アルファるふぁ短編小説 (アルファるふぁ/保利滝良)
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散り桜

生きるのが罪なら、人は何故生きるのか

 

生きるのが罰なら、人は何故生きるのか

 

生きるのが悪なら、人は何故生きるのか

 

生きるのが運なら、人は何故生きるのか

 

生きるのが謎なら、人は何故生きるのか

 

生きるのが傷なら、人は何故生きるのか

 

生きるのが嫌なら、人は何故生きるのか

 

生きるのが終なら、人は何故生きるのか

 

生きるのが理なら、人は何故生きるのか

 

生きるのが人なら、人は何故生きるのか

 

 

 

人は何故生きるのか

人は何故生きるのか

人は何故生きるのか

人は何故生きるのか

人は何故生きるのか人は何故生きるのか人は何故生きるのか人は何故生きるのか

人は何故人は何故人は何故人は何故人は何故人は何故人は何故人は何故

人は人は人は人は人は人は人は人は人は人は人は人は人は人は人は人は人は人は人は

 

 

 

 

 

 

それが、生きることだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしも、世界が滅んだとしたら

そこで、今までとは違う世界が広がっていたら

 

あなたはどうしますか

 

世界が滅ぶ前のことを考えますか

これからのことをなんとかしようとしますか

絶望して死にますか

自分のことをさらけ出しますか

泣きますか

怒りますか

 

世界が滅んでも、貴方はこんなに選択肢がある

 

それじゃあ、何故今の貴方は窮屈なのですか

何故貴方はこんなに縛られているのですか

 

この世界が、貴方を縛っています

社会も、学校も、法律も、仕事も、家族も 

全てが貴方を縛っています

縛らなければ、

たくさんの人間を、見えない鎖で縛らなければ

今の世界は崩れてしまうから

もう、固まっているようで柔らかい、とても危険な世の中だから

縛らなければ、崩れてしまうから

だから貴方は縛られている

 

 

だけど世界が滅びれば、貴方は解放される

貴方を縛るものはなくなる

こんな窮屈な世の中から解放される

だけど出来ない

 

そんな中、周りの人間すら貴方を傷つける

 

毎日沈んだ想いで生きていくことしか、貴方にはできない

 

 

 

 

 

まるで歯車のように

自我を持ったばかりに得てしまった、欲望や怒りや哀しみや想い

それらが辛さに拍車をかける

このままでは消えてしまうだろう

春の終りの桜のように

でも仕方ない そんな世の中だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにバカらしいこと考えてンだ?

ならばこう言ってやれ

 

だからどうした!

 

ってなア

お前は、世界の歯車だ

だからどうした!

お前に今ある選択肢は、世界が滅んだときより少ない

だからどうした!

お前の周りには敵しかいない

 だ か ら ど う し た !

 

お前は生きてるんだろ?別に死体でもない

こんな腐ってる世の中でもな、ここにお前は生まれた!

ならば抗ってやれ!

この世界で

滅んだような世で、生き延びてやれ!

桜の花びらよりも、桜の根っこになってやれ!

上のすぐ死ぬ綺麗どころよりも、土だらけで汚くて往生際の最悪な、そんな奴になって見せろ!

 

出してみろ!お前の意思を!

 

出してみろ!お前の生き延び方を!

 

出してみろ!お前の魂を!

 

 

 

さァ、ぶちかませェ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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アルファるふぁが幻想入り・・・したかった

 

はっきりと覚えている

俺は、母と離婚して別居した父と電話していた

父は少し歳が来ていて、体もかなりボロボロだった

ところで、そんな父との電話の内容だが、父はこの間異世界に行っていたという

で、馬鹿馬鹿しいと思いながらも内容を聞いてみた

なんと「妖怪の女の子がたくさんいた」とのことだ

いつもネットを徘徊したり同人誌を読み漁っている俺は、一発でアタリをつけた

 

 

 

「それは幻想郷だ」と

 

 

 

 

俺は父に必死に頼み込み、幻想郷へ連れていってもらうことにした

動機・・・いや、不純なものだ 日常が退屈だったからというのもあるが、あのときの俺は「東方キャラとイチャイチャしてー!」という気持ちでイッパイだった

現実世界のことはどうするのか?とかお前みたいな奴が幻想郷に行ってもモテるわけないだろ?とかの疑問は、沸かなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから幾日か

俺は駅にいた 父は東京都にいるから、ここは東京駅

物凄く乱雑している 右見ても左見ても人がうじゃうじゃいる

だが、そんなのは知ったこっちゃない 

東方キャラに会うために、人を掻き分け進む進む

「そのこのけそこのけ!変態が通るッ!!」とでも言いたい気分だった

でも親も歳だったから、少し置いていってしまった 足が悪いから、人混みは相当キツかっただろう

親が追い付いた頃、仮面ライダーの映画の・・・観光地で顔のとこが穴空いた看板みたいなの・・・が見えた

「そこの近くに、幻想郷への入り口がある」らしい

実際には別の言い方だったんだろうけど、すっかり興奮した俺にはそうとしか聞こえない

で、その幻想郷の入り口とやらだが

・・・何か、おばちゃんとかが長ーい伝票(レシート?)らしきものを引っ張り出している、公衆電話だった

周りでは、おばちゃんの他にも作業をしている人達がいて、この公衆電話が修理中だということがわかった

俺は完全に固まった 「え、ナニコレ」みたいな感じで

すると、父が作業員の一人に、「今修理中なの?」と聞いた 優しい作業員さんは、「ええ、そうですよ」と答えてくれた 父はさらに、「繋がらないの?」と聞くと、作業員さんは、「繋がりませんねぇ・・・」と素直に言ってくれた

 

 

 

それを聞き、父は俺に「早く受話器とれ!」といきなり言った

俺は意味がわからなかった 「え?え?」みたいな感じで慌てて受話器を手に取り、待った しかし、ノイズしか聞こえない 何か女の人らしき声も聞こえたが、ノイズで掻き消される

「え?どうすればいいの!?」と聞いた俺に、父はこう答えた

「とりあえず何か言え!」

そう言われて、一瞬固まり一瞬迷った挙げ句俺は、叫んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっちに連れていってくれ!」

「はあーい♪」

この場面で電話に出るのは、永いときを生きるスキマの大妖怪《八雲紫》しかいない、と、その時の俺はそう冷静に判断した 流石に、こんな怪現象では『お化け屋敷で、ややビビりつつもお化け役の方に「お疲れさまでーす!」と言った男』の胆力は削れはしない

俺はその一瞬後、紫色の禍々しい何かに吸い込まれた

最後に父の顔・・・表情は覚えていない・・・を目撃して、俺の意識は暗転した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

