DQNネームを付けられた私 (幻想のネコヤナギ)
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DQNネームを付けられた私
なにかダサい名前だな~とか思いますよねw
しかし、世の中には世にも奇妙な名前が付いたりしているのです。
今回、親たちがDQNネームの付けた理由に、ブチ切れて書きました。
私の名前は山田
名前の由来は、輝くその手に意思をつかんでほしいから。というのが父親の言葉。
だが、実際には母親が他の人の意見を無視して、キティちゃんと呼びたいからカタカナで書いたら、母方の祖父が漢字に直して届をだしたのだという。
それいらい、母親は母方の祖父と疎遠になったらしく、私は一度しか祖父の顔を見ていない。
父親は何も言わなかったらしく、祖父から、名前の漢字の由来だけを聞いたのだ。
この年になっても私は母親に聞く。
「なんで私はハローキティと一緒の名前なの?」
すると決まってこの返事が返ってくる。
「だって、かわいいじゃん!!」
そして、私は今、右手の包丁を母親のお腹に何度も何度も刺していた。
血の泡を噴きながら何でというような顔で私を見つめる母親。
死んで当然だ!!!!!
なんでそんな不思議そうな顔をする!!!
私はこの名前でひどい人生を送ってきた!!!!!!!
お前みたいな母親がいたせいで私はこんな最低な名前で生まれてきたんだ!!!!!!!!!!
お腹だけではなく、胸も、足も、腕も、顔面も、突き刺し続けた。顔面はすでに原型をとどめてはいない。それでも刺し続けた。
正気に戻ったのは父親が部屋に入ってきた時だった。
「輝手意・・・おまえ・・・」
父親は驚きを隠せなかったが、どこか、ああ・・・やっとか、というような顔で私と母親を見ている。
「ごめんな・・・俺が不甲斐ないばかりに。」
「・・・・・・」
「・・・俺は刺さないのか?」
「・・・・・・」
「お前の名前を黙認したんだぞ。」
「・・・死にたいの?お父さん。」
ふと、父親をみると。まるでいつもとは別人の父親の印象に私は感じた。
そうか、お父さんはダメだとはわかってたんだ。けれど、お母さんとの仲を切れさせたくないから我慢したんだね。
「そうだな・・・・・・思えば、それだけだなお前に謝れる方法は。」
そういうと、父親はビンを取り出す。
「ごめんな・・・」
土下座をして、ビンの液体を飲み干す。全部飲み干すと同時に父親は、眠るようにその場に倒れた。
毒を飲んで死んだ父親を見下ろすと私は自室に戻った。
血まみれの服を他の服に着替えると、机に座り遺書を書き始める。
いや、これは自分勝手なことなのだろう。怒りに任せて行ったことと、自分勝手なお願いごとを書くと、私は包丁を自分のお腹に刺した。
目をつぶると、いろいろと思い出してくる。どれもこれも、最悪な思い出だ。
「はじめまして。やまだきてぃといいます!」
小学校の時、私はアイドルのような存在だった。名前もそうだが、来ている服がかなりキラ付いた服だったのだ。
みんな笑いながら接してくれたいい時代だった。
中学に上がるとき父親の仕事の都合で転校することになった。
みんなと離れるのは少し悲しかったが、自分の名前ならどこでもやっていけると思った。
しかし中学に上がった瞬間。私は名前を理由にイジメを受け始めた。
最初のころは簡単な嫌がらせだった。鉛筆を盗られたり、押されたりされた。
その時のイジメ側の決め台詞はこうだった。
「中学になってキティとかダサすぎ~w。そもそも全然可愛くないしw。チョーキモ~イ!!wとっとと死んじゃえばw?」
当時の私は恥ずかしくて自分の名前が理由でいじめられているなど先生には話せなかった。
徐々にエスカレートしていって、学校の掲示板にキティがバラバラになった写真を張られたり、鞄がどこかに盗まれたり、あこがれの男子からもキティがうざいと言われた。
そして最後には私の顔写真と名前をネットに晒したのだ。
結局晒したのがばれてイジメ側は退学処分にされたのだが、私は心を完全に砕かされてしまった。
勿論、この間も母親に名前を変えてと頼んだが可愛いの一点張りでかえさせてくれなかった。あまり強行手段を取りたくなかったし、当時知識もあまりなかった私は、一年休学する形で高校に入学した。
高校ではさらにひどくなった。
ネットで晒された情報を知っている人間がいたのか、私の復学一日目からイジメが始まった。
中学の頃では想像できないイジメを体験した。廊下を歩くと
「邪魔だよDQNネーム!」
と言われて肩をぶつけられたり。
「うわキモw。名前がキティなんだってよw」
「本人の顔と本物比較しろよw人外という部類ではあってるかもだぜw」
「あんなんでよくまた学校にこれたよねw」
陰口が聞こえるように言われた。
そして、一番応えたのがテストで一位をとった時だ。
私をイジメていた人たちがさらにイジメをひどくしてきたのだ。
キャットフードと、猫缶を投げつけられたり、泥水をかけらたりされた。
そして、廊下を歩くと無限ともいえる時間の陰口をたたかれたのだ。
「猫の癖によくテスト一位になったよねw」
「どうせカンニングしたんでしょw」
「猫のやりそうなことだよなw」
「キモイ猫の癖にウザいんだよw」
「死んじまえばいいのにさw」
私はなにもかも信用できなくなってきた。母親になんどもなんども頼んだ。名前を変えてくれと。改名してくれと。しかし彼女は何も知らない顔で笑いながら言うのだ。
「嫌よ。だって、かわいいじゃん!!」
精神的にもまいっていた私は大学ではなくて就職活動をした。
しかし、どこの職場も名前を見ると笑い出す。
どこの職場も名前を聞くと見下してくる。
どこの職場も名前を知ると仲間がいなくなる。
そして、誕生日である今日。
私は母親を殺した。
遺書には、私のその経験を書いて、自分勝手なお願いを書いた。
どうか、私の名前を変えてください。それだけが私の希望です。
名前とはその子の第一印象を決めるかもしれない重要なものです。
よくニュースに取り上げられるアニメキャラクターの名前を漢字に変えてつけられた名前。
私はあれを見ると、怒りと安堵を感じます。
どうか名前を決めるときは様々な人と相談して決めてあげてください。
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