はまち外伝 (ふたなり2)
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留美と八幡
留美と八幡 ( やっと会えた…)


今日も長梅雨のせいでジトジトとして制服のブラウスが

湿っぽくて嫌になる。何時も憂鬱…

 

 

クラスの連中はそんな事関係のないがごとく何かしら

話題にして盛り上がっている。何が面白いのだろうか?

 

 

周りの連中は私を腫れ物を触るがごとく付かず離れず

時たま話題を振ったりして相手をしてくれる。

 

 

別に気を遣わなくても良いのに…私も気が向けば

話をして退屈を紛らわす毎日。

 

 

あの日…小学校でボッチだった私をヒロインにして助けてくれた

あいつが懐かしい。

 

 

全然、群れなくて黙ってるんだけど1人で寂しいな嫌だなって

思ってる時話してくれた。

 

 

「八幡…どうしてるかな…」

 

 

クリスマスの時、嬉しかった…やっぱりみんなといると

楽しい…そう教えてくれたの八幡だった。

 

 

あれから何度か学校帰りに八幡の学校の校門の前で待ったりもした。

だけど会えなかった。仕方ないよね、だって連絡先も知らないし

会ってもどうしようもないじゃん!

 

 

だけど、また会いたいなぁ……

 

 

ボンヤリとまた朝のホームルームが始まった。

 

 

静先生は私達の担任で何時も気怠そうにしてる私を

奉仕部という怪しげなクラブに入部させた。

 

 

「ど〜したんだ鶴見?いつも気怠そうにして?

そんなに面白くないのか?そ〜か、そ〜か、じゃ〜

しよ〜がないな!奉仕部に入れ!」

 

 

「別に面白くない訳じゃありません、ただ何となく」

 

 

「ただ何となく?だから君の生き方を面白くするのが

君の目的でもあるから其れを見つける為にも奉仕部に入れ!」

 

 

何か無茶苦茶な論理だったけど取り敢えず入部する事にした。

どうせ、やる事ないし暇だし。

 

 

クラブには同じクラスメイトの「一色ほのか」も静先生に

よって入部させられたみたい。

何でも、ほのかのお姉さんもここのOGらしくて生徒会長を

していたらしい。

 

 

しかし、ほのかは凄く人見知りで大人しく教室の隅で

1人ポツンといる。この子といると私が気を使っちゃう!

だけど何だか昔の私を見てるようで少しだけ気になるし

だけと、やっぱ声を掛けづらい。

 

 

ホントに上手くやっていけるんだろうか?しかし、まだ

初まったばかりだけど何をやっていけばいいのかな?

 

 

取り敢えず、毎日授業が終われば部室に行ってほのかと

何となく顔を合わせ気不味いながらも本を読んだりして

暇を潰したりしていった。

 

 

そんなあの朝………突然あいつがやって来た。

 

 

「あ〜静かに!紹介しよう。今日から二週間教育実習で君達に

国語を教える、比企谷八幡君だ。」

 

 

「え〜それから彼は目に特徴があるが特に気にせずに。

質問があればドンドン聞いてやってくれたまえ!

何なら質問責めの時間をとってもいいそ!」

 

 

「それでは比企谷・先生挨拶をどうぞ!」

 

 

「なんでまた俺にだけそんな苦行をさせるんですか?

いくら先生が綺麗で恰好良くてもそんなだから行き遅れ…ぐはぁ?!」

 

 

「大丈夫かぁ〜?比企谷先生?あまり余計な事を言わない

お約束だぞ!さあ、比企谷〜自己紹介〜!」

 

 

「うっ、ゲホ、ゲボ…あ〜今日から国語を担当する

比企谷です、宜しく…」

 

 

「さあ、早速だか教科書87ページを開いて比企谷先生に

早速読んでもらって初めてもらうとしよう………」

 

 

やっと八幡に会えた……

 

 

八幡…じゃあなかった、比企谷先生の授業は正直普通過ぎて

詰まらなかった。意地の悪い吉田が茶化して、鋭い突っ込みに

近い質問ばかりする。だけど、比企谷先生は以外と動揺もせず

スバリと回答する。

 

 

あの時と同じだ、私が友達にボッチにされて八幡に何気に

相談した時、あんな感じだった。

 

 

やっぱり変わってない八幡は変わってないや。

 

 

思わず口元が緩んでしまう、誰かに見られたらヤダ!キモがられる!

口に手がいっちゃう!

 

 

明日からまた八幡の授業が楽しみになった。

 

 

「どうしたの?鶴見いつになく機嫌良さそうじゃん!」

 

 

クラスのリーダー的存在の浜田が私に聞いて来る、うっさい!

自分でイケメン気取って完全にナルシストそう…ナルちゃんだ。キモ…

 

 

「別に普通よ、普通過ぎて詰まらない。貴方に言われるようじゃ私も

落ちぶれたものね。気を付けなくっちゃ」

 

 

「え〜っ、いや、鶴見って滅多に嬉しそうな顔しないから何か良い事あったのかなって」

 

 

「貴方に関係ない事よ、それに良い事なんかないわよ!」

 

 

「あ〜いやっ、何時もの鶴見だね。また、良い事あったら教えてよ」

 

 

「あったらね!」ふん!よく私に声掛けて来るけど、魂胆ありありで

嫌になる……取り敢えず部室に行こう。

 

 

クラブ棟の3階に奉仕部の部室がある。もう既にほのかは来ていた。

 

 

大人しいほのかは静かに本を読んでいた。

私も何時ものごとく何もする事がないからほのかと同様、読みかけのラノベでも

読もうとしたところへドアがいきなり開いた。

 

 

「先生、ビックリするからノックをして下さいと言ったじゃないですか!」

 

 

「すまん!ん〜前も誰かに言われたかな?思い出せん」

 

 

?「先生それ、雪ノ下だよ」

 

 

「懐かしいな、そうだったな、ところで雪ノ下達は元気か?」

 

 

?「あいつらは元気ですよ、また話しますしそれより何で俺をこんな処に?」

 

 

「ん〜懐かしいだろ〜ココがお前達がいた現在の奉仕部だ!入りたまえ!」

 

 

えっ?もしかして八幡が?ウソでしょ?

 

 

「そんじゃ、ま、失礼します」

 

 

「ようこそ比企谷先生、奉仕部へ」

 

 

「私は奉仕部のメンバーの1人、鶴見留美です。こちらが一色ほのかさんです。」

 

 

「え〜比企谷です…よろしくと…」

 

 

「鶴見…何処かで…って…もしかして留美?ルミルミか?」

 

 

「ルミルミ言うなぁ〜!キモい!」

 

 

 

 



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留美と八幡 (奉仕部の新たな活動)

総武高校1年生になった鶴見留美は毎日の日常をただ何となく過ごしている、
そこにかつて留美をボッチから救った八幡が国語の教員実習生としてやって来た。
更にOBで奉仕部のアドバイザーとなったのだ。果たして留美達のいる現在の
奉仕部で八幡はどう対処するのか?




「久しぶりだな、留美?元気してたか?」八幡はサラリと私に聞いてきた。

 

 

紺のブレザーとそれに合うパンツ、真っ白なシャツにネクタイで教員姿の八幡は

イブのパーティーの高校生時代よりもずっと大人びているが格好良かった。

おじさんになっただけかも?

 

 

「別に普通だよ」

 

 

つい口調が突っ慳貪になる、本当は嬉しいげど恥ずかしいし、やっぱ言えない。

 

 

「そっちにいる一色は、いろはの妹か?」

 

 

「はい…どうして知ってるんですか?」

 

 

「お前の姉ちゃんある意味、スゲェからな・・・なまじっか妹だと色々と

大変なんじゃーないの?」

 

 

「ほのかが目をパチクリさせながら何かモゴモゴと言ってる。」

 

 

「姉さんを知ってるんだ……」

 

 

「姉ちゃん、俺の後輩だからそれによく振り回された…」

 

 

八幡は何か嫌な事でも思い出したのか卑屈なキモい笑みを浮かべてる。

 

 

「まっ、今でも奉仕部が存続しているのは分かったし、ルミルミもこうして元気に

俺の後輩として頑張ってくれてるみたいだし、いいんじゃないの?じゃ~これで…」

 

 

「比企谷~?何を帰ろうとしてるんだ?ここは君がかつて所属していた奉仕部なんだぞ

!懐かしいとは思わないのかね?」

 

 

「え~だからこうしてココに来てるんでしょ?先生、何?」

 

「今現在、奉仕部には新人の鶴見と一色しか部員がいない。しかも何を活動して

いいか分からないようだ。」

 

 

そこでだ、OBである比企谷がアドバイザーとして彼女らの指導を

してもらいたいんだ!」

 

 

「それは、国語の教員実習とは違うんじゃ~? げっふふっ!」

 

 

「いいんだよ、比企谷君、帰ってもその後の事は楽しみだなぁ」

 

 

「雪ノ下にも連絡しないと」

 

 

「先生、相変わらず怖い・・・そして止めて・・・」

 

 

「やります、やりますよ」

 

 

あ~それからだな・・・ヒソヒソ

 

何やら静先生と八幡は内緒話を始めた

 

 

「彼女らに危害を加えるような事をしたら分かっているよな?」

 

 

「先生、知ってるでしょ?俺が鋼鉄の意志を持つ男だと。それにあいつ等の耳に

変な事が入ったら生きていけませんしね」

 

 

「比企谷だから安心しているが一応念のためにな」

 

 

「なにしろ、鶴見も一色も私ほどではないが、私ほどではないが、かなり可愛い!」

 

 

「先生、そこは大事なとこじゃあありませんよ。 もふぅ!」

 

 

「黙って聞け、比企谷。何年が前にお前が鶴見を助けた縁もあるし

一色もあの、いろはの妹だ。特に鶴見の方はあの通り髪は艶やかな

ストレートロングでかなりの美少女だ、多少、雪ノ下と同じく単独行動を

好む事もあるが違うところは集団でも馴染むとこだな」

 

 

「しかも少し雪ノ下に似ているし、学校でも人気があって凄くモテている。」

 

 

「本人は全然そんな気はないようだがトラブルのは

避けたいしな、まっ気を付けてくれ以上だ。後は頼んだぞ」

 

 

「もろ投げかよ・・・」

 

 

「確かに高校生の時の雪ノ下に雰囲気が似てるな」

 

 

「じゃあ〜私は明日の職員会議に提出する資料を作らなきゃあならないから、

任せたぞ比企谷先生!なんせ、資料作りも若手の仕事だから、若手の仕事だから」

 

 

「あぁ〜っ、そうですね…取り敢えず彼女達に今の活動とかを聞いておきますよ」

 

 

八幡は面倒臭そうに静先生に挨拶をすると頭を書きながら私達に向かい合った。

 

 

「ところで留美、今どんな相談がきてるんだ?」

 

 

「はい?何それ?相談って何のこと?」

 

 

「総武高生から悩み相談、俺たちの頃は千葉県縦断お悩み相談っていう掲示板やってて

其処からの相談とか直接訪ねての相談事が多かったかな」

 

 

「えっ、知らない何それ?私達がするのマジで?」

 

 

不思議そうにする私達2人に八幡は少し驚いている。

 

 

「マジするのって、先生から何も聞かずに入部したのか?」

 

 

「だって入部したのもつい先日みたいなもんだし、ほのかちゃんも聞いてないって言ってるよ」

 

 

「んじゃ〜今まで部室で何してたの?」

 

 

「なんにも、暇だし先生も特に言わなかったから本でも読んでたくらいかな」

 

 

「あ〜それ分かる、俺の時も同じだ。」

 

 

「なんだ、八幡の時と一緒なら良いじゃん!」

 

 

「5年ぶりに会っても呼び捨てかよ。」

 

 

「いいじゃん、八幡は八幡何だから私の事もルミルミって

呼んでるくせにズルい!」

 

 

「あ〜分かった、八幡で」

 

 

素直じゃないんだから、もぉ〜女の子から呼び捨てにされるんだから

もっと光栄に思いなさいよね。

 

 

「しかし、取り敢えず俺達がやってた時の活動はよく、相談事が持ち込まれてそれを

解決する手段を依頼者と考えて行動して行く活動をしていたぞ」

 

 

「そんなん、急に言われても分からないし出来ないよ」

 

 

隣りで心細そうにほのかも同じく首を立てに降っている。

そんな私の影に隠れられても困るんだけど……。

 

 

「今は掲示板も無いのか、少し厄介だな」

 

 

困った様に顎の辺りを人なでしながら八幡は部室にパソコンがないかと言う。

確か、戸棚の中に古いノーパソが1台あったような?戸棚を開けてみたら

ありましたよ、かなり使い込まれた古いノーパソが。

 

 

八幡はそのノーパソに電源を入れLANケーブルを差し込んだ。

かなり古いから立ち上がりに時間が掛かる。

ネットに接続し総武高校のホムペにアクセスして

色々チェックしているみたいで、

何かを確認し納得したようで私達に声を掛けた。

 

 

「良かった、掲示板が残っていた…使われてなく荒らされてもいないようだ。」

 

 

この掲示板を再度利用して奉仕部の活動が再開出来る様になる、

八幡は何が面白いのか分からないげど嬉しそうな顔付きをして

夢中になっている。

 

 

少し詰まらないぞ〜

 

 

会えなくていろんな事話したかっただけど、一緒の時間も出来たし

少しづつ八幡の事、聞いていこう。会えなかった時を埋める為に。

 

 

また、私の話も聞いてもらいたいな。

 

 



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留美と八幡 ( 2人きりのランチ)

お昼を八幡と一緒に食べようと思った留美だったが
肝心の八幡が何処にもいない、やっとの思いで
探した八幡は意外な所にいた。





梅雨の合間、今日は気持ちのいい天気になったお昼時に

私は八幡を探した。一緒にお昼を食べようと思って。

 

 

ところが、職員室にも購買部にも何処にもいない…

 

 

「何処にいんのよ、もう…」

 

 

早目に教室を飛出して探しに来たのだけれど、お昼時間が

10分も過ぎて諦めかけたとこへ廊下を歩く静先生にバッタリ会った。

 

 

「どうしたんだ?鶴見、お弁当抱えて私に差入れか?

悪いな、そういう事は何時でもウェルカムだ!」

 

 

お昼を早くも食べちゃったらしく楊枝をシ〜シ〜させてる。

先生、それは女の子としてどうかと…ヤバイって

 

 

「先生お行儀悪いですよぉ〜、もう。それよか、八幡、いや…

比企谷先生は何処に行ったのですか?」

 

 

「あ〜失礼、カップ麺のチャーシューがだなぁ、ん!

比企谷なら校舎東側の踊り場でお昼をとっるんじゃないか?

奴は在校中いつもあそこで食ってたから間違えないだろ」

 

 

「何でそんな何処にいるんですか?」

 

 

「理由は知らないな、何なら聞いて見たらどうだ?鶴見、

奴を探してどうするんだ?まさか一緒に弁当を食べるのか?」

 

 

「えつ、奉仕部の活動について聞くんですよ。比企谷先生に

掲示板復活させてもらったし打ち合わせをしたいし…」

 

 

何だか急に恥ずかしくなったよ、もう…

 

 

「そうか、そうか。じゃ〜活動を楽しみにしてるぞ!」

 

 

「変な期待をしないで下さいね!ちっ、チョットだけ

聞くだけなんですから」

 

 

「あ〜分かった、分かった。早く行かないと休み時間

終わっちゃうぞ」

 

 

静先生は片腕を高く上げ欠伸をしながら職員室に

帰って行った、何だかおじさん臭いよーもう。

 

 

踊り場に行ってみたら、先生の言ってた通り八幡が

パンをパク付いている最中だった。

 

 

「八幡探したよ、こんな所で食べてんだ。」

 

 

「留美か、ここは俺の憩いのスポット…ベストプレイス。

昼どきに吹く風が心地良くて在学中はいつもここで食べてたんだ。」

 

 

「1人で?」

 

 

「何それ?喧嘩売ってんのか?誰と食べるんだよ、

そんな奴いねえし1人の方が気楽でいい。」

 

 

「だから他の実習生とも連んでないし流石、八幡だね。」

 

 

「そういう留美はどうしたんだ?みんなとお昼しないのか?

一色はどうした?」

 

 

「ほのかちゃんはいつもお弁当の時、居なくなるから知らないわ。

多分、他所のクラスの子とたべてると思う。」

 

 

今度、一緒に誘ってここで食べようかな?

 

 

八幡と話すと落ち着く、何でだろ?

八幡の隣りに腰掛けお弁当を広げ食べるつもりで

来てるし座っちゃうし。

 

 

八幡の言う通り時たま心地良い風が吹いて来る…

 

 

「あのさ、クラブの事もっと聞きたいしお弁当ここで

食べていい?」

 

 

「お好きにどぉーぞ、って、クラブの話?奉仕部のか?」

 

 

「うん、早くしないとお昼終わっちゃう…うん、もぐ」

 

 

「焦らなくていいぞ、まだ時間あるし。」

 

 

「八幡の時は何人で奉仕部やってたの?」

 

 

「3人だ、留美も知ってるだろ?雪ノ下と由比ヶ浜を。」

 

 

「八幡と一緒にケーキを作ってた人?なら分かる。」

 

 

「あの時の会長さんがほのかちゃんのお姉さん?」

 

 

「そうだ、他に聞く事はないか?なら、もう行っちゃうぞ。」

 

 

「あん、まだ食べ終わってないよ。待っててくれるんでしょ?」

 

 

「そんな約束した覚えがないぞ?お前待ってたら俺が先生に

また殴られるから、ヤバイって」

 

 

「まだ、時間あるって言ったじゃん!」

 

 

「それは生徒の話で俺達、実習生は早いとこスタンばってないと

いけないんだよ。」

 

 

な〜んか、嫌だな八幡逃げるみたいで困らせたくなる。

 

 

「だって、食べきれないだもん。八幡も手伝ってよ!」

 

 

「あ〜何でお前の弁当食べんの手伝う必要あんの?」

 

 

「奉仕部の後輩が困ってるんだから助けてよ、八幡も

一緒に食べて!」

 

 

「俺がお前の弁当を一緒に食べんの?あ〜もう、

分かったから早いところ食べてくれ」

 

 

「はい、じゃー、あ〜ん。」

 

 

「うっ、何してんの?あの鶴見さん?お箸は2膳無いのかな?」

 

 

「あるわけ無いでしょ、はい、あ〜ん。」

 

 

「流石にマズイっしょ……」

 

 

「…………早く……こぼれちゃうから」

 

 

「バッカ、お前変な言い回しすんなよ。恥ずかしくなる。」

 

 

「…………、うっ、あ〜もう、知らん!あ〜ん、パクっ!」

 

 

顔が真っ赤、ぷっ八幡可愛い〜

 

 

「美味しい?はい、次卵焼きね。私が作ってきたんだ。」

 

 

「意外と美味いな、自分はいいのか食べなくていいのか?」

 

 

「意外は失礼ね、こう見えても料理はママの代わりによくする方よ」

 

 

「そっか、食べたいだけ食べたら後はこっちに回してくれ、

時間ないし付き合いきれん。」

 

 

「ごめん、そうするね。チョットだけ待って。」

 

 

恥ずかしがる八幡の横でお昼を食べるのが久しく楽しい。

この後、私のお弁当を大急ぎで食べてくれて嬉しかったな、

八幡に悪い事しちゃったけど放課後部室に来てくれるみたい。

 

 

ごめんね、八幡意地悪しちゃって。

 

 

午後からの実習、頑張って!

 

 

 



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留美と八幡 (ほのかの告白)


八幡の指導のもと新生奉仕部の活動がようやくスタートしたが
早速の依頼が舞い込んで来た。しかし、それは意外な依頼者からの
相談だった。留美も八幡も驚いてしまう。


 

新しくホムペの掲示板をリニューアルし直して心機一転、

ポスターも八幡が作り方を指導してくれた。

だけど、肝心の依頼が来なければ何も出来ないのが

奉仕部の弱点だ。

 

「このまま待つしか無いのかな?な〜んか詰まらない。」

 

「依頼が無いのは良い事なんだから、焦るなよ。

そのうちに、厄介な依頼が舞い込むかもしれん。」

 

学校の掲示板も、ほのかと2人でイラスト入りポスターを

作り貼ってみたけど、全くの認知度が無いのでいきなり

依頼が来る訳もなくあれから1日経ってしまった。

 

「ねえ、八幡そのコーヒー美味しいの?」

 

缶にMAXって書いてある縦長の缶コーヒーだ。

八幡はそれをチビリチビリと飲みながら文庫本を読みふけっている。

 

「ん~千葉県民なら誰もが知っているMAXコーヒーを知らないのか?

そりゃもぐりだ、是非飲んでみろよこの良さが分からないようじゃ

千葉県民を語る資格が無いとまで言うぞ。」

 

 

「へ~今度飲んでみようかな。」

 

そう言って興味深くコーヒーを見ていた私にほのかちゃんが何か

言いたげな感じ。

 

「あのコーヒー激甘で有名みたいだよ、うちの姉さんが買ってきて

飲んだことあるけど甘ったるくて凄いの。」

 

「むむっ、ほのかっちも飲んだ事あるんだ。じゃ私も飲んでみよっと。」

 

「あんまし・・お奨めはしないかも・・」

 

ほのかちゃん、いつになく苦笑いをしながら手を胸の辺りでパタパタとさせてる。

 

「こんな時は八幡の時、何してたの?」

 

「何も、今と変わらないな。部長をやってた雪ノ下が紅茶を入れたり

本を読んで由比ヶ浜が携帯いじってたな。」

 

「ほんと、変わんないね今も。」

 

「ねえ、雪ノ下先輩は今どうしてるの?」

 

「俺と同じ大学に通ってるよ。学部は違うがたまに会うかな。」

 

「由比ヶ浜先輩は?」

 

「あいつは別の大学だけどよく雪ノ下と会ってるらしい。こっちの大学にも来て会ってる。」

 

「一色先輩は?」

 

「うん、あいつは同じ学部でうっとう・・・いや、よく絡んでくる。」

 

「なんだ、今でもよく会うんだ。」

 

 

八幡友達いないって言ってたのにいるじゃん!それも、女ばっかり・・・

 

 

「それにしても暇ね、まっ、のんびりとお茶できるからいいんだけど。」

 

梅雨の合間の天気に窓を開け風が入り込むのが心地いい、

八幡は文庫本に目を落とし静かにしている。ほのかちゃんも・・・何となく眠くなったし、うつらうつらしてしまう。

う~ん、こんな時はノーパソでネットでも見て眠気を覚まそうと思い、立ち上げてみた。

そう言えば、今日はまだチェックしてなかったっけ?掲示板。

 

依頼なんか来てないだろうと思いながらもまず、掲示板を・・・あった!

