東の海の八雲家 (月詠朧)
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第1章 イーストブルーデイズ
一話 八雲家、始動する。


久々にワンピースの作品見てたらぐーやのヤツの新話来てて嬉しくなって書いちゃった。
フェアリーテイルの方書かなきゃいけないのに何やってんだろ・・・

なお、一応の設定を教えてほしいという声が多ければ、設定の方もそのうち書くと思うです。




 ――ローグタウン 処刑台――

 

「俺の財宝か?欲しけりゃくれてやる。さがせぇ!この世のすべてをそこに置いてきた!!」

 

――――時は大海賊時代。かつて、この世のすべてを手に入れたと言われた海賊王『ゴールド・ロジャー』が処刑される間際に言い放った言葉は、全世界の人々を海へと飛び出させた。

 

 が、とある場所。

 面白そうな事に興味があれど財宝には微塵も興味などが無い、胡散臭い少女は逆に引きこもることにした・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 海賊王と呼ばれた、ゴールド・ロジャーが処刑されてから早いもので二十数年。

 

 

 

――ここは東の海(イーストブルー)にあるとある無人島。

 

 

 豊かな自然と、動物たちがいる以外には何もないこの島には、なぜか無人島にはある筈のない、立派な家が建っていた。

 どうやって作ったのか、あるいは持ってきたのか。そこの家には、3人の少女が住んでいた。

 

 ちなみに現在の季節は春の終わり。島に咲いていた桜が散り既に青々とした葉をつけている。

 しかしこの家の主であろう少女は、布団にくるまり動く気配はない。

 耳を澄ませばかすかに寝息が聞こえてくるので、眠っているのだろう。

 

「・・・り・・・ま、(ゆかり)様!」

 

 そんな彼女を起こそうと、声をかけながら体を揺する人影が一人。背中にはモフモフした金色の尻尾が9本、ゆらゆらと揺れている。

 

「いい加減起きてください。もう春ですよ?いい加減布団から出てください。春になったらこの世界を見て回る、っと言われたのは紫様じゃぁないですか。すでに春も終わり、もうすぐ初夏だというのにいつまで冬眠されているおつもりですか」

 

 彼女の名前は八雲(やくも) (らん)。主と同じ八雲(なまえ)を与えられた従者である。

 

「んんぅ・・・後1ヶ月ぅ・・・・・・」

 

 しかし主はまだ1ヶ月は寝かせろと言い始めた。

 余談だが、彼女が冬眠し始めてから既に5ヶ月半。まだ寝足りないというのかこのB「あ゙あ゙ん゙!?」げふんげふん。

 

「ふぁぁ~・・・今、何か聞こえた気がしたわ。まぁとりあえずオハヨウ、藍」

 

 どうしたものかと藍が考えこんでいると、聞き取れない声でブツブツと何かをつぶやいた後、ようやく寝ていた彼女が動き出した。

 

「おはようございます、紫様。とりあえず、居間の方に朝食を用意しております。」

「準備がいいわねぇ。さすがは私の従者、頼りになるわぁ」

「お褒めに預かり恐縮です」

「そういえば、ご飯のおかずは何かしら?」

「周りの海でとれた魚の塩焼き、ほうれん草のおひたしと大根の煮物、それに油揚げのお味噌汁です」

「あら、やっぱりお味噌汁はお揚げ入りなのねぇ」

「そりゃ私の好物ですし。せっかくのご飯が冷めてしまいますし、早く行きましょう紫様。話は朝食を頂きながらいたしましょう」

 

 えぇ、っと答えながら軽く伸びをして、枕元に置いてあった扇子を持つと彼女――八雲(やくも) (ゆかり)は扇子で目の前の何もない空間をなぞった。すると、その扇子の動きに合わせてなぞられた空間が文字通り『裂けた』。

 

「さぁ、早く行きましょう。お腹ペコペコだわ」

 

 そう言い放ち、さっさと紫は裂け目の中へ入っていく。

 裂け目の中からたくさんの目が見える、一般人から見たら気持ちの悪い見た目ではあるが、藍は気にすること無く頷き、主の後を追い裂け目の中へ入っていった。

 

 

 居間。

 テーブルの上には、日本でよく見るような和食の数々が並んでいる。

 そのテーブルの前には、特徴的な尻尾と猫耳を生やした小柄な少女が座っていた。

 

「藍さま達、まだかなぁ~。早くこないと冷めちゃいます」

 

 猫耳をピコピコと動かしながら、自分の主人たちの到着を待つ彼女の姿はカワイイの一言につきる。彼女の名前は(ちぇん)。八雲家の従者見習いである。

 そんな彼女の右隣の空間が、突如として裂けた。

 いきなり裂けたことにビクッとしたものの、直ぐに気を取り直し裂け目から出てくる主人たちを出迎えた。

 

「おはようございます。紫様、藍しゃま」

「おはよう橙、元気そうで何よりだわ」

「いきなりスキマが出来た時のちぇんのビクッとした顔かぁいいなぁ写真とったし部屋に飾っておこう」(おはよう橙。紫様もやっと起きたし、ようやくこの世界を見て回れるぞ)

「らーんー?思ってることと喋ってること反対になってるわよ?」

 

 しかし藍は花から愛を垂れ流しながら話を聞いていない。ダメだこれは。

 藍が自分の世界から戻ってくるまでの間に、橙が朝食の配膳を始める。藍が自分の世界から戻ってきた頃には、配膳は終わっていた。

 

 

「さて、配膳も終わったし、藍も戻ってきたし、いただきましょうか」

「「「いただきます」」」

 

 他愛のない話をしながら食事も滞り無く終わり、今は世界を見て回ることについての話をしている。

 

「それで紫様。なぜ今ごろになって、世界を見て回ることにされたのですか?私としては前々から、ちぇんにこの世界を見せてあげたいと思っていたので、ありがたいのですが」

 

