科学で魔法を始めよう (ロイ)
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理由

この小説、読み返すほど恥ずかしくなるのになんで公開してしまうんだろ......


C.E74

 

 

DSSDを攻略されたプラントは窮地に陥る。攻略戦の映像を偶然に見たラクスはネオ・オーブ軍に対する認識を改め、戦略を変えた。この偶然は世界に大いなる厄災を齎す事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ソロモンを発進させたロイは奇妙な情報を手に入れた。

 

SIDE ロイ

 

プラントが打って出ただと?しかも全戦力の50%だけ?

何を考えている。戦力を分散して勝てるとでも考えたか?流石にそれは……あり得ないと言い切れ無いな。核パルスエンジン付きの残骸も使っていない。比較的現実的なのは隠し持った戦略兵器を準備しているとか、だがそれでは全軍を差し向けるべきだが。

 

駄目だ、私ではバカの考えは分からない。急な戦略変化はピンクの独断しか無いが、何があいつを変えたんだ?

 

SIDE OUT

 

流石のロイも偶然は読み切れなかった。

 

L2とL5の丁度真ん中辺りでZAFT軍とソロモン軍が衝突した。ZAFTは一目で分かるように時間稼ぎをしている。

 

ロイはこの行動で戦略兵器を隠し持っていると考え、いざという時の為にネオ・オーブコロニーとソロモンの両方のボソンジャンプの準備をする。しかし、ロイの考えは外れた。

 

アーモリーコロニー群の残骸が地球に向かって動き始めたのだ。ZAFTの残りの全戦力はそれの護衛だった。ある意味ではこれも戦略兵器だが。

SIDE ロイ

 

くくくくくっ、ははははははっ、っ巫山戯んなっ!!

 

どいつもこいつも、地球壊すことしか考えないか!この世界は呪われてるのか?パトリックも、アズラエルも、ラクスも、カガリも、原作メインキャラは破壊しか考えてないなんぞ笑えすぎるだろ。それとも神が呪ったか?

 

 

 

あ〜やる気が全然起きない。それでもやらない訳には行かないんだよな。はあ。

 

SIDE OUT

 

やる気が無くなったのでロイはボソンジャンプでDX三機を転送し、瞬時に残骸と艦隊を消滅させた(エターナルは居なかった)。DXを回収し、ソロモンと戦闘していたZAFT軍も敗退した時、ロイは本国から嫌な知らせを受けた。

 

 

ちなみにラクスの作戦:地球がピンチ---->戦争どころじゃなくなる---->プラント存命。ツッコミはいりません。

 

 

SIDE ロイ

 

予想外だったな、あの二人が影響を受けるとは。大人数の同時死亡をニュータイプの能力が感じ取ったと言う訳か。ニュータイプ達の成長が早過ぎる。これは不味いな、もしコロニーでも崩壊したら死ぬんじゃないか?

 

戦争は一時中止だ。戦略を変えないと駄目だろう。プラントは既に戦力と呼べる位の力はないので、このまま帰っても問題はないだろう。経済使って封鎖でもすれば終わりかな?

 

SIDE OUT

 

観測された民間のニュータイプにも戦闘時に頭痛を訴える者が多数発生した。この由々しき事態に帰ったロイは国家重要人物と緊急会議を開く。

 

 

「ニュータイプ達の精神が攻撃?されている、何か対処法は無いか?」

大統領が早速始める。

「隔離するしかなかろう」

「今後戦争が起こる度に隔離するのか?」

「2万人程度なら問題ないと思うが?」

「今後はどんどん増える、根本的な対策が必要だ」

「いっそ我らが世界を管理するとか?」

「難しすぎるし、かかる金と労力も大き過ぎる」

「くっ、厄介な者だな、ニュータイプは」

「いや、ニュータイプなら武力による争いを終結させることが出来ると思わないか?」

「……それは」

「我々が相談しているのは対処法だ。他は後にしてくれ」

大統領が注意する。

「距離を置けばいいと思います」

ロイが発言する。

「!国を移動させるのか!?」

「ええ、根本的な解決方法はこれしかありません」

実際は精神を鍛えれば耐えられるが子供や赤ん坊は下手すると精神が崩壊するだろう。

「しかし、何処へ、どれくらい遠くへ行くんだ?」

「遠すぎると貿易に支障が出る」

「そこんとこどうなんだロイ?」

「実はウチでワープ技術を実用化しました。コストが膨大すぎるので頻繁には使えませんが(うそ)、一度だけ全コロニーを転移させるエネルギーを確保しています。距離は問題ありません」

ロイとコトー以外の全員が頭を抱えた。「この青狸が!」「内部調査はどうなってんの?」「\(^▽^@)ノ アハハ」とかをロイは全部スルーした。最後の方は病院へ直行しました。

「私はこの際、他次元に行くべきだと考えます、少なくとも戦争が完全に沈静化するまでは」

これには全員引き攣った。

「それは駄目だろう」

「地球から離れる必要はあるが、他国との交流も必要だ」

「と言うか出来るのか?」

「ソロモンでの実験をしました(うそ)。問題はないかと」

「何時そんな事やったんだ?」

「ネオ・オーブ建国前です。なんせ核兵器の自由転送さえ可能ですから、バレたら袋叩きですよ。とにかく安全性は保証します」

「うーむ、だが流石にそれは……」

「このままでは連合やプラントが外宇宙に進出するたびに我々はそのまま外に押し出されることになる。それは不愉快でしょう」

「だが地球を離れすぎる事に耐えられない人も居るだろう」

「エネルギーチャージはたった三ヶ月で完了します。つまり転移三ヶ月後には何時でも帰れる状態になるんです」

「……」

「……」

「この問題は後日また討論しよう、今はまずニュータイプ達の治療だ。それと大規模戦闘が起こる前に彼らを隔離する。脳波遮断施設の建設を急げ」

会議はそのまま終わった。

 

しかし、後日の会議は必要無くなった。プラントがまた隕石を掻き集めて核パルスエンジンを付け始めた事と連合が核ミサイル優先生産の情報でネオ・オーブの政治家達は神を呪った。これではどちらが勝ってもニュータイプの精神は崩壊する。もうこんな世界はこりごりなので彼らはロイの意見に賛成せざるを得なかった。

 

深宇宙での資源状況、輸送コストなどを考えれば他次元の地球の側に居るのが一番安心出来る。一応、自給自足はできるが非常事態に備えて資源が豊富な星が必要である。

 

国家転移プロジェクトの宣言と共にプラントの隕石落とし、連合の核配備、ニュータイプの現状、転移の帰還可能などを丁寧に説明したら、大多数の国民は理解した。元々開拓精神が旺盛な人達なので帰れると聞いてあっさり受け入れた。少数の離れたくない人は旧オーブ市に移ることになる。

 

それからはのネオ・オーブは忙しい日々だった。それはもうプラントと停戦する時間も惜しいくらいだ。国内の改造が一番手間がかかった。後は物資の溜め込みが主な内容だ。最低でも何も無い空間で3ヶ月使える資源が必要だ。

 

連合には邪魔するなと言っておいてアークエンジェルクルーを送還した。イザーク、ディアッカ、シホはプラントと停戦していないので捕虜のまま。

 

プラントの隕石は連合の全力核攻撃に防がれたが、連合は宇宙拠点を全て失ったので侵攻はまだ無理、ZAFTはキラとハイネの二人のおかげで回復の時間を得る。更に二人が拠点建設の妨害をするので連合の攻勢は遅い。

 

ロイは転移直後の攻撃を防ぐために、最凶のシステムを創り上げる。転移直後の位置が高速隕石の軌道上とかだったら笑うしか無い。

 

 

CPS(クロスゲート・パラダイム・システム)、別名時空因果律変動装置。限定空間の因果律を操り、内部世界を自由に構築する装置、つまり限定空間内では何でもできる。ロイは基本的に他人の意思を尊重するのでこれで大それたことをするわけではない。限定空間の最大範囲をネオ・オーブコロニーを囲える程にして通常時は自身の周囲でロイ自動的に害なす物を排除する。ついでにロイ特製PDAの機能も盛り込み、ボソンジャンプ演算装置への直接アクセスさえも可能にした。これでCCも要らなくなった。更に通信方法をボソンジャンプを利用した方法に変え、ボソン通信と呼ぶ事にした。CPSは極めて小さいチップなのでロイは脳内に埋め込んだ。

 

 

同時にロイは低機能CPSも作り、コトー、ミナ、ギナ、ステラに埋め込んだ(了承済み)。これらは通信、単体ボソンジャンプ、因果律による自動防衛の機能しかない、それでも明らかに充分だけど。

 

 

マリアは「私はあなたの妻です!」と言ってスカンジナビアよりもロイを選んだ。感動したロイであった。実はまだ結婚していないとか突っ込んじゃいけない。同時にマユとメイリンが役に立ちたい一心で猛勉強し始めた。マユは経済関連、メイリンは諜報関連だ。ロイが暇の時に教えてるので上達が超速い。

 

 

 

 

C.E 76

 

連合とプラントはまだ決着が着かないでいた。両方共ボロボロだが言い換えれば踏ん張ったほうが勝ちだ。取り敢えず旧オーブ市がこの世界でネオ・オーブを名乗ることに成り、PUは今後長い間世界での主導権を握るだろう。

 

連合は食糧支援を欲してネオ・オーブを引き止めようと努力するが、交換条件にプラント制圧とクライン派の消滅を要求された。

 

すごく無理だ。あらゆる観点からプラント殲滅は不可能、ラクス・クラインが戦艦で出てこなければ捕まえるのも不可能。このままプラントを倒して勝利する事は可能だが、不満を持つクライン派は本格的にテロ活動を開始すると思われる。プラントでの支持率を考えると核兵器さえ手に入れる事が可能だろう、これでL2コロニーへ攻撃でもされたら最悪だ。

 

総力戦の場合、士気を高めるためにラクス・クラインがエターナルで出てくる可能性は有るが、明らかに勝てない状況で出てくる事は無いだろう。

 

連合は2年を使ってもプラントを攻略出来ず、状況は泥沼に泥沼を重ね、グダグダと混乱も足してネオ・オーブは介入を諦めた。

 

 

ネオ・オーブコロニーはアルミューレ・リュミエールを展開し、ソーラーシステムをコロニーの間に設置する。更にロイがCPSをフルドライブしし、施設を守る。

 

準備は完了。実際には行き先を指定できるのだがここは未知の方が面白いと思ってランダムにした。一応他の星やコロニー至近には出ないようにしている。

 

 

同日、成立から4年の世界最強勢力がこの世から消えた。

 

 



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-------------------設定--------------------

クロスゲート・パラダイム・システムはそういう事にしておいて下さい。


-------------------設定--------------------

 

ロイ・サハク

主人公

ナチュラル

「人類が手に入れる可能のあるすべての知識」を持つ頭脳チート。思考能力はどっかの学園一位より高い。身体能力は普通。見た目のモデルは不二周助。

 

コトー・サハク

サハク家当主でロイの父。

ナチュラル

優秀な政治家と経営者。

 

ロンド・ギナ・サハクとロンド・ミナ・サハク

主人公の義理の兄と姉。

コーディネーター

政治と経済は普通だが軍人としては超一流。

 

ステラ・R・サハク

ロイの義姉。ヒロイン?

ナチュラル

最強のパイロット。優秀な軍人でもある。

 

マリア・スカンジナビア

ロイの婚約者。ヒロイン。

ナチュラル

天才政治家。見た目のモデルはFEのマリア姫。

 

メイリン・ホーク

ヒロイン?

コーディネーター

高い情報処理能力を持ち、諜報関係は任せられる。

 

マユ・アスカ

ヒロイン?

コーディネーター

ロイの教育によって経済についてはかなり優秀。

 

 

ネオ・オーブ

C.E72の5月5日に建国、22基のコロニーからなる宇宙国家。プラントを凌ぐ技術力を持つ。人口は約2億。軍事力は経済を無視すれば連合とZAFTに勝てるくらい(ソロモン抜き)。なお、あらゆる生産力が高い。

 

アメノミハシラ

ネオ・オーブ国軍が持つ宇宙要塞。

 

ソロモン

サハク家もといロイが持つ宇宙要塞。全てが機械で管理されており、ロイの私兵。ここにチート戦力が集まっている。同時にチートな生産力も備わっている。

 

 

 

 

 

 

 

ロイ特製クロスゲート・パラダイム・システム(独自解釈有り)

 

機能:

 

因果律操作:限定空間内での事象の自由操作。自由に使えるのはロイのみで基本的には大規模操作を使用しない。今はエネルギー確保と個人防護にのみ使う。

 

エネルギー:一応は無限。

 

個人防衛(本音は毒や洗脳系秘薬の対策):因果律操作で自分を中心に半径1m以内の有害物を自動で判別し、消去する。

 

ラムダ・ドライバ(擬似魔法):粒子にエネルギーを与える機構。使いこなせればかなり万能。

 

時間移動:本来ある機能であり、特に使おうとも思わない。

 

ボソンジャンプ演算装置へのアクセス:言うまでもないと思う。

 

ボソン通信:ソロモン経緯で本国へ通信、もしくはCPS同士で通信出来る。

 

通常コンピューターの機能も持つ。更に神経と直接つないだので全ての操作が脳で出来る。情報も直接脳へインプットする。

 

 




ヒロインは居ますが恋愛要素は殆ど有りません。


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まだ準備段階

転移後、最初に観測できたのは地球の直ぐ隣で回る星が二つ有る事だった。

 

心当たりがあり過ぎるロイは直ぐに観測機を発射し地球を見た。見事に文明を発見し、ネオ・オーブは大規模な観測を始める。同時に付近での資源衛星の捜索も始まる。

 

二週間後、大統領が会議を開く。

 

「では、諜報部の報告を頼む」

「はい。まずこの世界の大陸の形は我らの地球とかなり違います。ぶっちゃけ地球と呼びたくありません。そして文明ですが、こちらの地図を御覧ください。西ヨーロッパと少し似てる場所が中世レベル、半島と内陸を遮断した砂漠があり、建物だけを見れば約700年進んでいます。さらに東には砂漠の技術を追従したと思われる国がありました。ここ以外の場所は我らの地球と地形の差異が大きすぎてまだ命名さえしてませんが、総じて文明がありませんでした」

「……どうやったらこう発展するんだ?で、他には何か有るか?」

「あ〜、その、何というか。西ヨーロッパととなりの砂漠で、その〜、杖から炎とか水とか…」

「はっきり言ってくれてもいい」

「え〜、物語でよく見る魔法的な現象が確認されました。ついでに浮遊大陸も」

「……」

「……」

「……」

「何か反応が欲しいのですが」

「こほん。科学のオーバーテクノロジーかファンタジーかは判別できるか?」

「杖は生えてる木から造られてる事と、熱源がない事からファンタジータイプだと思われます」

「不気味すぎるな」

ここでロイが初めて発言する。

「私はその魔法の技術を取り込んでから転移すべきだと考えます」

低い技術力しか持たない此処でなら簡単に魔法を導入できる。目指すは才能に頼らない魔法技術。

「確かにそれには興味あるが、此処は不気味すぎる。地上ではどんな危険があるか分からない」

「限定人数を派遣すれば宜しいかと、勿論私も行きます」

「そこまでする必要が有るのか?」

「この様子だと将来行く世界に魔法がある可能性がある、先に対抗手段を研究するべきです。それに此処の科学技術は遅れているので我らの脅威になりえません」

「むう」

「経済も大事ですが、今後のことも考えれば魔法技術は必要です」

「成程…」

「この程度に未知を恐れてはネオ・オーブの繁栄は夢のまた夢です」

「確かに」

「何よりも面白い」

ロイは自分の考えが認められたと見て微笑んだ。

 

ネオ・オーブは魔法技術の研究を決定する。そして責任者にロイ・サハクを据えた。

 

 

 

ゼロ魔の世界だと分かったロイは、まず月開発を始める。同時に相転移エンジンで駆動し、フロートシステムで浮かぶ空中拠点の建造を開始する(大きさはアルビオンと同じくらい)。ロイがソロモンで作り、錬金術も使うのでだいたい二ヶ月で出来るだろう。本国では上に載せる物の準備をしている。この拠点には軍事基地を置き、輸送中間地点と観光地の役割も持つ。地上は色々危険なのでハルケギニアへの旅行は許可されない。

 

 

 

実力、時間、地位などを考えて、今回、直接地上に降りるのはロイ、ステラ、ギナ、マユ、メイリン、マリアの六人に決まった。後の三人はロイの教育によってそれぞれ経済、諜報、政治で屈指の実力を得た。ロイ以外の五人はロイに渡された資料でハルケギニアの言葉の勉強している。何故こんな物が有るかは聞いてはいけない。

 

ロイ以外にとって魔法は完全に未知なる物なので自分での警戒はほぼ不可能。それに未知のウイルスとかも怖いのでロイはマユ、メイリン、マリアにも低機能CPSを埋め込む、もちろん同意は得ている。

 

更なる詳細な観察結果により、ハルケギニアの様々な詳細な情報が集まる。ロイは全部知っているが。国境線、各国の政治体制、風習などの情報が次々に手に入る。

 

総合的に考えて、ロイは目的地をゲルマニアにする。ゲルマニアはどうやら先代皇帝が亡くなったばかりで色々と不安定だ。ロイはこの中に突っ込んで介入の糸口にする。

 

製造中の浮遊大陸はメタルベースと名づけられた。ロイは派遣戦力に色々注文を付ける。

 

コスト減少のため、持っていく戦力はフラッグとヒルドルブにする。円形のメタルベースの四方に使わなくなったヨルムンガンドを大気圏内用に改造して配置する。最後にNジャマー、ミノフスキー粒子、GN粒子などが無いので誘導ミサイルの配備だ。そのまま世界というかハルケギニア征服できる戦力だが目的は飽くまでも効率的に魔法技術を手に入れることだ。征服しても利益は無い。

 

遠海での資源探索基地の建設準備もある。魔法がある世界では未知の資源も期待できるだろう。

 

この世界で宇宙開発し過ぎたせいでネオ・オーブではダイヤモンド、宝石、などの値段が崩壊している、しかしハルケギニアでは違う。故に大量のダイヤモンドと宝石が資金源になった。二つの月の色が宝石の色だったとは、流石のロイもその目で見るまで信じられなかった。

 

貴族という身分は色々便利なので。貴族っぽい衣装を六人分作る。ついでに豪華すぎる杖を六本、それぞれに配り、ラムダ・ドライバを使って魔法に見せかける練習もする。

 

二ヶ月で一つの言語を覚えるなどあり得ないがそこはチート、ロイ・サハクの教授で可能になった。

 

なお、クロスゲート・パラダイム・システムだが。これを使えば欲しい物は直ぐに手に入る。しかしそれでは他の人に怪しまれるし、自分や周りのためにもならない。ロイは本当の緊急時以外では使わないつもりだ。

 

なんだかんだで忙しい二ヶ月が過ぎ、メタルベースの投入とロイ達の行動が始まる。

 

 



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まだ見て回るだけ

メタルベースはゲルマニア北西の海上に降りる。そして上の建物の建造の他に下に海上開発基地建造の準備もする。ロイ達六人は貴族っぽい服装で人が居ない海岸からゲルマニアに入る。

 

 

SIDE ロイ

 

空気がうまい、コロニーとは違って自然の空気はやはり違うな。

「それで、まずは何処へ向かうのだ?」(ギナ)

「当然まずは一番近い町だ」

衛星からの情報で付近に地形はバッチリだ。

「そこで金を調達し、更なる詳細の情報を手に入れる」

遠距離観察の情報は限度があるからな。

しかし馬車が欲しい。貴族が自分で荷物を持つのは可笑しいし、従者が居ないと馬鹿にされる。

 

SIDE OUT

 

 

ロイ達はそのまま付近の町で一部宝石を金に変えた。ロイの容赦ない交渉でかなりいい値段で売って更に付近の情報も聞き出した。

 

 

六人はその後付近の学者の家へ向かい、ハルケギニアの歴史、伝説などを聞く。貴族の三男で変わり者の学者はこの珍しいチャンスの自分を学問を存分に示した。顔には出てないが、ロイ以外の五人は6000年も変わらないハルケギニアに驚愕した。歴史、地理、文化、政治などの情報を充分手に入れたロイ達は満足して街の貴族用の最高級の宿に泊まる。

 

 

ちなみに店の料理が不味過ぎたのでロイが持ってきた調味料で女性陣が六人のご飯を作った。貴族ではバランス良くご飯を食べようと言った考えはないので、ひたすら油が多くて甘い肉料理が出てくる。そもそもこの時代では貴族は野菜は平民は食べるものだと考えている、それ故に金に困ってない貴族はとにかく肉を食べる。更に塩の生産量が少ないので滅多に食べられない。そして更に酒もマズイ。これは自分で作るしか無い。

 

なんだかんだ言ってロイ達はネオ・オーブで最高級料理を日常で食べてきたのだ。ハルケギニアの料理は口に合わない。幸いロイの知識は完璧で、女性陣の調理技術も充分だったので事なきを得た。

 

余談だが食事バランスなんて物を考えるコックのマルトーさんは時代の最先端を行ってると思う。

 

翌日、六人は大きな馬車を買う。荷物を載せてゲルマニア四公の一人、ブラントーム公爵領の最大の街に向かう。

 

ボソンジャンプで移動し、出発後三分で到着する。そして買い物だ。戦力を平均にするためにロイとマリア、ギナとメイリン、ステラとマユの三組に別れ、買い物をする。

 

SIDE マリア

 

この衛生状況は我慢出来ないわ!売ってるマジックアイテムはすごく興味ありますがそれ以外は最悪ね。

 

あれ?でもこれってロイ様とのデートになるのかしら?

 

………………………………………

 

そう考えると緊張してきました。しかし初めてのデートがこんな環境ではあんまりだわ。今度は本国で誘いましょう。

 

SIDE OUT

 

 

SIDE メイリン

 

ほ、惚れ薬ですか?

「ええ、お嬢ちゃん。これで好きな男はイチコロじゃよ」

これでロイ様と……………

「メイリン、買うのは構わんが、我が居るうちにそれをロイに使わせんぞ(まあ、効かんだろうが)」

微笑みながら甘い言葉を呟くロイ様……

「…はっ!これ買います!!」

「うむ、がんばるんじゃぞ」

「(聞いておらんなコイツ)」

 

SIDE OUT

 

SIDE ステラ

 

風石は間違いなく最重要調査対象ね。後は治療用のポーションかな?

「ステラさん!ステラさん!」

「なに?マユちゃん?」

「こんな物発見しました!」

魔法の拘束具?

「ドラゴンです、ドラゴンを飼いましょう!」

ありかもしれない、今度ロイに言ってみよう。

 

SIDE OUT

 

ロイはマリアを連れて路地裏に入り(顔を隠してます)、チンピラ相手に暴れる。色々突っかかってくる人をボコり、ほしい情報を聞き出した。そのまま目的の店へ向かう。

 

SIDE ロイ

 

あれ〜?この店、何故に不気味すぎる雰囲気?これではあからさまにヤバイ事やってますって言ってるようなもんじゃん。ま、入るか。

「ほう、珍しい客だな」

なのこのマッチョ?店の雰囲気と致命的に似合わない。

「洗脳薬を買いたい」

そう、洗脳薬だ。

「仮面をつけてるような怪しい奴に売る訳にはいかねえな」

「……」

「……」

「……」

「その呆れた視線をやめろ!確かに此処には怪しい客しか来ないがよ!」

「で、売ってもらえるんだろうな?」

「はいはい、取ってくるぜ」

「一番効果が強いのをな」

「たけーぞ」

「ふん」

ブルジョワっぽく金貨が入ってる袋をドンッとカウンターに置いた。

「成程…いいぜ」

 

何それ、紫の薬ってあからさま過ぎるだろ。

 

「ほらよ」

「これの効果はどうなんだ?」

「洗脳した状態が一週間続く」

駄目だな、弱すぎる。

「コイツの作り方を教えろ」

「おいおい、それは……」

ドンッともう一袋金を置く。

「…いいだろう」

 

 

 

成程ね。味も匂いも無いのでかなり使いやすいと言うことか。ふむ、これなら私が改造すればいいな。

「ついでに秘薬を幾つか買いたい」

「ほう、だが…」

ドンッと更に一袋金を置く。

「直ぐに持っ参ります!」

いい敬礼だ。

 

SIDE OUT

 

夜、大量の皆さんが街一番高級な宿に泊まる。そして今後の方針をロイが話した。

 

翌日の午前、ロイは洗脳薬を改造し、ギナはブラントーム公爵邸の周りの地図を確認している。女性陣はまとまってお出かけだ。

 

午後、帰ってきた女性陣は休む。ロイとギナは夜の行動の作戦のを練る。危ない仕事は男のやることです。ほぼ同時刻、ロイの要請でメタルベースから航空機が一機ブラントーム領へ発進する。

 

 

 

 

 

ハルケギニアでは電灯と言うものがない。魔法のランプや蝋燭、油ランプはあるが、大量生産出来ないここでは値段が高い、つまり夜の明かりは貴重だと言うことだ。それは貴族にとっても同じだ。間違っても夜間警備のために屋敷を外まで明るく照らすなんてあり得ない。もちろん重要人物、例えば国王が屋敷へ来るときは明かりを使っての警備をするが、平常時の衛兵は自分の周囲しか見えない状態での警備をする。

 

しかし、もし“運悪く”雨なんかが降ったりしたら警備は困難を極めるだろう。更に雨宿りする衛兵では対空警戒など出来るはずがなかった。

 

 

この日、ブラントーム公爵邸は突然の暴雨に襲われた。衛兵が愚痴ってる時に、杖を持たない黒ずくめの人が二人、空から公爵邸へ侵入する。

 

 



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王への最短距離

ロイが行った店
->領主と繋がりがある店。公然の秘密となっている。
メイリンが行った店
->効果は薄いが惚れ薬は本物。何故こうも簡単に売ってるかと言うと、後継者争いで治安が悪いから。



突然だが、ロイが作ったCPSにはラムダ・ドライバ機構がある。これは物質に物理エネルギーを与える装置であり、分かりやすく考えれば力場生成やベクトル操作と同じ効果を出せる。使いこなせばどっかの学園一位見たいな事ができるだろう。

 

今、ロイが周囲の空気を一層だけ固定して音を遮断している。ついでに周りの空気の密度も操作して屈折率を変える、これでロイとギナは見えなくなった。

「よもや空から侵入する時代になったとはな」

「いやいや。兄さんそれ違う」

「防衛の知識と経験が通用しないんだ。愚痴りたくも成る」

「ウチ以外でこんな事出来る奴居ないから大丈夫だって」

「はあ〜。で、洗脳するのはここの公爵か?」

ロイが持つ洗脳薬を見て聞く。

「ああ、時間かかったけど、薬の効果は保証する。効果は最低でも2年続く」

「しかし、この国の貴族全員を洗脳するのか?」

「それはめんどくさい。洗脳するのは此処の主の一人で充分だ」

「ん?そうなのか?」

「一人なら兎も角、洗脳する人数が多すぎると気付かれやすい」

「まあ、そこら辺はお前の得意分野だからは任せる」

「オーケー、じゃあそろそろ銃を準備して。二つ先の部屋が奴の執務室だ」

「分かった」

 

 

部屋の前でギナを銃を準備する。

「突入後、私が直ぐに音を遮断するから兄さんは杖を取られないようにして」

「了解した」

「では…1…2…3!」

鍵がかかってないドアから入り、ロイは直ぐに音を遮断、ギナを銃を構える。

「こんばんは、公爵」

慣れた感じでロイが挨拶する。

「ふむ、何のようだ?侵入者が」

杖を持ってないと見て、公爵は落ち着く。拳銃を知らないのは彼にとって幸運だったかも知れない。

「我らに従ってもらいますよ」

「ふん、私が誰だか分かってやってるのか?」

これにロイはニヤリと笑う。

「どうでもいいですね。貴方の領地はゲルマニアごと貰っていきます」

ロイはそう言うと、公爵の周りから酸素だけを退かした。公爵は直ぐに気絶した。ロイは酸素を戻し、公爵に洗脳薬を飲ませ。起きてぼーっとする公爵の洗脳を開始する。

 

 

 

 

 

 

夜明け前になって、ロイとギナは漸く細かい洗脳を終了した。そのまま宿へ帰り、休む。女性陣は今日も買い物だ。

 

 

 

更に翌日、六人は公爵邸へ向かう、馬車を使って。

屋敷に到着した六人は物凄く歓迎された、それはもう公爵本人の帰還以上に。

 

 

公爵が唐突にマリアを自分の娘(死亡)と前王の間に出来た娘だと発表する。当然ロイの指示だ。これで王位争奪はかなり荒れると思うかも知れないが、実はそうでもない。高い継承権を持つ人間が8人も居るので、既にドロドロな状態なのだ。今更一人増えたってあんまり変わらない。公爵の影響力はそれなりにあるが、それは西に限定されている。事前工作もないので王位につける可能性も低い。

 

 

ロイの細かい洗脳は配下に公爵に違和感を感じさせなかった。表向きの理由も教えたのでこの動きに疑問を持つ者は居なかった。

 

 

ここで、六人はそれぞれの仕事を始める。ロイは海の開発基地へ向かい、そこの指揮をする。どうやら陸近くの海底で風石が見つかったらしい。マリアは連日パーティーで人材捜索、ステラはその護衛。マユとメイリン、ギナは公爵邸の図書室でゲルマニアを更に詳しく勉強する。特にマリアの負担が大きいがいい経験になる為そこは頑張ってもらった。

 

海底で発見された風石はそのまま陸につながってる。量が多いので遠慮無く採掘させてもらった。メタルベースに小型マスドライバーが未だ建設中なので本国へ運ぶのはまだ先だが、それでもエネルギー資源には代わりない、使い道はいくらでもある。ロイは既に多数のマジックアイテムを本国へ送った、研究はすでに開始されてる。

 

地下の風石の分布を知るために、海上基地から削岩機が陸へ発進される。高い技術で造られたそれを使えばハルケギニアの地下を調べるのにそう時間はかからないだろう。

 

二ヶ月ぐらいでマリアは公爵と関係が深い人物と全員会った。そして使える人物の選定も終わっている。ロイと比べれば幾らかは失敗があるが、まあ、ネオ・オーブじゃ無いのでこの程度のミスは問題ない。

 

ギナとマユ、メイリンが各自担当の内容を学び終えた頃、各陣営の主要人物が暗殺や幽閉される事件が多発する。そろそろ潮時と考えて。ロイ達は一端本国へ戻る。

 

本国へ帰還したロイ達は久しぶりの最高級の料理に楽しんだ後、あちこちで遊びまわった。ハルケギニアの娯楽は余りにも少ない。そして生活は不便で飯は口に合わない。この由々しき事態にロイは運べる独立した屋敷を注文した。太陽光発電施設、汚水処理施設、防衛システムを完備した屋敷だ。

 

ほぼ同時刻、ゲルマニアは大変な事になっていた。とある王子が政敵、親戚などを纏めて監禁し始めた。その中にはゲルマニア四公も含まれる。後にアルブレヒト3世と呼ばれた男は敵に反撃の時間を与えないまま全員幽閉した。流石に全員殺すのは政治的にマズイのでやめたようだが、それでも国内は大混乱だ。しかし内戦に発展していないだけでもよかったかも知れない。

 

彼は四公や政敵を幽閉し、領地を奪い取る。そして爵位と手に入れた領地をセットで売渡し、今後の資金にするつもりだった。入念な準備がされたのだろう、幽閉から即位宣言、即位式典は一ヶ月もかからなかった。

 

しかし、ここでロイが動かないわけがなく。アルブレヒト3世の即位式典後、メタルベースから巡航ミサイルを発射する。誘導兵器が使えるハルケギニアでそれは正確に幽閉先に命中した。

 

 



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戦闘まで

謎の爆発はアルブレヒト3世がやったとの考えられた。本人にはまったく身に覚えがないが。そしてこの件で貴族の間でまた混乱が起きる。ある者は明日は我が身かもしれないと考えてアルブレヒト3世に反発しようとし、またある者はこれ幸いとばかりにアルブレヒト3世に取り入る。

 

 

重要人物が幽閉されてるのは人質にとれてると同意義だ。だからこそ反発は簡単に収まったのだ。彼らが亡くなった今、一部反対派は動けるようになるが、リーダーが居ない。ちなみにアルブレヒト3世が何故こいつらも纏めて幽閉、もしくは粛清しなかったのかと言うと、数が多すぎて、纏めていなくなるとメイジ数的にゲルマニアの統治に障害が出るからだ。

 

 

そんな中、現れたのが前王王女として知られたマリアだ。全くの嘘だけど。ロイ達六人は短いバカンスを経てハルケギニアへ帰ってきた。時期は熟し、彼らも王位争奪戦に参加する。

 

 

ひょっこり現れた王女で、それが真実だと証明するのは既に死んだブラントーム公爵の言葉のみ。怪しすぎるが同時にそれを否定する材料もない。重要人物を幽閉され、丁度担ぎ上げる人物が欲しかった反対派はマリアを主君として祭り上げる。

 

 

されどやはりアルブレヒト3世を支持する貴族の方が多い。マリアを支持していて、かつ動けるのは殆どがブラントーム公爵の影響が強い西方面の貴族のみ。他の反皇帝派は周りに皇帝派の貴族が多く、動けない。

 

 

皇帝は親族を素早く攫い、幽閉した前例があるので今回は警備を強化した。

 

 

暗殺、誘拐などが不可能と悟ったアルブレヒト3世は軍事力を使うしか無かった。かなり優秀な彼は内戦がどれだけゲルマニアを傷つけるかを分かっていたが王権には変えられない。一回で戦争を終わらせるために東と北の諸侯から兵を集める。南はトリスティンとガリアの侵略を防ぐために動けない。それでも兵員数は4対1になる。

 

圧倒的な敵数に対し、マリア軍では寝返る貴族が続出するが、ロイ達は気にしない。彼らの対応も相まって、戦力差は更に開き9対1にまでなる。残った者はブラントーム公爵に恩がある者やアルブレヒト3世とどうしても相容れない者達だ。つまり彼らは裏切らない。

 

 

ハルケギニアは常備軍が無い。トリスティンは三つの魔法衛士隊、ガリアは四つの花壇騎士団、ロマリアは聖堂騎士団のみが普段自由に使える戦力だ。故に戦争するときは主戦力が傭兵になる。その為、マリアも傭兵を雇う必要があるが、マリアはそれに条件を付ける。「皇帝軍の3倍の報酬を出すが略奪を禁止する」と言う内容だ。当然、略奪の禁止はマリア軍の貴族も同じだ。これによりマリア軍には変人が集まる、使えるのならば問題はない。徴兵された者と合わせても数は5000しか無いが。

 

 

 

流石のロイでも9倍の敵を打ち破るには時間がかかる。そして今はそんな時間がない、内戦が長引けば確実にガリアが介入してくるだろう。と言うわけでロイはメタルベースから援軍を要請する。内容はオーバーフラッグ15機。いつも通りに過剰戦力だった。

 

 

首都ウインドボナ(中央)と国土の80%(西以外)は皇帝に抑えられている。故に皇帝軍の資金は潤沢だ。だがマリア軍は貧窮している訳ではない。兵数が少ない事もあるし、何よりネオ・オーブ本国から送られてくる宇宙で採掘された宝石がある。使い過ぎると価値が下がるが、5000人分位なら大丈夫だろうと考えて各員には実用性が高い武器が与えられた。3倍の給料を約束しているのに与える装備も敵の三倍マシと言うのは色々な憶測を呼ぶ。たまに装備だけ貰って脱走しようとする傭兵も居たがメイジ比率が高いのでメイジによる監視が厳しくて脱走できない。装備を返せば帰ってもいいと言ったのでそういう奴らは残らない。何が言いたいのかというとマリア軍の待遇は最高だと言うことだ。

 

それだけでなく、人工衛星からの情報で皇帝軍の動きは全て筒抜けである。ステラとギナが精鋭部隊を連れて敵輸送を妨害し、物資を大量に奪う。皇帝軍は討伐隊を派遣するもそれさえも翻弄されて撃破される。皇帝のストレスは溜まる一方である。

 

同じ頃、トリスティンではバカが大量発生していた。「内戦に付けこんで野蛮なるゲルマニアを滅びすべし!」と叫ぶ貴族が多く、戦を良く知る王とマザリーニは頭を抱えた。ゲルマニアを本気で倒すにはまず南の貴族たちを相手にしなければならない、更にマリア軍と皇帝軍の両方を撃破する必要がある。マリアは分からないがアルブレヒト3世は間違いなく優秀な皇帝だ。現在の状況を見ても彼が勝つと思われる。“英雄王”と呼ばれたフィリップ3世が居ればなんとか戦争になるかもしれないが。ゲルマニア内戦終了後にゲルマニアとトリスティンが全面戦争なんて二人とも考えたくもない、もしそうなったらガリアもトリスティンに攻めて来るだろう。しかし何よりも伝統と歴史を重視するトリスティン貴族の中にはこれを理解できないバカが多かった。

 

 

ガリアの実力でなら内戦に介入し、幾許かの土地を手に入れる事が出来たが。しかし運悪く嫌な噂が出回った事でこのチャンスを逃した。最初は些細な事だった。王が胸痛で水メイジを呼んだ。それをメイドが知り、面白半分で他のメイドに教えた。平均寿命が短いハルケギニアでは高齢な王は「もうだめかもしれない」と思われた。その為二人の王子の後継者争いが水面下で始まる。王は否定したが、公の場でも王が痛みを堪えてるのが分かり、信じた者は少なかった。実際にはガリア王は不治の病にかかっておりこれからゆっくりと悪化していく。

 

ロマリアは地理的に軍事介入は無理、戦場に向かう度胸のある神官も居なかったので密偵を増やしただけに終わった。

 

アルビオンはわれ関せずを貫き通している。

 

ゲルマニアの内戦は他国の介入無しで進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーバーフラッグ

 

フラッグの性能を上げてフロートユニットを追加してできた機体。航続距離が物凄く長いない。それ以外はなにも変わらない。

 

武装:

頭部バルカン*2

ビームガン*2




介入前の貴族支持率:
アルブレヒト3世:35%
他:55%
中立:10%

現在:
アルブレヒト3世:65%
他:15%
中立:20%



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戦争はさっさと終わらせるに限る

二つの軍が平原で対峙する。ここは大軍を使うのに有利な地形だ。皇帝も今は安心している、補給部隊を散々叩かれ、ここまで持ってくるのは苦労したが、後は突撃するだけで終わると思っている。だが、流石にMSが現れるのは予測出来無かった。

 

SIDE ロイ

 

壮観だな。目の前の4万5千の兵が集まっている(敵)。C.Eじゃあそこにミサイルぶち込めば全滅なので人間のみで構成された大軍は見たことがない。統制が上手く取れてないのはどちらも同じか、どうせ突撃命令を出したら指揮なんてほぼ伝わらないだろう。

 

 

『サハク将軍、派遣軍の第三MS中隊のナカムラ一佐です』

時間通りか。

『ナカムラ一佐、現在地は?』

『将軍の上空15km辺りで停止しています』

『ではこちらの声も聞こえるようにするので、マリアの演出に合わせて降りてくれ』

『了解。配置はどうしますか?』

『マリアを中心に左右に各7機を並べろ。隊長機はマリアの後ろだ』

『敵は全部攻撃しますか?』

『まずは皇帝を最初に撃て、次に指揮官の貴族とドラゴン、その次に動きがやたらいい傭兵部隊と魔法使いだ。撤退する徴兵された兵士は攻撃するな。それと飛行形態への変形はするな』

『了解』

 

脳内通信は初めてだが中々便利だ。特に他人に聞かれると不味い環境下では使える。

 

 

「マリア、準備は完了した。演説を初めてくれ」

「分かったわ」

 

そろそろ開始しないと晩ご飯までに終わらないな。

 

SIDE OUT

 

 

「諸君!敵兵力は我らの九倍であり、メイジ数は我らの4倍だ!」

高性能な小型マイクを使って自軍全体に聞こえるように話す。これだけでも充分神秘感を出せる。

「しかし!勝つのは我らだ!何故なら私が正当なる後継者であり、天は我らに味方するであろう」

これは言ってるマリアが一番信じてない。

「その証拠に我がゴーレムを見よ!」

マリアが詠唱するふりして、杖を振る。すると空から現れたのは20メイル前後のデカイゴーレム(らしき物)だ。この大きさのゴーレムなら土のトライアングルでも作れる。しかし空は飛ぶし、機動性が高い、形は洗練されていて、更に装甲が光を反射している。無骨でノロマの土ゴーレムとは全く違う。何よりこの大きさのゴーレムを15体作る実力はとんでも無い……と思われている。

「さあ、我がゴーレムに続け!」

理論が無茶苦茶だが強ければ問題なし。

(ナカムラ一佐、攻撃開始だ)

(『了解』)

 

裏でも攻撃命令が出される。

 

 

 

まず。隊長機の最初に一撃で一番派手な服着てた敵(皇帝)が消滅した。更に空中からの一方的な攻撃に手も足も出ない。

 

 