あれ?本当に来ちゃった・・・まさかと思いながらも読んでみる。

 

なになに、「好きな人ができて告白をしたいのですがどうやって思いを

告げればいいか分かりません。いいアドバイスをして頂けたらと

思います。」いろはすより

 

いきなり、恋愛相談~?

 

うわ~マジで?

 

どうしょう、ハードル高ぁ~

 

ノーパソと睨めっこして固まっているの私に八幡が気が付いて

声をかけて来た。

 

「ん、どした留美?アマゾンでいいアクセでも見つけたか?」

 

「八幡、ちょっとこれ。」

 

八幡が私の横に来て顔を近づけノーパソを覗き込んだ。

なんか顔が近い・・・それに八幡、オーデかな?少しいい匂いがするし。

やだ、顔が赤くなる!

 

「なに?・・・・・・掲示板か・・いろはす?・・・・・見なかった事にしよう。」

 

何事も無かった様な事を言うからこっちも助かるって、しかしこれ

どうなの?

 

「ちょっと、初めての依頼でパスって何よ八幡!」

 

「何って、これ恋愛相談だろ。俺には無理だ、お前らだけで相談に

応じるなら好きにしろ。」

 

「そんな無責任な八幡何とかしてよ。」

 

「バッカお前、恋愛経験の無い俺に恋愛相談は無理だ。それに、

いろはすって一色・・・お前の姉ちゃんからの依頼じゃないのか?」

 

「八幡彼女いないの?」

 

「うっせ、悪かったないなくて。」

 

へ~いないんだぁ~♪

 

ほのかちゃんがまた、アワアワしだした。顔を真っ赤にして両手で顔を隠してる!

 

「落ち着いて、ほのかちゃん!どうしたの?」

 

「ごっ、ごっ、ごめんなさい!それ書いたの私なの・・・」

 

「えっ?」

 

「はえ?」

 

「私・・・こんな性格だから言いたい事あんまり上手く言えなくて・・・

ずっと悩んでた・・・黙っていてごめんなさい。」

 

「謝る事無いよ、だって悩んでる事言えたじゃない!」

 

「うん・・・ありがとう・・・」

 

「なんか、一色は性格が由比ヶ浜とよく似てるな。」

 

「えっ、そうなの?」

 

「あぁ、最初そんなだったが今はちゃんと言えるように変わっていった。」

 

「アイツなりに努力したんだろう、それに雪ノ下もいたしな。」

 

雪ノ下先輩が助けたのかな?八幡も手助けしたんじゃ~

 

「何か言いたい事があっても言えず、みんなに合わせて自分を

誤魔化して来た事をアイツは悩んでいたがそれを雪ノ下を見習って

変わっていった。」

 

「私もそんなふうになりたい…比企谷先生どうしたらなれるのか教えて下さい。」

 

ほのかちゃんが、ポロポロ泣き出したから八幡も私もびっくりしたけど

気持ちが分かるから落ち着くの待って詳しく聞いてみた。

 

「少しは落ち着いた?」

 

「うん、大分と・・・もう大丈夫だから。」

 

「そっか、一色は姉さんと違って大人しいみたいだから頑張ったな。」

 

やっぱり、こんなとこ八幡優しいな。

 

「最初姉さんに相談してみたの、姉さん私と違って社交的だし

言いたい事言えるしそしたら比企谷先生に相談しろって・・・

昔姉さんも相談に乗って貰ったって凄く感謝してた。

大学でも色々と面倒見てもらっているって聞いたの。」

 

「いろはの奴、余分な事を~!」

 

「安心して聞いて貰いなさいって、言ってた。」

 

「絶対、助けてくれるって言ってた。」

 

「いろはの奴、覚えてろよ~」

 

いろは先輩と仲いいんだ・・・八幡・・・

 

「まっ、兎に角だ、一色誰に告白したいんだ?作戦を練るためにも

聞いておきたいし他の事ももう少し詳しく聞かないと分からないぞ。」

 

「はい・・・、同じクラスの浜田君です・・」

 

めちゃ顔を赤らめて恥ずかしそうに話す、ほのかっちが可愛い!

私が告りたい!

なんて・・・私にはね・・・

 

てか浜田君の事、ほのかちゃん好きなの?意外や意外かも。

 

「誰それ?」

 

「野球部の浜田君だよ、それに私達と同じにクラスで割りと

人気があってクラスの中心的存在かな。」

 

「えっ、そうなの?」

 

露骨に嫌な顔をするけど何なの八幡?

 

「なにその顔?」

 

「昔なクラスのカーストトップを取ってる奴がいてな、

そいつの事が嫌いだったんだよ。」

 

「そうなの?」

 

「今それ思い出したんだ。」

 

「うわ、八幡って根に持つ方なの?」

 

「俺が根に持ってたら今頃、地球が破滅してるぞ。持っていないから

こうして平和にみんなが過ごせているんだぞ。」

 

「何それ、中二病?意味分かんない。」

 

「うわっ、それ禁句だぞ、それ言うと材木座が土下座して詫びを入れるくらいダメなんだぞ。」

 

「はいはい、分かったからほのかちゃんの事、考えましょうね八幡くん。」

 

「何それ、物凄くムカつくんだけど……」

 

「材木座くん?と仲良く土下座したくないでしょ、だったら早く

考えてよ。」

 

「また、俺の黒歴史が・・・」

 

 

 

 



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留美と八幡 ( 雨降りのバス停)



ほのかの片思いの相談を奉仕部で受けることに
なったのだが相手の情報が入手しにくい。
困った留美は八幡に相談をするために…


 

「一色、にこれだけは最初から言っておくが、

告白が残念な結果に終わる可能性もある。

例えどんな結果が出ても後悔しないな?」

 

八幡は、ほのかちゃんと真正面に向き合い

真剣な表情で聞いていた。

 

「はい!」

 

ほのかちゃんのポニーテールが小さく立てに揺れた。

 

「んじゃー、一色も頑張ってるし、やってみるか。」

 

「まず、浜田は彼女いないんだろうな?」

 

八幡が念押しの様な感じで私達に聞いて来る。

当然、いたらこの話無しだよ八幡…。

 

「さあ?聞いた事ないし多分、いないんじゃないかな?」

 

ほのかちゃんは下を向いて黙ってしまった。八幡はヤレヤレと

頭を掻いてボソボソ何か言ってる。

 

「望…望に聞いたら少し分かるかも。」

 

そうだった、彼女に聞いてみよう。

 

「望?誰それ?留美達のクラスメイトか。」

 

「そう、野球部のマネージャーをやってる野田 望。」

 

「クラスでもよく、浜田君達のメンバーで話してるよ。」

 

そう話してる裏で私はある事が引っ掛かった。

それは、望が何となく浜田君に気があるんじゃないかと

いう懸念だ。実はそんな噂話を少し耳にした事が

あるからた。

 

だから、聞き方によっては当然望は教えてくれないだろうし、

嫌がられる。それに、ほのかっちがイジメの対象になる可能性が

ある。ほのかは私より友達が少ないし多分、この噂話は

知らないだろう。

 

ほのかちゃんの前では言いにくいしなぁ、ライバルが短に

いる様な話聞きたくないだろうし今回の件とは少し趣旨が

外れるかも、困ったな。どうしよう?顎に人指し指を持って行き、

考えてたら思い出したかの様に閃いた。

 

「八幡、メアド教えて。それと携番もね。」

 

「あ?何だよ、ほれ。」

 

スマホをポンっと私に投げる。

 

「ちょっと、ビックリしたよ!教えるだけでいいのに。」

 

「何か分かった時すぐ連絡出来るようにする為よ。」

 

「あ、そう。」

 

「ほんと、無愛想ね。」

 

「うっせ、お互い様だ。」

 

「女の子にちょっと、失礼ね。そりゃあ…昔は少し…

今は変わったのよ!」

 

「そっか、良かったな。」

 

もう、気が利かないんだから!

アドレス見ちゃっていいのかな?見ちゃうよどれ、少なっ…

11件ってそれも半分以上女の人ばっか、雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩、

一色先輩……あったけど、小町…誰?

 

「アドレスとか入れていいの?」

 

「あぁ、構わねえよ。」

 

「じゃあ、入れとく……」

 

当然、私の着信表示は「ルミルミ」にしてやった、てへっ!

 

これで、望みの件も八幡に後で話せる。

 

その日、浜田君の件は望に聞き出し検討する事にして

解散する事にした。ほのかちゃんは気が楽になったのか

帰りがけには元気に笑顔が出るようになってた。

明日また打ち合わせをしようと約束をして自転車置き場で

さよならをした。

 

帰り際、また雨が降りだした。ほのかちゃんもレインコートを

着て帰ったけど、今日は降らないって天気予報で言っていたのに

駄目ね。

 

バス待ちで1人待ってたら八幡が走って追いついて来た。

だけど、傘持ってないらしく濡れちゃってる。

 

「職員室で借りて来なかったの?濡れちゃってるじゃない。」

 

「え、留美か?いや、そんなに降ってないからいいかなと。」

 

「あの…入れば。」

 

「え、何を。」

 

「傘に入ればって言ってんの!」

 

「お前の傘にか?」

 

「誰の傘に入るのよ!」

 

「バス待ってる間だけ入れたげる。」

 

「いいのか?」

 

「良いって言ってるのに濡れちゃうでしょ!」

 

「いや、生徒の傘に入るのはマズいしょ…」

 

「私がいいって言ってるんだからいいでしょ、嫌なの?」

 

「あ~分かったよ、入るから。」

 

嫌だ、八幡照れるからこっちまで恥ずかしくなる…

でもなんか……

あっ、八幡の肩濡れてるみたい。もうちょい、そっちいかなきゃ。

 

「あんまし、くっつくなよ…。」

 

「だって濡れるし、いいじゃない…。」

 

「あっ・・・ありがとな。」

 

「バスが来るまでよ、バカ…。」

 

「はい、はい。」

 

バスが来るまでの時間、八幡と相合傘になっちゃった。

偶然なんだからこっちから頼んだ訳じゃないから…

バスでも一緒だし、駅までちよっと楽しいな。

 

バスの中隣同士なんだけど八幡は 、そっぽ向いて喋んない。

いいんだけどさ、少しは相手してよね。

 

仕方ないか、あの話しないと…

 

「あのさ、いいかな?」

 

「んー、なに?」

 

「愛想ない、もっと嬉しそうにして!」

 

「てか、何で?」

 

「私から話し掛けられたから。」

 

「なに、その物凄い上から目線…?」

 

「ちゃんと聞いて!」

 

「はいはい、で何?」

 

「さっき話した野球部のマネージャーの子の件なんだけど

ひよっとしたら、その子も浜田君が好きかも。」

 

「んー、じゃ聞くの無理かもな。」

 

「うん、他を調べてみる…ごめん。」

 

「留美が謝る事はない、言ってて気が付いたんだろ?」

 

よく見てるな…。

 

「そんな感じ…。」

 

「しかし、迂闊に聞きまくると勘付かれるぞ。」

 

「うん、気を付けてみるよ。」

 

「そっか…。」

 

「うん。」

 

バスはゴトゴト揺れながら小雨の降る中を走り抜けて行った。

 

 

 



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留美と八幡 ( 奉仕部の先輩たち)

駅の構内で八幡達は雪ノ下と由比ヶ浜にバッタリと出会う。
長話も何だからと喫茶店に入る事になり…




 

私と八幡を乗せたバスは駅ターミナルビルの中に

吸い込まれる様に入り終点で降り立った。

 

 

電車の乗り換えに八幡と移動していると後ろから声が。

 

「ヒッキー!今帰りなの?」

 

明るい通る声の後から足音も掛けてくる。

 

えっ、誰、誰なの?

 

振り向いてみたら、明るく可愛らしい読者モデルみたいなスタイルの

いい女の人と上品なうえ、綺麗でスレンダーな女の人が立っていた。

 

可愛い人はさも久しげに手を振り八幡に近づいて来るし、

その横を綺麗な人がゆっくりと近づいて来る。

 

うわ誰?もしかしたら彼女さん?いないって言ってたよね八幡…

本当にもう、嫌だな。

 

「こんな所で久しく出会ったなと思ったら、可愛い女子高生を

かどわかして誘拐しようとしているの犯罪谷君?」

 

「久々に会ったら犯罪者扱いなんですか?雪ノ下さん」

 

「ヤッハロー!ヒッキー久々だね、あれその子総武校生?」

 

「今、教育実習に行っていると聞いてたけど総武校だったんだね。」

 

「ああ、そこで教えてる一年の鶴見留美だ。お前らも覚えているだろ?

2年の時に行った千葉村とクリスマスイベントの時の留美だよ。」

 

「え~っ!あの時の留美ちゃん!?ヤッハロー、久しぶり元気してた?」

 

「お前、バカっぽいからその挨拶止めろって。」

 

八幡突っ込むの笑っちゃうから止めて!吹いちゃう!

も〜流行ってないよね、その挨拶〜でも面白い!

 

「バカっていうなし。」

 

「覚えているわ、懐かしいわね、こんにちは鶴見留美さん。」

 

「留美、お前も覚えているだろう雪ノ下と由比ヶ浜を。」

 

「覚えています、こんにちは雪ノ下先輩、由比ヶ浜先輩、

お久しぶりです。」

 

「ホント、留美ちゃん凄く可愛くなってビックリしたよ!

でもなんか、ユキノンの高校生の時と感じが似てるな…

思い出しちゃう。」

 

「あら、こんなに私、可愛かったかしら?昔から可愛かったの

間違えなかったのだけれど。」

 

「あの…雪ノ下さん?自画自賛してない?」

 

「そんな、お二人とも凄く綺麗で可愛くて羨ましいです。」

 

「えっ?あたしが綺麗?そうかな?えへへっ。」

 

「由比ヶ浜、お世辞をまともに受けるなよ。リップサービスだ。」

 

「いいじゃん!誰かさんが全然言ってくれないんだもん、ね~。」

 

「はいはい、みんな世界一綺麗だよ~。」

 

「全然、本気で言ってないし!もぉ~」

 

由比ヶ浜先輩が八幡の二の腕をポコンと軽くコブシで突く。

なんか由比ヶ浜先輩、上目遣いで八幡見てるし……。

八幡も苦虫を噛んだ様な顔をしてるけど…。

 

「そんな事よりも」

 

「そんな事扱いされた~」

 

「そんな事よりもどうしてあなたと留美さんが一緒に帰っているの?」

 

「偶然、同じバスに乗り合わせたんだよ。」

 

「二人とも何処かに行ってきたのか。」

 

「ええ、今日は時間が取れて由比ヶ浜さんと少しショッピングを。」

 

「この後、ユキノンとお茶かご飯でもって言ってたとこなんだ。」

 

「ヒッキーも一緒にどお?」

 

「いや、行かない。」

 

「即答って、いいじゃん!留美ちゃんもどお?ね、

少しならいいでしょ?」

 

「いや、ダメだってこれから帰ってから千葉テレビでプリキュアの

再放送があるし小町の夕飯が待ってるしな。」

 

「まだ、高校の時みたいな事言ってんの?小町ちゃんには、

あたしからメールしとくからね。」

 

進歩ないな八幡、高校の時とおなじって。で、小町って誰?

 

「私は行くとは言ってないわよ、由比ヶ浜さん?」

 

「え~久しぶりなんだからいいでしょ?ユキノンもヒッキーもね。」

 

「仕方ないわね…少しだけなら。」

 

「比企谷君、鶴見さん一緒にどう?」

 

「相変わらず、由比ヶ浜には甘いな雪ノ下は。」

 

「分かったよ…留美少しだけ付き合うか?」

 

「八幡が行くなら行くよ。」

 

「えっ?…八幡?」

 

「あっ、比企谷先生が行くなら…」

 

「へぇ〜ヒッキー、比企谷先生って呼ばれてるんだ、

なんか変な感じ…でも、少し見直しちゃうかも!」

 

さっきから八幡、由比ヶ浜先輩から何やら疑惑の目で見られたり

羨望の眼差しで見られたり大変!

 

それじゃ〜って事で構内の喫茶店に入りお茶を飲むことに。

別にすぐ帰っても何にもやる事ないし暇だしね。

雪ノ下先輩さんと私はレモンティーを八幡と由比ヶ浜先輩は

コーヒーを注文した。

 

「それにしても、留美ちゃんが総武高に入ってるなんて何か

運命的なもの感じるね。」

 

「担任の先生が平塚先生なんだぜ。」

 

「自分の事の様に自慢してないかしら比企谷君?」

 

「あ~偶然と言えば偶然だな。」

 

「照れて誤魔化してる。」

 

「うっせ。」

 

本当に仲良いんだな、八幡たち。話題に入り込めないボッチ確定だ。

 

「留美に聞きたいんだが学校での話を2人に少し話してもいいか?」

 

「別にいいわ、構わないよ。」

 

八幡、急に話し振って来たと思ったら、そこ?

 

「そうか、実は留美は奉仕部に入部しててそこに、いろはの

妹も同じく入部してる。」

 

「え〜っ!それじゃ〜留美ちゃん奉仕部の後輩にもなるの?」

 

「そういう事になるな。」

 

「驚いたわ、一色さんの妹さんも入部しているなんて。」

 

「本当に驚きだよね、でも奉仕部の後輩が出来て

部を継続してるなんて何か名誉な事だよね。」

 

「いいのか、悪いのか?分からないわね。」

 

八幡2人にサービスしすぎたよ!もう!

少しだけイタズラしてみようかな?

 

「比企谷先生、奉仕部の顧問も務めているの。」

 

私は思いっきり笑顔を浮かべ横にいた八幡の二の腕に

軽く腕を絡めて2人にアピールしてみた。

 

「何だよ留美、引っ付くなよ!」

 

八幡照れてる照れてる。

 

「比企谷君…?いつから奉仕部の顧問もしてるの?」

 

うわ、雪ノ下先輩なにか目が怖い…。

 

「む〜っ。ヒッキー鼻の下伸びすぎ!」

 

由比ヶ浜先輩、口がへの字です。

 

「分かったから、腕を絡めるな!お前いつから

そんなに懐いたの?俺に腕を絡めれるの小町だけだから。」

 

「小町って誰よ…?」

 

「妹だよ。」

 

「うわ、八幡ってシスコンなの?」

 

「お前も千葉村の時、会ってるぞ、ウチの小町に。」

 

「覚えてないから!会えば分かるかも?」

 

「八幡のウチに遊びに行っちゃおうかな?」

 

「はぁ〜?」「え〜っ!」「なぜ、そうなるの?」

 

 

 



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留美と八幡 ( 相談 )

駅で偶然出会った奉仕部のOB由比ヶ浜、雪ノ下先輩と
喫茶店で意気投合。そこで、二人にほのかの件を相談
してみた。







女子が3人も集まると賑やかなものでいつからか、

ポツンと男1人八幡がボッチに。

 

由比ヶ浜先輩から今の学校で何が流行りでファッションとか

ショップの話が止めどなく出るし、傍らで聞いてる雪ノ下先輩は

大きく頷いたり時折口をOの字にして驚いたり目を細めて笑ってた。

そんな二人を見てて何だか楽しくなって、気が付いたら夢中で

会話に参加していた。

 

横にいる八幡は窓から見える通行人を詰まらなさそうに

見ている。

 

時折ふられる会話に「そうか」とか「あぁ」とか言うくらいでまるで

興味がないみたい。

 

由比ヶ浜先輩が「留美ちゃん、好きな人とかいるの?」

 

やっぱり来たかって感じで話が恋ばなに突入だ。

 

テーブル越しにやや身を乗り出して瞳を輝かせながら楽しそうに

聞いて来る。由比ヶ浜先輩…胸が…、こ、答にくいよ…

 

「え?そりゃ気になる人とか居ないこともなくはないけど…」

 

誰かさんの事をチラ見したけど超外見てるし、

由比ヶ浜先輩見たら「ふ~ん…」って伏し目がちに

納得されちゃった。

 

雪ノ下先輩はニッコリと微笑んでるけど妙に迫力があって

背景から「ゴゴゴゴォ〜ッ!」って音が聞こえそうで怖いから、

いや本当に怖い。

 

「お二人は今付き合ってる人とか好きな人とかはいるんですか?」

 

「えっ?付き合ってる人はいないけど好きな人はね…えへへっ」

 

由比ヶ浜先輩、胸のあたりで両手を広げヒラヒラさせて超焦ってる。

 

「私も好きな人はいない事はないけども…」

 

さっきとはまるで別人、雪ノ下先輩は口元をモニョモニョとさせて

可愛らしいな。

 

二人とも俯いたり頬を赤らめチラチラと目線を八幡に向けてたり、

お互いの顔を見たりして苦笑いをしたり急に焦りまくりで、

まさか自分が聞かれるって思ってなかったみたい。

 

どうやら、自ら地雷を踏んじゃったの?

由比ヶ浜先輩も雪ノ下先輩も八幡に気があったりして?

八幡って本当は凄くモテるんじゃ…

 

えっ?マジ?

 

たっぷりお砂糖とミルクを入れたコーヒーを

啜りながら知らん顔だよ、八幡。ほんと朴念仁

 

そういえば、ほのかちゃんの事を二人にも相談してみようか?

いい時間になってこのまま解散となっても何だかと思うし、

せっかく知り合った先輩達ともっとお話がしたいのが本音かな?