 藍の疑問は至極まっとうな疑問であった。

 なにせ彼女達がこの島に住み始めてから既に二十年ほど。その間、島から出ることはせずにやることといえば、島や近場の島の町に近づく海賊共を彼女の能力を使って攫うこぐらいしかしていなかったのだ。冬になれば冬眠もするし、それ以外の時も1日12時間ほど眠っていたし。

 

「少し世界が面白くなりそうだからよ、藍。ロジャーやそのライバル達は面白い奴らが多かったけれど、最近はレベルの低い面白くなさそうな奴らしか居なかったから、動く理由がなかったのよ」

「なるほど。つまり世界を見て回ると言うよりは、面白そうな者達が起こす騒動を見物しようって訳ですか」

 

 つまり面白そうな事に首を突っ込みたいだけという事。随所野次馬である。

 

「それに毎日ココに帰ってきて眠りたいから、毎日ほとんど日帰りにするつもりよ」

「紫様の能力を使って、ですか。直接島に向かわれるのですね?・・・風情がない(ボソッ」

「らーんー?聞こえてるわよ―?まぁ、何日か泊まりにするし、もしかしたら空島とかにも行くかもしれないし、いいじゃない。それに、船旅がしたくなったら船旅もするわよ」

 

 この世界の基本的な移動手段は船である。が、彼女たちはプチ旅行的なノリで会話をしている理由は、八雲 紫の悪魔の実の力(のうりょく)にある。

 

 ヒトヒトの実 幻獣種 モデル『スキマ妖怪』

 

 ゾオン系の実は純粋な肉体強化が普通なのだが、幻獣種には特殊な能力が付いている。彼女の食べた実の能力は「境界を操る」能力である。

 ざっくり説明してしまえば、空間の境界を弄ることで裂け目を作り空間と空間を繋げることが出来たり、光と闇の境界を弄ることで完全な暗闇にしたり光で満たしたり、やろうと思えば他の悪魔の実の能力を封じ込めたり、果てには能力者であるはずの彼女は、弱点と長所の境界を弄ることで海で泳ぐことすらできるという常識はずれの能力者である。何それチート。

 

「それで、紫様ぁ。最初の目的地はどこにするんでしゅか?あぅ~噛んじゃった」

(噛んだ!ちぇんが噛んだ!かぁいいなぁ♡)

「最初の目的地は、ここ東の海(イーストブルー)にある海上レストラン『バラティエ』に行くわ。最初っから遠出して面白いところにいっても後々つまらなくなるだけだもの。それに、観光も兼ねているからね」(藍の教育間違えたかしら・・・?)

 

 

 かくしてこの日、彼女たち八雲家の面々は、一人は面白い事を見るため、二人は世界を見て回るために動き出した。

 




というわけで、プロローグですね。
本格的な野次馬開始は次回以降になります。

紫様の胡散臭さを出せるかこの先不安でしょうがない・・・

自分で書いていて思ったんですが耳をピコピコ動かしてる橙を思い浮かべて悶えたですよww
橙のかぁいいよ橙。
あと、藍しゃまの尻尾もふもふしたい。

あ、設定知りたいって人がいたらご連絡ください、書きますので。

誤字脱字等ありましたら、ご報告よろしくお願いいたします。
感想や意見もいただけると喜びます。
あとあと、こういう書き方してみてよ!とか言われると頑張るかもしれません。

―追記―
フェアリーテイルの方は、予定では今月15~20日あたりに更新できると思います。
何もなければですが。



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二話 八雲家、魚人観察+賞金稼ぎをする。

少し、地の文が少ないです。
会話多め。


「さてと、今後の予定も大体決まったことだし、早速海上レストラン『バラティエ』に行きましょうか」

「っと、言われましてもですね紫様。先ほど朝食を食べたばかりなのですが?」

 

 先ほど皆でご飯を食べたばかりである。ご飯を食べてすぐにレストランでご飯……どこぞの亡霊姫なら余裕で食べに行くのだろうが、生憎彼女たちはブラックホールのような胃袋をしているわけではない。

 

「それもそうね。藍、今は何時かしら?」

「10時を少し過ぎたくらいですね。昼食まで少なくとも後2時間は経たないとやはり食事は難しいかと」

 

 そもそも、ちょっと遅めの朝食であった。理由はもちろん紫が中々起きてこなかったからである。

 

「そうなると少し暇ねぇ。それじゃバラティエに行く前に、少し他の場所にでも見てきましょうか」

「そうですね。それでは何処に行きますか?」

 

 そうねぇっと呟きながら、紫はスキマを広げた。近辺に何か面白そうなことはないかと空間をつなげて見ているのだ。

 しばらくすると紫はスキマを閉じ、口元を広げた扇子で隠しながら一言。

 

「近くに海軍の英雄、ガープが来てるみたいだし挨拶にでも行きましょうか。お茶とお茶請けぐらいは出してくれそうだし、久々に少し話したいしね」

「紫様はガープ中将とお知り合いなので?」

「えぇ、この島に住む前に何度か会ってお茶したこともあるし、戦ったこともあるわ」

 

 唯一外の世界の知識が殆ど無い橙はコテンと首を傾けながら、頭の上に?マークを浮かべている。

 

「えぇっと?ガープ中将ってどういうお方何ですか?」

「あぁ、ちぇんは知らなかったね。ガープ中将は悪い海賊たちをいっぱい捕まえたすごい人なんだ」

「なるほどぉ!じゃあ、そんなすごいお人と知り合いの紫様もすごいお人なんですね!」

 

 実際のガープは仕事を部下に丸投げしてサボるサボり魔であり、その知り合いである紫もやっぱりグータラなのでそんなにすごくはない。実際に会った場合、拍子抜けすること間違いなしである。

 