こちらのフネと竜騎士が居ないのを知ってて、皇帝も最低限の竜騎士しか連れて来ていない。その数は15だが、彼らは真っ先に逃げて行った。初撃で最高指揮官が撃破されたのはショックだったのだろう、皇帝軍は兵力で圧倒しているにも関わらず、逃げようとする者と戦おうとする者に別れた。それらが足を引っ張り合い、何も出来無い。

 

 

マリア軍兵士は引きつった顔で敵陣を見ていた。これは酷い。一方的もここまで来ると戦争にならない。それにあそこの突っ込むのは巻き込まれそうなので行きたくない。15分位して、フラッグは上空に去っていった。既に有力の部隊は壊滅している、未だ戦うのは極僅かの殿だ。

 

 

結論から言うとマリア軍の相手は殿だった。だれかが叩ききれなかった傭兵達を掻き集めて殿にしたようだ。余程職業倫理がしっかりしているのか、それともバカなのかは分からないが、とにかく彼らは逃げなかった。

 

 

マリア軍はそのままウインドボナまで迅速に進軍し。首都を占拠する。そして直ぐに女王即位を宣言し、更に国名を帝政ゲルマニアからゲルマニア王国に変える。中立派はこれに従い、合わせて壊滅した皇帝派を一掃する。ゲルマニア王国に改名したので一応これでゲルマニアも他の国と同等と言う事になる。ブリミル教の者が煩かったが、全部無視した。

 

 

ゲルマニアの状況は最悪だった。前王が無くなってからは後継者が溢れ出し、ブリミルの血と言う絶対的基準は無く、歴史も浅いので王という物の力は弱い。何よりも権力争いに熱中する者が多く、領地経営に精を出す貴族は少ない、街の治安はダントツで最悪だった。これが大国でなければ直ぐに滅んだだろう。これを立て直すのは苦労するだろう。歴史という物は意外と役に立つ物である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

15機のMSは全部マリアが「ユビキタス」と「クリエイト・ゴーレム」を合わせた新たな魔法で作ったゴーレムと思われている、よく考えると空から登場したとか色々疑問があるがそれよりもその強さは規格外だった。

 

トリステイン王とマザリーニは一番の被害者だ。長い間ゲルマニアと小競り合いを起こしたトリスティンはMS隊の攻撃の最有力候補だ。今後しばらく、トリスティンは女王マリアの機嫌を取るために貴重なマジックアイテムを幾つも渡した。また、「あんな危険な者を持つ野蛮人どもは直ぐに滅ぼすべきだ!」とか言うバカもいるが。

 

 

ガリアはハルケギニア最大国家だけあってそれ程脅威に感じていなかった。先の戦闘でMS隊は15分しか攻撃していない。これは女王マリアの精神力は15分しか維持できないと考えられてるが、実際は混戦時に味方殺しをしない為である。事実はともかく、15分耐えればいいと考えたガリア軍部は安心している。トリスティンでは無理だがガリアの国力をもってすれば15分なら耐えられるからだ。彼らはそのまま後継者争いを続ける。

 

 

アルビオンは依然とわれ関せずを貫き通している。彼らは空は安全と考えているようだ。

 

 

ロマリアも困っている。ブリミルの子孫では無いが故に王ではなく皇帝を名乗っていたゲルマニア人がブリミル教を無視して自ら王を名乗った。これはブリミル教の権威を傷つける行為だ。トリスティンとアルビオンでは軍事的にゲルマニアの脅威にならないし、頼りのガリアは戦える状況ではない。何よりもMSのインパクトが凄まじかった。内部崩壊させようにも、内戦が終了した現在の平民にそんな余裕があるわけ無く、ゲルマニア貴族への影響力は足りない。今は「認めない」と宣言する以外なにも出来なかった。

 

 

なお、この戦争はエルフ達にも知られたが、精霊の力に絶対的な自信を持つ彼らはMSを土メイジと風メイジの合作としか考えていない。流石のエルフでもMSが科学の産物だと考えられなかったようだ。エルフは依然として人間の国とは接触しない。

 

 

ネオ・オーブの転移から一年。ロイ・サハク以下六人は自然にハルケギニアに入り込み。マリア・スカンジナビアを女王としてゲルマニアを乗っ取り、ハルケギニアにて無視できない影響力を持つ事になる。メタルベースでは小型マスドライバーが完成し、ネオ・オーブ本国ではマジックアイテムの早期研究が終わり、本格的かつ大規模な研究の準備が始まる。

 

 



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歴史が無いなら作ればいい

SIDE ロイ

 

さて、これでゲルマニアは手に入ったも当然だが。また忙しくなるのか、はあ。

 

取り敢えず、政務と貴族関連はマリア、経済と開発はマユ、諜報と裏仕事管理はメイリンに担当させよう。国家統治の良い訓練になるし、私は本業があるからな。謀略にノリ過ぎて危うく本来の目的を忘れるところだった。

 

で、ステラとギナは軍担当、私はマジックアイテムなどの収集か。

 

まあ、別に貴族による統治を滅ぼす必要とかもないな。ネオ・オーブじゃ無いんだし、そこまでやってやる義理もない。それに議会制なんて無理だし。知能が低いので、平民がそれを上手く理解出来ないだろう。

 

まずはゲルマニアの安定した統治だ。利用させてもらってる身だから全体的に改善しておこう。マリアの実力なら問題ないだろう、参考になる歴史情報も十分あるのだし。

 

マジックアイテムだが、まずは穏便に金で買うとしよう。まあ、金で買えない物を手に入れる為に私が居るわけだが。

 

 

資金源はどうする?宝石はばら撒き過ぎると価値が下がるし、他国に変な警戒をされる可能性もある。別のなにかハルケギニアでは貴重であり、ネオ・オーブで簡単に手に入る物……武器だな。

 

 

確か…ハルケギニアの平民の一年で使う金は大体120エキュー。そしてとあるボロ剣が在庫処分と言わんばかりに新金貨100枚で売られて事が有ったな、多分未来だけど。うん、これだ。

 

軍需産業の発展に問題を残すが、まあ、ここハルケギニアだし。ゲルマニアのインフラ整備にも協力するからいいと言う事で。代わりに防具の競争が激しくなるだろう。今後の武器職人は整備が主な仕事になる筈だ。量が多くなる予定なので生計には問題ない。

 

 

重要なのはメイジの血筋だが、これは調査する必要があるのだろうか?この情報は魅力的すぎるので恐らく隠しきれないだろう。個人的にコーディネーターがターミネーターに進化するのは嫌だ。将来的に魔法使いの才能は必要だろうが、今はまだ早すぎる、今は四つの種族で精一杯だ。魔法使いの遺伝子パターンは知識に有る、将来導入する時の問題はない、が、これは私に一存で決めていい事じゃない、本国で検討する必要があるな。

 

 

で、ある意味最も厄介なブリミル教。モラル維持の為に潰す訳には行かないが、内政に干渉されるのも耐えられない。聖戦の悪影響で出来てしまった国がゲルマニアだ。元からブリミル教の影響は弱いほうだが、これ以上弱まるのもマズイ。ゲルマニアに派遣された枢機卿は......恐らく賄賂は通用しないだろうな。ロマリアもこの微妙な状況で影響を失わないようにまともな人物を派遣するだろう。ならば洗脳sって駄目だ、便利すぎてどうも手段が傾く。ならば各事業でブリミルを宣伝しよう。ただし、ゲルマニアの下として。「女王主導の〜〜はブリミル教の手伝いもあって〜〜」てな感じで。ついでに色々手伝ってもらえばいい。ブリミルが救いを与えるなら女王はパンとサーカスを与えよう。後は情報操作に気を付ければ大した問題は無くなる筈。相手が強硬手段を取るならマリアを神に仕立て上げて新たな宗教を創ってやろうじゃないか。流石にそれは最終手段だな。

 

 

しかし、ガリアは後継者争い中で、トリスティンは名前も聞いたことがない王が統治している、アンリエッタの親か?そしてロマニアの教皇は聖エイジス“31”世。本当に何時なんだ今?あのラノベにそう言った情報はなかったと思う。

 

 

仕方ない、ここはテンプレ通りにルイズの年齢を調べてみよう。

 

SIDE OUT

 

 

ネオ・オーブでの検討の結果、メイジの遺伝子調査は見送られる事となった。コーディネーターと言う制御し切れなかった前例があったので慎重に行かなくてはならない。

 

 

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール改めラ・ヴァリエール家の三女は存在していた。ただし現在5歳。

 

 

 

 

即位後のマリアは色々ハルケギニアでは考えられない行動をする。自軍の3000人の傭兵を常備軍にすると言い出したのだ。生産力が低いハルケギニアではあり得ない考えだがロイの資金援助(武器販売)もあるし、最終的に足りなければ食料はネオ・オーブから運べばいいのでこれは実行された。

 

そして編成された軍は先の内戦で増えた山賊などの退治に回される。戦闘では傭兵と貴族を優先敵に攻撃したが、やはりこう言った物は避けられない。国内情勢を鑑みて完全に沈静化するまでは数年かかるだろう。もっとも退治しなければ増える一方だが。

 

 

軍は首都の外に駐屯するので基地を作らねばならない。そこら辺は土メイジを動員すれば直ぐだ。そして使わなくなった練兵場を改造し、ネオ・オーブから特注の屋敷を固定した。女王の屋敷が一晩で現れた事は女王の土魔法であると周りは好意的に解釈した。ロイ達は漸くマシな生活を手にいれたのだ。一応本国のネットにも繋いでて情報捜索とかチャットとかも出来る。通常の警備システムに加えて、屋敷の周りはAMFを展開しています(ロイ製)。ちなみにAMFの研究は本国ではまだ理論も出来ていない。

 

 

ネオ・オーブでは適当に要らなくてそれなりに硬い金属で構成された資源衛星から剣、槍、ナイフ、斧などの生産を始めた。比べ物にならない技術差は武器の質にも現れる、それがハルケギニアを震撼させるのはそう遠くはない。

 

 

メタルベースのマスドライバーが完成したので本格的な大規模輸送が可能になった。ロイ達がこれまで買ったマジックアイテムと採掘された風石が次々に本国へ運ばれていく。ネオ・オーブでは新たなるマッドが増え続け、旧来のマッド達と組み合わさってどんな化学反応を起こすかロイさえ分からなくなっている。

 

 

北と東の貴族は先の戦闘でボロボロだ。全員が必勝の戦いだと勘違いして功を焦った結果ぼろ負けした訳だ。しかし南は金を出しただけで軍の派遣はない。戦闘後、即座に忠誠を誓っていると言ったが信じられるわけがなく、南のゲルマニア貴族は毎日王のご機嫌取りに悩んでるだろう。

 

 

当然、それらをスルーする訳も無く、マリアは処罰を下し、南の貴族は大打撃を受けたわけだが。リストにある一つの貴族、ツェルプストーだけは何故か金や土地の処罰を免れている。

 

 

 

 

 

SIDE ロイ

 

 

ツェルプストー、少なくとも現当主は有能だろう。伯爵であり土地は対面の公爵家より少ない。更に敵には化物カリンも居るのにちゃんと引かずに防衛できた事もそうだし、原作では飛行船の制作資金も出したんだったな。新しい思想を取り込むという考えは他の貴族より強い、そして人を見る目もある、使える人材だ。それに今ツェルプストーが弱まればトリスティンがまたバカをやらかしそうで面倒だ。

 

 

しかし、皇帝を支持したので処罰無しは無理だ。どうするか?

 

 

そういえば使える奴がもう一人居たな。

 

 

SIDE OUT

 

 

ツェルプストー家からキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー(6歳)が王宮で働くことになった。そしてツェルプストー家にそれ以上の処罰は無い、表向きだが。実際はツェルプストー領がトリスティン、特にラ・ヴァリエール領と隣接してるのが原因でロイに容赦なくこき使われる未来があるのだが、被害がただ一人の胃に集中してるのでツェルプストー家は女王のお気に入りと言う噂が広まる。

 

 

キュルケをロイが他の五人に紹介した時、女性陣は一瞬ロイの趣味を疑ったが、ロイは自分は関わらないから女性陣に世話して欲しいと言った。ロイは人に物事を教える事を実体験込みで学んで欲しかっただけだが、女性陣は「子育ての練習!?」と勘違いして精力的に教える事になる。

 




断じてヒロイン追加ではありません。


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どんなにチートでも人間だ

戦争や後継者争いで多数の貴族が亡くなった。当然その領地は残される。もしそれらを全部王領にするとゲルマニアの六割を王が所有するので貴族らは自分たちの影響力を確保するためにもそれは避けたい。原作ではアルブレヒト3世はその土地を売ることで貴族の反対を抑え、更には莫大な資金を得た。しかし、マリアはマユ、メイリン、ギナ、ステラに公爵位を与え元四公の土地も与える。各地の名前はアスカ領、ホーク領、サハク領、ルーシェ領に変えた。ロイは動き易くするためロンド・ギナ・サハク伯の弟とした。ちなみにこの六人は親戚で、マリアのみが王家の血を継いでると言うのが発表した設定だ。

 

これがトリステインなら始祖の血筋じゃ無いとかなんとかで揉めただろうがゲルマニアでは違う。王の血縁者で有るならば大体問題ない。

 

原作を見ても分かると思うがガリア然り、アルビオン然り、兄弟でも争うのは日常茶飯事なのでゲルマニア貴族は六人を分離出来れば女王の影響力を削げれると考えていた。しかし、実情では合わせてゲルマニアの半分にも及ぶ土地は統一管理される。ゲルマニア中央で副人数によるNAISEIチートが始まる。

 

補足説明だが、王都と王領がゲルマニア中央に有り、四公領はその四方に繋がっている。

 

見た目から髪の色まで色々違う彼らが親戚だと認められたのは女王の言葉以外にも魔法の才能が同じなのが原因だ。ハルケギニアの魔法は小さな粒、つまり分子や原子への干渉が根だと伝えられる、それならば粒子干渉が原理ののラムダ・ドライバが実現できないはずが無い。しかし、ラムダ・ドライバでそれらを実現するには膨大な計算と緻密な操作がいる。そこでロイは各魔法の実現方法プログラム化して全員の脳内CPSへ送った。プログラムを起動すればラムダ・ドライバが予め設定した通りに各粒子へ干渉し、決まった現象を創りだ出す。これで四系統だけでなく虚無魔法も一部実現できた。

 

 

風魔法は空気を操作し、土魔法は土を操作する、炎は空気分子を分解して発生させて、水魔法は水分子を操作するだけでなく人体操作までする。プログラムの量は膨大だが頭脳チートの敵ではなかった。ちなみに魔法の大きさ、規模、強さなどは操作できる。しかし、偏在や固定化などの魔法は実現できなかった。偏在は操作ではなく自律行動の点が明らかに風の領域を出てるし(自律行動以外は可能)、固定化は魔力を纏わせる事によって形状を固定する魔法なのでラムダ・ドライバでは力場を離れたままでは維持できない。しかし、六人全員が全系統スクゥエア越えしてるのはハルケギニアの人から見れば血としか言いようが無かった。ちなみに錬金魔法は応用性ではロイの錬金術を超えていたりする。

 

 

 

他の五人が忙しく働いてる頃、ロイは直ぐ暇になった。なにせやることはネオ・オーブから武器を倉庫へボソンジャンプ商人使って売らせる商人使ってマジックアイテム買う倉庫に入れてネオ・オーブへジャンプする。つまりロイはただの仲介だ。暇になったロイは自分で魔法研究を開始すると共に更に多くのマジックアイテムを買えるように動く。

 

 

SIDE ツェルプストー伯

 

キュルケを王宮へ送ってから半年が経った。当初は断腸の思いだったが意外といい、と言うかあり得ないほど良い待遇でよく育ってる。休みには帰って顔を見せてくれるし、私でも知らない知識を教えてくれたりする。当時皇帝に着いた我が家に何故ここまで良くしてくれるかが分からない。

 

風の噂ではサハク公の弟のお陰でツェルプストーは生き残った。本当に彼らは何を考えてるのかが分からない。しかし、この国は確実に豊かになりつつ有る。

 

 

私がこうやってこうやって紅茶を飲めるのも

「やあ」

ぶふーっ!

ロイ・サハク!?何処から現れたんだ!?ここ屋敷の最深部だけど!?いや、今はそれよりも

「お、お久しぶりです。ロイ様」

落ち着け、落ち着くんだ!ここで無礼などしたらツェルプストーが終わる。噂ではこの方は女王陛下の婚約者なんだぞ!

「ああ、伯爵も変わりないようで安心したよ」

ビビって死ぬ処だったよ!

「そ、それで今日はどの様な御要件で?」

どうやって来たかは聞いては駄目なんだろうな。

「伯爵はトリスティンで最も名高いメイジをご存知か?」

最強じゃなくて名高い?それだと

「元マンティコア隊の烈風のカリンでしょうね。事実ならともかく名だけを見ると“彼”かと」

実際はお隣りの奥さんだが。

「成程、で“彼女”の居場所は分かっていますか?」

知ってんのかよ!?

「ラ・ヴァリエール家のカリーヌ・デジレ・ド・マイヤール公爵夫人だと思われます」

何するつもりだ?

「ならば話は速い、ソイツぶっ飛ばして名を挙げるから手伝え」

「へ?」

あの艦隊決戦兵器を?身ひとつで竜騎士隊を撃破したあれを?

「冗談…ですよね?」

「私は正気で本気だ」

 

ナンテコッタイ

OTZ

 

SIDE OUT

 

 

ラ・ヴァリエール家の家臣団は彼女か鍛えてるだけあって強い。盗賊退治やらでは烈風のカリンを誘いだす事は出来ない。しかし、この時代の貴族なら誘いだすのは簡単だ。果たし状だけだホイホイ出てくる。烈風のカリンのプライド高さは言うまでもなく、簡単に出てきた。

 

 

ロイは仮面(クルーゼタイプ)を付けて余裕で国境線辺りで待っていた。そこに公爵夫人が自信満々で竜籠でやってくる。付き添いに公爵とエレオノールも居た。彼らも余裕だ。可哀想なのはツェルプストー伯だ。烈風のカリンの実力は小競り合いの度によく知らされている、もしここでロイは死んでしまったらツェルプストーが責任を負わされて終わるだろう。しかし彼にはロイを止める術がない、彼は負けたら大怪我になる前にロイを連れ戻すくらいしか出来ない。その為に家臣団から精鋭のメイジを連れてきた。彼らでも烈風のカリンには叶わないだろうが時間稼ぎくらいは出来るだろう。

 



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オール・ハイル・ゲルマニア

ロイに生身の戦闘経験は無い。一流の戦士なら歩き方を見るだけでそれが分かる。一流を超えたカリンが分かるのは当然だった。

「貴様は私をバカにしているのか?」

女にあるまじき声で聞くがロイは涼しい顔でスルーする。絶対安全なので怖くない。

「何か喋ったらどうだ?」

ロイはこの戦いで声を出すつもりはない。

「……」

二人は同時に杖を構え。カリンが走り出す、同時に詠唱。ロイも適当に口を動かして詠唱してる風に見せかける。

 

カリンが先にカッタートルネードを放つがロイが掻き消す。見た事が無い魔法にカリンが足を止める。

 

「何ですかその魔法は?」

冷静だ。しかしロイは答えない。ロイはそのまま百以上のファイヤーボールを作り出し、一斉射撃。場外の者達の顔が引き攣った。正に炎弾で前が見えない状況だ。

「くっ!」

躱してる間に更に大量の氷の矢を作り出し、またまた一斉射撃。次は雷、更に次は土、そのまま火に戻ってループ。全員が「コイツの精神力どうなってんだ?」的な顔だがカリンは必死だ。そもそもロイは身体能力以外ならチートだ。ならば体を動かさない戦い方をすればいい。接近戦を挑もうとするカリンにロイはとにかく高く飛んだ。

 

空を飛びながらプラズマ弾、ウォーターカッター、雷獣を放つロイに全員が驚愕するがカリンにはゆっくり驚いてる時間もない。なお、多数の魔法を同時に行使する技術はここで初めて確認された。

 

カリンも飛び、杖で殴ろうとするが移動速度ではロイの方が速い。しかし、フライでウォーターカッターを避けるカリンはチートだね。

 

「ならば!」

 

 

と、カリンは地上に降り、有りっ丈の精神力でカッタートルネードを使う。観戦してる人が全部吹っ飛びました。ルイズの熱くなると周りが見えなくなる性格はやはり血だ。しかしロイの周りにだけ風が起きなかった。精神力を使い果たしたカリンが倒れ、ロイが土の槍を首に突きつけた状態で止める。

 

 

空に居る者と地に居る者、立つ者と倒れた物。今のロイは金ピカ王並の威厳があった。戦い方も似たようなもんだし。

 

 

トリステイン貴族風に考えればロイの正々堂々とした勝利だった。逆に接近戦を挑もうとしたカリンの方が責められる。まあ、ここにはそう考える人は居ないが。

 

ボロボロの公爵が慌ててカリンへ向かって走っていく。ロイは紳士的に杖を下ろす。颯爽と去ろうとしたロイにに突然ネオ・オーブから連絡が入いった。

 

ロイはツェルプストー伯に名前を隠しての宣伝を頼み。直接ネオ・オーブのサハク邸へ戻る。

 

 

 

「めんどくさい事になった」

コトーは開口一番これである。

「国民の不安ですか?それともサハクへの不信ですか?」

「両方だ。もっとも、後ろの方は極僅かだがほっといていい事ではないだろう」

「ワープの独占がいけなかったか」

「そうだが、いずれこうなる事は分かっていただろう?」

「じゃこれ」

ロイが手元に転送した書類を渡す。

「これは」

「フォールド技術と擬似GNドライブの資料だ。これで刺激を与えればいいだろう」

「だがサハク財閥が技術の独占をする事に違いはない」

「スカンジナビア財閥を使えばいい。それともう少し競争を何とかしないと」

「とは言っても、任せられる人間いるのか?」

「ロゴスメンバーの四人を使う」

「裏切るだろ」

「いや、軍備を持たせなければいい。裏切ってもネオ・オーブがその世界から転移すれば関係なくなる」

「アイツらは手強いぞ」

「もう歳だろ、立ち上げただけで引退だ」

「そうだったな。じゃあ書類がたまってるから減らしてこい」

「おー」

 

 

 

SIDE ロイ

 

 

さて、一つ目。

コトー・サハクを国民の精神の支えにする提案。大統領の上に継承可能な名誉職を作り、コトー・サハクをそこに置く。でもさぁ、これって俗に言う王じゃないか?まあ、名誉職なら問題ないか。

 

 

では次。

『アイドルのミーア・キャンベルが引退!?』ってゴシップの切り抜きじゃないか。遂にユウナと結婚するのか。ウナト喜びそうだな。なにか送るか?ベビーグッズは早過ぎるから、二人乗りの車でも贈ろう、特製核エンジンの。

 

 

はい次。

仕事が無い外務部の存続が決定、引き続きハルケギニアを対象としての外交を準備する(言語の習得も含む)。当然だな。なお、特例としてアイリーン・カナーバとウナト・エマ・セイランの外交官申請を受理する。公式チート入りました〜ってすごいなコレ。ネオ・オーブからの外交も考えてみるか。

 

次。

兵器開発の方向か。基礎を重点的に研究して、魔法技術との融合も課題に入れよう。後は、擬似GMドライブ用の量産機だな。

 

 

次。

アズラエル財閥のロボットがそろそろ駄目か。こいつらも重労働だったからな、纏めて変える必要がある。う〜ん、自分で作るか。私が設計して、ソロモンで作らせる。アンドロイドとガイノイドでいいな、人間の外見データはソロモンにネオ・オーブから適当に取らせよう。

 

 

次。

魔法研究のレポート。魔力切れのマジックアイテムへ風石を使ってチャージする事に成功。やるな、研究速いぞ。まだ一年半だぞ。マッド達のお陰なんだが、魔法でマッドが倍増したりとかは無いよな?

 

SIDE OUT

 

書類整理を終えたロイは王宮へ戻る。噂の広まりは早かった。裏でツェルプストー伯がすごく頑張ったようだ。正々堂々?とかの烈風のカリンに勝利したのはゲルマニアの評価を高めた。しかし、名前を出していないので誰だか分からない。マリアは彼が自分に仕える者で後日合わせると言った。(カリンの)プライドが高いせいか、トリスティン側は否定しない。それらが貴族たちに安心感を与える。

 

 

後日、集まった貴族たちの前に仮面を付けた男が女王と共に現れる。

「彼がかの烈風のカリンを倒した者で私の騎士である」

若干うっとりしてるがちゃんと仕事はする。

「呼び名はナイトオブワン。そして私は彼をトップとした“円卓の騎士”を結成する!全ハルケギニアへ宣伝せよ!力で爵位を、領土を勝ち取れ!」

 

 

“円卓の騎士”、女王のみに仕える11人の騎士の選定はすぐさまにハルケギニアに伝わった。

 

 

ナイトオブワンと女王マリアの活躍により、ゲルマニアが一躍して魔法先進国と呼ばれる。特にナイトオブワン、多数の未知の魔法を使う彼が異端と見られないのは耳が普通なのと杖を使う以外でも許可された枢機卿がディテクトマジックを使ったのが主な原因だ。

 




プラズマ弾:FFかロックマンから想像してください。
雷獣:エネルのあれです。
ウォーターカッター:細い水柱を発射する。


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これはよくある交渉です

金ではなく武力で爵位と領土を勝ち取る。まさに実力主義、そして出身、経歴は問わないとも言った(実は裏で色々審査があります)。これだけで充分にハルケギニアの強者を呼び寄せられる。

 

一応、決定権は女王が持つのだが、マリアはナイトオブワンに全てを任せた。それでも選定は長い時間が掛かるので気長にやるしか無い。具体的な順番はこうだ。宣伝->集まるのを待つ->篩をかける->最強の25名を選ぶ->ロイの面接で11人にする(足りない場合更に下から選ぶ)11人適当に番号を決める(ワン以外は同等)。

 

ハルケギニア全土に宣伝して、集まるのを待つ、それは一年を費やすだろう。それまでにゲルマニアでの活気は収まらないだろう。

 

 

此処に来てロマリアが騒ぎ出した。平民に爵位を売るなどの目に余る行為があったのに、今度は王の宣言と爵位を賞品にした。ブリミルの権威を蔑ろにする行為が余りにも行き過ぎたので。聖エイジス31世が騒ぐが、どの国も気にしない。マリアとマユの仕事が成果を結び、王族領は生産力や金、人の流通がうなぎ登り。他の貴族たちは指を咥えて見てる状態で真似しようとも上手くいかない。差は広まっていくばかりで、王族領へ集まってくる人もひたすら増える。つまり生活がいいのに宗教のためにぶち壊す必要ないじゃんって事。

 

それに今更この国の貴族に王族相手に喧嘩を売れる者も居なかった。

 

 

 

 

 

ロイは気にせずエルフとの交渉のためにサハラへ向かった。バレたら即聖戦である。

 

衛星で適当に探した集落近くへジャンプしたら、直ぐに村からエルフがぞろぞろ出てくる。

 

SIDE ロイ

 

男が20程か、もう少しフレンドリーならよかったんだがな。それよりも気になるのは探知魔法だな、コイツらは直ぐに出てきた。独自の魔法か、それともマジックアイテムか、出来れば後者であってほしいな、研究しやすい。

「ここになんの用だ。蛮人」

「統領に会いに来た。案内して欲しい」

「却下だ蛮人、直ぐに立ち去れ」

「では統領はどの集落に居る?」

「立ち去れといったはずだ!」

「エルフは話さえまともに出来ないのか?」

「貴様!」

「まあいい、統領はあっちの首都に居るな?」

「!っく!去れ!」

攻撃してきたか。やはりエルフは人間嫌いのようだ。兎も角先に敵意はないと証明した、今からは防衛として成り立つ。

「ディスペル」

魔法を消すと同時にトルネードを作る、それも自然災害並の。

 

杖なんて持ってない。しかし、形成が遅い、干渉を受けているのか?だが精霊魔法も所詮は意思と精神に頼る力だ。死に際でもない限りだいそれた現象は起こせない。

「な…んだと」

驚いてるな、このまま引いてくれると一層いいんだが。

 

「待て!」

おや?

「あなたが統領か?」

「違う。評議会議員のビターシャルだ。サハラに何のようだ?」

へー、すごい偶然だな。

「ちょっとした商談だ」

「は?」

あっ、トルネード消してなかた。消しとこ。

「返事は如何です?」

「......取り敢えず落ち着いて話をしよう」

分かる人でよかった。

 

SIDE OUT

 

 

部屋の中で二人の前に飲み物が出された。

「改めて、ネフテス国、評議会議員のビターシャル」

「一応、ゲルマニアサハク伯の弟、ロイ・サハクだ」

ビターシャルは顔を顰めた。貴族=メイジ=ブリミル関係者と思っているのでいい気分ではない。

「それでどんな商談だ?」

「こちらとしてはエルフ独特のマジックアイテムを購入したい」

「駄目だな。アレらは蛮族には余るものだ」

「ふむ」

ロイは考える。やはりエルフの人間に対する印象は最悪か。どう切り出すかとロイが考えてる時。ビターシャルが話す。

「お前は何者だ?」

「ん?」

「蛮族は杖がなければ魔法が使えなかった筈、それにあれ程の魔法を出せるわけがない」

先程のトルネードは災害級だった。自分が安全で周りがどうでも良かったのでロイは遠慮しなかった。それにエルフはこれくらいでどうにかなる種族ではない。

「あなた方の言う蛮族とはどう言った定義だ?」

「同じ種族同士で争う者とシャイターンの末裔共だ」

「まさかエルフ同士では争いが無いと?」

「そうではない、だが貴様らの様に頻繁に戦争をする訳ではない」

「それは単に数が少ないだけだと思いますが?」

「それでもエルフは貴様らと比べて理知的なのだよ」

「ロバ・アル・カリイエとの争いはどうした?」

「…………小競り合い程度だ」

「そもそも」

ロイは頭上に炎を作りだす、詠唱も無しに。

ビターシャルは精霊通してこれが魔法じゃないと分かると瞬時に状況を理解し、真っ青になる。

「それは……魔法じゃないな?」

「そうだ。技術の差を理解したか?」

「しかし、そんな技術を持つ国は聞いたこともない」

「貴方がよく見る二つの月。我らはそれよりも遠い国から来ました」

現在コロニーはL5に滞在してるので月よりは遠い。

「なに!?」

驚いたビターシャルをロイはニヤニヤ笑う。実に大人気ない。

「だからマジックアイテム売ってくれません?」

少し悩んだ末、ビターシャルが

「では交換として技術を提供して欲しい」

一瞬で立ち直るビターシャルはかなり優秀であろう。

これにはロイも真面目にで対応する。

「いいでしょう、本国で直ぐに準備させましょう。交渉団は数日以内に付きます。細かい内容を交渉したいのでそちらも準備をしてください」

公式チートは意外と早く仕事を得た。

「了承しよう」

 

 

 

 

一ヶ月後、首都アディールに頭領、評議会議員などの重要人物が集まる。全く新しい国家、更に恐らくは格上の国家なのでエルフの誰もが此処に来て一目見ておきたかった。その中にはまだネオ・オーブ国民を蛮族と考えてるエルフも居るようだが、後々彼らは反省する。

 

 



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これは失敗か?

アイリーン・カナーバ。プラント独立戦争において本土決戦を強いられた状況で交渉のみで独立を掴みとり、前の物語を全否定してしまったチート。

 

 

ウナト・ロマ・セイラン。敗戦し、資源、資金が無いオーブを僅か二年で完璧に立ち直らせる程の物を国外から手に入れたチート。

 

 

ロイ・サハク。経済、交渉、学問など頭脳を使う事全てにおいてが世界トップのチート。

 

 

この三人が外交官なのだが……もう何も言うまい。

 

そもそも何故エルフとは交渉なのか?ロイがエルフの知能が充分だと考えてる他に、人間の影響が少なすぎるのが原因だ。謀略は意味を成さないし、戦争は無駄な犠牲が多すぎる、そして戦争で奪う場合では重要な資料やアイテムは隠されるか壊されるのがオチだろう。故に交渉だ。

 

 

 

 

 

 

アディール郊外にエルフの重要人物が殆ど集まっている。そこにネオ・オーブの交渉団が天空から現れる。使っているのは超豪華客船ソレイユ、護衛にはフラッグ*36。まるで宮殿が降りてきたような感覚にエルフたちはド肝を抜かれた。これには流石に格差を思い知るしかない。

 

 

そしてあの大量のMSはゲルマニア内戦で活躍したゴーレムと同じものであり、それが技術で作られた物だと分かるとエルフ一同は戦争と言う選択肢を捨てた。

 

 

降りてきた交渉団は見たこともない服を着ていたが礼儀正しく、フレンドリーだ。彼らは更に此処のとは比べものにならない程の美食美酒を振舞う。「交渉の前にお互い少し理解しましょう」とロイは言った。エルフ達は料理の釘付けでそれを了承した。しかし、エルフ達は自分たちが既に罠にハマっていると気付かなかった。

 

 

ロイ、カナーバ、ウナト三人はエルフ全員に挨拶しに回る。三人は挨拶のついでに情報を引き出す。すると出るわ出るわ、エルフの技術レベルとかどんなマジックアイテムが有るとかそれらの使い方や制限とか歴史とか秘宝の在り処とか、三人は交渉前に充分過ぎる情報を引き出した。漠然とした「マジックアイテムを手に入れる」の目標も具体的になる。

 

 

食事後に少し休んで、交渉が開始する。エルフの目標は「巨大ゴーレムの製造方法と使用法」、ネオ・オーブの目標は「魔法技術の入手」。当初はゲルマニア経由で手に入れようとしたがネオ・オーブ直輸でも問題はない。

 

 

交渉の結果エルフはWWIレベルの兵器(場違いの工芸品の方が技術が高い)と関連技術と料理の調味料を得る。ネオ・オーブは引換にエルフの全種類マジックアイテム(秘宝抜き)、各種魔石を輸入する。更に魔法研究レポート、マジックアイテム製造技術、秘宝解析レポート、サハラの各種動物、ハルケギニアでのエルフの援助……etc。ぶっちゃけ国家機密でも魔法関連の知識や技術は全部得られる。

 

その他に:

1.ゲルマニア王族とネフテスは同盟を結ぶ。

2.ネフテスは援軍を派遣する。(数人程度)

3.今後の連絡はゲルマニア王族経由。

4.ゲルマニアとネフテスの貿易を許可。

5.ネオ・オーブとネフテスの自由貿易はしばらく見送る。

 

洗脳を警戒して自由貿易はいまだ始まらない。その内AMFが完成すれば始まるだろう。

 

聖地の件をエルフ側は何も言わなかった。この問題は外の人間には干渉してもらいたくないのだろう。

 

兵器は工業技術ではなくエルフが魔法技術を使って生産するようだ。工業汚染は精霊に嫌がられるそうだ。

 

 

 

 

成功か失敗かと問われれば両方共に成功だろう。ネオ・オーブは魔法情報を入手、エルフは場違いの工芸品の分析の糸口を手に入れた。成果は充分だがロイ、カナーバ、ウナトは不満だ。何となくボッタクリ感が足りないと言うか爽快感が足りないと言うか、流石にこれ以上引き出す物も無いので諦めるしか無いが。

 

 

 

 

ロイは一度ゲルマニア王宮へ戻る。国家レベルの秘宝はゲルマニアにも大量にあるのでこれで殆どの魔法技術を入手できる。マジックアイテム収集の最後は“虚無”だが、これがなかなか難しい。いや、本気を出せば、特殊部隊を使って秘宝やレポートを奪えばいい。しかしそれでは自国民に犠牲が出る可能性大だし、相手が本気で隠したら探すのは困難だ。怪しまれないように手に入れるのが一番だ。例えばルイズが祝詞を考えてる時に偶然無くしたとか、アルビオン王宮が崩壊したときに無くなったとか。もっと簡単にCPSを使うのも方法だが、こんな事で使ったら今後はダメ人間一直線な気がする。それに魔法研究は時間がかかる、この世界から転移して「材料が足りませんでした」では笑えない。故に原作を起こし、自然喪失を装って手に入れる。キュルケを育てるのも大体それが目的だ。とまあ、この世界にいる時間は本国の研究速度次第だがロイの予測ではエルフのデータがあっても最低で十年は要る、新たな学問系統が出来上がるにはそれくらい必要と思ったからだ。結局は本国のマッド達に期待するしか無い。

 

 

その他に、欲しいのはロマリアの虚無関連の情報とガリアの生体技術だ。とくにガリア、ミノタウルスへの脳移植って怖すぎるぞおい。

 

 

ロイは当分暇になるが、当然なにもしない訳では無い。取り敢えずコロニーを二つ増設する。一つは魔法研究、実験に特化したコロニーでもう一つは観光用コロニーだ。せっかくドラゴンとかが居るんだから幻獣ランドとか作るのはきっと楽しいだろう。流石に韻種とか吸血鬼とか知能が高いのは無しだが。

 

 

次に魔法研究だ。環境、材料、資金が揃ったのでロイは独自での魔法研究をする。魔力さえ有れば他系統の魔法も大体は実現できる。例えば世界樹植えたりするとか、聖杯を召喚するとか。意味がないのでやらないが。本国でも早めにAMF専門の研究所を作る。汎用になった魔法が便利過ぎるが故に対抗手段も早めに考えるべきだ。

 

 

他にもキュルケの教育を手伝ったり、マリアの達の仕事を手伝ったり、街に出たりと中々充実している。

 

 

 

エルフとの交渉と魔法研究でロイは面倒な事実を知った。極極僅かだが、エルフの情報にはロイが持たない知識もあった。全部ロイにとって無意味かつまったく無駄な内容だったが。ロイが持つのは人間の知識だ。厳密に言うと「人間が得られる可能性を持つ知識」であり、人間が絶対に入手不可能な知識や理解不能な知識、手に入れようと考えない知識はない。例えば神の作り方、人間の神への昇格方法などの知識はない。恐らく人間以外の種族で完結している世界の知識もない。だからと言ってロイは不満が有るわけではない、種族としての人間は間違いなく最強の一角を占める。まあ、これらの知識は徐々の補完する必要が有るが。

 

 

ロイ達がハルケギニアへ来て二年、動乱はまだまだこれからである。

 

 



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最初の死亡フラグ

ラウンズの選定が終了した。内約は以下:

 

ナイトオブワン

ロイ・サハク。精神力無限のチート。

 

ナイトオブツー

エルフ。男性。67歳。サハラから派遣された騎士。人間に変装している。

 

ナイトオブスリー

エルフ。女性。70歳。サハラから派遣された騎士。人間に変装している。

 

ナイトオブフォー

火韻竜。雌。約500歳。実力はエルフの戦士よりも高い。通常はフードを着た老婆の姿をしている。好奇心の塊。役職は女王のペット兼王宮内のロイヤルガード。女王の外出時はナイトオブワンが護衛にあたる。

 

ナイトオブファイブ

吸血鬼。男性。120歳。頭脳と格闘技を使って戦い方でエルフ並の実力がある。血を吸いたくない変わり者。ロイ特性の薬で吸血衝動を抑えられるので協力している。

 

ナイトオブシックス

人間。男性。23歳。ゲルマニアのとある侯爵家の四男。風のスクウェア。

 

ナイトオブセブン

人間。男性。30歳。元トリステイン下級貴族。ダングルテールの虐殺を見てしまい、ゲルマニアへ亡命する。火のスクウェア。

 

ナイトオブエイト

人間。女性。28歳。元トリステイン下級貴族。ダングルテールの虐殺を見てしまい、ゲルマニアへ亡命する。ナイトオブセブンとはダングルテール以来のコンビ。水のスクウェア。

 

ナイトオブナイン

人間。男性。20歳。ロマリアからの亡命者。新教徒。風のスクウェア。天才肌。

 

ナイトオブテン

人間。男性。38歳。元傭兵。火のスクウェア。

 

ナイトオブイレブン

人間。女性。25歳。ゲルマニア武門貴族の娘。火のスクウェア。

 

ナイトオブトゥヴェルブ

人間。男性。27歳。ゲルマニアのとある男爵。火のスクウェア。

 

 

問題あり過ぎるように見えるがロイが審査したので女王に対する忠誠心はともかく、職業倫理がしっかりしており、それなりの頭脳をもつ人間を選定した。影響を考えない戦闘バカや一時の利益に目がくらむアホは要らない。

 

 

選ばれなかった者にも実力者が沢山いる、彼らは王族軍へ招いた。武器市場が独占状態なロイには資金がまだある、これで実に500名にも及ぶ実力者を手に入れた。これらはハルケギニアの精鋭である、笑いが止まらないロイであった。

 

 

ラウンズは基本的に表で華々しい戦果を上げ、士気を高めるのが仕事であり。裏の暗殺に優れた者や地味に役立つ土メイジは別枠で秘密部隊や軍に招待した。ロイはせっかく集まった人材達を無駄にはしない。

 

 

ハルケギニアでは特効薬というのが殆ど存在しない。水魔法や秘薬は外傷に対しての効果は大きいが、それ以外は体を強くして自然治癒を促す効果しかない。故に貴族でも平均寿命は短い。王家の影響力をさらに拡大するために、マリアはゲルマニア貴族関係者が病気にかかった時、たまに症状にあったネオ・オーブ製特効薬を渡す、当然王家への忠誠度が高い者程、得られる可能性も大きい。症状から病気を判断するのはロイの仕事だ。

 

 

これにより、マリアの評価は賢王を通り越して聖女とも呼ばれ始める。呼び方に関しては完全な自発行為なのでロマリアとしてもやりにくい。だがもし薬を与える行為をやめろとでも言うならばゲルマニアから完全にロマリアの影響力が失われるだろう。

 

 

とある南西の小国の貴族が上納させろとか奪えとかバカ言ってるが、抑える王と枢機卿は最近メニューを胃にやさしい物に変えたようだ。

 

 

ガリア王は歩くのに杖を使い始めた。一部の焦る貴族は水面下で後継者争いを更に激化させる。

 

 

ラウンズ選定にメンヌヴィルが居た。性格があまりにもアレなのでラウンズ入りはありえないが、ロイは使えると思っている。不採用になって酒場で飲んでたメンヌヴィルにギナ(仮面付き)に接触させる、それで炎蛇のコルベールの抹殺を依頼する。メンヌヴィルは直ぐに承諾した。彼もなにか裏があると分かっているがコルベールと戦えればどうでもいいようだ。で、ギナの任務は炎のルビーの入手だ。トリステイン魔法学院の教師リストの入手は簡単で、やはりコルベールの名前があった。

 

 

 

キュルケ(9歳)はトライアングルに昇格。科学的な分析の結果を参考に訓練メニューを組んだらいつの間にかすごく強くなっていた。このままではオルレアン公を超えるかもしれない。ハルケギニア王族も真っ青な英才教育を施されたので知能も高い。ただ性格はやはり血か、大人しいとは程遠い。

 

 

ロイの魔法研究も佳境に入り、そう遠く無い未来に成果が出せるだろう。

 

 

ラウンズは女王直属だが特に命令がない時はナイトオブワンが命令を出す。これに不満なラウンズが出た。ぶっちゃけ全部の人間(人類)が不満だった。で、取り敢えずバトった訳だが。全員微妙な顔をしている。ナイトオブワンは強い、全員に勝利したし、疲れてる様子もない。しかしあの戦術はどうだろう?微妙としか言えない。それでも強い事に変りないから不満ではない。とまあ、一応納得出来た。

 

 

なお、練習試合でロイの強すぎる攻撃ははエルフのカウンターを貫きました。

 

 

 

一方、ネオ・オーブでは風石を魔力供給源として、魔力切れになった全種類のマジックアイテムへの魔力補給が成功した。魔力補給理論が完成した。他の基礎理論の発展も早く、魔力貯蔵、魔力抽出などの発展ものそろそろ実現の段階に入る。

 



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七年前

原作七年前

 

コルベールとメンヌヴィルが相打ちで両方共に死亡。実力ではコルベールの方が高かったが実戦離れしすぎてカンが鈍ったせいか、コルベールは最初の奇襲を察知できなかった。負傷した状況でなお、相打ちに持ち込めたのは流石隊長だと言ったところか。襲撃は“偶然”オスマンが王宮へ出向した時間に発生しており、夜中でギナが音を遮断していて、場所も実験棟内だったので誰にも気付かれなかった。ギナは実験棟から炎のルビーを見つけ、直ぐにネオ・オーブへ届けた。

 

 

トリステイン魔法学院襲撃事件は名が傷つくのを恐れた学院長と王宮が全力で隠蔽した。第一発見者がオスマンだったのは幸運だったのかもしれない。コルベールは実家へ帰ったとされ、実験棟はギナが証拠隠滅のために遺体以外全部燃やし尽くされ、しばらくは修理が必要となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェームズ一世が何の兆候もなしに、理由の説明もしないでにモード大公を幽閉する。その裏では大公がエルフを妾にしてた事がバレて、説得に応じない大公が幽閉されたと言う事実がある。シャジャルとティファニアはサウスゴータ家に匿われた。同時にサウスゴータを含む事情を知る大公の直臣三家はそれぞれトリステイン、ガリア、ゲルマニアに亡命を交渉する。しかし、理由を話せないので殆ど進展が無い、ゲルマニアを除いて。

 

 

ロイはこの一件を正確に把握していた。故にガリアやトリステインとは対応が違う。ロイはこの親子を助けるつもりだ、もちろん善意とかじゃあ無い。アルビオンからちょっとした物を手に入れる為である。

 

SIDE モード大公

 

まさか本当に兄弟の私を幽閉するとは、測り間違えたか。しかし、出来ればシャジャルとティファニアは逃したかった。我が直臣達に期待するしかないか。

 

「初めまして、モード大公殿下」

なに!どこから現れた?!それにコイツは

「ナイトオブワン!」

「ええ、女王陛下から交渉を任されました」

「交渉だと?」

「貴方の直臣、ミスタ・サウスゴータから亡命したいとの連絡を受けましてね」

なんと!ゲルマニアに渡り付けたのか!?

