キチガイ達が暴れるだけの、そんな話。 (シニカケ)
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ササニシキのセカイの終わり

このセカイは終わってしまった。

それでも、諦めない僕らは戦う。

 

「グオオオオオ!」

 

「ニシ!そっちに行ったぞ!」

 

唸り声を上げながら、それはタックルを見舞おうと迫ってくる。

肉が腐った人間の姿。それはゲームや映画で見た通りのゾンビで、見慣れない内は現実なのか目を疑う光景だ。

 

残念ながら、僕達は見飽きる程に見慣れてしまったけれども。

哀れな化物に少しだけ黙祷を捧げ、鉄パイプを振りかぶる。

 

「大丈夫だよ、チカ。」

 

鉄パイプは正確に、ゾンビの頭を潰していた。

 

 

 

 

化物が現れたのは一ヶ月前の、何時も通りの月曜日のことだった。

 

僕は学校に行く前に、外の異常に気づいていた。

 

『速報です。只今全国一斉に謎の暴動が起こっています。外出は控えドアに鍵をかけて──』

 

「……だって。母さんも仕事止めといたら? 」

 

無駄だと思いながら、一応忠告した。案の定鼻で笑われる。

 

「何が暴動よ、アホらしい。あんたも学校だけは行きなさいよ。またあの熱血教師に呼び出しくらうの、嫌だから。」

 

「ごめんなさい。」

 

ふん、ともう一度鼻で笑って玄関のドアを開けた母さんは、そのまま僕の目の前でゾンビに食われた。

首がとれたのを見て、ゆっくりその場から離れる事にする。

 

足音をたてないように気を使いながら部屋に戻った僕は、思わず溜め息をついてしまった。

 

「だから、言ったのに。」

 

 

 

 

 

その1時間後、連絡のついたチカが迎えにきてくれた。

あれから一ヶ月。ずっと一緒に行動している。

 

「ニシ、怪我無いか?」

 

チカが周囲を警戒しながら走ってきた。

つられて辺りを見回すが、怪しい影は無い。

笑って手を振ると、チカはほっとした顔を見せた。

 

「チカ達こそ大丈夫?全員無事?」

 

「残念ですが、笹下さんが亡くなりました。バカが一人重傷ですが、そちらは気にしなくとも良いでしょう。」

 

ゆっくりと、チカの後ろを歩くツインテールの少女が言った。

 

「…そっか。ソウジもお疲れ。」

 

頭を撫でてやると、総司は気持ち良さそうに目を細目ながら子供扱いするなと怒る。

それが面白くてついつい、もっと撫でてやる。

 

総司のサラサラの髪は触り心地がいいのもあって、つい夢中になっていた僕は背後に忍びよる人影に気づかなかった。

 

「ソウちゃんをいじめるなハゲ!」

 

「グフッ!」

 

脇腹に肘鉄が刺さり悶える僕にアイは冷たく一瞥するだけで、総司にすぐに抱きつく。

 

「ソウちゃん大丈夫?襲われてない?!」

 

とんでもない事を口走りながら、総司の頭をアイも撫で回す。

アイは総司を溺愛している。ヤンデレの気もある少しヤバイが、戦力的には頼れるヤツだ。

 

「大丈夫です。ニシさんはヘタレなので。」

 

「あー、うん。ニシってヘタレだよな。」

 

「ちょっと待てや。」

 

ヘタレではない。断じて違う、筈だ。

 

「おい、騒ぐな。次が来ちまったぞ。」

 

少し離れた見張りをしていたトシが、げんなりとした表情で向こうを指差す。

 

トシはつい最近合流したせいか、あまり僕達に馴染めていない。

笹下さんや大見さんと違って、年齢が近いからこれから仲良くなっていけたら良いなと思っている。トシは僕達の事が苦手みたいだけど。

 

「アイ!敵だって!」

 

「ソウちゃん良かったね!思う存分、やっちゃって!私がサポートするよ。」

 

「俺も行く。ぶち壊してやるよ。」

途端に三人は目を輝かせ、暴れる準備を始める。

僕は少し迷って、この中ではまだ常識人のトシと同じくげんなりする事にした。

 

「おい、ニシ。お前もキチガイ仲間だろうが。あいつらと一緒に特攻してこいよ。」

 

