サンタクロースの服はなぜ赤いのか? (不死人)
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サンタクロースの服はなぜ赤いのか?
これはサンタクロースの服にまつわるお話です。
毎年12月24日のイヴの日の夜、サンタクロースはトナカイの引くソリに乗り世界中の子供たちにプレゼントを配っていた。
深々と雪が降り積もる聖なる夜、身も凍える寒さも子供たちの笑顔を思い浮かべればなんていうことはない。
「次は日本の子供たちのところじゃな」
一つの地域での配達を終え、次の地域へとプレゼントを配りに行くため、ソリへ乗り込もうとした……だが、いつの時代にも不届き者はいるものだ。
突如現れた三人の男がサンタクロースを取り囲んだ。
「へっへっへ、ジジイ! そのソリにある袋をよこしな!」
「俺たちにもプレゼントをくれよぉ」
ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべながら、ナイフをチラつかせる男たちにまたかとため息をつく。
「この袋に入ってるは子供たちへのプレゼントでのぅ。 お主ら大人にはやれないのじゃが……」
「ぼくしゃんしゃい。ぎゃはははははは!」
「ごちゃごちゃうるせぇ!俺らがプレゼントをもらってやるっていってんだよ!」
――やはり、話すだけ無駄じゃったか……
一応説得を試みてみたが、相手が聞く耳を持っていないと判断すると男たちを無視して再びソリに乗り込もうと縁
「クソジジイ! シカトしてんじゃねぇよ!」
怒声とともに肩を掴まれ、強引に振り向かせられる。 喉元にはナイフが突き付けられた。
「調子にのってんじゃねぇ! ぶっ殺され……がはっ!」
さらに怒声を上げて脅そうとするが、男は最後まで言葉が出ることはなかった。
鳩尾にサンタクロースの拳が埋まっていたのだ。 僅かに遅れ大量の血を口から吐き出し男は崩れ落ちる。
「ジョニー! てめぇ! よくもジョニーをやりやがったな!」
別の男が背後からナイフを振りかざしながら突っ込んできた。
「わしの背後に立つ愚か者は……死ぬっ!」
振り向きざまの廻し蹴りが男の首へと直撃する。 骨の砕ける嫌な音ととも男の身体は宙を一回転し、地面へと叩きつけられるとそのまま動かなくなった。
「ト……トニー! く……首が変な方向に曲がってる……」
残った最後の男が後ずさっていく。 サンタクロースは鋭い視線を向ける。
「残ったのはお主だけじゃが、どうする?」
「ひぃっ! く……来るな! お前はサンタじゃねぇ! 悪魔だ! サタンだ!」
恐怖で錯乱し喚きながらナイフで斬りかかる男の腕をがっしりと掴み取ると逆関節へと腕をへし曲げた。
あり得ない方向に曲がった腕から、肉と皮膚を突き破り骨が飛び出し鮮血が飛び散った。
悲鳴が上がるよりも早くサンタクロースの拳が男の顔面に次々に叩き込まれていく。
眼球が潰され、肉がひしゃげ、骨が砕ける音が響き渡っていく。 飛び散った血が服へと染み込んでいった。
「悪魔……か、わしらは子供たちの笑顔の為にプレゼントを運んでおるのでのぅ。 それを奪い邪魔をする者に対してはどこまでも非情になれるのじゃ」
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12月24日、聖なる夜クリスマス・イヴの日、子供たちへのプレゼントを狙う不届き者の亡骸を見下ろし、毎年サンタクロースは悲しげに呟く……。
「これ以上わしの服を赤く染めさせんでおくれ……」と……。
ちなみに本当の理由は、1943年にコカ・コーラ社が作った広告用看板に描かれたサンタの絵が全世界へと広がり定着して今に至るらしいです。
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