機動戦士ガンダムSEED ~Out of order~ (天羽々矢)
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Episode1 始動

・・・と言う訳で、ノリで書いてしまったガンダムの小説です。


海の中、1人の少年が沈んでいた。四肢は潰れ、最早肉片と化している。全身は血まみれで、少年の周りの蒼を薄い赤に染めている。

 

・・・熱い・・・いや、痛い、かな・・・。

 

目前には一面の蒼、太陽の光が上から差し込んでくる。海面からの光が絶えず変動する様は如何なる芸術よりも美しい。

 

綺麗だ・・・ずっと、ここにいたい・・・。

 

 

 ―お父さん!―

 

 ―海斗!―

 

 ―海斗君!―

 

 

ふと、少年の頭に響く様に声がしてくる。

それはどこか懐かしく、少年を安心させるには十分だった。

 

・・・誰だ?・・・俺は、この声を知ってる・・・?

 

 

 ―お父さん!あのふね、何て名前なの?―

 ―ごえいかん?分かんないや―

 

 ―またお船、見せてね!―

 ―約束だよ!お父さん!―

 

 

 ―海斗、お父さんまた帰りが遅くなるよ―

 ―いや~自衛隊勤務は厳しいねぇ―

 

 ―海斗、久々に休暇がとれたんだ。家族で旅行に行くか?―

 ―横須賀?お父さんの仕事先か―

 

 

 ―海斗君?レディを待たせるのは良くないわよ?―

 ―ほら、早く行きましょ!―

 

 ―ほんと?じゃあ私も一緒に行っても良い?―

 ―置いてったら許さないからね!―

 

 

 

・・・父さん・・・飛鳥・・・。

 

・・・死ぬ前に家族と友達の声が聞こえるなんてな・・・。

 

・・・そうだ・・・思い出した・・・。

 

・・・俺は・・・トラックの事故に遭ったんだ・・・。

 

・・・トラックの荷台に突き飛ばされてそのまま海に落ちたんだ・・・。

 

・・・苦しい・・・痛い・・・俺は・・・このまま沈んでいくのか・・・?

 

・・・嫌だ・・・こんな最期・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

望ムカ?

 

 

・・・誰だ?・・・さっきとは明らかに別の声が頭の中に響いてくる。

それは歳を取った中年の男性の様な声。

 

 

 

 

汝、更ナル生を欲スルカ?

 

 

・・・ああ・・・

 

 

 

 

・・・ソノ望ミ、我ガ叶エヨウゾ。

 

 

・・・あんたは・・・?

 

 

 

 

シカシ、我ハ人間トハ交ワリヲ持タヌ者。汝、更ナル不幸ヲ持ツモシカリ。

 

 

・・・それって・・・今よりきつい事になるかもしれないってことか・・・?

 

 

 

 

ソレヲ持ッテシテモ、更ナル生を欲スルカ?

 

 

・・・その前に誰か知らないけど、頼みがある・・・。

 

 

 

 

・・・良カロウ。

 

 

・・・父さんと母さん、飛鳥を・・・俺の代わりに・・・幸せにしてやってくれ・・・。

 

 

 

・・・承ッタ。汝ニ、些細ナ幸福ガアラン事ヲ。

 

 

次第に意識が遠くなり、最後に海斗が見たのは、どこか見覚えのある人の様なものだ。だがそれは人と言うより、

 

 

「巨大・・・ロボット・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスター認証、「カイト・ワタセ」登録完了。

 

XXXG-01D2(カスタム)“フレズべルグ”・・・始動(エンゲージ)

 




やってしまった~・・・。

ただでさえ遊戯王の方もあるのに・・・大丈夫か僕・・・。
これの主人公機のモデル、下手したら形式で分かっちゃうかも・・・。

てな訳で、今回はこの辺で。


では!


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Episode2 砕かれた時間

何だかんだ言ってて地味に進んでます。


海斗改め「カイト・ワタセ」が目覚めた場所は、至って普通の大地だった。いや、大地のど真ん中に寝そべっていた事でもう普通ではないだろう。

 

「う・・・身体は、無事なんだな」

 

まだ痛む身体のままだが、縮んでいる事を除けば怪我どころか傷一つなく、それはさっきまでミンチに等しかった身体だとは思えない。

 

カイトは不思議に思い。自分の記憶をたどる、

 

 

トラックの事故

 

焼ける様な痛み

 

あの時の男性の声

 

頭に浮かんだ人型の巨大ロボ

 

 

まるで共通点が無い。

 

だが、自分が誰かに助けられたのは紛れもない事実だと言う事ははっきりしている。そうでなければ彼の身体は今ここには無い。

 

考え込んでいると、遠くから何かの飛来音らしき音が聞こえてくる。

何かと見れば石の様な点が飛んできているが、だんだん大きくなっていき、やがて何かの弾頭の様なものになっていく。

 

「・・・って、弾頭!?」

 

慌てて隠れられそうな場所を探すが、生憎、今いる場所は真っ平らな草原。隠れる場所は皆無だった。

 

「ヤバい!!」

 

最終手段としてカイトが取った行動は、その場に伏せると言う事だ。

本来、戦場で伏せるという行為は遮蔽物が無い限りあまり推奨されない行為なのだが、カイトの場合はやむを得ない選択だったのだろう。

 

それから数分後、砲撃戦ともいえる砲弾の撃ち合いが落ち着き、急いで隠れられそうな場所を探す。また戦闘に巻き込まれるのは御免だ。

すると、少し遠い場所に道路らしきものが見える。カイトは駆け足でその道路をたどる。

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

カイトの予想通り、何とか街らしき物が見えてきたのだが、様子がおかしい。

 

「静かすぎる」

 

まるで人1人居ないような静けさが辺りを包む。

しかも、不気味な点はそれだけではなかった。

 

「不気味だな。人はいないし、分かんないけど建物とかもほとんど壊されてる」

 

道路や地面は穴だらけで、ビルなどの建造物はもはや原形を留めてなかった。もう解体工事が終わった後と言っても過言ではないだろう。バスなどの乗り物も全て潰れ、真っ黒焦げになっていた。

 

まるで、何かの攻撃を受けたかのように。

 

「いったい何があったんだ・・・いや、今は隠れられる所を探そう」

 

そうして、中心部には着いたのだが、

 

「うわぁ・・・何と言うか・・・」

 

最早街というより、廃墟の2文字の方が正しいだろう。

 

「酷いな・・・」

 

道路や地面の所々には大きな穴が開いており、小さな売店は店内の窓ガラスが割れており、ビルなどの建造物も崩壊している。

 

とはいえ戦闘に巻き込まれるのを避ける為の場所を探しているのも事実。あまり贅沢は言えない。

 

「仕方ないな。ここに泊まろう」

 

カイトはビジネスホテルくらいの大きさのホテルを見つけ、そこに入っていく。

正しくは廃墟のホテルだが。

 

エントランスは荒れてはいるが比較的綺麗なままだった。

 

人間安心すると欲が出る。ここで泊るのも良いが、出来ればベッドで眠りたい。残っているか分からないが確かめねば分からない。

 

「さすがに疲れたし、腹も減ってきたな・・・」

 

さすがに何時間も歩いたり走ったりしたため疲労感もあり、空腹をも覚え始めている。

 

そんな事を考えながら2階へ上がった。部屋数は少ないのかさほどドアは多くない。艦で1番近いドアを開ける。

 

「鍵が掛かって無い・・・」

 

もし開かなければ、エントランスで寝る事になっていたため、カイトは少しばかり嬉しかった。

 

「ベッドも残ってる。そんなに酷くは無いな」

 

窓が閉まっていたおかげか、部屋はさほど荒れていなかった。ふと気になったカイトは窓を開け、外の様子を見る。

 

外は夕日に照らされている海だ。どうやらここはどこかのリゾート地のようだ。

 

「綺麗だ・・・廃墟じゃなけりゃな・・・」

 

だがその時、視界の片隅に不可解な物が写る。

 

「!!・・・あ、あれは!!」

 

先ほど通った道の近くになにやら巨大なオブジェクトの様な物がある。

 

カイトは階段を駆け下りその場所へ向かう。

 

「確か・・・さっきのあれはこっちのはず・・・」

 

窓から見た景色を頼りに例の場所へ向かう。そして遂に見つけた。

 

「何で・・・これが・・・」

 

それは、頭が吹き飛んだ上半身だけの巨大ロボットだった。しかも、弾丸を撃ち込まれたかのように所々穴が開いている。

 

しかし、問題はそこではない、本当の疑問はこのロボットがあの時見た巨大ロボットに似ている事だ。下を見てみれば、胸元から血を流している人間が横たわっていた。

 

それを見た瞬間、カイトは腹の奥から湧いてくる苦い何かを感じたが、理性で押しとどめる。

 

「これは・・・子供の頃に見てたアニメが印象に残って見てる夢だよな・・・こんなこと、現実なわけが無い・・・」

 

・・・これは夢なんだ。その内目が覚めるはず・・・

 

しかし、自分の感覚がこれは夢ではない事を告げる。

 

頬を撫でる風の感触、僅かに臭う鉄の様な臭い、

 

カイトは力なく地面に両膝を着ける。

 

 

 

・・・どうして・・・どうして・・・こんな目に・・・

 

 

 

目の前の光景は紛れもない事実。しかし、ずっと夢だと思っていたかった。こんな訳の分からない世界で1人になってしまったのだから。

 

カイトは両腕を抱き、孤独の恐怖に身を震わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?ねぇ、何してるの?」

 

不意に後ろから声を掛けられた。

 

襲うおそる振り返ると、そこには腰まで届く金髪に、サファイアの様な蒼い瞳の少女が立っており、カイトが珍しいのか首をかしげている。

 

 

 

 

・・・それが、カイトの物語の(シード)が芽吹いた瞬間だった。




さて、カイト精神崩壊寸前(笑)。

これで本格的にSEED本編に絡めるかな。
近いうちに何か解説的な物も入れないとな・・・。

では今回はこの辺で!


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Episode3 動き出す運命

「あれ?ねぇ、何してるの?」

 

 

 

目の前の女の子は俺にそう聞いてきた。腰まで届く金髪にサファイアの様な蒼い瞳、それはまさに絵に描いたような美少女だった。

 

普通の奴が見ればテンションが一気に挙がるだろうが、今の俺はとてもそんな気分になれなかった。

でも、何か分かるかもしれない。

 

とりあえず、話を聞いてみよう。

 

「君は・・・?」

 

「わたし?わたしはコレット!コレット・(フレイル)・アマリリス!あなたは?」

 

「・・・渡瀬・・・海斗・・・」

 

「ワタセ君だね!うん、覚えた!」

 

「名前が海斗な・・・」

 

「え?じゃあ何で渡瀬海斗って言ったの?ふつうは名前が先に来るんだけど・・・」

 

・・・え・・・?