布団の中で俺は目を覚ました 目の前にあるのは、見慣れた自分の部屋の風景

今俺は、先程見た夢のことを書いている

意外と、はっきりと覚えている

素敵な夢だった






人は、無意識下で望んだことを夢に見ると言います
私の場合、文字通り心の底から幻想郷へ行きたかったのでしょう
憐れだと、自分でも思いますね


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 ほ も た ろ う


この作品を読んで「いきなり何意味不明なこと言ってるんだお前」とドン引きした人は心のキレイな方です

この作品を読んで「いきなり何変なこと言ってるんだお前」とドン引きした人は心のキタナイ方です

この作品を読んで爆笑した方は心が汚くてネタがよくわかるステキな人です



 

むかしむかしあるところに、おじいさんとおじいさんがおりました

ある日、おじいさんは芝刈りに、おじいさんは洗濯にイキました

おじいさんが川へ洗濯をしていると、川上からほもが(桃尻を上にした状態で)どんぶらこっこ♂どんぶらこっこ♂と流れてきました

そのおじいさんがほもを持ち帰ってみると、ほもの中から元気な男の子が飛び出てきました

おじいさんとおじいさんは、今までなかなか子供が産まれなかったのでとても悦びました

そして二人はこの男の子に、ほもたろうと名付けました

やがてほもたろうは立派に性腸したときのこと、鬼ヶ島で鬼が人々に悪さをしていると聞いたほもたろうは、

「おじいさん、おじいさん 僕、鬼♂退♂治にイキます!」

と言いました

二人は反対しましたが、ほもたろうがイッてキかないので仕方なく送り出しました

 

 

 

旅の途中、イヌ♂と出会いました

イヌ♂はほもたろうに尋ねました

「ほーもたろさんほーもたろさん、お腰に付いたキビ♂ダン♂ゴ、一つ私に下さいな」

ほもたろうはイヌ♂にキビ♂ダン♂ゴをあげました

そしてそのイヌ♂をお供にしました

 

その次はサル♂と出会いました

サル♂はほもたろうに尋ねました

「ほーもたろさん、ほーもたろさん、お腰に付いたキビ♂ダン♂ゴ、一つ私に下さいな」

ほもたろうはサル♂にキビ♂ダン♂ゴをあげました

そしてそのサル♂もお供にしました

 

その次はキジ♂と出会いました

キジ♂はほもたろうに尋ねました

「ほーもたろさん、ほーもたろさん、お腰に付いたキビ♂ダン♂ゴ、一つ私に下さいな」

ほもたろうはキジ♂にもキビ♂ダン♂ゴをあげました

そしてそのキジ♂もお供(意味深)にしました

 

 

そしてほもたろうと三匹のケダモノ♂はとうとう鬼ヶ島にたどり着きました

イヌ♂は鬼を腰の刀で突っついて、サル♂は腰の刀で鬼を後ろから突っついて、キジ♂は鬼を腰の刀で突っついて、ほもたろうは腰の刀で鬼を後ろから突っつきました

「えいやっ、えいやっ」

「えいやっ、えいやっ」

「えいやっ、えいやっ」

「えいやっ、えいやっ」

「あっあっ、参った参った降参だぁっー!」

こうして鬼をこらしめたほもたろうは、三匹のケダモノ♂のお供(意味深)と共におじいさんとおじいさんのところへ帰りましたとさ

愛でたし愛でたし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほーもたろさんほーもたろさん、お腰に付いたキビ♂ダン♂ゴ、一つ私に下さいな

 

ヤーりましょうヤりましょう、これから鬼の 性 伐 に、突いてイくならヤりましょう

 

イーきましょうイきましょう、貴方について何処までも、家来(意味深)になってイきましょう





え?誤字脱字してるだけですよ?


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近未来SFバトル的なナニカ

新作連載モノとして作っていたけど終わってないもの多すぎて断念した作品
シカタナイネ



闇夜が生まれるべき深い夜のなか その街は燃えるように光に包まれていた

コンクリートジャングルの、ビルと言う名の木々の天辺 厚手のロングコートを着た若い男が一人

刺々しく整えられた銀髪が、猛禽を彷彿とさせる瞳が、そして唇の左側の裂け具合が、その男にただならぬ雰囲気を与えている

その眼下には無数の車 あまりの交通量は、その道路が『カー・リバー通り』のあだ名を戴く由来だ

そしてその中から、一台の黒塗り高級車が、男の登っているビルの真下に止まった

それを確認すると

 

男は、跳んだ

 

真下に向かって重力に従い真っ逆さまに落ちていく

風を受けてロングコートが激しく靡く

パラシュートでも付けていれば、アクロバットとしてワライモノにできただろうに、男にはそれはない

ただ落ちていくだけ

高級車から降りようとしたハゲ頭の不細工が目を見開く 落ちてくる男を発見したからだ

別の車から降りた護衛の人間がハゲ頭の周りに集まった

その直後、男が地面に接触した

落下の衝撃は凄まじかった かなり頑丈なハズの道路に穴を開け、さらに大量のヒビを入れたのだから

だがそれは問題ではない 護衛の人間とハゲ頭の不細工は驚くべきものを見た

全く無傷の、落下した男の面を

刹那、男は右手を振った

虎が獲物を爪で引き裂くように、抜き身の刀でその場にいた何人かの喉を引き裂いたのだ

鮮血が飛び散り、倒れる護衛達

生き残りはピストルを取り出し構えようとした

だが、動きのトロい護衛対象が恐るべき襲撃者に頭蓋を叩き割られるのが早かった

突き刺さった刀を引き抜いて、男は跳躍した

返り血に染まったその顔には、冷たい無表情が座っていた

ビルからビルへと跳んで移動していく下手人を、普通の人間の能力しかない護衛達は見ていることしかできなかった

護衛達は後に知った ソイツこそがこの近未来都市『ニルヴァーナ』における『殺戮の魔人』だと言うことに

この都市で最も強い男であるということに

 

 

 

 

 

 

 

 

