第三次スーパーロボット大戦Z 呪われし放浪者に憑依してしまった者 (幻龍)
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プロローグ
再世戦争から数ヶ月後。新時空震動により、UCWとADWの多次元世界が融合した。
しかし、その手のことは慣れっこになっていた双方の政府により、混乱は瞬く間に終息して、新地球連邦が生まれて、世界は再び動き出した。だが、両方の世界に存在していた歪みや問題も同時に動き出すことになる。
「もうすぐ、彼らが挨拶に来る。しかし、あの者達を完全に信用するわけにもいかん。ラプラス箱の秘密は最低限秘匿しなければならんからな」
「左様。ティターンズやブルーコスモスという失敗例がある以上は慎重に事を進めなければならん」
「奴らは過激な思想に取りつきすぎて、大局を見る目を失った愚か者に過ぎん。寧ろ、我らの存在が露見する前に消えてくれて幸いだった」
「しかし、ロゴスまで壊滅させられたのは痛手だった。ラプラスの箱関連でアナハイムを取り込めたから、大事には至らなかったが……。まったく、プラントのデュランダルは余計なことをしてくれた」
「所詮は自称新人類を名乗る者のまとめ役に過ぎん。あんな妄想理論を実行のする為に世界を混乱させた挙句、ロゴスを世界の敵として糾弾するとはな……所詮、いくら優れていようと人は変わらんということか」
この世界を裏で牛耳る謎の組織クロノ。そのメンバーである人物達が話し合いを行う為に用意された、映像機器が稼動していた。
彼らは新たな時空震動によって生まれた世界について、今後どう動くべきか話し合う為に集まっていた。そして、話が脱線してきたので、キングの秘書をしているクイーンが「みなさん、落ち着いてください」と言うと、喧噪は収まり再び話し合いが再開した。
「私は彼らだけに任せておくわけにはいかないと考えています。彼らの力の強大さは認めますが、それでもロゴスを壊滅させられたときの様に、予想外の事態が起こるかもしれません」
「同意。手札が多いことに越したことはない。すでにアナハイムへ例の計画を遂行するための機体を造らせました。しかし、ビスト財団の当主、カーディアン・ビスト氏が一号機を当主の権限で、自らの懐に仕舞い込んでしまった」
「まったく、忌々しい奴だ」
「しかし、それはまだ想定の範囲内だ。だから、二号機と三号機の製造を命じたのだ」
「UC計画は順調というわけか……」
「それよりも改革派の連中はどうする?」
「アドヴェントか……」
「奴はエルガン・ローディックやイオリアがクロノを抜けた後、改革派をまとめている。……機を見て始末するべきではないか?」
「そのようなことを口にするでない。幸い、改革派の連中は留守だが、奴らに聞かれてみろ。ややこしいことになる」
「それと時の監獄が完成間近にも関わらず、次元境界線が安定しない問題はどうする? 下手をすれば我らの知る未来とは異なる流れが生まれる。その時はどのように対処すべきか検討するべきでは?」
「その時は臨機応変に対処するしかない。どの世界がやってくるなど正直、予測する等我らでも不可能だからな」
様々な意見が飛び交うが、まとまる気配は見えない。そこで、話し合いの議長を務めており、保守派のリーダーでもあるキングの意見を求めた。
「キング、どうしますか?」
この会合を纏める議長的な立場にあるコードネームキングに、彼らは判断を求めた。
「当面は現状維持だ。しばらく経ったら代理者も動きだすだろう。だが、我々はあまり行動せずに静観することになる。幸い、ラプラスの箱に関してはすでに手を打ってあるから、何かしらの報告があるだろう。それを待つ。それと例の彼に接触する。手札は多いことに越したことはないからな」
キングの決定に、ほとんどの者が頷いた。画してクロノは水面下で動き出すのであった。
「彼らは記憶を失い、スフィア・リアクター達は行方不明か……」
アサキムは新たに日本にできた学園都市で、カフェでジュースを飲みながら、思わず呟いた。
彼はZONEから脱出した直後、大規模な次元震に巻き込まれそうになったが、スフィアの力を使い難を逃れることに成功し、そのまま地球圏に帰還したのだ。
