異空生物―喰種―イクーセイブツ―グール― (中2病人間M)
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主な登場人物

南雲 颯(ナグモ ソラ)

赫子(ガクネ)/鱗赫(リンカク)

東京都に住む高校2年生、怪物人間のアニメを見始め、その後、異空生物(イクーセイブツ)である喰種(グール)に襲われ喰種(グール)の心臓が体内に入り込み半喰種(グール)となってしまった。その後は異空生物対策局に保護され喫茶店の店員となったのである。彼は人肉はおろか喰種(グール)より抽出された栄養ですら飲むことを拒否していたため赫子は出せず喰種(グール)としてのレートはレートなし判定されていた。また、人間として生きることを強く望み人間の食べ物を食べる訓練等もしていたがとある喰種(グール)との戦いをきっかけに喰種(グール)として覚醒する。

 

西山 大地(ニシヤマ ダイチ)

ソラと同じクラスの高校生で親友、喰種(グール)になったソラを一番最初に受け入れ以前と変わらず接している。

 

大沢 詩音(オオサワ シオン)

【赫子/甲赫(コウカク)

ある日、現れた美少女で天然の隻眼(セキガン)喰種(グール)、彼女の父は喰種(グール)の世界とこちらを自由に行き来できるペンダントを持っていたが父が喰種(グール)の世界で消息を絶ち食糧を確保できなくなり(彼女は喰種(グール)の食糧はヒトか喰種(グール)だけだと思っていた)空腹になりさ迷っていたところをソラに出会う。年齢は16歳。

 

『謎の喰種(グール)

【赫子/鱗赫】

ソラを喰種(グール)の世界に誘い込んだ張本人、彼の赫包(カクホウ)は肉体が活動を停止しても生き延びようとする程の生命力を持っている。

 

 

異空生物対策局(イクーセイブツタイサクキョク) 喰種対策部(グールタイサクブ)

異空生物対策局はこの世界以外の物質で構成されている異空生物の管理を行う組織、政府認可で秘密裏に行われ捜査官には警察手帳が発行され表上は警察官として通っている。(その際の名前は偽名であり顔も異空の技術を応用した人の顔のマスクを着けている)他の異空生物対策部同士は干渉しないためそれぞれのことは知らないことが多い、喰種(グール)対策部ではこの世界の喰種に身分証明を発行したり人間を捕食する喰種(グール)の逮捕、駆逐を行っている(その際には人の顔のマスクの他に身元隠しのマスクをつけ、互いのことをクインケ名で呼びあっている)。また、異空生物対策局は東京の府中駅前警察署(異空対策局はヘリコプターを多用するため航空自衛隊の基地が近くにありヘリコプターの多用を怪しまれないため等)の地下に広がっている。

 

三浦(ミウラ)部長』

【クインケ『ヒロカタ』羽赫(ウカク)

喰種対策部の部長、普段は指示を出すことが多いため捜査官としての実力は不明。年齢は47歳。

 

久門(クモン)捜査官』

【クインケ/『フレディ』鱗赫】

水戸(ミト)捜査官の上司であり、クインケ製造の資格も持っている。年齢は47歳。

 

水戸(ミト)捜査官』

【クインケ『シニガミ』/尾赫(ビカク)」】

久門捜査官のパートナーで新人、自身が仕留めそこねた喰種(グール)のせいでソラが半喰種(グール)化したためソラに対して責任を感じている。年齢は24歳

 

冨士 喜一(フジ キイチ)

【赫子/羽赫】

喰種(グール)対策部に登録されている喰種(グール)、ソラに訓練をしたりしていて仕事以外は野村珈琲店(ノムラコーヒーテン)珈琲(コーヒー)を飲んでいる。年齢は33歳。

 

 

野村珈琲店(ノムラコーヒーテン)』『野村(ノムラ)

唯一、喰種(グール)対策部と繋がっている喰種(グール)の世界の喫茶店、1階ほ喫茶店であり、珈琲(コーヒー)と軽食を出し、2階はレストランで食事を出している、喫茶店は普通の喫茶店であるがレストランは完全個室でありカウンター席にまで敷居がある。これは人間に食事を出す最中、喰種(グール)喰種(グール)用の食事を提供するためである。また、店員は店長始め全員喰種(グール)である。

 

野村(ノムラ)店長』

【赫子/尾赫】

喫茶店『野村珈琲店』、レストラン『野村』の店長、喰種(グール)となったソラを仲間として受け入れた。陰で人間を喰らっている喰種(グール)を始末しその肉から栄養を抽出しそれを店員の喰種(グール)に供給している。(そうすることでヒトを食べなくても喰種(グール)として強化できる)、また、彼は訓練により人間の食物を味あうこともできる。年齢は52歳。

 

石井 美代(イシイ ミヨ)

【赫子/羽赫】

野村珈琲店の従業員、日替わりでレストランで喰種(グール)の食事を作る。喰種(グール)としての実力は不明。27歳。

 

古田 丸吉(フルダ マルキチ)

【赫子/尾赫】

野村珈琲店の従業員、石井と日替わりでレストランで喰種(グール)の食事を作る、実力は不明。年齢は28歳。

 

白石 彩乃(シライシ アヤノ)

【赫子/鱗赫】

野村珈琲店の従業員、人間の食物を作るリーダー、また、まずいなりにどの味が人間にとって美味かわかっておりいつも体を張った味見をする、レートはAとされているが……年齢は22歳。



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喰種

食物連鎖の頂点に立つ筈のヒトを喰らう者たちがいた、彼らはヒトからしか栄養を採ることができなかったのだ、そんな彼らはこう呼ばれた。

 

 

ヒトを喰らう怪人……『喰種(グール)』と……

 

 

これはとある他の世界(異空)の話である……しかし、我々の世界もし、繫がっており、この我々の世界に喰種(グール)が現れたら………………どうか、異世界の出来事でありますように……

 

 

 

 

 

「ダイチ、なにそれ?」

「ソラか、これさ、怪物人間ってアニメなんだ」

 

 

8月の暑い日だった、高校生の僕は友達の西山 大地(ニシヤマ ダイチ)と一緒にゲーセンにいたのだ。

 

 

ダイチはゲーセンでゲームをせずにスマホでアニメをずっと見ていたのである。

 

 

「面白い?」

「ちょっとグロいけど面白いよ」

 

 

僕の名前は南雲 颯(ナグモ ソラ)

 

 

 

 

そして、僕は家に帰るとさっそくテレビで怪物人間を見てみた。

 

 

たしかにグロいや……でも、面白い。

 

 

僕はすっかり気に入ったのだ。

 

 

怪物人間は人の肉喰いまくってるな、僕だったら発狂するな。

 

 

 

 

 

とある巨大な部屋、その部屋に集まる人々はその部屋の巨大なモニターを注視していたのである。

 

 

「おい、ターゲットはどこだ」

「今、水戸(ミト)が追跡している」

「大丈夫か?あいつひとりで新米だぞ」

「あいつは優秀だ、平気だろう……お、三浦(ミウラ)、ターゲットの位置が判明したぞ」

「本当か、久門(クモン)、よし、ミトに連絡してくれ」

「もうしている」

 

 

 

 

 

その頃、僕は口が寂しくなり少し遠くのコンビニまで自転車で向かい食べ物を買っていた。

 

 

「怪物人間、漫画もあったな」

 

 

 

 

 

とある路地裏でサングラスをかけた男性と女性が歩いていたのだ。

 

 

「あの本当にお茶だけですからね」

「わかってます、私はやましいことはしないから」

 

 

どうやら男性は女性にナンパをしたようだった。

 

 

そして、男性は女性を路地裏へと連れていったのである。

 

 

「あの、おいしい喫茶店ってどこですか?ここ路地裏ですよね」

「ここだよ」

「ここ?何もないですよ」

「俺の喫茶店、珈琲(コーヒー)は俺が淹れるの、とってもうまいお肉が喰える喫茶店、実は俺、6日も何も喰ってないんだ」

「え、大丈夫なんですか!?」

「駄目だね………だから、お前の肉を喰わせろ!!」

 

 

そして、男はサングラスを取った。

 

 

「えっ……」

 

 

その男の目は白目が黒く瞳孔(ドウコウ)は紅く染まっていたのだ。

 

 

「いやぁぁぁぁ……なによ」

「腹へった、やっとうまい人肉だぁ、人肉喰ったら他の動物は喰ってらんないもんな!!」

 

 

そして、男は女性に飛びかかろうとしたのである。

 

 

「いやぁぁぁぁ!!」

 

 

その時

 

 

「なっ」

 

 

銃声とともに男の左肩に銃弾か直撃していた。

 

 

「なに!?」

 

 

発砲した男は直ぐ様に女の前に回り込むと手帳を取り出し女性に見せたのだ。

 

 

「警察です、早くここから逃げてください!!」

「はっ、はいぃ!!」

 

 

そして、女がこの場を離れたことを確認するとドクロ顔のマスクを装着したのである。

 

 

「身元隠しのマスクか、ということはさっきの顔は素顔じゃないな」

「答える通りはない……異空生物対策法(イクウセイブツタイサクホウ)に基づき貴様の身柄を拘束する、抵抗する場合は駆逐する!!」

「おのれ、まぁいい、まずはお前の肉を喰う!!俺の赫子(ガクネ)に引き裂かれるがいい!!」

 

 

そして、男の腰ら辺から紅い赫子と呼ばれる物が4本現れた。

 

 

「!!この赫子、鱗赫の中でも特殊なやつか」

「そう!!稀にあると言われる再生力が高い赫子だ」

「……どちらにしろ、抵抗するなら始末する」

 

 

そして、ミトはトランクケースを取り出してスイッチを入れたのだ。

 

 

するとトランクケースが開き中からまるで死神が持ってるような鎌が現れたのである。

 

 

「それがクインケか」

「そうだ、お前らの赫包(カクホウ)を利用して作られた我々の武器だ!!」

 

 

ミトと喰種(グール)の戦いが始まった。

 

 

「死ね!!死ね!!肉を喰わせろ!!」

 

 

ミトは喰種(グール)の赫子を全てクインケで弾くと一気に喰種(グール)の懐へと入り込みクインケを振りかざしたのだ。

 

 

「なにぃ……」

 

 

そして、喰種(グール)の肩から下まで深い切り傷を負ったのである。

 

 

「バカめ、空腹時に捜査官に挑むとはせっかくの強い赫子が台無しだな」

「チクショ……」

 

 

そして、喰種(グール)は吐血しながらふらつき近くのガードレールから下へと落ちたのだった。

 

 

「あれだけの傷を受けて高台から転落すればまず命はないか」

 

 

捜査官はトランシーバーを取り出した。

 

 

喰種(グール)対策部、喰種(グール)対策部、応答を願います、こちらシニガミ(身元隠し対策としてマスク装着中はクインケの名前で連絡する)」

『はい、こちら喰種(グール)対策部です』

「21時54分、ターゲットの喰種(グール)を駆逐完了」

『ターゲット駆逐了解』

「ターゲットによる犠牲者はなし、以上」

『犠牲者はなし、了解』

 

 

そして、無線が切れるとミトは煙草を取り出して火を着けようとするもガードレールの下を見てとあることに気がついたのだ。

 

 

「ん?喰種(グール)の死体はどこだ」

 

 

喰種(グール)が落ちていった場所には死体はなかったのである。

 

 

「あいつ生きていたのか!!……まずいな」

 

 

 

 

 

その頃、僕は肉まんを食べながら自転車で走っていた。

 

 

その時

 

 

「うがぁぁぁぁぁ……ニッ…ニクゥゥゥゥゥ……」

 

 

僕は川辺の近くを血だらけで這いつくばってる人を見つけたのだ。

 

 

「うわっ、あの人血だらけだよ!!」

 

 

俺は自転車を止めてその人の方へと駆け寄ったのである。

 

 

「すいません!!大丈夫ですか!?……えっと、救急車!!救急車を呼びますね」

「……喰わせろ……」

「えっ?」

「肉を喰わせろぉぉぉ!!」

 

 

その人の顔を見たとき僕の脳に衝撃が走った。

 

 

その人の眼は白目が黒く瞳孔は赤ったのだ。

 

 

僕が理解しないうちに一瞬で男の人の手は僕の胸を貫きその人は僕の心臓を引き抜いたのである。

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

そして、その人はそのまま僕の心臓を思いっきり喰らった。

 

 

「うまい……もっとよこせ」

 

 

その人は僕の肩に噛みついて肩の肉を喰いちぎろうとしたのだ。

 

 

「う……」

 

 

僕は無意識に近くに転がっていた瓶でその男を殴ったのである。

 

 

「うがぁぁぁ!!」

 

 

その人はその場に倒れると目をピクピクとさせていた。

 

 

「ごの……俺がごんなどころじぇ……」

 

 

そして、その人が殆ど絶命するとその人の胸の切り傷から男の心臓と思われる物が出て来てその心臓は赫子を出しながら動きだし気を失っているソラの胸の中へと入り込んだのだった。

 

 

 

 

 

数分後に僕は意識が爆発するように目が覚め目が覚めた頃には何故か見たことない場所を歩き続けていたのだ。

 

 

 

 

 

そして、

 

 

「あなた、大丈夫!?」

 

 

通りすがりの人が僕の姿を見て救急車を呼んでくれ僕は再び気を失い次に目覚めたときは病院の病室だった。

 

 

「ここは……病院……」

 

 

そこへ、医者がやって来たのである。

 

 

「気分はどうだい?」

「特になんとも……」

「さて、何があったのかな?いやね、君の傷は不自然だったのだよ」

「不自然?」

「ああ、胸と背中の同個所抉られたような傷があった、まるで、貫通した傷が内部だけ治ったかのように」

 

 

傷、そうだ!!変なの襲われて……心臓が……しかも、あの人のあの眼……あれって怪物人間の目に似てたよな、でも、心臓がなかったら俺は死んでるし………そもそも怪物人間がいるわけ………じゃ、あれは夢か………でも、うっすらとあの人の心臓が僕の中に入っていくの見たような………

 

 

「どうしたんだい?」

「いえ、何でもないです、何も覚えてません」

「そうか」

 

 

 

 

 

その日の夜、僕は普通に病院で食事をとって眠り次の朝になった。

 

 

「さて、見せてごらん」

 

 

僕は包帯を取り胸と背中を見るとそこにはまるで擦り傷のような傷しか残っていなかったのだ。

 

 

「おや?おかしい、昨日はもっと抉れてた筈なのに一晩だけでこんなに直るものかね」

 

 

そして、朝は気分が悪かったので朝食は食べなかったのである。

 

 

しかし、不思議と腹は減っていなかった。

 

 

その後、昼前にダイチがお見舞いに来てくれたのだ。

 

 

「ソラ!!大丈夫か、ほら、お前の好きな寿司を買ってきたぞ、もちろん、回転寿司だけどな」

 

 

ダイチは差し入れで回転寿司の寿司をくれたのである。

 

 

ここ病院だぞ……

 

 

 

 

「じゃ、お大事にな!!」

「ああ、寿司をありがとう」

 

 

暫く話してダイチはもう用があると言って帰っていった。

 

 

「さてと、せっかくだし、食べるか」

 

 

僕は看護士にばれる前に食べようとダイチのくれた寿司のタッパーを開けてタッパーをひっくり返してタッパーに醤油を入れてワサビをとかしたのだ。

 

 

「じゃ、まず、まぐろっと……」

 

 

僕は箸でまぐろを掴むと醤油をつけて食べたのである。

 

 

「!?」

 

 

なんだこれ!?

 

 

その寿司の味はまるで魚は生臭く、(まずいまずいまずいまずいまずい)シャリは酢の味が化学調味料を(まずいまずいまずいまずいまずい)ふんだんに使用したような気持ち(まずいまずいまずいまずいまずい)の悪い甘味に米はまるで嘔吐物そ(まずいまずいまずいまずいまずい)の物のような味で、しかも、それ(まずいまずいまずいまずいまずい)に加えて本来の寿司の味も混ざっ(まずいまずいまずいまずいまずい)ていたのである。(まずいまずい)

 

 

「うっ……」

 

 

そして、何よりも嘔吐神経が過剰に刺激され僕は嘔吐してしまった。

 

 

「どうしました!?ってお寿司持ち込んだですか、ダメじゃないですか~」

 

 

ナースは「もうしないでくださいね~」と言って嘔吐物を処理してくれたのだ。

 

 

「すいません、ありがとうございます」

「大丈夫ですよ~また、何かあったら言ってくださいね、それで、あの、お昼ご飯どうされますか?」

 

 

ご飯……きっと、あの寿司は腐ってたんだ、そうに違いない。

 

 

「食べます」

 

 

そして、出されたお昼ご飯をまずは米から口に入れたのである……

 

 

「うっ!!」

 

 

嘔吐物のような味がしたので嘔吐する前に口から米を出した。

 

 

「もう、食べないんですか?」

「……はい、すいません、ちょっと食べれなくて」

「……そうですか」

 

 

そして、夜には傷は完治しており明日には退院できることになったのだ。

 

 

なんなんだ、食べ物が口にできないなんて……不安だな……

 

 

僕は不安だったが寝ることにしてそのまま眠りについたのだった。




はじめての投稿です。あらすじの最初にも記した通りこの小説は東京喰種を原作としていますが東京喰種のキャラクターは登場しません、なので、東京喰種の二次創作が見たいかたにはお薦めいたしません、また、この作品の喰種の設定も東京喰種とは違いますので細かいことは作中で語ろうと思います。では、よろしくお願いいたします。


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空腹

「退院おめでとう!!」

「ありがとうございました」

 

 

僕は傷が治り病院を退院したのだった。

 

 

僕は高校生だが地元から離れて私立高校に通い下宿所で下宿をしていた。

 

 

 

 

 

僕は下宿所の部屋へ戻るとベットに入り込んだ。

 

 

「……珈琲(コーヒー)飲みたいな……」

 

 

僕はお湯を沸かし前に買っていたインスタントコーヒーを淹れてみたのである。

 

 

「まさか珈琲(コーヒー)まで吐かないよな……何、僕は珈琲(コーヒー)飲むのに緊張してるんだろ、アハハ……」

 

 

そうだよ、きっと、食べ物がまずいのだって、一時的なことだよ、きっと。

 

 

僕はその珈琲(コーヒー)を恐る恐る飲んだ。

 

 

「普通だ……てか、苦い、よし、砂糖いれちゃえ」

 

 

僕は珈琲(コーヒー)に砂糖を入れるとそれを思いっきり飲んでみたのだ。

 

 

「!!」

 

 

そして、僕はその珈琲(コーヒー)を吹き出したのだ……気持ちの悪い甘味に苦味が合わさりやはり嘔吐神経が過剰に刺激されたのである。

 

 

「いったいどうなってるんだ……それになんで珈琲(コーヒー)だけ飲めるんだ」

 

 

僕は不安から冷蔵庫にある食べ物を口に放り込んだが全て吐き出した。

 

 

「そんな……僕の舌はどうなってるんだ……」

 

 

君は喰種(グール)だ、空腹を満たすにはヒトを食べるといい。

 

 

「……誰」

 

 

頭の中に声が聞こえてきたのだ。

 

 

「……はっ!!この声は……」

 

 

頭の中に聞こえてきた声には聞き覚えがあったのである。

 

 

「……僕の心臓を食べた」

 

 

そう、俺は喰種(グール)、君も立派な喰種(グール)になるにはヒトを食べなきゃ。

 

 

喰種(グール)ってなんだよ!!」

 

 

 

 

 

そして、次の日の朝。

 

 

「腹へった……」

 

 

僕は昨日丸一日何も食べれなく腹が鳴り続けていた。

 

 

「今日、学校か……」

 

 

学校へは行く気分ではなかったが行くことにしたのだ。

 

 

 

 

そして、学校では、

 

 

「ソラっ!!元気か!!」

「ああ、ダイチ、もちろん、元気だよ……」

 

 

嘘です……

 

 

「なっ、ソラ、ファミレス行かね」

 

 

ファミレス……

 

 

「……」

「どうした、ソラ?」

「あ、ああ、遠慮してくよ、ちょっとまだ気分が……」

「そうか、でも、ソラ、お前飯はちゃんと食えよ!!」

「えっ……」

「どうした?」

「いや、なんでもない」

 

 

そうだよ、ちゃんと食べないと、彼もそう言ってるからさ遠慮なく彼を食べなよ。

だまれ!!

ほら、そこにいるヒトもあそこのヒトもとてもおいしそう。

やめろ!!

ほら、あのおデブちゃんなんて脂ののり最高だぜ。

やめろ!!

 

 

「ソラ?」

「あっ……」

「本当に大丈夫か?」

「平気さ」

 

 

しかし、何を隠そう僕は何も食べれなかったのである。

 

 

 

 

 

そして、僕は何も食べれなくなってから3日経過したのだった。

 

 

「腹が……まずい、本格的にやばくなってきた」

 

 

そして、僕はふらつきながら鏡を見た。

 

 

「!!そんな……」

 

 

僕の左目は白目が黒く瞳孔は赤くなっていたのだ。

 

 

「なんだよ、この目……」

 

 

それが喰種(グール)の目、それが赫眼(カクガン)さ。

 

 

また、声が聞こえて僕は改めて自分がその喰種(グール)になってしまったことを実感し絶望してしまったのである。

 

 

「……この目じゃ……学校に行けない」

 

 

僕は赫眼(カクガン)を隠すため左目に眼帯をし学校へ行くことにした。

 

 

しかし、

 

 

「……眼帯なんてないぞ」

 

 

仕方がなく僕はサングラスをして薬局まで眼帯を買いに向かったのだ。

 

 

 

 

その後、僕は医療用の眼帯を買うと家へ帰ろうと歩いていたのである。

 

 

「ん?」

 

 

どこからかほんのりの甘い香りが漂ってきた。

 

 

「この匂いは?」

 

 

おいしそうな匂いだな。

 

 

「本当だ……おいしそうな……匂い……」

 

 

食べたい?

 

 

「うん、食べたい」

 

 

食べに行きなよ……

 

 

「うん、いくいく」

 

 

そして、僕はその匂いのする方へと走り出したのだった。

 

 

 

 

そこには、

 

 

「ほら、金よこせ!!」

「やめてくれ……」

 

 

オヤジ狩りが行われていたのだ。

 

 

僕はオヤジの血の香りに寄せ付けられていたのか……

 

 

「そんな……」

 

 

うわぁぁ、見ろよ、あの血、舐めまわしたいな。

 

 

「いやだ……」

 

 

どうした?

 

 

「僕は……人肉なんて食べたくなぁぁい!!」

 

 

なんで?豚や牛は食べるのに君は人肉だけ食べればヒト以外の命は消費しないですむぞ。

 

 

「それでも嫌だぁぁ!!」

 

 

そして、僕に気がついたヤンキーどもが口封じのために僕に近づいてくるも僕はそのヤンキーを吹っ飛ばし近くの壁を殴り続けたのである。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

君、結構力あるんだね。

 

 

 

 

 

そして、食事が出来ないままもう1週間が過ぎた。

 

 

「ソラ!!どうしたんだよ」

「ダ……ダイチィィ……」

 

 

僕はとうとう限界になり学校の教室でうずくまっていたのだ。

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!ニク、ニクゥゥ!!」

 

 

 

 

 

その頃、とあるモニターに何か反応したのである。

 

 

「ミウラ部長!!喰種(グール)の反応です!!」

「赫子を出したのか?」

「いいえ、空腹による反応です……!!ミウラ部長、このRc反応は数日前、ミトさんが交戦した喰種(グール)と同一のものです」

「はっ?でも、奴は心臓がなくなった死体を回収した筈ですが」

「ミト捜査官、クモン捜査官は至急現場へ」

「了解、行こうミト君」

「はい、クモンさん」

「……空腹なら落ち着かせるために肉を持っていけ」

「はい、ミウラ部長」

「急ぐぞ、ミト君」

「はい!!」

 

 

2人の捜査官が出発するとミウラ部長は表情を険しくしていた。

 

 

あの喰種(グール)の死体には心臓と赫包がなかった……まさか、悪い予感がする。

 

 

 

 

 

その頃。

 

 

「ソラ!!」

「ニクゥゥ……ニクゥゥ……」

 

 

ほら、君の友達……食べちゃいなよ。

 

 

「食べなよ……

食べちゃう……

食べなって……

食べよ……!!嫌だぁぉ……そんなのヒトの肉なんて……

ヒトの肉を食わなきゃ強くなれねぇ……」

「ソラ!!」

「ダ、ダ、ダイ……

お前が食べないなら僕が食べるよ……」

 

 

そして、赫眼を隠していた眼帯が外れ赫眼がむき出しになったのだ。

 

 

「!!………ソラ……」

 

 

その目を見た周囲の人間たちは悲鳴をあげダイチ以外はみんな距離をとったのである。

 

 

「みんなお前を喰種(グール)だと思ってる、そう喰種(グール)はヒトを喰らうんだよ!!お前、もう空腹で限界だろ!!

本当だ、ダイチ、おいしそう……ホントにおいしそうだ……僕が食べてあげるよ……ダ、ダ、ダ、ダ、ダイチ……」

 

 

そして、僕は食欲に負けてダイチに飛びかかろうとした。

 

 

その時

 

 

「やめろ!!」

 

 

突然、ドクロのマスクとエルム街の悪夢のフレディを模したような顔のマスクを着けた男が2人、僕とダイチの間に割り込み僕を吹っ飛ばしたのだ。

 

 

フレディ(クモン)さん、あの赫眼」

「ああ、シニガミ(ミト)、隻眼だね、部長の予感が的中したか」

喰種(グール)の心臓が人間の中に入り込む、そんなことがあるんですか?」

「詳しい検証はあとだよ、シニガミくん、肉は出すんだ」

「クインケを……」

「クインケはあとだ、殺す訳じゃない、まずは空腹を止めるんだ」

「わかりました」

 

 

シニガミと呼ばれた男は何やら大きいトランクケースを僕の前に置きケースを開いた。

 

 

「ニクゥゥ……」

 

 

トランクケースの中にはたくさんの肉があったのだ。

 

 

「ニクゥゥ!!」

 

 

僕はトランクケースに駆け寄り中の肉をつかみ食べようとしたのである。

 

 

「……嫌だ……やっぱり、ヒトの肉なんて食べたくない!!僕は僕は……怪物じゃない人間なんだぁぁぁ!!」

「クモンさ……失礼、フレディさん、こいつ人間なのでは……」

「かもしれんな……安心するがいい、それは、鳥と豚と牛の肉だ」

「えっ………嘘だ、喰種(グール)はヒトしか食べれないって聞いたぁぁ」

「それは違うよ」

「嘘だぁぁ!!」

「シニガミくんの言う通りだ、たしかにヒトの肉は喰種(グール)を強化する栄養になるが生きるだけなら他の動物の肉でも食べられる、だから、安心して喰うといいぞ」

「……」

 

 

僕はその肉を一口食べたのだった。

 

 

「……うまい……」

 

 

そして、僕は勢いよくトランクケースの中の肉を食べすぐに全ての肉を食べきった。

 

 

「落ち着いたか……」

「……はい」

「シニガミくん、彼を連れて本部に戻るぞ」

「はい、本部に付いてきてくれるか、君のことを調べたい」

「あなたたちは……」

「異空生物対策局喰種対策部の捜査官だ」

「異空生物対策局……」

「詳しい説明は本部ですればいい、ほら、シニガミくん、ヘリが来てしまったぞ」

「すいません、フレディさん……君、来てくれるか?」

「……はい」

 

 

僕は2人の捜査官と一緒にヘリコプターに乗るのだった。




と、久しぶりです、あー眠い…他の小説多くてねーむい…じゃ、今日はここらへんで


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説明

僕はシニガミとかフレディとか言う男たちに連れられヘリコプターに乗せられていた。

 

 

「さてとマスクはもういいかな」

「そうですね、クモンさん」

 

 

フレディとシニガミはそれぞれマスクをとったのだ。

 

 

「といってもこれも素顔ではないがね」

「ですね、素顔は本部に入ってからですね」

 

 

なんのことだがわからない……

 

 

「まもなく、府中駅前警察署です」

 

 

そして、ヘリコプターは府中駅前警察署のヘリポートへ着陸したのである。

 

 

僕はそのまま中へと入っていき捜査4課と書かれた場所へ連れていかれた。

 

 

「捜査4課?」

 

 

そして、その部屋に入るとデスクが並べられており奥に大きな本棚があったのだ。

 

 

「さてと悪いがミトくん、本を取ってくれるか?」

「はい」

 

 

ミトさんが本を取るとその本があった場所にクモンさんが何やらカードをかざしたのである。

 

 

「認証完了だ、ミトくん」

「はい」

 

 

ミトさんが本を戻すと本棚の横の壁が開いた。

 

 

「なっ……」

 

 

僕はそのまま中へと進むと今度はミトさんが中にある電子機器にカードをかざしたのだ。

 

 

すると、扉は閉まり電子板に『喰種対策部(グールタイサクブ)』と表示されこの部屋は一気に下へと動き出したのである。

 

 

そう、この部屋はエレベータだった。

 

 

そして、エレベータが停まり扉が開くとそこは巨大モニターのある部屋に到着した。

 

 

「ミウラ部長、お連れしてきましたよ」

「クモン、その嫌味たらしい敬語はよせ、同い年だろ」

「いえいえ~優秀なミウラ部長に例え同期であれ、無礼な口の聞き方できませんゆえ」

「わかったわかった……ここの部長のミウラだ、よろしく」

「はいっ!!南雲 颯ですっ」

「改めてここの捜査官のクモンだ」

「同じくミトだ、それとすまない!!」

 

 

ミトさんは突然僕に頭を下げたのだ。

 

 

「えっ?」

「君の中に入ってしまった喰種(グール)の心臓は俺が駆逐しそこねた喰種(グール)なんだ、本当にすまない!!」

「!!……………気にしないでください」

「えっ?」

「僕がこんな体になってしまっても僕は僕です、それにヒトを食べなくても生きていけるなら僕は漫画の金木 研のような悲劇とは違います、こちらこそ僕がヒトを食べる前に止めてくれてありがとうございました」

「……ソラ」

「……なんていい子なんだ、今どきの若者には珍しいなぁ……それじゃ、ここのことや喰種(グール)のことを説明してあげよう!!……そうだな、ここじゃなんだし、珈琲(コーヒー)でも飲みながらね、このミウラがごちそうしてあげよう」

珈琲(コーヒー)、この数日飲みっぱなしですよ~」

「ナグモくん、これから飲む珈琲(コーヒー)はそこらの珈琲(コーヒー)とは訳が違うぞ」

「俺は苦いのは……カプチーノにします」

 

 

そして、違う部屋にいくとそこにはカウンター席のようなテーブルの他にラウンジテーブルが並んでいたのである。

 

 

「ここが喰種(グール)対策部ラウンジさ、さてと……」

 

 

ミウラ部長は何やら電話の受話器をとり「マスター、珈琲(コーヒー)3つにカプチーノのひとつね」と言ったのだった。

 

 

「マスター……?」

 

 

そして、暫くするとカウンター席の壁にあった窓が開き「お待ちどうさま」と声がして珈琲(コーヒー)が3つにカプチーノがひとつ出てきた。

 

 

いい香り……

 

 

「マスター、ありがとう、お代はツケといて」

「わかってますよ」

 

 

そして、扉は閉じてしまったのだ。

 

 

僕らは席につきそれぞれの珈琲(コーヒー)(ミトさんはカプチーノ)を受け取ったのである。

 

 

「さぁ、私の奢りだ飲みな」

「何を言うのかね、アホミウラ、これは全て最後に対策部の経費で支払われるというのに」

「クモン、部長をアホ呼ばわりか」

「これは失敬、尊敬してますともミウラ部長殿」

「…………てか、冷めるぞ」

「そうだな、飲むとしよう」

「ソラ、飲みなよ、喰種(グール)珈琲(コーヒー)ならブラックだけだが飲めるぞ」

「はい、ミトさん、気付いてました」

「そうか」

 

 

 

正直、喰種(グール)になってから毎日、インスタントコーヒーを飲んでいたから珈琲(コーヒー)は嫌だった、けど……

 

 

「!!……お、おいしい……」

 

 

なんて、おいしいんだ……インスタントとは訳が違う、こんなにおいしい珈琲(コーヒー)があったなんて。

 

 

「フフ、感動してる所で悪いんだけどいろいろ説明しなきゃならんから飲みながらでいいから聞いてくれな」

 

 

そう言ってミウラ部長は珈琲(コーヒー)を一口飲むと説明を始めた。

 

 

ミウラ部長の以下のように説明してくれたのだ。

 

 

まず、異空生物について、信じられない話だけどここ以外にも世界がたくさんあってそれを異空と呼んでいるらしい。

 

 

そして、それぞれ異空には基本ひとつ他の世界にはない物質が存在しその物質を含み活動している生物が異空生物であり、喰種(グール)は異空の細胞、Rc細胞という細胞により活動している異空生物である。

 

 

余談としては僕らの世界にも定義上異空生物に含まれる生物がいてそれは鬼らしい、鬼に関しては他の対策部が管理していて不明とのこと。

 

 

また、異空生物同士は異空物質を使って他の世界の異空物質に傷をつけることはできない、簡単に言うと鬼に喰種(グール)が赫子で傷をつけることはできないが殴る蹴るといった方法なら傷をつけることできるらしい。

 

 

そして、喰種(グール)について、まず、赫包は小さく脳のような形をしていて心臓にくっついていてここにRc細胞を凝縮して蓄えている(そもそも、人間と喰種(グール)の違いは心臓の構造と赫包の有無にありその他は殆ど違いはないらしい)、赫子等で使う際はRc細胞を心臓に送り込み心臓から赫子が放出される言わば赫包はタンク、心臓はポンプといったところである。

 

 

実はRc細胞事態は無味無臭であり、本来、喰種(グール)はヒトと同じ味らしいが生まれつきRc細胞が細胞クラスで身体に流れている喰種(グール)の肉を喰種(グール)が喰らうと舌に流れるRc細胞が過剰に反応して不快な味に感じ、鼻も同様とのこと、また、ヒトを喰らう喰種(グール)とそうでない喰種(グール)とでは臭いに違いがあり前者は体臭が濃い。

 

 

また、この香りは人間には判別できず赫包をもつ喰種(グール)のみに判断できるとのこと。

 

 

Rc細胞については人、または喰種(グール)の肉を摂取することで活性化し増えていく、また、牛や豚、哺乳類、鳥類といったどの種類までかは正確にはわからないが動物の肉でもある程度活性化し生きていくぐらいの栄養をとることはできる。

 

 

ただし、人か喰種(グール)を摂取していない喰種(グール)の赫子は脆く壊れやすい、だから戦闘も人間よりは多少強いが捕食を繰り返す喰種(グール)には歯が立たない。

 

 

また、このRc細胞は万能でこの細胞さえ活性化していれば喰種(グール)は健康でいられる、また、怪我などした場合にもこの細胞が肉体の再生に使われる、そのため、喰種(グール)の再生力は人間を遥かに凌駕している。

 

 

喰種(グール)は物を食べる際に赫眼を発眼する、赫眼を発眼しなければ赫子も出せない、また、発眼すると唾液に特殊なRc細胞が流れそれに絡まった食物のみ胃液の中の細胞により一瞬にて栄養が絞られ赫包へ送られる、だから、発眼せずの食事は無意味だ、 また、人間の食物も発眼せずに食べれば体調を壊すこともなく飲むことはできるが発眼して人間の食べ物を食べれば一瞬で体調を壊すとのこと。

 

 

珈琲(コーヒー)には発眼したときの唾液と同じ効果があり珈琲(コーヒー)に栄養を溶かして飲めば発眼せずとも接種することができるが食べれないものを入れれば体調を壊す、また、珈琲(コーヒー)は唯一、ヒトと併用して食べれる物であり、例えばヒトと豚を一緒に食べれば不味く感じるらしい。

 

 

そして、喰種(グール)の赫子について、まず、肩辺りから出てるのが羽赫、羽赫は細胞をガス状に噴射し遠距離攻撃が可能であるがスタミナ切れが欠点である、クインケにした場合にはガス状のものを固定させ銃器にして使用する、弾はRc細胞から造った銃弾を使用するとのこと。

 

 

甲赫は肩甲骨辺りから現れとても金属質であり盾やハンマーのような役割があるが凝縮された細胞を固めるため重量があり扱いにくく、クインケにしても重く扱いにくい。

 

 

鱗赫……僕は鱗赫であり、僕の赫子は稀にある特殊な赫子らしく通常の鱗赫よりも再生力が高い、つまり高性能である、 鱗赫は腰辺りから、鱗赫は相手を突き刺すのに特化していてまた再生力が高い、ただ、高い分崩れやすい、クインケにしたなら相手を突き刺す槍や調整しムチのように使うことも可能である。

 

 

尾赫は尾頸骨辺りから出る、赫子の中でとても切れ味よく接近戦を得意とする、赫子には相性があり羽赫は遠距離攻戦を苦手としている尾赫に強く、甲赫はガードが強いため一撃の弱い羽赫に強く、鱗赫は一撃の大きなパワーで甲赫の盾を突き破るため甲赫に強く、尾赫は脆い鱗赫を切り裂くため鱗赫に強い。

 

 

各赫子を武器に例えるなら、羽赫は銃、甲赫は盾やハンマー、鱗赫は槍やムチ、尾赫は剣といったところである。

 

 

そして、その喰種(グール)の世界から何らかの方法でこの世界に逃げてきた喰種(グール)が存在しておりその喰種(グール)の管理及び、人を喰らう喰種(グール)の逮捕、駆逐を行っているのがこの異空生物対策局 喰種(グール)対策部である。

 

 

異空生物対策局の全ての捜査官は異空の技術を応用して作成された人の顔のマスクを装着し写真を撮り偽名で警察手帳を作成し通常は顔のマスクをつけて操作をし喰種(グール)を相手にする際には喰種(グール)と同じようなマスクを装着し互いには使っているクインケの名前で呼びあう、これは捜査官の身元を隠すためらしい、昔、親を駆逐された喰種(グール)が捜査官の家族を殺害するという事件を起こしているためらしい、また、捜査官には喰種(グール)も数名所属しているとのこと。

 

 

「で、その喰種(グール)の世界のとある喫茶店があってここと唯一繋がってるわけ、捜査官と喫茶店の店員だけがこっちとあっちの行き来を許されてる……とまぁ、ざっとこんな感じだ……覚えた?」

「………………えぇっと……」

「部長、君の説明は実にわかりにくいね」

「すまない……」

「ソラ、さっき珈琲(コーヒー)が出てきた窓も喰種(グール)の世界と繋がっているんだ」

 

 

ミトさんは窓に触れたのである。

 

 

「あの珈琲(コーヒー)喰種(グール)の世界の喫茶店から来たものだ」

「ミトさん、本当ですか!?」

「ああ」

「とにかく、君もマスクを作ろう、だが、私は忙しいし、ミトとクモンは調査があるし……そうだ!!」

 

 

ミウラ部長は再び電話の受話器をとった。

 

 

「マスター、フジはいますか?……えぇ、はい、よろしくお願いします」

 

 

そして、ラウンジに男がひとり入ってきたのだ。

 

 

「……お呼びですか?」

 

 

その男は銀髪の青年だった。




ソラは今んところ赫子は出せず戦闘力は人間より少し強いぐらいです。


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測定

「………こい」

「はい」

 

 

僕はフジという男に連れられて対策部のとある部屋に来た。

 

 

「……冨士 喜一(フジ キイチ)だ」

「南雲 颯です」

「……これから、マスクを作る」

 

 

この人、なんかあまり喋らなそう。

 

 

「マスク?」

「……我々は表では完全に素顔を隠す、でないと喰種(グール)に身元が知られたとき家族や友人に危害を加える可能性もなくもない、過去にもそういった例もある、まず、人の顔のマスクを作り、そのあとは喰種(グール)マスクを作る、ここで」

「なるほど」

 

 

違う、この人、よくしゃべる。

 

 

「……どうした?」

「いえ、どうやって作るんですか?」

「……あの機械で体のサイズを全て測定する」

「そう……ですか……あの、フジさん?」

「……なんだ?」

「フジさんって喰種(グール)ですか?」

「……そうだ、何故、わかった?」

「えっと、その臭いで……」

「……臭いか?」

「臭くはないんですけど……人じゃない感じです」

「……もし、獣臭ければそいつはヒトを喰い殺してる喰種(グール)だ」

「えっ」

「ヒトを喰うか否かで喰種(グール)の体臭はくっきりとわかれる、それと、ソラ、お前の臭いはヒトだ」

「えっ」

「……人間と喰種(グール)の違いは心臓に赫包があるかないか、それと、ここの調査で判明したのだが喰種(グール)は体内の血中に細胞クラスでRc細胞が流れているらしい、この肉を喰種(グール)が喰らうなり臭いを嗅ぐなりすればそいつの赫包が反応して味や臭いのように感じる、しかし、ソラは赫包だけ持っているからな、相手の臭いや味はわかっても自分はヒトの臭いか味しかしないんだろう」

「………………つまり、僕は相手が喰種(グール)かはわかるけど相手からは喰種(グール)だとはわからないということですか?」

「……たぶんな、いや、わからない、こんなケースは初めてだからな、今のことミウラ部長に相談しておく」

「ありがとうございます……それで、僕はこれからどうなるんでしょうか?」

「……おまえのことを店長に話しておいた」

「店長?」

「……そうだ」

 

 

そこへ、

 

 

「君の処遇は3つある、ひとつめは喰種(グール)の世界の喫茶店、野村珈琲店(ノムラコーヒーテン)で従業員として働く、ふたつめはここの我々と同じ捜査官として活動するか、3つめはその両方だ」

 

 

僕とフジさんが話しているとミウラ部長が部屋に入ってきたのだ。

 

 

「へ?」

「普通、喰種(グール)が捜査に加わる時は喰種(グール)登録しなきゃならないけど君はヒト扱いされるようだよ」

「……捜査官になりたくなければ喫茶店の従業員として働いてもらう」

「僕、普通に生活するんですか?」

「……それはお前次第だ」

「あっちの世界だと喰種(グール)みんな駆逐しちゃってるけどここ(喰種対策部)では、駆逐は抵抗された場合のみ、他は逮捕するんだ、そのあとに死刑になるなり元の世界に強制送還するなり決める」

「……どうする?」

「えぇと……」

「ああ、そうだ、君はたしか下宿してたよね?」

「……下宿?」

「あー、はい、してますけど……」

「うん、今日からはここに住んでね」

「えっ」

「いやね、君はヒト扱いなんだけど、なんというかさすがにいきなりは外へ帰せないよ、喰種(グール)の赫包って結構精神に干渉するみたいだし、あー、もちろん、快適に暮らせるだけの部屋を用意するよ」

「……わかりました」

「んで、どうすんの?」

「……えぇと」

「……ミウラ部長、その前にソラのレーティングをしたいのですが…」

「あー、そうだね、レート測定しないとね」

「レーティング?」

 

 

 

 

僕は機械で顔と体のサイズを計測するとジャージに着替え広い部屋に連れてこられたのである。

 

 

「……これから、レーティングを行う」

「……はい」

 

 

レーティングってなんだ?

