー、でも、普通5歳の子供が知ってる言葉じゃないか。そう思っていると、ビアンカは別の事が気になったのか、俺に聞いてきた。

 

 

「そういえばカイトはどうしてパパスおじさま達に付いてきたの?」

 

「ああ、おれのりょうしんがこのまちにいないかなってさ。だれかこどもさがしてるひとっていない?」

 

 

 と、取り合えず、聞いておく俺。一応、両親捜してる設定だったし、こういうことを取り合えず聞いておいた方が良いだろう。

 

 

「そうだったの・・・。なんかごめんさい。でも、この町にそう言うこと聞いてる人はいなかったわよ。多分、この町にはいないんじゃないかしら。」

 

 

 そんな情報を教えてくれたビアンカ。取り合えず、当面の問題は解決したが、そうなると本題に入るだろう。例のレヌール城お化け退治が。

 

 俺のそんな想像のせいかどうかは知らないけど、木で出来た橋の向こうに、えい!だかもっと鳴けだかいう子供の声が聞こえてきた。それを見たビアンカとリュカは慌てて、そのガキんちょ2人の元へ向かった。向かった2人はそれぞれ子供1と2に話しかけている。

 

 

「ちょっと!あんた達何してんの!」

 

「なんだよぅ。今コイツをいじめて遊んでるんだ!ジャマすんなよなっ!」

 

「こねこ?」

 

「そうだよ。かわったネコだろ!?変な声でなくからおもしろいぜっ。ほらもっとなけ!」

 

「ガルルー。ガルルー。」

 

「いじめるのダメだよ。」

 

 

 悪ガキ2人が子猫をいじめているのを止めようとするリュカとビアンカ。いや、それは良いんだけど、今更ながらあの悪ガキ2人スゴいなおい。だって、アイツ、地獄の殺し屋のキラーパンサーだぜ?

 

 

 ・・・それを子猫って。つーか、アイツ両親居ないのか?

 

 

 俺がそう思っていると、何処かから声が聞こえてきた。

 

 

『はなしかけてるのだれぇ?』

 

 いや、お前こそ誰だよ。

 

 

 そう思って辺りを見回す俺。それとたまたま目があったボロンゴ基、ベビーパンサー。

 

 

 ・・・えー。もしかして、お前?

 

『うんー。そーだよぉ。おにいちゃん、ぼくとおはなしできるんだぁ。』

 

 ・・・いや、俺も話せるの初めて知ったわ。そういやお前名前は?

 

『うんー?なまえ?なにそれおいしいの?』

 

 あー・・・お前、名前知らない感じか。うーんとな。名前って言うのは・・・例えば、俺はお兄ちゃんじゃなくて、カイトっつー名前があるんだよ。

 

『うんー。わかったよー。ぼくねぇ。コネコ。そこのこたちが言ってたよー?』

 

 いや、多分それ違うぞ?

 

『そうなのー?よくわかんないー。』

 

 じゃあ取り合えず、お前は今日からボロンゴだ!

 

『ボロンゴー?ボロンゴー♪』

 

 おう!よろしくなボロンゴ!

 

 

 俺がボロンゴ(仮)と話していると、ビアンカ達の方は話が終わったようで俺にビアンカが言ってきた。

 

 

「こうなったらお化け退治するしかないわね。リュカ!カイト!2人も手伝ってくれるでしょ?」

 

 

 ビアンカはさっきの悪ガキ2人に相当イライラしているのか言い方が少しキツかった。まぁ、言い方がキツくなるのも分かるけど。っつーか、ボロンゴ(仮)ってあんな性格だったのか。すごいのんびり屋だな。まぁ、あんな性格の良いのんびり屋なボロンゴ(仮)を助けるのは勿論賛成だ。

 

 

「うん!おばけたいじー!」

 

「まぁ、アイツいじめられてるのきづいてないみたいだし、たすけるのはさんせいだぜ?」

 

 

 俺がそう言うと、ビアンカは何か違和感を感じたのか、俺に聞いてきた。

 

 

「あら、その言い方だとまるであの子と話してたみたいな言い方ね?でも、2人ともありがとう!それじゃあ、そろそろ宿に戻りましょう?」

 

 

 ・・・ん?俺変な事言ってたのか?

 

 そんな俺にお構い無く、取り合えずと宿に向かう2人。それに気付いた俺は慌てて2人を追いかけた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 宿に戻った俺達は、取り合えずダンカンさん達の居る部屋に入った。

 

 

「ママー。ただいま!」

 

「あら、ビアンカ。お帰りなさい。」

 

「ただいまー。」

 

「ああ、リュカ、カイト君お帰り。そういえば、カイト君のご両親が居ないかこれから聞いてこなくてはな。」

 

「あの、それならだいじょうぶです。りょうしんはここにきたようすはないみたいなので。」

 

「うむ。そうかい?なら、サンタローズに帰るとしよう。」

 

 

 パパスがそう言うと慌てた様子でそれを止める奥さん。

 

 

「パパスさんパパスさん。このまま帰るだなんてとんでもない!せめて今日だけでも泊まっていってくださいな!」

 

 