 

ほのかちゃんの件は荷が重いし八幡だけじゃ頼りないとかじゃなくて、

やっぱ同性の先輩の方が恋ばなはしやすいよ。話だけでも

聞いてもらおう。

 

「ねえ、比企谷先生?ほのかちゃんの事、二人の先輩にも話を

聞いてもらってもいいですか?」

 

「あ〜同性だし、いいかもな。良いアドバイスを貰えるかも

しれんな。それは其れで助かるし楽になるまである。」

 

「面倒くさいから、どうぞどうぞって感じで言ってない?」

 

「そんな事はないぞ、疑惑の目で見るのやめてね怖いから。」

 

「何を困ってるの?私達で役に立つ事ならいいけど、ね、

聞いてあげようよユキノン!」

 

「そうね、少しでも話して気が楽になればそれはそれで

良いし解決の糸口が掴めたり出来るかもしれない。

私達で相談にのれる事ならいいのだけれど。」

 

「有難うございます。聞いて頂けるだけでも助かります。

実は同じ奉仕部の部員でクラスメイトの一色ほのかちゃんから

片想いを告白したいと相談を持ち掛けられているのですが

難しくって、比企谷先生にも聞いて貰っているんですが

上手くいく方法がないかなって…」

 

「一色ちゃんって、いろはちゃんの妹さんなんだよね…」

 

「そうだ、姉妹揃って恋愛相談って何かいわくあるかもな、

全く姉さんの方は今だに絡んで来るからうっと…面倒くさいし。」

 

「今、鬱陶しいって言わなかった?」

 

雪ノ下先輩が、八幡に微笑みかける。

 

「そう、今度一色さんに会った時に報告してあげるわ。」

 

「イヤ、聞き間違えだ。言ってない。気のせいだ。

お願いします、頼むから言わないで下さい。ごめんなさい。」

 

八幡、雪ノ下先輩に頭上がらないみたいだ、ペコペコしてる。

そばで由比ヶ浜先輩が、苦笑いを…

 

「運命的な物を感じるかな。」

 

「ほのかは姉さんのいろはと違って大人しく、

引っ込み思案な性格だ。そんな彼女がありったけの

勇気を出して告りたいと言って来た。」

 

八幡が二人にほのかの事を話してくれる。

 

「陽乃さんの劣化版みたいな、いろはに比べ言いたい事が言えず

悩んでいた本人もいろはの様に変わりたいとも言っている。」

 

「まあ、あの姉さんに勝てる人はいないと思うけども。」

 

「いや、お前の姉ちゃんよりもっと怖いのがお前の母ちゃんだろが。」

 

雪ノ下先輩が顔を赤らめコホンと咳払いをしてる。

 

「あざとい所まで真似しなくてもいいけどな。」

 

「大人しい子が相談をだなんて、よっぽど相手の男の子の事

好きなんだね。ある意味応援したくなっちゃう!」

 

由比ヶ浜先輩が、目を伏せ両手を胸に当てて感動してるみたい。

昔の話を八幡から聞いたけど思い出したのかな?

 

「うん、ほのかっちの事、応援したくなっちゃた。

考えてみようよ、ユキノン!」

 

「何だよ、そのほのかっちって?たまごっちの新型か?

また変なあだ名付けてるな。」

 

「変って言うなし、いいじゃん別に!」

 

そうそう、たまに私も「ほのかっち」って言ってるし。

 

「そうね、奉仕部の後輩が頑張っているのだから先輩として

力になってあげられればいいわ。」

 

雪ノ下先輩、ヤル気がみなぎってる感じがする頼もしい!

 

「お二人とも有難うございます!心強いです!」

 

何となく入部した奉仕部にこんな素敵な先輩達がいたなんて

思わなかった、八幡とお二人に感謝!

 

二人と明後日、次回ほのか告白作戦の対策会議をする約束をし

アドレス携番交換をしてお開きになった。

 

帰り掛け、由比ヶ浜先輩が、「ヒッキー…比企谷先生は学校でどんな感じかな?」

って聞いて来た。

 

「あのままです。千葉村で出会った時と変わらない感じかな。」

 

「そうだね、変わらないね。ヒッキーは全然変わらない。

変わらないけど、いつも優しいし頼りになる。」

 

八幡と出会う以前の私はみんなの事を「バカばっか」と言ったり

嫌っていつも一人でいた。素直になれなくてほんとは淋しかった。

凄く嫌な子だったと思う。

 

千葉村で私は八幡に助けられた…孤立はしたが少なくても気が楽になり

学校生活が維持出来た。それが理解出来たのはクリスマスイベントで

八幡と再開し忙しいイベント中でも私に声を掛け工作の手伝いをしてくれて

演劇に出させてくれた。そして人の繋がりや暖かさを教えてくれた。

 

一言お礼を言いたかった、「ありがとう」と。

 

昔から八幡は優しかったんだ…

 

お二人とも八幡のそんな所が好きになった理由なんだなと

何となく納得してしまった。

 

「気を付けて帰れよ。」

 

八幡とさよならの挨拶をして帰ってから

夕食後八幡の授業で答えられる様に予習をした。

特に現国なんかテスト以外に勉強した事ないし興味なかったけど…

 

八幡の授業だから、頑張ってみよう。あと何回もないし。

教育実習ってあっという間だよね…

 

 

その後こと考えるとやっばり淋しくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




少しだけ忙しくしていました。連投出来るよう
頑張ってみます。





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留美と八幡 ( 留美の諜報活動 )



ほのかの想い人、野球部の浜田君情報を

仕入れる為に友達に聞き合わせをする留美。

その結果を元にいいアイデアを考える。








 

 

教室では粛々と八幡の授業が進められた。

 

最初は緊張もあると思うけど、ぎこちなさがとれて

慣れて来たのか八幡らしい落ち着いた雰囲気と

低くて意外と渋い声で教科書を朗読する。

 

教室の隅で静先生が満更でもない様な顔で静観してる。

 

「この俳句を読んだ人を分かる人はいますか?」

 

「はい、先生。」

 

「他にも誰かいませんか?」

 

速く当ててよね!他にいないんだから!

 

「じゃ、鶴見さん。」

 

何で嫌そうな感じで当てるのよ。

 

「松尾芭蕉です。」

 

「はい、正解。芭蕉はこの時の事を俳句にしたためて

いますが、他にもこんな俳句を読んでいます。07年の

○○大学の受験に出題され当時話題を呼びました。他にも……」

 

教科書に載って無いエピソード的な話を交え進学校の受験に

繋がる現役大学生らしい話題を出してアレンジしてる…

八幡も頑張ってるんだな。

 

最初は冷やかしをしてた吉田も大人しく授業を聞いてノートを

とっている。負けないようにノートに書き込みっと…。

 

 

・・・・

 

 

放課後,浜田君情報を仕入れに割りと仲のいい

クラスメイトの本田和美に其れとなく聞いてみた。

 

「そう言えば、もうすぐ野球の予選始まるのかな?」

 

「なに?珍しね留美が野球なんて、興味ないんじゃないの?」

 

「この時期になると予選とか甲子園大会とかテレビで

中継するしウチの学校は何処まで行けるのかなって?」

 

「う〜ん、予選とか練習試合がもう始まってるけど

難しいところだね。なんせ激戦の千葉だし

予選のベスト8まで残れば万々歳じゃないの?」

 

「そっかぁ〜甲子園ってそんなに凄いんだ。」

 

「うん、サッカーでもラグビーでも全国出場ってメチャ

凄いよ。有名大学から特待があるしプロもチャンスがあるから、

だから憧れるんだよ。」

 

「ウチのクラスの浜田君は一年でサードのレギュラーとれて

頑張ってるんだな。留美も応援してあげてよ。」

 

和美は自分の事の様に腰に手をやって胸を張っていう。

幸いな事に此方から聞かなくても話題を浜田君にしてくれた。

 

「一年でレギュラーって凄くない?上手いんだ、予選期待できそうね!

じゃ結構モテたりして。和美も狙ってるんじゃなの?」

 

「うん、そりゃあ〜仲良く慣れたらというか多少はね。

でも、望、望がいるからね…。」

 

「えっ、浜田君って望と付き合ってるの?」

 

「いや、付き合ってないけど、ほら、あれ望が浜田君に

お熱で浜田君に近づいて来る子、全部追い払っちゃうから。」

 

「野球部でもマネージャーやってるしクラスでも何時も一緒で

まとわり付いてる。」

 

「よく話してるのは知ってるけど、知らなかった。」

 

「最近じゃ、彼女みたいに振舞ってるって評判よ。」

 

和美、最後には不機嫌そうに零した。

 

「そうね、応援するたびに睨まれちゃうと困るもんね!」

 

「そうだよ、ほんと。」

 

深く溜め息をつく和美を横に苦笑いをついてしまう。

 

「肝心の浜田君は望の事をどう思ってるんだろうね?」

 

「さあ、そこまではね。ひょっとして留美も浜田君狙い?

ショック〜」

 

「ない、ない、ないから!絶対ないから、安心して!」

 

「そこまで否定しなくても、アハハ分かったから。」

 

「じや〜、私クラブあるから。」

 

「あれ?留美って帰宅部じゃなかった?」

 

「ううん、入部したの奉仕部に。」

 

「なにそれ?」

 

「悩んでる人や困って相談したいと思ってる人を

応援するクラブ、それが奉仕部。和美も相談事が

あったら訪ねて来てねクラブ棟の3階よ!」

 

「じゃあね。」

 

「うん、バイ!」

 

・・・・

 

奉仕部の部室に三人が集まった。八幡は何時もの様に机の角に陣取って

文庫本を静かに読みふけってる。ほのかちゃんも何時もより落ち着いてるけど、

作戦会議が今からかと多少緊張してるかな。

 

最初は私からの諜報活動報告だった。

 

「やっぱり、浜田君彼女いなかったよ。」

 

「えっ?…よかったぁ。」

 

ほのかは少しだけ安堵の顔を浮かべ嬉しそうだ。

この子は、はにかんだ時とか本当に可愛いい!

ポニーテールも凄く似合ってて和美によると

一部の男子に人気もあるらしい。

 

八幡は本を読みながら黙って私の報告を聞いてる。

 

「だけど、マネージャーの望が浜田君にアタック中

というか何時も一緒に行動してて最近は彼女の様に

振舞ってるみたい。」

 

「そう…。」

 

ほのかちゃんが言葉少なにポツリと言った。

 

「まあ、サッカーとか野球のレギュラーでクラスの

中心的な存在ならモテてもおかしくない。むしろ現状で

まだノーマークなのも珍しいぞ。」

 

「他にも狙ってる子多いみたい。」

 

「ライバルが多いってことだな、しかし、可能性はある。」

 

「可能性って?」

 

不安そうな顔でほのかちゃんが八幡に尋ねる。

 

「アタック中の野田望を筆頭にライバルはいるが彼女はいない。」

 

「だから?」

 

「同じくライバル参戦して私の事も見て!とアピール出来る。」

 

「そういう事ね。」

 

「そこでだ、名付けて『ステルスほのか』作戦だ!」

 

「はぁ?何それ?」「何するんですか?」

 

八幡がまた中二病な事を言い出した。

 

「聞~いてあげようじゃないかぁ~八幡くん~で、スっ、

ステルス?その『ステルスほのか』作戦って言う作戦を・・・」

 

ついつい、乗っちゃってヘスティア様口調でお相手を・・・えっ?

キャラが全然違うって?いいじゃん!うっさいわね!

 

「それはだな、俺の百八の奥義の一つステルスヒッキーの変化技だ!

いつの間にか気が付くと其処に居たり気が付くとすでに消えていたり

自分の存在を限りなく無にして周りに溶け込む技がステルスヒッキーだ。

その技の応用したのがステルスほのか・・・気が付くと何時も傍で見ている、

またいつも応援しに来てくれる、帰りがけよく会ったりする。

いつの間にか気になる存在になり、お互い両思いに。」

 

「何?そのストーカー?キモがられる存在になるだけだよ。」

 

ほんと、八幡大丈夫なの~?ほのかっちがストーカー犯罪者に

なっちゃうよ。物陰からいつも、そっと見ているってヤバイ…ヤバイよ!

 

「うん、引かれるの嫌だな、でもありがとう先生・・・」

 

「おっ、おう・・・」

 

なに、なに?八幡ほのかちゃんにお礼言われて赤くなってるし。

 

ほのかちゃんも頬を赤らめ俯き加減で困ってる。

 

「八幡、真面目に考えてよ。」

 

「う~ん、仕方ないだろ、むしろステルス・・・お勧めなんだけどな。」

 

「まだ言ってるの?却下!」

 

「留美、その言い方雪ノ下そっくりで怖いぞ。」

 

へっ~雪ノ下先輩と似てたんだ?覚えてこっと…

 

頭をガシガシかきながら不満顔で八幡も唸っている。

 

「でも、お弁当との差し入れとかはしてみても良いかもね。」

 

「あっ、それなら私にでも出来るかも。」

 

「他にも、考えなくちゃ。」

 

「やはりここはアイツらの意見を聞かないと俺だけでは

どうにもならん。」

 

「そうだね、雪ノ下・由比ヶ浜先輩ならいいアイデアを

聞けそう。」

 

「うん、でも私の為に相談に乗ってくれるのかな?」

 

「大丈夫だよ、先輩たち応援してあげるって言ってたもん!

ねっ、八幡!」

 

「あぁ、そうだな。ただし、過大な期待だけはしないようにな。」

 

「それはいいよね、ほのかちゃん。」

 

「ええ、大丈夫です。私の事応援して頂けるだけで

うれしいです。」

 

一通りの奉仕部の先輩の事と応援して貰える事を

ほのかちゃんには話をして了解を貰ってるから

明日の会議が少しだけ楽しみだしいいアイデアを

頂ければと思う。

 

 

話し込むと時間が経つのが速く下校時間が来ていた。

 

先輩達や八幡を交えて本格的な会議を明日にほのかちゃんと

帰り支度をして八幡にサヨナラのあいさつをした。

 

「八幡、明日もお願いね!」

 

「お前らも気を付けて帰れよ。」

 

「先生、ありがとう、さよなら〜」

 

「お前ら、じゃない〜!留美!」

 

「あ〜ルミルミ〜、ほのかっち〜気を付けろよ〜。」

 

ほのかちゃんが吹いてる〜笑うな〜!

 

「ルミルミ言うな〜キモい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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留美と八幡 ( 奉仕部ほのか会議 )



奉仕部OBを交え本格的に告白作戦の会議を開く事に。





 

 

 

教育実習も今週で、終わってしまう。

八幡、意外と授業が上手いから新卒の

先生って感じで錯覚をおこしちゃう。

 

来週、八幡の授業はもう無い。いつもの

静先生の授業だ。

 

ウチの学校に先生で来ないかな…八幡。

 

・・・・

 

放課後,奉仕部にほのかちゃんと急いで

足を運んだ。部室のドアが既に空いていて

其処には先に来て居た雪ノ下、由比ヶ浜先輩が

並んで懐かしそうにして座っていた。

 

「こんにちは、鶴見さんに一色さん。

ごめんなさいね、勝手に部室を開けて

押し掛けちゃって。平塚先生を訪ねて

お邪魔したら、先に部室のドアを開けて

くれたの。」

 

「やっはろー、留美ちゃんとほのかちゃん!」

 

「こんにちは、雪ノ下先輩、由比ヶ浜先輩。」

 

「初めまして、雪ノ下先輩、由比ヶ浜先輩。」

 

ほのかちゃんは少し緊張気味に挨拶してた。

 

「一色ほのかちゃんね、ほのかちゃんは

いろはちゃんによく似て可愛い!」

 

「えっ、そんな、でもお姉ちゃんがお世話になっいてます。」

 

「いえいえ、こちらこそ、いろはちゃんにはお世話になっています!」

 

「由比ヶ浜さん、姉妹なんだから容姿が多少は似てても

おかしくはなくてよ。」

 

「そうだよね、ゆきのんとこも美人の陽乃さんと感じ似てるもんね。」

 

「姉さんと性格はまるで違うけれども。」

 

「アハハ、美人は否定しないんだね。」

 

「はい、ウチも姉とは全然違います。姉は明るく

誰にでも打ち解けたり声を掛けたり積極的な性格

だけど私は内気で引っ込み思案で大人しいと思います。」

 

「そう言われると何だか雪ノ下姉妹と性格は類似してるな。」

と言いながら八幡が遅れて部室に入って来た。

 

「遅いぞ、ヒッキー!何やってたの?」

 

「在学中でもよく遅れて来る事が割とあったわね、一体

何をやっていたのかした遅刻谷先生?」

 

「教育実習生はやる事結構あるんだよ、これでも

早目に来たほうだ。それに在学中の事は時効だ。」

 

「そうなんだ、そう言えば平塚先生に職員室で

色々言われていたもんね。」

 

「あ〜説教が長くて堪らん事もあるぞ、最近自分の

ストレスのはけ口を俺にブチまけている感じがする。

誰が早く貰ってくれないかな?」

 

「ヒッキー、それ聞かれるとヤバイよ。」

 

由比ヶ浜先輩がアハハッと苦笑いを。

 

「そうね、しっかりと後で報告するとして

そろそろ今日の本題に入りたいわ。」

 

「あ〜報告しちゃうのかよ、報告しなくていいから、

報告しないで下さいお願いします!」

 

また、八幡が雪ノ下先輩に謝ってる。ホント、弱いんだから。

 

「それでは先輩の方々にも参加して頂いての、

『一色ほのか告白作戦』を開きます。」

 

「うん!みんなで良いアイデアが出るといいね!

頑張ろう〜!」

 

「そうね、考えてみましょう。」

 

「はじめるか。」

 

「皆さん今日は集まって頂いて有難うございます。

私事で申し訳ないのですが…よろしくお願いします。」

 

顔を真っ赤にしながらほのかちゃんが挨拶し会議となった。

 

「皆さんのお力を借りる形で申し訳ありませんが、

良いアイデアを頂ければと思います。」

 

「まず………。」

 

これまでの経過と想い人、浜田君情報を報告し

3人でまだ、思った程良い考えが浮かばず困って

いる事を告げた。

 

「やり過ぎるのは良くないけれど、自分をアピール

するには比企谷君の案はいいかも。」

 

「そうね、お弁当は私もいいと思う。私もやって

みようかな?」

 

由比ヶ浜先輩が八幡の方を上目使いで頬を赤らめて

見てる。もぅ〜なに?

 

「止めた方が良いぞ、由比ヶ浜!お前が作った弁当で

そいつが亡くなるのは余りにも気の毒だ。」

 

「お弁当で相手、殺しちゃうってどんだけ酷いレベル

なんだ〜!そんなに酷くないし〜!」

 

「そうね、由比ヶ浜さんは5回に1回は食べられる物を

作れる様になったけれど、まだ人に食べて貰うレベル

にはなっていないわね。」

 

「ユキノンまで、酷い〜!」

 

「私は事実を言ったまでで、今後の成長と期待の意味を込めて

頑張るしかないわ。」

 

「ロシアンルーレットかよ、後、雪ノ下フォローなって

ないぞ。」

 

「えへへ、ヒッキーが庇ってくれた。」

 

「庇った覚えがないんだが…。」

 

「庇ってないんだ〜!」

 

なぜか、由比ヶ浜先輩ハブられてる可哀相。

 

「兎に角、一色さん料理の方はどうなのかしら?」

 

「割と家にいる事が多いので最近は母の代わりに

料理をする事があるので美味しくはないかもしれないけど

作れると思います。」

 

「お〜 一色、それは特技の一つになるしピーアールとしては

ポイント高い。」

 

ブウ〜八幡、ほのかちゃんには何か甘い感じ。私の時と

違うし。

 

「私もイイセンいってるよね比企谷先生〜、この前の

玉子焼き美味しいって言ってくれたもんね!」

 

「えっ?」「………。」

 

「比企谷先生にお弁当食べて貰ったの留美ちゃん?」

 

ほのかちゃんが不思議そうに私に聞いて来た。

二人の先輩は少しだけ驚きを隠せず一瞬フリーズ状態に。

 

「お昼休みに私の作ったお弁当を美味しいって食べてくれたんだ。

私が『あ〜ん』してよって言ったら『あ〜ん』って

やってその後、美味しいって。」

 

「へぇ〜。」「………そう。」

 

うわ、二人ともヤバッ!恐い、恐い。でも、言っちゃった!

 

「誤解だ!昼休みに俺が何時ものベストプレイスで

パンをパク付いてたら留美の奴、奉仕部の事を聞きに来て時間が

無くなったと言ってうるさいから弁当を食べるの手伝っただけだ!」

 

「でも、『あ〜ん』はしたんでょ?」

 

「は…い、一回だけ、仕方なく。」

 

何で浮気がバレた旦那さんみたいになってんのよ八幡!

