The SCP Foundation エージェントJの日記 (カッコカリ)
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第一話 俺を忘れて、俺が生まれた。

どうも、カッコカリです。前作品で上げてた番外編を書いてるうちに楽しくなって思わず新しく投稿。

 これは、部分的に記憶を失ったけどお金欲しさに財団の実験に付き合うSCPのお話です。

 短編集みたいなものなので、文章力とかストーリー性とか、あまり期待しないでください。


★月◎日

 

どうしてこうなった。

 

 今日初めて日記を書くが、こうなった原因はあのクソッタレな財団の所為だ。日記を書くのは命令されてだ。なに書けばいいのか良く分からないが、とりあえず書くことにする。

 

 俺の名前はジョン・ドゥ。今決めた。年齢は忘れた。元の名前は消された。だからジョン・ドゥだ。少し前までは何処にでもいる家庭に居たけど、いきなりSWATよろしく武装した連中が押し入ってきて俺を拘束しやがった。

 

 一応弁解させてもらうが、クソッタレな犯罪もしてないし、片棒を担いでもいないし、クソッタレな魔法の粉だって吸ってない。健全な元軍人だ。まぁ俺のことは置いとこう。その時だ。財団というのを知った。

 

 俺はどうやら世間様から見て異常な存在、らしい。何が異常なのかはいまいち解りづらいが、そういうことらしい。

 

 でだ。そういう異常な存在を収容し、保護、管理するのが財団の目的らしい。中には放っておくと人類が滅亡してしまうようなとびきりクソッタレなものもあるらしい。

 

 俺もそういう連中と同じ部類に入るらしく、こうやってコミュニケーションが取れるなら財団に協力をしてほしいということだ。その分給料もバカ高いし、働きぶりによっては自由な時間も設けてくれるそうだ。

 

 特に断る理由は無かったし、軍に居た時より給料が良いから俺は二つ返事で了承した。金は欲しいからな。あればあるだけ不自由なことは無いはずだ。

 

 まぁ、その後は結構散々な一日だった。

 

 血は抜き取られるわ、意味の分かり辛い質問が書かれた紙を書かされるわ、全身に見たことのない刺青を掘った訳の分からない言語を話す男と殴り合いさせられるわで散々だった。こっちは素手なのにアッチは剣持って問答無用で襲ってきた。

 

 その日の夜に日記書いてるが、脇腹刺されるし、殴られたところは今でも口の中が痛ぇ。指は多分折れたと思う。アバラも二、三本くらい折れたと思う。

 

 まぁ、俺はあいつの両肩と両足の骨を外して砕いてやったがな。ざまぁみろ。

 

 こうやって起きたことを書いてるが、ちょっと財団に入ったことを正直後悔してる。特に最後、あいつコエェよ。なんか笑ってたし―――

 

 あ、でも最後に綺麗な女と楽しく話が出来たのは良かった。ああいう憩いの時間は軍でも少なかったからな。役得だった。

 

 風呂から上がった後に科学者らしき男が俺に明日も色々検査をすることをさっき伝えてきた。明日もやるのかよ。という俺のゲンナリした気分なんざ関係なくクソッタレな一日は終わる。

 

 そして、恐らく明日もそんなクソッタレな一日が始まるのだろう。まぁ、日本でいう住めば都なんて言葉があるし、慣れれば天国に見えてくるだろう。

 

 

多分。

 

 

 

それにしても、財団ってやつらはなんで俺に日記を書かせるのかねぇ・・・。

 

 

★月■日

 

 おはよう、クソッタレな一日。昨日は色々あったからちょっと疲れてて瞼が重い。まぁ、怪我は大分治ってたし、それほど悪い気分じゃない。指は……まぁ、まっすぐにしとけば治るだろう。つぅか治った。

 

 今日のは検査と言うよりも実験みたいだった。なんか古めかしいカメラ(ポラロイドカメラ?)で撮られて写真を見ると、俺が昨日の綺麗な女と楽しく話しているのが映った。

 

 なにこれ?過去の出来事を映す不思議なカメラ?

 

 研究者は特に何も言うことなく次だ。と言って俺を引っ張っていく。

 

 今の俺は全身に鋼鉄製のベルトで全身をグルグル巻きにされた状態になっている。口枷もついていて出来ることと言えば息と唸り声を上げるくらいだ。

 

 理由は何でも昨日の一件でなんか滅茶苦茶やばいことを俺はしたらしい。拘束具持ってる奴らはなんか務めて丁寧な口調で俺にくどいくらいに説明して着るようにお願いしてきた。まぁ、この間のSWATみたいな連中に銃向けられたくないし。俺は二つ返事で了承した。

 

 それにしてもあの拘束具ちゃんと綺麗にしてたのかよ?なんか背中がかゆくて何度か身じろぎした。その所為か、ベルトの金具の何個かがはじけ飛んじまった。多分錆びついてたんだろうな。絶対綺麗にしてねぇよアレ。俺が身じろぎするくらいで壊れるとか、衛生管理どうなってんだよここ。

 

 なんか研究者みたいなやつら…面倒くさいもう科学者共でいいや。

 

 科学者の奴ら、やたらに慌てたから思わず俺も謝っちまった。あれ、結構高い奴だったのかな?まぁそうだよな。ほとんど金属なんだから金は掛かるよな。

 

 だったらもうちょっと保存状態を良くしろよ。定期的にオーバーホールしとけよ。

 

 給料出るらしいけど、天引きされるだろうな。

 

 で、その後、ちょこっとだけだが説明はしてもらった。何でも俺のスペックを知るための実験をするらしい。昨日のアレはその一環らしかった。

 

 それさ、最初に説明するべきだよな。元からだがなんかいよいよもって財団が妖しい組織に思えてきた。了承した手前、こうして日記に愚痴ることくらいしかできないけど。

 

 次の実験はなんか目の前に一個のトマトが置かれた。で、紙に書かれた奴を読み上げたら、いきなりトマトが襲ってきた。

 

 いきなり来たから思わず多分錆びてた拘束具引きちぎって叩き落としちまった。いや、あぶねぇよ。ていうか音がやばい。バァン!って音がしたバァンッ!って。どんだけスピードが出てるんだよ。

 

 そしたら奴らが来やがった。俺を捕まえたクソッタレなSWATもどき共。

 

 いやいやいや、だってね、いきなり飛んできたら叩き落としちゃうじゃん。俺悪くねぇよ。文句ならこれ提案した奴に言えよ。

 

 まぁ、そんな俺の訴えなんて聞いてくれるわけもなし。俺は呆気なくお縄に付いた。

 

 前よりも新しい?ゴツくなったモノを着せられた後、今日もまた綺麗な女と会った。いやぁ、いつ見ても綺麗だった。一時間くらい何気ない会話しかしなかったけど、今度もまた会えると良いな。

 

 こんなクソッタレな施設に入れられちまったが、この時間だけは至福だと言える。

 

 その後は見渡す限り真っ白な一室で俺は一夜を明かすのであった。

 

 

★月△日

 

 ハロー。中は暖かかったけどベッドもクッションも何もない所で寝てたから背中が痛ぇ。今日は初っ端から銃持った例の奴らを引き連れてた。

 

 いや、ほんとマジで銃は勘弁してください。怖いから。銃向けられるのは困るんだけど。銃は日ごろから触ってたからそれだけに銃の怖さは十分知ってるんだって。

 

 銃は下してくれって言ったけど全然聞く耳持ってくれなかった。

 

 ………なんか段々腹立ってきたぞ。いきなり連れ去られるわ、殺し合い紛いのことさせられるわ、あ、でも綺麗な姉ちゃんとはまた会いたいかも。

 

 まぁ、それはそれとして、SWATを引き連れた科学者が何事か命令すると、俺を台に載せて付いて来てくれとか言ってきた。

 

 それは何かジョークで言っているのか?

 

 俺に拒否権なんかがあるとは知らなかった。

 

 俺に自由意志なんてあったのか、って聞くと科学者は申し訳なさそうな表情で謝ってきた。

 

 いや、おせぇよ。色々言ってやりたかったが、まぁ、怒らせて殺されたくないし、行くということを伝えたら、今度はなんかヘリに載せられた。

 

 ほんと、財団ってなに?

