宙を舞う、自由の翼 (茶樹)
しおりを挟む

第一話

エア・ギアを題材にした作品が少なかった。

「なら自分で書いてみるか……」
と至る今日この頃如何お過ごしでしょうか?


―ーということで、それではどうぞご覧くださいますようお願い申し上げます。


 護廷十三隊。

 一番隊から十三番隊まであり、現世における魂魄の保護を目的に作られた死神のみで形成される部隊である。

 それぞれ尸魂界において特に四番隊は医療系統に特化している部隊で、最前線にて戦闘を行うのを旨としない。補給、治療それらを賄う隊だ。

 死神としての力を有しながらも、前線にほとんど出ず、負傷した者の治療を行う。

 それもあり他の隊――特に『戦闘専門部隊』の十一番隊の面々からは小馬鹿にされる。 それも、道を歩いていてでも、だ。

 

「戦いもしないのになんで刀なんてぶらさげているんだ」

 という風に。

 

「……別に戦わなくても斬魄刀が必要な時もあるでしょう?」

 こう返しても。

 

「それなら刀じゃなくてもいいんじゃないか?ヒヨっ子」

 と来るもんだから。

 

「ま、間違ってはいないです、けど……」

 みたいに認め――

 

「――たらダメだろうよ。 死神として、なぁ?ハナ」

 食いかけの三色団子を右手から左手に持ち替えて『ヒヨっ子』と呼ばれた少年の頭に手を、被せて絞り上げるように、抑え込む!

 

「いったあああああああああああっ!!?」

 

 うん。 良く聞き慣れたいい声だ……は置いとくとして。

 ちょっと分からせないとアイツ等の面子ってもんもあるしな。

 

「口を挟まないでいるだけだったんだがな、コイツの代わりに言わせてもらうぞ」

「お前も四番隊の腰抜けだもんなあ」

 ……そのニヤけた顔を毎回むけているんだろうな。

 ちょっと四番隊ってのがどういうのか教えるのがコイツの為でもあるか。

 

「まあ、いい。 『斬魄刀』ってのは戦う為だけにあるのかい?」

 

「そ、そんなの当たり前だろう!」

「じゃあ、改めて聞くけどさ。 戦いって何?」

 何言ってんだコイツって顔を見事に形作ってやがるな。

 あー後で斑目の野郎にボヤいとくか……ボヤく相手が戦闘狂に近いがね……

 

「アホか? 『オレ達』の仕事は虚を斬ることだろうが。 虚と斬り合うのが戦いだ」

 

 

「確かに『オレ達』の仕事はそうだろう。 でもよ、モノはそう単純にいかないよな? あんただって言ってる様に『斬り合う』 のさ。 虚だって斬られると分かっているなら抵抗だって、反撃だってする。 まさに死に物狂いでな。 そこでヘマすりゃ最悪、命だって危ないのはわかるよな?」

 

「当たり前だろ! 何十って虚を切ってきたと思ってやがる!」

 

「そこさ、あんたみたいに何十って虚を切ってき奴なら、怪我の一つや二つは必ずしてるはず、だろ?」

 

 今度は苦渋の面か。

 ……やっと思い至ったか?

 まだ手当てをしてくれた、ぐらいの認識かね。

 

「あんたが今こうして虚と戦える、斬り合えるのだってその怪我の一つや二つがないおかげだろう?」

 

「……間違っちゃねぇな」

 

「『あんた等』がいくら憎かろうが、敵前で傷を負ったのならば『俺らが』治そう。 そしてまた戦えるように手の限りを尽くそう。 戦いに帰って来てくれた時にはまた、『俺ら』が治そう」

 

「…………」

 

 認めるってのはこういうことだ、ハナよ。

 怖いからとか上辺だけとかじゃなく、本心から、だ――認めると言うのは。

 

「『あんた等』がそうであるように、『俺ら』は負傷して苦しんでいる仲間を救うって戦いをしてるんだよ。 未来に繋がるような戦いをさ」

 

 こんなだけ言えばハナもコイツも納得して問題解決ってな。

 ……喉が渇いた。

 

 

「さ、こんな重い話しは終わりだ。 ハナ、行くぞー」

「シレっと言わないでくださいよー! なんか僕空気だったじゃないですか……確かに考えさせられるお話しで聞いてしまっていましたが……」

 

 無自覚とは怖いものだよな。

 ハナ、お前が四番隊で背負ってるその位置はお前さんの実力だよ。

 

「まあまあ、話しは終わったんだ。 わざわざ突っつく事はしなくていいさ」

「は、はい! ですがすいません! 一つだけ……」

 

 この期に及んでお前って奴は――

 

「手を、放して、下さい、ませんか?」

「あ……ごめんよ」

 手にはミシミシと嫌なな音がなっている、様な気がしたい。

 

 頭を離すと、涙目で心配そうに頭をさするハナ。

「ほんとうに割るかと思いましたよ!?」

「すいません……」

「良い話しが聞けたので、それでいいですよ」

 

 懐ろが深いというか器が大きいというか、いいやつだな。 お前って奴は。

 今度は手のひらで頭を軽く数回叩く。

 

「なんですか!? 離したと思ったら急に」

「お前はいいやつだなーってさ」

「はあ……もう、いいです。 で何処に連れて行くつもりだった――」

 

「あ、あの!」

 後ろからイカツイ顔になんとも言えない表情を貼り付けてハナの言葉を遮った十一番隊隊士。

 流石にこれ以上言われたら、なあ……

「あんたに、いや! あんたらに礼がしてえ! せめて今から行く場所だけでも教えてくれれば、飲みものぐらいなら届けられる!」

 なるほどね。 義理堅いことでも有名だもんな、十一番隊って。

 俺が脳内に丸坊主とナルシストを思い浮かべながら唸っているとハナがポツリと呟いた

 

「そういえば、僕も何処に行くのか聞いてませんでした」

「……なんで付いてきたんだ坊主」

 哀れみの視線をハナに当てる。

 

「あー、言ってなかったか?」

「はい」

 

 

 

 

 

「十一番隊隊舎」

 

「「はい?」」

 

 ハモるな、ハモるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ってな感じで始まりました。彼を渦巻く日常。いやはや書いてて楽しいですね、妄想って!
書き溜めとかは全くしていないので不定期更新になりますがどうぞ温かくお願いします。
そして感想、その他もろもろお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話

遅くなり申した。
暇潰しにお使いくださいませ。

この物語は主人公
天井響樹(あまい ひびき)
がお送り致します。




十一番隊隊舎。

 

ほぼほぼ毎日、怒号と喧騒が響いて止まないこの隊舎。

こうして近づく俺たちの耳に嫌でも入る。 隣に居るハナなんて虚ろな目で苦笑いを浮かべてらっしゃる……なんというか、まあ、四番隊の面々は近づきたくもない場所だもんな――

「ハナ、誘っといてなんだけどよ……帰ってもいいぞ?」

そんなに嫌ならな。とは続けなかったのは隣に十一番隊隊士がいるからもあるが、ハナは何だかんだで気概があるやつだ。 遠慮して身を引いてしまうだろう。

 