 

 

「ソラ、フジは容赦ないから頑張って」

「ミウラ部長、容赦ないって?」

「……よそ見をするな……始めるぞ」

 

 

フジさんの眼は赫眼へと変わった。

 

 

「へっ?」

 

 

そして、フジさんは僕へと拳を振りかざしてきたのだ。

 

 

「わっ……」

「……何をしている、眼は……赫眼はどうした?赫子をを使え」

「そんなこと言われても……」

「フジ!!」

「……なんでしょう?ミウラ部長」

「もしかして赫眼を発眼できないじゃないのか?」

「……なるほど、まってろ」

 

 

そう言いフジさんは何処かへ消えて少ししたら戻ってきたのである。

 

 

「……食え」

「えっ…」

 

 

フジさんの手にはタッパーがありその中には血まみれの肉があった。

 

 

「……フジさん、これって、まさか……」

「……違う、イノシシだ」

「えっ」

「……イノシシの味はヒトに僅かににてる、食えば赫眼を発眼できるかもしれない」

「……わかりました」

 

 

僕は意を決してその肉を口の中に放り込んで噛んだのだ。

 

 

「…………………あれ、最初は不味かったのに途中から凄くおいしく感じる」

「……やはりな、赫眼を発眼したようだ」

「えっ」

「……左目が赫眼になっている、隻眼だ」

 

 

隻眼(セキガン)喰種(グール)……

 

 

「なるほど、赫眼になると味覚が変化するんですね」

「……こい、遠慮はなしだ」

「はい!!」

「……1発ぐらい入れてみろ」

 

 

僕はもてる力を全て使ってフジさんに攻撃をするも全て弾かれ、そして、腹にフジさんの一撃を喰らい僕はノックアウトしたのだった。

 

 

「……元々の力が強いが動きが素人以下だ」

「ハァハァ……」

「……レーティングとしてはレートなし……だ」

「レート……なし?」

「……ミウラ部長、喰種(グール)のレーティング終わりました」

「だな、レートなしってのは喰種(グール)としては要するに雑魚(ザコ)ってことだよ、まぁ、雑魚でもヒトの倍近くはあるけどね」

 

 

雑魚……

 

 

「……ところでソラ、お前の親はそう簡単にここに住むことを納得するのか?」

「……うちは親いません、叔父の家にいました」

「……すまない」

「いえ」

「なぜ、下宿したの?」

「親戚に迷惑かけたくなかったので」

「やっぱいい子だな」

「……それで、どーする?」

「あー、ちょっと捜査官は厳しいかなと……でも、喫茶店の従業員なら」

「……決まりだな」

「そうそう、ソラ、厳密に言うと君はヒトだけど一応喰種(グール)としての登録もされるからマスクができ次第喰種(グール)の名前決めるよ」

「わかりました」

 

 

フジさんは出口の近くの鞄を漁ると中から何か赤い透き通ったビー玉のようなものを取り出したのである。

 

 

「それは?」

「……Rc結晶だ」

「何に使うんですか?」

「……複数個加工して繋げて喰種(グール)用の拳銃、Rcバレットの弾丸にする、または俺たち(喰種)珈琲(コーヒー)に混ぜて接種する、これは、珈琲(コーヒー)にすぐ溶ける」

「飲むんですか!?」

「……そうだ、豚や牛を食ってるなら喰種(グール)の能力は下がる、これは下げさせないためのものだ」

「じゃ、原料は……」

「……ヒト……ではない、喰種(グール)から特別な方法でRc細胞のみを抽出し固めた、お前も飲むか?飲んでおけば腹は膨れないが喰種(グール)の空腹感も押さえることができる、それに無味無臭だ、珈琲(コーヒー)の味を狂わせない、きっとレートもCぐらいまでは上がるだろう」

「えっと……」

 

 

喰種(グール)から抽出した……なら、ヒトと同じだよ

 

 

「僕は遠慮しておきます」

「……そうか」

 

 

そういってフジさんは部屋を出てこうとしたが立ち止まった。

 

 

「……ソラ、明日、店に行くから準備しておくんだ」

「はい、わかりました」

 

 

 

 

ここはとある喰種(グール)の世界の路地裏。

 

 

「いやぁぁ!!やめてぇぇ……」

「何をやめてほしいんだろな、喰いもんの言ってることなんかわかんねぇー」

「アニキー、はやく、喰おうぜ」

「まぁまて、こんな綺麗な人なんだ、まってやれよ」

「!!み、見逃してくれるの……」

「見逃すの?アニキ」

「……綺麗に引き裂いてから骨まで全部喰おう、生きたまま新鮮なうちにな」

「いんやぁぁぁ!!」

「さてさて」

「アニキ、引き裂くなら手から足から?」

「……そうだな……」

 

 

アニキと呼ばれた喰種(グール)は女性に顔を近づけたのだ。

 

 

「……皮膚を全部引き剥がしてから目玉くりぬいてやろう、目玉は俺とお前で1個ずつな!!よし、皮膚だ!!」

「いやいやいやいんやぁぁぁぁ!!」

「剥がすか、人間も魚の皮とかこんな風に剥がすんだろ?」

 

 

アニキ喰種(グール)は女性の皮膚をつねったのである。

 

 

「いやぁぁぁぁだぁぁぁ!!」

「さぁいくよ、3…2…いっ……」

 

 

その時

 

 

「やめなさい……」

 

 

マスクをつけた喰種(グール)が彼らの後ろに立っていた。

 

 

「なんだてめぇは?」

「……何故、ヒトを喰らう」

「うなもん、うめぇからだし、おまけに赫子も強くなるしな、どーせ、喰いもんだし、このメスブタとかプリプリしてて召し上がれって言われてるみたいだぜぇ~ギャッハハ……ハハハ……」

 

 

笑いながらアニキ喰種(グール)の頭は地面に転がっていたのだ。

 

 

「アニキ?……!!アニキぃぃ!!」

 

 

そして、その直後に子分の喰種(グール)の頭も体と離されたのである。

 

 

その喰種(グール)は血が流れないように死体を大きな防水パックに入れてからパックごと大きな鞄に積めると暗闇へと消えたのだった。




ふぅーやっと書き終えたぜ、ソラっちは肉を食わないと赫眼も発眼できないし無論赫子もだせない、雑魚なのです。喰種の設定がわからないひとは聞いてね~


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野村

「よく眠れたかい?」

「はい」

「それはよかった」

 

 

僕はミウラ部長と対策部の測定室に来ていた。

 

 

「さてと、これが君の喰種(グール)マスクとヒトの顔マスクだ」

「……」

 

 

白いマネキンのような被り物と眼帯のマスクがあったのだ。

 

 

「眼帯……」

「うん、君は隻眼(セキガン)喰種(グール)だからこれにした」

「なるほど……で、このマネキンは?」

「やっぱマネキンに見える?被ってみ」

「あ、はい」

 

 

僕はそのマネキンマスクを被ってみたのである。

 

 

「!?」

 

 

すると、マネキンマスクは粘土のように変形し違うヒトの顔になった。

 

 

「鏡見て」

 

 

僕は鏡を見ると僕とは全然違う顔になっていたのだ。

 

 

「これはスゴいですね、しかも、すごく薄くて気にならない」

「うん、それ撮影するからスーツに着替えて、スーツも作ったよ」

「あ、はい」

 

 

僕はスーツに着替えるとマネキンマスクの顔写真を撮影したのである。

 

 

「あっ、じゃ次は眼帯マスクね、あー、喰種(グール)の名前どうする?」

「……マスクに合わせて眼帯で」

「それがベストだね、じゃこれに着替えて」

 

 

今度は背中にPOLICEと書かれた警察の機動隊と同じ服だった。

 

 

「……」

 

 

僕はそれに着替えてマスクをつけて再び撮影をした。

 

 

「おけおけ、じゃフジが来たら喰種(グール)の世界に行くからフジが来るまで軽く喰種(グール)の世界を教えるよ、まず、向こうに行くときは眼帯マスクを持っていくこと、また、向こうでは喰種(グール)であることを人間にバレないようにすること、向こうには喰種(グール)処理省っていう喰種(グール)の捜査の組織があってこっちと違って喰種(グール)は殆ど駆逐されるからね、また、喫茶店にも人間のお客さんはいるから気を付けてね」

「はい」

 

 

そこへ、

 

 

「……お待たせしました」

「お、来たかフジ、じゃあ連れてって」

「……わかりました……いくぞ」

「はい」

「あ、ソラ、忘れてた、はい、これ」

 

 

ミウラ部長は僕にカードを渡したのだ。

 

 

「これは?」

「使い捨てタイプの異空通行許可カード、入って戻ってくるまで使えるよ、君はまだ登録されてないから後でちゃんとしたもの渡すよ、ひとりじゃ通れないからフジと一緒にね」

「はい、ありがとうございます」

「……行くぞ」

「はい」

 

 

そして、僕とフジさんはラウンジの奥へと進み扉の前へと来たのである。

 

 

フジさんは扉の横の電子機器に何かの手帳をかざすと電子音がして扉が開いた。

 

 

「……カードをちゃんと持っているか?」

「はい」

「……持っているならそのまま進んでいい、こい」

「はい」

 

 

そして、僕とフジさんは扉の奥へと進んだ。

 

 

『冨士 喜一及びゲスト通過確認、ゲストの期限は24時間です』

「……許可カードは持っているだけでいい、ゲストはお前のことだ、24時間以内に戻らなければならない、また、ゲストは他の許可者と一緒でないと出ることはできるが入れない」

「戻らなかったりひとりで通ったら?」

「……対策部が出向き強制連行する、そいつの度合いによっては二度と許可が出ない」

「なるほど」

 

 

僕らは喫茶店のような場所に出たのである。

 

 

「あ、フジさん、だれその人」

「……新人らしい、今日はシフトはないが店長に頼まれて連れてきた」

 

 

僕とフジさんは喫茶店の事務室のような場所へと来た。

 

 

「……喰種(グール)もいれば人間もいる、人間にはバレないようにな」

「はい」

「……店長、どこだ」

 

 

フジさんがとある部屋の扉を開けるとそこには首のない死体が3つ並んでいたのだ。

 

 

「っ!?」

「……叫ぶな、客に怪しまれる」

 

 

フジさんは叫ぼうとする僕の口を塞いだのである。

 

 

「なんで……死体が……ヒト……」

「……喰種(グール)だ、ここでRc結晶をつくる」

「でも……この人達は……」

「彼らはね、若い女性を中心にヒトの肉を食べていたんだ、それに補食の際、随分と酷い食べ方をしていたしね」

 

 

眼鏡をかけた優しそうな人が話に入ってきた。

 

 

この人だれ?……でも、だからって殺していいわけないよ。

 

 

「……店長」

「店長!?」

「どうも、野村珈琲店(ノムラコーヒーテン)、店長兼レストラン野村(ノムラ)、オーナーのノムラです。話はフジ君から聞いてるよ、南雲 颯君」

「はいっ……よ、よろしくお願いいたします!!」

「うん、それじゃ店の中を案内するよ、そこで他の人たちにも挨拶してね」

「はい!!よろしくお願いいたします」

 

 

そして、店長に連れられて僕は先程の喫茶店スペースにやって来たのだ。

 

 

「どうも、初めまして、ナグモ君、石井 美代(イシイ ミヨ)です。日替わりで喫茶とレストランの厨房を交代交代でやってます」

「よろしく、お願いいたします」

「はい、よろしくね」

「ミヨさん~、ブレンドおかわり~」

「はぁい」

「こっちはミックスサンド」

「かしこまりました……あ、ミックスサンドこれで終わりか」

 

 

ミヨさんはミックスサンドを注文した客に提供すると電話の受話器をとったのである。

 

 

「ミックスサンドがなくなったから追加で」

 

 

そして、ミヨさんは 珈琲(コーヒー)の準備を始めた。

 

 

「うん、上へいこうか」

「はい」

 

 

さらに上へ行くとレストランになっていたのだ。

 

 

「お客さんがレストランへ行くときは外から上がってもらうんだ」

 

 

レストラン、普通の席やカウンターのようなのもあるけど席によってはカウンターに仕切り、他に完全個室も何席もある。

 

 

「店長、どうして、カウンターにまで仕切りがあるんですか?」

「ん?ああ……食べてるものを見られたくない人だっているからね、ほら、女性とか」

「……そうですか」

 

 

そして、厨房へ入ると男の人がミックスサンドの材料を仕込んでいた。

 

 

「よし、完璧と……」

 

 

ミックスサンドの材料を並べるとその人は扉を開けトレイを入れるとレバーを下げたのだ。

 

 

その扉の向こうは食事を運ぶためのエレベーターだった。

 

 

そして、受話器をとったのである。

 

 

「ミヨ、ミックスサンドの材料を送ったよ……え、なんで僕が作ってるかって……ハハ、いつもよりおいしいんじゃないかな……え、なんか色が悪いって……冗談キツいね~」

 

 

その時、電子版にナポリタンと表示された。

 

 

電子版なんだね。

 

 

「おっと、注文だ、はい、ただ今~」

 

 

男の人はパスタを茹でその間にナポリタンのソースを作り始めたのだ。

 

 

「お!君がソラ君だね、古田 丸吉(フルダ マルキチ)です」

「フルダ君、どうして君がここに?」

「いやぁぁ……」

 

 

そこへ、

 

 

「マルキチ、ごめん」

 

 

女性がひとり慌てながらやって来たのである。

 

 

「いいんだよ、お腹壊すことぐらいみんなあるよ」

「ありがとう……これ、ナポリタンのソース?」

 

 

そして、女性はそのソースを一口味見した。

 

 

「えっ!?」

「うん、酸味多い、もう少し炒めないと、ナポリタンに酸味はいらないよ」

「さすが」

「まぁね」

 

 

なんで吐かないんだ……喰種(グール)だよな……

 

 

「ん?ああ、君がソラ君ね、初めまして、レストラン厨房担当の白石 彩乃(シライシ アヤノ)です」

「……よ、よろしくお願いします」

「うん、マルキチ、ありがとう、もう平気よ、向こう戻っていいよ」

「そうさせてもらうよ」

「じゃソラ君もいこうか」

「はい」

 

 

そして、フルダさんについてゆくと別の厨房があったのだ。

 

 

「ここは?」

喰種(グール)のお客さんに提供する食事をつくる厨房さ」

「え」

「さっき君は私にカウンターに仕切りがある理由を聞いたね」

「はい」

「その本当の理由は喰種(グール)のお客さんに安心して食事をしてもらうためなんだよ」

「その食事って……」

「うちでは人肉は提供しない、全て動物の肉さ」

「この厨房は僕とミヨで日替わりでやってるのさ、この厨房の電子版は喰種(グール)のお客さんが注文すると注文がここに出るんだ」

 

 

このお店には会員カードのような物がありそれを発効する際に奥で喰種(グール)であることを対策部から提供された機器で確認すると会員カードのデータに喰種(グール)であることが登録されその客がメニューを注文すると奥の喰種(グール)用の厨房に注文がいくという仕組みらしい。

 

 

「あのひとつ聞いていいですか?」

「なんだい?なんでも聞いてくれよ」

「さっきのシライシさん、食べてましたよね」

「ああ、ソラ君、そのことについて説明するから奥へ来てね、フルダ君、引き続きよろしくね」

「了解!!」

 

 

そして、事務所へ来ると椅子へかけたのである。

 

 

「あと、さっき喰種(グール)の死体をおいてあった部屋はRc結晶を作る部屋だよ……っと、これこれ」

 

 

店長はテーブルに何やら粉の入った小瓶を置いた。

 

 

「これは?」

「僕らは嘔吐神経麻痺剤(オウトシンケイマヒザイ)と呼んでいるよ」

「嘔吐神経?」

「これを飲めば嘔吐神経が麻痺され食べ物を食べても吐かなくなるよ」

「えっ、味は……」

「それは残念ながら変わらないよ、アヤノちゃんはこれを飲んでいるんだ、まぁ、アヤノちゃんは不味い物でもどうやったら味がヒトにとって美味しくなるかわかっているんだ」

「すごい!!ん?この薬の原料は何ですか?」

珈琲(コーヒー)とハッカだよ」

「ハッカ?ハッカ飴のですか?」

「うん、ハッカには喰種(グール)にとって嘔吐神経を麻痺させる効果があるんだ、ハッカを珈琲(コーヒー)に混ぜて粉にすれば薬にできる、まぁ、栄養にはいっさいならないけどね」

「なるほど……味は変わらないのか」

「私はね、人間の食べ物の味がわかるんだよ」

「えっ!?」

喰種(グール)も訓練次第で味がわかりハッカがなくても吐かないようになるんだ」

「すごい!!その訓練って僕も受けられますか!!……え、どのぐらいかかったんですか?」

「うん、僕は30年使ったよ」

「え、30年……」

「うん、でも、君の場合、もっと早くできると思うよ」

「えっ?」

「慣れてない喰種(グール)だったらまずハッカなしで人間の食事作ってるとこ通ったらそれで吐くよ」

「……」

「君は人間に近いんだと思う、どうする?やるかい」

「………………………はい、やります」

「うん、決まりだね、ああ、明日から高校にも復帰するんでしょ、じゃあ学校が終わったらシフトに入ってね、制服も用意するから」

「はい!!……あの」

「ん?」

「僕にも出来ますか?」

「うん、初めから教えるよ」

 

 

 

 

その後、僕は喫茶スペースに向かったのだ。

 

 

「あれ、フジさん」

「……店はまわったか?」

「はい、フジさん何故、珈琲(コーヒー)を?」

「……俺はここの店員じゃない」

「え?」

「……対策部の捜査官、こっちの人間には店長の友人で常連ということになっている」

「なるほど」

 

 

フジさんは周囲に聞こえないように小声でそう言ったのである。

 

 

そして、店長が喫茶店の厨房に入ってきた。

 

 

「ソラ君も1杯飲むかい?」

「いいんですか?」

「もちろん、何杯でもおかわりしてね」

 

 

何杯ってそれは遠慮するな。

 

 

そして、店長の淹れてくれた珈琲(コーヒー)はやはりおいしかったのだ。

 

 

 

 

その後、僕はフジさんと一緒に対策部へ帰るのだった。




野村珈琲店の店員はみんなソラより年上です。だから恋愛フラグは起きませんよ、でも、一番年が近いのは白石 彩乃です。


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嘔吐

「よう、ソラ!!元気してるか?」

「ダイチ……」

 

 

僕は高校へと復帰したが復帰早々回りからはひそひそ話や奇っ怪な目で見られた、それも無理もない、けど、ダイチだけは違った、僕は本当によい友達をもったと思った。 

 

 

 

 

 

「はい、これがソラ君の手帳ね」

 

 

学校終わりに僕は対策部でミウラ部長から手帳を2つ渡された。

 

 

「なんのことって顔してるね……えぇとね、こっちが府中駅前警察署の警察手帳でマネキンマスクで撮影した顔だからマネキンマスクでいるときのみこの手帳を使うこと、名前だけどマネキンマスクしてるときの君の名前は『余多 空(アマタ ソラ)にしたよ』

「余多?」

「うん、せっかく、素顔隠してるのに本名使ったら意味ないでしょ、それで、もし、万が一本当の警察とかに警察手帳見られてヤバくなったらこっちの対策局の手帳を見せてね、例えば警察に「なんで警察手帳もってるんだぁ!!」とか言われたとき」

「はい……てか、アマタ ソラってアクエリオンですか?」

「お、知ってるのかい?パチンコしてからアニメは見たんだけどね」

「あー、パチンコ……」

「なんだ、その顔は……たしかアクエリオンはアマタが名前でソラが名字ですよね、きっと(アリシアがアマタって呼んどったし)」

「たぶん……」

 

 

警察手帳はよくドラマとかで見るのと同じもので対策局の手帳は折り畳み式で広げると丁度警察手帳4個分ぐらいで上面に『特務捜査官』の文字の下に『異空生物対策局 喰種(グール)対策部』とあり、素顔とマネキンマスクの顔と下面には眼帯マスクの顔写真と登録名『眼帯』とあったのであった。

 

 

「その対策部手帳で向こうの世界への通行許可証の役割も担ってるよ、それから……」

 

 

ミウラ部長は僕に拳銃を渡したのである。

 

 

「拳銃!?」

「ああ、日本の警察が使ってるのと同じ拳銃だ、捜査官ではないが君の身の回りに何が起こるか予測できないから支給しておく一応喰種(グール)に有効なRc弾丸が既に6発分入ってるから万が一の時は使いなさい、けど、普段はケースに入れてしまっておくこと、そして、警官も含め見られないようにすること、見られたら対策部の手帳を見せることわかったかい?」

「ええ、了解です……」

「ん?どうした」

「この対策部の手帳って警官が見てもわかるもんなんですかね?こんな手帳があるなんて今まで聞いたことないし……」

「あー、たしかに対策部の存在は警察組織の上層部しか知らないからね、でも、手帳に隠語が記してあってその隠語は警察官なら誰でもわかる、そして、その隠語を見たら上司に報告することになってる、そして、最終的には上層部に繋がる仕組みだよ……あ、もう、こんな時間だ、シフトにおくれちゃうね、さぁ、行っておいで!!」

 

 

 

 

僕は対策部を後にして入り口を通り野村珈琲(コーヒー)店までやって来た。

 

 

「おや、ソラ君来たね、じゃ、ちょっと奥まできてね」

「はい」

 

 

店の奥まで行くと事務室のテーブルに恐らく嘔吐神経麻痺剤と水が置いてあったのだ。

 

 

「それ飲んだら制服に着替えてね、さっそく、喫茶スペースを手伝って貰うから、今日はフルダ君と私と一緒だよ」

「はい、よろしくお願いいたします」

「うん」

 

 

僕はフルダさんと店長と一緒に喫茶スペースの厨房に入った。

 

 

しかし、分からないことが多くできる限り邪魔にならないようにしたのだった。

 

 

 

 

「さぁ、ソラ君も珈琲(コーヒー)、淹れてみようか」

「はいぃ……」

 

 

お店のお客さんが大分いなくなりフルダさんひとりでも回せるようになった頃、僕は店長に教わりながら珈琲(コーヒー)を淹れることになったのだ。

 

 

「まずはゆっくりと中心らへんをのの字を描くように君の世界の500円分ぐらいを二巡して」

「はい」

「うん、そんな感じ、ほら、表面が膨らんできたでしょ、そしたら3~40秒ぐらいして膨らみが落ち着いたら先程のように中心でのの字を描いてお湯はドリッパーのだいたい8分目ぐらいまでを目安にね」

「はいぃっ!!」

 

 

何とか珈琲(コーヒー)を淹れることができたのであった。

 

 

「どうだい?」

「……なんか、店長に比べると深みがないっていいますか、なんと言うか……」

珈琲(コーヒー)は淹れる人によって味は変わる、ゆっくり覚えればいいさ」

「はい!!」

 

 

 

 

そして、シフトが終わり事務所に戻るとすぐに店長も事務所に入ってきたのである。

 

 

「店長、お疲れさまです」

「うん、お疲れさま……どーだった?」

「……ちょっと大変でした…けど、初めてちゃんとした珈琲(コーヒー)淹れることができて嬉しかったです」

「うん、その調子で頑張って」

「はい!!」

「ああ、それとね、明日の朝から僕がやってた人間の味覚の訓練をしてもらうよ」

「!!……はい」

「まず、第1段階は食パンを3枚分全て10回以上噛んで飲み込めるようにすること」

「?」

「まずはこれを明日の朝食の前と学校のお昼の前に食べなさい」

 

 

店長は僕に一口サイズの食パンの欠片を渡した。

 

 

「?」

「食パンを口にいれ10回以上噛んで飲み込むんだ、吐かないように堪えることができたら量を増やしていくんだよ」

「なるほど……」

「無論、嘔吐神経麻痺剤は使ったら意味がない、自力で頑張ってね」

「……わかりました」

 

 

 

そして、次の朝。

 

 

朝食は対策部の食堂で喰種(グール)でも食べれる食材のみで作ったメニューを提供してくれる、朝食の前に僕は自室で食パンの欠片と睨めっこをしていたのだ。

 

 

「………よし!!」

 

 

僕は食パンの欠片を口へと入れたのである。

 

 

「ぬっ!?」

 

 

直ぐ様、トイレに行き吐き出したのだった。

 

 

「ダメか……」

 

 

 

 

その後、朝食を食べてお昼の弁当(弁当も対策部の支給である)の前にもトイレの近くで僕は欠片を口にいれた。

 

 

マズゥゥ……

 

 

「うぐぐぅぅ!!」

 

 

堪えろ…

 

 

「ぐっ!!」

 

 

僕は限界になりトイレへ吐き出したのだ。

 

 

また、その日の夜も飲み込めず吐いてしまったのだった。

 

 

 

 

「焦ることはないさ、けど、他の喰種(グール)よりいい、他は臭いだけで吐いてしまう者もいるからね、大丈夫だよ」

「はい……店長、ありがとうございます」

「うん」

 

 

 

そして、次の日の昼。

 

 

「今度こそ!!」

 

 

僕は欠片を口にいれ噛んだのである。

 

 

やべぇ、 マズイ……マジで吐く……堪えろ……噛め!!噛むんだ!!

 

 

そして、

 

 

「ハァハァ……やったぁ……」

 

 

 

 

 

そして、僕は毎日それを繰り返しようやく目標のパン3枚までもうすぐのところまできていたのだった。

 

 

「順調のようだね」

「店長、えぇ、お陰様で」

「うん、でも、第2段階はもっときついよ」

「もっと?パン50枚とかですか?」

「ううん、量は少ないよ、まぁ、教えるのは3枚終わってからにしようか?」

「はい、そうします」

 

 

 

 

 

数日後、

 

 

「ハァハァ……やった!!3枚飲み込めたぞ」

「おめでとう、ソラ君、明日から第2段階だよ」

「はい!!」

「明日、渡すものを10回以上噛んで飲み込めたら成功だ、けど、それをやるときは野外でね、絶対に室内で開けちゃダメだよ」

「?はい」

 

 

 

 

 

次の日の朝、

 

 

「何ですか、これ……」

 

 

透明の密封容器に入れられた変な色の餅のような何かと僕は対面した。

 

 

「これを食べれたら終わりだよ」

「……たしかに一口で終わりそうですけど……これ?原料は何ですか?」

「……君の世界で言うとフィンランドという国のサルミアッキというものとシュールストレミングという物だ、その他にも色々はいっている」

「……!?」

 

 

世界一不味い飴に臭い缶詰……だと、しかも、他にも……

 

 

「絶対に屋内で開けないでね」

「はい……(だろうな)」

 

 

 

 

そして、次の日の朝、朝食前に僕は三浦部長に許可をもらって警察署の屋上で密封容器を開けてみたのだ。

 

 

「ぶっ!?」

 

 

口にするまでもなくその臭いだけで僕は嘔吐したのであった。

 

 

「これは……酷い」

 

 

シュールストレミングと言えば世界一臭い缶詰として有名である、人間にとっても耐え難い臭さを誇るもの……喰種(グール)には相当なものであろう、また、サルミアッキも食べたことはないがフィンランドで不味い飴として有名だ。

 

 

「前にダイチが作りたてのゴムの味とか言ってたっけな……つーか、ゴム食ったのかあいつ……」

 

 

 

 

そんなこんなで口に入れることもできない日々が続き、そして、ようやく口に入れることができたのである。

 

 

しかし、

 

 

「!?」

 

 

直ぐ様、吐き出してしまった。

 

 

「ねぇ!!これはダメ……飲み込める気がしない!!」

 

 

 

そして、僕は来る日も来る日もこれ(ゲテモノ)と格闘するもいっこうに飲み込むことはできなかったのだ。

 

 

 

 

 

「ソラ君すごいよ、この訓練をこの速度でここまでやるなんて」

「そうなんですかね?」

「うん……はい、珈琲(コーヒー)

「いただきます」

 

 

僕はシフト終わりに店長に呼び止められていたのである。

 

 

「あれを食べてると珈琲(コーヒー)が余計に美味しく感じますね」

「感じる……か……」

「あっ、店長、すいません、感じるだけじゃなくておいしいです」

「……そうじゃないよ、ソラ君」

「えっ?」

「ものは考えようだよ……あれだって不味いと思うから余計に不味くなるんだ、少し視点をずらしてみるといいよ」

「……」

「さぁ、明日も頑張ろう」

「はい……」

 

 

 

 

次の日の昼、

 

 

「視点を変えてか……朝はダメだったしな」

 

 

僕は昼の分のあれを口に入れた。

 

 

「!!……!!」

 

 

たえろ!たえろ!たえろ!飲み込め!

 

 

「……うっ……おえぇ……」

 

 

やはり、吐き出してしまったのだ。

 

 

「……やっぱり、飲める気がしない……」

 

 

まてよ……

 

 

「…………………………!!飲める気がしない?」

 

 

飲めないと思っているから飲めない……そうか!!

 

 

 

 

そして、夕飯前、僕は屋上であれと見つめあっていたのである。

 

 

「……美味しそう、飲みやすい、きっとすぐ喉を通る……!!よし」

 

 

僕は決心してあれを口に入れた。

 

 

「!!……うぐ……おいしいおいしい……ぐぐぐ……」

 

 

そして、僕はついに10回噛むことができたのだ。

 

 

「とろけて喉を通りそう……うぉぉぉぉ!!」

 

 

そして、無理矢理飲み込んだのである。

 

 

「ハァハァハァ……!!リバースしそう……たえろたえろぉぉ!!」

 

 

僕はなんとか持ちこたえたのだった。

 

 

そこへ、

 

 

「さぁ、お飲み」

 

 

店長が来ていて水の入ったコップを差し出してきた。

 

 

「ハァハァ……店長?……ありがとうございます」

 

 

僕はその水を飲み干したのだ。

 

 

「落ち着いたかい?」

「はい」

「ソラ君、おめでとう、これで訓練は終了だ」

「………」

「ん?どうかしたのかい?」

「いや、終了できたのは良かったんですが……なんか、実感わかなくて」

「そうか……よし、ついておいで」

「え?」

 

 

 

 

僕は店長に連れられ対策部のラウンジにやって来たのである。

 

 

「それじゃフルダ君、例のものを」

 

 

店長はむこう(野村珈琲店)へ受話器でフルダさんに何かを頼んでおり、受話器からは「了解」という声が聞こえてきたのであった。

 

 

そして、すぐにラウンジによくレストランなどで料理にカバーをするためのドームカバーというやつが被せられたものが届けられた。

 

 

ドームカバーを外すとそこには特大のサンドウィッチがあったのだ。

 

 

「サンドウィッチ!?」

「さぁ、フルダ君特製のサンドウィッチだよ」

「……」

「不安かい?」

「えぇ……まぁ……」

 

 

僕は恐る恐るサンドウィッチを一口食べたのである。

 

 

「どうだい?」

「……おいしい……」

 

 

そして、僕の目から大粒の涙が零れた。

 

 

「店長、食事ってこんなにも素晴らしいことだったんですね」

「うん……」

 

 

僕はサンドウィッチを残さず平らげたのだった。




やっと投稿できた…しかし、今回まじグタグタ、それに題名がなんか汚くてごめんなさい。


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日々

「いただきます」

 

 

僕は学校で対策部から支給された喰種(グール)用の弁当を食べていた。

 

 

「しっかし、本当に肉と卵しかないんだな」

「うん、焼くときもラードとかじゃなきゃ駄目らしいしね」

「なるほどね、飽きねぇか?ソラ」

「どーだろうね、ダイチ、味見してみる?」

「いや、遠慮しとくわ、つーか、お前食いもんの訓練してたんじゃないのかよ?」

「ああ、それなら終わったよ、今なら普通の食事も平気さ」

「じゃなんでんなもん食ってんだよ?」

「栄養にならないから」

「ふーん……」

「あと、他の喰種(グール)の人たちと一緒の時は僕だけなんか悪いなぁって」

 

 

たしかに今いったことは嘘じゃない、でも、一番の理由としてはまず普通の食事は食べても栄養にならない、普通の食事をして栄養をとるには喰種(グール)から抽出されたRc結晶が必要になるけど、喰種(グール)から抽出されたものを飲みたくはないから僕は肉で栄養をとることにした、別に強い喰種(グール)になりたいわけでもないしな。

 

 

そんなこんなで僕はだんだん落ち着いた日々を取り戻していったのであった。

 

 

 

 

「ブレンド珈琲(コーヒー)、お待たせいたしました」

「ソラ君、だいぶ慣れたようだね」

「店長!!……いやぁ、僕なんてまだまだですよ」

「フフ、そうかい?」

 

 

 

その後、お店が終わり後片付けもだいたい終わった頃、

 

 

「ソラ君、珈琲(コーヒー)でもどうだい?」

「よ、よろしいんですか?」

「もちろん!!」

 

 

僕はカウンターに座り店長に珈琲(コーヒー)をごちそうになったのだ。

 

 

「美味しいです」

「そう、よかった……あ、そうそう」

「はい?」

 

 

店長は何か包みを取りだし僕に渡したのである。

 

 

「これは?」

「お給料、2ヶ月分のね、先月はバタバタして渡せなかったからね、今月と合わせて」

「でも……」

「躊躇うことはないさ、君の生活を対策部が見ているけどここの賃金の話とそれは別だよ」

「……はい」

「この世界の通過について説明するよ、理由はわからないけどこっちの世界も君らの世界も昭和や平成という記号を使いどういうわけだが1円から500円まで同じ形の硬貨なんだ、対策部が調べたら材質にも全く違いがなくてあっちとこっちの硬貨を混ぜられたら国でも区別がつかないぐらいらしい」

「え……」

「不思議だよね、だから500円まではこっちでも君らの世界でも使える、けど、1000円や5000円、10000円は札はこっちに存在がなく金銀とかの硬貨であるから気をつけて」

「なるほど、すごいなぁ、あー、でも、金貨とかじゃ僕の世界じゃ使えませんね」

「まぁね、金貨は金として売ればお金になるけどそれは対策部が禁止してるし変な金は売れにくいし違う世界にお金を移動するときはある程度500円までにしてた方がいいね」

「なるほど、因みにドルは?」

「フフ、あるわけないよ」

「やっぱり、じゃあ日本円の一部で統一なんて不思議ですね」

「たしかにね……さてと、明日の仕事……………あ、そうそう明日はお店じゃなくてフジくんと一緒に買い出しに行ってくれるかな?」

「買い出し?」

「うん、珈琲(コーヒー)豆とか食料とかね」

「食料……ってまさか!?」

「Rc結晶の材料は私が揃えるからソラくんは店で使う物や喰種(グール)用の食料をよろしくね」

「……わかりました」

 

 

 

 

 

そして、次の日、学校から対策部に戻るとフジさんがいた。

 

 

「……学校は終わったのか?」

「はい」

「……店長から聞いているな?」

「買い出しでしたっけ?」

「……そうだ、行くぞ」

「はい……ってこっち側で買うんですか?」

「野村ブレンドはこっちとあっちの豆を何種類かブレンドしてできている」

「あー、なるほど」

 

 

 

 

そして、フジさんと僕は電車を乗り継ぎ板橋区の大山駅の近くにある 珈琲(コーヒー)の専門店にやって来たのだ。

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 

店内は落ち着いていて奥には珈琲(コーヒー)を焙煎する機械もあり、また、カウンターから見える位置に色んな種類の珈琲(コーヒー)カップが置いてありすごく楽しげだった。

 

 

「何だかすごいですね」

「……俺はこっちの世界の珈琲(コーヒー)ではここが一番だと思っている」

 

 

豆を買う前に一杯飲むことになったのである。

 

 

「わぁ、ブレンドが3種類もあるんですね」

 

 

僕は中深煎りのブレンドを注文した。

 

 

「わぁ、おいしい……」

 

 

そして、珈琲(コーヒー)を飲み終えた頃、

 

 

「はい、お待たせしました」

「……ありがとうございます」

 

 

フジさんは注文していた何種類かの珈琲(コーヒー)豆を受け取り代金を支払ったのだ。

 

 

「……行くぞ、ごちそうさまです」

「はい、ごちそうさまでした!!」

「ありがとうございました」

 

 

そして、その後は一度、対策部に戻り喰種(グール)の世界に入って19区にある農場を訪れたのである。

 

 

この世界は東京しか存在せず僕らの世界よりも東京は遥かに広大で区によっては砂漠や荒野もあった。

 

 

特に19区は珈琲(コーヒー)の栽培に適しているらしく結構な数な珈琲(コーヒー)農場があるのだ。

 

 

高橋珈琲農場(タカハシコーヒーノウジョウ)?」

「……ここの豆はお前たちの世界でいうマンデリンとかとかなり似ている」

「そうなんですね」

 

 

そこへ、

 

 

「いや、僕はね色んな豆を研究しようやく君たちの世界のマンデリンができたのだよ、けど、ここでも喫茶スペースをもうけてるけど君たちの所の珈琲(コーヒー)が一番だと思っているよ」

 

 

ここでは焦がす前の豆を買っていたのである。

 

 

店長は高槁農場の豆をベースに大山の専門店の豆を配合して野村ブレンドを作るらしい。

 

 

その後も色んな種類の農場で豆を購入しあとは人間用の食べ物や喰種(グール)用の肉などを買ってお店に帰って来た。

 

 

 

「2人ともご苦労様」

 

 

その後、店長は高槁農場をはじめとする農場の豆を焙煎し高槁農場の豆と大山の専門店の豆をブレンドして野村ブレンドを作ったりしていたのであった。

 

 

「焙煎、いい香りですね」

「そうかい?今度やらせてあげるよ」

「本当ですか?ありがとうございます」

 

 

 

 

その後、僕は対策部へと戻るとスマホの電波が入りダイチからメッセージが届いていたのだ。

 

 

「あ、そーか、あっちじゃ電波ないもんな、て、充電が……あー、圏外だからか、あっちの世界いるときは機内モードにしとくか、あ、そうだ、ダイチダイチ」

『ソラ、春が来るぞ!!ひゃー』

「…………」

 

 

メッセージの内容がよくわからなかったので電話してみたのである。

 

 

『よう、ソラァァ』

「どうしたの?」

『聞いてくれよ、隣のクラスの佳奈(カナ)ちゃんと遊びに行くことになったのさ!!』

「へぇ……よかったじゃん」

『遊園地に行くんだけどソラも来いよ』

「は?お前ばかなのデートだろ?2人で行けし」

『わかってるけどさ、2人とか俺、女の子への免疫ないし無理無理無理!!』

「君の心臓はノミ以下かい?」

『カナちゃんも了承してるし、いい雰囲気になったら最後だけ姿消してくれよ、なぁ』

「ちゃっかり僕を利用しようとしてるな?」

『ギクッ!?』

「いや、わかりやすくギクとか言うなし」

『頼むよ、ソラ、俺が入学してからカナちゃん狙ってるの知ってんだろ、遊園地了解してくれたの奇跡だ、そうまじで奇跡だぜ、頼むぅぅ!!』

「ハァ……フフ、わかったよ、いつ?」

『ありがとう!!今週の日曜日だけどいい?』

「了解、またな」

『おう!!』

 

 

電話が終わるとミウラ部長がやって来た。

 

 

「楽しそうだね」

「部長!!いやぁ、友達と遊園地に行くことに、ちょーどシフトもありませんし」

「女の子かい?」

「両方ですよ」

「両方?」

「友達の狙ってる子でその友達がノミ以下の心臓でその付き添いですよ」

「ああ、なるほどね、若いねぇ」

「そうですかね」

「うん、あ、引き止めて悪かったね、おゆき」

「はい、失礼します」

「うん」

 

 

遊園地か久しぶりだな。

 

 

しかし、この遊園地での出来事が僕の日々を崩壊させ後に喰種(グール)たちの運命を大きく揺るがすことになるとは僕は知るよしもなかったのだ……




次回、ソラがついに赫子を…お楽しみに笑、因みに大山の専門店は知る人ぞ知るです!!


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崩壊

日曜日、ダイチとの約束で僕は隣のクラスのカナさんと遊園地に来ていた。

 

 

「うわぁ~ニシヤマ君、ナグモ君いっぱい乗り物があるよ!!」

「うぉぉ!!まわりきれるかなぁ!!」

「ダイチ、テンションが…」

 

 

ダイチは小声で、

 

 

「あったりめぇーだろ、カナちゃんだぜ、カ・ナ・ちゃん、これがテンションあがらずにいられますか~」

「はいはい」

 

 

しかし、カナさんの体臭ってなんていうか普通じゃない……クセのある匂い?食べ物に例えるとブルーチーズとか?