 そう言われてしまったパパスは流石に断るわけにもいかないと、それを了承した。それを聞いて安心したのか、ダンカンさんの奥さんはほっと言った後嬉しそうに案内した。

 

 

「ああ、よかった。さぁどうぞこちらへ。」

 

 

 そう言いながら案内してくれた場所は、先程ビアンカが教えてくれていた、この宿で一番高い最高の部屋だった。

 

 いや、これタダなんだよな?それなのにこんな良い部屋って。

 

 そう思っている俺を余所に、リュカは何だかんだではしゃいでいる。まぁ、子供だし仕方ないだろう。

 

 

「じゃあパパスさんどうぞごゆっくり。」

 

「ああ、どうも。」

 

 

 そう言っていなくなってしまった、奥さん。って、俺ここにいて良いのだろうか・・・。そんなことを思っていると、俺とリュカに向かって、パパスは言ってきた。

 

 

「さてと・・・。明日は早く出るぞ。村の皆が心配しているからな。だから今日はもう眠ることにしよう。おやすみリュカ、カイト君。」

 

「うん。」

 

「へ?あ、はい。おやすみなさい。」

 

 

 これ、久し振りにゆっくり寝れる奴じゃね?いや、まだ2日だけだけども。

 

 しかし俺はこの時うっかり忘れていた。

お化け退治で起こされると言うことに。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 人の気配を感じて、俺は目を覚ました。

 

 

「あら、カイト。目が覚めたの?じゃあついでにリュカを起こしてくれない?」

 

 

 小さな声でこちらに頼むビアンカ。まぁ、こっちに来てパパスを起こしたら洒落にならないか。そう思って、リュカに声を掛ける。

 

 

「リュカ。リュカおきろ・・・。」

 

 

 そう言って揺さぶると、リュカは眠そうにしながらも起き上がった。

 

 

「・・・カイト?」

 

 

 目を擦りながらうっつらうっつらしているリュカを引っ張ってビアンカの居るとこにさっさと連れていく。まぁ、これくらいなら簡単だ。

 

 

「あれぇ?ビアンカ、どうしたの?」

 

「2人とも起きたわね。カイトはありがとう。それじゃあ早く行きましょうか。」

 

「うん。・・・どこに?」

 

「どこへって?もちろんレヌール城へよ。お化けを退治してあの子ネコを助けなくちゃ。あ、レヌール城はこの町からずっと北にあるそうよ。じゃあ行きましょう。」

 

 

 そう言ってそそくさと、宿の外に出た俺達。とはいえ、確かレヌール城の魔物は今の武器じゃどうにもならないだろう。そう思った俺はそのまま外に行こうとするビアンカを止めた。

 

 

「そとにいくまえにぶきをそろえようぜ?」

 

「え?そんなことしてるひまないでしょ?」

 

「いや、アイツたすけるのはいいけど、しんだらもともこもないだろ?まものはまってっていってもまってくれるわけじゃないんだぜ?」

 

 

 そう言うと、頷いて分かったと言うビアンカ。まぁ、今まで外に一人でなんて出たことが無いだろうし、リュカみたいに洞窟に入ってみたこともないだろうビアンカには魔物の恐ろしさはまだ分かっていないだろう。仕方もないか、と思って2人を少し後ろから見ていると、茂みからケルベロスが姿を現した。

 

 

『ほら。これで取り合えず揃えちまえ。』

 

 

 そう言って渡してきたのはなんと1000G。一体、コイツはいつの間にそんな金を用意したのだろうか?そう思っていると、俺の問い掛けを察した様子で、それをぶっきらぼうに答えた。

 

 

『あれだ。西にいるおばけねずみ達を狩りまくってた。取り合えずそれでガキどもの武器は揃えられるだろ?お前はその剣しか装備できそうにないしよ。』

 

 ああ、サンキュ。

 

 

 そう礼を言っておいて、武器屋の兄さんに裏口から回って話し掛けている2人の元へ向かった。

 

 

「うわぁ!でた!なんまんだぶなんまんだぶ。ってなんだ、子供か、おどかしっこ無しだぜハハハハッ!さて、武器でも買うのかい?」

 

「えーっと、じゃあどれを買えば良いのかしら。お金もそんなにないし・・・。」

 

 

 まぁ、そりゃそうだわな。まぁ、1000Gあるなら買えるか。と武器屋の兄さんに話し掛ける。

 

 

「じゃあそのいばらのムチとブーメランください。」

 

「お!そうかい。2つで770Gだぜ!」

 

「はい。」

 

「ほら。装備し忘れんなよ!」

 

「あら、カイトってばそんなにお金持ってたの?まぁ、いいわ。ありがとう。」

 

「ほらリュカ。」

 

「ありがとーカイト。カイトはいーの?」

 

「おれはこのけんがあればだいじょうぶだからな。じゃあつぎはぼうぐをかいにいくか!」

 

 

 そして、向かった防具屋ではうろこの盾を2つ。これはリュカの金で揃えて、ビアンカとリュカに渡しておく。で、俺はビアンカが先に歩いているのを見計らって午前中に2人で買ったヘアバンドをビアンカに渡すように促す。

 

 

「はい。ビアンカ。これあげるね。」

 

「あら、リュカありがとう!リュカったらずいぶん可愛いヘアバンドじゃない。」

 

 

 それを着けたビアンカを見てから、取り合えず寝ている兵士のおっさんを無視して、外に行く。さて、今回はどんな鬼畜しようの数が出てくるのやら。

 

『いや、そういうこと思うなよ。』

 

 

 そう思っていたせいか町から出て少ししてから凄まじい数の魔物に囲まれた。

 

 

『ほら、だから言ったじゃねぇか!』

 

 いや、そんなこと言われても知るか!

