火拳に憧れた男 (剣舞姫)
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第1話.俺死にました?(改)

どうも、また性懲りもなく投稿しました。よろしくお願いします。



俺は今、自分の部屋で録画していたアニメを見返していた。

『鬼の血を引くおれを愛してくれて……ありがとう』

 

「……うぅ、何度見てもこのエースの最後は感動するなぁ、やっぱりマリンフォード編が一番だよ!それにこれから白ひげが…「おーい!」…..ああ、もう!何?母さん?」

 

(アキラ)早く降りてきなさい!あんた学校行く時間でしょうが!」

 

「うわ、やべぇもう時間じゃん!ありがとう母さん!」

 

「車に気をつけていくのよ!あんたそそっかしいから!」

 

「わかってるよ~、いってきます!!」

 

俺は1階にあるに準備してあった弁当箱をカバンに詰め込み、母さんに手を振り慌てて学校へと向かった。

―――――――

 

 

 

どうも火野晃(ひのあきら)高校二年生です。俺の家は学校から歩いて20分位の位置にあるのだが、今時計は8時20分、HRが始まるのが8時30分であるため歩いて登校すると確実に遅刻する。そのため俺は現在全力疾走で学校へと向かっていた。

 

「やっぱ朝からアニメはダメだなぁ、つい集中して見ちまうからなぁ」

 

俺は時計とにらめっこしながら走る。ちょうど学校前の交差点が見えてきた。あの交差点を過ぎると学校までもうあとわずかである。

 

「おっしゃあ、後もうちょい!時間は…8時26分!ぎりぎり間に合え!」

 

学校まであと僅か、俺はラストスパートをかけるように、全力で走った。

しかし、現実は非常だ。交差点なのだがら当然信号がある。信号は青から点滅を始めた。この信号を渡りきれば遅刻を回避できるかもしれない、しかし、止まってしまうと遅刻はおそらく確定するだろう。

 

「ま・に・あ・え!」

 

俺は足に力を入れ最後の加速をした。

 

(これさえ渡りきれば、学校なんだ!………………………..あっ)

 

俺は横からの突然の衝撃によって吹き飛ばされた。浮遊感が俺を襲う。しかし、すぐさま凄まじい衝撃が俺の体に走った。

 

(あぁ……俺、トラックに跳ねられたんだ、馬鹿だなぁ、母さんからあれだけ気をつけてって言われたのになぁ….)

 

全身が痛い、血が出ているのだろう意識が朦朧としてきた。周りから声が聞こえる。しかし俺の意識はもう限界だった。

 

(ああ、俺死ぬんだなぁ、もっと生きたかったな、母さんにも迷惑かけるし、死ぬにしったってあの人のように誰かをかばって….)

 

そこで俺の視界は真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____ん?

「はっ!……生きてる?」

俺が目覚めるとそこはいつもの自分の部屋だった。

 

「もしかして夢?…だったのか…..自分が死ぬ夢とか朝から最悪だな….」

 

俺は自分のベッドから抜け出し、立ち上がった。

すると突然目の前の景色がねじ曲がった。

 

「うわぁ、なんだ!」

 

景色は一瞬で何もない景色へと変わった。俺の部屋の本棚も、テレビもPCも消えた。辺りを見渡すと白だ。もう一度言おう、見渡す限りの白だ。上を向いても横を向いても振り返ってみても、そこは永遠に続く白い世界だった。

 

「何なんだよこれ……」

 

俺は突然のことに何がなんだかわからなくなった。

 

「おーい坊主よ」

 

突然声をかけられた。声のする方を振り返ってみるとそこには俺よりも頭ひとつ以上も小さいが豪華な白い衣装を身にまとい何処か威厳を感じさせる、髭を生やした爺さんがいた。と言うか、

 

「マカロフさん!?」

 

「誰じゃい、マカロフって、わしにはユピナスって名前があるわい、それよりもな、お主よぉ」

 

(おいおい、見た目はまんまフェアリーテイルのマカロフさんじゃん)

俺が別のことを考えているうちにユピナスと名乗った爺さんが話し続ける。

 

「自分が今どういう存在なのかわかっておるのか?」

 

「え…….どういう存在なのかって…….もしかして俺って死んだんですか?それとも生きているんですか?と言うかここはどこなんですか?ユピナスさんは何者なんですか?」

 

「まぁまて、そんなにいっぺんに質問されても困るわい、まず最初の質問の答えは、お主はすでに死んでおる」

 

(っ!?やっぱり死んだのか俺は….)

 

「原因は事故死ですかね?」

 

「そうじゃ、お主が急いで赤信号の交差点に突っ込んだと同時にトラックにはねられての」

 

「俺は死んだってことはここは天国か地獄ってことになりますかね?するとユピナスさんは神様か閻魔大王さまってことですか?」

 

「ほう、意外に冷静じゃの、それに頭もよく回るの、まぁお主の言うとおり、わしは神じゃ、じゃがここは天国でも地獄でもない言わば、天国と地獄の狭間じゃの」

 

「天国と地獄の狭間….じゃあ俺はこれからそのどっちかに行くことを決められるんですね?できれば天国がいいんですけど…..」

 

「うむ、本来ならそうなんじゃがな….今回はわしのミスでお主の死期を早めてしまったんじゃ、本当にすまんかった」

 

そういうとユピナスさんは俺に頭を下げた。

 

「いや、俺の不注意ですし、アニメ見てた俺にも原因がありますから」

 

「いやしかしのぉ本来ならお主はあと50年は生きておれたんじゃ…申し訳なくての」

 

「いえいえ、そりゃ未練がないって言えば嘘になりますけど、俺が信号を待てばもしかしたら生きていたかもしれないじゃないですか、だから気にしないでとは言えませんがこれから俺意外にそんなことがないようにしてあげてください。」

 

「お主…..ありがとうな。しかしそれではわしの気持ちが晴れんのじゃ、そこである提案をするためにお主をここに呼んだんじゃ」

 

「提案ですか?」

 

「うむ、お主別の異世界へ転生してみんか?」

 

「転生って、あの転生ですよね?そのですね、もしその案を断ったりしたらどうなるんですか?」

 

「それはそれでお主に魂の形に戻ってもらい閻魔のところで審判を受けてもらうことになるの」

 

閻魔大王のところで審判をうけ天国か地獄に行くか、異世界でまた元気に過ごすかの二択。そんなの決まってるじゃないか…..

 

「俺、転生します!」

 

「ふむ、そうかよかった。それならこれより転生の儀式に入る」

 

「お願いします!って、そう言えば俺ってどこの世界に転生するんですか?」

 

「おお、そう言えばそうじゃったな、実はな、転生後の世界はわしもわからんのじゃ、その世界に転生した後にその世界の情報がお主の頭の中に入ってくる仕組みになっておっての」

 

「へぇ、そうなんですか、後からのお楽しみってわけですね」

 

「うむ、それから特典の話なんじゃが…2つ枠を用意からの、2つだけ好きな能力を手に入れることができるぞ?」

 

2つ!?うーむ悩むなぁ….1つは決まってるんだけどただ、転生後の世界がわからないんじゃ能力の決めようがないんだよなぁ。どうしようかな….

 

 

 

「……よし決めました!1つ目は漫画のONEPIECEに出てくる覇気です!2つ目はこれもONEPIECEに出てくるエースってキャラの能力がいいです!どうでしょうか?」

 

ONEPIECEの特典がこれだけあれば、どこの世界でも生きていける!それに、これが通ったら憧れのエースの能力『メラメラの実』を使うことが出来るんだ!頼む!神様、俺に力(特典)を分けてくれぇ!!

 

「ふむ、そんなもんで良いのか?」

 

十分です神様!ユピナス様!お願いします!

 

「はい!これでお願いします!」

 

「ふむ、ならこれよりお主を転送する」

 

おっしゃあ!思わず俺は嬉しくて声には出さなかったが心の中でガッツポーズをした。おそらく表情には出てしまっているだろう。

 

俺の足元に魔法陣が出現する。

「それでは、気をつけての」

 

「はい!では行ってきます!」

 

俺は魔法陣から放たれる光へと飲み込まれた。

 

 




ここまで読んでくださってありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。


もし誤字などありました、報告お願いします。


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第2話.転生先は大変でした?(改)

よろしくお願いします。


「ここは…….どこなんだ?」

 

気が付くと俺はどこかわからない森の中にいた。周りには木しか見えず人の気配もしない。

それよりも空の様子も変だ。なんというか、紫になっている。ここはいったいどこなんだ。

 

『聞こえるかの?主よ、聞こえておったら頭の中で言葉を思い浮かべて欲しいのじゃが』

 

突然頭の中にユピナスさんの声が響いた。

 

(はい、聞こえてますよユピナスさん)

 

『おお、よかったぞ転生は無事成功したようじゃの』

 

(はい、そのようですね、ただ今自分がどこにいるかわからないのですが)

 

『うむ、今からそちらの世界の知識をお主の脳に贈ろうと思っての、準備は良いかの?』

 

(はい、お願いします)

 

すると俺の脳の中に情報が流れ込んでくる。

 

『どうじゃ?頭の中に知識が入ったかの?』

 

(うぅ、頭がガンガンしますけど、なんとか理解しました。)

 

『そうか、それは良かった。そう言えばお主の体は元の体よりも若返っておるからの現在はおそらく10歳くらいのはずじゃ』

 

(確かに見えている景色に違和感がありましたが、まさか若返ってるなんて、それよりもこの世界なんですけど魔物とかいる世界みたいなんですが…)

 

『ふむ、どうやらあまり平和ではない世界のようじゃの、じゃがわしにはこれ以上どうすることもできんのじゃ、すまんがあとはお主の力だけで生き抜いてくれ』

 

(そうですか、ありがとうございました。またそちら側に戻らないように頑張りますね)

 

『うむ、特典もちゃんとしておいたのでの、頑張ってくれ期待しておるぞ、それではな』

 

そう言って、ユピナスさんとの通話が終わった。

ユピナスさんからもらった知識によれば、ここは『ハイスクールD×D』と言う漫画の世界らしいのだけど俺は原作を知らないため原作知識はない。分かるのはこの世界の設定くらいか…..正直言って不安しかない

 

「これからどうすればいいんだ?とりあえずここは冥界?とか言われてる場所のようだけど、とりあえず特典の確認だけさせてもらうか」

 

 

俺はユピナスさんからの特典の一つ、エースの能力についてを確認しようと自身の右手に意識を集中した。頭の中に右手の変換イメージをすることで手が炎へと変わった。

 

「本当にあの憧れのエースの能力が手に入ったんだ…….感動だ!」

 

俺は『メラメラの実』の能力が手に入ったことに感動した。ありがとうユピナスさん!

 

「とりあえず、ここから動かなきゃ何も始まらないよね」

 

俺は森の中を探索することに決めた。

――――――

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いていると水の音が聞こえてくる。どうやら近くに水場があるようだ。

 

「川があったけど、これからどうしようかな、このままじゃ流石にまずいな」

 

俺は川の水を飲み一休みしてから川沿いに下っていくことにした。

 

「とりあえずこのまま下って行けばどこかに出るかもしれないしな」

 

そんな希望を持ちながら歩いていくとすぐ近くの木々から何かが飛び出した。

飛び出したのは蛇のようなウロコを持ち、されど翼もある。まるでおとぎ話に出てくるようなそんな生き物。そう“ドラゴン”だった。

 

 

 

俺はあまりの出来事に体が固まってしまった。

(ド、ドラゴン?そう言えば、確かに魔物が存在するみたいだけど、いきなりドラゴンに会うなんて)

 

体長5メートルほどのドラゴンが目の前にいる驚きで、固まっていた俺の事情は無視しドラゴンはこちらに目を向けるとその口を開いて、炎を蓄え始めた。

 

(あ、まずい!(ブレス)が飛んでくる!)

思考は働いても体は動かない現象に駆られた俺はドラゴンのブレスをまともに受けた。

 

(あ、死んだわこれ)

俺は死を覚悟したが一向に痛みが来ない。

(あれ?熱くないぞ?)

当然ドラゴンからは火を放たれている、しかし痛みがない。

 

(あ、そう言えば俺今エースと同じ全身炎人間なんだった。つまり炎の攻撃は俺には聞かないのか…)

 

改めて自分の能力について理解した俺はドラゴンが(ブレス)を吐き終わると反撃に出た。

 

(えっとエースは確か….)

 

俺は右手にイメージした。イメージするのはエースの代名詞となったあの技。

 

「くらえ!『火拳』!!」

俺の右手から巨大化した炎の拳がドラゴンめがけて飛んでいき直撃した。

「どうだ!」

 

しかし、攻撃は効いておらず、ドラゴンの尾が俺に襲いかかる。

 

「嘘だろ?あぶねぇ!」

 

慌てて横にジャンプし攻撃を回避した。その時気づいたのがいつもよりも体が軽いこと、またジャンプの飛距離が伸びていることに気がついた。

 

(そうか、エースの能力って身体能力も追加されているのか….って感心してる場合じゃなくて攻撃が効いてないことだよな…..)

 

今出せる最大火力で放ったであろう『火拳』を受けてなお、ドラゴンは大したダメージを受けていないのだ。

 

(そう言えば悪魔の能力って確か“使い方と訓練次第”だって赤犬の奴が言ってたような…..つまり今の俺じゃ『メラメラの実』を使いこなせてないってことだよな)

 

ドラゴンは更に追撃をするために突進してきた。

 

「クソ!とりあえず避ける!」

 

俺は大きく横に飛び、ドラゴンの突進を躱す。再び、ドラゴンはこっちを向き、尾で俺を攻撃する。

 

「いつまでもやられっぱなしでいられるかよ!『神火・不知火(しんか・しらぬい)』!」

 

俺は両腕から二本の炎の槍をドラゴンめがけて投擲する。しかし、その槍はドラゴンの鱗を貫通することなく弾かれる。

 

「やっぱり炎の火力が圧倒的に足りていないのか…」

ドラゴンは俺の炎を受けても、平然としている。

(何とかしないと...どうすればアイツを倒せるんだ)

 

 

 

 

 

__あれからどれだけ過ぎただろう。ドラゴンはあまりダメージを受けてないようだ。俺も疲労はしているが、傷は受けていない。しかし倒せないのであれば意味がない。

 

この世界では恐らくもっと強い奴などたくさんいるであろう。目の前のドラゴン一匹に遅れを取るようではこの先生きていくことなど出来はしないだろう。

 

(考えろ、集中するんだ….目の前の奴の動きを感じろ….)

 

すると、どういうわけか目の前のドラゴンの動きがわかるような気がしてきた。

(あれ?これってもしかして覇気なのか?そう言えば覇気も特典だったよな)

俺が考え事をしている間にドラゴンは次の行動に出ていた。

 

(あ、今右の鉤爪(かぎづめ)で、俺の頭狙ってる)

俺はその場でしゃがみこんだ。するとドラゴンの攻撃が俺の頭の上をからぶる。

 

(やっぱりそうだ!覇気が発動してる!)

 

俺はその後もドラゴンの攻撃を避け続けた。

 

(避け続けてもダメだ!攻撃しないと、もうひとつの覇気、武装色はどうだろうか?)

 

俺はドラゴンの攻撃にカウンターを合わせるため、前に出た。

(くらえ、武装色の拳だ!)

 

ドラゴンの懐に入り込み右手に武装色を纏わせ、思いっきり腹を殴った。

 

「ゴォオオオンンン」

 

悲鳴をあげて痛がるドラゴンに追撃をかける。

その場で飛び上がりドラゴンの頭めがけて、かかと落としを繰り出す。

すると、ドラゴンは地面にめり込み動かなくなった。

 

「ふぅ、なんとか勝てた」

 

(しかし、悪魔の実の能力の練度を上げなくちゃこの先生きていけないな)

 

俺はこの世界へ来て初戦闘を終えると同時に自分の未熟さを知り強くなることを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは、この森を出ないと….」

 

せっかく覚えた覇気『見聞色』を使い辺りを探ってみる。

 

(うーん、人の気配らしきものは無いよな….うん?なんか大きな気配がこっちに来る?)

 

 

「うわっ!?」

突然吹き荒れる風に思わずバランスを崩しそうになる。

 

『このあたりで暴れていたのはお前か』

 

「え?」

 

俺は声がする方、空に目を向けるとそこには一匹の巨大な青いドラゴンがいた。

さっきのドラゴンとは比べ物にもならない大きさ、威圧感、全てを圧倒するほどの存在感を持ったドラゴンがそこにいた。

 

『人間がなぜここにいる?』

 

「ドラゴンが喋った….え?」

 

『貴様、私の質問に答えろ』

 

すると目の間のドラゴンは目を鋭くさせた。

 

「ま、迷っていて気が付けばここにいた」

俺は圧倒されながらも、震える声で何とか答えることができた。

 

『嘘をつくな、どうやって迷えばこの冥界のはずれにある使い魔の森へ迷い込めるのだ』

 

「本当なんだ!」

 

『….仮に本当に迷い込んだとして、そこに倒れている火竜を倒したのは貴様か?』

 

「ああ、突然襲われたから防衛で」

 

『ほう、ならば貴様一体何者だ?ただの人間が火竜を倒せる訳が無いだろう』

 

「それは…」

 

『やはりこの森を荒らす者だな?ならば貴様は今ここで私が殺す』

 

すると、青いドラゴンは攻撃態勢に入る。

 

「ま、待ってくれ、俺はあんたと争うつもりはない!」

 

『問答無用だ!喰らえ『すべてを凍らる息吹(エターナル・ブレス)

 

慌ててその場から離れる。

凄まじい衝撃が辺りをおそう。

 

「…..嘘だろ」

 

俺が元いた場所を見ると見事にあたり一面氷漬けにされていた。

 

『ほう、私の(ブレス)を躱したか』

 

「いやいや、当たったら即死じゃないか!」

 

躱したか、じゃなくて躱さなきゃ即死だったじゃないか!

 

『ふん、だが次は当てる』

 

すると、また同じように(ブレス)を貯め始めた。

 

(やべぇよやべぇよ)

 

その時だった、

「ゴォオオンン」

 

先ほどの火竜が気づいたようで声を上げた。

 

『何?それは本当か?…おいお前』

 

「え?何?」

 

『どうやらお前が言っていたことは本当らしいな火竜によるとお前に倒されたと言っている。それに自分から襲ったのだとな』

 

「ああ、信じてもらえてよかったよ」

 

(正直あのまま攻撃されてたら確実に死んでたな…むしろ助かったよ)

 

『ふむ、その済まなかったな』

 

「……え?」

 

ドラゴンが誤ったことに驚き、俺は間抜けな声を出してしまった。

 

『勝手に森を荒らす者だと勘違いをして危うくお前を殺すところだった』

 

「あははは、そのまぁ勘違いは誰にでもあるから…はは」

 

乾いた笑いしか出てこなかった。

 

『お前、名は?』

 

「火野、晃だ」

 

『そうか…ではアキラよ、何か力になれることがあればそのときは力を貸そう』

 

「え、本当に?」

 

『間違えて殺しかけたのだ、それくらい当然だ』

 

「えっとそれなら….俺を強くしてくれませんか?」

 

(あれ何言っちゃんだろ俺?)