 

 

「!!いけないいけない、食べ物に例えるな」

「どうした、ソラ?」

「いや、何でもない」

 

 

あのカナ?って子、クセのある体臭だな、ありゃ肉の好みで好き嫌いか 喰種(グール)によってくっきり分かれるぜ、まぁ、俺は絶対喰わないけどな…

 

 

「!!」

 

 

久しぶりにあの喰種(グール)の声が聞こえたのだ。

 

 

それよりもさ、あのダイチっての喰おうぜ。

 

 

「…………」

 

 

僕は無視することにしたのだった。

 

 

 

 

その後、僕とダイチとカナさんは遊園地を一回りし昼時になるとフードコートで昼食をとっていたのである。

 

 

今日は朝にいつもの倍以上の肉を接種して昼は普通の食事を食べていた。

 

 

「ニシヤマ君とナグモ君ってそんなに仲いいんだ」

「そんなに仲いいのかな、ソラ?」

「そうなんじゃない?」

 

 

僕が空腹で狂った時もお前だけは普通に接してくれたよな。

 

 

「なんか羨ましぃな、そうゆう友達……私はなんかさ、まわりの女子からは男子に色目使ってるとか、ヤリマンとか」

「………」

「………」

「ま、経験はおろか、高校になってから誰かと付き合ったことないけどね、処女でーす」

「………」

「………」

 

 

カナさんって以外とドライなんだな。

 

 

「………でも、俺も童t」

「ダイチ、シャラップ」

「はい、すいません」

「まってウケる!!ふたり超絶息ぴったりじゃない?」

「まぁな、ソラ」

「毎日のように遊んでるもんな」

 

 

 

 

その後も僕たちは遊園地を回りあっという間に辺りも暗くなったのだった。

 

 

「ふたりともそろそろ帰る?」

「ソラ、夕飯はどうする?」

「夕飯か……と、その前にトイレ行ってくるわ」

 

 

最後に僕がいなくなりダイチとカナさんをふたりきりにさせる約束だ、頑張れよ、ダイチ。

 

 

「あのさ、カナちゃん……」

「どうしたの?」

「俺さ今日1日カナちゃんと遊んですげぇ楽しかった」

「……うん、私も楽しかったです」

「……でな、俺な…………入学した時から……………カナちゃんのことが………」

「………」

「……す………」

 

 

その時

 

 

「きゃ!!」

 

 

カナの身体が何者かに片手で持ち上げられたのだ。

 

 

「カナちゃん!?」

「……この匂い、珍味だ、うまそーだ!!」

 

 

カナを掴んだ男の目は白目が黒く瞳孔が紅く変化したのである……そう、赫眼へと……

 

 

「こんなとこで俺の大好きな珍味に会えるとは……この臭みがたまらねぇんだよな、もう、我慢できねぇ頂こう!!」

 

 

その時

 

 

「離しやがれ!!」

 

 

ダイチはカナを救おうと喰種(グール)へと飛びかかったのである。

 

 

「あん?邪魔なんだよ」

 

 

ダイチはもう片方の手で顔面を捕まれ腹に膝けりをくらった。

 

 

「がっ……」

「ニシヤマ君!!」

 

 

ダイチは地面に転がり意識はあったものの動けない状態だった。

 

 

「カナ……ちゃん……」

「おうおう、可愛そうに、それじゃ遠慮なく喰うか」

「やめて!!」

「やめませーん!!」

「俺の大切な人に手を出すなぁぁぁ!!」

 

 

ダイチは力を振り絞りもう一度飛びかかったのだ。

 

 

「君さ飛びかかる力も残ってないじゃない」

 

 

ダイチは力及ばず再びその場に転がったのである。

 

 

「てか、マジでお前邪魔……………死ねよ」

 

 

そして、 喰種(グール)は足でダイチの顔面を踏み潰そうとした。

 

 

「………」

「ニシヤマ君!!」

 

 

その時

 

 

「は?」

 

 

喰種(グール)の顔面を銃弾が横切ったのだ。

 

 

「なんだ?」

 

 

その銃弾を撃ったのは眼帯のマスクを装着したソラだった。

 

 

どうすれば、この銃であいつに抵抗することはできるのか…

 

 

「……喰種(グール)?……いや、あの匂いは人間だよな、てことは対策部の捜査官か?」

 

 

僕は喰種(グール)に向かってRcバレットで発砲したのである。

 

 

「んなもんきかねぇんだよ、指名手配中の喰種(グール)をなめんなよ!!」

 

 

喰種(グール)は弾丸を避けると一気に僕に接近し腹に膝けりを入れた。

 

 

「うぷっ……」

「ほらよ!!」

 

 

喰種(グール)は怯んでいる僕を蹴り飛ばしたのだ。

 

 

「弱々しいな、ほんとに捜査官か?……まぁいい、さてとこっちの女を頂くか…」

 

 

喰種(グール)はカナさんを地面に叩き付けると腕を掴んだのである。

 

 

「まずは腕から味見だ」

 

 

喰種(グール)はカナさんの腕をもぎ取ろうとした。

 

 

「いやぁぁぁぁぁ!!」

「!!カナちゃん、やめてくれ……」

「なんとか……しなくちゃ」

 

 

どうしたらいいんだ。

ひとまず俺を使ってみる?

けど、それじゃあ……

友達死んじゃうよ、さぁ、俺の力使うなら近くの人間食べればきっと使える。

 

 

「……人間を……そんなこと……」

 

 

どうすれば……………………………!!………人間……人肉……ここにあるじゃないか…………これしかない。

 

 

僕は自分の腕に噛みつき肉を噛みちぎり飲み込んだのだ。

 

 

これで喰種(グール)の力が……

ほう、そうきたか、やるな、自分喰い、その発想は俺にはなかったよ。

 

 

「!!はぁ……あああ!!」

 

 

僕は今まで感じたことのない感覚に陥ったのである。

 

 

そして、ソラの左目は赫眼を発眼していた。

 

 

「!!うぉぉぉぉ……」

 

 

僕は心臓が高鳴るのを感じ僕の腰辺りから血が吹き出すとの同時に2本の鱗赫の赫子が現れたのだ。

 

 

「は?あいつやっぱ喰種(グール)か?けど、やっぱ匂いが……つか、人の匂いのする喰種(グール)…………味見してみるか」

「うおぉぉぉぉ!!」

 

 

僕は勝手に動きまくる鱗赫をできる限り奴に向けて突っ込んだのである。

 

 

しかし、

 

 

「えっ…」

 

 

喰種(グール)は僕の2本の鱗赫を素手で掴んだ。

 

 

「あのさ、知ってるかどうかは知らないけどね、人の肉を殆ど食べてない喰種(グール)の赫子ってさ鱗赫は特にだけどこの通り脆いのさ」

 

 

喰種(グール)は僕の鱗赫をそのまま引きちぎったのだ。

 

 

「おらおら!!」

 

 

僕は喰種(グール)に顔面を殴られその場に転がったのだった。

 

 

そして、僕のマスクが外れ僕の素顔がさらけ出されたのである。

 

 

「!!隻眼………隻眼の喰種(グール)……そうか、人の匂いしてたのこれのせいか」

 

 

喰種(グール)は僕に近づき僕の腕を一口噛みちぎった。

 

 

「!!うんめぇ、こんなうめぇの初めてだ……隻眼、こいつは面白い!!」

 

 

喰種(グール)は何か液体の入った容器を取り出したのだ。

 

 

「これなんだと思う?」

「…………」

「正解はシンナー!!」

「え?」

 

 

喰種(グール)は容器の蓋を空けるとシンナーを無理やり僕の口に注ぎ込んだのである。

 

 

「うごっおごっ!!」

「飲め飲めぇ!!」

 

 

僕はシンナーを飲んでしまった。

 

 

「ハァ、ハァ、ハァァ!?」

 

 

僕は腹の中が熱くなるのを感じたのだ。

 

 

「うわぁぁぁぁ!?」

 

 

僕は体の傷が異常に痛くなったのである。

 

 

「痛いでしょ?シンナーってね、喰種(グール)が飲むと痛みを数十倍余計に感じるようになるんだよ、知らなかったでしょ?だって、俺の亡き両親が発見して俺しか知らないんだし」

 

 

そして、喰種(グール)は尾赫の赫子を出し僕の左肩から下へ斜めに斬った。

 

 

「!!うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

今度は噛みつき肉を引きちぎったのだ。

 

 

「あっ…あっ…」

 

 

 

それからも何度も何度も僕の体を食べたり傷つけたりしていたのであった。

 

 

「1000-7=993、986……」

「?あ、なんかそんなこと言うキャラいたよな、そいつの真似か?」

 

 

怪物人間のアニメで相手に数を数えさせて拷問するキャラクターがいた、そいつは相手が自我を失う時間を先延ばしにするため引き算させていた、僕は拷問されているキャラお同じように数字を数えた……でなければすぐに自我を失ってしまいそうだったのだ。

 

 

「979、972、965……」

 

 

そして、

 

 

『1000-7=?』

 

 

僕は次第に狂いまるで本当にそのキャラに拷問されている幻覚を見ていたのである。

 

 

『1000-7=?』

 

 

そいつは拷問時指を鳴らすクセがあり、指を鳴らしながらどんどん僕の体をどんどん傷つけていく……

 

 

「あっひゃゃひゃひゃひゃゃ、1000-1000-1000-!!」

 

 

喰種(グール)は尾赫で連続的に僕の体を斬りつけていた。

 

 

「あーあ、白目向いちゃってる……こいつはほっといて先に珍味の方を食べるか」

 

 

 

 

僕は何もない灰色のみの空間に横になりながら特に何かするわけではなくただ浮いていたのだ。

 

 

「言ったろ、人の肉を食べなきゃどうしょうもないのよ、君が拒否るから君の友達はこれから奴に喰い殺されるよ」

 

 

僕の目の前に僕の今の心臓の持ち主の喰種(グール)が現れたのである。

 

 

ここは僕の精神世界なのだ。

 

 

「しかし、やばい喰種(グール)に目をつけられたな、あんな悪趣味なの初めてだ……………………もう、喋る気力もねぇか?……ほら、起きて近くの人間補食して強く楽しく生きようぜ、なぁ」

「…………………………………………そうだな……」

「お!!やっと俺を受け入れる気になったか?」

「…………………………………受け入れる?笑わせるな」

 

 

灰色の空間から柱のような物が伸びて奴を串刺しにしたのだ。

 

 

「な!?なんで……」

「いやいや、なんでじゃないでしょう?ここ僕の精神だし、てめぇが好き勝手できるわけねぇだろ」

「お前じゃ何もできねぇだろ、人の肉を喰わなきゃこの肉体はすぐに生命活動停止するぜ」

「あっそ、ま、とにかくお前の力は欲しいけどお前の意思とかいらねぇし」

 

 

灰色の空間に人より大きい球体が伸びてきたのである。

 

 

「安心して、お前の力は僕が全部貰うから、だから、ここで僕の精神に喰われて消えてくださいな」

 

 

球体に亀裂が入りギザギザの歯をもった口のようになった。

 

 

「や、やめろ……」

「へぇ、赫包の精神でも命乞いってするんだ」

「頼む、やめてくれ!!」

 

 

僕はヤモリのように指を鳴らしたのだ。

 

 

「バイバイ~」

「やめ……」

 

 

奴は球体に喰われ僕の精神に吸収されたのだった。

 

 

 

 

僕の心臓には折れた骨の破片が刺さっており心臓が停止するのは時間の問題だ、そして、口の中の血が喉を通り胃の中へと流れていたのである。

 

 

「やめてぇぇ!!」

 

 

喰種(グール)はカナの腕をバキバキと音を立てながらもぎ取ろうとしていた。

 

 

その時

 

 

「ん?」

 

 

喰種(グール)は後方の異変に気づいたのだ。

 

 

「なんだ?」

 

 

再起不能まで傷つけたソラの全身から大量の赫子が出現しており、その赫子はソラの欠損した場所を補完するかのように形成してゆき残っている肉体と赫子によってできたまるで不細工な継ぎはぎのような肉体になり腰からは鱗赫が2本出ていたのである。

 

 

「おいおい、どーゆうことだよ……」

 

 

僕は指を鳴らすと鱗赫を構え喰種(グール)へ向かった。

 

 

「!!っと」

 

 

喰種(グール)は尾赫で対抗し僕と喰種(グール)の赫子がぶつかり合ったのだ。

 

 

「さっきとは赫子の強度がまるっきり違う、どうなってんだ!!」

 

 

僕は向かってくる尾赫を避けるため上へ跳躍したのである。

 

 

「へっ、もらったぁぁぁ!!」

 

 

喰種(グール)は尾赫を跳躍した僕へ伸ばしてきた。

 

 

「なっ!!」

 

 

そして、僕はその尾赫を僕の鱗赫で掴んだのだ。

 

 

「この野郎!!このまま押し通してミンチにしてやる」

 

 

僕は喰種(グール)の尾赫に押さえられたのである。

 

 

「俺の勝ちだ!!」

 

 

しかし、僕は更に2本の鱗赫を出現させ計4本の鱗赫になった。

 

 

「なんなんだよ!!」

 

 

そして、ギギギという音を立てながら喰種(グール)の尾赫は割れたのであった。

 

 

「なにぃぃ!?」

 

 

僕はそのまま喰種(グール)に接近し鱗赫で喰種(グール)を叩きつけたのだ。

 

 

「うごっ……」

 

 

僕は指を鳴らしながら転がっている喰種(グール)に近寄ったのである。

 

 

「うぉ!!まってくれ、なぁ、まってくれさ、話し合わないか?ちょ、まじまって!!」

「………話すことなんてないだろ」

「いやいやいや、てか、マジで命だけは勘弁してください、あなたの友達には手を出しません!!」

「……友達には……か……」

 

 

僕は4本の鱗赫を奴の両手両足に突き刺した。

 

 

「うがぁぁぁぁ!!」

「腹立つ、僕、お前のことここで殺す」

「やめて、やめてくれぇ……どうにか……どうにか……」

「じゃあ、ひとつ教えてくれる?教えてくれたらお礼に生かしといてあげるよ」

「はい!!」

赫者(カクジャ)ってあるの?」

「赫者?あー、それは共食いを繰り返した喰種(グール)の」

「共食いってただ喰種(グール)の肉を喰えばいいの?」

「いえ、たしか自分の肉体の損傷が殆どないときに相手の肉を一定量、それと心臓と心臓についている赫包を食べればよかった筈です」

「一定量?」

「たしか、約1㎏らしいです、一定量を喰うと舌が数秒痺れてわかるらしいです」

「他には?」

「えっと、赫者の赫根を使うには10人分の喰種(グール)を食べると新たな赫包が出来て使えるようになるらしいです、けど、そっからは精神に異常をきたすみたいです。以上!!」

「そうか、ありがとう……」

 

 

僕は赫子を喰種(グール)から引き抜いたのだ。

 

 

「た、助かった……」

 

 

そしてら僕は喰種(グール)の腹部に4本全ての鱗赫を突き刺したのである。

 

 

「ぐわぁぁぁ!!貴様、話したら見逃してくれるんじゃなかったのか!!」

「……………………ウ・ソッ」

「なんだと……」

「第一お前みたいな危険なの生かしておくわけないでしょう、馬鹿なの?つーか、なんでお前らみたいの生きてるの?人喰う 喰種(グール)とかまじで存在価値ないでしょ」

 

 

僕は喰種(グール)に顔を近づけた。

 

 

「シンナー御馳走様!!おかわり欲しいなー、次はお前ね」

「俺はやめてくれ!!」

「いやいや、おかしいだろ?僕の体をこんなにしたやつから再生するための栄養貰わないと」

「共食いは精神壊れるぞ」

「安心してください、もう壊れてますよ、てかてか、君のおかげで精神の抑え込み方マスターしたしな、さてと、お別れの時間だ、僕はもう腹ペコだよ」

「やめてくれぇ!!」

「るせぇんだよクズ」

 

 

僕は喰種(グール)の肉を噛みちぎり飲み込んだのだ。

 

 

「まずいな、腐った肉みたいだ」

「やめてくれ……」

「あのさ、てめぇが今まで喰ってきた人間も同じ事いったんじゃないの?」

「わかってます!!わかったから心入れ替えます!!」

「心だぁ?てめぇら人喰いに心なんてねぇ、存在価値もねぇ、てめぇみたいな喰種(グール)はみんなみんな死ねばいい、僕が全部殺してやる」

「何人いると思ってんだ、あんたの一生終わっちまうよ」

「とりま、てめぇがその長い長い戦いの第一歩ってことで」

 

 

僕は更に喰種(グール)の肉を噛み付いたのである。

 

 

「や、やめてくれぇ!!人を……近くの人を喰ってくれ!!」

「僕の身体こんなのにしたの君だよ、だったら君を使って治すのは当たり前でしょ?」

「許してください!!」

「………」

 

 

僕は指を鳴らした。

 

 

「もう、遅ぇんだよ、大人しく喰われろ、クズめ……」

 

 

 

 

その後、遊園地に対策部のヘリコプターが到着したのだ。

 

 

「この先のはずだ」

 

 

マスクを着けクインケ、シニガミを持ったミトにマスクを着けRcバレットを構えた捜査員が複数人いたのである。

 

 

「シニガミさん、あれ……」

 

 

捜査員が指す先には倒れている死体にむさぼりつく喰種(グール)の姿があった。

 

 

「構えろっ!!」

 

 

ひとりの捜査員の掛け声で一斉に捜査員たちが喰種(グール)にRcバレットを構えたのだ。

 

 

「まて!!……これは……」

 

 

ミトは転がっていたマスクを見つけそれを拾ったのである。

 

 

「眼帯マスク、これはソラの……」

 

 

ミトはもう一度喰種(グール)を見た。

 

 

「…………!!ソ……ラ…なのか……」

 

 

喰種(グール)の動きがとまりその喰種(グール)は口を真っ赤に染めた顔をミトに向けたのだ。

 

 

「はい、ミトさん」

「……それは、喰種(グール)なのか、なんでそんなものを……」

「……すいません、この喰種(グール)にやられて死ぬ直前まで追い込まれたのでその補給を」

「……もう傷もない、やめたらどうだ?」

「……いえ、折角なので舌が痺れるまでとそれから心臓と赫包も頂こうと思います」

「舌が痺れて心臓と赫包……!!お前まさか共食いを……よせ、精神に異常をきたすぞ」

「僕は自分の中の喰種(グール)を精神で抑え込んだのでたぶん平気です」

「しかし……」

「ミトさん、もし、僕が狂って人を襲いはじめたらその時は駆逐してくださいね」

「ソラ……」

 

 

そして、僕は更に肉を食べ続けたのである。

 

 

「舌が……」

 

 

そうして舌が痺れたのであった。

 

 

「あとは心臓と赫包を……」

 

 

僕は死体をバキバキと音を立てさせながら心臓を掴み死体から引き抜いた。

 

 

「ソラ!!」

「これで1人目」

 

 

僕は心臓と赫包を喰ったのだった。

 

 

「!!」

 

 

そして、僕は心臓と赫子が激しく鼓動するのを全身で感じたのだ。

 

 

「ハァハァ……」

 

 

 

 

病院にて、

 

 

「ニシヤマ君、ありがとう助けようとしてくれて」

「俺なんか何にも、ソラがいなかったら今頃」

「ナグモ君、大丈夫かな」

「……ソラ………カナちゃんも腕痛かったよな」

「うん、でも、骨折ですんで良かったよ、ナグモ君にもお礼言わないと」

「なぁ、カナちゃん、カナちゃんはソラのあの姿見てなんとも思わない?」

「……ニシヤマ君はどうなの?」

「……そんなの決まってる、ソラはソラは俺の大事な友達だ」

「うん、ナグモ君は私の命の恩人だもん!!どんな姿になっても平気だよ」

「カナちゃん……」

「所でさ、ニシヤマ君さ、あの人に襲われる前に何て言おうとしたの私に?」

「えっ?……えっと……」

「なになに~?」

「………………………………………カナちゃん、好きです」

「……ありがとう、ダイチ君……」

 

 

 

 

僕はヘリコプターで対策部へ戻って来ていたのである。

 

 

「ソラ、すぐにミウラ部長が来るから、そしたらシャワー入って体洗いな」

「はい、ミトさん、ご迷惑をおかけしました」

「いや、お前のせいじゃない、ソラ、体はホントに平気か?」

「えぇ」

「……そうか」

 

ミトさんがいなくなるとスマホにダイチから着信があった。

 

 

「もしもし?」

『ソラ、生きてるか!?』

「生きてるに決まってるでしょ?つか、そっちは?」

『俺は軽傷でカナちゃんはあ~と骨折』

『ちょっとダイチ君!!代わって』

『カナちゃん!?』

『ねぇ、ナグモ君、助けてくれてありがとう!!ナグモ君は怪我してない?』

「もう治ってるよ」

『そっかぁ、よかったぁ!!』

『てことで俺たちも学校ちゃんと行くからソラも来いよ!!』

『ナグモ君、待ってるよ~!!』

 

 

電話が切れるとダイチからメッセージがあったのだ。

 

 

『追伸、俺、カナちゃんにコクったわ、結果は学校でな、あばよ!!』

「それでダイチ君か、聞くまでもないな」

 

 

そこへ、

 

 

「おかえり」

 

 

ミウラ部長がやって来たのである。

 

 

「ミウラ部長、ご迷惑をおかけしました」

「君が責任を感じることじゃないよ、でも、すごい汚れてるね、少しだけ今日の話を聞こうと思ったけど明日にしよう、はやく、シャワーに入っておやすみ」

「……はい」

「それじゃ」

「ミウラ部長、ひとつお願いがあります」

「なんだい?」

「………………………………………僕を捜査官にしてください」

 

 

僕に訪れていた日々はこうして崩壊したのだった。




ついにソラ覚醒!!髪は白くなってませんよ


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赫者

「対象喰種(グール)確認」

「シニガミさん、どうしますか?」

「眼帯はクインケを構えろ」

「了解」

 

 

シニガミと眼帯はクインケを構えた。

 

 

「残りはRcバレットを構えろ」

「了解」

 

 

シニガミと眼帯以外の捜査官たちはRcバレットを構えたのだ。

 

 

目先には白いマスクをつけた喰種(グール)がいたのである。

 

 

「Aレート喰種(グール)デビルズテイル(悪魔の尻尾)だな、異空生物対策法に基づき貴様の身柄を拘束する、抵抗するならば駆逐する」

「動くなよ、動いても殺すからな」

「は?死ねよ」

 

 

デビルズテイルは即座に黒い先端が三角形の尾赫の赫子を出した。

 

 

「抵抗する気か!!」

「シニガミさん、殺しましょう」

 

 

僕は対策部から支給された甲赫のクインケをデビルズテイルに振り回したのだ。

 

 

「そんなので私に勝てるかしら?」

 

 

僕は左手を尾赫に切り落とされたのである。

 

 

「アハッ、弱ぁぁ」

 

 

僕はクインケを地面に突き刺しマスクの口元のチャックを開け落とされた左手の欠損部分を少しかじった。

 

 

「は?あんた、喰種(グール)?」

 

 

僕は赫眼を発眼させると左手から赫子を出して置いている手を拾い赫子を使い接着させ再生させたのだ。

 

 

「どーゆーこと……」

 

 

僕は指を鳴らすとクインケを拾い喰種(グール)の力でクインケを振りかざしたのである。

 

 

「なにっ!?」

 

 

デビルズテイルは尾赫でクインケを防いだ。

 

 

「死ねよ、クズ」

 

 

僕は鱗赫を4本だしてデビルズテイルの首をふっ飛ばしたのだった。

 

 

 

 

 

その後、僕は喰種(グール)の死体を前に対策部へ通信を入れようとしていたのだ。

 

 

しかし、

 

 

「…………………………………えっと、なんて通信すればいいんでしたっけ、シニガミさん?」

 

 

シニガミは眼帯に対策部への通信の入れ方を教えたのである。

 

 

「覚えとけよ」

「はい……すいません」

 

 

ソラのやつ、交戦中以外は普段と変わらないのにな、いざ、喰種(グール)を前にすると容赦なく殺すよな。

 

 

喰種(グール)対策部、喰種(グール)対策部、応答を願います、こちら眼帯」

『はい、こちら喰種(グール)対策部です』

「19時16分、ターゲットの喰種(グール)を駆逐完了」

『ターゲット駆逐了解』

「ターゲットによる犠牲者はなし、以上」

『犠牲者はなし、了解』

 

 

 

 

 

その後、対策部のヘリコプターが到着し駆逐した喰種(グール)の遺体をヘリコプターに収用し僕らもヘリコプターに乗った。

 

 

僕らはそれぞれマスクを外しマネキンマスクの状態となったのだ。

 

 

「ソラ、デビルズテイルは君に所有権がある、研究室に運ばれるから後は自由にしてくれ」

「わかりました、ありがとうございます」

 

 

原則、こちらの世界に現れた喰種(グール)は逮捕しようが駆逐しようが確保した捜査官に所有権があるのである。

 

 

喰種(グール)の処遇は状況によって様々である、駆逐した場合は赫包をクインケにし残りの遺体はRc結晶にする、息のある場合はその喰種(グール)の度合いにもよるが死刑、赫包を取り除き懲役後喰種(グール)の世界への強制送還、赫包を取り除きそのまま強制送還、対策部に登録しこちらの身分証明書を発行し条件付きで日常生活に帰すなど様々なのであった。

 

 

 

 

 

その後、僕は対策部へ帰還すると研究室へ向かった。

 

 

研究室ではクインケを作ったり場合によっては喰種(グール)の実験、解剖などを行っているのだ。

 

 

「どうも、ナグモさん」

「どうも、博士、デビルズテイルは?」

「奥の部屋、終わったら知らせて」

「どうも」

 

 

この博士はこの研究室の最高管理者である。

 

 

僕は部屋に入ると首と体が分けられた女性の遺体があった。

 

 

「………」

 

 

僕は自分の肉をひとかじりすると赫眼を発眼させたのだ。

 

 

「……いただきます」

 

 

 

 

「あれ、なんか音しません?」

「あー、ほっとけほっとけ」

 

 

博士とその助手がそんな会話をしているうちにも何かを噛みちぎる音が響いていたのである。

 

 

そして、すぐにその音は止まったのだった。

 

 

部屋からその音を出してた張本人が出てきた。

 

 

「博士、終わりました」

「そうかい、残りはどうする?」

「僕は要りません、Rc結晶にでもしといてください」

「所有権を破棄するってことでいいかな?」

「え、あ、えぇ」

「じゃここにサインを」

「あー、はい」

 

 

僕は博士の書類にサインしたのだ。

 

 

「ところで血、洗いなよ」

「……はい」

 

 

 

 

 

そして、数日後、学校では、

 

 

「なぁ、調子どうだ?ソラ」

「いいぞ、色んな意味で」

「ナグモ君、よかったね」

「そうそう、俺らも絶好調だぜ、な、カナちゃん!!」

「………」

「ちょ、なんで黙るのさ!?」

「………」

「カナちゃん……」

「ブッ、ウソウソ、ごめんね、ダイチ君」

「もう、カナちゃん!!」

「ごめんっ…痛っ!!」

「カナちゃん!?」

「大丈夫?」

「ごめんごめん、2人とも」

 

 

カナさんはあの喰種(グール)に折られた腕がまだ痛むようだった。

 

 

「そうだ、カナちゃん、腕が治ったらどっか行こう!!どこがいい?」

「原宿のカフェ!!」

「俺はカナちゃんとならどこでもいい!!」

「ウケる」

「……バカップルめ」

「なんだよ、ソラ、羨ましいのかぁ?」

「は?」

「てか、ナグモ君気になる子とかいないの?」

「え、あ、いないけど」

「マジかよ」

「てか、まず気になるとかの前にこの身体じゃダメでしょ」

「「…………」」

「ごめん、シラけた」

「別に、な、ソラ、今日予定は?3人でカラオケでもいかね?」

「いいね、カラオケ」

「あ、今日、シフトだわ、ごめん」

 

 

 

 

 

「ソラ君、お疲れ様」

「お疲れ様です」

 

 

僕は野村珈琲(コーヒー)店での仕事をし終えたのである。

 

 

「ソラ君」

「はい?」

「気を付けるんだよ」

「……はい、ありがとうございます、店長」

 

 

 

 

喰種(グール)世界の路地裏、そこをひとりの若い女性が歩いていた。

 

 

「やばっ、まじで迷子になったわ、急いで帰らないと……」

 

そこへ、

 

 

「……こんばんわ」

「え……」

 

 

男性が女性へ声をかけてきたのだ。

 

 

「ダメじゃないの、若い子がこんなところをひとりでうろついちゃ」

「いや、その……あ……」

 

 

女性は嫌な予感がしていたのである。

 

 

「召し上がれって言われてるみたいだな!!」

 

 

男は赫眼へと変わった。

 

 

「いやぁぁぁぁ!!」

 

 

女性は逃げようとするも腰が抜け尻餅をついてしまったのだ。

 

 

「若い子はいいなぁ、さて、どこから食べようかな」

「や…やめて……お願い……見逃して……」

「嫌だね」

「だ、誰か……」

「フハッ、誰も来ねぇよ」

 

 

その時

 

 

「で、来たらどーする?」

 

 

突如、何者かが現れて喰種(グール)の顔面を蹴り飛ばしたのである。

 

 

「うがっ、誰だ!?」

「あなたと同じ喰種(グール)ですよ」

「てめぇ横取りかよ、殺す!!」

 

 

喰種(グール)は甲赫の赫子を出した。

 

 

「甲赫か」

「殺す!!」

 

 

喰種(グール)は甲赫を僕へ振りかざしてきたのだ。

 

 

「でかいな」

 

 

僕は相手の甲赫を自分の鱗赫でガードし反撃の隙を狙ったのである。

 

 

「そんな脆い鱗赫でよくケンカ売れたな、後悔するぞ」

「脆い分、再生力はピカイチなのでね」

「は?そんな素人みたいな戦いかたでよく言うな、ほら、これでどうだ!!」

 

 

僕は相手の甲赫で両腕を地面に叩きつけられ封じられた。

 

 

「ケッ、動けねぇだろ、まず、てめぇ殺して……」

 

 

僕は足を振り上げて喰種(グール)の顔面を蹴り飛ばしたのだ。

 

 

「がっ……」

 

 

甲赫の拘束が緩むと抜け出し喰種(グール)を再び蹴り飛ばしたのである。

 

 

「……なんで、腕、痛くねぇのかよ!?」

 

 

僕の両腕は変な方向へ曲がっていた。

 

 

「……痛いですよ、慣れてるだけで」

 

 

僕の両腕を赫子が包み込んだ。

 

 

僕の再生はこうゆう感じだ、欠損部分を赫子が包みいったん赫子で溶かし赫子が正常な肉体の形を作りそれを細胞と置き換えて再生するのである。

 

 

「なんて再生力」

「言ったでしょ、再生力だけはあるって」

 

 

僕は指を鳴らし喰種(グール)に近づき背後に回り首に腕を回した。

 

 

「!!やめてくれ、見逃してく……」

「嫌だね」

 

 

僕は喰種(グール)の首をへし折ったのだ。

 

 

「……立てますか?」

「……え」

「こーゆー所には入らない方がいいですよ 」

「……あの」

「ん?」

「……ありがとうございました」

「……………」

 

 

 

 

それから少し離れた路地裏からガツガツと言うかじる音が聞こえていたのだった。

 

 

 

 

 

僕は色んな場所で人間を殺す喰種(グール)を殺して喰っていったのである。

 

 

そして、目標の10人まであと1人というところまできた。

 

 

 

 

 

「なんだてめぇ」

「いいから死ね」

 

 

喰種(グール)の世界で僕は同じ鱗赫の喰種(グール)と交戦していたのだ。

 

 

その時

 

 

「動くな!!」

「喰種《グール》捜査官だ、動いたら駆逐する」

「捜査官?……ってこっちの捜査官か」

 

 

そういや、この世界には喰種(グール)処理省とかいう場所あったな。

 

 

「……マスクつけてない、やべぇ」

「上等、あの赫子」

「ああ、Sレート喰種(グール)ハートキラー(心臓殺し)だ」

「ハートキラー、鱗赫の喰種(グール)で補食対象者を赫子でバラバラにしたあと心臓だけを持ち去るという……で、あっちの喰種(グール)は見たことありませんね、マスクは……まるで、眼帯ですね」

「俺がハートキラーと交戦する、お前は眼帯?のレートを測定しつつ交戦しろ」

「了解」

 

 

そして、上等と呼ばれた捜査官が尾赫、もうひとりが甲赫のクインケを構えた。

 

 

「なぁ、眼帯?さんよ、ここは奴等をなんとかしようぜ」

「……そうだな」

 

 

僕とハートキラーはそれぞれ捜査官に赫子を構えたのだ。

 

 

とはいえ、人間を殺す気はさらさらないけど下手したら自分がやられる、どうにかしてクインケを破壊してこの場を納めないと。

 

 

「覚悟ぉ!!」

 

 

捜査官はクインケを僕に振り回してきたのである。

 

 

僕は指を鳴らした。

 

 

「重い甲赫でこの速さ、やるな」

「どうも!!」

 

 

クインケと僕の鱗赫がぶつかり合ったのだ。

 

 

たしかにこいつら人間離れしてる、けどな、ここ最近、喰種(グール)の相手してる僕にしたらまだまだ動きは遅いのよ!!

 

 

「……暫定、レートはAといった所か……!!もらったぁぁ」

「!!」

 

 

僕はクインケを受けて壁に叩きつけられたのである。

 

 

「よし、このまま駆逐して……!!」

 

 

僕は体の色んな関節を外しクインケから抜けた。

 

 

「なっ!?」

 

 

そして、鱗赫でクインケを弾いたのだ。

 

 

「うそだろ」

 

 

僕は鱗赫でクインケを破壊したのだった。

 

 

「クインケが」

「おい、一旦退くぞ」

「上等!!」

「よそ見してる場合か!!」

 

 

ハートキラーは隙をつき上等のクインケを破壊したのである。

 

 

「上等!?」

「しまっ……」

「おら、死……」

「!?」

「ねェェ……」

 

 

突如、ハートキラーの首がふっ飛んだ。

 

 

「なっ……」

 

 

僕はハートキラーの隙をついて首を鱗赫で飛ばしたのだ。

 

 

喰種(グール)同士も殺すのか、この化け物め!!」

 

 

上等捜査官は拳銃を取りだし僕に発砲したのである。

 

 

「……」

 

 

見た感じ恐らく銃弾はRc結晶じゃないみたいだった。

 

 

「効きませんよ」

 

 

僕は鱗赫で上等捜査官の拳銃をへし折ると銃痕を赫子で再生し銃弾を排出した。

 

 

「ひぃ……」

 

 

僕はハートキラーの胴体を抱えると怯える上等捜査官に背を向けて赫子をしまったのだ。

 

 

「え」

「……貴方たちを殺しませんよ、だから命の代わりにクインケを破壊しました、それとこの喰種(グール)の遺体はもらいますね」

「どうして、殺さないんだ……」

「……殺す理由がないからです」

「……………何者なんだ、貴様は……」

「先ほど言ったじゃないですか、眼帯、それで結構です」

 

 

僕はハートキラーの遺体を持ってこの場を離れたのだった。

 

 

 

 

「これで10人目か」

 

 

僕は遺体をただひたすらむさぼったのである。

 

 

「まだ舌は痺れねぇ」

 

 

僕は更に遺体をむさぼった。

 

 

そして、

 

 

「やっとだな」

 

 

舌が痺れたため僕は遺体から心臓を抜き取り食べたのだった。

 

 

「!!うっ……」

 

 

僕は咄嗟にマスクを外すと黒い赫子が顔を覆い鳥のくちばしのマスクのような形状になったのだ。

 

 

そして、赫子が現れ普通の鱗赫の下に新たに2本の黒い鱗赫の赫子が現れたのである。

 

 

「……これが赫者」

 

 

 

 

 

ある日、僕はこんな夢を見た。

 

 

喰った1人目から10人目までの喰種(グール)が僕に襲いかかったのだ。

 

 

みんな僕を食べようとしていたのである。

 

 

けど、夢の中でみんな球体が出てきて全員を喰らいちぎった。

 

 

もう、僕の精神に敵う奴なんてない……そう思ったのだった。

 

 

 

 

 

そして、次の日、僕は教室でダイチと話していたのだ。

 

 

「なぁ、ソラ」

「ん?」

「女の子にデザート奢るならパフェとケーキどっちがいい?」

「は?」

 

 

とかいうどーでもいい会話をしていたのである。

 

 

その時

 

 

「きゃぁぁぁぁ!?」

 

 

校庭の方から悲鳴が聞こえてきた。

 

 

「何事?」

 

 

そこへ、

 

 

「あ、いたいた、ナグモ君」

「どうしたの、カナさん」

「校庭に喰種(グール)が」

「は?」

「カナちゃん本当か!?」

「うん、目があの目になった」

「わかった、対策部に連絡しておくが来るまで時間かかる……僕がいく」

「え」

「しかし、服だな、身元はばれたくない」

 

 

僕は文化祭の時に使用された中国憲法の達人の衣装を羽織りマスクを着けたのだ。

 

 

 

 

その喰種(グール)は近くにいた女子高生たちを追いかけていたのである。

 

 

「腹へったな、若いjk喰わせろ」

「やめて!!」

「やめてと言われてやめるわけねぇでしょ」

「動くな、対策部だ、喰種(グール)対策法に基づき貴様の身柄を拘束する、抵抗する場合は殺す」

「げっ、なんで、対策部が……てか、なんだその洋服は?」

「……Sレート喰種(グール)ムンクだな」

「その通りだ」

 

 

Sレート喰種(グール)ムンク、若い女の子を中心に補食を繰り返す喰種(グール)、ムンクの由来はつけているマスクがムンクの叫びに似ていることからだ。

 

 

「邪魔なんだよ」

 

 

ムンクは羽赫の赫子を出し羽赫を連射してきた。

 

 

「おっと」

 

 

僕はクインケを展開し羽赫をガードするも少し血がとんだ。

 

 

僕は隙をみて接近しクインケを振りかざすもムンクは羽赫を固定し僕の右手を切断したのである。

 

 

「クインケより赫子か」

 

 

僕は赫眼を発眼し赫子を出すと鱗赫で右手を再生させムンクに鱗赫で攻撃した。

 

 

「弱ぇな、そんな鱗赫で俺に勝てるかよ」

「さぁね」

 

 

僕は赫者になって以来赫眼は何も食べなくても発眼できるようになったのだ。

 

 

「ぐっ……」

 

 

僕は羽赫の攻撃を受けて地面に転がったのである。

 

 

「おいおい、そんなんで俺にケンカ売ったのかよ」

「……」

「雑魚雑魚」

 

 

僕は口元のチャックを外すと自分の腕をかじった。

 

 

「あ?」

 

 

そして、僕はマスクを外し下を向いたのだ。

 

 

次の瞬間、赫者の赫子が現れ僕は赫者になったのである。

 

 

「赫者!?」

 

 

あれからも色んな喰種(グール)を殺してきた。

 

 

共食いするたびに体を覆う赫子が増えていたのだ。

 

 

「しねぇ」

 

 

ムンクは羽赫を発射するも僕は赫者の赫子を甲赫にし防いだのである。

 

 

赫者の赫子は食べた喰種(グール)の数によるが他のタイプの赫子に変化することができた。

 

 

「えっ」

 

 

僕は困惑してるムンクに近より尾赫と元々ある鱗赫でバラバラにしたのだ。

 

 

「フォークとナイフみてぇだな」

 

 

もう戻れない、ここまで殺したら僕は人と人を殺さない喰種(グール)を守るために人を殺す喰種(グール)を殺し続ける、それはきっと生物的には間違ってるんだろう、でも、例え間違っていても僕は殺る、もし、僕が死んで地獄へ落とされるなら別にそれでも構わない…




次回ついにヒロインの登場回です。


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詩音

「ほら、お食べ詩音(シオン)

「……うん」

 

 

少女は目の前に並べられた肉をかじった。

 

 

それはとてもまずい肉だった。

 

 

「ねぇ、お父さん」

「ん?」

「どうして人は食べちゃいけないの?」

「たしかに人は俺たちより多くの命を奪う……けどな、人はな俺たちとそんなに変わらない生き物なんだ、俺たちの中にはそんなの構わず人を殺す連中もたくさんいる、父さんはシオンにそうなってほしくない、けど、それだとシオンは弱くなり他の喰種(グール)に狙われちゃう、いざという時にはシオンには自分の身を自分で守ってほしい、だから、人を殺す喰種(グール)の肉を食べてくれ」

「………うん」

 

 

幼少の頃から少女はこうして過ごしたのだ。

 

 

そのため、少女は人の肉を食べることに対して大きな抵抗があったのである。

 

 

 

 

 

それから、数年経過し少女は高校生となった。

 

 

父が家の冷凍庫を開けたのだ。

 

 

「もう、肉が底を尽きるか」

 

 

その時

 

 

家のインターホンが鳴ったのである。

 

 

「……先生か」

 

 

父はインターホンの相手を家の中に招き入れた。

 

 

「やぁ先生」

「どうも大沢(オオサワ)君」

「先生、こんにちわ」

「シオンちゃん、こんにちわ、っと、どうだい高校は?」

「学食まずい」

「やっぱそうかい」

 

 

この先生と呼ばれる男は医者なのだ。

 

 

先生はシオンを検診し一通りみると笑顔を大沢に見たのである。

 

 

「特に変わりはないようで、それと、大沢君、君はどうかい?」

「俺の体調は特に問題ない……それより、肉が少ないから一回向こうに行って狩ってくる」

「そうか、気を付けてな」

 

 

先生が出ていくと大沢は首からかけていたペンダントを強く握った。

 

 

すると、ペンダントを握っている手から光が溢れ大沢の姿が消えたのだった。

 

 

 

 

 

しかし、大沢がここへもどることはなかったのだ。

 

 

 

「お…お父さん……」

 

 

暫くシオンは戻ることを信じて冷凍庫の肉を食べて過ごしていたが一向に父が戻ることはなかったのである。

 

 

「私、どうしたら……」

 

 

その時

 

 

インターホンが鳴った。

 

 

「は!!先生……」

 

 

シオンが扉を開けるとそこには先生がいた。

 

 

「シオンちゃん無事かい!?」

「お…お父さんが戻ってこない……」

「やはり、そうか」

「え……」

「食料は?」

「もうない」

「………よく、聞いてくれ、君のお父さんのペンダント」

喰種(グール)の世界とこっちを行き来できるペンダント」

「そうだ、あのペンダントは僕の持っている置時計と連動していてペンダントが破壊されると時計が止まる、そして、今、時計が止まってるんだ」

「……それって」

「……君のお父さんに何かあったのかも知れない」

「……死んじゃったの?」

「………わからない、けど、ペンダントがない以上何もできない、シオンちゃん、君は食料を調達する必要がある」

「食料!?」

「そうだ、けど、こっちじゃ喰種(グール)は手に入らない、仮にいたとしても人間の僕じゃ敵わないし君でも危険だ」

「じゃ、どうしたら」

「……幸いにも僕は医者だ、その気になれば病院から出る肉を君に届けられる」

「……人ってことですか」

「そうだ、喰種(グール)がない以上、君の食事は人しかないんだ、後は山とかの自殺現場から遺体を集める等するしかない」

「……………でも、人は……」

「ダメだ、でなきゃ君を生かせられない、君のお父さんと約束してるんだ、お父さんに何かあったら俺が君の面倒を見るって」

「……無理です」

「シオンちゃん!!」

「無理です、人なんて食べたくありません!!」

「人も喰種(グール)も同じようなもんだろ!!」

「ちっ…違います!!人と喰種(グール)は違うんです!!だから、私は……」

「うるさいっ!!食うんだよ、でなきゃ生きられない!!」

「嫌です!!絶対に嫌です!!」

「あ、こら!!」

 