「でも橙と藍が面識がないから、会ってもしょうが無いわね。どうせこの先機会はそれなりにあるだろうし。どうせなら、あんまり会う機会のない魚人でも見に行きましょうか」

「魚人島に行くつもりですか?」

「いいえ、違うわ。魚人島はもっと後で行くつもりよ。最近この辺にやって来た魚人がいるのよ。確かココヤシ村の方だったかしらね?」

「となると、アーロンですね。ノコギリザメの魚人の」

「えぇ、そうね。アーロン程度なら襲われても橙でも勝てるでしょうし、アーロンパークってのもの見てみたいのよ。後、今後の資金に賞金首を一人倒しておきたいっていうのもあるわね」

 

 彼女たちの生活はほとんど自給自足であるため、お金はほとんど持っていない。3人で食事を一回する程度分ぐらいしか持っていないのだ。まぁ、紫の能力を使ってしまえばどうにでもなるのだけれど、彼女はそれを良しとはしないのだった。

 

「では、アーロンを倒して海軍に引き渡し、資金を調達する方向で行きましょうか」

「いいわ、それで行きましょう」

「はい!」

 

 こうしてアーロン達、魚人海賊団の運命は決まった。

 突然裂けた空間から現れた、下等種と見下していたはずの人間のガキ3匹(見た目はガキでも中m(ry )によって十分程度で壊滅させられてしまった。唯一ハチだけは海軍のネズミ大佐を送り届けていた時だったため難を逃れたのだった。

 

 魚人たちが飲み食いして騒いでいたところに、スキマが開き3人登場。突然のことに魚人たちは固まってしまうが、アーロンとその幹部たちはすぐに正気に戻り、

「下等種がこのアーロンパークになんのようだ?」と、問いただしたが無視される。

 3人は魚人の見た目や特徴がどーのとか、水中では動きが三倍にほどになりまるで流星のようなスピードが出るだとか、と軽く喋った後に紫が扇子を広げて口元を隠しながら一歩前に出て、魚人たちに話しかけた。

 

「はじめまして、魚人の皆様。わたくし、一昔前に『神隠しの主犯』などと呼ばれていたものですわ。本日あなた方に会いに来た理由は2つ。わたくしの従者の教育のために魚人を見に来ましたのと、これから少し世界を回るので貴方に懸かっている賞金をいただこうと思いましてやって来た次第ですわ」っと。

 

 これを聞いた魚人たちは怒り狂って3人に襲いかかろうとしたが、アーロンに止められた。

 

「なんで止めるんですか!アーロンさん!こんな下等種共の相手なんか俺達で十分ですよ!」

「馬鹿野郎共が、奴は俺を指名してるんだ、お前らは下がってそいつらが、俺と幹部たちにボコボコにされるのをみてればいいんだよ!シャハハハハ!」

 

 その言葉を聞いて、ニヤニヤと笑いながら魚人たちは下がった。

 

「あら、ずいぶん紳士的なのね。もっと卑劣な方かと思ったのですけれど。さて、橙、藍。私がやるから下がってみてなさいな。この後レストランにも行かなきゃいけないし、時間が無いからすぐ終わらせるわ」

「俺たち魚人を相手取るのにずいぶんとなめた口聞くじゃねえか!こっちがすぐに終わらせてやるぜ!」

「フフフ……私と対峙した時点であなた方の勝ちはありえませんわ。さぁ眠りなさいな」

 

 戦闘開始からは一瞬だった。そも戦闘と呼んでいいのか怪しいものであったが。

 アーロンたちが動き出した瞬間に、紫は右手をスッと左から右へと動かした。それを合図に魚人たちは全員突然苦しみだし、次々に気を失っていった。能力を使って空気と真空の境界を弄り、呼吸困難にして気絶させたのだった。

 

「はい、おしまい。さぁ藍、橙、運ぶわよー」

「了解いたしました」「はい!」

 

 そうしてここに来た時と同様に、スキマを開いて海軍の基地に行きアーロン一味をプレゼントして、懸賞金をいただくことに成功。

 ちなみにその基地にはガープもいて、その時こんな会話をしていた。

 

「はぁいガープ、元気かしら」

「んぁ?おぉ!紫じゃないかぃ!久しぶりじゃのぉ。丁度二十年ぶりぐらいか?」

「そうね、だいたいそのくらいじゃないかしら」

「それで、今日はどーしたんじゃ?」

「いえ、賞金首を一人捕まえたから懸賞金の回収と、あなたがいるッて聞いたから挨拶しに来ただけよ」

「そーかい、そりゃ律儀なことじゃて。そうじゃ!うまい茶菓子が手に入ったんじゃ。ちと食っていかんか」

 

 とか何とか。結局茶飲みで1時間半ほど基地に長居をしたのだった。

 

 そして現在、藍と橙が待っていた基地の近場の町。

 

「ずいぶん時間がかかりましたね?紫しゃま」

「いえ、基地にガープがいたのよ。それに茶菓子を薦めてくるものだからついつい……ね」

「ははぁ、まぁ友人のようですし仕方ありませんね。……しかし、紫さまの能力は本当におそろしいですね。」

 

 藍はつい先程のアーロンパークでの光景を思い出しながらつぶやいた。

 

「何言ってるのよ藍。その気になれば敵対したものを消滅させることだってできるんだから、今回は優しい方でしょ。まぁ時間があればもっと余裕を持ってキチンと戦ってあげれたのだけれど、レストランが私を待っていたものだから」

「紫しゃまこぁい」ブルブル

「大丈夫だよちぇん。紫様は敵対するものには容赦無く、面白くなるようにイジるし虐めるけれど、身内に優しいから」ナデナデ

 

 アーロンたちは犠牲になったのだ……レストランに行くための時間のためにな……後、お金のために。 

 

「さぁて藍。時間の方はどんなものかしら?」

「1時過ぎぐらいですね、ちょうどいい時間じゃないでしょうか」

「でもでも、お昼時ですから、混んでるかもしれませんよ」

「そうだねちぇん。ちぇんは頭が良いなぁ」ナデナデ

「あぅぅ……くすぐったいですぅ」

 