 

「じゃあ・・・ここは外国・・・?」

 

「う~ん・・・コロニーの中だから分かんないなぁ~・・・」

 

「コロニー・・・?」

 

ちょっと待て。俺の勘が正しければコロニーって「スペースコロニー」の事になる。

しかも、今それは計画だけでまだ製作のせの字も出てない状態だ。

それが何で普通に・・・。

 

「えっと・・・だいじょぶ?」

 

「あ・・・うん・・・大丈夫」

 

そう言ったが全然大丈夫じゃない。混乱しっ放しだ。

 

「・・・よかったら、どういう事なのか教えてくれないかな・・・?」

 

「うん!いいよ!」

 

それから彼女から聞いた話は、とてもじゃないが信じられない事ばかりだった。

 

今俺がいる世界は年号が「コズミック・イラ」通称「C.E」。今はそれの57だとか。

そして今俺達がいるのは戦場のど真ん中。

連合側とか言うなんかで例えれば「地球軍」、そしてザフト側、こっちが「侵略者軍」と例えれば分かりやすいと思う。

今この両陣営はかなりの緊迫状態で、たびたび武力衝突を行っているらしい。

・・・てことは、このロボットは、つまり言う「機動兵器」という事だろう。

 

想像しただけで鳥肌が立ちそうな地獄絵図が浮かび上がりそうだ。

戦闘に巻き込まれ一瞬にして何百万・何千万もの命が犠牲になっていく。

 

その発端となったのは、普通の「ナチュラル」と呼ばれている人種と、遺伝子操作されて生まれてきた人種「コーディネイター」の決定的な能力差らしい。

 

なんでも、コーディネイターはナチュラルに比べ、運動神経がよく体も丈夫で、さらに頭が良いらしい。

 

だがそれのせいでナチュラルからは迫害されるか、妬みの対象になるかのどちらかを強いられている。まあ当然だろう、俺だって頭が良い奴を羨んだりする時もある。

 

でも、遺伝子操作されて生まれてきたからって迫害するのは間違っていると思う。同じ人間同士分かりあえるはずだ。

 

「怖いよね。同じはずの人たちがこんな風に戦うなんて・・・」

 

コレットの言葉に俺は静かに頷く。

確かにそうだ。仲間同士だった奴がいきなり宣戦布告なんて洒落にならない。だがそれが現実に起きているのだ。

 

「わたしが言えるのはこのくらい。全部お母様が教えてくれたのだから」

 

「お母様?母親がいるの?」

 

「ううん、わたしがいる孤児院の院長さん。わたしのアマリリスって名字もそれなの」

 

「そうなんだ・・・」

 

「ねぇ、今度はカイト君のこと教えてくれない?」

 

俺のこと?

 

・・・家族や友達のこと話してもしょうがないし、事故の時の記憶の事を話すか。

 

「分かった。今から話す事ははっきり言って信じられないかもしれない」

 

それから俺はコレットに全てを話した。

 

事故のこと。頭に聞こえてきた声のこと。見慣れないロボットが頭に浮かんだこと。あの後起こった事を全部話した。

 

 

 

 

・・・やっぱり信じられないって顔してるな、俺が異世界からの訪問者だって。

 

当然だろう。俺だっていきなりこんなこと言われても信じられない。だが嘘は言ってない。全部本当に起こった事なのだから。

 

「ねぇ・・・あなたは・・・わたしが怖い・・・?」

 

その時、コレットが少し怖がるような顔をして俺に聞いてくる。

 

「いや、現実味が湧かないんだ・・・」

 

いきなりあんなこと言われても現実味を持てと言われる方が無理だ。

 

「それに、俺としては別世界に1人ポツンと連れてこられた方が怖い」

 

こんな世界にいても、俺はどこにでもいる普通の人間なんだ。1人でいるのは辛いし寂しい。

 

「じゃあさ、カイト君!」

 

コレットは何か思いついたような顔で俺に告げる。

 

「よかったら、わたし達のとこに来ない?」

 

コレット達の場所・・・孤児院だったか?

確かに面倒を見てもらえるのはありがたい。でも1つ懸念材料ができる。

 

それは・・・俺がそのコーディネイターだったらという事だ。

 

もし俺がその1人なら、周りからはなされる可能性だってある。

 

「いや、誘ってくれるのは凄く嬉しいけど、ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「・・・俺がコーディネイターだったら?」

 

確かに中学受験とかで学校の授業はもちろん、予備校のゼミも取って必死に勉強してきた。そのおかげで同年代より良い成績を取っている。

 

だがそれだけで俺がコーディネイターだの何だのと騒ぎになるのは嫌だ。

 

「人種が違ってたら、それで終わりだ」

 

人種が違えば思想も違ってくる。それで他の子供たちが逃げ出したりでもしたら、とてもじゃないが俺は責任を取る事ができない。

 

「な~んだ。それくらい」

 

え?・・・それくらい?

 

「わたし達のとこじゃコーディネイターとナチュラル両方いるよ。誰でもみんな大歓迎!それにみんなの事を心配してくれるなら、なおさら来てほしいな・・・」

 

コレットの言葉に・・・正直言ってほっとした。

それに、今の状況でいつ元の世界に帰れるか分かった物じゃない。それなら、この世界で生きていく覚悟を決めよう。俺だって男なんだ。

 

「分かった。これからよろしく、コレット」

 

「うん!よろしくね、カイト!」

 

さて、これからが大変だと思いながらコレットと握手をし孤児院に案内してもらった。

その時、空には満月が輝いていた。不思議な事に今まで見てきたやつより一層綺麗に見えた。




というわけで3話目です。ゴタゴタ言ってたのにうまい事進んでますな。

いっそこっちもメインにしようかな・・・。

では!


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Episode4 謎の秘密基地

てな訳で、第4話です

まだ本編に入れないなんて・・・。


あの後、俺はコレットの義理の母親「マーテル・アマリリス」さんの孤児院に来た。

 

マーテルさんは俺の事を歓迎してくれて、そこにいる身寄りのない子供達も俺が来た事を喜んでいた。

 

で、あの後俺自身の事を調べたのだが・・・

 

 

 

出身は例えれば日本がモデルの様なオーブと呼ばれる国。しかも両親は「ブルーコスモス」とか言うコーディネイター排斥思想組織の爆破テロに巻き込まれて死亡。

 

しかも俺自身は、嫌われの対象のコーディネイターだという事も分かってしまった。

 

コレットはナチュラルらしいが、この孤児院でコーディネイターはマーテルさんと俺だけらしい。それを知った時、正直言って俺は怖くてみんなとまともにいる事ができなくなってしまった。

 

でも子供たちはそんなことお構いなしといった感じで、勉強を教えてやってる子供たちからは「カイトお兄ちゃん」なんて呼ばれて甘えてくる。

 

・・・弟がいたら、きっとこんな感じなんだろうな。

 

そんなこんなで、特に何事もなく平和に暮らせている。だがいつまでも甘えるわけにはいかない。

 

いざという時にここの皆を守れる力を付けなければ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

そう思った俺はマーテルさんに相談し、中立国オーブの中学校に転入させてもらった。

 

基本的な教育制度は元の世界と同じだったのは幸いだった。

 

それで必死に勉強して中学卒業までこぎ着け、今は高校生だ。

 

高校もオーブの高校を選び、コーディネイターである事も話した。

だが周りの皆は関係なく接してくれた。それどころか、俺の事を友達なんて呼んでくれる奴も出てきた。

 

そう呼ばれた時、俺ははっきり言って泣きそうだった。異世界で友達ができるとは思わなかった。

 

で、今は高校3年生。

 

「カイト!」

 

「トリィ!」

 

校庭のベンチで軍の戦術本を読んでいた俺に声をかけてくる奴が出てきた。

 

頭にアホ毛のある茶色のショートにまだ幼さが残る顔立ち。服装は白のロングコートに赤いインナー、下は紺色のズボンで手には指貫きグローブがはめられ、傍らでは手のひらサイズの青い鳥型ロボットが俺に挨拶してくれてる。

 

「ここにいたんだ。みんな探してたよ?」

 

「あぁ、悪い」

 

俺に声をかけてきたのは「タスク・タチカゼ」。俺のクラスメイトで同じコーディネイターだが、ナチュラルに対しての偏見が無い。

で、タスクの周りを飛んでる鳥型ロボットは「フォーチュン」。

外見の由来は恐らく、前に俺が話した童話の「青い鳥」からそのままとって、名前も青い鳥は幸せを運ぶなんて書かれてるって言った事から「幸福(フォーチュン)」と名付けたと俺は見る。

 

タスクは俺が呼んでた本を見ると驚いたような感じで俺に言う。

 

「それにしても、もほんとに頼りにされてるんだね。僕とは大違いだよ」

 

「バカ言え。ただ仕事を押し付けて楽したいだけだろ?」

 

俺の言葉にタスクは「あはは・・・」と苦笑いしている。

 

こいつとは入学から本当によく馬が合い、こうして今でも親友関係が続いてる。

別に同じ人種だからという訳でなく、本当に心の底から信頼できる奴だと思ってる。

 

タスクと他愛無い話をしながら、気づけばもう他の連中が集まってる教室に着いた。

 

「お~っす」

 

「あ、カイトやっと来た!」

 

俺に声をかけて来たコレットの隣に逆立出た赤い髪で、難しそうな顔をして問題に向かってる奴がいるが、そいつは「ロイド・アレクシア」。ナチュラルで孤児院時代からのコレットの幼馴染だが俺のクラス屈指の脳筋野郎(バカ)だ。

 

何でも、ここに来る前は九九さえ満足にできなかったらしい。で、俺にロイドの専属教師を頼みにタスクが呼びに来たらしい。

 

「まだやってるのか?」

 

「んなこと言われてもよ・・・」

 

ロイドはさほど難しい問題をやってるわけでは無いのだが、まるで大学入試問題に挑戦してるかのような雰囲気だ。

 

ただ名誉のために行っておくが、こいつはただ勉強をやってこなかっただけで本当は頭の回転は速く、スポーツ分野に関しては「特質な才能」とも呼べるものを持っている。

 

「はぁ~・・・しょうがない。いいか、ここは・・・」

 

で、こういう訳で「カイト先生の特別ゼミ」がロイド限定で開講になった。

 

 

 

 

 

1時間後、俺にしても「何なんだこいつは・・・」と思うくらいにこいつの不勉強さは異常だった。

ここまでやって1問も正解しないとは・・・これはある種の才能と見た。

 

で、当の本人は机に突っ伏してる。

 

「うぅ~・・・」

 

もう完全に目を回してるな。

 

ブゥゥゥゥゥ・・・

 

「ん?」

 

こんな時に着信?

俺はジャンパーのポケットから携帯を取り出す。

 

この形態はマーテルさんが俺の為に用意してくれた物で、バッテリーが元の世界とは比べ物にならないくらい長持ち、引っ掻いても落としても傷1つ付かないという優れものだ。

 

見てみればそこにはメールが届いていて、何かの地図が表示されていた。

 

でも、どうやって俺のアドレスを調べたんだ?

とりあえず、今夜この場所に行ってみよう・・・。

 

 

 

 

 

で、夜中に地図が示していた場所に着いたはいいが・・・

 

「なんで廃棄された旧式ドッグなんだよ・・・」

 

そう、その場所とは廃棄されたがれきだらけの旧式ドッグだった。しかも地図はさらなる奥を指している。どんだけ疲れせる気だよ、この悪戯メールめ・・・

これで下らない事だったら、いつか送り主を突き止めて目の前で土下座させてやる。

 

なんて思いながらも最深部に着いた俺が目にしたのは、なんとアニメで出てくるような巨大な戦艦だった。

 

「これは・・・」

 

驚いたなんてものじゃない。戦艦なんて軍事技術の塊みたいなもんだろ、なんでそれがこんなとこに放置されてるんだ?

 

なんて考えてると、またメールの着信が来た。

差出人は・・・「トール」。

 

ちょっと待て。トールって北欧神話に出てくる神様の事だ。

何でそれが俺の事を、それ以前にどうしてその名前が?