 

 

 そうケルベロスに言いつつ、魔物の数と種類を見る。えーっと、おおねずみ×10 グリーンワーム×10 プリズニャン×10 くびながイタチ×7 おばけねずみ×7 マッドプラント×5 メラリザード×5 ホイミスライム×5 バブルスライム×2・・・・・・いや。これもうパーティ全滅確定だろ。

 

 

「ね、ねぇ・・・。カイトぉ、リュカぁ・・・。これ・・・。」

 

「・・・どうしよ。」

 

 

 俺だけでなく、ビアンカやリュカもそれは分かってしまったのだろう。しかし、この状態はどう考えても逃げ切れない。そう判断した俺は取り合えず、2人を元気付ける。

 

 

「とりあえずたたかうしかないだろ!ケルとおれでアイツらのこうげきはなんとかするから、かくじつに1たいずつしとめるぞ!」

 

「ばぅっ!」

 

「う、うん。」

 

「うん。」

 

 2人にそうは言ったものの、どうするか。ケルベロス、お前おたけび的なの出来ないのか?ベギラマとか最悪イオでも良いんだけどよ。

 

『・・・まぁ、出来なくはないな。甘い息と目潰しでいいか?』

 

 !?あ、ああ!頼む。

 

 

 それを頼むとケルベロスは1つ頷いて、甘い息を吐いた。それで眠ったのは魔物の半数。しかも、起きている魔物もなんだか目を瞑っている。

 

 まぁ、これならなんとかなるだろう。取り合えず、一番厄介なホイミスライムから倒しちまうかと剣で切り裂く・・・とはせずに思い切り足を振り上げ5体を蹴り飛ばす。流石にダメージを与えられるだけかと思ったら、意外なことに1体は倒れた。

 

 

「うわぁ・・・。カイトけっただけでまものをたおせちゃうのね。ケルちゃんもなんかよくわからないけどまもののむれをねむらせちゃったし・・・。私もがんばらなきゃ!」

 

 

 そうして、ビアンカはムチを振り上げて、ホイミスライムに当てていく。とはいえ、流石に初めて扱うムチでは、ついでに言うと初めて魔物と戦ったビアンカは大したダメージを与えられなかったようだ。とはいえ、俺が先にダメージを与えたせいか、2体は倒れた。

 

 

「うわぁ。みんなすごーい!えいっ!」

 

 

 すごいすごいと言いながら、ブーメランをぶん投げるリュカ。そのブーメランの餌食になったホイミスライム達は悲しいかな、僅か1ターンで撃沈してしまった。まぁ、他の魔物はブーメランに当たったせいで起きてしまったんだけど。ダメージを与えられたし、良しとしよう。

 

 ・・・いや、まぁなんでレベル6の俺の攻撃が一撃でホイミスライムを葬ったのか謎なんだけどね?

 

 で、魔物達は何だかんだで目が痛いやら目が覚めたばかりやらで、俺達に攻撃をしてくることなく、次のターンになった。次はマッドプラントか?そう思って、マッドプラントを蹴り飛ばそうとしたが、その前にケルベロスがマッドプラントの群れに突っ込んでいった。

 

 いや、幾ら目が潰れているとはいえ、無謀すぎると思ったが、口から炎を出して、すべてのマッドプラントを燃やし尽くしていた。いや、どんだけ万能なんだよ。

 

 とはいえ、他の魔物を1度に多く倒さなければ、結局全滅しかないんだけどなぁ・・・と思っていると、ケルベロスが話し掛けてきた。

 

 

『おい!力溜めとけ!』

 

 いや、それだと1匹も倒せないじゃねーかよ!

 

『ピオリムピオリムピオリムピオリムピオリム!これですぐに攻撃出来んだろ!おらさっさと殺りに行きやがれ!』

 

 お前、万能過ぎだろ!つーか何この世界に存在してなさそうな魔法使ってやがんだよ!!

 

 

 そう口では言いながら、ちからためをし、メラリザードに回し蹴りを食らわせる。

 

 ・・・あれ。てか俺もケルベロスのこと言えないんじゃ。

 

 そう思いながら、メラリザードの群れを見ると、なんと全員撃沈。・・・嘘だろ!?