 このままでは、また藍が内なる世界へ旅立って戻ってこなくなってしまうと、紫は慌てて話をふる。

 

「ハイハイ、藍、橙!お腹も空いたしバラティエに行きましょう!」

「はぁぁぁ~やっぱりちぇんはかぁいいなぁ……ハッ!?わ、分かりました紫さま!」

「やっぱり藍の教育、間違えたかしらねぇ……とりあえず、その鼻から溢れ出る愛を拭きなさい止めなさい」

 

 こうして一行はグダグダしつつも当初の目的である、海上レストラン『バラティエ』の入り口にスキマを開いて向かったのだが。

 

 

――――たどり着いた先では丁度、轟音とともに巨大ガレオン船が海の藻屑にされている所であった。

 




茶会の後でガープがセンゴクさんに連絡を入れたそうです。

「センゴク!紫のやつが動き出したぞ」
「何だと!?ガープ!どういうことだ!」
「わしが罪人の護送のために、東の基地に居ったら奴が来よったわ」
「それで!?もちろんヤツを捕まえたんだろうな!」
「センゴク、アイツを捕まえられる奴なんぞ、この世界には居らんだろう事は分かっとろうに」
「それが海兵のセリフかバカモン!!それでも捕まえんかァァ!!」

とかなんとか。

誤字脱字、ご指摘ご感想等ありましたらご報告お願いします。


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三話 八雲家、戦闘を肴に食事をする

やっぱり地の文少ないです。
会話多め。


「まずはいつ沈むとも限らんボロ船を捨てて海上レストランを乗っ取れ。相手はチンピラ上がりのクソコック共だ。なめてかかって釣りが来る」

「オオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 時はガレオン船が海の藻屑となる少し前。

 海賊たちの墓場(グランドライン)よりなんとか逃げ帰って来たドン・クリーク海賊団の面々は、目の前にある魚を模した面白い見た目の船に襲いかかろうと雄叫びをあげていた。

 しかしその声はすぐさま悲鳴に変わることとなる。

 目標の船に飛び乗ろうと動き出したその時、『目の前の空間が裂けた』のを見た瞬間に、自分たちが乗っていたボロボロのガレオン船が砕け散ったのである。

 

「何が起きたァ!!」

「分かりません!空間が目の前の空間が裂けたと思ったら船が真っ二つになりましたぁ!!」

 

 何を言っているんだコイツは?空間が裂ける事など起こりうる筈がないだろうっと、レストランに目を向けると確かにレストランの入口辺りが紫色に裂けその裂け目からは無数の目が覗いている。

 

 

 

 

 レストラン側も船が砕け散った事と、目の前に突如現れた裂け目から3人、人が出てきたことに驚いていた。

 

 

「なかなか面白い見た目の船ねぇ・・・・・・後ろのほうがうるさいわね。何かあったのかしら?」

「どうやら我々が現れたと同時に船が砕け散ったようですね。津波が起きそうですがどうしますか、紫様?」

「大丈夫よ、どうせ大したことのない程度の波だもの」

「わぁ、おっきいお魚の船だぁ」

 

 やって来た3人は、周りの状況を確認しつつ思い思いに感想を述べあっている。

 と、不意に一番最初に喋った女性が目を細めながらガレオン船の後ろの方をみて、口元を持っていた扇子で隠し呟く。

 

「どうやら今日は懐かしい顔ばかり見る日になりそうね」

「またお知り合いですか?」

「後でいいわよ。向こうも気がついてるでしょうし、向こうから話しかけてくるわ。それよりご飯を食べましょう」

 

 そう言いながら店の中へと入り、ぐるりと店の中を見渡し食器の残っていない開いているテーブルへとソソクサと座った。残りの二人もそれに続く。

 それを見ていたグラサンをかけたコックの一人が3人へと問い詰めた。

 

「おいおいおいおい、突然現れてなんなんだアンタら!?」

「何って客よ、客。ここはレストランなのでしょう?なら、お客が来たのだから注文をとるのがレストランではなくって?」

「状況を見て物を言えよこのバb「死にたいのかしら?」スゥイマセンでした!お嬢さん!」

 

 グラサンをつけたコックは殺気のこもった目で睨まれ、泣きそうになりながらどうしましょう?っとオーナーであるゼフの顔を見るが、ゼフは驚きの表情のままやって来た3人の内の一人に近づき話しかけた。

 

「おまえは・・・・・・八雲紫か?」

「あらあら、やっぱり今日は懐かしい顔とたくさん出会う日みたいね。お久しぶりですわ、赫足さん。ここのオーナーが貴方だとは知らなかったわ」

「クソジイィ、こんなきれいなレディと知り合いなのか?」

 

 疑問に思ったのか黒い服を着たコックがゼフに問いただす。

 

「あぁ、お前と会う何年か前に何度かあったことがある程度だがな。まさか再び会うことになるとは・・・・・・おい、八雲!外の惨状はお前の仕業か?それと『アイツ』は一緒じゃないのか?」

「いやですわ、紫と呼んでくださいと前にも言ったじゃありませんか。『あの子』は今、グランドラインのとある島にいる事ぐらいしか知らないですし、外の事については私ではなく最強の剣士さんの仕業ですわ」

 

 口元を扇子で隠しながら紫は、外のほうを見る。

 その視線につられて全員がその方向を見ると、そこには小舟に乗った鷹のように目付きの鋭い男がいた。

 

「おいおい、ありゃ鷹の目じゃねーか!今日は千客万来だな。紫よ、お前が呼んだのか?」

「まさか。私がここにいるのは偶々、彼がここに居るのは・・・・・・大方、暇つぶしではなくて?とりあえず、赫足さん。私達はお客よ。お水と今日のメニューを見せて頂戴」

 

 紫は我関せずとメニューと水を催促する。それなりに面識があったのか、ゼフは何も言わずに水とメニューを持ってきた。

 