「この場合は、認めると考えてもいいのか?」

「まあ、条件はありますが」

やはりか。

「要求はなんだ?」

サウスゴータも理由は話してない筈だ。なのに受けるとは、バレたか?もし要求があの二人なら直ぐにコイツを括り殺してやる。

「知っての通り、我がゲルマニアは伝統よりも実績を重く見ている。つまり、貴方が名を変えて貴族になるには実績が必要なんですよ」

この状況では無理だ。もしや爵位を買えと言っているのか?いや、ならば私である必要はない。

「今直ぐ結果を出すのは不可能だ」

「ええ、分かっております。今結果を出すのではなく、将来ゲルマニアの役に立つと証明出来ればそれでも構いません」

将来?……ブリミルの血筋か?

「我らがほしい物はアルビオンにあってゲルマニアに無い物。ああ、ブリミルの血筋なんて巫山戯た事言ったら死んでもらいます」

違うようだ。ゲルマニアの金、物は絶対的に足りている。後は人か?しかし、統治効果から見て人手が足りないとは思えない、ラウンズ選定で優秀な戦士も集まった。いや、違ったか。空軍か。コイツが欲しいのはアルビオンがハルケギニアに誇る空軍だな。

「気づかれたようですね。貴方と直臣だけがゲルマニアに来ても、ゲルマニアには必要ないんですよ」

「しかし、これでは…」

アルビオンを裏切れと言うのか。

「我が国ではロマリアの影響は小さい、そちら方面でのエルフ母子の安全は保証しましょう」

くっ、何と言うエゲツないやり方だ!

「良い返事をお待ちしております」

くそっ!

 

SIDE OUT

 

 

この日を堺に、モード大公のアルビオン国王に対する態度が変わった。「エルフ親子の追放に絶対に了承出来ない」から「少し考えさせてくれ」に変わった。説得の効果が出たと思ったアルビオン国王は情もあってゆっくり待つ、エルフ母子の捜索は辞めないが。

 

 

エルフ母子はゲルマニアに提供された拠点に移って隠れる。大公直臣の三人はアルビオンの様々な貴族と接触する。

 

 

ネオ・オーブでは魔力バッテリーのプロトタイプが完成した。魔力抽出で風石の魔力を抽出してバッテリーに入れるのが成功する。次はバッテリーの大容量化と大量抽出技術を目指す。同時に電力->魔力変換の基礎理論が完成した。

 

 

 

ロイの魔法研究が完了。不老儀式と寿命改変儀式が完成した。知識としては有ったが、様々な理論の検証と必要物資の収集と製造に時間がかかった。その内実は緻密で大規模な生体操作である。遺伝子レベルの大規模改変であり、概念上人間では無くなる。食事制限などのデメリットも多く、結構大変である。

 

 

 

サハクの五人とマリアは直ぐに実行。メイリンとマユは悩んだ末にロイと共に生きるために同じく実行する。ここに変わらぬ18歳が五人(ロイ、マリア、ステラ、メイリン、、マユ)と25歳が二人(ミナとギナ)、35歳が一人(コトー)が生まれた。二つの儀式の存在はサハク家、ホーク家、アスカ家のみが知り、具体的な内容はロイの脳内にだけ存在する。

 

 

 

 

ゲルマニア王族の特徴に若く見えると言う内容が追加される。程があるだろうと言いたいが他のデタラメさに比べれば大人しいもんだったので案外簡単に受け入れられた。それに15歳くらい若く見えるのは結構ある事である、例えば原作のジョゼフ。

 

 



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裏  極秘でも無いが秘匿されるプロジェクト

プロジェクトIE(Infinite Energy)

 

立案者:ロイ・サハク

 

実行機関:サハク財閥

 

必要資金:不明

 

目標:半永久的に安定した経済的なエネルギーの確保。

 

手段:ダイソンスフィアに依る恒星からの大規模エネルギー入手。

 

予想結果:地球が太陽から受け取るエネルギーの20億倍手に入れられる。

 

完成予定使用時間:約1500年

 

ダイソンスフィア:恒星を殻で覆い、全ての照射を受けた殻が使用可能エネルギーへ変換する一種の宇宙コロニー。

 

 

 

プラン:

理論計算:5年。必要な材料と技術のリストアップ。

素材開発:500年。恒星の全エネルギーを受け止められる素材、高い効率で光エネルギーを変換できる素材、強度が充分な素材など。

転移方法開発:25年。国の性質上、転移する可能性が高い。ダイソンスフィア丸ごとを無傷で転移する技術が必要である。

初期型建設:300年。ベルト状のダイソンスフィアの基を建設。試験運営を開始。発生する問題を逐一解決する。

本格的建設:670年。初期型からのエネルギーで建設が加速すると思われる。使う素材量は木星一個分に達すると思われるので素材確保方法の革命が必要。

 

 

 

現段階での成果:

錬金魔法:大規模な実現は遠く無い。素材確保方法としては万能である。しかし、大量のエネルギーが必要と思われるので気が遠くなるほどの時間が必要とされる。

転送技術:ボソンジャンプ、フォールドなどの転移技術が有るので解決はそう難しくないと思われる。

 

 

 

説明:

エネルギー問題の究極の解決案である。現存する半永久機関のGNドライブ、相転移エンジンはコストから見て大規模使用には向かない。核融合炉、対消滅炉は運営の危険度が高く、大規模運営では国民の不安を増やす可能性がある。これからの発展を考慮すると、エネルギーの使用量はまだまだ増えると考えられ、根本的で安全かつ経済的な解決案が必要である。

 

 

莫大な資金と高度な技術が必要なので実行機関はサハク財閥しかつとまらない。計画指揮者として不老のコトー・サハクとロイ・サハクが適任と思われる。

 

 

更なる詳細な技術内容は添付ファイルに有ります。

 

 

 

 

 

 

 

結論:

ロイ・サハク 承認

コトー・サハク 承認

ロンド・ミナ・サハク 保留

ロンド・ギナ・サハク 承認

ステラ・R・サハク 承認

ギルバート・デュランダル 承認

ウナト・エマ・セイラン 承認

 

プランは実行されます。

 



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六年前

原作六年前

 

アルビオンにて反乱が発生。反乱者達はロンディニウムに幽閉されたモード大公を救出し、直ぐに三隻のフネでアルビオンを脱出、そのままゲルマニア方面へ消えてゆき、アルビオンはそれ以上の足取りを掴めなかった。

 

 

一ヶ月後、ゲルマニア北東方面、サハラと隣接したフリードルフに一人の侯爵位を授かった男が領主に任命された。

 

 

そこに住むメイジは120名も有り、王族以外では最強である。更にゲルマニア空軍へ派遣されたメイジも多く、今後ゲルマニアへの影響は計り知れない、と、考えられている。

 

 

旧大公家、直臣三家を除く約100名のメイジは現フリードルフ家のゲルマニアへの影響を確保するために騙されてきた者達だ。曰く「元王は理由も無しに王弟を幽閉した。このままでは明日は我が身も危うい」。全員アルビオン空軍の関係者だ。彼らは大公を信じて国を裏切ったので大公への忠誠心は高い。

 

 

しかし、ロイがフリードルフ侯の軍への影響を許すはずが無く。「フリードルフ侯の妻はエルフ」と宣伝する。ロイはエルフ母子の安全を保証すると約束したが、それ以外はなにも言っていない。

 

 

付いてきたアルビオンのメイジは真相を問い合わせるが、直臣のとある息子が口を滑らせてしまい、噂は真実だと知られる、すでに正妻か妾かはどうでもいい。これにより、直臣三家以外が離反、しかし一度裏切ったアルビオンに帰れるわけがない。更に、トリステイン王はアルビオンは王の弟なのでトリステインに行けばアルビオンに引き渡される恐れがある。ガリアは闘争の真っ最中であり、貴族数も多いので使い捨てにされるのが見えてる。ロマリアは王家を裏切った者にいい顔をしないだろうし、結局待遇がいいゲルマニア王族軍に入る。

 

 

フリードルフ家は支持する物が直臣の三家のみとなるが普通に生活するのに問題はないだろう。フリードルフ侯はゲルマニア中枢への影響も小さくなり、権力争いにも参加できない。へたに介入したら逆に食いつぶされるだろう。だがそれ故にゲルマニア貴族達に無視される。元モード大公は力を失ったが生活環境はそれほど悪くないかもしれない。

 

 

アルビオンではモードの大公位が剥奪された。そして行方不明と発表される。エルフの妾がいるフリードルフ侯を元大公と認めると王家の名が多く傷つくからだ。それならばこのまま鎮静するのが一番だ。トリステイン王もそう考えたか、何も言わなかった。

 

 

ゲルマニア国内でもフリードルフ侯がモード大公ではないかとの噂が広まる。広まり過ぎると庇うゲルマニアも悪影響を受けるのでロイは更にインパクトが有る噂を流そうとする。マリアが立候補しロイは任せることにした。

 

 

女王が王族領の“絶対所有” を宣言。“絶対所有宣言”はつまり「領内の人間を含む全ての物は女王の所有物であり、他領や他国の貴族が理不尽にそれらに不利益を齎した場合は女王の所有物を傷つけるのと同義である」と言う意味、適当に名前を付けたのは否定しない。

 

 

軍備が整ったからこそできる発言だ。そして王宮での新たな治安維持組織も設立される。彼らには貴族を捕まえる権利さえ与えられる。数的に考えて平民が大多数を占めると思われる。平民に貴族を捕まえる権利を与えると言うのはとんでも無い暴挙だが、ブリミルの影響が小さいゲルマニアだからこそ可能だ。

 

 

少し考えれば分かる。王族領の貴族はたったの五人であり、他は王族領に住んでいても所有者では無い、それらの横暴が発覚すれば女王が罰するので平民はすごく助かる。少なくとも表立っての理不尽な行為は不可能になった。まあ、流石に外国の外交官や王族などの対応は少し違うが。

 

 

今後しばらく王族領で貴族の逮捕量が激増する。強引だが、一応理にかなっているし?、強大な軍事力がある王族には文句も言えない。一年も過ぎると王族領で不祥事を起こそうとする貴族は居なくなった。

 

 

 

 

 

 

 

ネオ・オーブでは大効率魔力抽出技術が完成する。しかし魔力バッテリーの発展が遅い。仕方なく、ハルケギニア地下の大風石の魔力を抽出し、魔力->物理エネルギー−>電力と変換し、エネルギーを本国へ送る。

 

 

ハルケギニア地下の風石分布が判明。ハルケギニアの半分を浮上させられる風石の量は莫大だ。各鉱脈の下に変換装置+電線(約1m3)を配置し魔力を減らそうとするが、全部吸い尽くすには30年はかかる。この件をロイは後回しにした。どうにも成らないときはアルティメット細胞でも使おうとか考えてるロイであった。変換装置+電線には自爆装置なんて物も付いてる、地上から辿り着かれ、バレるのを防ぐためだ。

 

ネオ・オーブでフォールド技術が少数実用化され、深宇宙探索が始まる。とある惑星で光石と闇石が発見される。魔法研究の方向はなおも拡大する。固定化マジックアイテムの実験の結果、固定化は物理防御と化学防御、魔法防御機能があるが、量的にビームは止められなかった。装甲としては単独では役に立たない。

 

 

GN粒子の基礎研究が完了し、擬似GNドライブの解析も終わった。

 

 

ハルケギニアの武器販売は殆どロイの独占状態である。ハルケギニアの武器製造は後退するが防具販売の競争が激しくなり、防具の性能が高くなって行く。嘗てトリステイン、ガリア、ロマリアが増税して流れを止めようとしたが、密輸が瞬く間に増えしまい、税収が逆に減ったので止めた。

 

 

ゲルマニアでは空軍の人材が増え、戦闘用、輸送用のフネが次々に建造される。王族軍3700人とラウンズは腕が鈍らないためによく賊の討伐を命じられる。王族軍の精度は高く、同数のメイジが相手でも負けないだろう(単独では無理)。

 

 

しかし、いつの間にかサイト生存フラグをバキボキ折ってしまったロイである。キュルケは本質が変わり、コルベールが死亡、ティファニアは平穏な生活を送っている。アルビオンで戦死とか言う前にそもそもガンダールヴだと認識されるだろうか?

 

 




エルフ以上のインパクトを求めるとこれでした。


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五年前

原作五年前

 

トリステイン国王が突然病死した。原因も経緯も不明であり、これらは貴族達に多大な疑問を残した。が、既に死んだのならこれからの事の方が重要である。王妃マリアンヌは王位につくのを拒否し、アンリエッタはまだ若い。王位につくだけなら年齢など関係ないが年齢的にもの血筋的にもマリアンヌがぴったりなのだ。彼女を差し置いて王位につくとなれば切欠、若しくはそれなりの理由が必要となる。

 

 

ガリア王の病状が重くなり、ついに寝たきり生活になってしまった。ここまで来ると王子自身も動き始める。シャルルはともかくジョゼフは王になる気があるのかは分からないが。もう最終段階と言ってもいいだろう状況だ。故にトリステインには見向きもしない。

 

 

このままではマザリーニが権力を手に入れるだろうが、ロマリアは寧ろそれを支援した。枢機卿が権力を握れば影響が拡大すると思っているのだろう。しかし実際、マザリーニはロマリアよりトリステインを重要視している。ロマリアがそれを知るのはまだ少しかかる。

 

王がいない状況は貴族を不安にさせると同時に忠誠心も奪っていく。貴族の心が離れていくだろうと考えたロイは密偵を増やすと同時にパイプを作る。

 

SIDE ロイ

 

王族の義務を知らない奴らはどうでもいいとして。愛想を尽かした貴族は幾らでも出てくる。内部情報を提供してくれる奴を探さないとな。

 

 

まずは高等法院長のリッシュモンだな。こいつの不正は情報収集能力がそれなりに高い者ならすぐに分かる。金で動く人間だ。注意う怠らないようにしないと。上級貴族では少なくともあと一人は要るな。

 

地位が高く、買収しやすい、更に此方を裏切らないのが一番望ましい。最後のは徐々にそう変えてやればいい。恐らくガリアもロマリアも接触しているはずだ。何か特別な物を使ってコストを減ら......いたな、丁度いいのが。

 

しかし、あれを本国に発注するのは恥ずかしすぎる。ましてやまだ決まったわけではないからな。

 

しょうが無い。

 

兄さん、すまない。

 

SIDE OUT

 

その夜、ゲルマニア王宮にあるハウスからギナの悲しみの叫びが響いた。

 

SIDE ロイ

 

しかし、ジュール・ド・モットは乗るのが早過ぎるだろう。しかも二次元の方が好みだったとは、都合が良い。

 

だが、ベットの下に隠すとはベタ過ぎるぞ兄よ。

 

しかしこれでパイプは繋がった。これは諜報関係だからメイリンの管轄なんだよな。

 

審査をギナに任せよう。技術情報が漏れる本は流出を防ぐために審査する、と言う事にしよう。まあ、実際では奴らは此方の文字を読めないし、リードランゲージで読んでも理解出来ないだろう。例え理解できても実現できるだけの環境がない。

 

兄へのちょっとしたお詫びだ。

 

SIDE OUT

 

ロンド・ギナ・サハク。容姿OK、実力OK、地位OK、権力OK、性格は若干バトルマニアが入ってるがまあOK。軍の双璧としてゲルマニアでは人気があり、ファンクラブまで出来てる。しかし仲間からの視線は微妙になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネオ・オーブで魔力抽出技術と魔力バッテリーは順調に発展していく。そして、ついにハルケギニアの素材を使わずに純ネオ・オーブ製のマジックアイテムの製造に成功した。最初の作品は魔力効率が85%の固定化マジックアイテムだ。製造コストが高いのと大きすぎるので量産は絶対に無理だが。だが固定化を施せる範囲は広い。

 

 

この情報を聞いたロイは即座に巨大MS、デストロイガンダムを発注した。ネオ・オーブは大型MSの製造経験が無いのでいい機会だし、TP装甲を発泡金属+固定化に変えるので実験にもなる。

 

 

フラッグではサイズ的にインパクトが足りないとロイは考えている。このデストロイがあればインパクトは十分だし、魔法も防げる。虚無魔法については深く考えなくてもいいだろう。使い手が四人しかいないのでそれぞれを監視すればいいし、万が一壊れたらロイが錬金術で直す。それに虚無魔法<<<<<<CPSなので怪我する事は無いだろう。

 

 

AMFの研究が中々進まないので、ロイはテコ入れする。具体的には資金を増やしたり、いろんな名前で論文発表したりなど。

 

 

 

クルデンホルフが婚姻を提案してきた。ハルケギニアではまだ噂のみだが、ロイはマリアと結婚するとされている。クルデンホルフ大公は子が娘が一人しかいないので、必然的にギナとベアトリスの婚姻になるわけだが、三十を過ぎたギナと十歳のベアトリスではロリコンどころの騒ぎじゃないと思う。

 

 

心なしか、仲間の女性陣のギナに対する視線が冷たい。ギナとてロリコンじゃないので断ろうと思っているが妥当な理由が見つからない。なのでしばらく置いといて撤回してくれるのを待っていた。このまま沈静化するだろうと思われたが、後継者争い真っ最中のシャルルがシャルロットをギナに嫁がせようしむけてきた。まあ、男として見ればギナはこれ以上無い優良株だ。それに成立すれば急成長しているゲルマニア王族の支援も得られるだろう。

 

ギナ涙目である。本国からコトーが「少し話そうか」とまで提案してくるほどだ。親は息子が隠しきれないほどのロリコンと疑われているようだ(少しだけ)。ハルケギニアに来てもう六年で、人が変わるには十分な時間だ。

 

偶然って怖いね。

 

 

 




ギナ......


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四年前

原作四年前

 

 

ロマリア教皇が毒殺された。下手人は見つからずそのまま権力争いが始まる。最近はゲルマニア以外の何処もこんな感じだな。

 

 

実績から見るとマザリーニ枢機卿が一番適任だが、彼は拒否する。拒否されると思わなかったロマリア上層部は更に混乱した。マザリーニはロマリアからの支援をできるだけ引き出すために自分はロマニア側の人間だと匂わせていたのでこの反応が出てくる。

 

 

それを纏めたのはヴィンダールヴをつれたヴィットーリオだ。虚無の使い手であり、始祖ブリミルの弟子、フォルサテの子孫にあたる彼は実績こそ少ないがマザリーニが拒否した今、最も相応しい。

 

 

とまあ、ロマリアの争いはだらだらと続くガリアと違って直ぐに終わった。一応言っておくがトリステインでは争いなんか発生しなかったがこの件でマザリーニ王位を奪おうとしてないかと疑われる。

 

 

ゲルマニアは混乱に乗じて密偵を送り込む事に成功した。ガリアは対外諜報が一時麻痺してしまったので逆に送り込まれた。ここまで来るとガリアでは誰もが生き残るのに必死である。トリステインはトップがアレで、マザリーニは忙しすぎたのでそこまで手が回らなかった。

 

 

優秀と名高いガリア第二王子がゲルマニア王宮へやって来て王の治療薬を求めてきた。ガリアとゲルマニアは仲が良くもなく悪くもない。断る理由もないが態々ガリア王を助ける理由もない。

 

しかもシャルルは殊更に父を助けたいと強調するが引換に何かを渡すとは言わない。恐らくゲルマニアに来て頼んだと言う事実が欲しいだけで、助ける気は無いんだろう。マリアは断らずに時間がかかると言っておいた。断って非情な女王とでも言われるのは面倒である。ちなみにギナの件は一言も言わなかった。

 

 

数日後、ジョゼフまで来た。王子と言うのはこんなに暇だったのか?ジョゼフは直接条件を提出してた。「ゲルマニア王とガリア王が対等だと認める」+「ガリア御用ゴーレムワンセット」+「秘宝数点」を差し出すそうだ。しかし症状から見てガリア王は手遅れであり、薬は少しだけ延命するのみ、助けられない。それを知ってなお、ジョゼフは薬を欲しがった。これは争いのためなのか真に王を心配しているのかわわからない。だが、取引としては問題ないので了承した。

 

シャルルには薬はジョゼフに渡したと言っておく。「完成した時偶然ジョゼフが来た。誰に渡しても同じだろう?(意訳)」と言ったので、建前上は王の為なので強く言い返せない。

 

ジョゼフは帰った。ネオ・オーブにとってこの取引は悪くない、だがゲルマニアにとっては悪手だったかもしれない。ジョゼフは残酷なまでにリアリストで天才である。ガリアの為なら薬はどう使うべきか?それは王に偽物を渡して本物を解析すると言う手だ。嘗て女王が薬を渡した相手は治癒できるから全部使うだろう、しかしガリア王は違う。ロイはこの可能性に付いて考えたが、ネオ・オーブの利益になるならまあいっかでスルーする。だが今後ジョゼフに対する警戒を上げるべきだろうとも考えている。

 

未来のことだが。ジョゼフがアンドバリの指輪を手に入れた時、事実上核兵器を持っていると同意義だ。ロイは何らかの対抗法を考える必要がある。先に取ってくればいいんじゃね?との考えもあるが、今のゲルマニアに取って、レコン・キスタはとても有益だ。具体的な内容はその時に説明しよう。

 

 

デストロイが完成し、メタルベースに運び込まれた。パイロットはステラを登録しており一通りのテストも終了した。これで何時でも使える。オクタゴンクラスを超える固定化なので原材料も相まって相当恐ろしいだろう。

 

 

ネオ・オーブではようやくAMF発生装置のプロトタイプと電力->魔力変換装置(今後は魔力ジェネレーター)のプロトタイプが完成する。本当に長い道のりだった。これで最低限のこの世界を離れる準備が出来たと言える。この世界は特殊だが。大多数の世界では魔法の研究は無から始まる。ネオ・オーブが出来無い筈がない。魔力さえ作り出せれば無限の可能性を手に入れたのも当然だ。

 

 

ネフテスからの要請で戦争指導にギナが行く事になった。サハラでは石油が何故か豊富に発見され、石油精製技術、武器と戦車、航空機製造技術がこの短期間でマスターされた。流石はエルフと言ったところか。今後は独自の発展を考えるらしい。どうやら石油の使用に幾つか不満が有るようだ。

 

 

精霊魔法は杖を必要としない、故に空では両手がフリーなのだが、そこから手榴弾を投げたり、マシンガンぶっ放したりとシュール過ぎる戦法が見られた。航空機いらなくね?とか思ったギナだがどうやら生身の飛行速度はそう速くは無いらしい。この時代の戦術では集中して突撃するのが普通なので実は地上に居る方がマシンガンの効果がいい。それでも空に拘るのは十分の高さがあれば大砲が当たらないからだ。

 

 

 

エルフのカウンターは凄まじく、スクウェアクラスの魔法さえ防ぐ、ハルケギニアにある攻撃手段で突破するのは非常に難しい。では何故人間はエルフと戦えるのか?それは大砲だ。エルフ個人が展開するカウンターでは大砲の衝撃を跳ね返す事が出来ない。大量の大砲を揃えての弾幕攻撃は今まで最も有効な方法である。虚無は消費は大きすぎる、直ぐに精神力が使い終わるので実はそこまで頼りにならない。カリン見たいな例外はそう多く無いし戦争はやはり数だ。マシンガンを装備したエルフは恐ろしくなるだろう。

 

 

キュルケがスクウェアに昇格。ステラのマンツーマン戦闘訓練を受けたキュルケは昇格前で既に一般のスクウェアメイジを倒せたが、自身も昇格したので更なる発展が期待できる。このままラウンズ入りしそうな勢いだ。

 

 

 

フォールド技術の成熟のより、ネオ・オーブ政府は木星からエネルギー物資を調達する。同時にロイはハルケギニアの風石収集装置を全て自爆させる。元々の目的は緊急用エネルギーの確保だ。核融合炉が量産されるとなるとその必要もなくなる。ハルケギニアの風石問題をロイは魔法で解決するか、アルティメット細胞で解決するかを考えている。

 

 

 

 



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三年前

原作三年前

 

 

ガリア王が遂に病死。国内ではもっぱらシャルルが次王だと伝えられたが現王が指名したのはジョゼフだった。間が悪いことに現王は理由を説明する前に亡くなってしまい、シャルル派に多大な不満が残る。

 

 

その後、クーデターを画策したシャルルが殺害される、が、オルレアン公婦人とシャルロットは何故か逃されていた。最有力容疑者はジョゼフだが、状況証拠しかなく、現王糾弾には至らない。しかしこの件では何も言わないが、シャルル派の不満は増えるばかりで、その内も反乱は免れないだろう。

 

 

長年の争いでガリアは疲弊している。もしここで更に内戦となればマジで致命傷になりかねない。そこでジョゼフ大胆に大規模粛清を始めた。メイジ数に影響するので通常はやりたくても出来ないがそこはガリア、伝統と規模があるのでメイジ数が多い。嘗てゲルマニアでも女王が即位した時にメイジ数が激減したが、ゲルマニアでは平民でも貴族になれるので統治に影響は無い。むしろ平民上がりの貴族は魔法がないのでメイジの統治より幾分か穏やかだ。

 

 

ウインの月(12月)、ロイ(ナイトオブワンの姿)はアンドバリの指輪対策を手に入れるためにラグドリアン湖へ向かう。心をコントロールする効果を打ち消すには同種の力が一番である。つまり目的は水精霊の涙、作るのは心を正常に戻す秘薬。「そういえばアイツら精霊を信仰してたな」と言った感じでラウンズのエルフ二人も連れてきた。

 

 

 

 

三人がラグドリアン湖上空に転移し、降下する。そこで、偶然に怪しい集団が湖から出ているようだった。湖では精霊が出てきて何か喋っている。

 

(指輪奪取の現場かよ)

偶然です。

 

エルフは精霊を見て、下の人間を無視して先に挨拶しに行く。まあ、当然三人はクロムウェルらに気付かれるわけだが。ローブの一人が直ぐさま攻撃してくる、大量のガーゴイルで。シェフィールドまで居るようだ。

 

取り敢えず三人はローブ達を敵と判断する。挨拶を邪魔されたエルフ二人は怒っている。どんだけ精霊好きなんだよ、エルフ。神の頭脳+αVSエルフ*2+超チート。あとは分かるな?

 

 

マジックアイテムだけではどう足掻いてもエルフのカウンターを突破できない。ロイは敵が逃げられないように錬金術を使って湖周辺を高さ五十メートルの塀で囲む。ついでにエルフ二人にマジックアイテム使いを殺すなと言っておく。あとは任せればいい。転移魔法は虚無魔法の範疇内で、手のひらサイズのマジックアイテムでは実現できないだろう。逃げられないままエルフによる弾幕ゲームが始まる。

 

 

メイジを装っているので演技は必要だ、エルフ二人は大量の火球とか雷とか風の刃とかをこれでもかと飛ばす。一番後方のローブがビビって指輪を落としたのをロイは見逃さなかった。錬金術で地下に隠し、そのまま見てる。

 

 

「単なる物よ」

なんか精霊に話しかけられるロイ。

「なんだ?」

「あの指輪は我が物だ」

「あとで返すよ、その代わり同等の報酬を要求する」

「いいだろう」

交渉が終わりました。

 

 

もうダメか?と言う時にシェフィールドの動きが一瞬止まった。そしてその前に召喚の扉が現れる。彼女はそのまま逃げた、αを置いといて。どうやら心臓を一瞬止め、ルーンを消し、ジョゼフに通信し召喚の扉を開かせたようだ。

 

 

αから杖を取って湖に放り込んだ。指輪を返し、報酬に水精霊の一部、約200ml分貰った。それだけあの指輪の価値が高いと言うことだろう。少しダベって、エルフが満足してから帰る。共謀を疑わない処に「これが真の天然か」と思ったロイだった。

 

オリヴァー・クロムウェル死亡。

 

まあ、数日後に指輪はもう一度奪われる訳だが。精霊って実は知能が低かったりする。

 

 

 

帰ったロイは薬を作る。三日で完成し、ゲルマニア全域に三回使える量を創りだした。物凄く貴重なのでメタルベースに保管しとく。

 

 

裏ではレコン・キスタは発足されたが、ゲルマニア内は問題ない。メイリンがスパイやら密偵やらをサーチアンドデストロイしているので裏の人間に取ってゲルマニア、特に王族領は鬼門と成っている。

 

 

固定化装置は小規模量産された。固定化は色々難しい魔法である。最悪なのは固定化をかけた電線が導電性を失うと言う点だ。精密機械には簡単に使えない。ロイ輸出武器の一部を少し豪華にしてスクウェアクラスの固定化をかける、これを10倍の値段で売る。バリエーションを増やして装飾武器市場も独占しょうとの魂胆だ。まあ、見事に成功するわけだが。

 

 

 

コトー・サハクがネオ・オーブ国王即位する事が決まった。完全に名誉しか無いんだがそ れでもコトーは嬉しそうだ。国ではイベントが盛り沢山だが悲しいことにロイ達六人はハルケギニアで忙しい。実際はただのお祭りなので王子が出席しなければならないなんて堅苦しい決まりはない。で、主に金銭的にだが、サハク家は今後の背負う義務が増えた。そしてコトーの国王としての最初の仕事は映画の出演である。

 

 

更に改元、この年をN.C(Neo Centry)元年とした。

 

 

ちなみにギナは養子なので、王太子はロイである。実益が何も無いのはサハクに悪くね?と考える人も居るが、そこでコトーは「初代王太子は妻を四人まで持てる」となんというか何処をどう考えてもピンポイント過ぎて露骨すぎてもうこれロイ・サハクの事じゃね?って周囲に思わせた内容を提案。

 

そこはやっぱり通らなかった。まあ、法治国家だしね。ただ、法律上は無理だが名目上はOKとなった。つまり好きに名乗ればいいと言う訳だ。

 

ロイ自身はまあいっかであんまり気にしなかったが今後後悔する事になる。女性陣にとっては今まで通りなので取り敢えず後回しにした。ハルケギニアでは結構忙しい。

 

 

ハルケギニアはどんどんキナ臭くなって行き、四国を巻き込んだ戦争はそう遠くない。

 

 

 

 

 

SIDE ヴィットーリオ

 

不味いですね。エルフの技術進歩が早すぎる。連射の銃が大量配備された今、我々の勝算が更に減ってしまいます。

 

地下風石も誰かに細工されたような形跡がありました。この危機に気付いてる者が居るのですか?分からない。

 

しかし更に分からないのがこのネオ・オーブです。情報を統合するとどうやらエルフに技術を渡した存在らしいですが、それが個人なのか、組織なのか、国家なのか、そもそも本当に実在するのか、一切情報がありません。

 

エルフから直接情報を聞き出す事が出来ないのでこれが限界なのでしょう。

 

ガリア王が密かにエルフと接触しようとしているとの情報もあります。何とかしなければ。

 

SIDE OUT

 



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二年前

原作二年前

N.C 02

 

アルビオンでレコンキスタが蜂起。ゆっくりと勢力を拡大しつつある。クロムウェルの代わりにどっかの名も知らない司教が盟主をしている。アルビオン王宮はまだこれをそれほど重視していない。

 

 

それなりの情報通のマザリーニはレコンキスタの違和感(交渉した貴族全てを下した)を危険と感じ、ガリア、若しくはゲルマニアと同盟を結ぼうと考えている。しかし、ここで凄くやばい事態が発覚する。婚姻には男と女が要る。女はアンリエッタしか無いので置いといて、国外で妥当な男が居ない。ガリア王は既婚、王子は居ない。ゲルマニアは女王で王族でなんとか割り込めそうなのはギナしかいない。ロイは女王の相手だと考えられてる。しかしギナは未だにクルデンホルフの提案を拒否していない。マザリーニの悩みは更に増える。

 

 

こんな時にマリアンヌはラグドリアン湖でパーティーを開きたいと言い出した。国家予算的に駄目だが騒ぎたい貴族が多すぎた。前王が亡くなって以来楽しい事が全くなかったのでしょうがなく開く事になる。

 

 

パーティーは護衛にラウンズが全員出動した。順当に考えてジョゼフの護衛はシェフィールドが妥当なのだが失態が大きのでナイトオブワンの前に顔を出せない。マジックアイテムでの戦闘+人間なのに使い魔の扉で呼び出される、これだけで神の頭脳に辿り着くのは難しくない。

 

 

パーティーは問題なく進んだ。ロイとエルフ達は人目につかずに水精霊へ挨拶までした。そこでアンドバリの指輪を取り返す任務を依頼されたがゲルマニアへ移住する事を条件に了承する。水精霊にとって、住む場所はさほど重要ではないらしい。

 

 

ジョゼフは御前試合を提案するが、マリアンヌが何も考えずに賛同した。それでゲルマニアとガリアがトリステインとアルビオンをボコる構図になってしまった。最終的にアルビオン護衛隊隊長とナイトオブトゥヴェルブが引き分けて終了となる。アルビオンは戦争で人材がそっちに行ってるとはいえトリステインは弱すぎる。ラ・ヴァリエール公爵夫人がすごい拳握ってたがさすがに出しゃばるのは我慢したらしい。

 

 

天空のストーカー王子が確認されたがどうでもいいので全員スルーした。いや、マザリーニだけは頭を抱えたが。

 

 

問題が発生したのはパーティーが終わり、全員国に帰り、一息ついた頃だった。ラ・ヴァリエール領から約2000人が突如ツェルプストー領へ攻め込んだ。なんら予兆が無かったので対応が遅れてしまい、ツェルプストー領では大きな被害が出た。この2000人は武器もバラバラで犠牲を厭わず、狂ったようにただ破壊するだけだった。明らかにジョゼフの仕業だ。

 

 

更に一部煽られた脳筋タイプのメイジ(ラ・ヴァリエール所属)が一緒に攻めて来る。公爵一行が帰還する直前に出発したので公爵は止められなかった。完璧なアホなのでこの平民達の行動を忠誠心の成せる技と勘違いしている。

 

 

ムカついたマリアとロイはロイヤルガード以外のラウンズ11人を派遣、更にデストロイも投入する。

 

 

2000人はラウンズが対応する。弾幕組(ロイ、エルフ二人)と撃ち漏らし掃討組(残りの7人)に分かれ、敵を攻撃する。敵はラ・ヴァリエール領の平民で、シェフィールドが井戸の水にアンドバリの指輪を使って幾つかの村人を丸ごと仕向けた人間達だ。メイジは強力なのが数人いるが基本的に弾幕を突破出来ない。勢いを失えばどうと言う事も無い。

 

 

そして報復としてステラがデストロイを使ってラ・ヴァリエール領を蹂躙する手はずになっている。さすがにラ・ヴァリエール邸までは攻撃しないが。

 

 

全高56.3mの巨像はいやでも目を惹く。遠くからでも見えるデストロイの巨体と爆発音は的に恐怖を、見方には頼もしさを与えた。公爵とカリン達は爆風で近づけず、ルイズとカトレアは遠くの空からそれを見てしまい、爆音を恐れて公爵邸で震えている。ちなみにエレオノールは王都に居ます。

 

 

爆音が余りにも大きすぎるのは住民に逃げる時間を与えた。しかし、作物、都市などは容赦なく破壊されていく。復興は考えるだけで頭が痛くなる金額が必要になるだろう。

 

 

マリアの全精神力を使って造られたとされたデストロイはあのガリア王さえも顔を引き攣らせた。大体ラ・ヴァリエール領の25%を焦土に変え終えた頃、マザリーニが文字通り飛んできて謝罪に来た。ゲルマニア側も引き際と見たか、停戦要請を受ける、当然賠償と謝罪を要請するのも忘れない。

 

 

元凶のジョゼフにはグラントロワに隕石群の爆撃をプレゼントしてやった。加速魔法で何とか生き残れたが、当面の仕事はプチトロワで行う事になる。余談だがそれでジョゼフとイザベラの仲がほんのちょっとだけ良くなった。

 

 

賠償金の90%をツェルプストー領の復興のために与え、キュルケも帰らせた。政治、経済、情報関連の知識はそれぞれマリア、マユ、メイリンが長年教えてきたのですでに国王になってもいいレベルである。帰れば即戦力になれる。一応言っておくが別にキュルケの帰還を制限していない、ニューイの月(6月)からニイドの月(8月)の夏期休暇も与えてる。勉強する場所が違うだけで、休みはハルケギニアの学園生と変わらない。

 

 

最後にロイは来年キュルケをトリステインに留学させろとツェルプストー伯に命令した。

 

 

デストロイについて

ゲルマニア貴族:女王万歳!

