ワンピース 絶滅天使と行く (ぬっく~)
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1話

豊・名声・力、かつて、この世の全てを手に入れた男“海賊王”ゴールド・ロジャー。

彼が死に際に放った一言は、全世界の人々を海へと駆り立てた。

 

「おれの財宝か? 欲しけりゃくれてやるぜ……。探してみろ、この世の全てをそこに置いてきた」

 

世は、大海賊時代を迎える―――

 

 

 

 

東の海にある小さな村に一年ほど前から停泊している海賊船があった。

村はいままでと変わらず平和だった。

 

「おい、ルフィ。何をする気だ」

 

海賊船の船首で一人の少年がナイフを片手に持ち、クルーたちに何かを宣言している。

 

「おれは遊び半分なんかじゃないっ!! もう、あったまきた!! 証拠を見せてやるっ!!!」

 

「だっはっは、おう! やってみろ。何をするか知らねぇがな!」

 

「また、ルフィが面白ェ事やってるよ」

 

村の少年、モンキー・D・ルフィは持っていたナイフを自分の左目の下に刺した。

 

『な……』

 

クルーは慌ててルフィを近くの診療所へと連れっていった。

本当に平和な村だった。

 

 

 

 

「野郎共、乾杯だ!!」

 

村の酒場でクルーたちは朝っぱらから、酒や肉を食べている。

 

「本当に飽きないのねぇ……あんたたちは」

 

酒場のバーで一人の少女が本を読んでいた。

 

「お! オリガミも来ていたのか。ほれジュースだ」

 

「ありがとうございます。シャンクスさん」

 

ルフィと同い年の少女、オリガミはシャンクスからジュースを受け取ると今読んでいた本を背にして飲み始める。

 

「シャンクス!! おれはケガだって、ぜんぜん怖くないんだ!! 連れってくれよ、次の航海」

 

「あんた、まだそんなことを言っているの?」

 

毎回のごとくルフィはシャンクスに船に乗せてくれと言ってくる。

 

「オリガミはいいのかよ!!」

 

「私は10年たったらにするわ」

 

「お! 分かっているな。オリガミは」

 

シャンクスは飯を食いながら話に乗ってくる。

 

「今のルフィの身体では足手まといだと、シャンクスさんは言っているのよ?」

 

「ぐっ……」

 

ルフィはオリガミの気迫に負けたのか、おとなしく下がった。

 

「シャンクス」

 

「なんだ」

 

「あと、どれぐらいこの村にいるの?」

 

ルフィはおとなしく席にすわり酒場の店主のマキノさんが出した料理を食べる。

 

「そうだなァ、この村を拠点に旅をしてもう、一年以上たつかな。あと2・3回航海したら、この村を離れてずっと北へ向かおうと思ってる」

 

「ふーん」

 

始まりがあれば終わりがあるようにシャンクスは後少ししたらここを出て行ってしまうことをルフィに話す。

その時、酒場の扉が蹴り飛ばされてきた。

 

「邪魔するぜェ」

 

入って来たのここらでは見ない人たちだった。

 

「おれ達は山賊だ。―――が……別に店を荒らしに来た訳じゃねェ。酒を売ってくれ、樽で10個ほど」

 

オリガミは山賊の顔を見るなり彼が賞金首だということを思い出す。

 

「ルフィ、こっちに来なさい」

 

「なんでだ?」

 

「いいから」

 

ルフィをシャンクスから離すと、山賊棟梁ヒグマはシャンクスが手渡そうとした酒瓶をかち割った。

その後、軽く荒らしてから山賊共は酒場を後にした。

 

「ぷっ!!」

 

「っだ―――っ。はっはっは、何てざまだ、お頭!!」

 

「はでにやられたなァ!!」

 

クルーたちはシャンクスのことを笑う。

 

「はっはっはっはっは!!」

 

「なんで、笑ってんだよ!!!」

 

唯一ルフィはこのことに満足いってなかったようだ。

 

「あんなの、かっこ悪いじゃないか!!!なんで戦わないんだよ。いくら、あいつらが大勢で強そうでも!! あんな事でされて笑ってるんなんて男じゃないぞ!!! 海賊じゃないっ!!!」

 

「…………」

 

オリガミにとってはこれがよかった気もするが、ルフィは違ったようだ。

 

「……ルフィ。シャンクスさんは酒をかけられたぐらいじゃ怒らないのよ」

 

「どうしてだよ!!」

 

「そんな程度で怒っていたらキリがないからよ」

 

海に出ればこんなことはしょっちゅ起こるだろう。

だからこんな程度で喧嘩する必要もないとシャンクスは判断したのだ。

 

「しるかっ!! もう知らん。弱虫がうつる!!」

 

そう言ってルフィは酒場を後にしようとした時、シャンクスが腕を掴んで止めようとした。

だが、ルフィの腕が伸びてしまった。

 

「手がのびた……!!!」

 

酒場にいた全員が驚く。

 

「ルフィ!! あんたいつ悪魔の実を食べたのよっ!!」

 

「悪魔の……実?」

 

「そうよ!! 海の秘宝と呼ばれる食べ物で食えば特殊能力をもらう代わりに一生泳げない身体になってしまうのよっ!!!」

 

「え――――――っ!!! うそ――――――!!!」

 