 

シオンはそのまま先生を押し退けアパートを飛び出したのだった。

 

 

 

 

 

それから数日間、シオンは何も食べずに街をさ迷っていたのだ。

 

 

「………肉…食べたい…………いやぁ…人なんて食べたくない」

 

 

その時

 

 

どこからか何かの匂いがしたのである。

 

 

「…………………何この匂い、なんか、おいしそうな、匂い……」

 

 

 

 

 

「なぁ、ソラ、なんで筋トレしてるんだよ」

喰種(グール)殺すため」

「……おま、怖いこと平気で言うなよ……てか、喰種(グール)に筋トレ効果あるの?」

「とうとう、僕のこと喰種(グール)扱いしたか」

「あ…いや、わりぃ」

「冗談だ、僕は再生が早いから赫子出して筋トレとかすると赫子が破壊された筋肉をそのまんま治しちゃうから筋トレの意味がないらしい、けど、赫眼なしで筋トレすれば早い速度で少量流れるRc細胞が筋肉を再生させるからより早く強って無駄に筋肉膨張させず細く密度の多い筋肉になるらしい」

「へぇ~」

「わかってるのか?」

「………」

「わかってないな、そーいや、カナさんは?」

「うん、なんか女子たちで家庭科室使ってなんか作ってるみたい」

「女子だね」

「だな」

 

 

 

 

「はい、卵」

「ありがとうカナ」

 

 

カナは大量の卵をテーブルに置いた。

 

 

「ってカナ、なんで卵!?」

「え、カルボナーラ作るんじゃないの?」

「違うって、ナポリタンだよ」

「え、カルボナーラじゃなかったけ?」

「違うぅぅ!!」

 

 

その時

 

 

「あっ!?」

 

 

カナは使わない卵を退かそうとしてうっかり卵を落としてしまったのだ。

 

 

「あーあ、やっちゃったね」

「……掃除だる」

 

 

ドアが全て空いておりそこから卵の匂いが外へと流れていたのだった。

 

 

 

「…………………何この匂い、なんか、おいしそうな、匂い……」

 

 

 

 

「ソラ、まだやんのかよ」

「おう」

「汗だくだくじゃねぇか」

「ほんとだね」

 

 

その時

 

 

「あ、カナちゃんからだ……もしもし」

『ナグモ君は?』

「はい?」

『ナグモ君!!』

「えっと、隣で筋トレしてるよ」

『ナグモ君!!喰種(グール)喰種(グール)!!校庭』

「かわれ」

「おう」

「カナさん、たしかか?」

『うん、間違いないあの眼してたから』

「わかった」

 

 

僕はカナさんの連絡を受け対策部に連絡しマスクを着けて校庭へ出たのである。

 

 

校庭では少女がひとりうずくまっていた。

 

 

「あれか……ん?匂いが……喰種(グール)なのか」

 

 

僕はRcバレットを構えたのだ。

 

 

喰種(グール)対策部だ、君は喰種(グール)か?」

「…………………はい」

「そうか、動くな、抵抗するなら駆逐する」

「………汗の匂い……」

「汗……あー、俺のだな」

「汗………………美味しそう!!食べたぁぁぁい!!」

「!!」

 

 

少女から甲赫の赫子が現れたのである。

 

 

そして、少女の顔が見えた。

 

 

「!?隻眼……」

 

 

そう、その少女は右目のみが赫眼だった。

 

 

「………隻眼の喰種(グール)だと」

 

 

腕から手にかけ巻き貝のような赫子が出現しておりその赫子で少女は僕に攻撃してきた。

 

 

「おっと」

 

 

僕は赫眼になり赫子を出すと相手の甲赫を鱗赫で防いだのだ。

 

 

「落ち着け!!」

「お腹すいだぁぁぁぁぁ、ニクニクニクゥゥゥ!!あがぁぁぁぁ」

「落ち着け!!」

 

 

僕は少女を蹴り飛ばしたのである。

 

 

「あだぢは……人なんて食べたくなぁい……」

「!!」

「嫌だぁぁぁぁぉぁ」

「………………………………………………………………わかる……わかるよ、君の気持ち」

「……なにがぁぁ、わかるわけないわよぉぉ!!」

 

 

そうか、こいつ僕と同じなんだ。

 

 

僕はマスクを外した。

 

 

「!?」

「僕は君と同じなんだ」

「…………………………………………………………ごめんなさい」

 

 

少女は赫子が消えその場に倒れたのだった。

 

 

僕は対策部に来るのを待ってもらうように連絡し少女を保健室に運んだ。

 

 

 

 

 

「……ここは……」

 

 

暫くして少女は保健室のベッドで目を覚ましたのである。

 

 

「やぁ」

「貴方は……あれ、なにこの匂い」

「ちょうど珈琲(コーヒー)を淹れたんだ」

「え」

「知らないか……ま、飲んでみ」

「……うん」

 

 

少女は戸惑いながらもその珈琲(コーヒー)を飲んだ。

 

 

「!!おいしい……」

 

 

少女はその珈琲(コーヒー)を一気に飲み干したのだった。

 

 

「熱……でも、おいしい……………あれ、なんかマシになった」

「だろ」

「うん」

 

 

珈琲(コーヒー)にRc結晶を3個ほど混ぜといたからな。

 

 

「僕は南雲 颯、よろしく」

「あ、私は大沢 詩音(オオサワ シオン)です」

 

 

そこへ、

 

 

「へい、おまち」

 

 

ダイチが料理を持ってこの部屋に入ってきたのだ。

 

 

「いった通りに作れた?」

「カナちゃんもいたし、楽勝」

 

 

ダイチはシオンさんの前に料理を置いたのである。

 

 

「え……」

珈琲(コーヒー)のことも知らなかったし豚とか牛が食えることも知らないよな?」

「え!?」

 

 

聞けばシオンさんは母は人間で父が喰種(グール)という僕とは違い正真正銘の隻眼の喰種(グール)だった。

 

 

父からは喰種(グール)の食料は人か喰種(グール)だけと聞かされており生まれてから今の今まで喰種(グール)の肉だけを食べ続けていたようでやはり他のことは何も知らないようだ。

 

 

また、父はあっちとこっちを行き来できるペンダントを持っていたが喰種(グール)の肉を探しに向こうへ行ってから帰ってこなくなってしまったらしい。

 

 

「それは大変だったね」

「……いえ」

「とりあえず、食べな……」

「はい……」

 

 

シオンさんは肉料理を食べた。

 

 

「!!おいしい……え、おいしい……」

 

 

今まで喰種(グール)の肉しか食べてなかったならきっとおいしいだろうな、喰種(グール)のまずさは僕がよく知っている。

 

 

シオンさんはすぐに食べ終えてしまったのだった。

 

 

「はい、珈琲(コーヒー)、おかわりどうぞ」

「ありがとうございます」

「つか、えっとシオンさんは」

「あ…シオンで結構です」

「あ、うん、シオンは歳いくつ?」

「えっと、16です」

「えっと高校生?」

「はい、一応……」

「そうなんだ、高校近いの?」

「えっと、ここです」

「そうか、ここか……え、ここ!?」

「はい」

「………全然、知らなかった…」

「私も同じ隻眼の喰種(グール)が同じ学校にいるとは思いませんでした」

「……………そうだな」

「どうしたんですか?」

 

 

僕は教えるかどうか迷ったが教えておくべきだと思ったのでシオンに自分が元々人間だったことを教えたのだ。

 

 

「……………そんなことがあるんですか……………でも、それは大変でしたね」

「ごめん、変な話して」

「いえ」

 

 

 

 

その後、対策部がやって来てシオンは対策部へ連れて行かれることになり僕も付き添いで一緒にいったのである。

 

 

そして、シオンは対策部に登録され店長の計らいで野村珈琲(コーヒー)店で働くことになったのだった。




ついにメインヒロインのシオンの登場です、シオンのモデルはキンハに出てくるシオンです笑


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希望

「筋トレすると腹へるしな」

「うまいな、このサンドイッチ」

「ロールケーキ、おいしい、この生クリーム、滑らかで油っぽくない、う~ん、最高~」

 

 

僕はダイチとカナさんと一緒にフジさんと一緒に来たことのある大山の珈琲(コーヒー)専門店に来ていた。

 

 

「ソラ、シオンちゃんは?」

「今日はシフトなの」

 

 

そこへ、

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 

フジさんとシオンが入ってきたのだ。

 

 

「……来ていたのか」

「こんにちわ、みなさん」

「フジさんにシオン、あ、豆の買い出しですか?」

「……そうだ」

 

 

その後、フジさんとシオンも珈琲(コーヒー)を飲んだのである。

 

 

「……おいしい、店長のもおいしいけど、負けないぐらいおいしい…ナグモ先輩はよくここ来るんですか?」

「いや、今日で3回目ぐらいかな、大山って微妙に遠いし、フジさんと1回と休みに1人で、で、3回目が今日」

「そうなんですね、珈琲(コーヒー)、もっと早く出会えてれば」

「そうだね」

「………!!先輩は……その、食べれるんですか?」

「…………………うん」

「…………」

「そうだよ!!シオンも訓練次第ではきっとできるよ、同じだもん、僕と」

「同じ……」

「……そうだな、だがなシオン、あまり人前でこうゆう話はしてはいけないぞ」

「えっ……あ、そうですよね、フジさん、ごめんなさい」

「……いい」

「え?」

「……わかればいい」

「はい」

 

 

フジさん、相変わらずだな。

 

 

 

 

 

「というわけで店長、シオンにもあの訓練を受けさせたんです」

「お願いします!!」

「構わないけど、わからないよ」

「え?」

「ソラ君の場合、確実に人間よりなのはわかってたけど、シオンちゃんはどっちよりかわからないよ」

「………」

「でも、やります、できる限り人のように生きたいんです、せめて食事ぐらいは」

「………わかった、やってみよう!!」

「「ありがとうございます!!」」

「うん」

 

 

 

 

 

シオンも僕と同じようにパンを使って訓練を始めた。

 

 

何度も吐いたりしていたけど順調にシオンは進めていったのだった。

 

 

 

 

「マズゥ……ん?先輩、何してるんですか!?」

「シオンだけにまずいもん食わせるの気が引ける」

 

 

僕は嘔吐神経麻痺剤を服用し珈琲(コーヒー)に砂糖を入れて飲んだ。

 

 

どんなに訓練した喰種(グール)でも珈琲(コーヒー)だけは余計な物を入れると不味くなるのである。

 

 

「おがぁぁぁ!!頑張れ、シオン!!」

「もう、終わりました、先輩こそ頑張って」

「なにぃ!?」

「フッ、ごめんなさい」

 

 

「ねぇ、ダイチ君」

「ん?」

「あの2人、いい感じじゃない?」

「そうだな、境遇も似てるしピッタリだろ」

 

 

 

 

 

そして、

 

 

「ゲホッ、ゲホッ……」

「大丈夫か」

「これヤバイですね…ゲホッ……」

 

 

シオンは見事にパンを突破し最後の難関であるあれを食べていた。

 

 

「今までの食事も最低でしたけど、これは酷いです」

「でも、すごいよ、シオンは」

「えっ?」

「俺、なんかよりも全然要領がいい」

「そうですかね、まぁ、今までまずい肉や人間の食べ物で過ごしてきたから舌はこえてないです」

「そうか、ん?人間の食べ物ってことは嘔吐神経麻痺剤を知ってたってこと」

「……ハッカですよね」

「うん」

「……お父さんが」

「でも珈琲(コーヒー)は知らなかったんでしょ」

「はい、もしかしたらお父さんは知っていたけどあえて黙っていたのかも」

「………」

「たぶん、味のあるもので私が喰種(グール)の肉以外を欲しがらないように……とか」

「そんな酷いでしょ」

「…………わからないですよ、もうお父さんに会えないし」

 

 

シオンの頬に雫が垂れていたのだ。

 

 

「あっ、ごめん」

「……ううん、ごめんなさい」

「………………よし」

「えっ」

「訓練が終わったらお父さんを探しにいこう!!」

「えっ!?」

「無事だけどペンダントが壊れて帰れないだけかもしれないし」

「……」

「希望を持とうよ!!そして、訓練頑張ろう!!」

「……はい!!」

 

 

僕はシオンにハンカチを渡したのである。

 

 

「さぁ、続きは明日だ、もう戻ろう」

「…………ナグモ先輩、ありがとうございます」

「……うん」

「そういえば私、スマホの所持許可が出るらしいですよ」

「そうか、じゃオススメのトークアプリ教えるわ」

「えぇ、でも、打ち方が」

「教えるって、てか、お父さん、スマホも持たせてくれなかったの!?」

「はい、通信は傍受される恐れあるって、フフ、神経質なんですよ、きっと」

「…………………君のお父さんを酷いなんて言ってごめん、君のお父さんは一番に君のことを考える父親の鏡だな」

「はい!!」

 

 

 

 

「うぐぅぅぅぅぅ!!ああ!?うぷっ……」

 

 

そして、

 

 

「ハァハァ、やった………先輩?」

「あいつならトイレいったぜ」

「ニシヤマ先輩」

「臭いな、確かに屋上じゃないとやっちゃいけないな、それ」

「あの」

珈琲(コーヒー)にさ入れた物ってそのまんま吸収されるらしいよ」

「えっ!?」

「だから、砂糖入れてやってたからソラのやつ腹壊しちまって」

「ナグモ先輩……」

「呼んだ?」

「あ、大丈夫なんですか!?」

「うん、もう平気」

「よかった」

「……おめでとう」

「え、あ!!ありがとうございます」

「おいで」

「えっ!?」

 

 

 

 

僕とシオンは大山の珈琲(コーヒー)専門店に行った。

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 

僕は中深煎りのブレンドを注文したのだ。

 

 

「シオンは?」

「同じものを」

「それとトーストサンドを2つ」

「えっ」

「食べれるだろ、うまいぞ、ここのサンドイッチ」

「うん」

 

 

 

 

「お待たせしました」

 

 

サンドイッチと珈琲(コーヒー)が一緒に来たのである。

 

 

「いただきます」

「……いただきます」

 

 

シオンはトーストサンドを食べた。

 

 

「……おいしい」

 

 

シオンの頬にはまた雫が垂れていたのだ。

 

 

「また泣いてるのか」

「……だってぇ……初めて……」

「……そうだな」

「でも、探すって言ってもどこを探そうかな?お父さん」

「……わからない、私は行ったことなかったから」

「そうか」

 

 

 

 

 

シフトもない休日、僕とシオンはシオンのお父さんの手がかりを探して喰種(グール)の世界を散策していたのである。

 

 

「でも、東京って言ってもこっちはど広いからな」

「ですよね」

「どうしようか、しらみ潰しに回ってみるか?」

「そうですね」

 

 

 

 

「ここは?」

「高橋珈琲(コーヒー)農場さ」

「え、珈琲(コーヒー)農場!?」

「そ、店長も使ってる豆の農場だよ、僕らの世界で言うとマンデリンと同じものだよ」

「へぇ!!」

「て、買い出しでこなかった?」

「あ、あのときはノムラブレンドに使う大山の豆だけなくなっちゃって」

「そうか、よし、こっちこっち」

「何があるんですか?」

「これこれ」

「え、珈琲(コーヒー)豆ですよね」

「そ、生豆、珈琲(コーヒー)に使うのはこれを焙煎させた物なんだよ」

 

 

そこへ農場のオーナーがやって来て網を使った直火での焙煎を体験させてくれたのだった。

 

 

 

 

「うまっ!!」

 

 

シオンは目を輝かせながら寿司を食べていた。

 

 

「だろ、2区に漁港があるからうまい寿司が安く食えるんだ、バリエーションも多くてうまいよな」

 

 

こっちの寿司屋は僕らの世界とは違いビュッフェのように寿司が並べてありとったらその都度会計をして食べるパン屋みたいな感じだ、もちろん鮮度が気になる場合は直接注文もできるのだ。

 

 

「これなに!?」

「あ、トロだよ」

「泥!?」

「トロ!!マグロの脂の多い腹の身のことだよ」

「おいしい!!魚ってこんなにおいしいんだね」

「そうだな、僕もこんな身体になって魚を食べれた時は嬉しかったな」

「私だって(グー)……」

 

 

僕はシオンの口をふさいだのである。

 

 

「!?!?」

「……こっちは僕ら一応、駆逐対象だから喰種(グール)とか安易に口に出しちゃダメ」

 

 

僕はシオンの耳元でそう呟いた。

 

 

「わかった?」

「……はい」

「よし、食うぞ、僕のオススメ、これと……これ!!食ってみ」

「うまっ!!これはなに!?」

「サーモンとえんがわ」

 

 

こんな喜んでもらえるなら連れてきて良かった。

 

 

 

「ハァ~お腹いっぱい」

「よく、食ったな」

「はい!!美味しかったです」

「そうか、よかった」

「先輩……」

「ん?」

「……ありがとうございます」

「え?」

「もし、先輩に助けられてなかったらどうなっていたことか……本当に感謝してます」

「……あれだ、お父さん、絶対見つかるよ、希望捨てないで」

「はい」

 

 

その時

 

 

「危ない!!」

 

 

僕はシオンを押し倒してそれと同時に僕の左肩に羽赫の赫子が突き刺さったのだ。

 

 

「先輩!?」

「平気だ……」

「なんてうまそうなんだ、おまえらぁぁ!!」

 

 

僕もシオンも喰種(グール)の匂いを出していないため喰種(グール)からは人間だと思われるのである。

 

 

「シオン、下がってて」

 

 

僕は赫眼になり赫子を出した。

 

 

「おら!!」

 

 

僕は赫子を地面に叩きつけて喰種(グール)の腹を蹴り飛ばしたのだ。

 

 

その時

 

 

「こっちだ!!」

「!!捜査官か……」

 

 

僕はシオンを抱えると建物の上を登りどこかの公園へ降りたのであった。

 

 

「すごっ……あ、怪我は」

「治った」

「はや」

「けど、服に穴空いたな、お、水道だ」

 

 

僕は洋服についた血を水道で洗うと荷物から裁縫道具を出したのである。

 

 

「え、そんなの持ち歩いてるんですか?」

「ああ、恥ずかしながら得意なんだぜ」

 

 

僕はアウターのみを応急で縫い付けた。

 

 

「……洋服」

「ああ、こうゆうのは対策部に言えば補償してくれるから」

「え」

「こうゆう被害の関係はね」

「ああ、なるほど」

「さて、捜査官に見つかる前に帰ろうか」

「うん」

 

 

ソラの背中を見るシオンの顔は僅かに紅潮していたのだった。




シオン、まじ可愛い!!因みに大山の珈琲専門店でこれ書いてました。でもな、そこのロールケーキまじでうまいからな


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天馬

「SSレートですか?」

「ああ、羽赫SSレート喰種(グール)、ペガサス(天馬)だ」

 

 

僕はミウラ部長に喰種(グール)の任務を言い渡された。

 

 

なるほど、白い馬のマスクに羽赫の白い赫子、ペガサスね。

 

 

「フジと組んで対処してくれるか?」

「はい、わかりました」

「ソラ、いいか、SSはSとはレベルが違う、決して油断は禁物だよ」

「はい」

「クモンやミトも別行動で捜査してるから互いにペガサスを発見したら応援要請をすること」

「わかりました」

 

 

 

 

「というわけでさ、SSレートの任務与えられちゃった」

「先輩、大丈夫なんですか!?」

「平気平気、フジさんと一緒だし」

「……」

「どうした、シオン?」

「……いや、心配で……」

「問題ないよ」

「……………」

「そう、心配するな」

「だって……」

「さて、帰るか、帰って着替えて任務だ」

「……………」

 

 

 

 

 

「………いくか、ソラ」

「はい」

「気を付けてね、先輩」

「おう、今日はシフトか……ああ、そうか、俺が任務だからシオンのシフト増やしちゃったな」

「うん、だから早く終わらせて戻ってきてください」

「………あいよ」

 

 

 

 

 

僕とフジさんはマネキンマスクを被って足立区を歩いていたのだ。

 

 

「ペガサス……最近、この辺で出没してますね」

「……ああ」

「それにしてもいったい何人殺してんだ……この喰種(グール)は」

「……民間人も対策部の捜査官も大量に殺害されている、危険度の高い喰種(グール)だ」

 

 

対策部にはミトさんたちの他にも多くの捜査官が属しており各地の警官にも対策部の捜査官である刑事は大勢いる。

 

 

「早く見つけて殺さないと……人が大勢殺される」

「……まずは情報収集だ」

「どんな情報を収集すれば」

「……情報収集の他に出没地域にて路地裏等の喰種(グール)が補食に使いそうな場所へのパトロール、情報収集としては近隣住民への聞き込みだ」

「何を聞き込むんですか?」

「……色々だ、例えば大型のキャリーバックを持ち込むやつがいないかとか色々だ」

「なるほど」

 

 

その後、僕とフジさんは色々と聞き込みをしていくつかの情報を絞ったのである。

 

 

 

 

「まず、これいってみます?」

「……そうだな」

 

 

まず、手に入れた情報がこれだ、近隣からお裾分けを貰うと必ずばつの悪そうな表情をししまいにはごみ袋にお裾分けを捨てる男がいるらしい、もしこの男が喰種(グール)ならペガサスか判断し違うなら追い詰めペガサスか他の喰種(グール)の情報を手に入れる、そうやってしらみ潰しにやるしかない。

 

 

 

「はい、どちら様?」

「……府中駅前警察署の九条です」

「同じくアマタです」

 

 

クジョウとはフジさんのマネキンマスクの時の偽名だ。

 

 

「「…………」」

 

 

僕もフジさんとこの人は人間だと思った。

 

 

「何でしょう?」

 

 

その後、話を聞くとこの男はボクサーでそのために減量しているだけのようだった。

 

 

「では、身近に好き嫌いが激しかったり無糖の珈琲(コーヒー)ばかりを好む人間はいませんか?」

「………となりのおっさん、そんな感じだな、酒は飲まんし……」

 

 

僕とフジさんは男の話が終わる前に隣のインターホンを鳴らしたのだ。

 

 

「どちらさん……!!」

 

 

喰種(グール)だ。

 

 

僕もフジさんも臭いで相手の正体に気づいたその時には喰種(グール)のマスクを着用していたのである。

 

 

「……異空生物対策局、喰種(グール)対策部です」

「お話を聞かせてもらえませんか?」

「………!!」

 

 

男の目が赫眼に変わった。

 

 

「動くな、抵抗するなら駆逐する」

「チ、チクショー!!」

 

 

喰種(グール)は甲赫の赫子を出現させたのだ。

 

 

「……甲赫か、不利だな」

「そうか、お前、羽赫か、殺してやる!!」

「でも、僕は鱗赫だし!!」

 

 

僕は赫眼になると指を鳴らして鱗赫の赫子を出現させたのである。

 

 

「!?なんで、お前……人間じゃ」

「半分正解、半分不正解」

 

 

そして、僕は甲赫を砕いたのだった。

 

 

 

 

「で、ペガサスって喰種(グール)、知ってる?」

「あ、足立区に住んでいる喰種(グール)を仕切ってるやつだ」

「ほう、それでペガサスはどこにいる?」

「知らねぇよ……」

「じゃペガサス、知ってそうな喰種(グール)どこにいる?」

「…………もしかしたらシェフなら」

「シェフ?」

「ああ、たしかお前らの呼び方ではミートカッター(肉切り)だったかな」

「……尾赫Sレート喰種(グール)、補食対象者の肉を切り落としてゆく喰種(グール)だな」

「ねぇ、そいつどこにいるの?」

「さぁな、聞けばレストランやってるらしいが俺は知らない」

「知ってそうな奴は?」

「教えねぇよ」

 

 

僕は喰種(グール)の腕に鱗赫を突き刺した。

 

 

「ぐわぁぁぁ!!何しやがる………わかったわかった、シェフの店について知ってそうな女がいる……ここのスナックのママさんだよ」

 

 

喰種(グール)はメモ用紙にそのスナックの情報を書き記したのだ。

 

 

そして、僕は指を鳴らしたのである。

 

 

「じゃ、お前、もう不要だ」

「えっ?」

「ありがとう、さようなら」

「まってくれ!?この場合、逮捕ですむんじゃないのか!?」

「抵抗したら駆逐するって言ったでしょ、一度、抵抗されたら駆逐する主義なので」

「やめ……」

 

 

僕は喰種(グール)の頭を赫子で潰したのであった。

 

 

 

僕とフジさんは例のスナックの前に来たのだ。

 

 

「……やはり、ここか」

「知ってるんですか?」

「……ああ、対策部に登録されている喰種(グール)のやっている店だ」

「とゆうことは人を殺さない喰種(グール)ですか?」

「……そうだ」

 

 

僕とフジさんはスナックの中に入ったのである。

 

 

「ごめんさい、まだ、準備中です」

 

 

その時

 

 

「もしかしてクジョウさん、それともフジさん」

「……今はクジョウだ」

 

 

奥からひとりの女性が出てきた。

 

 

「……こんな時間に来たってことは何か聞きたいことがあるのよね?」

「……そうだ、ペガサス又はシェフ……ミートカッターの居所を探している」

 

 

今、店内にはママと呼ばれる人の他に女性がひとりいるが全員喰種(グール)だった。

 

 

しかし、体臭が人を殺す喰種(グール)とは違いフジさんの体臭に近かったのだ。

 

 

「はいはい、ペガサスは全く知らないけど、ミートカッターね、あー、そう言えば前に来た嫌な喰種(グール)客が他の喰種(グール)客にシェフって呼ばれてるのいたっけな、さんざん酔ってワイン(牛の血)ぶちまけてしまいには『血酒(人の血)寄越せぇ』とか言い出すし……エリ、名前聞いた?」

 

 

エリと呼ばれた女性は首を横に降ったのである。

 

 

「あー、でも、肉バルやってるとか言ってましたよ」

「だってさ」

「……十分な情報だ」

「感謝します」

「たまにはお酒飲みに来てね」

 

 

 

 

 

その後、手当たり次第に肉バルを探しイノシシの肉を取り扱ってる店に目を着けた。

 

 

「いらっしゃいませ」

「……珈琲(コーヒー)

「かしこまりました」

 

 

まず、フジさんがひとりで入って珈琲(コーヒー)を注文しその後僕が入店したのだ。

 

 

「いらっしゃいませ」

「!!」

 

 

ビンゴだ、こいつ喰種(グール)だ、しかも、人を喰い殺す。

 

 

僕は席に座ってイノシシのハンバーグを注文したのである。

 

 

「お待たせしました、特製イノシシハンバーグです」

「どうも……」

 

 

僕はそのハンバーグの匂いを嗅いだ。

 

 

「………!!」

 

 

これはイノシシじゃなく明らかに人だった。

 

 

人の肉を別の食べ物と混ぜると喰種(グール)は嘔吐神経を刺激される。

 

 

このハンバーグの匂いは喰種(グール)にとって嘔吐神経を刺激される匂いだったのだ。

 

 

そして、ここの店主は僕を人間と判断してこれを出している、つまり、この店は人に……

 

 

「死ねぇぇ!!」

 

 

僕は赫子を店主の喰種(グール)に向かって振りかざしたのである。

 

 

「……ソラ!!」

「こいつ、人間に対して人の肉を……おそらくこいつがミートカッターで間違いないです」

「!!なんだこいつは」

 

 

ミートカッターは尾赫の赫子を出して僕の腹に切り込みを入れた。

 

 

「……上等だ!!」

 

 

僕は自分の肉を噛みちぎりマスクを外して赫者へと変わったのだ。

 

 

「赫者だと……」

 

 

僕の赫子と奴の尾赫が激しくぶつかり合ったのである。

 

 

「……退いてろっ」

 

 

フジさんは羽赫の赫子をブレード状に変化させ奴の尾赫とフジさんの羽赫がまるで剣と剣が交わるかのようにぶつかり合った。

 

 

「フジさん、ふせてっ!!」

 

 

僕は赫者の赫子を羽赫に変化させ奴に赫子を連射したのだ。

 

 

奴は飛んでくる赫子を華麗によけると僕に接近したのである。

 

 

「……どけ!!」

 

 

フジさんはミートカッターの腹に蹴りを入れた。

 

 

「ぐっ…」

「死ねぇ!!」

 

 

僕は6本の鱗赫をミートカッターに振りかざしたのだ。

 

 

「甘い!!」

 

 

ミートカッターは尾赫で鱗赫を全て切り落としたのである。

 

 

「甘いのはそっちだよ」

 

 

僕は赫者の赫子を再生させ甲赫に変化させた。

 

 

「!!」

「ミートカッターをプレスします~」

 

 

 

 

僕は赫者から戻り鱗赫をミートカッターの足に巻き付け吊し上げていたのだ。

 

 

「ね、ペガサスってどこにいるの?」

「……知らない」

「ふぅん……」

 

 

僕は鱗赫を1本足から外しミートカッターの腹に突き刺したのである。

 

 

「うがぁぁぁぁ!!」

「言えよっ!!」

「知らなぁい!!」

「…………おや、おやおやおや、あれはガスコンロじゃない?目玉焼き(目玉潰す)作ります、それともスクランブルエッグ(目玉潰す)ゥゥゥ!?」

 

 

ミートカッターの右目に指を突っ込み潰した。

 

 

「うがぁぁぁ!?言うもんか、あの人のことを……」

「やっぱ知ってるのね」

「……ソラ、やりすぎだ」

「いいえ、こいつらがこれまでに殺してきた人間の数を考えれば当然です」

「けっ、何をやろうと言わないぜ……」

 

 

僕はミートカッターの顔面に膝蹴りをしたのだ。

 

 

「じゃ、目玉焼きだな」

 

 

僕は鱗赫でミートカッターを拘束したまま厨房に入りガスコンロの火を着けて顔を押し付けたのである。

 

 

「やめろっ……やめろぉぉ!?」

 

 

顔を上げると顔の左半分が焦げていた。

 

 

「あれ、目玉焼きになってないじゃん、(まぶた)がじゃまだね、こんな瞼はいらないね」

「!!」

 

 

僕は瞼を噛みちぎったのだ。

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

「はい、調理再開」

 

 

僕は再び顔を火に押し付けたのである。

 

 

「あらら、焦げちゃったね、さてと……」

 

 

僕はミートカッターを厨房の奥へと放り投げた。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

ミートカッターは力を振り絞り尾赫を出現され向かって来たのだ。

 

 

「はい、外れ」

 

 

僕は尾赫をよけると鱗赫をミートカッターの腹に突き刺したのである。

 

 

「あがぁぁぁぁぁ!!」

 

 

そして、抜き取ると足を拘束し再び吊り上げた。

 

 

「で、ペガサスどこ?」

「あの人は……」

「うんうん」

「あの人は…………!!駄目だ駄目だ駄目だぁぁ!!」

「!!」

 

 

ミートカッターは尾赫を振り回し自分の足へ振りかざしたのだ。

 

 

赫子は持ち主の肉体を通り抜けるため鱗赫と服のみ切断されミートカッターは解放されたのである。

 

 

そして、僕らを近づけまいと尾赫を振り回した。

 

 

「悪あがきを……」

「うぉぉぉ!!左目微かに見える」

 

 

ミートカッターは尾赫を振り回し続けながら移動し引き出しから何か植物が浸かった液体の入った瓶を取り出したのだ。

 

 

そして、その中の液体を飲み干したのである。

 

 

するとミートカッターの赫子がみるみる崩壊した。

 

 

「なにっ!?」

「……まさか、あれは」

 

 

そして、ミートカッターは包丁を取り出して自分の喉を切ったのだった。

 

 

 

「たく、散々暴れといて情報なしかよ、使えねぇ生ゴミだな」

 

 

僕は絶命したミートカッターを蹴り飛ばしたのだ。

 

 

「そういや、奴は何を飲んだんですか?」

「……トリカブトだ、トリカブトの毒、アコニチンは一時的に喰種(グール)の身体能力を人並みに抑制する効果がある、また、途中で身体能力を戻したいときはフグ毒、テトロドトキシンを飲めばいい」

「トリカブトがRc抑制剤でその解毒薬がフグ毒ってことですか?」

「……そうだ、で、どうする?」

「そうですね、対策部が来るまで店の中調べましょうか?」

「……そうだな」

 

 

そして、店の中を探すととあることに気がついたのである。

 

 

「……クジョウさん、これ」

 

 

店の冷蔵庫には綺麗に加工され真空パックされた人肉が保管されていた。

 

 

「自給自足でこんな風にパックします?ほら、シールまでプリントアウトされて賞味期限までありますよ」

「……どうだろうな」

「もしかしたらどっかの精肉所が裏で人肉捌いててペガサスが仕切ってるんじゃ」

「……かもな、が、いったん、対策部にここの調査を任せよう、調査が済んだら捜査再開だ」

「……わかりました」

 

 

いやいや、そんなの待ってられないよ、待機してる間に精肉所で人が殺されてしまう、簡単な話、ペガサスのいる足立区の精肉所回って喰種(グール)いたら片っ端から殺せばいい話だ、ペガサス、絶対に見つけて殺してやる。




今回、ネタ切れによりだいぶ考えました笑、考えてこれかよ…


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彩乃

「いらっしゃいませ」

「府中駅前警察署のアマタです」

「?はい」

「近くで起きた殺人事件の捜査をしてまして少しよろしいでしょうか?」

「え…えぇ」

 

 

僕はフジさんに内緒でシェフを殺した後、単独で足立区にある精肉店を片っ端から調べていた。

 

 

「犯行に使われた凶器の形状が精肉店などで使用されるミートカッターに酷似していたのでご協力お願いいたします」

「はい…」

 

 

この人は人間だけど中に何かあるかもしれない。

 

 

その後、中を見させて貰うもこれといった物はなかったのだった。

 

 

「こちらの機器は全て犯行の物とは形状が異なりますね、ご協力ありがとうございました」

「はい」

「あ、最後にひとつお聞きしてもよろしいですか?」

「ええ」

「何か些細なことでも構いませんので同業者の中で変な業者はいませんか?」

「変なと申しますと?」

「例えば他人を絶対に中に入れないとか、あとは異常な大きさの機器を揃えているとか…」

「さぁ…」

「そうですか、ありがとうございました」

 

 

僕はその精肉店を後にしたのだ。

 

 

 

その後、僕は数件の精肉店や精肉工場をまわったが特段これと言った情報がなかったが次の精肉工場でようやくある精肉店があのシェフのいた肉バルに肉を卸していたという情報を聞きその精肉店へ向かったのである。

 

 

「あの肉バルですか?」

「はい」

「たしかに卸してましたね、えぇと牛肉と豚肉に鶏肉少々…」

「猪は?」

「猪…ですか?」

「えぇ…僕も一回お邪魔したんですけど猪のハンバーグが絶品で……っと、話がずれましたね猪の仕入れ先にもお話をお聞きしたくて…」

「いや、わからないです、それよりこの近辺で猪の肉なんて卸してる所あるのかな?」

「……そうですか…ご協力ありがとうございました」

 

 

その後も何軒も聞き込みするも情報は得られなかった。

 

 

「こうなったら…」

 

 

僕はあのスナックに向かったのだ。

 

 

スナックの入り口には看板を出しているエリさんの姿があったのである。

 

 

「どうも…」

「あ、また来たんだ」

「えぇ、もう営業時間ですか?」

「ううん、まだだよ」

「ママさんはいますか?」

「中にいるよ、あ、シェフはどうだった?」

「情報ありがとうございました」

 

 

そう言いながら僕は親指で首を切るジェスチャーをした。

 

 

店内に入ると、

 

 

「あ、また来たのか?」

「えぇ、捜査に行き詰まりまして」

「シェフはやったの?」

「えぇ、ありがとうございました」

「で、ペガサスの情報は掴んだ?」

 

 

僕は首を横に動かしたのだ。

 

 

「でも、シェフの店内にパックされた人肉があり恐らくどこかの精肉店か工場に人肉を卸している所があると思って手当たり次第やったのですがどれも外れで、シェフの肉バルに猪以外の肉を卸している精肉店はわかりましたがそれもシロでした」

「猪…か…」

「はい、猪って恐らく人の隠語だと思うんですよ」

「そうだろうね」

「それでご存知ないですか?猪を卸している業者」

「うん…残念ながら足立区には私の知る限りそんな業者はないね、そもそも猪自体狩猟とかで手に入る肉だし」

「……そうですか」

「けど」

「!!」

「猪を専門的に取り扱ってる喫茶店ならあるよん」

「え?」

「ママ、あそこですか?」

「そうそう」

「どこです」

「う~と…」

「たしか区役所の近くにあるboar&coffeeってお店だよ、主に珈琲(コーヒー)と猪の肉を出すお店」

珈琲(コーヒー)があるのか…行ってみるか……ありがとうございました」

「今度、飲みに来てね」

「え…ああ、成人したら来ます」

「あ、未成年!?」

「嘘ぉぉぉ」

「では」

 

 

 

僕は教えてもらったお店へと向かったのである。

 

 

「お店は休みか…」

 

 

僕は裏にまわってインターホンを鳴らした。

 

 

『はい、どちら様』

「府中駅前警察署のアマタと申します」

『!?はい』

「どうかされました?」

『いえいえ…あのご用件は?』

「この近辺で先日、殺人事件がありましてそのための巡回をしています」

『そ…そうなんですか…』

「あの、もし差し支えなければ包丁等を見せていただくわけにはいかないでしょうか?」

『えぇ!?見るって何を…』

「そうですね、主に形状と血液反応を確認します」

『えぇ!?オーナーに確認して来ます』

「はい」

 

 

この建物から人を殺す喰種(グール)の臭いがプンプンだった。

 

 

そして、裏の扉が開いたのだ。

 

 

「オーナーの了承が得られました…どうぞ」

「ご協力感謝いたします」

 

 

僕が中に入った、

 

 

その時

 

 

「……」

 

 

僕は数人に羽交い締めにされ檻のようなところに放り込まれたのである。

 

 

「ペガサス様、いいんですか…警官捕まえて」

「問題ない、ここじゃ無線も繋がらないしな」

 

 

僕の前に白い馬のマスクをつけた喰種(グール)がいたのだ。

 

 

やはり、ここにいた喰種(グール)がペガサスだった。

 

 

そして、ペガサスが奥へと消えると音楽が流れ始めたのである。

 

 

「いやぁぁぁぁぁ!!」

「助けてぇぇぇ!?」

 

 

音楽が流れた途端に檻の中の人々が一斉に騒ぎ始めた。

 

 

「さてさて、今日、ドナドナされるのはだぁれ?」

 

 

そう言いながら喰種(グール)は僕の入っていた檻を開けて隣にいた中学生ぐらいの女の子の手を掴んだのだ。

 

 

「!!」

「本日の注文は若いお肉、君に決定です」

「いやぁぁぁぁ!?ママァァァ!!いやぁぁぁぁ!?」

「…………」

 

 

僕はRcバレットを取りだしその喰種(グール)の顔面を撃ったのである。

 

 

 

数分後

 

 

「抵抗したら駆逐するって言ったのにな…」

 

 

僕はその場にいた喰種(グール)を皆殺しにした。

 

 

「あとはペガサスか…」

 

 

 

屠殺(とさつ)は終わったか?」

「はい」

 

 

そういうペガサスの横に手下の喰種(グール)の生首が転がってきたのだ。

 

 

「!!」

「ペガサスさん…残りは貴方だけだ…さて、てっとり早く屠殺させてもらいますよ」

 

 

僕は指を鳴らして鱗赫をペガサスに向けたのである。

 

 

「対策部だと…チッ…」

 

 

ペガサスは白い羽赫の赫子を出した。

 

 

そして、ペガサスは羽赫を乱射するも僕は鱗赫で羽赫を弾きペガサスに振りかざしたのだ。

 

 

「!!」

 

 

ペガサスは羽赫を固定して鱗赫をガードするとすぐに羽赫を乱射したのである。

 

 

「ぐっ…」

「刻み殺してやる!!」

 

 

ペガサスは羽赫を再び固定し僕に斬りかかろうとした、

 

 

その時

 

 

「!!」

 

 

マスクを着けた甲赫の喰種(グール)が現れペガサスの羽赫をガードしたのだ。

 

 

「!?シオン」

 

 

そうそれはシオンだったのである。

 

 

さらに、

 

 

「!!」

 

 

ペガサスを誰かが鱗赫で攻撃しようとしたがペガサスはそれをよけた。

 

 

「!!アヤノさん」

 

 

シオンに続いて現れたのは野村珈琲(コーヒー)店で働いている喰種(グール)、白石 彩乃だった。

 

 

そして、アヤノさんの口から思わぬ言葉が飛び出したのだ。

 

 

「パパ!!」

 

 

アヤノさんはペガサスをパパと呼んだのである。

 

 

「……………アヤノ…」

「悪い、状況が理解できない、説明してくれないか?シオン」

「うん、あの喰種(グール)はアヤノさんの育て親なんだって」

「育て親………というよりなぜここに?」

「あの…先輩が心配になってどうしようもなくなって…それでアヤノさんとここへ…」

「パパ!!もうこんなことはやめて…」

「………………だまれ、恩を仇で返しやがって…」

「パパ……」

「お前を娘だと思ったことはない」

「え……」

「お前はただのゴミ処理係りだよ……がっ!!」

 

 

僕は鱗赫でペガサスに一撃喰らわした。

 

 

「わりぃ、あまりにも腹立ったんでやっちまった…」

「おのれ……」

「やっぱ状況理解できねぇな」

「あのね、先輩」

 

 

シオンいわく、アヤノさんは幼少期にあっちの世界とこっちの世界を行き来する指輪を持っていたらしい、しかし、その指輪はランダムで決まる場所から異空間に入り本人の希望を叶える場所に指輪を付けた者を送り出す、アヤノさんの場合はどうしようもない空腹になり『とにかく腹を満たしたい』と思いながら異空間に入ったためここへきたそうだ。

 

 

「お前が抜けてから喰種(グール)の死体を処理するやつがいなくて困ったぞ…」

 

 

つまりだ、ペガサスは自分の敵になる喰種(グール)を殺しアヤノさんに喰わせることで処理していたということだ。

 

 

「僕は決めた……」

「は?」

「ペガサス…必ずお前を殺す…」

 