ロマリア、ガリア、トリステイン:実は中にメイジが大量に入ってるんだろう。恐るるに足らず!

 

隕石爆撃について

ジョゼフ:ロマリアの虚無攻撃じゃね?

他:天罰。

 

 

 

 

SIDE キュルケ

 

子供の頃から姉様達に教わってきたせいか、周りの人間がひどく低能に思えるわ。

 

子供の頃、王宮に送り込まれた時には自分は人質なんじゃないかって思ったけど、意外にも姉様達は優しくしてくれた。そして凄いとしか言いようがない知識を教えてくれたわ。お陰さまで今、領の復興にとても役に立てたし。

 

父も新しい考えを忌避なく受け入れられる人なので復興は速いでしょうね。

 

王族の皆と一緒にいて分かった事だけど、彼らは身内には甘く、敵にはとことん容赦ない。私はどうなんだろう?優しくしてくれるし、他の貴族達よりも優先してくれるけど王宮内のハウスには入れてくれない。それにあのハウスの謎も多い、近づくと魔法が使えなくなるし、知らない兵器の防衛網も厚い。あれはきっと深く考えてはいけない物よ。うん。

 

 

姉様達も凄いけどロイ様は別格だわ。いつも考えが姉様達の10枚くらい上を行っている。身体能力は駄目駄目だけどね。何時か必ず追いつ......けるといいな〜

 

 

 

SIDE OUT

 

 



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一年前

原作一年前

N.C 03

 

 

アルビオンでは王が本腰を入れてもレコンキスタの勢いは止まらない。マザリーニは本気でゲルマニアとの婚姻を考える。ガリアには拒否されたので頼れるのはゲルマニアだけになる。王族で未婚なのはロイ・サハクとロンド・ギナ・サハクだが。この件でロイと接触しようとすると道中で使者がフルボッコにされる謎の事件が発生し、これ以上使者になる勇気のある者は居なかった。

 

 

マザリーニは多大な苦労は費やし、クルデンホルフに婚姻提案を撤回させ、アンリエッタとギナの婚姻を提案しようとする。が、トリステイン貴族から不満が起こった。格下と見ていたゲルマニアの貴族に王女を嫁がせるのは我慢ならないらしい。これを鎮静する時間も惜しいのでラ・ヴァリエール公にエレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールとギナとの婚姻を了承してもらった。意外にもラ・ヴァリエール公爵から反対は出なかった。トリステインの危機を察知したのか、それともさっさとエレオノールを嫁に出したいのかは分からないが。その裏ではこの件で既に数回怒りで気絶している過去がある。デストロイは伊達じゃないね。

 

 

しかしだ。エレオノールに書かせた手紙には罵詈雑言しか無かった。これを婚姻の提案だと認めることが出来るわけがない。それにあのキツイ性格のエレオノールを使うのは明らかに人選ミスだろう。

 

 

ゲルマニア、具体的にはロイがこの提案を戦線布告と見做す。マリアも同意して軍備を整え始める。この人をバカにした内容の手紙の事は後日、ラ・ヴァリエール公爵とマザリーニに伝わる。二人共、特にマザリーニのダメージは甚大である。マザリーニが謝罪の使者を出した所で遂に倒れた。合掌。

 

 

戦争での武器の消費はロイの莫大な量の金貨を齎した。これで更にゲルマニアが強くなるのだが、ジョゼフはどう考えてるのか分からない。

 

 

そしてロマリアはレコン・キスタの支援を秘密裏に開始した。聖地奪還を掲げるのなら乗っ取り簡単だとヴィットーリオは考えたからだ。火のルビーが無く、虚無魔法が使えないのでひどく不安な彼は力を求める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリステイン魔法学院ではそんな事関係なしにフェオの月に入学式が行われた。ゲルマニア留学生の中には他の生徒比べて、圧倒的貫禄があるキュルケが居た。

 

 

そのキュルケはここの男子に心底失望していた。ゲルマニアでの周りの男性、主にロイとギナの能力が高く、彼女自身も有能なのでどうしても生徒たちがバカに見えてしまう。もっともそれを表に出す程未熟でもないが。しかし、やはり容姿とプロポーションは抜群なので最初では告白する男子が多かった。同時に少数の逆恨みする女子も居る訳だ。

 

 

全てにおいて優秀(性格は疑問あり)なキュルケと比べられたのはトリステインの家は最高格のルイズである。「キュルケはあんなに優秀なのにウチのあいつと来たら」てな感じだ。それを覆すために爆発をお見舞いするルイズは相変わらず不人気だ。

 

 

そしてそのルイズも変わった。ゲルマニア王族と関係が深い者、今は主にキュルケ、を異常なほどに恐れている。やはりデストロイのインパクトが大きいのだろう、ロイの目論見は見事に達成されたわけである。

 

 

そんなルイズをからかうのが趣味として目覚めてしまった今のキュルケはきっとSだと思う。

 

 

それでこんな事件が発生した。

 

キュルケ主観:

タバサ「私の本燃やしたのは貴方?」−>キュルケ「は?なにそれ?」−>タバサ「問答無用」−>キュルケ無双−>タバサ「火力が違う......がくっ」−>キュルケ「そこにいるのは誰!?」−>フレイム・ボール*12−>ヴィリエ「ギャーァァァァァァ」−>ミディアムヴィリエが完成(死んでません)−>後日タバサ「間違った、ごめん」シュン−>キュルケ(あら可愛い)「大丈夫よ、大丈夫」( ^^)/(・・)−>色々−>(略)−>タバサ「ポッ//」−>付き合い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

 

何が有ったかは皆さんで補完してくれて結構です。

 

 

 

キュルケ、優秀で、強く、貫禄がある。いつの間にか高嶺の花になってしまい、女子の相談等にもよく乗るから「お姉様」と呼ばれる。実は裏で各領の情報を収集しているのだが、知らぬが花と言うものだ。

 

 

タバサ、そこいらの男子より強く、頭もいい、感情さえ読み取れれば意外と可愛いかも知れない。そして温かさを求める少女。

 

 

末永くお幸せに。

 

 

基本的に衛星から情報を入手するロイはこれを察知できず。後に何故こうなったかと六人で頭を抱える事になる。

 

 

成績ではルイズではなくキュルケがトップである。実力も学生内ではダントツであり、ああ呼ばれるのも無理もない。

 

 

 

 

 

王宮では目を覚ましたマザリーニが部下から強制的に2ヶ月休まされた(100%善意)。二ヶ月後、アルビオンでは王党派が更に不利になっている。そしてトリステインでは何の対策も為されていない。事ここに至ってはマザリーニも最終手段を使うしか無かった。ラ・ヴァリエール公に全面協力を申し込みに行ったのである。

 

 

 

 

 

ラ・ヴァリエール公、了承。領地を焼かれた恨みはある、しかし国家存亡の今、それを言ってられない。公爵は我慢する。

 

 

レコンキスタは聖地奪還を目指している、少なくとも表向きではそうだ。となると何れ降下する必要があるのだが直接ゲルマニアやガリアに侵略する程バカではない。必然的に残りはトリステインだけである。

 

 

取り敢えずロマリアに異端認定してもらおう、とラ・ヴァリエール公は提案するが、マザリーニはヴィットーリオが素直に認定するとは思えない。実際、彼は聖地奪還のためなら虚無の使い手以外の王族の血筋などどうでもよかった。

 

 

一ヶ月後、教皇は言葉を濁したとの報告を受けた二人はまた悩む。

 



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-------------------設定など--------------------

この設定で行きます。


-------------------設定など--------------------

 

原作との違い

 

コルベール死亡

 

クロムウェル死亡

 

キュルケの能力が準チートになる。一番接触が多い男性がロイなので男性の基準が可笑しくなった。性格は快楽主義にややクールが混じった感じ。

 

ティファニアがゲルマニア北部で安心して暮らしている。

 

マチルダがティファニアの家に仕えてるまま。

 

モード大公(元)とシャジャルが生存。

 

ハルケギニアの武器販売をサハクが独占した(防具は違う)。

 

 

 

国力:

ガリア 10

ゲルマニア 15 (王族 10)

トリステイン 1

アルビオン 1.5 (内戦前)

ロマリア 4

 

 

ゲルマニア王族常時軍事力(公開済のみ)

 

常備軍 5000人(入隊志望者が多く、少し増えた)

 

ナイトオブラウンズ 12人

 

オーバーフラッグ 15機

 

デストロイ(固定化装甲) 1機

 

(二種のMSは同時使用不可)

 

領土:

ガリア 10

ゲルマニア 10

トリステイン 1

アルビオン 1.5

クルデンホルフ 0.05

ロマリア 4

 

 

 

 

 

ゲルマニア内部:

マリア 1

ホーク 1

ルーシェ 1

サハク 1

アスカ 1

以上は纏めて統治している。

 

ラウンズ 0.2(7人分。人間以外とロイは要らないので持ってない)

他貴族 4

領主不在 0.8 (王宮が代理を派遣している)

 

 

今後のネオ・オーブでの魔法研究は複雑化するので詳しくは書きません。

 

 



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同盟?

同盟?

 

アンスールの月(7月)。学院の夏期休暇中、ゲルマニアに大物が訪ねてくる。マザリーニ枢機卿とラ・ヴァリエール公爵一家(エレオノール除く)だ。

 

 

今回の件を一言で言うとお見合いである。この二人の中で直接合わせてみよう、と、マザリーニは思ったわけだ。はっきり言って既にヤケクソだった。出発の段階で漸くエレオノールの処分がまだだったと気付いた所にどれほど追い詰められたかが分かる。これは本当に最後の手段なのだ。失敗し、ジョゼフ、若しくはヴィットーリオが乱心しなければトリステインは滅ぶ。

 

 

エレオノールは取り敢えず軟禁。ゲルマニアの望む処分も一応は手札の一つくらいになりえるかも知れない。

 

 

 

 

 

 

一行は女王に挨拶してからギナと面会しようとしたが、何故か時間があるのはロイだけである。実際では、そうなるようにロイが仕向けただけだ。陰謀はロイの担当なので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王宮の客間。大きなテーブルの一方はマザリーニ、公爵、公爵夫人、カトレア。ルイズは王族と面会できる状態ではなかったので、家臣に世話を任せたらしい。やっぱりダメかと溜息をつくオッサン二人である。だが、ギナには何としても会ってもらわなければならない。ロンド・ギナ・サハクにはロリコンだと言う噂があるからだ。

 

 

 

一行の中で公爵夫人が放つ威圧感が凄い。表向きのロイは王族ではあるが役職がない。一時的に外交を任される時もあるが、それは飽くまでも一時的なものだ。影響力が強くても、地位は無し、その辺の機敏をカリンは理解は出来ても納得は出来ない、バカにされた感じがするのだろう。つまるところ、やはり武人だというわけだ。だが子供でもないので、口には出さない、しかし隠しきれない物も有ったようだ。

 

 

 

 

 

一方のロイは心底リラックスしていて紅茶を楽しんでいる。それが更に公爵夫人イラつかせた。

 

 

「レコン・キスタの件で話がしたい」

アピールするのはロイじゃないので直接本音を話す。

「どうぞ」

「レコン・キスタは聖地奪還を掲げている。残念ながらアルビオンはもう駄目だろう。その次はトリステインを侵略する確率が最も高い。これだけならばゲルマニアとは関係ないが、万が一トリステインが落ちるとすればゲルマニアが戦場になる可能性が出てくる、それはそちらにとっても良くないだろう?」

マザリーニはずいぶんと焦っているようだ。カリンのマザリーニに対する視線は刺々しくなるばかりだ。きっとトリステインの滅びが気に入らなかったんだろう。

「確かにゲルマニアが戦場になるのは避けたいが、ガリアを通ると言う選択肢も有る」

「建前上、ブリミルの子孫は出来るだけ攻撃しないようにする筈だ」

「ではアルビオン王家を攻撃するのは?」

「ブリミルの子孫なのに聖地奪還に協力しないのでやむを得ずと言ったところか」

「ガリアにも同じ言い訳で攻める事ができる」

「それはそうだが、やはり建前を考えるとゲルマニアになるのではないかと」

「後ろにロマリアが居ると考えているからか?」

「......」

「それは肯定と取るぞ」

「しかし、攻撃目標でゲルマニアが有力なのは事実だ」

「ならばレコン・キスタに占拠されたトリステインを殲滅するだけだ」

「っ!」「くっ!」

「それでは同じではないか?」

冷静なのはマザリーニしか居ない。

「いや、足手まといは居ると居ないでは勝手が違う」

「我がトリステインが足手まといだと?」

「王が居ないのに誰が軍を纏めるんだ?」

痛いところを付かれたマザリーニ。

「マリアンヌ様とアンリエッタ様なら出来ます」

「先に王位に着かせろ。王が居ない不安定な国との同盟なんぞ受ける意味が無い」

「しかし!」

「それに例えどちらかが王位に就いたとしても、貴族どもを纏め上げられる保証もない」

「我がトリステインの貴族は皆、国に忠誠だ」

「はっ!だったらゲルマニアの手伝いは要らないだろ」

トリステインとアルビオンの差はアルビオン内戦もあり、縮まっている。貴族を纏め上げ、クルデンホルフの全面的な協力を取り付ければ少なくとも負けることはない。

「......」

しかし、それは無理である。

「まずは自国をなんとかしてください」

ロイが出て行く。マザリーニ、ロイに説得に失敗。が

「待って!」

「ん?」

呼び止めたのはカトレア。

「お願い、トリステインを助けて」

だが、外交は無理であった。

「断る」

「姉さんの事は私が謝るから!」

「女王陛下は今後、トリステインの使者とは会われない」

静かに怒っている風に立ち去る。

 

 

 

レコン・キスタはアルビオンの半分を占拠、優位なまま快進撃を続ける。奪った財宝で軍は更に拡大し、強化される。

 

 

トリステインでは一部貴族が漸く警戒を始めた。帰還したマザリーニが無理を承知で援軍派遣を提案する、一方のラ・ヴァリエール公は貿易停止の提案だ。両提案に対して意見は二分化し、援軍の方は出し渋った貴族が多すぎて纏まらず、貿易停止はやりたい奴だけでやる事になるが、当然意味がなかった。

 

 

だが今援軍を出せば何とか間に合うと考えるマザリーニとラ・ヴァリエール公は他貴族を必死で説得する。しかしリッシュモンを中心とした一派の反対にあい、積極的賛同貴族は四割しか集まらなかった。反対派が四割(内裏切り者が1割)、慎重派が二割だ。慎重派は静観を主張し、今直ぐの派遣には反対である(盛り返したときに勝ち馬に乗るつもり)。王族の意思表明も無かったので援軍の派遣は実現できなかった。

 

 

 

 

 

そして、二人が絶望している時。条件付きで同盟を結ぶと言う書簡がゲルマニアから送られてくる。

 



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その裏で

 

「は?惚れた?」

ロイは信じられないような目付きでギナを見る。

「……そうだ」

搾り出すようにギナが言う。

「誰に?」

「ミス・カトレアだ」

「……もう少し詳しく」

「いつも通り街に出かけてたらピンク髪の女が話しかけてきた。惚れた。去り際にカトレアと言う名前だと教えてもらった」

「(一本取られたか)そいつはトリステインがお前に結婚させようとした女だ」

「そ、そうか。うむ、で、どうなんだ?」

「我々不老者にとって支える存在と言うのは極めて重要だ。それを考えればカトレアとの結婚の為に少しくらい譲歩するのは吝かではない」

「そうか!」

「だが、ミス・カトレアのゲルマニア王族に対する印象は最悪だぞ」

「何とかしてみせる!」

「では条件を言う。

1.ネオ・オーブの事と我々の秘密は知らせるな。

2.ミス・カトレアはハルケギニアでは治せない病を患わっている。それの治療は彼女が兄さんの妻に相応しいと判断された時に行う。それまでは治療可能だと言ってはならない。

3.妻に相応しいと判断する条件は彼女がラ・ヴァリエール家を捨ててまで兄さんに付いて行くくらい好きだという事。

分かったか?」

「問題ない!」

「期限は多分一年くらい」

「一年でゲルマニアに対する印象を変えられる訳ないだろ」

「一年は推測時間だ。それ以上はどうであれ同盟は続かない、だが個人的な繋がりは兄さん次第だよ」

「むむむ、分かった。具体案は他の皆に聞いてくる!」

「え?おい!まっ…」

ギナは既に行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

SIDE ロイ

 

はあ。

 

ギナとのお見合いは了承しなかったからこの手を使ったわけか。初めから同盟は結ぶつもりだったので大きな問題は無い、が。恋愛で政治を動かすのはバカにされないか?いや、ここいらは大体そんな感じだったな。

 

だとするとサハク公と王家の不和を避けるためにゲルマニアはいやいや同意したとすればいいか。条件を付け足すには問題はない。

 

ゲルマニアから言うと、ルイズと婚約してゲルマニアに置いとけば色々安泰なんだが。それをやるとギナは名声が壊れる。ジョゼフもチョッカイを出してくるかも知れない。いい事ねえな。

 

だが、ギナの恋は無理だな。デストロイで領地を焼いたのはマイナスだった。まあ、個人的にはカトレアをうちの家に入れたくはない。私もやはりこの世界の人間を見下している部分が有るという事だろう。

 

カリン、エレオノール、ルイズの性格がアレほど似ているのにカトレアが温厚なのは病気のせいだろう。病気が治ればあの性格になりそうな気がする。推測を並べても意味はないか。

 

取り敢えずマリアには手伝ってあげるよう言っておこう。最初から王女だった彼女なら貴族の女性の心理が分かるかも知れない。

 

それにこれで父さんも安心するだろう。兄さんはおっとりしたタイプが好きでロリコンじゃあ無い。これで良く分かるはずだ。

 

 

エレオノールの手紙、そして前回の侵略。条件はいい、問題は取れるものがない。水のルビー、始祖の祈祷書は渡さないだろう。いくら扱いが雑でも一応は秘宝だ。渡すとなると内部紛争に発展しかねない。

 

 

だとすると、ド・オル二エールの借用だ。あそこからラウンズを投入すれば一瞬で制圧できる。実行する意味が無いのでやらないが。トリステインが簡単に倒れてレコン・キスタに吸収されたら被害が大きくなる。トリステインを戦場にして、レコン・キスタには戦線を伸ばさせる。適度に調整すれば共倒れも可能だ。

 

 

まだ早過ぎるか。アルビオン王家は一応健在だ。

 

 

エルフに一応注意する様に言っておくか?ジョゼフが万が一改心してしまえばそのまま攻め込まれるだろう。ゲルマニア方面は私達が同盟を結んでるから彼らからしてはガリアを何とかする必要がある。既に接触しているかも知れないな。一応注意だけはしておこう。

 

 

だがこれでは釣り合わない。ド・オル二エールは物凄く重要だが、あいつらは知らないだろう。寧ろトリステイン王宮への侵入はどうでもいい。肝心なのは転移魔法がかかった鏡だ。あれを解析すればとんでも無い利益を生み出せる。王宮の隠し部屋の壁を壊せば使えなくなるが、魔法はかかったままな筈。

 

 

また逸れた。条件は、今後あらゆる場合でゲルマニアをトリステインと対等に扱う、で、いいか。それを了承する事がブリミルの影響を削ぐ第一歩だ。エレオノールに処分は、あっちに任せればいい。国家より娘を大事にする人間だ。ラ・ヴァリエール公爵に厳しい処分を下せるとは思えない。だがそれでいい。相手に怒りやすい人間が居ればそれだけ扱いやすくなる。

 

水精霊の件も少し言っておくか。移住するかも知れない、と。

 

SIDE OUT

 

 

トリステインとゲルマニアの同盟は成立する。そしてド・オルニエールがロイ・サハクに貸し出される。期間は二年。直ぐにトリステイン王宮のとある隠し部屋の壁が壊されたのだが、トリステインでは誰も知らなかった。

 

 



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召喚はカオス

N.C 04

フェオの月(4月)

 

トリステイン魔法学園では入学式が終わり、進級試験が始まる。カオス開始。

 

ジャイアントモールを召喚した生徒がいた。うん、普通。

 

バグベアーを召喚した生徒がいた。これ、浮かんでるの先住魔法じゃね?

 

スキュラを召喚した生徒がいた。これはもう亜人だろ。

 

マンティコアを召喚した生徒がいた。すごい。天才だ。

 

風竜を召喚した生徒が居た。実は風韻龍だった。知らないまま驚かれた。

 

爆発を撒き散らす生徒がいた。後回しにされた。周りの動物たちの鳴き声と爆音でイラつく。

 

キュルケが召喚をした。

 

出てきたのは首が三つあって竜の尾と蛇の髭を持った獅子が現れた。なんか口から火を吐いてて、周りを威嚇している。これケルベロスじゃね?

 

ハルケギニアではギリシャ神話など無いので冥府の番人とかじゃないが、これめっちゃ怖い。大きさは全長が約3m、呼吸と共に口から火の粉が飛び出し、低く、それでいてよく響く声で唸る。

 

周りは動けない。そしてこの中で主たるキュルケ以外で一番強い人間、監督役のギトーに目を付ける。

 

「総員、退避するのじゃ!」

オスマンが現れて、キュルケ以外の全員が逃げる。キュルケも我を取り戻し、オスマンの静止を振りきってケルベロスと契約する。

 

コントラクト・サーヴァントはつつがなく終了する。口が火傷したが後で治してもらった。

 

危機が去ったと見て皆が戻ってくる。もう散々だ。

 

成績順で下からなのでキュルケが最後だった筈だが、後回しにされたルイズがまだ残っている。

 

平 民 を 召 喚 し た 。

 

「もうやだ」とギトーは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一応オスマンはこれでも学園で最も豊富な知識と経験を持つ人間である。召喚された平民、何故か契約できる。となれば「おかしい」くらいは考えるだろう。調べてみれば「ガンダールヴではないか!」と分かってしまうわけだ。だが、これは自分の心に閉まっておく。ルイズは未熟で、うっかり言ってしまうかも知れない。だから、本人にも知らせてはならない。

 

 

「両親くらいは知らせてもいいんじゃないか?」

ロイ、原作に対する感想。

 

 

SIDE キュルケ

 

なにこれ。すごいじゃない。

「今日から貴方はフレアよ」

雌だし、これ以上ぴったりな名前はないわ。

 

走るスピードも速いし、火炎弾も使えるし、毛はフサフサだし、これ重要。モフモフすると気持ちいい。

 

タバサも風竜を召喚したみたいだし。流石、私の恋人ね。

 

 

それに比べ、ルイズはなんで平民なんか召喚したのかしら。礼儀知らずだし、弱そうだし、顔も普通。ただ、変な服着てるわね。ロバ・アル・カリイエの人かしら?少し話を聞いてみようかしら。

 

SIDE OUT

 

まあ、物や人型幻獣を召喚する場合も有るので、平民の召喚も深く考えなければ問題はない。

 

 

 

 

それを衛星から見ていたロイは別の問題に気付いた。キュルケとタバサがイチャイチャしてる。これってあれだよね?いやいや、違う、アレじゃなくてあれ。そう、あれだよあれ。と混乱した。

 

その後、ロイは他の五人を呼んで、映像を見せる。認めたくない、物凄く認めたくないがそういう事なんだろう。

 

女性陣は泣いた。娘同然に育てた娘がこれでは泣くだろう。男には理解出来ない何かがあるようだ。

 

どこで間違えたんだろう?

二日に渡る会議で結論が出る。そう、周りの男が無能すぎたんだ!

まあ、二人がそれでいいって言うんなら反対はしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同盟に関する仕事を全てやり終えたマザリーニとラ・ヴァリエール公爵は一つの問題を解決しなければならない。エレオノールの件だ。ゲルマニアからの要望は無い。だが罰が軽ければゲルマニア側の心象を悪くしそうだし、厳しすぎるとラ・ヴァリエール公爵が受け入れられ無い。いっそゲルマニア側からの要請あったほうが良かった。

 

 

マザリーニの提案:しばらく牢に入れる。

ラ・ヴァリエール公爵の提案:領で軟禁。

 

 

結果、ラ・ヴァリエール公爵の強行的な態度に負けてマザリーニが譲歩した。やはり娘には甘い公爵である。だがマザリーニは気が気でない。これを口実に何時、ゲルマニアが要求を出してくるのか分からないからだ。実際にはこの程度の事を気にするロイでは無かったが、必要なときには使うつもりだ。

 

 

 

婚約したギナとカトレアだが、そのアプローチは尽く失敗している。ギナが話しかけると返事はくれるのだが、自ら話しかけようとはしない。普通に食事に誘っても、プレゼントを用意しても効果はない。自分の実力で惚れさせる息巻いたギナもここまでくるとやっと他人に頼る事を考えたようだ。そしてマリアから“シナリオ”を貰う。

 

 

 

ネフテスはロイ達の状況から、ゲルマニアからの侵略はないと判断する。現在発生している聖地奪還運動。アルビオンからトリステインまではどうでもいいが、その後、もしガリアが同調すればサハラに厄災が襲い掛かるだろう。それを避けるためにビターシャルを交渉役としてガリアに遣わす。もし出来るなら、不可侵条約も締結したいと考えてる。例え勝てるとしても、この戦争は何も利益を齎さない。

 

 



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決闘を流す

サイトの扱いは酷い。それは躾と書いて虐待と呼ぶ。まあ、後先考えずに調子に乗るサイトにも責任は有るわけだが。

 

 

隠す事もないけど流石にアレなのでキュルケとタバサの付き合いは大っぴらに言いっていない。だからキュルケが恩を売るために偶然通りかかったシエスタに賄いを与えるよう言い付けて、話を聞くために部屋に招いたのをルイズが勘違いするのは無理もない、か?。しかし勘違いしたサイトが調子に乗ってキュルケに一度ぶっ飛ばされたのは似た者主従かもしれない、妄想好きな意味で。

 

 

そして賄いのお礼にシエスタを手伝いギーシュの落とした香水を拾いギーシュの二股がバレて「決闘だ!」になって最初にボコられてギーシュが慢心して武器を与え逆に倒された。なんて事は起きなかった。

 

ならば、ガンダールヴの実力を確認する為には自分で起こすしか無い。

 

SIDE キュルケ

 

あ、ありのまま起こった事をはな(ry

 

 

つまり朝起きたら机の上に手紙があったわけよ。しかもロイ様からの命令でギーシュとあの使い魔を戦わせろって何それ?なんの実力確認よ?

 

 

取り敢えず前に相談しに来た女子生徒三人が全員ギーシュと付き合ったって喜んで報告してきたからネタは十分ね。三人集めてお茶を飲んで、ギーシュの隣でバラして、使い魔に見せる、でいいわね。

 

 

手紙の出現は深く考えない事にするわ。一応ゲルマニア王族の紋章もあるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルイズ、ちょっといいかしら?」

「あによ?って。キ、キュルキュルキュルケさんでしたか」

誰それ?

「この前は悪かったわね」

「いえいえいえいえ、あんな奴のお話しなら好きに聞いてください!ええ、幾らでも!」

「いえ、もういいわ。私こそ貴方の許可を取ってないなんて思わなくって」

「それです!あいつはその辺を全くわかってないのよ!」

「つまりあの使い魔君は貴方を主人だと思っていないのよ」

「そうよ!あんのバカは御主人様に対する敬意ってのが」

「まあまあ、落ち着いて。そこであたしににいいアイデアが有るんの」

「へ?なんですか?」

流石に疑うかしら?

「人は周りに影響されるって聞いた事ある?」

「ええと、あ、あります」

聞いた事ないわね。

「例えば、周りの人間全員が君の髪が白だと言う」

「私の髪は桃色がかかったブロンドです」

「そう。だけどね、もしも学園の生徒から貴方の家族まで全員が貴方の髪が白だと言ったら、貴方はそれでも自分を信じられる?」

「…………」

「流石に疑うでしょ。これが周りからの影響よ」

「それと私の使い魔になんの関係が有るんですか?」

「彼はいつも貴方につっかかるでしょ?それを見て、他人は力量関係を誤解してしまっているの。つまり周りの者に貴方の方が上だと正しく認識させる必要がある」

「成程」

「そこで、明日の昼食後。生徒たちが雑談している時に彼らの前で躾けるんのよ」

「そして周りに分からせる訳ね」

「そう。更にその姿を見た女子生徒は悪い意味での有名人のあいつを誘わなくなるでしょうし。彼も自分の立場を理解できるもんよ」

「流石です、キュルケさん!」

「うん、応援してるわ」

「はい!」

 

これでよし。

成績がよくても交渉の経験は少ないのかしら?案外乗せやすいわね。まあ、これで使い魔の性格が何とかなるとは思わないけどね。

 

SIDE OUT

 

 

翌日の昼を簡単に流すとしよう。

 

 

 

ルイズSEKKYOU、キュルケ組雑談、ギーシュ組雑談。

       ↓

キュルケ「それで貴方達の付き合ってる相手は誰かしら?」

       ↓

三人口喧嘩。ギーシュに気付く。

       ↓

「「「どういう事?!」」」

       ↓

それを見たサイト「けっ!」

       ↓

「「「さようなら!」」」

       ↓

サイトが馬鹿にした目で見る。

       ↓

ギーシュ「なんだその目は!?」

       ↓

「いや〜別に?貴族様様がまさか(ry」

       ↓

ギーシュ「こんなに侮辱されたのは初めてだ!決闘だ!」

       ↓

原作通り。

 

期待を裏切らないね、ホント。

 

 

SIDE ロイ

 

 

そこまで脅威でもないな。知識にある生体兵器には敵わない。いくら心は震えてもルーン一つの身体強化ではこの程度か。力比べになるとゴリラに負ける程度だ。毒の耐性を備えたとも思えない。ルイズの詠唱が加わるともう一段階上がるかも知れないが、所詮はビターシャルのカウンターを突破出来ない程度の力だ。それよりもルイズの爆発がもっと厄介だ。あれが体内で起来たらさぞやグロい絵が出来上がるだろう。

 

 

流石にラ・ヴァリエール家では軍事利用は考えないだろうが、何かのはずみで爆発極めるとか言い出したらメンド臭い。神の頭脳も頭と全然関係なかったし、神の左手って遠距離が致命的だし、ヴィンダールヴは動物操作だったか。何考えてんだブリミル、長い呪文を詠唱してる間に遠距離攻撃をくらったらどうするんだよ?実は只のネタじゃないだろうな。まあいい、使い魔は脅威にならず、問題は使い手達だな。

 

SIDE OUT

 

 

噂がよく回る貴族社会でこの決闘はいい話材料になる。そしてそれが引き起こす結果はかなりヤバイ、主に今後のトリステインにとって。

 

 



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小さい社会

ギーシュ・ド・グラモンがグラモン家から追い出された。

 

 

トリステインの最大級名門武家の息子が、平民に侮辱されて、決闘を申し込んで、最初は優位だったのに油断して、相手に武器を与え、負けた。「トリステインの国防は大丈夫か」「こんな時に」「グラモンはもう駄目だ、トリステインの武門は我が家が」等々と散々叩かれた。家の面子の為には追い出さざるを得なかった。ギーシュはグラモンを名乗る事を禁じられた。当然、学園に行ける筈もなく、グラモン元帥が紹介した傭兵を頼ってこのまま傭兵デビューする。

 

 

流石にこの件はルイズも父親から窘められた。書くのもメンド臭くなる程の量の噂がラ・ヴァリエールを中心に飛び回っている。サイトは生徒達から毒殺されそうな勢いで嫌われていたが、逆に平民からは英雄視された。

 

 

 

憶測と誇張と悪意を混ぜた結果、噂はこんな感じ。「ラ・ヴァリエール公爵が他の貴族をたたき落とす為、若いメイジ殺しを雇う。魔法の使えない娘に召喚の儀で呼び出したとして与え、周りの貴族後継者たちを失態させて親も叩く」。まあ、魔法が使えないルイズがサモン・サーヴァントを使えるとは思えないのでこうなる訳だ。オスマンとしては正規な使い魔だと分かっているが、ガンダールヴとは言えず、言葉を濁すのみ。これをラ・ヴァリエール公爵が脅してると考える貴族も数人居る。

 

 

 

オスマンは使い魔召喚の現場に居たので、サイトのルーンを見て直ぐに虚無と関連付けた。そしてサイトの実力を確認する為に決闘を止めなかった。

 

しかし、オスマンも貴族達がここまで不安になっていたとは思いもしなかっただろう。どういう手を使ったのかは分からないが、レコン・キスタの兵数は既に5万まで膨れ上がり、アルビオン王家を圧倒した。

 

フィリップ三世の栄光がまだ頭に残ってる彼らは今のトリステインを見て不安になるのはそう可笑しい事ではない。ゲルマニアとの同盟があると言ってもトリステインからは実際には利益を渡していない、逆に言えば何時でも切られる可能性がある。

 

ガンダールヴの出現はオスマンとトリステインにとって大変喜ばしい事である。しかし、伝説の虚無の出現に喜んだオスマンはやや迂闊気味であった。

 

 

しかし、ギーシュが学園に行けなくなった件で生徒達は不安になる。もともとルイズと好意的に話す相手は少ない、この件で生徒達はルイズと更に距離を置く。これは不味いと考えて、オスマンはルイズにしっかり使い魔を管理しろと何度も言う。生徒達も宥め、なんとか通常の雰囲気に戻る。だがサイトはずっと寝ていたので何も知らなかった。彼は知らずに自分で仲間を得る機会を潰してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

三日三晩寝て、ようやく起きたサイト。ルイズは取り合えず武器を買ってやる事にした。虚無の曜日、二人はなんの問題も無く、トリスタニアの武器屋で剣を買った。買ったのはゲルマニア製(実はネオ・オーブ)の大剣タイプで値段は新金貨で80。デルフリンガー?どっかの倉庫じゃないか?安くて使い易い剣があるのにあれをここの飾る必要もないだろ?

 

 

ルイズは寧ろこの決闘でサイトは使えると認識した。少なくとも戦い方をちゃんと選べば使える。青銅を切り裂く力、武門グラモンを倒す実力。これはそこいらの猫とかカエルとかよりも何倍も使える。

 

 

ルーンの効果、それはルイズにもちゃんと影響を及ぼし、ルイズは無意識のうちにサイトの為に色々やっていこうと考える。でなければ婚約者がいて、そのワルドが大好きなルイズが男を部屋に泊らせるわけがない。

 

 

キュルケはサイトの実力が明らかに可笑しいと分かる。そりゃあボコボコにされてた時とボコボコにする時が違いすぎだ。そもそもあの傷ではろくに動けない筈だ。しかも強くなった時にルーンが光ってたんだが、これはルーンの影響だとしか考えられないだろ。

 

 

そしてルーンを調べた処、虚無の使い魔に辿り着いた。ルイズの魔法の特異性を鑑みてルイズの属性を虚無と見る。これが普通のトリステインの生徒ならそうは行かなかったが、ゲルマニア王族領の目覚しい変化と王族のチートっぷり見てきたキュルケの頭は柔らかい。だがキュルケが対処法を知らない、取り敢えずマリアには報告して、今まで通りに話す事にしたようだ。

 

 

帰ってきたルイズ達を待っていたのはキュルケとの決闘でも、フーケの襲撃でもない。マチルダさんはゲルマニアでティファニアと平穏に暮らしてます。フリッグの舞踏会にてサイトは出席出来なかった。それ以外では特に何もなかった。

 

 

 

SIDE アンリエッタ

 

 

これはきっとなにかの間違いよ。ルイズがそんな事する訳ないわ。

 

オールド・オスマンも認めてる事ですし、きっと物凄い使い魔を召喚したのね。

 

ならば、私のお願いも聞いてくれるかしら。

あんなに強い使い魔がいればきっと……

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネオ・オーブでAMFの大気圏内の実験データが欲しいそうだ。しかし、今の発生装置は大きい、なのでデストロイに装備する。その代わり変形が出来なくなってしまったが、些細な事だ。AMFの効果範囲は胸部を中心に半径50m。虚無魔法の形成さえ消すのでこれで本当に手が付けられなくなった。

 

 

 

 

 

 



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それは最初から狂っていた

アンリエッタはルイズを尋ねる。アルビオン王家が危険な今、彼女はウェールズ王子が心配で心配でたまらない。そして亡命して欲しいが、こんな事公式に書簡で出せる筈がない。どう考えてもトリステインに戦火が移る。

 

 

しかし、頼れる部下も居ない。グリフォン隊隊長の名前さえこの前知ったばかりだ。マンティコア隊隊長は先代が烈風カリンだった事しか知らない。とまあ、頼れる人間が居ない時に聞いたのがルイズのメイジ殺しの従者?だ。これは頼るしか無いだろう。

 

 

目的はウェールズの亡命なので、表向きの理由は適当にでっち上げた。ルイズは乗せやすい、それがアンリエッタの言葉になると適当な理由でも喜んで動く。国家への忠誠、親友への信頼、この二つが合わさればアンリエッタの言葉は信じられる。

 

ついでだが、マザリーニが信じられると言ったワルドも巻き込んだ。やはりルイズ一人では心配である。ルイズの婚約者だし、大丈夫だろうと考える、普通は。

 

ワルド子爵の実力は確かだ。グリフォンを持つ彼が裏切りさえ無ければルイズをトリスティンへ連れ戻す程度の事は難無くこなせる。そう、彼の裏切りさえ無ければこの旅は安全であった。

 

 

 

同時に、ロイも衛星情報から戦況を分析する。アルビオンで最後の晩餐に参加できるように計算してアルビオンへ訪問する。

 

 

ラ・ロシェールと魔法学園の距離は普通に馬で約2日だ。当然のごとく、ワルドはルイズと一緒にグリフォンに乗るが、馬に慣れないサイトは一人で馬に乗るしか無かった。ワルドは置いて行きたかったが、ルイズにとって使い魔を置いていくのは貴族としてはあり得ないので仕方なく同じ速度で進む。

 

 

一方、ロイは直接アルビオン王宮へ行くのではなく、アルビオン周辺で空賊狩りをしていた。衛星情報からフネの位置は大体把握できる。目的はウェールズの空賊船なので他の空賊と判断されたフネは全部風石を壊した。幸い奴隷(違法)を運ぶフネは無かったので大して面倒な事も無かった。そして六隻目で漸くウェールズの船である。キャプテンが秘宝の指輪を持ってるってのはどうよ?