オリガミは頭を抱え、ルフィのバカさかげんに呆れていた。

 

 

 

 

数日後、事件が起こった。

酒場にあの時来た山賊共がルフィをぼこっていたのだ。

 

「ルフィ!! あんた何をやっているのよ!!」

 

事情はある程度聞いていたので分かっていたが、ルフィの行動は悪かった。

 

「オリガミ……」

 

「あの時の小娘か」

 

ヒグマは私のことを覚えていたらしい。

 

「あんたたち……それ以上ルフィに何かしてみなさい。殺すわよ」

 

「ぷっ」

 

『くっはっはっは』

 

山賊共がオリガミの言葉に笑い出す。

 

「殺すだって? やってみるがいい」

 

ヒグマは刀を取り出し、ルフィの首に目掛けて振り下ろした。

だが、その刀はルフィの首に到達することはなかった。

 

「なっ!?」

 

剣は根本から折られていたのだ。

ヒグマはすぐさまオリガミに目を向ける。

そこにいたのは頭部を囲うように浮遊したリングから伸びた、光のベールをつけたオリガミがいた。

 

「〈絶滅天使(メタトロン)〉―――【光剣(カドウール)】」

 

オリガミから放たれる光線は山賊共を襲う。

ヒグマは後退し、その隙にルフィをこちらの元へと引き寄せた。

 

「無茶するんじゃないよ……」

 

「うわああああああ」

 

助けたルフィはオリガミの胸元で大泣きする。

 

「このクソガキが……」

 

オリガミが放った光線を逃れたヒグマと下っ端は刀をこちらに向けてくる。

 

「港に誰も迎えがないんで、何事かと思えば……いつかの山賊じゃないか」

 

聞き覚えのある声に全員、目を向ける。

 

「シャンクスさん」

 

丁度、シャンクスが帰ってきたのだ。

 

「オリガミ、お前も能力者だったんだな」

 

「まだまだ……だけどね」

 

オリガミは光のベールを消し、シャンクスはルフィに目を向けた。

そして、最後に山賊共の方に向き直った。

 

「いいか山賊……。おれは酒や食い物を頭からぶっかけられようが、つばを吐きかけられようが、たいていの事は笑って見過ごしてやる。…………だがな!!」

 

この時のシャンクスは怖かった。

 

「どんな理由があろうと!! おれは友達を傷つける奴は許さない!!!!」

 

「はっはっはっは、許さねェだと!? ブッ殺しちまえ野郎共!!!」

 

下っ端共はシャンクスたちに襲いかかるが、たばこを吸っている副船長が全てを片づけていく。

そして最後に残ったのはヒグマだけだった。

 

「……や!! 待てよ……仕掛けて来たのは、そこのガキだぜ」

 

「どの道、賞金首だろう」

 

「…………」

 

何を言おうがヒグマに後は無かった。

苦し間際にヒグマは煙幕を張った。

 

『!? 煙幕だ!!!』

 

「来いガキ!!」

 

「な!?」

 

「うわっ!! くそ!! はなせ、はなせェ!!!」

 

煙幕のせいで前が見えず、オリガミとルフィはヒグマに攫われてしまった。

 

 

 

 

ルフィたちがいたのは海の真ん中だった。

 

「はっはっはっはっは!!! まんまと逃げてやったぜ!!」

 

オリガミは不完全な力な為、力の限度が1日1回だった。

その為、ヒグマに抵抗出来なかったのだ。

 

「さて、てめェらは人質として一応連れて来たが、もう用なしだ」

 

「お前が死んじまえ!!」

 

ルフィは抵抗するが体格の差に負けてしまった。

 

「あばよ」

 

そしてオリガミとルフィはヒグマに蹴られ海へと落とされた。

悪魔の実を食べたルフィとオリガミは泳げない。

オリガミは必死にルフィを助けることに専念する。

ヒグマはこの海域の主である海王類に喰われ、次と言わんばかりにルフィとオリガミに襲いかかってかた。

だが、ルフィとオリガミは喰われることはなかった。

 

「…………!! シャンクス」

 

シャンクスが助けに入り、間一髪の所で助かったのだ。

 

「失せろ」

 

その一言で主は怯え始めた。

そして、主は逃げ出した。

 

「恩にきるよ、ルフィ。マキノさんから全部聞いたぞ。おれ達のために戦ってくれたんだってな」

 

ルフィとオリガミを助けるための犠牲は大きかった。

 

「おい泣くな、男だろ?」

 

「……だってよ……!!! ……………………!!! ジャングズ……!!! ……………………!!!」

 

それは………………。

 

「腕が!!!」

 

左腕と引き換えにルフィとオリガミは助かったのだ。

 

「安いものだ。腕の一本くらい……。無事でよかった」

 

シャンクスが航海に連れていってくれない理由。

海の過酷さ、己の非力さ、なによりシャンクスという男の偉大さをルフィは知った。

こんな男にいつかなりたいと心から思った。

 

 

 

 

そして、今日はシャンクスが旅立つ日だった。

オリガミは静かに酒場で本を読んでいる。

 

「見送りにはいかないの?」

 

「大丈夫だよ、マキノさん。私はもう、済ましてあるから」

 

