緋弾のアリア 魔弾を撃つ姫と鬼火の亡霊 (黄色の15)
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その男は

皆さん初めましての人は初めまして、他の作品を呼んでいた方はお久しぶりです。黄色の15です。
暫くパソコンが使えない状況にありなかなか書けませんでした。
リハビリついでについ書いたもので拙いと思いますがよろしくお願いします。
他の作品も順々に書いていく予定です。


第二次大戦末期頃、連合軍兵士達の間である噂が流れた。

「焼硬鋼のランタンを持ったドイツ兵を見たら逃げろ。奴らに見つかったら命は無いと思え、そのランタンは持ち主の魂をくべる炉。例えその腕を捥がれても脚を吹き飛ばされようとも決して歩みを止めない。俺たちの身体に風穴を開けるまでは決して死なない。奴らは蒼い鬼火と共にやって来る」

しかし、そんな噂も戦争が終わり50年以上も経た今では、憶えている者は誰一人として居ない。多くの傷跡を残したあの戦争の知られざる部分を知り、語ろうとする者はおらず語られることのなかった者達の記憶は闇の中へ消えていく。

しかし、再び戦いがあるのならば奴らは地獄の底だろうとどこだろうと亡霊として甦えり、舞い戻る。

 

三人称side

ここはとある廃工場、ここに強盗犯は逃げ込んだ。

その工場の前に1人の男が立っている。ジャーマングレーのコートを着ているが、肩には東京武偵校のマークが縫い付けられている。反対側の肩には901ATTという名前が刺繍されたワッペンが付いている。

「こんな所に逃げ込んで…どのみち捕まるのにな…まあ、自分の仕事をこなすだけだが…」

と男は言って、腰の焼硬鋼のランタンの灯りをつけ、ゆっくりとした足取りで工場の中に入って行った。

強盗犯は工場の奥の方で隠れていた。銃を持ちいつでも撃てるように撃鉄を起こしていた。しばらくすると強盗犯の視界があるものを捉えた。

それは蒼く輝く鬼火のようなものだった、最初は見間違えだと思っていたがだんだんと彼に近付いてきた。

「誰かいるのか!サツか武偵だな!動くな!動くと撃つぞ!こっちにだって銃があるんだぞ!」

と強盗犯が銃を構え叫ぶがその影はどんどん近付いて来る、強盗犯は怖くなり何発か乱射した。

しかし、その鬼火は近付くことを止めない。そして強盗犯から30m程しか離れていないところで穴の空いた屋根から差す月の光でその姿が現れる。

「ひぃ!来るなぁ!来るなぁ!」

と強盗犯は逃げようとするが腰が抜けて転んでしまう、更にその鬼火の正体を目撃して恐怖で動けなくなる。

その姿は異常だった、その佇まいはさながら幽鬼のようであり、その瞳からは生気は感じられなく目の前にいるものを殺す為に来た死神のようにも見えた。ようやく獲物が手の届くところに来たとでも言うかのように更にこちらに近づいてくる。

そして男はコートの懐から巨大な拳銃のようなものを取り出し、ゆっくりと強盗犯の男に向ける。

「止めてくれぇ!金ならここにあるからぁ!撃たないでくれぇ!頼む、お前は武偵だ!俺のことは殺せないはずだ!」

と強盗犯は命乞いをする。

しかし、男は容赦はしなかった。ドゴン!という轟音とともに男の脚を口径13㎜の銃弾が撃ち抜く。

「あぁぁぁぁ!脚がぁ!俺の脚がぁ!止めてくれぇ!もう逃げないから!助けてくれぇ!来るなぁ!来るなぁ!」

ガシャコン!カキーン、カランカラン…カシャ…ガシャコン!