 

 

何時も通りの空気を遮断して、酸欠させ、錬金で縄を作り、捕縛する。

 

 

目覚めたウェールズの横でロイが「空賊をアルビオンに渡したらどれくらい報酬もらえるかな〜?いや、このまま処分して荷物を王党派との取引に使うか?」と言ってると。縄で縛られたウェールズが

「王党派の用があるのかテメエ?」

「そうだ。彼らも忙しいだろうし、空賊の掃除くらい手伝ってやろう」ニヤリ

「ま、まってくれ。私がアルビオン王太子のウェールズ・デューターだ」

「んなわけないだろう」

「本当だ!変装を解いてくれれば分かる」

「そもそも私はウェールズ・デューターの顔を知らない」

「じゃあこの風のルビーが証明だ」

「本物である証拠は?」

普通に風のルビーの偽物を持ってるメリットなんて無い、今では追撃対象になるし。だが、本物だと証明するのは無理だ。始祖の秘宝は全てディテクトマジックに反応しない、でなければレプリカなんて出まわらないだろう。

「……」

「まあいい。そこまで言うのならこのまま王宮へ行くぞ。黙って出てきたわけじゃ無いだろ?」

「ああ、これは正式な作戦行動だ」

「ここから王宮へはどれくらいかかる?」

「半日もかからない」

「いいだろう。早くしろよ?下手な時間稼ぎはお前が偽物だと言ってるようなもんだからな。私が信じてる内に着かないと死ぬぞ」

 

 

皆さんは頑張ってくれました。10時間の道を風メイジ総動員して5時間でクリアし、王宮へ直接入る。ウェールズを空賊として捕まえたのを見たアルビオンの方々は顔を引き攣るしか無かった。やり方はアレだが、ここまでウェールズを無傷で連れてきたので一応信用は出来る。今のレコン・キスタにここまでして小細工をする必要はないのだから。

 

 

 

ウェールズを捕まえてからの行動と女王の書簡のお陰でロイはゲルマニア大使として認められた。計算通り、レコン・キスタは明日にて総攻撃を開始する。レコン・キスタの55000対王党派の480人では王党派に未来はない。ロイ達は取り敢えずパーティーに参加する。

 

 

 

出発して二日目の午後、ルイズ組は漸くラ・ロシェールに到着する。馬を上手く扱えないサイトが居て、襲撃なんて物も受けたのが、それでも急いだ結果、案外短い時間で着いた。

 

傭兵による襲撃は見事ワルドの狙い通りになり、自分の勇姿とサイトの情け無さをルイズに見せつけた。ルイズとしてはワルドはかっこ良かったが、剣を持つサイトが大量の矢を相手に出来ないとも分かる。評価はあまり下がらない、矢か銃の訓練もさせてみるかとは考えてるが。

 

 

その夜、自分の勇姿を充分印象づけたと考えたワルドはさっさと雇った傭兵達に指示を出した。ガンダールヴも遠距離攻撃では手が出せないのが分かったし、わざわざ決闘をして実力を図るまでもない。

 

 

予想外だったのは嫉妬パワーでサイトが強化されすぎた事だ。そりゃあ、二日も目の前でイチャイチャされて、自分は話し相手さえ居ないのでは耐えられないだろう。そしてルイズの中でサイトの株が大きく上がった瞬間である。

 

 

問題はサイトが敵を全部倒してしまった事だ。七万の大軍を止めた実力をここで発揮してしまったのでサイトがダウンし、ろくに休めなかったルイズも動きたくないので、三人は変装してから宿を変えて、もう一日休む。爆発に慣れていようとも、体力が少ないのは変わらない。実はサイトをこのまま置き去りにしようと思ったワルドだが、ルイズがそれを気にしてたら自分に気を向けられないかもしれないとまで考えたら、諦めた。

 

 

 

 

アンリエッタの個人の思いつきで発動された命令に計画性など有るはずもなく、また、いくら風のスクウェアとはいえ、まだ大した功績のないワルドを信用するほどレコン・キスタは甘くない。

 

 

ワルドに与えられたウェールズ暗殺命令はそこまで重要ではない。そりゃあ戦力差がそれ程あるのにわざわざ暗殺する必要もないのだ。だからワルドもレコン・キスタ側から充分な情報を与えられてない。攻撃スケジュールを知らないワルドは間に合わせるべき時間さえ分からなかった。

 

 

 

 

これで間に合う訳ないだろ。

 

 



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地道に達成

「書簡にはお主にまかせると書いてあったが、朕に何用だ?」

宴会後、ジェームズ1世とロイの二人だけで話す、部屋の外には護衛が居る、何か有ったら直ぐに飛び込んでくるだろう。

「ヴェールズ王子を脱走させないのですか?」

「ふん、あいつにそれを耐えられたらどれほど良かった事か」

「王家の復興は考えないのですか?」

「無理だろう。朕はもう年だ。ヴェールズは逃げるのをよしとしないだろう」

「モード大公は?」

「……」

「……」

「朕にアレを思い出させるな!」

「貴方の弟です」

「ゲルマニアには感謝している。弟を殺さずに済んだからな。だが!朕はアルビオン王家の為にも奴を許すわけにはいかんのだ」

「もし、彼が諦めるとしたら?」

「あり得んな、朕と戦ってまで追放をしなかったのだ」

「ですが王家の存亡となれば話は違うかもしれません」

「…やけに奴に肩を持つな、目的はなんだ?」

「ブリミル教の影響を減らすためです」

「それとこれとはどう言う関係だ?」

「まず、レコン・キスタですが。再三の要求にも関わらず、ロマリアは遂に異端認定をしませんでした。聖地奪還を掲げながら、始祖の末裔たるデューター家を攻撃する。間違いなくロマリアも絡んでいるでしょう」

「ふむ」

「そして次は間違いなくトリステインを襲う筈です。しかし流石にゲルマニアかガリアでその勢いは止まらざるをえません。その時、ロマリアは動くでしょう。陰謀が上手いロマリアなら疲弊したレコン・キスタを自壊させる事が可能です」

「アルビオン、トリステイン王家を壊せばブリミル教も打撃を受けるのではないのか?」

「いえ、自身が直接統治することで影響力は一層強まります。王家を撃ったレコン・キスタを悪とし、仇討ちとして自身を正義とすれば民衆も付いてくるでしょう。ですが、後継者が居れば国は返さざるをえない筈です」

「だが推測に過ぎない」

「はい、ですがロマリアがデューター家の敵を異端認定しないのが既に可笑しいのです。可能性は充分に有るかと」

「………分かった。エルフとの縁を切る事を条件に認めよう」

「ありがとうございます。監視役は誰を?」

「こちらで用意する。心配するな」

「分かりました」

「明朝、書簡を貰いにこい」

「分かりました。私はこれで失礼します」

この時点で、王はロイを信用した。

 

交渉は終わる。が、ここまでが表向きの要件だ。

 

 

 

夜、寝静まった頃。ロイは自分を見えなくしてから王宮を探る。目的は宝物庫、それも重要な秘宝を置く方だ。

 

 

とまあ、一番豪華な門の前に来たロイだが、こんな時でも看守は居た。ひっそりと侵入する為にロイは宝物庫の上から床を溶かして入る。

 

 

秘宝の数は少なかった。戦争資金の為に大半は売ったのだろう。だが幾つかは王家として売るわけには行かない秘宝もあった。ロイが探し当てた始祖のオルゴールもそうだ。始祖のオルゴールはネオ・オーブへ転送される。そしてレプリカを錬金で作る、更に門のロックを脆くした。その後ロイは床を直し、自分の部屋に戻って休む。

 

 

翌日の朝、ロイは王から二つの書簡を貰う。一つは公表用、もう一つはモード宛だ。同時に証拠として風のルビーも渡される。序だがヴェールズからアンリエッタ宛に手紙も頼まれた。風のルビーはヴェールズの戦死後貰っていくつもりだったがこれは幸いだった。今となってアルビオンだけは始祖のオルゴールとルビーを結びつけていないのでそれは渡されなかった。渡されても意味はないけどね。

 

 

同時刻、ルイズ一行がラ・ロシェールから出発。今日はアルビオンとトリステインが一番近づく日。

 

 

昼ごろ、レコン・キスタの総攻撃が始まる。ロイはジェームズにモードの監視任務を言い渡された者と共にラ・ロシェールに到着し、休憩。一番いい宿なんか半壊していたので二番目に高級な宿に泊まる。

 

 

夕方にルイズ一行がスカボローに到着。乗ってたフネはレコン・キスタに売るための物資を運ぶフネだった。そこで行われる会話をルイズは堪えた、しかし総攻撃を知ると、ワルドも慌てて風でフネを押すが、時間がどうしても間に合わず。王宮に着く前に決着は付いた。ロンディニウムでそこら中レコン・キスタを称える声に我慢できなくなったルイズは逆賊たるレコン・キスタを罵倒する。

 

 

運が悪かったのは、その罵倒がレコン・キスタのさる中隊長に聞かれた事だ。上層部の誰かの家族だと思われたたが、この一声で内通者として認識された。それでめっちゃ攻撃される。

 

 

ワルドとサイトが死ぬ気で応戦し、とにかく逃げる。だが援軍がドンドン出る。「私はトリステインの大使よ!」とか言ったら色々やばそうなので、慌てて逃げる。そしてまた変装してラ・ロシェールへ戻る。ホント、何しに来たんだか。

 

 

余談だが、サイトとワルドの戦闘における相性が中々いいと判明した。主にサイトが近距離で攻撃と撹乱し、ワルドが後ろで補佐と精密攻撃。なんかハイになったルイズとしては使い魔と婚約者のコンビが良いので嬉しそうだ。任務が失敗したのを自覚したのは2時間後。

 

 

翌日の早朝、ルイズ一行が疲労困憊でラ・ロシェールに到着し、そのままロイと同じ宿に泊まる。

 

 

ロイは少しだけ悩んでいた。トリステイン側には交渉をした事を知られたくない。何となく面倒なことになりそうだからだ。しかし、引き受けてしまった以上、渡さなければならない。監視役の方は直ぐに姿を消すので任せられないし、どうしようかと悩んでた時にパーカーを着た少年、ピンクっぽい少女、顎髭の男を見つける。

 

 

丁度良いから押し付けた。大体こんな感じで水のルビーは貰えるだろうと思ってのことだ。適当に書き添えを置いて渡した。王家の紋章と筆跡で信じてもらえるだろ。

 

 

手紙は偶然手に入れた物だが、ルイズはやはり水のルビーを貰った。予測していたとはいえ、アンリエッタさんは王家の秘宝をなんだと思ったんだろう?

 

 

風のルビーはネオ・オーブへ送られ、壊れない程度に研究を許可した。二つの書簡は時期が来るまでゲルマニアで保存する。

 

 

アルビオンでの戦争が一時終了し、ゲルマニアでは逆に物資の蓄えを始める。

 



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最後の修正

SIDE ワルド

 

これでは意味が無いではないか!

 

レコン・キスタの盟主は虚無使いを自称している。そこにもう一人連れていくのは危険だ。虚無の権威を独り占めにするために殺されるだろう。だからルイズがそれなのは隠す必要がある。だがウェールズの暗殺を失敗してしまった以上、何かしら信頼される手柄を立てる必要がある。でなければ一兵士として終わってしまう。

 

それでは聖地の秘密など教えてくれないだろうな。

 

今は、トリステインに残り、チャンスを待つしか無い。目に見える大功績を上げれば私も上層部に入れるだろう。頼むから普通に快進撃だけは勘弁してくれよ。私のチャンスが無くなる。

 

SIDE OUT

 

 

ハヴィランド宮殿の宝物庫は予想と違い、簡単に突破されてしまった。そして保管されたお宝は前線の兵士に奪われ、探すのは困難を極めるだろう。これに一番唖然としたのはミュズニトニルンである。

 

 

予想では宝物庫の強度は高く、後で大砲でぶっとばして始祖のオルゴールを手に入れるつもりだったんだが。本物であろう始祖のオルゴールはその他大勢のレプリカの中に混じってしまった。これらから探し出すか?無理。

 

 

 

 

 

 

 

 

アルビオンが落ち、トリステインは忙しくなるが、今更とある事実を気にし始める。ゲルマニアとの結びつきが弱くないか?当初は直ぐに結婚すると思われたが、二人共その気にならない。ゲルマニアが裏切る兆候は無いが、やはり心配である。王宮は早く結婚しろとラ・ヴァリエールへ催促するが、ここでラ・ヴァリエール公爵の我慢が限界に到達する。

 

 

これ以上娘を道具見たいに扱えない公爵は王宮の命令を拒否。悩むマザリーニはアンリエッタを動かす。アンリエッタは「ロイ・サハクを呼んできなさい」と命令を出そうとするが、マザリーニに止められる。これは大国の王配候補に対する扱い方ではない、思いっきり挑発だ。ロイは晩餐に招待することにする。

 

 

 

 

 

同じ頃、ロイは魔法学園で、何故かサイトに決闘を申し込まれていた。戦争になる可能性大なのでゲルマニア留学生の撤退プランなどをキュルケと話すために来たのだが、なんかこうなった。

 

 

 

事情はこうだ。シエスタがドジやらかしてロイのズボンを紅茶で汚す---->マントに付いた紋章を見てルイズがビビって気絶---->シエスタ真っ青---->とにかくサイトを呼ぶ---->状況的にロイが悪人に見える---->サイト「決闘だ!」

 

 

どうやらアルビオンの突破戦で自信が付いたらしい、決闘で貴族を叩きのめすのはそれの現れだ。平民に決闘を申し込まれては断ることなど出来ないロイが気軽に応じた。一瞬で風でぶっ飛ばしたが。

 

それにしてもルイズの運は悪すぎた。一応ベテランの筈のシエスタの失敗、自分の気絶、シエスタが慌てて説明しなかった事、シエスタがゲルマニア王族の紋章と彼らの逸話(デストロイの件)を知ってたこと、サイトがそれらを知らなかったこと、一つでも違えばこの決闘は起きなかった。

 

ゲルマニア王族に斬りかかったのは完全にアウトだ。例えそれが決闘であろうと。これは主人たるルイズの責任である。一応交渉の手札とする。今後使うかもしれない。今のラ・ヴァリエールから取れる物はない。時代的に金で解決してはダメだし。

 

 

タバサとイチャイチャしてるキュルケを見つけたときは気まずかったが、まあ、伝えることはちゃんと伝えた。疑問に思う行動もあるが、考えるだけ無駄だと分かってるキュルケは納得する。タバサとの関係は王族の皆は受け入れたと伝える。キュルケは大喜びしていたようだが、タバサはロイを見てなにか言いたそうにしていた。

 

 

 

 

 

そして、夜。晩餐に招待されたロイはアンリエッタ、マリアンヌ、そして何故か居るマザリーニと食事をする。

 

「なんとかそちらで結婚を押してくれませんか?」

とはアンリエッタの言葉だ。

「兄の意志を尊重します」

ロイは断る。

「私がここまで言っているのにですか?」

「え?」

ロイは本気で疑問に思う。ここまで?

「結婚が流れればゲルマニアのとっても不都合だろう?」

マザリーニがすかさずフォロー。

「特に不都合はありませんね」

「ラ.ヴァリエールは直系ではないが、始祖の末裔だ」

「教皇になるのを断った枢機卿に言われても説得力がありませんね」

「……」

マリアンヌは自分は関係ないと言わんばかりに何も言わない。

「でも、確かになにか進歩が欲しい処ですね」

今の処、二人の間に甘い雰囲気はない。やはり切欠が悪かったのだろう、普通に出会ったらまた違った結果になってたかも知れない。

「では?」

マザリーニが期待を持った声で聞く。

「ええ、少し押しておきましょう。ただし、そちらには少し譲歩して貰います」

「何を?」

来たかと考えたマザリーニ。

「いえ。ミス・カトレアを王族として扱い。結婚式のか格式を上げます。その際に妹のルイズには巫女になってもらって始祖の祈祷書を持って詔を詠む。これで公爵とカトレアも少しは積極的になるかと、そしてゲルマニアで周りの者も少しは積極的になるでしょう」

「何故妹のミス・ルイズを?」

「遠まわしの催促です」

「なるほど……」

王家に忠誠で神聖視しているからこそこの手を思い付かなかったのだろう。マザリーニは感心しているが、アンリエッタは不快だ。そしてマリアンヌは相変わらず発言しない、しかし僅かに嫌悪感を表している。やはりこの親子ははゲルマニアが嫌いのようだ。

 

 

 

 

 

ルイズは始祖の祈祷書をゲット。姉のために一生懸命詔を考えるがやっぱり捗らない。こういったプレッシャーには弱いようだ。それに追従する形でキュルケ(ロイの指示)は噂を流す。「詔を詠むのを失敗すると家族とアンリエッタに失望されて、ゲルマニア同盟も終わり、トリステインが消える」と言う噂だ。デタラメ過ぎて信じる者は居ない、極度に緊張しているルイズを除いて。

 

 

 

それを見かねたキュルケがルイズをタルブへ旅行に誘う、タルブの美味しいワインを飲みながらゆっくり考えさせるためだ。と言うのは表から見た感じだが、実際はロイがルイズをタルブに置いておきたいだけである。道中サイトがキュルケとタバサのイチャつきをガン見してたのをフレアに蹴飛ばされた以外、特に何も無かった。

 

 

 

そしてこれが物語への最後の修正だ。ゲルマニアでは艦隊の出撃準備が始まり、いやでも戦争が始まると分かる。メンド臭い準備が多すぎて嫌になりそうなロイだったがようやく収穫である。

 

 



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収穫だよ

神聖アルビオン共和国が樹立され、トリステインとゲルマニアへ不可侵条約の締結を申し込んできた。

 

 

 

マザリーニは即座に不安がる国内へ各所にこの情報を流し、それを沈める。しかし、不可侵条約を含める諸々の内容は交渉が必要であり、三ヶ国はアルビオンが指定したトリステインで交渉する事になる。

 

 

 

それを全く信じてないゲルマニアは艦隊の出撃準備を整える。交渉には充分な護衛戦力を連れてゆき、アルビオンを刺激する事などは気に止めない。

 

 

それを全面的に信じたトリステインは戦闘の準備をしなかった。レコン・キスタに所属する貴族、和平派貴族のバカと財務卿は戦力を集める事に反対した。防衛戦力をかき集めようとしたマザリーニはアンリエッタの彼らに賛同する言葉もあって動けなかった。

 

 

 

タルブでルイズ達はゼロ戦を発見するも、運ぶ人が居ないのでそのままにされた。いくら所有権がサイトに移ったとしても、ルイズにとってこれは理解出来ないシロモノである。サイトは燃料があれば飛べると行ったが、調達方法が無い。錬金?チートのコルベール以外で出来るわけ無いだろ。あれはエンジニアをなめてるとし言いようがない。航空力学が無いのに飛行船?こびり付いた燃料から完成品を錬金?もうコイツチートオリ主だろと思うくらいの理不尽さだ。とにかく他の者には無理。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして早くもラ・ロシェールで迎のトリステイン艦隊とアルビオン艦隊が合流する。ラ・ロシェール近郊でそれを見ていたキュルケは苦い顔をしている。

 

 

SIDE キュルケ

 

どう言う事なの?ロイ様から今日くるなんて知らされてないわ。

 

安全と言うことなのね。それはアルビオンが本気で平和を考えてるのか、それはないわね。だとすれば、交戦してもトリステインに勝ち目がある?それともゲルマニアが援軍としてくる?

 

いえ。ロイ様に成り切って考えてみましょう。

 

まず、利益がないと動かない。そもそも同盟を認めた事自体が可笑しい。何時ものロイ様ならトリステインを資金や物資で支援して、両者の消耗を誘い、その後に一網打尽にするわ。

 

ギナ様の恋愛、無いわね。それとこれは別よ。

 

となると、私はここにいる事も考えて、ルイズ?

 

ルイズに迎撃させるの?虚無の魔法がここで覚醒すると確信しているのかしら?

 

まあ、ロイ様は普通に未来予知できそうだし、そうかもね。

 

私は特に何も考えなくていいようだしね、ロイ様の思惑を予測するなんて無理よ。

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

普通に捏造が発生しトリステイン艦隊とアルビオン艦隊の戦闘が開始。空戦でトリステインがアルビオンに敵う理由もなく、一方的に蹂躙される。

 

 

同時刻、ゲルマニア艦隊は有り得ないスピードでアルビオン艦隊の後方から接近している。トリステインからの援軍要請は貰った。名分には欠かない。艦隊指揮官はギナ。そのギナは風魔法を使い、艦隊のスピードを限界まで上げているのだ。同時に衛星情報とロイの情報から介入のチャンスを待っている。

 

 

 

SIDE ロイ

 

ゲルマニア艦隊、アルビオン艦隊、トリステイン艦隊。位置は計算通りだ。

 

ルイズは喚くだけ。だろうな、降下するまでは己の身に危険は無いのだから。映画でも見る感覚なのだろう。

 

だが、トリステイン艦隊が撃破された今、アルビオン艦隊はタルブへ向かう。

 

そして、虚無を使え。それで全てが変わる。

 

私は、ボソンジャンプシステムを起動するとしよう。

 

SIDE OUT

 

 

 

トリステイン艦隊を破り、タルブから降下しようとしたアルビオン艦隊はダルブ付近の森から攻撃を受けた。

 

 

大きな光の球がアルビオン艦隊を包こむ。それは艦を炎上させ、風石を破壊した。だがしかし、それは兵士と武器にはなんの影響も与えなかった。

 

 

滑り落ちるするアルビオン艦隊は、風メイジの尽力もあって、落下に依るダメージは少ない。彼らは艦を放棄し、トリステインへ進行する。サー・ヘンリ・ボーヴッド、彼と歴戦を経験した精強な兵士はトリステイン軍が見えないこともあって、冷静になる。謎の攻撃は恐ろしいが撤退が不可能になった今、前に進むしかない。ボーヴッドもこのまま降参するつもりはない。未だ勝ち目はあるのだ。

 

 

竜騎兵も無事である。このままアンリエッタの援軍が到着してもアルビオンの優勢は変わらない。

 

 

 

 

しかし、ここでゲルマニア艦隊が現れる。驚異的な速度で現れたそれらはまず、最初にアルビオン艦隊の消火を行う。ギナが大規模な水魔法を使い、水を降らせた。地上にいる者に取って、それは正に恵みの雨であった。艦隊から燃え移った火はダルブの作物と周りの森をも燃やし、全員にとって大迷惑である。ルイズ達も大慌てで逃げる中、始祖の祈祷書と水のルビーが消えた事を気づかなかった。

 

 

ゲルマニア艦隊は威嚇射撃後に降伏勧告を出す。。サー・ヘンリ・ボーヴッドもこれには勝機を見出せず、あっさり降伏する。そしてゲルマニア艦隊から降りた者は主要目的であるアルビオンのフネの鹵獲を始める。

 

 

鹵獲艦も風石を補充し、浮き始めた。乗組員は全てゲルマニアの軍人だ。予め余分な人員と風石を持ってきたからこそ出来る技である。ドラゴンも危険なので没収する。

 

 

そこでアンリエッタ率いるトリステイン軍がやって来るが状況を把握できない。アルビオン艦隊はボロボロ、ゲルマニア艦隊がそれを鹵獲している。援軍要請に「できるだけ早く援軍を出す」との返事を貰ったがここまで速いとは思わなかった。取り敢えず交渉する。

 

 

ルイズが絶望したのはトリステイン軍が現れた後である。森へ行き、三日探し、ようやく見つけた。そしてそれがレプリカだと気づかずに安心して帰っていく。

 

 



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トリステインやり過ぎ

極簡単な調査しか出来なかったトリステイン軍は光の球も含めて全部ゲルマニアの攻撃だと勘違いしてしまった。盛大な勘違いはトリステインの使者に恐れを抱かせ、交渉を円滑にする。同じ頃、ルイズは無くした祈祷書を探していたので自分の手柄が横取りされてるのを知らない。あの状況ではエクスプローションと言う魔法の性質(火の球が発射されるのではなく現れる)のせいで誰が使ったかを確認でき無い。可能性としてゲルマニア王族のギナが一番高いだけだ。

 

 

結果、フネとドラゴンは持って行くから捕虜はトリステインに任せる事になる。ぶっちゃけ捕虜の管理がメンド臭かっただけである。貴族の捕虜は交換などにも使えるが、負けるつもりがないので要らない。それにトリステインのも何か譲歩しないと五月蝿いバカが増える。

 

 

3000人以上の捕虜を無傷で手に入れた事をトリステインは内容を8割くらい誇張し、勝利として大々的に宣伝する。そして軍を率いて出撃したアンリエッタは女王として即位する。

 

 

呆れて物も言えないゲルマニア。まあ、必要性は分かるが、後で事実が広まれば大変だ。誇張されすぎて、ゲルマニアはただ付いてきただけと言う事になってしまったので、トリステイン貴族共がまた暴走を始めた。これが実を結ぶのはまだ時間がかかる。

 

 

ガリア、ロマリア、ゲルマニアでは経緯は正しく認識されている。戦争を知らないアンリエッタが敵より少ない数の軍で、歴戦のアルビオン軍を倒し、ゲルマニア軍がそれを後ろで見ていた。普通に信じられん。

 

 

SIDE マザリーニ

 

ヤヴァイ。マジヤヴァイ。

 

アンリエッタ様が即位するまでは良かった。その為にトリスティンとゲルマニアが合同で敵を倒したと噂を流したのに。いつの間にか独自で倒した事になっておった。

 

ゲルマニア側が何も言ってこないのは助かるが、うちの貴族の増長ぶりが恐ろしい。ヴァリエールも葛藤している。ゲルマニア王家の薬、それがあればミス・カトレアの病を治せるかも知れない。だがその為に好きでもない相手に嫁がせるのは本末転倒と言う訳か。

 

「ゲルマニアとの関係だけは拗らせてはならない」

 

一部貴族が婚姻の破棄を言っている。戦場にも行ってないボケどもが、しかもマリアンヌ様までこの噂を信じておる。どっかの貴族が煽ってるのか?

 

何とかできるのか?いや、何とかしないと駄目だ。

 

SIDE OUT

 

ルイズはあの光の球は自分の攻撃だと主張するが、王宮ではアンリエッタ以外、信じる者は殆ど居なかった。初めは隠すつもりだったのだが、ゲルマニアとの交渉結果を聞いて即座に申し出たのだ。駄目メイジがいきなり虚無の使い手に昇格するなど御伽噺のようなもので、少数の夢想家以外は信じていない。だがこれは逆にルイズに安全を齎す。

 

 

サイトはルイズがどっかで探してきたメイジ殺しとして勘違いされている。ギーシュの一件で実力は有るとされるが、果たして神の左手と呼ばれる程のものだろうか?流石に無いだろう。アルビオンでの活躍は知らないが、ドットメイジに辛勝というのはちょっと。

 

 

実はワルドが実力を知っているがあれは一応極秘任務です。そうおいそれと言い出せない。

 

 

 

 

SIDE マリアンヌ

 

流石私の娘ですね。

 

あのアルビオン艦隊を一網打尽にするとは。ゲルマニアは見てるだけだったですって?

やっぱりあの野蛮人達は信用ならないわ。

 

カトレアちゃんも可哀想に。でも今更同盟の必要が有るのかしら?

 

無いわね。これだけ譲歩したのにここまで役に立たないとは、アルビオン攻略が終わったら……

 

SIDE OUT

 

 

マザリーニが忙しくて目を離してしまったマリアンヌは一部貴族に乗せられて政治に手をだそうとする。トリスティンの最大の厄災は彼女かも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロマリア

 

 

「ヴィットーリオ様」

「なんですか?ジュリオ」

「エルフの行動を聞いたところ、何故かゲルマニア商人への態度だけ険悪が少ないようです」

「……そのゲルマニア商人達を調べなさい。私の推測では彼らをまとめる者、それがネオ・オーブです」

「分かりました」

普通はこう考えるよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガリア

 

「ジョゼフ様、トリスティンの虚無の使い手が覚醒しました」

「くくく、そうかそうか」

「しかし、トリスティン側は信じていないようです」

「む、それでは張り合いが無いではないか」

「それと始祖の祈祷書と水のルビーをすり替えられた可能性があります」

「どういう事だ?」

「指輪がそう簡単に落ちるとは思えません、誰かが使い手に気付かれずに外したと考えたほうが自然です」

「……可能性としてはゲルマニアか?」

「分かりません。復活したウェールズの証言で風のルビーだけはゲルマニアにあると分かりましたが、それ以上は確証がありません」

「確かゲルマニアはその前日にロイ・サハクが訪問したのだったな」

「はい、しかしジェームズ一世との会話内容までは知らないようです」

「成程。しかし、これでトリステインは早々に脱落か?」

「恐らくは、それとゲルマニアの行動ですが。明らかに虚無の攻撃を予測していたと思われます」

「だろうな。虚無の攻撃後、迅速の制圧。ゲルマニアに虚無の使い手があると勘違いしてもおかしく無いやり方だ」

「そして、トリスティンの虚無の使い手をあそこに配置したのは、ロイ・サハクだと思われます」

「……そうか」

「ジョゼフ様?」

「ゲルマニアを探れ」

「分かりました。しかし今まで派遣した密偵は誰一人帰ってきていません」

「もし、ゲルマニアが始祖の秘宝を集めてるとしたら、奴らは俺の考えも分かってると言う事になる。考えただけでもゾッとするな」

「はい」

「だが、この世界を地獄に変えるにはあいつらにも役に立ってもらう必要がある」

「ゲルマニアに宣戦しますか?」

「いや。トリステイン、ロマリアを吸収してからだ」

「分かりました」

「それと、あのエルフと交渉する」

「!危険です!」

「構わんよ。人間共よりは信用できる」

「なら、会うときは私に付かせてください」

「心配しすぎだ。まあ、いいだろう」

ジョゼフはそれが余りにも自然だったので気付かなかった。そう、自分が僅かだが恐怖を感じた事に。

 

 

 

 

 

 

トリステインはアルビオン攻略をゲルマニアに提案するも、ゲルマニアに断られた。ゲルマニアとしては補給線を伸ばしてまで攻略する理由がない。。これが両国の関係に更に罅を入れた。

 

 

 

 

 



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主人公やってるね

アンリエッタが攫われた。それはもうあっさりと簡単に、邪魔らしい邪魔もなく。ヒポグリフ隊?苦戦しませんでしたよ。こうやってアンリエッタ行方不明になる。

 

 

誘拐犯がウェールズに似ていると聞くと、マザリーニは憤死しそうになった。偽物(そう思ってる)に一国の王が騙されるとは、6000年の間でもこんな失態は無かった。これは公に捜索するのも叶わず、マザリーニは自身の力をフルに使ってアンリエッタを探す。そして王宮内で厳重な緘口令がしかれた。

 

 

グリフォン隊隊長のワルドは当然この事を知っており。レコン・キスタの仕業と当たりを付けていた。こちらも誘拐犯のウェールズが本物だと思っていない、だが正確にウェールズの容姿を再現するとなるとウェールズの遺体は必要だ。それは今、レコン・キスタに有る。しかし、この任務がワルドに知らされていないとなると、ワルドは信用されていないようである。

 

 

SIDE ワルド

 

流せる情報は全部流した。

 

今回の作戦がここまで順調だったのは私が与えた王宮の見取り図が役に立っているはずだ。

 

だが、作戦を知らされて無いとなると、信用されてるとは考えられない。

 

これではレコン・キスタの上に上がれない。ウェールズの暗殺。あれは千載一遇の機会だった。あれが成功していれば今頃私は……

 

それはともかく、レコン・キスタは直ぐにトリスティンを落とすだろう。そうなれば上がる機会は無くなる。今のうちに何か役に立たないと、使い捨てられる。

 

いや、待て。そうか、アンリエッタがあっちに居るんだ!状況から考えて、レコン・キスタの目的はトリステインの混乱と正当性の入手。ならばアンリエッタは丁重に扱われる筈。そして私は魔法衛士隊隊長、これだ!

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンリエッタが攫われた日の翌日、ワルドは魔法学院に来ていた。

「陛下が攫われた。私と一緒に陛下を助けに行こう!」

「分かったわ!」

こんな感じで、ルイズとサイトはホイホイ付いていく。気分は囚われたお姫様を助けに行く勇者一行だ。

 

だが、オスマンにも知らせてないので直ぐに失踪騒ぎになる。急ぎすぎだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE ロイ

 

アンリエッタとルイズの失踪。

 

既にどうでもいい。トリステインを救う方法はまだあるが、それをこの国の貴族が実行できると思わない。マザリーニでも無理だろう。

 

時期を見てド・オルニエールの物をゲルマニアへ戻そう。

 

問題はギナだが、一向に進まないな。軍人一筋だからか。これは一度婚約を破棄したほうがいいかも知れない。

 

だが、トリステインは兎も角、マザリーニには恩を売っておきたい。それにトリステインとレコン・キスタにはお互いに消耗してくれなければな。

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、アルビオンにて、ウェールズとアンリエッタが同時宣言。アルビオンとトリステインはレコン・キスタに従うと言う内容である。その後ろでは付き添うルイズ、サイト、ワルドの姿があった。ウェールズを本物だと思っているルイズは快くアンリエッタの恋愛を支持するそうだ。

 

 

 

 

 

 

マザリーニは泣いた。それはもう号泣である。ヤケクソ気味にマリアンヌの所へ怒鳴りに行ったら、マリアンヌが即位すると言い出した。現在マリアンヌの中で、トリステイン軍は陸上戦力だけでアルビオン艦隊を倒した猛者になっており、ゲルマニア軍は弱すぎて戦闘に介入できない弱虫となっていた。

 

 

そんな事を知らずに、マザリーニはとにかく即位の為に走り回った。これが遅れるとトリステインはそのままレコン・キスタに吸収される。彼が目を離した隙に、一部の頭の悪い保守派がマリアンヌと頻繁に接触している。これが後のトリステインの希望を潰す。

 

 

三日と言う異例の速さでマリアンヌは即位した。そしてラ・ヴァリエール公爵を含める7割の貴族が即座に同意するが、残りの3割はアンリエッタを支持していた。だが後日、これがどれだけ失敗だったかをマザリーニは思い知る。

 

 

 

 

 

 

 

ロマリア

 

「ヴィットーリオ様、商会のまとめ役を調べましたが、白でした」

「そうですか、ゲルマニアのそれについての対応は?」

「彼が財務卿のマユ・アスカに報告したところ、こちらも礼儀を持って接するべきだと返事を貰ったと言っております」

「普通ですね」

「ええ、普通です」

「それと今回はガリアの商人に対する態度も僅かですが、柔らかくなっているようでうす」

「ガリア?……“ネオ・オーブ”について、他に何かありますか?」

「そのガリア王ジョゼフがエルフとの結びつきを強化している模様です。リュティス周囲で大量の金属が消費され、エルフの技術を用いて新兵器を作っている可能性が有ります」

「確かにエルフも以前と比べて大量の金属を使うようになりました…しかし…」

「……」

「まさか、逆なのですか?」

「はい?」

「金属使用技術はガリアが開発したもので、それをジョゼフがエルフへ提供する。では見返りに何を?物資では無い、なら技術だろう。つまり、エルフとガリアの新兵器は両方の技術を合わせたものですか。ネオ・オーブはガリア王ジョゼフ、可能性は有りますね」

「かもしれません」

「これからはガリアを重点的に探ってください」

「かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガリア

 

「なんかトリステインの虚無の使い手が自ら飛び込んできました」

「あ奴らは馬鹿か?」

「どうします?」

「放っておけ、興味がわかん」

「それでエルフの方は?」

「ビターシャルは部下になってくれるそうだ。ゲルマニアのあれに勝てるゴーレムを造らせている、お前も協力しろ」

「畏まりました」

 

 

 

 

 

 

 

ゲルマニア

 

「最近は暇ですね」

「マリア、お前に言いたい事がある」

「兄さん、最近怒りっぽいですよ」

「この“シナリオ”は何だ、全部ラノベのパクリだろうが!」

「大丈夫です!女性の観点からもOKだと思いましたから」

「空から落ちてくるとか、窓から突っ込むとか、ベランダの物干し竿に引っかかるとか、いきなり戦いに巻き込むとか、引かれたわ!」

「実行したんですか!?」

「おいぃぃぃぃぃ!」

「いえ、冗談です。しかし可笑しいですね、登場シーンは大体こんな感じでしたのに」

「我はむしろ曲がり角でぶつかったとかそういった控えめな方がいい」

「ならばこれです!」

「……なんだこの“シナリオ・パートツー”は?」

「今度は王道で行きましょう」

「今度こそ大丈夫だろうな?」

「もちろんです!さあ、まずはペガサスを捕まえてきましょう!」

ゲルマニアだけは凄く平和です。マリアは読む本を少し選んだほうがいいと思う。それを知ってて違和感なく実行するギナもあれだが。

 

 



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やっちゃったな

SIDE マザリーニ

 

 

アンリエッタを支持する3割の貴族、1割は懐柔し、1割は無力化し、残りの1割は排除する。これで国内はいいだろう。だがマリアンヌ様は政治が出来ない、そしてゲルマニア嫌いだ。それは態度に出なければ問題ないが、それが出来る人間では無い。

 

 

金の扱いが上手いクルデンホルフはゲルマニアとの関係が強い、そして婚姻関係になるであろうラ・ヴァリエール。ゲルマニアを介して関係が強くなるのは間違いない。それは貴族数が減ってしまった後には王家さえも凌ぐであろう。

 

 

それを防ぎ、尚且つ王家の影響を高める方法は一つしかない。

 

 

 

 

そう、ロンド・ギナ・サハクをマリアンヌ様に婿入りさせるしか無い!!!!

 

SIDE OUT

 

 

\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/

 

 

実際ではロイはラ・ヴァリエールが嫌いなのでマザリーニが危惧しているそれはありえません。

 

 

これを提案されたゲルマニア王族は全員が顔を引き攣らせた。予測できても考えたくなかった。

 

 

え?コレ報告するの?マジで?いやいや、やっぱやめようよ、でも親だし、でもギナの名声が……ブツブツと悩んだ結果、ロイは報告してしまった。で、ギナが緊急転移して来たミナに連れて行かれた。コトーがネオ・オーブで事情聴取するらしい。普通に戻ったと思いきや今度は未亡人じゃあ、ギナの行動が疑われるのも仕方ない。

 

 

 

 

マザリーニの失敗はマリアンヌに直接この件を話してない事だ。今回、実質的には「こう言うのアリかな?」な感じで聞いてみるだけだ。だからマリアンヌへは書簡で知らせただけ。マザリーニはトリステインの各有力貴族の領を回ってから直接ゲルマニアに来た。王宮には信頼できる者を数人置いてきたが、ラ・ヴァリエール公爵が領地にて軍の準備をしていたのもあって、一部貴族とマリアンヌの暴走を許してしまう。それを知ったラ・ヴァリエール公爵は己の最高のメイジを派遣した。

 

 

 

 

 

原作の話だが、ゲルマニア皇帝が欲しがったのは始祖の血筋である。なら、もしトリステインを保てたいのならマリアンヌを嫁がせばいい(当時推測年齢30代前半、アンリエッタの母なので容姿的には問題ないと思われる)。アンリエッタが居なくなればマリアンヌの死後、トリステイン王はゲルマニアの傀儡で間違いない。しかし、マリアンヌは娘を差し出した。

 

つまり

 

野蛮人の国の者と結婚するなど耐えられないマリアンヌは、周りの綺麗な言葉に感化されて、宣言する。

「トリステインはゲルマニアとの同盟を破棄し、ゲルマニアへ宣せn」

とここまで言って空から現れた不審者に止められた。よく見るとそれはマリアンヌが憧れた烈風のカリンだ。

 

英雄に諌められたマリアンヌは即座に前言を撤回する。何と言う綱渡り。だが、ギリギリでアウトだ。撤回できるようなもんじゃ無い。

 

 

 

 

 

 

SIDE ビターシャル

 

 

敵ゴーレムは。

 

『全長50メイル以上。明らかにスクウェア以上の魔法をぽんぽん撃つ。人型形態から鳥っぽい形態に変形する。空を飛ぶ。動きが遅い。攻撃の爆風で近づけない。表面が黒くて怖い。行動に伴う変な音が不気味』

 

なんか最後は感想に成ってるんだが。

 

で、コレに対する推測。

 

『中に大量のスクウェアクラスのメイジが居ると思われる。人材の入手はラウンズの選定で行われたと考えられる。攻撃の魔法は恐らく中のメイジの心を壊し、統一操作する事で同調させたと思われる(未検証)。そこから導きだされる内容、1.稼働時間が長いので重量は軽い、つまり装甲は薄い、でなければ精神力が持たない2.変形はただの威圧効果しかない3.接近戦の持ち込めば勝てる。ゲルマニアでは女王マリアの魔法だと言われているがそこまで精神力があるとは考えにくい』

 

 

ん?ゲルマニア王族?ってネオ・オーブ製のゴーレムか!

