ワンピの世界にチート人間 (おでんつゆかけ)
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第1話チートが誕生

特に後先考えていない初期ステなので変更するかもしれません。


 

俺は今、訳も分からず行列に並んでいる。

意味がわからない人もいるだろう。

俺だってその一人だ。

意味がわからなくても、今できることはこの行列に並ぶことだけだ。

実際に俺の後ろにどんどん人が並んでいく。

あっという間に最後尾はこちらの看板が見えなくなった。

並んでいる間に少し考える。

俺の最後の記憶は、クリスマスに一人でデリバリーピザLサイズと100円寿司(3000円分)を食べ終え、ソーダを飲みながら、デザートに買ってきたチーズケーキ1ホールを食べながら、『HUNTER×HUNTER』を読んでいて、眠くなったからコタツで横になった。

そして少し肌寒くなって、目を開けるとここにいた。

 

…うんよくわからん。

そして今いるこのフワフワした場所に現実感がない。

 

「もしもーし!聞こえますか!?」

 

びくぅ。

反射的にそっちを見るとお姉さんが、こっちを睨んでいた。

キョドる俺。

 

『プークスクス』

 

笑われる。

 

「あ、あのおおれでしゅかか」

 

噛んでしまった。

 

「その通りです早くこっち来てください!」

 

慌てて女の人の前に行く。

 

「はい。えー……佐藤太郎さんですね?」

「は、はい。」

「では、三回ガラガラしてくださいね」

「わわかりました」

 

言われるがまま抽選機に手を伸ばす。

手が震える。

何故かはわからないが、異様に緊張するのだ。

 

「はあ…はあ……」

 

息が苦しい。

酸素が足りない。

それでもなんとか取っ手を掴むことができた。

 

ガラガラ~

ぽん

コロコロ

白い玉

 

ガラガラ~

ぽん

コロコロ

白い玉

 

ガラガラ~

ぽん

コロコロ

透明玉

 

ゴクリとお姉さんが唾を飲む音が聞こえた。

カランカラーン

 

『佐藤さん透明玉おめでとう!』

「うおっ!?」

 

いつの間にこんなくす玉が用意されたのか。

 

「アナタはこの番号札を持ってあっちの待合室に行ってください」

「わかりました」

「はい次の人~」

 

意味がわからないまま抽選は終わった。

待合室に行くと、番号が呼ばれた方は部屋にお入りくださいと大きく書かれた紙がある。

現在の呼出番号『151RF14ねと2844B』

俺の番号『151RF14ねと2844H』

ぼーーーーーっと待っていると俺の番号が呼ばれた。

 

「やべえまた緊張してきた」

 

足が震える。

だせえww

コンコン

「はいどうぞー」

「失礼します」

 

入るとまたまた綺麗なお姉さんがいた。

 

「番号札を回収します」

「あ、はい」

「どうも……佐藤太郎さんで間違いないでしょうか」

「あ、はい」

「ではこれから次の世界のための準備を始めます」

「あ、…はい?」

「説明が先でしたね。簡単に説明しますと貴方は生活の乱れが原因で死んだのでどこか別の世界で生まれ変わります」

「はい?」

「どの世界になるのか等はこれからこのコンピュータで決まっていきます」

「はい?」

「その後で、貴方に与えられたポイントに応じて変更ないし調整を行ってもらいます」

「はい?」

「貴方は大変幸運にも透明玉をひかれましたので、10億ポイントが与えられます」

「はい?」

「これで説明は終了です。ではこちらに座ってください」

「…はい」

 

コンピュータの前に置かれた椅子に座る。

理解できなかった。

わかるけどわからない。

しかしやるしかない。

やることはわかっているのだ。

画面を見つめた。

 

『設定画面』

一度決めたものは再設定できない不親切設計になっておりますので注意してください。

 

初期数値

白玉:10ポイント

青玉:1百ポイント(1千人に1人)

黒玉;1千ポイント(1万に1人)

銀玉:1万ポイント(1億人に1人)

金玉:10万ポイント(1京人に1人)

虹玉:1千万ポイント(1極人に1人)

透明玉:10億ポイント(初)

残り10億ポイント。

 

世界:ONE PIECE

名前:ヴァラーズ・ライ

性別:男

年齢:15

顔面:3(MAX100)

基礎能力:50(MAX1000)

悪魔の実:なし

覇気:なし

スキル:なし

 

「この初期値ひどくないですか?」

「そうですね見たことがないほどの雑魚ステータスっぷりですね」

「その言い方ひどくないですか?」

「事実ですので」

 

なんでこんな状況になっているのかわからないけど、やるっきゃない!…のか?