「キサマが『魔人』か」

青いジャケットを羽織ったオールバックの男がいた

その男は口裂け男の目の前に立っている

「そんな名前の人間は聞いたことがない」

ロングコートの男は皮手袋を外した 指の動きを阻害するからだ

オールバックの男がジャケットを投げ捨てる その下のシャツに、人間のそれとは明らかに違う肉体が透けて見えていた

「俺は『パワーサイボーグ・ジーノ』様だ!テメェをぶっ殺して『最強』の称号を手に入れる男だ!」

ジーノと名乗った男はシャツを破り捨てて機械の体を晒した 銀色に鈍く光るボディの端々に黄色いコードが見え隠れしている

「食らえェ!」

ジーノの指先から銃弾が飛び出した 迸るマズルフラッシュに引っ張られるようにそれぞれの指から一発ずつの弾丸が『魔人』を狙って突き進んでくる

垂直跳びで逃げ、『魔人』はビルの壁に向かって飛んだ

地面に向かってほぼ垂直に建っているビルの壁を足場に、蹴る 三角飛びと呼ばれるその技を軽々と行い、瞬間口裂け男は懐から一本の何かを取り出した

それを見逃すジーノではなかった 近くのオイル満タンドラム缶を掴み、馬力に任せて軽々と投げた

時速数百キロのスピードで飛来してくるドラム缶を、『魔人』は何事も無いようにキャッチする 三角飛びの勢いは殺されるものの、自由落下の勢いは殺されない

そのまま落下する

「チクショウ、取って置きだ!」

ジーノの胸部が左右に開き、中から一本の筒が現れた ロケットランチャーである

着地の瞬間は無防備で、百パーセント動くことすらできないはず

そこにこの火力をブチ込めば、

「食らえ!」

筒が火を吹く 同時にジーノの背中から砂が射出された バックブラストだ

真っ直ぐ飛んでいく危険な爆発物 並大抵の物なら吹っ飛ばす一撃

地に降り立った『魔人』の体に、確かにランチャーは直撃した 例え彼がサイボーグで無かったとしても直撃の瞬間くらいは見えていたであろう

「は、ハハハ・・・やった、殺ったぞ!勝ったぞーッ!」

爆風の前でジーノは笑う 勝利に、今から手にはいるであろう『最強の男』の称号に、自らの力に酔っている

が、あっさりと『魔人』は煙から無事な姿を現した

一体どんな構造なのか、衣服にも傷一つない

「な、何だと!そんな、そんな、そんなバカなああああ!」

『魔人』の握っている剣が一瞬だけ輝いた

「・・・今宵はツルギ(この世界を叩き斬れ)・・・」

その瞬間全長二キロメートルの巨大な刃がその剣の柄から飛び出した

否、刃が飛び出したのではなく、剣が伸びたのだ 例えるならば新世紀の如意棒

しかも厚さも太さも巨大化している つまり質量も

「・・・世界で一番大きなツルギ(オンリイワン・ナンバアワン・グレエトワン)・・・」

なんの躊躇いもなく『魔人』はその剣を降り下ろした 大上段からの兜割りである この剣なら袈裟斬りだろうが突き上げだろうが強烈なはずだが、今の『魔人』が選択したのは偶然兜割りだった

なす術なく、哀れなジーノは一刀両断

どころか、剣の切っ先にある街の全てが真っ二つだ

土煙も、巻き込まれた人間も、建物も、全てが全て差別なく真っ二つである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣はもとの大きさに戻り、『魔人』は街の切り傷に背中を向けて歩き出す

西暦からはるか未来の堕落した世界 人種も言語も関係なくなってしまったこの世界において、『魔人』という不確かな呼び名を与えられた男

彼は一本の剣を携えてさ迷う

ただ、理由もなく生きている

 

 

 

 



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アルファるふぁ的、聖杯戦争


没ネタ
誰か書いてくんね?



 

聖杯戦争

万能の願望器、通称『聖杯』で己の望みを叶えるために、七人の魔術師が古の英雄を呼び出し、手を取り合って争う

つまり、血みどろのイベント

魔術師達は『マスター』と

呼び出された英雄達は『サーヴァント』と、それぞれ呼称される

マスターとサーヴァント、双方ともに十人十色

プロテスタントのマスターがいれば、反ヤハウェのマスターもいる

数百人の敵を討ち取ったサーヴァントがいれば、一つの城を水攻めで陥落させたサーヴァントもいる

マスターは聖杯戦争において勝利を手にするため、強力で、かつ自らと共感するサーヴァントを求める

しかし、本当に希に、魔術的才能もなくただ巻き込まれただけのマスターも、いる

そんな者は、戦争の序盤で倒れるか、

もしくは、最高のイレギュラーとなりうるか

 

 

 

 

 

 

 

 

アーチャー

遠距離から敵を射抜く、必然的に戦闘のアドバンテージを容易に握ることができる弓兵のサーヴァント

今回の聖杯戦争で呼ばれたのは、

 

『ウィリアム・テル』

 

誰もが聞いたことがあるだろう、息子の頭の上に乗った林檎を、寸分違わず矢で撃った人物を

知る人ぞ知る彼こそ、このアーチャー

スイスの硬貨に描かれる程の人物が持つ宝具は、その伝承そのもの

あの林檎のように、どんなものがあっても、どんな状況であろうとも、その矢は決して外れることはない

遠くから射られる、絶対命中の矢

そんな腕前を見せびらかされて、いったいどれほどの人間が落ち着いていられるだろう

 

 

 

 

 

バーサーカー

意図的に魔術で思考能力を奪われ、ただ狂乱のままに暴れ続ける狂戦士のサーヴァント

今回の聖杯戦争で呼ばれたのは、

 

『パラスアテネ』

 

ギリシャ神話で戦争を司る者と言えば彼女しかいないであろう

しかし、神話の神を聖杯戦争で呼ぶのは実にリスキーである

バーサーカーの狂化、意図的なパワーダウン、その他様々な弱体化補正をかけても有り余るその力は、魔術師たるマスターといえど到底扱えるものではない

しかもこれは戦争と勝利の女神

地を砕き空を引き裂くその戦いの権能

それが狂気に染まったとき、果たして聖杯戦争はどのような様相になるのか

 

 

 

 

 

キャスター

魔術や策略など知能・知識面で他を圧倒する、正面以外で戦う魔術師のサーヴァント

今回の聖杯戦争で呼ばれたのは、

 

『アブドゥル・アルハザード』

 

宇宙の遥か彼方にいる無数の恐怖の邪神達

彼はその邪神の知識を髄まで記した書物『ネクロノミコン』の執筆者である

そして、彼自身もそのネクロノミコンに相応しいほどの魔術師なのだ

一冊に人類を滅亡できる知識をいくつも書かれた本

それを書き上げたなら、その魔術は筆舌に尽くしがたいものなのだろう

が、一つ問題がある

彼の別名は『狂えるアラブ人』

それがどのようなことを指すのか、それこそがキャスターの力なのかもしれない

 

 

 

 

 

ライダー

乗り物を呼び出し、その乗り物の力で勝ち抜く騎兵のサーヴァント

今回の聖杯戦争で呼ばれたのは、

 

『ハンス・ウルリッヒ・ルーデル』

 