という第二射への準備が完了した音を聞き、強盗犯は死を覚悟した。

ドゴン!再び轟音が響く。しかし、いくらたっても自分に痛みが来ない。恐る恐る閉じた目を開けると自分の持っていた銃にその銃弾は撃ち込まれたようだ。13㎜と言う大口径の銃弾が強盗犯の持っていた銃を粉々に粉砕していた。

カシャ!という音とともにランタンの灯りは消え、ついさっきまで迫っていた殺気は消えていた。男は強盗犯を見据えながら、

「お前を強盗の現行犯で逮捕する。もう少しで警察と救急車が来る、そこで大人しくしていろ。」

そういうと武偵らしい彼は懐から手錠を取り出し。男に手錠をかける。そして、何事もなかったかのように踵を返して歩いていく。

その後捕まった強盗犯は警察の取り調べ中に発狂してしまい、しばらく精神病院へと入院し治療を受けた後に改めて事情聴取を受けたという。精神病院に入院しているその間、強盗犯は「奴が来る…蒼い鬼火と一緒に…俺を殺しに来る…」といつもうわごとのように言っていたという。

その男が関わった事件の犯人は大抵、事件後に精神に異常をきたしてしまうことから彼にはこんな二つ名がついた「蒼い鬼火の化け物」と。

彼が化け物と呼ばれる所以はそれだけではない、偶然居合わせた武偵が彼の戦闘している姿を見たという。彼はその時どんなに撃たれても倒れなかったという、それだけではなく頭や首など致命傷になる部位に被弾したはずなのに何事もなかったのように行動していたという話が広がったことによりその二つ名がついたという。そしてその時彼が纏っている雰囲気が、この世のものとは思えないようなものだったからだ。

彼が所属しているのは強襲科ではない、彼は狙撃科に所属しているのだ。しかし、彼が狙撃をしているのを見たものはある一人を除いて誰も居ない。

魔弾と鬼火が交差したときその物語が始まる。

三人称sideout

 

これは感情を持つことのなかった魔弾を撃つ姫と、戦うと感情を失くし人を殺すことしか出来ないナチスの忘れ形見が生み出した亡霊の話である。

 




如何だったでしょうか。
意見や感想をお待ちしております。


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説教とクエストの準備

お久しぶりです、黄色の15です。
長らくお待たせしました。リハビリも兼ねて投稿します。
読んで頂けたら幸いです。
設定も後々変更する場合がありますので、タグを追加します。


三人称side

先日の強盗犯の件で鋼牙・S・ウィトゲンシュタインは教務科に呼び出されていた。

鋼牙の目の前には今回の件の後始末をした、蘭豹先生と高天原先生が居る。

高天原先生が彼に質問する。

「何故、今回も犯人を負傷させるようなことをしたのですか?

あなたは狙撃科の人間なのに何故狙撃をしないのですか?」

と聞かれると鋼牙は、

「自分はもう、狙撃はしないと決めました。勿論狙撃科に所属は続けるつもりです。」

と言うと蘭豹が口を挟む。

「お前あんな銃何処から調達して来たんや。あんな物どの国も一度も正式採用しておらんやんけ。自作した銃なんか?」

と聞かれた。

それに対し鋼牙は、

「いえ、これは祖父の代から装備一式を受け継いでいます。」

とだけ答えた。

「あなたの祖父がこれを作ったのですか?」

と高天原先生は聞くと、

「申し訳ありません、あなた方が例え教師だとしてもお話ししたくはありません。この事に関しては誰にも話してはいけないと家で何度も教え込まれていますので…」

と鋼牙は答えた。それに対し蘭豹は、

「まあ、犯人を殺した訳やないんやからそこまで問い詰める理由なんてあらへんわ。

殺さなければ何したってそこまで言われへんからなぁ。

もう、帰ってええわ。」

と言った。

「失礼しました。」

と一言だけ言って鋼牙は職員室を出た。

「何故怪我を負わせたか…か。殺さなかっただけ良かったと俺は毎回思っているさ。なにせこいつを使っているんだからな…」

と鋼牙はおもむろにコートを少しめくり、ランタンに触れた。

「話は済んだのですか?」

と後ろから鋼牙は声を掛けられた。

「レキか。何の用だ?今日はもう帰りたいんだが。」

と鋼牙は疲れた様に言う。

「何かを頼みに来た訳ではありません。そろそろ話が終わると思い待っていたんです。」

とレキは答える。

「そうか…わかった、ガレージに行くぞ。」

と鋼牙は言うとガレージのある方へ歩き出した。

鋼牙はコートの内ポケットからタバコを取り出し火をつける。

「タバコは身体に悪いですよ?」

とレキが注意する。

「なぁに、俺は頑丈だから問題ないさ。」

と吐いた煙で輪を作りながら言った。

三人称sideout

 