 

僕は指を鳴らし再び鱗赫をペガサスに振りかざしたのだ。

 

 

「!!」

 

 

しかし、僕の鱗赫はペガサスの羽赫に軽く跳ね返されたのである。

 

 

「先輩!!」

「ペガサスめ、さっきは本気を出してなかったな」

「俺を殺すだって?いいだろう、ここにいる全員殺してやろう……悪いな、アヤノ、お前はもう不要なんだよ…」

 

 

しかし、

 

 

「赦さない…」

「ん?」

「私は……パパの期待に答えようとまずい肉を残さず食べたのに……赦さないっ!!」

 

 

アヤノさんの赫眼の色が濃くなっていた。

 

 

「この感じ…まさか…」

「アヤノ……落ち着け…パパはアヤノを愛しているよ…」

「…………お前なんてパパじゃないぃ!!」

 

 

次の瞬間、アヤノさんの身体から黒い赫子が大量に出現し瞬く間に身体を一部を残し覆ったのだ。

 

 

「赫者……」

「アヤノさん……」

 

 

しかも、アヤノさんの赫者の赫子は本来の赫子の数倍大きく巨大だった。

 

 

「パァパァ……シンデェェ!!」

 

 

アヤノさんは鱗赫と赫者の赫子をペガサスに振りかざしたのである。

 

 

「くっ……」

 

 

ペガサスは何とか防ぐも赫者の赫子が甲赫に変化しペガサスは甲赫に叩きつけられた。

 

 

「チッ…」

 

 

ペガサスは不利だと判断したのか扉を開けて逃亡したのだ。

 

 

「パパ~ニゲチャッタァァ………………………オナカフィタァナ……アレレ…イイニォイ……ナンカオイシソウナノガフタツゥゥゥ!!」

「シオン!!」

 

 

僕はシオンを抱えアヤノさんの赫子をかわしたのである。

 

 

「アヤノさん……」

「シオン…下がってろ…」

 

 

僕は手の肉を一口かじり赫者へと変化した。

 

 

「ワダヂィトオンニャヂィィィィィガァァァァァダァァァグルゥゥゥ!!」

 

 

駄目だ、アヤノさんは完全に自我を失ってる……

 

 

「くっ…」

 

 

僕はアヤノさんの赫子を防ぎながらアヤノさんに致命傷にならないように攻撃したのだ。

 

 

しかし、

 

 

「がっ…」

 

 

僕は甲赫を腹に押し付けられたのである。

 

 

「ぐっ……」

「先輩!!」

 

 

シオンは僕を助けようとするも鱗赫に阻まれしまった。

 

 

「シオン!!」

 

 

その時

 

 

「なっ…」

 

 

天窓が割れ何者かが入ってきてアヤノさんを蹴り飛ばしたのだ。

 

 

「フジさん……」

「……なに、単独行動している」

「すいません、でも、殺されるとこだった女の子助けられました」

「……そうか」

 

 

フジさんはアヤノさんを見たのである。

 

 

「……シライシ…」

「フジさん…」

「……ソラ、液体にしたトリカブトを持ってきた、シライシを押さえ込み無理やり飲ませる」

「はい!!」

「フジさん、先輩、私も手伝います」

「シオン……」

「……無茶はするな」

「はい」

 

 

フジさんは羽赫を出してアヤノさんの赫子に向けて羽赫を乱射した。

 

 

「キィィタァァァァ」

 

 

しかし、アヤノさんは甲赫に変化させ羽赫を防いだのだ。

 

 

「ハネェェェェ!!」

 

 

アヤノさんは今度は羽赫に変化させ乱射してきたのである。

 

 

「アヤノさん!!」

 

 

シオンは甲赫で羽赫を防ぎアヤノさんに一撃喰らわした。

 

 

「イッテェェノォォォォッテテテ!!」

 

 

シオンは2つの鱗赫で弾かれたのだ。

 

 

「きゃぁぁぁ!!」

「シオン!!……アヤノさん、ごめん」

 

 

僕は赫者の赫子を甲赫に変化させアヤノさんの腹を突いたのである。

 

 

「ウプッ……」

 

 

そして、フジさんが飛び出しトリカブトをアヤノさんの口に流し込もうと瓶の蓋に手をかけた、

 

 

その時

 

 

「がっ……」

「フジさん!!」

 

 

フジさんは2つの鱗赫に腹を突かれたのだ。

 

 

「……今のうちに…」

「!!」

 

 

僕は赫子を全て鱗赫にしアヤノさんの体を拘束し2本の鱗赫で口を開けさせたのである。

 

 

「……ソラ!!」

 

 

フジさんはトリカブトの瓶を投げ、僕はそれをキャッチすると蓋を開けアヤノさんの口に流し込んだ。

 

 

「ガッガッガッガッ………ギャァァァァァ…」

 

 

僕はアヤノさんの口を上に向けさせ鱗赫で押さえ吐き出さないようにしたのだ。

 

 

そして……

 

 

「パパ……」

 

 

アヤノさんの赫子はみるみる崩壊して行きアヤノさんは元の姿に戻り気を失ったのであった。

 

 

「アヤノさん……よかった…」

「フジさん!!」

「……心配ない、命に別状はない……」

「………………………ペガサス……絶対に許さねぇ!!シオン、フジさんとアヤノさんを頼むよ」

「先輩!!」

 

 

僕はペガサスを探しにこの場を飛び出したのである。

 

 

 

 

「おかげで大損した……ほとぼりが冷めるまで隠れてるか……それにしてもアヤノめ、いずれ殺してやる……」

 

 

その時

 

 

「ペガサスゥゥゥ!!」

「!!」

 

 

僕は全ての赫子でペガサスに攻撃した。

 

 

「ぐっ…赫者だと…貴様…」

「言ったはずだ、てめぇを殺すってな!!」

「チッ…」

 

 

僕の鱗赫に対しペガサスは羽赫を固定したのだ。

 

 

「貴様こそここでしねぇ!!」

「ぐっ…」

 

 

ペガサスが羽赫を乱射し僕はそのまま転がったのである。

 

 

さすがにSSレート他とは一味違う。

 

 

僕はペガサスの乱射してくる羽赫を交わすも、

 

 

「がっ……」

 

 

固定した羽赫で僕は上半身と下半身を分けられた。

 

 

「あーあー、やっぱ弱いな……なぁ、死ぬ前に教えてくれよ、アヤノの家、わかるか?あいつ殺してやりたいんだよ……」

「………………………………………」

 

 

僕は上半身から鱗赫を出してペガサスに振りかざしたのだ。

 

 

「!!」

「さっきから嘗めたことばかり抜かしてんじゃねぇよ…」

 

 

僕は転がっている下半身を赫子で接着し元通りになったのである。

 

 

「てめぇ、なんだその再生力……」

「るせぇ……死ねよ!!」

 

 

僕は全ての赫子をペガサスに何度も振りかざした。

 

 

「くっ…この程度……」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

僕は全ての鱗赫でペガサスを突き刺そうと突っ込んだのだ。

 

 

「嘗めるなっ!!」

 

 

ペガサスは羽赫で鱗赫を防いだのである。

 

 

「絶対にお前は許さなねぇぇ!!うぉぉぉぉぉ!!貫けぇぇぇぇぇ!!」

「なっ……」

 

 

羽赫を砕き僕は鱗赫でペガサスの腹を貫いたのだった。

 

 

 

その後、現場に駆けつけた対策部によって殆ど肉片と化し心臓のなくなったペガサスの遺体がヘリコプターに積まれていったのである。

 

 

駆けつけたミトさんたちによるとフジさんとアヤノさんは対策部で治療を受けているが命に別状はないそうだ。

 

 

「もっと多く助けるにはもっともっと力が必要だ…」

 

 

僕はみんなを助けるにはもっともっと喰種(グール)の力が必要だと思ったのだった。




白石 彩乃は通常Aレートとされていますが赫者になればSSレートになります、因みにこれは特例であり通常喰種は赫者なども含めてレートが決まります、ソラはSSかな?


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大阪

「ようこそ、梅田警察署へ」

「どうも、ナグモです」

 

 

僕は大阪へ来ていた。

 

 

 

 

数日前

 

 

「店長!!」

「ソラ君、ミウラ君が呼んでいるよ、シフトが終わったら行っておいで」

「わかりました」

「なんでしょうね?」

「どうせ、また殺して欲しい喰種(グール)でもいるんでしょ、ほら、僕もペガサスぶっ殺してこの度SSレートだし」

「気をつけてくださいね……」

「うん」

 

 

 

ヘッジホッグ(ハリネズミ)、SSoverですか?」

 

 

over…すなわち赫者であることが確認されている喰種(グール)のことだ、だから厳密に言えば僕のレートもSSoverになる。

 

 

「そうだ、大阪にて今、最も危険度の高い喰種(グール)だ」

「赫子は羽赫……」

「うん、赫者の赫子出現時にまるで背中全体を覆うように羽赫が出現しその姿がまるでハリネズミのように見えるからこの通り名が付けられたんだ」

「こいつを駆逐すればいいんですね?」

「うん、ま、明日から学校終わりにヘリコプターで関空まで送るよ、そっから車で梅田警察署まで向かってあっちにいる対策部の捜査官と捜査してもらうからね、それと金曜の夜から日曜までホテルに泊まってもらうけどいい?」

「はい」

 

 

 

 

こうして僕は梅田警察署まで来ていたのだ。

 

 

「本来なら対策部(東京)から派遣されてる人間もたくさんいたんやけどな…全部、ヘッジホッグに殺られてしもうた…」

「ヘッジホッグ…」

「今、残ってる捜査官は4人だけなんや、その内、3人は適当な喰種(グール)の捜査中、ボスであるヘッジホッグさえどうにかすれば一気に大阪喰種(グール)の勢いを止められるはずなんや」

「はい!!」

「そこで本部に助けを求めた、そしたら君の存在を……頼む!!大阪…いや、関西の人々の命は君にかかっとる!!」

「もちろんです、必ず喰種(グール)を殺します」

「よし、ほな、君にはここの捜査官と組んでもらうで、さっきも言うたけど3人捜査中、やから最後の1人、24歳の捜査官と組んでもらうで」

「はい」

 

 

署長は内線を受話器をとったのである。

 

 

「ほな、来てくれ」

 

 

そして、

 

 

「失礼します……」

「話してたやろ、お前と組んでもらう捜査官やで」

「はい、よろしくね、ナグモ君、服部 啓(ハットリ ケイ)だ」

「よ、よろしくお願いいたします」

「ほな、よろしく頼んだで」

「はい!!」

「お任せください、署長」

 

 

 

「ハットリさん、そんなに大阪に喰種(グール)って多いんですか?」

「ああ、東京に比べたらまだマシだが危険度の高い喰種(グール)が多い…以前は統一性がなかったが半年ほど前にヘッジホッグというリーダーが現れ喰種(グール)を統一した」

「ってことはヘッジホッグさえ駆逐すれば大阪の喰種(グール)たちはまたバラバラになる?」

「さぁな、新しいリーダーが現れるかもしれないし……が、今より落ち着くのは間違いない」

「そう…ですか」

「君は喰種(グール)の力を持った人間……なんだろ?」

「え?」

「君の情報と経歴を聞かされた時驚いた…元人間の赫者…到底信じられなかった」

「………」

「正直僕は喰種(グール)を怨んでいる」

「!!」

「僕は対策部に入局する前は中国の上海で仕事をしていた…現地で亜美(アミ)という日本人女性と出会ったんだ…素敵な女性だった…互いに愛し合い結婚まで誓った…けど、あいつに殺されたんだ…アミは…」

「……まさかヘッジホッグ…」

「ああ、3年前だ、上海の路地裏で襲われアミは喰われ僕は重症…駆けつけた向こうの捜査官に助けられ僕は一命をとりとめた……でも、アミは死んでしまった…」

「ヘッジホッグ………」

「そして…誓ったんだ、もうこんな悲劇を繰り返さないために喰種(グール)を駆逐するって…けど、中国では善悪に関係なく喰種(グール)を駆逐する…僕はそれは駄目だと思ったんだ…だから、その時の捜査員に頼みこっちの対策部に入部した…上海にいるヘッジホッグとは戦えなくてもこっちにいる人を殺す喰種(グール)を駆逐するため……」

「でも…」

「そう、会えないと思っていたヘッジホッグがこの大阪にいる…僕は何としてでもヘッジホッグを駆逐する…例え、敵討ちは醜いと言われようとも…」

「ハットリさん、そんな怒りに任せてヘッジホッグを駆逐してもアミさんは戻ってこないし喜ばないですよ……」

「ナグモ君……」

「な~んて、僕は更々言うつもりはないです」

「えっ…」

「いいじゃないですか敵討ち…アミさんは戻ってこないけど今日も明日も誰かがヘッジホッグのせいで命を落としている…だったらそのヘッジホッグを殺しちゃえば少しでもアミさんみたいな犠牲者を減らすことができるわけです」

「ナグモ君…」

「僕は人と人を殺さずに生きる喰種(グール)の味方です」

「!!僕も同じだよ、ナグモ君」

「ソラで結構ですよ」

 

 

僕はハットリさんに手を差し出したのであった。

 

 

「!!………ケイでいい…ソラ」

「はい、ケイさん」

 

 

ケイさんは僕の手を掴み握手した。

 

 

 

「なんやの」

「しつこいんや、対策部」

 

 

僕とケイさんはヘッジホッグの部下の喰種(グール)を追いかけていたのだ。

 

 

「ヘッジホッグはどこだ」

「答えないと駆逐する、明日も学校なんでね、早めに教えてくれな」

「は?学校」

「意味わからんことぼざくなや!!」

 

 

喰種(グール)たちはそれぞれ鱗赫と羽赫を出現させたのである。

 

 

「クインケを…」

 

 

ケイさんは尾赫のSレートクインケ、ムサシを出した。

 

 

「駆逐するか」

 

 

そして、僕は赫眼になり鱗赫を出現させたのだ。

 

 

「なんや…あいつ喰種(グール)なんか…人の臭いしとったで」

「いや、さっきまでは人やったけど今はほんのり喰種(グール)みたいな臭いしてる」

「そうか、それは初耳だな、赫眼出すと喰種(グール)の臭いに近づくのね」

「ソラ、いくぞ!!」

「はい!!」

 

 

僕とケイさんは喰種(グール)たちに猛攻撃をしたのである。

 

 

「もう……動けへん…」

「やたら気合い入っとるんやな、あんたら…」

「ヘッジホッグはどこにいる?」

「言わないと殺すよ…」

「は?誰が言うか……」

「じゃ死ね…」

 

 

僕は喰種(グール)の首をはねた。

 

 

「お前は?」

「まちぃな…知らへん…俺ら下の喰種(グール)やから知らへん……許してぇな!!」

 

 

その時

 

 

「あ……」

 

 

喰種(グール)の腹から音が聞こえたのだ。

 

 

「腹が鳴ったわ…そーいや、昼喰ってなかった…」

「何を喰うつもりだった?」

「え、たこやきでも食うと思うんかい?」

「ぐっ……」

 

 

ケイさんはその喰種(グール)の首をムサシではねたのだった。

 

 

「ソラ、もうこんな時間だ…帰らなくては」

「はい、また明日」

 

 

 

そして、次の日。

 

 

「ひぃぃぃぃ!?」

「まて!!………頼むぞ、ソラ!!」

「ほいさっ!!」

 

 

僕は逃げる喰種(グール)を追いかけたのである。

 

 

「逃げ足早いな……なら、これでどう?」

 

 

僕は一口かじり赫者になった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

「追いついた~」

「やめてやめてやめてっ!!」

「やめて欲しいならヘッジホッグがどこにいるか教えてよ」

「……俺を殺してみろや…ヘッジホッグ様の場所はわかんないで……死人に口なしや!!」

「その通り!!」

 

 

僕はその喰種(グール)を殺したのだ。

 

 

「本当に死人に口なしだと思うならミートカッターみたいに自害しろよ…お前みたいなの面倒だから他あたるは…」

 

 

 

そして、次の日も、

 

 

「やめてぇ……」

「死ね死ね死ね、情報ありがとう、お喋りガール喰種(グール)、ヘッジホッグにばれて処刑されるの怖いでしょ、僕が前払いで処刑してあげてるの、感謝しな…」

「やばいよ……」

「あ、君たちも処刑してあげるわ…」

「あの、私らといいことしません!!」

「いいこと?」

「そそ、いいことや!!」

「私たち神戸のプロなんで楽しめますよ…神戸言うたらわかるでしょ?」

「神戸?いいこと?…………」

「ね、いいこといいこと」

「そそ、いいこと」

「その前に後ろのお兄さんにいいことしてあげてね、メスブタちゃん」

「「え?」」

 

 

喰種(グール)たちはケイさんにムサシで駆逐されたのである。

 

 

「神戸か……高速神戸の所だろ…世話になったかも知れんな」

「ケイさん、神戸ってそんな楽しいとこなんですか?」

「ああ、っと、ソラ、高校生の君には早すぎるな…聞かなかったことにしてくれ…」

「あー、はい」

 

 

その時

 

 

「よくも!!私の可愛い妹分たちを!!」

「今、神戸の楽しい話してるの、邪魔」

 

 

僕は赫者の赫子を羽赫にしてその喰種(グール)の顔面ゼロ距離で乱射した。

 

 

 

 

「ご報告申し上げます、この3日間で大阪の喰種(グール)が30人以上駆逐されましっ…………た…」

 

 

報告した喰種(グール)は言い終わる前に羽赫が飛んできて首と体が分かれたのだ。

 

 

杀!!(殺せ)!!必ず殺せ」

「了解いたしました……皆に申す、大阪喰種(グール)の名にかけて捜査官と東京の喰種(グール)を殺すんや!!」

 

 

大阪喰種(グール)が激しく動き出すのだった。




一応、中国にも喰種はいますがこの作品の喰種は東京…すなわち日系の喰種しか存在しないので中国の喰種は先祖が日本人かまたは外国に滞在している喰種ということになり、ヘッジホッグは中国に滞在している喰種です。


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報復

金曜日、

 

 

「いい成果や!!とても、いい成果やで」

「ありがとうございます、署長」

「この調子でどんどん頼むで……けどな、そろそろヘッジホッグも危険視して高い能力の喰種(グール)を寄越してくるかもしれへん」

「どんなことになっても必ずヘッジホッグを駆逐します」

「ケイさんと同じく全力で戦います」

「おお!!最近な大阪に出没してる喰種(グール)でボゼ喰いって喰種(グール)がおる、そいつは妊婦の胎児のみ喰ってく偏食性の強い喰種(グール)や、こいつがヘッジホッグの一味か知らんが万が一戦闘になったら用心してや」

「はい…………………ソラ?」

「許せない……母親殺して赤ちゃん喰なんて……絶対、ぶち殺してやる…」

 

 

ソラの形相に署長は少しひいていた。

 

 

「………………ほな、飲み行くで……」

「またですか……」

「…………あの僕、未成年……」

 

 

 

 

「はい、いらっしゃいませぇ!!」

「ここは登録された喰種(グール)の居酒屋やで」

「なるほど」

「とりあえず、黒霧水割り」

「俺も」

「アイス珈琲(コーヒー)で」

 

 

 

 

その後、

 

 

「やぁ、ヘッジホッグは手強い……本当に手強い…でも、倒したいんやろう!! 」

「もちろんでぇす、アミのアミの敵をあのヘッジホッグをぶっ殺す!!」

 

 

その時

 

 

「あんたらうるさいや、静かに飲めやっ!!」

 

 

店内にいた喰種(グール)が騒ぐ僕たちにキレたのだ。

 

 

「ごめんなさい、静かにします」

 

 

僕はその喰種(グール)を何とか宥めると席に座り残った珈琲(コーヒー)を一気に飲み干したのである。

 

 

「!!兄さん、それ俺のワイン珈琲(牛の血コーヒー)割りやで……」

「………………おい、ソラ…今の喰種(グール)の酒だぞ………おい、ソラ」

「…………ケイさん……だいちょーふひぇす……」

 

 

ソラは酔いつぶれたのだった。

 

 

 

 

「署長……私が責任もってソラのホテルまで送ります」

「ま…任せたで……」

「はい」

 

 

署長はソラをケイに任せて帰路についていた。

 

 

「しかし、あの2人がいるならヘッジホッグが駆逐されるのもそう遠くはないな」

 

 

その時

 

 

「そうかしら?私がメチャメチャにしてあげる」

「美味しい物~美味しい物~」

「!!」

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

 

僕は宿泊していたホテルで目が覚めたのだ。

 

 

「ここは……ホテル……か……頭痛い……酒ってこんなに次の日きついのか……」

 

 

その後、

 

 

部屋のインターホンが鳴ったのである。

 

 

「……あ、ケイさん……」

「大丈夫か?」

「はい…ご迷惑を……」

「いや、いい……しかし、ソラは酒に弱いんだな……」

「そう……なんですかね?」

「さて、そろそろ捜査に向かうぞ、ボゼ喰いに新たにヘッジホッグの一味の喰種(グール)の活動も確認されたらしい」

「はい!!」

 

 

その時

 

 

ケイの携帯に着信が入った。

 

 

「はい、ハットリです……………………………………………………は?」

「ん?」

「…………わかりました……」

 

 

ケイさんは携帯をしまったのだ。

 

 

「何か……あったんですか……」

「……………………署長が死んだそうだ…」

「え……」

「無惨な殺され方をしていたらしい……遺体の損傷は激しく遺体には3体の喰種(グール)の赫子の痕があった」

「………ヘッジホッグ……ですか」

「いや、恐らくボゼ喰いにSレート喰種(グール)グラトニー(暴食)、グラトニーと共に行動しているSSレート、鎌鼬(かまいたち)だ」

「ケイさん……」

「わかっている……これは大阪の喰種(グール)を駆逐して回っている俺たちへの報復だ」

「行きましょう……ヘッジホッグはもちろん、ボゼ喰いもグラトニーもかまいたちも皆殺しにしてやる!!」

「ああ、もちろんだ」

 

 

 

 

「ねぇ、ヘッジホッグはどこ?」

「……知らない」

 

 

僕は喰種(グール)の首を跳ねたのである。

 

 

「じゃあ次、ボゼ喰いは?」

「許して……」

「知らないのね、はいはい」

 

 

僕は喰種(グール)の首を跳ねた。

 

 

「ひぃぃぃ!?」

「グラトニーとかまいたちは知ってる?」

「ひぃぃぃ!?」

 

 

喰種(グール)は逃げようとしたのだ。

 

 

「答えはノーか」

 

 

僕は喰種(グール)の首を跳ねたのである。

 

 

「知ってる人いないの?教えてくれたら後は逮捕ですますけど」

「グラトニーは梅田の路地裏によく現れます!!」

「はい、ありがとう」

 

 

僕は喰種(グール)の首を跳ねた。

 

 

そして、この場にいた喰種(グール)を全て殺したのだった。

 

 

 

 

僕とケイさんは梅田の路地裏で喰種(グール)と戦闘していたのだ。

 

 

「や…やめろ」

 

 

僕は掴んでいた喰種(グール)の首を締め上げて絞殺したのである。

 

 

「こっちも終わったぞ、ソラ、グラトニーの情報はなしだ」

「……そうですか」

 

 

その時

 

 

「油断するなよ、あの喰種(グール)は赫者や」

「了解」

 

 

全員同じマスクを着けた喰種(グール)集団が現れた。

 

 

「こいつら」

「ソラ、ヘッジホッグの配下だ」

「なら、何人か拷問して情報吐かせるか」

 

 

喰種(グール)集団はそれぞれ赫子を出したのだ。

 

 

「とりま、半分ぐらい殺しておくか」

 

 

僕とケイさんは喰種(グール)を次々と殺したのである。

 

 

「……た、隊長」

「無理です……」

「戦うんや!!」

 

 

しかし、一部の喰種(グール)が逃げ出した。

 

 

「ソラ!!」

「こっちの喰種(グール)お願いします」

「ああ!!」

 

 

僕は逃げた喰種(グール)を追いかけすぐに追い付いたのだ。

 

 

「ぎゃぁぁぁ!!」

「や、やめ……」

「そっちから来たんでしょ?」

 

 

その時

 

 

「うがぁぁぁぁ!!」

「!!」

 

 

突如、甲赫の喰種(グール)が襲撃してきたのである。

 

 

「なんだてめぇは?」

「仲間殺す、許さない!!絶対」

「あ?そっちも殺してるだろ」

「うがぁぁぁぁ!!」

 

 

喰種(グール)は甲赫を僕に振り回してきた。

 

 

「!!」

 

 

僕は甲赫で地面に叩きつけられたのだ。

 

 

「仲間殺した罪重い……潰れろ!!」

「…………………嘗めるなよ」

 

 

僕は甲赫から抜け出し肉をかじり一気に赫者形態になると喰種(グール)の腹に鱗赫を突き刺したのである。

 

 

「うがぁぁぁぁ………仲間、大切な仲間……」

「仲間の所へ送ってやるよ」

 

 

僕は赫者の赫子を甲赫にし喰種(グール)の頭を潰した。

 

 

「あう……」

 

 

生き残っていた喰種(グール)は失禁したのだ。

 

 

「臭ぇんだよ」

 

 

僕はその喰種(グール)を殺したのである。

 

 

「さて、ケイさんと合流するか」

 

 

その時

 

 

「美味しい物~美味しい物~」

「!!」

 

 

次の瞬間、僕の腕は切断されたのだった。

 

 

 

 

「死ねぇぇ!!」

 

 

ケイは近くの喰種(グール)を1体駆逐した。

 

 

「早く駆逐してソラと合流しなければ」

 

 

 

 

「美味しい物~美味しい物~」

 

 

喰種(グール)は切断された腕を口に運んだのだ。

 

 

「!!こんな美味しい物、食べたことない!?」

「僕の腕を切断したのは……お前じゃないんだろ?」

「そうだね~」

「一瞬尾赫の赫子が見えた、お前たちがグラトニーとかまいたちか」

「せいかぁい!! 」

「あはっ!!結構いい目してるわね」

 

 

建物の壁に紫色の尾赫の赫子を出した喰種(グール)が捕まっていたのである。

 

 

「かまいたち……か」

「せいかぁい、私が赫子で獲物捌いておでぶちゃん(グラトニー)が食べる、私は人間捌けて楽しいし、おでぶちゃんはお腹満たされるし利害の一致よね」

「美味しい物~美味しい物~」

「署長の仇だ、殺してやるよ…………………!!なっ……」

 

 

僕の赫子はかまいたちの尾赫に一瞬で切断された。

 

 

「私の尾赫は切れ味抜群、最高の赫子だよ~ん」

「なら、これでどうだ!!」

 

僕は赫者の赫子を甲赫にしてかまいたちに攻撃したのだ。

 

 

「甲赫でもおんなじ~」

 

 

甲赫も切断されたのである。

 

 

「あぶねっ……」

 

 

僕はかまいたちの尾赫をよけた。

 

 

「こんなの心臓にでも当たったら終わりだな…」

「そうだよ~いくら再生力あっても心臓やられちゃね……おでぶ」

「あぁい!!」

 

 

グラトニーは甲赫の赫子を出現させたのだ。

 

 

「美味しい物~美味しい物~」

「うるせぇんだよ!!」

 

 

僕の鱗赫とグラトニーの甲赫がぶつかり合ったのである。

 

 

「!!」

 

 

しかし、すごい速度でかまいたちの尾赫が僕を襲い腕などが切断された。

 

 

「まずいな……」

 

 

僕は羽赫で長距離戦に持ち込むもかまいたちは羽赫を避けグラトニーは甲赫で防いだのだ。

 

 

その後もグラトニーとかまいたちの連携攻撃に押されて僕は心臓や頭を守るので精一杯だったのである。

 

 

どうする……このままだと、鱗赫ででかいの撃ち込んでグラトニー殺るか?いや、その時の隙にかまいたちに殺られる、かといってかまいたちに真っ正面から挑んでも………………………真っ正面?そうか、これならワンチャンあるぞ。

 

 

僕はかまいたちに向かっていた。

 

 

「あら、自棄起こしちゃったかな~、ミンチにしてあげる、おでぶ~今日はタルタルステーキだよ」

「イェイ!!」

「死ね!!」

 

 

僕は赫者の赫子を甲赫にしたのだ。

 

 

「だから無駄だよ~」

 

 

かまいたちの尾赫に甲赫が切断されたのである。

 

 

その時

 

 

「えっ!?」

 

 

僕は残った鱗赫でかまいたちの尾赫の横を押さえた。

 

 

「やはりな、刃物と違って(みね)まで切れ味いいが横は全然弱い」

 

 

僕は赫者の赫子を鱗赫にし6本の鱗赫で尾赫の横を押さえ尾赫を全力でこっちへ引き寄せたのだ。

 

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 

僕は近寄ってくるかまいたちの顔面を殴ったのである。

 

 

「がっ……」

「さよならだ」

 

 

僕は赫子を甲赫にした。

 

 

「!!ちょ…やめっ………」

 

 

僕はかまいたちの顔を何度も甲赫で叩き付けて殺したのだった。

 

 

「よ、よくもぉぉぉ!!」

「フッ、なんだいおでぶちゃん?」

「死ねぇぇ!!」

 

 

向かってくるグラトニーの甲赫と僕の赫子がぶつかり合ったのだ。

 

 

「あらあら、もうかまいたちがいないから捌きたては食べられないね」

「美味しい物ぉぉ~!!」

 

 

僕は鱗赫でグラトニーの甲赫を砕いたのである。

 

 

「てめぇに喰わす美味しい物なんてねぇんだよ」

「あがっ……美味しい物……」

「そうそう、美味しい物、それじゃいただきます……」

「やだぁぁぁ!!」

 

 

 

 

その頃、

 

 

「なんだ貴様は?」

「貴方たちの呼び方ならボゼ喰い………というべきかしら?」

「ボゼ喰い………よくも、署長を!!」

「そうよ!!なんでおっさんなんか殺さなきゃ、ヘッジホッグ様の命令だからしょうがないけどさ…」

「黙れ!!」

 

 

ケイは突然現れたボゼ喰いと交戦していたのだった。




次回は大阪クライマックスです。


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螺旋

「よくも署長を!!」

 

 

ケイは突如襲いかかってきたボゼ喰いと戦っていた。

 

 

「ここで駆逐してやる!!」

「貴方に殺られるほど弱くないわよ」

 

 

ボゼ喰いの鱗赫を交わしながらケイはムサシを振りかざすもボゼ喰いを仕留められずにいたのだ。

 

 

「さてと、手っ取り早く貴方殺して次の妊婦を殺さなきゃ」

「貴様……」

「てか、貴方も早く私を殺さないと大変よ、もうひとりの方はグラトニーとかまいたちですもの、特にかまいたちの赫子はどんな赫子でも簡単に切れてしまう最高の切れ味」

「!!ソラ……」

「でも、他人の心配してる場合じゃないわよ」

「ぐっ!!」

 

 

ボゼ喰いの鱗赫を防ぎきれずケイはムサシを手から弾かれてしまったのである。

 

 

「しまった!!」

「死になさ……」

 

 

その時

 

 

ボゼ喰いの鱗赫を別の赫子が破壊した。

 

 

「危なっ……」

「ケイさん、ご無事で?で、あいつがボゼ喰いですか?」

「ソラ……ああ、そうだ」

「そうですか……因みにお前の仲間はこうしてやった」

「あらら……」

 

 

僕はグラトニーとぐちゃぐちゃに潰れたかまいたちの首を地面に捨てたのだ。

 

 

「次はお前をこうしてやるよ」

「そして、署長と同じ目に遇わせるわせてやるよ」

「ケイさん?同じ目?違うな、それ以上にぐちゃぐちゃにしてやるよ」

「あら、随分と強気なのね」

「ああ、お前みたいなのを壊すときはゾクゾクする」

「サイコパス」

「サディスト(喰種(グール)限定の)な」

 

 

僕は指を鳴らし鱗赫をボゼ喰いに振りかざしたのである。

 

 

「おっと…いいわ、貴方の内臓引き出してやるわ」

「じゃ俺はお前の心臓抉りだしてやる」

 

 

ボゼ喰いの鱗赫を僕は甲赫で防いだ。

 

 

「くたばれ!!」

 

 

ケイさんはムサシでボゼ喰いの鱗赫を切りボゼ喰いにムサシを振りかざしたのだ。

 

 

「邪魔よ!!」

 

 

ボゼ喰いはムサシを受け止めるが僕の鱗赫の攻撃を受けたのである。

 

 

「ぐっ……あっちゃ……血だらけ……」

「ハァハァ……」

「もっと真っ赤に染めてやるよ」

「その前に栄養補給栄養補給」

「?」

 

 

ボゼ喰いは鱗赫を近くの建物に突き刺した。

 

 

次の瞬間

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

「なっ!?」

「まさか……」

 

 

壁が壊れ鱗赫が腹に刺さった女性が出てきたのだ。

 

 

「美味しそう」

 

 

ボゼ喰いは女性の腹から何かを引き抜くとそれを食べたのである。

 

 

「やっぱ赤ちゃん最高!!」

「私……の……赤……ちゃん……」

「御馳走様、さ、赤ちゃんに会ってきなさい」

 

 

ボゼ喰いは鱗赫を女性の背中に突き刺して絶命させた。

 

 

…アミ…

 

 

「貴様……」

 

 

ケイには殺された女性がアミと被って見えたのだ。

 

 

その時

 

 

「ぎゃぁぁ!!」

 

 

ボゼ喰いの右腕が消えたのである。

 

 

「……」

 

 

僕は全ての赫子を振りかざしボゼ喰いに攻撃した。

 

 

「ちょ、まじでいきなり何よ!!」

「………」

「やばっ……」

 

 

ボゼ喰いは不利と判断し建物の壁を掛け登り逃げたのだ。

 

 

しかし、

 

 

「追ってきてる!!」

 

 

僕は鱗赫でボゼ喰いを攻撃しボゼ喰いも鱗赫で防いだのである。

 

 

「しつこいのよ!!」

 

 

そして、僕は建設の上でボゼ喰いと戦っていた。

 

 

「もらったぁぁ!!」

「!!」

 

 

ボゼ喰いの鱗赫が僕の腹に突き刺さったのだ。

 

 

「このまま内臓引き摺り出してやるわ!!」

「…………」

 

 

しかし、僕はボゼ喰いの鱗赫を掴むと引き寄せたのである。

 

 

「えっ!?」

 

 

そして、近寄ってきたボゼ喰いの首を締め上げた。

 

 

「離せよっ!!……………がっ……」

「……………!!」

 

 

その時

 

 

僕は下にある物を見つけたのだ。

 

 

「…………絞殺じゃ足りない、もっと苦しませてやる」

 

 

僕はボゼ喰いを地面に放り投げ僕も下へ降りたのである。

 

 

「いきなり、何よ……………!!」

 

 

僕はボゼ喰いの顔を押さえると口を開けさせた。

 

 

「これ何だと思う?」

「………?」

「正解はシンナー!!」

「シンナー……?」

 

 

僕はボゼ喰いの口にシンナーを流したのだ。

 

 

「がっ……やめ……」

「飲め飲めぇ!!」

 

 

ボゼ喰いがシンナーを飲んだのを確認すると離したのである。

 

 

「何するのよ………………………!!ぎゃぁぁぁぁぁ!?」

「知ってるか?シンナーをね、喰種(グール)が飲むと痛みを数十倍余計に感じるようになるんだよ、知らなかったでしょ?だって、俺にこれ教えてくれた奴は俺が殺っちゃったし」

 

 

僕は指を鳴らしボゼ喰いの腹にかかと落としをした。

 

 

「あぎゃゃゃゃ……やめでぇぇ……」

「これで腕とか落としたらオモローだな」

「ぎゃめでぇぇ!?」

「日本語喋れよ」

 

 

僕は残っていたボゼ喰いの左腕、両足を落としたのだ。

 

 

「アハハハハハハ!!やめてってば……アハははははハハハハ」

「え、もう狂った?じゃあいいや、最後はあの女性と同じ目にあわせてやる………宮ってここだよね」

「やめぇぇぇ!!」

 

 

僕は指を鳴らしたのだった。

 

 

 

 

そして、暫くしてぐちゃぐちゃになりボゼ喰いは動かなくなったのである。

 

 

「ショック死しちゃった」

「ソラ!!」

「ケイさん」

「これは……内臓殆ど出てるじゃないか」

「そうですね、とりあえず、署長の仇は終わりで後はアミさんの仇ですね」

「そうだな」

 

 

ケイはムサシをボゼ喰いの死体の顔に突き刺した。

 

 

「すまん、美人だったから腹立って刺しちまった」

「いいと思います」

 

 

僕は鱗赫で残っていた顔をぐちゃぐちゃにしたのだ。

 

 

「さて、ヘッジホッグの捜査を続けますか」

「そうだな」

 

 

 

 

 

その日の夜、ヘッジホッグはステーキ(ヒト)を食べながら血酒を飲んでいたのである。

 

 

没问题(問題ない)、次は俺が出る、最初からそうすればよかった、しかし、大阪の喰種(グール)はこんな連中すら殺せないとは」

「………ぐっ」

 

 

そこにいた女の喰種(グール)は突然その部屋を出ていった。

 

 

「なんだあの女は?」

「さぁ……」

「血酒持ってこい」

「かしこまりました」

 

 

部屋を出ていった喰種(グール)はボゼ喰いの部下だった。

 

 

「姉さん……絶対に許さない」

 

 

 

 

 

次の日、

 

 

「ヘッジホッグ、どこにいるんだ」

「まぁまぁ、ヘッジホッグしか喰種(グール)がいなくなるまで殺してやりましょうよ」

「そうだな、ソラ」

「…………」

「………ソラ?」

 

 

僕は指を鳴らし赫眼を発眼したのだ。

 

 

「えっ!?ソラッ……」

 

 

 

 

数分前、

 

 

「大丈夫かな」

「心配すんな喰種(グール)の方は私の尾赫で首落とす、人間の方はお前が拳銃で殺りな」

「でも、私、人殺したことない」

「……お前、姉さん(ボゼ喰い)が殺されたんだぞ!!」

「…………………はい」

「行くよ!!」

 

 

 

 

そして、今、その尾赫の喰種(グール)は僕を襲いかかった来たのである。

 

 

しかし、全然負けなかった。

 

 

「何しに来たの?」

「姉さんの敵を……」

 

 

僕は尾赫の喰種(グール)の首を締め上げていたのだ。

 

 

その時

 

 

「やめて!!」

 

 

そこには足を震わせる喰種(グール)がいたのである。

 

 

「もういいっ!!お前は行け……」

「でも……」

「行けって!!」

「……………よく聞け、ボゼ喰いは妊婦を殺した、その人の旦那がどれだけ悲しい思いをしたか、わかるか?」

「知らないわよっ!!」

「ああ、知らなくていい」

「あがっ…………」

 

 

僕は尾赫の喰種(グール)の首を折り殺した。

 

 

「あ……」

「次はお前だ」

 

 

僕はもう一人の喰種(グール)の首に手を掛けたのだ。

 

 

「ぐっ………」

「……………………………………………………やめた」

 

 

僕は喰種(グール)を離したのである。

 

 

「ソラ?」

「ケイさん、こいつは人を喰ったことがない喰種(グール)です」

「!!匂いか」

「はい」

 

 

僕は喰種(グール)の腹に一撃加えた。

 

 

「がっ……」

「これからは生き方を考えるんだな」

 

 

僕とケイさんがこの場を去ろうとしたのだ。

 

 

その時

 

 

「あのっ……」

 

 

 

 

 

あの喰種(グール)はヘッジホッグの居所を僕らに教えてくれて僕らはその場所へと向かったのである。

 

 

「ここで間違いないか?」

「えぇ、ケイさん、あの喰種(グール)が全て教えてくれましたから」

 

 

そして、

 

 

「この倉庫です」

 

 

僕は鱗赫で倉庫のシャッターを破壊した。

 

 

欢迎(ようこそ)

「ヘッジホッグ」

「ケイさん、こいつが」

「ああ、忘れもしない!!」

「どこかで会ったかな?」

「黙れ!!」

 

 

ケイさんはムサシをヘッジホッグに振りかざしたのだ。

 

 

「遅い」

「!?」

 

 

ヘッジホッグはムサシを避けるとケイさんに蹴りを加えたのである。

 

 

「ケイさん!!」

「わかってる」

 

 

ケイさんは何とかムサシで防ぐも左腕が痛んでいるようだった。

 

 

「お前らには私は殺せない」

 

 

そして、ヘッジホッグは羽赫を出現させ羽赫を連射した。

 

 

「殺してみせる!!」

 

 

僕は指を鳴らし赫者になり甲赫で羽赫を防いだ。

 

 

「赫者か、いいだろう」

 

 

ヘッジホッグは自分の肉をかじったのである。

 

 

そして、

 

 

「これがヘッジホッグと呼ばれるわけか」

 

 

ヘッジホッグは通常の羽赫に赫者の赫子が背中を多い尽くしハリネズミ(ヘッジホッグ)のような姿となった。

 

 

「死ね!!」

 

 

ヘッジホッグは大量の羽赫を乱射し僕らは陰に隠れたのであった。

 

 

「ぶっぱなしてる」

「どうする、このままだと壁もいずれ破壊されるぞ」

「……近距離戦にしか向いてないからなケイさんのクインケは」

「…………俺に考えがある」

 

 

 

 

僕はヘッジホッグへ近付いたのだ。

 

 

「死ね、ヘッジホッグ!!」

 

 

そして、更に飛び出してヘッジホッグに赫子を振り回したのである。

 

 

「やけになったか?赫子の使い方なってない」

「こちら喰種(グール)になって1年未満なもんで」

 

 

僕とヘッジホッグは色んな種類の赫子をぶつけ合った。

 

 

「……強い」

 

 

ヘッジホッグの戦闘レベルは高くそうやすやすと仕留めることはできなかったのだ。

 

 

 

 

その頃、外では、

 

 

「……まだか」

 

 

ケイが何かを待っていたのである。

 

 

「!!きた」

 

 

そして、ケイの元へ車が1台到着した。

 

 

「お待たせっす、ハットリさん」

 

 

車からは対策部の職員が降りてきてケイに何かを渡したのだ。

 

 

「これか」

「これにムサシを取り付けて使うんですか?」

「そうだ、うまく奴の心臓を貫けばそれで殺れる」

 

 

ケイが受け取ったのは弓の一種であるボーガンだった。

 