 

 

「うわぁ、ケルちゃんもカイトもすごいわね。1度にあんなに多くのまもの倒しちゃうんだなんて。てぇい!」

 

 

 そう言いながら、おばけねずみにムチを当てていくビアンカ。その攻撃はあまり効かなかったのか、おばけねずみは首を傾げていた。そのまま、おばけねずみ達は俺達に襲い掛かって来ようとするが、ケルベロスがおばけねずみの注意を引いて、俺らには攻撃をしようとしてこない。他の魔物は、素早さが遅いのか、リュカの攻撃を食らっていた。

 

 しかし、恐ろしいのはここからだった。

 

 リュカの攻撃で撃沈したのはおばけねずみが2体のみ。つまり他の魔物からの攻撃の嵐が待ち受けているのだ。

 

 

「ちっ、しかたねーか。」

 

「ちょっと!カイト危ないわ!」

 

 

 そう言ったビアンカの制止を全く聞かずに、俺はケルベロスと共に魔物の注意を引いていく。魔物達の攻撃は引っ掻いてきたり、噛みついてきたり、体当たりをしてきたりだったので幾つかの攻撃を避けることが出来たが、やはりそこは5歳の体か。避けれない攻撃もいくつかあった。そして、魔物達の攻撃が終わると、俺もケルベロスもかなり傷付いていた。

 

 

『体力は残り半分くらいか?・・・やばいな。』

 

 

 そう言うケルベロスの声もかなり疲れているようだ。そりゃあそうか。後ろのビアンカ達に攻撃が流れないように気を付けてたからな。だが、まぁ俺らの怪我を見たら少なくともリュカはホイミを唱えようとするだろう。そう言う意味じゃあ今が夜で本当に良かったぜ。

 

 

「カイト!ケル!だいじょうぶなの!?」

 

「ああ!おれらはだいじょうぶだ!」

 

 

 嘘だけど。まぁ、仕方がない。そう思ってまたちからためを行い、グリーンワームはケルベロスが全滅させたようなので、くびながイタチに回し蹴りを食らわせる。これも、また7体を一撃で撃沈。まぁ、これはリュカのお陰か。そして、ビアンカの攻撃。これで、おばけねずみは1体倒れた。

 

 ・・・これは流石に痛いな。せめて、後もう1体倒せれば良かったんだが・・・。まぁ、仕方ないか。そう思いながら、おばけねずみ達の攻撃をこちらに向ける。

 

 

「ぐっ!っ!」

 

 

 おばけねずみ達の攻撃のうち最悪なことに1体が痛恨の一撃をしてきた。それにより、俺の意識は限界寸前に陥った。

 

 

『おい!カイト大丈夫か!?』

 

 ・・・いやぁ、今のはしくった。避けれそうだったんだけなぁ。

 

『っち!意識保っとけよ!』

 

「カイト?」

 

 

 少し遠くからリュカの声が聞こえた気がした。っ・・・流石にリュカを回復には回せないと大丈夫だと言おうとしたが、声を出せば大丈夫ではないとバレるため何も言わなかった。

 

 その後、ブーメランの風切り音と、魔物が数体倒れる音がしたから大丈夫だろう。そう思った俺はこれなら少しくらい休んでも大丈夫だと安心した。

 

 そして、俺はそのまま意識を手放した。

 




mission 薬草を飲んでみよう!

カイト「そういや、やくそうってりょうりにはつかわれないのか?」

ビアンカ「うーん。あ、でもママは使ってたような気がするわ。でも・・・薬草って風邪引いたときにも飲まされたけどそのまま飲むとすごく苦くて美味しくないのよね。」

カイト「ふーん。じゃあどれくらいにがいかのんでみるか。」

リュカ「やくそうのむの?」

カイト「おう!ゴクっ」


 カイトは普通に薬草を飲んでみた。
口には薬草の苦さが広がったがカイトはわりといける口だった。

mission成功!


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第4話 怖いモノは

 どうも皆様お久しぶりです。遅くなってすいません。原作DS版をやって記憶をこじ開けながら連載していくので、投稿スピードは基本的に遅いです。


 今回はカイトが魔法を覚えます。後カイトとケルベロスの苦手な物が発覚しちゃいます。



 

 ―おい!カイ!てめぇ馬鹿か!?馬鹿なのか!?何俺を助けに来てんだよ!!言ったろ?俺は大丈夫だからてめぇは気にすんなって!

 

 ―"       "。

 

 ―だ!か!ら!俺はお前なんか居なくたってコイツら仕留める位は朝飯前なんだよ!!なのに・・・なんで!"       "!

 

 ・・・あれ。アイツ。あの時、何て言ったんだっけ?思い出せないな。確か、あの時はアイツが不良に連れ去られて・・・。って、どっかから声が聞こえてくるし。カイト?いや、俺は寿藤海樹なんだけど・・・ん?カイ・・・ト?

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「・・・ト。カイト!カイトしっかり!」

 

「アゥ。クゥーン。・・・キャン!」

 

 子供と犬?・・・あ。

 

「カイト!良かったぁ。気が付いたのね!」

 

「あ、まだおきあがっちゃだめだよ!」

 

「え。っつ!」

 

 そうだ。俺はおばけねずみの痛恨の一撃を食らって、もともと傷だらけで血が流れてたのもあってそのまま意識が飛んだんだよな。って、魔物は?

 

『そうだ。ったく、心配させんじゃねぇよ。ああ、そういや魔物はビアンカとリュカだったか?アイツらと俺でなんとか倒したぞ。ビアンカもリュカも後お前も、さっきの戦いでレベル8まで上がったからな。』

 

 ・・・そうか。なら良いんだけどよ。でも、レベル8?早くないか?

