魔法少女リリカルなのはStrikerS /When I disappear (戦鬼)
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新しい名前

はい、どうも戦鬼です処女作ですのでいろいろ大目に見てください



ぴちゃん、ぴちゃん、と雫が落ちる音が聞こえる。もう何度聴いているかも分からない。そこは檻であり、実験場でもあった。あたりには機材おかれており、そのほとんどが壊れていた。

 

そしてそこには一つの人影。髪は真っ白だというのに、顔は若い。うたた寝しかけているその眼は紅く、まるで血の色をしている。

 

「今日で今年は何日目だったけな~」

 

最初の一年間はただ、何故なのかという疑問。

 

次の一年間くらい経って悲しみと怒り。さらに半年経った頃には涙は枯れ果て、怒りを生むだけの毎日。三年目でそれも消え、退屈となった俺はこの牢獄の中から聞こえる雫の音を数えていた。...一年で飽きた。いや、一年も続いたと言うべきか。

 

ただ気まぐれ、同じ日々だから新しいことを始めた、それだけだ。そろそろ考えるのもやめようかと思っていた時、急に牢獄の扉が開いた。

 

「ひさしぶりだな」

 

この牢獄にきて久々に人の声と姿を聴いて、そして見た。そしてそれが誰かもすぐに分かった

 

「こんなところになんのようですか?クロノ提督」

 

「随分と変わったな。昔と大違いだ」

 

目の前にいるお方は俺の変化に驚いていた。

 

「三年以上もこんなとこで閉じ込められてあんな実験受けてたら、死ぬか、あるいはこうなるのは、当たり前だと俺は思うけどな」

 

なにも言えないのだろう、唇を噛み締めているのがよくわかった。

 

「別に恨んじゃいない。そんな感情は捨てた」

 

「それでも言わせてくれ ...すまない。謝罪して済む問題ではないことはわかってる。それでも、すまない!」

 

本当にそれ以外の言葉がないのだろう、涙を流しているから本気で謝っているなとは思う。そして今更すぎだとも思った。

 

「今更すぎだろ」

 

と、思っていたことが口に出る。別に悪いなとは思わない。なぜなら本当のことだからだ。

 

「君のことを信じていたつもりだった。だが、」

 

「もう謝るなよ、クロノ提督。なにも変わりはしない。それより、ここに来てそのセリフが出るってことは、真実が分かったんだろ?」

 

「ああ。4年前の事件は全て偽装だった」

「できれば、裁判中の一年間で見付けて欲しかったな」

 

嫌みを言うがクロノはなにも言わない。いや、言えないのだろう。

 

「ただの嫌みです、そのくらいは受け流すべきですよ」

 

「君に、僕が何かを言う資格はない」

 

「あの事件はあんたは関わってない。それに、もう終わったことだ。そんなことよりもだ、これからオレはどうなりますか、クロノ提督?」

 

一番知りたいのはそこだ。退屈な日々が終わるのはいいがその後がどうなるのかは気になる。

 

「釈放だ。それと同時に君のこれからについてだが、ある部隊に配属となる。もちろん君の公式の記録は出せないがな」

 

「俺みたいな危険分子を権力つかってでも入れれる隊?どんな危ない部隊なんですかそれ?」

 

「機動六課...古代遺物管理部だ」

 

「そういうことですか」

 

すべてを理解した。やはりこの人は嫌いになれない。今も昔も。

 

「わかりました。んじゃ、さっさとこの鎖外してくれません?両手両足をつながれてるのもいい加減うんざりなんですよ」

 

「わかっいる。それじゃ「おまちくだい!」む?」

 

これからようやく退屈人生から解放されると思ったらこれだ。いきなり入ってきた20くらいの管理局員がクロノの隣に移動する

 

「こいつは危険です!四年前の事件は冤罪だとしても、こいつの危険性と二年前の事件のほうは真実です!」

 

考え直してくださいと言いたげなその男性局員は必死にクロノを説得する。それが可笑しかったので笑ってしまった

 

「なにが可笑しい!」

 

「いや、お前若いな。なにもわかってない」

 

「なにが言いたい!」

 

激情に駆られてるし。もう少し大人になれってんだ。

 

「いいか、お前がどう思ってるか知らんが、このクロノ提督は優しすぎるが情に流される奴じゃない。それにオレをここから出すのには相当の無理があったはずだ。つまり、その無理を聞かされても、OKを出した上は俺っていう爆弾を置いておける機関を見つけておきたかったってことだ...クロノ提督、その部隊の部隊長は誰です?」

 

「八神はやてだ」

 

「闇の書事件の加害者っと、被害者でもありましたね」

 

露骨に嫌な顔をする二人。事実を言っただけだオレは。

 

「この通りだ。上からしてみればこの夜神はやてを処分したいができない。そういうとこで爆弾であるオレを抱え込ませる。ここまで言えばお前みたいなのでもわかるだろ?」

 

ぐっと口を濁す。そうこれは俺へ救済ではない。問題ある爆弾を問題あるところに投げただけ。責任を押し付けただけに過ぎない。

 

「でもまぁ、それでもここから出られないよりはましだ。それともう一つお前は勘違いしてる。この鎖を取ろうと取りまいと、ここに来た時点でお前の命は保証されない」

 

と言って人にらみするとすぐに局員はビビりだした。

 

「安心しろ、殺しはしない。まだ楽しみたいこともあるしな、お互い」

 

「そこまでにしておけ。君はもう下がっていい。こいつは嘘はつけない人間だ...ん?どうした?」

 

とクロノが聞いてくる。おそらくオレはきょとんとした顔をしているのだろう。

 

「いや、オレが嘘をつけないってやつって思ってることもだが、いまだに俺を人間扱いしてくれるとは思わなかった」

 

「...君は、人じゃないのか?それとも、そんなに爆弾とか暴走兵器と呼ばれたいのか?」

 

少し怒ったような顔になるクロノを見て

 

「いや、ありがたい。まだ生きてるんだとより実感できる」

 

「まったく。それと、君が嘘をつけないというのは前々から承知してる」

 

「嘘なら一度ついたぜ」

 

「あぁ。知ってるだからこそだ」

 

「あぁ、なるほどね」

 

この人は俺のことをよくわかってらっしゃる。...嘘っていうのは一度ついただけでも自分を不幸にする。それを本当にすればいいが、本当になっても困ることはある。いやというほど味わった。

 

「かないませんよ、あなたには。クロノ提督...感謝はします。けど、オレは管理局のために働きも戦いもしません。オレが思った通りに戦います。それでもかまいませんか?」

 

「かまわない。君は他人に迷惑を掛けられない人間だ」

 

「ぐっ、よくいいますね。生きている限り、どんな奴でも迷惑は掛けますよ?」

 

即答するとは思わず、いまできる最大限の言葉を返したが

 

