ログ・ホライズン ~舞い狂う花~ (夜翼)
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桜と大災害
気ままに書いていきます。
暖かい見守ってください。
老舗MMORPG<エルダー・テイル>が3年ぶりの12回目の追加タイトル<ノウススフィアの開墾>の解禁により、私たち冒険者の世界は変わった。これは、後に大災害と呼ばれる全ての始まりの出来事だった。
「ど、どうゆうことだよ!なんでススキノにいるんだよ!」
「さっきまで私、ゾーンにいたはずなのにる」
「責任者!説明しろよ!」
そんな喧騒を離れたところから見ている少女がいた。
私だけじゃなくて、他も同じような感じなんだ。
その少女は、どこか他人事みたいに呟いた。
まぁ、いいや。さっさとゾーンに行って、さっきの続きしよ。
少女は呟くと、喧騒とは無縁といわんばかりにススキノの外に向かって歩きだした。
その少女は、Lv90の武士で、元≪放蕩者の茶会≫のメンバーの一人であり、紅い瞳に腰まで伸びた黒みがかった紫色の髪を簪で纏め、振り袖のついた赤い下地に椿の花が描かれている着物を着ている。その上から二の腕の先まで守れる通常より大きな肩鎧だけを付け、膝の上まである布の具足と籠手を付けている。その手に、1本の刀を持つ<桜花>という冒険者だった。
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桜花がゾーンに出てから、だいたい3時間くらいが過ぎた。
最初はいつもと違う感じがしたけど、これだけ戦かったら、もう大丈夫かな。でも……。
桜花はこの3時間ひたすらモンスターを見つけたら戦うという行動を繰り返していた。
たが、彼女の表情とても物足りなさそうだった。
「体が自由に動くのはいいけど、相手が弱すぎてあんまり楽しくないなぁ。でも、なんでススキノにとばされたんだろ?私は確かススキノよりも奥の高レベルのモンスターがいるゾーンにいたはずなのに……。」
そんなことを考えていた桜花だったが、ふとお腹空いたと思い考えることをやめてススキノに戻るのだった。
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ススキノに戻った桜花だったが、ススキノの状況を見て嫌になった。
「おい!お前、NPCのくせして金をとろうっていうのか!」
「す、すいません。お願いですから乱暴はやめてください。」
「謝って済むと思ってるのか!」
ススキノの町を歩いていると、いたるところでやり場のない理不尽な怒りや不安をぶつけるプレイヤーがいた。
「・・・ちょっと居なかっただけでススキノって大分荒れたのかな?まぁ私には関係ないし、ご飯食べに行こ。」
桜花はこの後に自分を襲う不運をまったく察知できずにいた。
「ッン!!!!!」
桜花は店で買ったおにぎりをススキノで一番高い廃ビルの屋上で食べた瞬間、あきらかにおにぎりではない味がして顔を思いっきり歪めた。
『なんなの!この味は食べれなくはないけど、進んで食べたいとは思えない!はっきり言って不味い……。』
戦うこと以外にあまり興味のない桜花と言えども当然食べるなら美味しいものがいい。こうして、桜花の現実となった<エルダー・テイル>の1日は終わった。
すごい短いですが、1話が終わりました。
正直自身がないです。
いつになるか分かりませんが、次も読んでもらえたら幸いです。
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桜と依頼
<エルダー・テイル>が現実になって早くも十日程が 過ぎた夜、桜花は初日から拠点としている廃ビルの屋上で適当に買った果物を食べていた。なんと!果物をはじめとした素材アイテムにはその素材そのものの味があるのだ。とはいえ、これに気づいたのは本当に偶然だった。
あの料理を食べた次の日、食べ物を買いに行ったが初日のあの料理から<エルダー・テイル>には味のする食べ物が無いと思い「味がしないなら何を食べても一緒。」という考えをもとに素材アイテムを買って食べたら素材そのものの味がしたのだ!