 

『危機的状況に陥ったせいもあるだろ?それに何だかんだでメラリザードとか西にいるはずの魔物はここら辺よりは経験値が多くもらえるせいもあるだろ。』

 

 ・・・そうか。なら良いんだ。

 

『それより、今は恐ろしい説教が待ってるぞ?』

 

 え?

 

「・・・もう!!カイトったら!最初に自分で言ってた事忘れてるんじゃないわよ!!何が死んだら元も子もない。よ!そのままそっくり返しておくからね!」

 

 ・・・怖っ!いや、うん。俺が悪いんだけど、ビアンカサンコワスギマセンカ?

 

「カイト!返事は!」

 

「はい!」

 

「・・・はぁ。本当に心配したんだからね?私も、リュカも、カイトが死んじゃうんじゃないかって、返事もしないし、どんどん、冷たくなっちゃうから、もう、やめてよ?」

 

 そう言いながら、目元にうっすらと涙が溜まっているビアンカ。リュカに目を向けると安心したようにニッコリと笑っていた。それを見て俺は自分が馬鹿だったと気付いた。

 

『そうだな。お前本当に馬鹿だな。精神年齢じゃあ確かにお前は保護者的な立場かもしんねーけど、身体の歳はビアンカの嬢ちゃんが一番上なんだぞ?心配とか、責任とかもお嬢ちゃんはお前と同じ、いや、子供な分お前よりあるはずなんだぞ?もう、止めろよ?」

 

 ・・・まぁ、出来る限り止めとくよ。

 

「でも、カイトがぶじでよかったぁ。・・・でも、どうするの?おばけたいじ。」

 

「カイトは帰る?私達は行くつもりだけど。」

 

「いや、おれもいくよ。もうこんどはむちゃしないからさ。」

 

「・・・約束だからね!じゃあ行きましょう。」

 

 そう言って、進み始めるビアンカとリュカ。時々俺を心配そうに見てくるが、まぁ、ホイミで完全に治療されたお陰か俺はもう普通に動けるようになっていた。

 

『そういや、お前新しい技とか魔法覚えてないのか?』

 

 ・・・うーん。どうなんだろうな?なんか覚えた気もするけど俺も良くわかんねぇ。

 

『あ、じゃあアイツらに試してみりゃあ良いじゃねぇか。』

 

 そう言ったケルベロスの言葉の先には魔物に囲まれたリュカとビアンカが。って、数を見たら先程と同じくらいの数がいた。

 

 えーっと、ドラキー×20 おおねずみ×10 グリーンワーム×10 プリズニャン×10 くびながイタチ×10 ・・・いや、さっきも思ったんだけどさぁ。何、俺等なんかした?

 

『まぁ、今度は問題ないぞ。ちょっくら待ってな。』

 

 そう言ってさっさと群れに突っ込むケルベロス。いや、アイツ考えないの?そう思っていると、なんとおおねずみとドラキーは逃げていった。

 

「うわぁ、あのまものたち逃げていっちゃったわね。」

 

 とはいえ、他の魔物は残っている。そう思っているとケルベロスがグリーンワームの群れを何処かに追いたてていった。まぁ、残った奴等くらいなら問題ないだろう。そう思っていると、ビアンカが俺に釘を刺してきた。

 

「いい、カイト。くれぐれもさっきみたいな無理はしないでよね!」

 

「わかってるって!」

 

 それだけ言うと、先程感じていた感覚に乗って取り合えず体を動かして、出てきた言葉を言ってみる。

 

「・・・イオ!」

 

 イオ・・・だと?しかも何故に回し蹴りをしながらイオ!?

 

 そんな俺を余所に、魔物の回りには無情な程の爆発が起きる。そして、その後に何故か俺の回し蹴りが。・・・いや、我ながら容赦が無さすぎるオーバーキルじゃないか?それよか、え?なに?イオと蹴りで1つの動作なわけ?

 

 そして、俺の番だけで全ての魔物が撃沈していた。

 

 ・・・いや、え?は?

 

「・・・え。すごい!カイト、今のどうやったの?」

 

「うん。バアーンってなってからえいってなってた!どうやったの?」

 

「うーん。おれもよくわかんない。それより、はやくレヌールじょうにいこうぜ!はやくいかないとあさになっちまうからな!」

 

「・・・それもそうね。じゃあ早く行きましょうか!」

 

 そう言ってビアンカとリュカの質問をうまく避けた俺は(ビアンカは不満そうだったが)歩きながらケルベロスが早く戻ってこないのかと見回していた。

 

『いや・・・驚いたぞおい。お前イオって。』

 

 そう言いながら、ヒョイとか言う音が出そうな登場の仕方をしたケルベロスにビアンカは思わず。

 

「きゃあ!ってケルちゃんじゃないの!もう!ビックリしちゃったわ!」

 

「うん。ビックリした。」

 

 そんな2人を尻目に俺はケルベロスに聞いていた。

 

 でも、イオの後に回し蹴りが放たれてたんだけど。どう言うことだよこれ。

 

『俺が知るか。』

 