「たしかにな。だが、本当に大切な時はどうするかも君は理解しているだろう?」

 

やられた。この人は、オレを迷惑かけてもその迷惑を掛けた者たちのためにことを為す者だとお考えだ。そして、残念ながらそれは当たっている。

 

「クロノ提督、あんたこんな人でしたっけ?」

 

「君が僕をどう評価してくれていたのかは知らないが、僕も事実を言っただけだ」

 

「はっ」

 

しかし、どうやら面白いことにはなりそうだ。

 

「わかりましたよ。...もう一度言いますけど、オレは基本は独自に動きますから、そのつもりで」

 

「あぁ。独自行動の許可の書類はいずれ送る。とはいえ、もちろん限定はされるがな」

 

「はいはい」

 

やれやれだな。

 

「っと、そういえば、オレの名はどうすんですか?もちろん偽名になるんでしょ?」

 

「そのくらいは君が考えていい」

 

「名前ね~」

 

自分の名前を考えるなんてもちろんしたことがない。てきとうなのはいやだし、なら

 

「ロスティ、ロスティ・ゼロでたのみます」

 

この日、オレは新しい名を得た。これか先に何が起こるのかはわからない。楽しことばかりでないことはわかってる。まぁ、それでもオレはオレだ何も変わってない。

 

「因みにクロノ提督、オレの階級はどうなるんですか?今ありませんけど」

 

「一等陸尉だ」

 

「...はい?」

 

今この人は何と言った?一等陸尉

 

「クロノ提督、オレがここに来る前の階級知ってますよね?」

 

「もちろんだ」

 

なるほどこれはあれか、オレが少しでも動きやすくするための処置か。しかし、これでなんとなくわかったと同時に理解もした。

 

「やっぱり、管理局の上層部はクズ野郎どもばかりだ」

 

改めてそれを再認識した。

 

しかし、人生捨てたものでもないなとも思う。神様さまがいるとは思っていないがもしいるなら、ここまで悪いことがつながったんだ...最後くらいはいいことがあってほしい。つか、オレのが無理やりつかむ。

 

「楽しんでいきますか!」




こんな駄文を読んで下さり、ありがとうございます
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新しい部隊

一話少し直しておきました。
最初から考えていた主人公の階級と違っていたので。では今回も暖かい目で見て下れば幸いです


《十一年前》

 

『くそっ!まただめだ!』

 

その日もいつものように魔法の訓練をしていた。もちろん自主練だ。強くなりたいというのもあるが、オレにはいわゆる才能がなかった。...いろんな意味で。

 

『早く、オレも追いつかないといけないのに!』

 

少し前に15才に満たない局員が執務官になったと聞いた。しかも俺と同い年。

 

『負けてたまるかー!』

 

血反吐を吐くほど練習しているがなかなかうまくいかない。だが上達はしている。医者に診てもらって正解だった。

 

『必ず、絶対、オレも、やってやる!』

 

その日もやりすぎで少し嘔吐があったため、後で親に怒られた

 

 

 

 

「んあ?」

 

昔の夢を見ていた。こんな時代もあったなとかまるで年寄りのようだなオレは。

 

「さてついたか」

 

送ってもらった車から降りる。因みに運転していたのはあの時オレの鎖を外すなってクロノに言っていた奴だ。

 

「まさか、お前が俺を送ってくれるとは思わなかったぜ」

 

「クロノ提督からの命でだ」

 

「固いな。もっと柔らかくなったらどうだ?」

 

キッと睨みつけてくる。怖い怖いっと。

 

「まぁ、運んでくれた礼に一つ忠告だ。お前がどういう理由で管理局にいるかは知らないが、妙な正義感は今のうちに捨てておけ」

 

「なに?」

 

「組織ってのは一枚岩じゃない。すべてを否定するわけではないがな、自分で正義を名乗る組織や人にろくなのはいない」

 

「お前のような奴に言われる筋合いはない、この犯罪者」

 

「...一応、化け物っては言わないんだな」

 

驚いたような顔をする。...そっちか!と言いたいんだろうな。

 

「二年前の罪は払えるだけ払うさ。生きることが俺の罪への贖罪になる。それよりかは、化け物って言われるほうが嫌だからな」

 

オレは人間だ。少なくともオレはそう思っている。

 

「...犯罪者に同情はしないが、お前の言葉は心に留めておく」

 

「…一応、オレはお前より階級上なんだが」

 

「形式だけの階級だ!と言いたいが、了解しました、ロスティ一等陸尉」

 

そういって奴は去って行った。おそらくもう直接会うことはないだろうが、心に何か残っているならそれでいい。

 

「では、噂の機動六課部隊長様にあいさつでもするか」

 

 

部隊長室にて、

 

そこには二人の騎士、名前は赤髪で小柄な少女の方がヴィータ。長身で桃色の髪をした女性をシグナム。その中心の机には部隊長八神はやてと、そのユニゾンデバイス、確か名前はリィンフォースⅡ

 

全員の顔を見て名前を確認してオレは名乗った

 

「本日より、ここに配属となりました、ロスティ・ゼロ一等陸尉です」

 

「どうも。噂は聞いとるよ」

 

は?噂ってなんだ?まさか、オレの経歴がすでに出回っているのか?

 

「失礼ですが、噂とは?」

 

「なんでも、その年でいきなり管理局に入ってきたとおもったら、前例のない速さでその階級に付いたとか」

 

と、ヴィータが言う。

 

あぁーそういう噂を流して俺の経歴を隠そうってわけね。クロノか、それとも上層部のやつか、どっちにしろいやなもんだな。まぁ、仕方ない。気乗りはしないが、ある程度付き合ってやるよその設定に。

 

「まぁ、当たっているには当たっていますけどね」

 

「けど、うちにはどうもそれが嘘のように思えるんやけど?」

 

ほぉーさすがに部隊長っていうだけはあるな。嘘を見抜く力もある。

 

「嘘であろうと、本当であろうと、オレはクロノ提督の指示と推薦でここにいる。問題はないだろう?」

 

「...まぁ、それもそうやな。では、改めましてようこそ機動六課へ」

 

やれやれ、どうにかなったな。

 

「それじゃ、次は...」

 

と言おうとしたときに扉からノックが聞こえてきた。

 

「噂をすればやな。どうぞー」

 

「「失礼します」」

 

と、また新たに2人の女性が入ってくる。って

 

「あれ、あなたは?」

 

「フェイト隊長?この人のこと知ってるの?」

 

おいおいおい!こいつは!

 

「どこかでお会いしましたか?」

 

なんであんたがいる!フェイト・テスタロッサ・ハラオウン!