 

「何それ、仕方なくって?美味しいって嬉しそうに

言ったじゃん!」

 

「ヘェ〜美味しかったんだぁ〜。」

 

二人の先輩は伏し目がちに八幡をみてブツブツ言ってる。

 

「じゃ〜さ、ヒッキー今度私がお弁当自信作を

持って来るから食べさせてあげるね!」

 

「ゲッ!気持ちだけ貰っておくから由比ヶ浜は食べられる物を

作れる様になってから検討してもいいから、それからで。」

 

「大丈夫だよ!食べられるもん!」

 

「由比ヶ浜さん、5回をせめて2回に1回にしてから

それから考えましょうね。」

 

「慰められたぁ〜!」

 

慰めてないから、由比ヶ浜先輩・・・

 

「コホン、その点、私は何時でも大丈夫だから…

その実習が終わってからお弁当を一緒に食べても

いいのだけれど。」

 

さりげなく自分を抜け目無くアピールする雪ノ下先輩が

何故か可愛らしい。負けてないよね。

 

「あ〜俺の弁当の心配はいいから、ほのかのお弁当とか

対策をだな。」

 

「話が逸れたわね、それは後で検討する事にして。」

 

雪ノ下先輩が恥ずかしそうにコホンと咳をしてる。

 

「後でまたするんだ。」

 

顔を引きつらせて笑ってる止めて不気味だから、八幡…

 

「今度の練習試合後に彼に差し入れるのはどうかな?」

 

「そうね、今度の日曜日に練習試合があるからいいかも。」

 

「ほのかちゃん、いいかな?」

 

「あっ、はい。頑張ります!」

 

頬を染め俯き加減に返事をするほのかっち、胸の前で小さく

コブシを握ってる。あっ、私が見たんで恥ずかしがってるけど、

張りきろうって感じがする。

 

「でも、マネージャーの存在も気になるわね。」

 

由比ヶ浜先輩がポツリと言った。

 

「う〜ん、クラスも一緒で同じグループだし何時も

一緒にいる感じがするんだ。」

 

「ホントにつきあってないの?」

 

「違うみたい、それは教室で見てても分かるから。」

 

「なんか、高校の時の優美子みたいだね。」

 

由比ヶ浜先輩がポツリ、思い出したように言った。

 

「兎に角、マネージャーさんをお弁当手渡しする時に

彼氏から引き離さないとややこやしくなりそうね。」

 

「それ、あるかも!」

 

「問題はそこだな。」

 

「お熱の子に恨まれてもな、上手く引き離さないとうるさいぞ。」

 

「そこは私がなんとかするしかないね。」

 

「頑張れるか、留美?」

 

「うん!八幡が頑張れっていうなら頑張る!」

 

「八幡…。」「コホン…」

 

「比企谷先生は凄くモテるのね。」

 

「ばっかお前、そんなんじゃない!平塚先生から

言われてるから仕方なくだ。」

 

「お〜お〜ヒッキー恥ずかしがってる!」

 

満面の笑顔の二人、その迫力に八幡は何故か

ビビってるよ。

 

 

 

 

 

 



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留美と八幡 ( さよなら比企谷先生 )




教育実習も終了日となり八幡が学校から去って行く。
淋しくなる留美は……








 

 

バタバタ脱線しながら楽しく会議を終え、

ほのかの趣旨にあった告白をする事に。

 

それは「後悔しない様にお弁当を渡し自分の気持ちを

伝える。」だった。

 

「それじゃ、今度の日曜日にある練習試合の時に

お弁当を手渡しして告白をするんだね。」

 

「はい、頑張ります!」

 

うわ、何時になくほのかちゃんが燃えている。

軽くコブシを握りガッツポーズだよ。

 

「頑張ってね、ほのかっち!応援するからね!」

 

「ええ、いい結果になるよう頑張って。」

 

由比ヶ浜先輩、なんか自分が告白するみたいに

ほのかちゃんの両手をとって目をウルウルさせてる。

 

雪ノ下先輩は穏やかに微笑みながら頑張れって言った。

 

みんなの応援に嬉しそうなほのかちゃんに八幡が釘を

刺してきた。

 

「一色、たとえどんな結果になってもだ、頑張った結果だ。

上手く行く時もあればいかない時もある。結果をちゃんと

受け入れて行く様にな。」

 

「そうね、こればかりは相手の意思もあるし此方が

努力したからって報われない場合もある事だし。」

 

「二人とも前向きに行こうよ!正義は最後に勝つんだよ!」

 

「其れを言うなら『愛は勝つ』じゃ、なくて?」

 

「あっ〜そうとも言うし〜。」

 

由比ヶ浜先輩が焦ってるけどほのかちゃんを励まして

くれてありがたい!

 

最終決戦を前に円陣を組んでほのかちゃんにエールを

送った。(これ、八幡と雪ノ下先輩はやりたがらなかったが

由比ヶ浜先輩に推され渋々やってた。音頭をとったのは

勿論、由比ヶ浜先輩 )

 

俺には縁が無いと思ってたと八幡が零してた。

もう、立派な仲間がいるのに「ボッチ」じゃないよ八幡くん。

 

 

・・・・・

 

 

後2回残っていた八幡の授業も無事終了し金曜日の放課後を迎えた。

今日で学校での八幡とはさよならだ…。

 

今週奉仕部の活動は当日のお弁当献立作りとその練習に

料理を作り八幡に味見をしてもらったりと忙しかった。

八幡はほのかちゃんが作った料理を「小町よりはイマイチだけど

大丈夫だ俺が保証する」って絶賛してくれたしほのかちゃんも

喜んでた。たけど、どんだけシスコンなの?

 

でも、来週から部室の隅で本を読んでる八幡がいなくなるのは

寂しい、別に何をやるでもなく座って本を読んでるだけなんだけど

其処にいるだけで安心できるもん…嫌だな。

いつの間にかいて当たり前の存在になってる。

来週から其処にはいないんだ。

その事を考えない様にしてたけどやっぱ、ダメだよ…

いやだ…いなくなるのは嫌だ。私のワガママ聞いてくれた…

ずーっと面白くなかった生活が八幡が来てから何だか

毎日楽しかった。ほのかちゃんも、ううん、ほのかだけじゃない

静先生も今日は特にさみし気だ。

 

八幡に授業のお礼と記念としてカンパで買った

ネクタイをプレゼントした。

八幡って、メチャ驚いちゃってアタフタしてた。

「バッカお前ら、嬉しすぎるだろ止めろよ。」って。

八幡のクスんだ目に光るものが見えちゃった!

私も泣いちゃったけど…授業ありがとう比企谷先生…

 

 

ほのかちゃんと二人、部室に行く為、職員室にカギを借りるのと

八幡の様子を見に行ってみた。

 

最終日、最後の挨拶や雑談を数人の実習生の中で八幡は

ヤレヤレって感じで混ざってた。

他の実習生は先生方と楽しそうなんだけどね。

 

「どうした?比企谷〜。」

 

静先生に一言二言何か言われてから八幡がボソッと言って

話してるけど、いきなり静先生…八幡にヘッドロックを

かけてる!うわ、先生〜女の子だからダメだよもう〜。

 

「そう言う事だからこれからも頑張れよ!」

 

静先生が八幡の背中をバーンと軽く叩いた。

 

「うっ、平塚先生、お願いだから止めて!俺、壊れちゃうから。」

 

八幡、思いっきり焦ってるけど大丈夫かな?

 

私達が見ているのに気付いた静先生が八幡に言った。

 

「比企谷先生、最後の奉仕部、指導を頼む。」

 

「うっす!」

 

私達に気付いた八幡は照れ臭そうによって来て

 

「部室に行くか。」って言って頭をガシガシと

かいて教室を後にしたのだった。

 

奉仕部の部室での3人はいつもの様に八幡が本を

読んで静かにしてる。私とほのかちゃんは、

浜田君に渡した下駄箱の手紙の事で盛り上がった。

 

私に迷惑をこれ以上負担をかけたくないと

ほのかちゃんが調整を辞退し下駄箱のラブレターに

変更したのだ。

 

「どんな感じで書いたの?」

 

「普通だよ、試合の始まる前に待ってますって。」

 

「え〜来なかったらヤバくない?」

 

「その時はまた改めて作ってアタックするから。」

 

「そっか、ほのかちゃんがいいならいいか。」

 

「うん。」

 

下校時間になり駐輪場でほのかと「明日、ガンバ!」

って言いながら笑ってさよならした。

 

 

・・・・・・・

 

 

バス停で八幡を待った。

 

遅れて来た八幡は少し驚いていたが黙って

すぐ横に並んだ。

 

「どした、バスまだ来てなかったか?」

 

「うん、来てなかった。」

 

「そっか、じゃ仕方ないな。」

 

「そう、仕方ないよ。」

 

バスの来るまで何と無く気まずいや。

あ〜速く来ないかなバス。

 

バスはやがて二人を乗せ駅へと向かう。

 

「明日…。」

 

「明日がどうした?」

 

「明日は八幡どうしてるの?」

 

「明日は千葉テレビでプリキュア見て小町の作った

料理をゆっくりと食べて過ごすから忙しい。」

 

「特に用事はないのね?」

 

「いや、だから家で」「ないのね?」

 

「お前、雪ノ下かよ?」「お前じゃない、留美。」

 

「あ〜 分かったよ、留美。で、どうするんだ?」

 

「お買物に付き合ってよ。」

 

「ほのかと行ったらどうだ?ほかの友達とか。」

 

「八幡がいい。」

 

「だから、ほのかっち・・・そうだ由比ヶ浜だったら

いい物選んでくれるぞ!」

 

「八幡がいいの!」

 

「・・・はいはい、分かったよ。」

 

「あと、映画とかも見たい。」

 

「映画か?そう言えば封切りの奴が何本が

あったな。」

 

「それでいい。」

 

「で、何時にする?」

 

「じゃ、10時にララポートは?」

 

「了解〜。」

 

「……ん。」言ってて顔が火照るのが分かる。

 

えっ?ヤダ?八幡簡単にデートOKしちゃったよ。

アタフタと焦り気味でいるとバスは駅についてしまった。

 

顔を真っ赤にしてる私を後目に「じゃあな。」と八幡。

 

「うん、明日…」

 

離れて行く八幡の後姿をずっと見ていたいと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 






もう少しだけつづきます。



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留美と八幡 ( ハプニングデート )



八幡とのデートを楽しむ留美、だけど偶然鉢合わせ
となった二人に驚く。








 

 

 

う~っ、遂に言っちゃった!勢いで言っちゃった!

 

どうしよう~家に帰ってから恥ずかしくなってきて

ベッドに潜り込んで枕に顔を埋め足をバタバタさせたよ。

 

帰りがけ八幡が言った「じゃあな」言葉を

思い出したら急に顔が火照って恥ずかしくなる。

 

…………そうだ、明日着て行く服考えなくちゃ。

 

まず上は明る目のカーデでいいよね?胸元のアクセントに

軽めのブローチかプチネックレス。下はやっぱスカート…ん。

この前買った可愛いプリーツスカートとパンプスでで決まり!かな?

鞄はお気に入りのトートーバックで。

 

あれこれ考えてるうちにママに呼ばれ夕飯の支度を手伝い

夕食を済ませお風呂に入って早目に休む日事にした。

 

…やっぱり眠れない。ドキドキする…。

 

今週は色々と忙しかったし、隔週休みの明日…は楽しみだ。

いい日になるといいな、そんなことを考えいるうちに眠りに付いた。

 

・・・・・・

 

天気になって良かった~♪

 

朝シャンして髪を乾かし、いつものロングを大人っぽいサイドテール風の

大きめの三つ編みにしベージュのシュシュでまとめてみた。

メークもナチュラルに・・・身支度を済ませ朝食のパンを食べてると・・・

 

ママがポツリ、「留美ちゃん、彼氏出来たの?」

 

「てっ、いるわけ無いよそんなの!」

 

「そう?やけにおめかしするし。」

 

「出来たらちゃんと言うし!」

 

「あら~それは楽しみな事!どんな彼氏が来るのか楽しみに待ってるわ。」

 

「友達と買物だもん!」

 

「珍しいわね、あなたが友達と買物だなんて。」

 

酷ど… そりゃあさ、友達少ないけどいない事ないもん!

一緒に遊びに行く事は少ないけど、あんまりだ知らない!

 

「・・・・・」

 

「行ってきます!」食パンを口にぶら下げ慌てて家を飛び出した。

 

も~うるさい、うるさい!そんなんじゃないんだから!

お礼のつもりで行くんだから・・八幡デートした事ないみたいだし。

 

ふん、ママは娘に彼氏出来るの面白がってるし、ちっとも面白くないし!

 

兎に角、ララポートに向かって駅に急いだ。

 

30分前には着いたしちよっと早いけど待合わせ場所に行ってみたら

八幡が来てた。

 

「八幡、おはよ!」「うっす、留美。」

 

「ちょっと、早くない?そんなに早く留美に会いたかったの?」

 

八幡って、ひょっとして私に気があるんじゃない?

 

「バッカ、遅刻するよりいいだろ?それに留美だって早いだろ?」

 

「まあ、そうだけどさ・・・」

 

手持ち無沙汰に髪を触っていたら八幡がやっと気付いてくれた。

 

「まあ、その何だ・・髪型変えたのか似合ってるぞ。」

 

「そう・・ありがと。」

 

やだ、顔が赤くなる反則だぞ八幡!

 

「それで何処行くんだ?」「えっ?」

 

「買い物行くんだろ?」「あっ、別に決めてないし。」

 

「何だよ?」「何でもいいじゃん!」

 

「分かったよ、付いてくよ。」

 

「んっ、取りあえず雑貨屋さんから覗いてく。」

 

「あいよ。」「八幡。」「ん?」「もっと嬉しそうにして。」

 

「何で?」「私と一緒に買い物してるから。」

 

「相変わらず、スゲー上から目線。ルミノ下さんと呼ぶぞ!」

 

「何それ?雪ノ下先輩?全然面白くなかった。雪ノ下先輩にも

言われてるでしょ、もっと愛想よくするように?」

 

「喧嘩売ってんの?」

 

「愛想よくね、八幡!」ニコっと笑顔で小首を傾げて言う。

 

「あ〜分かったから!」ブツブツ言いながら返事をしてた。

 

「うん、不気味なのは徐々に治すとして訓練してね。」

 

「はいはい。」「『はい』は一回だよ八幡。」

 

ふふっ、八幡が困ったような顔してガシガシ頭をかいてる。

ちょっと八幡さん、可愛い!

きっと、雪ノ下先輩もこんな感じなんだろうな。

八幡と雑貨巡りしながら小物を手に取って一緒に

選んだりした。可愛いアクセとか私があわせて八幡に

見て貰ったりして楽しんだ。買い物がこんなに楽しいと

思ったの久しぶりかな?最初は恥ずかしがってたけど、

慣れてちゃんと見てくれるし選んでくれてるみたい。

良かったかな、お気に入りのショップへ行って服も

選んでみた。八幡、女物はよく分からんと言うから

どっちが良い?とか言って選んだり楽しく回ってみた。

あれこれ回ったから少し喉が乾いたし休もうと

気の利いたカフェに入りお茶して一息付いて

映画館に移動してるところに彼女達にバッタリ出会ってしまった。

そう、オリジナル一色こと、いろは先輩と八幡の妹さん、小町先輩に。

 

・・・・・

 

「おやおや?其処にいるのはもしやお兄ちゃんでは?」

 

「えっ?何で小町がここに?げっ、しかも一色までも!」

 

可愛らしいお洒落な二人組がよって来た。

 

一人はほのかに似た、覚えてる一色いろは先輩だ。もう一人は

昔会った事ある、八幡の妹さん小町先輩だ。

 

「せ〜んぱい!何をしているんですか?其処にいる可愛い子は

誰なんですか?一体先輩とどう言う関係なですか?どうして二人で

買い物してるんですか?」

 

うっ、ほのかから聞いていたけどいろは先輩メチャ怖い!

笑顔で八幡に物凄いプレッシャーかけてる!

 

「ううっ、一色お前も会った事あるぞ。留美だよ、ほら一色が

会長になって合同クリスマスパーティーの時に演劇のヒロイン役を

やった鶴見留美だ。今、総武高の一年でお前達の後輩だ。

小町も千葉村とかでも覚えているだろう。其れから、

この前俺が教育実習生で総武高へ研修に行った時に

教えていたんだ。」

 

八幡が早口に一気にいろは先輩へ言い訳よろしく説明をした。

 

「鶴見留美です、お久しぶりです、一色先輩、比企谷先輩。

あの時はお世話になりました。」

 

「いやいや、留美ちゃんですね!お久しぶりだよ〜!其れはそうと

お兄ちゃんはその留美ちゃんとデートなの?」

 

いや…小町先輩デートと言われましても困るんですけど…

 

「あの時の留美ちゃん?私達の後輩だなんて嘘みたいだね。

てっきり私と言うものがいながら先輩が他の女の子にちょっかいを

掛けてるのかと思いましたぁ〜。」

 

「あの〜一色さん?いろはさん?何時から俺とお前が付き合ってるんですか?」

 

「何言ってるんですかぁ〜?先輩と私の仲じゃ〜ないですか。」

 

「誤解を招く言い方はよしてくれないですか?」

 

八幡はさも嫌そうな感じで鬱陶しそうに言ってるけど本当にそうなの?

それといろは先輩、顔は笑顔なんだけど目が笑ってなくて怖いよ!

 

「まあ、留美が実習の時のお礼も兼ねて買い物に付き合って

欲しいって事なんでな。」

 

「へぇ〜、まあ私としては候補がまた一人増えたって事で

嬉しい限りなんですがね。」

 

「小町さん、小町さん・・・もうこれ以上候補者増えてもね?

それに、うちらの後輩だし。」

 

「いえいえ、後輩だろうと先輩だろうと決めるのはお兄ちゃんだし!ね?」

 

「兎に角、そんなんじゃ~ねえよ。」

 

何でそんなに一生懸命否定すんのよ八幡!

 

「じゃあ、そろそろ映画始まっちゃうから行こう八幡!」

 

八幡の二の腕をちょっと、摘んで二人に笑顔で挨拶してみた。

 

「ん?おうっ・・・」

 

「 ・・・・えっ?八幡って何ですか?先輩の名前呼びですか?

先輩も許してるんですか?私は先輩なのに後さっき彼女の事、

名前呼びなんですか?私は苗字呼びなのに何でですか?

それに何で二の腕に絡まれているんですか?先輩?」

 

一色先輩声が低い、怖い、怖い!笑顔が怖い!

八幡がビビってる!速く逃げたい!

 

「えっ?まあ、昔から留美って呼んでいたからな。」

 

「そうなんですか?じゃ~私も八幡って呼んでいいですかぁ~?」

 

「いや、お前はダメだ!あざといからな。」

 

「え~それって酷くないですかぁ~?」

 

「いや、お前にはその位で丁度いい。」

 

「え~酷い~留美ちゃん羨まし過ぎる!」

 

「そうだ、何の映画見るんですか私達も付き合っちゃおかな?」

 

え~そんな嫌だなマジで付いてくんの二人とも?どんだけ八幡の事好きなの

ダメだって!

 

「いや~それは先約の留美ちゃんに譲ってあげて次回のお楽しみって事で

いいんじゃないですか?一色先輩!」

 

小町先輩が助け舟を出してくれた、サンキュです!

 

「そうだな・・留美との約束があるからな・・」

 

八幡の屁っ放り腰!

 

「ぶぅ~!絶対ですよ約束ですからね!せ~んぱい!

次回は私をデートに連れてって下さいねきっとですよ!」

 

「ああ、機会があればな。」

 

「直ぐに連絡しますね~デ・イ・ト。」

 

「でわでわ、私達はこれにてお兄ちゃん?」

 

「何だよ?」「ちゃんとエスコートしてあげてね!」

 

「はいよ。」

 

「留美ちゃん、せ~んぱい、じゃまたね!」

 

最後まで一色先輩は怖かった・・・

 

「「はぁ~~っ・・・」」

 

八幡と二人で大きなため息をついた。

 

八幡ってメチャクチャモテルじゃん!それも美人で可愛い人ばっか!

だけど、私といる時は私の事だけ見てよね・・・バカ・・

 

 

・・・・・

 

 

「物凄く疲れたね八幡?」「全くだ・・・」

 

 

トボトボ映画館に移動し映画館でやっと落着く事が出来た。

 

映画は私の好きな洋画のアクション物だった。

凄く迫力があって最後のヒロインとの別れが少し悲しく

泣けて来る様なものだった。途中、危ないシーンでうっかり

八幡の手握っちゃったし最高に面白かった!

 

映画館を出たらすっかり日が暮れかけていた。

 

「飯でも食ってくか?」「うん」

 

「何が食いたい?あんまり高いところはダメだぞ。」

 

「大丈夫、何でもいい。」「ラーメンでもか?」

 

「いい、八幡が決めてくれるんなら何でもいい。」

 

「サイゼでもいいのか?」「うん。」

 

「じゃ、そこのパスタ屋さんはどうだ?」「うん、いい。」

 

パスタ屋さんで私はドリアを八幡は普通のミートスパを食べた。」

 

「意外とイケるな。」「うん!美味しい。」

 

セット物の飲み物で八幡と私はカフェオレを頂きポツリポツリと

話をした。

 

「あのさ・・・」「うん?」

 

「ありがとう・・・・・」

 

「お礼を言われる様な事してないぞ。」

 

「ううん、ずっと言いたかった。小学生の頃から八幡には

助けてもらった。」

 

「千葉村の事か?」「うん。」

 

「当時は分からなかったけど今なら分かる!どれだけ楽になったか。

後ね、クリパの時に色々面倒を見てくれた。演劇をやらしてくれた。

少ないけど友達が出来た。ありがとう・・・」

 

「そうか・・でも何もしてない。」

 

「何故そんな事言うの?私は八幡に感謝してるし、」

 

「止めろよ!」「えっ?」

 

「俺はしてない。感謝される事は何も。」

 

「・・・・分かった。」「何をだ?」

 

「八幡はした覚えが無くても私は感謝してるの!だから、それでいい。」

 

「よく分からんな・・」「うん、よく分かんない。だけど、それでいい。」

 

お互い言ってる事は平行線だけど八幡の事が少し分かった気がする。

 

ありがとうね、八幡・・・

 

 

・・・・・

 

 

「本当にここでいいのか?」

 

パスタ屋さんを出て駅の改札口でさよならをする事に

 

「うん、ここでいい。八幡今日はありがとう・・・あの・・・」

 

「うん?」

 

「楽しかったよ・・・」「ああっ、俺もな。」

 

「明日、いよいよだね。」

 

「ああ、明日いよいよだ。」

 

「じゅあね、八幡。」

 

「じゃあな、留美。」

 

 

 

 

 

 

 







二期のルミルミ場面カット、かなり寂しかったです。
アニメの場合仕方ないのかな?もう少しゆっくりと
進行してくれればいいかと思いました。その分、
皆さんにルミルミ補充していただければと思います。
留美と八幡次回、最終回になると思います。











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留美と八幡 ( 大好き! ) 留美編 最終回 



いよいよ、ほのかの告白が始まる、果たしてどうなる?