外ではルフィが海賊王になると叫んでいた。

そして、少年と少女の冒険は10年後のこの場所から始まる。

 

 

 

 

10年後。

 

「とうとう、行っちゃいましたね、村長」

 

「村のハジじゃ、海賊になろうなんぞ!」

 

マキノと村長は見送っていた。

 

「やー、今日は船出日和だなー」

 

「そうね」

 

その時、ルフィとオリガミの前に近海の主が姿を表した。

 

「10年鍛えた、おれの技をみろ!!」

 

主は躊躇なく襲いかかるが……。

 

「ゴムゴムの…………銃!!!!」

 

ルフィの右ストレートパンチが決まり、主を倒した。

 

「思い知ったか魚め!!」

 

「お見事」

 

オリガミは拍手を送る。

 

「よっしゃ、いくぞ!!! 」

 

「はいはいっと」

 

「海賊王におれはなる!!!!」

 

まだ見ぬ彼の仲間達を巻き込まんと小さな船は海をゆく。

かくして大いなる旅は始まったのだ!!!



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2話

「はーーー。今日も、いい天気だねーっ」

 

「そうね……」

 

広い海を無謀にも、小船で旅をするこの少年と少女。

なんと海賊の一団を作る“仲間集め”の途中なのだ。

 

「こんなに気持ちいい日なのになァ」

 

「そうね……」

 

「この船旅はひとまず遭難って事になるな!!」

 

「…………」

 

「まさか、こんな大渦にのまれるとは、うかつだった」

 

私たちの目の前には、明らかにバット・エンドの大渦があった。

 

「助けてほしいけど、誰もいないし。まーのまれちゃったもんは、しょうがないとして……」

 

「とりあえず、ルフィは樽の中に入っていなさい」

 

私の〈絶滅天使(メタトロン)〉は一人乗り用なので、ルフィは連れていけない。

まあ、一応ルフィには()()()を持たせてあるから、大丈夫なんだけどね。

そう言っている内に小船は大渦の中へ入って行く。

 

「〈絶滅天使(メタトロン)〉―――【天翼(マルアク)】」

 

絶滅天使(メタトロン)〉を部分展開し、空へと飛び立つ。

先程いた小船は大渦へと飲み込まれて行ってしまった。

 

「とりあえず、近くの島で待つとしますか……」

 

東の海(イースト・ブルー)の地図は覚えているので、何処にどの島があることは知っていた。

なので、半日かからずとある島へと着く。

 

「着いたのはいいけど、お腹が空いたわ……」

 

絶滅天使(メタトロン)〉は結構燃費が悪い。

部分展開でも半日が限界。

その上、戦闘になるともっと悪い。

オリガミはその町にある飯屋でとりあえず、腹を満たす事にした。

 

「さて、ルフィを探しにいきま……」

 

腹を満たしたので、飯屋を出ようとした時だった。

 

「ひえっひえっひえっひえ!! ()(たけ)ェっつってんだろ。親父に言うぞ!!!」

 

外がなんだか騒がしく、出て見ると金髪のおかっぱ頭のボンボンが威張りながら歩いている。

その前に野放しの狼を放っていた。

 

(随分と好き放題やっているわね……)

 

町の人々はそんな彼に怯えており、大体予想がついていた。

まあ、それ以前にこの町に入った時から気付いていたんだけどね。

なぜなら、町の奥に海軍基地があるのだから。

 

「……って、言っているそばで!」

 

手を出すつもりはなかったのだが、野放しの狼は一人の少女を襲おうとしていた。

このまま行けば、その子は死ぬだろう。

なので、私は剣を抜いた。

 

「ぎゃうん!?」

 

間一髪、その少女は助かった。

だけど、そこに違和感があった。

狼に付いた切り傷が2つあったのだ。

 

「なんだ、助ける必要はなかったか?」

 

「うんうん。別に良かったんじゃない?」

 

流麗な一振りの刀を肩に担ぎ、腰に三本の鞘を差した緑色の髪の青年がそこに立っていた。

 

 

 

 

一方、ルフィはと言うと……

 

「コビーに一隻、小船をやれ! こいつは海軍に入るんだ!! 黙って行かせろ」

 

雑魚海賊の船長を倒していた。



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3話

「さて、ルフィはいつ来るか……」

 

少女を救ったのはいいのだが、どうもあの狼の飼い主は海軍のお偉いさんだったらしい。

その為、私はマークされることになったのだが、青年を囮に私は逃走した。

で、今私は……

 

「大丈夫?」

 

「貴様!!」

 

あの後、青年は海軍に捕まった上に磔にされていた。

その前にリンゴをかじりながら彼の前に私が立っている。

 

「まあいい。そんで何の用だ」

 

「ちょっとね。一応聞くけど、貴方“海賊狩りのゾロ”で合っている?」

 

「ああ、そうだ」

 

懸賞金のリストを軽く見ていた為、ゾロの懸賞金も知っていた。

 

「そんで、そんなことを聞きにここに来た訳ではないだろう」

 

「まあ……そうだね」

 

実際言えば、ルフィと合流するのが私の目的なんだけどね。

 

「私今一緒に海賊になる仲間を探しているの」

 

裏表も無しに私はゾロに聞いた。

 

「海賊だと? ハン……! 自分から悪党になり下がろうってのか。御苦労なこって……」

 