まあポイントは10億と膨大なんだ。

死にたくないから一度決めた数値はイジれなくなるのが怖いけど、基礎ステータスは限界まであげといたほうがいいだろうな。

最悪、悪魔の実はなくてもなんとかなる。

 

ポチポチ

顔面:1→100

基礎能力:100→1000

残り9億9900万ポイント。

 

TUEEEEEEEE…よね?

しかもポイント余りまくりだぜ!!

やったね!

 

「次は悪魔の実か~…ってそういえばお姉さん、ちょいと聞いていいですよね?」

「はいはい」

「向こうの世界に行ってからも覇気って習得できるんですよね?」

「ここでポイント使わなくてもいいのかいうことですね?」

「はい」

「基本的に可能ですが、ステータスの都合や本人の心がけで覇気の発現までいかない可能性があります。悪魔の実は手に入れられれば可能なので運次第です。ポイントが余っているのであれば会得しておくことをおすすめしております」

 

並べ替え機能を発見。

ポイントが高い順に並び替えてみる。

1、10億ポイント ヒトヒトの実―モデル『神』

 

「は!?」

 

思わず声が出てしまった。

でももう無いじゃん(ポイント的な意味で)

ステータスいじりが最初なのはもしかして罠だったのか?

 

2、10億ポイント トキトキの実

 

「だから無理じゃん!」

 

3、10億ポイント ミズミズの実

 

「…死ね」

 

4、10億ポイント ラキラキの実

幸運

 

「はいはい10億10億」

 

5、9億5千万ポイント ハレハレの実

太陽

「イケるやん!」

 

おい大事なことに気づいたぞ。

説明文がほとんどない。

 

「これの詳しい説明ってないの?」

「ありません。想像してください」

「………」

 

ちなみに悪魔の実、最下位はボチボチの実だった。

しかもこれだけしっかり説明書きがありやがんの。

万物から嫌われる実。

0ポイントだってさ。

誰か得するんだよこの実

 

それにしても候補が多すぎて決められない。

 

6、9億5千万ポイント エロエロの実

性欲

 

とかある意味最高な気がする。

最初に顔面偏差値上げまくったからかなりそそる。

エロはちきうを救う気がするけどここはハレハレの実で。

カンストさせたイケメン具合でエロイチャを何とかしようと思う。

男にも効果アリとかになったら悲惨だしね。

ぎりぎりまでポイント使って大丈夫かって?

せっかくのONE PIECEなんだからここでドカンといかないね。

最悪、覇気は自力でも圧倒的ステータスからのゴリ押しでなんとかなるっしょ。

 

残り4900万ポイント。

 

もちろん覇気は全部習得したい。

いけるかな?

…いけたな。

さすがチート。

 

武装色

見聞色

覇王色

まとめてゲットだぜ!

残り1900万ポイント。

心細くなってきた残りポイントだけど、よく考えたら残りだけでも十分すぎるほどチートになれるよね。

感覚が狂ってるきてるな俺。

最後のスキル項目はまず弱点対策のためにポイントを惜しまず投入。

 

弱点克服

 

後は戦闘に関する何かしらがあればとっておきたいね。

なんか戦闘狂っぽいかも…。

まあ場所が場所だし(震え声)

 

獅子奮迅

百戦錬磨

限界突破

 

3つ獲得。

最後はいつか役に立ちそうなスキルにしておく。

 

『????』

 

残り0ポイント。

 

「終わった……。長かったよほんと…」

「お疲れ様でした。早速で申し訳ないのですが、行ってらっしゃいませ」

「え?」

 

辺りが光り輝く。

眩しすぎて目が開けられない。

 

主人公最終ステータス

名前:ヴァラーズ・ライ

性別:男

年齢:15

顔面:100(超絶イケメン)

基礎能力:1000(他を寄せ付けない圧倒的な身体能力)

悪魔の実:ハレハレの実

覇気:武装色・見聞色・覇王色

スキル:弱点克服・獅子奮迅・百戦錬磨・限界突破

 