 

 

★月●日

 

 今日は色々怖かった。なんていうか、マジでふざけんなって言ってやりたかった。

 

 なんか青い鍵渡されて錠前の付いたドアを開けて潜ると、異世界だった。

 

 自分で言っててもどういうこと?って思う。

 

 サイトなんたらとかいう施設に着くと、俺は件の青い鍵を渡されて、それを使って鍵を開けて、ドアを潜ってくれなんて言われた。

 

 その先にあったのは、何処かの森と小道、そして深い青みがかった霧だった。そこをカメラと通信機で話しながら進むんだが、途中から後ろから、そう、化け物が出てきた。黄色い、光る眼をした紫色の体毛をした猿か犬みたいな化け物だった。

 

 どちらかというと狼かもしれない。

 

 俺は死にたくない一心で走り回り、気付いたら目の前に木製のドアがあった。それを蹴破るとその先に居たのは俺に命令をした科学者がキョトンとした顔をしていた。

 

 かなり腹が立ったが、振り返るとあの世界は無くなっていた。

 

 頭がおかしくなりそうだった。いったいあれは何だったのか、あまり考えたくない。今日は此処までにする。あの狼の遠吠えみたいな声が頭の中で響いてる気がする。とにかく、寝たい。

 

 

★月×日

 

 ああ、怖かった。今日は休みらしいから一日ゴロゴロしとく。

 

 幻聴みたいに聞こえていた遠吠えのような声は、一日寝たらもう聞こえなくなっていた。

 

 科学者に許可を取って歩き回ってたら、なんか、オレンジ色の、こう、ゼリーみたいな生き物が上から落ちてきた。

 

 その時の感覚は何て言えばよかったのか。とにかく気持ちが良くて幸せだった。超良い経験したおかげか、なんか昨日の恐怖心とか、全部どうでもよくなった。

 

 昨日のアレは何だったのかは分からないが、とりあえずあの狼みたいなやつはまた会ったらぶん殴ろう。うん。そうしよう。そして、あのオレンジスライムはまた今度触ろう。

 

 

★月α日

 

 さて、結論から言えば狼はぶん殴ってきた。科学者にお願いしてもう一度あの青い霧の小道に入って追っかけてきたところ俺はカウンター気味に吹っ飛ばしてやった。

 

 うん。傍から見たら俺は何処の超人かと思ってしまった。多分、これが俺の異常な部分なのだろう。元から結構力は強いとは思っていたが、意識を集中させると、物体を粉みじんにさせることが出来るほどの超人的な力を発揮させられるらしい。

 

 つぅことは、この間俺が壊した拘束具って、あれってつまり俺が無意識にやった所為?

 

 そりゃ、科学者も慌てるわ。彼奴らから見て俺は怪物で、それを抑えなきゃなんねぇんだからそりゃ慌てるわ。

 

 まぁ、それらを踏まえて思うことは、脳味噌までは筋肉にはなりたくないな。ということだ。

 

 

★月◇日

 

 今度は俺と同じSCPに食事を与えることをやらせるらしい。そのSCPが何らかの敵対的行動を起こしたらすぐにぶん殴れとのお許しが出た。

 

 で、食事を運んだんだが、その相手が滅茶苦茶美人だった。ただ他の人間と違ったのは動物(キツネ?)の耳と9本の尾を持っていたことだ。事前に近づいちゃいけないと警告されたので、意識してやったが、見れば見るほどに美人だった。

 

 彼女は終始俺を見つめてニッコリと微笑んでいた。俺は曖昧に笑い返すことしかできなかった。

 

 正直、今も子供みたいにドキドキしてる。なんか、ここって美人揃いな気がする。俺の運が良いだけか?

 

 

 

☆月Ω日

 

 なんか、実験用の機動部隊に俺は入れられるらしい。今までの実験記録から戦闘能力としてのスペックは予想を遥かに上回り、アベル、つまりこの間殺し合いした全身刺青男を抑えることが出来ることから、その部隊に配属することになった。給料もアップし、比較的自由で居られる権利もゲットできた。これは結構おいしい。

 

 それに、あの綺麗な女も一緒の部隊で、名前はアイリス=トンプソンっていうらしい。最近は話す機会も増えたし、あのオレンジスライムとも定期的にじゃれあってるなど、結構充実した日々を送ってる。 

 

 住めば都って言うけど、その通りだな。

 

 そうそう、その機動部隊だが、名前はオメガ7というらしい。そこで俺はアベルと一緒の戦闘部隊だそうだ。どうせだったらアイリスと居たかったなぁ・・・。

 

 

☆月×日

 

 図ったな財団んんんんんん!!

 

 一回しか会ったことが無いからアベルがどういう奴か知らなかったけど完全に狂人じゃねぇか!

 

 ふざけんな!任務が終わると同時に俺を殺そうとかマジでふざけてやがる!つうかお前何人だよ!?何言ってるかわかんねぇよ!

 

 だけど口汚いこと言ってるのはわかったからぶん殴って眠らせた。というか剣振り回してきて怖くて正直ちびりそうだった。

 

 気落ちしていた俺にアイリスから少し心配されてしまった。施設に戻ったらオレンジゼリーと戯れよう。

 

 

☆月☆日

 

 問題です。

 

 目の前にデカいトカゲが居ます。そいつは滅茶苦茶強くて貴方に襲い掛かってきます。貴方ならどうしますか?

 

 A.ぶん殴る。

 

 年甲斐もなく怪獣を見たことにも興奮したが、同様に怖かった。そして泣いた。アイリスと999(オレンジゼリー)に慰められた。なんか最近、男としての威厳が・・・。

 

 

 

☆月■日

 

 宗教団体って怖いな。俺もたまに神に祈ったりはするけど、あそこまで過激な連中にはなりたくないな。

 

 アベルは安定して狂人だ。精神的に色々疲れる。任務が終わると隙を見て俺を殺そうとするし、負け認めようとしないし、眠らせるこっちの身も考えてくれ、ないんだろうな。

 

 そうそう、最近は他のSCPとのクロステストをやってる。目を瞑った瞬間こっちに瞬間移動してくるあのSCPにはびっくりした。持ち上げて、遠くに放り投げるのを繰り返してたら実験は終了したけど。アレは怖かった。

 

 他にもサイボーグ少女というSCPが居て機械と女の子が融合した見た目をしていた。ほとんど何も反応が無くて困ったが、話してると次第に眼の光が赤から青に変わっていた。どういう意味なのかは分からなかったが、まぁ、敵ではないとは思ってくれたのだろうか。これからも機会があれば話をしてみよう。

 

 

 

☆月◎日

 

 今日は科学者に呼ばれて以前食事を運んだSCPとコミュニケーションを取れと命令された。此処に住み始めてはや一ヶ月くらい経って、財団がどういう組織なのかはだいたい分かった。

 

 財団は取り敢えず人類存続の為に犠牲を払いつつも頑張っている組織だということだ。で、財団が管理、収容、保護しているものには放っておけば人類が絶滅するKeter、たくさんの人を殺してしまう物Euclid、扱い方を間違わなければ基本無害であるSafeなど、この三種類に分けられる。他にも数種類あるらしいが、俺が知ることが出来るのはこの三つだけらしい。

 

 そして、これから俺が会うあの狐耳の美女だが、アレは放っておけば人類が滅亡するKeterクラスというらしい。

 

 俺は、生き残れるのだろうか。

 

 

☆月◆日

 

 生きてた。戦々恐々としていたが、なんていうか、拍子抜けするほどあの美女は俺に友好的だった。ただ、突発的に生き胆をくれとか言われたときは冷汗が出た。本気ではないにしてもあの美女は俺の反応を見て楽しんでいたらしい。性悪と言うか、いたずらっ子と言うか、科学者からは念入りに絆されるなよと釘を刺されたが、まぁ、大丈夫だと思う。

 

 この日は沼女というSCPとのコミュニケーションを取った。声がまるで少女のようだった。女の人型を取っていたから、きっと女の子だと思う。良く分からない。色々話していると、時々この沼女は、元はただの人間だったのではないかと思う。

 

 いや、ただの俺の戯言だな。

 

 それから30分程度話していたが、懐かれた。背中に乗っかって少しずつ俺を包んできた。何でも暖かいからだそうだ。クロステストは滞りなく終了したが、収納フロアを後にする俺を表情は分からなかったが、寂しそうに俺を見ているのが、少し印象的だった。

 

 

☆月★日

 

 オメガ7は戦闘部隊だ。俺にとってはこの異常な身体能力を最大限に生かせるし、給金も良い働き口だ。元軍人なおかげで戦闘することにそれほど忌避感はない。

 

 だけど、それはつまり財団との敵対的な勢力とも戦わなければならないということであり、その勢力に、子供がいてもなんら不思議ではないことだ。

 

 子供を殺すのは、辛い。その日はやはり色々と限界だったのかもしれない。八つ当たり気味に俺はアベルを殴りまくってた。

 

 おかげでアベルも普段より大人しかったからまぁ、これで良しとしよう。

 

 最近は、アイリスの能力を暗殺として使おうと考えてる奴らの存在が耳に入ってきた。アイリスは優しい奴だ。一人だった俺にたまに話しかけてくれた程度だが、それでも救われた部分がある。本人は人殺しをしたくないと言っているのに、強要しようとする。

 

 なんとかしてやりたい。

 

 俺の個人的な気持ちだ。

 

 

☆月γ日

 

 まぁ、当然俺の意見なんざ通るわけがなかったが、アイリスを暗殺者にしようとした連中は謎の行方不明になったとかどうとか一時期噂になったらしい。真偽の程は分からないけど、多分嘘だろう。財団が貴重な人材を廃棄するとは思えない。

 

 今日は一日暇だった。アイリスや他の部隊と会話に花を咲かせた。

 

 時折コロッと笑うアイリスの笑顔は見ていて癒される。書類整理とかで誤って重要書類と廃棄書類を混ぜてしまって慌てていた時は実に微笑ましかった。と思わず懐かしんでしまった。

 

 たった数ヶ月しかないのに激動の日常で、何年も生きた気になってしまう。少し年寄り臭かっただろうか。

 