 

 

告白当日を迎えた。ほのかの勝負する日だ。

 

何だか自分が告る様な感じがしてホント、

ドキドキしちゃう。

試合は午後1時からみたいだけど、朝9時から

練習らしく日曜にしては朝早くから自宅を出て

ほのか、先輩達と学校に集合した。

 

「うす。」「八幡おはよ!」「比企谷先生おはようございます!」

 

「留美ちゃん、ほのかっち、ヤッハロ~!」

 

「鶴見さん、一色さん、おはよう!」

 

「「おはようございます、由比ヶ浜先輩、雪ノ下先輩!」」

 

「緊張するけど大丈夫だから、皆んなそばにいるからね!」

 

由比ヶ浜先輩が鼻息荒くほのかにエールを送る。

 

「うん、大丈夫…殲滅しましよう。」

 

「雪ノ下、敵じゃないんだから殲滅したらダメだぞ。」

 

「そうね、兎に角頑張りましょう!」

 

雪ノ下先輩は、どうもこの手の応援の類いは苦手みたい…

由比ヶ浜先輩が苦笑いしてる。

 

八幡に小声で話しかけてみた。

 

「八幡、昨日はありがと付き合ってくれて・・・」

 

「あ~別に・・それより留美、昨日はあれから大変だったんだぞ!」

 

「えっ?どうかした?」

 

「家に帰るなり小町に色々と根掘り葉掘り聞かれるし、

一色の姉ちゃんからスマホに電話が掛かってきてアレヤコレヤ

言われて堪らんかった。」

 

「色男さんはモテて仕方ないみたいで良かったですね!」

 

思いっきり二の腕を抓ってやった。八幡、「てぇ~!」って悲鳴を

上げるから皆んなビックリしてこっち見たから思わず首を

引っ込めちゃったよ・・・あ~はずかし。

 

 

・・・・・・

 

 

「約束の時間は10時……果たして彼は練習を抜けて

来てくれるのかな?」

 

「どうかな?」

 

「来てくれるよ、きっと…。」

 

ほのかはさっきまで、緊張してたけど落ち着いたのか

前を見据え時間の来るのを待っている。

 

場所は校舎東側の踊り場にした。あそこはあまり人が来ないし

今日は日曜で丁度いい。隠れる所も割とあるから取り巻きが

隠れるのにはもってこいだ!

 

そろそろ時間になる各自緊張が走る……物陰に隠れてと。

だけどね、一番緊張してるのほのか本人、何だよね。

私達まで緊張する必要あんまり無いんだけど。

 

・・・・・・

 

そして、定刻通り彼はやって来た。彼こと浜田君は真っ黒に

日焼けし帽子を目深に被り野球のユニフォーム姿でやって来た。

 

ほのかを見つけると爽やかに掛けて来た。

 

「おはよ!一色、俺を呼び出したのって君かな?」

 

「うん、おはよ!浜田君!そうよ、私だよ。」

 

「そっか、あの話しって何かな?」

 

「うん、あの…これお弁当何だけど良かったら

食べてみて。いつも応援してる…試合頑張ってね!」

 

「えっ?いいのか?」

 

「うん!作ってみたの…」

 

「ありがとう、一色…お昼に頂くよ。」

 

「うん…」

 

「あのね、浜田君……」

 

「なに?」

 

「私ね、あなたの事が好きなの…入学した時からずっと…」

 

「えっ………」

 

「よかったら私と付き合って下さい……。」

 

「そっか……悪い、俺・・・他に好きな子いてさ…一色とは

付き合えない……友達でよければ」

 

「あっ…そうなんだ…仕方ないね…ありがとう。

……聞いて貰えてよかった。」

 

つぶらな目に涙を一杯溜めて頬に一筋伝う。

真っ直ぐ目を逸らさずに彼を見つめ、やがて笑顔を向ける。

応援していた私の目にも涙が溢れていた。

 

バツが悪いのか浜田君は頭をかきながら彼は

恥ずかしそうに笑い、ほのかにとんでもない事を言った。

 

「一色、お前の勇気を出した告白ありがとな・・・

俺も一色を見習って片思いの相手に告ってみるよ。」

 

「えっ?」

 

ほのかちゃんの顔が一瞬に青ざめた。だってそうだよね、

今さっき大好きな人に勇気を出して告白したら振られちゃって、

その勇気を感心されて自分も違う女の子に

好きだと告白するって目の前で言われたのだから。

 

「うん、頑張って自分の思いを告げてみるよ鶴見に。」

 

「…………………。 」

 

今ここで見てる全員がフリーズしている。

 

「俺、鶴見…留美の事が好きなんだ。

だから、他の誰とも付き合いたくない。」

 

「予選でいい結果が出せたら留美に告白しようと思ってる。」

 

ハニカミながらトボけた事を言ってる……バ〜カ。

 

「彼は相手の気持ちを考えた事が無いの?」

 

「最っ低~!」

 

「それは言わないお約束だよな?」

 

雪ノ下・由比ヶ浜先輩が超怒ってる・・・激怒だ、

雪ノ下先輩はゴミでも見るかのような感じで、由比ヶ浜先輩は

キッ!と目を吊り上げコブシがプルプルしてる。

八幡なんか不気味なひきつり笑いをしてる…

 

聞いていた私も駆け出して行って彼にビンタを喰らわせたい!

そりゃビックリはしたけど相手の事を思いやれない奴は

大嫌いだ。

 

「じゃ、一色ごめんな。」

 

彼は照れ臭いのか頭をかきながら帽子を被り直し走り去って

行った。残されたほのかは、やがて、しゃがみ込みすすり泣いている。

 

どうしていいのか分からない、声をかけていいのかも。

 

「八幡…どうしたら…」

 

「由比ヶ浜、悪いが頼む…」

 

「分かった。」

 

由比ヶ浜先輩が「頑張ったね。」と言ってほのかちゃんを

慰めに行ってくれた。先輩も涙ぐんでる。雪ノ下先輩も心配そうに

ほのかを見ている。

 

「留美、俺と来い。」

 

私と八幡はその場を離れて休憩所の自販機で買った

コーヒーを飲みながら半ベソをかいてる私に

ポツリポツリと話をした。

 

「流石に留美がほのかの所今行くのは辛いだろう。

落ち着いてから慰めてやるといい。」

 

「分かった、そうする。」

 

「これからお前達の友情なり友達関係が崩れる可能性がある

でも其れはある程度仕方の無い事もある。自分がほのかの立場になって

考えればいい顔ができないのも分かるだろう。」

 

「うん、分かるし…分かってる。」

 

「でも恨んじゃダメだぞ留美。」

 

「うん…ありがとね八幡。」

 

「お礼を言われる様な事はしちゃいない。」

 

「ううん、ありがとう。」

 

「だから、お礼を……?」

 

涙が溢れちゃってもう駄目と思ったら

八幡に抱き付いて泣いた。

 

八幡、ビックリしてたけどヤレヤレとすぐに頭を撫ぜてくれた。

そう…私が落ち着くまでそうさせてくれた。

 

「ほのかが可哀相だもん…うっ、あんなに好きって…

言ってたのに。」

 

「そっか。」

 

「ううっ、何で浜田のバカ…ほのかの事もっと思いやれないの?」

 

「ああ、そうだな。」

 

「浜田なんか全然ガキだし嫌い!」

 

「告白する前から嫌われたもんだな浜田は、俺もガキだけど。」

 

「八幡は違う!」

 

「顔も見たくない!絶対無視してやる!」

 

「私が浜田だったら絶対ほのかの告白受けるもん!」

 

「その気持ちはわからんでもない。」

 

「うっさい、バカ八幡!」

 

「留美がほのかの事、本気で応援してたの本人もよく分かってるし

俺も知ってる。雪ノ下達も皆んな知ってる、だから分かるぞ。」

 

「バカ八…幡…」

 

 

八幡の胸で顔を押し付け思いっ切り泣いたら落ち着いてきた。

あ~あ、シャツが涙で濡れてベタベタに。

 

やらかしちゃった…恥かしい。

 

顔を上げたくない、泣き顔…八幡に見られたくない。

 

「ごめんなさい…八幡、顔を見ないで…離れるから。」

 

「分かった。」

 

下を向いて避けるようにして化粧室に駆け込み

顔を洗っているほのかに出くわした。

 

「あっ…やっば、ダメだった。」

 

「そんな事ないよ、ほのかは女を上げたもん!」

 

「浜田がいなくなってから泣いたし我慢したもん!」

 

「浜田なんか大っ嫌い!」

 

「彼の事悪く言わないで、お願い…ううっ」

 

ほのかが彼を庇いすすり泣き出した。

 

「分かったから泣かないで、ほのか。」

 

「彼から…告白があったら真剣に…考えてあげて。」

 

「そうだね・・・考えてみる。」

 

ほのかの手前そう言って慰めた。

 

「ありがとね、留美。」

 

いつまでも優しいほのかを思いっきり抱き締め、

二人で泣きあった。

 

 

・・・・・

 

 

こうして奉仕部の告白作戦は見事失敗に終わったのであった。

 

「八幡、今日はありがとう…」

 

「雪ノ下先輩、由比ヶ浜先輩ありがとうございました。」

 

「残念な結果だけど、いつかもっと素敵な恋をすると思うわ、

一色さん、鶴見さん。」

 

「うん、残念だけどね、ガンバ!」

 

「お二人には感謝で一杯です、ありがとうございました!」

 

「比企谷先生、今日までありがとうございました。

とても楽しかったです、感謝します。」

 

ほのかが、元気を取り戻し三人に挨拶をし、お互い目があったとこで

声を合わせ最後の挨拶をした。

 

「「三人の先輩方また、遊びにきて下さいお願いします!」」

 

「おう、じゃまたな!」

 

「それじゃ、さようなら。」

 

「留美ちゃん、ほのかちゃん、元気でねまた!」

 

「「はい、ありがとう皆さん!」」

 

学校を後に三人は帰っていった。

 

 

・・・・・

 

 

とうとう二人ボッチになっちゃった。

 

「帰ろっか、ほのか?」

 

「うん、明日も学校だね留美!」

 

「そうだね、明日からまた奉仕部依頼があるかも?」

 

「それ大変!二人で何とかなるかな?」

 

「困ったら、また先輩達に相談しなきゃ。」

 

「来てくれるかな?」「大丈夫だよみんな相談に乗ってくれるよ、

スーパーアドバイザーの八幡もいるし。」

 

「あはは、ホントそうだね!」

 

ほのかも、もう大丈夫だと思う。

 

「二人で頑張ろ!」「うん!」

 

夕日の差し込む校舎を後に二人で誓い合った。

 

校庭を出ようとして正門まで二人で行くと

八幡がポケットに両手を突っ込んで正門の壁に

もたれて一人待っていてくれた。

 

「三人で帰ったんじゃないの?」

 

「悪い、忘れ物をしてな待ってたんだ。あいつ等には先帰って

もらった」

 

「何を忘れたの?」

 

不思議に思い首を傾げ八幡を見ると恥ずかしそうに

下を向きながらポツリ言った。

 

「ほのかから聞いたけどカンパしてくれたの留美だよな。」

 

「そんな事、みんなの感謝の印よ私だけじゃないわ。」

 

「言い忘れてた。」

 

「・・・・何を?」

 

「ありがとな・・・」

 

「えっ?」

 

「授業、ちゃんと聞いてくれてありがとな、あとプレゼントも」

 

「別にいいよ、八幡にはもっと色々して貰ったし。」

 

「いや、俺は何もしちゃいねえよ。」

 

「ううん、一杯して貰った、助けてくれた、優しくしてくれた・・・

ありがとう・・・八幡・・。」

 

「もっと、もっと八幡にいて欲しかった!でも駄目だよね・・・」

 

「ああ、もう実習も終わった。」

 

「でも将来、先生になるのもいいかもなと思った。」

 

「・・・駄目かな?」

 

「何?・・・」

 

「また会ってくれるかな?」

 

「ああ、また部室へ遊びに行くよ。」

 

「違うの勉強とか、買物に付いて来て欲しいし・・・・」

 

「ああ、機会があればな。」

 

「絶対よ!」

 

八幡の傍にそっと近づいた・・そして頬にキスをした。

 

「バッカおっ、お前!今何を・・・」

 

「八幡 ・・・ 大好き!」

 

ほのかが口をポカンと開いてたけど、やがて笑いながら

さよならと手を振り自転車で駆けて行った。

 

「八幡、バスが来ちゃうから速く行くよ!」

 

「バッカ、おいっ、お前急ぐなよ!」

 

「お前じゃない、留美!」

 

 

 

 

 

 END

 

 






留美と八幡を読んで頂き、
ありがとうございました!感謝感激です!
誤字脱字など読みにくく大変失礼致しました。

皆さんの考えている留美よりも少し幼さが残り
八幡に甘え、依存する傾向をどうかと思いましたが
(原作の留美は八幡同様、一人で何でもしようとする
ちょっと冷めた寂しい感じがする少女でした。
しかしながら、クリパ後、皆んなと打解けまた、
本来の活発で少女らしい生活を取り戻し高校生活を
スタートした設定であればいいかと思いました)
自立し八幡に恋心を抱きながら、ほのかとの絆が
強くなる過程を何とか下手ながら自分なりに
まとめる事ができたと思います。

次回、由比ヶ浜のショート1話を考えています。

また、機会あれば留美と八幡その後を・・
奉仕部に厄介な以依頼をそれも
あの人から・・とか?




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結衣を迎えに
ちょっと、おにーちゃん!結衣さんが大変だよ!




依然、季節外れに書いた由比ヶ浜の場面ショートストーリーの
手直しで丁度、梅雨に入りいいかなと思います。

親戚の家へ法事の為、サブレを預けた結衣がサブレを
八幡の家に迎えに行く場面を連想してみました。

ゲームでもそんな場面がありましたね。

結衣と八幡の少しいい感じを楽しんでもらえたらと思います。




 

 

「ちょっと、おにーちゃん!結衣さんが大変だよ!」

 

休日がいよいよ過ぎようとしている4時過ぎに雨が降り出した。

小町がそろそろとお勝手に立ち始めた頃、小町の携帯にメールの

着信が。

 

「この匂いはミートソースの匂い?」

 

う〜ん、今夜のメニューはと考えているところへ小町の

慌ただしい声が響く。

 

「結衣さん、駅で雨宿りだって、おにーちゃん迎えに行って!」

 

「え〜おにいちゃん、ちょっと忙しいんだけど…

今から千葉テレビでプリキュアとミンキーモモ見てから

お買い物情報を見なくちゃあならないからダメだわ」

 

「何それ?ゴミぃーちゃん、お買物とかいつ行くの?

あたしが行ければと〜っくに出掛けてますぅ、だけど小町は

今から夕食を作らないといけないのです。」

 

「しか〜もゴミィーちゃんや、これからサブレを迎えに来る

結衣さんの分まで作っているから行きたくても行けないんです!

其れとも可愛い〜可愛い妹の友達でもある可愛い〜結衣さんを

雨の中1人、ボッチにさせとく気ぃ?今の小町的に超ポイント

低いんですけどぉ!」

 

あざと可愛い…小町は可愛いけど小町ほど、由比ヶ浜は別に…

 

「由比ヶ浜もウチでご飯食べてくの?何で?」

 

「はぁ〜、これだからゴミィーちゃんは…。結衣さんは

親戚の法事で疲れて帰って来てるのにサブレを迎えに来るんだよ?

遅くなっちゃうんだからご飯ぐらい一緒に食べてけばいいでしょ?」

 

「何で?普通早く帰るんじゃーないの?」

 

「おにぃーちゃん、小町のやる事にケチ付けるの?」

 

「うぅっ…」

 

小町が怒っている…小町がひとたび怒り出すと

暫くガン無視を決められおにいちゃん死にそうなるから

やめて!

 

「由比ヶ浜の奴、何処にいんだぁ?教えてくれ」

 

「今、千葉駅のターミナル何だって、速く行ってあげてね!」

 

「フッフッフ〜フ♪、チ〜バぁ〜チバ、チバ、チィ〜バ、千葉〜♪」

 

何処かで聞いたフレーズだなぁ、おにぃちゃん雨の中行って来るよ。

遭難しないよう神様にお願いしてね、小町ちゃん?

 

「はいはい……」とジト目で傘を俺に渡す

 

「行ってらっしゃい〜♪」

 

何でそんなに機嫌良くなるわけ?

由比ヶ浜分の傘を持って千葉駅に俺は迎えに出掛けた。

 

「そう言えば、昔小町が小学校低学年の時学校から帰る時分に

雨が降ってきて同じような事があったな…」

 

其れはある日、学校帰りに雨が降出し小町を迎えに小町の教室に

行ったら小町と仲の良い友達が教室で待っていた。

傘は1本しかなく最初3人で入ろうとしたんだけど無理で

最後は2人に傘を押し付けて俺だけ走って帰ったっけ…

 

「小町はケロっとしてたけど、友達は何故かモジモジしてたな」

 

あの時は小町が濡れるの気にすると友達が濡れるし、友達を

濡れない様にすると小町がビチョビチョになるから

おにぃちゃん的に困って無理矢理渡したっけ。

 

後から小町と友達の追いかける様な声が聞こえたけど

家まで走ってすぐにタオルで拭いたかな。

帰ってきた小町がギャーギャー言ってたの覚えてる。

 

そんな事を思い出しながらターミナルに着いて由比ヶ浜を

探してって………あれ?

 

確かに由比ヶ浜を見つけた、が、相変わらず由比ヶ浜は

ラフな服装で由比ヶ浜によく似合ったオシャレをしている。

でも今はそんな事はどうでも良い、一緒にいるもう1人が問題だ。

 

「何で雪ノ下と一緒なんだ?」

 

雪ノ下は大人っぽい意外とシックなワンピースを

着こなしている、あ〜似合ってるけど…。

 

雪ノ下と由比ヶ浜は不安そうに辺りをキョロキョロと

見ている。どうしたもんかと思っているとこへ

由比ヶ浜レーダーに感知された。

 

「あ〜っ!やっぱりヒッキーだ!ヤッハロー!

ようやく来てくれたんだ!」

 

由比ヶ浜お前その挨拶、アタマ悪そうに見えるから

頼むからやめて!由比ヶ浜は嬉しそうに犬コロの様に

跳ねる。あ〜もう、鬱陶しい。

 

雪ノ下は同じく恥ずかしいのか俯き加減で少し顔が紅い。

 

「今晩は、かしら?随分ユックリなのね遅刻谷くん」

 

「2人で何してんの?」

 

「ヒッキーを待ってたんだよ、もぉ〜遅いし。」

 

「あたしも親戚の法事やっと終って急いで来たら雨が

降り出しちゃって、そんな時小町ちゃんからメールで

駅に迎えに行くから待ってて言ってくれたの。

それで何気に待ってたら偶然、ゆきのんとバッタリ会ったの」

 

「もうすぐ小町ちゃん迎えに来てくれるってメールで

連絡くれたし時間まで話してたんだよね!」

 

「ところで小町さんは?」

 

雪ノ下が俺に聞いてきた、

何処かにまだ小町が隠れているんじゃないかと

まだ周りを見ている。

 

「あ〜小町、夕飯作ってて手が離せないんだと」

 

また小町の要らん世話が始まった。

まんまとハメられた訳だ。

 

「え〜と由比ヶ浜、じゃ、また明日な」

 

「ナチュラルにさよならされたぁ〜!?」

 

「何だよ、分かってるよお前も帰るんだよな、

傘が無いから待ってたのか?」

 

「すぐに帰らないし!うっ、…だってこれからヒッキーの

処へサブレを迎えに行かなきゃあいけないし…もしかしたら

ヒッキーも来るかなって思ったから…そしたらヒッキーが

来てくれたね!」

 

何だか微妙な言い回しだな?俺が来ちゃあダメなの?

ガハマさん!

 

「ほれ、雪ノ下持ってけよ」

 

「えっ?傘…私の分あるの?」

 

「無いけどお前も困ってるんだろ?」

 

「何故、私が傘を持ってないと言うの?」

 

「じゃあ、持ってるのか?」

 

「別に持ってなくてもキヨスクかコンビニ行けば買えるし

貴方に心配される覚えはないのだけれど」

 

「勿体無いだろ、いいから持ってけよ明日返して

くれればいいから」

 

「そぅ…… ありがとう」

 

「それで貴方達はどうするの?まさか相合い傘では?」

 

「バッカお前、恥ずかしい事言うんじゃね〜よ

一応、俺ん家に行くんだし由比ヶ浜とはそんなんじゃ

ないから、それから小町とは何度か傘に入れてるから大丈夫だ」

 

「うん…、あっ、小町ちゃん、羨まし……、

はぇっ?あ〜いやいや、助かったかなって」

 

由比ヶ浜が何故か雪ノ下の方をチラチラと

見ている。視線を感じるのか雪ノ下も落ち着きがない。

 

「あまり話しても遅くなると悪いからここで失礼するわね。

由比ヶ浜さん、比企谷くん、また明日…さよなら」

 

「あっ、ゆきのん、ありがとう!また、明日ね!」

 

「あ〜悪い、じゃ〜またな」

 

「ええ、さよなら」

 

雪ノ下はターミナルの路線バスの方へ何故か寂しそうに

行ってしまった。

 

「ゆきのんに悪い事しちゃったね」

 

「いいんだ、雪ノ下の分は聞いてないし仕方ない」

 

「ゆきのん、ヒッキーに送ってもらいたかった

のかなぁ〜」

 

「そんなんじゃ〜ね〜よ」

 

「あたしは、あたしは……迎えに来てもらって凄く嬉しいかも…」

 

「バッカお前、勘違いしちゃうだろ。遅くなるし

急いで帰るぞ!」

 

「あっ、いじわるしないで…急に速くならないで濡れちゃうよ。

少しだけなら遅くなってもいい、雨もゆるくなったし」

 

「小町が夕飯作って待ってっから急ぐぞ」

 

「え〜っ?そんな悪いよ〜!小町ちゃんに迷惑かけ過ぎ

ちゃってるし厚かましい過ぎるし〜」

 

「俺には迷惑かけ過ぎじゃ〜ないの?」

 

俺はいいのかよ

 

「ヒッキーにも悪いよぉ、甘え過ぎだし」

 

「小町がいいって言ってるから大丈夫だ。それに

みんなで食べた方がうまいしな」

 

「ヒッキーもその方がいい?嬉しい?」

 

「あぁ、まぁ〜いいんじゃないの」

 

「じゃ〜お言葉に甘えて、ご馳走になろ〜っと

サブレにも早く会いたいし楽しみ!」

 

そんな話をしながら日がくれた小雨の中、

由比ヶ浜と相合い傘で歩くのはなんだろ…

俺の中で由比ヶ浜が凄く特別な存在になってる感じがした。

 

だけど、いつもいつも自分を戒めていないとミスをする。

そう…勘違いをしてはいけないのだ。

 

小町の策略で俺は罠にハマっているんだ!