「今日は無理、気分的に。それに、あの三人で大丈夫でしょ。」

 

やっぱりキチガイ仲間だ、とぶつくさ言うトシを無視して上を見上げる。

 

 

空は数週間前、飛行機雲やらよく分からない煙やらで一杯でとても白かった。

 

国外脱出を試みた日本人は多かった。

けど外国に着く前に乗り物の中にゾンビが紛れてたり、他国のミサイルに打ち落とされたり、普通に素人が運転して事故起こしたり。あまりにも無謀な挑戦だったと聞いた。

 

それに、もし脱出出来たとしても受け入れてくれる国は無かった。

 

自衛隊の笹下さんは、政府が泣き喚きながら受け入れ交渉をしていたと教えてくれた。

もし、他国に住もうとするなら密入国しかない。見つかれば化物になるかもしれないと怖がられて殺される、そんなリスキーな毎日を送る。

 

だから止めておけ。

そう言われたので、僕達は諦めた。

 

 

この空の向こうには、もう道はない。

僕達はこのセカイから出られず、ここで死ぬ。

 

 

「大丈夫、私はあなたを愛します。だからすぐに殺してあげます。」

「ソウちゃん格好いい!……ッ!邪魔者は消す。」

 

「ぶち壊してやる!ミオが帰って来れるようにな!」

 

「うっわぁ。こいつら見てると、俺がしてきた犯罪がちゃちな物に見えてくるぜ……。」

 

でも。皆と同じ最期なら、悪くないかも。

 

 

Side:佐々 錦

 

最期は一緒に。




最初だからって長すぎた!!
こんな感じでほのぼの系です。


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オキタソウジのセイキマツ

私の愛を受け取って欲しかった。

 

「愛させて欲しい。」

 

その願いが叶うなら、セカイの終わりも悪くない。

 

 

「某漫画の世紀末って感じだな。戦争が原因でも、世界が終わりでも無いけど。」

 

「……セイキマツ、って何ですか?」

 

聞き覚えの無い単語に首を傾げる。チカイ先輩に問うと、快く教えて頂けた。

 

「世界の終わり、みたいな意味だよ。ノストラダムスの予言みたいな。」

 

「それ、外れましたよね。」

 

小さな頃に、どうせ世界は終わりじゃー!みたいな予言を信じた人が居たらしく、この国がパニックになった事があった。

 

因みに私の父もその一人である。今にしてみれば恥ずかしいと、語っていた。

 

「有名な予言だったから、それを題材にした漫画があったってわけ。設定では戦争で目茶苦茶な世界になってんだ。」

 

「確かに似てるのかも知れませんね。戦争が原因ではないし、日本以外はセイキマツではありませんけれど。」

 

荒廃した国。人の生活の名残の残骸をぐるりと見渡した。

セカイの終わり。そうかもしれない。

 

「……それ、世紀末の使い方間違ってるから。」

 

「てへぺろ。」

 

「古ッ!」

 

セカイの終わり。セイキマツ。

 

とっても素敵だ。

 

 

 

 

「ソウちゃん、次5体来るよ!」

 

アイが耳打ちすると同時に気分が高揚する。指差す方を見ると確かに5人、確認できた。テンションが上がる。

 

「アイは3と2どっちが良いですか?」

 

余計な事を聞いてみる。アイは私にとても優しい。私の考えを理解は出来てないのに、察して上手く立ち回ってくれる。

 

「ソウちゃんは思う存分やっちゃえば良いんだよ。私がちゃんと合わせて、サポートするから。」

 

「アイ。ありがとう。」

 

「ソウちゃんのタメ口、キター!!死ねる!」

 

アイは優しい。変だけど。

そうこうしていると、敵が近づいてきた。その内の一人が飛び出して来る。

 

「ソウちゃん!」

 

「アイ、大丈夫です。……あの子を愛して来ます。」

 

 

 

愛させて。あなたを見せて。愛してあげる。大丈夫私はあなたをちゃんと理解できる。真っ直ぐに私に向かっている。私を食べたいのね。大丈夫。私がちゃんと愛してあげる。あなたを完全に理解したわ。失敗すればすぐにアイを襲うのでしょう?分かるわ、でもごめんね私が愛してあげるの。そう愛してあげる。大丈夫一瞬だから。痛覚は無いと思うけど、次が来ちゃうからすぐに首を屠ってあげる。だから愛させて。