 だよなぁ。ま、いいか。

 

『・・・いいのかよ。』

 

 いや、だってわかんねー事でいちいち悩んでても仕方ねーだろ?こういうときはわかるときまで先送りしておくのが一番なんだよ。

 

『・・・いや、それなら良いんだけどな?』

 

 そうして、ケルベロスと話しているうちに、件のレヌール城に辿り着いていたようで、ビアンカが辺りをキョロキョロと見回しながらリュカに話していた。

 

「ようやくレヌール城に着いたわね。・・・それにしても、なんだかくらいし、ぶきみな感じ・・・今にもお化けが出てきそうだし・・・。でも、ネコさんのためにがんばらなくっちゃ!さぁ、リュカ、カイト、行こうよ。」

 

「うん!おしろのなかたんけんしよう!」

 

 いや、リュカお前は少しビビろ。何を楽しそうにしてるんだよお前。

 

「まぁ、ここまできたらいくしかないだろ。」

 

 そう言って、正面の扉から入ろうとするが、正面の扉は錆び付いているためか開く様子はない。まぁ、開かないのは仕方ないけど、それよりも城の入り口にこれだけの数の墓あるのは流石にどうなんだよ。

 

 ビアンカも同じことを思ったのか溜め息を吐きながら扉が開かないか試している。何度かガチャガチャやって漸く諦めた様子のビアンカはこっちを向きながら話し掛けてきた。

 

「こまったわね。ここはさびついて入れないわ。どこかほかのところから中にはいれないのかしら・・・。それにしても、どうしてお城の入り口にこんなにいっぱいおはかがあるの?なんだか嫌な感じ・・・。」

 

 確か、ここって魔物に襲われて城の人が全滅したとかそんな感じだった気がするぞ。前世でアイツが散々言ってたからドラクエVだけはなんとか覚えてるしな。

 

『まぁ、確かにそんな感じだな。』

 

 ・・・って、そろそろ裏に向かった方が良くないか?

 

『ああ、だな。』

 

 裏口がないか調べてみようぜ?と言おうとすると、リュカが手を此方に振りながら何か叫んでいた。

 

「ねーぇ!!なんか、こっちにいけそうだよー!!」

 

「もう、リュカもカイトもちゃんと調べてよね!?まぁリュカが何か見つけたみたいだからまぁいいわ。じゃあ行きましょう!」

 

 そう言って裏口に向かう俺達。5分くらいで城の裏口に辿り着いた。裏手は前とは違い、煉瓦が所々崩れ梯子が剥き出しになっていた。

 

 ・・・これ、登ってバキッてならないよな?

 

『普通の金属とは違う少し特殊な類いの物だ。お前の世界と違ってそう簡単に朽ちたりしないだろ。』

 

 ・・・いや、うん。そ、それなら、良いんだけどさぁ。登るんだよな?

 

『おま、まさか。』

 

 うん。高所恐怖症。

 

『・・・いいか。絶対に下見るな。』

 

 うん。分かってる。分かってるけど。

 

 それでも見ちゃうんだよなぁ。そうケルベロスに言う前にビアンカの声が聞こえてきた。

 

「カイトー!早くー!」

 

「いまいくよー!」

 

 そう言いながら、ロープを出してケルベロスを俺の背中にくくりつける。

 

『いや、いくら怖いからって、これはどうなんだ!人権、いや、犬権を無視しすぎじゃあないか!?おい。どうなんだよ。と言うか下ろせよこの野郎!』

 

 明らかにビクビクしているケルベロスを見ながら気付いた。

 

 ああ、お前も同類か。

 

『・・・いや、違うぞ?高い場所からの眺めとか、俺大好きだし?絶景だなぁって思うし?だから、うん。怖いとかそういう訳じゃ全然無いし?だから―うわっ、ストップストップストップストップストップ!!ごめんなさい俺も高所恐怖症です偉そうな事言ってマジですいませんだから本当下ろしてくださいお願いします。』

 

 それを聞いて、ちょっとばかし怒りが湧いた俺はケルベロスのその言葉を完全に無視して上がっていくことにした。

 

『ちょっ!!いま頼んだよな!?誠心誠意込めてお願いしたよな?なぁ!一緒に待とう!?待ってください!ほら、怖いのに無理して上がるわけにも行かないじゃないか?なぁ?いやおい無視か!?ちょっ!!ちょぉ!!!!』

 

 いや、もう着いたけど。と言うか帰ったら色々言いたいことがあるからな?覚悟しとけよ?