「私の意思よ。海賊になりたくて何が悪い?」

 

「―――で? まさか縄をほどいてやるから、力を貸せだの言い出すんじゃねェだろうな」

 

「別にまだ誘うつもりはないよ。ルフィだったらきっと言うと思ってね」

 

私は二シィと笑い海軍基地を後にした。

 

 

 

 

ゾロが磔にされてから九日。

 

「さて、そろそろ来ると思うんだけどな……」

 

そろそろルフィが来ても良いかなと私は思っていた。

私はポケットからある物を取り出す。

それは一枚の紙切れだった。

そいて、その紙切れは何かに惹かれるように少しずつ動いている。

この紙切れは特殊な物で、親紙の方にへと惹かれる性質があるのだ。

そして、ルフィの麦わら帽子にその切れ端を私は仕込んでおいてのだ。これでルフィの居場所が丸わかりさ。

 

「もう、この島にいる?」

 

とまあ、紙切れの動きから私はルフィがこの島に来ているらしい。

私は紙切れの進む方向に進み、一軒家の前に止まる。

 

「ほんと!?」

 

「ああ! 一つ残さずバリバリ食ってたよ」

 

「うれしいっ!」

 

「あの人……噂通りの悪人なんでしょうか……」

 

「違うよ。だって」

 

ルフィは少女と眼鏡をかけた少年と何かを話していた。

 

「ここにいたのね。ルフィ」

 

「おぉ! オリガミ!!」

 

どうやら、ついさっきこの島に来たのこと。

そんで、眼鏡をかけた少年はコビーと言うらしく海兵を目指しているらしい。ついででルフィが乗船して来たらしい。

 

「ひえっひえっひえっひぇ!! 頭が高ェっつってんだろ。親父に言うぞ!!!」

 

何か聞き覚えのある声が聞こえ、私はそっちに目を向ける。

 

「ロロノア・ゾロみてェに磔になりてェか!? 三日後にはゾロの奴を公開処刑にする!!」

 

あの時にいたボンボンがいたのだ。

そして、そいつはゾロとの約束を破る気満々だったらしい。

それにルフィは切れた。

ルフィはボンボンを殴り飛ばしていた。もし、ルフィがやらなかったら私がやっていたけどね。

 

「決めたぞコビー!! ……おれはゾロを仲間に引き込む!!」

 

その決断に私も同意した。



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4話

ルフィがボンボンをぶん殴り、ゾロを仲間にすることを決め、私たちは海軍基地を目指した。

 

「よっ」

 

「また来たのか。海賊の勧誘なら断ったハズだぜ……!!」

 

ルフィがゾロと交渉する。そして、ゾロの武器である刀を取り返すことになり、ルフィは行ってしまった。

 

「……基地に乗り込むつもりかよ」

 

「ルフィなら大丈夫でしょ」

 

私はルフィの行動には何も言わない。十年以上の付き合いだからその辺のことは慣れている。

そう言って、私はゾロの縄を取る作業に入った。

 

「おい、いいのか! おれに手を貸せば、てめェが殺されるぞ」

 

「大丈夫よ。私はここで死ぬつもりはないから」

 

固く結ばれた縄に私は苦戦していた。

そして、私の肩に向けて何かが飛んで来ることを察知し、身体を僅かにずらす。

 

「ルフィの奴……」

 

それは、狙撃だった。

発砲音からして、それが狙撃であることはすぐに分かり、ゾロと共にその狙撃場所を睨む。

海軍基地の中で一番高い塔の上に同じく睨んでいる男がいた。

 

「すぐに逃げろ。あいつらが下りてくるぜ」

 

「必要ない。手っ取り早く済ませることにした」

 

私は腰に吊るした刀の柄に手をかける。

 

「おれはいいんだ。一ヶ月耐えれば助かるんだから。早く行……」

 

「助かりませんよ!! あなたは三日後に処刑されるんです!!」

 

遅れて来たコビーがあのボンボンがした約束が嘘だったことを説明する。

 

「ルフィさんが強いと言うのは本当です!! あなた達が手を組めばきっと、この町からだって逃げ出す事が出来るでしょう!! 逃げて下さい!!」

 

逃げる必要はないんだけどね、コビー。

でも、貴方の気持ちは分かったわ。

 

「そこまでだ!! モーガン大佐への反逆につきお前達三人を今、ここで処刑する!!」

 

どうやら、もう来てしまったらしい。

 

「基地を取り囲め!! あの麦わら小僧は絶対逃がすんじゃねェぞ!!」

 

怒鳴らすあたりからして、本命が来たらしい。

右腕が斧の海兵が現れたのだ。

 

「面白れぇ事やってくれるじゃねぇか……。てめぇら四人でクーデターでも起こそうってのか?」

 

どうやら、コビーも……って言うか遅いか。

 

「ロロノア・ゾロ……。てめぇの評判は聞いていたが、この俺を甘く見るなよ。貴様の強さなど俺の権力の前にはカス同然だ……!! 構えろ!!」

 

そう言って、海兵たちが一斉に銃を構える。

私もさっさとこの縄を斬ることにした。

 

「射殺しろ!!」

 