自然と出てきた自分の言葉に驚きを隠せない。

 

『何?私に強くして欲しいだと?正気か?』

 

「え、えっとその……はい」

(ああああああ、言っちまったよぉおお、でも強くなりたいし….)

 

『ふはははは、ドラゴンに教えを請う人間など初めてだ!良かろう私の背に乗れアキラよ』

 

そう言って、ドラゴンは地面に降りてきた。

 

「そう言えば、あんたの名前は?」

 

俺はまだ名前も知らないドラゴンに呼びかけた。

 

『私は“ティアマット”だ、これからお前を鍛えるドラゴンの名だ、せいぜい死んでくれるなよ』

 

そう言ってティアマットは不敵に笑った。

 




今回もありがとうございました。
次回もよろしければお願いします。


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第3話.戦闘しました?(改)

再投稿です。よろしくお願いします。


 

俺がティアマットに修行をつけてくれるように頼んでから約3年がたった…

この3年間は長かったような、短かったような….まあ、色々と内容が濃い3年間だったさ。

 

この3年の間に何があったって?そんなもん、一言で言うと『地獄』だったね、最初はティアマットが修行してくれると思ってたんだ…でも実際は、

 

『今のアキラが、私と修行ができるとでも?そんなことをすれば1日で死んでしまうわ。だからまずはこの森の魔物や龍と戦えるようになってから来るんだな』

 

俺は納得したよ?そりゃあ、いきなり修行で死ぬなんて嫌だし、ティアマットの言い分が正論だと思ったからさ、でも徐々にレベルを上げて修行してくれると思ってたのにね?

 

『とりあえず、森の魔物たちと戦って1年間生き残ってきな、それができたら修行してやるさ….』

 

この一言だけ言って、洞窟の中に潜っちまったんだ。

 

俺は1年森の中で修行した。来る日も来る日も魔物や龍と戦った。ウンディーネが美女じゃなく漢だったり、気持ち悪い植物には食べられかけたり、魔物の群れには追い掛け回されたり….まあそんな日が1年も続けば嫌でも戦闘は慣れてくるし、覇気の練度も上がっていった。そうしてあっという間に最初の1年は過ぎていったよ。

 

2年目、1年間生き残った俺はティアマットの洞窟へ戻った。ティアマットの『本当に生き残ってくるとはな….』と驚いた顔が印象的だった。それからティアマットに修行をつけてもらったり、この世界のことを教えてもらったりもした。他にも魔力の使い方なんかも教えてくれたりして、面倒見が良かったのが意外だった。あと雌のドラゴンだということもこの時に知った。(元々女っぽいとは思っていたが)

 

ティアマットと修行しての2年もキツかった。森の中を追い掛け回されるし、ブレスが飛んでくるし….だけどな、それでも俺は感謝はしてるんだ。俺が実際ここまで強くなれたのはティアマットのおかげだ。

 

それからティアマットは高位のドラゴンらしく言葉も話せるし、なんと人型にもなれるそうだ。だからさ、

 

 「……おい、アキラよ、聞いておるのか?」

 

「ああ、ごめんティア、ちょっと考え事しててね」

 

今俺の前にいる長く綺麗な青い髪を持つ、スタイルの良い美女。百人が百人とも振り向くであろう。この女性はティアマット本人なのだ。

 

「さっきから誰に説明しておるのだ?それから美女なのだと……..照れるではないか」

 

そう言って、顔を赤くして恥じらっている。何だこの可愛い生き物は、本当にあのティアマットなのか….

 

最初は恐怖の対象でしかなかったティアマットへの印象も、今ではすっかり変わってしまい。むしろこういうところを見ていると可愛いとさえ思う。それに最初は敬語で話していたけどこれだけ一緒に生活していると自然に話しかけれるようになった。ティアマットも長いからティアって愛称で呼んでるしね。

 

「ああ、そう言えば今日は珍しく人型なんだね。なんで?」

 

「いや….特に意味はないのだがな、こっちのほうが何かと便利というか、その…変か?」

 

「いや、いつも言ってるけど可愛いと言うか、綺麗だよ」

 

「そうか!そうかそうか….いや、別にお前になんと思われようがいいのだがな」

 

そう言って、何故かティアは向こうを向いてしまった。わけがわからん。

「はぁ….ところでさっき話してたことって?」

そう言うとこちらへ向き直すティア、

 

「おお、忘れておった。最近この森にもはぐれ悪魔などが逃げ込んできておってな」

 

「ああ、確かに最近多いね、それに森の魔物を狩るやつとか」

 

そうなのだ。もう俺だけで7体は倒してる。はぐれ悪魔も多いが、魔物を捕まえて売ろうとする奴らがこの森に入ってきたりしている。そういう奴らは追い払っているが、それでも数は多い。

 

「そうだ、その度にアキラや、龍たちが討伐してくれるので助かっている。もしまたはぐれ悪魔などが侵入してきたら、すまんがその時も頼むぞ」

 

「もちろんさ、ティアたちが住んでるこの森を荒らさせやしないよ」

 

「ありがとう、アキラ」

 

「いやいや、当たり前さ….あ、ティア、噂をしたらなんとやらかな、悪いけど侵入者だ。」

 

「なに?またなのか」

 

「ああ、数は全部で4人か、まあこれくらいなら俺でも大丈夫だ。とりあえずちょっと行ってくるから待っててくれ」

 

「気をつけてな、アキラよ」

 

「わかってるって」

(しかし、ひとつだけ随分覇気が小さいな)

そう言って俺は気配のする方へと向かった。

 

 

 

-???side-

__ハァハァ、ハァハァ

一体どれだけ逃げ回ったかわからない。どれだけ追ってくる奴らを倒したか覚えていない。

 

「どうだ!そっちにいたか?」

 

「いや、こっちにはいないぞ!」

 

「この当たりのはずだ!隈なく探せ!」

 

やばい、追っ手のやつだ。3人ともかなりの実力者。全快ならまだしも負傷している状態の私じゃ絶対に勝てない。

 

「まずいわね….ここまでかしら」

魔力もほとんど底をついた。それに全身の怪我と睡眠不足。疲労は限界だ。

絶体絶命と言われれば、まさに今の状況だろう。

 

「おい!こっちに血の跡だ!」

 

「この辺だな、おい!注意して探せ!相手は負傷していてもSランクのはぐれ悪魔だ!油断はするな」

 

(まずい、こっちへ来る。)

 

だけど、逃げようにも体が言うことを聞かない。

 

「おい!あそこだ!いたぞ!」

 

「しまっ!逃げなきゃ」

 

私は最後の力を振り絞り、駆け出した。

 

「逃げたぞ!追え!」

 

私は一心不乱に森の中を走る。

後ろから男たちが追いかけてくる。

 

(逃げなきゃ、逃げ切ってあの娘に…)

 

しかし、私は転んでしまった。

 

「ふん、やっと追いついたぞ」

 

「おとなしくしろ、貴様には抵抗すれば殺しても良いと許可が出ている」

 

「うるさい!私はあの娘にあわなきゃいけないの!」

 

そうだ、私はあの子に….

 

「ちっ、抵抗するようだな、ならば貴様はここで死ね」

男は私に向かって魔力弾を撃ってきた。

 

(ごめんね、白音、お姉ちゃんここまでみたい….)

 

私は死を覚悟した。

 

陽炎(かげろう)!」

 

突然の声とともに目の前に炎が現れた。

 

声が聞こえてきたかと思うと、私の目の前に男が現れた。いや、私と同じ年かそれ以下に見える。男の子といったほうがあっているかもしれない。そんな子が魔力弾を相殺した。

 

「なに!貴様人間だな?なぜこんなところにいる!」

 

「あんたらこそ、この森で何をしているんだ?こんな女性ひとりに男三人で、さらにはお前、今この人を殺そうとしたろ」

 

男の子は私をかばうように立っている。

いや、実際にかばってくれているのだろう。

 

この子は私をかばってくれている。なんで?

そんな考えが頭をめぐっていく、しかし私の体はどうやら限界を超えたみたいだった。

(もう、意識が…..)

私は男の子の背中を最後に目の前が真っ暗になった。

-???sideout-

 

 

 

 

 

 

どうやら後ろにいる女の子は気を失ってしまったようだ。

いや、今問題なのはこいつらだ。

 

「なぜこの子を狙う」

 

「そこをどけ!貴様には関係のないことだ!」

 

「おとなしくそいつをこちらに渡せ」

 

「断ると言ったら?」

 

「貴様も殺すだけだ」

 

男たち三人は戦闘態勢に入り、殺気をこちらへと飛ばす。どうしてもこの子を連れて行く気なのだろう。

 

「悪いけど、俺はこの子を守ろうと思う。だから….」

 

俺は男たちに向けて覇気を飛ばす。

 

「ぐぅ!」

 

「ぬぅ!」

 

「うぉおお!」

 

しかし、男たちは何とか意識を保ったようだ。

 

(覇王色の覇気で倒れないってことは相当強いな、いや、俺もまだまだだな)

 

「貴様今何をした!」

 

「妖術のたぐいか!っち、貴様もまとめて死ね!」

 

男たち三人は一斉に魔力弾を放ってきた。

 

「そんなものが効くか、『陽炎(かげろう)』」

 

俺は炎でそれを相殺する。

 

 

「今度はこちらが攻撃する番だな、『蛍火(ほたるび)』」

まるで蛍のような淡い光を男達に向けて繰り出す。

 

「な、なんだこれは」

 

「『火達磨(ひだるま)』!」

 

だが、その瞬間今まで綺麗だった光は炎に変わり男達にまとわりついた。

 

「ぐわぁああああ」

 

「あ、熱い!」

 

だが、これだけでは終わらない。

 

「『火銃(ひがん)』!」

小さい弾丸のような炎を飛ばす。

 

「ちっ、小癪な!」

 

「もういい!そのはぐれ悪魔ごとまとめて吹き飛ばす!」

 

男たちはこれまでとは比べ物にならないくらいの大きさの魔力を練り上げ始めた。

 

「へえ、それがあんたたちの本気か」

 

「今更命乞いをしようがもう許さん!消えろ!」

 

そう言って凄まじい魔力の砲撃が飛んでくる。

 

「ふぅ、まあそれでもティアのブレスには程遠いがな、『鏡火炎(きょうかえん)』!!」

俺は目の前に分厚い炎の壁を展開する。その炎の壁には覇気を少しまとわせてある。覇気と能力による強化によって炎の壁は絶対に破られない強固な防壁となった。凄まじい音を立てて炎と魔力がぶつかり合う。

 

「な、なに!?」

しかし、男たちの魔力を炎が飲み込んだ。

 

「俺たちの攻撃が….」

 

「たかが炎ごときに….」

 

「今度はこっちの番だよなぁ、くたばれ『火拳(ひけん)』!!」

 

「ち、ちくしょおおおおおおおおお」

男たちは炎に飲み込まれていった。

―――――――

 

 

 

 

 

 

 

――――――

「さて、あいつらは片付いたのはいいけどこの子をどうするかだな」

俺は後ろで寝ていた女の子をどうするかに困っていた。

「とりあえず、ティアのもとへ行くか、この子を連れて」

 

俺は女の子を抱えると洞窟へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくださってありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。

*****
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感想などありましたらくれると嬉しいです。


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第4話.女の子慰めました?(改)

本編です



「ただいま、ティア」

 

俺は女の子を抱えながら洞窟へと帰ってきた。

 

「ああ、すまないなアキラ、ん?その抱えている悪魔の娘は?」

 

「ああ、なんか男達に追われているみたいだったから助けたんだよ、いろいろ限界だったみたいだ。気を失ってるから、そのままにするわけにもいかないしとりあえず、ここで様子を見ようかと思って運んできたんだ」

 

「そうか、とりあえずその娘が目覚めるまでそこに寝かせておいてやりな、ついでに治療もしてあげなよ」

 

「そうだね」

 

俺は抱えている女の子を近くにあった寝床へと寝かせた。

 

「つか、ここって洞窟の中なのに色々あるよね、普通布団なんてないよ」

 

「そこは、ザトゥージに感謝しな、あいつが色々持って来てくれるおかげで手に入るんだから」

 

「そうだね、今度会ったらまたお礼を言っとくよ」

 

ザトゥージさんとはこの森で初めて会った人の姿をした悪魔だ。何でも使い魔ハンターを目指しているらしく日々修業中らしい。基本使い魔の森に居るようなのだが、たまに街のほうへと行くらしく、その時にいろいろ買ってきてくれるのだ。

 

「いや~初めてザトゥージさんを見たときはビックリしたけどな、完全に侵入者だと思ったよ」

 

「まぁ、あいつもあんな格好でうろついているからな」

 

そうなのだ、ザトゥージさんは俺が前いた世界の某有名アニメ「ポ○モン」に出てくる主人公の格好をした、オッサンなのである。

 

「見た目完全に変質者だからなぁ、まあいろいろあって誤解も解けたし話をしてみるといい人だったしね」

 

「ふん、まあな...おや、娘が気がついたようだな」

 

俺は女の子がいる方へと顔を向けると、布団からゆっくりと起き上がった女の子がいた。

 

「気がついたか、気分はどうだい?」

 

 

 

 

 

-???side-

周りで声が聞こえる….

暖かい….

 

「….っ……っく」

 

私は意識が目覚めるとゆっくりと布団から起き上がる。

 

(ここはどこだろう、洞窟?)

 

「気がついたか、気分はどうだい?」

 

突然男から声をかけられた。

 

「気分は….あまりよくないわ、そんなことよりも君は誰なの?それにここはどこ?」

 

男は困ったように頭を掻いた。

 

「覚えてないかな?君が男達に襲われているのを俺が助けたんだ、でも、そのあと君が気を失ってしまったからここまで運んできたってわけなんだけど」

 

….思い出した。私は私を狙う追っ手から逃げ切るためにこの森に逃げ込んで、疲労が限界に来たんだ、そして殺されかけているところをこの子が…

 

「思い出してくれたかな?」

 

「ええ、思い出したわ、最後に助けてくれた子よね?助かったわ本当にありがとう」

私は助けてくれた子に頭を下げる。

 

「いやいや、女の子が殺されかけていたんだ、助けないわけにはいかないよ。それより俺の名前は火野晃、よければ君の名前を教えて欲しいんだけど」

 

「私は、黒歌」

 

「黒歌さんか、もう起き上がっても大丈夫なの?一応怪我は治療しといたけど」

 

「手当まで…助かったわ本当にありがとうね」

 

「そっか、よかった。とりあえず起きてそうそう悪いんだけど、これだけは聞いておかなきゃいけないからさ、黒歌さんはなんで殺されかけていたの?」

 

ああ、やっぱり聞かれるか…そうよね、普通は殺されかけるなんてよっぽどのことかがない限りありえないものね。

私はうつむきながら質問に答える。

 

「私は、はぐれ悪魔なのよ。主を殺した犯罪者ってわけ」

 

「黒歌さんがはぐれ悪魔….」

 

悲しそうな声が帰ってくる。

….やっぱり引くわよね

 

「別に黒歌でいいわよ、それで、はぐれ悪魔の私を追ってあいつらは私を捕まえに来たの、それで私は何日も逃げ続けていたんだけど、この森に逃げ込んで隠れているところを見つかってね、今までは追い払うことができたんだけど疲労が限界に来てね、それで殺されかけてたってわけ」

 

「あのさ、言いにくいとわかってるんだけども聞いてもいいかな?なんで黒歌ははぐれ悪魔になってしまったの?」

 

「…うっ、直球できたね、まぁ別にいいけどこの際だから全部話すよ」

 

「うぅ、ごめん、それで?」

 

「私には妹が一人いてね、私たち姉妹は早くに両親を亡くしたの。私って悪魔になる前は妖怪の猫又でさ、その中でも希少な『猫魈(ねこしょう)』って種族で力が強かったわけ、そこで私たちの身柄を保護する代わりに私に眷属にならないかって持ちかけてきたのが私の元主の男。私たち姉妹は頼れる存在がいなかったから、私はその男に従って眷属になった。私は妹を守るためにその男の眷属として精一杯働いたよ、私たちの種族は『仙術』って特殊な術が使えるんだけど、この術は強力な力が手に入るけどすごく危険な術なの。当時の私は使えたんだけど、妹はまだ小さくてとてもじゃないけどそんな術は使えなかったの、だけど私の主は姉の私が使えるのだからと言って妹にまで目をつけ始めた。当然、私は拒否した、大切な妹が死んでしまうからね。だから常に私が妹を守っていたんだけど、私が仕事で少し遠くまで出ていて帰りが遅くなった時があったの、そして帰ってくると妹が死にかけていた」

 

「そんな…なんで!?」

 

「私の主が私がいない時を狙って妹に無理やり仙術を使わせたのよ、妹は失敗してその反動で死にかけていた。私は急いで妹の治療を行ったよ、あと少し遅ければ妹は確実に死んでいた。だから私は主に講義しに行った。そしたらアイツはなんて言ったと思う「力を使えないような奴は殺してしまえ」と言って妹を殺そうとしたのよ」

 

「ふざけてる…」

 

「私は怒り狂ってその場で主を殺し、妹を連れて逃げた。だけど妹と一緒に逃げることなんてできなかった。だから私は妹を保護してくれる力を持ち、尚且つ信頼を置ける上級悪魔のところに妹を預けた。それから私の逃亡生活は始まったのよ」

 

「黒歌は、どれくらいこんな生活を?」

 

「そうね….もう3年は立つわね、来る日も来る日も追っ手から逃げ続ける日々、夜も安心して眠れない。いつ追っ手が来るかもわからない、周りには味方もいない。全部が敵に見えていたわ….」

 

「…黒歌」

 

「あはは、でももう疲れちゃったな、これ以上逃げても…」

私の言葉は途中で遮られた。なぜなら今私は目の前にいるアキラに抱きつかれているからだ。

 

え?え?なんでアキラは私に抱きついてるの?