 

「いえ。初めまして、本日より、この部隊の臨時戦闘員となる、ロスティ・ゼロ一等陸尉あります」

 

「高町なのは一等空尉です。機動六課では前線フォワード部隊スターズの隊長を務めております」

 

「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官です。前線フォワード部隊ライトニング隊長を務めています」

 

敬礼をし、名乗ったことで相手も名乗り返す。というか、管理局のエースオブエースだと?どんな部隊だこれは?

 

「あの、やっぱりどこかで...」

 

そして話を戻してきやがった!

 

「いえ、しかしお互い有名人ですし、どこかですれ違ったり、大勢の人の中で顔を合わせたこともある可能性もあるでしょうし、そういった場所で顔を見たというほどでしょう。オレも、あなた方二人のことはよく耳にします」

 

「そう、ですよね...ごめんなさい」

 

「いえ、べつに」

 

ようやくこの話を終わらせられた。正直ほっとしたぜ。

 

「ところで、はやて部隊長は俺とこの2人を合わせてどうしろと?」

 

「いや、ただのあいさつや。これからフォワードの訓練や、それこそ実戦に出た時に連携を取れ...「お断りします」なん、やて?」

 

「ですから、断ると言ったのです。訓練にならたまに出てもいいですが、実戦でもそれ以外に関しても基本的にオレは独自に動かさせてもらいます」

 

「そんな勝手が許されるとでも?」

 

シグナムの鋭い眼光が睨む。

 

「許可は得ている。お前たちの上司でもあり、よく知る人物からな」

 

とオレは端末の書類を見せる。はやては見た瞬間に愕然とした。ま、当然だろうな。

 

「ロスティ・ゼロ一等陸尉に、一定独自行動許可を、与える。クロノ・ハラオウン提督」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「ということだ。オレはオレの自由に生きる。あぁ、大丈夫ですよ報告くらいなら逐一聞きますので、それでは」

 

「ちょ、ちょっとまっ」

 

部隊長殿の言葉を聞く前にオレは部屋を出た。あのくらいでちょうどいい。むしろ俺は余計に動きやすくなったわけだ。

 

「だが、ここの戦力は異常だな」

 

ニアSランク以上の魔導士があまりにも多い。どんな裏技だこれは?

 

「明日の新人訓練くらいは見てやるか」

 

そういう意味ではここの部隊は楽しみが多い。あ、それと後でクロノにはいろいろ聞かないとな

 

「さて、どうなることやら」

 

これから何が起こってもそれは自分が蒔いた種だ。後悔などない。だから面白いんだ人生は!

 

 

【別サイド】

 

「あのような者を放っておくのですか!?」

 

「シグナムの言うとおりだ!あいつは絶対に部隊の重荷になる!」

 

シグナムとヴィータの二人は怒りを出してはやてに言う。

 

「そ、そうですよ!はやてちゃんどうにかしないと!」

 

と、今まで恐ろしい雰囲気だったため声が出せずにいたリィンフォースⅡこと、リィンが会話に参加した

 

「みんな落ち着いて。感情的になったらだめだよ」

 

「シグナム、落ち着いて!」

 

なのはとフェイトは仲裁に入り落ち着きだす二人だが、それでもやはり言うべきことは収まらない

 

「はやて!本当にどうすんだよ?あんな奴のいいように!」

 

とヴィータの言葉を聞きながらはやては考えていた。

 

「うーん。そもそもクロノ君はどうして彼をここへ移したんやろか?それもこんな許可証付きで」

 

「フェイトちゃんは何か聞いてる?」

 

友人同士になり、砕けた会話をする。が、内心は穏やかではない。

 

「なにも...最近連絡も取れてなかったんだけど」

 

と、そこに噂の人物からの通信があった

 

〈みんな、久しぶり〉

 

「クロノ君!」

 

〈その様子だと、あいつが何かやらかしたみたいだな〉

 

まるでこうなることは予測済みと言わんばかりである。

 

「ねぇ、クロノ君正直に言って彼は...」

 

〈わかってるなのは。協調性に欠けるだろ?〉

 

ならなぜ?という疑問が飛ぶ前にクロノは答える。

 

〈すまないが、今は多くは語れない。だが、信じてほしい。あいつはいい奴なんだ〉

 

と、提督という階級にもかかわらずクロノは思いっきり頭を下げた。

 

「はぁ~わかったけど、とりあえず様子見やな」

 

〈ありがとう。また連絡する〉

 

と通信を切ろうとしたとき

 

「クロノ...あの人は、本当に何者なの?」

 

フェイトの質問に対し、義理の兄である彼がとったのは

 

〈すまない〉

 

それだけだった。つまりは答えられないのだ。

 

「わかった。でも、いつか必ず話してね」

 

その言葉を聞いてほっとしたのか、クロノは通信を切った。

 

「とりあえず、明日私となのはで訓練場に来るよう誘ってみるよ」

 

「そうだね。そういえばシャーリーが言ってたけど明日だよね、ロスティさんのデバイスが届くの」

 

「あ、そうですね。たしか開発中の新型デバイスの試作機だとか」

 

なのはの言葉にリィンが返す。しかし、実はこれも問題があった。

 

「デバイス情報の提出なし、点検等はすべてロスティ一等陸尉にゆだねる…この書類に書かれてることみると、どうも色々怪しいんやけど、送り出したクロノくんはあんな調子やし」

 

「今は、クロノくんを信じるしかないね」

 

「主はやて、あいつとの模擬戦の許可を。実力を測るとついでに、性根を叩き直します」

 

「うちは別にええけど、等の本人は拒否すると思うで。この書類見たところ、上官の命令で動かせられるのはクロノくんでも難しそうやしって、これ…」

 

「どうしたんだはやて?」

 

ヴィータが書類を覗くと他のものたちも見だす。

 

「この書類、ロスティ一等陸尉の独自行動許可範囲が細かく書いとる」

 

「それがどうしたの、はやて?」

 

「うまくいけば、コミュニケーションくらいは取れるかもしれへん。それが連携に繫がるかも……ふふふ、うちを舐めた報い、たっぷりとしたるで〜」

 

友人の笑いながら怒っている顔を見てなのはとフェルトはじゃっかん怯えていた。

 

 

【ロスティ】

 

やれやれ、初日から驚きっぱなしだ。

 

「あ、そういや」

 

オレのデバイスどうすんだろ?すっかり忘れていたことを今更思い出した。明日は色々とクロノに聞いてみないとな。

 

「今日が、終わるな」

 

沈みゆく太陽はまたオレのリミットを告げているようだ。考えるうちにオレはまた夢の中に意識が沈んでいた。

 

また今日も、幸せだった頃の夢を見る。もう戻ることのない幸福の日々を。

 




主人公のキャラ情報はデバイスが出たあたりで出します
それでは、感想等お願いします


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新しい日常

遅れて申し訳ありません。リアル忙しく、暇な時し書けません

楽しんでもらえれば幸いです


「で、いろいろ聞きたいことが多いんですが...まず、なんであんたの義理の妹がここにいる!」

 