 

ケイは矢の先にムサシを取り付けヘッジホッグに攻撃しようとしていたのである。

 

 

 

 

その頃、僕は完全にヘッジホッグに押されていた。

 

 

「ぐっ……」

「心臓を抉りだしてやろう」

「ハァハァ……!!」

 

 

ケイさん、準備が整ったみたいだ。

 

 

「くらえっ!!」

 

 

僕は羽赫を乱射したのだ。

 

 

「羽赫で私に敵うと思うのか?」

 

 

ヘッジホッグもこちらに羽赫を乱射したのである。

 

 

「思ってないね、少なくとも羽赫では」

「なに……」

「ケイさん!!」

「!?」

 

 

ヘッジホッグ目掛けて矢が放たれた。

 

 

「なっ……」

 

 

ヘッジホッグは間一髪で急所を避けるも腹にムサシが突き刺さったのだ。

 

 

「この程度で……」

「その程度ですませるかよ、糞が」

 

 

僕は全ての赫子を鱗赫にしその隙にケイさんはムサシを抜き取ったのである。

 

 

「串刺しにしてやるよ」

 

 

僕は鱗赫でヘッジホッグの腹を貫いた。

 

 

「串刺しにしたら切り分けてやるよ」

 

 

そして、ケイさんがムサシでヘッジホッグの体を切りつけたのだ。

 

 

「がっ……」

「駆逐完了……かな……」

 

 

僕は鱗赫を抜きヘッジホッグは地面に横たわったのである。

 

 

「やったな、ソラ」

「まだですよ」

「え……」

 

 

僕は羽赫を軽く放ち起き上がりケイさんを攻撃しようとしていたヘッジホッグの顔面を攻撃した。

 

 

「しつこいぞ」

 

 

そして、ケイさんは再びヘッジホッグを切りつけたのだ。

 

 

「そんな……この私が……」

 

 

倒れたヘッジホッグは地面でもがいていたのである。

 

 

「アミ……ついにこの時がきた、ずっとずっと待っていたんだ」

「……た……たのむ……やめてくれ……」

「そういや、自分自身も上海で同じ事を僕も言ったね」

 

 

ケイさんはムサシでヘッジホッグをズタズタに切り裂きヘッジホッグは絶命したのだった。

 

 

「ケイさん、お疲れ様です」

「ああ」

 

 

ケイさんがこちらに振り返ったときケイさんの表情が一変した。

 

 

「……ソラ、あれ」

「えっ……」

 

 

僕が振り返るとそこには全身が黒い服装と鳥のようなマスクを着けた喰種(グール)がいたのだ。

 

 

「あんな喰種(グール)、書類では見たことがない」

「まるでカラスですね」

「とにかく駆逐するぞ、ソラ」

「はい!!」

 

 

ケイさんは喰種(グール)にムサシを振りかざしたのである。

 

 

しかし、

 

 

「なにっ……」

 

 

その喰種(グール)の蹴りでムサシは折られてしまったのであった。

 

 

「ムサシが……」

「ケイさん!!」

 

 

僕はケイさんを助けにいこうとするもケイさんの腹に喰種(グール)の蹴りが炸裂したのだ。

 

 

「ぐぽっ……」

「ケイさん!!」

「大丈夫……だ」

「少し休んででください……………てめぇぐちゃぐちゃにぶち殺してやるよ」

 

 

僕は指を鳴らすと全ての鱗赫を喰種(グール)に振りかざしたのである。

 

 

「なっ……」

 

 

しかし、喰種(グール)は鱗赫を避けると僕の腹に蹴りを入れた。

 

 

「ぐっ……なんて力だ……」

「………赫子の使い方なっていない、まるで赫子を出せるようになったばかりの子供だな」

「ヘッジホッグにも言われたな………食らいなっ」

 

 

僕は羽赫を乱射したのだ。

 

 

「羽赫か」

 

 

羽赫が喰種(グール)に到達したのである。

 

 

その時

 

 

「!!」

 

 

喰種(グール)が赫子を出現させ羽赫を弾いた。

 

 

「羽赫……」

 

 

その喰種(グール)の羽赫は今までの喰種(グール)の物よりも色が濃く何よりも激しかったのだ。

 

 

「本当の羽赫を見せてやろう」

 

 

喰種(グール)は羽赫を乱射したのである。

 

 

「ぐっ……」

 

 

僕は甲赫で羽赫を防いだ。

 

 

しかし、

 

 

「なっ……」

 

 

甲赫にヒビが入ったのだ。

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!」

 

 

甲赫は砕け僕は羽赫を受け全身の肉が散ったのである。

 

 

「ぐっ……」

 

 

痛みは感じるが慣れている、けど、この喰種(グール)の羽赫は……こんな危険な喰種(グール)駆逐しないと。

 

 

僕は赫子を構えた。

 

 

その時

 

 

「がはっ……」

「!!」

 

 

ケイさんが突如倒れたのだ。

 

 

「ケイさん!!」

「………ソラ、すまない」

「おいおい、まってくれよ」

 

 

喰種(グール)の蹴りを受けていたケイはそれが今となって致命傷になり倒れたのである。

 

 

「…………………キサマァァ」

「何か言ったか?」

「許さねぇ、絶対に許さねぇ、完全に怒ったぞぉぉ!!」

 

 

僕は鱗赫を奴に向かわせた。

 

 

「!!」

 

 

喰種(グール)は羽赫で鱗赫を防ぐも羽赫が散ったのだ。

 

 

「逃がさねぇ!!」

 

 

僕は喰種(グール)を鱗赫で追いかけ一撃食らわせたのである。

 

 

「まだだ、死ねぇぇ!!」

「調子に乗るな!!」

 

 

喰種(グール)は羽赫を乱射しこの場から逃走した。

 

 

「待てぇぇ!!」

 

 

僕は喰種(グール)を追いかけて外へ出たのだ。

 

 

「逃げるなぁぁぁ!!」

「ふっ、しつこいやつめ」

 

 

喰種(グール)は羽赫を乱射したのである。

 

 

「こんなもの!!」

 

 

僕は赫者の赫子を甲赫にし突き進んだ。

 

 

「うぉぉぉ!!絶対に殺す」

 

 

僕は何度も何度も壊れる赫子を形成し飛び散る肉と血を無視して喰種(グール)に突撃し赫者の赫子が剥がれ落ちる程のダメージを受けるも遂に鱗赫が喰種(グール)に到達したのだ。

 

 

「同じことだ」

 

 

喰種(グール)は鱗赫を防ぐと僕の下へ移動したのである。

 

 

「なっ……」

 

 

喰種(グール)は僕の心臓(赫包)目掛けて羽赫を乱射した。

 

 

 

「ぐはっ……」

 

 

何とか僕は心臓は避けるもまともに羽赫を受けて倒れていたのだ。

 

 

「ちく…しょう……」

「じゃあな、また、いつか遊んでやるよ」

 

 

そして、喰種(グール)はこの場を去ったのである。

 

 

 

「ケイさん……」

 

 

僕は何とか倉庫に戻ると倒れているケイさんに近寄った。

 

 

「………ソラ……」

「ケイさん……」

「満足だ……」

「……ケイさん」

「ヘッジホッグを駆逐することができた……これで悔いなくアミに会いに行ける……」

「そんなこと言わないでくださいっ!!」

「………いや、ひとつだけ……」

「え……」

「おまえと…一緒に喰種(グール)を駆逐して……人々の命を……」

「…………ケイさん?」

「…………………」

 

 

ケイさんは動かなくなったのだ。

 

 

「ケイさん!?……………ケイさぁぁん!!」

 

 

 

 

 

その頃、

 

 

「珍しいな、人間の前に姿を現して戦うなんて」

 

 

ソラたちと戦闘した喰種(グール)は別の喰種(グール)と話していたのである。

 

 

チャイニーズ君(ヘッジホッグ)を殺った奴らがどれほどの者かと思ったがあの半喰種(グール)、今後すごい力を得るだろうな」

「そうかい、たしかに手合わせしたいな、よし、次は俺が行く、そして、喰ってやる!!お前が次に戦うことはもうない」

「好きにしろ、クラーケン」

 

 

 

 

 

こうしてヘッジホッグが駆逐されたことで大阪の 喰種(グール)の勢力は一気に衰えた。

 

 

また、最後に襲撃してきた喰種(グール)は今まで捜査官の前に現れたことがない喰種(グール)であり格好と羽赫からSSレート喰種(グール)クロー(カラス)と命名されたのだ。

 

 

 

 

 

数日後、喰種(グール)世界にある東京。

 

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 

喰種(グール)の補食対象にされ逃げていた男は何かにぶつかったのである。

 

 

喰種(グール)……もうだめだ」

 

 

そのぶつかった相手も喰種(グール)だった。

 

 

「お、いたいた」

「なんだあの喰種(グール)?」

「横取りか?殺っちまえ」

 

 

しかし、その喰種(グール)たちは鱗赫で速殺された。

 

 

「てめぇ!!」

 

 

残った喰種(グール)が飛びかかるもその喰種(グール)は突如、身体を切断されたのだ。

 

 

「おまらに生きる価値はない」

 

 

そう、ソラの手にはクインケがあり残りの喰種(グール)は鱗赫とクインケにより駆逐されたのである。

 

 

クインケ『かまいたい』SSレート。

 

 

大阪で駆逐した喰種(グール)の赫包をケイの使っていたムサシから赫包を取り外し入れ換えたクインケ、簡単に言うと持ち手がムサシで剣がかまいたちなのだ。

 

 

「すごい、切れ味だ……ケイさん、必ずクローを駆逐するからね」

 

 

復讐すれば必ず新たな復讐が生まれるこの螺旋(らせん)はどの世界からも消えることはないのかもしれない。




これにて大阪編は終了です、ケイの死によりさらに喰種に対して怒りを強めたソラがこの世界から喰種を消すためにどんどん大暴れして行きます、因みにソラは喰種でも人を殺したことのない喰種は殺さないし逮捕にすぐに応じた喰種も駆逐は見逃しますが後者は一度でも抵抗したら容赦なく駆逐します。


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覚醒

「お待たせ致しました、ブレンド2つです」

「ありがとう」

 

 

大阪での出来事から少し経ち僕もようやく立ち直りはじめていた。

 

 

 

 

僕は仕事を終えて休憩室にいるとシオンが話しかけてきたのだ。

 

 

「ナグモ先輩、大丈夫ですか?」

「ん?ああ、もう平気だ、シオン」

「よかった」

「けど、あのクローを殺さないとダメだ、あの喰種(グール)は危険すぎる」

「でも、本当に無茶しないでくださいね、赫者ってあんま良くないイメージがあるから」

「………」

「……シオン」

「!!あ、ごめんなさい、アヤノさん、別にアヤノさんのこと言ったわけじゃ」

「いいのいいの、気にしないで……それより気分転換にふたりで出掛ければ」

「………いくか?」

「うん……あ、私お寿司食べたい!! 」

「回るやつな」

「ケチー」

 

 

 

 

 

そして、次の日。

 

 

「うわ、ソラ、お前、べジータかよ、片手で腕立て伏せとか」

「べジータになれたらクローも他のクソ喰種(グール)も皆殺しにできるのに」

「お前、日に日に過激になってくな」

「当たり前だ、ダイチ、俺は一生をかけてでも人を喰らう喰種(グール)をこの世界……いや、全ての世界から排除する」

「…………」

「ん?どうした」

「殺しても殺してもいくらでも人を殺す喰種(グール)は現れるんだよな」

「ああ、全ての喰種(グール)を殺す以外に完全にこの戦いを終わらせる方法はない」

「でも」

「わかっている、そんなことは出来ないし、するつもりもない…僕にとって人間として生きている喰種(グール)は人間と変わらない」

「それじゃ人を殺す喰種(グール)だけ殺すのか」

「仮にそいつらを根絶やしにしてもいつまた人を喰らう喰種(グール )が現れるかわからない、だから絶対に終わらない、人だって何かの拍子に人を殺めることもある、それと同じように」

「……ソラ」

「けど、今は目の前にいる命を救うこと、そして、現状の喰種(グール)を全て殺れば世界は変わるはずだ」

「ああ」

「さてと、そろそろ行くか」

「ん?シフトか」

「いいや」

「じゃ、捜査か」

「それも違う」

「ん?じゃ、どこ行くんだ」

「………」

「……その顔はつまり、あっちの世界の……」

「そうだ、狩りだ、もし、対策部の緊急出動ならノムラ珈琲(コーヒー)店を通じて僕の向こうの通信端末に連絡が入る」

「そうか、気をつけてな」

「ああ」

 

 

 

 

 

そして、僕はあっちの世界で喰種(グール)と対峙していたのである。

 

 

「あれはまさか……」

「眼帯の喰種(グール)

喰種(グール)を狩り、そして、喰らう喰種(喰種)

「おやおや、歓喜、感激、僕も有名になってきた」

 

 

僕は指を鳴らして鱗赫を出した。

 

 

そして、喰種(グール)たちもそれぞれ赫子を出したのだ。

 

 

「フンフン、匂いを嗅ぐ限り羽赫の君はいいエサになりそうだね、けど、他は雑な魚、所謂、雑・魚(ザ・コ)っ!!」

 

 

喰種(グール)たちは一斉にソラに向かうが数分後には肉片に変わり羽赫の喰種(グール)はソラに喰われていたのである。

 

 

「あー、もっと強い喰種(グール)を喰らわなければ、もっとだ」

 

 

そして、捜査でもソラは優先してレートの高い喰種(グール)の対処をした。

 

 

無論、いくら再生能力の高いソラでも危険な場面はあり命を落としかけたこともあったが日に日に赫子は色を濃くして行き赫者の赫子がソラの体を覆う面積は広がっていったのだ。

 

 

 

 

 

「けど、赫者の赫子が完全に覆う時っていつなんですかね?店長」

 

 

僕は仕事中に野村珈琲(コーヒー)店で店長に赫者の赫子のことを聞いたのである。

 

 

しかし、

 

 

「さぁ、わからないな」

 

 

どうも店長は知っているが教えていないようだった。

 

 

そして、店長が場を外したときアヤノさんが僕に話しかけてきた。

 

 

「あのね、赫者の赫子が全身を覆った状態を完全体って言うの」

「完全体?」

「うん、たしか条件は赫子に精神を狂わされないこと 」

「え、けど、僕は狂ってないですよ、少なくとも赫子の影響では」

「う~ん、そこはわかんない」

「……そうですか、ありがとうございます」

 

 

 

 

 

僕はあのスナックへ向かったのだ。

 

 

「おや、どうしたん?」

「どうも」

「情報かい?」

「ええ、赫者についてです」

「……………」

「………どうしました?」

「私は捜査には惜しげもなく情報を渡しているよ」

「はい?」

「笑っちゃうほど昔にあっちの世界からこっちに紛れ混んでやばかったときに対策部には助けてもらったし、店でたまに暴れる敵性の喰種(グール)には迷惑かけられてるし」

「ん?敵性の喰種(グール)?そういやママさんはお店に来たそいつらを入店拒否しないんですか?」

「あんな、ここは店なんだ、来る客は拒まない、ま、捜査で聞かれたら協力するし本当に暴れる奴は出禁にするけど」

「なるほど」

「で、赫者のことだけど」

「はい!!」

「それはあんた個人が知りたい情報でしょ、だからそう易々と教えることはできないんだよ」

「………そう…ですか」

「教えるにはな、物か情報の交換、場合によっては金も有り得る」

「赫者の情報は金では……」

「無理だね特に喰種(グール)関係では金はあり得ないね、そんな易々と金で取引してたら情報漏洩で私は捕まっちゃうよ、喰種(グール)含む異空生物のことは国家どころか国際機密だからね」

「そうですよね」

「すまんな」

「いいえ、捜査の時はまたよろしくお願いいたします」

「あいよ」

 

 

 

 

 

そして、次の日、僕は学校にいたのである。

 

 

いったい、どうやったら完全体になれるんだろうか。

 

 

その時

 

 

他の教室から悲鳴が聞こえた。

 

 

「なんだ!?」

「先輩っ!!」

「シオン、何事?」

「外に……」

「外………なっ……」

 

 

外を見ると校庭に100を越える喰種(グール)がおり何人かの生徒の死体が転がっていたのだ。

 

 

「先輩!!」

「お前は来るな 、あいつら一人残らずぶち殺してやる」

 

 

僕はマスクも着けずに校庭へ飛び出し赫子を出現させ手当たり次第に喰種(グール)を殺したのである。

 

 

「数が多い……赫者で一気に……」

 

 

その時

 

 

「いやぁ、すごいな、ヘッジホッグを倒しただけのことはある」

「お前は………!!………前に書類で見たことがあるレートSSS喰種(グール)、クラーケン」

「ほう、知っていたか」

 

 

クラーケン、レートは最高ランクのSSS、今、この対策部で一番危険度の高い喰種(グール)だ、そして、赫者。

 

 

「大阪でヘッジホッグを殺した君に挨拶したくて僕の部下を全員連れてきたよ」

「ふざけるな!!こんなことして、罪のない人たちの命を……」

 

 

僕は指を鳴らしクラーケンに向かった。

 

 

しかし、

 

 

「なっ!?」

 

 

クラーケンから現れた8本のまるで吸盤のような赫子のうち4本に僕は拘束されたのだ。

 

 

「!?」

 

 

僕の赫子はクラーケンの赫子に絡まれ動けず口を赫子で塞がれてるため肉を噛めず赫者になれなかったのである。

 

 

「バカだね、通常の状態で攻撃するとは赫者になってからすればまだ少しは善戦できたかもなのに」

「ぐっ……」

 

 

鱗赫に尾赫、こいつ2種持ちだったのか、知らなかった。

 

 

「さてと、君をじわじわと痛めつけてから殺して喰ってやる、隻眼の喰種(グール)、いったいどんな味だろうか」

 

 

その時

 

 

「先輩っ!!」

 

 

甲赫を出現させたシオンがクラーケンに向かってきた。

 

 

ジィオン(シオン)!!」

「はっ、なんだてめぇ」

 

 

シオンは残っていたクラーケンの赫子で弾かれたのだ。

 

 

「俺に攻撃するとはただのバカかな……………ん……!!隻眼……こいつ隻眼だ、隻眼が2体……お前ら隻眼祭りだ!!」

 

 

部下の喰種(グール)たちが一斉に笑い始めたのである。

 

 

「そろそろ対策部が来るだろう、よし、急いで撤収するぞ……その前に」

 

 

クラーケンは赫子でシオンを叩きつけた。

 

 

「うぐっ……」

いゃめろ(やめろ)ぉぉっ!!」

 

 

シオンは吐血しへたりこんだのだ。

 

 

「暴れても無駄無駄、おい、お前、あの隻眼を味見してやれ」

「よろしいのですか?」

「ああ、頭からかぶりついてやれ」

「かしこまりました!!」

 

 

部下の喰種(グール)数名がシオンを押さ指示を受けた喰種(グール)がシオンの頭に噛みついたのである。

 

 

「いやぁぁぁぁぁ!!」

ジィオォォン(シオォォン)ッッ!!」

「だから無駄だよ、さぁ、脳みそまで噛み千切ってやれ!!」

 

 

そして、ブチンという鈍い音が響いたのだった。

 

 

「……………何の音だ」

「………クラーケン様、あれ……」

「ん?………………………………………なっ!?」

 

 

拘束していたソラが赫者となりクラーケンの赫子を破壊していた。

 

 

「なにっ!?何故、赫者に……………!?赫子が全身を覆っている、まさか完全た……」

 

 

言い切る前に赫子でクラーケンは吹っ飛ばされたのだ。

 

 

「…………」

 

 

僕は指を鳴らすとシオンを押さえていた喰種(グール)たちを殺したのである。

 

 

「………完全体だと……まぁいい、俺の方がレートは高い、完全体だろうと俺の方が上だ」

 

 

クラーケンは自身の肉片を飲み込むと赫者になり向かってきた。

 

 

僕は指を鳴らすとクラーケンの赫子を全て防ぎ鱗赫と赫者の赫子で交互に攻撃したのだ。

 

 

「ぐっ……貴様……………………!!……喰ったのか」

 

 

クラーケンはようやく気づいたのである。

 

 

攻撃されている最中に赫者の赫子に覆われていない部分を僕に数ヶ所喰われていたことに。

 

 

「貴様ぁぁぁ死ねぇぇ!!」

 

 

僕は指を鳴らした。

 

 

 

 

1分足らずでその場には身体中を喰い荒らされ手足を全て分断されたクラーケンが転がっていたのだ。

 

 

「………や…めろ……見逃してくれ……」

 

 

僕はニヤリと笑い指を鳴らし赫者の赫子を尾赫にすると奴の胸を切り開き心臓を取り出したのである。

 

 

「がっ……」

 

 

僕はその心臓を頬張るとクラーケンに目をやった。

 

 

「がっ……覚…えて…いろ……呪いごろしてや……」

 

 

僕は赫者の赫子を甲赫にしクラーケンの顔面を潰したのだった。

 

 

「やばいっ、クラーケン様が……」

「まずいぞ」

「逃げろっ!!」

 

 

クラーケンが死んだことにより部下の喰種(グール)たちが逃げ始めるが僕は指を鳴らし殺し回ったのだ。

 

 

「うわぁぁぁ!!」

「押すなよっ!!」

「逃げろ逃げろ!!」

 

 

遠くにいる喰種(グール)は羽赫で殺して近くは他の赫子で殺してひとり残らず殺したのである。

 

 

そして、僕は赫子を全てしまいシオンに駆け寄った。

 

 

「シオン!!」

「せ、先輩……」

「ごめん……俺が弱かったばかりに……痛いよな」

 

 

僕はシオンの頭の傷を撫でたのであった。

 

 

 

 

 

その後、対策部に僕らは回収されシオンは治療、僕は何種類かの検査を軽く受けていたのだ。

 

 

「先輩」

「シオン、大丈夫か?」

 

 

部屋に入ってきたシオンの頭には包帯が巻かれていたのである。

 

 

「痛いけど喰種 (グール)だからすぐ治ります」

「……………」

「先輩?」

「シオン、もう俺学校には行かないや」

「!?どうして」

「今回の襲撃で生徒が何人か犠牲になってる、間違いなくあいつらを引き寄せたのは僕だ、どんな顔して高校へ行けばいい」

「……真顔」

「はっ?」

「たしかに先輩が引き寄せましたけどそれは先輩のせいじゃないです、なんか言ってくる人がいても前に無関係の喰種(グール)が紛れ混んできたことがあったじゃないですか、私と先輩が知り合う前に、それを撃退したのは先輩だぞーってソラ先輩がいなかったらとっくにみんな殺されてるよーって言いましょう!!……て、さすがに大きな声では言えませんけどね」

「いや、それ開き直りじゃん、つか、真顔かんけーねぇな、ん?なんでソラ先輩……」

「……………………………先輩っ……」

 

 

シオンの目から涙が溢れ僕に抱きついてきた。

 

 

「シオン!? 」

「先輩……私、先輩のことが好きです……私、一緒に高校生活送りたいです、お願いです、やめないで……」

「シオン……」

「先輩……」

「………ありがとう……」

「えっ」

 

 

僕はシオンを撫でたのだ。

 

 

「一緒の高校にシオンがいてくれてよかった……わかった、やめないよ、開き直るつもりもないけどちゃんと高校行って今回のことと向き合う」

「先輩……」

 

 

僕はシオンを抱き締めたのである。

 

 

「シオン、これからもよろしくな」

「はい、ソラ先輩……ううん、ソラ」

「ああ」

 

 

きっとひとりではどうにもならなく心が折れてしまっていただろう、赫者の完全体として覚醒しても何も成し遂げられない、でも、シオンと一緒なら……いや、シオンだけじゃない、ダイチやカナさん、そして、対策部のみんな…………僕はひとりじゃない。

 

 

そして、僕はシオンを強く抱き締めたのだった。




ソラが赫者として完全体になりました、そして、シオンと……とまぁ、SSSレートを秒殺したのでソラも文句なしのSSSです、『レートSSSover眼帯』って感じで


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怪人

数十年後、とある異空。

 

 

この世界では3つの国家がありそれぞれ長期に渡り戦争が繰り広げられていた。

 

 

そして、ある国ではある物質を使い生物兵器を製造していたのだ。

 

 

「これか?」

「はい、こちらが新開発の兵器、怪人です」

「怪人?」

「ええ、あの物質をベースに細胞を造り変えた生物です」

「戦闘力は?」

「さほど高くありませんが銃器等による殺傷が不可能です、唯一の方法として素手による殺害はできますが」

「できるのか?」

「ええ、ですが隣国は兵器に頼り過ぎです、こいつには兵器は通用しません」

「なるほど……で、いつ実用可能だ?」

「すぐには…………安全装置と制御装置が完成すればすぐにでも投入できます」

「だが、こいつ1体か」

「こいつは人間を飲み込み数時間で怪人へと変えてしまうのです」

「……なに」

「制御装置があれば敵国を怪人まみれにし奴隷とすることができるはずです」

「素晴らしい……すぐに制御装置と安全装置に取り掛かれ費用はいくらかかっても構わん」

「ありがとうございます」

 

 

その時

 

 

「なっ……」

 

 

爆発が起き部屋が炎に包まれたのである。

 

 

「ぐぐ……なんだいったい……おいっ!!大丈夫か」

 

 

男は倒れている科学者を起こした。

 

 

「………怪人の……カプセルが……」

「なにっ!?」

「……この国……いや、この世…界は……」

 

 

 

そして、科学者は息絶えたのだった。

 

 

「おいっ!!………なんということだ……」

 

 

その時

 

 

「なっ!?」

 

 

爆発で割れたカプセルから中にいた怪人が出てきたのだ。

 

 

男はすぐに銃で怪人を撃つも全く効いてる様子がなかったのである。

 

 

「……銃は効かない……ならば殴り殺すのみ」

 

 

男は怪人に蹴りを加えた。

 

 

「たしかに効いてるな、安全装置が未完成の以上ここで倒すしかない、怪人の喪失は惜しいが致し方ない」

 

 

男はさらに怪人を蹴り飛ばしたのだ。

 

 

「とどめだっ!!」

 

 

しかし、男は怪人の反撃を受けたのである。

 

 

「なんて力だ、さほど高くないだと、しかし……」

 

 

男は怪人に蹴りを加えようとした。

 

 

その時

 

 

「なっ……」

 

 

怪人は男の足を掴んだのだ。

 

 

「離せっ!!」

 

 

そして、怪人は口を大きく開くと男を飲み込もうとしたのである。

 

 

「やめろぉぉ!!」

 

 

男は怪人に頭から口に入れられるとそのまま丸呑みにされたのだった。

 

 

 

 

 

数時間後、研究所では爆発の影響で起きた火災の鎮火で職員が総動員されていた。

 

 

「おい!!なんで爆発した」

「機器トラブルですよ」

「今はそなことどうでも…………なっ……」

「どうしました?」

「怪人が……」

「何ですか?怪人って」

「あそこにいるやつだ、ここの地下で開発されていた生物兵器だ、まさか爆発で外に……」

「やばいんですか?」

「それより鎮火を……」

「だめだ、ここで止めないとまずい」

「わかりました」

 

 

研究員は銃で怪人を撃ったのだ。

 

 

「無理だ、怪人にその手の武器は通用しない」

「え」

「では、どうすれば」

「素手なら倒せる、総力戦だ」

「私、腕力に自身が……」

「そんなこと言ってる場合じゃない」

 

 

そして、研究員たちは一斉に怪人に襲いかかったのである。

 

 

「よし、もう少しだ」

 

 

その時

 

 

「なっ!?」

 

 

怪人が口から何かを吐き出した。

 

 

「まさか………」

 

 

そして、吐き出された何かは怪人へと変貌したのだ。

 

 

「……しまっ……」

 

 

そのままその研究員は怪人に飲み込まれたのである。

 

 

「きゃぁぁぁぁ!!」

 

 

女性研究員も新たに誕生した怪人に飲み込まれた。

 

 

「嘘だろ……何だよ、怪人って」

 

 

怪人を造り出した研究所は不慮の事故で機能を失いさらにその影響で怪人を解き放ってしまったのだ。

 

 

しかも、その騒動で対応が遅れてしまい数日でその国は怪人まみれになってしまったのである。

 

 

その国は隣国に休戦と助けを求め隣国はその国との国境に壁を作るも結果的に怪人の流失を食い止められず大陸の2/3が人の住める地域ではなくったのだった。

 

 

残った人間たちは科学者を集結するも怪人は死ぬと気化し一切細胞を残さないため全く抵抗出来ず捕獲した怪人を研究するも有効な手段は得られなかった。

 

 

事態を重く見た時空移動の権威である科学者は過去の時間より怪人に抵抗する手段を得るために遥か昔へと時を超えたのだ。

 

 

 

 

 

「万歳!!大日本帝国万歳!!」

 

 

大日本帝国は太平洋戦争で大国アメリカに勝利したのである。

 

 

勝因はアメリカにいた科学者の裏切りであり、大日本帝国でさらなる研究設備の提供と引き換えに長崎、広島へと落とされようとしていた原子力爆弾が偽物へとすり替えられ本物は大日本帝国へと流失していた。

 

 

そして、その原子力爆弾はあろうことか開発したアメリカ本土へと日本軍により投下されアメリカ本土に多大なる被害をもたらしたのだ。

 

 

さらにこの攻撃の犠牲者にはアメリカの大統領を含む多くのアメリカ政府関係者が含まれアメリカは国として機能しなくなり実権が移った副大統領は恐怖により直ぐに大日本帝国へ降伏したのである。

 

 

これにより大日本帝国はさらに領土を拡大し大日本帝国の他国への侵攻は激しくなった。

 

 

さらにアメリカより接収した原子力爆弾の複製及び改良も行われ続々と他国を降伏させたのだ。

 

 

 

 

 

そして、昭和64年、大日本帝国、天皇陛下が亡くなったのだった。

 

 

その頃、大日本帝国国内では複数のテロ組織によるテロが勃発しており天皇陛下の訃報と共にクーデターが起こり大日本帝国は内戦が起きたのである。

 

 

さらにそれに乗じてアメリカやその他の大日本帝国の植民地だった各国が所持していた兵器を使用し大日本帝国本土を攻撃、事実上大日本帝国は消滅し北海道はソ連領土、沖縄は台湾領土となった。

 

 

そして、大日本帝国の墜落により世界のバランスが崩れ第三次世界大戦が勃発しその数十年後にソ連側の勝利により第三次世界大戦は終結し各国での紛争などは残るも戦争は終わったのだ。

 

 

第三次世界大戦の引き金となり第三次世界大戦の勃発と共に崩壊した大日本帝国は荒廃していたがかろうじて人々は生きており2つの国家に分裂し昭和天皇の皇太子であった新天皇陛下率いる東日本国とテロリスト集団の大統領率いる西日本国、第三次世界大戦の最中他国の介入を一切受けずに東と西で戦争を繰り返していたのである。

 

 

西日本国、京都、第三次世界大戦勃発の際の攻撃で殆ど建物が消失しさらに地下にあった大量の核兵器の暴発により現在は荒廃し大きな地割れとその後に建てられた西日本国の軍事施設があった。

 

 

 

 

 

40年前。

 

 

「本当なんだろうな、本当に菌で東を壊滅させるほどの生物兵器が造れるんだろうな」

「もちろんじゃ、東どころか世界征服も夢じゃない」

「そいつは面白い、もう、流石に原子力はもう使いたくないし使うつもりもない、他国の攻撃でここにあった核兵器が爆発し数十年間は防護服なしでは出られなくなってしまったからな、それに大日本帝国、特にこの京都の荒廃ぶりに他国も核兵器の使用を禁止する国際条約を結んだらしいしな」

「そうじゃの、まぁ、これは生物兵器じゃからな、この京都には核兵器の影響で変異した物が多い、この菌のベースのきのこもわしが知ってる物とも異なる物となっておる」

「知っている?どうゆうことだ」

「さぁのぉ……」

 

 

老人は14個のカプセルを並べたのだ。

 

 

「これは?」

「さて、このカプセルにはきのこの菌が入っておりそのうち13個は寄生すると宿主の身体を奪い脳と同化する、そして、13個の細胞を融合させると最強の生物兵器の完成じゃ」

「つまり菌の器を13体用意すればいいってことか」

「そうじゃ、13体の寄生体の細胞を最後の14体目の器に食べさせればよいのじゃ、しかし、注意じゃよ、この14番目の菌は脳を乗っ取る、脳を乗っ取られたら制御がきかなくなる」

「では、14番目のきのこの実験体をNo.0(0号)、その他を順にナンバリングしNo.13(13号)までとしよう」

「なぜじゃ」

「敵を滅ぼす不吉な存在だ、最後は13でいく」

「………なぜ、13が不吉かはわしにはわからんが……まぁ、よかろう」

「…………」

「それにしてもこの世界は本当に荒廃しておるの」

「ここ京都にはかつて核兵器の貯蔵施設があった、太平洋戦争でアメリカに勝利したあとアメリカから空爆の被害がなかった京都に昭和天皇が核施設を作ったが」

「もはや、どこに施設があっても同じことじゃ、クーデターと共にここぞとばかりに各国が日本に向けて攻撃をしたからの、むしろ、この程度で済んで幸運じゃ」

「……たしかにな、ただ、もし、太平洋戦争でアメリカに負けていればどうなっていたことか」

「………少なくともクーデターは起こせなかったの」

「………………まぁいい、再びこの国をひとつにするだけだ、天皇の首を取れば西日本国の勝利だ」

「さて、わしの協力はここまでじゃ」

「ご苦労」

 

 

 

 

 

そして、その後、西日本国は14人の実験台を用意したのである。

 

 

しかし、No.0〜13までの製造中、No.0が暴走したことにより施設に全ての実験台を凍結させ生物兵器計画は停止させた。

 

 

これにより西日本国は生物兵器を使えずにそれからもずっと武力行使による東西戦争は続いていたのだった。

 

 

 

 

 

その老人は今度は別の世界、我々の世界にいたのだ。

 

 

「そのカプセルは?」

「きのこの菌じゃ」

「きのこ?人間が食べる?」

「食用じゃない、このきのこの菌は他者の体に寄生し終いには脳を乗っ取る」

「そんな種類のきのこ聞いたことがない」

「それはそうじゃ、この世界の産物ではない」

「それは喰種(グール)の世界ということか?」

「………いや、喰種(グール)ではない、かといって別の異空でもない」

「それはどういうことだ?」

「…………」

「爺さん、あんたは一体何者なんだ」

 

 

以前、ソラと対峙した喰種(グール)、クローはある場所で老人と話していたのである。

 

 

「この世界と別の歴史を辿った並行世界だ」

「なに、それは……」

「………」

「答えろ」

「……わかった、平行世界はその世界と異なる歴史を刻んだ異世界のことじゃ、その世界では太平洋戦争で日本がアメリカに勝利している、しかし、結果的にそれが後の日本を荒廃させることとなった世界じゃ」

「パラレルワールド……ってやつか」

「そうじゃ、そして、わしの目的じゃが……」

「たしか、異空生物のハイブリッドを造り出すこと……と前に言っていたな」

「そうじゃ、まずはわしのいた世界の話をしよう」

「それが平行世界か?」

「いや、わしの世界はある異空生物がいる世界じゃ、その世界はその異空生物のせいで2/3の領土を隔離することになった」

「何があった?」

「ある組織がある物質で人体実験を繰り返し怪人と呼ばれる異空生物を造り出してしまった」

「怪人?」

「そうじゃ、そして、不慮の事故によりその怪人が外に出てしまった」

「何体だ?」

「1体じゃ」

「なに」

「1体でも怪人は脅威なのじゃ」

「そんなに強いのか」

「個体差はあるが人間とそんなに変わらない」

「まて、個体差だと……その怪人は1体の筈じゃ」

「そうじゃ、怪人は人間を飲み込みその人間を数時間で怪人に変える力がある、おまけに銃等の兵器では死なず肉弾戦での死滅は可能じゃが到底間に合わない」

「では、どうやって排除する?ウイルステロでも起こすのか」

「まず、ウイルスとは何種類かあるがそれはこの世界における異空物質じゃ、異空物質で他の異空物質を破壊することは不可能、お主らもウイルスには感染せんようにな、それに他のテロでも怪人を死滅させることは不可能、怪人のある酵素が破壊エネルギーを無効化してるようじゃ、なぜか人間の肉弾戦による運動エネルギーは殺傷可能じゃがな」

「では、怪人を利用するのは……クインケのように」

「できたらやっている、怪人は死ねば消滅し痕跡を一切残さない、つまり、怪人の死骸を元に兵器を作ることは不可能、生け捕りにし研究してる機関もあるがうまくいかないようじゃ、我々にできることは壁を作り残された土地を守るだけじゃった」

「で、爺さんは色んな世界を回って怪人に対抗する手段を探してると?」

「そうじゃ、わしは数多の研究をしておったがその中でも空間移動と時間移動は専門じゃった、と言っても平行世界で行けたのは1つだけじゃったがな」

「まて、時間だと!?」

「…………そうじゃ、今、この怪人の事件が起きるのは今から数年後じゃ」

「………」

「わしはいくつかの世界の歴史を調べてその世界の歴史に介入した」

「………つまり、爺さんはこの世界の行く末を知っていると?」

「知っていたじゃ」

「なに」

「すでにこの世界の時間はわしの介入により改変されておる」

「………」

「わしが介入した殆どの世界は歴史を改変しすぎたことで滅んでしまった」

「爺さん……あんた」

「だが、この世界と喰種(グール)の世界は既に全く異なる歴史じゃ」

喰種(グール)の世界もだと」

「そうじゃ、まずはわしは多くの世界の過去に介入しあるテクノロジー、その世界ではオーバーテクノロジーな科学力である空間移動の方法を与えたのじゃ、本来の歴史ではこの世界に喰種(グール)はおらずこの世界の異空生物の活動により壊滅するはずじゃった、しかし、いくつかの異空から異空生物が侵攻したことによりこの世界の政府が異空生物への対策が整いそれに伴い侵攻がなくなった」

「じゃ、爺さんは救世主ってわけか?まぁ、たしかに今の話が本当なら自分の世界のために時間を移動するなんて並大抵の覚悟じゃないな、けどな、だったらその怪人が出る前に止められねぇのか、止められなくてもその施設を壁で囲んじまうとか」

「それも考えたのじゃが、危険すぎるのじゃ」

「ん?」

「わしらの世界は3つの国によって成り立っておった、怪人が現れるまでは戦争を繰り返していたのじゃが怪人の事件が起きた国とは文字通り戦争中、それに怪人の研究施設に壁を作れば確実に戦闘になる」

「そうか」

「それに……」

「ん?」

「時間の操作は危険なんじゃ、最悪、自分の存在を消すことになる」

「は?なら、爺さんはなんでここにいる」

「他の世界じゃからな、わしが過去で与えた空間移動の技術は何をどうやってもわしらの世界には移動できまい、それに知る限り他の世界で自力で空間移動の技術を得たものはおらん、少なくともわしが関わった異空にはな」

「時間移動は?」

「空間移動よりも遥かに高度な技術じゃ、他には不可能じゃ、それにわしじゃって自由に時間を移動できるわけじゃない」

「ん?」

「指定の過去まで戻り、自分の来た時間までの道のりを移動できるだけじゃ」

「……つまり」

「例えば10年前に戻ればその10年前から10年後までの時間を移動できるんじゃ、一方通行じゃからな10年前に戻ったら任意でその5年後に移動はできるがその5年後から1年前、つまり、10年前の4年後には戻ったりはできないのじゃ」

「それじゃ、5年後に移動した後にやり残したことを思い出しても戻れないってことだな」

「その通りじゃ」

「しかし、爺さん、自分の世界を救うためとはいえ他の世界をめちゃくちゃにするとは」

「しかし、他はともかくこの世界の人間と喰種(グール)の世界の少なくとも喰種(グール)はわしを批難する資格はない」

「なぜだ?」

「この世界の人間は言った通り異空生物の侵攻がなくなっており崩壊を免れておる、喰種(グール)喰種(グール)の世界で人間によって殆ど駆除され消えた」

「まて、なぜだ、本来は空間移動はできないなら俺らのように他の異空に逃げた喰種(グール)がいなくて喰種(グール)は多いはずだ、なのに」

「簡単なことじゃ、わしが空間移動の知恵を与えた科学者がその開発にのめり込んだことにより本来の時間で開発するはずじゃった対喰種(グール)用の薬品が開発されなかった、その薬品は雨雲に混ぜて雨を降らせるだけでRc細胞を死滅させる」

「じゃ、つまり、その爺さんが入れ知恵した科学者って」

喰種(グール)を開発した科学者じゃ、元々は治療目的で開発してきたRc細胞をあることで心を病み改造人間、すなわち元祖喰種(グール)の開発を行ってしまった、元々は賢明な科学者だけにRc細胞が軍事利用されることを危惧し死滅させる薬品を作っていたが暴走し薬品を処分しようとしていたがその配合方法を当時の助手に裏切られ持ち出されたのじゃ、しかし、歴史が変わって薬品は開発されなかった」

「つまり、本来だったら喰種(グール)は抵抗する余地もなくさよならで人間のパラダイスか」

「そうじゃ、しかし、人間のパラダイスなどではない、喰種(グール)を造った科学者は自分自身も喰種(グール)へと改造しコールドスリープで後の世へと目覚めた」

「薬品は」

「その科学者には効果がない、薬品の安心感により人間は今よりクインケの技術が低く全く抵抗出来ずにほぼ滅ぼされたのじゃ」

「俺たちは爺さんに感謝しないとな」

「まぁ、実際、わしは感謝などいらぬ、それよりハイブリッドを造るのが先じゃ、わしが過去で仕掛けた世界で息があるのはここと喰種(グール)の世界のみ」

「そうだ、ハイブリッドって何だ」

「異空生物のハイブリッド、つまり、2つの異空生物の力を扱える個体を造る事」

「なぜだ?」

「異空生物は別の異空生物の力では攻撃できない、ある異空生物が別の異空生物へと異空生物の力、喰種(グール)で言えば赫子で別の異空生物へ攻撃をすればまるで赫子が透き抜けるようになってしまう、これは異空生物には2つの識別組織がありこれらを仮にAとBとすると同じ異空生物へ攻撃すると必ずどちらかがAならばAで受け、BならばBで相手も受けるため攻撃が可能、しかし、他の異空生物へ攻撃した場合、Aならば相手はBで受ける、逆も同じそのため攻撃が通らないのじゃ」