 

・・・まさか、俺相手に気紛れで悪戯を仕掛けたとでも。

・・・何バカなこと考えてるんだ俺。それでも高校受験者か。

 

頭を振りもう1度メールに目を落とすと、「コノ船ヲ汝ニ授ケヨウ」・・・

 

うん。さっぱり分からん。いきなりこの戦艦を俺に授けるって言われても全くもって意味不明だ。

 

とりあえず、今回は何も見なかったってことで、うん。

 

きっと疲れたんだ。そうに違いない。

こういう時は帰って寝るのが1番。

 

そう勝手に決定づけた俺はその場を後にし、学校付属の学生寮に帰る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・この時、カイトは思いもしなかった。

 

もうすぐ、この日常が崩壊する事に。




・・・なんか、もうすぐ本編って言っておきながら全然本編に入って無い・・・。
どんだけ焦らす気だよ・・・(汗)。

まぁ、本当にもうすぐなんでそれまでお待ちください。


では!


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Episode5 天使か悪魔か

・・・一部英語を使ってるので合ってるか不安です。


あの戦艦を見つけてから数日。

 

俺は何事もない学生ライフを満喫している。

 

今俺はロイド達と一緒に学食で昼飯タイムだ。ついでに、俺の隣には肩口まで伸びた黒い髪の同年代より少し背が低い男子生徒が座っている。

 

こいつは「シゲモリ・タケナカ」。ナチュラルで俺のクラスメイトだがナチュラルとは思えないくらい頭が良い。ただし、一見クールそうだが同年代に比べ身長が160しかないので幼く見えるのがコンプレックスらしく、前に俺が聞いたところ、半殺し寸前までボコられた事がある。

 

「お前、また教授から仕事来たんだって?」

 

そう、こいつは俺たちの担任のイカリ教授の仕事をよく手伝わされてる。

 

「まぁな、毎度のことだけどな」

 

・・・どうやらこいつは手伝いをさほど苦とは思っていないようだ。

だがこの性格のおかげか、クラスじゃ結構な人気者だ。もっとも、本人はその事を煙たがっているようだが。

 

そんな時・・・

 

「あ!カイトせんぱ~い!!」

 

出たよ、厄介娘が・・・。

 

ピンク色のハーフツインテールの髪を揺らしながら趣味か金欠なのかセーラー服もどきの水色の襟と袖口の白い長そでのブラウスに同じ水色のプリーツスカートを身につけた娘が俺に駆け寄ってくる。

 

彼女は「ユイ・トキド」。1つ下の俺の後輩だ。

なんでも、俺たちが中3の頃に学園祭の出し物の為にロイド達とバンドを組んで野外ステージでライブをやってたとこを見て1発で俺に憧れたらしい。

 

その影響で彼女は音楽の道を志していて校庭でストリートライブをわざわざやっているくらいだ。

 

だが・・・

 

「ヘブッ!!」

 

何もないところですっ転んだ。

 

そう、ユイは運動神経が壊滅的なほど悪く、100m走でも何もないところですっ転ぶ、ダンスも足をもつれさせて転ぶ、挙句の果てには俺、ロイド、タスク、コレット、シゲモリ、彼女の6人でローラースケート場に遊びに行った時は手すりありでも足がフラフラ・プルプル。で、すっ転んだ時に俺の目にユイのスカートの・・・その・・・あれが・・・。

 

いかんいかん!落ち着け俺!思い出したら変な烙印押されるぞ!

 

「だ、大丈夫?」

 

「は、はい・・・大丈夫です・・・」

 

全然大丈夫そうにみえない。顔、特に鼻が真っ赤だ。痛そう・・・。

 

「えっと、ユイちゃんも一緒にご飯食べる?」

 

「はい!ぜひご一緒させてくださいっ!!」

 

鼻が赤いまま、満面の笑顔を見せるユイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球圏・宙域

 

そこでは何かの戦艦らしき艦艇が1隻停泊している。

その名は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

ザフト所属・ローラシア級フリゲート艦「マルビーキ」

 

そう、彼らはオーブで行われる連合首脳会談に出席する地球連合軍代表の暗殺を狙おうと評議会の了承も待たずに強硬策に打って出たのだ。

 

「良いのですか艦長?もし失敗すれば我々は・・・」

 

「何度も言わせるなアデス。ナチュラルどもに我らが後れをとるものか」

 

第1艦橋で会話をしているのは艦長の「ブリッツ・ワーグナー」と副長の「フレドリック・アデス」だ。

 

「よし、作戦開始だ!ナチュラルの奴らに目に物見せてやれ!」

 

『ザフトの為に!!』

 

号令がかかった後、マルビーキからザフトの汎用型機動兵器「ジン」が2機発進し、大気圏に突入する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は1日の授業を終え、帰路についているところだ。

 

「先輩、一緒にお茶なんてどうですか?」

 

俺の左腕に抱き付きながら無邪気そうな笑顔で放課後の至福の時間(少なくともユイにとっては)に誘うユイ。

 

「あ、いや・・・」

 

俺はつい頬を染めながら答えとは言い難い返事をしてしまう。

しかし、可愛い少女の笑顔を直視すればよほど捻くれている奴か変わった趣味の者以外は同じ反応をするはずなのだから、俺の反応は当然と言えば当然のはずだ。

 

「やめとけよ。カイトだって忙しいんだぞ?」

 

そこにすかさずシゲモリが突っ込みに入る。

あいつはいつもこんな感じで周りがボケのような感じになった時に突っ込む。

 

「ぶぅ~。たまには先輩と一緒にお茶したいですぅ!」

 

そんな事を言われたユイは頬を膨らませる。

 

「まぁそう言うなシゲモリ。彼女だってカイトとの時間くらい欲しいさ」

 

ユイの反応にシゲモリに返答したのはボサボサの黒髪に少し筋肉質な体つきの青年だ。

彼は「タツヤ・ヨツバ」。学校の風紀委員に所属している学力・運動力がずば抜けて高い優等生だ。

しかし、いつも冷静沈着で表情が少ないため本心が見えにくい。

その雰囲気から勇者よりラスボスのポジションの方が似合うとまで言われているが、成績優秀・運動抜群な事から女子への信頼は厚く後輩の女子からは「お兄様」なんて呼ばれてるくらいだ。

 

「そうは行ってもよタツヤ、こいつ、いつトラブル起こすか分かったもんじゃないぞ?」

 

「が~ん!それって、このユイにゃん(・・・・・)がバカって事ですか!!?」

 

「いつも頭のネジ飛んでるくせに・・・っていうか、さっきなんて言った?」

 

「ユイにゃん♡」

 

ご丁寧に猫の真似ご苦労さん。

その瞬間、シゲモリから「ブチッ」と何かが切れる音がした。

まさかと思った時、シゲモリはすでにプロレスさながらの絞め技をユイにかましている。

 

「そう言うのが1番ムカつくんだよぉ!!」

 

「いだだっ!ギブ!ギブ!ギブ!」

 

「何やってるんだお前達・・・」

 

さ、さすがタツヤ。こんな場面でも動じないとは・・・。

 

・・・ん?

 

「どうした?」

 

「さっき、隕石みたいなのが見えなかったか?」

 

「隕石?俺には見えなかったが・・・」

 

あれ・・・?さっき確かに空に赤い何かが見えたんだけどな・・・。

 

「疲れてるんじゃないか?休んだ方がいいぞ」

 

「あぁ、そうさせてもらうよ」

 

いろんな事があったから疲れてるのかな?

それならさっさと帰って休んだ方が・・・って、あれは!?

 

「みんな伏せろ!!」

 

「?」

 

ヤバい!もう来るぞ!!

 

ドスゥゥゥゥゥン!!

 

「うわぁ!!」

 

「きゃあぁぁぁ!!」

 

「くっ!!」

 

「うっ!!」

 

落下の衝撃ですさまじい衝撃と砂嵐が巻き起こる。

砂嵐が収まった後、何かが落ちた後を見てみると・・・。

 

「なっ!?」

 

「これは!!」

 

あれって、俺が最初に見たロボット!?

何でこんなとこに!?

 

「ザフトか!?」

 

シゲモリの言葉で俺はハッとなる。

そうだ。俺たちがいるのは地球のオーブの管轄内。連合もザフトも攻撃する事は許されていないはずなのに・・・!!

 

そんな時、ロボットの1体が俺達に気付いた。

ヤバい・・・!

 

「みんな逃げろ!!」

 

「先輩は!?」

 

「後で合流する!先に行け!!」

 

「できません、そんなこと!!」

 

ユイ・・・この分からず屋っ!!

 

「シゲモリ!タツヤ!みんなを連れてシェルターに避難しろ!急げ!」

 

「分かった!」

 

「死ぬなよ!」

 

「嫌ですっ!!先輩!!」

 

「この駄々っ子め!!」

 

シゲモリがユイの手を引いて無理やり連れて行く。

その間にも、オーブ軍とザフトとの戦闘は始まっている。

 

とにかく、みんなが逃げるまで時間を稼がないと・・・!!

 

「お~い!ここまで来てみろよ!!」

 

とにかく挑発して向こうの気を引く。

 

お、俺に気付いた!

よし、このまま気を引いて、何とかここから遠ざけないと・・・。

 

って!持ってるマシンガンを構えてる!ヤバい!!

 

「そうだ、あそこに・・・!」

 

俺が思い浮かべたのは前に来た旧式ドッグ。

あそこなら距離はある。

 

と考えてたらロボットがマシンガンを撃ってきた!まずい!!

 

「まずい!はやく・・・」

 

ドオォォォォォン!!

 

「うわぁっ!!」

 

マシンガンの着弾点から起こった爆発に巻き込まれ、壁に叩きつけられる。

 

「う・・・く・・・」

 

だ、ダメだ・・・意識が・・・

 

ロボットは俺にマシンガンを向けている。

俺は・・・死ぬのか・・・こんなとこで・・・

 

 

 

 

 

 ―せんぱーい!!―

 

 ―カイト!―

 

 ―カイト―

 

 

 

 

 

!・・・そうだ・・・俺は・・・

 

俺には・・・帰らなきゃいけない場所があるんだ・・・!

 

「こんなとこで・・・死んで・・・たまるか・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 General Unilateral Neuro-Link Dispersive Autonomic Maneuver Synthesis system

 [G.U.N.D.A.M]――――――――All Grean

 

 System―――――start up

 

 XXXG-01D2custom [Hreasvelgr]―――――――――――――――――Engage

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が動けなく、目の前のマシンガンが火を噴きそうになった瞬間、

 

 

ガギィィィィィィン!!

 

 

「!?」

 

どこからともなく灰色の装甲の巨大ロボが割り込み、前のロボットを蹴り飛ばす。

だがその姿は俺が夢の中で見たあのロボットと瓜二つだ。

 

「こいつは・・・?」

 

背中にコウモリを思わせる翼に、右手にはまさに死神が持っているような大鎌を持っていて、腰にはあのロボットと同じマシンガンが付いている。

 

そいつは俺も見つけると跪き、胸部辺りのハッチが開く。

その仕草はまさに・・・

 

「俺に・・・乗れって?」

 

いきなり乗れと言われても抵抗がある。

しかし、さっきこいつが蹴り飛ばしたロボットが起き上がり始める。

 

「く・・・迷ってる暇はなしってことか!」

 

もう迷ってられるか!