 

由比ヶ浜が雨に濡れたくないからワザとさっきから

くっついて来るんだ。甘い香りが堪らないからもっと、

離れろよ!

 

「おい、ガハマさん、少し近い…近いから」

 

「だ〜って濡れるもん!いいじゃん!」

 

二の腕に掴まってくるし、それにさっきから柔らかい物が

当たってるって、もう当ててるし!

 

「あ〜近いし、ビッチって言うぞ!」

 

「ビッチじゃないし!嫌なの?濡れるし!」

 

「分かったから、もうすぐだからな」

 

「やんっ!冷たい!」

 

「もうちょっとだけ、近くによってもいいから」

 

「ありがと・・・・」

 

「夕飯楽しみだね〜♪」

 

「お口に合えばいいけどな」

 

「え〜小町ちゃんの料理美味しそうだから

心配してないよ」

 

「そりゃそうだ、ガハマさんが作るんじゃないから」

 

「酷いくない〜?そうだ、今度あたしの家で

あたしの料理食べてくれない?」

 

「えっ?由比ヶ浜の?………」

 

「ダメかな…?」

 

「う…あ〜いや、機会があればな」

 

「あ…うん、機会があればね!」

 

やれやれ助かった食べて倒れたらシャレにならん。

うっかり約束はしないよう気を付けないと。

 

「その前にちゃんと練習しとけよ」

 

「酷い、で何時にする?」

 

「だから、いつか機会があればな。おっ、やっと

我が家だ!帰ったぞぉー!」

 

「誤魔化された〜!」

 

 

 

………………

 

 

雨の日もたまにはいいかもしれない。

由比ヶ浜がもうちょっと離れてくれたら…

 

翌日の雪ノ下の視線が何時になくキツく

機嫌が悪かったのは気のせいだろうか。

 

 

 



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小町 again
小町 again ( 何であたしが! )




小町がピンチに…いや、やばいとかそう言うレベルじゃ
ない!八幡は小町を救う事が出来るのか?
今回はお兄ちゃん大好きな小町がヒロインで登場です!
小町ポイントをあげる事ができるのかな?




 

 

はれ〜?どうしたのお兄ちゃん?

何で泣いてるの?お父さんもお母さんも?

そう言えばここ何処?

 

病院?何であたしここにいんの?

ちょっと皆んなどうしたのよ、小町の周りに集まって

嫌だな。この後どっか行くの?うん、そうなんだ。

 

「ね、ご飯でも食べに行こうよ。お兄ちゃん、

何にする?小町はあんましお腹空いてないけど

行くんなら付き合うよ、で、どうすんの?」

 

「ちょっと、お兄ちゃん?聞いてんの?」

 

「はれ?お母さん?」

 

「………ううっ。」

 

「何で皆んな泣いてんの?お父さんもさ、泣いてるの

初めて見たよ。」

 

「お兄ちゃん、どしたのよ分からないからさ

説明して……ってお兄ちゃ?」

 

「小町……小町帰って来いよ!」

 

「お兄ちゃんっば、小町はここにいるんだから

ふざけないでね?」

 

「小町……何で死んじゃったんだよぉ!お前、

高校受験どうすんだよ!速く勉強しなきゃあ総武高

受かんねえぞ!」

 

「……え? ………ちょっとお兄ちゃん?今何って

言ったの?小町がどうしたって?」

 

「お母さん!お兄ちゃんが小町に嫌味言うんだよ、

それゃあ〜さ自分なりに勉強頑張ってるげどね

息つく間もないんじゃ死んじゃっうよね?お母さん!」

 

「小町……何で死んだのよ?バカだよあんたは。」

 

「うぅっ、小町……………。」

 

「皆んな嫌だよ、何でそんなに小町を虐めるの?

分かったよ、勉強するからウチに帰ろうよ、ね、

お兄ちゃん。」

 

「お願いだから意地悪しないでって言ってるでしょ!」

 

「小町……お兄ちゃんどうしたらいいんだ?

あんなに勉強頑張ってたのに塾の帰りに友達と一緒に

歩いてるとこ車に跳ねられて何でお前だけ死んじゃうんだよ?

早すぎるんだよ、お前は?」

 

「………憶えてる、そう言えば塾の帰り…サチと一緒に並んで

るとこを後ろからドンって、何かがぶつかった様な…でも全然

痛くないよ、もう大丈夫だからね、冗談だって言ってよ!」

 

まもなく看護士さんが来てあたしの顔に白い布を被せた。

どうやら、今あたしはあたしの体から抜け出て浮いてる

みたいだ。

 

そっか、あたし死んじゃったんだ……

もう受験できないんだ、お兄ちゃんとおんなじ高校、

行けないんだ。恋愛も結婚も何もかも出来ないんだ。

小町何にも悪い事してないよ…何で?…嫌だ!

絶対に嫌!!元に戻してよお兄ちゃん、何とかして!

ううっ……………お父さんもお母さんもごめんなさい、

小町がお父さん嫌ってファブリーズしちゃった事も

許して……お買い物嫌でついついお母さんの言う事聞かずに

お兄ちゃんに押し付けたり小町はダメな子でした。

 

死んでしまいたい…… あれ?死んでるか……。

 

一人突っ込みしてる場合じゃないよ。

 

「何とかしなきゃ!」

 

そうだよ、あたし死んじゃってるから何ともならならないじゃ

ないの?どうすんのよ?待って…そうだよ、お兄ちゃん。

そうだ、お兄ちゃんに聞いてみよ。お兄ちゃんなら

きっと何か考えてくれると思う。

 

「お兄ちゃん!小町の声が聞こえない?」

 

「…………ううっ。小町………。」

 

「はい、はい。小町はここにいますよ、お兄ちゃんが

大好きな小町はここですからね。」

 

やっぱり聞こえないんだ。

 

 

……………。

 

 

葬式って小町は初めてだ。親族でまだ葬式出した人がいないし

って、自分の葬式見られるのってこんなのあり〜?嫌だよ!

お父さんもお母さんも、まるで魂が抜けたみたいだし、

お爺ちゃんやお婆ちゃん、親戚の叔父さんや叔母さん達も

悲しい顔ばっかり…そりゃあさ、小町が悪いんだけど。

(因みにあたしは元気なんだけどね。) お兄ちゃんは普段から

目付きが悪いから憮然としてても意外とシッカリして見えるから

頼もしいよ。ずっと、泣きっぱなしだったけど・・・ホントに

ごめんなさい・・お兄ちゃん・・

 

学校の皆んな・・友達・・雪乃さんや結衣さんも皆んな来てくれた。

ありがとうね、もういいや・・・でもお兄ちゃんが寂しがるから

ゴメン・・・

 

お坊さんのお経が続き皆んながすすり泣いてるし小町も辛いから

皆んなと別れるの嫌だから泣けてくる・・わんわん泣ける。

 

お坊さんが最後の引導を渡さたす活を入れた。

 

「いよいよ、皆んなともお別れか・・・ありがとうね楽しかったよ。」

 

「生まれ変わってもお兄ちゃんの妹で生まれたいな。」

 

光の中に小町が包まれて行く・・・だんだん意識が無くなって・・・

 

これがあの世に行くって言う事かな?

 

小町…… 消えちゃうんだ……ありがとう……みんな

 

 

・・・・・・

 

 

「小町ちゃん…… 小町ちゃん…」

 

 

「…………だれ?」

 

「あたしだよ、小町ちゃん。」

 

「光の中で消え去ろうとする意識の中であたしを

呼んでる声が聞こえた。」

 

「誰なの?」

 

「聞こえる?小町ちゃん…久しぶりかな?」

 

「えっ?誰なの?」

 

ボンヤリと光の中から白い猫が現れた。

その猫は赤い鈴が付いた首輪をしていた。見覚えがあった。

 

「もしかしてユキちゃん?ユキなの?」

 

「また会えたね、小町ちゃん…。」

 

猫のかまくらが我が家に来たのが3年前でその一年前に

飼っていた白猫の「ユキ」だった。

ユキは女のコでお兄ちゃんが小学一年の時に拾って来た

猫だった。名ずけ親はあたしでいつも一緒で可愛がって

いたけど病気で死んじゃったんだ。家中で悲しんで

供養した覚えがあった。

 

その白猫のユキが目の前に現れあたしに話しかけて来たのだ。

 

 

 

to be continued

 

 

 






光の中に包まれた小町ははたしてどうなっちゃうの?



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小町 again ( 白猫ユキちゃん )



事故で死んだ小町は光の中で白猫のユキに会う。

ユキは小町に助かるチャンスを話した。

たがその内容は難しいものだった。







 

 

光の中から現れた白猫のユキはチリリンと鈴を

鳴らしながらあたしに近付いた。

 

「びっくりさせちゃって、ゴメンね。」

 

「ううん、平気。でも、ユキちゃん今ウチにいる

カー君より綺麗で可愛いよ。それでどうしたの?

ユキちゃんがお迎えに来てくれたの?」

 

「うん、小町ちゃんの案内人として迎えに来たんだ、

だけど生前小町ちゃんの行ないが良いと言う事で

転生出来る可能性があるんだ。」

 

「えっ?なになに?それどう言う事なの?」

 

「慌てないで聞いて。」「無理だよ、もうすぐ小町火葬にされちゃう!」

 

「残念ながら小町ちゃんが生き返る事は無理なんだ。」

 

「・・・・そっか、仕方ないよね。」

 

いくら痛くなくても自分が燃やされちゃうの絶対に嫌だ!

死んだあたしが悪いんだ・・・やっぱ悲しいや・・・

ポロポロと涙が頬を伝う・・こんな残酷な事ってあるの?

 

「でも、生まれ変わるのが凄く早くなる事は出来るの。」

 

「ぐすっ、生き返るんじゃないのか・・・生まれ変わってもねぇ・・」

 

「そんなにしょげないでよ!生き返るのには順番があって

大変なんんだから!あたしだってまだまだだし。」

 

「えっ?どの位待つの?」

 

「混んでるし割りと早くて五百年先かな?」

 

「うそ?・・・マジで?」「そう、マジで。」

 

「あと、生前の行いによって行く所が違うから

余計に時間が掛かるよ。」

 

「何処へ行くのよ?」

 

「知らないの?」「えっと、噂に聞く・・・とか?」

 

「そう、そんなとこだよ。」

 

ユキは手をなめ顔を洗いながら言う、嫌だよ。どっちも嫌だよ。

何とかならないの?行くならエンジェルちゃんのいる天国に

行きたいよ。

 

「上に言っても暇で暇で退屈すぎて死にそうになるし下は下で

メチャクチャ罰を受ける。」

 

「うわ~ん!そんな事聞いたら余計行きたくないよ!

ユキちゃん何とかならないの?」

 

「さっきも言ったけど、一つだけ小町ちゃんが早く転生出来る

方法があるんだ。」

 

「それって、難しいんじゃないの?」

 

「難しいかどうかは、小町ちゃん次第だよ。どうする?やってみる?」

 

「う~ん、このままだとどっち行ってもダメダメだし

チャレンジしてみようかな、ユキちゃんも助けてくれるの?」

 

「うん、相談に乗ることは出来るよ但し色々決まり事や期間があるんだ。」

 

お座りしたユキちゃんはゆっくりとあたしができる方法を

話し出した。

 

「生前小町ちゃんは家族を大切にしてお兄ちゃんを慕い大変心優しい

行いをしていました。あたしも凄く可愛がってくれたし大変感謝してるよ。」

 

「そんなことないよ~、でも褒められると嬉しいね。」

 

「家族思いの小町ちゃんがお兄ちゃんや両親を悲しませている事が

心残りになっていて今回の可能性になったのです。」

 

「うん、ありがとうユキちゃん!」

 

「小町ちゃんの最大の心残りそれは受験とお兄ちゃんに彼女を作ってもらい

自立してもらう事ですね。」

 

「あ~お兄ちゃんは、ほっといたらず~っと一人でいると思うし

結構モテてるのに何やら理由を付けて女の子を寄せ付けないからなぁ。

ヘタれるし機会を作ってあげても進展しないし。」

 

「これから小町ちゃんは霊体となってお兄ちゃんの彼女を作ってもらうよう

働きかけをしないといけません。」

 

「えっ?何で?」

 

「将来お兄ちゃんが結婚した相手との間に生まれた子供こそが小町ちゃん

貴方になるのです。」

 

「え~~~あたしがお兄ちゃんの子供として生まれ変わるの?

なんか嫌だなそれ・・・」

 

「嫌とか好きとか言ってる場合じゃなく方法がこれしかないの。

生まれ変わるにはお兄ちゃんの血が必要になるのよ。」

 

「うわ~面倒くさそ~。」

 

「この世もあの世も楽はさせてくれないよ、小町ちゃん?

止めとく?」

 

「分かった、文句言わずにやる!お兄ちゃんに彼女を

作らせるのだ!そして、結婚させてあたしを生んでもらうんだ!」

 

「但し、禁則事項があるんだ。」

 

「何?やってはいけない事?」

 

「そう、先ずはお兄ちゃんにこの事は絶対に言ってはいけない。

言った時点で小町ちゃん貴方はあの世に行ってしまう。」

 

「げっ、会ったらお兄ちゃんに即行で話してあたしを生んで

もらおうと思ったのに・・」

 

「霊体の状態でお兄ちゃんに会えるのは1年間だけ。」

 

「えっ?後はどうなんの・・」

 

「一年かけてお兄ちゃんに幸せな家庭を作ってもらい子供を

生んでもらうよう導き更生させる。」

 

「だから、一年経っちゃうとどうなんの?」

 

「タイムリミット・・・あの世に逝っちゃう。」

 

「結局、逝っちゃうんだ。」

 

あくまでお兄ちゃんが結婚して子供が出来なければ

小町ちゃんは復活できないよ。結果は子供が生まれた時のみ。」

 

「また、女で生まれてくるのかな?」

 

「それも分からない。」

 

「じゃあ、次は男の子になるかも?」

 

「その可能性もある。」

 

「小町、一度男の子になってみたかったんだよ~」

 

「性別はコロコロと変えられないよ、それにお兄ちゃんは

妹を愛してるんじゃないの?」

 

「そうだった、てへっ!」

 

「じゃあ、結婚したお兄ちゃん達に子供が出来なかった場合は

どうなるの?」

 

「その場合もダメ。あの世もそんなに甘くないんだ。」

 

「はぁ~、ダメ元でもお兄ちゃんが幸せになればいいか・・・」

 

「頑張ってみるよ。」

 

「ユキちゃんはあたしと何時も一緒にいるの?」

 

「呼んでくれれば現れるよ。」「お化けみたいだね?」

 

「お互い様だよ、後一つだけ・・」

 

「小町ちゃんの霊体が見えるのはお兄ちゃんだけだよ、お父さんや

お母さんには小町ちゃんの姿は見えないし声も聞こえないから。

霊体となった小町ちゃんの体は物に触れる事は出来ない。

壁とかはすり抜けることは出来るけど余り遠くまでは行けない。」

 

「分かった、お兄ちゃんを怖がらせないようにしないとね。

あとお兄ちゃんが小町と話したと二人に言ったら悲しませるもんね。」

 

「いいかい、もう一度だけ言うよ。絶対にお兄ちゃんに秘密を

言っちゃあいけないよ。全部パアになっちゃうし即あの世だよ。」

 

「りょ~かい!まかせて!」

 

「じゃあ、小町ちゃん頑張って応援するよ。」

 

「ありがとう~・・・」

 

 

光の中のユキちゃんは間も無く消えていきあたしの意識も

やがて薄れていった。

 

 

to be continued

 

 





小町は八幡に会えるのか?八幡の反応は?



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小町 again ( おはよ、お兄ちゃん)



朝を迎えて小町は八幡に呼びかける。

久々の再開で今後どうなるのかな?




 

 

うっすらと霧が晴れるように前が見えると

そこは誰もいない我が家のリビングで

あたしはポツンと立っていた。

 

猫のカマクラがソファーの上で気持ち

良さそうに眠っている。

 

「久しぶりだよ~カー君!」

 

あれれ?カー君を抱き寄せて頭を撫でようと

しても触れない…そうだよユキちゃんが言ってた、

物には触れられないのか。

 

カー君何だかキョロキョロしてる、

あたしが分かるのかな?

 

「小町ちゃんですよ~、カー君、よ~し、よ~し!

カー君、よ~し、よし!」って、やっぱ触れない。

 

カー君、ごめん。小町がもっと可愛いがって

いればよかった。」

 

ところで皆んなどうしたのかな?

誰もいないみたい……

 

何処にいったんだろうね?

冷蔵庫にある麦茶でもと……って、

取れないし飲めないし!

 

「あ~どうすんのよ?誰か教えてよ!

そうだよ、ユキちゃんなら。」

 

「ユキちゃん!聞こえる?聞こえたら

返事して!お願い!」

 

「なに?小町ちゃん?」

 

「ユキちゃん何処にいるの?」

 

「すぐ後ろにいるよ。」

 

「えっ…?」

 

振り向くとおすわりをしている

ユキちゃんがいた。

 

「びっくりしたよ、ユキちゃんいたの?」

 

「呼んでくれたら会いに行くって言ったよ。

それにしても久しぶりのお家だな…懐かしいな、でも新しい後輩が

いるからうろつく事はあまり出来ないけど。」

 

「ユキちゃん、速過ぎでしょ?」「そう?」

 

「でもありがとね。」「どうしたの?」

 

「あのね、あたしって何か食べられるの?」

 

「霊体はお腹が空かないし何も食べなくても大丈夫だよ。」

 

「いやいや、食べられ物があるの?」「無いよ。」

 

「やっぱり、ダメか。」「何故気にするの?」

 

「だって直ぐこの前までご飯食べてたしジュースとか飲みたいし。」

 

「そうそう、お水も飲めないの?」

 

「お水だけはお供えの物を味わうことが出来るよ。」

 

「えっ!ラッキ~!飲みたかったんだぁ~!」

 

「飲み込んだりは出来ないけど味わう事が出来るよ。」

 

「味わうだけ?」「そう味わうだけ、お供えの物だけね。」

 

「う~、でもいいや!お水飲みたかったんだもん!」

 

「お兄ちゃんに言ってお供えしてもらう様、た~のもっと。」

 

「あのね、小町ちゃん当分毎日お供えはしてくれると思うから

余り言わないほうがいいと思うけど。」

 

「なんで?だって、言わないと分かんないしお水飲みたいもん!」

 

「それ位いいかな・・・小町ちゃんは霊体になって日が浅いから

仕方ないもんね、次期なれるよ。あと、お供え物が水ばかりも

嫌でしょ?」

 

「あ~そうだね、気を付けるよ。」

 

「着替えとかは出来るの?塾の帰りでセーラー服を

着替えたいんだけど。」

 

「残念だけど出来無いし置いてある服も替えれ無いんだ。」

 

「着たきりスズメなの?そんなの絶対嫌だよ!」

 

「死んだ時、着ている服がその人の服装になっちゃうんだ。

小町ちゃんの場合まだ霊体だからお母さんが出棺の時に棺桶に

小町ちゃんのお気に入りの服を持たせてくれていたら、その服が

小町ちゃんの部屋に浮かび上がっているからそれを着る事は

出来るよ。だけど、汚れる事がないから着替える必要はないよ。」

 

「あのね、女の子なんだから着替えないと。お母さん、あれ

入れといてくれたかなぁ〜?」

 

「やれやれ…」

 

「誰も居ないと退屈だよね~、誰か帰って来ないかな~。」

 

「本当に呑気だね、小町ちゃんは。」

 

「だってさ、一辺に色んな事あって少しゆっくり

したいしさ、お兄ちゃん達にも会いたいし。」

 

「旅行に行って帰って来た感じで皆んなに会いたい気持ちは分かるけど、

いきなり顔出すとお兄ちゃん死ぬ程腰抜かすから気を付けてね。」

 

「あ〜そっか、そうだった。小町死んでたんだ…。」

 

「結構気を使わなきゃあいけないね。」

 

「そうだね、多分葬儀場で初七日をやってから

引き上げて来ると思うからもう少し待つ事に

なるんじゃないの?」

 

「ユキちゃん、詳しいね?」

 

「大分とこっちの世界にいるからさ。小町ちゃん、

さっき、ゆっくりしたいって言ってたけどこれから

ずっと暇になるしずっとゆっくり出来ると思うよう。」

 

「そうなんだ、じゃあ〜お兄ちゃんがいない時は漫画でも

読んで暇潰そう、うん。」

 

「ノンノン、自分で漫画読めないよ。」

 

「あ……面倒くさ〜、分かったよ、お兄ちゃんが

読んでるの横から読むよ。」

 

「そうだね、あとテレビをなるべく付けてもらうよう

してもらえば良いかもね。」

 

「お〜サンキュだよ!ユキちゃん!」

 

ユキちゃんの頭を撫でようとしたけどヤッパリ

ダメだった。

 

「それにしても、何とかならないの?ちょっと位物を

触れないの?」

 

「それについては、追い追い教えてあげるよ。」

 

「なになに?まだ秘密があんの?ねえ、教えてよ。」

 

「小町ちゃんが慣れてからじゃないとね、順番があるの。」

 

「うぇ〜ここにも順番があったのか〜早く来ないかな順番。」

 

「そんなに焦らなくても直ぐに来るから待ってればいいよ。」

 

「そっか…。」

 

「じゃあ、取り敢えず皆んなを待つ事にしようっと。」

 

 

・・・・・・・

 

 

「カチャ」っと玄関の方から鍵を開ける音がした。

 

 

お母さん達が帰って来た。

 

皆んな疲れた顔付きで全く元気が無い…

そりゃそうか、あたしがいなくなったからだよね…

ゴメンね…皆んなを悲しませて。

 

取り敢えず自分の部屋に戻る事にした。

 

さっき言ってたあたしのお気に入りの洋服が数着浮かんでた、

お母さん…ありがとう。ワガママ言って買って貰ったワンピースとか

スカートとかカーデとかありがたいよ、ほんと。

 

お兄ちゃんに見つからない様リビングを覗いて見た。

皆んながソファーに黙って座ってた。

 

「母さん、俺まだ小町が死んだなんて信じられないよ!