「んー・・・・・・とりあえず、今日のおすすめってのをお願いしようかしらね。藍と橙はどうする?」

「私は、紫様と同じものでお願いします」「わたしもー!」

「これからここは戦場になるんだが、あいも変わらず呑気だなお前は」

 

 やれやれっと首を振りながら厨房へ行こうとするゼフを周りのコックが止めた。

 

「オーナー!こんな時に何やってるんですか!」

「何って、客が注文をしたんだからメシを作りに行くんだよ」

「こんな時にですか!?船がなくなった以上奴ら全員すぐにでもこの船に乗り込んできますよ!?」

 

 その通りだろうが、彼らはそれどころではない。グランドラインから自分たちを狩るために追いかけてきた、化け物に驚き固まっている。が、もしそのまま戦闘が始まれば、その戦闘の被害がこちらにも及ばないとは言い切れない。

 

「大丈夫だ。外で戦闘が始まろうが、奴らが乗り込んでこようとしようが、この船に傷ひとつつくことはない。絶対にだ」

「なんでですか!?」

「この店の中に、八雲紫がいるからだ。奴は昔、俺の船に来て食事をしたんだが、その時海賊が襲ってきてな・・・・・・だが、奴等が食い終わるまで船は砲撃があたっても傷ひとつつかなかったし、海賊どもも船に乗り込んでくることができなかった。八雲紫は、悪魔の実の能力者・・・・・・境界を操ると言われている。詳しくは知らんがな」 

 

 一体どんな能力だというのか。悪魔の実の能力は様々だが、船に傷を付けずに、なおかつ船に海賊どもを寄せ付けないというのは・・・・・・

 

 

「とりあえず邪魔をするな。八雲紫の機嫌を損ねるのだけはやっては駄目だ」

 

 かなり震えながら喋るゼフのその言葉を聞き、コックたちは押し黙った。オーナーが大丈夫だというのだからしばらくは大丈夫なのだろうと思うことにしたのだ。そして、彼らは厨房へ行き三人分の『今日のおすすめコース』を作り始めるのだった。

 

 料理が3人の前にやってきた頃、外ではゾロVSミホークが勃発。3人はそれを肴に昼食を食べた。

 店の方は、ゼフが言ったとおり、戦闘の余波でおこる波も、飛んでくるガレオン船の残骸も、店に影響をあたえることはなかった。

 

 料理を食べ終わり3人は店の外へ出ると、戦闘もちょうど終わったところで、ゾロが海へと落ち、もう誰にも負けない宣言をしたところで、紫は気にせずミホークに話しかけた。

 

「あらまぁ、ずいぶんと派手にやったわねぇ。見ていたけど、あの子生きているの?」

「八雲紫、か。久しいな。ロロノアは生かしてある。しかし、こんな極東で出会うとは思わなかったぞ」

「それは私もよ鷹の目さん?でも、その子致命傷にしか見えないのだけれど・・・・・・まぁいいわ、それで今の戦闘で満足したかしら?」

 

 そう言いながら紫はスキマから傘を取りだし、そのままスキマに腰掛けつつ周囲に殺気をまき散らした。

 

「あぁ、久々に強き者と戦えたのだ、満足した。今日は帰らせていただく」

「つれないわねぇ、少しぐらい付き合ってくれてもいいじゃない」

「お前に付き合うと少し、で済まないから嫌だと言っている。そもそも今日は暇つぶしに来ただけだからな」

 

 ミホークは紫の予想したとおり、暇つぶしに来ていただけだった。

 

「気まぐれなのは相変わらずね。まぁ私も世界をまわりますし、そのうちまた会うでしょう。その時は一緒に戦い(あそび)ましょう?」

「気分が乗れば、な」

「まぁそれでかまわないわ。・・・・・・さてと、私達も帰りましょうか。藍、橙」

「かしこまりました」「はぁい」

 

 

 そのまま紫たちは喚くクリークを無視してスキマで島へ帰っていったのだった。

 

「「「なんだったんだあいつら・・・何しに来たんだ?」」」

 

 という疑問だけを残して。

 あとに残されたコック達とクリーク達は、彼女たちの入っていったスキマのあった場所を呆然と見続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、紫しゃま。バラティエのオーナーさんの前の船でご飯を食べたというのはどういうことですか?」

 

 先ほど、ゼフが言っていたことに興味が有るのか、島にある家に戻ってきてから橙が首を傾げながら紫に話を振る。

 

 

「ちょっと前、やんちゃしてた頃の話なのだけど。海の上をお腹をすかせた亡霊(ともだち)と一緒に彷徨っていたらどこからか美味しそうな匂いがしてきてね。それを辿って行ったら彼の船だったのよ。それで、その船に乗っておはなしをしてご飯を御馳走になったってわけ」

「へ、へぇ・・・・・・」(おはなしじゃなくてOHANASIしたんだろうなぁきっと)

 

 




ゼフとの会話に出てきた『アイツ』は出ます。出します。どこで出るかはお楽しみ!
結構先になりますけどね。
だれか・・・わかるよね?わかりやすいもんね?