「大丈夫、ですよー」

アハハー……はあ……

渇いた声が喧騒と一緒に耳に入る。

どんな言い方でも基本は断らないな、そういや。

それに相も変わらずハナは仕事に関しては寡欲だこと―ーまあ卯ノ花さんの影響も少なからずともあるんだろうけど。

というのも四番隊からの届け物があるからだそうで、丁度十一番隊に用がある俺に頼めばいいものを『たまには“他の”隊の方との関わりも大事ですから』っとたまたま通りかかたたハナに声をかけ、わざわざ俺を相方に、仕事を頼んできた。

同情の念も抱きながらもこうしてハナに同行という名の先導をしている訳である。

なんというか、タイミングとかエラいピンポイントなのは卯ノ花さんも相も変わらずだこと。

 

「……なんて口にだしたら“ご冗談を。偶然ですよ”って笑顔で言われるんだろうな」

 

なんて上の空になっている俺の肩を遠慮気味に突っつくハナ。

「一人にはしないでくださいね? 絶対ですよ? ―ーお願いしますね」

鬼気迫るとはこの事かね。

「わかってるって、気負い過ぎやしないか? ハナよ」

「そりゃあ、そうですよー……」

「大丈夫だっての。 一応対策みたいなの持ってきたし」

“十一”の文字が俺たちの歩みを止めた。

門前に立つとハナは、門と俺に視線を揺らす。

「なんか久しぶりに正面から入る気がするなあ」

「……いつもどうやって入ってるんですか。 それに対策って……」

まあ、なんというか色々、だ。

 

「お前ら止まれ。 部隊名、要件を言え」

……今日の門番は新参の隊士かね。忠実に業務とは関心―ーなのだけれど、四番隊の文字を確認してから、一層お前らは入れてなるものかって雰囲気を出すのを止めてくれんかね。

「お前ら止めろ」

おおー、イカツイお兄さん頑張れー

今まで俺たちの後ろを無言で付いて来てくれただけでもありがたいのにね。

 

「荒巻先輩!?」

……すまん名前聞くの忘れてた。

 

「この方達は、わざわざいらっしゃってくれた客人だ。 門に通せ、俺が許す」

おお!? なに気に良い地位にいらっしゃるのねイカツイお兄さん改、荒巻隊士。

 

「り、了解致しました!」

「すまんね。 手間が省けた。えーっと、荒巻隊士」

「いえいえ、滅相もございません。 そういえばお二方のお名前を伺っておりませんでした! お名前は……」

そういや、そうだねお互い自己紹介もなしに、気づいたら着いていたからな。

「あ、僕は山田花太郎、四番隊第七席を任されています! よ、宜しくお願いします!」

「俺は、天井響樹。 平隊士だよ」

若干の沈黙が辺りを占める。

十一番隊隊士―ー荒巻隊士の口が開く。

「てっきり天井の兄貴の方が席が上なのかと……」

「ええ、本当に」

おい、山田七席。

 

門を潜る。

桃の花色を携えたちっこい子が此方に駆けてくる。

この子の霊圧知覚はそこまで良いとは言えんが、俺が来るのがわかったのかね。 それともこっちの方の匂いに釣られたか? 懐の巾着を思い浮かべながら声の主に見当を付けた。

「やっほーー!!きょうちゃんはっけーん!!」

「よう、やちる。 今日は剣八の旦那は一緒じゃないのか?」

「さっきまで一緒だったんだよ? なのにケンちゃんたら迷子かな」

剣八の旦那の呆れる様が見て取れるなあ……

後で労ってやろうかね。

「あ、あの……響樹さんその……」

「ん? どうした?」

さっきより顔が青いを通り越して白くなってるぞ……大丈夫か、ハナよ。

「天井さん!? 相手は副隊長ですよ!?」

「別に気にせんと思うぞ、今更だし……? なあやちる」

荒巻隊士もやちると俺のやり取りをみて気が気ではない様だ。

こんな可愛い子に何を、て階級的なことか? いつも“コレ”だから意識してなかったわ。確かに十一番隊は云わずもながら、“副隊長”の名は伊達じゃないってね。

 

くるくるーっと相変わらずの身のこなしで俺の肩に着地成功。

定位置なのかねここは……

「うん!! きょうちゃんはきょうちゃんだから、きょうちゃんなんだよ!」

「おう。 今日も天然ぶりを発揮してるなやちるよ。 これからも精進したまえ」

「りょうかいしました! しきかん、どの?」

「おう!」

頭をクシャっと撫でてやればくすぐったそうにはにかむ。

猫みたいなやつだな、まったく。

 

そんな光景を傍目に二人で冷や汗を交えながら呟くお二方。

「なんというか、上手く言葉に出来ないです。 僕」

「同感だ。 山田七席……」

 

あ、そうだ丁度いいや。

「ハナー! ちょっとこっちに来てくれー、ついでに荒巻隊士もなー!」

気づいたら距離を取られていたな、ったく。

「は、ははい! なんでしょうか響樹さん」

「お、お呼びでしょうか兄貴」

「そんな畏まんなくていいっての。 なあやちる?」

「んー、きょうちゃんのお友達だったら大丈夫、かな? 悪い“匂い”もしないし」

「んじゃあ決まりっと」

ゴソゴソ……確かコッチの巾着袋に入れといたーーあったあった。

「よし! それじゃあ草鹿やちる副隊長、これから指揮官として任務を与える!」

「んー? なにー?」

「コイツ、花太郎っていうだけどさ、初めて“ココ”に来たから手助けしてやって欲しいんだ」

「えー……」

そんなめんどくさそうな顔を消し去って見せようかね。

やちるの前に結構な大きさに膨れ上がった巾着袋が一つ。

それをやちるに渡し、確認するや否やの行動は早かった。

「っ!! りょうかいしたんだよ! しきかんどの!! さー行くよー……えっと、なんだっけ名前?」

「初めまして! ぼ、僕は山田花太郎って呼ばれててみんなからは結構呼びやすい名前だって言われてます!」

「んー……んー……」

あだ名すぐ付けたがるからなこの子。 助け舟出すか。

「やちる、俺はコイツのことはハナって呼んでるから、やちるもそう呼んでやってくれ」 

「わかったーハナハナ! そんでどこに行きたいの?」

「え、えーっと、十一番隊の伝令部に届け物がありまして……」

「おっけー! それじゃれっつごーだよー!」

「ああ! 待ってくださいよ!! 草鹿副隊長!」

自由奔放が体現したみたいな子だよホント。

「荒巻隊士、一緒に行ってもらっていいかい」

「わ、わかりやした」

スマン、荒巻隊士よ。

 

「それじゃあ俺はちょっと他の奴らに用があるからーー多分道場にいると思う。 何かあったら知らせてくれると助かる。 それじゃ、頼んだ!」

後は任せた。

何もない、とは恐らく思うけどアレを渡したから、まあ、そのなんだ……怪我とかは大丈夫だろう。

「わかった!! それじゃあいっくよーハナと……えっと、マキマキ?」

やちるが笑顔で首を傾げるも、気を散らしたようでそのまま隊舎の方へ駆けていく。

「ハナハナ! えーっと、マキマキ? 早くしないとおいてっちゃうよー!!」

「は、はいいい!」

「マキマキ……マキマキって……」

桃の花がぴょんぴょんと上機嫌に舞い、隊舎に消えていた。

 

 

「ちょ、ちょっと早いです!!草鹿副隊長!」

花太郎が息を切らしながらやっとこさ追いつくと、流石にこのままだと確実にバテる。 その前にちょっと休憩を!!