俺は脚の装甲を伝いハッチに向かう。

俺が入ったと同時にハッチが閉まり起き上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・まるで、俺を待っていたかのように。




ついに出てきましたね!デスサイズ改「フレズべルグ」!

こいつの性能は次回お教えしましょう!

では!


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Episode6 死神の舞踏

初めての戦闘シーン描写なので、うまく書けてるか分かりません・・・


灰色の機体に乗り込んだカイトは不思議な感覚に囚われていた。

 

「何だこいつ・・・」

 

キーボードを叩き各部チェックを行いながら、カイトはこのモビルスーツ「フレズべルグガンダム」の性能に愕然とする。

 

まず、普通の機体ではこの機体に追いつく事はできないだろう。

それだけこの機体は直線的な速度を持ち、さらに「PS(フェイズシフト)装甲」と呼ばれる物を装備している。

これは一定の電圧の電流を流す事で相転移する特殊金属でできた装甲で、あらゆる物理攻撃を無効化できる特性を持っている。

 

装備の確認をしている時、目の前の機体「ジン」がフレズべルグに76mm重突撃機銃を向ける。

 

「まずい!」

 

それを確認したカイトはすぐに操縦桿を握り上空に回避する。

 

「くそ!こっちにも何か武器は無いのか!?」

 

再びキーボードを叩く。

その結果表示されたのは・・・

 

 

 

・75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」×2

・76mm重突撃機銃×1

・ツインビームサイズ×1

・バスターシールド×1

・ハイパージャマー×2

・アクティブクローク×1

 

 

 

「とりあえず、これで!」

 

再び操縦桿を握り、武装を切り替えようとした瞬間、そうはさせじとジンがMA-M3重斬刀を構え背中の羽根型スラスターを噴射させフレズべルグに急接近する。

 

「なっ!?」

 

とっさの事でカイトも反応できず、危うく切られそうになった時、

 

「!?・・・こいつは?」

 

パネルに点滅する黄色いスイッチを見つける。

迷う間もなくカイトはそのスイッチを押す。

 

その瞬間、フレズべルグの装甲がメタリックグレーから鮮やかな黒に変わり、腕を前で交差させ防御の体勢を取り重斬刀を受け止める。

 

これがPS装甲の物理攻撃の無効化だ。

 

ジンのパイロットは攻撃が受け止められた事に驚きを隠せないのか、再び機銃を撃つがその焦点は合っていない。

 

その隙を見てフレズべルグは機銃から背中に着けていたビームサイズに切り替え、スラスターを噴射しジンとの間合いを詰める。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

懐に入ったと同時にビームサイズを振り下ろしジンの上半身を切り裂く。

知り裂かれたジンは短時間スパークした後爆散した。

 

その光景を目にしたもう1機のジンのパイロットは頭に血が昇ったのか、重斬刀を構えフレズべルグに接近する。

 

「っ!!」

 

カイトは人を殺してしまった恐怖に縛られそうになったが、頭を振りその思考を追いだす。

 

今度は76mm重突撃機銃を構えジンに向けて撃つ。

機銃を撃たれ怯んだジンはこちらも機銃を構え討つ。

 

フレズべルグが弾丸を避けては機銃を撃つ、ジンが弾丸を避けては機銃を撃つ、その繰り返しだ。

 

埒が明かないと思ったカイトは武装をビームサイズに変えジンに接近するがそうはさせじとジンも機銃を撃つ。

 

「くっ!!」

 

このままではジリ貧になるだけだ。

 

だが、カイトの頭にもう1つの装備の事が浮かぶ。

 

「ハイパージャマー」の事だ。

「ジャマー」と言う単語の事だ。相手の電子機器を不調にする事で接近は可能になるだろう。

しかし、そんな事をして本当に勝ったと言えるのだろうか?

 

ただ機体性能に助けられているだけなのでは?

 

だがそんな思考も、ジンの重斬刀によって途切れる。

 

「くそっ!!」

 

左腕に装備されている盾で防ぎ、一旦距離を置くためにスラスターを噴射しジンから離れる。

ジンもそれに追いすがろうとするがフレズべルグのスピードについて行く事ができない。

 

「悪く思わないでくれ!!」

 

カイトはやむを得ずパネルのスイッチを押し、ハイパージャマーを展開する。

 

その瞬間、ジンの視界・レーダーからフレズべルグが消えた(・・・)

 

ハイパージャマーはその名の通り電子機器に障害を起こすが、通常のジャミング兵器の比ではなく、その能力は電子機器をほぼ完全に無力化する事ができる。

 

MSは基本的に頭部に設置されているカメラ、そしてレーダーから情報を得てパイロットに伝える。

だがこれらが機能不全に陥れば、目の前の情報は事実上MSの視界から「消える」事になる。

 

つまり言えば、ジンは目を潰された事になるのだ。

 

フレズべルグを見失ったジンは辺りを探すが一向に姿を捉える事はできない。

 

その隙を見てカイトは再びジンの懐に入りビームサイズを振り下ろす。

 

切り裂かれたジンは上半身と下半身が綺麗に分かれ、スパークした後爆散した。

 

 

 

炎の中に立ち粉々になったジンを見つめるフレズべルグの姿・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはまさに、「死神」と呼ぶにふさわしい姿だった。




カイト&フレズべルグガンダム圧勝!
ジン2機は傷1つ付けられませんでしたね、可哀想にw

と言う訳で「フレズべルグ」の性能、ある程度はお分かりになりましたか?

詳しい説明は機体説明の話を設けてからにしましょうかね・・・


では!


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Episode7 描かれる航路

戦闘を終えたカイトはフレズべルグから降り、その場に膝をついた。

 

当然だろう。やむを得なかったとはいえ初めて人間を殺したのだ。

その恐怖に縛られ狂気に駆られる者も少なくない。

 

実質今、カイトの身体は震えている。

 

『カイト!!』

 

そこに、タツヤ達が駆け寄ってくる。

 

「無事か!?」

 

タツヤがカイトの身を案じてくるが、カイトは俯いているままだ。

すると、静かにカイトが呟く。

 

「俺は・・・人殺しだ・・・」

 

そう呟いている。

いくらザフトがカイト達の居場所を襲い、みんなを守るためとはいえ、カイトがパイロット・・・人間を殺した事実は変わらない。

だからこそカイトは恐怖に震えていた。

人を殺した自分はみんなとは生きられないと。

 

「ごめん・・・もう・・・俺は・・・」

 

みんなとはいられない・・・そう言おうとした瞬間・・・

 

「ありがとう、カイト」

 

不意にタスクがカイトに感謝の言葉を述べた。

 

「え・・・?」

 

カイトは突然感謝の言葉を述べられた事に困惑を隠せない。

本来なら拒絶されるかその場で恐怖に駆られた人間に殺されるかだが、タスクはそれとは別だった。

 

「カイトが戦ってくれなかったら、もっとひどい事になってたかもしれないし、誰かが死んでたかもしれない。でも今はここの全員が生きてる。それに・・・」

 

タスクは一呼吸置き、言葉を続ける。

 

「どんな事をしても、カイトはカイトだよ!」

 

「うんうん!カイトはカイト!」

 

「当たり前だ。カイトは俺達の仲間だ」

 

「どんな事をしても、わたしは先輩について行きますよ!!」

 

タスクの言葉に続く様にみんながカイトを励ます。

 

「みんな・・・」

 

カイトはこれほどまでに最高の友人を持てた事に感動し泣きそうになっている。

 

「あ、カイト泣いちゃダメ」

 

すると、コレットがカイトをからかい始める。

 

「う、な、泣いてなんか・・・」

 

だが目じりをこすって見れば、そこは濡れている。

明らかに涙を流した証拠だ。

 

「あはは~、先輩が泣いてる~!」

 

ユイまでもがカイトをからかいだす。

 

「う、うるさいな・・・」

 

それでもからかうコレットとユイを尻目に、男性陣全員は苦笑いをしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君かな、あの機体の操縦者は?」

 

突如、後ろから声が掛けられる。

そこにいたのは、短めの金髪に紺色のスーツをしっかり着こなした男だ。

 

「・・・あんたは?」

 

カイトは警戒しながら話を聞く。

 

「おっと、これは失敬。僕はムルタ・アズラエル。率直にいえば、君の上官になる男だ」

 

アズラエルと名乗った男はカイトの上官だと何の拍子も無しに宣言する。

それにカイトは警戒レベルを一気に引き上げる。

 

「俺に上官なんていませんよ?ましてやなる人も」

 

「勘違いしてもらっては困るなぁ。これからではない、今からだ」

 

「今から・・・?」

 

何か分からない威圧感にカイトは後ずさるが・・・

 

「きゃっ!」

 

「っ!」

 

アズラエルの後ろにいたボディガードと思わしき3人の男たちがカイトの後ろにいるロイド達の背中に銃を突き付ける。

 

「どういうつもりだ?」

 

「そのままさ。君は裏切り者のコーディネイター。これを利用しない手は無いと思ってね」

 

要は、カイトを任意と言う名の強制で連れて行こうという事だろう。

そのために人質としてロイド達を指名したとしか言いようが無い。

 

「ったく・・・連合のお偉いさんが聞いて呆れそうだ」

 

「ほざいてろ。とにかく、君には僕と一緒に来てもらう」

 

「断るといったら?」

 

「断らせると思うかい?君を頷かせる手はいくらでもある」

 

どうやらカイトが逃走を図ろうとした瞬間、ロイド達を殺すつもりのようだ。

だがどっちにしろ、このままではロイド達は動く事ができない。

 

カイトはロイド達の方を見る。

だが、タツヤが手で何かを伝えている。

解読すると・・・

 

(ここは任せろ・・・?)

 

どうやら自分たちの事はいいからカイトだけでも逃がそうと考えているのだろう。

だがそれしかない、カイトはタツヤに賭ける事にした。

 

「・・・分かった」

 

カイトはアズラエルの要求に答える。

その答えを聞いたアズラエルは口元の両端を釣り上げ笑う。

 

「それでいい。賢明な選択だ。もういいぞ、下がれ」

 

アズラエルはボディガードを呼び戻し、カイトの背中に銃を付けるよう命ずる。

ボディガードがカイトの背中に銃を突きつけ、ロイド達から離れた瞬間だった。

 

ガンッ!!