「僕のことも忘れてしまったから、活動するには都合がいいけど、正直やることがないな」
この世界がもうすぐ監獄になることを知っているが、アサキムは世界が無事なら停滞した世界でも構わないと思っていた。自分はその気になれば別次元に脱出することができるし、自分にとっては優しくない世界だ。正直どのような結果になっても構わないというのが本音だった。
「正直退屈で仕方がないな……ちょくちょく彼らの前に現われてみようかな」
ジュミニスが出てきても問題ない。なぜなら、自分の持つスフィアはガドライトの所持する『いがみ合う双子』を無力化できる。ノコノコ現れたら帰り討ちにすればいい。サイデリアルが出てきても、スフィアを五つも所持しているので、早々不覚は取らない。
「新しい世界が転移してくれば、それだけ世界は動く」
本来眠っているはずの自分が動き出している時点で、本来の流れからずれているのでは? とアサキムは考えていた。
そして、イレギュラーが起こり、新たな来訪者も来るかもしれないと考えていた。その経過によっては、この物語も大きく変化して新しい流れを生むかもしれない。
(最もそれが起こりうる確率は低いかもしれないけどね……)
アサキムは勘定を済ませると、シュロウガを隠してある場所へと向かい、シュロウガを空の彼方へと発進させる準備を始めた。
「宇宙へと向かうのも悪くないけど、ジェミニスが動くのは後一ヶ月後だ。下手に動けば気取られる可能性もある。それならいっそ地球に留まるべきか……」
彼らの記憶が戻るまでは、サイデリアルも本気で表には出てこない。
最も彼らは時の牢獄が完成した場合、一生表舞台に出てこないかもしれないけど。
「彼らは世界の時計の針が停止するのを食い止められるかな?」
アサキムは愉快な声でそう呟きながら、シュロウガを大気圏の空へと向けるのであった。時の牢獄が完成するまでは、断続的に時空転移が起こる。そして、
最も彼の思っていたことは後に現実となる。本来ありえなかった世界からの来訪者により、世界は混沌へと突き進む。
「僕は君達の記憶が戻るのを待つとしよう。そして、彼らが動き出した時、太極への道は目の前だ」
アサキムは自分を封印した者達の、記憶が戻ることを期待しながら、その時を待つことにした。
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第一話
スランプとスパロボZ天獄編のプレイ、リアルの忙しさから大変遅れました。
一応天獄編はクリアーしました。アサキムの正体に少し驚きました。最もそれ以上に問題なのはこの作品ではセツコのスフィアを奪ってしまったこと……。ネタバレになるので、詳しいことは書きませんがどうしよう……。
いっそのことアサキムを仲間に加える手もあるけど、それはそれで原作崩壊確実ですし……。
新多元世紀0001年4月10日。アサキムは第2新東京市に滞在していた。
その理由は次元境界線の固定によるエタニティ・フラットが構築され始め時獄戦役の始まりを告げるので、その始まりを見届ける為だ。
彼はこの日まで世界各地を放浪して、色々なことをしていた。クロノのキングの秘書をしている、クィーンと接触したり、プラントやコロニーを訪問して閉ざされたコロニー空間の空気を直接観察したりするなど世界を見て回っていた。
L3コロニーではデキム・バートンがMSを密かに製造して、世界を支配する計画を建てていたが、あまりにも稚拙な計画に成功の可能性は低いといえる。しかし、本人は成功すると確信しているようで、不平分子を集めて蜂起するタイミングを待っている。この様に地球と宇宙両方で不穏な空気が漂っていた。
(君が夢見た未来は遠いね。エルガン・ローディック)
人の可能性を信じ、最後は彼らに人々の運命を託して、自らの運命に終止符を打った人物を思いだしながら、喫茶店で紅茶を飲む。
そして、次元震が起こり、サイデリアルの自律機動兵器が姿を現す。この機体が出た後、すぐにジェニオンが召喚されて、パイロットが乗り込んだのか敵機に向かって行った。
「精々足掻いてくれ。彼はいがみ合う双子を己の物にできるかな?」