花太郎の頭の中で思考が幾重にも交差した。

「はあ……はあ……」

荒巻隊士は虫の息に近い。 あれ? この人十一番隊じゃ――

息を付きながらふとこの単語も頭に浮かんでしまった……

「えー、二人が遅いんだよー」

「す、すいません……」

額の汗を拭いながら花太郎が疑問を口にする。

「えっと……草鹿副隊長、そういえば響樹さんから何を頂いたんですか?」

「んーとね!! コレ!!」

巾着をドンと目の前に出されても……と若干の戸惑いを見せながらも中を三人が顔を付き合わせて覗き込む。

「これって――」

「ふふん! ……金平糖だよ!! ……あげないからね?」

「はは……」

響樹さん、なんというか、流石です。

 

「さーってと、久しぶりの十一番隊道場、相も変わらずアイツ等はいるだろうかね」

穏やかな晴天を浴びるように身体を伸ばし、やちる達とは別の方へと歩みを進める。

その顔に純粋な“笑み”を浮かべて。

 




なんという鈍重なペース……筆がうんたらかんたら――

だいぶオリジナルな設定が盛り盛りになって来ます。
なので何か御座いましたらご指摘等頂けると助かります。


そんでかなり個人的な印象ですが、やちるは書きやすい!
そして地の文が難しい!!


……はいっという訳で次回は早く書けるといいなぁ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話

亀のごとく以上に遅いもので申し訳ないです。
不定期更新になってしまいますな

ご指摘等ありましたらどしどしお願いします


十一番隊道場に足を踏み入れる俺の目に飛び込むのは汗に塗れた丸坊主。 息絶え絶えの黒装束がその足元や壁、地面に曲がってはいけない方向へ身体を向けている。 何人かはまだ粘ってるようだけど。

「お前ら! 寝るのはまだ早ェぞ!!」

フハハハハ!!! オラオラ! どうしたァァ!

戦闘狂かよ……

「あ、戦闘狂だった……はあ」

相も変わらずな丸坊主。

元気一杯丸坊主。

汗でテカる丸坊主。

そんな思考に耽りながら俺が入口に立って溜め息を零していた。それに気づいた様に道場の壁に寄り掛かっている綾瀬川が丸坊主――改め、斑目から視線を逸らして俺に声を掛け微笑んだ。

やめろ……その顔。 殴りたくなる……

「響樹かい。 なんか久しぶりだね、此処に来るの」

「そうだっけか? まあたしかにちょっとな。 ……それはそうと綾瀬川、良いのか? コイツ等」

死屍累々となっている彼らに目配せをしつつ、声をかける。

正直見慣れた光景ではあるが、心配せずには居られんだろう。

「あー大丈夫大丈夫。 彼ら新人でさ、自分から稽古をつけて欲しいってお願いしてたから」

「……それはほっといていい理由になるのか」

「ホントに危険だったらこうして僕と喋ってないだろう? 君なら」

だからその微笑みを俺に向けるな……ったく肩の力が抜けるっての。

溜め息を一つ吐きつつ、草鞋を脱いで床に胡座をかく。

「響樹、今日は遊んで行くんだろう?」

綾瀬川は、俺が腰を下ろしたことを確認すると視線を斑目に目を向けながら俺に聞いてくる。

「遊びってお前な……確かに身体を動かしに来たことには間違いないけどよ」

「身体を動かしに来たね、大概同じ含みがある様な気がするけどね」

僕からしてみれば。

目線を斑目に向けたまま楽しそうに微笑む綾瀬川が呟く。

そんな話しをしている内に練習相手の屍の上で高笑いを上げている斑目。

「変わらんね、アイツも……」

「そういう君こそね。 ……おーい! 一角、とっておきのお客さんだよ!」

「なんだ弓親ァ!? って響樹じゃねぇか! 丁度良かったぜ、練習相手がいなくなる所だ!」

そういう笑みもいらないって。 てか煽るなよ綾瀬川……

「遊んできて上げてね響樹。 はい木刀」

「はいはい。 わかったよ」

綾瀬川から木刀を受け取ると斑目の方へ向かう。

 

木刀は脇差。それを手に収めながら斑目の前へ歩みを進める。

「……久しぶりじゃねぇか響樹。 さあやろうぜ!」

「まてまて! その前に彼らをどうにかしろって……」

溜め息を一つ零して足元の彼らに視線を向けて斑目に合図を送る。

お前は気兼ねなく出来るかもしれんが、俺は出来ないっての。

「よーしお前ら! 隅っこ休んでろ!」

男共は低い返事をしてもぞもぞとゆっくりと移動を開始する。

あ、斑目の眉間がピクピクしてるぞ、おい……

先手を打つかね。 平隊士のこいつらが斑目と稽古をしたんだからコレぐらいにへこたれるのも仕方ないだろうし、それに綾瀬川曰く新人さんらしいしな。 プラスお怒りになったコイツがどんな稽古を付け始めるか簡単に想像つくし。

「……おーい、君たち、ちょっと早くしないと斑目三席にどつかれるぞー」

斑目に背中を向けて見えない様に足元で転がってる彼らに親指で彼を示す。

俺の顔を見てアンタ誰? みたいな顔を浮かべたあと、俺の指す方向に視線を向けると、重い足取りは何処へやら道場の隅へ駆けていく。

「アイツ等にはまた稽古が必要だな――なあ響樹」

あ、ご愁傷様。 また稽古が追加されるのは斑目の中では決定事項になってたみたいだわ。

……とりあえず、道場の中央には俺と斑目の二人になった訳だ。

「……あいつら四番隊送りにはするなよ?」

「お前が居りゃあ直ぐに戻って来れんだろ?」

「なんで俺なんだよ」

そんな軽口を叩きながら意識を前に向けたままに右手で木刀を握りなおす。

 

「さて……」

斑目が呟くと先程までの雰囲気が嘘のように静かになり、俺の死覇装が霊圧を受け靡き、右手に持つ木刀が折れそうだ。

頭は冷たく、心は熱く。闘い慣れている……闘いを知っている。 楽しいモノだと、心躍るモノだと、そして自身を写す鏡だと。 だからこその戦闘狂であり、人は快楽に忠実な下僕に成らざるを得ない性質だと。 下僕になることを受け入れ尚、強くなろうと、強くあろうとする彼らは本当に『強い』と思う。

 

「こうして対峙すると何回でも思い出させるな。 有り難いことだ」

だから俺はたまに此処へ足を運ぶ、彼らの強さを見るために。 下僕になり、自身を写した結果どう成長を遂げていくのかを見るために。

「……相変わらずだね。 斑目」

右手に持った一尺二寸の脇差を揺らしながら俺も霊圧を開放していく。 斑目からの霊圧で折れそうだった木刀も俺の霊圧を纏いチリチリと音を立て反発する。それを下に軽く振るい握り具合を確かめる。