 

「いきなりどうしたの?え、えっと困るんだけど」

 

「…….黒歌、辛かったね」

 

アキラの手が私の頭を優しく撫でる。その手は暖かくて私を包み込んでくれているかのようだ。

 

「ちょ、ちょっとやめて、なんでいきなりそんなことを」

 

「黒歌は悪くないよ、むしろよく今日まで一人で頑張ってきたね」

 

耳元で優しく言葉をかけられた。撫でる手が一層優しくなる。

 

「やめて….私は優しくされるような存在じゃ」

 

「ううん、黒歌は俺が思ってる以上に優しい子だった、今まで泣かなかった分今は泣いてもいいんだよ」

 

私の目から自然に涙が溢れ出してくる。

 

「う、うわぁああああんんんんんん」

 

こぼれてくる涙は止まってくれない

…暖かい

人の温もりを感じたのはいつ以来だろうか。

 

「よしよし」

アキラは私の頭を優しく撫でる。

私は涙が止まるまでアキラに抱きつき続けた。

 

-黒歌sideout-

 

 

 

 

俺は黒歌が泣き止むまでずっと黒歌を抱きしめ続けた。

つい、勢いで抱きついてしまったけど、今はこれでよかったと思う。今まで一人だったんだ。誰にも頼れず辛い思いにあってきたんだ。今はいっぱい泣けばいい。

 

 

黒歌が泣き止み、落ち着きを取り戻してきた。

「ごめん、アキラ、みっともないところを見せちゃって」

 

「いいんだよ黒歌、こんな俺の胸で良かったらいつでも貸すさ」

俺は笑顔で黒歌に返すと、黒歌は顔を赤くして俯いてしまった。

 

「あの、黒歌?どう「..あ、あーひとついいか?お前ら私がいることを忘れてないか?」」

 

俺の後ろではティアが人型で腕組みをしながら立っていた。

ティアがいることをすっかり忘れてた。

 

「まったく、アキラよお主はそうやってほかの女に….」

 

「あのティアさん?なぜそんなに怒ってるのですか?」

 

「そんなもん、お前の胸にでも聞け!」

 

俺はティアの右ストレート(覇気武装)をくらい、綺麗に吹き飛んだ。

 

 

「あ、あのあなたは?」

 

「ふむ娘よ、見苦しいところ見せたな、私はティアマット、アキラの師をしてるものでこの使い魔の森の主だ、今はこの洞窟に住んでおる」

 

「ティ、ティアマット!?あの『天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』のティアマットなの!?」

 

「いかにも、私がそのティアマットだが、ふむ、黒歌と言ったか、先ほどの話私も聞いていたが、大変だったな」

 

ティアは黒歌の頭を優しくなでる。

 

「辛かったな、だけどこれからはここにいると良い。ここならば追っ手もやすやすと手を出せないはずだからな」

 

「え、ここにいてもいいの?」

ティアマットの発言に驚く黒歌。

俺も黒歌のそばに戻る。

 

「ここにいなよ、黒歌」

 

「そうだな、私たちがお前さんを守ろう」

 

「私犯罪者だよ?本当にここにいてもいいの?」

 

「「ああ」」

 

「あ、あははははは、….あり..が…..とう」

 

もう一度黒歌の目から涙がこぼれた。だけどそれは悲しさからくる涙ではなく、きっと嬉しさからくる涙だったと思う。

 

「これから…よろしくにゃん♪」

 

そういった黒歌の顔はとても可愛らしい笑顔だった。

 

 

 

 




ここまで読んでくださってありがとうございます。


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感想や、誤字などがありましたらよろしくお願いします。


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第5話.罰ゲームは難易度高すぎでした?

また性懲りもなくゆっくりと始めたいと思います。よろしくお願いします。
読みにくいと思いますが、勘弁を


____

森の中を二つの影がすごいスピードで走り抜ける。

「もうアキラ!しつこい男は嫌われるにゃん!『(ソル)』!」

 

「いやいや黒歌、これも修行の一つだから『(ソル)』」

俺たちは今この森の中で鬼ごっこをしている。もちろん遊んでいるわけでない。これも立派な修行の一つだ。いま修行しているのは『(ソル)』という移動法だ。これはONEPIECEの漫画に登場する六式と呼ばれる体術の中の一つで、地面を一瞬で何回も蹴って高速で移動する技である。他にも俺は「嵐脚(ランキャク)鉄塊(てっかい)月歩(げっぽう)」の四式ができるようになっている。指銃(シガン)や、紙絵(かみえ)なんかはこの世界の中ではおそらくあまり使わないだろう。ぶっちゃけ四式習得できただけで十分だと俺は思ってる。

 

しかし、黒歌には驚かされた。黒歌を保護してもう2年が立ったのだが、成長が凄まじいのだ。黒歌は元々妖怪だったのに加え、悪魔の駒で転生したことによって、その魔力も跳ね上がっている。さらに仙術に加え、俺が修行していた六式のうち『剃、嵐脚、月歩』の三式まで習得、さらには覇気まで多少だが使えるようになっている。中でも『見聞色の覇気』との相性がいいらしく、仙術と組み合わせることによって気配を察知することにものすごく長けている。

 

「黒歌のやつ、俺の気配を完全に把握してやがるな、全然距離が詰められない」

 

そう、黒歌に完全に気配を察知されてしまい、なかなか捕まえることができないでいたのだ。「探索、逃亡」に関しては完全に俺を超えている。

 

「あ、やばい時間がない、早く見つけないと!」

 

この修行の最も厄介な点は罰ゲームありの修行というところだ。今回の場合制限時間になったときに鬼であったほうが罰ゲームを受けるという形になっている。

 

(そこまで!二人共戻ってこい!)

 

頭の中でディアの声が響いた。どうやら時間になってしまったらしい。

俺は急いで洞窟の方へと向かった。

 

「ふむ、今回は黒歌の勝ちのようだな」

 

「やったにゃん!どうにゃアキラ!」

 

「ああ、完全にやられたよ。もう鬼ごっこじゃ追いつけないな、こっちの気配を完全に読まれているし、反対にそっちは気配を完全に殺してくる。見つけにくいとかいうレベルの話じゃないな、俺の完敗だよ。」

 

「えへへへ、照れるにゃ♪」

 

そう言って、頬をかきながら照れている黒歌はとても魅力的に思えた。ちなみに黒歌は俺の1歳年上で、現在16歳、俺は一応15歳になっている。

 

「ふむ、では負けたアキラには罰ゲームだな」

 

「おう、どんと来いや」

 

「では、アキラにはこの手紙を届けて欲しいのだ。」

そう言って、ティアは俺に封筒に入った手紙を差し出した。

 

「手紙を届けるって、これだけでいいのか?いつもみたいに地獄の修行じゃなくて?」

 

「うむ、大切な手紙であるからな、しっかり届けて欲しい。」

 

「いいけど、一体誰に?」

 

「魔王サーゼクス・ルシファーだ」

 

「「え、ええええええええええ」」

俺と黒歌は二人で驚いた。当然だ、手紙を届けて欲しいと言ったが、まさか手紙を差し出す相手があの魔王だとは誰が予想できたであろうか。

 

「本気かよティア、魔王ってあの魔王のことだろ?」

俺は頭の中で魔王の姿を想像してみた。この世界の魔王はどんなのかは知らないが、前にいた世界だと恐ろしい姿をしていたのは覚えている。微妙な顔をしている俺をみて、ティアは、

 

「どんな化物を想像しているか知らんが、サーゼクスはお前たちのような人の姿だぞ?確か昔の新聞があったはずだが」

 

そう言って新聞を探し出すティア。

「おぉ、あったこれだこれ、確か何かの記念祭の際に取られた写真だったはずだが」

 

そういって差し出してきた新聞の中を見てみると、確かに中央に魔王らしき人物が四人座っている。

 

「左から、アジュカ・ベルゼブブ、セラフォルー・レヴィアタン、サーゼクス・ルシファーに、ファルビウム・アスモデウスだな、懐かしい写真だ。」

 

俺はサーゼクス・ルシファーと呼ばれた男性に視線を向けると、確かにそこにはイケメンの優しいそうな男性が写っていた。魔王と呼ばれるくらいだから、もっと厳つい人物ばかりを想像していた俺だったが、あまりにも普通すぎて驚いてしまった。

 

「で、このサーゼクスさんに手紙を届ければいいのか?」

 

「うむ、そうだ。奴は街の奥にある魔王城にいるはずだからな。そこへこの手紙を持っていき、サーゼクスに届けることができれば終わりだ。」

 

「終わりだって、魔王さんの方に連絡入れてないのかよ?」

 

「うむ、罰ゲームでもあるからな、ただし気をつけろよ?魔王の城には上級以上の悪魔がわんさかいるはずだからな、中には最上級クラスもいるはずだ。」

 

「もし、見つかったら?」

 

「まぁ捕まるだろうな、何せ不法侵入だからな」

 

「...捕まったら?」

 

「お前はその程度の男だったということだ」

 

「嘘だろ!?めちゃくちゃ危険な罰ゲームじゃねぇか!?」

 

「ねぇ、ティア流石にこれは無茶すぎじゃない?」

黒歌が俺のことを心配してくれている。優しいな、思わず惚れてしまいそうになるよ...

 

「いや、アキラお前なら必ず帰ってくると信じてるぞ、それに黒歌よ...は...の...帰りを...ものだぞ」

 

ティアが黒歌の耳に近づいて何かを囁いている。

ティアの言葉を聞いて、心配していた顔が一旦考えるようになって、だんだん顔が赤くなった。

 

「...!わかったにゃ!私もアキラを信じて待つにゃ!」

黒歌はものすごい笑顔でとんでもないことを言い出した。

 

「おいいい、黒歌さん!?なに懐柔されちゃってんの!?」

 

「お前はごちゃごちゃうるさいぞ、とにかく今日中にその手紙を届けてくるのだぞ?」

 

そう言って、俺はティアに洞窟から放り出された。おそらく手紙を届けてくれるまで、中には入れてくれないだろう。

 

「はぁ、仕方ない、行きますか」

俺は渋々ながら街を、魔王の城を目指すのであった。

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。


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第6話.見つかりました?

なんか、久々に感想貰うって嬉しいですね。やる気が沸いてきました。(テスト期間なのになにやってんだろ...}
どうぞ本編です。


「うわぁ、着いちゃったよ」

 

俺は目の前にある、巨大な城のような建物を見つめる。

 

「嫌だなぁ、中に強い気配がたくさんいるじゃん」

しかし、このポケットの中にある手紙を魔王サーゼクスに届けない限り帰れないこともわかっている。俺はため息をひとつ吐くと覚悟を決めた。

 

「とりあえず正面からはまずいよなぁ、気づかれないようにしたいし、裏へ回ろう」

 

そうと決めた俺は、静かに城の裏側へと向かった。

 

 

 

___

城の裏側に回った俺はあたりの気配を探ってみた。どうやらこの付近には人がいないようだ。

 

「裏門からなら入れそうだな」

 

あたりの気配を探り、誰もいないことを確認したところで、『剃』を使って門をくぐり抜けた。なんとか城の中に入ることには成功した。

 

(第一関門クリアってところかな、門番みたいな人がいなくて助かったよ)

 

俺は城の中にいる気配を探ってみる。強い気配が複数いるが、この城の上の方に集中している。おそらくその中のどれかが魔王サーゼクス・ルシファーのものだろう。そう考えた俺はこの城の上を目指すことにした。

 

(とりあえず、上に繋がる階段を探さなくちゃ)

 

空を月歩で上がって行ってもいいのだが、今回は見つかるわけにはいかないから中を移動する他ない。慎重に見つからず、そして早く動くことがポイントとなる。

 

(ったく、ほんと難易度が高い罰ゲームだよまったく)

心の中でそうぼやきながら俺は階段を探す。

 

しばらく探すとようやく階段らしきものを発見した。

(とりあえず今は誰もいないからさっさと上がってしまおう)

 

俺は素早く階段を駆け上がる。なんとかばれずに次の階に来ることができた。

 

 

 

 

階段を探しては急いで上がるを繰り返してようやく7階までたどり着いた。あと一つで最上階だが、最上階には強い気配が3つ存在していた。どうしたものかと考えていると不意に強い気配を背後から感じた。

 

(まずい!?この気配は最上級クラス以上の悪魔か!?とにかく一旦隠れないと!)

俺はすぐに物陰へと移動した。

コツコツと廊下に響く足音がする。どうやら女性のようだった。

 

「まったく、サーゼクスちゃんったら、急用だからって呼び出しておいて、これで大事な用件じゃなかったらただじゃ置かないんだから!」

 

黒髪を左右でまとめてツインテールにしたスーツ姿の少女?が、少し怒りぎみに歩いてきた。

 

「せっかく、仕事が休みでソーナちゃんとの楽しい楽しい一日だったはずなのに。急な用件って、もー今度でも良かったのに!」

 

訂正、どうやら少しではなくかなり怒っているようだ。体から少しオーラとなって出てきてしまっている。

 

(これはかかわらない方が身の為だな)

そう思った俺は、見つからないように気配を殺したつもりだったのだが、神様は俺のことが嫌いなのだろうか。自分の近くに見るからに落ちそうな箱を見つけてしまう。ここで、この箱が落ちてしまって音など立ててしまえばどうなるだろうか?言わなくてもわかるだろう。

 

(まずい!絶対落ちるじゃんあれ!?なんであんなギリギリにモノ置いてるんだよ!!)

急なことに焦りを隠せない俺。しかし、そんなことを考えているうちにモノがついに落ちだした。

 

(くそ!もうイチかバチだ!)

 

俺は『剃』を使って急いで落下地点へ入った。間一髪ものは落ちることなく俺の手に収まったのだが、

 

「誰!?」

剃を使ったことによって隠していた気配が現れてしまったのだろう。 少女はすぐに反応してこちらへと振り向いた。

(やべぇ、どうしよう!?)

 

見つかったことにより俺の頭は軽いパニック状態になってしまった。

 

「人間?の男の子ね。なんでそんな子がこんなところに?」

 

明らかに警戒したような雰囲気でこちらを見ている。

(まずい!ここはもう正直に話して手紙だけでも届けさせてもらうしかないか)

そう思った俺は正直に事情を話すことにしたのだが、

 

「あ、あのこの手紙を魔王サー「どこかの組織のスパイね!きっと『神の子を見張る者(グリゴリ)』に違いないわ!ここまできたことは素直にすごいと思うけど、このセラフォルー・レヴィアタンに見つかったことが運の尽きね!私が成敗してあげるわ!」って話を聞いてくれぇ」

 

まったく話を聞いてくれない少女に頭が痛くなる。さらに驚きなのが

(この人魔王なのかよ!ええ、想像してたのと全然違うじゃねぇか!つか、いつの間にスーツ姿から、へんな魔女のような衣装に変わったんだ?)

気づいたらさっきまでのスーツ姿から、魔法使いのような衣装へと変身していた。

 

「ちょ、ちょっとまってくれ話を「問答無用!」危ねっ!」

 

いきなり魔力弾をぶっぱなしてきたよこの少女もとい魔王さん。俺が元いたところにはクレーターが出来ていた。

「もう!避けないでよ!大人しく捕まりなさい!」

 

「無茶言うなよ!当たったら死ぬわ!」

 

「大丈夫よ!ちょっと眠るだけだから!」

 

「永遠に眠っちまうよ!」

 

「もう!いいかげんくらいなさい!凍える氷柱(アイス・エッジ)!!」

巨大な氷柱が彼女の頭上に生成され、俺めがけて飛んできた。

 

「嘘だろ!?陽炎(かげろう)!」

巨大な氷柱に炎を飛ばして相殺し吹き飛ばした。

「嘘!?私の攻撃が!やっぱりあなたただの人間じゃないわね!捕まえていろいろ聞き出しちゃうんだから!」

 

さっきまでの手加減らしき雰囲気が消えて一気に俺との距離を詰めてきた。

「やられるわけには行かねぇな!来い炎狐(えんこ)!」

俺は右手と左手から炎の狐を作り出した。二匹は俺を守るかのように前に出る。

 

「関係ないわ!連弾・氷瀑(アイス・ボム)!」

俺の近くに一瞬で複数の氷が出現し、爆発した。

しかし、先ほどの二匹が俺を守るように攻撃を受けてくれた。

「危ねぇ助かった。今度はこっちの番だ、火銃(ヒガン)

こちらも炎の連射で攻撃を仕掛ける。しかし、高速移動によって全てよけられてしまった。

「やるわね!こっちもお返しよ!凍える大地(アイス・グランド)

少女の魔法によって床が氷付けにされ始める。

「まずい!月歩!」

 

「え、飛んだ!?」

そのまま天井を蹴り、俺は上から攻撃する

炎爪(えんそう)!」

両手に炎の爪を出現させ、斬りかかる。

「甘いわよ!こっちも氷瀑!」

俺はあと少しのところで冷気と爆風によって吹き飛ばされてしまった。

 

「くそ、あと少しだったのに」

 

「ほんとに強いね君!でもこれで終わりよ!『吹き荒れる氷河(グレイサー・テンペスト)!!』

 

「まずい!」

一瞬でとてつもない風と氷河が俺を襲い、俺は大きく吹き飛び窓から外に飛び出し、城の隣にある広い建物へと吹き飛んだ。

 

「くそ!なんて威力だよ!」

 

なんとか体制を立て直し、無事に着地することができた。とりあえず辺りを見渡すと随分と広いところに出た。どうやらここは訓練場か何かのようだ。

 

「逃がさないんだから!凍える氷柱!」

俺が落ちた穴から魔王少女が入ってきて追い打ちだと言わんばかりに氷塊を投げつけられる。

 

「まだ、追ってきたのか、炎戒・火柱(えんかい・ひばしら)!!」

俺は投げつけられた氷解を跡形もなく消し飛ばす。

 

「もう!君の魔法と私の魔法って相性最悪ね!」

 

(確かに炎と氷の相性はいいけど、ここまで互角に戦われると、結構傷つくんだよな、ティアと戦ってる時みたいな感じがあるし、さすが魔王の一人と言ったところか。)

 

「でも、次の魔法で決めちゃうんだから!」

そう言った彼女の周りにはとてつもない冷気が漂い始める。

(ここで大技か!くそ、あれをくらったら絶対にまずい…迎え撃つしかないか)

俺も自分自身の右手に炎を集中させる。

 

「行くよ!零と雫の吹雪(セルシウス・クロス・ストーム)!」

 

「燃え尽きろ!火拳(ひけん)!!」

 

巨大な炎の拳と、強烈な吹雪とがぶつかり合う。凄まじい魔力の余波で周りが崩れ始めた。

 

「うぉおおおおおおおおおお」

「はぁああああああああああ」

(くそ!互角の威力とかやばすぎだろ!)

 

しかもすこしずつこちらが押され始めた。

(まずい!このままだと押し切られる)

どんどんと押し返される状況に焦っていたその時、

 

 

 

滅殺の魔弾(ルイン・ザ・エクスティンクト)

 

突然横から飛んできた凄まじい魔力によって二人の攻撃は打ち消された。

 

魔力が飛んできた方をみると、銀髪の美しいメイドさんとその横に建つ豪華な服装の赤毛の優しそうなイケメンの男性が立っていた。

 

 

 

 




ここまで読んでくださってありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

*******
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感想などもお待ちしております。


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第7話.何故か悪魔になりました?

ほんとすみません!遅くなりました。しかも結構めちゃくちゃかもしれないので何かおかしな点がありましたらすぐに教えていただけると幸いです!