この世界では俺はZONEに封印されていない。だから、ガデライト・メオンサムが出てこれば、いがみ合う双子を手に入れることは可能だ。こちらにはそのスフィアの力を無力化できる偽りの黒羊があるのだ。戦闘になればスフィアの力を無力化してしまえばいい。原作のアサキムはスフィア・リアクターとして不完全の存在だが、俺が憑依・転生したせいか、完全なスフィア・リアクターになる資質があったが。
色々と考えている内に、ジェニオンとミスリルのAS、VFの部隊によって敵機が全て撃墜されていた。
「偵察部隊ではこの程度が限界かな。まあ、彼らを本気で相手にするのならそれなりの数が必要だけどね」
最もサイデリアル本隊の戦力はこの比ではない。
彼らが本気でこの星の制圧に乗り出せば、あっという間に地球連邦の防衛網は突き崩される。
(今は復興を優先しているから軍縮しているせいなんだけどね)
再世戦争は各地に悲惨な爪跡を残している。
その復興だけでも金が莫大にかかるのに、壊れた機動エレベーターの修復、遺族への補償金の支払い等で、地球連邦の財務官僚たちは多大なストレスを受けており、胃薬が必須となっているらしい。その為関係各部署は原因を作ったアロウズとブリタニア・ユニオンに対して呪詛を吐いているものもいるらしい。
「まあ、リボンズなんて愚か者に従った結果だから自業自得だけどね。それにしてもZEXISのみんなは自分達の行動で不幸になっている人達のこと考えているのかな?」
原作では多くの人々のことを考えて行動している。これは紛れもない事実だ。というか、各作品の主人公が、どこぞの某大国の様な行動を支持していたら物語として成り立たないけど。
しかし、その反面不幸になっている者達も少なからずいる。彼らが支持する為政者と敵対した者達が主な被害者だろう。
「所詮正義の反対は正義。力のある奴が正義という事実は生物が誕生してからずっと変わっていない」
だから、俺は敗者にはならない。必ずスフィアを全て集めて太極に至ってみせる。無論スフィアを全て集めなくても、この呪いを解く方法も探しているけど、ここまで来たら突き進むだけだ。
「……色々考え事をしている間に終わったようだね」
アサキムは爆音が止んだあとカップを皿に置き、店を出る。
「精々足掻いてくれ。僕は僕でそろそろ行動を開始するとしようかな」
蒼の星で自分を知っている人間は全員記憶を失っているから、動くには問題ないけどここでやることなどほとんどない。
(翠の星にでも行こうかな。シュロウガと今の自分の力なら行くことは容易だし)
翠の星ではクロノ改革派であるアドヴェントが動いている。時の牢獄が壊れるまでの暇潰しにはなるだろう。ついでにスフィアを完全に使いこなすための作業も行うつもりだ。
「でも、悲しみの乙女のスフィアが向こうにない以上、セツコ達は彼に対抗できるかな?」
サイデリアルが強くなりすぎると彼らの所有するスフィアを奪取しづらくなる。だから、彼らには是非奮闘してもらわなければいけないのだが、このままでは翠の星でセツコ達はやられてしまい、彼らの本格的な侵攻に対抗できなくなるかもしれない事態に頭を悩ます。
悲しみの乙女のスフィアを返す方法とかあればいいのだが、自分が知る限りそんな方法はない。
(一番いい方法はセツコ達と共に戦うことだけど、それは正直難しい。一応スフィア・リアクターを撃墜してもあまり恨まれないように連邦政府に所属しているけど、セツコを撃墜した以上本人は元より彼女と親しい関係である人物から蛇蝎の如く嫌われている)
特にシン・アスカと勝平は癇癪を起したガキのように喚き散らすだろう。最もシンはともかく、勝平は完全にガキなのでこっちとしては徹底的に無視するつもりでいるが。
しばらく思案したが、取り敢えず翠の星に転移してアドヴェントを見つけ出して、完全なスフィア・リアクターになる為の作業を行うことにした。今ならしばらく復活できなくても、サイデリアルの本格侵攻に間に合うし、アドヴェントを葬る機会もあるかもしれない。
「さっそく翠の星へ転移しなければいけない。それと偽りの黒羊の力を使って僕だとばれない様にしないと」
人の気のない場所に移動してシュロウガに乗り込み次元転移を使って時の牢獄から脱出した。
アサキムが翠の星に向かった頃現地では、サイデリアルが軍を送り込み本格的な制圧に乗り出していた。