第二次世界大戦、旧式の爆撃機でソ連の戦車を数百葬った、現代でも語り継がれる凄腕のパイロット

彼の前には、戦艦ですら赤子の手を捻るも同然

披撃墜の逸話も数えきれないほどだが、それを補ってあまりある操縦技術

このサーヴァントならば、どんな装甲であろうと粉砕し、どんな敵であろうとも急降下爆撃してみせるであろう

 

 

 

 

アサシン

闇夜に潜み、敵を一瞬のうちに殺害する、暗殺者のサーヴァント

今回の聖杯戦争で呼ばれたのは、

 

『服部半蔵』

 

時は戦国時代、徳川家を影で支え続けた暗躍の者達

その服部家の歴代党首であるとされる

しかし彼らは歴史的な謎も多く、ひとえに服部半蔵といっても徳川家以外の人物であるときも少なくはない

二千石の大名だった服部半蔵もいれば、鎧を着こんだ足軽の服部半蔵もいた

本人は忍者ではなかったのだが、歴史は彼を伊賀最高の忍者に仕立て上げた

様々な人間の様々なイメージで在り方をねじ曲げられ、所謂称号のようなものであるために、不安定さがあるとすら言える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイバー

全ての能力、特に直接戦闘においてとてつもない能力を発揮する剣士のサーヴァント

今回の聖杯戦争で呼ばれたのは、

 

『彦五十狭芹彦命』

 

彼の存在は日本国民のほぼ全てが知っているはずである

何故なら、彼は犬と猿と雉を率い、鬼ヶ島に乗り込み人を脅かす鬼共を倒してみせたかの英雄だからである

桃太郎、と言えばわかりやすいであろうか

このサーヴァントは実際の彦五十狭芹彦命ではなく、その人物をモデルとしたとされる物語の主人公として召喚された

剣のサーヴァントとしては弱いかもしれない

が、異形の者共を打ち倒したその伝説通りなら、同じ国の戦国武将など目ではない程の戦力である

 

 

 

 

 

ランサー

セイバーに匹敵するほどの戦闘力を持った、長物を用いて戦う槍兵のサーヴァント

今回の聖杯戦争で呼ばれたのは、

 

『富士山』

 

あの、日本で最も高い山、富士山である

サーヴァントは概念を人間のようにして召喚することもできる

なのでそこは不思議なところではない

ではなぜその富士山が槍兵として召喚されたのか

それはある伝承による

昔富士山より高い山を、鉄の棒で割ったことで、富士山は日本一となった

その伝承で使われた鉄の棒こそ、富士山が槍兵になった理由なのだろう

英雄といえども山一つなどどうこうできるものではない

ましてや日本一の山

どれほどのサーヴァントが、このランサーに立ち向かえるのか

 

 

 



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主役陣を評価してみる(黒歴史と今触りたくない作品除く)

各作品のネタバレや今後の構想が多少含まれています
また作品を読んだ人にのみ通じること前提で書いています
それをご承知の上閲覧ください
アルファるふぁ作品の個性的な主人公達への、私なりの評価です



戦場駆動より 死神君

処女作にして代表作の主人公

その実態はまさに死神

敵は絶対に殺し、一切の容赦もなく排除と殲滅を行う

現状ヒロインと一番仲が良い

こうなったら徹底的にネタにしてやる

 

戦場起動より 竜ちゃん

戦場駆動の続編からのエントリー

死神な死神先輩と比べれば現状まだまだ未熟だが、性能の劣る機体で敵部隊を単機で壊滅させてたり筋がいい

今後に期待

 

Hope the Bulletより  クロウ

アーマードコア二次創作の主人公

武装除いてほぼ初期機体という変態アセン

そのわりにはメッチャ頑張ってる、トップランカーやらなんやらをちぎっては投げちぎっては投げ

どうやら喋らない系はバケモノになる傾向がある

 

アウトサイダーより 名無しの男

なんか短編ショート映画みたいになった作品の人

伏線ばら撒くだけだったけど・・・まあ

すっごい優しい思いやりのある彼、しかしアルファるふぁ作品史上文句無しのどチートと一体化

ハーレムにするには時間が足りなかった、惜しい

 

DOUBLEviolenceより ナガイ&イシカワ

ふたりはプリキュア

戦闘狂、容赦なし、クッソ怖い顔、言うこと聞かないという共通点だけでお腹一杯なのに、原作からいくつか要素持ってきたからさあ大変

まさにviolenceとしか

それでも行動は一貫してヒーロー寄りだから悪人とは言えない

なんなんだコイツらほんとに

 

イデオン転成より イデ子

安直なネーミングとか言うな

私だってかの有名なイデオンのメカを女体化とかアレだと思ったよ

他人がやったら度肝抜かれてた

実は作者の中ではフワフワしてる

でも一貫してイデに抗い人類を救おうとしている

それもこれも佑樹のおかげ

彼女の結末を描ききってやりたい

 

惑星機構MECHANIZERDより マーカス

転成者二人組以上の戦闘狂から主役の座と作品タイトルをもぎ取った男

まあただのヘタレ気味な記者なのだが

現時点では設定すら固まりきってない彼

他の作品を完結させて活躍を書いてあげたい

 

ダークヒーローの破壊旅より ハカイダー

ぶっちゃけ原作通り、だと、思いたい

なんか違うところあったら気兼ねなくご報告を

最終的に勝手にパワーアップとかしたけど反省はしていない

むしろ原作ファンが喜ぶ展開を投げまくったから満足している

カッコいいぜ

 

ガンダム・ナガレボシより ネクスト

不本意ながらコイツらの中では一番主人公してる

ていうか他が濃い、彼も充分頑張っている

宇宙世紀にいてはいけないような劇物のパイロットになった

記憶喪失とかメッチャ美味しい伏線を持っていながらまるでゴミ箱に放るように捨てた

正当派として大事にしていきたい

 

変身願望ブルゥスより 志田清仁

問題児

正直ノーコメントと言いたい

面倒くせぇもんコイツ

全力で作者の分身とした描いたら超トンでもねえのが生まれたんだけど、何これ、どうすればいいの

とりあえず幸せにはしない

 

 




どいつもこいつも劇物
活動報告にしようと思ったら長くなったので短編集にぶちこみました

強さは以下の通り(ロボ含めた現状)
名無し>イデ子>死神君=ナガイ&イシカワ>クロウ=ネクスト>ハカイダー>竜ちゃん>清仁
マーカス(枠外)


個人的な主人公度は以下の通り
ネクスト>イデ子>名無し=マーカス>クロウ=竜ちゃん>ハカイダー>ナガイ&イシカワ
清仁(枠外)