問いただしたいことは色々あるがともかく今知りたいのはあいつのことだ。オレとあいつは確かに会っている。それがわかったら、ここにはもういられない。

 

〈伝えていなかったのは悪いと思っている。だが大丈夫だろ、君の顔立ちはいろいろ変わっている〉

 

「そういう問題じゃないです。なにより一瞬気付かれかけました」

 

確かにここ数年でオレの顔立ちは変わっている。それでも、声や顔のバランスは変わらない。

 

「もしあいつがオレの正体に気付いたら、一番困るのはクロノ提督だということをわかっていますか?」

 

〈それはそれで...「よくない」〉

 

この人が何を考えてるのか分かったぞ。

 

「前も言いましたが、オレはもう誰も恨んじゃいない。なにより、あんたは恨まれることはしていない」

 

〈しかし...〉

 

「それ以上の言葉はいいです。大方、困ることになっても、それがオレへの謝罪のつもりにしてるんでしょうが、そんなものいりません」

 

言わせる前に言わなくてはこの人に押し切られる可能性もある。

 

「まぁ、あんたの義妹のことはよくはないですけどもういいです」

 

だからさっさとこの話は終わらせるに限る。

 

「もう一つは、俺専用のデバイスですけどかまわないんですか?上層部の連中は俺に武器を持たせたくないと思うんですけど」

 

〈心配いらない。安心してくれ〉

 

クロノはそう言うが、やはりいつもの通りだ。

 

「また、そういうことを言う」

 

心配するなと言う言葉にはデバイスのことでなく、自分のことよりも君のことを大切のしてくれという思いが伝わってくる。

 

「クロノ提督、オレは正直今楽しいんですよ。あんな暗いところで、死ぬことすらどうでも良くなっていたオレにもう一度外の世界を見せてくれたことに感謝しています」

 

何度も死のうとおもった。実際にすることはできず、監視役に無理やり止められ実験によってすり減らされていく命。死すらどうでも良くなるなど、生命としての全てを奪われた。

 

「だから、オレは、あなたに感謝しているんです。もちろん、管理局は嫌いです。でも、感謝を忘れたくないですよ」

 

それが、二年前の事件に対する報いに少しはなる。

 

「だから、すまないって言わないで下さい。感謝してるのですから」

 

〈…わかった。ありがとう。スライブ〉

 

「今は、ロスティですよクロノ提督いえ、クロノ」

 

あぁ。と言うその声には先ほどの感じは無くなっていた。ようやく、久々にお互いの距離が少し戻った気がした。

 

〈話しは変わるが、随分とそっちでは無茶をしているみたいだな〉

 

昨日の部隊長室の件か。おそらく八神はやてか、他のメンバーから伝わったのだろう。

 

「それが何か?そう言う無茶ができる権限をオレは持っていますよ」

 

〈君の場合、無茶を通り越して無茶苦茶だ〉

 

上手いこと言うなこの人。

 

〈まぁ、君なら大丈夫だろうが、一つ言っておくぞ。はやてをあまり舐めない方がいい〉

 

「はいはい、了解しました。では定期報告を終わります」

 

まだ言いたいことがるあるのか、止めてくるが無視する。

 

「さて、飯にするかな」

 

舐めるなとか言われても、おそらくオレにもうかかわってこないだろう。邪魔さえしなければいいって感じで。

 

数分後、その考えは浅はかだと気付く。

 

 

 

クロノとの会話も終えて、とりあえず飯と思い厨房へ向かう。それにしても…

 

 

「俺専用デバイスねー。てっきり、形だけかと思った」

 

そもそも俺の戦い方に合うのかどうかそんなことを考えながら歩いていると、

 

「きゃ!」

 

「おっと」

 

曲がり角から来た十歳程の少女にぶつかった。俺は微動にしなかったが、相手の方は勢い余って尻餅をついてしまう。

 

「ご、ごめんな…ひっ」

 

「キュ~!」

 

俺を見た瞬間に隣にいた小龍と共に声が震え怯え出す。まぁ、今の俺は制服の第二ボタンまで外し、首にはチョーカー、紅い瞳は少し目を細めただけでにらんでいるといわれてもしかがないだろうが、何もそこまで怯えなくていいだろう。

 

「おい」

 

「は、はいぃ!」

 

「キュ、キュク〜」

 

「だから怯えんな。あと、人にぶつかっておいて何もなしか?」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

「俺もまえをよく見てなかった、すまない」

 

と俺が頭を下げていうと、まえの少女はと頭を上げてキョトンとした顔になる。

 

「なんだ」

 

「あ、いえ、別に」

 

「そうか。なら俺は行くぞ。飯を食いたいんでな」

 

やれやれ、人が行動するといろいろなことがおこるが、朝からほんとうにいろいろあるな。

 

 

【キャロ】

 

怖い人にあったと最初は思った。けど、見た目よりいいひとかもしれない。

 

「…さっきからオレの後ろについて来てるが、なんかようでもあるのか?おまえも朝飯か」

 

「は、はい」

 

いきなり質問されたのでとっさに答えがでたがまちがってない。と、しばらく無言が続いたころ

 

「………思うんだが、人が朝飯を食うとういうのは、動物的にはどうなんだろうな?」

 

「はい?」

 

「他の動物は、朝飯という概念はない。移動や狩りのためのエネルギー補充のための捕食だ。故に、朝は寝て、体力を温存するそれが彼らの生き方だ。俺が知る限り、朝に飯を食うということをするのも三食食うのも人間だけだ。いつからこうなったんだろうな」

 

「は、はい?」

 

どうしようこの人の言ってることのほとんどが理解できない!?というか、なんでいきなりそんな話に!?

 

「…おまえ、さっきから、はいか、すいませんしか言わないな。こっちは話す内容があまりないんだが」

 

「えと、すいませ…あっ」

 

男性はため息を吐く。うぅ、怒らせてしまったでしょうか

 

「怒ってねーから、あんまりビクビクするな」

 

と私の考えが分かったのかそう言ってくる。

 

「顔を見ればわかる。気にしてない。これでいいだろ」

 

「……いいひとですね」

 

とうっかり声にでしまいました。しかし急に表情がかわりました

 

「オレは、おまえが思ってる程いいやつじゃない」

 

「え?」

 

「さっきの話の続きだが、地球って世界は知ってるか?」

 

「え、えと、知ってます」

 

またハイというだけでは不快にしてしまうと思って受け答える

 

「その世界も一日三食なんだが、それを発案したのは有名な発明家だそうだ。健康のためが表向き。裏向きは、自分が開発した調理器具を売るためだそうだ。わかるか?この世には裏と表がある。お前がいい人に見えるのは表向きだけかもしれん。全て疑えなんて言わないが、全てを信じすぎるのも良くない」

 

「………」

 

前半の話はよくわかんなかったですが、でも二つだけ分かったことがあります。一つはやっぱりこの人はいい人だということ。もう一つは

 

「おい、なんだ?その変な人を見る目は?」

 

「えっ!あの、そう、思ったからで… すいません!」

 

これは流石に怒られると思い、ちらりと相手の方を見る。その人は心底驚いたような顔をしていた。そして

 

「く、くくく、ハハハハハハハ」

 

突然笑い出しました。

 

「いや、すまない。そんな風に俺のことを言ってくるのは初めてでな、つい、くくくっ」

 

「………??」

 

やっぱり、いい人ですけど、変な人です。

 

「いや、久しぶりに笑った。感謝するぞ…えーと、すまない名前をいいか?」

 

そういえば、すっかり忘れていました。

 

「キャロ・ル・ルシエ三等陸士です」

 

「オレはロスティ・ゼロ。一応、一等陸尉だ」

 

一等陸尉…って!