おかしな表現とか、誤字脱字がありましたらご報告お願い致します。
感想も大歓迎!デス。

お待ちしております。


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番外1 藍しゃまの苦労と至福の時間

番外編デス。
本日8時頃に3話を上げているので見ていない人はそちらからどうぞ。

番外編は藍しゃまか橙メインの話になります。

今回は藍しゃま。

後今回は短いです。本編の約3分の1。

まぁ番外編ですしおすし。
ではどうぞ。


――藍様Side

 

 海上レストラン『バラティエ』から帰ってきて、翌日。

 

 あれから居間でお茶を飲んでゆっくりして、6時半頃に紫様は眠られた。いつもならば12時間ほど寝られるので、起きられるのは遅くても、次の日の朝7~8時だろうと思っていた。

 しかしいつまでたっても起きて来られない。すでに8時から2時間程度過ぎている。

 これはいくらなんでもおかしい。もしやと思い部屋に行くと案の定、布団をかぶって寝ている紫様を発見した。

 何をやっているんだこのヒトは。この間冬眠から覚めたばかりだというのにまた長きに渡る睡眠を取られようというのか。

 全身すっぽりと布団に包まっていたので、とりあえず顔だけ布団の外に出るように布団を剥いでみた。そこから見える幸せそうな寝顔。

 ・・・・・・ヤヴァイ、鼻から忠誠心と愛が溢れ出そうだ。

 イカンイカンと気を引き締め、声をかける。

 

「紫様!紫様!起きてください!紫様!!」

 

 返事がない。ただの屍のようだ。

 洒落にならない冗談は置いといて、いくら呼びかけても身動きひとつしないのでほんとうに心配になってくるが、寝息が聞こえるのでやっぱり眠っているだけなのだろう。どうしたものか。

 少々の思案の後、声をかけて起きないならばと頬を人差し指で突いてみた。

 柔らかい。これはしばらく触っていたくなる柔らかさだ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・ハッ!?20分ほど触り続けてしまった。自制せねば。

 しかし一向に起きる気配がない。まさか世界を回り始めて2日目でこれとは。この人のぐーたらぶりには困ったものだ。どうすればこのぐーたらぶりを治せるのだろうか。

 いや、ムリだろう。医療大国と言われるドラムの医学でも直せまい。

 どこぞの赤青の服を着ている薬師が匙を月に向かって投げる様子を幻視しながら、どうするかを考えていく。

 うーむ、どうしたものか。突いて起きないのだから次はつまんで見ようか。

 つまんで見たが、やっぱり柔らかい。心地よい触り心地だ。今度は違和感があるようで、軽く力を入れたりぬいたりしているとその動きに合わせて「みゅぅ、ふみゅ」っと口から小さく声が出ている。かぁいい。紫様かわいすぎです。

 あぁ、先ほどせっかく止めたというのに、鼻から愛が溢れるぅ・・・・・・

 このかわいい主をしばらく眺めたくなり、紫様の枕元に座りゆっくりと頭を持ち上げて膝枕をする。そして頬をつまむ、突く、軽く引っ張る。

 紫様は膝枕が気持ちいいのか。更に幸せそうな顔をなさる。そして一言。

 

 

「らぁん・・・あと1じか・・・ん・・・」

 

 本当はちぇんの教育にあまり良くないので許可できないのだが、こんなかわいいモノにお願いされて断れるほど私は出来た者ではない。

 

「仕方ありませんね、後1時間ですよ?」

 

 っと、紫様の頭を撫でながら小さくつぶやくき、この至福の時間を楽しむのだった。

 

 

 

 

 




藍しゃまがトップリする様になった理由は大体紫さんのせい。
ここの藍しゃまは甘やかしまくりです。

番外編はだいたいこんなかんじのほのぼので進めます。

誤字脱字等ありましたらよろしくです。
感想も大歓迎。お待ちしておりますとも!


あとあと、活動報告の方にアンケート(この小説の1話書く前に書いた物)がありますのでそちらもご協力ください。

次回投稿はおそらく明後日となります


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四話 八雲家の船旅交渉。

投稿が遅れ、誠に申し訳ないです。
そして短い。本当にゴメンなさいです。




 結局紫が起きてきたのは、藍が起こしに行ってから1時間半後のことであった。

 二人は紫が開いたスキマを通って居間に行くと朝食(時間的には昼食)を食べながら今後はどうするのかと話を始めた。

 

「で、紫様。今後の予定はどうするのですか?」

「んー・・・・・・そうねぇ。昨日は懐かしい奴らにあったのだし、ついでに東の海(イーストブルー)にいる昔の知り合いにでも会いに行きましょうか。その後は東の海(イーストブルー)最大の観光地というか、有名所のローグタウンに行きましょう」

「まだこの辺にお知り合いがいらっしゃるんですか、紫しゃま?」

「えぇ、海賊王の船のクルーだった奴よ。赤っ鼻の、ね。あぁ、本人の前でコレを言うと真っ赤になって怒るから、言わないようにね」

「赤っ鼻?まさか道化のバギーですか?」

「えぇそうよ。もしバギーの目的地がローグタウンならそのまま乗せてってもらうつもり」

「船旅ですか。しかし、バギーが素直に船の乗せてくれるでしょうか?」

「大丈夫よ。適当な財宝の在処でも教えてあげれば快く乗せてくれるわ。例えそれがデマだったとしてもね」

 

 二人の従者はドン引きである。

 

「さて、それじゃぁ食事も終わったしそろそろ行きましょうか」

 

 スキマを開き、彼女らはその中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 所変わってバギー海賊団の船の甲板。

 

「吹き飛ばされたあの日から、俺はずっとあのクソゴムを殺すことを望み執念でお前らの元へと帰り着いた」

 

 現在彼らの真ん中で、赤っ鼻の男がハデに演説をしている。

 

「それはまさに大冒険!!(パーツ)の足りねぇこのオレの、笑いあり!地獄あり!友情ありの小さなバギーの大冒険!!だけどもバギーは頑張って・・・・・・ってダァレが赤っ鼻じゃァ!このスットコドッコイがァ!!」

「せ、船長、いきなりどうしました?」

「いや、誰かに赤っ鼻って言われた気がしてな。っとそれよりもだ、野郎ども!オレたちの再開を派手に祝って宴だぁ!さぁ存分に飲めェ!ハデに騒いであの忌々しいクソゴムとの戦いに向けて活気をつけろォ!」

「「「ヒャッハァー!!」」」

 

 彼らは船長であるバギーとの再開を祝って宴会の最中であった。

 とある島で麦わら帽子をかぶった奴に負け、船長であるバギーは自身の体のパーツを奪われ何処とも知れぬ空の彼方へと吹き飛ばされた。

 それから彼はとある島で、その島固有の珍獣を守る宝箱に体がハマってしまったアフロと仲良くなったり、その島からお手製の筏で自分の部下たちのところに行こうとして巨大なカニに襲撃されたりとまぁいろいろあった。