 最近の流行とか全然わからなくて話についていけなくなっていた。

 

 ちょっと悲しくなった。

 

  

 

☆月○日

 

 久しぶりに日記を最初から読み返してみた。たった数ヶ月しか経ってないが、昔と比べると今は少し殺伐としている。最初のころは驚きと突然の連続で自然と日記も感情的になっていたのだろう。そう考えると少し恥ずかしいな。

 

 今日はあの狐の美女クミホと話をする。

 

 最近は定期的に彼女と話すようになった。昔よりは彼女の扱い方も慣れてきた。

 

 話をしていると最初のころと比べて少しやつれたとか言われた。

 

 多分、そうなんだろうな。今日はすぐに寝ようと思う。明日もクロステストがあるし、鋭気を養った方が良いだろう。

 

 

☆月ω日

 

 今回はブライト博士という人がクロステストを執り行った。ぜんまい仕掛けと言う機械に俺を入れて実験したいらしい。

 

 特に変化はなかった。ブライト博士は終始疑問符を浮かべていたらしいが、特に俺に異常はなかった。

 

 だが、他のDクラスに試したらそいつが暴れ出して他の職員の殺そうとしていたので、殴って黙らせた。程なくしてそのDクラスは急死、俺にやったこととDクラスにやった実験は同じだったが、一体何の違いがあったのかブライト博士にも分からないらしい。

 

 またやりたいと本人は言っていたが、上司からは以後、二度とやってはいけないと言われたらしい。

 

 それにしても、なぜ俺には何の変化もなかったのだろうか。

 

 

☆月Δ日

 

 ブライト博士からの命令で南緯47度9分 西経126度43分という太平洋の海の底に向かうことになった。クトゥルフ神が来るとかどうたらこうたらが聴こえたが、結局何もなかった。

 

 うん。俺は何も見なかったし、発見しなかった。

 

 

■月■日

 

 実験の最中、SCP-682、不死身の爬虫類と言う以前戦ったトカゲ怪獣が逃げたらしい。当然、現場に急行、というか、俺が向かってぶん殴って抑えた。両手両足を捥いどけば大人しくなるだろう。噛みついて来ようと舌から上あごを引っこ抜いといた。

 

 なんか、前よりも力が上がった気がする。色々心当たりがあるが、件のブライト博士の俺を見る目が危なくなった気がする。紅い宝石の首飾りを差し出してきた時は丁重にお断りした。事前にブライト博士を知っている人に彼のことについて訊いておいてほんとに良かった。

 

 その夜は、妖狐変化から晩酌しろとか言われた。胃が痛い・・・。酔った勢いで肝臓を引っこ抜かれたのは本当に勘弁してほしかった。

 

 でも、瞬く間に肝臓が再生したのは、俺自身驚きだった。彼女も予想外だったらしい。今だけはブライト博士に感謝して置こう。おかげで命拾いした。

 

 ただ、それ以降からしきりに食わせろ食わせろとせがんでくるのはどうにかしてほしい。俺の身が持たない。

 

 

 

 

■月△日

 

 最近、新しい心の清涼剤が来た。バスケットボールくらいの小さな機械のようなものだ。目玉が付いていて、名前はアイポッドだ。たまに一緒に散歩したりする。途中で999と合流して、999を背負いながら施設内を歩き回って楽しかった。

 

 心が洗われるようだった。

 

 ああ~、幸せ。

 

 

 

■月◎日

 

 オールドマンが脱走した。ポケットディメンションに連れてかれた職員の救出には成功したが、持ってた日記が腐食した。新しいのに買い換えないと。

 

 

γ月γ日

 

 最近、アベルがどうも様子がおかしい。多分、他のSCPと戦える機会が減ってきたからだろう。息抜きと称して戦ってやってはいるが、恐らく満足はしないだろう。とにかく殺しがしたい。彼奴はそういう奴だ。少し彼奴のことが分かった気がする。彼奴は生きるために殺しをしてるんだ。人間が動物の肉を喰らうように、あいつは殺した生き物の命を喰らっている。それで生きてるんだ。

 

 何となくだがそうやって生きているのだと俺は確信した。SCPとはいったい何なのか、時折考えるようになる。どこから生まれ、何処に現れるのか。結局、誰も答えは見いだせはしないが。そういうものだというあいまいな答えで納得するしかないのだろう。

 

 曲りなりとはいえ、俺もまたそのSCPなのだから。

 

 

■月α日

 

 超痛ぇ。警備員が投げたフリスビーが俺の腕を斬り落としやがった。マジでどうなってやがる。後で科学者から聞いたが、どうやらそれもSCPらしい。取り敢えず腕は完全にくっつくまで一日休むことにする。SCP-999が心配になって俺を見に来てくれたのが涙を誘った。

 

 今日一日こいつを抱き枕にして寝ることにする。

 

 

■月Ω日

 

 トカゲ怪獣がまた逃げた。取り敢えず手始めに両手足を捥いだが、すぐに再生してきて、肩を食いちぎられた。それからはあまり覚えてない。気付いたら延々とトカゲ怪獣の頭をもぎ取ってやった。大人しくなるはなるが、すぐに再生を始めるので鬱陶しい。収納フロアが出来るまでもぎ取り続ける作業だった。俺の精神がごっそり削り取られた気分だ。

 

 傷はもうすでに治っていた。元々身体は異常だったが、いよいよもって人間離れしてきたなぁ。

 

 




◆今回出たSCP◆

SCP-076 アベル オブジェクトクラス Keter

SCP-105 アイリス オブジェクトクラス Safe

SCP-504 批判的なトマト オブジェクトクラス Safe

SCP-999 くすぐりオバケ オブジェクトクラス Safe

SCP-860 青い鍵 オブジェクトクラス Safe

SCP-953 妖狐変化 オブジェクトクラス Keter

SCP-682 不死身の爬虫類 オブジェクトクラス Keter

SCP-173 彫刻 - オリジナル オブジェクトクラス Euclid

SCP-914 ぜんまい仕掛け オブジェクトクラス Safe

SCP-191 サイボーグ少女 オブジェクトクラス Safe

SCP-811 沼女 オブジェクトクラス Euclid

SCP-131 アイポッド オブジェクトクラス Safe

SCP-106 オールドマン オブジェクトクラス Keter

SCP-388 アルティメット・フリスビー オブジェクトクラス Euclid



 分からない人はググってみよう(ダイマ)



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第二話 今日も財団は平和です。

日記形式なので、ストーリーとか小説とかそんなのじゃありませんので、暇つぶし程度に見てってください


 

 Ω月γ日

 

 今日はO5評議員から直々の命令が下った。とある砂漠地帯を調査しろとのことだ。

 

 それで、選出された三人の調査エージェントを引き連れての調査を行った。砂漠は日が出ている時はサウナのように熱く、歩くだけで辛い。

 

 そんな時だ。一人のエージェントの拭った汗が大量の砂で出来た蟻を造り出した。

 

 水分を吸うことで、その量に比例して、砂で出来た動物の種類も大きさも変えて造り出すのだろう。そいつらはかなり攻撃的だった。侵入者である俺達に対して。

 

 一人はやられたが、あとの二人は、身体能力の高い俺が肩に担いで走ることで難を逃れた。今夜にでも調査エージェントが上に報告をするだろう。あまり話したことは無いが、あのエージェントの死に、二人は悲しんでいた。

 

 これ以上、被害は出て欲しくはないというのが、俺の素直な気持ちだ。

 

 久しぶりに両親の墓参りをしてみようと思う。幸い、申請が下りた。他のエージェントと一緒ではあるが、それで良い。

 

 久しぶりに戻った町は少しだけ店の並びが変わっていた。いつも通っていたバーはネオンの一部が故障していた。何気ないそんなものが、今となってはとても価値のある様に俺は思えた。

 

 両親の墓は、誰かが掃除してくれたのだろう。綺麗だった。色々話したいことはあったけど、それは心の中だけにしておく。

 

 帰りに土産を買って、オメガ7の全員に配っておこう。アベルは、まぁ、デカい肉でいいだろう。

 

 

 

 

Ω月α日

 

 オメガ7が解体された。いずれこうなるのではないかと思っていたが、案の定だ。他のSCPと戦える機会がほとんどなくなったアベルが、暴れ出した。十数人に上る死者を出したが、何とか取り押さえられた。

 

 今ごろ深海の牢獄で眠っているだろう。

 

 アイリスは格納エリアでひっそりと暮らしてる。定期的に一緒に物を食べて話したりは今もしてる。そういえば、ふとアイリスが自分の持つ能力について怖くないのか?と聞いてきた。表情は良く分からなかった。素朴な、何気ない疑問だったと思う。

 

 俺はアイリスのそれ以外を見てきたから、特に何も感じはしなかった。というか、今更というのもある。

 

 素直な気持ちを伝えたら、アイリスははにかんだ笑顔を向けてくれた。まぁ、喜んでくれてなによりだ。あ、一応誓って言うが、彼女に気があるとかそういうのじゃない。ただ、一人の友人として彼女の問いかけに真摯に答えただけだ。

 