 

………………………………………………無理だな。あれに勝てるゴーレムはネフテスにも存在しない。

 

だが、予算は出してくれるんだ。私に作れる最高のゴーレムを作ろう。ネフテスでは予算の問題で実現しなかったが、ここでは好きに作れそうだ。

 

そういえばルクシャナに訪問の件を頼まれてた。一度ゲルマニアに行く必要があるな。さて、どういった理由を探そうか。

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

トリステインがクライマックスしてる頃、ガリアでジョゼフが技術提供を交換に正式にネフテスと同盟を結ぶ。簡単に言うとガリアがレコン・キスタを食い止める役になると言う訳だ。ゴーレム開発が忙しいせいで、シェフィールドはレコン・キスタへ顔を出さなく成った。

 

 

それはレコン・キスタの盟主に大きな混乱を齎す。幸い今はまだ大きな問題がない。だがこのままでは一度でも大敗北などがあれば瞬く間に崩壊するであろう。レコン・キスタの盟主は指導者としての能力が足りないのだから。

 

 

レコン・キスタは更に拡大し、兵士は役六万に膨れ上がるが、それらを地上に運ぶフネが足りない。前回の戦闘で旗艦「レキシントン」と他多数のフネが鹵獲された。これらがないと兵員輸送と補給はかなり困難になる。そもそもあの火の球が無ければ全て上手く行ったはずだった。

 

 

現在、レコン・キスタは大至急でフネの製造と調達をしている。ゲルマニア(秘密裏)、ガリア、ロマリアは旧式化したフネをそれなりの値段で売っている。物資の入手は順調だ。盟主は無能だが、部下は有能で、この組織は少なくとも今はまだうまく回っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦争を控えてる時、ビターシャルがゲルマニアに来る。

「部下……ね。評議会議員が他国の王の部下でいいのか?」

ロイが尋ねる。

「問題ない。今回はネフテスから二つの頼みとガリアからの提案が一つある。どっちから聞く?」

「ネフテスの方から」

「とある質量を熱に変える兵器の処分を頼みたい、説明書らしき物でどんな兵器かは分かったが処分の仕方がわからん」

「(核か)…他は?」

「ネフテスからネオ・オーブへ訪問したいのだ。家に元気なのが一人いてな。もとは蛮人…いや、人間に興味を持ってたが、宇宙を知った後ではそれに夢中になって連日統領に提案しに行くのだ」

「ふーん、でガリアの方は?」

「ジョゼフがゲルマニアと同盟を結びたいと言ってる」

「同盟?あいつが?」

ガリアに唯一脅威となり得るのがゲルマニアだ。そのゲルマニアと同盟を結んでも実質的な意味はないだろう。

「まあ、それは伝えたぞ。で、返事は?」

「前の二つは了承する。ガリアの件は要相談だ」

「ふむ」

「交換として、二つの要求を出す」

「言ってくれ」

「その前に確認するが、ネオ・オーブの事は一切教えてないだろうな?」

「そういう協定だ」

「(ならばエルフを使者にしたのは嫌がらせか?)ならば、まずはガリアの生体魔法の研究レポートを全部貰って来い」

「おい、出来るわけ無いだろ」

「ネフテスが欲しいといえばいい、それなら渡すんじゃないか?私はネフテスから貰う。これで嘘にはならない」

「……………」

「じゃ、次にジョゼフに火石を与えるな」

これが一番重要である。心配なのは大量の人間の同時死亡によるニュータイプへの影響。距離があっても安心は出来ない。

「?まあいいだろう。二つめは案外緩いな」

「一つめが難しいからな」

「そうだな。で、ジョゼフはリュティスで交渉がしたいとも言っていた。それはどうだ?」

「構わない、私が行く」

「了承した」

 

 



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アルビオン攻略......ないな

プチトロワで。

「随分と小さい宮殿だな」

ロイが挑発する。

「面白い事が起こったからな」

ジョゼフは気にしない、その側でシェフィールドが待機していた。部屋の中は三人しか居ない。

「確かにあれは面白い事だった」

「で、だ。俺はゲルマニアと同盟を結びたい」

「何のために?」

「ロマリアが気にくわないんだろう?俺もあれを壊したい」

「それなら一人で出来るだろ。お前が欲しいのは地獄か?」

驚いたのはシェフィールド、ニヤリと笑ったのはジョゼフ。

「くくくく、成程、これが恐怖か。自分の心が読まれているのがこんなに心動くものだったとは、くくくく」

「(お前の心を知っているのは恐らくもう一人居るけどな。ん?実はそこまで凄くない?)」

「理由はどうでもいいだろ。結ぶか?」

「ああ、結ぼう。しかし、そちらが提案してきたんだ」

「当然、裏切らない保障を渡す」

で、シェフィールドが連れてきたのはイザベラ。

「ロンド・ギナ・サハクに嫁がせようと思っている」

「…………それはちょっと遠慮するよ」

「何故だ?トリステインなんかよりもよっぽどの良縁だろう?」

「(ギナにトドメを刺すつもりかコイツ?)あー、いや、色々あって兄は婚姻はしばらく考えたくないそうだ」

年齢的にアウトです。これが80歳くらいまで生きれば価値観も変わるだろうが、今はまだ常識範囲内の年齢だ。

「そうか?ならば欲しい物が有ったら言ってくれ。俺は思い付かん」

イザベラはほっとしている。

「では最近頑張って作ってるデカイ人形を貰いましょう」

「ほう?」

黒い会話は続き、イザベラは物凄く引いていた。だってブリミル壊すとか、エルフの技術使ってるだろとか常識を突破する内容が多すぎた。出るに出れないイザベラは一番気の毒である。

 

 

ちなみにヨルムンガンドは貰っていきました。エルフの技術で暴走する仕組みになってたが、ロイはそれを解除してネオ・オーブへ研究用に転送した。

 

 

トリステインの誰かさんの宣言で同盟は無くなり、順当にカトレアとの婚約も切れるだろう。さらにギナはもう一つの件で本国に呼び戻されているのでまだ知らないかも知れない。まあ、何とかなるでしょ。

 

 

トリステインは半端なく混乱している。あの宣言は半ば独断でやったような物だ。アンリエッタを支持する者の対応も始まってないのに、マリアンヌ派でまた内部闘争が起きる。そしてこれ幸いとレコン・キスタは少々無理をして艦隊を出撃させる。こんないい機会に打って出ない理由はないだろう。

 

 

ゲルマニアは同じくトリステインとの同盟を破棄、同時にガリアとの同盟を宣言する。ガリアもゲルマニアとの同盟を宣言。両国の者は喜び、トリステインは絶望する。ヴィットーリオはジョゼフの人柄から大人しく同盟を結ぶわけがないと分かっている、これは寧ろいずれゲルマニアとガリアが戦うと言う印だと思われる。

 

 

それは両方とも分かっていたことだ。ジョゼフは出し抜けるか試しただけ、ロイはガリアと仲がいいと一刻だけ見せつけるため。この同盟は何も変えなかった。ロイ、ジョゼフ、ヴィットーリオの三人にとって他の二人は倒すべき相手に変わらない。

 

 

なんと言うか、トリステインはもう崩壊するんじゃないかって位混乱している。その中、リッシュモンを筆頭にアンリエッタを支持する一派は南に軍を集結する。遅れてマリアンヌ派も軍を集めるが、数が足りない。1800VS4000と今はまだ大丈夫だが、レコン・キスタが降下すれば全く足りなくなる。

 

 

ゲルマニアが前回同盟を結んだのはロンド・ギナ・サハクの恋愛事情だと言われてるが、流石に二度目はないだろう。更にガリアが守ってくれる理由もないし、ロマリアは初めから諦めている。詰みだ。それでもマザリーニは平民の士官を多数取り入れるなど苦肉の策を実行するも、人数に変わりはないので目に見える変化はない。それでマザリーニはこの件でマリアンヌと貴族達から嫌われる。

 

 

ガリアでヨルムンガンドが次々と完成。どこに投入するか悩んでるらしい。

 

 

ロンド・ギナ・サハクが漸くゲルマニアに戻る。コトーがしっかり性格を確認した後、ギナに間違いは無いと判断した。そしてネオ・オーブでお見合いをセッティングするそうだ。時間はこの仕事が終わってからにそうだが。帰ってきたギナがカトレアとの婚約が流れた(一応は公式にではない)のを知ると落ち込んだ。三日ぐらい使い物にならなかった。新しい恋を見つければなんとかなるだろうと思ったロイである。

 

 

ロマリアはそのまま静観、介入するチャンスを待つ。

 

 

マリアンヌ派はアンリエッタ派への攻撃が紙一重で間に合わず、レコン・キスタ降下の援護を許してしまう。タルブとラ・ロシェールが即座に占拠される。これ以上の兵員が増えるのを防ぐためにマリアンヌ派は飛行戦力を以て全力で攻撃するもお互いのフネ、竜騎兵を消耗しただけに終わる。

 

 

ロイはラ・ヴァリエール公爵を通じて少しだけ安い武器を売っている。名目と言うか表向きの言い訳は未だ消えないギナの恋心の援護だが、実際はレコン・キスタとトリステインで消耗して欲しいだけである。ちなみにギナがまだカトレアの事を諦めた訳ではない。望みはほぼ無いと言ってもいいが、中々一途な男である。

 

 

そのまま三ヶ月。レコン・キスタの物資や兵員の輸送はマリアンヌ派のしつこい妨害で進行が遅い。それでも確実に兵と物資はラ・ロシェールに集まっている。そしてトリステイン魔法学院ではゲルマニアとガリアの留学生が撤退し、同時にトリステインの生徒たちも徴用される。

 

 



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兵器にはテストが必要

「そういえばあそこに居たな」

ロイが思い出したように言う。

「お前のプランに影響が出ない程度に取り戻せないか?」

ギナが言ってるのはルイズの事だ。アンリエッタの付き人となったルイズがレコン・キスタで確認されたがラ・ヴァリエール公爵では力不足で取り戻すことが叶わない。とまあ、カトレアを使ってギナにお願いしたんだが、そんな事をやってやる義理はない。

「その内帰っくるから心配するなと伝えればいい」

「それはどういう意味だ?」

「そうだな。どうせ自分で帰ってくるが、ゲルマニアが手を回したと言ってくれていい。それで好感度は上がるだろうから。時間は一か月以内と言ってくれ。この後直ぐ動くつもりだからな」

「ようし、分かった」

「ただ、これだけは言っておく。無いとは思うが、もしこれでラ・ヴァリエールが調子に乗ったら、兄さんが潰してくれ」

ギナにとってこれはショックだったが、ロイのとってはこれが限界だ。そもそもロイはラ・ヴァリエールに良い感情は無い。基本的に保守的なのに、プライドが高く、政略結婚が嫌いなど半端に義務感が可笑しい。流石にこれ以上要求するなら悪い女に騙されたと判断し、排除する。

「………くっ…了解した」

「ごめん」

「全ては我の責任だ。お前のせいでは無い」

空気が重い、だが線引きはしなければならない。ギナは部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………様、ロイ様、ロイ様」

やや落ち込んでいるロイが漸く気付く。

「ん?キュルケ。帰ってきたのか」

「はい。何か考え事ですか?」

「少しな。で、挨拶ならご飯の時でもいいと思うが、何か用事でも有るのか」

「恋人のタバサが頼みが有ると」

「分かった、通してくれ」

「了解しました」

 

 

 

 

 

 

「彼女がタバサです。お会いした事が有りますよね?」

「ああ、では要件を聞こう」

「母を治して欲しい」

「それで?」

「……?それだけ」

「交渉ではなにか求めるときには他の何かを与えなければならない。君は交渉をした事が無いのか?」

「分かった、何でもする」

「(まともな交渉の経験は無いか)では私が欲しい物をもってこい、その為にはゲルマニアに害を与えない限り、やり方には口を出さない」

「何が欲しいの?」

「土のルビーと始祖の香炉だ」

「…分かった」

「なら少し休んでいくといい。時間に制限は付けないつもりだが、遅すぎると他の者が取りに行く事に成から早めにやってくれ」

「……」

タバサは返事もせずに出て行く。

「ああ、キュルケはまだ話がある」

一緒に出て行こうとしたキュルケを呼び止める。

 

 

 

 

「恋人なんだから手伝ってやればいいよ」

「え?」

キュルケにとっては予想外だった。ロイが言ったからには出来ない任務ではないのだろうが、これはガリアに喧嘩を売る行為だ。ゲルマニア王族と関係が深い自分が関与してもいいのだろうか?

「取り敢えず彼女の正体を」

「知ってます、シャルロット姫なんでしょ?」

「知ってたのか。なら北花壇騎士団の七号だと言う事は?」

「え?それって裏仕事の….」

「そう、だから実力には問題ない。プランを一つ提供しよう、それを実行するかは君たち次第だが、恐らく最も現実的で速い方法だろう」

「でもガリアとは同盟関係じゃ?」

「それは気にしなくていい(どうせ仲良くなんて出来ないからな)。でも一応は君の独断と言う事になる」

「それでプランは?」

「詳細な内容はあとで渡す。簡単に言うと、シャルロット姫の名前を欲しがる連中を利用するんだ。ついでに君への任務だが、恐らくジョゼフを倒す必要があるので、その際にイザベラ姫を救出して欲しい」

「それはまた何故?」

「そこは知らないほうがいい」

「分かりました」

「報酬に、そうだな、王位でも要るか?」

「い、いえ、遠慮します(なんか本気っぽいんだけど)」

本気である。

 

 

 

 

 

ゲルマニアでは両用艦隊が発進する。乗員は常備軍が500。物資は余り有る程持ってきた。ウィンドボナから西へ、海を使う。目的地はトリステインの西海岸の南。衛星を使い、他のフネと出会わないように航海する、その為若干余分の時間がかかるが。同時にロイとロイヤルガードを除いたラウンズ10人が出発。目的地はラ・ロシェール。

 

 

 

 

物資と兵員の輸送は難航したが、ラ・ロシェールには既にレコン・キスタの兵士が約3万集まった。そしてトリステインはクルデンホルフの援助を以てしても2万しか居ない。簡単な法則によれば3倍の兵士が居ないので防御側が有利なのかも知れないが、第一にレコン・キスタの兵は今後も増える、第二にレコン・キスタは正当性を持ちつつ有る、第三にトリステインは防衛する領地が多いので兵を集め難い。更に竜騎兵やフネの優位、盟主の虚無の力(嘘)を鑑みて、レコン・キスタ上層部は侵攻開始を決定する。

 

 

 

 

久しぶりに現れたシェフィールドが布に包まれた巨大な何かをラ・ロシェールの倉庫に運び入れた。まあ、実戦テスト用のヨルムンガンドだが。これが最初に牙を向けるのはトリステイン軍かゲルマニア軍か。衛星からロイも見たのでトリステインじゃね?

 

 



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協力(笑)

ロイは一足先に転移でトリステインに来ていた。同盟は消えたが、マザリーニとはまだ交流があった。主に同盟を結びたいマザリーニとそれを断るロイと言う関係で。そのロイが今回はマザリーニに共同作戦を持ちかけてくる、もちろん秘密裏に。

 

「何が目的だ?」

流石にそう簡単には信じられない。

「何って“いっしょにレコン・キスタをたおそう”と提案しただけだが?」

「ならば何故同盟を解消した?」

「そっちが宣言したんだろう?」

「その気ならこの戦闘が終わったあ後でも出来たはずだ。今になって提案する理由はない」

「私はね。マリアンヌ派が降下を阻止するのを期待していたんだ。降下地点で待ってれば大体は阻止できると思ったんだが、まさか後手に回って間に合わなかったとは。呆れるよ」

「……」

これくらいで怒るマザリーニでは無い。

「トリステインが落ちればレコン・キスタは9割の確率でゲルマニアへ向かう」

残りの一割はジョゼフがガリアを捨ててまでゲルマニアを壊すパターンだ。

「それで共同作戦か……」

「そちらも今叩かないと、永遠にチャンスを失いますよ」

「分かっている。連携は?」

「マリアンヌ派が北から、ゲルマニアが西から攻める。運がよければそのままガリアへ撤退してガリアも巻き込める」

「妥当だな」

情報はやはり重要だ。それを欠けたマザリーニは本気でガリアを巻き込めると信じているようだ。レコン・キスタにとってトリステインの情報は筒抜けなのでこれをマザリーニはラ・ヴァリエール公爵以外に秘匿した。

 

 

 

 

マザリーニはラ。ロシェールへの総攻撃を提案し、分かりやすいプランにマリアンヌは賛同する。反対する者も居たが、マザリーニとマリアンヌの意見は覆せなかった。

 

 

総司令官はド・ポワチエ大将だが、これにはマザリーニも悩んだ。いっそグラモン元帥に出て来てもらおうかと考えたが、年齢的に指揮する体力が足りないだろう。ラ・ヴァリエール公爵が優秀な指揮官だとか噂が出回ったが、三女が堂々と裏切っては簡単に指揮官にできない。結局はそのままだった。

 

 

 

 

レコン・キスタは総攻撃の情報を入手し、変わって防衛する方針で決まる。

 

 

戦況から見てラ・ロシェールに被害は及ばないだろうと考え、盟主には士気を高めてもらう為に前からラ・ロシェールに駐在して貰っている。前回の敗北の影響はこれで打ち消されるだろう。

 

 

 

 

この戦い、主力はトリステインとレコン・キスタだが、主役はガリアとゲルマニアである。ロマリアは傍観者、エルフも傍観者。本当に無意味な戦いだ。

 

 

 

 

 

 

 

戦いまで後僅か。ロイはその間にゲルマニアで来るべき大隆起への対応を決める。

 

時間的に間に合い、簡単、低コスト、かつ現在持ってる材料で実現できる方法は以下。

1.ネフテスの核で地下爆発。

2.アルティメット細胞のよる侵食。

3.魔力連鎖爆発の誘発。

4.魔力吸収の陣を地下に向けて使う。

5.いっそゲルマニア王族の誰かが壊す。

6.火石で壊す。

 

 

詳細

1.ハルケギニア終了。

2.オーバーテクノロジーを残すのは不安。

3.ハルケギニア半壊。

4.莫大な魔力が大気中に発散されるので精霊と韻種が暴走する。

5.メンド臭い。

6.ハルケギニア3/4崩壊。

 

 

結論

ロイが暗号化した魔法陣(解読および研究不可)で大々的に風石の魔力を大気中に発散させる。他のは予備プランとする。

 

 

とまあ、ロイが魔法陣を紙に書いて、使い方を部下に説明する。巨大な魔法陣を書くのは彼らの仕事だ。そして完成後、トリガーとして膨大な魔力が必要なので、必ずCPSが必要になる。起動するのは王族達の仕事だ。

 

 

魔力吸収の魔法陣はダンジョンとかでトラップとして使われる簡単な魔法陣だ(ハルケギニアではない)。今回はそれを大きくして、方向を地下に向ける。魔力発散は数日かかるので、その間に誰も近づかないようにする。魔獣が凶暴化する可能性もあるので討伐隊の準備も必要。

 

 

まあ、魔法陣の意味はゲルマニア王族しか知らないし、魔法の系統も違うから解読される危険もないだろう。

 

なのでプラン始動。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラ・ロシェール、そこはレコン・キスタの尽力のおかげで立派な要塞と成っていた。元々山あいの街なので防衛には向いている。それが土メイジと大量の人力で要塞と化した。弱点と言えるのは空からの攻撃だ。竜騎兵の攻撃では要塞は崩れない、正攻法としてはフネの艦砲のよる砲撃。邪道としてフネの特攻、フネの中に兵を入れて突っ込むなどの方法があるが、トリステインのド・ポワチエでは奇襲は成功させられないだろう。戦争の行末は全ての情報を持ったゲルマニアが決める。

 

 

 

 

ネオ・オーブではエルフの来訪の為の準備が始まる。これが中々難しい。エルフが食べない食材、エルフにとっての禁忌に当たる行為。それらを一つ一つチェックするのは時間がかかる。それでも外交部は嬉しそうである。待ちに待った大仕事だと言うのが一つ、もう一つの理由は“エルフ”だ。

 

 

ファンタジーだろ?ゲーム、小説、マンガの中でよく見かけるエルフ。本物が此処に来るんですから普通にはしゃぐでしょう。主に前回外交に行かなかったメンバーは一段と精力的に働く。一応テレビ出演も計画されているが、それは使節団の意向を確かめてからだ。

 

 

利益関係など無いので暗殺の心配は殆ど無い、それでも万全の警戒はするけど。ネオ・オーブへの異世界人の初招待、歴史的瞬間はそう遠く無い。

 

 



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ラ・ロシェール攻防

一話で終わりましたが、実際の戦闘時間は一日。各事件の発生には結構時間が空いてます。


ラ.ロシェール攻防戦。それはトリステインのフネの砲撃から始まる。数だけならレコン・キスタより多いが、実際は改造船なので弱い。これに出撃したレコン・キスタ主力艦隊が迎撃する。

 

 

その間に別方向から新たなトリステイン艦隊が出現する。それらは武装しておらず、軽い。積荷は火の秘薬。更に風メイジの加速も使ってるので速度は速い。特攻艦隊である。これはラ・ヴァリエール公爵が提案した作戦で、自身に押し付けられた作戦でもある。

 

 

当然、別働隊の情報は得ているレコン・キスタは準備していた対応艦隊を出す。しかし、イレギュラー発生。烈風のカリンが出現、敵艦隊に迅速に近づき、レコン・キスタの対応艦隊の帆を全て切り裂いた。流石に一個艦隊を沈めるといったのは噂だったらしい。それでも竜騎兵相手の片手間で敵艦隊を航行不能にするのはすごい。

 

 

レコン・キスタの対応艦隊は足が潰れたので特攻艦隊の進行を許してしまう。予備の帆を取り付ける間に特攻艦隊はその目的を達成した。要塞の一角が崩れる。

 

 

その穴からトリステイン軍が雪崩れ込む。同方面の防衛用の大砲も特攻の爆発に巻き込まれたのでここまでの侵攻はスムーズだった。

 

 

しかし、この一角に集まったレコン・キスタ軍の密度は高い。メイジの数もだ。これを、烈風のカリンはまとめて吹き飛ばした。防御用の魔法って無いんだよね。

 

 

そのまま市街戦へ発展する。これを見たトリステイン主力艦隊は撤退する。レコン・キスタとしてもフネの大砲を市街区に使うわけには行かない。そこでは敵味方の区別は付きにくい。なのでトリステイン艦隊を追撃するレコン・キスタ主力艦隊。それらはどんどんラ・ロシェールから離れていく。

 

 

一方トリステイン軍地上部隊も苦戦している。烈風のカリンの精神力が底を付いたのだ。トリステイン軍に勢いはあるが、戦力差でその勢いも徐々に失われつつ有る。このままではトリステイン軍が敗退するのは時間の問題だ。

 

 

最後の一押しとしてシェフィールドはヨルムンガンドを投入する。それの対応にマンティコア隊は持って行かれた。トリステイン軍は押される。だが敗退は許されない、これは祖国の存亡を賭けた戦いなのだから。

 

 

そこにゲルマニア艦隊が西から出現する。ゲルマニア軍は火力で押す。常備軍は陸に降りず、各艦に増設された大砲を使って攻撃する。トリステイン軍が居るのは主に北方面なのでここは敵しか居ない。竜騎兵の相手はまだ居ないので待機である。

 

 

ちなみに数的にゲルマニア艦隊/レコン・キスタ主力艦隊/対応艦隊/トリステイン艦隊は2/5/1.5/5。

 

 

レコン・キスタは西に飛行戦力が無い。故に派遣できる戦力は司令部直属の少数の竜騎兵とやる事が無い元対応艦隊である。それは数が余りにも少ない。現在、主力艦隊が追撃を諦め帰還しているとの知らせがあった。これが到着すればレコン・キスタの勝利は決まる。

 

 

竜騎兵と元対応艦隊はゲルマニア艦隊相手に時間を稼ぐが、フネは止まらない。一瞬ヨルムンガンドを回そうかと思ったシェフィールドだったがヨルムンガンドの性能に関する詳細な情報を渡したくないし、時間的に司令部制圧までに主力艦隊は戻ってくるだろうからトリステイン軍の蹂躙を続ける。

 

 

しかし、トリステイン軍は限界に達し、敗走する。

 

 

これにヨルムンガンドは追撃をする。その間にレコン・キスタ主力艦隊の竜騎兵が戻ってきた。それらはゲルマニア艦隊の足止めに使われ、ゲルマニア艦隊の前進も遅くなる。

 

 

そう、このまま進めばレコン・キスタの完勝である。が、当然それをロイは許さない。開戦からずっと空中で待ってたラウンズ11人。ロイが空気を操作し見えなくしている。11人は急速降下し、司令部へ侵入する。ちなみに11人分の飛行と隠行はロイが担当しました。

 

 

司令部を破壊し、11人は直ぐに退避する。ちゃっかりアンドバリの指輪を頂いたロイは新たな主として命令を下す。それは全ての効果を止める事。

 

 

 

 

永遠に続く魔法など無い。例え維持する魔力をマナ吸収にしようとしてもかかった魔法は何時か劣化する。ならば擬似蘇生、完全な洗脳を維持するのは莫大な魔力が必要だ。マナの概念すらないここでは魔力はこの指輪から提供される。つまり効果を止めれば、ゾンビ兵、洗脳された者は役に立たない。

 

 

 

戦場で前線指揮官や精鋭兵が倒れる。アルビオンで首脳部の半数が倒れる。レコン・キスタのあらゆる精鋭はその影響を受ける。

 

 

短い時間でここまで膨れ上がった組織に有能な人材がそうそう居るわけがない、普通なら。しかし、アンドバリの指輪が有れば有能と判断した人物を手に入れられる。幹部クラスの人材は殆どそうやって確保してきた。故にここまでスムーズに大きくなれたのだ。それが、今、全て、消えた。

 

 

残りは烏合の衆同然の兵士だけ。傭兵の中には有能な者も居るだろう。だが脳筋は優秀な傭兵にはなれない。直ぐに使い潰されるからだ。つまり、それらは引き際を心得ている。それらも失われる。極少数、普通にレコン・キスタに参加した有能な人間ではこれを纏められない。なにせ生き残った首脳部の3割が洗脳された人間なのだからな。

 

 

だが、戦争は終わった。追撃は不可能、寧ろ同士討ちにならないように纏めるのが精一杯だ。シェフィールドもこれを見て撤退する。トリステイン、レコン・キスタ、両方が壊滅的打撃を受けた。そして、ガリア、ゲルマニアは見事その目的を達成する。

 

 

 



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ロマリア始動

ロマリア始動

 

その後の行動で、ロイは水精霊にアンドバリの指輪を返した。水精霊は約束通りゲルマニアへ移住する。ルーシェ領に新たな湖が出来上がり、今後は徐々にラグドリアンに取って代わって観光名所となる。一方ラグドリアンは今後も宴会などによく使われて、徐々に汚染されていく。水精霊は綺麗なところが好なのでそれは自然に自分の住処を浄化する。でなければ宴会とかで6000年(多分)溜め込んだゴミで使い物にならないだろ。

 

 

 

 

 

SIDE ワルド

 

 

え?聖地は?

 

 

なんでイキナリ内戦一歩手前状態なんだ?今のトリステインとレコン・キスタは鴨葱状態だよ。つついただけで崩れる積み木の城見たいな感じ。

 

 

いやね、一応はアンリエッタ様、陛下に付いてきたと言う名分になるかも知れない名分が有るんだが、これではどっちでも意味がない。なし崩し的にアンリエッタ様を守るためとするか、責任を全部アンリエッタ様に擦り付ければトリステインへは多分戻れただろう。マザリーニの私に対する評価は高いから。

 

 

だが、トリステインとレコン・キスタ両方共駄目になるとは。これからどうすればいいんだ?

 

 

ロマリアに行くか?あそこは聖地に関する資料が最もそろってる場所だ。だが、ツテも無く、金もない、盗む技術もない。

 

マジどうしよう……

 

SIDE OUT

 

 

その頃、アンリエッタはレコン・キスタなどどうでも良かった。ウェールズが動かなくなったのだ。

 

安全だと聞いて、故郷に帰りたくなったアンリエッタは戦闘時、ラ・ロシェールの地下に居た。ウェールズも付いてきているので寂しくもなかった。これが終わればアンリエッタはウェールズとトリステイン王宮で幸せな生活が待っていると彼女はそう考えていた。

 

 

しかし、上で大きな振動が起こってから、ウェールズは倒れた。

 

 

絶対に勝てるはずの戦闘、幸せな未来。そう聞かされたアンリエッタは全てを失う。国を捨ててまで愛に生きると決め、国を取り戻せると分かって喜び、国と愛する者を両方を失ったアンリエッタは悲しみに明け暮れた。行く末は二つ、破滅へ向かうか、宗教に頼るかだ。

 

 

 

 

 

 

情報封鎖は機能停止し、ルイズは此処に至り漸く自分の立場を知る。平民は貴族に尽くす者、貴族は王へ忠誠を誓う者と教わってきたルイズは女王アンリエッタが王座から下ろされた事が信じられなかった。そして敵にラ・ヴァリエールが居る事も知らなかった。なら自分が今までやって来た事はなんだったのだろうか?ルイズは混乱し、無限の思考に陥る。

 

 

 

 

ワルドと一緒に護衛であるサイトは何が何だか分からない。政治の事は詳しくないし、ワルドは頻りに悩んでいて、アンリエッタは泣くだけ、ルイズはずっと何かを考えている。もしご都合主義があれば相談するだけで全員が悩みを解決し、前へ進むだろう。だが17歳の高校生にそこまでの深みがある言葉は出せない。結局は時間に任せるしか無かった。

 

 

 

 

しかし、レコン・キスタの被害は主に混乱だとして、トリステインの被害は人員だ。祖国存亡の危機に果敢に戦ったトリステイン軍だったが、ヨルムンガンドと言う規格外には為す術がなかった。

 

 

烈風のカリンの実力とラ・ヴァリエール公爵の作戦のお陰で要塞には侵入できたものの、精神力には限度があるし、彼女もこの歳だ(推定40代後半)。嘗ての英雄譚並の働きは出来なかった。

 

 

なまじギリギリまで踏ん張ったからこそ被害は大きい。死傷者は12000を超える。退けない戦いであった。レコン・キスタは既に侵略できる状態ではないので目的は達せられただろうが、代償は余りにも大きい。特に徴兵された学生達は今後のトリステインを担う人材なので失うのは痛い。だが、これで一息つくことが出来る。レコン・キスタの脅威は去ったのだ。何故かは知らないが半端なく混乱している。纏める盟主も居ない今、嘗ての勢いは無くなる。気を付ける必要はあるが、これなら軽く煽るだけで内戦になる。

 

 

 

ゲルマニアでは緊張感が高まっている。ロイの予想ではこれで第三勢力が出来上がる。ゲルマニア、ガリアに続く三番目の勢力が。それをガリアにぶつける事で戦争は終わるだろう。

 

 

 

それはガリア王ジョゼフも分かっていた。それの吸収は不可能だろう、ならばそれをゲルマニアにぶつける。四ヶ国で最強なのはゲルマニアだ。ならば同盟は結べるはずだ。

 

 

 

動き出したのはロマリア。聖地奪還を掲げたレコン・キスタとトリステインの調停役にこれ以上相応しい者は居ない。教皇ヴィットーリオは聖堂騎士団を連れてアルビオンへ赴く。その容姿、頭脳、話術、権威を十二分に利用して最高意思決定機関が事実上潰れたレコン・キスタを乗っ取った。それをロマリアの力と合わせれば充分ガリアとゲルマニアに通用する。

 

 

 

ヴィットーリオとしてはどんな手段を使ってても聖地を奪還しなければならない。その為にはガリアとゲルマニアのどちらかを突破する必要がある。普通なら教皇の権威を以てしても至難の業である。

 

 

 

しかし、ガリアと戦う方が格段に楽になる。何故なら切り札、シャルロット姫の協力を取り付けたのだからだ。半ば恐怖で貴族を押さえ込んでいるジョゼフに反旗を翻す貴族は幾らでも出てくる。ならばこれを利用しない手は無い。

 

 



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戦争まで

「断然足りんな」

否定するのはガリア王のジョゼフ。

「そうでしょうか?」

報告しているのは使い魔のシェフィールド。

「ああ、ゲルマニアのゴーレムはスクウェア以上の魔法を使うのだろ?ならばこのカウンターが通用するかどうかも怪しい」

「しかし、この大きさでこれ以上のカウンターは…」

「盾だ」

「はい?」

「カウンターの力を凝縮した盾を作れ」

「武装面でも騎士に似せると言う事ですね」

「そうだ。それと数をちゃんと揃えろ。倒すにしても、消耗するにしても数は必要だ」

「了解しました」

「それとゲルマニアがエルフと内通しているとの情報を大々的に流せ。ゲルマニアが短期でここまで発展できるのはエルフの援助が有ったからと宣伝しろ。ゲルマニアに動揺は広まらないだろうが、ロマリアの連中なら信じるだろ」

ヴィットーリオは別だが。

「ではモード大公の件も流しましょうか?」

「いや、あれは逆にゲルマニアの影響力を高める。あれでも王族だ。ゲルマニアに有利な発言をすればロマリアは動きにくくなる」

「分かりました」

「それと元女王と接触しろ」

「へ?」

事態はそう簡単には進まない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE ロイ

 

 

こちらも情報は流した。ピンポイントでロマリア上層部に届いてるはずだ。

 

 

レコン・キスタを作ったのはガリア。額にルーンが有る謎の人間が良くレコン・キスタの盟主と話している。その人間があのゴーレム、ヨルムンガンドを操っていた。ヨルムンガンドはカウンターを使う、それはエルフの技術だ。ジョゼフはエルフに協力してもらっている、と自分で考え出すように情報を流す。

 

 

 

随分遠まわしな情報だが。ヴィットーリオに届けば問題はない。これを理解できるのもヴィットーリオとロマリアの上層部だけだろう。自分で辿りつた結果は信じやすい。だがヴィットーリオがこれを鵜呑みにする事は無いだろう。

 

 

シャルロットと言う最高の口実も有るんだ。聖地を目指すならガリアが最短のルートだが、ゲルマニアを攻撃する理由は二つ。戦力確保か、武器確保だな。

 

 

ゲルマニアはハルケギニアの武器供給源なので下手に手は出せない。だが、それは攻撃される理由にもなる。

 

 

その点、ジョゼフはヴィットーリオより優秀だ。武器販売を止めたら動けなくなるロマリアに対し、ガリアはヨルムンガンドがある。使った金属の量から考えて15体は有る筈だ。充分主力になり得る。これでガリア軍はゲルマニア製の武器が手に入らなくても生産力を回復するまで持ちこたえられる。

 

 

全く。こちらにMSが無ければ相当やばかったぞ。新しいコンセプトの兵器を作り出すとは。MSを前にした初期の地球連合の気分が少し分かってしまったではないか。

 

 

政治、開発、経済、陰謀、全部ほぼ一人でやってのけたジョゼフは化物だな。

 

 

 

取り敢えずトリステインは終わりだな。このまま誰についていくかで終わり方が決まる。奴らは運が悪いとしか言い用がない。先代の王と教皇は皆、王としては平凡だった。ここで鬼才のジョゼフとヴィットーリオが現れ、ゲルマニアに我らが干渉した。

 

 

 

アルビオンとトリステインが持たない訳だ。もともと小国なのに王が突き抜けていない。

 

 

まあいい。方針はガリアとロマリアをぶつける方向で行く。

 

 

SIDE OUT

 

 

 

SIDE ヴィットーリオ

 

 

なんですかコレは。

 

 

ガリアはエルフと繋がっている。ゲルマニアもエルフと繋がっている。これが本当なら我らは既に終わっています。

 

 

上層部はガリア攻撃を主張していて、兵士達はゲルマニアへの攻撃を言っている。

 

 

我らの目的は聖地です。最強のゲルマニアとは戦う必要が無い。ガンダールヴを手に入れた今、場違いな工芸品は使い道を得る。まあ、その前に彼らの精神ケアをしなければなりませんが。ミス・ルイズの爆発魔法、ガンダールヴの戦闘能力、鍛えればかなり使えるでしょう。

 

 

問題はガリアとゲルマニアの同盟ですね。本質的にはありえませんが、何らかの理由で一時的に保つ必要があると判断された場合、最悪の事態になります。出来ればこの二つで戦争させる、最低でも同盟は解消しなければ。ガリア攻撃は口実では内戦となりますが、ゲルマニアが援軍を出さない確証はない。

 

 

ここらでゲルマニアと和解できないだろうか?大隆起を知ったらジョゼフは全力で支持しそうだが、ゲルマニア王はどうだろうか?

 

 

現在、風石の鉱脈の上で何か図形を書かせているらしいですが。もしそれが風石の効果を打ち消す物なら頭を下げても手に入れたい。だが、もしそうだとしたらそれを使ってトリステインとロマリアから何か引き出す為に使うでしょう。ゲルマニアだけ無事でも意味は有りません。怪しいですね。下手に太隆起の情報は漏らせません。

 

 

 

それよりも今は兵士を抑える事ですね。そしてトリステインは早めに吸収しましょう。

 

 

SIDE OUT

 

 

 

悲しみに明け暮れたアンリエッタと混乱したルイズはヴィットーリオが居る事でトリステインと交渉が出来たので大分良くなった。

 

アンリエッタは毎日ブリミルへ祈る。それは自分を保つための儀式だ。

 

ルイズは家族との手紙で少しずつ落ち着く。それに加え、教皇に虚無の使い手としてに認められ、協力を頼まれた。目的は聖地奪還。ルイズとサイトはエルフの凶暴性(嘘)をよく聞いており、教皇のお言葉もあって協力するための訓練は惜しま無い。

 

そしてシェフィールドとアンリエッタが接触してしまった。ヴィットーリオも護衛、監視などをつけていたが、始祖の使い魔は苦労したものの、それをかいくぐった。

 

次の日、アンリエッタはルイズに話をする。

 

「ねえルイズ。お願いがあるの」

 

 



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戦闘だった

「トリステインは順調にロマリアに吸収されつつあるか」

ロイはゲルマニア王宮の執務室で報告を見ていた。

(キュルケの報告は精度は高いが深い部分の内容はないだろうな。嘘を見破るにはまだ対人経験が少なすぎる)

今見ているのは他の内通者から送られてきた物だ。

(タバサには敵討ちを約束している。嘘をつくには悪すぎる相手だ。ならば少なくとも上はガリア攻撃で決めたんだろう)

キュルケの報告は一番で見ている。彼女の報告書はある意味ロマリアからゲルマニアのメッセージであるので、そういう意味での価値は高い。

(今は下の意思統一に苦労しているんだろうな)

ガリア王が流した情報はその意味を失う。結局侵攻を少し遅らせただけである。

(しかし、ジョゼフの作戦がこれで終わるのか?)

有り得ない。こんな無駄な事をするジョゼフでは無い筈である。

(駄目だ。狂人の考えは予想しにくい。奴の狙いは恐らくゲルマニアにロマリアを潰させる事だが、ヴィットーリオはそこまで甘くはないぞ)

 

ドカーンと王宮では有り得ない声が聞こえる。そしてそれに続く軽い振動。

 

(なんだと!?)

「報告します。侵入者が現れました」

伝達速度は速い、事前にあらゆるパターンを想定していたからこそ出来る行動だ。

「何処から侵入してきた?」

「王宮の横の壁を破壊して侵入してきました!」

(まさか)

「侵入者の情報は?」

「赤髪の剣士、推定25歳前後と緑髪のメイジ、推定20歳前後です」

(これは)

「戦い方は?」

「メイジの方は謎の爆発する魔法です。剣士の方は大剣を使います」

(そう来たか)

「陛下には当然伝えただろうな」

「はい!」

「ならば冷静にサハク公の指揮に従え。それと王族とラウンズを王座の間に集めろ、私も直ぐに行く。文官の退避も始めろ。慌てる必要はない、分かったか?」

ロイは極めて冷静に命令を下す。

「了解!」

(これがジョゼフの作戦か。間違いなく二人組はルイズとサイトだろう。ならばラ・ロシェールに居るのはスキルニルか。しかし、ガリアの仕業だと言うのがバレバレだ)

ヴィットーリオはこんな事で切り札たる虚無の使い手を消耗したりしない。使い魔と違って使い手の補充は難しいのだから。

(洗脳なんてつまらない手段を使う奴じゃない。ならば直接命令を下したのは誰だ?ヴィットーリオではない、それ以外では…アンリエッタか。両方共そこまで考え無しだと思わなかったぞ)

だがこの襲撃は絶対に安全である。何故ならばサイトとルイズは人を殺める事が出来ない。逃げる相手も追わない。これで良く派遣できるもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

王座の間では他の王族とラウンズが既に集まっていた。ロイは宝物庫と倉庫の中身を一時的にネオ・オーブへ転送するために少し遅れた。その間にも爆発音が続く。

 

 

(やはり壁を壊しているのか)

「遅くなりました」

「よい」

「陛下、フォー以外のラウンズは外で包囲網を造らせるべきです」

「そのようにしろ」

「「「「「はっ!」」」」」

「それと敵の剣士は連射の銃を持ってる可能性がある、十分気をつけてくれ」

緊急時故に色々省略してしまう。10人は直ぐに出て行った。

「それでロイ様、我々どう動くべきですか?」

素に戻ったマリアが聞く。

「此処で待てばいい。ハウスに向かったら即死だし。文官の撤退も完了しているはず。奴らは必ず此処に来る」

「侵入者を知っているのですか?」

「ああ、詳しい事は後で。取り敢えず剣士の方は兄さんが相手してくれ。セミオートの銃を持ってる可能性があるから危険はないけど気をつけてくれ。主に此処の調度品等に。後これを渡しておく。身体強化の魔法薬だ。副作用は一日の筋肉痛だが、効果はかなりのものだ」

「うむ」

「ステラはこれ。外見的にはハルケギニアの銃と同じだが、ネオ・オーブの特注品だ。精度は保証する。まずこれで敵メイジの杖を撃ち落せ。それで無力化出来る」

「うん」

「他は、まあここでダラダラしてればいいよ」

 

 

結果、コーディネーターはすごいと言う事が判明した。神の左手と言ってもたかが身体強化と武器知識だけだしね。プロ軍人で同じく身体強化されたコーディネーターには叶わなかった。

 

ルイズとサイト、鹵獲される。

 

 

建物の被害はそこそこあるが、人的被害はゼロ。しかし、そこまでは問題ではなかった。

 

SIDE ロイ

 

奴の考えが分からん。

 

この事態は今のゲルマニアにとっては寧ろ歓迎すべき事だ。怒りを装ってトリステインに攻めこむか、ロマリアに攻めこむか。それともロマリアとの裏取引でなにかを引き出すか。使い方はいくらでもある。

 

もしかしてジョゼフはアイツらがゲルマニア王族を傷つけられるとでも考えてたのか?一応はチートとして知られているんだが。実力を図るため…でも無いだろ。デストロイの件で充分だろ。

 

ルイズを洗脳して聞き出した情報では直接の命令を下したのはやはりアンリエッタ。だが、ヴィットーリオは絶対にこんなマネはしないし。それ以外でスキルニルを二体も用意できて、ヴィットーリオに気付かれずにアンリエッタを煽る事が出来るのはジョゼフしか居ない。

 

こんなんでロマリアへ進軍するとでも思われてるのか?それともジョゼフは自分がやったと気付かれないと思ってるのか?

 

そう言えば前回は直ぐにブチ切れたな。デストロイまで出したし。ま、今回は事実を隠蔽して裏で交渉しよう。トリステインとロマリアで同時にな。

 

SIDE OUT

 

 

 

 

SIDE ジョゼフ

 

ここまでされてロマリアを攻撃しないだと?演習だと言う無茶な言い訳まで用意してまですることか?しかもゲルマニア王宮は人員が無傷。ますます分からん。

 

奴らが無傷なのは百歩譲ってゲルマニア王宮の兵士が優秀だと言う事にしよう。しかし、演習だと言うのは幾ら何でも……

 

いや、意外と合理的だな。それで王宮警備の練度が上がるなら容易いものだ。

 

しかし、どんな交渉であれ、ロマリアとの関係は悪化する。これでロマリアとの同盟は容易くなるはずだが、何故ロマリアの上層部はここまでガリアに拘るんだ?