サーゼクスの性格or口調が変ですがご了承ください(⌒-⌒; )
では本編です。


「…サーゼクスちゃん」

魔王少女が紅髪の男性に声をかける。というかやはりこの男性こそが俺の目的だった。サーゼクス・ルシファーその人だったようだ。

 

「セラフォルー、君は一体何をしているんだい?」

男性がすこし、怒ったような口調で魔法少女に語りかける。

 

「こ、この男の子を捕まえようとしてたのよ!」

 

「ふむ、その少年が君に何かしたのかい?」

 

「それは…違うけど、でも、この人間の男の子が城に侵入していたの!!普通に怪しいと思うじゃない!それにサーゼクスちゃんが悪いんだよ!私とソーナちゃんとの貴重な時間を奪っておいて!」

 

「わかった、わかったそれはすまなかったね、ところでさっきの話は本当なのかい少年君?」

サーゼクスさんの確認するような視線がこちらに向けられる。

 

「はい、まぁそうなんですけど、これには事情がありまして」

 

「ほう、その事情とは一体何かな?」

 

(ふぅ、よかったこの人はちゃんと話を聞いてくれる人のようだ)

「えっと、この手紙をあなたに渡すようにと預かりまして」

俺は懐にしまってあったティアからの手紙をサーゼクスさんに差し出した。

 

「手紙?ふむ誰からかな」

サーゼクスさんはそう言って俺の差し出した手紙を受け取った。

 

「差出人はティアマットです。」

 

「「え?」」

「これは、珍しいな」

俺がそう言うと、魔王少女さんと銀髪メイドさんは驚きから声をあげ、サーゼクスさんは少しだけ驚いたようだった。

 

「彼女からの手紙などいったい何年ぶりだろうな」

そう言って手紙の封筒を開けると、一枚の紙が入っていた。

 

「ふむ、これは転移魔法陣だね」

 

「転移魔法陣ですか?」

 

俺がそう言った瞬間に紙が突然光りだした。

 

「久しぶりだな、サーゼクスよ」

光が収まると、魔法陣の中心には、人型のティアが立っていた。

 

「君こそ、どういった心境の変化かな?僕に手紙を出すなんてね」

 

「いや何、貴様にすこし用ができてな、それより、まずは無事に手紙を届けることができたのだな、アキラよ」

 

そう言って、彼女は俺の方へと近づいて来る。

 

「よくやったな」

彼女の手が俺の頭を優しくなでる。俺は嬉しさがこみ上げてきたが、それよりも恥ずかしさが大きかったため、その手をすぐに払ってしまった。

 

「ティア、恥ずかしいからやめてくれ!」

 

「はは、そう照れるでない、ふむ、さて本題に入らせてもらうかサーゼクスよ」

そう言って、胸元から紙を数枚取り出した。

 

(いったい、どこにしまってあったんだよ…やめよう考えると後が怖い)

 

すぐさま疑問を振りはらい、やりとりに集中する。

 

「ふむ、これは?」

 

「それは、上級悪魔エンデヴァー公爵の闇取引、および人身売買、眷属に対する扱いの問題、その他に数え切れない裏情報をまとめたものだ。」

 

「…確かにこれは、公になれば問題になるものばかりだが、なぜ君がこんなものを?」

 

「お前らが指名手配しているはぐれ悪魔の黒歌だが、今は私のところにいる。」

 

「「「!?」」」

(おいおい、ティアそんなことバラしたら!)

 

「それで、君は何が言いたいんだい?」

 

「黒歌は私にとって可愛い妹分のような存在さ、それに何も知らないお前たちが勝手に黒歌を悪者扱いしているのが何だか腹立たしくてね、調べたら出てくる出てくる、まぁ、そんなことはいいんだけどね、何が言いたいかって、黒歌の罪を消すことだよ」

 

「つまり、彼女の罪を不問にしろと?」

 

「ああ、そうだ、そのために証拠も集めてきた。」

 

すると、サーゼクスさんは何かを考えるように黙ったまま固まっていた。そこへ銀髪のメイドさんが近づいていく。

 

(如何されるのですか、魔王様)

 

(ふむ、確かに証拠もあり、正当防衛としては成り立っている。何よりこの情報がもし公になれば不利になるのは私たちの方だ。)

 

(では、不問になされるのですか?)

 

(ふむ、そこで考えていたのが条件付きで不問にすることなのだが….)

 

 

 

 

しばらくすると、サーゼクスさんはこちらへ向き直り、メイドさんも少し後ろへと下がった。

 

「はぐれ悪魔黒歌の件だが不問にすることを約束しようと思う。」

 

(うぉ!?まじか!よかったな黒歌!)

俺は内心とても嬉しく今にも飛び上がりそうだった。

 

「サーゼクス、お前にしちゃあ、やけに素直じゃないか、何か裏があるんじゃないか?」

すると、怪訝な顔でサーゼクスに問いかけるティア、

 

「まあ、不問にしようと思うが、条件(・・)があってね」

 

「で、その条件ってはなんだ?」

 

「そこの少年を悪魔にする気はないかい?」

 

そう言って、サーゼクスさんは俺を指差しそう言った。

 

「…アキラをだと?」

 

「ああ、彼を悪魔にすると言うなら黒歌の罪は白紙に戻そうと思うのだが、どうする?」

 

サーゼクスさんはまっすぐに俺の顔を見つめてきた。ティアがサーゼクスさんを睨みつけている。

 

「この性悪悪魔め……アキラどうする?お前が悪魔になれば黒歌は助かる。だが、悪魔になるということはお前は人ではなくなるということだ。これはお前の一生を決めるものだ、正直この選択はお前に任せるよ」

 

つまり、この選択で俺の一生か、黒歌の罪かどちらかを取らなければならないということになる。

 

(そんなの決まってるじゃないか)

 

「ティア、俺は悪魔になってもいいよ」

 

「いいのか?そんなに簡単に決めて」

 

「ああ、別にかまわない。これで黒歌の罪が無くなるんだろう?そんなんだったら悪魔になるくらい何の問題もないさ、あいつの今までの苦しみに比べたらな」

 

「ふっ、それだけお前に思われている黒歌は幸せだな…..すこしそれが羨ましくも感じるよ」

 

最後の方のティアの言葉が聞こえなかったが、なぜだが少し顔が朱い気がするのは、気のせいだろう。そんなことより俺が悪魔になるだけで黒歌を救えるのなら俺は自分くらい犠牲にしてやるよ。

 

「では、交渉成立でいいのかな?」

 

「ふん、アキラがいいって言ってるんだ、私が文句を言うことじゃない」

 

「ならば、今この場で魔王として宣言しよう、『主殺しの大罪人はぐれ悪魔黒歌の罪を不問とする。』…これでいいだろうか?」

 

「ああ、文句ないよ」

 

「さて、それではアキラ君でいいのかな?君は誰の悪魔になるのがいいかな?」

 

ん?サーゼクスさんの言っている意味がよくわからない俺は困った顔をしてしまった。そこへティアが助け舟を出してくれた。

 

「アキラ、悪魔には純血悪魔と転生悪魔と言う二種類がいるんだ。純血悪魔は今目の前にいるようなこいつらのことを言う。そしてもう一つ転生悪魔というは元は別の種族のものだった物が『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を用いて、転生し悪魔になることだ。黒歌がこれに該当する。あいつは元は妖怪だったからな」

 

「そう言えば、そうだったな。ん?つまり俺は誰かの部下にならなくちゃいけないってことなのか?」

 

「そう言う事を言っているらしいが…おい!サーゼクス!」

 

「ん?なんだい?」

 

「アキラが悪魔になるっていったが、別に誰の悪魔になるとは言ってなかっただろ!ならアキラに『悪魔の駒』一式を渡してやれ」

 

「ふむ…なるほどな」

サーゼクスさんは再び考えるように腕を組んだ。

 

「な、いけません魔王様!ただでさえ勝手なことをしているのにこれ以上のことをすれば!」

 

「そうだよ!サーゼクスちゃん!またおじいちゃん、おばあちゃんたちがうるさいよ!」

そこへさきほどまで黙って聞いていた、銀髪メイドさんと魔王少女さんが慌てて止めに入った。

 

「いや、そうだね彼は何も知らないのにだれかの眷属になるのは酷な話だったね、よし、グレイフィア『悪魔の駒』の一式をここへ持ってきてくれないか?」

 

「…正気ですか?魔王様」

ものすごく怒ったように魔王様を睨みつけている。銀髪メイドさんことグレイフィアさん。あの綺麗な人グレイフィアさんって言うんだ…じゃなくてなんだか知らないが俺の思考が追いつかないうちに物事が決まっている気がする。

 

「ああ、僕は本気だよグレイフィア」

 

「私は知りませんからね」

 

そう言ってグレイフィアさんは一瞬でその場から消えた。

 

「さて、グレイフィアが戻ってくるまでに話をさせてもらうけど、アキラ君。君に渡すのは『悪魔の駒』一式だ。君はチェスを知っているかい?」

 

チェスと言ったらあのテーブルゲームのチェスのことしか知らないが、

 

「ゲームのチェスですか?」

 

「そう、そのチェスなんだが、悪魔の駒はそれをモチーフにして作ってあるんだ。つまり、駒の数は『王が1、女王が1、戦車2、僧侶が2、騎士が2、兵士が8』計16個の駒があるんだ。そして王の駒は君自身のことであるから君を除くと、最大で15人の眷属を作ることが出来るんだ。」

 

(15人って、かなりの数だな)

 

「そして、悪魔の駒を使って行うのが『レーティングゲーム』というものがある。」

 

「レーティングゲームですか?」

 

「そうだ、あまり詳しいルールはその時に話させてもうけれど、悪魔は実力主義の世界だ。物事の解決にしたって、力で問題を解決するのも少なくはない。そこで行うのがこの『レーティングゲーム』と呼ばれるものだ。これは二人の王がぶつかってしまった時に眷属を用いて戦うのさ。まさにチェスと一緒さ。」

 

「なるほど、自分の意見を通したい時は戦えと言うことですか?」

 

「そうだね、それが悪魔だよ。」

 

サーゼクスさんはとてもニコニコしながら俺のことを見てくる。

そこへグレイフィアさんがケースを持って帰ってきた。

 

「魔王様これを」

 

「ありがとう、グレイフィア。さて、アキラ君まずは君にこの王の駒を渡すよ。受け取ったらそのまま自分の胸の前で持ってるんだ。」

 

サーゼクスさんがケースから王の駒を取り出し、俺に渡してくる。それを受け取った俺は指示どうりに胸の前で駒を握る。すると駒が輝きだし、俺の体の中へと吸い込まれていった。

 

「これで君の転生は完了したよ。おめでとう。これで君も悪魔の一員だよ。」

 

「嬉しいのかどうなのか微妙なところですけどね」

と俺は苦笑いをするだけだった。

 

「さて、残りの駒なのだが、悪魔の駒は特殊でね、各駒にそれぞれ特性があるんだ。例えば騎士ならば速度の上昇、戦車なら攻撃力と防御力の上昇、僧侶なら魔力の底上げ、兵士は最初は何も変わらないが、ある能力があってね、」

 

「プロモーションですか?」

 

「そう!プロモーションの能力を使う事によって兵士は騎士にも、戦車にも、僧侶にも女王にも昇格することができるんだ。そして女王は兵士、騎士、戦車、僧侶のすべての駒特性を兼ね備えているんだ。」

 

「それは、すごいですね…」

 

「それにね、女王は王の側近、つまり一番身近な存在であるため君が一番信用の置く人物にすることをおすすめしておくよ。」

 

「なるほど、それじゃあ、女王の駒を貰えますか?」

そう言って俺はサーゼクスさんから女王の駒を受け取った。俺はそのままティアの前まで行き駒を差し出した。

 

「ティア、俺の女王になってくれないか?」

俺の一言が理解していないのかティアは固まったまま反応してくれない。

 

「あのティアさん?」

 

「….はっ!お、お、おまえ私を女王にするだと!正気か!私はドラゴンなのだぞ!」

こんなにうろたえているティアを見たのは初めてで、逆に俺の思考はクリアになった。それにしてもなんでこんなに取り乱しているのだろう。

 

「俺は、女王は信用の置ける人物にするのがいいって言われたから当てはまったのがティアだったんだよ」

 

「むむむ、しかしな…私はドラゴンであって」

 

「ドラゴンとか、関係なく俺はティアがいいんだよ」

俺はまっすぐティアの目を見つめた。ティアは顔を朱くしながら駒を受け取ってくれた。

 

「しょうがないから、私が女王になってやろう。か、感謝しろよ」

 

「うん、ありがとうティア」

俺は心からのお礼を言うと、ティアは向こうをむいてしまって顔を合わせてくれなくなった。

 

「ははははははっは、まさか龍王を女王にするとは」

 

 

「ただただ驚きです。」

 

「うん、私も龍王が女王なんて初めて見た…」

すると、サーゼクスさんは笑い、グレイフィアさんと魔法少女もとい、セラフォルーさんは驚いていた。

 

「ははは、久々に笑ったよ。さて、ではこれが残りの駒だよ」

サーゼクスさんはそう言って、ケースごと俺に渡してくれた。

 

「あとは君の自由さ、君は自分の眷属を見つけてみてくれ。君の活躍を楽しみしているよ」

 

「ありがとうございます。ご期待に応えられるように頑張りますよ」

 

そう言って、俺はサーゼクスさんと握手をした。サーゼクスさんは俺の後ろのティアに視線を移すと、

「ティアも女王として頑張りたまえ。っく、やはりおもしろい」

 

「うるさい!サーゼクス!貴様次に笑ったら殺すぞ!」

顔を真っ赤にしたティアが切れていた。

 

「ふふ、あまり怒らすわけにもいかないからこの辺にしようか」

 

「そうですね、では俺たちこの辺で失礼します魔王様」

 

「ふん、私は先に帰るからな!」

そう言って、そそくさと一人魔法陣で帰ってしまったティア。

 

「彼女は恥ずかしがり屋さんだね、意外な一面を見たよ」

 

「ほんとだね、そういえば、言い忘れてたんだけどアキラ君謝れなくてごめんね、君を不審者として攻撃しちゃって、もう少し冷静に話を聞けたらよかったのに」

すると、セラフォルーさんが俺の方を向いて申し訳なさそうに誤ってきた。

 

「いやいや、俺のほうこそ黙って侵入してたんで攻撃されても仕方かったんで、こちらこそすみませんでした。」

 

「うん!じゃあ、これで仲直りね!」

そう言って、彼女は手を差し出した。俺はその手を握り握手を交わした。

 

「じゃあ、そろそろ行きますね、失礼します。」

 

俺がその場を離れ用としたその時、凄まじい音とともに天井が崩れ始めた。

 

「こ、これはまずい、天井が崩れるぞ!」

 

「サーゼクス様、セラフォルー様、アキラ様こちらへ」

 

素早くグレイフィアさんが誘導してくれようとしたが距離があるため無理がある。

 

(くそ、こうなったら天井を吹きとばす!)

 

「グレイフィアさん!俺が天井を吹き飛ばしますのでお二人を守っててください!『大炎戒・炎龍(だいえんかい えんりゅう)』!!」

 

俺の周りには炎戒よりもさらに広範囲の炎が広がった。それを中心で集め、一つの龍のような形にしていく。最終的にそれは大きな蛇のような一匹の炎の龍へと変わった。

 

「吹きとばせ!炎龍!」

 

俺の声とともに龍が落ちてくる瓦礫を飲み込み、そのまま天井ごと吹き飛ばした。

 

「あ、危なかったですけど、無事ですか!?」

俺は心配になり声をかけた。しかしその心配も必要ないみたいで魔王様たちは結界に覆われていた。サーゼクスさんたちがお礼の言葉をかけてくれた。

「ありがとう、アキラ君おかげで助かったよ。」

 

「ありがとうございました。アキラ様」

 

「いえ、無事で良かったです。」

無事を確認した俺は安心した。

 

「では、本当に帰りますね。ありがとうございました。」

 

「うん、では、またいつでもくるといい」

 

「お気を付けて」

 

サーゼクス様は、笑顔で、グレイフィアさんは綺麗な礼の姿勢で見送ってくれた。セラフォルー様だけがぼーっとしていたのが気になったが、俺は早く帰らないとティアに怒られると思いあまり気にせずにそのまま帰ることにした。

 

 

 

 

 

―――――

「セラフォルーどうしたんだい?」

サーゼクスはぼーっとしているセラフォルーの肩に手を置き話しかける。

 

「…アキラ君」

そうつぶやく彼女の耳にはサーゼクスの声など聞こえておらず、しかし彼女のその顔はなぜか朱くなっていた。

 

To be continued

 

 




ここまで読んでくださってありがとうございます。
まだまだイメージを文章にする力がアレなので伝わらない部分が多いと思いますが、頑張りますので応援お願いします。もし書き方の工夫点とかあれば教えていただけると幸いです。

次回はちょっと時間が飛ぶこともあるかも知れないです。

なるべく早く更新させたいです。
*******
感想や誤字などの報告待ってます。


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第8話.眷属ができました?

どうも、今回はちょっと展開が早いかなっと思いながら書きました(^_^;)でも展開を進めて行って原作に追いつきたいのです!

では本編をどうぞ!


魔王の城を後にした俺はティアたちの待っている使い魔の森へと帰ってきた。

 

「ただいま、ティア、黒歌」

俺が声をかけると奥から黒歌が抱きついてきた。突然のことに驚いた俺は戸惑ってしまった。

「い、一体どうしたんだよ黒歌」

よくみると、黒歌は少し泣いていた。

 

「うぅ、心配したの!それにティアから聞いたよ!私のために悪魔にまでなって」

そう言って、一層強く抱きしめてきた。

 

「あれは、ティアが交渉してくれたおかげであって、俺は別に何も…(離れてくれぇええ、二つの柔らかいのがあたって、俺の理性がぁあああ)」

 

黒歌は感謝を伝えようとしてるのだろうが、俺の理性も削っていることに気づいていない。

 

「知ってる!それもティアに聞いたよ。でも私の罪を消すためにアキラが悪魔になることになったことには変わらないよ!」

 

きっと黒歌は俺が悪魔になったことに対して責任を感じているんだろう。やっぱり優しい女の子だ。

 

「黒歌が責任を感じることないよ。俺はそれが正しいと思ったからその選択をとっただけ、黒歌が責任を感じることないよ。」

俺は黒歌の頭を優しく撫でた。

「でも、アキラ…」

 

「ああ、もうそんなに泣くなよ。黒歌は笑ってるときの方が可愛いよ。」

 

「うにゃ!な、何を言うにゃアキラ!可愛いなんて!」

黒歌は真っ赤に顔を赤らめて俺から離れる。

「そ、そんな照れるなよ。まぁ黒歌がそんな責任を感じることはないよってこと。わかった?」

 

「…わかったよ、でもこれだけは言わせて、“私を救ってくれてありがとう”。」

 

そう言って、黒歌は笑ってくれた。ちょっと泣き顔だったけれども俺にはその笑顔がすごく綺麗に見えた。お礼としては十分すぎるものだった。

 

 

――――

それからしばらくすると、黒歌は俺の顔をまっすぐに見つめてきた。

「ところで、話は変わるんだけど?」

 

黒歌は泣き止むと雰囲気が変わった。さっきまでの可愛らしい雰囲気から一転、黒い雰囲気が彼女の後ろに…

 

「な、なんでしょうか黒歌さん(・・)

思わずさん付けをしてしまった。今の黒歌にはそれだけの雰囲気がある、

 

「ティアに女王の駒を渡したんだ?」

 

「は、はい!な、なぜそれを知っているのでしょうか?」

 

「ティアが嬉しそうだったから理由を聞いてみたら、さりげなく自慢されたの!『アキラは私を一番信頼してくれてるんだ。フフッ』って、まるで勝ち誇るかのようなあの顔!くやしいにゃ!」

 

自慢されたって、俺の眷属になることがそんなに嬉しいことなのか?