 出ていく時、近くに居たエージェントたちが滅茶苦茶ニヤついてヒューヒュー言ってきたから一人一人捕まえてデコピンしておいた。

 

 逃がさん。

 

 俺のデコピンは痛いぜー。

 

 大丈夫大丈夫、力加減は考えてるから。ちょっと額の皮が削げるだけだからー。

 

 

Ω月T日

 

 またサイボーグ少女とコミュニケーションを取った。今度は機械的な部分の目の光が青から緑に変わって、終始俺の隣で座っていた。胡坐を掻いてその上に載せても、それほど変化はなかったが、自然と寄りかかってきて、少しだけ安心しているように思えた。

 

 人間的部分が少し残っていることに、俺は少しホッとした。こんな体になってもちゃんと生きているという証拠だったからだ。

 

 ただ、やはり言葉による受け答えはできなかった。

 

 もし機会があれば、また来よう。

 

 

 

Ω月○日

 

 今日は上司から厳重注意を受けた。とあるSCPを誤って破壊してしまったことだ。名前はビルダーベア。オブジェクトクラスはKeterであり、逃げ出したこいつを捕まえようとして金切り声を上げてくるから驚いて咄嗟とはいえ割と本気で殴ってしまったため、現在に至る。

 

しばらくDクラス職員と一緒に173のフロアの清掃を命じられた。最近173の動きが見えてきた気がする。正直、こう書いといてなんだが、人間離れしすぎて自分につくづく呆れてしまう。

 

 そんな俺に関わらず、アイポッドとくすぐりオバケは俺を癒してくれる。もう俺の味方はお前達だけだよ。

 

 

 ブライト博士と名乗るオランウータンから明日の実験の協力をさせられた。なんでもレゴブロックのSCPの調査に協力してほしいとのことだ。

 

 いや、いやいやいや、オランウータンが何でブライト博士なのか一瞬わからなかったが、多分乗り移ったんだろう。資料でそういうことが出来るのを思い出した。まぁ、研究に参加するのは別に良い。多分、俺は死なないと思う。

 

 そういえば、最近あのトカゲ怪獣に習って不死身の超人とか言われるようになった。身内ネタではあるが肩身が狭くなった気がする。会うたびに新人研修で来た科学者に怖がられるのは結構心にクるものがある。

 

 目を輝かせて近づいてくる奴なんて稀である。

 

 

 

 

 妖狐変化にまた呼ばれた。もう、肝臓抜かないでください。痛いです。お詫びと称してキスされた。

 

 俺のファーストキスが・・・。

 

 

 

Ω月A日

 

 fuck you! screw you!

 

 あのキチガイ博士!レゴブロックのSCPでトカゲ怪獣を作りやがった!どんな悪夢だ!?

 

 しかも本物のクソトカゲも脱走しやがった。色々とストレスがたまっていた所為か、今の俺だったら神すら殺せる気がする。

 

 手始めに二匹を浮かせてそのままひたすら殴り続けてやった。新しい収容スペースが出来上がるまでな!再生するんだったら再生する必要が無く、且つ逃げられないようにしつつ、攻撃も出来なくする。よう痛みだけを与え続ければいい!

 

 抉り込むようにひたすら打つ!マッハすら超えて、例え空気の摩擦熱で手が燃えようと、俺の拳は己の兵士としてのプライドに掛けて拳を止めなかった。

 

 やめろ?触るな?殴るな?

 

 なぁにぃ!?聞こえんなぁ!

 

そのまま殴り続けながら収容スペースに運んでやんよぉ!

 

 そう言えば昔日本のコミックで敵を打ち上げてから高速で殴る技があったな。

 

アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリィィィィ!!!!!!

 

アリィィィヴェデルチィィィ!!

 

 

 

 

Ω月B日

 

 たかが日記に何書いてるんだろ、俺。昨日の奴、読んでてちょっと恥ずかしくなった。

 

 まぁ、それはそれとして、やりすぎた。クソトカゲを殴り続けたあの日からというもの、あのクソトカゲはどうやらかなりお冠らしい。頻りに汚い言葉で俺を罵って隙を見ては脱走してくる。

 

 目につく生物を片っ端からじゃなく、とにかく俺だけを狙うようになった。いや、まぁそれは良いんだけど。脱走する頻度が多くなったのは非常によろしくない。

 

 ということで、173のフロア清掃に続き、居室をあのクソトカゲが収容されるフロアの近くに移転することになった。

 

 ちくせう

 

 ただ、最近はダクトを通ってアイポッドが来てくれるようになったのは嬉しい誤算だった。まぁ、すぐに飽きて戻ってっちゃうけど・・・。

 

 俺の部屋は監視カメラ付きで、常に682を監視している。何かしらのアクションがあった場合報告もするが、脱走しようとした瞬間、あえて隔壁と収容スペースを開けて殴ってお帰り願うと言ったところだ。

 

いらっしゃいませ!(殴)おとといきやがってください!

 

そしていつもの塩酸に満たされた収容スペースに叩き落とし、隔壁を下す。

 

 最近はいつもこんな感じだ。この方法が確立されてから、あのクソトカゲによる被害はめっきり減った。これを続けていれば現状大丈夫だと思うが、それまでにちゃんとした管理方法を財団には編み出してもらいたいものだ。

 

α月H日

 

 最近監視カメラが別のカメラへと切り替えられてしまう。棺が置かれた小さな部屋だ。見ていると時折恐ろしい画像に切り替わり、精神的な部分がガリガリ削られていく気がする。科学者に相談してみたら引き攣った笑みを浮かべながらオールドAIの仕業だということを教えてくれた。

 

 なんで顔をひきつらせているのか聞いたら、その棺、長く見てると死ぬSCPらしい。つまり俺じゃなかったら見ていた奴は死んでいたということか。

 

 相変わらずほとんどのSCPが殺意ありまくりだなぁ。むしろ凄まじすぎる。アイリスやアイポッドとかくすぐりオバケとかそういう友好的なSCPは他に居ないのかなぁ。

 

 取り敢えずオールドAIのところに行こうと思ったけど、なんか行く先々で隔壁閉められた。嫌われてるのかな・・・。まぁ、こじ開けたけど。

 

 一応熱心な説得の結果オールドAIには以後俺の監視カメラは勝手に変えない様にしてもらえた。これで一安心だ。

 

 あとでO5評議員からどうやったのかって聞かれたからディスプレイにデコピンを何回かやったら言うことを聞いてもらった。

 

 と、正直に言ったらふざけるなと怒られた。

 

 ちゃんと正直に言ったのに・・・。

 

 誰も信用してくれないことをアイリスに愚痴ったらやれやれと言いながら慰めてくれた。やっぱりアイリスは女神の生まれ変わりじゃないだろうか。

 

 涙がちょちょ切れそうだ。

 

 

α月呑日

 

 いつも通り682を監視しながら日々が続く。最近はオメガ7時代の同僚から差し入れでピザボックスを貸して貰ったりする。そうそう、このピザボックス、SCPらしい。このピザボックスに触れた奴は好みのピザが出来上がるらしく、その種類は色々、だそうだ。

 

 俺は肉と野菜がバランスよくトッピングされたピザが数層ほど積みあがったハンバーガーみたいなピザだった。

 

 高カロリーすぎて胃がもたれそうだが、一度こういうのを食べてみたかったというのは、ここだけの内緒だ。

 

α月噴日

 

 オールドマンがまた逃げた。絶対彼奴この状況楽しんでやがる。Dクラス職員も科学者も引きずり込まれたら財団が困る。貴重な人材は失わないに限るのだ。

 

 それをあざ笑うかのように定期的に脱走する彼奴を殴ってもきっと文句は言われないはずだ。手の皮膚がちょっと腐ったけど、車田飛びに吹っ飛ばされたオールドマンを見ていて、すっきりした。

 

 少し時間がかかったが、オールドマンの対処法は覚えた。腐る前に殴ってすぐに引く。そうすれば比較的少ない腐食で殴れるということだ。

 

 え?おかしい?

 

 知ってる。

 

 でも出来るんだからやらないに越したことはないだろ?