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よろしいならばゲルググだ


MS―14 ゲルググ
ジオン公国が一年戦争末期に開発したモビルスーツ
新型ジェネレータによりビーム兵器を装備可能となり、多数のスラスターにより高機動力も得、大型のシールドにより防御力も大きい
その性能は、かの連邦の白い悪魔ガンダムと互角と言われており、一部を除いた当時の連邦のモビルスーツを圧倒していた



 

諸君、私はゲルググが好きだ

諸君、私はゲルググが好きだ

諸君、私はゲルググが大好きだ

 

ノーマルゲルググが好きだ

高機動型が好きだ

キャノンが好きだ

マリーネが好きだ

デザートが好きだ

陸戦型が好きだ

初期型が好きだ

イェーガーが好きだ

エース専用機が好きだ

クロボンゴーストに出てきた中身抜かれたヤツが好きだ

(リゲルグとRFは除く)

 

地上で

宇宙空間で

連邦基地で

コンペイトウで

ア・バオア・クーで

砂漠で

月で

空中で

コロニーで

暗礁地帯で

宇宙世紀で戦うありとあらゆるゲルググが大好きだ(リゲルグとRFは除く)

 

戦列をならべたゲルググのビームライフルの一斉発射が轟音と共にジムを吹き飛ばすのが好きだ

ア・バオア・クーに放り投げられたボールがビームでばらばらになった時など心がおどる

 

ベテラン兵の操るゲルググキャノンのビームキャノンがジムのバリエーション機を撃破するのが好きだ

悲鳴を上げて燃えさかる戦艦から飛び出してきた敵モビルスーツをマシンガンでなぎ倒した時など胸がすくような気持ちだった

 

ナギナタをそろえた高機動型ゲルググの横隊が敵モビルスーツ部隊を蹂躙するのが好きだ

恐慌状態の新兵が既に息絶えたモビルスーツを何度も何度も射撃している様など感動すら覚える

 

地球主義の連邦兵達をミサイルで倒す時などはもうたまらない

泣き叫ぶパイロット達が私の引いた引き金とともにうなり声を上げるビームマシンガンにばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ

 

哀れな抵抗者達が雑多なモビルスーツで健気にも立ち上がってきたのをゲルググマリーネのスパイクシールドがメインカメラごと木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える

 

連邦のエースに滅茶苦茶にされるのが好きだ

必死に守るはずだった味方が蹂躙され戦友が撃墜され殺されていく様はとてもとても悲しいものだ

 

連邦の物量に押し潰されて殲滅されるのが好きだ

ティターンズに追いまわされ害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ

 

諸君、私はゲルググを、地獄の様なゲルググを望んでいる

諸君、私に付き従うゲルググ乗り諸君

君達は一体 何を望んでいる?

 

更なるゲルググを望むか?

情け容赦のないガンダムの様なゲルググを望むか?

モビルスーツ技術の限りを尽くし数百コロニーの兵を殺す嵐の様なゲルググを望むか?

 

「ゲルググ!! ゲルググ!! ゲルググ!!」

 

よろしい、ならばゲルググだ

 

我々は満身の力をこめて今まさに撃たれようとするビームライフルだ

だがこの暗い宇宙の底で何年もの間堪え続けてきた我々にただのゲルググでは もはや足りない!!

 

ゲルググが活躍するシーンを!!一心不乱のゲルググの戦闘シーンを!!

 

我らはわずかに新型数年

ジムⅡに満たぬロートルにすぎない

だがゲルググは一騎当千の古強者だと私は信仰している

ならば我らは諸君と私で総機数100万と1機の軍集団となる

 

我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連邦を叩き起こそう

髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせ思い出させよう

連邦に恐怖の味を思い出させてやる

連邦に我々のジェネレーターの音を思い出させてやる

 

地球と宇宙のはざまには奴らのエゴでは思いもよらない事があることを思い出させてやる

 

一千機のゲルググの戦闘団で

地球圏を燃やし尽くしてやる

 

諸君、往くぞ





おかしいな・・・別の作品を書いていたら無性にこんなのを作りたくなったんだ・・・


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天風のゼダ 予告編

 

ビルが立ち並ぶ都市部。いつもならここには、沢山の人間がスーツを着て汗水流して働いているはずだ。だが、今のこの場所には、一般人は一人もいない。

高層ビルの間から、巨大な何かがゆっくりと顔を出す。巨体は金属光沢を纏い、得も言えぬ不気味さを醸し出していた。

巨大な頭部、長い尻尾、短くも鉤爪の付いた前足。その体型は、絶滅した生物、ティラノサウルスのような形状をしていた。

もっとも、ティラノサウルスはこの怪物よりもかなり小さい。この存在は、頭部と地面の間に約四十メートル程度の高低差があった。つまりこの存在は、肉食恐竜特有の前屈み姿勢でも、四十メートル以上の体高があるわけだ。

この化物は敵性金属体。奴等は宇宙からやって来た、人類を攻撃する存在。

足下の全てを踏み潰しながら、巨大な頭部を左右に回らせている。だがこのビル街に敵性金属体の標的である人間はいない。既に避難が完了した後だったのだ。

敵性金属体ティーレックス(ティラノサウルス)型が数歩進むと、離れたところに散らばる何かが見えた。キャタピラが付いた下部と砲塔が付いた上部の戦車、その横隊だ。

「ヴォルフ・チーム、現況報告求む。」

「こちらヴォルフ1から22、配置完了。敵性金属体確認、攻撃指令を待つ。」

「了解した。金属体の位置はこちらでも確認している。攻撃開始まで残り十秒。」

厚い装甲に覆われた、強力な武器。ヴォルフとペットネームを付けられたこの戦車が、陸上における対敵性金属体戦術の要だ。

一様に怪物に向けられたキャノン砲。青い空と灰色の鉄筋コンクリートのビル。戦闘は近い。

ビルの谷間の一つに敵性金属体は体を潜り込ませた。そこは、ヴォルフ部隊の予測していた通りの場所だった。

「ヴォルフ・チーム、アタック!」

戦車砲が角度を修正した。直後、その砲口が火を吹いた。

放たれた砲弾は音速を超えたスピードで突き進む。それが戦車の数だけ。砲撃は一発も外れず、ヴォルフは第二射、三射も撃ち放った。

敵性金属体ティーレックス型の身体中に爆風が華開く。絶えず飛び込んでくる砲弾が、怪物を倒さんとさらに撃ち込まれる。

敵の攻撃はまだだ。ヴォルフは更に砲を撃った。

しかしヴォルフの乗員は皆緊張と恐怖に震えていた。自らの砲撃にさえ耐える優れた装甲に包まれていても、彼らはおののいていた。

四十メートルの動く恐竜を恐れるほど彼らは臆病ではない。なぜなら訓練された兵士だからだ。しかし彼らは震えている。

外見を恐れているのではない。

その強さを、知っているからだ。

「敵性金属体、未だ健在!」

爆炎と爆煙を振り払って、傷一つ無いティラノサウルスが顔を現す。

「反撃です!光線(レーザー)来ますッ!」

ティーレックスは鎌首と尻尾の先端を戦車に向けた。

光が迸った。

 