「………難しいな」

「まぁ、よい、しかし、2つの異空生物の力を同時に使えるのなら相手がA、Bどちらであっても無関係で攻撃できるはすじゃ」

「で、どうなんだ」

「色んな異空生物で実験をしたが拒絶反応を起こし失敗した、最初は混ざり合っても後に双方どちらかの異空生物が暴走し実験台は全て死亡した」

「で、どうするんだ」

「今、頼りにしているのは喰種(グール)の運動能力じゃ」

「ん?」

「人間による肉弾戦の怪人討伐部隊には限界がある、しかし、その中に喰種(グール)を混ぜれば……喰種(グール)なら腕力だけで怪人に対抗できる筈じゃ」

「なら、俺たちを使って怪人討伐部隊か?けど、あの半喰種(グール)が協力的な喰種(グール)、殆ど殺っちまったから頼りにならねぇぜ、俺とあの半喰種(グール)なら結構戦えるけど俺が目の前であいつの仲間殺害したからあった瞬間ドンパチかますぜ」

「それはわかっておる、あの半喰種(グール)は別の実験に使わせてもらう、それに仮にも喰種(グール)と人間の力を持っている、ハイブリッドの研究の手がかりになるかもしれぬ、そして、お主には前にも言った通り、わしのボディガードと実験用にお主のRc細胞を採取されてくれれば構わん」

「俺のRc細胞ってそんなに価値あるのか?」

「ああ、お主が想像している以上にわしの実験に適正じゃ、今回も……」

 

 

老人はカプセルを手にとったのだ。

 

 

「そうだ、忘れてた、そのきのこの菌のカプセルは」

「このきのこは冬虫夏草(とうちゅうかそう)をベースに様々な寄生するきのこの菌を掛け合わせたきのこじゃ、わしが唯一行けた平行世界で開発した菌なのじゃ、所謂、生物兵器じゃな」

「で、何に使う」

「この菌にはお主のRc細胞も掛け合わせておる」

「それは……」

「きのこの菌を撒き散らしそれに寄生された人間及び喰種(グール)はRc細胞により人間は喰種(グール)のようになり喰種(グール)はお主のRc細胞の影響を受け恐らく赫者のようになる……しかし、喰種(グール)は耐えることが出来ずに死滅するはずじゃ」

「……爺さん、爺さんのお陰で俺ら生きてるけどやることえげつないな」

「わしは自分の世界を守るためなら何人でも命を使わせてもらう」

「で、その菌はどこで撒くんだ?まさか、俺に使うのか?」

「Rc細胞のオリジナルに寄生させるのも見てたいが確実にただ赫子が強化されるだけだ、これを撒くのは喰種(グール)の世界の東京……4区のNI(エヌアイ)地区じゃ」

「4区……しかも、繁華街のNI地区か」

「わしらは専用のカメラで高見の見物じゃ」

「なんのために」

喰種(グール)のRc細胞を人間に与えるととうなるのか、そのデータを撮りたいのじゃ、喰種(グール)と人間の細胞が混ざれば全てがあの半喰種(グール)のようになるのか、これがハイブリッドの研究に役に立つデータが取れるかもしれぬ」

「そうか」

「お主の部下をひとり送り込むがいいかの?」

「もちろんだ、ただ……」

「わかっておる、わしがこの時代を出る前にお主の欲する物を用意しよう」

「ああ、俺は目的さえ叶えて貰えばいくらでも協力しよう……珈琲(コーヒー)淹れてやるよ、爺さん」

「ああ、すまぬの」

 

 

クローは珈琲(コーヒー)を淹れるため台所へ向かったのである。

 

 

冗談じゃねぇ、爺さんの話を要約すると本来の未来で喰種(グール)の世界の人間を滅ぼしたっていう科学者がその内目覚めるんだろ、喰種(グール)の世界にそのままいたら俺もその科学者と戦う羽目になるところだったのか、これは暫く爺さんにくっついてたほうが安全だな。

 

 

クローは珈琲(コーヒー)を淹れると老人へと渡したのだった。




今回は初のソラが登場しない回です、怪人とか老人は本当は裏設定のつもりだったんですが自分の中で整理させるために今回こう言う形で投稿させていただきました、老人は今のところはクローの協力者…とだけ覚えておいてください。


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地下

喰種(グール)の世界の4区にあるNI地区、そこに4人の喰種(グール)たちが人間たちの前にいた。

 

 

「全く、人間を殺しまくってこの地区を乗っ取るのは大変だよなっ!!」

「うるさいぞ笠井(カサイ)……しずかに人間を殺せ」

「そうよ、早いうちに人間たちを皆殺しにしないと終わらない」

「アハハ〜早く殺っちゃぉっ!!」

 

 

そこにいた喰種(グール)は人間たちを殺そうと笠井(カサイ)は羽赫を、爺さんである新田(アラタ)は甲赫を出したのだ。

 

 

そして、鱗赫を飯野(イイノ)が出し、尾赫を中山(ナカヤマ)が出したのである。

 

 

その時

 

 

何者かが現れこの喰種(グール)たちを殴り攻撃した。

 

 

「ぐっ………お前はっ……………!!櫻井(サクライ)っ」

「よっ、カサイ、久しぶりだな」

 

 

そして、

 

 

「ほら、死ねよっ!!」

 

 

仮面を着けた喰種(グール)であるソラが現れ鱗赫でその喰種(グール)たちを攻撃したのだ。

 

 

ソラと一緒にいるこの喰種(グール)櫻井 隼人(サクライ ハヤト)は数時間前に会ってこの喰種(グール)たちを止めるために組んだのだった。

 

 

 

 

 

昨日、学校にて、

 

 

「……………………」

 

 

以前の事件から数ヶ月過ぎているが何人かは僕のことを警戒したりヒソヒソと陰口をしていたのである。

 

 

そこへ、

 

 

「ソラっ」

「シオン、どうした?」

「明日、土曜日じゃん」

「ああ、そうだな」

「あっちの世界のさNI地区に遊びに行こうよ、結構、新宿みたいに大きいらしいよ」

「NI地区、どこ?」

「4区だよ」

「………わかった、行こうか」

 

 

僕は財布の中から2万円を出した。

 

 

「ん?」

「1万円札を2枚……銀行で500円40枚に両替してもらうか」

「あ、そっか、500円まではたしかにあっちの世界でも使えるもんね……て、2万円は多いよ、私も持ってく」

「いや、シオン、いいよ」

「いやっ!!全部奢るとか嫌だっ」

「……………わかったよ、2万円分は念のため持ってく、シオンは……そうだな3000円……500円6枚ぐらい持って来いよ」

「……………はぁい」

「奢ろうなんてソラ、大盤振る舞い〜」

「ダイチ……あんたも見習えって」

「カナちゃん何でだよっ!?」

「別にいいんだけどさ、明日とか映画行く時もいつもデートする時とも割り勘じゃん」

「………ソラっ、そんなにやばいのかな!?」

「……………まぁ、別にいいんじゃね」

 

 

 

 

 

そして、次の日、僕とシオンはNI地区に朝から訪れ数時間遊んでいたのだ。

 

 

 

 

その頃、路地裏では2人の喰種(グール)たちが人間たちを襲って殺していたのである。

 

 

「よし、やれたっと」

「早く食べようぜ」

 

 

その時

 

 

「ぐわっぁぁぁ!?」

 

 

喰種(グール)がひとり何者かに首を折られて殺された。

 

 

「な、なんだお前」

「…………!!」

 

 

 

 

そのまま僕とシオンはNI地区を進んでいたのだ。

 

 

「ねね、ソラ、私たちの住んでる所(世界)よりも珈琲(コーヒー)カップ()が面白くてもうちょい先に専門店あるらしいよ」

「へぇ、どんな珈琲(コーヒー)(さかずつ)かな」

「どんな形かな、やっぱ気になる」

「もし、いい形ならみんなのお土産で珈琲(コーヒー)(カップ)を何個か買いたいね」

珈琲(コーヒー)カップ()を20個とか」

「いや、もって帰れな………………………………………………………………!!」

「………………ソラ、どうしたの?」

「………人間の血の匂いだ、人を喰う喰種(グール)の匂いもする」

「えっ!?」

「ちょっと行ってるくるっ!!」

「私もっ……」

 

 

僕は匂いのする方へ走ったのである。

 

 

 

 

先程、人間を殺していた喰種(グール)のいた場所では残りの喰種(グール)が殺され2人の喰種(グール)と人間たちの死体が転がっていた。

 

 

「……………」

 

 

その時

 

 

「!!」

 

 

鱗赫が飛んできてその男は突き飛ばされ近くの壁にぶつかったのだ。

 

 

「……………誰だ」

「お前こそ……誰だ」

「ハァハァ、ソラ」

 

 

僕はその匂いの場所まで辿り着き残っていた喰種(グール)を攻撃したのである。

 

 

「見るからにお前はこの死んでる喰種(グール)たちと人間を奪い合った…………違うか?」

 

 

僕は指を鳴らした。

 

 

「…………違う、俺は人間を殺していた喰種(グール)たちを殺しただけだ」

「……お前の匂い、完全に人を食べる喰種(グール)の匂いだ」

「!!……………そうか、この世界じゃ人間を食べてない喰種(グール)は匂いが違うんだったな」

「ん?」

「…………たしかにあんたの匂い、少し違うもんな、聞いてくれ、俺はこの世界のずっと地下の喰種(グール)だ」

「この世界の地下だと……」

「ああ、あんまり知られてないけど地下には喰種(グール)が大勢住んでいて地下で平民である俺ら喰種(グール)はいつも人肉を喰わされてるんだ」

「…………………なんでだ?」

「恐らくは人肉喰わせて匂いをこれらにするためかもな、そうすればもし人肉を食べていない喰種(グール)がいれば分かることができる……ってことかもしれない」

「……………で、何しにここへ来た?」

「……俺は基本地下で暴れている喰種(グール)を止めるためにバレないように戦っている、そして、地下から地上へ現れて人間を殺したり生きたまま捕まえて地下へ連れて行く5人のグループを追いかけて俺はここへ来た」

「5人のグループ?」

「そうだ、酷い殺戮を行う……だから、俺はそいつらを止めたい」

「……………………………………………………」

「…………ソラ」

「…………………シオン、今日は帰れ」

「ソラ……わかった」

 

 

シオンはそのままこの場から去っていったのだ。

 

 

「ん?」

「僕も戦う」

「なんだと」

「お前のことはまだ信じられないが……その5人はもしお前の言った通り人間を殺す喰種(グール)なら殺す」

「そうか、だが、5人は大変だぞ」

「……まぁ、僕は赫者なんだ、だから平気さ」

「マジか!?俺は実は赫子は使えないんだ」

「そうなのか」

「だけどずっと地下では格闘技を修行して鍛えた、戦えるぜ」

「わかった」

「所でお前の名前は?」

「……僕はナグモ ソラだ」

「ソラだな、俺はサクライ ハヤトだ」

「ああ、よし、行くか、ハヤトっ!!」

「ああ!!」

 

 

 

 

 

そして、僕と指を鳴らしハヤトと共に4人の喰種(グール)と戦い続けたのである。

 

 

「助かるぜ、ソラ」

「問題ない、こいつらをとっとと殺してやろう」

 

 

そこへ、

 

 

「まさかお前が邪魔しに来るとはね……」

「!!あんたは」

「ハヤト……あいつらのリーダーはあの女か?」

「そうだぜ」

 

 

5人目である喰種(グール)で羽赫と鱗赫を持っている間島(マジマ)というリーダーだった。

 

 

「サクライ、まさか私たちを追いかけて地下から来るなんてねぇ、さて、奴らを殺してやりな、カサイ、アラタ」

「マジマさん、任せろっ!!」

「サクライをここで消しやる、はて、あのサクライと一緒の喰種(グール)は何者だろうか」

「さぁ、行くよ、イイノ、ナカヤマ」

「ええ、わかったわ」

「りょ〜かぁいっ」

「まてっ!!」

 

 

サクライはマジマたちを攻撃しようと飛び出した。

 

 

「まてまてっ、俺たちが先だぜ」

「最も我々で殺害できるがな」

 

 

カサイとアラタがハヤトを妨害してきたのだ。

 

 

「チッ」

「ハヤト、上等だ、こいつら殺してやるよ」

 

 

僕はさらに指を鳴らしたのである。

 

 

マジマたちはこの場を去ったが僕らとカサイたちはぶつかり合うのだった。 




次回は5人の喰種たちと激突します。


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共闘

「羽赫に甲赫か」

「ソラ、あいつらを早急に倒さないとマジマに人間が犠牲にされるぞ」

「ああ、さっさと始末するか」

 

 

僕は指を鳴らした。

 

 

「邪魔させはしない、カサイ」

「ああ、アラタさん」

 

 

カサイは羽赫を連射したのだ。

 

 

「俺の格闘技嘗めるなよ」

「ハヤト、何を……」

 

 

ハヤトは鉄パイプを拾い回転させ羽赫を防ぎ余った羽赫を僕が鱗赫で弾いたのである。

 

 

「ハヤト、流石だな」

「だろっ」

 

 

その時

 

 

「その動きでよく我々に楯突いたな」

「なにっ!?」

 

 

アラタがハヤトの横に移動し甲赫でハヤトを攻撃した。

 

 

「うぷっ……」

「ハヤト!!」

「よそ見するなっ」

 

 

カサイが再び羽赫を連射したのだ。

 

 

「ちっ……」

 

 

僕は鱗赫である程度弾いたが少し食らってしまったのである。

 

 

「ソラ、大丈夫か?」

「僕より君だ」

「何とか平気だ」

「時間がねぇ、本気を出す」

「えっ?」

 

 

僕はマスクを外し指を鳴らし赫者になった。

 

 

「これが赫者ってやつか」

「ああ」

「アラタさん、あいつ赫者だったんですね」

「そのようだな、しかもあれは完全体の赫者、少々殺すのには時間が必要かもしれぬな」

「まさか地上で完全体に遭遇するなんて、とんでもない食料調達になりましたね」

「そのようだ、このままではまずいな、それにあの連中は恐らく……」

「え?」

 

 

この場に喰種(グール)捜査官がやって来たのだ。

 

 

「あれは…………喰種(グール)処理省の捜査官ってやつですね、アラタさん」

「ああ、地上の喰種(グール)の処理等を担当している」

喰種(グール)捜査官だ、お前たちを駆逐する」

「上等、あの赫者の喰種(グール)

「ん?」

「あの赫子、あの時の……」

「あ!!俺ら殺さないでクインケだけ壊してった眼帯って喰種(グール)か……前とは比べ物にならないぐらい化物になってるな」

 

 

この捜査官は以前僕がクインケだけを破壊した捜査官だった。

 

 

「一度ひくぞ、カサイ」

「はい」

 

 

カサイとアラタはこの場から去っていったのである。

 

 

「まてっ!!」

「ハヤト、僕らもいったん逃げるぞ」

「そうはいかない、喰種(グール)は駆逐する」

「今度はクインケ破壊されませんよ」

「ちっ……あっ、悪いお前の名前呼んじまったな」

「俺は地下に戻るから平気だ、こっちの捜査官よりも地下の奴等に素顔とかばれる方がやばい」

「そうか」

南部(ナンブ)、本部に応援要請を」

「はい、上等」

「ソラ、どうする?」

「名前を呼ぶな、僕は身ばれはまずい、捜査官の前では僕は眼帯と呼んで」

「了解、俺はハヤトでいいぜ、さっきも言った通り身ばれしても平気だしな……で、こいつらどうする」

「………捜査官を逆手にとるか」

「えっ?」

「奴らと合流するんだ、そうすれば捜査官を奴らの所まで連れてこられる、奴らも簡単に身動きとれなくなるだろう」

「そういうことか!!」

「おい、これから僕らは人間を大勢殺して食料として持ち去るぜ、行くぞ、ハヤト」

「了解」

 

 

僕とハヤトはその場から去った。

 

 

「ナンブ、さらに大勢の応援を、俺らだけじゃ無理だ」

「了解」

 

 

 

 

 

そして、僕はマスクを再度着け赫者から戻りハヤトと共に立ち去った奴らを探していたのだ。

 

 

「くそ、どこ行った?」

「もしかしたらもう既に地下に戻ったのかもな」

「そうなのか?」

「必要な人間が手に入ったり、もしくは危険を感じて逃げたか」

「そんなに早く奴らは人間を集めるのか?」

「場合によるな、生捕りの場合は少し時間を要する」

「そういやハヤトはマスクしてるってことは地下では素顔隠してるんだよな」

「ああ、あのグループは地下の王の配下の一部、奴等とやり合う以上は素顔は隠したい」

「名前は実名、名乗ってるよな?」

「ああ、前にばれた、まぁ、偽名だと思われてるしそもそも地下には大勢いるから問題ない」

「そうか」

 

 

その時

 

 

喰種(グール)発見』

 

 

僕らの上空に捜査官のヘリコプターが現れたのである。

 

 

「ちっ、僕らじゃなくて奴等を見つけろよ」

「眼帯、行こうぜ」

「おう……!!あの路地裏入ろうぜ」

「ああ」

 

 

僕らはヘリコプターから逃げるために路地裏に入った。

 

 

「あいつらまじでどこだ?」

「いた、あそこだ!!」

 

 

路地を抜けた先に奴等がいたのだ。

 

 

「行くぞ!!」

「おう!!」

 

 

僕は指を鳴らし再び赫者になりハヤトと共に奴等に向かっていったのである。

 

 

「捜査官もうろついてて面倒ね、人間は捕らえてるからさっさと逃げるわよ」

「了解です、マジマさん」

「わしらで何とか時間を稼ごうか」

「本当に面倒だわ」

「とにかくやっちゃお~」

「ハヤト、とっととこいつら殺すぞ」

「おう!!」

「させねぇよ」

「逆に君の命を奪わせてもらおうか」

 

 

カサイが羽赫でアラタが甲赫で攻撃してくるも僕が赫者の赫子を甲赫にし羽赫を防ぎアラタの甲赫を鱗赫で抑え込みハヤトが接近しカサイに格闘技で攻撃した。

 

 

「邪魔なのよ」

「死んじゃえ~」

 

 

そして、イイノ、ナカヤマが鱗赫と尾赫で向かってきたが何とか僕とハヤトで防いだ。

 

 

その時

 

 

近くのコンテナから人の悲鳴が聞こえてきたのである。

 

 

「悲鳴?」

「ソラ、あのコンテナに人間が詰められてるんだ」

「なるほどな、あのコンテナの扉破って人を逃がすか」

 

 

僕はコンテナに近づいた。

 

 

しかし、

 

 

「邪魔はさせないわ」

 

 

マジマがコンテナの前に現れ羽赫で乱射してきたのだ。

 

 

「羽赫と鱗赫あるんじゃ遠距離も接近も面倒だな」

「赫者もこの程度なのね」

「………あ、そうだ」

「ん?」

 

 

僕は赫者の赫子を羽赫にして上空めがけて乱射したのである。

 

 

「何を…………」

「目印」

「目印?………………………!!」

 

 

僕の乱射した羽赫に気が付いた捜査官のヘリコプターがやって来た。

 

 

喰種(グール)確認、複数の喰種(グール)が戦闘中』

 

 

そして、その知らせを聞いた捜査官たちがこの場に集まってきたのだ。

 

 

「ナンブ、こいつらをこの場から逃がすな!!」

「はい、上等」

「おい、あんたらコンテナに人が閉じ込められてる、それとリーダーはあの女の喰種(グール)で羽赫と鱗赫の二種持ちだ、気を付けろ」

 

 

僕はマジマの特徴を捜査官に教えたのである。

 

 

「お前は何で俺らに情報教えてるんだ」

「僕は別にあんたらの敵じゃないって」

「信じられ……」

「上等、危ない!!」

「なっ……」

 

 

カサイとマジマが上等捜査官に羽赫を乱射してきた。

 

 

「集中しろよ、捜査官だろっ!!」

 

 

僕は赫者の赫子を甲赫にし羽赫を防いだ。

 

 

「ハヤト!!」

 

 

ハヤトがイイノに鱗赫で攻められていたのである。

 

 

「サクライ、死ねっ!!」

「ハヤト、僕の甲赫を足場にしろっ!!」

「…………そうゆうことか」

 

 

ハヤトは僕の赫者の赫子を踏むと僕は勢いよくハヤトを投げた。

 

 

「なにっ!?」

 

 

ハヤトはその勢いと共にイイノの腹部に蹴りを入れ僕は鱗赫と甲赫でイイノを貫いたのだ。

 

 

「あがっ……」

「「「イイノ!!」」」

 

 

そして、

 

 

「上等、応援が来ます」

「よし、このまま残りも駆逐するぞ」

「くそっ、今回は地下に逃げるわよ」

「はい、マジマさん!!…………まさか、イイノがやられるなんて」

「どうやらあの赫者の能力を甘く見ていたようだ」

「イイノの敵はいつかとっちゃうからな~」

「やばい、これ以上はここにとどまれねぇな、僕らも行くよ、ハヤト」

「ああ!!」

 

 

奴らも僕らも捜査官たちを交わしながらこの場を離れたのである。

 

 

 

 

 

その後、僕とハヤトは近くの道路の地下に入り地下通路にやって来た。

 

 

「地下ってここのことか?」

「いや、ここよりもっと地下だ、入口は地上の喰種(グール)には殆ど知られてない」

「お前、地下に帰っても平気なのか?」

「俺もマスクはしてる地下に戻ったらばれないように服を着替えて何事もなかったようにしてれば平気だ」

「………てか、僕も服着替えてばれないようにしないとな、まずはこのNI地区を抜けるか」

「なら、この地下通路を使えばこの街を出られるはずだ」

「ありがとう、ハヤト」

「じゃ俺は地下に戻るわ、じゃあな」

「ああ」

 

 

ハヤトはこの場を去ろうとしたのだ。

 

 

「ハヤト」

「ん?」

「僕もお前もやり遂げたいことがあるんだよな……その、互いに死なないようにやり遂げようぜ……お前との共闘、楽しかったぜ」

「……………ああ、ありがとう」

 

 

そして、ハヤトはこの場から去って行ったのだった。

 

 

 

 

 

その頃、カサイは捜査官を交わしながら逃走していたのである。

 

 

この騒動でマジマたちは何とか地下に向かえたがカサイははぐれ未だに地上にいた。

 

 

「このままじゃ……」

 

 

その時

 

 

「あれは……」

 

 

奇妙な動きをする人影がいたのだった。




NI地区は次回も登場します。


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生屍

NI地区ではとある噂話が出回っていた。

 

 

それは死人のような人が徘徊しているという話だ。

 

 

NI地区の警備省の捜査官である桐谷(キリタニ)小林(コバヤシ)はその真相を捜査してきたのである。

 

 

「キリタニさん、死人の話、どう思います?」

「……さぁな、変質者かもしれないな」

「まぁ、そうですね……そういえばこの近辺で喰種(グール)が暴れてるって報告もありますね」

「……そうだな、それは喰種(グール)処理省の捜査官の仕事だ」

「まぁそうなんですけど、今回のゾンビ、喰種(グール)と何か関係があるのかなぁと思いまして」

「……どうだろうな」

 

 

そして、コバヤシとキリタニは目撃者の元へとやって来た。

 

 

「どうも、警備省のコバヤシてす」

「……同じくキリタニです」

「はい、実は……」

 

 

目撃者いわく、夜道を歩いていると人影がありその人影が近寄ってくるとそれは死体のようであり襲われそうになったそうだ。

 

 

 

 

「キリタニさん、さっきの話どう思います?」

「……実物を見ねぇと何とも言えねぇな」

「そうですよね」

 

 

その時

 

 

コバヤシとキリタニの上空をヘリコプターが飛行していたのである。

 

 

「あのヘリコプターは?」

「……喰種(グール)処理省のヘリコプターだ、喰種(グール)の捜索だろうな」

「あっちも僕らも大変ですね」

「……そうだな」

 

 

 

 

その後、何人かの目撃者と接触したが全員同じようなことを言っていた。

 

 

「本当に死人が歩いているみたいな供述ばかりですね、まるで生屍(ゾンビ)

「……ああ、そうだな」

 

 

その時

 

 

「「!!」」

 

 

近くに死体が転がってきたのだ。

 

 

「死体!?」

「……あいつだ」

 

 

そこには羽赫の赫子を出したカサイがいたのである。

 

 

喰種(グール)ですね」

「……喰種(グール)が暴れているらしいがその残党だろう、処理省に連絡するぞ」

「はい」

 

 

その時

 

 

「「!?」」

「来やがった……」

 

 

カサイの背後から大勢の死人のような人間がやって来た。

 

 

「なんだあいつら?」

「……まさか、あれが通報のやつか?」

「来るんじゃねぇ!!」

 

 

カサイは羽赫を乱射し殺していったのだ。

 

 

「なにしてんだ!!」

 

 

コバヤシはカサイに拳銃を発砲したのである。

 

 

「……まて、その銃弾じゃ喰種(グール)は傷つけられない」

 

 

キリタニは喰種(グール)用の銃弾を拳銃に入れた。

 

 

その時

 

 

「なっ!!」

 

 

生き残っていた人間がコバヤシの腕に噛み付いたのだ。

 

 

「コバヤシ!!」

 

 

キリタニは噛み付いてる人間を蹴り飛ばしたのである。

 

 

「……ありがとうございます、キリタニさん」

「……ああ、大丈夫か?…………それにしてもなんだあいつら」

「あいつら言葉も通じない、人に噛みつくしか脳がねぇみたいだ、まるで生屍(ゾンビ)だ」

 

 

そして、カサイは再び羽赫を乱射した。

 

 

その時

 

 

「キリタニさん」

「なにっ!?」

 

 

さらに多くの生屍(ゾンビ)がやって来たのだ。

 

 

「手に終えない」

 

 

カサイはこの場から走り出したのである。

 

 

「キリタニさん、逃げましょう!!」

「……ああ!!」

 

 

大勢の生屍(ゾンビ)から逃げカサイとキリタニたちは共に行動したのだった。

 

 

 

 

 

その頃、NI地区にあるNIタワーの最上階にはある男たちがいた。

 

 

「広まってるな、爺さん」

「ああ、この実験でこのきのこの菌が人間や喰種(グール)にどれだけ有効か確認する」

 

 

別の世界の科学者の老人とクローはこのクローのRc細胞をきのこの菌に配合して作り上げた菌をこの地区にばらまきその効果を実験していたのだ。

 

 

「しかし、爺さん、人間は喰種(グール)というより生屍(ゾンビ)喰種(グール)は……死体になってるぞ」

「殆んどの喰種(グール)は相性があわず死滅してしまう、何人かは死ぬ以外の反応を見せるかもしれぬがな」

「それで爺さんの世界の手がかりは見つかるのか?」

「もし、完全に菌と結合する喰種(グール)がおったらその喰種(グール)の細胞を研究すれば怪人への兵器となるかもしれぬ、さらにそれを菌として培養すればわしの世界を救える」

「………で、この娘を拐ってきた理由は?」

 

 

クローの後ろにはマスクを付けられ拘束されたシオンがいたのである。

 

 

「………その娘は自然に生まれた喰種(グール)と人間のハーフじゃ、本当に希少な存在、あの半喰種(グール)と共に実験すれば面白い結果が見れるかもしれぬ」

「そういや、あの半喰種(グール)はどうして半喰種(グール)になったんだ」

「……あの人間が死にかけた喰種(グール)に補食されかけてる際、偶然にもわしが近くで見ていたのじゃ、だからわしがRc細胞を電波で捜査し彼の心臓に動かしたのじゃ」

「まさかそんな偶然の出来事で生まれた喰種(グール)がここまで喰種(グール)の社会を荒らすとはな」

「元々、鱗赫の中でも再生力が高い喰種(グール)じゃったからどうかと思ったがまさかここまで異常な再生力になるとは、もはや、心臓と脳さえ繋がっていれば再生できるかもしれぬ」

「よし、あいつをここにおびき寄せるか、おい、やってこい」

「かしこまりました」

 

 

クローは部下の喰種(グール)に命令しその喰種(グール)はこの場から出ていった。

 

 

 

 

 

その頃、僕はあの戦いのあと自分の世界に戻ろうとしておりマスクを外そうとしていた時に生屍(ゾンビ)たちに遭遇し地区内を駆け巡っていたのだ。

 

 

「全く、どうなってんだ」

 

 

その時

 

 

「眼帯!!」

「まってください、上等、今はそんな状況じゃ」

「しかし、ナンブ……」

「貴方の部下の言う通りです、今は避難しなくちゃいけない、僕が喰種(グール)でも今は休戦だ」

 

 

そこへ、

 

 

「上等、あれは警備省の捜査官ですね」

「そうだな……!!まて、喰種(グール)が一緒だ」

「あれって普通に喰種(グール)と行動してますよね、上等」

 

 

そこに現れたのはカサイとキリタニたちだった。

 

 

「あれは警備省の捜査官か、まさかカサイと一緒とはな」

 

 

僕はカサイを見て指を鳴らしたのである。

 

 

「お前らなんで喰種(グール)に助けてもらってるんだ!!」

 

 

ナンブはキリタニの胸ぐらを掴んだ。

 

 

「やめろ、ナンブ」

「上等、しかし……」

「……てめぇ、そんな状況じゃねぇ、とにかく救助を求めて安全な場所に逃げるんだ………………………コバヤシ?」

「………………」

 

 

コバヤシの様子がおかしかったのだ。

 

 

「……コバヤシ……おい……」

 

 

その時

 

 

「「「「!?」」」」

「ぐわぁぁぁ!!やめろっ……」

 

 

コバヤシが生屍(ゾンビ)と化してカサイに噛みついたのである。

 

 

「てめぇ!!」

 

 

カサイは羽赫を放ちコバヤシを殺した。

 

 

「コバヤシ!!」

 

 

キリタニは生屍(ゾンビ)となり死んだコバヤシの遺体に近寄りコバヤシの目蓋を閉じたのだ。

 

 

「………コバヤシ……ちくしょう……」

「なんてこった、人間が喰種(グール)の肉を噛み千切るなんて……」

 

 

 

カサイは噛み千切られた腕をおさえたのである。

 

 

「上等!!」

「来やがったか」

 

 

この場に生屍(ゾンビ)たちが大勢やって来た。

 

 

その時

 

 

「「「「「!!」」」」」

 

 

ヘリコプターがやって来てマシンガンで生屍(ゾンビ)を一掃したのだ。

 

 

「救助か?」

「上等、このヘリは政府の物じゃないですよ」

 

 

そして、ヘリコプターが接近し扉が開いたのである。

 

 

「あなたが眼帯ですね?」

「……お前、喰種(グール)だな」

「ええ」

「何の用だ?」

「単刀直入に申します、NIタワーに貴方の大事な方がいらっしゃいます」

「なにっ!?」

「どなたかは申す必要はないですよね……あー、ご心配なくマスクは付けさせておりますので……ては、お早めに」

 

 

その喰種(グール)が扉を閉めるとヘリコプターは飛んでいった。

 

 

「………殺す」

 

 

僕は指を鳴らしたのだ。

 

 

「……上等」

「ああ、あの喰種(グール)がこの生屍(ゾンビ)騒動を引き起こしたんだろう」

「……コバヤシの件はケリをつけてやる」

「ぐちゃぐちゃに殺してやる」

 

 

再び僕は指を鳴らしたのである。

 

 

その時

 

 

「「「「!!」」」」

 

 

今さっき生屍(ゾンビ)に噛まれたカサイが悲鳴を上げると同時に大量の赫子が現れたのだった。



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膨張

「あがぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

大量の赫子が出現したカサイはほぼ自我がなくなっていた。

 

 

そして、さらにその赫子がカサイの体を囲みカサイの体は大きくなってきたのだ。

 

 

また、近くは他の生屍(ゾンビ)が何体か押し寄せてきたのである。

 

 

「おい、眼帯!!」

「はい?」

「お前と俺とナンブであの生屍喰種(ゾンビグール)をどうにかする、いいな、で、キリタニだっけ?お前は普通の生屍(ゾンビ)を何とかしろ」

「……そうしますか」

 

 

僕は指を鳴らした。

 

 

「了解」

 

 

キリタニは銃で生屍(ゾンビ)を撃ったのだ。

 

 

「上等……マジッすか」

「しょうがねぇだろ」

「……皆さん、噛まれたりしないでくださいね」

 

 

僕は赫者になりマスクを外したのである。

 

 

「あぎゃぁぁぁ」

 

 

カサイは大きくなった赫子を振り回してきた。

 

 

「何て強さだ」

「上等、一撃でも受けたら即死ですね」

 

 

さらにカサイは赫子を振り回してきたのだ。

 

 

「やばいっ」

 

 

僕は赫者の赫子でカサイの赫子を防いだのである。

 

 

「今だ、やれっ」

「すまない、眼帯」

「上等、来ますよ」

 

 

上等とナンブはクインケでカサイを攻撃した。

 

 

しかし、カサイは赫子を振り回して僕と上等たちを吹き飛ばしたのだ。

 

 

「ぐっ……」

「!!上等、生屍(ゾンビ)が……」

 

 

上等たちに生屍(ゾンビ)が迫ってきていたのである。

 

 

「ふせろっ!!」

 

 

キリタニが拳銃を発砲し生屍(ゾンビ)を倒していった。

 

 

その時

 

 

キリタニに生屍(ゾンビ)が遅いかかろうとしたのだ。

 

 

「しまっ……」

 

 

しかし、その生屍(ゾンビ)は羽赫で吹き飛んだのである。

 

 

「お前……」

 

 

僕は赫者の赫子を羽赫にしキリタニを生屍(ゾンビ)から守った。

 

 

「キリタニさん、まだ生屍(ゾンビ)来てますよ、気を付けて」

「………すまない、眼帯」

 

 

そこへ、

 

 

「あががぁぁぁ!!」

 

 

カサイが再び赫子を振り回してきたのだ。

 

 

僕は指を鳴らし赫子でカサイの赫子を弾いたのである。

 

 

「ナンブ!!」

「はい!!」

 

 

そして、上等たちがカサイをクインケで攻撃した。

 

 

「よけろっ、上等さん」

 

 

僕が弾ききれなかったカサイの赫子が上等たちに向かっていったのだ。

 

 

「上等!!」

 

 

ナンブがクインケで防ぐがナンブは吹き飛ばされたのである。

 

 

「ナンブっ!!」

「……大丈夫です……あ!!」

 

 

カサイの赫子が上等たちへ向かっていった。

 

 

僕は赫者の赫子を甲赫にし防ぎすぐに羽赫に変え発砲したのだ。

 

 

「うがぁぁぁ!!」

 

 

そして、僕は全てを鱗赫にしカサイに突き刺したのである。

 

 

「あがぁぁぁ……」

 

 

カサイは倒れカサイの赫子は消えていった。

 

 

その時

 

 

「まずい、弾切れだ」

 

 

キリタニの持っている拳銃の銃弾が切れてしまっていたのだ。

 

 

さらに周囲は大勢の生屍(ゾンビ)に囲まれていたのである。

 

 

「クソ、コバヤシの拳銃使ってもこの有り様か……」

喰種(グール)用の拳銃使っても絶対足りないな」

「どうします?上等」

「ナンブ、どこかで銃弾が補給できればいいんだが……」

「向こうの方に警備省の警備局がある、そこに行けばいくらでも銃弾ある」

 

 

キリタニは局の方角を指した。

 

 

「なら、僕がこいつらは一気に蹴散らすから走り抜けるぞ」

 

 

僕は羽赫で生屍(ゾンビ)たちを一掃したのだ。

 

 

その時

 

 

「あがぁぁぁぁぁ!!」

 

 

倒れていたカサイが起き上がり再び大量の赫子が現れ、膨張しカサイは肥大化したのである。

 

 

そして、再び周囲に生屍(ゾンビ)たちが集まってきた。

 

 

「局はこっちだ、走れっ!!」

 

 

 

 

 

僕たちはカサイと生屍(ゾンビ)から逃げ警備省の局へやって来たのだ。

 

 

しかし、局の中の警備省の捜査官たちは生屍(ゾンビ)と化していたのである。

 

 

その時

 

 

局の前にカサイが近寄ってきていた。

 

 

「上等、あれ」

「ああ、さっきよりも大きくなってるな」

 

 

カサイはさらに膨張し肥大化していたのだ。

 

 

「あの野郎、どんだけ膨張するんだよ……なぁ、カサイは僕は何とかするからみんなで銃弾の補充や生屍(ゾンビ)のことを頼む」

 

 

僕は指を鳴らすと局の外へと出ていったのである。

 

 

「眼帯!!」

「上等、銃弾を探しましょう」

「銃弾はこっちです」

 

 

 

 

そして、僕は外でカサイや生屍(ゾンビ)たちに囲まれていた。

 

 

「さて、どうやったらこの生屍喰種(ゾンビグール)を殺せるかな」

 

 

僕の方に生屍(ゾンビ)が接近してきたのだ。

 

 

「……」

 

 

僕は近寄ってきた生屍(ゾンビ)を赫子で弾いたのである。

 

 

「うごぉぉぉぉぉ!!」

 

 

カサイは膨張し肥大化した赫子を振り回してきた。

 

 

「……本体を殺傷するしかないか…………!!」

 

 

肥大化した一部から腕が見えていたのだ。

 

 

「あそこが腕なら心臓はあの辺りか……そこを鱗赫でぶち抜けば……」

 

 

僕はカサイに接近し鱗赫で貫いたのである。

 

 

そして、肥大化した赫子は消滅しカサイ本体が出てきた。

 

 

「念のため……」

 

 

僕はカサイの体を赫子でぐちゃぐちゃにしたのだ。

 

 

「……これで平気かな」

 

 

僕の周囲には再び生屍(ゾンビ)が近寄ってきたのである。

 

 

「またか……」

 

 

その時

 

 

その生屍(ゾンビ)に銃弾が直撃し生屍(ゾンビ)は倒れた。

 

 

「……キリタニさん」

「銃弾は揃いましたよ」

「そうですか、良かった」

「眼帯、あの生屍喰種(ゾンビグール)倒したんだな」

「上等、生屍(ゾンビ)がまだ来ますよ、皆さんもNIタワーに向かいましょう」

 

 

僕たちは生屍(ゾンビ)の横を切り抜けNIタワーの方へと向かっていったのだった。




次はNIタワーへ向かいます


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老人

「上等、ここが」

「ああ、ナンブ、NIタワーだ」

「この中にも生屍(ゾンビ)がいるのか……」

「ええ、キリタニさん、しかも生存者がいるみたいですね」

「本当ですか!?」

「ええ、キリタニさん、あそこ」

 

 

僕が指を指す方には生屍(ゾンビ)ではない生きた人々がいた。

 

 

「何とか助け出すぞ」

「はい、上等」

「しかし、皆さん、どうやって中に入りますか?そのまま入り口から入りますか?」

「いえ、キリタニさん、恐らく正規の入り口は瓦礫や生存者の作ったバリケードで入れないかと思います、まぁ、あの喰種(グール)が僕を呼び出しました、きっと奴の所へ向かえる場所があるはずです」

「ああ、眼帯、早急にこの事態をすぐに何とかしなければ……」

「上等、しかし……」

「上等さん、ナンブさん、皆さんの気持ちは分かります、あの喰種(グール)を止めても生屍(ゾンビ)は止まらない、タワーに避難してる人々は死んでしまうかもしれない……だから、先に避難してる人々を助けましょう」

「……眼帯、お前、本当に喰種(グール)か?」

「上等さん、喰種(グール)ですよ、まぁ、半分ですけど」

「ん?半分だと」

「何でもないです」

「あそこの瓦礫から入れませんか?」

「ナンブ、少し崩せば入れると思うぞ、けど、開けたら中に生屍(ゾンビ)が入っちゃうな」

 

 

その時

 

 

「!!生屍(ゾンビ)だ」

 

 

キリタニが周囲に集まってきた生屍(ゾンビ)に拳銃で発砲したのだ。

 

 

「くそっ」

「この数だと救助の前に僕らも危ないっ」

 

 

続いて上等とナンブも生屍(ゾンビ)に発砲したのである。

 

 

しかし、数が多く追い詰められていた。

 

 

「………!!あれなら」

 

 

僕は赫子を出してバリケードに穴を開けたのだ。

 

 

「何してる眼帯!?」

「皆さん、ここから中へ、生屍(ゾンビ)は僕が何とかします」

「上等、急ぎましょう」

「しかし……」

「大丈夫ですよ、彼は喰種(グール)ですから……先に入りますよ」

 

 

キリタニは生屍(ゾンビ)に発砲しながら中へと入っていったのである。

 

 

「上等!!」

「……頼んだぞ、眼帯」

 

 

そして、上等とナンブも中へと入っていった。

 

 

僕は近くの建物の一部を破壊しその瓦礫で穴を塞いだ。

 

 

「…………」

 

 

そして、僕は生屍(ゾンビ)に囲まれたのである。

 

 

「……皆さん、ご無事で……」

 

 

 

 

 

タワーの中に入っていった上等たちは階段を登り避難してる人々のいる場所にたどり着いた。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

上等はぐったりしている人々に寄っていったのだ。

 

 

「上等、何だが様子が……」

「ナンブさん、避難して恐怖してることもありますが、それだけじゃなさそうですね」

 

 

その時

 

 

「また人間が来たぜ」

「これで食料には困んねぇな」

 

 

上等たちの前にマスクを着けた喰種(グール)がやって来たのである。

 

 

「お前ら喰種(グール)か」

「上等、まさかここで人間を……」

「こんな状況で何をしている、信じられない」

 

 

3人は喰種(グール)を睨み付けた。

 

 

「こんな状況?何言ってやがる俺らならあんな化け物たちどうとでもなる、こんな状況だからこそ人間の肉を食べるんだぜ」

「……なぁ、こいつらもしかして捜査官だぜ」

「なにっ!?なら、こいつらさっさと殺して喰おうぜっ!!」

「まずいっ、ナンブ」

「はいっ!!」

喰種(グール)用の銃弾を……」

 

 

その時

 

 

「「!?」」

 

 

壁から赫子が出てきて喰種(グール)たちを殺したのだ。

 

 

「眼帯!!」

「上等さん、以外と早くたどり着けましたよ」

 

 

僕の登場に周囲の人間は怯えていたのである。

 

 

その時

 

 

この場にあったエレベーターが光った。

 

 

「ん?僕がここに来る前に下で触ったときには反応しなかったのに」

「眼帯、つまり誰かが操作をしているってことか?」

「恐らく僕を呼んでいるのでしょう」

 

 

僕は動き出したエレベーターに乗ろうとしたのだ。

 

 

「眼帯、喰種(グール)が犯人である以上俺も行く」

「もちろん、僕もです」

「警備局の捜査官として私も」

「………命を保証はしませんよ」

 

 

僕たちはエレベーターに乗ったのだった。

 

 

 

 

 

そして、エレベーターはタワーの最上階にたどり着いたのである。

 

 

そこにいたのはヘリコプターで僕を呼び出した喰種(グール)とあのクローだった。

 

 

「!!お前ぇぇ!!」

 

 

僕はクローの姿を見た途端に赫子を出して向かっていった。

 

 

その時

 

 

「!!」

 

 

マスクを着けたシオンが僕からクローを守ったのだ。

 

 

「……なにっ…」

「流石の性能だな」

「さて、貴方はどうしますか?あなたの大事な方はこうなりましたけど」

「こうなりましただと……いったい何を……」

「ええ、生屍(ゾンビ)に使用した菌を改良し半喰種(グール)である彼女に投与させていただきました」

「……はっ?」

「他の不良品とは違って制御可能、身体能力も格段に向上し生屍(ゾンビ)としては最強クラスですよ」

 

 

僕は指を鳴らしたのである。

 

 

「…………殺す殺す殺す殺す殺す」

 

 

僕は赫者になるとクローとその喰種(グール)に向かっていくがシオンに阻まれた。

 

 

「クロー!!てめぇはいつもいつもこんなことばかりしやがって、ケイさんまで殺しやがって」

「………たしかに殺した、だが、あの大阪にいた喰種(グール)たちを殲滅していったのお前とあの人間だ」

「うるせぇぇ!!」

「それに彼女を生屍(ゾンビ)にするために菌を改良したのは私ではない」

「なに」

 

 

その時

 

 

「わしじゃ」

 

 

僕の前に老人が現れたのだ。

 

 

「………人間?」

 

 

その老人は人間だった。

 

 

「爺さん、どうよ、データは?」

「ああ、貴重なデータが山ほど採取できとるぞ、まさか、彼女の血液にこんな能力があるとは」

 

 

その時

 

 

クローと老人の前に天井から巨人のような生屍(ゾンビ)が降りてきたのである。

 

 

「この彼女の血液を人間の生屍(ゾンビ)に与えたらこのように細胞が巨大化したのじゃ」

 

 

再び僕は指を鳴らした。

 

 

「あんた、何がしたいんだ」

「わしはデータを取りたいだけじゃよ」

「そのために人の命を……」

 

 

この老人、もはや喰種(グール)異常の化け物だ、どうする、こんな人間殺した方が……けど、人殺しは……でも、僕は生屍(ゾンビ)を殺してる、生屍(ゾンビ)は元々は人間……殺す?殺さない?