これで食事は大丈夫だと思ったのだが、新たな問題がでてきた。
その問題は今日の昼にさかのぼる。
いつものようにゾーンで魔物と戦おう森の中を歩いていた。
なんだろう?周りには居るような感じがするのにいっこうに魔物に会える気がしない。どちらかというと、私が近づくとその分離れて行っているような……。
~そして、さらに歩くこと3時間~
……避けられてる。もしかして魔物にも自我が目覚めたということ?そうなるとやはり、この世界はゲームではなく現実になったってことでいいのかな。
それじゃあ、このゾーンでは魔物としばらく戦えなくなるかもしれない……。
トランスポーター(都市同士を繋ぐ転移装置)の使えない状況でこれはまずい。
桜花が割と真剣に考えていると、後ろの方からあきらかに魔物ではない気配を感じ、すぐに思考を切り替え後ろち振り向く。
「誰?」
「よく気づいたな。けどよぉ女がこんなところで一人でいると悪いやつにさらわれるぞ。」
「馬鹿。お前、それって俺たちのことじゃねぇか。」
「そりゃあ、ちげぇねぇ。」
「「ぎゃははははは!!!!」」
茂みから出てきたLv63の<暗殺者>とLv56の<妖術師>の二人組の男が下世話な笑い声と共に此方に近づいてくる。どうやら、女でさらに一人ということで相手のステータスさえも確認していないようだ。
「・・・」
「おいおい、怖くて声がでねぇのか?」
「お!それはちょうどいいじゃねぇか。有り金と装備、置いていくならPKしないでやるよ。神殿送りされるよりはマシだろ?」
桜花はその二人をゴミを見るような目で見ながら、会話の中のある言葉について考えていた。
神殿送りってことは、ゲームと同じで冒険者は神殿で復活するってこと。なら、さっさと終わらせる。
「おい!黙ってねぇで、なん……。」
<暗殺者>の男がしびれを切らし、大声で怒鳴り散らそうとしたが最期まで言うことは出来なかった。
なぜなら、一瞬のうちに相手の懐に入り込んだ桜花によって放たれた神速の居合が相手の首筋を切り裂き、血を吹き出しながら崩れ落ちたからだ。
そして、アイテムと金貨を残して消えた仲間を呆然と見ていた<妖術師>は桜花の返し刃の一撃をくらい<暗殺者>と同じようにアイテムと金貨を残して消えたのだった。
あの後、町に戻った桜花はススキノに入るとき異様に視線を感じたが、特に気にしたような様子もなく、いつも食べ物を買っている大地人の店に来ていた。
「なぁ、嬢ちゃん気をつけなよ。なんでも、仲間が殺られた報復だ!って赤い着物を着た女を、さっき一部の冒険者が怒鳴りちらしながら探してたからな。」
いつもは商品だけを渡す店主の忠告を桜花は頷くだけで返し、いつもの廃ビルに帰ろうとしたのだがその途中、誰がに付けられている気配を感じ、路地の物陰に入り様子を見た。
「さっきの女、どこにいった!」
「てめぇが、しっかり見張ってねぇからだろうが!」
「お前ら!まだ近くにいるはずだ!言い争ってねぇで、さっさと探すぞ!」
「そうだな。こんなことでギルマスの怒りを買いたくねぇからな。」
そう言って、男達はその場を離れて行った。
その会話を桜花は物陰から聞いていた。
その後、誰にも見つからずに廃ビルに戻り、今に至る。
桜花は一人、今後について考えていた。
探してる容姿とタイミングから見て、おそらくあの二人組はどこかのギルドに入ってて、あの男達はさっきの男達の仲間。それで探しているのは私だと思うけど、まぁなんとかなるかな。
否、考えていなかった……。
考えていたとしても彼女の場合、戦闘に水をさされるのが嫌だとか、弱い相手に絡まれるのが面倒ということ位だろう。
リーン。リーン。
そんな彼女は着物の帯に付いている鈴を鳴らしながら、月をボーと見ていると、後ろに誰かの気配を感じた。しかし、彼女は全く反応しなかった。
なぜなら、
「桜花っちは相変わらず高い所が好きなみたいですにゃ。おかげで探す手間が省けましたにゃ。」
彼女は、その気配が誰かを分かっていたからである。
「うん。高い所は空がよく見えるから好き。にゃん太、私に何か用事?」
「そうですにゃ。桜花っちが、このススキノに居ると分かったので探していたのですにゃ。」
「何で分かったの?」
「今、町であるギルドが探し回っている人物の容姿とそのときの行動で、吾が輩は桜花っちの可能性が高いと思ったにゃ。いやはや、当たっていて良かったですにゃ。」
「そう、それで?」
「桜花っちに1つお願いがあるんですにゃ。」
「お願い?」
「はいですにゃ。実は今、吾が輩が保護している少女を護衛して欲しいんですにゃ。」
「……にゃん太だけじゃダメなの?」
「ずっと一緒というわけではなく、吾が輩が買い物などで留守のときに誰か信用できる人にいて欲しいのですにゃ。」
「……」
桜花はゆっくりと顔を上げ、月を見ながら受けるか否かを考えた。そんな彼女をにゃん太は静かに彼女の答えを待っていた。
「いいよ。受ける。」
「よかったですにゃ。では、吾が輩の縁側に行きましょうか、ここは少し冷えますからにゃ。」
「分かった。」