木刀の方が手に吸い付く……いい感じだ。

「限界だァァ行くぞ響樹ッ!!!!!」

「待っててくれたのか? 頼んだ覚えはないけどなっ!」

彼の標準サイズの木刀と俺の小脇差レベルの木刀が重なり合い……俺の木刀が弾かれる。

右手が痺れてる……なんとかぶっ飛ばされないで済んだけど、さすがだね。

「俺のやり方は知ってるだろうがよ!!」

言葉に乗せて斑目の木刀が振り下ろされる、それを右手の木刀を軽く内側に捻り斜めにすることで受け流す。

体勢の重心が右にズレた斑目に、身体を左に捻りながら袈裟斬りを放つ。

斑目の死覇装をかすめるも、重心が右にあるのを利用して左足で地面を蹴ると回転しながら俺に逆袈裟がりが放たれる。 それを俺は袈裟斬りの余韻から左足を踏み込み、右手の脇差に左手を添えつつ左から迫る切先を牽制し、お互いに木刀を押し合い距離を取る。

「流石だね斑目」

「ッハ!嫌味かテメェ!! ココまで付いて来れるやつなんかが言うセリフかっての……ただ何時も解せねぇのはテメエの霊圧だ。 何故そこまで弱い!! ホントはもっと強い霊圧を出せるんじゃねぇのか……?」

「んー……黙秘権を使わせてもらうよ」

「舐めてんのかテメェ……!? 稽古だろうと闘いだ! 全力じゃなけりゃ意味がねぇだろ!」

「わかってる。 ただ今はコレが全力だぜ? 許せ斑目」

「しょうがねぇ……理解はした――納得はしてないけどな!!」

そう言うと体重を乗せて切り下ろしてくる。

頭に血が昇るのが欠点だわな……全く。

半身になり脇差を右手で上げ、膝を下ろし腰を据える。

「ッ!!舐めてんのか!!」

斑目の咆哮が形になって振り下ろされる。

 

 

「なんっ!? 誰だ斑目三席の相手は……」

俺も知らねぇよ。なんて言葉が斑目に指示を出されて道場の壁に寄りかかってる隊士達から口々に伝染されていく。 新人といえど十一番隊隊士たち戦いは見慣れている、はずだった。

なのに彼らの知っている戦いではないもっと上のレベルで試合が行われているのだ。 口から溢れるのも無理はなく、驚くのも見惚れるのもしょうがない事だった。

「彼はね、四番隊の平隊士だよ」

「ッッ!?」

綾瀬川弓親。 彼は中央で繰り広げられる二人の闘いに意識を向けながら、ぼそっと呟いた。 それ以降話し掛けるなとでも言わんばかりに完全に二人を眺め始めた。

驚きを表に出している他の隊士も自然と二人の試合に惹きつけられていた。

そんな中入口から仕事を終え新巻と共に花太郎が入ってきた。

二人は今の状況はもちろん知らないも、道場の皆が視線を中央へやってるのを見ると同じく中央へ視線を向けた。

そこに居るのは一緒に来た、天井響樹と斑目三席。

「なんで響樹さんが……?」

額から汗を流しつつも呟いた言葉が宙に舞った。

 

木刀と木刀が軋みを上げてお互いに反発し合うも純粋に長さの短い脇差を俺が『前へ』滑らせる事でその場を回避する。

予測出来なかっただろ? 斑目。顔に出てるぞ。

体勢を完全に崩した斑目の懐に入ると右手に左手を添え木刀の柄で鳩尾を突く。

前傾姿勢のまま転がる斑目に体を向ける。

斑目が仰向けから上体を起こし此方を睨むも打たれた鳩尾に手を当てているのを確認する。

彼が軽くため息を吐くのを見ると、俺も力を軽く抜く。

「ふぅ……」

「ったく……俺の負けだ負け」

「息が詰まるね。 お前ぐらいのレベルだと、さ」

「どこがだよ……自覚がねぇのは怖いもんだな、たく」

そんなに好戦的じゃないはずなんだけどな。 自分が思ってるのとはやっぱり違うのかね……相手のことを見れるということは逆も然りってことか。

まあ、でも嫌いじゃないのは確かだわな。

 

「ひ、ひひ響樹さん!?!? 何やってるんですか!?」

「何って見たまま? ってか顔が近い!」

す、すいません……っと身を引くも顔が強ばってるぞ……

あーそういや説明というか、そういうのしてなかったもんな。

「悪いな。 何時も通りの感じで来ちまった。 たまに此処来るんだよ俺」

「な、なるほど?」

「っでコイツらと練習がてら試合してるってわけだよ。 言っちゃなんだけど、四番隊だと剣を握るってことが少ないから感覚が鈍るんだよ」

「なるほど……それで試合を……」

「そういうことだ」

「……けど斑目三席と試合とか正気の沙汰じゃないですよ!?!?」

「あー……悪気があるわけじゃないから聞き流せ……」

「は? え? なんですか……?」

ハナにだけ見えるように親指で俺の背中の方を指す。

「誰が、正気の沙汰じゃない、ッて? おう、もやしっ子ォォォ!!」

「ごめんなさいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」

今度はハナの言葉が俺たちの鼓膜をしっかりと震わせた。

 

 

 

 

 

 




ちょびちょびは書いていきたい今日この頃スイマセン


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話

なかなか先に進みません……


 

「それはそうと響樹、前たまには本気でやりやがれ。 手加減されて喜ぶような奴に見えるか? 俺がよ……ったく」

汗まみれの班目が木刀を肩に担ぎながら俺に寄ってくる。 そんな斑目と一緒に綾瀬川の近くに腰をかける三人。 ……プラス一名はハナ。

何が嬉しいのか笑顔で綾瀬川が俺たちに労いの言葉をかけつつ竹筒を渡してくれた。

その中の水を二人して浴びるように飲み喉を潤す。

「いや、斑目よ。 本気だぜ? 流石にお前が相手だとよ。 ただ色々と想定しないと気がすまない質だろ俺? そんである程度実力ないと――斑目ぐらいじゃないと、な……」

その続きはわかるよな、そんな視線を斑目に向けると、舌打ちと共に竹筒に再度口を付けた。

 

話しが180度変わるが、俺は怖がりだ。

最悪の事態を想定して常に身体を馴染ませないていかないと気がすまないレベルでだ。

もし仮に他隊が虚に傷つけられ、俺たちの隊が手当に駆り出された時にある程度離れた場所で行うとしても、虚が此方に来ないとは限らない。 そんな時誰かが殿とまでは言わないけれどそいつらの相手を誰かがしなきゃいけなくなる。 そこで自隊の誰かが虚に致命傷とまではいかないとしても、けが人を出されたら本末転倒だ。