「それでなんで黒歌が怒ってるんだ?」

 

「むーん、なんでわからないの!私もアキラの眷属にして欲しいの!」

 

そう言って、黒歌は俺に飛びついてきた。

 

「わ、こらやめろ黒歌!」

 

「私を眷属にするって言うまで離さないにゃあ~!」

そう言って、俺の胸の中で駄々をこねる黒歌、その姿はまるで猫のようだ。

(こいつは、まったく…勘違いしてるな)

俺は、黒歌に優しく話しかけた。

 

「ばか、元々こっちからお願いするつもりだったよ。」

 

「え?」

 

「まったく、少し落ち着け黒歌、そりゃ、ティアは俺が最初に世話になったから、一番信頼してると言っても過言じゃないけども、でもお前だって俺は信頼してるんだ、何年一緒にいると思ってんだよ。」

 

「じゃあ、私もアキラの眷属にしてくれるの?」

 

「ああ、正直俺が王で不満かもしれないけど俺のことを助けてくれるか?」

 

「もちろん!不満なんてあるわけない。アキラが王だからいいんだにゃ!」

 

「そっか安心したよ、それじゃあこれを受け取ってくれ。」

 

そう言って俺は、ケースから僧侶の駒を一つ取り出した。すると、駒は光だし、黒歌の胸の中に入っていった。

 

「すごい!前のバカ主の時は僧侶の駒2つで転生だったけど、アキラは1個で転生できた。やっぱりアキラは優秀だにゃ!」

 

「え?駒二つなんか使う時があるのか?」

 

「うん、駒って主のスペックによって変わるんだけど、駒にも価値があって、女王は兵士9個分、戦車は5個分、僧侶と騎士は駒3個分の価値があるの!つまり前の主は私を兵士6個分の力で転生させたけど、アキラは兵士3個分の力で転生させることができたってことにゃ」

 

なるほど、駒にそんな価値があったなんて、初めて聞いたな。転生させるのも俺の実力次第だってことなのか。

 

「でも、嬉しいにゃ!アキラの眷属になれてよかったにゃ!」

 

「なんで俺の眷属になれて嬉しいんだよ?」

 

「そんなの決まってるにゃ!アキラのことをす…」

 

「す?」

 

「す、すごく尊敬してるからに決まってるにゃ!」

 

(あ、あぶなかった、テンションが上がって思わずそのまま告白するところだったにゃ!)

黒歌は自分がギリギリのところで自分の思いを隠すことに成功した。

(いつもはからかってくるくせに実はそんなことを思ってたのかこいつ)

これだけ焦っている黒歌は珍しい。俺はいつもの反撃とばかりにニヤニヤしながら聞いてみた。

 

「へぇ、俺のことを尊敬してるのか、普段はそんな態度していなかったのにホントはそんなこと思ってたのか」

 

「そ、そうだよ!私だってじ、実は尊敬してたよ!」

(くぅ~アキラの余裕そうなニヤニヤ顔がムカつくにゃ!というか、なんで私がいじられる側になってるの!)

 

晃は普段弄られている分をここで挽回するようにニヤニヤ顔で話しかけ続けた。

 

 

――――

(さて、こいつをいじるのもここまでにしといてやるか)

さすがにいじりすぎたと思った俺は黒歌に対する言葉攻めをやめた。

 

「うぅ、アキラがひどいにゃ。」

黒歌は弄られすぎて若干涙目である。

 

「いつもこれ以上お前からされてるよ」

 

「嘘にゃ!そんなに私やってないよ!」

 

「自覚してないのって怖いな」

 

しばらくそんなやり取りをしていると、奥からティアがやってきた。

「こら、アキラ、そんなに黒歌をいじめてやるな」

 

「うぅ、ティア~!アキラが私をいじめるよぉ~」

黒歌はティアに抱きつきに行った。それをティアは優しく抱きしめ、頭を撫でてあげていた。その姿はまるで本当の姉妹のようだった。

 

(な、なんかこれじゃあ俺が悪モノみたいだな)

何とも言えない気持ちになったが、とりあえずティアに帰ってきた挨拶をする。

 

「ただいま、ティア」

 

「うむ、おかえりだアキラ、ご苦労でだったな」

 

「いいよ、まあ、最初は罰ゲームだったけど、結果行ってよかったと思うよ。」

 

「そう言ってもらえるとこちらとしても助かる。そうだ、ちょうどお前たちに話があってな」

 

「「話?」」

ティアが俺たち二人に話とは珍しい。俺と黒歌は二人して頭をかしげた。

 

「うむ、アキラは本来なら学校へ行く年頃じゃな?」

 

「ま、まぁ一応15歳だからな」

(そういえばこっちの世界に来てから学校へ行ってなかったけど、本来なら今年は受験生なんだな)

 

「そこで、サーゼクスの奴からアキラと黒歌を学校に通わせないかと連絡が来たのだ」

 

「「え?えぇえええええ」」

まさか学校へ通うかと聞かれると思っていなかった俺たちふたりは驚いてしまった。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれティア、学校ってあの学校だろ?通うにしろ俺たちどうやって通うんだよ!それに勉強だって追いついてないし、」

(俺この世界に来てまともに勉強なんかしてないし、前世の勉強の記憶なんてほとんど残ってないぞ)

隣でうんうんと頷いている黒歌。

 

「それには心配いらんアキラと黒歌、そして私を含めた三人で向こうで暮らすことにした。黒歌の問題も解決したし、ちょうど向こうに学校もあるようだしな、それに勉強で分からないことがあったらこの私が教えてやる。」

そういったティアは得意気だった。

 

「向こう?」

 

「うむ、“人間界”だ!」

 

「「え、えぇええええええええええええええええええええええええ」」

 

この日、俺と黒歌は二回目の大声を上げてしまった。まさかいきなり人間界に行くことになるとは、夢にも思わなかった。

 

To be continued

 

アキラ眷属 残り駒

・戦車×2

・僧侶×1

・騎士×2

・兵士×8

合計13個

 

 




ここまで読んでくださってありがとうございます。
とりあえず、人間界に行くってところまでかけて良かったです。次回はすこし短いのを入れてから、本格的に書いていこうと思っています。もしまた見てくれたら幸いです。

*****
感想、誤字、意見どしどし待ってますヽ(*´∀`)ノ

みなさんの反応が励みになるので頑張りたいです。


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第9話.束の間

はい、今回はとても短い話です。すぐかけたので投稿します。
すこしでもこの話を面白いと思ってくれると嬉しいです。
あと、この話は作者の妄想を書いているため、不安定ですが、お付き合いください。

では、本編です。


どうも皆さん火野晃です。ティアの『人間界に行くぞ』発言から3ヶ月が立ちました。

現在俺と、ティア、黒歌の三人は人間界の一軒家に住んでます。なんでもサーゼクスさんから家をもらったそうです。現在季節は1月の冬です。受験シーズンであるため、今現在俺と黒歌はティアから勉強を教えてもらっています。

 

「こら、アキラ!この問題は違うぞ、それは3a+bだ!」

 

「うぇええ、マジかよぉ」

 

勉強ですが、俺はとても苦戦してます。同じように黒歌とやってるはずなのに黒歌のやつは、

 

「にゃははは、これくらいなら楽勝にゃ~」

 

とか言って、余裕のようです。

 

(くそぉ、結構忘れてて中学校までのやつでも辛いな)

 

やはり、勉強は辛く、俺にとって最も厳しい壁です。

 

―――――

受験シーズンは終わり現在3月となり、もうあと1ヶ月で俺たち二人は高校生となります。

ティアの教えもあり、俺と黒歌は無事に駒王学園に入学することができました。この駒王学園はサーゼクスさんが理事長らしく、悪魔でも入れる学園のようです。黒歌は俺よりも一つ年上だけど、どうやら俺と同じ学年になるそうです。(これも悪魔の権力なのでしょうか?)

 

そういえば、この学園には俺の一つ上にサーゼクスさんの妹さんとセラフォルーさんの妹さんがいるようです。確か名前は、リアスさんと、ソーナさんらしいのですが、見たことないのでどんな人のなのかわかりません。ですが、もし喋る機会があれば仲良くしたいと思ってます。それに黒歌の妹さんがリアスさんの眷属らしいのですが、そのことを知った黒歌は、

 

「にゃははは、あの子を傷つけた私はどんな顔をしてあったらいいのかな」

どうやら複雑な気持ちのようです。とりあえず、リアスさんと接触することが俺たちの一番の課題かな?黒歌問題はそれから考えたいと思います。時間はあるからゆっくり考えるといいとティアも言ってたしね。

 

そういえば、使い魔の森ですが、主のティアは人間界にいるので代わりを立てることになったのですが、あの俺と最初に出会った炎龍が代理のリーダーとなることになりました。ティア曰く、「まぁ私もなるべく顔を出すようにするから大丈夫だろう」とのことでした。なんだかんだ言ってあの森は俺がお世話になった森だから愛着もわくし、当然何かあれば駆けつけたいと思ってます。

 

 

と、長々と、語りましたが俺たちは無事高校生。人間界で過ごすのにもだいぶ慣れてきました。これから俺たちは新しい一歩を踏み出すことになるのですが、これから起こることが楽しみで仕方ありません。こうしてこれからすこしずつ日記もつけたいと思ってます。では、またどこかで

 

―――――パタン

 

「こらーアキラ、もうすぐ学校へ行く時間だよ!」

 

「分かってるよ黒歌」

 

「今日はカメラを持って顔を出すからな」

 

「え、えらくやる気ですねティアさん」

 

「ふふふ、アキラの貴重な写真だからな、気合も入る」

そう言って、ティアは一眼レフのカメラを片手に笑う。

 

「ティア!私は!」

 

「あ、ああ、もちろん黒歌もだぞ」

 

「うぅ、なんかおまけみたいな感じで複雑にゃ」

 

時刻は8時30分、受付が8時50分からだからちょうどいい時間だ。

 

「もうアキラ!今日は入学式なんだから急がないと!」

 

「お、おい引っ張るなよ」

 

「ほらおいてくよ!」

 

「まったく、待てよ黒歌」

 

「ふふ、いってこい二人とも」

 

「「行ってきます!」」

 

To be continued

 

 

 




ここまで読んでくださってありがとうございました。
次回はリアス先輩との会合を書こうと思っています。
次も読んでくれると嬉しいです。

******
感想、誤字、意見などありましたら、遠慮なく言ってください。
すこしでも読みやすい作品にしていけたらいいなと思っております。

意見を下さる方ありがとうございます。今後とも宜しくお願いします。


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第10話. 入学しました?

はい、待ってた人すみませんでした。(いるのかな?)
気分屋なのでしばらく読み專してました。
また21巻読んでから気分が上がってきたので投稿としたいと思います。




現在、俺たちは駒王学園の入学式の最中。

俺も黒歌も今年からこの学園に通うこととなったのだが、この学校はどうやら最近共学化したらしく全校生徒の7割が女子で、残りの3割が男子ということになっている。

 

(俺の学年もやっぱり女子の方が多いよな)

 

俺は辺りを見回すと、やはり女子の顔ばかりであった。男子もいるようだが、ちらほらとまばらだ。クラスは掲示板に張り出されており、俺と黒歌はどうやら一緒のクラスのようで、それがわかった時の黒歌の喜びようはすごく、入学早々恥ずかしい目にあった。

 

『えー、以上で駒王学園の入学式を終わります。』

 

長々とした、校長の話も終わり、それぞれ解散となり、俺たちは自分たちのクラスへと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、アキラ」

自分の席についてそうそう、黒歌が俺のところにきた。

 

「なんだよ黒歌」

 

「いやぁ~何もないけど楽しい学園生活になりそうだね♪」

 

こいつの朝からのテンションの高さは異常だ。

(だけど仕方ないか、今までこんな生活とは正反対の生活してたんだもんな、こんな風に学園に入って、平和に暮らせることなんてこと思わなかったのかもしれない)

 

黒歌は平和とはかけ離れた生活(逃亡生活)を送っていたため、こういう普通の女の子としての生活に憧れていたのかもしれない。

 

ちなみに黒歌は俺の親戚ってことにしてあり、ティアも含めて二人共「龍宮(たつみや)」を名乗っている。ティアも「龍宮青子(たつみやあおこ)」とこっち(人間界)では名乗っている。正直戸籍ことか、色々どうしたんだってツッコミがあるが、魔王様曰く、造作もないそうだ。

 

「ところで黒歌」

俺はニヤニヤしている黒歌に話しかける。

 

「ん?何アキラ?」

 

「入学式終わったらどうする?リアス先輩って人を探すのか?」

 

「うぅ、うーん、どうしようかにゃ、あはは」

黒歌はニヤニヤ顔から苦笑いになった。

 

「なんだ、まだ妹さんに顔を合わせづらいのか?」

 

「当たり前だよ!私のせいで白音を苦しめることになったんだから!」

 

「でも、それは妹の為じゃないか、俺は話せばわかると思うぞ」

 

「っく、そ、それはそうだけどさぁ~、今更どんな顔して合えばいいのかわからないよぉ」

そう言って、指と指をくっつけながらいじける黒歌、妹の事となると、とたんに弱気になってしまうんだよなコイツは、まぁ確かに仕方ないとも思う。妹を救うため、悪魔の家に預けたとはいえ一人で残してきてしまったんだから。

 

「でも、これから学校で生活するんだし、いつかは合わなきゃいけないんだ。早いうちの方が良くないか?」

 

「で、でも~」

 

なかなかに強情な黒歌であるが、どのみちこの学園に通うのならいつかは気づかれてしまうはずだ。その時に問題になるより、早めにこういうことは解決したほうがいいと俺は考えている。

 

「どうする黒歌?」

 

「ぬぬぬ、帰りまでまって!お願い!」

 

黒歌が必死で頼み込んでくる。

 

「わかったよ黒歌。ほら、そろそろ担任の先生が来る頃だし、席に着けよ」

 

「うん、ありがとアキラ。帰りには答えを出すから。」

 

「ああ、待ってるよ。」

 

そう言って、自分の席に帰っていく黒歌。しばらくすると教室に担任先生がやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――― 

「それで、黒歌これからどうする?」

 

担任の話も終わり、いよいよ解散になったため、現在俺は黒歌にさっきの質問の答えを聞いてみる。

 

「うん、私、会って話してみることに決めた。いつまでも逃げてちゃダメだよね」

 

そういった黒歌は覚悟を決めた目をしていた。

 

「おう、それがいいな。じゃあ、リアス先輩って人を探すか」

 

「うん」

そう言って俺と黒歌はリアス先輩を探すことにした。

 

「なんだ、結局合うことにしたのか?」

 

「「うわぁあ!」」

 

突然後ろからティアに声をかけられ、俺たちふたりは驚いてしまった。

 

「そ、そんなに驚かれるとさすがの私も傷つくぞ」

そう言って、少し落ち込んでしまうティア。

 

「ああ、ごめんごめん、ちょっと驚いただけだから気を落とさないでくれ」

 

「ほんとか?」

 

「ほんとほんと、ところでティアはこれからどうする?俺たちはサーゼクスさんの妹だって言う、リアス先輩に挨拶に行くんだけど、一緒に行かないか?」

 

一応この街に住んでいる以上何かあるといけないし、ティアも顔を出したほうがいいと思った俺は、ティアにも聞いてみることにした。

 

「ふむ、サーゼクスの妹か、たしかこの町の管轄を任されていると聞いているが、そうだな、少し顔を出すか。私もついていこう。」

どうやらティアも俺と同じ考えだったようで、俺たち三人はリアス先輩を探すことを決めた。

 

「と、言っても簡単に見つけれるよな」

 

「そうだね、私がやろうか?」

 

「いや俺がやるよ、黒歌が感知した方が早いと思うけどこれも修行だと思ってやってみるさ」

そう言って俺は、見聞色の覇気と黒歌に教わっている仙術を合成した感知を行う。

 

「うーん、悪魔の気配は結構あるけど……….あ、これかな?」

俺はサーゼクスさんと似たような魔力の気配を感じ取った。おそらくこれがリアス先輩なのだろう。

「隣にいるのは誰だろう?悪魔と….堕天使かな?そんな気配が混じった人がいるなぁ、でもおそらくこれがリアス先輩だと思うし行ってみよう。場所は結構離れてるね、旧校舎じゃないかな?」

いま俺たちがいる校舎は新しく建てられた校舎であり、その前に使われていた木造の校舎、旧校舎と呼ばれている校舎にリアス先輩がいると思われる。

 

「ならば、そこに行こうか」

そういって歩き出すティアを追って俺たちも旧校舎を目指して移動を開始した。

 

―――――

「あれが、旧校舎か」

新校舎の横にある林を抜けると旧校舎が見えてきた。

 

「ここ、結界が張ってあるね、あんまり大した結界じゃないみたいだけど、おそらく侵入者を感知するためのものと人払いの結界が張ってあるから人が中に入ってこないみたいね」

黒歌は冷静に分析したが、つまりはこの旧校舎は悪魔のたまり場ということなのだろうか?いいのかそんなに権力使ってしまってさぁ….まぁサーゼクスさんの妹さんだしなんでもありか?

 

「とりあえず旧校舎に入ってみようか」

俺たち三人は気配を感知されない魔法をかけ、旧校舎へと足を踏み入れた。

 

 

外観とは別に中は思ったよりもきれいだった。

「ここの二階の奥の部屋から気配がするな」

二階へと移動し気配のある扉の前に着いた。

「オカルト研究部?」

扉にはオカルト研究部と書いてあった。つか、悪魔がオカルトって既に自分たちがその存在じゃないですか…..