その言葉と同時に私は刀を抜き、ゾロを縛っている縄を斬り、素早く鞘に戻す。

そして、弾は空から降りて来たルフィが全て受ける。

しかし、ルフィの前では銃弾など無意味。

 

「効かーん!!!!」

 

受けた銃弾は弾き飛ばされる。

ルフィが食べた悪魔の実……ゴムゴムの実の前では打撃系は効かない、ゴムだから。

 

「ほら! お前の宝物どれだ? 分かんねぇから三本持ってきちゃった」

 

ルフィはどうやら無事に刀を取り返して来たようだ。

そして、同時にゾロが仲間になることになった。

 

「そんじゃ、始めましょ」

 

ゾロの縄も斬ったことだし、後はこの海軍基地を潰すだけ。

私は《絶滅天使》を呼び出す。

 

「〈絶滅天使〉―――【光剣】」

 

〈絶滅天使〉を分離させ、海兵めがけて光線を放つ。もちろん、殺傷能力はなく足を打ち抜く程度で。

ルフィは海軍の親玉であるモーガン大佐と戦っていた。

そして、決着が着こうとした時。

 

「こいつの命が惜しけりゃ、動くんじゃねぇ!!」

 

「ヘルメッポ様……!!」

 

あのボンボンがコビーを人質に取ったのだ。

しかし、コビーの覚悟の前ではそれは無意味だった。

 

「ゴムゴムの……」

 

そして、決着がついた。

 

「銃!!」

 

ルフィがヘルメッポを殴り飛ばし、ゾロがルフィの背後から迫るモーガン大佐を斬り伏せたのだ。

 



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5話

海軍基地で私たちはモーガン大佐をぶっ飛ばし、次の相手に入ろうとしたが。

 

「やったぁーーーっ!!」

 

何故か、海兵たちが喜びだした。

あぁ、そうか。ただモーガン大佐の独裁が原因だったのね。

私は〈絶滅天使〉を解除する。

 

 

 

 

ゾロとルフィ、コビーは先程あった少女の家に上がり込んで飯を食っていた。

私と言うと、食料の調達をし、船に積み込んでいる。

仲間が増えたことで、いつものより多く買う事になったが、町を救った英雄とことで殆どがタダで貰ってしまった。

私は悪い、と言うが強引に渡され、仕方なく受け取る。

 

「もう、いいの?」

 

「あぁ」

 

荷物の積み込みが終わった頃にルフィとゾロが戻って来た。

私はコビーにかんして何も言わず、船出の最終準備に取り掛かる。

 

「ル! ル! ルフィさんっ!!」

 

「オビ―」

 

コビーがルフィたちを追いかけて来たのだ。

 

「ありがとうございました!! この御恩は一生忘れません!!」

 

「しししし! また逢おうな!! コビー!!」

 

「全員敬礼!!」

 

いつの間にか海兵たちが集まっており、全員私たちに敬礼する。

 

「短い間だったけど、またね。コビー」

 

私たちは町の人たちに見送られて、出発した。

 

「くーーーっ。行くかぁ!! “偉大なる航路”!!」

 

二人の仲間に“海賊狩りのゾロ”を引き込め船はゆく。

しかし彼らは重大なミスにまだ気づいてはいなかった。

 

 

 

 

コビーと別れて数日が経った。

今更気付いたのだが、この船に航海術を持っている人がいなかったのだ。

私の航海術は独学のため、僅かにしか分からない。

少なくとも迷子になることはないが、この先きつくなると予想される。

 

「次に仲間にするなら、“航海士”を仲間にするべきね」

 

「あと“コック”とさ“音楽家”とさぁ……」

 

「んなモン、あとでいいんだよ!!」

 

ルフィの考える海賊に不安を覚える私。

ゾロもそれには怒鳴る。

 

「「腹減った」」

 

「今簡単な物を作るから待っていなさい」

 

私ははぁ……、と溜め息を混ぜて、食料袋を漁る。

 

「ゴムゴムの……ロケット!!」

 

いきなり何事と、私は降り迎えるとルフィだけが居なくなっていた。

そして、ゾロが上を向いているから、私は嫌な予感がし、上を見る。

 

「「あほーーーっ!!」」

 

思わずゾロと共に叫んでしまった。

ルフィは鳥と共に飛んで行ってしまい、私とゾロは船を漕ぎ、ルフィを追いかける。

 

「おーーーい。止まってくれぇ!!」

 

「ん!? 遭難者か、こんな時にっ!!」

 

「止まれないから、勝手に乗り込みなさい」

 

「な!! なにいっ!!?」

 

ここで船を止める訳にはいかないので、頑張って乗り込んでもらうしかなかった。

とりあえず、遭難者は自力で船にしがみ付き、乗り込んだ。

 

「おい、船を止めろ。俺たちぁ、あの海賊“道化のおバギー”様の一味のモンだ」

 

「「あァ!?」」

 

助けてやったのに、刃物を向けてきたので私とゾロはその三人組をぶちのめす。

 

「あっはっはっーーーっ。あなたが“海賊狩りのゾロ”さんだとはつゆ知らずっ! 失礼しました」

 

三人組をボコボコにし、代わりに漕いでもらっているが、結局ルフィを見失ってしまった。

仕方ないので紙切れを手のひらに乗せ、方角を確認する。

そして、なんでこいつらが海の真ん中にいたのか、疑問に思っていたが、簡潔に説明すると……美女にお宝を奪われた上に、スコールに船を沈められたらしい。

 