今でも其処にいる様な感じがして仕方がないんだ!」

 

「八幡もなの?私もだよ、あの子がヒヨッコリ帰って

くるんじゃないかって。」

 

わわっ!お兄ちゃん、流石鋭い!てか、お母さんも?

 

「あたし帰って…きっ!」

 

「待って、小町ちゃん!皆んなが落ち着いて

お兄ちゃんが自分の部屋に戻ってから会いに行こうよ。」

 

「……うん、分かったよ。」

 

「ごめんね、皆んな。」

 

 

・・・・・・・

 

 

「ユキちゃん、そろそろいいかな?」

 

「寝静まってるからね、本当は明日くらいの方が

良いと思うんだけど。」

 

「同じだよ!だって、一年ってカウントダウン始まってるんだよね?」

 

「うん、始まっる。」

 

「だったら、直ぐにでも行かなきゃあ!」

 

「そう焦らないの!相手の気持ちの整理もあるんだから

向こうが混乱するよ!」

 

「う〜っ!会いたいよお兄ちゃん…でもユキちゃんの言う事

聞いて明日にするよ…。」

 

「うん!それでいいよ、落ち着いてね。」

 

「ところでユキちゃん、寝る事は出来るの?」

 

「それは大丈夫だよ!小町ちゃんの部屋で

ゆっくり休むといいよ!」

 

「あのね、お願いがあるのだけれど。」

 

「なに?ユキちゃん。」

 

「あたしも一緒に寝ていいかな?」

 

「わぁ〜!いいよ!久しぶりユキちゃんと一緒に寝れるね。」

 

「お休み〜ユキちゃん…。」

 

 

・・・・・・・

 

 

朝を迎えた、日差しが眩しく久しぶりによく

眠れた気がした。横にいるユキちゃんも

まだスヤスヤと寝ていた。

 

皆んなどうしてるかな?

 

ちょっと覗いてみようと、動いてみたら

ユキちゃんが起きだした。

 

ユキちゃんは顔を洗いながら言った。

 

「小町ちゃん、ありがとう。おかげで

ゆっくりと眠る事ができたよ。」

 

お母さんが遅い朝の支度をしだしたみたい。

 

お兄ちゃんは中々と寝付けなかったのか

まだ休んでるみたい。

 

じゃあ、起こしに行こうかなユキちゃん?

 

「うん、いいよ。」

 

 

いよいよお兄ちゃんへの呼び掛けですが…

うわ~なんかどんよりとしちゃって、嫌だな~

そりゃさ、小町いなくなっちゃって辛いの小町も

同じなんだし、元気出して行こうよ!

 

いくよ~!元気に声掛けちゃうよ。

 

「お……ちゃん、ね…あた……だよ、お……ち……。」

 

はれ?だめだ、聞こえないみたいだ。

 

「もっと、お兄ちゃんに声が届けと

思いを込めてね。段々お兄ちゃんに聞こえる様になるよ。」

 

「分かった、頑張るよ。」

 

「お…いちゃ…、こ……はここ…す…。」

 

ダメだ、聞いてくれないや。もう一回!

 

「おにい……、ここ……よ!」

 

あっ!下向いてたけどキョロキョロしだした。

もう一回頑張れ!

 

「お兄ちゃん!小町はこ……よ!」

 

「小町なのか……?」

 

「そうだよ、小町はお兄ちゃんの近くにいるよ。」

 

「小町!!」

 

「会いたかったよ、お兄ちゃん!」

 

「小町!!何処にいるんだよ?小町!!」

 

あれ?何でお兄ちゃん小町が見えないの?

 

「ユキちゃん、お兄ちゃん小町の事見えないみたい。」

 

「まだ、小町ちゃんの霊体が不安定になっているから

見え辛いかもね。じき見える様になるから心配いらないよ。

お兄ちゃんには小町ちゃんが白くボヤけてしか見えないけど。」

 

「え〜ハッキリクッキリ元気一杯の小町を見てもらいたいのに

残念だよ!」

 

「残念だね、でも小町ちゃんの声掛けが強い程、

ハッキリ見えるから頑張って!」

 

「うん!大丈夫だよ!」

 

「お兄ちゃん、驚かせてごめんなさいです…

まだお兄ちゃんに小町が見えないかもだけど

小町はお兄ちゃんの側にいるから安心して。」

 

「小町……ううっ。お前、生きていたのか?」

 

「違うのお兄ちゃん、小町は死んじゃったのは

間違いないよ。だけどね、霊体でまだ、

お兄ちゃんの側にいる事が出来るんだ。」

 

「霊体でも何でもいい!お前が側にいてくれたら

それでお兄ちゃん幸せだ!」

 

「お~っと、お兄ちゃん今の小町的に

ポイント高い!」

 

「久しぶりにそのフレーズ聞いたぞ!

やっぱ小町お前は最高だぜ!」

 

「うわぁ~そのシスコン、益々酷くなってる。」

 

これからが大変だよ、全く、ね、ユキちゃん?

 

 

 

 

 

to be continued

 

 







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小町 again ( 分かってよ!)



ようやく八幡と話が出来てひと息の

小町だったが頑固な八幡の考え方に

カチンと来た!当分の間、絶交に?




 

 

その夜お兄ちゃんはあたしの姿が何とか霞んで見えるみたいで

霊体でもあたしに会えた事をとても喜んでくれた。

 

落着いたお兄ちゃんにお供えのお水を持って来てもらい

お下がりを飲んだ。ユキちゃんが言うとおりコクコクと喉を

鳴らして飲む事は出来ないけど久々のお水を味わって生きてる

実か・・・よかったと思った。

 

おや?水を飲むってコップとか湯飲みとか物には触れないんじゃないかって?

あのね、お供えしてある水だけは霊体でも触れられるというか触れる感覚があって

味わうことが出来るのね。

 

「助かったよ、お兄ちゃん!喉が渇いてたんだ!」

 

お母さんが入れてくれた部屋着のスエットに着替えて、お陰で体を伸ばしたり

楽な格好でお兄ちゃんと話が出来るから良かった〜!

 

お兄ちゃんの部屋でベッドの側面を背に、二人体育座りの格好で

久しぶりに仲良く話し込んだ。

 

「葬儀の時大変だったんだぞ!今でもそうなんだけど・・・」

 

「いや、お兄ちゃんゴメン・・途中まで見てたよ。」

 

「自分の葬式を?」

 

「う、うん・・まあね・・」

 

「そっか・・・お前も辛かったんだな・・・」

 

「そうだよ!小町もお兄ちゃんとかお母さん、お父さんにどれだけ

声掛けたか・・・」

 

「そっか・・・」「うん・・」

 

「でも、また戻って来てくれてありがとな。」

 

「うん、居られるだけね・・・」

 

「えっ?ずっと居られるんじゃないのか?お兄ちゃん死んじゃうぞ!」

 

「ダメだよ、絶対にダメ!お兄ちゃんには小町ができなかった事や

やりたかった事をして楽しんでもらいたいの。小町の願いでもあるんだから!」

 

「別に小町がいない人生なんて俺には考えられないぞ、お兄ちゃんも

早く小町の所に行くからな。」

 

「ダメ、小町の場合は偶々こっちの世界に半端な形で残る事ができたけど

自分で死んだりすると小町と全然違う所に行っちゃうよ。絶対小町と会えないよ!

それでもいいの?」

 

「あ~じゃあ、どうすればいいんだよ!?」

 

「さっきも言ったけど小町がやれなかった事をして欲しいの、あたしも

そうじゃないと浮ばれないのよ!お兄ちゃんが幸せになったらあたしも

嬉しいしあっちの世界でも幸せになるんだ~!」

 

「あっちって、やっぱりあの世があるのか?」

 

「う~ん、難しいし事小町には分からないし話せないけどね、

けど何かあるみたいだよ。だからお兄ちゃんには頑張って小町の分まで

幸せになってほしいの、お願いだから!」

 

「俺は小町がいればそれだけで良いし、もし小町がいなくなったら

ずっとお前の側を離れない様にお祀りして供養するよ。」

 

「あ〜分かってないな!お兄ちゃんは!あたしはお兄ちゃんが心配なの…

お願いだから…分かって…」

 

涙がポロポロ出ちゃう……何で死んじゃったのかな、あたし…バカだよね。

 

泣いてるあたしに気付いたお兄ちゃんは、困った顔をして頭を撫でようとしたけど

触れないらしく自分の手を見ていた。

 

「お兄ちゃん、小町ね…お兄ちゃんが自分の為に頑張ってくれるまで

会わないようにする、悲しいけど、お兄ちゃんの気が変わるまで

姿を見せないよ。もう、二度と会えないかも…これが最後のさよならかも

しれないね。お兄ちゃん…」

 

「おい!小町!お前だって俺の気持ち分かってくれよ!お前の側を

離れたくないんだ!俺の事はどうなってもいいんだ!」

 

「だったら小町の気持ちをお願いだから考えて!」

 

「........ 俺の人生だ、小町には関係ない。俺の好きなように生きるだけだ。」

 

「今お兄ちゃんに色々言っても無理みたいだから、小町さよならするね…」

 

「色々ありがとう、お兄ちゃん。お兄ちゃんの気持ちが変わったら

また小町に呼びかけてね、さよなら、大好きなお兄ちゃん……。」

 

「おい!待てよ!小町?小町〜!」

 

「……………」

 

「何だよ!俺は一人で生きていくからな!

勝手に俺の人生決めるなよ!好きにしろ!」

 

うっさい!シスコン!聞こえてるんだからね!何が「俺も死ぬよ」だよ!バ〜カ、バ〜カ!

一回死んだら分かるんだから、本当に〜!頭に来た!当分口聞いてやんないんだからね!

 

・・・・・・・・・

 

「ふふっ、お兄ちゃんとの再開はどうだった?」

 

楽しそうにユキちゃんがあたしに聞いてきた。

 

「別にぃ…聞いてたんでしょ?ユキちゃん趣味悪いよ。」

 

「あはっ、ごめんね、小町ちゃん!怒らないで、でもお兄ちゃんへの小町ちゃんの

対応は悪くなかったと思うよ。お兄ちゃんが、変な事考えちゃったら

大変だからね。」

 

「そっか、よかった…」

 

「でもこれからどうするの小町ちゃん?」

 

「あ~家にいてもお兄ちゃんとかお母さん、

悲しそうだし、少し外に出てみたいよ。」

 

「ね、ユキちゃん。外って何処までなら

行けるのかな?」

 

「う~ん、難しい質問になるかな…最初は

家の回り位しか行けないと思うけど、

小町ちゃんが慣れてくれば駅位は行けるん

じゃないかな?」

 

「お~それはいい感じじゃない!じゃあさ、

お兄ちゃんと買い物とか行けるじゃん!?

あ〜でも、今ケンカ中だった。」

 

「買い物はどうかと思うけど、一緒に行く事は

出来ると思うよ。」

 

「よかったよ~!例え買えなくてもお兄ちゃんと

ウインドショッピング出来るなら楽しいもん!

ケンカ中だよね…一人で行こう、もう!」

 

「そうだね、でも気を付けて!小町ちゃんが

お兄ちゃんをつれ回したりそんな事ばかりしたら

お兄ちゃんが満足して時間オーバーになっちゃうよ。」

 

「う~ん、難しいんだよな。お兄ちゃんをその気に

させないといけないし、あたしもお買い物したいしさ。」

 

「あ~ん、何かいいアイデアないの?」

 

「ね、気晴らしに外に行こうよ。小町ちゃん!」

 

「うん、そうだね。お出掛けの前に着替えを

何着ようかな?」

 

「あははっ、そんなに着替えてたらすぐに

飽きちゃうから制服で行こうよ。」

 

「あ~ユキちゃん、そうだね、ありがと!」

 

霊体だとドアを開けたりしないでもOKだから

こんな時は便利なんだけどね、それ~って、

家の外に出てみた。

 

で、何処行こうかなって、行くとこないし。

仕方ないかぁ~近所の公園でも行くかぁ。

 

あ~何か引っ張られる感じがするから、

ここまではギリセーフなんだな、覚えてこっと。

って、あそこのベンチに座ってるのって、

誰?総武高の制服着てるよね。ふ~む、

悲しそうな顔してるしお兄ちゃんの知り合いかな?

あれ?何か胸の辺りがほのかに赤くなってる

気がするよ、何でかな?

 

「ユキちゃん、あの人ってお兄ちゃんの

知り合いかな?何となくそう思うんだけど。」

 

「うん、そうだと思うよ。」

 

「だよね、ねっ、ユキちゃんも分かる?」

 

「まだ小町ちゃんに言ってなかったけど

お兄ちゃんに好意を持っている異性は

胸の辺りが赤くなってるから分かりやすく

見分けが付くからお兄ちゃんにも進言

しやすいよ、また逆に黒く見える場合は

悪意やよく思ってないから注意しやすい。」

 

「えっ、何それ?凄い便利じゃん!?

そんなの売ってたらお兄ちゃんも苦労しなくて

済んだし世の中の皆んなが喜ぶよ!」

 

「残念ながら売ってないし。」

 

「そうなんだよねぇ~。」

 

「何でこんなとこに居るんだろう?様子見てみようかな。」

 

「そうだね、その方がいいかもね。」

 

「先輩、大丈夫かなぁ?もう、五日も学校休んでるし

お葬式の時だって誰の事も見てなかった気がするし、

とても声を掛けられる状態じゃなかったから……クスン。」

 

「先輩…?お兄ちゃんの事を『先輩』って呼ぶのはただ一人!

え〜っと、何だっけ?…一色さん?だっけ、そうそう、

総武高の生徒会長さんの一色いろはさんだ!」

 

お兄ちゃんって一色さんにも思われてたの?へぇ〜!意外って言うか、

小町的にはポイントめちゃ高いんだけど!だって、結衣さんに雪乃さんでしょ?

そんでもって結構可愛いいろはさんって、メチャモテだよお兄ちゃん!

 

でもさぁ〜、ちょっと複雑な気分だね。うちのお兄ちゃんが、女の子に

モテてるなんて?だって、ゴミいちゃんだよ?でもまあ〜モテてるのは

身内的に気分がいいし、良かったんだけど。これだけモテても

モテてる自覚が全くなかったよね?ひょっとして大分と鈍いのかな?

コリャ益々厄介だぞ!

 

 

 

to be continued

 

 

 






波乱の展開で苦労する小町だけど

頑張れ!小町〜俺も応援してるぜ!




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小町 again ( 仲直り)



八幡と絶交中の小町だったがいろはとの

会話を聞いて仲直りする事に。




 

 

一色さん、お兄ちゃんを訪ねに来たのかな?

そうだよね、ここまで来たんだから…それと

小町の為にお参りに来てくれてありがとです、

嬉しいよ。

 

だけど、ウチまで行く勇気とかが無いんだ、

何となく分かる気がする。まだ、立て込んでると思うし

訪ねるのが早かったかなって気が引けるんだろうな。

 

でもですよ、お兄ちゃんの心を鷲掴みするチャンスですよ!

頑張れ〜いろはさん〜一歩リードする絶好のチャンスを

貴女は逃がしてはならないのだ!

 

「やっぱ、まだ早いしそっとしておくべきだよね先輩が

学校に出て来たらそれとなく勇気付ける事を考えよう、

話してみようかな…でも何を話していいのか分からないよ。」

 

「うん、今日はかえろう…。」

 

ごめんなさいです、小町の事で迷惑かけて。

少しベソをかいてるいろはさんは、ベンチから

腰を上げ帰り支度をしだした所にお兄ちゃんが、

偶然通りかかった。

 

「一色、お前なにしてんの?」

 

「先輩…大丈夫なんですか?」

 

「まぁ……食欲がないからいいんだが家に食うものが無くなってな

俺はいいんだがお袋とか親父の食べる物を買い出しだ。」

 

「その…葬儀の時はありがとうな、小町も喜んでくれたと思う。」

 

「あたし、あたし…小町さんが可哀想で

大丈夫かと……」

 

ポタポタと落ちる涙が地面にシミを作る、ありがとう…

いろはさん…じ〜んと来たよ。

 

「一色……悪い、ありがとな。」

 

「ほら涙拭けよ、あざといぞ。」

 

「でも、先輩………」

 

「ああ、悲しいけどな…生きて行かなきゃあな。さっきも

小町に叱られたような気がした、『シッカリしろ』ってな。」

 

分かって来たじゃん!お兄ちゃん!

やればできる子なんだから!

 

「先輩、あたし…あたしで役に立つ事があれば…」

 

「ありがとう、一色…クラブとか生徒会忙しいだろ

もう、いかなきゃ。」

 

「あたしは、いいんです。先輩が……」

 

「心配するな来週からまた学校に行くから

大丈夫だ。小町にも怒られるしな。」

 

「…はい、待ってます先輩…」

 

「あぁ…」

 

公園でお別れしたいろはさんの後ろ姿を見送りながら

トボトボ買い物へ行くお兄ちゃんをあたしも

何故か見送っていた。

 

 

・・・・・・・

 

 

はぁ~ちょっと感動しちゃったよ。

 

純粋にあたしの事やお兄ちゃんの事を心配して

くれてありがとうございます。甘え上手なお姉さん、

小町欲しいなぁ~、ちょっとお兄ちゃんに嫉妬しちゃうよ、

あんなに心配してもらって羨ましいよ、全く。

 

だけど、もの凄い可愛くて慕ってくれる後輩がいたなんて

思わぬ伏兵だね、結衣さんも雪乃さんも大ピンチだよ!

大波乱あるよ、これ!

 

でも決めるのはお兄ちゃんだし、どうなるんだろ?

あたし的には結衣さん、雪乃さんのが馴染んでるから

いいんだけど小町いなくなって寂しいと思うし

いろはさんなら寂しさ紛らしてくれそう。

 

 

ふぃ~何だか疲れた・・・帰りたいな。

 

「ユキちゃん帰ろうか?」

 

「うん、そうだね帰ろう。」

 

家に帰ってお水頂いてほっとして、そっと

お兄ちゃんを覗いてみた。

 

机の上にうつ伏せになってじっとしてる、

寝てるの?さっきから着信なってるしスマホ、メール一杯入ってるよ!

お兄ちゃん、メール返さなきゃあ、ダメたよ。

 

誰から来てるのかな?

見たいけど無理だもんね、速くメール見ないかな?

多分、結衣さんとかじゃないの?

 

ややっ!急にお兄ちゃん起き上がるからビックリしたよ!

で?何すんのかと思ったらスマホやっと見るんだ。

 

え~なになに、平塚先生からだ「この度は小町さん・・・・・・」

お悔やみメールと学校のお休みの件とか書いてある、

あっ、次ぎ見てる。おっ結衣さんだ「ヒッキー、なんて言ったらいいか……」

あと雪乃さん… 戸塚さん、中二さん。皆んな、

お兄ちゃんの事心配してくれてるんだ・・・ありがとう。

 

スマホをパタンと置いちゃった・・あ~あ、またうつ伏せに寝ちゃった。

 

全く仕方ないよね、今日は小町も休むよ。おやすみなさい、お兄ちゃん。

 

 

・・・・・・・・・

 

 

翌朝、日差しが差す部屋であたしはベッドの上で両腕を

上げ大きな欠伸をした。あ~まだ体がダルいや、こういうのって

生きてる時も同じなんだな。

 

「お兄ちゃんとケンカ中だからテレビの事言ってないし退屈で

今日はどうしようかな?」

 

「取りあえず、まだ寝てるお兄ちゃんの様子を見てみよう。」

 

「おはよ、小町ちゃん。今日もよろしくね。」

 

「こちらこそ、ユキちゃん。今日はゆっくりだったね!」

 

ユキちゃんは手で顔を洗いながら身支度をしてる。

 

「だって、あたしは猫だもん。寝るのは趣味みたいなもんだし。」

 

「あ~そういゃ~カー君も何時も寝てるわ。」

 

まだユキちゃんも眠そうだ、基本ネコちゃんだもんね。

 

「小町ちゃん、今日もお兄ちゃん余り動きがないんだったら景色のいいとこ

案内しようか?」

 

「なになに?そんな所何処にあんのよ!何か出してくれんのユキちゃん?