弱点克服…弱点やリスクを取り除くことができる。

 

獅子奮迅…攻撃力上昇系スキルの最上位スキル。

 

百戦錬磨…努力すればするだけ能力があがり、飛躍を遂げることができる。

 

限界突破…限界を超えることができるが、スキル所持者が絶対に不可能だと認識している限界に関してはその限りではない。

 




次はヒロイン登場。


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第2話カリファと出会う

予めお伝えしたように設定が大きく変わっています。


 

転生して大体だけど一年チョットしての感想は、新しい体は最高だということだ。

思い通り以上に動く体。

そして何より六式や生命帰還。

設定がなかったので気になっていたのだが、余裕のよっちゃんだった。

指銃・嵐脚・剃・月歩・鉄塊・紙絵に加えて、生命帰還。

最高すぎて、転生場所の無人島ではっちゃけてしまった。

ちなみに、六王銃はまだまだ練習中っす。

六式はこっちに来てから得たものだからまだまだ極めるには至ってないのかね。

生命帰還は集中を極限まで高めることでなんとかモノにした。

後はひたすら練習練習ですよ。

問題は悪魔の実の弱点である海だ。

これはマジで能力者になってみないとわかりませんわ。

マジキツイ。

スキルで弱点克服取っておいてよかった。

取ってなかったらこの島からの脱出はほぼほぼ不可能だもんね。

というわけで鍛える。

最初は海に少し触ったくらいでも調子悪くなったけど、どんどんマシになっていった。

無知な俺は海だけが弱点なのかと思い、川で泳ごうとしてちょっと川に入ったら死にかけましたよええ。

体を地面の方に向けててなんとか這い出て助かった。

何のための前世知識だよ。

どんだけアホなんだ俺。

 

悪魔の実の弱点としてもう一個食べるとグロ注意状態になるというのがあったと思うんだが、それは鍛えられねーわ。

食べればその場でアウトだもん。

むりむり。

能力者にとって一番怖いのは悪魔の実を何かしらが原因でもう一個食べちゃうことじゃないかな。

海に落ちても仲間がいれば何とかなってたし。

だから俺は島にある実が食べられない。

肉と魚だけの生活ですよ。

最近はもう1つ食べられるものが増えた。

それはミカン。

うまいんだこれが。

海に慣れてきたのでお粗末ながら船を作ってとおーくの方に見える島に行ったらナミのいるココヤシ村だった。

ベルメールさんのミカンをお金なんてなかったから船に積んでた獲物と交換してもらった。

久しぶりに食べたミカンで泣いてしまったよ。

微妙に引かれた気もするけどまあそれはしょうがない。

いくら肉や魚が好きって言っても他のものも食べたくなるよそりゃあ。

あの時のミカンは最高の16歳の誕生日になったね。

 

あと何年でゴミクズが村々を襲うのかしらないけど、俺の圧倒的な力で追い払ってやんよ(シュババババ)

 

無人島に帰ってからもひたすら鍛錬し続けた。

覇気は武装色と見聞色は相当なものになったと思う。

覇王色もこの無人島のボスと他の生物に認められるくらいにはなっている。

 

ハレハレの実の能力はだいたい判明してきた。

でもアレなんで敵を殲滅するときに使おうと思う。

普通に泳げるように…というかむしろ得意になったし、悪魔の実ナニソレな感じで行こうと思う。

今日も元気に海に出て素潜り漁をしてたら、なんか小舟が近づいてきた。

女の子が寝てた。

とりあえず回収して、家に連れて行く。

看病看病。

 

「う、う~ん」

 

なんか色っぽい。

っていうかこの娘どこかで見たような気がするんだけど思い出せない。

 

「う…はぁ~。っ!?誰ですかあなた!?女の子の顔を覗き込むなんてセクハラですよ」

「おい、落ち着け。お前に危害は加えない。大丈夫だ。お前が小舟で意識を失ってたからここに運んで手当しただけだ」

「うっ…そう…でしたか。申し訳ございません。ありがとうございました。」

「気にするな。警戒するのも当然だ。まあ警戒してもこの島には俺とお前と動植物しかいないけどな」

「あなたやっぱりそういうことが目的で!?セクハラです」

「違うっつーの。何かに怯えてるようだったからそう言っただけだ。…俺の名前はライ。お前さん名前は?」

「セクハラです」

「名前聞いただけでも!?」

「ふふっ冗談です。私はカリファと言います」

 