 

「も、申し訳ありません!」

 

「気にしてないない。伝えてなかったオレの落ち度だ。ともかくよろしくな、キャロ」

 

よかった、いい人と仲良くなれそうで

 

 

【ロスティ】

 

 

やれやれ本当にいろいろあるが、オレとしたことが人付き合いはあまりしないようにしてたんだが、沈黙が耐えきれず雑学を話してたら、なんか仲良くなってしまった。まぁ、ここから別になればいいか。

 

「それじゃ、オレはこの辺りで失礼する」

 

「えっ、一緒にお食事しないんですか?」

 

何故疑問に思うんだか。

 

「オレは向こうで一人で食べる。その方が落ち着く」

 

「でも…」

 

「キャローおはよーって、誰、その人?」

 

と会話しているとまえから若い局員、おそらく残りのフォワードのメンバーだろう。中でも一番元気のよさそうなショートカットの少女が聞いてくる

 

「一応、昨日付けでここの配属になったロスティ・ゼロ一等陸尉だ」

 

「っ!し、失礼しました!ほら、あんたも!」

 

「うぐっ、失礼しました」

 

さっきと似てるような光景だが、こうしてみるとこのツインテールの少女とショートカットの少女はいいコンビだなとも思う。

 

「べつにいい。それより、始めて会って名乗りもなしか?オレは名乗ったぞ」

 

「ハッ!ティアナ・ランスター二等陸士であります」

 

「同じく、二等陸士のスバル・ナカジマであります!」

 

「三等陸士のエリオ・モンディアルであります!」

 

堅苦しい挨拶をする三人。こいつらがフォワード部隊ね~

 

「ん。じゃ、オレは向こうに行く」

 

「やっぱり、一緒に…」

 

「キャロ、お前たちはチームだ。チームはお互いをよく分かっている程いい動きをする。なら、コミュニケーションの場は重要だ。細かいくせが見える時もあるからな」

 

「だったら、なおさら…」

 

「オレは上層部から、独自行動、及び判断の許可を得ている。寧ろ邪魔になる」

 

そう言った瞬間に四人は嫌な顔をする。まぁ、キャロはちょっと悲しそうな顔だが。

 

「と言うわけだ。オレは1人で「そうはいかんで」…なに?」

 

声がした方を見るとそこには腕を組んでドドーンと言う効果音がありそうな感じで八神はやてがいた。

 

「これは八神部隊長、何のようでしょう?昨日の件はもう話したはずですが?」

 

「やっぱり、協調性ゼロやな」

 

「それが何か?そんなもの、オレには関係ない」

 

すでに火花がお互いの間にたっているだろう。フォワードのメンバーも周りの局員もおびえている。

 

「まぁ、たしかに。けど、それでもみんなとの食事とコミュニケーションはとってもらうで」

 

「断る。オレには関係ない」

 

当然即答だ。俺の権限はクロノの名で通っているが、実質はその上が許可をしているからクロノよりも上回る。

 

「いーや。その権限は今はないで」

 

 

 

 

 

ーーーーーはい?

 

「それは、どういうことだ?」

 

「この書類を見たところ、実戦と訓練を合わせた戦闘の自由参加、デバイスのメンテを含む管理の自由、戦闘時の独自行動の許可が細かく書かれとるけど、肝心の機動六課内での行動に関してはまるで書かれ取らん。つまり、今この権限は全く通用せん」

 

「そ、そんなのは、ただの屁理屈だ!」

 

「やかましい!穴をついただけや」

 

それをこの世では屁理屈と言うんだ!

 

「ともかく、ここ書かれてない以上は、上司である私の命令を聞いてもらうで」

 

「ぱ、パワハラだ!」

 

「至極真っ当なことを言っとるだけ、パワハラとちゃう!」

 

くそ、舐めてた!ここまで根に持つ奴とは!

 

「それじゃ、命令をするで。ちゃんとみんなと食事して、コミュニケーションを取ること!」

 

ギリギリと歯をきしめるがもうどうにもならない。ここ以外に俺が入れる場所もないし…

 

「了解しました、八神部隊長……(ちっ)」

 

わざと聞こえるよう舌打ちするのが精一杯の抗いだった

 

(ここじゃ自炊もできそうにもない。諦めるか…)

 

今日は始まったばかりだというのに、ほんと、やれやれだぜ。

 

 

 




はい、ロスティの本名をだしましたスライブです。
感想、意見があればよろしくお願いします。

あと、次回からもっと遅くなると思いますが、がんばります。
はやく時間を自由にしたいです。
次回にロスティのデバイスとロスティの設定をだします。


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新しい武器

最近、時間の使い方について教わってすごいと思いました。
自分の時間はもっと大事にしてみます

調子が良かったので予定より早くできました。


一週間前

 

「まさかこの制服をまた着ることになるとは…」

 

複雑な気持ちだ。

 

「うわっ!階級が一等陸尉だ。うれしー」←棒読み

 

「全然嬉しそうに聞こえないな」

 

服合わせをした後クロノの前にでる。しかし窮屈だ。こんなものをしっかり着けているといろんな意味でキツイ。第二ボタンまで外す。

 

「そのすがた、不良だぞ。見たままだな」

 

ほっといて欲しい。つか、別に管理局の為に生きてるわけじゃないし。

 

「さて、もうすぐ機動六課に配属となるが、皆と共に時間を過ごしてくれ」

 

「断ります」

 

すぐさまクロノの言ったことを拒否する。

 

「それだと君は…」

 

「一人は慣れてます。それに、万が一オレの真実を知ったらオレと関係を持ったやつにも、あなたにも影響を及ぼすかもしれませんし、何よりも、オレそのものが機密事項扱いなら、人付き合いはなるべく避けるべきです」

 

「そうかもしれないが…」

 