 

 この際開き直ってSCPとしての自分を最大限に使った方が世の為人の為になるだろう。

 

α月α日

 

 カイン怖い。クロステストで彼を殴り続けるというものだが、壁のようなものが遮ってどうやっても傷つけられない。それどころか攻撃がそのまんま自分に帰ってくる。

 

 試しに我慢しながらひたすら殴り続けてみたが結果は同じだった。敵にまわったら絶対勝てないなこりゃ。

 

 いや、もっとポジティブに考えよう。あの壁を砕けるくらいもっと強く殴ればきっと。

 

 いやいやいや考え方が可笑しい。脳味噌まで筋肉になってる。流石にソレはマズイ。俺は常識人だ。ならばもっと友好的になる必要があるな。うん。

 

 そう言えば、最近上司に頼んで友好的な知的生命体との意思疎通はできないかどうかを提案してみた。ようするにインターネットによるチャットのようなシステムだが、他のSCPの意識的ミームの影響が起きかねないから却下された。

 

 まぁ、そうなるよな。ダメ元で聞いたが、予想通りだ。最近はトカゲもおとなしい気がする。まぁ、気を伺っているのだろうが、あまり刺激をしなければ大丈夫だろう。

 

 ただ、ブライト博士はここぞというところでアレを引っ張り出さないでほしい。毎回毎回対応に追われるのはこっちなんだから、もう少し苦労を考えてほしい。

 

 

 

 考えないんだろうなぁ。

 

 

α月γ日

 

 クロステストで、今日は裸の女の子と顔を合わせた。務めて冷静であることを意識していたが、それからというもの、身体が熱くなって動悸も激しい。

 

 ここだからこそ、書けるがその、性欲が酷い。

 

 財団に入って以来そんなこと気に掛ける暇がないくらい修羅場を潜ってきたから、忘れてたけど、俺はやはりれっきとした人間なんだと思う。

 

 食欲もあるし、睡眠欲もある。ならば当然性欲もだ。こうやって知的っぽく振る舞っていないと頭がおかしくなりそうになる。

 

 俺でこうなるのだ。普通の男が彼女を見たらどうなるか分かったものじゃない。俺は紳士だ。女性に乱暴なんてやるわけにはいかない。

 

 今日は早めに寝ることにする。夢の中ならば、性欲なんて湧かな

 

 なんでこういう時に限って妖狐変化から呼ばれなければならないんだ。

 

 拒否権?あるわけねぇだろ。

 

 

 

β月α日

 

 一体何があった。ここ最近の記憶がない。気付いたら自室に居たし、いつも通りの朝のような気分で今すぐにでも仕事が出来るが、最後の日記から今に至るまでのことの記録が綺麗さっぱり消えていた。今のカレンダーと最後の日記から計算して約一週間。

 

 682の監視も大事だが、一週間前からの自分の足取りが知りたい。暇を見ては科学者や同僚に訊いてみたけど、全員揃いも揃って顔を青ざめて謝ってくるし、ブライト博士に至っては、あのブライト博士が言葉を濁すし、

 

あの

 

ブライト博士が

 

言葉を濁す。

 

 財団屈指のキチガイが人のことを気にするほどの災難。その中心に俺が居ることは確かだ。そこまでの惨状、知るのは少し怖いが、取り返しのつかないことをしてしまったのなら責任を取らなければならない。

 

 アイリスは知らないらしい。当事者じゃないらしい。なら仕方ないか。

 

 しかし、調べようと動いている俺をまるで見計らったかのように一週間の謹慎処分を言い渡された。

 

 本当に俺に一体何があったんだ。誰か教えてくれ。最悪O5評議員会に直談判しなければ。

 

 そう言えば、O5の職員にブライトの父親が居たな。例え他のエージェントを敵に回してでも、俺の記憶は取り戻さなければ。

 

 




◆今回出たSCP◆(既出は除く)

SCP-777 砂の王国 オブジェクトクラス Euclid

SCP-1048 ビルダーベア オブジェクトクラス Keter

SCP-387 自律型レゴブロック オブジェクトクラス Safe

SCP-079 オールドAI オブジェクトクラス Euclid

SCP-895 カメラディスラプション オブジェクトクラス Euclid

SCP-458 はてしないピザボックス オブジェクトクラス Safe

SCP-073 カイン オブジェクトクラス Euclid


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第三話 理不尽だ

G月A日

 

 

 

 減俸には勝てなかった。一応O5に直談判して記憶を戻してもらおうとしたが、これ以上給料を減らされたくないので、このまま職務を続けることになった。

 

 自分の抜け落ちた一週間の記憶。凄い気になるが、拘束されるわけにもいかない。諦めて職務に勤しむことにする。

 

 そういえば、今日から妖狐変化のところに食事を持って行かなくてもよくなったらしい。胃と肝臓に痛い仕事が無くなって良くなったけど、本当に突然である。そもそ―――

 

 日記の最中にまた682が脱走しようとした。いつも通り殴って大人しくさせて、職員に連絡して新しい隔離フロアの建設を申請しよう。相変わらず口汚い言葉で挑発してくるけど、なんか最近はもう愛嬌だと思い始めてる。あれ?おかしいな。ブライト博士の気持ちが一瞬でも理解できると思ってしまった自分が悔しい。

 

 

 

 

 

 

―――今度また博士と実験してみようかな。―――

 

 

 

G月B日

 

 ブライト博士何やってんすか。勝手に最後書き足さないでください。担当職員から怒られちゃったじゃないですか。

 

 今日も今日とて682の監視だが、それ以外やることが無いから暇だ。今日一日はクロス実験も無し。何だかんだで財団に入って初めて平和な一日を遅れた気がする。

 

 あれ、なんだろ、日記が水滴で書けない

 

 

 

 

G月C日

 

 別の監視員と交代して俺はクロス実験を行った。異常な身体能力が発現してしまってから、俺の身体能力を解明させるための実験は度々行われていたが、今日はその続きが行われた。

 

 最初はぜんまい仕掛けだ。俺の超人的な身体能力を作った張本人?であり、今の俺の始まりだ。

 

 ブライト博士から聞くには、俺は入れられたときはノズルを Very fine に設定していたらしい。それはぜんまい仕掛けが気まぐれにやったことなのか、それとも俺だけ体内の何かが、ぜんまい仕掛けの改造に化学反応が起こったのか。精密検査を何度か受けたが、未だ進捗は見せていない。

 

 俺を取入口ブースに入れて Coarse に設定したが、何の変化も見られなかった。 Rough にも同じくだ。まるで俺の身体がそのままの状態で変化を受け付けないような。そんな感じだ。

 

 一応、それぞれの状態で精密検査を受けたが、筋密度、骨密度共に異常はなかった。心理検査にもこれと言った変化は見られなかった。

 

 筋力検査は行わないのか、と研究者に質問したら無意味だと言われた。それもそうか。

 

 不死身の爬虫類である682を軽々と殴り飛ばす腕力、アベルを取り押さえた瞬発力、カインの反射にも動じない頑丈な肉体。知能指数や道徳的価値観などに変化を及ぼさず肉体面だけに影響を及ぼしたぜんまい仕掛けが、一体どんな気まぐれを起こしたのかは分からない。

 

 だが時折だが、自分の身体がさらに強く成長していっている気がするのだ。あくまで気がするのであって正確なところは分からない。

 

 だが、この動きは出来る、こうすれば出来ると思うと、大抵の動きはやろうと思えば俺は出来てしまう。はっきり言って異常だ。ちょっと力を込めれば、アスファルトなんて紙の様に毟り取れる。コミックのようなスーパーマンだったらヒーローの真似事でもしながら慎ましく職に就くんだがな。

 

 現実はそれほど美味い訳がない。

 

 自分でも笑ってしまう。そう、

 

“ヒーローごっこなんてやってる暇があったらより多くの給料が得られるように働かなければならないからだ。”

 

 

G月C日

 

 なんかO5職員から特例として臨時のボーナスをもらったんだが、何故だ?

 

 今日はサイボーグ少女と話をした。一方的ではあるが、これまでの実験記録から、俺とならば何かしらコミュニケーションを取れるのではないかと研究者からクロス実験の申請が来た。

 

 そこで俺はあの子を膝の上に乗せて絵本を読み上げることにした。まるで子供と幸せな一時を共有する親のように・・・。

 

 それから一時間特に変化はなかったが、普段観察している研究員からは、俺と一緒にいる間は目の光は赤から緑へと変わるらしい。それが友好的な意味なのかは分からないが、ちゃんと個人に対しての反応があることが分かっただけ良かった。

 

 それだけに[編集済み]に対して許しがたい怒りを覚えてしまう。

 

 義憤で財団は動いてくれない。当然のことだ分かっている。

 

 

 

 

G月G日

 

 

 今日もDクラスと一緒にせっせと173のフロアを清掃。なんか、Dクラスの間で俺と一緒のDクラス職員は安全に実験を終わらせることが出来るとか何処から出たかもしれぬ噂が出ている………らしい

 

 真偽の程は分からないが、最近妙にDクラスの連中が馴れ馴れしいかと思えばそういうことか。脅して脱出の手助けをしろとかしてくる奴が出てこないか心配だ。173を抱えながら清掃すればあら不思議、誰も死人を出さずに清掃完了。

 

 せっせと終わらせると、不意に妖狐変化、クミホのことを思い出した。

 

 あれから全然音沙汰が無いが、最近までは彼女の食事の係りを務めていたのだ。元気にやっているのだろうか。ファーストキスは血の味とか、地味にトラウマなんだ。

 

 思い出すとちょっと吐き気が・・・。

 

 やめよう!はい!やめ!この話は終了!

 

 最後は脱走したオールドマンを殴って終了の一日でした。

 

 

 

 

G月☆日

 

 最近O5評議員からオールドマンと682を隣り合わせにして俺に両方を監視してもらおうという意見が出ている。

 

 YAMETEKUDASAISHINDESHIMAIMASU

 

 ネットスラングにはあまり明るい訳じゃないが、自然とこんな言葉が思い浮かんだ。ネットの環境も悪いからな、ここ。オールドAIのことを警戒してるんだろうけど。まぁ、仕方ないよな。

 

 昨日は広い隔離フロアで写真を見るという実験だった。そしたら、なんか壁を突き破ってガリガリに痩せた白い奴が出てきて襲い掛かってきて、訳も分からず一日中殴り合いをする羽目になった。

 

 おかげで腹が減って仕方がない。

 

 日記が一日空いたのはそのためである。あとで聞くとシャイガイという奴らしい。自分の顔を見た奴を必ず殺すほどの恥ずかしがり屋らしい。

 

 恥ずかし………がりや?