 

「とりあえずノックして入ってみればいいのではないか?」

そう言って扉をノックするティア

 

「誰?優斗?小猫?入っていいわよ?」

中からこんな声が聞こえてきたがとりあえず入っていいのだろう。俺たちは扉を開けた。

「「「失礼します(にゃ)(ぞ)」」」

3人揃って中へ入っていくとそこには紅くとても綺麗な長い髪をしたとんでもない美人さんと黒髪をポニーテールにした大和撫子風なとんでもない美人さんがいた。

 

「あなたたち何者!?」

「あらあら、不審者ですか?」

そう言って二人とも戦闘態勢に入る。

 

「待ってください!俺たちは別にここを襲おうと思ってきたわけじゃありません。ただ、サーゼクスさんの妹さんだと聞いてご挨拶に来ただけです」

とりあえず何とか落ち着いてもらおうと、こちらに敵意がないことをアピールする。

 

「お兄様のことを知っているの?」

サーゼクスさんの名前を聞いてか、紅髪の女の人は少し警戒を解いてくれた。

 

 

「ええ、俺たちはサーゼクスさんのツテでこの学園に来たんです。そこで妹さんがいると聞いてあいさつでもしようと思いここへ来ました」

彼女は観察するようにまっすぐ俺を見ている。するとやがて彼女は警戒を解いてくれた。

「そう、確かに敵意は無さそうね、ごめんなさい。感知の結界にも引っかからなかったあなた達が来たことで敵と判断してしまったわ」

 

「よろしいのですか?部長」

もう一人の黒髪の女の人は今も警戒している。

 

「いいのよ朱乃、おそらく嘘は言っていないわ、目を見ればわかるもの」

そう言って渋々警戒を解いてくれる。

 

「いえ、こちらこそ気配を消して入ってきてしまってすみません」

 

「いいわよ、それよりも座って話をしましょうか、詳しく話を聞かせて頂戴。朱乃お客様にお茶を用意して」

 

「かしこまりましたわ部長」

そう言って、朱乃と呼ばれた美人さんは奥へと消えて行った。

 

「さてあなた達も座って頂戴、すぐ朱乃がお茶を淹れてくるわ、それまで一緒に待ってましょう。詳しい話はそのあとね」

 

そう言って紅髪の女の人は目の前のソファに腰を下ろした。俺たちも言われた通りソファへと座った。

 

To be continued

 

 

 




ここまで読んでくださってありがとうございます。
次はお互いの自己紹介です。
一応次の話はかけているのでまたすぐにあげることができると思います。
次もよろしくお願いします。

さて、21巻はいろいろと衝撃的でした。なんか巻を増すごとにインフレパワーアップしていってて、もう一誠くんヴァ―リーに勝てないんじゃないかと思い始めました笑。早く次巻が出ることを楽しみにしています。



******
感想、誤字、意見などありましたら、遠慮なく言ってください。
すこしでも読みやすい作品にしていけたらいいなと思っております。

意見を下さる方ありがとうございます。今後とも宜しくお願いします。


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第11話. 自己紹介しました?

どうも剣舞姫です。
いや、ホントに感想もらうのって嬉しいですね。
こんな駄文を読んでくださる方々、本当にありがとうございます。


とりあえずコメントはあとがきで、
本編のほうをどうぞ


しばらくすると朱乃さん(と呼ばれていた)が戻ってきた。その手には人数分の紅茶と茶菓子が入った籠が乗ったお盆が握られていた。

 

「こちら紅茶です」

そう言って目の前にカップを置いてくださった。

「ありがとうございます」

俺は目の前の美味しそうな紅茶のカップに口を付け、一口飲んでみた。

「…..美味しい」

すごい、今まで飲んだ紅茶が何だったのかという位に美味しい。美味すぎて最初に言葉が出なかった。

「あらあら、ありがとうございます」

そう言ってこちらを見てニコニコしてくださる先輩を見て、俺は顔が朱くなってしまった。美人から笑顔を向けられるなんて反則だ!

「「デレデレするな(にゃ)」」

そう言って両横の二人が俺の手をつねってくる。お二人とも地味に痛いんだが….

 

 

 

全員に紅茶がいきわたり、朱乃さんが座ったことで話がはじまった。

「さて、まずはお互いに自己紹介をしましょうか。私はこの駒王学園2年生でこのオカルト研究部部長、リアス・グレモリーよ。知ってのとおり上級悪魔で、グレモリー家次期当主でもあるわ、爵位は侯爵よ、よろしくね」

そう言って目の前の紅髪の美人さんもとい、リアス先輩が自己紹介してくれる。

 

「うふふ、駒王学園2年生でオカルト研究部副部長をしております、姫島朱乃ですわ、転生悪魔であり今は部長の『女王(クイーン)』をしておりますわ。よろしくお願いしますね」

リアス先輩の横に座った朱乃先輩が自己紹介してくれた。それにしても俺に目線を向けるのはやめてください。恥ずかしいです….

二人の自己紹介が終わりこちらの番となった。

 

「では俺からで、今日から駒王学園1年生となりました。火野 晃(ひの あきら)です。転生悪魔で、一応この二人の『(キング)』をやらせてもらってます。よろしくお願いします」

 

「あら、あなた『(キング)』なのね?すごいじゃない!ならアキラと呼ばせてもらうわね」

 

「あらあらでは、私はアキラ君と呼ばせていただきますわ」

 

「ふむ、では次は私か、人間界では龍宮青子(たつみやあおこ)と名乗らせてもらっている、転生悪魔をしているが、本名はティアマット、種族はドラゴンだ。今はアキラの『女王(クイーン)』をやらせてもらっている」

ティアが自己紹介し終わると目の前の二人を見ると固まっていた。

 

「む?どうした?」

 

「テ、ティアマットってあの『天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』のティアマットなのかしら?」

若干声が震えながら訪ねてくるリアス先輩。

「うむ、そうだがどうしたリアス・グレモリーよ」

 

「どうしたじゃないわよ!?なんで龍王がここにいるのよ!しかも転生悪魔ですって!?どういうことなのアキラ!ちゃんと説明して頂戴!」

そうしてリアス先輩はあわてた口調で俺の肩を揺さぶりながら訪ねてくる。

 

「お、落ち着いてくださいリアス先輩、説明しますから」

 

「そ、そうね、ごめんなさいいきなり、予想外すぎる名前を聞いて動揺してしまったわ」

 

そして俺は自分がティアにあった時のことと世話になったこと、そして女王にしたときの話をリアス先輩に話した。

 

「まさか龍王を眷属にしてるなんて、驚きよアキラ….」

「凄すぎですわアキラ君…」

二人して驚きすぎたのか元気がない。

 

「なんだかすみません」

俺は二人に申し訳なくて苦笑いすることしかできなかった。

「ええ、いいわ、さてじゃあもう一人を教えてくれるかしら?」

そうして二人の目線が黒歌へと移動した。

 

「私は….黒歌、元はぐれ悪魔で、今はアキラの『僧侶(ビショップ)』をしているの」

黒歌は小さな声で自己紹介をした。

黒歌の名前を聞いたリアス先輩は目線を鋭くして黒歌を見た。

 

「黒歌…確かSランクのはぐれ悪魔でつい最近、それが解除されたらしいわね。そして….私の眷属の小猫、白音の実の姉…」

“白音”その名前が出た瞬間、黒歌の肩が震えた。

場が暗い雰囲気となっている。すると、リアスさんが立ち上がった。

 

「黒歌、あなた今まで何をしていたの?小猫があなたをどれだけ…..あなた、あの子の気持ちを考えたの!?」

リアス先輩は黒歌を責めたてる。

 

「わかってるわ、白音にたくさんつらい思いをさせた。でも、仕方なかった!!あの子のことを考えたらああするしかなかったの!!他に方法がなかったのよ…..」

そうして黒歌は泣きながらうつむいてしまった。

 

「….っく、それでもあなたは!「そこまでにしていただけないでしょうかリアス先輩」アキラ?」

俺はリアス先輩の言葉を遮った。

「黒歌は悪いと思っています。そして俺たちは黒歌の選択は間違ってないと思っています。どうか、黒歌の話を聞いていただけないでしょうか。黒歌がどうしてそんなことをするしかなかったのかを」

俺は真剣な目でリアス先輩を見続けた。

「わかったわ。私も感情的になってしまったわ、話してくれるかしら?」

そうしてリアス先輩は座ってくれた。

 

「…….わかったわ」

そして黒歌はポツポツと洞窟で俺たちに話してくれたようなことの顛末を話してくれた。

すべてを聞き終わるとリアス先輩たちのほうを見る。

 

 

「そう、そんな理由が…ごめんなさい。理由も知らずに感情的にあなたを責めてしまったわ、あなたにも理由があったのね」

 

「いいの、私は白音に対してそれだけのことをしてしまった。私が一人で逃げているときあの子は、きっと周りからつらい目にあったに違いないわ。そんなあの子の気持ちを考えたら….」

 

「そうね、あなたの言うとおり、小猫はあなたが逃げている間ずっと責められ続けたわ、大好きな姉が自分を見捨てた絶望、そして周りの目、掛けられた言葉、どれも冷たいものだったわ」

 

「うぅ、ごめんね白音….」

 

「でも、あなたは小猫を見捨てていなかった。そして、今アキラの眷属としてここにいる。黒歌、あなたはこれからどうするの?ここで生活する以上、小猫とは絶対に顔を合わせることになる。あなたは今のままでいいの?」

リアス先輩はまっすぐ黒歌を見る。

黒歌はうつむいた顔を上げて、リアス先輩のほうをみた。

 

「私は、今のままの関係なんか絶対に嫌!白音と元通りの姉妹に戻りたい!またあの頃のような関係に戻りたいの!!」

黒歌の心からの叫びが部室の中に響き渡った。

 

「そう、ならきちんと事情を小猫に説明してあげなさい。そして二人で話し合うの、最初は拒絶されるかも知らない。でも、それでもあなたは小猫と元の姉妹に戻りなさい。それが小猫の主である私の願いよ」

そう言って、リアス先輩は優しく微笑んだ。

 

「うん!私、白音と話し合う。最初は拒絶されてもいい、でも必ず元の姉妹に戻って見せるから!!」

黒歌は涙を流しながら精一杯笑って宣言した。

(よかったな黒歌)

そんな黒歌の様子を見ていたら、俺も自然と微笑んでしまった。

 

 

 

 

 

 

そして、俺たちはしばらく会話した後、帰ることとなった。

「アキラ、今日はありがとう、それと、これからよろしくね」

そう言ってリアス先輩は手を差し出してきた。

俺もその手を握って「こちらこそ」と返した。

「うふふ、いつでもここへきてくださいね、アキラ君♪」

朱乃さんにはそう言って左腕に抱き着かれてしまった。その時に巨大な二つのものに挟まれてしまって…..

「「デレデレしすぎだ(にゃ)!!」」

またもや二人に足を踏まれてしまった。本当に痛かったです。

 

 

―――――

そして、旧校舎を後にして俺たち三人は帰路についた。

「ねぇアキラ」

 

「なんだ黒歌?」

不意に黒歌が話しかけてきた。

「今日はありがとね、私、いつまでも決心がつかなかったけど、今日やっと白音と元の姉妹に戻ろうって決心がついたよ、だからありがとう」

 

「なんだよ、そんなの当たり前だろ、黒歌は俺の大切な家族だからな」

そう言って俺は微笑んだ。

「ずるいにゃ、そんな顔….でも私頑張る!」

 

「おう、黒歌ならできるさ」

 

「リアス・グレモリーが言ったように最初は拒絶されるだろうが、挫けるなよ」

ティアが優しく黒歌の頭を撫でる。

「わかってる!これは私の責任だもん。私が絶対にやり遂げてみせる」

 

これからきっと大変だろうけど、俺は主として絶対に黒歌を支えてみせると心に誓った。

 

To be continued

 




ここまで、読んでくださった方本当にありがとうございます。
今回は、リアス先輩たちとの挨拶なのですが、やはり黒歌の問題が大きかったですね、そして考えてる時も「こんなんでいいのかな?」と思いながら書いていました。
リアス先輩の優しさを少しでも理解していただけると嬉しいし、黒歌の決意が実ることを祈っています。

さてさて、本当気分屋の自分の作品を閲覧してくださる皆様には感謝が絶えません。今やる気に満ちているのでまだかけると思いますが、いつ失速するかわかりません。あたたかく見守ってくださると幸いです。

次回は、実はあるキャラを出したいと思っているんですけど、それは実は別のアニメのキャラでして、この作品を書いた当初から出したいなぁと思ってたキャラなんです。誰か予想しながら楽しみにしていただけると幸いです。

感想をくれた、06ゆーやんさん、響歌さんありがとうございます。元気でました!!

*******
その他、意見、感想、誤字報告、評価、何でもいいので気づいた方教えていただければ幸いです。
少しでもこの作品がいいものになるように祈っています。
次回もよろしくお願いします。


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第12話. 春は出会いの季節でした?

お待たせしました剣舞姫です。
いやぁ連日投稿は疲れますwでも、このままの勢いを大事に書いていきたいなぁと思っています。今回はついにあの子が最後に登場しますので楽しんでいただけると幸いです。
またコメントはあとがきにしておいて、

本編のほうをどうぞ


「こらぁ!待て黒歌!」

 

「にゃははは、待つわけないにゃ!」

俺は今、家の中で黒歌を追い掛け回している。理由?そんなの簡単だ…

 

「俺のとっておきのプリンだったんだぞあれは!6時間かけて並んでやっとの思いで買って楽しみにとっておいたのに、それを食べやがって、絶対に許さん!!」

そう、俺がやっとの思いで買った行列のできる美味しいプリン屋さんのとっておきのプレミアムプリン(一個1000円)の高級プリンを黒歌(こいつ)は食べやがったんだ!

「アキラ!!」

 

「何だ!!」

 

「美味しかったにゃん♪」

 

「可愛く言っても許されると思うなよぉおおおおおおお」

そんな顔したって俺のプリンは帰ってこないんだ!食べ物の恨みは恐ろしいことをその身に刻んでやる!!

俺と黒歌は家の中を駆け回った。この時俺は知らなかったんだ。まさかあんなことになるとは….

 

 

 

 

 

「ふふふ、やっと追いつめたぞ黒歌!」

 

「ぐぬぬ、まだ諦めないもん!」

 

「観念してお仕置きされろ、この駄猫が!」

俺は黒歌へと飛びかかった。

「こうなったら最終手段にゃ!猫化!」

そういった黒歌は人の姿から黒猫へと変化した。当然黒歌(人型)にとびかかっていた俺は、勢いを殺すこともできずに、そのままの勢いのままテーブルにぶつかってしまった。

 

 

ガタン!ガタガタ、パリィン―――

「痛たた、あのやろう、猫化は反則だろ」

俺はぶつかったおでこをさすりながら、周りを見渡してみる。

「そういえば、パリィンって音が鳴ったけどあれって」

音が鳴った方を見てみると青色のカップの破片が当たりに散らばっていた。

「や、やべぇこれってティアが大切に使ってたマグカップだろ?こんなの壊したのがばれたら….」

 

「壊したのがばれたらなんだって?アキラよ?」

その瞬間背筋が凍るような視線を後ろから感じた。俺は恐る恐る振り返ってみると、そこには笑顔でこちらを見下ろしているティア()がいた。

 

「お、おかえりティア早かったんだね」

 

「ああ、思ったよりも早く用事が片付いたからな……..それで?何を壊したのがばれたらまずいんだ?アキラよ…」

終始ニコニコ顔のティアさんだが、まったくと言っていいほど目が笑っていません!!

 

「あ、あのこれはですね、黒歌のやつが….」

ティアは俺の手に握られている青い破片(ティアの大切なマグカップの残骸)を横目でみたあと、俺の方へと向き直る。

 

「ほう、黒歌を追いかけていたら、私の大切(・・)にしていたカップを割ってしまったと……」

 

「は、はい!その通りでございます!」

 

「ふふふ、そうかそうか…………アキラ?少し頭冷やそうか?」

 

怖ぇえ!これはまずい!物理的に冷やされるやつだ!と言うか、永遠に眠らされそうな雰囲気さらし出してるよ!

俺はゆっくりとティアから離れるように後ずさる。

「こらこら、どこへ行くんだ?話(物理的に)ができないじゃないか」

既に魔力を纏った状態のティア様がゆっくりと近づいてくる。

「テ、ティア落ち着いてくれ!」

 

「ふふ、私は落ち着いているよアキラ……しっかりと反省しろこのバカたれが!!!!!!」

 

「あああああああああああああああああ」

この時、俺の絶叫が近所へと響いた。近所の皆様申し訳ない…..

 

 

 

 

 

「まったく、少しは反省したかこのバカアキラが」

ティアは椅子に腰かけて俺を見ている。もちろん俺は正座して反省中だ。しかし体のあちこちが痛いです。ティアさん….武装色の覇気の拳+魔力を纏ったのはヤバい。

 

「はい、反省しました。これからは周りをきちんと見て行動します、今回の件は本当に申し訳ありません」

俺は誠心誠意ティアさんに謝る。もちろん土下座である。

 

「ふん、まぁ、今回は黒歌が原因だから許すが、本来ならば氷漬けにするところだぞ、まったく……まあいい反省の意味を込めてちょっと私の買い物を頼まれてくれれば許そう」

 

「はい、何なりとお申し付けください。」

 

「よしよし、ならば頭を上げろ、今買ってきて欲しいものを見せる」

 

(いったいどんな危険なものを買いに行かされるんだろう)

俺は不安そうな顔で土下座から顔を上げると、その顔を見たティアが笑い出した。

 

「なに、別に変なものではない、これを買ってきてほしいんだ」

そう言ってティアは手元のiPadを操作し、あるものを見せてくる。

(と言うか、ドラゴンが人間の文化に解けこんでいるのを見ると何とも言えない気持ちになるな….)