「迷惑は掛けてしまうものです。だが、俺の場合は最悪大迷惑になってしまいます。状況を考えてもそうするべきです」

 

「僕は、君になるべく普通に生きてほしいんだ」

 

クロノの言いたいことはわかる。だが、俺はもう普通という場所にはいられない。というか、

 

「管理局で曲がりなりにもいる時点で、普通とは言えないし、そもそも普通って言葉は人によって変わりますよ」

 

そう答えると、クロノは諦めてわかったと答える。まぁ、一人でもこの権限があれば大丈夫だろう。

 

………そう思ってた時期もあった。

 

 

現在

 

 

「よかったです。ロスティさんとお食事できて」

 

「そうかい」

 

隣でニコニコといい笑顔のキャロを見ながら食事を口へと運ぶ。まさか八神はやてという人物がこんな手を使ってくるとは思わなかった。ちなみに俺のことはロスティでいいと全員に言っている。

 

「で、お前らさっきからなに黙ってんだ?コミュニケーションをとるのはオレがいなくてもするもんだろ?」

 

「「「はぁ」」」

 

くそ、なんで誰も喋らないんだ。つかさっきから見てて思うが

 

「おい、スバル!お前なんだその大量のスパゲティは!」

 

「え?いや、いつもこのくらいたべますし、訓練も大変だし…」

 

「そういうことじゃない。そんだけ炭水化物をとるくらいならもっと野菜食え!六つの栄養をバランス良くとれ!六課の食堂の野菜はきちんとしてるから栄養もある。どう考えても偏りすぎだ」

 

そういってスバルの皿に野菜を入れる。

 

「きちんとした食事にしろ。人の体は口に入るもので変わる。病気のほとんどの理由は口から入るものが原因なんだ。逆を言えば、いいものを入れれば、強い体になる」

 

「は、はい」

 

「まったく…ん?なんだティアナ」

 

ティアナがクスっと笑いオレとスバルを見る。

 

「あ、いえ。なんだか栄養士のお父さんみたいで」

 

「べつに、オレは食事に興味があったから調べただけだ。もっとちゃんとした専門家にはかなわない」

 

この程度の知識は少し調べればすぐに分かる。説明しながら俺もサラダに愛用ソースをかける。

 

「ん?なんだ?」

 

と、全員の目がオレにくぎづけとなる。

 

「えーと、聞いてもいいですか?その、サラダにかけているそれは…」

 

「アフターバーナー、唐辛子凝縮エキスだ。エリオもどうだ?」

 

「遠慮します。というより、そっちの方が体に悪くないですか?」

 

「キチンとしたものをしっかり取れてるからいいんだ」

 

ウソは言ってない。これも本当のことだ。

 

「ロスティさん、辛いのが好きなんですか?」

 

「好きというより、刺激を感じるからだな」

 

それ意外に理由はない。

 

「あの、質問いいですか?」

 

「答えられる範囲ならな」

 

「ロスティさんは、ここに来る前はどこにいたんですか?」

 

いきなり答えづらいのがきたな。

 

「クロノ提督の元にいた。いろいろと世話になっているからな」

 

「管理局にはどのくらい勤めてるんですか?」

 

「なんでそんなこと聞くんだ?」

 

「いえ、私たちも最近この部隊に入ったんですけど、それまでロスティさんのことを聞いたことなくて。それに、純粋に同じ陸戦魔導師の上官ですから、いろいろ聞きたくて」

 

こいつ、オレのことを探ってんのか?……いや、確かにメンバーの中では一番頭脳派という点も含めても(・・・・)若すぎる。流石にこれは考えすぎだな。そもそもそういうの含めて、ここに配属されてるんだろうし。

 

「…一ヶ月半だ」

 

だから本当のことを伝える。クロノのところに以前いた期間とを計算すればこのくらいだ。と、四人の顔が変わる。

 

「い、一ヶ月半で、管理局の一等陸尉になったんですか!?」

 

ティアナは目を見開いて言う。まぁ、普通に考えたらありえないな。しかし、オレはウソはあまりつきたくない。

 

「運が良かっただけだ」

 

「でも、それだけの才能があるってことですよね!」

 

才能か。

 

「エリオ、それと他の三人にも言うが、オレに憧れとか羨ましいとか、そういったものを持つな。お前達の良さを潰す原因になりかねない」

 

「え、でも…」

 

「いいから、それより、この後訓練だろ?早いとこ飯食え」

 

そう言って止まっていた手を動かそうとすると

 

「しっかりコミュニケーションがとれてて、安心しました」

 

「キャロとエリオと仲良くなってくれてありがとうございます」

 

いつの間にか二人の隊長がいた。

 

「他の人たちともコミュニケーションとってください。シグナム副隊長やヴィータ副隊長も含めてあなたのことをよく思ってない局員はいますから」

 

「コミュニケーションはとりますよ高町一等空尉、ハラオウン執務官。けど、嫌う奴は勝手に嫌えばいいです。そいつらのご機嫌とりの為に俺はいるんじゃない」

 

「なのはでいいですよ。同じ陸と空と分かれていても階級同じですし」

 

「私もフェイトでいいですよ」

 

「………」

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ、べつに。それより、なんであんた達はそう俺に構うんですか?普通は無視するところですけど?」

 

こんなにも考えていたことが上手くいかないなんて思っても見なかった。

 

「一人でいるのって辛いと思うんです」

 

「別に俺は…」

 

「その目はウソですね」

 

「なんで分かるんですか?」

 

「一人でいるさびしさは、少しは分かってるつもりです」

 

「それにさっきまでの様子を見ると、人付き合いが嫌いには見えませんよ」

 

やれやれ、この人達は

 

「………まぁ、勝手にそう思っていてください」

 

そう言って席を立つ。

 

「あの、この後の訓練に参加してください!見学でもいいので」

 

「俺が行きたいと思ったら行きますよ」

 

受け答えをしてこの場を離れる。できるだけ早く、気付かれないように。

 

「はぁーほんとやれやれ」

 

どうしてみんな、俺に構うんだか。

 

「さて、とりあえず届いたデバイスを見に行くか」

 

その時オレ自身も気が付かなかったが、瞳は泣いているような顔だった

 

 

【なのは】

 

 

ロスティさんの背中が見えなくなるまで見た後私はフォワードの皆に問いかける。

 

「 うーん、いろいろと疑問がありますけど、悪い人には見えませんでした。スバルやエリオに対しての気遣いをみた限りですけど」

 

「というより、独自行動の許可ってほんとうなんですか?」

 

エリオが疑問に思うも当然だろう。部隊に入るものとして、単独行動は常に自分の命も他の隊員の命もきけんにさらしかねない。

 

「そうみたい。書類はクロノ提督の名前が入ってたけど、実際はもっと上が容認してると思う」

 