 

SIDE OUT

 

ジョゼフはヴィットーリオの目的、迅速なる聖地奪還を知りません。

 

 



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訪問

ロイは秘密裏にロマリアとラ・ヴァリエール、マザリーニへと交渉を持ちかける。ロマリアへ出した条件は全ての虚無情報と始祖の円鏡を差し出す事。ラ・ヴァリエールへは特に条件が思いつかなかった別の目的があるのでそのまま会談。

 

 

未だカトレアが好きなギナにはちょっと残酷かもしれない状況になるので時期も丁度合ったし、ネフテスの訪問団の方に回した。初めはミナに任せたかったが、ハルケギニア語話せなかったんだよね、ミナ。

 

 

虚無情報と始祖の円鏡、この二つを要求されたヴィットーリオはかなり葛藤した。聖戦の為には攻撃タイプの使い手は不可欠だ。故にルイズは取り戻さなければならない。しかしその為にロマリア最重要機密に当たる物を二つ渡のは色々厳しい。

 

 

ラ・ヴァリエール公爵とマザリーニはこの襲撃がアンリエッタの指示でルイズが実行したと聞くと頭が空っぽになった。情のせいで未だルイズとアンリエッタはまだ彼女たちの家と縁が切れてなかった。これは確実に連帯責任である。しかし今のトリステインでは満足に賠償も出来ない。

 

 

会談の結果。虚無情報と始祖の円鏡をロマリアは渡す(極秘裏)。その代わり、トリステインは公式な謝罪に留まる。裏では事実上トリステインがしばらくロマリアの言いなりになる事が決まったが、大凡ロイの予想通りだ。でなければ賠償能力が無いトリステインを呼ぶ理由がない。

 

 

戦争が頻繁になり、サハクには金が腐るほどあるので金はもう要らない。その潤沢な資金も手を出せない理由の一つだろう。

 

 

一方エルフの訪問でネオ・オーブは物凄く熱狂的になってる。テレビ出演OKの返事を貰ったので外交部の人を翻訳に、緊急番組を組んだんだが、視聴率97.6%って……

 

 

メンバーは提案者のルクシャナを筆頭に評議会議員3人と騎士4人、学者4人の12人で。ネオ・オーブの生活、食べ物などだけでも驚きの連続だったのに、後に二つの月に上陸したのはエルフに感動を与えた。信仰的になにか思うところが有るらしい。

 

 

その後、遊園地とか、水族館とか、映画館とか、商店街とか、レストランとかに行って仕事は?と聞かれてもしょうが無い体たらくだ。まあ、文明の差が大きすぎて話が合わないので挨拶だけに留めのだが。こいつらはしゃぎすぎ。

 

 

カメラと言う道具があると分かるとそこいらじゅうを撮りまくるわ、対戦カードを大人買いするわ、炭酸をがぶ飲みして腹壊すわで全くのガキであった。案内役の微笑ましい表情が印象的だった。

 

 

帰るときに学者たちが何も聞いてないと騒いだが、その辺から物理と歴史の教科書を渡したらたいそう喜ばれた。今更遅いがそんなメンバーで大丈夫か?

 

 

とまあ、訪問は微笑ましく終わった。ちなみに核は太陽へ転送しました。

 

 

お土産にジュースとかカップ麺とか服とかたっぷり貰っていったエルフたちはもうただの観光客である。ちなみネフテスで一番人気なのはカップ麺であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE ルイズ

 

なんでよ!!

 

ゲルマニアはエルフと内通してて、始祖の秘宝を幾つも奪ったんでしょ!なのになんでトリステインとロマリアが謝らなくちゃいけないのよ!

 

姫様もトリステインに帰って、ワルドもそれに付いて行っちゃったし。どうなってるのよ!

 

それよりもやっとトラウm……じゃなくて勇気をだして突破したのに銃を使うなんてゲルマニアはやっぱり野蛮ね。

 

必ず聖戦の邪魔になるから聖下に攻撃に進言をしなくっちゃ。トリステインとブリミルの総本山たるロマリアが組めば怖い物無しだわ。

 

SIDE OUT

 

ツッコミは無しだ。どうしてこうなったかと言うと与えられた情報に問題がありすぎたとしか言いようがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリステインとロマリアが同盟を宣言する。しかし、実際にはトリステインがロマリアに従う。これを機にヴィットーリオが聖戦発動を宣言する。アルビオンを(経済的に)犠牲にしてまで集まったレコン・キスタの兵士、これが一旦解散すれば再び集めるには十年はかかる。それでは来るべき厄災に間に合わない。

 

 

ゲルマニアのコレに対する態度は冷ややかである。ロイ達が現れる前まではとことん混乱していたこの国、原因を探れば全て聖戦にある。これでは支持を得られない。

 

 

ガリアでは少々動揺が広まっている。ここではゲルマニアと違ってブリミルの影響が強い。ジョゼフの恐怖政治のお陰で下手なことをする司教も減ったのでそれが逆にブリミルの影響を強くしてしまった。それに関してはゲルマニアも同じだが聖戦ともなれば話は違う。

 

 

ちょっと不味い。そう思うジョゼフである。予想では王宮襲撃の件でゲルマニアは怒り狂ってトリステインとロマリアを攻撃するのだが、目的が聖地奪還では自分がロマリアを潰す羽目になる。聖地を取り戻すには確かにガリア経由が一番近い。

 

 

消耗した状態でゲルマニアとの戦争に勝てるとは思えない。何か手を打たなければと考えるジョゼフ。

 

 

ネフテスも警戒を上げた。具体的には派遣する密偵を増やしたり、ゲルマニアとの情報交換を多くしたりとか。カップ麺の威力でネフテスのネオ・オーブへの好感度はMAXに達する。少しだけ理不尽だと思ったロイでした。あれ地味に美味しいんだよね。

 

 



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正々堂々

聖戦を宣言したロマリアの行動は速い。レコン・キスタの兵力をトリステインに集結する。そしてロマリア、トリステインの両方からの攻撃でガリアを落とす算段だ。その為にもシャルロット姫に協力は必要である。

 

 

だから、オルレアン公夫人の救出も計画されたのだが、彼女は既に屋敷に居なかった。ロイからプランを貰ったタバサとキュルケはまず、オルレアン公夫人の救出を行った。でなければタバサは安心して敵討ちなど出来ない。本来此処にいたはずのエルフはヨルムンガンドの製造に忙しく、通常の花壇騎士団騎士で此処を守った。キュルケとタバサに突破されたわけだ。

 

 

それは兎も角、ヨルムンガンドを倒すためにトリステインとロマリアは手持ち全ての場違いな工芸品をサイトに触らせた。まあ、威力的に使えたのは大砲*1、戦車*1、そしてトリステイン魔法学園に保存されたロケットランチャーである。

 

 

特に破壊の杖と呼ばれたそれの効果を聞いたヴィットーリオはブリミルが降臨したかのように喜んだ。そしてルイズとサイトはまたしても任務を与えられる。

 

「ちょっとそれでジョゼフ暗殺してこい」(意訳)

とはヴィットーリオの言葉である。

 

「お断りします」(ルイズ)

空気を読めと言いたい。

 

貴族のやり方とか正々堂々とかを並べ立てたルイズをヴィットーリオは殴りかかりたいのを我慢して説得する。

 

「ゲルマニア王宮のあれは何ですか?」

「奪還だから問題ありません。戦争は正々堂々としないといけません」

 

真剣に次の使い手を考えたヴィットーリオはそれを押さえて、直接使用者たるサイトと交渉する。美人(ロマリア特殊工作員)を連れてきてお願いしたらあっさりOKを出した。ルイズとサイトは恋人ではない。

 

もしこれで拒否したら今度はサイトを消そうと思ったヴィットーリオだが、サイトは本当に命拾いした。ルイズは適当に騙して、美人と二人でロケットランチャーを持ってサイトは出発した。

 

裏切りじゃないよ、ただ一時的に休暇を貰っただけ。それがサイトの言い訳だ。

 

 

 

 

 

 

それでも軍の準備は止めない。暗殺が成功するのが決まったわけでもないし、成功しても反発する貴族がいる可能性があるのだ。

 

此処に来て、ロマリアが漸く宣戦。ガリアはシャルロット姫が正当なる後継者である。簒奪者たるジョゼフを討て!とまあ、ツッコミどころ満載な理由だ。

 

 

これに呼応するガリア貴族は多くない。ジョゼフの監視があるのもそうだが、前国王が指名したのはシャルルでは無くジョゼフだ。正当なる後継者はどう思考をぶっ飛ばしてもシャルロット姫にはならない。それに地位が高い法衣貴族はジョゼフを支持したからこそこの地位に居れるのだ。王が変わればその地位は失われるだろう。

 

 

有力な封建貴族達もそう。前王時代からジョゼフ派である彼らはシャルルの娘を支持しない。そもそもシャルルを支持する貴族は大半が粛清されたのだ。粛清を免れた貴族も力を失った。これでは有効な助力は出来ない。トップが下級貴族のバッソ・カステモールの反乱組織などジョゼフとしてはいつでも消せるが、行動を掴むためにあえて逃してるだけだ。

 

 

 

 

 

それでもシェフィールドはジョゼフ以外の誰も信用しなかった。暗殺の危険を徹底的になくすために主の世話は全てゴーレムに任せた。唯一料理は無理だったが、一品の料理を何度も試す事で危険性を最小まで減らした。遅効性の毒でもジョゼフの前に試しに使われた動物が先に死ぬだろう。警備は完璧だ。マジックアイテムはミョズニトニルンを裏切らない。現在プチ・トロワの住人はジョゼフとコック数名だけである。コックはジョゼフに近づくことを許されてない。イザベラは新たに建設された北花壇騎士団本部に移住した。

 

 

 

ゲルマニアでは遂に地下風石の無力化が始まる。範囲が大きいので時間はかかるだろうが、火竜山脈が隆起する頃には終っている計算だ。軍は常備軍5000以外の準備はしない。その必要がないからだ。既に真っ向勝負する必要も無い。それがゲルマニアの実力である。

 

 

 

ルイズとサイトはロマリア軍に組み込まれている。勿論待遇的には軍では無いが、トリステインとの交渉でルイズ(+α)はロマリアが一時的に預かる。トリステイン軍は回復と再編で忙しい。ヴィットーリオはトリステイン軍をこのまま休ませるつもりなど無い。

 

 

しかし、ジョゼフ暗殺はイキナリ頓挫する。ジョゼフがプチ・トロワから出てこないのだ。いくらロケットランチャーでもスクウェアクラスの固定化がかかった壁を何層も突破してジョゼフに辿りつく事が出来ない。これが戦車砲なら別だったかも知れないが。

 

 

潜入も無理でした。周りが全部ゴーレムなのも原因だが、サイトにそんな繊細な任務は無理。そこで隣の特殊工作員さんは毒殺を企む。揮発性の毒をプチ・トロワ全体にばらまいたのだ。この場合、通常では外側の兵士たちが死亡し、大騒ぎになり、地位が高い者は急いで地下、若しくは空から逃げる。そして警備が厳重になり、暗殺難易度が上がる。とまあ、普段は使われない手段だ。

 

 

しかし、ジョゼフの周りがゴーレムなら、この手段は通じる。……運がよければ。

 

 

残念ながらジョゼフにそれを気付かせたのは飼っていたペットの死である。そしてジョゼフは脱出。暗殺は失敗。しかし、これでジョゼフはプチ・トロワから出てくる。結果は上々である、か?

 

 



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戦争とパーティー

ヴィットーリオは今戦争でとても忙しい。故に地下風石の情報は最初に隆起すると思われる火竜山脈以外を無視していた。実際にはゲルマニアの情報収集には妨害があったが、それでもじっくり考えれば何か掴めたはずである。しかし、彼をそれを怠った。それが全てを終わらせたのを知らずに。人間なので仕方ないといえば仕方ない。普通に考えて短期間で解決する問題じゃないですから。

 

 

 

ヴィットーリオはサイトの暗殺報告を待たずに進軍する。しかし速度は遅い。問題はヨルムンガンドである。ヴィットーリオが得た情報でも計算すると最低10体は居る。しかもカウンターを使う。大砲がエルフのカウンターを突破できると同じ理論で考えると、あの巨大なゴーレムのカウンターを突破するには現在保有する戦車砲か88mm砲しかない。ルイズの爆発は保留。

 

 

 

その為にロマリア方面に戦車を配備、トリステイン方面に88mm砲を配備。保留のルイズはロマリア方面。それらの使い方はガンダールヴから教えられている。しかし戦車の燃料は不十分で自走させるのも勿体無い。レビテーションや丸太など様々な手段を使って運ぶので進行速度は遅い。弾が十分かどうかも分からないので実はかなり危険な賭けだ。

 

 

 

ジョゼフの命令でトリステインとロマリアから首都リュティスへの道は開かれている。ゲルマニアなら兎も角、ロマリア相手にヨルムンガンドは絶対的優勢である。ジョゼフも場違いの工芸品は調査した事がある。結論として、威力はでかいがメンテナンス不能、量産不能、修理不能、チェック不能など兵器としては使えるとは思えない。だから二つくらい増えても問題はない。

 

 

 

ジョゼフはこれらを撤退できない所まで誘い込み、退路を防ぐという戦略をとる。状況的にこれが最も多くの捕虜を確保できるのだ。来るべきゲルマニアとの戦争のためには戦力増強は不可欠。名目上同盟国のゲルマニアへの援軍も要請していない。嘗てのトリステインのように竜とフネだけ取られる可能性があるからだ。

 

 

 

場違いの工芸品の欠点はヴィットーリオも分かっていたが時間がないのだ。使えるもの全てを使っててもガリアを突破しなければならない。

 

 

 

ゲルマニアでは全く別の問題でロイが頭を悩ませていた。

 

SIDE ロイ

 

 

前回の訪問でエルフはネオ・オーブへの好感度は高い。それ故にネオ・オーブ関連には幾許か開放的になってきたのだ。今度、エルフによる水精霊礼拝ツアーもそれで企画されたのだが、やっぱりなんか納得行かない。カップ麺か?やっぱりカップ麺なのか?ここまで友好的なのは。

 

 

この件については既に許可する事が決まっている。水精霊はすでにその周辺に多大な利益を齎している。対価さえちゃんと用意すれば色々手伝ってくれるはずだ。となると、“大いなる意志”を信仰するエルフと仲良くなる切欠くらいには成りえるだろう。水精霊はエルフらが契約する精霊とは違うが、力の源が“大いなる意思”なのは同じ、むしろ上位存在にあたるのでここまで熱狂的なのも無理はない。

 

 

だが外観はどうする?全員をフェイスチェンジさせるのも明らかに何か違うし。かと言ってそのままではいらん混乱が広まるだけだ。この様子じゃあ今後も定期に来そうだし。他の観光客と鉢合わせも宜しくない。トリステイン、ロマリア、ガリアはそんな余裕が無いがゲルマニアは至極平和だ。

 

 

いっそこのままブリミル教脱出するか?いや、まだ時期尚早だ。湖の周囲は王族の名義で貸切にしよう。そしていっそネオ・オーブ外交団なども呼んでパーティーにする。各種センサーを使って警備し、ソレイユにAMF発生装置を取り付ければ安全面でも問題ないだろう。そしてソレイユでネフテスまで迎えに行こうではないか。今後の使用もあるからミラージュコロイドも付けておくようにしよう。

 

 

ロマリアが潰れる前のツアーは恐らくこれっきりだろう。その後なら色々やりやすい。まあ、これで問題ないか。

 

 

兎も角パーティーだ。外交部では家族連れもOKにしよう。以前と違って注目の的となるだろうな。

 

 

これでネオ・オーブで外交官になりたい国民が急増するだろうが、これはこれでいい。ネオ・オーブの性質上、外交は極めて重要である。今後は優秀な人材も必要だ。

 

 

後はタバサの方はどうかな?彼女は一番危険なんだよね。利用する形になったのでお詫びとしての治療薬は既に出来上がってるが、大丈夫かな?キュルケも居ることだし、命の危険はないだろうが、私の予測では復讐は成し遂げられない。本気で手がつけられないからな、ジョゼフは。まあ、そこら辺のさじ加減はキュルケに任せるか、恋人だし。

 

 

既に目的は達成された。今なら政治に関わらないのを条件に治療薬を渡すのもいいのだが。まあ、若い頃は色々経験した方がいいな、うん。

 

 

SIDE OUT

 

 

ジョゼフ暗殺は進展なし。プチ・トロワから出たジョゼフは住居をフネの上に構える。世話係は勿論ゴーレムだ。これにもサイト達は侵入出来ず、下から見ているだけである。ロケットランチャーを使えば打ち落とすことが出来たとしても虚無に目覚めたジョゼフなら空を飛んで逃げられる。もし地上に降りてきたら色々終わると思う。

 

 

 

 

 

つかの間の安定を打破したのはロマリア、しかも恐らく悪い意味で。ロイが心配していた事態が発生した。大きな問題があるわけでもないので関わらなかったが、どうやら運が悪かったようである。

 

 



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小競り合い

シャルロット姫の狙いは復讐。ヴィットーリオはそう考えていた。ついでに王位も狙ってる可能性はあるが、ヴィットーリオはそんなモンに興味など無い。ならばヴィットーリオとシャルロット姫は利害が一致する。

 

 

そう信じたヴィットーリオは大隆起の事を包み隠さずにシャルロットに教えた。そしてそれを阻止するには聖地奪還以外では不可能、その為に始祖の秘宝が必要なことも教えた。

 

 

だが、シャルロットは断固として譲らない。始祖の秘宝は母の治療の為に必要なのだ。他の人間?他の有象無象数百万人が束になっても母親以上の価値はない。今の彼女なら後々の荒れた世界でも生きていく自信がある。

 

 

それにシャルロットにブリミルへの信仰など無い。嘗て数万と祈ってもブリミルは救ってくれなかった。手を差し伸べたのはブリミル信仰が一番弱いゲルマニアの人間だった。宗教の権威で説得されようとも考えは変わらない。

 

 

ヴィットーリオは善人かどうかはさておき、ただの悪人ではないことは確かだ。制圧後こっそり盗むと言う手も有ったが、話し合いで解決できる物をそんな方法を使う必要はない。だが今回は選択を誤った。同意を得られず、理由さえ教えてもらえなかった。すでに色々教えてしまったので始祖の秘宝の確保は難しくなるだろう。

 

 

今揃っている始祖の秘宝は二組。ガリアとトリステインである。ルイズは前回捉えられた時に無事返してもらった事で逆に偽物の可能性が上がった。確実に使えるのはガリアのあれだけだ。この戦争、最悪の場合、サハラのエルフを駆逐し、土地を奪う可能性もある。あのルイズがそれを承諾するだろうか?無理だね。

 

 

ヴィットーリオはシャルロットの暗殺を企むが失敗。いつもそばに居るキュルケとその使い魔の実力が計算外だったからだ。そしてシャルロットとキュルケは直ぐに脱出する。暗殺の際、軽傷を負ったシャルロットから流れた血をスキルニルに使う。代役は完璧。後は即位前にジョゼットと変わってもらえばいい。

 

この状態ではいくら騒いでもタバサは似ている偽物と思われるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大隆起は流石に問題なのか、キュルケはガリアにある密偵拠点に一つで直ぐに報告する。直ぐにはマズイが時間がなかったし、尾行には細心の注意を払ったので問題は無いだろう。

 

 

SIDE ロイ

 

言っちゃったか。

 

悪いヤツではないんだが、いささか極端すぎるな、ヴィットーリオは。ゲルマニア国内の風石鉱脈はそろそろ無力化が終わる。だが、ロマリアは手遅れだ。救うつもりなど無いけどね。

 

しかし、タバサは復讐を続行するとは。予想通りだが中々危険だ。まあ、キュルケには防衛用のアイテムと作戦を教えたから守るだけなら問題ないだろう。

 

タバサは一度対峙して、叶わないと分かっても諦めないだろうが、母親を守るためなら諦めきれるだろう。オルレアン公夫人も自分の娘にそんな危険な事をしてほしくないはずだ。

 

治った夫人が説得すれば何とかなる。まあ、後は待つだけか。

 

SIDE OUT

 

 

ジョゼフは前回の戦闘で、ヨルムンガンドの有効性を確認した。しかし、これでゲルマニアに勝てるとは思っていない。更なるテストと改良が必要だ。その為に、ヨルムンガンドをトリステインとロマリア方面の敵に各一体ぶつける。

 

 

トリステイン方面軍は大きな被害を出しながらもそれを撃破した。下手に練習もできないから命中率が低いのだ。しかし、接近すると意外と当たるということが分かったので収穫はある。

 

 

ロマリア方面軍は嬉しいことにルイズの魔法が通用した。こっちは戦車を起動すらせずに撃破した。ヨルムンガンドは失ったが良い教訓を得たジョゼフである。

 

 

彼はこれを機に色々改造を始めた。

 

 

 

 

エルフのツアー。それは非常に賑やかなパーティーとなった。100人以上の人間とエルフが仲良く食事している風景はユニークだろう。子供同士、ジェスチャーで会話して遊んでるのが微笑ましい。

 

 

ロイとしては本気でキュルケにも参加してもらいたかった。いずれはゲルマニアとネフテスが堂々と同盟を結びたい。どうせこの戦争でロマリアはその影響力の大半を失うだろう。聖戦は間違いなく失敗する。

 

 

キュルケとタバサはロイからジョゼフの魔法に関する情報を貰った。「加速」、それは余りにも反則としか言いようがなかった。特に地上で逃げるとしたら捕まえるのは不可能である。この魔法を使えば普通のトラップなど意味が無い。

 

 

しかし、タバサは諦めない。やっと見つけた希望なのだ。キュルケも本当にヤバイ時までは止めない。使い魔に風韻龍とケルベロス?が居るが、ジョゼフの速度には付いていけないだろう。タバサは考える。どうすればジョゼフを倒せるかを。

 

 

未だ暗殺任務に付いてるサイト達も困り果てていた。ガリアの攻撃は既に始まっている。このまま手招くとこの任務の意味が無くなる。ジョゼフは依然としてフネから出てこない。お手上げだ。

 

 

そして情報収集の途中でキュルケ達はそんなサイトを見つけてしまう。サイトの怪しすぎる動きは見事に暗殺をバラした。なら、使うしか無いだろ?

 

 



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改造

ヨルムンガンドの改造案。

 

 

まず、あの大砲に対抗するためには近づきすぎるのは禁物。そんな訳で遠距離武装が要る。だが大砲を担いで動くのは球切れの心配とか点火作業が無理とか色々問題が多い。それに命中率、飛距離的に走ったほうが便利なのもある。

 

 

それらの問題を克服する兵器、つまりは鉄球ハンマー!!!

 

 

棘のついた鉄球に鎖を付けた単純な物だったが使い道はいくらでもある。特に精密機器の塊なら砲塔がちょっと凹むだけで命中率に大きな影響が出る。古代MS見たいな感じのヨルムンガンドとしてはぴったりな兵器だ。剣なんぞ敵ゴーレム攻撃に使う以外に使い道はない。

 

 

もう一つは風石をたっぷり詰め込んだ追加装甲である。機動性上昇とジャンプ高度を高め、フネを叩きやすくするためなのだが、意外と扱いは難しい。これがMSならブースターと言うすごく便利な装備があるのだがヨルムンガンドでは空中での制御がきかない。

 

 

まあ、ロマリアの二つの場違いな工芸品が無くなれば使い道も増えるだろう。ようするにここまでの改造は大半がゲルマニア対策である。

 

 

後はルイズの虚無対策に装甲の焼入れだ。

 

 

色々と発想が超未来的になってますよ、ジョゼフさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、キュルケとタバサは僅かながら希望が見えてきた。サイトが持つ兵器、通称「破壊の杖」を見つけたからだ。大砲と銃の真ん中見たいな外見で効果は大体わかる。こだがこのサイズでフネを落とせるのかは微妙である。実際、風石貯蔵庫に当たれば落下させる処までは問題ないだろうが、大きな被害が出るとは思えない。

 

 

だが、ジョゼフが地面に落ちれば少なくても戦い方はある。ならば使おう。

 

 

メイリンから教わった情報操作を余す所なく使うキュルケ、ジョゼフが乗るフネの風石貯蔵庫の位置を教え、ロマリア軍の被害を誇張して伝え、「破壊の杖」を使うように誘導する。キュルケ達では使い方がわからないのでこんな面倒な事をしたのだ。

 

 

まあ、下手すると千年以上開いた心理学、情報操作理論にはロマリア諜報員も騙され、サイト達は攻撃を決める。風竜を調達し、ジョゼフが空から逃げるなら追撃する。そこからは努力次第だ。

 

 

サイト達はジョゼフの魔法、「加速」の事をまだ知らない。地上に降りるとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィットーリオは困っていた。弾が足りない。練習なしに使ったから88mm砲の命中率が低く、消費が酷い。弾薬の製造は不可能なので節約したいが、それで兵士を消耗しては意味が無い。今はルイズの魔法が効いてるが、これがいつまで効果が有るのかも分からない。あいはエルフの技術を使うのだ。

 

 

サハラから場違いな工芸品を盗むのも不可能になった。流れ着いた場違いな工芸品は解析が可能になったので全て研究所に運ばれた。そこから盗み出すのはさすがに不可能である。ほんと、どうしようも無い。暗殺もまだまだ成功せず、これはいよいよ本気でやばいかも知れない。

 

 

しかし、アルビオンの使い手はどこにいるんだろう?6000年の時間は王家の血筋を広まらせるには十分過ぎた。つまり探し出すのは非常に困難だと言う事である。それでも直系に近い者程発現しやすいと言う法則はあるが、現在アルビオンで王家の血筋が最も濃いには元モード大公である。しかし、彼は普通に魔法が使える、娘にハーフエルフが一人居るようだが、普通に考えると敵対者の血筋を持つ者に現れるのはまずあり得ないだろう。至極まっとうな方向で考えたヴィットーリオは最後の使い手を見失う。

 

 

 

 

 

 

ゲルマニアは対ガリアの戦争のために準備を始める。ヨルムンガンドは低性能のMSと考えればいい。その対策さえ終えれば問題はない。兵器の供給はゲルマニアに依存している。油断こそ出来ないが補給に致命的問題が残されるだろう。

 

 

ゲルマニアが現在補足しているヨルムンガンドは30体。限りなく真実に近い数字だ。実際では試験タイプ、半完成品が各一体有るが、これはガリアでも計算に入れていない。トリステインを数日で潰せる数だ。そしてロマリアが砲撃で倒すには確実に弾薬が足りない。

 

 

奇跡でも起こらない限り、ロマリアは終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルデンホルフ、嘗て宗主国のトリステインさえ凌駕する勢いで経済を発展させた国だが、「聖戦」とロマリアの圧力により、大量の金を寄付せざるを得なかった。さらにトリステイン復興にも金は使わねばならない。結果、これに貯蔵の大半が使われてしまった。

 

 

ガリアとトリステインの真ん中と言う場所では何時戦場になるか分からない。同盟を結んだガリアとゲルマニアに歯向かうロマリアは余りにも愚かに見えた。何時反撃を受けて、トリステインに攻め込まれるかもわからない。その時にクルデンホルフは見逃してもらえるだろうか?そんな事を期待するバカは居ない。ならば、生き残るために動かなければならない。

 

 

接触するのはゲルマニア、戦争の要を握る国だ。

 

 



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戦闘の素人

 

「これ」

ロイが渡されたのは土のルビーと始祖の香炉。

(まさか本当に持ってくるとは)

これは流石のロイも予想外だった。

「治療薬はこれだ」

ロイは準備していた薬を渡す。

「飲ませて一晩すれば治る」

コクリと頷いてタバサは出て行く。

 

「キュルケ、イザベラ姫は?」

「客間に居ます」

「そうか、分かった」

「では私はタバサを追いかけますので」

キュルケもそそくさと退出する。

(嬉しすぎる誤算だよ、まったく)

 

 

 

乗せられたサイトがロケットランチャーでジョゼフのフネを攻撃、見事風石貯蔵庫を破壊した。ジョゼフは空に逃げ無い、一度に使える魔法は一つ、なら地上の方が生存率が高い。

 

リュティス郊外の森で着陸したジョゼフは討伐しに来たサイト達を発見。サイト以外を始末し、サイトは気絶に留まらせる。ガンダールヴは駒にした方がいいと考えたからだ。

 

そこに隠れて観察していたキュルケとタバサの大量の攻撃が届く。しかし、避けられた。不意打ちは失敗する、音が出ていたようだ。ちなみに巻き込まれたサイトは重傷。

 

そのままジョゼフは二人の方へ突っ込むが、彼は若干ハイになっていたので踏んでしまった、キュルケが蒔いたマキビシに。ロイ特製マキビシ、と言っても土の色に塗装し、麻痺毒を塗っただけなのだが、効いてしまった。

 

痛みと麻痺で魔法に集中出来ず、ジョゼフは討ち取られた。

 

報告書をここまで呼んだロイは頭が痛くなる。ジョゼフが戦闘訓練してない、肉体的な苦痛に慣れてないのは分かるがゴーレムはどうした?(大半がフネと共に壊れました)使い魔は?(ヨルムンガンドの調整でした)ビターシャルは?(ヨルムンガンド製造で忙しかった)

 

呆れるほどの偶然が重なってジョゼフは倒された。その後、ジョゼフの指から土のルビーを、フネの残骸(一番豪華な個室辺り)から始祖の香炉を見付け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これでネオ・オーブの全目的は達成されてしまった。しかし、このまま撤退するほど無責任にはなれない。ガリアの3/4はロマリアに従っている、現王が居なくなれば教皇の権威は効果を発揮する。シャルロットを騙るジョゼットを王としてこのままネフテスへ進軍するだろう。聖戦は止まらない。

 

 

ガリアの残りの1/4、戦争の影響がない西の貴族達はいち早く情報を入手したロイの迅速な交渉でイザベラを支持するのが決まっている。最初は慌てていたイザベラも落ち着けばちゃんと頭は動く。だてに裏仕事のまとめをやってないって事だ。ゲルマニアもイザベラを支持する。ゲルマニアはイザベラ派に武器を供給し、戦力を整えさせる。

 

 

ヴィットーリオは漸く一息を付いた。改造されたヨルムンガンド30体を入手したのだ。喜ばないはずがない。使用するにはミュズニトニルンの能力が必要なのだが、ジョゼットを確保している以上、問題は解決される。ヨルムンガンド製造施設も接収したが、エルフが居ないのでカウンターを付加する事は出来ない、そしてシェフィールドの知識が無いと性能も若干落ちるだろうが、製造はまだ可能である。ガリア技術者たちはエルフの技術を既に物にしている。カウンターだけはどうしてもエルフの力が必要だが。

 

 

しかし、熱血マンガではないが、本当の戦いはこれからである。エルフが敵だと言う点もあるが、今後は砂漠を進軍しなければならないのが最大の問題だ。サハラでは食料はもちろん、水すら探すのが難しい。進軍は困難を極めるだろうし、補給も難しくなる。ヨルムンガンドを砂漠で使うのもまだ問題があるし、悩みはまだ終わらない。

 

 

それよりもヴィットーリオは土のルビーと始祖の香炉を見失ってしまった。これが最大の失態だ。二つが無ければ聖地に向かっても意味が無い。ゲルマニアへの交渉は無理だ。現在ガリアは内戦状態、ゲルマニアはイザベラ派の支持を宣言している。辛うじてまだ宣戦布告していない程度だ。聖地への道は開かれたのでこちらは邪魔さえしなければ後回しでも問題ない。現在出来ることは聖戦の準備とゲルマニアとの交渉のルート探り。実はピンチなのは変わらない。

 

 

クルデンホルフ。ロマリアがガリアを打ち破ったからって、万歳なわけではない。イザベラ派の領土とは隣接こそしていないが、位置的にトリステインとクルデンホルフはイザベラ派とゲルマニアに挟まれる状況となる。それだけでもイッパイイッパイなのにロマリアからは聖戦のために金出せと催促されている。キレていいよね?

 

 

 

ネフテスではロマリアの影響を受けて、戦争準備が始まる。こちらは提供された技術、場違いな工芸品を解析して得た技術、エルフ独自の技術、ヨルムンガンド製造の経験を色々足したら、モビルタンク的なゴーレム?(戦車?)が出来てしまった。砂漠での使用を考えて、重すぎては沈むので風石を積む必要がある。その場所を確保するために巨大化せざるを得なかった。全長38m、全幅16mの巨大なモビルタンク。これはGJと言わざるをえない。

 

 



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死亡フラグ

ジョゼフ死亡と言う意外な事件から暫く経つ。戦争準備期間は意外と静かだ。その間に、火竜山脈が隆起した。

 

 

火竜山脈付近には住民が居ないので被害は少ないが、これの影響は大きかった。地面が隆起したのだ。驚かないはずがない。しかし、ゲルマニアとロマリア両方から心配無用と発表したので混乱は直ぐに収まる。最強の国ゲルマニアと(地位的に)最高の国ロマリアの発表なら信じられる。

 

 

 

 

SIDE イザベラ

 

 

女王マリアは至極真っ当な王だった。寧ろ私の憧れと言ってもいいだろうね。

 

だが、ロイ・サハク。父のような威圧感はないのに全てを見透かされている気がする。警戒心を持たせずに食い潰すタイプだね。

 

王族内ではアイツの地位が一番高い気がする。気のせいかも知れないが。

 

しかし、私が知らない内にガリア西貴族との交渉を終えてるなんて、どんな化物だい?いや、化物なのは国その物だね。

 

手伝ってくれるのはロマリアの影響力を減らすためだと言っていたが、ガリア弱体化も含まれるんだろうね。結局はゲルマニアの独り勝ちってことかい。

 

だが私にそれ以外の生きる道はない。ゲルマニアの支援を失えば貴族達も離れていくだろうし、私もヴィットーリオに暗殺されるだろう。いや、公開処刑か?とにかくヴィットーリオに私を活かしておく理由など無い。

 

まあ、生きてられるだけでもありがたいと思わないとね。

 

 

 

それよりも此処のご飯がめちゃくちゃウマイんだが、どんな調味料使ってんだ?

 

SIDE OUT

 

 

 

 

ゲルマニアの風石が無力化された事が遂にヴィットーリオに知られる。

 

 

SIDE ヴィットーリオ

 

何やってるんですか、ゲルマニア。

 

聞いてませんよ、そんな方法が有るなんて。聖戦が無駄になりましたよ。しかもここまで来ると止まらないですし。

 

現在のゲルマニアは前王ジョゼフとの同盟を口実にイザベラ姫を支援している。ジョゼットを押しているロマリアにそれを教えてくれる理由がありません。いえ、大幅に譲歩すればなんとかなるかも知れませんが、その場合、間違いなくロマリアにとって致命的な条件を出してくるでしょう。

 

無力化情報を貰うよう交渉してみましょう。それが無理でもせめて聖戦が終わるまでこちらに攻撃しない、それでも駄目なら生贄を用意するしかないですね。

 

SIDE OUT

 

 

ヴィットーリオのロイとの交渉は失敗した。ロイの出した条件は「ブリミル教以外の宗教を認める」「異端審問の永久的廃止」「女王マリアをブリミルより上位の存在と認めること」の三点だが、受け入れるには不可能な条件だった。これを教皇が受け入れてもロマリアは認めない。それは聖戦にも影響を及ぼし、取り返しの付かない事態になる可能性さえある。迂闊な判断はできない。

 

 

停戦協定の締結も失敗する。こちらはガリア内戦に関する停戦だが、ヴィットーリオの目的が分かっているロイは認めなかった。こっちの方が介入しやすい。

 

 

現在、トリステインとロマリアは同盟を結んだ状態である。トリステインの属国たるクルデンホルフは当然それに付いて行く。だが、ゲルマニアはエルフと戦う気がない、ロマリアは聖戦で自動的にエルフと戦うハメになる。

 

 

エルフとゲルマニア、ロマリアと言えども両方と戦って勝利するのは叶わないだろう。今こそ静かだが、何か切欠があればガリア内戦が始まり、そのままゲルマニアとロマリアの戦争も開始。エルフも黙って侵略されると決まったわけではない。ロマリアの負けは決まっており、最終的にクルデンホルフもとばっちりを受ける。

 

 

嘗ての聖戦の影響を考えると少なくとも経済は破綻する。下手すると配下の貴族どもが商人と結託して反乱を起こすかも知れない。混沌と戦乱の時代が始まる。そんなもん耐えられるか。

 

 

手遅れになる前にクルデンホルフは最大の貢物を持ってゲルマニアと交渉する。

 

 

属国となる以外で、それを交渉に使えるクルデンホルフにロイは彼らの役割を見出した。クルデンホルフには生きてもらったほうがゲルマニアとガリアの為になる。そう判断したロイはクルデンホルフの提案を受け入れた。

 

 

ヴィットーリオの判断ではゲルマニアがエルフの味方をする理由はない。ブリミル教を嫌うからエルフが好きだとは考えにくい。ならば、ゲルマニアは特別な理由がなければ聖戦に介入しない。エルフとロマリア両方が疲弊したときに全て手にいれればいい。言葉にするのは身分的にダメだが、ヴィットーリオはこれでもいいと思っている。

 

 

エルフを駆逐し、土地を手に入れる。そうすれば全て解決する。ゲルマニアが聖戦に介入するかも知れない特別な理由。ゲルマニアとエルフは同盟を結んでいた。イザベラ派の独断行動の道連れなどが考えられるが、それらを一気に解決する餌を用意する。

 

 

クルデンホルフとロマリアの思惑は一致した。クルデンホルフは貢物として、ロマリアは餌として、それを差し出す。

 

 

ゲルマニアの物になるのは、トリステインと言う名の国である。

 

 



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開始前

その日、戦争の影響でボロボロなトリステインでは複数のルートから大量の噂が流れる。

 

 

曰く「今の状況は全部ゲルマニアのせいだ」、曰く「トリステイン軍は負けなしである」、曰く「ゲルマニアを倒せば金は奪い放題」、曰く「聖戦に参加しないゲルマニアは異端だ」、曰く「ゲルマニアはエルフと内通してて人間を滅ぼそうとしている」。

 

 

事実も混ざってるからこそ信憑性が高い。ゲルマニアは聖戦に参加してないのは公然たる事実だ。「トリステイン軍は負けなし」と言うのはたしかに被害こそ甚大だが此処数回の戦争では負けたことはない、最終的には勝っている。

 

 

真実を織りまぜた様々な噂はトリステイン国民の「打倒ゲルマニア」機運を高まらせる。それは平民だけでなく、貴族にも広まっている。一人の言葉は信じられなくても三人に言われれば信じてしまう。噂が貴族間で伝わるのは速い、信じる貴族も増え。なかなかヤバイ事になる。

 

 

それを止めようとするマザリーニとラ・ヴァリエール公爵であるが、宗教ルートと商業ルート、さらに裏情報でもこの内容が飛び回り、手の施しようがない。それでも女王マリアンヌだけでも乗らないように説得するつもりだったが、軟禁されたアンリエッタの影響で手遅れであった。

 

 

即座にゲルマニア進軍が決定。ヤバイと見てちゃっかり亡命の準備をしてるモット伯はしっかり者である。ゲルマニアの紹介で亡命先はクルデンホルフだ。緩衝地帯としての効果を見込んで残されたクルデンホルフは今後も活躍しそうである。

 

 

ラ・ヴァリエール公爵は真剣に考えていた。家族か、国か、名誉か、命か。それは只の現実逃避である。ルイズがロマリアに居る以上、同盟国のトリステインを裏切る事は出来ない。ならば、やるべき事は一つ。

 

 

SIDE ロイ

 

私が何より驚いてるのは、このハルケギニアに土下座の文化があった事だ。それをやってるのがラ・ヴァリエール公爵なのはどうでもいい。

 

「それでゲルマニアに忠誠を誓うのか?」

「はい」

「その代わりトリステインを見逃せと?」

「いえ、ルイズにゲルマニアと敵対させないために取り戻すのに協力して貰いたい」

あり得ないな。公爵家はトリステイン王族の分家だ。担ぎ上げるには十分すぎる。誰一人残すつもりはない。

「なら貴様はゲルマニアになにを齎してくれる?」

「ブリミルの血筋。カトレアをギナと結婚させます」

今更そんな物に意味はない。トリステインは一からつくり直すつもりだ。トリステイン王族の血筋、ブリミルの血筋は邪魔でしか無い。

「いいか?トリステインがちょっかいを出さなければこちらは何もしない。説得する相手が違うだろう?」

「もう止めようがありません」

コイツが弱気になるとは。だがそれはどうでもいい。

「ならばそれは貴様らの責任だ。提案は却下だ」

 

 

 

 

 

 

 

ったくメンド臭い。今更何を言っている。

 

さて、世代交換の準備でもするか。取り敢えずキュルケは宰相につかせる。いずれ最高責任者にする必要があるが、国民を納得させるのも容易ではない。トリステインを更地にしての再開発は意識をそらすためだ。見える利益があれば誰もが飛びつくだろう。流石にそれだけで納得するとは思えないので他の手も用意してあるが。

 

 

本国も、ゆっくりと転移準備を進めさせよう。前回のように急ぐ必要はない。それでも我らがゲルマニアに要られる時間は限られている。キュルケの件は直ぐに実行しよう。リュティス郊外ではタバサと充分にいちゃつけただろうし。

 

 

トリステインの再開発にトリステイン王族の血筋は残さない。徹底的に消す。まあ、恐らくはロマリアに逃げるのでどうとでもなる。ゲルマニアが直接手を下すのは評判が悪いからな。

 

 

この戦争、恐らくは徴兵するまでもなく大多数の国民が参加するであろう。駆逐するついでにガリア方面に追い出すか。そして建物などを吹き飛ばせば使える土地になる。

 

 

ボロボロなら一から作り直した方が速い。トリステインの利権を一掃し、完全にゲルマニアに組み込めば反乱も起こりにくいだろう。憎しみは逃げ出したトリステイン王族に被ってもらおう。

 

 

後は、キュルケとタバサにプレゼントかな。

 

SIDE OUT

 

 

「タバサとの結婚を認める」を条件にキュルケは宰相になった。普通は同姓の結婚は認めないものである。そしてタバサとキュルケの血を採取し、遺伝子を解析する。この仕事はネオ・オーブに任せられないので、ロイ自身がやった。二人の遺伝子を半々で組み合わせ、出来る限りの最高のコーディネートを施す。二人の子供である。

 

 

思考が随分父親っぽくなったロイだが、娘同然に育ててきたキュルケには幸せになってもらいたいものだ。渡すのは最高の日にしないとね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徴兵するまでもなく、トリステイン国民は大量の参加者がいた。マザリーニは既に諦め、マリアンヌは国家一致団結に勝利を見出す。

 

 

ゲルマニアが餌に食らいついてる内にロマリアはサハラへ進軍。例のアレでギナは今度はネフテスへ派遣された。衛星情報を彼らに教える役である。

 

 



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数は確かに重要だ

23万、数だけなら脅威過ぎると言っても過言ではなかった。これはトリステイン軍の数である。

 

 

しかし、所詮は数だけ。武装は貧弱で、斧どころか鍬を行き渡らせるとしても足りない。半数の者は木棒を持っており、敵の武器を奪うのを待つだけである。

 

 

それでもこの軍が存続できたのは、クルデンホルフがありったけの財産を投入して食料を供給したからだ。クルデンホルフはこれのお陰で参戦を免れた。

 

 

今回だけは、ロイは事態を少々大げさにゲルマニアに宣伝していた。後への布石である。23万、例え武器が無くともそれは脅威だ。対応を誤るとゲルマニアは多大な損害を被る。ゲルマニア国民は緊張感を高めるとともに女王に期待していた。

 

 

SIDE キュルケ

 

あたしって宰相だったはずよね?