 

後ろからタスクがボディガードの1人を持ってきたスコップで殴る。

あまりの痛さに男は気絶する。

 

「なっ!貴様っ!!」

 

それと同時にカイトが男が落とした銃を拾い、当てない程度に発砲し牽制する。

先ほどのザフトの襲撃で周りに人がいない事はまさに不幸中の幸いだった。

 

残りの2人がカイトを取り押さえようとするが、割り込んできたタツヤが体術で逆に関節技を決め男から銃を取り上げる。もう1人もロイドが持っていた木刀で右手に持っていた銃を弾き飛ばしそれをタスクが拾う。

 

これでアズラエルの手段は無くなった。

 

「お前!!」

 

「悪いな!やっぱり行く気はない!」

 

「カイト!こっちだ!」

 

「逃がすな!!」

 

カイトが走った方向にアズラエル一行も走るが、牽制で銃弾を撃たれ身動きが取れなくなる。

その隙にがれきの陰に隠れそこにあったマンホールに入る。

 

急いででその場に向かうが、着いた時には人の影は何1つなかった。

 

 

 

 

 

 

 

マンホールの中に逃げたカイト達は身を寄せ合い今後のことを相談する。

 

「どうすんだよ、これから」

 

「どうするって・・・もうあいつらが何か言いふらして警察が動いてるかもしれないよ?」

 

「けどよ・・・」

 

みんながみんなで不安がっているが、カイト、タツヤ、シゲモリの3人は平然としている。

それどころか、カイトには1つ逃げられるかもしれない手段が思いついている。

 

「みんな、聞いてくれ。信じられないかもしれないけど1つ方法がある」

 

「何か手があるの?」

 

「最悪、俺たち全員捕まる事になるかもしれないけど・・・」

 

だが迷っている暇はなく、その場にいた全員はカイトに賭ける事にした。

 

 

 

 

 

 

カイト達を逃がしたアズラエル一行は置いて行ったフレズべルグガンダムだけでも持ち帰ろうとしている。

だが、

 

「駄目です!こちらのアクセスを受け付けません!」

 

「くそ!機械風情が生意気な!!」

 

アズラエルは頭にきたのかフレズべルグの装甲を思い切り蹴る。

そう、この機体はカイト以外に動かす事ができないようセキュリティが掛かっており、今その解除作業を行っているようなのだが、如何せんこれは未知の機体。

そう簡単にロックが外れる事はまずないのだ。

 

「とにかく、ロックの解除を急げ!あの小僧が居ない今、こいつを動かさないでどうする!!」

 

この時、アズラエルはかなり苛立っていたため、カイト達の動きを全く把握できていなかった。

 

 

 

 

 

「ここは・・・」

 

カイトの案内によって一行が来ていたのは、以前カイトは来た旧式ドッグだった。

 

「この先だ。降りるなら今のうちだけど?」

 

「冗談だろ。ここまで来て降りるのは気が引けるな」

 

「おう!それに、勉強よりこっちの方が面白そうだし!」

 

「ここまで来たんだ。このままついて行くよ!」

 

「先輩について行きますよ~!!」

 

「仕方ないな、俺も行くぜ」

 

「わたしも!」

 

全員一致でこのままカイトについて行くようだ。

それを聞いたカイトは子供じみた笑みを浮かべる。

 

「上等!!」

 

そのまま奥に行き、一行もそれに続く。

そして着いた。

 

「これだ」

 

『うわぁ・・・』

 

そこに停泊していた戦艦を目にし、カイト以外の全員は言葉を失う。 

 

全長は恐らく350mくらいかそれ以上はあるだろう巨大な船体。

特に目を引いたのは艦尾辺りにある4枚の翼だ。

色は暗めの青、翼の周囲と艦底部は輝くような白色に塗装されている。

 

「こんなのが近くにあったなんて・・・」

 

「すごいな・・・とてもじゃないが、こんなのは初めて見た」

 

「すごい・・・」

 

「なんでも、こいつの持ち主が俺に譲ってくれるらしいけどね」

 

さらっととんでもない事を言い、周囲はタツヤ以外完全に固まる。

 

「まぁ何はともあれこいつで脱出するぞ!」

 

「おっと、そうだったな」

 

「そうだった!じゃあ、さっさと支度してトンズラしようぜ、キャプテン(・・・・・)!」

 

「キャプテン?」

 

「お前が最初に見つけたんだろ?なら、キャプテンはお前じゃないか!」

 

なぜか勝手にカイトがキャプテンだと言い出すロイド。

だが揉めあっても仕方ない、そう思い到ったカイトは短くため息をつき、

 

「総員出航準備!準備ができ次第直ちに乗艦!すぐに出航だ!!」

 

『了解!!』

 

カイトの号令で全員出発準備を開始する。

が、

 

「あれ?」

 

ここでコレットが何かに気付く。

 

「どうした?」

 

「ユイちゃんがいないよ?」

 

コレットから違和感の理由を聞き、頭を抱えるカイト。

忘れていたが、ユイは運動神経が壊滅的なほど悪い。

ここに来るまでに瓦礫の下を潜ったり、瓦礫の上を跨いだりしたのだ。

どこかで躓き、迷子になっているかもしれない。

 

「みんなはここに!ユイを探してくる!」

 

カイトは全員にそう伝え来た道を戻る。

ある程度戻ったところで、案の定ユイを見つけた。

・・・スカートが瓦礫に引っ掛かっているというおまけ付きで。

 

「何やってるんだ?」

 

「せ、せんぱ~い!!助けてください!!」

 

泣きながらカイトに縋るユイだが、予想外の状況にカイトは再び頭を抱える。

普通に外せば動けるだろうが、最悪スカートが脱げてしまう。

そうなれば、間違いなく「変態」の烙印を押されてしまうだろう。

 

「少し待ってろ」

 

そう言い、カイトは引っ掛かっているスカートを持ち、器用に瓦礫から外す。

 

「よし、動ける?」

 

「あ、さっき足をやっちゃいまして・・・」

 

どうやらここに来るまでにどこかに足をぶつけ痛むようだ。

その証拠に、彼女の左足には捻ったのか赤く腫れている。

 

「分かった。みんながいる場所まで運ぶから」

 

「ふぇっ!?ちょっ、先輩っ!?」

 

カイトは右手をユイの背中に回し、左手を膝の下に入れる、所謂「お姫様だっこ」と言う物だ。

いきなりの事に顔を真っ赤にしたユイだが、そんなことはお構いなしにユイを運ぶカイト。

 

その後は何事もなく無事ロイド達の元に着いた。

 

「早く乗るんだ!こいつで脱出するぞ!!」

 

「は、はい!!」

 

未だに顔が赤いが、カイトの指示に従い乗艦するユイ。

それを確認した後、カイトも乗艦する。

 

「みんな、準備はいいか!?」

 

《こちらタツヤ。準備完了。いつでも行ける》

 

《こっもOKだ!》

 

《いつでも行けるよ!》

 

《わたしも、準備オッケー!》

 

全員準備完了の報告を受け、カイトはブリッジに向かう。

ブリッジに着いた時最初に目が着いたのは、金属のフレームがむき出しの人型ロボットだった。

目の部分は赤いバイザーの様な物になっている。

 

「お前は?」

 

「こいつはラーダ。この船の管理をしていたらしい」

 

《初メマシテ艦長。以後、艦長ノ補佐ヲ務メサセテイタダキマス》

 

ロボットらしく機械質な声だったが、確かな意思の様な物が感じ取れた。

最終確認を終え、カイトは艦長席らしき椅子に座る。

 

この艦は人員の他に運用AIが搭載されているため、命令を下せば勝手に作業をしてくれる。

 

「機関始動!」

 

《機関始動。出圧上昇。90・・・96・・・100・・・エネルギー充填120%》

 

それらしい音が聞こえ始め、ついに艦が動き出したことを知らせる。

 

「上部ハッチ開放!」

 

《了解。ドッグノメインシステムニアクセス。ハッチ、開放シマス》

 

ラーダがコンピュータのキーボードをたたきドックのシステムにアクセスする。

ドックの天井が大きく割れ、地面が割れ始める。

 

「抜錨!ユグドラシル、発進!!」

 

《抜錨。ユグドラシル、発進シマス》

 

周りに突風が起き、その巨大な船体が宙に浮かぶ。

 

そしてそれを待っていたかのように、アズラエル一行に運ばれそうになっていたフレズべルグが周りの男たちを振り落としユグドラシルに向かう。

 

艦首の格納ハッチを開けフレズべルグを迎え入れる。

それを確認した後、ユグドラシルは大空に向かって飛び立っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これからが、本当の戦いであるという事も知らずに・・・。




さぁ~て、これでようやく本編に入れる!
いや~短いようで長かった・・・(汗)。

今回出てきた「ユグドラシル」についての説明は後ほど詳しくやっていきます。

では!


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Episode8 中立崩壊 part1

ようやく原作介入です。


カイト達がオーブを脱出してから1週間程が経過した。

 

「オッケー、終わったよラーダ」

 

タスクはブリッジでオペレーター兼サポートロボ「ラーダ」の修理を行っている。

こう見えて彼は機械全般の知識をある程度持っているのだ。

終了の報告を受け、メタリックグレーの物体が上体を持ち上げる。

 

「・・・了解。作業ニ戻リマス」

 

動作を確認した後、ラーダは自分の持場に戻る。

 

「・・・カイト、この音楽どうにかならないか?作業に集中できない」

 

その時、同じくブリッジにいた青年、タツヤが艦長席に座っている友人にしてこの艦の艦長、カイトに今の状況を何とかしてくれと頼む。

今のブリッジの状態は、カイト、タスク、タツヤが各々の作業に就いているが、約2名真剣な趣でない者がいる。

それはカイトから見て1番右の席に座っているロイドとその隣に座っているシゲモリだ。

ロイドは大音量でミュージックプレイヤーから音楽を流していて、シゲモリは椅子を倒しそこで鼻提燈を膨らませながら寝ている。

 

「分かったよ。ロイド、音を下げてくれ」

 

カイトがロイドに音量を下げろと言うが、ロイドは「はいはい」と受け流し、近くにあったレンチを手に持ち。それをプレイヤーに投げる。

レンチがぶつかったプレイヤーは流している曲のテンポとキーが段々下がっていき、ついには停止する。

 

「おい!それ止めた(・・・)んじゃなくて壊した(・・・)んだろ!?」

 

「どっちでもいいだろぉ・・・?」

 

シゲモリが眠そうにカイトの声に反応する。

 

「よくない!修理にいくらかかると思ってんだよ!?」

 

ミュージックプレイヤーの修理がどうこうというくだらない問題で喧嘩を始める2人。

だがここでラーダから報告が入る。

 

「前方ニ大型コロニーヲ確認。識別信号ヨリ資源衛星「ヘリオポリス」ト確認シマシタ」

 

そう、カイト一行は今中立のコロニー「ヘリオポリス」圏域に近付いてきている。

 

「ラーダ、コロニーからは何か言ってきてるか?」

 

「現在ノ所入電ハアリマセン」

 

それを聞きカイトは一息つく。

知らぬ間にコロニーの管轄内に入ってしまったのだ。もしかしたら軍から攻撃されるかもしれない考えが頭を過ったがうやら杞憂に終わりそうだ。

だが・・・

 

「警報。ザフトト思ワシキ戦闘艦艇ノ反応ヲ確認シマシタ。数2」

 

『っ!?』

 

ザフトがいるという報告に全員の顔が強張る。

以前自分たちが生活していた学校を破壊した、コーディネイターの軍勢。

 

「ザフト艦ヨリ、小型艇ノ発進ヲ確認シマシタ」

 

また自分たちの時と同じ事をやろうというのか・・・?

 

「コロニー内デ複数ノ振動ヲ確認。爆発ニヨル物ダト思ワレマス」

 

カイトの手に自然と力が入り始める。

もうあんな事があってはいけないのに・・・!