 

 

「言っておくがこの爺さんは俺たちの恩人だ、お前らを含めてな、特に半喰種(グール)、お前はな」

「その通りですよ、だからこの実検は許された……」

 

 

そう言いかけたクローの部下の喰種(グール)を僕は殺したのだ。

 

 

「……意味不明だ」

「お前も俺の部下を殺した、同じだな」

「うるせぇぇ!!」

「さて、最後のデータじゃ」

 

 

老人が機械を操作すると巨人生屍(ゾンビ)とシオンが襲いかかってきたのである。

 

 

「やめろっ!!」

 

 

僕はシオンを赫子で防いだ。

 

 

「眼帯、でかいのは俺たちで何とかする、ナンブ」

「こんなの上等、どうやって」

「いいからやれっ」

 

 

上等とナンブは拳銃で巨人生屍(ゾンビ)に発砲したのだ。

 

 

「あなたは友達を何とかしてあげてください」

 

 

そして、キリタニも発砲したのである。

 

 

「……どうすれば……」

 

 

その時

 

 

「!!」

 

 

シオンから触手のような赫子が現れ僕は突き刺された。

 

 

「ぐっ……」

 

 

もうシオンは生屍(ゾンビ)なのか……だったら殺すしかないのか、シオンを……

 

 

「見るんじゃ、赫子を経由して彼にも菌が入り込んでおるはずじゃ、しかし、彼には何の変化もない」

「あの菌は喰種(グール)には効果がないってことか?」

「いや、あの菌は半喰種(グール)である彼女に効果がある、彼にも効果はでるはずじゃ」

「それじゃ……」

「今後、あの半喰種(グール)である彼から続けてデータを取る必要がありそうじゃ……さて、実検は終了じゃ」

 

 

僕はシオンの首に手をかけていたのだ。

 

 

「…………嫌だ」

 

 

やはり、僕にはできなかったのである。

 

 

シオンの赫子が僕を再び突き刺した。

 

 

「……殺すぐらいならこのまま……」

 

 

その時

 

 

「!!」

 

 

タワーの前にヘリコプターがやって来ていたのだ。

 

 

「クロー……」

 

 

クローと老人はヘリコプターに乗り込んでいたのである。

 

 

「さて、実検は終了じゃ」

「よく頑張ったな、また会う時を楽しみにしてるぜ」

 

 

そして、クローはヘリコプターからこちらにカプセルを投げヘリコプターは去っていった。

 

 

そのカプセルが床に落ちた瞬間に気体が飛び散ったのだ。

 

 

「!!」

 

 

その気体は広がりそれを吸ったシオンは赫子がいつもの状態に戻り巨人生屍(ゾンビ)は普通の大きさに戻り倒れたのである。

 

 

そして、気体は街にもどんどん広がり街にいたそれを吸った生屍(ゾンビ)たちは元の人間に戻っていった。

 

 

「上等、これは……」

「どうやらこの気体を吸うと生屍(ゾンビ)は元に戻るみたいだな」

「!!なら、生屍(ゾンビ)を殺す必要なんてなかったじゃねぇかっ!!」

 

 

キリタニは憤り拳銃を投げ捨てたのだ。

 

 

「……ん?眼帯とその友達がいない」

 

 

キリタニはこの場から眼帯とその友人がいなくなっていることに気が付いたのである。

 

 

「いなくなっちゃいましたね、上等」

「ああ、ことが住んだら駆逐してやろうと思ってたのになっ」

 

 

そして、上等は大笑いをしたのだった。

 

 

 

 

 

その頃、NI地区には生屍(ゾンビ)事件の終息と共にこの世界の軍隊である防衛省の隊員たちが入ってきていた。

 

 

 

 

 

「大丈夫か、シオン?」

「……ソラ」

「よかった……でも、安心はしてられない、NIタワーから逃げる喰種(グール)としてこの姿を見られてる普通に人間のフリをして出ることは無理だ、防衛省の軍隊が入ってきてる」

「どうするの?」

「何とか地下から逃げるしかない、地下からNI地区を抜けて野村珈琲(コーヒー)店までたどり着ければ何とかなる」

「……うん」

 

 

そして、僕とシオンは地下に入るが既に軍隊は地下まで迫ろうとしてきていたのだ。

 

 

「ソラ、どうしよう」

「強行突破するしかない、シオン、マスク取るなよ」

 

 

僕は指を鳴らしたのである。

 

 

「強行突破!?相手は軍だよ」

「けど、このままじゃ、素顔見られて逃げ切れても野村さんたちに迷惑かかるだけだ」

 

 

その時

 

 

「ソラっ!!」

「!!ハヤトっ……」

 

 

僕とシオンの前にはハヤトがいた。

 

 

「よかった、無事だったか」

「どうして?」

「地上が大変なことになってるって聞いたから心配になって来たんだ」

「そんな無茶なことを……軍隊がいるってのに」

「心配するな、地下なら俺の方が詳しい、こっちだ」

 

 

僕とシオンはハヤトに付いて走っていったのだ。

 

 

 

 

 

それから数時間進み僕たちは地下の深くまで来たのである。

 

 

「ずいぶん深くまで来たな」

「ああ、ソラ、この先をまっすぐ進むと地下にある喰種(グール)の地下街にたどり着く、けど、ソラたちや正式な方法で出てない俺が普通に入るのは危険だ」

「じゃどうする?」

「抜け道がある」

「ここに来るのも抜け道じゃないの?」

「まぁな」

「もう疲れた」

「ほら、シオン」

 

 

僕はシオンをおぶった。

 

 

「ありがとうソラ」

「いや、気にするんな」

「仲がよろしいことで……さて、こっちだ」

 

 

 

 

 

その後、さらに抜け道を通り用水路のような場所にたどり着いたのだ。

 

 

「みんな、泳げる?」

「人並みには」

「私も」

「この中に抜け道があるから潜って着いてきてくれ」

「まじで?」

「なんか楽しそう」

「「えっ?」」

 

 

そして、僕らはハヤトに付いて泳ぎ水の中にあった穴に入り別の場所に出たのである。

 

 

「この水の中が俺たちの仲間の抜け道だ」

「普通に出れないの?」

「厳しいんだ、地上に行く理由とかその他諸々、それに俺は反逆者みたいなもんだから今回みたいな理由じゃ無理、マスクも着けるし」

「まぁ、それもそうか」

「ああ……さて、この梯子を登ってくれ」

 

 

ハヤトと共に梯子を登り天井をずらすとある部屋に出た。

 

 

「ここが俺の部屋だ、明日になったらまた抜け出して別の地区の地上に繋がるルートへ案内する、ゆっくりしていけよ」

「「ありがとう」」

「けど、注意しておく、この外は地下の街で殆んど喰種(グール)だ、外へは出るなよ」

「ああ」

「私、匂い人間なんだけど大丈夫かな」

「ああ、人間を飼ってる喰種(グール)もいるから平気だ」

 

 

 

 

 

そして、次の日。

 

 

「これから別のルートの出口に向かうため街へ出る、ソラは片目を隠して喰種(グール)として、シオンちゃんは俺らの連れてる人間として行くよ」

「ああ」

「はい」

「間違えてもソラ、トラブルは起こさないでな」

「わかってる……それよりこの布意味あるのか?」

 

 

僕は赫眼じゃない目を隠すため眼帯として布で結んでいたのだ。

 

 

「この街にはそれの方が不自然ない」

「そうか」

 

 

そして、僕とシオンは普通の服に着替えハヤトと共に外へと出たのである。

 

 

「「「……………」」」

 

 

以外と広く周囲には多くの喰種(グール)がいた。

 

 

そこへ、

 

 

「おい、その人間、くれっ」

 

 

近くにいた喰種(グール)がシオンに近寄ってきたのだ。

 

 

「まてまて、これは俺らのだ」

 

 

その喰種(グール)をハヤトが止めたのである。

 

 

「なに、2人だけで1匹たべるのか?」

「そう言うわけじゃないが……」

「……1匹?」

 

 

1匹だと?殺すぞ。

 

 

そして、その喰種(グール)はシオンに触れようとした。

 

 

「触るな」

 

 

僕はその喰種(グール)の腕を掴んだ。

 

 

「おい!!やめろ、ソラ」

「……………」

「ひと口か、血ぐらいくれよ」

「人から預かってる人間だ、諦めてくれ」

「血ぐらいバレねぇって」

「いや……だから……」

「るせぇ、てめぇ殺すぞ」

「……ちっ、なんだよ」

 

 

そして、その喰種(グール)は去っていったのである。

 

 

 

 

その後、僕たちはとある場所に来た。

 

 

「ここは?」

「知り合い喰種(グール)のバーだ、さぁこの先に外へのルートがある」

 

 

僕たちはマスクを着けて隠し扉を開けるとその先へ向かったのだ。

 

 

 

 

 

そして、ハヤトの案内でさらに先へと進んでいったのである。

 

 

 

 

 

数時間後。

 

 

「よし、ここから進めば地上に出れる、もうソラたちはマスクを外してもいいだろう、俺はここまでだ」

「そうか、ハヤト、本当にありがとう」

「ありがとうございました」

「いや、ソラ、こちらこそソラには救われた、感謝するよ」

「ああ、またいつかどこかで」

「さようなら」

「ああ」

 

 

そして、僕とシオンはマスクを外しハヤトと別れ地上へと出ることができ何とか野村珈琲(コーヒー)店へたどり着き自分たちの世界へ戻ることができたのだった




ゾンビ編ついに終了です。


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解凍

大昔の喰種(グール)の世界。 

 

 

そこにとある女性の科学者がいた。

 

 

「すごいなー、この細胞」

 

 

その科学者は何かの細胞を研究していたのだ。

 

 

そこへ、

 

 

「先生っ、そんなにそれすごいんですか?」

 

 

科学者の助手の男性がやって来たのである。

 

 

「うん、すごいよー、この細胞、うまく行けば人の体の治療とかできるかも」

「えっ、すごい……もしかしたら生物兵器も」

「それはだめ」

「ですよね、先生、僕らは平和のために研究してますからね」

「うんっ!!万が一に備えて消滅させる薬品も作るつもり」

 

 

科学者と助手、互いに考えは一緒で平和のための研究だった。

 

 

そこへ、

 

 

「よっ」

「あ、きたきた」

 

 

科学者の婚約者がやって来た。

 

 

「研究はどう?」

「う~ん、まだまだ時間がかかるかも……」

 

 

科学者の婚約者はとある事故で腕が欠損していたのだ。

 

 

そのため科学者は婚約者や他の人々のためその細胞を研究し続けていたのである。

 

 

 

 

 

そんなある日。

 

 

「あなたは……誰ですか?」

「とある世界の科学者じゃ」

「……とある世界?」

 

 

別の異空の未来からある老人が科学者の前にやって来た。

 

 

老人は言った、その細胞の研究を進めるために手を貸すことを、そして、その老人は違う異空に向かう科学力を見せて興味を持たせその製作方法を与え姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

一方、当時、この世界の政府は軍事利用を目的としてその細胞を生物兵器として利用できるよう研究するように指示したのだ。

 

 

「……これは治療目的に研究している細胞で軍事利用には研究しません……」

「……そうか」

 

 

納得したように政府の人間は去って行ったのである。

 

 

 

 

 

しかし、

 

 

「どうして……」

 

 

ある日、科学者の婚約者は政府によって虐殺されていた。

 

 

「……これは見せしめだ……あの細胞の研究はお前の専門だ、すぐに軍事利用できるように研究しろ、今度拒否をすれば助手、知り合い、全て殺す、お前の命ももちろん奪う」

「………殺す」

「何をするっ!?……ぎゃぁぁぁ!?」

 

 

科学者はその場にいた政府の人間を惨殺したのだった。

 

 

「はは……はははははははははは!!楽しいー、人間をみんな殺してやる……人間をみんな改造してやるっ」

 

 

そして、科学者は表から姿をくらまし細胞の研究に没頭し生物兵器に転用したのだ。

 

 

 

 

 

「……できたわ」

 

 

そこには数十体の細胞を元に作り上げた怪物がいたのである。

 

 

「こいつらを世の中に……」

 

 

その怪物は世の中に放たれ人間を見つけると細胞を寄生させその寄生された細胞が人間の心臓を別の心臓に作り変え人間を改造人間にした。

 

 

 

 

 

その後、山の中にあった科学者の研究所に助手だった男が入りこみ科学者が製作していた細胞を死滅させる薬品の配合を方法を持ち出したのだ。

 

 

「……あいつ薬品の配合方法持ってたか……まぁ、あれ未完成だから無意味だけどね」

 

 

科学者は細胞の研究をしながら政府に軍事利用されることを恐れて薬品を作っていたが未完成だったため助手が持ち出した配合方法はまったく無意味な物だった。

 

 

そして、科学者は自分自身も特別に作成した細胞で改造人間にし研究所を地中に埋め冷凍装置で眠りについたのである。

 

 

一方、怪物は人間たちの抵抗により殲滅されるが寄生され改造人間にされた人々と人間が対峙する世界となった。

 

 

後に細胞はRc細胞、改造人間は喰種(グール)と呼ばれるようになったのだった。

 

 

 

 

 

そして、時は流れ地中のエネルギーを吸い取り長いこと冷凍装置が稼働していた科学者の研究所に光が灯ったのだ。

 

 

『……解凍率0……』

 

 

 

 

 

NI地区の騒動から月日は流れ僕は高校の卒業式だった。

 

 

「ソラ、おめでとう」

「ありがとう、シオン」

 

 

生屍(ゾンビ)の一件から暫く経過していたが僕もシオンも特に体に問題はなかったのである。

 

 

「よっ、ソラ」

「ダイチ」

「あっという間だったな」

「そうだな」

「ナグモ君はどうするの?」

「私と結婚するの!!」

「シオン、まだしないぞ」

「ほぅ、ソラ、これってそうだよな、カナちゃん」

「うんうん、ナグモ君とシオンちゃんはいつか結婚するってこと?」

「どうなのソラ?」

「いや、シオン、お前……とりあえずまだそんな年じゃないし、君はまだあと1年間、高校生だろ」

「はぁい」

 

 

 

 

 

『……解凍率10……』

 

 

 

 

 

その時

 

 

「「!!」」

 

 

僕とシオンは同時に気が付いた。

 

 

「どうしたソラ?」

「……ソラ」

「ああ、喰種(グール)の匂いだ」

「まじか!?ソラ」

「ああ、ダイチ、カナさん、みんなを安全なところにまとめてくれ」

「ああ」

「わかった、ナグモ君」

「……シオン、対策部に連絡を……それともし喰種(グール)を見つけたら教えて」

「うん!!……ねぇ、私も戦う」

「……いや、シオン、君には君のやるべきことある……みんなの安全を頼めるか?」

「……うん……でも、ソラ、無理しないでね」

「ああ!!」

 

 

 

 

 

『……解凍率20……』

 

 

 

 

 

そして、僕は校内を探しその匂いの元凶を見つけたのだ。

 

 

「……お前だったか」

 

 

僕は指を鳴らしたのである。

 

 

「……NIタワーぶりだな」

「クロー!!」

 

 

体育館の上にいたのはクローだった。

 

 

「あっちの世界とこっちの世界自由に行き来しやがって」

「……」

 

 

僕は指を鳴らした。

 

 

「今度こそてめぇを始末してやるよ、決着を着けようぜっ!!」

「そうだな、眼帯」

 

 

そして、僕とクローはそれぞれ赫子を出して激突したのだ。

 

 

いや、ここが高校であろうと本気でいくべきだ。

 

 

僕は指を鳴らして赫者になり大量の赫子でクローに攻めこんだのである。

 

 

……いける。

 

 

「……赫者になれるのが自分だけだと思っていたか?」

「!!」

 

 

クローから大量の赫子が噴出しクローは赫者となった。

 

 

「クロー……」

「たしかにお前は大阪で見たときより……」

 

 

僕はクローの赫者の赫子を受けたのだ。

 

 

「うっ……」

「断然に強くなった……けど、まだお前は俺には敵わない」

 

 

僕は大量の羽赫を受けたのである。

 

 

「……なめるなっ、お前の想像以上に僕は強くなった!!」

 

 

僕は全ての赫子をぶつけ合った。

 

 

 

 

 

『……解凍率30……』

 

 

 

 

 

長い間、ぶつかり合い校庭は荒れ果ており、また、対策部も何人か参戦していたがクインケを破壊され全員待避していたのだ。

 

 

そして、僕は校舎の壁際に追い詰められたのである。

 

 

「さて、そろそろ終わりにしよう……安心しろお前は大事な研究材料だ」

 

 

僕は赫者の甲赫を自分の体が見えなくぐらい開いた。

 

 

「その程度……」

 

 

クローは赫子で甲赫を突きひびを入れたのだ。

 

 

「守ったつもりか?」

 

 

そして、クローは甲赫を砕いたのだった。

 

 

「……!!いないだと……」

 

 

砕けた甲赫の後ろには建物の瓦礫しかなかったのである。

 

 

その時

 

 

僕は建物の2階から飛び降りた。

 

 

 

 

 

『……解凍率40……』

 

 

 

 

 

「ソラっ!!」

 

 

シオンは僕に到着した対策部から届けられたクインケ、かまいたちを投げ渡したのだ。

 

 

「切り裂けぇぇ!!」

「なっ……」

 

 

かまいたちはクローの肩から入り込み左腕と肩を切り落としたのである。

 

 

「あがぁぁぁ……」

 

 

クローは僕を蹴り飛ばしかまいたちは茂みの方へ投げ飛ばされた。

 

 

「……どうなった」

 

 

クローの心臓は左肩と共に切り落とされ左肩には赫者の赫包、残っている心臓には通常の赫包とくっきりと分かれていたのだ。

 

 

「……がっ……」

 

 

そして、クローの赫子はボロボロと朽ちていったのである。

 

 

「……終わったな」

 

 

僕は赫者から元に戻った。

 

 

 

 

 

『……解凍率50……』

 

 

 

 

 

「……さて、トドメをさしてやるよ」

 

 

僕は指を鳴らしながらクローに近づいたのだ。

 

 

「……まだだぁぁ」

「なに……」

 

 

クローは近寄った僕に噛み付き肉を引きちぎったのである。

 

 

「くそっ」

 

 

僕は噛みついてきたクローを弾いた。

 

 

「悪あがきを!!」

「……まだだ……」

 

 

そして、クローは今度は自分の肉をかじり食べたのだ。

 

 

「は?」

 

 

次の瞬間、残っていた心臓から大量の赫子が現れクローは赫者とも違う怪物のような姿になっていたのである。

 

 

 

 

 

『……解凍率60……』

 

 

 

 

 

「……なんだこれは」

「まだ戦えるぅぅ」

 

 

クローから無数の羽赫が放たれた。

 

 

「はっ!!」

 

 

僕は咄嗟に赫者に戻るがその羽赫を食らったのだ。

 

 

「なっ……ぎゃぁぁぁぁ!!」

 

 

その威力は凄まじく下手をしたら赫者の威力より高かったのである。

 

 

「おいおい、どういうことだよ……心臓が砕け散ってたのに突然……」

 

 

クローは再び羽赫を構えた。

 

 

「とりあえず駆逐するしかねぇ!!」

 

 

僕は指を鳴らして鱗赫でクローを突くがクローの体は赫子で作られたマントのような物に守られており肉体まで突くことができなかったのだ。

 

 

「まるで羽赫のマントだな」

 

 

そして、放たれる無数の羽赫を赫子で防ごうとするが防げなかったのである。

 

 

「弱ぁぁ」

「くそっ……」

 

 

僕は飛び出し赫子を振り回すが殆んどクローに弾かれた。

 

 

 

 

 

『……解凍率70……』

 

 

 

 

 

しかし、

 

 

「いでぇぇ」

 

 

鱗赫の一部がクローの顔をかすめたのだ。

 

 

「!!」

 

 

するとクローの赫子のマントが消えたのである。

 

 

そうか、奴に痛みを与えればあのマントは消えるのか。

 

 

「これでっ!!」

 

 

僕は赫子でクローの体を貫こうとするが再びマントが現れ防御された。

 

 

「残念ぅぅ」

「もう一度痛みを……」

 

 

しかし、クローも警戒が高まり隙がなくなっていたのだ。

 

 

「ソラっ!!」

「シオン、来るなっ」

 

 

シオンは加勢しようと甲赫で向かうがクローに弾かれたのである。

 

 

「食べようかなぁぁ」

 

 

クローは羽赫でシオンを貫こうとした。

 

 

「あっ!!」

「シオンっ!!」

 

 

僕はシオンを守り羽赫に貫かれたのだ。

 

 

 

 

 

『……解凍率80……』

 

 

 

 

 

「ソラっ!!」

「……あの時みたいに……」

「えっ?」

「クラーケンの時みたいに誰かを死なせるか!!うわぁぁぁぁ!!」

 

 

僕は赫子を使いクローを弾き飛ばしたのである。

 

 

「おっとすげぇぇ」

 

 

しかし、クローに空けられた傷が深く僕は再生してしまい大量のRc細胞を消費したことにより赫者の状態を保てなくなり元に戻ってしまった。

 

 

「赫者はぁぁ?」

 

 

クローはそう言い羽赫を乱射したのだ。

 

 

「こっちだ」

 

 

僕とシオンは何とかよけるも羽赫が当たった場所は破壊されていったのである。

 

 

「シオン、こっちだ」

 

 

僕とシオンは校舎の中へと入った。

 

 

「どこかなぁぁ?」

 

 

そして、クローも校舎の中へ入ろうとしたのだ。

 

 

その時

 

 

「こっちだ!!」

 

 

僕は屋上から飛び出しクローのいる方へと降りていったのである。

 

 

「見つけたぁぁ」

 

 

クローが羽赫を放ち、そして、

 

 

「がっ……」

 

 

僕の胴体は吹き飛ばされた。

 

 

「……このまま貫けぇぇ」

 

 

僕は上半身のまま落下しクローの目の部分に残っていた赫子を突き刺したのだ。

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

そして、

 

 

「これで最後だぁぁ……」

 

 

最後の赫子でマントがなくなったクローの腹を突き刺したのである。

 

 

「あがぁぁぁぁぁ!?」

 

 

そして、クローと僕の赫子はほぼ同時に全て消滅しそれぞれ地面に転がった。

 

 

「……無理だ……再生が……」

 

 

僕はRc細胞の大量消費で致命傷であるにも関わらず再生が出来なくなっていたのだ。

 

 

その時

 

 

突如、見たことのない乗り物が現れたのだった。

 

 

 

 

 

『……解凍率90……』

 

 

 

 

 

「派手にやられたの」

「じ……爺さん……」

 

 

乗り物の中から人の大きさのカプセルが出てきてクローを収納したのである。

 

 

「生命維持装置じゃ、完治するまでその中で眠っておれ……さてと……」

 

 

老人は僕に近寄ってきた。

 

 

「クロー……を殺す……」

「……そんなことよりまず自分の命じゃ」

 

 

老人は銃のような物を僕に発砲し僕の体に注射のような物が刺さったのだ。

 

 

「!!」

「その中身は高濃度のRc細胞じゃ、お前さんならそれで欠損した肉体を再生できるはずじゃ」

 

 

そう言い老人は乗り物に乗り込むと乗り物は去っていったのである。

 

 

そして、僕は赫子が現れ失った肉体が再生された。

 

 

「ソラっ」

「シオン……あの老人、いったい何者なんだろうな」

「うんうん、それよりこのズボンはいて」

「あっ……」

 

 

 

 

今回、クローとの激突は凄まじい結果となったのだ。

 

 

クローの心臓を切り裂いたあと起きた現象は対策部いわく喰種(グール)は心臓に致命傷を負った際、人の肉と自分の肉を摂取すると致命傷を負っていたにも関わらずRc細胞が暴走するらしい。

 

 

「なるほどあの時もそうだったのかもな」

「ん?どういうことだ、ソラ」

「ほら、遊園地でダイチとカナさんを助けようとした時、たぶん、骨とかが心臓に刺さってたと思う」

「……でも、肉は……」

「人の肉と自分の肉……僕は僕だけで満たしてるんじゃないかな?恐らく負傷とした時に血とかが口から胃の中に流れたとか……」

「……そうかもな」

「……だな、けど卒業式の日に校舎を破壊しちまった」

「まぁ、対策部に直してもらおうぜ」

「そうだなダイチ」

「ソラはこれからも対策部に所属するのか?」

「ああ、まだまだ喰種(グール)はいる、それにクローがどうなったのかはわならない、まぁ、あいつはもう赫者にはまた共食いしなきゃなれないし、そもそも生きてられるとは思わない、けど、もし、見つけたら殺す」

「そうか……よし、頑張れよ、ソラ」

「ああ、ダイチ、また、会おうな」

 

 

後にクローから切断された心臓の赫者の赫包はクインケ『クローオーバー』SSSoverレートとなったのである。

 

 

 

 

 

『……解凍率100……』

 

 

山の地面が吹き飛びその中から研究所が現れた。

 

 

そして、研究所が開くと中から科学者が出てきたのだ。

 

 

「さぁ、楽しましてくれよ」

 

 

コールドスリープ状態だった科学者は解凍され目を覚ましたのだった。




この作品の喰種誕生の話を最初に入れました、『怪人』の回で老人が言ってたように老人が未来から介入してるので本来起きるはずだった歴史とは微妙にずれているって設定で、科学者は婚約者が殺されRc細胞を研究し喰種を作ることに変わりはないですが本来なら助手が持ち出した薬品の配合方法は完成されたものでしたが老人が異空移動を教えて研究を遅れさせたことで薬品は未完成となりました。


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離脱

僕が高校を卒業して半年が経過した。

 

 

あの時、対策部が迅速に喰種(グール)の目撃者への対応をし、また、一部、撮影していた者もいたがSNSへの規制によりほぼ流出することはなかったのだった。

 

 

また、あの時のクローとの激突の影響は凄まじく僕を恐れ喰種(グール)たちがおとなしくなったのか喰種(グール)疑いの事件は減少し、また、自首してくる喰種(グール)までいたのだ。

 

 

 

 

 

「……って、わけで、事件数は減ってるね、行方不明者は……まぁ、どっこいどっこいかな」

 

 

僕は対策部でミウラ部長と珈琲(コーヒー)を飲みながら話していたのである。

 

 

「?ミウラ部長、行方不明関係あるんですか?」

「ほら、あれだよ、喰種(グール)も目立ちたくないから証拠を残さず捕食を行うやつが多いんだ、過去にも捕食事件が減る代わりに行方不明者が爆発的に増えることがある」

「……なるほど」

 

 

僕は以前戦ったペガサスの事件を思い出した。

 

 

 

 

その頃、

 

 

「なんだおまえ……」

「うっちゃいなー」

 

 

とある路地裏で大勢の喰種(グール)の死体が転がっていたのだ。

 

 

その喰種(グール)たちを惨殺したのはつい最近喰種(グール)の世界で目覚めた科学者だった。

 

 

そして、科学者は喰種(グール)の遺体をかじったのである。

 

 

「……やっぱまずいなー、こんなことなら細胞……何て言うんだっけ……あ、アールシー(RC)細胞、たしかこっちではそうだけどあっち (グールの世界)では喰種(グール)細胞とか呼ばれてたなー、う~ん……こんなに不味いなら細胞作るとき味覚には影響しないように作ればよかったなー」

「うわぁぁぁ!!」

「あ、逃げた……でも……」

「ぐはっ……」

 

 

科学者は逃げた喰種(グール)に飛びかかり頭部を押さえた。

 

 

「君ら僕の作った異空移動装置のお陰で喰種(グール)の世界からこっちこれて美味しい思いしてたんだろ?」

「……どういうこと……」

「君たちが使ってる移動技術は全部僕が作った装置が動力源さ」

「あんた何者なんだ……」

喰種(グール)を生み出した母かな?そうだね、母じゃ呼びにくいからこの世界で使われてる英語に因んでマザーとでも呼んでくれ」

 

 

科学者(マザー)はそう言いきる時には喰種(グール)の頭部を潰していたのだった。

 

 

 

 

その後。

 

 

「……これは」

「僕が言うのもあれですが酷いですね……」

 

 

通報を受けた対策部から僕とミトさんは大量の喰種(グール)の死体が転がった現場に来ていたのだ。

 

 

「ミウラ部長が言ってたが最近、喰種(グール)の犯行が減っていた……はずなのにこれは酷い……」

シニガミ(ミト)さん、これ赫子使ってないですよね?」

「……本当だ、少し噛ったあとはあるがまるで撲殺のようだ、いっけん、喰種(グール)じゃない殺し方のようだ」

「噛ったあとも捕食……というより味見のような……」

 

 

その時

 

 

ミトさんのスマホに連絡があったのである。

 

 

「……え?……わかりました」

「どうしたんです?」

眼帯(ソラ)、この場所で目撃者が見つかったそうだ

「本当ですか!?」

「ああ、早く府中駅前警察署に戻るぞ」

「はい!!」

 

 

 

 

そして、僕たちは警察署で目撃者から話を聞くことができた。

 

 

内容は大勢の人(喰種(グール))が女性一人に殺されていたのだ。

 

 

殺された人(喰種(グール))たちは怪物のように触手(赫子)を出していたなど喰種(グール)同士が交戦していたことで間違いないとなったのである。

 

 

しかし、証言者の話からその殺しまわっていた喰種(グール)は赫子を出していなかったようでもしかしたら赫子が出せない喰種(グール)の可能性もあった。

 

 

そして、最後の証言が非常に気になったのだ。

 

 

 

 

 

後日、僕はシオンと一緒に横浜の喫茶店で珈琲(コーヒー)を飲んでいたのである。

 

 

あの目撃者の証言の最後に女性は光に包まれて消えたとあった。

 

 

「どうしたの?ソラ」

「ん?」

「この間の喰種(グール)のこと考えてたの?」

「……ああ、許せないんだ」

 

 

さらに後の調査で分かったことだがあの殺された喰種(グール)たちは殆どが人殺しの犯行歴のない対策部に登録されている喰種(グール)だった。

 

 

「でも、今のソラならどんなやつが相手でも平気だよ、なんだって対策部おろかこの世界最強の喰種(グール)だし!!」

「……ふっ、そうだな」

「うん!!」

「よし、行くか!!悪いな、暗い話しさせちゃって」

「平気平気~」

 

 

そして、僕たちは喫茶店を後にしたのだ。

 

 

「やっぱ珈琲(コーヒー)はいいねぇ~、たくさん、飲んじゃったよぉ~……あ、お会計で!!」

「伝票をレジまでお願いいたします」

「はーい……はい、伝票」

「お会計、税込2500円になります」

「はい」

 

 

レジには喰種(グール)の世界の1万円金貨が置かれたのである。

 

 

「……えっと、お客様?」

「あ、お釣りなかった?……あ、そうか、同じ硬貨は500円までだったね……えぇと……」

 

 

今度は500円玉が5枚置かれたのだった。

 

 

 

 

その頃、僕とシオンは山下公園にいた。

 

 

「やっぱ山下公園はきれいだよな」

「なに、ソラ、ロマンチスト?」

「シオンと一緒だから……かな」

「もうソラったら!!」

 

 

そこへ、

 

 

「いや~、いいね、君たちこーゆーの英語でバカップルって言うんだよね」

 

 

突然、僕たちは女性に絡まれたのだ。

 

 

「いや、カップルは英語だけどバカは日本語じゃ……」

「ソラ、ジョークだよ、きっと」

「え?」

「そうなのかい、初耳だよ」

 

 

その時

 

 

女性の懐から硬貨が落ちたのである。

 

 

「あ、落ちましたよ」

 

 

僕は落ちた硬貨を拾った。

 

 

「……え?」

「どうしたの?ソラ」

「……シオン、これ……」

「!!これって……喰種(グール)の世界の10000万円金貨……」

「あれぇ?なんで知ってるのかな?……あ、君たちあっちから来たの?」

「……ソラ」

「心配するな、匂いはしない、相手は人間だろう」

「……君たちも匂いはしないね、あっちの世界の人間か?果てはあっちと関係を持った人間か?まぁ、味見する価値はあるかもね」

「は?」

 

 

女性の目は赫眼に変わったのだ。

 

 

「なんだと……」

 

 

そして、女性は僕に蹴りをしようとしてきたのである。

 

 

「くっ……」

 

 

僕は赫眼を発眼して蹴りを腕でふさいだ。

 

 

「なにっ……」

 

 

しかし、蹴られた腕は軽くめげて宙を舞ったのだ。

 

 

「ソラ!!」

「……シオン、連絡と周りの人の避難!!」

「うん!!」

 

 

シオンは避難のため走っていったのである。

 

 

「おや、君も喰種(グール)だったか、ほぉ、片目だけ赫眼なのね」

「……なんて力だ、蹴りだけでこんなにも……お前、何者だ」

「前にも喰種(グール)に聞かれたからー名乗ることにしてるよ、喰種(グール)の生みの母、マザーってね」

 

 

マザーは転がっていた僕の腕を拾うとかじりついた。

 

 

「!!げっ、うまっ、なにこれ、君、喰種(グール)なのにうまいねぇ!!よし、次だ次」

 

 

マザーは再び蹴りを加えようとしたのだ。

 

 

「二度も同じ目には……」

 

 

僕はマザーの蹴りをよけたのである。

 

 

しかし、

 

 

「残念、次はこっち」

「なっ……」

 

 

マザーは体制を変えて回し蹴りをし僕にそれが直撃した。

 

 

「がはっ……」

 

 

そして、僕は後方へと吹き飛ばされたのだ。

 

 

「くそっ……」

 

 

僕は赫子を出現させ何とか地面に着地したのである。

 

 

「この強さ……まさか、この間の事件の犯人はこいつか?」

 

 

その時

 

 

「たぶん、正解じゃない?」

「!?」

 

 

マザーはいつの間にか僕の背後にいた。

 

 

「この……」

 

 

僕は赫子を振りかざすが鱗赫はマザーに掴まれたのだ。

 

 

「ほらほら~」

 

 

マザーは掴んだ鱗赫で僕を振り回したのである。

 

 

「……このやろう……」

 

 

僕は赫者になり赫子を一斉にマザーに向けた。

 

 

「おっと!!」

 

 

マザーは赫子を全てよけると僕の腹部を殴ったのだ。

 

 

「ぐっ……」

「これが喰種(グール)を過剰に摂取した喰種(グール)に発生する効果か、赫者って言うんだっけ?」

「ハァ……ハァ……」

 

 

なんだこいつは今までの喰種(グール)とは文字通り次元が違う……いや、強いだけじゃないそれ以外にも違和感が……

 

 

「どうしたの?怖じ気づいた?」

「……さぁな」

 

 

僕は指を鳴らしたのである。

 

 

そうだ、あいつは赫子が出せないはず……全力でかかれば倒せるはずだ。

 

 

そして、僕はマザーに全力で赫子を振り回した。

 

 

「ほほ、さっきより格段に強いね」

 

 

マザーは僕の赫子をよけていったのだ。

 

 

「チョロチョロしやがって……」

「チョロチョロ?じゃ私も少しだけ本気……出してもいいよね?」

「……え」

 

 

そして、マザーから赫子が6本現れたのである。

 

 

「……赫子……」

「もしかして私のこと赫子出せないと思ってた?」

 

 

その6本の赫子はまるで手の形をしていた。

 

 

 

 

「ハァハァ……」

 

 

私はソラに言われた通り人々を避難させて対策部に連絡もとった、だから急いでソラを助けに行かないと。

 

 

私はさっきの場所まで戻っていった。

 

 

しかし、

 

 

「え……」

 

 

私は見た光景が信じられなかった。

 

 

あの女性からは手の形をした赫子が6本出ていてそのひとつには腕足がなくなり赫子も崩壊したソラが掴まれていた。

 

 

「……ソ……ラ……」

「……シオン……来るな……」

 

 

マザーはそのまま僕の首もとにかじりついたのだ。

 

 

「ぐわぁぁぁぁ!!」

「ソラぁぁぁ!!」

 

 

シオンは甲赫でマザーに飛びかかったのである。

 

 

しかし、

 

 

マザーの赫子も甲赫に変わりシオンは弾かれ海に落ちた。

 

 

「シオン!!」

「あれぐらいで死なないよ、手加減したし」

「てめぇ……」

 

 

こいつの赫子はすべての赫子に変化できていた、赫者の赫子もそれができるけどこいつのはもってる赫子全部でそれができたいた……感じていた違和感はこれか……明らかに他の喰種(グール)とは違う。

 

 

「それじゃ今日はここまで」

「がっ……」

 

 

マザーは僕を地面に叩きつけたのだ。

 

 

「さっき喫茶店で聞いてたんだ」

「……」

「君はこの世界で最強の喰種(グール)らしいね」

「……」

「でも、全然強くなかったね、ま、ふたつの世界じゃ君の強さが限界だね、ふたつの世界には当たり前だけど喰種(グール)がたくさんいる」

「……知ってるさ」

「私はそのどの喰種(グール)よりも強い、なんだって喰種(グール)生みの母(マザー)だからね、それじゃあね」

 

 

そして、マザーは光に包まれ消えていったのだった。

 

 

 

 

 

後日。

 

 

「よっ、ソラ」

「……ダイチ」

 

 

僕は夜の公園にダイチを呼んだのである。

 

 

「ほらよ」

 

 

ダイチは僕にブラックの缶コーヒーを投げ渡した。

 

 

「ありがとう……ダイチ、どうだ大学は?」

「まぁまぁだな、そっちはどうだ、捜査官?」

「辞めることにした」

「……マザーか?」

「……シオンから聞いたのか?」

「ああ」

 

 

シオンはあの後海から救出されたがマザーが手加減してたのか傷は浅く問題なかったのだ。

 

 

「シオンのやつ喋りすぎだ」

「なんで対策部から離脱するんだ、その喰種(グール)だって対策部にいれば追えるだろ?」

「この世界じゃ限界がある、それに今の僕じゃ奴にはかなわない」

「今までだってそういう敵いただろ?」

「……今回は次元が違うよ」

「……で、離脱してどこ行くの?この世界にはいるつもりないんだろ」

「……」

「なんて面してやがる、対策部から抜けるならこの世界にいるつもりないってことだろ?」

 

 

無論、この世界で活動するなら対策部にいることが一番都合がいい。

 

 

「なんでもお見通しだな……地下を攻めようと思ってる」

「地下?」

喰種(グール)の世界のNI地区という場所の地下に喰種(グール)の街がある」

「……」

「詳しくは聞くな、だが、酷い所だ」

「……何をする気だ」

「……奴に勝てるほどの力をつける」

「どうやって?」

「共食いをする」

「今もやってるだろ」

「今以上にだ、今は対策部で駆逐したやつか、喰種(グール)の世界で鉢合わせたやつしか喰ってない、けど、その地下には殺してもいい喰種(グール)が山程いる、そいつらを利用する」

「ひとりでか?」

「地下に協力者はいるさ」

 

 

そして、僕は缶コーヒーを飲み干すと近くのゴミ箱に投げ捨てたのである。

 

 

「もう行くよ、心変わりする前にな」

「さては黙って去る気だな……シオンはどうする?」

「最後に君は一番気にしていることを……連れていけるわけないだろ、君も聞かなかったことにしてくれるとありがたいけどな」

「……それは無理かも」

「……まぁいい、地下までシオンひとりじゃこれないさ」

「……黙って行ったらきっと怒るぞ」

「だろうね、けど、言ったら着いてきちゃうしな、あんないい子、迷惑かけられねぇよ……またな」

「ソラ」

「ん?」

「行ってらっしゃい」

「……行ってくる」

 

 

こうして僕はこの世界から姿を消した(離脱)したのだった。



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