 

 

 

 

『総司、剣道の極意を教えてやろう。

剣道は相手を見切れねば勝てぬ。よく見て、理解しろ。行動を全て読みきれ。最強の剣豪になるために。

 

お前には俺すら越える才能がある。お前が二代目沖田総司となる為に、一目で敵を完全に理解出来るようにしろ。心を全て暴いて、全てを見透かすのだ。

 

恋をするように、理解しようと努力しろ。』

 

昔、セイキマツの予言よりずっと前に父はそう言った。

私はその教えを守って戦っている。

 

けれど。その思考は異常であると、すぐに理解した。だから隠し続けた。

弱くなると知りながら、愛する事をせずにひたすら相手を睨んで竹刀を振るった。

 

でも、このセイキマツとこのセイキマツを一緒に歩くアイは分かってくれる。

 

「愛してあげる。だから愛させて。」

 

私はこのセイキマツを、愛せる幸せを噛み締めた。

 

 

Side:沖田総司

 

この絶望ごと愛してる。




オキタ ソウジはツインテール女子学生です。ややこしくてすみません。


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オオコノサカチカイのレンアイ事情

俺は未央とはぐれてしまった。

 

あいつは強がりで、本当は怖がりで泣き虫で暗いところが苦手で俺が居ないとダメなヤツなんだ。

俺も未央が居ないとダメなヤツだ。未央が居るから生きられる、未央の隣だから生きられる。

 

小さい頃に両親が離婚した。俺は父さんに引き取られたが、それからは毎日殴られた。

素手、バット、本、酒ビン、椅子、灰皿、傘、鍋、フライパン、植木鉢、机、テレビ、体重計、グラス、殺虫剤、箒、鏡、鞄、本棚、扇風機、麺棒、卓上ライト、リモコン、ガラスケース、ラジオ、電卓、延長コード、ガスコンロ、皿、湯飲み、まあとにかく色々。

 

父さんは母さんに浮気されたらしい。母さんに似た俺を殴りながら、ざまあみろと何度も叫んでいた。

俺は父さんが可愛そうだと思った。だから、誰にも言わなかったし黙って殴られていた。

 

 

「それ、いたくないの?」

 

小学三年生の時、隣の席になった未央から声をかけられた。

その日の前日、父さんは卓上ライトで俺の腕を強く殴った。そのままにしていたら、真っ青な痣が出来ていた。

 

未央はそれを指差した。

 

「いたくない。」

 

「ウソだー。こんなにすごい色してるのに。」

 

父さんは可愛そうなんだ、俺が守らなくちゃ。当時はそれだけしか考えてなくて、未央を黙らせたくて。

 

「いたくねえっての!!」

 

「きゃあ!」

 

気がついたら、未央を殴っていた。

 

 

「おおこのさか、いけねーんだ!!」

 

「何やってんだよおおこのさか!」

 

「サイテー!このでぃーぶぃ男!」

 

「しおたさん、だいじょうぶ?!」

 

 

 

普段は俺に近づこうともしないクラスメイト達が一斉に喚き散らした。他のクラスからも野次馬が来ては囃し立てる。

昼休みだからか、先生は来ない。

 

そんな周りの状況なんて、その時の俺は見えなかった。あんなに騒々しいのに、何も聞こえない。

 

 

「……………あ、」

 

見えるのは未央と、未央を殴った拳だけだった。

 

だんだんと頭が状況を理解する。体がブルブル震えた。

殴った感触が消えてくれない。柔らかくて中身が硬い何かに手をめり込ませてぶっ飛ばした。

 

倒れた未央はただ呆然としていた。頬が真っ赤になって痛そうだった。

 

 

ふと、可愛そうな父さんの顔が浮かんだ。

俺も可愛そうなヒトになってしまった。

 

なら、この手も父さんが俺を殴る手と同じ。父さんの怖い手だ。

理解すればするほど、俺は自分に恐怖した。

 

 

そんな俺を可愛そうだと思ったのだろうか。

 

「おおこのさかくん。」

 