 

 

 

 

上空を飛ぶ六機の機体。平たい三角形のような形をしたそれは、I(International)G(Gardians)F(Fors)所属の新型攻撃機である。

音速攻撃機ソニックストライカー。六機編隊は敵性金属体の出現したビル街の上空を旋回していた。

「ヴォルフ部隊、現時点で既に四台やられました。」

「マズイ、予想より早く減らされている・・・『ヤツ』が来るまで間に合わんぞ!」

「援護しますか?」

「無論だ、ヴォルフを全滅させるわけにはいかない。」

戦闘の隊長機が、飛行の軌道を変えた。斜め下に機首を向け、敵と味方の交戦地点へ飛ぶ。

雲を抜け、ビル街を視界に捉えた。視線を動かし、見た。

十時の方向、敵性金属体に蹂躙される、ヴォルフ部隊の姿を。

「司令部、こちらウィング1!ヴォルフ・チームの援護に向かう!!」

「止むを得ん、ウィング・チーム攻撃開始。披撃墜は避けよ。繰り返す、ウィング・チーム、アタック!」

レーダーで後続を確認し、ウィング・チームの隊長は目を細めた。

「了解した、源田副司令。ウィング・チーム攻撃開始!」

ソニックストライカーのジェットエンジンが一際大きな噴射をした。加速した機体は矢のように敵へ向かう。

尻尾の先端から光線を吐き出し、敵性金属体はヴォルフを攻撃していた。お返しとばかりに撃たれた砲撃も、その体に傷を付けるには至らない。

その時だった。遥か遠くから何かが近付いているのに気付いたのは。

一斉発射(ミサイル・ファイア)ーッ!!」

ソニックストライカーが主翼下部にマウントしたミサイルランチャーから、左右それぞれ二発ずつのミサイルを投下した。

それが、六機分。合計二十四本の高速飛行弾頭が、ティラノサウルスを仕留めるべく滑空する。

金属体が尻尾をミサイル群へ向けた。先端から高熱量のレーザービームが発射された。

光線はミサイルをいくつか貫き、切り裂いた。光線を受けたミサイルはあえなく爆発し無力化される。ミサイルを貫通したレーザーは、ソニックストライカーへ伸びる。

「散開!」

編隊の並びの隙間を通り抜けた光線。隊長の一声によりウィング・チームはバラバラに移動した。同じように一まとめに飛んでいたら、レーザーを振り回されて全滅だった。

だが安心はまだできない。できるはずもない。

雪崩れ込んだいくつものミサイルを食らっても尚、金属体は健在だった。爆風を首を回して振り払い、頭をソニックストライカーへ向ける。

足下の戦車が全速後退していくが、敵性金属体は無視した。

敵性金属体は断続的にレーザーを撃った。尻尾の先から眩い光が幾度も延びた。

飛行機の薄い装甲ではかするだけで確殺だ。ソニックストライカーは急カーブや縦ターンで必死に避ける。

機関砲で反撃を試みる者もいたが、着弾してもまるで意味がない。効果が見られない。

「この程度では、ダメか!」

充分な距離にまで退避したヴォルフ・チームの生き残りが砲撃支援を始めるが、ダメージを受けた様子はない。

敵性金属体ティーレックス型はヴォルフとソニックストライカーの両部隊に挟まれた形になった。が、全くピンピンしている。

いくら砲撃を受けても、いくら射撃されても、敵性金属体が死ぬ気配は見えない。

そう、IGFが不利だった。それはつまり、敵性金属体が人類に勝ちそうなことを示している。

人類は、敗北寸前なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビル街で爆発が幾度も起こるのが見える。暴れまわる黒い恐竜と、それに対抗せんとする戦車と音速飛行機もいるのが見えた。前者は敵性金属体。後者はIGF。

撃っても撃っても決定打にならないIGFに対し、敵性金属体の攻撃は一撃必殺。勝敗は歴然だった。

そんな戦闘を遠くから見ていた、一人の青年がいた。肉眼なので、巻き込まれかねない位置だ。

「ヤバイな・・・クソ、急がなけりゃ!」

青年はポケットから懐中電灯のような物体を取り出した。しっかりと握り締め、敵性金属体を見据える。

 

彼の名前は(マツリ) (ゴウ)

顔立ちは良い方ではない。頭も悪い。服装も流行りとはかけ離れたもので、格好良いとは言えない。恋人はおらず、恋愛経験はゼロ。運動神経も悪く、走りが壊滅的に遅い。親から継いだ借金を持ち、職場は敵性金属体に粉砕され、つまり金はない。家も敵性金属体にやられた。家族は最近全滅した。口調も乱暴である。

だが彼は、馬鹿だった。誰かのために何かをしたい人間だった。

敵性金属体に蹂躙される人々を見て、悲しみと怒りを覚えた。そんなとき、敵性金属体に襲われたあの日、轟は『あるもの』を手にした

 

「てめえら、いい加減に・・・しやがれ!」

轟は懐中電灯のような物体、フラッシュアクセラーを天に掲げた。側面のスイッチを親指で触れ、轟は叫ぶ。

その名を。

「ゼダーッ!!」

天に向けたフラッシュアクセラーのスイッチを、力を込めて押す。するとその上に向けた部分から、とてつもない量の光が広がった。

放射状に照射された光。さらにそれは強くなる。もはや向こう側すら見えないほど濃くなった光は、さらに広がる。

やがて、その光の中に巨大な人型のシルエットが浮かび上がる。そのシルエットは徐々にその実体を鮮明にさせた。

光が完全に消えると、シルエットの形のままの巨人がそこにいた。拳を握り直立するその姿は、阿修羅像を彷彿とさせる。

その巨人こそ、ゼダだ。

人類を護るために現れた、轟が手に入れた力だ。

 

 

 

 

 

 