「天候まで知り尽くしているということは、航海術のベテランね」

 

私はその女性が仲間になってほしいと少し思った。

 

「そのバギーってのは誰なんだ……!?」

 

ゾロが三人組が時々言うバギーが誰なのか聞く。

 

「道化のバギー……特徴的な赤ッ鼻の海賊よ。懸賞金は1500万だったかしら。ちなみに鼻に関しては禁句だから絶対に言わない方がいいわ」

 

「よく知っているな」

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう。私は何度か会ったことがある。

あいつがまだ、()()()()()()



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6話

「着きましたゾロの旦那!!」

 

ルフィがいる島へと到着したが、まさかバギーたちがいる島と重なってしまったことに私は少し不安を感じていた。

だって、ルフィの事だからバギーの禁句を口にするでしょ?

いや、絶対に言う。これは確信できる。

 

「じゃあとりあえず、そのバギーってのに会わせてくれ」

 

それ程大きな島でもないし、ゾロの言う通りバギーの所に行けばルフィに会える気がする。

そうと決まれば、私たちは三人組に案内されながらバギーのいる酒場へと向かう。

 

 

 

 

「女一人に何人がかりだ」

 

「え……」

 

「ゾロォ!!」

 

ド派手な爆発音が聞こえ、私たちは酒場の屋上へと素早く上る。

そして、そこでは檻に入れられたルフィがいた。しかも大砲を向けられて。

 

「鳥に連れて行かれた次に檻の中って、一体何をやったらそうなるのよ……」

 

「オリガミ! これを開けてくれよ!!」

 

「はい、はい」

 

私は〈絶滅天使〉を部分展開し、檻を斬ろうとした時だった。

 

「へっへっへっへっへっ!!」

 

「あーっはっはっはっは!!」

 

何か笑い声が聞こえるのでゾロの所に目を向けた。

そこにあったのはバラバラに斬られたバギーがあったのだ。

 

「何が、そんなに可笑しい!!」

 

「ゾロ! 気を抜いてはダメ!!」

 

「はっ?」

 

私はバギーが食べた悪魔の実が何なのか知っていた。

それは、ゾロとは最も相性の悪い類であることも。

 

「ガフッ……」

 

ゾロの脇にナイフが刺さる。

しかも腕だけが浮いて。

 

「遅かったか……」

 

バギーが食べた悪魔の実は……。

 

「バラバラの実……!! それが、俺の食った悪魔の実の名だ!! 俺は斬っても斬れないバラバラ人間なのさ!!」

 

ルフィとは正反対の悪魔の実。

ゾロが手負いになってしまったのは不味い。

今の私ではこの数を相手するのはキツイ……。

 

「ゾロ……逃げるわよ」

 

「! ……何っ!?」

 

ゾロは私の判断に疑問を持つが、ルフィと私の目を見る。

 

「了解」

 

「馬鹿たれが逃がすかロロノア・ゾロ!!」

 

バギーは逃がすつもりはない。

私は今出せる力を開放した。

 

「!?」

 

風が私を中心に起きる。

 

「どう言うこと……」

 

近くにいた少女が目にしたのは、バギー海賊団の船員が次々と倒れていく光景だった。

全員、白目を向いて気絶している。

バギーは私が使った力が何なのか知っていた。

 

「……今の内に」

 

バギーの気が逸れているうちにここから脱出をする。

 

「小娘……その力は……」

 

バギーが何かを言い出そうとしているが、私は脱出を第一に考えていた。

 

「〈絶滅天使〉―――【砲冠】」

 

部分展開した〈絶滅天使〉を王冠形にする。

不完全な状態で私は砲撃を行う。だが、不完全と言え相当な威力があるそれは目眩ましには十分だった。

 

「ぎゃああああああ」

 

バギーと数名の船員の悲鳴が聞こえるが、そんなことを気にしている暇はなかった。

砂煙が出来た今の内に……。

 

「どチキショーが逃がさんぞぉ!!」

 

本当にタフだな……。

私はバギーの運に冷や汗を掻く。

 

「行くわよ!!」

 

本日だけでも相当な力を使っていた。意識のあるうちに……。

私はルフィが入った檻を掴む。

 

「〈絶滅天使〉―――【天翼】」

 

本来は飛行に使う物だが、私はその遠心力を使い檻ごと引っ張った。

檻は浮き上がり、そのまま下へと落とす。〈絶滅天使〉が使えるだけ私は移動する。

 

「もう、だいぶ酒場から離れた」

 

檻、ルフィ、ゾロを引っ張る私。

流石に限界が訪れ、地面に倒れ込む。

倒れこんだ時に横に犬がいた。

 

「犬?」

 

私は建物に背を預ける。

薄れていく意識の中、私は眠りについた。



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7話

「このバギー一味!! 旗揚げ以来、奪いに奪ってハデに名を上げて来た!!」

 

ルフィたちが逃げてから数十分。バギー一味が目を覚ました。

 

(あの小娘……何処かで見た覚えが……)

 

バギーはルフィたちを連れ去った少女に何か違和感を抱いていた。

 