しかし、その星には嘗てアサキムやガイオウ等を打ち破った部隊のメンバーが幾人か存在しており、独自に活動しつつその侵攻をわずかに遅らせていた。
「……まずは、アドヴェントだ」
正直今から実行する方法はやりたくない。いくら俺が不老不死でも痛みはあるから機体ごと撃墜されれば、凄まじい痛みを受ける。その時の激痛はこの世の物とは思えない想像を絶する痛さだった。
もう二度と体験したくないのだが、これからの戦いに備えて機体のパワーアップは必要。覚悟を決めるしかない。あいつらにやられるのは御免被りたい。
アサキムはアクスプレスを見つけるべく翠の星の探索を開始した。
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第二話
スランプから回復できない……。
翠の星を探索して三日が経ち、遂にアドヴェントとアクスプレスを発見した。しかし、連れてきた部下とセツコとランドも一緒にいた。
(アドヴェントはセツコがスフィアを失っているのになぜ共に行動している? 彼にとって彼女はすでに必要な存在ではないはずなのに?)
アドヴェントの不可解な行動に頭を悩ませつつ、彼らの戦いを遠くから観戦する。
彼らはサイデリアルのギルターという小物指揮官率いる部隊とやり合っている。しばらく遠くから観察した結果、例のサイデリアルのリアクターも一緒にいたので接触はかなり慎重にならざるを得ない。
(ZONEから出たことはサイデリアルにばれているはずだ。だが所在までは掴めていないはず。だから、リアクターがスフィア搭載機に乗っていない以上出て行くわけにはいかないな)
結局ばれない位置から彼らの監視を続行するしかなかった。
しばらく経って戦闘が終了。彼らは戦後処理を行った後、戦艦でその場を去って行った。
彼らに気付かれないように後をつける。スフィア・リアクターやアドヴェントに感知されない距離なので、かなり追跡に難儀した。
夜になり、彼らもこれ以上の移動は危険だと判断したのか、ジャミングをかけて地面に着陸させた。
俺も食事を摂り、今日の追跡はここまでにしようと思い寝ようとしたが、それをぶち壊す変事が突如やって来たからだ。
「……アクスプレスがこちらに向かってくる」
自分に烙印と呪いを与えた張本人の一人が、愛機共々こちらに飛んでくるのだ。接触は当分無理だと思っていた矢先のことだったので、一瞬思考が停止してしまったが逆に好機だと捉えることにした。
態々向こうから出向いてくれるのだ。精々利用させてもらうことにした。
「取り敢えず戦艦から遠く離れた場所へ行くとしようか」
シュロウガをセツコ達が寝泊りしている戦艦の反対方向へと飛行させる。彼女達が万が一気付いて救援にでも来られたらやっかいだし、自分が復活したことはまだ悟らせたくない。
アドヴェントが漏らす可能性もなくはないがその可能性は低い。彼は自分の目的の為にも手駒である俺の機嫌を損ねたくはないはずだ。少なくとも時の牢獄が破壊されるまでは沈黙するだろう。何より自分に恨み骨髄であるアサキムの元に単機で、しかも味方が容易に来られない地点まで追いかけてくるのだから、余程一度接触したいらしい。だから、その願いを叶えてやることにした。
一体何を話しにくるのか楽しみだ。もし、ふざけたことを口にしたらそれ相応の報いを与えてやろう。
「僕に何の用だい?」
「そんなに邪見にしなくてもいいではないか。君も僕達に何か用があったから監視していたのだろう? 最も君だと特定するのには苦労したのだから」
やはり、アドヴェントには自分が監視をしていたことはばれていたらしい。
それにしても、監視に気付いた時点で俺だとわかっていたくせに白々しい。その機体越しでも見えてしまう、その作り笑顔がまじで腹立つ。
「くだらない挨拶はいい。僕だとわかっていたのに一人で来るその考えが己を窮地に立たせることになるのだからね」
ディスキャリバーを召喚してアクスプレスのコクピットに突きつける。
それに対してアクスプレスは武装も出さずに、戦闘態勢を取ることすらしない。
「君に協力を仰ぎたい。色々と彼らに思う所はあるだろう。だが、今は共通の敵を優先すべきではないか?」
笑顔でかくも正論を語りかけてくるが、その厚顔無恥の申し出に呆れるしかない。そもそも、サイデリアルの侵略行動を望んでいるのはお前もだろう?