名前を聞いて記憶が蘇った俺。

カリファ!?マジかよおい。いやよく見るとあのセリフにあの色気(ブツブツ)

 

「どうかしましたか?」

「ああすまんな。それでそのカリファさんがどうしてこんなところにいるんだ?」

「それは……」

「…言いたくなかったら言わなくていいぞ。でももしかしたらお前の力になれることがあるかもしれない。だから気が向いたら言ってくれ。カリファはもう大丈夫そうだから俺は鍛錬してから何か適当に捕まえてくる。そこにある薬草汁は苦いけど栄養満点で体が良くなるから飲んどけ」

 

一気に言うだけ言って外に出た。

カリファから小さくお礼の言葉が聞こえた。

何があったのかは知らないけど、早く元気になればいいな。

とりあえず修行修行。

結局カリファがいる自宅に帰ったのは暗くなってからだった。

 




カリファがヒロインです。
都合良すぎるって?
その通りです。


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第3話カリファ再出発

カリファ視点。


 

父は亡くなった。

しばらくして母も亡くなった。

私は1人になった。

 

物心がついたときには父がいなかった。

父はいなかったが、母がいつもそばに居てくれたので寂しさは感じなかった。

太陽のように暖かい母が私を包み込みこんでくれた。

物心がついてしばらくして、母に父のことを聞いてみた。

母は語ってくれた。

二人の馴れ初め。

プロポーズの言葉。

私を産んだ時の父の反応。

あまり家にいてくれない父と喧嘩したこと。

嬉しそうに懐かしむように話す母は美しかった。

亡くなった父を今でも愛していることがヒシヒシを伝わってきた。

 

「カリファにもきっとラスキーのような素敵な人が現れるよ」

「そうかなー?」

「私に似て美人さんなんだからきっとよ。だからちゃんと女を磨いときなさいね」

「分かったから恥ずかしいからやめてママ」

「うふふふ」

 

こんな幸せが毎日続くと思っていた。

でも幸せが終わりを迎えてしまった。

母が病気になった。

島で一番の医者に見てもらっても、どうにもならないと言われてしまった私は目の前が真っ暗になった。

しかし母は変わらなかった。

変わらずに暖かさを私にくれた。

一年が経ち、母は自分が死ぬ少し前に今まで秘密にしてきたことを少しだけ私に聞かせてくれた。

父がCP9という世界政府直下の諜報機関に所属していたこと。

母自身も政府の人間だったこと。

上司に呼ばれ、オハラに出動したこと。

そこで出会った母娘に共感したこと。

時の上司や海軍の高慢で強引なやり方に耐えられなくなったこと。

父が命を代償にして、オハラの娘を逃がしたこと。

母も仕事をやめ、島を出て遠くに引っ越し、子育てに専念したこと。

色々話してくれた。

 

それから少しして、1人にしてごめんねと謝りつつも笑って母は逝ってしまった。

私は1人になってしまった。

母が亡くなってしばらくして、気持ち悪い感じの男性が来た。

 

「お前がラスキーの1人娘だな?」

「誰ですかあなた?セクハラですよ」

「確認しただけで!?…まあいい俺様の名前はスパンダムだ。お前がカリファだな?」

「ストーカーですか?セクハラですね」

「違うって言ってるだろ!?お前の親父の上司の息子だ」

「あなたが誰かはわかりました。何の御用でしょうか」

「お前を俺様の部下に「お断りします」」

 

言うだけ言って扉を閉めた。

ドンドンと扉を叩かれたけど、無視した。

父を奪った政府や海軍なんて真っ平ゴメンだ。

自分達が絶対の正義だと思っているような人の仲間になるのなんかゴメンだ。

 

しかし、私の気持ちなんか関係ないと言わんばかりに毎日毎日スパンダムの部下が家に来た。

母と生活していた家を出るのは嫌だけど、母と暮らしたこの家をあいつらに汚されるのはもっと嫌だ。

 

小舟を買い、島を出た。

島を出てしばらくすると体調不良になり、意識を失った。

 

目を覚ますと、私はベッドに寝ていた。

知らない男の人が私を覗きこんでいた。

 