だからせめても俺だけは全ての隊士を、とまではいかないが目の届く範囲のやつらは守ってやりたい。

だから最悪の事態を想定して動けるようにしている。怖がりだから。

もし、手元に斬魄刀なり、浅打が無かったら。

もし、想定以上の虚が出現したら。

もし、俺の仲間が窮地に陥っていたら。

もし、俺の力があと少しあるだけで窮地から逃れることが出来うるなら。

だからそれらの『もしかしたら』がとてつもなく、怖い。

これは俺の身体とか精神じゃなくて、もっと深い――魂の部分に根付いている根底の部分だと『わかる』

だからこそ俺は最低な状況を考える。

だって俺は、彼らの意思と想いを再び消してはいけない存在なのだから。

――俺は唯一最後の王なのだから。

 

閑話休題。

 

「なあ斑目。 お前……力強くなったな」

暖まっている身体に水分を与えながら斑目になんとなしに尋ねる。

「おい響樹……嫌味かそれは」

尋ねられた斑目はというとこめかみをヒクつかせながら答えた。

怒るなよ……ったく。

「いやいや落ち着けって……純粋に、だよ。 筋力とかそういうのもそうだけどよ霊圧がさ、上がってるだろ前に比べて」

感覚的には質が『濃くなった』が正解かなぁ。 何人か見てるから、たぶんも、有りうる。

「なんというか、流石だね響樹」

「――他の奴らには言うんじゃねぇぞ。 隊長にもだ」

存外に言ってくれるね。

認めたようなもんだろそれ……というかそうそう習得できるもんじゃねぇけどな……斑目だからってなると、まあ納得しちまうけど。

「……なるほどね。 そりゃ、まあ――さすが斑目って感じだわな。 大丈夫だって、吹聴するつもりはねぇよ」

それに二人にそう言われたらと付け足しながら苦笑交じりに両手を上げる。

班目は悪そうな笑みを。 綾瀬川はいつもの笑みをそれぞれ浮かべた。

「あ、あのぅ……」

「……あァ?」

スマン。 そういえば忘れてた。

「おいおい、威嚇すんなってば」

恐縮してるのにさらにおどおどした感じで会話に参戦してきたハナ。

それに対して何時も通りの感じで返事をする斑目。

怖がりのハナがこんな見た目イカツイやつに返事されたらさらに萎縮するよね……それじゃなくても此処に来てから萎縮しっぱなしなのに。

それにさすがに空気になりすぎるってのは嫌だよな……

「あんまり威嚇するなって斑目。 ハナが怖がってる」

「威嚇なんてしてねぇよ、たく」

「まあまあ。 そんでついでにそのまま紹介するとこいつは俺と同じトコの山田花太郎」

そう言って視線をハナに向けるとおっかなびっくりしながらも受け答える。

「ご、ご紹介に預かりました山田花太郎です!」

おう。 お前は落ち着け……

「ってことは四番隊なんだね」

綾瀬川が仕切り直してくれたのに乗っかろう。 うん、そうしよう。

「そうそう、ちなみに俺よりも階級は上だよ」

だよな? という言葉を笑顔に変えてハナに送る。

「い、一応七席やらせていただいてます……」

「ほう……まあ、ぶっちゃけ階級なんてどうでもいいぜ。 響樹と一緒に行動してるぐらいだから警戒も糞も関係ねぇよ。 ――ちなみに俺は斑目一角だ。 一応俺も言わせてもらうと三席やってる」

「一角に同意するね、それ。 僕は綾瀬川弓親、五席だよ」

「…………」

金魚かお前は。 言葉になってないって。

ギギギと音が聞こえてくるような首の動くで此方に顔を向けるハナ。

パクパク。

「……声になってないぞ、ハナ」

「ひ、響樹さん!? 響樹さんて何者ですか!? 名前はお聞きしたことありますし! 改めて考えると三席と五席ですよ!!?」

「落ち着け……わかったから落ち着け? なんだ、その色々と知り合いは多いんだよ俺」

俺は胡座の上に肘を乗せその上に頬を乗せて楽な姿勢を取る。

そうなんですね、はは……それに対してハナは汗をだらだらと顔に貼り付け此方に顔を向けたまま二人に指を向けていた。

「……人に指を向けるな」

こちらが斑目。

「響樹と仲がいいだけはあるね。 五という数字の――」

省略。

こちらが綾瀬川。

「まあ、たしかに階級もないからなー俺」

斑目と綾瀬川、それに加えてさっきの慌てようはどこへやらハナまで一緒に溜め息をつく。

言いたいことはわかってるからその目はやめて……

「さ、さあー俺の方の用事は終わったし、ハナも戻ってきたし帰ろうかね」

(((あ、話し変えた)))

「そ、そうですね! 隊長にも報告しなきゃですし!」

「優しいのなお前」

くっそー……

斑目がそんな言葉をハナにかけていた。

「……ってことで俺たちは戻るよお二人さん」

いつもの雰囲気に戻しつつ、立ち上げり袴のシワを手で払う。

「おう、二人共また来いよ」

「待ってるよ、響樹と山田七席」

そんな二人の言葉に笑みを浮かべたのはハナ。

なんでお前さんがにやけるのよ……

「そ、それでは班目さん、綾瀬川さん失礼します!」

そんな俺の視線に気づいたのか立ち上げると二人に頭を下げていた。

「うっし、そんじゃ戻りますかね」

「ま、待ってくださいよ! 響樹さん!」

草履を結び終わり、歩き出す二人の背中を眺めながら斑目が呟く。

「隊長はもちろんだけどよ、アイツ――響樹にも勝ちてぇなぁ……」

「きっと出来るよ。 なんせ一角なんだから」

斑目一角と綾瀬川弓親が笑みを浮かべ道場を後にする二人眺めていた。

 

そうしてなんやかんやあったものの『無事』に十一番の門をくぐる俺とハナ。

「さぁ! 響樹さん! 隊舎に帰りましょう!!」

……そんなに息が詰まったか。

「そうだな、隊長に事後報告しなきゃだしな」

「……僕だけなんか、すごい疲れた気がします」

それにもう夕方ですよ……響樹さん。

そんな言葉に相槌を打つ。

まあ、あんだけ緊張の連続してたらそりゃ疲れるわな。

「お疲れさん」

ハナの肩に手を添える。

まさに気休め程度だけどさ。

「あ、そういえばやちるのやつらとは大丈夫だった?」

「はい! 響樹さんのおかげで怖いくらいにすんなりと。 ……あ、最後というか別れ際に『けんちゃんだー!』って言いながらどこか行っちゃったので草鹿副隊長にご挨拶できませんでした」

……なんかその絵を想像できるのが怖い。

去る桃の花、ポツーンと取り残される花太郎と新巻隊士の絵。

「その『けんちゃん』って人誰なんでしょうねぇ……副隊長がそんな呼び方する人だから――」

なんか真剣に考え出した。 天然で真面目だね、ほんと。

苦笑混じりに隣を歩きながら親指で後ろの十一の文字がある扉を指す。

「此処の隊長だよ」

「……へぇ、そうなん、です、か」

……最後にこうしてハナの動きが止まったのを眺めて今日の一日が終わった。

 