(いや、あり得ないな。だが、あの力は間違いない。しかも、あの悪魔の実は……)

 

白く長い髪の女性の後ろ姿。

かつてある船団でその女性率いる海賊団と戦った。

 

(あの女は……もう死んだはずだ)

 

既に忘れられし記憶。

その海賊団はロジャーの死後の後に報じられた。

船長の死、そして解散。

 

「生命の樹海賊団……」

 

かつてロジャー、白ひげと並び立った海賊をバギーは口にした。

 

 

 

 

「あう……」

 

「あんた気付いたのね……」

 

私は身体をゆっくりと起こし、立ち上がる。

 

「あれ……ここは」

 

「おう! オリガミ、起きたか」

 

無事に檻から出られたのか、ルフィが私の前にいた。

 

「ゾロは?」

 

ルフィがいるのにゾロの姿が見えないので、辺りを見わたす。

 

「ゾロは町長の家よ」

 

「やあ、航海士さん」

 

「あんたもかよ!!」

 

オレンジ色の髪の少女がゾロの居場所を教えてくれ、私が眠っている間に起きたことを軽く説明してくれた。

バギー一味の追ってから逃げるために檻に入っていたルフィを置いて、私だけ背負って裏通りに隠れたらしい。

 

「俺、ちょっとゾロの所に行ってくる。あの着ぐるみ男、ゾロ探してたみてぇだから」

 

そう言って、ルフィは町長の忠告を無視して、ゾロのいる町長の家に向かった。

町長の家は先程私が気絶した所の横だったらしい。

 

「ワン!! ワン!! ワン!!」

 

犬の鳴き声……泣き声が聞こえてくる。燃える建物の前で。

その建物は犬の主人の形見。

私とルフィは無言のまま、ある所に進む。

 

「! てめぇは……」

 

先程ルフィを吹き飛ばしたバギー一味の前に私たちは出る。

猛獣使いのモージはルフィが死んだと思っていたが、私からしてみればあれぐらいでは死ぬ訳がない。

 

「また、俺の前に現れるってのバカだ!! 頭を噛み砕いてやれっ!!」

 

モージは乗っていたライオンに命令し、こっちに向かって来る。

 

「ふんっ!!」

 

私は向かってくるライオンの頭を地面めがけて殴り付けた。

 

「!!!? リッチー……!??」

 

ライオンの頭は地面に刺さり、沈黙した。

 

「なんだ!! ……お前……何なんだ!!?」

 

「海賊だが?」

 

ルフィの言う通り、私たちは海賊。

 

「よ……よしっ! お前たちにな! 好きなだけ宝をやろう!! そ……それと、ここは一つ穏便に謝ろうと思う!! ごめん!!」

 

モージは私たちの実力を知るいなや謝り始めた。

だけど……それはもう無意味。

 

「もう、謝んなくていいよ。今さら何しようとあの犬の宝は戻らねえんだから」

 

そうさ、もう戻らない。

だから……。

 

「「だから、俺は(私は)お前をぶっ飛ばしに来たんだ!!!!」」

 

ルフィはモージを引き寄せる。

 

「あ……あああおい!! や……やめてくれぇあああああ!!」

 

そして、私とルフィは思い切りモージの顔を……

 

「助け……」

 

殴り付けた。



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8話

「どいつもこいつも……!! 海賊なんてみんな同じよ……!!」

 

ナミは燃え消えたペットフード屋を見ながら吐き捨てる。

 

「人の大切なものを平気で奪って!!」

 

町長はそんなナミに何も言わない。

 

「ん?」

 

「! あら、海賊生きてたの……?」

 

やることを終え、私とルフィが戻ってきたことに気付くナミ。

 

「てっきりライオンに食べられちゃったのかと思ったわ」

 

「おい……何を言い出すんじゃ」

 

航海士さん……あんな雑魚相手では死ぬ私たちだと思いますか?

いや、いや、有り得えない。

 

「あんたが海賊の仲間集めて町を襲い出す前にここで殺してやろうか!!」

 

「おい止めんか、娘っ!!」

 

さすがの町長もナミの怒りを止める。

私とルフィはそんなナミをほっといて、シュシュの前にボロボロになったペットフードを一つ置く。

そして、その横に座る。

 

「これしか取り返せなかった! あと全部食っちまいやがってよ!」

 

ナミはルフィと私があのライオンと戦ってきたことに気付き、先程までの威勢が嘘のように無くなった。

 

「よくやったよお前は! 良く戦った。まあ、見ちゃいねぇけどな。大体わかる!」

 

傷だらけのシュシュを見て、ルフィは店を守ろうと頑張ったんだと。

シュシュはペットフードを銜えて、歩き出す。

 

「ワン!!」

 

「おう!! お前も頑張れよ!!」

 

私はそんなシュシュを見て、微笑む。

 

 

 

 

「どなってごめん!」

 

「ん?」

 

ナミが先程のことに謝罪しに来る。

ルフィは何か事情を知っていたらしいが、別に聞こうとはしなかった。

だが、そんなルフィを見て町長の我慢の限界だったようだ。

かつて、海賊によって行き場を失い、新しく町をここに作った、町長にとってはここが宝らしいが、バギーに好き放題されるのが我慢の限界だったらしい。

 