光の中から現れた巨人が、敵性金属体に躍りかかる。ゼダはまずティーレックス型の巨大な頭に渾身の左拳を打ち込んだ。

砲弾やミサイルをものともしなかった金属体だったが、ゼダのパンチは効いたようだ。真後ろへ倒れ込み、ダウンする。殴り付けられた箇所の表面が、ボロボロと剥がれ落ちた。

起き上がろうとする敵性金属体に組み付き、巨人は倒れ込むように背中を地面に着けた。そのまま掴んだ手を放す。そして蹴る。

すると、敵はゼダの倒れる勢いに乗って投げ飛ばされた。巴投げという技である。

軽やかに投げられアスファルトに強かに打ち付けられた金属体。立ち上がったところに、足刀が当たる。空気を切り裂いて敵を打つ脚。

よろめきながら、敵性金属体は尻尾をゼダに叩き付けた。

巨大な鞭と化した尻尾が、巨人の腹を打ち据える。後退り、攻撃を受けた箇所を一瞬押さえるゼダ。

体勢を立て直したティーレックス型が、尻尾の先端をゼダに向ける。光線が照射された。ゼダの表面をレーザーが這う。

ダメージがあったのか、ゼダはよろめいた。肩から胸にかけてが赤く熱せられている。レーザーによるものだ。

ティーレックス型が走ってくる。ゼダは空手のような構えをとって迎え撃つ。

巨人と恐竜が正面からぶつかり合った。アスファルトの地面が揺れ、ビルも揺れた。

敵の突進を受け止めたゼダだったが、かなりその場から押し出されてしまった。ゼダの真後ろにある大型ビルと激突、ビルは脆くも崩れていった。鉄筋コンクリートが音を立てて落ちていく。

それを尻目に二体は取っ組み合った。

頭部を押し付けてくる敵性金属体。ゼダはその頚部を掴む。パワーは互角、両者の押し合いは長く続いた。

巨人が金属体の腹部を蹴りつける。首を抑えて腕が使えないが、攻撃の手段はある。ダメージを多く与えねば、勝ちはない。

金属体の顔が真ん中から二つに割れる。大口を開けたのだ。ゼダの眼前に、ずらりと並んだ牙が見える。

噛み付かれるのは不味い。

首を引っ掴んでいた両手を離し、それぞれの手で上顎と下顎を握った。そして無理矢理口を閉じさせる。

敵は頭を横に振って抵抗する。それにつられて右へ左へ。振り回される。

足下にある街路樹を次々と踏み潰し、ファミレスやらコンビニを蹴散らしてしまう。それでなくともこの二体の戦闘はそもそもスケールが大きい。都会でやって被害が出るのは当然だ。

再び尻尾攻撃。気付いたときには、眼前にしなるテイルがあった。

顔面を叩かれ、ゼダは転がる。顔を押さえ、悶絶するように震えた。だが敵を見れば、先程武器に使った尾の先端をこちらに向けているではないか。

レーザー攻撃が来るのは確実だ。巨人は地面を押してすぐ立ち上がり、ジャンプした。一瞬前に立っていた地点が、光熱に焼かれて煮え立つ。

着地したゼダは、敵性金属体から遠く。接近した先の状況なら戦いようはあるが、離れてしまった。

レーザーがまたも撃たれる。胸の真ん中を焼かれ、ゼダが倒れそうになった。

もう一発と尻尾を向ける敵性金属体ティーレックス型。先端に光が収束し、眩い輝きを放つ。

今光線が撃たれんとする時、金属体の背中に爆発が起きた。振り向く恐竜。そこには戦車部隊があった。

ヴォルフが並び、一斉砲撃を開始する。相手と向かい合ったからか、敵性金属体は顔面にもキャノンを貰う。

だが効いてはいない。大したダメージにはなっていないのだ。

敵性金属体は尻尾の先端をヴォルフに向けた。レーザーを撃とうとした。

「ゼダと、ヴォルフを援護する!全弾発射(オール・ミサイル・ファイア)ーッ!」

しかしまた邪魔が入る。ゼダと金属体が戦いはじめてから離脱していたソニックストライカーである。

ティーレックス型を、ミサイルの雨が襲う。上空から降ってくるように突撃してきたミサイルは、その全てが敵を撃ち据えた。

流石の敵性金属体も、多量のミサイルが同時に直撃するのは些か堪えたようだ。体勢を崩し、倒れる。

「やれ、ゼダッ!!」

IGFの攻撃の隙に敵性金属体に肉薄したゼダが、その尻尾を掴む。しっかりと握り締め、左足を軸に回転する。同時にティーレックス型を振り回す。

ジャイアントスイングだ。空気が唸り、風が巻き起こる。ビル街の向こうで、巨大な影が巨大な影をグルグル振っていた。ゼダは三度目の回転と同時に、敵を放り投げた。

またもや地面に叩き付けられる敵性金属体ティーレックス型。身悶える度に体表面が崩れる。

ヨロヨロと起き上がるティーレックス型。

その目前に、ゼダがいた。

 

ゼダは拳を握る。胸の前でその拳を打ち付け合う。打ち付けた両手にエネルギーがスパークし、強烈な閃光が飛び散った。

そしてくっつけた両手を横に広げた。エネルギーが腕を広げた時に軌跡を作り、あたかも両手が糸で繋がれたような光景を作り出す。

ゼダは両手を広げた後、奇妙な構えに組んだ。手刀の形にした左手を立て、右拳をその手首に横向きに着けた。

ゼダの腕が、一瞬光を放つ。

両手の接触点から、敵性金属体のものとは比べ物にならないほどの勢いの光線が飛び出した。

 

美しい光の束は、真っ直ぐに伸びる。目標は当然、敵性金属体。光の奔流がティラノサウルスを貫いた。

光線が止んだ瞬間、敵性金属体の体に亀裂が走る。次の瞬間、人類を脅かす化け物は粉々に砕け散った。

ゼダの勝利だった。

敵性金属体ティーレックス型の撃破を確認すると、巨人の体が光に包まれる。否、ゼダが光となっているのだ。

出現するときとは真逆に、シルエットだけになり、そして消えた。そこにはもう、敵性金属体もゼダもいなくなった。

 

 

 

 

 

 

「ウィング・チーム、任務完了。敵性金属体の消滅を確認。」

「ヴォルフ・チーム、同じく任務終了。帰還許可求む。」

「了解した、ご苦労だった。帰還せよ」

「・・・ゼダか」

「共に戦う仲間としては、上等な部類だろう?」

 





近日公開できません
いくつか作品が終わってから書き始めますので、お待ちください!内容はコレと大体同じです
それでは


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お試し執筆 ウルトラマン編

 