ね~ユキえもん~お願いだよ~何か楽しい物出してよ~」

 

「あのね小町ちゃん?あたしドラちゃんじゃないし、アイテムないから・・・」

 

「あ~可愛くね~。でっ、何処行くのよいいとこって?」

 

「じゃあ、ついて来てね小町ちゃん。」

 

「待って、行くから。」

 

ユキちゃんは窓の外へ出たと思ったら屋根の方に上がっていく、

一緒に付いて行くと屋根の上にちょこんと座った。

 

「ココだよ、小町ちゃん。」

 

「ココって家の屋根の上じゃん!」

 

「そうだよ、ねっ、外を眺めてよ小町ちゃん。」

 

「えっ?そういえば、いい眺めじゃん・・」

 

「でしょ?ここはあたしの取って置きの場所なの。」

 

「ここでユキちゃん日向ぼっこしてたんだ。」

 

「決めた!今日はお天気だし、ここでノンビリ日向ぼっこしよ!」

 

「いいね、付き合っちゃうよ!」

 

「ポカポカとしてフワフワでお日様に当たって最高だね、

ユキちゃん何時も来てたの?」

 

「ええ、ここでよく近所の男の子とデートしたのよ。」

 

「あいや、思い出の場合なの?ここ?」

 

「ふふっ、そう結構モテたのよ、あたし。」

 

「自分から言う~?小町だってクラスの男の子から告白された事あるんだよ。

今年受験だし、グループでプールとか行ったし、お兄ちゃんには言ってないけどね。」

 

「はぁ~寝よ寝よ。日向ぼっこで、おやすみ~」

 

 

・・・・・・・・

 

 

「近所がよく見えるね・・・・、ユキちゃん!」

 

「なに?どうしたの?」

 

「だってこんな風に景色見るの初めてだしね。」

 

「ユキちゃん、お兄ちゃん…許してあげようかなと。」

 

「そう?」

 

「悪いの小町だし、お兄ちゃんの気持ちも分かるもん。」

 

「うん。」

 

「うん、気分転換出来たありがとうユキちゃん!」

 

「良かったね…」

 

夕陽が辺りを茜色に染めて一日の終わりを告げる、

屋根の上から景観を眺めながら焦っても仕方がない、

ノンビリ行こうと決めた。

 

お兄ちゃん、ゴメンね。

 

「よ~し、ゴロゴロ塞ぎ込んでるお兄ちゃんを起こしてと・・・」

 

そっと、お兄ちゃんの部屋に入った。お兄ちゃん、意外とグッスリ寝てる、

疲れてるんだろうな・・・じゃあ~何時もの様に起こすかな。

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!何時まで寝てるの起きなきゃ!」

 

「うん・・まだ早いだろ・・・」

 

「ダメだよ、週末のお休みだからといって何時までも

寝てるのダメだかんね!」

 

「・・・・・・?小町か?」

 

お兄ちゃん、びっくりして飛び起きてる。

 

「お兄ちゃんを起こすの他に誰がいんの。」

 

「お前……消えたんじゃ?」

 

「また、戻ったの!何時までいるか分かんないけどね。」

 

「早く起きてよ、お兄ちゃん!」

 

「昨日は言い過ぎたです、お兄ちゃん、ごめんなさい…」

 

お兄ちゃんにしおらしく素直に謝った、ちょっとあざとかったかな。

 

「おぉ、俺もムキになった。悪かった。」

 

お兄ちゃんも少し照れ臭そうに横を向きながら喋っている。

 

「小町、お前ずっといられるのか?」

 

「ずっとは無理…でも、帰る時はちゃんと言うね。」

 

「そっか。」「うん。」

 

「でも、まだまだ大丈夫なのだ!早速なんだけど

お兄ちゃん、手伝って!」

 

「何をだよ?」「小町と散歩に行くの。」

 

「散歩?」「そっ、今は公園位しか行けないけど

練習すると駅前位は行けるのだ、お買い物とか

できるし。」

 

「買い物っても、お前物に触れないんじゃ…」

 

「いいの!見るのも好きだし、お兄ちゃんと行くの!それと…」

 

「それと?」「勉強も教えてよ!」

 

「俺に教わるの嫌いじゃなかったか?」

 

「本とかシャーペン持てないでしょ?仕方ないもん!」

 

「フっ、あいよ、で、いつから?」

 

久しぶりに、いつものお兄ちゃんの不気味スマイルを

見た気がした。

 

「さすが、お兄ちゃん!分かってる!もち、今日からね〜」

 

「やれやれ」

 

 






無くした生活を少しづつ取り戻す小町、

八幡とも和解し兄の為に頑張ろうと

決意するのであった。お兄ちゃんへの

アドバイス作戦開始!




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小町again ( 活動開始 )



やっと、駅前まで行けるようになった小町、お兄ちゃんと買い物
デートと行きこんだが逆に詰まらなくなる。そんな時にいろはが
お兄ちゃんに声を掛けて来た。




 

 

バタバタしてた家も日常に戻る為、家族はそれぞれ仕事や

学校に出掛けて行った。

 

毎日が日曜日みたいになってるから気楽でいいやと

思ったけど退屈で退屈で……なに?勉強はどうしたって?

 

そりゃ、やってますよぉ〜お兄ちゃんがいる時は

仕方なく……。

 

「小町お前、相変わらず三日坊主だな?自分から言いだしたくせに

もうギブアップかよ?」

 

「だって、自分のペースで出来ないしお兄ちゃん、休憩しないし。」

 

「お前な〜20分くらいで休憩ばっかしてたら勉強にならんだろ?

もっと頑張れよ!」

 

「ぶー、所詮小町はお兄ちゃんみたいに賢くないしおバカの子ですから

仕方ないじゃん!」

 

「あ〜分かったから、あと5分で休憩にしてやっからこれを覚えろよ。」

 

「あ〜い、やったね!さすがお兄ちゃん!話が分かる!」

 

「やれやれ〜」

 

お兄ちゃんがいる時は本でもページめくってくれるし楽なんだけどいないと

テレビのチャンネルも変えられないんだよ、これは不便だ。

 

「ね〜ユキちゃん、何とか物に触れないのかな?チャンネルも変えられないし

不便なんだよね〜。」

 

ユキちゃん、アクビをしながらバリバリと音を立てて爪を研いでる。

 

「う〜ん、訓練すれば軽いものなら少しくらい持てるかな、リモコンくらい

押せるようになると 思うよ。本もページくらいはめくれるかも?」

 

「お〜ひょっとしてポルターガイストってヤツ?それ行こう!小町頑張るよぉ〜!」

 

「ねっ?で、どうやるの?ユキちゃん?」

 

「まず、触れようとする物に触れると思いながら触るの。分かる?」

 

「何となく…ん〜じゃ、こうね。『絶対触ってやるぜ〜!』って強い思い込みをしながら

触るようよすればいいのかな?」

 

「そう、そんな感じで。練習すれば、少しくらいはね。でも、大きな

期待はしちゃ駄目だよ?」

 

「分かった、頑張ってみるよ。」

 

ちょっとの間で本屋さんまで行けるようになったのは進歩してるって事

だよね。公園ばっかじゃ、飽きちゃうしそろそろ、駅までチャレンジしなくては。

 

 

・・・・・・・・

 

 

「学校の方はどうなの?お兄ちゃん。」

 

「あぁ〜別に変わらん……。」

 

そりゃ、お兄ちゃんだし……小町の件があったし皆んな気を使って

くれてるんだろうな。特に雪乃さんとか結衣さんとか…一色さんとか。」

 

「ねえ、お兄ちゃん。」「何だよ?」

 

「明後日のお休みに駅まで連れて行ってよ。」

 

「今度の休みならいいか…。」

 

「でも来週はダメだぞ。」「へ?何で?」

 

「バカ、お前の四十九日じゃないか。」「えっ、もうそんなに経つの?」

 

「親戚来るしだからダメだぞ。」「ブぅ〜。」

 

「分かったよ、明後日、駅前に行こうか小町…。」

 

「うん!!」

 

日頃の訓練の賜物で駅まで何とか行けるようになってた。

引っ張られ感も殆んどなくなってて大丈夫みたい!

 

「さ〜て、お楽しみのお買い物にレッツゴォー!」

 

「おい、そんなにはしゃぐなよ〜。」

 

「だって、お買い物久しぶりなんだよ~!楽しみ

じゃん!?」

 

「お兄ちゃん、学校行けるでしょ?あたしはお留守番だもん。」

 

「それに相手いないしお兄ちゃんと一緒ならついつい嬉しくなっちゃうよ!

あっ、今の小町的にポイント高いよ〜お兄ちゃん!」

 

「そっか、お前が喜んでくれるのならいいか。」

 

「ま〜たまた、お兄ちゃんったら…さっ、元気だして行くよ!」

 

駅ビルに着いてブラブラと久々に歩き回った、と言っても端見るとお兄ちゃんが

グルグル回ってるだけかもしれないけどやっぱ目の保養になるね!

 

これが流行ってんだなって…あ〜これ可愛い〜!欲しい!

う〜ん、でも触れない…あ〜ん、つまんない…。

 

「お兄ちゃん、帰ろっか…。」「ああっ、いいぞ。」

 

「ちぇ…触れたらな、もうちょっと面白いんだけど。」

 

「…… また見に行けばいいさ。」「ありがとう、お兄ちゃん。」

 

駅のターミナルまで戻り二人落ち込み加減でいた所にいろはさんに

出会った。

 

「先輩…? 先輩こんな所で何してるんですか?」

 

「一色か、偶然だな。何って、まぁ色々と見て回ってんだよ。

疲れたから帰ろうとしてたんだ。」

 

「そうなんですか、あたしも生徒会の会報書類で書籍のいいのが無いかと

探しに来たとこなんですよ。偶然ですね、先輩!」

 

「そうか…じゃ…そう言う事で。」

 

「ちょっと、待った〜!何で自然に帰ろうとしてんですか?」

 

お〜〜!いろはさん!ナイス突っ込み!

小町が言おうとしてる事まんまですぅ〜!

 

「何だよ、一色?疲れてるんだから帰りたいんだけど。」

 

「先輩〜少しだけ本を選ぶの手伝ってもらえませんか?お願いします。」

 

そういうと、いろはさんは健気にペコリと頭を下げて、お兄ちゃんにお願いしてる。

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん!この前もいろはさん、小町の為にお参りに来てくれてるし

何時もより真剣にお願いしてるよ。手伝ってあげてよ!」

 

「分かった…。」「えっ?先輩?」

 

「あ〜困ってるのか?会報の内容は今回もう決めてるのか?俺が選ぶと

お前の感覚と合わないかもしれないが参考になればいいが。」

 

「え〜〜っ!手伝ってくれるんですか?先輩?マジどうしちゃったんですか?」

 

「俺が素直に手伝うとそんなに驚く事なのかよ?」

 

「そりゃあもう、ここで二つや三つ文句や能書きを言ってから断るのが

先輩のお決まりのパターンですからあたしが反撃に出る幕もないじゃ

ないですか?」

 

「お兄ちゃん、いろはさんにパターン読まれてるよぉ〜。でも、

逆パターンで驚かせて手伝っちゃお!」

 

「残念、たまにはお前の逆を行こうとな。大成功だ!」

 

「も〜、行きますよ!先輩〜いいの選んで下さいね!」

 

いろはさんがやっと笑顔全開で答えてくれた。ありがとね。

 

本屋さんで二人の漫才が炸裂してる……この二人意外と気が合うのかな。

 

「うわっ、先輩?何ですかその本どっから持ってきたんです?

分厚過ぎて絶対に読む気になりません、ごめんなさい無理です。」

 

「お前、これ位読まないと内容はスカスカのしか書けないだろ、

どうするんだよ?あと、図書館でも回ってもいいかな。」

 

「だって、読むのに三日位かかりそうですよ?来週末には

提出しなくちゃあならないのに時間がありませんよ。それに本、高そう。」

 

「あ〜お前、それいつから出されてんだよ?」

 

「だってぇ…相談したくても出来なかったから……っ…。」

 

いろはさん、涙声で…きっと、お兄ちゃんに相談したかったのかな?

 

「いろはさん、きっと悩んでたんだよ。お兄ちゃんに相談したくても出来なくて

困ってたんだと思う。助けてあげて、お兄ちゃん!」

 

「一色、どこまでなら纏めてあるんだ?全力でやれば何とか間に合うな。

月曜の昼に生徒会室に行くからすぐに作業にかかるぞ!」

 

「先輩…いいんですか?こんなの押し付けていいんですか?」

 

「困ってたんだろ?頑張れば何とかなるから、そんなに気にするな

大丈夫だ!」

 

「先輩〜!ごめんなさい、ごめんなさい!」

 

おおっ!!!いろはさん!健気で可愛い〜!あざとくないですよ〜!

 

「俺は兎に角、これ読んでおくから自分なりに考えを纏めておいてくれ。

この後、図書館にでも関係書類を捜してやるよ。明日、学校でな。一色。」

 

「先輩、有難うございます、いつも助けてもらってばかりで…あたし、あたし。」

 

「ばっか、お前、あざといから泣くな。俺ももう大丈夫だから気を使うな、一色。」

 

「えっ、先輩…」

 

「お前もいつもの元気出してくれよ、俺も出すから…。」

 

「はい!先輩!あたしも図書館に行きます!」

 

「げっ、付いてくるの?」

 

「何ですか?駄目なんですか?あたしにも責任があります!」

 

「分かった、じゃ行くか。」「はい!」

 

 






図書館にお兄ちゃん達が行ってしまう事になり、
小町は一緒に行く事が出来るのか?




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小町 again ( ユキの忠告)



いろはが八幡に好意を抱いてるのを知った小町は八幡にいろはへ

アタックするよう進言するのだが。




 

 

「じゃ〜行くか図書館に。」

 

「はい!」

 

 

ズボンのポケットに両手を突っ込んでゆっくりと歩くお兄ちゃん。和らいだ笑顔で元気よく返事をしてお兄ちゃんの後をトトっと可愛らしく追ういろはさん…

 

「お似合いじゃん!」

 

 

2人の後を何処まで付いて行けるか不安だったけど、ギリギリなのかな?意外と図書館が近かったから何とか付いてけたって感じ。

 

 

「まずは、このコーナーの関連本を見なきゃあな。」

 

「あ!これ読んだことあります!」「うん?どれだ?」

 

「コレです、あっ…」「あ…悪い…」

 

うん?なになに?ちょっとあなた?どうしたの?へぇ〜

本を渡す時に手と手が触れてお互い目と目が合って見つめ合って…いい感じに?

 

「って、今、何ですか?本を渡す時に偶然を装って触れませんでしたか?

ちょっとトキメキ掛けましたがやっぱりよく考えるとまだ早いのでもう少し時間を

掛けてからアプローチして下さい、ごめんなさい。」

 

「あ〜分かった分かった。後から聞くからその本の内容は覚えているか?」

 

「む〜っ、ちょっと無視しないで下さい先輩!内容は大体覚えてますよ。」

 

「お前も案外だな。じゃ〜話が早い、この本の感想をベースに編集出来そうだな?」

 

「はい先輩!先輩に相談してやっぱり良かったです!頼りになります!」

 

「おい?あざといぞ、一色。」

 

「今のは本心です!」

 

ハナをクスンと鳴らしてる いろはさんは可愛いかった… 

 

本を選定して2人でまとめて行きノートに書き綴る作業を仲良くしてる。

 

「これで大筋が大体、まとまって来たな・・・ちゃんと見ろよ、また来るの大変だから。」

 

「もぉ~酷いですね見てますってばぁ~先輩の方こそ見逃さないで下さいね。

後で苦労するのあたしなんですから。」

 

「うわぁ~何その上から目線、まぁ…ちゃんと見るけどな。」

 

仲良く並んで集めた本をそそくさと片付けていった。

 

 

・・・・・・

 

 

「よし、こんなもんでいいだろう。」

 

「はい、先輩のおかげです!有難うございました。」

 

深々とお辞儀をして何度も礼を言ういろはさんに少し照れてるお兄ちゃんであった。

 

「明日・・・明日の昼それの続きを見てやるから・・・」

 

「えっ?・・でも、先輩・・」

 

「いいんだよ別にやる事ないし何なら雪ノ下達にも頼んで一緒にやるか?」

 

「いえ…っとぉ、別に先輩一人で大丈夫ですから、そんなに迷惑ばっか掛けられないじゃないですか。」

 

「俺ならいいのかよ、まっいいけど。」

 

「兎に角、んっ、今日はありがとうございました先輩!」

 

「おう、礼には及ばない。」

 

「先輩・・・」

 

「何だよ。」

 

「何でもありません、じゃまた。」

 

「おう、おつかれさん。」

 

 

辺りは既に夕闇を過ぎ静かな夜に変わっていた。

 

 

・・・・・・・・・

 

 

「あのねお兄ちゃん?」

 

ちょっと前まではお通夜の様な夕食が続いてたけど、お兄ちゃんとあたしだけの時は

前と感じが同じになって来た。何時ものテーブルに何時もの席であたしとお兄ちゃんで食事するの。あたしの分はお供え物とお水を並べて貰って我慢してだけどお兄ちゃんとお喋りしながらは前と同んなじだしお兄ちゃんも、すっかり元通りとはいかないけど元気取り戻して変な笑い方しながらモグモグと食べてる・・嬉しい。

 

「何だよ?」

 

「あのいろはさんってお兄ちゃんの事好きだと思うよ。」

 

飲んでた食後の珈琲を軽く噴きながら慌てた様子であたしに問う。仕方ないなぁ~ゴミぃちゃんは!

 

「アホか、そんな事ある訳無いだろ一色が好きなのは葉山って奴なんだよ。何で俺に

好意を抱かなきゃあならないんだ?」

 

「ほら、雪乃さんと結衣さん生徒会長阻止作戦の時いろはさんを押したでしょ?

それでその後のサポートをお兄ちゃんが何かとしてるじゃん、其の内にそんな

お兄ちゃんの事を好きになってもおかしくないよ。

だって何時も側に居てくれて困った時に誰よりも助けてくれて頼りになる人の事を

好きじゃないなんておかしいよ、小町の感に狂いはないから絶対間違いないって

お兄ちゃん、いろはさんにアタックしなよ!」

 

「はぁ〜何言ってるのお前?死んじゃった時に何処かおかしな所をうったんじゃあないか?」

 

 

 

「あのねお兄ちゃん?小町は何処も悪くはないからね死んでるけど。」

 

「そうですか。」

 

どうも説得力にかけるなぁ〜

 

「じゃあさ、お兄ちゃん。あたしと賭けをしない?」

 

「はぁ〜何を?」

 

「もし、いろはさんがお兄ちゃんの事を好きなのが分かったらお兄ちゃんが

いろはさんに告白するの。」

 

「ハイハイ、分かったから。あり得ないし、大体どうやって証明するんだよ?後、

お前賭ける物あんのかよ?」

 

うぅ、流石お兄ちゃん……性格が腐ってるだけあって疑り深い。

 

「兎に角、小町に任せてよ。賭ける物は勝敗が決まった時に見せてあげるから

楽しみにしててねお兄ちゃん!」

 

「まっ、どっちにしてもあり得ないからいいけどな。」

 

「じゃ、早速決まりね〜お兄ちゃん!」

 

・・・・・・・・

 

 

「……って言う訳だよユキちゃん。」

 

「どんな訳だよ、小町ちゃん?それでこれからどうするつもり?」

 

「えっとぉ、そこなんだよねユキちゃん。どうしようかな?」

 

「ハァ、やっぱり考えてないよね。」「うん!」

 

そこなんだよねぇ〜『これだ!』って言う証明が出来ないとお兄ちゃん、納得しないし

例え出来てもあのヘタレお兄ちゃんが告白する事出来るかなぁ。

 

「頑張らないとだね小町ちゃん。」

 

「何かいいアイデアない?ユキちゃん。」

 

「も〜少しは自分で考えなよ小町ちゃん。」

 

「う~ん、そう言われてもですね~。……閃いた!」

 

「何かな?」

 

「……そう言えば、テレビのオカルト特集か何かで幽霊が乗り移っちゃったりとか

相手の枕元に出てきたりを見た事あるんだけと、あんなのデマだよね?」

 

「デマじゃないよ、ホントの事だもん。」

 

ユキちゃんは涼しい顔で言う。

 

「うげぇ~、マジヤバイじゃんそれ。じゃあさぁ…あれ全部ホントだったの?

嘘だよね?怖いから嘘だと言って~。」

 

「あのね…小町ちゃん?その怖いのに自分なってるから。」

 

「ん~!ユキちゃんの意地悪。あれ、そうだよね?」

 

「テレビでやってる心霊特集の半分はホント、あと半分はデマだよ。人間が

作り出した創作、ノンフィクションだよ。」

 

ユキちゃんって猫のくせにあたしより博識だよね~凄いじゃん。

 

「じゃあ、あたしがいろはさんとか奉仕部の結衣さんや雪乃さんの枕元に出たり

乗り移る事が出来ちゃうんだ!」

 

ユキちゃんは大きな溜め息をつきながらいかにもヤレヤレと言う感じで話し出した。

 

「うん基本的に小町ちゃんが今言った事は出来るんだけどね…」

 

「何よ、ユキちゃん?他に何かあるの?」

 

「うん…何回もするとね…。」

 

ユキちゃんは何故か言い難くそうにしてる。

 

「教えたくなかったけど、言うことにするよ。いい?小町ちゃん、

これから言う事は絶対に守って!じゃないと教えない。」

 

「分かった、ユキちゃんの言う事を小町は絶対守るから、約束は守るから

教えてほしい。」

 

「うん、小町ちゃんを信じるよ。」

 

あたしの足に的割りつくかの様に自分の横腹を擦り付け、何事も無かったか

みたいな顔をしてちょこんとお行儀よく座った。そして、ゆっくりとあたしに

言い聞かせるよう話し出した。

 

「いい?人や動物に憑依できるけど何度も同じ人とかに憑くと本当の地縛霊に

なっちゃうの…そして記憶も何もかも全て忘れちゃって永遠に悪霊として生きてる

人に悪さをしてさ迷う事になっちゃう。

仮に運良く地縛霊にならなくても乗り移った人の人格に吸収されて消えて

なくなっちゃうんだ。」

 

「ゴクリ」と自分の生唾を飲んでしまった。

 

「…分かった、気を付けるね。で何回位でアウトになるの?」

 

「人によって違うみたいだけど2回が限界だと思って。3回目は無いと思った方が

いい、ほら『仏の顔も三度』と言うけど安全策をとった方がいいから。」

 

 

「分かった!2回迄ね。」

 

「絶対だよ、約束破ると地縛霊だから。」

 

「あ~ん、怖い事言わないで小町もみんなにこれ以上迷惑かけたくないから

大丈夫だよ。」

 

「うん。」

 

 

ユキちゃんは安心したのか前足で顔を洗いだした。

 

「因みに街中歩くとよく暗くなってる所があるでしょ?」

 

「あ~あるある、あれきになってたんだけど何なの?」

 

「あれ約束破った人がずっと漂ってる場所なんだよ。」

 

「えっ、そうだったの?でも何となく分かるような感じ。」

 

「あれがたまに人間に悪さして見えたりするからテレビで特集やってるんだよ。」

 

 

ゆきちゃんの説明でこの世の七不思議の1つが解明したような気がした。

 

 

 






本当に久々の更新になりました、また頑張って書いて見ます。




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