アドヴェントの妄言ともいえる言葉に反論したくなるが、それを咄嗟に呑み込む。言っても無駄な上彼は反省等する気もないことがわかっているからだ。そうでなければ俺(アサキム)に呪いを与えたりはしない。
その本人は俺の気持ちに気付いていないのか、正論に加えてメリットも提示し、時には冗談も交えつつ俺を取り込むべくあの手この手で勧誘してくる。最も大半は聞き流している。
「……というわけで、君も私達の仲間に加わってほしい」
「君の仲間に加わる? 随分と面白いジョークだね。君は僕と彼らの関係を知らないわけではないだろう?」
アドヴェントに自分と彼らの関係を理由に彼の申し出に断るをいれる。
「問題ない。彼らも自分達に協力するのなら君の所業にも一時は目を瞑るだろう」
「……」
UCWではちゃんと組織に所属していたが敵だった。しかし、戦争中なので敵を討つことは当然であり、そのことで恨まれる筋合いはない。
更にADWでは一応立場上友軍として行動してきた。ユーサーを討った時も一応彼らに連邦軍所属している証拠として、友軍コードを送って自分からは戦う意志も見せていなかった。
あれ? 正直、あまり悪いことしてないよな? 無差別に襲っているわけでもないし、ADWに至っては友軍だったにも関わらず、敵(ユーサー)を撃墜しただけなのに非難された挙句攻撃してきたのだから、寧ろ彼らも裁かれて非難されるべきだと思う。
しかし、一応こっちも好き勝手やって来た自覚はある為言い返さない。
「いくつかの条件がある。それを叶えてくれれば考えてあげてもいいよ。最も彼らの方が望まないかもしれないけど」
「何かな?」
「君の機体の真の姿を見せてくれないか?」
「! ……いいだろう」
アドヴェントが頷いたのを見て思わず心の中で微笑む。
これで完全にスフィアを使いこなすリアクターになることができる。おまけに原作よりも一個余分に所持しているから、機体性能もその分強化されると思う(たぶん)。
「それではやらせてもらうよ」
「ああ」
アドヴェントは乗機を変形させ、アクスプレスの真の姿を解放した。
機体から発せられる圧倒的な力は、シュロウガへと襲いかかり自身も力を受けて激痛が走った後、意識が徐々になくなっていき暗転する。
「これで……いい。あとはその刻を待つだけだ」
シュロウガはアドヴェントの前で爆散する。
そして、搭乗者諸共この世界から気配が消え去った。
「アサキム・ドーウィン。君の願いが叶えられるときは近い。それまでに復活することを祈っているよ」
アドヴェントは爆散し墜落していくシュロウガを見ながらそう呟くのであった。
(……カオス・コスモスの景色が浮かぶ……そして、これが至高神の力か……)
ZONEに封印されているときも感じたが、源の力は相変わらず凄まじい。これを制御できれば何でもできるという考えが浮かんでくる。
五つのスフィアのリアクター並びに、全てのスフィアを使いこなす為源の力の流れを体得すべく、至高神の力を受け止めていると、何者かの気配を感じた。
(悲しみの乙女が反応している。あの女か……相変わらず己を慰める為に、後悔と哀しみに明け暮れているようだね)
本当に後悔しているのなら今すぐ呪いを解いてほしい。しかし、あの女は主体的に動くことがないので最初から当てにするつもりはない。
「あなたはやはり私達を許してはいないのですね……」
「そうだ。そして、次目覚めたら復讐と解放という狼煙があがるだけだ」
自分に話しかけてくる者に恨みを込めて言い返した。
あいつ等を許す気はない。そうでないとスフィアを集めている意味がないし、これまでの放浪の旅が無駄になる。
「精々己の住処で待っているといい。僕は必ず君達に裁きを与える」
そう言った直後眠気のような物が襲いかかり、意識が遠くなっていくのを感じた。