翌朝。

昨日の任務を終えたハナを卯ノ花隊長が見て『今日はお二人共このまま終わりでいいですよ。 ありがとうございました。 早めに床に入るんですよ“山田七席”」

そのままお互いそこで別れて仕事から上がった。

それで今改めて来させて頂いてる。

「ご苦労様でした。 山田七席、昨日は“誰かさん”のせいで疲れたと思いますので今日は非番にしてゆっくりとお過ごしなさい」

ハナが感動してる……さすが卯ノ花さん。

あの人声音が優しいから心にしみるもんなぁ――でも、たまにトゲがあるんだよなぁ。

「さて、天井隊士」

「……なんでしょうか……」

「今、変な事をお考えになったからからといってとって食べたりしませんよ。 それはそうと、今日はアレがある日では?」

お見事、お見通し。

あー、切り出すタイミングなかったんだよね……助かるな本当に。

「そうでした。 お願いしても宜しいでしょうか?」

「ええ、もちろんです。 これに関しては一死神としての欠かせない物ですから。 妥協してはいけません……天井隊士にはわざわざ言う事ではないかもしれませんけどね」

「とんでもないです。 こればっかりは妥協という境界線上にないので――俺たちと共に、物にも時間は流れますからね。 だから物にも妥協という『中途半端』にはしないです。 特にコレばっかりは」

それに弄ってるのが趣味になってるからなぁ……ほぼほぼ毎日。

さてと、とりあえずあれこれ準備しなきゃだわな。

「それでは山田七席、天井隊士。 本日はお二人とも非番ということでお過ごしください」

「あ、ありがとうございます!!!」

「了解致しました」

そんなに嬉しいのか、ハナ……

失礼しました。 二人でそう言いつつ退出すると廊下を眺めつつ閉口一番ハナが独りごちる。

「忙しそう……」

「どうした? ハナ」

「いえ、なんというか結構忙しそうなのに、僕は非番でいいのかなぁって……」

「卯ノ花隊長にも言われただろ? 今日は気兼ねなく休みとりなってさ。 それに本当に手が必要ならさすがに隊長自らオレ達を非番にはしないだろうよ」

「……たしかにそうですね。 さーてそれじゃあ!――――なにしよう……」

これぞワーカーホリックってやつなのかね。

たしかに、現世に比べりゃ尸魂界なんて娯楽は少ないしなぁ、急に手が空くのも若干困るか。

「そこらへんぶらぶらするのもたまにはいいんじゃないか?」

「まぁ、そうですね……やることないですし……」

趣味を作ろう。 うん、そのほうがいいと思うよハナ。

「それはそうと、響樹さんも非番になりましたねぇ」

「なんというか……俺はだいたい半年に一回、春と秋のこの日だけ公休もらってる」

「へぇ、初めて知りました。 大事な日なんですね」

ハナのあまり突っ込まない所とか好きだなやっぱ。 察してくれてるのもあるんだろうけどさ。

本当に個人的な事だし……それにあんまり人に話すことでもないし、話してもなぁって感じだからな。

おっと、時間は――これから準備とかしなきゃだからなぁ……。

「悪いなハナ、俺はちょっと準備とかしなきゃいけないから先行くなー」

「はい! それでは良い休日を!」

ハナが廊下を駆けて行くのを笑みを浮かべて見送りつつ俺も廊下を進み自宅へ足を向ける――といってもぶっちゃけ隊舎にはそれぞれ寮があるからすぐ着いちゃうんだけどね。

四番隊隊舎から歩くこと数分、自宅に到着。

「さてと、持ってくものは着替えと、義骸ともろもろ――あとはこれか」

んじゃあ、まあ、行きますかね。

現世に。

 




はてさて。次回はさっそく現世に行っちゃいます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話

遅れるどころじゃなくて本当に申し訳ございません!
書き溜めもしてないです。とりあえず衝動に任せて書きました○

宜しくお願い致します。


 

 

「よっとっ」

山中にザクッと草履で音を立てながら両足を地面に着け、肺一杯に現世の空気を流し込む。

「不思議と何度来てもこっちの空気の方が美味い……気がする」

違いはあれだな、じっちゃんが言ってた『海外から日本に戻ってきた時はやっぱり日本人だと思った。 だって醤油? 味噌?の匂いがする気がするんだもん』ってな感じだ。

……まあ、そんなことは空の彼方に放り投げとこう。時間もあまりないことだし。

 

「とりあえず家に行って義骸に着替える? とするかね」

そう独りごちると空を駆けて“自宅”に向かう。 その後ろ姿が子供のようにわくわくと待ちきれないように感じたのを青く茂る木々が見送った。

 

“自宅”と言っても尸魂界の時代を彷彿とさせる家屋でもなく、現世で見られる近代的なマンションでもなく……歴史のある空座町の外れにある東雲東中学校の中、正確には学校の上に設置されている時計塔の中だ。家とは呼べない場所だが彼――響樹にとっては家よりも大事な場所であり、ここを知っているのは両の手で数えられるぐらいの人だけ。 そんな響樹の“家”であり“秘密基地”であり、“忘れてはいけない場所”だ。

 

「ついたー」

 

響樹は背中に担いでいた荷物を机に降ろすと手近にあるソファーに腰を沈めた。

机に置かれた荷を解き、中から十二番隊に作ってもらった――正確には阿近に無理やりだが――折りたたみ式の義骸を取り出す。 響樹自身の身体が折り畳まれているのになんとも言えない感情が沸くが洗濯物を干す時のようにバサっと広げると右手でそれを持ちながら左手、左足、右足そして最後に右手を入れ、すっぽりと義骸に入り込めばVネックのどこにでもある様ななんちゃって英語が書かれたTシャツにカーキ色のズボン姿の響樹が出来上がった。

 

首を左右に動かし感触を確かめ正常に動くことを確認する。

……入るときは楽なんだけど義骸から出るのが面倒くさいというか脱ぎづらいというか。 まあしゃあないか。

 

そんなことを思いながら備え付けの冷蔵庫まで行き扉を開けると中にはジュースからお酒までオンパレード。

「相も変わらず用意周到なことで呆れを通り越して尊敬するね、ほんと」

その中からペットボトルの水を取り出し、改めてソファーに座りながら一気に口へ流し込み喉を潤した。

 

一息つくと机の上に置かれた荷物の中から丁寧に一際目立つメタリックで傷が所々付き、箒の上に帽子を被った女の子――所謂魔女、魔法使いの絵が書かれ、その下に『tool・toul・to』と巧みな刻印がなされた重厚なケースを取り出し、ついでと言わんばかりにヒゲだけ書かれた仮面を先ほどとは真逆に引きずり出し机に放り投げた。 最後はちょいっと適当に財布と携帯を取りポケットに突っ込む。

 

そして刻印がなされたケースに霊圧を軽く込めるとそれに呼応するかのように金属同士が擦れる音がした後、中から冷気が零れ出てくるような錯覚を感じるような雰囲気を持つ銀色の口を開けた。

 

二つに割れた扉の下にはパッと見れば少し歪な変わったスニーカーが一足。そして扉の上にはこれまたスニーカーとは違う意味で歪な雰囲気を放つ拳大の車輪――ホイールが二つ鎮座していた。