 

 まぁあれだ。転生するときにぶん投げた事とかぶん投げた事とかぶん投げた事とかぶん投げた事だ。大事なことだから4回は言っておく。そんな俺とケルベロスに気付かずビアンカは先にドアを調べてきていたのか上に行こう的な事を言ってきた。

 

 ・・・マジか。

 

「うーん。後は上しかないわね。・・・ってあら?カイト、もしかしてこわいの?」

 

「・・・いや、おれがこわいのはたかいとこ。」

 

「ふぅん。意外とかわいいところあるのね。さてと、じゃあ行きましょう!」

 

「うん!」

 

 ビアンカとリュカが行った後に続いて俺とケルベロスも上がっていく。まぁ、上がっている間ケルベロスがギャーギャー騒いでいたお蔭でそんなに怖くはなかったが。あ、今度から高いとこ行くときはケルベロス連れてくか。

 

 そして、何て言えばいいんだ?門?的な奴が俺が入ったと同時にガッシャァーン!と言う音を立てて閉まってしまった。ついでに、雷も大きな音を立てて居たりしていてまぁ、気分は最悪な状態だ。俺はケルベロスを取り合えず下ろして、辺りを見回した。辺りを調べていると薄暗く、埃だらけで人が長い間住んでいないことは一目瞭然だった。しかもなんか、棺桶が綺麗に並んでいるし。

 

 うわぁ・・・。あれから出て来るのか。

 

 この後の展開が分かっているが故に何も言えない俺を余所に何も知らないビアンカはリュカと俺達を励まそうとしていた。

 

「・・・ここからは出られなくなっちゃったわね・・・。で、でもとにかく進めば大丈夫よ!さぁ、悪いお化けはどこかしらね。」

 

 とはいえ、この状況。実のところ俺もリュカもあんまり怖いとは思っていない。と言うかリュカはたんけん!たんけん!とはしゃいでいる。・・・多分怖がってるのってビアンカだけだよな?

 

 そして、下に降りようとすると、お約束の骸骨の群れが襲い掛かってきて気が付いた時には残されていたのは俺とリュカだけだった。

 

「・・・ビアンカさがそう?」

 

 流石に今のを見てから幾らか怖くなったのか、はたまた落ち着いたらしいリュカと取り合えず下に降りる事にした。下に降りると、石像がずらっと並んでいた。なかなか壮観だ。そう思っていると、リュカが1体の像を注視していた。・・・ヤバイな。そう思い、石像が動く前に、中庭?屋上庭園?的な感じの場所に出た。外に出た途端に何処からか声が聞こえてきた。

 

「ねぇ、カイトあのいしうなってるよ?おもしろいねー。」

 

 うん。お前が面白いと言ってるあの中にビアンカとケルベロスがいるんだぞ?そう思って、墓石を調べる。

 

「なになに、リュカとカイトのはか?じゃあこっちか。リュカてつだうぜ。」

 

「うん。ありがとう。」

 

「せぇーの!!」

 

 そして、2人で力を合わせて墓石を押すと中からビアンカとケルベロスが出てきた。

 

「ああ苦しかった!リュカとカイトったら今までなにしてたのよ!?でも助けてくれたからまぁいいわ。さぁ行きましょう!・・・まったく、さっきまではちょっと、ちょっとはこわかったけど、こんなのただのこけおどしばっかりじゃない!もうなにが起こったっておどろかないんだから!」

 

「ビアンカ、だいじょうぶかな?」

 

「リュカ、みてみろ、どうみてもあれはだいじょうぶなかんじだぞ?」

 

「ちょっと!どういう意味よカイト!あ、リュカは心配してくれてありがとうね。」

 

「うん。どういたしまして。」

 

「そのままのいみにきまってるだろ?そこまでもんくいったりできるならたいじょうぶいがいのなにものでもないだろうしな。」

 

「まったく!カイトったら失礼しちゃうわ!とにかく、先に進んじゃいましょ!」

 

『お前、女心が全く分かってないんだな。』

 

 うるさいなぁ。あれだろ、俺の好感度上がっても仕方ないだろ?

 

『え・・・。じゃあお前リュカとビアンカくっつけるつもりか?』

 

 当たり前だ。ビアンカとリュカは随分お似合いだろ?

 

『へぇー。意外だな。お前ならビアンカと喧嘩しちゃうほど好きな仲とかになると思ってたのに。』

 

 いや、流石に子供が青髪とか違和感ありすぎだしな。

 

『いや、そんな理由か!!』

 

 まぁ、それにガキの頃に思い出作ってた2人がくっつかないのはそれはそれで見ててやだしな。

 

『なら、お前が結婚すれば良いんじゃねーか?』

 

 これは先送りだ。結局それを決めるのはあいつ等だろ?

 

『それもそうか。』

 

「カイトー!ケルー!おうひさまがほんだなどけてすすめるようにしてくれたよー!はやくいこうよー!ビアンカもまってるよー?」

 

「おう!いまいく!」

 

 そして、2人の後を慌てて追い掛ける、俺とケルベロス。下に降りていくとカラスが3羽飛び立っていった。

 

「・・・それにしても、どうしてお化けはこのお城に住み着いちゃったかしら?このお城にはなにかあるのかな?」

 

「なにかあるの?」

 

「いや、たんじゅんにすみやすそうだったからじゃねーの?」

 

「そんなものなの?」

 

「・・・さぁ?」

 

「もう!カイトに聞いた私がバカだったわ!早く行きましょうリュカ。」

 

「うん。カイトとケルもいこう。」

 

 なんだかんだ言いながらも、ドアを通って大きな扉を抜けると、幽霊王妃が椅子に座っていた。ベッドもあることから、ここは生前の王妃と王の寝室だったのが分かる。まぁ、そんなことより、王妃の話を聞きにいく。ちなみにリュカとビアンカは話をすぐに聞きに行っていたようだ。