 

「ザフト艦2隻ヨリMS(モビルスーツ)ノ発進ヲ確認シマシタ」

 

カイトが静かに立ち上がる。

 

「総員第1種戦闘配置!ザフトを迎撃する!」

 

「了解シマシタ」

 

「分かった」

 

「おう!」

 

「仕方ねぇな・・・」

 

「了解!」

 

この場にいる全員が持ち場に戻る。

 

「MS2機、コロニー内ヘ侵入シマシタ」

 

「なら・・・タツヤ!」

 

「何だ?」

 

「今からあのMSの相手をする。留守中の指揮はお前に任せる!」

 

タツヤは何か言おうとしたが、カイトの目を見て言葉を詰まらせる。

カイトの目は関係のない人々を助けたいを助けたいと真っ直ぐに訴えている。

 

「・・・了解。本艦の指揮を預かります」

 

「頼んだぞ!ラーダ!すぐに出る!俺の機体の発進準備を!!」

 

「了解。フレズべルグ、発進準備」

 

カイトはすぐにブリッジを飛び出し、格納庫に向かう。

そう言っている間にもオーブのMA(モビルアーマー)「メビウス」と残りのジン4機との戦闘は始まっている。

 

格納庫に着いたカイトはすぐに自分の機体「フレズべルグ」に搭乗しOSを立ち上げる。

準備が終わり、フレズべルグがカタパルトにセットされ、各部チェックが終わる。

 

《発進準備完了。発進可能デス》

 

《気を付けてな、カイト》

 

「ありがとう。カイト・ワタセ、フレズべルグ、行くぞ!!」

 

カイトの乗ったフレズべルグがカタパルトから飛び出し宇宙(そら)に上がる。

 

 

 

カイト不在のユグドラシル内はザフトの艦船への攻撃準備が行われている。

 

「ラーダ、俺たちは戦闘艦の相手をする。向こうの勢力は?」

 

「ローラシア級フリゲート艦1、ナスカ級高速戦闘艦1、2隻ノ機関音上昇、戦闘態勢ニ入ッタヨウデス」

 

「上等だ。主砲「ブリューナク」砲撃準備。艦尾ミサイル発射管1番から4番に「スレッジハマー」5番から8番に「コリントス」装填」

 

「了解」

 

「ロイド、主砲の照準を渡す。外しても構わないが間違ってもコロニーには当てるなよ」

 

「合点了解!!」

 

「コレット、レーダー警戒を厳に。何かあったらすぐ知らせてくれ」

 

「任せて!」

 

「シゲモリ、タスク、お前達は格納庫で待機。最悪の場合に備えてMSを残してある。それに乗って待ってろ」

 

「へいへい」

 

「了解!」

 

ユグドラシル内は大忙しだ。

タスクとシゲモリは格納庫へ走り、ロイドはモニターに出てきたカーソルをレバー操作でザフト艦に合わせ、コレットはレーダーをじっと見る。

 

「ラーダ、ヘリオポリスに入電「本艦はこれよりヘリオポリス防衛の支援に当たる」」

 

「了解」

 

「行くぞ。主砲、打ち方始め!」

 

「オーケー!これでも喰らえ!」

 

ロイドがレバーの引き金を引くと、艦底部にある砲塔が火を吹く。

だが、距離がありすぎた事と目視のため直撃はしなかったが掠りはし、艦の装甲表面を溶かす事は出来た。

 

「待って!向こうから何か来てるよ!」

 

コレットが何かに気付き、タツヤに伝える。

 

「ラーダ、詳細を確認」

 

「了解。熱紋パターンヨリ解析・・・解析結果、「ジン」デス」

 

「分かった。機銃「イーゲルシュテルン」準備。それと、シゲモリとタスクに出撃要請」

 

「了解。「シュヴァリエ」及ビ「エクスシア」発進準備」

 

《了解!》

 

《へ~い》

 

タスクは真剣に、シゲモリは面倒臭そうに答える。

こういう事態にも備え、ユグドラシルにはMSが全部で4機配備されている。

タスクが駆る機体は背中に鳥を思わせる翼の様なウィングが装備された「XXXG-00W0(カスタム) エクスシア」

シゲモリが駆る機体は汎用性に優れた「PMS-01 シュヴァリエ」だ。

 

「発進準備完了。タスク機、シゲモリ機、発進可能デス」

 

「・・・全機発進!」

 

《了解!タスク・タチカゼ、エクスシア、行きます!》

 

《へいよ。シゲモリ・タケナカ、シュヴァリエ、発進》

 

ユグドラシルのカタパルトから白い機体と灰色の機体が発進する。

これにより、ヘリオポリス周辺の戦闘はさらに激化する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘリオポリス内では危険な事態が起きている事も知らずに・・・。




・・・という訳でお楽しみいただけましたか?

これで原作に従えばコロニーは簡単に・・・。
でもそうならないようにカイト達には頑張ってもらいましょう。

では!

※タイトル名を変更しました


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Episode9 中立崩壊 part2

長いので3つに分けます。


資源衛星ヘリオポリス内・・・

 

 

 

「こいつっ!」

 

カイトは現在ザフトのMS「ジン」と交戦しているが、以前カイトが戦ったパイロットとはレベルが違かった。

だが相手のジンのパイロットも、フレズべルグに驚きを隠せない。

 

「くそっ!なんだこの機体は!?事前情報には無かったぞ!?」

 

ジンは重斬刀を振り下ろすがそれをシールドで防がれる。

だがここでカイトが何かに気付く。

 

「あれは・・・」

 

視界の端に白い機体がもう1機のジンと交戦している。

だがパイロットはまだ操縦に慣れていないのか、動きが遅い。

あのままではやられるのは時間の問題だろう。

 

「待ってろ・・・!」

 

ジンが再び重斬刀を振り下ろすが紙一重のところで回避し、スラスターを噴射させ白い機体のところに向かう。

 

「くっ!ミゲル!そっちに1機行ったぞ!」

 

だが呼びかけた時には遅く、フレズべルグの蹴りがジンに炸裂する。

そしてカイトは白い機体を庇うように前に降りる。

 

「何だか知らないけど、こいつの相手は俺が!」

 

そのまま操縦桿を握りしめ、ジンに向きあう。

 

「く!なんだこいつは!」

 

《気を付けろ!そいつはデータに無かった!》

 

「ふん、データに無かろうが、捕獲すりゃ問題ないだろ!」

 

ジンのパイロット「ミゲル・アイマン」はフレズべルグを見て大したことないと言わんばかりに突撃する。

だが先ほどまで相手にしていた白い機体とは天と地の差ほどの良い動きを見せる、

 

「くそっ!ナチュラル風情がぁ!!」

 

ミゲルは怒りにまかせ機銃を連射する。

だが相手はスラスターを吹かせては止まり、吹かせては止まりと素早い動きを見せ攻撃を回避する。

 

「ちぃ!!ちょろちょろと!!」

 

カイトはこの1週間何もせずに過ごしてきたわけではない。

少しでも機体特性を理解しようとユグドラシル内にあるシミュレーターで訓練を積んでいたのだ。

その結果が今カイトがしている機動だ。

 

フレズべルグはその速度から高速度による一撃離脱を得意とする。

機銃で牽制し、隙ができたところで相手の懐に入り撃破する・・・

それがカイトの編み出した高速戦闘のセオリーだ。

 

「今だ!!」

 

ここだと判断したカイトは一気に加速しジンとの間合いを詰める。

 

「でやぁぁぁぁぁっ!!!」

 

フレズべルグがビームサイズを振り下ろす。

致命傷とまでは行かなかったが、鎌先はジンの首元に深く刺さっており、力尽きるように腕を垂らす。

 

「ちぃ!動かない!くそっ!!」

 

ミゲルは脇にあるレバーを引きジンから脱出する。

 

「?・・・機体を捨てた?」

 

カイトはザフト兵が機体から脱出するのを呆然と見ていたが、コックピットの計器が突然警報を鳴らし始める。

 

「?」

 

いきなり警報が鳴り始めた事にカイトは困惑するが、次の瞬間・・・

 

ドオォォォォォォ!!!

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

ジンが大爆発を起こし、フレズべルグにとてつもない衝撃を与える。

だが衝撃を与えただけで、機体は無傷だった。

 

「ってて・・・なんとか無事見たいだ」

 

だがカイトの懸念材料は他にもあった。

おそらくあの白い機体は地球軍の新型機動兵器だろう。

それを少しでも見てしまったカイトを素直に開放するとは想像しにくい。

 

「どうするかな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このっ!」

 

ヘリオポリス周辺宙域ではジン2機がタスクが駆るエクスシアに襲いかかっている。

コーディネイターとはいえ、MSの操縦に関しては素人同然なのだ。

 

「く!このままじゃ!!」

 

いくら攻撃を回避しているとはいえ、反撃できなければ意味が無い。

今のタスクはまさに防戦一方だ。

 

そんな時、ジンの1機がエクスシアに機銃を向ける。

 

「っ!!」

 

もう駄目だとタスクが両眼を瞑る。

だが、

 

《なにやってんだ?タスク》

 

どこからか弾丸が放たれ、機銃が握られているジンの右腕を吹き飛ばす。

弾丸が飛んできた方を見れば、シゲモリの駆るシュヴァリエがユグドラシルの甲板らしき場所から狙撃を行っている。

 

「ありがとう、シゲモリ!」

 

《ったく、世話が焼けるなぁ》

 

シュヴァリエが再び構えている30cm砲に酷似したスナイパーライフルを撃つ。

その弾丸はもう1機のジンの頭を吹き飛ばす。

 

これは駄目だと思ったのか2機のジンは撤退する。

 

《ふぅ~、一先ず落ち着いたか?》

 

「みたいだね。こちらタスク、ザフトのMSは引き揚げて行ったよ」

 

《こちらユグドラシル、了解した。2人はそのまま周囲を哨戒。警戒を厳に》

 

「了解!」

 

《へいよ》

 

 

 

 

 

 

 

 

「オロール機、マシュー機被弾!緊急帰投!」

 

「オロールとマシューが被弾だと!?」

 

ザフト所属ナスカ級高速戦闘艦「ヴェサリウス」内、

 

2機のMSが被弾した報告を受け、ヴェサリウス内は驚きの空気に包まれる。

地球軍には碌な戦力はないはずなのに、ここまで手こずるとは思っていなかったのだ。

 

「どうやら、いささかうるさい蠅が飛んでいるようだな」

 

誰もが驚愕する中、進行するザフトを率いている隊長「ラウ・ル・クルーゼ」だけは表情を変えることなく無表情なままだが、その顔には僅かに怪しい笑みを浮かべている。

 

「不明艦、尚も本艦に向け砲撃を続行!」

 

「負けるな!ナチュラルどもに目に物見せてやれ!」

 

「ミゲル・アイマンよりレーザービーコンを受信!エマージェンシーです!」

 

今度こそ全員が驚愕する。

 

ミゲル・アイマンといえば「黄昏の魔弾」の異名を持つザフトのエースパイロットだ。

専用機のジンではないとはいえ、そこらのパイロットに後れを取るとは考えられない。

 

「ミゲルが機体を失うほどとはな・・・このまま放置はしておけんな。アデス、あとを頼むぞ」

 

「はっ!」

 

この艦の艦長「フレドリック・アデス」に指揮を任せラウはブリッジを出る。

 

格納庫に来たラウはジンの次世代機の「シグー」に乗り込むと、機体を立ち上げ、ヴェサリウスから出撃する。

 

 

 

 

 

戦闘を終えたカイトは、一先ず白い機体のすぐ近くでフレズべルグを停め降りる。

だが降りてカイトを待ち受けていたのは白い機体から降りた作業着の女性に銃を向けられているという状況だ。

 

「・・・これは・・・」

 

「援護には感謝します。しかし、貴方は軍の重要機密を見てしまいました。このまま解放する訳にはいきません。しかるべき所と連絡が取れ、処置が決定するまでは私と行動を共にしてもらいます」

 

どうやらあの機体は本当に軍の機密だったらしい。

もしかしたら厄介事に突っ込んでしまったかと内心思ったが断れる雰囲気でないのは確かだ。

 

「・・・分かりました。自分はカイト・ワタセです」

 

「マリュー・ラミアスです」

 

仕方ないかと思ったカイトは渋々ラミアスと名乗った女性に従う。

だが隙を見てユグドラシルに連絡を入れる。

 

《カイトか。どうした?》

 

「まずい事になった。地球軍の機密に触れたみたいだ」

 

《何?それじゃ、お前は・・・》

 

タツヤはカイトの身を案じているようだが、

 

「大丈夫だ。軍といっても人を見る目はありそうな人だよ」

 

カイトは少なくとも自分は大丈夫だと伝える。

 

《・・・分かった。気を付けろよ》

 

「ありがとう」

 

伝えるべき事を伝えるとカイトは通信を切り、ラミアスの後に続こうとしたが、

 

ドオォォォォォォン!!!