このケースを含めたモノが彼――天井響樹の宝であり、自分であり、友人であり、過去であり、現在であり、未来であり、命であり、死であり、頭で、身体で、両の腕で、両の足で、心臓で……要は天井響樹を形にしたものがこのケースに収まっている、いや、このケースそのものなのだ。

 

「……おはよう俺」

 

ホイールに軽く手を置き、目を閉じたまま慈愛に満ちた顔でそう自然と零す。

手を離すと二つのホイールの上を跨いでいる落下防止のパッキンを外し、、スニーカーと一緒に取り出した。

 

この歪なスニーカーも一見すると普通の靴に見えるかもしれないがその実、コンピューター制御で超小型のモーターに現世にある原動機付自転車と同程度の力を伝達させる機能を搭載した科学の結晶なのだ。

そして何よりこのホイールは“俺”へ作られた専用のモノ……まあ、死神が扱うことからして当たり前なのかもしれないけれどね。

このスニーカー、そしてこのホイールを併せてA・Tという。

ある隊長曰く『珍妙な草履』とのこと。

大昔に興奮して語った宝物に対してそう一蹴して返された言葉に本気で落ち込んだのは内緒だ。

 

――閑話休題――

 

手荷物の中から工具箱――といっても筆箱を少し大きくした程度のものからドライバーなど必要な物でホイールをスニーカーに慣れた手つきで取り付ける。モノの数分で取り付け終わると軽く動作確認を行い、スニーカーに足を通すと腰を上げて立ち上がり、両の足に掛かる感触を確かめながら軽く力を入れるとその力に比例するようにモーターが稼働し前へ進む。

「ふは……やっぱりアガるわ」

先ほどとは種類の違う笑みを浮かべながら机の上に置いた仮面を顔に着け、軽く顎を逸らして口から外気を大きく取り込み一気に吐き出すと同時――そこには突風で吹き飛んだペットボトルと机の足元の地面に軽く抉れた跡があるだけだった。

 

東雲中学校を後にして向かうは伝説のショップ『グランスラム』そして俺の現世に来た目的である『道具屋――トゥール・トゥール・トゥ――』

 

「とりあえずじっちゃんの顔でも見に行くかね」

何を言われるか若干の憂鬱を感じながらも俺の大事な人だから、なんだかんだ言ってもやっぱり現世に来たら会いたいのだ。

 

この“A・T”をはいた足で屋根の上を軽く力を込めて飛べばひと足で二つ隣の屋根の上へ、聳え立つ壁に足を付ければ、吸い付かれるように上へ駆け上がっていく様は――死神の歩法、瞬歩に劣らずであろう。

そんなこんなで夜の大空を楽しみつつ掛けること数十分。

 

たぶん今日は――

「やっぱり此処にいたかコロ爺よ」

時間は深夜2時半を少し越したあたり。陸橋の上の電車が無くなり夜の路線に灯りが一つ。

伝説のショップ。A・T使いは――ライダーはどこに居るのか、どこで出会えるのか分からない。神出鬼没なこの店こそが“グランスラム”だ。

 

「ふぅ……久しぶりじゃないか」

「お久しぶりですジャ婆ちゃん」

煙管の煙を吐き出しながら微笑む見た目イカツイこの方がグランスラムのオーナーのジャ婆。

「コロ爺もおひさー」

「なぜワシには敬語がないんじゃ坊主」

この髭長爺さんがジャ婆とよく一緒にいる昔ライダーをやっていたというコロ爺。

なぜ伝説のショップにホイホイ来れるのかというとコロ爺が俺の拠点にさせてもらってる東雲東中学校の3代目校長というデタラメな経歴を持っている。そして俺の師匠だったりもしたりするのはまたのお話し。

「……長い付き合いじゃないの」

「……まあええわい」

そう言うと車の奥へ引っ込みA・Tを弄りだした。

「相変わらず仲がいいのねぇ。 二人共」

「これでそう見えるのが凄いですよジャ婆ちゃんはさ」

嬉しそうに二人を見ながら機嫌良さそうに呟く言葉に俺が返すと喜色の色が濃くなった。

敵わないなこの人には。

「それで今日は何が入り用だい?」

俺の足元へ視線を落とすとオーナーの問いが飛んでくる。

「んー個人的には油さしが無くなりそうだからお願いします」

「ほらよ。 何時ものでいいだろ?」

お礼を一つ述べるとそれを受け取る。

さすがオーナー、わかってらっしゃる。

「他はなんだい? あそこの連中に頼まれたんだろうけど」

「ええ。 さすがですねジャ婆。パーツなんですが――」

あそこの連中に頼まれたパーツはこれでオッケーっと。

忘れるとうるさいからなあいつら……

 

ジャ婆から紙袋を受け取り軽く中を確認する。

忘れ物は無さそうだな。

「うっし! そんじゃまた来るよジャ婆ちゃん、ついでにコロ爺もね」

「わしゃついでかい! ……転ぶんじゃねぇぞ坊主」

「わかってるっての。 空を飛ぶ楽しみは忘れたことねぇよ」

「ならええ。 早く帰りな」

素直じゃないんだから、まったく。

「素直じゃないのよねぇ二人共……またおいで」

……俺もかい。

軽く手を上げそれに答えると陸橋から飛び出すと、そんな後ろ姿を煙管を蒸しながらジャ婆、A・Tを弄りながらも満足気な表情のコロ爺が見送った。

 

 

次に向かうは大本命、道具屋――トゥール・トゥール・トゥ。

これも違う意味で憂鬱になりながらも、空を駆ける影が一つ舞っていた。

 

 




次はトゥール・トゥール・トゥです!!

書いてて思ったのは





トゥール・トゥール・トゥってめっちゃ打ちにくい!!!!!!
そんで次はいつになるかわかりませぬ……だが少しずつ書いていきたいと思ってますので首がでろんでろんになるまでお待ちくださいませ!
それでは!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話

大変長らくお待たせ致しました(華麗なジャンピング土下座)
今回も短いですが暇潰しに使って頂けたら喜びます!



 

伝説のショップ――グランスラムでコロ爺、ジャ老婆に挨拶を済ませた響樹は左手に紙袋を持ち、夜空に身体を預けながら風を切っていた。

 

俺はこの時期が大好きだ。

秋の夜空は暑くなく、それでいて寒くなく......心地の良い風がよく吹いている。

そんな風に身を任せ夜を往けば、風が、空が、地面が『もっと早く!』、『もっと高く!』 と俺に楽しそうに、嬉しそうに急かすような声が背中を押している気がする。

「んー......心地が良い」

一言で表すならこれだ。

 

彼の進んだ先には複数の傷跡が残っていた。

それもその筈で死神の歩法――瞬歩とは異なり、地面を、壁を様々な所を足場としなければならないのがA・T。然るべき、響樹が駆けた場所には浅いキズ、深いキズ様々なものが刻まれていった。

それは単なるキズと見るか、彼の走った後と見るか......