「撃て!! 特製バギー玉!!」

 

遠くだがそんな声が聞こえ、私たちの前の建物が吹き飛ぶ。

 

「あ!! ゾロが寝てんのに!!」

 

町長の家にゾロが寝ていることを思い出すが。

 

「あーーー寝覚めの悪ぃ目覚ましだぜ」

 

どうやら無事だったらしい。

 

「何で生きてられるのよ……!!」

 

ナミはあれ程の砲撃を受けたのにかかわらず、ピンピンしているゾロに驚く。

そしてこの砲撃は町長を余計に怒らせる切っ掛けになってしまった。

 

「行ってしまいましたね」

 

「何だか盛り上がってきてるみてぇだな!」

 

「しししし! そうなんだ!」

 

「笑っている場合かっ!!」

 

バギーのいる酒場へと行ってしまった町長。

私たちもバギーに用があるので、ルフィはナミを仲間に誘う。

 

「私は海賊にはならないわ!」

 

だけど、ナミは出されて手を叩き。

 

「“手を組む”って言ってくれる? お互いの目的の為に」

 

ナミと手を組むことになり、私たちは酒場へと向かった。

 




ただいま、オリガミの二つ名を募集しております。
お気軽にどうぞ。

メタトロンについて調べたところ

・契約の天使
・天の書記
・神の代理人
・玉座に侍る者

と言う意味を持っているそうです。


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9話

「ひゃーーーっはっはっはっは!!」

 

「やれやれェ船長ォ!!!」

 

「バ…バケモノめ……!!!」

 

「おれは(のち)に〝偉大なる航路(グランドライン)〟を制し!! 全世界のハデに輝く財宝を全て手中に収める男だ!!! 世界の宝はおれのもの!! この世におれ以外〝宝〟を持つ者など必要ない!!!」

 

バギーは正々堂々と戦う事なく、町長の首を切り離した手で掴み上げ、嘲笑う。

 

「そんなにこの町が大切だお言うなら、一緒に消し飛べてさぞ本望だろう」

 

「なんじゃと貴様……!! わしと戦え!!!」

 

「おいおい……自惚(うぬぼ)れンな……ブッ放せ!!!」

 

「この町は潰させん!!! わしと戦えェ!!!」

 

大砲の砲門を町長に向け、バギーは手下に点火を命じる。

抵抗も虚しく、町諸々散るかと思われた時。

 

「! 麦わらの男っ……!!!」

 

町長の首を掴んでいたバギーの手が、ルフィによって引き離された。

麦わら帽子のつばの下から、ルフィは不敵な笑みを笑みを浮かべて見せる。

 

「約束通り、お前をブッ飛ばしに来たぞ!!!」

 

「よくもノコノコと自分から……!! 貴様等!!!現れたな!!!!

 

怒りを再熱させるバギーの前に、散々暴れ、逃げ回っていた私たちが次々と姿を現していく。

 

「小童共……何しに来たんじゃ、他所者(よそもの)は引っ込んでおれ。これはわしの戦いじゃぞ!! わしの町はわしが守る!! 手出しは無用じゃ!!!」

 

そう言って、取り落とした槍を拾い再び突撃しようとする町長。

すると私は町長の頭を―――手頃な場所にあった壁に手加減しながら叩きつける。

 

「!!?」

 

ガン!! と鈍い音が鳴り響き、白目をむくとその場にずるずると崩れ落ちる。

 

 

「あ……!! あんた!! 何て事するのよ!!! 何で町長さんを……!!!」

 

「邪魔!!!」

 

身も蓋もない言葉にナミは絶句する。

 

「上等だな……」

 

「そうね。ほっといたらこの町長さん、間違いなく死に行く気だもの。だから気絶してもらった方が安全だしね」

 

「無茶するなっ!!」

 

仮にも老人に対して行うやり方ではないと、ナミは怒るが、私はそんな猛抗議を気にすることなく。

 

「デカッ鼻ァ!!!!」

 

ルフィがバギーの禁句を叫び、宣戦布告する。

禁句を言われ、バギーはわなわなと肩を震わせ、悲鳴のような怒号を上げた。

 

「ハデに撃て!!! バギー玉ァ!!!! 消し飛べェ!!!!」

 

受ければ致命傷は確実のバギー玉が発射される。

 

「何言い出すのよ、バカァ!!!」

 

「おいルフィ!! 逃げるんだ!!! 吹き飛ぶぞ!!!」

 

 

大慌てでその場から退避しようとするナミとゾロだが、ルフィと私は動揺することなくその場から動かない。

 

「そんな砲弾(もの)が、おれに効くかっ」

 

ルフィは大きく息を吸い込み。

 

「ゴムゴムの……風船っ!!!!

 

ゴムの身体を膨らませ、自身を大きく丈夫な風船へと変える技を繰り出す。

 

「何だ、あいつは!!?」

 

「まさかバギー玉を……!!!」

 

バギー玉をルフィは受け止め、ゴムの身体は伸びに伸び。

 

「弾き返しやがったァ!!!!」

 

砲弾をバギーたちにお返しし、砲弾はバギーたちがいた建物を大爆発させる。

 

「よっしゃ!! 敵がへった!! やるか!!」

 

「あんた一体何なのよっ!!」

 

「人騒がせな……」



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