セクハラですよ、なんて言ったけれど、この男の人からは嫌な感じは全くしなかった。

話すのが楽しい久しぶりに思った。

何故そうなのかは全くわからない。

まあ顔はかなり好みだけれども…。

…よくわからない。

 

男はライという名前だった。

ライは何も言わない私に優しくしてくれる。

口癖になってしまったセクハラという言葉に笑顔を返してくれる。

ライの暖かさは母に似たようなものがあった。

ライは薬草汁と私にくれた。

苦かったけど、私の心は温まった。

何故か安心して眠ることができた。

焚き火の音で目を覚ますと辺りは暗くなっていた。

体調は良くなったが、好きなだけここに居ていいよというライの好意に甘えた。

ライとの生活が始まった。

強さを知り、修行をつけてもらうようにもなった。

 

私はいつしか彼に惹かれていた。

彼の暖かさが、優しさが、顔が、声が、逞しさが、全てが愛おしく感じる。

彼はいつもそばに居てくれる。

私は1人じゃなくなった。

 



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第4話不幸はぶっ飛ばすに限る

 

カリファと出会ってからもうすぐ2年。

あっという間の2年だった。

カリファから修行をつけてくれと頼まれたので、色々鍛え上げた。

生命帰還で髪の毛がウニョニョニョニョってできるようにもなった。

俺は短髪だからそこは極められなかったけど、カリファはいつか極めるんじゃないかと思う。

六式はどう教えたらいいかわからなかったから自分なりに解釈して教えたんだけど、あっさりとコツを掴んだ。

特に嵐脚・剃・月歩・紙絵がすごい。

逆に鉄塊は苦手っぽい。

カリファ曰くまあ当たらなければどうということはないですね。ということらしい。

武装色と見聞色もしっかり取得した。

覇王色は取得できなかったのは残念がっていたけどこればっかりはしょうがない。

 

カリファに教えていて、これが本来この世界に住まうものの凄さなのかとちょっと羨ましかった。

でも、そうじゃなかった。

たった2年でここまで強化できたのはカリファの才能が素晴らしいというのもあると思うけど、一番の要因はカリファの意思の強さ。

理不尽な暴力から大事な人を守りたいという意思。

チート化してウェイウェイしていた自分があんなに恥ずかしいと思った瞬間はなかった。

俺もケジメという意味も込めて、カリファが自分の過去を話してくれた時に、俺も自分のことをすべて話した。

自分が別の世界から来たこと。

昔の自分。

自分の強さの秘密。

自分の能力の全て。

 

ただ黙って俺の話を聞いてから笑顔で、それがどうしたんですか?だって。

それでもライに会えて良かった。だって。

そう言ってから、俺がカリファの過去を聞いた時にしたように頭を撫でてきた。

俺がした時はセクハラですよ。なんて言ってたのに。

話してくれてありがとうって言ってさ。

今度生まれ変わるときは私も連れて行ってねって言われてさ。

惚れちゃったじゃないかチクショウ。

この笑顔を絶対に守ってやると誓った。

もちろん男女の仲にはなっていない。

俺が18歳で、カリファは15歳だからね。

後3年はしょうがないね。

それでも確実に俺達の距離が近づいた。

 

 

今日はココヤシ村で物々交換の日。

いつもは暖かい空気を漂わせている村。

しかし今日は様子がおかしい。

船はカリファに任せて、六式を魔改造して自分なりに完成させた虚空瞬動で島に急いだ。

島につくとシャーク・スパーブ号と書かれた見慣れない船が停泊している。

近くにいる魚人を見て、ココヤシ村に起こった悲劇を思い出した。

でも様子がおかしい。

タコ人間が他の魚人軍団に袋叩きにあっている。

 

「ニュ~~~~~」

「馬鹿が…。下等な人間ごときを庇おうとするとはトチ狂ったか」

「アーロンが人間を嫌う気持ちは俺だってわかる。ああいうことがあったんだ。…でも、それでも悪いのは暗殺した人間だけだ! こいつらは悪くねエ!!!悪くねエんだ!!!!」

「そうか……お前はもう魚人じゃねえ。人間も人間どもをかばう奴も皆殺しだ。クロオビ、チュウ殺れ」

「ハチ……おれの魚人空手で終わりにしてやる」

「りょーかいだっチュッ」

 

そこに空からズドンと俺登場。

ココヤシ村の皆からも魚人からも注目が集まる。

 