次に目覚めた時こそ本格的に動くとき。それまで精々上から見下して満足していろ。自分を利用したことを心の底から後悔させてやる。
「彼がしばらく行動不能になった?」
「はい。彼自身がこの前来た連絡でそう言っていました」
「そうか……彼を利用する計画は廃棄するしかないな」
「そうですね。もし、彼から連絡があればすぐに伝えます」
「そうしてくれ」
クロノトップであるキングは秘書であるクィーンにアサキムの状況を把握するように命令を下すのであった。
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第三話
主人公はタグ通り自分の幸せが最優先です(要するに自己中な所があります)。アサキムに憑依して更に悪化しているかもしれませんが。
スランプなので次の更新日は不明です。
(シュロウガ……僕を〇〇〇した物。自らの行いを悔いるのなら、僕と一体となりシンカするしかない)
完全復活する前に、自分の愛機であるシュロウガと話し合うことで更なるパワーアップを目論んでいます。何故こんなことをしているかというと、源の力を受けたことで自分(アサキム)の正体に気付いてしまったからです。
それを知った時はさすがにショックを受けてしまい、虚しくなってしまい自暴自棄になりそうだった。何せ今の自分はアサキムである。アサキムの気持ち等は当然ダイレイクトに心に伝わってくるので、精神的ダメージは凄まじかった。
そして、自我崩壊を起こしかけたが、自分が憑依したことにより生命体として昇華したことでそれを乗り越えることができた。
(俺という存在が中に入ったことにより、全ての条件はクリアーされた。あとは突き進むだけだ!)
真実を知っている存在として、御使いを滅するのに躊躇いはない。彼らを倒さなければ本当の意味で自由に行動することもできない。奴らを確実に始末する準備は
(意識がクリアになっていく……目覚めの時は近いか……。それまでにシンカを体得してみせる!)
自らの復活が近いことを悟り、その時を静かに待つことになった。
アクシズが蒼の地球の間近に接近している頃、ある場所で俺は覚醒を果たした。
「ここは……現実世界に引き戻されたか」
アドヴェントのアクスプレスの真の姿・ヘリオースの攻撃で撃墜されるという計画が、予定通りに進んだことを思い出しながらシュロウガの中で目覚める。
「状況確認の為にクィーンに連絡を入れようか」
クロノのクィーンに連絡を入れる。
しかし、通信が繋がらなかったので、とりあえず復活したことだけを伝言しておきシュロウガを飛びたたせる。
「シュロウガも完璧だ。シンにいつでも進化させることができる」
何よりの収穫は主人公達が至ったシンカも可能になったことだ。最もシュロウガをシュロウガ・シンにしてからではないとできないという制約もあったけど。
「今から宇宙に行っても間に合わないな……ラース・バビロン付近で待ち伏せるとしよう」
いがみ合う双子の奪取は今回諦めて、サイデリアルのスフィアを狙うことにした。
「すぐに身を隠すとしよう……幸い今なら奴らも探しに来ないだろう」
呪われし放浪者はシュロウガと共に、その時が来るまで身を潜めるのであった。
その頃、宇宙ではジェミニスとZ-BLUEの決戦が行われていた。
その戦いは凄まじかったがZ-BLUEが数と連携で押していき、ジェミニスが追い詰められる。しかし、ジェミニスの隊長であるガドライトは、スフィア搭載機であるジェミニアの力で抵抗を試みた。
Z-BLUEの面々はアドヴェントからいがみあう双子を無力化するには、嘘を司るスフィアが必要だと聞き、ジェミニアに止めを刺すことができないことを理解して内心焦り始める。
しかし、アドヴェントがリアクターであるガドライトの相反する感情を、捨て身の特攻により崩すことに成功したが、その代償して彼は乗機ごと爆散してしまった。