鋼牙side

前の事件の件で呼び出しを食らいようやく解放された。また同じ注意を受けたが、俺は多分これは治らないだろう。

俺は狙撃科だが狙撃をしない、いやもう出来ない。練習の時は特に問題はない。

しかし実戦になるとスコープを覗きターゲットに照準を合わせようとすると手が震える。あれがあってからは狙撃が出来ない為このランタンに頼っている。

これがあれば戦車砲が胴体に直撃しない限り死ぬことは無い。何と便利な体なのだろうか、他人からすれば化け物極まりないが。

しかし、レキはそれを知っていながらも俺に接してくれている。俺が狙撃が出来なくなったのは俺の狙撃で間接的にはあるが彼女を怪我させたからだ、罪悪感であまり会いたくないのに彼女の方から近寄ってくる。

最近は普通に接することが出来るが前は色々ひどかった。

「何を考えているんですか?」

そうレキに聞かれて思考をやめる。

「昔の事を考えていたのさ。」

と俺は答えレキの頭を撫でた。

「大きな手ですね、それに暖かい。」

とレキ呟く。

こんな俺のどこが良いんだか。

鋼牙side out

 

三人称side

あれから一週間がたったある日、鋼牙は新たなクエストを受けていた。

「今回は武器密売組織の制圧か…ドアノッカーだけでは無理そうだな。

準備しておくか。

特記事項は…抵抗が激しい場合殺害を許可するか…武偵に回ってくる仕事じゃないだろ…」

そう言うと鋼牙はガレージから愛車を出して街へ向かった。

街外れの路地裏にその店はひっそりと店を構えている。銃器を専門に扱う店である。

鋼牙は店の扉を開ける。

「おやっさん、やってるか?」

と鋼牙は尋ねる。

「もうすぐ店終いだよ、こんな時間に来るなよ。」

と初老の男性がカウンターの奥から出てくる。

「なんだ、鋼牙の坊ちゃんじゃないの。こんな所に何の用だい?武偵が来てるのがバレたらマズイだろ?」

と男性は聞く。

「そんなの知ったこっちゃない、バレたって説教位さ。最悪殺さなければ良いんだからな。」

と鋼牙は悪びれもせず答える。

「そうかい。で?何が御入用かな?」

と男性は聞く。

「預かってもらってたMG42を次のクエストで使うから取りに来た。それと弾薬を600発くれ。念の為パンツァーファウストも2発だ。」

と鋼牙は注文する。

「買ってくれるのは嬉しいが、今時MG42やパンツァーファウスト使うやつなんて居ないぜ?RPG-7とかを用意するぞ?」

と男性は言う。

「俺が腐れイワンの武器を使うわけないだろう?」

と鋼牙はおどける。

「それもそうだな。ほれ、保管庫はカギが空いてる。600発と2発の値段で好きなだけ持って行け。今日は特別だ。」

と男性は言うとカウンターの裏に置いていた酒瓶を取り出し飲み始める。

しばらくして武器と弾薬を携えた鋼牙が出てくる。

「ありがと。それじゃ、また来るよ。」

と言って鋼牙は店を出る。

「毎度〜」

とだけ男性は返した。

三人称side out

 