「ベルメールさん大丈夫か?」

「ライか。ちょうどいいところに来た。私は少し殴られただけだし大丈夫だよ。後で説明するからあのタコを助けて他の奴らを追っ払ってくれないかい?」

「わかった」

 

とりあえず、周囲を確認して安否確認。

皆の音はちゃんと聞こえる。

安心したところでハチを殺そうとしていた二人をちょいちょいっとぶっ倒す。

 

「何だ貴様。下等な人間ごときがおれの仲間に手を出してタダですまさんぞ。この人数でいたぶりながら殺してやるよ。シャハハハハハハハ!!!」

「悪いけど俺はお前には何もしないよ」

「…どういうことだ?」

「こういうことだ。カリファ!!!!!!」

 

空からズドンとカリファ登場。

…俺と似てきたかな。

 

「ハア…。ライが速すぎて追いつくのがやっとなのですが状況は把握しています。これも修行の賜物ですね」

「俺は雑魚を全滅させるから、カリファはあの棘鼻魚人を」

「終わりました」

「早えなおい!」

「そういうライももう全滅させているでしょ」

「まあそうなんだけど、お前の修行には全くならなかったなと思ってな」

「ライとの実践組手に比べれば何の歯ごたえもないに決まっています」

「それもそうか」

 

カリファはロープを取り出して魚人軍団全員を縛り上げた。

俺は村に居た医者のナコーさんにボコボコにされていたタコを診てもらった。

ベルメールさんやゲンゾウさんは命に別状はなく、すぐに意識が戻るだけと聞いて安心した。

魚人の治療はしたことないけどタコも大丈夫だろうとのこと。

タコ以外の治療?

そんなの知ったこっちゃねーよ。

唾でもつけとけ。

まあ動けないだろうけど。

 

それから俺は魚人たちのた船にタコ以外を載せて海軍に連れて行って、引き渡した。

カリファは海軍の所に行きたがらなかったから、ベルメールさんに許可をとってナミを連れて行った。

ネズミ顔のおっさんは信用できなかったから、別の隊の堅物そうな人に任せた。

ネズミは聞こえてきた声が気持ち悪すぎる。

ナミ見てハアハア興奮してたし。

これはカリファ連れてこなくて正解だったわ。

 

賞金もらった。

2500万円…じゃなくてベリーゲット。

カリファが欲しがっていた黒い手袋を買って帰ったら、抱きついて喜んでくれた。

恥ずかしくなったのか、セクハラですよだってさ。

自分から抱きついてきたのにね。

村の皆がカリファのことを優しい目で見ていた。

カリファのことをちゃんとわかってるからしょうがないね。

 

あっさり終わったけど、ココヤシ村に大した被害がなくてよかった。

ルフィには申し訳ないことをしたかもしれないけど、手の届く範囲の不幸はぶっ飛ばすに限るよね?

お世話になった村の皆が泣いているところなんて見たくないし。

デカ魚牛とタコはどうしようかな。

まあどうにでもなるか。

というか名前が思い出せない。

流れとかある程度はメモしてるけど、細かいところはお手上げだわ。

これもなんとかなるか。

とりあえず寝よ寝よ。

嬉しそうに手袋を抱きしめながら寝てるカリファが可愛い。

買ってよかったよ。




ONE PIECEであってONE PIECEでなくなってる気がしますね。

それでもいいという方はこれからもよろしくお願いいたします。


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第5話少しずつ前に

 

ベルメールさん、ゲンゾウさん、タコは無事意識が戻った。

ゲンゾウさんは少し傷跡が残っちゃったけど、男の勲章だなんていって笑っていた。

ゲンゾウさんはやっぱ漢だわ。

圧倒的強者に対して体を張って抵抗するなんてなかなかできることじゃないもんな。

俺はアーロンよりも更に圧倒的強者だったからアーロンに対してああいう態度をとったんだけど、自分より強いやつが現れた時に俺はゲンゾウさんと同じようにできるかな。

なんてことをポロリとゲンゾウさんに漏らしたら殴られた。

 