 そのころ部下達は船長を探して海の上を彷徨い(っとバギーには説明した)、しばらくしてとある島で船長のことを聴きこみしようとしたところ(っとバギーには(ry)人食い人種の種族に捕まり調理される寸前でどこからともなくバギーが参上。捕まっていた彼らを助け今に至る。

 ・・・・・・ちなみにバギーは知らないが、彼の部下は彼を探していたわけではなく新たな海賊団として再出発しようとしていたとか、島では聞き込みではなく新しい船長を決めようと幹部二人が争っていたとかは知らない。

 

「ところで船長。さっきから気になってたんですが、隣の美女はどこのどなたで?」

「おまえらを探して海に出た時にハデにピンチになってな、その時に助けてもらった。んで、その後話をしたらオレと同じく麦わらのやつを探してるって言うんで同盟を結んだんだ」

「アルビダよ。麦わらとは少し前にいろいろあってねぇ」

 

 とまぁそんな話をしている時だった。

 突然バギーの目の前の空間に紫色の不気味な裂け目が現れた。

 バギー以外の船員が驚き腰を抜かす。バギーも驚きこそしたが、この不気味な裂け目に心当たりを思い出し、思い出すと同時に心底嫌そうな顔を浮かべた。

 裂け目ができてから少しして。裂け目から三人の少女が現れた。

 

「はぁい、バギー。久しぶりねぇ」

「帰れ、今すぐに」

「やぁねぇ、せっかく来たのにつれないわ」

 

 扇子を広げニヤけた口元を隠しながら先頭を歩いてきた少女がバギーに話しかけた。

 

「それで、なんのようだ八雲。しょうもない話なら今すぐ帰れ。オレァ忙しいんだよ!」

「そうカッカしないの。あなたのところに来たのは最近、昔の知り合いと会ったからついでに久々に会いに来てあげたのよ」

「そうか、それじゃその目的も達成したんだ。帰れ」

「つれないわねぇ。せっかくあなたが探していたお宝、キャプテン・ジョンの財宝の情報を持ってきたのに」

 

 お宝と彼女の声が聞こえた途端、バギーの様子が一変し下品な笑みを浮かべた。

 

「ほう、それで?お前のことだ、ただで教えてはくれないんだろう?」

「もちろんですわ。私のお願いを聞いてくれるのなら、財宝の情報を教えてあげましょう」

「内容は?」

「私と私の従者二人をローグタウンまで乗せてほしいのよ。少し船旅がしたくなってね」

「そんな事でいいのか。それなら構わん」

「ありがとう。今は宴会中みたいだし、情報は今度でもいいかしら?」

「いいぞ。オイ誰か!開いてる部屋に案内してやれェ」

 

 話はまとまり、彼女たちは下っ端に連れられて船内へと姿を消した。

 それと同時に一輪車に乗った男がバギーに声をかける。

 

「船長!今の奴らはなにもんですか!?」

「今から20年ぐらい前に世界各地でハデに神隠しが起きたことがあっただろう?あいつがあの神隠しの主犯だ」

「えぇぇぇ!?相当若く見えましたよ!?」

「そりゃぁそうだ、あいつも悪魔の実の能力者だからな。オレが知ってる中で1,2を争う危険な能力のな」

「かなりの大物じゃぁないですか!アレを倒せば船長の名もあがりますね!うまい事船に乗せましたし、寝静まった頃に倒して名を上げる作戦ですか!」

 

 周りの船員たちが騒ぎ立てるが、バギーはやめろと怒鳴る。

 

「このバカチン共が!あいつに手を出すと次にハデに神隠しにあうのはオレたちだぞ!絶対に手を出すんじゃぁない!しかし、運が向いてきたのは確かだな。長年探していたキャプテン・ジョンの財宝の在処の情報がこんなところで手に入るとは!笑いが止まらんわ!ぶわッハッハッハッハッ」

 

 しかし残念ながら紫は財宝の在処など知らないし、適当にスキマで取り寄せたテキトーな地図を渡すことになる。この嘘の地図が原因で、バギーは海軍に捕まり監獄(インペルダウン)行きになるのだがそれはまた別のお話。

 哀れバギー。彼は忘れていた。彼女が簡単に信用してはいけない相手だということを。

 

 ・・・・・・まぁ、紫が意識と無意識の境界を弄って思い出せないようにしていたのだが。

 まさにいともたやすく行われるえげつない行為である。

 

 こうして彼らの船は情報提供者を乗せ、ローグタウンへ進んでいく。

 

 

 

 

 次回へ続く。

 




この間の雪の日の事。

PCが置いてあった一画が突如水浸しに。
何事かと調べてみると雨漏りである。
ズブ濡れになりPCがお亡くなりに。
ついでに近くにおいてあった3DSまで死んでしまいかなり落ち込んでました。

しばらく投稿頻度が落ちます。
酒呑童子の方も出来次第投稿しますが、もうしばらくかかります。スイマセン。

誤字脱字等ありましたらご報告ください。

あ、アンケート期間は終了いたしました。皆様のご協力感謝です。


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五話 八雲家、ローグタウンを散策する

くっそ長いこと更新せずにこの短さ。
すいませんすいません、忙しくて書く時間がないんです。
次回はもう少し早く、そしてもう少し長くやりますので、許してくださいおねがいしますぅ!!

紫「美しく残酷にこの大地から往ね!」

ギャーー!!


と、とりあえずどうぞ!