 

「十数年程前・・・。城の者は皆、魔物達に襲われ殺されたのです。何故あんなことになったのでしょう?噂では邪悪な手の者が世界中から身分のある子供を拐っているとか。しかし、私とエリック王には子供がいませんでした。子供拐いの魔物達はその腹いせに皆を襲ったのかもしれません。しかし、今となっては嘆いても仕方のないこと。ですが、ですがせめて・・・。私達は静かに眠りたいのです。どうかお願いです・・・。この城に住み着いたゴースト達を追い出してください。そうでなければ城の者達はいつまでも呪われた舞踏会で永遠に踊らされたままなのです。」

 

 そう言いながら、涙を流す王妃。それを見たビアンカは言った。

 

「王妃さまかわいそう・・・。死んでしまったあともひどい目にあうなんて・・・。リュカ、カイトがんばろう!どうせお化け退治に来たんだしいいよね?」

 

「うん!」

 

「もちろんだ。」

 

 そう言って、お化け退治が結局ゴーストを追い払うということになるとはこの2人は思ってないよな。なんて思いつつ、ビアンカとリュカは先に進んでいく。それを少し後ろで眺めながら歩いていると、ケルベロスが話し掛けてきた。

 

『そういや、お前、前世で誰か想い人でも残してきたりしてんのか?』

 

 んー。アイツが想い人なわけないと思うけど。まぁ、リュカとビアンカと似たような関係だったかな。っていっても、アイツに女らしさなんて欠片も無かったんだけどな。

 

『へぇー。女、ねぇ。』

 

 ニヤニヤした声色で意味ありげに言うケルベロス。

 

 大体、アイツはもう死んでるよ。

 

 俺がそういうと、ケルベロスはピタッと止まりながら慌てて後を付いてきた。

 

『なら先に言えよ。てっきり遺してきたのかと思ったじゃねぇか。』

 

 いや、前から過去形で話してただろ?

 

『じゃあ、俺と似てるっつったのは、その死んだ幼馴染みって事か?』

 

 そういうこと。他に遺して来た奴は誰もいないよ。って、2人とも下に行こうとしてるな。追い掛けるか。

 

『あ、ああ。』

 

 そして、下に降りると辺りは真っ暗で一寸先も見えない、近くにリュカとビアンカが居るのも分からないほどな暗さだった。

 時折、ピカッとなる雷の明かりを頼りに俺達は離れないようにして進むことになった。

 

「これだけ暗いと、あぶないわね。リュカもカイトも壁に鼻をぶつけないでね。」

 

「このゆーれいたちなんだろ?」

 

「リュカ、あんまり近づかない方がいいわ。っていっても、あのゆうれいたち、なんにもしてこないのね。」

 

「ああ、だけど、みちをふさいでるな。これじゃあとおりたくても、とおれないな。」

 

「あ!あそこの階段はふさいでないんじゃない?あそこから行きましょう。」

 

「うん!」

 

「ああ。そうだな。」

 

 そう言って、下に降りていく俺達3人。下に降りていくと、豪華な衣装に身を包んだ男性が何も言わずに扉を通り抜けていった。

 

「今消えたのってこのお城の王さまだった人かな?王妃さまも王さまも、なんで言いたいことをすぐに言わないで消えちゃうのかしら?」

 

 ビアンカに同感だな。まぁ、リュカは取り合えず追いかけたそうだけど。

 

「おうさま!おいかけよう!」

 

「あ、こら!リュカ待ってよ!カイト、ケルちゃん、追いかけましょう。」

 

 そう言って、吹き抜け?的な感じの通路を通って大きな扉が勝手に開いていくのを追いかけて上にいく階段と下にいく階段のある部屋に着くと、豪華な衣装に身を包んだ男性基エリック王が居た。リュカが話し掛けようとしに行くと、エリック王はまたドアの外に消えていった。

 

「もう!なんでまた消えちゃうのよ!」

 

「ああ、もうしかたねーからおいかけるぞ。」

 

「うん!」

 

 ちなみにここのメンバーでイライラしていないのはリュカだけどろうな。そして、ドアを通ると外に出た。多分というか絶対、さっき入ろうとして錆び付いていた裏口のドアだろう。そして、下と上に行くための通路を塞ぐようにして立っていたのは、ソフィアとか言ってた幽霊王妃の夫のエリック王だろう。

 

「こんばんは!」

 

 リュカが無邪気に挨拶をすると、エリック王は嬉しそうな顔をして語り始めた。

 

「おお!ここまで来る勇気のあった者はそなた達が初めてじゃ。何年か前から―。」

 

 えっと、思ったんだけど・・・。これ、言ってること同じだから聞き流していいか?

 




mission 本を借りよう!

カイト「そういや、レヌールじょうにあるほんもらっていってもいいですか?」

ソフィア「え?ええ。私達は既に死んだ身。使われぬよりは読まれた方が良いでしょうが、読めるのですか?」

カイト「ん?あー、まぁ、あるていどならよめるかな。」

ソフィア「そうですか。幼いながらに賢いのですね。好きなだけ持っていくと良いでしょう。」

カイト「よしっ!」

mission成功?


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