「バカモン!」

「くっそー。なんで痛いんだおい」

「愛の鞭だからな。…お前不安なのか?」

「不安。…まあそうだな」

「バカモン!」ばしこーん

「痛えよクソオヤジ」

「お前が腑抜けているから気合を注入したんだ! お前は誓ったはずだ。カリファの笑顔を守るんだ、と」

「うん」

「ならば何を不安に思うんだ。何を迷う事があるんだ」

「うん」

「少なくともお前はカリファのためになら命を張って守る。違うか?」

「違わない」

「ならそのことを不安に思うんじゃない」

「そうだな」

「お前は十分よくやっている。カリファだけじゃなくこの村だって守ってくれたじゃないか」

「うん」

何故か涙が出てきた。

「私たちはお前に感謝しているぞ。絶対にお前が来てくれると思ったから俺だってあんな無茶できたんだ」

「うん」

しかも涙が止まらない。

泣くところなんてなかっただろうが。

「ホントはおっかなくてションベン漏らしちまったんだ」

「うん」

「来てくれてありがとうな」

「うん」

「ほらこれやるからそろそろ泣き止め。お前も漢になりたいんだろ?」

帽子につけていた風車を渡された。

「うん…ってこれ風車じゃん!!何が漢になりたいんだろ?(ドヤ)だよ。おもいっきり子供扱いしてるじゃねーか!!!」

「ガハハハハハハハ。泣き止んだから子供決定だなライ坊。まだまだ漢の道は遠そうだ」

「もういいよ。魚牛の所に行ってくるからな」

「大いに遊び、大いに学んでこい」

「だから子供扱いすんなクソオヤジ」

 

恥ずかしくなって、逃げるように療養所を飛び出した。

漢の道は険しいな。

でもクソオヤジのおかげでなんかスッキリした。

魚牛のところにいくとカリファ、ナミ、ノジコそしてタコがいた。

カリファは俺に気がつくと、すぐにとんできた。

しかもなぜか微笑みながら頭を撫でられた。

ナミとノジコは魚牛にミカンをあげている。

ミカンなんて海の生き物が食べるのかなと疑問に思っていたが、めちゃくちゃ美味しそうに食べている。

ミカンってすげえ、改めてそう思った。

お腹が空いているようだったのでカリファが

魚牛はモームという名前らしい。

しかも魚牛じゃなくて海牛だったらしい。

ついでにタコはタコじゃなくてハチというらしい。

ごめんね、モームとハチ。

俺もミカンをあげてみた。

美味しそうに食べるなあこいつ。

 

「よし決めた。いつか俺とカリファが旅立つときにモームに船を引いてもらおう!」

「ンモ゛!?」

「ライ名案よ。モーム、いいかしら?」

「ンモォ、モォオオオオオオオ」

「そうか。ありがとうなモーム」

「ねえねえ、カリファ。モームはなんて言ったの?」

「友達を探しに行きたいから数年後なら大丈夫、ですって」

「良かったねモーム。ライとカリファなら強くて優しいからきっとモームのことも大事にしてくれるよ」

「モォモォ」

「嬉しそうだね」

 

「ハチはどうするんだ?よかったら一緒に来ないか?」

「んにゅっ。俺もモームと島を出るつもりだ」

「じゃあモームみたいにいつか戻ってこいよ」

「ニュ~。嬉しいけど俺はたこ焼き屋を開くっていう夢があるんだ」

「じゃあしばらく俺達の船を改造して店開けよ。賞金首を海軍に引き渡したから資金もあるし、きっといい修行になると思うぜ。変な奴らから守ってやれるしな」

「それも面白そうだな。いいのか?」

「たこ焼き屋で稼いだら返してくれればいいよ。利子はたこ焼きな。カリファもいいだろ?」

「憎かった筈の人間を守ったのは素晴らしい行動でした。まあライには及びませんが貴方は信用できます。私の取り分からも融資させてください」

「ンニュ~。ありがとうな、おめえら。やっぱ人間にだってイイ奴はいるんだよな」

「じゃあ決まりな。モームを見送ったら早速材料仕入れに行こうぜ」

「フフフ。いいわね」

 

モームは幾つかのミカンをもらって、嬉しそうに旅立っていった。

またな、モーム。

残った俺達はたこ焼き出店のために動き出した。

 





さよならモーム、また会う日まで。

未だに原作開始前ですが、着々と環境が整っていくオリ主チーム。
残念ながらハチはチート化しません。
強化されることはあるかもしれませんが、チートレベルなのはあくまでもライとカリファのみの予定です。

遅れましたが、お気に入りに登録していただいた方ありがとうございます。


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