 

 八雲家を乗せたバギー一味の海賊船は、5日の航海を経てローグタウンへとたどり着いた。

 

 航海の間にあった出来事といえば、紫がどこからともなく引っ張り出してきた酒とおでん(商売している船ごと)で宴会を常時やっていたこと、数名が行方不明、5日目の朝はやくに見回りをしていた下っ端に発見されたとこぐらい。

 バギーは、長年探していたキャプテン・ジョンの財宝の在処を示した地図(ウソっぱちの地図)をもらってテンションが最高潮。アルビダはルフィのことを考えてうっとり。幹部たちは宴会芸を何かやれと言われ、一輪車で綱渡り(綱という名の紐)にペットのライオンは藍が能力で出したに狐火の輪くぐり(リッチー涙目)。

 八雲家の面々といえば、周りで起こっているどんちゃん騒ぎを見ながら酒を飲む紫に、初めての船旅でヤケにハイになりながら新しく出来た友達(リッチー)を追いかけまわす橙、そんな橙を見ながら鼻から愛を垂れ流しつつ、紫が拉致ってきたおでん屋におでんの追加を頼む藍と、それなりに楽しんでいた。

 ちなみに拉致られたおでん屋。とある麦わら帽子をかぶった海賊が「おっさんのおでんは世界一」と称したおでん屋である。

 

 余談ではあるが、数名の行方不明者たち。

 バギーの言いつけを守らず初日の草木も眠る丑三つ時に、客人達である八雲家が使っている部屋へ襲撃したのだ。入った瞬間スキマ落しにされたが。

 彼等は部屋へ入ると共に拘束され、スキマ内に拉致監禁。毎晩毎晩スキマ空間にて藍にこってりと生気を吸い取られ甲板へと捨てられたのだった。発見された時の彼らの様子はげっそりと痩せこけ生気の感じられない、干からびた状態で放置されていた。

 

 

 

 

 

 街から離れた島の海岸に船は停船。

 紫たち八雲家は船から降りてバギー達に別れを告げる。

 

「バギー、ここまで乗せてくれてありがとう。結構快適で楽しかったわ」

「なに、こちらもそれなりに楽しかったぜ。あんなうめぇおでんも食えたし、地図ももらえたし、酒も飲めたしな」

「それは何より。さてと、それじゃあねバギー、縁あればまた会いましょう?」

「宝の地図を持ってくれば会ってやっても良いぞ!てか持ってこないなら来るな!」

 

 ハイハイと呟きながら船に背を向けると左手を一振りし、スキマを開く。

 手に持った扇子で口元を隠しながら、誰にも聞こえない程度の声でボソッと「監獄(インペルダウン)を楽しんでらっしゃい」と言いながら、スキマの中へと彼女たちは進んでいった。

 

 

 

 

 

 スキマを抜けた先は街の入口すぐ横の人気のない裏路地。

 スキマから出てきたところを見られて無駄に騒がれても面倒だとここに出るようにしたのだ。

 少し歩き、入り口正面へ。

 

「ハイ到着。ここが大海賊時代の始まりと終わりの町。ローグタウンよ」

「うわぁ~!すっごく大きい町ですねぇ!!」

「フム、最後に来た時から町の規模はほとんど変わっていないな。人はすごく増えているが」

 

 スキマを抜け、辿り着いた先は海賊王『ゴール・D・ロジャー』が生まれ、そして処刑された町。

 藍が言ったとおり、かなり多くの人々で賑わっている。海賊王の処刑地として、また生まれ故郷として観光地化されている。

 

「さてと、しばらくしたら雨も降ってきそうだし、ささっと町の中を見て回りましょうか。アイスでも食べながら」

「アイスですか?やったぁ!!」

「アイスを食べられると聞いてはしゃぐちぇん!かぁいいなぁ♡写真写真っと」(橙、すこし落ち着きなさい)

「藍ー?あなたが落ち着きなさい。鼻から愛が溢れているし、また思ってる事と喋ってる事が反対になってるわよ。みっともないから早く拭きなさいな」

 

 2段重ねのアイスを買い、町の中をふらつく。

 美人さん2人に可愛いネコミミっ子が人通りの多い場所を歩くもんだから、すれ違う人全員が振り向き凝視していく。

 そんな視線をまるで気にせずに、処刑台のある街の中心の方へと歩いて行く3人。その途中で不意に妖気を感じた紫が足を止めた。

 

「あら、あの武器屋から妖気を感じるわね。妖刀でもあるのかしら?」

「見ていきますか紫様?」

「面白そうだけれど行かなくていいわ。私達は刃物なんか使わないしねぇ」

「それもそうですね。では広場の方にでも行きましょうか」

 

 そう行って広場の方に進んていこうとする藍。しかし、紫は彼女を呼び止める。

 

「藍、橙と一緒に先に行っておきなさい。私は、面倒になるかもしれないやつを見つけたから、ソレと少し話をしてから行くわ」

「?はぁ、分かりました。ちぇん、いこうか」

「ハイ!藍しゃま!」

 

 スキマから傘をとりだしながら、藍と橙を見送る紫。

 従者二人の姿が見えなくなったところで、傘を差しながら振り返らずに声を出した。

 

「まったく、なにも私の来る日にこの島に来なくてもいいじゃない。世界最悪の犯罪者さん?」

「フッ、オレにも事情がある。ソレに別に騒動を起こしに来たわけではない。それどころか、お前がここにいるということは、オレに関係なく騒動が起こると言っているようなものだぞ、神隠しの主犯?」

 

 

 

 最悪(革命家)最悪(神隠しの主犯)が出会った瞬間である…………

 

 

 

 

 

 

 to be continued

 




忙しく、毎日睡眠2時間。
家でやることといえば飯食って風呂入ってこのサイトを閲覧→チマっと執筆して寝るだけ。

このまま行くと、前回の二の舞い(4ヶ月ほど放置)になりかねないので、短いですが投稿させていただきました。
ホントは島から出るとこまではやるつもりだったんですけど、マジで長期放置になりかねなかったので。すいませんです。

次回も遅くなります+短いです。

誤字脱字等ございましたらご報告ください。
ご意見ご感想もおまちしとりますとも!




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