レキside

明日鋼牙さんはクエストに行くようです。例によってお一人で。何故私を呼んで頂けないのでしょう。私なら最優先で参加するのに。

それなら私が参加しましょう。鋼牙さんは探すのは簡単です、大体学校の中で人通りの少ない場所に昼間から居ます、つまり授業は出ていないのです。

しばらく歩き回ると鋼牙さんは居ました、相変わらずタバコを吸っているようです。

「また授業をサボってるんですか?単位は良いんですか?」

と私が尋ねると。

「クエストやってるから問題無いさ。それで、何で昼間からサボってる俺の所に来たんだ?」

と鋼牙さんが言いました。

「明日クエストを受けるそうですね。私も参加します。」

と私が言うと

「いや、今回のはヤバイからやめとけ。非正規の情報だと相手は装甲車もあるらしいからな。」

と返されました。

「私は狙撃ですので援護に徹すれば問題ありません。対価は鋼牙さんが食事に連れて行って下されれば良いのですが。」

と私は言いました。

「はぁ…わかったよ。だが条件がある、装甲車が居た場合は絶対に逃げろ。装甲車は俺が仕留める。」

と言われました。

「わかりました。それでは明日は何時に行くのですか?」

と私が尋ねると

「0930に出発で1000に作戦開始だ。」

と言われました。

「わかりました、それではまた明日。」

と私は言って立ち去りました。

レキside out




如何でしたか?ご意見や感想待ってます。


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資料1と幕間

皆様お久しぶりです、黄色の15です。
正直書くのを忘れていたり書く暇がなかったりと気が付いたら大分経ってしまいました。
拙い物ですがどうか平にご容赦を。


資料1

氏名 鋼牙・S・ヴィトゲンシュタイン

所属科 強襲科・狙撃科→狙撃科 2年

ランク S→E

二つ名 治安の番人

蔑称 蒼い鬼火の化け物,化け物

年齢 17歳

身長 190㎝

体重 80㎏

装備

東京武偵高防弾制服

901ATT改造コート

13㎜対戦車拳銃ドアノッカー

モーゼルM712 (現在レキが所持)

モーゼルC96

MG42

パンツァーファウスト他多数

主人公説明

本作品における主人公でドイツ人と日本人のハーフ。

両親とは既に死別していて、元の苗字は伏であるが父親の死後は母の旧姓を名乗っている。

2年生を一度留年しておりレキやキンジ達の先輩にあたる。

留年した理由はある事件での鋼牙の行った行為によるものである。 罰則で刑務所に2ヶ月収監されていた為留年した。収監の罰則に加え今までの功績を抹消されランクも降格し更に二つ名も剥奪されている。狙撃が出来ないのもそれに関係している。

鋼牙はかつて日本政府から裏任務を依頼されていた経歴がある、その際に日本政府から特別に殺しのライセンスを与えられている。

しかし、ある事件により政府による後ろ盾は無くなりライセンス剥奪を免れる代わりに政府直属の殺し屋の様な存在になっている。

その為公安0課には顔見知りがいる。

 

幕間

レキとタバコ

鋼牙は何時ものように授業をサボりタバコを吸っていた。今日は風が気持ち良いので屋上で吸っている。そんな鋼牙のもとにやはりレキがやってくる。

「見つけましたよ鋼牙さん、この前約束した食事に連れて行って下さい。」

とレキがせがむ。

「悪いな、今手持ちが残り少なくてな何処ぞの掃除機みたいに吸引力が変わらんお前を連れて行くのには少し足らないんだ。」

と鋼牙が言った。

「掃除機とは失礼ですね。それなら勝負をしましょう。私が買ったら食事に連れて行って下さい。」

とレキが答える。

「はぁ…じゃあこのタバコ吸ってみろ。吸えたら連れて行ってやる、だがこいつはとびきり濃いやつだからな常人じゃあ口に付けるのも嫌がるぞ。」

と意地悪な条件を鋼牙は提示する。普段から吸うなとレキに言ってあるうえ、濃いタバコを初見で吸えるとは思えないと鋼牙は思った。

しかしレキは何の躊躇いなく鋼牙の吸いかけのタバコを奪い咥える、そして大きく吸ってしまった。

「あ!おい、馬鹿!そんなに吸う奴があるか!」

と鋼牙は慌てて取り上げる。

「ケホ…ケホ…こんなのを鋼牙さんは吸っているんですか…ケホ…

身体に悪い事この上ないですね…ケホ…」

とレキはむせながら答える。

鋼牙は不覚にもレキの咳き込む姿が可愛く思えてしまった。

「よし、食事に行こう。金は下ろして補充する。連れて行ってやる。」

と少し顔を赤くした鋼牙はぶっきらぼうに答える。

「言質取りました。」

とレキは静かに言う。

「わかってるよ。」

とだけ鋼牙は言い二人は食事に行った。

 

ファミリーレストランにて

レキはメニューを見て注文を取る店員に注文をする。

「メニューにある飲み物以外全てお願いします。」

とだけ言った。

鋼牙の財布が空になったのは言うまでもない。




如何でしょうか。現在漸く夏期休業に入ったので次は早めに上げたいと思います。


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