 

 俺の知っている恥ずかしがり屋と違う。っというか、全然顔写ってなかったじゃん、え?たった4ピクセルで?

 

 ちょっと神経質すぎやしないか?

 

 

G月Ω日

 

 オメガ7時代の同僚が、今日死んだ。SCP―049ペスト医師が同僚をゾンビにした。それなりに友好があったし、暇があればアイリスと一緒に会話に花を咲かせることだってあった。彼は俺の異常な力にも、アイリスの特異な能力も気にしなかった。財団の中でも数少ない友人だった。

 

 とどめは俺が刺した。自分で決着をつけた。

 

 死体は何も言わなかった。それも当然だ。死体なんだからな。

 

 その日の夜はアイリスと一緒に彼の死を悼んだ。願わくば、彼の死後が安らかであらんことを・・・。 

 

 

 

 

T月Y日

 

 今日はSCP-054水精とコミュニケーションを取った。既にオブジェクトクラスはSafeに設定されているので、それほどの危険性は無かった。話はこういうものが好きとか、こういうことをするのが得意だとか、そんな何気ない話だ。10分程度しか話してないが、相手からはそれなりに好印象を得られたようだ。

 

 この調子で頑張ってくれと上司からは言われたが色々手探りなことが多すぎるから胃にとてもよろしくない。この身体になってから胃薬が必要なくなったのは良いんだけどね。

 

 それから、今日はアイリスから久しぶりに食事に誘われた。最近の話題としては様々なSCPとのテストは痛かったり、少し切なかったりとあまり気持ちのいい話題は無い。アイリスは682の監視をしていて大丈夫なのかと聞いてきたが、大丈夫だと言っといた。

 

 話している最中、アイポッドが食堂内を走り回って俺の足にぶつかってきたのは良いアクシデントだった。久しぶりに笑う彼女の笑顔は、初めて会った時と変わらず素敵だった。

 

 金は俺が払った。

 

 気にしなくていいのにと言われたが、こういうのは男が払うものだ。

 

 

T月K日

 

 ブライト博士からアイリスとの関係を訊かれた。俺は普通に良き友人だと言った。そしたら博士はなんか面白そうなものを見付けたような表情になっていた。取り敢えずデコピンして悶絶させた俺は悪くないはずだ。アイリスまで彼の毒牙に掛けるわけにはいかない。絶対俺達に何かしらのことをやるつもりだ。釘を刺しておいたが、やめてくれるかどうかは分からないな。

 

 それにしても、財団はどうして俺に日記を書かせているのだろうか。もしかして日記にしないとやばい何かがあるのか?

 

 それはそうだよな。何気なくやらせているものが下手をすればKクラスシナリオになりかねないのがSCPだよな。

 

 俺なんて、ひと暴れしちまえば、それこそ誰も止められなくなる。さっきO5評議員から直々に精神に作用するSCPとの接触を禁止させられた。

 

 態々O5評議員が来ると言うのも、やはり、俺の力を警戒してのことだろう。胃の痛い話だ。

 

 

T月M日

 

 今日もせっせと173のフロアを清掃。誰も居ない時はゴリゴリと石臼みたいな音を立てて、人間を見付けたらそいつが目を閉じた瞬間にクソッタレな高速移動をしてくる。俺も一時期首をへし折られそうになった。

 

 

 

 全力で抵抗してやったがな!

 

 

 

 移動の瞬間には是非とも奴に俺のラリアットをかましてやりたい。そうそう、今日は良いことがあった。くすぐりオバケがアイポッドに連れられて俺の部屋に来た。

 

 今日一日こいつらとプロレスごっこだ!

 

YAAAAAAAAAAAAAAHAAAAAAAAAAAAAA!

 

 

 

T月☆日

 

 昨日の時間がずっと続いてればよかったのに。グッモーニン682!お前にはドラゴンスープレックスをくれてやる!この際だ。特に理由は無いがお前には俺の兵士時代の技の全てを受け止めてもらうぞ!

 

 

 

 good day!(良い一日を!)

 

 

O月M日

 

 ごきげんよう諸君。日記を書くのは一日の終わりである夜にやるのがセオリーだが、現在時刻は夜の7時であり、子供も大人もワイワイガヤガヤとどんちゃん騒ぎをしても許される時間だ。しかし、しかしだ。今俺の状況はどうなっていると思う?

 

 文面だけではまぁどうしようもない。だからこの俺が丁寧に状況を教えてやろう。妖狐変化が俺の隣で寝てる。しかも血塗れの俺を抱きしめて離さない。

 

 残念だけど、そんな色気のある話じゃない。いや、ある意味では色気はあるのか?そもそもなぜ俺が血塗れになっているのか。

 

 

 今日、久しぶりに妖狐変化に食事を届けた。その瞬間なんかすごく喜ばれた。頻りに会えて嬉しいなどと言ってなんで会いに来てくれなかったなどと言ってきた。色々と話をしてみると、彼女は俺が記憶を失った一週間のことを知っているらしい。

 

 詳しく教えてほしいと言ったら、覚えてないのか?と逆に訊かれた。覚えてないと正直に答えたら、愕然とした表情になって、表情から色が抜け落ちた感じになっていた。

 

 その瞬間、何が起こったのか分からなかった。いきなり俺の腹に腕を突っ込んで肝臓を抜き取ってきた。しかも一回じゃない。俺を抑えつけてなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんども・・・。

 

 書くの疲れた。とにかく、それくらい何度も抜き取られた。再生するたびに激痛を味わうので、正直きつかった。抵抗しようと思えば出来たが、彼女が心底悔しそうに、悲しそうに泣いている姿を見て、出来なかった。

 

 いったい何があったのかわからなかったが・・・。

 

 いや「正確には覚えていない」か。俺の心に浮かび上がったのは、罪悪感だった。

 

 だから、俺は彼女の好きにさせてやった。

 

 とまぁ、深刻そうに書いているが、単純に言えば、傍から見れば妖狐変化は俺の肝臓をやけ食いしたということになる。そして、現在に至るわけだが、満足そうに眠っている彼女を見て邪魔する気も失せたのだ。取り敢えず今日はここまでとする。

 

 かなり長く書いてしまったが、まぁ、今日はそれくらい衝撃的だったということを話のオチとして付けておく。

 

 

 

 

 

「ふぅ」

 

 一息ついたことで自然と溜息が漏れた。血のにおいが充満するこの生臭い部屋の中で、彼女の安らぎ切った寝息が微かに聞こえる。

 

「………」

 

 自分の姿を見下ろしてみる。白のワイシャツは血で真っ赤に染まり、上に羽織っている黒のスーツはご覧のとおり目立ちはしないものの、血がベットリついており独特な匂いを漂わせている。

 

「スーツ新品だったんだがなぁ………」

 

 これは買いなおさないといけないようだ。自然と溜息が漏れた。

 

 視線を部屋の隅へと移す。隔離フロアに取り付けられたカメラは相変わらずこっちを見ているが、エージェントや研究員が動く気配は無い。これだけの惨状を見せても慌ただしい気配を見せないということは、つまりこれも実験なのだろう。

 

 自然と虚空に消えるような乾いた笑みが漏れる。一つ間違えれば死にかねないどころか世界が滅びかねない職場など、ブラックを通り越してダークネスな企業である。

 

 とりあえず、今もカメラ越しの画面から見ているであろう担当の科学者に向けてシーッと静かにするようにと言うジェスチャーを送っておくのだった。

 

 

 

 

 

 あと、これは蛇足だが、後日ジョン・ドゥに通達された食事を届ける命令は正式には出ておらず、上司のミスであったことが判明する。

 

 

ぎゃふん。

 

 

 

 

 

 

 更に蛇足だが、放っておいて下手をすればKクラスシナリオに発展寸前であったということは誰も知らない。



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第四話 SCP_Containment_Breach

苦し紛れに投稿。アカン、ストックがない。


α月y日

 

 クミホ(SCP―953)との修羅場が終わってから約二ヶ月が経った。今まで日記が書けなかったのは、それまで彼女とはほとんど一緒、所謂同棲まがいのことをしていたからだ。

 

 羨ましい?そう思った君、一日三回肝臓を捕食される痛みと苦しみに耐えられるのならば代わってあげよう。俺は最近痛みで悲鳴を上げることは無くなったよ。それでよ~~~~~~~くわかったことだが、彼女は実に嫉妬深い女性だ。日記を書こうとすると途端に彼女は怒り出すのだ。私だけを見ろと凄まじい独占欲を露にするのだ。そして、一時たりとも俺が離れるのを認めない。

 

 これは初期の同棲生活ですぐに分かったことだ。さて、何故俺が二ヶ月もクミホの隔離部屋に住んでいたのかというと、スマートに紳士的な対応で以て彼女に俺の外出を許してもらうために説得をしていたからである。