 

なんで全軍の前で演説しなければならないのかしら?

 

例によって拒否権は無いし、これってもしかしなくても英雄を作るパターンじゃない?

 

コホン、取り敢えずロイ様から頂いた演説内容をそのまま言うしか無いわね。

 

「我がゲルマニア英雄諸君!

 

 私は、宰相のキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーである!

 

知っての通り、愚かなるトリステインは我がゲルマニアに侵攻して来た。その数23万。数だけを聞けば恐ろしいだろうが、所詮は今まで我らの後ろに付いて来ることしか出来なかった烏合の衆である!我がゲルマニアの英雄諸君とは比べることさえ愚かしい!

 

トリステインの我がゲルマニアに対する数々の無礼、慈悲深き女王陛下はそれを尽く穏便にすまされた。しかし、今回の侵攻は許されない。

 

心優しき女王陛下は痛恨の決断を下し、この私に指揮を任せられた。ならば、私は死力を尽くしてこのゲルマニアを守りたい!

 

英雄諸君!

 

敵に慈悲は要らん!

 

蹂躙せよ!粉砕せよ!抹殺せよ!圧倒せよ!突破せよ!撃破せよ!破壊せよ!

 

歴史があるだけで我らを見下してきた愚か者にどちらが上かを教えてやれ!

 

 

疲れる。

 

SIDE OUT

 

 

若い指揮官に不満は無い、これは女王陛下の決断なのだ。数々の英断を下した女王陛下は信頼されている。ゲルマニア軍5000の士気は限りなく高かった。

 

 

とまあ、そうは言っても実際に指揮するのはロイである。ギナはネフテスに居るし、ステラはデストロイの操縦、指揮できるのはロイしか居ない。一歩間違えば災難になる戦争だ。これは慎重に動かざるをえない。

 

 

トリステイン軍の進軍は遅い。ただ集まって動いてるだけである。統率もなにも有ったもんじゃない。両軍が使うのはツェルプストー領とラ・ヴァリエール領のルートであり、ゲルマニアとトリステインが幾度も刃を交えた場所でもある。

 

 

時間を調整し、戦場をラ・ヴァリエール領内にする。戦うのは常備軍の5000のみ、ツェルプストー領の軍は国境警備を任される。この戦争のせいで山賊が増えるのは勘弁してほしいからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5000を23万に正面突撃させるのはどれほどの精鋭でも無理。5000の兵は両翼に配備する。真ん中がぽっかり開いてるのは見ていて可笑しいだろうが、そこはデストロイを置いておく場所だ。

 

 

ラ・ヴァリエール領、嘗てデストロイが焼いた土地で。両軍は対峙する。敵軍の数を見て、耐えられず突撃した一部トリステイン軍が戦闘の引き金になった。

 

 

そして上空から現れるデストロイ。AMFが展開され、ビームが発射される。掠っただけで蒸発し、免れた者も爆風で吹き飛ばされる。そこは戦場としては余りにも綺麗だった。大地に血の色などまったく見られない。

 

 

自動近接防御システムの75mmさえ耐えられないトリステイン側のゴーレムは役に立たなかった。更にいくら魔法を放とうとも届く前に消えてしまう。動きが鈍いフネは真っ先に破壊されている。

 

 

瓦解寸前の士気を叩き起したのは烈風のカリン。トリステインの切り札である。

 

 

矮小な人間が巨大ゴーレムを倒すにはどういった方法を取るのか?大きく別れて遠距離で砲撃と近距離で斬撃に別れる。デストロイは400t以上であり、歩くだけで周囲一帯に地震が起こるほどだ。それをぶっ飛ばせると思えるほどカリンは幻想主義者では無かった。故に取る手段はグリフォンである程度近づき、その後フライで敵砲撃を躱す、最後に肩に乗ってブレイドで頭を切り落とす。

 

 

確かに、グリフォンの運動性では回避し切れない。カリンの超人的感覚とトップレベル風メイジとしての飛行センスでなければそれは成し得無かった。十分チートですよ。この人。

 

 

ただし、問題があったとすればカリンはAMFを知らなかった事だ。飛んでる魔法は届く前に消えてしまう、成程、確かに脅威だ。だが、流石に魔法発動の源であるメイジを消せるとは思えなかった。

 

 

突入したカリンの魔法は干渉され。未知の感覚にカリンは魔法を上手く制御できず、墜落死した。

 

 

ここでデストロイはミサイルを全て発射。Nジャマーが無いのでそれは各指揮所に命中し、全てを破壊した。

 

 

マリアンヌ(士気高揚の為に来ていた)、マザリーニ、ラ・ヴァリエール公爵などなどが死亡。

 

 

組織的撤退すらままならないトリステイン軍はわれ先にと逃げ出す。しかし、精鋭軍が配置され、フネまである横には逃げられず、彼らは一直線で後ろに逃げる。だが残念ながら56.3mの巨体を持つデストロイからは逃げられない。動きが鈍くても足が長い分、前進が速い。更に核エンジンを持つことで補給さえ必要ない。

 

 

優秀なネオ・オーブ技師が作り上げ、メンテナンスしたそれの稼働時間は長い。

 

それが魔法で造られた物だと信じ、魔力切れを待ってる者はさぞや驚くだろう。

 

最も、トリステイン軍にそこまで考える余裕が有る者が居るとは思えないが。

 

 



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いろいろと末期

トリステインが逆侵攻されてる頃、サハラでの戦争も始まる。

 

 

砂漠対応のため、ヨルムンガンドは大きく変わった。風石積載量を増やすために胴体は太くなり、接地面積を増やすために脚部は更に太くなっている。ドムをイメージしてくれればいい。

 

 

そんなヨルムンガンド達がハンマーをぶん回してネフテスのモビルタンクへ近づく。ネフテス側の砲撃は斜めに構えた分厚い盾に弾かれる。しかし、盾は確実に消耗していく。80のモビルタンクによる砲撃では数分も持たない。

 

 

空戦ではネフテスが航空機を出してきたので大変な事態になっている。ゼロ戦には及ばないものの、場違いの工芸品を解析した技術も混ざってるので性能は低くない。安全性を確かにするために生産量は抑えられている。航空機の数は50。

 

 

しかし、それは確実にロマリア軍の飛行戦力を削っていた。機関銃で竜騎兵を撃ったり、手榴弾を落としたりと着々と戦果を上げている。大型爆弾は積載量的に無理だった。

 

 

手榴弾ではフネに決定打を与える事が叶わないので最終的にフネの相手はフネがする事になる。やはり大砲の命中率も差が大きい。ライフリングさえ施していないロマリア側の砲撃は効果が薄い。

 

 

事前の調査でこれらは予想できたヴィットーリオは別働隊を用意している。ここでは歩兵がいても意味はない。ヨルムンガンド、フネ、竜騎兵以外は殆どそちらにいる。しかし、ギナの衛星情報で初めから分かっていたネフテスは多数の地雷を設置した。

 

 

地獄でした。進軍が遅くなるだけでなく、怪我人を放置する事も出来ず、物資はドンドン消耗されていく。これに遠距離砲撃が加われば、もうやる気など出ない。

 

 

命中率、それがネフテス軍とロマリア軍の最大の差だ。鉄球は使いにくい、それも自分の体じゃないとなると尚更だ。更にジュリオは三十体以上のヨルムンガンドを同時に操作している、普通に当たりらない。

 

 

対するモビルタンクは三人で操作する物で、電子制御システムこそ無いものの、環境に合わせて照準を数回修正すれば命中率はそれなりに高い。撃破されるのはヨルムンガンドばかりだ。

 

 

ヴィットーリオは撤退を決意する。

 

 

 

ちなみにルイズは使い物にならなくなっていた。サイトが失踪したのは若干心配だったが、それ以上に今の状況が良すぎるので怒りが源の精神力が足りない。聖地奪還に志願したワルド、教皇ヴィットーリオ、ジュリオにチヤホヤされて何に怒れというんだ?サモン・サーヴァントで扉が開かないことからサイトはまだ生きてるだろう。ヴィットーリオとしてはトリステインの情報を知られて非協力的になるのもマズイし、色々扱いが難しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリステインでは都市や街が全てデストロイのスーパースキュラで破壊された。インフラ設備や王宮まで更地にしている。瓦礫さえ全てぶっ飛ばした。これで更地として使える。その割に死者は少ない。大きな振動、爆発音、デストロイの巨体、これらのせいで人間はすぐに逃げていった。軍人でもない者を撃つ必要は全く無いので、それらは逃がしている。

 

 

トリステイン軍は瓦解した。装備が貧弱だったのもあって殆どが平民と区別できない。この戦争での死者は約5万。普通にどこも人手不足だが都市の人間を村に追い出したら人手が丁度足りた。経済は崩壊したが、農地は残っているので飢餓地獄に陥る心配はない。最も迅速な流通再建が必要だが、そんなもんゲルマニアはよく分かっている。

 

 

占領後、一日足らずでゲルマニア商人が入り、貿易を開始した。どうやら、この結末を予測していたらしい。

 

 

トリステインの出撃しなかった貴族はアンリエッタを筆頭にロマリアへ逃げて行った。

 

崇拝するブリミルの末裔なので無碍な扱いは出来ない。まあ、流石に他国でいばれるほど図々しい奴らでも無いので彼らは大人しくしている。少なくとも今しばらくは。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロマリアは一時撤退。敵兵器の評価の為にしばらく休む。

 

SIDE ヴィットーリオ

 

ヨルムンガンドの損失は7、フネからの盾の補充で何とか損失を抑えられました。そして歩兵部隊の損傷も予想範囲内ですね。真正面で打ち勝てるとは思ってませんでしたが、予想以上の戦力です。このまま一気に攻略できたのなら最高だったのですが、そう上手くは行かないか。

 

 

やはり虚無が必要ですか。ジョゼットはサモン・サーヴァントこそ出来ましたが、指輪がないと虚無は覚醒しません。それに今知る呪文は中途半端なエクスプローション一つ。前途多難ですね。

 

 

感情が引き金では私は合わないですし、やはりルイズに任せるしか有りませんね。しかしガンダールヴが失踪とは予想外でした。死んでくれればまだ手のうちようが合ったのに。

 

 

とにかく次はこちらの戦車と88mm砲も投入する必要がありそうですね。そしてルイズを怒らせる方法ですか……

 

 

あの人ですね。戦力的には大きな損傷となるのですが、虚無には変えられません。

 

SIDE OUT

 

 

ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドが暗殺される。

 

 

「先住魔法が使われた痕跡があったのでエルフの仕業と思われます」とヴィットーリオが言うと、ルイズは簡単に怒りをネフテスに向けた。ロマリアも全ての切り札を投入し、次が決戦になる。

 



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壊れ具合が微妙

第二次攻防戦もあっけなく失敗した。

 

 

ルイズの魔法がオーバーロードし、敵味方を全て巻き込んだ爆発を起こしてしまった。見事に制御に失敗してしまったのだ。虚無魔法のエクスプローションではなく失敗魔法の爆発である。

 

 

精神が安定しなかったルイズの照準は外れ、戦場のど真ん中、空中の一点を起点に爆風が発生し、周りの全てに多大な影響を及ぼす。しかし、破片がないので只の熱い風である。いや、威力的に只のとは言えないだろうが。

 

 

爆風はフネと戦場にいる人間を吹き飛ばし、戦闘不能にする。ヨルムンガンドとモビルタンクは無事だったが、操縦者のジュリオが居なくなったのでそれも鉄+風石の塊になってしまう。

 

 

モビルタンクは操縦士が車内に居るので大きな影響はない。一時的に使用不能になった程度だ。しかし、本当に戦場からヨルムンガンドとモビルタンク以外の全てが消えた。歩兵はかなり速く飛ばされたから助かるのは難しいだろう。フネは中が洗濯機見たいになるだろうが、空が飛べる者は何とか助かると思う。

 

 

エルフの歩兵は居ない。そしてエルフは先住魔法で空を飛べる。被害が少ないと言う事だ。

 

つまりこれは完全なる自爆なんだが、決戦と言うより只の災害だ。グダグダ感は有るが、エルフはまだ動くモビルタンクでヨルムンガンドを撃破し、帰還する。

 

 

ちなみにヴィットーリオとルイズが乗るフネも同時に吹き飛ばされました。

 

 

 

 

SIDE ヴィットーリオ

 

終わりました。

 

ええ、全部終わりましたよ。

 

予想以上の威力でしたが、命中しなければ意味が無いですよ。ですが下手に心のケアをして威力が減っても問題ですし、冷静に怒るなんてルイズには出来ませんし、なるべくしてこうなりましたか。

 

回収しに行ったジュリオはヨルムンガンドが全部壊れたと言ってますし。ルイズは反動で起きませんし、詰みましたか?詰みましたね。

 

もう全軍突撃くらいしか出来ませんが、それは無駄ですね。

 

聖戦失敗、幾度も経験してきた事ですが、大隆起が既に始まっている今、撤退は許されません。

 

ですがいくら策を使っても勝算は有りませんけどね(笑)。はっはっはっはっ!

 

ゲルマニアに頼るしか無いのですか?

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

この状況では撤退するしか無かった。ネフテスの兵器の情報は出回り、誰もが勝てないと分かったからだ。それに謎の爆発を虚無魔法だと発表するのも不可能だった。あんな不完全な魔法が切り札では不安を増すだけである。

 

 

そしてお約束の権力闘争。聖戦の完全失敗はヴィットーリオの致命的な失点である。別にフォルサテの末裔だからって教皇になれるわけではない。確かに手札の一つには成りえるだろうが、決定的要素でもない。

 

 

前回は改革派の支持を集めて上り詰めたが、今回の失態で彼らの支持も失われる。ヴィットーリオは諦めようとした。大隆起は上層部も知っている、殆どが保守派だが伊達に長く生きてないだろう。自分の権力を奪った後の対処法くらいあるだろう、とヴィットーリオはまだ楽観視していた。

 

 

ラグドリアンが隆起した。うまい具合に湖だけが浮遊し、周りの住民は驚いただけに終わったが。ハルケギニア一の観光地(ゲルマニアの湖は知名度がまだ及ばない)が浮上したのは前回の火竜山脈以上の衝撃を人々に与えた。

 

 

民衆から言えば、ゲルマニア人は女王マリアを信じており、他の国はロマリアと自国の王を信じている。クルデンホルフだけは微妙だが。

 

 

この隆起でロマリア上層部は隠しきれないと判断し、大隆起を発表する。纏めると「聖地奪還しないと皆死んじゃいますから全員で戦え」。一方ゲルマニアは自国は安全だととんでも無い内容を発表する。

 

 

これが齎した結果。ゲルマニアは何時も通りの雰囲気。イザベラは慌ててロイと交渉する。ロマリアとジョゼット派は二つの意見に分かれていた。即ち交渉で方法を聞き出すか、戦いで方法を奪うかだ。

 

 

大隆起を止める方法があり、ゲルマニアがそれを知ると言う点は誰も疑わなかった。「少しは疑えよ」と言いたいかも知れないが、魔法技術でも今はゲルマニアが一番なのだ。逆に言えばゲルマニアに為す術がなければ本当に絶望しか残らない。

 

 

流石にゲルマニアと戦うのは得策ではない。取り敢えず交渉すると言うのがガリアジョゼット派とロマリアの判断だ。それを押し付けられたのがそろそろ教皇の座を離れるであろうヴィットーリオである。

 

 

イザベラとの交渉で幾つかの条件でイザベラ派の領地の風石を無力化する事となった。同時にトリステインの風石無力化も進める。ラグドリアンが浮上するまで待ったのは観光地戦略です。

 

 

 

SIDE ヴィットーリオ

 

「条件は同じ。ブリミル教以外の宗教を認める、異端審問の永久的廃止、女王マリアをブリミルより上位の存在と認めることの三つだ」

やはりそうだったか。

「貴方は、全てを知っていたのですか?」

全く同じ条件、この状況では追加してもいい筈なのだが、あえて条件を飲みやすくしているのか?だとすると、前回、無茶な条件を出したのはこれを予測しての事だろうか?

「さあ?こちらは譲歩するつもりはありません。条件を認めますか?」

「……いえ、認められません」

だが、今でもそれは無茶な内容だ。

「成程、貴方なら乗ってくれると思ったのですが」

?……狙いはロマリア内乱か!しかし、今の私の力では…

「分かってくれたようですね。ジョゼット、失礼、シャルロット姫は貴方の使い魔と懇意だそうですね?」

なん…だと?

 

私は……

 

SIDE OUT

 

 



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包囲網構築

ロイとヴィットーリオの交渉は成功。

 

 

ヴィットーリオが認めた条件は「異端審問の永久的廃止」の一つだけ。しかし、ガリアをイザベラに渡す事になった。ジョゼットはヴィットーリオと共にロマリアへ向かう。同時に内政の絶対不干渉も約束させられた。

 

 

その代わり、ロイはシャルロット派を恩赦を約束する。そして直ぐにガリア全土の風石を無力化する事、異端審問の永久的廃止を認めたロマリアの風石を無力化する事。

 

 

二人とも目的を達成し、会談は穏やかな雰囲気で終わった。

 

 

ただし、どちらとも最後まで協定を守るつもりはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガリアはイザベラに返された。宮廷の主要役職は人が変わるが粛清はなかった。実際、二回に渡る粛清で貴族の数も結構ヤバイラインに達している。これ以上貴族を減らすと統治に関わる。

 

 

しかし、ロイとイザベラ事をこのまま穏便に進めるつもりは全くない。ガリア貴族の意思統一と言う理由で中央魔法学院を再開させ、貴族子弟に入院義務を課す。表向きでは貴族同士の融和であるが、実際の目的はシャルロット派に対する人質である。確かに刑罰はなかったが、これは余りにも過激であった。下手すると内乱再開である。

 

 

ヴィットーリオはこれを苦い顔で我慢する。はなっからこんな強引な手段に出るとは予想外であった。まずはシャルロット派の切り崩しではないか?と一般的な手段を予想していたのだが、内政不干渉の約束があるのでまだ手は出せない。「覚えてろよ!」と負けフラグを建てるヴィットーリオだった。

 

 

同時にロマリア影響下にあるアルビオンへの工作も開始。モード大公を全面に押し、エルフの噂は全てデマだと時間をかけて何遍も教える。序にアルビオン国民の間でもその情報をバラまく。

 

 

そして同時に王家再建の話をモード大公に教えた。エルフと決別するとの条件がジェームズ一世から出されたので、エルフ親子はゲルマニアでの爵位を継ぐ事を許可した。あちらが安定してから二人を連れていけばいい。それに匿ったゲルマニアには今後逆らえないだろう、色々証拠も掴んでるし、アルビオンではエルフを受け入れることは無いのだから。だが安定したら国王の力を以て人の二人位隠し通せるだろ。

 

 

噂をひっくり返すのは難しいので時間はかかるだろう。しかし、一度否定された噂を信じさせるのは尚難しい。これを乗り越えれば例え多少のヘマをやらかしても「またデマか」で済まされる。

 

 

シャルロット派の人はまだヴィットーリオと繋がっている。今はまだイザベラに従っているが、改心などするわけもなく。魔法学院から人質を救出し、ジョゼットの命令があれば直ぐに戦う。

 

 

それを手札にヴィットーリオはロマリアに舞い戻り、虚無の使い手のジョゼットも居ることで再び権力を手中に収める。

 

「ゲルマニアを利用し、大隆起を防ぐ。その後、教徒を使ってゲルマニアの影響力を排除します。準備は既に出来ている」

 

その言葉でロマリアを再度手中に収めた。20代で教皇の座に付いただけの事はある、人心を手に入れる術には精通していた。それに実力が有るのも確かだ。

 

「ゲルマニアがブリミル教を排除しようとしています、内部争うしている場合ではありません」

 

下の者もこれでは騒ぎ立てる事は出来ない。確かにブリミルの理教が一番弱い国、ゲルマニアが幅をきかせている。

 

ロマリア、再び意思統一。

 

 

 

 

 

 

イザベラ派とシャルロット派の戦力は五分五分だ。領地面積で言えば、シャルロット派は3でイザベラ派は1。しかし、聖戦の軍事的影響と経済的影響は大きい、戦力的には同じくらいになってしまった。

 

 

SIDE キュルケ

 

 

また呼び出し?

 

最近は仕事が多いわね。タバサといちゃつく時間さえ無いじゃない。

 

「なにか御用でしょうか?」

「キュルケ、追加の仕事だ」

 

またか。それにしても隣にいる可愛い娘は誰かしら?

ん?耳…エルフかしら?

 

「彼女の教育を頼む」

「は、初めまして。ティファニアです」

 

ヤバイ、超かわいい。おっと、そんな事言ってる場合じゃなかった。

 

「その耳は?エルフですか?」

「ハーフだ。ちなみに父親はモード大公」

「え?……あの噂は本当だったんですか?」

「そうだ。まあ、それはどうでもいい」

 

どうでもいいの!?

 

「虚無の使い手なのだが、道具が足りなくて虚無魔法が使えないんだ」

「「え?」」

 

いや、なんで彼女まで驚いてるの?

 

「虚無を自覚すればコモンマジックくらいなら使えるので鍛えてやれ。後、知識全般も教えろ」

「いえ、時間が足りないんですけど」

「タバサもついでに教えてやれ」

「確かにタバサと私の教育レベルは違いますが(二人っきりの時間が……)」

「お前は私たちが教えてきたんだ。そこいらの王族など問題ではない。だが、お前にも人に教えることを知らなければならない」

「何故でじょうか?」

「お前がゲルマニアの未来を担うかだら」

 

未来て、そういえば陛下とロイ様の結婚は?

 

「あの…」

「ん?」

「陛下との御結婚は?」

「…………………それでな」

 

無視された!?

 

「モード大公が次のアルビオン王になるだろうから仲良くしろ」

 

そんな打算を目の前で言いますか?

 

「とにかく命令だ」

 

え〜

 

「分かりました」

 

それよりあの娘空気になってるんだけど。もしかして理解してない?

 

SIDE OUT

 

 



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トリステインェ......

ロマリアがガリア中央魔法学園の生徒(人質)奪還を計画してる頃、ゲルマニアは防衛戦力としてラウンズの人間組(ロイを除く)を派遣する。戦争で人材の消耗が激しいロマリアでは対抗するのは難しいだろう。

 

 

アルビオンの工作は時間がかかるだろうし、ロマリアは奪還の計画中、ガリアは両方共下手に動けない。そんな時、声を上げたのはアンリエッタだ。

 

 

彼女はロマリアからトリステイン国民(元)に決起を呼びかける。

 

 

しかし、その反応は冷ややかな物だった。そもそもこの時代の伝達手段は主に手紙である。しかし、この内容を記した紙を公然と貼り出す訳にも行かず、結局は人伝、つまり噂という方法で伝わる事となる。

 

 

その真偽を疑う者も居たが、それより問題なのはアンリエッタが安全なロマリアに居る事だ。自分は安全な場所にいて、トリステイン国民(元)に自主的に決起しろなどと言っても説得力がない。

 

 

トリステインから侵略した事もあって、ロイはこれを利用し、憎しみをアンリエッタに向ける。実際、この決断を下したのはマリアンヌだが二人とも似たようなもんだ。つまり、現在トリステイン人の状況はトリステイン王族の失策が原因で、ゲルマニアが攻撃するのは仕方なかった。と、言う風に民意が傾くように調整する。

 

 

確かにトリステインは23万と言う恐ろしい数でゲルマニアに侵略した。そしてゲルマニアの逆侵攻の後、略奪をしない所か復興の手伝いまでしてくれている。

 

 

この状況を直接的に創りだしたのはゲルマニアだ。だが、被害を少なくする努力をしていて(そう見える)、現在自分達の生活を保証してくれる者を憎むのは難しいだろう。そこで現れたのが格好の的であるアンリエッタだ。

 

 

アンリエッタの呼びかけは寧ろ彼女の立場を悪くしてしまった。一応教会を使って宣伝すると言う方法も有るにはあるが、そんな死亡フラグを立てたい司祭は居ないのでこの方法は取られなかった。ゲルマニア以外なら有効だったんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

ガリア中央魔法学園攻防戦。

 

 

一回目

 

手製地雷でボーン。ロマリア側全滅。

 

 

二回目

 

ラウンズの迎撃に会い、失敗。

 

 

三回目

 

大量の幻獣が学院に向かっているのを衛星で確認できたので、ナイトオブワンが援軍として到着。空飛ぶ幻獣はナイトオブワンから発射されたプラズマビームで全て蒸発した。どさくさに紛れて潜入しようとした者も迎撃に会い、失敗。遠くで見ていたジュリオは無事だった。

 

 

 

とまあ、全て失敗に終わっている。

 

 

 

 

トリステインは国名ではなくゲルマニアの一地方名となった。現在はそのままだが、いずれ変える必要がある。ブリミル、トリステイン王家の影響を出来るだけ減らすためである。トリステインの経済が安定してから変わるだろう。

 

 

若干ロマリアに慣れたトリステイン貴族達は此頃色々と要求を出すように成った。それはドンドンエスカレートしていき、ロマリア神官とトリステイン貴族に軋みを作り出す。

 

 

アンリエッタは自分の呼びかけに効果がないと分かり、他の手段を模索する。やはり国民の前で直接演説する必要があると考えた。しかし、今アンリエッタが捕まると取り返しの付かない事態になるので、他の者を派遣する。アンリエッタ以外で最も濃く王族の血筋を継ぐ者、共に脱出したエレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールである。

 

 

正直他の人選はないのか?と誰もが聞きたかったが、ルイズは虚無の使い手なので危険な事は任せられない。同じく逃げてきたカトレアは病弱なので下手するとラ・ヴァリエールまで敵に回してしまう。それ以外は正直王族の血筋は有るのかさえ分から無い。

 

 

そしてエレオノールは護衛数名、使用人数名と共にトリステインへ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

ガリア、トリステインの風石無力化は順調である。魔方陣を描く者を襲撃する輩を居たようだが、尽く護衛に潰されている。ロマリア、シャルロット派共に人材が尽きようとしていたので襲撃は簡単に防がれた。

 

 

この襲撃と学院襲撃時に証拠も集めたので今後色々ボロを出すと思われる。

 

 

 

 

 

 

 

ロマリアの工作は上手くいっておらず。イザベラはシャルロット派の切り崩しも始める。包囲網は着実に形成されていく。

 

 

ロマリアは約束の宣言、「異端審問の永久的廃止」を未だに宣言しない。風石無力班と魔法学院、少なくとも一方は成功すると思ったのだが、ヴィンダールゥまで投入して失敗っするとは思わなかった。

 

 

トリステインの貴族もメンドクサイ要求を出し始めたし、ロマリア市民との衝突も絶えない。ロマリア司教はメイジで無ければならないとかのルールはない。故に魔法を使えない司教も多く、魔法で国民を罰する傾向が薄い。そもそも貴族と平民と言った血統上の差はない。搾取はするが、直接暴力を使う場合はめったに見られない。下手に自分より地位が高い非メイジ司教に見られてコンプレックスを刺激したら色々と関わるからな。

 

 

そこら辺の違いをトリステイン貴族は弁えず、自国と同じ感覚で対応してしまう。そして苦情は教皇に届き、彼の悩みを増やす。

 

 



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唐突な終焉

エレオノールが捕まり、ゲルマニアへ送られた。

 

 

演説を始める前に資金調達や協力要請などでクルデンホルフに向かったのだが、そこから一直線でゲルマニアへ送られてきた。

 

 

激しく要らね〜と思ってしまったのはロイのせいじゃないと思いたい。

 

 

ロマリアは依然と宣言をせず、裏工作に励む。しかし、彼らにはタイムリミットがあった。ゲルマニアは順調にガリア、トリステイン、アルビオンを取り込みつつ有る。ロマリアの対応は尽く失敗し、遂に追い詰められた。

 

 

人材、主に裏工作の者だが、手馴れが殆ど居なくなっていた。それは時間をかければなんとかなるだろう、しかし、時間をかけてはいけない問題もあった。

 

 

ロマリア領内の島が一つ浮上した。

 

 

これは十分すぎるほどにロマリアの無力を示した。ロマリアはパニックに陥り、上層部は決断を下さなければならなくなった。屈するか、戦うかだ。

 

 

ここに至り、ヴィットーリオは前者を選んだ。彼に取って最も大事な者は三つ。一つは自分の命、一つはハルケギニアの平和、一つはブリミル教。三つ全てを手に入れることが叶わないなら次善で二つを手に入れよう。自分の命とハルケギニアの平和なら両立できる、その為にはブリミル教の権威を著しく落とす必要があるけど。

 

 

ゲルマニアの統治は穏便であり、暴動、決起などの予兆は全くもってない。ゲルマニアの兵員数、どちらかというと謀略を好む戦略、トリステインの復興を手伝っている行動から平和を実現するのは問題ないと考えている。

 

 

だが、これは教皇の謀反と取られ、ロマリアは分裂する。さっさと保守派を一掃しようとするヴィットーリオではあるが、この可能性を警戒していた保守派は全員無事に襲撃から身を守ることに成功する。

 

 

そして保守派が東、ヴィットーリオ派が西を手中に収め、内戦開始。

 

 

が、直ぐに内戦は終了する。ヴィットーリオは教皇として「ブリミル教以外の宗教を認める」「異端審問の永久的廃止」の二つを同時に宣言。更にアンリエッタを筆頭とする元トリステイン貴族全員をゲルマニアへ引渡す事でゲルマニアから援助を得た。

 

 

この二つの宣言に反対したのは保守派だけであり、ガリア、アルビオンは共に好意的な態度を示している。

 

 

ラウンズの派遣と兵器の安い値段での売却。それだけでヴィットーリオは簡単に勝利を得られた。

 

 

ここに至り、全ての戦乱が集結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE ロイ

 

終わったか。

 

長かった。目的は全部達成、ゲルマニアの繁栄も50年位なら維持できるだろう。

 

ゲルマニア主導で緻密な商業網を作ればある程度の抑止力に成りえるはず。それ以上は、この世界に人間の仕事だ。

 

それにしてもトリステイン貴族とアンリエッタって、あっちで処分して欲しかった。死刑にして残酷なイメージを持たれたくないし、アンリエッタがいるからには秘密裏に処分できそうにもない。なによりカトレアを兄さんの前でってのはな。

 

 

はあ、後回しだ。

 

 

兵器売買で集まりすぎた金をどうしよう?文字通り山ができそうな勢いなんだが、下手に投資しすぎるのも経済に悪いだろうし、何とかできないものか。

 

使う分だけ残して埋蔵金だな。ゲルマニアには夢を残すべきだろう。錬金魔法がネオ・オーブで実用化に向かって研究されているので金が只の金属に成り下がるのは時間の問題だ。さて、どこに埋めようか?次いでに迷宮も作ろう。やっぱりお宝は迷宮だな。

 

 

エルフはどうする?敵対する理由が全くなくなったが、直ぐに仲良くなるのは無理。我らが此処にいる間に少なくとも通常の交流を開始させたい。その為にはあらゆる固定観念を一気にぶち壊すのが一番だな。

 

 

そしてゲルマニア王の問題。我らはここを離れるので続けられない。スキルニルを使ってもディテクトマジックでばれる。キュルケを最高責任者に置きたいが、アイツは断るだろうな。まあ、今のゲルマニアを維持する労力はマジハンパないからな。六人で担当しても休暇なしなんだ。全部を一人で片付けるのは無理すぐる。なまじ優秀だから何でもできちゃって、不備を放っておけないんだよね、キュルケは。

 

 

まあ、幾らでも方法は有るんだけどね、フフフ。

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

SIDE キュルケ

 

ロマリアの事実上の降伏。戦争は終わったわね。ガリアは弱体化と国内の緊張でしばらく下手に動けない、アルビオンは経済崩壊、ロマリアは影響力が大打撃を受け、ゲルマニアの独り勝ち。

 

 

ほんっと恐ろしいわねウチの王族達は。これから何をするのかしら?まあ、ハルケギニアが全部かれらの物見たいな状況だから見ものではあるわ。

 

 

それに陛下達は優秀なので宰相の私に回ってくる仕事は少なくなるし、最高だわ。しかし王が機能していなかったトリステインをあそこまで生き残らせたマザリーニ枢機卿はホント化物よね。あの年齢であの激務に耐えられるなんて、尊敬するわ。同じ宰相で無いと案外分からないものね。

 

 

うんうん。タバサとの結婚もそろそろだし、運が回ってきたわ。

 

SIDE OUT

 

残念ながら彼女にはとっても不本意な未来が待っています。

 

 



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王は無く

キュルケとタバサの結婚式、それに伴い、ロイは自分達の撤退を始める。その為の準備は多い。女王の実権の移動、演出の準備、マリアの演技の練習などなど。

 

 

風石無力化の技術がゲルマニアの物だと言うのは既に全ハルケギニアが知っている。各国の行動を照らし合わせればそれが分かるだろうし、ロイも宣伝を怠った事は無い。ならばそれを全部女王個人の力で成し遂げた事にする。

 

 

現在、女王は力の使い過ぎで倒れたと言う事になっている。実際ではネオ・オーブでプロから演技の指導を受けてる最中だ。演技力の底上げが無理だが、ワンシーンに限れば何とかなる。今度は適当に威厳を示すだけでは駄目なのでみっちり鍛えてる。

 

 

演出用の装置と衣装はロイ自らが作成する。演出効果を十分に考えられるのはロイしかいない。さらに開放式の専用のチャペルも建設する。だが、ブリミル教にくれてやる理由はない。

 

 

その間にもトリステイン取り込みは順調で、これ以上関連書類が増える前に地名を変えたいところだ。国民から意見を募るのも悪く無いが早く変えたい。なので適当にギナに任せようとしたら「カトレア」なんて意見が出てきたので速攻で却下した。たまにお見舞いに行くのでギナはまだ諦めていないようだ。しかし、別れが直ぐそこまで来ているので、これはこれで哀れである。

 

 

なお、最終的にトリステインの新地名は「オロファト」。ネオ・オーブの影響を刻みつけるためにこの名前を残す。「オロファト」はオーブ首都の名前である。ちなみにネオ・オーブの首都は「ニューオロファト」です。

 

 

 

 

 

 

 

三ヵ月後。結婚式は盛大に行われる。最大国の宰相、王族と関係が最も深い貴族の結婚式としては相応しい。

 

さて、演出準備完了、化粧OK、ボソンジャンプシステム異常なし、結婚式が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

その日、集まった観客は30万人に達する。当然、全員が式場を見れるわけではなく、式の前のパレードを見る人を含めて30万人だ。式場を見れるのは一握りだけである。

 

 

ここで倫理観の問題が出てくるが、祭りが楽しいのでそれはすっかり放って置かれる。

 

 

チャペルで祝詞を読み上げるのは女王マリア自身。今日の彼女は儚さをイメージして化粧をしている。実際、今にでも倒れそうな程であるが、病的な雰囲気はない。ロイが設計した衣装と相まって神聖な雰囲気を醸し出している。

 

 

全ての過程が終わり、当事者二人が退場する時、マリアは語りだす。ロイ達のとってはこれからが本番だ。

 

 

「6000年も人々を苦しめ、ブリミルさえ解決できなかった大隆起。その脅威が無くなった事を嬉しく思います」

 

憶測や捏造が含まれます。

 

「脅威から解き放たれたハルケギニアは繁栄を極めるでしょう」

 

「本当に…嬉しく思います…」

 

ここでちょっと涙を流す。周りは静かに聞いている。

 

「しかし、私は力を使い過ぎました。帰らねばなりません」

 

どこに帰るかはあえて言わない。ざわめきがあちこちと聞こえるが隠したスピーカーのボリュームを違和感を感じさせない程度に少し上げる。

 

そしてマリアの背中から神々しい六対の翼が現れる。勿論ただの立体映像ですが。

 

「お前達への祝福です」

 

そう言ってキュルケ達へ微笑む。そしてマリアが眩しい光を発し、収まる頃には両腕に赤ん坊が二人居た。赤い髪の子と青い髪の子の二人だ。

 

よく見ると所々タバサやキュルケの面影があるではないか。

 

タバサとキュルケは大事に赤子を抱える。

 

「お前達の子です、大事にしなさい」

 

余談だが、身体能力はガンダムファイターを目指し、頭脳は学園都市一位に向けてコーディネートしたので将来はとんでも無い化物になります。

 

そんな事を知らずに二人は感動して涙を流している。

 

「さて、ゲルマニアはお前達に託します。私は何時も見守ってますよ」

 

そして光を纏、天に消えていった。

 

辺りには静粛のみが残る。

 

 

ええ、聖人に祀り上げるパターンですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の混乱は準備していただけあっていち早く収まった。

 

女王マリアを崇めるマリア教の設立。政教分離、上院と下院の設立。やることはいくらでもある。

 

王は居なくなったが、王の役職は寧ろそのまま象徴にする。実権は中央を抑える宰相、貴族議院たる上院、平民議院たる下院で分ける。選挙なんてのは無理なので、下院は各業界を纏め、そこから代表を出してもらう。

 

これは只の切欠だ。ロイ達が離れる時には蒸気エンジンをプレンゼントするつもりなのでゲルマニアの進み方はキュルケ次第である。

 

唯一の心配事は子供の教育に失敗して暗黒帝国に変身する事だが、あの二人なら大丈夫だろうとロイは考えてる、子育ての本も十分すぎるくらい残したし。

 

 

SIDE ロイ

 

一神教の壊滅は宗教戦争を呼ぶ可能性を創りだすが、それは今後の人次第だ。それにエルフと仲良くするのもマリア教の一大特点だ。自然を崇めろとも書いておいたが、変に生贄でも捧げるのは問題だからそこら辺は注意しないと。

 

それをどうやるかはキュルケが握る。まあ、問題ないだろう。それにキュルケにはゲルマニアの名を与えた。名目上ではツェルプスト−との縁は切れている。適当に自重すれば不満は出ないはずだ。

 

さて、残るはトリステインの捕虜処分、各重役の後継者選抜、新体制の安定。やることは全然減ってないな。

 

SIDE OUT

 

 

 

 

ネオ・オーブがその世界から消えたのはそれから一年後である。



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