 

「っ!?」

 

コロニーのシャフトが突然爆発し、黒煙の中からラウが駆る「シグー」と「メビウス・ゼロ」が飛び出す。

 

「あれは!?」

 

するとシグーが何かを見つけたのか一気に急降下を始める。

その先には・・・例の白い機体があった。

 

「くそ!させるか!!」

 

「!?どこへ行く気ですか!?」

 

ラミアスの制止を振り切りフレズべルグに乗り込む。

機体を立ち上げた後すぐに襲撃してきたシグーと戦闘を始める。

 

「私と戦おうというのか?」

 

言うや否や、シグーは重斬刀を構え、フレズべルグはビームサイズを構える。

 

「ほう・・・見慣れない装備だな。他に開発されていたようだが・・・」

 

ラウはフレズべルグの装備に興味を示している。

そして互いに鍔迫り合いを始める。

幾度となく鎌と重斬刀がぶつかり合うが、やはり経験不足のカイトが除々に劣勢になってきている。

 

「く!いままでのとはレベルが違う!!」

 

「動きは見事なものだが、経験不足のようだな」

 

シグーは右手の機銃をフレズべルグに向け撃つ。

だがそれは遊び程度だ。

確かにカイトは特性を掴みそれを引き出そうとしているが、経験不足は否めない。

 

「なら、これはどうだ!」

 

今度は狙いをあまり付けずに撃つ。

 

「!!」

 

カイトは咄嗟に反応し回避するが、乱射されればいずれ当たる。

それを避けるためにカイトはスラスターを吹かせ右に回避する、

 

「なっ!?」

 

「もらった!」

 

回避したところにシグーが重斬刀で斬りかかる。

何とかシールドを滑り込ませ防ぐが、不安定な状態で防御したためにバランスを大きく崩す。

 

「フィナーレだ!」

 

シグーが兵装をビームライフルに変え、コックピットを正確に狙ってくる。

 

(負けるのか・・・いや、まだだ・・・!)

 

間に合わないとはいえど、諦めの意思はなく思い切りスラスターを吹かせシグーに肉薄しようとした。

 

その時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドオォォォォォォォン!!!

 

「っ!?」

 

「ん?」

 

すさまじい轟音と共に山岳部が崩れ落ち、立ち込める煙の中から戦艦が姿を見せる。

 

白亜の戦艦が・・・。




という訳でパート2を投稿しました。

やっと原作キャラが出てきましたね。いや~長かった(汗)。


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Episode10 中立崩壊 part3

白亜の戦艦「アークエンジェル」、

このコロニーで内密に建造されていた新型艦だ。

 

「新型艦?仕留め損ねていたか・・・」

 

思わぬ乱入者にラウは悪態をつき、今度はアークエンジェルに狙いを定める。

 

「行かせるか!」

 

カイトはそうはさせじとシグーに肉薄する。

だがその前にアークエンジェルからミサイルが放たれ、カイトらに向かってくる。

 

「ちぃ!」

 

「いっ!?」

 

だがカイト達から見ればたまったものではない。

2機とも機銃でミサイルを迎撃するが、シグーが回避したミサイルの何発かがコロニーのメインシャフトに直撃し大爆発を起こす。

 

「なっ!」

 

その光景を見てカイトは焦る。

 

(このままじゃ、ヘリオポリスがもたない!)

 

一刻も早く戦闘を終わらせなければ。

そう決断したカイトはまずシグーを追い払おうとする。

 

「そろそろこの辺で消えてくれるとありがたいんだがね」

 

すぐにラウとの戦闘を再開するカイトだが、やはり力の差は歴然としており追い込まれる一方だ。

 

「くそ!!」

 

「青いな。素質に恵まれてはいるが、やはり素人か」

 

ラウはフレズべルグの攻撃をかわし、コックピットを正確に重斬刀で狙う。

いくらPS装甲といえど、物理攻撃を無効化するだけであって衝撃を殺すことはできない。

 

「ぐう!!」

 

カイトは襲ってくる衝撃に耐えながら必死に操縦桿を動かすが、シグーの動きについて行くので精一杯だ。

だがそこでフレズべルグのコックピットに警報が鳴り響く。

 

「!!」

 

警報が鳴り出したという事は、何か危険があるという事は経験からすぐに推測できた。

 

その瞬間、2機の間に高エネルギーが迸る。

先ほどの白い機体がビーム兵器を使用したのだ。

だがそれは寸前で回避したシグーの右腕を吹き飛ばしたに止まらず、コロニーの壁を貫通し大きな穴を開け、2機はそれに吸い込まれる。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「これほどまでの火力をMSに持たせるとはな・・・」

 

 

 

 

 

コロニー外では未だにザフトの「ヴェサリウス」「ガモフ」とユグドラシルが戦闘を続けている。

 

「喰らえ!!」

 

「ミサイル発射」

 

ユグドラシルの艦底の砲塔が火を噴き、艦尾のミサイル発射管からミサイルが放たれる。

 

「待って!コロニーから何か出てきたよ!」

 

「分かった、確認させる。タスク、シゲモリ」

 

《了解!》

 

《へ~い》

 

ユグドラシルの指揮監督タツヤから命令を受け、タスクの駆るエクスシアとシゲモリの駆るシュヴァリエが飛ぶ。

だが報告は全員が思いもよらないものだった。

 

《あれって・・・カイト!?》

 

「え!?」

 

「何だって!?」

 

「モニターに出せ!」

 

「了解」

 

ラーダがキーボードを操作し、様子を映し出す。

そこには先ほどコロニーに空いた穴に吸い込まれ、宇宙に放り出されたカイトのフレズべルグだった。

 

《とりあえず。回収するよ!》

 

「分かった。帰投後2人は格納庫で待機」

 

《どうして!?》

 

《ふ~ん》

 

タツヤの命令にシゲモリは適当に返すが、タスクは納得がいかないようだ。

だがこれにはタツヤなりの理由があった。

 

「さっきの戦闘で機体が消耗してるだろ?特にタスク、お前はな」

 

《う・・・》

 

否定できないタスクは言葉に詰まる。

先ほどの戦闘でも満足に機体を操れず、無駄弾ばかりを撃ち続けもう弾薬は底をついている。

 

「代わりに1人出す。ロイド、出番だ」

 

「おっしゃあ!!」

 

タツヤに指名されたロイドは気合を入れるように右拳を左掌に打ち付ける。

その後、2人が帰投しようとフレズべルグの腕をつかんだ時、

 

《2人とも!》

 

《カイト、大丈夫?》

 

タスクがカイトの身を案じる。

 

《ああ、俺は大丈夫だけど、まだコロニーの中にザフトが!》

 

《!!》

 

カイトの言葉にタスクは絶句する。

ザフトは今、自分達の時と同じ事をやっているのだ。

 

「待って!向こうから何か出てきたよ!」

 

「ラーダ、詳細を解析」

 

「了解」

 

コレットからの報告を受け、再びラーダがザフト艦から出現した物体の解析を開始する。

 

「熱紋パターンヨリ解析。解析結果・・・「ジン」デス」

 

モニターにザフト艦から発進したジンの様子が映し出され、ロイドが驚愕する。

そのジンは、大型ミサイル2発が搭載されたランチャーを両腕に装備している。

 

「何だありゃ!?まるで拠点を潰すための重装備じゃねえか!あんなもんをコロニー相手に使う気か!?」

 

「ザフト艦ヨリ、更ニMS5機ノ発進ヲ確認。ソノ内ノ2機、本艦ニ接近中デス」

 

「分かった。タスクとシゲモリはこれを迎撃。ロイドはカイトについて行け」

 

「おう!」

 

《了解!》

 

《ちっ・・・めんどくせぇ》

 

ロイドとタスクは真面目に、シゲモリは面倒臭そうに答え、ロイドは格納庫へ走る。

ラーダはコンピュータを操作し、格納庫にある最後の機体の準備にかかる。

 

「各システム異常ナシ。「ヘリオス」、発進準備」

 

ラーダが再びキーボードを操作し、MSの発進準備を進める。

そしてこの艦に搭載されて椅子最後の機体がカタパルトにセットされる。

 

「ロイド機、発進可能デス」

 

「ロイド、いつでも行けるぞ」

 

《はいよ!ロイド・アレクシア、ヘリオス、行くぜ!!》

 

カタパルトからロイドの駆る「XXXG-01H2(カスタム) ヘリオス」が打ち出され、宇宙に上がった後にカイトのフレズべルグと合流しコロニーに向かう。

それを確認した2機のジンはそうはさせまいと2人の前に出ようとするがエクスシアが右手に持つ機銃と、シュヴァリエの狙撃により後退せざるを得ない。

 

《お前達の相手は僕たちだ!》

 

 

 

 

 

 

 

「よし!あそこから入るぞ!」

 

《おう!》

 

カイトはロイドの駆るヘリオスを引き連れ、外壁の穴から再びヘリオポリスの中に入る。

そこではすでにザフトのMS4機とアークエンジェルが交戦していた。

その中の2機は先ほどの白い機体と交戦しているが。

 

「もう始まってる!ロイド、時間が無い!出来るだけ早くザフトを追い払うぞ!」

 

《はいよ!》

 

カイトとロイドは散開し、ロイドはアークエンジェルが相手をしている2機のジンの相手をする。

カイトは白い機体が相手をしているジンと赤い機体の前に割り込む。

 

「くっ!なんだ!?」

 

「!気を付けろアスラン!さっきの奴だ!」

 

ジンのパイロット、ミゲルは赤い機体のパイロット「アスラン・ザラ」に注意を促す。

だが先ほどの事もあり、ミゲルは白い機体の相手をアスランに任せ、自分はカイトの相手をすると言い出す。

アスランは心配しながらもこれを了承し、ミゲルはカイトと対峙する。

今のミゲルのジンにはバズーカの様な「M69バルパス改 特火重粒子砲」が装備されている。

 

「そーら堕ちろおぉぉぉぉっ!!」

 

ジンの粒子砲が火を噴き、極太の光線がカイトに迫る。

 

「くっ!」

 

だが寸でのところで背中の両翼「アクティブクローク」をシールドの様に構え防御の体勢を取る。

そして粒子光線がフレズべルグを飲み込む。

 

「やったか?」

 

ミゲルは一瞬歓喜の声をあげそうになったが、白煙の中から無傷のフレズべルグが飛び出し、ビームサイズを振りかぶる。

 

「!!」

 

ミゲルは寸でのところで回避し、粒子砲を撃つが、カイトはアクティブクロークで防御しビームサイズを振るう。

攻撃を当てる事が出来ないミゲルは次第に冷静さを失いだす。

 

「ちっ!素早い!!アスラン、回り込んでくれ!!」

 

ミゲルの声にアスランはすぐ反応し、カイトの前に入り込み進路をふさぐ。

 