それを見たジェニオンのパイロットであるヒビキが激昂してガドライトを追い詰めるも、無茶をしたツケによって機体が停止してまったが、その瞬間彼の中の相反する感情がジェミニアから動力であるスフィアを奪取、機体は再稼働してジェミニアを撃破することに成功し、ジェミニスとの戦いに終止符を打つのであった。
「そう。彼らはサイデリアルの刺客を退けたんだ」
『ええ。何でもジェミニスの隊長機からスフィアまで奪取したとか。彼らは今束の間の休息を楽しんでるわ』
現在クロノのクィーンと会話中だ。原作通りに状況が進んでいるかどうか確認する為だ。
無論話題はZ-BLUE関連。彼らが現在何をしているのか把握して対処する為にも情報が必要だからな。
「キングはどうしている?」
『絶望と憤りを口にしていたわ。何せ今までやってきたことが全て水泡に帰したのだから』
クィーンはキングの考え等如何にもどうでもいいという感じだ。
(彼女にとってはこの多元世界は憎むべき物でしかないからな)
彼女は男なら思わず欲情してしまう扇情的な衣装を着ているから一見不真面目に見えるが、本質は職務にまじめな軍人だ。しかし、この多元世界が生まれる切っ掛けを作った現場に居合わせた結果、部下を全員失うことになった。その為、原因を作った同じ特異点である桂木とオルソンを快く思っていない。
(でも、トライア博士に協力してサイデリアル打倒に協力しているから、結局軍人としての自分を捨てきれなかった……そんな真面目なところはかわいいよね。彼女)
彼女は全てが終わったら次元ゲートの管理委員を引き受ける。結局この多次元世界で縁を捨てきれないのだろう。尤も自分は異世界に旅立つつもりなので、彼女がどういう道を選ぼうがどうでもいいけど。
「じゃあ、また何か聞きたいことがあれば連絡するよ」
『やっぱり、やめるつもりはないのね……』
「それだけは譲れない。僕が僕であるために」
御使いをすでに始末する計画は始動している。計画を止めれば、今までアサキムとしてやってきたこと全てが無意味になってしまう。問題はあいつらを始末した後だけど。
『あなたが本懐を成すことを祈っているわ』
「君も君が思うがままに人生を歩むことを願っているよ」
アサキムらしい言葉を送った後彼女との通信を切った。
「さてと……アドヴェントが一時消えたということは、僕も移動を開始するか」
御使いである彼に自分の位置を把握されるのはあまりいいことではない。何せ自分を吸収するつもりでいる変態に、自由を奪われるのはごめんだ。
「時の牢獄が破壊された以上、サイデリアルの侵攻が始まるだろう。今の内に敵の懐に潜り込んでおく準備をしつつ、遊ぶとしようかな」
潜伏する場所は無論ラース・バビロンの周辺だ。この場所でひたすら暇をつぶして動くときを待つ。
潜伏している間は本を読んだり、ゲームをしたりして自堕落に過ごすつもりだ。無論アドヴェントに見つからないように注意しなければならないが、それまで束の間の休憩を楽しむことにする。
何せサイデリアルが本格的に侵略を開始したら、物価上昇は勿論嗜好品も入手しづらくなるし、娯楽施設等も閉鎖されるかもしれない。更に全てが終わったらこの世界から去るつもりだから、今の内にこの世界で遊ぶのも悪くないだろう。
「はぁ~。単純にこの世界の住人に生まれ変わったのなら、少しは気楽に生きられたのにな……。敵に転生なんてするもんじゃないな」
悪役に憑依するなんて最も最悪な状況に置かれているが、その境遇を嘆いて引き籠ることもできない。
アサキムの境遇ってほんと辛すぎる……。好きな事しつつスフィア集めないとやってられない。
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