 

 この間、もはや3桁では数えきれない数の肝臓を喰われたのだが、その甲斐もあって、こうして日記を書けている。しかし、不可抗力とはいえ二カ月も働くことが出来なかったのは財団にとって大きな損失だった。

 

 O5評議員が2晩にも渡る長時間会議の結果、俺は二カ月の給料カット、それから記憶処理をせずに数人の監視がつくことになり、そして、オールドマンとクソトカゲ、そして妖狐変化三つのSCPを同時に管理、監視、対応を任される特命Aクラス職員兼エージェントとして任命されることとなった。

 

 この指令が言い渡された時、爆笑するブライト博士と、引き攣った笑みを浮かべているカインの顔が印象的だった。とりあえず、クソトカゲをボコボコにしておいた。

 

 ちょっとスッキリした。

 

α月γ日

 

 最近財団が新しい隔離施設を建設中らしい。なんでも革新的な新技術を集めて画期的なSCP管理方法を試験的に運営するそうだ。自爆用の核弾頭は殆どデフォルトの設備だが、肉体的接触による捕縛、対応が可能なSCPを主に集めるらしい。

 

 嫌な予感しかしない。クミホから「貴方がその身体で管理する施設なのではないですか?」という言葉に俺の嫌な予感は更に加速せざるを得なかった。今更だが、もうナチュラルに彼女が隣に居ることが当たり前になってる。

なに?「夫を立てることが妻の仕事です」?

 

 HAHAHA nice joke.

 

 肝臓どころか心臓まで喰われた。仮に妻だとして、こんな家庭内暴力が日常茶飯事は絶対嫌だな・・・。

 

 というか妻って・・・。そういえば、結局俺の消えた一週間の記憶はどうなったのだろうか。クミホに関係することなのは確かなんだが、O5は一週間俺とクミホは何もしていなかったの一点張りだった。今更掘り返しても記録として得られるのは望み薄だろうが、彼女の言動からしてつまり、その、なんだ?

 

 アハ~~ンなことをシちゃったということか?そうなのか?まぁ、今更な気もするが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クレフ博士が聞いてたら激怒しそうだ。

 

 

 

 

α月Ω日

 

 案の定でした。誰にもしゃべってないしどうやって知ったのかも知らないけどクレフ博士頼みますからショットガンで走って来ないでください。怖いです。

 

 YAAAAAAAMETEKUDASAISHINDESHIMAIMASUUUUUUUU!

 

 あ、この日記読んだのか。

 

 俺のプライバシーとはいったい。

 

 

 

α月β日

 

 SCP-939が脱走したため、俺に捕獲要請が来た。妖狐変化がここにいろとごねてくるが、後で、何か買ってご機嫌を取ることにする。

 

 SCP-939は見た目はあのクソトカゲと似ている。それをスケールダウンさせたような感じだ。人間の言葉を覚え、それで人間をおびき寄せて食すという賢いトカゲだ。と言っても彼奴ほど力が強い訳でもないし進化するわけでもない。見つけて尻尾を掴んで引きずって新しい収容スペースに押し込めば完了だ。

 

 今日も死者ゼロ。中々良い働きが出来たと思う。

 

 

β月△日

 

 ダメもとで最後の情報公開の申請を出した。クミホと俺の間に何があったのか、監視カメラの映像だけでも知りたかった。そしたら、意外なことにあっさりと申請が通った。俺の今のレベルであれば映像だけならば十分見ることが可能だったらしい。全ての情報を知るとなるとレベル5のシークエンスが必要だが、映像だけならば大丈夫らしい。それからこの情報を閲覧するにあたり、以後クミホに対して、あの日、自分と彼女の間に何が起こったのかを決して聞いてはならないと厳重注意を受けた。

 

 まぁ、何にせよ、俺の記憶の一部が分かる。

 

 音声は無い。監視カメラの映像は虚ろな目でクミホに食事を与える俺の映像。マッサージをしたり、話し相手になったりして、目の部分を除けば傍から見ればいつもと変わらない様子だった。だが不意に、まさしく突然俺は白目をむいて気絶した。クミホに圧し掛かる形で気絶した俺を見て、彼女は酷く狼狽しており、監視員に何か呼びかけていた。

 

 その直後、蜘蛛の糸のような白いひも状の何かが俺の全身から溢れ出て、クミホごと包み込んでいき、繭のようになったところで、映像は途切れた。

 

 なんだ………これは?

 

 いったい何がどうなってる。

 

 中で何があったのか、まったく意味がわからなかった。

 

 結局のところ分からずじまいだった。

 

 

×月○日

 

 OMG

  

 緑のファ○○ンスライム怖い。死体にかかるとあんなことになるなんて全然知らなかった。

 

 そしてどさくさに紛れて逃げようとするオールドマンを収容スペースにSMAAASH!SUPER EXITIN!

 

 クミホも一緒に面白半分で逃げようとするんじゃあない!

 

 

γ月α日

 

 今日奇妙な夢を見た。ドリームマンと呼ばれるKeterクラスのSCP。夢の中で何か害を及ぼすようなSCPではないが、こいつはSCPに関する破滅的な予言をする。俺はこいつの座るベンチの隣でまるで友人と話すかのようにサンドイッチとコーヒーを嗜んでいた。

 

 友人のようにというだけであって、胸糞が悪くなるような話ばかりだったがな。

 

 当然夢の内容は覚えている。これから起こること。あるSCPが世界を完膚なきまでに滅ぼすということ。そのSCPはSCP―■■■■でさえ止められない、変えられない、消すことも出来ない。

 

 人間が地球の災害、台風の軌道を変えられない様に、そのSCPは正しく大規模な台風のSCPバージョン。その名は■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 だが、彼奴はこんなことも言っていた。俺という存在はそのSCPすら破壊できるSCPに成りうると。なんなんだ一体?

 

 俺は何者なんだ?

 

 その疑問は、ドリームマンが教えてくれた。

 

 そもそも俺は人間から生まれて、偶然生まれたSCPではない。お

 

 

れ 

 

 

        の

 

 

 

 

 

 

 S

 

         CP

 

 

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 俺の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       本当の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆レベル5の起動申請を承認プロトコル2000を始動◆◆◆

 

 

 

     ◆◆◆起動シークエンスを開始◆◆◆

 

 

 

UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING…     

 

who are you?

 

 

……………

…………

………

……

 

 

◆◆◆イレギュラー発生プロトコルUPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… ■■■のUPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… をUPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING…■■始します UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING… UPLOADING…

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Kクラスシナリオ…………回避■■

 

 

 プロトコル00000に従い再構成を行います。

 

 

 構築…………エラーが発生しました。

 

 

 再構築中…………エラーが発生しました。

 

 

 エラー箇所をバイパスして再構築…………complete

 

 

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COMPLETE

 

 

 

―――

 

――――――

 

―――――――――

 

Remember Us…………

 

…………

 

……

 

 

 

 

RmemmmbbbeerrrssssuuUsSssss

 

 

rEMANvbbeeerrrsrsssssssus

 

 

―――

 

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Remember Us…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

C月B日

 

 不味いことが起きた。施設の不調が度重なり、複数のSCPが脱走した。オールドマンを逃げない様見張ってはいるが、その日は更にまずいことに173が収容格納庫から逃げた。ナインテイルズ出動要請が出ているが、果たして間に合うかどうか・・・。オールドAIにも余計なことはしてほしくはないが、どこぞのDくらす職員が脱走の為に何をやらかすか分からない。職員救助のためにもここで一旦―――

 

 

 

「!」

 

 振り向きざまの裏拳が固いごつごつとした物を捉えた。視界にとらえた彫像は動きを止め、ゴトリと床に着地した。

 

「Shit ……… !」

 

 見覚えのある石像、名無しの兵士ジョン・ドウの視界がとらえたのは件の脱走した173の姿があった。

 

 瞼が閉じられる。

 

 同時に拳を突き出す。次に瞼が拓いたときには173が壁にめり込んでいる。

 

 再び瞼が閉じられる。背後へと肘鉄を喰らわせる。一瞬の瞬きだが、173はその間に高速移動でこちらの首をへし折ろうとしてくる。シェルターの扉を開く、そこは色んな意味で科学者たちに愛されるSCP-682が収容されている隔離フロアだ。咆哮を上げて682が脱出しようとしてくる。682の目の前には吹き飛んでいる173の姿があった。

 

 奴に取っては二度と戦いたくない相手だろう。一瞬で全身から複数の目を造り出して、173を凝視続ける682の隙をジョンが突き刺す。

 

「お座りだクソトカゲ!」

 

 落書きの書かれた173の頭部をひっつかみ、鈍器のようにして682を殴り飛ばし、フロアの奥へ叩きこむ。そこにまるでプレゼントの箱にリボンを添えるかのように173を投げ込み、強引にシェルターを閉じた。

 

「睨めっこでもやってろ」

 

 大急ぎで自室に戻り監視カメラを見やる。三つ存在するモニターにジョンの表情は更に険しいものへと変わる。

 

「くそ!」

 

 ひとまずこれで173と682を同時無力化は成功するものの、ジョンの管理するオールドマンは脱走、ついでにクミホまで逃げ出していた。それなりに付き合いの長い彼ら?だが、規模の大きさ問わずどさくさに紛れて逃げ出そうとするのはもはや恒例行事になりかけている。 

 

「mother fu●ker fuck●n f●ck!」

 

やられる側としてはまったくもって嬉しくない事態だ。一番近いサイトにいるエージェントたちに救難信号を送ったが、果たしてそれまでにこの施設が更地にならなければいいが………。

 

 さて、この大規模なトラブルが発生した原因、突き止めてやりたいところだが、ことはそんなことを言ってられない事態だ。出来るだけ職員の人命を助けつつ、一つたりともSCPをこのサイトから逃がさないようにする。

 

「これで給料上がらなかったら恨むぞO5評議員」

 

 まずは目元の目標はオールドマン捕獲からだ!