俺はそんなことを思いながら差し出されたものをみる。

 

「なになに?…..こ、これはダメ人間製造機と呼ばれる“ビーズクッション”!!」

(ちまた)で話題の柔らかすぎて、誰でもダラけたくなると話題のクッションだった。

「そうだ!このクッションを一度でいいから使ってみたいんだ!なんでも死ぬほど楽なクッションというではないか!私もその気持ちを感じたい!」

そう言って目をキラキラさせているティア。これではダメ人間ならぬダメドラゴンが完成してしまう。

 

「でも、こんなのネットで頼めばいいじゃないか。わざわざ買ってくるほどのものでもないと思うんだけど」

俺は最もな意見をぶつけてみる。

 

「わかっていないなアキラよ、私は今すぐ使いたいんだ…それともなんだ?人の大切なものを壊しておいて、アキラはお願いも聞いてくれないのか….」

そう言って悲しそうに目を伏せるティア。

「わかりました。俺が買って「そうか、そうかありがとうなアキラよ」…来るよ」

すぐさま悲しそうな顔から笑顔が咲いたような顔になったティア。なんだこの女の人の変わり様は、黒歌の時もそうだが女というのはみんな女優なのか?演技が上手すぎるよ…

「ところで、買い物はそれだけ?ならティアもついてくる?」

 

「いや、私はこれからもう一匹を探さなければいけないからな……ふふふふ」

そうしてティアは黒い笑みを浮かべていた。背後にはまたもや修羅が見えた……ご愁傷様だ黒歌、骨は拾ってやるよ。俺はこれから起こるであろうことを予想して、静かに黙祷した。

 

 

「なら、行ってくるよ、どうせ駅前のデパートにでも売ってると思うからさ」

 

「うむ、頼んだぞ」

ティアが手を振って見送ってくれた。俺はそのまま駅前のデパートへと足を向けた。

 

 

 

 

 

―――――

俺の予想した通り、駅前のデパートの○印のお店で目的のものは売っていた。しかし、なかなかのお値段をしたけど、確かに触ってみたところ気持ちがいい。

(ティアが使ったら俺も少し借りようかな…)

そんなことを思いながら、俺は歩いていた。

 

 

帰り道、住宅街の中を歩いていると、自分の足に何かが当たるのを感じた。足元を見るとそこにはサッカーボールが転がっていた。

 

「あ、お兄さーん!ボール取ってくださーい!」

声が聞こえたほうを見てみると、小学生くらいの男女が公園で手を振っている。おそらくこの足元のボールで遊んでいたようだが、ボールが外に出てしまったのだろう。

「おう、気をつけろよ~」

俺はボールを小学生たちに投げ返してあげた。

「ありがとう~お兄さーん」

子供たちも手を振りかえしてくれた。

(元気だなぁ、俺もあんな時代があったんだよな)

バカみたいに無邪気に遊んでいる子供たちを見ていると懐かしい気持ちがこみ上げてきた。

(少しベンチに座って休むか)

どうせ今帰っても、おそらくティアが黒歌のお説教中だろうと思い、少し公園で休んでいくことにした。

 

 

 

 

 

ベンチに座っていると、近くの桜の木が目に入った。桜は満開でとても綺麗に咲いている。

「桜も咲いてて、綺麗だし、なんかこういう平和な時間もいいな」

俺が一人黄昏ていると、またもや足もとに何かが触った。またあの子たちがボールを飛ばしたのかと思い、下を見てみるとそこにはボールではなく可愛らしい茶色の毛並みをした一匹の犬がいた。

「うぉおお、可愛いなお前、一人か?」

 

俺は基本動物が好きだから目の前に現れた、この可愛らしい犬を抱き上げた。

「うーん、首輪をしてるからおそらく主人と離れたようだけど、まいったな」

 

首輪の存在からおそらく迷子になってしまったようだが、近くにそれらしい人がいない。

「お前のご主人様はどこにいるんだ~?」

 

俺は犬をなでながら優しく聞く。当然答えなど返ってくるわけもなく…と思っていると急に犬が俺の手の中から暴れ出したかと思ったら、「ワン」と吠えて、走って行ってしまった。

すると、しばらくしてから立ち止まったかと思えば、こちらを振り返って止まっている。

「ついて来いってことなのか?」

俺は、ベンチから立ち上がると、その犬を追いかけ始めた。

 

 

 

 

――――――

その犬を追いかけた先に一軒の花屋さんに行きついた。

「ここがお前の主人の家なのか?」

 

「ワン!」

俺が質問すると、“そうだ!”と返事でもするように吠えた。

「ふーん、『Flower Shop SHIBUYA』ねぇ、オシャレな店だな、女の人が喜びそうだ」

実際、飾ってある花はどれも美しく、また人を引き付けるようだった。

「そうだ、これをティアに買って帰ったらすこしは機嫌を直してくれるかな?」

俺はティアに花を買って帰ろうと思い、選ぼうとしていると….

 

「ハナコ!!」

 

「ワン!ワン!」

ハナコと呼ばれた犬は元気よく走っていった。名前を呼んだ方を見てみると、今まで探していたのだろう。汗をかいてしまっている女の子がいた。しかしモデルでもやっているのだろうか?すらりと流れるような綺麗な黒髪、シンプルだけどその雰囲気に合っている紫のTシャツとズボン。なんというか、アイドルの原石ってこういう子のことを言うんだろうなと思わせるような女の子がいた。

 

「ハナコ!もう!心配したんだから!」

そう言って女の子は犬を大事そうに抱きかかえた。

俺はその飼い主さんに近づいた。

「君がその子の飼い主さんかい?その子公園まで来てたんだ。無事に会えてよかったよ」

俺が声をかけると、その子は顔を上げてハナコを抱きかかえたまま立ち上がった。

 

「あんた,,,じゃなくて、あなたが、ハナコをここまで連れてきてくれたんですか?ありがとうございます。この子、目を離すとすぐいなくなっちゃうから,,,」

 

「あはは、それは心配だね、お前、あんまり飼い主さんを困らせるなよぉ」

そう言い俺は、ハナコの頭を撫でてやる。

「すごい、ハナコが嫌がらないなんて…この子、普段は私たち家族以外あんまり懐かないんだけど」

 

「うん?そうなのか?なんか俺には結構懐いてくれてるから嬉しいな」

俺が撫でても嫌がらないというか、むしろ喜んで撫でられている。

 

「あっ、すみません名前も言わずに、私は渋谷 凛(しぶや りん)。あなたは?」

 

「ああ、ごめん俺は火野 晃(ひの あきら)、駒王学園に通っている、高校1年生です。よろしく渋谷さん」

 

「あっ、同い年なんだ」

 

「渋谷さんも高校一年生なの?」

 

「凛でいいよ、同じ年だし、私もアキラって呼ばせてもらうけどいいよね?」

 

「あはは、なら俺も凛って呼ばせてもらおうかな、というか凛は敬語苦手だよね?さっきからところどころ変だったし」

 

「うっ、どうしても慣れないんだ敬語は、その….堅苦しい言葉づかいが苦手でさ」

 

「気持ちはわかるな、自然体のほうが楽だもんね」

 

「そうだね…と、そういえばハナコをここまで連れてきてくれてありがとうアキラ、あたしも探してたんだけど見つからなくて心配してたんだ」

 

「いや、まあ俺は特に何もしてないよ?ハナコのほうが俺をここまで連れてきてくれたんだけどね、そういえば“渋谷”って名字ってことは凛の家って花屋さんなの?」

 

「うん、そこにあるのが私の家なんだ」

 

「なら、ちょっと花が欲しいんだけどいいかな?」

 

「あっ、それならハナコを連れてきてくれたお礼に無料(タダ)で花を渡すよ」

 

「いやいや、さすがにそれは申し訳ないし、ちゃんとお金は払うさ」

 

「ううん、これもお礼だと思って受け取ってよ」

 

「いや、流石に人に贈る花だからさ、お金は自分で出すよ」

 

「ふーん、ならお金は貰うけど、サービスさせてもらうからね」

 

「あはは、なら期待しとくよ」

 

「とりあえず家に行こうか、アキラもついてきて」

 

「じゃあお邪魔するよ」

そうして二人はお店へと向かった。

 

To be continued




ここまで読んでくださった皆様ありがとうございます。
ついに今回、この小説を考えてた時から出したかったキャラ、『渋谷凛』を出すことができました。いやーよかったですよ。このキャラを出すためにこの作品を半分書いてました。凛は、モバマスやってる時から好きでして、この子が現実にいたらなぁといつも思っていました。(羨ましいぞ、晃よ)自分好みの凛が少しでもかけるようにこれから努力したいと思います。

さてさて、次回も凛ちゃんの話ですね、たぶん次回は短く書いて、その次はまた本編と言いますか、黒歌の話かな?それが片付いたら原作に飛びます。
いよいよ原作が始まりますので頑張りたいです。皆様が応援してくださるとうれしいなw

感想をくれた、オカタヌキさん、06ゆーやんさん、ベジットさんありがとうございます。また、評価を下さった、メイドが冥土inさん、フォルス改さん、APさんありがとうございます。

*********
その他、意見、感想、誤字報告、評価、何でもいいので気づいたことを教えていただけると幸いです。
この作品が少しでも良くなるようにしたいと思っています。
次回もよろしくお願いします。


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第13話. 春は出会いの季節でした?2

すみません、間が少しあいちゃいました。平日は小テストの連続、土日は遊戯王の日...あれ土日何やってんだろ俺...

ま、まぁとりあえず書けたの投稿しました。
では本編のほうをどうぞ



凛に案内されて俺たち二人はお店まで戻ってきた。

店の中に入ると、凛から「ここで待ってて」と言われたため、俺はその場で店の中を見渡した。外にあった花とはまた違う、綺麗な花がたくさん並んでいる。これだけあるとティアに贈る花をどれにするか迷ってしまう。

 

「おかあさーん、ちょっときてー」

すると凛は、大きな声で母親を呼んだ。

すぐに奥からバタバタと音がしたと思ったら、凛によく似た綺麗な黒髪の女性が現れた。

 

「何よ、大きな声だしてハナコは見つかったの?……あら、そちらの子は凛のお友達?それともまさか凛にもついに彼氏とか!?」

凛の横にいる俺を見て勘違いしてしまったのだろう。凛へとキラキラした笑顔を向けている。

途端に凛の顔が真っ赤に染まった。

「なっ!違うから、そういうのやめてよね、お母さん!晃はハナコをここまで連れてきてくれた人!彼氏とかそういうんじゃないから!」

凛はすごい勢いで否定する。しかし、凛さんや…そこまでムキになって否定されると男としては傷ついちゃう….

 

「あら、そうなの?てっきり凛が彼氏でも連れてきたのかと思っちゃったわ、晃君だったからしら?ハナコを連れてきてくれてありがとうね」

そう言って、凛のお母さんは俺へと頭を下げる。

 

「い、いえいえ、自分は大したことしてないので頭を上げてください」

俺はあわてて、頭を上げてくれるように言った。しかしお母さんは首を振り、

 

「ハナコは家の大切な家族なの、だからそれを見つけてきてくれたあなたには私も凛も感謝してるわ、だからもう一度“ありがとう”と言わせて頂戴」

そう言って、俺のほうを見てにっこりとほほ笑んでくれる。

「そうだよ晃、本当にありがとうね」

隣にいた凛も俺へと笑顔を向けてくれる。

 

「い、いえ、その…こちらこそどういたしましてです」

凛のお母さん(美人)と凛(可愛い)の笑顔を向けられてしまって、恥ずかしくなってしまった俺は、顔をそらしてしまった。そんな俺の様子を見ていた凛のお母さんは、

「あらあら、可愛い子ね、晃くんは…ふふ」

と、暖かい目で見られてしまった。やばい超恥ずかしい…

 

 

______

「あっ、そういえば晃はウチの花が欲しいんだって」

 

「あら、ならどれでも好きなものを持って行ってもらいなさい。晃君、凛に言えば包装してくれるから好きなものを選んで頂戴ね」

そう言って俺にウィンクをしてくる凛のお母さん、あの似合ってるのでほんと困ります…

しかし、今回俺が買う花は人に贈るものなので、流石に自分でお金を出したい。だから俺は、

「いえ、人に贈るものなのでお金は自分で出します、心遣いだけで十分ですよ」

と言って、その提案を断らせていただいた。

 

「あらぁ、見たところ凛とそんなに変わらない年齢なのにしっかりとしてるのねぇ、凛にも見習ってほしいわぁ」

と、頬に手を置き、凛のほうを見る凛のお母さん、

「もう!お母さんは奥に戻ってて、あとはあたしがやるから!」

 

「はいはい、じゃあ後は凛に任せるわ。邪魔者は消えるから、アキラ君はゆっくり見ていってね?それじゃあねぇ~」

と言いながら、手を振って奥へとお母さんは消えていった。

「あはは、ありがとうございます」

俺は凛のお母さんへと手を振りかえしながら、苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

 

「もう、ごめんねうるさいお母さんで」

 

「いや、とってもいいお母さんじゃないか」

実際、少し会話をしただけだが凛のことを大切にしているのが伝わってきた。すごくいいお母さんなのだろう。

「じゃあ、花を選ぼうか、どんな花がいいの?」

 

「いつもお世話になってる人に感謝の花として送りたいんだけど、何かいい花があったら教えてくれないか?花に関しては素人だから、どれを送ればいいのか全く分からないんだよ」

 

「感謝か…それならやっぱりカーネーションかな、ほらこの花なんだけど」

凛はピンクの綺麗な花を持ってきてくれた。

「花言葉は、感謝とか、感動って意味があるんだ、たぶんこの花を贈ると喜ばれるんじゃないかな?」

 

「うん!すげぇ綺麗な花、これにしようと思うよ。この花を包装してくれるか?」

 

「まかせといて、花屋の娘だからね」

凛は「すこしまってて」と奥の作業台のほうへと向かった。

外から作業をしている凛の姿を見ていると、手慣れた様子だった。凛によって花が包装されていくのだが、本当に綺麗に包装してくれている。芸術性がない俺でも思わず「綺麗だと」つぶやいてしまった。

5分ほどたったころ、ついに花が完成した。

 

「はい、おまたせ、これでいいと思うよ」

そうして完成した花を差し出してくれる。

「いやいや、こんな綺麗に包装してくれて、すげえよ、俺感動しちゃった」

 

「やめてよ、そんなに褒められるとくすぐったい」

凛は照れながら首に手を当てて、顔をそらしてしまった。

「いや、ホントありがとう、でも手慣れてる感じだけどいつもお店を手伝ってるの?」

俺は凛へと質問する。

 

「うん、5年前にお父さんが交通事故で死んじゃってから、この店をお母さんとあたしで切り盛りしながらやってるんだ」

そう言って、凛は少し暗い表情を浮かべた。

(そっか、凛のお父さん亡くなってたのか…)

「あっ、なんかごめん」

 

「ううん、いいよ、あたしこそ暗くしてごめん。でも全然苦じゃないよ花だって好きだし、今のあたしの夢は少しでも早くこの店を継ぐことなんだ。そうすればすこしでもお母さんを楽にできるしね」

 

そう言ってほほ笑む凛。なんだよ...すげぇかっこいいな

「かっこいいな凛は、俺なんかよりもすげぇ立派な夢だよ」

 

「そうかな…でも、ありがとう。こんなこと誰かに話すのは初めてだけど、こうして認められると嬉しいね、ねぇ晃も夢とかあるの?」

凛にそう尋ねられた俺は、ある人の背中を思い浮かべた。

 

「俺は、凛に比べたらあれだけど、憧れてる人がいるんだ。その人はすげぇかっこよくて、すげぇ優しい。そして大切な人のために体を張れる人なんだ。そんな人になることが今の俺の夢かな、ホント凛に比べたら小さな夢だけどね」

そう言って俺は苦笑いを浮かべた。

しかし凛は俺の目をみて、

「ううん、全然小さな夢じゃないし胸張りなよ、立派な夢だよ。あたしは晃ならなれるような気がするな」

そう言って俺の目をみてほほえんでくれる。

「ありがとう、凛」

(ああ、自分の夢を誰かに認められるのってすげぇ嬉しいんだな)

俺は胸の中が熱くなるのを感じた。

 

 

 

_____

「じゃあ、ありがとう凛」

俺は凛にお金を渡して荷物を持つ。

 

「うん、またよかったら来てよ」

凛が見送りに来てくれた。

「ああ、また花を買いに来るよ、そうだ、よかったらこれ俺の連絡先なんだけど、困ったこととかあったら電話でもメールでもしてくれたら相談くらいには乗るからさ、あとこれもお守りなんだけど持っててくれると嬉しいな絶対に役に立つからさ」

そう言って俺は自分の連絡先と紅いお守りを渡す。

「あ、ありがとう。じゃあまた連絡させてもらうよ、お守りもありがとう」

そう言って凛は俺の連絡先が書いてあるメモと、お守りを受け取ってくれた。

「おう、連絡まってるよ、じゃあね」

俺は手を振って店を後にした。

 

 

_______

家に帰ると黒歌がこってりとティアにしぼられているところだった。まあ、自業自得だしプリンの恨みもあったため特に助けなかった。

「この人でなしぃ!」

なにやら声が聞こえてきたが俺には聞こえない….

 

 

 

 

 

お説教が終わったところで買ってきたクッションと花を渡すとティアはすごく喜んでくれた。

特に花を綺麗だと言ってくれてうれしかった。ティアの笑顔を見ていると、送ってよかったなと思ったし凛に感謝したいな。

 

 

その夜、凛からのメールがさっそく届いた。

内容は、『これからよろしく』的な内容だったが俺はさっそく連絡をくれてうれしかった。即電話帳にメアドを保存した。どうやら凛もLINEをやっていたようで、そっちのIDのほうも教えてもらい、すぐに花が喜ばれたことを伝えると、凛も喜んでくれた。

しばらくたわいのないトークをし、『また今度行く』ことと『おやすみ』を伝えた俺は、布団に入った。なんだか今夜はいい夢が見れそうだ。

 

 

 

 

 

 

―凛side―

『おやすみ』

そう彼から送られてから返信が来なくなった。どうやら本当に寝たようだ。私も『おやすみ』と打ち返してから布団に入る。

 

今日はハナコが朝からいなくなって大変だったけど、一人の男の子との出会いがあった。私は普段の無愛想な態度と私自身が男子を少し苦手な部分があって、男の子の友達と呼べる存在なんて今までいなかった。でも、今日初めて会った晃という私と同じ年の男の子。彼を一目見たとき、不思議な感覚だった。男子が苦手なはずの私なのに、彼からは全然そういった感じを受けなかった。それどころか初対面だったのにまるで今までも友達かだったかのように自然体でしゃべることができた。

「ほんと不思議な奴….晃かぁ」

特別カッコいいとかそういった印象ではなかった。でもなぜか彼といると暖かい気持ちになった。自分の夢など女友達といても喋ったことなどないのになぜか彼の前では自然に口から出てしまった。

「また店に来るって言ってたよね……早く来ないかな」

そう呟いてから、私自身自分の発言が不思議だった。

「あたし、今早く来てほしいって…バカみたいこれじゃああたしが晃に会いたがってみるみたいじゃない…」

よくわからない感情が私の胸の中を駆け巡る。

「なにこれ、あたしってこんなキャラだったけ?….もういいや、寝よう,,,」

そう言って私は布団をより一層かぶった。

 

―凛side out―

 

 

To be continued

 




ここまで読んでくださった皆様ありがとうございます。
書いてて思ったことは『凛ちゃんの口調わからなねぇえええええ』です。ほんと書いてて、あれ?こんな口調だったけ?みたいなことしか考えてませんでした。+主人公のほうもあれこんなキャラかこいつ?みたいなことも思ってました。また1話から見直して時間があるときに修正していけたらいいなと思っています。

今回、凛ちゃんにオリジナルの設定(親とか夢とか)を付けましたが、創作なのでご了承ください。

さてさて、凛ちゃんとの話もいったん終わりました。主人公も渡せるものは渡しましたし、あのお守りが後々のどのように動くのか....。次回は、おそらく黒歌の話だと思います。前回書いたように黒歌を解決し、原作へ向かうか、また凛ちゃんの話をすこしかいてから原作に行くのか、おそらくもう少しですので原作を楽しみにしている方今しばらくお待ちください。ゆっくり自分のペースで書くので待っててくれると嬉しいですw

感想をくれたルルさん、卍の亡霊さん、地蜘蛛さん、さめさんありがとうございます。また、評価を下さった、ウルちゃんさん、神天宮さん、佐海実央さんありがとうございます。

**********
その他、意見、感想、誤字報告、評価、何でもいいので気づいたことを教えていただけると幸いです。
この作品が少しでも良くなるようにしたいと思っています。
次回もよろしくお願いします。



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第14話. 依頼が来ました?

どうも、剣舞姫です。
一週間ほどお待たせしました。

では、本編のほうをどうぞ!