フェイトちゃんの言う通り、クロノくんの権限だけここまで出来るとも思えない。

 

「でも、その権限があれば、べつにここにこなくてもやっていけたんじゃ…」

 

ティアナの意見も間違ってない。この権限を許可されたのと、機動六課に配属されたのも何かわけがあるに違いない。

 

「 あのー私も意見いいですか?」

 

スバルも言いたいことがあるのか手を上げる

 

「なんていうか、皆が黙ってたら自分で話し始めたのを見た後だと、無理して一人になりたがってるような気がするんですけど」

 

「たしかに、わたしが最初にあった時もそうでしたし」

 

いずれにせよ、謎が多い。けど、わたしが、私たちは、絶対に彼を一人にしてはいけないということだけは確かだろう。何か彼にはそこはかとなく不安を感じる。

 

(大丈夫だよ、なのは。わたしや、はやても協力するから)

 

わたしの不安が伝わったのか、フェイトちゃんが念話で声かけてくる。

 

大丈夫と返してわたしは考える。彼と共に戦えるかどうかを

 

 

【ロスティ】

 

 

デバイスルームについた。さてさていよいよオレのデバイスとやとご対面か。

 

「失礼する」

 

「あ、お待ちしてました」

 

「おまえは?」

 

「メカニックデザイナー件、機動六課通信主任の、シャリオ・フィニーノ一等陸士です。本局からとどいたロスティさんのデバイスをこちらでお預かりしています」

 

と言って彼女が手を向けた先には大きめの銀のアタッシュケースが置かれていた。

 

「鍵はお持ちですか?」

 

「あぁ、持ってる」

 

ここに来る前にクロノから渡された鍵を使いアタッシュケースを開ける。

 

「へぇーこれがオレの」

 

中には黒い螺旋が描かれたガントレットが両腕分入っていた。早速起動するとしよう。

 

「起動動作、スタート」

 

〈起動動作スタート。音声確認、マスターネーム、ロスティ・ゼロ確認。第一動作完了。第二動作に入ります。腕に装着して下さい〉

 

言われるまま、デバイスを腕につける。すると

 

〈装着確認、リンクを開始します〉

 

「!、なるほどな」

 

「どうかしましたか?」

 

なんでもないと答え、起動動作に集中することにした。

 

〈リンク完了、最終起動動作に入ります。セットアップして下さい〉

 

「かまわないか?」

 

「はい、どうぞ」

 

「なら、セットアップ」

 

小さな声だが、聞こえるようにつぶやく。すると、足元に魔法陣が出現し、服装がバリアジャケットに変化していく。

 

〈全システム、起動を確認、おはようございます。リンクデバイス、コード0、メメントモリです〉

 

「これが、オレのバリアジャケットか」

 

その姿は元々の形状は肘より少し短いサイズのガントレットが腕全体にいきわたり、手首から肘にかけて五角形状の盾が両腕のガントレットと合体しており、服装は通常の管理局の量産デバイスのバリアジャケットににているが上半身は白く、黒い線がX状に背中と前に入っている。下半身は黒い袴のような形状である。

 

「オレの戦い方にあった物か」

 

〈はい。あなたの戦闘スタイルデータは入っております。お役に立てれば〉

 

随分と気前だけはいい。が、

 

「悪いが、おまえは壊すつもりで扱うからな」

 

「さ、さすがにそれは酷いような…」

 

「フィニーノ…」

 

「シャーリーで構いません」

 

…いきなり愛称OKとは、この機動六課には人見知りする奴はいないらしい。

 

「ならシャーリー、こいつとオレはパートナーじゃない。ただの武器と主人の関係だ」

 

「そんな、デバイスはAIとはいえ、心があるんですよ」

 

「武器には変わらない」

 

〈ワタシも、その考えにのります。ワタシは、マスターの命令が全て。ロスティ様の戦いをサポートし、チェックしていくだけです〉

 

「ほう、殊勝な心がけなことだ。なら、遠慮はなしだ」

 

「…わかりました。あなた方の関係には口を出しません」

 

シャーリーには理解できないだろう。それでいい。知る必要もない。

 

「でも、それとは別に、個人的にお話があります」

 

「?」

 

「デバイスに、せめてデータ記録用のチップを入れさせて下さい」

 

なぜいきなりそんな話になる。

 

「あー、おまえは、俺の権限について聞いてないのか?」

 

「いえ、しってますよ。私と同じで、デバイスマイスターの資格を持ってることも」

 

「なら、必要ない。しつこいようだが、オレには独自行動の許可がある。他のメンバーと協力する気はない」

 

「やっぱりダメですか…メカニックデザイナーとしても、新型デバイス、リンク型について調べて見たかったんですけど」

 

なるほどな。

 

「どうやら、お前とは気が合いそうにもないな。今のうちに言うが、オレは科学者と薬を渡すだけで対策を教えない医者がこの世で一番嫌いなんだよ。分かったなら、そういう関係でオレには話しかけるな」

 

「うっ」

 

すこし言い過ぎただろうか。いや、ウソは言ってないし、これだけ言えばさすがに…

 

「いえ、貴方が拒絶しても、私は拒絶しませんよ!」

 

なんでだよ!?

 

「なんなんだお前らは。高町一等空尉も、ハラオウン執務官も、八神部隊長も、どいつもこいつも!オレにかまうなくらいなら、もっと他に時間をさくところがあるだろ!」

 

「その八神部隊長となのはさんとフェイトさんが、あなたを一人にしないようにと頼まれたんです。六課全員に言われたことではないんですけどね」

 

なんてことだ。あの部隊長と隊長二人はどういう頭してんだ?理解できない。

 

「はぁー。まぁ、オレは自分のすきなように生きるだけだ。無視しようが、どうしようが知ったことじゃないがな」

 

正直に言って調子が狂いっぱなしだ。なんでこんなことになるんだ?

 

「デバイスはオレの許可でも開示できないが、戦闘と訓練時のデータくらいはとっていいぞ。もちろん、デバイスの機能状況などのデータは見せられないから、映像のみだけどな」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ふん」

 

用事は済んだ。さっさと行くとするか。

 

 

【シャーリー】

 

 

どうしてあそこまであの人が他者を拒絶しようとするのかは分からないが、ハッキリしたこともある。彼は一人になろうとしてるだけで、寂しがりやなのだと。

 

「なのはさん達の言う通り。でも…」

 

なぞもやはり色々ある。あのデバイスについても、そして

 

「フェイトさんが言ってたことに関しては、全然だったな」

 

シャーリーはフェイトにロスティと自分の接点を探るようにも言われていたが、それに関しては話しに触れることもできなかった。

 

 

【ロスティ】

 

 

なんなんだ、なんなんだ、なんなんだ!ここに来てから自分の周りに呼んでもいないのに人が集まる。拒絶しているはずなのに!