未央は俺の手を、自分の両手で包んだ。

 

「お、まえ、なにして」

 

「びっくりさせてごめんね。わたし、だいじょうぶだよ。」

 

真っ赤に腫れた痛々しい顔で、未央は笑った。

「おおこのさかくん。ごめんね。」

 

そう言って、未央は簡単に可愛そうな俺を受け入れてくれたんだ。

 

 

中学に上がる頃には環境もだいぶましになって、ニシとも仲良くなった。ニシも大事な友達だけど、未央はそれ以上に大切だ。

 

未央が居たから、俺は。

 

「ニシ、未央は大丈夫だよな。」

 

まだ原型を留めた一軒家を見つけた。今日は見張りをたてながら、ゆっくりすることになった。

 

眠れなくて家の中を彷徨いていたら、見張りをしていたニシを見つけてつい聞いてしまった。

気まずい沈黙に、早くも後悔する。

 

ニシは少しだけ目を瞑って、それからゆっくり頷いた。

 

「うん。……そうだね。」

 

ニシはそう言った。

 

分かってる。未央一人で生きるには、過酷過ぎる。

でも諦めねーよ。諦められるかよ。世界で一番愛してるんだ。

 

「近くを見てくる。すぐに戻るから。」

 

鉄バットを持って玄関へ向かう。ニシは止めなかった。

 

「チカ先輩。」

 

途中でソウジと会う。ソウジの目線がバットへ行き、少しの沈黙の後ヘルメットを持たされた。

 

「防具も着けて下さい。危ないですから。」

 

ソウジの躊躇いと諦めが伝わる。心配してくれる仲間がいるのも、あの時未央が居たからだ。

感謝を込めてソウジの頭を軽く撫でた。

 

「ありがとな。ソウジ、頼んだ。」

 

「子供扱いしないで下さい!……気を付けて。」

 

未央、大好きだ。未央。

 

どうして、ニシの家を出てから居なくなってしまったんだ。

 

 

Side:大不来坂 千海

 

未央は死んでなんかいない。




また分かりづらい物を出してしまった…。すみません解説置いときます。

未央ちゃんは実在する人物です。殴られても許してくれる優しい子です。

父さんの暴力が少なくなったのは、チカが『可愛そうな父さん』を迎撃するようになったからです。
『可愛そうな自分』を嫌悪した彼は、更正するために父さんの暴力を嫌悪するようになりました。チカは運動神経が良いので、その気になればボコボコにできました。

未央ちゃんはニシを助けに、チカと向かい合流後に食べられました。
チカの恋人が死んだのは皆知ってます。ことある毎にチカが騒いで、ニシとかがフォローする感じ。

本当の事を言っても聞いてくれないので、諦めています。そんな感じ。


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サイトウラブリイのコウフク論

誰にもあげられない。私だけのものになって?

 

ソウちゃんは可愛い。

 

敬語で、ツインテールで、学生で、色白で、目がくりっとしてて、強くて、でも優しくて、本当は愛した相手を殺すのは抵抗を感じてる。

 

私はソウちゃんの愛を理解出来ない。

私がゾンビにならない限り、「愛して」もくれない。

 

でも、私のソウちゃんでいてくれるなら我慢できる。我慢、しないと。

 

 

 

「ソウちゃんをいじめるなハゲ!」

 

「グフッ!」

 

ソウちゃんの頭を撫で回しやがったソウちゃんの照れ笑いを見やがったソウちゃんの頭を堪能しやがった。仲間のニシでも許せない。

 

脇腹にクリーンヒットした肘鉄が刺さりニシは悶える。ニシを踏まない様にだけ注意を払い、ソウちゃんに抱きついて息をつく。

 

大丈夫、我慢。

 

気持ちが落ち着くまで、2秒。ソウちゃんの髪を弄ると、だいぶ落ち着いた。

 

それから、改めてニシを見る。

やり過ぎたかなと思ったけど、ニシはこっちを見てしょうがないなとばかりに苦笑したので大丈夫と判断した。

 

「ソウちゃん大丈夫?襲われてない?!」

 

何を言うんだ、とばかりにニシが目を見開く。でも、私の気持ちが落ち着いた事に安心している気持ちも伝わる。

 

「大丈夫です。ニシさんはヘタレなので。」

 