光が辺りを照らす。その瞬間、一つのシルエットが浮かび上がった。

それは、銀と赤の二色に染められた、巨人。胸に輝く宝玉が、蒼い光を放つ。

「シュワッ!」

ウルトラマン。その巨人はウルトラマンだ。強く逞しく佇む、銀色の巨人。

その目前には、おぞましい形相の怪物がいた。ウルトラマンを越える体長の、爬虫類に似た怪生物だ。

宇宙怪獣ベムラー。数多の星々を荒らす凶悪な宇宙生物である。ウルトラマンは、かつて目の前の者とは別個体のベムラーと戦ったことがある。

以前の個体と、目の前のベムラー。同種であるから、外見は殆ど同じだ。そして、悪事を働いたのも同じ。

辺り一面岩だらけのこの惑星は、ベムラーによって住民を大虐殺された。ウルトラマンとベムラーが立つこの土地は、この星の者の住処があった場所なのだ。だが、ベムラーによる破壊行為に、瓦礫の山と化した。

これ以上この星の者に犠牲を出すわけにはいかない。ウルトラマンは、腰を深く落とし、前のめりのファイテイングポーズをとった。

「ヘアッ!」

「ギシャアアア!」

戦闘が始まった。先手はベムラーが取る。光の巨人へ、一直線に突進してきた。

一度倒したことがあるとはいえ、敵は狂暴な生物である。そのパワーはけして侮れるものではない。

頭からぶつかってくるベムラー。その側面を掴み取り、巨人は脚を踏ん張った。

巨大な力と力がぶつかり合い、拮抗の瞬間が訪れる。

だが、静寂はすぐに破られた。

「ジェエアッ!」

ベムラーを掴む腕を捻り、横へ投げ飛ばすウルトラマン。

「ギャオオオ!」

地面へ叩きつけられた怪獣は、唸り声をあげて倒れた。距離をとるように転がり、すぐ起き上がる。

だが、目前にはウルトラマンがにじり寄っていた。

起き上がったところへ、強烈な手刀が飛び込む。それも一度ではない。

「デアッ!デアッ!デアッ!」

顔面へ三度、強烈なチョップを浴びせられ、ベムラーは思わず身をよじった。ウルトラマンの攻撃に、たまらず仰け反る。

「キシャアア!キシャアア!」

「シュアッ!」

怯んだところへ蹴りを打つ。腰の入った、渾身の一撃だ。

「ギジャア!」

よろけるベムラー。ラッシュが止んだ一瞬をとり、数歩の後退りをする。

ウルトラマンがもう一度近付こうとすると、ベムラーの口内にスパークが輝いた。

ぶわっと広がる瞬き。怪獣の口から、超高温のビームが吐き出された。

「デュワァア!」

熱線を撃ち込まれ、一撃で吹っ飛ばされる光の巨人。背中から地面に倒れ込み、土埃が広がる。

直ぐ様体勢を建て直そうとするウルトラマンだったが、それを見逃さず怪獣が襲いかかる。

「ギシャアアア!」

肩に噛み付こうとするベムラー。しかしウルトラマンは、鋭い牙を剥くベムラーの口を無視した。その下、強固な皮膚に覆われた首元を狙う。

「ヘェエエアッ!」

両手の力を全力にして、宇宙怪獣の首を握る。あまりの力の強さに、ベムラーは一瞬だけ動きを止めた。

「シェアッ!」

マウントポジションをとったはずのベムラーは、ウルトラマンの反撃により引き倒された。そこへウルトラマンが馬乗りになり、二つの巨大な影は、先程の状況とは上下逆になった。

ウルトラマンが殴りかかる。

「ヘアッ!テアッ!」

「ギャオオオ!」

一発一発が強烈なラッシュ。悲鳴をあげるベムラー。

だが、ベムラーには、通常ではウルトラマンのマウントから抜け出すことはできない。

「デァ!」

そう、普通では。

ベムラーは長い尻尾を振り回し、自分に乗っかっている巨人の背を打ち据えた。

よろけたウルトラマンは、ベムラーが起き上がろうとするのを止められなかった。馬乗りの姿勢から転がり落ちて、しかしすぐ起き上がる。ベムラーも立ち上がっていた。

宇宙怪獣は尻尾を振り、ウルトラマンへ叩き付けた。強烈な衝撃を、腕でガードする。

ベムラーは尻尾を巧みに動かし、光の巨人の脇腹を、脚を、肩を次々と痛め付けていく。だが、巨人は防御姿勢のまま、小揺るぎもしない。

隙の少ない振り方では大きなダメージを与えられないと判断した宇宙怪獣は、巨人の息の根を止めるべく尻尾を大きくしならせた。大振りの一撃で、確実に仕留めるつもりだ。

尾に力を込めようと、体の右側へ引き寄せた。その瞬間であった。

「ンッ!シァアッ!」

光の戦士の右腕に、光が集まった。鮮やかなブルーの閃光は、ウルトラマンの右腕に集結し、一つの形をとっていく。

それは中心に穴の空いた、丸ノコギリの刃のような形状であった。

右手に出現した一枚の刃を、渾身の力でもって投げ付ける。

「デヤァッ!」

八つ裂き光輪は、大振りの構えをとっていたベムラーの尻尾を切断した。光の刃は皮膚と肉と骨を一瞬で通過し、飛んでいった。

「ギャオオオ!」

大きなダメージを受けたベムラーは、苦痛の雄叫びをあげる。その姿に、ウルトラマンはしっかりと狙いを付けた。

両手に集まる輝く光。腕にチャージされる力強い煌めき。

「ヘアッ!」

右手を立てて、左手を横に。手首で両手を交差する。

そして、放たれるのは必殺技。一撃必殺の最強技。

スペシウム光線。

溢れるエネルギーの奔流は、宇宙怪獣の胸部へ飛び込んだ。光の流れが、一層強くなる。

「ギィイイイジャアアアアアアアア!!」

ベムラーの断末魔と共に、着弾点から巨大な爆発が起こる。おぞましい宇宙怪獣は、スペシウム光線の前に倒れた。

ウルトラマンは、両手を十字の形から解く。激しい戦いは終わりを告げたのだ。

胸部に光るカラータイマーが、活動限界が近いことを知らせた。甲高い音、赤色の点滅。

銀色の巨人は辺りを見回した。瓦礫の向こうから、小さな影がポツポツと見えた。この惑星の住民であろう。

彼らは、恐ろしい怪獣に脅かされる心配をせずにすむようになった。星を救ってくれたヒーローを、輝く瞳で見つめている。

彼らの姿を認めると、ウルトラマンは空へ跳んだ。

「シュワッチ!!」

そして、そのまま空を飛行し、星雲輝く宇宙へと飛び去っていった。

ウルトラマンは勝利したのだ。

 

 





設定としては、初代ウルトラマンがいろんな技を使ってベムラーを倒す、というものです
時系列的にはゴーストリバース以前辺りかな?悪事を働く野良ベムラーをどっかの惑星で倒したのだと思います
ウルトラマンは良いぞ

これで巨大ヒーローの描写を勉強できました、いつか活かせるといいなぁ


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