 

「はぐれ悪魔の討伐の依頼ですか?」

夜、ちょうど11時を回った頃だった。家に一本の電話がかかってきた。いったい誰だと思って出てみるとなんと相手はあのサーゼクスさんだった。

 

「ああ、どうやらはぐれ悪魔が駒王町へ逃げ込んでしまったようでね、いつもはリーアたんに依頼しているんだけど、今回のはぐれはちょっとリーアたん達には荷が重い相手でね、アキラ君に依頼しようと思って電話したんだ、もちろんちゃんと報酬は払うよ、どうだろう受けてはくれないだろうか?」

魔王様にこうして直接頼まれてしまっては断るわけにはいかないだろう。

 

「いいですよ、俺でよければその依頼受けようと思います」

俺は一つ返事で答えた。

 

「ありがとう。アキラ君ならそう言ってくれると思っていたよ。こちらでは、はぐれ悪魔の情報及び、居場所は特定していてね、情報を今グレイフィアに転送させるから確認してくれ」

そう言った直後、目の前に魔方陣が現れ、1枚の手紙が転送されてきた。俺はそれを受け取ると目を通した。

 

「はぐれ悪魔『剛鬼(ごうき)』ねぇ、元種族は鬼、武器は強靭な肉体、タフさが売り、はぐれ悪魔の危険度はAランク、罪状は主殺し&その眷属殺し、そして力による暴走状態と…居場所は、まじか意外と家から近いじゃねぇか…」

グレイフィアさんから送られてきた情報を見ていると、はぐれ悪魔剛鬼(ごうき)はどうやら家から歩いて20分ほど離れている廃工場にいるようだ。

 

「どうやら、届いたようだね、ではアキラ君頼んだよ。君が負けるとは思わないがくれぐれも気を付けてくれ。そして終わったら連絡をくれたまえ」

 

「はい、了解しました。」

 

「うむ、健闘を祈ってるよ」

そう言って、サーゼクス様との通話は終了した。

 

「ねぇアキラ、何の電話だったにゃ?」

後ろから声をかけられて振り返ると、黒歌がバニラアイスを食べながら話かけてきた。しかし、黒歌の格好が非常にラフな格好で、ショートパンツと薄いTシャツが一枚のため、艶めかしい健康的なふとももや、強調されている二つの巨大なおっ……女性特有のあれがどうしても目に入ってしまい、俺はあわてて顔をそらした。

 

「とりあえず、もう少し家の中でも普通の格好をしてくれ黒歌、目のやり場に困る」

俺は直視できないため、目線を横に向けながら話す。

その反応を見た黒歌は、

「にゃは♪アキラは私の格好で欲情しちゃうんだ?」

まるで挑発するかのように前かがみになる黒歌。その影響で、二つの丸いあれ(・・)が強調されてしまって….

 

「こら、俺をからかうな」

俺は顔を真っ赤にしながら黒歌の頭にチョップをかます。

 

「~~っ!痛いにゃ!ちょっとからかっただけなのに!アキラのバカ!」

黒歌は頭を押さえながら講義する。

 

「思春期の男をからかうからだ、この駄猫。というか、話を変えていいか?さっきの電話、サーゼクスさんからだったんだけど、はぐれ悪魔の討伐の依頼だった」

俺が真剣な顔をすると、今までふざけていた黒歌も真剣な顔になった。こうやってすぐ切り替えてくれるところはホント助かる。

 

「ふ~ん、アキラのことだから受けたんでしょ?その依頼。ならあたしも手伝ってあげよっか?」

 

「それを頼もうと思ってたんだ。依頼の報酬も出るみたいだし、分け前半分ってことで手伝ってくれないか?」

 

「もちろんいいにゃ♪それで、その手に持ってるやつがはぐれ悪魔の情報が書いてあるやつかにゃ?」

黒歌は俺の手の中にある紙を指さす。

 

「ああ、黒歌も読んでおいてくれ」

黒歌は紙を受け取ると、すぐに目を通す。

 

「うわぁ、Aランククラスのはぐれかぁ、これはリアスたちにはちょっと厳しいにゃ」

 

「だろうね、だからこそ俺に回ってきた依頼みたいだし。とりあえず俺にとって悪魔になってから初依頼ですから気合いれていくぞ」

 

「なら、ミスらないようにしっかりやらなきゃね!」

 

「「おー」」

俺と黒歌は互いに拳を合わせた。0時に出発することを伝え、俺と黒歌はそれぞれ2階の部屋へと戻った。俺は服を着替え、集中するために精神統一することにした。

 

 

 

 

時計の針が11時50分くらいになった頃、俺は部屋から出て、リビングへと降りた。リビングではティアが本を読んでくつろいでいた。俺が下りてきたためティアは本をたたみこちらを振り向いた。

「ん?アキラか?ずいぶん気合の入った格好じゃないか、こんな時間にどこかへ行くのか?」

ティアは俺の服装をみて、話しかけてきた。ちなみに今回が初依頼だという俺は気合が入っているため、服装も青い服に紺のズボン、そしてその上から黒いコートを羽織る形だ。これはONE PIECEに出てきたサボをイメージした服装にしている。

 

「ああ、サーゼクスさんからはぐれ悪魔の討伐依頼が来てね、ちょっと行ってくるよ」

 

「はぐれか、まあ今回は私はいらないだろう、だが油断するなよ?」

ティアは真剣な目で俺を見つめながら心配してくれる。俺は「わかった」と返事を返した。

 

俺は玄関で黒歌が下りてくるのを待った。2分ほど待った頃、黒歌が下りてきた。黒歌は駒王学園の制服ではなく、出会った頃と同じような綺麗な黒い着物を身に着けていた。

 

「待たせたかにゃ?」

 

「いや、別に待ってないさ、それよりもやっぱりその服なんだな」

 

「うん、やっぱり戦闘服はこれが一番落ち着くにゃ、そういうアキラは気合十分って服装だね」

 

「まあな、それじゃあ行こうか」

 

「そうだね、さっさと終わらせて返ってくるにゃ」

俺が玄関のドアに手をかけたとき、リビングからティアが出てきた。

「二人ともくれぐれも気を付けるのだぞ」

黒歌と二人でうなずくと、

「「いってきます」」

俺たちはティアに返事を返し、玄関を後にした。

 

 

 

 

目的の廃工場は、家から歩いて20分の場所にある。普通ならば、転移などで移動するのだが、今回は魔力の消費を抑えるため、走って向かっている。

「黒歌、今回の仕事なんだけど黒歌はサポートに回って、俺一人でやらせてくれないか?」

俺は走りながら黒歌に話しかける。

「つまり、アキラは一人で戦いたいってこと?大丈夫?」

 

「ああ、俺も自分の実力を試してみたくてさ、黒歌は人払いの結界を張って後ろに下がっててほしい」

 

「まあ、普段からティアと修行してるからアキラが負けることはないと思うけど、油断はしないでね?」

 

「おう、ありがとうな黒歌」

 

「はいはい、主を立てるのをいい眷属の仕事にゃ♪」

そう言って黒歌は笑った。まったくいい眷属を持ったよ俺は。

黒歌としゃべりながら走っていると目的の廃工場が見えてきた。

 

 

 

俺たちはいったん廃工場の外で止まった。

「うん、中に魔力と悪魔の気配を感じる。しかも1つ。おそらく剛鬼(ごうき)だろうね」

黒歌は頭に生えている猫耳をピコピコさせながら教えてくれる。余談だが普段、黒歌はしっぽと猫耳は隠して生活している。しかしこういう戦闘や力を使うときは隠しているしっぽや猫耳を戻すようにしている。なんでも気配察知能力が向上するらしい。

動物好きの俺からすると実に今の黒歌はその…可愛いく思えてしまう。

 

「ねぇ、聞いてるのアキラ?」

黒歌はぐいっと俺に顔を近づけた。いけないつい猫耳に見とれていたなんて言えない。

 

「ごめん、少しぼうっとしてた」

 

「これから戦闘するのにそんな調子じゃ危ないにゃ!相手は腐ってもランクA、やっぱり二人でやる?」

黒歌から強いお叱りと、提案を受けた。当然だ。これから実戦だってのに、ぼうっとしてる人間がいるなんて論外すぎる。俺はしっかりと反省し黒歌に謝罪した。

「本当にごめん、注意力が足りなかったね、今から気を引き締めるよ。だから剛鬼(ごうき)とは俺だけで闘る」

俺はまっすぐ黒歌を見つめる。

「わかったにゃ」

黒歌はそれを受け入れてくれた。

 

「じゃあ行こうか」

俺たち二人は廃工場の中へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

中は薄暗く、月明かりのみが廃工場の中を照らしていた。この工場はもう10年以上前から使われていない建物だ。中も相当汚れている。

「奥の方にいるな」

 

「うん、気を付けて進むにゃ」

俺と黒歌は“見聞色の覇気”を使って相手をとらえてた。慎重に二人で奥を目指して進む。しばらく歩くと扉が見えた。この奥に剛鬼(ごうき)がいる。

 

「じゃあ入るぞ」

黒歌はうなずいた。俺は、扉を蹴り飛ばし中へと入る。

 

『男1人に女1人、しかも人間じゃあねぇな、だとすると悪魔(クソども)か』

中へ入ると、そこは少し広い空間だった。しかしあらゆるものが倒れていて、足の踏み場は不安定な場所だ。俺たちが部屋へと入ると、奥から低い図太い声が聞こえてきた。

 

「あんたがはぐれ悪魔剛鬼(ごうき)か」

俺が問いかけると、奥にいた剛鬼(ごうき)はゆったりと歩いてきた。月明かりに照らされようやく姿が見えると、それはまさしく鬼だった。皮膚の色は赤く、筋骨隆々な肉体。頭部からは2本の角が生えており、凶悪そうな3メートルはありそうな巨大な鬼が姿を現した。

 

『そうだが、おまえたちが俺を討伐しに来たのか?』

 

「そうだな、魔王様から直々に依頼された。だから悪いがあんたはここで討伐させてもらう」

 

『くっくっ…どれだけの奴が出てくるかと思ったが、こんな弱そうな奴らを連れてきやがって、俺は強ええ奴と戦いてぇんだよ!てめぇらのような雑魚には要はねぇ!死にたくなきゃ今すぐここから消えろ!』

剛鬼(ごうき)は俺たちに向かって叫びだした。

 

「黒歌、いますぐこの工場全体に人払いの結果と、防壁を張ってくれ。……なぁ剛鬼(ごうき)よ、見た目で判断してると後悔するぞ?『(ソル)』」

俺は黒歌に指示を出すと、『(ソル)』を使い移動する。

 

『何!?消えただと…ぐぉ!』

俺は蹴りを剛鬼(ごうき)の顔面へ放った。顔面に受けた剛鬼(ごうき)はそのまま吹き飛ばされる。

――ドカァアアアン

と音とともに、壁へとぶつかった。

 

『…まさかこの俺が吹き飛ばされるとは大した蹴りだ。だがその程度じゃあ痛くもかゆくもねぇんだよ!この雑魚が!』

起き上った剛鬼(ごうき)はその巨体から考えられないスピードで俺のほうへと向かってくる。

『潰れろ!』

巨体から放たれる拳は俺をつぶそうと迫ってくる。

「『(ソル)』」

 

『また消えた!?…ぐほっ!』

今度は『剃』で剛鬼(ごうき)の後ろへとまわり、延髄(首の後ろ)にかかと落としをかました。剛鬼(ごうき)はそのままの勢いで地面に倒れた。

 

『クソが!何度も消えやがって!』

倒れていた剛鬼(ごうき)だが、一瞬で立ち上がり裏拳を放つ。俺はそれをよけ、バックステップで距離を取る。

 

「おいおい、延髄に蹴りをいれたのに立ち上がるか?つかダメージも入ってないな、情報通りのタフさってわけか」

俺は剛鬼(ごうき)のタフさに感心する。

 

『なぜだ!なぜ俺の攻撃が当たらねぇ!やっぱり俺に力がねぇからだ!こいつを殴る力を、こいつを潰す力を、力をよこせ!、力を、力を、力力力力力力ぁあああああああああああああああああああああああああああ』

剛鬼(ごうき)は、拳を握りしめ、叫び続ける。体からは上級悪魔以上の魔力が放出されている。

 

『があああああああああああああああああああああああああ』

剛鬼(ごうき)の叫び声とともに、魔力の質も大きさもどんどん上がって行く。

 

「くっ、こいつ、完全に力に飲み込まれてやがる!」

 

「アキラ!早く倒さないと!力が暴走してる!」

黒歌の焦った声が届く。

 

「わかってるよ!『(ソル)』」

俺は、剛鬼(ごうき)の頭上へと移動した。

 

「『嵐脚・白雷(らんきゃく はくらい)』!!」

俺は頭上から『嵐脚』を放ち、剛鬼(ごうき)を切り裂く。しかし、切り裂いた部分は、瞬く間に再生した。

 

「なっ、再生した!?」

 

『がああああああああああああ』

剛鬼(ごうき)は拳を振り回し、暴れる。

 

「完全に力に飲み込まれて意識を失ってやがる。しかもタフさはそのまま、おまけに再生能力まで、恐ろしいほどの耐久力か」

今も自分の周りを手当たり次第に破壊し続けている。このままいくとこの工場自体が潰れてしまう。

 

「一瞬で決めるしかないか、『(ソル)』!」

俺は一瞬で剛鬼(ごうき)との距離を詰める。

 

「おらぁ!」

剛鬼(ごうき)の顎に“武装色の覇気“を纏った蹴りを当て上空へと吹き飛ばす。

俺もそのまま飛び上がり、剛鬼(ごうき)の後ろへとまわり、そのままもう一度かかと落としを食らわせる。

 

『がぁああああ』

地面に勢いよく叩きつけられた剛鬼(ごうき)は痛みからか叫んでいる。だが、すぐに起き上がろうとしている。

 

「させるか!これで決める!」

俺は右手に“紅い炎”を集中させる。イメージするのは最強の拳!

「燃え尽きろ!『火拳(ひけん)』!!」

巨大な炎の拳はそのまま剛鬼(ごうき)へと振り落される。

 

 

 

 

――ドガァアアアアン

という、凄まじい音とともに周りのものがすべて吹き飛ばされ、クレーターが残った。その中央に黒こげになって気絶している剛鬼(ごうき)がいた。

 

 

「ふぅ、とりあえず依頼完了かな?」

俺は気絶している剛鬼(ごうき)を確認するとつぶやいた。

 

 

「この大バカアキラが!!!」

安堵していた俺の頭にものすごい勢いの拳(武装色を纏った)が振り落された。

「痛てぇえええ」

あまりの痛さに思わず膝をついてうずくまってしまう。

 

「当たり前にゃ!今あたし怒ってるんだよ!そりゃ早く決めなきゃって気持ちはわかるけど、『火拳(ひけん)』なんか使って、あたしまで殺す気かにゃ!?こっちはあわてて防御壁を張ったから助かったけど、何考えてるにゃ!」

黒歌から強く抗議される。当然だろう、早く決めなきゃと思い、周りを考えず火拳を使ったんだ。しかも黒歌を巻き込みかけるなんて、俺はそのまま土下座姿勢で必死に黒歌に謝罪する。

 

「ごめん!黒歌!俺、全然周りを見ずに突っ走っちゃって!それに黒歌まで巻き込みかけてほんとごめん!」

 

「謝っても今回は許してやらないにゃ!」

どうやら今回はかんかんに怒っているようだ。いや、ホント当然だろう。

俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「本当に、なんでもするから許してくれ!」

俺は額を地面にこすり付けて謝罪する。

 

「…今アキラ、なんでもするっていったにゃ?」

俺は、その声に顔を上げると、そこには悪い笑みを浮かべた黒歌がいた。

 

「あ、あの、そのですね黒歌さん。なんでもって言ったけどそれには限度ってものがありましてですねぇ…」

 

「何でもするって言ったにゃ?」

 

「あの、その」

 

「言ったにゃ?」

 

「アッ、ハイ。イイマシタ」

無理です。今更撤回なんてできません。そんなすごい顔で、近づいてきたら断れません。ましてや、完全にこちらが悪いのだから言い逃れなんてできるわけない!

 

「ふふ、この借りは高くつくにゃ!楽しみに待っておくといいにゃ♪」

そうして、俺は怖い約束(・・)をさせられ、この場では許してもらえることとなった。

 

俺は土下座から立ち上がると、ポケットに手を突っ込む。

「とりあえず、サーゼクスさんに連絡かな?」

ポケットの中の携帯を取り出すと、サーゼクスさんへ連絡しようとした、その時。

 

――ガシャアアン

扉の方から音が聞こえ、そちらを振り向くと、

「まったくもう!いったい何がどうなってるよ!」

 

「あらあら、部長、あそこが奥ですわよ」

 

「部長、僕が先に見てきましょうか?」

 

「……邪魔、荷物ばっかり」

扉のすぐ近くから四人(・・)の気配がした。

 

 

「いえ、いいわ祐斗。もう着いたのだし、こら小猫そんなに雑に物を投げないで頂戴!それから、まずは私から入るわ」

 

そして扉に現れたのは、僕たちが知っている紅い綺麗な髪をしたリアス先輩だった。

そのリアス先輩は、俺たちを視界にとらえると驚いた顔をした。

 

「あら、あなたたち、なんでここに…」

 

「あら?部長?まぁ、アキラ君どうしてここに?」

続いて、朱乃さんが入ってきた。

 

「部長、副部長お知り合いですか?」

次に入ってきたのは金髪の髪をした、イケメンな男の子だった。

 

「……部長、誰ですかこの人たちは?…っ!?」

そして最後に入ってきたのは、白い髪をした中学生くらいの可愛らしい女の子だった。しかし、何かひどく驚いた顔をしている。

 

 

 

 

 

「嘘…まさか…白音?」

隣の黒歌から声が聞こえて振り向くと、こちらもひどく驚いたような顔をしている。

(まてよ、白音ってまさか!)

俺はもう一度リアス先輩のほうを向く。

 

「ね、姉さま?」

白音と呼ばれた子は信じられないのを見たかのような目をしている。

 

ついに、出会った二人の姉妹….

 

To be continued

 




ここまで読んでくださった皆様ありがとうございます。
ほんと久しぶりの戦闘回でした。この小説書いてて、あれ戦闘してなくね?と思い、そろそろ戦闘入れなくちゃ!という気持ちで書きました。いや、難しいです。なかなかイメージしているものを文章で伝えるのはこれほど難しいのかと思いながら書いていました。
今回剛鬼さんというオリジナルいれましたけど、なんかあんまり強い感じしなかったなぁと思った方多いと思います。ですが、オリ主がつよいだけで、リアスたちではきっと倒しきれないレベルの相手となっております(一応)。オリ主の強さを分かっていただけたらいいなと思います。

さてさて、ようやく出会いました。あの姉妹が!次回和解回です。お楽しみにしていただけると幸いです。

感想をくれた、こーくさん、卍の亡霊さんありがとうございました。また評価を下さった黒猫一匹さんありがとうございます。

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その他、意見、感想、誤字報告、評価、何でもいいので気づいたことを教えていただけると幸いです。この作品が少しでも良くなるようにしたいと思っています。
次回もよろしくお願いします。


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