ソウちゃんも私の気持ちを理解して、軽口を叩いた。

 

「あー、うん。ニシってヘタレだよな。」

 

チカはよく分からない。けど空気を読んだのか、冗談に付き合う。

 

「ちょっと待てや。」

 

ニシがツッコミを入れて、ほのぼのとした雰囲気になる。

本当に、良い人達ばかりで少し困ってしまう。

 

 

私は異常なのに。

 

 

 

私は異常くらい執着心が強い。

 

全てのものはいつか壊れてしまう。壊れて私を置いてきぼりにする。

 

それは物でも、者でも。

 

置いてきぼりにしないでと願っても。

ずっと一緒にいると約束しても。

縛りつけても、監視しても、閉じ込めても、誘惑しても、

 

いつか。必ず私を置いてきぼりにする。

 

私はそれを知ってから、ますます執着するようになった。

 

でも、何でもかんでもではなく自分のものだけ。そう制約をかけた。

 

 

 

 

ソウちゃん達は、数週間前に出会ったばかりだ。

私は委員会の資料作りのために、あの日は早く学校に来ていた。

 

朝練をしていた運動部の誰かがゾンビに食べられているのを見て、私は委員会の部屋に立て籠った。幸い小さな冷蔵庫の中に、皆のおやつやお茶が入っていたのでそれだけで十数日過ごした。

 

辛くて、ソウちゃん達に助けられた時にはお礼も言えない程に衰弱していた。栄養が足りなくて踞る事しか出来なかった私に手を差し伸べたソウちゃんが、ヒーローみたいで。

 

 

ほしいなぁ。

 

 

つい、思ってしまった。

 

人が欲しいと思ったのは、久しぶりだった。我慢しようとは思ったけど、一週間も経たない内にカミングアウトした。

 

 

今もソウちゃんは私のものじゃない。私はソウちゃんの仲間として、サポートするために隣に立つ。

 

この現状はちょっととは言えない程に苦しい。もしかしたら立て籠った時より辛くて死んじゃいそうな気になるけど、私は今は我慢することにした。

 

だってソウちゃんが好きだから。

 

家に置いてあるコレクションも、学校にある私のものもどうなってるのか気になって眠れない。

けど今一番欲しいのはソウちゃんで、ソウちゃんから絶対離れたくないと願ってしまっているから。

それに、この執着を理解しようとしてくれる仲間もここにはいるから。

 

 

私はこのセカイ自体に、執着しかけているのかもしれない。

 

 

立て籠っている間は辛かったけど、ずっと何も出来なくて校庭を見ていたからゾンビがどうして増えるのかを知ることが出来た。

 

ゾンビに食べられた人は、脳を食べられてなければゾンビになる。

 

ゾンビになるのにまる1日から2日かかり、人間なら死体でも食べる。

ゾンビには視力があるようだ。遠くでも、目が合うと近づこうとする。

 

運動神経は個体に差がある。損傷部分が原因の時もあるけど、鉤爪とか明らかに後からパーツをつけたようなのとか、最早人の形をしてないのとかもいる。そういうのは校庭の外からだけ現れた。

 

人以外は食べようとしない。それは正にゲームや映画のゾンビのようだった。

 

 

まるで。ゲームや映画のゾンビを参考にしたかのように、共通点は多い。

 

 

 

「おい、騒ぐな。次が来ちまったぞ。」

 

トシが私の至福の時の終わりを知らせる。……爆破すんぞ。冗談だけど。

 

「アイ。」

 

ソウちゃんがそっと耳打ちする。

 

「何?」

 

「また一緒に暴れてくれますか。」

 

そう言ってソウちゃんは、優しく笑った。

 

 

Side:斎藤愛凛

 

それは苦くもいとおしい。




「キチガイ共の愛の歌」とかにタイトル変えようかな?(笑)

愛凛と書いて、ラブリイと読みます。キラキラネームってやつです。
愛凛も複雑な家庭で産まれて、そのエピソードがあったのですが入りませんでした。

ゾンビについてようやくちゃんと書けました!愛凛ナイス!次が最後の予定だけど!

すみません、どうしても納得のいく最終話が書けませんでした…。いつになるか分かりませんが、いつか書こうと思います。


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