 

「やれやれ。ほんとに…調子が狂う。シャワーでも浴びるか」

 

とにかくスッキリする為にシャワールームへ向かう

 

「あれ、ロスティさん!」

 

「ん、エリオか。何してるんだ?」

 

階段に座って誰かを待っているかのようしているエリオに話す。隣にはフリードもいる

 

「じつは、僕たちに新しいデバイスが支給されるそうなんです。あとは、皆さんが来るのを待っていて」

 

なるほど。女性の入浴とシャワーは長い。まぁ、これは仕方のないことだが。

 

「そういえば、そのガントレットは、もしかして…」

 

「あぁ。オレのデバイスだ」

 

「変わった待機状態ですね」

 

まぁ、それはそうだ。

 

「エリオくーん、ロスティさーん」

 

この声はキャロだろうと思い声がした方を見ると残りのフォワードメンバーがいた。

 

「もう今日の訓練は終わったのか?」

 

「いえ、新デバイスを頂いてから、また後で訓練です」

 

「そうか。…その訓練は俺も見てやる」

 

ポツリと言うと、四人は笑顔になり、

 

「本当ですか!」

 

「出来れば、僕達の訓練にも参加して鍛えて下さい!」

 

「色々と勉強させて下さい。ロスティさんみたいな才能に溢れた人が教えてくれれば、もっと強くなれますし」

 

「ティア、すごい積極的!でも私も気持ちは同じです!」

 

とそれぞれ言ってくる。なんでそこまで喜ぶんだ?

 

「気が向いたらな。とりあえず、見るだけだ。教えてもいいがオレが教えれるかは、高町一等空尉に確認を「いいですよ」とらな…ってそんなアッサリと決めていいんですか?高町一等空尉?」

 

「なのはでいいですって。それと、模擬戦なら教える人が変わってもいいですし、丁度新デバイスのテストにもなりますし」

 

この状況ではいまさら断れない。口は災いの元とはよく言ったもんだ。

 

「わかりました。とりあえず、シャワー浴びてからで。そちらもデバイスを取りにいく必要があるでしょうし」

 

「はい!また後で」

 

満面の笑顔で彼女は言っていた。

 

 

シャーという音が響く頭から温かい湯がかかり気分がリラックスする。

 

「何やってんだよ、オレは…」

 

この状況は、オレが引き寄せたとでもいうのか?一人でいよう思っていても心の奥底では人を求めてるのかオレは?

 

(なにを考えてる)

 

そうだ、こんなの求めちゃいけない

 

(人は皆同じだ。クロノでさえそうに…)

 

そうだ、あいつも…って

 

「なにありもしないこと自問自答してんだよオレは。二日目から色々ありすぎて思考が混沌化してきてるな」

 

訓練は見るだけ見て休もう。正直、今日は疲れた。精神的に。

 

「そうと決まれば、さっさと訓練を見て」

 

とそこにアラートがなり出した。

 

「出撃か。こりゃ、高みの見物ができそうだ」

 

そう思い悠々とシャワールームを出る。こういう時にこの許可が役に立つのだ。

 

 

【なのは】

 

 

初出動の令がでる。レリックを乗せている列車がガジェットに制御が奪われている。内部にもかなりの数、援軍の可能性もある。けど、放っておくわけにもいかない。急いでヘリに向かいながら念話でロスティさんにも呼びかけようとするも、なにもかえってこない。しかたがないか。ミッションに参加するのも彼が決めれるんだから。諦めて、次にヴァイス君に念話で連絡を取る。ヘリの準備を聞く為だ。

 

《ヴァイス君、ヘリは大丈夫?》

 

《あぁ、なのはさん。ちょうどよかった》

 

どうしたのだろう。ヴァイス君の様子がおかしい。

 

《ヘリはいつでも出れるんですけど…》

 

《けど、なに?》

 

質問すると同時にヘリに入ると

 

《助けてください》

 

という悲痛な言葉が入る。そしてそこには

 

「遅かったですね、高町一等空尉」

 

背もたれをし、腕を組んで、見るからに不機嫌そうなロスティさんがいた。

 

「ど、どうして?」

 

「その言葉、ここにいるヴァイスも言いましたけど?そんなに俺が居たらおかしいですか?ミッションには絶対出ないって言った覚えもないですが?」

 

確かにそうだけど…というか、こんな状況かの中で二人きりだとヴァイス君が助けを求めるのも当然だ。ものすごくホッとしているのがよくわかる。

 

「それとも、オレが参加しない方がいいんですか?」

 

「いえ、協力、ありがとうございます」

 

「…やれやれ。オレは空戦はあまり得意じゃないんで、列車の方に回ります」

 

「はい!新人の皆を頼みます」

 

「あなたが教えてるなら、このミッションくらいなら大丈夫でしょうけど…まぁ、余裕があったら手助けくらいはしますよ」

 

やっぱり、フォワードの皆が言ったとおり、いい人だ。私はミッションに集中することにした

 

心配だったけど、きっと、大丈夫。そう思いながら。

 

 

 

 

おまけ・なのは達が来る前

 

「よう、お前がヴァイス・グランセニック陸曹か」

 

「あ、はい」

 

「そうか」

 

不機嫌そうに足をコツコツと鳴らしている。

 

「あ、あの~」

 

「あ?」

 

ものすごい顔で睨まれ

 

「いえ、なんでもないです!」

 

その後、なのは達が来るまで視線で人を殺せそうな目をしたロスティと無言でいると

 

「おい、なんか喋れ」

 

と無茶振りをしてくる

 

(早く誰か来てくれー!!)

 

その後しばらくしてなのは達が来てことなきをえた。のちに彼は語る。今までのどの任務より怖かったと

 

 




名前 ロスティ・ゼロ(偽名)
   
   本名はあるが管理局内でその名前を知る人物は数えるほどである。

魔導士ランク 不明

   本人が明かさず、しかもサーチもできない。

性格 一匹狼………のふりをした寂しがり
  
   基本的に一人でいようとするが、他人といる時は沈黙に耐え切れず、いきなり変なことをしゃべりだす
   また、ウソが嫌いである。口癖は「やれやれ」

趣味 気になったことを調べて実行すること

調べ物がすきで色々と調べている。その知識で料理や政治、武術についてもある程度詳しい。


デバイス 盾形 名称メメントモリ 待機状態はクローブ
   
   両手のグローブに一体化している五角形の盾。基本的にそれで防いだりそのまま殴ったりする。
   いくつかの形状があるが詳しい能力は不明
   また、ロスティのスキルを使うためデバイス起動時は彼とリンクしているという
   
経歴 不明

   ある二つの事件を起こしているが片方は冤罪である。六課就任前はある施設で実験を受けていた
   しかし詳しい経歴は不明である

レアスキル ???
   
   本人曰く、あまり使いたくない。








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