一応それほど長編にはならないよう書いてるけど、ゲームのアップデートとか興味の出たSCPが出てきたら少しずつ投稿していくつもりです。続きが出るとか期待しちゃダメよ~ダメダメ~


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第五話 エージェントJ、走る

一年くらい経ってもまさか感想を下さる方がいるとは思わなかった。

リアルの都合であまりここに顔を出せる機会少ないけど、ご愛読ありがとうございます。

宜しければ、今後とも、よろしくお願いいたします。


なんて言いつつ短いんですけどねー!


●月✕日

さて、警報がひっきりなしに鳴り響いて五月蠅いが、とりあえず走り回ることにする。それなりに財団施設全体のルートは把握しているが、ここは迷路みたいになっていて時折何処を走っているのか忘れそうになる。

 

 

途中の十字路に差し掛かった時、パイプの上にクマのぬいぐるみが居て俺に紙を渡してきた。それはDクラス職員?らしき服装をした人間の絵。ナンバーらしきものが書かれているが字が下手過ぎてよめねぇ……。

あの五月蠅いクマは別として、いろんなものを作ってたんだなぁ、あのクマ。材料は人間の肉だが………

 

というかアヒルの玩具まである。一応safeクラスのSCPだが……完全に収容できてないようだ。やっぱりだが、どこぞのSCPが脱走したか、何かのはずみで財団の管理システムが全部解除されていやがる。

 

一つ一つどうにかしたいが、職員も出来れば助けたい。同時にやらなきゃなるまい。俺SCPで収容されなきゃならない筈なのに働きすぎな気がしてきた。

 

なんて考えて居たら、曲がり角でばったり誰かとぶつかりそうになったので、床を蹴って壁をぶん殴って軌道を変更、風圧で吹き飛ばされる誰かの後ろにもう一度床を蹴って壁をぶん殴って回り込んで受け止める。

 

それなりの体格をしているから男か。服装を確認するとDクラス職員のようだ。ナンバーは………D-9341か。

 

とりあえず生存者一人目を確保した。俺、ジョン・ドゥ、よろしく。………なんだか久しぶりに自己紹介した気がする。

 

クソトカゲどもを管理する部屋にナードよろしく引き籠ってたからなぁ、人と話す機会が無くなるのも無理はないか。

 

 

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D-9341と一緒に歩くことになったが、こいつ………

 

 

 ど う し よ う も ね ぇ ア ホ だ

 

 

誰が好き好んで危険なSCPに近づく馬鹿が居るっ!?それも、試せることは何でも試そうとしやがる!?

馬鹿だろ!お前馬鹿だろぉ!?

 

資料読んだよな!?危険だってわかってるよな!?オレが教えたよな!?なんで触れようとする!?なんで隔壁開ける!?馬鹿じゃねぇのお前!?マジで馬鹿だ!アホだ!

 

しかも悪びれる態度もねぇ……無表情そのものだこいつ。ああ、だけどゼンマイ仕掛けを使ってセキュリティーカードのレベルを上げるって試みは大したもんだ。発想が良い。

 

だけどさ、自分で入ろうとすんなよ……。それで本当に大変だったんだからさ。諦めろ、な?

 

とか色々話して居たら救急箱とか渡された。いや、俺傷は付かないし、仮に傷が出来てもすぐ再生しちゃうしな。

ん……電池?……あ、物持ち?なるほどね。 あ、万能薬発見。

 

一応D-9341と話し合ってみたが、こいつの目的は一刻も早くこんなところから脱出して元の生活を取り戻したいそうだ。

 

………………。

 

流石に脱出して元の生活に戻ろうとするなら俺もこいつを捕まえなきゃならん。

 

俺は人間のつもりだ。だからこんな状況を直ぐに脱して家族の下に、故郷に帰りたいという気持ちが芽生えるのも良く分かる。

 

だが、俺はSCPでもあり、財団の職員……エージェントだ。

 

気の毒だが、収容期間をちゃんと完了してからにしてくれ。その代わり今限りだが、必ず保護することは約束する。それが俺に出来る唯一の精一杯だ。

 

だけどさ、死にたくないなら危険なSCPに手を出そうとするなよ?良いな?手を出すなよ?フリじゃないからな!?

 

っておいおい走るな!走るな!

 

 

次のページ

 

 

そうして、廊下を移動し、T字路に差し掛かると、その中央の床に黒いシミのようなものが広がっていた。

 

ポケットディメンションと呼ばれるソレは、オールドマンが作り出した”穴”だ。一応忠告はしておく。そこに入ると脱出はほぼ不可能だからな?気を付けろよ?

 

あ!またこいつ飛び込もうとしやがる!チャレンジ精神旺盛だなおい!それで資格でも取ってろよ!社会で役立つぞ!?

 

とかあーだこーだしていると、俺達の後ろの床から黒いシミがにじみ出て、そこから人型が出てきた。俺が良く知るあのSCPだ。

 

オールドマン。廊下にあるポケットディメンションを見つけてからもしかしたらと思ってたが、やっぱりか……んで、丁度年齢的にもドンピシャなD-9341を狙ってきたということか。

 

とりあえずD-9341にはさがってもらっておおおおおおおおおおおおおおおおおい!?

 

なにアスリート選手よろしく穴に飛び込んでんだてめぇーーーッ!?オールドマンも呆気に取られてるじゃねぇか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             警告:

            機密指定

  財団データベースへの許可無きアクセスは固く禁止されています

      違反者は追跡、特定、拘留されます

 

 

   人類は

   恐怖から逃げ隠れていた時代に

   逆戻りしてはならない。

 

   他に我々を

   守るものはいない。

 

   我々自身が立ち上がらなければ

   ならないのだ。

 

 

   確保し、収容し、保護しろ。

 

   確保し、収容し、保護しろ。

 

◆警告: HMCLおよびO5による承認が必要◆

 

 貴方がアクセスを試みているファイルはレベル5/■■■■■■クリアランスを持つ人員にのみアクセスが許可されています。このクリアランスは通常のレベル5セキュリティプロトコルに含まれません。

 

 必要なクリアランス無しにこれ以上のアクセスを試みることは財団による雇用の終了、全ての教育上、医療上、退職後、あるいは死亡時の福利厚生を取り消す根拠となります。

 

 資格認証のため、貴方はこれをもって既知の情報災害的画像に暴露される事に同意することとなり、貴方が画像に対する予防措置を受けていることを確認します。認証されていないアクセスの場合、このコンソールは操作不能になります。

 

 保安要員が派遣され、貴方を蘇生した後に尋問のため留置房へ護送することになります。財団のイントラネットに接続されていないいずれのコンピューターからこのファイルへアクセスを試みることも、クリアランスに関わらず即時終了をもたらすこととなります。

 

[ログイン資格を提示せよ: 要レベル5/■■■■クリアランス]

 

 

 

 

 

...

...

...

 

意識が確認されました。ファイルを取得します。

 

...

...

...

 

 

 

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20■■/■■/■■

 

 電源質の各部品に突然発生した異常劣化によって発生した件の騒動は複数のSCP脱走を招き、危うくKクラスシナリオが発生する危険性を大いに内包していた。我々にとって幸運だったのは、エージェントJ。騒動の中心にいたSCP(編集済み)がこのサイトに居たということだ。

 

 彼が行ったことはごく単純なもの。脱走したSCPをその手で捕まえ、収容フロアに押し込んだというもの。収容されたSCPは特に問題なく現在も収容フロアの中に居るが、特に変化の見られた個体が存在する。

 

 SCP106(オールドマン)とSCP096(シャイガイ)には疲労困憊の様子が見られていた。精密機器によるスキャンの結果、全身に殴打の跡が残っていた。

 

 件のトラブルが収束してより一ヶ月の日にちが過ぎたが、未だに当該SCP達には殴打の跡が残っており、回復の兆候は見られずそのままの状態で固定されているように見受けられる。エージェントJの持っている能力に更なる謎が深まった瞬間でもある。現状分かっていることは物理的法則を無視した身体能力とSCPから受ける肉体的影響を餞別、取り込むことによる自身の自己改造、SCP682(不死身の爬虫類)に匹敵する再生能力。これらに、殴打することによるあらゆるものの状態を固定するという物が追加された。

 

O5より追加の調査報告要請を受けられたし、随時報告を求む。 



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