 

紺色の空の中、雲に隠れていたクリーム色の月が不意に顔を出して街を照らす。

必然的に空を駆ける響樹の姿もより露になった。風を切り進むそんな彼の後ろ姿を望めることが出来る月は、時に地面に、はたまた壁に、街頭に。

そんなものに目を向けるだろうか。向けたらきっと想うだろうか。

まるで彼が創り上げた――そう、道の様だと。

 

 

そんなこんなで夜の空中散歩を気持ち良く楽しむ響樹の顔が急に渋柿を口に放り込まれたようなそんな顔を覗かせた。

それもその筈、人がいる限り死神の永遠の命題に上がる仕事。人間の世界と死後の世界の均衡を保つためのバランサーとしての使命。

人は悪霊と、死神は還すべき成れの果て――虚(ホロウ)と呼ぶ。

そんなモノが眼下のビルが立ち並ぶ雑居な場所で、何も問題ない死霊を手にかけようと奮起し、襲っているのが嫌でも目に入ってしまった。

気持ち良く駆けていたのだから、そんなものを見れば苦い顔にもなるだろう。

 

はぁ。

俺の口から意図した重い息を溢れさせる。

「人......?助けならしゃあなし」

仕事熱心でもなく、ましてや慈善事業で動いていなくとも――なんだかんだで俺も死神なんだなぁ。 なんてことを改めて認識してしまった。

嫌とかではないんだけれども、場所――は置いておくとして......

「時を選んでくださいな、名の知らぬ虚さんよ......」

 

地面を蹴り、前に進んでいた身体をそのままの勢いでどこにでもあるような会社の上にある避雷針代わりのポールに身体の進行方向をズラし、ホイールの付いた足から着地する。

 

"UPPER SOUL 23Roll"

 

ホイールがポールに触れた瞬間、響樹はビデオを逆再生したかのようにポールを逆向きに螺旋を描きながら上へ火花を散らしながら駆け登る。

それがA・Tの特性を活かした技の1つ――トリックの名前。

 

体制を変えつつ、またその勢いを利用して、虚に向けて空を駆けた――というより飛んだ。

高速回転で回るホイールは高熱を発しながら空を往き、特殊な機構を組み込んだ響樹のA・Tは夜空の澄んだ空気を存分に取り込み黄色の閃光を撒き散らし、虚の顔面へ着地する。

重い打撃音を響かせた虚は嫌な悲鳴をあげながら、身体を反らす。

響樹は身体を動かさずにホイールの回転をそのままに利用し、閃光が迸る足に力を込めると虚の顔が陥没していくと同時に響樹の足から迸る黄色の閃光は焔色に変わる。

そんな彼の足を引き剥がそうと虚が足へ手を伸ばすのを視界に入れながらも、響樹は再び足に力を入れると両足をそのまま八の字に開いた――当然、虚の顔面に突き刺さっているのだ。虚の陥没した顔を中心に紅い閃光と共に身体が裂けていき、再び雄叫びを上げる前に黒い身体が崩れていった。

 

 

 

「俺の糧になってくれてありがとう」

 

走れば走る分だけ道は長くなる。

たとえタイミングが悪く、所謂宿敵同士。 出会ってしまったのだから仕様が無い。

無慈悲な考え方かもしれないけれども――新しい道を作らせてくれた、だからありがとう、と。

 

そんな一瞬の出来事に襲われていた人間の死霊は呆然としており、俺が視線を向けると身体を跳ねさせた。

「襲って喰ったりしないって......安心していい。 俺は死神だからなー。 さっきのやつらがいないところに送ってやる。存外にいい場所だからよ......たぶん」

一気に捲し立てると、返事も聞かずに霊力を足に込め、蹴りあげると微風が形を持ち、漂っている霊に向かい流れていく。

 

「ふぅー」

とりあえずひと段落っと。

さぁーてと、お次は――

俺が後ろを振り向くと3階建てのマンションの上の淵に腰を下ろし、不機嫌そうに肩肘を足の上に乗せ、もう片方の足をプラプラと所在なさげにしている彼女に目を向け、これからを考えると若干の憂鬱を覚えつつもさっきとは違う種類のため息を漏らした。

 

セミロングに伸ばした艶やかな桃色の髪に赤いミリタリーベレーを被り、白い制服に身を包んでいる少女――シムカの足元には響樹とは異なる黒いブーツ型のA・Tが夜風に吹かれ、彼女の心境を語るように鳴いていた。

 

響樹はそんな少女の元へ、善は急げとは言わんばかりに足に力を込めてビルを登るときり長の三白眼のじっとりとした視線を身体に受ける。

 

「ごめんなさい......」

悲しいかな。 瞬間的に謝ってしまった俺がいた。

いやね? 誰だってこんな目で見られたら、ねぇ......

「なにがかな?」

追撃。 やだ! この子の顔が見れない!視線が物凄い突き刺さってるよ!?

なんか物理的にダメージ食らってる気がしてきた......

「あー、ほらさ。 予定は曖昧だとしても待たせちゃったみたいだし?」

「私を待たせたのかな?」

「えっと、はい」

「へぇー」

「ほんとにごめんなさい......次は絶対遅れないようにします」

「......何回聞いたかわからないけれども、今度遅れたら手伝って貰おうかな? 欲しい物を。 あの宝の山から。 拾うのを」

「それだけはご勘弁を......」

後半を端的に強調したシムカの言う宝の山とはA・Tのパーツのみで築かれた遠目から一見するとゴミの山。 近づいて手に取るとやっとそれがネジ、スプリング、電子回路、ホイール等々のA・Tのパーツだとわかる。

なにせ時間をかければその山から自分だけのA・Tが作れる程のものが雑多に、広々と深く広がっているのだから。

そんな宝の山の中から彼女の指定するパーツを集めるなんて気が遠くなる作業なのは目に見える......

「約束だからね?」

嫌な汗を額に浮かばせながら狼狽える俺に満足したのか微笑みながら約束を取り付けてくるのだからいい性格をしている。

「えっと、とりあえず時間も限られてるわけだし向かおうかね!」

「話し逸らすの下手かな。 それに貴方がそれを言うのは自分の首を絞めることになるんじゃないかな……?」

「さぁ行こう! すぐ行こう! 今すぐ向かおう!」

はは! 女性はつよいなー! 卯ノ花さん然り!

穏やかな微笑みなのになんでか黒いオーラが見える自分の隊の隊長を思い出さないようにシムカから逃げる――じゃない。促すようにビルの上から夜空に身を乗り出した俺は悪くないんじゃないのかな!

 

 

響樹の背中を当然とばかりに追うシムカ。

夜空を駆ける2人が向かうのは青学女子中学校の"大撥条ファクトリー"

なんだかんだで楽しそうな2人が駆けるのを心地が良い風も追いかけていった。

 

 




これからの展開がぐだりそう。

これからどんな感じで進めようかなぁっていうぐらいにはプロットがふわっふわしてます。
なんかこうして欲しいとかアドバイス等々頂けると盛り込めるかもしれないです!
あとはこのお話に登場するキャラはオリジナルの二世代、三世代後をイメージしてますね。

次回は尸魂界で原作キャラと絡ませたいなぁなんてことを思いながらもお待ち頂けたらなと思います!
それでは!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。