「!!あの機体、さっきの機体に似てる・・・!」

 

カイトは目の前に現れた機体が先ほど見た白い機体に酷似している事に驚きを隠せない。

だがその隙にミゲルのジンがカイトの背後に着く。

 

「もらったあぁぁぁ!!」

 

「っ!!」

 

それに気付いたカイトだが、咄嗟の事で反応できない。

だが突然ジンにオレンジ色にビーム弾の雨が降り注ぐ。

 

「くっ!!」

 

「!!今だ!!」

 

ジンがビームの雨を回避した先にフレズべルグを滑り込ませ、ビームサイズを振り下ろす。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

そのままジンの上半身を切り裂き、ジンが爆散する。

 

「ミゲルウゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

爆散したジンに向けてアスランが叫ぶ。

そして間を開けて、フレズべルグの元に赤と白の塗装が施された機体「ヘリオス」が来る。

 

「サンキューロイド!助かった・・・!」

 

《気にすんなよ!》

 

だが2人の会話を爆発音が遮る。

アークエンジェルの砲撃がコロニーのメインシャフトを掠めたのだ。

 

《なあっ!?》

 

「まずい!もうコロニーが持たないぞ!!」

 

《だからって、どうすりゃいいんだよ!?》

 

「とにかく、早く最後のあの機体を追っ払うんだ!!」

 

《ああ、もう!どうにでもなりやがれっ!!》

 

カイトからの指示を受けたロイドはもはや自棄になりがちだが、指示通り最後のジンの撃破に向かう。

カイトもそれに続こうとしたが、先ほどの赤い機体が進路を遮る。

 

「くっ!邪魔するな!!」

 

赤い機体に向けて叫ぶが、聞こえているはずはない。

すぐさま臨戦態勢を取るが、そこに通信が入る。

 

《キラ、キラなのか!?乗っているなら返事してくれ!!》

 

(キラ・・・?)

 

聞いた事のない名前に困惑するが、頭を振り相手に返答する。

 

「そういうお前こそ誰だ!!」

 

《っ!?》

 

モニターに映った顔を見てアスランは驚きを隠せない。

信じたくなくとも、この機体に乗っているのはキラだと思っていたからだ。

 

「どうしてこんな事をしているんだ!?」

 

《貴様こそ、ここで何をしている!?》

 

一触即発のムードが2機の間に漂うが、そこで大きな衝撃が2機を襲う。

ロイドが相手していたジンの撃破に成功したのだが、その際にランチャーに搭載されていたミサイルが発射され、シャフトに直撃してしまったのだ。

そしてこれまでの攻撃でとうとう限界を迎えたコロニーの外壁に無数の亀裂が入り凄まじい乱気流が発生する。

 

「くっ、ここまでか・・・」

 

崩壊寸前にアスランはフレズべルグと白い機体を見つめ、そのまま離脱する。

カイトも離脱を試みるが、乱気流に捕まり身動きが取れなくなりそのまま宇宙空間に吸い出されてしまう。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

カイトの視界が大きく周り、そのまま暗闇の中へ吸い込まれていった。




おう・・・原作通りの展開に・・・。
しかもメチャクチャ展開がダサい・・・

誰か、センスを分けてください・・・(泣)。


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Episode11 戦士との邂逅

随分掛かってしまいました・・・


そこは何も知らぬ者が見ても惨状とも呼べる光景だ。

周囲に散らばっているのは破壊されたコロニーの成れの果て。

MSのコックピットに座るカイトは宇宙に散らばる残骸に目を向けた。

 

「どうして・・・こんな事に・・・」

 

いままであそこで暮らしていた人々は平和に過ごしてきたはずだ。

それが突然こんな惨状になるとは誰も思わなかっただろう。

だが今、その平和は壊された。

 

あそこの人々にとって思い出の詰まった拠り所が

 

壊されたのだ。

 

《イ・・・ト・・・》

 

いくらカイトでもこの光景には心が痛む。まだカイトは子供なのだ。

 

《カイ・・・!》

 

「?」

 

通信機から男性の声が聞こえてくる。

 

《カイト!》

 

これは親友のタツヤの声だ。

タツヤがここまで大声を出すのは珍しい。

 

《カイト!無事か!!》

 

「ああ、俺は大丈夫。みんなは?」

 

《大丈夫だ、全員こちらで回収した。無事だ》

 

「よかった・・・」

 

タツヤからの報告にカイトは深く安堵のため息をつく。

 

「これから帰投する・・・?」

 

《ん?どうした?》

 

通信機越しにタツヤが疑問を投げるが、カイトの視線の先にはあの白い機体が漂っていた。

 

「タツヤ、さっきまで俺と一緒だった機体が動けないみたいだ。救援に行きたいけどいい?」

 

《構わない。お前に任せるさ》

 

「了解、じゃ、機体を回収してから帰投する」

 

《了解した。俺たちは格納の準備をしている》

 

タツヤはそう言い残し通信を切る。

通信を終えたカイトはフレズべルグのスラスターを吹かせ、例の白い機体に接近する。

そばに着き、カイトは緊急回線周波数に替える。

これなら回線封鎖をおこなっていない限り全回線で聞こえるはずだ。

 

「こちらフレズべルグ、そこの機体のパイロット、聞こえるか?」

 

《・・・はい、一応・・・。誰ですか?》

 

パイロットの声からすると、カイトを相当警戒している事はすぐ分かる。

 

「ごめん、驚かせる気はないんだ。ただ君を見つけてね」

 

「・・・そうなんですか・・・?」

 

(未だに半信半疑か・・・)

 

カイトは自分の人望の無さに少しばかり落胆する。

 

「ま、まあそれは置いといて、君ひょっとして・・・母艦の場所が分からないとか?」

 

「えっ!?」

 

パイロットはなぜ分かったのだと不思議そうな顔をしているが、宇宙を漂っているMSは、無人かパイロットが宇宙慣れしていない証拠。

それが漂流しているともなればそれを推測するのは今のカイトには容易な事だ。

 

「図星か。俺たちの拠点まで送るよ」

 

白い機体のパイロットはまだ少し警戒した様子だが、迷子の身である以上どうしようもできない。

おとなしくカイトの指示に従い、カイトは機体を背負ってユグドラシルに帰投する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フレズべルグと白い機体はカタパルトデッキから格納庫内に入った。

そこにはすでにエクスシア、シュヴァリエ、ヘリオスが格納されている。

 

「おかえりカイト」

 

先客としてタツヤが待っていた。

 

「ただいま。俺はお客さんの相手をするからここの指揮を頼むよ」

 

「分かった」

 

カイトは白い機体の方に近付く。

すると程なくしてコックピットハッチが開きパイロットが出てくる。

 

(若いな。俺たちと同じくらいじゃないか・・・)

 

カイトは降りてきたパイロットを見て内心驚いている。

 

「初めまして。カイト・ワタセです」

 

「キラ・ヤマトです。助けていただいてありがとうございます」

 

栗色の髪にまだ幼さの残る中性的な顔立ちの少年は、礼儀正しく頭を下げる。

 

「ここで立ち話もあれでしょう。こちらへ」

 

「・・・分かりました」

 

キラと名乗った少年は一瞬カイトを警戒したが、すぐにおとなしく付いていく。

カイト達が向かったのは格納庫近くのパイロット待機用の休憩室。

お互いどのような経緯でここにいるかを話したとき、カイトはキラの話した事に驚いていた。

偶然あの白い機体「ストライク」に乗りコーディネイターとしての才能を発揮。ヘリオポリスに被害を出しながらもザフトのMSと対等に戦った。

工学系に強いコーディネイターとはいえ、短時間で人型機動兵器のOSを書き換え、操縦までしてしまう。

最終的にはカイトがそのMSを破壊したが・・・。

 

「ワタセさんは、コーディネイターを危険視しないんですか?」

 

話の途中でキラがカイトに質問を投げる。

確かにカイトにとっては若干16歳で最新鋭機動兵器を操縦し、熟練パイロット相手でも全く引けは取らなかった事は驚愕に値する。

 

「俺自身もコーディネイターだし、殺人鬼や狂信者の方がもっと怖いな。能力がどうこうより、中身で考える方だから」

 

同じコーディネイターである事も理由の1つだが、カイトは特になナチュラルやコーディネイターに憎悪や恐怖と言った負の感情は持っていない。

カイト達はもとはただの民間人であって、身体能力の差異があるからといってそれを差別する活動家でなければ、思想団体や宗教にも入っていない。

 

「それにここにいるのはナチュラルが大半だけど、みんな同じ事言うと思うよ」

 

キラはそんな反応が珍しいのか驚いた顔をしている。

キラの友人もナチュラルだが、それは長い時間をかけて分かりあって出来たものだ。

一般的なナチュラルは大抵コーディネイターを妬み、恨む事が多い。

そんなナチュラルがここにはいるのかという事がキラにとっては新鮮なのかもしれない。

 

「カイトさんって、変わってますね」

 

親近感が湧いたのか、名字でなく名前で呼ぶ。

カイトは名前で呼んでくれた事には素直に嬉しいと思えるが、「変わっている」という単語がグサリと胸に刺さる。

友人はいるがさほど女性に興味を示さず、よく父親の職場の横須賀に1人で遊びに言ってはドヤされる。

 

「・・・よく言われる」

 

ここまで頻繁に言われればカイトとしても認めるしかない。

 

「カイトさんは、どうして危険を冒してまで戦闘に参加しようとしたんですか?」

 

「元々は俺たちもキラと同じ民間人だったんだ。けど1週間前に俺たちの学校にザフトが襲ってきて、それから連合の変な奴に目を付けられて逃げ出してきたんだ。それに、戦争はスポーツと違って明確な終わりが無い。ならそんな世界に風穴を開けてやる・・・こんなところかな」

 

コーディネイターとナチュラルの確執はとてもではないが妥協点を見出せそうにない。

これは相手の考えを一切認めず、殲滅する事と同じだ。

ただ両者に落とし所などある訳もなく、根本的に身体能力差で畏怖している。そんなものは話し合いでどうにかなるレベルではない。

 

「カイトさんって、若いのにすごいですね」

 

目を輝かせながらカイトを見つめるカイト。

 

「・・・お世辞でも嬉しいよ」

 

否定で無く校庭で返したキラにカイトはお礼を言う。

 

「カイトさんって。いくつなんですか?」

 

ふとキラがそんな事を聞く。

大型艦のクルーをしているともなれば歳が気にならないはずが無い。

 

「18。今年の7月が来れば19になる」

 

自分が想像していたよりずっと年下だった事にキラは驚きを隠せない。

 

 

 

――ピピピッ

 

 

 

その後もカイトはキラと談話を続け、短い時間で2人は仲良くなった。

が、そんな時に休憩室の艦内電話が鳴り響く。

 

「どうした?」

 

《艦長、例ノ連合艦ヲ確認シマシタ》

 

「分かった。通信準備。すぐに行く」

 

《了解シマシタ》

 

電話の相手はラーダ、連合の艦、アークエンジェル発見の報告だった。

カイトは通信の準備をするよう伝え通話を切る。

 

「キラ、君の母艦が見つかった。これから連絡を付ける」

 

「ありがとうございます」

 

キラを休憩室に残し、カイトはアークエンジェルと連絡を取るべくブリッジに向かう。




ついに原作主人公の登場です!
ここからどうしますかね・・・。

まあ、気長に続けて行くつもりです。

では!


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