そう言うと彼女はゆっくりと立ち上がり、にゃん太の元に歩し出した。
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桜と出会い
短いですがよければどうぞ。
人目を盗んで移動してにゃん太に連れられてきた場所は、ススキノの中でも高い廃ビルの1つで、屋上付近の壁の半壊した階層に建てられた家の前だった。
「着きましたにゃ。ここが吾が輩の縁側ですにゃ。」
にゃん太はそう言うとドアを開け、にゃん太は家の中に入って行った。部屋の中はシンプルな内装でしっかりと掃除がされている。そんな部屋には、今まで掃除をしていたであろう箒を持った1人の少女いた。その少女は家に入って来た人物を見て此方に駆け寄ってきた。
「にゃん太さん、お帰りなさい!」
「ただいまですにゃ、セララさん。」
部屋にいた少女セララは、にゃん太の帰宅を満面の笑みで迎えいれた。その2人はまるで長年、連れ添った夫婦のような空気を出していた。
「今日は前にセララさん言った、吾が輩の知り合いを連れてきたにゃ。」
にゃん太は自分の後ろにいた桜花とセララが正面になるように移動した。
「彼女は桜花、吾が輩が昔いた集まりの仲間で今回、セララさんの護衛を依頼しましたにゃ。」
「そ、そうなんですか!わ、私は三日月同盟のセララと言います。今回はありがとうございます!」
そう言うとセララは勢い良く頭を下げた。
しかし、桜花はそんなセララには何も言わず、今しがた入って来たばかりの扉を開け、
「……外に居る。」
そう一言だけ残し、出ていってしまった。
セララに対して何も言わずに出ていってしまった桜花を見ていたにゃん太は、『やはりこうなってしまいましたにゃ』という気持ちだった。
だがそれは桜花という人物の事が分かっているからの反応であり、それを知らないセララというと、
「にゃ、にゃん太さん。私、知らない間に桜花さんを怒らせてしまったんでしょうか……。」
目尻に涙を貯めながらセララはとても動揺していた。
「いいえ、セララさんは悪くないですにゃ。それに桜花っちは誰に対しても始めはあの態度なのですにゃ。」
「そうなんですか?」
「はいですにゃ。桜花っちは根は素直ないい子なのですが、昔の仲間以外と関わりを持とうとしないのですにゃ。だから、出来ればセララさんには桜花っちと仲良くなって欲しいですにゃ。」
「私に出来るでしょうか?」
「セララさんなら、きっと大丈夫ですにゃ。それに、吾が輩が思うに2人は切っ掛けさえあれば、すぐに仲良くなるような気がしますにゃ。」
にゃん太はセララにハンカチを差し出しながら元気付けるようにそう言うと、ハンカチを受け取ったセララは涙を拭き、下げていた顔を上げた。
「はい!分かりました。私、頑張って桜花さんと仲良くなります!」
にゃん太は立ち直ったセララを見ながら、あの無愛想な友人とセララが仲良くなることを期待していた。
あの桜花とセララの決してよかったとは言えない初顔合わせの日の次の日の朝、桜花は、にゃん太、セララの2人と一緒に朝食を食べ終え、情報の確認と今後について話し合っていた。だが、朝食の際に味のある料理に桜花は声に出さず、驚いたという出来事があったのだが、彼女は『にゃん太だから』という結論を出し、料理の秘密を全く聞こうとせずに朝食を食べ終えていた。
「それでは、今の吾が輩たちの状況を確認しますにゃ。」
「はい!」
「分かった。」
にゃん太は、元気良く返事をするセララに対し、ただ淡々と返事をする桜花たち2人の反応を見て少し可笑しくなったが話を進めることにした。
「まず、セララさんと桜花っちの2人を追っているのは<ブリガンティア>というギルドですにゃ。このギルドは今のススキノを牛耳っていて、好き勝手に暴れ回っていますにゃ。」
<ブリガンティア>とは、冒険者に対してゾーンでのPKで身ぐるみを剥ぐのだけに止まらず、 大地人に対しても犯罪まがいの行いをしているギルドである。
「そして、2人の最大の違いはセララさんはフレンド登録をされていて、桜花っちはされていない点ですにゃ。簡単に言えば、セララさんはこの吾が輩のプライベートエリア内から外に出ることができませんにゃ。もし一歩でも出れば、すぐに居場所が相手に分かり、追っ手が掛かりますにゃ。2人とも、ここまでよろしいですかにゃ。」
この話を聞き、セララは少し顔が青くなる。
おそらく、捕まったしまった場合を考えてしまったのだろう。
「セララさん。安心して欲しいですにゃ。吾が輩たちが付いている限り、みすみすセララさんを連れさらわれることはないですにゃ。」
「そ、そうですよね。お二人に守って頂くのに、こんな事考えちゃ駄目ですよね。」
どうやらセララはにゃん太の言葉を聞き、気持ちを持ち直したようだ。
そんなセララを見て、笑顔で頷いていた。
「では、話を戻しますにゃ。」
こうして、にゃん太の情報を元に3人は今後の行動を決めるのであった。
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